G-generation Break Destiny (ソースカ・ツドン)
しおりを挟む

BRIEFING PHASE 1

処女作で拙い文章ですが、暇つぶしにでもなれば。


その日は暑い日だった。俺こと明石信哉は連続出勤3週間目に突入し、回らない頭をカフェインで無理やり覚醒させながら通い慣れてしまった道を歩く。欠伸を噛み殺しながらいつになるか分からない次の休日に思いを馳せていると、不意に目の前が真っ白になる。そして気付くとやたら広い神殿のような所に立っていた。ふと視線を上に向ける。

 

「知らない天井だ…」

 

人生で一度は言ってみたいセリフを呟きつつ、

 

「あなたはもう死んじゃったから人生で一度も言えませんでしたねっ」

 

などとのたまう、いつの間にか現れたどこか神秘的な雰囲気の美人を見る。

 

「美人だなんて当たり前じゃないですかぁ、だって運命の女神様なんですからっ」

 

訂正、電波な残念美人だった。

 

「む、電波とか残念とか失礼な人ですね。」

 

しかもナチュラルに人の思考を読んでの発言。ぷくっと頬を膨らませるのも美女がやると絵になる。だがホラーだ。

 

「美女だなんておだててもホントのことですから何も出ないですよ?あ、でもお得な話を持ってきたんでした。」

 

最初に感じた神秘的な雰囲気は場所補正だったらしい。しかし気になる発言があった気がする。俺が死んだってマジか、今週末がリミットの仕事が3つばかりあるんだが。

 

「まず仕事のことを気にするとは、さすが社畜戦士ですね!」

 

言われてから気付くまさに見事な社畜ぶりにへこむが、ひとまず気にしないことにする。まずは事実確認が先だ。

 

「おお、ブラック企業で鍛えた精神力は伊達ではないですね!」

 

人の精神を削りに来ているのはさっきの仕返しのつもりか…何のことか分からないといった風の表情はマジっぽい。頑張れ俺、まず重要なのは現状の確認だ。

 

「そうです、そんなことより先程のお得な話なんですが」

 

そこじゃない、俺が聞きたいのは。俺が死んだとかいうトンデモ発言だ。

 

「そこを含めてお話ししますね。」

 

立ったままなのもなんですので、と電波美人が言うと何の脈絡も無く目の前にソファとテーブル、S○NYのタブレットが現れる。

神殿の神秘的な雰囲気は完全に砕かれた。

 

勧められるままソファに座ると再び脈絡も無く現れるのは湯呑み茶碗。良い香り誘われ一口含むと爽やかな苦味と程よい甘味がささくれ立った気持ちを落ち着かせる。いい茶葉を使ってやがる。

 

色々と諦めながら聞いた自称女神の話では、過労で意識を飛ばしながら歩いた俺はそのまま赤信号の交差点に出て車に轢かれあっさりご臨終したという。残した両親と大量の仕事を突然抱えることになる同僚、不幸なドライバーには悪いことをしてしまった。いや、悪いのは会社か?

そして何故現状に至るかというと、目の前の電波さんの暇つぶしだそうだ。はぁ?

 

「いえ、だから他の神様の書いたちょっと気に入らない運命があったのでそれに悪戯したくなりまして…」

 

つまり暇つぶしに見ていたガンダムSeedのシナリオが気に食わず、それを壊すために送り込む魂を探していたところにちょうど良さそうなものを見つけて呼び出したのだそうで。ある程度の原作知識があり、それを壊す意志と手段を思いつきそうな人物に力を与えて送り込み暇つぶしにしたいと。

暇すぎだろカミサマ。そんなこと出来るなら生き返らせてくれよ。

 

「生き返らせる権限は無いですし、そのつもりもありません!」

 

笑顔で言い切りやがった。

 

「死んじゃったのにチート転生できるんだからいいじゃないですかぁ」

 

確かに頑種の、特に種死のシナリオにはちょっと…いやかなり言いたいことはある。メカデザインはこの際置いておくが、メインキャラの行動が迷走しすぎだろ。種持ちの4人は言うに及ばず、出てくる大人達が政治家・軍人・宗教家問わずぶっ飛びすぎである。数少ないマトモそうな、かつ主人公の成長を促しそうな西川さんはアッサリ退場。成長の機会を奪われたシンはその後主人公の座をスーパーコーディネーター様に譲ることに。そのあまりの不憫さに同じ“シン”として思わず涙してしまった。

 

「それを壊せるチャンスがあるんだから、いいじゃないですか、やってから考えましょうよ!」

 

この自称女神の言葉に乗るのは少々癪だが、元の世界に戻れないならそれもありか。

 

「断っても適当にチート付けて放り込みますし!」

 

本当にイイ性格をしていらっしゃる。拒否権なんてなかったらしい。だったらせめて好き勝手にやらせてもらおう。

 

「それではそのタブレットでさくっとチートを設定して行きましょう!」

 

タブレットに選択出来る能力や特殊技能、兵器がズラリと表示される。

 

「オススメのNTと∀のセットはどうでしょうか?」

 

個人の力だけで世界をどうこう出来るとは思わないが、月光蝶はまずいだろ。文明崩壊させる気か?なにやらブーブー言っている駄目神は無視して目を付けていた項目をタップし詳細を表示させる。

 

「generation-systemとは地味なものを選びましたね。」

 

地味言うな。ガンダムの世界ならこれ最強じゃないか。運命を改変しようというならこれくらいの力が、システムを味方につけなければ話にならないだろ。資金さえあれば理論も技術もすっ飛ばして現物支給してくれるんだぞ。

さすがに推進剤無視やENの弾薬化は無理でも、それもキャピタルで簡単に補充できるようだし。

 

「そうですね、製造、修理、補給の物資は全てキャピタルで賄えます。初期資金も多めにしておきますので、これで行きますか?」

 

いや、使わない機能やシリーズを削除する代わりに仕様変更したりボーナスを付けられないか?

 

「出来ますよ。タブレットで操作してみて下さい。」

 

それならと、ユニットレベルと『開発』、『コレクション』を削除して設計の自由度向上を。通常利用するシリーズを『初代』『08』『CCA』『W』『00』に制限し購入コストを大幅に下げ、これ以外のシリーズは購入コストを高くする。

 

「そろそろいいですかぁ?」

 

自称女神は堪え性がないらしい。どこの乙女座だ。

まあこれでやりたいことは出来るだろう。あとはどのタイミングから介入するかだが…

 

「そうそう、私の希望を聞いてくれたら追加でボーナスをあげますよ?」

 

…聞くだけでも聞いてみよう。

 

「原作が始まる時点でのシナリオへの影響がほぼ無い状態にしてくれるなら、明石さんをNT・種持ち・イノベイドのどれかにしてあげます!」

 

種持っていてもロクな事にならなそうだし、それなら身体機能も高くなるイノベイドで寿命延ばして早めにコツコツと準備させてもらいますか。

 

「では行きましょうか!」

 

待て、転生する時期は・・・

 

「オモシロイ運命を期待してますよ!」

 

最後まで話しをきk…

 

 

そして俺の意識は真っ白に染まっていく

 




ちなみに作者は種も種死も嫌いではありませんがムシャクシャしてやりました。後悔はしていませんが、反省はしたいのでご意見ご感想お待ちしています。

ちょっと加筆修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

BRIEFING PHASE 2

「やりやがったあのダメガミ!」

 

起きた瞬間叫んでしまったのは仕方がないと思う。あの電波系残念美人は言いたいとこ言って、さっさと俺をC.E.世界に放り込んだらしい。くそ、転生(転移なのか?)のタイミングや拠点の場所、初期資金・装備の確認とかやることまだあるだろう。

 

「リセットボタンどこだよ・・・」

 

「悲しいけどこれ、現実なのよね」

 

あぁ、現実ってのはいつも唐突に目の前に現れる。仕事も事故もダメガミも。

まあへこんでいてもしょうがない。とにかく現状を把握しなければ。

 

「お、立ち直った。社畜精神は伊達じゃないってね」

 

「余計なお世話だよ」

 

・・・まて俺はさっきから誰と会話してるんだ。

 

「あえて名乗らせてもらおう!クレア・ヒースローであると!」

 

「うわぁ」

 

Gジェネ屈指のネタキャラかよ!

 

「うわぁってヒドい!」

 

「だって、なあ?」

 

「ぐぬぬ」

 

いや、NTの素質はあるし、レベルが上がれば化けるステータスを持っているし、隠れ巨乳ではあるのだけど、ファーストコンタクトがこれは不安感がすごいな。

 

「クレア、医務室で大きな声を出すのは止めなさいって何度も言っているでしょ?」

 

「あ、エリス」

 

「無駄だぜエリス、コイツに言っても3歩あるいたら忘れちまう」

 

「ちょ、エルンストもヒドいよ!」

 

エリス・クロードとエルンスト・イェーガーか。こういう頼れるキャラだと安心できる。

とにかく、まずは現状の確認だな。

 

「クロード、イェーガー、状況を把握したい。ここがどこで、今C.E.何年か、周囲の状況、俺たちの装備や施設の情報が知りたい」

 

「了解だ。ブリーフィングルームがいいだろう」

 

「案内します。クレアあなたは他のメンバーを呼んできて」

 

「おーまかせってね」

 

 

 

ブリーフィングルームに集まったのはエリス、クレア、エルンストの3人とゼノン・ティーゲル、マーク・ギルダー、ケイ・ニムロット、ラ・ミラ・ルナそして

 

「ふははは!このワシが来たからには不可能も可能にしてみせるかのう!」

「怪獣一触とはこのことだね閣下!」

 

おい誰だよクレア・ヒースローとイワン・イワノフを同じ部屋に入れたの。

見ろよこのカオスっぷり、この2人は一緒にしたらダメだ。混ぜるなキケンの表示なかったのかよ。

 

「がははは!木星帰りの男は伊達ではないんだって!」

 

「あははは!閣下、木星に行ったことないじゃいっすか!」

 

「クレアちゃんそれはイワンで!」

 

マーク、エルンスト、苦笑いしてないで止めろよ。エリスが頭抱えちまってるぞ。

 

「いい加減にせんかあぁぁ!」

 

「ぐぼぅあぁ」

「いったあっ」

 

そして落とされるゼノンの鉄拳制裁。ってか今腕が霞んで見えなかったぞ。東方の不敗な王者に迫る動きだな。

 

「バカどもは放っておいて話を始めよう、ラ・ミラ・ルナ頼む」

 

「はい、報告します」

 

オペ子さんの報告ではこの施設は日本近海、太平洋上の無人島にあること。

装備のたぐいは何もないがすでにMS、艦船などを生産可能であること。

そして今がC.E.69年4月ということだった。

 

エイプリルフールクライシスの1年前かよ!

 

あのダメガミ次に会った時には絶対修正してやる。

とにかく時間がない。早く戦略を決めて動き出さないと影響力の確保が難しくなる。

目標は「歌姫の騎士団(テロリスト)」による世界秩序の「その秩序、この私が破壊すr「クレア」エリスごめん!痛たたた!」阻止だ。可能なら騎士団そのものの結成を潰したい。デコ助はともかく、キラもラクスも周囲の大人のダメっぷりと宗凶家の犠牲者と言えるからな。

 

そしてテロリズムを否定するのだから、正規軍、もしくはそれに準じる組織として国際法に則って行動する必要がある。

好き勝手と言うわけには行かなくなるが、これは俺なりのケジメだ。

 

それに都合の良いことに現在の本拠地は原作中ずっと空気だった東アジア共和国、日本だ。ある程度大きな動きをしても、原作開始までの影響制限に引っかからないだろう。

 

「ではまずは日本の行政府への接触を?」

 

「そうだ。それとの軍需関係者だ。ただし、接触する対象は慎重に選んでくれ」

 

「資金やキャピタルの確保は?」

 

「ペーパーカンパニーを幾つか立ち上げて兵器を販売する。候補はこれからピックアップする」

 

政治班はマーク・ギルダーとエルンスト・イェーガー、クレア・ヒースローに新たにスカウトしたネリィ・オルソンが担当し、残りのメンバーにニキ・テイラーを加えて兵器販売の会社を作る。

 

さて、忙しくなるぞ。

 

 

 

 

そして迎えるC.E.71年2月

カオシュン宇宙港はアッサリ奪われ、ヘリオポリスも崩壊し、間もなく低軌道会戦が発生するというこの日。俺たちは新型機動兵器試験の名目でL2点に来ていた。

コロンブス級輸送艦にジェガンを3機と、新型機動兵器MS開発の為に地球連合から供与されたジンを搭載し月の裏側に居るは、当然ながら、試験が目的ではなく低軌道会戦に介入してさくっとアークエンジェルをアラスカに降ろす為である。キラ・ヤマトのMIA→クライン邸の謎テレポートを回避するには、ここで介入するのが一番面倒がなくていいからだ。

 

ここまでの準備は本当に苦労した。企業をでっち上げるのにラ・ミラ・ルナはキラ・ヤマトもメイリン・ホークも目じゃないほどの情報技術(ハッキング)を見せて真っ白に燃え尽きていた。その後の兵器販売ではマーク・ギルダーたちがどこからか確保してきた連合各国とのコネクションからホバートラック、ミデア輸送機の大量受注を取り、更にやはり謎のコネクションでアズラエル財閥の企業とコロンブス級輸送艦を共同開発し、莫大な利益を上げていた。

ホバートラックは前線指揮官の生存率向上が、ミデアとコロンブスは破格のコストパフォーマンスが支持を受け、発表から1年で地球連合軍の多くの部隊に配備された。

 

このコネクションを確保したのはマーク・ギルダーとエルンスト・イェーガーだった。本当に何をやらせても上手くこなす2人だが、どうやってコネを作ったかは、あの悪い顔を見ると怖くて聞けなかった。

 

 

この時の為に立ち上げたPMCソレスタルビーイングと兵器の開発・製造会社、万代重工ではラ・ミラ・ルナが過労死寸前まで働いたんだ、あんな変態仮面なんぞに邪魔はさせない。

 

 




次回ようやく戦闘です(たぶん)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

INTERMISSION

Gジェネ知らない方のためのオリキャラ紹介です。


ここまでの登場キャラ

 

クレア・ヒースロー:Gジェネオリキャラのパロディ・ネタ担当。とにかく原作キャラのセリフをパクる、混ぜる、間違える。お調子者、NT、自重できない・しない、意外と仲間思い、隠れ巨乳と色んな属性を持っている。本作のクレアの半分は作者の愛で出来ています。

 

イワン・イワノフ:通称「閣下」。初登場時はNTのレベルだけは高いが使えないオッサンだったのが、回を重ねるごとにネタキャラ化。相変わらずNTレベルだけは高いが、オヤジギャグを連発する使いにくいキャラになった。クレアと並んで作者は大好きです。

 

エリス・クロード:オリキャラのトップガンの一角。NTかつ基礎能力も高く成長するマジメなヒロイン枠キャラ。中の人ネタで「キレイなカテジナさん」or「熱血ミネバ」などと呼ばれることがある。

 

マーク・ギルダー:オリキャラのトップガン。NTかつパイロットとしても、リーダー、艦長としても活躍できる。何をやらせても完璧にこなしそうなイケメン。「頼れるオクレ兄さん」。爆発しろ。

 

エルンスト・イェーガー:初期能力は満遍なく高いが、終盤になると能力的には若い衆にトップを譲る。ただその経験から頼りにされるベテランといった立ち位置。この人も何やってもそつ無くこなすイメージ。「頼り甲斐のあるクロノクル」

 

ゼノン・ティーゲル:東方不敗系艦長。叩き上げの軍人といった雰囲気で、この人がアークエンジェルの艦長だったらと思わせる。だが頑固そうな感じもする。

 

ラ・ミラ・ルナ:初登場時はシステムオペレーターだったのがいつの間にかMSに乗せられ

戦場に放り込まれた不憫なひと。だがヒロイン補正は無いようで、やけっぱちなセリフが目立つ。だがそれがイイ。

 

ケイ・ニムロット:面倒見の良い姉御さん。ここまで空気だが今後、マッドメカニック的な意味で活躍予定。

 

ニキ・テイラー:冷静沈着な副官枠。立ち位置としてはナタル・バジルールや00のカティ・のポジションか。弄ったら面白そうなキャラ。

 

ネリィ・オルソン:射撃の鬼、金髪碧眼、巨乳、お嬢様とどこかで見たことあるような設定だけど、オルコットさんより登場ははやいからね?弄ったら面白そうなキャラその2。

 

 

今後登場予定のキャラ

 

ガルン・ルーファス:叩き上げの艦長その2。この方は宇宙艦より海上艦の方が圧倒的に似合っていると思う。イメージとしては第二次大戦時のアメリカ海軍のウィリアム・ハルゼーみたいな。

 

シェルド・フォーリー:オリキャラの主人公枠。熱血で真面目、メカニック適正もありとまさにガンダム系正統派主人公。

 

レイチェル・ランサム:褐色NT系美少女。ひたむきで努力家といった設定が多い。そして最近の作品では露出が多くなってきたのは努力が自信に繋がってきたのか。おじさんは嬉しいです。

 

ラナロウ・シェイド:オリキャラのトップガン。NTではないが、能力値はかなり高く使いやすいキャラ。自分の技術に絶対の自信を持つ傭兵という設定だが、この作品ではガンダム的中の人補正で弄られキャラ化するかも。

 

 




今後も適宜挟んでいきます。

12/21追記
クレアに言わせたいネタがある方はメッセージか活動報告にお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

PHASE 1

低軌道会戦

 

第八艦隊と合流したアークエンジェルがまさに大気圏に突入し、アラスカに降下しようと言うタイミングでザフトのクルーゼ隊が強襲を仕掛けた戦いである。

この戦闘でアークエンジェルを庇った第八艦隊は壊滅、司令官デュエイン・ハルバートンは戦死した上、アークエンジェルは降下軌道を外れ敵勢力圏のただ中、北アフリカに降下してしまう。

自分で作った兵器で敵に痛撃され、たった一機のMSと艦の為に艦隊丸ご無駄死にさせたハルバートンを智将とは、クルーゼは過大評価しすぎだ。

 

それはともかく。

この戦いでアークエンジェルを上手くアラスカに降ろしてしまえば、キラ・ヤマトがプラントに行きラクス・クラインとの再会する可能性を大きく減らすことができる。このイベントを回避出来れば三隻同盟が仮に成立してもキラ・ヤマト不在で大きく戦力を削ぎ、影響力を小さくできる。

 

こちらの戦術目標はアークエンジェルのアラスカ降下だ。ついでにハルバートンはともかく第八艦隊の戦力を保全すれば宇宙の戦力バランスが連合に傾き、ザフトの地上戦力をある程度抑制出来るはずだ。

それならこちらの戦力で最大の効果を出すには敵Gの撃破もしくは母艦への強襲か。

 

 

 

 

 

「間もなく目視で第八艦隊を捉える距離です」

 

ニキ・テイラーの報告にブリッジの空気が引き締まる。今回はオペレーターを担当している。ラ・ミラ・ルナは未だにペーパーカンパニーの方に張り付いて動けない。これはこれで不憫だ…

 

「よし、予定通りこの後は戦闘を確認次第MS隊とベースジャバーを発進させる。パイロットはコクピット待機」

 

艦長ゼノン・ティーゲルの指示で動き出すパイロット4人。ジンにエルンスト・イェーガーが搭乗し母艦の直掩に残り、マーク・ギルダー、クレア・ヒースロー、そして俺の3人がゲタ付ジェガンに乗りクルーゼ隊に強襲を仕掛ける作戦だ。

 

『砲撃を確認した。MS隊は発進開始、ベースジャバーも放出するぞ、急げよ!』

 

「MS隊発進する!マーク!仮面野郎の艦は任せた!」

 

『了解だ司令官殿、仕事はキッチリこなしてみせるさ』

 

「クレア、俺たちの仕事はお坊ちゃん達の足止めだ、無理はするなよ」

 

『ふっ、足止めと言わず倒してしまってもいいんでしょ?』

 

おいそれフラグじゃないのか?

微妙な空気になってしまったが、ベースジャバーの準備も出来た、さっさと行こうか。

 

「シンヤ・アカシ、ジェガン発進する!」

 

『クレア、いっきまーす!』

 

『ジェガン、ギルダー機行ってくるぜ』

 

カタパルトがない為、ベースジャバーに搭乗し発進する。俺たちの初めての軍事介入だ、ここで成功させて弾みをつけたいな。

 

コンテナから出てきたベースジャバーにクレアのジェガンと共に機体を固定する。間髪入れず火を噴くバーニア、慣性にシートへ押し付けられる身体、そして近づく戦場。向こうもこちらに気が付きMAが数機接近してくる。やはり警戒されているか。

 

「こちら統合参謀本部直属の第113独立機動大隊だ。第八艦隊、応答願う」

 

『こちら第八艦隊旗艦メネラオス。当艦隊は戦闘行動中である、貴隊の目的は何か』

 

「ザフトに強襲を受けている貴艦隊の援護だ」

 

『・・・こちらの戦力は充分である。貴隊の援護は不要である』

 

おいおいマジかよ。MSとMAのキルレート考えろよ、今もまさに機動戦力がすり潰されているんだぞ。

 

「私の目にはMAが次々と撃墜されて居るように見えるが」

 

『・・・機密性の高い任務を遂行中である。貴隊の合流は認められない』

 

「新型のMS搭載型戦闘艦と敵に強奪されたMS、機密とやらは後どれだけ残っているのか?」

 

『第八艦隊司令のハルバートンだ。我が精鋭達はザフトを撃退出来るだけの力を持っている!ブルーコスモスの犬の助力など不要だ!』

 

確かにアズラエルからは便宜を図ってもらってはいるが・・・これは時間の無駄か。

 

「了解した。合流はせずにこちらはこちらで好きにやらせてもらう」

 

『待て、どうするつもりだ!』

 

「ザフトの諸君にも艦対MS戦闘を教育して来ます。では」

 

通信の向こうで何やらハルバートンが喚いていたようだが、どうせすぐに気にする余裕など無くなるだろう。

 

『マークに合流するのー?』

 

「そうだな・・・マークとは別ルートで敵艦にアプローチをかける。ベースジャバーのコントロールは任せた、俺は邪魔になりそうな奴を迎撃する」

 

『おっけーアイハブコントロール!トランザムいっくよー!』

 

「おいちょっとまt」

 

瞬間、被弾したかと思うような爆音と衝撃が襲う。なんだこのムチャクチャな加速は!

 

「クレア何をしたんだ!」

 

『えっ?熱核ギガブースターを使ったんだよ』

 

SFSにオプションパーツ付けられるなんて聞いてないぞ!

 

『突っ込むよ~!God Save Ireland!』

 

ひどい振動とGに耐えていると、あっという間に第八艦隊の脇を抜けて敵左翼の外側に出る。ザフトのMSが反応してこちらに銃口を向けるが、掠りもせず後方へと流れて消えていく。進路上に飛び出してきた数機のジンにビームライフルを連射し火球に変える。

 

『うかつに前に出て来るから!』

 

それにしてもこの娘ノリノリである。

だが今ので敵が動揺している。この隙に敵艦まで一気に肉迫する!

敵艦からの迎撃のビーム砲、レールキャノン、ミサイルがまるで炎の壁のように目前に迫る。それを推力とジェガンのメインブースターの力業で強引に避ける。

 

『これぞ人呼んでクレアスペシャルぅぅぅ!!』

 

血吐くなよ?

なんとかかわすが次は厳しいか。しかしナスカ級が2、ローラシア級は4か。TV本編より多い気がするが、こんなものだったか?

 

「クレア!ゲタはここまでだ!」

 

『りょーかい!』

 

ベースジャバーをオートで帰還させて対艦攻撃に移行する。

ビームをかいくぐりミサイルを撃ち落として艦隊に接近する。数は多いが艦同士の連携がなければ!

 

『よりどりみどりってね…うわっ危なっ』

 

「油断するな!」

 

レールキャノンをやり過ごした後、僅かに出来た砲火の間隙に2機同時にライフルを斉射する。最左翼のローラシア級の主砲とブースターが爆発する。同時に右翼に位置するローラシア級に爆煙が上がる。慣性飛行していたマークの攻撃で艦橋とブースター、主砲にバズーカの直撃を受けて大破炎上するローラシア級。

マークがやりやすいようにこちらが派手に行ったのもあるが、自分たちでニュートロンジャマーをバラまいておいて対空監視をさぼりすぎだ。

 

『敵艦加速したよ!』

 

「MS隊と合流するつもりか!」

 

 

裏付けるようにMSを呼び戻す通信がされ、一部部隊がこちらに向かっている。早めに戦力を削りたいな。敵MSの数が正史より多く第八艦隊のダメージが大きいか。

 

『敵主力艦の戦闘力はかなり落ちている、前に出て合流を急がせろ!こいつらの火力は脅威だ!』

 

「敵艦の攻撃力を優先的に排除するぞ!このまま合流されると消耗した第八艦隊が火力で圧倒される!」

 

『おまかせってねっ』

 

先ほどのローラシア級にシールドミサイルを叩き込み大破させるが、さすがに至近距離になり対空砲火が濃度を増すとこちらの有効打が少なくなる。更にザフトのMS隊も間もなく射程圏に入る。そうなるといくらMSの性能差があるとは言え、3機だと袋叩きになりかねない。

 

「クレア!マークと合流して敵艦隊の懐に飛び込む!」

 

『そ、それはいくら何でも無茶じゃないかな!?』

 

「ヤツらは艦隊単位での対空戦闘に慣れていない、攻撃を制限させて俺たちはMSを、マークは対艦攻撃を続行させる!」

 

クレアからの返事を待たず敵艦隊の下方に回り込む機動をとる。マークのジェガンもこちらの動きを見て合流する。

 

『艦隊に飛び込むのか?』

 

先ほどの挟撃と言い、本当によくこちらの意図を読んでくれる。ナスカ級の一隻に射撃を集中させ進路をこじ開ける。

ザフトは個人主義の強い軍事組織だ。そこに連携の意識は薄く、個々人が各々の判断で動いている。本来高度な連携の上に成り立つ艦隊行動も、個々の艦長がその場その場で動いているにすぎない。

だから

 

「一度入り込んでしまえば効果的な対空攻撃ができなくなる!」

 

『そうは言っても、これっ、結構キツイよ~!』

 

『シンヤ、俺は機銃を先に潰すぞ!』

 

「頼む!クレアは俺の後ろに付け。敵MSを分断して各個撃破する」

 

『うっひゃ~りょーかいだよ!』

 

対艦攻撃を続行するマークを支援しつつMSを排除する。最初に突っ込んできたジンにライフルを撃ち牽制、足を止めさせたところにクレアの放ったミサイルが突き刺さる。艦を盾にするように機動し、少数の着いて来たMSを火力を集中して墜としていく。

 

『回避して!』

 

4機目を撃墜したところでクレアの切羽詰まった通信が入る。とっさに機体を捻り斜め後方に下がると目の前をビームが通り過ぎる。直撃コースだったか。

 

直前にレーダーに反応はなかった・・・ブリッツか!

それを証明するようにレーダーに先ほどまで無かった反応。襲撃者は姿を現しランサーダートを放ってくる。

 

『当たれ!』

 

『爪楊枝が当たるものかよ!』

 

やはりパイロットはニコル・アマルフィか。

射撃後の攻撃の切れ間にビームライフルを撃ち盾を構えさせる。

 

『その機体の欠点は』

 

『攻撃能力を盾に集中させすぎたことだ!』『マークそれ私のセリフ!』

 

こいつら実は余裕なんじゃないか?

射撃を集中させ攻撃を封じたところに機銃と主砲をいくつか潰したマークのジェガンがサーベルを構え間合いを詰める。切りかかる寸前のところでマシンガンの銃弾に進路を遮られ後退を余儀なくされるマーク機。射背線の先は白いシグー。クルーゼいつの間に出てきやがった。

 

『『出たな変態仮面!』』

 

『厄介なものだな君たちは!』

 

マーク機への射撃にライフルを放ち牽制する。あっさり避けられるがこれでマークも体勢を立て直す。

 

『声が荒いぜ仮面の変人』

 

『・・・躾がなっていないな』

 

「中立国のコロニーに攻撃を仕掛ける様な奴に言われる筋合いはないね」

 

体勢を立て直したマーク機へ追撃の動きを見せたブリッツにクレアのジェガンからビームが放たれ攻撃を遮る。

 

『ふん、連合のMSを製造していて中立とは笑わせてくれる』

 

「中立国が武器商人となるのは珍しいことではない。それに攻撃した挙げ句コロニーを崩壊させるとはマトモな軍人のやることではないな!」

 

マトモな奴とは最初から思ってないけどな。

ブリッツのフォローに回るシグーに更にマーク機からビームが連射される。機体を左右に振り全て避けるのは流石と言ったところか。

 

『核ミサイルで同胞を虐殺した地球人の末路として相応しいと思うがね』

 

『さすがエイプリルフールクライシスで億単位で民間人を虐殺した宇宙人は言うことが違うな!』

 

『戯れ言をっ!』

 

ニコルが先に挑発に乗ったか。ライフルを連射して突っ込んでくるブリッツに、クレアと俺の2機でライフルとグレネードの火線を張る。インターセプトしようとするシグーをマークに任せ、盾を構え回避と防御に専念させ更にライフルを連射し間合いを詰める。

 

「ブリッツはここで排除させてもらう!」

 

『っく!!』

 

回避しながらなんとか反撃しようとライフルを向けるブリッツの左腕を遂にビームが貫く。バランスを崩した隙に一気に間合いを詰める。

 

「ッシ!」

 

『うわぁぁぁ!!』

 

袈裟懸けに切り下ろしたサーベルが頭部の一部と右腕を切り飛ばす。ちっ寸前のところで反応しやがった。

肌が泡立つ様な感覚を感じサーベルの追撃をやめブリッツに蹴りを入れその反動とブースターで後退する。一瞬前まで俺の機体がいた空間を貫いたのは今度はビームだった。よく邪魔が入るなおい!

 

『大丈夫かよニコル!』

 

バスターとジンが数機接近してくる。かなり主戦場に近づいてきている。思ったより戦力を削れていないな、もう少し艦にダメージを与えたいが。第八艦隊のダメージが予想以上に大きいし、そろそろ高度もまずいな。

 

『シンヤ、ローラシアとナスカが!』

 

他のザフト艦が後退を始める中、ローラシアと被弾していたナスカが1隻ずつ急加速を始めてる。特攻はゼルマンのローラシアだけじゃなかったのか!?

 

「くっ、なんとしても足を止めるぞ!」

 

『やらせはせんぞ!』

 

『ちょっと、しつこい男は嫌われるよ!?』

 

この特攻でローラシアはメネラオスと相撃ちだがナスカは・・・アークエンジェルか!

バスターとシグー、ジンからの弾幕に迂闊に近寄れず、距離を稼がれてしまう。メネラオスはともかく、アークエンジェルとストライクがアラスカに降りれなければこちらの作戦は失敗になってしまう。

 

「突破してなんとしてもナスカを止める!」

 

『やるしかないな』

 

『ビームランチャーほしいよ!』

 

「今度買ってやるよ」

 

言いながらもまず1機、バズーカを装備したジンにビームを集中させ撃墜する。その穴に飛び込もうとするがシグーから銃撃を受け後退させられる。バスターの分かりやすい射撃はまだ何とかなるが、クルーゼは本当にうざったいな。

 

『そろそろ墜ちたらどうかね!』

 

『オマエガナ!オマエガナ!』

 

クレアのネタもキレがない。そろそろ余裕がなくなってきたか。チラリと見るとローラシアとナスカはかなり先行し、第八艦隊の至近距離まで進んでいた。

この辺りが退き際か。

推進剤はまだ余裕があるが、弾薬が心許ない。

 

「マーク、クレア。潮時だ、斉射後離脱するぞ」

 

『ちっ、仕方ないか』

 

『後少しなのに~』

 

第八艦隊もかなりのダメージを受け、ここままでは包囲される危険もある。

3機揃ってのライフルの連射に続きミサイルとグレネードも撃ちきる。敵MS隊の動きが鈍った隙に離脱を開始する。

 

『逃がさん!』

 

「っとにしつこい!」

 

尚も追いすがるクルーゼのシグーに3機のビームで牽制する。あれだけ撃ってシールドをもいだだけか、ここで墜ちればよかったのに。

 

『嘘吐きだから死神のジンクスは無効だよ~!』

 

『訳の分からないことを!』

 

そりゃ中の人ネタは通じないだろうよ。クレアもメタ発言は控えろって。

 

 

 

 

 

何とか追撃を振り切り母艦に帰艦するとゼノンから通信が入る。

 

『シンヤ、第八艦隊が壊滅、ハルバートン提督も戦死した。ザフトの艦隊もかなりのダメージが出ているが、連合の宇宙戦力はこれで暫くは動けないな』

 

そして、とゼノンは一度言葉を切り、言い難そうに話す。

 

アークエンジェルはアフリカに降下した可能性が高い、と。

 

 

俺たちのファーストミッションは失敗に終わった。

 

 

 




最後までお読み頂きありがとうございます。

戦闘の描写って難しいですね。臨場感と緊張感のある戦闘を書ける方って本当に凄いと思います。
まだまだ精進しないとですね。

加筆修正しました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

PHASE 2

お久しぶりです。なんとか復帰できました。今回は短いですが、リハビリがてらです。
またよろしくお願いします。




低軌道会戦から数日後、俺たちはシステムの生産設備のある太平洋基地に集合していた。

こちらで目覚めた場所だからか何となく思い入れがある。

 

 

「揃ったな。今回集まってもらったのは先の戦闘、原作に倣って低軌道会戦とするが、これの分析と評価、今後の活動についてのミーティングを持つためだ。ゼノン頼む。」

 

「承知した。それではまず低軌道会戦についてだ。この戦闘での目標は、アークエンジェルのアラスカ降下を成功させることだったが、戦闘後の分析ではアフリカ共同体の勢力圏に降下したことが判っている。」

 

 

こちらに被害は無かったが、有り体に言って作戦失敗だ。その原因もはっきりしている。

 

 

「敵戦力が戦闘前の予測より多く、十分に削ることが出来なかったことでアークエンジェル及び第八艦隊への圧力が原作と同等だったことが原因だろう。」

 

 

ザフト、プラントに対する情報収集を怠り、原作知識を当てにしすぎた結果だ。MS万能主義のザフトを笑えないな。

 

 

「今回の敵戦力に対応するには、ジェガン1個小隊では火力不足が明らかでした。」

 

「そうだねー。ウイングみたいな高火力の機体か、ジェガンがあと1小隊あればね。」

 

「現状、ザフトのMSに対してジェガンであれば性能差で圧倒できます。しかし対艦攻撃能力は高いとはいえず、防御力の低いザフト艦にも有効打を与えるにはジェガンの標準装備では打撃力が不足しています。」

 

 

ニキ・テイラー、クレア・ヒースローの言うとおりジェガンだけでは、敵戦力がある程度の規模になると打撃力が足りない。高機動高火力の機体か数を揃えるか、もしくは火力支援を提供できる戦闘艦が今後は必要になる。

 

 

「しかし保有キャピタルを考えると、今回あれ以上の戦力を用意することは難しかったと思うが。」

 

「そうですね。今後はどこにリソースを割くべきか慎重になるべきですね。」

 

 

そう、戦力を整えるのに必要なキャピタルが、想定したよりかなり多く必要だったのも問題だ。ホバートラックやコロンブス級輸送艦などの補助戦力は低額に抑えられていたのだが、MSや戦闘艦などの正面戦力は高額に設定されていた。

またキャピタルの取得も、これまで資源やジャンク、鹵獲MSを投入してみたがあまり効率的ではなく、挙げ句アースダラーを変換したがこれもやはり効率は悪かった。

 

 

「しかし今回、戦闘報酬は悪くないと思います。」

 

「そうだね、戦艦はムリでも高性能MSなら買えるんじゃないかな?」

 

「正面戦力もいいが、今後を考えるなら人材のスカウトも必要だと思うが。」

 

「マークの言う通りだな。ここは情報収集と戦力拡充の為に投資しよう。」

 

 

今の残高で高性能MSなんぞ購入したら、他に何も出来なくなってしまう。連合経由でも情報は手に入れられるが、自前でも情報源は確保しておくべきだろう。戦略兵器の建造を掴めないこの世界の諜報部は頼りないと言うのもある。

戦力の拡充については技術系のメンバーに頑張ってもらおう。・・・この辺の準備もしたかったんだが・・・あの駄女神め、次会ったら折檻してやる。

 

 

「ケイ、ジェガンが運用出来るビームランチャーを開発してくれ。ベースジャバーにオプションパーツをつけたんだ、出来るはずだ。」

 

 

頭を抱えながら、うへーなんて言っているがマッドメカニックの気があるから大丈夫だろう。他にもやってもらわなきゃならないこともある。

 

 

「あと、人手をつけるからやってほしいことがある。」

 

「なんだい?ミデアにメガ粒子砲でも取り付けるかい?」

 

 

出来そうなのが怖いな。

 

 

「いや、リバースエンジニアリングだ。こちらの勢力の戦力を底上げしたい。」

 

「連合に技術を売るのかい?」

 

「正確にはその準備だ。まだ地位の固まっていない現状、ただ利用されたり横流しされたら堪らない。」

 

 

ジャンク屋なんて厄介な連中もいるし、情報漏洩に緩いからな、こっちは。連合もザフトも。

 

 

「アークエンジェルはどうしますか?そのままと言う訳には行かないと思いますが。」

 

「今から出ればインド洋かマラッカ海峡には間に合うのでは?」

 

 

そちらも当然介入だな。戦闘報酬のキャピタルも欲しいがキラ達を放置するつもりもない。謎テレポートを阻止出来なくても、ここで接触を持っておくのは無駄にはならないはずだ。

 

 

「マーク、アークエンジェルに対する救援部隊として俺達が動けるようにアズラエルに掛け合ってくれ。」

 

「任せてくれ司令官殿」

 

「エリスとエルンストは俺とアークエンジェル行きだ、準備を頼む。ゼノン、人材は手配しておく、しばらく采配は任せた。」

 

「承知した。不在の間を預からせてもらう。」

 

 

さあ、また忙しくなる。その前に準備を整えないとな。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

PHASE3

ハーメルンよ!私は還って来た!!

宇宙戦も核爆発もないよ


ミデア輸送機

160tの物資を搭載でき、MS3機+支援車両の空挺任務母機もこなす地球連邦(U.C.)の傑作輸送機。

輸送機らしく飛行速度が遅く武装は貧弱だが、その長大なペイロードでジオンへの反攻作戦を行う連邦軍の膨大な物量を下支えした。

こちらではアズラエルに売り渡し大西洋連邦に制式採用され、我々のドル箱商品の一つとなっている。

 

現在俺達は重力下での各種装備の試験運用、という名目でアークエンジェル救援の為に紅海へ向かっている。

出来れば虎さん達との戦闘に間に合いたかったが、アズラエルを通した連合への根回しやら、組織拡張の手配やらで思いの外時間がかかってしまった。

 

「機長、アークエンジェルの動向についての情報はあるかい?」

 

『いいえ。アークエンジェルの情報もザフトの情報も追加はありません、少佐』

 

第113独立機動大隊といういかにも怪しげな、ガンダム的ネーミング特殊部隊の実働部隊指揮官シンヤ・アカシ少佐。

 

それが今の俺の立場。

 

勿論、部隊全体の指揮官の少将は別にいる(ことになっている)が、部隊を動かすのに制約が少なく、比較的自由に動ける非常にご都合主義な部隊である。

 

本当にガンダム的だね。

 

「敵中に孤立した艦、何としても助けたい。状況が動いたら直ぐに知らせて欲しい」

 

『了解』

 

アメリカ軍の系譜として、友軍は絶対救出。これに疑問はないだろ。

 

「ドダイの調子はどうだ、エルンスト」

 

制式名称はド・ダイ改。ジオンのド・ダイYSを戦後、連邦軍が発展させたサブ・フライト・システム。

SFSとしては可もなく不可もなくか。

 

『問題ないぜ、隊長』

 

「よし、エルンスト機はミデア隊に先行して哨戒を」

 

『Nジャマー値増大!』

 

こちらが見つかったか。アークエンジェルか。

 

「エルンスト、警戒を厳に!機長、ドダイ2機投下後俺達も出るぞ!」

 

下部ハッチが解放されドダイ2機に続いて、俺とエリスのジェガンも投下、ドダイに搭乗する。

 

「ミデア1号機は上空に避退、2号機は現状の高度を維持。エルンスト機は護衛。エリス機は俺と先行する」

 

『『『了解』』』

 

さて、蛇が出るか鬼が出るか。早く合流して少年達の負担を軽くしてやりたい。

艦長とMA乗り?軍人だろ!民間人の少年少女に頼ってないで軍人の本分を全うしろよ!

 

まあそれだとガンダムの物語が成立しないんだけどさ…

 

それでもこの時期の“大人達”の不甲斐なさ、無責任さがキラを歪めてしまったと思っている。

1人で多くを背負い込み、心が追い詰められている時にケアもせず、傲慢を糺す事も出来ず、軍人の在るべき姿を教育もしない。

結果、力だけは強いが子供のまま大きくなってしまい、自分たちを省みる事も責任を取ることも出来なくなった。

 

「些細な事も見逃すなよ。必ずアークエンジェルを見つけ出す!」

 

『『『了解!』』』

 

「シンヤ・アカシ、ジェガン先行する」

 

『エリス・クロード、ジェガン行きます』

 

俺の機は2時方向に、エリス機は10時方向に先行し索敵を開始する。

 

今回は装備にマシンガンとバズーカを追加した。マッドメカニック達は文句を言いながらも、連合から配備された弾薬に適合するジェガン用装備を作ってみせた。

マッド恐い。

これらの武器弾薬と医薬品、食料などははミデア2号機に満載されている。

装備品はマーク・ギルダーたちが日本・アメリカのメーカーと交渉して、ライセンス生産させているらしい。

いつの間にやった。

 

『隊長、戦闘らしき反応です』

 

「了解エリス。そちらに合流する。エルンスト、ミデアは速度そのまま、上空に避退しろ」

 

Nジャマー散布下でも、レーザー通信がギリギリ繋がる距離。

雑音混じりのエルンスト機からの通信を聞きつつ、ドダイをエリス機との合流ルートに載せ加速。

 

『隊長、ディンらしき機影3とスカイグラスパーらしき機影1です』

 

「加速して一気に突っ込む。援護を」

 

『了解。後ろは任せて下さい!』

 

「まずは一当て。どの程度の腕か見させてもらう!」

 

加速のGを感じつつ、100mmマシンガンを構えさせる。

3機のディンの中でも機動の鈍い1機、こいつから墜とさせてもらう。

今更こちらに気がついたようだが、もう遅い!

 

「獲った!」

 

『…!回避し…!』

 

最大射程から放った100mmマシンガンはディンの左主翼を捉え粉砕する。

これで1機無力化。

 

『く…!何……コイツ……!!』

 

反応が悪いぞ。無駄口叩く前に対応しないと!

 

『墜とします!』

 

追随していたエリス機からの射撃に蜂の巣にされるディン。

これで2機!

 

3機目は即座に反転離脱を試みているが、完全に機を逸している。

 

『ナチュラル風情が!こんな!』

 

進行方向を制限させる俺の射撃にエリスが合わせて最後のディンを始末する。

モラシムなんかのエースはいないMOB部隊か。

 

「そこのスカイグラスパー、聞こえるか?こちら第113独立機動大隊のシンヤ・アカシ少佐だ。応答願う」

 

『こちら大西洋連邦所属アークエンジェルのムウ・ラ・フラガ少佐。援護に感謝する!』

 

「こんな所でエンデュミオンの鷹と会えるとは光栄だ」

 

『今はそんなことより俺の母艦を支援してほしい!現在ザフトの水中MSの襲を受けている!』

 

「了解した。位置は?」

 

『先導する!付いて来てくれ!』

 

さてようやく麗しの大天使とのご対面か。これで第一段階は達成。

後はオーブ、そしてJOSH-Aへのエスコートだ。

勿論、トールもキラも揃っての…




大変長い間お待たせしました。
G-generation Break Destiny再開します。

時間が空いてしまった言い訳は色々あるのですが、それは活動報告にでも。
拙作についても色々あるのですが、それも活動報告で。

また暇つぶしの一助になる位の物語を書けるように、ぼちぼちと頑張っていきます。
宜しくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。