やっぱり失敗のない告白をしたい戸部の甘い考えは間違っていた (春の雪舞い散る)
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やっぱり失敗のない告白をしたい戸部の甘い考えは間違っていた

 雪ノ下が戸部の依頼を引き受けたのがよほどうれしかったのかいつものように雪ノ下に抱き付いて百合百合しい空気を醸し出し、葉山と戸部も苦笑いしていると部室の戸が開きその人物が部室内に乱入してきた

 

 「 比企谷君、ひゃっはろーっ♪ 」

 

 そう言ってやはりこちらもいつものように…当たってます、どことは言いませんが夢と希望が詰まってたわわに実ったあれが二つ当たって俺のライフをごりごり削ってますから…

 

 それに雪ノ下と由比ヶ浜の目が怖い…後、目が怖いから勘弁してください

 

 そう思っていたら

 

 「 姉さん、いつも言ってるように部外者が勝手に出入りしないでちょうだいっ! 後お帰りはあちら 」

 

 と、テンプレ対応する雪ノ下を相手にしないで

 

 「 ガハマちゃん、面白そうな依頼を引き受けたんだねっ♪ 」

 

 そう笑いながら由比ヶ浜に話し掛けたが俺と雪ノ下、そして葉山はその目が笑ってないどころか相当なお怒りであることに気付いたが浮かれている由比ヶ浜は全く気付かずに

 

 「 ですよねぇ~っ、やっぱしこーゆー恋愛イベって応援したくなっちゃいますよねぇ~っ♪ 」

 

 そう嬉しそうに話す由比ヶ浜とは対照的に雪ノ下さんの介入を鬱陶しいと思っている雪ノ下

 

 不味いことを聞かれてしまったと思いが顔に出ている葉山に面倒臭いと感じる俺達三人が見守るなか

 

 「 だよねぇ~っ、ガハマちゃんならきっとできるだろうから応援するよっ、で、その勢いで静ちゃんの結婚も何とかしてあげなよ? なんとかできるんでしょ?

 

 ガハマちゃん、雪乃ちゃん、隼人の三人で… あ、比企谷君に助けを頼むのはなしで自分達だけでやってね、彼はこの依頼も依頼断ったんだからねっ♪ 」

 

 そう言ってて三人を黙らせ俺にも口を挟むなと言わんばかりの目で睨んできてる

 

 マジにチビりそうな位に怖いんですけど… いやチビらないけどね、等とアホ事を考えていたら

 

 「 そーそー、最近又見合いだなんだってうるさくて参ってたんだけど… 今度のお見合い雪乃ちゃんが代わりに行ってよ?

 

 なんならガハマちゃんに依頼してお見合いが上手くいくよう手伝ってもらっちゃおうかな?

 

 そうすればお母さんもきっと喜んでくれるし上手くいったら私にも恋愛結婚の希望ももてるかもねっ♪ 」

 

 そう雪ノ下さんに言われて表情を歪める雪ノ下と呆然とする由比ヶ浜に顔面蒼白の葉山

 

 今度はその葉山に矛先が向いた

 

 「 今さら言い逃れはさせないからね、隼人っ! 貴方の両親の関係者に圧力をかけさせればすぐにでも静ちゃんにウェディングドレスを着させてあげられるんだから責任重大だそっ♪ 」

 

 そう言っててへぺろした陽乃可愛いと思ったのは内緒の話な…

 

 そう思っていたらいきなり部室に入ってきた平塚先生が葉山の腕をガシッと掴むと

 

 「 葉山、よろしく頼んだぞっ! 」

 

 そう言って葉山を連行していき、とっくの昔に空気と化していた戸部の姿も消えていた

 

 

 

 その後、雪ノ下は部長から平部員に降格し雪ノ下ママに花嫁修行をさせられているらしく由比ヶ浜はその巻き添えを食っているらしい

 

 そして… 今現在、奉仕部部室に居るのは雪ノ下亡き後 ( 勝手に殺すなって? ) の奉仕部に我が物顔で入り浸る雪ノ下さんに新入部員の川崎とそのサポーターのケーちゃん

 

 ケーちゃんは小町が保育園から学校に連れてきてくれるため小町が部室に居るのも日常風景と化している

 

 そしてあの修学旅行前の騒ぎで葉山グループは崩壊し三浦と海老名さんにサッカー部のマネージャーだった一年の一色いろはという女子生徒が新生奉仕部に入部したのでますます華やかになった奉仕部を見て

 

 「 お兄ちゃんのハーレムの完成だねっ♪ 」

 

 と、小さな声で呟いたのは聞こえなかったことにしよう

 

 来年になれば小町と大志とか言う羽虫も奉仕部に入る予定だから奉仕部の未来は明るい? が、なんにしろ今日も平和な内に一日が終わりそうだ… ねみぃ

 

 

 

おわり

 

 

 

 

 




後書き

 この世界では一色いろはが葉山離れをしたので生徒会長イベは発生しませんし当然嘘告白も無く

 クリスマスイベはまぁ玉縄は玉縄なのでまた原作とは違った形で巻き込まれるのは間違いない話でしょうね、あの八幡の巻き込まれ体質なだけに(笑)

 それでは皆様ごきげんよう


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メリー苦しみます?~奉仕部のクリスマス編①

前作が個人的にはものすごく受けたのが嬉しくて第二弾書きました前作が個人的にはものすごく受けたのが嬉しくて調子に乗って第二弾書き上げました


 

メリー苦しみます?~奉仕部のクリスマス編①

 ①  斜め上45度?

 

 

 本来の時空…正史では一色いろはが生徒会長となっていたがここはパラルワールド

 

 ifの世界のひとつで例えるなら葉山熱とでも言う名の病、そう例えるなら麻疹のような流行り病が治ったかの如く葉山隼人の元から少女達が去った

 

 その一人に、サッカー部のマネージャーをしていた一色いろはと言う少女もいたが彼女はいわゆるところの同性から嫌われるタイプ

 

 そのため生徒会選挙が始まる前までは彼女を嫌うアンチ一色派が彼女を陥れんがため、色々と画策していたのだが彼女がサッカー部のマネージャーをあっさり止め葉山から離れたため振り上げた拳が下ろすに下ろせないアンチ一色派の拳

 

 その情熱はそれはアンチ一色派のリーダーの三河香保里に向かい、良くも悪くもそのリーダーシップと行動力から

 

 「 貴女が生徒会長になったら良いんじゃない? 」

 

 と、言うオチでまとまり一年生女子が生徒会長と言う事実は揺らぎなかった

 

 まぁ、人を呪わば穴二つと言ったとこだが呪われてい一色いろはは鮮やかにその呪いをかわし呪った本人だけが自らが掘った穴に落ちたのだから掛ける言葉もないのだが…

 

 そんな事には関係無く時は流れ世間はクリスマス商戦真っ只中で浮かれまくっているが間違ってもそんな気分になれない四天王達

 

 筆頭の雪ノ下雪乃は、フランスのとある大貴族のメイド長である老婦人そっくりな人に煮え湯を飲まされている日々を陰鬱に過ごしているのがその理由

 

 由比ヶ浜結衣はその老婦人に雪ノ下雪乃の手足として使えるための厳しいメイド修行の真っ最中

 

 葉山隼人はそんな 『 アホな話に付き合えるわけないからお前自身が責任を取れ 』 と、あっさり見捨てられて高校卒業と同時に入籍で…

 

 離婚=葉山家追放を言い渡され受け入れることとなったが一応卒業までは公にしないなどのルールを決めて葉山の卒業待ちとなっているが…

 

 その日を境に平塚女史が穏やかになったため悔やんだ独身男性教師が居たが後の祭りである

 

 まあ、その辺りはこの物語とはあまり関係無く何でこんなに文字数か増えてしまったのかは謎であるが気にすまい

 

 新生奉仕部は今日も平和なのだから

 

 そんな奉仕部に前生徒会長の城廻めぐりに連れられて現生徒会長の三河香保里が訪れ

 

 「比企谷君、奉仕部にお願いしたいことがあるのだけれどいいかな?」

 

 そう言って頭を下げる前会長に

 

 「 先輩がそんな簡単に頭を下げないで下さいよ、受ける受けないは話を聞いてからでないと判断できませんが同じ過ちを何度も繰り返したくはありませんからね 」

 

 そう比企谷八幡が答えると他の部員達も同様に頷いたのを見て城廻めぐりに頷かれた三河香保里は決心して海浜総合との合同クリスマスパーティーの打ち合わせが難航し三河曰く

 

 「 頭のおかしい海浜の生徒会長が、理解できない意味不明なカタカナ言葉をベラベラと並び立て駄弁ってる井戸端会議に時間を費やしてるけど言い返せるほど弁が立たない自分が悔しいっ! 」

 

 だったので

 

 「 取り敢えず次の打ち合わせに同行させてくれ 」

 

 と、八幡が言うと

 

 「 早速で悪いんですが今からその打ち合わせに行くんですが… 」

 

 そう一年生の会長である三河に言われて

 

 「 わかりました、川崎… 俺はこのまま打ち合わせに参加するから戸締まりを頼めるか? 」

 

 そう聞くと聞かれた川崎も

 

 「 わかったよ、ここは任せときなよ… でも情報の共有は大事だから話し合いの内容は大雑把でいいからメールで教えておくれよ? 」

 

 と、言うと

 

 「 あーしも川崎さんの意見に賛成だね、放っておいたらヒキオはすぐに一人で背負いこもうとすんだからさ

 

 くれぐれも、ケーちゃん泣かすよーな真似だけはすんじゃないよっ!」

 

 と、言って比企谷に釘を刺した三浦は過去には川崎と衝突した事もあるが新生奉仕奉仕部のマスコット、ケーちゃん事川崎京華が二人の関係を劇的に変えた

 

 そう八幡風に言えば

 

 「 天使の前でつまらないいさかいをしても仕方ないだろ? 」

 

 で、あるから京華と触れ合う機会の多い三浦がつまらない事で川崎に突っかかるのを止めると二人の関係は急速的に良好になっていった

 

 勿論、馴れ合うつもりのない二人がたまに見解の相違から対立もするが互いに感情論にはならずとことん話し合えるまでになってきている二人に釘を刺されたので

 

 「 わかったよ、メールで簡単な内容は送り明日これで内容を聞かせるから 」

 

 と、言って見せたのはICレコーダーで

 

 「プライバシーの侵害とかにはならないのかい? 」

 

 と、川崎が聞くと

 

 「 三河、さっき訳のわからないカタカナ言葉と言ったがどこかで聞いたことはないか?」

 

 と、聞くと

 

 「 あぁ、そういえば偉そうなおじさんがテレビの番組で似たような言葉を勿体ぶって喋ってたような… 」

 

 そう話すのを聞いて

 

 「 なら問題ねぇ、いわゆる意識高い系の奴等がろくに理解もしないでビジネス用語を並べてるだけで恐らく内容は空っぽだから心配するようなものはないが… 」

 

 そう一旦言葉を区切り

 

 「 とにかく覚悟だけはしておけ… 」

 

 そう言ってニヤリと笑う八幡に

 

 「 覚悟って… 」

 

 そう言って息を飲む奉仕部の面々に勿体ぶってゆっくりと口を開いた八幡は

 

 「 絶対爆笑するからな 」

 

 と、言って唖然とする少女達に笑いながら

 

 「 確かにリアルタイムで聞いていたらかなりイラッと来るだろうがレコーダー越しに聞いてりゃなにバカなことほざいてるんだよ? くらいにしか感じんからな

 

 テレビの政治家や評論家とかの連中の喋りもそんなもんだろ? 」

 

 と、説明すると

 

 「 成る程ね、なら今日のところは比企谷に任せるよ 」

 

 そう川崎が言うと八幡も

 

 「 だな、城廻先輩と三河には申し訳ないが今日は様子を探るしかできないだろうからそれに徹してじっくり観察する 」

 

 そう言ってかばんを取ると

 

 「 じゃあな、ケーちゃん… お家帰ったらちゃんとうがいするんだぞっ? 」

 

 と、言って京華の頭を撫でると嬉しそうな顔で

 

 「 うん、はーちゃんもちゃとしなきゃダメだからねっ! 」

 

 と、言い返され

 

 「 ぶーっ… 」

 

 と、吹き出した八幡と吹き出して笑う少女達だった

 

 

 

 ② あれ、会議か?

 

 

 会議が終わり同中の折本が話し掛けてきたが目立たないところで… と、言う配慮はある

 

 まぁ、俺なんかと話してるところを見られたくないんだろうけどな…

 

 と、言う風にしか受け取れない八幡だったがどういうわけか玉縄は八幡を視界から外し八幡も玉縄に紹介しようとしたがそれを止めていたから

 

 ( ナニあれ、比企谷相変わらずウケる )

 

 そう思っていたので、ナゼ紹介するのを止めた理由を知りたかったのだ

 

 「 比企谷おっ久しぶりぃ~っ 」

 

 比企谷が話しを始めるのを待ってたらいつまでも話が始まらないと思った折本が最初に話し掛けると

 

 「 あぁ… 久し振りだな… お前海浜行ってたんだな 」

 

 そう思いながら中学時代の苦い思い出が頭をもたげていたが

 

 「 なぁ、折本よ… ひとつ聞いていいか? 」

 

 そう聞いてみると

 

 「 その他人行儀なしゃべり方、比企谷相変わらずウケるっ♪ 」

 

 「 イヤ、ウケねぇよ… まぁそれは別にいいんだがナニあの会議擬き、俺眠くてしょーがなかったんだけど? お宅の会長さん悪く言うようで申し訳ないんだがな 」

 

 そう言って肩を竦めて見せると

 

 「 比企谷、全然悪いと思っつてるよーには聞こえないんだけど? 」

 

 そう痛いところを突かれて苦笑いしていると

 

 「 アタシ等もいつもあんな感じで煙に巻かれてるけど今度ばかりはね…

 

 学校内の事なら最悪失敗しても自己責任で済むけど今回みたく色んな人巻き込んどいて失敗しちゃいましたぁ~っ♪ テヘペロじゃ済まないっしょ? 」

 

 折本にそう言ってもらった八幡は

 

 「 大丈夫だ、最悪アイツ等には退場を願うかもしれんがそれでもアイツ等がちゃんと機能すりゃそれなりのリーダーシップはあるんだろ?

 

 なら時間がないのにアイツ等を楽にさせてやる理由はねぇから濃き使わせてやるよ、うちの女王様の下僕としてな… くっくっくっくっ…」

 

 と、野口さん笑いをする八幡であった ( キートン山田の声に変換しろしっ! )

 

 

 

 「ってな感じだ 」

 

 昼休みに奉仕部の部室でお弁当を食べながら、昨日の会議を録音した物を聞いていたのだが

 

 「 はぁ~っ、確かにアンタの言う通りに会議っても井戸端会議以下だね

 

 無駄話が多い井戸端会議だって注意深く聞いてりゃ重要な話しもあるけどそれすらないじゃないか? 」

 

 そう、川崎が呆れて言うと

 

 「 で、ヒキオのソイツに対する評価は? 」

 

 と、三浦が聞くと

 

 「 葉山の粗悪品、つか葉山が嫌いだった俺が葉山に

 

 『 済まん、あんなのと同列にしてっ! 』

 

 と、詫びたくなるくらいの粗悪品だ 」

 

 と、八幡が答えると三浦が

 

 「ヒキオ、それどう言う意味? 」

 

 そう発言すると場に一瞬緊張感が走ったが

 

 「 葉山はちゃんと自分では責任をとらない形で答えに導いていた

 

 その場に居合わせた訳じゃないからあくまでも推論すぎないんだが三浦が意見を言ってそれが採用… だったんじゃないのか?」

 

 そうはっきりと言い切ると苦笑いの海老名と考え込む三浦に

 

 「 成る程ね… つまり比企谷は何か不都合があった時には全部三浦に責任を負わせるつもりだっと思ってるんだね? 」

 

 そう川崎に追求されて

 

 「 そこまで葉山を知ってる訳じゃねえから言わねぇけど言ってみりゃ主犯は三浦だっ! つうくらいには自己保身のために三浦を突き出す位平気でやるだろ、自分が一番可愛い奴だからな」

 

 そう言って表情を歪めると

 

 「 だから責任取る気の無い俺は表舞台から逃げるんだよ 」

 

 と、全く格好の良くない事を得意気にと言うか無駄に格好よく言われて溜め息を吐いたが難しい有言実行よりなにも言わず影から皆を支える八幡が頼もしくその影の功労者を理解し支えたい

 

 そう奉仕部の少女達に思わせていた八幡だからリア充はぜろと思う筆者であった

 

 

 

 

 ③ まがい物は天使の前に散る

 

 

 今日は俺、川崎、三浦の三人で同行した打ち合わせだが予想通りに川崎と三浦の二人に言い寄ってきたが睨まれただけで呆気なく撃沈、乙

 

 まぁわかっていたことなんだが身の程を知れバカがと思いながら席に座り会議が始まるのを待っているとパタパタ足音を立てて接近するものあり

 

 「 はーちゃーんっ! 」

 

 と、言う叫び声と共に腹に鈍い衝撃が走る…

 

 奉仕部の部室ではお馴染みの光景だが、呆気にとられているその他大勢をよそにただ一人

 

 「 は、はーちゃーんだって… 比企谷マジウケる 」 

 

 そう呟いてケラケラ笑っていた折本かおり

 

 そして遅れて現れた川崎がケーちゃんに

 

 「 済まないね、比企谷… ケーちゃん、危ないから止めなさいっていつも言ってるでしょ? 」

 

 そう言われた京華が

 

 「 危なくないよー、ちゃんとはーちゃーんが受け止めてくれるもんっ! 」

 

 そう発言すると川崎と三浦が羨ましそうに見るから

 

 ( 羨ましかったら二人も受け止めてやれば良いだろう? )

 

 そう思ってケーちゃんの頭を撫でていたらいきなり海浜の女子生徒が

 

 「 その子ははーちゃーんさんの妹さんですか? 」

 

 と、言われ面食らっていたが吹き出して笑う三浦が

 

 「 違う、違う、この子の妹だけど… でもまぁ、ヒキオやあーしにとっても可愛い妹みたいなもんかから大差ないか? 」

 

 そう言って川崎を指差す三浦といきなり矛先を向けられ戸惑う川崎に折本が乱入してきた

 

 「 昨日からの参加者なのに名前も聞かない主催者ってマジウケる 」

 

 と、早速爆弾投下する折本に慌てた玉縄一派が慌てて挨拶に来たがすでに後の祭りで総武側の玉縄に対する評価は低く玉縄に対してあまり快く思って無い女子生徒から評価を下げた

 

 それに対して京華のように幼い少女が全幅の信頼を寄せるはーちゃん? 比企谷? と言う男子生徒に対する評価は上がっていったのは当然かも知れなかった

 

 会議が始まるのに際して一応ケーちゃんの椅子も用意されたがケーちゃんが座るのは俺の膝の上に我が物顔で座り…

 

 ( だからいくら羨ましいからって俺をにらんでも仕方ないだろ? )

 

 そう思って川崎と三浦を見返したらナゼか二人揃って溜め息を吐かれ折本はそれを見てケラケラ笑っているし総武の生徒会の面々には生暖かい目で見られているのが解せなかった

 

 会議が始まり川崎が心配していた通にケーちゃんが退屈してきたのが目に見え始めてきたがいきなりの爆弾投下

 

 「 はーちゃん、あの変な人って日本語お話しできないの? なんか変なことばっかり言ってるよ? 」

 

 と、期待通りの発言に

 

 「 だよなぁーっ、ケーちゃんにもちゃんとわかるように話してもらわないとわからないよな?

 

 ケーちゃんは大事なお話ししてる間はいいこにしてられるってお約束守れる子だから話してくれたらわかるになぁ~っ… 」

 

 そう言って玉縄一派に目をやると察しのいい折本も感ずいてくれて

 

 「 私も正直会長が言ってること理解できないんだけどな 」

 

 と、身内に迄言われたのを見て川崎が

 

 「 だね、単に海浜と総武の合同クリスマスならともかく色んな人を集めて開催するんなら自分達だけ納得してる話し合いは止めてほしいもんだね 」

 

 と、いい三浦も

 

 「 何の結論も出せないような駄弁りならアンタらだけそこいらのファミレスでも言ってやれし、時間の無駄 」

 

 と、バッサリ切り捨て

 

 「 で、この責任者不在の会議ごっこをいつまでやるつもりな訳?

 

 俺は今年のクリスマスって聞いてたんだが昨日からの会議を聞いてて今年のクリスマスも終わってないのにもう来年のクリスマスの打ち合わせが始まってるかと思っちまったんたがどうなんだ?

 

 実際に俺がうちの文実やった経験上、上の者が覚悟を持ってやらなきゃまとまるもんもまとまるわけねえだろうがよ?

 

 責任取る気の無い奴が会議を仕切ったって会議が進むわけ無いだろうが 」

 

 と、言うと

 

 はーちゃんが議長やんなよ? で、奉仕部の二人がそのサポート役

 

 総武の枠にとらわれない活動してるんだろ? 勿論、こんな事言って私は知らないとは言えないから私達も応援するからさっ♪ 」

 

 と、折本がぶっ込んできやがったがそのせいで俺のアダ名がはーちゃんに…

 

 頼むからその呼び方はここだけにしてくれと言わずにはいられなかった…

 

 

 

 

 ④ 「はーちゃんと呼ぶなっ!」

 

 と、俺は言いたかったがケーちゃんの通う保育園の園児達を始め先生やママさん達まで俺をはーちゃんと呼びだすのに参っていたんだが…

 

 日々ケーちゃんとふれ合ってるうちにすっかり目の濁りがなくなった俺は園長先生に資格とってうちに来ない?

 

 とか言って誘われているしそれだけの影響を及ぼしたケーちゃんをうちの両親も歓迎して親父なんざ最近邪険に扱われる小町よりも可愛がってるから始末に悪い

 

 頭が痛いといえば更に始末の悪いのがルミルミ呼びの仕返しとばかりに留美迄はーちゃんと呼ぶもんだから小学生達にまではーちゃんが浸透

 

 後はなし崩し的に知らない人まで俺をはーちゃんと呼ぶようになり比企谷八幡と言う名は知らなくともはーちゃんは通じてしまう悲しさ

 

 ちなみに最初は他人事と笑っていた川崎と三浦もさーちゃんゆーちゃんと呼び始めそちらも浸透してしまいそう呼ばれてしまっているが苦笑いするしかない

 

 獄炎の女王の威厳もケーちゃんの前では形無しで図らずも三浦のおかん体質が露呈して小さい子達から慕われてるし川崎は元からケーちゃんの友達からはケーちゃんの優しいお姉さんと言う認識だったからこちらも人気沸騰中

 

 更に追加情報としては雪ノ下さんは俺と被るためはるちゃん、小町はこまちゃんで一色だけは不公平なことにいろはちゃんと普通に呼ばれこの三人は素直に喜んでいる

 

 総武側の出し物の劇は海老名さんが脚本と演出担当(文化祭のようなことはしないようにさんざん釘を刺したの言うまでもない)、川崎に衣装の責任者をまかせ

 

 当日のケーキ作りは一色と鶴見先生に応援要請し家庭科クラブの助けを借り

 

 保育園児の合唱は申し訳ないが園の先生達に丸投げだが代わりに園児達が喜ぶから練習を覗きに来てくれとのことだが顔を出すと必ず肩車をねだられてしまい…

 

 はーちゃんが進化してはーちゃん先生と呼ばれる始末…神よ、アンタは俺をどうしたいと言うのだ?

 

 会議は任せられなかったがさすが会長になっただけはありそのリーダーシップを発揮?して海浜側のメンバーをしっかりまとめてくれ最初の不安を吹き飛ばし大成功に導いた

 

 

 が、その代償として俺と川崎と三浦は大切なナニかを失った気がするが…あえてそこ触れないでほしい

 

 それにその結果は思わぬ副産物と言ってよいのかこれだけの結果を残した俺達の実績は区役所の民生課からも高評価を得て

 

 「次に似たような企画をする際に便宜を図るから遠慮なく頼ってくれ」

 

 と、言ってもらえたのとあちこちの町内会の人達との繋がりも持てたことだろうがそれが雪ノ下ママの目に止まっていたことは未だ知らないことだった

 

 いずれにせよ新学期に学校に行くのが憂鬱でござる

 




と、こんな感じ書き替えてみましたがご意見ご指摘はオブラートに包んで…オブラート苦手でしたからお手柔らかにお願いします

 それでは皆様、ごきげんよう


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やはり俺達のクリスマスパーティーだと思っていたのは間違っていた。

 
 関係者に聞き取り調査したらなにこの意思統一性のなさ
?そう言って鼻で笑いたいレベルであった


 

 

 

 

 小町の企画による比企谷家主催のクリスマスパーティー

 

 参加者

 

 うちの親父…ケーちゃん参加と聞いて徹夜で今日の分まで仕上げての参加

 

 うちの母ちゃん…「お義姉ちゃん候補の皆さんが集まります」

 

と、小町に言われて休みを確保

 

 カマクラ…済まん、猫アレルギーの川崎のため身を引いてくれ

 

 ゲスト、川崎家、三浦家、一色家、鶴見母子、雪ノ下陽乃、戸塚彩加、材木座義輝、城廻めぐり、折本かおり、仲町千佳…

 

 膨れ上がっていく人数を見て勿論すぐに無理なのは判明したので雪ノ下さんが雪ノ下建設の空いている会議室を提供してくれたのでそこで開催になったんだが…

 

 なんでこうなった?

 

 ケーちゃんが左脚に、右脚にルミルミが座って互いに領有権を主張

 

 あぁ、こうやって領土問題が発生するんだな…

 

 そんな感じで現実逃避する俺は間違ってない…はず?

 

 姉の聖戦?を察した川崎家の次男坊は俺の側には近寄らずに小町に甘えたため小町は戦線離脱

 

 その光景に川崎の両親もビックリ

 

 ケーちゃんが俺の脚の上に座ってるのを見て血の涙を流し悔しがる親父を見てざまぁと思いそんな姿を見た母ちゃんに説教されてる親父を生ゴミを見るような目で見る小町

 

 親父、死んだな…

 

 俺の両隣は雪ノ下さん、川崎、三浦に一色が主張しあい海老名さんはどっちでも良いから戸塚君にしてザザムシ君(材木座)は視界から消えてほしいと主張、材木座乙

 

 カラオケにビンゴゲームってなんかスケールがでかくなって…あ…

 

 さっきから老体にムチ打って走り回ってる都築さん乙…つかよく見りゃ雪ノ下さん家のパパさんとママさんまでいるじゃねぇかよっ!

 

 しかもよく見りゃ大人達は名刺交換してるしなんか変に盛り上がってんな

 

 大人社会はよーわからん

 

 が、まぁルミルミ、蒼空、けーちゃんの最年少組が楽しく笑って過ごせるクリスマスって最高じゃね?

 

 俺としちゃこの三人は俺の子じゃねーけど俺が親父になったらあれがしたい、これもしたいって思ってた事の真似事をさせてもらってるんだから感謝の言葉しか浮かばねぇよな?

 

 こいつらの笑顔守りたいって言うのは間違ってないよな?

 

 少なくとも俺は世界を救える大物でもそんな虚言を吐く嘘つきにもなりたくないがせめてこの手の届く範囲の幸せを守るくらいには足掻きたい

 

 そう思ってたら苦渋の表情の母ちゃんと視線があっちまったがお互いに視線をそらしちまった

 

 寒いな…そう思っていたら雪が降ってきていた

 

 しかも結構な勢いで…

 

 よくも悪くもホワイトクリスマスになりそうな予感をさせる雪にパーティーもお開きになりそれぞれの家路を急いだ

 

 そして降りしきる雪を見ながら思った

 

 消せない傷、痛み、過ちが消せないならアンタ(雪)が真っ白に埋め尽くしてなかったことにしてくれ…

 

 俺を縛る過去の傷もろとも上書きして無かった事にしてくれっ!と…

 

 そう思ってたらまた苦渋の表情で俺を見ていたかぁちゃんと視線があっちまったがお互いに視線をそらしちまった

 

 だから俺は溜め息を吐きながら考えた本気で考えた

 

 『俺はいつから家族とすら本気で向き合わなくなったのだろうか?』

 

 と…勿論小町は色々と俺をわかってくれるが俺の心の奥の奥、闇に隠れた本心には気付かない

 

 いや、気づいていてそれ(本心)が嫌いだから黙殺してる風にも感じる

 

 そう感じる根拠は小町は俺に自分が好きな兄を演じろと一方的に押し付けていることだ

 

 無論大抵は俺が悪い…それくらいは自覚あるがそれでもお前だけは他人が理解してくれなくてもお前だけはわかってほしい

 

 そんな時にすら自分の理想を押し付けてくる

 

 そんな家族にナニが言えよう?ナニを期待しろと?

 

 まぁ良い、少なくとも今は満ち足りている

 

 過去を愚痴愚痴言ったってその時の苦痛はその時のモノ

 

 今の俺がその補償に大金貰ったってあの時の俺にはなん慰めにもならないんだからな

 

 



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やはりかわいいは正義っ! は間違っていない。

 
 奉仕部+αで初詣にいきます

 勿論マイナーヒーローの八幡は近所じゃ人気者だから気の休まるときがありませんがそんな八幡の目に前で事件が起こります


やはり可愛いは正義っ!は間違いない。

 

 人混みが苦手俺が初詣になんか行きたく無いがもはや環境が許してくれない

 

 道中俺の手を握っているのはケーちゃんと留美で小町は大志なら許さんが次男の蒼空なんで男ではあっても許そう

 

 ケーちゃんと留美の手を握っている俺は確実にブーメランで返ってくるし親父みたいに俺がケーちゃんと仲が良いのを見て血の涙を流す…

 

 そんな大人にだけはなりたくはないからな

 

 だが… なんでこうなる?

 

 「 あーっ、はーちゃんセンセーだ~っ、ケーちゃんずるいぃ~っ♪ 」

 

 多分ケーちゃんのお友達らしき子が声をあげるとほんとだほんとだとばかりにクリスマスに来てくれた人達が集まって身動きがとれないと言うか今更逃げられない

 

 留美とケーちゃんに引っ張られるように初詣を済ませ…

 

 ん?あのおっさん…

 

 挙動不振なおっさんを見掛けた俺は川崎に留美とケーちゃんを預けステルスヒッキーを駆使しておっさんに接近

 

 そして財布をそっと抜き取った瞬間

 

 「 おっさん、ナニやってんだよ? 」

 

 そう言って財布を持つ手首を掴むとすり取ったばかりのか財布が足元に落ち被害者もそれに気付いて大騒ぎ

 

 後は巡回警備中の警官に詰め所に連行されて一件落着で被害者の財布は容疑者の指紋などついているからと中身を出して証拠品として警官に持っていかれたそうだ…

 

 クレジットカードやキャトシュカードに免許証、果ては保険証って一緒にしてちゃマズイでしょ?

 

 まぁ俺もそれなりに色々聞かれたが最後に

 

 「 どうだい、卒業後の君の進路に警察官と言う選択肢を増やしてみては? 」

 

 そう笑って言って去っていくの彼の姿を見送っていると雪ノ下さん達が近付いてくるのに気付いて

 

 「 待たせて済まなかったな 」

 

 そう言って頭を下げると

 

 「 ナニ言ってんだい? あの被害者の財布の中身を見たんだろ?

 

 あれ知らないうちに持ってかれたら相当にマズイんじやないの? 」

 

 「 あーしもそー思うしさっすがあーしらのヒキオって思うだけしぃー、ね?ケーちゃんっ♪ 」

 

 「 うん、やっぱりはーちゃん格好いい 」

 

 「 八幡格好いい 」

 

 と、留美とケーちゃんにまで言われて照れてると

 

 「 比企谷君の事を格好良いって思ってるのは残念ながら私達だけじゃないんだよねぇ~っ♪

 

 ただでさえ強敵揃いなのにこれ以上ライバルが増えるのは勘弁してほしいんだけどなっ♪ 」

 

 と、黒笑みを浮かべる雪ノ下さんが怖い

 

 「 まぁ冗談はおいといて今回は良いけどどこぞの名探偵みたいにあんまり危険なとこに首は突っ込まないようにね? 心配する私達の為にも 」

 

 そんなことを言われて思わずそのどこぞの名探偵みたいに幼児化した自分の姿を思い浮かべてみた………

 

 ルミルミとクラスメイトとか子供だから働かなくても良いとかって最高じゃね?

 

 思わずそんな事を想像しちまったじゃねぇかよ?

 

 いや、アホな事でした… ルミルミ以外の視線がマジ怖いっ!

 

 って思ってたら

 

 「 八幡がクラスメイトになるのも悪くないね?(そしたら当面のライバルは京華だけになるんたから )」

 

 等と恐ろしいことをさらっと考えていたルミルミの青春ラブコメ化計画は間違っているのか?



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奉仕部のバレンタイン


 海浜の玉縄の提案により『 男子もチョコ作り女子贈るべきだ 』 と言う主旨のイベントを行う八幡は、このイベントを利用することを考えました



 それは一月末の寒い日の事だった

 

 (全く…朝っぱらからリア充共がウェイウェイうるせぇんだよ

 

 葉山ならともかくてめえ等がチョコをもらえるわけねぇだろ?

 

 はぁ?人の事いえんかってか?

 

 わりぃな、俺はちゃんと義理チョコ貰えるあてはあるんだよっ!

 

 って義理チョコかよ…

 

 まぁ俺的に小町とけーちゃんがくれりゃ後はどうでも良いんだからな…はぜろリア充っ!)

 

 そんな事を思っていた俺がバレンタインの手作りチョコを女子に贈る事になろうとはこの時の俺は夢にも思ってもいなかった

 

 

 入試目前の最後の追い込み中の小町と大志を呼び出し大した依頼もなく暇な俺達は二人の受験勉強を見ていた

 

 理数系を川崎、文系を俺と言った役割分担で…

 

 そんな空気なので三浦は

 

 「 ここに来て留年してヒキオやサキと一緒に卒業できないのはヤだし 」

 

 と、言い一色も

 

 「 ですね、小町ちゃんは好きですけど同級生になるのはいただけませんね… 先輩、私の勉強も一緒に見てくださいよ 」

 

 と、言い三浦からも

 

 「 あーしらと勉強会しろしっ! 」 

 

 と、言われ川崎からも

 

 「 優美子と姫菜にゃけーちゃんも世話になってるしね 」

 

 そう言われた八幡も溜め息を吐き

 

 「 だな、俺も理数系に関しては余裕があるとは言えねぇからな 」

 

 そんな奉仕部に二つの依頼?が舞い込んだ

 

 一件はクリスマスパーティーでお世話になった家庭科クラブの来年度の存続の危機

 

 以前から噂はあったのだが三年が自由登校になった今本格的な危機的状況に陥っているのだそうだ

 

 

 クリスマスの件世話になってるし家庭科クラブの顧問の鶴見先生には親しくさせてもらってるしな…

 

 そう思いながら頭を悩ませているところにうちの生徒会長と海浜の玉縄が現れて

 

 「 奉仕部にと、言いますか比企谷先輩にお願いします 」

 

 「 バレンタインに行われる海浜、総武の合同イベントの… 」

 

 「「 総監督を引き受けてほしい ( ください ) 」」

 

 そう言われて

 

 「 いや、そう言うのは女性がやった方が良いんじゃないのか? 」

 

 そう言って断ろうとしたら

 

 「 僕はそうは思わないよ? 比企谷君… 知らないのかい? 日本くらいなんだよ、女性が一方的にプレゼントを贈るのはね

 

 それに僕も参加できるならチョコを渡したい女性がいるんだからさ、比企谷君も日頃お世話になってる奉仕部の皆さんに贈ってはどうかな?

 

 それに今の時代、男もただ待ってるだけじゃダメだと思うよ? 」

 

 玉縄の言葉に奉仕部の女子達の視線が俺に突き刺さる

 

 うん、断りたいけど断れない…

 

 ( あ、なんだ… 俺が恥ずかしいのを我慢すりゃ家庭科クラブの案件も一気に片付くんじゃね? )

 

 そう内心思ってたら

 

 「 お兄ちゃん、顔がものすごい事になってる… 気持ちわるいよ? 」

 

 ( 小町ぃ、お兄ちゃんこのまま帰って布団と同化して良い? )

 

 小町の言葉に落ち込む俺に

 

 「 ほら… 八幡しっかりしなよっ! なんか名案が浮かんだんだろ? 」

 

 そう川崎に促された俺は

 

 「 この人は金居さん、うちの家庭科クラブの部長さんだが部員不足で存続の危機に陥っているのだそうだ

 

 玉縄もクリスマスパーティーでうちのブースでケーキ班に居たから見覚えがあるかも知れんがあれだけの実力がありながら廃部は惜しいとは思わないか? 」

 

 そう話すと基本的にはスペックは高い玉縄はすぐに俺が言いたい事がわかり

 

 「 勿論だとも、僕もせっかく贈るなら美味しいものを渡したいからね、是非実務面の協力をしてください 」

 

 と、いきなり玉縄に言われ戸惑っている金居さんに

 

 「 成る程ね、体育系の部活みたい目立つ実績を残せない家庭科クラブがバレンタインイベで活躍すれば新入部員が集まるかもしれないって訳だね?

 

 クリスマスの時みたいに裏方なんかじゃなくってさ 」

 

 そう川崎が補足すると

 

 「 さすが比企谷先輩、細かい内容についてはこれから話し合う予定が大まかな方向性まで打ち立てくれちゃいまして…

 

 それと総監督の件もよろしくお願いします 」

 

 残念ながら忘れてくれなかったから諦めよう

 

 「 まぁ俺がそんなもんなったら女子が集まるのか不安しかないまであるがこちらも家庭科クラブの件を頼む以上俺は知らんとは言えんからな… 」

 

 そう自嘲気味に俺が言うと

 

 「 ナニ言ってるんですか?先輩、稲毛神社でのスリの現行犯逮捕スゴいじゃないですか?

 

 しかも犯人は警察がマークしていたほどの大物だって話じゃないですか? 」

 

 そう言われて

 

 ( そうだよなぁ~っ、あの始業式の校長の騒ぎぶりは見てて帰りたかったくらいだからなぁ~っ… )

 

 が、まぁあの一件が奉仕部の立場と、言うか俺の立場を微妙にした…

 

 今までは黙認されていたい眠りが

 

 「 英雄は模範たれ云々 」

 

 と、言われ寝かせてもらえなくなってしまったのだ

 

 以前の葉山ポジにいる俺にむやみやたらと話し掛けて来る奴は居ないから三浦様様なんだがな

 

 まぁ良い、俺も覚悟を決めるとしよう

 

 

 

 

 

 ②  戸部、再び翔る

 

 

 イベントの数日前、俺はある男を呼び出していた

 

 そいつの落胆ぶりが痛すぎるから鬱陶しいので何とかしてほしいとの教師達からの依頼だ

 

 しかも平塚先生経由で…

 

 何せ現在総武校内で先生は株価は天井知らずの高値をつけているからな… まぁそんな事はどうでも良いんだが呼び出したヤツが来たようだ…

 

 「 今更こんな所呼び出してなんの用だよ?ヒキタニ君… 」

 

 その元々のキャラからは想像つかない憔悴ぶりに呆れた俺は

 

 「 お前、もうすっかり諦めたのか? 」

 

 そう直球で質問をぶつけると

 

 「 諦めたくなくてもあんなんじゃもう諦めるっきゃないしっょ? 」

 

 その力ない言い訳に

 

 「 俺に言わせてもらえば未だお前はフラれていない…良いから黙って聞けっ!

 

 海老名さんは自分の気持ちを無視した告白に腹をたてただけでお前自身は否定していないしそれ以前にそもそもお前はスタートラインにすら立ってねぇじゃねぇかよ?

 

 今すぐは無理でもいつかもう一度真正面から告白してみろよ?

 

 まぁ無責任に結果は保証せんし変な小細工はせんが遊びにいくときにお前を誘ってやるくらいの協力をしてやるが焦らず腰を据えてこのミッションに取り組めるか?相手はてごわいぞ? 」

 

 そう言ってニヤリと笑うと

 

 「 そう… だよな… 無理矢理俺に向けさせるんじゃなくっておれ自身が男を磨いて海老名さんを振り向かせなきゃいけなかったんだよな?

 

 やっとわかったよ、俺のナニがいけなかったのか… 比企谷君、俺もう一度最初からやり直してみるよっ!

 

 フラれるならフラれるできっちりけじめつけなきゃ諦めつかないもんな 」

 

 そう言ってる戸部の表情は明るさを取り戻しつつあったから

 

 「 そこで早速お前に朗報だ、今度海浜との合同イベントするのは知ってるな? 」

 

 そう質問するとやはり男達の認知度は低いらしく内心溜め息を吐きつつ

 

 「 お前、ナニその貰う気の発想はバカじゃねぇの?

 

 今んとこ参加すんのは俺、戸塚、玉縄だけだがそれぞれ日頃お世話になってる女子に贈るために俺達も自分で作るんだよ

 

 さすがに本命チョコは図々しいがこれをきっかけに『 以前のようには難しいだろうけど友達戻ってくださいって言ってみろよ? 』

 

 手助けはできんが声援くらいは送ってやるぞ、どうするよ? 」

 

 そう重ねて聞くと

 

 「 ヤッパ比企谷君はパネェわ… せっかくの比企谷君出してくれたパスを受け取らないわけにはいかないっしょ? やべぇ、まじやべぇーわ比企谷君は~っ♪ 」

 

 そう言って嬉しそうに俺の手を握る戸部に

 

 「 戸部、嬉しいのはわかるが言動に気を付けような?今の俺とお前、お前が望まない形で海老名さん喜ばせてるからな? 」

 

 と、注意したが屋上入り口で様子を伺ってるのは気付いてるんですけどねぇーっ、女子の皆さん?

 

 

 過ちをただすことを憚ることなかれ ~ 奉仕部のバレンタインデー ③

 

 

 ③  バレンタイン当日…

 

 

 ナゼだ、なぜお前がここにいる? お前を呼んだ覚えはないっ!

 

 と、思ったのは俺だけではないらしく女子達も皆さんひいていたし玉縄すら苦笑いを浮かべていた

 

 さすがに来るなとは言わんだろうが…』なんで来たの? 位は思っているようだが心配するな、そう思ってないのは天使のけーちゃんと戸塚に材木座を構ってる余裕ない戸部くらいのものだからな

 

 もっともけーちゃんは材木座なんぞ興味ないし優しい戸塚は…うん、いつものように友達として呼んだんだろうがある意味空気を読まない戸塚らしい…

 

 因みに俺は事前に特訓を受けているから今回の目標であるマカロンは成功率は努力の結果80%になったまである

 

 何でって? 当日の参加者が多い場合指導者が一人でも多いに越したことはねぇじゃねえか、そうだろう

 

 そんな訳だから俺の担当テーブルには当初は戸塚、ルミルミ、けーちゃん、戸部、玉縄、材木座で俺が指導してたのだったんたが

 

 なんや知らんがいつの間にか名も知らん女子達に包囲されていた

 

 いや、俺が一体ナニをしたって言うのだ?ナゼ奉仕部の女子達は俺を睨み戸塚は呆れたと言わんばかりの溜め息をつくのだ?

 

 まぁ悩んでも仕方無いのだから今は自分の果たすべき役割を果たそう

 

 そう思ってチョコ作りと指導に集中する事にした

 

 因みに今回俺が用意したのは戸塚に友チョコ…女子同士がありなら俺達だって有りだよな?友チョコの交換

 

 奉仕部の女子面々に小町とルミルミにけーちゃん、うちのかあちゃんに折本に金居さんっ城廻先輩のに贈った

 

 迷ったのが陽乃さんで本命を渡すのも憚られるが他のみんなと同じで良いのかと?

 

 そう悩みながらガトーショコラに挑戦したらまぁまぁの仕上がりにになり

 

 「 喜んでくれてると良いんだが… 」

 

 そう呟いてラッピングした物を陽乃さんに受け取ってもらった

 

 戸塚は俺への友チョコとお母さん、テニス部の女子達に用意し玉縄は折本にまさかの本命チョコを渡し多いに会場を沸かせたし多くの女性を羨ましがらせた

 

 その様子を見ていた俺は実はめちゃくちゃ罪深い事をしでかしてしまったんでないかと気づいて恐怖していると

 

 「 望めば何でも手にはいる訳じゃないし、チョコだって貰えないべ?

 

 なら貰える奴を羨んで指くわえてみてないで逆に俺の方からチョコ上げるのも有りだって教えてくれたのは比企谷君じゃん?じゃあ覚悟決めて行ってくるわ 」

 

 そう言ってチョコを二つ手に取ると

 

 「 俺の甘えた考えでグループ壊してごめん、簡単に許されるとは思わないけどまた仲間に入れてくれたら嬉しい… かな? 」

 

 そう言って差し出されたチョコを見ながら

 

 「 戸部、答えな… 何であーしが姫菜より先なんよ?理由を言えし 」

 

 そう問い詰められた戸部は

 

 「 あの件で一番迷惑を掛けた三浦さんに謝ってからじゃなきゃ海老名さんに謝る資格ないんじゃないって思ったから… 」 

 

 その答えに頷いてチョコを受け取り

 

 「 戸部、お前の気持ちはわかったけどあーしは八幡ほど優しくないから今度姫菜を困らせたら次はないから覚悟しな

 

 それと、特別に前のように名前呼びを許してやるから八幡に感謝しろし

 

 じゃあ覚悟決めて姫菜に謝ってきな 」

 

 そう言って三浦に背中を押された戸部が

 

 

 「 あの時はごめん、海老名さんの気持ちも考えずに告白を押し付けようとした俺を許してほしい

 

 俺、もっと自分を磨いて比企谷君みたいな良い男目指して海老名さんに振り向いて貰えるようになるから見ててくれるかな? 」

 

 そう言って頭を下げてチョコを差し出すと

 

 「 わかったよ、戸部くん… 私も結論は急がない、勿論先の事は私もわからないけど八君と優美子が許したんだから私も仲間としてなら受け入れるよ 」

 

 そう答えてチョコを受けとると参加者から盛大な拍手を送られて照れる二人

 

 試食用チョコをつまみながらあちこちで女子の皆さんがコイバナで盛り上がってるため小数派の俺達は身の置き所がないんですがね… 特に俺と材木座にとってはな

 

 正直この耐えられない空気のこの場からさっさと逃げ出したいのだが留美とけーちゃんに捕まって逃げるに逃げられない… 一応主催者だしな…

 

 イベントも無事に終わり施設の管理者と区役所に挨拶と関係者にチョコを配って回ると心配してた通りに男性職員の皆さんが女性職員の皆さんに睨まれながら

 

 「 皆さんも少しは比企谷君達を見倣ってくださいね、特に玉縄君は会場で同級生に本命チョコを渡したそうですからねっ! 」

 

 と、言われているのを見て

 

 ( やはりこーなったか… )

 

 と申し訳ない気持ちで一杯だった

 

 

 こうして俺達のバレンタインを無事終えることができかなり好評だったときいてイベントの成功の手応えを感じていた

 

 

  完

 



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やはり俺が安息の日々を求めるのは間違っていないっ!……… よな?

 


 今回は小町の誕生日、ホワイトデー、春休みエピーソードで括ろうかと思ってます

 

 拙い文章ではありますがお付き合いのほどをよろしくお願いします 

 バレンタインのイベント以降土日がなくなっていて社畜人生まっしぐらな日々を送っている俺です

 

 そりゃもうカル○ン猫まっしぐらを上回る勢いでまっしぐらなまである

 

 えっ?何でお前がそんなに忙しいんだよって?

 

 いや、大した理由はないぞ?

 

 誤解が誤解を生んで俺がお菓子作りが得意な男子と間違った情報が広まっちまってあちこちからお呼びが掛かってるんだよ

 

 けーちゃんの保育園とか蒼空が通ってる小学校の学童保育とかな?

 

 後は雪の下家とか川崎家とか三浦家とか一色家とか雪の下家とかからお呼びだし

 

 ご近所の奥様方の集まりに呼ばれたりとかもあったが母ちゃんが苦笑いして頭を下げて来たら断りようがないだろ?

 

 おまけに金居さんと一色の奴が面白がってお菓子作りを俺に仕込むは俺みたいなのがお菓子を作っているのが珍しいのかは知らんが家庭科クラブの部員が一気に増え来年度は勿論再来年度も安泰な感じまでさえある

 

 そして卒業式

 

 お世話になった家庭科クラブの先輩達に感謝の気持ちを込めてクッキーを焼きたいって話を聞いたから

 

 「あー、俺も城廻先輩に渡したいからその代わりに手伝うわぁ~」って話がナゼか全卒業生に贈るって話になりばたばたになって焼いた前日

 

 まぁ家庭科クラブとヘルプに入る奉仕部の活動実績になるから良しとしとくか 

 

 そして今、更に頭が痛いのがバレンタインをやったんだからと言わんばかりのホワイトデーのイベントを期待されているのと個人的には小町にバースデーケーキを充てにされてしまっていることだ

 

 調子にのって小町と大志の入学祝い代わりに一色に習ってマカロンを焼いたのも不味かった

 

 いや、味はそう悪くないと言うかそっちの意味の不味いじゃないぞ?

 

 上手くできなきゃディスられ上手くできたらできたで更なる災厄を招くしかないであろうこの負のスパイラル?

 

 逃げ道はあるのかよ?

 

 ………いや、全く無かった

 

 ただ逃げ場が無いだけじゃなく小町のバースデーパーティー参加人数を聞いて愕然とした

 

 「 今年の誕生日ケーキはお兄ちゃんが焼いてくれるんだよぉ~っ♪ って話したら参加希望者が増えちゃったっ♪ 」

 

 ( いや、増えちゃった~って笑って言うレベルじゃないでしょ? その人数 )

 

 つかそんだけの大人数どうするの?ケーキ、お兄ちゃん一人じゃ賄いきれないよ?

 

 そう思って頭を抱えていたら

 

 「 大丈夫だよ、比企谷君… クリスマスの時の部屋を用意するから任せといてよ?

 

 お礼は又マカロンを焼いて事務室に差し入れてあげてよ、君の焼いたマカロン… かなり好評だったからね 」

 

 そう言って誉めていただけるのは良いんですけど相変わらずナチュラルに人の心を読むのは止めてもらえませかね? 陽乃さんやそれにケーキの問題が解決してないんですがね…

 

 「 八幡、何のためにアタシ等が居るのさ? 」

 

 「 サキのゆーとーり、八幡はもっとあーしらに頼れっ!」

 

 「 そーですよ、先輩… ケーキやおやつはアタシや金居先輩にお任せください、後の料理は川崎先輩が主体に頑張ってくれますからね 」

 

 そう言って皆が笑い掛けてくれていた…

 



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比企谷小町の聖誕祭

 

 三月二日、けーちゃんのお迎えに行ってた川崎と合流して近所のスーパーに向かう俺達だが既にけーちゃんは自分の指定席についている

 俺の肩の上で時々蒼空もしてやるが、そうするとケーちゃんがすねるがこればかりは彼女に我慢してもらうほかない

 

 蒼空がせめて高学年位なら、我慢しろと言うが未だ一年生なんだ仕方無い

 

 俺だって親父にして貰いたいって思ってたんだから蒼空の気持ちはよくわかるからだから無下に断ることもできない

 

 そして俺は超人ハルクとかみたいに二人いっぺんに肩に乗せるとか言う大技は使えんから、一人を乗せるとその間は残った一人には我慢して貰う他はないのだから

 

 そんな訳でトワイライトスクールの蒼空がいない今日は独占しているためすこぶるご機嫌のようで沙希も呆れているし他の皆も苦笑いし

 

 すれ違う通行人は微笑ましい光景に微笑みを浮かべ中には

 

 「○○ちゃんも今度パパがお仕事休みの時にやってもらいましょうねぇーっ♪」

 

 と、言ってるのがどこからか聞こえちょっとだけそのパパさんにすまないと思ったが同情はしない

 

 料理の献立は肉好きの小町の為のメニューを沙紀に頼んであり、必要な食材も書き出してあるからそれに従い買うだけ

 

 ケーキやお菓子の材料の補充品も金居さんと一色が書き出してあるため補充もそれにそってするだけ

 

 買い出しを終えると頃合いを見て都築さんが運転する車で迎えに来た陽乃さんと共に車に向かうと既に乗車していた蒼空が俺達に手を振っているから俺も軽く振って応える

 

 沙希は晩飯の仕度、それ以外の料理班は明日の料理の下拵え、ケーキ班はクッキーやパウンドケーキを焼くことに

 

 因みに小町は明日どうしても仕事から抜けられなかった親父と晩飯を食いに行って、プレゼントを買ってもらってくると聞いている

 

 そして大志は蒼空とけーちゃんの世話担当を任せていたのだが、またしてもいつの間にか現れた雪ノ下ママが二人の面倒を見ててくれてる。どうやら蒼空がいたくお気に召してるらしく川崎に

 

 「今夜はバタバタするでしょうから、貴女さえよければ二人を家に招待して一緒に過ごしたいのですけど」

 

 そう言われて戸惑う沙希に

 

 「未だ私に期待されても困るから一足先に初孫仮体験させてあげてよ。

 

 特に蒼空君は息子を持てなかった母さんには可愛くて仕方無いんじゃないのかな?

 

 だから私からもお願いするよ沙希ちゃん」

 

 そう陽乃さんにまで頭を下げられて

 

 「二人とも、お姉さんのゆーことちゃんと聞くんだよ?良いね」

 

 そう言って用意してあった二人の着替えを都築さんに預けると本当に嬉しそうな顔で二人の手を握り帰っていくのを見ながら都築さんに

 

 「都築さん、二人の事よろしくお願いします」

 

 そう言って頭を下げると都築さんも

 

 「いえいえこちらこそ…あのように少女の頃ような奥様の笑顔を見るのはいつ以来でしょうか?

 

 それに私も比企谷様と同じく天使のお二人に癒される口ですからお世話させていただく機会をいただき喜んでますからお気遣いなく」

 

 そう言って頭を下げると三人を追って部屋を出ていく都築さんを見送り

 

 「俺もだが取り敢えず感謝の気持ちは陽乃さんの誕生日に返そう…

 

 まぁその前に確か一色が四月だったがな?」

 

 俺がそう聞くと

 

 「戸塚君と私は五月だよ」

 

 そう金居さんが声を上げるので

 

 「へーへーわかりましたっ、と…

 

 戸塚の時に二人を頼りにするが一色の時は金居さんが、金居さんの時には一色が力を貸してくれよ。そん時は小町も助けてくれるとは思うがな…」

 

 そんな事を言いながら三年になる来年度はこれまでにないバタバタな一年になるんだろうな…専業主夫の夢が遠退く…

 

 

 翌早朝、作業に取りかかる前の事

 

 「大志と男と男の大事な話がある、すまないが皆は口を挟まないでくれ…」

 

 そう言って大志を真っ直ぐに見据え

 

 「大志、お前は小町をどう思ってる?正直に答えろ…」

 

 俺に今までにない真剣な表情で問われた対し最初こそうつむいていたが真っ直ぐに見返して

 

 「比企谷さんと仲良くなりたい、お付き合いして大人になったときにお互いがその気なら結婚だってしたいっす」

 

 そうはっきりと答えたから俺もはっきりと言ってやる事にした

 

 「覚悟しろよ、大志…うちの親父は小町の兄である息子の俺にまで妬きもちをやく男だ、生半可な気持ちじゃ小町との交際は認めてもらえんぞ?

 

 ましてや結婚なんざ生半可な覚悟で乗り越えられる道程じゃねえって事だ

 

 だから今お前にいってやれることがあるとしたらまずは小町に惚れさせろ、俺もお前にならって思える男になりゃ母ちゃんはちゃんと見てくれる

 

 だから男を磨け…でかい人間目指してな、それでも親父がごちゃごちゃゆーようのなら俺が一発言ってやる」

 

 皆が息を飲むのを感じなから

 

 「こいつは雪ノ下家以外の大抵の家に言えるんだが…

 

 親父、てめえだって惚れた女を女の両親から奪っといていざ自分が奪われる立場になったからって小町の結婚に反対するたぁ一体どーゆー了見だっ!とな?」

 

 そう言ってニヤリと笑ってみせると陽乃さん以外がポカンとするなかその陽乃さんが

 

 「な、なるほど…それは確かに婿養子の家は例外派だね…

 

 しかも私か雪乃ちゃんのどちらかも婿養子を迎えるんだろうから尚更ね」

 

 そう言ってお腹を抱えて笑っているが気を取り直した優美子が

 

 「なら大志…アンタはついてる、すぐそばに目標にできる男がいるんだからソイツの背中を見失わずに追えしっ!」

 

 そう言って軽快に大志の背中をたを叩くと海老名さんも

 

 「なんたって君のお姉さんの惚れた男だからねっ♪」

 

 と、こちらは背筋がぞぞっとするような笑顔を見せて言って来たが取り敢えずは気付かないふり…は彼女には通用しないんだろうな…

 

 「まぁその辺りはよくわからんが今日は俺のサポート任せるし奉仕部に本気で来る気なら先輩としてできるだけの事はするつもりだ、さぁ仕事に取り掛かるぞっ!」

 

 そう言って俺達は仕事を始めることにした…

 

 

 料理を持ってパーティー会場に入った俺は息を飲んだ…すっかり準備が終わってる部屋を見て

 

 隣を見ると忍び笑いをする陽乃さんと目が合い

 

 「小町ちゃんが可愛いのは比企谷君だけじゃないって事」

 

 そう言われて部屋の中を見ると何度か見たことのある小町の友達がいた

 

 「そう、たまたま知り合ったあの子達が私たちも小町の為に何かしたいって言って来たからか以上の飾りつけをしてもらったんだよ」

 

 「はーちゃん、はーちゃん、けーちゃん蒼空も、蒼空も一杯お手伝いしたよっ♪」

 

 「はーちゃん、はーちゃん、けーちゃんもいっぱいいっぱいお手伝いいしたよっ!」

 

 と、笑顔で報告する蒼空とけーちゃんに二人を笑顔で見守る雪ノ下ママと都築さん

 

 「後は料理を並べるだけだから比企谷君は服を着替えて都築と一緒に小町ちゃんのお迎えに行きなさい、場所は都築が知ってるから」

 

 陽乃さんがそう言うと

 

 「比企谷様、ご案内します」

 

 そう言われて別室に行き渡された服は都築さんが着ているものと同じデザインの燕尾服…

 

 「…」

 

 驚きのあまり声もでないがパニクってる暇はないから黙って着替える俺

 

 着替え終えると出掛ける前に一応会場に顔を出して声を掛けたがやはり似合ってなかったらしい…

 

 それまでに賑やかな声がしていた会場が一瞬で凍りついたんだからな

 

 って俺っていつの間にそんな高度な冷却系の魔法を身に付けてたの?ははっ、目から汗が…

 

 憂鬱な気持ちのまま小町の迎えにいくと小町までもが凍り付いた…もう泣いていい?泣いて良いよね?

 

 内心涙を流しながらアニメと都築さんを見てえた知識を駆使して

 

 「小町お嬢様、お迎えに上がりました」

 

 何度か目にしている陽乃さんを迎えに来たときの都築さんを真似て小町の執事を演じて小町をエスコートすると小さく頷く都築さんだったが俺はそれに気付けなかった

 

 

 

 二人並んで座る車内で顔真っ赤にして激おこな小町をどう宥めれば良いのかわからない俺は

 

 「小町…そのドレスよく似合ってるな…」

 

 そう声を掛けると

 

 「うん、高そうだから遠慮したんだけど陽乃さんが

 

『もう雪乃ちゃんも着れないサイズだからやっとで番が戻ってきたその子は着てくる人がいて嬉しいんだから気にしなくても良いの』って…」

 

 戸惑いながら答える小町に

 

 「小町、その感謝の気持ちは今の俺達に返せる形で返せば良い

 

 会場に使わせてもらう会議室を管理してる総務には

 

 『比企谷君が焼いたマカロンを差し入れてあげてよっ♪』

 

 って陽乃さんに言われてるし陽乃さんの誕生日には…な?

 

 それにな、本当に良い服ってのは母から娘、姉から妹へと受け継がれるもんなんだ

 

 だから小町は陽乃さんにそのドレスを受け継いでほしいって思ってくれたんだと思うぞ?

 

 なら、今お前のなすべきは遠慮じゃなくその陽乃さんのその思いに応える事

 

 今すぐの事じゃない、上を目指しドレスに負けない女の子になることだ」

 

 そう言って頭を撫でると

 

 「うん、頑張る…」

 

 そう声をつまらせ答えて小町は答えてくれた

 

 

 小町が会場入りしどよめく声を聞いて俺は思った

 

 (今日のこの小町の姿を生で見られない親父ざまぁっ!)と…

 

 マジ良い気味だと思いなから

 

 「 大志、本気ならいつまでもこのポジを俺にとられてるんじゃねぇゾッ! 」

 

 そう発破を掛けてやったら会場のみんなから笑われてやがった…しっかりしろ、大志

 

 いわゆるところのお誕生日席に案内すると驚き一杯に見開いてケーキと俺の顔を見比べている

 

 俺達は誰一人として本職のケーキ職人じゃないし料理モノの登場人物達みたいなすごい技を持ってるわけでもない

 

 だから俺達は俺達にできることをした

 

 チョコクリームで小町のにがお絵描き背景は色とりどりのクリームで少女漫画の主人公よろしく花々を背負っている

 

 出来映えを知らせてないケーキ班以外の面々も驚いて目を見張って写メっているがこのケーキが更なる騒動の元になるのまた別のはなし

 

 だがなぜ俺にカメラを向ける? 新たな苛めか? 写メと一緒に似合ってねーとかとか呟くのか? 止めて、ハチマンのライフはとっくにゼロよ?

 

 ろうそくを立て火を点けてバースデーソングを唱和してバースデーパーティーが始まったんだが…

 

小町とのツーショットに始まりいろんな女の子とのツーショットや記念写真を頼まれ俺は仕事がなにもできない事態になってしまった…済まん皆…

 

 一応皆には謝っておいたがなぜか苦笑いされた

 

 因みに俺が小町に用意したプレゼントはバースデーケーキとは別にプリン好きの小町のために作った特製のカスタードケーキ…

 

 が、少々作りすぎたらしく

 

 「お兄ちゃん、さすがにこれは作りすぎだよ…だから激オコの小町は執事のお兄ちゃんに命じます

 

 ただ今から執事のお兄ちゃんは希望するお嬢様にアーンのサービスをして差し上げること

 

 ただしお兄ちゃんに食べさせるのはなしね順番取りが凄惨な事になるからまずは…

 

 都築さんから見たら陽乃さんのお母さんは当主になった今でもお嬢様…なんでしょ?」

 

 そう聞かれた都築さんが

 

 「はい、小町様のおっしゃる通り口にこそ出しませんが先代からお仕えする私には今でもお嬢様でございますとも」

 

 そう答えると声をつまらせる雪ノ下ママを見てうんうんと頷くと

 

 「じゃあ一番最初は陽乃さんのお母さんでけーちゃんに男の子だけど蒼空くんに戸塚さんで後の皆はじゃんけん頑張ってくださいねっ♪」

 

 そう小町が言ったとたん会場内にスゴい殺気が…

  

 ナニこれ?俺生きて帰れるの?めちゃくちゃ怖いんですけど…

 

 怯えつつ雪ノ下ママ、けーちゃんに蒼空、互いに顔を真っ赤期して戸塚にアーンしたとんに誰とは言わんが真っ赤な噴水?を吹き上げ沙希と優美子が大騒ぎした

 

 結局俺はパーティーが終わるまで休む間もなくずっとそれをやらされていた

 

 まぁ小町が終始ご機嫌だったからそれはそれで由としよう…と、言うかそう思って諦めるしかないな…

 

 参加者も喜んでくれてたみたいだし

 

 

 こうしてまたひとつ新たな伝説を打ち立てた俺はプロデーサーとしての地位を確立…なわけねえな

 

 今夜くらいははよ寝よ

 



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インターバル

 

 

 誕生日の翌日

 

 

 陽乃さんの部屋に集合した小町聖誕祭のスタッフを集めての慰労会

 

 沙希には悪いが埋め合わせに今度けーちゃんと蒼空をつれて来週の土曜日に一緒に水族館にいくと二人の前で約束して慰労会の料理の担当を頼んだ

 

 因みにその翌日はホワイトデーのイベント開催日

 

 最初は色々と不満を言っていたが

 

 「 大志、親父さんとお袋さんってこの時期年度末でこの時期忙しいんだろ? 」

 

 そう声を掛けると

 

 「 そうっすね、姉ちゃんや俺も出掛けた記憶無いっすね 」

 

 そう答えるのを聞いて

 

 「 ここ最近色々我慢させてるからな、二人にも… それでも良い子にしてる二人にご褒美があっても良いんじゃねえかと思うんだがな?そう思ったんだが… 」

 

 俺がそう言うとやっと納得してくれたんだが…えっ?陽乃さんが大人しいんじゃないかって?

 

 今日の場所提供の代わりに16日に放課後ショッピングのお供する約束してるから余裕なんだよ

 

 因みにその翌日は色々お世話になってる雪ノ下ママ改めママノ下さんのお供をする約束になってる

 

 勿論その翌日は城廻先輩の合格祝いの食事に招待されているので既に塞がってる

 

 

 

 月曜日、特に何事もなく一日が終わり放課後になり部室にいくとナゼか黒笑みを浮かべた陽乃さんが待っていて

 

 「 比企谷君、校長の許可を貰って奉仕部男子のユニフォームに採用されたから早速着替えてっ♪ 」

 

 

そう言って陽乃さんに渡された服は一昨日着たばかりの燕尾服で逆らっても無駄なのは既に刷り込み済

 

 服を着替え終えると、今度はティーポットとカップに ( 俺が昨日焼いた ) クッキーを添えたものを渡され

 

 「 談話室のお客様にお出ししてきて 」

 

 そう言われて、渋々談話室に向かう俺

 

 勿論授業が終わって未だそれほど時間がたってる訳じゃないから悪目立ちする俺がティーセットを持って談話室に

 

 すると驚いた事に、ママノ下さん始めPTAの皆さんが集まってらして

 

 「 彼が噂の比企谷君です、未だ未知数ではありますがうちの筆頭執事が後継者にしたいと言わしめる機転が利き尚且つスマートな身のこなしのできる若者です 」

 

 そうママの下さんにそう言われて

 

 「 ? 」

 

 と、思っていたら

 

 「 紅茶も美味しく淹れられ美味しいクッキーも焼ける男の子… 」

 

 この人は確かPTAの会長さんだったか?その人にそう言われてくすぐったい俺は

 

 「 紅茶もクッキーも詳しい友人に習っただけで別に俺の手柄と言うわけでは… 」

 

 そう言い訳する俺に

 

 「 貴方のご両親にもご両親がいるように貴方の恩師にも恩師がいます

 

 それと同じで貴方に教えてくれた友人にもやはり教えてくださった方が居るはず

 

 ですから貴方は驕らずそういった方達に感謝と敬意を忘れずに紅茶を淹れクッキーも焼けば良いのではありませんか?」

 

 そう諭すように言われて

 

 「まぁそうですね、今まではそこまで明確に意識はしてませんでしたけどこれからはそう意識する事にします」

 

 そう俺が答えると校長が

 

 「ご苦労様、来年はいよいよ君も大学受験だが更なる活躍を期待してるから頑張りたまえ」い

 

 そう言われて談話室から退出したが

 

 なんか恐ろしい、マジ恐ろしい、まるで猛獣の檻にでも迷い込んだらこんな気分を味わうんじゃないかってくらいに睨まれてるんですが…

 

 俺皆さんを怒らせるような事なんかしましたっけ?

 

 いや、あれ、茶道同好会?フラワーアレンジ愛好会?美術部?カラオケ同好会は大学のサークル… え? 非公式だから問題ない? は? 隣人部? そんな部聞いたことないですよ?

 

 はい、字面でもおわかりいただける通に揉みくちゃ状態で部室に戻ることもままならない状態

 

 いっその事部室にではなくお家に帰りたいてござる

 

 

 

 



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雪ノ下母子とデート

 初日は陽ノンと放課後デートで次の日はママノンと観劇デートですが役者や演出に若干触れていますからわかる方もいるかと思います   


 

 

  ①  比企谷家の流行り

 

 

 小町の誕生日後比企谷家では俺の執事ごっこが流行っていて何だかんだと言っては家族の会話も増え家族の団らんという状態が生まれつつあった

 

 そして受験の終わった小町はともかく俺までもが比企谷家の味…

 

 母ちゃんに料理をいわゆるところのお袋の味を仕込まれている事態になってしまい

 

 「専業主夫目指すなら当然の事」

 

 そう言われて反論は許されず朝食の仕度弁当作りをしている、自作の弁当持参で通う為に…

 

 しかも親父と母ちゃんに学校の無い=給食の無い小町の分も用意してるがその分小遣いに反映されるため頑張っている

 

 部活は奉仕部に皆が集まること減ったがそれぞれに他の部活の応援に奔走している

 

 沙希と一色は主に家庭科クラブ、優美子はテニス部と言った感じで俺は日替わりでクラブ、同好会を回っている

 

 そして金曜日、ららぽで陽乃さんと待ち合わせ

 

 うん、相変わらず目立つ人だ…いや、そんな大きな声で呼ばないでくださいよ?難聴系の主人公じゃないんですから…

 

 ほら、陽乃さんみたいに綺麗な人が呼んでるのが俺みたいに冴え無い奴だからがっかりした女性の皆さんが俺を見て顔を真っ赤にして怒ってらっしゃるじゃないですか…

 

 まぁなれたくなくてもなりされてきてますけどね

 

 「お待たせしたようですいません」

 

 そう言って頭を下げる俺の右腕を抱き込み

 

 「悪いと思うなら今日の残りの時間くらいこの腕を私に預けなさいよっ♪」

 

 そう言って俺の腕を抱き込む腕に力を入れるもんだから陽乃さんの愛と勇気の印につつまれてヤバいぞ俺の理性が…

 

 そう理性と悩める性少年の煩悩が格闘していると

 

 「今度はうちのキャンパスにも遊びに来てよ?君に会わせろって煩くて参ってるんだよねぇ~っ♪」

 

 そう目が笑ってない笑顔が怖いので勘弁してもらえませんかね?ホント勘弁してくださいよ

 

 そう思って溜め息を吐きなから

 

 「良いですよ?今の俺にはいつでもととは言えなくなってるのはご承知の通に小町が仕切ってますからね

 

 一応俺の方からも開けておくように言っておきますが陽乃さんの方から都合の良い日を打診しておくのも有りだと思いますよ?」

 

 そんな事を話ながら最初に訪れたのは

 

 「紳士服売り場って…俺それほど持ち合わせ有りませんよ?って陽乃さんの聞いてますかぁ~っ……」

 

 心配して俺が聞くと

 

 「そんな事比企谷君が心配しなくても大丈夫だよぉ~っ、明日の観劇デートは憧れてた息子との観劇したいって夢を疑似体験させてあげてよ?」

 

 そう言われて

 

 「それとこれとは「別の話なんかじゃないよ、八幡…体裁を言うなら総武の制服なら十分フォーマルウェアの役を果たせるけど…

 

 雪ノ下夢乃の息子役には今一つ物足りない…

 

 って事でお母さんのわがままに付き合ってあげてよ、息子だって着飾らせてみたいんだってさ

 

 八幡もたまにはお母さんの前でシャキッとした格好してみたら?きっと喜んでからさっ♪」」

 

 そう言われてもあまり納得する事は

できなかったがそういうものだと考える事にした

 

 

 

 ②  迷子

 

 

 俺と陽乃さんは服の裾直しをしている間時間潰しにお茶でもって事になり二人で歩いていると

 

 「…陽乃さん、どう見てもあの女の子…迷子ですよね?」

 

 そう話す俺達の視線の先に居る赤い髪の少女

 

 「そうみたいね…外国人だからって避けられてるみたいだね…」

 

 そう話してる間に少女の目に涙が溜まり今にもこぼれ落ちそうになっているのが見えて放っておけなくなり

 

 「ちょっと行ってきます」

 

 そう言って少女に近付き少女の目線で大丈夫かと英語で話しかけると

 

 「私、白井杏子…日本人だよ、ママは違うけど…ママだってちゃんと日本語お話しできるのに…」

 

 そう言われてよく見てみると

 

 (成る程ハーフか…)

 

 陽乃さんもそう思ったらしい

 

 「お父さんとお母さんはどうした?」

 

 俺がそう聞くと悲しそうな顔をして

 

 「ママは病院、パパはつきそいだから私は浜河内のおじさんとこに遊びに来ててお兄ちゃん達と遊び来たんだけど…」

 

 そう言って涙ぐむ少女の頭を撫でると最初は驚いた顔をしたがすぐに嬉しそうな顔をしたが俺は違うことを考えていた

 

 「あ…○○の浜河内さんの事か?元網元の…」

 

 そう俺が問い掛けると少女は頷いて

 

 「ペンションやってる人」

 

 そう言われてあっさり連絡先があっさりわかった…正確には親父が知っているのだが

 

 そう思ってスマホを取りだし親父に電話している不安そうな顔をする少女に

 

 「安心しろ、連絡取れる目処がついたからもう少しだけ待ってろ…

 

 あ、親父…仕事中悪いんだが○○の浜河内さんの知り合いの白井杏子ちゃんって娘がはぐれててな…ああ頼む、俺の番号に連絡してくれれば良い、わかった」

 

 そう言ってスマホを閉じ

 

 「杏子ちゃんって比企谷って変わった名前のおじちゃん知ってるか?」

 

 そう俺が聞くと少し考えてから

 

 「うん、知ってる…おじさんのお友達の面白いおじちゃん」

 

 と、言うのを聞いて親父…なにやってるんだよ?と、思いつつ

 

 「そうか、その面白いおじちゃんは俺の親父で親父も杏子ちゃんの事を知ってたから今、浜河内さんの所に連絡してるから俺達と一緒にお迎え待てるか?…」

 

 俺がそう聞くと

 

 「一人じゃないなら…お兄さんとお姉さんが一緒なら…」

 

 そうはっきりと答えたから

 

 「わかった、ならここでぼーっとしてても仕方ないからフードコートでジュースでも飲んで待ってるか?」

 

 そう話し掛けると再び悲しそうな顔をして首を横に降り

 

 「ジュース飲んだら帰りの電車賃が足りなくなっちゃう…」

 

 そんな悲しいことを言うから

 

 「俺にはな、お前よりはずと大きいけど妹が居るし仲の良い友達の弟と妹はお前とそんなに変わらないくらいなんだ

 

 だからお前がそうやって悲しそうな顔をしてると幼い頃の妹やその子らが悲しそうな顔をしてる気分になるからそんなのは千葉のお兄ちゃんの名折れ、妹は妹らしくお兄ちゃんに格好つけさせろよな?」

 

 そう俺が言うと嬉しそうに

 

 「お兄さんは格好つけなくても十分格好良いよ、ねっお姉さんっ♪」

 

 そう言ってやっと明るい笑顔を見せてくれた

 

 それからしばらくして浜河内さんが迎えに来て連れられていったが去り際に陽乃さんの耳元にナニかポショポショ言ったかと思ったら陽乃さんの顔が真っ赤に染まっていた

 

 手を降りながら去っていく少女を見送り

 

 「あの子、陽乃さんに一体なんと言ったんですか?」

 

 と、それが地雷とも知らずに聞いてしまったら

 

 「お二人の式には呼んでね?私がお姉さんの後ろでベールを持つからって…」

 

 そう言われて俺も自分が真っ赤に染まっている自覚があったが

 

 「つっ…」

 

 と、言葉がでなかった

 

 

 

 

 

 ③  雪ノ下本宅 

 

 

 

 その夜ある意味陽のさんにお持ち帰りされた俺は雪ノ下の客間に泊まることになった

 

 ママノ下さんが明日は朝から付き合って欲しいからだそうで家にも既に外泊の事は伝えてあるそうでてっきり食事の後に解散と思っていたら雪ノ下家本宅に案内されビックリしたものだ

 

 翌朝すっかり大人しくなった雪ノ下も含めて雪ノ下家ノ皆さんとの朝食

 

 すっかり静かになって落ち着いた由比ヶ浜は給仕として居合わせているがその姿に馴染めない俺的には落ち着かなかった

 

 なんにしろ最近めっきり接触の無くなった二人の変化に驚く程だった

 

 朝食後、早速昨日買ってもらったスーツに着替えると向かった先は意外や意外だがちょっと考えると当たり前の事なのだが建設中のホテル

 

 つまり雪ノ下建設の現場の視察に来たわけだが勿論こんなところに来たのは初めてだから不思議な感じがした

 

 完成予定図と現状をしきりに見比べる俺を勘違いした現場責任者が不快そうに

 

 「何か問題でも有るのでしょうか?」

 

 そう聞かれて

 

 「そんなのは素人の俺がわかるはず無いじゃないですか?ただその…何と言えば良いのか…そう、とても不思議な気分なんですよ」

 

 そう何とか言葉にすると俺の多分予想外に感じたんだろう

 

 「不思議…ですか?」

 

 そう聞き返してきたから

 

 「えぇ、不思議ですね…今は何も無いこの空間がこうなるって思ったらなんか魔法みたいだな…

 

 そんなことを想像したらなんかとても不思議な気持ちになったと言うか…なんか変ですよ?自分で言っててなんなんですが…」

 

 パンフレットの完成予定図と未だ内装工事の始まってない屋内を見比べながら俺がそう言うと

 

 「その話を聞いたらデザインを手掛けた者も喜ぶでしょう…

 

 成る程、わざわざ奥様が現場の視察にお連れするだけの事のある青年だ…」

 

 と、ナゼか変なことを言ったのに気に入られてしまった

 

 お昼は早めに取ることになり移動中の道すがらにある小料理屋と言った佇まいの店でどうやらママノ下さんは顔馴染みらしい

 

 昼御膳と言う日替わりランチを頼みママノ下さんと談笑…主に部活の話をしていると店の女将らしき人が現れ

 

 「今日は珍しくお連れが居るんですね?」

 

 そう話し掛けると

 

 「料理を楽しみたい時は一人か気心の知れた者とでなければ楽しむどころの話ではありませんからね

 

 この青年は現在外堀を埋め娘婿になってもらおうと画策中の男性で勿論娘とも親しいので無理矢理ではありませんよ?」

 

 そんなぶっとんだ紹介をされ焦っていると

 

 「うちの倅もそれくらいの覚悟があれば良いんですけどねぇ~っ♪」

 

 そう辛うじて聞き取れた言葉に首を捻りつつ

 

 (まぁたまたま聞こえてしまっただけで俺に聞かせるつもりの無い呟きを立ち入って聞くのも失礼に当たるし俺に何かできるわけでも無いのだからな)

 

 

 

 

 

 ④  歌舞伎の世界へようこそ

 

 

 新橋演舞場…歌舞伎か?

 

 ママノ下さんに誘われなきゃ一生涯縁がなくても何ら不思議じゃない世界だな

 

 肘おきに肘を置いてパンフレットを開いてみたが勿論よくわからない

 

 主演の五人が若手で…なんだよ、皆高校生じゃねぇかよ?なら名前知らなくても…あ、こいつだけは微かに見覚えがある

 

 小町が読んでる偏差値の低そうな雑誌の表紙に顔が写ってたのを見た覚えがある…へえ、歌舞伎役者だったんだ

 

 演目は白浪五人男…何だよ、あの演出…おーすげっ!スーパーヒーロー戦隊みたいでマジに格好いいな…

 

 弁天小僧役をやってる役者さんも戸塚に負けてない可愛さだな…小悪魔的な…一色を思い浮かべるな

 

 …歌舞伎って古くさいとか堅苦しいとかイメージあるから縁の無いもんだとばかり思ってたけど………

 

 観劇料が高いからやはり俺には縁が有るとは思えんな

 

 それに役者さんて確か梨園の御曹子って呼ばれてる連中…

 

 改めてメインの五人の顔ぶれを見てはぜろリア充っ!と、思ってしまったのは不可抗力だ、俺が悪いんじゃない不平等な世界が悪いのだ

 

 ただその…どうやらあの一見なんの苦労も知らなさそなボンボン達って思った彼等も部外者の俺にはわからない苦労があったらしい

 

 かつての雪ノ下が雪ノ下家に抗っていたように旧家名家の嫡男に生まれ育った彼等のプレッシャーは俺なんかにはとてもじゃないが想像もつかない…そんなものがあるらしい

 

 そんな事を女形の役者さんのファンらしき人達が話してるのを聞いて改めて俺も人の事を批難しておきながら人の上っ面しか見れていないんだって気付かされた

 

 イヤ、ここは素直に今気付けて喜ぶべき事なんだろうな…

 

 歌舞伎…か…縁が有ったら又観に来たいな、あのカワイイ女形の役者さんの舞台を観に…あとのリア(イケメン御曹子)充四人はどうでもいいがな

 

 観劇の後食事の席で舞台の感想を聞かれ素直に感じたままを身ぶり手振りで話した

 

 ちょっと目を向ければ俺が知らない、気づけなかったことがすぐそばに有ることに気付いた事を改めて思い知らされた事も

 

 規模は違っても母校の文実に海浜との二つの合同イベントに絡んできた経験で思った事がある

 

 あの五人は自分達を輝かせるために舞台裏で汗を流す人達が居ることを…

 

 そしてこう言うのを温故知新ってゆーんだろうなとかあの舞台の雰囲気ならけーちゃんや蒼空が舞台に興奮して騒いでも煩くは言わないだろうな

 

 勿論ちゃんと場面を選ばなきゃだろうが実際あの五人が勢揃いの場面は俺も燃えたし小さい子達も興奮してたからな

 

 都築さんが運転する車の中で今日一日経験した事を思い出しながら微睡む俺だった

 

 

 

 

 

 



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編集中

 

 

 誕生日の翌日

 

 

 陽乃さんの部屋に集合した小町聖誕祭のスタッフを集めての慰労会

 

 沙希には悪いが埋め合わせに今度けーちゃんと蒼空をつれて来週の土曜日に一緒に水族館にいくと二人の前で約束して慰労会の料理の担当を頼んだ

 

 因みにその翌日はホワイトデーのイベント開催日

 

 最初は色々と不満を言っていたが

 

 「 大志、親父さんとお袋さんってこの時期年度末でこの時期忙しいんだろ? 」

 

 そう声を掛けると

 

 「 そうっすね、姉ちゃんや俺も出掛けた記憶無いっすね 」

 

 そう答えるのを聞いて

 

 「 ここ最近色々我慢させてるからな、二人にも… それでも良い子にしてる二人にご褒美があっても良いんじゃねえかと思うんだがな?そう思ったんだが… 」

 

 俺がそう言うとやっと納得してくれたんだが…えっ?陽乃さんが大人しいんじゃないかって?

 

 今日の場所提供の代わりに16日に放課後ショッピングのお供する約束してるから余裕なんだよ

 

 因みにその翌日は色々お世話になってる雪ノ下ママ改めママノ下さんのお供をする約束になってる

 

 勿論その翌日は城廻先輩の合格祝いの食事に招待されているので既に塞がってる

 

 

 

 月曜日、特に何事もなく一日が終わり放課後になり部室にいくとナゼか黒笑みを浮かべた陽乃さんが待っていて

 

 「 比企谷君、校長の許可を貰って奉仕部男子のユニフォームに採用されたから早速着替えてっ♪ 」

 

 

そう言って陽乃さんに渡された服は一昨日着たばかりの燕尾服で逆らっても無駄なのは既に刷り込み済

 

 服を着替え終えると、今度はティーポットとカップに ( 俺が昨日焼いた ) クッキーを添えたものを渡され

 

 「 談話室のお客様にお出ししてきて 」

 

 そう言われて、渋々談話室に向かう俺

 

 勿論授業が終わって未だそれほど時間がたってる訳じゃないから悪目立ちする俺がティーセットを持って談話室に

 

 すると驚いた事に、ママノ下さん始めPTAの皆さんが集まってらして

 

 「 彼が噂の比企谷君です、未だ未知数ではありますがうちの筆頭執事が後継者にしたいと言わしめる機転が利き尚且つスマートな身のこなしのできる若者です 」

 

 そうママの下さんにそう言われて

 

 「 ? 」

 

 と、思っていたら

 

 「 紅茶も美味しく淹れられ美味しいクッキーも焼ける男の子… 」

 

 この人は確かPTAの会長さんだったか?その人にそう言われてくすぐったい俺は

 

 「 紅茶もクッキーも詳しい友人に習っただけで別に俺の手柄と言うわけでは… 」

 

 そう言い訳する俺に

 

 「 貴方のご両親にもご両親がいるように貴方の恩師にも恩師がいます

 

 それと同じで貴方に教えてくれた友人にもやはり教えてくださった方が居るはず

 

 ですから貴方は驕らずそういった方達に感謝と敬意を忘れずに紅茶を淹れクッキーも焼けば良いのではありませんか?」

 

 そう諭すように言われて

 

 「まぁそうですね、今まではそこまで明確に意識はしてませんでしたけどこれからはそう意識する事にします」

 

 そう俺が答えると校長が

 

 「ご苦労様、来年はいよいよ君も大学受験だが更なる活躍を期待してるから頑張りたまえ」い

 

 そう言われて談話室から退出したが

 

 なんか恐ろしい、マジ恐ろしい、まるで猛獣の檻にでも迷い込んだらこんな気分を味わうんじゃないかってくらいに睨まれてるんですが…

 

 俺皆さんを怒らせるような事なんかしましたっけ?

 

 いや、あれ、茶道同好会?フラワーアレンジ愛好会?美術部?カラオケ同好会は大学のサークル… え? 非公式だから問題ない? は? 隣人部? そんな部聞いたことないですよ?

 

 はい、字面でもおわかりいただける通に揉みくちゃ状態で部室に戻ることもままならない状態

 

 いっその事部室にではなくお家に帰りたいてござる

 

 

 

 








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陽乃さんの聖誕祭

 これも初挑戦リアルタイムでキャラの誕生日ネタを書きました

 何せ二次作に手を出し始めて始めて迎えたヒロインの誕生日ですので頑張りましたっ!


 昨日は陽乃さんの誕生日

 

 俺の運命を変えてくれた人で大切な人たちの中の一人で大学生の陽乃さんのため学校の友人達も多数集まり俺達奉仕部も裏方からホストホステス役で協力参加し

 

 けーちゃんと蒼空も部員じゃ無いが癒し担当で多くの人達から愛されてたが一番喜んでいたのはパパノ下さんとママノ下さんだったに違いない

 

 そして明けて今日なんだが誕生日プレゼントは一日俺を貸しきりたいと言われて早朝から出掛けている、陽乃さんの車で

 

 「比企谷君は免許取るのぉ~っ?」

 

 流れる景色をぼんやり眺める俺に陽乃さんのがそう聞いてきたので

 

 「そうですね…こうして外の世界と切り離されパーソナルスペースが確保されることや電車やバスみたいに時間が決められてないのは魅力的ですが…」

 

 「それ以前に家を出たくないんだ…」

 

 「ま、そんなとこですね…車なんか買ったに日は今以上に小町に引っ張り回されるのは目に見えてますし…

 

 そもそも俺がそんな積極的に自分から動くキャラじゃないの陽乃さんもご存知でしょ?

 

 それに何だかんだと言いつつ最近は結構お菓子作りにハマりつつありますしね」

 

 そう言うと声のトーンが明らかに落ちた陽乃さんが

 

 「そうだね、今日だって私が引っ張り回してるわけだしね…」

 

 そう小さな声で言ったのを難聴系の主人公じゃない?俺は聞き逃すはずもなく

 

 「こんな日もたまには悪くないと思いますよ?陽乃さんが誘ってくれなきゃ外出する気もないだろうし…」

 

 そう俺が言うと

 

 「そう言えば今朝は早く起きていそいそとお弁当用意してくれてたものね」

 

 一転して嬉しそうな声の陽乃さんが言うと

 

 「大学に行く様になったらわかりませんが今年はそんな余裕有りませんし…

 

 何より免許の無い今の俺は陽乃さんが疲れても運転を変わることはできませんからね」

 

 そう顔そらしたまま言う俺に

 

 「全く素直じゃないな…八幡は…」

 

 そう言われた俺は勿論

 

 「まぁ、それが俺ですからね?素直な俺なんかもう俺じゃないですから陽乃さんみたいなお姉さんが尻を叩かなきゃ…

 

 って何だよ?それまるっきりうちの両親みたいじゃねえかよ?親父も母ちゃんによく尻を蹴飛ばされて言うこときかされてるよな?」

 

 そうぶつぶつ言ってたら

 

 「あはは、うちも似たようなものだよ

 

 表向きは夫唱婦随の体裁を取ってるけど実質実権を握ってるのはお母さんだしね?」

 

 「夫唱婦随ならぬ婦唱夫随、夫が妻についていくって感じっすか?」

 

 「うんそんな感じかな?でもそんなの今に始まった事じゃないよ?

 

 その証拠がサザエさんのマスオ、サザエ夫婦やマスオの同僚のアナゴ夫婦が良い例じゃないかな?」

 

 そう言われ

 

 「そうですね、実写版でもアナゴさんはしっかり尻に敷かれてましたね」

 

 そう答えると

 

 「八幡もその気質、しっかり受け継いでると思うよ?

 

 夫婦じゃないけど妹の小町ちゃんに頭が完全に上がらないものね、あれは単なるシスコンなだけじゃなくその気質も影響してるんじやないのかな?」

 

 そう言われ思い当たる節がありすぎる俺は話題を変えるために

 

 「この先にパーキングエリアがあるみたいですからそろそろ休憩にしませんか?」

 

 そう誘導してみると

 

 「そうだね、お腹も空いてきたことだし良い頃合いかな?」

 

 そう言って見えてきたパーキングエリアに入るためにウインカーを上げ空いてるスペースに滑り込むと荷物を持って車外に降りると陽乃さんは…

 

 うん、ここではあえて触れまい

 

 戻ってきた晴乃さんはどうやら焼きそばとたい焼きを買ってきたようでそれらと一緒にサンドイッチを食べることにした

 

 陽乃さんのリクエストに応えあーんしあいながら

 

 勿論めちゃくちゃ恥ずかしかったが今日は特別だし周りに居るのは知らない人間ばかりなんだからまぁ良いか?

 

 と、開き直れたし何より陽乃さんが喜んでくれてるから由としよう

 

 

 食べ終わった後、特に目的地のある訳じゃないらしい陽乃さんがうとうとし始めた為俺の膝で休んでもらい冷えたマッカンを飲みながら見守ることにした

 

 小一時間ほど眠っていただろうか?目を覚ました陽乃さんは顔を洗いに行き俺は目覚ましのコーヒーを買いに行き二人で飲みながら待ったりと過ごした

 

 完全に目を覚ました陽乃さんが再びハンドルを握りドライブ再開

 

 しばらく走ると縁結びの神様をまつった神社が在るらしく寄ってみようと言う話になりお詣りすることにした

 

 夏の熱い陽射しが照りつける境内は誰もおらず二人ならんで参拝した

 

 参拝客は居ないが一応社務所が開いており柄にもなく恋愛成就と小町のお土産に家内安全のお守りを買った

 

 神社の前には小さいながらも門前町がありその内の一軒の甘味処に寄り二人であんみつを食べた

 

 それからしばらく散策した後に見晴らしの良い公園を見つけお昼にすることにした

 

 …何か食べてばかりだな?

 

 とは言え今度も小さなおにぎりと唐揚げに玉子焼きを二人でつまむだけだから一回一回の量自体は大した量ではないのだがな

 

 別に特別なことをしてる訳でも贅沢…いや、これはこれで贅沢なのかもな…

 

 特に目的もなく無為に時を過ごすこの一時はかけがえの無い時間かもしれないとそう思えた

 

 帰りも陽乃さんの運転で帰る以上無理は禁物だから早めに帰ることにした

 

 そして俺の家に着き構図的にはかなりおかしいが車から降りる前俺は小さな包みを渡し

 

 「陽乃さんの事が好きです、愛してます…結婚を前提にお付き合い願えませんか?」

 

 そう言って頭を下げ

 

 「今はまだ学生でバイトもしてないからこれで精一杯だけどいつかはきっと…だからよろしくお願いします」

 

 そう告げると陽乃さんは俺に抱き付き

 

 「嬉しいよ…八幡…きっと八幡は自分からは言い出せ無いだろうから私がプロポーズするつるもりだったけど八幡から言ってくれて…

 

 勿論慎んでお受けします」

 

 そう陽乃さんが返事をくれて咳払いで我に返り車外を見ると呆れ顔の母ちゃんとにやにや笑う小町が居て

 

 「仲が佳いのは大変よろしいのですがお兄ちゃん、まだ完全にくらいとは言えないこの時間の自宅前でなにやってるの?」

 

 そう言われもう一度回りを見回すと結構な数のご近所さんが集まっていた…ってマジかよ?

 

 いや、それはいきなりこんな場面を見せられたご近所さん達もマジかよ?

 

 と、言いたいだろうな…

 

 俺もそんな場面に出くわしたら絶対に言ってその後にハゼロリア充と言うまである

 

 ただ幸いなことに皆さんから祝福の声しか聞こえず

 

 「陽乃さんはこのままお兄ちゃんを乗せて陽乃さんのご両親にもご挨拶をさせるべきです」

 

 と、言い出し母ちゃんにも

 

 「吉報を期待してるからね、八幡」

 

 そう言われご近所の皆さんから祝福のと声援を受け俺達は雪の下家に向かうのだった

 

 

fine




 
 ご意見いただいたゆきのん、ユイユイ(この表記は少なくともこのシリーズの本編では使いません)、隼人の続編ですが基本的にキャラ崩壊前提になります

 因みにゆきのんのキャラは…雪ノ下の名に懸けてが口癖なキャラでユイユイは赤い修道服を着たシスターを参考に考えてますがわかる人はわかりますよね?

 隼人に関しては今のところ膨らむ要素が思い浮かばないのであとがきでちょろちょろっと触れるくらいかも?です

 それでは皆様ごきげんよう



いかがでしたでしょうか?陽乃聖誕祭スペシャルは?

 シリーズ連載中の本作がこうなるかはわかりませんがハッピーエンドの内のひとつだとは思っています

 それでは今回も読んで下さった皆様有難うございました 


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海老名さんのバースデー

なのに何故か海老名さんの出番は殆どありません


  今日は一応ダブルデートだ、戸部と姫菜に付き合い俺は…遠い目で振り返り中

 

 「午前中ショッピングして午後からカラオケ予約してあるからそこでパーティーしたいんだと

 

 そうゆー訳だから明日俺のパートナーとして二人のデートに付き合ってほしいんだが…」

 

 (うん、沙希と優美子が睨みあってるよな…懐かしい光景だ)

 

 等と現実逃避してたら

 

 「前回あんただったんだから今回はアタシだろ?」

 

 そう沙希が言って優美子を睨めば

 

 「お互い一回ずつなんだからあんたこそ次ぎいけば良いしっ!」

 

 そう言い返して睨み返す優美子…うん、マジどうしよう?

 

 そう思いながら再び現実逃避してたら

ますます具合の悪い展開になりつつあった

 

 「比企谷アタシと優美子のとっちが良いのかはっきりしなよ」

 

 そう言って睨む紗希と

 

 「あーしの方が良いって沙希にはっきり言ってやれれしっ、八幡っ!」

沙紀

 そう言って俺を睨む優美子だが忘れてませんかね?お二人さん、俺達はあくまでも二人のサポートなんだから誰が良いとか誰はダメとかはないのだがな

 

 そう思いながら何度目かの溜め息が漏れるが仕方ない

 

 「俺は未だぎくしゃくしてる二人のお応援をしたいんだからそれに協力してくれるならどちらでも良い

 

 別に俺のデートに誘ってる訳じゃないんだからな?取り敢えず恨みっこなしのじゃんけんで頼む」

 

 そう言って二人でオハナシアイをさせた結果買ったのは沙希で明日、俺のパートナーとして二人のデートに同行するのは紗希と決まったが

 

 「沙希、オマエなにそんな気合い入ったガッツポーズしてんだよ?

 

 優美子もそんなに泣かなくてもいいだろ?」

 

 俺がうんざりしながらそう考えてたら二人から睨まれた…解せぬ

 

 まぁなんにしろ二人の仲が進展してくれたら良いがこればかりは俺には何ともならんからな

 

 明日の事を思うと溜め息の出る俺だが今からそんなの心配しても仕方あるまい?

 そんなことがあっての今日のダブルデートなんだが待ち合わせ場所は執事喫茶…なんだとっ!

 

 と、そんなことを叫んでも仕方無い事なんだが店に入ったら入ったでさらに問題発生

 

 「イヤー、個室貸し切りは良いんだけどスタッフが足りなくて困ってたんだが君が手伝ってくれるんなら万事OK、早速着替えてくれたまえ」

 

 そう言われて店長らしき男に男にスタッフルームに連れてかれ執事服に着替えさせられた

 

 後から聞いた話だが俺以外は皆知ってる話で紗沙希と優美子も渋々協力させられたそうだ

 

 「あたしの誕生日なんだからそれくらいのわがまま言っても良いでしょ?

 

 それにこの服着た八君をみたいとは思わないの?」

 

 そう言われてスタッフが着ている写真を見せられ協力させられたそうだが…

 

 フロアの客の指名が多くて肝心の海老名さんのパーティーに顔出せねえじゃねぇかよ?

 

 そう思いながら都筑さんを見習いクールに徹する俺だったが

 

 「愚腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐腐…………」

 

 と、言う地の底から響いてくる笑い声に戦慄する俺だった

 

 因みに客からはメアドLINEのIDを聞かれ店長からはしつこくバイトに誘われている




 こんなバースデーSSありでしょうか?


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 誕生日の翌日

 

 陽乃さんの部屋に集合した小町聖誕祭のスタッフを集めての慰労会

 

 沙希には悪いが埋め合わせに今度けーちゃんと蒼空をつれて来週の土曜日に一緒に水族館にいくと二人の前で約束して慰労会の料理の担当を頼んだ

 

 因みにその翌日はホワイトデーのイベント開催日

 

 最初は色々と不満を言っていたが

 

 「 大志、親父さんとお袋さんってこの時期年度末でこの時期忙しいんだろ? 」

 

 そう声を掛けると

 

 「 そうっすね、姉ちゃんや俺も出掛けた記憶無いっすね 」

 

 そう答えるのを聞いて

 

 「 ここ最近色々我慢させてるからな、二人にも… それでも良い子にしてる二人にご褒美があっても良いんじゃねえかと思うんだがな?そう思ったんだが… 」

 

 俺がそう言うと、やっと納得してくれたんだが… えっ? 陽乃さんが大人しいんじゃないかって?

 

 今日の場所提供の代わりに16日に放課後ショッピングのお供する約束してるから余裕なんだよ

 

 因みに、その翌日は色々お世話になってる雪ノ下ママ改めママノ下さんのお供をする約束になってる

 

 勿論その翌日は城廻先輩の合格祝いの食事に招待されているので既に塞がってる

 

 

 

 月曜日、特に何事もなく一日が終わり放課後になり部室にいくとナゼか黒笑みを浮かべた陽乃さんが待っていて

 

 「比企谷君、校長の許可を貰って奉仕部男子のユニフォームに採用されたから早速着替えてっ♪」

 

そう言って陽乃さんに渡された服は一昨日着たばかりの燕尾服で逆らっても無駄なのは既に刷り込み済

 

 服を着替え終えると今度はティーポットとカップに(俺が昨日焼いた)クッキーを添えたものを渡され

 

 「談話室のお客様にお出ししてきて」

 

 そう言われて渋々談話室に向かう俺

 

 勿論授業が終わって未だそれほど時間がたってる訳じゃないから悪目立ちする俺がティーセットを持って談話室に

 

 すると驚いた事にママノ下さん始めPTAの皆さんが集まってらして

 

 「彼が噂の比企谷君です、未だ未知数ではありますがうちの筆頭執事が後継者にしたいと言わしめる機転が利き尚且つスマートな身のこなしのできる若者です」

 

 そうママの下さんにそう言われて

 

 「?」

 

 と、思っていたら

 

 「紅茶も美味しく淹れられ美味しいクッキーも焼ける男の子…」

 

 この人は確かPTAの会長さんだったか?その人にそう言われてくすぐったい俺は

 

 「紅茶もクッキーも詳しい友人に習っただけで別に俺の手柄と言うわけでは…」

 

 そう言い訳する俺に

 

 「貴方のご両親にもご両親がいるように貴方の恩師にも恩師がいます

 

 それと同じで貴方に教えてくれた友人にもやはり教えてくださった方が居るはず

 

 ですから貴方は驕らずそういった方達に感謝と敬意を忘れずに紅茶を淹れクッキーも焼けば良いのではありませんか?」

 

 そう諭すように言われて

 

 「まぁそうですね、今まではそこまで明確に意識はしてませんでしたけどこれからはそう意識する事にします」

 

 そう俺が答えると校長が

 

 「ご苦労様、来年はいよいよ君も大学受験だが更なる活躍を期待してるから頑張りたまえ」い

 

 そう言われて談話室から退出したが

 

 なんか恐ろしい、マジ恐ろしい、まるで猛獣の檻にでも迷い込んだらこんな気分を味わうんじゃないかってくらいに睨まれてるんですが…

 

 俺皆さんを怒らせるような事なんかしましたっけ?

 

 いや、あれ、茶道同好会?フラワーアレンジ愛好会?美術部?カラオケ同好会は大学のサークル…え?非公式だから問題ない?は?隣人部?そんな部聞いたことないですよ?

 

 はい、字面でもおわかりいただける通に揉みくちゃ状態で部室に戻ることもままならない状態

 

 いっその事部室にではなくお家に帰りたいてござる

 

 

 

 



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