機動戦士ガンダム MS戦線0079 戯け者の弾痕 (だ~くぱんぷきん)
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operation.1 《SRT-ユニット2 結成》

三つも小説を掛け持ちして完走出来るかはわかりませんがまぁ、自分でやりたいと思った事なのでやってやりますよ旦那ァ(^ω^)


俺も遂に自分の隊を持てる時が来たのか・・・

 

試験学校を卒業して、MS試験も無事にパスして、とうとうここまで来たかぁっ!

 

時は宇宙世紀0079 10月9日

 

「今日からこの地球連邦軍広域特殊対応MS部隊第2小隊の隊長を務めることになった、アンセル・フレイン中尉だ。まぁいきなり小隊長になる事になったわけだが、これからよろしく頼むよ。」

 

「よくそんな長い名前覚えられますねぇ・・・あ、自分はクレイグ・べックフォルド特務曹長です。今日からこのSRT-ユニット2に務めることになりました。仲良くやっていけたらなと思っている所存です。」

 

「じ、じ自分は、コレット・シアーズ伍長でありますっ!!まだまだ腕は未熟ですがっ!よ、よろしくおねがいしますっ!」

 

「この隊のオペレーターを務めます。オリーフェア・ラヴェニュー少佐です。情報伝達等は私の専門ですので、よろしくおねがいします」

 

「良し、これで全員だな。いやぁ、なんかすごいな、自分の隊を持つなんて」

 

「アンセル中尉。失礼ですが、早速作戦の説明を。」

 

「作戦!?この隊は今日編成されたばかりなのに!?」

 

「イイじゃないですか。どちらにせよ戦う事になるんだ。初陣は早めに済ませておきたいですし」

 

「初陣・・・初陣・・・」

 

クレイグの顔は自身に満ち溢れ、逆にコレットはもはや放心状態になっている

 

まぁ、ここはクレイグの言う通りか。

 

「・・・分かった。じゃあ説明を頼む」

 

「はい。今回の作戦は先日、WB隊とガルマ・ザビの部隊との交戦がありましたよね?」

 

「あぁ。あったあった。ガルマ・ザビの乗ったガウがWB隊に特攻を仕掛けた末、WB隊は見事特攻を喰らう前にガウを撃破したんだよな」

 

「ご名答。それでその交戦の後に残った残存勢力の殲滅。それが私達、STR-ユニット2の初任務です。」

 

「よ、よかったぁ・・・それ位なら大丈夫ですね!」

 

「ハハハ・・・残存勢力って聞いた途端元気になったね」

 

「私だってそれ位の任務だったら余裕でこなせちゃいますよ!士官学校ではそれなりに優秀だったんですよぉ!」

 

「まぁ、初陣なんてそんなもんか。んで?敵の勢力は?」

 

「わかっているのはマゼラアタックが6機、ザクが2機程度の模様です」

 

「えっ?残存勢力なのにちゃんとMSはいるんですか・・・?」

 

「はい。なので油断はしない様に」

 

「油断しないのは戦場の掟だよ。それでMSは?支給されてるはずでしょ?」

 

「もちろんです。我が隊に支給されたのはMSを3機搭載可能の輸送機、マディア この輸送機が今後の我々の拠点となります」

 

「ミデアと同型の輸送機か、まぁいいや。んでMSは?」

 

「肝心のMSですが、RGM-79(G)陸戦型ジムが1機、RGC-80ジムキャノンのテスト機が1機・・・あとは・・・」

 

何故かオリーフェアの顔が先程までの凛々しい顔から一気に曇る。

 

「どうした?そんな言いずらいのか?どれ?見してみ」

 

そう言ってクレイグがオリーフェアの手元の書類を覗き見する。

次の瞬間にはクレイグの顔も曇る

 

「中尉・・・残った1機は・・・その・・・」

 

「うん?」

 

「RRF-05・・・」

 

「えっ・・・?」

 

「・・・ザニーです」

 

クレイグは天を仰ぎ、コレットに至っては開いた口が塞がらないと言う言葉を体現している

 

それもそのはずだ。現に俺の顔も凄い事になっているだろう

 

RRF-05 ザニー

 

その機体は我々、連邦軍がV作戦とは別に行っていたMS開発計画で生まれた機体

 

鹵獲したザクIIを改修した汎用MSである。

 

しかしこのMS、開発された当初はMS戦のノウハウも不足していた為にザクと同程度の性能は有したものの操縦性に難があり、試験運用中にも故障が幾度となく起こるMS。

 

「ザニーって・・・ジムの開発が成功してからは一線引いて、新しいMSパイロットの演習機等として使われていたはずだが・・・?」

 

「その通りなのですが、どうやらジム・トレーナーが配備された事によって要らない子となり、解体待ちだったザニーがこの隊に1機配備されたと・・・」

 

「連邦軍の上の奴らは俺らが死のうがどうでもいいってこったな。クソッタレ」

 

「おいクレイグやめろ!」

 

「ですがこの隊に配属されたザニーは"小隊長用"に頭部にアンテナが増設され、操作性も格段に上昇しており、ジェネレーターが強化された事によりビーム兵器の携行も可能。バックパックにはビームサーベルが2基設けられていて、もはやその性能はジムと同等、もしくはそれ以上かと・・・名付けてアドバンスド・ザニーとでも呼びましょうか」

 

「そうか、小隊長用か・・・」

 

正直、チューンアップされたからと言って所詮はザニー。

最初期のMSだ。

 

「隊長さん・・・」

 

「それでは登場割り振りです。クレイグ特務曹長はジムキャノン、コレット伍長は陸戦型ジムの、そしてアンセル中尉は、アドバンスド・ザニーのパイロットとしてこれから作戦を全うしてもらいます。作戦までは後数時間あるのでゆっくり休むといいでしょう。」

 

そう言い終えるとオリーフェアはこの場から去っていった。

 

「隊長さん、まぁ気を落とさないで。言ってしまえば貴方だけのワンオフ機ですよ」

 

「そうだな。ありがとう、クレイグ」

 

「ほら!オリーフェアさんだって言ってたじゃないですか!元のザニーとは全然違う機体だって!大丈夫ですよ!」

 

「コレット、ありがとう。」

 

ザニーに乗ってこれから生きていくのかと思うと正直心許ない

 

しかしこれはチャンスなのではないか?

 

ザニーという機体で戦果を上げれば上層部も俺を認めてくれるかもしれない

 

そうなればこっちのもんだ

 

「よぉし!!」

 

いきなり声を出したせいかクレイグとコレットがこちらを唖然としながら見ている

しかしそんな事は気にせず俺は言う

 

「クレイグ!コレット!今回の作戦、必ず成功させるぞ!そして上の奴らに見せ付けてやろう!俺らの実力を!」

 

「・・・ハ、ハハハハッ!!こりゃたまげたよ。てっきり落ち込んでんのかと思ってたけどよ。隊長さん、俺は乗るぜ!」

 

「私も!私なりの意地があります!どんなMSが相手でもコテンパンにしてやります!」

 

「良し!SRT-ユニット2!今回の作戦!成功したら俺がお前らに1杯ずつ奢ってやる!」

 

 

 

宇宙世紀0079 10月9日

 

俺達の戦争はここから始まった

 

 




WiiのMS戦線0079は空気と化してましたが個人的には大好きな作品ですた(^ω^)


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operation.2 《戯け者の過去》

あれからとうとう数時間が経った。

 

俺達、SRT-ユニット2は支給されたマディアに乗り込み、作戦が行われるシアトルへ向かっていた。

 

シアトルへ着く間に俺はMSの格納庫にいた。

 

RRF-05-A アドバンスド・ザニー

 

これが俺の機体になるのか・・・

 

「貴方も運がありませんねェ旦那」

 

声のする方を振り向くとそこには髭を蓄えた大柄の男が立っていた

 

「今時こんな機体に乗る隊長さんはアンタ以外いませんぜ。陸戦型ジムや陸戦型ガンダムが主流になっている今、ザニーなんかに乗るのはね」

 

「"なんか"じゃないさ。自分の命を預ける機体なんだ。俺はこいつを、ザニーを信じてるし、よくよく考えたら、こいつはなんか・・・俺と似てるんだ」

 

「似てるって・・・こんな機体と、小隊長にまでのし上がった男がですかい?」

 

「あぁ。妹がいてさ。リンディって言うんだ。俺より勉強は出来るし、動けるし、見た目も良いし、性格も良しで、俺が勝てる要素なんて何一つ無かったんだ。まぁ、周りの奴等は皆、妹に集まっていって、遂には親からも構ってもらえなくなった。自分より優秀な奴が出てきたら、こっちは完全に除け者。それで俺、一時期グレちまってさ。どうにかして皆の視線を集めたかったんだ。そしたら周りの奴は俺を居ないもののように扱って、親には面倒者として嫌われ、見棄てられた。こいつと俺は一緒なんだ。だから俺はこいつを信じる。」

 

「そうか・・・旦那の言いたい事。なんか分かりましたよ。こいつの調整は既に終えてます。やれるだけの事はやりました。後はこいつが旦那に答えてくれるかですぜ。」

 

「ありがとうな。長話に付き合ってくれて。名前は?」

 

「アルベルト・ヴォルティって名前です。覚えといてくだせえ。」

 

「あぁ。ありがとう、アルベルト」

 

「なんのなんの。ほら、そろそろシアトルに着く頃じゃないですか?」

 

『間もなく作戦開始時間です。SRT-ユニット2はMSに搭乗し、シアトルまで待機して下さい』

 

「あ、隊長こんな所にいたんですか。探しましたよ。」

 

「クレイグか。悪かったな。コレットは?」

 

「腹壊してトイレです。緊張ですかね?」

 

クレイグと話していると後ろからコレットが走ってくるのが見えた

 

「も、もう大丈夫です!これが初陣なんですから、出撃する時もビシッとしてませんとね!」

 

「あぁ、そうだな!各自、それぞれのMSに搭乗しとけよ。」

 

そう言って俺は自分のMS(アドバンスド・ザニー)のコックピットへ乗り込む。

 

「機体各部、オールグリーン。いつでも出撃出来るぞ。」

 

『中尉。どうです?乗り心地は?』

 

この声は・・・オリーフェアか。

 

「最高だ。これなら今回の作戦なんて余裕だよ。」

 

『それならよかったですが、油断はしない様に。今回の作戦では携行武器として100mmマシンガンを携行して作戦を行ってください。』

 

「分かった。」

 

てっきりジェネレーターを強化したからビーム兵器使えるなんて言ってたからビーム兵器かと思ったが、そうでも無いんだな

 

まぁ、マゼラアタック程度ならこれで十分だろ

 

『後、40秒で投下高度です。各パイロットは機体の最終チェックを。』

 

「クレイグ、コレット。そっちはOKか?」

 

「バッチリですよ隊長。支援は任せといてください。」

 

「私のジムも良好です!上手くやれるかは分かりませんが・・・」

 

「そん時は俺がフォローして上げるから安心してくれよ。」

 

「ハハハ。クレイグさん頼みますね!」

 

「2人とも。時間だぞ。」

 

『作戦時間です。コレット機からシアトルへパラシュートを使用し、降下。40秒後、クレイグ機も降下。同じく40秒後にアンセル機も降下。全機がシアトルに降下した次第作戦を開始せよ。敵勢力はマゼラアタックが6両。ザクIIが2機確認されている。SRT-ユニット2はこれらを殲滅せよ。 尚、作戦完了予定時間になり次第、マディアもシアトルへ降下します。それでは健闘を祈っています』

 

「コレット・シアーズ!陸戦型ジムで行きます!」

 

コレットが乗った陸戦型ジムが降下を始める

 

「クレイグ・べックフォルド。ジムキャノン。出るぞ!」

 

次にクレイグのジムキャノンも降下する。

 

次は俺だ。

 

待っている40秒がとても長く感じる・・・

 

『アンセル機。降下開始して下さい』

 

時は来た

 

「アンセル・フレイン!アドバンスド・ザニー!出る!」

 

マディアの格納庫から俺とザニーは空に飛び出る。

 

パラシュートを開き、コレット達のいる場所に向かって降りていく

 

地上に足が着き、パラシュートパックがパージされる。

 

「SRT-ユニット2!これより作戦を開始する!各自、敵機に警戒しながら残存勢力を撃破していくぞ!」

 

「「了解!」」

 

「良し!各機。散開して敵勢力を探せ!MSを発見した時はすぐに伝えろ!絶対に無理はするなよ!」

 

そして俺達、SRT-ユニット2の作戦が改めて始まった。

 



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operation.3 《初陣は太陽の下に》

 

「各機。散開して敵勢力を探せ!MSを発見した時はすぐに伝えろ!絶対に無理はするなよ!」

 

『了解。ですが隊長。ここは少しミノフスキー粒子が濃いですよ。散開しても離れ過ぎては通信機が意味をなさないかもしれません。』

 

「そうだな。各機!散開した後もあまり離れ過ぎるなよ!尚、パラシュートで降下してきたのなら敵さんもこっちの存在には気づいているはずだ!建物の影やビルの屋上等には気をつけろ。マゼラアタックと一つ目野郎がアンブッシュを狙ってるかもしれないからな!さぁ、作戦開始だ!」

 

にしても・・・なんでここまで粒子が濃いんだ?たかが残存勢力がここまで粒子を撒けるか・・・?

 

『ア・・・ル中・・・聴こ・・・ます・・・!?』

 

「オリーフェアか?どうしたんだ?」

 

『今すぐ・・・作・・・ちゅ・・・!!』

 

そこで通信は途切れてしまった。

 

どうにも焦っているような声が聞こえたが・・・大丈夫か・・・

 

迷っていてもどうしようもない。

今はただ進むのみだ

 

100mmマシンガンの弾がちゃんと入っているのを確認し、シールドを構えながら、シアトルの奥へ進んでいく

 

『隊長!マゼラアタックを2両撃破しました!・・・おいおいこんなの聞いてないぞ!!』

 

「クレイグか!?どうしたんだ!」

 

『何が残存勢力だよ・・・こんなMS見た事ないぞ!』

 

「MSか!!今何処に居る!」

 

『・・・』

 

クレイグとの通信が切れたかと思うと、機体の背後からキュラキュラとキャタピラの音がしている事に気づく

 

「マゼラかァ!」

 

ザニーの向きを反転させて、マゼラアタックの砲弾をシールドで防ぎ、シールドの脇からマシンガンでマゼラアタックのトップ部に射撃を開始する

 

しかしターゲットが少し下に落ち、撃破する事は出来ずにマゼラアタックから脱出したマゼラトップの接近を許してしまう

 

そしてマゼラトップの砲身がザニーのコックピットに狙いを定める

 

「させるかよ!」

 

接近したマゼラトップの砲身部分を掴み、動きを封じた上でトップ部に頭部バルカンを乱射する

 

それを爆発する前に離し爆風を遠ざける

 

「・・・!!!」

 

次の瞬間だった。

爆風を諸共せずに目の前にいきなり見た事のないMSが現れ、その手に持った通常の物とは形状の違う双刀型のビームサーベルを振り下ろす。

 

こちらもビームサーベルを手に取り、それを受け止める

 

「速い・・・!!」

 

『隊長!そっちに未確認のMSが!』

 

「クレイグ!無事か!」

 

『いえ、腕部をやられました!援護出来ないです!』

 

「お前が無事ならそれで良い!コレット!クレイグの位置まで行けるか!?」

 

『無理です!今はザクII2機とマゼラアタック3両と交戦中です!今だって攻撃も出来ずに隠れているのがやっとなんです!!』

 

「クソ・・・!」

 

未確認MSのパワーは明らかに俺のザニーより上だ。

どうすればいい・・・何が最良の選択なんだよ・・・!!!

 

「このォ!!」

 

敵機のビームサーベルを受け止めながら100mmマシンガンを腕の関節部にゼロ距離で放つ

 

おかげで敵機との競り合いに勝ち、敵機に隙が生まれた

 

その瞬間にサーベルでもう片方の腕を切り落とし、頭部を掴んでコックピットに100mmマシンガンの狙いを定める

 

「MSのパイロット!今すぐ投降しろ!さもなければ今すぐにコックピットを撃つぞ!」

 

これが俺の最良の一手。

恐らくこのMSが残存勢力のリーダーだろう。

つまりこいつを抑えれば自然に他のも大人しくなるはず

 

『・・・投降はしない』

 

「何故だ!これ以上の抵抗は無意味だぞ!無意味な戦闘はお互いに避けたいだろう!?」

 

『俺は誇り高きジオンの兵士だ!貴様らの様に重力に縛られた人間の下に投降するくらいならここで命を散らす方がマシだ!!』

 

「・・・名前は?」

 

『ケビン・クレスト少佐だ。』

 

「覚えておくよ。」

 

 

 

そのパイロットの望み通りMSのコックピットを1発で貫いた

 

『・・・あれ?ザクとマゼラアタックが撤退を始めました!よかったぁ・・・』

 

『隊長。流石ですよ・・・初陣でこんな事になるとは思いませんでしたけど・・・』

 

「俺だって・・・生き延びられたのは奇跡だよ・・・」

 

言葉に嘘はない。

あの未確認MSとこの機体がマトモにやり合うこと自体がまずおかしい。

 

『ユニット2!!無事ですか!?』

 

途端にオリーフェアの焦った声がコックピットに響く

 

「俺は大丈夫だが・・・皆無事か?」

 

『私は無事ですけどクレイグさんは!?』

 

『大切な機体を壊しちまった・・・ごめんな。』

 

「お前自身は大丈夫なのか!?」

 

『俺は大丈夫です。少し頭から流血してる程度です』

 

「大丈夫じゃない!早く回収ポイントまで行くぞ!」

 

『目立った傷は無いんですね!?それなら各機、回収ポイントへ!コレット機はクレイグ機のジムキャノンの回収を!』

 

「了解。・・・オリーフェア。少し話したいことがあるんだが」

 

『・・・なんでしょうか』

 

「今回の作戦。ただの残存勢力の掃除と聞いていたんだが?」

 

『・・・』

 

「一体どういう事なんだ。おかげで俺達は初陣で死ぬ所だったぞ。・・・あのMSは!?ただの残存勢力に!あんなMSがいるか!?」

 

『私だってそのMSを発見した時は驚いたんです!だから通信したんです!作戦を中止してくださいって!』

 

「ッ・・・!」

 

『私にだって・・・全てが分かる訳じゃないんです・・・』

 

「・・・そうだよな。ごめん、ピリピリしちゃってさ。とにかく、回収ポイントへ向かう」

 

『こちらコレット!クレイグさんとジムキャノンを発見しました!』

 

「分かった。クレイグを回収して、回収ポイントへ。ジムキャノンは後で輸送トラックでマディアまで運ぶぞ!」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

《作戦終了から数時間後》

 

「隊長。先程のMSの正体が判明しました」

 

「あぁ。で、結局あれは何なんだ?とんでもないスピードだったぞ」

 

「あのMSはMS-06R-3S 高機動型ザクIIゲルググです。」

 

「高機動型ザクIIってあの[ザクの皮を被ったゲルググ]って呼ばれているMSですよね。」

 

「はい。隊長が鹵獲したあれは後期型を素にしている機体なのでそれで正しいです。」

 

「それにしてもだ。何故、残存勢力の中にあんなのが混じってたのか気になる。こっちの動きを掴まれてたか・・・」

 

 

「もしかしたら、そうかもしれません。」

 

「・・・それならいいんだがなぁ・・・」

 

「それにしても隊長さんは良くやったぜ。俺は反応出来ずに一瞬でやられちまった。正直もう死ぬかと思ったぜ」

 

「クレイグさん!?なんで出てきたんですか!?ちゃんと寝てなきゃダメじゃないですか!」

 

「いや大丈夫だって。それにああいうとこで寝るのって慣れないんだよ。」

 

「クレイグ、それはコレットの言う通りだぞ。」

 

「コレットさんとクレイグさんの今のやり取りまるで親子ですね」

 

「ハハハハッ!!!クレイグは今でも子供っぽいんじゃないか?」

 

「んな!?いくら隊長でも許しませんよ!!」

 

「クレイグさん!もうやめて寝ててください!」

 

「ハハハハッ!!」

 

こんなに楽しい時間を味わったのはどれだけ久しぶりだろう

 

この戦争が始まってからいい事なんて何一つ無かった。

だが今はこの仲間達がいる

 

この隊、皆が生き残ってこの戦争を乗り越える。

乗り越えてみせる

 

絶対に。



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operation.4 《ニュータイプ》

「んで?俺が鹵獲したあのゲルググもどきはどうするんだ?」

 

宇宙世紀0079 10月20日

 

シアトルでの作戦を終えたSRT-ユニット2には既に次の作戦が下っていた

 

「腕部が破壊されたジムキャノンの改修に使います。残った部位は機体のデータ解析に。」

 

先日、シアトルでの戦闘で逃した残存勢力の追撃

 

「あの残存勢力をそんなに殺したいかよ・・・」

 

「隊長。少し聞きたい事があるんですけど。」

 

「なんだ?オリーフェア」

 

「ニュータイプって知ってますか?」

 

「ジオン・ズム・ダイクンの唱えた"新たな人類"って奴か」

 

「はい。具体的な例を挙げればホワイトベース隊のアムロ•レイ等でしょうか?」

 

「MSを操縦した事もない子供が、ガンダムを駆りザクを2機撃墜した。そんな話があったな」

 

「はい。私はそういう超人的な操縦センスがある人間をニュータイプなのかと」

 

「なるほどねぇ・・・そりゃまた違う気がするけどなぁ」

 

「そうですかね?」

 

「ニュータイプってのは"人類の革新"なんだろ?ただただ操縦が上手いだけじゃ、人類の革新もクソもないんじゃないか?」

 

「なるほど・・・なら隊長は一体どういう人間がニュータイプだと思います?」

 

「・・・人の事を良く理解出来て、その人の為に何かが出来る人間?」

 

「何故そう思うんですか?」

 

「人の事をちゃんと理解できれば、戦争なんて起こらないだろう?その点で言えば、夫婦で啀み合う地球の人間はニュータイプになんかなれる訳がないんじゃないか?」

 

「確かにそうですね。それならわたしの思い違いでしたね」

 

「ん?何の話だ?」

 

「もしかして隊長はニュータイプ何じゃないかと。」

 

「ニュータイプ?俺が?ハハハハ!!冗談きついぞオリーフェア。熱にやられたか?冷たい飲み物買ってきてやるか?」

 

「な・・・隊長!階級は私の方が上なんですよ!?もうちょっと他の言い方が!」

 

「怒るなって!悪かったよ!」

 

「別にいいですけど・・・」

 

「第一、ニュータイプってのは宇宙に居る人間がなる奴なんだろ?俺は出身も育ちも地球だよ・・・」

 

〔貴様らの様に重力に縛られた人間の下に投降するくらいならここで命を散らす方がマシだ!!〕

 

「・・・ケビン・・・」

 

「誰ですか?ケビンって」

 

「あ、あぁ、あのゲルググもどきに乗ってたジオンの奴だよ」

 

「それがどうかしたんですか?」

 

「そいつが言ってたんだ。俺らみたいに地球の重力に縛られた人間に投降するくらいなら、ここで死んだ方がマシだって」

 

「・・・あちらにはあちらの信念があるんでしょう。ならばこちらも連邦軍の人間として、戦うだけです。」

 

「そうなのかもしれないな。それじゃそろそろクレイグとコレットと作戦の話をしてくるよ」

 

「了解しました。それじゃ私も自分の場所に戻ってます」

 

「そうだ。オリーフェア。少し調べて欲しいことがあるんだが」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

「連邦の中にジオンの奴と関係のある奴がいないか徹底的に調べてくれ」

 

「分かりました。最善を尽くします。」

 

「うん。ありがとう」

 

 

 

以前のシアトルでの作戦で見たあのMS

 

いくら残存勢力を連れ帰りに来たって言っても、あの性能は些か過剰だ。

まるでこちらの動きを掴んでいるかの様な感じだった。

 

だとすれば連邦の中にジオンに通じてる"スパイ"がいることになる

 

俺の憶測が間違っている事を願うが。



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operation.5 《自分のやるべき事》

「オリーフェア。あの残存勢力の場所は掴めたのか?」

 

「なんとか。どうやらあのゲルググもどきが撃破され、撤退した際にガウ攻撃空母でパプアニューギニアまで逃走、その後の事は現在掴めていません」

 

「にしてもよぉ。良くそんなに残存勢力を追えるよなぁ。連邦は暇してんのかよ」

 

「まぁ、私達のやれる事はユニット1が殆どやってしまいますからね・・・」

 

「ユニット1の奴らはいいよなぁ・・・」

 

「クレイグ、お前はそんなに与えられた任務を行うのが嫌なのか?」

 

「そういうわけじゃないけど・・・」

 

「隊長!本機の背後に反応あり!」

 

次の瞬間、艦の中にミサイル警報が鳴り響く

 

「各員戦闘態勢!!MSパイロットはMSに搭乗し、敵機を撃破せよ!」

 

「撃破って・・・ここは海の真上だぜ!?どうやって戦えばいいんだよ!?俺とコレットのMSだって整備が!」

 

「なら・・・俺が行くさ」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「旦那!いつでも発進できますぜ!」

 

「ありがとな!アルベルト!」

 

「今回は空中戦闘になるはずです。一応、パラシュートパックは付けときましたが、無茶して落っこちるなんて事は無いようにしてくだせぇ。」

 

「了解ッ!!」

 

そう言ってザニーのコックピットに乗り込み、携行武器の100mmマシンガンを掴む

 

「オリーフェア!開けてくれ!」

 

『隊長!お願いします!尚、今回は緊急事態の為、整備が完了していたアドバンスドザニーだけで戦闘を行ってもらいます!ご武運!』

 

オリーフェアの言葉と共にマディアの背部が開き、敵の機体の姿が見える

 

「アドバンスドザニー!出るぞ!」

 

背部ハッチが開ききったのと共にアドバンスドザニーは空に飛び立つ

 

『出てきたぞ!あのMSだ!』

 

敵はドップが2機にS.F.Sを使用しているザクIIが1機

 

「そうだ・・・こっちに来い!」

 

機体背部を海に向け、牽制射撃を行う

 

無論、弾丸が当たることは無かったが牽制には充分だ

 

『そんな機体にこのドップがやられるかよ!!』

 

ドップが1機、こちらに機銃を斉射してくるがその程度ならシールドで防げる

 

「舐めて近寄ってきたのが運の尽きだぞ!」

 

接近してきたドップのコックピット部を100mmマシンガンで打ち抜く

 

『貴様!良くもビッシュを!!』

 

するとSFSに乗ったザクが上空からザクマシンガンを放つ

 

マシンガンの弾は殆どがバラケて当たらなかったが、うち何発かは左腕部関節と脚部に当たってしまう

 

「パラシュート!」

 

『はっ!素人が!接近してそのコックピット潰してやる!』

 

パラシュートを開くと、ザクがこちらをヒートホークで叩き切れる所まで近づいてくる

 

『ケビン隊長の分も地獄の釜に焼かれ続けろ!』

 

「!!!」

 

ヒートホークを振り下ろした瞬間に推進剤を使い切る勢いでザクより上に飛び上がり、こちらもビームサーベルを取り出して、ザクのコックピットのみを貫く

 

「悪いがそれは使わせてもらうぞ!」

 

パラシュートパックを外し、ザクが爆発する前に蹴り飛ばしSFSを奪い取る

 

「こいつは使えるぞ・・・残りはドップ!」

 

『クソォ!クッソォ!!』

 

最早ヤケクソか。残ったドップは狙いが定まってもいないのにこちらにミサイルを撃ちまくる

 

それを躱して、ドップのコックピットをサーベルで切り裂く

 

「あの世で仲良くやるんだな・・・」

 

『隊長!無事ですか!?』

 

「なんとかなぁ・・・今帰還する。ハッチを開けてくれ」

 

『了解!ただ今開きます』

 

「・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「隊長!お疲れさまです!」

 

「もう2度と空中で戦うのはゴメンだね・・・」

 

「それでも凄いですよ隊長!もう撃墜スコアすごい事になってるんじゃないですか!?」

 

「かもな・・・にしても」

 

「どうしたんです?」

 

「ザクのパイロットが『ケビン隊長の分も』って」

 

「ケビンって・・・」

 

「オリーフェアさんも何か知ってるんですか?」

 

「いや何でもない。戦闘は終わったんだ。持ち場に戻るぞ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「オリーフェア、居るか?入るぞ」

 

「女性の部屋に入ってくる時はノック位する物ですよ。」

 

「悪いな。今度から気をつけるよ。それで例の件だが」

 

「まだ掴めませんね。何しろ手がかりが何も無いですし」

 

「やっぱりそうなんだよな。手がかりが無いんだよ」

 

「それで『スパイを探せ』なんて言われる身にもなってくださいよ・・・」

 

「ハハハハ、すまんすまん。というかお前」

 

「なんです?」

 

「髪結んだらなかなか可愛いな」

 

「んな!?茶化さないでください!」

 

「ハハハハッ!!その反応が楽しいんだよ!」

 

「隊長!」

 

「ゴメンゴメン!それじゃ俺はアルベルトの所に行ってくるよ。じゃ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「アルベルト。どうだ?こいつ(アドバンスドザニー)の調子。」

 

「かなり悪いですぜ。こりゃ。左腕の関節がやられちまってる。」

 

「そうか。悪いな。」

 

「旦那が悪いんじゃ無い。こんな時に攻めてくるジオンのせいでさぁ。」

 

「そう言うフォロー。ホントに助かるよ。」

 

「何の何の。でも次の作戦で満足に動かないかもしれやせん。最善は尽くしますが」

 

「頼むよ。アルベルト」

 

悪いなザニー。怪我させちまって。

少しの間だが休んでてくれ

 

 



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operation.6 《葛藤》

「隊長、見えましたよ」

 

「あそこがパプアニューギニアか」

 

宇宙世紀0079 10月21日

 

既に日が沈み、空は黒く染まった頃

 

俺達ユニット2はシアトルの残存勢力が居るという情報があったパプアニューギニアに到着した

 

「やっぱりコロニー落としの影響はあるのか」

 

「そりゃそうでしょうよ。なんせコロニーが落とされたオーストラリアは目と鼻の先ですよ?」

 

自然はなんとか残っているものの、以前の様な豊かさは完全に消えていた

 

「まずは補給物資を貰わなければいけません。オーストラリアの基地に要請はしておきましたので、後は合流地点に到着するのを待つだけです」

 

「まぁ、そろそろ弾薬も切れそうだったし助かるな」

 

「それは隊長だけじゃ無いですか?俺とコレットはまだ1機も撃墜してないんですよ!?」

 

「ゴメンゴメン、なんか奢ってやるからさ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

無事補給が済み、パプアニューギニアに俺達は無事、上陸した

 

「オリーフェア。さっきの補給の時に、弾薬とか、それ以外にも見たことの無いやつがあったんだが?」

 

「あれは隊長のMSの武器ですよ。上に無理いって支給してもらったんです。隊長なら使いこなせると思って。ビームアサルトライフルです。まだまだ試作段階の兵器ですが。どうです?」

 

「お前が俺を信じてそこまでやってくれたんだ。文句は言わないさ。むしろありがたいよ」

 

「ふふっ、それなら良かったです。さぁ、皆さんの疲れも溜まってきている頃だろうし、暫くは基地で休むとしましょう。」

 

無論、そのオリーフェアの言葉を聞いた瞬間に艦全体が賑やかな雰囲気になった

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「アルベルト・・・お前せっかくの休みなのにMS弄ってんのか?」

 

「旦那ですか?悪いけどあっしにはアンタらのMSを完全にしておく必要がありやす。そう休んじゃあいられません。さすがに他の整備兵まで巻き込むつもりはないですが」

 

「ほら。飯くらい食っとけ。そんなんじゃ身体が持ちやしないぞ?」

 

「ありがてぇ!最近はレーションしか食ってませんでしたからねぇ。サンドイッチなんて美味いもん食ったのは久しぶりでさぁ」

 

「だろうなぁ・・・」

 

「あっ!ここにいたんですか隊長!」

 

「早く戻ってきてくださいよぉ!皆待ってますよ!アルベルトさんもどうです?」

 

「あっしは大丈夫ですよ。コレットの姉貴。皆で楽しんで来てくだせえ!」

 

「そうですか?それじゃ遠慮なく!」

 

「アルベルト!来たくなったらいつでも来いよ~!」

 

「クレイグの旦那もありがとうごぜぇやす!」

 

「それじゃな!アルベルト!俺達のMS!頼んだぞ~!」

 

「はい~!・・・さてと、期待には答えなくちゃいけませんね!」

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「アンセル隊長!どこ行ってたんですかぁ!?」

 

「別にどこって・・・」

 

「せっかくの休みなのにまたMSの所に行ってたんでしょう!そんなにMSが好きならずっとコックピットにいればいいんですよ!」

 

「・・・酔ってるのか?」

 

「軍では飲酒は禁止ですよ?」

 

「飲んでるのだってただのコーヒーだしなぁ・・・」

 

「酒の代わりにコーヒー飲んで酔うなんて聞いたことないですよ・・・」

 

「まぁいいや。俺がオリーフェアに一応水飲ませてくるから皆で楽しんでてくれ」

 

オリーフェアに肩を貸し、マディアに戻ってる時に「ヒュー!ヒュー!」とかの冷やかしの声が聞こえたが無視しよう。そうしよう

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「オリーフェア・・・大丈夫か?」

 

「・・・」

 

その時、オリーフェアの目から水滴が零れ落ちる

 

「・・・泣いてるのか」

 

「・・・楽しい時間を過ごしてたら・・・私、家族の事思い出しちゃって・・・」

 

「いくらでも話せ。今日は俺が話を聞いてやる」

 

「・・・私、家族と3人で暮らしてました・・・でも・・・開戦直後、父は戦争にいって、ジオンのMSに殺されて、それで母も自暴自棄になって・・・とうとう・・・」

 

オリーフェアは耐え切れなくなったのか、大声で泣き叫び出す

 

「・・・辛かったよな・・・寂しかったよな・・・」

 

「ジオンがッ・・・憎い・・・です・・・でも、私は・・・隊長みたいにMSを動かせないから・・・」

 

「大丈夫・・・大丈夫・・・」

 

「隊長や・・・皆を・・・危険な目に・・・」

 

「俺はお前らが生きててくれればそれでいいんだ。アイツらだってそう思ってるはずだ」

 

「隊長・・・隊長・・・」

 

「今日は一杯泣け。人間、そう言う時も必要だ。」

 

「はい・・・」

 

その後、数十分の間、オリーフェアは泣き続けた。

俺はそれを宥めてやることしか出来なかった

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

それから1日が経った

 

宇宙世紀0079 10月22日

 

それは突如として起こった

 

「旦那。アンタの頼まれた通りに塗っておきましたぜ!」

 

「ありがとな。うんうん。やっぱり黒と銀は至高の組み合わせだな~!」

 

「旦那。色に文句は無いんですが、アンタの考えたあのエンブレム・・・」

 

「いいだろ?ザニーに一番似合ってる。」

 

そのエンブレムは銃を持った猿が道化師の仮面を付けた独特な物

 

「戯け者にはちょうど良いさ」

 

「まぁ、そこは旦那の好きにしてくだせぇ。」

 

「おうよ!」

 

次の瞬間、艦内に警報が鳴り響く

 

『各員!戦闘態勢!敵機MSの襲撃です!MSパイロットは直ちに搭乗し、敵機を撃退して下さい!』

 

「よし。さっそく新武器のテストと打ち込むか」

 

「旦那。生憎ですがザニーは出撃出来ません。」

 

「!?・・・どうしてだ!?」

 

「旦那はザニーに無茶させすぎたんです。シアトルでの戦闘然り、前の空中戦闘然り!ザニーに負担が掛かりすぎてるんですよ!まだ直すのには時間が掛かります・・・」

 

「そんな・・・」

 

「それなら、今日は俺達2人だけで出るわけですか」

 

「隊長は今まで頑張ってましたからね!今回は私達に任せてください!」

 

「・・・分かったよ。それなら隊長命令を出すぞ。・・・絶対生きて帰ってこい!以上!」

 

「「了解!!」」

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

「コレット!準備はいいか?」

 

『ええ!いつでも!』

 

「よし!敵機は今、俺達の存在に感ずいて、この付近で待ち伏せしてるはずだ。気をつけて、出来るだけ離れずに行こう!」

 

『了解!』

 

「さぁ・・・ジオンの犬共が!掛かって来いよ!!」

 

 

 



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operation.7 《それでも兵士なのだから》

「ジオンの犬共が!かかって来いよ!!」

 

宇宙世紀0079 10月22日

 

パプアニューギニアにて敵軍と思われる部隊と接触

クレイグ・べックフォルド特務曹長、並びにコレット・シアーズ伍長がこれと交戦せり・・・

 

 

『クレイグさん、敵機の反応は・・・?』

 

『今んところは無いな、さっきの攻撃が嘘みたいだ・・・』

 

その時、突然海から巨大な影が飛び出て来る

 

『・・・クジラ・・・?』

 

『んなわけあるか!?敵機だよ!』

 

『ズゴック・・・の同型機でしょうか・・・?』

 

『MSM-07N ラムズゴックです!頭部のヒート・ラムと拡散式か、連射式かは分かりませんが、腕部のメガ粒子砲には細心の注意を!』

 

『仕事が早くて助かるぜオリーフィア!』

 

クレイグはそう言うとジムキャノンの肩部のキャノン砲を放つがそれは弾道があさっての方向に逸れてしまう

 

『ヤバい!コイツ動きが早い!』

 

そのズゴックのクロー・シールドがクレイグのジムキャノンのコックピットを貫こうとした時、コレットの陸戦型ジムの強烈なタックルがズゴックを吹き飛ばす

 

『大丈夫ですか!?クレイグさん!』

 

『生きた心地がしねぇや・・・ま、コレット様々ってとこだな。ありがとよ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『決して生かしては帰さん!』

 

その声が聞こえるのとほぼ同時にヒートラムを起動したズゴックがコレットの陸戦型ジムを目掛けて突撃してくる

 

『ンな・・・!?コレット!』

 

『もう無理です!クレイグさん!逃げ・・・』

 

『コレット!陸戦型のビームサーベルをだせェ!!』

 

『クレイグさん!?ジムキャノンにサーベル用のコネクタは!』

 

『コイツはテスト機だ!サーベル用のコネクタも付いてた!早くしろ!』

 

『りょ、了解です!』

 

クレイグの機体が陸戦型ジムの脚部に収納されていたビームサーベルを取るとズゴックは腕部のメガ粒子砲をジムキャノンに向ける

 

『貰ったァ!』

 

『させるかよ!』

 

ズゴックのメガ粒子砲が発射されるのとジムキャノンがズゴックのコックピットを突き刺したのはほぼ同時だった

 

その勢いでズゴックは陸戦型ジムの横を通り過ぎ、海へと消えて行った。

 

『そ・・・そんな・・・』

 

「クレイグゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

マディアから戦闘の様子を見ることしか出来なかった俺はいつの間にかそう叫んでいた

 

『な ですか た ちょ 』

 

ノイズ混じりのその声は俺を驚かせるには十分すぎるものだった

 

「クレイグ!?生きてるのか!?おい!」

 

『い ぁ これが戦 って奴 んで ね』

 

「なに・・・今なんて言ったんだよ!?」

 

『おれ も ダメっぽいで 』

 

「ダメっぽい・・・?・・・違うだろ!生きるんだよ!俺達全員で!」

 

『俺・・・格好・・・良かったですかね・・・?』

 

その言葉を言い終えると同時にクレイグのジムキャノンが大きな音と共に光となって、消えていった

 

その後に残ったのは深い沈黙と黒く焼け焦げたMSだけだった

 

 



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operation.8 《戦争の恐怖》

宇宙世紀0079 10月22日

 

 

「クレイグ!!クレイグ!!おいコレット!コックピットを開けないのか!?」

 

 

『・・・今、開けます』

 

沈んだ声でコレットは陸戦型ジムを操作し、黒焦げになったジムキャノンのコックピットをこじ開ける

 

『・・・!!』

 

次の瞬間、コレットが嘔吐する音が通信機器から発せられる

 

「おいコレット!大丈夫か!?」

 

返事は無く、コレットが泣き喚く音しか聞こえない

 

「コレット・・・辛いだろうが、頼む。そっちの画像をこっちに送ってくれ」

 

「隊長!?」

 

「オリーフィア、おかしいと思ってもらっても構わない。だけど、俺は隊長として、隊員の最期はこの目で見ないといけないと思っている。だから…頼む」

 

そしてコレットは無言のまま、画像をこちらに送る

 

「・・・ッ」

 

「これは・・・!!」

 

その画像に写っていたのは黒焦げになったクレイグの死体だった。

しかしその姿は最早、死体とも呼べない、ただの肉塊に過ぎなかった

 

「・・・クソッ!!」

 

情けない

 

「クソッ!!クソッッ!!!」

 

隊員の1人も救えない自分が情けない

 

「クソォッ!!」

 

「隊長・・・落ち着いて下さい・・・!」

 

涙声で俺を慰めるオリーフィアの声も号泣するコレットの声も、喉が裂けるほどの俺の声も、今はただ虚しく、焦げ臭い戦場に響くだけだった

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

あの戦闘から1日が過ぎた

 

俺達ユニット2はパプアニューギニアの基地でクレイグの簡易的ではあるが葬式を開いていた。

 

そして俺は真っ黒に染まった彼のドックタグを握りしめこう言う

 

「クレイグ・・・せめて、安らかに眠ってくれ・・・」

 

クレイグ・べックフォルド特務曹長

 

ここに眠る

 

U.C.0058.7.7.~U.C.0079.10.22

 

そう書かれた墓石の前でSRT-ユニット2の隊員全員が涙を浮かべ、クレイグへ言葉を送った

 

彼のジムキャノンは装甲は愚か、内部の機器まで破損していたらしくマトモに使える部品はほぼ無かった。

 

背部のキャノン砲を除いて。

 

その部位だけは何かに守られたかのように傷が無かった。強いて言えば傷はあったが、それでも奇跡的な程だった

 

俺は、このキャノン砲はクレイグが俺に遺してくれた遺品だと思っている。

 

自惚れかもしれないがこれが隊長の務めだとも思っている

 

逝ってしまった隊員の事を忘れない為にも

 

そう誓い、空を見上げた時だった

 

「おい見ろよ、サープラス・トループ(余り物部隊)だぜ」

 

笑い声と共にその声が聞こえてきた

 

「ああ、あのザニーとテスト用のジムキャノンとか言う廃棄物が配給された部隊か。そんなのに陸戦型ジムを配給するくらいならこっちに寄越せっての。どうせ壊しちまうんだから」

 

「その上仕事は全部ユニット1に持ってかれてるしな。」

 

あぁ、この体の奴等か

 

別に好きに言ってれば良いさ。所詮は戯言。そのうち痛い目を見るのはアイツらだ

 

そう思っていたのにだ

 

「そりゃ1人位死んじまっても文句言えねぇよな」

 

「まぁ1人死んだからなんだって話だけどな」

 

その言葉で俺の堪忍袋の尾が切れた

 

言葉よりも何よりも先に拳が出ていた

 

「イッ!テメェ何しやがる!?」

 

「テメェらみたいな愚図共に何が分かるっつぅんだよ!?1人死んじまっても文句言えねぇだ!?1人死んだからなんだって話だァ!?テメェらここでブチ殺すぞ!?何でテメェらみたいのが生きててクレイグが死ななきゃいけねぇんだよ!?」

 

「テメェッ!!」

 

頬を思い切り殴られるがどうってことは無い

こいつらみたいのがいるから戦争を終わらないんだ、コイツらみたいのがいるから人々は分かり合えないんだ

 

「いきがってんじゃねぇぞクソ野郎!?」

 

「クソ野郎がどっちか思い知らせてやっからかかって来いよ!ろくに戦えもしねぇで!口だけは達者でよォ!?」

 

「お前ら!!ここで何をしている!?」

 

その時に憲兵が来てくれなかったら、俺はあの2人を本気で殺していたかもしれない

 

不幸中の幸いで俺は1週間の独房の中にいるだけで済んだ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そして1週間後、ようやく外に出れた俺にそれは突然襲ってきた

 

基地内に警報が響き始める

 

『第1種戦闘配置!第1種戦闘配置!MSパイロットは直ちに搭乗し、敵機を撃退せよ!尚、敵機は人型3機!戦車が2両!繰り返す!・・・』

 

「マジかよ・・・」

 

「フレイン!貴様のMSは格納庫に移してある!とっとと乗れ!」

 

「ハイハイお疲れ憲兵さんよ・・・」

 

いつまにか基地内に移動されていたザニーに乗り込み、OSを起動させる

 

『おい、余り物の隊長さんよ、邪魔だけはすんなよ』

 

『と言うか間違って当たっちまうかもな』

 

またあの不愉快な連中か

 

「勝手に言ってろ雑魚が」

 

『全機、出撃せよ!』

 

あの2人組の陸戦型ガンダムと陸戦型ジムが出たのを確認してからこちらも出撃する

 

敵機は3機と2両。どうってことは無い

クレイグがいなくなってから初めての戦闘。

正直、クレイグのあの姿を見てしまったせいで戦争への恐怖が増した気がする

 

しかしそんな事は言ってられない。

クレイグのドックタグを握りしめ、胸を2回叩く

 

クレイグ。お前の勇気を少しだけでいい。俺に貸してくれ・・・!!

 

「アドバンスド・ザニー、アンセル・フレイン、出るぞ!」

 

 



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operation.9《仕方の無い事》

「こちらアンセル・フレイン!オリーフィア!敵機の情報を頼む!」

 

『指揮官機と思われる機体はMS-04ブグです!最初期に作られた機体ではありますが、流体パルスシステムのエネルギー伝達用パイプを外部に配置していることで高い運動性を獲得していますが、そこが弱点でもあります!』

 

「それだけ分かりゃ十分だ!」

 

『因みにですが、今回はアドバンスド・ザニーにビームアサルトライフルを持たせています!エネルギーパックは腰部に装着させています!それではご武運を!』

 

「了解。・・・敵機はブグとやらとザクIIが2機、マゼラアタックが2両。キツイな」

 

『余り物は引っ込んでな!全部俺達で片付けてやっからよ!』

 

そう言って陸戦型ガンダムと陸戦型ジムが前に出る

 

「勝手にやってろよ・・・」

 

『喰らいやがれ!』

 

陸戦型ガンダムのマシンガンはマゼラアタック1両のマゼラトップを難なく撃破し、陸戦型ジムのミサイルランチャーももう一両を撃破する

 

『ハハッ!こりゃ俺達だけで十分だったな!』

 

『邪魔クセェぞぉ余り物!』

 

2人がそう言ってるとザク2機とブグが陸戦型ガンダムを狙い動き出す

 

ザク1機はヒートホークで陸戦型ガンダムを動きを抑制し、もう1機もザクマシンガンで脚部を狙っている

 

そしてブグは陸戦型ジムのミサイルランチャーをマシンガンで破壊していた

 

「マズイッ!!ジムのパイロット!早くソイツから離れろ!!」

 

『ダメだ!コイツ・・・速すぎるゥッ!!』

 

次の瞬間、悲鳴と共に陸戦型ジムのコックピットがヒートホークで潰されているのが確認できた

 

『クソッタレェ!』

 

陸戦型ガンダムはビームサーベルで接近していたザクのコックピットを貫く

 

「援護する!」

 

『うるせぇ!!余り物の援護なんざァ!!』

 

そう言いながら奴はビームサーベルを振りかざしながら最高速でザクへと接近する

 

そうしている横でブグがザクマシンガンで陸戦型ガンダムの脚部を狙っているのが見えた

 

「間に合えッ・・・!」

 

ビームアサルトライフルでブグの頭部を狙い撃つ

 

そのビーム弾は見事にブグの頭部を破壊し、そのお陰で陸戦型ガンダムはザクIIを撃破・・・

 

いや、していなかった。ザクはピンピンしていた。陸戦型ガンダムは腕部を切り落とされ窮地に陥っていた

 

ブグも頭部が破壊されたものの健在

 

「奴も出来る・・・!」

 

『隊長!遅くなってすいません!』

 

「コレットか・・・悪いが万事休すだ。お前の力、フルに出してもらうぞ」

 

『了解!』

 

ザニーの背後にコレットの陸戦型ジムが付く

 

「先ずはあのザクだ!コレットはブグを牽制して陸戦型ガンダムを守れ!」

 

『了解!』

 

「当たれよ!」

 

ザクにビームアサルトライフルを放った瞬間に弾切れのアラートがなる

 

「もう弾切れ!?クソッタレ!」

 

アラートに焦ってしまいその数弾は脚部に逸れてしまう

 

弾を込めている暇はない。バルカンをザクに掃射しながらビームサーベルを引き抜き、ザクの懐へ潜り込み、背後へ回る

 

ザニーの関節が悲鳴を上げているが多少の無理は承知の上、コイツを落とすためだ

 

バルカンでザクのメインカメラは潰れ、こちらを確認出来ていない

 

その間にコックピットをビームサーベルで貫く

 

「先ずは1機!」

 

『隊長!このMS速いです!』

 

ビームサーベルを収納して、ビームアサルトライフルにエネルギーパックを込めながら、ふとコレットの方を見ると、ブグが陸戦型ジムの100mmマシンガンを避けながら、ヒートホークを持ち、急速接近しているところだった

 

「コレット!後ろに下がれ!コックピットを潰されるぞ!」

 

『了解!下がります!』

 

「足を潰す!」

 

ブグの機動を予測して、ビームアサルトライフルを発射するが、相手もこれを予測していたか、急に止まり、進路をこちらに向ける

 

「・・・エース・・・!」

 

とっさにビームサーベルを引き抜き、ブグのヒートホークを受け止める

 

「コイツ・・・!」

 

『RRF-05・・・貴様がケビンをやったパイロットか!』

 

「お前も奴の仲間か!」

 

ブグを蹴り飛ばして1度距離を置く

 

『アイツは昔からの腐れ縁だった・・・それを貴様は!』

 

「俺の仲間だってお前らジオンにやられたんだよ!!」

 

再びビームサーベルで切り込むがそれを難なく躱され、ヒートホークの斬撃を右腕にうける

 

「お前らのお陰でクレイグは!!」

 

『避けろよ余り物!』

 

背後から来ていたビーム弾をとっさに避けるとそれはブグの左腕に直撃し、そのお陰でヒートホークを落とす

 

「終わりだ!」

 

『生憎だが!』

 

その時、ブグのバックパックから何発かの発煙弾が発射され視界が白く染まる

 

「逃げれると思うな!」

 

左腕でビームサーベルを取り、切りかかるも、突如上空から来ていたS.F.Sに乗ったザクに連れられてブグも上空へと逃げていった

 

「・・・クソッ」

 

『隊長、敵は撤退しました。こちらも戻りましょう』

 

「・・・了解・・・」

 

~~~~~~~~~~~~~

 

「もう1歩後ろに・・・よし、OKです。旦那」

 

ザニーを格納庫の定位置に膝立ちの姿勢で置いて、コックピットから降りる

 

「ふう・・・」

 

「旦那、今回の敵。強かったでしょう。」

 

「当たりだよ。アイツはエースだ」

 

「でしょうね。動きを見れば分かる。そして旦那、アンタも紛れないうちのエースだって事も分かりました」

 

「エース?俺がか?人1人守れない奴がエースねぇ・・・アイツはクソ野郎に違いは無かったが、それでも人間だ。」

 

「陸戦型ジムのパイロットの事ですか。仕方ありません。これは戦争です。いつ死ぬかも分からないんです」

 

「・・・やっぱりそうなのかな・・・仕方無かったんだよな・・・」

 

そうは思ってもあの時、あのパイロットが死ぬ時の悲鳴を思い出してしまう

 

いや、そんな事を気にしていては今度はこっちがやられてしまう。

 

戦場では一瞬の迷いが死に繋がるのだ

 

あれは仕方が無かったのだ

 

きっと・・・その筈なのだ



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operation.10 《マトモな任務》

あの戦闘の後、俺達の船に陸戦型ガンダムのパイロットが来ていた。

 

何でも俺に話があるとかで基地に来てほしいとの事だった

 

言われた通りに着いていくと客室に連れて行かれ、その席に座るよう促される

 

男は俺にコーヒーを用意してくれたようで、俺の前に置いてくれた

 

「それで?話と言うのは?」

 

置かれたコーヒーを少し飲んで男に問う

 

「そうだな。まずは謝罪から。お前らの事、余り物だなんて呼んでしまってホントに悪かったと思ってる。済まない」

 

彼は辛そうな表情でそう言った。心無しか、拳にも力が入っている様に見える

 

「いや、もう気にしてないさ。俺こそ、ジムのパイロットを救えなかったんだ」

 

「そう言ってもらえると助かる。アイツの事は残念だが・・・仮にもここだって戦場だ。殺されもする。あと、一つ聞きたいことがあるんだ」

 

「答えられることならいくらでも」

 

無くなってしまったコーヒーを置いてそう答える

やはりブラックはキツイな

 

「このパプアニューギニアの基地にはジオンが来る事なんて滅多に無かった。それが突然あんな手練が来るなんて何か良くない事が起きてるとしか考えられない」

 

そう聞いてから彼に問い返すようにこう言う

 

「それで?何故、奴等がここに来たと思う?」

 

「お前らの部隊が奴らに追跡されてるんじゃないかと思ってな・・・心当たりは?」

 

「正解。初陣で殺ったパイロットが奴等の部隊長らしい。それで俺を目の敵にして追ってきてる。それは確実だ」

 

「初陣で部隊長を・・・まぁそれが知りたかったんだ。アイツも殺られちまった今、この基地で出撃できんのは俺の陸戦型ガンダムと61式戦車が数両だけだからな」

 

「それはご苦労様。俺達も任務を受け次第ここをでる。そしたらもうアイツらもここには来ないだろう。って言っても、仕事は大体第一部隊に持っていかれるから、残存勢力の処理位だろうけどな」

 

俺は苦笑しながらそう言った

 

「そうか。・・・というかお前、良くあんなMSでやっていけるな。お前程のパイロットならもっと良いMSを受託したっておかしくないのに。上の奴らに言ってみたらどうだ?」

 

そう言われたので笑いながら彼にこう言う

 

「その言葉は嬉しい限りだが、あれはあれで気に入ってんのよ。しかもあのMSで戦果を挙げてみろ!昇進間違い無しだ!」

 

つい興奮して声がでかくなってしまった

これには彼も驚いたようで口をぽっかりと開けていた

 

「もう十分だと思うが・・・まぁ、頑張ってくれや」

 

「ああ。やってやるさ」

 

その時、部屋の扉が勢い良く開き、1人の兵が口を開く

 

「アンセル•フレイン大尉!上層部から緊急の知らせが入っています!」

 

「大尉!?・・・まぁ後でいい、続けてくれ」

 

「ロンドン付近にて公国軍側のMS3機の中隊が確認されました、アンセル大尉の部隊にはロンドンの市民の避難が終わるまでロンドン周囲の警戒に当たれとの事です!」

 

「ロンドンか・・・」

 

そう呟きながら時計を見る

 

現在は午後8時。ここからロンドンまでなら15時間とちょっとか

 

「分かった。今すぐロンドンに向かう」

 

既にロンドンの近くにMSがいるとするのなら一刻の猶予も無い。

ロンドンはそれなりの大都市だ。すぐに避難が済むはずがない

その付近の都市だって被害を受けているはずだ

 

早く向かって任務に赴かねば、多くの犠牲が出るかもしれない。

 

初めてのマトモな任務だ。気合いを入れとかないとな

 

 



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operation.11《意味》

パプアニューギニアを発って8時間

 

自室でとある考え事をしていた時の事だった

 

隣の部屋からコレットの声が聞こえて来る

 

「…あぁ…それじゃね」

 

その声はどことなく寂しそうな声をしていた

 

恐らく母親にでも連絡していたのだろう。

彼女だって年頃の所謂、[女の子]だ。親の声だって聞きたくもなるだろう。この位、目を瞑ってやらなきゃな

そもそも彼女の様な人間が戦争に出ること自体間違っているのだ。

 

とっととこんな馬鹿げた戦争が終わらないものか。

ジオンにも連邦にも正義など無い

お互い、意地と大義名分のために戦っているだけだ

 

そんなことを考えているだけで大きな溜め息が出てくる

いっそのこと和平交渉でもしてくれれば楽なんだが

 

しかし一兵士の戯言を上のやつらが聞くわけがない

俺の様な奴等は上に従って戦うしか無いのだ

 

だが…あのレビル将軍なら、あるいは…

 

その時、部屋の扉からオリーフィアの声がしてくる

 

「隊長。少し話があるんですが…」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

「あぁ、ビームアサルトライフルか。」

 

「はい。一応テストと言う名目で借りているものなので、結果を書かなくてはいけないんです」

 

「そうだな…まずエネルギーパックをもう少し、大型にしてもいいかもしれないな。あれじゃすぐ弾切れになって、予備エネルギーパックも無くなる」

 

「なるほど」

 

「あれ、100mmマシンガンを無理矢理ビーム兵器にしたんだろ。銃口が熱に耐え切れないから標準が振れて仕方ない」

 

「はい、ありがとうございました。次の戦闘からはマシンガンに戻さなくてはいけませんね」

 

「あぁ、エネルギーパックに関してはどうにかなるが、銃口は手の施しようがないからな。」

 

そうやって話している間に一つ思い出す

 

「オリーフィア。すこし聞きたいことがあるんだが」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「ニューギニアの基地で俺の事を[大尉]と呼んだ奴が居たんだが…どういう事なんだ?俺はいつの間に昇進してたんだ?」

 

「昇進!?そんな連絡は…」

 

「来てないのか…そりゃ妙だな」

 

「えぇ…あ、そういえばアルベルトさんが隊長のこと呼んでましたよ。」

 

「そうか…分かった。すこし行ってくる」

 

~~~~~~~~~~~~

 

「アルベルト!もしかしてもう作業終わったのか!!」

 

MS格納庫は他の場所より油臭く、尚且つむさっくるしい

しかし今はそれもありがたく感じる

なぜなら、その匂いは整備班の人間が俺達の為に頑張ってくれている証だからだ

 

「ええ!全く大変でしたよ!ダンナの言うことは無茶が過ぎますぜ!ザクが元のザニーにジムキャノンのキャノン砲を取り付けるなんざ!」

 

「それをこなしてくれるのがお前達だろぉ?」

 

その言葉を聞いて誇らしげにしているアルベルトの後ろの整備班がすこし照れくさそうにしている

 

「お前ら今度飯奢ってやるからな!楽しみにしてろよ!」

 

そう言うとアルベルトを筆頭に整備班の連中が舞い上がった

 

~~~~~~~~~~~

 

「RRF-05"A "アドバンスド・ザニー改ってところですか」

 

「ザニーには予備の部品が無いからな。現地調達で改良していくしかない」

 

「ええ、関節部はニューギニアで放棄された陸戦型ジムのものと替えてあります。関節が生きていたから良かったものを…ほぼ作り直しでしたぜ…キャノン砲を取り付けるためにも、左のビームサーベルを右の下腕部に移設しました」

 

「そこまでしてくれたのか!そりゃ助かるなぁ」

 

「整備班総掛かりですぜ?コレットさんのは傷があまり無いからすぐ終わりますが、ダンナのは出しゃばりすぎるせいで毎度大変なんすよ」

 

アルベルトがあまりに困った顔で言うので思わず笑ってしまった

 

「今度からは気をつけるよ」

 

俺は笑いながらそう言った

 

ロンドンまで後、6時間…



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operation.12《残酷なる一閃》

「隊長、そろそろロンドンですよ」

 

肩をトントンと叩かれ、目を覚ます

 

休憩室でウトウトしていた俺を起こしてくれたのはコレットだった

 

「あぁ…もうそんな時間か…」

 

飲みかけだったカフェオレを一気に飲み干し、眠気を飛ばす

 

「オリーフィアさんも呼んでますし、一緒に行きましょう」

 

そう言いながらコレットは俺に微笑む

 

その言葉に俺も笑いながら返事をした

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「今回の任務はロンドン周辺の警戒、また、敵MSを見つけ次第、撃破せよ。との事です」

 

「分かった。それで市民の避難は?」

 

「約3分の1が避難を終えたとの事です」

 

「まだ人は居るのか…あまり派手には動けないな」

 

ふとコレットの方を見ると、身体が震えている事に気づく

 

無理も無い。市民に気を使いながら戦闘するなんてなかなか簡単な事じゃない

"もしも"の事を考えてしまっても仕方ない

 

落ち着かせる為にコレットの肩を軽く叩く

 

「あんまり気負うな。何かあったら俺がカバーに入るからさ。お前は自分のやるべき事をやれば良いんだ」

 

「ありがとうございます…」

 

コレットは苦笑しながらそう言った

 

「後、数十分後には作戦区域に到着します。我々は指定ポイントに到着後、各機、現地の兵と合流後、作戦を開始してもらいます。もうそろそろMSに搭乗する準備をしといた方が良いと思いますよ」

 

「隊長すいません、私1度部屋に戻ってきます。少し用事があるので」

 

「分かった。俺は先に格納庫に行ってる。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「アルベルト!ザニーの調整は出来てるな!?」

 

「もちろんですぜ!問題はありません!」

 

「よしお疲れさん!」

 

ザニーのコックピットに乗り込もうとした時にアルベルトが声を掛ける

 

「旦那!今回の任務は長期戦になりますぜ!」

 

そう言ってアルベルトは1本の栄養バーを投げ渡す

 

「腹が減ってはなんとやらです。それでも食ってちゃんと作戦を成功させてくだせぇ!」

 

「もちろんだ!ロンドンの市民は俺が守る!ってな!」

 

「ははッ、そりゃ頼もしい!」

 

アルベルトの話が終わった所でコックピットに乗り込み、栄養バーを食べて、作戦までの時間を潰すことにした

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

『隊長。もうすぐですよ。』

 

オリーフィアからの通信で目を覚ます

 

「あぁ…もうか…」

 

『また寝てたんですか…?』

 

「まぁ…少しな」

 

その返答を聞くとオリーフィアは徐ろにため息をつく

 

『息抜きも大切ですけど、多少の緊張感は常に持っていてください!いつ奇襲されるかも分からないのに…』

 

「分かったよ…済まなかった」

 

『分かれば良いですが…後、十数秒で作戦区域です。携行武器を装備して、いつでも出撃できるようにしておいて下さい』

 

「了解!」

 

ハンガーに掛けられている100mmマシンガンをマニュピレーターで握り、着陸を待つ

 

 

『…3、2、1、発進、どうぞ!』

 

着陸と同時に格納庫のゲートが開く

 

「よし、コレット、行くぞ!」

 

『了解です!』

 

『まずは現地の部隊との合流を最優先にしてください!位置情報を送ります!では2人とも、ご武運を!』

 

「了解、コレット、警戒しつつ、現地の部隊と合流するぞ」

 

『了解しました!』

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「もうすぐで合流ポイント付近だ。にしても…さっきから音沙汰一つ無いな…敵機はとうに逃げてるんじゃないのか…?」

 

『それだったら良いんですが…隊長、あれって…』

 

コレットが示した方向にあったのは立ち昇る黒煙と1機のジムであった

 

「なッ…!?、もう戦闘が起こってたのか!?」

 

『隊長!他にも!』

 

「そんな…現地の部隊はとうに壊滅してたのか…?」

 

オリーフィアに状況の説明を求めようと通信を試みるが

、通じる事は無く、全くの無音だった

 

「クソ…現地の部隊がこんなになってるなら…ロンドンは!?、コレット!急ぐぞ!」

 

『そんな事をする意味は無いぞ。ザニーのパイロット』

 

その突然の通信は上空から降りて来る3機のMSの内の一つから発せられている様だった

 

『ロンドンの被害は殆ど無い、俺達は無駄な殺戮は好きじゃないんでな』

 

「コレット!奴らが目標だ!部隊が壊滅してんなら俺達でやるしか無いぞ!」

 

3機の内の1機に向かって100mmマシンガンを発砲する

 

『隊長!マシンガンが動きません!』

 

「んな!?、整備不良か!?、じゃあ下がってろ!」

 

『そろそろそんな芝居は止めろ。もう情報は充分取れたろ?』

 

「は?」

 

次の瞬間、ザニーの右腕が孤を描いて、地面に落ちる

 

 

 

 

 

 

 

 

『もうちょっと遊びたかったけど…仕方ないかぁ』

 

その声は明らかにコレットのものであり、ザニーの右腕を飛ばしたのもコレットの乗った陸戦型ジムである事をようやく理解した

 

「ッ!!?」

 

咄嗟にバーニアから火を吹かせ、陸戦型ジムから距離を取る

 

この付近には隠れる場所も無く、辺りは森林が広がるだけ

 

「・・・?」

 

今のこの状況を理解出来ず、言葉にならない声が出る

 

『隊長・・・理解が遅いですよぉ?、大体、最初の作戦の時に気が付かなかったんですかぁ?MSが2機と戦車が3両って言ったかな?そんなのに囲まれた新兵が生きて帰れるわけありませんよねぇ?』

 

その笑いを含んだ声は今の俺に、その絶望的な状況を突きつけるのには有り余るものだった

 

「コレット…お前だったのか…お前が…スパイだったのかァ!?」

 

『やっと気づきましたぁ?スパイの事がバレた時はヒヤッとしましたけど、結局最期まで…分からずじまいでしたねッ!!』

 

陸戦型ジムが距離を詰め、ビームサーベルを振る

それを避ける

今の俺にはそれが精一杯だった。

 

「お前…!!…貴様ァ!!!」

 

『泣いてるんですかぁ?じゃあ早く楽にして上げますよッ!!』

 

「クソがァッ!!」

 

ビームサーベルのなぎ払いを避け、懐に入り込んでから蹴り飛ばす

 

しかしひらりと躱され、ビームサーベルがコックピットを貫かんとする

 

『ミラ、援護するぞ』

 

ビームサーベルを間一髪避けたものの、次の瞬間、奥にいたザク•スナイパーの狙撃を脚部に喰らい、ザニーは左手を残してダルマ状態となる

 

『これでサヨナラですね♪隊長、割と楽しかったですよ、貴方の良心を踏みにじって活動に勤しむのは♪』

 

「んの…クソアマがァッ!!」

 

陸戦型ジムのビームサーベルが再びコックピットを狙うが、最期の足掻きとばかりに、背部のキャノン砲を放つ

 

偶然にもその砲弾は陸戦型ジムの頭部に直撃し、その付近の肩の関節にまでダメージを与えた様だった

 

『んな!?そんなのありぃ!?』

 

奥のスナイパーが再びこちらに狙いを定めているのに気づき、陸戦型ジムを盾にする様にして後ろに隠れる

 

陸戦型ジムの左足を残った左腕で破壊して、陸戦型ジムのコックピットにキャノン砲が当たる様に位置を調整する

 

「コイツの命が惜しかったら今は引け!」

 

この手でどれだけの時間が稼げるか…

 

いや、稼げたとして生き残れるか?

 

いっそここで…

 

 

すると上空にグレネードが飛んでくるのが見える

 

「ほぼノータイムかよ…!!」

 

『ミラ!前にブーストしろ!』

 

陸戦型ジムがグレネードから離れていくのが目に入る

 

「まだだ…」

 

レバーを出来る限り前に倒し、ジムを追いかける様にしてブーストする

 

地面に擦りながらブーストしているからか機体の振動が半端じゃない

 

「まだ…こんな所で死ねるかよ!!」

 

まだ生きたい

 

こんな所で死ぬ訳には行かないのだ

 

俺の帰りを待っている人がいる限りは…!



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operation.13 《崩壊》

「_______________ッ!!」

 

陸戦型ジムの背後に付けたものは良いものの、この振動ではこっちの身が持たない

 

案の定、モニターにノイズが走り始める

 

『クソ!しつこい男は嫌われるよ!』

 

スナイパー型がこちらに狙いを定めてはいるものの、ジムが邪魔でこちらを狙い打てないでいた

 

「当たれよ!」

 

キャノン砲だけをジムの影から出し、スナイパーの方に砲撃する

 

反動でブーストの勢いがかなり殺され、ザクにも当たらなかったが、どうやらライフルには掠った様で、脚部を消し飛ばしたあの大火力をもう喰らうことは無い

 

『すまん、ライフルがやられた。』

 

『了解、なら近付いてやるだけだ』

 

どうやらあのクソアマ、回線をオープンにしたままだ。

そのお陰で相手の情報を掴める

スナイパー以外の2機がこちらに迫ってくる

 

ブーストで少し距離を取ろうとするが機体は動かず、アラートが鳴るのみだった

 

推進剤ももう切れかけ

この状況で助かる手段…

 

オリーフィアへの通信も通じないまま

思わずモニター越しの空を見上げる

 

「…」

 

もう言葉も出ない。

砲弾も、後、2発

 

相手は手負いがいるとはいえ残り4機

 

どう考えても、既に詰みだ

 

あの2機の内の1機。よく見たらニューギニアで戦ったブグだ。

 

あまりの理不尽さに思い切り頭を打ち付ける

 

俺が何をした?

俺は殺されそうになったから殺っただけだぞ?

 

俺は…

 

「俺はァ!!」

 

頭から流れる血で滲む視界の中、俺に迫る2機が咄嗟に何かを避ける様にして動くのが目に入った

 

『こちらSRT-ユニット1。アラン・アイルワードです!アンセル・フレイン大尉!生きてるなら返事を!』

 

「・・・あぁ・・・」

 

『おい、アド。少しヤバいぞ』

 

『・・・だな。ミラとPJを回収してヅラかるぞ。ミラ、そろそろオープン切れ。もう良いだろ』

 

『分かったよ…それじゃ隊長、バイバイ♪』

 

その通信が切れると、ブグともう1機のザクが、ユニット1の連中の攻撃を避けながら、スナイパー機のパイロットとあの女を回収していくのが見えた

 

『逃げられたか~、もう少しで私の手柄だったのに!』

 

『リル、張り切るのは良いけど、本来の任務忘れてるんじゃないか?』

 

『そうだぜ嬢ちゃん。俺達の任務はユニット2の隊長の回収だぞ?』

 

その3人の話し声を聞いていると、思わず涙が流れ落ちてくる

 

それは助かったという安堵感からなのか、

それともまた別の感情なのか

 

今の俺にはそれを考えるどころか、今にも崩壊してしまいそうな自我を保つ事で精一杯だった

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

 

目が覚めたのは見覚えの無いカーテンで仕切られた一室だった

 

「・・・ここは・・・」

 

まず最初に目に入ったのは果物の入ったバスケット。

その次に見えたのはどこか見覚えのある人と白衣を着た数人

 

「隊長!目が覚めたんですね!良かった・・・!、このまま目を覚まさなかったら・・・」

 

「・・・悪い・・・」

 

「何で謝るんですか!?隊長は何も・・・」

 

「帰ってくれ」

 

「・・・え?」

 

「このままだとお前まで殴っちまうかもしれない・・・出てくるんだよ…あのクソアマの面が…アイツのせいで・・・アイツのせいでクレイグはァッ!!」

 

頭の中で反響するあの声

 

『楽しかったですよ♪』

 

『これでサヨナラですね♪』

 

「アアアアアアアアァァァァァ!!!」

 

「オリーフィアさん離れて!早く抑えるんだ!」

 

注射を腕に突き刺され、液体を流されると、また意識が遠のいて行く

 

「ろしてやる…殺シテ…」

 

視界が暗くなりかけた瞬間、頬に液体が伝わったのを感じた

 

~~~~~~~~~~~~~~

 

~アンセルが目を覚ます数時間前~

 

「PTSD・・・ですか・・・?」

 

あの後、隊長は多量の出血のせいで意識が無くなっており、ユニット1の人達に回収された後、緊急で近隣の病院に搬送してもらった

 

「えぇ、彼、搬送する際に1度目覚めたんですが…」

 

「何ですか…?」

 

「突然暴れ出しまして、余程の事があったのでしょう。それはもう搬送員を何人か殴り倒すほど。しかも何かに怯えるように、しかし殺意が伝わってくる表情でした」

 

「そんな・・・」

 

「アンセルさんが戦場に戻る事は・・・ほぼ・・・不可能かと・・・」

 

「そうですか・・・」

 

思わず胸を撫で下ろす

 

「?、オリーフィアさん、喜んでいるのですか?」

 

「あっ、いや違うんです。決して良くは無いんですが・・・隊長がもう戦場に出なくて良いと言うのが・・・」

 

「なるほど・・・確かに大切な人が戦場に出向くのは怖いでしょうね」

 

「大切な人・・・そうですね。隊長は大切な人です。」

 

「しかしです。貴女のためにも言っておきます」

 

そう言った瞬間、医者の顔が険しくなる

その表情に思わず息を呑む

 

「はい、何でしょうか…?」

 

「例え、彼が目を覚まし、PTSDを乗り越え、平穏な日々に戻ったとしてだ」

 

「はい・・・」

 

「銃を握った感覚は…消えない。それも人を殺めたとあれば尚更だ。何時か、その感覚に苛まれる事になる。それは決して治ることは無い不治の病だ。時に人を傷付けてしまうかもしれない。それでも・・・貴女は、彼に寄り添って上げることは出来ますか?」

 

「出来ます!」

 

思わず立ち上がり大きな声が出てしまう

慌てて座り、医者さんに謝罪する

 

「ハッハッハ、これは彼も良い人を持ったもんだ。」

 

その言葉に顔が赤くなって、温度が上がるのを感じる

 

「それでは、彼にはPTSDを克服してもらう為に、ここへの入院と精神安定剤を出します。」

 

「退院は何時頃に・・・?」

 

「彼が克服したら退院してもらいます。その後も精神安定剤は常備して貰う事は覚悟しておいた方がいいかもしれません」

 

「分かりました・・・」

 

今の私の心は、もう隊長が戦場に戻る可能性が低い事への安堵と、もう以前の隊長を見る事が出来ないという事への不安だった



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operation.14 《休養》

「・・・はぁ」

 

こうやって窓の外を眺めるのはいったいいつまで続くのだ

 

病院にぶち込まれ既に1ヶ月が過ぎていた

俺のPTSDの症状もだいぶ引いており、既に日常生活に支障が無い程度には戻っていた

医者によるとその回復の速度は尋常では無く本来ならばここまでくるのに1年は見越してたらしい

 

しかしオリーフィアの強い希望で完治するまでは入院する事となり、ユニット2も休止していた

 

ユニット2が解散されなかったのは元々、任務が少なく、他にも部隊がある事から、あっても無くてもさして変わらないこと、そしてオリーフィアが解散にとことん反対してたからであった

 

結果、解散は保留となったが、俺はこうやって病院のベッドでウジウジしているしかなかった

 

病院の飯を食いながら"あの時"の己の弱さを悔いるしか…無かった

 

「ッ・・・」

 

今でも不意に思い出しそうになってしまう

俺をどん底に落としたあの顔と声が

 

「隊長さん…また思い出しちゃいました?」

 

その声の主はオリーフィアである

彼女は俺につきっきりで何かと世話を焼いてくれる

思い出して発狂しかけても、彼女のお陰で俺は安静を保てていた

 

「大丈夫です…大丈夫…私がいますからね…」

 

「…ありがとう…な」

 

彼女は俺を包容しながら、そう優しく囁く

この感覚はまるで母親に抱かれている時と全く同じ感覚だった

 

心が落ち着いてきた所でオリーフィアにその旨を伝え、彼女から離れる

 

「…悪いなオリーフィア…こんな情けない男で」

 

自分を皮肉る様にそう言う

 

「何言ってるんですか…隊長さんはここでゆっくりしていれば良いんですよ」

 

「それはダメだ」

 

オリーフィアは優しく言ってくれたが俺はそれに間を空けずに拒否の意を伝える

 

「・・・」

 

その言葉を聞いた彼女は徐ろに顔を下げる

 

「悪い…でも…こんな所でいつまでも大人しくなんてまっぴらだ」

 

握りしめた拳をオリーフィアは両手で優しく包み込む

 

「・・・分かってたんです。貴方なら絶対に戦場に戻りたがるって」

 

眉を八の字にしながら彼女は俺に笑いかける

俺はそれに無言で返す他無い

しかし彼女はそのまま続ける

 

「でも…本当はもう行って欲しく無いんです…!」

 

そう言うと彼女の瞳から涙が零れる

 

「もう…あんな危ない場所に…二度と行って欲しく無いんです…!」

 

服の袖で涙を拭うも、その涙は止まらずベッドのシーツを濡らし続ける

 

「ダメですね…私…軍人…失格…です」

 

彼女はそういいながらこちらに涙を拭いながら精一杯の笑顔を向ける

 

そんな彼女を抱き寄せる

 

その俺の行動に困惑の色を隠せないオリーフィア

 

「でも…人間としては百点満点だろ…?」

 

そう言うと、彼女は堪らずに声を出して泣き出してしまう

 

「安心しろ…戦場に言ったって、俺は必ず帰ってくる。お前の所に」

 

「…絶対ですよ…!」

 

「もちろん」

 

「戻らなかったら…?」

 

「有り得ない」

 

「じゃあ約束してください…!」

 

彼女は俺の胸から一旦離れると、顔を赤らめながらこう言った

 

「生き延びて…戦争が終わったら…」

 

「うん…」

 

「私と…!」

 

「うん…」

 

「…一緒に暮らしてください…!」

 

「…俺でいいのか…?」

 

オリーフィアは顔を整えながら、真剣な眼差しでこちらを見る

 

「仲間の為には自分すら犠牲にしようとして…でも本当は凄く脆いのにそれすらも隠そうとして…」

 

「だあっもう止めろ!聞いてるこっちが恥ずかしい…!」

 

「それで隊長…返事は…?」

 

「…いいに決まってるだろ…」

 

「フフッ、隊長さん、顔」

 

妙に暑いと思ったら熱いのは俺の体温であった事に気づく

 

「まぁ、まずはザニーが戻らない限りどうしようもないが…」

 

「それならもう大丈夫ですよ?」

 

「!?、そっ、それならなんで早く教えてくれないんだよ!」

 

「教えたら戻りたがるでしょう?だからずっと黙ってたんです・・・」

 

「それは…宜しくないな…上に怒られちまうや」

 

「ごめんなさい・・・それでザニーの事ですが・・・」

 

「あぁ、続けてくれ」

 

すると、オリーフィアの目が仕事をしている時の目になる

 

「左右の脚部、右腕部は損失、頭部は過剰な振動によりカメラ部分が破損、機器が損傷。コックピット付近も中の部品が使い物にならない程損傷していました」

 

「改めて聞くと、ほぼ撃墜されてたんだな、俺」

 

「ここからです。ザニーは予備パーツが無いに等しいのはご存知ですよね?それで、局地型ガンダムの余剰パーツを使用し、ほぼ新規に作り直しました」

 

「ガンダム!?あのMSのパーツを・・・」

 

まさかザニーなんてMSの改修の為にあのガンダムのパーツを使ってくれるなんて

願っても無い幸運だ

 

「メインカメラもプレッシャーを与える目的で局地型ガンダムの物になっています」

 

「ガンダム・・・」

 

"連邦の白い悪魔"

ジオンの奴らはガンダムの事をそう呼んでいる

それも無理は無い

あの鬼の様な強さは噂で良く聞く

 

見た目だけとは言え、そのガンダムに乗れる

これ程名誉な事など有るのだろうか?

 

あるわけが無い。

 

俺はその時、自分の中で何かがフツフツと煮えたぎるのを感じていた

 



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operation.15 《新生》

宇宙世紀0079 11月28日

あの後、無事に退院出来た俺はミデアが置いてあるキャンプへと向かっていた

久しぶりに車に乗ったが(車と言っても軍用車両だが)やっぱりハンドルを握るのは悪くない感触だ

 

どうやら"あの一件"より、この都市の警備は一層強化され、街を出る際にMSを何機か見かけた

まぁ、そうでもしないと、次に何か起きた時に即時対応出来ないから、妥当であると言えばそうなのだろう

 

「そう言えばオリーフィア、オデッサの作戦やらベルベット作戦やらは上手くいったんだよな」

 

「もちろん、その尽くを成功させて今は完全に連邦軍が押しています。このまま行けば、連邦軍の勝利は間違いないかと・・・だから隊長は・・・」

 

オリーフィアが何を言おうとしてるか察し、それに割り込むように口を出す

 

「それはダメだ。俺には俺の役目がある。俺だけサボって、給料泥棒なんて言われたら溜まったもんじゃないしな」

 

苦笑を浮かべながらそう言う俺を見て、オリーフィアもまた苦笑を浮かべて「やっぱりですか・・・」と呟いた

 

何よりも、"奴ら"を潰すまでは、恐らく俺は戦場に残り続けると思う

 

「それはそうとして、隊長。」

 

「ん?」

 

「…いや、キャンプに着いてからの楽しみにしておきましょうか…」

 

「MS以上の楽しみがあるかな…?」

 

「さぁ?どうでしょうね?」

 

不敵な笑みを浮かべるオリーフィアを横目に見ながら、俺はその言葉に少し期待しながら車をキャンプへと走らせた

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

「隊長!自分、一週間前にこの部隊に配属されました!ヨーゼフ・ヴァン・シュミットと言います!よろしくお願いします!」

 

「同じく一週間前にこの部隊に配属されました!ハミド・スティーヴンと言います!」

 

キャンプに着いた俺の目の前に現れたのは、見るからに新兵と言った、元気の良い好青年たちだった

彼らは今、俺に敬礼をしながら「隊長」と言った

 

「オリーフィア、まさか…」

 

「はい、彼らはこの部隊の隊員ですよ」

 

なぜだか急に目頭が熱くなる

仲間達に涙を見せまいと、目を隠しても彼らも察しが良いのか気づかれてしまう

 

「た、隊長!自分ら、確かに新兵ではありますが訓練でもそれなりの成績を残してきました!足だけは引っ張りません!」

 

「いや…違うんだよ2人とも…」

 

「と、言いますと…?」

 

「嬉しいんだ…何もかも失ったかと思っていたが、そんな俺の所に君達は来てくれた…」

 

俺の涙が嬉し涙という事に気づくと、彼らの顔に笑顔が浮かび上がる

 

「俺は…いや、俺達は君らを歓迎しよう!だが…ただ一つ、条件がある」

 

「条件?」

 

「あぁ…この隊に入った以上、絶対に生還する事だ。俺も出来る限り、全身全霊を持って君らのフォローをする。だが、それでもピンチの時があるかも知れない。その時は絶対に下がれ。それだけは絶対だ」

 

すると間髪入れずにヨーゼフの方が口を開く

 

「もちろんですよ!"あの"アンセル大佐の隊に入れたんです!おめおめと殺られちゃいられませんよ!」

 

「あの?」

 

俺が困惑の色を浮かべるとこれまた、今度はハミドの方が口を開く

 

「大佐は知らないかも知れませんが、訓練生時代の時は割と有名でしたよ。"初陣で豚鼻もどきを、しかもあの出来損ないのMSのザニーで撃墜した男"。アムロ・レイの噂の5番目位には有名でした」

 

「少し尾ひれが付いてるが…まぁいいか」

 

まぁ、間違ってはいないし、そういうのは嬉しいのだが…

ザニーと言ってもガワだけだし、あの時のパイロットが未熟だった事もあるだろう。今考えればやたらと動きが短調だった

 

「まぁそれは置いといてですよ、隊長」

 

少し考えているとヨーゼフがニヤリと笑いながら言う

 

「そろそろ見に行った方がいいんじゃないですか?」

 

隊長の"戯け者"を。

 

 



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operation.16《戯け者は何度でも_》

RRF-05

 

かつて戯け者(ザニー)と呼ばれたMSはその姿を大きく変えて、俺の前に戻ってきていた

 

「…これって元がザニーの意味、ほとんど無いよなぁ…」

 

頭部は形状こそ、ザニーの物ではあったがそのバイザーの奥にはガンダムタイプに使われているツインアイが見え、フェイスの部分はほぼガンダムタイプの物になっていた

 

「まぁ…そりゃ野暮って奴ですぜ?」

 

「アルベルト…」

 

「久方ぶりですな、旦那?」

 

そうやってニヤリとするアルベルトを見るとまたもや涙が溢れそうになる

 

「見てくだせぇよ。これがアンタの新しいMSです。」

 

「RFF-05A"FC" アドバンスド・ザニーFC(フルカスタム)それがこの機体の名称です」

 

「フルカスタム…これがザニーの…」

 

「実質、最終形態と言っても過言では無いでしょうよ。装甲は局地型ガンダムの物を丸々使用。その上に更に追加装甲、武装面での抜かりも無いですぜ」

 

「アルベルトさん。そこからは私が、」

 

「オリーフィア?」

 

「携行武器としては、100mmマシンガンのマガジンを大容量のドラムマガジンに、ストックも固定式の物を使い、バレルも延長しており、より中距離へ対応出来るよう、なおかつ腰部にはバナナマガジンも装備しており長時間の戦闘にも対応出来るようになっています」

 

「シールドにも武装が付いているように見えるが」

 

「良く見てますね隊長、その通りです。シールドは先端部分を可動式のクローを取り付けていて非常時には武器になります。内側にもヒートナイフを2本、グレネードが3つ、シールド内部にはショットガンを内臓していてクローを展開する事で使用可能です。クロー自体にも先端にヒートナイフが内臓しています」

 

「なんて危ないシールドだよ…」

 

「まだまだあります。腕部には左右ともにボックスタイプのビームサーベルを取り付け、またバックパックには元のジムキャノンのキャノン砲の他にスプレーミサイルランチャーを改造したものを付けてあり、バーニアも六つに増設し、増えた武装の重量を補えるだけの機動力もあります」

 

「そこまで載っけると推進剤の方が心配だが…そこはどうなんだ」

 

「弾薬の尽きた武器、増設した装甲は任意でパージ出来るようになっています。正直な所、推進剤不足は否めませんが、多少マシにはなるでしょう」

 

「なるほど…そこは技量でカバーするしか無いか」

 

「どうでしょう隊長…行けますか?」

 

「愚問だなオリーフィア…」

 

「隊長…」

 

「行けるさ…行かなくちゃならないのさ。コイツに乗って俺はアイツらを潰す。無論与えられた任務はこなす。だがヤツらを全員落とさない限り、俺の戦争は終わらん」

 

「…やっぱりですか…」

 

「…さぁて、新しい部下達も待ちくたびれてるだろ。早く行こう」

 

「…ホントに…隊長の戦争は…それで終わるんですか…」

 

「……」

 

確かにその時、オリーフィアの声は届いていた

だがその問いに俺は答えることが出来なかった

 

 



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operation.17《戦う義務、殺す意志》

UC.0079 11月30日

 

陸戦艇 ギャロップ内部

 

見慣れた部屋の天井

 

また嫌な夢を見た

 

「む…」

 

人工的な光が目を刺す

 

眠気が残る目を擦っていると、ドアの方からコンコンと音が聞こえる

 

「ロガーさん、入っても大丈夫です?」

 

ノックの後に聞こえてきたのはミラの声だった

 

「はいよ」

 

「おぉ、まさかこの時間に起きてるなんて思いませんでした。割と朝方ですよ?今。」

 

呑気そうに喋っているミラを見ていると、やっと自分の隊が完全な形になったのだと改めて実感する

 

「…酷い夢を見た」

 

「またですか~?今度はどんなお告げが来たんです?」

 

俺が悪夢を見る時。その出来事は確実に起こる

 

俺らの隊ではこれをお告げと呼んでいた

 

「…分からない。何もかもが燃えていた」

 

「?、それはまた不明瞭ですね」

 

「俺にも分からん。ただ一つ確かなのは、」

 

「確かなのは?」

 

「悪魔がいた。いや、悪魔なんて生易しいもんじゃなかった…アレはもっと…気持ち悪いというか…不気味というか…えも知れぬ恐怖があった」

 

「何ですかそれ?」

 

ミラがクスクスと笑う

 

「あの感じは…そうだな、幼い頃にピエロを見たあの感じだ!」

 

goodな例えが出て、若干興奮気味に口を開く

 

「ピエロですか…私は見たこと無かったですね…何なら私自身がピエロだったまである!」

 

そう言いながらミラは眉を八の字にしながら鼻の下を擦ったあと、無理な笑顔を見せながらそう言った

 

「あんまり自分の過去を卑下するなって何回も言ったろ?虚しくなるし、意味の無い過去なんて存在しない」

 

「確かにそうですね…あの糞みたいな暮らしをして無ければ、ロガーさんにも会えなかったですもんね」

 

そのミラの笑顔は一見普通の年頃の女性の笑顔なのだろうか。

しかし、俺には分かる。分かってしまう。その笑顔の内にはとんでもない暗闇が見えてしまうのだ

 

俺が初めて見かけた彼女は、人間ではなかった

戦争で家族を失い、商人に目をつけられたのだろう

まるで売り出されたペットの様に扱われていた

 

軍人としては間違っていたのだろう

しかし見捨てる事は出来なかった

 

結局、家に預けたにも関わらず、ミラは俺の所へ戻ってきた

久々に見たその少女は軍人として俺の前に現れた

 

「ま、兎にも角にも、ピエロだろうがなんだろうが、ロガーさんに害を成すなら、それは私の憎悪すべき敵です!何があっても、私がロガーさんを守り抜いて見せます!」

 

ミラのその言葉はきっと心の奥底から出している言葉で、ミラは何が何でも俺を守ろうとするんだろう

 

だから俺にちょっとでもピンチに陥る事は許されない

 

「そりゃ、頼もしいな。あのザニーのパイロットからも守ってくれよ?」

 

「あんなの雑魚ですよ!あの時だって慌てふためいて泣いてたんですから」

 

「…そうなのか」

 

そんな状況下でありながら、俺達相手に援軍が来るまで持ち堪えたとでも言うのか

 

その話が本当だとすれば俺達はとんでもない逸材に敵として出会ってしまったのかもしれない

 

「ミラ、ザニーのパイロットはどんな奴だった」

 

「そうですね…お人好しで、少しMSの運用に長けていますね。ご存知の通り、初戦で"前隊長の乗ったゲルググもどき"を撃破してるので。でもあの人、隊長っていっても…」

 

「形だけの隊長とはいえ、アイツは確かな実力があった。しかも乗っていた機体もなかなかの代物だ。…ザニーのパイロットは否が応でも俺が相手にしなければな。アドはともかく、PJのは狙撃機だ。ミラ、お前もアイツの相手は控えろよ」

 

「むぅ…まぁ、ロガーさんがそう言うなら…」

 

「ありがとな…かれこれ、あの小隊にはかなりの犠牲が伴っている。これ以上の犠牲を出す訳には行かない」

 

そうだ、こちらも相手の1機を破壊してるとは言え、それも相打ち。

以前、ミラが落としたのは捕らえた連邦兵を乗せたザクだったし、彼らは実質、2機だけでこちらと戦っていたのだ。

 

現在、この戦争はジオンの不利と言える。

実際、恐らくジオンは敗北するだろう

しかし、投降して、連邦の奴らに恥辱と屈辱と言う名の煮え湯を飲まされるのはゴメンだ

 

それなら最後の最後まで抗ってやろうではないか

例え死ぬとしても、華々しく散ってやろうではないか

 

それが俺らの…[ロッテン・ローズ隊]のお役目なのだから



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