仮面ライダーリュウガ 〜暗黒を纏いし黒騎士〜 (人類種の天敵)
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オリジナルライダー紹介ページ
オリNo.1 高倉芳野


 

仮面ライダーベガ

・外見

猟師のような姿

左肩には茶色の動物の皮を着けている。

その他の色合いは赤黒色だが顔とアーマ部分は錆色

仮面の部分は鷹に近い顔付き。

 

召喚弓ギアボウガン。

ボウガン型の召喚弓武器、連射と単発式に別けられる。単発式はチャージ可能、持ち手の部分にカードを装填する。

 

契約モンスター

錆色の鷹、ホークスギア。契約者に忠実なメス、他のヤツには狂暴な対応になる。ちなみに主が他者を認めたら渋々認める。

 

↓カード類

・アドベント

AP5500のホークスギアを召喚

 

・フライトベント

飛行能力を手にするカード。背中から翼が出る、羽根を武器として投擲する。AP2500

 

・ウィンドベント

GP2000

一時的な風を身体に纏う。筋肉、速さ等の身体強化の効果。

 

・スチールベント

ガードベントの鎧版。翼の模様をした鎧が身体を包む。GP2000

 

・ストライクベント

鷹の爪の形をしている手甲型。装着時どちらかの手の甲に付くAP2500

 

・シュートベント

契約モンスターの顔をモチーフにしたラッパ式銃、鳴き声の衝撃波を放つ、AP3200

 

・ソードベント

日本刀タイプの武器、羽根の模様が掘られてる。AP3000

 

・ファイナルベント

技名、ラカッセル・ユナイテッド

 

ホークスギアが相手を竜巻に封じ込める。その間、変身者は竜巻の風の中に身を入れ、風に乗りながら高く飛ぶ。その後、変身者は脚にエネルギーを溜め、鷹の爪(オーズのプロミネンスドロップみたいな)を展開、ホークスギアは嘴を先にし、同時に叩き込む。AP6500

 

変身者

高倉 芳野

(たかくら よしの)歳、25 性別、男

職業、ライトノベル小説家

 

性格は冷静沈着だが人当たりが良い。

ライダーバトルの反対者の思考、しかし唯一ISの抑止力になりえて、間違った価値観の見直す方法の一種になるのでは?と考えている。

モンスター=ペット?仲間?としての義務が有るという自覚があり夜にモンスター狩りする。

家族が他界してる為、死という概念が契約モンスターが危険に及ばない、または死なせないように慎重に相手を選ぶ。

また須藤に声をかけられた一人だが怪しさ満点だった為即答しなかった。

 

身長178センチ、体重81キロ、健康な青年。顔付きは目が鋭い為、子供の大半が泣くかビビって止まる。子供の前には、サイバーサングラスを着用。

 

願い

IS及びライダーバトルの無い世界を志望

 

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オリNo.2 風霧亮介

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名前

風霧 亮介(かぜきり りょうすけ)

 

ヒロインは虚さん

 

性別

 

性格

陽気&クール

 

身長

188cm

 

体重

62kg

 

趣味

ドライブ、料理、鍛練

 

特技

機会の魔改造、ハッキング、料理

 

好きな物・人・こと

バイク、コーヒー、甘い物

アギト、蓮、優衣、手塚、北岡、士郎、真司、猫、更識家、布仏家

真司弄り

 

嫌いな物・人・こと

漬物、女尊男卑主義者、IS、篠ノ之束、織斑千冬、IS学園側のライダー

自分勝手すぎるバカ、友人を傷つけるやつ

 

詳細

アギトの悪友で、アギトの良き理解者

アギトがまだ一夏であった時からの友人。アギトが偽物と代わったことにすぐ気づいた。

両親は白騎士事件で死亡。

更識家と布仏家とは家柄上いい付き合いをしていて、楯無や虚、簪や本音とは仲がいい。

アギトがいなくなったあと、女尊男卑主義者に家を焼かれ、蓮に引き取られる。

ある日、デッキを士郎から受けとり、契約モンスターであるウイングバードと契約し、仮面ライダーバードとして戦う。戦ってる内にアギトと再会する。

陽気な性格だが、変身すると人が変わったかのようにクールになる。

武術系統が得意だが、機会を改造したりハッキングすることも得意で、一度ウザイIS乗りISをハッキングして動けなくした。

 

契約モンスター

灼熱の鷲獅子 ウイングバード

詳細

オレンジ色の鳥系モンスター。

亮介の最初の契約モンスターで、強い風を放つ。

擬人化可能。

擬人化状態では、女性でオレンジ色のショートカットをしており、オレンジ色の浴衣を着ている。

亮介との関係は良好。

アドベントでは、相手にカマイタチを喰らわせる。

 

ガンウルフ

詳細

紫色の狼可能系モンスター。

亮介の2番目の契約モンスターで、背中にキャノン砲とガトリング砲をつけている。

他のミラーモンスターに殺られそうなところを亮介に助けられ、亮介と契約を結ぶ。

擬人化可能。

擬人化状態では、女性で紫色のロングヘアーをしており、紫色のライダースーツを着てる。

亮介との関係は良好。

アドベントでは、相手に噛みつき尻尾で叩く。

 

オリジナルライダー

名前

仮面ライダーバード

 

契約モンスター

ウイングバード

ガンウルフ

 

見た目

ナイトのオレンジバージョン

 

装備

翼召剣ウイングバイザー

アドベント-ウイングバード、ガンウルフ

ソードベント-風双剣ウイングブレード

シュートベント-ウイングビット、ウルフガトリング、ウルフキャノン

ガードベント-バードウイング、ウルフレクター

ストライクベント-ウルフクロー

トリックベント-バードイリュージョン

バインドベント-テールロック

ファイナルベント-天空斬、ウルフエンド

 

翼召剣ウイングバイザー

見た目はナイトのダークバイザーと同じ

 

風双剣ウイングブレード

日本刀をイメージした武器

 

ウイングビット

ウイングバードの羽が機械化して、亮介の意志で相手を切り裂く。

 

ウルフガトリング

ガトリング砲を二つ両腕に装着して、相手を乱れ撃つ武器。

 

ウルフキャノン

キャノン砲を手に持ち、ビル1つを粉々にできる程のイリョクを持つ武器

 

バードウイング

ウイングバードが亮介の背中につく物

(イメージは、ウイングゼロ(EW)のウイング)

 

ウルフレクター

ガンウルフの顔を模した盾。

射撃系の攻撃を弾き返す。

 

ウルフクロー

ガンウルフの爪を模した両腕の武器

(イメージは仮面ライダータイガのデストクロー)

 

ウイングイリュージョン

ナイトと同じだが、増やした分身のうち1人は性格が陽気になり、何をしでかすかわからない。

 

テールロック

ガンウルフが機械の尻尾を相手に投げつけ拘束する技。

 

天空斬

バードウイングを装着した状態で上空に飛び、速いスピードで相手の懐に入り切り裂く技。

 

ウルフエンド

ウルフクローで相手を斬り上げ、ガンウルフが上空に跳び、ガトリング砲とキャノン砲を相手に撃ち込み、尻尾で叩き落とし、最後は蹴りを喰らわせる。

 



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オリNo.3 ロック・ヴォルハート

ロック・ヴォルハート

 

国籍

アメリカ

 

性別

 

職業

警備員

 

性格

基本的に「いい人」である。戦闘好きだがそれ以上に食い意地が張っている。しかし、明確な敵意や殺意等を向けてきた人物には容赦がない。義理人情や友情に厚く、大切な人のためなら本気で怒り、自らを投げ出すことを厭わない。

 

身長

203cm

 

体重

96kg

 

趣味

散歩、自家菜園

 

特技

立ったまま寝る、匂いを嗅いで何の匂いかを当てる

 

好きな物・人・こと

食べ物全般、草花、動物、

アメリカにいる恩人

食べること、寝ること

 

嫌いな物・人・こと

マズイ飯、空腹

女尊男卑主義者、織斑一夏、篠ノ之束、織斑千冬、IS学園側のライダー

友人を傷つけるやつ、命を軽く見てるやつ

 

詳細

スラム街出身で荒んだ生活を送った孤児で、生まれついた常人離れの筋力と頑丈さで食べ物の強奪等を行っていたが、とある事件をきっかけに罪滅ぼしを決意して改心する。

 

常人離れの筋力と頑丈さ――具体的に言えば、IS学園の防護扉を殴って穴をあけてから力づくでこじ開ける筋力とトラックにはねられてもすぐに立ち上がれる頑丈さ――を持っているが、とある事情で本気を出し続けることが出来ない。

 

無類の動物好きでアメリカにいた時は道路に飛び出した猫を助けようとして、自分がはねられた。その後は前述の頑丈さもあってすぐに立ち上がって猫を追っかけた。

 

日本に来たとき、デッキを士郎から受けとり、契約モンスターであるゴクウソンと契約し、仮面ライダーモンクとして戦う。戦ってる内に多くのライダー達に出会う。

 

織斑一夏が嫌いな理由は『人間なのに人特有の匂いがせず、工場で造られた道具のような匂いがする』からである。

 

見た目は20代後半に見えるが、実際はアギトと同じ年齢である。老け顔を気にしており、アギトにはそのネタでよく弄られる。

 

 

樹海の無法者 ゴクウソン

 

詳細

ロックの契約モンスターでゴリラに似た山吹色の猿系大型ミラーモンスター。

両腕にはブースターが付いており、加速とパンチ力増強が可能。

擬人化可能。

擬人化状態では、タレ目に金髪天パ気味のショートヘア、タンクトップとジーパンを身につけた女性。余談だが、巨乳である。

ロックが買ってきた緑色のジャージを好んで着ている。

ロックとの関係は良好。

アドベントでは、ブースター付きの両腕と怪力で敵を薙ぎ倒す。

 

 

オリジナルライダー

 

名前

仮面ライダーモンク

 

契約モンスター

ゴクウソン

 

見た目

三国志の武将のような見た目をしたライダー。身体の至るところに中華風の模様がある。スーツ部分と中華風の模様は山吹色で鎧と顔部分は緋色。目の部分はアップルグリーン。

仮面は猿のような形をしている。

 

装備

猿召拳ソンバイザー

アドベント-ゴクウソン

ロッドベント―ソンロッド

ストライクベント-ソンフィスト

ガードベント-ソンシールド

トリックベント―エイプイリュージョン

ナスティベント-ジャングルノイズ

バーサークベント―アウトベルセルク

ファイナルベント-ワイルドナパーム

 

猿召拳ソンバイザー

左腕を覆い隠すような形で装備された籠手型の武装召喚機。手甲部分にあるフタを後ろにスライドさせ、その中にカードを装填する。

 

ソンロッド

ゴクウソンの尻尾を模した棒。丈夫で扱いやすく、よく使用している。

 

ソンフィスト

ゴクウソンの腕を模したブースター付き籠手。右腕に装着。パンチ力を上げるだけではなく、フォーゼのロケットよろしく空を飛ぶこともできる。

 

ソンシールド

ゴクウソンの胸部を模した大型の盾。防御のみならず叩くや突き刺すといった武器として使用している。

 

エイプイリュージョン

ナイトと同じ分身を生み出す。

 

ジャングルノイズ

ゴクウソンがドラミングを行い、その際に発生する超音波で相手の平衡感覚を狂わせる技。

 

アウトベルセルク

彼が隠し持つ奥の手。使用から五分間は全身に黒い靄が纏わり、鎧の細部が十重二十重にブレ、目の部分が赤く光り輝く。他のカードが一切使えなくなるが基礎能力を大幅に底上げするほどの力を秘めている。ただし、使用から二分以内に解除しないと暴走してしまうのでヤバい時にしか使えない。翌日は一日中筋肉痛で動けなくなる。

 

ワイルドナパーム

モンクが両足を揃えて跳び、拳を構えたゴクウソンが跳んだモンクの両足裏目掛けてブースター全開の全力で殴り飛ばし、その勢いで相手目掛けて突貫する必殺技。

 

 

サンプルボイス

「ロック・ヴォルハートだ。よろしくな」

 

「旨いもんが食えるならそれでいいんだよ」

 

「NINJYA!? ジャパニーズNINJYAだ!! NINJYAってあれだろ!! 『忍ばざることパーリナイッ!!』って言いながら悪代官に桜吹雪を見せる人のことだろ!!」

 

「……つまりあれか? お前はオレに――ライダーに生きる資格はないって言いてぇんだな? そうなんだな? ……歯ぁ食いしばれ」

 

「誰が老け顔ゴリラだ! オレはまだ16だ!!」

 

 



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オリNo.4 アルス・ウォルコット

アルス・ウォルコット

 

ヒロインは真耶とチェルシー

 

国籍

イギリス

 

性別

 

一人称

 

身長

193cm

 

体重

71キロ

 

年齢

20歳

 

職業

ICPO

 

性格

基本は穏やか。

積極的に人と触れ合う。

しかし、IS委員会及び女尊男卑組には容赦ない。

 

家族構成

 

ミリア・ウォルコット

 

性別

 

身長

175cm

 

スリーサイズ

B104W59H90

 

性格

普段は穏やかで心配性。

ただし、怒らせると恐い。

 

年齢

18歳

 

血液型

A型

 

職業

歌手

 

趣味

読書、ドライブ、カラオケ、料理

 

特技

気絶させる料理を作れる。

 

好きな物・人・こと

動物、花、歌、家族、ライダー(浅倉は苦手)、士郎

結衣、喫茶店のおばちゃん、セシリア、チェルシー

おっかけ

 

嫌いな物・人・こと

カラシ、蛇、虫(蝶々やてんとう虫は例外)、IS側のライダー

IS委員会、女尊男卑、家族や友人をバカにする人

織斑一夏、織斑千冬、篠ノ之束

 

詳細

アルス・ウォルコットの妹。

アルスと同じで頭がいい。

13歳ではIS学園に入学し、2年で卒業。

元生徒会長で元イギリス代表。

千冬とは何度も戦うが、引き分けかたまに勝つくらい。

以降は不運続きで、千冬に親友呼ばわりされるは、束に卑怯なマネをしたんじゃないかと言われるは、千冬信者のバカどもには、千冬に謝れと言われるは、散々な学園生活を送っていた。

 

卒業してからは、代表を辞め、歌手として生きている。

人気は世界クラス。

 

仕事が休みな時は、歌の練習をしたり、料理したりするが、たまに兄であるアルスを尾行というなの、ストーキングする。

 

日本での仕事中に、亮介にミラーモンスターから守ってもらってからは、亮介にぞっこんである。

 

 

 

 

ルミア・ウォルコット

 

性別

 

身長173cm

 

スリーサイズ

B100W58H90

 

性格

活発

 

年齢

16

 

血液型

A型

 

職業

バイオリニスト

 

趣味

バイオリン、読書、料理、散歩

 

好きな物・人・こと

食べ物、バイオリン、家族、ライダー(浅倉は苦手)

士郎、結衣、喫茶店のおばちゃん

セシリア、チェルシー

 

嫌いな物・人・こと

ドリアン、ゴキブリ、IS委員会、織斑千冬、篠ノ之束

家族や友人をバカにする人。

 

詳細

ウォルコット家の次女。

アルスやミリア同様、頭が良く、既に高校を卒業。

ミリア同様、IS学園に在籍し、元生徒会長で元イギリス代表。

ミリアの1つ下の後輩にあたり、ミリアが卒業と同時に、生徒会長兼イギリス代表となる。

真耶とは同級生。

 

卒業後は、バイオリニストとして活動する。

腕は、世界クラス。

 

ミリア同様、日本で仕事してる際に、ミラーモンスターに襲われるが、アギトに助けてもらった。

以降アギトにぞっこん。

 

 

 

アルスのサンプルボイス

 

 

 

 

アルス

「僕としては、早く終わらせたいな♪」

 

「日本て、あれが有名なんだよね?えっと…………そうだカツアゲ‼やり方教えて‼」

 

「ここの警察官は全員、眉毛が繋がって、下駄をはいているんじゃないの⁉」

 

「僕にとって大切なのは、家族と友人、それだけだよ」

 

「女尊男卑に染まりしクズは…………あの世でざんげしな」

 

趣味

読書・旅行・料理・ボランティア

 

特技

寝ながら料理ができる。

見ただけで悪いかどうか分かる。

(例:野菜が腐ってるかどうか簡単に分かる)

 

好きな物・人・こと

各国の名物、動物、海、空

セシリア、チェルシー、IS側じゃないライダーたち

たまに絵を描くこと

 

嫌いな物・人・こと

わさび、女尊男卑主義者

IS委員会、IS側のライダー

織斑一夏、織斑千冬、篠ノ之束

見下す人間、友人を傷つける奴

子供を泣かす奴

 

詳細

イギリスにある名家の長男。

セシリアの従兄で、セシリアとは兄妹のように育ってきた。

幼い頃からボランティア活動をしてきた。

15歳には大学を卒業するほどの天才だが、自慢する気は毛頭ない。

卒業後、ICPOに入り、各国を回って犯罪者を逮捕している。

 

射撃の腕は百発百中。ICPOの中では右に出るものはいない。

また、ICPOの中で一番犯罪者を逮捕している。

しかし、たまにサボりぐせが出て、どこかの国に観光に行く。

 

大の海好きで、休日は大体海を見ている。

また、波で服がびしょ濡れになっても、気にせず海を見ている。

 

動物好きで、よく公園で、リスや小鳥たちと遊ぶ、動物に好かれやすいタイプ。

しかし、一度動物園に行った際、動物たちが檻から出て追いかけられたため、動物園に行くのがトラウマになっている。

 

日本に来た際、同じ妹を愛する神崎士郎に何かを感じ、意気投合。

士郎から友人の証としてデッキをもらい、契約モンスターであるレオングと契約し、仮面ライダースナイプとして戦う。

後にライダーたちと知りあってゆく。

 

織斑一夏が嫌いなのは、どこか機械みたいで、自分の存在を認めようとしないところ。

 

織斑千冬が嫌いなのは、教師としてあるまじき行為、及び上から目線が嫌い。

 

篠ノ之束が嫌いなのは、無責任なところと、女尊男卑を作るきっかけだから。

 

セシリアやチェルシーとは仲がいいが、白騎士事件以降、セシリアとは会っていない。

チェルシーとはたまに連絡を取る。(それなりにいい関係)

 

雷武装獣 レオング

 

詳細

アルスの契約モンスター。

ライオン型のミラーモンスター。

尻尾が剣のようになっており、背中にはバズーカとダガー、ブースターミサイルランチャーがついてる。

擬人化可能。

擬人化では、金髪のロングヘアーで、服装はジャケットにジーンズである。

余談ですが、巨乳です。

関係は良好。

 

オリジナルライダー

 

名前

仮面ライダーレオン

 

見ため

ボディーはゾルダタイプで、顔部分はタイガの黄色のライダーである。

胸部分のアーマーは、獅子の模した形。

 

武装

機召銃レオンバイザー

ソードベント─獅子雷剣、レオングダガー

シュートベント─レオングライフル、レオングバズーカ、プラズマランチャー

ブーストベント─レオングブースター

ストライクベント─レオングクロー

ロックベント─サンダーウェーブ

ガードベント─サンダープロテクター

アドベント─レオング

ファイナルベント─サンダーズエンド

 

機召銃レオンバイザー

見た目はマグナバイザーの黄色バージョン。

 

獅子雷剣

見た目は西洋の剣を模していて、電撃を放てる。

 

レオングダガー

両手用のダガー。スピード戦で有効に使える。

 

レオングライフル

レオングの顔を模したライフルの武器

 

レオングバズーカ

両肩に装着する武器。

 

プラズマランチャー

両手に装着するミサイルランチャータイプの武器で、プラズマを放つ。

 

レオングブースター

スナイプの背中に、ブースターが装着され、高速移動ができる。

 

レオングクロー

レオングの爪を模した武器。相手に雷を帯びた斬撃を放てる。

 

サンダーウェーブ

レオングが電磁波を放ち、相手を痺れさせる。

 

サンダープロテクター

レオングの顔を模した盾。

打撃をガードすると、相手に電撃を浴びせ、ダメージを与える。

 

アドベント

レオングが尻尾で相手を斬りつけ、射撃武器でダメージを与える。

 

サンダーズエンド

スナイプが獅子雷剣を持って、レオングと共に斬りつけ、レオングが相手を蹴りあげ射撃をし、落ちてきた相手を雷を帯びた足で、回し蹴りを決める。

 

 



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オリNo.5 支倉紫穂

 

支倉 紫穂 (ハセクラ シホ)

性別:女 年齢:20

容姿:髪の色は紫を帯びた銀色でセミロング。身長は159cm

体型:B86 W56 H84 職業:共学校の講師

願い:束、ISの存在しない世界

人の感情や思考を読むことに長けており、束を一目見た瞬間にその狂気を感じ取った。結果束とその製作したISを"この世の害となる存在"として敵視しているも、そのISの操縦者自体は悪くないと考えている。そのため学園側に襲われた際にも操縦者には出来るだけ傷を負わせないようにしながらISだけを徹底的に破壊している。

女でありながら女尊男卑に胃を唱える存在であり、"才能や出身で差が出るのは仕方がないが、性別を理由に格差が生まれるのはおかしい"と考えている。

しかしサディストなところがあり、涼しい顔で毒舌を吐くことがある。パートナーのスカルピオンに対しては"当てれば一撃の猛毒なんかよりこういうじわじわと甚振れる方が楽しい"などと発言しており、戦闘後に頭を撫でたりとペットのように可愛がっている。無論餌はしっかりと与えている。

 

セリフ

 

「偶にあの女の頭に核兵器が突っ込む姿を想像するくらいには憎悪の感情を抱いているわよ?」

「思考が単純するぎるわね、攻撃も単調だし…それでよくここまで生き残れたわね」

「すぐに殺したらつまらないじゃない、じわじわと甚振るのが楽しいのよ。こんな感じね」

「その程度で何かを成せるとでも思っていたの? 本当に馬鹿ね…そこらのモンスターの方がよっぽど利口よ」

「へぇ、だから? 勘違いしないでくれるかしら、元から貴方の意見なんて聞いてないの」

「ふふ、偶にはこういう風に息抜きするのも悪くないわね」

「なによぉ…私だってまだまだ女の子なのよ?」

 

ファイナルベント時の専用セリフ

 

「そろそろ貴方にも飽きてきたし…『FINAL VENT』帰りましょうか」

 

 

 

仮面ライダーサリス

パンチ力200AP キック力350AP

ジャンプ力35m 走力(100m)5秒

紺色の装甲をしたシザース型のライダーだが、頭部の蟹の目の様なパーツが無かったり肩の三対の足のようなパーツが四対になっていたりと所々蠍らしい形状に変わっている。

所持カードは6枚と少し多い。

 

契約モンスター

骸蠍スカルピオン (全長300cm)

紺色の外骨格に身を包む蠍型のミラーモンスター。

所々に白いラインが入っており、背部には外骨格の上からさらに硬い白い髑髏のような骨格が身を守っている。四対の足で見た目からは想像できない速さで移動する。

 

召喚鎌サリスシックル

鎌状の武装型召喚機。刃の付け根の部分を上にスライドさせアドベントカードを装填する。

 

所持カード

ストライクベント(スカルシザー) AP3000

スカルピオンの両腕の鋏を模した武器。

形状はシザースピンチと瓜二つで両腕に装着する。

 

ガードベント(スカルディフェンス) AP2000

スカルピオンの背の髑髏状の外骨格を模した盾。

スカルシザーとはギリギリ干渉しない形で左腕に装着される。

 

ソードベント(スカルダガー) AP2000

スカルピオンの尾節を模した武器。

鈍く輝くサバイバルダガーの様な形状で、刃には弱い麻痺毒があり、何度も斬りつけることで相手の動きをゆっくりと封じていく。

基本的に逆手に持つ。

 

コンファインベント

性格的に持たせたかった。

 

アドベント(骸蠍スコルピオン) AP5000

スカルピオンを召喚する。

鋏や尾部で敵を攻撃する。

 

ファイナルベント(ディメンジョンスマッシュ) AP6000

踵に刃が来るように足にスカルダガーを装着しスカルピオンの尾をバネの様に使い空高くにジャンプ、スカルピオンが鋏で敵を捕らえたところに上空から勢いを乗せた踵落としを食らわせる。この時装着したダガーによる斬撃と踵による打撃を同時に食らわせている

 

変身は…右手でバックルを突き出して、そこから肘から先だけで半円を描く様にくるりと右上から下、左へと手を動かして、タイガのようにバックルをベルトにセットする…で伝わりますかね?

左腕は右が手を右、下、左に動かすのに合わせて左下から上へ向かって回して両手で円になるようにして…最終的には右の肩あたりに

 



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オリNo.6 亀田海洋

仮面ライダートータス
変身者 亀田海洋(かめだ かいよう)


国籍 日本
職業 海洋学者


年齢 28歳
身長 185cm
体重 80kg

 


趣味

海を見ること


特技 水泳 格闘技 聞き耳


性格 基本は無口で喋る事はない。喋ったとしても一言か二言。

合理主義者であるが弱いものを見捨てられないなど存外甘い男である。


敵意を向けてくる者には容赦が無く徹底的に潰す。


好きなもの 海 海洋生物 友人


嫌いなもの 女尊男卑 織斑一夏 織斑千冬 篠ノ之束
詳細 


元海上自衛隊の潜水艦のソナー手。

格闘、射撃において海上自衛隊では右に出るものはいないと言われており将来有望だったが女尊男卑の上官と折り合いが悪く退官。


元々好きだった海を忘れられず海洋学者を目指し海洋大学を主席で卒業。
学会などでいくつかの論文を提出しその筋では結構有名人だったりする。


潜水艇での海底調査の際にウミヘビ型モンスターに襲われ危機一髪の所で神崎に救われた。

その際にデッキを貰い契約モンスターであるウミガメ型モンスターのアケローンとリクガメ型モンスターのメイオラニアと契約する。


糸目でありよく寝ているのか起きているのか分からないと言われる。ソナー手であったため耳が良い。


 

ディープダイバー アケローン


詳細 藍色のウミガメ型モンスター
背の甲羅にはミサイルランチャーが装備されておりアドベントではミサイルで敵をピンポイント攻撃する。空中を飛ぶことも出来、空中戦での足場代わりにされる事もしばしば…
メイオラニアに比べると防御力が劣り機動力を重視している。
擬人化した際はロングのストレートヘアのメガネを掛けたしっかり者系の美人である。ちなみに胸はB程度である。

 


グランドフォートレス メイオラニア


詳細 藍色のリクガメ型モンスター
背の甲羅には大口径のグレネード砲とガトリング砲が装備されておりアドベントの際は空間制圧射撃をかける。
高い防御力と低い機動力のせいで味方に盾にされる事もしばしば…(´;ω;`)
擬人化した際はおっとり系のゆるふわウェーブヘアの美人である。

胸はEぐらいあると思われる。

 

仮面ライダートータス


見た目は藍色の亀の甲羅の意匠をこらした鎧武者の様な姿をしたライダー

 


装備
亀召機トタスバイザー


アドベント‐アケローン


アドベント‐メイオラニア


ストライクベント‐トータスガントレット


シュートベント‐アケロンランチャー


シュートベント‐メイオカノン


シュートベント‐メイオガトリング


スピアベント‐メイオスピア


ソードベント‐アケロンブレード


ガードベント‐トータスシールド


ファイナルベント‐デッドエンドクラッシュ



 

亀召機トタスバイザー


亀の甲羅をモチーフにしたショルダーパッド状の召喚機甲羅の先端をスライドさせカードを差し込む。シールドにもなる。

 


ストライクベント‐トータスガントレット


両手に装備される甲羅状の籠手。硬く、重い。相手の攻撃を弾き重い一撃を叩き込む。

 


シュートベントシリーズ
モンスターに装備された重火器を装備し射撃する。


 

スピアベント‐メイオスピア


メイオラニアの尻尾状の槍を装備する。正直スピアと言うよりもメイスである。


 

ソードベント‐アケロンブレード


アケローンの前ヒレ状の双剣を装備する。
ファイナルベント‐デッドエンドクラッシュ
アケローンがミサイルランチャーで攻撃、トータスがメイオガトリングで制圧射撃しメイオラニアが甲羅内に入りタラスクアタック。



 

セリフ


「まったく…見ておられん…」


「海にゴミを捨てるんじゃない!」


「目標鎮圧。帰還する。」


「然り…」


「寝ておらんぞ…?」


「蛇はあまり好きではない。」


「射撃開始…巻きこまれるなよ?」




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高倉芳野 サイドストーリー 『綴る者』
自由のない世界


高倉芳野サイドストーリーを、提供者からのプロットを元に書いております。




 

 

 

 

ある日の放課後

 

 

「……だから、この時代には書き手には自由はない。オレの書きたい物が書けないのさ」

 

「書きたい物が書けない……だと?」

 

「オレが先日投稿した小説……覚えてる?」

 

「……男尊女卑の悪の国を凝らしめる女勇者の話だな……私をモデルに書いたと息巻いていた……あの」

 

「あはは、そこは忘れて…………あれ、本当はネタが違うんだ」

 

「なに?」

 

「持ち込んだら担当になった人から、『これはダメでしょ』……って言われちゃってさ。ああしろ、こうしろって言われるがまま書き直したんだよ」

 

「そうか……なら、本当の話は……?」

 

「千冬にだけ教えるけどね、実は……本当の話は………………」

 

 

 

 

 

蔵詩乃 夜鷹

クラシノ ヨタカ

 

純白のブリュンヒルデシリーズ

 

嗚呼、この世の果てで何を問う?

 

『現在、大人気のライトノベル小説家!先生の処女作である男尊女卑の世の中を大切な仲間たちと切磋琢磨しながら1人の女性として、世界を救う勇者として成長していく少女を描いたブリュンヒルデシリーズはアニメ化やゲーム化……更に金曜ドラマやアニメ映画・実写映画化されるほどの絶大な人気を誇っています!!蔵詩乃 夜鷹先生ですー!!』

 

『どうも、蔵詩乃 夜鷹です』

 

『先生!本日は先生の大大大大成功の秘訣を教えてもらいますよ!』

 

『いやぁ……私の話でよければ……是非』

 

『では最初に。男が女を虐げる男尊女卑の世界で、たった1人孤高に生きる主人公の勇者チフュですが、ズバリ!モデルとなった人物はいるのでしょうか!?』

 

『あっ、はい。クラスメイトに偶々そんな人が居たので暴力的な所とか、あんまりお洒落に興味がなかったりとか、恥じらいとかが皆無な所とか、色々と参考にさせて頂きました。いやぁ、暴力的な所とかほんっと、自分がされてきた事をそのまま書き殴ったと言っても過言じゃないですね……はは』

 

『ほう?………クラスメイトにそんな奴がいたのか……』

 

『はは………………………………………いや、嘘です。すみません今の所カットかNGシーンでお願いできますか?あ、無理?そうですか……あ、いえいえ、大丈夫ですよ?明日から病院の方に入院しなくちゃいけないかなって心配するぐらいで全然…………って、ちふ……織斑さん、いたんですか』

 

『大先生の高校生時代の同級生枠で…な。ふ、あの時クラス一番大人しかったお前が大出世したものだ』

 

『いやぁ、それ言ったら織斑さんも一緒でしょ?あと俺はあの時から顔が救いようのないほどに強面だったからせめてみんなを怖がらせないように……ね?』

 

『そうかそうか……つまり、みんなを怖がらせないようにしていたお前と違って、私は元から孤立していた……ということか』

 

『あっ!次!次の質問ないですか!出来れば学校の話とブリュンヒルデシリーズ以外で!え?宣伝?現在執筆してますブリュンヒルデシリーズ【英雄の章】とぶっ壊れた価値観だともっぱら評判の『嗚呼、この世の果てで何を問う?』上・中・下巻共々よろしくお願いします!……い、以上で!』

 

 

 

 

カランカラン………

 

閑古鳥の鳴く平日の喫茶店へと、ノートパソコンを脇に挟んだ男が1人、店の中へ足を踏み入れる。

 

「やぁ、リュウくん……って、何見てるの」

 

その人物はカウンターの席に座る1人の少年を見てニッコリと笑い、親しげな足取りで近づいて行く。

 

「ああ?またアンタか…………あ、いやいや、大先生に親しくさせてもらって大変光栄です……ええ、ええ」

 

「ちょ……いきなり何を……って、ああ、先日出演したテレビの話?」

 

カウンター席に座る少年の口調が、何時ものようなぶっきらぼう口調ではないことに気付いた男は、そこでようやく少年が弄るノートパソコンから、自身が出演したテレビ番組の収録を見て苦笑した。

 

「見てくれたんなら、是非とも小説の方を読んで欲しいね」

 

「ふん、興味が無い」

 

ならば是非にと茶化してみるものだが、目の前の可愛げの無い少年は、下らない茶番は終わりだとばかりに鼻で笑い飛ばし、何時ものようにカフェオレをゆっくりと啜った。

 

「連れないな、バトルの反対者……もとい、仮面ライダー同士、ちっとは仲良く出来ないのか?」

 

反応は可愛く無いものの、意外と義理人情に厚い少年の照れを知っている男は少しからかうつもりで何の気なしにそう言う。

 

「仲良く?反対?仮面ライダーは所詮戦う運命だ。馬鹿の1人2人に付き合ってたら体がもたん」

 

「そう言って何時も助けてくれるんだけど」

 

「………………あ゛?」

 

小声で呟いた言葉は、どうやら聞こえていたらしい。

この少年は気にしていないフリをしながら、実のところ、目ざとく耳を傾けているのだ。

 

「そりゃ残念だっ……てね。ま、オレもオレで周りの人間が護れればそれで良いけどさ………あ、いつものとあの場所空いてる?」

 

ピッとVサインでいつものを2個注文し、ガラガラの喫茶店の空席をわざわざ確認する。

 

「………あぁ。2つか」

 

注文を聞いた少年は億劫そうに返事しながらも、パッとカウンター席を立って注文に応えようとする。

 

「頼むよ。相棒は飲めないが形ぐらいは、な?」

 

「忠誠心が強いくせに変なこだわりを持ってんのはアンタくらいだよ」

 

「ハハハ……」

 

トポトポとコップの中へいつものが満たされていく。

その光景をジッと見つめていると、少年は手元を注視しながら話題を振る。

 

「そういえばハリウッド映画化もするんだよな、アンタの小説」

 

「…………してほしくないけどな」

 

「……は?」

 

ぽつりと素で答えた返答に、興味を持ったらしく、片眉を上げた少年が無言で続きを促している。

 

「普通なら喜ぶさ。普通なら、な」

 

そこで一旦区切り、言葉を考えていると。

いつかの思い出が、蘇ってきた。

昔もこうやって、放課後の教室に居残って誰かに語っていたような気がする。

 

「この時代には書き手には自由はない。オレの書きたい物が書けないのさ」

 

「書きたい物が書けない?」

 

「オレの作品覚えてる?」

 

「……男尊女卑の悪の国を凝らしめる勇者の話だろ」

 

「あれ、本当はネタが違うんだ」

 

「なに?……なら、本当の話はなんだ」

 

少年との会話は、あの日の会話を彷彿させるようなものであり、自然と、彼女と少年が血の繋がった姉弟のようだと錯覚してしまう。

 

「リュウ君にだけ教えるけどね……本当の話は……………おっと、ヤバいな。リュウ君、ミラーワールドに逃げな」

 

喫茶店の窓の外を見て軽く舌打ちをしてしまいそうだ。

どのような状況といえど、書き手ならば聞き手に対する作品のネタばらしは最後まで言い切りたいものだが、今回は流石に条件が悪かった。

 

『ギャーギャー!』

 

『ゲゲゲ』

 

相棒と、少年が従えるモンスターの一匹が人をコケにするような不思議な鳴き声を上げる。

 

「ゲリョス………?また織斑が来たのか」

 

嘆息する少年の顔は、無表情を装いながらも、喜びと、悲しみと、怒りの感情と、それに対する戸惑いを掻き混ぜた、複雑な色合いを見せている。

 

「犯人は戻ってくる。調査の基本、さ。

帰ったらホークスギアを通して伝えるよ」

 

本当なら自分で伝えたかったものだが、これもまた、時の運というものだろう。

 

「………」

 

少年は、ポケットから取り出したカードデッキを握りしめたまま、こちらに視線を向けて動かない。

 

「どうした?」

 

「何故俺にそこまで肩入れする」

 

油断ならない瞳、まったく、そんな目をして良いのはさ……戻れない人間だけだ、君はまだ、16歳の子供だろう。

 

「さぁね、理由としては、いつものが飲めないのは嫌だから………にしといてくれ」

 

「………」

 

「あとでケーキくれ、相棒の飯狩りもだな」

 

「………後でな」

 

「頼むよ、リュウガ」

 

ふん、と鼻を鳴らした少年がカードデッキを鏡に向けて、次の瞬間には黒い騎士へと変身する。

そして彼は鏡の世界……ミラーワールドへと姿を消した。

 

 



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戦わなければ生き残れない
戦わなければ生き残れない


人類種の天敵と申します。今回は仮面ライダー好きが高じてリュウガに変身する主人公で書いちゃいました。リュウガ大好きです。因みにこの作品は「神崎士郎が神崎優衣を救うことを諦めた」事で影響が及んだ並行世界の一つという設定です。ので、多分AUは思考が軟化してます。綺麗な浅倉さんもいます多分。あとオリライダーを出すのでそれが嫌いな方はブラウザバックを推奨します


 

 

………………昔むかし、ある所に。とある一家が住んでおりました。

両親と姉弟の一家は、とても幸せに毎日を過ごしておりました。

ある日、両親の仕事の都合で、一家は住んでいる家を引っ越さなければなりませんでした。

引っ越すために元いた学校の友人たちと泣き別れ、新しい場所で友達を作れるか不安になる弟を、両親も姉も優しく慰めてくれました。

そして一家は新しい場所で、新しい環境で、また新たな生活を始めました。

姉は小さい頃から学んでいた剣道を、近くの道場でもっと強くなるために励んでいました。もちろん弟も姉の後ろへ着いて行き、成り行き的に剣道を習い始めました。

 

……弟の姉は、とても優秀でした…他の者が羨むぐらいに。弟の存在が霞み、言葉を、そして悪意を覚えた者たちから馬鹿にされ蔑まれ、嗤われるぐらいに。

ですがそんな者たちから、姉はいつも弟を護り続けてきました。そしてそんな姉が、弟は大好きで、尊敬していて、いつかは必ず自分が護るのだと。そう信じていました。

 

ある時弟は、誰かが自分を見ているということに気が付きました。

一人は同い年という事でいつも自分と稽古をしている道場の師範の娘。

そしてもう一人は、その娘の姉である長女でした。

しかし長女の弟を見る目つき、視線はとても禍々しいものでした。

大変優秀な姉を持つ弟は、これまでに幾たびの誰かしらの視線を受けていて、その視線の持つ、嫉妬。憎悪。嫌悪などという人の心を、悪意を読み取ることが出来るようになっていました。

 

そして、その長女の視線とはーーーーー

 

 

 

 

 

 

「誰だお前は」「邪魔だ死ね」「うざい何で箒ちゃんなんかに」「殺してやる殺してやる」「ちーちゃんの弟?あれが?そんなわけがない」「あんなもの相応しくない」「その他大勢のあの男と女もだ」「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」「消えろクズ」「ノロマ鈍臭い」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」「死ね」

 

限りないほど、いや無限とも言える。際限なき弟への憎しみ、嫉妬などの感情でした。

弟は彼女の視線を見ることを後悔しました。なぜなら、彼女は心で表せる感情以上に弟へ、「死ね」と言い続けていたのです。

 

いつしか弟は、心を完全に病み。目の下は不安で眠れないため、クマでおおわれ。

姉の後ろを着いて行き、道場へ訪れることも無くなりました。それは、学校も同じでした。

彼は、通っていた学校を休みがちになりました。自分を守ってくれる母の近くで、寒さと恐怖と、あの長女の視線に怯え、毛布にくるまり、ガクガクと震える生活を続けていました。

全く道場へ来なくなった弟を、師範の娘は怒りながらも様子を見にきました。弟は絶対会うことはありませんでした

 

 

何かに脅える弟を、無理に問うことをせず、見守り続けた家族。

そんな一家の絆は、悪魔のような長女の手によって……簡単に、脆く崩れ去ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

ある日、父さんが会社から、帰って来なくなった。連絡しても電話に出ない

母さんは大丈夫と言っていたけど、本当に大丈夫何だろうか?怖い。恐ろしい。あの女だ。きっとあの女が何かしたに違いない

 

 

 

ある日、母さんがパートへ行ったきり、帰って来なかった。毎日毎日時間きっかりに帰ってくる母さんが帰って来ないなんて、ありえない……父さんがいなくなってからパートへ働き出して…生活費のためにどんなに苦しくても頑張っていた母さんが……怖い。恐ろしい。次は僕だ。あいつは、僕を狙ってくる。姉さんは強い、僕は弱い。怖い。怖い。怖い

 

ある日、姉さんが僕の肩を掴んでこういった

「父さんお母さんは私たちを捨てたが、これからは二人で生きていこう」と

姉さんは一体何を言ってるんだ?まさか、あいつの仕業か?

 

 

 

 

ある日、あいつが来た。とても恐ろしい

 

 

奴は僕を連れて玄関から入ってきた

 

 

奴は僕とそっくりな誰かを僕と言った

 

 

訳が分からない。姉さん、あれは僕じゃない。姉さんは僕を信じてくれるよね?姉さんは僕を置いてかないよね?姉さーーーー

 

 

 

 

 

 

 

僕はーーー夜の路地裏を歩き続ける

あの家はーーーもう僕の要る場所じゃないらしいーーー僕はーーー織斑一夏ではないらしいーーー僕はーーー姉さんにーーー捨てられたんだ

 

 

夜の闇を貪るように眠りに落ちていけば

自分が今誰かなんて夢の中みたいだ

 

 

ああ、そうだ。僕は誰でもない。ただの、ただの影だ。幻だ。織斑一夏であった僕の、そして奴が連れてきた彼のーーー鏡写しの虚像だ。だれか、お願いだ

 

僕の正体を突き止めてくれ……!!

 

鏡から伸びた手に腕を掴まれた。鋭利な爪は僕の手を易々と裂く。血が飛び出ていく。痛い

 

鏡の中へ連れて行かれた僕は、人知れずこの怪物たちに喰われるのか………ニセモノの結末にはピッタリだな………

 

もし、僕を殺すのなら、最後に。一思いに殺してほしい。痛いのは、嫌だから。一瞬で楽にしてほしい。思えばこの場所へ引っ越してきたときから……あの女にあった時から。僕はとても怖くて、痛くて堪らなかったんだ。早く、僕をーーしてくーーれーー

 

「ギャギャギャギャギャ!!!」

 

 

 

 

 

 

『変身』

 

 

 

?誰だろう

誰かが、怪人と戦っている

黒い、誰かだ……

誰かの周りには龍もいる。長い尻尾で怪物たちを薙ぎ払い、僕を護ってくれる

 

『FINALVENT』

 

『ハァァ……ッ…』

 

龍が吐き出した黒い何かが怪物たちの動きを止めた。黒い誰かはベルトから取り出したカードを左手の、龍の顔を模した手甲へ入れて腰を低く下ろした後。左手は下ろし、右手を上げて、短く息を吐き。宙へ飛び上がった

 

『アァァァァァ……!!』

 

「ギャギャギャギャギャーーーー」

 

龍の炎と共に怪物たちへキックを放つ黒い誰か。気がつけば怪物たちは一匹残らず黒い誰かに倒された……怪物たちから飛び出た光る何かを黒い龍が美味しそうに頬張ってる

 

『…………お前も…鏡写しの…幻…か』

 

?誰……だろう……とても辛そうな顔をしている。痛いのかな?痛いのかな?

 

『俺は……神崎優衣を……救うことが出来なかった……俺の目的は………俺の願いは…叶わない……』

 

泣いてる……怪物たちを圧倒していた黒い誰かが、泣いてる、なんで?こんなに強いのに

 

『俺は最早………仮面ライダーではない……この身体も…もう。時間切れだ……』

 

そう言った彼の姿は、塵のようにボロボロと崩れ、消滅していく

 

『すまない……優衣…俺はお前を救うどころか……城戸真司との戦いにも負けた』

 

片手で顔を覆いながら、崩れ去っていく誰かはベルトについたカードデッキを引き抜いた

 

『俺の願いは、俺の残留思念と共に消滅する』

 

顔を覆う指の間から、彼の目が見える。その目が伝える想いは、死への恐怖でも生への執念でも無かった

 

『消滅する俺にこのカードデッキは必要ない』

 

僕は彼が投げたカードデッキを両手で受け止める

 

『お前は……自らの願いに…宿命に打ち勝て……本物の城戸真司と同じように……』

 

「無理だよ…そんなの。だって俺は、ニセモノなんだ……ニセモノなんだよ!」

 

脳裏に、姉だった者の目が映る。酷く冷めた目が。まるで僕の存在なんて忘れてしまったかのような

 

『だったら…今からお前は……暗黒竜ドラグブラッガーの契約者であり仮面ライダーリュウガの変身者……龍賀アギトを名乗れ』

 

「たつが……あぎと……?仮面ライダー…リュウガ……」

 

『行け…!龍賀アギト。お前がお前であるために…!!』

 

消滅していく彼の気迫に押されて、俺は鏡の中から外へ出た

 

『戦え…!仮面ライダーリュウガ。どの道俺たちは………』

 

鏡の中の彼が、言った言葉へ、僕は………俺は、ああ、と頷いた

 

『…………』

 

そんな俺へもう一度眼を向け、満足そうに口の端に笑みを含んだ鏡の中の城戸真司は。ボロボロの塵のように。完全に消滅した

 

『グオォォォォォォ…オオオ……!!』

 

前の契約者が消滅した事を嘆くように黒い龍。ドラグブラッガーが夜の街へと咆哮した

 

「………行くぞ、ドラグブラッガー」

 

だから俺は相棒へと言葉を告げる

 

「俺が…龍賀アギトが。今からお前の契約者。仮面ライダーリュウガだ」

 

ドラグブラッガーは試すように俺の周りをグルグルと回る

 

『ガァォォォォォ!!!』

 

彼の長い尾が5回ほど回ったところでドラグブラッガーはもう一度暗闇の空へと顎を開いた。それは新しい契約者を得たことの喜びか、それとも前契約者である虚像の城戸真司への手向けか。力強く、重く、そして聴く者全てを戦慄させる咆哮を吠えた

 

 

「俺は戦う…城戸真司。そしてあんたは、誰かにとっては誰かの幻かもしれないが、俺にとっては本物だったよ」

 

キィィィィィィィン

 

城戸真司へ言葉を紡ぐと、頭の中を不協和音が響いていく。俺は目を瞑り城戸真司が言っていた言葉を繰り返す

 

 

「『仮面ライダーは…戦わなければ生き残れない』」

 

『ググォォオオオオオオッ!!!』

 

新たな契約者の初陣を祝うためか、それとも新しい自分の獲物の出現に歓喜しただけか。ドラグブラッガーが三度目の咆哮を吠えた

 

「今思えばこの俺はあの女に戦わなかっただけだ。逃げてばかりで、両親に護られて安心しきって……」

 

だから何も護れなかった。あいつに奪われるばかりで

 

「だが、俺は戦う…!俺自身を勝ち得るために!!」

 

城戸真司に与えられた。たった一度の命はチャンスだ。今度は俺が奪い返す。あいつに奪われた俺という人生を。相棒と共に

 

城戸真司から貰ったカードデッキを鏡へと向ける。鏡の向こうでは俺の腰にVバックルが装着されていた

 

「………変身ッ!!」

 

Vバックルへカードデッキを挿入する。カシャン!という小気味いい音が聞こえ、黒い装甲が体を包む。鏡の前には仮面ライダーリュウガとなった俺が立っていた

 

『…………』

 

仮面の下のリュウガの釣り目がちなレッドアイが赤く光る。そして俺は、ドラグブラッガーを引き連れて鏡の中へと姿を消した




と、言うわけで主人公は元一夏です。多分この後めちゃくちゃぶっ殺った。オリライダーとファムをIS学園のあの方とモブキャラに使わせていきたいです。あと今回出てきた虚像の城戸真司は龍騎とのドラゴンライダーキックで敗れた後残留思念として並行世界へ移ってしまったものです


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魅惑の餌怪人チキンフライ

ども、天敵です。いきなりですが1話から相当時間が経ってます。あとオリジナルミラもんとも契約してます。コントラクトカードは神崎から奪ry

擬人化ミラ☆もん
1、ドラグブラッガー
・餌を与えられて遂に擬人化した
・黒髪短髪。アギトには従順。他の奴には容赦なし(特に龍騎の契約モンスターで姉妹のドラグレッダー)
アギトの独占欲強し。契約期間の長さや餌をこまめにくれるため
あと天性の一級フラグ建築士の手腕で→元いっちーよ。遂にミラもんまで落としたか………
・強暴性→かなり凶ぼry 凶暴四天王の一人。ヤンデレ系ミラもん・頭から捕食系ミラもん・仇討ち系ミラもん×2と肩を並べるレベル。暗黒系ミラもんの座を会得
・喫茶店花鶏ではメイド服着てる。可愛い
かなりの割合で暗黒面が飛び出す

イラスト↓ドラグブラッガーメイドさんはぁはぁ。
※絵を描くのは好きだけど塗るのは苦手なので「影の塗り方下手かks」とか「塗り残しw」「塗り方きったねぇww」っていうのは自分でも分かっていますのでどうか誹謗中傷はやめてね♡最後まで色付けしたの今回が割と初めてだから。あ、使用アプリはibis Paint Xです。
手描きに約一時間程度、下書き2時間、色塗り3時間です。……最後の10分ぐらいで急に人差し指が攣ったので死ぬかと思った。


【挿絵表示】


赤いのはオマケ?ドラグレッダー(仮)適当に描いたので次描くときは多分別人になるはず


仮面ライダーリュウガになってから数年後

 

 

 

 

 

 

 

 

『コケーーー!!コッココッコケーーー!!』

 

真っ暗闇の夜の廃墟を2メートル台の白い羽毛に体を包み、頭に特徴的な赤いトサカを持つ怪獣が走り続ける……この怪物の名前はチキンフライ。

股の間をブルンブルンと松茸が揺れているので彼?がオス個体というのは分かるが、今の彼はクチバシから涎をダラダラと垂らしながら狂ったように何処かへと走り続けている

 

『コッココッ…(ドンッ)…ココケーーー!!』

 

時々後ろを振り返る彼だが、あまりにも慌てていた為に前を向いた瞬間壁にぶつかったらしい。怒り狂った声で鳴き叫んだ後、壁に向かってドンドンと体当たりし始めた

 

コツコツコツ……

 

『コーーッ!!………』

 

まだ怒り収まらぬ彼だったが、後方から聞こえる足音に声を押し殺して後ろを振り返る

 

コツ……コツ…コツ

 

『……………』

 

チキンフライは息を潜めて曲がり角をそっと曲がる。曲がった先でダンボールの山を発見した彼はそのダンボールの陰に隠れる……まあ、彼の図体は2メートルを超えているので頭部分の赤いトサカが丸見えであるが……

 

コツコツ……コツコツ…コツ

 

『……コ、コケ………』

 

緊張したのか、だんだん近づいてくる足音に思わず唾を飲み込むような動作をするチキンフライ。彼の脳内では自分のステルス技術は某蛇男よりも勝っていると思ってる

 

コツコツコツ…コツコツ

 

そして彼の見つめる曲がり角から、黒い影が現れる。奴か?それとも別の捕食者か?チキンフライは何時でも逃げ出せるようにと自らの貧相な羽を広げた。無論飛び跳ねることはできても大空を飛べるほど立派な物ではない

 

コツコツコツコツコツ

 

『………』

 

そして、曲がり角から、何者かが現れる………

 

 

 

 

『…………………ゲリョ…?』

 

『………コケー!』

 

チキンフライーー彼の目の前に現れたのは二足歩行型怪鳥モンスターのゲリョスであった。

ゲリョスは間抜けな声を発しながら首をコトンと傾げ、チキンフライをじっと見つめている。そんなゲリョスを見てチキンフライは自分がこんな奴に怯えさせられたのか!と頭から後ろへ転んだ

 

『ゲリョ?ゲリョリョ?』

 

そんなチキンフライへゲリョスは物珍しい者を見るような目つきで近づいてくる

 

『コケーー!!コッココッ!』

 

ゲリョスへと威嚇の声を上げながら密かに安堵したチキンフライは、奴に襲撃され、同胞を散々狩られ、果てには無様に逃げ出すことになった自分の怒りを目の前のゲリョスへぶつける事にした

 

『コッ!!コッコケッコーーー!!』

 

『ッ!?ゲ、ゲリョ〜?』

 

頭を前後ろにブンブンと振り回し自身のクチバシでゲリョスを突く。ゲリョスはとても驚いたのか後ろへ一歩、二歩と後退する

 

『コーー!!コケッ!コーコー!!』

 

『ゲリョ〜』

 

チキンフライの突きに慌てるゲリョスを見てフンスと鼻息を荒くするチキンフライ。ゲリョスを突いたことで少し落ち着いたようだ

 

『コケーー』

 

『ゲリョゲリョ?』

 

ひとまず奴の存在に怯えていたことを忘れ、ゲリョスが危険ではないか観察することにした

 

『ゲリョ?ゲゲリョ?』

 

間抜けなアホ面間延びした声、変な形をした不細工なクチバシにトサカーー結論。こいつはザコだ

 

そうゲリョスを自身の格下と見做したチキンフライはひとまず腹ペコな胃を満たす為にこの鈍重そうなモンスターを喰らうこととした

 

『ゲ、ゲリョ!?』

 

『コッコーココッコッコー!!』

 

頭をブンブン振り回し、荒ぶるトサカと共にゲリョスへと突っ込むチキンフライ

 

『ゲ、ゲリョーーーー!!!』

 

『コケーーコーーー!!!』

 

 

 

 

ーーーしかし、それは彼にとって失敗であった

 

『ゲリョ♪』

 

ーーピカッッッ!!!

 

『コゲェッ!!?』

 

突如ゲリョスが自身のクチバシとトサカを叩きつけたと思えば、次の瞬間真っ暗闇の廃墟を光が照らす。光をもろに浴びたチキンフライは、何も見えない状態に思考が停止した

 

『コケッ……コッ……』

 

『ゲッゲッゲッ♪』

 

ボーッと立ち尽くすチキンフライをゲリョスは馬鹿にしたように嘲笑う。伸縮自在な尻尾を使ってヒュンヒュンと周りに打ち付けた後、鞭のように遠心力を使ってチキンフライをぶっころがす

 

『ゴゲッ!?』

 

頭を打ち付けたチキンフライはそのまま動かなくなった

 

『ゲッーゲッゲッゲッ♪』

 

自身の罠にはまった愚かなアホ鳥を前にして上機嫌にステップを刻むゲリョス。そのゲリョスの前に、一人の騎士のような格好をした誰かが近づく

 

『ゲリョ!ゲーゲッゲ、ゲリョリョー!』

 

「ああ、良くやったな」

 

黒い装甲を身に纏い。禍々しい龍の紋章持つ騎士ーーリュウガである龍賀アギトはゲリョスの頭を撫でる

 

『ゲリョ♪』

 

気持ち良いのだろうか、ゲリョスは嬉しそうな声音を発して尻尾を振り回す

 

「さあ、ご飯の時間だ(スッ)」

 

腰のバックルに付いたカードデッキから一枚のカードを引いたリュウガは、それを左腕のガントレット。ブラックドラグバイザーの中へカードを装填する

 

『FINALVENT』

 

『ゴァァァァアアアアアッッ!!!!』

 

『ゲリョーー!!?』

 

『ゴアゥ……』

 

くぐもった電子音声と共に現れたドラグブラッガーが身体をくねらせながら大きく口を開き、何故かゲリョスを威嚇。それに怯えたゲリョスへフンッと鼻で笑うかのような仕草を見せた後、宙に浮いたリュウガを口から出た黒炎と共に打ち出す

 

「ハァァアアッ!」

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッ!!!!

 

ドラグブラッガーの吐き出す黒炎をロケットの噴射のように使い、左足での飛び蹴り『ドラゴンライダーキック』を極められたチキンフライは、悲鳴の声をあげることもできずに爆散した

 

『ゴアッ!』

 

「ドラグブラッガー。お前はさっき散々食っただろうが……これはゲリョスの飯だ」

 

『ゴァァ……』

 

『ゲッゲッゲッ♪』

 

爆散したチキンフライの体から出てきた光の玉。エネルギーをドラグブラッガーが喰らいつこうとするが、契約者であるリュウガにそれを咎められ悔しそうに呻く……それを横目にゲリョスが美味しそうに頬張っていて、それも含めてドラグブラッガーが低く唸る

 

「さて、飯も終わったし、そろそろ帰るか」

 

リュウガ……龍賀アギトはそう言って身近にあったガラスへと歩を進める。足からガラスへ突っ込むとガラスの中へ体が沈んでいき。元いた場所ーー『ミラーワールド』から現実世界へと戻った

 

「鶏型モンスターのチキンフライね。ドラグブラッガーもゲリョスも気に入ってるようだし、これからは集中的に狙うとするか」

 

鏡の向こう。ミラーワールドではお腹をポンポンと叩いて満足げなゲリョスウィングーーゲリョスと、そのゲリョスを睨みつけて低く唸り声を上げるドラグブラッガーがいた

 

「今日狩ったモンスターの生命エネルギーの三分の一を神崎に送る……と」

 

自身と契約し、自分にその力を与えている二体を横目にカードデッキから取り出したカードを鏡へ向けると、カードから出てきた生命エネルギーが鏡の中へと吸い込まれていった

 

「神崎宛の魂は送った。ドラグブラッガーとゲリョスの腹ごしらえも完了。後はーー」

 

そう言って周りを振り返る。そこには警察官やこちらへ向かってくるパトカー。果てにはIS操縦者までいる始末だった

 

「動くな!仮面ライダー!」

 

「手を挙げてそのカードデッキをこちらへ渡せ!」

 

「………いちいち喚くのが好きな奴らだ」

 

パトカーを盾にこちらへ銃を向ける警官を見ながら手の中のカードデッキを弄ぶ顔割れを防ぐために着ているパーカーに着いてるフードを目深く被る

 

「おい仮面ライダー!聞いているのか!撃つぞ!?」

 

一人の若い警官がこれ見よがしに銃を向ける。それで俺がビビるとでも思ってるのなら笑わせる

 

「ふん、もう良いわ。カードデッキなんてあいつを殺した後で奪えば良いのよ!」

 

 

日本製のIS。打鉄の操縦者である女が耳障りなキンキン声と共に両手に持ったアサルトライフルの照準を俺へ向ける

 

「ま、まて!変身者を殺せば怪物どもが暴れるぞ!」

 

中年の警官が血気盛んなIS操縦者へ叱責を飛ばすが、IS操縦者の女性は意にも介さぬように銃を乱射した

 

「おお、撃ってきたか」

 

ひとまず前転をして近くの物陰に隠れる。カードデッキからカードを取り出して何を出そうか思案する。俺が今使役している契約モンスターは二体だ

 

ミラーモンスターSランク

ドラグブラッガー

 

ミラーモンスターランクC〜B-

ゲリョスウィング

 

 

神崎からある条件と引き換えに奪ったコントラクトカードを持っているため、俺はドラグブラッガーの他に怪鳥ゲリョスウィングとも契約している。ゲリョスウィングはドラグブラッガーと比較するどころか、ハズレデッキ(笑)と名高い何処ぞの蟹刑事の契約モンスターであるボルキャンサーと、下手すれば同格だが、ゲリョスウィングはその平均的、もしくは低いスペックを補って余りあるほどの特殊技を使うことが出来るため。ネタの度合いもあるがゆえに愛用している。

なにも力だけが戦いでは無いのだよ

 

「ちっ!こそこそと……これで潰してやるわ!!」

 

「ら、ランチャー!!退避しろ!!退避ーー!!」

 

「こ、このイカレ女!?無茶しやがる!!」

 

わーー!わーー!と警官たちが慌てて逃げ出していく。見れば打鉄機がどでかいランチャーを肩に担いでいた

 

「死になさい?雑種」

 

ドヤ顔をしながらこちらへ砲口を向ける女。ニヤリと口角を吊り上げながらゲリョスウィングのアドベントカードを掲げる

 

ドシューーーーー!!!

 

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァァン

 

その数秒後、俺のいた場所は跡形もなく爆破した

 

 

 

「うげっ……」

 

「こりゃひでぇ……」

 

爆発の現場を見た警官達は全員顔を青くして鼻を手で覆う。中には慌てて何処かへ走り出してゲロをぶちまける者もいた

 

「何してるの貴方たち。さっさとカードデッキを探しなさい!」

 

打鉄の操縦者が胸をふんぞり返らせて警官達に指示を飛ばす。それを聞きながら若い警官が顰めっ面のまま舌打ちをした

 

「はぁ、なんで俺がこんな……うっ……」

 

「おい、仏に向かって吐くんじゃねえぞ」

 

「わかってますよ……」

 

口に手を当ててコクコクと頷く若い警官に目を向け、次に焼死体へ目を向けた中年の警官。焼死体の前で腰を下ろして服の中を探ろうとすると

 

 

ーーー突然死んだはずの焼死体が飛び上がった

 

 

『ゲリョーーーーーーー!!!』

 

「う、うわぁぁぁ!!?」

 

「なっ!?」

 

『ゲゲゲ?ゲッゲッゲッ♪』

 

起き上がった焼死体ーーーもとい死んだふりを演じていたゲリョスウィングは、尻餅をついた警官二人を見て馬鹿にするように嗤い。鏡の向こうへ消えていった

 

「な、今の…」

 

「死体がない!逃げたのか!?」

 

別の意味で大慌ての警官二人。そんな彼らを打鉄操縦者はイライラしながら見つめる

 

「何してるのよ!…たく、これだから男は……」

 

せっかく自分のお陰で仮面ライダーと言うクズを葬り去ったというのに。女は不満を吐き散らす

 

「使えない男共。私たちの良いなりにならない仮面ライダー共。本当に使えないわね……」

 

額に手を当ててうなだれる女の背後から。正しくは女の背後にある鏡から、黒い騎士が現れる

 

「ククク、そんな使えない男の手のひらで踊っているお前は一体何なんだろうな?」

 

「ーーーは?」

 

『FLASHVENT』

 

ピカッッッ!!!

 

くぐもった電子音声の後で女の目の前が真っ白になる。いや、光が強すぎて周りが見えなくなった

 

「あぁっ!!?あ、アッーーーーーーー!!!!!??」

 

悲鳴。両手を顔に押し当ててただただ悲鳴をあげる

 

「目がっーー目がぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

何処ぞの大佐のセリフを吐く女を尻目に鏡の中へ姿を消す

 

 

 

 

 

 

 

「はぁー……そう言えばそろそろ冬か……」

 

ひょんなことから居候している自身の下宿先兼喫茶店へ帰りながら白い息を吐く

まだ遠くからパトカーのサイレンが聞こえるが別に意に介さない

 

「最近はどっかのバカのせいで俺たちの存在がバレるわ蛇野郎は時にはオネエになるわうざったくなるわで散々だな」

 

俺と一緒にある喫茶店に下宿している馬鹿が公衆の面前でミラーモンスターと戦ったために世の中に仮面ライダーの存在が知られる事となった。それに最近何故かミラーワールドから帰ると今回みたいに警官たちに鉢合わせするようになったてきた

 

「……まあ、北岡が手塚に持病再発を予知された時は笑ったけどな」

 

共に仮面ライダーであるスーパー弁護士(笑)が100%の確率で予言が当たる男に持病再発を予知されて大慌てするのを見た時は本当に笑ったな

 

「さて、と。ドラグブラッガー達の餌やりも終わったことだし。今度は俺の腹を満たすか」

 

バカともう一人の同居人の待つ下宿先へ歩く。気づけば頭の上を白い雪が降っていた

 

「……雪か…またバカが雪だるま作ろうとか言い出しそうだ」

 

確か去年もバカに強制的に付き合わされたな

 

1年前から手を組んでいる新米ライダーのバカのやらかしてきた事件。それに巻き込まれてきた自分を思い返してため息をつく

 

「まっ、退屈はしなそうだ」

 

『グォォォウ』

 

『ゲゲッ♪』

 

 

………俺はこの時知らなかっただけだ。バカの無茶振りに付き合わされて…IS学園とかいう場所で、俺を捨てた女と、俺のニセモノに出会うことになるなんて




今回出てきたミラもん
・ドラグブラッガー ミラもんランクS
・ゲリョスウィング ミラもんランクC〜B-
・チキンフライ ミラもんランクF
ゲリョスウィング 使用カード
DECEIVEVENT ディセイブベント 死んだフリ 1000AP 真司は必ず騙される。卑怯もラッキョウも大好物だぜの蟹も真っ青
FLASHVENT フラッシュベント 閃光を放って敵の視力を一定時間奪う3000AP 超強力
STEALVENT スティールベント対象のカードを奪って使用できる 1000AP
SHOOTVENT ウィングブラスターを使用。毒の塊を放つ 2000AP
GUARDVENT ウィングゴムゴムを召喚。ブヨブヨ。弾力性抜群。枕に最適。流石に弾丸ははね返せない。打撃には強いが斬撃には弱い
CULBVENT クラブベント ゲリョスウィングの尻尾を模した棍棒。伸縮自在。そして使いにくい。多分使うことはないんじゃないかな2000AP
余談
ゲリョスウィングはもろモンハンに出てくるゲリョスのパクryごほんごほんです。こんなミラもんが何体も出ます。ごめんね。天敵ってゲリョスが好きなんだよ!ネーミングセンスねえなとかは言っちゃダメ


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新たなライダー

ども、天敵です。新しいライダーは3人です。どれももれなくモンハンのパクごほんごほん。ワカッタヒトハドミナントーーー!!!
擬人化ミラ☆もん
ドラグレッダー
・赤髪ツインテ
・ツンデレ
・真司の餃子が好き好き大好き
・姉のドラグブラッカーとは喧嘩という名の殺し合いをする仲

☆仮面ライダー契約裏ルール
1、契約者は契約モンスターの発情期・繁殖期の際に○○○しなければならない(犯んないともれなく捕食☆)
2、契約モンスターは子作りの際に子を成すために女性態となる。ヒャッホーウ!僕と契約して、仮面ライダーに変身させてよ!ついでに子作ry
3、仮面ライダーガイの契約モンスターであるメタルゲラスの場合はガチムチのイッツ ダンディー(な、なんで俺のだけ男アッーーー♂)
4、ベノスネーカーによると浅倉はちゃっちゃくて可愛いらしい。何が?とは言わないけどナニが
5、ブランウィングは白馬の王子様のような美青年かと思いきやくそったれなナンパ野郎……と思わせてボーイッシュな純情ちゃん
6、エビルダイバーはSM好きのむっつりスケベ。あ、だから鞭みたいな武器を使うのか。納得
7、佐野は搾り取られて死ぬと思う佐野君ハーレムで幸せそうだね


ピピピ ピピピピ ピピピピ

 

「んが………」

 

ピピピピ ピピピピ ピピ カシュン

 

「うるさいよ……むにゃむにゃ」

 

………………………

 

「…………って!?もうこんな時間!?や、やばいやばい!遅刻だ!」

 

 

「お、バカが起きた。そういうわけでカフェオレ一杯よろしく」

 

「何がそういうわけで、よ。第一アギト君、まだ中学三年生ぐらいでしょ。学校行かないの?」

 

ジト目で呆れながらも俺にカフェオレを作ってくれている女性、神崎優衣。彼女の言葉を聞き流しながら、上の階から聞こえるドタバタとした音をニヤニヤしながら聞く

 

「そ・れ・で?アギト君学校は?」

 

トン、と律儀にもカフェオレを作ってくれる神崎優衣へ苦笑しながら。いつも着てる黒いパーカーのポケットに入っているカードデッキを取り出す

 

「俺の仕事は世界の平和を守る仮面ライダーだー(棒読み)」

 

まあ、ミラーモンスターを駆逐してるのはただ単にドラグブラッカーとゲリョスウィングの餌やりの為なんだけどな

 

「そうだよな!アギト!やっぱり俺たちは世界の平和を守るry」

 

「はいはい、世界の平和を守る前に会社に遅刻しない時間を守ろうか」

 

ジャンパーを羽織りかけのバカーー城戸真司という同居人に向かって、今何時だ?と言いながら腕につけたG-SHOCKを指でトントンと叩く。案の定目の前のバカは一瞬にして顔を真っ青にさせ、風の様に喫茶店から飛び出した

 

「あ、そういえば蓮は?」

 

「蓮なら買い出しだよ。それでアギトちゃん」

 

思い出した様にもう一人の同居人の名前を呼ぶ。すると、老齢な女性の声が返ってきた

 

「新作ブレンド、飲んでみないかい?」

 

「い、いや。俺はカフェオレで十分かな、うん」

 

悪魔の様な笑みを浮かべるばあさんに両手を前に掲げてお断りする

 

「あらそうかね?」

 

「ああ、それに……」

 

ーーーーキイィィィィィィィン

 

頭によぎる不快音。これが理由で十分すぎる、学校になんて行ってたら

 

「俺のモンスターに餌をやれないだろ?」

 

「はぁ、お兄ちゃんがライダーシステムなんてものを作るから……」

 

「お前に生きて欲しいからだろ?よく出来た兄貴だと思うけどね」

 

額に手を当ててため息をつく神崎優衣に茶々を入れる。

神崎優衣の兄、神崎士郎はシスコンの気が偶にキズだが、神崎優衣が少し羨ましいのは本当の事だ

 

「もう!茶化さないでよ。アギト君」

 

「はは、悪い悪い。じゃあ行ってくる」

 

頬を膨らませた神崎優衣に両手を合わせて謝ってから喫茶店の扉を開く

 

「………さて、と。餌やの時間だーーゲリョス、ドラグブラッカー」

 

『グゴォォォオア』

 

『ゲーゲゲッゲ』

 

ガラスの表面、いや…ガラスの向こうから二匹の怪物が現れる。

そのうちの一匹。黒い龍の姿をしたミラーモンスター。ドラグブラッカーは契約者である龍賀アギトへ嬉しそうに嘶き。

もう一匹、間抜けたクチバシをもつ怪鳥型ミラーモンスターのゲリョスウィングは、癖なのかカンカンと自身のクチバシと頭の突起物を打ち鳴らしていた

 

 

 

 

 

ーーーキイィィィィィン

 

「!これは、ミラーモンスターが暴れてるのか!?」

 

自分の勤める会社までバイクで疾走中のバカ真司こと城戸真司は、突如頭によぎる不快音に頭を上げた

 

「ど、どうする。今月、これで遅刻4回目だし……だけどミラーモンスターが暴れてるのは見過ごせない……でも編集長が……」

 

ううむ、と腕を組んで唸る真司。数秒かけて悩んだ結果、バイクの進路を変えてミラーモンスターの場所へ行くことにした

 

「おっしゃあっ!待ってろミラーモンスター!」

 

「はい、ストップ」

 

気合十分の真司の目の前に表れる

 

「うおおおおおおおおおお!?」

 

俺を轢くまいとバイクを急ブレーキさせる真司、タイヤの擦れる音が煩く響き渡る

 

「あッッッッッッぶねええええだろ!?アギト!!」

 

ぜぇ、ぜぇと息をしながら俺を睨む真司に悪い悪い(笑)と言いながら後ろに乗る

 

「いやあ、俺はバイク持ってないからさー。悪いな、そういうわけでよろしく」

 

「ったく、それじゃあ掴まってろよ」

 

とりあえず謝っとけばなんでも許してくれる真司が少しツボに入ったが、これで足は調達した。

後はミラーモンスターを倒すだけだ

 

 

 

 

 

『コケーー!!コッコー!』

 

「う、うわぁぁぁ!!?か、かかか、怪物だぁぁ!!!」

 

『コココケ!コッコココ!!』

 

「きゃあーー!?誰か!誰か助けて!!」

 

 

「!ミラーモンスターが現実世界に!急いで助けなくちゃ!」

 

目の前には鶏型のミラーモンスター、先日散々狩ったチキンフライが十匹と群れで行動していた。

そしてチキンフライによって起きている被害に、真司がデッキを取り出しながら鏡へ向け、腰にVバックルを装着した

 

ーーーキイィィィィィン

 

「……いや、真司。ここは俺がする」

 

「は?この数だぞ、いくらアギトでも」

 

言いかけた真司だが、恐らくあいつにも新手の不快音聞こえたはずだ

 

「そうだ、真司。恐らく他の所にもミラーモンスターが出現してる。ここは俺がやるからお前は別の方に行け」

 

頭に被ったヘルメットを脱ぎ捨てながらバイクを降りる、ヘルメットを真司に返すと、「分かった、負けるなよ」という言葉が返ってきた

 

「誰に言ってる?お前より先に仮面ライダーやってんだぞ?」

 

「それでもだよ。じゃあ、また後で」

 

そう言った真司は、バイクを発進させてちょうど女の子に飛びかかっていたチキンフライを蹴飛ばし、バイクではねて走り去っていった

 

「ふぅ、それじゃあ始めるか」

 

チキンフライの方へ歩みながら炎上した車の、ひび割れたガラスへとカードデッキを向ける

 

「いやぁぁ!!いやぁ!!止めてええ!来ないでええええ!!」

 

『コケーー!!コッココケ!!』

 

「…………」

 

貧相な翼を広げて頭を振りかぶるチキンフライへ、走って十分な助走をつけたまま跳躍。生身での飛び蹴りを喰らわせる

 

『コケーーーー!!?』

 

「ふっ!…おい、邪魔だ。さっさとどっかに行け」

 

「へ?あ、あ……」

 

よく見れば女はどうやら腰が抜けているようだ

 

「ち……少し待ってろ」

 

『コケーーーー!!?』『コココッコッココッコ!!』『コケコーーーー!!!』

 

叫びながらこちらへ突っ込んでくるチキン三体。俺は腰のバックルへカードデッキを装着して「変身」と呟いた

 

『コ、コケ!?』

 

『ハァッ!』

 

目の前で変身した俺に驚いて動きを止めたチキンフライのクチバシへ、強烈な回し蹴りを決める

 

『フンッ!ハァッ!!』

 

残りの二体へ蹴りとパンチを喰らわせた後、腰のデッキからカードを一枚取り出す

 

『コケコーーーー!!!』

 

左腕についたドラグバイザーへカードを挿入する、ガチャン。という音と共にくぐもった音声が流れる

 

『SWORDVENT』

 

『ハッ!!』

 

手にした剣。ドラグセイバーで突っ込んできたチキンフライを斬りつける。大振りで斬るのではなく、素早く何度も斬りつける

 

『コケコ……ケコッ!?コッコーーー』

 

動きの鈍った相手の胴体を目掛けて、思い切りドラグセイバーを振り抜く。そしてチキンフライは上半身と下半身を分離させて絶命した

 

『次だ、ドラグブラッカー、ゲリョス。適当に喰っとけ』

 

『ガァァオオオオ!!』

 

『ゲゲゲッ!!』

 

ドラグブラッカーが長い躰をくねらせながら黒い黒炎を吐く。それは三体のチキンフライに衝突して、まるで石になったようにチキンフライの動きを止めた

 

『コ、コケッ!?ケコッ!?』

 

そして動きのとれないチキンフライへ自慢の尻尾を繰り出すゲリョス。伸縮自在の尻尾は的確にチキンフライの体へ叩き込まれる

 

『グコオオオオオ』

 

そしてボロボロのチキンフライを大きな口を開けてかぶりついたドラグブラッカー。いつ見てもあいつの食べ方は美味しそうだ

 

『ハァァァ……シッ…!!』

 

俺はというと、現状六体を相手取りながらドラグセイバーに黒い炎を纏わせる

 

『コココッーーー』

 

『ケコッーーー』

 

その炎を黒いオーラのように周りへ放ち、チキンフライの動きを石化させ、続いて炎の斬撃を飛ばす

 

『ゲココッーー』

 

『コケーーーー!!?』

 

二体を葬り去る。残り四体、もうすぐ終わるか。

俺へと威嚇の声を上げるチキンフライへドラグセイバーを煌めかせる

 

 

 

 

 

 

「二人共、急いでくれ」

 

「はぁ、はぁ……帰宅部の俺がお前ぐらい体力あるように見えるか?なあ、理緒」

 

「はふぅ……はふぅ………へ?何か言った?ご、ごめん!は、走るのに夢中でぇ……はふぅ……き、聞いてなかったよ……はふぅ……」

 

「お、おう?」

 

ミラーモンスターの出現によって混乱した街を疾走する男女。その腰には仮面ライダーに変身するためのアイテム、Vバックルと、手にカードデッキが握られていた

 

「ミラーモンスターがかなり暴れてる。千冬さんたちIS部隊は別の場所で交戦中だ。早く倒して加勢に行く。わかった?」

 

「分かった分かった。もっとも、あの人に限って加勢しに行かなくてもいいんじゃねえか?」

 

「そうも言ってられないよぉ…はふぅ…はふぅ……わ、私達…か、仮面ライダーなんだからさ……はふぅ……はふぅ…」

 

疲労困憊の少女の言葉に頷く男とニヤッと笑う男。3人はカードデッキを腰のVバックルへと装着した

 

「変身!」「変、身っ!」「へ、変身…」

 

次の瞬間。街中を疾走しているのは先ほどの男女ではなく。砂漠の砂ような乾いた肌色の甲殻をもつ二本角の騎士。オレンジ色をベースに虎のような青い縞模様を持つ轟の騎士。そして緑の装甲を持った騎士だった

 

「おらおら!どけどけどけ!!!」

 

「おい!市民が怯えるだろ!」

 

「今の虎徹に言っても、何も聞かないと思うけど?」

 

弓の外形を持つ毒召弓(どくしょうき)レイアバイザーを持つ女騎士がそう呟き。

盾の召喚器。堅召盾(けんしょうじゅん)ブロスバイザーを掲げた角騎士が額に手を当ててため息をつく

 

「はっはー!!モンスターはどこだ!!?」

 

そして大剣、轟召剣T-バイザーを振り回す轟騎士が喜色の声を上げて走る

 

 

 

 

 

 

『コケーーーー』

 

ドガァァァァァァン

 

『………ん?騒がしいな…』

 

一体をドラグセイバーで突き刺し、チキンフライの体内で剣に纏わせた黒炎を暴発。そのまま爆散させたリュウガは、新手の気配に警戒を強める

 

『来るか?後三体も残ってるんだが……面倒になるな』

 

『グゴココ』

 

『ゲゲゲ』

 

ドラグブラッカーとゲリョスの方は臨戦態勢の様だ

 

『ん!敵がいねえぞ!!』

 

『……来たか』

 

轟くような大声の方へ顔を向ける。声の主は仮面ライダーのような騎士の格好で、自身と同じ長さの大剣を軽々と肩に担いでいた

 

『………(新しい仮面ライダー……か)』

 

『お?まだ、三体のモンスターと、黒くてでっけえ龍型に不細工な怪鳥型か。まあ、これぐらいで我慢してやるか…よ!』

 

突如上空へと飛んだ轟騎士は振り上げた大剣をドラグブラッカーへ叩きつけた

 

『ゴァァァァアアアアアーーーー!!!』

 

『はは!!くたばれ!!』

 

痛みに躰を捻るドラグブラッカー。リュウガは舌打ちをして乱入者へ剣を向ける

 

『やめろ……そいつは俺の契約モンスターだ』

 

『あ?誰だてめえ。正義の執行中だ邪魔すんじゃねえよ』

 

まるで聞き耳を持たない仮面ライダー。ドラグブラッカーへと追い打ちをかける不届き者へ、ドラグセイバーを斬りつける

 

『ハァッ!!』

 

『ガッ!?テメェ!何しやがる!』

 

5メートル先へ吹き飛ばされた仮面ライダーが、怒りをあらわにする

 

『黙れ、俺の契約モンスターに危害を加えるのなら。黙ってやらせるか』

 

コツ、コツ……とゆっくりと歩を進め、ドラグセイバーをだらんと下げる

 

『FINALVENT』

 

その音声が流れたのは、俺と轟騎士が腰のカードデッキから一枚のカードを引いた時だった

 

『グガァァァァァァァァァァ!!!』

 

目の前から二本角の大型ミラーモンスターが突進してきた。避けるか…

 

「…あ……」

 

『!…ちっ!!』

 

『GUARDVENT』

 

ドゴォォォォォォォォォォンッッッ!!!

 

『やったか』

 

『おい!邪魔すんなよ!アイギス、あいつは俺が倒す!』

 

アイギスと呼ばれた角騎士が轟騎士を起こす

 

『何言ってるんだキング。それに、FINALVENTを直で喰らったんだ。立ち上がれるはずがない』

 

『……そうやって油断してると殺られるぞ』

 

『!?ぐあっ!!』

 

『てめえ!』

 

煙から飛び出して蹴りを喰らわせる。そしてブヨブヨのシールドでキングと呼ばれた仮面ライダーの大剣を弾きかえす

 

『う、うお!?』

 

『はぁ、はぁ、ハァッ!!』

 

仰け反った相手を蹴り飛ばす。そして、まずは左腕に抱えた少女を安全な場所へ降ろす。ブヨブヨシールドを投げ捨ててドラグセイバーを持ち直す

 

『GUARDVENTが間に合ったから良かったが……一撃喰らえばヤバかったな』

 

『コケーーーー!!』

 

『コケッコーーーー!!』

 

『はふぅ!?ちょ、ふ、二人共。ミラーモンスターを先に倒してーーやぁっ!?』

 

『ちっ、次から次へと…!シッ!』

 

どうやら新手のライダーがチキンフライ三体に袋叩きにされてるようだ。

仕方ないので黒炎の斬撃を放ち、チキンフライを纏めて石化させる

 

『あ……へ?』

 

『邪魔だっ!』

 

『FINALVENT』

 

『わ、わわっ!』

 

頭を抱える女騎士に警告を飛ばしてドラグバイザーへカードを挿入。くぐもった音声と共に宙へ飛んでドラグブラッカーの黒炎を推進力のように使ったドラゴンライダーキックを放つ

 

『ケコーーー』

 

ドガァァァァァァァァンッッッッッ!!!

 

三体纏めてFINALVENTで倒す。エネルギーがカードデッキの中へ収納される

 

『シエラ!大丈夫か』

 

『野郎……マジで許さねえ!』

 

『あれ?ふ、二人共?』

 

激昂する仮面ライダーアイギスとキング。首を傾げるシエラと呼ばれた仮面ライダー

 

『FINALVENT』

 

ーーー三枚目のFINALVENTが発動した

 

『グギャァァァァァッッッ!!』

 

『グッ…!ガッ!』

 

虚空から現れたモンスターの鋭い一撃を喰らう

 

『おおらぁぁぁぁぁ!!』

 

大振りの大剣と、獰猛なモンスターがこちらへ突っ込んできた

 

『クソが…!』

 

カードを引き抜いてバイザーにセットする。果たしてGUARDVENTは間に合うか。間に合うとしてもFINALVENTに耐えられるか?

 

『ゴァァァァアアアアア!!』

 

『GUARDVENT』

 

ドガァァァァァァンッッッッッ!!!

 




とりあえず前書きの裏ルールは本当天敵の願望。げっへっへ
あと2話か3話でIS学園に行くと思います。もう少し待ってて下され
ぶっちゃけ今回出てきたティガとタイガは被るかもな……まあ、いいか。それよりも真司の口調がおかしくないかが心配。もう一回動画でも見てみるか……と思ったらブレイドにハマってしまった、特にニーサン。良い台詞だ、感動的だな。だが無意味だ(^u^)
グレイブもかっこよくて好きなんですがね……ニーサンの圧倒的キャラが……笑顔で腹パンは絶対吹くだろ……


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激突ーリュウガvs.新ライダー

ふ、ふいー。5時くらいに本屋で龍騎の小説読んじまって気付いたら1話書いてたぜ……なんてこったい(^p^)
嫌でも、小説版凄いねえ……真司とファムの美穂が青かryごほんごほん。でも吾郎ちゃんの不憫さに泣いたぜ……あと浅倉のキチガイさには引いた。あと、手塚カワイソス。いや、あれ手塚か?嫌でも……星占い的なことしてたし……とりあえず思ったのは小説版のラストが結局はTVと同じ事か………この世界ではハッピーエンド目指して頑張るぜ!
擬人化ミラ☆もん
ダークウィング
・濃紺の髪に短めのポニーテール
・クーデレ
・密かに蓮の寝取りを狙ってる
・ポーカーフェイスが得意
・やられたらやり返す。倍返しだ
・超音波で真司を弄ぶのが好きなS
・その所為でいつもドラグレッダーと喧嘩してるが仲は良い
・ブランウィングが嫌い。私に近寄るな


ボォォォォォオオオ………

 

『はぁ…はぁ……はぁ……』

 

龍賀アギトが変身するリュウガとは色違いの赤い装甲に、特徴的な複眼を持った龍の紋章を持つ騎士ーーー龍騎は肩で息をしながらも。被害者を出さずにミラーモンスター達を全滅させた事に満足していた

 

『おぉッーーーーしゃぁぁぁぁ!!!』

 

『グガァァァアアアアア!!!』

 

思わずガッツポーズしながら遥か上空へと叫び声を上げる。

彼の契約モンスターである無双龍ドラグレッダーも多数のミラーモンスターを捕食できた事に満足したのか、龍騎の周りをグルグルと回遊した後、彼と同じように咆哮を吠えた

 

『……はぁ…はぁ……で、でもちょっとしんどかったかな……はぁ…はぁ』

 

龍騎の装甲はかなりダメージを受けていた。

先刻、龍騎はミラーモンスターによる一般市民への被害を抑えて戦っていた、と言ったが。これは彼の戦いが上手かったため、ミラーモンスターが市民へ手も足も出せずに死んだのでは無い

 

『コケコー!!』

 

『のわ!危ない!ぐあっ!!?』

 

『コケーーー!!』

 

『痛え!?って、早く走って!』

 

『コケッケッケコーーー!!!』

 

『ぐはっ!!!…ぐ!ここは俺に任せて早く逃げるんだ!!どわぁっ!!!』

 

……………このように自らの身を挺して市民を守り続けていたからである。そのため、以下にミラーモンスターとしての基本スペックが低く。餌としての価値以外何も無いチキンフライにも余裕でリンチ・フルボッコされ。今の龍騎は満身創痍のボロボロ状態だった

 

『あ、あぁーー!!つ、疲れた……』

 

どしゃっと、地面に尻餅をついた龍騎。周りはチキンフライによる戦いが終わったことで安堵したのか、龍騎を写真に収めようという野次馬で沢山だった

 

『はあ……はぁ……………あ!』

 

もう一歩も動きたく無い。そう考えていた龍騎だったが、別の場所でミラーモンスターの群れと戦っているリュウガの存在に気付き、ダメージを感じさせない素振りで立ち上がる

 

『そういえばリュウガ!あいつも戦ってるはずだ!今すぐ駆けつけるぞ!ドラグレッダー』

 

『グゴォォォオア』

 

リュウガ、という単語を聞いて、若干……というかかなり不機嫌な声で鳴くドラグレッダー。何故ならリュウガの契約モンスターはドラグレッダーと同型の暗黒龍ドラグブラッカーだからだ。この二匹、顔を会わせると殺し合いという名の喧嘩しかしない。それどころか互いが互いにどう喰ってやろうか……という事しか考えてない……因みに今の所ドラグレッダーの方が全戦全敗で、リュウガがドラグブラッカーを牽制しているから喰われることにはなっていないが、ドラグレッダーは懲りていない……しかも自分が弱いのは朝昼晩でミラーモンスターを捕食させない真司の所為だと決めつけていて、1日一食のご飯さえ真司が忘れていればすぐさま喰ってやるぞ、と脅すほどだ。

いつも会社を遅刻している真司は毎日の仕事に追われ。仕事が終わればすぐさまドラグレッダーの餌やりと、時間に追われまくっているこの男、かなり可哀想だ

 

『え、ええーと、俺のバイクは………あ!あったあった!』

 

周りから起きている拍手と歓声とカメラのシャッターオンにFINALVENT時の腰を下ろしたポーズを1分間ぐらいサービスして、今もバイクに跨りながら手を振って応える龍騎は、パンパンと自分の顔を叩いて気合を入れ、今も戦っているであろうリュウガの元へ疾走した

 

『しゃあっ!!今行くぞ!リュウガ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォンッッッッッ!!!!

 

『グガァァァアアアアア!!!』

 

『やったか!キング』

 

『………いや…これは……』

 

その頃、突如乱入してきた轟騎士、仮面ライダーキングによるFINALVENTを喰らったリュウガはというと

 

 

『グガァァァ……ガァォォァ』

 

『ドラグブラッカー…俺を…庇ったのか…?』

 

『!…あいつの契約モンスターが直前に庇ったのか』

 

仮面ライダーキングと契約モンスターの轟竜による一撃から、ドラグブラッカーがリュウガを護った事にり、リュウガは無傷だったが、FINALVENTを喰らったドラグブラッカーは瀕死の状態に陥っていた

 

『おい!ドラグブラッカー!!』

 

『グゴォォ……クォォン…』

 

ドラグブラッカーは首をもたげ、短く声を発すると眠ったように倒れ伏した。リュウガの姿が契約モンスターを失った状態ーーー通称ブランク体と呼ばれる最弱形態に戻っていないことから、ドラグブラッカーが死んだわけでは無いと言えるもの、その状態に至るまであまり時間は無いようだった

 

『…………』

 

そしてドラグブラッカーの前で膝をついたリュウガは、弱ったドラグブラッカーをひと撫でし、その後バイザーの奥の瞳を燃え滾るように紅く光らせ、無言でスッと立ち上がる

 

『……ゲリョス。ひとまずミラーワールドに戻ってお前が隠し持ってるエネルギーをドラグブラッカーの回復に充てろ』

 

『ゲゲッ』

 

一瞬嫌そうな顔をしたゲリョスウィングだったが、元よりご主人であるリュウガの命令に歯向かうつもりはなく。自慢の尻尾でドラグブラッカーの躰を拘束し、近くにあった車のサイドミラーへとトコトコと歩き、ミラーワールドに帰って行った

 

『あっ!あの野郎逃げやがったな!!』

 

『そんなことより、そろそろ撤退するか』

 

『ははふぅ…そ、それより謝ったほうが良いんじゃないかなぁ…?い、一応私を助けてくれた事だし…?それに彼の契約モンスターを攻撃しちゃったんだし』

 

『ああ!?誰がするかよ!そんな事!』

 

女騎士の言葉に怒りを滾らせるキング。そんな彼らの耳元に、カードを挿入し、ガントレットタイプのバイザーをガチャン、とセットした音が聞こえる

 

『STRIKEVENT』

 

左腕にドラグセイバーを握ったリュウガは、無言で上空へと手を掲げる。そしてその手には右手をすっぽりと覆う手甲型のどう見てもドラグブラッカーの顔を模していて、ドラグファングというネーミングと思われるが実際は違った。ドラグクローが装着された

 

『あ?なんだよ、やる気かよ?』

 

挑発するようにガリガリと地面へ大剣を突き付けるキング、そんな彼へリュウガは実にゆっくりと振り返る

 

『はっ、どうでも良いが、契約モンスターのいないお前に俺たちが倒せるか?』

 

『ADVENT』

 

轟召剣T-バイザーの柄へカードをセットしたキング。リュウガのバイザーとは違いハキハキとした音声の後で、先ほどリュウガへと強襲をかけたオレンジの体色に虎を彷彿させる青い縞模様のミラーモンスターが現れる

 

『グコオオオオオオ』

 

『行くぞレックスダイナソー!』

 

『…………』

 

大剣を振りかざして駆け出したキングへ、リュウガは黒炎を纏わせたドラグセイバーを一度斬り払い。ドラグクローと共に腰を落として構えた

 

『うらぁぁぁぁ!!』

 

『……ハァァァ』

 

キングの振り下ろした大剣を紙一重で避け、袈裟斬りのように振り切ったドラグセイバーが斬りつけたのは。仮面ライダーキングではなく、その契約モンスター。レックスダイナソーだった

 

『グガァァッ!!』

 

『フンッ!』

 

大きく仰け反ったレックスダイナソーの腹部へへ昇龍突破 ドラグクローファイヤーをぶちかます

 

『グガーーー!!!』

 

悲鳴と共に地面に衝突したレックスダイナソーは、フラフラとよろめきながら慌てて鏡の向こう、ミラーワールドへと逃げ帰った

 

『な!レックスダイナソー!!』

 

『……次はお前だ』

 

『ぐあっ!!』

 

驚きで体を硬直させたキングの顔をドラグクローで殴り付け、大きく後退して顔に手を当てた隙だらけのキングへもう一度ドラグクローファイヤーを放つ

 

『うおおおおお!!!』

 

ドシャッ!!とキングの体が地面を転がっていく。そんな彼へ飛び付く女性フォルムの仮面ライダーシエラと腰部のカードデッキからカードを引き抜いた仮面ライダーアイギス

 

『こいつ……こいつぅ!!』

 

人差し指と親指で握ったカードを折り曲げそうになるほどに力を込め、盾型のバイザーへと、セットする

 

『BASTARDVENT』

 

盾を背中に背負いその両腕に握った武器……それは各種ゲーム……ロボット物を扱う物では扱いづらいがとても火力のあるピーキーな武器として…そして、男達最大のロマンで知られる物。二対のパイルバンカーだった

 

『ちょ、ちょっとアイギス!落ち着こうよ!?』

 

『うるさい!こいつが!!』

 

シエラの声を無視して駆け出すアイギス。そんな彼を横合いから何かが迫るーーー

 

『グコオオオオオオ!!!』

 

『!?うわぁぁ!!』

 

仮面ライダーアイギスを咥えたモンスター。ドラグレッダーがガリガリとアイギスの装甲を齧る

 

『わ、わ、わわっ!や、やめてくれぇ!!』

 

『グググゥゥ?』

 

いたぶる事に飽きたのか、情けない声を出すアイギスをぺっと吐き出したドラグレッダー。しかしドラグレッダーの攻撃は収まらない、四つん這いになったアイギスを尻尾で何度も叩きつけ、火球を吐き。鉤爪で切り伏せる

 

『リュウガ!』

 

『……龍騎。そっちは終わったか』

 

『おう!バッチリだぜ!』

 

バイクから降りた龍騎がサムズアップで応える

 

『ならもうこんな所に用なんてあるか!とっとと帰る!』

 

イラっときたので龍騎の顔面をドラグクローで殴った

 

『痛っ……あつつ……な、なんで殴るんだよ!?』

 

『俺とお前じゃ疲労の差が違うからだよ…クソったれ……』

 

ドラグクローを投げ捨てて鏡の向こうへ飛び込もうとするーーー

 

 

「そこまでだ!」

 

『……!』

 

『え?あ?』

 

『千冬さん!』

 

「遅れてすまん、理……仮面ライダーシエラ。他の二人はどうした?」

 

『あそこで伸びてますぅ…は、はふぅ』

 

「………まったく、話にならんな…」

 

気付けば既に周りを複数のIS部隊で囲まれていた

 

「無駄な抵抗をせずに投降しろ、龍騎士」

 

ブレードを握った黒髪の女が他のIS操縦者達を牽制しつつもそう言った

 

『え、ど、どうするリュウガ』

 

オロオロとする龍騎、確かにこいつの装甲はもうボロボロだ。これ以上の戦いはキツイ

 

『バカ、どうするもクソもあるかよ。こいつらに付き合ってる暇はないな。とっとと逃げるぞバカ』

 

『おう!分かった!……ってお前っさりげなくバカって二回も言ったな!?』

 

大声を出す龍騎に、俺は知らんな。と肩を竦ませる

 

「逃すとでも思ったか!」

 

『!ぐぅ!』

 

鏡の中へ入ろうとした時、瞬時に懐へ入った女のブレードが的確に鳩尾へ穿たれる

 

『りゅ、リュウガ!』

 

「貴様もだ!赤い龍騎士」

 

『あ痛っ!?なにすんだアンタ!?』

 

頭を殴られた龍騎。だが残念、こいつは痛がることはあってもそれだけだ。アンタの攻撃なんざ蚊ほども効いてないね

 

「ほう、打たれ強いな…伊達に仮面ライダーをやっているわけではなさそうだ」

 

『………何者だ、貴様』

 

ドラグセイバーとブレードをぶつけ合い、鍔迫り合いとなる

 

「私はIS学園教師、織斑千冬だ!覚えておけっ!」

 

ーーー今、コイツは、何て…言った……?

こいつは…こいつは織斑千冬と…言ったのか?

 

『おいリュウガ!バイクに乗れ!早く逃げるぞ!』

 

バシバシとバイクのシートを叩く龍騎

 

「させるものか!」

 

バイクのシートへと手を伸ばす女。

そいつへとドラグセイバーに纏わせた黒炎で斬りつける

 

「……!?体が……」

 

『………ハァァァ!!』

 

足元が石化し、動きのとれない女を殴る。殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴るなぐーーー

 

 

 

 

『おい!もういいだろ!!』

 

『…!………』

 

「ぐ………」

 

龍騎に腕を取られて正気に戻る。女は……織斑千冬はその瞳に怒りを滾らせてこちらを睨みつけていた

 

「貴、様……覚えていろよ……」

 

『これだけ済んで良かった、な!』

 

『リュウガ!早く行くぞ!!』

 

最後に女の顎へ強烈な蹴りをかます。そして龍騎の乗ってきたバイクに跨ってミラーワールドへ飛び込んだ

 




今回書いてて思ったこと。真司のバイクに跨りながらバシバシと自分のバイクのシートを叩く龍騎。
それと2人仲良くバイクに乗ってミラーワールドに消えていくリュウガ・龍騎がシュール過ぎてワロタ
そして新ライダー3人。活躍の場なさすぎ。こりゃあマジで噛ませ犬の扱いですわ……今後に期待(・ω・)ノ


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翌日、蟹

ども、天敵です。なんか、今回は多分かなりの駄文のような気がします。ぶっちゃけあの二匹を出したかっただけ。モンハンのアレです。ババアから雇うやつ………
あとあの方が出ます。文章がうまく書けてるといいけどね……


ちゅんちゅんちゅん

 

「……zzz」

 

「…………」

 

朝、喫茶店花鶏に居候している男達の部屋。その一室のベットで眠る少年の傍に、黒髪のメイドが座っていた

 

「…………」

 

黒髪メイドの毎朝の日課は、彼女が仕えているご主人を起こす事なのだが……今日は、というより今は少し事情があって起こす事を止められている

 

「……zzz」

 

自身が仕えているご主人の健やかな寝顔を見つめながらメイドーーー暗黒龍ドラグブラッカーはこう思う

 

「…………(今ならシても起きない…)」

 

ご主人の寝顔を見ながらもじもじと動くミラーモンスターは、何かを決心したようにご主人のベットへ動き出し、寝ているご主人に馬乗りの状態になる

 

「……う……zzz」

 

振動で起こしたか?……彼女の心配は杞憂だった。ご主人ーーー龍賀アギトは幸せそうに彼女に起こされる時間まで眠っている

 

「……ほっ…」

 

ドラグブラッカーは一瞬安堵したあとでご主人の手を毛布からそっと引っ張り出す。そしてそれを自身のスカートの中へ……

 

「……ん…」

 

「……zzz」

 

軽く説明するが、今のドラグブラッカーは少女のような姿で喘ぐミラーモンスターだが。今の彼女はミラーワールドで生息しているミラーモンスターではなく。この現実世界で眠り、食事をとり、発情する立派な女性なのだ!!!!

 

 

……いつもは仮面ライダーリュウガに使役されるドラグブラッカーだが、毎日三食ご飯を捕食してきた事によりリュウガであるアギトに忠誠心という名の好感度がカンストする。

そして次は彼の恩に報いるためにはどうしたらいいかを思案。

そのためにはまず彼の気持ちを分かることが重要だと知る。

………で、女性態の体を得た(こうなった)

この女性態の状態だと、暗黒龍としての力が大幅にダウンする(しかし握力は鍛え抜かれた軍人を一撃で殺せるほど)+最大の武器である直撃した相手を石化させる黒炎も吐くことが出来なくなるが、その代わりに現実世界でも制限なく行動する事が可能。

 

そして、実はこの形態は、ある条件の時だけなれる事がある。それは、繁殖期=発情期である

 

「ぁ……ふぁ…ん……」

 

「………あ…?」

 

ミラーワールドにしか棲息しないミラーモンスターと言えども、生物として本能として種を残そうとする。それが契約者との交○である、その場合○尾に適した姿になるため、一時的ではあるがこの姿になる。

そしてこの姿の時は、全モンスター共通してかなりHである。

 

一年で一回しか発情しないミラーモンスターもいれば、一週間に一回の頻度で契約者に迫るミラーモンスターもいる。

種を産むという行為のために女性態になるミラーモンスターが多いが、仮面ライダーガイの契約モンスターであるメタルゲラスのように、好き好んでガチムチのダンディーになる奴もいる

 

「んんぅ……ふぅぅ……」

 

「………なに、してんだ……」

 

ドラグブラッカーの場合は、ご主人であるアギトと同じ年齢の少女の姿で、ご奉仕するという意味も込めてメイド服を着ている

 

「……!……」

 

そして、そんなメイドさんは。ご主人の目覚めに一瞬…動きが固まる

 

「………お前……繁殖期は…まだだろ?」

 

「〜〜〜っ!!///」

 

しかしご主人であるアギトは毎年必ず来る繁殖期と勘違い。ドラグブラッカーは恥ずかしさのあまりに左手でアギトの顎を捉える

 

「ぐあっ…!…(ガクッ…)」

 

気絶した契約者の手を使い、彼女の情事が終わったのはその後3分後だった

 

 

 

 

「……たく、契約者を打つか?普通……」

 

顎をすりすりと撫でるご主人を見ながら火照った顔を両手で覆う

 

「まあいい。とっととカフェオレでも飲んで朝飯に行くか」

 

気を取り直したように言うご主人の前に立って通せんぼする。

今は少し、ご主人を通してはならない事情がある

 

「………なんか、騒がしいな…どけ」

 

勘の鋭いご主人はすぐに気付いたようだ。しかしこれは神崎士郎の妹である神崎優衣からの命令……

 

「ドラグブラッカー」

 

「………はい」

 

………神崎優衣の命令以上に私は私の契約者の命令に背く事はできない。それが契約

 

悶々としたドラグブラッカーの顔を見ながらアギトは身支度を整える。パーカーを羽織り、カードデッキを掴んでポケットに放る

 

「…面白い事になりそうだ」

 

そして小さく呟き、薄く笑って部屋のドアを開いた

 

 

 

 

 

 

「だから!ここに仮面ライダーなんていねえっつうの!」

 

「真司君の言うとおりよ。ここに仮面ライダーなんていません」

 

「あんたら、うちのコーヒーを飲まないんだったら邪魔だから帰っておくれ!」

 

喫茶店花鶏の店内。そこで2人の男と1人の女。+1人の婆が女性の団体と口論になっていた

 

「あなた方の言い分は分かりました。ですがここに仮面ライダーである少年の目撃情報がある事もまた事実です。速やかに少年を引き渡して下さい」

 

相手の女性は口では最ものことを言ってはいるが、ある人物からの情報を得てここへ来ているため、ここに仮面ライダーリュウガに変身する少年の身柄を拘束しに来たのだ

 

「……仮にその少年を引き渡したとするなら、お前達は一体どうする気だ」

 

黒いコートを羽織った長身の青年ーーー喫茶店花鶏の従業員と同時に実は仮面ライダーナイトである秋山蓮が、鋭い眼光で目の前の女性を射抜く

 

「それは………」

 

「そこまでだ」

 

蓮の眼光に、動揺したじろぐ女性。その直後、凛とした声と共に、女達が割れるように道を開けた

 

「……!?あんたは…?」

 

「私はIS学園教師の織斑千冬だ。今回は少し訳ありの友人からの情報で私がここへ来たわけだが、そんなことはどうでもいい。さあ、少年を引き渡して貰うぞ」

 

目の前の女性に、真司は見覚えがあった。昨日、ミラーワールド経由で逃げ帰ろうとした時、自分たちを包囲したIS部隊の指揮官だったからだ

 

「織斑……ブリュンヒルデか」

 

名前を呟いた蓮は、そういえば昔、自身の恋人である小川恵里がこの人凄い!と大絶賛していた女の名前だな……と思い出していた

 

「ブリだか蛭だか知らないけど!早く帰ってくれ!俺また今日も会社に遅刻なんだよ!編集長ブチ切れなんだよ!?」

 

真司が時計を指差すと、時間は既に昼過ぎを指していた

 

「…ふむ、少年を引き渡さないか。ならば家宅捜査しかないな」

 

黒スーツの女性、織斑千冬の言葉に緊迫の瞬間が訪れる。

さっと身構えた蓮と真司に、織斑千冬は、出来ることなら戦いたくはないが、抵抗するなら仕方ない……と、ISーー打鉄を何時でも起動出来るようにする

 

 

「みなさん。少しは落ち着いたらどうでしすか?」

 

その声が聞こえたのは、他のIS操縦者達が動こうとした瞬間だった

 

「っ、あんたっ……蟹刑事!?」

 

続いて口を開いたのは真司。蓮は何か言いたげに口を開いて、言葉を発する代わりに鋭い目を更に細めた

 

「蟹刑事…という呼ばれ方はあまり好きじゃないんですがね」

 

「む、いたのか、須藤刑事」

 

織斑千冬が若干驚いたように入口の男ーーー須藤雅史を見やる

 

「まったく、家宅捜査状をひったくって先に行かれるなんて、ほどほどにしてくださいよ。織斑さん」

 

はぁ、とこれ見よがしにため息をついて織斑千冬へ小言を言い付ける須藤

 

「置いて行ったつもりだったんだが、よく追い付いたな」

 

ほう、と織斑千冬がニヤリと笑う

 

「まあ、私たちにも色々とあるんですよ」

 

肩を竦めた須藤が俺と真司、そして蓮を見回して笑う

 

「あんたまで…なんでーー」

 

「別に?ただ、ここはIS委員会の方と仲良くしておいた方が良いと思いましてね」

 

にこやかにそう言った須藤だが、その目はまったく笑っていない

 

「さあ、さっさと仮面ライダーリュウガの変身者を引き渡して下さー 「あー、そんなに呼ばなくても俺はここにいるよ」

 

「「!!?」」

 

カウンターから聞こえた声に真司と蓮。神崎優衣と喫茶店花鶏の店長である沙奈子はぎょっとする……目の前の織斑千冬、他の女性達、そして蟹刑事こと須藤雅史が探している仮面ライダーリュウガの変身者…龍賀アギトがのんびりとカフェオレを飲んでいたからだ

 

「ほう、貴方があの、仮面ライ 「他人行儀は良いぜ、面倒なだけだし」……そうですか」

 

再度蟹刑事の言葉を遮るアギトは、パーカーの中のカードデッキを全員に見せつける

 

「俺は龍賀アギト。お前らが探している仮面ライダーリュウガだ」

 

「ばっ…お前…!」

 

バカ野郎、そう言う気だった真司のすねを蹴りつけるアギト

 

「いーんだよ。って事で婆さん、優衣、蓮…真司。ちょっと行ってくるわ」

 

立ち上がったアギトの手に、須藤雅史が手錠をかける

 

「へぇ、刑事みたいな事するんだな」

 

「一応ですよ。暴れだしたら堪りませんから…それと、私は刑事です」

 

「クク、そうだったな。忘れてたよ」

 

「須藤刑事、まずはカードデッキを」

 

手を出してカードデッキを要求する織斑千冬へ、蟹刑事は首を横に振る

 

「織斑さん。曲がりなりにもここは喫茶店ですよ?もしもここで戦闘が起きれば被害者も出ますし、仮面ライダーリュウガが人質を取る可能性もあります。なのでここはひとまず連行しましょう」

黙って聞いていた織斑千冬は、確かに須藤の言うとおりだと頷いた

 

「さあ行きますよ、仮面ライダー」

 

「ああ、何処にでも連れってくれ蟹刑事」

 

手錠に繋がれているというのにニヤニヤと笑うアギト。そんな彼を心配そうに見つめる真司達

 

そして、アギトの背中が、喫茶店の外へと消えて行った

 

 

 

「これからパトカーで貴方をIS学園まで護送しますよ」

 

「ふーん、ああ、そう」

 

適当に返事するアギトへ丁寧な口調を崩さない須藤は、彼が乗ってきたパトカーまで複数のIS操縦者に囲まれて歩いていた

 

『あらあらぁ、あんたぁ、面倒な事になってるわねぇ』

 

「………ネコバァか」

 

パトカーに着く途中の窓ガラスから、老齢な声を聴く。窓を横目でチラリと見れば、青い帽子を被り、背に大きな荷物を担いだお婆さんが立っていた

 

………しかし、それは鏡の向こうであり、現実世界にはお婆さんの姿など、欠片もない

 

『あんたにはかなりお世話になってるからねぇ、丁度あんたにオトモしたいってネコがいるから、用意したげるよ』

 

ばあさんが手に持ったマタタビを、須藤や他の女性達に気付かれることなくズボンのポッケに突っ込む。

ばあさんの手には神崎士郎からぶん取ったコントラクトカードが二枚握られていた。恐らくばあさんが勝手に契約したんだろうが……それをばあさんは俺のカードデッキへ突っ込んだ

 

『そんじゃあオトモ達をよろしくねぇ』

 

須藤雅史がパトカーのドアを開いて中に入るように指示される。それと同時にネコバァの姿も何処かへと消えて行った

 

「どうしました?」

 

「いや?別に」

 

 

それから30分過ぎて、窓の向こうの景色を見ると、走り去っていく店の窓に、二匹の黒と白のネコを目撃する

 

「ふ、面白くなってきたな。ドラグブラッカー」

 

『グオォォォン……』

 

車の窓に額を押し当てながら呟く言葉。それをミラー越しに見つめる蟹刑事の眼光は、細く、そして鋭かった

 

 

 




て事でみなさんご存知蟹刑事です。卑怯もラッキョウも大好物だぜ!!←こっちはディケイドの方のやつですが……
因みにこの須藤はいち早く女尊男卑思考の女性達に取り入って媚を売っておられます。さすがのゲスっぷりですね
ボルキャンサーの強化は反IS思考を持つ団体の壊滅を装って実行。本家よりもパワーアップしてる感じです


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不意打ちの蟹

ども、天敵です。春休みなのにバイトで全然エンジョイ出来てねえorzま、まあ、明日は休みだからゲームでもするか………
思ったけど龍騎ってキック力が高いのにライダーキック以外あんまり蹴り技使わないよね………てか龍騎はコメディー担当w

擬人化ミラ☆もん
鋼の巨乳マグナギガ
・戦国バサラの本田忠勝が女になったバージョンでイメージすれば良いんじゃないかな☆
・長身で、バキバキの腹筋を持つ。そして巨乳である☆つまりワンダフルボディ
・人間態での必殺技はおっ○いミサイルもといパイ○リごほんごほん
・いつもボーッとしていて視線は常に上の空
・先日ひったくりに遭ったけどぶつかった瞬間ひったくり犯が吹っ飛んだ
・無言の圧力も強い。電車で痴漢にあったら逆に痴漢が無言のマグナギガに泣いて許しを請うレベル


「さぁ、殺風景な部屋ですが、椅子にどうぞ、龍賀アギトさん?」

 

「ご親切にどうも、須藤蟹刑事」

 

「………まだその名前で呼ぶんですね……」

 

須藤に連れてこられたIS学園、の地下。上から大きな歓声と煩い地響きが聞こえるが、まあ、気にしない

 

「で?これからどうする気だ」

 

椅子に座って肩をすくめる。目の前にはISを展開した女たちが一斉に俺に向けて銃口を向けている

 

「織斑先生、私も射線に入っているので下げてもらっていいですか?」

 

「そうだな、下げろ」

 

これが鶴の一声というものか……織斑千冬の言葉1つで銃をしまった女たちを見てふーん、と呟く

 

「さて、私たちの要求だが…貴様が所持している仮面ライダーリュウガのデッキを渡せ」

 

「はは、断る」

 

机に両手をつけ、俺を睨み付ける織斑千冬と、取り巻きの女たち。須藤が面白そうに口元を歪めて静観しているが、俺が須藤も同類だぞ、と言えばどうなるかな?

 

「……ふむ、ならば力ずくでデッキを奪うしか無いか」

 

「おわ、怖い怖い。なに?そんなにこれが欲しいかよ?」

 

ポッケからデッキを取り出して見せびらかすと、1人の女に顔を殴られる

 

「さっさとよこしな!この糞ガキ!」

 

(あれ、こいつ……あぁ、確か前にボコった女だ)

 

あの時はフラッシュベントで目を潰したはずだ。よく見れば目を充血させている

 

「ふ、ふふふ、ふふ、こ、これさえあれば」

 

リュウガのデッキを握った女がおかしな狂笑を上げる。他の女たちは期待に目を輝かせ、織斑千冬は俺を無機質な目で睨む、須藤は困ったとばかりにため息をつく

 

「私も!変身できる!!」

 

女が何故か部屋に置いてあった等身大の鏡へデッキを向けた。鏡越しに女の腰へVバックルが装着される

 

「ふふふふ!変しーーーギャ!!?」

 

『グゴァァァァアアアア……』

 

そして変身、と声高らかに言った直後、女の顔を、鏡から現れた黒い龍の爪が抉り取る。鏡の向こうでは黒い龍が不機嫌そうな声で吠えている

 

「き、きやぁぁぁぁぁ!!!?」

 

「あああああああ!!?あ、ああ!?」

 

「なんだ、これは……」

 

ドサッと顔の無い死体が床に転ぶ。その手からデッキが離れて、偶然俺の足元に転ぶ

 

「あーあ、やっぱ死んだか」

 

「おい、貴様。今のはなんだ。一体何をした!」

 

何をしたと聞かれても、ドラグブラッカーが殺したとしか言いようが無い。俺の契約モンスターは俺以外にはあまり懐かないし他の奴に変身させる事は無いからだ

 

「残念、俺の契約モンスターが気に食わないから殺したってだけだろ」

 

「なに?………おい、入れ」

 

俺の答えを聞いた織斑千冬が、通信機に喋りかけ、扉がカチャッと開く

 

「……こいつが仮面ライダーリュウガか?」

 

「!……佐藤さん……」

 

「………ふえ?……!?し、しし、死んでる」

 

部屋の中に入ってきた3人の男女、それは恐らく先日ミラーモンスターと交戦中の俺を襲撃した奴らだろう

 

「お前が突然乱入してきた奴で、お前がヘタレ野郎。で、あんたが女ライダーか……」

 

ちゃいちょいちょい、と交互に指をさす。男は不機嫌そうな顔で俺を睨みつけて、そうだ。と呟いた

 

「お前には借りがある、立てよ!」

 

グッと胸倉を掴まれる。デッキの端っこを思い切り踏みつけて宙へ上げる。クルクルと回転するデッキを掴んでから男の顔面を殴る

 

「がっ!!畜生!」

 

「はは、まるで暴れ馬だ、馬鹿」

 

続けざまに男の股間へ蹴りを繰り出す。男は悶絶して床に蹲った

 

「は、はうぁ………!!?」

 

「うわ、痛そー……」

 

「そんなこと言ってる場合か!?」

 

女は仲間の蹲る姿を見て口に手を当ててポツリと呟いた……こいつ、天然か?……もう1人の男も顔を顰めて股間を押さえながら、女を叱責する

 

「ーーーで?殺るのか?4対1、で」

 

「わ、私は良いです…!!」

 

机に腰を下ろしながら挑発的に笑う。男2人は股間部へのクラッシュが効果的だったのか、顔を青くさせている。女は、目を合わせた瞬間、顔と手をブンブンと振る

 

「よ、4だと?この場にはお前と俺らを含めて、4人のライダーしか、い、いない筈だ……」

 

床に蹲った男が股間を押さえながら言葉を捻り出した

 

「んー?………あぁ、成る程……ね」

 

小さく頷いて須藤から目を離す。須藤の奴、上手く隠せてるわけか

 

「そ、そんな事より、なんで佐藤さんが死んでるんだ!?お前がやったのなら、俺はお前を倒す!絶対にだ!!」

 

長身の男が憤慨し、カードデッキを握りしめる

 

「ん、あの女はリュウガに変身しようとしたから契約ミラーモンスターであるドラグブラッカーに殺されただけだ」

 

「「「!?」」」

 

「契約モンスターが……変身者を……喰う…?」

 

俺の言葉には須藤も驚いたようで、自身のある秘密を隠そうともせずに俺へ問いかけてきた

 

「はあ?当たり前だろ。こいつらだって腹が減ればイライラするし、怒りが最頂点まで達すればその怒りを、契約者たちに向けてくる……って、これは契約のルールの1つだろ?」

 

「ドラグブラッカー……てのが、腹を空かていた……ってことか?」

 

「んー、いや、それはない。ドラグブラッカーの場合は特殊だ。俺の契約モンスターはちゃんと餌を与えてるから、他とは違って忠誠心がある」

 

忠誠心?と疑問の顔をするそれぞれの契約者たちへしたり顔で言う

 

「そうだよなぁ…お前たちの場合は、契約モンスターはお前たちへ力を与える。お前たちはその代わりに餌をくれてやる……だからな」

 

「間違ってはねえだろ…」

 

眉間にしわを寄せた男が今にも噛み付かんばかりの剣幕で低く呟く

 

「まあな、だが、餌をこまめにやってくと、こいつらは契約者の危険を事前に察知して、カードを使わずに行動することもあるし、餌をあまりやってないと、自分より低く見られたり、お前たちの危険を見て見ぬ振りをする。折角だ……お前らの餌のやり具合を見てやる」

 

鏡へ向けてリュウガのカードデッキを向ける。すると、デッキの中に収納されたモンスターな魂が鏡の中へ放出された。そして一瞬後、巨大な影が現れて魂をかっさらっていった

 

「………縞模様のモンスターは…結構餌をやってるようだな。餌を前に少し躊躇した。これはお前以外から餌を貰うことに躊躇いを感じたって事だ……他に角付き。こいつはダメだな……魂が見えた瞬間かぶりつきやがった…お前、全然餌をやってないだろ。もしくは、期限の切れるギリギリにやっと餌をやるぐらいか……」

 

「!?な、なんで分かる」

 

「お前らの他にも、十数人のライダーや契約モンスターを見てきたからな。分かるんだよ」

 

「は、はいはーい!私は!?私はどうなんですかー?」

 

驚きを隠せない男2人、興味を隠せない女。IS学園の地下室は、床に転がる女の死体を前ににわかに活気付けだした

 

「……お前は……だな……その…なんて言うべきか…」

 

「ふえ!?や、やばい…の?」

 

「舐められているというか……契約モンスターから一種の愛玩動物みたいに思われているというか……よく言えばミラーモンスターにとっての癒しキャラ?」

 

こんなモンスターを俺は見た事が無いので表現に困る

 

「愛玩動物……て、ペット?」

 

コテンと首を傾げる女を見て、こんなにも能天気な奴は初めてだ、と思う。まあ、女のライダー自体が珍しいのだが……契約者自体を愛でる趣味嗜好のミラーモンスターもだ。他に、ゲイ思考のミラーモンスターもいるが……

 

「それで?結局お前ら、戦うのか?戦わないのか?ハッキリしろ」

 

その言葉にハッと身構えるライダー達。奴らとは違い俺は既にVバックルを腰へ装着しているので速さ勝負なら俺が勝つ……が、そこへ須藤雅史が口を挟んだ

 

「まあまあ、まずはカフェオレでもどうです?お好きでしょう?」

 

「………へえ、あんたにしては気が効くな。じゃあ一杯貰おうか」

 

ストン、と椅子に座って須藤からコップを受け取る……いつの間にカフェオレなんて作ったんだこいつ……

 

「……須藤」

 

「まあまあ、織斑さん」

 

ギロリと須藤を睨む織斑を尻目にコップに口を付けるーーー所で思い切りコップを机に叩きつけた

 

パリィィィイィン!!!

 

「!?なっ……バカなっ!ま、まずい!」

 

キィィィィィィィン

 

須藤の焦った声、頭に響く不快音。

割れたコップの欠片、そのツルツルに磨かれた表面から、巨大な黄色い蟹のハサミが現れた

 

「やっぱり、お前なら仕掛けてくると思ってたよ、蟹刑事っ!」

 

その鋏を両手でがっしりと掴み、後方の壁へと背負い投げを決め込む。壁へと衝突したボルキャンサーは、直ぐに姿勢を立ち上がらせようともがく

 

「逃がすかッ!変身!」

 

鏡の世界、ミラーワールドから引きずり出した蟹のミラーモンスター……ボルキャンサーの顔面を足蹴しつつ、腰のバックルへカードデッキを装着。リュウガへと変身する

 

『キシャシャシャシャシャシャ!?』

 

床に転がったボルキャンサーは、顔中を口から出た泡だらけにしながら両手をブンブンと振り回して起き上がろうとするが、もう一度顔面を思い切り踏みつけて無力化する

 

「ちっ!撃て!」

 

「織斑さん!!だから私が射線に入っていますよ!?」

 

前方から銃撃を喰らうが全くもって意に介さない。それよりも、とドラグブラッカーに他のミラーモンスターを牽制するように伝える

 

『グガァァァアアアアア!!!』

 

『グコロロロロ……』

 

『グォァァァ!!?』

 

『ガァァァァァァア!!』

 

他のミラーモンスター3体は、契約者からの命令が無いために動くかどうかを判断出来かねていない。そこへドラグブラッカーが先制攻撃を仕掛け、鏡の向こうは乱戦となる

 

『グロァァァアア!!!』

 

『ギシャァァア!!!』

 

大きな翼を持ったミラーモンスターが空を飛び、角付きと虎模様がドラグブラッカーへた攻撃を仕掛けるが………

 

『グオォォォォォォオオオオオオオ!!!』

 

ドラグブラッカーの尻尾による一撃で二体が弾き飛ばされ、口から吐き出された黒い火球を受けた翼竜は、翼を固められて墜落していった

 

「な!?レックスダイナソー!!」

 

「ぶ、ブロスダイナソー!!」

 

「レイアダイナソーが一撃で…ふ、ふええ!!」

 

『俺のミラーモンスターは、お前達の貧相なミラーモンスターとは違うんだよッ!!』

 

鏡に顔を押し付けてミラーモンスター達の戦いを観戦しているライダー達へドラグブラッカーの有能性を見せつけながら、取り締まりに使うはずの机をIS操縦者達へ蹴飛ばす。たかが机、と侮っていたIS操縦者達が、450AP(12.5t)ものキック力を持つリュウガに蹴飛ばされた椅子を喰らって、ISの絶対防御が発動、次々と気絶していく

 

『後はこの蟹を消すだけだ』

 

『ギシシシシシシシシシ!?ギシャシャシャ……』

 

悲鳴を上げるボルキャンサーへ召喚したドラグセイバーを突き下ろすーーー

 

『させませんよッ、リュウガァッ!!』

 

『ッ!!遅かったな、シザース』

 

鈍器を用いた横殴りの衝撃をドラグセイバーでいなす。と、同時にその場で回転蹴りを敢行、乱入者を蹴り飛ばす

 

『ぐはっ……!!くっ、リュウガ…や、やはり強い……』

 

金色の分厚い装甲を持った、仮面ライダーシザースが床へ転がりつつま、素早く態勢を立て直す

 

『当たり前だ、契約モンスターの質からして違う』

 

『……成る程、ですが此処には貴方と私以外にも仮面ライダーが居ることを忘れていませんか?』

 

『ーーッ!しまっーーーー』

 

仮面ライダーシザースの言葉に鏡に張り付いていた契約者達へ視線を向ける、が。奴らは既にそこから消えていた。そして、直後に背中から鈍い衝撃を受ける

 

『ガッ……!?』

 

『仮面ライダー…リュウガァ!!借りは返したぜ!!』

 

やはりというか…先制を仕掛けたのは青い縞模様を持つ虎のような騎士だった

 

『どけっ!!キングッ!!次は俺だ』

 

『のわっ!?アイギスっ!!あっぶねえだろ!!』

 

そしてご機嫌の良いキングを押し退けたのはーーー頭に角を生やした悪魔的な造形の装甲を纏う騎士。その両手に握られているのは、先日も見た二対のパイルバンカー

 

『………チッ……!』

 

角騎士の持つパイルバンカーを1発2発と避け続ける。射程範囲、発射間隔はあまり怖くは無いものの、一撃を喰らえばいくら仮面ライダーでも変身が解除されるほどのダメージを持つパイルバンカーで、場所が狭い室内だ。こちらにとってあまりにも分が悪い

 

『ッ……矢…?ぐっ!?これは、毒か……!』

 

『チャンスだ!!!!喰らえっ!!』

 

5発目のパイルバンカーを前転で避けた直後、足に痛みを感じ、見れば装甲に一本の矢が突き刺さっていた。

それを引き抜くと、身体が痺れて動けなくなる……不覚を取った。

目の前に、パイルバンカーが迫っていた

 

 

 

ズッゴシャァァァッッッッッ!!!

 

 

 

『………そ、そん………な………』

 

『グオォォ……グオォォォォオオオオオオオッッッッッ!!!!』

 

 




不意打ちの蟹……まあ、失敗したけど……w
ここからどうかをIS学園入学に繋げるか……!!!そしてパイルバンカーの一撃を喰らったリュウガは一体どうなっているのか!!?
あおこの時点で龍騎はサヴァイヴ持ち→ライダー全員でのジャンケンに買ったから
ぶっちゃけこの世界の神崎お兄たまはそういう所かなり適当。とりあえず戦え、ライダー達。的な


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元一夏と現一夏

どま、天敵です。今回はタイトル通りに。
ぶっちゃけ考えてみたけどISと仮面ライダーが戦っても仮面ライダーの圧勝だなぁ……てか、ミラーモンスターにすら勝てるのか?

擬人化☆ミラもん
絵ビルダイバー
・紅色の髪の腰まで届くロングヘアー
・結構な割合で四つん這い
・そしてその上に手塚がノリノリで乗る
・そしてドMである
・そしてムッツリすけべ


ズッゴシャァァァッッッッッ!!!

 

 

 

『………そ、そん………な………』

 

『グオォォ……グオォォォォオオオオオオオッッッッッ!!!!』

 

ぽつりと溢れた誰かの呟き。

鏡の向こうから響く黒龍の号哭。

室内には机の下敷きとなり気絶している多数の女性たちとライダー。

その中の1人である仮面ライダーアイギス、彼は両手に持ったパイルバンカーを目標に向けて振り切っていた。

その相手はーーーーー

 

『キシャシャシャシャシャシャ!!?』

 

『ふぅ、危なかったな』

 

『ぼ、ボルキャンサー!?』

 

アイギスのパイルバンカーを喰らったのは、リュウガではなく、仮面ライダーシザースの契約モンスターであるボルキャンサーだった

 

『クッ!お前、卑怯だぞ!男として恥ずかしくないのか!?』

 

アイギスがもう一度パイルバンカーを穿とうとするがリュウガがその度にボロボロのボルキャンサーを盾にしてくるために手が出せない。そしてパイルバンカーを放てないイライラが高じてアイギスはリュウガに対して怒鳴り声を上げた

 

『ハン、近くに転がってたこいつが悪い』

 

転がってた理由は俺がボッコボコに蹴りまくってたからだが、ボルキャンサーの装甲は盾として有能だ、使わないわけがないだろ

 

『ほらほら、どうした?さっさと打ってこいよ。あと1発でこいつは消滅するぜ、シザース』

 

『うぐ………』

 

『さて、と……お前ら、自分の契約モンスターの心配はいいのか?』

 

少しの間、シザース他3人の仮面ライダーは疑問を浮かべていた。鏡の向こう、ミラーワールドでは確かにリュウガの契約モンスターと自分たちの契約モンスターが戦っている。が、あちらは三体一なのだ、多勢に無勢。いくら彼の契約モンスターと言えど、苦しい戦いの筈……

 

『ゴオオオオアァアアア!!!』

 

『う、嘘だろ……』

 

しかし、ミラーワールドでの戦いは、リュウガの契約モンスター、ドラグブラッカーが制していた。鋭い尾で打ちつけ、火球を吐き、石化させ、動きのとれない所を鉤爪による一撃。縞模様の虎、レックスダイナソーによる素早い動きも、それ以上の速度で追撃され。

ブロスダイナソーによる突進も、真正面から受け止められ。

レイアダイナソーによる空を飛ぶことを生かした上空でのドッグファイトも、より旋回性能に長けたドラグブラッカーはいとも容易く撃墜する

 

既に鏡の向こうはドラグブラッカーの独壇場だった

 

『さあて、終わらせるとするか』

 

カードデッキから一枚のカードを取り出す。そのカードには黒龍を模した紋章が刻まれていた

 

『FINALVENT!?ここで使うのか!?』

 

『……ん?ただのハッタリだアホ』

 

足に回っていた毒も薄れきた今、リュウガは走り出すと同時にボルキャンサーを仮面ライダーキングへ放り投げる。

仮面ライダーキングはボルキャンサーの重さに、ぐへぇ、と情けない声を上げて潰されていった

 

『キング!!』

 

『これはお返しだ!貰っとけ!』

 

仲間が下敷きにされたのを見て動揺した仮面ライダーアイギスへ助走を付けた跳び蹴りを喰らわせる。アイギスの方は何が起こったのかわからないまま、数十メートル先の壁に衝突した

 

『お前は……』

 

『ふええ!?ご、ごめんなさい!!』

 

『お、おう?』

 

1発覚悟しろよ、と言うつもりだったが、振り向いて顔を合わせた瞬間謝れられたので思わず返事をしてしまった……まったく、緊張感に欠けるやつだな……

 

「そこまでだ!」

 

ドスッという痛みと共に腹部にブレードの刃を喰らう。言わずもがな相手は織斑千冬だ

 

「散々暴れてくれたな、仮面ライダーリュウガ」

 

『ハッ、暴れさせたのはそっちだろ?』

 

ブレードを片手で掴んでそのままへし折る。仮面ライダーの握力の前ではこんなものその辺に転がってる木の枝と何ら変わらない

 

「くっ…」

 

『そして、お前は変わらず背後からの奇襲か……シザースッ!』

 

『ぐはぁっ!!』

 

背後へ蹴りをかますと、やはりというべきか。しっかりとした手応えを感じ、数秒後に床に転がる仮面ライダーシザースがいた

 

『さて、と。俺帰っても良いかな?』

 

『良いわけねえだろ!!人をおちょくってるとぶっ殺すぞ!』

 

パンパンと手をはたいておちゃらけた調子で聞いてみると思いっきりブチ切れられた

 

『……だって俺別にお前らと戦ってもなぁ………』

 

キィィィィィン キィィィィィン

 

『………ミラーモンスターが出現したか……じゃ、そういう事だから』

 

『あ、待ちやがれ!!』

 

キングとかいう仮面ライダーの制止を無視して鏡の中へ突っ込む。ミラーワールドで他の契約モンスター三体を圧倒し、悠々と空を飛ぶドラグブラッカーの背中に飛び乗り、ミラーモンスターのいる場所へ加速した

 

『グガォオオオオオオオオオ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

地上ーーアリーナ観客席

 

「いっけー!織斑くーん」

 

「頑張って!織斑くん!」

 

「おりむー頑張れ〜」

 

IS学園アリーナの観客席、そこには古今東西の美少女たちが大きな声を上げて応援をしていた。そして、応援をされている相手は…というと

 

「うっぉおおおおおおおおお!!」

 

「くっ!!ティアーズッ!!」

 

白い装甲に身を包み、刀一本で空を駆け抜ける1人の男に、青い装甲に身を包み、レーザーライフルを手に持った金髪縦ロールの女の2人である

 

「きたっ!それの軌道は読めてるぜっ!」

 

「きゃ!!そ、そんな!ティ、ティアーズ!!」

 

白熱した戦いに会場の雰囲気も熱中する。

そして、その戦いを……正確に言えば戦っている2人を応援している人間を鏡の向こうから見ている異形の怪物が……6体

 

「きゃーー!!今よー!!織斑くーん」

 

「セシリアー!!頑張ってー!!」

 

声援に紛れて怪物たちの声が鏡の向こうから木霊する。そして、怪物の標的となったのは、仲良しげに話していたおさげの少女、袖がぶかぶかののほほんとした少女。セミロングの髪にヘアピンをつけた少女の3人だった

 

『クケケケケ』

 

「織斑くんがんばー!………ねぇ本音、なんか言った?」

 

「えー?何も言ってないよ〜」

 

「ふふ、何言ってるのよ癒子」

 

あははは、と笑う彼女たちの背後、管制室の窓から怪物が4体飛び出したーー

 

「きゃ、きゃぁぁぁぁ!!?ばけ、ば、化け物!!!?」

 

「え、え?ヒッ……いやぁぁぁ!!!」

 

「え?なに、なに!?ど、どうしたの!?」

 

「化け物ー!!化け物が……いやぁぁぁあああ!!!」

 

 

窓の鏡面から現実世界へ出現したミラーモンスターが威嚇の咆哮を上げ、観客席は突如未曾有の大混乱を迎える。

それを見てミラーモンスターはニヤリと嗤い、3人の女生徒へ突進する。そして、それにいち早く気付いたおさげの少女が悲鳴を上げて腰を抜かして尻餅をついた

 

「きゃぁぁぁ!!!」

 

両目を閉じて叫ぶセミロングの少女へ怪物が走り出す。袖がぶかぶかの少女が、2人の前に立って、まるで通さないかのように両手を横へ広げる

 

「ほ、本音!!」

 

『クケケケケ?クキャキャキャキャキャ!!』

 

ハイエナのような小狡しくも残虐そうな目付き、細々と痩せこけた手にあばらの浮き出た胴体。唯一脚部はもりもりと発達していて、そこからこの個体「クレイジーワイルダー」が如何に俊敏であるかが分かる

 

「本音ちゃん!逃げて!」

 

「だ、大丈夫だよ〜えへへ〜」

 

「バカッ!なに言ってるのよ!」

 

2人の言葉も既に遅かった。クレイジーワイルダーは少女の勇気を嘲笑うかのように一声嘶き、両手の爪をギャリギャリと音を立てて少女の周りを高速で動き回る

 

「きゃぁぁ!!」

 

「!ゆ、癒子っ!?いや!止めてっ!?」

 

おさげの少女が一匹のクレイジーワイルダーに連れ去られ、もう1人も両腕を2体のクレイジーワイルダーに掴まれてミラーワールドへ攫われる

 

「あ………」

 

そして本音と呼ばれた少女の目の前には、もう一体のクレイジーワイルダーがニンマリと嗤って立っていた

 

『クキキキケケケケ』

 

「ぁ………ぅ……」

 

とすん、少女は尻餅をつきながら後ろへと這っていく。それを楽しそうに鳴きながら逃げ道を塞いでいくクレイジーワイルダー

 

『クヒャキャキャ』

 

「い、痛い!!あぁ………」

 

少女の頭を掴んで無理やり立ち上がらせ、右手を大きく振りかぶったクレイジーワイルダー。少女は、本音は両目に涙を溜めて、親友の名を呟いた

 

「ごめん…かんちゃん……」

 

『クキャーーーー!!』

 

ブゥゥン!!

 

クレイジーワイルダーの残虐な凶爪が、少女を襲うーーーー

 

 

バシッッッッッッ!!!

 

 

『…………クレイジーワイルダー……なんだ、食べ応えもなく、強い訳でもないカスモンスターか……』

 

『クキャ!?ク、クキクキューー』

 

少女の真上に振り抜かれた凶爪、それを掴んだのは………黒い装甲に、禍々しい龍の紋章を持つ黒き龍騎士、リュウガだった

 

『ハン、そんな非力な攻撃が喰らうかっ!』

 

『クギィィイイイイイイ!!!?』

 

リュウガの装甲を切り裂いたかのように見えたクレイジーワイルダーの爪が、横薙ぎに振り抜かれたリュウガの蹴りによって粉々に砕かれた

 

『グギュァァ!!?』

 

『ははは、ほら、ミラーワールドを見てみろよ……お前の仲間たちがピンチだぜ?』

 

リュウガの言葉にハッと我に返ったクレイジーワイルダー。その視線の向こう、鏡の鏡面世界ではーーー

 

『グギュィイイイイイ!!?』

 

『グギャガガガガ!!』

 

『ゴァァァァアアアアア!!!!!』

 

それはまさしく、地獄だった。

獲物を連れてミラーワールドへ帰還したクレイジーワイルダーを待っていたのは鞭のような伸縮自在な尻尾による顔面への殴打。余りの痛みに獲物を手放して一目散に逃走したクレイジーワイルダー三体を次に襲うのは、黒龍の火球。そして体を固められた三体は、ドラグブラッカーの尻尾を直に喰らい、あっけなく砕け散った。

 

『さ、お前もとっとと終わらせよう』

 

『SWORD VENT』

 

『グギュルルルルルル!?』

 

右手に装備したドラグセイバーをクレイジーワイルダーの胸元へ突き刺し、暗黒の炎を放出する。突き刺さった場所から徐々に石化していったクレイジーワイルダーは、リュウガが木の葉を散らすようにドラグセイバーを振り回して、程なくして仲間たちと同じ運命を辿った。

 

『ドラグブラッカー、ミラーワールドに居る奴らを戻しとけ』

 

リュウガの命令にクレイジーワイルダーが放棄した獲物達……気絶した女生徒を女性態となったドラグブラッカーがむんずと掴んで現実世界へ連れて帰る。それを見届けたリュウガは軽く辺りを見回して次の獲物を探す

 

『…………ん?』

 

そしてーーークレイジーワイルダーでは無いのだが、混乱した観客席の向こう、何故か人気の無い通路の中で、1人の少女が左手に持った手鏡へカードデッキを向けたのが見えたーーー

 

『……あれも新しい仮面ライダーか……全く…増やしすぎなんだよ……神崎兄は』

 

はぁ、と大げさに溜息をついたリュウガは、上空から襲いかかってきたクレイジーワイルダーの顔を掴んで無造作に放り投げた。

空中に放られたクレイジーワイルダーは、懸命にジタバタするも、いつの間にかモンスター態に戻り、あーん、と口を開けたドラグブラッカーに喰われて死亡した

 

一瞬ドラグブラッカーの食べ応えを見るために動かした視線を、新しい仮面ライダーの方へ戻したリュウガだったが、其処にはもう誰もいなかった

 

『……………』

 

クレイジーワイルダーの掃討戦へ移るか……

再度ミラーワールドへ入ろうとしたリュウガは、ある視線を感じて背後を振り向く。そこにいたのは、いや。その空間に浮かんでいたのは、男性初のIS搭乗者、織斑一夏だった

 

『……………』

 

「……………」

 

「い、一夏さん、これは一体どういう事ですの?」

 

仮面の下から視線をぶつけるアギト。そして、仮面ライダーリュウガを能面と形容すべき無表情さで見下ろす織斑一夏

 

『………俺はもう、“織斑一夏”なんて存在に戻ろうなんて気は無い。安心しろよ、偽物』

 

先に視線を外したのはリュウガだった。織斑一夏へ短く吐き捨てた彼は、ドラグセイバーを斬り払ってミラーワールドへ走って行った

 

「あ、あれは仮面ライダー……」

 

「………違う……偽物は、お前の方だ……俺が本物だ……俺が、“織斑一夏”だ…(ニヤ)」

 

リュウガが消えた後で、リュウガに偽物と呼ばれた織斑一夏が不気味に嗤う

 

「俺は千冬ネェから雪片弐式を受け継いだんだ…!だから、俺が“織斑一夏”だ…」

 

『そうだよ、いっくん。アレの方がいっくんの偽物だよ。そしていっくんは、あいつらを全て殺すんだ。ちーちゃんから受け継いだ、雪片弐式と、白式で……ね』

 

織斑一夏は嗤う。誰にも気付かれることなく………

彼と戦っていたイギリスの代表候補生は観客席で混乱した生徒を避難・誘導するために何処かへ行った。

織斑一夏もそれに参加するために自身のISである白式のスラスターを動かす。その顔は未だに無表情の顔に、張り付いた笑顔で。口元はまだ、「俺が“織斑一夏”だ」と動いていた

 

 

 

 

 




いっくん……むりむり、ISじゃ仮面ライダーに勝てんよ………
というかなんか戦闘描写、常にドラグブラッカーが無双しているような…………ま、まあ劇中でも無双してたしあながち間違ってないよね?


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盾と龍

どうも、天敵です。最近バイトガンガン入れてしまっていて書く時間がなかったです……俺の体はボドボドだ!
サボってたわけではないです……サボってたわけではry

擬人化ミラ☆もん
デストワイルダー
・白髪ロリ
・好奇心旺盛にして活発
・日向ぼっこがお好き
・「がおー」が口調
・よくauの背中に乗っている


『はっ!』

 

ミラーワールド……そこでは黒い仮面ライダーが数匹の二足歩行のハイエナのような怪物と戦っていた

 

『クケケケケカカカ』

 

『……すばしっこいな…』

 

黒い仮面ライダー…リュウガの振るったドラグセイバーが空を切るーーーリュウガが対峙している目の前の敵、クレイジーワイルダーはとてもすばしっこく、ドラグセイバーの斬撃が悉く避けられているようだ。

それに加え、自らの武器は異常な程に盛り上がっている脚だという事をこのミラーモンスター達が知っているからだろうか。決してリュウガに近付こうとせず、少しずつ舐るような戦い方、ヒットアンドアウェイを繰り返している

 

 

『ふぅ………流石に、十匹以上も殺れば、警戒して近づかない………か』

 

ドラグセイバーを切り払って俺の周囲を囲む五匹のミラーモンスターを見渡す。

こいつらは、無闇に俺に近付こうとせず、時間を稼ぐように、俺の攻撃を避けるだけだ

 

(…なるほど、俺の活動限界を狙ってるのか)

 

9分55秒。それが俺たち仮面ライダーが鏡の世界で戦える時間。

それを過ぎれば仮面ライダーと言えども、装甲は消滅し、この世界で死んでしまう。

 

『御前達らしい、小賢しい考えだな』

 

もう一度ドラグセイバーを振るう、剣から黒い衝撃波を生み出し、周りにいるクレイジーワイルダーを全て石化させた。

 

『時間までにお前らを倒せないとでも思ったか?』

 

石像のように固まってしまったミラーモンスターを蹴って粉々に砕く。

 

そして、ミラーワールドから出る前に奴らがここへ連れ去っていたIS学園の生徒を両手で抱くいてから一番近い鏡面から現実世界へと帰る。

 

『ふぅ、この女はここにでも置いておくか』

 

現実世界に帰ってから、まず担いでいた女を降ろす。

水色の髪の髪の毛が内側に跳ねているのが特徴的で、他には視力が悪いのか眼鏡を掛けている

 

「すぅ……すぅ…」

 

『まったく、あと数秒で消滅する筈だった……てのに、いい気なもんだな』

 

俗に言う、お姫様抱っこをしながらリュウガが呆れ気味に呟く。

この少女の着ている衣服の破れ具合からして、ミラーワールドに連れてこられた後、クレイジーワイルダーに必死に抵抗した証だろうが……今リュウガの腕の中で眠る少女はとても健やかな寝顔だった。

 

『さっさとこいつを置いて次のミラーモンスターを……』

 

「簪ちゃん!!」

 

『………………?』

 

突如響いた女の声に後ろを振り返る。

そこにいたのは、リュウガが抱きかかえている内はねの青い髪の少女と同じく、透き通るような外はねの青い髪をした女。

必死で走って来たのか、壁に手をついて肩で息をしている。

しかし、その眼は、彼女の怒りを表しているように紅く、その鋭い眼光は少女を抱きかかえているリュウガに注がれていた。

 

「はぁ、はぁ……貴方……ッ、仮面ライダーね……」

 

とても一般の女子高生とは思えないような低く、ゾッとするような声でリュウガへ問いかけた少女は、まるでリュウガを射抜かんばかりに彼を睨みつける。

 

『………だとしたら……どうする?』

 

「……その子を離しなさい」

 

面と向き合って応えたリュウガに、女が命令する。

リュウガとしては女の指示を無視する理由もなく、元からそうしようとしていたこともあって、さほど迷いもせずに抱きかかえていた少女を、優しく、ゆっくりと床へ降ろした。

 

『…………さぁ、降ろしたぞ……で、どうする?』

 

「……………」

 

怒りを滾らせた瞳から、なぜ?という疑問のような瞳へ変わる少女。

しかし数秒後にはその迷いを振り切るように、凛とした面持ちでリュウガと対峙する

 

「仮面ライダー、貴方がどうやってここへ侵入したかは知らないけど。このIS学園の長として、そして一人の姉として貴方を倒すわ」

 

『…………へぇ………』

 

リュウガのレッドアイが少女の眼と同じように紅く煌る、瞬間少女の身体を水が包み込み、スク水のようなスーツと、腕や足に、少しばかりの装甲を纏った少女が……いた。

 

「はぁぁ!!」

 

少女が持ったランスから幾つもの弾丸が飛んで来る。それらは未だ眠っている少女からリュウガを離すために放った牽制弾で実際に当たることはないのだが、リュウガは弾丸よりも少女自体の気迫に押されてバックステップする。

 

「逃さないわ!」

 

『………ッ!グッ!!』

 

瞬間、ランスを真っ直ぐに持ち、突進するかのようにリュウガへ迫る少女。その速度は通常のISの倍以上の機動力だった。

 

『速い……ッ!』

 

「あら、今まで瞬時加速を見たことが無かったのかしら?」

 

『………ああ、今まで戦ってきたISは、それを使う前に倒せたから、なッ!!』

 

少女の加速力に驚愕したリュウガへ、にやり、と微笑む少女。

対して、ISにこんな技がある事を知り、舌を巻いたリュウガは、この少女は侮れない相手だと確信した。

 

「きゃあっ!……くっふぅぅ、パワーが違いすぎる……!」

 

『ふぅ、面白いものを見せてもらったぜ、確か……こうかッ!』

 

壁を足蹴にしてリュウガが少女へと肉薄する。反応が遅れた少女は、リュウガの左拳を鳩尾に喰らって後方へと吹っ飛んで壁に衝突し、苦しそうに喘ぐ

 

『………?……手応えが無い……』

 

「かはっ………はぁ、はぁ……ギリギリ、間に合ったわね………」

 

渾身の力を込めて少女の鳩尾へと繰り出した拳を眺め、不思議そうに呟くリュウガ。彼が放った左拳は、少女のお腹へぶつかる直前、正体不明のナニカに遮られてダメージを与えることが出来なかった。

 

『見えないゴムか?』

 

「ふふ、さあ?どうかしらね」

 

妖艶な笑みを浮かべる少女に、リュウガがフッと笑う。

もう一度仮面の奥のレッドアイを紅く光らせ、右手に持ったドラグセイバーで風を切って振り上げる。

 

『ハァァァ……ッ!!』

 

「く、ぅぅ……!」

 

ガギン、と金属のぶつかり合う音が響く。それは一回で終わらず、二撃、三撃、四撃とリュウガがドラグセイバーを振るうたびに火花を散らして音を立てる。

 

『フッ!!ハァッ!!』

 

「あぁぁっ!!」

 

ガァンッッ!!

 

何撃も撃ち込んだ中で一番重い斬撃。これには少女も堪らず動きを止める。そこを狙ってリュウガの後ろ回し蹴りが少女の身体へ直撃した。

 

『………クッ、またあの妙な防壁か……』

 

苛ついたリュウガの言葉が、彼の放った後ろ回し蹴りによるダメージを、少女が完璧に防いで見せたことを意味する。

 

「ふ、ふふ、完璧に防いでる筈なんだけど、SEをごっそり減らされちゃってるわね…しかもISを使ってると言っても、普通婦女子のお腹を執拗に狙うかしら?」

 

苦々しくリュウガへ文句を告げる少女に、リュウガは内心で褒めちぎる。

それは、彼の攻撃を紙一重で無効化する謎の力。更にそれの正体を上手く隠し通すこの少女の技量についてだ。

 

『強いな……お前は』

 

「これでも、自他共に認める学園最強だから……当然でしょ?」

 

片目でリュウガへウインクをしつつ、ランスに内蔵された火器を撃ちまくる少女。

まずは少女の扱う謎の力を知ることが必要だ、とリュウガが右手に持ったドラグセイバーを捨て、カードデッキから一枚のカードを抜き取り、左手のドラグバイザーへと挿入する

 

『STRIKE VENT』

 

低い機械音声の直後、右手に装着されたドラグクローを少女へ向け、腰を低く落とす。

 

『ハァァッ!』

 

両口を大きく開いた龍の顎から、暗黒の火球が放出された。それは黒い唸りを上げて少女へと迫る。

 

「くっ!きゃぁぁ!!!」

 

少女の悲鳴。しかし、それと同時に少女を透明な何か、いや、液体状のナニカが包み込み、黒い火球を相殺せんとする。

 

「!?なに…これ!身体が…動かない!!」

 

『……なるほど、原理はよくわからないが、水を操っていたわけか』

 

自分を包みこみ、リュウガによる度重なる致命傷となる筈だった攻撃を防いできたナノマシンで構成された水のヴェールが、今や操縦者の身体を拘束する枷となった。

 

ドイツの第三世代機が使うAICの類か…?動けない身体の代わりに高速で廻る脳味噌……。

IS学園の現生徒会長である更識楯無は、自分の想像の遥か上に位置する黒い仮面ライダーリュウガに恐慌し、顔の表情は冷静さを保ちつつも、ISの量子領域から、サメの紋章の描かれた長方形のカードデッキを取り出す。

 

『………そのまま……動くなよ』

 

「…………?」

 

実の妹の前では例え眠っていたとしても実行を避けたかった「奥の手」へと手を伸ばした更識楯無へとリュウガが話しかける

 

『俺は今忙しいんだ、簡単に言えばお前に付き合ってる暇はないんだよ』

 

右手に装着されたドラグクローをポイっと捨てて、新たなカードをバイザーへと挿入したリュウガが、身動きの出来ない更識楯無へ話し続ける。

 

『ISのパワーなら数分間頑張れば壊せるだろ?……それじゃあな、二度と会う事もないだろ、水使い』

 

攻撃してこないと分かってるのか、楯無へ完全に背を向けて立ち去ろうとするリュウガ。

今ならリュウガへ致命傷の一撃を与えることが出来る、しかし、攻撃していい物なのか?

自分と同じ彼を、そもそも第一に、仮面ライダーが悪とは誰が決めたものか?更識楯無の思考はパニックに陥っていた。

そして、そんな思考回路が導き出してしまったのは………………

 

「ちょ、ちょっと、待ちなさい」

 

『…………?なんだ、まだ何かーー』

 

「わた、私の名前は更識楯無……よ……」

 

『…………は……?』

 

「…………………」

 

『…………………』

 

盛大にやってしまった………。

更識楯無は自然とその答えに辿り着いた。

 

なぜ自分は仮面ライダーに今の名前を教えてしまったのか?

というか、なぜ自分は簪ちゃんを助けてくれたかもしれない相手に攻撃してしまったのか?

 

『………クク……はっはっはっは……。そ、そうかそうか……さ、更識…楯無…か!はっはっはっは!!』

 

お腹に手を当てて蹲るリュウガ。そんな彼を見て熟れた桃のように恥ずかしそうに顔を俯かせる更識楯無。

次第にリュウガの笑いはヒートアップし、廊下の床をバンバンと叩き出し、廊下はひび割れていく。

 

「〜〜〜ッ!!は、早くどっか行きなさいよ!じゃないとまた攻撃を仕掛けるわよ!?」

 

『わ、分かって……ククク。分かってるんだが………はははははは!ふ、普通……普通敵に名前を教えるか?クク。それも、お、俺たち仮面ライダーに………』

 

笑いのツボがカンストしたリュウガが廊下をゴロゴロと寝転がっていく。

さっきまで、吊りあがり気味に紅く光っていた彼の両眼は、涙を堪える笑い目になっているように見えた。

 

『ぜ、ぜぇぜぇ……やるな、更識楯無。戦いで勝てないと理解した上で俺に精神攻撃を与えてくるとは…………………ブフォオッ!?』

 

息も絶え絶えに言葉を捻り出したリュウガが思い出し笑いをしてまた廊下をゲラゲラと笑いながら寝転がる。

 

『ふ、ふぅ………ククク………おい、其処にいる奴、こそこそ見てないで出て来いよ』

 

手をついて立ち上がったリュウガは、背後の鏡へ向かって、顔を向けずに声を掛けた。すると、そこからリュウガとは別の仮面ライダーが現れる。

 

「新手のライダー!?」

 

『…………よく分かったな』

 

『フン、色々とお粗末なんだよ、お前は』

 

リュウガの背後に立つ仮面ライダー、アイギスが両手に持ったパイルバンカーをリュウガへ向ける

 

『それで?他の仲間はどうした?一緒じゃないのか?』

 

『……あの二人は色々と煩いんだ……俺達が仮面ライダーを殺すのは正義なのに……!人殺しはいけないってよ!笑わせるぜ!お前らに人権なんてねえのによおおおおお!』

 

獣のような咆哮とともにアイギスがリュウガの懐へ肉薄する。そして両の手に握ったパイルバンカーを穿とうとして、リュウガの強烈な膝蹴りを顔面に喰らう

 

『ガッ……!!』

 

『成る程な、お前は刺激的なライダーバトルをお望みか………』

 

『SWORD VENT』

 

ドラグセイバーの柄を握ったリュウガが、刀身を数回切り払ってアイギスが立ち上がるのを待つ。

そのリュウガの行動を挑発と受け取ったアイギスが、奇声を発しながら駆ける。

 

『な、舐めやがって!死んじまえよおおおおお!』

 

『フッ!!』

 

リュウガは、アイギスの大振りの攻撃を避けて下から上へとドラグセイバーを振り抜く。

ドラグセイバーの刀身がアイギスの装甲を削ぎ、摩擦で火花がバチバチと飛び散る。

 

『グッ!』

 

『ふぅ……ハッ!!』

 

『ぐわぁぁ!!』

 

よろめいたアイギスへリュウガの二段蹴りが炸裂する。

リュウガのキック力は絶大で、二段蹴りを諸に受けたアイギスは何10mも後ろへ吹っ飛んで行った。

 

『がっ!?グッ!?』

 

『あんまり強くないな…コイツ』

 

『ぐっ!く、くそぉ………!!』

 

『ADVENT』

 

アイギスが腰のカードデッキからアドベントカードを取り出し、盾型のバイザーへ挿入する。

それを見たリュウガも、腰部のカードデッキからから引き抜いたカードをバイザーにセットする。

 

『ADVENT』

 

『グルアアアアアアアア!!!』

 

『行け!ブロスダイナソー!!』

 

「っ!簪ちゃん!!」

 

角突きが狭い廊下の両壁をガリガリと削りながら突進する。

しかし、何処かから伸びた鞭のような尻尾が、ブロスダイナソーの足を掴んで転ばせた。

 

『グギィイィアァァァァァアアアア!!?』

 

ブロスダイナソーが派手に転んだ過程で廊下の壁は大きく穴が開き、ブロスダイナソーは弱々しい鳴き声をあげてミラーワールドへ帰っていく。

 

『っ!?はぁぁぁ!?』

 

『待ち伏せ成功だ、ゲリョスウイング』

 

『ゲッゲッゲッ………』

 

そして体に鏡から現れたミラーモンスター。ドラグブラッカーと同様にリュウガと契約しているゲリョスウイングが、一人ぼっちのアイギスを馬鹿にするような笑い声を上げる。

 

『おい!フザケルナ!ブロスダイナソー!!』

 

不甲斐ないミラーモンスターへ憤怒の声を上げるアイギス。

そんな彼へ音もなく忍び寄ったリュウガが、背後から跳び蹴りによる強襲を敢行した。

 

『ぐおおおお!?』

 

『そろそろ終わらせるか……』

 

『FINAL VENT』

 

ゲリョスウイングの紋章が描かれたカードをバイザーへ挿入。するとゲリョスウイングがアイギスに自らの背中に向け、伸縮自在の尻尾を右へ左へとしならせる様に振り抜いていく。

 

『ぐぅ!?がぁ!!ぎぃゃあ!?』

 

打ち抜かれた尻尾の衝撃で体が硬直し、動けないアイギスの背後から、リュウガがドラグセイバーを持って肉薄する

 

『ハァァァ……!!』

 

一撃二撃、三撃とリュウガとゲリョスウイングによる打撃と斬撃の嵐がアイギスを包み込む。

六撃を超えたところでビンタの如き攻撃を止め、まるでバネの様に尻尾を縮めたゲリョスウイングが、アイギスの胸装甲へと最後の一撃をお見舞いする。

 

『グワァァァァァァァ!!!』

 

トラックに正面衝突した様な衝撃を受けてアイギスは後方へ吹っ飛んでいく。

そして、その先にいたのは………まるで居合の様に腰を下ろし、ドラグセイバーを構えたリュウガだった。

 

『ハァァァ……………アアッ!!』

 

アイギスの無防備な装甲へ黒い黒炎を纏った刀身を斬りつける。

この一撃が決め手となり、パリン……という何かが割れた様な音の後で、アイギスの装甲を維持しきれなくなった変身者ーーー盾持 優が床に突っ伏していた。

 

「がはっ!?は、はぁはぁ……ごふっ……ぐふ、ふぐぅ………!!」

 

変身が解除された優は荒い息で必死に喘いでいたが、最後に「仮面ライダー……お前は、俺が……」と呟いて気を失った。

 

『………行くか』

 

「………まさか、盾持の長も仮面ライダーだった…なんてね」

 

それを見届けたリュウガはまたミラーワールドへ入っていく。

そして、リュウガとアイギスの壮絶なる戦いぶりを見ていた更識楯無は、IS学園の救急隊に連絡を入れて、自分の妹である更識かんざしを抱いて立ち去った。

 




た、いうわけで生徒会長も実は………。アレに変身します。ISとの併用とかも出来るはず……。
とりあえず説明。
盾持 優
・対暗部の更識家とは違い警察官僚組織のトップに立つ名門。
・仮面ライダーに対して憎しみを抱いている様子。
・普段は冷静に状況を判断するが、仮面ライダーを相手にすると周りが見えなくなる(仲間二人は別)

次回は蟹に退場してもらおうかなぁ……と考えてます。
死亡endか生存endかは……どっちにしようかなw


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どうやら蟹が殺られたらしい

ども、天敵です。とりあえず描写は無しで蟹、退場……。
後ろからグサリと一夏に殺られました。しかもデッキを奪われるというオマケ付き。哀れなり須藤。


龍賀アギトが仮面ライダーリュウガだと判明してIS学園に連行され、そこで蟹や三人の新しいライダー達と戦い、ハイエナのミラーモンスターであるクレイジーワイルダーをドラグブラッガーやゲリョスウィングの腹に足しにして喫茶店花鶏に帰った後、アギトが何の気なしに真司が使うPCを弄ると、『IS学園を襲った謎の怪物!』という特集が話題沸騰していた。

 

『IS学園ではこの時、ブリュンヒルデの弟であり世界初の男性操縦者である織斑一夏君とイギリスの代表候補生のセシリア・オルコットさんが1–1クラス委員の座を賭けて模擬戦をしていたようです』

 

『流石千冬様の弟ね、世界最強の肉親としてまずは一年生最強の一人を目指すなんて……』

 

『いえ、入ってる情報では単に男だから指名された……と。あ、もちろん織斑一夏君からの証言です』

 

『………』

 

『………あー……そしてですね、2人の戦闘が終盤には差し掛かった所、二足歩行をしたハイエナの怪物が、アリーナ中に現れた、との事です。こちらはIS学園の生徒が撮った映像になります』

 

そう言って視界の男が指し示したスクリーンに、素人が撮ったような荒っぽい動画が映し出された。

 

『きゃーーーーー!!?』

 

『え?なになに?どうしたの?ねえ!』

 

『ええ、わ、分かんないよ。ねえ、どうしたの』

 

『いや!いや!いやぁぁぁ!?誰か!誰かぁぁ!?助けーーー』

 

『へ、い、今の……何、あれ………』

 

観客席で悲鳴を上げた生徒が鏡の中から現れた二足歩行の痩せ細ったハイエナのような怪物に足を掴まれて鏡の中へと引きずられていった。

 

『!?こ、こっちに来る!嫌、来ないで……来ないでえええええ!!』

 

カメラを持った少女へ1匹の怪物が近づいて来る、すぐに彼女も体を捕らえられてしまい、そのまま鏡の中へと連れ去られていく。

 

『クケケケケケ』

 

ハイエナの嘲笑う声がカメラから響き、少女は鏡の中へと入っていくーーー所で鏡から放たれた強烈なパンチが怪物の顔面に吸い込まれて豪快な音を鳴らして怪物を吹き飛ばした。

 

『…へ………だ、誰………』

 

『…………』

 

少女の言葉に鏡から出ている右腕は何も答えない。

そして右腕から先が徐々に鏡から生み出され、顔が、足が、胴体が鏡から吐き出された……それまるで、騎士のような出で立ちであった。

 

『クキャキャ!?ケケケーーー』

 

『ハァァ……ハッ!』

 

静かに鏡の中から現れた黒い騎士は、怪物が立ち上がろうとした瞬間走り出して勢いのまま怪物の顔面に飛び蹴りを喰らわせる。

怪物は悲鳴を上げながら二転三転と観客席を跳ね、続く黒い騎士の二段蹴りを喰らって爆散した。

 

『あ、あの……た、助けてくれて……ありがとうございます…』

 

『………』

 

『い、痛い!!あぁ………』

 

『………』

 

『あっ……!』

 

少女の言葉に無言を返した黒い騎士は、別の方から聞こえる小さな悲鳴と残虐な嘲笑の元へ駆け出していく。

そして、そこまででカメラの映像も途切れた。

 

『………いかがでしたでしょうか。映像のハイエナのような怪物、そしてそれに引きずられていた少女を助けた謎の黒い騎士。仮に、我が番組では、彼、または彼女を「仮面ライダー」と定義します。あの黒い仮面ライダーの姿は皆さんに、どう、映りましたか……?』

 

『そうだね。私としては彼、もとい仮面ライダーに賞賛の嵐を送るよ。彼の身元が分かれば大々的に表彰を贈りたいところなんだが……まあ、無理だろうね』

 

『何故でしょう?』

 

司会の言葉に、黒い仮面ライダーに対して好意的な意見を述べた壮年の男が残念そうに息を吐く。

そこへ司会が最もらしい疑問をぶつけた。

 

『仮面ライダーがどのようにして現れてどのようにあな化物を倒したかい?化物と同じように鏡の中から現れて、素手で、仕舞いには武器を使わずに蹴りだけで化物を倒してしまった。その威力は、スマホのカメラでは霞み、ブレてしまうほどのスピード。そして化物が爆散してしまう程の破壊力と分かれば私のような立場の人間としては、どんな手段を使ってでも彼……仮面ライダーを手元に置きたくなるからだ』

 

『なるほど……』

 

『それに、彼の声を聞いたかい?くぐもっていてよく聞き取れなかったが、あれは確かに男の声だった……』

 

『あっ!!』

 

司会の男が素っ頓狂な声を上げた。

恐らく、壮年の男の言葉で司会も黒い仮面ライダーの正体が男であることに気付いたのだろう。

目が点となった表情でスクリーンの最後の映像、黒い仮面ライダーが駆け出していく姿を食い入るように見つめる。

 

『貴方は、何が言いたいのよ。まさか、男がIS同等の性能を持つ何かを手に入れたとでも言いたいのかしら。下らない。良い?男は所詮私たち女の下僕なのよ!この仮面ライダーだとかの中身が男として、結局は私たちの小間使いよ!』

 

 

「うっわ、酷い言い方するな、この人」

 

カウンターに立っていた真司が顔を顰める。

画面にいる女は、ご丁寧にも女権団体所属という名札が付いている。

 

「俺たちは人間の自由と平和を守る仮面ライダーなのに!」

 

「………最高にイかれてるよ、お前……」

 

目をキラキラと輝かせて熱弁する真司に呆れて物も言えなくなる。

 

「……そういえば、蟹刑事、大丈夫かな」

 

ぽつりと真司が言葉を漏らす。

蟹刑事……須藤雅史は、IS学園にて俺と戦闘になったために完膚無きまでに叩きのめした。

そして変身を解かれてボロボロの状態で帰ろうとした所を、背後から何者かに刺されて重傷を負ったらしい。

今はIS学園の教員(真司曰く、眼鏡かけてて巨乳でロリ)の対処で直ぐに病院に搬送されて入院中との事だが……

 

「あんな奴でも、見舞いぐらいには行ってやらないとな」

 

「………お前は本当に、人が出来た奴だよ、真司……見舞いの品がラッキョウじゃ無ければ、な」

 

「え?そうか?」

 

「………」

 

訂正、お人好しの重度のバカ、だ。

重傷を負った人間の見舞いにラッキョウを差し入れるバカは世界広しといえどこのバカしかいないね。

 

「いやー、アギトが褒めるなんて珍しいから嬉しいな」

 

「………ああ、もうそれで良いから、カフェオレ1杯くれよ」

 

あまりのバカさ加減に頭痛がしてきた頭を片手で押さえ込んでふるふると顔を振る。

そしてポケットから取り出したスマホ(婆さんに持たされた)を弄っていると、喫茶店花鶏の扉が開かれる音が聞こえた。

 

「ふぇ〜……な、なんだか、凄いお店……!」

 

田舎感丸出しの女だ、花鶏の中をキョロキョロと首を動かしている気配が伝わってくる。

しかもやたらスンスンと鼻をひくつかせて「良い匂い〜」などとほざく始末だ、こういう奴は無視するに限る。

 

「あ、いらっしゃい」

 

「ふぇっ……?………」

 

「………」

 

「………」

 

「………あの、何かご注文は……?」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

真司の声掛けにフリーズベントを喰らって動けなくなった女(もちろん比喩だ)は、まるで人形のように活動を停止した。

真司の方もこうなることは予想外だったらしく、俺の方を見て気まずそうに目を逸らす。

 

「………はぁ。おいあんた、そこに突っ立ってないで座れよ。ただの冷やかしだって思われるぞ」

 

「はひぃっ!?……ふぇ、わ、私?」

 

「こんな真昼間からガラガラの店に俺とこいつとお前以外誰がいるんだよ……」

 

眉を寄せてバカ真司を指差す。

しかし目の前の女は未だ理解が及んでいないようで、自分の顔を指してこてん、と首を傾げている。

こいつもある種真司とは似たり寄ったりのバカなのかも知れない。

 

「じゃ、じゃあ……し、シツレイします」

 

ギクシャクとした足取りでカウンターにちょこんと座った女。

なぜ俺の隣に座る???という疑問が喉の直ぐそこまで出掛かったが、ひとまずそれを置いといて真司が注いだカフェオレを口に含む……うむ、真司の癖に美味い。

 

「………」

 

「………」

 

「…………え、っと……ご注文は…?」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「……お前だよ!!」

 

「ふぇぇ!!?」

 

こいつ、反応が超絶遅い、反応速度もバカだ。

 

「わ、私ですか?え、えと、じゃ、じゃあ彼のと同じ奴を……あの、おね、お願い、します……」

 

おどおどと俺のカフェオレを指差しながら戸惑いがちの視線を俺と真司の間で泳がせた女は、それっきり黙りこくってしまった。

 

「……真司」

 

「お、おう」

 

チッ、と舌打ちしたいのを懸命に堪えて真司に向かって顎をしゃくる。

俺の意図したことが分かったようで、真司も新しいコップにカフェオレを注ぎだした。

 

「………」

 

「………」

 

「…はい、どうぞ」

 

「あ、あり、ありがとうございます……」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

…………………静か……、そう、静かだ。

蓮と真司が喧嘩しているのをカフェオレを飲みながら見ているのは飽きがないからとても楽しい。

かと言って静寂が嫌いなわけではない、むしろ時に1人で過ごすのも良い……まあ、人間態のドラグブラッガーに邪魔されるのが常だが。

………だが、今のこの雰囲気、これは嫌いだ。

全ての原因はこの、田舎感丸出しの女の所為だ。

さっきからこいつは、俺と真司を交互に見つめながら喧しくカフェオレを啜ってやがる。

もうちょっと静かに飲めよ……頼むから。

 

「えーっと、君、どこの学生?」

 

気まずい雰囲気と俺のイライラを察した真司が田舎女に気の引いた質問を投げかける。

 

「あ、IS学園です!IS学園の理緒って言います!」

 

………何故か田舎女の反応は早かった。しかも勢いが強かった。

カウンターを両手でバンッと叩いてみを乗り上げるように名乗りを上げた。

 

「………」

 

「えっと………」

 

「…ご、ごめんなさ……」

 

ダメだ、こいつは真司と同じく空気を読めない。若しくは空気を読まないバカ、だ。

真司が純粋なバカ、だとすればこいつは天然物のバカ、だ。

純粋なバカならやりようによっては扱いやすいが、天然バカは意図せず自分で暴走するから扱いに困る、ハッキリ言って苦手な女だ、こいつは。

 

「ただいま、真司ちゃん」

 

「真司くーん、お留守番ありがと……あれ、お客……さん?」

 

気まずい雰囲気の中、たった三人、ひたすら無言で過ごしていると、再度花鶏の来店音が響き、見知った2人の声が聞こえた。

しかもこの2人は、今のような場合、非常に頼もしく思える2人だ。

能天気なバカ真司を完封した女も、これで少しは気まずさが無くなるだろう……。

 

………それは、残念ながら間違いだった。

 

「ふ、ふ、ふぅ、ふぇぇぇぇぇぇ…ん」

 

「な、泣いたァ!?」

 

「………は…」

 

両手の指で目尻を抑えながら号泣する女を前に、俺と真司は開いた口が閉じないまま、互いに見つめ合って唖然としていた。

 

「ちょ、ちょっと、大丈夫?……2人とも、後で訳を聞くから」

 

「まったく、花の女の子を泣かすなんて、漢の風下にも置けないね!」

 

女の泣きじゃくる姿に花鶏に務める2人の女性………婆さんと神崎優衣が俺と真司へ般若の表情を垣間見せ、優しく女の肩を抱いて宥めかせる。

それをすぐそばで視線を泳がせて、俺はやけくそな気持ちでカフェオレを喉に押し込んだ。

 

 

 

 

その後、泣き止んだ女が、自分の自己紹介をして、花鶏に来た理由を話すまで、俺と真司の2人が針の筵に座ってるような居心地を感じ続けていたのは………言うまでもない。




んー、さっきまでニコニコのリュウガタグのついた動画をずっと見てましたが……本当リュウガ強いよね……。
しかも須賀貴匡さんの演技力とか……スーツアクターの高岩成二さんと岡元次郎さんが半端なかった………こいつぁ、勝てるわけがねえぜ……
これでリュウガがサヴァイヴしたらもっと収拾がつかなくなるんでしょうね。
あー、あとリュウガ戦闘シーン撮った生徒は黛薫子に拉致られて新聞部に強制入部されました。グットラックモブ子


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どうやらIS学園に行かされるらしい

ども、天敵です。
この度この作品を見てくださった方からオリジナルライダーを提供してもらいました。かなり嬉しいです、発狂しそうだ(゚Д゚)
頃合いを見てバンバン活躍させていきたいです!


「はぁ、そんで……つまり、理緒ちゃんはアギト君をIS学園に所属させるための交渉役として来たわけね?」

 

「は、はい……」

 

「………たかがそれだけでなんで俺たちが泣かれるんだよ…」

 

「バッーー!アギト!」

 

カウンター側の席に座り、縮こまりながら喫茶店花鶏へ来店した理由を説明する理緒という名の少女。

しかし、アギトの方はもう二度と会うこともないと決めていたブリュンヒルデこと織斑千冬と、現一夏の織斑一夏の在籍しているIS学園なんぞに所属するはずがなく。

しかもそれを話すだけのくせにバカ真司と共にこの少女な泣き喚く声を散々聞かされたのだ。

彼のイライラは既に爆発寸前と言っても過言ではなかった。

少女の話が終わり次第アギトはチッ、と舌打ちをしてそっぽを向いた。

だが、その行為が、仮面ライダーの変身者の中で最も苦手なイカれ男のする仕草と全く同じことに気付き、顔を顰めてカフェオレを口に含んだ。

 

「ご、ごめんな。こいつ、なんていうか…その、バカだからさぁ…はは」

 

「おい真司。バカはお前だろ。とにかく、俺はIS学園には行かない。とっとと帰って報告しろ」

 

さもないと……アギトがずっと目を細めて鋭い視線を少女に突き刺す。

たったそれだけで少女は体をびくっと震わせて動かなくなる。

 

「……お前の秘密も、他の二人のことも全部バラすぜ」

 

そのアギトの言葉に少女は顔を一気に蒼ざめた。

愕然とした面持ちで瞳に涙を溜めてアギトの顔を見つめている。

 

「お、おい!アギト…秘密ってなんだよ?」

 

堪り兼ねた真司が少女に変わってアギトに話しかけた直後。

新たな来店者を示す音が、花鶏の中に響いた。

 

「あ、すみません…今ちょっと閉店中で……」

 

すぐさま優衣が謝罪を口にするが、来店者はそうですか……と言って頭を掻いた。

 

「てっきり開店中だと思ってたんだけど……やぁ、リュウ君。それに、真司君も」

 

その声に真司が顔を綻ばせて立ち上がる。

優衣が、あっと声を上げて、婆さんも、おや……と来店者の方へ顔を向けた。

 

「俺をリュウ君なんて呼ぶのは……アンタぐらいだよ、芳乃」

 

「ハハハ、いや、照れるね。とりあえず入っても良いかな」

 

アギトが呆れがちに花鶏の来店者……高倉 芳乃という職業ライトノベル小説家の男を見据えると、男は朗らかな笑顔を見せて優衣や真司に顔を合わせる。

 

「どうぞ!芳乃さん。何か飲みますか?」

 

この高倉 芳乃という小説家に随分と懐いている真司が芳乃を席に誘い、爽やかな笑顔で注文を聞いた。

 

「お、じゃあ真司君に紅茶を頼もうかな」

 

「任せて下さいよ!」

 

人差し指を立てて「一つね」と紅茶を注文した芳乃がアギト達が座っているカウンター側の席へ腰を下ろした。

 

「蓮君は、留守か……まあいいかな。ん、君は……?」

 

「ひっ……」

 

かけていたサイバーサングラスを外した芳乃のつり目がちの鋭い目つきに少女が小さな悲鳴を上げる。

それを聞いて芳乃も慌てて頭を下げた。

 

「ああ、ごめんね……私は生まれつき目つきが怖くてね、いつもはサングラスをかけるのを心掛けてるんだけど……」

 

「あ、いえ…その、私の方こそ…ごめんなさい。え、えと…わた、私…理緒って、言います」

 

「そう、理緒ちゃんか。私は高倉 芳乃だ、よろしくね」

 

ギクシャクとしながらも自己紹介を終えた理緒へ、芳乃が目尻を柔らかくしてにっこりと微笑む。

 

「………チ、それで、何の用だよ」

 

「そう邪険にしないでくれよ、リュウ君。何時もの仕事をしていたらさ、これが目に付いてね」

 

そう言ってポケットからスマホを取り出した芳乃は、画面を操作して一つの画像をアギト達へ見せた。

それは、紛れもなく、IS学園にてミラーモンスターと戦った、アギトが変身したリュウガの姿であった。

 

「これ、リュウ君だろ」

 

穏やかな微笑を浮かべてアギトを見つめる目つきは、先ほどの鋭い視線とは違い、とても優しいものだった。

 

「……知らん」

 

「いやぁ、リュウ君。私は君が人のためにミラーモンスターと戦った事に感動を覚えて今日来たんだ」

 

「あ!ですよね!芳乃さん!俺もアギトが人間の自由と平和を守る仮面ライダーになってくれて嬉しいんですよ!あ、どうぞ」

 

紅茶をカップに注いで芳乃へ出した真司に、芳乃はへぇ、と興味深い顔つきで真司の言葉を繰り返した。

 

「人間の自由と平和を守る…仮面ライダーか。真司君それ、良いね。今度執筆する本のテーマにしても良いかい?」

 

芳乃の提案に真司は元気よく、もちロン!と頷いた。

 

「それで、理緒ちゃんはリュウ君をIS学園に勧誘しに来たんだろ?」

 

「ふぇ…」

 

「おい、アンタ…何でそれを」

 

「ふふ、IS学園で働くちょっとしたツテからね。どう?驚いたかい」

 

悪戯が決まって喜ぶ子供のような顔で芳乃がにんまりと笑う。

その表情を見てアギトの機嫌はさらに悪くなっていく。

 

「………まて、アンタ、まさか」

 

「ああ、そうだ。リュウ君、君はIS学園に行った方が良いと、私は思う。だから、リュウ君はIS学園に行きなさい」

 

改まった顔でアギトの顔を見つめる芳乃の顔はとても真剣な光を宿していた。

だからこそアギトも何か言葉を発しようと口を開いて……そのままため息を吐いた。

この芳乃という男は、バカ真司と同じでライダー同士で戦う事に疑問を感じるお人好しで、しかもその意思は貫くと決めたら絶対に折れることも曲がることも、ましてや少しの妥協も許さないやつなのだ。

 

「わたしもそれが良いと思うわ。ね、真司君」

 

「え?あ、お、おう!」

 

「………婆さん」

 

「アギト、この件関してはあたしも賛成だね。観念して高校行ってきな」

 

賛成4 否定1

最後に露骨に舌打ちをしたアギトがカフェオレに口を付ける。

芳乃はウンウンと頷いてからスマホを耳に当てて誰かと通話を始めた。

 

「ああ、高倉芳乃です。真耶ちゃんかい?出来れば千冬に代わってもらいたいんだけどさ……ああいや、いないんだったら良いよ。代わりに伝言を頼んでも良いかな。……うん、ありがとう」

 

どうやらIS学園の教論にアギトが転入する話を伝えているようだ。

通話を終えた芳乃はアギトに高校祝いだ、と告げてケーキを注文した。

 

「あ、え、と、じゃあ、私は…帰り、ますね?」

 

あたふたと帰り支度をし始める理緒の肩を芳乃がポンと叩いて「よければ君もケーキを食べるかな?」と聞いた。

基本的にサングラスを外さなければまともな芳乃に聞かれて、はい、と返事をした理緒も巻き込み高校祝いのパーティーが開催された。

今回の宴には自称スーパー弁護士の北山とパートナーのゴロちゃんこと由良吾郎。

占い師の手塚や神崎優衣に呼び出された兄の士郎と配達が終わって帰ってきた秋山蓮が参加した。

 

「ぶふっ……不良少年のお前が女の花園に……ねえ……?どう思う、ゴロちゃん。俺はアギトがすぐに女に手を出すかハニートラップに引っかかると見たね」

 

「北岡……持病はまだ再発してないようで良かった。だが、俺の占いは当たる」

 

「え、北岡さん、持病が再発するかもしれないのにパーティーに参加して良かったのかよ」

 

「うるさいな、城戸。名誉毀損で訴えるぞ」

 

「今夜は北岡の奢りだ。飲んで騒げ」

 

「おい、秋山……」

 

「お兄ちゃん、またお風呂に入ってないでしょ。健康にも気を使わないとダメよ」

 

「優衣……おい、何を見てる、城戸」

 

カウンターの上や席にフライドチキン、ケーキ、お酒やお菓子にジュース。

遊び用に芳乃が用意した黒ひげ危機一発やトランプカードが散らばっている。

ワイワイと騒ぐ男たちを横目で見ながら蓮や真司を除く仮面ライダーの変身者のことを思い出していた。

 

仮面ライダーゾルダ…北岡秀一

契約モンスターに餌を与えるため、ミラーモンスターと交戦中に持病が発生して劣勢だったところを龍騎と気まぐれで付いて行った俺に助けられ、そこから縁が芽生える。

いつもは飄々とした態度で自称スーパー弁護士を名乗るが、この女尊男卑の世界において関わってきた裁判で男を弁護する際には絶対的に有利な女を相手にして必ず勝訴するなど弁護士としての腕も仮面ライダーとしての実力も高い。

 

仮面ライダーライア…手塚海之

普段は占いの当たる占い師を営み、俺の占いは当たる、を豪語する青年。

当初は北岡を付け狙う浅倉や行方不明事件に関わる須藤、北岡に道楽息子と呼ばれている芝浦淳などにライダー同士のバトルや無意味な変身は止めるべきだと説得して回る、ある意味で真司と同じ奴だ。

最近では真司と親交を深め、本業の占い師の傍、喫茶店花鶏でも働き出している。

仮面ライダーとしての実力は、ライダー同士で戦うべきじゃない、と言って回るあたり、戦いを楽しむ浅倉やドジってやられた須藤に比べると決定打や武器を向けることに躊躇いがちだが、真司との連携やミラーモンスターとの戦いでは本領を発揮する。

 

(……そして、高倉芳乃…)

 

アギトはカフェオレを口に含みながら、真司や手塚と仮面ライダーにまつわる世間の風潮、女権団からの圧力などの話を聞かせている芳乃へ目を向けた。

 

高倉芳乃

真司や手塚と志を共にするライトノベル作家であり、錆色の鷹ホークスギアの契約者として仮面ライダーベガに変身する男。

冷静沈着にして人当たりの良い奴。

契約しているホークスギアとの関係は契約者とミラーモンスターのそれを超えていて、戦う時もホークスギアに危険が及ばないように慎重に相手を選ぶが、その実力は北岡を狙って変身した浅倉をファイナルベントを使わずに押さえ込むほどで、未だ未知数。

ただのライトノベル作家として活動しているが、大物政治家や有名企業の社長と友人、ISを開発した人物との関わりを持つ……などなど、ただの作家が持つコネのそれとは一線を画している。

 

(……ISに対抗できるライダーになって欲しいのやら、ただ単に学校に行かせたいやら、よく分からん奴だよ…ほんとに)

 

ただ、バカ真司が尊敬するほどのライダーであり、少しは信用しても良い……ぐらいには評価してる。

 

『ゴォォオアアア……』

 

「なんだよ、お前もあいつの事は多少なりと認めてるのか?」

 

カフェオレの液体の表面に黒い龍の姿が映る。

ドラグブラッガーはそれに答えず、悠々と鏡面の中で長い躰をグルグルと浮遊させていた。

その後、北岡が酔い潰れて由良吾郎が帰宅したのを見計らってパーティーはお開きになった。

 

 

 

 

………そして、その一週間後、俺はIS学園の制服を着て芳乃に案内されるがまま、一年一組のクラス前に立っていた。




そんな訳で仮面ライダー龍騎で、別の平行世界ならばありえたかもしれない束の間のパーティー。
オリジナルライダーの芳乃さんは25歳ということで天災や千冬さんと同い年や!多分……ついでに真耶さんもくっつけとこう!……意味は分かるな?つまり、そういうことだ(´Д` )


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隠れて見るのもいいけど見られるのも覚悟しろ

ども、お久しぶりです。
今回遅れたのはスマホが突然死んでディバゲのデータが消滅したショックに立ち直れなかったからです。いや、これガチで辛い。
今はユバのしるしという入手して孕ませて生贄というゲームで十何分のリセマラで高山民族のサラちゃんという天使をゲットしたのと、感染×少女で風原緒海ちゃんをゲットしたので回復しました。
やはりショートヘアは正義であり至高の存在である。



「………うんうん、似合ってるじゃ無いか、リュウ君」

 

「………この学園の制服は白地のはずだろ」

 

「ああ、リュウ君のために少し張り切ったよ」

 

どこか満足気な顔をした強面の男、高倉芳乃は仕事で使うカメラのレンズをアギトへ向けた。

 

「余計なお世話だ……この……この……!!」

 

憤怒を押し殺し、プルプルと震えるアギトの制服は、本来の白を基調とした趣のIS学園の制服とは違い、全身黒を基調として赤いラインを入れ、襟にドラグブラッガーの紋章が刻まれた高倉芳乃スペシャル仕様となっている。

なお、制服の裏地には何故かドラグブラッガーが描かれている。

 

「いやー、良い資料が撮れて助かったよリュウ君」

 

全くもって似合わない顔つきでてへぺろと舌を出す芳乃に怒りの限界値を超えたアギトは静かにポケットからカードデッキを取り出した。

 

「おおっと、私はこれから仕事だから失礼するよ」

 

リュウガの視線から逃れるべく芳乃はわざとらしく袖から時計を出して慌てたようにIS学園の廊下を駆け出した。

そして、芳乃と入れ違いにあの女は訪れた。

 

「…………」

 

「これで会うのは三度目だな、仮面ライダーリュウガ」

 

凛とした佇まいに鋭い目付き、世界最強の名を待つ忌々しい女、織斑千冬であった。

 

「…………」

 

ふん、と視線を逸らして無言を貫く。

この学園に来たのは周りの人間が行けと煩かったから仕方なく来たのであってこの女と話すことなど一つもない。

織斑千冬から伝わる声と視線を、俺は完全にシャットアウトした。

 

「……まあいい、貴様にはこのIS学園で犯罪者になる可能性が高いライダーとして我々の監視下に置かれる。それを重々承知しておくことだ」

 

織斑千冬の言葉に片目を開いて嘲笑する。

俺を監視?仮面ライダーを意のままにコントロール出来るとでも思ってるのか……こいつは…だとしたら

 

「本当におめでたいヤツらだ…」

 

「……何か言ったか?」

 

「…………」

 

「ふぅ、学園で2人しかいない男がこれだとはな…先が思いやられる。私が先に教室に入って貴様の名を呼ぶまで待っていろ」

 

そう言った織斑千冬は教室の扉を開き、颯爽と教室内へ入っていく。

その数秒後教室の中は歓喜の声に包まれ、織斑千冬が俺の名を呼んだ。

 

「………ふん」

 

教室に入った瞬間に中にいる女どもの様々な視線を察知する。

俺の出で立ちを見て訝しむ視線。

好奇心から遠慮容赦なくジロジロと顔を見つめる視線。

男、というだけで冷めた目を向ける視線。

俺のことは全く眼中に無い、視線。

ポーカーフェイスを装いながらもチラチラと伺う視線。

そして

 

「…………」

 

感情の抜け落ちた能面の如く表情に、目の奥底に悪意と殺意を漲らせた、視線。

 

「男!遂に……遂に俺以外にも男が……」

 

それらは瞬時に欺瞞の表情へと鳴りを潜め、あたかも「自分とは別の男の存在に感激する好青年」のような外見に成り替わる。

 

「織斑、席に着け」

 

「あたっ!!?…うぐぐ…わ、分かっ…分かりましたよ、ちふ…織斑…先生」

 

ソレはまるで世界最強の弟に恥じぬ外見と爽やかさを装っていた。

そして、その姿形は、卑しくもまるで鏡像のように、鏡写しの幻のように龍賀アギトと瓜二つの容姿であった。

 

「…………あれ?……彼、なんだか織斑君に瓜二つ……いや、千冬先生に似てる気がするわ」

 

「そんなわけ無いでしょ、靜寐っ、織斑君はもっと爽やかだし千冬先生は凛々しいよ!あんな陰気そうな転校生とは全然違うって」

 

ひそひそとアギト、織斑千冬、織斑一夏の関係性を小言で囀る少女たち。

そして、アギトは閉じていた両瞼を鬱陶しそうに開く。

 

「龍賀アギト、仮面ライダーリュウガだ。以上」

 

「なっ………!」

 

「「「「…………………………………………………………え…ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!???」」」」

 

アギトの突然の宣告に教室中の時間が停止した。

しかしそれはたった数瞬のことであり、数秒後には少女特有の甲高い喧しい声が教室中から廊下へ、そして学園全体に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………りゅ、リュウ君。転校早々自分が仮面ライダーだって、バラしたんだな』

 

「ああ、おかげで快適な1人部屋を充てがって貰ったよ」

 

波乱万丈の転校初日を終え、山田真耶という教員に案内された1人部屋でアギトは高倉芳乃と通話をしていた。

 

『いや、まあ…うーん………どうせ後々気付かれる事だし……良かったのか?……』

 

「フン、最初から正体を教えとけば俺に近寄ろうなんて興味本位のバカな奴はいないだろ。あくまでも、好奇心だけの奴はな」

 

『まさか………仮面ライダーのデッキ目当ての組織と事を構える気か?』

 

「さあ?俺はただ、身に降りかかる火の粉を振り払うだけだ」

 

言いつつ、アギトは手の中で弄んでいた黒いカードデッキを空中に放る。

それらはクルクルと回転して、またアギトの手の中へ落ちていく。

その光景を、様々な思惑を持つ者たちが部屋に仕掛けられた盗聴器や隠しカメラを用いて眺めていた。

 

 

 

『しかし、随分と快適だな?邪魔者がいない1人部屋……なんてな。さて、そろそろドラグブラッガーの餌やりのーーー』

 

「ふん、何が邪魔者がいないだ。バカめ、貴様の動きを常時監視するにおいて、他の生徒が邪魔になるからこうした措置をしたに過ぎん」

 

「やはり、彼に仮面ライダーという力は過ぎた者だと思わんか?我々男には、彼よりももっと立派なライダーになるべき者がいる」

 

「ああ、彼はまだ幼く、仮面ライダーの力を発揮するには不十分だ」

 

暗い部屋に素性も分からぬ男たちが集い、大きなスクリーンに映し出された龍賀アギトを背景に不穏な会話を話し続ける。

その様を、別の組織に見守られている事も知らずに…………。

 

 

 

 

『直ぐに計画実行に移れ。手段は選ばず対象の生死は問わん、抵抗するならば殺せ。そして奴から仮面ライダーの力を奪い取れ。それこそが我々男のーーー』

 

「……………はあ、まったく。嫌になるわ〜」

 

「お疲れ様です、会長」

 

IS学園の一室、生徒会長室と書かれたその部屋には、龍賀アギトを盗み見る組織を監視する2人の女生徒がいた。

 

「でも、まさかアギト君が仮面ライダーリュウガ……あの、黒いライダーだったなんてね」

 

ため息をついて背もたれに深く凭れた女性にコトンとお茶を注いだコップが置かれる。

 

「何か問題が?今までの記録を見るに彼の戦闘力はISを片手間に捻り潰す程ですが、他のライダーたちと比べると、赤い龍騎士と同じでモンスター狩り専門のライダーと思いますが」

 

「その戦闘力が問題なのよ、虚ちゃん」

 

会長と呼ばれた青髪の少女はお茶を一息に飲み干して傍に立つ従者へ人差し指を突きつけた。

 

「仮面ライダーのデッキを欲しがる連中はこの世界にごまんといるわ。他の組織が彼の持つデッキを狙っている以上、IS学園を巻き込んだ諜報戦や争奪戦が水面下で行われる。最悪、関係の無い生徒から死傷者が出るかも知れないわ」

 

「それは……」

 

生徒会長であろう少女の穏やかでは無い言葉に従者は渋面を作る。

 

「そうならないためにも私が 組織や彼の動向の監視を強化しなくちゃいけないわね」

 

言って、またもため息。

 

「本当に、生徒会長も楽じゃないわね」

 

苦言を口にして何処からか四角い長方形の青いデッキを取り出す。

それは表面にサメの紋章が刻まれていた。

 

「簪ちゃんとの関係は悪化したままだし…」

 

「それは会長が仮面ライダーを全体的に否定したからでは?」

 

机にうつ伏せとなって、膨れっ面を見せる生徒会長へ従者は言う。

 

「そもそも、会長もライダーなのに、なぜライダーを否定したのですか?」

 

「それはねぇ……仮面ライダーなんて、外見ばかり見ても、その中身は綺麗なものじゃないからよ」

 

机の表面に顎を乗せて虚空を見る。

 

「自分の欲望を満たすためにライダーに変身する人間が大半を占めてるのよ?しかも、自分が生き残るためには他人を容赦なく蹴落とす。私は簪ちゃんにそれを知って幻滅されたくないの」

 

その言葉を最後に生徒会長、更識楯無は沈黙する。

そして2人の少女の後ろ姿を、窓から黒い龍はひっそりと見ていた。

 




オリジナルライダーの高倉芳乃のサイドストーリーを、現在提供者の方に書いてもらってます。
提供者はあくまでも参考ついでって感じでしたが、こんな面白そうな……げふんげふん。魅力溢れるお話を皆さんの目に触れずに取っておくのもあかん気がするので時期を見計らって投稿したいですね(にっこり)
そもそも高倉芳乃も提供者の設定では空からチクチク遠距離攻撃するキャラでしたが、折角(?)なのでファイナルベントも使わずに浅倉を倒すトンデモキャラにしました。


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変な女

ども、天敵です。
前話で話した高倉芳乃サイドストーリーですが、提供者の方が私の暴走に色々と諦めがついたらしく、修正などの条件で投稿を許可してくれました!全ては計画通り(にやり)

擬人化ミラ☆もん

バイオグリーザ
全身薄緑色のタイツを履いた変人。
先日常識のある一般市民にもれなく通報された。
なので体を透明にさせて必死に逃げた。
高見沢の会社では昼夜問わずに誰もいない空間で『シュルシュル』と謎の音が聞こえることで有名に、俗に言うミラ☆もん七不思議である。
一、鏡面越しの黒メイド。二、鏡へ逃げる変態タイツ&実体のない奇声。三、青年に噛み付くロリ。四、神々しく光輝くホームレス。5、音楽を聴いていると迷子になる喫茶店。6、サバじゃねえ!7。黄金の蟹。


とある廃屋、その中に幾多の斬撃を浴びてボロボロとなるミラーモンスターがいた。

 

『グギギギギ』

 

『そろそろ終わりにしよう』

 

必死に威嚇するミラーモンスターの眼の前で黒い騎士は腰に付けたデッキからカードを一枚取り出し、左腕にあるガントレットタイプの召喚機へと挿入する。

 

『FINAL VENT』

 

低い機械音が流れ、リュウガが宙へ浮く。

そして背後に現れたドラグブラッガーが口を開き、暗黒の炎を吐き出してリュウガをジェット噴射の如き速度で打ち出した。

 

『ハァァァ………!!』

 

リュウガの強烈な蹴りを喰らったミラーモンスターが爆散する。

爆煙の中から現れた光の粒子へとドラグブラッガーが思いっきり齧りつく。

 

『ふぅ、朝の分を与えたとこだし、そろそろ準備するか』

 

そう言ってミラーワールドから出てきたリュウガはその身を包む変身を解く。

黒い龍騎士、仮面ライダーリュウガからIS学園に転校してきた一年の男子生徒、龍賀アギトへと戻った彼は、高倉芳乃が用意したというスペシャル仕様の制服を羽織って彼のために充てがわれた1人部屋を出た。

 

「……………」

 

ドアを閉め歩き出したところで彼は盗み見るような視線を感じるが、それに気付いていないフリをして歩き続ける。

 

「……………」

 

曲がり角を曲がり、階段を降り、尾行に気付かぬ素振りを続けるアギトの背後を、得体の知れない何者かが張り付くようについていく。

程なくしてアギトはIS学園の食堂に到着し、牛丼単品とドリンクを注文して席に着いた。

 

「………」

 

器に嵌められた蓋を外して朝食を取り始めるアギトの姿に、周りの女生徒がざわざわと騒ぎ出す。

が、アギトはそれをさして気にせず食事に集中する。

 

「ねーねー」

 

「………」

 

「ねーってばー」

 

「………」

 

ピタリと箸を止めたアギトはまず最初に、鼻をクンクンとひくつかせる。

そして声の聞こえる背後へゆっくりと顔を寄越した。

 

「おはよ〜アッキー」

 

「………誰だお前」

 

そいつは、女版真司の、更にバカと能天気さに磨きがかかったような奴だった。

そして俺は目の前の女に疑問を覚えた。

この、のほほんとした顔から俺を見つめる視線の正体が分からなかったからだ。

こいつはもしかすると、プロか?

 

「私はね〜布仏本音だよ〜!」

 

「ちょ、ちょっと、本音!」

 

布仏本音と女が自己紹介すると、その後ろからひそひそ声で嗜める女生徒が2人現れる。

そいつらは布仏の腕を掴むと後ろへ連れ行った。

 

「え〜?どうしたの?」

 

「どうしたのって……彼が、あの、仮面ライダーなのよ!?」

 

「そ、そうだよ、本音ちゃん」

 

ひそひそと話し合いをする女3人を無視して食事を再開する。

肉とご飯とふわりと乗っかったタマゴetcを口の中にかっ込んでドリンクを一息で飲み干し、トレイを持った席を立つ。

音を立てずに立ったつもりだが、3人の女生徒はビクンと鋭く反応して俺を見た。

3人のうち2人の視線はごくごく平凡な恐怖の視線。

しかし布仏の視線は以前変わらず恐怖や憎悪とは遠いそれだった。

 

「…………」

 

やがて布仏の視線にも興味が失せ、俺は空のトレイを食堂へ戻して目的の人物に会うことにした。

そいつは、俺が進んで近づいて来たことに驚きを隠せない様子だった。

 

「………?…??」

 

「………お前のポケットに入ってるマタタビが匂うんだが、一体どこでそれを拾ってきたんだ?」

 

「???」

 

女は訝しむような目で俺を見た後、スカートの中に入ってるマタタビを見て驚いた。

そこで俺は畳み掛けるために女の目を見据えてカードを二枚取り出した。

 

「身に覚えないか、まあ、当然だ。そのマタタビは、俺の後をつけている奴に気付かれないようにさしてこいとミラーモンスターに命令したんだからな」

 

ガタッと女が立ち上がる。

それを手で抑えつけて女の耳元でボソッと低く「何も言わずに着いてこい」と呟く。

女がコクリと頷いたのを見て食堂を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、お前。名前は」

 

女を連れて自室へ戻る。

もちろん朝のSHRはすっぽかしてきた。

 

「………更識…簪」

 

自室のベッドにちょこんと座った女は身を縮こませて名を名乗ったので、ポケットの中からカードデッキを取り出して、ワザと相手に見せびらかせた。

 

「それで、俺が悪名高き仮面ライダーだと知ってて尾行したのか?あぁ?」

 

態度の悪い悪役を意識して質問を投げかけたつもりだが、目の前の女はビクッと体を震わせると、目を爛々と輝かせて俺を、そして俺のカードデッキを食い入るように見つめてきた。

 

「やっぱり…貴方が、あの仮面ライダー…!」

 

ベットから立ち上がって接近してきた更識簪の興奮度合いに俺は驚いた。

こいつの視線が、憧れ、尊敬といった、あまり見慣れないものだったからだ。

 

「お願い…私の前で…一度変身してほしい」

 

「………は、はあ…???」

 

ふんすふんすと鼻息を荒くして迫る更識簪の目に耐え切れず俺の方から目を逸らしてしまう。

しかしなおも更識簪は意味のよく分からないリクエストを突き付けてきた。

 

「貴方の……事は…ネットでよく見ていた」

 

興奮冷めやまぬ更識簪が唐突に話を始める。

 

「全力で戦うヒーローみたいな赤い龍騎士とは違って……貴方はミラーモンスターを前に…淡々と、冷静に戦っている。すごく、かっこいい」

 

「………おい」

 

更識簪の腕を掴む。

痛みに顔を顰めた目の前の女に、俺は鋭く睨んで威嚇し、女のお花畑な思考回路の残念な頭へと俺の評価を訂正すべく辛辣に告げる。

 

「俺は過去これまでにIS操縦者を何10体も再起不能にしている仮面ライダーだぞ?」

 

「それは違う。貴方が戦ってきたのは彼女たちが攻撃してきた時だけ。貴方はなにもしていない、むしろミラーモンスターを倒している貴方に得体が知れないからと攻撃するのはお門違い」

 

「お、おう?」

 

「貴方に倒されたIS操縦者がみんな被害者面をしてることが同じIS操縦者として私は恥ずかしい」

 

変な女だ。

女尊男卑の世の中でここまで純粋な奴はバカ真司を除けばごく少数だろう。

 

「………お前の望みはなんだ」

 

「………!」

 

「俺の後をつけておいて変身が見たいわけじゃないだろ」

 

図星なのか女は顔を俯かせた、本音と羞恥で入り混じった言葉が俺に届くのかどうかを考えているのだろう。

 

「………サメの……」

 

「………」

 

「…サメの紋章の仮面ライダーを……知ってる……?」

 

「そいつはお前にとってのなんだ」

 

「IS学園入学当時に私を助けてくれた人」

 

つまりこいつの目的は人探しで、自分を助けてくれたライダーにお礼が言いたい…ところか。

 

「悪いが、サメのライダーなんて出会ったことは一度も……………まて、お前確か先日助けたような気がするぞ……」

 

そういえばこいつを助けた後で同じ髪の色の女に勘違いされて交戦したはずだ。

 

「うん、私はミラーモンスターに好かれてる体質?らしいから……」

 

「………なに?これまでミラーモンスターに遭遇したのは何回だ」

 

「10数回」

 

「………なるほど、それは…好都合だ」

 

一つ頷いて女の両肩を叩く。

 

「?」

 

「契約しよう、俺はお前の目的であるサメのライダーを探す。お前はその間ミラーモンスターを引き寄せる囮になれ」

 

「……………………………え?」

 

よほど衝撃的な話だったのだろう。

更識簪は目を大きく見開いて唖然とした表情で俺を見た。

 

「別にミラーワールドに行けとか、ミラーモンスターが出没する場所に置いてくわけじゃない。いつも通り生活して、お前に近付くミラーモンスターは全て俺が倒すってだけだ」

 

「………」

 

「だが、ミラーモンスターを倒し続けるのはお前の人探しが終わるまでで、人探しが終われば、それ以降は関与しない」

 

どうだ?と両腕を組んで更識簪を見ると、心の中で葛藤しているのがわかるほどに震え、俺をチラチラと盗み見ていた。

 

「………その後は…助けて、くれない…の」

 

「悪いが、俺だっていつまでもお前に付きっ切りでいられるわけじゃないんだ。この退屈な学校に在籍する三年間なら別に構わないがその後はお前を守ることは無理だ」

 

で、どうする?と俺は意地悪く問いかけた。

ここでこいつが断るなら面倒ごとが一つ減り、ここでこいつが頷けば俺は楽して餌を引き寄せる餌を手に入れる。

どっちに転がっても俺にとっては好都合。

 

「………やる」

 

震えながらも、小さく更識簪は頷いた。

 

「契約成立だな、これから三年間よろしく、更識簪」

 

「更識はやめて…呼ぶなら簪」

 

「……………これからよろしくな、簪」

 

キィィィン キィィィン

 

意味のわからないところに拘る簪に苦笑しつつ黒いデッキを手にとって鏡に翳す。

簪はそれを見て首を傾げたのでちょうどいいタイミングだと彼女の眼の前でリュウガへ変身した。

 

「変身ッ!」

 

「……ッ!!」

 

『さて、早速仕事の時間だ、ドラグブラッガー。行くぞ』

 

『グゴォォォオオオオオオオオオオ!!!』

 

自室の部屋に映る鏡面から、長い躰をくねらせたドラグブラッガーが咆哮する。

眼の前でドラグブラッガーの咆哮を耳にした簪は、驚きながらも両目をキラキラと輝かせてドラグブラッガーを見つめている。

 

「凄い……!!これが、リュウガとその契約モンスター……!!」

 

『グゴォア?………グガァァ……』

 

期待していた反応とは真逆のこの反応にはさしものドラグブラッガーも予想外らしく、困惑した顔と情けない声をあげて俺を見た。

 

『ふっ、色々と変なんだよ、こいつは』

 

窓からミラーワールドに入り、窓越しに簪を見た後、ドラグブラッガー達の餌を狩るために一枚目のカードを左腕の召喚機へと挿入した。

 

『SWORD VENT』




まあ、絡ませるとしたら簪しかいないよねってわけで簪サン投入。
これから絡ませるためにミラーモンスターの餌要員にしていきます。
まあ、仮面ライダーに守られるし変身見られるしで眼福眼福でしょう!


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転校生

ど、ども、お久しぶりです。
前話が8月なので三ヶ月くらい空きましたね……てへっ♡
みんなをイラつかせるくらい更新を空けたのは私の責任だ、だが私は謝らない(プラズマチョチョ−!!)
アッ、ウソです。ごめんなさい。


 

 

更識簪との契約を結んだ翌日、教室に行くと早速織斑千冬に連れて行かれた。

 

「龍賀、貴様、昨日は一体何処にいた?」

 

「別に、俺たちが何かするなんて、分かりきった事だろう?……餌の一食二食抜いたところで俺のモンスターは暴れないが、お前らの大事な生徒はどうなるかな」

 

アギトが示唆した言葉、それは、暗に「俺がミラーモンスターを排除してやっているから口答えするな」とアギトが織斑千冬を脅していることに他ならない。

織斑千冬は顔を顰めて黙することを選ぶ。

自らが仮面ライダーであれば良かったのだろうが、人間が入ることのできない鏡の世界へ侵入し、異形の怪物と戦い勝利する少年の餌やりを、頭ごなしに矯正することはできないのだ。

このIS学園には放し飼いされているサメの契約ミラーモンスターとアギトのドラグブラッガーが半ば根城としているため、他のミラーモンスターがIS学園の生徒を攫って捕食しようという気配は薄れている。

 

触らぬ神に祟りなし、頭の悪いミラーモンスターといえども、自分を狩る捕食者の近くなど、本能的に逃げ出そうというものだ。

 

しかし、その全体の1割に、ドラグブラッガーを恐れぬ頭の悪いバカは存在する。

そのバカがミラーワールドへと引きずり込むのは、1年1組の生徒である可能性も皆無ではないのだ。

 

「…………授業に出席しなければ来年も留年する羽目になるぞ、龍賀」

 

「ふん、余計なお世話だ」

 

織斑千冬との話を、早々に打ち切ったアギトは鼻を鳴らして教室へと戻る。

廊下の窓ガラスの表面に、彼に追従する黒い龍が浮かんでは消え、消えてはまた浮かぶ。

それが、彼こそが異形の怪物を打ち倒す者、ライダーであることの証明だった。

 

「そんなことより一夏!あんた、クラス代表になったらしいわね」

 

「それがどうしたんだよ」

 

「私もなったのよ、2組のクラス代表にね」

 

「ふーん………げっ!?」

 

「?なに、どうしたのよ?」

 

教室の前にチビがいる。

そいつはアギトが教室に入ることを阻んでいるようだ。

 

「おい……退け」

 

某蛇野郎程ではないが、仮面ライダーの中でも上位に位置付ける位に短気なアギトは、怒りを抑え込んだ冷たく、低い声で目の前のチビ助を恫喝した。

 

「はあ?ああ、教室に入りたいの?少し待ってなさいよ。それで……一夏、あの、約束……覚えてる?」

 

「約束?……ああ」

 

このクソ女……ドラグブラッガーの餌にしてやろうか?

 

目を細め、目の前のチビを鋭く睨み付けたアギトがポケットからカードデッキを取り出した。

 

「ドラグブラッガー………」

 

「ひっ………!」

 

織斑とチビを除いた女生徒が、空気が変化したことに気付き、小さな悲鳴を漏らす。

アギトの体の周りを、何か、黒い渦が広がっている。

それはグルグルグルとアギトの周囲を回遊し、次第に形を成し、おぞましい唸り声を上げる。

 

「……3度目はないぞ、チビ……退k」

 

「誰が貧乳どチビよーーー!!!」

 

ボガッ………と、アギトの鳩尾にチビ女の右ストレートが奔る。

チビ女こと、鳳鈴音はハッと、今殴った誰かの鳩尾へと視線を落とす。

 

ーーー堅い………!!まるで、複数重ねた鋼の板を殴ったようだーーー。

 

痛みに瞳を若干濡らしながらも、毅然とした態度で鈴音はアギトを下から睨み付けた。

 

「あんた、私のことを貧乳と……更にはチビとまで言ったわね?……って、男?」

 

アギトの顔を見てキョトンとした鈴音の顔を、五本の指で掴み、横へ放り投げる。

 

「邪魔だ」

 

「あいたっ!?あ、あんた!許さないわよ!!」

 

鈴音が、彼女の持つ「専用機」を見に纏い、青龍刀をブンブンと振り回して吠えた。

が、しかし、その勢いは中途半端に静止してしまう。

否、まるで時を止められたかのように、鈴音の体が動かなくなっているのだ。

 

「???……??」

 

その時になって彼女は気付く。

自分の体を覆い尽くす長い、長い躰を持つ黒き龍のその姿を。

そして、今も尚自分を見下ろす、黒い学園服の、男の姿を。

 

「…………喰い殺すぞ」

 

ニヤリ、とアギトが頬を引きつらせながら笑う。

元々笑うのが得意ではない無愛想な少年が、殺意を込めて微笑むと、人殺してますよと笑顔で笑いかけているような不気味な笑顔になるものだ。

アギトの笑みは、怖く、恐ろしく、哀しいほどにキモかった。

 

「ひ、ひぃぃ……ぁづぁっ!?」

 

アギトの睨みに震え上がった鈴音の頭を、一冊の出席簿が直撃する。

 

「ひ、ひ…」

 

ガタガタと震える鈴音の瞳は、すでにボロボロと大粒の涙を流している。

まさに人目を憚らず大号泣している。

 

「鳳……貴様は2組の生徒だろう。それと、ISの無断使用はご法度だ。貴様には後でたっぷりと反省文を提出して貰おう」

 

「え゛………」

 

反省文提出、それを理解した鈴音の涙はすぐに引っ込んでいた。

 

「それが分かったのならばとっとと貴様のクラスへ帰らんか!」

 

「は、はひぃーーー!!?」

 

しかし、目の前にいるのは魔王千冬、反論など出来るはずもなく、鈴音は命からがら逃げ出していった。

 

「アギト」

 

「ふん、あんなガキじゃ栄養不足だ。誰が喰わせるか」

 

吐き捨てるように言った彼を、怯えた眼差しで見つめる女生徒たち。

クラスの空気が悪くなる中、一夏の側にいた金髪の女生徒が毅然とアギトに向かい合う。

 

「アギトさん、突然ですみませんが、わたくしと戦って欲しいですわ」

 

「………」

 

アギトは何も喋らずに面倒臭そうにセシリアをぼんやりと見つめている。

ならば好都合と金髪の女生徒……セシリア・オルコットはまくし立てていく。

 

「まずはじめにわたくしは貴方のことを仮面ライダーの1人として認めていません、仮面ライダーは力を持たない人々を救うヒーローですわ。それが貴方のような……」

 

「ご高説どうも、だが、そんなバカはバカ真司だけで十分だ。俺はお前らを守るために仮面ライダーをやってるわけじゃ無いんだよ ……バカめ。俺たちに高い理想を押し付けた所でどうでもいいんだが、下らん幻想は身を滅ぼすぞ」

 

「っ……!!」

 

セシリアは絶句してアギトをより睨みつける。

その睨みを受けたアギトは、それでも飄々とした態度を崩さず口元をニヤリと緩めた。

 

「勘違いしているようだが、俺たちがミラーモンスターを狩ってるのは契約しているモンスターに餌をやるためだ。それ以上でも、以下でもない。まさか、仮面ライダーが女の忠実なる騎士だと……下らん夢物語を見ていたのか、英国のお嬢様?ククッ」

 

プルプルとセシリア・オルコットは身を震わせて視線を強める。

彼女の祖国、英国では、最近英国の方へ仕事の小説を書くための取材に行ったどこぞのライトノベル作家が、商売関係で同じく英国に出張中の佐野という使いパシリと、なんかタコ型のモンスターである「テンタクルクラーケン」というミラーモンスターを相手に派手にドンパチしたらしい。

その際に芳乃が書くようなライトノベル小説のあるあるみたいな?何故か出張中のブリュンヒルデと山田真耶が捕食される所に出くわして戦闘開始、見事使いパシリの佐野と「テンタクルクラーケン」を撃破して英国話題の「海面に蠢く触手事件」に終止符を打ったらしい。

 

バカか、あいつバカか。

 

しかもその時の戦闘光景が広場の噴水に映っていたとか、助けられたブリュンヒルデを見に集まった野次馬が戦闘を終えた芳乃と佐野(共に変身状態)に対して惜しみない拍手を贈ったとか。

 

バカか、お前ら揃いも揃ってバカか。

 

「はぁ、最近芳乃の奴もバカ真司に毒されて来てないか……?」

 

「な、何をボソボソと……。い、言いたいことがあるならはっきり言えばよろしいですわ!」

 

「そうか?なら、はっきり言おう。俺はお前と戦う気はない。なんだ、理由が必要か」

 

返答した俺に対してキッと睨みつける目の前の女に、ニヤッと口元を緩め、言う。

 

「フッ、まず第一に貴様と俺では経験が違う。片やミラーモンスターとの戦いに明け暮れて生き延びた俺とごっこ遊びにうつつを抜かすお前……どちらが格が上だろうな」

 

「ッ………!!!」

 

「そして、貴様にはなく、俺にあるもの。契約ミラーモンスター……ミラーモンスターがどれほど強いのか、それを知らぬバカじゃないだろ?」

 

「で、ですが…!」

 

「ああ、言い忘れてた。ここで変身した時の制限時間は無い。そして防御力も、ISより遥かに上だ」

 

息を飲む音、驚愕の視線。

それらをたった2秒で表現した女は、ハッとして震える声で質問する。

 

「ここ……で……?」

 

「頭は回るみたいだな。お前はミラーワールドに行ったことが無いだろうから言うが、あそこに生物などいない。俺が使役するミラーモンスターや野良だけで、ただの人間が奴らに引き摺り込まれれば、それは死を意味する」

 

ごくり、教室中の人間の顔は青ざめ、ブリュンヒルデが軽く身震いした。

 

「唯一例外は仮面ライダーだけだ。……それも、9分を過ぎれば死ぬが……」

 

正確に言えば9分55秒だが、こういう少しの思い込みをさせておいたほうが都合が良い。

 

「に、逃げる方法は」

 

「ない。自由に出入りできるのはミラーモンスターと仮面ライダーのみだ。他の人間は鏡の世界から逃げ出すことも出来ずに奴らに捕食されるか…………消滅する」

 

「「「「…………」」」」

 

「まあ、仮面ライダーが連れて行く分には出入り自由だけどな……なあ?これでも俺と戦いたいか?俺にとっての戦いは、お前らのような相手の体力を減らせば自動的に勝てるようなものじゃない。『デット オア アライブ』。敵を殺すか自分が死ぬか、戦わなければ生き残れないんだよ。死ぬ奴は戦う覚悟も殺す覚悟もないザコだ」

 

吐き捨てて、ギロリと目の前の小娘を睨みつける。

奴は声にならない悲鳴を漏らして少し後ずさった。

 

「俺のデッキを狙っているなら知っておけ。俺は、殺せるぞ」

 

シン、と静まり返った教室の中へ入り、空いている席へ座る。

場違いなチャイム音が鳴り、入室したブリュンヒルデがワザと咳払いをし、他の女生徒に着席を促す。

チラリと先ほどの目障りな女を見ると、金髪の女は青ざめたまま顔を俯かせていた。

芳乃は青春を謳歌して欲しいだのとほざいていたが、俺にその気はない。

俺をハメてデッキを狙うならばそうすれば良い、俺も、好きにさせてもらう。

俺は、殺せるが、須藤の様に契約しているミラーモンスターに喰わせることはない。

なぜなら……なぜならーーー

 

「それでお前らが味を占めたら……毎回毎回、餌を調達するのが面倒臭いからな」

 

『ゴガァァァァァ……グゴォォォ……』

 

これで俺に突っかかる様なバカは目に見えて減少する。

それでもデッキを狙うなら、その時は始末すれば良い。

俺は浅倉のように好んで人を殺すタチではないが、バカ真司のようなお人好しでもない。

 

降りかかる火の粉は払う。

 

それが、人であれ、ミラーモンスターであれ、俺の居場所を奪うのであれば、誰1人例外なく、殺す。

 

「………『戦わなければ生き残れない。』」

 

鏡像の城戸真司が言っていた言葉は、居場所を奪われた俺にとって、運命さえも変えた言葉だ。

復讐なんぞ、怠くて、面倒臭い。

俺を忘れた姉の元に戻るなど無く、仮面ライダーとして戦い、契約ミラーモンスターに餌を与える……。

俺は今のままで、十分満足しているのだ。

 




芳乃=サンの活躍についてはサイドストーリーで……。
勝手に舞台とか弄ってるけど、いいよねっ!なんか芳乃=サンの方が主人公っぽいけど、いいよねっ!最終的に芳乃=サンが主人公になっちゃってるかもしれないけど……いいよねっ!とりあえず佐野君はチョチョ−!!サンになったけど仮面ライダーを止めれず……まあ、餌あげとけば良いしダイジョブダイジョブとか前向きなポジティブ思考だけど、良いよねっ???


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新たなる

ども、読者さんから新しくオリライダー案を貰ったので。
そして思ったんですが、オリライダーの紹介ページ書いたほうがいいよね………。


 

 

 

 

 

 

我が名はウィングバード

 

古より生き長える橙の躰を持つ伝説の鳥

 

鏡面から、或いは水面から、我が姿を認めし者は生ある内に語り継ぐ

 

まるで、鷲獅子のような御姿であった……と

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、今月どうすっか………高い買い物しちまったしなぁ………いや、逆に考えるんだ……アレは仕方ない出費だった……と。そう、これは投資だ。いつかきっと、どっかであの時の俺に感謝する時が来るさ………多分」

 

賑やかな平日の街中を、1人の青年がぶつぶつと財布を広げて歩いている。

と、その時、彼の肩にぶつかった女性が、口元をニヤリと釣り上げ大声を張り上げた。

 

「ちょっと触らないでよ!痴漢!」

 

ビシッと人差し指を向け、周りに聞こえる様に痴漢呼ばわりをする。

周りの“男”の通行人やサラリーマンなどは青年と女性を交互に見さだめて、青年へと哀れみや同情の目を向けるが、彼はそれを気にせず……というか女性の声にさえ気付かずに通り過ぎていく。

 

「……………いやでもなぁ……本当に今月どうしよう。蓮に言ったら……怒るかなぁ。蓮って怒らせると怖いからなぁ……あ、すんません」

 

「…………ば、バカにしてんの!?」

 

軽く頭を下げて離れていく青年に両手を振り上げて怒りを表す女性。

それを眺めて面倒臭いと顔を顰めた青年は、ふと見やったガラス張りの、鏡面に映る謎の男に目を奪われた。

 

「!?………『戦わなければ稼げない!!勝って稼ごう仮面ライダーキャンペーン実施中』………?今ならなんと初心者応援チュートリアルもやってます?………なんだぁこれ……?うおっ!現役高校一年生が一ヶ月で100万稼いだ……ですって!?あら素敵!」

 

それは、古びたコートを着込む、謎の男が両手に待つプラカードに可愛い丸文字で書かれた……如何にも怪しそうな求人広告?である。

 

「ちょっと!無視すんじゃないわよ!」

 

「うるさいよ?俺ちょっと今忙しいからタイムで」

 

くるりと振り返った男は逆上しながら肩を掴んできた女に向かってニッコリと笑い、自分の口元に人差し指を押し付け、お静かに、と注意した。

 

「……あらあなた、幼少から空手に打ち込み今や空手6段を取得しているこの私に舐めた態度取るなんて男ながらにやるわね…!敬意を表してその鼻っ柱ァァァ自慢の正拳突きでカチ割ってやるわよォォアアアア!!」

 

「うぉぉぉぉぉ!!?まさかの空手有段者ぁぁぁ!!?ちょっ、まっ…たない!?待とうよ!たんま!たんまたんま!!」

 

ブォン、と不穏な音を発して振るわれた正拳突きを紙一重で避け、胸の前でハートマークを作った。

 

「ラブ&ピース……。暴力は憎しみや哀しみしか生まないのです。ならばこそ貴女も、その空手道に愛と感謝を表せねばならぬ……と思うのですがどうでしょうかね?これぞまさにハン○ー×ハ○ターの百式観のryーーーぐわっ!アブナイッ!暴力反対!イジメ駄目、絶対ね!」

 

「………ふっ……!私の連続突きをこうも避け続けるとはね……素晴らしいじゃない!」

 

いや、さっきから避けられなかった拳が足や胸に当たってるんですけど……。

男は内心痛いなぁ……と思いながら、ここで弱音を吐くのは男の恥だと我慢することにした。

 

「はぁ、はぁ、やるわね……なら、これで最後よ!!「空○を終わらせた男」とか「○手界の最終兵器」と呼ばれた男をマジリスペクトして真似てみたマッハ突きッッッ!!!」

 

「うぇぇぇぇ!!?無理無理!無理だ!それは流石に無理だから!!」

 

女の構えを前にして尻込み、後ずさる青年。

そんな彼へと襲いかかるように飛びかかった女性を、横合いから掻っ攫う、謎の、影。

それを目と鼻の先で見ていた青年は、咄嗟に女性の服を掴んでいた。

 

キィィィン……キィィィン

 

「ぐわっ!!?」

 

「きゃぁぁ!?」

 

ドスンっ、と倒された青年は体を起き上がらせて辺りを見回し、絶句した。

 

「けほ、けほ、な、何よ……急に……ねえ、ちょっと、これは、一体なんなわ……………け……」

 

青年に続いて周囲を見渡す女性も、青年と同じように絶句、固まってしまった。

 

『コケ、コケケ、コケコッコーー!!!!』

 

目の前に、冗談ではないかとつい笑ってしまう……ニワトリ似の異形の怪物がいたからだ。

 

『ケコっ!!』

 

「うわっ!」

 

ニワトリ野郎は首を二、三度傾げて青年目掛けて嘴を突きつけた。

青年はそれを危うげなく回避してニワトリから距離を取る。

 

「な、なんだよこいつ……」

 

ゴクリと唾を飲み込んだ男は、ハッとして女性の安否を確認した。

 

「あ、あ、う、嘘……嘘よ、こ、こんなの……非科学的だわ……ありえない……」

 

ガクガクと体を震わせ地べたに座り込んで後ずさる女性を、首を傾げながら近づく怪物は、大きな声で鳴き喚いて貧相な翼を広げた。

 

『コケーーーーコッコッコッコ!ケー!!!!』

 

その勢いのまま嘴を突き刺す。

女性はそれを辛うじて避けたが、あまりの出来事に失神してしまった。

ぐったりと寝転ぶ女性の体へ、頭を振り上げるニワトリ。

 

「や、止めろ!!!」

 

走り、その勢いを利用して、体当たり。

青年はそのまま後方へと弾き飛ばされ、ニワトリの野郎はあろうことか、ピンピンとしたまま首を傾げた。

 

「ぐっ……かはっ……!?げは、げほ」

 

咳き込む青年はそれでもなおニワトリを睨みつけ、中指を立てた。

 

「来いよ……この野郎……。てめえが噂のバケモンなら………俺が退治してやるよ!」

 

その言を受け、理解できてなくとも青年へと鳴き声を上げるニワトリ。

しかし、闘志を漲らせる青年へ、見知らぬ声が聞こえる。

 

『戦え』

 

その声が、どこから聞こえるかは分からずとも、後ろを振り返らなくては……と、青年が振り向いたところで、ソレは彼の右手の中に収められた。

 

「なんだ……これ。カード…デッキ……?」

 

『戦え、ライダー』

 

「オイあんた、一体何者………」

 

言いかけた青年は、謎の男が持つプラカードに目を奪われる。

 

「………」

『初心者☆応援チュートリアル中!!』

『まずはデッキを鏡に向けてみよう!』

『そして腰部のバックルにセットだ!』

 

ふざけてんのかこいつは……。

 

『コケケケケーーー』

 

「うわあっー!?く、クソ!あとで覚えとけよ!」

 

吐き捨てた青年。

鏡へデッキを向けると、彼の腰部には、謎のVバックルが生み出された。

 

「………」

『さあバックルにセットして唱えてみよう♪』

『戦わなければ生き残れない!いざ、変身だっ』

 

「おいマジっざけんなよおっさん……」

 

何が唱えてみよう♪だ、この野郎。

 

「く、クソッタレ!変身ッ!」

 

デッキをセット、恥ずかしながら変身を唱え、ニワトリ野郎へとドロップキックをお見舞いする。

その過程で、青年は、鈍い灰色の仮面ライダーへと、成った。

 

『ケココケケコケ!!!?』

 

ニワトリは頭を擡げ、鳴き声を上げる。

それを聞いた青年は、よしっとガッツポーズをするが、直ぐに動きを止める。

 

『………ケコ?』

 

ニワトリ野郎は未だにピンピンしているのだ。

 

『き、効いてねえじゃん!オンドゥル裏切ったんディスかー!!?』

 

バッと振り返るとそこには

 

『残念賞☆まずはミラーモンスターと契約しないとブランク体から抜け出せないゾ☆』

『デッキからカードを一枚取り出して契約するのだ!レッツ コントラクト!』

 

男のプラカードに従いデッキからカードを一枚引く。

そこには、CONTRACTと表記された一枚のカードが。

青年はそれを使おうとして……

 

『あ、言っとくけど目の前のミラーモンスターは雑魚中の雑魚だから使わないほうが良いと思うよ♪』

使おうとして……止めた。

最初から持っていた剣を振り上げ、ニワトリの嘴へと振り下ろす。

勢いよく叩きつけられた剣は、その途中でボギッと折れてしまった……。

 

『ッ!?ッ!……ッ…う、ウソダドンドコドーーン!!!』

 

剣とニワトリの嘴を交互に見ながら青年は絶句し、その隙を狙われて跳ね飛ばされた。

 

『クッ、カ、ハッ………』

 

最弱モンスターに嬲られるライダー。

ダメ元で振り返ったプラカードには、こう一言。

 

『弱すぎワロタwwww』

 

『てめえ殺すぞっ!!?』

 

折れた剣をぶん投げた青年は謎の男へ罵声を浴びせる。

 

『でもまあ、君がやられると困るのでチュートリアルガチャを引きますか』

 

なんだよガチャって……内心うんざりしながらコントラクトカードを握った青年は、プラカードに書かれた『タイミングは一瞬なので外したら死亡』という言葉にカードを握る手に力を込めた。

 

 

 

ーーーそして、それは………来た。

 

『ヒュォォォォォォン!!!』

 

まるで、風が吹いたように、荒れ狂う暴風を身に纏うように、それは突如現れた。

橙の躰を持ち、立派な翼を広げて鋭く見下ろすその鳥は。

羽をはばたかせて風を巻き起こし、ニワトリを吹き飛ばした上で青年へと襲いかかった。

 

『タイミングがわるけりゃって……クソッ』

 

小さく毒づいた彼は、ダメ元で正面へとコントラクトカードを向けた。

光が、目の前の鷲獅子を包み込む。

と、同時に、青年を包む装甲にも変化が生じる。

 

黒だった部分が橙色へと変化し、青年自身にも、力が溢れていく。

 

その変化を感じながら、青年は思う。

 

この力があれば、守れたはずだ。

 

あいつも、あいつの家族も、俺も、俺の両親も。

 

過ぎた事に拘ることのない性格だが、青年は少し、悲しい気持ちになった。

彼の後悔は、あの日……白騎士事件から、今もなお、こびりついて離れないのだから。

 

『ヒュォォォァァァァァァァ!!』

 

ふぁさぁっと、青年……いや、仮面ライダーバードを、大きく、凛々しい翼が覆い包んだ。

ニワトリの嘴が眼前に見えるが、それは彼を護る翼を突破できずに、嘴を逆に粉々にされる。

 

『コケーーーーー!!?』

 

『ヒュオォン?』

 

『………ああ、そうだ。今は感傷に浸る時じゃない』

 

スッと取り出した一枚のカードを、腰部の何時の間にか復元されていた剣の装飾部分である翼を広げ、柄の中へFINAL VENTと書かれたカードを装填し、翼を閉じる。

 

『FINAL VENT』

 

光と共に背中に生えた一対の白き翼。

 

それをはばたかせて鏡の世界を舞う。

 

鏡像の太陽がバードの装甲を照らす。

 

灼熱の太陽を背に、鷲獅子は吠える。

 

翼を従え、風邪を纏い、剣を向ける。

 

仮面ライダーバードの装甲が眩しく光った瞬間、彼は既に地面へと降り立ち、その剣はチキンフライを真っ二つに両断していた。

 

『悪い……俺はまだ、後悔し足りないんだ。ただ1人生き残った罪を、償うまでは』

 

チキンフライの体が、バードの必殺技、天空斬の威力に耐え切れず、自壊する。

そこから現れたエネルギーを、バードの契約ミラーモンスター『ウィングバード』が貪る。

 

『戦え。戦え、ライダー』

 

謎の男は青年を見つめたまま語りかける。

『戦わなければ生き残れない』と。

 

『ああ、分かってるさ。……俺1人でどこまでやれるか分からないけど、この世界を変える。そうすれば、俺は自分を赦せるかも知れない。行くぞ、ウィングバード』

 

『ヒュォァァァァン』

 

そう言って、仮面ライダーバード……本名 風霧 亮介(かぜきり りょうすけ)は気絶している女性を抱いて鏡の世界から立ち去った。

 




というわけで、ルオンさんから仮面ライダーバードとその変身者の風霧亮介です!ばちぱちぱち
……え?芳乃はまだかって……?も、もうちょっと待って、たんまで、もうちょっとフリーズベントでおねがいします。
ちょっと鳴き声とか分かんなかったんで勝手に弄ったけど大丈夫よね?
なんか、イメージ的にグリフォンみたいに書いたけど大丈夫よね?
あ、天敵的には 灼熱の鷲獅子ウィングバード……みたいな?後々ルオンさんと詰めていきますよ?あと神崎兄がハッチャケすぎてハジケキングになってるけども気にすんなよっ!
あと女性の方はこの回でリストラなので覚えなくて大丈夫です


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所詮児戯

やった、またオリライダーが来たぜ!ひゃっふぅ!
というわけで仮面ライダー紹介ページに載せますね。
オリライダーについての疑問や感想なども受け付けてます!→それを元にオリライダー提供者の方と設定作りしていきますのでドンドンドンドン感想プリーズVENT


 

 

 

「はぁ?また新しい仮面ライダーが現れた?」

 

『そうなんだよ。だから今それの取材に行っててさ、アギトは何か知ってないのか?』

 

「シスコン野郎のことなんか知るかバカ。……お前も聞き込みしてないで神崎シスコンお兄たまに聞けよ」

 

『結衣ちゃんに聞いたけど何処にいるか分かんないって言うしよー……はぁ……』

 

「ふぅん?神崎兄がなに考えてるか分からないが……面白くなりそうだ……。じゃあ切るぞ」

 

『あ、おい!ちょっ、まっ………』

 

真司との通話を切ってスマホをポケットに入れる。

そして今自分がいるアリーナの周囲をゆっくりと見回していく。

視線、視線、視線、視線、視線、視線、視線。

好奇心や殺意や憎しみや……下らない感情を羅列する観客席を流してふん、と吐き捨て、カードデッキに視線を落とす。

 

「遅れましたわ、アギトさん」

 

「気にするな、すぐ終わる」

青い装甲に身を包み、此方を見下ろす長い金髪をした女、セシリア・オルコットの言葉にニヒルな笑みで応じる。

セシリア・オルコットはそれに対して眉を吊り上げ、顔を赤くする。

 

「そうですわね、今この瞬間に貴方を撃ち抜いて見せましょうか?」

 

「……………それは、俺の相棒を怒らせるだけだーーー」

 

やめとけ、そう告げる前にセシリア・オルコットは両手で構えたレーザーライフルの引き金を引いた。

高熱の射線がまっすぐに俺を射抜かんとするが、それは俺に届く前にドラグブラッガーによって弾かれる。

 

『ゴァァァァァァァ!!!』

 

『ビーーーーー!』

 

ドラグブラッガーがセシリア・オルコットに対して怒り狂い、奴の不意打ちに、慌てて試合開始のブザーが鳴り響く。

それを面倒くさそうに聞き流してドラグブラッガーの躰へカードデッキを向ける。

黒く、漆塗りしたかのように艶光りするドラグブラッガーの長い長い躰に、カードデッキを向ける俺の姿が鏡面のように映り込む。

すると鏡面の向こうに映る俺の腰に、Vバックルがいつの間にか装着されていた。

 

「はぁ、面倒くさい……なんで俺がこんな……」

 

ぶつくさと愚痴を言っていると、不意に四つの影が周りに集る。

どうやら、セシリア・オルコットはドラグブラッガーの躰を貫いて俺にレーザーを当てることができないと考え、俺には理解できない兵器を使用したようだ。

 

「変身」

 

鏡像が1つ、2つ、3つと重なり、仮面ライダーリュウガの装甲を形成する。

それと同時に軽い衝撃が立て続けにリュウガの装甲を焼く。

セシリア・オルコットが扱うブルーティアーズによる、四方からのレーザー攻撃を喰らったリュウガは、レーザーが当たった肩や背中をパンパンと手で払って四基のレーザービットを睨みつけた。

 

「む、無傷……そ、そんな!!」

 

リュウガに対して自分のアイデンティティが通用しないことを知り、絶望の声と愕然とした面持ちのセシリア・オルコットに対して人知れず笑みを零す。

ここでやられたフリをして束の間の夢物語に興じてもいいが、先ほどから周りをうろちょろと飛ぶ蝿が目障りだ。

サクッと潰そう……カードデッキから引き出した一枚のカードを、ブラックドラグバイザーの中へ挿入した。

 

『SHOOT VENT』

 

大型の水鉄砲のような武器、ゲリョスブラスターを両手で構えて銃口を空中に向ける。

続いてドラグブラッガーに尻尾を振り回させ、敵の動きが鈍ったところへゲリョスブラスターの引き金を引く。

紫色の塊が空中を飛ぶ飛行物に衝突し、その飛行物ーーービットはまたたく間に地面へと堕ちていった。

 

「あ、ありえませんわ……!ティアーズが一撃で……」

 

『ふん、何時から自分が優勢だと思い込んでいた?……そうだな。そこから引きずり下ろせば夢から覚めるだろう?』

 

ゲリョスブラスターを脇に挟み、カードを引く。

 

『BIND VENT』

 

それをブラックドラグバイザーに挿入すると、不意に空中から出現したゲリョスウィングの伸縮自在の尻尾が上空にいるセシリア・オルコットを拘束した。

 

「う、動けなっ…!」

 

『叩き落とせ』

 

右手の親指を立てて下に突き落とす。

それだけでゲリョスウィングはセシリア・オルコットを拘束している尻尾を地面へ勢いよく振り下ろした。

 

「あぁぁっ、ァァァァァああああああ!!?」

 

『ゲッゲッゲ♪』

 

地面に激突したセシリア・オルコットが苦痛に喘ぎ、ゲリョスウィングは尻尾を使って空中に停止した3基のビットを叩き落とした。

 

「てぃ、ティアーズ………」

 

『FLASH VENT』

 

「きゃぁぁぁぁぁ!!?」

 

暴れられるのも面倒だとフラッシュベントでセシリア・オルコットの目を潰し、ゲリョスブラスターを撃ちまくってブルーティアーズのSEを全損させる。

それを受けて試合終了のブザーが鳴り、下らん遊びは終演となった。

 

『相棒』

 

『ゴアァァ!』

 

ドラグブラッガーの躰に乗ってカタパルトまで戻る。

そこにいたブリュンヒルデと副担任を横目で流して部屋を出る。

廊下には壁に凭れかかる簪がいた。

 

「いたのか」

 

「うん」

 

「………」

 

「………」

 

一言で終わる会話、しかしこれは戦闘開始の合図に他ならない。

俺は長年仮面ライダーをやっている過程で身につけた筋力を使い簪から逃げるように廊下を駆け抜けていく。

簪は日本の代表候補生の過程で身につけた体力を用いて俺の背後2mにぴったりと着いて行く。

まるで冗談か喜劇のような鬼ごっこを開始しているが、俺としては冗談でも何でもない。

こんな体力底なしの特撮好き女に構ってたら比喩表現なしに死んでしまう。

 

「待って、何で逃げるの」

 

「お前こそ、何で追いかけてくる」

 

「か、仮面ライダーについて、質問……したい…から…!」

 

グッと両手で握りこぶしを締め、輝く瞳の視線を向けてくる変な女に眉を顰める。

 

「お前はいっつもいっつも質問が長いし多いんだよ!昨日なんてそうだ、人が寝る前に電話してきやがって……!9時30分に寝る所を朝の1時まで仮面ライダーについての質問質問質問……!挙げ句の果てに『今日は満足した、おやすみ』だと!?ふざけんな!人の睡眠時間奪っておいて勝手に切るな!」

 

「え……?学校に行く時間まで質問してやかった……?」

 

「そんなわけねえだろ!常識を考えろって言ってるんだ!常識を!!普通そこは『こんな時間まで電話してごめんなさい』だろう」

 

「次からはそうする……けど、流石に9時半就寝は、盛りすぎ……?」

 

「俺が何時寝ようが俺の勝手だ!」

 

「かんちゃーん!」

 

「ぐわっ!?」

 

「ないす、本音」

 

簪とギリギリの鬼ごっこを続けていると、突如曲がり角から誰かが飛び込んできやがった。

 

「あれ、かんちゃん……?」

 

ぽけーっとした声でとぼけ、俺の体の上に跨って首を傾げる勘違い女の頭をアイアンクローで締め上げる。

 

「ドラグクロォォォォォ……」

 

「痛い痛い痛い痛い……!?痛いよぉ〜アッキー」

 

「誰がアッキーだっ!てめえは俺の上から退けッ!!」

 

うひゃーっと楽し気に叫んで立ち上がる女を、舌打ち気味に睨む。

布仏本音、簪の次に変な女。

よく他人にあだ名をつけているが、ネーミングセンスはナイと思う。

第一俺のあだ名がアッキーはあり得ないだろう?俺がつけるとしたらブラックドラグーンとか、たっくん、とか……前者はともかく、後者は何処かが騒がしそうだ。

 

「捕まえた、これから、質問タイム……!」

 

「………なぁ、俺……昨日は大して眠れなかったんだよ……だから……勘弁してくれ……」

 

「ダメ」

 

「頼む………仮面ライダーがどれほど強いのか、みたいな下らん話のお陰でごっこ遊びの女と戦う羽目になった俺を哀れんで……眠らせてくれ」

 

「ダメ」

 

「…………………お前、鬼畜すぎね?」

 

「たまに、言われる」

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、仮面ライダー龍騎の変身者が……城戸真司……」

 

「あ、名前の前にはバカを付けろよ」

 

『たった一度与えれた〜♪命はチャンスだ〜から〜僕自身を〜勝ち得るため〜♪』

 

特撮バカ、更識簪の相手をしていると、ポケットの中から着信音が鳴る。

相手はバカ真司だ。

 

「なんだ、バカ真司」

 

『お、アギト。……バカってなんだバカって!』

 

「で、何の用だ?」

 

『新しい仮面ライダーの情報だけどさ、1人、助けられたって人と話してて』

 

新しい仮面ライダー……ああ、そういえばそんな話があったな。

神崎兄め、シスコンの癖して最近何を企んでいるのやら……まあ、俺にはあんまり関係ないだろうけど。

 

『その人にイラスト描いてもらったんだけど、あんまりにもナイトに似ててさぁ、蓮っぽいんだけどスーツの色は橙色って言うしさ……』

 

ナイトの橙色版……?

恐らくは空を飛ぶ系のミラーモンスターを従えてる可能性があるな。

確かに新しい仮面ライダーだが、情報が少ないな。

 

『アギトの方でも何か分かれば連絡ーーー』

 

「じゃ切るわー」

 

『ッ!?ちょ、まっ』

 

「………なんて?」

 

「俺が帰ってこなくて寂しいだと」

 

ずいっと顔を近付ける簪から距離を取り、バカ真司と話していた事とは違う説明をする。

この特撮バカに本当のことを言えば首を突っ込みかけない。

 

「………嘘」

 

「………マジだよ」

 

スマホを戻して立ち上がり、パンパンと膝の表面を手で払う。

同じように立ち上がった簪と見つめ合うこと数秒間、また新たな戦争が勃発するようだ。

 

「本音」

 

「おっけ〜かんちゃん〜」

 

簪の指示で両手を広げる布仏……から背を向けて一目散に駆け出していく。

布仏は目を丸くさせていたが、どうやら布仏の使い方は、俺の進路方向を一つ潰すことだったらしい。

 

「待って、正直に話して」

 

先ほどと同じく俺の背後を追従しながら質問を飛ばしてくる簪に少々苛立ちながらも自らの勝利を確信して相棒の名を呼ぶ。

 

「ドラグブラッガー」

 

鏡から出てきた黒い尻尾に飛びついてミラーワールドへと逃げ込む。

後ろを振り返ると鏡と衝突した簪が鼻を押さえながらジッとこちらを睨んでいるのが見える。

 

『ゴァァ?』

 

「……部屋に帰る。新しいライダーてのも、少し気になるしな」

 

部屋の中に置いてあるペットボトルからリアルワールドへ帰還すると、俺の部屋の中には、どうやら先客がいたようだ。

 

「なんだ、神崎兄」

 

「………」

 

仮面ライダーシステムを開発した張本人、神崎士郎がベットに座ったままいつもの無愛想な面を引っさげている。

 

「ああ、そうだ。そういえばバカ真司があんたを探してたぞ。なんでも、新しい仮面ライダーをスカウトしてる件について……とか」

 

冷蔵庫からカフェオレを取り出しながら神崎兄に問いかけると、奴は先日妹にプレゼントされたケータイを弄っていた。

 

「………」

 

「何見て…………」

 

スマホのホーム画面が妹の写真だった。

しかもパスワードを忘れたのか知らんが起動出来ない状態みたいだ。

 

「………シザースのカードデッキを、天災が奪った」

 

起動を諦めた神崎がポケットの中をゴソゴソと弄る。

 

「…………ふん」

 

蟹め、やはり奪われていたか。

なら実行したのはブリュンヒルデか織斑一夏か……。

そして神崎兄は何やってる?ポケットの中にスマホを入れるだけだろ?

 

「奴は、恐らく擬似的な仮面ライダー……オルタナティブを開発する」

 

違った、何か分からん機械についたコードをスマホにブッ刺した、あっ、こいつもしかしてハッキングか何かして強制的に起動する気だな……才能の無駄遣いめ。

 

「…………まるで、知っているかのような…そんな口振りだな。あのクソ兎を育て上げたのがお前なのか……はたまた」

 

「「擬似ライダーオルタナティブの存在を見てきたか」………ふっ」

 

神崎兄とセリフがハモったことで俺は確信して鼻で笑った。

こいつが使用する、またはホームレスに変身させる仮面ライダーオーディンは、時間を巻き戻し、使用者を過去へと遡ることが出来る、まるで神のようなカードを所持している。

ここにいる神崎兄が、何度過去戻りを繰り返したのか興味はないが、こいつが警告するほどの擬似ライダー……面白そうだ。

 

「………そのカードデッキは、唯一人の手で生み出されたものではない」

 

「………なんだ、急に」

 

「結衣を救いたいという思い、何も変えられない自分への怒り……。全てを捨てて1人を救う。北岡を、手塚を、浅倉を、そして秋山を。12人のライダー全てを殺す決意をした鏡像の真司が生み出したーー」

 

「黙れよ」

 

「………」

 

「お前が何度過去を見たかなんて興味ない。このカードデッキの存在理由だってな。だが、俺に戦えと諭したあの城戸真司を人じゃねえとか、鏡像の幻だと言うのだけは絶対に許さねえ…………ちっぽけだけどさ、それだけは譲れない」

 

「………そうか……いや、そうだな」

 

神崎兄が、無愛想な面を、初めて穏やかな微笑みへと変えた。

 

「あの日お前が城戸真司に出逢わなければ、俺はまた……結衣のためだと、あいつの思いを蔑ろにしていただろう……。あの時城戸真司が最期に出逢ったのが、龍賀アギト……お前で良かった」

 

「……おい、結衣に送るから今の顔もう一度見せろ」

 

写真モードに移行したスマホを片手に神崎兄へと珍顔をせがむと、奴は何時ものような無愛想な顔でこう言った。

 

「戦え。戦え、ライダー。……そのまま……迷わず……戦え」

 

スッと神崎兄が立ち上がり、部屋の鍵を開けて廊下へと出て行った。

俺はその後ろ姿を見送り、ポケットから、城戸真司から受け取ったデッキを手の中で弄び……。

 

『キャーーーーーー!!!不審者ーー!!』

 

『出会え〜!!!!出会え〜!!!!曲者ゾー!!』

 

『変態ーーー!!!!きっとあのコートの中は裸なんだわー!!死ね!!!』

 

『逃げたぞ!オエー!!IS学園に侵入したことを後悔させてやるぅぁぁあああ!!』

 

『〜〜〜ッ!!!ドンドンッ!!ドン!ドンドンドンドンッ!!』

 

「………」

 

そのままG-SHOCKに視線を落とし、そろそろ夕ご飯の時間だな……と、またミラーワールドの中へ入って行った。




まあ、神崎サンって普通に見ても不審者よね?


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密林の無法者 あとゴリラ

どうも、天敵です。
今回はハレル家さんのオリジナルライダーの登場になります。
………ハレル家さんの素晴らしいプロットは既にもらっていたんですが、いや、現実の方が少し忙しくてね?テストテストテストテストポケモンサンテストテストとか色々です、色々……。


 

 

 

 

 

 我が名はゴクウソン。

 

 密林の無法者と呼ばれる存在。

 

 我は待つ。我々の餌である人間でありながら、強大で輝く精神を持った人物を……

 

 その人間を見つける為にいつまでも鏡面から、水面から、世界を静かに見つめよう。

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻ったッス」

 

「おつかれ、コーヒーいるかい?」

 

 とある博物館。閉館時間である深夜の一室にて背中まである長い金髪赤眼のつり目をした見た目が二十代後半の男性が初老の男性からコーヒーを貰って一服している。

 

「君が日本に来てここで働き始めて助かってるよ……力も強いし体も頑丈、下手だった日本語も今では使いこなしてるね」

 

「おっさんの教えが上手いからッスよ」

 

 金髪の男性は初老の男性の言葉を苦笑で返す。

 

「そういや、奇妙なウワサを聞いたんだけど……この辺りで神隠しが起こっているらしいんだよね」

 

「はぁ……そうなんスか?」

 

 初老の男性から言われたウワサに金髪の男性は予想外の事で目を丸くして答えた。

 

「そうなんだよ。現に行方不明者も多いから気を付けてね」

 

「わかったッス」

 

 初老の男性の注意に金髪の男性は頭に留めておき、少しだけ温くなったコーヒーを飲む。すると、部屋に高めのアラームが鳴り響いた。

 

「どうやら誰かいるみたいだね……帰ってきて悪いけど見に行こうか」

 

 初老の男性の言葉に金髪の男性は一気にコーヒーを飲み干し、初老の男性とともに部屋を出て現場に向かった。

 

「閉館してるのに……この間の女性みたいな人ッスかね?」

 

「あれは驚いたよ……博物館の展示物を私物だと言い張るだなんて……結局は警察に連れていかれたけど」

 

「後ろ向いてる俺の後頭部めがけて近くにあった消火器を降り下ろしてぶつける場面をリアルタイムで見たら現行犯で捕まるッスよ……ザマァだな」

 

「ぼく的には消火器をぶつけた事よりぶつけられた本人が無傷のうえ、降り下ろした消火器がへこんだ事に驚いたんだけど……」

 

「オレの地元はあんな騙しうちがザラだったんで今更驚かないッス」

 

「ザラだったの!?」

 

 他愛ない会話をしながら進んでいき、現場に着くと床に展示物が散乱されてる光景が目に入った。

 

「荒らされてるッスね……」

 

「取り敢えず、犯人が潜んでいる場合があるから警戒してね」

 

 初老の男性の言葉を無言で頷き、警戒して辺りを調べる。しばらく調べていると一つの異変に二人は気付いた。それは二人の目の前にあるそれは――

 

「……ニワトリ?」

 

 そう、ニワトリの展示物があった。しかもサイズが大人と同じぐらいに大きく、周りの状況から見てもおかしいの一言で納得できた。

 

「おかしいな? こんな展示物はなかったけど……」

 

『コケ、コケケ、コココ――』

 

 初老の男性が首を傾げるとニワトリの展示物から声が聞こえ、今にも動き出そうとした瞬間――

 

「死ねぇ! ニワトリ野郎!!」

 

『コケーッ!?』

 

「躊躇なく殴り飛ばした!?」

 

 ――殴り飛ばされた。金髪の男性が動く前にニワトリを殴り飛ばした。初老の男性は驚くも金髪の男性は倒れているニワトリにゆっくりと拳を鳴らせながら近付く。

 

「テメェから敵意と殺意が溢れ出てんだよ。さっさと立て……チキンバーガーの具にしてやる」

 

「容赦ない……」

 

『……コ……コ……』

 

 容赦ない宣告に初老の男性は苦笑いし、ニワトリは金髪の男性の威圧感に固まる。しかし、金髪の男性の心中は疑問に溢れかえっていた。

 

 ……妙だな……てっきりこいつが神隠しの犯人かと思ったけど、血の匂いが薄い……敵意と殺意は確かに感じ取れたから間違いないと思ったんだが……複数の役割分担で人さらいでもしてるのか? いずれにしろ、聴くべきだな。

 

「取り敢えず洗いざらい話して貰うぞ。ニワトリのモノマネはしなくて……んドゥあ!?」

 

『コケーッ!!』

 

 質問しようとした瞬間に鏡から糸が出て服に張り付き、そのまま金髪の男性とニワトリは鏡の中に引きずり込まれた。

 

 キィィィン……キィィィン

 

「とぉっ! たく、一体なに……が……」

 

 放り出された金髪の男性はなんとか受け身を取り、周りの状況を確認しようと見回して絶句した。

 

 目の前で先程のニワトリが大きなクモに頭から食われていたのだ。バクバクとかムシャムシャという音じゃなくてメキペキやコキポキと言った何か硬いモノを砕くようなリアルな音が響く。

 

 幸いにも、食事に夢中のようで金髪の男性が静かにクモから離れ、近くに隠れる事に成功する。

 

 ……なんだ……あれ……ワケわかんねぇけど一つだけわかる事がある……あのクモが神隠しの犯人……その証拠にさっきから吐き気がする鉄臭い匂いがあのクモから濃く匂う……どうする……

 

 混乱しつつも落ち着いてどうするか考えていると、不意に頭に直接語りかけるような声が聞こえた。

 

『戦え』

 

 その声を聞き、いつのまにかそれは彼の右手の中に収められた。

 

「……カードデッキ? おいこれって――」

 

 視線を感じて振り向き、彼の言葉はコートを着た謎の男が持つプラカードに目を奪われた。

 

『戦え☆ライダーキャンペーン実施中!』

『まずはデッキを鏡に向けてみよう!』

『そして腰部のバックルにセット! 変身☆DA!』

「……」

 

 ……ふざけてんのかこのコート野郎は……

 

『さぁ、バックルにセットして唱えるんだ! 戦わなければ生き残れない……』

『レッツ☆変身!!』

『さぁ、ご一緒に!』

 

 思わず頭が痛くなりそうになったがなんとか耐え、彼は男の指示通りにデッキを腰部のバックルにセットした。

 

「れ、レッツ☆変身!!」

 

 律儀にもその言葉とともに金髪の男性は鈍い灰色の仮面ライダーへと変身した。ちなみに謎の男の反応は笑いながらプラカードを掲げた。

 

『まさか言うとはwwwウケるwww』

 

『ぶっ殺すぞ!!』

 

 思わず声を荒げて言ってしまい、ニワトリを食べ終えた大きなクモがこちらに顔を向けて声をあげる。

 

『やべ、こっちに反応した! 他に言うことないかおっさん!!』

 

『え~どうしよっかな~言っちゃおうかな~?』

 

『早く言え!!』

 

 この状況になっても煽るのをやめない謎の男に苛立ちながらも目の前のクモを警戒して聞く男性。

 

『まずはミラーモンスターと契約しないとブランク体から抜け出せない……デッキからCONTRACTと表記された一枚のカード取り出して契約するのだ!』

『ボクと契約して仮面ライダーになってよ!!』

 

『よし! 契約すればいいんだな!』

 

 最後に余計な一言を言った気がするが聞かなかった事にしてデッキからカードを引こうとする男性。しかし、大きなクモは彼からカードを引かせまいと邪魔をしてくる。

 

 ……こいつ、契約させない気か……!!

 

 その事実に内心毒づきながら、男性は大きなクモの攻撃を掻い潜って胴体に本気で拳を打ち込んだ。

 

『おらぁ!!』

 

 ズドン、とクモに突き刺さったがあまり効いておらず、たいしたダメージになっていなかった。

 

 ……当たり前だけど効いてねぇな……もういっぱ……ッ!?

 

 もう一度殴ろうとした瞬間、ズグン、と自分の身体に鋭い痛みが駆け巡った。その際に動きが止まってしまい、クモの攻撃で壁に叩きつけられてしまった。

 

『つぅ……こんなタイミングで……』

 

 自身の脇腹を押さえつつもジワジワと近付いてくるクモに対して、男性はこの状況の打開策を必死に張り巡らしていた。

 

 ……助けを呼ぶ? 人の匂いが一切しない。

 ……スタミナ切れを待つ? こっちが先に尽きる。

 ……誰か来るまで戦う? 今の状態では悪手だ。

 ……諦める?

 

 ……諦める?

 

『それこそ……ふざけるな』

 

 ……この痛みは(とが)だ。

 ……この傷跡は(ばつ)だ。

 ……証でもあり(いまし)めだ。

 

 ……決して忘れるわけにはいかない。俺が引きずってでも背負わなければいけないモノだ。

 

『来いよデカグモ……こっちはガキの頃から生きる為に戦ってきたんだ……刺し違えてでもテメェを殺して生き抜いてやる!!』

 

 目の前のクモを睨み付ける。その気迫に圧されたのかはたまた偶然なのか、クモの動きが止まった。ジリジリと緊迫した空気が流れ始める。

 

『ドラマみたいだなーガンバレー』

 

『ウルセェ! のんきにせんべい食うな!!』

 

 その様子を謎の男は寝転がりながら食いかけのせんべい片手にプラカードを掲げている。

 

『あらやだ、おこ? おこなの?』

 

『(^ω^≡^ω^)オッオッオッオッ』

 

『ウゼェェェェェェッ!!』

 

 煽る姿に男性は怒りながらも反応すると、謎の男は軽くため息を吐きながらプラカードを掲げた。

 

『とはいえ、このままやられるのは困る。少しだけサービスするとしよう……しょうがないなぁの〇太くんは』

 

『誰が〇び太くんだ』

 

 いい加減にしろ、と言おうとした彼は気付く、地響きが少しずつ大きくなってきている。それはどんどん近付いて音が止んだ瞬間、壁が壊された。そしてそこにいたのは――

 

『グガゴォォォォォォォォン!!』

 

 全長5~6メートルもある大きさに両腕が太く、深夜の闇を照らすような明るい山吹色のゴリラのような大猿が咆哮をあげながら、姿を現した。

 

 咆哮で空気が震え、男性を睨むように見る眼光から放たれる威圧感から彼は目の前の大猿は自分が敵対してるクモよりも格上の存在だと肌で感じ取れた。

 

『キ……巨大な猿(キングコング)!? こんなん呼んだのか!?』

 

『え!? あ、ああああ当たり前じゃないか! わ、私にかかればチョチョイノチョーイナンだよ!! 褒め称えるがいいさヤンキーオジさん!!』

 

『動揺しまくりじゃねぇか!! え!? これ予想外の出来事なのか! あと誰がオジさんだ! 俺はまだ16だ!!』

 

『ファ!?』

 

 まさか彼が青年だった事実に謎の男が驚いた様子を尻目に男性――青年は覚悟を決めてカードを一枚引き、大猿に向かってカードを向ける。

 

『いいぜ……来い!!』

 

『グガゴォォォォン!!』

 

『ギィイイィィィィ!!』

 

 男性の言葉を合図に大猿とクモは同時に走り出した。スピードではクモが一歩リードし、このまま行けば青年はクモの爪によって命を散らす事になる。しかし、大猿の両腕からキュィィィィィィン、と何やら駆動音が聞こえ始めた。瞬間、大猿は爆音とともに加速した。

 

 大猿の両腕にブースターがある事に青年は驚いたが、カードを降ろすことは決してしなかった。

 

 そして光が、青年と大猿を包み込む。

 

 光が収まって人影が現れた所でクモは爪を降り下ろした。バキン、と硬いモノが砕け散る音が響く。

 

『ギィイイィィィィ!?』

 

 砕けたのはクモの爪である。そして大猿が壊した壁から月の光が射し込み、人影を照らした。

 

 そこにいたのは一人の戦士だ。

 

 黒だった部分が山吹色へと変化し、所々に中華風の模様がある緋色の鎧を纏った三国志に出てくる武将のような姿になった青年自身に力が溢れていく。

 

 ……この力があれば、あの事件は酷くならなかったハズだ……

 

 自分を変えた分岐点である事件が頭を過り、青年は少しだけ悲しそうにするもクモが吐き出した糸を咄嗟に片腕で防ぐ。

 

『ギィ、ギィ!?』

 

『クモ野郎……さっきはやってくれたな……倍返しで返してやるよ!!』

 

 引き寄せるが山のように動かない青年に困惑するクモを、気持ちを切り替えた青年は逆に引っ張って壁に叩きつけた。苦悶の声をクモはあげるが、そんなの関係ねぇと言わんばかりにクモを振り回して壁や床に叩きつけ始める。

 

 その様子を見ている人がいたら、口を揃えて『荒々しく暴れる獣のようだ』と答えるだろう。

 

『フィニッシュだ』

 

 力強くクモを床に叩きつけ、青年は取り出した一枚のカードを左腕を覆い隠すような形で装備された籠手の手甲部分にあるフタを後ろにスライドさせ、その中にカードを装填する。

 

『FINAL VENT』

 

 音ともに、大地が震える。

 

 後ろにいる大猿と同じように構え、息を深く吐く。

 

 両足を揃えて飛び、拳を構えた大猿が雄叫びをあげる。

 

 青年の両足裏を大猿の限界を超えた一撃が振るわれる。

 

 ビリヤードの要領で放たれた青年は一発の弾丸と化し、音速を越えてクモを貫いた。

 

 地面に着地し、火花を散らせながら止まる。ど真ん中に風穴を空けられたクモ――ディスパイダーは威力に耐えきれず自壊した。

 

『いまさら、変われると思っちゃいねぇよ……俺がしてきた事は、振るってきた手は、歩いてきた道はやり直す事なんざ出来ねぇからよ……』

 

 そこから現れたエネルギーを青年、仮面ライダーモンクの契約モンスター『ゴクウソン』が貪る。

 

『戦え。戦え、ライダー』

 

  謎の男は青年を見つめたまま語りかける。

 

 『戦わなければ生き残れない』と。

 

『当たり前だ……俺は果たさなきゃいけねぇ約束があるんだ。ごみ溜めのような灰色の世界から手を伸ばして引っ張ってくれたあの人達の為にも……俺は生きなきゃいけねぇ。帰るぞゴクウソン』

 

『グガゴォォォォン』

 

 そう言って仮面ライダーモンク……本名 ロック・ヴォルハートは外で待っているであろう初老の男性に自身の無事を知らせる為に鏡の世界から立ち去った。

 




と言うわけで新しい仮面ライダー登場編でした。
あれ、アギト要らなくねーかこれ?
ちなみ手直しとか一切してねーでヤンス、100%天然物のでヤンス。
いやでも神崎士郎のおちょくり下りは自分で書くより面白かったです。(嫌いじゃないわ!ry)
他にも魅力的な仮面ライダーの設定がいっぱいありますので、ゆ、ゆっくり投稿していきますね………?


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祭りの場所はァァァ






『ふん、ハァッ!!』

 

振り下ろした剣、飛び散る火花、崩れ落ちるのは異形と呼べる二足歩行のロボット。

 

『どうしたぁ…もう終わりかぁ?』

 

それは、戦いと言えるのだろうか。

紫色の鎧を纏った騎士は高笑いを上げ、膝をついたロボットにさらなる追撃を加えていく。

ロボットの左肩は接合部が切れて地面に落ちている、剥き出しになった配線がバチバチと火花を散らし、右肩は爆発を起こして腕部装甲が吹き飛んだ。

 

『ハハハハッ!オラァ!』

 

完全に機能を停止したロボットを蹴飛ばし、意気揚々とその場を去る紫の騎士は、次の瞬間に荒々しい男へと姿を変えた。

 

「ハハハハハ……。久々に楽しかったぜ」

 

ボン!

 

「あぁ……?んだこれは」

 

男ーーー浅倉威が破壊したロボットが独りでに爆発し、一通の紙がひらひらと空を舞う。

怪訝な表情でそれを手に取った浅倉は直ぐに獲物を見つけた野獣のような笑みを浮かべて“招待状”を棄てた。

 

 

『クラス対抗戦の御案内』

 

 

「次の祭りの場所はァ……其処かァ……!!」

 

野獣が今、静かに解き放たれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピピピ………

 

「くぁ……ぁ朝か……ドラグブラッガー」

 

朝、目覚めと同時に鏡に手を伸ばす。

鏡の中から龍の顔が現れ、それは次第に人の姿を形成する。

 

「……お前、何か食ったか?」

 

「っ!……///」

 

かぁぁぁ、と顔を赤らませてドラグブラッガーは顔を伏せる。

そんな彼女(?)の口元には何かの染みが。

 

「ミラーモンスターが引っかかったか」

 

シャツを着て、パーカーを羽織り、その上に特注のブレザーを。

盗難防止のために預けていたデッキを受け取りそれを鏡に翳す。

 

「変身」

 

仮面ライダーリュウガへと変身した俺は、契約モンスター達に餌を与えるためにミラーワールドに足を踏み入れた。

 

 

 

今日の餌→ついにやって来たワニ

ステータス→結構強いワニ

好物→ハンバーグが好きワニ

 

 

数分後、適当に餌を見繕い、契約モンスターの腹を満たすと、今度は自分の腹を満たそうと、食堂に行く準備をするために一度自室に戻る。

 

「これは」

 

驚いた。

既に部屋のテーブルには味噌汁、白米、生姜焼きと、朝食の準備が済まされていた。

 

「お前が作ったのか?ドラグブラッガー」

 

「こくこく」

 

当然のことだとコクリと頷きながらもその顔は満足感に満ち溢れ、頰は緩み、染みを拭った口元は無表情を装いながらも喜色を浮かべているためにムニュムニュ動いている。

 

「一体いつ覚えたんだ?こんな芸当……」

 

教えた覚えはないし、俺が起きている間はドラグブラッガーは絶えず俺の周囲を付き添っている。

それが擬人態であろうとモンスター態であろうとだ、つまりドラグブラッガーは夜な夜な俺が寝ている時間帯に料理の腕を磨いていたということだろうか。

 

「……美味い」

 

「っ!ふんすふんす!」

 

ぱぁぁぁぁ、と目を輝かせるドラグブラッガーに苦笑をしつつ、本当に何からこんな料理の作り方を学んだのだろうと頭を捻った。

 

 

 

♡今回の犠牲者♡

 

「えっ、アギトに料理を作りたいから教えて?」

 

『……ゴァァ』→ドラグレッダーを軽く捩じ伏せながら。

 

「あー、いいけど。もう夜だから今度の『ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』ハイ!喜んでやらせて頂きます!!」→真司涙目。

 

 

 

 

同居人が1人寝不足で上司に怒られているなど知らないアギトは朝食を平らると、コンコンと部屋のドアがノックされる。

 

「誰だ」

 

「……簪、入っていい?」

 

俺の許可も得ずに、更に言えば「入っていい」の時点でドアを開けて部屋の中に入る更識簪の傍若無人ぶりに目つきを鋭くさせるが、この女はそんなもの、何処吹く風と飄々とした態度で部屋に居座りやがる。

 

「……ふぅ、何の用だ?」

 

「今日は、クラス対抗戦」

 

ああ、アレか。

 

「ミラーモンスターに邪魔されたくないから、協力して」

 

「俺が?なぜ」

 

「織斑を叩き潰す」

 

いつもの無愛想な面とは思えない般若顔だ。

あの織斑に、余程の怒りを持っているというわけか。

 

「ふん、良いぞ」

 

「ありがとう。それと、あれは誰」

 

怪訝な表情を浮かべる簪の視線、その先にはいそいそと食器の洗い物に勤しむドラグブラッガーがいる。

この辺の雑事は花鶏の時に婆さんにしごかれたためにこなれているらしく、鼻歌を歌いながらピカピカに洗っている。

 

「俺の従者だ」

 

「………そう」

 

納得の意を示したものの、簪の目は全然信用していないらしい。

 

「………」

 

「………」

 

ドラグブラッガーが注いできたカフェオレを啜っていると、2人は互いに見つめ合う。

簪は訝しげに、ドラグブラッガーは「あ?何こっち見てんだ喰うぞ小娘」という具合だろう。

 

「簪、そろそろ行くぞ」

 

「………分かった」

 

部屋を出ると、ドラグブラッガーがぺこりと頭を下げて洗面所へ行った。

洗面所の鏡からミラーワールドに入ったようだ。

簪を連れた俺は、今日も同じようにSHRをすっ飛ばしてアリーナへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「きゃぁぁぁ!織斑くん、ガンバッテー!」

 

「鈴!負けるなー!」

 

クラス対抗戦、その第1試合。

アリーナ観戦席は大いに盛り上がっていた。

何せそのカードは中国の第3世代を操る代表候補生と、男性初のIS操縦者なのだから。

 

「ドラグブラッガー、臭うか?」

 

『ググゥ……ゴァァ』

 

スマホの鏡面をグルグルと回遊し、首を振る。

ミラーモンスターはない、ただ、あの織斑と篠ノ之束だ、こんなイベント、嬉々として仕掛けてくるだろう。

 

ドン

 

「あっ……」

 

「………」

 

人とぶつかった、軽い衝撃が伝わり、ゆっくりと相手が倒れようとする。

軽く舌打ちしながらそいつの背中に手を回し、右足を前に、左足を後ろに出して堪える。

 

「………あ。……ありがとう」

 

自分が倒れなかった、目の前の人物が支えてくれたのだろう……と、おおよその事を理解した女は片手を上げて礼を述べた。

 

「………男?」

 

青い前髪で片目の隠れたそいつは眉を顰め、全身をジロジロと舐めるように見た。

 

「…………ああ、例の」

 

それだけ言って、俺の手を退けた女は人ごみに消えた。

 

『ゴォゥ……』

 

「………そうか」

 

そして俺も踵を返す。

 

「………臭うか」

 

試合開始の合図が高らかに鳴った。

中国代表候補、鳳鈴音と織斑の白式が激突する。

 

「わあ!織斑くん、避けてー!」

 

「へえ、数回乗った程度にしてはよく動くじゃない。あの子」

 

「流石千冬様の弟ね」

 

織斑一夏対鳳鈴音、戦況は鳳鈴音が押している。

迫り来る風の塊を、織斑は必要以上に避けている………まるでバカ真司を見ているみたいだ。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

「一夏ぁぁぁぁぁ!!」

 

風の塊を見切った織斑が攻勢に転じる。

両手に握った実体剣でもって鳳鈴音へと襲い掛かり…………、

 

『ゴァァァァ!』

 

「………上か」

 

ズドォドン!!

 

「なに!?」

 

「なんだ!?」

 

突如アリーナ上空から何かが飛来した。

織斑と鳳鈴音の動きは止まり、その視線は自ずとアリーナの真ん中に鎮座する何者かへと。

 

「あれはなんだ」

 

細い体に不釣り合いな極太の両腕。

気持ち悪い。

 

「なに、あれ……」

 

「また、先日の怪物!?いやぁ!」

 

周りが騒がしくなる、ドタバタと自分だけが助かりたい女たちは我先にとゲートへ走り、周りが見えないために力の弱い誰かを押し倒し、蹴り、譲り合いを知らぬが為にゲート面積限界以上の人数で押し入ろうとしてつっかえる。

 

「……滑稽だ」

 

これが、ISを扱う女達、これが、アメリカを凌ぐ数のISを保有する学園。

 

「醜いな。…………いや」

 

「行くぞ!鈴!!う、ぉおおおおおおおおおおおおおおお」

 

そう言って、ひっそりとアリーナを見下ろす。

気合いと共に侵入者へと突っ込んだ織斑は、

 

『オラァッ!!』

 

「っ!?ぐぁ、ぉぅふっ………!」

 

侵入者の背後から現れた新手に鳩尾を強く蹴られた。

 

「それは俺も、俺たちも同じか……なあ」

 

『ハハハハハハハハハ、ハハハハハハハ』

 

紫色の装甲、その相貌はまるで蛇。

 

『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ』

 

古代エジプトで使ってそうな杖の形状をした剣を持ち、ぐりんぐりんと首を回した蛇は。

 

『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……!!!』

 

名を、王蛇、その本名は浅倉威。

 

ライダーバトル当時、全仮面ライダーの中で最も戦いを渇望し、生と死の際に魅入られた男。

 

『祭りの場所はァァ……………!!』

 

正に、最狂のライダー。

 

『此ォ処かァァァアアア………!!!』

 

「ドラグブラッガー」

 

『ゴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!』

 

『アァッ……!?』

 

ドゴォォォォォォォォォンンンッッッッ!!

 

 

 

 

 

 

「よし、これで終わりだ、さっさと帰ろう」

 

 

 

 

…………………クラス対抗戦乱入戦王蛇戦、完?

 




浅倉=サンもこれで終わった…………


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龍の敗北

どぅーもズデイ、天敵です。
最近、
ふおおおおぉぉぉぉ フオオオ(((卍(^ω^)卍)))フオオオ
みたいな気分です。そしてポケモンサンまだ全然終わってねねねねねねねねねねry
まだ伝説ポケモンに会ってさえいません、悲しいね。まあスイレン様には会えたので満足っちゃ満足なんだけど。
え?アローラ地方のレッドの姿?なにそれ知らない子ですね。
(ポケモン史上最もダサすぎるとは口が裂けても言え無い)

そして今回はタイトル通りリュウガが敗北しますしあのお方は生きてるし……読者の方変身できなくてマジすんません。
でも、みんな結局こうなるって分かってたよね?ね?ね?




「終わったか」

 

それは、侵入者が龍の顎によって噛み砕かれたことを意味するのか、はたまたアリーナ現在の混乱を示す言葉なのか。

黒いカードデッキを手の中で弄ぶ少年は何も言わず、ただただ無機質にアリーナの真ん中を見つめているだけだ。

 

「一夏っ!」

 

龍に荒らされたアリーナの真ん中で、一機のISが白式の姿を探す。

しかし龍に呑まれた侵入者のパーツかジェネレータが引火して爆発したこともあり、あたり一面は火の海、視界は制限されている。

だが、そこはやはり中国製IS甲龍を操る中国代表候補と言うべきか、甲龍に搭載されている衝撃砲を巧みに扱い、火を吹き飛ばして視界を確保して行く。

 

「開けて!開けてよぉ!誰かぁぁ……!!」

 

「なんで……なんで!なんでゲートが開かないのよぉ!」

 

ふと、女性徒の悲鳴が上がる。

 

「ゲートが突然閉まったのか。フッ、閉じ込めて何をするつもりだった?殺すか?それとも、ただ観せたいだけか?お前の織斑一夏の強さを?……なぁ、天災」

 

ニヒルな笑みを浮かべ、人知れず笑うアギトは、ゲートへと歩を進め、その途中で仮面ライダーリュウガへと変身する。

そしてゲートへ辿り着いたリュウガは、彼の姿に気付いて慌てて後ずさった女生徒を尻目に右ストレート1発で閉じたゲートを強引に抉じ開けた。

 

「ゲートが、開いた!」

 

「やった!やった!」

 

脱出経路が生み出された事に喜びの声を上げる女性徒たち。

彼女は足早にアリーナから避難して行く。

 

『………』

 

慌ただしい周囲から離れ、もう一度アリーナに視線を送る。

視界を封じていた火災と煙は幾分か晴れていて………、

 

『王蛇がいない』

 

ドラグブラッガーの奇襲を受けたはずの王蛇の姿は既に見えなかった。

 

奴はドラグブラッガーの奇襲を受けた筈だが、間髪に避けたか、直ぐに逃げ出したのか。

 

『……ハハハハハハハ』

 

「っ!?きゃ、きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「いや……いやぁ!!いやぁぁぁ!!?」

 

『まあ、そうだろうな。お前は、そんな奴だよな』

 

視線の先には紫色の装甲を纏った禍々しい狂気ーーー仮面ライダー王蛇がいる。

右手にはソードベントで召喚したドリル状のサーベル『ベノサーベル』を握り、首をグルグルと回している。

邪魔な女生徒をドンと突き飛ばし、こちらへ真っ直ぐ迫る王蛇に対峙する。

カードケースからカードを一枚引き抜く。

 

『………』

 

引き抜いたのは同じくソードベント。

何処からともなく飛んできたドラグセイバーを掴み、必殺の一突きを奴の胸へと繰り出す。

 

『ハッ!』

 

王蛇はヒラリと躱してベノサーベルを横薙ぎに振り回す。

咄嗟にそれを受けるが、ビリビリと衝撃の残る思い打撃だ、硬直した隙を狙い、王蛇がカードを引いた。

 

『ハハハ、もっとだ。もっと俺を楽しませろ。リュウガァァァァ!!』

 

『Advent』

 

『チッ!』

 

背後から王蛇の使役するミラーモンスター、ベノスネークが現れ、その禍々しい口のから毒液を吐き出す。

 

『ぐあっ!』

 

『どうしたぁ?背中を掻いて欲しかったのかぁ?』

 

ベノスネークの攻撃を避けるために王蛇に背中を見せた瞬間、奴の突きを喰らった。

王蛇はそのままベノサーベルを上段に振り上げ、叩きつけるように振るった。

 

『ほらほら、避けろ避けろ!』

 

『ふっ、はっ!』

 

熾烈な打撃を横へゴロゴロと逃げる。

 

『シャァァァァァ!!』

 

『なっ!?この糞蛇!』

 

体がフッと軽くなる、視界が反転する。

 

ベノスネークが俺の右足に噛みつき、引き上げたのだ。

 

『こりゃあいいサンドバッグだな。クク』

 

『ぐっ、ガハッ!』

 

ドス、ドス、と腹部に拳が集中する。

腰部のカードケースから引き抜こうにもベノスネークがブラブラと揺らすために叶わない。

 

『調子に乗るな』

 

グッと左足をベノスネークの首に巻きつけて締め上げる。

苛立ちの声を上げたベノスネークの舌を即座に掴み、思い切り引き抜いた。

 

『シャァァァァァァァァァッッッッ』

 

痛みに悶えるベノスネークは無様な鳴き声を上げてリアルワールドから消えた。

 

『ぐっ……!?あが』

 

残るは王蛇、しかし、急に目眩が起こり、目の前がぐるんぐるんと回転する。

 

『クハハ……』

 

王蛇はゆっくりと歩みを進める。

体に寒気が起き、背中からは冷や汗が止まらない。

王蛇の使役するベノスネーク、アレに噛まれた所がズキズキと痛みを主張する。

どうやら、強烈な毒が足を侵食し、体の方にも回ってきたらしい。

 

『酔っ払ったか?ハハハハハ!』

 

横殴りの衝撃、地面に倒れた。

意識が追いていけない事に内心歯噛みする。

体が無意識に震え始め、自由に動かせないことを知る。

 

『ハハハハハハハハハハ』

 

『………!』

 

首を掴んだ王蛇は無造作にアリーナへと俺を投げた。

背中を強打し、息苦しさに咳き込む。

目の前に迫る王蛇は、俺の腕を踏み付け、ベノサーベルを突き刺した。

 

『〜〜〜ーーーッ!!!』

 

声にならない叫び。

もはや声帯までもが麻痺した状態では声を上げて喚くことすら出来ず、その癖頭は妙に冴え渡っていて、筋肉を貫いた剣先が、筋肉繊維をブチブチと切り裂いていく音が鼓膜の奥に響く。

 

『ッッ!?〜〜ッ゛!!ッ゛ッ゛ッ゛』

 

ハハハ、ハハハハハ、と嗤う王蛇はご丁寧にぐりぐりぐりぐりぐりぐりとベノサーベルを動かして傷口を更に抉っていく。

これが王蛇、殺し合いを楽しむ究極のサイコパス犯罪者、浅倉威という男。

 

『ハハハハハ!ハハハハハ!ハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハハ!!?』

 

ズクっと引き抜き、もう片方の足を刺す。

ぐりぐりとやったら今度は左足、右足、足の甲、そして最後は……………、

 

『ハハハ、お前の戦う理由。“居場所”が欲しかったぁ……だったか?クク、だからお前はザコなんだよ。違うのか?リュウガァァァァ……………』

 

うるさい、死ね、クソ浅倉。

胸の装甲へとベノサーベルの剣先が光る。

体が、本能が死ぬことを理解したからか、あいつのトドメがゆっくりと、ゆっくりと動き始める。

そして、コツン、とベノサーベルがリュウガの装甲を叩いた。

 

 

 

 

 

これで終わりか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダダダンッ

 

『ぐぁぁ!?』

 

『………?』

 

なんだ、誰か……北岡?

 

『やれやれ、やっと見つかってくれたよ。浅倉威』

 

駄目だ、意識が、もう………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリン、鏡の割れる音。

リュウガの装甲が消え去り、変身者であるアギトは死んだように意識を失った。

そして、気絶したアギトを庇うように、軽快なフットワークで王蛇の前へ躍り出た黄色い仮面ライダーは、親指と人差し指を立てて拳銃に見立てた右手を王蛇に向けて「バンッ」と呟いた。

 

『不法侵入に傷害罪、器物損壊に恐喝罪もある。……おっと、仮面ライダー同士とはいえ、殺人未遂もね』

 

仮面ライダーリュウガを殺せなかった。

王蛇は苛立ち、舌打ちと共にベノサーベルを黄色の仮面ライダーへ投げた。

 

ガン!

 

『あぁ゛?誰だテメェ!』

 

投擲されたベノサーベルを左手に握った拳銃で難なく撃ち落としたライダーに対して、王蛇は今更ながら目の前の敵に存在を訪ねた。

 

『仮面ライダーレオンだ。罵るのはいいけど、声は小さくね。なんせ、此処は淑女達が集まるIS学園だからさ。獣のような言葉はこの場に相応しくないんだ』

 

『………………イライラする』

 

リュウガを殺せなかった事に、北岡と同じ武器を扱い、未だ余裕のある敵に、女特有の甲高く煩わしい悲鳴に、鼻の奥にツンとくる吐き気を覚える汚ねえ臭い(香水のこと)に。

 

王蛇は咆哮した。

獣のような他を威圧する鳴き声だった。

腰を落とし、首をぐりんと曲げ、ベノバイザーを振り回し、目の前の仮面ライダーを威嚇する。

 

『そうかい。君と違って僕は機嫌が良い。何せ、IS学園に君が来てくれたお陰でセシリアに顔を合わせる口実が出来たわけだからさ。まあ、そんなに手間を掛ける気は無いよ』

 

レオンもまた、左手で構える機召銃レオンバイザーとは別に、右手をカードデッキへ伸ばし、新しいカードを引いた。

 

『うるせぇ……。黙れ……黙れ……黙れぇぇ!』

 

癇癪を起こした王蛇はベノバイザーを地面にぶつけて怒りを露わにする。

そんな王蛇へと、仮面ライダーレオンは言う。

 

『ふぅ、短気な男は損するよ?』

 

『黙れぇぇぇぇぇぁぁぁあああああ

!!!!!』

 

レオンの挑発を皮切りに王蛇は低い姿勢のまま突っ込んだ。

 

『仮面ライダーレオン。指名手配の浅倉威を現行犯逮捕する。覚悟しろよこの蛇野郎、ソコはもう僕のキルゾーンだッ!』

 

ダダダダダダダダダダダッ!!

 

フルオートで撃ち出された弾丸は、少しの狂いもなく王蛇の顔面を穿っていく。

少し怯んだ王蛇は咄嗟にベノバイザーをレオンに対して投げつけた。

自分の武器を全て投げる王蛇の行動にレオンは驚くが、感情とは逆に、レオンバイザーの銃口は迫るベノバイザーを捉え、指は引き金を引く。

 

『ァァァァアアアアア゛ア゛ア゛!!!』

 

『こいつ!………いや、逆に好都合かな』

 

だが、既に王蛇はレオンの懐へ接近していた。

両手で素早くレオンの身体を掴み、地面に押し倒してマウントを取ろうと画策する。

しかしレオンは受け身を取りつつ巴投げの要領で王蛇を遠くへ蹴り飛ばした。

 

『ガァァァ!!』

 

背中を打ち付けた王蛇は痛みを感じないそぶりで立ち上がり、いつの間にか拾っていたベノサーベルを振り回す。

 

『野獣だな、お仕置きが必要かな』

 

敢えてリスキーな選択を取り、眠るアギトと王蛇との距離を開いたレオンは、改めてレオンバイザーにカードを挿入した。

 

『SWORD VENT』

 

バチッッッ!!

 

仮面ライダーレオンを中心に雷光が奔った。

いや、違う、雷光の源はレオンが右手に握られた一本の西洋の剣からだ。

バチバチバチ、と電撃の迸る雷剣に王蛇は怒りを忘れ、慎重な戦いを行う事にした。

 

『獅子雷剣。綺麗だろう?何時もレオングの尻尾を手入りしてるから切れ味は抜群だよ?』

 

ブン、ブンと空振りする毎に電撃が放たれる。

そして、

 

『はぁぁぁぁ!!』

 

『ガァァァァ!!』

 

振るわれる剣とサーベル。

ふた振りの剣がぶつかり合うと同時に両者の間に眩い電光が光る。

サーベルを通じて電流が王蛇の体に流れていく。

ビクン、ビクンと震えるも、王蛇が握るベノサーベルは徐々に力を増していく。

 

『イライラするんだよぉ!お前はァァァァァァァァ!!!』

 

『おいおい、おいおいおいおい』

 

ダダダダダダダダダダダ!!!

 

『ぐはぁ!?』

 

『もしかして、忘れてる?僕の武器が獅子雷剣だけじゃないって事をさ』

 

呆れたようなレオンの声、その左手には王蛇を銃撃したレオンバイザーがある。

レオンは片手でベノサーベルとの鍔迫り合いを演じ、王蛇の腹部に不意撃ちをぶつけた。

 

『クソがっ!』

 

吹っ飛ばされた場所に放置されたベノサーベルを拾い上げ、デッキから引き抜いたカードをベノサーベルに挿入する。

 

当然、必殺のFINAL VENTを放つだろう。

 

『ふぅん?じゃあ、こっちも』

 

地面へ獅子雷剣を突き刺したレオンはカードを引き抜き、レオンバイザーに挿入。

彼が使用するのは、王蛇と同じくFINAL VENT。

 

『ぅおおおおおおおお!!!』

 

『サンダーズエンド……!!』

 

バヂバヂバヂーーーーー!!

唐突な雷を引き連れたライオンが立派な鬣を震わせながら咆哮する。

王蛇は低い姿勢のまま駆け込み、レオンは両手で持った獅子雷剣を構える。

 

『ハァッ!!』

 

王蛇の背後に控えるベノスネークが大口を開けて凶悪な毒液を吐き出す。

勢いよく放出された毒液は王蛇を乗せて勢い良くレオンへと強襲する。

王蛇の変幻自在のライダーキックにレオンの剣は掠らず空を切り、王蛇のキックがレオンの腹部を強烈に打ちのめした。

 

『ぐぁぁっ!!』

 

『ハハハ!どうしたぁ!もう終わりかァァ!!………………ア゛ァ゛ッ!?』

 

確かな手応えに王蛇がベノサーベルを構え直すと、彼の背後から王者のプレッシャーが弾けた。

王蛇の背後には仮面ライダーレオンの使役するモンスター、レオングが悠然と聳えていたのだ。

そして今、かの雷王は後ろ脚で立ち上がり、二本の前脚を思い切り振り下ろした。

 

『グッ!?ガァ!』

 

一撃、二撃と王蛇の装甲に叩き込まれる鋭い爪、距離を取ろうとする王蛇は身体を痺れさせる電流に、つい、息を呑んだ。

 

『ガオォォォォォォォォォーーーーッッ!!!』

 

巨大な獅子が、軽やかにバック転する。身体を反らし、後ろへ跳ぶと同時に後脚の2連撃が硬直したままの王蛇を強く蹴り上げた。

更に続く追撃、獅子の背中に取り付けられたバズーカとミサイルユニットから弾道が射出し、無防備な王蛇の体に突き刺さって爆発する。

 

『ガォォォアアアアアアアア!!』

 

唸る、咆哮。

迸る、雷光。

 

獅子を中心に発した雷電は主人であるレオンへ奔り、彼の右足へと収束して行く。

王蛇のファイナルベントを喰らい、フラフラと立ち上がったレオンはこっちに飛んで来た王蛇に狙いをつけるとまるでブレイクダンスのように体を高速に回転させ、レオンの必殺の後ろ回し蹴りが王蛇の頭部に繰り出された。

 

『ハァァッ!!』

 

『グァァァァァ!!』

 

蛇と獅子の戦いは、獅子が蛇の頭を噛み砕き、獅子の腹には蛇の牙が突き刺さった。

 

『ぐ、ぐふっ』

 

『ぐ……はぁ、はぁ』

 

レオンと王蛇は共に満身創痍。

 

『はぁ……ぁぁ゛!イライラ……するぁ゛ぁ゛!!がはっ!!』

 

『クッ、待て!王蛇……浅倉威!』

 

先に動いたのは王蛇、浅倉は観客席へ逃げ込んで行った。

 

『はぁはぁ……はぁはぁ……あぁ〜くっそー!逃してしまったな……はぁ』

 

追いかけようとして、ふと思いとどまる。

どうせ王蛇はもう鏡を経由してミラーワールドに逃げ込んだだろうし、なにより仮面ライダーリュウガの変身者を置いておくことは出来ない。

 

『はぁはぁ………ふぅ。次は逮捕してみせるさ。でも今は……協力者かな!』

 

振り返れば、アリーナへ続々とISが集結していた。

教師陣のIS部隊、それを率いる織斑千冬、専用機を所持する代表候補生達、その中にはレオンが溺愛する従姉妹の姿もあったし、彼が嫌う男性操縦者の姿もある。

 

「抵抗するな、仮面ライダー」

 

『する気力もありませんから。ああ、彼には触らないでくれますかね?僕が運ぶので。……リュウガのカードデッキにも触らないで欲しいですね、彼の龍、怒らせると怖そうだ』

 

肩を竦め、アギトを持ち上げる。

織斑千冬には断って、主要人物のみを集めて説明をすることにした。

それは勿論、自分の従姉妹や生徒会長、学園の理事長……裏も表も。

それら含めて、5人。

それが、彼の出す秘密と情報を開示、共有する上で最低の人数だ。

 

「………」

 

何処まで晒し、何処から隠すか。

仮面ライダーに関する情報の線引きを思案するレオンはふと、装甲越しに殺意のこもった視線を感じると、その目の持ち主は、正に場違いなメイドだった。

 

「………(ぺこ)」

 

軽く頭を下げたメイドは、「あくしろよ あ゛?何見てんだゴラ喰い散らすぞ?あ゛?」とでも言いたげな瞳でレオンを睨み、彼の両手からアギトを奪うと、うずうずとした表情で眠る彼の頰に軽いキスをした。

 

「………♪」

 

上機嫌な彼女はご機嫌に鼻歌を歌いながら、されど周囲へ隙のない殺意とプレッシャーを撒き散らしながらレオンと、学園の話し合いをせっかちに促した。




というわけで!今回はルオンさんのオリライダーレオンを出させて頂きました!まだ出せてない人ゴメンよ………出したいのは山々だけど俺の構成能力がクソすぎるんだ……。
キャラの方は紹介ページに貼っておきますので!



それと、ルオンさん、ちょっとファイナルベント弄っちゃったり口調コレで良かったのか!?等の不安がありますのでメッセージ等でご指摘お願いします!


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規格外のシスコン紳士

 

 

 

「えーっと。どこから話せば良いかな。いや待て、先ずは挨拶が先かな。ああいや、最初に友好的な態度を示すべきだな、うんうん。……友好的な態度、え?なにをどうすれば良い?あ!日本のアニメの話でもしようか。んー、何がいいかなぁ?」

 

「お、お兄様。落ち着いてださい!」

 

「あ、セシリア。随分と久しぶりだねぇ。背伸びた?それより僕のこと覚えてるよね?アルスだよ。アルス・ウォルコット。あはは、僕も仕事の方が忙しくてね。今度実家にも顔出さなきゃな〜。あ、そういえばチェルシーは元気?んー1年と三ヶ月くらいだっけ?はあ、ほんと仕事イソガシイ。趣味に没頭したい。出来ない。チェルシーに会いたいなぁ。あ、セシリアには会わなくてもいいとかそんなんじゃないよ?現にこうしてセシリアに会えたんだし、けどそうなるとチェルシーにも会いたくなってきたなぁーってね?」

 

「はい、はい、はい。わたくしもお兄様な会えてよかったですわ………はぁ」

 

セシリアは頭を抑えて唸った。

やはりしかし、それと同じくらい嬉しかった。

やはり兄は、アルス・ウォルコットは以前と全く変わりない。

自分とチェルシーの事を気にかける優しい彼のままだと。

 

「あれ?君って今のIS学園生徒会長?あ、そうなんだ。いや、僕の妹2人もここの生徒会長やってたから。確かカタナちゃんって言うんだよね。こう、ニンジャソウルやサムライダマシイが迸ってていい名前だね!アイエエエエって。あ、これは僕の好きなニンジャアニメのセリフね?一般人の台詞なんだけどなんかね、中毒性があってね」

 

「あ、は、はい……え?なんで、私の名前」

 

兄の言葉攻めに生徒会長の更識楯無は呆然とした。

何故なら、彼が自分の真名を知っているからだ。

 

「あ、ごめんね。当主としては楯無だったね。これから気をつけるよ。さて、お集まりいただいたみなさん、どうもありがとうございます。改めて自己紹介させて貰いますが、アルス・ウォルコット。ICPO所属の仮面ライダーです。以後よろしく」

 

ICPO所属、そして仮面ライダー。

この単語に集まっているメンバーは全員驚愕した。

 

「お、お兄様……いつの間に」

 

「え、ICPO?あ、仮面ライダーの方?とある同好の士から盟友の証として貰ってね。不可解事件や犯人逮捕に一躍買って貰ってるんだよ。ああ、心配しなくても本国では周知の事実だから。今度マー◯ルでヒーローの1人として実写映画出ない?って話もあるよ」

 

「「「………」」」

 

規格外だった。

この人物は常識の通じない人物だ。

世界最強、ブリュンヒルデ織斑千冬に負けず劣らず、リアルチート保持者だと更識楯無は顔を引攣らせた。

だがそれはセシリアも同じだろう、知っている人が突然自分は仮面ライダーだと言っているのだから。

そう思い楯無はセシリアを見た。

 

「お兄様!お兄様は……お兄様は仮面ライダーなのですね。う、うう。嬉しくて涙が……お兄様はイギリスの誇りですわ!!」

 

感涙していた、それも引くほど。

ブリュンヒルデや学園長2人は動揺したそぶりを見せていない。

 

(マジですか、この人たち!本当にマジですか!?仮面ライダーよ?彼!…まあ、私もだけど)

 

「それで、貴方がきた理由はなんでしょうか」

 

裏の学園長、轡木十蔵は単刀直入に用件を聞いた、そしてアルスの方も、表情を改めて話を始める。

 

「平たく言えば情報の共有と行動制限の拒否ですよ。学園長。僕は立場上世界を飛びまわらなければいけない。しかしその度に足を引っ張ろうと画策する奴がいると非常に邪魔でして」

 

「ほう。IS学園はそれに成りかねないと」

 

「既にIS学園は大なり小なりライダーにとって邪魔なんです。ご存知でしたか?」

 

「……」

 

「織斑先生、下がってください」

 

動こうとする織斑千冬を“学園長”轡技十蔵が押し止める。

彼女ではアルス・ウォルコットを御すことは出来ないと判断した上でだ。

 

「それに今回は浅倉威を取り逃がしてしまった。これは非常にマズイ事態です」

 

アルスはそう言い、沈痛な面持ちで頭を下げた。

本人にとって浅倉威を絶好の機会で逃してしまったことが実に悔しいらしい。

 

「……浅倉威の名前は知っていますが、それほど危険な人物なんですか?確かに彼は刑務所を脱獄したらしいが、それは同時に一度警察に捕まったと言う訳でしょう?」

 

織斑千冬が視線は鋭くしたままにアルスに切り込む。

当のアルスは織斑千冬を信じられないバカを見る目で口を半開きにしていた。

 

「……失礼。貴方の浅倉像がどうかは知りませんが、ミス織斑。今の浅倉威は仮面ライダーだ。ISが勝てない仮面ライダーに彼はなれるんですよ」

 

(アルスさんの言う通りね。私も仮面ライダーの経験があるから分かるけど。浅倉は異常よ、普通のIS操縦者は論外、かのブリュンヒルデですらも容易く蹴散らすでしょうね)

 

アルスの見解は楯無の見解と同じ、浅倉威はIS神話を根本から破壊しかねない人物だ。

 

「それに、浅倉…王蛇の毒にやられた仮面ライダーリュウガの容体は芳しくない。王蛇が危険な理由は異常なまでの闘争心、毒、人を殺すことに全くの抵抗を持たない性格です」

 

「毒、とは?」

 

「彼の契約モンスターである蛇の化け物と彼が使用する多種多用の毒です。リュウガを動けなくして自分でとどめを刺したいがために神経毒の一種を使ったようですが、それが長く続けば人にとっては致死性の毒になるでしょう。彼が死ぬのは非常に不味い」

 

ちらりと視線を移す先には黒髪の少年がソファーに寝かされている。

その傍らには何故かメイドもおり、その横では金髪ロングヘアのワンダフルボディの女性が話しかけている。

アルスによれば金髪の女性は彼の契約モンスターという話で、実際はライオン型のミラーモンスターらしい。

 

「彼が死ぬのは非常に不味いと仰りましたが、それは何故ですか?」

 

「契約主が死ぬと、契約しているミラーモンスターが暴走するからです。暴走したミラーモンスターは自分が消滅するまで大いに暴れることでしょう」

 

少年、アギトの契約モンスターが危険な事は一度対峙した織斑千冬が既に承知している。

既に職員も1人殺されており、悪戯に刺激しない事はIS学園も同意する。

 

「毒に対する解毒薬はあるのですか?アルスお兄様」

 

「ああ、セシリア。仮面ライダーの中に毒に詳しい人物がいる」

 

「名前を聞かせてもらってもよろしいですか?」

 

面の学園長、轡木十蔵の妻が尋ねると、アルスは首を横に振って拒否を示した。

 

「No、です。彼女は非常に気難しい性格で、ライダーとして相応の実力もある。彼女の情報を公開したと彼女の警戒を強めるのは得策ではないと判断しています。勿論これは仮面ライダーとしての主張であり、ICPOの見解でもあります。どうぞご理解を」

 

「そうですか。ではなぜ、我々に今回の話を?」

 

「一つはIS学園という独立した場で僕の存在が公になったこと、もう一つは彼の保護を求めたいことです。見ての通り彼は今無抵抗の状態で、まあ、手を出せば彼の契約モンスターが黙っていない。それで各国が好機と見て工作員を送り込んで契約モンスターが暴走することが一番不味い展開だからですよ。貴方方にはそれを防いでもらいたい」

 

これで話は終わりとばかりにアルスは席を立つ。

 

「今回浅倉威をIS学園に招待したのが誰かは分かりませんでしたが、覚えておくと良い。今の世界は、鏡のようなものだと」

 

「それはどういう?」

 

織斑千冬の問いかけに微笑みで答えたアルスは金髪の女性を連れて部屋を出た。

 

「持ち主の本性を醜く表し、それでいて脆く壊れ易い……所が、ね」

 

暗に女尊男卑の世の中を批判する言葉を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

「せんせっ、支倉せんせー」

 

都内の共学校。

その敷地内に彼女はいた。

 

「支倉紫穂先生っ」

 

「あら、今日も元気ね。駄犬」

 

「う………名前をフルネームで読んだ瞬間のこの仕打ち……コレ…イイ……ハァハァ///」

 

支倉紫穂、20歳。

身長159㎝、スリーサイズB86 W56 H84(紫穂ファンクラブ有志調べ)、やや紫色を帯びた銀色のセミロング。

都内共学校の講師である女性だ。

その女性は、自分の名を呼ぶ学生に用件を聞くと、学生は彼女に来客だと告げる。

 

「へぇ、男ね。私に声をかけるなんて珍しいじゃない」

 

支倉紫穂は有名だ。

美しい容姿もあるが、彼女の名を広めているのは彼女の性格と持論。

女尊男卑の世の中で「ISを否定する」女性は嫌われる、彼女もまたそのうちの1人だ。

そして、彼女は、実にサディスティックな一面を持つ。

 

涼しげな顔で毒を吐き、相手の反応を楽しむ真性のドS。

美人だと声を掛けるナンパを言葉責めで甚振り、「自信満々の顔をくしゃっと歪まさせるまでゆっくり炒めてあげる♡」のが最近のマイブームだと公言する彼女に一部の変態紳士達がファンクラブを作るほど。

 

「あら、誰かと思えば」

 

「やあ、女王様」

 

「筋金入りのシスコン紳士じゃない(にっこり)」

 

「ぐふっ………!?ぐ、がほっがは……」

 

毒を吐かれた相手、紳士ことアルス・ウォルコットはfinal vent級の口撃に思わず胸を鷲掴みにした。AP10000越え。

 

「あは、あはは……きょ、今日も美しく、弁舌冴え渡ることで…」

 

「世辞はいいの。そんなこと一ミリも思ってないのは目に見えてることだから(・・・・・・・・・・・)。で?用件は何?どうせすぐ終わる話だろうから貴方の配慮も兼ねてコーヒーは出さないわよ。私は飲むけど」

 

見せつけるようにコーヒーカップに口をつける紫穂、正に外道…あ、いえ、正に女王様である。

 

「アハハ……浅倉威の件で君に協力して欲しい」

 

「浅倉……なら、解毒薬かしら」

 

紫穂は浅倉威の危険性やライダーの特徴を事細かに知っていた。

それは、アルス・ウォルコットを通じて情報を得ているからだ。

 

「ああ。実は仮面ライダーリュウガが毒でやられちゃってね」

 

アルス・ウォルコットはICPOの立場を生かし、組織内にコネや繋がりを作っていて、仮面ライダーと知られても支障の無い土台を作り、世界各国と言えど、容易に手出しはできない。

そして、彼は多くの仮面ライダーとの面識を持ち、“管理者”としてライダーへの無用な手出しを牽制する傍ら、こうしてライダー間の情報のやり取りしている。

支倉紫穂もまた、アルスと交流のあるライダーだった。

 

「ふぅん。私と同じと思ったけど、やられるなんてつまらない男。それで、毒の種類は?」

 

「恐らく神経毒。でもベノスネーカーの毒だ」

 

「直に見ないとどうにも言えないわね」

 

支倉紫穂は毒使い、その道専門のプロフェッショナル。

戦闘では口から吐き出す毒で相手を揺さぶり、繊細な手つきで色々な毒を用いる。

……その為好き好んでバトろうとするライダーもいなければ言い寄ってくる男もいないので20歳にして男ナシ。

年齢=彼氏れkーー

 

「うるさいわよ」

 

「?え?なんか言ったっけ?僕」

 

「ふん、まあいいわ。仕事が終わった後にでも容態を見に行くから人目のつかない場所に寝かせといて。あとは勝手に入って視るから」

 

「ああ、彼の部屋番号を教えとくよ」

 

ライダー同士の会合が終わり、アルスはそそくさと都内共学校を出る。

IS学園に共学校と梯子した彼は次に携帯電話を取り出して連絡を取り始める。

 

「………あ、もしもし。海洋さんですか?僕です、アルスです。はい、やっぱり今回は天災の仕業と見て間違い無いですね。はい、海洋さんも気を付けてくださいよ?いざとなったら海に逃げ込むって…はは……」

 

話し相手は世界的海洋学者の亀田海洋。

元自衛官、それも自衛隊の潜水艦ソナー手という異色の経歴の持ち主。

本人は真面目で実直、実質剛健な人物だったが女尊男卑の世の中で女尊男卑派の上官となんだもぶつかり、除隊。

以降、夢を追うように海洋学者となる。

 

「海洋さんが海に潜ったら洒落にならないですよ?仮面ライダートータスの貴方が海に潜るとね」

 

仮面ライダートータス、亀田海洋。

自衛隊を辞めて海での活動を始めた頃、神崎士郎と出会い、交流。

その後神崎士郎の試練(強制イベント)に巻き込まれ仮面ライダーになる。

本人としてはライダーの装甲と契約モンスターを使うことで海底まで気軽に行けるから海底調査が楽になった、とのこと。

そして彼もまた、アルスとの交流を持つ仮面ライダーであるが、仮面ライダーの力を利用しての海底地質研究などで論文を出していて超一流の海洋学者として名を馳せている。

彼が1日海に出られないだけで海底の研究が一年以上滞ると言われる程の有名人だ。

 

「天災が貴方に手を出すとは思いませんが、気をつけるだけはしてくださいよ?はい、それじゃ」

 

話が終わってスマホの電源を切ったアルスは、これで最後だととある喫茶店の扉を開いた。

カランカラン、と鈴が鳴り、喫茶店特有の芳醇な香りがアルスの鼻腔をくすぐる。

 

「店員さんはいませんよー……て、なんだ。アルス君か。いらっしゃい」

 

「どうも、芳野先生」

 

カウンター席に座る男性。

カタカタとリズム良くタイピングを続ける彼に人懐っこい笑みを浮かべて席に座る。

 

「いや、それにしても悪いね。アギト君の件」

 

「いえそんな。仮面ライダーの危険性や情報を集めるのが僕の仕事ですから、何時も情報提供してくれて、先生には感謝してます」

 

「そう言ってくれると助かるよ。あ、噂だけどライダーの話、聞いてく?」

 

「勿論」

 

喫茶店花鶏の常連、小説家高倉芳野はアルスの情報提供者としてのお得意様だ。

小説を書くついでとしてミラーモンスターの目撃情報や新しい仮面ライダー、まだ存在を知られていない仮面ライダーらしい噂を集めてくれている。

色々な話から彼が纏めた噂を元にアルスが直接現場に赴き、支倉紫穂や亀田海洋といった変身者達と交流を結ぶ。

そこから仮面ライダーが別の仮面ライダーと知り合っていく。

それがいつものパターンだ。

 

「今回は纏めた感じ鷲獅子を従えた騎士とゴリラだね。騎士の方はライダーで間違い無いけど……。そうか、ゴリラかぁ」

 

「ゴリラ……」

 

「「ゴリラ……」」

 

今日も管理者ライダーアルス・ウォルコットの戦いは続く。

 




管理者……イレギュラー……フロムマジック……最新作はVR……ドミナント厨w…ゲイヴンは勘弁…うっ、頭が……。

はい、というわけで今回は如月猫様から支倉紫穂ちゃん。
M@TSUさんから亀田海洋を出させて頂きました。
アルスの話し方が前話と違くねえか?って方、間違えてるわけじゃ無いですよ?ウンウン、ただこれがアルス君の外客用の口調ってだけなんですよ?


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毒舌姫のおつかい

どもどもー。えー、今回なんと、ドラグブラッガーのメイド態擬人絵イラスト描きました。
「魅惑の怪人チキンフライ」話の前書きに載っけてますので良かったら見てやって下さい。
色塗りが苦手だけど我ながら結構上手くやれたんじゃないの?とか思ってます……まあ、贔屓入ってるけどね。
最初に忠告しとくけど、デジタルで塗ったの今回が初めてだからね!肌とか影の付け方とかマジ訳わかんねえ!


 

夜、それは彼女にとって居心地の良い時間。

理由は特にないが、1つあるとすれば、それは静かだから。

騒ぎ立てる者はなく、視え過ぎる感情も欲望も無い、本当の静寂。

彼女はそれが好きだ。

ただ、彼女にとって、今の世の中は耳を塞いで目を閉じても防ぎように無い程五月蝿く、この上なく目障りだ。

 

"この世の害となる存在"、IS。

 

それが現れた事で世界のバランスは崩壊し、世は女尊男卑の世界となった。

 

ISは女性しか操縦出来ない。

しかしその防御性能と火力は軍隊をも凌駕する。

大国はISの力に歓喜し人材を集めた。

優秀な女性がISを操縦させるために女性の地位を向上させ、その立場を極点に優遇させた。

その結果、裁判では相手が女であればどんなに男に非がなかろうと有罪となり、男の人権はあっという間に遥か底へ追いやられた。

これが女尊男卑となった世の中の過程だ。

 

「下らない」

 

彼女はポツリと呟く。

まるでその言葉こそ真理であるように。

彼女の周りにはボロボロになったロボット?と女性が倒れている。

女性の方は気絶しているようだ、スク水のようなスーツからはみ出る手足には目立った外傷はない、勿論顔にも。

 

「手加減しておいたわよ。顔は女の命だから。次に会うときは互いに真っさらだと良いわね」

 

彼女……支倉紫穂こと、仮面ライダーサリスは現場を後にする。

辺りにあるのはクレーター化した旧廃校、粉々になって散らばったガラス片。

ISと仮面ライダーが戦ったことでここまでの惨事が起こったものの、当の仮面ライダーは手加減をしていたのが事実であり、結果だった。

 

「さて、と。用事に行くわよ、スカルピオン」

 

カサカサカサカサと闇夜に紛れて白い影が紫穂の周りを周回する。

そんな姿を見て紫穂は愛おしそうに笑い、白い影の背に乗った。

 

『クカカカカカカカ』

 

4対の脚を持つ巨大な白い骸が鏡の世界を駆け抜けて行く。

虚像の木を薙ぎ倒し、壁面を走り、建物の屋上から勢いよくジャンプする。

全長3mの巨体が加速しながら着地する。

ドシン、と地面が揺れ、白い髑髏のような骨格が跳ねた。

 

『クカカカッ』

 

白い煙の中、遂にその姿が現れる。

闇夜に溶け込む紺色の外骨格、体型は蠍型。

紺色の骨格には所々白いラインが引かれてあり、その背中には白い髑髏のような骨格がおぶさり、その中に紫穂……仮面ライダーサリスが収まっている。

 

『クカカカカカーーーー!!』

 

骸蠍スカルピオンがおどおどしい咆哮をあげた。

その声を求めて彷徨い近付く数十のミラーモンスター達。

囲まれて尚骸蠍の士気は高い。

4対の脚を動かし手短なミラーモンスターへ近付くと思い切り鋏を振りかぶり、水平に薙ぐ、元々の刃の鋭利さと突っ込む速度の相乗効果で二足歩行型の豚人?モンスターの胴体が裂けた。

そして次に裏拳のように鋏を振り回して適当にミラーモンスターを鋏で器用に挟んで行く。

 

ブォン……ブォン……!!

 

そして、それをーーー、

 

ガッ……!!ドゴゴォッッッッ!!!

 

無造作に叩きつける。

挟み込まれていたミラーモンスターは身体がへし折れたり、頭蓋を砕かれたりと、一つの例外なく消滅した。

どよめくミラーモンスター達、それを見逃す骸蠍でもなく、動きの固まっているミラーモンスターを適当に鋏で突き刺し、裂き斬り、はたまた叩いて潰す。

その工程を繰り返しながら骸蠍は主人を乗せて鏡の世界を走り回る。

 

そして、彼女達は何時の間にかIS学園の前まで辿り着いていた。

仮面ライダーサリスは足代わりに使っていたスカルピオンから降りてリアルワールドに戻る為の適当な鏡面を探す。

スカルピオンの方には、どうやらお客さんのようだ。

 

『シャッシャッシャーーーッ!』

 

『サメサメサメェーーーー!!』

 

ホホジロザメ型とシュモクザメ型のミラーモンスターが2体、正門からひょっこり現れてスカルピオンを威嚇する。

 

「暇潰しに遊んであげなさい。スカルピオン」

 

『クカッ!』

 

蠍と2匹の鮫が虚像の学校を壊しながらかけっこするのを横目に、支倉紫穂はライダー体を解除して鏡からリアルワールドの寮の中へ入った。

 

「……誰もいないわね…?」

 

ひょっこり顔を出して周囲を軽く見回し、IS寮の廊下に侵入した支倉紫穂。

その姿は…………IS学園の制服姿だった。

 

「んー、制服姿って何年振り?あ、2年前くらい?……二十歳だから当たり前だけどまだいけるわよね?」

 

ミラーワールドとリアルワールドの通路に使った鏡に映るJK姿の自分を見て背中を見たりスカートの丈を気にしたり、ピョンピョン跳ねたり、セクシーっぽいポージングをとったりと懐かりし頃の思いを楽しんだ紫穂は当初のおつかいを始める。

 

「さて、と。部屋は……ここね。入るわよ」

 

とある一室の前に来た紫穂はノックもなしに扉を開ける。

そこにいたのは…………、

 

「………(怒)」

 

「痛い痛い痛い!?こ、この子!なんて怪力なの!?」

 

メイドさんにドラゴンスリーパーを掛けられているIS学園最強、生徒会長更識楯無だった。

 

「……えぇ…」

 

この光景には流石のドSの女王も引いた。

 

「………」

 

そして紫穂に気付いたメイドーーー擬人態ドラグブラッガーはドラゴンスリーパーに掛けている楯無を空中にポイっと放り投げてすかさずドラゴンスクリューで床に投げ倒す。

そこから顔面を床にぶつけて一瞬意識の飛んだ楯無を拘束、彼女の動きを封じつつ楯無の股を紫穂に向けて思い切りVの字開脚させた!!!

 

「ッ!!?ッ!?…ッえ?は、はぁ!?」

 

「……う、顔面痛……ッ、ッ!?な、え!?ええ!?ええええ!?ちょ、まっ、この体勢…や、あぁぁ!?」

 

「………ニヤ」

 

そう、ドラグブラッガー渾身の恥ずかし固めである。

楯無が意識を取り戻して高速から抜け出そうにもドラグブラッガーの固め方は非常に強く、楯無は眼前の紫穂に己の下着を晒すこととなった!!

 

「………ぷっ、くふっ、あははは!何これ、面白」

 

楯無の恥態を目撃した紫穂は直ぐさまスマホを取り出してカメラ機能で速写する。

カメラのシャッター音が高速で鳴り、フラッシュが楯無の全身を照らす。

 

「ちょ、カメラ……なんっ……あっ!あなた、うちの生徒!?」

 

「そうよー?ここにはちょっとしたお使いを頼まれちゃってねえ。でもまあ、こんな面白い見世物が見れるんなら良かったのかも」

 

パシャパシャと写メを撮りつつ件の人物の元へと。

部屋の隅、ベットには1人の少年が寝かされていた。

龍賀アギト、仮面ライダーリュウガの変身者で今現在仮面ライダー王蛇こと浅倉威の毒で苦しんでいる少年だ。

 

「ふぅん……シス紳(※シスコン紳士又はシスコン神。総じてアルス・ウォルコットか神崎士郎を指す。この場合はアルスの事)の言ってた通り、神経毒の一瞬かしらね。ミラーモンスターの毒だから人には致死性の猛毒に成りうるけど」

 

ベットに近付いてアギトの診察を始める。

冷静に観察した結果、ベノスネーカーが用いる毒の一つで一番弱い効力の神経毒と断定、治療の為にスカルピオンを呼び戻そうとする。

 

「………」

 

「そんなに気難しい顔しなくても大丈夫よ。ベノスネーカーの毒なら前々から採取してるし、ワクチンも完成してるから」

 

鏡借りるわよ、と断りを入れて洗面所の鏡からミラーワールドに赴いた紫穂は、スカルピオンの背部外骨格である白い髑髏からケースを取って部屋に戻った。

そして注射器にワクチンを注入し、アギトの体に投入すると、簡単な処置を終えて「おつかい」を終了した。

 

「これで大丈夫とは思うけど、人間に対するベノスネーカーの毒だから突然容体が悪くなるかもしれないわ。その時はここに連絡しなさいね」

 

「……こくこく」

 

ピッと出された名刺を受け取るドラグブラッガー(メイド態)。

軽く微笑んだ紫穂はそのままアギトの眠る部屋を出て……更識楯無のあられもない姿を見また目にした。

 

「〜〜〜〜っ!!(声にならない笑い声)げほげほっ!くくくく……あーはっはっはっ!!?なにこれ、ほんと一体……お、おかしすぎ……でしょ……!」

 

「もうお嫁にいけない……」

 

V字開脚状態にロープで亀甲縛りを喰らい、「見せられないよ!」な姿になってしまった楯無を見て紫穂はゲラゲラと笑い転げた。

真性なドSの女王様は意外と笑いの沸点が低いのだ。

 

「学園最強がこれ……ひーひー…」

 

バシバシと床を叩く二十歳。

処女で亀甲縛りの女子高生。

酷い絵面が此処にはあった。

 

『クカカカカカカカ』

 

『シャーーッ!』

 

『サメーーー!』

 

「そろそろ帰り時ね」

 

「っ!貴女、仮面ライダー?」

 

「それはお互い様でしょ。今回はただのおつかい。でも、次会う時がどうかは知らないわ」

 

敵として楽しむのもそれはそれで愉しそうだけどね。

その言葉に顔を青くした楯無を眺めて紫穂は意地悪く嗤った。

洗面所の鏡越しには雄叫びをあげるスカルピオンと廊下の床に犬神式に突き刺さったアビスハンマーとアビスクラッシャー。

暇潰しに遊ばせたはいいが、スカルピオンはどうやらやり過ぎたらしい。

息も絶え絶えなアビスハンマーとアビスクラッシャーが床から抜け出して這々の体で何処かへと消えていく。

 

「変身……ーーじゃあ、帰るわよ」

 

『クカカカカカカカ』

 

先ず家に帰ったら授業のテスト採点を再開しなければならない。

溜まっている仕事の一つを思い出して頭の痛くなる紫穂と、そんな主人を愉快げに笑うミラーモンスターが、鏡面の世界を駆けた。

 




えー、如月猫様の支倉紫穂さんと契約モンスターのスカルピオンちゃんでした。
スカルピオンの鳴き声?は聞いてなかったので勝手に鳴き声書いたけど、如月猫様、不満があったら指摘して下さいオネシャス。


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悪夢

 

 

薄暗い部屋のベットの上、部屋の主人である龍賀アギトはふと目を覚ました。

 

「………」

 

闇の中もぞもぞと上半身だけを起こし、周りを見るも、薄暗い部屋の中では何があるのか分からない。

電気を付けるか……そう思い、部屋の明かりを付けると、アギトの目の前に誰かいた。

 

「アラ起きたのね?アギトちゃん♡」

 

「ぶっ……!お、お前は…!!」

 

残忍な性格の仮面ライダーにして犯罪者、浅倉威?だ。

彼はヘビ柄のエプロンを着ている、その下には何も着ていない、浅倉威の浅倉威による誰得の裸エプロンだった。

 

「イヤン、そんなにじっくり見ちゃやーよ?」

 

「オエッ……」

 

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。

 

アギトは体の不調を感じて体を丸める。

恐らく浅倉威?の投げキッス(SHOOT VENT)を喰らったせいだろう。

 

「さて、と。ウフッ、アギトちゃんの看病開始♪下々まで、寧ろ下のお世話だけするわよぉ〜♡」

 

「やぁぁめろおおおおおおおオエエエ」

 

ジリジリと躙り寄る裸エプロン威。

狂った様に叫びベットから逃げ出そうと身体に力を込めるが、倦怠感を感じる身体は脳からの指令に反してピクリとも動こうとしない。

歯を食いしばり踠き足掻くが、結局アギトは浅倉威にだいしゅきホールドされてしまった。

 

「オエエエっ、ゥゥァァァァァ!?オエッオブェ、オエエエエ」

 

「あ、もう。アギトちゃんったら!タケ子プンプンしちゃうワ」

 

「やめて、やめ……オエッ。ほん…と、オエッ。ウブっ、オエエエエ」

 

元の口調が崩れているアギトと浅倉威。

そして判明した浅倉威おかまモード「タケ子」ちゃん。

 

「タケ子、アギトちゃんだぁーいすき。ウフッ♡」

 

「あががががが」

 

浅倉威の二重人格ーータケ子。

この害極まりない汚物が誕生した事実にはちゃんとした理由がある。

 

それには先ず、神崎兄が妹、優衣を救うことを諦めた影響で狂い始めた幾重にも重なるパラレルワールドから説明しなければならない。

 

当初こそ優衣のお願い通りに神崎士郎はTIME VENTで枝分かれした並行世界を管理し、全てテレビエンドに修正しようとしたが、別軸の世界線、つまりアギトが+aされた世界を見て考えを改める。

……いや、優衣を諦める決意を踏みとどまったと言うべきか。

 

 

 

《13人のライダーを集め、ライダーバトルという名の殺し合いをさせ、最後に生き残った純正の欲望を仮面ライダーオーディンに刈らせ、命の結晶を作り優衣に与える。》

 

これが今まで神崎士郎が続けて来た儀式だが、これには一つの重大な落とし穴が存在する。

 

それは、優衣が命を受け取る事を拒む為だ。

 

何千何万、いや、果てしなく無限の時を繰り返し、それでも尚優衣は命を受ける事を良しとしなかった。

どんな結末に向かおうと、優衣さんが受け取る事を拒否するのが当然のルートだった。

 

士郎は苦悩し、それでも尚儀式を続けていたが、優衣にとって13人、もしくはそれ以上の人間を殺し、殺され、生み出された命を受け取る事はどうしても神崎優衣という存在が許さなかったのだ。

 

だからこそ、当然のタイムリミット。

20になる時、神崎優衣が死ぬ事は必然であった。

それが正しいのだと、優衣は告げ、自らの死を受け入れた。

 

そして、その優衣の覚悟を士郎が受け入れた為に本史世界となるとテレビ版龍騎では、最終的にライダーバトルは起こる事はなく、本来ライダーバトルを通して出会うはずだったデッキの所有者達も接点も無いまま、ふとすれ違い、そのまま日常が続いて行く。

 

ーーのだが、パラレルワールド、並行世界、幾多にも絡み重なる世界線、いつしか本史世界から分離した分史世界が生み出され、そこに本来いないはずの人物が紛れ込む。

それが、そのイレギュラーの存在が、仮面ライダーリュウガの契約者である鏡像の城戸真司であり、リュウガを継いだイレギュラーが、龍賀アギトだ。

 

鏡像の城戸真司からデッキとドラグブラッガーを受け取った龍賀は本来の優しい性格のまま(今は表向き歪んだ性格)最強!残虐!無敵!恐怖!可愛い?ドラグブラッガーと自分の居場所の為にライダーバトルなんぞ知らん顔でミラーモンスターばかり狩り続け、湯水の如くドラグブラッガーの胃の中へエネルギーを注ぎ続けた結果、ドラグブラッガーの忠義心と言う名のデレ度がカンスト限界突破し、原理は士郎にも分からないがいつの間にか人型形態を得たドラグブラッガーが、ある日契約モンスターとして当然の義務とばかりにアギトとヤっちゃったのだ。

 

しかも路地裏で、アギトを赤ちゃんプレイで!

性の知識なんぞ「男の子はおてぃんてぃんが付いてて女の子は付いてない!」くらいしか知らないアギトはされるがままに致しちゃったのだ、嗚呼なんとも仕方ない。

 

 

 

ーーそして、アギトとドラグブラッガーの絶頂までの光景を角からジーと眺めていた士郎(ナズェミテルンディス!!)は神がかり的な閃きを得る。

 

それは、最も強い欲望を待つ命を使わずとも、ミラーモンスターのエネルギーと性交で得た生命エネルギーを合成したものならば優衣を生きながらえる事はできるのでは?という発想だ。

 

そしてそれを裏付けるかの様に勢い余って壁に飛び散ったアギトの生命エネルギーのサンプルと適当に狩ったミラーモンスターのエネルギーを合成すると、たった数時間分ではあるが、純粋な命の代わりになる事が発見された。

 

その事実に感動した士郎はテレビ版エンドもライダーバトルも強制終了して契約モンスターと直ちに性交しなさいとライダー達に御触れを出した。

その為に契約している各ミラーモンスターに人間形態を付加するバージョンアップも付け加えて……。

 

そうして今の今まで生きながらえている神崎優衣だが、その裏では契約者達の涙ぐましい努力の甲斐があってこそというのは、言うまでもないだろう。

 

例えばドラグレッダーがツンデレで暴力的過ぎて、息子を握り潰されそうになった挙句、出してまう瞬間に息子を捕らえられて今月分のノルマを未だに達成出来ていない城戸真司とか。

 

例えば超音波や薬その他エトセトラで幻覚を見せられて恋人とヤってるつもりがクーデレサイコのダークウィングとヤっちゃっててまんまとNTRされかけの秋山蓮とか。

 

例えばマグロ過ぎて萎えるマグナギガ相手に奮闘したが為に腰が逝っちゃった北岡秀一とか。

 

例えば女形態を良しとせずガチムチマッチョ状態で迫るメタルゲラス相手にお尻の処女をアッー!された芝浦淳とか。

 

例えばどう見てもロリな体型に背徳感を覚えつつあわや噛み千切られそうになったり、どう見てもロリな体型だからこそ通報されそうになったりと散々なAUとか。

 

例えばハーレム過ぎて1日で絞りカスになってしまい、腹上死の危険性が浮上してきた羨ま死そうな佐野満とか。

 

例えばエビルダイバーがドM過ぎて逆にお仕置きする事にハマってきた、「道を踏み外した」手塚海之とか。

 

例えば……浅倉威。

ネチネチネチネチと自分の息子を「小さ(笑)」「これでイクとか無理(笑)」「大丈夫?おっき出来る?(笑)」「不能(笑)」という数々の誹謗中傷を受けた浅倉威は、心に深い傷とインポテンツを負ってしまった。

 

そして、惨めな自分を隠す為、もう1人の自分を生み出した。

それが浅倉タケ子である(ドドーン!!)

 

身も(?)心も女である自分だから勃つとか無理だからという心に逃げ道を作った彼は、「威状態なら勝てるけどタケ子には勝てねえ」と他の契約者達に恐れられている事を、知らない。

 

 

「逃げちゃ、やーっヨ♡アギトちゃぁーん」

 

「アアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!??」

 

タケ子とエンカウントした場合、契約者達は即座に逃げろと言われている。

この時のタケ子、浅倉威は何度殴っても何度斬っても撃ってもゾンビの如く蘇り、死んでも致そうとしつこく追いかけてくるからだ。

 

反撃してこないが、何度でも蘇る。

 

攻撃こそしないものの、捕まったらアウツ。

 

浅倉タケ子は、契約者達に於ける恐怖の代名詞で知られているのだ……。

 

「アアアアアアアアアーーーーーー!!」

 

「アーギィートちゅわぁぁーーん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお」

 

ガバッ!アギトは体を起こして叫んだ。

これ以上近づくな、死ね、死んでしまえ、と。

そしてアギトは遅まきながら、気付く。

近くに浅倉タケ子などいない事に。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ」

 

夢か……あまりにもおぞまし過ぎる、と荒い息を数度続けていると、他者の気配が。

 

「おろおろ。おろおろ」

 

ドラグブラッガーだ。

彼女は普段の鉄仮面のような表情が崩れていて、アギトを見つめて珍しくあたふたしている。

そんな彼女に気にするなと手を振りつつ、浅倉タケ子の姿を脳裏に浮かべてしまい、やっぱり側に来て欲しいと心の中で唱える。

 

「っ!ふんふん!」

 

テレパシーを受け取ったドラグブラッガーは鼻息を荒くしてささっとベットの中にまで潜り込み、アギトを優しく抱き締めた。

柔らかい抱擁を感じながら、アギトは夢の中のタケ子の感触を上書きして行く。

 

「あら、やっと起きたようね」

 

「誰だ?」

 

ムニムニとドラグブラッガーの胸を揉みながら声の主を探る。

果たしてその主は、部屋の床に亀甲縛りの状態で転がされていた。

 

「………」

 

「……っ///……!……っっっ///(ビクンビクン)」

 

「…あ、あの。無言で胸揉みながらこっちを見てくるのはちょっと……」

 

浅倉威おかまモードに這いよられて頬ずりされる夢を見たのだ、ドラグブラッガーで直ぐにでもお口直しをした方がいいだろう。

口でチュパチュパするのも良いし布越しにコリコリするのも良さそうだ、そう考えていると、ふと疑問が生じた。

 

「そういえば誰かの目の前で、なんて今までしたこともなかったな?ドラグブラッガー」

 

「っ!ーーー〜〜〜ッ!!?///(ゾクゾクゾクゾクゾク)」

 

色んなプレイ、目隠しとか、野外でとか、赤ちゃんプレイ、拘束、色々ヤってきたが、思えば今までで誰かの目の前でヤって見たことは一度もない。

そんな思いでドラグブラッガーに聞いて見ただけなのが、ドラグブラッガーはブルブルッと身体を震えさせて絶頂した。

恐らくは薄々自分でも勘付いていた事をご主人様であるアギトに耳元で甘く囁かれてしまった事で身体がすごく敏感に感じてしまったのだろう。

 

「ふぁ……///」

 

滅多に声をあげないドラグブラッガーが喘ぎ声で鳴き、トロンとした蕩けた恍惚の表情でアギトを上目遣いして伺う。

それに対してアギトはフッと口の端を歪めるとドラグブラッガーの耳にかぶりつき、カプカプと甘噛みし始めた。

ゾワゾワ、ゾクゾク、と身体を小刻みに震わす。

誰かに見られている状態で極限の興奮状態に陥っているようだ。

だらしなく緩んだ唇から艶やかな涎を垂らし、瞳は最上の快楽に侵されて焦点は定まらないまま虚空を彷徨う。

 

そして口から溢れるは声にならない嬌声、イッ、イク、イク……という絶頂の自己申告だ。

 

「あっ///あっ、あっ、あっ!ふひぃ///ふわぁぁぁぁぁ///」

 

「何時もより良いイキっぷりだな。可愛いよ、ドラグブラッガー」

 

「ーーー〜〜ッ!!?(ビクンビクン)」

 

(えええええええええええええ。ひ、人前でいちゃつき始めたと思えばヤっちゃうわけ!?本当にヤっちゃうわけ!?最近の若者の性に対する姿勢!凄すぎィ!?)

 

亀甲縛りを喰らって床に転がされている少女、更識楯無は、人目を憚らずエッチし始めたアギトとドラグブラッガーを身動ぎすることなく眺めることしか出来ない。

 

(わーーーわーーー!!遂にスカートの中に手入れた!!?小刻みに動いて!?垂れてる!スカートの下から溢れ出てるぅぅーーー!!?)

 

暗部の長として、そして一介の女子高生としてそれなりの性知識を持っている楯無は目の前で繰り広げられるアギトの丁寧な愛撫とドラグブラッガーから発せられる悦楽の香りに顔を赤くする。

もうダメだなと半ば諦め思考で2人を眺める楯無は、海老反りでなんとか部屋まで辿り付き、暗部に伝わる暗号を振動や音で伝え、従者を連れてくることにした。

 

ガンガンと喧しいが、アギトとドラグブラッガーの2人は、既に楯無のことなど忘れて2人だけの世界を築いていた。

この後ヤルこと致して賢者タイムが訪れた時には部屋に楯無の姿はなかったのだった。

 



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白騎士事件・追想

どもー、天敵です!今回の挿絵はロック・ヴォルハートの契約モンスターであるゴリラことゴクウソンです!


【挿絵表示】


ゴクウソンの着てるジャージはロックが買い与えた物で、ズボンはロックのお下がりです。
ハレル家様には挿絵化の許可を頂いてます!……え?なんで描いたって?うん、なんか最近癖っ毛天パっ子が無性に……。
例の如く色ぬりは下手、瞳とかみんなどう塗ってんの……?

あと今回は白騎士当時と風切亮介君とのエピソードになります。
ショタ時代の関係性とかね!本来の設定をベースにちょくちょく変えておりますので人物設定見てる人は若干混乱するかもしれません。
いつか……いつか設定の方もちゃんとするんだ(フラグ)


「メール?城戸か」

 

休日、城戸真司からメールが届いた。

内容は何時でも帰ってこいよ!みたいなもんで、先日浅倉タケ子の恐ろしい悪夢を見た俺は気分転換に喫茶店花鶏に足を運ぶことにした。

 

『ゴオァ…』

 

「なに?豆が切れてる?…丁度いいな。婆さんから貰って帰ろう」

 

ミラーワールドをドラグブラッガーにしがみついて移動する。

他の野良モンスターはドラグブラッガーに恐れをなして身を隠しているのでなんとも呑気なピクニックだ。

さほど時間もかからずに喫茶店花鶏前まで辿り着いて、俺はライダー状態を解除、ドラグブラッガーも人間態へ姿を変えてミラーワールドから出る(この場合ドラグブラッガーと手を繋ぐと仮面ライダーにならなくても出られる)。

 

「ねえ蓮。今日はお客さんも来ないし、俺遊び行っていい?」

 

「ダメだ。亮介、お前今日はコーヒーの淹れ方を教えてもらう筈だ。それに先月は金をーー」

 

「だーー!!わかった!わかったから!流石に二度、三度の説教はキツイぜ!」

 

 

気の良い騒々しさを窺わせる陽気な声と咎めるような、けれど優しさの篭った低い声。

知らず知らずのうちにフッと、頬が緩み、俺はアギトはニヒルな笑みを口元に浮かべて喫茶店花鶏のドアを開いた。

 

チリーン

 

「いらっしゃーーー。……へへ、女の園はどうだった?アギト」

 

「アギト。帰って来たのか」

 

「ああ……亮介、蓮。…ただいま」

 

言葉を口にした。

すると亮介はニヤニヤと、蓮も軽い含み笑いをしていて、俺はなんだか居心地の悪い気分になった。

 

「やっぱお前はさ、悪役っぽく振舞ったり変顔してるんじゃなくて、そんなだらしない顔の方が俺は好きだね」

 

腕を組み、ニヤニヤとそんなことを宣う亮介の言葉に首を傾げると、メイド服姿のドラグブラッガーが花鶏に置いてあった手持ちの鏡を俺に向ける。

そこに映るのは柔和な微笑みを浮かべる1人の青年の顔で、一瞬誰だこいつ、と思わず身構えてしまった。

 

「………俺?」

 

「当たり前じゃん。お前以外に誰がいんの。とりあえずカウンター席に座っとけよ、なんか出してやるから」

 

「亮介。アギトは甘いカフェオレだ」

 

「うえー。折角亮介スペシャルブレンドのブラックコーヒー出そうと思ったのに……」

 

「………」

 

無言のドラグブラッガーが椅子を引き、俺はやや間を空けてそこに座る。

すぐ目の前ではアギトと年齢の近い風切亮介と秋山蓮がアギトに出すカフェオレを作っている。

 

「ただいまー。蓮?亮くん?…あ、アギト君。おかえり!」

 

「あら、帰ってきたのかい。アギト」

 

蓮と亮介作のカフェオレを飲んでいると聞き慣れた…けれどここ最近は聞かなくなっていた声に目を細めて背後を振り返る。

 

「ただいま。優衣、婆さん」

 

神崎優衣と喫茶店花鶏の店長の婆さんがスーパーで買ってきた物を詰め込んだ手提げ袋片手に俺を見て目を丸くしている。

 

「それにしても、随分早く帰ってきたようだな」

 

「バカ真司が顔出せって言われたからだ。蓮」

 

「今日泊まりだろ?ゲームしようぜ!最近流行りのゲーム!」

 

「ご飯はちゃんと食べてんのかい?」

 

「亮くん、最近良くゲーム買ってるけど、他でバイトでも始めたのかしら」

 

一気に騒がしくなった……いや、此処では毎日がそうだったか、とアギトは苦笑まじりに呟く。

最近の自分を振り返って見ても部屋でドラグブラッガーが作ったご飯を食べる時も「美味い」と一言言うだけで(ドラグブラッガーが基本無言なのもあるが)、布仏や簪が絡んでくることを除けば、仮面ライダー時の戦闘以外で声を発することもあまりなくなった気がする。

 

「アギト」

 

真司によく似た、人懐っこい笑みで風切亮介がアギトの名を呼んだ。

彼……風切亮介との出会いを、アギトは自分の家に帰ってきたという感覚のまま、懐かしむように回想する。

 

 

 

 

 

 

「俺、風切亮介。お互い仲良くしようぜ」

 

初対面の頃から人懐っこく、人の心の内側にズカズカ入り込むのが得意な奴だった。

そういえば、最後に転校してきた学校で、俺が引きこもるまでに出来た友達といえば亮介を含めて3人くらいだったか。

………その亮介以外の3人も、偽物の俺を俺と呼んで、本当の俺のことなんて忘れているだろうけど。

 

「やっと見つけた。本当のお前!ったく、手間かけさせんなよー。××!」

 

篠ノ之束が偽物を連れて来て、俺は家を、居場所を、存在さえ奪われ、追い出され、生きる糧を見失って。

鏡像の城戸真司にドラグブラッガーとリュウガを受け継ぎ、イレギュラーな俺を調査しにきた神崎士郎の仲介によって喫茶店花鶏に居候することになって数日後、呑気な声音と一緒に亮介は花鶏のドアを乱暴に開けた。

 

「なんでって顔してんな!お前、当ったり前だろ!だって俺たち友達じゃん!」

 

へへっと笑うあいつの笑顔に、友達だ、だから当たり前、というあいつの言葉に、目頭が熱くなったのを覚えてる。

 

「なんだか、知らないけどさ。気持ち悪いよ。学校のお前。顔なんてぜんっぜん似てねえのに××!××!って周りから言われててさ〜。うげーお前ら目ん玉節穴なんじゃねーの!って思わず言いそうになったって!ほんとほんと!マジだって!これ!」

 

身振り手振り、大げさなリアクションでそう訴える亮介と2人、婆さんに淹れてもらったカフェオレを飲みながら話した。

俺が居なくなったと思ったら俺の名前を語る別人が何時の間にか居座って居た話、クラスの可愛い子ランキング、流行りのゲーム、田中のオナラ騒動。

くだらない話が大半だったけど、亮介のまたな、って言葉が、とても嬉しかった。

でも、篠ノ之束は、そんな大事な友達の日常さえ奪っていく。

 

『ーーーーこの空を駆る白い騎士の活躍で死者は0名となっておりーーー』

 

『やっほー!天才束さんだよ!みんなも気になるよね!白い騎士が何なのか。これは束さんが開発したーーー』

 

「おい城戸!救急箱を持ってこい!」

 

「ん!?れ、連!?なんだよその子!」

 

「良いから早くしろ!バカ真司!」

 

「ぐっ、わ、分かった!」

 

「………………亮介?」

 

何時になく焦った表情の蓮が背中に担いで運び込んだ、生気を失って虚ろな目をした亮介の名前を、ポツリと呼びかけた。

だけど、その時のあいつは呼びかけに反応する子も返事もせず、ただ、ただ、「父さん。母さん」といつまでもいつまでも呟き続けた。

…………………巫山戯るな。

仮面ライダーとしての実戦をようやくこなすようになっていた俺はデッキを掴んで亮介の家に向かった。

そこで見つかったのは、無惨に焼け落ちたあいつの家と、瓦礫に埋もれていた、折り重なる二つの遺体、ケタケタケタケタ笑う亮介と亮介の両親に似た得体の知れない別人(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

ウォォォォォォァァァァァァァーーー!!!

 

 

獣のような叫び声だった。

喉の奥から無理やり引き出したような、金切り音に似た、不協和音。

誰が出していたのか、それは俺だ。

喉を掻き毟り、髪の毛を引っ掴み、壊れた醜い世界を憎悪した。

 

『ゴァァァァァァ!!』

 

その憎悪に呼応するように、ドラグブラッガーが体の周りをグルグルと回遊し、やがて亮介と亮介の両親に似たナニカを黒い炎で焼き尽くし、石化させた後に破壊した。

 

「篠、ノ……之………た、ばねええええええええ!!!」

 

その時俺の目に映っていたのは、地面を睥睨する白い騎士。

奴は空を飛び回りながら自身に向かってくる戦闘機を剣で無力化していた。

当時の白騎士を欲しがった諸外国の力技だったんだろうが、あの時の俺には関係なかった。

 

「死ね、死ね、死ね!!!」

 

白騎士事件と黒騎士事件。

当時の事を、誰もがそう呼び、何を言われるまでもなく封印した。

日本に迫り来るミサイルを全て斬り伏せ、優雅に舞い、戦闘機を無力化させつつも、死者をゼロ名に抑えた、とされる伝説の白い守護神と。

白騎士を捕まえんと迫る戦闘機を悉く捻り潰し、獣のように唸り声をあげ、怒りのままに全てを蹂躙した破壊の権化、最悪の漆黒の破壊神。

 

仮面ライダーに対してISの攻撃は全く効かない。

 

初陣にて最強を示したISと、直後に最強の座を黒く塗り潰した暴力。

 

日本海にて行われた戦いを日本と諸外国の政府高官たちはこぞって隠匿した。

一般市民にそれが知れ渡れば世界恐慌を超える地獄絵図が始まると危ぶんだためだ。

 

その判断は正に正しく、篠ノ之束も姿を消した。

 

「お前の友達か、アギト。……こいつは俺が預かる」

 

両親と戸籍を失った亮介は連に引き取られることになった。

 

俺と同じように心を閉ざした亮介の心を開いたのは、亮介と似たような馬鹿、真司で、今の亮介はもう心を閉ざしてはいないが、それでも時々暗い影を見せることはある。

俺と同じように花鶏の連中に囲まれた亮介は、もし、一つだけ願いを叶えてれるとするなら…………………。

 

 

 

 

「聞いてんのかって…おーい?」

 

「………なあ、亮介」

 

「んん?」

 

過去を振り返った俺は、人懐っこい笑顔の亮介に、問いかける。

 

「一つだけ願いが叶うとしたら。叶えてくれる奴がいるなら、お前は何を望む?」

 

両親を生き返られる。

 

あの日常をもう一度。

 

憎いISの無い世界を。

 

だけど、亮介の望みは俺が思い浮かべた欲望のどれでもなかった。

 

「そーさなぁ。んじゃ、以前から買いたかったゲームとSPS!知ってるか?あのゲーム前作と比べてめっちゃ操作感良くってさー」

 

「あれ。それってこの前借りたゲームでしょ?」

 

「ああ、城戸がリトライばっかしてたゲームか」

 

「なんだよ、蓮だって下手くそだっただろ!」

 

なんで同じゲームを。

亮介はニンマリ笑顔でこう言った。

 

「だって、2個無いとお前とゲーム出来ないじゃん。知らないのかよ、同じゲームじゃないと協力プレイ出来ないんだぜ?」

 

 

 

 




え?亮介くんのセリフが新たなる〜の時と違ってるって?……陽気な人ってこんな感じのセリフなんじゃないのかなってちょい修正?ですかねー。ルオン様には勝手ながら口癖?をじゃんにさせて頂きますね(分かりやすく区別しないと……作者が死ぬ)。
今はゲリョス擬人化とホークスギア擬人化を………、ミスターサー様曰くホークスギアは隼鷹に似た容姿なのでヒャッハーベースでちょいちょいアレンジを……。
ゲリョスは昼ドラ並みのドロドロ感と顔芸に定評のあるアニメウィクロスで出てくるような変顔顔芸をいっぱい描けたらなぁと思ってます。
すげーどーでもいいけどウィクロスは森川千夏ちゃんが大好き。


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花鶏はライダー達のたまり場になったようです

 

 

 

暗い一室に、カーテン越しの朝日が溢れている。

部屋の中、ふかふかのベットから起き上がった少年がスマホを起動して時間を確認すると、丁度朝の5時だった。

 

「んがぁー………」

 

「………」

 

近くから親友のいびき。

フッと頰を綻ばせ、少年は直ぐに着替える。

黒地に灰色のラインを引いたシャツ、半袖の黒いパーカー、黒いズボンと全身黒一色に染め上げる。

……それにしても、緩いいびきだな。

まあ、アリじゃないか?亮介。

 

『ゴァァ……』

 

少年が静かな朝を堪能していると、鏡越しに黒い龍が優しく鳴いた。

 

「おはよう、ドラグブラッガー」

 

鏡の中から現れた龍の顔をそっと撫で、顎を優しく揉み込む。

たったそれだけで黒龍は気持ちよさそうに目を細めるのだ。

 

『ゴァ、ゴァ……』

 

黒真珠のように美しい鱗を持つ龍。

その龍が鏡から出てくるのを待つと、龍の身体が徐々に人の姿を形取って行く。

短く揺れる黒髪に、ルビーを思わせる紅い瞳、小さく口からちらりと 覗かせているのは小悪魔的な魅力を引き立てる八重歯。

そして何故かメイド服。

謎のメイド美少女の名前はドラグブラッガー。

少年の使役する黒龍である。

 

「ゴァ、ごぁ、ごぅぅ……ん、んん、ん」

 

「お前も、人の姿で喋るのは慣れてきたか。気分はどうだ?」

 

少年の言葉に、ドラグブラッガーと呼ばれたメイド少女はコクンと頷いた。

そして白く映える手のひらで自身の喉元をさする。

自分がちゃんと喋れるか、少年に言葉を伝える事が出来るのか……ドラグブラッガーの表情は懸念と心配と不安がないまぜになっていて、いつも見ているような、美しく、絶対的な力を持った龍の姿は鳴りを潜めている。

 

「大丈夫だ。ドラグブラッガー。何度も練習してきたんだろう?…俺が寝ている間。なら喋れるさ」

 

ドラグブラッガーの頭を包み込むように撫で、ミラーモンスターが人型に変身することについて、神崎士郎が言っていた説明の一部を、少年は思い出す。

 

 

ーーミラーモンスターが本来の姿を人型に出来ると言っても、人間特有の器官を使って声を作り、喋る事が出来るとは一概には言えない。

神崎士郎はそう言い、金髪美女のガルサンダーとゴルドフェニックスを両隣に侍らせながら『契約者講習会!学ばなければ生きられない!』などというふざけた名前の講義の中、苛立ちを覚える多数の契約者達の前でこう続けた。

 

契約者である少年の言葉を理解するーーつまり、人語を解するというのも正確には違う。

 

元々、どのミラーモンスターも本能のまま戦い、餌を喰らい、生きていた。

 

それが、契約者という存在と繋がりを得ることで、その契約者の思念や思想、記憶。

 

その他、契約者を形容する全てを共有することで〝契約者と似て非なる一つの自我〟を得る事が出来る。

 

それによって、ようやく契約者と意思疎通を図ったり言葉を解し使う事が出来るのだ。

 

つまり、契約モンスターはそれぞれ、部分部分で契約している契約者と共通するところがある。

 

 

「ご主人…様」

 

ポツリと溢れたドラグブラッガーの呟きに、少年は我に帰る。

そして少女を胸に抱き、もう一度呟いた。

 

「俺たちは、似ている。壊すことしかできないことも、現実には仮初めの居場所しか無くて。戦いに明け暮れていないと、怖い事も。……俺は、戦い続けることでしか存在を証明することが出来ない」

 

でも、と続けて、少年は心で呟く。

 

ーーーお前は黒だ。

全てを染め上げ、その上に君臨する絶対的な黒。

だけど俺は、黒でも無く、白でも無い。

………何者でもない灰色。

 

 

 

 

 

ーーこれは契約者達には知らされていないことであるが、例えば仮面ライダー龍騎こと城戸真司。

 

彼の契約しているドラグレッダーはツンデレ、暴力的などの性格の持ち主だが、意外と人懐っこく、ツンツンしているようで他人を気遣い、誰かの為に体を張ることもある。

あと直ぐに熱くなりすぎることやバカっぽいところも。

 

これも、〝守る為に戦う〟という感情、意思こそが城戸真司という男を表しているからに違いない。

更に城戸真司がバカであることにも起因している。

 

反対に蟹刑事こと仮面ライダーシザース……須藤雅史と契約しているボルキャンサーの場合は須藤雅史の根本にある残虐性を引き継いでいたり、神崎士郎が観測していたとある世界線では契約者である須藤雅史を契約が解除された瞬間に貪り喰うという冷酷さも持ち合わせていた。

正に須藤雅史の〝騙し、蹴落とし、勝つ〟という意思に染まっていると言える。

 

………現に今も、須藤雅史が入院している病院のトイレの鏡で須藤雅史を貪ってやろうとボルキャンサーはスタンバっているわけだが、須藤雅史は封印のカードを護符代わりに神崎から支給されている為、喰おうにも近づけられないといった状態である。

 

……夜な夜な奇妙な歯ぎしり音と泡と悔し泣きに濡れた床が見つかっているのだとか。

 

閑話休題。

 

自分を居場所のない人間だとドラグブラッガーに気付かれたくなくて心の中で自嘲した少年、龍賀アギトは知らない。

契約者とミラーモンスターは存在そのものが繋がりあっている為に、隠したい本心が筒抜けであることを。

アギトがこれまで抱き続けてきた苦悩を、怒りを、想いを、欲望を、アギトが何を欲して居て、自分に求めているのかさえも。

 

だからこそ、ドラグブラッガーは自分を求めてくれる、自分だけを見てくれるアギトを自らもまた求めたい。

 

互いに互いを独占し、独占されたい。

 

自分しか見て欲しくなくて、彼しか見えてない。

正に歪な愛、美しく正しい愛、矛盾した二つの相思相愛、欲望と本能のままに愛し愛される。

 

彼の色に、アギトの心の内に渦巻く欲望に。

自分という存在丸ごとーーー染められたい。

 

「ご主人様……シたい」

 

「……お前な、すぐ側で亮介が寝てるんだぞ。出来るわけない」

 

「ダメ。今すぐ繋がらないなら、ご主人様を石化させて誰の目にも、他の野良にも見つからない世界で二人っきりで………」

 

アギトの想いに当てられてドラグブラッガーの本能が暴走した暗黒系ミラもん的発想は終ぞ最後まで言い切ることはできなかった。

何故なら、彼女の唇の上からアギトの唇が重なり合っていたから。

 

「……声、抑えられるならやってもいい。抑えられるなら、な」

 

言外に、お前が感じる場所は全部知ってるぞと不敵な笑みを浮かべるアギト。

それに対してドラグブラッガーは人差し指を鏡に向けた。

 

「大丈夫。……ふふ、鏡の中ならどれだけ鳴いても何も聞こえない、誰にも聞こえない。だから……私が…果てるまで、何度…も、何度、で…も……喘がせて……欲しい…です…」

 

 

 

ピピピピピピピピピピ

 

少年と少女が鏡の向こうに消えて数分後、部屋の中で眠って居た少年が一人目を覚ます。

 

「ふぁーあ。……あー寝た寝た。おーい、アギトー、起きてるー?……てアレ、アイツ居ねえじゃん。……まあいいや。んじゃ、ヤるか?ウィングバード、ガンウルフ」

 

数刻前の黒龍のように、鏡の向こうから現れた鷲獅子と狼が、人の姿へと変わっていきーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ、起きてたのか。亮介」

 

「おー、アギト。どこ行ってたんだよ。こんな朝っぱらから」

 

「運動だ。体を動かしてた。汗を掻くのは……気持ち良いからな」

 

本日のお題はワンワンプレイ。

提供者 イビル手塚から貰った犬耳、目隠し、首輪、リード、やたら振動するアレ、尻尾、エトセトラ……などを持っていた俺は今回、ドラグブラッガーと擬似的な散歩体験をすることにしたのだ。

散歩感覚で道路をドラグブラッガーに四つん這いで歩かせたり、電柱に粗相をさせたり、我慢できずにそのまま…………。

感想?……大変満足でした。

今度、手塚が最近始めたという、触手型ミラーモンスターを用いた『新感覚触手凌辱』もやってみようか……な?

 

「へぇー。言うようになったじゃん?まあ、動くのは良いってところは俺も似たようなもんかなぁ」

 

ドラグブラッガーとミラーワールドで何発もヤッて帰ってくると、既に風霧亮介は起きていて、店のカウンター席に座ってゲームをしていた。

因みに、生身でミラーワールドに何時間も滞在していたわけだが、本来ミラーワールドの住人ではない人間がミラーワールドに存在していると、たった1分で時間切れとなり、消滅してしまう。

 

が、ドラグブラッガーと思考錯誤している内に考え付いたのが、体の一部分を現実部分に存在させ、その他の大部分をミラーワールドに置きつつドラグブラッガーと性行に及ぶ裏ワザ。

どちらの世界にも繋がっていて、ドラグブラッガーとも物理的に繋がっている。

しかも他人に見られる心配もドラグブラッガーの可愛い喘ぎ声を聞かれる心配もない。

文字通りドラグブラッガーを俺だけが独り占めできる方法ーーー勿論ヤるに当たって周辺(半径10キロ)の野良モンスターはドラグブラッガーが消滅させている。

 

「だけどまあ……少し、疲れた」

 

「あ、お前も?」

 

「…………『お前も』?」

 

「あ゛…………………。あー、ソウダナー(棒読み)イヤー、実は最近?寝起きのストレッチが楽しすぎてサー(棒読み)」

 

いつになく(いつも以上に)動揺している亮介を訝しんでいると、ズボンのポケットから震えるスマホのバイブ機能がメールの着信を知らせていた。

 

『真司くんから聞いたよ。花鶏に帰ってきてるんだって?IS学園の話、密着取材させてくれるよね』

 

…………by 高倉芳乃

 

「真司ィィィィィィィ……!!!」

 

みしり、スマホが軋む音。

ヒィッ、突然の殺気に亮介の悲鳴。

バカ真司……断頭台で迎えて殺るよ……。

 

その頃の真司。

 

「どわっ!?なな、なんだぁ?……う、うぅ、寒……ど、ドラグレッダー」

 

『ガァァァァ(何よバカ真司。いつもいつも私を暖房代わりにして…。ま、別にバカ真司を温めるなんて私にとっちゃ朝飯前のようなものだけど。あ、バカ真司!も、もうちょっとひっついてあげても良いわよ?というか少し近くだけじゃ寒いでしょ?だ、だからもうちょっと抱きつきなさいって!その逞しい腕で私を抱き締めなさいって!…ああ、もう!)ガアアアアアアアアア!!!』

 

「あーー!!?俺の猪木コレクションー……」

 

ツンデレ頭のお花畑というか、妄想というか……ドラグレッダーがいる限り、男 城戸真司に平穏は、無い。

 

 

 

 

 

「なんだい、あんた達。揃いも揃ってしけたツラして」

 

「芳乃が来る……」

 

「アギト怖い……」

 

「俺の猪木ぃ……」

 

「………あは、は。亮くんと真司くんは別として。アギトくんはなんで芳乃さんを苦手にしてるの?」

 

喫茶店花鶏のカウンター席に突っ伏していると、神崎士郎の妹、神崎優衣が困ったように苦笑しながら話を振ってきた。

…俺が芳乃を苦手にしてる……か。

 

「………なんか、あいつがいると…気が狂うんだよ。なんか、むず痒いっていうか……んー……?」

 

「あー、それな。お前、芳乃さんと喋ってるといつもの皮肉屋気取った営業スマイルが全然働いてねーよなぁ。なんていうの?芳乃さんって隠し事しようと思えない人じゃん?誰にでも真摯に対応するし、そもそも顔が怖いし」

 

「亮介ぇ……。それ、芳乃さんには言わないほうがいいと思う。ぜってえ凹むから」

 

芳乃、あいつは何時も俺と喋る時、他の奴には見せないような顔をする。

……まるで、出来の悪い弟を優しく見守る兄のような……昔の、記憶の中に封印した、姉さん(千冬)のような……。

 

「やあ、空いてる?」

 

来たか、芳乃。

ライトノベル小説家で、ボウガンによる遠距離攻撃を得意とする仮面ライダー。

スキンヘッドにサイバーサングラスを掛けた893のような男で、今年の『勝てる気がしない有名人』トップ10入りしていた。

 

「初めまして。君が仮面ライダーリュウガだよね。僕はアルス。アルス・ウォルコットだよ」

 

「あ?」

 

サングラスを掛けたスキンヘッド893の隣、愛想の良い笑顔をした男。

白人らしい顔つきに身長も高い。

それとなく見れば身のこなしも只者では無いと思わせる上に、こいつは俺を知っている。

 

「………」

 

アギトは顔から表情を消し、鋭い眼光で男を、アルス・ウォルコットを睨みつけた。

 

「リュウ君。アルス君は私たちと同じ仮面ライダーだ。邪険にしないでくれよ」

 

「………ふん。俺は知らん、好きにすればいい」

 

アルスとか言ったこの男。

得体が知れない、俺の目で見てもあまり深く探れなかった。

……まあ、俺の目、なんて他人の自分に対する感情を知れるだけなんだが、こいつのはなんていうか……好奇心を押し殺してるような?

 

(フゥ〜!日本の有名な…アレ!そうだ!ツンデレってヤツですよね!芳乃さん!?)

 

(どうどう。アルス君落ち着いて……。後、ソレ、リュウ君の前で絶対に言っちゃダメだから!あの子すぐ捻くれるから)

 

「(そうなのかぁ……伝説の『ツンデレ』持ちと会えたと思ったのに)おほん。僕が今日来たのには理由があって……。今現在確認されている仮面ライダーと面識を持つためなんだ。理由は天災しかり、浅倉しかりね」

 

天災と浅倉、この二つの単語に反応する店内の人物。

その中、風霧亮介は視線を床に向け、握りこぶしをギュウ、と締め付けていた。

その力は食い込んだ爪のせいで手のひらに血が滲むほどで、彼の怒りを表現していると言える。

 

そしてもう一人、龍賀アギト。

アギトは先日浅倉タケ子に襲われる一歩手前の悪夢を見ていたせいか、その顔は既に真っ青を通り越して気絶寸前だった。

主人の危機に気付いたドラグブラッガーがEカップある胸でアギトの顔をサンドイッチすることで顔面を強引にプレスし、血の気を循環させようと試みている。

その甲斐あってアギトの意識が程なくして戻ってくるのだが、他人のイチャコラを見せつけられていた場の空気は白けている。

 

「………こほん。もちろんみんなにも僕と交流のあるライダーを紹介するよ。と、言っても、今日来てくれてるのもいるし、来てくれなかった契約者もいるけどね」

 

「ちょっと待て」

 

他の契約者を呼ぼうとしたアルスをアギトが止める。

怪訝な顔でアルスの元に来たアギトは耳元でぼそりと、

 

「亮介はライダーじゃない。あまり、関わらせないでくれ」

 

恐らく、このアルスという男はライダーの殆どを、野良モンスターの駆除や万が一暴走した際のIS勢力に対する抑止力に近い存在にしたいのだろう。

もちろん、アギトは別にそうなっても良いのだが、親友の亮介は仮面ライダーではない(……とアギトは思っているが、実は亮介も仮面ライダー)ので、出来ればあまり仮面ライダー側に居ついて欲しくないと考えていた。

 

(あれ?風霧亮介は仮面ライダーバードとしてこちらは確認してるんだけど…おかしいな?)

 

困惑したのはアルスだ。

そもそも仮面ライダーもしくは事情を知っている者だけが集っている花鶏にいる時点で風霧亮介は仮面ライダーか、それに近しい存在ですと言っているようなものだが、アギトはそれを知らないらしい。

困った挙句に風霧亮介を、そして芳乃へ視線を投げかけると、彼らも困ったような苦笑いを浮かべ出した。

 

(ちょっと今言い出すのは……出来ればカッコいいタイミングで正体を明かしたいじゃん?)

 

(うーん。オレは今の内がいいと思うけどなあ。後で…って、リュウ君が1番嫌いなパターンだと思うけど)

 

(……ま、まあ、様子見で行くことにしますね。アハハ……)

 

「じゃあ、ここからは秘密の話として。悪いけど亮介君は席を外してくれるかな」

 

「あー、いっすよ。んじゃ、また後でな、アギト」

 

「ああ」

 

カランカラン。

 

亮介はジャンパーを羽織って花鶏を出る。

どうせその辺をぶらぶらぶらついてくるのだろう。

 

「じゃあ気を取り直して……紹介するよ」

 

店に入って来たのは、紫色を帯びた銀髪の女と、体格の良い糸目の男、そして、服を着たゴリラだった。

 

…………ゴリラ。

 

(ゴリラだ)

 

(うお、凄えゴリラ)

 

(ゴリラね)

 

(ゴリラじゃないか)

 

(ゴリラ)

 

(ほんっと、ゴリラね)

 

(これ、全員からゴリラって思われてるぜ……いかに陽気なアメリカ人でも全員からゴリラって思われたら凹むぜ……)

 

ゴリラは泣いた。

鏡の向こうではゴリラよりゴリラなゴリラが腹を抱えてゴリラゴリラと笑っていた(?)。

 

「………ん?んん!?あれぇぇ?3人だけ?え?水無月さんは?青海くんは!?」

 

「ああ、アルス君。朧君は探偵の仕事と取材が。青海君は彼目当ての女性客が大勢病院に詰めかけててこれなくなったってオレの方に連絡来てたな。後、天野君は士郎君と出かけて、小野寺君は喫茶店の仕事。黒山君は面倒臭い……」

 

「オゥ、マジですか………」

 

思ったように動いてくれない契約者達。

彼らはそれぞれが自身の想像の斜め上を生きているのだとアルスは脳内で修正を加えていた。

 






ゴリラは……これからもゴリラであることを強いられているんだ!

ちょっと今回出せなかったライダーは次にでも出します。


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暗躍する影

どっかの話で挿絵を描いて投稿するとか何とか言っていたな、アレは嘘だ。
いやぁ思いの外手こずっていまして……サイコローグハァハァサイコローグハァハ……ごほん。頑張って描いてる途中だよ!期待せずに待っててね!
あと今回主人公出ねえ。あいや、最初だけ出るます。


 

「契約者はなんでこう……」

 

「足掻くな。運命を受け入れろ」

 

とある喫茶店にて頭を抱えるICPOのイケメンに対してアギトが非常な言葉を突きつけた頃。

人気のない路地裏に設置された姿見へフード被った男が鏡へ長方形のデッキを掲げていた。

 

「変身」

 

一言呟きカードケースを腰部のVバックルへと組み込む男。

すると男を囲うように鏡像がふふいくつも現れ、次の瞬間には男はオレンジ色の騎士へと姿を変えていた。

男はそれを鏡越しに眺め、無造作に鏡の向こうへ歩みを進める。

 

『はぁー。マジで変身できたぜ。それに……ほぉほぉ、ここがミラーワールドか。あぁ大して面白くもない。さて、仕事を始めるか』

 

言って、カードケースから一枚のカードを取り出したオレンジ色の騎士は、手に持った巨大な鋏の中心部にそれを挿入した。

 

『HAZARD VENT』

 

『クハッ!狂宴の始まりだ。精々クライアントの要望通りに踊り狂えよォ!!』

 

金属に爪を突き立てたような耳障りな音がミラーワールド中に響き渡る。

そして何重にも渡って響き続けたあと、何処かしらから遠吠えや咆哮、威嚇音が狂ったように発生する。

オレンジ色の騎士が路地裏を出ると、そこにいたのは30以上を超えるミラーモンスターの数だった。

馬男、虎男、蜂男に鮫男、多種多様なミラーモンスターの目は白く濁り、口からは涎がダラダラと垂れ流れている。

 

『ふぅむ?ちと少ねえな。まっ、ここらは契約者が多いって話だ。こんなモンだろ。おら、テメェら。向こうには美味しそうな餌がいっぱいあんぞ。行け行け、行って暴れてこい』

 

指さされた鏡の向こうには平和な街並みとそれを享受する老若男女の姿がある。

それを見たミラーモンスター達は理性の欠片もない表情で歓喜の咆哮を上げ、街中の鏡を介してリアルワールドへと干渉して行った。

 

そして、ただ1人残されたオレンジ色の騎士は顎を手に乗せ、それにしてもと続ける。

 

『仮面ライダーかァ。ヒヒ、殺ってみてえなァ。んまぁ、今はその時期じゃないってねェ。あばよ、精々楽しんでくれや。クハハハハ』

 

 

 

 

 

 

 

 

とある研究所。

そこに1人の男が訪れていた。

黒髪に眼鏡をかけ、白いシャツの上にクリーニングの行き届いた白衣を羽織っている男だ。

彼は中に入ると中の電気をつけつつ部屋の主に声をかけた。

 

「Bad Birlだね。篠ノ之君。こんな暗い部屋では視力が落ちてしまうよ」

 

男性が声をかけたのはパソコンをカタカタと目にも留まらぬ速さでタイピングするうさ耳をつけた女。

 

「あ、先生。来てくれたんだ」

 

女性は頭を上げて男性の来訪を認めると、嬉しそうに顔を緩めた。

彼女がどれほど男性の事を認めているのか、その笑顔だけでわかるだろう。

 

「ああ、それで今日は何の用かな」

 

今回、先生と呼ばれる彼は世界的な天災科学者の篠ノ之束に呼ばれて来たのだった。

そしてそれに対する篠ノ之の応答は、彼女の胸の谷間から取り出された。

 

「……これは?」

 

手渡された一つのカードケースに疑問を持ちながらも、彼の明晰な頭脳は一つのアンサーに到達していた。

そしてそれを待っていたのか、篠ノ之束は驚く彼にニンマリと笑顔を見せ、ピースサインを作る。

 

「先生の考案した設計図を元に束さんが作った《オルタナティブ》のプロトタイプだよー! ブイブイ」

 

(いつの間にオルタナティブの設計図を?)

 

彼は天災が自分のパソコンから設計図を入手して作成したんだろうと思い至ったが、まさか彼女の行動原理が自分を驚かせたくて、ということについては至らなかったであろう。

何はともあれ彼は天災にプライベートな情報もろとも知られたのは痛いが、オルタナティブの試作型を手に入ったことは僥倖だと思うことにした。

 

「これでようやく計画を始められますね」

 

計画、それは彼と彼女が手を組んだ最大の理由。

神崎士郎を倒し、ミラーモンスターの生息するミラーワールドを閉じること。

 

ひとまずデッキは白衣のポケットに突っ込み彼は篠ノ之束に用件はこれだけですか?と尋ねる。

 

「うん!頑張って英雄になろうね!先生!」

 

無邪気な笑顔に思わず男性の顔も緩む。

そしてそこで男性は目にした。

篠ノ之束のパソコン画面から覗く阿鼻叫喚、正にーーーー地獄を。

 

『グギォォォォォォォォ』

 

『ウワァァァァァァァァ』

 

『ギシャシャシャシャ』

 

『おかぁさぁぁぁん!うええええん』

 

『ピィィァァァァァァ』

 

『アイエエエエエエエ!?ミラーモンスター!?ミラーモンスターナンデ!?』

 

『コワイ!』

 

『ゴボボーッ!』

 

画面の向こうでは多種多様のミラーモンスターが手当たり次第に一般市民を襲っている。

今また一体の猪型ミラーモンスターが親子連れを襲い、咄嗟に子供を庇った母親が悲鳴を上げながらミラーワールドへ連れ去られた。

 

「これは…!」

 

顔が強張る男性。

それに対し篠ノ之束は天使のように妖しい笑顔で微笑む。

 

「実験だよ」

 

「実験?」

 

「そう!実験……。契約しなくても意図的にミラーモンスターをコントロール出来るかどうかの」

 

(実験?馬鹿な、コントロール?馬鹿な!これではただの暴走ではないですか!)

 

男性は狼狽する。

元々彼と篠ノ之束はミラーワールドを閉ざし、ミラーモンスターを現実世界に干渉させないようにすることで被害を無くすことを目的として手を組んだのだ。

それがなぜミラーモンスターのコントロールにいってしまうのか。

 

「まあ見ててよ、先生」

 

薄気味の悪い笑顔でパソコンを操作する天災に彼はたらりと冷や汗が流れるのを感じた。

そして薄ら寒い背筋に白衣の中のデッキを無意識下にぎゅっと掴む。

 

(篠ノ之君。君は本当にミラーワールドを閉じる気でいるのか?……それに、神崎士郎のカードデッキをこうも容易く作製するとは)

 

天災の技術力に感嘆すると同時にやはり恐ろしく感じた。

これが神崎士郎に向いている内はまだいい、なぜなら彼も大概規格外だから。

ただしかし、これが一度人類に向けられれば……いいや、その時は私が彼女を止めよう、と彼はパソコンに目を向ける。

画面の向こうでは新たな変化が訪れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前、街中をぶらぶらしていた亮介は街中の違和感を感じて咄嗟に身構えた。

契約者になって日が浅い亮介であるが、その本能は瞬時に鏡へデッキを向け、Vバックルを装着するまでを無意識下のうちに行った。

そして静かに耳を傾ける。

聞こえてくるのは当然女子高生の話し声や親子連れの会話、サラリーマンの不平不満など多岐に渡るが、その中に微かに聞こえてくるのだ。

頭に響く、『キィィン』『キィィン』という耳障りな音が。

 

「ミラーモンスター?」

 

違和感の正体に気付く、それと同時に複数のミラーモンスターに囲まれていることにも気付いた。

 

「30…いや、4……50はいないか!?」

 

ち、と舌打ちをして路地裏へ、そこで仮面ライダーに変身するときには既に蹂躙が始まっていた。

 

狂ったように暴れるミラーモンスターもいれば群れで襲いミラーワールドへ攫っていく奴らもいる。

 

『(♯0M0)<ザヨゴオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

『( 0w0)ウェ-イ!ウェイウェイウェイ ウェッ゛……!』

 

『……………え!?』

 

若干名コスプレ?姿でミラーモンスター相手に粘る者もいたが、大半の一般市民が逃げ惑い、或いはミラーワールドに連れ去られている。

一刻も早く制圧しなければ、とカードを挿入してソードベントーー風双剣ウイングブレードを装備すると、近くにいたミラーモンスターから斬りかかる。

 

『はぁ!』

 

刀の形状をしたウイングブレードを居合のように抜き放ち一体を両断すると、近くの喫茶店の扉が開いて1人の男性が現れた。

 

『あ、おい!危な』

 

「ふわぁ……はぁ、眠い…あ?」

 

喫茶店を営んでいるのか、喫茶店店員の服装をした男性は眠たげに欠伸をする。

それと同時に喫茶店のガラスから一体のミラーモンスターが男性へ襲いかかった。

 

「わお、ピンチってやつか?」

 

『何呑気に…くそ、間に合わねえ!』

 

反射的に風の刃を飛ばすもののミラーモンスターは既に男性の懐へ潜り込んでいた。

そしてミラーモンスターが男性の頭へ大きな口を開いたとき、突如男性を中心に刃の渦が巻き起こる。

 

『グゴケェェーー!!?』

 

蛙型ミラーモンスター《ゲコゲコ》の滑った皮膚が容易く切り裂かれ、夥しい血が噴水のように吹き荒れる。

 

「おい、やめろよ。返り血が飛んできちゃうだろ」

 

男性の一声で刃の渦が停まり、その中に見えたのは戦隊的なポーズをキメる三体のミラーモンスターだった。

 

「ワスプ、ホーネット、ビー。面倒だ、早く終わらせろ」

 

男性の号令で三体の蜂型ミラーモンスター達は颯爽と鏡の中を駆け抜ける。

まずは三体の行動隊長的バズスティンガーホーネットが横回転しながら二刀の毒針で猛攻を仕掛ける。

 

ホーネットに注意が行くと、ホーネットの隙を援護するように青いバズスティンガーワスプがミラーモンスターの間を縫うように疾駆する。

 

レイピアのように細く鋭い剣で貫かれたミラーモンスター達は、次に飛んできた矢を眉間に受け、例外なく生命エネルギーへ姿を変えた。

無論、黄色いバズスティンガービーによる正確無比な一撃だ。

 

三体は個々の戦闘力こそドラグレッダーやダークウィングに劣るものの、三位一体となって連携を取ることで多対一から一対多までも幅広く戦闘を行えるミラーモンスターなのだ。

 

『す、すげぇ』

 

自身も既に二体のミラーモンスターと契約しているが、あの三体のような連携を取れと言われて素直にするようなミラーモンスターではない。

だからこそ、あそこまで仲間を信頼し、仲間の隙もない程に洗練された動き方に亮介は感嘆の息を漏らした。

 

「はぁ、〝あいしーぴーおー〟の誘いも面倒だから断ったのに。結局これか」

 

彼の手には長方形のデッキが握られていた。

幾分か手のひらで弄び、やがて諦めたように溜息を吐くと、腰部のバックルにデッキを装着し、彼もまたーーー変身した。

 

「変身!」

 

鏡像が重なり合い、それは蜂を思わせる黄色の騎士を錬成する。

 

『……どうもどうも。仮面ライダーニスティンだ。面倒は嫌いだから、手短に終わらせる。ーーーワスプ!俺の補佐をしろ、ホーネットは他のミラーモンスターを引き付け、ビーは先制攻撃を仕掛けろ…もちろん外さないよな?』

 

ニスティンのバイザー

 

《針貫召剱スティングニードル》を持った仮面ライダーニスティンの号令で三体のバズスティンガーも行動を開始する。

そのときニスティンと亮介ーー仮面ライダーバードとで視線が交錯する。

本能的にニスティンが「リアルワールドは任せろ。お前はミラーワールドな」と言ってるのだと考察し、勢いよく鏡の中へ突入した。

 

『……はっ』

 

そこにはリアルワールドよりも沢山のミラーモンスターが集結していた。

ミラーモンスター達は一様に攫ってきた人間の品定めや奪い合いを繰り返していて、まさに混沌とした世界になっている。

それならそれで乱戦は歓迎だとバードはウイングブレードを振り抜き飛翔する。

馬型ミラーモンスターを斬り殺し、返す刀でサメ型ミラーモンスターの頭部を切り離すと馬型ミラーモンスターが喰おうとしていた女性を腕に抱いてミラーワールドから抜け出す。

 

『ここは危ねえ早く逃げろ』

 

「あ……はい」

 

助けた女性はとても美しく、綺麗だった。

どこかのアイドルか何かだろうかとぼんやり思いつつ、ふと誰かに似てるなぁ……とも考えていた亮介は鏡から聞こえてくる遠吠えにウイングブレードを手にリアルワールドへ駆けて行く。

 

「名前……」

 

その女性がかのICPO所属の世界を股にかけるシスコン紳士の妹であることを、亮介は知らない。

 

 

 

 

仮面ライダーニスティンと仮面ライダーバードが戦っている場所から近くにて、意図的に暴走状態となったミラーモンスターの一部が仮面ライダーバードから離れ、別の狩場を探していた。

 

『ウルルルルァァァァ』

 

『グァグァグァ』

 

路地裏に逃げ込んだ餌に思わず舌なめずりをするミラーモンスター。

しかしその目の前に探偵の格好をした男が現れる。

 

「おや、これはこれはお嬢さん方。こんな人気の無い路地裏に何の用か。さてはさっき逃したクライアントが目的か?……ったく、浮気調査なんて簡単な仕事の終わりなんだが…」

 

『ルルルルァ?』

 

『グァ?』

 

テンガロンハットに煙の出ていないパイプをぷらぷら揺らした男は手に持ったデッキをバックルに組み付け、言った。

 

「失礼。まずは自己紹介が先か……。俺は水無月 朧。ただの探偵で時たまライターで、今はのっぴきならない事情で専ら用務員だ。……それで」

 

短く変身、と唱えた彼を複数の鏡像が包み込む。

侍と騎士の甲冑が融合したような姿だ。

しかも身体中には水色の線が引かれてあり、そこを身体中を流れる血のように水色の粒子が幻想的に光っている。

 

『いまからはただの仮面ライダーファントムだ。ーーさあ、幻影に落ちる用意はいいか?』

 

腰のバイザー《幻召機ファントムバイザー》を二度、三度と叩き、腰部のカードデッキから一気に引き抜いた5枚のカードをバイザーの中に挿入して行く。

 

『SWORD VENT』『SWORD VENT』『GUARD VENT』『SHOOT VENT』『TRICK VENT』

 

『分かってるんだろう?そろそろ、良い子はおやすみの時間だってことに。……夢か現か、はたまた悪夢か。醒めることのない夢の時間へようこそ。歓迎しよう、盛大にな!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如始まったミラーモンスターの大反乱に偶然居合わせた仮面ライダー達が対抗する。

そして公園のベンチ、日当たりの良いこのスポットにて真っ昼間から働きもせずにスヤスヤ眠るプーさんが1人。

 

「むにゃむにゃ」

 

気持ち良さげに眠る彼は自分の眠るベンチを取り囲むミラーモンスターの群れに気付いていない。

アナコンダ型のミラーモンスターが大口を開けてベンチにかぶりつくとき、男性を包み込むように煙が噴き出した。

 

『シャァァ………』

 

アナコンダ型のミラーモンスターは眠り込んでしまったようだ。

そして代わりにベンチの上には1人の仮面ライダーが立っていた。

 

『ミラーモンスターの大量発生。そして俺氏囲まれる。……はぁ、めんどいなぁ』

 

戸惑うミラーモンスターを順繰りに見回していき、仮面ライダーガルダは大型のボウガン型バイザー《召喚弓ガルダバイザー》を構える。

 

『めんどいし眠いしめんどいし、そのまま帰るならそれでいいぜ』

 

怠惰を具現化したような男に対しミラーモンスター達がヤジを飛ばす。

そのどれもが『ちゃんと仮面ライダーやれ!』『喰わせろ!ニンゲン!』『このマダオめ!』『親御さんが泣いてるぞ!良いのか!?それで良いのかお前!?』『真っ昼間から公園のベンチで寝てんじゃネーヨ!働け無職!』と騒ぎ立てている。

仮面ライダーっぽくないこの男もアレだが、本能的に人を喰おうとせず、逆に男に対して社会の厳しさや人生について説教を始めるミラーモンスター達も大概アレだ。

 

そして謂れのない(事実であり正論であるが)男はもちろん逆ギレした。

 

『分かったよ!…やればいいんだろ!やれば!!』

 

男はーー仮面ライダーガルダはミラーモンスター達に対してゼロ距離射撃を敢行し、威力に耐えられなかったミラーモンスター達の爆発に呑まれた。

 

その日、都内の公園に汚い花火が観測されたが、犯人は未だ見つかっていない。

 

 

 

 

 

 

最後に、こことは違う別の場所でも戦う男が。

 

「青海せんせー。次の患者さんでーす」

 

「はいはい。ええと、坂本さん。今日はどうなさいました?」

 

「青海先生を見てると胸がドキドキ疼いて仕方ないんです。先生!これは一体何の病気でしょうか!?」

 

「…………あー、うん。はい、心の病ですね……何事もないようなので良かったです。………ハイ…ドウデモイイリユウデワザワザクンジャネーヨブスガ(ボソッ)」

 




悪いなオリライダー提供者の方々。セリフや言い回しを少し弄らせて貰ったぜ。(AC成分が混じってる奴がいる)
言い方変えてくれって方がいましたらメッセオネシャス。
修正する可能性を感じて結構ネタに走ったと思うんで……。
あと香川先生の契約モンスターであるサイコローグちゃんは魔改造します。例えば目からミサイル出す他にもレーザー光線撃ってきたりとか………ゴメン、実は最近フリーダムウォーズを買ってハマってから人口アブダクターに似てるサイコローグちゃんにハマってんだ☆
あ、香川先生はどこぞの天災と違ってとてまきれいだよ!


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お知らせ


明けましておめでとうございます。天敵です。
今回は誠に勝手ながら一度この小説の設定をちょこちょこ変えて最初から書き直そうと思った次第であります。
理由としては拙い駄文力や甘い設定等の見直しです。
ですのでIS×仮面ライダーリュウガの作品を一度リセットして、読み易い、面白い作品に練り直そうと思いますので、また次回もよろしくお願いします。
本文の方に下手ですが挿絵を置いていきますのでどうか見てやって下さい。

今後の目標
・挿絵のレボーゥアップ。
・文章力の強化
・設定頑張る
・更新頻度増やす


 

 

ドラグブラッガーとドラグレッダーとオリジナルミラーモンスターのホークスギア&ゴリラもといゴクウソンです。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ああ、誰か瞳の塗り方を教えてくだせぇ……。

あと嫁の擬人化で語ろうぜ(*´꒳`*)イメージ纏まったら落書き落書き。

とりあえず例えのゲリョスの擬人化設定

 

・頭部編

髪型は左が鎖骨まで長くて右は顎のラインまでのアシンメトリー

髪色は黒の比率が高い灰色、しかし澱んでいる

髪の毛は結構ボサボサでアホ毛が立ってる

アクセサリーにどっかから拾った布や電球、電線で髪を溜めてるが、ギチギチ締まってて結構痛いらしい(だがそれがイイ……!!とかなんとか)

 

・顔面編

基本的に眉毛は八の字固定

胡散臭い顔

直ぐ顔面が歪む

綺麗とか可愛い系ではなく、愛嬌系

いつもは自分の顔を模した変なマスクを被ってる

瞳の色は黄色

ドヤ顔がとにかくうぜえ

いつでもニタニタ笑っている

うぷぷ〜♪と笑われるとイラつく

ゲラゲラ笑ってる時の顔は殺意が湧く

ケケケ、と聞こえたら大体こいつの笑い声

 

・服装編

浮浪者みたいなローブ

インナーにタイツを履いてる(ピッチピチ)

何故か何処もかしこも膨らんでいて、叩くと弾力がある

内部には色々なコレクションを収納しているが、歩くたびに落ちるためドラグブラッガーに定期的に処分される、涙目

胸や足、腕を切ると中に入った血糊装置が発動して血飛沫を噴く死んだふりシステム

手には絶縁性のグローブをはめており、吸着性バツグンで物に触れると強力な粘着作用があるので盗み技に最適

靴はブーツで絶縁性は良好、更に爪先にはどっかから拾ってきた鉱石を溶かして固めた鉄板を仕込んでいるので蹴り技はかなり痛い

 

・行動編

基本的にどっかをウロついてる

が、昼食の時間になるといつの間にか戻っていてニタニタ笑ってる、うぜえ

テンションが高いと手品をすることがあるが、結局は頭の豆電球を光らせたりスリ技でトランプのイカサマ芸をやったり

食い意地が悪く、しれっとつまみ食いしたり美味しいものは懐に隠してたりする(その後ドラグブラッガーにキレられるか隠してるものを食べられるか)

面倒臭がりだが料理は得意で、お菓子関係の甘いものについてはしれっと店を出せるレベル、ドヤ顔うぜえ

 

・体型編

☆結構良いものをお持ちと言うか、体全体がムチムチしてる。(簡単に言えば体型がアイマスの三村か○子)

G級安産型の尻をしてる

 

・性癖編

実はでもなく普通にM

 

 

 

 

 

 

ドラグブラッガーや他ミラもんを直ぐにバカにするけど、ほんとは寂しがり屋で構ってちゃんなだけ。

 

飄々としてて直ぐにどっかに行くけど、目を凝らして周りを見れば案外直ぐ近くでこっちをジッと見つめてる。

 

隠れて練習した手品を披露したり、それが失敗したら涙目になってオロオロしたり、成功したら「どうかな?どう?どうだった?」って上目遣いでこちらをチラチラ伺ってきたり。

 

お腹周りは揉むと気持ち良くて良く抱き締めながら揉んでると「ふふん♪ふふふん♪」と鼻歌歌いながらドヤ顔してるけど、内心恥ずかしくてドキドキしてて表情には出さないけど凄い赤面してる。

 

パシリとか囮とか、損な役回りがいっぱいで愚痴るけど、それは好きな人の役に立てて嬉しいって愛情の裏返し。

 

人をバカにするのが得意だけど、ご主人様には嫌われたくなくて、ドヤ顔で「人生勝ち組ですが何か?」って顔してるけど、心の中ではビクビクして「どうしよう?どうしよう?」っていつも怯えてる。

 

なので甘える時はとってま甘ちゃん、だからこそ可愛いゲリョス!



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