お面主人と他種族のいる日常 (事の葉)
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仮面と女郎蜘蛛のいる日常

やぁやぁ、事の葉っす。
今回は第壱話!女郎蜘蛛のいる日常です。あ、あとついでに仮面ね。
そういえば女郎蜘蛛ってどんなんだろ。まぁいいや。
とりま、第壱話始まります。


季節は夏、蝉が合唱のように鳴き、風鈴はチリチリと鳴り、太陽はジリジリと地面を焼いている季節。

住宅街に建ち並んだ道から少し外れ、森の入り口から少し離れ、自然が多くなった場所に座する大きな二階建の和風の家。大きな庭と、守るような大木。まるで、ここだけタイムスリップしたような感覚に陥る程綺麗な家。

その中、リビングで一人の男が居間に寝転がって、テレビを見ていた。

薄鈍色のセミロングの髪、180はある高身長のスタイルの良い男だ。しかし、その顔には何故か殆ど凹凸(おうとつ)のない真っ白い仮面が乗せられていた。少し口角の上がった口と、それとは真逆に、切れ長の目。何故かそこから目や、口周り等は一切見えず、まるで、そこが黒く塗られているようだった。鼻背辺りから後ろまで何重にも巻かれた真っ白い包帯で顔から離れないようになっているようだった。

テレビの隣に置かれたデジタル時計を見ると、午後の6時。意外と時が経つのは早く、昼間にやっていたバラエティ番組は影を潜め、まるで人形のように無表情な男性アナウンサーが事件を取りあげていた。

アナウンサーが「続いてのニュースです」と言い終えた時、インターホンが鳴った。押している間長くなる種類なので、友人であれば「ピーーーーンポーーーーン」と楽しむように一回一回長くするのだが、今回はピンポンと早くなった。

誰だろうと立ち上がり、少しふらつく足で歩き、カメラ付きのインターホンに向かい、カメラ機能をオンにした。

「んあ?」

初音優紀(はつねゆうき)が変な声を上げる。

だって、そこに映っているのは見覚えのない二人なのだから。

片方はストレートに伸びた黒髪と、黒いОLらしい服、真っ黒なサングラス。いかにもな営業マンである。いや、女だから営業ウーマンなのか。

もう片方は、紫色に様々な赤色の花と蜘蛛の巣、そして捕まった蝶の書かれた大きな振袖の付いている、胸の真ん中辺りまでしかない妖艶な和服を着こんだ小さな少女。青みの強い紫色の短い髪にはピンク色のバラの髪飾りと赤いリボンが飾られている。しかし、その妖艶な服とは別に彼女の背中部分に目線がそそがれた。関節らしき部分に黄色の球体がある六本の黒い蜘蛛の足、直線ではなく、少しうねうねした黒色と黄色が交互に配色されたこれまた蜘蛛の腹。本来の目の部分とその上の6つの真っ赤な目。少しピンク色の肌をした、所謂他種族というものだ。

「はい」

疑問に思いながらも、マイク機能をオンにする。

『他種族コーディネーター墨須です』

営業ウーマンが自己紹介をする。

他種族コーディネーターという職業は知っていた。

2年前に施行された新法案、他種族間交流法。今まで政府に秘匿されてきた人類以外の種族、彼らとの交流を行う為に制定されたこの新法案を守る仕事らしい。あまり詳しいことは分からないが、大体こんなところだろう。

「・・・?えっと、お話は家に上がってからでいいですか?」

そんな職業の営業ウーマンに見覚えなんてなく、帰らせるのもなんなので家に上がらせる。

『はい』

向こうから返事が聞こえる。

確認してから、扉の方へ向かう。

 

 

 

 

 

「緊張してる?」

インターホン越しの会話を終えた時、隣にいる他種族、女郎蜘蛛種の<曲輪(くるわ)>に話しかける。

「正直言うとしていんす」

言いながら、少し苦笑する。

「深呼吸よ」

墨須が緊張が解ける方法を教えると、曲輪は大きく息を吸い込み、ゆっくりと全部吐き出していった。

「少し解けた気がしんす」

「そう。それはよかったわ」

とは言うが、正直墨須も結構緊張していた。ここの住民は意外と変わり者らしく、周りはもう慣れたそうだが、子供には嫌われるのだとか。

他種族間交流ホストファミリー権に貼られた顔写真を見て溜息をつく。

その時、ガチャリと扉が開いた。

そこから除く白い顔、いや違う、仮面だ。顔の凹凸が少なく、少し微笑んだ口と、それとは真逆に細長い目が彫られた真っ白い面だ。

そして、これが先程溜息をついた理由。

どういう経緯や理由があるかは知らないが、顔写真にも、これと全く一緒の仮面を被った優紀の写真が貼られているのだ。

「お待たせしました。どうぞ」

仮面のせいで少し籠った低い声を発しながら、扉を開けたまま家に戻って行く。

数秒遅れて唖然としていた曲輪が我に帰り、ブンブンと横に首を振る。

「あ、あんな人だから」

「変わった主でありんすね」

受け止めてくれて墨須も一安心。

 

 

 

「はい、お茶です」

和風の居間の中、丁度真ん中辺りに設置させられた低いテーブルの庭側に座った二人の前に、綺麗な鶯茶の色をした茶の入った草の書かれた透明のガラスのコップをコースターに乗せ、丁寧に置いた。二人の正面に座布団を持っていき、正座をする。

「すいません。私まで」

お茶を啜ってから、墨須が言う。

「いえいえ。すっかり忘れてましたよ免許持ってたの」

優紀が少し籠った声でふふと笑う。

1年前、元から家が広かったのと、後は面白そうという理由で取った他種族間交流ホストファミリー権。しかし、丁度その一週間後に大学の卒業式があったので、すっかり忘れていた。

「忘れないでくださいよ。一応大事なんですから」

「これからは気を付けます」

「つかぬことを伺いますが、その仮面は?」

再びお茶を少し飲んでから、墨須が言う。

「これですか?1年前大火傷で皮膚がただれたので、治るまで見せないようにしてるんですよ。包帯が少し苦手で」

理由を聞くと、あぁと二人が納得した。

「変な主でごめんなさい」

これからホームステイするらしい他種族の曲輪にぺこりと頭を下げる。

「いえ、面白いでありんす」

廓詞、花魁詞を使いながらクスッと微笑んだ。

「ありがとうございます」

顔を上げ、少し低い声で言う。

「では、曲輪ちゃんをお願いしますね」

数瞬の後、墨須が立ち上がる。

「荷物は後日、お届けしますので」

「分かりました」

一泊置いて答える。

玄関まで行くと、最後に頭を深く下げた。それに倣うように優紀も頭を下げる。隣にいる曲輪は、少しお辞儀してから、手を振っていた。

「ぬし様」

扉が閉じた後、曲輪がぬし様、優紀の呼び名のようなものだろう、そう呼ぶ。

「ん?」

居間に行く足を止めず、そっちを見やる。

「本当にいいでありんすか?わっちみたいな人外を住まわせて」

仮面を被った優紀の顔を悲しそうな六つの目で見やる。

「いいですよ。個性豊かでいいじゃないですか。それに、人外とか、あまりそういうの気にしてませんよ。そういうのどうでもよくて」

ははと笑いながら、ボリボリと後頭部辺りを掻く。

「ゴ○ラとかダダとかバ○タン星人でも迎え入れますよ。いや、身長的に無理か?」

仮面の顎部分に当て、首を傾げる。

「とりあえず、そういうの気にしてませんから。それに、これからは家族みたいなものですから、あまり気にしないで下さい」

言いながら、ふふふと笑う。

「よかったでありんす。これからは色々頑張るでありんすよ!」

居間に入るなり、ふんと腕を組み、その幼い体型についた二つの豊かな胸を突き出した。

「広いですから大変ですよぉ?」

面白さ混じりにニヒヒと笑う。

「任せておくんなんし!」




ありがとござました~。
今回は曲輪ちゃん!私の大好きな子です。っていうか、意外と人気な方なんじゃないかな?あの花魁詞と容姿、一目惚れっす。それに、親密度100%にした最初の子だから色々と思い入れがあるんだよな~。今も第二軍で頑張ってくれてるよん。
そういえば、モン娘オンラインなんだけど、私無課金勢だから、SRは最初のミーアちゃん以外ないし、HRも数人しかいない。
次回はまだ決まってません。まぁ、お出かけとか、色々かな?
ちょっと後々に響くことを思い出し、「優紀」の読み仮名を「ゆき」から「ゆうき」に変えました。

感想お待ちしておりま~す。


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絶景を見つけた日常

脱字があったようで、訂正させて頂きました。


翌朝、優紀は畳の敷かれた自室で床に敷布団を敷き、その上で眠っていた。相変わらず仮面を付けた状態であるが、たぬき寝入りではないだろう。

「ふぁ~ぁ」

そんな中、仮面で隠れた口から、大きな欠伸の声が聞こえる。

優紀が目覚め、その次に少しぼんやりした視界で周りを見渡す。

隣に設置された白いベッドには、優紀から渡されたパジャマを着、青紫色の髪をした曲輪が眠り、背中から生えた六本の蜘蛛の脚と、虫腹を器用にたたみ、すぅすぅと可愛い寝息を立てていた。

暑かったのか、掛け布団は地面に落ち、優紀もまた寝ている間に蹴り飛ばしたのか、少し隣に落ちている。

窓の上に掛けられた時計を見ると、午前の10時。そういえば前日、二人で住む家を大掃除していた。それに、夜に面白いバラエティ番組を見て夜ふかしをしてしまった為こんな時間まで寝てしまったのだろう。

一つ大きな伸びをし、周りをキョロキョロと見渡すと、携帯がブルルルとバイブを始めた。

こんな時間に誰だろうと思いながらも、発信先を見ず、通話ボタンを押す。

「もしもし」

 曲輪の寝ている部屋から出、扉にもたれてから右耳に携帯を付ける。

『あ、優紀さんですか?』

向こうから女の声が聞こえる。

前日この家に来た他種族間コーディネーターの墨須の声だ。

「はい。どうかしましたか?」

『今日、曲輪ちゃんの私物含め、ベッド等を運ぶので』

「何時頃になりますか?」

聞いてみると、少し間を置き、そうですねぇという声が聞こえ、数瞬の後に回答する。

『13時頃だと思います』

「分かりま――――」

言葉を続けようとした時、がちゃりと音を立てて扉が内側に開いた。完全にもたれていた優紀の身体は一瞬その場に留まったが、後ろに思いっきり引っ張られるように落ちて行く。

頭から床に落ちたのか、後頭部辺りに激痛が走る。

「だ、大丈夫でありんすか!?」

隣から曲輪の声が聞こえる。

「あ、あはは・・・なんとか大丈夫・・・」

『と、とりあえず13時頃に伺いますので』

少し驚いた墨須が言うと、携帯からはツーツーという音が聞こえた。

「誰と連絡していたんでありんすか?」

「墨須さん。13時頃に曲輪さんのベッドとか運ぶんだそうです」

「そうでありんすか。だったら早くご飯を食べに行きんすよ」

言いながら少し笑みを浮かべ、少し急な階段を下りて行く。未だじんわりと痛む後頭部をさすりながら、優紀もそれに倣うように下りて行く。

 

 

時刻は変わり、午後1時を過ぎた頃、言っていた通りに物を持ち運ぶ人間がやって来る。

「あ、二階の真正面の部屋です」

その列の先頭にいた隆々とした筋肉をし、ベッドの片側を持ったリーダーらしき人間に指示をすると、その男が大声で蟻の列のように並んでいた皆に大声で告げると、掛け声とともに少し急な階段をもろともせずずかずかと上って行く。

「皆さん元気ですねぇ」

居間に戻り、座布団に正座をする。その前にいる曲輪はテレビの再放送を見ていた。世界の都市伝説を専門家達で徹底的に調べるというものだ。優紀もこれは好きなのでよく見ていた。

少しの間上の音も気にならない程夢中になっていると、居間の入り口の扉を二度のノック音が聞こえ、曲輪と共にそちらを向くと、ストレートロングの黒髪をした墨須が入って来た。

「お騒がせしてすいません」

「いえいえ」

「ところで、全体的に設置するのに1時間以上かかりますので、デー・・・お出かけしてみませんか?」

墨須がなにかをいいかけ、一度わざとらしく咳込んでから言う。

「いいでありんすね」

曲輪が嬉しそうに微笑む。

「そうですね。じゃぁ行って来ますので。終わったら連絡下さい」

墨須が分かりましたと言ったのを確認してから玄関に置かれている財布やら鍵やらの入った外出ウェストバッグを腰に巻き、曲輪と共に外を出る。

外は相変わらずの暑さ。数分動かないだけで倒れそうだ。

薄い生地の上着を肘までめくり、日光を避けるように目の少し上に手を当てながら歩いて行く。

「曲輪さんは暑くないんですか?」

既に疲れたような声を上げる。

彼女の着ている和服は足をすっぽりと隠す程ではなく、前側も開いているが、手はすっぽりと覆われている。それに、優紀も一度成人式に和服を着たが、とても暑く、夏に着るとなるともうそれは地獄だろう。

「これはわっちたちの伝統衣装のようなものでありんす。暑さには負けんせん」

自信ありげに言い返す。

「そうなんですか。いやぁ凄いですねぇ。僕だったら伝統よりも楽を優先しますよ」

言うと、はははと乾いた笑いをし、最後にはぁと溜息混じりに息を吐いた。

「そんなんではいけんせん」

「そうですかねぇ。あ、こっちです」

丁路地を左へと曲がりかけた曲輪の手を右側に引っ張る。

「こっちに店はないでありんすよ?」

少しきょとんとした声を上げる。

確かに、こっから先に店はない。民家も少なくなり、自然は自由に伸びている。木々の中を歩くと、少し向こうに廃墟もある。夜になると心霊スポットと変貌するが、昼間に行くぶんには、これといって問題はない。

「まぁまぁ、いいじゃないですか」

言いながら曲輪の手を引っ張る。

少し歩いていると、曲輪も乗り気になったのか、歩幅を合わせて行く。

 

 

あれから少し歩き、足を止める。いや、自然に足は止まっていた。

自然と出来あがった木々のトンネル、その下に流れている透明度の高い水が穏やかな流れを作り、空を反射していた。少し左を向くと、少し高さのある場所から水が落ち、白いカーテンを作っていた。時折現れる岩肌や、水に沈んだ岩には苔が生え、まるで一つの絵画の世界のようだった。

10年前から変わらないこの絶景。夏、それに今日のような太陽が照りつける日でなければ見れない絶景だ。

木々のトンネルが影を作り、水の流れる音と共に、暑さを忘れさせる。

「よかったでしょう?」

腕を組み、ふふと笑うと、曲輪がこくりと頷いた。

「絶景でありんす・・・」

こちらに目を向けず、曲輪は放心状態のようになっていた。

「よかったです」

言いながら、優紀もまた、その景色を眺め始めた。




ありがとござました~。今回結構遅れました・・・すいません。だって!ようやくHR解放なんですもん!やりこんじゃうじゃん!お陰で睡眠時間減ったけどさ。

さてさて、次回なんですが、出したいキャラクターが決まっておりません。

問題点があったため、訂正させていただきます。

リクエストは活動報告、メッセージでお願いします。申し訳ありません。


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雪女のいる日常

ハハッ、こんにちわっ。事の葉だよっ・・・これ大丈夫かな。

今回は雪女のいる日常。モン娘オンラインプレイヤーだったらどの子かもう分かっちゃいましたかね?

ではでは、是非ともご閲覧下さいませ~


あの日からだいだい三週間、暑さはさらに強まり、外出するだけでも困難になり始めてしまっている。今年はクーラーがあるが、去年はクーラーが無い為、まだマシなのだろう。クーラーでも足りず、仮面を外す訳にもいかないので、扇風機の前であー、と声を上げていた。

「それなんでかやってしまいんすよね」

テレビを見ながら座布団に座っていた曲輪が優紀に声をかける。

「もう夏の風物詩のようなものですよね」

扇風機の羽に少し途切れたような声で言う。

ようやく身体が、特に顔が涼しくなってから曲輪の隣に座布団を持っていき、あぐらをかく。

「そういえば、もうそろそろでありんすね」

時計へと目線を向けた曲輪が言うと、それに倣うように優紀も時計を見た。

時刻は15時を少し過ぎた15時5分。

そろそろ、というのは、15時30分に新しい住民が増えるのだ。無論他種族であるが、曲輪にも引けを取らない美人、と墨須が言っていた。種族の名は「雪女」と言うが、他種族図鑑といった本を読まない、というか買わない為、どんなものなのかよく分かっていない。

「とりあえず少し待ちましょうか」

「そうでありんすね」

 

 

時刻は巡り、15時31分。少し程の誤差があるが、時間通りに二人は来た。ロングの黒髪とグラサンをかけたセールスウーマンの墨須と、雪のように白く、先端に行くにつれ青くなっていく美しい長い髪をアメシストのような少し特殊なかんざしで留めていた。中は青く、外は白く、冬を思わせるような雪結晶が所々に描かれた着物を青紫の帯で留めている豊満なバストを携えた美少女が無表情な、しかし少し悲しそうな顔で待っていた。しかし、その肌は病気患者とかでは説明がつかない程青白い。彼女は右手で日光を遮る少々大きな番傘兼日傘を差して、天敵である日光から身を守っていた。

「遅いわね」

インターホンを鳴らして少し経ったが、なかなか出る気配がない。

と、待っている間は時間が長く感じる為、足をカツカツと鳴らそうとした時、ガチャリと音を立てて扉が開いた。

そこから現れたのは、のっぺりとした白い仮面ではなく、少しピンク色の入った肌と、青紫の髪から覗く六つの赤い目を持った曲輪だった。

「曲輪ちゃん元気?」

「えぇ、元気でありんすよ。そっちが新しくホームステイする他種族でありんすか?」

「ふぁ~ぁ。ん?」

曲輪が雪女族の少女の方へと向けた時、後ろから眠たげな声が発せられる。少し、それこそ何か口が覆われているのではないかという籠った声だ。そして、居間の扉からのっぺりとした凹凸のない、そして、今までとは違い目も口もない仮面とも言えるか分からない白い仮面を被っていた。その仮面の丁度中心、真ん中に一直線のヒビが入っている、少し不気味ささえ感じる程だ。

「これまた変な仮面ね~」

「おや、墨須さん。ちょっと昼寝を・・・」

言ってまた大きな欠伸をする。

「わっちはお茶を淹れているでありんす」

言って曲輪は玄関から廊下へと歩き、丁度見えるキッチンに向かっていった。

「そちらの方?」

言って見えているかも分からないのに雪女の少女に顔を向けた。

「はい。私は雪女族のユキです。あなたさえよければ、おそばに・・・・・・」

言うと、少し俯く。

「?はい、どうぞ」

一瞬何を言っているか分からなかったが、これから一緒に住むというのだから、却下する必要もないと首肯する。

「本当、ですか?」

表情から悲しさが消え、少し明るくなる。

「もう寂しい思いをしなくていいんですね。これからよろしくお願いします」

言ってぺこりとお辞儀をした。

「あぁ、こちらこそ」

次いで軽く会釈をする。

「僕は初音優紀です。あっちは曲輪。まぁ、多分不自由はないかと思います。あったら教えてください。可能な範囲で改善しますので」

「あ、そうだ。私もお邪魔していい?夕食まで」

今までの雰囲気をぶち壊す質問、というか、断ることの出来ない提案を墨須が言ってきた。

「断れないんでしょう?ま、ユキさんが来てくれたということで豪華にしますかね。どうせじり貧でしょ?」

呆れたような溜息を上げると、苦笑しながらも墨須が首肯する。

それを見てまた溜息を上げながらも、優紀が居間へと入って行く。

 

 

「お茶でありんす。墨須さんはコーヒーでありんすね」

曲輪は自分の座った座布団と、ユキの前に冷たい麦茶を置き、アイスコーヒーを墨須の前に置いた。

「ここは涼しいですね」

「いやぁ、まだ暑いくらいですよ」

言うと、はははと力無しに笑う。

「いえ、雪女族は0℃近いので暑さを感じないんです」

へぇ、と感心していると、なにを思いついたのか、曲輪が蜘蛛の脚を動かし、カチャカチャといった音を立てながら立ち上がり、ユキの方へ歩いて行く。

先程、ネットで調べた情報によると、雪女族は素足で床を歩くと、凍らせてしまうそうだ。なので、ユキは今もスリッパ代わりの足袋を履いている。

「そういえば優紀クンと名前一文字しか変わらないわね」

コーヒーを半分程飲んだ墨須が口からカップを外し優紀の方へと目を向ける。

そこまで気にすることではないが、優紀の読みは「ゆうき」う、を取ったらユキ。

「偶然ってあるもんです―――」

 

――――ひゃぁっ!!

 

感心無さそうに口を開くと、隣、ユキの座っている場所からいかにも可愛らしい悲鳴を上げる。

二人がびくっと一瞬身体を跳ねあげると、ばっ、とユキの方を向く。

そこには、そのユキの豊満な胸の谷間に顔をうずくめ、両手でがしっと胸の外側を掴み頬ずりをしていたる曲輪がいた。

「あ、あ、あああああの、く、曲輪さん!?」

ユキは目の焦点がぐわんぐわんと揺れ、今にでも恥ずかしさで倒れてしまいそうな程、青白い肌を真っ赤にさせていく。

「あぁ、ひんやりして気持ちいいでありんす・・・」

曲輪は言いながらさらに赤くさせていくユキの気なんて知らずに未だスリスリし続けている。

確かに雪女族の体温は0℃近くを保っている為、夏には絶好の場所であるかもしれない。実際、隣にいる優紀も、冷房をガンガンきかせている部屋のように涼しく、暑さを感じないのだから、あれほど密着していれば秋や冬と勘違いするかもしれない・・・が

「曲輪さん!自重してください!」

仮面の下で頬を真っ赤にさせ曲輪の腋に手をいれると、思いっきり放れさせる。

これ以上やったら服を脱がせかねない。流石にR-15でそれはやばい、そう思ったのだ。

不満げにぶぅ、ぶぅと頬を膨らまが、その頭をガツンとチョップを喰らわせた。

「はっ、わ、わっちは何を・・・」

今まで体温が0℃近いという言葉に誘われ、我を忘れてしまっていたようだ。

「あ、あなた・・・す、すいません・・・」

「こっちこそ」

未だ誘惑から解き放たれていないのか、少しずつにじみ寄る曲輪に再びチョップを入れて、ははとほほ笑む。

「とりあえずよろしくお願いしますね。ユキさん」

「はい。頑張ります」

言ってユキもまた、軽く笑った。




ありがとござました~。

今回は雪女族のユキちゃんです。今日ガチャやって出たnew娘の中の一人だよん。
ちなみに、他のnew娘は「ハニー」「レイ」「デス」「水着・ミーア(HR)」「サッカー・ラクネラ」「マナコ」たその皆でごじゃりましゅる。皆私のストライクを行く性格でよろしいじょい。ってか、モン娘全員の性格を受け入れることが出来るぞい。わっちは。

あでも、GWキャンペーンで最後にHR以上確定チケットがゲット出来るんだよなぁ。次回はそれで出た子にしよっかな?それか既に出たモン娘の誰かを出そうかなっと思ってますよん。

今回さ、今までの中で一番ギリんところいったんだけど、これR-15で大丈夫なんだよね?ね?ね?(威圧)。ま、時折微エロシーンも入れる気じゃよ。ホッホッホ、若いモンよ、諦めては駄目じゃぞ。

あ、それと、これから、リクエストの話なのですが、出来れば、モン娘オンラインのキャラクターだとありがたいです。

訂正

これからはリクエストを活動報告、メッセージでお願いします。申し訳ありません。


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ケンタウロス・競走馬種のいる日常

ヤッハロー、どこでこの挨拶知ったか知らんけど気に入ったんで使ってるよん。

今回は読者様のリクエスト(名前出す許可もらうの怖くて出来ません)によってとあるケンタウロスの子が出ます。ま、まぁ、今モン娘オンラインのオリキャラケンタウロスは二人しかいないんだけどね。

それと、今回今までよりも1000文字程多いです。留め金が効かなかったZE☆

それと、新しいキーボードに変えました。まだ慣れてないから誤字脱字あるかも


あれから大体一ヶ月、暑さはより一層強さを増し、ユキが溶けないように日々色々と苦労している訳ではあるが、彼女が近くに居ると、涼しくもあるため、それほど苦ではない。まぁ、そんなユキも夜、時々優紀の部屋に入り話をして寂しさを紛らわしている訳だ。

ユキと曲輪も仲が良く、時々大がかりな悪戯を仕掛けてくる、毎日が新しいことの連続であった。

まぁ、そんな日常を繰り返していると、一ヶ月なんて早く過ぎる訳で、半月しか経ってないという感覚になっている中、一通の電話が優紀の携帯にかかった。

『あ、優紀クン?』

向こうから聞こえてきたのは、いつも何かと理由付けて食事を取ったり、お茶を貰いに来ている墨須だ。

「どうしたんですか?」

どうせまた「遊びに来る」という返事しかないだろうと思い、呆れた声色に変える。

『熱出ちゃって・・・昨日会議あったから知恵熱かしら』

「あぁ、お疲れ様です」

流石に会議となると、優紀も知恵熱を出してしまうだろう。

電話越しに軽くお辞儀をした。

『それでね、ちょっと私は行けないんだけど、そこにホームステイしたいっていう子が出て・・・』

そこで何かを悩んでいるのか、考えているのか、う~ん、と間を置く。どうしました?そう聞いてみると、少しためらいながらもちょっとね、と言葉を続ける。

『運動がてらってことで走って行っちゃったの』

「・・・分かるんですか?」

『曲がり角滅多にないから大丈夫じゃない?多分もうそろそろ着く――』

まるでタイミングを揃えたように家のインターホンが鳴る。

「あなた、誰か来たみたいですよ」

ふと、玄関の方を見た時、向こうで料理を作っていた筈のユキが声をかける。

『来たみたいね』

「みたいですね」

軽く苦笑しながら電話を切る。

 

 

玄関へ向かい、引き戸を開ける。ちなみに、ユキは居間で待っているとの事、曲輪は昼食の準備だそうだ。

「はいはい、今開けますよ~」

言って優紀が扉を開ける。

そこには、星の髪飾りの付けられたボブの綺麗なピンク色の髪をした少女がコバルトグリーンの瞳を優紀に向けていた。ピンクと薄いピンクで彩られた上着を着ている元気そうな少女である。しかし、その下半身は、人間とはかけ離れていた。例えるのであれば、否、これしか例えることが出来ない。

馬だ。四本の脚を持った馬の下半身、というよりかは首より下。その馬の下半身にピタリとくっついたスポーツパンツ、蹄があるから靴はいらないのだろう。ついでに言えば、耳も馬のようである。

「キミが世帯主なんだね!」

元気な、しかし少し息の上がった声を上げる。

「ボクはケンタウロス族競走馬種のツェンって言うんだ!騎士としてはまだまだ未熟だけど、主くんに忠誠を誓うよ!」

なんともまぁ、騎士が言いそうな台詞を言い、最後にニコッと笑う。

「でも、面白いお面だね。もっと白いお面かと思ったけど」

ツェンが怪訝な目を向ける。

今、優紀が付けている仮面は、狐の面だ。しかし、能面のような少し不気味な感じではなく、アニメの謎キャラクターが付けるような、少しかっこよく装飾の施された狐の面だ。

「あぁ、特殊メイクやってる友人が昨日出来たとかで送って来たんですよ。ま、色々と気になるとは思いますが、とりあえず上がって」

「う、うん。失礼するよ」

色々と疑問が解決していないのだろう、未だもやもやするといった顔をしながら家へと上がって行く。

幸いにもここは玄関と階段にそこまでの段差がなく、彼女もすんなり上がることが出来た。

「結構古風でいい家だね」

「まぁ、祖父母の代からありますからね~、ホームステイ以外で手を付けたところはないよ」

とは言うが、改装をしていないという意味であり、所々に二人の私物であるぬいぐるみや人形といった可愛らしい置き物が置かれてはいる。

「曲輪さん、手伝いましょうか?」

キッチンに向かった時、そこでいつも優紀が使用しているエプロンを身に付けた少し妖艶な雰囲気を持った女郎蜘蛛族の曲輪だ。

レシピ本を見ながら色々とわたわたしている曲輪に声をかける。

「だ、大丈夫でありんす。いつもぬし様に任せているだけではいけんせん、これくらい一人で出来んす」

とは口では言うが、少し不安だ。いつも優紀の料理を隣で見てはいるが、本格的なものを作るのは始めな筈だ。

「それよりも、家を案内してはどうでありんしょう?」

「おぉ、ナイスアイデアですね。ツェンさん、案内しますよ」

「本当かい?よろしく頼むよ」

言って、また屈託のない笑みを浮かべる。

 

 

「曲輪さーん?だいじょう・・・ぶ、じゃないみたいですね」

ぼうっとテレビを見ていたユキが時折聞こえる料理の音に心配そうに顔をのぞかせると、その時にエプロン姿の曲輪が飛んでくるように走ってきた。そのままユキの胸に顔をうずくめる。

「どうしたんですか?」

「調味料がどれがどれだか分かりんせん」

軽く涙声になっている曲輪が言う。

つい三十分前にキッチンに立った曲輪だが、ここの家の調味料には醤油等を覗いて殆どラベルが貼られていない。貼られているのも、どれも日本語ではない。それに、ここのは無駄に多いのだ。いきなりその場に立って作れる程楽ではないだろう。

「その、一緒に作っては見ませんか?一緒に驚かすんです」

「ほ、本当にいいでありんすか?」

軽く涙目になっていた目を上げる。ユキは、はい、と答えると、曲輪を連れてキッチンへと舞い立った。

 

 

そんな、他種族二人の葛藤なんて知らずに優紀は家を案内していた。

二階は紹介出来ず、一階に引っ越した優紀の自室が最後となった。

「ここが僕の部屋です。家にいなかったら大体ここにいますよ」

他種族が来てから、いつかは二階に上ることが困難な、それこそ、ケンタウロス族のような少女が来ると思っていた優紀は、一階へ自室を移動させていた。

紹介した優紀の自室は、シンプルイズベスト、という言葉がぴったりのシンプルな部屋であった。しかし、グッド、かどうかは人による。押し入れの左に設置させられたベッドに、そこから一歩歩くだけで辿りつける黒いデスクとその上に設置されたパソコン、デスクの下に自作PCらしき本体があった。その隣にはずらりと並んだ同じデザインの本棚には、スケッチブックや、専門用語集のようなものが並んでいた。まぁ、流石に何も無さ過ぎるということで、ユキや曲輪からぬいぐるみやペン立てを貰ってはいるが。

「絵師かなにかかい?」

適当に周りを見たツェンがこちらに目線を向ける。

「イラストレーターですよ。ま、副業ですけど」

成程、と言った顔で再び適当に部屋をふらつく。

本業、と言っていいかは分からないが、本業はホストファミリーだ。政府から貰える資金も、ホームステイしている他種族の人数によって増減があり、生活に不自由無い程は銀行でもらっている。食事も申請すれば経費で落ちる。まぁ、実質無料な訳だ。しかし、私物を買うとなると、色々と足りなくなる訳で、趣味の物を買う、金稼ぎでやっている。

「見てもいいかな?」

「はい、どうぞ」

ツェンが一番最近の日付が振り付けられたスケッチブックを手に取ると、パラパラと適当にめくる事なく、一枚一枚時間を置いて見ていた。

エロ系は描いていないし、基本線画やゲーム背景、エフェクトを担当する為、スケッチブックに美少女キャラこそいるが、エロに走ったことは一度としてない。

「綺麗だね」

「はは、ありがとうございます」

籠った声で言うと、ツェンは一通り見終え、スケッチブックを元あった場所に戻し、再び周りを見渡した。

「小さい頃の写真とかはないのかい?」

フォトブックを探していたのだろう、棚を上から下まで見て、また優紀の方を見た。

「あぁ、両親が全部持ってますよ。この家にはありませんよ~、っと」

ふと、ベッドの上に立てかけられた時計を見る。

時刻は12時半、料理を作り始めたのが大体11時半程、大体の料理はもう出来あがっている筈だ。

「じゃぁ、これからよろしくお願いしますね。ツェンさん」

「うん!これからよろしく!主くん!」

優紀の声に、ツェンは屈託のない笑みを浮かべた。




あざました~。今回はツェンちゃんです。可愛いです。私も主くんって呼ばれたい。

そういや、ピンク色の髪の子で落ちついたキャラいないよね。大体元気ハツラツな子か、腹が真っ黒のギャル女かの二択かと。ツインテールが付属することも多いから、ツェンは珍しい子かな?

あ、そういえば、主人公を「イラストレーター」って仕事にした理由は、私が絵が好きなのと、モン娘達だけで外出する回を作りたいので、部屋に籠るイラストレーターっていう仕事にしましたん。

そういえば、HR以上確定チケットで誰出ました?私はルーイです。「私は可愛い」っていう感じの性格だったら少し苦手だなぁ・・・

それと、マナコのファンになりました。可愛いよぉ。


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デートをした日常

はい、今回のサブタイトルは単純、すっげぇ分かりやすい。

それと、これ一番言いたかった・・・


「UA1000人&お気に入り者10人!!!!!マジでありがとう!!!!!!!!!」



はい。文字稼ぎ乙とか思った人、腕立て伏せ10回。

これで素直にやった人、さらに10回。

それはさて置き、まさか1ヵ月も経たない内に、二つの快挙を成し遂げてしまうとは、思ってもみませんでした。見て下さった皆様、お気に入りして下さった11名の皆様、真に、まっことに、ありがとうございます。


 ツェンが来てから一週間。ここらは人通りが少なく、人目に付くことも滅多にない為、彼女の運動にはもってこいの場所だ。

 競走馬種の速度は人間では到底追いつくことの出来ない速度なので、ついていっても、十数秒で見えない距離まで行ってしまう。それと、運動後のケア、マッサージは、主に優紀(ゆうき)がやっている。

 ツェンが来てからは、居間で食事はせず、キッチンを改装し広くしてもらい、そこに置いた木製のテーブルで食事をしている。ツェンが居間に座ると、普通の人間とはそう身長の大差無い二人に比べ、結構差が出てしまうのだ。なので、無理をさせぬよう、普通に立ってでも食事が出来る洋風のテーブルに変えたという訳である。

 話は変わって、時刻は丁度15時。夏場である今日、まだ、太陽は煌々と朝霞市、紋章町の初音家を照らし、地をジリジリと焼いていた。

「じゃぁ主くん、今日も行って来るよ」

 いつものように水の入ったペットボトルを持って家を出ようとするツェンに、ちょっと待って、と優紀が声をかける。どうでもいいが、今日の仮面は、曲輪と出会った時のようなうすら笑いを浮かべた凹凸のない白い仮面だ。

「丁度食材が枯渇してて」

 と、止めた理由を言うと、ツェンは、成程といった顔を作り、歩みを止める。

「僕が買ってくるよ!」

 言って優紀の持っていた緑色のマイバッグを取ろうとすると、優紀が首を横に振った。

「皆で行ってみませんか?そういうの初めてですし」

 クスクスと笑いながらいう。

「あ、あの、私、夏に外に出ると・・・」

 クーラーの効かせたリビングでニュース番組を見ていたユキが申し訳なさそうに顔を出す。

 彼女は雪女族のユキ。大体先月にやってきた二人目の他種族だ。彼女の種族、雪女族は、体温が0℃程ではあるが、その代わりに今のような夏はとても弱いのだ。

「そうでしたね・・・どうしましょうか・・・」

 なんとか皆で行きたいと思っていた優紀にとっては、思ってもみない誤算だった。というか、人間とそう変わらず接してきたせいで、夏が天敵というのを忘れていた。

「それなら、日傘を差して出かけてはどうしんしょう?」

 ユキと共にテレビを見ていた曲輪が声をかける。

 六本の蜘蛛の脚と、虫腹を持つ彼女は、初めてやってきた女郎蜘蛛族の曲輪だ。

「そ、それなら大丈夫だと思うんですが・・・」

「時々涼しませてもらいんすけど」

 曲輪がクスクスと笑う。暑い時、ユキの体温はアイスのようになっているので、曲輪を、ツェンを、そして優紀を誘惑するのだ。

「やっぱり・・・」

 諦めたようにユキが溜息をつく。

「あぁ、そういえば墨須さんからもらってましたね」

 ポンと手を打って傘立てへと目線を向ける。彼女をホームステイさせる時、同時に外出用にと、番傘風の日傘を貰った筈だ。

 二人が下駄を履くと、ユキは日傘を差す。

「大丈夫ですか?」

 念のため優紀が効くと、ユキは軽く首肯した。

「良かった。では行きましょうか」

 いうと、皆一斉に「おー!!」という掛け声とともに握り拳を上に上げた。ユキは控え目であったが。

 

 

 

 優紀の家から少し歩いたところ、十字になっている道を左に曲がれば紋章(もんしょう)商店街がある。前へずっと進むとスーパーがあるのだが、ツェンが通れるかといったら疑わしいのだ。

 ユキはというと、日傘と、周りの住宅に生えている木や、塀のお陰で殆どを影に入って移動出来たので、溶けることはなかった。というか、曲輪が抱きついた時の反動で日傘の外に出そうになったことの方が多いくらいだ。

「いやぁ、やっぱりいいですね」

 昔から住んでいるこの街の商店街は、毎日活気に溢れている。今日は平日だというのに、客も多い。

「こんなところがあるとは知らなかったよ。活気に溢れているね」

 ツェンが言うと、皆が歩みを始める。

 

 

 

 

 

「わぁ!仮面のおじちゃんだ!」

 買い物をしながら、歩き、丁度真ん中に差しかかろうという時、女子の小学生が可愛い声色を上げる。そんな少女の他にも、6人、計7人の小学生らしきグループが、こちらに目を向けていた。

 少女達は、ここから少し先の小学校に通う小学生だ。ここに行く時は、高確率でこの子たちに会う。

「おじちゃんじゃないと何度言ったら・・・」

「だったら仮面の下見せろよー!」

 少女の隣にいた、少し肥満気味の男子が、どうだ!と言った顔を作る。こう言われると、なんも言い返せない。仮面を取る訳にも行かず、昔、火傷があると説明したのだが、全く聞く耳を持っていないのだ。

「学生証なんて持ち歩いてないしなぁ」

 ふぅむと腕を組む。

「そっちはおじさんの彼女さん達?」

「いっぱい連れてるよ?」

「全部彼女なの?」

「浮気?」

 7人中、4人が3人の他種族と優紀との関係をキャーキャー言いながら考えている。

「元気な子供達でありんすね」

 曲輪が軽く笑みを作りながら呟く。

「変な誤解が生まれてるけどね」

 呆れたようにツェンが呟く。

「あ、あの、あなた・・・」

 誰が本命?と呟きながらユキ達を見る子供に耐えかねたのか、優紀の方を見る。

「困りましたね」

 言ってうむぅと唸る。

「おや?」

 逃げたら余計噂が広がる、しかしどう言い訳しようか、等と考えていると、少し向こうの曲がり角から、柄悪の男女が現れる。

 二人ともいやに多いピアスを顔の所々に付けたり刺したり、さらに、サロンで焼いたのか、褐色の肌、男はくすんだ黄色、女は金色と、いかにもなヤクザカップルだ

「お!?馬女がいるぞ!」

 こちらに気づくなり、ツェンに向け、男が大声を上げる。

「ウッソー!蜘蛛もいるんですけどー!」

 続いて女の方が曲輪に向けて、大声を上げる。

「こっちの女は生きてんのか!?真っ白だ!すぐ死んじまうんじゃねぇのか!?」

 男がユキの方へと指を差す。三人と優紀は勿論、子供たちさえも、嫌悪感を抱いていた。他種族間交流法に言葉による侮辱等は該当されない。そして、こっちの他種族が暴力を振るったならば、他種族の方が罰を受けることになる。

 二人が反撃を受けないと確信し、三人の侮辱をし、大声で笑い声を上げる。

 気づけば、周りで店をやっていた人も、客も、皆がこちらへと目を向けていた。

 三人は今にも殴りかかりそうな気持ちを、必至に抑え、怒りか、悲しみか、目に涙を浮かばせていた。

「てめぇらがいていい場所じゃねぇんだよ!化物(バケモン)!」

 男が三人を指差し、見下すような体勢を取り、大声で告げる。

「・・・」

 流石にこれにはもう耐えれない。三人は、それを言われても耐えていた。そちらを見てから、一度子供の目線まで屈む。

「いいですか?あんなクズ人間になっちゃダメですよ?」

「仮面のおじちゃん?」

「それは直らないんですか・・・残念です。それと、よく耐えましたね」

 三人に落ちついた声をかける。

「うっわ!あの仮面かっこづけてやがる!!キメェんだよ!」

 十分に三人を嘲笑うと、優紀へと大声を上げ、再び優紀も含めた計四人に嘲笑を再開する。

「てめぇらが一番きめぇわ猿」

 首を左右に傾け、鳴らしてからドスの効いた声を上げる。

「あぁ!?」

 嘲笑を止め、ギロリとした目を優紀に向ける。

「わぁわぁわめくな。猿でももっとオツムはあるぞ」

 首に次いで、腕をゴキゴキと鳴らしながら呟く。

「やろうってのか!?」

「違ぇよ」

 声をその場に残して、優紀がそこから消えた。勿論二人は何処へ行った?と声を上げ、周囲を見渡す。

「一発KО」

 消えた優紀が呟く。二人の真下で。

「うおっ!?」

 男が変な声を上げ、優紀の方を向くと、そこから、血が出るのではないかという程握った拳が二人の顔目がけて飛んできた。

 その拳は、右手は男を、左手は女を捉えており、避ける反射神経など持ち合わせていない二人の身体を上空へ突き飛ばした。

「てめぇらに反撃なんてさせねぇよ」

 アニメで知ったかっこいい台詞を、優紀の目の前に失神状態で落ちて来た二人目がけて吐き捨てると、周りから歓声がぶわっと湧きあがった。

「よくやったぞ仮面!」

「あいつらをよく懲らしめた!」

 どうも、ここらでは札付きの悪カップルだったようだ。

「あ、あはは、どうも」

 さっきの声が嘘だったかのように元に戻り、恥ずかしそうに後頭部を掻きながら、ペコリとお辞儀をする。

「って、いった・・・っ」

 どうやら、先程顔を殴った時にこちらも相当痛めてしまったようで、両手の指の付け根辺りを見ると、少し赤く腫れている。

「とりあえず、一件落着」

 それを確認した後、腰に手を当て、むふんと鼻から息を吐く。

 

 

 この後、家に帰って両手を治療&料理を作ってもらったのは言うまでもない。

「なんでこうも締まらないんだ・・・」

「原作でも色々としまったのにねぇ」

「墨須さん、メタ禁止です。後、勝手に家に上がってこないで下さい」




ありがとござましたー!

今回、超スカッとしました。私は。ハハハハーはぁ。

それと、今回番外編を作ろうって考えたんですが、諦めました。なにしたらいいかわかんねぇべや。しかたねぇだよ。作ったことねぇんだから。

あそうそう、次回はまだ決まってませんが、最初のリクエストの娘を出そうと思っています。その次にN娘を・・・、リクエストで次々回は変わると思いますが、次回は最初のリクエストの子です。(多分)

感想、評価、リクエストお待ちしておりま~す。

リクエストは活動報告、メッセージでお願いします。申し訳ありません。


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ゴーレムのいる日常

こんにちわ、事の葉です。1ヵ月ぶりだね!!!待ってた!?・・・すいません、マジすいません。

あぁ、そうそう前回からなんですけど、優紀君の仮面は、一話で付けた、のっぺりとして、薄笑いを浮かべた白い仮面に固定しました。毎回探すのメンドイなんて口が裂けても言えねぇぜ。

というのは冗談で、毎回こんらんさせてしまっては申し訳ないと思いましてね?えぇ、はい。まぁ、天秤で量ってみると、絶対前者の方が下に行くがな。

これを書き終えると、今までのものも修正していこうと思ってますよん。


 デートをしてから大体2か月、暑さは身を引いた11月半ば頃だ。今年は平年よりも気温が低い為、上着は欠かせない存在となった。

 勿論、優紀の腕の傷はすっかり癒え、家事や料理に復帰することができた。それに、最近になって三人の家事、料理の腕も上がり、時年三人だけで料理を作ったり、家事全般をやってもらったりと、優紀にも自由な時間が増えた。それと、何故だろうか、皆積極的になっいる。体を寄せてきたり、キスをせがんだり、あと、ツェンとお風呂場で鉢合わせとかか。お陰で、予期せぬ怪我をしたり、改装もしていたが、一応順風満帆な生活を送っている・・・と、思いたい。

 

 

 

「フライパンにオリーブオイルをひき、熱して中火で玉葱を炒めます。透き通ったらお米を加え、透き通るまで炒めます」

 居間とは違う場所に作られた、店でも開けそうな程広いダイニングキッチンで、優紀はエプロンを付け、先生のようにキッチンに立っていた。

 フライパンに材料を入れて行く。

「あとは沸騰するまで待つ」

 言って、椅子に腰を落ち着かせた。

「みんな熱心ですね」

「そりゃぁ、主くんに迷惑をかけてばっかりじゃいられないしね」

 座ることが出来ず、ダイニングキッチンと対になっている場所に立っているケンタウロス族のツェンが元気な声を上げ、続いて2人がうんと一度頷いた。

 

 と、その時―――

 

 

 

 

 ――――ピンポーン

 

 

 

 

 初音家のチャイムが鼓膜を揺らす。

「墨須さんでありんすかねぇ」

 コンピュータで打ち込んだような綺麗で整った字でメモを取っていた女郎蜘蛛族の曲輪が声を上げる。

「とりあえず、沸騰したら火を弱火にしておいてくださいね」

 溜息をした後、重い腰を持ちあげ、軽く猫背になりながら玄関に向かう。

 

 

 

 

 

 玄関に辿りついた時、再びインターホンが鳴った。

「はいは~い、今出ますよ~っと」

 くたびれた声を上げながら、扉を外側に開く。

 そこには、時々食事を取りに来るストレートの黒髪を梳いた墨須が、サングラスをかけ、右手を上げていた。

「ご飯食べに来たんですか?」

「あぁ、それもあるんだけど、今回は別件よ」

 あるんだ、と呟きながら、その隣にいる少女に目を向ける。

 褐色の肌に、美しい緑色と、少し青の混じったどんぐりのような可愛い目、キャラメル色のショートカットの髪が秋の風になびいていた。メロンとか、スイカみたいな巨大な胸と、それを少ししか隠せていないオレンジの胴着のような服、黒いブーツを履いた、グラビアアイドルも逃げ出すようなボンキュッボンのナイスバディの美少女だ。しかし、彼女もまた、人間とは明らかに別の部分がある。

 岩を削った、彫刻のような手は、ボクサーのグローブを数倍にでかくしたような程大きく、重そうだ。よく見ると、左胸に「emeth」と書かれている。

 そんな彼女と目が合うと、少女は可愛い声を上げた。

「認識及び登録を完了・・・・・・初めまして、マイマスター。私はゴーレム族のクレイ種のエメスです。以後よろしく」

 エメス、そう名乗った彼女は、機械じみた口調で言うと、ペコリと頭を下げた。

「あ、はい。よろしくお願いします」

 今までやってきた3人とはかけ離れた自己紹介に、少しばかし呆気に取られていたが、ハッと我に帰り、こちらこそ、とペコリと頭を下げる。

 

 

 

 

 

 

 

 今日は、エメスも含めての6人での昼食のメニューは、リゾットだ。ブイヤベースのリゾット。白ワインを入れ、ピザチーズの入ったリゾット。お好みの塩と胡椒は適量、更に盛ったそのリゾットに温泉卵を乗せれば完成、一人暮らしの時に作った簡単な料理だ。

 なぜ、いきなりの来訪者に対応出来たのかというと、元からおかわり、そして墨須が来る前提で作っていた為、墨須含めて2、3人来たところ対応は出来る。おかわりの量は減るが。

「美味しそうですね」

「ぬし様の料理は絶品でありんすよ?」

 まるで自分のことのように曲輪が声を上げる。

「外食するよりも断然ね♪」

 続いてツェンが言って来る。

「お店を開いてもいいくらいですよ」

 最後にユキが言う。皆、曲輪と同様自分のことのように自慢していた。

「ハードルが凄い高くなってない?これ」

 隣で既に食べていた墨須がうんと呟く。

「なんで食ってんすか・・・」

「朝ごはんを買う金がなくて・・・」

「相当腹が減っていたと」

 それに墨須はまた頷いた。

「お酒少なくしないと、マジで飢え死にますよ」

「大丈夫よ。無料で提供してくれるレストランがあるんだもの」

 それは十中八九ここ、初音家だろう。優紀は溜息をついた。

 

 

 

 

 

 

 昼食を済ませ、5人ともとても満足そうにしていた。

「皆さんの言う通り、レストラン並でしたね」

 優紀と一緒に食器を洗っていたエメスが、優紀に微笑みを向ける。

「あはは、照れますね」

「ところで、その面は?」

「あぁ、火事で・・・」

 大雑把に説明すると、あぁ、とエメスが納得する。

「じゃぁ、これからもよろしくね。エメス」

「はい。マイマスター!」

 エメスは、屈託のない笑みを向けた。優紀も、仮面の下で屈託のない笑みを返している。それを知る術は、何処にも無いが。

 

 

 

 

 

「・・・」

 2人の和気あいあいとした光景に、3人は嫉妬というか、怒りというか、なんというか、簡単に言うと、ライバル心を抱いた。

 ゴーレム族は、マスター(主)、ここで言うと、優紀に忠実で、簡単に言えば家政婦やメイドといった立ち場になるのだ。勿論、そんな立ち位置にいる彼女が家事や料理が下手な訳がない。ライバル心が生まれるのは当たり前だろう。

 

 

 

翌日から、3人の努力する時間が増えたのは言うまでもない。




ありがとね!!皆の集!!・・・ありがと(しみじみ)

大体と言えど、1ヵ月経過したんだもの、まだ見てくれる人がいるなんて・・・っていうか、現在書いてる小説の殆どが凄い伸びを記録してんすよ。
あでも、ちょっと伸びが悪くてね・・・

いかがでした?

Nキャラは、R以上のキャラ以上に、めっちゃくちゃ個性的なんですよ。高飛車なお嬢様。魔性悪魔。ネガティブ娘。シャイ娘、薬物(?)使用者・・・といった風に、超が付く程個性的なんすよ。で、私は相当悩みました。

ケープ、ルース、トレパス、カロロ、ローエ、クーネ、フラン。

この子達も候補にありました!!大好きですから!!!!・・・リクエストあったら勿論やるよ?全員大好きだし。

あ、で、で、次回なんですが、リクエストが無い限り、書けません・・・うぅ・・・だって、皆書きたいですもん、誰かを・・・なんてできねぇぜ!なんで、皆頼む!!

感想稼ぎ乙?んなもん私が一番知ってるわ!

誤字発見!「梅マスター」ってなんやねん。マイマスターでした。


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メデューサのいる日常

ハロハロ事の葉です♪



1ヵ月前に閲覧数1000回&お気に入り登録数10人、ありがとうって言ってたのが懐かしいぜ・・・今じゃ閲覧数は2、5倍程。登録者は37名と・・・有名?になりましたなぁ・・・


さ、さて、そ、そんなプレッシャーにも負けず、ね、が、頑張って行きましょう・・・(見放されたらどうしよう・・・)


ま、まぁそんなことは、お、おいておきまして「メデューサのいる日常」閲覧下さいませ。(ちなみにメデューサはモン娘オンラインで2人いるよ)

優紀君の口調変になってないかだけ心配。


 寒さは一層強さを増し、こたつに籠る日々が増えた12月半ば。スーパーや商店街、住宅街は少し前からクリスマス色に染まり、電球を使って家を彩ったり、商店街であれば、店員がサンタの格好をしたりと、何かと賑やかになっている頃だ。

 真冬にもなると、ユキは一層元気になる。ほぼ毎日外に出たり、積もった雪で遊んだりと。そういった遊びごとはエメス達も結構楽しんでいて、一緒に雪だるまを作ったり、雪合戦をしたりする。人間の優紀が負けるのは言うまでもない。それと、エメスの作る雪玉は何故か超痛い。

 

 

 昨日雪が降り、未だ雪が沢山残っている今日、昨日とは違い、少し寒い太陽光が降る中、ユキと一緒に商店街で買い物した後、色々と話しながらも家に帰る。冬眠という、籠る準備の為に結構な量の買い物をした為、二人は両手がふさがれており、なんとか頑張ってインターホンを鳴らす。すると、数秒程でエメスが扉を開いた。

「噂をすればなんとやらだね」

「噂?」

「雪合戦でエメスの作った雪玉当たった時凄い痛かったねって話をしてたんだよ」

 はは、と笑いながらビニール袋をどさっと玄関に置き、靴を脱ぐ。今日もいつも通り墨須がやって来ていた。

「何故に毎日来るのか・・・」

「暇なのでしょうね」

「でしょうな」

 二人とも呆れたように肩をすくめる隣でユキは苦笑した。

「それと、墨須さんが他種族を連れてきています」

「へぇ、了解。ユキさん、お茶用意してあげて。これ冷蔵庫に全部しまったら行くからさ」

「わ、分かりました」

 ダンベルを持ちあげるようにビニール袋を1つずつ持ちあげ、ダイニングキッチンに向かう。いち早くこのダンベルという名のビニール袋を玄関に運ぶ為に、その客人の方には目を向けられなかった。

 

 

 6つのビニール袋の中身を全部しまうことが出来たのは、始めてから30分以上経った後だ。まさかこんなに苦労するとは、と思いながら肩を回す。

「お待たせしましたぁ」

 少々息の上がった声を上げながらコタツにもごもごと足を入れる。

「コタツムリね」

 などとほざきながらコタツに入っている墨須にちょっとイラッと来たが、その隣にいる少女に目を向けた。

 少し淡い黒色をした髪・・・ではなく蛇。それを二つに括るチェック柄のリボンに真っ赤な瞳。アイドルユニットが着るようなセーラー服風の服。漆色の長い蛇の下半身は、常に少しうねうね動いている。ふと、頭の方に目を向けると、頭の上に一つだけリボンが付けられた蛇がいることに気づいた。

「ほんとうよ。いつまで、このシアナちゃんを待たせるつもり?」

「いやぁ、ちょっと冬眠の用意を・・・」

「は?熊なの?」

「なりたい」

「・・・変な奴」

 それに言い返すことも出来ずははと苦笑する。

「で、どちら様?」

「あぁ、自己紹介ね。あたしはメデューサ族のシアナ。女神アテナより可愛いシアナちゃんって覚えておきなさいよ?」

 癖の強い子だなぁ・・・と思いながらも女神アテナは可愛いというより美しいの方ではと思う優紀達。

「で、そのリボンのついた蛇は?」

「このてっぺんのヤツはメキブラって子で・・・・・・」

 そう言いながら蛇の頭を少し触る女神アテナより可愛いシアナちゃん。

「オウ、オレがメキブラだ。コイツも根はいいヤツ・・・・・・ムギュー!!」

 何故かシアナは顔を真っ赤にしながらメキブラと呼ばれるその蛇の顔をギューっと掴む。女子にしか分からないのだろう。

「いい?今のは忘れなさい?」

「あぁ、うん。初音優紀です」

 ホームステイしている子達はもう自己紹介が済んだようだ。

「時々仕事で部屋に籠るけど、まぁその時はご自由に家を暴れ回っていいですよ。流石に物壊したりは駄目ですが」

 そう言いながら、コタツムリこと優紀はコタツから離脱し立ち上がった。

「部屋あったかな・・・」

「あぁ、改装しておいたから」

「・・・もうそれに驚かない私は病気でしょうか」

 何故かユキ達全員が同時に「うん」と頷いた。

「病気だった」

 がっかり、と肩を下ろす。

「で、シアナの部屋は?」

「左奥よ。右側は空き部屋だから」

「それまだ連れて来るって言ってるようなもんじゃん」

 呆れながらも彼女を二階に連れて行く。

 

「どう?この家は」

「え?まぁまぁね。飾り気がないのよ~」

「男の住んでる家にハートのクッションやら、可愛いぬいぐるみとかを堂々と置いてある方が駄目だと思うんですが・・・」

「・・・」

 想像して恐ろしく感じたのだろう。シアナは自分で言ったのにも関わらずぞぞぞっと背筋を凍らせた。

「まぁ、部屋には人体模型とかありますけど。そういうものは飾ってありますよ?見ます?」

「遠慮しとく・・・」

 めっきり元気がなくなったシアナ。勿論冗談だ。厨二病っぽい本はあるが(魔法一覧とか。ク○ゥルフの邪神様とか)。

 

 

「この部屋がシアナと・・・えっとメキブラの部屋です。今はベッドとかしかないけどゆっくり揃えいけばいいですよ」

「あたしが住む部屋なんだから、最初っからもっといろいろ準備しておいてくれないの?」

「流石に趣味とかありますし。欲しくないものがあったら色々とメンドクサイことになりそうですもん。そういうのは個人で集めるって業者に言ってた・・・」

「ふぅん。まぁ、嫌いなものがあっても嫌だから、マシか・・・」

 そう言いながら適当に部屋を見渡すシアナ。蛇1体1体も、別々に動き周囲を見渡していた。全員の視界が共有されているとなれば、脅威の視野だろう。まぁ、流石に無理な話だが。

「今用意出来るものであれば用意しますけど・・・」

「それなら、毛布をくれる?」

「あぁ、それなら」

 ポンと手を打ち階段を駆け降りる優紀。

 

「シアナを見ても驚かなかったナ」

「そういえばそうね・・・まぁ、当たり前だけどね。女神アテナよりも可愛いんだから」

「アアソウダナー」

「なによその返事」

「なんでもねぇヨ」

 

 

 

「ただいまぁ・・・」

 5分近く経ったころ、ようやっとシアナの部屋に戻って来た優紀。

「さっきもだけど、待たせ過ぎじゃない?」

「外に出たら急にこたつに入りたくなって・・・ちょっと温まってから戻ってきました」

 びしっと敬礼する優紀の頭にチョップを食らわすシアナ。

「あたしが先でしょ!?」

「コタツムリはコタツに1時間に1回入らないと死んでしまうんだよ」

「なにそれ・・・」

「自分でも何言ったか分かんない」

 二人がはぁと溜息を付く。

「あぁそうそう、持って来ましたよ」

 そう言いながら、ピンクの温かそうな生地の毛布を渡した。

「あ、あぁ、ありがと・・・」

 もごもご、と少々小声な彼女の感謝の言葉に、優紀は仮面の下で笑いながら、どういたしまして、と言う。

「ま、これからよろしくお願いします」

「まぁ、一緒に住むっていうなら仕方ないわね。よろしく」

「オレからもヨロシクナ!!」

 二人の元気な回答に、また笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ラミア族を冬に出すってのは無理があったかな・・・」

「事の葉さん、そういうのは後書きで言って下さい」







「ラミア族を冬に出すのは無理があったかな・・・」

ってことで、ありがとうございます。もう一回言う。ラミア族冬に出す(ry

時間軸?的に春まで飛ばすって手もあったけど、メンドイ。あと、クリスマス編とか、バレンタイン編とかやりたかった。季節が真逆ってのは気にするな。したら負けだ・・・負けだ・・・


今回はメデューサのシアナちゃん!偶然にも1回のお出かけで2人お迎え出来たので、もうすでに親密度は100を越えてるぅ!!ゲットしたの16日だったけど。

それと、HR確定チケットガチャでは「水着ラクネラ」をゲットしました。ラク姉さんファンとしては嬉しいね。というか、原作でMONと最初にゲット出来るミーア覗いて原作キャララク姉さんしかおらんのだけど。しかも二人。私は愛されている・・・



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番外編・シアナのいる日常

どうも、今回は番外編。ということで、前日?出した(いつ出したっけ・・・)のシアナちゃんをメインに番外編です。これからリクエストが無い限り番外編をちょくちょくやってく予定。


さて、もう分かりますよね?・・・シアナちゃん大好きprpr状態でございます。私事の葉です。何気に可愛い・・・というか、親密度100%の時のお世話シーン見てからもう・・・悶絶葛藤性欲煩悩ですよ。分かりづらいネタサーセン。

で、なんでそのお世話シーンじゃないのか・・・といいますと、私がメモにセリフとか全部書いてないからです。これからもお世話シーン等は出していくけど、その時にお世話シーンをする場合、裏でものっそいメモ起動させてるんだなぁって思って下しあ。

長いね。閲覧下さいませ。


「暇・・・」

 シアナがテレビを見ていると、ふと呟いた。

 今、他の他種族は外で降った雪で雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりしている頃だ。初音家の庭は無駄に広い・・・というか、変に広い。まぁ、昔の家あるあるだ。

「はい、お茶」

 そう言いながらシアナの前に淹れたてのお茶を置いたのは、優紀だった。

 それをコタツから出した両手で持ち、ゆっくりと喉に通して行く。

「丁度いい熱さ♪」

「そうですか。良かった」

「にしても悪かったナ、世帯主。シアナに付き合わせ・・・ムギュー!」

「うっさい。世帯主はシアナちゃんと遊ぶ義務があるの!」

 二人のコントももう定番だ。

 こういう冬、特に雪が降る程寒い日は、メデューサ族も含め、ラミア族全般が大の苦手とする。変温動物だからだそうだ。だから朝風呂はかかせない。ちなみに48度~50度がいいそうだ。

 一人でいるというのもなんなので一緒に部屋にいようということで、優紀も外で遊ばない。

 ちなみに、彼女が首に巻いているマフラーは、優紀の手編みだ。ここ1、2日で作った一品。外で遊んでる皆が付けている手袋とマフラーもそうだ。皆色が違ったりと、ちょっとした違いで見分けている。エメスのはちょっと苦労した。

「世帯主も外で遊び・・・」

「メキブラは黙ってて」

「いいよメキブラ。残ってて楽しいし」

 口元を抑えてフフフと笑う優紀。

「あんたって・・・本当に火傷してる?」

 それに少々疑問を持ったシアナが尋ねる。

「いきなりどうしたんですか?」

「毎回思ってたけど、隣から見た時の顔がやけに綺麗なの」

 それに、クスクスと、少々嘘混じりに笑う優紀。

 マズイことを察したかと顔をひきつるシアナ。

「困りましたねぇ。そう言われるとなんとも言い返しが・・・信じてもらえるかは分かりませんが、ちょっとだけ」

 そう言いながら長い薄鈍色の髪の右側を少し上に上げた。

 そこには、爛れた大きな火傷の跡があった。赤紫と青紫が入り混じったようなゾンビを思わせる大火傷だ。

 それを見たシアナが目を見開き、唾を呑むシアナを見て、はぁと溜息を付きながらたくし上げた右側の髪をふわっと下ろした。

「これが顔全体にあると思って下さいよ。見ますか?」

「え、遠慮しとく」

「っと、怖い思いさせちゃったみたいですね。さてどう和らげようか・・・こういうの苦手なんだよなぁ・・・()()()()()()っていうか・・・なんていうか」

 頭から離れない火傷の痕にただ漠然と、呆然と、口を開けていたシアナが、〝子供をあやす〟という言葉にピクリとこめかみを動かした。

「子供ってどういうこと!?」

「あ、聞こえてた・・・」

「この距離で聞こえない訳ないでしょ!?」

「えっと・・・子供みたいで可愛いって意味で・・・」

「可愛いのは当たり前なの!それよりもあたしは子供じゃないの!ちゃんと大人なの!」

 その怒り方が子供っぽい・・・というと頭の蛇全部が噛みついてきそうなので、言わないておいておく。

「わ、わかったわかった。落ちついて。今のは失言だった」

「分かってくれればそれでいいのよ。シアナちゃんはこころが広いから」

「それにとても感謝するよ・・・心が狭いと今ので一発KОだったよ」

 何言ってんの?と首を傾げるシアナとメキブラ。

 それを横目にお茶のおかわりを淹れに行く優紀。

 手作りの筒茶飲みをキッチンに置いた後、庭と面しているガラス戸をガラガラと開ける。

「皆さん!あと1時間でご飯ですよ!!!」

「「「「はーい!!!!」」」」

 優紀にも負けんばかりの声を上げる曲輪、ユキ、ツェン、エメス。

 それを聞いた後、戸を閉め、茶碗にお茶を淹れ、流石に温まりすぎたらしく、ソファに座っていたシアナの前に置く。

「これだと、お母さんみたい」

「なぜか周りのおば・・・お姉さん達にも言われますよ。『優紀君はお父さんっていうよりお母さんみたいね!』って」

 声色を変えながら言う優紀ははぁと溜息をつきながら首を左右に振る。

「生まれた時に性別間違えたとか?」

「失礼だなぁ。一応男ですよ」

 あれあるし。

「ふぅん。ま、いいけど」

 そう言いながらまたお茶を啜る。

 ちなみに、昼飯は昨日の夕飯で好評だったカレーを、夕食分作っておいた。

「ねぇ世帯主」

「ん?」

「なにか、手伝うことはない?」

 後ろに回した手をモジモジとさせながら、頬を染め、少し俯くシアナ。

「お、自信の程は?」

「もっちろん!あるわよ!」

「じゃぁ、色々と頼んじゃいましょうか」

「この可愛いシアナちゃんに任せなさい!」

 はて、今可愛いは関係あるのだろうか?と、それは放っておいて、彼女が積極的になってくれたのは嬉しいことだ。

 

 

 明日にはクリスマスの装飾でもしようか。




さて、番外編はどうだったかな?

私は結構満足しました。シアナちゃん可愛いよ・・・勿論メキブラも可愛いよ・・・


さて、と。次回は2日~5日待って、リクエストが無ければまた今回のような番外編を作ります。登場しているキャラクターのお世話ドラマかエピソードドラマか、今回のようにオリジナルドラマか・・・


あぁ、あと、最近全体的に伸びが悪いです。どうしようかと悩んで夜も眠れません。あ間違えた。朝も起きれません。マジで。

次回はさっき言った通り、リクエスト有無で変わります。

今までリクエストした方も2度目OKですよ~。初めての方も・・・マジでお願いします。

訂正、これからは活動報告でお願いします。それようのも作りますので。あと、メッセージでも受け付けております。


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クラーケンのいる日常

ハロハロ事の葉でございます♪

約1カ月ぶりの投稿・・・はい、本当に本当にごめんなさい・・・

閲覧数3000&お気に入り者40人という、(私の中で)前代未聞の成績の優越感に浸っておりました事の葉です。

まさかそんな大台に乗るとは思ってもみなかったんで・・・私もねぇ?失態だけ晒す訳にゃいかないじゃないっすか。

あ、そうそう、今回は最後まで見てくれるとちょっと優紀の秘密が・・・フフフフフフ

おや、誰か来たようだ。じゃぁ最後に、見てってねー


 年を越してから3カ月とちょっとが経った3月半ば。バレンタインも終わり、イベントごとは一通り姿を消した今日。桜が少しずつ咲き始め、春の訪れを告げたこの日。ユキは日傘を欠かせなくなったが、それでもよく優紀と散歩をしている。

「・・・なんじゃこりゃ」

 今日もシアナとユキを連れて買い物に。しかし、しかしだ。これは可笑しいだろう。

 部屋の奥に増築されたそこはプールがあった。

 ポトスやハートカズラ、グリーンネックレス等の観葉植物に飾られたプールに張られた水は天井に設置された蛍光灯の光を反射しキラキラと光っていた。

「なんすかこれ・・・」

 ぴったりのタイミングで現れた墨須に疑問の目を向ける。

「あぁ、新しくホームステイする子の部屋よ」

「マジすか。人魚かなにか?」

「クラーケンよ」

「あぁ、そう。で、他の子達は?」

「危険だからって部屋にいてもらってるわ」

 色々と勝手にしすぎだ。

「あんたも色々と大変ね」

 はぁ、とため息をついた優紀の隣にいたシアナがポンポンと肩を叩きながら苦笑する。

「うん、すげぇ大変」

「す、すいません」

「いや、ユキは関係ないからいいよ」

 自分達が迷惑かけている、と思ったのだろうユキがぺこりと謝るが、別にそういうことはない。それに、皆迷惑をかけてないというと嘘になるが、一線を超えた悪戯はされてない。と、信じたい・・・

 

 

「で?その子は?」

「もうちょっとで着くと思うわよ~」

 呑気に言う墨須にインスタントコーヒーを淹れ、まるで我が家かのように大きくソファに座る墨須の前に少し雑に置く。

 コーヒーで喉を潤した墨須が、お褒めの言葉を優紀に向けて言ったが、もう何とも思わなくなってしまった。

 

 

 

 

「まぁだぁ?」

 あれから20分は経っている。流石にしびれを切らした優紀がリビングでぐでぇっと寝転がる。

「今連絡があったけど、ちょっと遅れるって」

「渋滞?」

「お花見に行く集団が前にいるみたいでねぇ」

 肩を竦めながら呟く墨須が、今日は珍しく自分でコーヒーのおかわりを淹れた。

「あ、で、その子からのお願いなんだけど、疲れてるから着いたらすぐプールに入れさせてくれだって」

「あぁ、了承です」

 一度起き上がり、すぐ後ろにあったソファに腰を落ち着かせる。

 

 

 

 

 

 

 

 結局、そのホームステイするクラーケン族がやって来たのは、さらに20分経過した時刻だった。

 墨須と優紀が玄関を開ける。そこにいたのは、

 ピンク色の帽子がチョコンと乗っかった長く綺麗な赤色の髪と、髪で出来たのかわからないタコの目のようなもの、紅玉のような瞳。耳に付けられた大きな円のイヤリングと、首から下げられた鎖のようなネックレス。主張する胸の真下で括られた88と描かれたピンク色のシャツ、ピンクのベルトでしめられた深い青色のミニスカート。しかし、そのスカートから下は、人の足ではなく、8本の吸盤の付いた薄い赤色の触腕が顔を出していた。

「ん?アンタが世帯主かいな。仮面被ってるから、ホームステイしている他種族かと思ったわ。よう見たら、スタイルもそこそこ・・・」

 観察するように頭から足までじぃっとみるその他種族。

「いや、それよりも・・・」

「ん?ウチか?」

 見られて恥ずかしい状況の中で出した優紀の声は、悲しくも彼女の少し元気な声に打ち消された。

 しかし、質問しようとした内容がそうなので、うん、とだけ頷く。

「ウチはクラーケン族のクーラや。よろしゅーな」

 そう言って屈託のない笑みを浮かべる彼女、クーラはその8本の触腕を器用に使って家に上がり、すれ違う他種族達に笑顔であいさつしながら自室である彼女のプールに駆け足で向かった。

 

 その途中でせんべいに目を奪われた墨須をリビングにおいて、今日1日で作ったとは思えないプールに二人は辿りつく。

「あ~、つっかれたわ」

 入るなり、放念の息と、愚痴をこぼす。

「花見の集団ねぇ、少し早いけど、そういう時を狙う人がいるのかな・・・」

 クーラに続いて優紀が入ると、少し赤面したクーラがはっと振り返る。

「着替えるんやから、ちょっと外出てっといてくれへん?」

「あぁ、す、すいません!」

 今まで無い・・・訳ではないこの現状に少々パニックになりながらも今入って来た扉を開け、外に出る。

 すりガラスの先に見える彼女は、服の結び目をほどき、まずシャツから、続いてベルトを取り、スカートを器用に脱いだ。イケナイ光景を見ているのに気付きすぐさま目をそらし、天井を見る。

 

 

「ええで」

 彼女が水着に着替え終わったようで、その扉を少しゆっくりと開ける。

 先程着ていた服と同じピンク色のビキニのドレスは、彼女の美しい身体のライン(?)を引き立たせ、その大きな胸は勿論、タコである下半身にさえも魅力を感じさせた。

「・・・そんなじろじろ見んといてくれへん?」

 少し恥ずかしそうにもじもじと手を動かすクーラ。

「あぁえっと・・・ゴメン」

 見惚れてた・・・なんて言ったらその8本の足でがんじがらめにされそうなので、口からは出さない。

「・・・まぁええわ」

 そう言うと、ドッポン!と大きな音を立てて、クーラはプールの中に勢いよく飛び込んだ。

「元気ですねぇ」

 水中に5秒程いたクーラが顔を出すと、優紀がその前に行きゆっくりと屈む。

「まぁな。ウチらは水中が本場やねん!」

 腕を組み自慢げに言うクーラ。しかし、その時に揺れる胸に自然と目がいってしまうのは、仕方ないことなのだろうか。

「アンタは泳げんのか?」

「泳げない訳じゃないですけど・・・上手くはないですよ」

 あははと苦笑する。

 すると、次の瞬間には、優紀の身体には、6本程の触腕が絡まっていた。一つ一つの吸盤が優紀の身体に吸いつき、彼の身体を束縛していた。

「・・・え?」

 気づいた時には時すでに遅しというもの。クーラが悪戯染みた笑みを浮かべながら優紀を水中に引っ張った。

 水中に入ったと同時に解放された為、なんとか両手両足は動かせるようになったものの、服はびしょびしょで水中とはいえ動きづらい。包帯で固定された仮面は外れなかったものの、少しばかし息をするのがつらい。

「ご、ごぼべぶ・・・」

 ここ数年泳いでいなかった彼がいきなり少年時代の感覚を呼び戻すことができる筈もなく、両手足をばたつかせて泡をふく。

 それに流石に冗談じゃないと気付いたクーラが人間の手で優紀を上に引っ張り上げる。

「じ、じぬかどおぼた・・・」

「す、すまんすまん。てっきり謙遜しとんのかと思ったんや」

「あぁ、感覚が・・・」

 そう言いながら水中から出した右手を握ったり開いたりする。

「それにしても」

 一度ため息をついた直後、悪戯染みた声を上げる優紀。

 クーラが首をかしげると、その直後、そのクーラの顔にバシャンと勢いよく水がかけられた。その犯人である優紀の周りには、波紋が出来ていた。

「水に落とした罪です」

 やってやったぞ!とガキ大将のように大きく胸を張り、腰に手を当てる優紀。しかし、今度はその優紀の上着に、先程よりも少し多い水がかけられた。

「お返しやで!」

 先程の優紀と同じ行動をするクーラ。

「なにをぉ!」

 そう言いながら水をかけ返そうとするが、そのバカさ加減に気づき、二人はクククと笑い、続いてアッハッハと大きく笑った。

「はぁ・・・久しぶりにこんなに笑った」

「ウチも・・・」

 二人が童心を取り戻してから数秒、二人がようやっと冷静を取り戻す。

 胸の谷間からつーっと流れるその水がいやらしく・・・いやいや、何を考えているんだ。

「久しぶりに楽しませてもろたわ。これからもよろしくな。アンタ」

「えぇ」

 クーラの笑みに大きく頷いて返事する優紀。

 

 

 

「はぁ・・・包帯変えないと」

 その後、部屋に戻った優紀は、ゆっくりと先程少し絞った包帯を取り除いていく。その声は、いつもの優紀よりも何トーンか低く、また、少し恐怖も感じるようなものだった。

「・・・」

 仮面を外し、ストックの包帯を探していると、ベッドの隣にあった姿見に映った自分とふと目が合う。

「・・・相変わらず獣だな。俺は」

 そこに映った健康な獣に、そう吐き捨てると、再び仮面をかぶった。

「んなもん見せたらダメだろ」

 仮面で顔の全体を覆うと、その包帯で鼻の頭から後ろまでを少し雑に巻いた。

「さてと、夕飯作って・・・墨須さんが来るだろうしな・・・あ、クーラさんが食べれないものも聞いてみないとな」

 部屋から出るなり、まるで人格が変わったように声音も、口調も元に戻る優紀。




や、やって来た人に殺されるかと思った・・・

さ、冗談はさて置き、よくラノベにありがちな疑問の残る最後をやってみました~、どうでしたかぁ?

あ、そうそう、メッセージでもリクエストOKなんですよね?だったらそちらでも受け付けてます。

それと、お気に入りにしてくださった方々に一人一人メッセージでありがとうを伝えれずすいません・・・あぁ、感謝したいのにぃ・・・

さて、と。これからもリクエスト受け付けま~す。

勿論、活動報告とメッセージでね(私も最近知りました)。

次回もまたみなさんのリクエストで変わりま~す。つまり、無いと更新されないというわけです


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だぁりんくんのいる日常

ハロハロ事の葉でございます♪

サブタイトルで気付いたかな?

原作第一巻に突入いたしましたぁ!!


遅いって?

いやいやなにを仰いますやら。

先輩と後輩みたいでいいじゃないっすか。

・・・ま、うん。えい。

何を言いたいか忘れたのでとりあえず

第10話(だっけ?)閲覧くださいませ~


「ねぇ優紀クン」

 卒業シーズンとなった今日、いつものようにここにやって来た墨須が今までにないような真剣な目で仮面越しの優紀の目を見る。

「どうしたんですか?そんな真剣な目で」

「いやぁ、別に大したことじゃないんだけどさ、最近新しくホストファミリーになった子がいて・・・」

 その後何かをぼそっと言ったが、包帯で聴力が制限されている優紀には聞こえない。

「へぇ?・・・って、大丈夫ですか?」

「何が?」

「いや、本人の前で言うのもなんですけど、墨須さんって大体許可せずに動くじゃないですか」

 ここに他種族を連れてきた時も、殆ど「来るからよろしく」みたいな感じで一度も来ることが決定する前に連絡をくれなかった。

 それに否定も出来ないのだろう墨須がぐうの音を上げる。

「僕と同じ目に会わないかどうか心配なんですけど」

「だ、大丈夫よ~。今のところ無理矢理ホストファミリーにさせちゃっただけだから」

 おばさんみたいに手を上下させる墨須の口から発された爆弾発言。

 〝無理矢理〟ホストファミリーに〝させちゃった〟・・・?

「はあああぁぁぁぁぁぁ!!??」

 呆れと驚愕に、家中に響き渡る程の大声を上げる優紀。今皆が買い物に行っているのが幸いだったが、もし行っていなければ大騒ぎは逃れられないだろう。

 家を揺らす程の大声に耳に手を押しつける墨須。

「無理矢理ぃ!?ホストファミリーにさせちゃったぁ!?」

「し、仕方ないじゃない。他種族を連れてく場所を間違えちゃったんだから」

「仕方なくないじゃん。10割中10割墨須さんのせいでしょうが!」

 まるで我が子を怒鳴る親のように、座っている墨須に恐ろしいオーラを放ちながら歩み寄る優紀。

 もうそれからは怒号の嵐だ。「お前はいつもそうだ」とか「しゃきっとしろ」だとか、もうそれはそれは今からでも引きこもりたくなるほど沢山。

「ごめんなさい・・・」

「分かればいいんです分かれば」

 ふぅと放念の息を吐く優紀。

「・・・にしても、今のは昔っぽかったわよ?」

「うるせぇ」

 低く、力のある声を吐きながら墨須の頭にガツンとチョップをくらわせる。

「いったた・・・」

「昔は思い出したくないんだ。やめてくれ」

「ここにいる子はそれでも受け止めてくれると思うけどね」

 クスクスと笑う墨須に今度はチョップ出来なかった。

 つくづく自分は決心がつかないな。なんて思いながらも墨須に尋ねる。

「で?その可愛そうな人に僕はなにをしたら?」

 少々着崩れた服を整えながら聞く。

「あぁ、同じ町に住んでるから、面識を持ってれば楽かなって」

「・・・人は苦手なんだがなぁ」

「同じ悩みを持つ者同士仲良くなれるかもよ?」

「同じ悩みを持たせた者同士でしょうよ」

 あははと苦笑する墨須。

「で、一応あっちには許可取ってるから。どう?最初は電話から」

 そう言って胸ポケットから携帯を取り出しその同じ悩みを持つ者に電話をかけようとする。

「・・・だぁりんクン?」

「そ、ホームステイしてるラミア族の子にそう呼ばれてるから私も呼ばせてもらってるの」

「まぁそりゃぁ大層なことで。本当にできるといいですね」

 嘲笑気味に笑うと、優紀は墨須の携帯を取り通話ボタンを押す。

 3コール程して相手が出る。そのだぁりんクンとやらは、なんとも中世的な声だった。

『はいもしもし?』

「あ、出た」

『あれ?墨須さんじゃない』

「えぇ。墨須の・・・知人です」

 一瞬どうやって説明すればよいかと悩んだが、これに落ち付いた。

『は、はぁ』

「あぁ、えっと。初音優紀です」

『あぁ!墨須さんが自慢話みたいに話してましたよ』

「あぁ、そうですか」

 きっと墨須でなければ照れくさくて返事出来なかっただろうが、何故だろう。墨須だけは平常心でいられる。人間はなんとも不思議である。

「で、ホストファミリーになってしまったそうで。同じ悩みを持つ者同士仲良くしていこか・・・って感じで電話をかけさせられまして」

『最後まで言うんですか』

 ははと苦笑する向こうのだぁりんクン。

『あれ?だぁりん?誰と話してるの?』

 その後ろから可愛らしい声が聞こえる。

「・・・?」

『墨須さんの知り合い。僕と一緒で他種族ホームステイさせてるんだって』

『ふーん』

 無関心そうに返事をする少女の声。

「ただいまー!!」

 それと同時に玄関の方から元気なツェンの声が聞こえる。それに倣うように他の他種族達の元気な声が優紀と墨須の耳を刺激した。

「帰って来たんで今日は切ります。お会い出来るといいですね」

 ククと笑って電話を切る優紀。

 

 

「誰と話していたん?」

「なんか、墨須さんのミスでホストファミリーになっちゃった人みたいで」

「はー、災難やなぁ」

 優紀の部屋までやって来たクーラ。しかし、それを気にすることなく壁一面を埋め尽くす本棚から数冊の本を抜き取る。

「なんや?それ」

 ベッドに投げ捨てた数冊の本を覗きこむ。

「ラミアについて・・・こっちは蛇についてやな。その人がラミア族でもホームステイさせたんか?」

「まぁね。一番最初に買ったやつだからもう全部暗記してるし、今じゃそれらはいらないもんだから渡そうかと思って」

 数冊の本を重ねてベッドの隣に置く。

「しっかしまぁ、本の虫っていうのがいっちゃん似合いそうやなぁ」

 八本の足を巧みに使い少し背伸びをするクーラが適当に本の題名に目を向ける。

 本棚の二台が他種族についての本で埋まり、そのほかは専門用語やスケッチブック、イラスト集などが殆どだ。最後の一台だけは推理小説だったりと、小説がずらりと並べられていた。

「昔っから本が好きでさ。おばあちゃんの家にこれの何倍もの本があるよ」

「・・・部屋一つ使ってるんか?」

「へへ。その部屋がもう図書館みたいになってる」

 なぜか嬉しそうに後頭部を掻く優紀。

 そう。超がつくほどの田舎にある祖父母の家には部屋が一つ埋まるほどの量の本がある。一人通るのがやっとの感覚で並べられている。その九割が小説だったり、昔の友達がプレゼントでくれた古文書だ。残りは・・・確か教科書だったりか。

「まぁ、おばあちゃんもボケ防止に読んでるから、場所取ってるだけじゃない・・・と信じたい」

 ふむと腕を組む優紀に、呆れるクーラ。

 

 

「ま、いつか渡しにいくか」

 そう言いながらも、結局数週間その事を完全に忘れていた優紀であった。




どぅがれだ・・・

い、言うことがない・・・


お気に入り者50人になったら何か特別企画やろうかなって思ってます。

では!!


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番外編・ジムに行った日常~前篇~

ハロハロ事の葉でございます♪

今回は番外編ということでアニメでカットされたジム編です。

って言っても、プールの方で海じゃないよ?

今回は「発情回」と相当悩みました。

これ作ってたとき発情回を見てたんで。

じゃぁ、ご閲覧くださいませぇ


「あ~、少し体重増えちゃってますね~」

 曲輪を任されていた看護師がそう言う。

「バストとウエストが増えてますねぇ」

 続いてツェンを任されていた看護師が少し憎らしげに言う。

 初音家にホームステイしている他種族達は、今日、身体検査を受けに言った。

 体重と身長、3サイズを測るだけであるが、それでも体系を気にしている女子たちには少し嫌なのだろう。今日は珍しく誰も乗り気じゃなかった。

「ユキさんは去年とほぼ変わりませんね」

 ウエストを測っていたメジャーを巻くと、元気な看護師が言う。

 皆が少しずつ幸せ太り(?)というのを自覚し初めている中、イチゴの彩られた下着を付けたラミア族メデューサ種のシアナだけは、皆を嘲笑いながら高々と笑い声をあげていた。

「皆大変ねぇ。ま、私は3サイズ全て維持してたけど」

「本当でありんすか?尻尾(下半身)が太ってるかもしりんせんじゃないでありんすか?」

 むすっと顔をしかめる曲輪。確かにその通りだ。

「一番肉食べてんのシアナとちゃうん?」

 八本足をくねくねと動かしながら歩み寄るクーラ。彼女もまた、曲輪達側だ。

「い、いやぁ?肉食べてるけど皆とそう変わらないわよ?ま、まぁそれに?ラミア族みたいな大型の他種族の体重を量る体重計なんてあるはずも・・・」

 成程、それで自信満々だったという訳か。そう皆が納得する中、一人の看護師が大型動物用の体重計を一回り小さくさせたようなものを持ってきた。そして一言。

「最近ようやく大型他種族用の体重計を特注品として頼んだんです」

 悪気のない看護師。

「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 もうそれはホラー映画のヒロインがお化けを見た時みたいな悲鳴を上げるシアナ。もう逃れられない。と、皆がその結果を見やる。

 

 

 

「なんか騒がしいね」

「そうですね。マイマスター」

 体の形を変形出来るゴーレム族のエメスが体重だったり3サイズを量れるわけもなく、先程一人で済ませた優紀と一緒に廊下で待っていた二人だけは、和やかムードだった。

 

 

 

 

 

 

「・・・普通に幸せ太りじゃない?優紀クンの料理って美味しいし」

 その事を家で墨須に話すと、これ以外何があるの?といった顔をしながらそう言った。

「ダイエットとかしないの?」

「だって、あいつと一緒じゃないと外出れないから運動とかできないじゃない。ラミア族用のランニングマシンでもあるっていうの?」

「まぁ、僕は主くんと時々ランニング言ってるけど・・・その途中で食べちゃうからなぁ」

「ウチは泳いでるけど・・・」

 皆が色々と言い訳をする。

「シアナの言うことも一理あるけど、特注品なんて頼んだら金銭がね」

 夕食の仕込みを終えた優紀が女子の輪の中に入る。

「もうこうなったら家にジムを増築するしかありんせん!」

「「「おぉ!!」」」

「「おお!じゃない!」」

 皆が『名案だな!!』と頷く中、常識人代表優紀&ユキが大声を上げる。

「う~ん、あんまり太って健康を害されるのもコーディネーターとして見過ごせないのよ・・・どうしようかしら」

 珍しく本気で悩んでいる墨須。

「あ、そうだ。ここの近くに他種族専用のスポーツジムが出来たの。と、言ってもまだ試験営業中だけど。そこに体験入学してみない?」

「へぇ、面白そう。皆どう?」

 皆に聞いてみると、全員が全く同じタイミングでうんうんと二度大きく頷いた。

「あの、私過度な運動が出来ないので家で待ってます・・・」

「私も水分を摂取すると肥大化してしまうので休みます。一定量の水分超えると溶けてしまうので」

「了解。じゃぁ二人とも家の警備をよろしくお願いいたします」

 びしっと敬礼すると、二人とも楽しそうに敬礼した。

 

 

 

 

 

「ここ・・・か」

 辿りついたのは大きなビルであった。5階建ての1階に設備が整えられているそうだが、外から見ると大手企業のビルのように見える。

 と、その中から大声と共に一人の元気な他種族がやって来た。

 大きな立った耳に犬の尻尾。手足が毛で覆われているコボルト族らしき他種族が現れたた。

「あなた方が体験入会される他種族の方ですね!?墨須様から連絡はいただいております!」

 そう言ってぎゅっと握り上下にブンブンと振った腕は、優紀の腕であった。

「・・・あのぉ、僕は人間で他種族じゃないんですが」

「ハッ!申し訳ありません!わ、私はコボルト族のポルトと申します。では!施設をご案内いたします!こちらへ!」

「・・・他種族に間違われるのは初めてだ」

 ハハと苦笑しながらそのポルトの後に付いていく他種族達と他種族に間違われた仮面男。

 

 

 

 

 

 中に入るなり、本格的なジム用品がずらりと並べられていた。ロデオマシンだったり、トレッドミル、クロストレーナーとスピンバイク。少し向こうにはダンベルが並べられ、さらに奥を見ると、バランスボールが置かれているスペースがあった。

「あれ?・・・う~ん・・・」

 全体を見渡してポルトが首を傾げる。その理由が納得いき、優紀も首を傾げる。

 まず、女郎蜘蛛の曲輪は下半身は人間と変わりないが、その虫の足と腹が邪魔し、ランニングマシンには乗れない。それ以外は支障ないだろう。

 ケンタウロス族のツェンはここにある9割が使えないだろう。ランニングマシンは小さいし、ロデオマシンに乗ることなんて出来ない。クロストレーナーとスピンバイクはもっての他だ。

 ラミア族の一種であるシアナもツェンと同様だ。ランニングマシンは乗れない。ロデオマシンはアウト。そのほか二つも同じ。

 クラーケン族のクーラも。前述の二人と同じだ。

「ポルトさん。どうしましょうかね?」

「こ、困りましたね・・・大型は想定してませんでした・・・」

(おい、ここ他種族〝専用〟だったよな?全部人間サイズな気がするんすが)

 そんな事は口に出せないでいると、ポルトがポンと手を叩いた。

「プールがありました!そっち行きましょう!!」




お疲れえい!

なんか最近パソコンが重い・・・

あ、そういえば、そのアニメでカットされた水着回がOVAとして出るみたいですね。

私は買えませんよ。恥ずかしいし。

DVDが出たらこっそり借りるか・・・

おっと、そんな話はどうでもいいか。

あ、そういえば、またルビー50連ガチャひいたんですよ・・・、[月夜]フローズちゃんがでない!!!![休日]レーテーと[水浴び]パピが出たのは幸いだったが。他が全部レアってのは酷いでしょうよ。



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番外編・ジムに行った日常~後編~

ハロハロ事の葉でございます♪
とりあえず・・・
モンスター娘のいる日常10巻買ったぜぇぇぇぇい!!!
イヤッホーーーーー!!!
そぉしぃてぇ・・・
12BEAST2巻もギェット!
1巻は友人に借りてたんで2巻を買いました。

あ、どうでもいいっすね。

では、後編ご閲覧くださいませぇ


 ポルトに連れていかれ向かったプール、に向かう前の更衣室。指定された水着を持ち、男女別の更衣室に入った後の女子たち。

「全くぅ・・・折角ビキニ持ってきたのに~」

 ラミア族のシアナが可愛い下着を脱ぎながら愚痴をこぼす。

 一応プールがあるというのは知っていたので、女子達は全員自慢の水着を持ってきていたのだが、禁止事項の中に「ビキニの着用」が入っているのでクーラ以外渋々それを手放すことになった。クーラは「クラーケン族用の競泳水着がなかった」という理由で、持参した白いビキニの水着を着用した。

「クーラはいいわよね~。ずるい」

「ん?何がや?」

「ま、そもそも泳げへんわっちに比べたら二人ともずるいでありんすよ」

 和服のまま、嫉妬の目を向ける曲輪。そもそも、元からプールは見学するつもりだったのだが、やはり現実となると嫉妬が生まれるのだろう。なぜなら、皆が取り合いとなる優紀を水着で誘惑出来るからだ。

 そんな他種族ならではの悩みを持つ3人を横目に、ツェンは一人水着と葛藤していた。

「ぐぬぬ・・・ん・・・もうちょっと・・・」

 前足を上げ、伸縮性が良いとは言えない競泳水着の穴に入れようと四苦八苦しているのだ。

「ねぇツェン、その部分必要なの?」

「ん?どうしたんだい?」

「だって隠す部分は後ろ半分じゃない?前部分は・・・」

 まぁ、つまりは大事なところは馬の後ろ部分だけであるため、前はいらないんじゃないかということだ。それに同意するように2人もこくこくと頷く。

「じゃぁ、前部分を着ないとどうなると思う?」

 入りかけだった足を元に戻し、そう言う。

 3人が同時にビクッと反応する。

 前部分を着ないとなると、ツェンは上半身の水着を着るだけで下半身は丸見え、のようになってしまう。無論、下半身の大事な部分は隠せているが、前から見たらそっちに気付くよりも前にもうほぼアウトに近い下半身に目がいってしまうだろう。

「あ、あ~・・・成程ね」

「でしょ?だからだよ」

 先程よりもコツを掴んだようで、すんなり足を穴に入れながら呟く。

「あでも、アイツの困る顔も見てみたいかも~!」

「よく言うゼ」

 今まで黙っていたメキブラが呟くと、シアナがその根っこをぎゅっと掴んだ。

 

 

 

「女子って・・・めんどくさ」

 壁が薄いのに気付いていないのか、キャーキャー叫ぶ4人の女子の会話を聞いていた優紀は、心底そう思った。

 

 

 

 4人が着替えを終えると自動ドアを抜け、プールへと向かった。

 50m程のプールに飛び込み台。壁の一面が全てガラスになっているので日当たりも悪くなく、太陽を反射してキラキラと光る水。

「結構広いんだね」

「はい!大型の他種族でも自由に泳げるようにと広くしました!」

「これは嬉しいな。プールだと大きくは動けんし」

「あぁ、そっか。気付けなくってゴメン」

「いや、ええよ。アンタのせいやないし」

 二人が和気藹々と話しているのを少し嫉妬の籠った目で見る3人。しかし、必死に堪えることに専念した。

「じゃぁ準備運動を始めますね~!!」

 それに元気よく返事する他種族の3人。しかし、それを一瞥して部屋の端に向かう曲輪に気付いた優紀がポンと肩を叩く。

「曲輪、ゴメン。折角来たのに出来なくて」

「い、いや、いいでありんすよ」

 悲しげな顔をする曲輪。これはどうしようもないことだが、後で何かに付き合ってやる。そういう約束をしてポルトの元へ向かった。

 まず屈伸から始まるも・・・全員出来ない。そもそも足を使う運動は全部出来ない。ぎりぎりツェンがそれっぽいのを出来るくらいだろうか。

 それと、アーム・プル、というストレッチの時はクーラに何故か目を閉ざされた。

 

 準備運動を済ませ、4人がプールに入る。温水プールだったこともあって、シアナも自由に泳げた。

 シアナは足を上手くくねらせ泳ぐ。

「ラミア族って水泳出来るんだ」

「勿論。私はなんだって出来るんだから!」

 むふんと鼻を鳴らし、腰に手を当てるシアナだったが、どうしてもばるんと揺れる胸に目がいってしまう。いや、仕方ない。そう、これは人間だけではなく、生物共有の本能なのだから。

「あれ?ツェン?」

 少し向こうでウォーキングしているツェンに声をかける。

「あ、主くん・・・」

 ツェンが一瞬何かを言おうとしたが時すでに遅し。

 完全に油断していた優紀はいきなりなくなる足場に一瞬パニックになり、ワタワタと動かしやっとブイを掴む。

「ここ、体が大きい種族用に深く作られてるって言おうとしたのに・・・」

 そう言われ少し向こうにある看板に書かれた文字に目をやる。

『注意 ここから先推進3mプール』

「成程・・・っていうか泳いでたんだ」

「立ち泳ぎだよ。普通に泳げない・・・って言うか泳ぎようがないし」

 アハハと苦笑する。

 確かに、ケンタウロス族がクロールをすると、空中で唯手を前後しているだけとなる。

「あ、あぁ、成程ね」

 ポンと手を打ち納得する。

 3mプールから脱出し、ゆっくりと体を鳴らしていこうか、という時に水中でぶぅんと何かが優紀の下半身を押した。いや、水中で発生した風が彼を押したのだ。

 ブイの先を見ると、クーラが深く潜水しながらその八本の足を巧みに使い泳いでいた。速度が落ちてくると八本の足で水を押すようにして前に泳ぐ。

「クラーケン族って人魚と全然違う泳ぎ方するのね」

 1分も経たないうちに戻って来たクーラにシアナが声をかける。

「まぁ、水中で生活している以外は全然違う種族やからな」

 

 それからは、4人で指導を受けながらちゃんとした泳ぎ方や、飛び込み台からのスタート方法等を教わり、結構充実した時間を送った。

「いやぁ、ありがとうございましたポルトさん。まさか種族に合った指導方法を全部覚えているとは」

「いえいえ!仕事をしているこちらからしたら当たり前のことです!」

 ガッツポーズをしてえへっと嬉しそうな笑みを浮かべるポルト。

 空を見れば、太陽が真上に昇っていた。

「一度帰ろうか。2人が心配だし」

 外食という誘惑が頭をよぎったが、ここで誘惑に負けてしまえば帰りが遅くなる。

 シアナが少し嫌そうな顔をしたが、無視して帰路についた。

「昼飯食べたら出かけようね」

「は、はい!」

 曲輪が顔を赤く染めながら強く頷く。

 

 

 

 

「二人っきりで外出とは、羨ましいな」

 親子のような光景を見て3人が同様の感想を抱き、代表としてクーラが呟いた。




とりあえず一言・・・

新しいモン娘小説の題名が思い浮かばネェ!!

・・・まぁいいや。言いたいの違うし。(これもだけど)

妖子たんゲットしましたぜえええぇぇい!!

いやぁ、何あの妖艶さ。ふつくしい・・・そして、そのもふもふ尻尾と太ももに挟まれたい。そしてさらには・・・いや、黙っておこう。墨須さんに殺されかねねぇ。

あと、[寝巻き]ピラティ・・・完全に御世話ドラマがR‐18だろ!!ありがとうございます運営さん!!

あ、次回ですがリクエストにあった子です。

感想、評価お待ちしておりま~す


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セルケトのいる日常

ハロハロ事の葉でございます♪(真顔)

お待たせいたしやし・・・いや待てよ?この小説を待っている人なんているのか・・・?

・・・とりあえずごめんなさい。2か月も待たせて・・・、何でもしますから許して・・・





今「何でもします」で反応した人手挙げなさい

今回は久しぶりすぎて優紀クンの口調を忘れてるかもです。

まぁまぁ、それでもいいって方はご閲覧くださいませ~


 友人、小野瀬白夜の元へ向かい、本を渡した翌日の昼を過ぎた今、白夜の愚痴を聞いていた。

『んでよ~、柄悪カップルに罵倒されてよ~』

「お前を罵倒するのは俺くらいだと思ってたけど」

『自覚あんなら直せやゴラ』

「やなこった」

 カカカと仮面越しに笑う。

「まぁ、お前のは冗談だって分かってるし・・・それに、あいつらを殴らなかった俺にお褒めの言葉を欲しいんだが?」

 どこか自慢げに言う。

「・・・・・・・・・・・・・・・マジか」

 夢のまた夢のまた夢の夢の夢と思っていた、白夜が人に手を出さないという話が出、思考がフリーズする。

 彼白夜は昔っから警察沙汰を起こすこともある程の悪ガキであり、今もそう直ってはいない。そんな奴が侮辱され続けてもなお、暴力を振るわなかったというのは・・・

「明日の天気は槍だな」

『っざけんなこら!』

 向こうから怒号が聞こえるが、電話越しなら怯えるこたぁない。

 あの後も色々とホストファミリーの相談を受けていると、部屋の扉がガチャリと開く。そこにはユキが立っていた。

「ん?どうしました?」

「あ、あの・・・墨須さんが「新しくホームステイさせる子連れてきたから後よろしくー」って言ってその他種族だけ置いて出ていってしまって・・・」

 手をもじもじさせながら何とか少ない情報で伝えようと頑張っているようだ。

「・・・はぁ、とりあえずお茶を出して」

 額に手を当て、ユキに伝える。

「わ、分かりました!」

 下駄をカランカランと鳴らしてキッチンへ向かう。

『またあれか?』

「あれだ」

『・・・愚痴は溜まる前に言えよ。こっちも誰か来たみたいだから切るわ』

「はいよ~」

 そう言うとどちらともなく電話を切った。

 

 

 

 リビングにはユキだけ・・・事情を聞くと2階の角部屋が落ち着くとのことでそこへ連れていったそうだ。

 そこは確か元々優紀の部屋だった筈。

 元自室に入ると、角っこでまるで機械のような手つきでカチャカチャと携帯ゲームをプレイしている他種族がいた。

 深紅の髪を黒い布で結んでショートのツインテール、白目が黒く、黒目が赤くなった双眸の上には女郎蜘蛛の曲輪と同じく目が左右2つずつ。褐色の肌の上に着た黒いキャミソール(?)の上には白黒のパーカーがかけられ、フードがある。そして彼女の下半身は、黒い艶を帯びたサソリそのものになっている。八本の足の先は鋭く、尻尾の先端は一突きで人を重症にさせてしまいそうである。

 こちらに気付いてもなお彼女はゲームから目をそらすことなく、ずっと逃げるかのようにカチャカチャとボタンを押している。

「お、お~い」

「・・・・・・」

「わーわー」

「・・・・・・」

「悲しくなるんでお話しましょう?」

 わざとらしいくぐすんと呟くと、ようやく携帯ゲームを閉じ、こちらを見てくれた。

「あ、気付いた」

「・・・なんですか?」

「なにがという訳じゃないんだけど一応一緒に住む訳だから自己紹介をと思いまして・・・えっと、初音優紀です」

「・・・セルケトのティト」

「ティトさんだね。え~っと・・・」

 さぁてこっからどうしましょ!!

 引き込もりとは聞いたが、ここまでとは・・・、引きこもりと対話する方法なんて聞いたことも見たこともない。いや、テレビで見たことはあるが、ほっとんど覚えてない・・・

「あ、そうだ。今はなんてゲームやってたの?」

「モ○スターハ○ターク○ス」

 ここまでしないといけないんすか?

 それはさておき、そのゲームは有名どころでありながら、優紀も現在進行中でプレイしているゲームであった為、話を続けることが出来た。

 彼女をゲームの世界に入らせまいと、一つのゲームの話題がなくなるとすぐ関連性のあるゲームの話へとどんどん変えていく。

「あの・・・もしかしてゲームの世界に入らせまいと私と会話してるんですか?」

 ギクッ、と体が固まる。

 喋りすぎたか、と今更ながら後悔中・・・

「・・・あ、はい」

 ここでさらに変なことを言うと余計に面倒くさいことになりそうなので素直に言う。

「素直なんですね」

「そりゃぁ変なこと言うと余計にねぇ?」

「・・・どちらにせよ私は人がいなくなった瞬間にゲームをやりますよ?」

「だろうなと思ったよ?でもまぁ、ちょっとでも喋れたからいいや。なんかいるものある?家にあるものなら少し貸すことなら出来るけど」

「フリーゲームが入ってるパソコン、ゲームカセットとゲーム機、あと・・・」

 まだあるのかと驚き、ちょっと待ったと彼女の言葉を止める。

「とりあえず一つだけ」

「・・・パソコン」

「パソコンならまぁ・・・5年前のならあるからそれでいい?フリゲーを入れるくらいの用量はあるから」

 一瞬ティトの顔が明るくなる・・・が、すぐに気付いたのか元に戻し、ペコリとお辞儀をする。

「じゃぁ待っててね。あ、それと部屋はここでいいよね?」

 コクリと頷く。

 それを確認すると部屋を出てタッタッタッと階段を駆け下り、自室の押し入れを開ける。

「えっと確か・・・」

 整ってるとは言えないゴチャゴチャの押し入れをひっくり返す勢いで1年以上使ってないノーパソを探す。

「あれ?確かここに・・・」

 電子機器はここに入れているという段ボールを引っ張り出し部屋中にまき散らし探すが、出てこない。

 物音に気付いたエメスが部屋に入り、小首を傾げながら尋ねる。

「どうしましたか?マスター」

「あぁちょっと昔のノーパソを・・・」

「あぁ、それならさっき貸してくれたじゃないですか」

 大丈夫?といった顔を向けてくる。

 確かそんな気が・・・

「そ、そ、そうだったよね。うん、忘れてた・・・」

「ところで、パソコンがどうしましたか?」

「あぁ、ティトさんがパソコンを使いたいって。あぁ、ティトさんっていうのは新しくホームステイした子ね」

 あぁ!とポンと手を打つ。

「それでしたら」

 そう言って小走りでリビングへ向かった。

 

 

 

 エメスから返してもらったノートパソコンを片手にティトのいる部屋へ向かい、開け・・・

「あれ?」

 開けれない。

 鍵はついてないから多分物で押さえているのだろう。

「お~い、開けて~」

 そう言うと少し物音がしてガチャリと扉が開いた。

「なんか気に障ることでもしました?」

「こういう誰も入ってこれない場所で引き籠るのがいいんです」

「あ、あぁ、そう」

 苦笑いを隠しきれず仮面の下で苦笑いをしながらパソコンを渡す。

「とりあえずフリーゲームを入れられる用量はあるから。あとは明日くらいにでも揃えるとして・・・これからよろしくお願いします」

 それ以外言うこともなく、そう言うとティトは声こそ出さなかったが、ちゃんとお辞儀をした。

 

 

 

 あの後丸一日、彼女が出てくることはなかった・・・




だ~くっそ疲れた!!

久しぶりに書くとこんなにも手が進まないもんなのかよ!!驚いたよ!!

あ・・・いやなんでもないっす。

忘れなさ~い、忘れなさ~い。

今回はリクエストであったセルケト族のティトたそです。
私パソコンのなんたら文書ってのでも個人的に書いてるんだけども、引きこもりキャラって書いたことないのよねぇ(自分は引きこりなくせに)

で、これから本題なのですが、結構長いし、リクエストについてですので、別にいいぜ。って方は飛ばしてください。

今まで通りメッセージ、活動報告でリクエストは受け付けますが、これから受けるリクエストのキャラクターは「別のホームステイ先の他種族」等、場所を変えて登場させていきます。ですので、1回限りの登場となることが殆どかと思います(原作で言うと9巻辺りの登場人物と同じ扱い)。また、その登場させる場所にリクエストがある場合、それを記入してください。記入の無い場合、こちらで場所を考えさせていただきます。


とりあえずこんだけ!!

グッバイ!!


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番外編・潜伏した日常

ハロハロ事の葉でございます♪

お久しぶりです!!

最近提供終了とか提供終了とか提供終了とかで悲しみの波に溺れてたので小説を書く手が止まっておりました。

あと、人間失格読んだりとか(実はこっちが遅らせていた要因だったり・・・とか口が裂けてもいえねぇな)。

さてさて、お久しぶりに(皆さんも一緒に)

ご閲覧くださいませ~



はい、今一緒に言った人、ちょっと10キロくらい走ってきなさい。運動です。


 セルケト族のティトが来てから数日後、優紀は滅多に見ない夢を見ていた。

 舞台は刑務所、思い出したくもない場所である。視点は優紀のままのようだ。服を見ると、囚人服を着ている。あの映画でよくみる西洋の囚人服のような白黒ではなく、地味なグレーである。周囲を見渡すと、同じ服を着た、見るにも耐えない醜い顔の人間が立っていた。

 恐怖を感じた。

 今にでも牙を向いて襲いかかってきそうである。

 牙で喉元を食い千切り、飢えた獣のような爪で腹部を裂き血肉を喰らうであろう程、恐ろしい顔をしていた。

 ブルルと身震いをする。

「点呼する!」

 一人の看守がその獣共を一喝するような声を荒げる。

 次々と呼ばれてていき、20を過ぎたところ、ついに優紀の隣の者が呼ばれた。

「22!」

「はい」

 優紀は忌々しい記憶の元に、無意識にそれに返事をしてしまった。

 

 

「・・・・・・!?」

 それと同時に、目を覚ます。

 額には油汗がぶわっ、と浮き上がっていて、手は微かに震えている。

「・・・ここは・・・?」

 周囲を見渡すも、どうやら自室ではないようだ・・・となるとリビングだろう。真っ暗でよく分からないが、寝ている場所はソファのようだ。

「いてっ!」

 変な体制で寝ていたようで、首を痛めた。

 周囲に誰もいないことを確認し、むくりと立ち上がる。

 ポンポン、と顔を手で叩いて確かめる。どうやら仮面は付いていたようだ。

「ふぅ・・・とりあえず風呂かな」

 汗を拭いたいのと、風呂に入ると目が覚めるということもあり、頭を掻きながら脱衣場へ向かった。

 服を脱いで、最後に面を付けている包帯を取り除き服の入った籠の中に入れる。着替えはその隣だ。

「そうそう。忘れないうちに・・・」

 脱ぎ捨ててからというのもなんであるが、脱衣場の扉に掛けられている札を「空き」から「使用中」に切り替えておく。

 これは少し前から実施していることで、沢山他種族の女性がいるので、なるべく男女で鉢合わせしないようにと、こういうことをしているのだ。

 

「ふぅ~」

 まるで銭湯のようにだだっ広い風呂場の一角、この空間だけでも生活出来るのではないかという程に広い浴槽に入り、頭に畳んだタオルを置いて、肩まで浸かる。

 48度に設定しているお湯は丁度良く、この空間にテレビを持ち込んだとなれば、きっと時を忘れて過ごしてしまうだろう。おまけに日本酒があれば最高だ。

 そういえば、と、時刻を確認していないのを思い出し、風呂場のデジタル時計を確認する。PM11:34。意識が薄れていくのを感じたのが午後八時だった筈だったから、軽く3時間程度寝たのだろう。

 3時間睡眠で出来るとはよく言うが、それを唱えたナポレオンは昼寝をしていたので実際は3時間以上、6~8時間近く寝ているそうだ。まぁ、3時間寝ただけでも、起きて数時間は眠いだけで、それ以降は何故か活発になれるので、問題はないが・・・

 まぁ、そもそも、これだけ寝てしまえばもう夜に寝ることは出来ない。

「徹夜か・・・」

 うへぇ、と間の抜けた声を出して頭をポリポリと掻く。

 

 

 

 一人で心身の疲れを癒している優紀が入っている浴室からすりガラス隔てた扉の向こうに、3人の人影があった。

 一人はラミア族亜種のメデューサ族のシアナ。その長い下半身と、ウネウネと動く髪(蛇)ですぐにわかる。

 一人はクラーケン族のクーラ。彼女もまた、人間とはかけ離れたタコと同様の下半身ですぐ分かる。

 最後の一人はゴーレム族のエメスだろう。世帯主さえも越す高身長と、その巨大なグローブでも着けているかのような大きな腕で判断出来る。

 今、何をしているかと言うと、彼の顔を覗き見ようというのだ。言いだしっぺのシアナは、今か今かと、それこそ獲物を狙う蛇かのような眼で優紀が出るところを待ちわびている。

 いつも仮面に隠されたその顔の下、もしかしたら1000人に一人とか、はたまた1万人に一人のイケメンかもしれないし、その逆かもしれない。何が起ころうともこれからの生活を崩さないというのを約束に、そのリスクを担って2人は参加したのだ。クーラは興味本位、エメスはマスターの顔くらいは確認したい・・・とのことらしい。

「しっかし遅いわね・・・」

 脱衣場が使用中になったのは確か午後11時30分。どうしてか、待つ時というのは、時間が永遠に感じるのだ。

「まだ5分も経っていませんよ」

「知ってるわよ・・・ったく」

 エメスの機械的な声で現実を言うと、シアナが少しのいらだちを覚える。

「そういえばさ・・・前首元にある火傷の痕を見せてもらったんだけど、あれってどうなの?」

「さぁ?ウチは見せてもらってないからなぁ」

「いや、そうじゃなくてさ、作れるの?ってことなんだけど・・・」

「知らんがな・・・」

 肩を落とし、呆れたような声を出す。

 そりゃそうよね、と言い、張りこんでいる刑事みたいに浴室からの死角に隠れる。

「な~んか特殊メイクっぽかったのよね。出来たてほやほやの傷みたいだったし」

 

 

 

 

「・・・・・・なんでこんなに声出して気付いてないと思ってるんだろうか・・・」

 湯に浸かりながらはぁ、とため息をつく。

 彼女らの声・・・というかシアナの声はいつも通りというか、透き通っていて、大きい。こういう時こそ声を潜めて隠れるものだろう。まぁ、多分隠れることが初めてなのだろうから仕方ないと言えば仕方ないのだが・・・

 しかし困った。

 あれがそういった仮装用のテープだということに薄ぼんやりとだが気付き始めているようで、嘘を突きとおすのも限度がありそうだ。

 いや、それよりも先に、今この場をどう抜け出そうかを考えないといけない。

 まず、3人いるからわっ!と驚かしてその隙に仮面だけ付けて自室に戻るのは即却下。エメスの鉄壁の精神がその程度で驚くことはないだろうし(前特番で見たホラー映画も全く驚かなかったし)、そもそも他が全く起きてないとも限らない。もし仮面付けて室内を逃げ回る世帯主が見つかろうものなら、即その子は人間不信に陥って本国に逃げ帰ることになるだろう。

 今すぐそれを持ってくることは不可能だし、皆が呆れるであろう1時間も経てば、こちらの皮膚はふやけるし、彼女らが潜伏でイライラし始め、突撃訪問を行ってくるかもしれない。

「あ!」

 一つ良い解決策を導き出し、手を打つ。

「あのさぁ!!さっきからそこに隠れているのは分かっているので!とりあえず脱衣場からは出ていってくれませんか!!?」

 3つの影が一瞬ビクッ!と反応する。

 あれで完璧に隠れていたつもりなのだろう。

 かく言う優紀も、実際は些細な声でしか確認できず、実際はシアナ意外は誰か分からない。恐らくでエメスがいるだけで、もう一人は誰か分からない。一番上手く隠れているようで、上半身意外の影も確認出来ない。だから、上半身だけでも識別出来る曲輪を覗いて誰でもありうるし、髪が長いというだけで、他にも確認しようがない。ツェンもないか。

籠っているだろうティトは除いて、あのおっとりとした(?)クーラか・・・

「意外だな」

 彼女といる時は見られない変わった1面を感じながらも、3つの影は渋々といった形で背を丸めながら脱衣場を後にする。

「あ、クーラさんだった」

 あのウネウネとした足で確認できた。

 

「ふぅ・・・一安心」

 着替え終え、仮面を付け、包帯を巻き、脱衣場を出た。




他種族が風呂入ってると思った?残念、優紀クンでした~。

ごめんなさい何でもしますから。

まぁ、本来はあの3人が風呂に入ってる優紀クンに突撃取材!の予定だったんですけどねぇ・・・何処で狂ったんだか私はこの展開になってしまいました。お色気要素はあったでしょ?男だったけど。

あぁ、そうそう。14話ってことで記念なんすけど、優紀クン、当初は「ショタ」にするつもりでした。男なのに身長は女子並・・・仮面も付けてなかったです。

はぁ、何でこんなことになったんだろうねぇ。

とりあえず、またいつか・・・


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