ラブライブ!サンシャイン!!×仮面ライダードライブサーガ 仮面ライダーソニック (MasterTree)
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キャラクター・アーカイブ(随時更新)

メインキャラクター達

 

天城 隼斗(てんじょう はやと)/仮面ライダーソニック

イメージCV.梶裕貴

 

年齢 Ep.0開始時中学三年生15〜本編中17に

誕生日 7月20日

 

身長 約161cm

(若干果南よりも背が低い。彼曰くいつか彼女を追い越して頭を撫でたいらしい)

 

容姿 アニメブラック・ブレットより

主人公里見蓮太郎似

 

服装は上が詩島剛と色違いの青いフード付きジャケットに適当なTシャツ、学校の制服の時はYシャツに赤ネクタイで下は黒ズボン。

(私服はスキニーで制服時は制服のズボン)

 

誕生日回以降は、首元に鳥の羽のような形のペンダントをして右手にはシルバーベースに青いクリスタルのついた指輪を嵌めている。

 

なお指輪の位置は親指、中指、(時々薬指)とその時の気分によってコロコロ変わる。

 

 

出身 静岡県 内浦

 

・彼のストーリー

幼い頃は気が弱く度々いじめられては幼馴染である女の子、果南に助けられていた。

それが原因で強い力を持って、人々を守り悪を倒す正義のヒーローに憧れている。

そんな彼が特に心惹かれた憧れの存在こそがテレビで観た詩島剛。仮面ライダーマッハ。

 

天文学者である父と望遠鏡技術者の母の都合でアメリカに引っ越してしばらくが経った時ハーレー博士と出会う。

その時に研究所に招待されて、デスクの上にあったマッハの資料を見つけ彼に自分を助手にするよう頼み込む。

それが、彼が仮面ライダーになるきっかけとなった。

 

そしてマッハ達の後継機として開発したネオホープシステムの仮面ライダー、ソニックを博士と共に作り上げる。

 

その後、アメリカで銀行強盗に遭遇した時に後にAqoursのメンバーとなる鞠莉と出会い、

ソニックに変身して蹴散らし、犠牲者ゼロで人々を守った。

 

 

高校2年生になる春、1人日本に帰国。高海家で居候の身となる。

地元内浦へと帰ってきたが、ロイミュードの復活により彼は仮面ライダーとして1人戦う事になる…………

 

 

性格など

 

一人称は俺。

二人称は お前、アンタ、などその人によって使い分けている。

 

運動神経はもちろんよく、ストリートダンスを得意とする。

成績も学年トップクラス(ただし数学は苦手)

誰にでも優しく、時には厳しく。

アメリカ帰りのせいか、時々英語が混じった喋り方をする。

 

昔、いつも自分を助けてくれた歳上の幼馴染松浦果南は彼にとって家族と同じぐらい大切な存在であり、彼女を傷つける者は誰であろうと容赦無しに叩き潰す嵐そのものとなる。

デッドヒート初使用時の暴走がそれに当たり逃れ得たものは未だいない。

 

また彼はこの歳になってから彼は果南に対し別の感情を抱き始めているようで………?

 

 

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名前 狩夜憐(かりや れん)/仮面ライダースレイヤー

イメージCV.島崎信長

 

年齢 15〜16

誕生日 8月10日

 

身長161cm

 

容姿

SAOシリーズよりアルゴ似で髪色は黒にグレーのメッシュ。目付きは鋭く、色は黄色に近い。

服装は主に黒の皮ジャンに同色のジーンズ。

 

本作における2号ライダーでもう1人の浦の星女学院共学テスト生。

一人称は俺→俺っち

 

両親は共に警察官だったがとあるテロ事件により殉職している。その為静岡に来るまでは幼少期に知り合っていたとある女性に面倒を見てもらっていた。

 

アメリカでハーレー博士にもう1人のライダーとして抜擢されトレーニングを積んだ後、内浦に来る前は正体を隠してライダーとしての力を使い東京都内の夜の街に存在する悪質な店を襲撃しては潰し回っていた少年。

 

 

性格など

 

やってることの横暴さとは裏腹に普段は仲間達の前では年相応に明るく接し、まるで凶気を感じさせないがいざ戦闘になると高い実力を発揮。彼曰く隼斗より力は上。

 

 

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一時 霧香(ひととき きりか)

 

イメージcv.日笠陽子or遠藤綾

 

年齢 ヒミツだ。

誕生日 6月8日

 

身長170cm

 

出身 不明

 

浦の星に化学教師としてやってきた、隼斗と憐、2人の仮面ライダーの協力者。

 

表向きは浦の星女学院の教師。担当は化学。

Aqours達スクールアイドル部の顧問を勤めながら更に隼斗達のサポートや新装備開発などをしている。

 

 

その正体は並行多次元存在論を研究していた若き研究者。

かつては並行世界に関する研究をしており、一度はそれを論文として纏め発表したもののそれを悪用されることを恐れた彼女はそれを全て抹消。

彼女自身も学界から名前や研究データなどを全て消し姿を消していた。

 

その後世界中を回っていたところをハーレー博士に出会い、彼の研究に協力することとなった。

 

見た目はウェーブのかかった緑みのある長い黒髪でスタイルもかなり良さげな方。

服装はyシャツにベスト、ネクタイにそしてパンツスーツと白衣というシンプルな感じである。

教師モードの時は黒のレディーススーツ(下は黒パンツスーツ)に白衣を羽織っている。

 

・性格など

冷静沈着で他人思い。

教師として、仮面ライダー達の協力者として隼斗達の安全を最優先で考えているがデッドヒートⅡのフルバーストシステムやブレイヴのオーバーブレイクシステムなどの少し危険なシステムを普通に作ってしまうというマッドサイエンティストな一面もある。

 

_____________________________________________

 

 

その他サブキャラ

 

天城戒斗

隼斗の父で、世界的に有名な天文学者。

かつて新たな星座であるハヤブサ座を発見しその時の出来事がきっかけで息子に「隼斗」と名付けた。

 

天城美琴

隼斗の母で、天体望遠鏡などの開発に関わっている技術者。隼斗の父戒斗とは仕事を通して知り合い、交友を深めるうちに彼に惹かれ後に結婚。1人息子である隼斗を授かる。

 

ジュリアン・ヘイクス

度近亭心恋さん作の本シリーズ三次創作『彼女は何故模造されたのか』にて登場したブロンドの髪に真紅のドレスを纏った自称 殺し屋。

ロイミュード027と融合し、イミテーション・ロイミュードととして隼斗に襲いかかった。

 

大門桐子

前述したジュリアンと行動を共にしていた謎の女。

艶のある黒髪を切りそろえておかっぱにし、レディーススーツの上から白衣を羽織っている。

 

???

大門、ジュリアンと共謀していた謎の女。

ローブを纏っていたため正体は不明だが、何故か霧香博士の論文を手にしており……?

 

山上辰也

憐が関わりを持っていたヤクザの頭。ロイミュード012と共謀していたと思われる。

 

黒川双葉

度近亭心恋さん作の本シリーズ三次創作『なにが狩人を慟哭させたのか』にて憐と関わりのあった少女。一度は憐に救われたものの、その後不慮の事故で亡くなっている。



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エピソード0 蒼い戦士は何故誕生したのか?
01話 その少年は何故ライダーに憧れるのか?(日常編)


今回からエピソード0という事で、本編での登場の前に
仮面ライダーソニック誕生の秘密ということで数話を書いていこうと思います!それでは本編どうぞ‼︎

※ちなみに、このエピソード0は舞台はアメリカですが普通に日本語で書きますのでご安心を。


「仮面ライダー」

 

この日本に生きる子供なら誰もが知っているであろう、

正義のヒーロー。男の子なら誰もがその雄姿に影響を受け、なりたいと思う者も数多い。

 

この少年も、その1人だからだ………………

普通の人間だった彼の運命は大きく変わる事になる。

ある1人の科学者との出会い、そして、ある1人の

「仮面ライダー」によって………

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

日本の海の向こうの国、アメリカのニューヨーク。

その街にある、とある小さな研究所では………

 

 

『追跡!撲滅!いずれも………マッハ‼︎仮面ライダー……マッハ‼︎‼︎』

『ひとっ走り付き合えよ‼︎』

 

テレビに映っているのは仮面ライダーながら車が愛機の、異色の赤い仮面ライダー、ドライブ。

そしてもう1人は、この国で生まれたとされる白いライダー、仮面ライダーマッハ。日本での彼らの雄姿はアメリカでも大きく報道されていた。

 

「く〜っ‼︎やっぱCoolだぜ!仮面ライダードライブ!そして仮面ライダーマッハ‼︎」

 

そして、テレビを観ている彼の名前は天城隼斗。

親の仕事の都合で、このアメリカのニューヨークで暮らす中学3年生、15歳の青年である。

 

「とは言っても………この活躍がもう見れねぇってのは…ちぃとばかし寂しい気もするなぁ………。」

 

一度世界が大変な事になりかけた、蛮野天十郎、そして、ロイミュードを今テレビに出た仮面ライダー、ドライブ・マッハ。そして、今は亡き第3の仮面ライダー、チェイサーというライダーが倒してから2年程が経っていた。

 

「まぁ仕方ないだろう!コア・ドライビアの力は、クリムの言っていた通り、まだまだ人間には手の余る力だ‼︎だからああなるのも分かる!そうだろう、ハヤト?」

「あ、博士!戻ってたんですか‼︎」

 

ハーレー・ヘンドリクソン博士。ドライブのベルト、

「ベルトさん」ことクリムスタイン・ベルトさんの恩師。

そして、俺にとっての師匠でもある。

アメリカにやってきたばかりの頃、偶然とある町で出会いまだ友達もいなく、一人ぼっちだった俺を何故か研究所に招待してくれた。そこで俺は、博士が仮面ライダーマッハの開発者である事を知った。

 

それを知った俺は博士に必死に頼んで弟子入り。今は助手として、学生をやりながらライダーシステムを……………コアドライビアの平和利用をする為の研究を進めている。

 

 

博士の言う通りどうやらそのライダーに関するシステムはクリム・スタインベルトさんの提案により、

いつか人が正しく力を使える日まで地下深くに封印される事になったらしい。

 

「分かってはいるんだけどなぁ……男の子ってのは、いつの時代も、ヒーローに憧れるもんだからな〜。」

「だからお前さんはわしの研究所の残ったデータを片っ端から集めて必要が無くなった今でも研究を続けているのか……」

「ああ、俺もいつか、小さい頃に憧れた…………人を守るヒーローになりたい。この力を、本当の意味で正しい事に使う為に………その日を、1日でも早く来させる為に、俺は博士の助手になったんだよ!」

 

隼斗は博士に笑顔でそう言った。

 

「全く……ハヤトは一度決めたら聞かんからな……それで今は何をしてるんだ?」

「ええ、今は………」

 

隼斗はそう言うとコンピューターの画面を見せた。そこには新たなライダーの設計図のようなものが映っていた。

 

「新しい……仮面ライダーか?」

「ええ。NEXTシステムとドライブシステムを越えた、次なるシステム、ネオホープシステム。略してNEO-H

(ネオエイチ)システムとでも名付けておこうかなと。」

 

「ネオホープ………新しい希望か……。」

「正解。かつてこの力は絶望になりかけた。いや、なってたか……だからこそ、その絶望をも希望にできるように、こう名付けたんです。」

「見る限りお前さんの遊び心満載だな。ちゃーんと変身者への負担軽減とか、考えてるのか?」

 

 

隼斗はしばらく考える。

 

数秒後…………………

 

「しまった、全くだった……orz」

「やっぱりか!わしが言わなかったらどうしとったんじゃ!」

「か、考えるつもりだったさ‼︎………………多分。」

「多分かい⁉︎」

 

 

これがいつもの俺、天城隼斗の日常みたいなものだ。

このシステムが現実になるのは、まだまだ先みたいだ……

 

次回に続く。

 

 

 




皆さん改めましてどうも!最初だからか余計に雑な終わり方と内容でしたが……どうだったでしょうか?あとハーレー博士っていまいちキャラが掴めない……登場シーン少なかった気がするし……何はともあれ!
それでは次回もお楽しみに感想等お待ちしてます‼︎


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02話 新たな希望の戦士を生み出すのは誰なのか?

みなさんどうもますたーつりーです!エピソード0第2話‼︎
ソニックのアイデアがまとまるまで、をえがく予定です‼︎
それでは本文行ってみよう‼︎



 

これまでのエピソード0!

ナレーション 天城隼斗with博士

 

Hi, everyone! myname is Hayato Tenzyou‼︎

The mysterious aged people who came after I was moving to the United States. The person is what! We were the hero who longs and a developer of the Masked Rider Mach!

 

おいハヤト!これじゃあ読者のみんなが分からないだろ⁉︎

 

えーゴホン。すまない、また英語が……ついつい興奮したりすると喋りすぎちまって……で、ここまでを和訳するとだ。(LINE英語通訳参照)

 

やあみんな!俺の名前は天城隼斗。

(てんじょうはやと)

俺がアメリカに引っ越してきてから出会った謎の老人。その人はなんと!俺が憧れるヒーロー、仮面ライダーマッハの開発者だった!

 

で、話を続けると……

 

俺はその人、ハーレー・ヘンドリクソン博士に必死こいて頼んで弟子入り。今は博士の元で、コアドライビアを平和利用する為に研究を続けているんだ。

ってところまでだな。ここからが本編だ!

 

 

ーーーーーーーーーー

 

で、今何してるかって?それはだな…………

 

 

「グヌヌヌ………!このxがこうなって、だから記号yが、こういう仕組みで………‼︎」

「どうだ?追いついてるか?」

「無理……頭がバーストキュウニデッドヒート……(棒)」

 

隼斗が机に突っ伏す。

 

「この数式を理解できないようじゃ、お前さんの考えてる自分だけの仮面ライダーを作り出すのは当分先になりそうだなぁ……」

「俺は……数式は嫌いだァァァァ‼︎」

 

絶賛勉強中。隼斗がハーレー博士に弟子入りし早くも半年が経とうとしていた6月頃。

 

「性能自体のどんな能力付けるかっていうアイデアは……ポン!ポン!って出てくるのに…それをどうコントロールするかって言うシステム的問題になると急に難しくなって……」

「ハヤト、ちなみに数学のテストはどうだったんだ?」

「オデノデンズゥハボドボドダ‼︎」

「なるほど………重症だな……」

 

ちなみに隼斗の中間テストの数学の点数、28点。

(今現在のうp主はこれよりも高いの取れるぞ!え、中学はどうだったんだって?聞くな……。)

 

「う〜む……なあ隼斗よ、わざわざ新しく全てを作り直す必要はないんじゃあないのか?」

「新しく全てを作り直す必要はない?博士………どういうこっちゃ?」

「つまり、今からお前さんが造ろうとしているライダーを1から全部造るんじゃなく、システムや性能の一部はマッハから流用するのさ!これなら多少は楽だろう?」

「つまり……マッハを一部コピーして、それに俺流の改造を施して新ライダーを作り出す、という事なの?」

「頭の回転が少し早くて助かるよ……。」

 

隼斗は、その手があったか!と言わんばかりに手をポンと叩く。

 

「よーし!博士!研究所に残ってるマッハの…データ……いや、NEXTシステムに関するデータ全部かき集めてくれますか⁉︎」

「やれやれ……任せろ‼︎」

 

 

そして、紙の資料の山、その他諸々がデスクにどっさりと置かれた。

 

「うわぁ……多くね?」

「片っ端から集めてくれと言ったのは、ハヤトだ!ワシに持って来させるのは別に構わないが後片付けはちゃーんと自分でやるんだぞ〜。」

 

そう言って博士は倒れそうになった山を直し、別の部屋に行った。

 

「はいはーい。さてまずは情報の整理からだ。とりあえずまずは戦闘法……かな?」

 

仮面ライダーマッハの基本性能等まとめ

 

ドライブが戦況に応じてタイプやタイヤ、武器などを使い分けて戦うのに対し、マッハは専用銃「ゼンリンシューター」を使用した銃撃戦闘がメイン。

変身などに使用するマッハドライバー炎は、

ドライブドライバーのように意志を持ってはいないがその代わりにAIによる補助機能が装備されている。

 

身軽さを活かした格闘戦も得意としており、ゼンリンシューターをグローブ代わりにした強力なパンチを繰り出すこともできる。劇中ではドライブの背中に攻撃を当てて飛ばすという使い方も見せた。

また、重加速制御装置のリミッターを解除することでロイミュードと同じように重加速現象を引き起こすことも可能である。

更に、ガンマンロイミュード戦では背中からエネルギーを噴射する事で短時間であるが飛行していた。

 

「飛べるの⁉︎それに重加速まで起こせるとは………負担が大きいとはいえなんでもありか…………そして、マッハと言えば、シグナルバイクの能力を使ったシグナル交換か」

 

シグナル交換

ドライブのタイヤ交換とほとんど同じ能力。

シグナルバイクを入れ替えることで右肩のシグナコウリンに標識をイメージしたシンボルマークアビリティクレストが出現、ゼンリンシューターに特殊能力を付加することができる。

それぞれ名称はコウリンシグナル○○のように変化する。

 

 

マガール

シグナルマガールのシグナルバイクでシグナル交換した姿。

弾丸の軌道を自在に曲げることができ、物陰に隠れた相手も攻撃することができる。

 

「何かと役に立ってたよな。弾を曲げられるのは便利便利。」

 

キケーン

シグナルキケーンのシグナルバイクでシグナル交換した姿。

サメと弾丸を合わせたような姿の魔獣を呼び出すことができる。

 

「キケーンってどう見てもマ○オに出る敵キャラの○ラーだよな……。」

 

トマーレ

シグナルトマーレのシグナルバイクでシグナル交換した姿。

STOPマークのような形状の、スタン効果を持った防御壁を打ち出す。

そのほか、ゼンリンシューターのビートマッハーで使用してタイプデッドヒートの暴走を止めた。

 

「デッドヒートの暴走をも止めるってのはいいよな。下手をすりゃ相手を止めて一方的にボコボコにできる。」

 

カクサーン

シグナルカクサーンのシグナルバイクでシグナル交換した姿。

発射した弾丸を任意のタイミングで散弾のように分裂させることができる。

 

「複数の相手とか、ショットガンみたいに近距離で使うのもいいかもな。」

 

そして、一通り資料を読み終えた隼斗は一言。

 

「何かと大変なんだな〜!NEXTシステムはドライブシステムよりも高い性能を持っている。だけどその分、負担も大きいか……。軽減するための方法も考えなくちゃな〜。それにマッハに関しては……」

 

オーバーフローを回避するために、頭部のマスクについているイノベイトバイザーを展開し全身の余剰エネルギーを強制排気することが可能。通常は戦闘後に行われる。

 

「あ〜あれの事か。あれあげたらブシューってなるやつ。てかオーバーフローってなんぞ?」

 

そして、これらの戦闘データ、及び性能に関する情報を集めた隼斗は、早速コンピューターの前に座り設計をし始めた。

 

「えーと使用ベルトはマッハドライバー炎。だとすると、専用のシグナルバイクは欲しいよなぁ。それにマッハと同じようにシグナルバイクを利用した、多彩な能力を使った出来る限りの高速戦闘。となるとスピードと攻撃力重視で開発する必要がありか〜。だとすると防御力がどうしても低くなってしまう……。まあそこはスピードを利用して、回避すりゃ問題はないと思うけど……」

 

こうしてブツブツと独り言を喋りながら設計していく事、実に1、2ヶ月。その途中ゲームをやってたり。

 

「色は青色だな!そんでさっきやってたゲームに出てた、あのキャラみたいにヘッド部分をこんな感じにして………そんならこんな機能も付けたいな!それで必殺技は…。」

 

 

そして、それからまた数週間が過ぎた。その日遂に……!

 

 

「おーいハヤト!調子はどうだ〜?」

 

ハーレー博士が隼斗の様子を見に来た。

が、隼斗はコンピューターをつけたまま寝ていた。

 

「zzz……」

「おーいハヤト?起き……おお!完成したのか‼︎」

 

空のような青色のボディ、両肩に備えられたシグナコウリン。その仮面ライダーは、隼斗によってこう名付けられた。

 

「音速の名を継ぐ仮面ライダー……ソニックか。悪くないんじゃないか?」

 

 

次回に続く。




皆さんどうも!エピソード0の方がなんか書くの疲れるような……ともかく次回もお楽しみに‼︎


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03話 ソニック最初の事件は何故起きたのか?

どうも皆さん!
今回でエピソード0は多分終わる……と思います。
そしてこの話ではAqoursのメンバーの1人が先行登場!

まぁ誰が出るかは海外ってことで予想付くと思いますが…
それでは本編、どうぞ‼︎


 

これまでのエピソード0!

ナレーション 天城隼斗

 

やあみんな!天城隼斗だ。

俺は自分で作り出したNEXTシステムをバージョンアップさせた、NEO-Hシステム(ネオホープシステム)系統の

新しい仮面ライダーを作り出そうとしていた。

 

その仮面ライダーの名はソニック。

どこの青いハリネズミだとか思ったやつ、shut up.

 

それで、システムの開発及びライダー自体の開発を始めて

1年程が経とうとしていた頃………

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれから1年……俺も高校1年か〜。」

 

隼斗がアメリカにやってきて、ハーレー博士と出会い、

助手になってから1年が経とうとしていた。

 

「ライダー自体はほぼ完成に近い。けど…まだまだだな…活動限界はもっともっと延ばせるはず……!」

「ハヤト!今日のトレーニングはここまで!帰っていいぞ!システムの調整はワシがやっておく!」

「あ、はい博士!ありがとうございました‼︎」

 

そして、隼斗は研究所を出ると、停められてある鮮やかな青色のバイクに乗り込む。これもライダーシステムと同時に開発した専用マシン、ライドソニック。

 

形はライドマッハーとほぼ変わらない。ベースカラーが青になり、一部カラーが変更されている。

 

「いつかきっちり変身して、こいつに乗って………いや〜想像が膨らむぜ‼︎」

 

そして隼斗はキーをセットし捻る。

キーの形はトライドロンキーと変わらない。ライダーマークの色が違うだけ。

隼斗はエンジンをかけ、研究所を走り去った。

 

 

ーーーーーーーーー

 

そして、自宅に到着。

 

「ただいま〜!」

 

「お、帰ってきたのか隼斗。」

「博士に迷惑かけてないの?」

 

紹介しよう。俺の父さん、天城戒斗。

そして、母さんの天城美琴。

 

どっちも下の名前の漢字が見た事あるって?細けえことは気にすんな。

 

2人とも俺がライダーだという事は知ってるが、止めはしなかった。「それが人のために役に立つと思うのなら続けてみればいい。」父さんはそう言った。母さんも同じように言ってくれたんだ。

 

「ぜーんぜんだよ!それにしても、父さん達今日は早かったね。」

「ああ、今日は運良く早く帰ってこれてさ。」

 

両親は2人共天文学者。俺も小さい頃からよく望遠鏡を覗いて星を見たものだ。

 

「そうそう、千歌ちゃん達から手紙が届いてたわよ?」

「え⁉︎あいつから?てか達って事は……曜からも?」

「そうみたいね。懐かしいでしょ?もう1年だもんね…。」

「ちょっと着替えてくる。トレーニングで疲れたわ汗かくわ……」

 

そして、戻ってきた隼斗は母から渡された手紙を開けて、読み始めた。

 

なお、ここから先『』←このかっこの範囲が手紙の文です

 

『拝啓 天城隼斗君へ

 

最近元気にしてる?アメリカでの暮らしはどう?まあ、

色々と聞きたい事はあるんだけど……私、この間曜ちゃんと一緒に、東京の秋葉原に行ってきました!』

 

「って秋葉原⁉︎羨ま……」

 

『そこで私は、すごい人達を知ったんだ‼︎

それは……スクールアイドル、μ's。』

 

「ミュー……ズ?それって石けn……」

 

『言っとくけど石鹸のじゃないからね⁉︎その人達は、

ラブライブ!っていう、スクールアイドルの大会で優勝した事のあるすごい人達で……私はμ'sの歌やダンスを見てすごく感動したの‼︎それでそれで、私は今度の春、新学期になったら、今通ってる高校にスクールアイドル部を作る!

 

隼斗君も興味があったら、また日本に……内浦に帰って来て!本当にμ'sはすっごいから‼︎ 敬具』

 

「はは……あいつらしいな……騒がしい奴め……。

ん?続きがある。」

 

『ps.隼斗へ。

寂しかったらいつでも帰って来ていいんだよ?私達待ってるからさ。それじゃあね!

by渡辺曜』

 

「ったく……大きなお世話だっつーの……。」

 

隼斗は手紙を読み終えると、閉じてテーブルに置いた。

 

「どうだった?」

「手紙でも相変わらず騒がしかったよ……それに……。」

「それに?」

「帰りたくなったな……向こうに……内浦にさ……。」

 

すると父、戒斗が話し始めた。

 

「なら隼斗、向こうに帰ってみるか?それも1人で。」

「え、1人⁉︎俺1人でか?」

「そうだ、それに向こうに帰ってそのまま一人暮らしでもしてみたらどうだ?もうおまえもライダーになったり結構成長してるんだからさ。」

 

「一人暮らしか……父さんはそう言うけど……母さんは?」

「私は別に構わないわよ。一人立ちさせるってのも、悪くないような気がするし……。」

「でもさ、住むところとかどうするんだ?向こうの家は、もうこっち来る時に売っちまっただろ?」

 

「それなら、私が千歌ちゃんのお母さんに隼斗を住ませてくれないか頼んでみようか?」

 

ここんとこ、5秒位の間が空き………

 

「はい?一緒に住むぅ?いやいやそれは流石に……いくら千歌の家が旅館で広いとしても、向こうにも迷惑だろうs」

 

「あ、もしもし?美琴だけど……懐かしいわね〜!それでいきなりで悪いけど頼みがあって………」

「話聞けや天然母親ぁ‼︎‼︎」

 

もうすでに電話してた。行動早えよ!てか話聞けや………

 

「隼斗〜向こうはOKだって!むしろ大歓迎だって‼︎」

「(いくら母親同士の仲がいいからとはいえいとも簡単に…)あ、それと一つ頼みがあるんだ。俺が帰るって事は千歌達には内緒にしておいてくれ。サプライズ的な感じで顔だしたいからさ!」

 

この時隼斗は思った。ママ友パワー恐るべし。

 

「って息子が言ってるわ。……うん!了解したわ。多分、色々準備があるから、今度の春くらいになるかしらね。

……ええ!ありがとうね。それじゃあまた電話するわ。

じゃあね〜!」

 

そう言うと美琴は電話を切った。

 

「春か……今が11月位だから……もう少し先か。」

「それまでに色々と準備をしなくちゃだな。」

「そうだね。それじゃあ、夕食にしましょうか!」

 

 

ーーーーーーーーー

 

そして、それからまた数ヶ月の月日が流れ………

 

年も明け、1ヶ月が経った2月頃。

 

「よーしハヤト!これがおそらく最終テストだ‼︎気合入れるんだぞ‼︎」

「OK博士‼︎行くぞ‼︎」

 

トレーニングウェア姿の隼斗は、右手に持った

マッハドライバー炎に改造を加えて作ったドライバー、

マッハドライバーMk-IIを腰に当て、ベルト部分が伸びて装着される。

 

まあ見た目はマッハドライバー炎と然程変わらないのだが。

 

そして、右のパネル部分を上げて、

左手に持った変身用のシグナルバイク シグナルソニックをセット。

 

《SignalBike!》

 

マッハの変身待機音と同じ、ノリノリの待機音が周囲に響き渡る。

 

 

「Leady……変身‼︎」

 

そのかけ声と共に右手でパネルを下げた!

 

《Rider!Sonic‼︎》

 

マッハドライパーMk-IIから炎、そして雷が放出する。

 

そして、隼斗は決めポーズを決めてスーツを纏い、

仮面ライダーソニックへとその姿を変えた。

 

「おお‼︎成功だ!やったじゃないかハヤト‼︎」

「ま、まぁな‼︎…とは言ってもこれはハーレー博士のお陰ですよ。俺が博士に出会ってなかったらソニックにだってなれなかった。俺……博士に会えてよかったです‼︎」

 

隼斗は変身が上手く行った事を確認すると、ドライバーを展開してシグナルソニックを取り出し、パネルを下げて、変身を解いた。

 

《オツカーレ》

 

「それと、両親から聞いたが、日本に帰るそうだな。」

「はい、昔の幼馴染に会いたくなって……」

「そうかそうか。もちろんそれらは、旅立ちの祝いにお前にプレゼントするが……ハヤト、ワシから言う事は一つだ。」

 

そして、ハーレー博士は右手を隼斗の肩に置きながら言った。

 

「お前さんが作ったその力……決して人を傷つける為には使うなよ!それはNEOHOPE……新たな希望なのだから!」

「はい!博士……ありがとうございました‼︎」

「ああ、それと……これらも完成してるぞ‼︎」

 

博士から渡されたアタッシュケースに入っていたのは、

 

シグナルマガール・トマーレ・カクサーン・キケーン

 

だった。

 

「どれもNEO-Hシステムに対応するよう改造した、いわばマークIIだ!上手く使うんだぞ‼︎」

「はい!」

 

そして、俺は博士に別れを告げて研究所を去った。

 

ライドソニックに乗って家に帰る途中、俺は母さんにお使いを頼まれていた事を思いだし、銀行に立ち寄った。

 

銀行内にて。

 

「〜♪〜♪〜♪あら、Hello!もしかして日本人?」

「は、は、Hello…そうなんだよ……てか日本語喋れるんだ…。(この子……中々可愛いかも…///)」

「私、こう見えてハーフなの。私は小原鞠莉!気軽にマリーでいいわよ!よろしくね!」

「あ、初対面なのにどうも丁寧に……俺は天城隼斗。ハヤトでいいよ。」

「ハヤト、か〜!隼だから、Falconね!よろしくね!」

 

隣に座り順番待ちをしていた金髪のセミロングヘアの女の子に見惚れていたのも束の間……

 

しかし………

 

突如店内に複数の銃声が響く。

 

「全員動くな‼︎動けば撃つぞ‼︎」

 

「「「「「「「「キャアアアア‼︎」」」」」」」」」

 

覆面に加えて実弾銃。銀行強盗団だ。全く運の悪い……!

 

すると、隣にいた少女が俺に小声で話しかけてきた。

 

「ね、ねぇどうしよう……このままじゃ私達……!」

「(運良くドライバーとシグナルソニックはある…今ここで変身すりゃあ強盗なんぞ楽に倒せるかもしれないけど、ここじゃあ客達が……‼︎ちくしょうどうすれば…)」

 

その時、眼に入ったのは怯える客や銀行員達、それに隣で震えているマリー。

 

そして脳裏に、心に響く博士の声。

 

『決して人を傷つける為には使うなよ!それはNEOHOPE

(新たな希望)なのだから‼︎』

 

ここからはドライブのあのbgmを脳内再生しながらお読みください。あの第1話の変身前とかに流れるやつ。

(曲名が分からないけど。)

 

「そうだったな……この力は希望……HOPEなんだ‼︎」

 

そう言いながら隼斗は立ち上がった。

 

「おいお前!動くなと言っただろう‼︎聞こえなかったのか‼︎」

「聞こえないね!お前ら悪党の声なんてよ、聞くだけで耳が腐るぜ!」

「テメェェェェェ‼︎」

 

強盗が銃を隼斗に向けるが、それでも臆さず話し続ける。

 

「俺はお前ら悪をこの世から消す為に……罪なき人々の為に戦う為に……ヒーローになるんだ‼︎」

 

 

そして隼斗はバックからマッハドライバーマークIIとシグナルソニックを取り出す。

ドライバーを装着し、パネルを上げてシグナルソニックをセット。

 

《SignalBike!》

 

変身待機音が鳴り始め、隼斗はポーズを決め……

 

「Leady……変身‼︎」

 

《Rider!Sonic!!》

 

パネルを下げる。ドライバーが雷をまとった炎を吹き、

隼斗はその姿を仮面ライダーソニックに変身させた。

 

「な、ナニィッ⁉︎」

「Wao……Falcon……何その姿は……?」

「あ、そういや名乗りをまだ考えてなかった。いや、もう思いついてるか!」

 

足を肩幅に開き、隼斗はポーズを決めながら決め台詞。

 

「悪は撃滅!」

 

左の掌に右の拳を当てる。

 

「正義は不滅!」

 

右に一回転し、右手を腰に持ってきて、左手は顔の前に。

 

「この世の総てを、トップスピードでぶっちぎる‼︎」

 

カブトのように右手で天井を指す。

 

「仮面ライダー…………ソニック‼︎‼︎」

 

あとはマッハと同じ。

 

「か、仮面……」

「Rider……?」

 

「お、お前ら!金は後でいい‼︎こいつをブッ殺せ‼︎」

 

「「「「オオオオ‼︎‼︎」」」」

 

リーダー格の男のかけ声で一斉に強盗がソニックに襲いかかって来るが……

 

「ふっ……You're too late.」

 

その言葉と共にブーストイグナイターを右手で連打。

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

そう発せられた直後、ソニックの姿が消えた。いや、

目にも留まらぬ速さで動いていた。

 

「ぐはぁっ⁉︎」

 

「なんだこい……どわぁっ‼︎」

 

1人に膝蹴り、また1人に手刀。次々と強盗が倒されていき、遂にリーダー格の男1人となった。

 

「ふぅ……」

「ひ、ヒィィ………」

「さておっさん、選択肢をやろう。諦めて降参するか……それとも1人で俺様とやりあうか……選びな。」

「グッ………クソォッ……‼︎」

 

その男は銃を捨て、降参のポーズをとった。

 

「ふぅ……。ヘイ、police‼︎」

 

ソニックがそう言うと、警察の部隊が突入し、男達を確保した。

 

「市民の協力感謝します‼︎」

「あ、どどどうも!お勤めご苦労様です!」

 

警官の1人が敬礼してきたので思わず敬礼し返す。

 

そして、ソニックはシグナルソニックを抜き、パネルを下げて変身を解いた。

 

《オツカーレ》

 

「ふ、ふぅ……疲れたぁ〜!」

 

隼斗が座り込むと、周りの客達からは歓声がわき起こった。

 

「「「「「「「ワアアアアアア‼︎‼︎」」」」」」」」

 

「救世主だ!」

「正義のヒーローだ!」

 

「いや〜どーもどーも〜‼︎サンキュー!サンキュー!」

 

周りの人に応対していると、マリーが腕を掴み……

 

「ちょっと今の何⁉︎私夢でも見てたの⁉︎」

「ふっ……夢じゃないよ。現実さ。」

「Falcon、貴方は一体何者なの……?」

 

 

隼斗はシグナルソニックを持ち、見せながら言った。

 

「俺は天城隼斗……正義のヒーロー、仮面ライダーさ‼︎」

 

 

エピソード0 Fin




どーも皆さん!ちょっと終わり方雑な気もしてしまいますが……とりあえずソニック誕生までの話、エピソード0はこれにて完結!次回以降から本格的にサンシャインのストーリーに入っていきたいと思います‼︎

それでは次回もお楽しみに!感想、評価等お待ちしてます‼︎


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エピソード1 始まる運命〜Start his engine〜
第1話 懐かしき再会


皆さんこんにちは!さっきスクフェスで千歌ちゃんのSSRをついに手に入れてしまい興奮してるますたーです。

そしてなんと!

昆布さん にゃんまる トウキ 錐と香也 まきの アスティオン シママシタ フユニャン しょーくんだよ!  名のない仮面ライダー リョースケ 146(名前考え中) 真姫リコット 

こんなにもお気に入り登録者さんが増えました‼︎皆さんありがとうございます‼︎

さて、今回からようやく本編スタート‼︎
故郷内浦へと帰ってきた隼斗。そこで彼を待ち受けていた運命とは⁉︎それでは本編どうぞ‼︎


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション うp主ことMasterTree

 

アメリカで数年の時を過ごした主人公、天城隼斗。

幼馴染の高海千歌、渡辺曜からもらった手紙の影響を受け実に2年ぶりにかつて住んでいた静岡県内浦に帰る事を決めた。

しかも彼はそのまま旅館を経営している千歌の家に住ませてもらうことになったらしい。

 

彼は着々と準備などを色々進めた。

そして、ついに彼は自身が開発していたNEO-Hシステムの仮面ライダー、ソニックも完成させた。

 

だが喜んでいたのも束の間。帰り道に立ち寄った銀行で、彼は強盗に遭遇。人々を守るために彼は決意を固め、

シグナルソニックをマッハドライバーMk-IIにセット‼︎

 

《SignalBike!Rider!sonic‼︎》

 

まさしくその速さは音速。

その圧倒的なスピードで彼は見事銀行強盗団を撃破したのであった。

 

そして仮面ライダーソニックの最初の事件が起きた2月から約2ヶ月がたったのである………

 

 

サンシャインサーガOPテーマ

青空jumpingHeart 歌 Aqours&隼斗

or

Fullthrottle typesonic 歌 天城隼斗

 

どちらかお好きな方をどうぞ。(想像でお楽しみください。)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

4月、東京のとある空港にて。

 

「2 years after Japan.っておっと…また英語が出ちまった……もう俺は日本帰ってきたんだ!てか俺は元から日本人だ‼︎」

 

この独り言に自分で突っ込んでる?青のジャケット(剛が着ていたアレっぽいやつ)の青年。

改めて紹介しよう。天城隼斗16歳、本作の主人公である。

彼はようやく日本に帰ってきたのだ。

 

「仕方なく飛行機で帰って来たけど………ライドソニックは一体どこに届けられたんだろう?えーと博士からもらった手紙によると………」

 

『空港近くのバイク店に届けられるよう手配しておいた!そこでライドソニックを受け取ってくれ!』

 

との事らしい。

 

「よかったよかった。そこまで雑じゃあなかったか。よーっし!早く帰るか‼︎とは言っても……」

 

ちなみにここからさらに時間がかかるためらすっごく面倒くさい。

 

「ここからまたライドソニックで走っても時間かかるし…まあいいや‼︎急げばいいんだ急げば‼︎」

 

隼斗は考えるのをやめた。(途中で丸投げ)

彼はバイク店でライドソニックを受け取り、地元内浦へと帰ろうとしたのだが………

 

「うおおおお‼︎AーRIZE!こっちはMidnightCatsじゃねえか‼︎」

 

思いっきり脱線してました。ちなみに隼斗が今いるのは、秋葉原。実は彼は、あれからスクールアイドルの事を調べまくり、かなりどハマりしていたのである。

 

「そ・れ・に………μ's‼︎やっぱ未だに彼女達の人気は凄いよな‼︎」

 

彼もまたμ'sのファンになっていた。

ちなみに彼は箱推し。つまりμ'sそのものが好きなのだ。

 

「えっとこれとこれとそれからこれと……うん、こんなもんだな‼︎」

 

スクールアイドル関連のグッズ(主にμ'sとAーRISE)を購入し、それらを持ってきた荷物の中に入れる。

 

「いやーいい買い物したぜまったく

 

 

……………って俺は何やってんだああああああ‼︎いきなり脱線してるし!」

 

荷物やらを載せ、ライドソニックを発進させて隼斗はようやく目的地へと走らせた。

 

そして、バイクで数時間。時刻、既に午後の2時位。

隼斗は海岸線沿いを走っていた。

 

「うっわあああ………海が綺麗だぜ……。」

 

日差しを浴びてキラキラと輝く海。

その光景はとても綺麗だった。

 

「本っ当に帰ってきたんだ……懐かしいな……。」

 

2年という月日をアメリカで過ごした隼斗。もちろん向こうの夜の街もなかなか綺麗だったが、この海程では無い。

そう思えるほどだった。

 

「よーっし!早く行こう‼︎あいつらがきっと待ってる‼︎」

 

更にスピードを上げ、隼斗は高海家へと急いだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして高海家の旅館について扉を開けた第一声が………

 

「うっわ荷物多くね……?」

 

一足先に送られていた、隼斗の荷物。それが入ったダンボールが山積みになっていた。

 

「本当だよー!まさかこーんなに荷物があるなんてね‼︎」

 

そう言いながら現れたのは、千歌の姉の1人、美渡さんだった。

 

「遠いところからはるばる帰ってきて!久しぶりだね‼︎」

「美渡姉さん!お久しぶりです‼︎」

 

「ワン!」

 

そして、飼い犬のしいたけもやって来た。本当なんというか………うん、相変わらず。

 

「おーしいたけ!懐かしいな〜!こんだけの荷物、猫じゃなく犬の手も借りたい気分だぜ。」

 

そう言いながら撫でていたが、しいたけはそれをスルー。戻っていってしまった。

 

「あはは……だよなー……ところで、千歌達は?」

「まだ学校から戻って無いよ。帰ってくる事とか住むこととか知らせて無いから、きっとびっくりするだろうよ。」

「そうかぁ〜!きっとすごくびっくりするんだろうn」

 

「ただいまー‼︎」

「お邪魔しまーす!」

 

そこに、タイミングがいいのか悪いのか、千歌と曜が帰ってきた。

 

「あ、おかえり!千歌、それに曜ちゃんも!」

「美渡姉ただいま!ってあれ?そこにいるのは誰?」

 

後ろ姿の隼斗。まだ気づかれてないようだ。

 

「ああ千歌、に曜ちゃん。きっと驚くだろうよ〜彼を見たら。ほら、振り向いてやんな王子様‼︎」

 

すると美渡は隼斗をポンと押した。

 

「うわっととととと‼︎あぶねっ⁉︎」

 

ギリギリ隼斗はふみとどまり、服装を整える。

 

「え………まさか…………‼︎」

「その格好………!」

 

「よぅ!久しぶりだな!我が幼馴染高海千歌と渡辺曜。

天城隼斗、ただいま帰りました‼︎」

 

「「隼斗君⁉︎(隼斗⁉︎)」」

 

 

サプライズ大成功、かな?

次回に続く。

 

次回、ラブライブ!サンシャイン‼︎サーガ

 

「まさかこんなに早く帰ってくるなんてね!」

 

「アメリカでの話だが……」

 

お互いに思い出話に花を咲かせる隼斗達。

そんな楽しみも束の間、ある日………

 

 

「うわっと⁉︎」

 

「何これ〜⁉︎」

 

突如隼斗達を襲う重い感覚。

 

「これってまさか……博士の言ってた…重加速………⁉︎」

 

 

 

次回 どんよりは何故再び起きたのか?(仮題)

 

 

 




はいみなさんどうも!ついに本編本格スタート‼︎
内浦に帰ってきた隼斗。だが、いきなりトラブル発生⁉︎
果たしてどう切り抜けるのか?それでは次回もお楽しみに‼︎感想、アドバイスや評価等お待ちしてます‼︎


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第2話 どんよりは何故再び起きたのか?


少しずつ設定改変しつつ投稿し直してます。

しかし、結末とかこれからの展開的に問題は無いはずなのでご安心ください!

それでは本編どうぞ!


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 高海千歌

 

学校から帰ってきた私と曜ちゃんを待っていたのは、

なんと‼︎2年前にアメリカに行ってしまったはずの幼馴染の天城隼斗君だった!突然の出来事に驚く私達、でも一体…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「よぅ!久しぶりだな!我が幼馴染、高海千歌と渡辺曜。天城隼斗、ただいま帰りました‼︎」

 

「「隼斗君⁉︎(隼斗⁉︎)」」

 

突然の隼斗の登場に驚く2人だが、幼馴染との再会を喜び、隼斗に抱きつく。

 

「うわっととと危ねえよ⁉︎」

 

「どうしたのいきなり!アメリカ行ってたんじゃ……!」

「確かに、あの時『当分は戻らないかもしれない』とか言ってたくせに!」

 

「気が変わった。父さんと母さんに許可貰ってこっちでまた暮らす事になったんだよ。」

 

「え⁉︎じゃあまた一緒にいられるって事⁉︎」

 

「うん、まあそういうこった。あーそれと千歌、俺はここに住む事になった。」

 

「ええええ⁉︎いやいや色々と唐突過ぎるよ‼︎」

「これもサプライズの一環なのよ!ね、隼斗君‼︎」

「Exactly.そういうわけだ、まあまた昔みたいにさ、よろしく頼むぜ!」

 

そう言って隼斗は右手を差し出す。

 

「なんかいきなりすぎて色々わけがわからないけど…まあいいか!隼斗君、またよろしくね‼︎ほら曜ちゃんも!」

「うん!これからまたよろしく隼斗‼︎」

 

千歌と隼斗が握手をし、そこに曜の手も重ねられた。

 

ーーーーーーーーーー

 

 

そしてその夜は、曜も招待され、隼斗の歓迎会が行われていた。

 

その夕食後。

 

「そういや2人共、お前らって高校は何処に通ってたっけ?」

 

「あれ?話してなかったっけ?浦の星女学院高校だよ。」

 

「浦の星……あーあれか……なんか最近はやたら生徒の数が少なくなってるっていう……」

 

「そう、最近じゃあもしかしたら廃校にでもなるんじゃないかって噂にもなっててさ。共学化も考えられてるらしいよ。新理事長がテスト生を探してるって話。」

 

「共学化のテスト生ねぇ………あ、俺今思ったわ。」

 

「思ったって何を?」

「俺はこっちに帰ってきたのはいいけれど……学校の事はなんも考えてなかった……。」

 

「ん〜隼斗の成績なら何処でも行けそうだけどね。ほら隼斗中学時代は成績優秀スポーツ万能だったじゃん!」

「確かに!おまけにやたらと他の女子にモテモテじゃなかった?」

 

「ま、どれも全部断ってきたけどな。俺にはどいつも性に合わなかった。」

 

「それはアメリカでも変わらず、だったの?」

 

「アメリカでは…………」

 

隼斗が言おうとするが、隼斗は2年と言う長い時間をほぼ

ハーレー博士の研究所でのコア・ドライビアの研究に

費やしていた事を思い出した。

 

「アメリカでは…………学校にも行ってたし、とある科学者の人の助手もやってた。まあなんの研究かは言えないけどな。」

 

「アメリカで科学者の助手⁉︎すごいじゃん!」

「え〜!教えてよ〜‼︎」

 

「ダメだ。この研究は遊びじゃあねえんだ」

 

すると曜が手を挙げた。

 

「じゃあ、別の質問いい?」

「なんだ?答えられる範囲ならいいが……」

 

「さっき表に停めてあったバイク、あれも隼斗の?」

 

「まあな。研究途中で博士と俺で作ったバイク。その名もライドソニックだ」

「中々かっこよさげな名前だね。ヒーローものの乗るようなマシンみたいな……」

 

まあ実際にヒーローやってるのは事実。そう思った隼斗であった。

 

「ま、とにかくだ!とりあえず話はここまで。続きはまた明日だ」

「え〜!もっと聞きたいよ〜‼︎」

 

「子供かお前は!てかお前はいつでも聞けるだろ!」

「む〜それもそうか……」

「それじゃ、私はそろそろ帰るね。それじゃ‼︎」

「ああ!またな〜‼︎」

 

そして、その後隼斗は1人誰もいなくなった旅館の大浴場で風呂に入っていた。

 

「ふぃ〜。さーて……学校の方、どうしようかな〜?浦の星はテスト生、か………もし選ばれたら、あいつらと同じ学校に通えるのかな……?」

 

そんな事を考えていると、宙を飛ぶように走ってきた一台のバイク型ミニカー、シグナルソニック。

 

「お〜どうしたシグナルソニック。お前も入りに来たのか?」

 

隅っこに止まったシグナルソニックは違うと言わんばかりに横に車体を振る。

 

「え?違うって?じゃあ何さ?」

 

シグナルソニックが何やら音を鳴らす。すると………

 

出入り口のところから現れたのは、

シグナルマガールⅡ、トマーレⅡ、カクサーンⅡ、そしてキケーンⅡだった。

 

隼斗「マガール、トマーレ、カクサーン、それにキケーンか。そうか……お前らの有効活用法も考えなくちゃな……とは言っても今はロイミュードもいねぇし!出番はないかな〜‼︎」

 

 

するとシグナルバイク達が出番が無いと聞いた瞬間、それぞれがそれぞれ何やら怒り始めてしまった。

 

 

「わわ悪かったって‼︎本気にすんなよお前ら〜。心配すんな!なんとか頑張ってみる!あの時彼女に言ったもんな。俺は正義のヒーロー、仮面ライダーソニックだもんな!」

 

だがロイミュードはいない、というこの台詞が

後々のフラグになる事をこの時の彼はまだ知らなかったのであった………

 

 

そして、一夜が明けた次の日。

 

「Goodmorning‼︎ってヤベェまた英語が出ちまった…いつまでアメリカ気分なんだ俺……」

「あ、隼斗君おはよう!」

 

「お、千歌。早起きだなお前……」

「そういう隼斗君こそ、時差ボケとかあるかと思ったのに……あ、そうそう。隼斗君にこんなものが届いてたよ。」

 

そう言って千歌が渡してきたのは、エアメールの手紙。

英語で書かれていた。差出人は……

 

「浦の星女学院 新理事長……だと……⁉︎てかどうして俺がここにいるって……まさか……‼︎」

 

隼斗はそれを開けて読み始めた。

 

『Hello!この手紙を読んでいるって事は、私の予想は大当たりだったみたいね、Falcon!』

 

「この独特の書き方やファルコンって呼び方……」

 

「実は私から貴方に頼みがあって来たの。貴方に、浦の星女学院の共学化テスト生を引き受けてもらいたいんだけど……』

 

「まさかとは思うけど……!」

 

『貴方を選んだのには理由があるの。もし、興味があるならこの手紙を持って学校に言ってみて。校長先生に話は通してあるわ。それじゃあ、ciao‼︎』

 

隼斗はその人物に心当たりがあった。2ヶ月前のあの事件の時、初めて仮面ライダーとして市民を守った時。

隼斗はその人物と出会っていた。

 

「ったく面白いんだかなんだか……運命って奴か?」

 

「隼斗君どうかしたの?」

「千歌、今日は俺も一緒に学校に行く。少し野暮用が出来た。」

 

隼斗はその手紙を見せながら言った。

 

 

そしてそれから少し時間が飛び、

隼斗達2人はバス停で曜と待ち合わせをしていた。

とは言っても隼斗はライドソニックに乗って行くのでただ待ってるだけなのだが。

 

ちなみに隼斗の服装は、Yシャツに青色のネクタイを締め、その上にお気に入りの青色のフード付きジャケット(剛のやつの色違い版的な感じ)を羽織った独特な服装。

 

それに少し大きめの肩掛けかばんを持っている。中身は

シグナルバイク一式とマッハドライバーMk-IIだ。

それに筆記用具とかも一応持っている。

 

「しっかし来ないな曜の奴……バスも来ないし………遅れてるのか?」

「このままじゃ遅刻しちゃうよ〜!」

 

とその時、遠くで煙が上がり、爆発音がした。

 

「爆発⁉︎って確か向こうの方って……‼︎」

「曜ちゃんの家の方向だよ‼︎」

 

「何かあったんじゃ……!行くぞ!千歌、乗れ‼︎」

「う、うん‼︎」

 

隼斗はしまってあった二つ目のヘルメットを千歌に渡して乗せると、すぐにエンジンをかけ走り出した。

 

 

そして、一方の曜sideは……

ここから少しは曜ちゃん視点です。

 

「(私、渡辺曜!今現在絶賛大ピンチ中です‼︎何故かと言うと……)」

 

「オラァァァァ‼︎」

 

「それそれそれ〜‼︎」

 

「ドラァァァ‼︎ソラァァ‼︎」

 

突如現れた、体に3桁の数字の書かれた怪物が街を襲ってるの‼︎こんな状況見たことない‼︎

 

 

ーーーーーーー

 

そして到着した隼斗と千歌。

 

「な、なんだこりゃ……街が……!」

「あ、あそこ見て!曜ちゃんが‼︎」

 

千歌が指す方向には、怪物に狙われている曜の姿が。

 

隼斗「チッ!やめろおおおお‼︎」

 

隼斗は曜の方に走っていく。

 

曜side。

 

「や、やばいかも……助けて……‼︎」

 

 

「オルァァァァァ‼︎俺のダチに手ェ出すなぁぁ‼︎」

 

隼斗はその怪物097と書かれた奴に向かって走り、

その勢いのまま飛び蹴りを喰らわせた。

 

「ぐわああっ⁉︎」

 

「隼斗!」

 

「貴様ァァァァ‼︎」

 

「っ⁉︎アブッ!ちょ……おっとっ‼︎」

 

アメリカで鍛えたおかげか、左右に体を傾け、そしてバク転。

並外れた身体能力で攻撃を全て避けきれた。

 

「曜ちゃん!大丈夫⁉︎」

「千歌ちゃん!私はなんとか大丈夫……」

 

そして、怪物と対峙していた隼斗は………

 

「……!その姿、番号……まさかこいつ…‼︎」

「貴様、知っているのか、我々を……」

隼斗「忘れるわきゃねぇだろ……てめぇらをよ……………ロイミュード‼︎」

 

097、083、103。胸に刻まれた異なる数字。

奴らの名はロイミュード。かつて仮面ライダードライブ達が撲滅したはずの機械生命体である。

 

「ろいみゅーど……って確か……」

「数年前に起きた確か……ぐろーばるふりーず?とかで一躍有名だったあの機械生命体の⁉︎」

 

「なんでここに……そもそも何故この世に‼︎108体、あの時にドライブ達仮面ライダーが倒したはず‼︎」

 

「よくは分からんがな、復活できたんだよ!…無論、こういうこともできる‼︎」

 

そう言った途端、3人は突然謎の重力のような感覚を感じた。

 

『うわぁっ⁉︎』

 

『グッ……⁉︎』

 

『何……これ……⁉︎』

 

そう、博士から教わった、ロイミュードの能力 重加速。通称どんよりだ。

 

『本当に出番来るとか聞いてねぇし……‼︎シグナルバイク達‼︎come on!』

 

その意思を感じ取り、隼斗の持っていたバッグからシグナルバイク達が飛び出てマガールが曜の手元に、トマーレが千歌の手に、そしてシグナルソニックが隼斗の左手に渡った。

 

すると3人は重加速から解放され、自由に動けるように。

 

「っととと⁉︎危ねえ危ねえ……」

「うわわわわ‼︎って動ける!動けるよ曜ちゃん‼︎」

「隼斗、これって……」

 

そして隼斗はバッグからマッハドライバーMk-IIを出し、右手に持つ。

 

「まさか本当にロイミュードがまた出るとはな…」

「そのアイテム……まさか貴様!」

 

「まぁ、お蔵入りするよりかはマシと見るか……」

 

その手の中にあるのは受け継いだ力。

守る為の、倒す為の力が…今の自分にはある。

 

「正直、本当にお前達と戦うことになるなんて考えてなかった……けど、現れたってんなら、また人類の敵になるってのなら!俺はお前達を倒す‼︎2人を守るため…………世界を守るために‼︎なるべく正体は明かしたくなかったけど……やるしかねぇ‼︎」

 

隼斗はマッハドライバーMk-IIを当てると、ベルト部分が伸びて装着される。そしてパネル部分を展開。

 

 

そして、左手に持っていたシグナルソニックをパネル部分にセットし、手でパネルを下げる。

 

《SignalBike!》

 

《Rider!》

 

《Sonic!!》

 

ドライバーから雷を纏った青色の炎が一定周期で吹き出し始める。

 

「隼斗君……⁉︎」

「何をするつもり⁉︎」

 

そして隼斗は、ポーズを決めて自分を音速の戦士へと変身させるあの言葉を放った‼︎

 

「Leady………変身‼︎」

 

両手を左右に少し払い、彼は青色の戦士へとその姿を変えた。

 

 

「フフフ……ッ‼︎」

 

「な!貴様その姿は⁉︎」

 

「隼斗……君⁉︎」

「うっそぉ………」

 

そして、その戦士は高らかに名乗りをあげ、決めポーズを取る。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎仮面ライダー………ソニック‼︎」

 

「仮面ライダーだと⁉︎バカな!お前のような奴は見たことがないぞ⁉︎」

 

すると097は仲間の二体083と103を呼ぶ。

 

「まあ知らなくて結構。俺は最新のライダーなんで。それに今から倒される奴が覚えても、仕方ないしな。」

 

「チィッ!なめやがって‼︎行くぞ‼︎」

 

097がそう言うと、他の二体も同時にソニックに襲いかかって来る。

 

ソニック「やれるもんなら……やってみな‼︎」

 

ソニックはブーストイグナイターを連打し加速‼︎

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

「オルァッ‼︎」

 

そのまま正面の097に右ストレートを入れ、横から来た103には回し蹴りを喰らわせる。

 

「あ、あと言い忘れてた!It’s show time‼︎」

 

二体が怯んだところでもう一言台詞を言い、更に右足で蹴りを入れる。

 

「ぐわあっ⁉︎」

 

「バカなっ⁉︎」

 

吹っ飛んだ二体と残りの一体。

纏めて地面に倒れ込んでいた。

 

「すごい!すごいよ‼︎」

「あれ、本当に……隼斗なの?」

 

「さーて……急いでるんだ、雑で悪いが…決めるぜ‼︎」

 

ソニックはパネルを上げ、ブーストイグナイターを一回右の親指で押す。

 

《ヒッサツ!》

 

そして、両手でパネルを下げる。

 

《Full throttle!Sonic!!》

 

「さーて!強盗戦ではお披露目できなかった必殺技!」

 

するとソニックは飛び上がり、

同時に両肩のシグナコウリンが外れて両方が大きくなる。

 

ソニックは身体を丸めてそれらと合体。

ホイールのような姿に変わった。

 

「隼斗がタイヤみたいになった!」

「すごいすごい‼︎」

 

そして、ホイールモード(この状態のソニック)は三体の周りをグルグルと回り始め、その動きはどんどん速くなっていく。

そして、その勢いで風が吹き荒れ、小規模な竜巻を巻き起こした。

 

「「「うわああああああ⁉︎」」」

 

その影響で三体は上に飛ばされ、それを見たソニックは

自身が起こした竜巻に乗り自分も上に。

 

三体の更に上に飛び上がると、ホイールモードを解いて、再び通常形態に。

そして、右足に竜巻の風を全て纏いライダーキックを放った。

 

「喰らえ!ストリーム・ソニック‼︎」

 

これが仮面ライダーソニックの必殺技、

ストリーム・ソニックだ。

 

「「「ぐあああああああ‼︎」」」

 

通常形態の割に壮大な必殺技を喰らった三体は爆発し、

同時にナンバーコアが出てきた。

 

「逃がすかよ!」

 

その隙を逃さず、もう一度ジャンプし1、2、3、とテンポよくパンチでコアを砕いた。

 

そして、コアの破壊を確認すると、ソニックは地上に降りた。

 

「よっと……どうだ?良い画だったろ?」

 

右手の人差し指と中指を立て、シュッとやってフィニッシュ。

 

「おおおお‼︎すごい!凄かったよ‼︎」

 

「てか隼斗!なにその姿⁉︎怪我は⁉︎」

「ちょい待ちちょい待ち!」

 

ソニックはパネルを上げてシグナルソニックを抜いて下げ変身を解いた。

 

《オツカーレ》

 

「その話はまた今度な。今はできない。」

 

「「ええー?」」

 

「(それにしても………一体何が?ロイミュードは108体全て倒されている……奴らが蘇ってるのか……?)」

 

これはただ事では無い、何かが始まる予感を隼斗は1人感じ取っていたのだった……

 

 

次回に続く。

 

 




続く第3話も改変投稿し直します。
こう後々考えると無理があるんじゃねと思う設定……自分はなんか後から後悔する事が多いです。


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第3話 これから起こるのは何か

改変その2。
第3話分です!

それではどうぞ!
今回くそ短いです。


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 渡辺曜

 

突如として街に現れた、ロイミュードとかいう機械生命体によってピンチに陥っていた私達。

だけど、そんな時になんと隼斗が変身!

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎仮面ライダー………………ソニック‼︎‼︎」

 

隼斗が変身した戦士。仮面ライダーソニックと名乗った彼はその目にも留まらない速さで三体のロイミュードを瞬殺してしまった。

でも……どうして隼斗が仮面ライダーに⁉︎

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

そんなこともあって、隼斗は学校へ。

 

「初めまして。お待ちしていました、天城隼斗さん。私がこの浦の星女学院校長です。」

 

校長室に行くと、そこには老人の…正に校長先生という感じの男性がいた。

 

「ああどうもご丁寧に……天城隼斗です。よろしく……」

「それで、貴方がテスト生として選ばれたのは本校の新理事長の考えだという事は聞いていますね?」

「ああ、はい……ちなみに、その新理事長の名前は…?」

 

すると、校長は一枚の写真を見せた。

 

「⁉︎こい……じゃなかったこの人は……!」

「おや、ご存知でしたか。小原家の令嬢、鞠莉さんです。」

 

「まあご存知というかなんというか……やっぱか……てかあの子そんなに凄い人だったなんて……。」

「彼女が是非君に引き受けてもらいたいと言っているのです。隼斗君、どうでしょう?」

 

どうする…ね。

まあ、俺の答えは決まっていた。

 

「受けますよ、それ。せっかく理事長直々のご指名もらいましたからね。」

「ありがとうございます。制服等に関してですが、その服で問題無いと思います。登校日は……今度の入学式及び、始業式からですかね」

 

「分かりました。話の方は、これで全てですか?」

「ええ。他に、質問等が無ければ」

 

「特にありません。それでは、失礼します」

 

そう言うと隼斗は校長室を出た。

 

「っし…!とりあえずはこれで良い。問題はあと一つか…それが大変なんだよな。」

 

彼はその手に握られていた、シグナルソニックを見つめていた……。

 

次回に続く。

 

次回のサンシャインサーガ‼︎

 

「春から始まる!スクールアイドル部でーす‼︎」

 

「何してんだお前……?」

 

千歌スクールアイドル部を作るため、部員集めを始めた千歌。その途中……

 

「スクールアイドルやりませんか⁉︎」

「ずら⁉︎」

 

「ライブとか、あるんですか⁉︎」

 

美少女2人と出会ったり……

 

「ここはもしかして地上?」

 

突如降ってきた堕天使娘!なんなんだこいつ……

 

「Hello!Myname is Hayato Tenzyou‼︎」

 

そして始まる、隼斗のスクールライフ‼︎

 

次回 輝きたい‼︎〜始まり〜

 

これが、始まりの物語。

 




これから先もちょこちょこ見つけ次第編集していきます。
質問があればいつでもMaster Treeまでどうぞ。


それでは次回もお楽しみに!!


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第4話 輝きたい‼︎〜始まり〜

どうも皆さん!昨日のアニメを見て、マジで東京行ったのかよ…とまさかの展開に驚愕してしまったますたーつりーです。
しかもライバルチームまで現れて……一体この先どうなるのかが見ものですね‼︎
ただ無印メンバーが出なかったのが残念だ………

さて、第4話ですがいよいよアニメと同じ話に突入‼︎
本格スタートです‼︎

それでは本編、Start your engine‼︎



 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

突如現れたロイミュード達。その謎は未だ解けないままだった。

不安を抱えながらも、俺たちは新学期を迎えたのだ………

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

普通な少女の元に、突然訪れた奇跡。

 

そのきっかけは、とあるスクールアイドルだった。

 

9人のメンバーで結成された女神の名を持ったグループ。

その名は「μ's」

 

彼女達の輝きと意思は全てのスクールアイドルに伝わり、そして広がっていった。

 

それは、この少女にも……………………

 

 

 

これは、都市東京から遠く離れた小さな田舎町で生まれたとあるスクールアイドル達の成長、そしてそれを支える、一人の青年……

 

いや、一人の『仮面ライダー』の物語である。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ここは、内海にある小さな高校『浦の星女学院高校』

 

カメラのシャッター音、フラッシュの光、部活の勧誘の声が響いている。そう、今日は入学式の日だ。

 

音や光が飛び交う中、校門前でダンボール箱に乗って大きな声で呼びかける少女が1人。

 

「スクールアイドル部でーす‼︎春から始まる‼︎スクールアイドル部でーす‼︎」

 

彼女の名前は高海千歌。

本作第1の主人公にしてこの学校の2年生。

 

「よろしくお願いしまーす!お願いしまーす‼︎」

 

「よろしくお願いします!是非!スクールアイドル部に‼︎輝ける部活に‼︎」

 

そんな彼女の手伝いをしているのが、幼馴染の1人にして、同じく2年生の渡辺曜ともう1人の青年。

 

「輝けるアイドル!スクールアイドルー‼︎‼︎」

 

だがしかし、チラシを貰う生徒はいるものの、興味を持つ生徒は全くいなかった。

 

 

「千歌ちゃん…」

「うぅ……スクールアイドル………」

「ん?」

 

「今、大人気の………スクールアイドルでーーーーす‼︎」

 

さて、どうしてこうなったのか。それは今朝にまで時間を遡る。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ここは、高海千歌の家。

 

旅館を経営しており、隼斗もここに住ませてもらっている。

 

「うわぁっ⁉︎」

 

千歌が転ぶのと同時にガタンと音と衝撃がはしり、

下の階のモーニング珈琲と書かれた小さな看板が傾く。

 

「なーに?今の?」

 

その音に驚いた高海家長女、美渡が言う。

 

「千歌ちゃんだと思うけど。」

「まさかまだやってるの?お客さんに迷惑だよ。」

 

「言ったんだけど……。」

「おまえも言ってやって。こんな田舎じゃ無理だって!」

 

「ワン!」

 

呆れているような美渡の隣には、

家で飼われている犬のしいたけが。首輪に椎茸のストラップのようなのがついてるのが特徴的だ。

 

 

そして、その上の千歌の部屋では………

 

「いったたた………!」

「大丈夫?」

 

「まったく……ドタバタと音がすると思ったらまーたお前か千歌!」

「あ、隼斗君ようやく起きたの?」

「馬鹿言うな。とっくに起きて、ちょっとドライバーの調整してたんだよ。ちっとばかし時間かかったけど……」

 

襖を開けて部屋に入ってきたのは、赤いネクタイを締めたワイシャツに青色のフード付きジャケットという服装の1人の青年。

彼の名前は天城隼斗。本作第2の主人公で、今年の春まで

アメリカにいた2人の幼馴染。

 

そしてそれだけではない、彼は実は………

 

「そうそう隼斗!昨日はタイミング合わなくて聞けなかったけど、あれは一体なんなの⁉︎」

「あーそうだよ!いきなりどんよりきたりロイミュードが復活〜とか隼斗君が変身とか………今聞かせてよ‼︎」

「近い近い!顔が近いっての‼︎お前はもう少し気にしろ‼︎これでも高校生なんだから……!」

 

千歌の頭を片手で抑えながら隼斗は話し始めた。

 

「えーゴホン。まず、俺がアメリカでとある科学者の助手をしてたのはこの前話しただろ?」

「うんうん。ライドソニック……とか言うバイクも研究の途中で作ったって……」

「そう。だけどそれはあくまで研究の1つに過ぎない。俺が研究を進めていたのは……あくまでこっちだ」

 

そう言ってフードから取り出したのは、マッハドライバーマークIIと、変身用の専用シグナルバイク

シグナルソニックだった。

 

「俺が研究していたのは、本当にこのシステムを…………コア・ドライビアのシステムを平和利用するための研究なんだ。」

 

「コア……?」

「ドライビア?」

 

「俺が変身したあの姿、仮面ライダーの動力源。かつて、第2のグローバルフリーズが起きたあの時。向こうの方で、三人の仮面ライダーが事件を解決し、コア・ドライビアのシステムは凍結されることになった」

 

「凍結された?てことはこのシステムは使えないはずじゃないの?」

「でも、隼斗が弟子入りしたっていう科学者の人が研究を続けていたから使える、って事だよね。」

 

「流石曜、頭が鋭いな。それで俺は、日本に帰ってきたら何故か復活したロイミュードを倒さねばならなくなった…というわけだ。」

「なるほど……」

「まぁ、ざっくりとは理解できたよ。要は隼斗は研究の為に仮面ライダーになった、って訳だよね」

「まあそれも1つ、それに………俺はお前らも守る。絶対に、何があっても‼︎」

 

「へぇ………」

「なんか前より頼もしくなったね。隼斗君。」

「元から、だよ。千歌!」

 

3人が顔を見合わせて笑う。

 

「それで、話を戻すんだがよ。千歌、本当に始めるつもりなのか?」

「もちろんだよ!新学期始まったらすぐに部活を立ち上げるって決めてたもん‼︎」

 

そう言って千歌が見せて来たのは、

「スクールアイドル陪」と書かれた看板だった。

 

「………あのなぁ千歌、自信ありげに見せたところ悪いが漢字が間違ってる。」

「ええ?…………あ、本当だ……えへへ〜。」

「えへへじゃねぇだろっつーの。ほら、貸せ。」

 

隼斗は千歌から看板を奪い取るとフードから出したペンで漢字を✖️で消し、正しい部の字を書いた。

 

「本当そのフード色々入ってるけど何?四次元ポケット?青好きなのと言い、ドラ○もんなの隼斗?」

「自分が結構使いそうなものを入れてるだけ。なんでもは入らねえよ。…………まぁ発明してみたいけど」

 

 

隼斗の秘密その1 ・フードが半四次元ポケット。

 

え?半じゃ2次元だろって?そもそもこの作品が2次元だs

 

そして、一同が今気づいた。

現在の時刻 AM7:45

 

「「「って、もうこんな時間⁉︎」」」

 

 

「あ〜ちょっと曜ちゃん押さないでよ!」

「だって隼斗が!」

「俺のせいかよ⁉︎こっちだって遅刻は御免だぜ!入学早々遅刻とかやだよ!俺がこの世で嫌いなのは遅刻にゴキブリあとは……」

「それは今どうでもいいよ!」

 

「こっちの玄関使っちゃダメって言ったでしょ?」

 

「「「ごめんなさーい‼︎」」」

 

 

バスが行ってしまいそうで急ぐ2人。だが隼斗は違う。

交通費節約の為ライドソニックだからだ。コアドライビアが動力源なのでガソリン要らず。やったね!

 

「ああちょっと待って!乗りますよ〜‼︎」

「二人ともファイト〜wwそれじゃ行ってきます!」

 

「「行ってきまーす‼︎」」

 

 

 

 

その後、2人はなんとかバスに乗れたんだそうな。隼斗は

少し後から出たものの、バスを余裕で追い越して行った。

 

 

「ひゃー速いなぁ……隼斗のバイク……」

「だよねぇ………間に合ってよかったよ…あやうく無駄になるところだった。」

 

そう言って千歌が取り出したのが、スクールアイドル部の勧誘チラシ。

 

「そんなのまで作ったんだ⁉︎」

「うん!早い方がいいでしょ?あ〜楽しみだな〜!」

「ん〜でもな…………よっしゃ!今日は千歌ちゃんの為に一肌脱ぎますか‼︎」

 

 

というのが今朝の会話の内容である。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、また時間が経ち今日の始業式にて…………

 

 

『皆さん、進級おめでとうございます。今日からまた1つ上の学年に上がり、改めていろんな事に対して努力をしていってもらいたいと思っております………』

 

校長が喋ってる間、隼斗は舞台裏待機。

 

こんなくっそ長い校長の話が続いていき………

 

「(あ〜もうまだかよ〜⁉︎もう派手に登場するプラン考えてあるのに……)」

 

『では、これで私の話は終わります。そして最後に、本年から検討されている共学化、そのテスト生の紹介をしたいと思います』

 

「(っしゃ出番だ‼︎)」

 

『彼は今月の始め頃にアメリカからこちらに戻ってきた、帰国生徒……らしいです』

 

校長先生の前の台が片付けられて、先生も少し真ん中から離れた。

 

 

すると、生徒の間でザワザワと騒がれ始める。

 

「アメリカから⁉︎」

「一体どんな人なのかな?」

「彼って言ってたけど………」

 

 

『皆さんお静かに。では、こちらへ』

 

そう言った途端、体育館の照明が消え、ステージ上だけにスポットライトが当たった。

 

『さぁて……It’s show time‼︎』

 

曲目 Dance With Me 〜♪

作者が鎧武外伝仮面ライダーナックルで流れて気に入りました。

 

 

するとスピーカーから音楽が流れ始め、同時にステージ袖から側転やバク転など、超アクロバティックな動きで隼斗が登場。

 

そして、センターに立つと曲と同時にダンスを披露する。

 

それを見ていた生徒&千歌・曜

 

「何あの子⁉︎」

「ダンスキレキレ!しかもかっこいい‼︎」

 

「は、隼斗⁉︎」

「まさか昨日の夜遅くまで隼斗君が練習してたのって……この為⁉︎」

 

昨日の夜の事。

隼斗は自分の部屋で曲をかけながらダンスの練習をしていた。

 

「1、2、3、4、5、6、7、8‼︎1、2、3、4、5、6、7、8‼︎」

 

「何してるの隼斗………君………?」

 

少し開けた襖の隙間から千歌はそれを見ていた。

 

 

 

〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪

 

 

そして、ダンスは終盤に。

 

『これで………フィニッシュ‼︎』

 

隼斗がビシッと右手で天井を差すように決めポーズ。

 

すると生徒からはキャーだのワーだの歓声が上がった。

 

それと同時に体育館の照明も元どおりに。

 

「サンキュー!サンキュー!」

 

『素晴らしいダンス、ありがとうございました。それでは自己紹介を………』

 

校長先生からマイクを受け取ると、隼斗は話し始めた。

 

『OK!Hello!Myname is Hayato Tenzyou‼︎……………おっと失礼。…んんっ!皆さんどうも‼︎僕の名前は天城隼斗‼︎先程、校長先生がおっしゃっていた通り、アメリカから2年ぶりに帰ってきました‼︎好きな事は天体観測と…さっきも披露した通りダンスは結構自信有りです!皆さん、どうぞこれからよろしくお願いします‼︎』

 

そう言ってお辞儀をすると、拍手が起き、挨拶を終えた隼斗は舞台裏に戻った。

 

『では、これで始業式を終わりにします』

 

 

 

そして、その後。クラスはら千歌と曜の2人と同じクラスになった。

 

「はい、では天城君はうちのクラスに入る事になりました、皆さん仲良くしてあげてくださいね。」

「よろしくお願いします、皆さん!」

 

そして、席も千歌・曜の近くになった。

 

「まさか隼斗、あんなに派手な登場するとはね〜?」

「アメリカストリート仕込みのダンスの腕を披露したくてさ〜。必死こいて数日でモノにした。」

「ば、化けもんか………?あ、後隼斗、放課後に手伝って欲しい事が………」

「手伝って欲しい事?」

 

 

そして、現在に至る。

 

「スクールアイドル部でーす…………」

 

あれから何度も呼びかけてはいるものの全く人が集まらない。

 

「大人気のスクールアイドル部〜あなたも入りませんか〜?」

「千歌ちゃん、隼斗〜全然だね〜?」

「「そうだね〜(せやな〜)」」

 

ほぼ諦めムードだった隼斗達。そんな時に、通りかかったのは…………

 

「千歌〜今日はもう諦めた方がいいんじゃ……ね……?」

 

赤髪に緑っぽい瞳と、明るいブラウンカラーに黄色の瞳の

…………

 

「おおお………!」

 

「「美少女………うわぁっ⁉︎」」

 

隼斗と曜が座っていたダンボール箱から同時に落ちた。

 

一方の千歌はと言うと………

 

「あの‼︎」

「わあっ⁉︎」

「スクールアイドルやりませんか⁉︎」

 

「ずらっ⁉︎」

「ずら?」

「い、いえなんでも………」

 

「おいおい千歌、いくらなんでも唐突過ぎ。ごめんな2人共こんな先輩で〜」

「い、いいえ……それより、お兄さんは……」

「ああ……1年生は知らなかったっけ。俺は天城隼斗。今日から共学化テスト生としてこの学校に通う事になったんだ。よろしくね」

 

そう自己紹介すると、赤髪の方の子はずら?って言ってたその子の後ろに隠れてしまった。

 

「お、男の人………」

「男性恐怖症?変わってるな…まぁそのうち慣れてくれたら俺嬉しいかな〜」

 

「それよりどう?悪いようにはしないから!あなた達きっと人気が出る‼︎」

「もうちょい詳しく説明してやれよ千歌………。ん?」

 

千歌がチラシを見せながら言ってると、赤い髪の方の子が何やら真剣な眼でチラシを見ている。

 

「ん〜?千歌、ちょっとチラシ貸して。」

「え?なんで?「いいからいいから〜」あ、うん……」

 

隼斗が持ったチラシを動かしてみると、それに合わせて、その子も追いかけるように動く。

 

「君、興味あるの⁉︎」

「ラ、ライブとかあるんですか?」

「まだまだこれから……ってところかな。だろ?」

 

隼斗がそう言うと、千歌が頷く。

 

「だってさ!だからさ、君のような子に是非っ‼︎」

 

そう言って隼斗がその子の両肩に触れた途端、彼女の顔が青くなる。

 

それを見たもう1人の子は両耳を塞ぎ………

 

「お、おーい……大丈夫………か………?」

 

「ピギャアアアアアアアア‼︎‼︎」

 

突然その子がパニック状態になってしまったのか、騒ぎ始めてしまった。

それにびっくりして千歌と隼斗は尻餅をついてしまい隼斗のフードに入っていたものが一部飛び出た。

 

 

「うおおああああああっ⁉︎ななな何⁉︎俺なんかした⁉︎君!俺なんかした⁉︎」

 

「あの……先輩、ルビィちゃんは究極の人見知りずら…」

「なるほど男性恐怖症プラスUltimate人見知りと言うWの地雷を踏んでしまったということか俺えええええ⁉︎」

 

だがそれだけでなく…………

 

「うわあああああ⁉︎」

 

近くの桜の木の上からまたしても美少女が………降ってきた。着地してたのが凄いな。

 

ロングヘアにこちらから見て左にお団子が。

 

「だあああ!今度は何⁉︎」

「また女の子が降ってきたよ⁉︎」

 

「グエッ!」

 

しかも頭の上にカバンが……oh、痛そうだ。

 

「ちょ………色々大丈夫………?」

 

心配する俺たちだったが………おや?その子の様子が…?

 

突如目付きが変わり、それと同時に………

 

「フフフ………ここはもしかして、地上?」

 

おめでとう?美少女その3が厨二病に進化?してしまった!

 

「だ、大丈夫じゃねぇ………」

「ということは、あなた達は下劣で下等な人間という事ですか?」

「うわっ………」

 

おい曜ちゃん、ガチで引くんじゃないよ。俺だってパニックなんだよ脳内。仕方ない、ここは乗ってみるか。

 

「フッ……下劣で下等……?笑止!このソニック様を前にそう言うとは………」

 

マッハドライバーMk-IIIをフードから出しながら言う隼斗だが……

 

「隼斗、乗ったらダメでしょ乗ったら……」

「そ、そうか……正体自分からバラすのもダメだ。」

 

そう言われて急いでドライバーを隠した。

なんとかバレてなさそうだ……

 

「それより脚、大丈夫……?」

 

千歌が触ろうとすると、やはりあの高さからは痛かったのだろうか、少し顔をしかめるものの……

 

「ッ…⁉︎痛い訳ないでしょう?この体はただの器なのですから!」

「器って……こりゃ重症だなおい……」

「ヨハネにとって、この姿はあくまで仮の姿……おっと、名前を言ってしまいましたね。堕天使ヨハn」

「善子ちゃん?」

 

すると、ブラウンカラーの髪の子がそう言った。

善子?どういうこっちゃ?知り合いなの?

 

「やっぱり善子ちゃんだ!花丸だよ〜。幼稚園以来だね〜!」

 

花丸ちゃん……それがこの子の名前らしい。ルビィちゃん花丸ちゃんそれに……善子……ちゃんでいいのか?

 

「に、人間風情が何を………」

 

「じゃーんけん………ポン!」

 

すると何故か突然じゃんけん。花丸ちゃんはグー。そして善子ちゃん……は………what is this?

 

「そのチョキ!やっぱり善子ちゃんだ‼︎」

「善子言うな!いい⁉︎私はヨハネ!ヨハネなんだからね〜‼︎」

 

え?何?あれチョキなの⁉︎いや常人には難しいくらい複雑な形してたよ⁉︎あれ普通にできるって何なん⁉︎

 

善子ちゃんは頭にカバンを乗せたまま走って行ってしまった。そしてそれを追うように花丸ちゃん、ルビィちゃんも行ってしまった。

 

「善子いうな〜‼︎」

 

「どうしたの善子ちゃ〜ん⁉︎」

 

「待って〜!」

 

 

「ん〜残念だなぁ……いいアイデアだと思ったのに……」

「よし!あの子達、後でスカウトに行こう‼︎」

 

2人がそう言うと曜は苦笑い。

 

「あなたですの?このチラシを配っていたのは……?」

「む?入部希望者です………か………?」

 

そこにいたのは長い黒髪のこれまた美少女……いや美女が立っていた。緑のリボン、3年生だ。

 

「Wao………beautiful………」

「隼斗、英語でてる。」

「天城隼斗さん、まさかあなたもでしたの?」

「は、はいっ⁉︎い、いえ俺……じゃなくて僕は幼馴染として手伝ってただけで決してその………」

 

「あなたも1年生?」

「バッカちげえよ!この人はえーと確か……!」

「隼斗も記憶曖昧じゃん!この人は3年生、しかも……!」

 

隼斗と千歌に耳打ちする曜。

 

「えええ⁉︎」

「そうだ……!」

 

「「生徒会長⁉︎」」

 

 

次回に続く!

 

次回予告

 

仮面ライダーソニック!

 

「私が生徒会長でいる限り、スクールアイドル部は認めません‼︎」

「生徒会長!いくらなんでもそれは……‼︎」

 

なんかこんなパターン読者は見たことあるであろう。

生徒会長に阻まれ、中々先に進めない千歌達。

 

「果南姉ちゃん久しぶりー‼︎」

「隼斗⁉︎いつ帰ってきたの⁉︎」

 

そして果南がようやく登場!隼斗がはっちゃけて………

 

「海の音を聞きたくて……」

 

そして夕焼けの綺麗な海岸で、隼斗と千歌は謎の少女との出会いを果たす。これが、全ての始まりだった!

 

次回 2人の少女は何故巡り合ったのか?

 




どうも皆さん!時間かけた割に半分行ってねえとかワロエナイワロエナイ………第1話辺りの話はまだまだ続きます!


それでは次回もお楽しみに‼︎感想、評価等お待ちしています‼︎


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第5話 2人の少女は何故巡り合ったのか?

どうも皆さん、うp主のますたーつりーです!
今回は番外編をやると言ったな…………あれは嘘だ。

▂▅▇█▓▒ (’ω’) ▒▓█▇▅▂うわぁぁぁぁぁぁぁぁ

何でかと言うとですね、「想定外の事態が起きすぎた」と説明しておきましょう。

まず
・道に迷った

ゲーマーズ沼津を最初に訪れる予定だったのだがちっとも見つからなかった。
聖地巡礼の場所を把握してなかった

・圧倒的時間の無さ

距離が離れスギィ‼︎移動はバスとかじゃなきゃダメ(確信)

(ちなみにラッピングバスに乗れたからそれは良かった。)

などの理由から、訪れられたのが千歌ちゃんの家のモデルとなった旅館、及び近くのみとしーだけでした。

それに加えて友達が家の用事で急に来れなくなった事からボッチ旅だった。
ということもあり、圧倒的に物語にするのは不可能な内容となった為です。

またきちんと準備して出直す。必ず………‼︎
本当にすいませんでした………。


さて、話を切り替えて……サンシャインサーガ第5話‼︎

第1話の内容の後半になります‼︎

それでは本編、Start your engine‼︎




 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

新理事長(まあ人物に予想は付いてるが…)に選ばれ、俺は浦の星の共学化テスト生として転入する事になった。

 

入学式、始業式を終えたあと、俺、千歌、そして曜はスクールアイドル部の部員集めの為に宣伝に奔走していたのだが、そこに現れたのは……!

 

OPテーマ 青空JumpingHeart Aqours with 天城隼斗

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「Wao………beautiful………」

「隼斗、英語でてる。」

「天城隼斗さん、まさかあなたもでしたの?」

「は、はいっ⁉︎い、いえ俺……じゃなくて僕は幼馴染として手伝ってただけで決してその………」

 

「あなたも1年生?」

「バッカちげえよ!この人はえーと確か……!」

「隼斗も記憶曖昧じゃん!この人は3年生、しかも……!」

 

隼斗と千歌に耳打ちする曜。

 

「えええ⁉︎」

「そうだ……!」

 

「「生徒会長⁉︎」」

 

そう言うと微笑む彼女。

 

黒澤ダイヤ。(とんだキラキラネームだなおい………最初に式の前に会った時に思ったけどよ……)

 

この学校、浦の星女学院の生徒会長を務めている3年生。

確か家は網元の家で結構な金持ちだったっけな……………

と隼斗は古い記憶をたどって解説をしてみたり。

 

 

そして、俺らが連れてかれたのは生徒会室。

曜は外で待ち、俺と千歌だけが室内に。

 

って言うかなんで俺まで……

 

「つまり……設立の許可どころか申請もしていないのに、勝手に部員集めをしていたというわけですか?」

「悪気はなかったんです……。みんな勧誘してたから、ついでと言うか……焦ったと言うか……。」

「部員は何人ですの?ここには1人しか書いてませんが…」

 

「今のところは1人……だよな、千歌?」

「うん。今のところは〜1人です。」

「部の申請には最低でも5人は必要だという事を知っていますわよね………?」

 

申請書を持った手が震えていた。おいおい千歌、言動には気をつけろよ……?

 

「だから勧誘してたんじゃないです……」

 

その時、ガタン‼︎という音が鳴った。生徒会長が申請書を机に叩きつけていた。

 

「うわっひょい⁉︎」

 

突然の事に驚く2人。だが………

 

「…………いった〜!」

 

その勢いが強すぎたのか、手を抑えて痛がる生徒会長。

 

「クッ……wwwアハハハハハ‼︎自業自得じゃないですかwなーにしてんすかwwwww生ww徒ww会ww長さんwww」

 

ポケットに手を入れていた隼斗だが、その手を出し、腹を抱えて笑ってしまった。

千歌もその隣でクスクスと笑っていた。

 

「〜っ!笑える立場ですの⁉︎」

 

あ、戻った。てか無理矢理戻した。

 

「サ、サーセン………ククッ……wwww」

「………とにかく!こんな不備だらけの申請書、受け取れませんわ。」

「ええ〜⁉︎」

 

すると外にいた曜がドアを開け、

 

「千歌ちゃん、隼斗、一回戻ろう?」

「ん〜そう……だなぁ……千歌、一旦戻るぞ。」

「う〜…………じゃあ、5人集めてまた持ってきます‼︎」

 

「別に構いませんが、それでも承認は致しかねますがね。」

「どうしてです⁉︎」

「確かにだ、あんたさっき自分で言ってたろ?申請は最低でも5人必要だと。ならその人数集めてくりゃいいんだろ?」

 

「それとこれとは話が別。とにかく、わたくしが生徒会長でいる限り、スクールアイドル部は認めないからです‼︎」

 

 

その時、空気を読むようにして突如強い突風が。

てか窓閉めとけや‼︎

 

「そんな〜‼︎」

 

 

 

そんなこんなで、結局俺たちは帰ることとなった。

その帰り道、俺たち3人は小さな船に乗り、少し離れた島、淡島に向かっていた。

 

ちなみにライドソニックも置いてきてしまったが、まあ、大丈夫だ。

あれは俺が持つ専用のキーじゃなければ絶対に動かせない。

 

「あ〜あ……失敗した……」

「あんなん権力の横暴じゃねぇか畜生め‼︎」

 

ガン!と縁の所を握りしめた右手で叩く隼斗。

 

「でもなんでスクールアイドル部はダメなんていうんだろう?」

 

千歌が言った。そう、俺と千歌の疑問はそこである。

すると曜が言った。

 

「嫌い……みたい。」

「……はぁ?」

「クラスの子が前に作りたいって言った時も、断られたって……」

 

「曜ちゃん知ってたの⁉︎」

「先に言えよそんな重要な事〜!」

「ごめんっ!でも千歌ちゃん、夢中だったから……言い出しにくくて……」

 

「それに、俺さっき脳内の古い記憶探ってたんだが…生徒会長の家は確か古風な家らしい。だからこんな感じのチャラチャラしたのは嫌ってるんじゃって考えも……」

 

右手の人差し指で頭を指しながら隼斗が言った。

 

「チャラチャラじゃないのにな………。」

 

 

そして、それから船に揺られること数分。

 

「よっと!着いた‼︎」

「こっちに来んのもしばらくぶりだな‼︎」

 

そこから少し歩いた場所が、3人の目的の場所である。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あ、来た来た。遅かったね。今日は………」

 

「果南姉ちゃん久しぶり〜‼︎‼︎」

 

2人の後ろに隠れていた隼斗が飛び出してきてその子に抱きついた。

 

「うわわわわ!って隼斗!いつ帰ってきたの⁉︎って言うか離れなさいってあんたもう16でしょ‼︎自分の歳を考えなさい!」

 

だが、強い力ですぐに引き剥がされてしまい隼斗は足元に叩きつけられた。

顔を打ったのか鼻辺りを抑えている。

 

「痛たた……全く……ちょっとくらいいいじゃねえか…せっかくの弟との再会だって言うのに……」

「確かに小さい時から隼斗は私といて…弟みたいだとは言ったことあるけど……本当の姉弟(きょうだい)じゃないでしょう。」

 

 

彼女の名前は松浦果南。

隼斗達よりは1つ年上で、彼女もまた幼馴染である。

隼斗は彼女の事を本当の姉のように慕っており、(と言うより隼斗がかなり積極的)こうして甘えることもしばしばある。

 

「いつ帰ってきたかって言うと、つい数日前だよ。

アメリカぐらし!にも飽きちゃってさ〜。」

 

 

「そ、そうなんだ……でもすごい急だったね。向こう行ってからちっとも連絡してこないで……」

「こいつらにも連絡せずに帰ってきてさ。Surpriseだよ。」

「サプライズが無駄に発音良かったのは自然なの?」

 

すると千歌が手に持ったビニール袋を差し出す。

 

「はい!これ、回覧板とお母さんから。」

「どうせまたみかんでしょ?」

「文句ならお母さんに言ってよ!」

 

 

 

隼斗達は近くの椅子に座り、果南は1人何やら作業をしていた。

 

「よっ……と」

「姉ちゃん、手伝おうか?」

「別に大丈夫。それに、隼斗じゃ無理でしょ?これが重いのよく知ってるし。」

「今の俺だったら楽勝だっての!この2年で結構力がついたからな‼︎」

 

「そうだよ!それに隼斗君はなんと仮面ムグムグ………」

「言うなバカ!」

 

「仮面ライダー」と言おうとしたのであろう。千歌の口をすぐさま手で塞ぐ隼斗。

 

「あんまりそれについては大っぴらにできねーんだ。関係の無い姉ちゃん達を巻き込みたく無い(小声」

「ご、ごめん……。」

 

「隼斗、どうかしたの?」

「な、なんでも無い!なんでも無い……」

「そう……?ならいいけど……」

 

「それで、果南ちゃんは新学期から学校来れそう?」

「あ〜そう言えばさっきの船の中で聞いたよ。親父さん怪我したんだって?大丈夫なのか?」

「大事には至らなかったよ。それに家の手伝いもあるし、もうちょっとかかると思う。」

 

「そうなのか……確か果南姉ちゃんも浦の星だったっけ。俺も実は訳あってそこに行くことになってさ……」

「え?隼斗が?だってあそこ女子校だよ?」

「果南ちゃんも聞いてるでしょ?入学生徒数の減少。それに伴って共学化が考えられてるって」

 

「でも、それってあくまで噂じゃ……」

 

すると隼斗がフードの中から一通の手紙を出した。

隼斗のフードに関しては前回、第4話を見てみてね。

 

「俺がこちらに帰ってきた翌日、千歌の家に、俺宛にこの手紙が届けられた」

「え?なんで千歌の家に隼斗の手紙が?」

「隼斗君もうちで住む事になったんだ。」

「ふーん…………え?住む?隼斗が?」

 

「母さんが勝手に話を進めてさ……こうなった。でだ、仮にこの手紙の主がなんと新理事長らしくてさ…その人から手紙が送られて来たんだ。テスト生を受けてみないかって。まあ、その人物について見当はつくんだけど確証は持てない」

「新しい理事長が直々に…ね……」

 

「果南ちゃんも誘おうと思ってたのにな〜。」

「誘う?何に?」

「千歌のやつ、スクールアイドルを始める!とか言い出してさ」

 

隼斗がそう言った途端、果南の手がほんの一瞬止まった。

 

「……ふーん、そうなんだ……。でも、千歌達と違って、私は3年生だから」

「知ってる〜?すごいんだよ!」

 

そう言おうとした時、千歌の顔には魚の干物がつけられた。

しばらく近くのやめとくか……あれ結構生臭いんだよな…

 

「はい、お返し」

「また干物〜?」

「文句はお母さんに言って」

 

「そっくり返されたなw」

 

「まぁ、そんなわけで、もうちょっと休学続くから学校で何かあったら教えて」

「多分これから色々あると思うよ!………この町も、何かでっかいことが起きそうな気がするから」

 

隼斗はそう言って空を見上げた。すると、どこからかヘリの音が聞こえてくる。

 

「む?空から……?」

「何だろう?」

 

疑問に思う隼斗達に、果南は言った。

 

「小原家でしょ」

 

 

 

淡島の空を飛ぶヘリ。それに乗っていた少女は呟いた。

 

「2年ブゥリデスカ。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その後、3人は果南の家を後にし帰宅。千歌と曜はバスで、隼斗は置いてきたライドソニックに乗り一足先に帰った。

 

そして隼斗と千歌は、そこでこれから先を左右する出会いをする事になる。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

バス停に到着し、降りる千歌。そしてそれを待っていたように止まっている隼斗。

 

そこからは徒歩なので、隼斗はバイクを押しながら千歌と並んで歩いていた。

 

 

「どうにかしなきゃな〜せっかく見つけたのに………」

「俺にできることがあったら協力する。だから頑張ってみようぜ………ん?」

「隼斗君どうしたの?」

「いや………あの子……」

「あの子?」

 

隼斗が指差す方向には1人の女の子が。

 

「あの子がどうかしたの?」

「いや別に……何か、真剣な表情だな〜って……それにあの制服、どこかで………」

 

隼斗と千歌が不思議そうにその方向を見ていると、その子が突然制服を脱ぎ、水着姿になった。

 

「いいっ⁉︎」

「隼斗君見ちゃダメ‼︎」

「ゲフッ‼︎」

 

そして何故か隼斗の顔面に一撃が。

 

「不可抗力だろ畜生………」

「ていうか……まだ4月だよ……⁉︎」

 

 

「たああああ‼︎」

 

しかもその子は海に入ろうとしてるのか、走り出した。

それをギリギリ千歌が止めようとするが………

 

結果、二人共揃って落ちてしまった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「っ〜!ててて………っておい!大丈夫か⁉︎」

 

不可抗力ダメージから回復した隼斗が駆けつけると、浜辺に千歌とその少女が。どうやら二人共無事らしい。

 

「はぁ………びっくりした……ったく大丈夫か?」

「私は大丈夫だよ」

「お前は知ってるよ。そっちのお嬢さん、あんただ。この季節にその格好で海入ろうとするとか無謀過ぎる。」

 

「……海の音を聞きたくて……」

 

その子はそう言った。

 

「海の……音………?」

「つまり……どういうことだ?」

 

隼斗が再び尋ねるが、今度はすぐには答えない。

 

「聞かないでって事か……なら聞かねー。でも、海の音って事は海中の音って事……なのか?」

 

隼斗がそう言うと、彼女は少し笑い言った。

 

「私、ピアノで曲を作ってるの。でも、海の曲のイメージがどうしても湧かなくて………」

「それで、海に直接聞いてみるためにあんな事を……か。大体わかった」

 

「でも、作曲なんて凄いね!ここら辺の高校?」

「………東京。」

 

「東京だぁ⁉︎これまた随分と遠くから………」

「わざわざそんな遠いところから?」

「わざわざっていうか………」

 

すると千歌がその子の隣に座る。隼斗もその近くまで移動した。

 

「じゃあさ、スクールアイドル知ってる⁉︎」

「スクールアイドル……?」

「ほら、東京の方だと有名なグループ沢山いるでしょ?」

「何の話?」

 

千歌がスクールアイドルの話をしようとしたが、どうやら彼女はスクールアイドルの事を知らない様子。

 

「まさか知らないの⁉︎学校で結成されて、アイドル活動をして、大会が開かれたりするんだよ!」

「有名なの?」

 

「有名を通り越すくらいだ!」

「そ!有名なんてもんじゃないよ。ドーム大会も開かれた事があるくらい超有名なんだよ‼︎」

 

「とは言っても、俺もそこにいるそいつも詳しくなったのはつい最近だがな。」

「そうなんですか……私、ピアノばかりやってたからそういうの疎くて………」

「じゃあ見てみる?なんじゃこりゃー!ってなるから!」

「なんじゃこりゃ?」

「えーとこの辺に………ほらこれ‼︎」

 

隼斗はポケットからスマホを出して操作すると、その画面を彼女に見せる。そこに写っていたのは、伝説と言っても過言ではないくらい有名なスクールアイドル、μ's。

 

そこに写っていたのは、制服姿の9人の女子生徒メンバー。

 

 

 

「9人の女の子……?」

「どう?」

「どうって言われても……何というか……普通?」

「普通……か。確かにそうかもな。」

 

隼斗と千歌が立ち上がった。

 

「いや、悪い意味じゃなくて……何というか、アイドルって言うからもっと芸能人みたいなのかなって思ってて…」

「そうだよな………ああ、俺も最初見たとき、そう思ったんだ。」

 

 

2人は声をそろえて言った。

 

 

「「だからこそ………衝撃だったんだ。」」

 

「だからこそ……?」

 

波が引いた砂浜にある1つの石。それを千歌が拾い、海に向かって投げた。数回跳ねた後落ちていった。

 

「あなたみたいにずっとピアノやってたわけでもなく……何か夢に向かって頑張ったり、何かに夢中になったり…」

「俺は今もだけど。」

 

千歌も、今までは普通の子供であった。

何か1つの事に夢中になる事もほとんどなく、普通星人だの普通怪獣だの言って……

 

「そんな時に出会ったんだ。あの人たちに。」

 

およそ数ヶ月前、千歌はμ'sと出会い、隼斗もその影響で、スクールアイドルを知った。

 

「みんな私と同じ、普通の高校生のはずなのに、キラキラしてた。それで思ったんだ。一生懸命練習して、心を1つにしてステージに立つと、こんなにもかっこよくて………感動できて………素敵になれるんだって!

スクールアイドルって……こんなにも、キラキラ輝けるんだって‼︎気付いたら全部の曲を聴いてた。」

 

「俺も似たようなもんだな。いつだったか…ほんの少し、踊る事に急に興味が出始めて、有名なスクールアイドルやダンスチームのパフォーマンスを見たりしてた」

 

「毎日動画を見て、歌を覚えて……それで思ったの。私も仲間と一緒に頑張ってみたい。この人たちが目指した場所を目指してみたいって。」

 

「私も、輝きたいって‼︎」

 

 

 

 

そして、彼女もふと笑顔を見せた。

 

「ありがとう。なんか、今の話聞いて、頑張れって言われた気がした。」

「勇気づけられたならよかった。あ、自己紹介がまだだったな。俺は天城隼斗。隼斗で構わないぜ」

 

「私は高海千歌。あそこの丘の上にある、浦の星女学院の高校2年生。訳あって隼斗君もそこに通ってるんだ」

 

「その訳が気になるけど………2人共同い年ね。」

 

「え?」

「そうだったのか?」

 

「私は、桜内梨子。高校は…………」

 

 

彼女の高校名は2人に再び衝撃を与えた。

 

 

 

 

 

 

 

「音ノ木坂学院高校」

 

3人の間を、一枚の白い羽が落ちていった。

 

そして、翌日。

 

「もう一度?」

「うん、ダイヤさんのところに行ってお願いしてみる。」

「でも……」

「諦めちゃだめなんだ〜♪その日は絶対来る〜♪」

 

隼斗が歌ったのは、μ'sの歌のワンフレーズ。

 

「あの人たちも、そう歌ってた。」

「隼斗、歌も上手かったんだ……」

「千歌ちゃんだけじゃなく隼斗まで……フフッ、本気なんだね。」

 

すると曜は千歌の肩をトントンと叩き、隙を見て千歌が持っていた申請書をヒョイと取る。

 

「ああちょっと!」

 

そして、2人は背中合わせになった。

 

「私ね、小学生の頃からずっと思ってたんだ。千歌ちゃんや隼斗と一緒に何かやりたいなって。」

「俺も……なのか?」

「だから、水泳部と掛け持ち……だけど!」

 

曜は千歌の背中を借りて申請書に自分の名前を追記した。

 

「ほら、隼斗も!」

「へっ、言われずともっと‼︎」

 

腰掛けていたライドソニックから降り、隼斗も自分の名前を書き込んだ。

 

「俺たち2人、協力させてもらうぜ!お前の……いや………「俺たち」やりたい事の為に‼︎」

 

そう言って隼斗は申請書を千歌に渡した。

 

「曜ちゃん……隼斗君………‼︎」

 

すると千歌は泣きそうになりながら2人に抱きついた。

 

「いででで!力強すぎだっての!」

「苦しいよ〜!」

 

「よーし!絶対に凄いスクールアイドルになろうね‼︎」

「うん‼︎」

「いっちょやってみっか‼︎」

 

 

だが……その申請書がさっきのせいで水たまりに落ちてしまった。

 

「「「あああああ‼︎」」」

 

そして、生徒会室にて………

 

 

「よくこれでもう一度持ってこようという気になりましたわね。しかも1人が3人になっただけですわよ?」

「悪いが、そう簡単に折れる俺たちじゃないんでね」

 

「そう!生徒会長はきっと私の根性を試してるんじゃないかって思って!」

「いや〜それはないと……」

 

「違いますわ!何度来ても同じとあの時も言ったはずです‼︎」

「どうしてです‼︎」

「この学校には、スクールアイドルは必要無いからですわ!」

「なんでです⁉︎」

 

「「ムムムム………‼︎」」

「はぁ………ったく2人共一旦……落ち着けっ‼︎」

 

近くにあった片付けてね☆BOXと書かれていた箱を手に取り2人の頭を叩く。

 

「ったく生徒会長も子供ですか!そんな机に乗ってまで!千歌も同じだ!」

「ごめんなさーい………」

 

「上級生にも容赦ありませんわね天城さん……!」

「下の名前で呼んでください生徒会長。それに、怒った顔はあんたには似合わねえよ?折角の美人さんが台無しd」

 

フードから赤のバラを出しながらそう言おうとした瞬間、隼斗の顔面にBOXが飛んできた。顔面ダメージは今話2度目である。

 

「おだまらっしゃい!」

「ててて………。何も本気で投げなくても……」

 

「とにかく……やるにしても、曲は作れるんですの?」

「曲?」

「あ〜なるほど………」

 

窓の外を見ながら生徒会長は言った。

 

「ラブライブに出場するには、オリジナルの曲でなければならない。スクールアイドルになる時の最初の難関ですわ。東京の高校ならいざ知らず、うちのような高校だと、そんな生徒は………」

 

そんな話を聞いた後、俺たちは教室に戻った。

 

「1人もいない……生徒会長の言う通りだよ〜!」

「ここに来て厄介な壁が出やがったな……いや、スクールアイドルになる以上、誰しも必ず当たる壁だ。」

「こうなったら‼︎」

 

そう言って千歌が取り出したのは………

 

音楽の教科書だった。

 

「私が‼︎」

「できる頃にゃ卒業してる。」

 

千歌の前に座る隼斗が首を曲げて後ろを見ながら言った。

 

「だよねぇ〜。」

 

「はーい皆さん!ここで転校生を紹介します。」

 

担任から突然言われたのは、なんと転校生が来ると言う知らせだった。

 

「転校生だぁ?」

「隼斗が来たばかりなのにまたうちに来るんだ。」

「まあただでさえ生徒少ねえからなこの学校……。さーて一体どんな子が来るのやら……?」

 

教室に入ってきたその子は俺と千歌が出会ったことのある子であった。

 

「今日から、このクラスに編入することになった……」

 

「東京の音ノ木坂という高校から転校してきました、桜内梨子です。よろしくお願いします。」

 

「奇跡だよ!」

「It's miracle‼︎」

 

千歌と隼斗が同時に立ち上がりそう言った。

 

「あなた達は⁉︎」

 

それが全ての始まり。これから始まる物語の1ページだった!

 

 

挿入歌 決めたよHand in Hand 歌 2年生4人〜♪

 

 

「スクールアイドル、一緒に始めませんか⁉︎」

 

だが、梨子さんの答えは……

 

「ごめんなさい!」

 

なんとあっさり断られてしまった。

 

「ええええええ⁉︎」

 

次回に続く。

 

 

次回 サンシャインサーガ!

 

「ごめんなさい!」

 

千歌は何度も梨子さんをスクールアイドルをやろうと誘うが、答えはNOだった。更に……

 

「μ'sはスクールアイドルの聖域、聖典‼︎」

 

何故かμ'sの事に対して熱くなる生徒会長!

 

「妙だな……嫌ってるはずならあそこまで……」

 

その変化に興味を持った隼斗。そして………

 

「折角復活したんだ……今度こそ‼︎」

 

またしても現れる新たなロイミュード‼︎

 

「新装備⁉︎一体どんなのが………」

 

そして仮面ライダーソニック、新装備が⁉︎

 

 

そして梨子が断り続けるその理由。その秘密は、彼女の昔のトラウマにあった?

 

 

次回 転校生を捕まえろ!

 





どうも皆さん!やあっと編集終わった………編集時間実に約7時間。
これでようやくスタートは完成!次回は第2話!果たして、千歌は梨子を仲間にする事ができるのか⁉︎

そして隼斗は、ロイミュードとの戦いに勝つ事ができるのか!それでは次回もお楽しみに‼︎
感想、評価等お待ちしてます‼︎


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第6話 転校生を捕まえろ!


どうも皆さん!さて、物語は第2話編に突入!
はたして千歌達は梨子ちゃんを仲間にすることができるのか?

それでは本編、Start your engine‼︎


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 渡辺曜

 

浦の星に転校してきた桜内梨子ちゃん。その子と千歌ちゃん、隼斗はどうやら知り合いらしく……。

なんとかスクールアイドル部に勧誘しようと頑張る千歌ちゃんだけど………?

 

OPテーマ 青空JumpingHeart Aqours with 天城隼斗

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あの朝に断られてからと言うものの、千歌は休み時間、

昼時、体育の時間に走ってる途中など。

様々な場面でなんとか彼女を部員にできないかと誘うものの、彼女の答えはNOばかりであった。

 

そして、その日の昼休み。

俺たち3人は中庭でダンスの練習?をしていた。曲はμ'sの名曲 START:DASH。

 

「ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー……」

 

「またダメだったの?」

「うん。でも、あと一歩、あと一押しって感じかな!」

「本当かよ……?」

 

隼斗が少し疑いの目を向ける。

そして、曜が曲を止めて一度休憩。

 

「だって最初は………」

 

『ごめんなさい!』

 

「だったのが最近は………」

 

『ごめんなさい………』

 

「になって来てるし!」

「嫌がってるだけだと思うけど……。」

 

「あんだけ断られても粘る千歌の根性もあれだが、断り続ける梨子さんもすごいもんだな……でも、なしてあそこまで断るかなぁ……な、お前らもそう思うだろう?」

 

そう言うと、フードからシグナルマガールⅡ、トマーレⅡカクサーンⅡキケーンⅡ、そしてシグナルソニックが飛び出し隼斗の頭の上を回りながら、それぞれが音を鳴らす。

 

「だってさ。そこまでして彼女を勧誘したいのかって」

 

「隼斗この子達の言葉分かるの⁉︎私にはなんかクラクション鳴らしてるようにしか聞こえないけど……」

「意思疎通ってやつ。慣れると言葉にきこえる。」

 

「そりゃあそうだよ!それに、いざとなったら……………私がなんとかする‼︎」

 

千歌が音楽の教科書らしきものを出しながら言う。

 

「それはあくまで最終手段だ。最悪そうなるからな………なんとかして彼女に頼もう」

 

「それより、曜ちゃんの方はどう?」

「もちろん!描いてきたよ‼︎」

 

そう、千歌は衣装のデザインを曜に頼んでいたのだ。

そして、教室でそれを見せてもらうが………

 

「う〜んこれは………」

「どう?」

「衣装というよりこれは制服じゃねえか?」

 

スケッチブックに描かれていたのは、まるで電車の車掌のような服装の千歌。

本当これは制服だな、うん。

 

「スカートとか無いの?」

「あるよ!はいっ!」

 

続いて2枚目のデザイン。いやいやいやこれどっからどう見ても警察官(婦警)じゃねえか!

 

「う〜んこれでもない………」

「じゃあこれ!」

 

続いて3枚目…………

 

「…いやいやいや!武器持っちゃったよ!これ自衛官か軍人か何かか‼︎アイドルから離れすぎだ!曜戻ってこい!」

「もっと可愛いスクールアイドルっぽい服だよ〜」

 

「と思って、それも描いてきたよ!ほいっ!」

 

そして4枚目。今度こそ…………おおおお。

まともなのがようやく出てきた。千歌に似合う明るい色。これぞアイドルに相応しい衣装だ。

 

「わぁ………」

「曜、最初からそれ出せよ………」

「すごい!キラキラしてるよ!」

 

「でしょー⁉︎」

 

「しかし、こんな衣装作れるのか?ちっと俺らアマチュアにはレベルが高いと思うが……」

「大丈夫だよ隼斗!なんとかなる!」

「よーし!くじけてる場合じゃない‼︎」

 

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「お断りしますわ!」

 

「こっちも⁉︎」

「うん知ってた」

 

場面変わりまして……俺たちがいるのは生徒会室。

再びあの硬度があるのか分からんドジっ子生徒会長の元に来ていた。

 

「5人必要だと言ったはずです。それ以前に、作曲はどうなったのです?」

「それは……多分……いずれ………きっと………可能性は無限大‼︎」

「千歌、それ答えになってねえぞ」

 

「でも、最初は3人しかいなくて大変だったんですよね、u'sも。←(読み方上わざと間違えてます)」

 

「うんうん、そうだって確か………………おい、ちょっと待て。」

「知りませんか?第2回ラブライブ優勝!音ノ木坂学院のスクールアイドル、u's!」

「それはもしかして、μ'sの事を言ってるのではありませんですわよね?」

 

「(マジかコイツこのバカチカ‼︎)」

 

「もしかして……あれってそう読む……」

 

「おだまらっしゃーい‼︎‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「だって。前途多難過ぎるよ〜!」

「間違えたお前が悪い!あのグループ名を間違えるなど…恥を知れ恥を!」

 

「まあまあ隼斗も落ち着いて……」

「ぐぅぅ……それもそうか……staycool staycool……常に冷静であれ。だっけか」

 

 

で、あの時何があったかと言うと………

ここから先は生徒会室での出来事と変わり変わりで物語が展開します。

 

「言うにことかいて名前を間違えるですって?ああ⁉︎」

 

その気迫に押される俺ら。

 

「生徒会長がヤクザみたいになっちまったよ………。」

「μ'sはスクールアイドル達にとっての伝説!聖域!聖典!宇宙にも等しき生命の源ですわよ‼︎その名前を間違えるなど…………!片腹痛いですわ……。」

 

で、海近く。現在。

 

「あ!花丸ちゃーん‼︎」

「お、確か君はあの時の!」

 

どうやらこちらに気づいたようだ。

 

「こんにちは。」

 

「やっぱり可愛い……!」

「確かに……!む?あそこにいるのは……」

 

隣の木から少しはみ出た赤い髪。間違いない、あの子だ。

 

「あ、ルビィちゃんもいる!」

「やっぱりか、アレが特徴的だもんな。」

 

 

で、またまた戻って生徒会室での。

 

「その浅い知識だと、偶々見つけたから軽い気持ちで真似をしてみようとか思ったのですね?」

「そ、そんなこと……」

 

「なら、μ'sが最初に9人で歌った曲、答えられますか?」

 

「なーんだ!楽勝じゃねえか‼︎」

「貴方は答えてはいけません、天城さん」

「いい加減名前で呼んでくれないかなぁ……」

 

「えーっと………」

 

「ブーッ!ですわ!」

「え、生徒会長?」

 

そして現在。

 

「ほーらほら、怖くない。食べる?」

 

飴でルビィちゃんを釣ろうとする千歌。

おい、これ他人からみたら不審者にしか見えないぞ。

 

だがしかし、意外にもあっさり釣られるルビィちゃん。

なんか心配になって来た…………

ある程度まで誘き出し………

 

「ふふん。とりゃっ‼︎」

 

飴が空高く投げられる。おい、いくらなんでもそれは……

だがその隙に……

 

「捕まえたっ!」

 

ルビィちゃんを捕獲。

そして飴は見事ルビィちゃんの口に。ナイス。

 

 

で、再び戻って過去での出来事。

 

「僕らのLIVE君とのLIFE。通称『ぼららら』」

「⁉︎生徒会長!何故その通称を!それはファンの中でも特にコアな人しか知らない……」

「次、第2回ラブライブ予選、μ'sがステージに選んだ場所は?」

 

「無視かよ!てか話聞いてます⁉︎」

「えーと……!」

「オメェも勉強しとけ!」

 

「ブッブー!ですわ!」

「さっきから生徒会長もなんなんだよ!子供か‼︎」

「秋葉原UTX屋上。あの伝説と言われるA−RISEとの予選ですわ」

「よく知ってやがるぜ……」

 

「次、第2回ラブライブ決勝。μ'sがアンコールで歌った曲は……」

「知ってる!僕らは今の中で‼︎」

「やっと答えられたか……」

「ですが………」

 

 

そして、場所が変わってバス内。

だが隼斗はライドソニックで来てる為、曜のスマホのテレビ電話を通して会話に参加している。え?運転しながらはダメだろって?フフン。この近くに警察とかがないのは既に把握済み。

 

まあ要するにだ、ばれなきゃ犯罪じゃ(ry

 

「スクールアイドル?」

「うん!すっごく楽しいよ!興味ない?」

「いえ、マルは図書委員の仕事があるずら。………いやあるし……」

『今またずらって言わなかった?』

 

「そっか……ルビィちゃんは?」

「ええっと……ルビィは……その……お姉ちゃんが…」

「お姉ちゃん?」

「ルビィちゃん、ダイヤさんの妹ずら。」

 

へぇ妹…

 

……おいちょっと待て、今とてつもなく重要な事をさらりと言ったぞこの子。

 

『え⁉︎それマジ⁉︎マジなのか⁉︎』

「隼斗声が大きいよ!」

『ああ、す、すまねぇ………』

「あの〜隼斗先輩はなんでバイクなんですか?」

 

『これがすごく使い慣れてるんだ。交通費の節約にもなるしな』

 

「生徒会長、なんでかスクールアイドル嫌いみたいだしね〜。」

『…………いいや、それは間違ってると思うぜ曜』

「「え?」」

 

千歌と曜が驚く。その後、端末を通して隼斗が喋る。

 

「え?どうして?」

『だってよく考えてみろよ。本当に嫌いだったら………』

 

過去に戻る。

 

「ですが、曲の冒頭、スキップをしている4人のメンバーは?」

「えええっ⁉︎」

「ここに来て更にコアな問題を⁉︎………まさか……」

 

「ブッブッブー‼︎ですわ‼︎」

 

その時、千歌のかけた手が放送関連のスイッチを入れてしまったようで……

 

「綾瀬絵里、東條希、星空凛、西木野真姫!」

「あ〜!そうそう!その4人だ‼︎」

「スゲェ……!」

「生徒会長、もしかしてμ'sのファン……?」

 

「当たり前ですわ!私を誰だと………んんっ!一般教養ですわ!一般教養‼︎」

「「「ええ〜?」」」

 

「と、とにかく!スクールアイドル部は認めません‼︎」

 

ちなみにスキップのところは作者も一瞬わからなかった

(マジ)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『あそこまで詳しいはずがない。何せ俺が覚えてない知識すらもあの人の頭ん中にはあったんだからな』

「なるほど……」

 

「とにかく、今は曲作りの方を考えた方がいいかも。

何か変わるかもしれないしね」

「そうだね〜。花丸ちゃんはどこで降りるの?」

「今日は沼津までノートを届けに」

「ノート?」

 

「実は、入学式の日……」

 

そう言って語り出したのはあの善子とかヨハネとか言う、あの堕天使ガールの事だ。

自己紹介、もとい事故紹介でやらかし、それっきり学校に来てなかったんだと。

 

『なーるほどねぇ……』

「そんな事があったんだ……」

 

 

そして、なんやかんやで語ってる内に目的地に到着。

 

「じゃあね〜‼︎」

「See you again!」

 

そして海岸には桜内さんがいた。

 

「桜内さーん‼︎」

「お、梨子さん!」

 

隼斗達を見てため息を吐く梨子。

 

「まさか、また海入ろうとしてる?」

 

そう言いながらスカートをめくる千歌。

いやいや俺は見てないぞ⁉︎

 

「してないです‼︎ほら、天城君もいるでしょ!」

「俺は見てねえから‼︎」

 

後ろを向きながら言う隼斗。

 

「よかった〜」

「あのねぇ、こんなところまで追いかけてきても、答えは変わらないわよ。」

「違う違う。偶々通りかかっただけ。そういえば、海の音聞く事はできた?」

 

だが、彼女は言わなかった。まだダメって事らしい。

 

「ねぇ、今度の日曜日空いてる?」

「空いてるけど、どうして?」

「お昼にここに来てよ。海の音、聞けるかもしれないから。」

「聞けたらスクールアイドルになれとか言うんでしょ?」

 

「こいつ考えだと、願わくばって事だろうけどな」

「でもその前に、聞いてほしいの、歌を」

「歌?」

「ほら、梨子ちゃんスクールアイドルについて全然知らないでしょ?だから、知ってもらいたいの!……ダメ?」

 

「あのね、私ピアノやってるって言ってたでしょ?」

「ああ、言ってたな。初めて会った時に」

 

「小さい頃からずっとやってたんだけど、最近、ちっとも上手く出来なくなって……やる気も無くなって……環境を変えれば、何か変わるかなって」

 

「スランプってやつか……」

 

 

「……………変わるよ」

 

 

「簡単に言わないでよ」

「確かにそうかもしれない。けど、そんな気がする。俺たちには分かる!」

 

そう言うと千歌が梨子の手を取る。

 

「変な人達」

「変……かなぁ?」

 

「少なくともこいつよりはマシ」

「ちょっと隼斗君!」

 

「だから、スクールアイドルなんてやってる暇ないの」

「ならせめて、海の音だけでも聞きに行こうよ。スクールアイドル関係無しに」

 

千歌がそう言うと、その手は再び握り直された。

 

「本当、変な人達」

「だーかーら!少なくともこいつよりは………っ⁉︎」

 

と、隼斗が笑ったその瞬間に変な重力が3人を襲う。

いや、それどころか周りがそうなってるようだ。

 

そう、重加速である。

 

『これは……!』

『これってまさか……‼︎』

 

だが、シグナルバイクを持っている隼斗は唯一動ける。

 

「うぉっととと⁉︎ロイミュード!どこだ!」

 

「ここだ」

 

そこに立っていたのは何処か筋肉質な大柄な男。だが………

 

「この重加速内でも動けるって事はマジみたいだな………しかも人間態でかよ。とりあえず……!マガールⅡは梨子さんに!トマーレⅡは千歌に‼︎」

 

指示を出すと、シグナルマガールⅡが梨子の手元に。

トマーレⅡは千歌に渡り、ようやく重加速から解放される。

 

「うわわっ!は〜!これで2回目⁉︎」

「今の感覚……!」

 

「梨子さんなら知ってるだろ。重加速……どんよりってやつ!」

「嘘!だってあれは……」

「俺もそう思ってたがね。これは紛れもなく現実だ‼︎さあ姿を現せ!ロイミュード‼︎」

 

隼斗がそう言うと、そいつは紫のゴツゴツとした怪人に姿を変えた。

ドライブが最初に撃破した進化態ロイミュード。

ロイミュード029 アイアンロイミュードである。

 

「よりによって進化態かよ……!2人共!その辺に隠れてろ!」

 

そう言うと、2人共近くの岩場に隠れる。

 

「ここで梨子さんに正体バラしたくなかったんだけどな…やむをえねぇ‼︎」

 

隼斗は、フードから取り出したマッハドライバーマークIIを

当てるとベルト部分が伸びて装着される。

そしてパネル部分を展開。

 

 

そして、左手に持っていたシグナルソニックをパネル部分にセットし、手でパネルを下げる。

 

《SignalBike!Rider!Sonic!!》

 

「Leady………変身‼︎」

 

 

 

ノリの良い音楽が鳴ると共に変身が完了。

隼斗は青色の戦士 仮面ライダーソニックへと姿を変えた。

 

「ほぅ……新しい仮面ライダーか。」

 

アイアンロイミュードがそう言うと、ソニックも名乗りを上げる。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎仮面ライダー………ソニック‼︎」

 

「変身……した⁉︎」

「来た〜!やっちゃえ隼斗君‼︎」

 

「任しとけ‼︎さぁ踊れ‼︎音速のShowTimeだ!」

 

ブーストイグナイターを連打し加速!

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

「せっかく復活できたんだ!お前ごときに負けん‼︎」

「望むところだ!筋肉野郎!!」

 

ソニックは持ち前の加速力を利用して殴っては引き、蹴っては引きと、一撃離脱を繰り返して攻撃を繰り出していく。

 

「ぐっ!こいつ!このっ!」

「オラオラどうした!スピードじゃ勝てねぇかぁ⁉︎」

 

更に潮風も吹いているため、ソニックの首元に巻かれた特殊マフラー『ストリームストール』がその風を吸収。

そのスピードと攻撃力に磨きをかける。

 

「ぐううっ!なめるな‼︎」

 

するとアイアンロイミュードの手の甲部分?が変形し伸びた。

 

「あ、やべ……」

「そらっ‼︎」

 

そしてその伸びた部分で叩くようにして攻撃して来た。

 

「ぐああっ⁉︎」

「隼斗君!」

「天城君⁉︎」

 

その衝撃で隼斗が吹っ飛ばされてしまった。

 

「か〜!いててて……遠距離攻撃まで持ち合わせてたとは……まいったな……今こっちには遠距離攻撃手段なんて……」

 

と、隼斗が1人でつぶやいてると、何やら通信が入った。

一応アメリカのハーレー博士と連絡をとる手段として、念のためつけた機能である。

 

 

「あーもう!なんだよ!こちとら今苦戦中‼︎」

 

『いや〜すまんハヤト‼︎言い忘れていた事がある!ライドソニックの中に新兵器を用意しておいた!使ってくれ‼︎じゃ、頑張れよ‼︎』

 

そこで通信は切れた。一方的過ぎる。

 

「新兵器?ええい!とにかく来い‼︎」

 

すると、ライドソニックのヘッド部分の一部が展開し、

(ライドチェイサーみたいな感じで)

中から空中を走るように飛んできたのは、なんと………

 

車輪のようなものがついた青色の銃だった。

それはソニックの右手に収まった。

 

《ゼンリンシューター!version Sonic‼︎》

 

「おおお!ゼンリンシューター‼︎しかも俺専用カラー‼︎」

 

bgm Full throttle〜Type Sonic ♪歌 天城隼斗

 

「武器を装備したところで、俺には勝てん‼︎」

「だよね。だ・け・ど、武器はこれだけじゃねぇ‼︎さぁ、お楽しみはこれからだ‼︎」

 

そう言い放つと、ソニックはゼンリンシューターを片手にアイアンに向かって走り出す。

 

「喰らいやがれ‼︎」

 

《シューター‼︎》

 

ビーム弾を連射して攻撃する。

 

「ぐああっ!」

「更に‼︎」

 

車輪部分を回す。

ゼンリン部分が高速回転し、打撃を強化する。

 

《ゼンリン‼︎》

 

「オルァッ‼︎」

 

強烈な打撃。吹っ飛ぶアイアンロイミュード。

 

「まだまだ!さーて、そろそろ本領発揮といきますか‼︎」

 

ソニックはドライバーのパネル部分を上げて

シグナルソニックを抜く。そして、シグナルカクサーンⅡをセットし、降ろす。

 

《Signal Bike!Signal koukan!Cho kakusa–n‼︎》

 

なお、シグナルバイクⅡ達はそれぞれ超が付く。

 

その音声と音楽と共に両肩のシグナコウリンには

カクサーンのマークが現れる。

 

「全部よけ切ってみな‼︎」

 

《シューター!超・カクサーン‼︎》

 

ゼンリンシューターを撃つと同時に、イグナイターを一回押す。

すると弾がいくつにも増えた。まさしく拡散弾だ。

 

「弾が増えたぁ⁉︎」

「すごい……!」

 

「ぐああっ⁉︎馬鹿な……ここは一旦……」

 

大きな岩陰に隠れるアイアン。

 

「ん〜マガールでもいいけど……ここは……‼︎」

 

仮面の下で笑みを浮かべながらソニックはカクサーンⅡを抜き、キケーンⅡをセット。

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho・Kike–n‼︎》

 

それと同時に両肩のシグナルも変わる。

 

「そこ危ねえぞ〜‼︎」

 

《シューター!超・キケーン‼︎》

 

上空に向けて撃った弾がイグナイターを押したことで

小さな魔獣(どうみてもマ○オの○ラー)に変化。

それはアイアンの前に落ちた途端に巨大かつ凶暴化。

 

「うわああああっ⁉︎ちょ、やめろ!」

 

ガブガブと嚙みつき攻撃をする。OH……痛そう。

ついでに隠れてた岩も噛み砕かれてた。

 

「そろそろ放してやれ!止めは俺が差す‼︎」

 

《Signal Bike!Signal koukan!Rider!Sonic‼︎》

 

シグナルバイクをソニックに戻し、それを再びパネルから抜き取りゼンリンシューターにセット。

 

《ヒッサツ‼︎》

 

「フィニッシュだ。」

 

《Full throttle!シューター‼︎》

 

 

「シューティング・ソニック‼︎」

 

 

銃口から放たれる必殺の巨大なエネルギー弾。

それを喰らいアイアンロイミュードは倒れ、爆散。

出てきたコアも……

 

「後始末!」

 

シューターで打ち抜いて処理完了!

 

「勝った………完全勝利‼︎」

 

からのパネルをそのまま下げ、変身を解いた。

 

《オツカーレ!》

 

「隼斗君!」

「天城君!」

 

戦いを終え、どんよりも消えた。

2人も隼斗に駆け寄る。

 

「それ新武器⁉︎すごかったよ!」

「あの、天城君!今の姿って………」

「おおっと……これは秘密、な。詳しい事はいずれ話す。とりあえず帰ろうぜ‼︎」

 

そのまま逃げるようにバイクに戻る隼斗。

それを追う千歌。そして梨子は1人海岸に残りつぶやいた。

 

「……仮面ライダー………」

 

 

 

次回に続く!

 




サンシャインサーガ第6話投稿完了!次回で梨子ちゃん加入編を終わらせる!

そして新兵器紹介!

ゼンリンシューターVersion Sonic

仮面ライダーソニック用に改良された
ゼンリンシューター。

・色がマッハとは違い青色ベースなのが特徴的。
車輪部分などは変わらない。

・もちろんシグナルバイクを使って能力を引き出し、特殊技の攻撃もなんのその!

普段はライドソニックに収納してある為、変身前でも使用できる。


それでは次回もお楽しみに‼︎感想等お待ちしてます‼︎



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第7話 転校生を捕まえろ!PART2


どうも皆さん!ますたーつりーです。

さて、今回で梨子加入編を終わらせる!
それでは本編、Start your engine‼︎



 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 桜内梨子

 

夕方の海岸で同じクラスの高海千歌さんと、テスト生?の天城隼斗さんに会った私。

「海の音を聞きに行こう」彼女にそう言われて、

私達は今度の日曜日に海の音を聞く約束をした。

 

しかしその時、突如どんよりが私達を襲う。

ロイミュードはいなくなったはず。そう思っていたけど、これは紛れもなく現実だった。

 

ピンチに陥った私達を助けたのは、天城隼斗さんだった。

しかも、彼はなんと青色の仮面ライダーに変身!

その手に握られた青色の銃で多彩な戦術を繰り出し、敵をあっさりと撃破してしまった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、その次の日の学校にて。

 

「天城さん!」

「隼斗でいいよ。そんな他人行儀じゃなくても……同い年だろ?」

「じゃあ隼斗……さん?」

「さんもいらねえよ……それで?」

 

教室の席で梨子に問い詰められている隼斗。

それもそのはず、昨日あれ程本人の前で暴れたのだ。

 

「隼斗君、桜内さんに問い詰められてるね……」

「千歌に聞いた限りだけど、またあの怪物が現れたんだって?大変だったでしょ?」

「ううん、そうでもなかった。隼斗君がほとんど圧倒してたもん!」

 

「昨日の夕方のあれは一体なんだったの?あなたのあの力も、あれは………」

「あんまりいいたかねぇんだがなぁ………ダメ?」

 

「ダメです」

「………分かった」

 

隼斗はこれまでの経緯を話した。

とりあえずは、アメリカにいた頃の話や何故仮面ライダーになったのかなど。

 

「仮面ライダーソニック……研究……希望……?なんだかごちゃごちゃしててよく分からないわよ……」

「まあ正義のヒーローって事だけ覚えててくれりゃいい。あまり知りすぎると、君が危険だ。」

 

机に着いていた梨子の手を隼斗が取る。

 

「まぁ怖がる事は無いさ。この俺がいる限り、悪が栄える事は決して無い」

「っ……!カッコつけないの‼︎」

「さーせんした‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして週末。俺たちがいたのは海の上……に浮かぶ小さな船の上。

俺たち4人(あの後曜も千歌が誘った為)は果南姉ちゃんの元を訪ねた。

 

海の音を聞く。すなわちダイビングだ。

 

「音ノ木坂からの転校生?」

「そうなんだよ!あのμ'sの!」

「そんなに有名なの?」

「あの時も言った通り、有名なんてもんじゃねえ!いわばμ'sは伝説クラス‼︎It’s Legend‼︎」

 

海中で梨子は、果南に言われた事を思い出していた。

これはその時の会話である。

 

「イメージ?」

「そう、水中では人間の耳に音が届きにくいの。ただ、

景色はこことは大違い!見えてるものからイメージする事は出来ると思う。」

 

「想像力を働かせるって事ですか?」

「ま、そういう事。できる?」

 

「やってみます」

 

そして、今に至る。

 

「それじゃ、行ってくる!」

「行ってきます」

 

「あれ?隼斗は来ないの?」

「俺はちっとやる事あるから先に行ってて!」

「分かった!早く来なよ‼︎」

 

そう言うと、3人は先に海の中へ。

 

「さーて……やりたかった実験始めてみますか……」

 

隼斗がバックからマッハドライバーMk-IIとシグナルソニックを取り出そうとすると………

 

「隼斗、何それ?」

「おわとととと!あぶっ!ちょっ!」

 

海にドライバーを落としそうになってしまうが、すぐさまそれを隠す。

 

「いや、なんでも無い!ただの発明品だよ!」

「発明品⁉︎隼斗が作ったの?見せてよ!」

 

隼斗は少し考えるが……

真剣な表情になると向き直った。

 

「………いや、これはたとえ姉ちゃんでもダメ。姉ちゃんを危険に巻き込みたく無いんだ」

 

「危険?なんの話?」

「姉ちゃんは知らなくていいんだ。じ、じゃあ俺も行ってくる‼︎」

 

隼斗にとっては、果南は本当の姉のような大事な存在。

戦いに巻き込んで果南を失いたくないと思う隼斗の気持ちである。

 

ドライバーとシグナルソニックをバックにしまい、隼斗もシュノーケルを付け、ダイビングスーツを直して飛び込む。

 

「変な隼斗。私を危険に巻き込みたくないって、なんの事だろう?あんな表情の隼斗は初めて見た……」

 

 

ちなみにやりたかった実験と言うのは、よくテレビとかでやってる水上を走る実験だ。ソニックのスピードなら可能だと思うが……どうだろう?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その後4人はしばらく海を泳ぎまわり、

しばらくした後4人とも休憩のため1度上がった。

 

「どう?」

「残念だけど……」

「まぁまだほんの数分だしな。」

「イメージか……確かに難しいよね。」

 

「簡単じゃないわ。景色も真っ暗だし……」

「真っ暗?そっか……じゃあ、もう一回いい?」

「確かにこの天気ってのもあるよな……おまけに、なんか寒い……」

「隼斗はちょっと休んでな。私達は続けるよ。」

 

そう言うと千歌と曜は再び海へ。

その後を追うように梨子も再び潜る。

 

「うう……サミィ………!」

「隼斗、無理は禁物だよ?」

「分かってる。俺も行ってくるよ!」

 

 

隼斗も3人を追って再び海へ。

足をバタバタと動かし、ようやく3人に追いついた。

 

しばらく泳いでいた4人だが、いきなり水面から光が差し込んだ。

 

その光に両手を伸ばす梨子。

彼女はようやく答えを見つけたらしい。

 

 

 

水面に顔を出す4人。

いつの間にか、曇っていたはずの空は晴れ渡っていた。

 

「聞こえた⁉︎」

「うん!」

「私も聞こえた気がする‼︎」

「俺もなんとなくだがな」

 

4人で顔を揃えて笑いあった。その様子を見ていた果南も、微笑ましそうであった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、その次の日の放課後。

 

「ええっ、嘘⁉︎」

「本当に⁉︎」

「ようやくか……!」

「ええ!」

 

梨子がなんと曲作りを手伝うと言い出したのだ。

しかしスクールアイドルにはならないと言うと、喜んでいた千歌もショックぎみ。

 

「無理は言えないよ。」

「そうだよねぇ……」

「じゃあ、詞を頂戴?」

「し?」

 

そう言われると、千歌は何かを探し始めた。

 

「し………し?………し?」

 

というか何故にバックの中にみかんが……?と思う隼斗であった。

 

「詞って何〜♪」

「多分〜歌の歌詞の事だと思う〜♪」

 

「「歌詞?」」

 

「考えてなかったんか〜い♪」

 

 

そんな訳で!

 

「ここって……旅館でしょ?」

 

やってきたのは千歌の家(隼斗も住んでる)

 

「ここなら時間も気にしなくていいでしょ?バス停近いし帰りも楽だしね〜」

 

「あらいらっしゃい。」

 

出てきたのは高海家の長女、志満さん。

 

「こんにちは!」

「ただいま〜。」

「そちらが、千歌ちゃんの言ってた子?」

「うん!」

 

「高海志満さん、千歌のお姉さんだよ。そんでさっきまで見てたその犬が飼い犬のしいたけ。」

「桜内梨子です!よろしくお願いします。」

 

丁寧にお辞儀をする梨子さん。うむ、流石やな……

てかそんなにしいたけの方見て………いや、苦手そうな眼だなあれは。

 

「志満姉〜?」

「美渡姉……って、まさかそのプリン……!」

 

そんなこんなで追っかけっこが始まり……ま、こんなのは日常茶飯事だ。この家に来てからはな………

 

そして、千歌の部屋にて。

ベッドの上にはシグナルバイク達が綺麗に整列している。

ドライバーもその隣に。

 

「酷すぎるよ?志満姉が東京で買ってきてくれた限定プリンなのに……!」

「とっとと食わないのが悪い」

「それより作詞を……」

 

その時、梨子の真後ろの襖が開いた。

そこには美渡がいた。

 

「いつまでも取っとく方が悪いんです〜!」

「うるさい!」

 

そう言ってエビクッションを投げつけるが、それが当たったのは美渡ではなく梨子だった。

 

「甘いわ!とりゃっ‼︎」

 

その後美渡が投げた浮き輪も……これ水族館でアシカとかがやるあれだよな?

 

「あっ……」

「ヤバ…!」

「失礼します。」

 

2人からの理不尽な攻撃を受けた梨子はそのまま立ち上がり襖を勢いよく閉めた。

 

「さぁ、始めるわy」

 

「曜ちゃんもしかしてスマホ変えた?」

「うん!進級祝い!」

「いいな〜!」

 

「しかもこいつは確か結構最新のじゃねえか!」

 

だが、そんな事を知らず違う話で盛り上がる3人。

突然なんかヤバそうなオーラを纏った梨子によって止まったのだが。

 

「は・じ・め・る・わ・よ?」

「「「は、はい………(お、おう……)」」」

 

全く同じオーラを纏った人物を知ってるような

……いや、気のせいか

 

「あ〜………う〜ん……」

 

紙に思いつく限り言葉を書いていく。

だがどうも纏まらない。

 

「やっぱいきなりラブソングは無理があるだろう?」

「いやだ!μ'sのスノハレみたいなのを作るの!」

「あの人達は次元が違う。目標が高すぎると思うが?」

「恋愛経験とかないんでしょ?」

 

「なんで決めつけるの?」

「じゃああるの?」

「………無いけど………」

 

「やっぱり。それじゃあ無理よ」

「梨子さんの言う通りだ。おめぇには無理だっつーの」

「じゃあ隼斗君も考えてよ〜!」

「俺にはそんな技術アリマセーン」

 

「でも、μ'sがこの曲を作ったって事は、誰かが恋愛してたってわけでしょ?」

「まさか。アイドルっつーのは恋愛ご法度。いや、でもどうなんだろう………」

 

 

「ちょっと調べてみる!」

 

そう言ってパソコンを立ち上げる千歌。

 

「ちょっと、今は作詞でしょ?」

「でも気になるし!」

 

「こうなったら止められないな……」

「千歌ちゃん、スクールアイドルに恋してるからね。」

「そう言っていいくらいだもんな」

 

そう3人で話してるのを他所に、千歌は調べるのに集中している。

 

「なに?」

「話聞いてたか?スクールアイドルってのに対して、好きだと思う気持ちだとか、そういう奴……それなら書けるんじゃねえの?」

 

「それならいくらでも書けるよ‼︎」

 

ようやく纏まり始めたらしいアイデア。

あの人の言葉を借りるなら、「ギアが入った」だろうか。

 

千歌が参考にした曲が、

μ'sが第2回ラブライブの予選で歌った曲「ユメノトビラ」

 

どうやらこの曲が千歌をスクールアイドルに興味を持ち、なりたいと思ったきっかけの曲らしい。

 

「確かにこれは名曲だな!」

「頑張って努力して、奇跡を起こしていく。私ならできるんじゃないかって、変われるんじゃないかなって!そう思ったんだ!」

「本当に好きなんだね。」

「うん!大好きだよ‼︎」

 

そして、とりあえず作詞の方はようやく完成。

あとは曲を付けるのみとなった。

 

まぁそれは後日となった為、今日は解散。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

梨子は1人自分の部屋のベッドの上で座っていた。

彼女がスマホで見ていたのは、μ'sのユメノトビラのPV。

 

彼女はそれを見終えると、部屋にあったピアノを開いた。

過去の事を思い出しながらも弾いた曲。それは………

 

「ユメノトビラ〜♪ずっと探し続けた

君と僕との……繋がりを探〜し〜て〜た………♪」

 

先ほど見て、聞いた曲、ユメノトビラ。

そして、ワンフレーズを歌い終え、窓の外を見るとそこにいたのはなんと千歌だった。

 

実はこの2件、お隣さんだったのだ!

 

 

「高海さん⁉︎」

「そこ梨子ちゃんの部屋だったんだ!」

「んだよこんな時間に……って梨子さん⁉︎」

 

「え⁉︎どうして隼斗さんまで……」

「実は俺もここに住んでてさ……それにしてもすぐ隣だったとは、驚きだなぁ……」

 

さっきのピアノの音を聞きつけたのか、隣の部屋の隼斗もやってきた。

 

「さっきの曲、ユメノトビラだよな⁉︎しかも歌も中々のものだった!」

 

そう言いながら拍手を送る隼斗。

 

「ユメノトビラ、ずっと探し続けていた」

「そうね……」

 

「その歌、私も隼斗君も大好きなんだ!第2回ラブライブで……」

「高海さん、隼斗さん。」

 

「ん?」

「どした?」

 

「私、どうしたらいいんだろう?何やっても楽しくなくて……変われなくて……」

 

「梨子ちゃん………やってみない?スクールアイドル」

 

そう言って手を伸ばす千歌。

 

「ダメよ、このままピアノを諦めるわけには……」

「やってみて、笑顔になれたら……変われたらまた弾けばいい。諦めることはないよ」

 

「失礼だよ…高海さんに……本気でやろうとしてるのに、こんな気持ちで……」

 

「梨子さん!失礼だなんてとんでもねぇ。なんも遠慮することないんだぜ‼︎」

 

「そうだよ!梨子ちゃんの力になれるなら、私は嬉しい。……みんなを笑顔にするのが、スクールアイドルだもん!」

 

「そしてそのみんなの笑顔を、希望を守るのは俺の……仮面ライダーの使命なんだ‼︎」

 

2人がそう言って揃って手を伸ばす。

 

「千歌ちゃん!」

「え、今梨子さん千歌の事おっとっと!」

 

いきなり吹いた風で千歌が頭に巻いていたタオルが落ちてしまう。

身を乗り出してそれでもなお手を伸ばし続ける千歌。

それを支えながら、自身も手を伸ばす隼斗。

 

「みんなを笑顔にする事」

 

「その笑顔を守ること!」

 

「それって、すごく素敵な事じゃない⁉︎」

 

2人がそう言うと、梨子もその手を伸ばした。

距離のせいか、あと少しが届かない、

 

「さすがに、届かないね………」

「待って!諦めちゃダメ‼︎」

「届く!そう思えば絶対に‼︎俺たちを信じろ‼︎」

 

梨子も隼斗に言われ、諦めずに手を伸ばす。

あと数センチ……もう少し……もう少し………!

 

そして、ついに………

 

「ああっ!」

「よっ……しゃ……‼︎」

 

ついに2人の手が、梨子の手が、お互いに届いた。

指先が触れるだけだが、これは大きな奇跡だった。

 

輝く満月の夜。

1人の少女が、友によって、1人のライダーによって救われたのだ。

 

ある人が言っていた。

 

「自分が望みさえすれば、運命は絶えず自分に味方する」と。

 

千歌も梨子も諦めず、お互いの手が、思いが繋がれたのだ。

 

次回に続く‼︎

 

そして次回予告

 

次回ラブライブ!サンシャイン‼︎サーガ

 

ついにスクールアイドルグループ、正式結成⁉︎

 

4人の前に突如現れたのは……

 

「チャオ〜!」

「嘘だろ!お前!」

 

隼斗がよく知る人物だった⁉︎その正体とは!

 

「グループ名は、なんですか⁉︎」

 

そしてついに始まるファーストライブ!

だが、グループ名が決まってなかったり、問題発生⁉︎

 

「このライブをめちゃめちゃにしてやる!」

「今は記念すべきファーストライブだ。

チラシもチケットも持たねぇロイミュードはお引き取り願おうか‼︎」

 

みんなは、隼斗は己のやる事をやり遂げられるのか?

 

次回 「彼女達は最初の一歩を踏み出せるのか?

〜FirstSteppe〜」

 




第2話の回終了!続いては第3話!頑張れみんな‼︎

隼斗「いや書くのおめぇだからな。」

そうでした。それでは次もお楽しみに‼︎


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第8話 彼女達は最初の一歩を踏み出せるのか? 〜FirstSteppe〜

どうも皆さん!畜生あらかじめ書いてた前書き消えた……グーグルプラスでの連続投稿なら楽だけどハーメルンは超疲れるのに‼︎

というわけで連続投稿!ファーストステップ回です‼︎
サクサクと纏めたいから頑張ります‼︎

それでは本編、Start your engine‼︎



 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

海の音を聞く、と言う梨子さんとの約束を果たす為に、俺たちはダイビングをした。

 

そして、千歌も悩みながらもついに歌詞を完成させた‼︎

 

さらになんと!あれだけ断り続けていた梨子さんも、千歌の説得で決意を固め、

俺たちスクールアイドル部(仮)の仲間入りを果たしたのであった‼︎

 

本当最近色々あったよな………展開早すぎねぇ?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「「「ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー、フォー………」」」

 

「ふむ、大分揃ってきたかもな」

 

3人を見ている隼斗に同意するように独特なクラクションを鳴らす隼斗の肩に乗ったシグナルソニック。

 

梨子さん……いや、梨子ちゃんが加入してからしばらくが経ち、俺たちはファーストライブを目前に控えていた。

放課後も朝も練習を重ね、大分上手くなってきたと思う。

 

「うーっし!一回ストーップ!」

 

《Toma–re!》

 

「お前は出てくんな!」

 

フードから飛び出したシグナルトマーレⅡを押さえ込んでフードに突っ込み直す。

 

「どうだった?」

 

曜が見ていた隼斗に尋ねる。

 

「うん、大分上手くなってきたと思うぞ。うん!」

 

「隼斗君が言うなら間違いなさそう!」

 

「隼斗君がレクチャー担当なんだ……」

 

「千歌ちゃんよりもスクールアイドルとダンスに関しては詳しいからね、隼斗」

 

「俺も大変なんだからな〜?まず教える側がマスターしなくちゃいけないから………」

 

「とは言っても、隼斗君転入早々始業式の場であんな派手なダンス披露してたじゃん!」

 

そう、第……何話だっただろうか。

 

始業式で自己アピールにDanse With Meを踊った隼斗。

その実力は本人曰くアメリカストリート仕込み。

 

「まぁ……それはそうだけど……って話が逸れてる!でだ、話を戻すと、まずここの蹴り上げが少し弱いかな。それとここの動き」

 

「あー本当だ!」

「流石ね。すぐ気付くなんて………!」

「長い事やってると目が慣れてくるんだ」

 

「隼斗、リズムは?」

「む〜………ジー…………」

 

じーっと録画した映像を見る隼斗。

 

「千歌、少し遅れてる。2人は問題ない」

「え〜!私〜⁉︎」

 

そう言って上を向く千歌。

その先にはピンクと白が特徴的なヘリコプターが飛んでいた。

 

「あり?確かあのヘリコプター………」

「小原家のヘリだね。」

 

「小原家?」

「ああそうか、梨子ちゃんは知らなかったね。淡島にあるホテル経営してて……」

 

「なんでも、俺をテスト生として選んだ新理事長もそこの人物なんだと。まぁ、人物は予想つくんだが………」

「え?知り合いなの?」

 

「知り合いというか……何というか………」

 

てかおい、あのヘリ近づいてきてねえ?

 

「なぁお前ら、気のせいだと思うけどさ………」

「隼斗、どうか………あ、言いたい事分かった」

「なんか………」

「近づいて来てる………⁉︎」

 

「「「「うわああああっ⁉︎」」」」

 

4人共ギリギリ回避。と言うよりギリギリだった。

 

「何⁉︎」

「パイロットの奴どんなコントロールしてやがんだ!撃ち落としてやr」

「待ってそれダメだって⁉︎」

 

ブルーゼンリンシューターを出しながら高度を下げたヘリに武器を向ける隼斗。そしてそれを止める曜。

 

だが、隼斗はそこから出てきた人物に驚かされる事になる。

 

ヘリコプターの扉が開き、その中に乗っていたのは………

 

「Ciao〜!フフッ!」

 

金髪のセミロングヘアーの左側頭部を6の形に結い、頭頂部に三つ編みカチューシャを作った髪型の美少女否、美女。

 

「あああああっ⁉︎マリー‼︎」

「Falcon!久しぶりね‼︎」

 

「「「ファ、ファルコン⁉︎」」」

 

ナレーション 天城隼斗

 

そう、この人こそが俺が仮面ライダーになってから1番最初に救った人物。そして、一応友人である。

 

 

 

OPテーマ 青空Jumping heart 歌 Aqours with 隼斗〜♪

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

で、その日の学校にて。

 

「ええっ⁉︎あなたが、新理事長⁉︎」

「Yes!でもあんまり気にせず、気軽にMaryって呼んで欲しいの!」

「え、でも………」

「紅茶、飲みたい?」

 

「あいっ変わらずマイペースだなこいつ………」

 

改めて紹介しよう。

小原鞠莉、アメリカで俺が出会った友人の1人。

最初に出会ったのはとある大きな銀行。そこで起きたある強盗事件がきっかけ?で仲良くなったのだ。

あれ以来、偶に連絡を取り合ったりしてた。

 

詳しくはエピソード0の第03話を見てくれよな。

 

「ところでこいつって……隼斗、この人上級生だよ?」

「non!Falconと私はFriendなの!2ヶ月前………だったかしら。私とFalconが会ったのは」

「2ヶ月前って………」

「まだ隼斗がアメリカにいた頃だよね?」

 

「そう。2ヶ月前のある日。アメリカのとある街で銀行強盗事件が起きた」

「私ニュースで見た。謎の青い仮面の戦士が物凄いスピードで…あれ?青い……仮面の戦士………まさか‼︎」

 

「そう。この場に俺の正体を知る者しかいないから話せるけど……あれは俺。いや、正確には俺の2つ目の姿。仮面ライダーソニックだったのだ!」

 

「て事はそれが……」

「そう、仮面ライダーソニックの最初の事件って事だ」

 

「それもその……ロイミュードの事件だったの?」

「いいや?人間」

 

「「「人間⁉︎」」」

 

さらりと言う隼斗。

それもそのはず、あの力は人間相手には手が余り過ぎる為3人はとても驚いていた。

 

「隼斗君、人間相手にその力は……」

「no problem.あの加速能力は使ったけど、ちゃーんと手加減はしたし殺しはしてないから問題無い」

 

「いやそうじゃなくて……」

 

ちなみに同じ質問をコメントでもされたが………手加減はしましたよ?大事な事なので2回言いました。

 

「で!話を戻すぞ!マリー、その制服は?」

「え?どこかおかしいかしら?」

「いやお前新理事長だろ?なのに生徒でもあるって事か?そんなん聞いた事ねえよ‼︎」

 

「そう!私は3年生の生徒兼理事長!Curry牛丼みたいなものね!」

「例えがよく分からない………」

 

「分からないに決まってますわ‼︎」

 

そこに現れたのは、生徒会長黒澤ダイヤさん。

ライダーの話をしてる時じゃなくてよかった………。

 

「生徒会長?」

「ダイヤ久しぶり〜!随分大きくなって〜!」

「言う事が久しぶりに会う親戚の人みたいだ。」

 

そう言いながらダイヤを抱きしめる鞠莉。

 

「触らないで頂けます?」

「胸は相変わらずねぇ……」

 

と言いながらダイヤの胸を触る鞠莉。

 

「やかましい‼︎……ですわ」

「It’s joke」

 

「(こいつこんなに大胆だったのか……てか生徒会長といいマリーといいスタイルがスゲェ……それに比べて……)」

 

と、顎に手を添え少し視線を逸らしながら思う隼斗。

 

「隼斗、今失礼で変な事考えてたでしょ?」

 

ジト目で隼斗を見る隼斗。

 

「べ、べつに………」

「誤魔化すの下手……」

 

「隼斗君のスケベ!変態!」

「千歌に言われたかねぇよ‼︎言われたら終わりだ!んんっ!でだ、また話をそらしてしまった……」

 

そして、ダイヤがこちらを見ていった。

 

「痴話喧嘩は終わりました?」

「普通の喧嘩です。至って普通の日常的な喧嘩です」

「全く……1年の時にいなくなったと思ったら、こんな時に戻ってくるなんて、一体どういうつもりですの?」

 

「Shiny‼︎‼︎」

 

カーテンを開け放ちながら言う鞠莉。

 

「人の話を聞かない癖は相変わらずのようですわね。」

 

胸倉を掴みながら言うダイヤ。

 

「It’s joke☆」

「とにかく!高校3年生が理事長だなんて、冗談にもほどがありますわ!」

「そっちはjokeじゃないわよ」

 

そう言って鞠莉が取り出したのは一枚の紙。

 

「私のホーム、小原家のこの学校への寄付は相当な額なの」

 

そこに書かれていたのは鞠莉を理事長に任命するという事だった。

正式な書類に間違いないらしい。

 

「これは……マジみたいだな」

「嘘!」

「そんな、なんで⁉︎」

 

「実は、この浦の星にSchool idleが誕生したという噂を聞いてね」

「まさか、それで?」

 

「そう!ダイヤに邪魔されちゃかわいそうなので、応援するために来たのデス。」

 

「それで、そのついでに俺をあの時の礼としてテスト生に選んだ、と」

「Yes!このMarryが来たからには、心配ありまセン」

 

小原家の権力ぱねぇ。とんでもないセレブガールを助けたのか……と改めて思い知った隼斗であった。

 

「デビューライブは秋葉デュームを用意してみたわ!」

 

と小型のノートPCを開きながら言う鞠莉。

 

「嘘だろ⁉︎」

「そんな、いきなり‼︎」

「き、奇跡だよ‼︎」

 

「It’s joke!」

 

そう言って小型PCを閉じる鞠莉。

 

「ジョークのためにわざわざそんなもの用意しないでください…」

「お前は本当にしでかしそうだからジョークに聞こえねえんだよ……」

「実際には………ウフフッ。」

 

そう言ってウインクをする鞠莉。

 

で、実際の場所はと言いますと………

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ここで?」

 

そう、学校の体育館である。

 

「ハイ!ここを満員にできれば、人数に関係無く部として承認してあげますよ!」

「へぇ……案外太っ腹だな。細いけど」

「隼斗君」

 

「さーせん」

 

「本当⁉︎」

「ハイ!部費も使えるしね!」

「でも、満員にできなかったら?」

「その時は、解散してもらう他ありません」

 

「リスクでけえなコンチクショウ……」

「ええっ⁉︎そんな〜!」

「嫌なら断ってもいいのよ?どうする?」

 

「どうするって言われても……」

 

「どうするの?」

「結構広いよね?ここ…やめる?」

 

「やるしかないよ!他に手があるわけじゃ無いんだし!」

「曜、いきなりこいつのアクセル入れて大丈夫か?」

 

「大丈夫!」

「OK、行うという事でいいのね。」

 

そう言って鞠莉は体育館を立ち去った。

 

「あ!待って!この学校の生徒って全部で何人?」

「えーっと………あっ!」

「何々?」

「確か………っ‼︎アンニャロォ………そういう事か‼︎」

 

「分からない?全校生徒、全員来ても………ここは満員にならない……」

 

「嘘……!」

「まさか、鞠莉さんそれを知ってて……!」

「そうだとしたら、あいつ…俺が思ってた以上にとんでもねぇ女だ……‼︎」

 

 

そして、帰りのバスにて。

(隼斗は安定のテレビ電話で会話に参加。)

会話は隼斗のみ『』

 

「どうしよ〜!」

『参ったな……あいつ図ったな畜生!うわっとと!』

 

隼斗がバイクのディスプレイを左手で叩く。

バランスを崩しそうになるがすぐ立て直す。

 

「でも、鞠莉さんの言う事も確かだよ。それ位できなきゃこの先ダメだって事でしょう?」

「やっと曲もできて、ダンスもまだまだなのに……」

「じゃ、諦める?」

「諦めない‼︎」

 

「なんでそんな言い方するの?」

「こう言った方が、千歌ちゃん燃えるから。」

 

『曜は言わば千歌のアクセル。俺がブレーキ………かな?んで、梨子ちゃんは……なんだろう?』

 

《次は、伊豆三津シーパラダイス。伊豆三津シーパラダイス》

 

『曜、そろそろ切っていいぞ』

「分かった」

「あ、そうだ‼︎」

 

千歌が思いついたアイデアと言うのは、姉の会社の従業員さんに来てもらおうという考えだった。

だが、それは失敗に終わったらしく……部屋に戻ってきた彼女の額には黒のペンでバカチカと書かれていた。

 

「おかしい……完璧な作戦だったはずなのに……」

「完璧どころか火の玉どストレートだ馬鹿野郎」

 

そう言って部屋に入ってくる隼斗。

 

「ま、お姉さんの気持ちも分かるけどね〜」

「ええっ!曜ちゃんお姉ちゃん派⁉︎」

 

「あり?ところで梨子ちゃんは?ここにいたろ?」

「お手洗い行くって言ってたけど……隼斗は何してたの?」

「ドライバーのメンテナンス」

 

ところで、梨子はというと………

 

「グググ……!」

 

廊下で寝そべるしいたけを避ける為、襖と手すりを使って上から行こうとしていた。

 

「あれ?何やってんの?」

「てかその体制はオーバーだろ……」

「それよりも人を集める方法でしょ?」

「そうだよね……何か考えないと……」

 

「町内放送で呼びかけたら?頼めば出来ると思うよ?」

「あとは沼津かな……向こうには学校沢山あるし、スクールアイドルに興味がある子もいると思うんだ」

 

「よーし!そうと決まれば!明日にでも決行だ‼︎」

 

丁度その時何かが落ちたような音がした。………気のせいかな。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして次の日の放課後、俺たち4人は沼津に来ていた。

まあ内浦に比べりゃ人は多いな。

 

「東京に比べるとやっぱり少ないけど……結構人はいるね」

「そろそろ部活終わりの人達が来るはず」

「そこを狙うってわけね!任しとけ‼︎」

 

そして、ビラ配りが始まった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ライブのお知らせです!よろしくお願いします‼︎」

 

元気いっぱいに配る曜。

 

「ライブ……やります!」

 

千歌……それは壁ドンだ。なんか違う。

 

「あの……ライブやります!お願いします!」

「っ⁉︎」

 

梨子ちゃんもまぁ……合格かな?

ん?この人の髪型どっかで……

 

「ライブやります!是非来てください」

 

爽やかな雰囲気を醸し出しつつ配る俺。

 

「は、はい‼︎」

「どうもありがとう。」

 

「今の人かっこよくなかった?(小声」

「だよね、なんかすごい!(小声」

「勝った……」

 

 

 

こうしてビラ配りを続けること数十分。

 

「あ!花丸ちゃーん!ルビィちゃーん‼︎」

 

偶然通りかかったのは、1年生のあの仲良しコンビ。

ルビまることルビィちゃんと花丸ちゃん。

 

「お、2人共奇遇だな!何をしてた………花丸ちゃん、その風呂敷の中身なんだ?」

「全部本ずら。……いや、本…です……」

 

「重くねえのか?半分持つぜ?」

「大丈夫です!」

「お、おうそうか……あ、これ!」

 

隼斗がビラを手渡す。

 

「ライブ?」

「ちぃとばかし訳ありで。今回は絶対成功させたいんだ。頼む!」

 

それと同時に頭をさげる。

 

「やるんですか⁉︎」

 

ライブと聞いてルビィちゃんも出てきた。が、すぐ引っ込んでしまう。

 

「ん……はい、ルビィちゃん」

 

いつもよりも柔らかめの笑顔で手渡す隼斗。

 

「ピギッ……」

「あ、悪りぃ。苦手なんだよな……ゴメン」

 

苦笑気味に言う隼斗。

 

「これ、絶対に満員にしたいんだ。だから………是非来てくれ。来てくれたら、お兄さん嬉しいな。なんて。ヒヒッ」

「隼斗君行くよ!もっともっと配らなきゃ!」

「お、おう!2人共!またな‼︎」

 

「あのっ‼︎」

 

行こうとした隼斗と千歌の2人をルビィが止めた。

 

「ええっと……グループ名は、なんて言うんですか⁉︎」

「グループ名?あー‼︎グループ名は………グループ名は…あっ………」

 

そう、ここに来てまたしても問題発生。

グループ名が決まってない⁉︎

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、夕方の浜辺での練習中。

 

「まさか、決めてなかったなんて」

「梨子ちゃんだって、忘れてたくせに!」

 

「だが、ここに来て大きな問題が出たな。グループ名は、そのスクールアイドルの評価を大きく左右する。これは…結構重要だぜ?」

 

「とにかく、早く決めなきゃ!」

「そうだよね……どうせなら、学校の名前が入ってる方がいいよね。浦の星スクールガールズとか」

 

「それまんまじゃん!」

 

「じゃあ梨子ちゃん決めてよ!」

「え、私⁉︎」

「そうだよ!東京で最先端の言葉とか、沢山知ってそうだし!」

 

「ええ……ええっと……3人、いや隼斗君を入れたら4人だけど……」

「俺はメンバーじゃなくあくまでマネージメントが仕事だ。省いてもらって構わない。」

「す、スリーマーメイドとか?」

 

「「1.2.3.4……」」

「梨子ちゃん、思い切りスルーされてますぜ」

「ごめん今の無し‼︎」

 

そして、ランニング。

 

「曜ちゃんは何か無い?」

「私は……そうだな………制服少女隊!とか」

 

「無いかな」

「そうだね」

「素晴らしいほどのネーミングセンスのなさだ」

 

「ええええっ‼︎じゃあ隼斗!隼斗はどうなのさ!」

 

「俺?そうだな………俺が仮面ライダーだから……………RIDERGiIR((ry」

 

既に存在するグループなので却下されました(メタ)

 

そして、俺たちは思いつく限りの沢山のアイデアを出しては考え出しては考え……それを繰り返していた。

 

そんな時に見つけたのは、

この中の誰が書いたわけでも無いグループ名だった。

そのグループ名は………「Aqours」

 

「これ書いたの誰だ?」

「隼斗じゃないの?」

「馬鹿いえ俺じゃあ無い。A.q.ours……ア、キュア?」

「アクア、じゃない?」

「おお、それだ!」

 

「私はいいと思う!」

「ええ⁉︎こんな誰が書いたか分からないのを?」

「うん!名前を決めようとしてる時にこれに出会った。

それって、すごくいい事なんじゃないかな?」

「運命……destinyってところか?」

 

「じゃあ、この出会いに感謝をして、今から私達は…!」

 

 

で、またまた時が経ち……

 

『浦の星女学院のスクールアイドル、Aqoursです!』

(4人でしゃべってます。)

 

『待って!まだ学校から正式な承認もらってないんじゃ…!』

『今本番だろ、んな事後でいいよ!』

 

『え〜じゃあ……浦の星女学院非公認スクールアイドル、Aqoursです!今度の土曜日、浦の星女学院体育館にて…』

 

『だからって非公認ってのは……』

『どこのふ○っしーだこの馬鹿!』

『そのキャラ出すのはまずいって!』

 

そんなこんなでビラ配りとかも続けて、4人で相談しながら俺たちはライブに向けての準備を進めた。

 

「ここのところはもう少しこの辺に立った方が……」

「じゃあ梨子ちゃんがこの辺にってとこか。おい、千歌はどう思う………って寝てやがる……」

「今日はもうお開きにしようか。」

 

「そうだね……ってもうこんな時間!バス終わってるよ!」

「それなら私が……」

 

そう言ってきたのは志満姉さんだった。

 

「いや、いいですよ。俺が曜を送ります。」

「大丈夫?隼斗君とはいえ、こんな真っ暗な中……」

「No problem!」

 

ウインクしながら問題ないと言った。

外に出ると、やはり外は真っ暗だった。

 

「やっぱり車の通りはほとんど無いな。これなら思う存分スピード出せるぜ。」

「安全運転してよ〜?」

「善処はする。」

 

そして、隼斗はライドソニックの後ろに曜を乗せて送って行った。その道中……

 

「ふぁ…ああ………」

「隼斗気をつけてよ!」

「わーってるわーってる……疲れた……」

「送ってくれてありがとうね。疲れてるだろうに…」

 

「大丈夫、これもお前を守るためだ。疲れなんて気にしてられねえよ。」

「全く……無茶しないでよ?戦うのもいいけど………。」

「なるべく無茶はしねーよ」

 

そう言った直後。

 

「ちっと飛ばすか……ってうおっ⁉︎」

 

どこからか攻撃が飛んできた。ギリギリ避けたが、危ないところだった。

 

「やろお誰だ!」

 

そう言うと目の前には武装したロイミュードが2体(俗に言う死神ロイミュード)が現れた。

 

「ロイミュード!」

「どいてろ曜。悪いが今急いでんだよ。最初からフルスロットルで……行くぜ‼︎」

 

マッハドライバーMk-IIをセットし、シグナルソニックを装填。

 

《SignalBike!Rider!Sonic!!》

 

「Leady!変身‼︎」

 

いつもの台詞を叫び、仮面ライダーソニックに変身。

 

「来い!ゼンリンシューター‼︎」

 

そして、ゼンリンシューターBS(ブルーソニック)を装備しロイミュード2体に弾丸を放つ。

 

「くらえ!」

 

《シューター‼︎》

 

「時間無いからいきなりデカイの行くぜ‼︎」

 

《ヒッサツ!フルスロットル‼︎ゼンリン‼︎》

 

シグナルソニックをゼンリンシューターBSにセット。

車輪部分を回し、強烈な打撃を繰り出す技。

 

「ストライク・ソニック‼︎」

 

まるでパンチのような一撃がロイミュードを…………捉えなかった。

2体はその場から跳躍し、ソニックの一撃を逃れていた。

 

「チッ……逃げやがった」

 

《オツカーレ!》

 

「隼斗!」

「曜!怪我はねえか?」

「大丈夫に決まってるじゃん!それよりあいつらは?」

「消えた。それにしても、あいつらの目的って……?」

 

 

 

結局、道中も帰り際も奴らが再び姿をあらわす事は無かった。

一体なんだったのか……?

とりあえず、この事に関しては考えるのをやめた。

 

 

そして、再び姿をあらわす事がなくなり、

とうとうファーストライブの日がやってきた。

 

「この日の天気は雨。しかもかなりの荒天だ……客は……こなさそうだなぁ……む?」

 

外で待機している隼斗。フードを被り、ドライバーは前を閉めてその下に装着して隠している。

 

そして、舞台では………

 

「私達は!スクールアイドル……せーの!」

 

「「「Aqoursです‼︎」」」

 

「私達は、その信じる力と、輝きに憧れてスクールアイドルになりました!」

「目標は、スクールアイドル μ'sです!聞いてください‼︎」

 

そして、ライブがスタートした。千歌の歌詞に梨子の曲、そして曜の衣装。やれる事はやってきた。頑張れ!

 

俺も……頑張るからよ。

 

一方の隼斗は……裏側の人目につかないところで死神と対峙していた。

 

「今は記念すべきファーストライブだ。チラシもチケットも持たねぇロイミュードはお引き取り願おうか‼︎Leady…変身‼︎」

 

仮面ライダーソニックへと姿を変え、ゼンリンシューターを手に走り出した。

 

そして、ライブの方も順調に見えていた。だが………

 

 

 

 

 

 

 

 

突然の落雷で照明はおろか歌さえも途中で止まってしまった。

 

外では………

 

 

「はぁっ‼︎」

「ガアアッ‼︎」

 

死神ロイミュード2体VSソニックの戦闘が続いていた。

 

「しまった!停電!」

 

 

『!!』

 

鎌を振り下ろす死神ロイミュード。

だが、ソニックはそれをゼンリンシューターでガードした。

 

「戦いは終わってねえぞ‼︎」

 

《ゼンリン‼︎》

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

突然の出来事に驚きを隠せない3人。

それに千歌までも泣きそうになっていた。

 

 

がその時。

 

「バカチカ!あんた開始時間間違えたでしょ!」

 

姉の1人、美渡が現れた。

しかも外にはすごい数の車が。

 

更に、電気も復旧し、明かりが点くとものすごい数の人がいた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「っしゃあ!」

 

『ッ!?』

 

突然光が戻ったことにロイミュード2体は驚いていた。

その一瞬の隙を彼は逃さない。

 

「余所見すんなよ‼︎」

 

ゼンリンシューターで殴りつけるソニック。

 

「覚えときな!夢を持つ人ってのは諦める事を絶対にしない。その思いが強いなら、なおさらな‼︎」

 

ゼンリンシューターを再び構え直し、叫んだ。

 

「さぁ……音速のショータイムだ‼︎」

 

BGM 大好きだったらダイジョウブ!

 

「でりゃあっ‼︎」

 

ゼンリンシューターの弾丸を放つ。被弾した一体は物陰に隠れた。

 

「無駄無駄!」

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho Maga-ru‼︎》

 

シグナルバイクをマガールⅡに変更。両肩にシグナルが浮かび上がる。

 

《シューター‼︎超・マガール‼︎》

 

 

曲がった球が敵に当たり、更に奥へ逃げる。

 

「言ったろ?無駄無駄無駄無駄‼︎」

 

《シューター‼︎キュウニ!超・マガール‼︎》

 

弾を放った後イグナイターを連打し更に曲げる。

 

 

《Signal Bike!Signal koukan!Rider!Sonic!》

 

シグナルバイクをソニックに戻す。

 

曲も鳴り止んだ。無事に、大成功らしい。

 

「こっちも終わらすか‼︎」

 

パネルを上げてイグナイターを押して下げる。

 

《ヒッサツ!フルスロットル‼︎ソニック‼︎》

 

「今回は省略版!ライダージャンプ‼︎」

 

風のエネルギーを右足に集中させ、勢いで飛び上がる。

 

 

 

「ストリーム・ソニック!!」

 

 

空中で身を捻り、回転キックを放って死神を二体同時にぶっ飛ばす。

そしてコアもシューターの銃撃で破壊。

爆散したのを確認すると、変身を解いた。

 

《オツカーレ!》

 

「本当……オツカーレ。だな」

 

そして中の様子は………

 

「彼女達は言いました!スクールアイドルは、これからも続いていく、どこまでだって行ける!」

「どんな夢だって叶えられると!」

 

「これは今までのスクールアイドル達の努力と、街の人たちの協力あってこその成功ですわ!勘違いしないように!」

 

「ダイヤさんはやっぱ手厳しいなぁ……でも………」

 

「分かってます‼︎」

 

彼女達は言った。

今しかないこの瞬間。その中で輝きたいと。

 

俺にはその輝きを守る責任がある。

とりあえずは、今守れたこの時を堪能するとしよう……。

 

 

 

 

次回に続く‼︎

 






さて、ファーストステップの回終了!次回はルビまる加入編‼︎

それでは次回もお楽しみに‼︎


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第9話 2人の気持ちは伝わるのか?

どうも皆さん!アニメに追いつくためにこちらの方を進めがちだったMaster Treeです。

さて、今回は第4話!ルビィ・花丸加入回です。
それでは本編、Start your engine‼︎


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

ついに俺たちスクールアイドル部(仮)

もといAqoursのファーストライブが開催された‼︎

 

停電があったりと途中でトラブルが起きながら、悪天候の中たくさんの人たちが集まってくれた‼︎

 

そしてライブをめちゃくちゃにしようと死神ロイミュードが襲ってきたりもしたが、そこはこの天城隼斗様‼︎軽々とまさしくソニックでぶっ倒したのだ‼︎

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

ある少女の話をしよう……。

 

その子は昔からあまり目立たない子で、運動も得意ではなく、学芸会では木の役などをしたり……本を読んだりするのが好きだった。

 

やがて1人で過ごすようになった少女の前に、ある日突然、

出会いが訪れた。

 

その子の名は、黒澤ルビィ。

やがて親友となる、大切な友だ。

 

 

OPテーマ 青空Jumping heart 歌Aqours with隼斗〜♪

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「これでよし!」

「まーた字が間違ってる!ったくしゃーねーなぁ……」

 

そう言ってフードからペンを取り出し、間違えてた部の字を直す隼斗。

 

「それにしても、まさか本当に承認されるなんて!」

「これも俺のおかげだn」

「これも努力の成果だよ!」

 

「この俺の頑張りあってこそ……」

「私達の努力が実を結んだんだよ‼︎」

 

「俺も頑張ったんだよ⁉︎ロイミュードと戦ってたんだよ⁉︎」

 

週末明け。

約束通り、マリーは部員が足りないがスクールアイドル部の設立を認めてくれた。権力ってすげーな(確信)

 

 

「でも、なんで理事長は私達の肩を持ってくれるのかしら?」

「さぁな……マリーの考えてる事なんぞ分からねえよ。

なんなら探ってみるか?」

 

羽織っているジャケットのフードからシグナルバイク達を取り出して言った。

 

「それは……流石に……てかそれ下手したらストーカーじゃ…?」

「そう?」

「スクールアイドルが好きなんじゃない?」

「それだけじゃないと思うけど……」

 

「とにかく入ってみようよ‼︎」

 

そして、鍵を開けて入ってみると………

 

 

「「「「うわぁ…………」」」」

 

言葉にできない。散らかりすぎだろ………

 

「みろ!部屋がゴミのようだ‼︎」

 

「片付けて使えって言ってたけど……」

「これ全部〜⁉︎」

「文句言っても、誰もやってくれないわよ。」

「む〜!ん?」

 

千歌が見つけたのは、ホワイトボード。何やら文字が書いてあるようだが、消えてて読みにくい。

 

「何か書いてある……。」

「歌詞……かな?」

「どうしてここに?」

 

「昔この学校に歌に関する部が存在してたとか。」

「それにしても………」

 

4人が話しているところを見ていたのは、黒澤ルビィ。

それをしばらく見ていたが、何かを確認すると走り去っていった。

 

「ん?今のは……」

「どうしたの?」

「そこにルビィちゃんがいたような……」

「気のせいじゃない?」

「いや、確かにいた。えーと……マガール!追っかけてくれ!」

 

シグナルマガールを床に置き、追跡させようとするが……

 

《マガール!超・マガール!マガール!》

 

「曲がってばっかかよ!」

 

曲がってばっかりでまともに動かなかった。

これを改善しなきゃな……博士に今度頼むか。

 

 

そして、図書室にて……………

 

カウンターに座り1人本を読んでいた、1年の国木田花丸。そこへ………

 

「やっぱり部室できてた!スクールアイドル部承認されたんだよ‼︎」

 

黒澤ルビィが入ってきた。

 

「よかったね!」

「うん!あ〜!またライブ見られるんだ〜!」

 

ルビィがそう喜んでいるとそこへ4人が何冊か積まれた本を持って入ってきた。

 

「ピィッ⁉︎」

 

「こんにちは〜‼︎」

 

「なぁなんで俺だけこんなに多いの?」

 

なぜか持つ数が1人だけ多い隼斗。

 

「男の子なんだから頑張って‼︎」

「そういう問題かよ………」

 

「あ、花丸ちゃん!と…………ルビィちゃん‼︎」

「ピギャッ!」

 

相変わらず小動物感満載だなこのやろう。可愛すぎる‼︎

 

「よく分かったね。」

「ふふーん!」

「さっき部室にいた時、誰かの目線を感じてた。ルビィちゃん、君だろう?」

「え?本当にいたの?」

 

「さっきちらっと赤色の髪が見えたんだよ」

 

回想シーンは自力でどうぞ。

 

「こ、こんにちは………」

「可愛い〜‼︎」

「本当だぜ……‼︎」

「隼斗、目、目。」

 

 

「よいせっと……!あ〜重かった………」

「これ、部室にあったんだけど…図書室の本じゃないかなって。」

「あ、多分そうです。ありがとうございます……」

 

そう言った途端、千歌が2人の手を掴む。

 

「スクールアイドル部へようこそ!」

「早い‼︎」

 

今回は叩くどころかグーで行った隼斗。

軽くだがかなり衝撃があったのか千歌は頭を押さえている。

 

「痛いよ!隼斗君の馬鹿!」

「馬鹿はどっちだ!いきなり2人を無理矢理入れようとするんじゃない‼︎」

「そうだよ。まだ2人は入学したての1年生なんだから。」

「ああ……それもそうか」

 

「ほら、分かったらさっさと練習行くぞ!」

「はーい。じゃあね〜!」

 

そして、4人が図書室を後にした後ルビィと花丸は2人で話していた。

 

「スクールアイドル………」

「やりたいんじゃない?」

「えっ⁉︎でも………」

 

ルビィ曰く、昔は姉のダイヤもスクールアイドルが好きな人物であった。しかし、高校1年になってからしばらくが経ったある日を境に嫌いになってしまったんだと……。

 

 

そして、ほぼ同時刻。

松浦家が経営するダイビングショップには、理事長鞠莉が訪れていた。

 

「休学が終わったらスクールアイドルを始める」

 

そう言ったらしいが、果南は気が向かないようであった。

一体2人に何があったのか………

 

 

花丸はその後、沼津のある書店を訪れていた。

 

 

「スクールアイドルか……。」

 

彼女が見ていたのはスクールアイドルを特集していた記事

μ'sが載っていた。

 

「………オラには無理ずら……」

 

そう思っていた彼女。だが、μ'sのある1人のメンバーが、彼女に大きな影響をもたらした。

 

「ズラ丸降臨……なんでここに⁉︎」

 

その近くには、あの怪しげなサングラスとマスクの人物もいた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして次の日〜。

 

「はぁ……はぁ……無理よ流石に……!」

「でも、μ'sも階段登って鍛えたって……‼︎」

 

「バテバテじゃねえかお前ら!俺なんてもう10往復して今11往復目だぞ〜」

 

「「「隼斗君(隼斗)は次元が違うでしょ‼︎」」」

 

Aqoursの3人は、朝からとある神社の階段でトレーニングをしていた。千歌、曜、梨子がバテバテなのに対し、隼斗はちっとも疲れていない。

 

それもそのはず。

彼はソニックに変身して、ご自慢の超高速で往復トレーニングをしていたのだから。

ちなみに、11往復目を3〜40秒程。

 

「でも、こんなに長いなんて……」

「それもそうだな……流石にスピードの維持が難しくなってきたぜ……」

 

隼斗、もといソニックも近くに座り込む。

 

「こんなの毎日登ってたら、身体が持たないわ……」

 

「千歌?」

「果南ちゃん!」

 

「果南ね……ゲフンゲフン」

 

ソニックも口を滑らせるところだった。

 

「この青い人……知り合い?」

「それははや……ハヤブサさんだよ!」

「(曜、よくやった)」

 

「隼には……見えないけど……」

「お、俺は仮面ライダーソニック!好きな鳥は隼なんだ、あはは……」

「ふ、ふーん………て言うか、仮面ライダーって最近よくここらで見かける機械生命体ってのと戦うあの……?」

「そ、そうなんですよ!だからこの街の平和は任せてください‼︎」

 

「それより果南ちゃん、もしかして上まで走って行ったの⁉︎」

「一応ね、日課だから。」

「「「「日課⁉︎」」」」

 

「あれ?今隼斗の声が……」

「じ、じゃあ私はこれにて!さらば‼︎」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

加速してその場から消えるソニック(隼斗)

 

「あ、行っちゃった………」

「も、もっとおしゃべりしたかったなー(棒)ほら!(小声」

「そ、ソウダネー(棒)」

 

「ところで、千歌達こそ何してるの?」

「トレーニングだよ。ほら、スクールアイドル始めたっていったでしょ?」

「……ふーん……。ま、頑張りなよ。じゃあ、店開けなきゃいけないから!」

 

そう言うと果南は降りていった。

 

「息一つきれてないなんて………」

「すごい……!」

「ふぅ……隼斗、私の演技に感謝してよ!」

 

すると近くの木からソニックが降りてきた。周りを確認して変身を解く。

 

《オツカーレ!》

 

「ああ、こればかりは曜に感謝だ。」

「隼斗君、果南さんには仮面ライダーの事話してないの?」

 

「………ああ、話さないって決めてるんだ…。姉ちゃんを危険に巻き込みたくないんだよ……」

「果南ちゃんに対してはとんだシスコンだよね〜」

「ほっとけ‼︎」

 

隼斗の秘密その2

姉のような果南に対して発揮するシスコン振り。

 

「おい作者!」

 

裏設定みたいなものですから。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、その日の学校。

放課後にルビィちゃんと花丸ちゃんが部室を尋ねてきた。

なんと体験入部に来たらしい。

 

「本当⁉︎」

「はい!」

「よろしくお願いします!」

 

「うん、2人ともいい声!」

 

「いやったー‼︎」

 

扉を開けて飛び出す千歌。

 

「これでラブライブ優勝だよ!レジェンドだよ‼︎」

「千歌ちゃん待って」

 

「そうそう、気がはやいっての。2人は体験入部で来た。

つまり、まだ完全にこのスクールアイドル部に入る訳じゃないんだぜ?」

「そうなの?」

「ソーナンス」

「ポ○モンはダメだって!」

 

その後は、梨子が組んだメニューを元に練習を始めようとしてたのだが……中々場所が見つからない。

 

ちなみにだが隼斗も最近は練習にメンバーとして参加することが多くなった為、ストリートで踊ってた時の頃の服を練習着として使っている。

 

いつものジャケットに、

アメリカにいた頃使っていたR(ライダー)のマークが付いた青色Tシャツに短パンと言う服装。

それにキャップもかぶり、更に3人と同じリストバンドも、右に付けている。

 

それで話を戻すと、場所の事だ。

校庭も中庭も思った通り他の部活が使ってしまっている。

 

「うーん……部室……はそこまで広くないから無理だし、砂浜じゃ移動時間がかかりすぎる」

「どうしようか……?」

 

その時、ルビィが提案したのは……

 

「屋上はダメですか?μ'sはいつも、屋上で練習してたって言ってました!」

「おお!そーいやそうだった!ルビィちゃんナイスアイデア‼︎」

「行ってみよう‼︎」

 

で、無論許可は隼斗がマリーにもらった。

こういう人と友人になっておくと何かと楽。

 

「うわあああ!広〜い‼︎」

「確かに………。富士山くっきり見えてる!」

「でも日差しは強いかも……!」

「それがいいんだよ!太陽の光を沢山浴びて、海の空気を胸いっぱいに吸い込んで!」

 

手を下についてみると、とても暖かかった。

 

「暖かい……」

「本当だな……。って、いつまでものほほんとしてられない!みんな、始めるぞ‼︎」

 

「「「「「うん!(はい!)」」」」」

 

そして、全員の手を重ねて………

 

「じゃあ行くよ!Aqours………」

 

「「「「「「サンシャイン‼︎」」」」」」

 

 

そして、練習が始まった。

 

準備運動を終え、基礎トレーニングやダンスレッスン。

それに加えて色々な練習をし…………途中で新曲の事を考えたり。

その途中、ルビィちゃんがステップ踏んでたのを見たが、とても楽しそうだった。

 

 

やってきました階段トレーニング。

 

「これ、一気に登るんですか⁉︎」

「もちろん‼︎」

「いつも途中で休憩しちゃうんだけどね〜」

「だが、ライブで何曲も歌ったり踊ったりするには、頂上まで行けるほどのスタミナが必要だからな」

 

「じゃあμ's目指して……よーい!ドン‼︎」

 

千歌の合図で俺たちは一斉に走り出した。

 

曜と隼斗がほぼ同時スタート、次に千歌、梨子、ルビィ、花丸という順番である。

 

 

走り続けること約数分。ルビィちゃんが足を止めた。

 

「?どうしたルビィちゃん?」

「ちょっと息が切れちゃって……先行っててください‼︎」

「あ〜分かった!無理はするなよ‼︎」

 

隼斗も一度足を止めたが、そう言われてまた走り出す。

 

「どうかしたの?」

「ルビィちゃんだ、ちょっと疲れちまったみたいだ。すぐ追いついてくると思うよ」

「そう……」

「俺らも止まってられない!Full throttleだぜ‼︎」

 

そう言って隼斗も足に力を込めて走り出す。

 

「あ、ちょっと‼︎」

 

そのあと、少し遅れてルビィちゃんも見事ゴール!

 

俺たちは頂上から綺麗な夕焼けを眺めた。

だが、そこに花丸ちゃんがいなかったのが少し気になったが……。

 

その頃花丸は、下の中間地点辺りでルビィの姉、ダイヤと会っていた。

 

「なんですの?急にこんなところに呼び出して……」

「あの……ルビィちゃんの話を……ルビィちゃんの気持ちを聞いてあげてください。」

 

それだけ言うと、花丸はその場を去っていった。

 

「あ、ちょっと!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「そんなの……分かってますわ……でも……。」

 

「お姉ちゃん⁉︎」

 

そこに遅れてルビィ達一行がやってきた。

 

「ルビィ!」

「生徒会長?どうしてここに……」

 

「これはどういうことですの?」

「違うんです!これは……」

「今回は体験ってだけでまだ入るとは……」

「千歌さん、隼斗さん」

 

言おうとした千歌と隼斗をルビィが止めた。

そして、ゆっくりと姉 ダイヤのところに近づいていく。

 

「お姉ちゃん……ルビィ………ルビィね‼︎」

 

その眼やオーラには覚悟が、思いの強さが感じられた。

 

そして次の日…………

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「よろしくお願いします!」

「うん!よろしくね‼︎」

「これでメンバーは5人目だな!よろしく‼︎」

「はい!」

「そういえば、国木田さんは?」

 

梨子が言った。そう、ルビィちゃんは来たものの、花丸ちゃんが来なかった。

 

「(これでマルの話はおしまい。もう、夢は叶ったから)」

 

そう、あの時ダイヤを呼び、ルビィに思いを伝えさせるようにしたのは彼女だったのだ。一緒に体験入部したのも、ルビィの背中を押すため。

 

「(マルは本の世界に戻るの)」

 

「大丈夫……1人でも………」

 

そこで物語は終わったはずだった。

しかし、その子がそれを止めた。

 

 

「ルビィね‼︎」

 

 

 

そこにいたのはルビィだった。

 

「ルビィちゃん?」

 

「ルビィね、花丸ちゃんの事見てた!ルビィに気を使ってスクールアイドルやってるんじゃないかって!ルビィの為に無理してるんじゃないかって!心配だったから………。でもね、練習の時も、屋上にいた時も、みんなで話していた時も!花丸ちゃん……嬉しそうだった!」

 

「……」

「それ見て思ったの!花丸ちゃん好きなんだって!ルビィと同じくらい、スクールアイドルが好きなんだって‼︎」

「マルが……?まさか……」

「じゃあなんで……」

 

「なんで君は、その本をそんなに読んでたんだ?」

 

そこに、途中から話を聞いていた隼斗が登場。

 

「隼斗さん!」

「隼斗さん……」

「本当に好きじゃなかったら、そこまで沢山読まないよ。それが1番の証拠さ」

「っ……。それは……」

 

ルビィは移動し、花丸の目の前に。

 

「ルビィね!花丸ちゃんとスクールアイドルできたらってずっと思ってた!一緒に頑張れたらって!」

「ううん……それでも、オラには無理ずら…………。体力無いし、向いてないよ……」

 

そう言う花丸。

隼斗は少し考えると……

 

「よし、いい機会だ。ある1人のスクールアイドルの話を聞かせてやろう。…彼女の名前は星空 凛。そう、そこに載ってる人だ。最初は凛さんも自分はスクールアイドルには向いてないと言ってたんだ。今の君と同じように」

 

「でも好きだった。やってみたいと思った。最初はそれでいいと思うけど?」

 

そこにあとから3人がやって来て、梨子がそういった。

そして、千歌と隼斗が手を伸ばす。

 

「ルビィ、スクールアイドルがやりたい!花丸ちゃんと‼︎」

 

「マルに……できるかな?」

「私だってそうだった。できるかどうかじゃなくて………やりたいかどうかだよ‼︎」

 

「自分の本当の気持ちを大切にしてくれ!その夢を………夢のままで終わらせないでくれ‼︎その夢は、その物語は…俺が守る‼︎」

 

隼斗もそう言った。自分の使命を、やりたい事を。

 

そう言うと、花丸は千歌の手を握った。その手に曜と梨子更にルビィと隼斗の手が重ねられる。

 

これで、メンバーは5、いや6人目だ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「じゃあ、行くよ!せーの‼︎」

 

そして、スクールアイドルのランキングのサイトにAqoursも登録。現在のランクは4999。

 

「4999位⁉︎」

「上にまだ5000組もスクールアイドルがいるって事⁉︎」

「上等じゃねえか……むしろburst!燃えるぜ‼︎」

 

「さぁ、ランニング行くずら〜‼︎」

 

「「「「オー‼︎」」」」

 

その花丸ちゃんの笑顔は、とびっきりのものだった。

 

星空の名を持つスクールアイドルがまた奇跡を起こした…のかもしれない。その意思は彼女に受け継がれた。

 

頑張れ、国木田花丸‼︎

 

 

 

次回に続く‼︎

 

そして次回。

ラブライブ!サンシャイン‼︎サーガ

 

 

ついに彼女が久々登場⁉︎その人物が千歌達に嵐をもたらす事に⁉︎

 

 

そして新たなロイミュードが‼︎

 

「我が名は011……あなたも堕天してみるかしら⁉︎」

 

え?こいつも堕天使⁉︎堕天使ロイミュード⁉︎

 

そして、Aqoursに新たな仲間が⁉︎

 

次回 ヨハネ堕天〜その少女は何故堕ちた天使になったのか?〜

 

 

 

 





第9話終了!ルビィちゃんと花丸ちゃんが加入し、これでメンバーは6人に‼︎この回も良かったですよね、うん。

さて、次回はヨハネ回!ロイミュードはまだ考え途中だけど……それでは次回もお楽しみに‼︎

感想とか評価とかお待ちしてます‼︎


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第10話 ヨハネ堕天〜その少女は何故堕ちた天使になったのか?〜

どうも皆さん!UAが3500突破!
絶好調のサンシャインサーガ、記念すべき第10話です‼︎
そしてなんと‼︎

戦駆王 地獄人生 アーセル 昆布さん にゃんまる トウキ 神崎 焔 かっこう02 錐と香也 十六夜@543 まきの MrR バトリオス アスティオン シママシタ フユニャン しょーくんだよ! 製糸場のラブライバー 狼牙竜 takao315  名のない仮面ライダー マサオン リョースケ 烈火の明星 146(名前考え中) 紘神奈 真姫リコット ヘタレ犬 影我龍王 

こんなにも沢山の方達がお気に入り登録をしてくださいました‼︎ありがとうございます‼︎
これからもよろしくお願いします‼︎

さて、今回は善k…ヨハネ回!このまま一気に、アニメに追いつかせたいところ………

それでは本編、Start your engine‼︎



 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 黒澤ルビィ・国木田花丸

 

千歌さん達からスクールアイドルになろうと言うお誘いを受けた花丸ちゃんと私。

なりたいと言う思いがありながら、お姉ちゃんの事を気にする私の背中を花丸ちゃんが押してくれた。

 

そして、マルも隼斗先輩に言われて………

 

「自分の本当の気持ちを大切にしてくれ!その夢を………夢のままで終わらせないでくれ‼︎その夢は、俺が守る‼︎」

 

ルビィ こうして、Aqoursは6人になった!

 

花丸 それにしても、その夢を守るって言ってたけど……あの言葉の意味って……?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、ここは沼津の某地。

とあるマンションの一室で、黒装束を纏った1人の少女が。何か怪しげな事をしていた………

 

 

と言うより、これ完全にニ○生である

 

「……感じます。聖霊結界の損壊により、魔力構造が変化していくのが……。世界の趨勢が、天界議決により、決していくのが……かの約束の地に降臨した、堕天使ヨハネの魔眼が、その全てを見通すのです!全てのリトルデーモンに授ける!堕天の力を‼︎」

 

そして蝋燭が消えて放送終了後、彼女は窓を開け………

 

 

「やってしまったーーーーーーー‼︎‼︎」

 

そう、自覚はあったらしい。

 

彼女の本当の名前は津島善子。浦の星女学院に通う高校1年生。

しかし今は訳あって不登校に。そう、皆さんはアニメで見たであろう。あれが原因である。

 

「何よ堕天使って!ヨハネって何⁉︎リトルデーモン?!サタン⁉︎いるわけないでしょ!そんなもーーーん‼︎‼︎」

 

 

そして善子は鏡の中の自分に向かって言い聞かせる。

 

「もう高校生でしょ!津島善子‼︎いい加減卒業するの‼︎

そう、この世界はもっとリアル、リアルこそが正義!リア充に………私はなる!」

 

なりたくてもなれない作者には耳が痛い台詞である。

彼女の1人もいない。

なんてこった‼︎

 

 

「うわああああ!なんであんなこと言っちゃったのよ〜!学校行けないじゃなーい‼︎」

 

カナリ・アラブール状態の善子。そんな彼女の元に………

 

「その悩み、私が解決しようか?お嬢さん?」

 

部屋の外にいたのは、明らかにこの世のものでは無い怪物だった。

そう、バット型ロイミュードである。

 

「うわあああ!あ、あんた誰⁉︎人間じゃないわよね⁉︎」

「そう、私はロイミュード。いずれこの世を支配する種族さ。堕天使を名乗る少女、その力と姿、もらうぞ‼︎」

 

そして、バット型ロイミュード011は、善子をコピーし、全く同じ服装、全く同じ顔の人間態に変身した。

 

「わ、私が……目の前に……」

「この力……進化の為に使わせてもらうぞ!ではまた会おう、堕天使ヨハネ殿!」

 

そして再びバット型の姿になると、翼を広げて飛び去っていった。

 

「な………今のって………リアル?」

 

 

OPテーマ 青空Jumping heart 歌Aqours&隼斗 〜♪

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「隼えもん言うな〜‼︎」

 

「「「「「いきなり何⁉︎(ずら⁉︎」」」」」

 

今朝、隼斗の部屋のところにこの文章が書かれた紙が置いてあった。

 

隼えもんの誕生ですね(笑)そのうち、頭につけるプロペラとか出しそう。

 

本作コメントより流用。

 

「いや、なんでもない……ったく誰がこんなもん……」

 

「まあ隼斗はほっといて……今日も上がってないね〜」

「昨日が4856位で、今日が4768位」

 

「まぁ、落ちてはいないけど……」

「上がってはない、ってとこかな……?」

 

先日から参加したランキング。少しは上昇を見せたもののあまり上がってはない。

 

「ライブの歌は評判いいんですけど……」

「それに新加入の2人も可愛いって!」

「ああ、この前upした俺が写真撮ったメンバー紹介写真か」

 

フードから少し高そうなカメラを出しながら言う隼斗。

 

「そんな高そうなカメラもフードなの?落とさない?」

「一回だけ落とした。まぁ大したことはない!それよりもだ……どれどれ〜?」

 

新メンバーの2人の人気が凄かった。特に花丸ちゃんが人気のようだ。ルビィちゃんも負けてはいない。

 

「花丸ちゃん応援してます!花丸ちゃん可愛い……花丸ちゃんが歌ってるところが早く見たい!ってコメが多数来てる。それに………」

 

『マネージャーの人かっこよくね⁉︎』

 

『天城ってあの有名な天文学者さんの⁉︎』

 

『ハーレムじゃねえか爆発しろ』

 

的なコメも沢山。

 

「俺にも来てたとは……てかラストは八つ当たりだろ。

どうだ、2人とも?」

 

2人とも感動してたと思いきや1人は……

 

「こ、これがパソコン⁉︎」

「そっちかよ⁉︎」

「もしかして、これが知識の海に繋がってるという、インターネット⁉︎」

「そ、そうね。知識の海かどうかは分からないけど…」

 

「都市伝説だが、それを超えるものもあるしな。この地球上のありとあらゆることが分かるっていう地球(ほし)の本棚ってのが。」

 

「おおおお………‼︎」

 

千歌がルビィに尋ねた。

 

「花丸ちゃんってパソコン使ったことないの?」

「実は、お家が古いお寺で、電化製品とかあんまり無くて……。」

「国木田寺院、だったよな。それは検索済みだ、ここらじゃかなり歴史のある寺だった」

「そうなんだ……」

 

以前沼津に行った時も、センサー式の蛇口やあの電動のアレとかで興奮して、「未来ずらよー!」とか言ってたんだとか。

 

「触ってもいいですか⁉︎」

「もちろん。」

 

千歌に頼んで、1部ソニックのデータもあるが、大したものじゃないし、まぁ大丈夫だろう。

ほとんどのデータはこのライドソニックキーに入ってる。

 

「それに加えてそのファイルのみ俺にしか解けないロックが掛かってるから、よほどの事がない限りは……」

 

「ずらっ!」

 

すると、突然パソコンの画面が消えた。

 

「え?」

 

「今、何押したの?」

「え……?なんか、一個だけ光るボタンがあるな〜と…」

 

それを聞いた瞬間、梨子と曜がすごい速さですっ飛んで行き……

 

「大丈夫⁉︎」

「衣装のデータ保存してたかな〜?」

 

 

「マ、マル……何かいけないことしました……?」

「大丈夫大丈夫……。」

 

ちなみに、データは一式無事でした。

 

 

 

で、その後の練習中……

 

 

 

「こんなに弘法大師、空海の情報が!」

「うん、ここで画面切り替わるからね!」

 

曜がパソコンの使い方をレクチャーしてた。うん、これで一安心。

 

「すごいずら〜!」

 

「も〜これから練習なのに〜!」

「まぁ少しくらいいいんじゃない?」

「そうだぜ、細けえことは気にすんな!」

 

「それよりランキングどうにかしないとだよね〜」

「毎年、スクールアイドルは増えてますから……」

「それにこんな何もない場所で地味!&地味!&地味!だし……」

「唯一派手と言えば……」

 

『Leady………変身‼︎』

 

2年生3人が同時にそれを思い浮かべ、隼斗の方を見る。

 

「なんだ?」

「いや、なんでもなーい。」

 

「やっぱ目立たなきゃだよなぁ……。上にまだ3000以上もスクールアイドルがいるんだし……」

「何か目立つ事か……う〜ん……。」

「例えば、名前をもっと奇抜なのに付け直してみるとか?」

「奇抜なの………スリーマーメイド?いや、ファイブ、シックスか!」

 

「俺を入れんな俺を!あくまで俺はプロデューサー!で、マネージャー!そしてライダー‼︎」

 

「ライダー?」

「ライダーってなんずら?」

「君らは知らんでよろしい。俺の話だ」

 

そして、その話をまた持ち出した千歌を梨子が揺らしていた。

 

そして、花丸ちゃんも何かを見つけたらしく……?

 

「善子ちゃん?」

 

で、その善子は………

 

「ずら丸!なんでここに先客が……!」

 

花丸を見た途端コソコソと逃げていった。

 

「ん?花丸ちゃん、どうしたんだ?」

「いや……今善子ちゃんがいたような気がして……。」

「善子?ああ、あの堕天使Girlか」

「ちょっと見てきます!」

 

そう言って花丸ちゃんは屋上を出てしまった。

 

「あ、ちょっと!花丸ちゃん!」

「シグナルソニック!追っかけてくれ‼︎」

 

隼斗も唯一まともに動いてくれるシグナルソニックを向かわせて追跡。

 

「すまねえ、俺も行く!」

 

隼斗もそのあとを追いかけて行った。流石の足の速さである。

 

「あぁ行っちゃった……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、その善子は………

 

「うぅ……いきなり屋上から堕天してしまった……」

 

「おーい!花丸ちゃん!」

「あ、隼斗さん!」

「あの子を探してるのか?なら、俺に任せな!シグナルソニック!」

 

そう言うと、廊下を走っていたシグナルソニックが、一箇所のところをコンコンと突いた。

 

「そこみたいだ」

 

そして、花丸がそこを開くと、中にはあの善子がいた。

 

「学校来たずらか。」

「ヘイ、堕天使ガール。またあったな。入学式の日以来、かな?」

「ずら丸⁉︎それに……あ、あなたこの前の男……。」

「そーいや、自己紹介してなかったな。俺は天城隼斗。

浦の星のスクールアイドル、Aqoursのプロデューサー兼マネージャー兼メンバー(仮)兼専属ボディーガード。で、この学院の共学化テスト生」

「なんか増えてるずら……」

 

「1番大事な事最後にしてるのね…。とにかくよろしく……私は……」

「津島善子、1年生。一通りそこの花丸ちゃんから聞いてるよ。やっと学校来たのか?」

「き、来たっていうよりは、たまたま通りかかっただけで……」

「嘘つけ。君の家は沼津だと聞いてる。たまたま通るなんて距離じゃない事くらい分かる」

 

「ってそんな事はどうでもいいの‼︎それより、クラスのみんなは何か言ってた?」

「なにが?」

 

話によると、彼女はどうやらあの事故紹介の事を気にしてるらしい。

だが、そこまでみんな気にしてるわけでもなく、それよりも何故こないのか、何か悪い事でもしたのかとか心配してるらしい。

 

それを知った善子は……

 

「よし!いける、まだやり直せる‼︎」

「やり直しがきくくらいの影響でよかったな。」

「ずら丸、それに天城隼斗って言ったわよねそこのあなた!」

「呼び捨てかい……まぁいいけどさ」

「ヨハネたってのお願いがあるの!」

 

「な、何ずら……⁉︎」

「なんだよいきなり……。」

 

と、その時またしても重加速が発生。

 

『うわっ⁉︎』

 

『な、何よこれ〜⁉︎』

 

『体が重いずら〜!』

 

そして1人動ける隼斗が周りを見回すと、そこには、格好こそ違うものの、もう1人の善子がいた。

 

「も、もう1人の善子⁉︎」

 

「残念だけど私は善子ではない。そこにいるのが本物だ。」

「随分とあっさり正体明かすんだな、ロイミュード!」

「いいだろう!これがそのお嬢さんから頂いた力を元に、進化した私の姿‼︎」

 

そのもう1人の善子はバット型ロイミュードに姿を変えた後更に姿を変えた。その姿はまるで099、エンジェルロイミュードを彷彿とさせる姿だったが、色が黒主体になっていた。

 

「我が名は011……フォールエンジェル・ロイミュード‼︎あなたも堕天してみるかしら⁉︎」

 

「フォールエンジェル……なるほど、コピー元のイメージが進化のきっかけか。だから堕天使……。」

 

『もう1人の善子ちゃんが怪物になっちゃった⁉︎』

『あれはあの時の………⁉︎』

 

「善子とか言ったな、どうしてこうなったのかは後でじっくり話を聞かせてもらうぜ‼︎」

 

隼斗はそう言うと、練習着のフードからマッハドライバーMKⅡを取り出し、装着。ベルトパーツが伸びて巻かれた。

 

「さぁ、勝負と行こうか!」

 

パネル部分を展開。

 

そして、左手に持っていたシグナルソニックをパネル部分にセットし、手でパネルを下げる。

 

《Signal Bike!Rider!》

 

「Leady………変身‼︎」

 

《Sonic‼︎》

 

 

変身音が鳴り響き、隼斗はその姿を仮面ライダーソニックへと変身させた。

 

「シグナルバイクは使いたいから……しゃーないこれだ!重加速制御装置、リミッター解除‼︎」

 

自身から波動を放ち、その場一帯の重加速を打ち消す。

この機能はマッハと同じで、内蔵されているのはNEXコアドライビアを少し改造した、HOPEコアドライビアだ。

 

「うわわわっ⁉︎」

「善子ちゃん大丈夫ずら⁉︎」

「ずら丸、なんなのよあいつは……」

 

「お〜効いた効いた!で、俺が何者かって?それは…‼︎」

 

ソニックは飛んできたゼンリンシューターBSを右手に装備しいつものおきまりのアレをやる。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎ 仮面ライダー…………ソニック‼︎」

 

「仮面ライダー……ソニック⁉︎」

「なんかよくわからないけど、未来ずら〜!」

 

 

「なるほど、あなたが新しい仮面ライダー……」

「ご存じのようでよかった。さぁて……ぶっ潰す‼︎」

「この私に敵うものか‼︎」

 

フォールエンジェルロイミュードも黒い剣のような武器を手に迫ってくる。ソニックもゼンリンシューターを構えてエネルギー弾を放つ。

 

「ここじゃ狭くて分が悪い……仕方ない!ロイミュード!こっちだ!」

 

広いところにおびき出すため、窓から外へ。

 

「いいだろう!音速の貴公子よ‼︎」

 

フォールエンジェルもその後を追って外に出た。

 

「ず、ずら丸……」

「と、とにかくみんなに報告を……!」

 

花丸は屋上に戻った。

 

「あ、ちょっと待ちなさいよ‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして一方、隼斗VSフォールエンジェルはと言うと。

 

《ゼンリン!》

 

「はぁぁぁっ‼︎」

「受けよ!堕天の剣‼︎」

 

ゼンリンシューターと剣がぶつかり合う。

接戦であった。お互いに一歩も引かない。

 

「答えろ!お前の目的は……つーかお前らの目的はなんだ⁉︎」

「復活した我々はもう一度グローバルフリーズを起こす‼︎今は亡き同志のため…今度こそ世界を我らのものに‼︎あのお嬢はその為に進化の糧としたのだ‼︎」

「随分ペラペラと喋るじゃねぇ……かっ‼︎」

 

ソニックは一度飛び上がって下がり、その隙にシグナルバイクを入れ替える。

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho Kakusaan‼︎》

 

両肩のシグナコウリンのシグナルがカクサーンに変化。

 

「喰らいやがれっ‼︎」

 

《シューター!超・カクサーン‼︎》

 

カクサーンⅡの効果で弾を増やして攻撃するが………

 

 

「そんな攻撃が効くとでも⁉︎」

 

背中から生やした黒い翼でガードした。

 

「なっ⁉︎翼で防いだ!だったら‼︎」

 

《Signal Bike!Signal koukan!Cho Magaaru‼︎》

 

シグナルバイクをマガールⅡに変更。

同時に両肩のシグナコウリンもまた変化した。

 

「前に気を取られんなよ!」

 

《シューター!超・マガール!》

 

少し右にずらして撃ち、マガールの効果で弾を曲げる。

 

「どこを狙って……ぐはっ⁉︎」

 

作戦通り見事命中。

 

「次はガブガブ地獄だ」

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho Kikeen‼︎》

 

キケーンⅡにシグナル交換。

 

「今日は特別大サービスだ‼︎」

 

《シューター!トテモ!超・キケーン‼︎》

 

上空に放った弾が、イグナイター連打によって三体の赤色の魔獣に変化。

 

「ふん、そんな魔獣ごときで、このフォールが………ってうわああああ‼︎」

 

大口を叩くロイミュードだが、魔獣達にリンチ食らってました。

 

「う、うぐ………!」

「さーて………終わらせっか‼︎」

 

そう項垂れながらソニックはパネルを展開してシグナルバイクをソニックに戻し、またパネルを展開しイグナイターを押す。

 

《ヒッサツ!》

 

「終わりにしてやるぜ。ライダージャンプ!」

 

そして、身体を捻って風のエネルギーを右足に集めてその力で飛び上がり、空中でパネルを下げる。

 

《フルスロットル‼︎ソニック‼︎》

 

「ストリーム・ソニック‼︎」

 

風の力を身にまとい、フォールエンジェルにライダーキックを放った!

 

 

「っ!ここは一時撤退!」

 

だが、フォールエンジェルは足元に魔法陣らしきものを展開し、消えてしまった。

 

「あっ!うわっととと!」

 

そしてソニックは技が不発のまま着地。

身体を丸めて受け身をとった。

 

「か〜……逃げられたか…それにしても……やっぱり目的はグローバルフリーズか。絶対に止めないと……!」

 

シグナルバイクをドライバーから抜き、パネルを下ろして変身解除した。

 

《オツカーレ!》

 

「ふぅ……」

 

 

「おーい!隼斗君‼︎」

 

 

そこに先ほどまで屋上にいた千歌達がやって来た。

 

「千歌!みんな!」

「花丸ちゃんから聞いたよ、ロイミュードは?」

 

「sorry.逃げられちまった……」

「え?大丈夫なの⁉︎」

「あいつはあくまであの進化形態を手に入れるのが狙いだったんだと思われる。俺の予想だが…人間には危害を加えないと思う。今度出てきた時にきっちりぶっ潰す‼︎」

 

「だといいけど……」

「あ、あと思ったんだけど、これで花丸ちゃんとその善子ちゃん?にも正体バレちゃってるじゃん‼︎」

 

「あ………。は、花丸ちゃん」

「何ですか?」

「このことは他言無用で頼む。正体を知った以上、それを守ってもらいたい」

 

「分かったずら。善子ちゃんにもそう言っておきます。」

 

 

で、次の日!善子は普段通りまた学校に通い始めた。のはいいんだが………そこでまーたやらかしたらしい。

 

なんでも占いの道具(普通じゃない)の所為でまたなんかなったんだと。

 

そして、現在スクールアイドル部部室。

そこで、ルビィは善子の事について語り始めた。

 

「実は中学の頃、善子ちゃんは本気で自分を堕天使だと思い込んでて、まだその癖が抜けきってないらしくて…。」

 

「それってかなりの重症だろ……もう少なくとも一二年は経ってるんだぜ……ってそうじゃなくて‼︎」

 

隼斗が机をバンと叩く。

 

「善子、俺が聞きたいのは何故あのフォールエンジェルがお前と同じ顔だったのかだ。ロイミュードは人間の見た目などをコピーすることができ、それによって進化したりだとかをする。しかもその人間と接触しなきゃいけないからな……」

 

「確かに、あの……ろ……ろ……」

「ロイミュードな。」

「なるほど……とは言っても、私にもよく分からないのよ。ある日突然部屋の外に現れて、それで私と同じ姿になって……」

「あの服装は?」

 

「多分、これのことじゃないですか?」

 

ルビィがパソコンで出したのは……

 

『またヨハネと堕天しましょう……』

 

「やめて‼︎」

「なーるほど……でかしたルビィちゃん!」

「えへへ……」

 

「服装までコピーすることも忘れてた。繋がった。」

「とにかく!私は普通の高校生になりたいの‼︎なんとかして!」

「自分でどうにかできない以上、どうするか……。」

 

ここまで複雑で単純でくだらない理由で進化したロイミュードがいただろうか。

隼斗も悩んでいた。ロイミュードを倒し、善子の癖も直す。その方法が思い付かず……。

 

「可愛い……」

 

「「「えっ?」」」

 

「これだよ!津島善子ちゃん!いや、堕天使ヨハネちゃん!スクールアイドル、やりませんか⁉︎」

 

「「「「「えええええっ⁉︎」」」」」

「はい?」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

で、その後千歌の家にて………

 

「こ、これで歌うの⁉︎前よりも短い……これで歌ったら流石に見えるわ……。」

「大丈夫!」

「そういうことしないの‼︎」

 

 

あえて言おう。

 

ど う し て こ う な っ た

 

今、俺の前には6人の黒や白など少しシンプルな色の衣装を着たみんながいる。

 

「調べてみたんだけど、堕天使アイドルってまだいなくて、結構インパクトあると思うんだ!」

「だからって行動早くね?」

「隼斗もそれ着てみてよ!」

 

で、俺にはダークなカラーの猫耳付きパーカーが渡されたのだが、少々気が向かない。

 

「まぁ悪くはないと思うけど……。俺はいい」

「え〜!なんで⁉︎」

「俺はマネージャーだからだ」

 

「なんか恥ずかしい……」

「落ち着かないずら……」

 

「ねぇ、本当に大丈夫なの?こんな格好で歌って……」

「可愛いね‼︎」

「そういう問題じゃない」

 

「そうよ、本当にこれでいいの?」

「これでいいんだよ!みんなでステージ上で堕天使の魅力を思いっきり振りまくの‼︎」

「堕天使の………魅力……?………ダメダメ!そんなのドンびかれるに決まってるでしょ⁉︎」

「善子ちゃんの言う通りだ。考え直したらどうだ千歌?」

 

「大丈夫だよ!きっと………‼︎」

 

で、千歌の想像してるのが、歓声を浴び、大人気な善子。

 

「大人気……!」

「協力、してくれるみたいです……」

「はぁ……好きにしてくれ。俺は一緒にはやらんぞ。俺はあくまで俺を貫く。俺は堕天使じゃない」

 

そう言って床に寝っ転がり目を閉じた。

全く疲れるぜ……

 

「まぁ……分からなくもないけどさ〜」

 

 

そしてその後、梨子が一度部屋を出ると、美渡としいたけに遭遇。追い掛け回されるというハプニングに襲われたらしい。まぁ本当に寝ちまって大雑把にしか話聞いてないんだけど。

 

「じゃあ衣装よろしくね〜!」

「ヨーソロー!」

「曜のヨーソロー久しぶりに聞いた気がする」

 

夕方になって一度お開き。

 

 

「痛たた……」

「大丈夫か梨子ちゃん?」

「ごめんごめん〜」

「今度からちゃんと繋いでおいてよね‼︎」

「えへへ……。」

 

「もう、人が災難に遭ったっていうのがそんなに嬉しい?」

「違う違う!みんな個性があっていいな〜と思って。」

「個性?」

 

「スクールアイドルを始めたはいいけど、やっぱり地味で普通だな〜って思ってたけど」

「そんな事思ってたの?」

 

「そりゃ思うよ〜。一応言い出しっぺだから責任はあるし……。かといって、今の私にみんなを引っ張っていく力はないし……。」

「千歌ちゃん……」

「千歌…………」

 

「でも、みんなと話して、少しずつみんなの事を知って、地味なんかじゃないって思ったの。みんな個性的で、特徴的で……だから、大丈夫じゃないかなって」

 

千歌がそう言うと梨子はあの時のように言った。

 

「やっぱり、変な人ね」

「ええっ⁉︎」

「初めて会った時から思ってたけど。」

「何⁉︎褒めてるの⁉︎貶してるの⁉︎」

 

「どっちもだろ!普通で地味なお前らが集まって、何ができるか……それは誰にも分からない」

「とにかく、頑張っていこうってこと!」

「よーし帰るぞ!競争な‼︎Full throttle!」

 

そう言って駆け出した隼斗と梨子。

 

「あ、ちょっとずるい‼︎」

 

 

何が起きるか分からない。それが未来だから……………

 

 

そして次の日‼︎

 

「ハーイ!伊豆のビーチから登場した、待望のニューカマー、ヨハネよ!みんなで一緒に………堕天しない?」

 

「「「「「しない?」」」」」

 

 

とりあえずだ。

 

「「やってしまった……」」

 

無論隼斗はやってないが、堕天使路線をテストしてみた。するとその結果………。

 

「で、どうなってる?」

「ちょっと待ってね………あ!」

 

ランキングを見てみると、一気に900台までランクアップしていた!

 

「うっそやろ……。」

「じゃあ、効果あったって事……⁉︎」

「みたいだね!」←曜

 

「えーと、どれどれコメントが………『ルビィちゃん可愛いです』『ルビィちゃんのミニスカが可愛い……』」

 

「いや〜それほどでも……。」

 

うん。これは納得だよ!読者の皆さんもYouTubeとかさ、ニコニコとかで見てみてくれ!可愛いから‼︎

 

 

で、生徒会長とマリーのコンビも見たらしく、それぞれの反応は………

 

「Wao!prity bonba hear‼︎」

「プリティ……?どこがですの……!こういうものは破廉恥というのですわ‼︎」

 

はい、案の定ダイヤ様には呼び出されて説教されました。

 

「え〜?ルビィちゃん可愛いだろ〜。」

「隼斗さんはお黙りなさい‼︎」

 

「サーセンした……ん?今名前で………」

「あなたは何故止めなかったのですか!」

「いや〜俺も思いましたよ最初は。でもよくないですか⁉︎俺も最初は反対しましたけど結果的に人気上がりましたし。このキャラというかなんというか……?」

 

「だから言ったのに……良いのかって?」

「本当にその通りになっちまったな。」

 

「そもそも、私がルビィにスクールアイドルとしての活動を許可したのは、節度を持って自分の意思でやりたいと言ったからです‼︎こんな格好をさせて注目を浴びようなど…」

「ごめんなさい、お姉ちゃん……」

「……とにかく、キャラが立ってないとか、個性がないと人気が出ないとか、そういう狙いでこういう事をするのはいただけませんわ」

 

「でも、一応ランキングは上がりましたし……。」

「そんなのはほんの一瞬に決まってますわ。もう一度その目でランキングを見てごらんなさい!」

 

そう言ってノートパソコンを滑らせてくるダイヤ様。

それで試しに見てみると………

 

「んー…ちっとずつだが下がってるなこりゃあ……」

「どうすれば人気が出るのか、もう一度考え直す事ですわね‼︎」

 

 

結局、キャラを変えての人気集め作戦は失敗に終わった。

 

「ダメだったな……。ダイヤさんの言う通りだ」

「こんな事でμ'sみたいになりたいなんて失礼だよね…」

「千歌さんが悪いわけじゃ……」

 

「そうよ」

 

そう言ったのは善子だった。

 

「いけなかったのは…堕天使。やっぱり高校生にもなって通じないよ」

「それは……!」

「なんか、これでスッキリした。明日から今度こそ普通の高校生になれそう」

「じゃあスクールアイドルは?」

 

ルビィがそう聞くと、善子は……

 

「やめとく。迷惑掛けそうだし」

「迷惑なんてそんな……」

 

「仮面ライダーさん、みんなの事お願いね。じゃ……」

「おい待てよ‼︎」

 

「少しの間だけど、堕天使に付き合ってくれてありがとう。楽しかったわよ」

 

そう言って善子は立ち去っていった。

 

「善子……」

「でも、どうして堕天使だったんだろう……?」

「マル、わかる気がします。」

「マルちゃんが?」

 

「ずっと、普通だったんだと思うんです。私達と同じで、あまり目立たなくて……そういう時、思いませんか?これが本当の自分なのかなって。本当はキラキラ輝く天使だったけど、何かのはずみでああなっちゃって」

 

「そっか……。」

「確かに、そういう気持ち、あった気がする」

「なくもない……かもな。」

 

 

 

それぞれが皆、そう思っていた………。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、また次の日………俺たちは善子の元を訪れていた。俺も気が向かなかったあの黒のパーカーを着ている。

…案外似合うものだ。

 

そしてみんなも、あのかつての堕天使衣装を着ていた。

 

「あ、やっと見つけた‼︎」

 

そんな善子だが、どうやら今まで集めていたグッズを処分しようとしていたらしい。

 

「堕天使ヨハネちゃん!」

 

「「「「「スクールアイドルに入りませんか⁉︎」」」」」

 

「はぁ?」

「ううん。入ってください!堕天使ヨハネとして!」

「何言ってるの?昨日話したでしょ?もう……」

「良いんだよ、堕天使で!自分が好きならそれで!」

「ダメよ……!」

 

そう言うと善子はその場から走って行ってしまう。

 

「待って!」

 

俺たちも後を追った。

 

「生徒会長にも怒られたでしょ!」

「それは私達が悪かったんだよ‼︎」

「よくよく考えてみりゃ、あんなの今まで何回あったか!へっちゃらだっつーの‼︎」

 

「善子ちゃんはいいんだよ!そのまんまで‼︎」

「どういう意味〜⁉︎」

「私、μ'sがどうして伝説になったのか、スクールアイドルがどうしてそこまで広がったのか、考えてみて分かったんだ!」

 

「それは、ステージの上で自分の「好き」をまっすぐに表現する事なんだよ‼︎」

 

「お客さんにどう思われるか、人気がどうか。そういうのは関係ない。自分が最も好きな姿を……輝いてる姿を見せることなんだ!」

 

千歌と隼斗がそう言った。

 

「だから善子ちゃんは捨てちゃダメなんだよ‼︎」

「お前自身が、堕天使でいる限り!その翼がある限り‼︎」

 

「いいの?時々変な事するかもよ?」

「いいよ。」

 

「時々、儀式とかするかもよ?」

「それくらい我慢するわ」

 

「リトルデーモンになれって言うかもよ?」

「ダークライダーか……まぁ悪くはないか」

「それは……でも、やだったらやだって言う」

 

そして、隼斗、それに千歌は善子に近づき、一枚の黒い羽根を渡す。

 

「ほれ、落としもんだ。」

 

羽根を受け取った善子に隼斗が言った。

 

「お前のその翼はまだ折れちゃいない。お前のその好きな事、それは俺が守る!俺は……仮面ライダーだ‼︎」

 

 

そう言った途端、上から何かが降ってきた。

と言うよりは降りてきた、というべきだろうか。

 

「また会いましたね。仮面ライダー」

 

もう1人の善子だ。その姿が変化し、現れたのは

フォールエンジェルロイミュードだ。

 

「フォール!」

「もう1人の私……!」

「略すな‼︎…まぁいい!この私の魔力は完全に回復した!

決着をつけようぞ‼︎そのお嬢さんはまだまだ利用価値があるからね!次は超進化態まで………」

 

「んな事させるかよ!ここでお前を倒すぜ‼︎」

 

猫耳フードを取り、前を開くとマッハドライバーMKⅡを

装着した。そして、シグナルソニックをセットし、パネルを倒した。

 

「Are you leady⁉︎変身‼︎」

 

《Rider!Sonic‼︎》

 

 

仮面ライダーソニックへと変身した隼斗。

フォールエンジェルの黒い羽根が雪のように舞い散る。

 

「いいじゃねえか!雰囲気出てきた!」

 

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

イグナイターを連打しシフトアップ。

 

「面白い‼︎さぁ来るがいい‼︎」

 

ソニックはゼンリンシューターを使わず、以前通り格闘で戦う。

 

「はっ!せいっ!オラオラオラ‼︎」

 

両手のラッシュ。

膝蹴り、バク転して回避からのもう一度膝蹴り。

 

「くっ!スピードが速すぎる⁉︎」

 

剣に羽根、自在の攻撃を持つフォールエンジェル。

だがそれも発動させなければ意味がない。

 

「決めるぜ」

 

《ヒッサツ!》

 

「ライダージャンプ!」

 

左回転しながら右足に風のエネルギーを集めて飛び上がる。

 

「ストリーム・ソニック‼︎」

 

《Full throttle!Sonic!!》

 

そして左手でパネルを下す。

 

回転しながらのライダーキックを炸裂させ、フォールエンジェルを爆散させた。がしかし……

 

「あ…バイクごとゼンリンシューターを置いてきたからコアが壊せねぇ………。もういっちょ!」

 

《ヒッサツ!フルスロットル‼︎》

 

「ライダーパンチ!」

 

風を纏った右拳でコアを砕いた。やはりゼンリンシューターがないときつい。

 

「ふぅ………決まった‼︎」

 

 

 

と、話が少々雑なものの見事善子を……堕天使ヨハネを巡る物語は、ひとまず終わったのだ。

 

そして一方、学校では………

 

「鞠莉さん!あのメールはなんですの⁉︎」

「何って……書いてあった通りデス」

「そんな……嘘でしょう……?」

 

学校では、更に大変な事件が⁉︎

 

次回に続く!

 




というわけで第5話の話終了!ちょっと雑になってるのは許してくださいなんでも((ry

さて、次回は第6話辺り、PVの話ですね!TOKYO回も近いから頑張らねば。それでは次回もお楽しみに‼︎


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第11話 PVをどうやって作るのか?

どうも皆さん!
投稿頑張ってますサーガ第11話!アニメじゃ第6話‼︎
そんな疲れもなんのその!
それでは本編、Start your engine‼︎



 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 津島善子

 

あの時の出来事がきっかけで中々堕天使という自分から抜け出せずにいた私の前に、突如現れたロイミュードと言う怪物。そういえばあれも堕天使だったわよね確か……。

 

そんな私をスクールアイドルに誘った、高海さんが率いる浦の星のスクールアイドル、Aqoursのみんな。

 

仮面ライダーとかいうのに変身するあのテスト生の先輩やズラ丸達のおかげで、私は自分らしく、好きなことを貫く大切さを知った。

 

それに、もう1人の私だったあのロイミュードってのも仮面ライダーの先輩のおかげで倒された。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その頃、学校ではとんでもない事件が飛び込んできた!

 

 

「一体なんですの⁉︎」

「書いてあった通りよ。沼津の学校と統合して、浦の星女学院は廃校になる。分かっていたことでしょう…?」

 

「それは……そうですけど……」

「ただ、まだ決定ではないの。まだ待ってほしいと、私が強く言っているからね」

 

「鞠莉さんが…?」

「なんの為に、私が理事長になったと思ってるの?

この学校は失くさない……私にとって、どこよりも………大事な場所だもの……!」

 

「方法はあるんですの?入学者はこの2年、どんどん減っているんですのよ?」

「だからスクールアイドルが必要なの」

「鞠莉さん……」

「あの時も言ったでしょう?……私は諦めないと。今でも決して、終わったとは思ってないと」

 

そう言って鞠莉はダイヤに手を差し伸べる。

 

「私は……私のやり方で廃校を阻止しますわ」

 

そう言ってダイヤは理事長室を出て行った。

 

「本当、ダイヤは好きなのね………果南が……」

 

 

OPテーマ 青空Jumping heart 歌 Aqours&天城隼斗〜♪

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そんな事が起こってるとも知らずに、Aqoursのメンバー達はいつもどーり?の学校生活を送っていた。

 

1年の教室では……………

 

「そ、そうだよね〜!マジムカつく〜よね〜……よね?」

 

善子も必死で「普通」を演じていた。

 

「だよね〜!じゃ、また明日!」

「またね〜!」

 

「はぁ…!疲れた……。普通って難しい〜‼︎」

「無理に普通にならなくてもいいと思うずら……よっ‼︎」

 

善子の頭の団子の部分に花丸があの黒い羽根を刺す。

 

すると、さっきのが一転しギラリと何かに目覚めたようになった。

 

「深淵の深き闇から……ヨハネ、堕天!……ハッ⁉︎」

 

「やっぱり善子ちゃんはそうじゃないと。」

 

とその時、突然教室のドアが開き、ルビィが飛び込んで来た。

 

「大変!大変だよ‼︎」

「ルビィちゃん、どうしたずら?」

「大変!学校が‼︎」

 

ルビィ説明中……………

 

「なんですって⁉︎」

「急いで千歌さん達に伝えなきゃ‼︎」

 

そして、3人は走って2年生の4人のクラスの教室へ。

 

 

一方その頃。

 

「よーっし!一丁上がり‼︎」

 

隼斗は新しい武器をハーレー博士に作ってもらおうと思いデザインを描いていた。

今度の武器は銃ではなく剣。

実は前回のフォールエンジェルロイミュードとの戦い以降接近戦特化の武器も欲しくなったのだ。

 

仮の候補は大きく分けて二つ。

 

一つは、ドライブの武器であるハンドル剣。それのハンドルがバイクなバージョン。

ソニックに合わせて青色が使われている。

 

うーん……見た目がビミョーだが切れ味は悪くない。

 

もう一つは、隼斗が研究所の資料で見た別の仮面ライダー、アクセルの使う武器 エンジンブレードにそっくりな武器。

見た目的に……重そう。

 

青色とシルバーっぽいカラーが何かとかっこいい。

 

「何々?新しい武器⁉︎」

 

曜がイラストを見て興味を示す。

 

「ああ。銃だけじゃどうも満足がいかなくて……」

「二種類候補があるみたいだけど……?」

「どっちがいいかで悩んでるの?」

 

梨子と千歌が見て言った。

 

「だからどっちかにしなくちゃいけないんだよ……。両方は流石にあれだからさ……。なぁ、どっちがいいか……」

 

「千歌先輩!(曜先輩!)(リリー!)」

 

左から順にルビ・まる・よし

 

「俺は呼んでくれないの……」

「ってリリーって……」

 

 

「あ〜まぁいい!どうしたお前らそんなに息切らして…」

 

「た、大変なんです!とにかく部室に‼︎」

 

 

で、部室でルビィから聞かされたのは……………

 

 

「「「「統廃合⁉︎」」」」

 

「そうみたいです。沼津の高校と合併して、浦の星女学院が無くなるかもって……!」

「そんな!」

「いつ⁉︎」

「それは、まだ……。一応、来年の入学希望者の数を見てどうするか決めるらしいんですけど……」

 

「…………廃校?」

 

さっきまで黙っていた千歌が言った。

 

「来た!ついに来た!統廃合ってつまり、廃校って事だよね⁉︎学校のピンチって事だよね⁉︎」

「嬉しそうだなおい……」

 

「だって!廃校だよ!音ノ木坂と、一緒だよ‼︎」

 

そう言いながら駆け回る千歌。あ、戻ってきた……

 

「これで舞台が整った!私達が学校を救うんだよ‼︎そして輝くの!あのμ'sのように‼︎」

「どんな体勢してんだ善子も千歌も……」

 

「そんな簡単にできると思ってるの……?」

「こんな田舎で廃校から救うってのは、向こうよりも数倍は難しいと思うがな?」

「花丸ちゃんはどう思う?」

 

ルビィが花丸に尋ねると………

 

「統廃合〜⁉︎」

「あ、こっちも⁉︎」

「合併という事は、沼津の高校に行けるずらよね?あの街に通えるずらよね⁉︎」

 

「ま、まぁ……」

「相変わらずね……ずら丸。昔っからこんな感じだったし」

「そうなの?」

 

 

まだ2人が幼かった頃…………

 

センサーで人を感知して光る照明で遊んでて、点いた途端

 

「未来じゅら〜!」

 

と言ったんだとか。うん、変わらねえ。

 

「善子ちゃんはどう思う?」

「そりゃ統合した方がいいに決まってるわ!」

「おお、反対の意見が来たな。何故だ?」

 

「だって、私みたいに流行に敏感な生徒も集まってるだろうし」

「よかったずらね〜!中学の頃の友達に会えるずらよ〜!」

「統廃合絶対反対ー‼︎」

 

「とにかく廃校の危機が学校に迫っている以上、私達Aqoursは学校を救うため、行動します‼︎」

「ヨーソロー!スクールアイドルだもんね‼︎」

 

「理由が何であれ、ここは俺にとっても大事な場所だ。浦の星女学院の女の字が取れようが、俺はこの学校を残したい!てか残す‼︎」

「でも、行動と言っても何するつもり?」

 

「……………え?」

 

「「「「「「え…………?」」」」」」

 

 

こいつ、何も考えてませんでした。

 

で、練習中……………。

 

「で、結局μ'sがやってたのは……ランキングに登録して……」

 

階段トレーニング

 

「ラブライブに出て有名になって………!」

 

海岸で休憩。

 

「生徒を集める……」

 

「それだけなの⁉︎」

「大雑把にはな〜」

 

そしてまた翌日の放課後、生徒会室にて。

ダイヤは1人パソコンを見て悩んでいた。

 

「はぁ……そもそもの受験人数が減ってるんですのね。」

 

そこへ、妹であるルビィが入ってくる。

 

「お姉ちゃん……」

「どうしたんですの?」

「実は、今日もちょっと遅くなるかもって」

「今日も、ですの?」

 

「千歌ちゃんが入学希望者を増やすためにPV作るんだって言ってて……」

 

「分かりました。お父様とお母様に伝えておきますわ」

「いいの!本当に⁉︎」

「ただし、日が暮れる前には戻ってきなさい」

 

「うん!じゃあ、行ってくる‼︎」

「どう?スクールアイドルは」

 

行こうとしたルビィをダイヤが呼び止めた。

 

「大変だけど、楽しいよ」

「そう……」

「他の生徒会の人は?」

「みんな他の部と兼部なので忙しいのですわ」

「……そう……お姉ちゃ」

「早く行きなさい。遅くなりますわよ」

 

ルビィはそう言われると、走ってその場を離れた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

で、場所が変わりまして………

 

Aqoursのメンバー達は外でPVに使う動画を撮影していた。

隼斗もライドソニックに腰掛けてそれを見ながら武器のデザインをまとめていた。

 

「内浦の良いところ?」

「そう!東京と違って、外の人達はこの街の事よく知らないでしょ?だからまずはこの街の良いところを伝えなきゃって!」

「それでPVを?」

「うん!μ'sもやってたみたいだし、これをネットで公開してみんなに知ってもらう!」

 

「知識の海ずら〜!」

「というわけで、一つ宜しく!」

 

そう言うと、ルビィちゃんと花丸ちゃんにカメラが向けられる。

 

「あ…いや、マルには無理ず……いや、無理……」

「……ピギッ!」

 

2人ともテンパってるようだ。

ん〜これはもうちょっとこんな感じか〜?

 

 

で、そんなこんなでPV撮影開始!

 

scene1

 

「どうですか!この雄大な富士山!」

 

scene2

 

「それと、この綺麗な海!」

 

とか言ってるが、リアル作者がかつて行った時はなんか知らんけど赤潮がやばかったです。

 

scene3

 

「更に、みかんがドッサリ‼︎」

 

そして少し反転し………

 

「そして街には!……街には………特に何もないです!」

「ダメじゃねえかバカタレ!」

 

デザイン用のスケッチブックで叩く。

 

「う〜ん……じゃあ……」

 

で、俺たち一行は沼津に移動。

今度は交代して曜が紹介をする。

 

「バスでちょっと行くと、そこは大都会!」

 

いや、ちょっとって距離じゃないと思う。

 

「お店もたーくさんあるよ‼︎」

 

で、今度は自転車(隼斗は無論バイク)移動。

 

「そして………!」

 

「ちょっと、自転車で坂を越えると……!そこには、伊豆長岡の商店街が……!」

「全然……ちょっとじゃない……!」

「沼津に行くのだって、バスで500円以上かかるし…!」

「お前ら大丈夫か〜?」

 

「隼斗君はそれだからだよ‼︎」

 

作者もバス代にはちぃとばかし驚きました。

みんなは聖地巡礼の際には金貯めてこようね!

 

それにしてもだ、疲れ果ててるみんな。

この辺は交通の便が悪いからなぁ……。

ま、俺にはほとんど関係ないがな。車の通りさえ少なければ思い切り飛ばせる最高のシチュエーション。

 

で、またまた場所は変わりまして今度は善子のターン‼︎

 

「フフフ……!リトルデーモンのあなた、堕天使ヨハネです。今日は、このヨハネが堕ちてきた地上を紹介しましょう。まずこれが………土!」

 

いやどこにでもあるじゃねえか!

 

「やっぱり善子ちゃんはこうでないと!」

「えぇ……」

「根本的に考え直した方がいいかも」

 

曜がそう言った。

 

「そう?面白くない?」

「面白くしてどうするの‼︎」

「あ、アハハ……」

 

ルビィちゃんもたまらず苦笑い。

 

 

そんでもって………。

 

「はーい、お待ちどうさま〜。こんなに大人数なんて珍しいわね〜。ごゆっくり」

 

俺たちは近く……の喫茶店に移動した。

 

「どうして喫茶店なの?」

「もしかして、この前騒いで家族の人に怒られたとか…?」

「いいや、それはない。案外響くもんじゃないしな」

 

「梨子ちゃんがしいたけいるなら来ないっていうからさ」

「別に行かないとは言ってないわ!ちゃんと繋いでおいてって言っただけ!」

「ここら辺じゃ、家の中じゃ放し飼いの人の方が多いかも」

「そんな……」

 

「ワン!」

 

「流石に………え?」

 

鳴き声がした方を見ると……あら可愛い。小さな黒柴がいるではありませんか。

 

こいつの名前は……よくは分からないが、わたちゃんと呼ばれてるらしい。オスなのかメスなのか……?

 

「うわぁ…!」

「ヒィッ⁉︎」

「いやこんな小さくてもダメなのかよ⁉︎」

 

「大きさの問題じゃないの!その牙!そんなので噛まれたら……」

「こんなちっぽけなのが噛むわけねーだろ〜?怖がりすぎなんだって。だよな〜?」

 

隼斗がその子を持ち上げながら言った。

 

「あ、そうだ梨子!わたで少し慣れるといい!そーすりゃいつかその犬恐怖症も治る!」

 

そして、隼斗がわたちゃんを近づける。

すると、鼻先をペロッと舐めた。

 

「ひいいいいっ!」

 

梨子はたまらず逃げてしまい、近くのトイレに立てこもってしまった。

 

「ちょっと梨子ちゃん⁉︎」

 

「話は聞いてるからさっさと進めて‼︎」

「ほんっとに嫌いなんだなあいつ……なんでだろうな〜?お前もそう思うだろ?」

 

「ワン!」

 

「それで、できた?」

 

ちなみに善子が編集作業をしている。ニ○動とかで生放送やってたのが生きてるな。

 

「簡単に編集しただけだけど……お世辞にも、魅力的とは言えないわねぇ」

 

「だよなぁ……。ほい、千歌」

「やっぱりここだけじゃ難しいんですかね……?」

「じゃあ沼津の賑やかな映像を混ぜて………」

「そんなの詐欺でしょ⁉︎」

 

「なんで分かったの⁉︎」

「だんだん行動パターンが分かってきてるのかも。…ん?」

「そっか……。」

「うわっ!終バス来たよ⁉︎」

「うそーん⁉︎」

 

「フフフ……ではまた!」

「ヨーシコー!」

 

ここで、曜と善子が帰った。

 

「結局何も決まらなかったなぁ……」

「あああっ⁉︎もうこんな時間!早く帰らなきゃ!ほら花丸ちゃん!」

 

そして花丸&ルビィちゃんも大急ぎで帰った。

 

「意外と難しいんだなぁ……いいところを伝えるのって。」

「住めば都。住んでみないと分からない事も沢山あるだろうし。」

「うん。でも、学校がなくなったら、こんな毎日もなくなっちゃうだろうしね……」

 

「そうね……」

「スクールアイドル、頑張らなきゃ!」

 

「今更?」

「だよね……。でも、今気がついた。なくなっちゃダメだって。私、この学校好きなんだ。」

 

「………俺も、かな……。」

 

隼斗も、その手に握られたシグナルソニックを見て思いつめていた……。

 

 

 

そしてその夜。鞠莉の住むところでは………。

 

「勝手に入ってこないでよ。勝手に来ると家のものが激おこぷんぷん丸だよ?」

 

そこには果南がやってきていた。

 

「廃校になるの……?」

「でも、それには力が必要なの。だからもう一度…果南の力が欲しい。」

 

そのテーブルの上には、復学届と書かれた紙があった。

 

「……本気?」

「私は果南の、ストーカーだから」

 

 

謎めいた会話をするこの2人。一体何があったのか……?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして次の日。俺たちは理事長マリーに完成(仮)のPVを

見せに行った。

 

『以上、がんばルビィ!こと黒澤ルビィがお伝えしました!』

 

ルビィちゃんのラストの紹介を終えた後……

 

「どうでしょうか…?」

 

「………スゥ…………ハッ!」

 

なんと寝てた。

 

「うおおい!マリー寝るなし‼︎」

「もう!本気なのに〜!ちゃんと見てください‼︎」

「本気?」

「はい‼︎」

 

パソコンを閉じ……

 

「それでこのティタラークですか?」

「ていたらーく?」

「あのレストランチェーンの……」

「それはス○イ○ークでしょ⁉︎というかなんで知ってるの⁉︎」

 

 

「それは流石に……!」

「そうです!これだけ作るのがどれほど大変だったか…」

 

「努力の量と結果は比例しません!大切なのは、このTownやSchoolの魅力を、ちゃんと理解してるかデース‼︎」

「それはつまり……」

「私達がちゃんと理解してないということですか?」

 

「じゃあマリー……お前は分かっている、ということか?俺たちが知らない、数多くの魅力の事を……」

「Falcon……それに皆さんも……聞きたいデースか?」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

だが、何故か結局聞くことはなく、帰ることに……。

 

「どうして、聞かなかったの?」

「…なんか、聞いちゃだめな気がしたから」

「何意地張ってるのよ?」

「意地じゃないよ〜。……それって、大切な事だもん。

自分で気づけなきゃ、PV作る資格ないよ」

 

「千歌……。ま、そうかもな!」

「確かに、そうかもね。」

「ヨーソロー!それじゃあ今日は千歌ちゃん家で、作戦会議だ!梨子ちゃんもがんばルビィして!」

 

「フフフッ……!アハハ……‼︎」

「なーに笑ってるんだか……」

「よーし‼︎…………あ、忘れ物した」

 

意気込んでたのにいきなりで全員がコケる。

 

「ちょっと部室見てくる!」

「やれやれだぜ……。あ、やっべあれ忘れた!俺も行ってくる‼︎」

 

隼斗もあの武器のデザイン案を描いたスケッチブックを忘れたこのに気がつき、千歌について行く。

 

 

そして、部室に向かう途中。

 

千歌と隼斗が見たのは、まるで手に持つプリントを扇のように使い、壇上で美しく舞っていたダイヤだった。

 

「すごいです!私、感動しました‼︎」

「So.beautiful.美の一言です。」

 

「あ、あなた達……!」

 

「ダイヤさんがスクールアイドルを嫌いなのは分かってます。でも、私達も、この学校が続いて欲しいって、無くなって欲しくないって思ってるんです!」

「ダイヤさん!俺たちと……スクールアイドルやる気はありませんか?」

 

隼斗がそう言って手を伸ばす。

ダイヤは壇上から降りる。

 

「残念ですが……。でも、あなた達のその気持ちは、嬉しく思いますわ。お互い頑張りましょう」

 

そう言ってダイヤはその場を去っていく。

 

「ルビィちゃん、生徒会長って前は……」

「うん。スクールアイドルが大好きでした。ルビィよりもずっと……」

「やっぱりそうだったのか……」

 

千歌が呼び止めようとするが、ルビィがそれを止める。

 

「今は言わないでください!」

「ルビィちゃん………」

「……ごめんなさい……」

 

「いや、その気持ちは分からなくもないよ。俺は信じる。いつかダイヤさんが、その好きという気持ちを取り戻してくれるって‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ダイヤ。逃げていても、何も変わりはしないよ。進むしかない……。そう思わない?」

「別に逃げてるわけじゃありませんわ。あの時だって……」

「ダイヤ……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして千歌の家。

曜が言った通り、作戦会議をするためだ。

 

だが、梨子はしいたけを警戒して部屋に入ろうとしない。

 

「しいたけいないよ!ね、千歌ちゃん!」

 

すると布団がバサっと動く。スッゲェ怪しいんですけど。

 

「それよりもPVだよ!どうするの?」

 

「さぁてねぇ……」

 

「確かに何にも思いついてないずら〜」

 

「それはそうだけど……」

 

「あら〜。いらっしゃい」

 

「みんなで何か相談?」

「はい」

 

「それもいいけど、あんまり遅くなっちゃだめよ?明日はみんな早いんだから……」

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

「明日、朝早いの?」

「さぁ……何かあったかな……?」

「海開きだよ〜」

「あ、もうそんな時期か。そーだ俺はアメリカにいたから感覚狂ってるんだ……。って千歌⁉︎」

 

「じゃあ……」

 

そして案の定、布団の中にはしいたけが隠れていた。

この後彼女が散々な目に遭ったのは、言うまでもなかろう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして翌日。地域総出で行われる海開きの為のごみ拾い。

みんな学校のジャージを着ていた。

 

それは俺もなんだが……どーもこのジャージは好きになれない。色が。

 

「おーい!梨子ちゃーん!」

「おはヨーソロー!」

「お、来たか!」

「おはよう。」

 

「梨子ちゃんの分もあるよ。」

 

その手に持っていたのは、やや大きめの提灯。

 

「こっちのはしから、海の方に向かって拾っていってね。」

 

「曜ちゃん。」

「ん?なーに?」

「海開きって、毎年こんな感じなの?」

「うん。どうして?」

「この街って……こんなにたくさん人がいたんだ…」

 

「うん!街中の人が来てるよ!もちろん、学校のみんなも!」

「まさかここまで集まるほどだとはなぁ……驚くぜこりゃあ……」

 

「そうなんだ……あ、これなんじゃないかな?この学校の…この街のいいところって」

 

「そうだ‼︎」

 

すると千歌は高台に上り、言った。

 

「あの!皆さん‼︎私達、浦の星女学院でスクールアイドルをやっている、Aqoursです‼︎私達は、学校を残すために、生徒をたくさん集めるために、協力して欲しいことがあります‼︎」

 

「みんなの気持ちを形にするために‼︎」

 

 

 

 

そして今日のこのイベントは、新曲の撮影も兼ねていた。

曲名は「夢で夜空を照らしたい」

 

メインメンバーが6人になって初の曲だ。

空に飛ぶ提灯と、曲と衣装とがマッチして、とても幻想的な景色が見えた。

俺も思わずカメラで写真も動画も撮った。

 

 

 

そして、それらが終了後………。

 

「よ、千歌。それにみんなもお疲れさん!」

 

「……ねぇ隼斗君」

「?なんだ?」

「私、心の中でずっと叫んでた。助けて、って。ここには何もない、って。だけど、違った。追いかけてみせるよ。ずっと、ずっと……!この場所から始めよう!」

 

「ああ……やろうぜ、みんなで‼︎」

 

 

 

EDテーマ ユメ語るよりユメ歌おう 〜♪

歌 Aqours&隼斗(ギター)

 

 

 

 

次回に続く‼︎

 

次回予告

 

ラブライブ!サンシャイン‼︎サーガ

 

「東京でのイベントぉ⁉︎」

 

なんと東京で行われるスクールアイドルが集まるイベントに参加することになった俺たちAqours。

 

束の間の東京観光を楽しんでたのだが、

まさかの事件発生⁉︎

 

《クインビー!》

 

《ビー!》

 

なんと謎のアイテムで人間が怪物に!

 

「こいつら、ロイミュードじゃねえっ⁉︎」

 

数に圧倒される隼斗=ソニック。

だが、そこに現れたのは⁉︎

 

「何故東京の街中のど真ん中でドーパントが現れたのかは知らないが、これは俺の管轄だ。青の仮面ライダー。」

 

全身真っ赤な服装の謎の男!こいつは……⁉︎

 

「あ、あんたは……?」

 

「俺に……質問をするな」

 

《Accel!》

 

特別ゲスト参戦!

 

次回 TOKYOで事件は何故起きたのか?

 

 

 

 




第11話、第6話が終了!ようやく次回からTOKYO編突入です!
そして次回はスペシャルゲストが登場します!
この2人のノンストップバトルを見逃すな‼︎

それでは次回もお楽しみに!感想とかお待ちしてます‼︎


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第12話 TOKYOで事件は何故起きたのか?



さて、今回からTOKYO編!特別ゲストも参戦させ、どうなることやら?

それでは本編、Start your engine‼︎


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 渡辺曜

 

学校を統廃合から救うため、行動を開始した私達Aqours。

だけど、街や学校の魅力を伝えようと悪戦苦闘。

 

だけど、私達はこの街の魅力に気づき大きな一歩を踏み出したのであります!

 

それじゃあ本当に本編、全速前進!ヨーソロー‼︎

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

鳴り響く(夏の虫)の大合唱。

時の流れは早いもので、いつの間にやら夏が近づいていた。

 

「…………暑いわ‼︎なんでこんなに暑いんだよ!」

「急に叫ばない!」

 

いやいや暑すぎるんだよ!アメリカも大概だったが…やっぱ日本の夏はクソ暑いわ!!

 

それによって制服も夏服に。

千歌達は学校のだが、そもそも俺は制服がない。なので昔着てたポロシャツだ。流石に暑いし。

それでもあのジャケットは外せない。アイデンティティ…みたいなもんだし。

 

「まぁ分からなくもないけどさ……」

「確かに……まさしく地獄の業火……!」

「善子ちゃん、それは暑すぎるずら……。ところで、この前の曲のPVが………!」

 

なんとこの前UPしたPVが50,000再生を突破したのだ。

あのランタンがかなり人気だったらしい。

あれ結構手間がかかったもんな……。

 

「それに、ランキングも………」

 

善子が言うので見てみると………

 

「「99位⁉︎」」

 

なんと99位。トップ100まで上り詰めていたのだ!

 

「あの何千とかいうのが嘘見たいだ……」

「来た……来た来た来た‼︎それって、全国でってことでしょ⁉︎」

「ん〜まぁそうなる……のか?一応、このサイトは全国のスクールアイドルが登録してるだろうし」

 

「5000以上いる中での100位以内ってことでしょ⁉︎」

「そうだな」

「一時的な盛り上がりってこともあるかもしれないけど。」

 

「ランキング上昇率では1位!」

「このままいけばラブライブ優勝も……」

 

「それは100%無い。確かに、今のAqoursはすごい。まさにfull throttleでtop gearってところだ。だが、そのギアがいつ錆び付くか分からない。今がもっともこれまでで最高で、最高に危ないってところだな。」

 

「そうか……。」

 

とその時、パソコンに一通のメールが届いた。

 

「なになに?」

 

「東京スクールアイドルワールド運営委員会議……?」

「東京?」

「って書いてあります。」

「東京って、あの東にある京の……?」

 

「どんな覚え方してんだお前は……」

「でも………!」

 

 

「「「「「「「東京だ!」」」」」」」

 

 

この一通のメールが、Aqoursの運命を変えると言っても過言では無く、それぞれがそれぞれの新たな出会いの切欠になるとはまだ知らなかったのである……。

 

 

OPテーマ 青空Jumping heart 歌 Aqours&天城隼斗〜♪

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「東京トップス!東京スカート!東京シューズ!そして…東京バック!」

 

やぁ画面の前のお前ら、天城隼斗だ。

ここに張り切り過ぎてる馬鹿が1名。格好がそもそもあれだからな……。

まぁ俺はいつも通り。変わらぬスタイルだ。

 

「どうしてこうなったんだ……」

「可愛いでしょ⁉︎」

「いやその格好は流石に……」

 

「梨子ちゃんと隼斗君はいいよ!内浦から東京に行くなんて一大イベントなんだよ‼︎」

 

「まぁその気持ちは分からんでも無い。っと忘れもんないかな……?」

 

1泊してのイベント参加なので、着替え、万が一のための

マッハドライバーMKⅡ、シグナルバイク一式………

 

「やっべゼンリンシューター忘れた……ええっとキーキー……」

 

ライドソニックキーを取り出し、操作してゼンリンシューターBSを取り出す。今回は電車で行くため、バイク封印。そのままゼンリンシューターも置いていくわけにはいかないので、手持ちで持ってく。飛行機だったら止められるの待った無しだった。

 

「これでよし!」

「まさかそれも持ってくの?」

「誤射はしないよう設定してあるからno problem!」

 

そう言って背中に背負った大きめのリュックに入れる。

 

「「おはようございます!」」

 

そこへルビィちゃんと花丸ちゃんもやってきた。

 

「おう、おは………どうしたその格好。特に花丸ちゃん」

「これで渋谷の険しい谷も大丈夫です!」

「いや、渋谷っつーけど谷はねぇぞ⁉︎」

 

「2人共地方感丸出しだよw」

「千歌、特大なブーメラン刺さってんぞ」

 

そして、俺たちは志満姉さんの運転する車で一度沼津へ。

曜と善子とは駅で待ち合わせしている。

花丸ちゃんとルビィちゃん、それに千歌も普通の服装になりました。

 

で、俺たちがまず沼津駅で目にしたのは人だかりができてたところだ。そこの中心には………。

 

そう、あの堕天使娘善子だ。堕天使感増してるじゃねえかこの野郎。

 

「あ、みんな遅いよ!」

「悪りぃ悪りぃ!ちょっとトラブル(身内の)に見舞われてて…」

 

 

まぁ出落ちもそこそこに、俺たちは電車に乗りいざ東京へ‼︎

 

ちなみにあのあと善子も隼斗に散々説教されて(5分)

普通の服装に戻しました。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、俺たちがまずやってきたのは…………

 

「っ〜!やあっと着いた‼︎」

 

ここに来ずに東京は語れない

我らが聖地秋葉原‼︎

 

「未来ず……」

「花丸ちゃん」

 

ずらと言いそうになった花丸をルビィが止めた。

 

「あれ?みんなは……」

 

で、2人をよそに(今を思えば何してんだおい)

隼斗達がいたのは、無印シリーズでもおなじみのスクールアイドル関連ショップ。

 

「輝いてる〜!」

「4.5.6.……3ヶ月ぶりかな?」

「缶バッチもこんなに種類がある!」

 

「時間無くなるわよ〜?」

 

「あれ?花丸とルビィは?」←そういえばここで善子は花丸をずら丸とは呼んでなかった。

 

「〜♪〜♪〜♪ん?」

 

曜が見ていて見つけたのは、制服100種類以上が載った冊子のようなものだった。

 

そして善子は堕天使と書かれた看板の店へ。

それぞれがそれぞれの思いのままに動く中……

 

「さぁ、それじゃあ明日のライブの成功を祈って神社へ…ん?」

「梨子ちゃん以外だーれも……」

 

ようやく千歌と隼斗が出てきたかと思いきや、いつの間にやら梨子1人が残っていた。

 

「うん!大きなビルの下。見えない?」

 

『あ、いました!』

 

「すいませーん!」

 

ここでルビィと花丸とも合流できた。

 

「すまねぇすっかり忘れちまってて……!」

「いや、見つかってよかったです」

 

「善子ちゃんと曜ちゃんは?」

「2人共場所は分かってるから、もう少ししたら来るって」

 

「もう…みんな勝手なんだから!」

「それはオメーも変わらんだろバカ」

「しょうがないわね……。ん?」

 

梨子が見つけたのは、何やら同人誌の看板だった。

 

「壁…クイ?」

「どーした梨子ちゃん?」

「いや、なんでもない!なんでもない!私、ちょっとお手洗い行ってくるね!」

「あ、おい!……ったくしょうがねぇ……。待ってるのも暇だな〜。

なーんか面白い事起きねえかな〜」

 

 

その言葉がフラグというかトリガーというかになったのか、突如遠くから爆発音と爆煙が。

 

「うわああっ⁉︎」

「「「きゃああっ⁉︎」」」

「なんだなんだよなんですか⁉︎」

 

「今、なんか爆発したよね⁉︎」

「行ってみよう‼︎」

 

そう言うと隼斗がその方向へ走っていく。

 

「あ、隼斗君!」

「待って隼斗さん!」

「ルビィちゃん、マル達も!」

 

あとの3人もそのあとを追った。

 

 

「お待たせ……ってあれ?」

 

梨子もやってきたが、少し遅かった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、向かった先にあったのは少し大きめの銀行。

女性らしき覆面の人物が1人、他男らしき覆面3人。

 

『警察だ!大人しく投降しろ‼︎』

 

「大人しく私達が降参するとでも?あんた達じゃ敵わないくせに。」

 

するとその女と3人の部下らしき人物達はUSBメモリのようなものを取り出した。

 

《クインビー!》

 

《ビー!》×3

 

それを体に差すと、その体はたちまち蜂のような姿の怪物に変化した。

 

それを見た途端、逃げ惑う人々。

 

それに押し負けそうになりながらも隼斗達はその近くまで来た。

 

「あれは!」

「蜂の怪物⁉︎」

「あれってロイミュード⁉︎」

 

警察官も持っている拳銃で、

その怪物達……クインビードーパントと部下である量産型ビードーパントを撃つが、まず普通の兵器が通用する相手では無い。

 

「風都にはあの仮面ライダーがいるから無理だけど…この場所なら思う存分暴れられる‼︎」

 

「やっちゃってくだせぇ姉貴!」

 

「「やれやれ〜!」」

 

そう言いながらまるで針のように鋭いエネルギー弾を放ち警官隊をいとも簡単に倒してしまう。

 

「「「「「「「うわああああ‼︎」」」」」」」

 

「警察の人たちが‼︎」

 

「隼斗君!変身しなきゃ‼︎」

「無茶言うな、こんな人が多い……あれ?」

 

よくよく見てみれば、ここら一帯から人が消えていた。

どこかへ無事に避難したのだろう。

 

「最っ高のsituation!花丸ちゃん、ルビィちゃん!千歌、俺を囲むようにして隠してくれ!」

 

「え?」

「いいから早く‼︎」

 

「わ、分かった!花丸ちゃん、ルビィちゃん‼︎」

 

「は、はい!」

「分かりました‼︎」

 

指示通り、隼斗は3人に囲まれてほぼ外からは見えなくなった。

 

「(っし!これなら変身できる!)」

 

隼斗はリュックからマッハドライバーMKⅡとシグナルバイク一式を取り出して、ドライバーは腰に装着。

シグナルバイク達はその怪物の方へ投げた。

 

「これで邪魔者は……っ⁉︎」

 

シグナルバイク達がその四体に突進攻撃を繰り出す。

威力としては抵抗するくらいだが、時間稼ぎにはなった。

 

「チィッ!誰だ!」

 

「「「誰だ誰だ⁉︎」」」

 

「俺だぁ‼︎」

 

 

パネルを展開。飛んできたシグナルソニックを左手でキャッチし、展開したパネルにセット!右手でパネルを降ろす。

 

《Signal Bike!Rider!Sonic‼︎》

 

「Leady………変身‼︎」

 

 

 

隼斗はその姿を仮面ライダーソニックに変身させた。

そしてリュックのゼンリンシューターBSを取り出して右手に持った後、そのリュックをルビィちゃんに預ける。

 

「お前、何者だ!」

「「「何者だ⁉︎」」」

 

「東京じゃあ初名乗りか!いいぜ教えてやる!今からお前ら悪人を倒す、音速のエンターテイナーの名前をな‼︎」

 

足を肩幅に開き、いつもの名乗り。

 

「悪は撃滅正義は不滅!この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎仮面ライダー……ソニック!!!」

 

最後のポーズまでキッチリ決めた。

 

「なに⁉︎」

「「「仮面ライダー⁉︎」」」

 

「馬鹿な、お前のような仮面ライダー、風都にはいなかったはずだ‼︎」

「フート?なんのことだか知らねえが……この世にはびこる悪は、全て俺が滅ぼす‼︎」

 

左手の親指を立て、首を切るような動作をしてから下に。

 

「ええいお前ら!」

 

「「オオオ‼︎」」

 

「ありゃ、2人だけ?ま、ボスの前菜にはちょうどいい!」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

左手でイグナイターを連打して加速する。

 

「精々楽しませてくれよ‼︎」

 

右足に力を入れて踏み込み、相手の懐に飛び込む。

その直後にゼンリンシューターの車輪部を回す。

 

《ゼンリン!》

 

「オルァブッとべ‼︎」

 

「ぐああっ⁉︎」

 

「そっちには弾丸をプレゼントフォーユー!」

 

《シューター!》

 

「うわああ!」

 

攻撃を喰らったビー二体は吹っ飛ぶ。

 

「お前ら!ええいあんたも行きな‼︎」

「お、おおおっ‼︎」

 

部下の中でのリーダー格のやつが突っ込んできて針を飛ばしてくる。

 

「遅い遅いっ‼︎遅すぎる!」

 

だが、そこはソニック。

自慢の超速で全てを避けたあと空中からゼンリンシューターで撃ち落とした。

 

「なんだと⁉︎」

 

「知らねえのか⁉︎ソニックとは音速!その気になりゃ……俺は光にだって追いついてやる‼︎」

 

《Signal Bike!Signal koukan!Cho Kakusaan‼︎》

 

シグナルカクサーンⅡにシグナルコウカンし、

 

「喰らいやがれっ!」

 

《シューター! タクサン!超・カクサーン‼︎》

 

イグナイター連打で普通よりも多く拡散弾を放ち、敵の頭上に弾丸の雨が降り注いだ。

 

「「「ぐあああっ‼︎」」」

 

ビードーパント三体はどれも拡散弾を喰らって倒れ、動かなくなった。

 

「っしゃ見たか‼︎さて、あとはこいつらどうするか…。

犯罪者とはいえ人間だ。あの変な道具の原理も分からないしな……」

 

クルクルとゼンリンシューターを回しながらビードーパントの一体に近づくソニック。だが………

 

「隼斗君離れて‼︎」

 

突然千歌が叫んだが、既に時遅し。

 

「え?」

 

そのビードーパントの体が輝き出し、爆発した。

 

「ぐああああっ⁉︎」

 

突然の出来事にソニックは対処できず、吹き飛ばされた。

 

「なっ……自爆⁉︎」

 

そしてそのビードーパントは倒れたままだが人間に戻っており、メモリも砕けていた。

 

「チッ!使えない奴らだね!私がやってやる‼︎」

 

そして、動かなかったクインビー(女王蜂)ドーパントがついに動いた。しかも背中の羽根を羽ばたかせて空を飛んでいる。

 

「空飛ぶ相手か……厄介極まりねぇよ畜生!」

「はああああ‼︎」

 

クインビーもまた、針を連射して攻撃してきた。

 

「何度やっても同じこと……!」

 

《ヒッサツ!フルスロットル‼︎》

 

シグナルソニックをゼンリンシューターに装填し、巨大なエネルギー弾を放った。

 

「超カクサーン・シューティングソニック‼︎」

 

《超・カクサーン‼︎》

 

そしてそのエネルギー弾は途中で幾つものエネルギー弾に分かれた。

 

「お前ら‼︎」

 

そう言うと残りのビードーパント二体がゆっくりと立ち上がり、ソニックの技を飛んで避ける。

そして、クインビーがなんらかの指示を発すると、二体のビーは先ほどのやつと同じように自爆特攻を仕掛けてきた。

 

「やべっ!」

 

「隼斗君!」

 

「「隼斗さん‼︎」」

 

二体が自爆すると同時にソニックも吹っ飛ばされた。

2人の部下もその衝撃で倒れた。

 

 

「っ……!てて…ここまでボコボコにされたのは初めてだぜ!畜生………!」

「これでようやく邪魔者はいなくなった。さぁ、終わりにしましょう。仮面ライダー」

 

クインビーが迫ってくるが、衝撃の所為で思うように体が動かない。

 

「っ!」

 

 

「待て‼︎」

 

その時、謎の人物の声が響いた。それと同時に、青色のカブトムシのようなメカがクインビードーパントに体当たりした。

 

「グッ!誰だ!」

 

そしてそのメカは持ち主の元へ戻っていった。

その持ち主は、上下の服装がどちらも赤色。右手に持った剣らしき武器は引きずられていた。

 

「何?あの人……」

「すごい派手な服装……」

「あの手に持ってるのはなんだろう……?」

 

「千歌ちゃーん‼︎」

 

そこへ、ようやく梨子が曜と善子を連れてやってきた。

 

「梨子ちゃん!曜ちゃんに善子ちゃんも!遅いよ‼︎」

「ごめんごめん!この人が道案内してくれて……」

 

「仲間と合流できたか」

「はい!ありがとうございます!」

「ついでに、目的のものも見つかった。一石二鳥だ。」

 

そう言ってその人物は剣を引きずりながらクインビードーパントとソニックの元に歩いていく。

 

「何故東京の街中のど真ん中でドーパントが現れたのかは知らないが、これは俺の管轄だ。青の仮面ライダー」

「あんた……何者…だ?」

「俺に……質問をするな」

 

すると、その人物も赤色のメモリを取り出しボタンを押した。しかもその腰にはバイクのハンドルの形をしたドライバーのようなものが装着されていた。

 

《Accel!》

 

「変……身‼︎」

 

BGM 疾走のアクセル〜♪

 

その言葉を言ってメモリをドライバーの一部分にセット。

グリップを3度ほどひねると、なんと、その男は別の姿に

変身した。紅の鎧、青いヘッドランプが光る顔。

その姿はまさしく、仮面ライダーだった。

 

「何⁉︎」

「へ……」

「「「「「「変身した⁉︎」」」」」」

 

「俺は仮面ライダー……アクセル!」

「仮面ライダーアクセル……まさか‼︎」

 

「お前は風都の刑事の!」

 

「青い仮面ライダー、立てるか?」

「問題……ねええっ‼︎」

 

ソニックも根性で立ち上がる。

 

「そのドライバー、見覚えがあるな」

「俺もそのドライバー、なんか見覚えあります」

 

「フッ…お互いに聞きたいことはあるようだな」

「けどまずはあいつを倒してからですね。付き合ってくださいよ!仮面ライダーアクセル‼︎」

 

「ああ……ところで、お前の名前は?」

「ソニック。仮面ライダーソニック‼︎」

 

「ソニックか。さあ……振り切るぜ‼︎」

「ぶっちぎるぜ!総て‼︎」

 

アクセルとソニックがお互いの武器を構えてクインビードーパントに向かって走っていく。

 

「何人こようと同じだ‼︎」

「それは……どうかな!ソニック‼︎」

「ああ‼︎」

 

ソニックは自身に備えられた短時間飛行機能を使って飛び上がり、上空から連続射撃を繰り出す。その隙に……

 

「アクセル!」

「任せろ!」

 

《Engine!》

 

アクセルは自身の武器、エンジンブレードを展開し、もう一本のグレーのメモリを装填する。

 

《エレクトリック!》

 

その音声と共に、剣が雷を纏った。そのまま敵を斬りつける。

 

「ぐああっ!」

「仕返しだぜ‼︎」

 

更にまだ空にいたソニックがゼンリンシューターを構えて突っ込む。車輪を回転させ………

 

《ゼンリン!》

 

「オラオラオラオラ‼︎」

 

連続打撃を喰らわせたあと、距離を取ってアクセルの隣に並ぶ。

 

「グッ……!こんなはずじゃあ……‼︎クソおお‼︎」

 

「さて、決めちゃうか‼︎」

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho Tomaare‼︎》

 

シグナルバイクをトマーレⅡに変更。

 

《シューター! イマスグ!超・トマーレ‼︎》

 

放った弾丸が変化し、そのエネルギーでクインビーを拘束。

 

「決めるぜ、アクセル‼︎」

「ああ‼︎」

 

ソニックはシグナルバイクをシグナルソニックに戻し必殺の準備。

 

《Signal Bike!Signal koukan! Rider!Sonic ‼︎》

 

「これで決まりだ‼︎」

 

《ヒッサツ!フルスロットル‼︎ソニック‼︎》

《アクセル!マキシマムドライブ‼︎》

 

アクセルもレバーを引いてグリップを捻り必殺技の体勢。

 

まずはソニックが飛び上がって必殺のライダーキック、ストリーム・ソニックを喰らわせる。

その後間髪を入れずにアクセルが接近して飛び後ろ回し蹴りの必殺技、

アクセルグランツァーを喰らわせた!

 

「「絶望がお前の……ゴールだ!」」

 

その決め台詞と共にクインビーが爆発し、人間の姿に戻りメモリも破壊された。

 

「ふぅ……」

 

「隼斗くーん‼︎」

 

そして、みんなが駆け寄ってきた。

 

「すごかったよ!今の戦い!」

「そこの赤い仮面ライダーさんとの協力もすごかったず…すごかったです‼︎」

「まさしく、紅と蒼の共闘……‼︎」

 

《オツカーレ!》

 

そして、2人も変身を解いて改めて顔を合わせた。

 

「見事だったぞ。仮面ライダーソニック」

「いえいえ。アクセルの協力あってこその勝利ですよ!

それで、こいつら逮捕しなくていいんですか?」

「ああ、応援を呼んであるから大丈夫だ。協力感謝する。俺は照井竜。風都署超常犯罪捜査課の警視だ」

 

警察手帳を見せながら男がそう言った。

 

「照井竜……やっぱりあの資料で見た人だ!まさか本物に会えるとは……!俺は天城隼斗。仮面ライダーソニックです!」

 

隼斗が右手を出すと、照井警視もその手をしっかりと握った。

 

その後、犯人も逮捕された。

あとで分かったことだが、そいつらは風都で指名手配中だった強盗団だったらしい。ガイアメモリとやらをどこかで手に入れたあと、強盗事件を繰り返し、そのまま街の外へ。それで起きたのがこの事件らしい。

 

照井警視はそれを追って東京に来てたんだと。

 

俺も参考人として少し近くの警察で話をした後にみんなの所に帰された。照井警視が仮面ライダーについては隠蔽してくれるらしいから安心だ。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そしてその後。

 

「うあああ………偉大な先輩のサインもらっちまったぜ……‼︎」

 

かなり遅くなってしまったが、みんなであの神田明神へと向かっていた。

 

ちなみに隼斗もあの後照井警視に頼んでサインをもらったのだ。

あのアクセルメモリに書かれてたようにAの文字が刻まれており、

 

天城隼斗へ、全てを振り切れ‼︎ R.T(リュウ・テルイ)

 

とメッセージが書かれていた。

 

 

「結局遅くなっちゃったね〜。」

「だからぱっぱと行動しようって言ったでしょ⁉︎」

 

「どっちみちこの事件で足止め食ってたと思いますがね?ところで曜、その服装は?」

 

そう、さっきから気になっていたのだが、曜が巫女服姿なのだ。

 

「だって、神社に行くって言ってたから!似合いますでしょうか⁉︎(=゚ω゚)ゞ」

「敬礼は違うと思う。」

 

そして、俺たちは階段の1番下のところに来た。

 

「これが、μ'sがいつも練習してたっていう階段!」

「ねぇみんな!登ってみようよ‼︎」

「そうだな!ここは1番来たかったかもしれない‼︎」

「それじゃあ行くよ!よーいドン‼︎」

 

その合図でみんな一斉に走り出した。

 

 

走ってるシーンはカットで………。

 

そして、頂上にたどり着いて、俺たちが出会ったのは、歌っていた2人の女の子だった。しかも見た目がなんかそっくり。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「こんにちは。」

「こ、こんにちは!」

 

「あら、もしかして…Aqoursの皆さん?」

「!へぇ……俺たちを知ってるのか?」

「PV見ました。素晴らしかったです!」

「あ、ありがとうございます!」

 

「もしかして……明日のイベントでいらしたんですか?」

「はい!」

「そうですか……。楽しみにしてます」

 

そう言うと、片方が先にAqoursのメンバーを通り過ぎ、もう1人が………

 

なんとその上を飛んで通って行った!

 

「ではまた」

 

 

「すごいです!」

「東京の女子高生ってみんなあんなにすごいずら⁉︎」

「フン!あれぐらい俺にもできるわ‼︎」

「隼斗さんはまず次元が違うわよ……」

 

「歌、綺麗だったな………」

 

 

そして、宿泊する旅館に着いたのだが……。

ここで、「隼斗にのみ」問題が起こった。

 

「ふぅ〜。落ち着くずら〜」

「なんか、修学旅行みたいで楽しいね!」

「ああそうだなぁ……」

「ん?隼斗不満そうだね。どうかした?」

「不満じゃないんだけどさ………なんで………」

 

 

 

 

 

 

 

「なんで全員同じ部屋なんだって言いたいんだよ‼︎‼︎」

 

 

そう、まさかの7人で少し大きめの部屋一つだったのだ。

つまりだ。

女子6人に対して男子は隼斗ひとり。完全になんというかやばい。

 

もう高校生だぞ⁉︎それなのにこれは……どうかなぁ?

 

「費用の方は理事長が出してくれると言ってくれたけど…まさかこうなるとはね〜?」

 

「マリーのヤロォ……帰ったらとりあえずぶん殴る」

 

「まぁそんなに気にしなくていいんじゃない?」

「確かに、私達長い付き合いだしそこまできにする必要は……」

「いいよなぁ………。お前ら人数が多い方は気軽で……」

「隼斗さんがやさぐれてるずら……。」

 

 

そんなこんなでラッキーなんだかアンラッキーなんだか、分からぬ1夜を過ごす事となった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして次の日。

 

「ふぁ……。みんなまだ寝てる……あれ?あいつがいねえ」

 

1人、千歌だけがいなかった。

 

「こんな朝っぱらから…。仕方ねえ、お前ら!(小声)」

 

シグナルバイク達を呼び出し千歌を探させる。

 

その数分後、後のみんなが起きてきた。

 

「おはよう……。」

「おはヨーソロー!」

「あれ?千歌さんがいない……?」

 

「今、シグナルバイク達総出で探してる。お、噂をすれば!」

 

そこに戻ってきたのはトマーレⅡ(改)

あのシグナルの能力で固定されてた行動を改善した為、結構捜索向けとなった。

 

「追いかけるぞ!すぐに着替えて出発な‼︎」

 

そう言うと隼斗はいち早く部屋を出た。とっくに着替えてたからだ。

 

 

そして、トマーレⅡが案内した先はUTXだった。

 

「おーい!千歌‼︎」

「あ、隼斗君おはよう‼︎」

「おはようじゃねえよ……いきなり起きたらいないんだ、心配したんだぞ?」

「ごめんごめん。ちょっとここに来たくなってさ」

「そうか……ここだったんだな。全ての始まり」

 

「千歌ちゃん!」

 

そして、ようやく他メンツも到着した。

 

「やっと来たかお前ら。」

「2人で突っ走らないの!」

「抜け駆けするんじゃないわよ。」

 

「悪りぃ悪りぃ………お!」

 

 

謝ってると、突如あの巨大モニターに映像が流れる。

 

その内容は、今年のラブライブの開催決定の知らせだった‼︎

 

「今年のラブライブの開催が発表されました‼︎」

「今年もやるのか……スクールアイドルの祭典が‼︎」

 

開催場所はアキバドーム。およそ5年前。μ'sが海外ライブをやって以来、第3回以降、決勝大会はそこで行われるようになった。

 

今年で確か……5〜6周年らしい。

 

「どうするの?」

「もちろんでるよ!あのμ'sがそうだったように、学校を救ったように!さぁ行こう‼︎全力で輝こう‼︎」

 

全員が手を重ねる。

 

「「「「「「「Aqours!サンシャイン‼︎」」」」」」」

 

 

そして、ついにイベントが始まる。

そこには、昨日神社であったあの2人組もいたのだ。

 

隼斗も客席からそれを見る。

 

「さて……お手並み拝見と行きますか」

 

そしてAqoursのメンバーが舞台裏で出会ったのは、昨日の彼女達。そう、スクールアイドルだったのだ。

 

彼女達は自らをこう名乗った。

 

Saint snow(聖なる雪)

 

 

次回に続く‼︎

 

 

 

 

 





今回はアクセルとの共闘が主な話となってしまいましたが……この2人はまた絡ませたい。


次回、TOKYO編完結!

それでは次回もお楽しみに‼︎感想、評価等お待ちしてます‼︎


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第13話 悔しさは彼女達を変えるのか?

どうも皆さん!ついに来ました、第13話!
アニメでは第8話‼︎それと振り返ってみたけど……うむ

さて、とっととこんな鬱回は終わらせて進めなければとか思うこの頃。



それでは本編、Start your engine‼︎


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

イベントに参加する為に、東京へとやってきた俺たち。

観光を楽しんでいたのも束の間、突如怪物による銀行強盗事件が発生‼︎

 

ドーパントと呼ばれるそいつらに苦戦を強いられた俺だが、そこに現れた救世主!

 

「変………身‼︎」

 

その男の名前は照井竜。東京の隣町である風都の警察官。超常犯罪捜査課と呼ばれる課を取り仕切る警視。

だが、それは仮の姿。

その正体は、紅の戦士、仮面ライダーアクセル‼︎

 

アクセルの協力もあって、なんとか事件は事なきことを得た。

 

そして、千歌達Aqoursもついにイベントに臨む。

だが、その前に現れたのは昨日の2人であった!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして隼斗もその2人のパフォーマンスを見ていた。

 

「SELFCONTROL、直訳すると自身………コントロール?わっけわかんねぇ………」

 

隼斗も少しばかり退屈気味だった。

それに曲の意味がイマイチ理解できない。

 

「それにしても随分歌詞が高飛車だな……。真剣、遊びじゃない……。こんな曲初めて聴くぜ」

 

ぶっちゃけうp主も感想は同じです。

と、そうこうしてる間にセイスノ(略)のパフォーマンスが終わり……

 

『さて続いては人気急上昇中!フレッシュなスクールアイドル、Aqoursの登場です‼︎』

 

 

そして、Aqoursのパフォーマンスが始まる。

 

 

OPテーマ 青空Jumping heart 歌 Aqours&天城隼斗〜♪

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、イベントも終えて俺たちはまた東京観光を続けていた。

タワーの展望台から景色を眺めていると、梨子が言う。

 

「この街、1300人も人がいるのよ」

「そんなにいるのか……」

「って言われても、全然想像つかないけどね」

「確かに。しょーじき大きすぎる数ほど面倒な事はない……」

 

「やっぱり、違うのかな?そういうところに住んでると…」

「わーかんね。俺も数ヶ月前までニューヨークとかにいたけど、人の数とか気にした事ねぇし、考えたくもねぇ」

 

 

「どこまでいってもビルずら」

「あれが富士山かな?」

 

景色を見るルビィ&花丸。抑えてた堕天使ぶりを発揮する善子。

 

「善子ちゃんは元気だね」

「善子じゃなくて、ヨ・ハ・ネ!」

「ライブ終わったのにヨハネのままずら」

 

「あ〜もう考えんのやめた!今はとりあえず放っとこう‼︎この話は!」

 

「お待たせ〜!」

 

そこに、アイスの差さった箱っぽいものを持った千歌が戻ってきた。

 

「お前どこほっつき歩いてたんだ?」

「そんなのどうでもいいじゃん!はいこれ!」

 

そう言いながらアイスを渡してくる。

 

「お、サンキュー」

「私、今日のライブはこれまで歌ってきた中ででいちばんの出来だったと思うんだ!声も出てたし、ミスも一番少なかったし!」

「でも……」

「それに、私達以外の他の人達は、みんなラブライブの本戦に出場してるような人たちでしょ?入賞できなくて当たり前だよ。」

 

「でも、ラブライブの決勝に出ようと思ったら、今日出てた人達くらい上手くないといけないって事でしょ?」

「それは、そうだけど……」

「私、セイントスノーを見たときに思ったんだ。これが、トップレベルの実力なんだって。これくらいできなきゃダメなんだって。なのに入賞すら入賞してなかった。あの人達のレベルでも、無理なんだって」

 

「それはルビィもちょっと思った」

「まるも……」

「な、何言ってるのよ!あんなの偶々に決まってるでしょ?天界が放った魔力によって……」

 

「何が偶々なの?」

「何が魔力ずら?」

「えっ⁉︎いや、それはその……。」

「慰めるの下手すぎずら。」

「な、何よ!人が気を利かせてあげたのに〜!」

 

「そうだよ!今はそんな事考えても仕方ないよ。それよりさ、せっかくの東京なんだからみんなで楽しもうよ‼︎」

 

〜♪〜♪〜〜〜♪〜♪〜♪〜〜〜♪(デッドヒートの待機音)

 

「あ、俺のケータイだ。ちょっと待ってろ……」

 

発信者はイベント運営の人だった。

 

「はい、天城ですけど……。え?まぁまだ近くにいますが……。はぁ、了解です」

 

「なんだって?」

「渡しそびれたものがあるからって。戻るぞ」

 

 

そして、俺たちは会場に1度戻る事になった。

 

「ごめんなさいね〜。急に呼び戻しちゃって。これ、渡し忘れてたもんだから……」

「何が入ってるんだ?」

「今回、お客さんの投票で入賞グループ決めたでしょ?その集計結果」

「わざわざすいません」

 

それを受け取る千歌。

 

「正直、どうしようかな〜って悩んだんだけど、出場したグループにはちゃんと渡す事にしてるから……」

「はぁ……」

「それってどういう意味だ?」

「それは……あ、戻らなくちゃいけないから!」

 

そう言ってその人は去っていった。

 

「見る?」

「うん。」

「見ないほうがいいと思うのは俺だけか?」

 

その忠告も無視して千歌はそれを開いた。

 

「無視かよ……。」

「出場したグループ全部の得票数が書いてある」

 

1.2.3.4.と見ていくが……Aqoursの名前はまだ見つからない。もう少し下の方か……?と思っていると見つけた。

 

「30位……」

「今回出たチームは総勢30。つまり最下位って事か…。」

「しかも、得票数0……。」

「そうか0か………は?」

 

隼斗もまさかと思って見直すが、やはり0であった。

 

「そんな……。」

「私達に入れた人、1人もいなかったって事?」

「ちなみに言うが、俺はメンバー扱いされてるっぽいから投票できなかった。」

 

「お疲れ様でした。」

 

そこに現れたのは、セイントスノーの2人だった。

 

「セイントスノー……何の用だ?」

 

「素敵な歌で、とてもいいパフォーマンスだったと思います。」

「フンッ……そりゃどーも」

「ただ、もしμ'sのようにラブライブ出場を目指してるというのなら……諦めた方がいいかもしれません。」

 

その一言で、隼斗の中で何かがキレた。

 

「………んだと?」

「隼斗君?」

「………取り消せ………今の言葉……取り消せ‼︎‼︎」

 

己の怒りを露わにする隼斗。

隼斗もまた、友達や仲間を大切にする者。だが、その仲間を馬鹿にするものには容赦なく牙を剥く。

 

 

 

「ちょっと隼斗落ち着いて!」

「黙れ!仲間がこんなに言われてるってのに落ち着いてられっかよ‼︎おい待ちやがれ‼︎」

 

そして、もう1人の方が、ラブライブは遊びじゃない。

そう言ったのを最後に去っていった。

 

 

「前言撤回、あいつらはライバルじゃねぇ……敵だ‼︎」

 

そして、帰りの電車内にて。

 

「すまねぇ……あん時、取り乱して……」

「隼斗のあの感情暴走は昔からのことだし、気にしなくていいよ」

「そう言ってくれると少しは楽になる……」

 

「あの子、泣いてた……。きっと、悔しかったんだね。入賞できなくて……」

「ずら……。」

「隼斗さんの言う通りよ!確かにだけど、ラブライブを馬鹿にしないでなんて……!」

 

「でも、そう見えたのかも……」

 

「私は良かったと思うけどな」

「千歌ちゃん……?」

「精一杯努力して頑張ったんだもん。それで東京に呼ばれたんだよ?それはそれで凄いことだと思う。でしょ?」

「それは……」

「だから、胸張っていいと思う。今の私達の精一杯ができたんだから。」

 

「………俺は絶対にそうは思いたくない」

「隼斗君……」

 

「千歌ちゃん……。千歌ちゃんは、悔しくないの?」

「そ、そりゃあちょっとは……。でも、私は満足だよ!みんなであそこに立てて、嬉しかった」

「そっか………」

 

 

 

そして、ようやく沼津に戻ってきた俺たち。

 

「やっと戻って来た〜!」

「やっとずらって言えるずら」

「ずっと言ってたじゃない!」

 

「「「「「「「「おかえり〜!」」」」」」」」

 

そして、みんなも来てくれていた。

 

「どうだった?東京は」

「あ〜うん、すごかったよ。ステージもキラキラしてて」

「天城君もみんなの引率お疲れ様」

「……ああ……」

「あれ?元気無いけど……」

 

「ああ、あれはちょっと疲れてるんだよ。いろいろと私達が振り回しちゃって……」

「そっか……。ごめんね」

「いや、気にするな。少し休めば治る。それにこいつらだって精一杯やってた。大きなミスもなかったしな」

 

「へぇ〜!じゃあ本当にラブライブ優勝狙えるとか⁉︎」

「東京のイベントに呼ばれるくらいだもんね!」

 

「あ〜そうだね〜。だと、いいけど……」

 

「お帰りなさい。」

 

その声のする方には、生徒会長のダイヤがいた。

 

「お姉ちゃん……」

「生徒会長……。っと……」

 

隼斗も少しふらつきながら立ち上がる。

 

「随分お疲れのようですわね。」

「ああ、肉体は問題無いんだが、ここがどうもな……」

 

右手の親指で胸辺りを指す。

 

「なるほど……。皆さん、よく頑張りましたわね」

 

ルビィちゃんも安心したのか、姉ダイヤに抱きついて泣き出してしまった。

 

 

 

そして、一方の内浦。鞠莉は果南と会っていた。

 

「いつ以来かな……。こうやって呼び出されるの」

「ダイヤから聞いた。千歌達のこと…」

「そう……」

 

「どうするつもり?」

 

果南が振り向いて言った。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして俺たちは、ダイヤさんの話を聞いていた。

 

「得票……0ですか……」

「はい……」

「なんか……申し訳ねえぜ……。学校の名前背負ってるのに……」

 

「隼斗さん、気にやむことは無いですわ。わたくしも……なんとなくですが、そうなると思ってましたから……」

 

そう落ち込む隼斗を慰めるかのような言葉をかけるダイヤ。

続けて彼女は語り出した。

 

「先に言っておきますが、あなた達は決してダメだったわけではないのです。スクールアイドルとして十分に練習を重ね、人を惹きつけるにあたるだけのパフォーマンスもしている。でも、それだけではダメなのです。もう、それだけでは……」

 

「それだけでは……?」

「どういうことです?」

 

 

「…七千二百三十六。なんの数字か分かります?」

「7236……?」

 

 

 

「去年最終的にラブライブにエントリーしたスクールアイドルの数ですわ」

 

 

「そんなに数多くのグループが⁉︎」

「驚くのも無理はありませんわ。これは第1回大会の10倍、いやそれ以上。スクールアイドルは確かに、以前から人気がありました。しかし、ラブライブの開催によって、それは爆発的なものとなった。AーRISEとμ'sの活躍によって、その人気は揺るぎないものとなり、秋葉ドームで決勝が行われる程になった。そして、レベルの向上を生んだのですわ」

 

「あの、先輩達が……」

 

「じゃあ……。」

「そう、あなた達が誰にも支持されなかったのも…………わたくし達が歌えなかったのも、仕方ない事なのです」

 

「そうだったのか……生徒会長に言われてきた言葉の意味がようやく分かった。………ん?わたくし達?」

 

「2年前、浦の星には既に統合になるかもという噂がありましてね。」

「そんなに前から……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、2人の方は……。

 

「その何が悪かったの?学校のみんなも街の人達もSchool idleだと応援してくれたじゃない」

「ライブも上手くいったしね……。でも……」

 

 

そう、3人も俺たちのように東京のイベントに呼ばれた事があったんだそうだ。

 

「でも、歌えなかったのですわ。他のグループのパフォーマンスと、会場の空気に圧倒されて、何も歌えなかった」

「それが、ああやって言い続けてきた理由、か」

「あなた達は、歌えただけ立派ですわ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「外の人たちに見てもらって有名になるとか、ラブライブで優勝するとか、絶対に無理なんだよ!」

「だから諦めろっていうの?」

「私はそうすべきだと思う。」

 

果南がそう言うと、鞠莉は両手を広げていた。

 

「果南……」

 

だが、果南はそれをスルーし通りすぎる。

 

「誰かが傷つく前に」

 

そう言って……。

 

「私は諦めない……!必ず取り戻すの!果南とダイヤと失ったあの時を‼︎私にとって………」

 

 

宝物だったあの時を………!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、あの後の隼斗達一行は……。

 

「千歌ちゃん、大丈夫?」

「うん。少し、考え直してみるね。私がしっかりしなくちゃ、みんな困っちゃうもんね。」

「隼斗君も、ゆっくり休んで。あの戦いといい、1番疲れてるだろうし……」

「気遣い感謝する。でも、大丈夫だ」

 

隼斗も今は作り笑顔でごまかす。

 

「ずら……」

 

「今日はお終いっ!…………」

 

「ここで、こう………ピギッ!」

 

花丸、ルビィ、そして善子。3人もそれぞれ、悩みの夜を過ごしていた。

 

 

 

「ええ、話しましたわ。きちんと……」

「そう……。」

「よかったんですわよね。これで……」

 

 

そして、隼斗は1人海岸で………。

 

「あああっ‼︎」

 

自分が教えて、支えてきたのにこのありさま。

隼斗自身も悔しがっていた。

 

「あの戦いも……あれじゃあ勝ったなんて言えねえよ……今重加速に……ロイミュードに対抗できるのは俺1人だけ…俺が…俺がしっかりしなきゃいけねえのに……‼︎」

 

 

東京でのVSドーパント戦。あの戦いも照井刑事がいなければどうなっていたか。

己の未熟さ、弱さを突きつけられた隼斗もただ1人で思い悩んでいた…

 

 

 

そして気づけば翌日の朝。海岸に行ってみると、そこには千歌と梨子がいた。

 

「お前ら……!てかなんで千歌は海の中入ってんだよ」

「隼斗君……。私もそれ聞こうと思ってた」

「あ……うん。何か、見えないかなって。ほら、梨子ちゃん海の音を探して潜ってたでしょ?だから私も何か見えないかなって」

 

「馬鹿野郎……だからってその格好で海に入るのはどうかと思うぜ?」

「それで、見えたの?」

 

「ううん、何も。」

「何も?」

「うん。何も見えなかった。だから思った。

続けなきゃって。私、まだ何も見えてなかった。先にあるものがなんなのか、このまま続けても0なのか、それとも1なのか。10になるのか……。ここでやめたら全部分からないままだって」

 

「千歌ちゃん……」

「千歌……」

 

「だから私は続けるよ、スクールアイドル。だってまだ0だもん!0だもん……0なんだよ……。

 

あれだけみんなで練習して、みんなで歌を作って、衣装も作ってPVも作って。

 

頑張って頑張って、みんなにいい歌聞いて欲しいって。

スクールアイドルとして輝きたいって……!」

 

「千歌………。」

 

「なのに0だったんだよ⁉︎悔しいじゃん‼︎差がすごいとか昔とは違うとかそんなのどうでもいい‼︎やっぱり私、悔しいんだよ……‼︎」

 

そう言いながら涙を堪える千歌。その千歌に、梨子が近づいて抱きしめた。

 

「よかった……。やっと素直になってくれたね」

「でも、私が泣いたらみんな落ち込むでしょ?今まで頑張ってきたのに、せっかくスクールアイドルやってくれたのに……。悲しくなっちゃうでしょ?だから……!だから……!」

 

「馬鹿ね。みんな千歌ちゃんの為にスクールアイドルやってるんじゃないの。それはサポート役の隼斗君も同じ。

それに…」

 

梨子が見る方向には、曜、ルビィ、花丸、善子。みんながいた。

 

「曜ちゃんも。ルビィちゃんも。花丸ちゃんも。もちろん善子ちゃんも」

 

「そうだ!自分の意思で選んだ道だ。俺はその道で走ると決めた!どんな壁が立ちふさがろうが曲がろうが止められようが……引き返さないと決めたから‼︎」

 

「でも……!」

「千歌ちゃんは、感じたことや思ったことを素直に声に出して。」

 

曜、ルビィ、花丸に善子。そして隼斗も揃って海へ。

今くらいは濡れるのなんて気にならなかった。

 

「みんなで一緒に歩こう。一緒に……」

「俺が言うのもなんだけどよ……1人で背負うな!俺たちはみんな一つの船に乗ってるんだ。もっと仲間を頼れ!」

 

梨子と隼斗にそう言われると、千歌は堪えていたのを止めて泣き出した。

 

「今から、0を100にするのは無理だと思う。でも、1にする事はできるかも。私も知りたいの。それができるか。」

「何があろうとゴールまで走り抜く。その先を知るために!」

 

「……うん!」

 

そして、厚い雲に覆われていたはずの空は、いつの間にか晴れていた。

 

 

そして、今日も彼女達は練習に励む。

この0が、どこまで変わるかは分からない。

 

練習着のみんなが部室を出た後。

誰にも聞こえぬように、小さな声で隼斗は1人呟いた。

 

「強くなってみせる……。もう2度と……俺は負けない!」

 

 

次回に続く。

 

 

次回、ラブライブ!サンシャイン‼︎サーガ

 

休学を終え、復学した果南。

だが、鞠莉との距離は未だ縮まらぬままだった。

 

隼斗も自分の弱さに怒りを感じ、1人特訓にのめり込み、

戦闘スタイルも荒くなっていった。

だが、そんな時隼斗は謎の若い青年と出会う。

 

「通りすがりの…旅人だ」

 

 

次回 未熟な夢見る者達はどこへ向かうのか?

 

 




第8話が終わりました‼︎よし、後一歩だ!頑張れ俺氏‼︎

さて、次回でようやくアニメに追いつくぞ‼︎
頑張りますので、よろしくお願いします‼︎

それでは次回もお楽しみに!感想、評価等お待ちしてます‼︎


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第14話 未熟な夢見る者達はどこへ向かうのか?

どうも皆さん!
今回でついに第9話‼︎未熟DREAMER回です!

隼斗が出会う謎の青年、果たしてその正体は⁉︎

それでは本編、Start your engine‼︎



 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 桜内梨子

 

東京のイベントでの結果が入賞できず更に得票数0に終わり千歌ちゃんも、みんなもかなり悔しがっていた。

 

しかも隼斗君もあの時の戦闘で苦戦した事に後から悔いを感じ、強くなると決意。一体どうなるのかしら……?

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「うおおおおっ‼︎‼︎」

 

「「ああああっ‼︎」」

 

放課後のグラウンド。

隼斗は突如浦の星を襲撃した021と022の二体の死神ロイミュードと戦闘を繰り広げていた。

 

ちなみに変身は無論隠れてしたので問題は無い。

 

「俺が!お前ら全員!ぶっ潰す‼︎‼︎」

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho kakusaan‼︎》

 

 

カクサーンⅡでシグナルコウカン。

 

「頑張れー!隼斗君‼︎」

「だから大きな声で名前言わないの!」

 

「オルァァァ‼︎」

 

《シューター!タクサン!超・カクサーン‼︎》

 

多量の拡散弾で攻撃を繰り出すソニック。

 

「ぐおおおっ!」

 

021と022は持っている鎌でガード。

だがその隙に隼斗は二体に近づき……

 

《ヒッサツ!フルスロットル!ゼンリン‼︎》

 

「アアアアッ‼︎」

 

ゼンリンシューターBSにシグナルカクサーンⅡを装填。

ゼンリン部分を回し、その力で連続打撃を繰り出す。

 

「ぐおおおっ⁉︎」

「まずい!」

 

「消えろ………消えろっ‼︎」

 

《Signal Bike!Signal koukan!Rider!Sonic‼︎》

 

シグナルカクサーンⅡをシグナルソニックと入れ替える。

そして、パネルを上げてイグナイターを押し、また下ろす。

 

《ヒッサツ!フルスロットル!ソニック‼︎》

 

「………はああっ‼︎」

 

姿勢を低くしたあと、地面を踏み込んで敵に向かって突っ込んでいき、そのまま連続で体当たり攻撃を繰り出す。

 

「だあっ!せあっ!オルァァァ‼︎」

 

「オラアアアア‼︎‼︎」

 

そして、飛び上がってライダーキックを放つ!

 

『ッ!!』

 

だが、その瞬間に死神二体はかろうじて避け、校舎を登って逃げていった。

 

「待て‼︎逃げるな‼︎」

「待って隼斗!そっちは校舎だよ!」

 

ゼンリンシューターBSを撃って撃ち落そうとするが、

曜にしがみつかれて止められる。

 

「うるせぇ!このままあいつら生かしておけるかよ‼︎おい待て‼︎」

 

「隼斗君落ち着いて‼︎」

「隼斗さんやめるずら!」

 

全員揃って止めてくるので、隼斗はとうとう諦めて変身を解いた。

 

《オツカーレ!》

 

「チッ!余計な事を……!」

「どうしたの隼斗君、らしくないよ!」

「いつものあの音速でクールな戦い方はどうしたのよ?」

 

「もう………そんな戦い方はしないって決めたんだ。今度見つけたら倒すだけだ……‼︎おい、練習始めるぞ‼︎」

 

そう言って隼斗は校舎に戻っていく。

 

「ちょっと隼斗!」

「隼斗さん‼︎」

 

「あれから……だよね?隼斗君の戦い方が変わったのは」

「そうみたいだけど……」

 

 

 

その様子を近くで隠れて見ていたのは、1人の青年だった。

 

「あいつ……コイツはなかなか…面白いものを見ちまったな」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「夏祭り⁉︎」

「ふゃはいもへるふらー。(屋台も出るずら〜。)」

「食うか喋るかどっちかにしろよ……」

「これは、痕跡……!僅かに残る気配……!」

 

 

あれからしばらくが経ち、Aqoursはいつもの日々に戻っていた。で、ここは千歌の家の旅館。その一角のスペースにて。

 

「どーしよ。東京に行ってからすっかり元に戻っちゃって」

「ほっとくずら」

「それより、しいたけちゃん本当に散歩でいないわよね?」

「千歌ちゃんは夏祭り、どうするの?」

 

曜が受付カウンターにいる千歌に言う。

 

「そうだね〜決めないとね〜」

「お前はそこ立ってるならもっとシャキっとしろよ…」

 

「沼津の花火大会っていったら、ここらじゃ1番のイベントだよ。そこからオファーが来てるんでしょう?」

 

そう、俺たちAqoursの今度の出演予定イベントが先ほども言った夏祭り。

 

「でも、今からじゃあんまり練習時間取れないですよね……」

「あんまり時間ねぇしなぁ……。」

「私は、今は練習を優先した方がいいと思うけど」

「千歌ちゃんは?」

 

だが、カウンターから姿が消えていた。

と思いきや近くの柱の近くに。

 

「私は、出たいかな!」

「うお、いつの間に……」

 

「そっか……」

「千歌ちゃん!」

「言うと思ったぜ……」

 

「今の私達の全力を見てもらう。それでダメだったらまた頑張る。それを繰り返すしかないんじゃないかな」

 

「ヨーソロー!賛成であります!」

「まぁ、リーダーがそう言うのなら」

 

「変わったね、千歌ちゃん。」

「前に比べりゃな……」

 

 

 

そして、千歌は以前果南と話したことを思い出していた。

ちなみにその時隼斗も一緒である。

 

「練習、頑張ってね。」

 

「待ってくれよ姉ちゃん!聞きてえことがあるんだ‼︎……あの、やってたんだよな、スクールアイドル」

 

とある神社にて。走って果南が行こうとするが、隼斗がそれを止める。

 

「……聞いちゃったか…」

「悪かったと、思ってる。でも、気になるんだ!どうして辞めちまったのか……」

「ちょっとだけね。話すほどでもないよ」

 

そう言うと果南は去って行ってしまった。

 

 

そして、現在。

 

「どうしたの?」

「果南ちゃん、どうしてスクールアイドル辞めちゃったんだろうって」

「生徒会長が言ってたでしょ?東京のイベントで歌えなかったからだって。」

 

「でも、姉ちゃんそれだけで辞めるような性格じゃない。昔からよく知ってる。だろ、千歌。」

「うん。小さい頃もよく一緒に遊んでて……」

 

まだ隼斗も千歌も小さい頃。海で遊んでる時……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「てぇぇいっ!」

 

隼斗が少し高い所から飛び込む。

 

「ほら、ちかもはやくこいよ〜!」

「怖くないからおいで、ちか!ここでやめたら後悔するよ!」

「ううう……」

「絶対できるから!」

 

「ちか、頑張れよ!」

「ううう……てぃっ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「そうだったんだ……。」

「そんな事もあったな〜。あの頃の千歌はすっごいビビリで……。」

「隼斗君だって昔は弱虫だったじゃん!度々果南ちゃんに助けられて……」

「その話は今関係ないだろ⁉︎」

 

「とてもそんな風には見えませんけど……はっ、すいません……」

 

「気にすんなルビィちゃん。実際そうなんだからさ……。今の姉ちゃんは俺の知ってる姉ちゃんじゃない。それに、姉ちゃんの笑顔もなんか昔とは違うんだよな……」

 

「隼斗君は果南ちゃんが大好きだもんね〜。」

「えっ⁉︎それって異性として⁉︎」

「ばっ……それは……!その……考えたことねぇし…///」

 

千歌が言ったことに対して梨子が反応するが、隼斗は否定した。しかしその頬は少し赤くなっていた。

 

「そ、それよりも!もう少しスクールアイドルやってた頃のことが分かればいいんだけど……!」

「聞くまで全然知らなかったもんね〜」

「かと言っても姉ちゃんは話してくれなそうだし…………ん?」

 

そう言った途端、全員がルビィの方を見た。

 

「ピギッ!」

 

「ルビィちゃん、ダイヤさんから何か聞いてない?」

「小耳に挟んだとか…」

「ずっと一緒の家にいるのよね?何かあるはずよ」

「お、確かに……」

 

「ふぇ……あ………ルビィィィィィ‼︎」

「新しい絶叫……。ってそうじゃない!善子!」

「逃がさないわよ!」

 

そして、善子が追いかけて捕まえて関節技っぽいので捉える。

 

そして、部室にて事情聴取?

 

「え?本当に?」

「はい、ルビィが聞いたのは、東京でのライブが上手くいかなかったって話だけです。それからはスクールアイドルの話はほとんどしなくなっちゃったので……。」

「うーん……有力情報無しか……」

「ただ……」

 

「「「「「「ただ?」」」」」」

 

黒澤家にて………

 

「逃げてるわけじゃありませんわ。だから、果南さんの事を、逃げたなんて言わないで」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「って……」

 

「逃げたわけじゃない……?なんか気になるな……」

「逃げたわけじゃない、か………」

 

「あ、そうだ‼︎俺にgood ideaがある!」

 

 

そのいい考えとは……………

 

「ふぁぁ……。まだ眠いずら……」

「なんとか目を覚ましてくれ。これも情報収集の為だ」

 

早朝から果南を尾行する事にした。隼斗が博士から送られた改善プログラムで偵察にも向くように改造したシグナルバイク達で探った所、毎朝早朝からランニングをしているようなのだ。

 

「毎朝こんな早くからランニングしてるんですね」

「それより、こんな大人数で尾行したらバレるでしょ⁉︎」

「でも、みんな来たいって言ってたし……」

「というか、隼斗君のシグナルバイク達に任せたらよかったんじゃ……」

 

と、梨子が言うとみんながハッとなった。

いやもっと早く気付けよ……。もう遅いけどさ。

 

「しっかし速いね〜!」

「頑張って付いてくぞ〜」

 

「もう、かなり走ってるわよね〜?」

「まる、もうだめずら……」

「花丸ちゃん?」

 

「でも、なんか気持ちよさそうだね。」

「あの笑顔……あれが見たかった!」

 

そう言ってフードからカメラを取り出して向ける隼斗。

 

「シャッター音で気づかれるよ!あとフラッシュはもっとだめだって!しかも盗撮じゃん‼︎没収!」

「俺のカメラ〜!」

 

 

そして、そのまま走り続け…………。

 

「はぁ……。はぁ……。はぁ……」

「つ、疲れたぜ……。ん?」

 

ようやく追いついた。そしてそこで見たのは、踊っている果南だった。

隼斗も隙を見て曜から没収されてたカメラを取り返して、隠れて構える。

 

「あ、隼斗!(小声」

「うるせぇ黙れ!あぁ……やっぱ姉ちゃんはこうでなくっちゃ……!(小声」

 

隠れながらカメラのシャッターを切る隼斗。

そして、踊り終えると、その後ろには拍手をしている鞠莉がいた。

 

「復学届、提出したのね」

 

「そうなのか?だとしたらこれからは姉ちゃんと………!小声」

「隼斗静かに!(小声」

 

「まぁね。」

「やっと逃げるのを諦めた?」

「勘違いしないで。休学してたのは父さんの怪我が原因だし、それに復学してもスクールアイドルはやらない」

 

 

隼斗達サイド。

 

「(またそのことが……なんなんだよ一体?)」

 

 

果南達サイド。

 

「私の知ってる果南は、どんな失敗をしても、また笑顔で走り出していた。成功するまで諦めなかった」

 

そう言うと、歩き出していた果南は足を止める。

 

「卒業まで、あと1年も無いんだよ?」

「それだけあれば充分よ。それに、今は後輩もいる」

 

「「「「「「「えっ」」」」」」」

 

 

 

「だったら、千歌達に任せればいい」

「果南……」

「どうして戻ってきたの?私は……戻ってきてほしくなかった」

 

隼斗達サイド。

 

「姉ちゃん今のは酷すぎ……」

「待って隼斗さん落ち着いて……!(小声」

 

 

果南達サイド

 

「果南……!フッ、相変わらず頑固なんだか……」

「もう止めて。もう……あなたの顔、見たく無い」

 

そう言って果南は去って行った。

 

そして、隼斗達もその場からそそくさと逃げた。

 

「あんなの酷すぎるよ……!」

「可哀想ずら……!」

「隼斗君、大丈夫?」

 

隼斗も辛そうな表情をしていた。

寄りかかっていた塀を握りしめた右手で叩く。

 

「あんなの……あんなの本当の姉ちゃんじゃねぇ‼︎俺が…俺が知ってる姉ちゃんはあんなに酷い事を言うはずが無い‼︎絶対……絶対に……‼︎」

 

「やっぱり、何かありそうだね。」

「その何かっての……ぜってえ俺が突き止める!」

「俺が、じゃなくて「俺たちが」でしょ?」

「千歌……。まぁ、そうだな。今日はしばらくシグナルバイク達を付かせて見る。何か分かるかも。お前ら!」

 

そう言うと、シグナルバイク達(手持ちのソニック除く)が

全員集合。

 

「トマーレⅡはマリー、カクサーンⅡは姉ちゃん、マガールⅡはダイヤさんを見つけて、尾行頼む!キケーンⅡは、俺達と行動だ。お昼になったら1度全員俺の元に集合して、ゲットした情報を報告。以上!散れ!」

 

そう言うと指名3台はそれぞれの目標を探しに飛んで行った。キケーンⅡは自分だけ隼斗達と行動なのが不満のようで隼斗の周りをギリギリの近さの場所で回る。

 

「わわ、悪かったって!人数余っちまって……。とにかく俺たちも明日から学校で少し情報収集をしよう」

 

で、その後隼斗は1人歩きながら考えていた。

 

「はぁ……。それにしてもなんで……。ここんところ負けるわこうなるわ……。俺の所為、なのか……?」

 

「いいや、そんなこと無いと思うがな…」

 

そこに現れたのは、少し隼斗より背の高く、何処か大人びた雰囲気を漂わせる青年だった。

黒い上下に赤いシャツを中に着ていた。

首からはピンクと黒の変わった2眼カメラをぶら下げている。

 

「あんたは?」

 

「通りすがりの……旅人だ」

 

そういうと彼は隼斗に向けてシャッターを切った。

 

「旅人…?」

 

「そうは見えない、って顔だな。だが事実だ、証明できるものは生憎持ち合わせていないがな」

 

「何の用だよ…」

 

「何、たまたまこの世界に立ち寄ったら面白い男がいたもんでな。

だが見ちゃいられない程哀れだったんで、一つアドバイスをくれてやろうと思ってな」

 

「アドバイス?」

 

「人は誰でも、負けたり打ちのめされたりする。残酷なまでの理不尽なんてこの世にごまんと存在する。当たり前なんだよ、そうなるのは。

俺達は皆人間だ。とてつもなく弱い生き物だ」

 

「当たり前……」

 

「だがな。本当に弱いのは、そこで立ち止まる人間だ。立ち止まったり、戻ったりしなければそれは弱さじゃない。強さだ」

 

「強さ……」

 

「強くなるのに焦る必要性はない、ってことだ。

まぁ俺からのアドバイスはこんなところだ。今後どうするかは…お前次第だ」

 

すると青年が手を振り上げ、灰色のオーロラのようなものが背後に現れた。

 

「なっ…!?」

 

「もう2度と会うことはないだろうが…運命の女神様ってやつが悪戯好きならまた会えるかもな」

 

そのオーロラが青年を通り抜けると、もうそこに彼の姿は無かった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、翌日の学校にて。

 

 

「え?果南ちゃんが⁉︎」

「シグナルバイク達から得た録画データから得た情報だ。今日から復学だとさ。」

「鞠莉さん、どうだろう?」

「さぁ………?」

「今朝理事長室にお邪魔したけど、ちょっと落ち込み気味だったなぁ……」

 

 

今朝の理事長室にて。

 

 

(ドアノック音)

 

「どうぞ」

 

ドアを開けて中に入る隼斗。

 

「Falconじゃない。どうかしたの?こんな小さなお仲間さんまで付けて……maryのストーカー?」

 

鞠莉の手にはトマーレⅡが止まっていた。

 

「馬鹿言うんじゃねぇよ……。てかバレバレかよ…」

 

そこに、マガールⅡ、カクサーンⅡも戻ってきた。

そして、いつの間にか鞠莉は2人分の紅茶を出していた。

 

「お、ありがてぇ」

「そんなに気になるの?私達の事……」

「それも気になるけど、俺、あんな顔した姉ちゃんは見てたくねぇんだ……」

「ネェ……チャン?」

 

「あぁ、果南姉ちゃんとは昔からの仲でな。結構世話になったもんさ……。」

「そう……。昔、果南が話してた。可愛い弟みたいな幼馴染がいるって」

「姉ちゃんが……」

「私は諦めない。だから、Falconも……」

 

「分かってる。あと、そろそろFalconじゃなくて隼斗って呼んでくれないか?」

「う〜ん……。考えておくわ」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「って話してたな……」

「後半関係なく無い?ってあれは……」

 

4人が話していると、上から何かが降ってきた。

と、その時いきなり曜がそれをキャッチしようと身を乗り出した。

 

「制服!」

「おい待て‼︎」

 

が、落ちそうになって3人で捕まえる。

曜も見事それをキャッチした。

 

「これって……スクールアイドルの⁉︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

上から降ってきた。すなわち3年生の教室から落ちてきたと考えた俺たちは、そこへ向かった。

そこにはルビィちゃんと花丸ちゃんもいて………

 

「離して!離せって言ってるの!」

「離さない!たった一度失敗したくらいでいつまでもnegativeに……!」

「もう2年前の話でしょ⁉︎いつまでもはどっちよ⁉︎」

 

何やらあの2人が揉めてる様子。まぁつくづく思ってた。

 

「どうしてこうなってるんだ……。」

 

「ダイヤもなんか言ってやってよ!」

「2人共やめなさい!みんな見てますわよ‼︎いくら粘っても果南さんが再びスクールアイドルを始める事はありませんわ!」

「どうして!あの時の失敗はそんなに引きずる物⁉︎ちかっち達だって再スタートを切ろうとしてるのに!」

「千歌とは違うの‼︎」

 

「だ〜もう埒あかねえ‼︎」

 

頭を掻くと隼斗と千歌は中に入り………

 

「はい、ちょっと失礼、レディ?」

 

隼斗もgentleman精神で人ごみを突破。

そして、2人同時に…………

 

「「いい加減に………しろーーーーーー‼︎‼︎」」

 

突然の出来事に3年生3人や他の生徒までも唖然となる。

窓も揺れてたような音がした。

 

「もう!さっきからわけわからない話ばっかりずーっとずーっとずーっとして‼︎ちゃんと話しなさい‼︎」

「千歌には関係……」

「あるさ!無論俺たちにもな‼︎」

「鞠莉さん、ダイヤさん、果南ちゃん、3人共放課後、部室に来てください!」

「え?でも……」

 

とその時、隼斗がガン‼︎と教卓を右手で叩く。

大きな音がして、表面にヒビが入った。

 

「い・い・で・す・ねぇ? (ニッコリ)」

 

「「「は、はい………」」」

 

「千歌ちゃんすごい………」

「バンって一発でお姉ちゃん達を黙らせる隼斗さんもすごいです……。あとオーラが………」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「だーかーら!東京のイベントで歌えなくて……」

「その話はダイヤさんやマリーから飽きるほど聞いたよ!それ以外の事を聞きたいんだよ姉ちゃん‼︎」

 

放課後、脅h約束通り事情聴取中。

 

「そうそう!ハヤトの言う通りよ!」

 

「何か、事情があるんだよね?」

「無い。さっきも言った通り、私が歌えなかっただけ」

 

あくまでその答えだけを言う果南にイライラする千歌。

 

「その気持ちよーく分かるよ!本っ当腹たつよねこいつ!」

 

鞠莉が果南を指差して言った。

 

「こらこらマリー。女の子がこいつとか言うんじゃありません。いつもの口調どうした」

 

「でも、この前弁天島で踊ってたような………」

 

ルビィがそう言うと、果南が顔を赤くしてルビィの方を見て睨む。

 

「ピギッ⁉︎」

「ずらっ!」

 

花丸ちゃんも一緒になってビビる。

 

「お〜!赤くなってる〜」

「うるさい!」

 

「赤くなってる姉ちゃんも可愛い……(ボソッ」

「隼斗何か言った?」

「ナンデモナイデス」

 

「やっぱり未練あるんでしょ〜?」

「うるさい!未練なんてない!とにかく、もう嫌になったの!スクールアイドルは………」

 

 

そう言って果南は部室を出て行ってしまった。

そして、梨子がダイヤに尋ねた。

 

「ダイヤさん、何か知ってますよね?」

「い、いえわたくしは何も……」

「じゃあなんでさっき、果南さんの肩を持ったんですか?」

「さっさと吐いて、楽になっちまえよダイヤさん?」

 

昔の刑事ドラマの取調室みたいな雰囲気で机に手を付いた隼斗が言う。

 

「それは……………っ‼︎」

 

「黒澤ダイヤ容疑者脱走を図る〜(棒)」

「善子ちゃん!」

 

千歌がそう言うと、善子が以前ルビィにやった技をかけた。反応が全く同じなんですけど………。

 

 

 

で、場所を変えて俺たちは黒澤家で話を聞いた。

 

「「「「「「「わざと⁉︎」」」」」」」

 

「そう、東京のイベントで、果南さんは歌えなかったんじゃなく、わざと歌わなかったんですの」

「そんな!姉ちゃんがわざとなんてどうして……!」

「まさか、闇のムグッ⁉︎」

 

花丸ちゃんナイス。

 

「どうして……⁉︎」

「覚えていませんの?あの時、鞠莉さんは怪我をしていた」

 

2年前……途中で右足を負傷していた鞠莉は、無理をしてまでもやろうとしていた。だが、果南はそれをさせないためにわざと歌わなかった……というのが簡単なまとめである。

 

「どうして……!私はそんなことしてほしいなんて一度も……!」

「分かりませんの?あのまま続けていたら、怪我どころか事故になっていたかもしれませんのよ?」

「でも………!」

「だから、逃げたわけじゃないって………」

 

「なるほど……繋がった。つまり、果南姉ちゃんは………マリーの事を思って………!」

 

「でも、怪我が治ったら続けてもよかったんじゃ………!」

「確かに、今までの話で謎は解けたけど、理由までがはっきりとは……?」

「そうよ……。花火大会に向けて新しい曲作って、ダンスも歌も完璧にして……。

 

「心配していたのですわ。あなた、留学や転校の話がある度に全部断っていたから……」

「そんなの当たり前でしょ⁉︎」

 

突然鞠莉が出した大きな声に驚く隼斗達。

外はいつの間にか雨が降っていた。

 

「果南さんは思ってたのですわ。このままでは自分達のせいで、鞠莉さんから未来のいろんな可能性を奪ってしまうのではないかと。そんな時……」

 

2年前、ある日の職員室にて……

 

「本当に断るの?先方からも是非って言われてるのに……向こうで卒業すれば、大学の推薦だって……」

「いいんです。私、School Idle始めたんです。学校を救う為に……!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それなら辻褄が合う。理由がようやく分かったぜ…」

 

そう隼斗が言うと、窓の外を見てた鞠莉が突然動き出した。

 

「どこへ行くんですの⁉︎」

「ぶん殴る!私はそんなこと一言も相談せずに!」

 

「マリー落ち着けって!いつものお前らしくねえぞ!言動も物騒だし……」

「ハヤトは黙ってて‼︎」

「っ⁉︎」

 

隼斗も鞠莉に一瞬気圧された。

 

「おやめなさい。隼斗さんの言う通りですわ。果南さんはあなたのことを、ずっと見てきたのですよ。あなたの立場も………あなたの気持ちも……。あなたの将来も………。誰よりも考えている」

 

そう伝えると、鞠莉は家を飛び出した。

 

「マリ……」

「追わなくて結構ですわ!」

「でもこの雨の中は……!」

「隼斗君、大丈夫。きっと……。」

 

「っ……そうだな。これは2人の、いや、3人の問題なんだしな……。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「(そんなの分からないよ……!どうして言ってくれなかったの?)」

「ちゃんと伝えてましたわよ?あなたが気づかなかっただけ。」

 

 

 

そして、その後鞠莉は、部室に果南を呼び出した。

 

「なに?」

「いい加減話をつけようと思って。……どうして言ってくれなかったの……?ちゃんと話して。果南が私の事を思ってたように、私も果南の事を思ってるんだから!」

 

「将来なんて今はどうでもよかった。留学?全く興味なかった!だって果南が歌えなかったんだよ?放っておけるはずない!」

 

そう言うと、鞠莉は果南の頬を思い切り引っ叩いた。

 

「私が果南を思う気持ちを……甘く見ないで‼︎」

 

「だったら……だったらちゃんと言ってよ!リベンジだとか、負けられないとかじゃなく、ちゃんと言ってよ‼︎」

「…だよね。だから………」

 

鞠莉は自分の頬を指差す。やり返してくれと言ってるのだ。

 

だが、果南はやり返さなかった。代わりに、ハグをしようと言った。それは、鞠莉と果南、ダイヤが初めてで会った頃と、同じように………。

 

お互いに涙を流し、鞠莉に関しては声をあげて泣いていた。お互いに本当の気持ちをぶつけ合ったことで、ようやく仲直りが出来たのだ。2年という長い年月深まっていた溝が、ようやく浅く…いや、完全に埋まったのだ。

 

見えないところから、ダイヤもそれを見守っていた。

そして、帰り際に千歌から言われた。

 

「ダイヤさんって、本当に2人が好きなんですね。」

「それより、これからあの2人を頼みましたよ?ああ見えて2人共繊細ですから」

「じゃあダイヤさんもいてくれないと!」

「ええっ⁉︎わたくしは生徒会長ですわよ?とてもそんな時間は……」

 

「大丈夫です!果南ちゃんと鞠莉さんと、あと……7人もいるので‼︎」

 

「ダイヤさん、もう一度、俺たちと始めませんか?一度は諦めたあの夢を、もう一度目指す気はありますか?その気があるのなら……その夢、俺が守ります‼︎この命にかけて‼︎」

 

隼斗がそう言うと、ルビィが衣装らしきものを持ってダイヤに言う。

 

「親愛なるお姉ちゃん、ようこそ、Aqoursへ‼︎」

 

 

そして、ついにやってきた花火大会。新たに3人を加えて、9人で歌う新曲「未熟DREAMER」

 

夜空に咲く大輪の花と、その下で歌う9人。

その光景が、とても美しく、楽しそうに見えた。

 

しかもその歌詞は、なんと俺たちが最初に部室で見つけたあの消えかかっていた文字。それが元だったらしい。

完成途中で事件が起き、そのまま未完成で封印されてたそうだ。

 

「どんな未来かは分からない。けれど楽しいはず」

 

その言葉が俺の中では印象的だ。

 

 

しかも、なんと俺たちのグループ名、Aqoursの名前。

海岸に書いたのはなんとダイヤさんだったのだ‼︎

かつて3人が結成していた時のグループ名と同じらしい。

やはりこの名前、運命的だったのだ。

 

 

 

次回に続く‼︎

 

 




第9話のストーリー終了です!
次回はもう少し戦闘描写入れてこうかと‼︎

それでは次回もお楽しみに!感想や評価等お待ちしてます‼︎


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番外編 隼斗の小さな夏物語

はいどうも皆さん!今週もアニメ良かったですよね。
そして、今回は番外編のサイドストーリー‼︎

時系列的には第9話終了直後。未熟DREAMERの披露後となってます!

短いですが、それでは本編どうぞ‼︎


 

 

やぁみんな、俺だ、天城隼斗だ。

3年生の3人。果南姉ちゃん、鞠莉、ダイヤさんが加入して初の夏祭りでのステージは見事大成功に終わった。

 

これはその後俺が経験した、

ほんのひと時の夏物語である。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おーい!隼斗くーん‼︎」

 

ステージ裏で待っていた隼斗のもとに駆けてくる千歌。

この衣装中々いいよな。(byうp主

 

 

「お、お疲れ。みんなもお疲れ様!すごくいいステージだったぞ‼︎」

 

「そうでしょそうでしょ⁉︎」←千歌

 

「鞠莉さん達のアドバイスとかもあったおかげで、自分達でもすごく良かったと思うよ!」←曜

 

「まさか、あの時作りかけだった歌がこんなにもいい曲になるとはね。」←果南

「わたくしも驚きましたわ。」←ダイヤ

「これもみんなのおかげ、かしらね!」←鞠莉

 

「お姉ちゃん達、やっぱりすごかった!」

「一緒にステージに立って見て、改めてよく分かったわ。」←善子

「流石ずら〜!」

 

それぞれがステージでの事を口にしていた。

 

「それでなんだが、この後みんなどうするんだ?まだまだ祭りが終わるまでは時間ありそうだけど……。」

 

「確かに、割と時間あまったね……。」←梨子

 

「俺の考えとしてはこれから屋台を周ろうかな〜とか考えてるんだが……どうだ?」

 

「うん!そうしようよ‼︎」←千歌

「そうだね!隼斗、ナイスアイデア‼︎」←曜

「私も賛成。みんなは?」←梨子

 

「ルビィも賛成です!」←ルビィ

「まるも賛成ずら。」←まる

「まぁ、隼斗がそう言うなら付き合ってあげなくもないわ。」←善子

 

「この夏祭りも久しぶりですからね……。わたくしも行きますわ。果南さんと鞠莉さんは?」←ダイヤ

 

「なら、私もご一緒しようかな?」←果南

「もちろん!マリーも行くわ‼︎Japanese festivalなんて、久しぶりですもの‼︎」←鞠莉

 

「よーし……それじゃみんなとりあえず着替えてきな。

衣装のままじゃあれだろうし……。」

 

 

と、いうわけで隼斗は待つ事十数分………………。

 

「お待たせ〜!」

 

そう言って声をかけてきたのは千歌やみんなだった。

全員浴衣姿で(色はそれぞれイメージカラー)とてもふつくしい………。

 

「…………。」

 

「ちょっと隼斗くーん!聞いてますか〜?」

 

顔の前で手を振られてようやく気付いた。

 

「あっ、ごめん……。みんながあまりにも綺麗だったから……。」

「本当に〜?」←曜

「嘘だったらまず言わねえよ。」

 

「ち・な・み・に〜ハヤトは誰が1番似合ってると思う?」

「ええっ⁉︎えーと……うーん………!」

 

鞠莉に言われて悩む隼斗。

 

「(誰が1番似合うか……ダイヤさんは大和撫子って感じが漂ってて似合って当たり前って感じだが鞠莉の浴衣姿ってのも貴重だ。だがしかし姉ちゃんも……!)」

 

「相当悩んでるわね。」←善子

「そこまで必死に……?」←ルビィ

 

「ね………。」

 

「「「「「「「「「ね?」」」」」」」」」

 

「………姉ちゃん……かな?」

 

隼斗が選んだのは、やはり果南であった。

スタイルもよく超絶美人。(うp主考)

 

「ほら、姉ちゃん美人だし優しいし……とっても似合ってる。俺的には。」

「え、私⁉︎そ、そんな私は………///」

「でも、ハヤトの言う事も分かる〜!こ〜んなに美人なお姉さんだもんね〜⁉︎」

「こら鞠莉!もう!ほらみんな行こう‼︎」

 

そう言うと顔を赤くして早足で先に行ってしまう果南。

 

「ああ、まってよ果南ちゃーん‼︎」

「わたくし達も行きますわよ!果南さんお待ちなさい!」

 

 

 

そしてそのあとをみんなで走って追いかけていく。

 

 

 

そして、屋台通りにて………。

 

 

「ニネンブゥリデスナ。」

「ハヤト!それ私のセリフ‼︎」

 

鞠莉が隼斗をどつきながら頬をぷくっと膨らませて怒る。

今は1年生組、2年生組、3年生プラス隼斗組に分かれて、自由行動中。

 

隼斗は何故3年生と一緒かと言うと……まあ目的は言わなくとも分かるまい。

それに一応他グループには、シグナルバイク達を見張りに就かせてある。

敵がきても多少は大丈夫だろう。

 

「でも、隼斗は本当に2年ぶりなんだよね。アメリカ行ってたから。」

「そうなんだよ〜。この光景も懐かしいな……。光る提灯に立ち並ぶ屋台……」

「私も久しぶりだから。ハヤト、3人のエスコート、それにBODYGUARDよろしくね‼︎」

「俺任せですか……。ま、任せろって!まずどこ行きます?」

 

最初にやってきたのは、鞠莉のリクエストで金魚すくい。

 

「私、これやりたい!」←鞠莉

「お、これまた懐かしいものを……うーっし俺もやろうかな〜?」

「お二人がやるならわたくしもやりますわ!」

「じゃあ、誰が1番多くすくえるか勝負だね!」

 

 

金魚すくいダイジェスト。

 

「水の抵抗を受けにくいように、斜めからこう……ほっ!」

 

隼斗、1匹ゲット。

 

「わたくしも負けてられませんわ。っ……そこっ‼︎」

 

だが、ダイヤは勢いが強すぎたのか、ポイが破れてしまった。

 

「あっ……!」

 

「ダイヤったら力入れ過ぎ!見てなさい……マリーのすくいを!それっ!それっ!」

 

なんと鞠莉は手際よく2匹ゲット!

 

「「「おお〜」」」

 

「鞠莉さんすごいですわね……。」

「全然やってなさそうに見えたから……。」←隼斗

「これは驚いたよ……。」

 

「金魚すくいって楽しいわね!もう一回やりましょ‼︎」

 

 

で、最終的に

 

隼斗 3匹 ダイヤ 2匹 鞠莉 4匹 果南 3匹

 

と言う結果になりました。

 

 

「あ〜!楽しかった‼︎」

 

4匹取れてご満悦な鞠莉。

 

「よかったね鞠莉。」

「まさか4匹取っちまうとはな……。」

「わたくしは2匹しか……。」

「まぁ取れないよりはマシじゃないすか。さて、次はどこに行きたいですか?」

 

「次は隼斗が選んでいいよ。」

「さっき私達につき合わせちゃったからね。」←鞠莉

「さて、どこへ行きますの?」

 

「ん〜………どーしよっかな……?」

 

 

隼斗が悩んでいると、突然パン!という音が聞こえた。

 

「お、あれは‼︎」

 

そう、祭りにきたらふとやりたくなる屋台。

射的だ。

 

「射的かぁ〜。」

「あれって絶対に落ちませんわよね?」

「んなのやってみなきゃ分かんねえだろ?……まぁ大抵は落ちないけど……。とにかくやってやる‼︎」

 

というわけで射的に隼斗が挑戦!

 

ダイジェストで。

 

「まずは片手でっと……………はっ‼︎」

 

放った球は一直線に目の前の景品へ。

だが、弾かれてしまう。

 

「チッ……相変わらずこのコルク玉は全然威力しょぼいな〜。ゼンリンシューター使いてえ……。」

 

と愚痴をこぼしながらも続けざまに撃ち続ける隼斗。

で結果は………

 

「0だ………_| ̄|○」

 

1つも取れませんでしたorz

 

「ったくなんで取れねえんだろうな姉ちゃん……あれ?」

 

 

果南に話しかけたつもりが、いつの間にか3人ともいなくなっていた。

 

「あれ?どこだ?どこだよ!」

 

屋台通りを走り回る隼斗。

そして、ようやく3人を見つけた。近くの神社の境内にいた。鞠莉とダイヤは座って綿あめを食べていた。

 

「あ、ハヤトゴメン‼︎美味しそうなThe smellに誘われて…すっかり忘れちゃった!」

 

「ゼェ……ゼェ……なら……よかっ……だ……。」

 

息を切らして喋る隼斗。

 

「隼斗座りなほら、ここ空いてるから。」

 

果南が自分の隣をポンポンと叩く。

 

「あ、ゴメン……。ふぅ…………。」

 

座った途端隣の果南の肩に頭を乗せる隼斗。

 

「うわわ!ちょっと隼斗重いって!」

「いいじゃん……疲れてるのに……。」

 

「フフッ。本当にハヤトは、果南と一緒だと甘えん坊さんね〜。」

「悪いか〜?」

「ぜーんぜん?………あ。」

 

すると、鞠莉は何かを思いついたように笑みを浮かべた。

 

「どうした、マリー?」

「私、ダイヤとちょっと屋台見てくるね!」

「わたくしは行きませんわよ?」

「まぁまぁそんな事言わない!さ、行くわよ‼︎」

 

「ちょっと引っ張らないでください鞠莉さん‼︎」

「Shiny!」

「人の話を聞きなさーい‼︎」

 

鞠莉のマイペースに巻き込まれたダイヤさん……まあがんばルビィ……。

と、苦笑いしてるとスマホに通知が来た。鞠莉からだ。

なになに………

 

『シチュエーション作りはバッチリ!ハヤト、頑張れ!』

 

「いやなんの話だよ……てか余計な御世話だっつーの……でも、サンキュー。」

 

返信を一応しておいた。

 

「どうしたの隼斗?」

「い、いや!な、なんでもないよ‼︎」

 

すぐさまスマホをポケットにしまう。

 

「……懐かしいね。こうして一緒に出かけるのも。」

「そう、だな……。あ、あの、姉ちゃん!」

「ん?なーに?」

「もうちょっとそっち……寄っても……いい?」

 

少し視線をそらしながらいう隼斗。

 

「?別にいいけど……。」

「じゃあ、遠慮なく……っ。」

 

隼斗は果南の近くにまた少し接近。もう少しで肩が触れ合いそうな距離だ。

 

「(姉ちゃん……改めて近くで見たけど……綺麗だな…。

って何考えてんだ俺!それになんかドキドキする……。)」

 

「でも、ちょっと近すぎない?」

「そ、そんな事ないと思うよ!ほ、ほらなんというかその……ええっと……。」

「落ち着いて隼斗。」

 

そう言われて深呼吸をする隼斗。

 

「隼斗ってばどうかした?今日はやけに積極的だけど…」

「あ、あのさ!写真撮ろうよ!せっかくだし!」

「?いいけど………。」

 

そして、隼斗は取り出した自撮り棒にスマホをセットし、果南とツーショットを何枚か撮った。

 

満足気な表情の隼斗を見て少し微笑を浮かべて果南が言った。

 

「それにしてもさ、隼斗、なんか変わったね。」

「変わった?」

 

「うん。だって小さい頃の隼斗は………。」

 

およそ10年程昔。

 

『かなんねえちゃーん‼︎』

 

泣きながら走ってくる幼少期の隼斗(およそ5、6歳)

 

『どうしたの?またあいつら?』

『うん……グスッ……。』

『全く仕方ないなぁ……待ってて。』

 

 

ーーーーーー

 

「って感じで、泣き虫で弱虫で……いつも私に頼りきりで……。」

「俺そんなんだったっけ?」

「そうだったの。隼斗が覚えてないだけ。」

「ああそう……。」

 

「でも、千歌から聞いてる。今の隼斗はとっても強くて、頼りになる男の子に成長したって。」

「……いや、俺は強くなんて……力はあるけど心は………まだまだ未熟だよ。それに……強くなれたのは姉ちゃんのおかげだよ。」

 

 

そして、隼斗は勇気を振り絞り自分の隣に座っている果南の左手に右手を重ねた。

 

「隼斗、どうかしたの?」

「あのさ、姉ちゃん!……聞いてほしい事があるんだ。」

「聞いて……ほしいこと?」

 

隼斗はその手を取り、両手でぎゅっと握る。

そして、果南は隼斗の方を向き、正面から向き合う。

 

 

「俺は……優しい、そんな姉ちゃんの事が…………‼︎」

 

「2人ともお待たせ〜‼︎」

 

とそこに、タイミングが悪いのか良いのか、鞠莉とダイヤが戻ってきた。

 

「あ、鞠莉!ダイヤ!」

「疲れましたわ……。散々振り回されて……。」

 

それを見た隼斗は咄嗟に果南の手を離した。

 

「?隼斗、伝えたいことがあるんじゃ……」

「ごめん、やっぱ今は無し。また次の機会にするよ。」

「……分かった。待ってるよ、その言いたいことを伝えてくれるのを。さ、行こう!」

 

隼斗が離した手を、果南は再び握り直した。

 

「あら、2人ともどうしたの?手なんて繋いで?」

「良いだろ別に!さ、みんなと合流だ!」

 

連絡の通知が出てるスマホを見せながら隼斗が言い、

果南を連れて真っ先に駆け出した。

 

「あ!ちょっと隼斗さん‼︎」

「待ってよハヤト!果南‼︎」

 

 

こうして、隼斗の小さな小さな1つの物語は終わった。

そして、その夜………。

 

夜遅くに、隼斗は海岸に来ていた。

その手に持っていたのは、果南と撮った一枚の写真。

 

「あの時感じたあの感覚………。俺って、姉ちゃんの事が……ただの幼馴染とかとしてじゃなく、異性として…?………いや……まさかな。」

 

 

その写真をポケットにしまい、右手を胸に当て隼斗は夜空を見上げた。

 

「でも、この気持ちが本物なら……いつか、伝えられるといいな……。」

 

天城隼斗の夏の1つの物語。

夏がもたらしたのは、小さな小さな、恋のシグナル?

 

番外編、Fin.

 




今回は果南&隼斗をメインに書いてみました!
てか恋愛なんて、あんまりGoogle+でも小説やってるけど書かないし描写が苦労する……何かコツとかありますかね?何かアイデアくれる人募集中です。

この2人もくっつける方向で行きたい(願望)

そして、多分次回も番外編だと思いますが……次回は
新たなる仮面ライダーを登場させる予定‼︎

それでは次回もお楽しみに!
感想、高評価等お待ちしてます‼︎m(._.)m


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第15話 漆黒のライダーはどこから来たのか?

どうも皆さん!
さて、サンシャインサーガ第15話!今回は本作オリジナルのサブライダーが登場!
果たして今回はどんなストーリーか?

それでは本編、Start your engine‼︎



これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

夏祭りのイベント後、屋台を周るのをを楽しんだ俺たち。

そこで3年生3人と行動してた俺は鞠莉の計らいもあり果南姉ちゃんに気持ちを伝えようとしたのだが………

 

まあタイミングを逃して失敗。

でも、いつか伝えてみせる。この気持ちが本当なら……‼︎

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「うわああああ!来るな!来るな‼︎」

 

 

某日、深夜が賑わう闇の街 東京の歌舞伎町。

1人の店の店員が黒い影に襲われていた。

 

「もう逃げられねえぞ。大人しく逃げるのをやめろ。」

 

闇の中で光る鋭い眼光。

その漆黒の仮面の人物はゆっくりと店員に近づいていく。

 

「ぼったくりはもう辞める!金もあの客に返すから命だけは‼︎」

「貴様はあの客を脅し、金を奪いこの世を汚した。

そんな悪いヤツが、今更命乞い?笑わせるな」

 

その黒い仮面の人物が、手に付いている鋭い爪のような物を振り上げる。

 

「覚えとケ。俺はこの世の悪を全て狩り殺すモノ」

 

 

そして、それが振り下ろされる。

 

「………スレイヤーだ」

 

相手を仕留めた後、その人物は呟いた。

 

「これでまた1つ悪が消えた。仮面ライダーの力、やはり凄い。ジーさんによれば俺よりも先にこの力を手にした人物がいて、今も1人で戦っている……会ってみるカ……」

 

天城隼斗サン………仮面ライダーソニック………。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

数日後、静岡県内浦。

浦の星女学院 スクールアイドル部部室。

 

練習着姿のAqoursのメンバーが全員パソコンの画面を見ていた。

 

『次のニュースです。

○日未明、東京歌舞伎町にて、ぼったくりをしていた飲食店の店員が何者かに襲われる事件が起きました

 

警察によりますと、その店員は、黒くて鋭い武器を持った仮面の人物だった。その姿がまるで仮面ライダーのようだと話していることから、警察は慎重に調べを進めています……』

 

「仮面ライダー、ねぇ……」

「たとえ相手が違法な行為を働く人物だったとはいえ、襲うなどとは物騒な出来事ですわね」

「まさか、地獄から死神が仮面ライダーとなって……!」

「それはないと思う……」

 

冷静に解析するダイヤと善子の発言に突っ込むルビィ。

部活前にパソコンを見ていた隼斗がとあるニュースを見つけた。

なんと、黒い仮面ライダーのような謎の人物が歌舞伎町で傷害事件を起こしたらしい。

 

「隼斗君、何か知らないの?」

「馬鹿いえ。俺が変身するのは黒じゃnんんっ!なんでもない」

 

「ハヤト、風邪?」

「マリーは知ってんだろ」

 

「たとえ隼斗君だとしてもそんなことしないよ!」

「だよね……隼斗は悪いこと嫌いだし。中学の頃も素行不良とかなかったもんね」

 

千歌と曜が言う。

 

「(仮面ライダーか……同じ「悪」を敵とするなら……仲間にできれば………)」

「隼斗さん、どうかしたずら?」

「……いや、なんでもねぇ」

 

 

首を横に振る隼斗。

 

「とにかく!ここは静岡県、東京からは遠く離れてる!

こんな事件が起きる確率は低いから大丈夫だろ‼︎さ、練習行くぞ‼︎」

 

隼斗がそう言って部室を出て行く。

 

「あっ、ちょっと隼斗君!」

 

「ま、隼斗の言う通りかもね。それに、いざとなったら、仮面ライダーさんはこの町にもいるらしいからね。心配はしなくていいでしょ。さ、行こう‼︎」

 

そう言うと、果南も部室を出る。

 

「そうだね!考えるのはやーめた‼︎」

「それじゃ、練習がんばろー‼︎」

 

 

「「「「「「「オー‼︎」」」」」」」

 

 

今日も10人は遅くまで練習に励んでいた。

暗くなるまで一生懸命に。

 

そして、帰ってきた後。

千歌と隼斗は………。

 

「あー今日も疲れたな〜!」

「こっちの台詞だよ。お前間違えすぎだっての……この俺がこの前直々に教えたところも……」

「次は気をつけるよ〜」

「それを何回聞いたのやら……」

 

 

そして、家で旅館の十千万。

 

「ただいま〜!」

「ただいまだぜ〜」

 

「お、おかえり〜」

「あら、おかえりなさい」

 

美渡と志真がいる居間。

 

「今日も遅かったわね。練習?」

「うん。最近はよりハードで……疲れた〜!」

 

「それはお疲れさま。あ、隼斗君」

「ん?なーに、志真姉さん?」

「ある宿泊客の方1人が、君に会いたがってるんだけど……」

「はぁ?客が俺に?一体どんな変わり者だ?俺はいたって普通の高校2年男子だよ?ただここに住んでて、まあ居候みたいなもんだけど……で、その人物の名前は?」

 

そして、隼斗はその客の部屋に向かった。

 

「全く……どんなもの好きだよ、俺に会いたいって………仮面ライダーだってことは一般人にはばれてないし………じゃあ博士の知り合い?まさか……いや、ないな」

 

そして、ふすまをノックする。

てかノックか?こういう場合って……。

 

「はーいお客様、ご指名の天城隼斗でございますよ〜?」

 

しかし、返事が無い。

 

「……失礼しまーす………」

 

恐る恐るふすまを開ける。だが、そこは誰もいなかった。

 

「あれ?間違えたかな……いや、あってるはずだけど…」

 

とその時。

 

「シッ!」

「っ⁉︎」

 

突如謎の影が飛びかかってきた。

隼斗はなんとかギリギリ避けた。

 

「っぶねぇ……」

「完全に気配消してたつもりなんだがな……流石」

「一体なんの真似だ、お前が客か?」

 

その人物は男だった。

見た目的には隼斗より1つ年下か同い年。

髪色は黒にグレーのメッシュ。目付きは鋭く、色は黄色に近い。そして黒いライダースーツを着ていた。

 

「あんたに会いたかったんだ、天城隼斗サン」

「初対面かつ、いきなり襲ってきた奴に気軽に名前は呼ばれたかねえな……」

 

「じゃ、自己紹介すればいいのカ?」

「そういう問題じゃねえけど……まぁいい、改めて名を名乗れ」

 

「俺っちの名前は狩夜憐。15歳」

「年下かよ…俺っち?まあ…いいや。天城隼斗16歳」

「そして、仮面ライダーソニック」

 

憐と名乗ったその少年はなんと仮面ライダーのことを知っていた。

 

「っ!お前何故それを知っている‼︎」

「サテ、どうしてでしょう?」

「質問は受け付けねえぞ……」

「ったく……じゃ、俺っちも仮面ライダー。そう言ったら?」

「なん……だと…?」

 

そういうと彼はポケットから黒いシグナルバイクを取り出した。

 

「それは!」

「俺っちは仮面ライダーになったばかり。だけど、アンタより強い」

「……言ってくれんじゃねえか……表にでな。相手になってやる」

「いいや、今日は止めとくよ。まぁ、俺は敵ではないから安心しナ」

 

「……一応、信じといてやる。ただ、妙な真似はするなよ。俺はロイミュードとの戦いで経験積んでるんだ。お前みたいな新人には負けねえ。………話は終わりだ」

 

そういうと隼斗はその場を立ち去る。

 

「ヤレヤレ……出方間違えたカナ……?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「お、おかえり〜。どうだった?」

「……別に。変わり者だった、とだけ言っとく」

「変わり者?」

「まぁきにすんな!さ、飯にしようぜ。腹減った……」

「ま、いいか!そうだね!今日は何かな〜⁉︎」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『今日からテスト生として通うことになった狩夜憐デス!ヨロシク♪」

 

そいつは学校にやってきた。

で、1年生の教室にて。

 

「まさかまたテスト生が入ってくるとはね……」

「隼斗さんに次いでこれで2人めずら。」

「また男の人……」

 

2年生の教室にて。

 

「グヌヌヌ………!」

「どうしたの隼斗……」

「なんかあの子と会ったんだって、昨日」

 

「「昨日⁉︎」」

 

「ああ、旅館に泊まってた宿泊客。それがあいつだったんだ」

「しかも隼斗君の知り合いらしくて……」

 

「知り合いじゃねえよ!そもそもあいつとは昨日会ったばっかだわ‼︎……それにあいつ……どーも匂うぜ……」

「匂うって、怪しいって事?」

「ああ」

 

そう言うと隼斗は3人を近くに呼び、小声で話す。

 

「実はあいつは……」

 

「「「あいつは………?」」」

 

とその時、突如重加速が発生した。

が、3人にそれぞれシグナルバイクを渡しておいたおかげで4人共影響を受けなかった。

 

「どんより⁉︎」

「近いぜ、向こうからだ‼︎」

 

4人が教室を抜け出し、外に出ると、そこにいたのは

 

「うおああああ!ようやく復活したぜ‼︎」

 

「やりましたね兄貴!」

「まずは手始めにここをぶっ壊しましょう!」

 

023 クラッシュロイミュードと部下の060、074だった。

 

 

「023クラッシュとその部下か……この数なら……進化態には苦戦しそうだが、まぁ問題ねぇ。3人共隠れてろ!」

 

「うん!気をつけて‼︎」

「無理しないでね!」

「隼斗、頑張れ!」

 

3人を隠れさせ、隼斗は三体に向かって走りだしそして、

 

「オルァァ‼︎」

 

飛び蹴りを食らわす。が……

 

「ぐっ⁉︎いってえええ………!」

 

クラッシュはかなり頑丈な身体を持つ個体というのを忘れていた。

 

「なんだぁこいつ?」

「兄貴!こいつ新しい仮面ライダーってやつですよ!ほら前に奴らが言ってた……」

 

「でも兄貴の事を知らずに突っ込んでくるとか馬鹿だな〜!ですよね兄貴!」

「全くだ!せっかくだしお前ら、復活祝いにこいつをぶっ潰すぞ‼︎」

 

「「オオオ‼︎」」

 

「ヘッ!いちち……ぶっ潰されんのは……お前らだ‼︎」

 

隼斗はマッハドライバーMKⅡを装着し、パネルを上げる。

そして、左手でシグナルソニックをセット!

 

 

《Signal Bike!》

 

待機音が鳴り、隼斗はポーズを決め、いつものあのセリフを叫ぶ。

 

「Leady……変身‼︎」

 

そして、パネルを下げるとマフラー部分からスパークを纏った青色の炎が噴き出す。

 

《Rider!Sonic‼︎》

 

そして、いつものエフェクトと共に、隼斗はソニックへと変身した。

 

 

「来たー‼︎仮面ライダーソニック‼︎」

 

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎仮面ライダー……ソニック‼︎‼︎」

 

 

そして、飛んできたゼンリンシューターBSを右手に持つ。

 

「お前ら行くぞ!」

「「おお‼︎」」

 

クラッシュが言うと、三体共ソニックに向かってくる。

 

「クラッシュは後回しとして……まずは手下からやるか!トップスピードで行くぜ‼︎」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

ブーストイグナイターを連打しシフトアップ。

ゼンリンシューターを構えて走り出した。

 

 

 

「………サテ、お手並み拝見、かな?」

 

その様子を憐が陰から見ていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

《ゼンリン!》

 

「せあああっ‼︎」

 

「痛っ⁉︎」

「うおあっ⁉︎」

 

060と074をゼンリン攻撃で上にふっ飛ばし、

 

「そらそら‼︎」

 

射撃で更に追撃する。

 

「いてて……」

「兄貴〜こいつ結構強いですよ〜!」

 

「ヌゥゥゥ仕方ない!俺が相手だぁぁぁ‼︎」

 

クラッシュがハンマーのような腕を振り回しながら攻撃してくるが、ソニックは自慢のスピードで全て回避。

 

「無理無理〜。そんなスピードじゃ俺には追いつけないぜ〜?」

「おのれちょこまかと〜‼︎」

 

《ゼンリン!》

 

「よっ!ほっ!カウンターっ‼︎」

 

ゼンリン攻撃を繰り出すが、効果は今ひとつ。

 

「って効いてねえ⁉︎」

「なんだよその程度か〜⁉︎」

「(しまった!ソニックはスピード重視のライダー、パワーがイマイチ劣るんだったあああ‼︎)」

 

「スキありぃ‼︎」

 

心の中で叫んでた隙にクラッシュの重い一撃が炸裂した。

 

「ぐおああああっ⁉︎」

 

「「隼斗君⁉︎」」

「隼斗!」

 

それを喰らったソニックは地面を転がる。

 

「っててて…まずいな、パワーが無いんじゃジリ貧だ……これを突破できるのはドライブだとワイルドクラスのパワー……だけどタイプチェンジはソニックには今ねえし……どうしたもんか…」

 

「止めだ!」

 

「やっちゃえ兄貴!」

「これで勝ちだ〜‼︎」

 

ロイミュード達は勝利を、ソニック達は敗北を確信した、その時。

 

「待ちな‼︎」

 

陰から見ていた憐がクラッシュ達とソニックの前に現れた。

 

「憐!」

 

「「「憐君⁉︎」」」

 

「なんだお前⁉︎ただの人間が俺たちの前に立ち塞がるのか?」

「ただの?……今ただのって言ったか?その答えは………ノーだ」

「憐……逃げろ……!こいつらは……俺が……‼︎」

「ハーさんは見てろって。見せてやるよ、俺っちの……真の姿を‼︎」

 

そう言って憐が取り出したのはなんと………

 

 

「それは⁉︎」

 

「「「嘘⁉︎」」」

 

 

なんと、マッハドライバーだった‼︎

 

「まさかそれ……MKⅡか?」

「正解だ。俺も、あの人からこれを貰ったんだ」

「なんで…お前がそれを……?」

 

「話は後。バトンタッチだ、ハーさん。いや、仮面ライダーソニック」

 

憐はそれを腰に装着。そして、ポケットから黒いシグナルバイクを取り出した。

 

「………変身」

 

そう言うとパネルを展開。シグナルバイクをセットする。

 

《Signal Bike!》

 

チェイサーと同じ変身待機音が流れる。

そして、憐は握りしめた右手でパネルを下ろした。

 

《Rider!Slayer‼︎》

 

その後開いた右手を高く上に挙げ、そのまま振り下ろして体の横に。

チェイサーと似たようなエフェクトと共に、彼は黒ずくめの仮面ライダーへと変身した。両手に装備された鋭い爪。そして背中には仮面ライダーチェイサーと同じようなタイヤが付いていた。

 

 

「黒い……仮面ライダー………⁉︎」

 

「れ、憐君が………変身した⁉︎」

「隼斗以外にも仮面ライダーが………?」

「なんて禍々しい姿………!」

 

 

 

「な、なんだお前⁉︎」

「新しい仮面ライダーが!」

「何者だ⁉︎」

 

そう言うと憐は……否、漆黒の仮面ライダーは答えた。

 

「俺っちはこの世の悪党、魑魅魍魎。全てを狩り殺す闇の戦士。

仮面ライダースレイヤーだ‼︎」

 

「仮面ライダー……スレイヤー………?」

 

 

「ええいどうでもいい!お前ら行くぞ‼︎こっちの黒いのを潰せええ‼︎」

 

「はい兄貴!」

「覚悟しろ真っ黒ライダー!」

 

 

060と074が向かってくる。

 

「雑魚が……」

 

スレイヤーも両手のクローを構え、地面を踏み込んで接近し、クローで切りつける。

 

「ぐあああ⁉︎」

「うわああっ⁉︎」

 

そして、パネルを上げてイグナイターを押しまた下げる。

 

《ヒッサツ!フルスロットル!スレイヤー‼︎》

 

「………ハンティングエンド」

 

エネルギーを纏ったクローで回転切りを繰り出す。それを喰らった2体を撃破。

 

「うわああ!」

「兄貴!」

 

「お前ら〜‼︎おのれよくも!うおあああ‼︎」

 

ハンマーのような腕を振り回し再び突っ込んでくるクラッシュロイミュード。だが、スレイヤーは冷静だった。

 

《ヒッサツ!フルスロットル!スレイヤー‼︎》

 

再びフルスロットルを発動。

クローを引っ込めて右足に力を込める。

 

「はあああ‼︎」

 

そして、飛び上がってライダーキックを放った!

 

「スレイヤーブレイク‼︎」

 

黒く鋭いエネルギーを纏った右足での一撃が、クラッシュの頑丈な体を貫いた。

 

「ぐおおおあああああ‼︎」

 

 

そして、コア諸共爆散。撃破した。

 

 

「つ、強い……!」

 

それを見ていた3人も……

 

「あ、圧倒的すぎる……!」

「黒い仮面ライダー強い……!」

 

「すごい……かっこいい‼︎」

 

2人が驚いているのに対し、千歌は1人感動していた。

 

 

そして、戦闘後………

 

2人は同時に変身を解いた。

 

《オツカーレ!》

 

《オツカーレ!》

 

「おい!俺出番なかったじゃん‼︎」

「仕方なかったろハーさん。相手は防御力が高すぎて速さ重視なソニックじゃ敵わなかったんだから」

「否定できないのが悔しい……!」

 

「おーい!隼斗君!憐君‼︎」

 

そこに、千歌達が駆けつける。

 

「2人共怪我は?」

 

「問題無し」

「無傷」

 

「2人共ナイスファイト!」

 

「ヘヘヘ〜!マァネ〜♪」

「こいつ、案外やり手だな……」

 

そしてその数日後。

千歌は何を考えたか憐を部室に呼び出した。

 

「あのさ、憐君!スクールアイドル部に入りませんか⁉︎」

 

千歌が突然憐に言った。

 

「ふぇ?」

「ちょい待て千歌!後輩だぞ⁉︎」

「それに彼はスクールアイドルが好きかどうかも……」

 

「マジ!?俺っちスクールアイドル大好き!まぁアイドル向いてネーからマネージャー志望デ」

「マ ジ か よ」

 

「せっかくお誘いしてもらったし、ハーさんもいるし……入ろうかな?」

 

「本当⁉︎やったあああ‼︎」

 

「また騒がしくなりそうだね」

「よろしくずら〜」

「一緒にがんばルビィ!」

「またリトルデーモンが増えるわね。」

 

「というわけでハーさん、よろしくナ☆」

「だからハーさん言うなぁぁぁぁぁ‼︎」

 

こうして、スクールアイドル部、Aqoursに新たな仲間、憐が加わったのであった。

 

次回に続く!

 

次回、サンシャインサーガ‼︎

 

「夏休みだぁぁぁぁ‼︎」

 

「合宿しようよ!」

 

千歌の提案で合宿をすることになったAqoursの11人。

だが、色々と問題発生⁉︎

 

「堕天使の涙……!」

「アンビリーバボ……シャイ煮……!」

 

てか問題は主にこの2人。

そしてもちろん!バトルあり‼︎

 

「行くぜハーさん!」

「もうそれでいいわ……!行くぜ憐‼︎」

 

 

ソニックとスレイヤー、共闘‼︎

 

次回 シャイ煮とはなんなのか?〜真夏の合宿〜

 




第15話完成!そして、新キャラ登場!
ということで軽く解説。

狩夜 憐 (かりや れん)

本作における2号ライダー。
一人称は俺→俺っち

アメリカでハーレー博士にもう1人のライダーとして抜擢されトレーニングを積んだ後、内浦に来る前は正体を隠しライダーとしての力を使い東京都内に存在する悪質な店を襲っては潰し回っていた少年。

見た目は髪色は黒にグレーのメッシュ。
目付きは鋭く、色は黄色に近い。そして黒いライダースーツを着ていた。


・性格など

やってることの横暴さとは裏腹に普段は仲間達の前では年相応に明るく接し、まるで凶気を感じさせないがいざ戦闘になると高い実力を発揮。
彼曰く隼斗より力は上。


・変身ライダー設定

《SignalBike!Rider!Slayer!!》

仮面ライダースレイヤー

スペック
パンチ力 19.0t
キック力 26.0t
ジャンプ力 44m
走力100mを4秒

狩夜憐がマッハドライバーMk-IIにシグナルスレイヤーをセットする事で変身するライダーでモチーフは黒い狼。

そして、背中には仮面ライダーチェイサーと同じようなタイヤが付いている。


・性能面
ソニックと異なり機動力こそ劣るものの、腕に3本ずつ黒い爪の専用装備『スレイクロー』を装備し、ソニックのように専用武器を持たずとも戦うことができる。

クローを用いた野生的な戦い方を得意としており、接近戦に長けている。



必殺技
両手の専用武装『スレイクロー』を使い敵を切り裂く
ハンティング・エンド


右足にエネルギーを纏い敵を撃ち砕くライダーキックを放つ
スレイヤー・ブレイク

それでは次回もお楽しみに!感想、評価等お待ちしてます‼︎


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第16話 シャイ煮とはなんなのか?〜真夏の合宿〜

どうも皆さん!
サンシャインサーガシリーズ、ついにUA6000件突破しました‼︎ここまでこれたのも皆さんのおかげです!ありがとうございます‼︎

さて、今回からは合宿回!新たな仲間、スレイヤーこと憐を加え、Aqoursはこれで合計11人になった。
今回はどうなるのやら?

それでは本編、Start your engine‼︎


 

前回の!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 狩夜 憐

 

内浦にやってきたこの俺、狩夜憐。

そこで俺は、探していたもう1人の仮面ライダー、ソニックこと天城隼斗サン、ハーさんに出会った。

 

そして、俺っちもハーさんと同じく浦の星のテスト生として1年生に編入した。

そして、編入早々事件発生!

 

「うおおおお!」

 

クラッシュロイミュードとその部下達が学校に現れた!

ハーさんがソニックに変身して戦うも、そのパワーと硬さに苦戦を強いられる。

そんなピンチに現れたのが………

 

「俺っちはこの世の悪党、魑魅魍魎。

全てを狩り殺す闇の戦士。仮面ライダースレイヤーだ‼︎」

 

この俺っちが変身する、仮面ライダースレイヤー‼︎

 

ソニックとは打って変わって、こちらは鋭い武器である、スレイクローを用いたパワーファイトで、クラッシュ達を翻弄。

フルスロットルの2段攻撃で単独撃破‼︎

 

そして俺は千歌先輩に誘われて、

この学校のスクールアイドル部Aqoursの一員となった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ある日の夜。

千歌と梨子はLI○Eのアプリで次の新曲に関する話をしていた。

 

『歌詞は?』

 

『ゴメン!明日には必ず……』

 

(泣き顔の犬スタンプ)

 

梨子はため息を吐き……

 

『そのスタンプ見飽きた』

 

(テヘッという顔をした犬スタンプ)

 

『そんなもの用意する暇あったら歌詞書いて』

 

(怒ってる幽霊っぽいキャラのスタンプ)

 

 

そんな会話中に、梨子の元に一通のメールが届いた。

 

『出場登録期限のお知らせ

 

※このメールではピアノコンクールについて

ご案内させて頂いております。

 

桜内 梨子様

この度、開催されますピアノコンクールの出場登録期限が迫っておりますので、お知らせ致します。

ご確認の上、当事務局までご連絡頂けますでしょうか。』

 

 

 

それを見た彼女は……………

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

そして、その次の日っ‼︎

 

屋上にて

 

 

「暑〜い‼︎」

「ずら〜!」

「天の業火に闇の翼が焼かれて……」

 

「その服やめたほうがいいんじゃ……」

「天って俺の事か?」

「いやハーさんじゃねえだろ。確かに苗字に天の漢字あるけど」

 

「どうしたんですか?全員集めて……」

 

曜がダイヤに尋ねた。

 

「フッフッフッ……さて!今日からいよいよ夏休み!」

「summer vacationと言えば〜⁉︎」

「はいあなた!」

 

ダイヤが千歌を指す。

 

「やっぱ、海かな?」

「夏休みは、パパが帰ってくるんだ!」

「マルは、おばあちゃんちに……」

 

「数年前の夏って確か、第2の(回数的に)108のグローバルフリーズ未遂事件あったよな……」

「ハーさん声……」

 

「夏コミ‼︎」←善子

 

と、みんな個性的(2人はマジ)な答えを言う。

その答えにダイヤさんは…………

 

「ブッブー‼︎ですわ‼︎」

 

と、大きな声で言った。

この人最初のキャラどこ行ったの本当に………。

 

「あなた達それでもスクールアイドルなのですか⁉︎」

 

「「俺(俺っち)たちスクールアイドルじゃないぞ?」」

 

「ハモらないでよろしい‼︎片腹痛い、片腹痛いですわ!」

 

 

 

そして、部室にて。いや〜暑かった………。

 

そして、ダイヤが何やら大きな紙をホワイトボードに貼り付けた。

 

「だったらなんだっていうんです?」

「いいですか皆さん、夏と言えば!はい、ルビィ!」

 

「ん〜多分、ラブライブ!」

 

「流石我が妹、可愛いでちゅね〜よくできました〜!」

「がんばルビィ!」

 

ダイヤがルビィの事をべた褒めしている。

こやつもシスコンか……

 

「何この姉妹コント……」

「コント言うな!夏と言えばラブライブ!その大会が開かれる季節なのです‼︎」

 

そして、ダイヤはホワイトボードにある紙を指差す。

ルビィちゃん、あら危な……頭を下げれば大丈夫。

 

 

「ラブライブ予選突破を目指して、Aqoursはこの特訓を行いますわ!これは、私が独自のルートで手に入れた、μ'sの合宿メニューですわ」

「すごい!お姉ちゃん!」

 

「遠泳10キロ……」

「ランニング15キロ……」

「こんなの無理だよ……」

 

 

「ま、なんとかなりそうね」

 

「「「ええっ⁉︎」」」

「流石だぜ姉ちゃん」

 

「熱いハートがあればなんでもできますわ!」

「踏ん張ルビィ!」

 

ダイヤさん、どこの熱血な修○ですかあんたは。

 

「なんでこんなにやる気なの……?」

「ずっと我慢してただけに、今までの思いがShinyしたのかも」

 

「「「「「「「「ああ……(察し)」」」」」」」

 

「何をゴチャゴチャと!さあ、外に行って練習しますわよ!」

 

ダイヤがそういうも、この猛暑である。

外に出ようとしないメンバー達。

 

「そ、そういえば千歌ちゃん!海の家の手伝いがあるって言ってなかった⁉︎」

「あ!そうだ!そうだよ!自治会で出してる海の家を手伝うように言われてるのです‼︎」

 

「あ、私もだ」

「俺も」

 

「そんな〜!特訓はどうするんですの?」

「残念ながら…そのスケジュールでは……」

「もちろん、サボりたいわけではなく……」

 

一瞬ダイヤさんの表情がすごく怖くなった。

そして、鞠莉が1つ提案をしてきた。

 

「じゃあ、昼は海の家手伝って、涼しいmorning&eveningに練習をすればいいんじゃない?」

 

「それ賛成ずら!」

 

「それでは練習時間が……」

「まあそうなるよな……みんな休み中とはいえ、パッとは集まれないし……(距離的問題)」

 

「じゃあ、せっかくの夏なんだし、うちで合宿しない?」

 

「「「「「「「「「「合宿?」」」」」」」」」」

 

「ほら、うち旅館でしょ?頼んで一部屋借りれば、みんな泊まれるし。」

「憐は俺の部屋くりゃいいしな」

「そうか!千歌ちゃんちなら、目の前が海だしね」

「移動が無い分、早朝と夕方、時間とって練習できるしね」

 

「千歌にしてはいいアイデアだ。千歌にしては」

「隼斗くん馬鹿にしてる?」

 

「でも、急にみんなで泊まりに行って大丈夫ずらか?」

「なんとかなるよ!じゃあ決まり!」

 

 

そして、帰り。

 

「それでは明日の朝4時、海の家に集合ということで」

 

 

「「「「「「「「「お、お〜…」」」」」」」」」」

 

 

「なあハーさん!」

「ん?どうした、憐?てかハーさんやめろし」

「俺、ちょっと買いたいものがあってさ〜。沼津まで行くんだが一緒にどうだ?」

「別に構わねえが……。千歌、先帰っててくれ!」

「うん、分かった!梨子ちゃん、帰るよ!」

 

千歌が梨子を呼ぶが、何やら考え事をしてるようだ。

 

「梨子ちゃん?」

「あ、ううんなんでも無いよ!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、一方の隼斗&憐コンビ。

 

「それにしても、憐も仮面ライダーって事は専用のバイクあるのか?」

「モチ!付いて来て‼︎」

 

憐に引っ張られて連れてこられたのは学校の裏側。

そこにあったのは………

 

「……これか?」

「おう!」

 

スレイヤーのようなガンメタブラック?がベースカラーのバイクがあった。ライドチェイサーに酷似しており、骸骨の代わりにヘッド部分には狼の飾りが付いていた。

 

前輪部分に施された装飾は、狼の前足と鋭い爪を彷彿とさせる。

 

「これもなんか見た目が物騒だなぁ……」

「俺っちの専用バイク。その名もライドスレイヤー。

飾りとかは俺っちの趣味だ、いいだろ?」

 

「いいとは……言えねえなぁ……」

「え〜⁉︎カッコいいだろ〜?」

「俺のライドソニックの方が数倍いいね!」

 

「あれライドマッハーを青くしただけダロ?」

「それ言うなし!」

 

その後、沼津の方に出て憐の買い物に付き合わされた。

本とか最新のゲーム見たりとか………。

 

で、翌日‼︎

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いやー平和ですナァ」

「確かに。ロイミュードも今はいねえし。今は」

「ハーさんフラグ立てんなよ」

 

俺たちは海に来ていた!が……

 

「結局遊んでばかりですわね……。」

「ま、俺っちこうなる事は分かってたケド」

 

「朝4時に来たらマル以外、誰もいなかったずら」

「当たり前よ。無理に決まってるじゃない」

 

砂浜にいるのは、梨子、ダイヤ、善子、花丸、そして隼斗と憐。

 

ちなみに隼斗と憐は共通して下には黒の水着、そして上にはライダーのRマークの付いたラッシュガードを羽織っている。隼斗が青色、憐は黒色。

 

「まぁ練習は後でするとして、手伝いは午後からって言ってましたよね?」

「らしいな」

 

「はて、そのお店はどこに………?」

 

俺たちの近くには、ボロボロの建物が。

どうやら……これのようだ……。

 

「現実を見るずら」

 

「ボロボロ……」

 

「それに比べて、向こうは……」

 

曜がそう言って見る先には、もう1つの海の家が。

向こうにはお客が沢山来ている。

 

「すっげえなぁ……」

「イマドキって感じだなありゃ……」

 

「なら、こっちも対抗するまでよ!」

「どうしたマリー、急に熱くなって……」

 

「私達は、ラブライブの決勝を目指しているんでしょう?あんなチャラチャラした店に、負けるわけにはいかないわ‼︎」

「鞠莉さん……あなたの言う通りですわ‼︎」

 

で。

 

「「これ…何?」」

 

千歌と梨子が、何やら箱らしきものを身につけていた。

ダイヤさん曰く、客寄せの宣伝の為なんだと。

 

「どうしてあんなに熱くなってんの……?」

「ちょっと昔に色々あって……」

「その色々を聞きたいゼ…」

 

「果南さん!」

 

そう言うと、屋根から飛び降りるダイヤさん。

砂浜とはいえ痛くねえの?

 

「さあ、果南さんはこのチラシを!

商売もスクールアイドルも、大切なのは宣伝‼︎あなたのそのグッラマラスな水着姿でお客を引き寄せるのですわ!他のジャリ共と他2人は女の魅力に欠けますので…」

「な、なんか顔怖いよ?」

 

「ジャリって何?」

「知らない方がいいと思う」

 

「他2人ってなんだ他2人って……」

「まぁ俺ッチ達男だしな。逆効果だろ」

 

「でもまあ、果南姉ちゃんを選んだのはいい人選だ。あの超が付くほどのスタイル……本当すげえよ……」

「ハーさん、カメラしまえ」

 

「そして鞠莉さん、曜さん、善子さん!」

「ヨハネ!」

 

「あなた達は料理を担当してもらいますわ!」

「はぁ……」

「都会の方々に負けない料理で、お客のハートをわしづかみにするのですわ‼︎」

 

「堕天使の腕の見せ所ね。」

「面白そう!」

 

 

「よーし!全員一丸となって、この海の家を繁盛させるぜ‼︎Aqours‼︎」

 

「「「「「「「「「「サンシャイ……」」」」」」」」

 

隼斗とみんなが掛け声を上げようとしたその時、突如発生した重加速。

だが、隼斗と憐、そしてシグナルバイク達を持つ2年生組は影響を受けなかった。

 

「重加速!」

「ハーさん近いぜ!すぐとな……」

 

とその時、近くで爆発音が聞こえた。

 

「チッ!憐!」

「言われなくとも‼︎」

 

『ちょ、ちょっと隼斗〜⁉︎』

 

『憐さんまでどこへ行くんですの〜⁉︎』

 

『ハヤトカムバーック!』

 

そして、2人が外に出るとそこには2体の死神ロイミュードがいた。

隣の海の家で暴れていた。

 

「まちやがれ!」

「喰らえっ‼︎」

 

隼斗と憐が同時に飛び蹴りを喰らわす。

それと同時に隼斗は隠し持っていたゼンリンシューターBSを連射して撃った。

 

すると重加速が解けたのか、1年生組、3年生組が出てきた。

 

「一体なんの騒ぎですの⁉︎」

「か、怪物⁉︎」

「(Roimyud……)」

 

「馬鹿!みんな隠れて……」

 

とその時、死神ロイミュードの一体が腕のガトリングを連射してきた。

 

「あぶねっ!」

「おっと!」

 

隼斗と憐は宙返りをしながら避ける。

 

「隼斗さん、憐さん!どうするんですの!」

「決まってんだろ!これ以上被害が出る前に止める!ハーさん‼︎」

「任せ……っ!」

 

憐がドライバーを出し、隼斗もドライバーを出そうとするが、今この場には果南がいた。

 

「どうしたハーさん!まさかドライバー忘れたとかじゃねえよな⁉︎」

「あるよ!あるけど……!今は姉ちゃんが……!」

「姉ちゃん……⁉︎ああ……果南サンか…そういやハーさん正体知られたくないんだっけ?果南さんだけには……」

 

「危険に晒したくないけど……だけど……‼︎」

 

すると憐が隼斗に近づいて言った。

 

「あの人ならこう言うぜ。人間を守るのが仮面ライダーの使命ではないのか⁉︎ってナ」

「憐……。」

「遅かれ早かれ正体バレんなら今にしとけ!それで守り抜け!本当に大切なものを‼︎」

 

「まさか後輩に説教されるとはな……」

「元気付けと言ってくれ。さあ、行くぜハーさん‼︎」

「おうよ!憐‼︎」

 

2人が同時にマッハドライバーMKⅡを装着する。

 

「隼斗……?」

「憐さん…?」

 

「姉ちゃん、見ててくれ。俺の……俺たちの‼︎」

 

 

2人がパネル部分を展開し、それぞれシグナルソニックと、シグナルスレイヤーをセットする。

 

《Signal Bike!》

 

《Rider!》

 

《Sonic‼︎》

《Slayer‼︎》

 

2つのドライバーが一定周期で青色と赤色の炎を吹く。

そして2人はそれぞれ、変身前のポーズをとる。

 

「Leady!」

 

「「変身‼︎」」

 

そして2人は、蒼い仮面ライダーと漆黒の仮面ライダーへそれぞれその姿を変えた。

 

「フッ!」

「フン…」

 

「隼……斗……?」

「キタ!久しぶりの‼︎」

 

「隼斗さんと憐さんが、変身……⁉︎」

「これって現実なの?というか、隼斗さんは分かるけど、なんで憐まで変身してるのよ⁉︎」

 

「未来ずら!未来ずらよルビィちゃん‼︎」

「黒い仮面ライダーさん……?」

 

 

死神ロイミュードコンビも、それを見て戦闘態勢を取る。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!

この世の総てをトップスピードでぶっちぎる!

仮面ライダー…ソニック‼︎」

 

「この世の悪党、魑魅魍魎!全て狩り殺す闇の戦士。

仮面ライダースレイヤー‼︎」

 

ソニックとスレイヤーが専用武器のがゼンリンシューターBSとスレイクローを構える。

 

 

 

後編に続く‼︎

 

 

 

次回、サンシャインサーガ‼︎

 

「シャイ煮、complete……」

「堕天使の涙……!」

 

これ、料理なのか……?

 

「まさか隼斗が仮面ライダーになるなんてね。」

「姉ちゃん、黙っててゴメン……」

 

ついにAqours全員に正体を明かした隼斗、憐。

そして隼斗は自分の覚悟、思いを果南にぶつける。

 

そして、千歌は悩んでいた梨子に、ピアノに対する思いへの答えを出すように言う。

彼女が出す答えとは……?

 

 

次回 シャイ煮とはなんなのか?後編〜答えと思いの交錯〜

 

 





今回はここまで!え?すごく中途半端だって?
気力が尽きました。次回しっかりやります‼︎

さて、ちなみに今後の予定ですが、このシャイ煮回終了後か、友情ヨーソロー回終了後に、予告していたコラボ編をやります‼︎
嘆きの妖精さんのゴーストサンシャインとのコラボです‼︎
(ストーリーなど企画中)

そちらもぜひお楽しみに!それでは次回もお楽しみに‼︎
感想、評価等お待ちしてます‼︎


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第17話 シャイ煮とはなんなのか?後編〜思いの交錯〜


どうも皆さん!
さて、サンシャインサーガ第17話!シャイ煮回後半です‼︎
ついに正体を明かした隼斗と憐、そして二体の死神との戦いの行方は⁉︎

それでは本編、Start your engine‼︎


 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 松浦果南

 

夏休みに突入し、私達Aqoursはその一環として海の家の手伝いをすることに。

海を満喫していた私達。

 

そして、海の家の手伝いもしようとしていたその時、突如どんよりが発生!

 

しかも、隼斗と憐君が目の前で………

 

「Leady!」

 

「「変身‼︎」」

 

隼斗は前に見た青色の仮面ライダー、憐君は黒い仮面ライダーに変身!でも、一体どうして……?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「悪は撃滅!正義は不滅!

この世の総てをトップスピードでぶっちぎる‼︎

仮面ライダァァァァ〜!ソニック‼︎」

 

「この世の悪党、魑魅魍魎、全てを狩り殺す闇の戦士。

仮面ライダー、スレイヤー!」

 

 

いつもの(憐は二度目)の決め台詞を決め、それぞれの武器を構える2人。

 

「隼斗!どうして隼斗が……!」

「果南、下がってた方がいいわよ。ああなったハヤトは、本気だから」

「鞠莉、もしかして隼斗が仮面ライダーだって知ってたの?」

 

その言葉に、鞠莉は頷くことも答えることもなかった。

 

「と、とにかく皆さん!あちらのお客さんを連れて逃げるのですわ!」

 

「わ、分かりました!曜ちゃん!」

「任せて!隼斗!憐君!ロイミュードは任せたよ‼︎」

 

 

「任せろ!」

「行くぜハーさん‼︎」

「おうよ!最初から飛ばしてくぜ!ついて来い‼︎」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

隼斗(ソニック)はいつも通りいきなりのシフトアップ。

そして、その勢いで死神ロイミュード二体に迫る。

 

「やれやれ……究極の短期決戦タイプとは聞いていたが…仕方ない、付き合いますか!」

 

《ズーット!スレイヤー‼︎》

 

憐も同じくシフトアップ!ソニックには劣るが、スピードを上げて追いつく。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「喰らえ!」

 

《シューター!》

 

『ッ!!』

 

ゼンリンシューターBSで牽制しつつ………

 

「セアア‼︎」

 

 

スレイヤーがクローで斬撃を繰り出す!

 

「ハーさん!」

 

《Signal Bike!Signal koukan!

cho Kakusa−n‼︎》

 

相手が怯んだところで、ソニックはシグナルバイクをカクサーンⅡに交換。

 

《シューター!タクサン!超・カクサーン‼︎》

 

 

さらにイグナイターを連打し、弾の数をより増やす。

その隙に……

 

「ハーさんこれ借りるよ〜?」

 

憐(スレイヤー)の右手には何故かシグナルキケーンⅡがあった。

 

「えっ!ちょ、お前それ使えねえだr」

 

 

《Signal Bike!Signal koukan!Cho Kike−n‼︎》

 

 

何故か憐のドライバーにもソニック専用だと思われていたシグナル交換用のシグナルバイクが使用できた。

 

交換の一瞬だけ、キケーンのアビリティクレストが浮かび上がった。

 

「俺ッチのは、ハーさん以上に危険だぜ!」

 

《トテモ!超・キケーン‼︎》

 

イグナイターを連打し、スレイヤーが両手を砂浜に突き刺す。

すると、そこからソニックが使用した時とは違う、より凶暴そうな見た目の魔獣が三体出現した。

 

『ガオオオオオオオ‼︎』

 

「えっ、なんで俺の時以上に怖くなってんのこいつら…」

 

その見た目の変わりように驚きを隠せないソニック。

呆然としていた。

 

そしてその魔獣達は一切に死神ロイミュードの元へ。

刺々しいボディで体当たり、ガブガブと噛みつき攻撃。

ロイミュードじゃなければ地獄絵図。

 

 

「ヘヘーン!だーから言っただろ?んじゃハーさん、あとヨロシク」

 

「はいはい。全く…暴れるだけ暴れてあとは俺任せかよ」

 

隼斗はそうブツブツと文句を言いながらもシグナルバイクをシグナルソニックに変更し特殊弾を死神に向けて放つ。

 

「さーて、キメるぜ‼︎」

 

《ヒッサツ!》

 

シグナルソニックをゼンリンシューターにセットし、前輪を回す。

 

《フルスロットル!ゼンリン‼︎》

 

「シューティング・ソニック‼︎」

 

 

今度は巨大ビーム弾ではなく、ブラスターに近い必殺射撃を放った。それで片方の死神は倒し、コアを破壊した。

 

「っしゃあ!」

「残りあと1匹!」

 

隼斗と憐が後の一体も倒そうと近づくがそこに突如乱入者が!

 

2人の前に降り立ったのは、全身マント姿の謎の怪物。

おそらく仲間のロイミュードだろう。

そいつが立ち塞がった。

 

「新手か……!」

「やれやれまたかよ……」

 

そして、その謎のロイミュードが手に持っていたのは、

ロイミュードの体のベースとなるシフトカーサイズの金属「バイラルコア」だった。

 

「バイラルコア!」

「まさかあいつ!」

 

それを死神ロイミュードに投げると、それは吸収され、

死神ロイミュードはバット型巨大ロイミュードに変化してしまった。

 

 

『ギャアアアアア‼︎』

 

 

「ウッソだろおおおお⁉︎」

「ハーさんどうすんだこれ⁉︎」

「俺に質問するなあああ‼︎」

 

そう、この2人は巨大変化したロイミュードとの戦闘経験が無い。そのせいでお互いパニクっている。

 

そうしてる間にバット巨大ロイミュードはビーム弾らしき攻撃をしてきた。

 

「ぐああああ!」

「うわああああっ⁉︎」

 

 

そして一度攻撃をやめると、そいつは海岸を飛び去る。

だが、飛び去る方角は沼津の方面。

そう、人が集まる市街地だ。

 

「あいつ、街の方へ行くつもりだ!」

「でもハーさん!俺たちでどうやって……!」

「知るか!不測の事態が起きた時、対策は戦いながら立てる‼︎それが俺だ‼︎」

「ったく、ハーさんらしいな!とりあえず、バイクで追いかけるぜ!」

 

 

そして2人はそれぞれライドソニックとライドスレイヤーでロイミュードの後を追う。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「止まれぇぇ‼︎」

「オラオラオラ!」

 

ソニックはライドソニックに乗りながらゼンリンシューターで銃撃、スレイヤーはライドスレイヤーの特殊な針状弾で攻撃する。

 

だが、巨大化したせいか攻撃が全然通じない。

 

「全然効いてねえぞ!」

「むしろスルーされてるし!」

「くっそどうすれば………ん?」

 

悩むスレイヤーだが、突然バイクのディスプレイにActiveの文字が映っていた。

そこにはライドスレイヤーとライドソニックも一緒に映っている。

 

「これは……ハーさん!」

「ああ?んだよいきな……画面がどうか……お?」

 

ライドソニック側にも全く同じ画面が映っていた。

 

「ハーさん、合わせろ!」

「合わせろって何を……」

「スピードだ!俺側と並走するように‼︎」

「………OK!」

 

そして2人のバイクは並列に並び走る。

スピードもお互いにほぼ同じにすると、憐がパネルを操作する。すると2人のバイクが突然自動で動き、2人が振り落とされそうになる。

 

「お、おいちょっと大丈夫かよこれ〜⁉︎」

「だ、大丈夫だ、問題n」

「おいバカやめろ!」

 

すると、2人のバイクが合体して一台のマシンに。

2人はライドソニックの後部が変形したコクピットらしきものに放り込まれた。

(ライドクロッサーっぽく合体したのをイメージ)

 

「っあいて!」

「ゲフッ!」

 

前にソニックが、後ろにスレイヤーが搭乗した。

2人のそれぞれの席には、まるであのガ○ダムのような操作レバーが出てきた。

 

「いてててて……!」

「ハーさん大丈夫か……?」

 

「なんとか、な……。それよりこれって……」

「俺ッチ達のバイク、どーも形がそっくりだろ?それにさっきの画面、もしかしたらと思ってさ。」

 

そう言って操作レバーを握るスレイヤー。

 

「まるで、ライドクロッサーみたいだな」

「ハーさん、このマシン、なんて名前付ける?」

「ライドクロッサーⅡは安直すぎるから……そうだな……ライドX(エクス)ガンナー(仮)でどうだ?」

 

「(仮)ってなんだよ……」

「だって正式名称分からないだろ?」

「まぁ……確かに……」

 

「というわけでとりあえずそう呼ぼう!あとから正式名称を博士に聞く!さあ行くぜええ‼︎」

 

ソニックも左右両方の操作レバーを握り、Xガンナーを

走らせる。

 

「よーっし!ぶっ潰すぜ‼︎」

 

スレイヤーも自分の所のレバーを握り、追跡再開!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「オラオラ!」

 

ライドXガンナーのビーム武装、「エクスブラスター」で空を飛ぶロイミュードを撃ち墜とそうと連射する。

 

さっきとは違い、攻撃がよく効いている。

 

「すげえぜハーさん!攻撃めっちゃ効いてる!」

「まだまだ!憐!お前も撃て‼︎」

「ホイサ!」

 

スレイヤーも自分の所のレバーを操作しビーム弾を連射する。

主砲のエクスブラスター、そしてサブのビーム弾が効いたのか、ロイミュードはその速度と高度を一気に下げた。

 

それを見計らい、エクスガンナーからライドクロッサーと同じワイヤーらしきものが発車され、巨大バットロイミュードを捕らえる。

 

「決めるぞ憐!Wライダーキックだ‼︎」

「了解‼︎」

 

そうすると2人はライドエクスガンナーから飛び出し、必殺技の体勢に。

 

《ヒッサツ!フルスロットル!ソニック‼︎》

 

《ヒッサツ!フルスロットル!スレイヤー‼︎》

 

 

「「ライダー!!ダブルフルブレイク‼︎‼︎」」

 

ストリームソニックとスレイヤーブレイク、2つが1つとなった必殺技が巨大バットロイミュードを貫く。

 

コアも破壊され、2人はライドエクスガンナーに着地した。

 

 

「フゥ……」

「やったな憐!にしてもお前よく気がついたなあこのシステムに!」

「俺ッチも気がついたのは突然だった。しかしこれが逆転の切り札になるとは……」

「まぁ終わりよければ全てよしっていうしな!」

 

そう言うと2人のエクスガンナーが再び二台のバイクに分離した。

 

「あ、戻った。」

 

 

《オツカーレ!》×2

 

それと同時に2人も変身を解いた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『仮面、ライダー………』

 

影から2人も見つめる一体のロイミュード。

その体はマントで包まれており、隙間からナンバーのみが見えていた。

0が2つ…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、海の方に戻ると、みんなが待っていた。

気づけば陽も沈みかけており、なんか夏休みの一日を潰された気分。

おのれロイミュード……!

 

「あ、2人とも帰ってきた!」

 

「おーい!隼斗!憐くーん‼︎」

 

 

バイクを停めると、2人は9人の元に走る。

 

「みんな無事か⁉︎」

 

「ハヤトのおかげ!みんなno problemよ‼︎」

「やるじゃない。音速の隼、そして地獄の狩人。」

「俺っち地獄なの……?」

 

「まさか隼斗さんと憐さんが、あの噂の戦士だったとは…驚きですわ。ね、果南さん」

「………え?あ、まあね………」

 

「?果南さんどうかしたずら?」

「ううん、なんでもないよ。ちょっと驚いただけ。さ、みんな戻ろう!」

 

そう言って果南は店の中へと戻っていき、他のメンバー達もそれに続く。

 

「……姉ちゃん……」

「俺ッチ達も行くぞハーさん。…………ハーさん?」

「あ、ああごめん、ぼーっとしてた………」

 

憐の後に続いて隼斗もその中へ。

そしてそこで目にしたものは………。

 

「………なんだ、この二大カオス………」

 

異彩を放っている2つの料理………いや、料理なのか?

 

「こっちがmarryの作った特製のシャイ煮!」

「いやダジャレか!それっぽく言ってるけどこれは流石にねえぞ⁉︎」

「んで、こっちは?」

 

「この堕天使ヨハネのお手製、名付けて、堕天使の涙!」

「これまたグロテスクなの作ったなヨッちゃん……」

 

 

それで、美渡姉さんに言われて、余ったらしいこれらは俺たちが食うことに。激辛だった堕天使の涙を平気で食ってた鞠莉や憐達が本当すごかったな……あ、シャイ煮は見た目の割に味は結構良かったぞ。

高級食材がたっぷりだったらしいからな。

小原家恐るべし。

 

ちなみにだが、俺と果南姉ちゃんはちっとも喋れなかった。

中々言い出せず、夜は更けていった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、その日の夜。

隼斗の自室では………

 

隣の部屋で寝ているAqoursのみんなは、既に寝静まってるであろう夜中。

 

「(……誰も起きてないよな……?)」

 

そう思って隼斗はベッドの下の隣(下の布団)で寝てる憐を見る。

普段の性格やライダーとしての彼に似合わず、無防備な寝顔をしたていた。

 

「スレイヤー……ブレイ……グウ……」

 

「なに夢でロイミュードと戦ってんだよ……」

 

隼斗は枕元のドライバーとシグナルソニックを持ち、こっそりと部屋を抜け出した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

廊下に出て再びキョロキョロと辺りを見る。誰もいない。

 

「……よし」

 

 

そして、また歩き出した数分後。

隣の部屋では。

 

「全く鞠莉ったら……うっとおしいったらありゃしないよ……ってあれは……」

 

たまたま起きた果南が外を見て見ると、寝間着姿で海に向かって歩いていた隼斗が見えた。

 

「隼斗?こんな時間になにを……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

海岸では……

 

 

「誰もいない、周りOK。よし!」

 

入念に周りを確認した後、隼斗はマッハドライバーMk-IIを装着。そしてシグナルソニックを装填する。

 

 

《Signal Bike!》

 

「変身!」

 

《Rider!Sonic‼︎》

 

 

静かに変身とつぶやき、隼斗は仮面ライダーソニックへと変身。

 

飛んできたゼンリンシューターを掴む。

 

「っし!特訓、始めるか!」

 

 

《Signal Bike!Signal koukan! Cho Kakusa−n‼︎》

 

そして、カクサーンⅡを使ってシグナル交換。

 

「特訓………開始!」

 

《シューター!タクサン!超・カクサーン‼︎》

 

 

カクサーンの分裂弾を空に向けて撃ち、それが自らに降り注ぐ。そしてライドソニックの武装による射撃も重なり、ソニックの周囲に弾幕が張られる。

 

「回避率アップの特訓、弾幕式多重多方ドッジボール!」

 

(ボールとは言ってない)

 

 

「ハッ!よっ!ふっ!セアッ!」

 

避けて避けて、避けきれなければ捌く。

その繰り返しだ。この特訓は普段もやっているのだが、

こういう人がいない時ではないとできない危険な特訓もある。

 

「レベル上げるか……」

 

シグナルソニックをゼンリンシューターに装填。

 

《ヒッサツ!フルスロットル‼︎》

 

《タクサン!超・カクサーン‼︎》

 

《シューター!!!》

 

 

さっきよりもスピードが増し、さらに球数も増えた拡散弾がソニックに襲いかかる。

 

「ハッ、セイ!ラアッ!デリャ!っぶね!」

 

ここまでくると避けるのはほぼ不可能。捌くのが精一杯である。

 

そうして捌いてる中、隼斗はミスを犯してしまった。

 

「あーもう鬱陶しい!こいつめ!」

 

弾いた弾の一発が道路の方向へ。しかもその先には……

 

 

「隼斗ー!こんな時間に何を……うわああああ!」

 

「姉ちゃん‼︎‼︎」

 

隼斗はすぐさまドライバーのシグナルバイクをシグナルソニックに、そしてめい一杯シフトアップし………

 

「間に合ええええええ‼︎‼︎」

 

フルスピードで果南と流れ弾の間に入り、弾を身を呈して受け止めた。

 

「グッ……!アアアア‼︎」

 

だが、フルスロットルで強化していたのもあり、ダメージのせいで吹っ飛ばされ、もろに喰らったせいで変身が解ける。

 

《オツカーレ》

 

「っ……イテテ……。姉ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫じゃないよ!隼斗!一体何してたの⁉︎」

「何って、特訓だけど……」

「特訓って、こんなに危険な事を⁉︎」

 

「ああ、こんくらいやらないと、ソニックは乗りこなせないからね…」

 

危険…まあたしかに。

自分の行動に思わず苦笑いしてしまう。

 

「…ねえ、隼斗」

「ん?なーに、姉ちゃん?」

 

「教えてよ。どうして、隼斗が仮面ライダーになったのか、どうして戦うのかを……」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、隼斗と果南は近くの桟橋に腰を下ろして話していた。

 

「まず、黙っててごめん。どうしても知られたくなかったんだ、姉ちゃんだけには……」

「まさか隼斗があの仮面ライダー、ソニックさんだったとはね……。でも、なんで内緒にしてたの?」

 

「最初はみんなの事を人知れず、正体を隠して守れたら、そう思ってた。だけど、ロイミュードが復活してからというものの、そうも行かなくなって……。今のAqoursのメンバーに、1人2人、また1人と知られてってね……それで、結局こうなっちゃったんだ。

あ、ちなみにだけど、マリーが最初なのかな、現Aqoursで最初に俺の正体を知ったのは」

 

「鞠莉が?まさか、前にちょっと聞いたけど、あの……」

「アメリカ銀行強盗事件。そこで俺は初めて仮面ライダーとして人のために戦った。その時にマリーと出会った。

まさか姉ちゃんと知り合いだったなんて、知らなかったよ」

「そう……なんだ」

 

「それで、内浦に戻ってきて、平和にまたみんなと暮らせると思った矢先のこの出来事。そして……ってのが今までの俺のエピソード。分かってもらえたかな?」

「なるほど…………」

 

果南の表情は、納得はいってないような顔だった。

 

「納得がいかないって顔してる」

「そりゃあそうだよ、だってなんで隼斗が?そんな化け物と戦ってたら、死んじゃうかも知れないんだよ⁉︎隼斗には死んでほしくない!もし死んじゃったら、私……」

 

俯いた果南の肩に、隼斗の手が置かれた。

 

「姉ちゃん、心配しなくていいよ。大丈夫、俺は……俺は絶対に死なない!」

「根拠は?」

「俺は確かに無鉄砲で、負けず嫌いで…………時々だけど姉ちゃんや、千歌や、曜。みんなを振り回す。でも俺は…俺は姉ちゃんの事を、心から愛してる。その気持ちがある限り、俺は不死身だよ!」

 

「……プッ、何それ?言ってること無茶苦茶だよ?それにあ、愛してるなんて……」

「何?思ったことをそのまま伝えただけだけど……」

 

思わず笑みがこぼれ、顔を赤くしながらも言った果南。

 

「でも、その気持ちが聞けてよかった。仮面ライダーになっても、隼斗は隼斗のままでいてくれてる」

「別に人格が変わるわけじゃねえんだからそこまで心配しなくても……」

 

「お姉ちゃんとして心配してたの!してあげてたの‼︎」

「何その上から目線……。で、その手は何?」

 

果南が両腕を広げていた。

 

「まだ、帰ってきて私から隼斗にはしてあげてなかったからね。……ハグ、しよ?」

 

「……ふぇ?」

 

「ほら早く!それともしたくないの?」

「しますします!てかさせてください〜‼︎」

 

慌てて隼斗も腕を広げ、果南に抱きついた。

お互いに手を背に回し、ギュッと抱きしめる。

 

「もし、協力出来ることがあったら、私も協力する。

隼斗、隼斗は1人じゃないよ。私達が付いてる。いつだってそれを忘れちゃダメだからね」

「ん………」

 

お互いに目を閉じ、夜空の下で抱き合っていた。

その想いを、忘れぬように………。

 

 

次回に続く。

 

 

 

次回 仮面ライダーソニック!

 

 

あれから数日が経過したある日、まさかの新たなる事件

(というかシリーズ初の大事件)発生⁉︎

 

 

「姉ちゃんが⁉︎」

「誘拐⁉︎」

 

大事件!松浦果南誘拐される⁉︎

その裏には、ロイミュードの影……?

 

 

そして、隼斗と憐、仮面ライダーの2人に新たなる協力者が現れる!

 

「初めまして、私がキリカ。君たちの協力者だ。」

 

ハーレー博士の知り合いと名乗るこの科学者、なんと自称異世界を駆ける天才!その天才、天災?

 

 

そして、ソニックの新たなる力!ついに覚醒‼︎だが………

 

「お前は、越えてはならない一線を越えた……」

 

 

「よすんだ天城君!その力は自分を見失ってしまう‼︎」

 

「たとえ自分を見失っても今目の前にいる敵をぶっ潰せるのなら……俺は………‼︎」

 

《Signal Bike/Shift Car!

Rider!DeadHeat‼︎》

 

 

 

隼斗、怒りの覚醒!

 

 

「ガアアアアアアアアアア‼︎‼︎‼︎」

 

 

暴走覚醒!デッドヒート‼︎

 

 

次回 彼女は何故攫われたのか?(仮題)

 

※なお、予告なく内容などが変更になる場合がございますのでご了承ください。

 





今回は戦闘メイン回になってしまった……さて、もう次回の内容がカオス待った無し。勢いだけの回になりそうな予感。

さて、今回登場した新マシン、ライドエクスガンナー

ライドソニックとライドスレイヤーの二台が合体することで誕生する二人乗りマシン‼︎
ライドクロッサーとはここがまず違う。

クロッサー 1人乗り

エクスガンナー 2人乗り

そして武装などはライドクロッサーとほぼ変わらず。


それでは次回もお楽しみに!
感想とか評価とかお待ちしてます‼︎


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第18話 彼女は何故攫われたのか?

サンシャインサーガ 第18話!
隼斗達をサポートする本作オリジナルキャラクター、天才科学者登場!

いったいどんな人物なのか?

それでは本編どうぞ!



前回のサンシャインサーガ!

ナレーター 天城隼斗

 

ついに始まった夏休み!

そんでもって俺らは海の家の手伝いをすることになったのだが…

 

なんとそこにロイミュードの襲撃が!

 

正体がバレるのを恐れて変身出来なかった俺だが、憐に言われた言葉でついに正体を明かすことを決意。

 

果南姉ちゃんにも分かってもらえて、ひとまずは安心したって感じだな。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『よぉハヤト!元気そうで何よりだ!それにレンも!』

 

「久しぶり、博士!」

「ヨォ、オヒサー、ジーさん」

 

 

ある日の朝。

 

ここは浦の星女学院のスクールアイドル部部室。

隼斗と憐がパソコンを通してハーレー・ヘンドリクソン博士と話していた。

 

「にしても博士、前々から思ってたんだが、どうして俺以外に憐が仮面ライダーになったんだ?」

 

『いやー実はな……ハヤトだけじゃ、復活したロイミュード達を相手にするのは難しい、復活した数も分からず、クリムがいない今、剛達にまた頼るのもやめておこうと思ったんだ。

そこで、あいつらに秘密裏にロイミュードを倒すための人材を探していた時に、レンを見つけてscoutしたんだ』

 

ちなみに、少し解説をすると…博士曰くロイミュード復活は恐らくあの蛮野の仕業。

108もいないだろうが、半数以上は蘇っているらしい。

 

そして、クリムによって旧ドライブシステムとネクストシステムが封印された今、戦う力である仮面ライダーになれるのは隼斗と憐の2人のみなのだ。

 

「ふーん……まあなんとなくわかった」

 

「それでジーさん、本題に入るガ、こっちで協力してくれるヒトをまた寄越してくれたんダロ?」

 

『そうだ、そっちの……えーと、ウラノホシだっけか、その教師としてそっちには行くことになってるから、よろしくな!』

 

「ok. サンキュー博士」

「あんがとナ」

 

『何かあればまた連絡する!それじゃあ頑張ってな!see you!』

 

それを最後に通信は切られた。

 

「新しい先生として来る……か」

「今日なんダロ?どんな先生なんだか……」

 

 

 

そして、次の日の午後、練習前。

屋上にて。

 

 

「ねえねえ隼斗君!今日だよね、スクールアイドル部の新しい顧問の先生が来るって!」

 

「確かそのはずだ、俺も気になる」

「確かアメリカから、だったよね。教科はなんだろう……英語?それとも……」

 

「海外で様々な研究に携わっているとお聞きしましたわ。化学かもしれませんわよ?」

 

と、ダイヤが言う。

 

「どんな人が来るか楽しみずら。」

「そうだね花丸ちゃん!」

 

そして、出入り口のドアが音を立てて開いた。

 

「お、きたきた!」

「どんな先生なの⁉︎」

 

扉から出て来たのは、この暑いのに白衣を着ており、

そして少しフワッとした緑がかった黒髪を肩辺りまで伸ばしたまさしく科学者といった感じの大人っぽい見た目の女性であった

 

「やぁ、浦の星女学院スクールアイドル部の練習場所、というのはここでいいのかい?」

 

「え、ああそうだけど………」

 

「もしかしてあなたが新しい顧問の先生⁉︎」

 

 

「ああ。初めましてだね、みんな。私の名前は一時霧香(ひととききりか)。キリカ先生とでも呼んでくれ。」

 

「私、高海千歌!2年生です!」

 

「ああ、知ってるとも。Aqoursみんなのことは全てね。

君たちもだよ、天城隼斗君、狩夜憐君」

 

「俺たちのことも⁉︎」

「俺っち達は地元じゃ有名だがそこまで世界的じゃあない……あんた、もしかして……」

「おっとここから先は3人で話そう。Aqoursのみんな、早速ですまないが、先に練習を始めててくれ。ちょいとこのボウヤ達を借りて行くよ」

 

「え、ちょ、ちょっといきなり!」

「離せってこのヤロー!」

 

 

「……なんか、連れてかれたわね…」

「まあいいでしょ。私達だけでlesson始めましょ!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、隼斗と憐が連れていかれたのは………

 

 

「ったく、いつまで歩くつもり?」

「ってかここ……」

 

体育館の裏側にある、使われていない一室だった。

 

 

「そう、一見普通の空き部屋。だがな……隼斗君、そこの段ボールをどかしてくれ」

「え、ああはい……これをっと!」

 

それをどかすと、何やら電子パネルのようなものが設置されていた。

 

「これを………」

 

そしてキリカ先生はそれにパスワードらしきものを入力していく。

 

「これで……っと!」

 

Completeの文字が出ると、床の1箇所が開き、隠し通路のようなものが出てきた。しかし階段ではなくどっちかというと大きめの滑り台みたいな感じである。

 

「すっげえ……」

「秘密基地ってわけネ」

 

「ついてきたまえ。とうっ!」

 

キリカ先生がそこに飛び込む。

 

「でも、中暗くね?」

「ハーさん先に行けヨ……」

 

『何をしている?そこまでその通路長くは開けてられないぞ〜!』

 

と、中からキリカ先生の声が響いてきた。

 

「仕方ない……憐!ついてこい!」

 

まず隼斗が飛び込んだ。

 

「さっすがハーさん!」

 

憐も引き続き飛び込んだ。

 

 

 

そして、たどり着いた先は…………

 

「っと!」

「よっ!………ここは?」

 

暗かったが、急に電気がついた。

周りを見るとそこには多くの機械類が設置されていた。

資料で見たドライブピットの面影があり、

そして、その隅のデスクにキリカ先生が座っていた。

 

「ようこそ!我がキリカラボへ!改めて自己紹介しよう、私の名前は一時霧香、君たち仮面ライダーの、協力者だ!」

 

「先生が……協力者?」

「ジーさんの言ってた人って、アンタだったノカ…」

 

「その通り。見ての通り、ここはドライブピットを再現し、君たちのアシスタントを最大限するために私が密かに作り上げておいたのさ!」

 

「へぇ……すっげえ……。」

「やるなぁ先生……」

 

「もちろん、今までの戦闘データはすでに収集済み!それで、今は君たちが共有して使う新しい装備を開発中なのさ」

 

キリカが目線を移すと、手元には赤いオープンカーのような見た目のシフトカーが置かれていた。

 

かつてドライブとマッハが使っていた強化用シフトカー、『シフトデッドヒート』

 

 

「デッドヒートじゃねえか!」

「デッドヒート……ああ、ドライブとマッハが使ってた、あの姿か……」

 

「そ。それに、私なりにアレンジを加えてある。これはまさに、デッドヒートマークIIさ!」

 

「へぇ……」

 

隼斗が興味を示し触ろうとするが、バチッ!と赤い閃光が走る。

 

「おおっとまだ使えないよ?基本は完成したんだが、私の実力じゃあ、最終調整にあと1週間はかかるからね……」

「1週間か……」

「マァ、さほど長くはかからないか」

 

「そういうことで、これからしばらくよろしく頼むよ。隼斗、憐」

 

キリカが椅子から立ち上がって右手を出す。

 

「ああ、よろしく!博士!」

「よろしくナ」

 

「博士か……ふむ。不思議な響きだ」

 

隼斗、憐が順番に握手をする。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

気づけばもう夕方であった。

あの後長いこと3人でシステムのことやらここ最近のことを話していたのである。

 

 

「あ、帰ってきた!」

「遅いよ隼斗!憐君!」

「随分時間かかったね」

 

「悪りぃ悪りぃ、ちょいと話が長くなって……」

 

「もう練習は終わってしまいましたわよ?先生もどんな話があったかは知りませんが、少し長く話しすぎですわ」

「いやぁすまない……つい話が長くなってしまって…」

「まぁまぁ、いいじゃないダイヤ」

「そうだよ、これっきりだろうと思うし」

 

「鞠莉さんに果南さんまで……はぁ、分かりましたわ」

 

「そんじゃ、帰ります?」

「そうだね!いやー疲れた〜!」

 

「あ、ごめん!私ちょっと母さんに頼まれてる事があって沼津寄って帰らなきゃならなくて……急いでるから私先に帰るね!」

「果南サン、なら俺っちが乗せてくよ?同じく沼津に用があってネ」

「本当?じゃあ一緒に行こうか。」

 

「憐、なら姉ちゃんのこと、しっかり頼むぞ」

 

「分かってるって!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それにしても、このバイクって憐君が作ったの?」

「作ったのって、自分でって事?」

「そうだけど……」

 

「まぁ、デザインは俺っちが考えて後は博士に任せた……ってところかな。大半はハーさんのバイクがベースだし……」

「へぇ……2人ともすごいね……」

「まあナ〜♪」

 

 

そうこう話してる最中、突如2人の乗るバイクに鎖のようなものが巻きつき動きが止められる。

 

「憐君ストップストップ!」

「アア?ったくなんだヨこのチェーン…ふんっ!このっ!取れねえ……‼︎」

 

憐が引っ張って取ろうとするが、解けず切れず……かなり頑丈なものであった。

 

「ったく……やっぱこれ変身して……⁉︎」

 

その時、2人を重加速現象が襲う。

シグナルバイクを持つ憐は平気だが、果南がその影響を受けていた。

 

『重加速ってことはどっかに……キャア!』

 

そしてその果南も謎の鎖に捕まってしまい引っ張られる。

 

「果南サン!チッ!何処にいやがる……‼︎」

 

憐が辺りを見回してみると、物陰に一体のロイミュードが潜んでいた。

 

「そこか!出て来やがれ‼︎」

 

憐が合図すると、ライドスレイヤーから追尾式の針弾が放たれそれに襲いかかる。

 

飛び出て来たそいつは全身が赤く、鎖のようなものが巻きついた見た目だった。さらに胸のナンバーは表示はないが、赤いラインが数本走っていた。

 

「融合進化態……⁉︎今まで出てこなかったのに……ったくハーさんがいないこんな時に!」

 

憐がマッハドライバーMk-IIを装着。

ドライバーのパネルをオープン、シグナルスレイヤーをセット。

 

《Signal Bike!Rider!》

 

「変身!」

 

《Slayer ‼︎》

 

仮面ライダースレイヤーへと変身!

両手に装備された専用武装、スレイクローを構え向かっていく。

 

「果南サンを離せ‼︎」

 

果南を縛っている鎖を断ち切ろうとするが…

 

「……!」

 

その鎖はやはり頑丈でクローでも切れなかった。

 

「なにっ⁉︎」

 

逆に鎖を鞭のように使い、スレイヤーに攻撃を仕掛けて来た。

 

「グアッ⁉︎こいつ硬え!」

「……」

 

「野郎……何が目的だお前!いきなり俺っち達を狙って…!」

「……仮面ライダーに…用は無い…」

「んだと?」

 

「あるのは…こいつだ。」

「私⁉︎」

 

「果南サンに何があるんだかは知らンが……そう簡単には連れてかせねえよ‼︎」

 

再びスレイヤーはそのロイミュードに向かっていく。

 

が、相手も鎖を数本出し攻撃を仕掛けてくる。

 

「それはもう見切ったっての!」

 

自身に当たる寸前でクローで弾き上に回避。

 

「……それだけじゃない」

 

なんと相手は更に鎖を出し、スレイヤーの足にそれを絡ませる。

 

「なっ⁉︎」

 

そのままロイミュードはスレイヤーを地面に叩きつけた。

 

「ぐああっ⁉︎」

 

「憐君!」

「仮面ライダーも所詮はこの程度か」

 

そして、そのロイミュードの胸のプレートに014のナンバーが一瞬だけ浮かび上がり声がした。

 

「014……?」

 

『目的は果たした、とっとと撤収するぞ。』

「分かっている、じゃあな、黒のライダー!」

 

ロイミュードは自身の周囲に鎖のドームを作り出すと、姿を果南共々そのまま消した。

 

 

「しまっ!果南さん‼︎果南さん‼︎!」

 

 

果南も連れ去られ、自身も全く歯が立たなかった。

その不甲斐なさにスレイヤーは、憐はただ立ち尽くすだけだった。

 

 

その翌日、部室にて……

 

 

「なんですって!果南さんが⁉︎」

「ああ、昨日の夕べ…急に襲って来たロイミュードに……」

「でもなんでよ?レン、あんたなら楽勝だったんじゃないの?」

 

善子が尋ねるが憐は首を横に降る。

 

「あいつはこれまでの進化態とは訳が違う。あれは融合進化態だった」

「融合進化態って事は……」

「ああ、恐らく誰か主犯の人間との利害の一致で行動してる」

 

「それで、鞠莉さんのところに犯人から連絡が来てたんだよね?」

 

千歌が言うと、鞠莉はパソコンを開き話し始める。

 

「今夜21時、指定したこの場所に身代金を持って1人で1人で来い…無論警察などに知られた場合は……ってところね。」

 

「典型的な交換条件……ってところだね」

 

「もちろんこの条件は飲むわ。大事な親友のためだもの……」

 

「……さねぇ……」

 

「どうしたんですか隼斗さん?」

 

ルビィが恐る恐る隼斗に聞く。

 

「絶対許さねえ‼︎」

 

バン‼︎と大きな音を立てて机を叩く隼斗。

 

「隼斗さん……」

 

「どこの誰だか知らねえが……果南姉ちゃんに手ェ出したってなら人間共々容赦無くぶっ潰す……」

 

「それでこそハヤト、ね。」

 

「鞠莉、一応シグナルバイク達をお前の護衛に着かせる。」

「でも、隼斗君は?そしたら万が一の時、使えるのは変身する為のシグナルソニックだけ、だよね?」

 

「……一つ、心当たりがある。パワー特化のスレイヤーでも断ち切れなかった鎖とやらを破れる、唯一の方法が」

「ハーさん、まさか……」

「ああ、ちょっとキリカ先生のところ行ってくる」

 

 

そう言って隼斗は部室を出て行った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ダメだ」

 

「早えよ!まだ何も言ってない‼︎」

「どうせお姉さんを助けるためにデッドヒートを貸せとか言うんだろう?言ったはずだ、あれはまだ最終調整が済んでないと」

 

「それでも構わねえよ!人の命が…姉ちゃんの命がかかってるんだ……多少のリスクなら構わない‼︎」

 

「それでもだ。いいか、私は君たちに死んでもらっては困るんだ。君達を守るようにハーレー博士から言われてるんだからな」

「………分かった」

 

 

そう言うと隼斗はラボを出て行った。

 

 

 

そして、色々あって約束の時間………

 

 

「ここね……待ってて果南、すぐ行くわ」

 

鞠莉がやって来たのは町外れの廃工場。

そこが指定された場所だった。

 

 

一方その中では………

 

 

「っ!このっ!取れない……!」

 

囚われの身の果南、そして一体のロイミュードと共にいるサングラスの男1人がいた。

 

「無駄無駄。その鎖はこいつの特別性だ、仮面ライダーでも引きちぎるのは困難だ」

 

「その通り!最初は微妙だったが、お前はかなり使える、想像以上にな」

 

 

その時、鞠莉がやって来た。

 

「果南!大丈夫⁉︎」

「鞠莉!」

 

「ん?おやおや、これはこれは小原のお嬢さん。1人でご苦労な事。」

 

「約束の物は持って来たわ。さっさと果南を解放して」

 

「いいやまだダメだな、しっかり持ってきてるか確認させな。」

「っ……ほら!」

 

鞠莉は自分が持ってきたアタッシュケースを男に渡す。

 

男はそれを開けると中身を確認。

 

「…よし、ちゃんと持ってきたみたいだな。約束通りにしてやる。おい」

 

「おうよ」

 

ロイミュードが手を振ると、果南の鎖

が解ける。

 

「鞠莉!」

「果南!」

 

「……やれ」

 

だが、その時ロイミュード014が重加速を発動。

 

『っ⁉︎』

 

『これは……!』

 

「まあ約束とは言ったが解放するとは言ってないからなぁ?」

 

『卑怯な…!』

 

『そうよ!』

 

「これで人質増えたからもっと俺は金が手に入る!ハハハハ‼︎」

 

笑いあげる犯人の男、だが、突如

シグナルバイク達が飛び出て行き014に攻撃を仕掛ける。

 

「っ⁉︎なんだこれ!このっ!」

 

そして更に謎の銃撃が飛び014に直撃する。

その瞬間果南にはマガールⅡが、鞠莉にはキケーンⅡが手に渡り、重加速から解放される。

 

「うわっ⁉︎」

「キケーンちゃん達ってことは…!」

 

「すまねぇ待たせた!」

 

物陰から隼斗が飛び出てくる。

ゼンリンシューターを乱射し、男と014を牽制する。

 

「遅いよハヤト!いくら作戦とはいえレディーにこんな危険なマネさせるなんて!」

 

「悪りぃ悪りぃ……でも、ヒーローってのは遅れて出てくるもんだろ?」

 

 

「チッ!仲間か‼︎」

「あいつも仮面ライダーか⁉︎」

 

「よそ見すんナよ‼︎」

 

そして憐もワイヤーを利用したターザンキックで背後から男を蹴る。

 

「グオッ⁉︎」

 

「遅えぞ憐!」

「ったく、おとなしく取引に応じると見せかけての奇襲って……ハーさんも無茶苦茶考えるなぁ……」

 

「チッ……お前ら調子に乗りやがって……!」

 

そう言うと男はバット型のバイラルコアを取り出した。だが、通常の銀色ではなく、真紅の色をしていた。

 

「ネオバイラル……なるほど、あいつが犯人ね」

 

それを構えると、男と014が融合。

融合進化態の 014 チェーンロイミュードが姿を見せた。

 

『こうなりゃ仮面ライダーもろとも捕らえちまえ‼︎』

 

「ああ、今の俺なら楽勝だ‼︎」

 

更に横から仲間の020と025、おそらくは仲間が出てきた。

 

 

「やれやれ…こうも馬鹿が多いと面倒だな……」

「融合進化態だ、犯人も分離してボコす……」

「お手柔らかにしてやれヨ?」

「それは気分次第!」

 

2人がお互いドライバーを装着する。

そして、パネルを展開。

 

《Signal Bike!》

 

《Signal Bike!》

 

シグナルソニック、シグナルスレイヤーがセットされる。

 

《Rider!》

 

そしてパネルを下ろし、マフラー部から青と暗めの赤の炎がそれぞれ噴き出す。

 

「Leady!」

 

「「変身‼︎」」

 

《Sonic‼︎》

 

《Slayer ‼︎》

 

2人が仮面ライダー

ソニック・スレイヤーに変身。

 

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の全てをぶっちぎる!仮面ライダーソニック‼︎」

 

「この世の悪と魑魅魍魎、全てを狩り殺す闇の狩人、仮面ライダースレイヤー‼︎」

 

お互いに決め台詞を言い、三体に向かっていく。

 

「果南姉ちゃんとマリーは隠れてろ‼︎」

 

「分かった!」

「レン!ハヤト!気をつけて‼︎」

 

 

「お前らも行け‼︎」

 

020と025がスレイヤーとソニックに向かってくる。

 

「雑魚に用はないからな!スレイヤー頼む‼︎」

「ハーさん俺に雑魚押し付けたろ‼︎」

 

ソニックはそれを飛び越えてチェーンロイミュードに向かっていき、

スレイヤーはスレイクローを構え2体と対峙する。

 

「まあいい……ハーさんがおもいっきしあいつぶっ飛ばせるよう、俺っちが立役者やりますカ‼︎」

 

 

そして、チェーンロイミュードVSソニックは……

 

《ゼンリン!》

 

「ウラァ‼︎」

 

ゼンリンシューターでチェーンを殴りつけるソニック。

 

「ッ!このっ‼︎」

 

チェーンを丸めてボール状に形成し、

自身のチェーンと合体させてモーニングスターのように振り回してくる。

 

「遅い遅い!」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

しかし、大ぶりなパワー系の武器ゆえ相手は隙だらけ。

ソニックはシフトアップしてそれを回避。

そしてその勢いのままチェーンに近づき……

 

「くらいな‼︎」

 

《シューター!》

 

ほぼゼロ距離射撃を繰り出す。

 

「ぐうっ!」

 

「俺の怒りはまだまだこんなもんじゃねえ!こい!カクサーンⅡ‼︎」

 

《SignalBike!Signal koukan!

Cho kakusa−n‼︎》

 

「これでどうだ‼︎」

 

《シューター!タクサン!超・カクサーン‼︎》

 

さらに近距離で拡散弾を喰らわせ、勢いでチェーンが吹っ飛んだ。

 

「憐からもらった情報によれば、鎖はかなり頑丈で捕まったら抜け出すのは困難になる。だけど、捕まらなければどうと言う事はねぇんだよ‼︎」

 

ゼンリンシューターをクルクルと回しながら言う。

 

「野郎……」

 

『仕方ない、奥の手を使うか』

 

「だろうな……これが一番だ‼︎」

 

するとチェーンロイミュードが一本の鎖を天井に向かって伸ばす。

 

そして、一箇所に引っ掛けると、それを勢いよく引っ張った。

 

「何する……まさか‼︎」

 

「こうなりゃ全員道連れだ!全員この場所の下敷きになれ‼︎」

 

その勢いで天井が崩れて4人に降りそそいだ。

 

「あぶねっ!この!っ‼︎」

 

ソニックはゼンリンシューターで弾き、スレイヤーもクローで瓦礫をなんとか回避、だが……

 

「キャアア!」

「鞠莉‼︎」

 

「姉ちゃん‼︎」

「鞠莉サン‼︎」

 

鞠莉と果南が瓦礫に埋もれてしまった。

 

「果南サン!鞠莉サン!大丈夫か⁉︎」

 

「私は大丈夫!けど果南が!私を庇って……‼︎」

 

スレイヤーが瓦礫を退かすと、鞠莉の上に果南が覆い被さるようになっていた。

 

「大丈夫……?鞠莉……」

 

「なんで…」

「なんでって……友達だからに決まってるじゃん……また怪我するのは見たくないから……」

「でも!」

 

「あの時のお詫びって事で……これでおあいこ……だよ……」

 

そう言うと果南はそのまま気を失った。

 

「果南!しっかりして!果南‼︎」

 

 

そして、ソニック、スレイヤー、チェーンに2体が対峙。

 

 

「果南姉ちゃん……‼︎」

 

「1人が友達庇ってああなっちまったが……まあいい。想定内だ」

 

想定内?

ふざけんな…拐った挙句に傷つけて…危険に晒して……

 

「……さねえぞ……」

 

「ああ?」

 

「お前は超えちゃなんねえ一線を超えた……覚悟しろよクソ野郎……」

 

ソニックがゆらりと動き、仮面越しにチェーンを、犯人の男を睨む。

 

「俺はもう……自分を抑えられねえ…‼︎」

 

すると、ゼンリンシューターを投げ捨て、右手を真っ直ぐ空に伸ばす。

 

「来い!デッドヒート‼︎‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「フンフンフン……」

 

研究室にいたキリカ博士。

 

その隣に置かれたシフトデッドヒートのランプが点灯、ひとりでに動き飛んで行った。

 

「さーて、あとはデッドヒートを…ってない⁉︎…まさかアイツ‼︎」

 

 

そして、廃工場跡………

 

シフトデッドヒートがソニックの右手に収まる。

 

「デッドヒート……ハーさんまさか‼︎」

 

そして、通信でキリカ博士が警告する。

 

『よせ隼斗!それは自分を見失ってしまう!私が作ったプログラムも、今の君が使ったら……‼︎』

 

 

「うるせえ黙ってろ!!どーでもいい……たとえ自分を見失っても……こいつをぶっ飛ばせるのなら……俺は‼︎」

 

シグナルソニックをドライバーから抜き、シフトデッドヒートをセットする。

 

《Signal Bike/Shift Car!》

 

「全て……焼き尽くす………‼︎」

 

《Rider!DeadHeat‼︎》

 

そしてそのまま力強くパネルを下ろした!

 

 

すると、ソニックのボディを赤いスパークが走る。

 

「ハァァァァァァァ………ウォアアアアアアア‼︎‼︎」

 

そして、ドライブのような真紅の装甲を纏い、さらにタイヤが装備される。ソニックはデッドヒートソニックへと進化した‼︎

 

次回に続く!

 

 




今回初登場!霧香博士のキャラ紹介です
一時 霧香(ひととき きりか)


イメージcv.藤村歩or加隈亜衣or日笠陽子etc...

年齢 ヒミツだ。

身長170cm

出身 不明

浦の星に化学教師としてやってきた、隼斗と憐、2人の仮面ライダーの協力者。

表向きは浦の星女学院の教師として務める傍らAqours達スクールアイドル部の顧問を勤め更に隼斗達のサポート、新装備開発などをしている。

見た目はウェーブのかかった緑みのある長い黒髪でスタイルもかなり良さげな方。
服装はyシャツにブラウンのベスト、そしてベージュのパンツに白衣というシンプルな感じである。
教師モードの時は黒のレディーススーツに白衣を羽織っている。


解説 シフトデッドヒートMk-II

新たな協力者、一時霧香(ひととききりか)博士によって改造を施されたシフトデッドヒート。
変身者を守り、それを害する敵を殲滅する特殊な暴走プログラムが仕込まれており、通常のデッドヒートよりも制御が困難で、バーストするまでの時間も短くなっている。


こうしてこの作品には所々自分なりに設定にアレンジを加えています。
ちなみにこの暴走が今のソニックです。


さて、それではまた次回お会いしましょう!それでは‼︎


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第19話 彼女は何故攫われたのか?後編

さて、もうとっとと終わらせたいと思う第19話!デッドヒートを手にし新たな姿に進化したソニック。
しかし、隼斗の怒りが大爆発し……?

それでは本編どうぞ!


 

 

これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 狩夜憐

 

いつも通り練習を終えて帰宅するはずだった俺っちと果南サン。

だけど、俺っちが融合進化態のロイミュード、チェーンに苦戦し果南サンが攫われてしまう。

 

作戦が成功し救出成功もつかの間、今度は果南サンがチェーンの策略で負傷してしまう。

それにキレたハーさんは……!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

《Rider!DeadHeat‼︎》

 

「ッアアアア‼︎」

 

ソニックが新たな装甲を纏い、パワーアップ形態デッドヒートソニックへと進化する。

しかしいきなりタイヤがバースト状態。

全身から蒸気が溢れており、緑だった複眼は真っ赤に染まっている。

 

「新しい……ソニック……⁉︎」

「これが……デッドヒート……!」

 

鞠莉と憐が同じように驚く。

 

「ハァ……!ハァ……‼︎」

 

「っ!どれだけパワーアップしようが、俺には勝てない‼︎」

『そうだ!やれ‼︎』

 

チェーンロイミュードが鉄球を生成、デッドヒートソニックに向けて投げつける。が………

 

 

「……‼︎」

 

なんとソニックは無言で拳を構え、

鉄球をパンチ一発で粉砕。

 

「なにっ⁉︎」

『馬鹿な、あの鉄球を砕くだと⁉︎』

 

「なんツー馬鹿力……」

「すごい……!」

 

 

そして、デッドヒートソニックは一気に加速しチェーンロイミュードに詰め寄る。

 

「なにっ⁉︎」

「………ガルァ‼︎」

 

そして、炎を纏った右拳で殴り飛ばす。

チェーンは咄嗟に両腕でガードするも、それも意味をなさずそれごと吹っ飛ばされた。

 

「グハァ!」

 

「ルァア‼︎ガアア‼︎」

 

さらに近づき今度は左手で殴りつける。そしてその手でチェーンの腕を掴み右拳で何度も何度も殴りつける。

 

 

「あの戦い方……普段のハーさんじゃネエ……!」

「やっぱ……果南が傷つけられたから……」

 

「っ……鞠莉……?」

「果南!目が覚めたのね!怪我は⁉︎」

「私は…大丈夫、それより…隼斗は……」

 

「ハーさんは……」

 

果南が目を覚ましソニックの、隼斗の戦いを見る。

そして、スレイヤーもその隣に立ち、ソニックの戦いを見ている。

 

「ま、待ってくれ!攫ったことも謝る!自首もする!だから……!」

 

「黙レ‼︎」

 

何度も殴りつけた後、チェーンを右足で蹴り飛ばし近くの壁をぶち抜き岩場にめり込ませる。

 

「せいぜい自分ノ行いを悔いながラ…死ネ‼︎‼︎」

 

《ヒッサツ!burst!Full throttle!Dead Heat‼︎》

 

空中に飛び上がると、右足には赤黒く燃え上がる炎を纏う。

そしてそのまま強化されたライダーキックを放った。

 

 

「ヒートストリーム・ソニック‼︎‼︎」

 

「うわあああああ⁉︎」

 

新技、ヒートストリームソニックがチェーンに炸裂。コアが分離し飛び去ろうとするが……

 

『ヒイイ……!』

 

「死ネっつったろ……!」

 

『ウワアアアア!』

 

飛び上がってコアを掴み、握りつぶす。

断末魔の叫びをあげながら消滅した。

 

そして、デッドヒートソニックは近くに投げ捨てたゼンリンシューターを掴み上げると倒れた犯人の男にゆっくりと近づいていく。

 

「く、来るな!来るな!」

 

「まさか!よせハーさん‼︎」

「邪魔だ‼︎」

 

スレイヤーが止めに入るもデッドヒートの超パワーで吹っ飛ばされる。

 

「グアッ!」

 

「レン!」

「憐君!」

 

「ハヤト!ロイミュードはもう倒した!もういいのよ!」

「ハーさんよせ!そいつまで殺すナ‼︎」

 

「こいつはロイミュードと手を組み、果南姉ちゃんを攫った挙句傷つけた…その罪……その身で償え……‼︎」

 

ゼンリンシューターを向け、ロックオンする。

 

 

「クタバレ…!!」

 

引き金が引かれ弾が放たれる前に

その時果南が割って入ってきた。

 

「………‼︎」

 

「姉…ちゃん……⁉︎」

 

「目を覚ましなさい!お姉ちゃんの知る隼斗はそんな人じゃない!」

「でも、コイツは……‼︎」

 

 

「っ!今ダッ‼︎」

 

その瞬間、スレイヤーが隙をつきソニックに飛びつく。

すぐ様ドライバーを開いてデッドヒートを抜き取りパネルを降ろす。

ソニックの変身が解除され暴走も収まった。

 

《オツカーレ!》

 

「何をする憐!こいつは……こいつだけは!」

 

その時、隼斗の頬に痛みが走る。

果南が思い切り手を振りぬき引っ叩いていた。

 

「いい加減にしなさい‼︎」

「果南……姉ちゃん……」

 

「私の知る隼斗は、そんな風に人を恨みで痛めつけて、命まで奪おうとするような人じゃなかった。ただ真っ直ぐに……誰かのために戦うのが隼斗の戦い方だった!………けどこれを使ってから隼斗は変わっちゃった。だから……これは使うの禁止」

 

「で、でもそれは……」

「いいね?」

 

「………はい」

 

 

説教され大人しくなる隼斗。

果南はデッドヒートを憐から預かりポケットに入れた。

 

 

「と、とりあえずこの隙…にっ⁉︎」

「ザンネン、しっかり反省することね。prisonの中でね。」

 

そして、犯人の男も鞠莉によってお縄についていた。

その後警察が到着、犯人の男は逮捕されたのだった。

 

「(初めて……姉ちゃんに叩かれた…戦闘の痛みほどじゃないはずなのに……なんでだ…すごく、痛い……)」

 

 

そして、翌日。

キリカラボにて。

 

 

「大バカ者‼︎」

「………」

 

キリカ博士にもお説教されていた。

withAqours。

 

「まだ未完成だと言っただろう!なのにお前と来たら……‼︎」

「まあまあ先生、その辺にしてあげてください」

「そ、そうですよ、隼斗さんも果南さんのためだった訳だし……」

 

梨子とルビィがなだめる。

 

「それより先生、あれはなんだったの?」

「確かに、アレを使った時のハヤトはいつもと性格が違かった」

 

キリカ博士は椅子に座るとコンピューターをいじり始め、あるファイルを開いた。

デッドヒートの設計図だ。

 

「あれは私が独自に作り入れておいたプログラム、フルバーストシステムだ」

 

「「「「「「「「「フルバーストシステム?」」」」」」」」」

 

「使用者及びその周りの人に危険があった時、敵対する者を全て排除、対象を防衛するためのシステムだ。

まあ、常人が使えば理性は完全に吹っ飛び暴走。

さらに未完成だったせいか、適合者の隼斗がいきなりああなるのも無理はない。そして、そのトリガーとなるのが変身する人間の感情。それは……怒りだ」

 

「怒り……」

「確かにあの時のハーさんはかなりキレてた。だから発動したのか……」

 

「怒りが生み出す超パワー……まるで闇の力ね」

「確かに善子ちゃんの言う通りずら」

 

「まあ、最終調整さえ済めばこのデメリットも解消されるだろう。……多少」

「完全にはなくならないのですね……」

 

ダイヤが少し呆れながら言う。

 

「ま、そこは天才の私がなんとかしてみせるから、楽しみにしていたまえ。あ、それと…これは果南くんからの提案なのだが……隼斗、君は当分戦闘禁止だ」

「なんでだよ⁉︎」

 

「隼斗、私がどれほど心配したか分かってるの?」

「っ……それは……」

 

「まあ、ハーさんはこれまで戦いっぱなしだったシナ。しばらく俺っちが受け持つよ。だから休んでクレ」

「俺は別に……!」

「隼斗」

「……分かった……」

 

 

果南に言われ、落ち込み気味に隼斗はラボを出て行った。

 

次回に続く。

 

 





今回かなり短めでした。
本家デッドヒートの暴走がドライブは若干面白さがあったのに対し、こちらはガチ暴走みたいな感じにしてみました。

それでは次回もお楽しみに!!


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第20話 友情ヨーソロー

安定低速更新。(いや安定したらあかん)
さて、今回はついに第20話!一期も佳境に入って来たところですが……

さて、どうなることやら?

と、ここでお知らせ!隼斗達のイメージCVが(仮)決定!

天城隼斗/仮面ライダーソニック
梶裕貴さん

狩夜憐/仮面ライダースレイヤー
島﨑信長さん

それだけです!

それでは本編、Start your engine‼︎


ってかwish in the darkのCD化はまだか‼︎東映とCD会社はなにをしている‼︎

かっこよすぎなあれ



これまでの!サンシャインサーガ‼︎

ナレーション 小原鞠莉

 

私を崩れた天井から庇って負傷してしまった果南。その光景を目の当たりにしたハヤトがついに怒りMAX‼︎

 

《Rider!DeadHeat‼︎》

 

New powerであるデッドヒートの力を使い、暴走しながらもロイミュードを撃破。

もちろん融合してた犯人もマリーがしっかり捕まえたわ。

 

だけど暴走の挙句その人まで倒そうとした隼斗は果南や先生に叱られ戦う事を禁止された。

 

今回はその続きからね。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

※この辺は省略して話す事にします

べ、別にめんどくさいからとかじゃねえし…ただ少しペース配分とかミスっただけだし…(おい)

 

この話を始める前に、まずは夏合宿のとある時間まで話を遡るとしよう。

 

それは、隼斗と果南が話を終えて戻ったその後……入れ替わるようにして千歌と梨子の2人が話した事。

 

皆さんは覚えているだろうか?この時の梨子はピアノのコンクールの案内が来て、出るかどうかを悩んでいた。

 

2人で語った末に、梨子はようやく答えを出したのだ。

 

 

 

 

 

それから少しの時が経ち…………

 

 

 

「梨子ちゃん、しっかりね!」

「こっちは俺っち達で大丈夫ダ!」

 

「ほら、隼斗も何か言ってあげな。」

 

果南が壁に寄りかかっている隼斗の肩を叩く。

 

「……ま、精々ヘマしないようにな……」

 

 

「機嫌は治ってませんわね……」

「戦うの禁止中だからでしょ。」

「今までずっと戦ってたから色々不満なんだろうね……」

 

ダイヤ、善子、ルビィが口々にそういう。

 

 

「じゃあ、行ってくるね!」

 

そう言うと梨子はみんなの元を離れ向かった。

 

「気をつけてナ〜!」

 

「頑張ってねー!」

 

 

憐と千歌の声に振り返ることはなかったが、手を振って応えた。

 

「さ、俺っち達もいこーぜ。」

「そうね。」

 

憐と鞠莉がそう言うと、他のみんなも次々に駅を後にする。

 

そして、隼斗もみんなの後を追う。

そんな中、千歌は梨子が見えなくなっても少しの間、そこから離れなかったという

…(曜談)

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「特訓ですわ‼︎」

 

 

 

「………何を唐突に………」

 

隼斗N

 

その後、俺たちは部室へ。

そこで突然ダイヤさんが言い出したのである。

 

「また?」

「本当に好きずら……」

 

 

「あっ!」

「どったのルビ……おっ?」

 

PCを見ていたルビィと憐が見つけたのは、

かつて東京で会ったスクールアイドルユニット、Saint Snow。

 

「北海道予選をトップ通過、だとヨ。」

「あいつら北海道のだったの⁉︎」

 

隼斗も驚き。ちなみに主も驚き。

 

「このグループが、千歌達が東京で会ったって言う……」

「あの生意気な野郎どもめ………」

 

「ハヤトは、いい思いではないみたいだけどね……」

 

 

「まあそれはいいとして、まず私達はすぐそこまで迫ってる予備予選、そこに集中しよ?」

「そうだそうだ!あんなのに負けてられっかっつーの!もうI don't think!考えるのやめた‼︎」

 

 

「では、それを踏まえて…………」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「踏まえて?」

「何デ……」

 

 

 

「こーなるの⁉︎」

 

 

何故か、何故か、なーぜーか、プール掃除を

しているみんな。

 

ダイヤさん及びマリーがプール掃除の手配を忘れたらしく、俺たちがやることになってしまった……らしい。

 

 

「生徒会長と理事長があんなで大丈夫?」

「私も……そう思う。」

 

 

と、善子&果南。

(割とこのコンビレアじゃね?)

 

 

「まあ、みんなで約束したもんね、生徒会長の仕事を手伝うって。」

「ダイヤサンがAqoursに入った事で、仕事もより忙しくなりそうだしナ……」

 

「ま、それぐらい許容範囲内だろ……」

 

「それより隼斗君も手伝ってよ‼︎」

「やる気が起きませーん……」

 

左手にブラシを持ちながらそれをバトンのように回転させながら言うサボる隼斗。

 

「戦い自重するように言われてからずっとあの調子よね……」

「もういっそのこと隼斗さんには戦ってもらってた方がいい気がするずら……」

 

 

「で、そこにいる2人とも、俺思ったこと言ってもいい?…………何そのかっこ。」

 

 

「ヨーソロー!」

「私もまだまだいけるなーこれ。」

 

水兵姿の曜と、水着プラス白衣というなんか妙な組み合わせの霧香博士。

 

「デッキブラシといえば甲板磨き、となればこれ!」

「私のこれは夏のスタイルだが。」

 

「曜はともかく博士は着替えてこい。」

 

 

 

 

で、この後めちゃくちゃ磨きまくった。

 

 

 

「綺麗になったねー。」

「時間かかったけどナ。」

 

 

「そうだ!ここでダンス練習やらない?」

「姉ちゃん正気?ここ滑るよ?」

「ここ広いし、気をつければ問題ないって。あと正気は余計。隼斗じゃないんだし。」

 

「解せぬ。」

 

 

そして、全員が所定の位置に着き始めようとしたのだが……ここで問題発生。

 

そう、梨子が抜けた事で、少しフォーメーションの見栄えが良くないという事であった。

 

そこで、梨子の代わりに代役で曜が抜擢。

場所は変わり、屋上。

 

 

「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト、ワン、ツー、スリー、フォー……」

 

しかし、10回程やっても中々タイミングが合わず、2人がぶつかってしまう。

 

「中々合わねえナ……」

「まあ、少しずつ覚えていくしかないでしょ。」

 

 

夕方、帰り道でも自主練習を続ける2人。

しかしそれでも合わず……

 

 

「あっ、ごめん!」

 

「またか……どうしてもここでぶつかってるよな……タイミングか?タイミングなのか?」

 

「ナラ千歌サン、梨子サンと練習した時のようにやってみ。」

 

 

憐がそうアドバイスしてからもう一度やると

今度はぶつからず成功した。

 

「おお!」

 

「できた!」

 

「よく分かったな憐。」

「千歌サンが曜さんに無理やり合わせてたように思えてナ。なら元のように戻してみたらもしかして……と思ったんダ。」

 

 

とその時、千歌の持つスマホが着信音を鳴らす。相手は東京の梨子だった。

 

 

「もしもし?」

 

『あ、千歌ちゃん、今平気?』

 

「大丈夫だよ。」

 

『東京のスタジオ着いたから連絡しておこうと思って。』

 

「おお、梨子か。」

「梨子サン、そっちはどうだ?」

 

『隼斗君に憐君?ええ、こっちは大丈夫。』

 

「なら良かった。あ、おい曜!お前もなんか話す事ないのか?」

「え?あ、私は………」

 

 

「あ、やばっ……」

 

充電が残り少なく切れかかってる事を伝えるアラームが鳴る。

 

「だからあれほど言っただろう……」

 

『じゃあ切るね、みんなにもよろしく伝えといて。』

 

「そっちも頑張れよ!」

「またねー!」

 

 

「さて、じゃあ私達も、もうちょっとだけ練習しようか!」

 

「あ、うん!」

 

 

 

 

「………憐、見たか今の目。」

「ミタミタ。なんか思い詰めてるナ。」

 

「付ける?」

「付けちゃいますカ。」

 

 

 

隼斗はいつものジャケットのフードからトマーレⅡとカクサーンⅡを取り出しながら言った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

その帰り道(曜)

 

 

「(これで、良かったんだよね……)」

 

 

と、その後を気付かれないよう上から着いていく二機。

 

の映像を拾い見ている隼斗・憐(ちなみに隼斗の部屋)

 

「何もなさそうだけどな……」

「いや、ハーさん、後方から何か反応あり。これは………鞠莉サン?」

「マリーが?………あ、掴み……お、投げ⁉︎」

 

「あの人あそこまで力あったのな……」

 

 

このシーンはご想像にお任せしよう。

 

「って………なんかこっち見てねえ?」

「まさか………」

 

鞠莉がハンドサインで、『後は任せて』と合図を送ってきた。

 

「多分気付かれたな……二機を戻そう。」

「ラジャ。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

で、場所は変わって。

曜&鞠莉サイド。

 

 

「上手くいってなかったでしょ?」

「いやいや、ダンスのことならあの後練習して上手くいったから!憐君のアドバイスあってのことだよ!」

 

「ダンスのことじゃないの。千歌っちを梨子に取られて、ちょっぴり…嫉妬fireが燃え上がってたんじゃないの?」

 

ここ無駄に発音良かった。

 

「嫉妬⁉︎いや、それは……その………」

 

「ぶっちゃけトークする場よ、ここは。千歌っちにも梨子にも、ハヤトにも話せない事でしょ?ほら。」

 

 

鞠莉に促され隣に座る曜。

 

 

「私ね、昔から千歌ちゃんと一緒に何かやりたいなって思ってたんだけど……そのうち、中学生になって……」

 

〜〜〜〜中学時代〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『そっか、曜ちゃん水泳部に入るんだ。』

 

「千歌ちゃんは?」

 

『わたしは………』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「だから、一緒にスクールアイドルやりたいって言ってくれた時はすごく嬉しかった。

これでやっと一緒にできるって思って………

でも、すぐに梨子ちゃんが入って、千歌ちゃんと2人で歌作って、隼斗がそのサポートして………気づいたらみんなも一緒になってて。

 

もしかしたら、千歌ちゃんはわたしと2人は、嫌だったのかな……って。」

 

「Why?どうして?」

 

「私、全然そんなことはなかったんだけど、なんか要領が良いって思われてて……だから、そういう子と一緒にって、やりにくいのかなって。」

 

 

 

それを聞いた鞠莉は………

 

 

「……うりゃ!」

 

かるーくチョップをくらわす。

 

「なーに勝手に決めつけてるんですか?」

「だ、だって……」

 

「曜は千歌っちの事が、大好きなのでしょう?なら、本気でぶつかった方がいいよ。大好きな友達に本気の事を言わずに、2年間も無駄にしてしまった私が言うんだから。間違いありません。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜で、次の日!〜〜〜〜〜〜〜

 

部室にて。

 

 

「おはよー!」

 

部室に入ってきた曜。

 

「good morning曜。」

 

「あ、曜ちゃん!見て見て!」

 

 

千歌が見せたのは腕につけたオレンジ色のシュシュ?のようなもの。

 

(ぶっちゃけオシャレには微塵も興味ない主であるからよくわからん)

 

「梨子ちゃんが送ってくれたの!みんなでお揃いのやつ!」

 

「ちなみに俺たちライダー組にはこれがね。」

 

青と赤のソニックカラー、黒と赤のスレイヤーカラーの穴あきグローブ。

 

「曜ちゃんのもあるよ!はい!」

 

水色に白の水玉模様のものが渡される。

 

「あ、ありがとう…。」

 

「特訓始めますわよー!」

 

「憐、俺たちは俺たちで。」

「ラジャ!」

 

「曜ちゃん、着替え急いでね!」

「あ、千歌ちゃん!」

 

「なに?」

「………頑張ろうね。」

 

「うん!」

 

 

その後、Aqoursのみんなは練習に。

チームライダーは2人での組手特訓に。

 

 

その夜…………

 

「結局……言えなかった………」

 

また言えずにいた事を後悔する曜。

 

「本音って言ってもなにを言えばいいのやら………」

 

と、色々想像してみるもなんか違う。

違うと言うよりは脱線している。

 

そんな時にかかってきた電話。

梨子からだ。

 

 

「もしもし?………ううん、平気。何かあったの?」

 

 

『うん、曜ちゃんが私のポジションで歌う事になったって聞いたから……ごめんね、私のワガママで……』

 

「ううん、全然。」

 

『気にせず、2人のやりやすいように頑張って。』

 

「でも、もう………」

 

『無理に合わせちゃだめよ。曜ちゃんには曜ちゃんらしい動きがあるんだし……千歌ちゃんも絶対そう思ってる。』

 

「……そんなこと……ないよ……。」

 

『えっ?』

 

「千歌ちゃんの隣は、梨子ちゃんが1番合ってる。千歌ちゃん、梨子ちゃんといると、嬉しそうだし……梨子ちゃんの為に頑張るって言ってるし……」

 

『………そんなこと思ってたんだ…………千歌ちゃん、前に話してたんだよ。』

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「千歌ちゃんが…………」

 

 

「曜ちゃん!」

 

と、曜を呼ぶ声が。その方に行ってみると、そこにいたのは練習着の千歌その人であった。

 

 

 

で、隼斗の部屋……

 

「あいつはこんな時間から……」

 

ベッドに寝っ転がりドライバーを眺めながら呟いた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「千歌ちゃん⁉︎どうして……」

 

「練習しようと思って!」

「練習……」

 

「私思ったんだ!やっぱり曜ちゃん、自分のステップで動いた方がいいって!合わせるんじゃなくて、一から作り直したほうがいい!

 

 

曜ちゃんと私の『2人』で‼︎」

 

 

2人で。それは、曜の願いであった。

その言葉が何よりも嬉しかったのか……

 

ベランダにいた曜は中へ入ると部屋を飛び出した。

 

その脳裏に浮かび上がったのは梨子の言葉。

 

 

『千歌ちゃん前に話してたんだよ。

曜ちゃんの誘いをいっつも断ってばかりで、

ずっとそれが気になってるって。

 

だから、スクールアイドルは絶対一緒にやるんだって。

絶対曜ちゃんとやり遂げるんだって。』

 

 

千歌の待つ外へ出てきた曜。

だが、何故か背中を向けていた。

 

手探りで千歌に触れる曜。

 

「汗びっしょり……どうしたの?」

 

「バス終わってたし、美渡姉達も忙しそうだったし、隼斗君も同じで……曜ちゃん、ずっと気にしてたって聞いたから、居ても立っても居られなくって……」

 

 

「………私、馬鹿だ……馬鹿曜だ………」

 

そう言って涙ながらに千歌に抱きつく曜。

どうやらこれで一件落着、のようだ。

 

 

 

そして、それから数日が経ち、やってきた予備予選当日‼︎

 

本番直前、隼斗・憐を含めての手を重ねて

円陣を組む。

 

 

「さあ行こう!ラブライブに向けて、私達の第一歩に向けて!今、全力で輝こう‼︎

 

Aqours‼︎」

 

 

『サンシャイン‼︎‼︎』

 

 

同じ頃、梨子もそろそろであった。

離れていても気持ちは1つ、梨子も手を掲げていた。

 

『私、分かった気がするの。あの時どうして、千歌ちゃんがスクールアイドルを始めようと思ったのか。

 

スクールアイドルじゃなきゃダメだったのか。』

 

『千歌ちゃんにとって輝くって事は、自分1人じゃなくて、誰かと手を取り合って、みんなで輝くって事なんだよね。』

 

『私や曜ちゃんや、普通のみんなが集まって、普通じゃ作れない、大きな輝きを作る。

 

その輝きが、学校や聴いてる人に繋がっていく。』

 

『それが千歌ちゃんがやりたかった事、

スクールアイドルの中で見つけた、

 

 

『輝き』なんだ。』

 

そして始まった曲。

 

想いよ 1つになれ

 

8人で歌う事になった曲だったが、今回もとてもいい曲だった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、Aqours、そして梨子の方も発表が

終わり拍手が送られる。

 

 

Aqours側の舞台裏から見ていた隼斗と憐も

拍手をしていた。

 

幸い今回はロイミュードの妨害は無かったから良かった良かった。

 

隼斗談

 

 

次回に続く!

 

 

次回、サンシャインサーガ!

 

千歌の提案でμ'sとAqours、その違いを探しに、梨子を迎えに行くついで的な感じで一行は東京へ!

 

だけど事はそう平和にすぎるはずがなく⁉︎

 

《elephant!》

 

再びドーパントに遭遇!ってか象⁉︎しかもこいつ重加速使ってる⁉︎

 

「ったく俺が戦えれば……‼︎」

 

「ハーさんは下がってろ、今回は……」

 

《rider!dead heat‼︎》

 

 

「俺っちが主役だっ‼︎」

 

ついにスレイヤーもデッドゾーンに!

 

 

そして、千歌が、みんなが見つけたその違いとは⁉︎

 

 

次回 羽ばたきの刻は来るのか

 

 

またまた更新遅くなる予感

 

 




遅くなりました第20話……残すところあと2話!で終わらせたいけど……1期が終わったらすぐ新章を始めねばならないのにデンライブもやんなきゃ!

大変ですが頑張ります……そう、その新章ですが、2期ではなく、

1.5期‼︎完全オリジナルのライダー要素てんこ盛りシーズン!
その予告は次回を待て!

それではまた次回!いつも感想等ありがとうございます‼︎



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臨時特別回 シャイニーなBirthday!

感謝祭行って鞠莉ジャージ買ったのでそれ記念も兼ねて。
あんなに並ぶとか聞いてねえ。なんだよ5時間待ちって。

ちなみに本来の目的は果南ジャージでした。
すなわち妥協。

さて、今回はまともに誕生日回やります。
珍しくやる気が出たので



これは、割とかなりすごく未来の話。

 

 

 

「Happy birthday Dear marry〜♪Happy birthday to you〜♪」

 

「無駄に発音よかったですわね……」

「流石はハーさんだぜ……」

 

「そりゃどーも。じゃあ改めて!鞠莉、誕生日おめでとう!」

 

『おめでとう‼︎』

 

隼斗の無駄に発音とかがすごいバースデーソング with梨子(ピアノ伴奏)が歌い終わった後、クラッカーの音が響き渡り、(同時になんか割と煙たい)

全員で一斉に祝福の言葉を言う。

 

あれからおよそ一年の夜。

今日は鞠莉の誕生日だ。

大きなパーティー会場とかに使われるスペース一室を丸々俺らで貸し切っての開催である。流石は持ち主と言ったところだ。

ってか少し広すぎる気すらする。

 

主役である鞠莉は、自身の持ちカラーとするバイオレットのドレスを身に纏っており、大人っぽい雰囲気が醸し出されている。

他のメンバーもそれなりにオシャレをしている。

 

少し聞いたが、今までの今日は親が親ということもあってか、お偉いさん方が集まったりと、鞠莉としては肩身の狭い誕生日だったらしい。

 

けど今年からは違う。

 

Aqoursのみんなや俺に憐はもちろん、霧香博士も一緒………ってかあんたはなぜ来てる。忙しいだろう今の時期……事件の後処理とかで。

 

「暇なんだもーん。」

「心を読むな心を。あと暇じゃなくてサボりだろう。」

「天才たるもの休息だって必要なのだ。私だって人間だ。」

 

「まあいいじゃん隼斗。せっかくなんだから全員でさ!」

「曜………まあ、そだな。」

 

 

「みんな、今日は集まってくれてどうもありがとう!」

 

「そりゃ、年に一度の特別な日だからな。」

「今年はまた、私や果南さんもいますし…」

「何よりこれだけの仲間に囲まれての、だからね。」

 

ダイヤ、果南が口々にそういう。

それもそのはず、一年前の今頃と言えば、3人はまだ過去の事からバラバラなままだったのだから。

 

「懐かしいよなぁ……あの青春と激闘の日々。」

「まだ俺らは高校生だろハーさん……」

 

「さ、longな話はそこまで!みんな、遠慮せず食べてね!シェフ達が腕によりをかけて作った料理よ‼︎」

 

 

「おお!美味そうだぜ!」

「本当だ!」

 

「って、なんであの2品復活してんの?」

 

 

梨子が見る先には、いつぞやのシャイ煮と、堕天使の涙…………

 

 

「堕天使の涙は私のリクエスト。」

「もちろんシャイ煮はmarryのよ!」

 

「hundred歩譲ってシャイ煮はいいがなんでお前のまで⁉︎」

「よっちゃん悪いことは言わない、自重するんだ。」

 

「手遅れずら、憐君。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「少し食い過ぎたかな………」

 

 

隼斗は1人外に出て夜風に当たっていた。

海の近くにある波止場?かなんからしき場所。鞠莉曰くここで果南と話したりしてた〜とか。

そして、その上着のフードからマッハドライバーMk-IIを取り出す。

 

泊さん達とは違い、俺たちの手元にはドライバーやシグナルバイクなどの武装が残されている。

 

チームドライブの先輩方に許可を貰い特別に管理された元で持っているのだ。

 

 

「あら、まだそれ持ってるの?Falcon。」

「まあな、何かないとも限らないし……って鞠莉………懐かしいな、その呼び名。」

「そうね。隣、いいかしら?」

 

「どーぞ。」

 

そう言ってすぐ隣に立つ鞠莉。

少し動けば肩が触れそうなほどの近い距離だ。

 

 

「あのー近くないですか?」

「いいじゃない、私達の仲なんだから。」

「ったく…………」

 

 

「もう1年経つのね……。」

「そうだな……長いようで、あっという間だった。」

「覚えてる?初めて会った時の事。」

「あの銀行でだったな……」

 

「今思えば、あれは運命的な出会いだったわね。」

「偶然にも程がある……。」

 

 

しばらく間が空き、波の音だけが聞こえる。

 

 

「ところで、ハヤトはこの先どうするの?」

「ん、ああ、それなんだがな……まだちーっとも決めてないんだよな……とりあえず進学する。その先はこれから考えることにするつもりだ。」

「ちなみに何処目指してるの?」

「マリー達と同じとこ。俺なら行ける……はずだから。」

「行けるといいわね〜?」

「行けるさ!俺を誰だと思ってんだ!」

「sorry♪そうだったわね。頑張りなさいよ。

これからもね。」

「任せとけって!」

 

仲良く談笑する2人。

それぞれの未来はまだまだ、これからである………。

 

 

happy birthday!

 




まあ本編ではないと言うことで割と短め。

そして少し未来の話を書いてみました!(これによりハッピーエンド確定とか………)

次回は本編やります。夏までに一期終わらせたいので。
それではまた次回お会いしましょう!

最後になりますが、感想等々いつもありがとうございます‼︎


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祝!仮面ライダーソニック1周年特別企画! Happeningな生誕日!

みなさんお久しぶりです。
そしてありがとうございます!

この度!

ラブライブ!サンシャイン‼︎
×仮面ライダードライブサーガ
仮面ライダーソニック

1周年を迎えました‼︎

現時点でUA12332件お気に入り65件そして
総合評価112ポイント。
勢いで始めたストーリーですがなんとかやってます!

さて、今回はそんな記念日を我らが主人公の隼斗主役でお送り致します!

なんとその隼斗、今日が誕生日なのです‼︎
happy berthday!

ちなみに1日前に急に内容書き始めてとっさに思いついた設定とか言えない(・ω・`)


それではどうぞ‼︎


これは、3年生がAqoursに加入した後から

祭のライブの時の間にあった

所謂サイドストーリーである………

以上、Masterでした。それではどぞ。

 

 

「んだよ……俺だけ帰れって……ま、いっか〜。」

 

 

 

千歌と曜はなんとか帰らせた隼斗を除いて、全員を部室に集めていた。

 

「で、なんですの2人とも。」

「今はライブに向けて、でしょ?」

 

ダイヤと果南が言う。

そう、ライブまでは残り1週間弱。

時間もあまり無いのだが………

 

 

「それは分かってる!でもその前にビッグイベントがあるの!」

 

「ビッグイベント?」

「ライブと同じくらいの?そんなのあったかしら?」

 

花丸と善子が疑問に思う中、曜が言った。

 

 

「そう!実はもうすぐ、隼斗の誕生日なんだ‼︎」

 

『誕生日⁉︎』

 

千歌・曜・果南を除く6人が声を合わせて言う。

そう、今まで忘れていた(作者が設定してなk)

7月20日が隼斗の誕生日である。

 

 

「隼斗がアメリカ行ってた間はお祝いしてあげられなかったもんね。私も、千歌と曜も。」

 

「そう!だから今年は盛大に!Aqoursのみーんなでお祝いしてあげたいんだ‼︎」

 

「千歌っちGood idea!そうね!やりましょみんな!」

「まあ、果南さんや鞠莉さん達が言うのであれば。」

 

「でもプレゼントは?パーティーとかどうするんですか?」

 

「じゃ、役割を三つにわけるよ。一つは飾り付け担当。一つは料理とか。三つ目はプレゼント。役割決めるよ!えーと、それじゃ………」

 

果南の提案で決められた。さて、どうなる?

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

2日後!の放課後!

 

 

「もう少し………ピギィッ⁉︎」

「ルビィちゃん大丈夫⁉︎」

 

「だ、大丈夫…です………。」

 

飾り付け担当は千歌・梨子・ルビィ・花丸。

早速ルビィが色紙製の飾りを付けようとして落ちてしまったようです。

 

ちなみにここは千歌の家。旅館の宴会場に使われるスペースを一部屋貸し切ってます。

 

「ああ千歌ちゃんそれもうちょっと上!」

「この辺?よい……しょ………」

 

「これで完成………ずら!」

 

「OK!みんなお疲れさま〜!」

「これなら隼斗さんも喜んでくれるかな〜?」

 

 

「誰が喜ぶって?」

 

「ピギャ⁉︎」

 

 

危ない!当の本人、隼斗に見つかってしまった!

 

 

「は、隼斗君⁉︎」

「いやなんでここに⁉︎ってか今日出かけるんじゃ……」

「それは午後からだ。ってかおまえら何してたの?」

 

「ほ、ほら!果南ちゃん達が正式にAqoursに入ったでしょ⁉︎だからそのパーティー準備を……」

「それなら前に軽くだが部室でやったろ?またやらんでも……」

 

「これはその……そう!二次会だよ!」

「サラリーマンじゃあるまいし……って梨子までボケに回るなよ……ま、それなら俺も手伝……」

 

「お、お手伝いはいいずら!」

「隼斗さんは……そう!大丈夫ですから!っというか必要無いです‼︎」

 

「ルビィちゃん辛辣だなおい⁉︎ってちょ2人とも押すな!花丸ちゃんも胸当たっ」

 

言い終わる前に追い出され襖を閉められ。

隼斗は締め出された。

 

「………んだよ……ま、やること無くなったし………少し早いけど街の方行くかな……」

 

隼斗は一度自分の部屋に戻り、スマホとか財布とか荷物を肩掛けバッグに入れると階段を降り玄関を出てライドソニックに乗り込み、

沼津駅前の市街地へと向かった。

 

 

「せ、セーフ………」

「千歌ちゃんあの言い方は危ないよ……」

 

「でもなんとか切り抜けたずら。」

「他のみんなは大丈夫かな……?」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

同時刻、とある店にて。

 

料理担当

曜・ダイヤ・善子チーム。

 

「さて!私達も行動開始しようか!」

「といっても何を作るんですの?」

「それなんだよね………隼斗の好物ってかなり多いから………」

 

「隼斗さんって曜さん達と一緒にいた頃……具体的に言うと昔って何が好きだった?」

 

「うーん……海が近いから海鮮系……ではなくって、どっちかと言うと肉派かな、隼斗は。私と同じでハンバーグとかはもちろん、唐揚げとか………」

「なら肉系の方が喜びますわね。」

 

「でも、そこまで費用はかけられないわよね?どうするのよ?」

 

「そこは曜ちゃんの腕の見せ所!安い食材でも美味しく作っちゃうから!」

 

「でしたら、わたくし達は……」

「出番、無し?」

 

「そんな事ないよ!2人にもやるべき事はあるから!さ、行くよ‼︎」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

そしてもう一つのグループ。

プレゼント担当の………

 

「さーて!ハヤトはどんなのが喜ぶかしら?」

「考えてみると、思い浮かばないもんだね………」

 

鞠莉・果南。

商店街に来ていた2人は、そこで隼斗へのプレゼント探し。

 

「ゲームとか?

「隼斗最近やってないかな。」

 

「じゃあ食べ物?」

「それは曜達の担当でしょ。」

 

「「うーーん…………」」

 

 

中々思いつかない2人。

 

「accessory……は?ほら、ペンダントとか、指輪とか?あ……でもハヤトってお洒落しなさそうだけど……」

 

「いや、そうでもないよ?」

 

「果南?」

 

 

「あれは確か……数年前だったかな?まだ隼斗達が小学6年生ぐらいの頃。」

 

 

 

5年ほど前、夏祭りの時。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「見てみて!果南ちゃん!これすっごく綺麗!」

「うわぁ!こっちも!」

 

 

500円程で売られていた自分の名前が彫られる割と安めな指輪が売られている屋台で色々みている千歌と曜。

ちなみに主が最近行った祭でそんな店ありましたマジで!(いやー欲しかったかも)

 

そしてそれを少し離れたところからみている果南と隼斗。

 

「よーく考えなよ〜?あれ?隼斗はいらないの?」

「俺は別に……姉ちゃんこそいらないの?女の子ってああいうの好きそうだけど。」

「私はいいかな。あんまり、今は似合わなそうだし。」

「ふーん…………」

 

隼斗がそう言って別の方を向くと、仲良く手を繋ぐカップルの姿が。その両者の手にはその店のらしき指輪が。

 

「うーん………。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あの時の隼斗、なんか少し物欲しそうだったから、もしかしたら……と思ってね。」

「だったらそれにしましょ!

 

 

そう言って鞠莉は即座に検索、果南がそれをメモしていく。

 

「よし!見つかった!ここならどうだろう?」

 

そう言って鞠莉が果南に画面を見せる。

 

 

「ok!ここのお店ならできそう!」

「よーし!それじゃあ早速行こうか!」

 

 

そして、その店に向かった先で…………

 

 

 

「どんなのがいいのかな?」

「やっぱり隼斗なら青じゃない?」

「趣向を変えてみるのも………あ………」

 

 

「さーて前から気になってたこのみ…せ……」

 

 

 

 

バッタリ、遭遇。

 

 

 

「あれ?姉ちゃんに鞠莉、一緒?」

 

「ハ、ハヤト⁉︎」

「どーして隼斗もここに来てるの⁉︎」

 

「いやどうしてって………今日こっちに1人で出かけるつもりだったし……まさか姉ちゃん達もとは思わなかったけどな!にしても珍しいな。買い物?」

 

「ええそう!バース……ムグッ⁉︎」

「バラしちゃサプライズにならないでしょ!(小声)」

 

とっさに鞠莉の口を塞ぐ果南。

 

 

「(お、落ち着いて……なんとか……)ま、まあそんなところだよ!」

「(とりあえずここは一度撤退しましょ!時間を置いてOne moreで……)」

 

「さっきからなに2人でコソコソ話してんだよ?」

 

「あ、隼斗!私達急用思い出したからこれで‼︎それじゃあね‼︎」

 

 

そう言うだけ言うと2人は走って逃げる。

と同時に果南が何かを落とした。気づいていないようだ。

 

「なんか変なの………千歌達といい、姉ちゃんまで………ん?なんだろこれ………」

 

 

隼斗がそれを拾い上げる。

それは果南が愛用しているマリンブルーのメモ帳だった。

 

 

「姉ちゃんも時々ドジなとこあるからな………ってかこれって…………」

 

パラパラとめくってみると、とある1ページに

『隼斗の誕生日プレゼント』いま目の前の店の事が書かれている。

多分鞠莉が調べたんだろう。

 

「そーいうことね………ま、これはみなかった事にしてやるとするかね。」

 

フッと笑みを浮かべ、隼斗はそのメモ帳を自分のカバンに入れた。

 

「なら俺も帰ろうかな。とりあえず上手くことを運ばせないとマズイだろうし。」

 

そう言うと隼斗は足早に去って行った。

その後、隠れていた陰からひょっこりと顔を出した2人は……

 

 

「バレた………?」

「多分………カナーン!なんでそこでドジやっちゃうのよー‼︎」

 

「ま、まさか落とすとは思ってなかったから……ゴメン………」

「まあバレちゃったのは仕方ないわよ。私達も用を済ませてなるべく早く戻りましょ。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

で、飾り組と料理組が合流。

既に両方役割は終えているようだ。

 

壁には飾りが、大部屋中央の大きなテーブルには、色とりどりの料理が並んでいる。

 

「あとはプレゼント組が来るのを待つだけだね。」

「確か今日隼斗君がそっちの方出かけてるのよね?バレてないかしら……?」

 

「鞠莉さんがなんかやらかしそうな気がしますわ………」

「同感ずら………」

「うん………」

 

 

 

「た、ただいま………。」

「帰ったよ………。」

 

果南に鞠莉が息を切らせて帰って来た。

ダイヤと曜が心配して駆け寄る。

 

「鞠莉さん果南さん⁉︎……どうしたんですの?」

「確かに、そんなに息を切らせて……。」

 

「なんとか急いで……ってかみんな急いでこれ持って‼︎」

 

果南がみんなに百均とかで売ってそうな小さめのクラッカーを投げ渡す。

 

「なに焦ってるのよ。隼斗さんは出かけてて……」

 

「いや、私がドジやらかした。もしかしたら勘付かれたかも。」

 

 

『えええ⁉︎』←飾り・料理組

 

 

「と言うわけで急いで急いで!あとゴメン‼︎」

 

果南がそう言うと全員がバタバタとしながら隠れる。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ただいまー。」

「あら、隼斗君おかえり。」

 

志満さんが隼斗を出迎える。

 

「ただいま。ってか千歌達は?なんかやってたみたいだけど………」

「それなら、○○○の部屋行ってごらん。」

「あのスペース……ああ、了解っす。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「(まあ分かり切ってる事だが……)行くかな!」

 

隼斗が思い切り襖を開く。10連発のクラッカーが鳴り響く。

 

 

『天城隼斗君!誕生日おめでとう‼︎』

 

 

「お、おお…………」

 

 

「あれ、反応薄い………私隼斗君ならもう少しうわー‼︎みたいな驚き方するって予想してたのに‼︎」

「やっぱバレてたんだよ……」

 

「みんなで企画してたんだ。と言ってもつい最近から計画してたからほんと急ピッチだったけど。」

 

梨子がそう言うと、善子も。

 

「ホントよ。相当苦労したのよ?」

「ともかくハヤト!これ、私達みんなで出し合って買ったpresentよ‼︎」

 

そう言うと鞠莉が一つの紙袋を渡す。

 

「……なるほど……。(小声)開けて見ても?」

「モチロン!」

 

隼斗が袋を開けると、その中の一つには小箱が。開けてみると、シルバーのリングに青いクリスタルが付いた指輪が入っていた。

 

「指輪?俺別にオシャレは………」

「隼斗、欲しかったんでしょう?ほら、あの時も。」

「あの時………あーあれか!ってか姉ちゃんそんなに昔のこと覚えてたのかよ⁉︎」

 

「もう一つも見てみなよ、ハヤト。」

「もう一つ………これは……!」

 

もう一つはこちらも同じく青色のペンダント。鳥の羽根のような形が特徴的だ。

 

「そっちはまあ、オマケみたいなものね。」

「そっか!じゃあ早速………」

 

「待って!せっかくだし、果南ちゃん着けてあげなよ!」

 

曜が突然そう言いだす。

 

「え⁉︎いやいやいいって曜!第一これぐらい1人で……」

「そうだよ!誕生日なんだし!」

 

「今日の主役は貴方ですのよ?これぐらい良いのでは?」

 

千歌とダイヤもそう言う。

しかもAqoursのみんなの視線が隼斗に集まっている。

 

「わ、わーったよ……だからみんなその期待に満ちた目線の集中攻撃やめろ……」

 

「決まりだね。じゃ、ジッとしてて……」

 

隼斗は大人しく床に座り、果南は背後からペンダントを着けてやり、そして左手の中指に指輪を通す。

 

「はい、オッケーだよ♪」

 

「ふむ……悪くないな。ブルー統一ってのもよくわかってる。ありがと!」

 

「どういたしまして!」

「お礼ならみんなにだよ!隼斗!」

 

 

「さ!プレゼントタイムはここまで!料理もあるから冷めないうちに食べよう!」

 

曜がそう言うと、みんな急ぎめに座る。

 

 

「それじゃあ改めて!隼斗、お誕生日おめでとう‼︎」

 

 

『おめでとう‼︎』

 

 

全員のその声と同時に乾杯。

曜達が作った料理も食べ始めた。

 

「おお!めっちゃ美味い!」

「こっちも中々だよ!」

 

「このデザートも美味しい!」

 

「そっちはダイヤさんと善子ちゃんの共同作なんだ!」

「魔と和の奇跡のコラボレーションよ!」

「なんとか完成できましたわ……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あ、そうそう姉ちゃん。」

「ん?なーに隼斗?」

 

「これ、落としてたぞ。」

 

そう言って隼斗は果南にメモ帳を手渡す。

 

「あ、それ!」

「慌ててて落としたろ?果南姉ちゃんたまにドジやるから………」

「あはは………ごめん。でもありがとうね。」

 

「礼なんていらねーよ。むしろこっちがお礼したいぐらい。」

「それもいいよ。隼斗が私達を守ってくれればそれで。これからも頑張ってね。自慢の幼馴染なんだから♪」

 

「任せとけって‼︎」

 

 

特別編 Fin.

 




二回連続番外編になってしまいましたが……いかがだったでしょうか?

というわけで、隼斗は7月20日!本日を持って誕生日を迎えました‼︎
作者としておめでとうと言っておきましょう!

さて、次回は絶対本編やらなければ………最近学校が忙しく、中々手をつけられない日々が続いています。

みなさんも今日から夏休み、という人多いのではないでしょうか?
他作品の作者の皆さんも、読者の皆さんも、どうか体調には気をつけて!それではまた次回‼︎

感想評価等も是非よろしくお願いします!





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第21話 羽ばたきの刻はくるのか

………2ヶ月ってマジですか?

俺よ、それは大マジです。
リアル忙しすぎわろえねえ。

この夏休み予想を遥かに上回る忙しさでした。主に部活。
ちなみに自分弓道部。クソ暑い中道場での練習が続いてました。皆さんはこの夏休み、いかがお過ごしでしたか?


前回のサンシャインサーガ!

 

 

急遽梨子抜きで挑むこととなったラブライブ予備予選。フォーメーションの変更による多少のトラブルがあったものの、千歌と曜の努力によってなんとかなり、ステージもとりあえずは大成功!あとは結果を待つのみだったが………?

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

『Love Live!School idol project

 

予備予選合格者発表まで 間もなく!』

 

そうかかれている画面をジッと見ている曜、果南、そしてダイヤ。

 

そう、結果発表は今日、それもあと数分後に迫っていた。

 

「まだ〜?」

「全くいつまで待たせるんですの⁉︎」

 

「姉妹揃ってうっせえよ………」

「ハーさん日に日に口調荒れてるゾ……博士もそろそろ戦闘解禁してやれよ……」

 

「もう少し待ちたまえ……私も復帰に備えて準備を整えているんだ。」

「復帰の準備?」

「ああ、見ての通り、現状デッドヒートは使用者に負担をかけすぎている。その結果の暴走だ。それをなんとか緩和できないかと研究を進めていたのだよ……」

「ナルホド……」

 

「あー!こういうの苦手!」

「落ち着いて……」

「ちょっと走ってくる!」

「出たよ姉ちゃんの脳筋……」

「何か言った隼斗?」

「なんでもありませぬ………」

 

「あっ、来た!」

 

曜の呼びかけと同時にみんなの視線がスマホに集まる。

 

「えーと……ラブライブ!予備予選合格者……」

「Aqoursのアですわよ!」

 

「えーと最初は………どれどれ…?『イーズーエクスプレズ』…………?」

 

 

『………………………………』

 

 

「落ちてル⁉︎」

「嘘⁉︎」

「そんなぁ⁉︎」

 

 

「あ、エントリー番号順だった。」

「脅かすなバカ‼︎えーと改めて見ると……さっきのやつ、『グリーンティーズ』『ミーナーナ』……なにこれ。まあどうでもよし。で………Aqours。」

 

「Aqours‼︎」

 

「予備予選、突破ダゼ‼︎」

 

 

憐の言葉と同時にみんなが手を挙げ喜ぶ。

 

「ったくヒヤヒヤさせやがって……おい、marry?」

 

「予備予選突破………oh my god………oh my god………oh my god‼︎‼︎」

 

「おまえ、戻ってる戻ってる!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

で、その後!

 

「さ、今朝獲れたばかりの魚だよ!みんな食べて‼︎」

「なんでこのお祝いの場にお魚……?」

「姉ちゃんもうちっと他の考えられなかったのか……?」

 

「だって、干物じゃお祝いっぽくないかなって。」

「OK姉ちゃんは一旦魚から離れること考えて。」

 

「おっとっとっと⁉︎」

「ン?っと……ルビィ気をつけナ。」

 

「あ、ありがと憐君!それより見て!PVの再生回数が‼︎」

 

ルビィが持って来たパソコンに流れていたのはつい前回の予備予選の映像だった。

PVの再生回数がかなりのものになっていた。

 

「しかもコメントもかなり……」

 

「可愛い……」

「全国出てくるかもね……」

「これはダークホース……」

 

「かなりいい感じじゃねえか。」

 

「よかった、今度は0じゃなくて。」

「そりゃそうでしょ。予選突破したんだから。」

 

『〜♪〜♪』

 

千歌の携帯が鳴る。相手は梨子だ。

 

「梨子ちゃんだ!」

「お、梨子か……」

 

〜〜〜

 

『予選突破おめでとう!』

 

「ピアノの方は?」

 

『うん、ちゃんと弾けたよ!探していた曲が、弾けた気がする。』

 

「よかった。」

「じゃあ、次は9人で歌おうよ!全員揃って、ラブライブに‼︎」

 

「………なあ憐、俺たちもユニット組んでみる?」

「気が向いたらナ……ってか曲とかどうすんのサ。」

「知らぬ。」

 

『そうね……9人で、いや、2人を入れたら11人で!』

 

「俺たちはほぼ裏方だけどな。」

 

「そして、ラブライブで有名になって、浦女を存続させるのですわ!」

「これなら説明会も期待できそうだね。」

「説明会?」

 

「yes!Septemberに行う事にしたの。」

「セプテット?」

「セプテンバーだ、憐。9月って事。」

 

「きっと今回の予選で学校の名前もかなり知れ渡ったはず。」

「そうね、PVの閲覧数からして、説明会の参加希望の生徒の数も…………」

 

「どうしたmarry?」

「Zero………」

「ハイ?」

「0……ね………」

「うん、まあ…………だよね。それでうまくいったら日本全国どこの田舎の学校もそうしてるわ………」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

時と場所は変わって。

 

千歌、曜、隼斗、憐は果南の家に。

外でかき氷を食べていた。

曜はブルーハワイ、千歌はみかん……か?

隼斗はレモン、憐はコーラだ。

 

「また0か………」

「入学希望となると、また別なのかな……」

「まあ仕方ねえさ千歌……mgmg……今は先のことより今を考えろ……あと1ヶ月もあるんだなんとかなるさmgmg………」

「気楽だなハーさんは。」

「こうでもしてねーとやってけるかっての……mgmg………」

 

「でも、あれだけ再生されてるんだよ?予備予選の帰りだって………」

「あ、姉ちゃんがサイン求められるわ曜は写真頼まれルビィもテンパってダイヤさんスルーで………」

「ダイヤさんのくだりは………」

 

「これで生徒が全然増えなかったらどうすればいいんだろ………」

「μ’sはこの時期にはもう、廃校を阻止してたんだよね……」

「そうだっけ⁉︎」

「流石legendってとこだ……すっげえよなぁ……」

「この時期にはもうほぼ存続が決まってたらしいよ。」

 

「ここでスクールアイドルをやるのは、それほど大変って事。」

 

ダイビングスーツ姿の果南が戻ってきた。

 

「あ、姉ちゃんおかえり。」

「果南サン戻ったノカ。」

 

余った椅子に座るとダイビングスーツの前を開く。とりあえず、うん、すごい。いろんな意味で。

 

「うちだって、今日は予約0。東京みたいに、ほっといても人が集まるところじゃないんだよ。」

 

「………………」

 

ストロー兼スプーンを咥えて果南の姿がかき氷のカップで隠れるように顔をテーブルに乗っけ目線を逸らす隼斗。

 

「ハーさんどーした?キーンときた系?」

「べっつにー…。ってか姉ちゃんももう少し考えろよ……俺らしかいないとはいえ……」

「どうかした?」

「どうもしねーよ……」

 

「でも、それが分かった上で私達はスクールアイドルやってるんだもん!」

 

そう言うと千歌は残ったかき氷を一気に食べ駆け出した。

 

「もう少し1人で考えてみる!」

 

「おい千歌⁉︎」

「千歌ちゃん⁉︎」

 

「あっ………うっ…………」

 

「ほーら言わんこっちゃねえ………」

「キタのか…………」

 

 

そしてその夜、千歌から1つの提案があった。

ちなみに隼斗は千歌と同じ部屋におり、千歌のスマホで会話に参加。全員電話でのグループ会話だ。

 

「なんだって?また東京に行く⁉︎」

「うん!見つけたいんだ、μ’sと私達の何処が違うのか、μ’sがどうして音ノ木坂を救えたのか。何が凄かったのか、それをこの目で見て、みんなで考えたいの!」

 

『いいんじゃない?』

 

『つまりまた再びあの魔都に降り立つと言うことね。』

 

『トウキョウ、か……俺っちもいいと思う!』

 

『わたしは、1日帰るのを延ばせばいいけど……』

 

「けど?どうかしたか梨子?」

 

『ううん!なんでもない!詳しく決まったらまた連絡ちょうだい!』

 

そう言って電話を切る梨子。

そして、その近くのデスクには………

 

 

大量の同人誌が………………

 

 

 

『ラブライブ!サンシャイン・サーガ‼︎』

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「back to………Tokyo‼︎」

「ハーさんテンションオカシイだろ……」

 

一向が降り立ったのは秋葉原………ではなく東京駅。かの駅舎の方だ。

 

ちなみに隼斗の服装はノースリーブの白Tに

いつものジャケット(夏仕様)そしてジーンズ。

憐は半袖の灰色っぽいTシャツ。と、同じくジーンズ。

2人ともお洒落にあまり気は使わない。

ちなみにこの作者もだ。

 

「皆さん!気をしっかり持って!東京に呑まれないように‼︎」

「いや向こうのほうがオカシイだろ……」

「俺っち同意。」

 

「なんであんなに敵対視してるの………」

「お姉ちゃん小さい頃、東京で迷子になったらしくて……」

 

「虎牛だね。」

「それを言うなら虎馬でしょ。」

 

「梨子とはここ辺りで待ち合わせだったよな……」

 

そして、少し周りを探していると……

 

「ふん!っ………」

 

何やら紙袋をコインロッカーに押し込もうとしている梨子の姿が………

 

「梨子ちゃん?何してるの?」

「っ⁉︎あ、千歌ちゃん、それにみんな……」

 

「何入れてるの?」

「ええと……お土産とか、お土産とか、お土産とか…………」

「の割になにテンパってんだ………」

 

「お土産⁉︎」

 

千歌がいきなり近づいた拍子に中身が落ちて出てしまう。

 

「ん?あれって………」

「あーっ‼︎」

 

千歌の眼を梨子が両手で塞ぐ。

そして隼斗は少し遠くからそれを見ていた。

もちろんその中身も。

 

「あれ、あれって………」

「ハーさん見えるの?俺っちは少し見えづらい……」

「眼はいいほうで。ま、知らないほうがいい………」

「???」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「よいしょ……さ、行きましょうか!」

「でも、何処に行くの?」

「tower?tree?hill’s?」

「遊びに来たんじゃありませんわよ……」

 

「そうだよ、まずは神社!」

「また?」

「おまえ痕付いてるぞ………」

 

「実はある人に話聞きたくて、そしたら会ってくれるって!」

「マジかよ!千歌やるじゃねえか‼︎案外有能だなおまえ!」

 

「それって誰ずら?」

「それは会ってのお楽しみ〜♪でも話を聞くにはうってつけだよ!」

 

「東京……神社………」

「すごい人ってまさか………!」

 

「まさか!」

 

「「「まさか⁉︎」」」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「お久しぶりです。」

「お久しぶりです!」

 

その人物とは、かつてイベントで出会ったチーム、双子の姉妹ユニット、鹿角聖良と鹿角理亞の2人。そう、セイントスノーだった。

 

 

「………千歌、有能と言った言葉は撤回させてもらおう………」

「え〜⁉︎うってつけの人じゃん!」

「俺があの時どれだけ嫌な雰囲気にしたか忘れたのか‼︎その上でそこの2人を呼んだのならば俺は帰ってからおまえを小一時間説教しなければならない‼︎」

 

「その事ならもういいわ、天城さん。」

「はい?」

「いいと言ったの。気にしてないわ。」

「あらそうですか………一応こっちも反省はした………」

 

「ところで、そちらの彼は?」

 

「あ、俺っち?そっか、初対面だったか……んんっ……狩夜憐、Aqours2人目のマネージャーだ。どうぞよろしく。」

 

そして、場所をUTXに移動。

 

 

「まさか北海道予備予選を突破していたとは…そもそも北海道だったことが驚きだぜ……」

「予選突破、おめでとうございます。」

 

「別に褒めてくれなくてもいいんですよ。

再生数はあなたたちの方が上なんだし。」

 

「いえいえ〜」

「それほどでも〜。」

 

「お前らな………」

 

「でも、決勝では勝ちますけどね。」

 

「(ハーさんハーさん、前に会った時もこんなんだったノカ?)」

「(まあそんなところだ……)」

 

 

「わたしと理亞は、アライズを見て、スクールアイドルを始めようと思いました。」

 

「アライズ……μ’sと並び立つ、これまたlegendクラスのスクールアイドルだ……」

 

「だから、わたし達も考えたことはあります。アライズやμ’sの何が凄いのか、何が違うのか………」

「答えは、出ました?」

 

「いいえ、ただ、勝つしかない……勝って同じ景色を見るしかないと思って。」

「勝つこと、か……確かに、それは大事だナ……」

 

「………勝ちたいですか?」

 

「「え?」」

 

「ラブライブ、勝ちたいですか?」

 

「……姉様、この子馬鹿?」

「こいつが馬鹿なのは悔しいが認めざるを得ない………」

「そこは否定してよ⁉︎」

 

「勝ちたくなければ、何故ラブライブに出るのです?」

「それは………」

「μ’sやアライズは、何故ラブライブに出場したのです?……そろそろ、今年の決勝大会が発表になります。見に行きませんか?ここで発表になるのが、恒例になってるの。」

 

 

そして、俺たちは外に出て大きなモニターの場所へ。

 

決勝大会の開催会場は………アキバドーム。

 

「アキバドーム……」

「数年前に建設されたばかりの超巨大ドーム会場だ………なるほど、やはりそこか。」

 

「ちょっと、想像できないな………」

 

 

「………ねえ!みんなで音ノ木坂、行ってみない?ここから近いし、前に私が我儘言ったせいで行けてなかったから……。」

 

「いいの?」

「うん。ピアノ、ちゃんとできたからかな。今は、ちょっと行ってみたい。自分がどんな気持ちになるか、確かめてみたいの。」

 

「俺も賛成だ。伝説の始まりの地……そいつを見てみたい。」

「なら俺っちもサ‼︎」

 

「賛成!」

「いいんじゃない?見れば何か分かることもあるかもしれないし。」

 

「音ノ木坂⁉︎」

「μ’sの……」

 

「「母校⁉︎」」

 

 

そして、Aqours一行はその場所へ………

 

「この上か………」

「階段、なげえナ………」

 

「なんか緊張する……!」

 

「まあμ’sの誰かに会えたら大当たりってとこだな……サインとか……握手とか……!」

 

 

隼斗がそう行ってる間に千歌は走って階段を駆け上がる。

 

「え、ちょ、千歌サン⁉︎」

「待てって千歌!」

 

他のみんなも後を追う。

そして、全員が階段を登りきり………

 

「よっ!」

「ハッ!」

 

隼斗、憐が千歌とほぼ同着。

他のメンバーも後から着いた。

 

そして、全員の目の前には、あの音ノ木坂の校舎が。

 

「ここが、μ’sのいた………!」

「あの……音ノ木坂高校!」

 

「この学校を守った……!」

「ラブライブに出て……!」

「奇跡を成し遂げた……。」

 

 

「あの………」

 

『ん?』

 

「何か?」

 

話しかけてきたのは音ノ木坂の1人の生徒だった。緑のリボン、3年生だ。

 

「音ノ木坂の生徒さん……ですか。いえ、我々は……」

「すみません、ちょっと、見学してただけで。」

 

「もしかして、スクールアイドルの方ですか?」

「あ、はい!μ’sの事、知りたくて来たんですけど………」

 

「そういう人、多いですよ。でも、残念ですけど……ここには、何も残ってなくて……。」

 

「何も……残ってない⁉︎」

 

「ええ。μ’sの人達……何も残していかなかったらしいです。自分達の物も、優勝の記念品も。記録も………物なんか無くても、心は繋がっているからって。それでいいんだよって。」

 

「心は……繋がっている……か……。」

 

その直後、聞こえたのは1人の女の子の声。

聞こえた方向を向いてみると……その子は何処と無く、μ’sの誰かに似ていた。

 

 

「どう?何かヒントは見つかった?」

「うん、ほんのちょっとだけど……梨子ちゃんは?」

「うん、わたしは良かった。ここに来て、はっきり分かった。私、この学校が好きだったんだなって。」

 

そして、千歌は校舎に向かって頭を下げる。

続けてみんなも。

 

『ありがとうございました‼︎‼︎』

 

だが、そうした後顔を上げると、その彼女はいつの間にやらいなくなっていた。

あれは本当だったのか、それとも幻か……まあ前者である事を祈ろう。

(隼斗談)

 

〜〜〜〜〜〜

 

「見つかった、らしいな。」

「ヨシ!じゃあ俺っち達もお暇……」

 

とその時、久々の謎の重力を感じるAqours一行。そう、重加速だ。

 

「重加速⁉︎」

「こんな時に……‼︎」

 

そして、木の陰からソレが飛び出して来た。

 

「見つけた………仮面ライダー‼︎」

 

隼斗、及び憐は重加速から解き放たれる。

 

「仮面ライダー………俺たちを知ってるのか⁉︎」

 

そのナンバーは077と表示されていた。

 

「ナンバーは……077!」

「昔資料で見たタイプだ!」

 

「まあいい!あの方の命令だ!こいつでおまえ達を始末する‼︎」

 

その手に握られていたのはUSBメモリのようなアイテム。照井警視と出会った時。

東京で蜂の怪物、ドーパントが使用していたものと同じ、ガイアメモリだった。

 

象を型取り、Eを作っていたそのメモリを起動する。

 

《elephant!》

 

「エレガント?」

「elephant!象って事だ!」

 

「オラァ!」

 

077はそのメモリを頭部に挿す。

すると、その姿が変化し、長い鼻を持つ象型のドーパントに変身する。

 

「確かに象だなこりゃあ!」

 

「今度こそこれで仮面ライダーを倒す!あの時はできなかったが………喰らえ‼︎」

 

エレファントドーパント……いやロイミュードと言うべきか。077は長い鼻を鞭のようにして2人を攻撃する。

 

「あぶねっ⁉︎」

「うわっと⁉︎」

 

なんとかかろうじて避けた2人。

 

『隼斗!気をつけて!』

 

『またロイミュード?ですの⁉︎』

 

『でもあの時と同じ!違うタイプだよ!』

 

「やむをえねえ……さっきの親子は……いないな!よし、なら……」

「ハーさんはまだ一応ダメだろ?ここは俺っちに負けせろっテ!」

 

憐が隼斗を制止、自身はドライバーを装着する。

 

「憐!幾ら何でもおまえだけじゃ……」

 

「ハーさん下がってろって!今回は……」

 

ドライバーのパネルを展開。憐が取り出したのは、シグナルスレイヤーではなく、シフトデッドヒートMk-IIを取り出した。

 

「俺っちが主役だ‼︎」

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

「吠えるぜ……変身‼︎」

 

《Rider!Dead Heat‼︎》

 

 

デッドヒートを装填、パネルを降ろした後、顔の前で手を交差させ、まるでオオカミ男が吠えるようにポーズを取ると、赤いスパークと光、そしてアーマーが彼の身を身に纏い、スレイヤーは新たな姿に。

 

デッドヒートの専用タイヤや胴体、メーターは変わらず。スレイヤーの固有武装である両手に二本ずつのクローの先端には鋭い赤い刃が付与されており、頭部にもソニックのような赤いバイザーが装着されている。

 

「デッドヒートの力を手に入れ……さらなる進化!仮面ライダー!デッドヒートスレイヤー‼︎」

 

『進化したずら…⁉︎』

 

『紅の力をへて……地獄の獣がさらなる進化を‼︎』

 

「デッドヒートスレイヤー………」

 

「進化したところで!」

 

エレファント077は鼻を鞭のように振り回し攻撃を仕掛けて来る。

 

「ところでどうかしたって?」

 

が、スレイヤーはあっさりとそれを躱しエレファントを1突き。が、あまり深くは刺さらなかった。

 

「ナニっ⁉︎」

 

「なるほど……象の皮膚はかなり硬さ…防御力が高いのか!」

「そう言う事だ!並みの攻撃じゃ傷はつかん!」

 

「フーン……並みの、ネェ………なら‼︎」

 

スレイヤーは再び強化クローを構え077へ向かっていく。

 

「ハアッ‼︎オラァ!せあっ‼︎」

 

同じところを集中攻撃する。何度も何度も、繰り返し。

 

「さっきから同じとこばかり……何考えてやがる……?」

 

「無駄無駄!効かないって言ったでしょ‼︎」

 

「たとえ硬さのあるヤツでも………」

 

 

その時、攻撃し続けた一箇所から火花が散る。

 

「なにっ⁉︎」

 

「同じところを攻撃してれバ‼︎」

 

そしてスレイヤーはすかさずその一点をクローで貫いた。

 

「グアアア⁉︎」

 

「なるほど!一点狙いでの攻略か!」

 

「俺っちハーさん程の速攻じゃねえが……そろそろ決めてやる‼︎」

 

《ヒッサツ!full throttle!dead heat‼︎》

 

クローを引き抜き、ドライバーを操作しフルスロットル。

 

クローの先端、赤く鋭い部分にエネルギーが行き渡る。

 

「ハァァァァ…………」

 

「や、や、ヤバイ………」

 

「『ブラッディ・ヒートリッパー』‼︎」

 

ハンティングエンドの要領で走り跳び、右、左、そしてまた右、左と4連撃後、交差させ切り裂く攻撃を繰り出した!

 

「フッ…………。」

「あれ、切れてない………」

 

 

「もうとっくに、切れてるからナ。」

 

 

 

スレイヤーがそう言った瞬間、時間差で赤い光が077を微塵に切り裂き爆散した。

 

「ギャアアアアアアア‼︎‼︎」

 

それと同時に内部コアとメモリも完全破壊。

重加速も解かれた。

 

「ずらっ⁉︎」

「ピギィ⁉︎」

 

『おお…………』

 

「なんと言うか、おまえにしてはスタイリッシュな技使うな。」

「俺っちがゲームで見た、とあるキャラの必殺技を参考にしたからナ。」

 

《オツカーレ!》

 

「と言うより、ちょっといい?」

「ン?なーに果南サン。」

「なんで憐くんは暴走しなかったの?」

「確かに、ハヤトが使った時は……」

 

「俺っちが使ったのは調整完了後ってのもあるけど……単純に怒り無しに倒したから……カナ?」

 

「すごいよ憐君!カッコいい‼︎」

「確かに、あれだけすごい技なんて‼︎」

「イヤーそれほどでも〜♪」

 

「ってかみんな、さっさとここを離れるぞ!

派手にやっちまったから、警察に嗅ぎつけられたら面倒だ‼︎」

 

「ズラかるゼ!」

「ずら!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、帰り道の電車内。

 

「結局、東京に行った意味はあったんですの?」

「そうだね……μ’sの何が凄いのか、私達と、何処が違うのか。はっきりとは分からなかったかな。」

 

「果南は、どうしたらいいと思ったの?」

「私?私は……学校は救いたい。けど、セイントスノーの2人のようには思えない。あの2人、1年の頃の私みたいで。」

 

「んしょ………何かしらの共感をした……と?姉ちゃん。」

 

果南と鞠莉側の裏の席から顔を出す隼斗。

 

「まあ、そんなとこ……ん?」

「bigになったね、果南も。」

 

「鞠莉サン、セクハラダゼ………」

 

憐はちなみに反対側、黒澤姉妹側の方。

 

「訴えるよ………」

 

そうこうしていると、電車は途中駅に停車。

夕焼けでオレンジに染まる海が中々に絶景だ。

 

千歌もそれを見ながら、あの人の言っていた言葉を思い出していた。

 

『μ’sの人達……何も残していかなかったらしいです。

 

それでいいんだよって。』

 

 

「ねぇ!海、見ていかない⁉︎みんなで‼︎」

 

唐突にそう言った千歌は電車を降りホームに。

 

「千歌ちゃん!」

 

「あいつ何考えてんだか………」

「俺っち達も行くぞ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

高架下の海岸。

 

「綺麗………」

「ずら……!」

 

「地元とはまた違った景色だな。カメラ持ってくりゃよかったぜ………」

 

 

「みんな、私ね、分かった気がする。μ’sの何が凄いのか。」

 

「本当?」

「マジか。」

「何がっテ?」

 

「多分、比べたらダメなんだよ。追いかけちゃダメなんだよ。μ’sも、ラブライブも……輝きも。」

 

「どういうこと?」

「さっぱり分かりませんわ……」

「それってほぼ全部じゃねえか。」

 

「そう?私は……なんとなく分かる。」

「1番になりたいとか、誰かに勝ちたいとか。μ’sって、そうじゃなかったんじゃないかな?」

 

「うん。

μ’sの凄いところって、きっと何もない所を、何もない場所を、思いっきり走ったことだと思う。みんなの夢を、叶えるために。自由に、真っ直ぐに!だから飛べたんだ!」

 

「どんな場所で輝くよりも、その場所でどう輝いたか………そういう事か?」

 

「μ’sみたいに輝くって事は、μ’sの背中を追いかける事じゃない。自由に走るって事じゃないかな⁉︎全身全霊、何にも囚われずに!自分達の気持ちに従って!」

 

「自由に……」

「run and run……」

「自分達で決めて、自分達の足で。」

 

「なんかワクワクするずら!」

「ルビィも!」

「全速前進、だね!」

 

「この空はこんなにWideなんだ、自由じゃなきゃもったいねえか!」

「自由に広い所を駆けるのは動物の特権じゃネェって事か!」

 

「自由に走ったら、バラバラになっちゃわない?」

「何処に向かって走るの?」

 

「私は……ゼロをイチにしたい!あの時のままで……終わりたくない!」

「千歌ちゃん………。」

「それが今、向かいたい所!」

 

「ルビィも!」

「そうね、みんなもきっと!」

「なんか、これで本当に、1つに纏まれそうな気がするね!」

「遅すぎですわ。」

「みんなshyですから。」

 

「最後まで乗るさ。いつかgoalするその時まで!」

「もちろん、俺っちだって!」

 

 

千歌がメンバーの元に駆け寄り、全員で円陣を組み手を重ねる。

 

「じゃあ行くよ!」

「あ、待って!こうじゃなくて………」

 

曜の提案で少し変わり、片手で銃の形を作るようにする。

 

みんなで繋ぎ、0から1へ。という意味らしい。

 

「ゼロからイチへ!今、全力で輝こう‼︎

Aqours‼︎」

 

 

『Sun shine‼︎』

 

 

1つの目標に向かって、自由に、されど全員で。

Aqoursはここからが真のスタートだ!

 

 

次回に続く。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

次回予告!

 

第1期最終回兼特別編‼︎

 

二作合体!

フルスロットル・カイガンスペシャル‼︎

 

「天城隼斗〜復活‼︎ってなんじゃあこりゃ……」

 

復帰を許されたのもつかの間、

謎の目玉のようなアイテムを拾った隼斗。

 

「眼魂を返せ!」

「こいつら見えねグフッ⁉︎」

 

見えない未知の敵。

そして………誰だこいつ⁉︎

 

 

「ゆ、幽霊⁉︎」

「ghost⁉︎」

 

「俺は、仮面ライダーゴースト。」

 

 

ラブゴースト!サンシャイン‼︎より

仮面ライダーゴースト/神野湊矢参戦!

 

 

第22話前編 その眼を開き、戦うのは何か

 

第22話後編 その者達は輝けるのか

 

 

お楽しみに‼︎

 




ミニ解説

仮面ライダーデッドヒートスレイヤー

憐がシフトデッドヒートmark2を使用し変身。より荒々しい見た目になり、攻撃力が上昇。

必殺技はエネルギーを纏ったクローで敵を切り刻む
ブラッディ・ヒートリッパー。

なお隼斗と違い、初回での暴走は無し。

ーーーーーーーーー

投稿期間が空いてしまいすいません!何かとリアルが忙しく………
9月からはなんとかできるようにします!

そして次回は嘆きの妖精さんとのコラボ企画!エグゼイド×キュウレン的な軽い感じですが、お楽しみに‼︎


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第1期最終回Part1 その眼を開き、戦うのは何か

9月もかなり多忙でした!ってか高校生活かなりキツイです……修学旅行で長崎にも行ってきました!案外楽しかった。

さて、もう既に2期が始まってしまっている為ノンストップで駆け抜けます!
最終回の為、大・大・大長編‼︎

嘆きの妖精さんとのコラボ企画、ゴーストの登場回です‼︎


 

 

前回のサンシャインサーガ‼︎

ナレーション 天城隼斗

 

前回またまた東京に向かった俺たちAqours一行。

セイントとの出会いとか話とか……まあ色々あったが、音ノ木坂にも行ってみたりと中々のいいものになった。

 

しかし、帰ろうとした途端現れたのは、ガイアメモリを使用し変貌したロイミュード077だった!

 

戦えない俺に変わって、なんと憐がデッドヒートに!暴走も抑えながら凄まじい力を発揮して見事撃破したのであった……

 

ってか俺戦ってなさ過ぎじゃね⁉︎もう最終回なんですけど主人公がここまで変身しないって((ry

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「んじゃ始めるぞ、とりあえず寝てじっとしてな。」

 

「はいよ博士〜。」

 

 

ここは隼斗達をサポートする、キリカ博士の研究室。場所的には体育館裏の使われていない空室の更に地下にある為、普通生徒は近寄らない。近寄る理由が無い。

 

 

今まさに隼斗は復帰に向けた最終調整に入っていた。

 

隼斗の腕や服を着ていない上半身には医療に使われるような心電モニターの電極が貼られ、コードのその先にはコンピューターが、そして隼斗用のマッハドライバーMk-IIが繋がれていた。

そしてその隣には隼斗の使うシグナルバイク達が並ぶ。もちろんデッドヒートもだ。

 

「でもこれは流石に大掛かり過ぎると思うんだ俺。」

「何を言うんだ。少し長い間休み過ぎた……いや休ませ過ぎたか。だから再開の時こそ、念には念を入れて、そのまた中に念を入れるぐらいじゃないと。うだうだ言ってないで大人しくする!」

「へーい。」

 

「んじゃあ始めるか……ドライバー使用者との生体リンク、及び調整用チューニング………開始!」

 

キーボードを打ち、そしてエンターキーを押す。膨大な数字が画面を覆っていき、データがドライバーにインストールされていく。

 

それと同時に隼斗の身体能力等も情報交換され、ドライバー自体のシステムアップデートもされる。

 

「で、博士。この作業どんくらいかかる?」

 

「うーん……早ければ30分で終わるし、遅くとも1時間だろうな。」

「練習潰れる……しかもそれまでずーっと、この体勢?マジかよ………あいつら大丈夫かな……」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

一方その頃、練習中のAqours &憐。

 

「ワン・ツー・スリー・フォー、ワン・ツー・スリー・フォー……今のところの移動はもう少し速く!」

「ハイ!」

 

「ヨッちゃんは……」

「ヨハネ!」

「もう少し速く!気持ち急いでナ!」

 

 

 

 

「よし!じゃあ休憩しよ!」

 

 

 

 

予備予選を突破し、次はいよいよ本番の東海地区予選。みんな練習に気合が入る。

 

「暑過ぎずら………」

「今日も真夏日だって……。」

 

 

まあ、暑いのは変わらずだが。

まだまだ夏休みの只中。

 

「はい!水分補給は欠かさない約束だよ!」

 

そう言って曜はルビィと花丸の2人に水を渡す。

 

「ありがとう!」

「ずら!」

 

 

 

 

「ふぅ……今日もいい天気!」

「休まなくていいんですの?日向にいると、体力持っていかれますわよ。」

「果南はShinyの子だものね。」

 

「ヒィ………」

 

そして善子は何故か黒装束。このクソ暑いのに……

 

「そんな黒い服なんて着てっからダゼ……」

「黒は堕天使のアイデンティティ……黒が無くては生きていけない……っていうか、そう言う憐だって……あれ?今日はアンタ……」

「ン?ああそうか。俺ッチデッドヒートに覚醒したから新しい練習着!別カラーで私服用も買ってアル。」

 

憐が着ているのは赤色の半袖シャツ。

ど真ん中に大きく黒色で獣が爪で引っ掻いたようなマークと、scrtcと描かれている。

 

そのメーカー、スクラッチ社は憐が最近気に入ったという有名なスポーツメーカー。キャッチフレーズは

『スポーツを科学とハートでサポートする』らしい。

 

「この会社の製品中々に使い勝手よくってサ!動きやすいし丈夫だし!」

「随分お気に入りなのね……」

 

「善子さん、死にそうですわよ………」

 

 

「千歌ちゃん!」

 

梨子が水の入ったペットボトルを千歌に投げ渡し、それを千歌がキャッチ。

 

「ナイスキャッチ!」

「飲んで!」

「ありがとー!」

 

「そういえばさっきから気になってたけど…隼斗遅いね。」

 

 

「さっき私先生に…博士に聞いたけど、今日から隼斗を復帰させるからその最終チェックだって。」

 

「最終チェック……」

「そっか、隼斗君ずーっとお休みしてたから……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

そして、少し時間が戻って研究室。

 

「97……98……99……100%!システムAll Green、完了だ隼斗!お疲れ様!」

 

「zzz………ハッ、寝てた……」

 

「オイオイ……ほら、調整済ドライバーとシグナルバイク達!」

 

ドライバーを投げ渡し、シグナルバイク達も自分の意思で隼斗のジャケットのフードに戻る。

 

「サンキュー博士!みんなお待たせ、また頼むぜ。」

 

「今度は気をつけたまえよ?」

「分かってる!そんじゃ練習行くから!」

「まず上きちんと着てそれから行け!」

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

「天城隼斗………復活!」

 

隠し扉から飛び出す隼斗。

 

 

「さて、練習に急ぐか!ズーットソニ…うぉあ⁉︎」

 

そして、曲がり角を曲がり走り出した瞬間何かを踏んで転ぶ。

 

「いってぇ……ってなんじゃあこりゃ……ピンポン球……にしては不恰好過ぎるし……目玉みてえだな……いやそれにしてはなんかかっこよさ?がある……何これ誰の落し物だよ……」

 

赤色と黒色のカラーの手のひらサイズの球体。スイッチがあるので押してみると、音とともにR16のナンバリング、そして上部を見るとよく知る顔が描かれていた。

 

「これってドライブ……」

 

謎のアイテムに描かれていたのはソニック達のオリジナルに当たる仮面ライダードライブだった。

 

「シグナルバイクでもねえしシフトカーでも無い……これはなんのアイテムだ……?まあとりあえず拾っといて後で博士に聞こ……ってか遅刻遅刻!急ぐぞオレ!」

 

それをポケットに入れ走り出す隼斗。

 

だがその後背後に一瞬現れ消えた眼を模した紋章に彼は気づかなかった………

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そこから少し時間が経ち&隼斗が移動。

 

 

 

「よーし!じゃあそろそろ再開しようか!」

 

「ブッブー!」

「ちょおっと待ったァ‼︎」

 

「な、何⁉︎あと隼斗君!」

 

「やっと追いついた……まだやってる?」

「むしろこれから再開なんだけどダイヤさんが……」

 

 

「オーバーワークは禁物ですわ!」

「byカナン!」

 

「そっか……これからが1番暑い時間だもんね……」

「たしかに、この暑さじゃあな……」

 

「ラブライブの地区予選が迫って、焦る気持ちも分かりますが、休むのもトレーニングの内ですわよ?」

「流石ダイヤさんだな……」

 

「その前に……みんな100円出して!」

 

「お、丁度アレか!」

「今日も楽勝ダゼ!」

 

「始まるのですね……本日のultimate ラグナロク……未来が……視える!」

 

 

「じゃあ行くよ!」

 

『じゃーんけーん…………』

 

 

 

Aqoursには練習途中の休憩時間に毎日恒例のイベントがある。

 

途中アイスをみんなで食べるのだが、それを買いに行く人物を決めるじゃんけんをする。

 

一応出す金は全員100円だが、時々高かったりして足りなかったりというのがあるのでそこはじゃんけんで負けた買いに行く人物持ちである。

 

 

で、結果は……………

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

独特のチョキを使う………善子。

 

「なんでいつも負けるのかしら……」

「ヨッちゃん使うのいつもソレだからダロ。」

 

 

そして、負けてはいないが、アイスが溶けたらマズイので速攻で持って行く為にバイクに乗って付き添いの憐。

 

「1358円です。」

「誰よ!高いアイス頼んだの!」

「ハーさんとか鞠莉サン辺りじゃね?」

 

 

__________________________

 

 

 

そして、みんなは図書室で休憩。

実はこの学校、教室に冷房が無い。

 

一応この図書室は扇風機があるので少しはマシなのだ。

 

 

「ずらぁ〜。」

「びぎぃ〜。」

「よはぁ〜。」

「がおぉ〜。」

 

 

「全然こっちに風来ないんだけど………」

「あと憐お前も合わせんでよろしい。なんだその謎声………じゃあ俺もいただき……ガッ⁉︎このアイスくそカテェ‼︎」

 

 

隼斗は某あずきのアイス。これ鉄なんじゃねえのってぐらい硬い。

 

「統合の話がある学校に付くわけないでしょ……」

「無慈悲な事言うなよ梨子……」

 

「じゃあ隼斗君変身してよ!ソニックなら風をある程度操れるんでしょ?なら……」

「俺のソニックは扇風機じゃねえっつーの!

大体操れるといってもただでさえ暴風クラスの風だ。それを冷房として使うとか……」

 

「ダメか〜……あ、そうだ!学校説明会の参加者って、今どうなってるの?」

 

千歌がそう言うと、鞠莉は腰掛けていたカウンターを乗り越えコンピュータを起動し確認。

 

「よっ……」

 

「鞠莉さん!はしたないですわよ!」

 

「ホレホレ……!(どれどれ……!)」

 

隼斗もひとっ飛びでカウンターを飛び越える。

 

「隼斗さんも!そのアイス食べ終わってからにしなさい!」

 

「今のところ………」

「今のところ?」

 

「今のところは…………」

「今のところは………?」

 

 

「ゼロ〜♪」

 

「うん、まあなんとなく予想はしてたけどよ………だーめだこりゃ!うわっと…ハグっ……」

 

「そんなにこの学校魅力無いかな……少しくらい来てくれてもいいのに………」

 

 

とその時、出入り口のドアが開く。

 

「あれ?むっちゃん達どうしたの?」

 

よしみ、いつき、むつの3人。

通称よいつむトリオ。

 

「図書室の本返しに来たんだけど……」

 

「まるちゃん、仕事ダゼ。」

 

「もしかして今日も練習?」

「うん。地区予選もうすぐだから。」

 

「この暑さだよ?」

「んなもん毎日だ。もう慣れたようなものだ。」

「毎日⁉︎」

「夏休み……」

「毎日練習してたの?」

 

「そろそろ始めるよー‼︎」

「千歌!置いてくぞ‼︎」

 

「今いく!じゃあまたね!」

 

 

千歌も3人に挨拶しみんなを追う。

 

「あ、お前らも体調とか気をつけろよ!じゃあな!」

 

隼斗が窓から顔を出し、一言声かけてすぐに戻った。

 

 

 

__________________________

 

 

そして、すっかり日が暮れた夕方。

練習を終えた一行はプールに。

 

 

「ふぅ……今日もめいっぱいだったね〜!」

「でも、日に日に良くなってる気がする!」

 

「俺らから見ても中々の出来だ。この調子ならいけるはずだ。」

 

「それで、歌の方はどうですの?」

「花丸ちゃんと歌詞を詰めてから、果南ちゃんとステップ決めるところ。隼斗君もステップのサポートに加わってもらってて。」

 

「一応アメリカでそこそこ覚えてるからな。役には立つと思うぜ。」

「聴いてる人のハートに、Shinyできるといいんだけど。」

 

「ま、とにかく今は疲れを取ってまた明日に備えよう。よっ!」

「堕天!」

「Shiny!」

 

「3人ともそのまま入るなって!ったく……」

「そう言うハーさんも足だけ入れてるノナ。」

「これだけならすぐに拭けば問題ねえだろ?」

 

 

「千歌ー!」

 

 

呼ばれた方をふと向くと、そこには帰ったはずのむつ達3人が。

 

「帰ったんじゃ……」

 

「でも……なんかちょっと気になっちゃって。」

「千歌達ずっと、ラブライブに向けて練習してたんでしょ?」

「そんなにスクールアイドルって面白いのかなって。」

「私達も、一緒にスクールアイドルになれたりするのかな?……学校を救う為に。」

 

「実は他にも、自分達にも何かできるんじゃ無いかって考えてる子が結構いるみたいで。」

「そうなんですか?」

 

「はい。」

「統廃合の話、あったでしょう?みんな最初は仕方ない事だって思ってたけど……」

「やっぱりみんな、この学校が大好きなんだよね!」

「だから、学校を救ったり、キラキラ輝いたりしたいのは、千歌達だけじゃない!私達にも、何かできる事あるんじゃないかって!」

 

 

「よくそんなに考えたもんだぜ……」

 

「どうかな………?」

 

 

 

 

「やろう!みんな一緒に!」

 

「本当⁉︎」

「やったぁ!」

「なんかワクワクしてくるね!楽しみだな!ラブライブ!」

 

喜ぶその外で、

様子を少し不安そうな表情で見ている梨子であった………

 

 

_______________________

 

その夜。

互いの家が隣同士、かつ部屋が近いところの千歌と梨子が話していた。

 

「歌?」

「うん!ダンスは無理かもだけど、ステージで一緒に歌うとかなら間に合うんじゃ無いかなって。」

 

「できるの?」

「うん!みんなが歌って、上手くいって、それで有名になって、沢山の入学希望者が来れば、学校も存続できるし。」

 

「千歌ちゃん、でもね………」

「それと……今はゼロをイチにしたい。

 

今日、むっちゃん達と話してて思ったの。

なんで入学希望者が0なんだろうって。

だって、ここにいる人は、みんなここが大好きなんだよ?町も学校も人も、みんな大好きなんだよ?それって、ここが素敵な場所って事でしょ?なのに0って事は、それが伝わってないって事だよね。

 

ラブライブがどうでもいいって訳じゃないけど、ここが素敵な場所だってきちんと伝えたい!そして、ゼロをイチにしたい!」

 

 

「そういうとこは変わってねえな……よかったよかった。」

 

「あ、隼斗君……それに……えっ⁉︎」

「さっき風呂から上がったらバッタリ会ったんだ。」

 

「千歌ちゃん、その人……」

「お母さん⁉︎」

 

隼斗と、その隣に立っていた、千歌よりも身長が低い女性が1人。

千歌の母親だ。

 

「千歌ちゃんの……お母さん?」

「そうです!私が高海千歌の母です!あなたが梨子ちゃんね?」

「あ、はい!初めまして、こんばんは……」

「初めまして、こんばんは。」

 

「にしてもまた随分と久しぶりっすね……」

「隼斗君も大きくなって……2年アメリカにいたんだって?美琴ちゃん達は元気?」

「俺が大きくなったってのはまあ……というか千歌の母さんがむしろ縮んだんじゃ……あ、母さん達は元気だよ。まだアメリカに残って研究中だけどね……」

 

「むっ、縮んだとは失礼な……それにしても美人ね〜。」

「そ、それほどでも……あるかな……?」

 

「っていうかどうして?東京にいたはずでしょ?」

「そうだけど、なんか千歌がスクールアイドルとかいうのやってるから、一度見に来てって志摩から連絡があって。」

「志摩姉さんからか……なるほど。」

 

「また余計な事を……とにかく今は梨子ちゃんと大事な話してるんだから、あっち行ってて。」

「はいはい。あ、一個だけいい?」

「なに?」

 

「今度は、辞めない?」

 

 

 

「………うん、辞めないよ。」

 

 

そういうと、千歌の母さんはその場を離れた。

 

「いいお母さんね。」

「え……そ、そうかな?」

「そうに決まってら……。」

 

「とにかく!ラブライブ目指して‼︎」

「うん!」

 

「さて、また明日からだ!」

 

 

 

ラブライブ!サンシャイン‼︎サーガ!!!

 

 

 

そしてついにやって来た

東海地区予選当日‼︎

 

 

「待ち合わせ場所はっと……」

「今来たのが、こっちだから……」

 

 

そしてなんやかんやあって………

 

「むっちゃん達来てないね。」

「多分ここで合ってるはずなんだけど……」

 

 

「千歌ー‼︎」

 

「お、来たっぽいぜ!」

 

 

「ゴメン!道に迷っちゃって!」

「ところで、他の子は?」

 

「それなんだけど、実は………」

 

「そっか……」

「しょうがないよ、夏休みなんだし……」

 

「私達、何度も言ったんだよ?」

「でも、どうしても……!」

 

「どういう事だ?」

 

すると、どっからか沢山の浦の星の制服の生徒が。なんと全員で来たのだ。

 

「全員で参加するって!」

 

「なんてこった………」

「すげえナ……」

 

「びっくりした?」

 

「うん!これで全員でステージで歌ったら、絶対キラキラする!学校の魅力も伝わるよ!」

 

 

 

 

「ごめんなさい!」

 

 

「梨子ちゃん?」

「wat’s up?どうしたのさ。」

 

 

「実は、調べたら歌えるのは事前にエントリーしたメンバーだけって決まりがあるの……」

 

「待てよ、つーことはつまり………」

 

 

「そんな………」

「ステージに近づいたりするのもダメみたいで……もっと早く言えばよかったんだけど……」

 

「ごめんね、むっちゃん………」

 

「いいのいいの!いきなり言い出した私達も悪いわけだし………」

 

「じゃあ私達は、客席から宇宙一の応援してあげるから‼︎」

「浦女魂、見せてあげよう‼︎」

「だから、宇宙一の歌、聴かせてね‼︎」

 

 

 

「うん!じゃあみんな、行こう‼︎」

 

 

「隼斗、憐君も行くよ!」

「あ、俺達はちょっと飲み物買ってから行くから姉ちゃん達は先行ってて!すぐに行く‼︎」

「なるべく早く来るんですのよ!」

 

 

 

そして、全員がそれぞれの所に向かった後、隼斗と憐も自分の飲み物を買いに近くの店までダッシュ。

 

 

__________________________

 

「さて、これでよし……すぐにでも戻らないと………」

「急ぐぜハーさん!」

 

 

隼斗が店を出て路地を通り……会場の近くに来たところで事件は起きた。

 

「えーと今の時間は……ん?あれ?」

 

スマートフォンを見るが、時間や曜日がめちゃくちゃ。

そして周囲の様子も変だ。

 

子供の遊んでいるラジコンのヘリコプターが飛んではいるがコントロールが出来ていない。

 

時計が狂ったり、電話が通じない。周りにはそんな現象が見て分かる。

 

 

「これは一体………ってなんだあれ⁉︎」

 

 

すると隼斗の前に眼をモチーフにしたような黒い禍々しい紋章が現れ、中からかなり昔の角の立つロボットのような怪物が現れた。

 

その胸にはナンバーこそ無いもののロイミュードと同じプレートが付いていた。

 

イメージとしてはガットンバグスターのような容姿と声。

 

 

「アイコン所持者を確認、回収作業に移行、行動開始。」

 

「アイコン?こいつ何言ってんだ……」

 

「ハーさん何一人で喋ってんの?何?魔界のなんかに目覚めた?」

「善子と一緒にすんじゃねー!見えねーのかあのロボット!」

「ロボット?俺っちにはなんも……いや少しモヤモヤした何かが見えるけど………」

 

「障害物確認、手早く排除する。」

 

すると、ロボットの右アームが射出され憐を吹っ飛ばす。無論見えないので避けれるはずもない。

 

「痛え⁉︎なんだこいつ姿見えねえ!」

「(あいこん……もしや!)

憐、ここで1つ問題だ。あいつは敵か、それとも優しいロボットか。」

 

「敵と見る。」

「正解だよねこれ。とりあえずここだと色々まずい、人気の無い所に移動して倒す!おい鉄くず!欲しいのは………これか!」

 

 

隼斗はポケットからドライブの眼魂を取り出す。

 

「欲しかったらここまで来やがれ‼︎」

 

それを持つと走り出す。できる限り会場から離すように。

 

「ターゲット逃走、モービルモードに移行、追跡を開始する!」

 

 

「憐!お前は先に行け!この事は俺一人でなんとかするから伝えなくていい‼︎記録とか任せた‼︎」

「で、でもハーさん!打ち合わせてたアレは……」

「それまでには間に合う!間に合わせる‼︎行け‼︎」

 

「………分かっタ!ゼッテー戻れよ‼︎」

 

憐は1人会場へ走って戻る。

 

 

そして隼斗は走り、中心部から離れた広い空き地へ。

 

 

「ハァ……ハァ……ここまでくれば……」

 

「ターゲット再捕捉、眼魂の回収作業を開始する!」

 

「んじゃ復活祝い!最初の変身を………」

 

 

 

『いいや、ちょっと待って‼︎』

 

 

「なんだ⁉︎」

 

 

何もない周りに声がする。若い男の声だ。

大体隼斗と同じぐらいかそれより1つ上か。

 

すると、隼斗とロボットの間にあの眼の紋章が現れる。しかし、今回は黒では無くオレンジ色に光っていた。

 

「よっ!ついに見つけた!」

 

 

そしてその中から高校生くらいの少年が飛び出して来た。

 

「俺と身長同じ……くらい?」

 

「眼魔!盗んだ眼魂を返してもらうぞ‼︎」

 

「あ、あのー!」

「はい?悪いけど今取り込み中なんだ、後にしてくれ……」

「その眼魂ってもしかしてこれ⁉︎」

 

隼斗がドライブの眼魂を見せる。

 

「あ、それだよそれ!ありがとう!探してたんだ‼︎」

「いえいえ……ってかお前一体……」

「俺?俺は響野湊矢。高校2年生。」

 

「あの魔法陣みたいなのから出てきた時点で普通の高校生じゃないよな……」

「そう、俺実は今死んでるんだよね……」

 

「はぁ⁉︎いやいやだってほら触れる……」

 

すると、その湊矢の姿が消える。

 

「消えた!」

「ね?」

「ほんとだ……ところで、ガンマってなんだ?」

「それを持ってるなら見えるでしょ?あのロボットが眼魔だ。まあ悪い幽霊みたいなものと考えてくれればいい。」

 

「ghost、ね……大体分かった。で、あいつを倒すんでしょ?俺がやるから、下がっててよ。」

 

「やるって、どうやって………」

「こう!」

 

隼斗がマッハドライバーMk-IIを装着する。

 

「それは!」

「ん?マッハドライバー知ってるのか?」

 

「まあ、ちょっとね……なら俺も協力するよ!」

「幽霊だとしてもあいつ相手には……」

 

湊矢が両手を腰にかざすと、大きなグリップの付いた1つ目のベルト、

ゴーストドライバーが現れた。

 

「君も仮面ライダー、だろ?俺もだ。」

 

「へぇ、お前もか!なら一緒に行こうぜ!」

「行くよ!えーと……何君?」

「天城隼斗!隼斗でいい!そっちは?」

「神野湊矢、湊矢でいいよ!」

 

「オッケー、やるぞ!」

「おう!」

 

 

隼斗はドライバーのパネルをあげ、シグナルソニックを左手に。

 

湊矢もオレゴースト眼魂のスイッチを入れ、ドライバーを開いてセット、そして閉じてレバーを引く。

 

《SignalBike!》

 

《アーイ!

バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

《Rider!Sonic‼︎》

 

「Ready!」

 

隼斗はパネルを下ろし、湊矢はレバーに手をかけ、同時にあの言葉を言い放つ。

 

『Hensin!(変身!)』

 

 

《開眼!オレ‼︎

レッツゴー!覚悟!

ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト‼︎》

 

《〜♪〜♪〜〜〜♪》

 

隼斗は仮面ライダーソニックに、湊矢は仮面ライダーゴーストに変身!

 

 

「悪は撃滅、正義は不滅!

この世の全てをトップスピードでぶっちぎる‼︎仮面ライダーソニック‼︎」

 

「俺は仮面ライダーゴースト!命、燃やすぜ‼︎」

 

そしてゴーストはフードを取る。

 

「ゴースト?確かデータで見たけどドライブ先輩と共闘してた……」

「ソニック?マッハじゃなくて?」

 

 

「エネミー識別!戦闘モードに移行。

ゴースト・ソニックを排除する!」

 

「行くぜゴースト!」

 

ゼンリンシューターBSを装備。

 

「行くよ、ソニック‼︎」

 

ゴーストはガンガンセイバーを装備し2人はロボ眼魔に向かって行く!

 

 

本来交わらぬ世界。

そのはずのライダー2人の共闘は次回に続く‼︎

 

 




本当は今回最後までやる予定だったのですが、想定外……このまま行くと長くなり過ぎるので次回に回します!
できれば今週末に後編を出せるように頑張ります!

それでは次回もお楽しみに!感想・評価お待ちしてます‼︎


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第1期最終回Part2 その者達は輝けるのか

第1期完結編!第2期も始まってるし
早く書きたいので行ってみましょう!



 

 

前回のサンシャインサーガ!

ナレーション 天城隼斗

 

ついに地方予選に挑む事になったAqours。

その一方で俺は色々な機械がへんな動きを起こす怪現象を目撃する。

 

そこへ現れたのは、ロボットの姿をした眼魔という怪物と、それを追って来た湊矢と名乗る男だった。

 

どうやら彼は眼魔が奪った物、俺が持っていた眼魂とやらを取り返しに来たらしい。

 

一先ず眼魂を返す前に、俺たちは協力して眼魔を倒す事に!

 

ゴーストの力、見せてもらうぜ‼︎

 

 

__________________________

 

 

「shoot!」

 

ゼンリンシューターから放った銃撃がロボ眼魔に直撃。

 

「ハッ!」

 

そしてゴーストの剣撃がヒット。

 

「やるな、ゴースト!」

「そっちこそね、ソニック!マッハと同等か、それ以上か……!」

 

「それほどで……もっ‼︎」

 

《ゼンリン!》

 

前輪を回転させ殴りつける。

 

 

「損傷率27%、戦闘続行可能。」

 

 

「あいつ、中々硬えな……本当に幽霊か?」

「幽霊だけど幽霊じゃないっていうか……じゃあ、パターン変えてみようか。」

「パターン?」

 

するとゴーストはドライバーを開き、眼魂を取り出す。

パーカーが消え、アンダースーツのみになる。

 

そして、何処からか新たな赤色と白の眼魂を出しスイッチを入れる。

01のナンバリングが浮かび上がりそれをドライバーにセットし閉じる。

 

《アーイ!

バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

すると赤色のパーカーがドライバーから出てくる。まるで侍のような見た目だ。

 

「なんじゃありゃ……」

 

「日本で生きた剣豪、その名は……」

 

ドライバーのレバーを引き、そして押し込む。

 

《カイガン!武蔵‼︎

決闘!ズバッと!超剣豪‼︎》

 

そしてそれを羽織り姿が変わる。

 

そして、武器を2つに分け二刀流に。

 

 

「二刀流使い……宮本武蔵!」

 

「正解!じゃあ行くぜ!」

「OK‼︎」

 

ゴーストが前を行き、ソニックは後ろから銃撃でアシスト。

 

「ほらほらこっちだって!」

 

《SignalBike!

Signal koukan! Cho Kakusa–n‼︎》

 

「Bang!」

 

《シューター!超・カクサーン‼︎》

 

カクサーンⅡの能力で増えた拡散弾がロボ眼魔にヒットする。

 

「サンキュー!」

 

そしてゴーストは両手の剣を持ち、二刀で眼魔を斬りつける。

 

「ハッ!おらっ‼︎」

「ゴースト屈んで!」

「え?こう?」

「そーらもう一丁!」

 

ゴーストが屈むとソニックはそれを踏み台にし跳ぶと上からゼンリンシューターで殴りつけ更にゼロ距離射撃。

 

「損傷率……49.58%………」

 

「さて、こっからどうすっかな……」

 

「あ、ソニック!あの眼魂、返してくれないかな?」

「え?でもあれがないと俺見えねえし……」

 

「代わりにこれを……っと!」

 

すると、ゴーストはムサシ眼魂をソニックに渡す。

 

「あ、なるほど!これなら見える!ありがとう!じゃあ……それっ!」

 

ソニックはゴーストにドライブ眼魂を返す。

 

「よーし!じゃあスペシャル大サービス!」

 

そしてゴーストはドライブ眼魂のスイッチを押し、ドライバーにセット。

 

《アーイ!

バッチリミナー!バッチリミナー!》

 

ドライブ姿のパーカーが宙を舞う。

 

「もしかして………!」

 

ゴーストがレバーを引き、そして押し込む。

 

《カイガン!ドライブ‼︎

警官!正義感!タイヤコウカン‼︎》

 

それを纏い、ゴーストはドライブ魂、ドライブの姿に。両手にはハンドル剣とドア銃

 

「ドライブ!スッゲエ‼︎」

「でしょ?」

 

「んじゃあ……俺も!来い!デッドヒート‼︎」

 

左手を上に上げると調整済みのデッドヒートMk-IIがやってくる。

カクサーンⅡを抜き、デッドヒートをセットする。

 

 

「よっと……そらっ‼︎」

 

《Signal Bike/Shift car!》

 

「熱く行くぜ‼︎」

 

ゼンリンシューターを投げ捨て……

 

《Rider!Dead Heat‼︎》

 

「ッシャアアアア‼︎」

 

新たな装甲を纏い、タイヤがドライブのようにかかる。

 

そして前とは違い、スレイヤーと似た形状のクローがたたまれた状態で両腕にセットされている。

 

「え?何これ……クロー?」

 

『もしもーし?こちらキリカだけど。このデッドヒートⅡアップデート版のチュートリアルをとね。新たにスレイヤーと同型のクローを装備させておいた。近接での戦闘も得意になったぞ!やったね‼︎

 

あと、どうやら普通とは違う戦闘中らしいね。まあ頑張りたまえ!それでは‼︎』

 

そう言って通信は切れた。

 

「へぇ、こいつはいいな!」

「今の相手は?」

「キリカ博士、俺のサポート役!じゃあ改めて行くぞ‼︎」

 

クローが展開され、ソニックが先を行く。

 

「あ、ちょっと!」

 

「エネミーパワーアップ、防御を強化。」

 

するとロボ眼魔の左腕にシールドが生成される。

 

「盾⁉︎気をつけろソニック!」

 

「そんな盾如きで……デッドヒートは止まらねえよ‼︎」

 

右のクローを槍のように突き出すと盾は左腕ごと一発で砕かれる。

 

「ギギッ⁉︎」

「うっそお………」

 

「更に………オラよっ‼︎」

 

更に左腕のクローでロボ眼魔の左腕を根本から切り落とす。

 

「左腕部分損傷、修復不可能、修復不可能………」

 

「ゴースト!」

 

「任せろ!」

 

《ターン!ドリフトカイテーン!》

 

ゴーストはハンドル剣を使い連続で回転斬りを繰り出す。

 

次々と斬撃を喰らった眼魔はバチバチと火花を散らしながら膝をつく。

 

そこへドア銃の銃撃で追い討ちをかけ完全に動きを止める。

 

「っし!じゃあ決めるぜ!」

「おうとも‼︎」

 

《ダイカイガン!ドライブ!

オメガドライブ‼︎》

 

《ヒッサツ!バースト・フルスロットル‼︎

デッドヒート‼︎》

 

「はあああ‼︎」

 

まずはゴーストが必殺技、スピードロップを叩きこみ………

 

「ジ・エンドだ‼︎」

 

熱風を纏ったヒート・ストリームソニック、ライダーキックをトドメに砕く!

 

 

「損傷率100%越え……自身……保てず………」

 

 

そして眼魔は爆発四散。決着が着いた。

 

 

「ッシャア!見たか鉄くず!」

 

《オツカーレ!》

 

「っととと……」

 

「だ、大丈夫?」

 

《オヤスミー》

 

両者の変身が解除され元に戻る。隼斗がふらつくが、湊矢がすぐに支える。

 

「だ、大丈夫……暴走の危険が少なくなったとはいえ、負担はかなりまだあるな……」

 

「凄いんだね、君のライダーは。」

「だろだろ?何せソニックは俺が開発したからな!」

「そうなの⁉︎」

「仮面ライダーマッハ……俺の憧れの人の後継機として。そして、いつかあの人に追いつく為に!」

 

「マッハに追いつく、か………できるよ、きっと!諦めなければ!」

「そう信じたいね。あ、これありがとな。」

 

 

ムサシ眼魂を返すと。

すると、またあの紋章が現れる。

 

「おっと、そろそろ帰らなきゃみたい。」

「もう帰るのかよ?」

「ああ、まだまだやらなきゃいけない事があるから。」

「そうか……分かった。」

 

「じゃあまたな、隼斗!」

「一緒に戦えて楽しかったぜ!またな湊矢‼︎」

 

そして、湊矢がその紋章に入ると消えた。

 

「いつかまた……っし!じゃあ急がねえと‼︎」

 

 

____________________________

 

そして一方、その頃会場では…………

 

「今日は皆さんに、伝えたい事があります!」

 

既にAqoursの出番が始まっていた。

 

「私達の学校の事、町のことです‼︎」

 

そして、千歌の台詞から始まる。

 

「Aqoursが生まれたのは、海が広がり、太陽が輝く、内浦の町です。

 

小さくて、人もいないけど……海には沢山の魚がいて、いっぱいみかんが採れて!暖かな人で溢れる町。

 

その町にある、小さな小さな学校。」

 

〜〜〜〜

 

「よっしゃあ間に合った……」

 

同時刻、隼斗もギリギリ間に合った。

 

「隼斗、大丈夫?」

 

「ノープロ!問題無し。それより今は……」

 

 

〜〜〜

 

「今ここにいるのが、全校生徒!」

 

そう言って手を向ける方には、来てくれた生徒のみんな。

 

「そこで私達は、スクールアイドルをはじめました。」

 

そして、スポットライトが千歌から曜へ。

 

「秋葉で見たμ'sのようになりたい。同じように輝きたい。でも………」

 

「「作曲⁉︎」」

 

そしてダイヤさんへ。

 

「そう、作曲ができなければ、ラブライブへは……出られません‼︎」

 

「「ハードル高っ⁉︎」」

 

「なら、作曲はあいつに頼むのはどうだろう?」

「いいね曜ちゃん!」

 

「私達は、最初に彼を頼る事にしました。」

 

 

「ほら隼斗!」

「あ、ああ!それっ!」

 

隼斗が跳んでステージに。

そしてスポットライトが当たる。

 

「俺が……作曲?」

 

「彼は天城隼斗君。このAqoursには欠かせない人物の1人。ちょうど今年の春、アメリカから帰って来てた私達の幼馴染。」

 

「俺は、よっ!ハッ!」

 

ステップをふみ、回転蹴りなどを披露。

 

「danceが得意なだけ。Musicは好きだけど…作曲はできないなぁ………」

 

「隼斗君もダメでした。そんな時、作曲のできる少女、梨子ちゃんが転校してきたのです!」

 

「奇跡だよ!」

 

 

 

「ごめんなさい!」

 

「「ガーン⁉︎」」

 

隼斗も目元に手を置き上を向き、ダメだこりゃ、という仕草をする。

 

 

「東京から来た梨子ちゃんは最初はスクールアイドルに興味が無かった。東京で辛い事があったから。」

 

「「でも」」

 

「輝きたい!」

 

「そんな想いは、」

「その願いは、彼女のHeartの内にもあったのだ。そして………」

 

 

花丸へスポットライトが。

 

「お、オラ……じゃなくて私……運動苦手ずら……だし……」

「ルビィ、スクールアイドル好きだけど……人見知りだから……」

 

ルビィへと続き………

 

「堕天使ヨハネ、降臨!」

 

そして善子へ。ってかいきなり何処にいんだお前

 

「私の羽を広げられる場所は何処……?」

 

「こうして、7人になった私達は歌を歌いました。町のみんなと一緒に。」

 

「そんな時、私達は東京のイベントに出る事になった。」

 

 

「未来ずら〜!」

「人がいっぱい!」

「ここが魔都東京………」

 

「supportなら任せとけ!」

 

「ここで歌うんだね、頑張ろう!」

 

 

「けど、結果は……最下位。

私達を応援してくれた人は……0。」

 

「ゼロ……」

 

「ゼロ……」

 

「Zero……」

 

「ゼロ。」

 

「ゼロ…。」

 

「ゼロ……」

 

「……0………」

 

 

「スクールアイドルは、厳しい世界。」

「そんな簡単では、なかったのです。」

 

「やめる?千歌ちゃん……辞める?」

 

 

 

「悔しい………悔しいんだよ……私、やっぱり悔しいんだよ!0だったんだよ?悔しいじゃん‼︎」

 

「その時、私達の目標ができました。」

 

「まずは一歩!」

 

「ゼロからイチへ。」

「ゼロのままで終わりたくない。」

 

「とにかく前に進もう。」

「目の前のゼロをイチにしよう‼︎」

 

「そう、心に決めて新たな仲間が現れたの!」

 

そして、最後の4人が。

 

「生徒会長の黒澤ダイヤですわ!」

 

「スクールアイドルやるんだって?」

 

「Hello!every bady?」

 

「スクールアイドル好きなんだ‼︎俺っちにも協力させてクレ‼︎」

 

 

「3人だけじゃ無く、新たに転校してきた憐も来た。仲間がこんなに増えた!exciting‼︎」

 

 

 

「以前、この学校のスクールアイドルだった3人。」

 

「そして、スクールアイドルが好きという純粋な気持ちを持った憐。」

 

「こうしてみんなが手を取り合い、私達は11人になりました‼︎」

 

「こうして、ラブライブ予備予選に出た私達。結果は見事突破‼︎でも……」

 

「入学希望者は0……」

 

「忌まわしきゼロが……」

 

「私達に突きつけられたのです。」

 

「どーして0なのー‼︎」

 

 

「私達は考えました。どうしたら前に進めるのか。」

「どうしたら0を1にできるのか。」

 

 

「俺たちには何ができるのか。」

「何か助ける方法は………」

 

隼斗と憐が背中合わせになり、天井に手を伸ばすようにする。

 

「そして、決めました。」

 

「俺たちは、」

 

「私達は。」

 

「この町と」

 

「この学校と」

 

「この仲間と一緒に、」

 

「私達だけの道を歩こうと。」

 

「起きる事全てを受け止めて、」

 

「全てを楽しもうと!」

 

「たとえ、その結末に何が待っていようトモ。」

 

「それが、輝く事だから‼︎」

 

 

 

 

「輝くって、楽しむこと。

 

あの日、0だったものを1にする為に!

さあ行くよ‼︎」

 

 

「1!」

 

「2!」

 

「3!」

 

「4!」

 

「5!」

 

「6!」

 

「7!」

 

「8!」

 

「9!」

 

「10!」

 

「11!」

 

 

『12‼︎』

 

 

全員のカウントが数えられる。例えステージに立てずとも、心は繋がっているから。

同じ所に立っているから!

 

「今、全力で輝こう!

 

ゼロからイチへ!

 

Aqours‼︎」

 

 

『サンシャイン‼︎』

 

 

 

そして、2人は一旦下がり彼女達の曲へ。曲名は MIRAI TICKET

 

白が基調の衣装がなんともGOOD。

作詞作曲も申し分無し。

 

 

なによりも、彼女達が輝いていた。今までよりもずっと。

 

 

____________________________

 

 

 

私達がゼロから作り上げたものってなんだろう?

 

形の無いものを追いかけて、迷って、泣いて

 

そんなゼロから逃げ出したいって。

 

 

でも、何もないはずなのにいつも心に灯る光。

 

この11人でしかできないことが、必ずあるって、信じさせてくれる光。

 

私達Aqoursは、そこから生まれたんだ!

 

叶えてみせるよ、私達の物語を‼︎

この輝きで‼︎

 

 

 

君の心は………輝いてるかい?

 

 

 

 

第1期 Fin.

 




第1期終了しました!ここまで見てくださった皆様、本当にありがとうございます!

投稿ペースが遅いにもかかわらずいつも感想をくれた人、評価をくれた人、アドバイスをくれた人………いろんな人がいました。

その人達に感謝を。そして第2期もよろしくお願いします‼︎

それでは、第2期もお楽しみに‼︎



























「輝く、ゼロをイチに、か………いいじゃないか、みんな。
じゃあ、私もそろそろ本気を出そうかな……!」

一時博士の研究所。
ライブ映像を見ていたが、それを消し作業に戻る。

その机には鳥型のメカの設計図と、新たなシグナルバイクのプロトタイプ、そして、新武器設計図が2つ。

___________________________________________


そして別の場所、とある山奥、誰も近づかない場所。


「仮面ライダーソニック……仮面ライダースレイヤー……剛だけじゃなく、またしても邪魔者が増えるとは……‼︎だがまあいい。準備は整った。

私もそろそろ、再起動だ………待っていろ、今度こそ‼︎」

バット、コブラ、スパイダーの3種のロイミュードが融合したような見た目のロイミュードが一体。

そしてその傍らには、動き出そうとする………

悪が1つ。

ラブライブ!サンシャイン‼︎
ドライブサーガ 仮面ライダーソニック

第2期、お楽しみに。


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クリスマス・クリスマスイブ特別回 前夜編 贈り物は何にするか

久しぶりの隼斗×果南が書きたくなった。
そしてクリスマス。

第2期開始はまだですが、一足先に書いちゃいます!
イブとクリスマス、2日間の前後編でお届けする特別編!どうぞ‼︎

ちなみに主は17歳の今年もぼっちです助けて。
彼女欲しいです(切実)



 

 

これは、彼らが函館から帰ってきたその後の話である。

多分時系列的に函館編はクリスマス辺りだから多分大丈夫なはず……です。違ったらすいません………

byますつり

 

 

 

「クリスマス、気づいたら過ぎてる………」

 

 

部屋のカレンダーを見上げ、更にスマホの画面を見ながら呟く俺。

最近日付の事なんてちっとも頭になかったようだ。

 

「ってことはもうすぐ正月かぁ………色々あったなぁ今年一年………やりのこした事は………事、は……………あったっけ?いや……そうだクリスマス!クリスマス過ぎてんじゃんよ‼︎今年こそは姉ちゃんになんかプレゼントするんだーって決めてたのに‼︎」

 

実はこれ、12月に入ってから決めていたことだ。

普段は学校生活に戦いにAqoursのサポートにそれから………と色々と忙しい。

 

Aqoursのみんなにも迷惑かけっぱなしだけど、俺が特に気にかけているのが果南姉ちゃんだ。

ライダーになったのがバレた時も止めはせずに応援してくれたし、デッドヒート使って暴走した時も姉ちゃんがいなかったら……といった感じに。

 

そこで、日頃から貯めてる小遣いプラス博士に相談したら、少しは費用を出してくれるというのでこの機会にと考えていた。

 

『そうかそうか!大好きなお姉さんに日頃の感謝としてねぇ………』

『ニヤけんな気持ち悪りぃ………』

『まあ任せたまえ。私も少し調べてみるよ。君の場合どんな贈り物が似合うのか……こいつは調べ甲斐があるぞ!』

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「といってもなぁ………姉ちゃんが喜ぶものってなんだろう?これまであげた物と言えば…いえ、ば…………あーダメだ!全く思い浮かばねえ!こういう時は………よく知ってそうな奴に相談だな……。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その日の練習の休憩時間中。

 

 

「Present to Kanan?」

訳 果南へのプレゼント?

 

「Yeah. What do you think I'd like?」

訳 ああ。何がいいと思う?

 

というわけで相談できそうな人第1号 鞠莉。

ちなみに何故こんな面倒な話し方をしてるかというと他のメンバー、特に姉ちゃん本人に聞かれるとマズイからだ。え?それなら普通に陰で誰もいない所で話せって?

 

時間がないんだ、時間が。

 

「あの2人はさっきから英語で何を話してるんですの………?」

「内緒話だってさ。私らは聞いちゃダメなんだって。」

 

「ぷれぜんと、とか果南ちゃんの名前が聞こえてくるね。」

「隼斗、何を話してるんだろう?」

「わざわざ英語で話す理由が分からないんだけど………」

 

 

「Umm,.........Of an accessary?」

訳 うーん……アクセサリーとか?

 

「It isn't bad...,..., the feeling that... is ordinary.」

訳 悪くはないけど………なんかありきたりな感じ。

 

「A homemade dish?」

訳 手作り料理は?

 

「Do I think it's possible?」

訳 俺ができると思うか?

 

「あちゃー………となると、手作りの物は無理そうね。あとEnglishで話すのやめよ?」

「そうだな、やっぱめんどい。」

「なら……イルミネーションを見に行くのはどうかしら?」

「イルミネーション?」

 

「そう。この時期ならこの辺り、やってる所がかなりあるでしょ?カナンと2人っきりで!」

「なるほど……多少遠くても一応バイクもあるし……なんとかなりそう!サンキュー鞠莉!」

「どういたしまして♪で、今回の協力のお礼なんだけど………」

「え、なんかお願いあるの?」

 

「約束して。今度は私のことを連れてって。ハヤトの戦いが終わったらでもいいから。」

 

「分かった。その時は紳士らしくescortしますよ。お嬢様。」

「フフッ♪楽しみにしてるわ!」

 

「んじゃ早速……おーい姉ちゃ……」

 

 

「話は終わりましたか2人とも。さあ、練習再開しますわよ!」

 

『はーい!』

 

「ほら、隼斗行くよ!」

「あ、姉ちゃん……!」

「ん、なに?」

 

「隼斗くーん!果南ちゃーん!」

 

「今行く!ごめん隼斗、話は後でね!」

「あ、うん………」

 

「鞠莉も行くよ!」

「はぁ………カナンってば鈍チンねぇ……」

「?鈍チンって………」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

練習後。

 

 

「あー疲れたー!」

 

「明日も練習ですから帰ってよく休むんですのよ?」

 

「しっかしこーも毎日毎日練習ばっかしってのもナー。」

「そりゃ、ラブライブ真っ只中なんだから仕方ないでしょ?」

 

善子と憐の黒黒コンビが口々に言う。

たしかにまあここんとこ練習続き。

1日ぐらい休みがあってもいいと思うが………

 

「なあダイヤさん、1日ぐらい休みあってもいいんじゃないか?」

「確かに休みは必要ですが……ラブライブまで時間がないのも事実ですわ。今は1日でも惜しいですし………」

 

「ダイヤはまーた頭が硬くなってる〜。」

「鞠莉さんも分かってますよね?」

「of course.それはもちろんよ。でも、適度に休みは取らないと肝心な時にダメになる。ダイヤも分かってるでしょ?」

 

「………はぁ、仕方ありませんわね。スケジュールを少し変更しましょうか。明日はお休みにして、明後日は時間を早めて早朝から練習としましょうか。」

 

「さっすがダイヤ!分かってる〜!」

「しかし!また明後日からはしっかりと練習ですから覚悟しておきなさい!皆さんもいいですわね?」

 

ダイヤがそう言うと、鞠莉は俺に向けてウインクをした。

気が効くなぁ………あいつ。今度の時にしっかりお礼しないと。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「おまたせ隼斗。話ってなに?」

 

練習終了後、校門前で一足先に待っていた俺。姉ちゃんにさっきの話をする。

 

 

「あー実はさ………ほら、明日が休みになったじゃん。」

「そうだね。隼斗、明日はどうするの?」

「その話がしたかったのに姉ちゃんがさっき……」

 

「あーそれはごめんってば………で、その話って?」

「明日、暇なら一緒に出かけない?姉ちゃんを連れて行きたい場所があるんだ!」

「出かける?出かけるって………何処に?」

「それは当日のお楽しみにって事で!top secret!」

 

「まあ……1日ぐらいなら……それに、隼斗の頼みだし。

オッケー、いいよ。」

「よっしゃァ‼︎」

 

「ただし!」

「ただし?」

 

「ちゃんと色々考えておいてよね?楽しみにしてるから!」

「おうよ!任せといてよ‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その夜。

 

「いいなー!隼斗くんと果南ちゃんだけ!」

「今回は姉ちゃんへの俺の個人的な誘いだ。千歌はまた今度どっか連れてってやるから、我慢しろ。」

「ぶー。」

 

「一応服は選ばなきゃな……いつものアレでもいいんだけど、今回は少し趣向を変えて………」

 

 

最近自分で買った、もふもふの付いた黒いコートなど、いつもと違う私服を引っ張り出してくる。そういえばこんなのあったなーと思った。ライダーになってからというものの、あの剛さんと色違いのあればっかり着てたからな………

 

「あ、そういえばこれがあったな………」

 

そして、十字架の付いた盾のような形の小さなネックレス。

これは確かいつか行った長崎旅行の時に……これも黒だし合うかな。

 

「隼斗くん気合い入ってるねー。」

「そりゃあこうして姉ちゃんと出かけるのは久しぶりだからな。気合いも入るってもんよ。」

 

 

同時刻、果南宅。

 

「それにしても………隼斗から誘ってくるなんてね…。ちょっと意外だったかも。何を着てこう……鞠莉にアドバイス貰ったけど……」

 

『冬だから防寒対策はバッチリと!それでいて可愛くなきゃ!カナンに似合うかつハヤトが好きそうなのは………』

 

「なんで隼斗の事まで考えてるんだろう………?でも、それならこれがいいかな……?」

 

同じ頃、果南の方も服装を選び終えていた。

イメージとしてはスクフェスでのHPT果南の覚醒前仕様の私服。

 

「うん!これでよし!あとは明日を待つだけ!楽しみだな〜……隼斗と2人か……」

 

 

 

隼斗サイド。

 

 

「姉ちゃんと………2人か………え、あれ、今になって思ったけど2人って………」

 

「どうしたの、隼斗くん?」

 

「え、いや、なんでもない!ただ俺と姉ちゃんだけかーってなって緊張して……」

 

「そっか!あ!でもさそれって………2人っきりで事は………」

 

 

 

千歌に言われて気づいた。

今更だけど………夏祭りのあの時以来、俺ら2人だけって事になる。

 

 

「正真正銘2人っきり………」

 

 

軽く誘っちゃったけど、これって………実質…………

 

 

『デート』ってやつじゃねえか⁉︎

やっベーどーしよ………?

 

 

 

see you next night………?

後編に続く

 

 

 





小説はいいよな……主人公とヒロインのこういう感じのストーリーに浸れたりするから………イメージとやらが膨らみます。

現実は非情過ぎる………自分、普段から頑張ってますよね?勉強やら学校生活やら………それなのに何故クラスに1人2人いる不真面目なのに女子が寄ってくるんでしょうか………

っと、個人的なグチはここまで!
続きは明日更新予定!お楽しみに‼︎


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クリスマス・クリスマスイブ特別回 当日編 彼の考えは上手くいくのか


クリスマスだろうと部活はある。社会人は会社があるでしょう。学生だって大変でしょう。皆さんお疲れ様です。

そんな日々ももうすぐひと段落!頑張って行きましょうということで後編‼︎


 

 

「うーあー………うー………」

「そんなに緊張しなくてもいいと思うよ?果南ちゃんとは長い付き合いなんだし、少しぐらいはミスがあっても大丈夫だよ!」

 

「俺はそれが嫌だからこんなに悩んでんだよ!自分から誘っておいてなんだけどものすごく不安過ぎる‼︎えーとヤバイ決まってねえ…行き先行き先……ってか何処も遠いなぁ……日帰りだから県内………それと綺麗な所じゃないと………」

 

「えーと……イルミネーション、だったよね?それに遊べる所なんていいんじゃないかな?昼間から行くんでしょ?」

 

俺が悩んでいると千歌がスマホを操作し始める。何やら調べてくれてるみたいだが……

 

「ならここ!どうかな?」

「ん?何処………」

 

千歌が見せてきたのは伊豆のとある場所。

東京のアキバドーム5つ分もあるというアミューズメントパーク。名前に公園と付いているが、かなりアトラクションが多く、どちらかと言うと遊園地といった感じだ。

 

「それにここのイルミネーション、評価が県内トップクラス!隼斗くんのバイクで行くなら時間は全然かからなそうだよ!」

 

「およそ1時間と20分って所か……うん!ここにしよう!とするとルートは………なるほど。よし!あとは明日に備えるだけ!早速準備といきますか…………あ、姉ちゃんに連絡しとかないと……って博士?」

 

キリカ博士からL○NEだ。なになに……念には念をということで。私の私物だが、ある物を用意しておいた。バイクに入れとくから使うように。か……

 

「明日、楽しめるといいね!なら私は梨子ちゃんや曜ちゃんと遊ぼーっと!おやすみ!」

「ああ、おやすみ。」

 

 

そして翌日。

千歌の家の前で待ち合わせ。

 

「準備よし……こっちも不具合無し……念のためにこれだけ持っとこ………」

 

マッハドライバーMk-IIを自身のバッグに入れておく。万が一が無いとも限らない。

 

「隼斗、お待たせ!」

 

「あ、姉ちゃん!早かったね。」

 

そこへ果南姉ちゃんがやって来る。うん、相変わらず綺麗。

 

「隼斗こそ、かなり念入りにバイクを見てたじゃん。」

「そりゃあそうだよ!こんな楽しい日に事故なんて起こしたらそれこそ大変だし!俺としても、仮面ライダーとしても。」

「確かに、そうかもね。」

 

「予定より少し早いけど……んじゃ出発しようか!」

「安全運転、よろしくね!」

「了解、お嬢様。」

 

「しいたけも行ってくるなー。」

 

「……………。」

 

パタパタと尻尾を振りながらこちらを見ている。

 

「って言っても通じねえか。」

 

苦笑いをしながらお互いヘルメットを被ったのを確認すると、バイクを発進させる。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「はい、ここが今回の目的地になります!」

「あんまり時間かかったように思わなかったね。」

 

バイクを走らせること1時間と少し。

目的地であるアミューズメントパークに到着した。

この時期だと混んでそうに思っていたが、案外そうでもなく、かなりスムーズにここまで来れたのはよかった。

 

 

「車も結構ある……」

「この時期は家族連れが多いんだろ。それでこの台数だ。」

「なるほど。それで隼斗、今日はどんなスケジュールなの?」

「んー、俺の本命まではまだ時間がある。何しろ夜だからね。それ以前はノープラン。」

 

「考えてないってこと……?」

 

姉ちゃんがジト目で見てくる。違うから、違うから!

 

「考えてないんじゃない、特に決めてないってこと。」

「同じじゃ………」

「大きく違う。俺が言いたいのは、それまでは自由に周って遊ぼうってこと!ここはアトラクションもかなり充実してるらしいし!

さ、行こう!」

 

 

入園料を払って園内へ入る。もちろん2人分俺持ち。これぐらいは出さないと!多分……そんなもんだよな?

 

 

「さーてまずは………あ、その前に姉ちゃん、これとこれ。あと髪解いて。」

「え?でもこれって……」

 

俺はバッグから青縁の伊達眼鏡と深緑のベレー帽、そして自分のマフラーを取り出す。

 

「博士に言われたんだ。『一応果南くんは、スクールアイドル Aqoursの一員として有名人だ。そんな彼女が君と一緒にいたらなにか誤解されるだろう?そうなったら色々面倒くさい。その為にこれを持って行きたまえ』ってね。変装セット。不自然過ぎず、結構溶け込めるはず。」

 

「先生もありがたいなぁ……分かった。ちょっと待ってて。」

 

果南はヘアゴムを外し髪を下ろすと帽子を被り眼鏡をかける。そしてマフラーを巻き、変装し終えた。

面影を残しつつも別人のようだ。

 

「これでいい?」

「問題ない。んじゃ行くか!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あれ?隼斗こっちじゃない?」

「違うよ姉ちゃん!こっちだってば……ってあれ?」

「ほら、やっぱりこっちじゃん!」

 

まず最初にやってきたのは、水上にある船型立体迷路。入るときにもらった台紙にスタンプを押して集めながらゴールを目指す、というものらしい。

 

「それなりに見えるはずなのに意外と難しいもんだな………」

「隼斗、こっちこっち!」

「あー今行くから置いてかないで!」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「これで………最後!」

「よしっ、クリアだね♪」

 

 

ざっと5〜10分かかったか。簡単そうに見えて結構複雑だった。

 

「あー。かなり疲れた………」

「なに言ってんの。まだまだこれからでしょ?さ、次行くよ!」

 

そう言ってマップを見ながら走っていく果南姉ちゃん。ちょ、速いって!走るの速いって!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「足が…………」

「ほら、頑張って漕いで!私ばっかり漕いでるじゃん!」

「その怪物クラスのスタミナどこにあるの⁉︎」

 

続いて来たのはスカイサイクル。2人1組でペダルを漕いで乗っているものを進めるあれだ。

さっき走って俺は疲れてるのに、果南姉ちゃんはちっともだ。本当持久力なら姉ちゃんがAqours最強だと思う。

 

「ほら、1、2、1、2!」

「いーちに……いち………」

「もっと速く!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「んじゃ、次アレな!」

「えっ、あれって………」

 

俺が指差したのは、高いところに繋がっているワイヤー。そこをちょうど降りてくる人。

ジップラインというやつだ。ワイヤーと滑車で空を飛ぶように滑るアトラクション。

 

「あんな感じのやつ俺好きなんだよ!なあなあ、行こうぜ!」

「わ、私は遠慮しとくよ……ほら、こういうのはまた今度の方が……」

「今度なんてないかもしれないだろ?いいから行こうぜ!」

 

姉ちゃんの手を引き連れて行く。あのタワーの時になんとなく予想したけど、ひょっとしたらだが……まあそれを検証する為にもこれはやらないと。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ではこちらのグリップを持ったら手を離さないでください。安全が確認でき次第スタートとなります。」

 

「は、はい…………」

「苦しい……けどなんか辛くない……」

 

頂上で待機する俺たち2人と係員の人。ってか俺にハグする形でくっついている姉ちゃん。あの、当たってませんか……その…。

ってかやっぱりだったか………姉ちゃん高いところ苦手なんだ。海の中は大丈夫なのに。

むしろ水中の方が少し怖くない?

 

「大丈夫だよ!俺もついてるから!何かあったらすぐに助ける。俺を信じて。」

「は、隼斗………」

 

「あ、それではお姉さんの方お願いします。」

 

「ほら、行って来な!あ、景色がいいから、眼を瞑るのはもったいないよ!」

 

「わ、分かった………うう……えいっ!」

 

果南がスタートする。出てから数秒目をつぶっていたが、言われた通りに目を開けると、そこにはとてもいい景色が。パーク全体が見渡せそうな程だった。

 

「わぁ……すっごい景色……でも高い………」

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

「お、大丈夫そうかな………。」

 

 

「それではお兄さん、準備お願いします。」

 

「よーし!Let’s Go!」

 

 

下の方から合図が出たのか、係員の人の腰のトランシーバーから声が聞こえる。

 

それを合図に係員が俺に促し、スタンバイ。

勢いをつけて一気に滑る。

 

「うっひょお……いい眺め!それにいつもと違う風を感じる………悪くねえなこれ‼︎ッハハハハ‼︎」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「当分はあれやりたくない………」

「姉ちゃん……いつまでくっついてんのさ……」

 

降りて道具を外してもらったあと、急に姉ちゃんにハグされてこうなってる。よっぽど怖かったのかな………

 

 

「って、あ、そうだった。ゴメン隼斗……」

「いいっていいって。姉ちゃんに無理にやらせたこっちも悪かったし……っと、ちょうどいい時間帯だ。ここらで昼飯にしようか!」

 

 

メインゲート付近まで戻ってきて、レストランで昼食。

姉ちゃんは海鮮カレー。俺はしょうゆラーメンだ。

 

「あちち………」

「この時期は冷えるから、こういうあったかいものが食べたくなるね。」

「そうだね♪あ、隼斗、これ食べてみる?」

 

そう言いながらカレーののったスプーンをこちらに向ける姉ちゃん…あれ、こんなシチュエーションどっかで見た。なんかこういうお約束の………いや、これ以上考えるのやめよ…なんか余計に暑くなってきた………

 

「え?くれるの?じゃあ遠慮なく……はむっ……あつっ…そして辛っ……うん、たしかに美味しい。」

「本当?」

「うん、中々。っと……さて、まだ少し時間あるな、どうしようか?」

「隼斗が言ってたでしょ?本命までは自由に周ろうって。まだまだ遊ぶよ!」

「そうだな、せっかく来たんだし、楽しまなきゃ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

それからしばらく、俺たちはまたアトラクションを楽しんだ。

そうして遊んでいるうちに辺りはすっかり暗くなっていた。

 

 

「うわ……真っ暗………」

「もうそろそろ時間のはず………あ、点いた!」

 

突然、パッと周りが明るくなる。カラフルなLEDが光るイルミネーションが点灯した。

 

ほんの少し前まで暗かったのが一気に明るく綺麗な世界へと変貌した。

 

「うわぁ!すっごい綺麗………」

「どう?気に入ってもらえた?」

「うん!すっごく‼︎」

 

「まあまだまだだけどね。昼間行ったところを改めて見るとまた違って見えるよ!ほら、イルミネーションあるけど少し暗いし………手繋いどこう!」

 

そう言って右手を差し出す。果南姉ちゃんもおずおずとだが出した左手をぎゅっと握る。寒さでお互いに手が冷たくなっているけど、大して気にならない。

 

「あ………」

「ほら、行こう!これからが本番なんだから‼︎」

「あ、隼斗!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「うわぁ………」

「すごいな……」

 

光の長いトンネルを歩きながら見渡す。

夢のトンネルと名がついているこのエリア。今の時期にここを訪れたのはなんか縁起がいいかも。

 

「綺麗だね………」

「姉ちゃんも負けてないけどな………」

「え?」

「え?あ、その………なんでもない、今の言葉は忘れて。」

「でも……」

「いいから忘れて!覚えててもいいけど心の中にでもしまっておいて。」

「あ、うん………」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

その後も、俺たちは園内を周っていった。

家族連れも多かったが、何よりカップルが多いのなんのって………まあ当たり前か。

 

側から見たら俺らもそう見えるのかな……?なんて思ったりもしたが。

 

でも俺は姉ちゃんの事に関してはまだ気持ちがハッキリとできてない……この『好き』が昔からの付き合い、幼馴染。そんな姉弟(きょうだい)のような関係での好きなのか、

それとも………なんだろうかと疑問に思うが答えが出そうにない。

 

そんな事も考えてるうちに気づけばメインゲート、出入り口に戻って来ていた。

こちらは虹のゲートが光っていた。

 

「あ、もう終わりか。」

「あっという間だったね……でも、すごく楽しかった。ありがとう隼斗。」

 

「あ、ああ。どういたしまして。姉ちゃんが喜んでくれたのなら、俺はすっごく嬉しい。」

「ならよかった♪隼斗、さっきから難しそうな表情してたからさ。」

「ただの考え事だよ。姉ちゃんが気にすることでもないさ。」

 

「そう?ならいいけど…………」

「さ、遅くならないうちに帰ろう!親父さん達を心配させないように………」

 

「隼斗、待って!」

 

「ん?何………?」

 

「ずっと聞きたかったんだ。隼斗はさ………私の事、好き?」

 

「その意味がLikeかLoveかで答えが変わるけど………もちろん好きさ。好きだから大切だし、好きだから守る。俺の戦う理由でもあるから。俺にとって果南姉ちゃんは家族と同じぐらいに大事な存在だし、それに………」

「それに?」

 

「…………いや、これ以上はまだ言えないかな。俺って結構口下手だから。また言葉が思いついた時、気持ちが固まった時にでも話すよ。その時はこんな風に、またイルミネーションでも見ながら。」

 

「…………そっか。答えてくれてありがとう、隼斗。御礼に………ん!」

 

 

果南がいつもの笑顔を見せると、両手を広げる。

 

「ああはいはい。アレね。なら……」

 

隼斗も少し両手を広げると、お互いに抱きしめてハグする。

 

3〜4秒程そのままの状態でいると、2人が離れる。

 

 

「よし、じゃあこれで本当に終わり!帰ろう隼斗!」

「はいはい、帰りも安全に早めに行きますかね!」

 

 

またお互いに手を繋ぎ、歩きながらバイクを停めてある所に向かう。

 

「あ、そうだ姉ちゃん!肝心な事言い忘れてた!」

「肝心な事?」

「そう、俺が連れてきた理由でもある。だから改めて言っておく。少し遅かったけどね。……………果南姉ちゃん。」

 

 

 

『Merry Christmas‼︎』

 

 

 

クリスマス編 完

 




なんとか年内に更新できた………そして俺もこんなクリスマスを過ごしたかったです………orz

さて、ひと段落したところで、次回辺りから第2期編を始めようかと思います!また更新までは長くかかりそうですが、気長に待っていただけると嬉しいです。

それでは次回もお楽しみに!感想等お待ちしています‼︎


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エピソード2 加速する奇跡〜Non stop miracle〜
第2期1話 新しい舞台とは何か Part1


遅くなりましたがあけましておめでとうございます!今年もサンシャインサーガシリーズをよろしくお願いします!

今回から第2期編突入!
新たな力に新たな強敵、さらにはまだ見ぬ世界とかなりのアイデアを考えてる予定。

それでは早速どうぞ!
※やる気が完全回復しないため今回はかなり短いです。



自分達だけの輝きを探してた少女、自分が憧れた理想の英雄(ヒーロー)を目指した少年。その物語は、次なるステージへ!

 

 

東京 警視庁

 

「さて……今日も頑張るか。」

 

デスクに座り伸びをする男。泊 進之介。

元仮面ライダードライブで、現在は捜査一課の刑事である。

 

「お、いたいた!進之介!」

「現さ……じゃなかった、追田警部?」

「今は現さんで構わねえよ。それより進之介、お前も知ってるだろ、例の噂」

「噂?」

 

彼に近づき、小声で話しかけている人物。

追田現八郎。現さんの愛称で親しまれていた特状課の元メンバーであり現在は警部へ昇格、捜査一課の課長へとなっている。

 

「これ見てみろ」

 

彼が1枚の写真を見せる。1枚にはマッハに酷似した青いライダー。

 

「これって……マッハ?いやでも色が違う、それに……」

 

そしてその青いライダーと戦っている怪物。かつて自分達が倒してきたロイミュードそのものだった。

 

「ロイミュード⁈」

 

「写真は先生から送られてきたものだ。それに、最近ネット上で出回ってる情報によるとだ。もしかすると、奴らが蘇ってるんじゃねーかってな。ガセだとは考えにくい。それにこの青い仮面ライダー……」

 

「マッハでも、チェイスでも無い……これは一体……でもガセだと考えにくいって?」

 

「簡単だよ、そいつはな………

 

 

刑事の勘だ‼︎」

 

 

「現さんらしいな………」

 

「そいつはくれてやる。暇なときにでも一応調べといてくれってよ」

 

そう言って立ち去ろうとするが、進之介が呼び止める。

 

「あ、待ってくれ現さん!こいつの名前って……」

「名前……確かソが付いてたらしいな……ソ…ソ………なんだったか………」

 

 

場所は変わって静岡県内浦

戦闘中の2人の噂のライダー。

 

「ソニックだっ‼︎」

「ハーさんどしたいきなり!」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Sonic‼︎》

 

 

「ストリーム・ソニック‼︎」

 

 

「なんだ、このスピードは……グアアアア‼︎‼︎」

 

 

ソニックの必殺キックがペイントロイミュードに炸裂し爆散。ボディからコアが飛び出る。

 

「コアも逃がさねえよ!」

 

 

そして、コアもゼンリンシューターで撃ち抜き音を立てて破壊される。

 

「憐!お前もそっちを……」

 

「もう終わるっつーの!」

 

 

右手のクローで084の攻撃を受け止め、左手で横薙ぎに喰らわせる。

 

「さあ、仕上げだゼ!」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer‼︎》

 

 

エネルギーをクローに集中させ、相手を狩るスレイヤー必殺の一撃。

 

「ハンティング・エンドッ‼︎」

 

右手、左手の両方のクローを使い連続で切りつける。

 

深く喰い込んだ一撃(二撃)は084のコアをボディごと破壊した。

 

 

「ふぅ……片付いたな………」

 

「しっかしよーハーさん。最近なんか出てくる頻度多くねえか?」

「それは俺も思った………」

 

 

2人とも変身を解除する。

 

そう、憐が言うことは事実。

2学期開始前ほどから、急にロイミュードの出現頻度が増したのだ。ここ最近だけでも、今倒したペイント、そしてボイスとその部下の046に085。そしてシュートに064と095を撃破している。

 

ちなみにどんな事件だったかというとだが、どいつもこいつも過去にドライブ先輩達が解決してきた事件の模倣、というよりもそのまんまだった為割と楽だった。

 

しかし特にボイスに関してはAqoursの連中(特に果南姉ちゃん)が巻き込まれかけた為、念入りにぶちのめした。デッドヒートを使って危うくまた暴走する所だったのは内緒だ。

 

 

「動き出してるのかね……あいつが……」

 

「ゴルドドライブもとい蛮野か……どんなヤツなんだろうナ」

 

「ここまでの約半年、何も動きを見せてないってのもおかしいしな………」

 

 

『あー2人とも、お疲れ様。終わって早々にだが急いだ方がいい』

 

2人のバイクのメーター部分のモニターに映る白衣の女性。一時霧香博士。浦の星の理科教諭兼2人のサポート役である。

 

「まさかまたか⁉︎」

「もうこれ以上は流石に………」

 

『いや、そうじゃない。2人とも、時間を見たまえ時間を。』

 

 

「「時間?」」

 

 

そう言って時計を見てみる。とっくに始業時間だ。しかも今日は2学期始業式。

 

「やっべ!完全に遅刻⁉︎」

「急ぐぞ憐!」

「わかってら!」

 

 

それぞれのマシンに乗り込み、学校へと走らせる。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

一方その頃。

 

「Hello every bady?本日より!second seasonのスタートでーす‼︎」

 

 

「セカンドシーズン?」

「2学期って事よ。」

 

「にしても、隼斗も憐くんも遅いね……」

「あの2人が寝坊は考えにくいし、もしかしたら……」

「かもね………」

 

「というか、千歌ちゃんも来ないね。」

「2学期からは自力で起きるって言っておきながらいきなりとは………」

 

そして舞台の端、話している理事長の鞠莉に話しかける人物が1人。

 

「理事長挨拶ですわよ!そこは、浦の星の生徒らしく、節度を持った……」

 

「雪像を持つ?」

 

黒澤ダイヤ。Aqoursメンバーの一人で、生徒会長。1番しっかりしているように見えるが、実はそうでもなかったり。

 

 

「それにしても、惜しかったわよね。」

「あと少しで全国大会だったのに。」

「過ぎた事をいつまでも言ってても仕方ないずら。」

 

1年生の津島善子、黒澤ルビィ、そして国木田花丸。3人ともAqoursのメンバーである。

 

彼女達の言う通り、Aqoursはあの地方予選で惜しくも全国出場を逃してしまった。

 

「しっかーし!」

 

「「ピギ!(ずらっ)」」

 

「参加賞が二色ボールペンってどう言う事なの⁉︎」

「決勝大会に進むと三色になるって。」

「未来ずら〜。」

 

「何処がよ⁉︎」

 

 

 

『シャラーーーーーップ‼︎‼︎』

 

 

 

突然大声で鞠莉が叫んだ為かマイクの音が大きくキーンと音が響く。

 

 

『確かに、全国大会に進めなかったのは残念でしたけど。』

 

『でも、0を1にする事はできた。ここにいるみなさんの力ですわ。』

 

「それに、入学希望者も、1が10になった!」

「確かに!」

 

そこへ、扉を開けて2人がやってくる。

 

「ハァ………ハァ………間に合った?」

「思いっきりアウトだ2人とも。まあ事情は考慮したノーカンにはしてやるが。」

 

「さすが博士、分かってル。」

「ここでは先生と呼びたまえ。」

 

そして、2人は列ではなく霧香博士の隣に。

 

「それだけではありませんわよ。」

 

「本日、発表になりました。次のラブライブが!」

 

「ラブライブ⁉︎」

「本当⁉︎」

 

「そういえば、数年前のμ's優勝の時もそうだったな……」

「春から夏・秋にかけてと、この秋から来年春にかけての2回開催式になったんだったナ。」

 

 

「同じように、決勝はアキバドゥーム!」

 

そこまで言った時、ようやく彼女がやってきた。

 

「to late!」

「大遅刻ですわよ?」

 

「ようやくお出ましか、我らがリーダー!」

「俺っち達よりとか……おせーゼ!」

 

「次のラブライブ………!」

 

「千歌ちゃん!」

 

「どうする⁉︎」

 

「聞くまでも無いと思うけど!」

 

「善子ちゃんも待ってたずら!」

 

「うゆ!」

 

「ヨハネ!」

 

「出よう!ラブライブ!そして……1を10にして、10を100にして!学校を救って、そしたら!」

 

 

『そしたら⁉︎』

 

「私達だけの輝きが見つかるかもしれない!そしたらきっと………輝ける‼︎」

 

 

Part2に続く!

 




第2期1話は、このOPまで、半分まで、そしてラストまでの3Part方式で進める予定です。更新速度は遅いですが、どうかよろしくおねがいします!
それでは次回もお楽しみに‼︎


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第2期1話 新しい舞台とは何か Part2

1話中編です!
できる限りペースを上げていきたい。



 

「1……2……3……4………善子ちゃんは相変わらず身体硬いね……ちゃんとストレッチやってる?」

 

「うぅ……ヨハネ!」

 

夕暮れ時の屋上。

俺たちAqoursの面々は、今日も練習に励んでいた。何せ次のラブライブはすぐにやってきてしまう。少しの時間も無駄にできない。

 

「そんなんじゃダメだよ。ほらもっとこう……」

「痛い痛い痛い!」

 

「姉ちゃんもうちょい手加減してやれ…無理にやると余計に怪我するぜ……」

 

「よそ見すんなよハーさん!」

「うわっぶね!」

 

殴りかかる憐の拳を紙一重で躱し左手で捌いて威力を殺し右手でパンチを繰り出す隼斗。

 

ライダー組はサポートのために同じダンスの練習もしつつ、こうして組手も練習しているのだ。

 

「そ、そうよ隼斗さんも言ってる通り!こ、この身体はあくまで仮初め……あくまで実態は……いいっ⁉︎あだダダダ!」

 

「今のグキッつったぞ………」

「やっぱ果南サンちょっと……」

 

「花丸ちゃんは随分曲がるようになったよね。」

 

「ホント、加入したては……ふっ!階段ダッシュも……やっと!だった花丸ちゃんが……なっ‼︎」

 

隼斗のボレーキックが憐に炸裂。

 

「うわととと!フゥ……あぶネェ………」

 

「毎日家でもやってるずら。それに腕立ても。」

「本当⁉︎」

「みてるずらー…いいいいいいいいいいいい…………………………………………ち………………完璧ずら…。」

 

体勢を崩しバタッと倒れる花丸。

 

「すごいよ花丸ちゃん!」

「It’s miracle!」

「どこがよ⁉︎」

 

「もう少し改善の余地あり、か………憐、今日はここまでにすっか!」

「そう……ダナ……」

 

「それで、次のラブライブっていつなの?」

「多分、来年の春だと思うけど……」

 

 

「ブッブー!ですわ!その前に、一つやるべき事がありますわよ!忘れたのですか?入学希望者を増やすのでしょう?」

 

「学校……説明会………」

 

「あーそういやそうだったな……」

「俺っち忘れてたわ………」

 

「君達なぁ……戦いもいいけど、もう一つの目的を、忘れるんじゃないぞ。」

 

「あ、博士。」

 

そこへやってきたのは白衣を着た女教師。

キリカ博士だ。その肩には大きな青い鳥がとまっていた。

 

「あ、先生!こんにちは!」

「やぁ渡辺くん。それに皆も。ってあれ?高海君がいないようだが………」

 

「千歌の奴ならさっきからどっかに……ってか何その鳥。」

 

隼斗が指差したのはキリカ博士の左肩にとまる鳥。生物感を出しながらもメカっぽさがある鳥だ。

 

「ああ、これかい?聞いて驚け!これは……『ロイミュード』だよ。」

 

 

「あーなるほどロイミュード…………って

ふっざけんな‼︎」

 

取り出したゼンリンシューターで博士に当てないよう正確にその鳥に向けて撃つ。

 

が、その鳥はヒラリとそれを躱してこちらに向かって突っ込んでくる。

え、突っ込んで来てる⁉︎

 

「ぶわっ⁉︎」

 

『隼斗⁉︎(隼斗くん⁉︎)(隼斗さん⁉︎)』

 

『ーッ!』

 

その鳥は頭突きをしてその勢いで隼斗を倒し隼斗の腹の上にとまった。

 

「まあ最後まで話を聞け。確かにそいつはロイミュードだが、正式なものじゃない。半ば只のロボットに近いモノ。いわばそう、擬似ロイミュードだ。」

 

「擬似………」

「ロイミュード?」

 

「仮面ライダーソニック専用隼型支援メカ、RF-01。

 

その眼には高性能のカメラを備え、遠くの敵をも確実にその眼に捉える。

高度なAIを搭載しているため、ソニックとの連携も抜群。

 

さらに動力はおなじみコア・ドライビア!

エサ要らずなのはもちろん重加速の影響も受けない優れものさ。こちらはソニックやスレイヤーと同じものを使っている。」

 

「支援……メカ……」

 

「隼斗の仲間ってことですか?」

 

「果南くん、まあその通りと思ってもらって構わない。だが正式な登録はまだ終わってなくてね。隼斗。」

 

博士が何やらケーブルのようなものを白衣のポケットから出し隼斗に投げ渡す。

 

「これは?」

「ドライバーあるだろ?それと01を繋いで。最後にソニック変身者のDNA情報を記録させて完成だ。そうしておけば、いざという時に緊急停止させる事も可能になる。」

 

「えーと……これと……こうか……」

 

RF-01の後部が開き、そこにコードを刺す。

そして、コードの反対側をマッハドライバーMk-IIにセット。

 

「で、DNAって?」

「それぐらい分かるだろう?唾液でも髪の毛でもなんなら血液でも。それを01の口につっこめばいい。」

「それすげー雑だけど大丈夫だよな……?」

「問題ない。」

 

「じゃあ………ふんっ!いでで…抜けない…」

 

隼斗は自分の髪の毛を一本引き抜き01の嘴に突っ込む。

 

『マスター・テンジョウ ハヤトの遺伝子情報を記録。RF-01 再起動 シマス』

 

そう女性の声のAIの音声が流れると、自動でコードを引き抜き飛び去っていった。

 

「ちょ、何処行くんだぁぁ⁉︎」

 

「落ち着け、普段戦いがないときはあの子はこの町の空を飛んでいる。マスターである君が呼べばすぐ飛んで来る仕様だから安心したまえ。」

 

「そ、そうか………」

 

「ハヤブサ、かぁ………」

「隼斗のFalconの文字から取ったのね。」

 

「なるほど。」

 

「んんっ!で、話を戻すとですわね………」

「学校説明会、だよね。」

「of course!既に告知済みだよ!」

 

「せっかくの機会です、そこで集まる人達の前でライブを披露してこの学校の魅力を伝えるのですわ!」

 

「それ、いい!」

 

 

「千歌、遅かったな。あれを見そこねるとは……」

「あれ?」

「まあ……俺が呼べば来るだろうしいいや。」

 

「トイレ長いわよ。もうとっくに練習始まってんだからね!」

「人のこと気にしてる場合?」

「いだだだだだ!」

 

 

 

とその時、置かれていた鞠莉のスマートフォンに着信があった。その内容とは……

 

 

 

 

_____________________________________________

 

で、帰りの時間。

 

「そっか、秋になると終バス早くなっちゃうんだね。」

 

「バス帰りの連中は不便になるな。」

「俺っち達はコレがあるけど。」

 

2人がそれぞれのマシンに腰掛けながら言う。ただでさえ本数の少ないここらのバス。それにこの田舎じゃかなり重宝するのだが…

 

「そういやば隼斗さんと憐くんはそうずらね……」

「日が暮れるのも早くなるから、放課後の練習が短くなっちゃう………」

 

「説明会まであまり日はありませんわよ?」

「それは、分かってるけど………」

 

「練習時間は本気で考えないと………」

「あと2時間早く集合しようか?」

 

『うーん……………』

 

 

「じゃあ決まりね!」

「早すぎるわよ!」

 

「それと善子ちゃん、もう少し早く帰って来るように言われてるんでしょ?」

 

「ギクッ!ど、どうしてそれを………」

 

変なポーズをしながら驚く善子。

 

「よっちゃんなにそのポーズ……」

 

「ああ、うちのお母さんがラブライブで会った時に色々話したらしくて。」

「1ヶ月前ぐらい……地区予選の時か。」

 

「なんか、部屋にも入れてくれないって。」

「なんダロ……その時の光景が容易に想像できるゼ………」

 

「だ、だからヨハネは堕天使であって母親はあくまで仮の同居人という事で……」

 

「お母さんってどんな人なの?」

「そういや聞いたことなかったな。みんなの事は結構Aqoursとして過ごす中で分かってきてるけどその親の事まではな……」

 

「学校の先生なんだって。善子ちゃん幼稚園まで哺乳瓶離さなかったから………」

「ああああああああ‼︎‼︎」

 

「思わぬ黒歴史を見た。」

「堕天使だけにナ。」

 

「待って、沼津からこっちに来るバスって遅くまであるのかな……?」

「沼津からこっちに?逆は……あるかもしれねえが……バス乗らねえからな……俺。」

 

「仕事帰りの人がいるから………あっ、向こうで練習すればいいんだ!」

「それなら時間も確保できるずら!」

「ルビィ、賛成!」

 

「そうだね!鞠莉は?」

「………」

「おい、鞠莉?」

「……え?うん!no problem!」

 

「よし、決まり!」

「明日練習場所になりそうなところみんなで探しましょう!」

「なら俺も調べとく。幸い優秀な人材、いや鳥材を手に入れてるしな!」

 

「鳥材って………」

「新たなリトルデーモンを増やそうぞ!」

「善子ちゃん張り切りすぎずら。」

「ヨハネ!」

 

「(さっき電話で何か話してからというものの様子が変だ………一体どうしたんだ、鞠莉の奴……?)」

 

_____________________________________________

 

場所は変わって。

 

 

「帰ってきたぁぁぁぁぁ………」

「そうだねー。」

「って千歌のやつ………」

 

少し離れた桟橋の上にいた千歌。

 

「綺麗………。」

 

「なーに考えてんだよ千歌。」

 

「私ね、一瞬だけど…本当に一瞬だけどあの会場で歌った時に、輝くってどういうことか分かった気がしたんだ。」

「本当に?」

「もちろん!」

「ってかどうした急に……ってえ⁉︎」

 

「たぁぁぁぁ!」

 

千歌は走り出すと桟橋の上から思いっきり跳ぶ。突然のことに隼斗も驚いた。

 

「待ってやこのヤロー………」

 

しかし、梨子と隼斗が手を繋ぎつつ千歌を止めた為落ちる事は無かった。

 

「ふぅ………」

「まだぼんやりだけど……でも、私達は輝ける。頑張れば絶対って。そう感じたんだ。」

「うん、大変そうだけどね。」

 

「だからいいんだよ!」

 

 

________________________________________________________________

 

その夜、高海家の隼斗の部屋。

 

「うーん……ここ?いやここもありか……いやでも立地が………」

 

隼斗はRF-01が集めてきた新練習場所に関する情報を整理していた。

 

「こいつなんで余計に写真を撮ってくるかなぁ……どれもいい景色なのはいいけど……あっ……」

 

整理していると、手が滑って1枚の写真が落ちる。

その写真には何やら怪しげな雰囲気の建物が写ってた。

 

「この写真……なんだこいつ、心霊スポットなんて撮ってきたのか?AIが高性能っつーけどポンコツ………あ?」

 

コンコンと窓を叩く音がするので開けると、そこにはRF-01がいた。

 

『ーッ!』

「どうした鳥。ロイミュードでも出たか?」

 

隼斗がそう言うと01は首を横に振る。

 

「違う?じゃあ何さ。」

 

『ー。』

 

すると、01は部屋の中に入る。

そして、隼斗が脱ぎっぱなしにしていた上着やらを集め始める。しばらくすると、まるで巣のように形作られたそこに足を下ろした。

 

「あーなるほど。入れて欲しかったのか。

確かに鳥なら落ち着く場所、巣があるといいもんな。ここまで再現するとは……やるな博士。……俺も遅くならんうちに寝るか……」

 

 

________________________________________________________________

 

次の日。

 

「千歌ちゃん、いい場所見つかった?」

「それがなかなか……」

「あと千歌、うちの鳥抱き枕にしないで……」

「いやーこの羽毛肌触りよくって……」

「そことかこだわって開発したらな‼︎」

 

「どうでもいいとこ拘ったな⁉︎ってか鳥ィ!お前もまんざらでも無い表情すんなよ!」

『〜♪』

 

頭部が割とメカっぽいデザインなのに表情が見て取れる……すげえ。

 

「ずら丸んちお寺でしょ?大広間とか無いの?」

「ウチのお寺で本当にいいずらかぁ……?」

 

「「ひっ……」」

 

「本気にするナヨ………」

「憐はどうだ?ってか思ったんだけどさ……お前今何処住んでんだ?夏まで旅館いたけど……」

「元は神奈川の一軒家ダ。けど家の都合上越してきた。」

「初耳だわ………」

 

「なら、善子ちゃんの家の方は……?」

「何処に……そんなスペースがあるのよ!」

 

「あっははは………。」

「あれ?そういえばダイヤさん達は?」

 

「さっき、部室出てったきり戻ってこないな………」

「鞠莉さんはさっき電話かかって来てたみたいだけど………」

 

「01、探してきてくれるか?そう遠くへは行ってないはずだ。理事長室か生徒会室。予想だがどっちかに3人ともいるはずだ。」

『ー。』

 

01は千歌の手から抜け出すと部室から飛び去って行った。

 

「本当便利よね、あの子……」

「そういえば隼斗さん、01以外に名前は無いの?」

「無いな、今のところは。なんだ、呼びやすい名前でも思いついたか?」

 

善子に言われて隼斗が答える。

 

「いえ、別になんでも。ただ、もし名付けるのならわたしが!」

「そうだな、少し考えといてくれ。」

「よっし!」

 

 

________________________________________________________________

 

一方理事長室には何やら重苦しい空気が漂っていた。

 

電話を置く鞠莉。

 

「…………」

「もう、覆しようがないの?」

「いえ、まだ……!」

 

受話器を取り、何処かへ電話をかけようとするが果南がそれを止める。

 

「果南………」

「ダイヤは知ってるの?」

「言える訳ない……」

 

「だったらちゃんと隠しなさい。」

 

そこへ、ドアが開きダイヤが現れる。

そしてその足元には01が。

 

「ダイヤ……と………あの子……」

「偶然廊下で会ったので拾ってきましたの。多分隼斗さんも心配してたんですわ。

それより、以前からこそこそこそこそと…本当にブッブーですわ。」

 

 

 

________________________________________________________________

 

 

で、そのまた翌日。

沼津某所。

 

「うわぁ!広ーい!」

 

沼津での練習場所が見つかったAqours。

そこに訪れていた。

 

「ここ、開けると鏡がありますし!」

 

ルビィがカーテンを開けるとそこには大きな鏡が。

 

「いざ、鏡面世界へ!」

 

鏡……ライダー………うっ、頭が………

 

「やめるずら。」

 

「パパの知り合いが借りてる場所なんだけど、しばらく使わないからって!」

「流石船長……!」

「関係無いけどね……」

 

「ともかく、ここなら大丈夫そうだな!」

「それに、ここなら帰りにお店も沢山あるし!」

「そんな遊ぶことばかり考えてちゃダメでしょ?」

「本屋もあるずらー!」

 

「じゃあ一度みんなでフォーメーション確認してみない⁉︎」

 

『オー!』

 

「……ちょっと待って。」

 

『ん?』

 

「どうしたの姉ちゃん。」

「その前に、話があるんだ。」

「ハナシ?」

 

「うん、実はさ……鞠莉。」

 

「実は!学校説明会は………

 

中止になるの………。」

 

 

鞠莉から言われたその一言に、全員が言葉を失っていた………。

 

 

 

Part3に続く。

 




2期1話Part2どうでしたでしょうか?新メカ登場そして急展開。
これから自分が忙しくなるので、その前にできる限り進めていきたいと思ってます‼︎

それでは次回もお楽しみに!感想等お待ちしてます‼︎


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第2期1話 新しい舞台とは何か Part3

だいぶモチベとやらが回復してきました。
こっから加速していきますよ!

さてさて2期1話もこれがラスト。
今回もよろしくお願いします‼︎


 

「実は!学校説明会は………

 

中止になるの………。」

 

突然鞠莉からみんなに伝えられた事。

それは、学校説明会の中止だった。

 

 

「中止……?」

「どういう事だよ鞠莉!」

 

「言葉通りの意味。説明会は中止、浦の星は正式に来年度の募集を止める。」

 

 

「それ……いきなり過ぎない⁉︎」

「そうずら!まだ二学期も始まったばかりなのに……」

 

「そうだぜ!まだこっから希望者数も伸びるかもしれねーってのニ!」

 

「生徒からすればそうかもしれませんが、学校側は既に2年前から統合を模索していたのですわ。」

「鞠莉が頑張ってお父さんを説得して今まで先延ばしにしてくれていたの。」

 

 

「そうか……そういえば、浦の星の理事長は確かに鞠莉だが……大元を辿れば小原家のお陰で浦の星があったのか……寄付も相当だったみたいだし…でもよ、入学希望者は少しずつ増えてるんだろ?」

 

「隼斗の言う通りだよ!最初0だったのが10になってさ……」

「これからもっともっと増えるって………」

 

 

そう、遡る事数ヶ月前の事。

まだ高校生の身でありながら浦の星の理事長になった鞠莉。

それも彼女の家である、小原家が大きく関わっていたのだ。

 

アニメ 及び本作のファーストライブ回参照。

 

「それはもちろん言ったわ。けれど、それだけで決定を覆す理由には……」

 

すると千歌は鞠莉の両肩を掴み聞いた。

 

「鞠莉ちゃん……何処⁉︎」

「千歌っち……?」

 

そして千歌は、突然部屋を飛び出していってしまう。

 

「私が話す!」

 

「千歌ちゃん!」

「待って!アメリカよ⁉︎鞠莉さんのお父さんはアメリカにいるのよ?そうですよね⁉︎」

 

「yes………」

 

「そんなすぐに行ける距離じゃねえ。それに行けたとしてもだ……今のままじゃ、とても話は……」

 

「美渡姉や志満姉やお母さん、あと、お小遣い前借りして、前借りしまくって、アメリカ行って、もう少しだけ待ってほしいって頼みに行く。」

 

「千歌ちゃん………」

「できると思う……?」

 

「できる‼︎」

 

千歌は、そう自信ありげに言った。

彼女の場合、本気でやってしまいそうなのが怖いが。

 

 

「……鞠莉はさ。この学校が大好きで、この場所が大好きで、留学より、自分の将来よりこの学校を優先させてきた。」

「今までどれほど頑張って学校を存続させようとしてきたか、わたくし達が知らないところで理事長として頑張ってきたか。」

「その鞠莉がもうどうしようもないって言うんだよ?」

 

「でも……!でも………」

 

 

「千歌っち………ごめんね?」

 

と、いつもの調子で笑ってみせる鞠莉。

 

「鞠莉………」

 

「違う……そんなんじゃない……そんなんじゃ………」

 

 

___________________________________________________________

 

 

もしあの時ラブライブの予選に勝ち、本大会に出場できていたら?

未来は変わってたのだろうか………?

 

未来は違ってたのだろうか………?

 

 

 

「おまえも……そろそろ冬毛か……⁉︎」

 

しいたけのブラッシングをしていた美渡。

毛がごっそり抜け、ブラシにはかなりの量が付いていた。

 

「ただいまー。」

 

そこへ、バイクの隼斗が帰ってくる。

そしてあとから遅れて千歌が。

 

「お、お二人さんおかえり!って、どうかしたの?」

 

「……いや、なんでもねえ。」

 

「あー、そうそう。さっきむっちゃん達来てたよ?」

「え?あいつらが?」

 

そして、2人揃って千歌の部屋へ。そこには沢山の折り鶴が纏めて飾ってあった。

 

「これは………」

「みんなで折ったんだって。応援してるって持ってきてくれたの。」

 

「……そうか。」

 

「隼斗くん?千歌ちゃん?」

 

 

「………なんでもない。ありがとう。」

 

 

____________________________________________________________

 

その夜、隼斗の部屋。

 

「なぁ、鳥。」

 

『ー?』

 

「俺に何か出来る事は無いのかな?戦うだけじゃない。別の方法で、あいつらの力になる事は………できねえかな?」

 

『…………』

 

分からない、というように01は首を横に振る。

 

「分からない、か………だよなぁ………。」

 

そう言って上のジャケットを脱ぎ、布団に飛び込む隼斗。

01はそれを嘴に加えて丁寧に部屋の端に置いた。

 

「いっそのことさ、なんかこう、ほら…………すっげー奇跡でも………起きればいいのに………」

 

 

そう言って眠りにつく隼斗。

彼は気づかなかった。

その時ほんの一瞬だが、01の眼がキラリと光った事に……………

 

 

____________________________________________________________

 

翌日。

 

「諸般の事情により、説明会は中止。浦の星女学院は正式に、統廃合となる事が決まりました。」

 

 

集会でも伝えられた統廃合決定の知らせ。

生徒達も突然の事に混乱していた。

 

 

「やはりか………私もこうなるんじゃないかと、薄々感じてはいたんだがね。」

 

「博士………どうにかならねえのか?あんたは天才なんだろ⁉︎」

「隼斗………こればかりはな………君の気持ちも分かる。君がこの学校で過ごしてきた時間は1年も無い。けど、それなりに思い入れは…あるだろうからね。」

 

その日のうちに説明会の案内、ポスター等は撤去された。

夕方になる頃には、学校内には1枚も残っていなかった。

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

「夕陽が綺麗だな…………」

「そうだね…。」

 

陽の沈みゆく海岸。

千歌と梨子、そして隼斗の3人がいた。

 

「私ね、こうなったのはもちろん残念だけど、ここまで頑張ってこれてよかったなって思ってる。

東京とは違って、こんな小さな海辺の町の私達がここまでよくやってこれたなって。」

 

 

「それ、本気で言ってる?……本気で言ってるなら私……梨子ちゃんのこと、軽蔑する。」

 

「千歌が軽蔑とか難しい言葉使ってる…….」

 

「今そんな雰囲気じゃなかったでしょう隼斗くん………」

「あ、ワリ。ついいつもの調子で……」

 

すると梨子は、千歌と隼斗の目の前で驚きの行動に出た。

 

「がおー!フフッ。ぴーっ!どかーん!普通怪獣りこっぴーだぞー!喰らえ!梨子ちゃんビーム!こんなのだっけ………って隼斗君。そんな冷たい眼で私を見ないで………」

 

「あ、ああ、ごめんつい……意外かつ突然すぎる行動につい………」

 

「………フフッ。」

 

そのやりとりに思わず笑みがこぼれる千歌。

 

「やっと笑った。」

 

「あ、確かに…………」

 

「私だって、Aqoursのメンバーよ。みんなと一緒に頑張っていこうって。

曲もいっぱい作ろうって思ってた。いいなんて思うわけない。これでいいだなんて……。でも、どうすればいいか分からないの。

どうすればいいか…………」

 

 

____________________________________________________________

 

翌朝。

 

 

「おはよう!行ってくる!」

 

朝早くに走って家を出る千歌。

飼い犬であるしいたけもその後を追う。

 

「千歌⁉︎」

「ワン!」

 

「ったくあいつは今度は何を……あ、good morning.美渡姉さん。あれ追いかけるから俺も行くわ!おーい鳥!」

 

あとから飛び出してきた隼斗の声に応えて01もその左肩にとまる。

 

『ーッ!』

 

「え!隼斗何それ⁉︎」

「あー飼い鳥!ロボットだけど!んじゃ行ってくる!」

 

「隼斗、バイクは⁉︎」

「たまには走るのも悪くないかなって!」

 

 

ポロシャツの上から来たジャケットを直しながら隼斗も千歌の後を追う。

 

 

___________________________________________________________

 

 

「案外追い抜かせたな………」

 

いつの間にやら学校の近くまで来ていた。

隼斗が木にもたれて休憩していると、そこに遅れて千歌がやってきた。

 

彼女はそのままグラウンドへ。

持っていたバッグを投げ出すと、空に届くぐらいに大きな声で力強く吼えた。

 

「がおおおおおお‼︎‼︎」

 

 

「うわうっさ………」

 

その様子に、隼斗に01も思わず手で(羽で)耳辺りを塞いでしまう。

 

 

「起こしてみせる!奇跡を絶対に‼︎

それまで……泣かない!」

 

 

「やっぱり来た。」

 

そこへ、曜がやってきた。

隼斗と01も近くへ来て、千歌のバッグを拾い上げる。

 

「曜ちゃん……隼斗君に鳥さんも……どうして?」

 

「んなもん分かんねえなぁ…。けど、こんな早くに学校来るやつはおまえ1人じゃないのは……分かる。」

 

そう言って向く方向には、Aqoursのみんなや憐達が。

 

「みんな………」

 

「気づいたら来てた。」

「鞠莉ちゃんまで………」

 

「なんかよく分かんないけどね。」

 

「みーんな、思いはおんなじ、ダゼ。」

「以心伝心ずら。」

 

 

「みんな、諦めたくないんだ……。諦めたくないんだよ。鞠莉ちゃんが頑張ってたのはわかる。でも、私もみんなも、まだ何もしてない。こんなの無駄かもしれない。でも、諦めたくない!ほんの少し見えた輝きを探したい。見つけたい!」

 

「千歌は昔から諦めが悪いからね。」

 

「果南さんもですわよ?」

「姉ちゃんだって同じくせに。」

「お姉ちゃんも!」

 

「千歌っち………」

 

「いいんじゃない?足掻くだけ足掻きまくろうよ。」

 

「ですが、やるからには………奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「奇跡を!」

 

「キセキを!」

 

 

どんな結末かなど分からない。けど今やれる事は確かにあるはず。

みんな、思いは同じだった。

 

昇る陽に照らされるグラウンド。

 

そして、何処からかゆっくりとした拍手が聴こえた。

 

「excellent!素晴らしい志だ。諸君。」

 

 

そして、突然現れた謎の男が1人。まだ夏場だというのに黒いコートのような服装の男。

外国人のようだが、それにしては流暢な日本語。

一斉にみんながそちらを向く。

 

「おじさん……誰?」

 

「誰、か………そうだな……自己紹介をするよりも、こうした方が手っ取り早いだろう?」

 

その男は異形の姿へとその身を変えた。

胸の部分には004の数字が。

 

「うわぁ⁉︎」

 

「ロイミュード………004だと⁉︎」

 

「ハヤト、知ってるの⁉︎」

 

「俺たちの追ってる野郎の直属の部下……何故ここに!」

 

「なに、ほんの挨拶という奴だ。仮面ライダーボーイ。蛮野様と戦えるほどの力を持つものかどうか、確かめてやろう!」

 

「お前ら下がってろ!」

 

Aqoursのみんながその場から走って離れる。

 

隼斗と憐が同時にドライバーを装着。

シグナルバイクをセットする。

 

《Rider!Sonic‼︎》

《Rider!Slayer‼︎》

 

「Ready!」

 

「「変身‼︎」」

 

「セリフ以下略、ぶっ潰す!」

「狩らせてもらうぜ、お前を!」

 

ソニックとスレイヤーに同時変身。

ソニックは今は武器持ちでは無いので拳で、スレイヤーはクローを構え向かっていく。

 

「喰らえッ!」

 

「おらよっ!」

 

スレイヤーが右のクローで切りつけ、右に避けるとそこへすかさずソニックが蹴り込む。

 

「004は進化体持ちじゃない……けど残しとくと厄介だ!速攻で……倒す‼︎」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

「振り切るぜ!」

 

シフトアップで加速。

速く強いラッシュを叩き込む。

 

「オラオラオラオラ‼︎」

 

「ほう……流石は最新型。実に速く強力だ……だが………」

 

004はソニックの右手を掴んでラッシュを止めた。

 

「なにっ⁉︎」

 

「そこまでだ!」

 

さらに動きを止めた状態からソニックに蹴りを入れ吹っ飛ばす。

 

「ぐああっ⁉︎」

 

「ハーさん!んなロォ………」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer‼︎》

 

スレイヤーがフルスロットルを発動。両手のクローを構える。

 

エネルギーを纏った両手の爪を構え走り出しその攻撃を叩き込んだ。

 

「ハンティング・エンドッ‼︎」

 

その一撃は004にモロに入った。

しかし、吹っ飛ばしたはずがそのボディには傷一つ付いていない。

 

「good……いい攻撃だ。」

 

「ハンティングエンドが効いてねェ……⁉︎」

 

「だったら………!」

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

「変身ッ!」

 

《Rider!Dead Heat‼︎》

 

ソニックが赤い装甲を纏い、デッドヒートにパワーアップ。

 

「ほう………」

 

《バースト!キュウニ・デーッドヒート‼︎》

 

「より強力なパワーで……ぶっ飛ばすまでだぁぁぁぁ‼︎」

 

こぶしを握り締め再び004に攻撃を仕掛ける。

 

「ハァァァ!」

 

連続パンチのラッシュを叩き込む。

蒸気の噴き出すそのボディから繰り出される

凄まじい攻撃は004に少しずつダメージを与えている。

 

「なるほど、確かにいい攻撃だが………」

 

 

「吹っ飛びやがれ‼︎」

 

《ヒッサツ!バースト!Full throttle‼︎》

 

 

「ヒート・ストリームソニック‼︎」

 

フルスロットルからのライダーキック。それを喰らった004は爆発する。

 

ソニックも着地しそれを見ていた。

 

「手応えあり………これなら………」

 

「No.それは違う。」

 

 

 

だが、004は立ち上がった。

それなりにダメージは入っているが、それでもなお耐えている。

 

「な………」

 

 

「全然効いてないよ!」

「どうなってんのよあれー‼︎」

 

 

「Non.そんな事は無い。先程よりは、効いたな………。」

 

 

「こんの……野郎…………‼︎」

 

相手への怒り、自分の力不足への怒り。

肩のメーターも限界を示していた。

 

「ヤベッ!」

 

「ハヤト、あのままじゃまた………!」

 

「あの時みたいに………‼︎」

 

キリカの組み込んだ暴走のリスクのある強化プログラム、フルバーストシステム。

 

起動したら最後、目に映る相手を叩き潰すまで止まらなくなる。

 

「そうか、デッドヒートには暴走の能力が…ならば………」

 

 

『ーッ‼︎』

 

とその時、空から高速で01が飛んで来る。

 

「あ、鳥さん!」

「あの子は………」

 

01は004の周りを飛び交いながら攻撃を仕掛ける。

 

「な、なんだこいつは⁉︎このっ!離れろ!」

 

必死に振り払おうとするが、中々離れない。

ついに004は体勢を崩し倒れる。

 

すると01はソニックの元に向かい、ドライバーを勝手に動かしてデッドヒートを弾くようにして外す。

そして、01のボディの一部が開くと、見たことのないシグナルバイクが自動で動いてセットされる。

 

《Evolution!》

 

01のボディが分解、変形する。デッドヒートから通常ソニックに姿が戻るとその01のボディとソニックが合体。

翼を持ち、より青が輝いている、別の姿へと変化した。

 

「oh………⁉︎あの姿は一体⁉︎」

 

 

「………フッ!」

 

004がそういった刹那。

そのソニックは急加速し膝蹴りを入れた。

 

「グフォア⁉︎」

 

先程までとは違い、明らかに見事に入ったダメージ。

 

「データにない……なんだ、あの姿⁉︎」

 

 

「お前を………倒す‼︎」

 

 

ソニックが飛び上がり、その身体に竜巻のような強い風を纏う。

 

そしてそのまま右足を突き出しライダーキックを放った。

 

「ハァァァ‼︎」

 

「ッ!これはマズイ!」

 

 

004は咄嗟に横に避ける。が、とてつもなく速いその攻撃は004の左腕を吹き飛ばした。

吹き飛んだ跡からはバチバチと火花が飛び散っている。

 

「ろ、ロイミュードの……ひ、左腕が……」

「吹き飛んだ………⁉︎」

 

「いえ、あれはむしろ切り裂いた、というのでは……?」

 

梨子と曜、ダイヤが驚きのあまり声を上げる。

 

「これは想定外………だがデータはよく取れた。ではまた会おう。諸君。good bye.」

 

そう言うと、004はその場から消え去った。

 

 

「逃げた………?」

 

「…………」

 

そして、01がソニックから分離し元に戻る。

その際に青い羽根が飛び散り、ソニックの変身も自動で解かれた。

 

「………あれ、004は………?」

 

「何いってんだよハーさん!ハーさんがぶちのめして撤退させたんだぜ?」

 

「………俺が?うっそだー!」

 

 

「隼斗、覚えてない……?」

 

「ってか、なんだったのよあの姿?翼生えてたしめちゃくちゃ速かったし………」

 

 

「すごい………すごいよ隼斗君!」

 

 

千歌が隼斗に急接近して言った。

 

「だからなんだって⁉︎」

 

「奇跡だよ奇跡!歯が立たなかった相手を、あの姿に変身してからビューって!バーンって‼︎」

 

「なんだよビューでバーンって………」

 

「みんなも見たよね⁉︎隼斗君もできたんだ!奇跡は起こせる!私達にだってできるはず‼︎

 

だから精一杯、輝こう‼︎」

 

 

「んー………まあいつもの千歌が戻ったしいいか!」

 

 

 

突如起こったソニックの突然変異。

004の行動の意味。

 

謎が残る中、Aqoursは再び再出発するのだった。

 

 

 

次回に続く!

 




覚えてろラビットラビット………スカイロードを這いネビュラガス吸ってでもお前を超えてやる…………
(某クソアニメより流用)

なんか変身シークエンス見たけど、若干自分がソニック用に考えてたとあるアイデアと被って少しやばいと思ってるMaster Treeです。
次回以降のどっかで、ソニック、進化します。

そして毎度の事だが戦闘描写がどうもほかの作者さんのように上手く書けない………どうにかしたい。アドバイスください。

長くなりましたが2期1話はこれにて完結!
次回から本格的に始まります‼︎

それでは次回もお楽しみに。感想とか待ってます。




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第2期2話 雨がもたらすものとは何か

2期編2話突入!
前回強力な力を発揮した01とソニック。

あの現象についてはまた後ほど。

今回も思い切り行きましょう!



サンシャインサーガ前回のあらすじ。

 

次のラブライブに向けて新しいスタートを切ったAqours達。だがそこに飛び込んできたのは、学校説明会中止の報せだった。

 

しかも言い出したのは出資元である鞠莉の父。

どうしようもないと全員が諦めかけていたが千歌の言葉に影響されたか、みんなが持ち直す。

 

まだ終わってない。最後の最後まで足掻いて輝く!

 

と決意したのも束の間、敵側の刺客004まで現れる。上位ナンバーの個体に苦戦する2人だったが、なんとソニックが未知の姿に!

なんとか撤退まで追い込んだのだが、はたしてあの姿は………?

 

____________________________________________________________

 

理事長室前。

 

 

「きっと、なんとかなるよね……?」

「しかし、入学希望者が増えていないのは事実ですわ。」

 

あの後、鞠莉はまた海外にいる父に電話をしていた。

他のメンバーは外で待っている。

 

「生徒がいなくちゃ学校は成り立たないもんね。」

 

「どうにか人数が増えりゃいいんだけど……」

『ー。』

 

隼斗の肩に止まる01、通称鳥も頷いている。

 

そして、鞠莉が理事長室から出てきた。

 

「鞠莉さん」

「どうだった?」

 

「残念だけど、どんなに反対意見があっても生徒がいないんじゃ…って。」

 

「やっぱり、そうよね……」

 

「だから言ったの。もし増えたら考えてくれるかって」

「え?」

「増エたら……って?」

 

「何人いればいいのかって。何人いれば学校を続けてくれるかって。」

「それで……?」

「何人……集めるんダ?」

 

「100人」

 

「100人………」

「100人……ねぇ………」

 

「ええ、今年の終わりまでに少なくとも100人集まったら来年度も募集し、入学試験を行うって。」

 

100人集めること、それが存続の条件だった。

現状は入学希望者がおよそ10人。

まだまだ足りない。

 

「まだ10人しかいないのですよ?」

「それを年末までに100人って……」

 

 

「でも、可能性は繋がった。

終わりじゃない。可能か不可能かなんて今はどうでもいい。だって、やるしかないんだから!」

 

「まあ、たしかにそれもそうか。」

 

「鞠莉ちゃん、ありがとう!」

「一先ず時間だけは稼げたってところか?」

 

「可能性だけでも信じよう!学校説明会もラブライブも頑張って集めよう!100人‼︎」

 

「0から1へ!」

 

「1から10へ!」

 

 

「10から………100へ‼︎」

 

____________________________________________________________________

 

放課後、学校地下にあるキリカラボ。

 

「なに?01のシグナルバイク?それに羽の付いたソニックだぁ?」

 

それまでコンピューターに向かっていたキリカ博士が回転椅子をこちら側に回して隼斗の話を聞いていた。

 

「ああ、千歌達の証言によるとなんだが……」

「私はそんなソニック開発した覚えはない。強いて言うなら……あれにはこれまでの戦闘データを君の持ってたバイクのキーから移し替えたメモリー代わりとなる記録用シグナルバイクが搭載してある。変身用に使う為って開発はした覚えないな………」

 

「そうかよ………んじゃああれは何かの間違い

だったのか……?」

 

「多分そうだろうよ。さ、練習行っておいで。私もあとから向かう。」

「おう」

 

「あ、いや待って。忘れるところだった……。これ、ソニックの新武器!」

 

そう言ってキリカ博士が棚から外して隼斗に手渡したのは、どこからどう見ても鞘に納められた刀だった。

柄は黒と、ソニックと同じ青色。

鞘のベースカラーは緑色に近く、先端などに金色の装飾が施されている。

 

「刀?これが新武器?」

「ただの刀を私が作る訳なかろうよ。

ドライブのハンドル剣と同じ、S01合金製の超凄い業物さ!折れない、錆びない、斬れ味落ちないの脅威の3点セット!」

「ほほう………?」

 

スッと鞘から少し刀を引き出してみると海のように透明な水色の刃が光る。

色合いはハンドル剣のようだ。真ん中が少し銀色になっている。

鍔は付いておらず、日本刀のような雰囲気を残しながらも中々近代的なブレードのようなデザインになっていた。

ゼンリンシューター同様、シグナルバイクをセットする場所も側面に付いている。

 

「お、これもシグナルバイクと連動を……」

「ドライバーのフルスロットルと合わせて、更に必殺技の強化も可能な仕組みになっている」

「へぇ………ところでこいつ、名前は?」

 

「実は名前がまだ思いつかなくてな……君が名づけてくれないか?」

「今は思いつかねえしな……まあ気が向いたら付けるよ。ありがとな博士!」

 

「ああ、持ち運びには気をつけろよ?なんか袋にでも入れてな?」

 

「分かってる〜。ってか……なんで刀?」

「最初は剣にしようと思ったけどドライブと被るからね。何か別の……君だけの武器って感じにしようと思って刀に」

「なるほど」

 

 

___________________________________________________________________

 

 

「………とは言ったものの……」

 

「いきなり?」

 

「ラブライブの予備予選がこんなに早くあるなんて思ってなかったんだもん。」

 

「出場グループが多いですからね」

 

「この地区の予備予選は来月の始め。場所は特設ステージ」

「特設ゥ?」

 

「有象の魑魅魍魎が集う宴ッ……!」

 

「でも、どうして早いと困るずら?」

 

飲み物を飲みながら花丸が千歌に聞く。

 

「それは、その………」

 

「歌詞を作らなきゃいけないからでしょ?」

 

「ナルホド」

 

「あ、そうか歌詞作りは千歌の仕事か……」

 

「あ〜!私ばかりズルい!梨子ちゃんだって二曲作るの大変だって言ってたよ!」

「それ言ったら曜ちゃんだって……」

 

「曜サンは2曲分の衣装(全員分)占めて18着も作るわけだしナ」

「憐くんの言う通り。こんなにあるからねー」

 

「同じ曲って訳にはいかないの?」

 

「って思うダロ?これがそうもいかねーんダワ。だろ?ダイヤさん」

 

「憐さんの言う通り。未発表の曲しか使えないという規定がありますわ」

 

「キビシーよ……ラブライブ……」

 

寝っ転がりながら言う千歌。

 

「それを乗り越えたものだけが、頂きからの景色を見ることができるのですわ。」

 

「それは、分かってるけど………」

 

その千歌の顔を覗き込むようにして梨子が聞いた。

 

「で?歌詞の方は進んでいるの?」

 

「うぁ!それはその………」

 

「ここに歌詞ノートがあるずら」

 

 

「わーっ⁉︎」

 

そのノートには梨子のイラストが。パラパラ漫画のようになっていた。

 

「わぁぁ………」

「そっくり!」

「結構力作でしょ?」

 

「んな事だろうと思った……」

 

「あ、隼斗さんずら」

「おかえりなさい!」

 

「キリカ先生との話は終わったんですの?」

 

「ああ。博士にも分からねえってさ……」

「あのmiracle現象の事ね?」

 

「そう」

 

「それはともかく……隼斗、その手に持ってるのって、刀?」

「キリカ博士特製の新武器だそうだ。名前はまだない。」

 

「鳥さんと同じなんだ」

『ー。』

 

「ってか昨日夜の2時までかかって………」

「こんなものの為にかよ……」

「千歌ちゃん………」

 

 

「…………はい、すいません」

 

____________________________________________________________

 

その後、部室にて。

 

「うー…………」

 

詞を考えるも思い浮かばず、机に突っ伏している千歌。

そしてその外では…………

 

「ふっ!こう?それとも……こうか!」

 

新しい武器の刀を抜き、試しに振ったり突いたりするようにして体を動かす隼斗。

右手に刀を、左手に鞘を持っている。

 

 

「でも、このまま千歌達に任せっきりというのもねー」

 

「じゃあカナン、久しぶりに作詞やってみる?」

「えっ⁉︎い、いいや私は………」

 

「なになに!果南姉ちゃんの作詞⁉︎」

「ちょっと隼斗さん!その刀を仕舞ってから部室に入りなさい!」

 

「あ、いけないいけない………」

 

隼斗は外に出て最後に横に一振りしてから鞘に納めた。

左手に持ち部室に戻る。

 

「で?姉ちゃんって作詞できるの⁉︎」

 

「ええ、前の……旧Aqoursの時は、カナンが詞を作ってたのよ」

「へぇ………初耳」

 

「それ言ったら、鞠莉だって曲作りしてたでしょ?」

「へぇ、曲は鞠莉サンか……」

 

「じゃあ衣装は?」

「衣装はわたくしと………」

 

「と?ダイヤさん以外に誰が………」

 

ダイヤの視線が妹であるルビィの方向に。

 

「なるほど」

「だよね!ルビィちゃん裁縫得意だったもん」

 

「得意っていうか………」

 

すると、花丸が一つのバッグを取り出す。

クマの刺繍が入っている。

 

「これも、ルビィちゃんが作ってくれたズラ!」

 

「刺繍もルビィちゃんが?」

「う、うん」

 

すると、鞠莉が立ち上がり一つの提案をした。

 

「じゃあ、二手に分かれてやってみない?」

 

 

『二手に?』

 

「曜と、梨子と、千歌っちが説明会用の曲の準備をして……

後の6人がラブライブ用の曲を作る!」

 

「いや待て待て待て、俺たちは⁉︎」

 

「あ、いっけない忘れてた☆」

「忘れてたじゃねえよゴルァ」

 

「そうね……ハヤトは私達の方に、憐は千歌っち達の方に付いてもらおうかしら?何かあった時の為のbody guardとして」

 

「俺っちが千歌サン達の方かー」

「俺は1、3年側と」

 

「こうすれば、みんなの負担も減ると思うの」

 

「でも、いきなりラブライブ用の曲とかなんて………」

 

「だからみんなで協力するの!一度ステージに立ってるんだし‼︎千歌っち達よりいい曲が作れるかもよ?」

 

「かもではなく、作らなくてはなりませんわね。スクールアイドルの先輩として」

「お?言うねぇ」

 

「それいい!じゃあどっちがいい曲作るか、競争だね!」

 

「ルビィちゃん!」

「う、うん!」

「承知」

 

「では、それぞれ曲を作るという事で、決まりデスね」

「おー!」

 

「気合い入れて行くか!」

『ーッ!』

 

「俺っちも!」

 

 

_______________________________________________________________________

 

 

「じゃあ私達は千歌ちゃんの家で曲作ってるね!」

「誰か一名様、俺っちが乗せてくヨー?」

 

「あ、乗りたい乗りたい!」

「あ、ちょっと千歌ちゃん!」

 

「頑張るずらー!」

 

 

「さて、我々も行動開始と行きますか?」

「その前に隼斗さん、その刀どうするんですの?」

「いくらなんでもそのままだと確実に捕まるよ?」

 

「あーそうなんだよなぁ………うーん……どうしよ………あ、そうだルビィ!これ入れる袋、作れるかな?お代とかは出すから!」

 

「ふぇ⁉︎る、ルビィが⁉︎」

 

「衣装よりかは簡単そうだけど……」

「暇な時……は無さそうか。簡単にでいいからさ、頼むっ!」

 

「じ、じゃあ…作ります!」

 

「よし来た!」

「隼斗、自分で作れないの?」

 

「俺がこういうの苦手なの知ってるでしょ、姉ちゃん」

 

「はいはい。さて、私達はどこでやろうか?」

 

「ここら辺だと、やっぱり部室?」

 

「それだとなんか代わり映えしないんじゃない?」

「となると……何処だ?」

 

「千歌さん達と同じで、誰かの家にするとか?」

 

「鞠莉んとこは?」

「え、私?」

 

「そうですわね、部屋は広いし、ここからそう遠くないですし」

 

 

「もしかして、鞠莉さんの家ってすごいお金持ち?」

 

「うん、そうみたい」

 

「そうみたいなんてもんじゃねえよ。俺もあいつの事を知った時には驚いたぜ……あの時こんなすごいお嬢様を助けたなんてな……」

 

「スクールカーストの頂点に立つもののアジト……」

 

「頂点じゃなくて、もはやそこを超えてそうだけどな………」

 

「私はノープロブレムだけど……4人はそれでいいの?」

 

「no problem.」

 

「賛成ずら!」

「右に同じ!」

「ヨハネの名にかけて!」

 

「OK!Let’s to gether‼︎」

 

『ーッ‼︎』

 

ラブライブ班、いざ鞠莉の家へ!

 

______________________________________________________________

 

『わぁぁぁぁぁぁ………!』

 

 

広々としたロビー、噴水に銅像。

ここは淡島にあるホテル。鞠莉の実家、小原家が経営しており、鞠莉は現在ここに住んでおり、浦の星に通っている。

 

「あいっ変わらずとんでもねえな………」

『ー』

 

「心の闇が晴れていく………」

 

「そんなに……?」

 

「初めて来た時はあなただって………」

 

 

『わたし、ここに住む!』

 

 

「って………」

「あら、姉ちゃん可愛い」

 

「昔の話だから!」

 

「ってことは本当に言ったんだ」

「もう!隼斗うるさい!」

 

「はいはい、過去の話はそれまでにして。それよりも、ここに来たのは曲を作る為ですわよ?さぁ!それでは………」

 

 

___________________________________________________________________________________

 

『おおお………』

 

「おまたせー!アフタヌーンティーの時間よー?」

 

通された部屋で待っていると、出てきたのはテレビとかでしか見ない超すごいアレが。いや本当に凄いわ。

 

「流石だな鞠莉………」

「それほどでもー?というかハヤト、01ちゃん本当に何もいらないの?」

「ああ、こいつの動力源は俺のバイクとかと同じコアドライビアだ。充電とか、水も餌もいらない」

『ー』

 

01がそうだと言わんばかりに首を縦に振る。

 

「ならいいけど。ハヤト達も、これ好きなだけ食べていいからね?」

 

そう言われ、1年の3人はマカロンを手に取る。隼斗はとりあえず紅茶を。

 

「ふぅ………ここまで豪華なおやつ中々ないぜ……」

 

「ダイヤ達もどうぞ?」

 

 

と、あの後はお菓子を食べたりテレビ観たりと全く作業にならなかったので、一行は場所を変えて黒澤家に。

 

 

「やはり!鞠莉さんの家では全く作業になりませんわ!全く‼︎」

 

『ええー』

 

「あっちが良かったずら。」

「もっとポップコーン食べたかったのに。」

 

「あの味中々に良かった……もう戻れねえかも」

 

「やりますわよ?」

 

「「「はい。」」」

 

 

 

「では、まずは詞のコンセプトから。ラブライブ予選を突破する為には……」

 

「はい!ズバリ……『無』ずら!」

 

「無……?」

 

「はい!無というのは無いわけではなく、無という状態があることをいうずら。」

 

「は?」

「what?」

「ほらー、2人とも分かってねえぞー?」

 

「なにそれ………カッコいい!」

 

「善子もまてーい。」

 

「善子さん……その無があるという事こそ、私達が到達すべき究極の境地ずら!」

 

「ヨハネ……無………つまり漆黒の闇……!そこから出ずる力……!

 

「すごい!2人とも!」

「イヤイヤ別の意味ですごいから。俺たちの到達できない境地だから。」

 

「それでラブライブに勝てるんですの?」

「テーマが難しすぎるし……」

「of course!もっとhappyなのがいいよ!」

 

「そういう鞠莉さんは、何かアイデアがありますの?」

 

「任せてくださーい!前から温めていたとびっきり斬新でhappyな曲がありまーすっ!」

 

そう言ってスピーカーにスマホをセットする鞠莉。

 

「みんなに曲を聴いてもらうこの感覚………2年ブーリですねー!」

「どんな曲?」

「鞠莉の曲か………」

「聴いてみる?」

 

再生ボタンが押されると、ギターの音がかなりの音量で響く。ロックな感じの曲調だ。

 

「イェーイ!」

 

「なるほど、こんな感じか……」

「なんかいい感じ。体動かしたくなるね。」

「確かに今までやってこなかったようなものではありますね。」

 

「音楽に合わせて体を動かせばhappyになれますネ!」

「そうだね、ラブライブだもん!勢いつけていかなきゃ」

 

だが、その音楽が突然止められた。

 

「え?」

 

「ルビィ…こういうの苦手……」

「耳がキーンってして……」

「単なる騒音ずら……」

 

1年生、及び01が何故かダウンしていた。

おいおい1年はともかく相棒ー。あれぐらいなんてことないだろー。

 

「こっちはこんな調子だが……憐は大丈夫か……?」

 

_______________________________________________________________________

 

「うぅー………」

 

「浮かびそうもない?」

「輝きって事がキーワードだとは思うんだけどね?」

 

「それっきりダメだと。」

 

「輝きねぇ………」

「早くしないと果南ちゃん達に先越されちゃうよね……」

 

 

その時、ちゃぶ台に置いてある憐のスマホが鳴る。

 

「憐くん、鳴ってるよ?」

 

「え?あーはいはい………ア?」

 

「どうしたの?」

「なんかすぐ来てくれって、問題発生らしい」

 

そう言って画面を見せる憐。

 

「嘘⁉︎」

 

___________________________________________________________

 

で。

 

「それではラブライブ予選は突破できませんわ!」

 

「じゃあそっちのなら可能だというの⁉︎」

 

「少なくとも可能性はこちらが上と見る」

 

「でも、あの曲はAqoursには合わないような………」

 

「新たなchallengeこそ新たなfutureを切り開くのデース!」

 

「無の境地ずらー!」

 

 

事態は、3年側with隼斗・1年生側に分かれ、思ったより混沌を極めていた。

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

「やはり、一緒に曲を作るのは無理かもしれませんわね。」

 

「趣味が違い過ぎて………」

 

「完全brokenってところだな……」

 

「いいアイデアだと思ったんだけどなー。」

「もう少しちゃんと話し合ってみたら?」

 

「それができたら苦労しねーよ。」

「散々話し合いましたとも。ただ、思った以上に好みがバラバラで………」

 

「バラバラか………」

「確かに、3年生と1年生とじゃ全然タイプが違うしね」

「俺忘れられてない?」

 

「ああ、隼斗は……割と中立的じゃない?今回は3年側ってだけで」

「そうか?」

 

「でも、それを言い訳にしていたらいつまても纏まらないし……」

「それは………」

 

「確かにその通りですわね。わたくし達は、決定的にコミュニケーションが不足しているのかもしれません。」

 

「前から1年生と3年生あんまり話してなかったもんね。」

 

「善子と花丸の2人はあまり積極的に話す方ではないし、鞠莉はどうか分からんが………姉ちゃんああ見えて人見知りなとこもある……よな、千歌?」

「うん」

 

「となると………」

 

 

『仲良くなる?』

 

「そうですわ。まずはそこからです」

「曲作りは信頼関係が大事だし」

 

「でも、どうするずら?」

 

「それなら任せて!」

 

「お、姉ちゃん何かアイデアが?」

「何かあるの?」

「小さい頃から知らない子と仲良くなるには………」

 

『なるには?』

 

 

________________________________________________________________________

 

 

「一緒に遊ぶことっ!」

 

果南の投げた豪速球が善子と花丸の間を通過する。

そしてそれを外野の鞠莉がキャッチ。

 

「nice ball!」

 

ちなみに、俺と鳥はレフェリーだ。

 

「何、これ………」

「ずら………」

 

「何ってドッジボールだろー?ほらほら試合中だぜ!」

 

「さあ!行くよー!鞠莉・シャイニング……」

 

「ずら⁉︎」

「任せて!」

 

投げる体制に入った鞠莉。狙われた花丸を庇う形で善子が間合いに入る。

 

「力を吸収するのが闇、光を消し、無力化して深淵の後方へ引きずりこむ……」

 

「tornado‼︎」

 

鞠莉の投げたボールは真っ直ぐに善子へ。

凄まじい回転のそのボールは善子の顔面を直撃。続けて花丸、ルビィにも連続でヒットし1年チーム全滅。

 

 

「試合しゅーりょー」

 

『ーッ』

 

 

あの後図書室で読書をしたりもしたが、ダイヤはともかく果南と鞠莉の2人は途中で寝てしまった。

 

「結論から言うとこのメンバーは、アウトドア派な3年生と、インドア派な1年生に分かれてる、という事ですわね………」

 

「既にきっちりと分裂してるからな……で、ダイヤさんは何かアイデアは?」

 

「こういう時は、互いの姿をさらけ出すしかありません!」

 

「はい?つまりそれって………」

________________________________________________________________________

 

 

で。

 

「すなわち、裸の付き合いですわ!」

 

 

『裸の付き合い?』

 

 

「ってか俺ハブられてるんですけど‼︎」

 

と、高い壁を挟んで反対側に位置する浴場からの隼斗の声。

 

「仕方ないでしょう!隼斗さんはそこから壁越しに話を聞いてください」

 

 

「やれやれ仕方ない……おい鳥、ここは同じ雄同士、相棒同士の1人と1匹で………あれ?」

 

おかしい、先程まで側にいたはずのあいつがいない。

何処に行った?

 

と、考えていると向こう側から声が。

声の主は果南だ。

 

「隼斗〜。01ならこっちにいるよー?」

 

 

『〜!』

と、01の鳴き声。果南に抱えられながらお湯に浸かっている。

 

なお補足を入れると、この支援メカRF-01は擬似ロイミュード。すなわち機械。しかし防水対策は博士によって万全の為問題無し。

 

 

 

「てめぇぇ鳥ィィィ‼︎裏切りやがったなこの野郎!後で覚えてろよぉぉ‼︎」

 

 

「隼斗さんお黙りなさい!迷惑でしょう?」

 

 

「ちぃ………」

 

不満気な表情で顔を沈め、ブクブクとする隼斗。

 

「ともかく、古来より日本では共にお風呂に入りコミュニケーションを取る事で物事を円滑に進める文化があったのですわ」

 

「でも、こんな時間からお風呂かぁ………」

 

そこへ、後から来た善子。シャンプーハットの上に更にタオルを乗せている。

 

「堕天使が人前で素肌を晒すなんてありえないわ!」

 

 

「この際んなもん気にすんな……bkbk……」

 

「善子ちゃん!」

 

そう言って花丸が指差す先には何かの鳥の像から出てくる白いお湯の風呂。

 

「暗黒ミルク風呂というのがあるずら!」

 

『白黒どっちやねん!』

 

これには全員で突っ込む。

 

「クックッ……身体に……身体に染み渡る……このパトスが!」

 

「笑いながらお風呂入ってると不気味ずら。」

「うっさい!」

 

「もー飽きた〜。」

「そうだよー充分あったまったよー。」

 

「まったく!少しは我慢なさい!」

 

 

「無駄だぜダイヤさん………その2人想像以上に堪え性ないから」

 

 

「あれ?ルビィちゃんは?」

 

 

そのルビィは、像の流す暗黒ミルク風呂の湯を頭から被りながら入っていた。

 

「あー……極楽極楽………ん?」

 

 

だが、あったまっていたのも束の間。

なんと突然雨が降って来た。

 

 

_______________________________________________________________________

 

 

バス停にて。

 

「よう鳥ィ……随分楽しそうだったな………」

 

01の頭を鷲掴みにしながら笑ってない目で01を見ている隼斗。

ジタバタして抜け出そうとする01。

 

『ー!ー!ー!』

 

「そこまでにしときなさい、ハヤト。鳥さんに嫉妬するなんてらしくないわよ?」

「クッ………ロボットの癖に………」

 

そう言われて、隼斗は01を放してやる。

 

「なら今度どっか一緒に入り行く?」

 

「バッ!おまえそれは………!///」

「勿論、withカナンで!」

「冗談でもやめろ‼︎///」

 

「鞠莉も隼斗もその辺にしな。っていうか、せっかくお風呂入ったのに雨なんてね……」

 

「結局何しに行ったんだか」

「結局なんだったんでしょう」

 

「マルはご満悦ずら」

「ルビィも」

 

「ハァ……あちらを立てればこちらが立たず、まったく………」

 

「より違いがはっきりしただけかも」

「姉ちゃんの言う通りかもな……」

 

「どうしよ、傘持って来てない……」

 

「どうするのよ?さっきの所戻る?」

「それはちょっとなぁ………」

 

「結局何も進んでないかも……」

「あ、たしかに……!曲作り!」

 

「近くに、知り合いのお寺があるにはあるずらが………」

 

『え?』

 

 

________________________________________________________________________

 

そして、隼斗達はそのお寺に。

 

ギィィと音を立てて重い扉が開く。

 

 

「入っていいずら」

 

「いいのか?」

 

「連絡したら、自由に使っていいって。」

 

「お寺の方はどちらにいらっしゃるんですの?」

 

「ここに住んでる訳じゃないから……いないずら〜」

「となると、ここで雨宿りしていくしかないですわね」

「雨もまだまだ止みそうにないし」

 

_____________________________________________________________________

 

で、中に入る。大きな仏像の前にある二本の蝋燭に火がつけられた。

 

「電気は?」

「無いずら」

「reary⁉︎」

 

「となるとかなり古いんだな………」

 

隼斗は背中に背負っていた袋(黒澤家に行った際に作られたルビィ作)から刀を取り出して抜く。

 

「広いからかなり振り回せる!」

 

鞘を捨て、ビュンビュンと振る。刃が蝋燭の灯りを反射して辺りを少しだけ照らしている。

 

「すっぽ抜けて飛ばさないようにしてくださいよ?」

 

「ど、ど、どうする?私は別に平気だけど……」

 

ガタン!ギシシッ………

 

何かが落ちたにしては奇妙な音が響く。

 

「っ⁉︎」

 

 

 

すぐさま音の方向を聴き取り、その方へ刃を向ける隼斗。

だが、何も無い。

 

果南も怖いのか近くの柱にしがみついている。

 

 

「何もねえ………」

 

「ほかにする事もないし、曲作り?」

 

「でも、またケンカになっちゃったりしない?」

「き、曲が必要なのは確かなんだし、さっさとやっちゃった方がいいんじゃない?」

「それもそうですわね。」

 

「意外とパーっとできるかも?」

「だといいずらね……」

 

ガタン!

また変な音が聞こえる。

 

全く何処から鳴ってるんだ………

 

「あと隼斗さん、その殺気を鎮めてはどうですか?何もこんな所までロイミュードは来ないはずですわよ?」

 

「こういう時だからこそ来る。俺が言うんだ間違いは無い」

 

「歌詞は進んでるんですの?」

「善子ちゃんがちょっと書いてるの、この前見たずら」

 

「何勝手に見てんのよ!」

 

「へぇ、やるじゃん!」

「凄い!」

 

 

「ルビィはともかく、姉ちゃんはいつまでダイヤさんにくっついてるのさ。」

「い、いいでしょ別に!」

 

「フッフッフッ……よかろう。だがリトルデーモン達よ、おまえ達に見つけられるかな?このヨハネ様のArkを!」

 

「Ark見つけた」

「早すぎるのよ!」

 

隼斗が足元に置いてあったノートを拾い上げる。

中にはびっしりと難しい単語が並んでいる。

 

「これは………」

「裏 離 聖騎士?」

「りゅうせいきしだん!」

 

「この黒く塗りつぶされている所はなんですの?」

「ブラック・ブランク!」

 

「読めませんわ………」

「おまえにはそう見えているのだろうな……おまえには!」

 

ギシィ………

またしても音が鳴る。

 

近い、音の方向は左後ろ側、これは足音か?

恐らくは何者かが忍び込んできた?

 

犯罪者?人間ならまだ対処できる。

けどロイミュードだった場合は………!

 

俺はすぐさま振り返り、その方向に刀を向けた。そこにいたのは………!

 

 

「ニャア……?」

 

 

子猫だった。黒毛で赤いリボンをしている。

 

 

「ね、猫ぉ………?」

 

「なんだ、おまえだったのか……」

 

果南はその猫を抱き抱え頭を撫でてやる。

 

「そういえばこのブラックブランク?動きますわ?」

 

「お、お姉ちゃんそれ……虫……!」

 

『うわぁぁぁあ⁉︎』

 

今度は反対側からブーンという羽音が。その虫はどうやら飛んでいるようだ。しかも割と大きい。先程の音よりは簡単に聞き取れた。

 

「みんなちょっと伏せてろ!」

 

隼斗は踵を返し、みんなの方へ向く。

その虫は視認できた。かなり大きい。

ゴキブリか?まあどうでもいい。

 

これから斬るだけなのだから………

 

右足で畳を思い切り蹴り、その虫の方へ。

 

「セリャアッ‼︎」

 

持っていた刀で虫を縦に一閃。

 

「オマケだ‼︎」

 

更に斜めに斬り裂く。

その2連続斬りで虫は絶命。

 

「決まった……!」

 

着地した後、刀を鞘に収める。

直後、なんと近くにあった蝋燭も切れてしまい、床に落ちて火が消えてしまった。

 

「あ」

 

『あっ………』

 

 

「………いやーやっちまったぜ☆」

 

『やっちまったぜじゃなーい‼︎』

 

_______________________________________________________________________

 

改めて別の蝋燭が立てられ灯りは取り戻せた。が、結局何も進展無しだった。

 

「一体私達、どうなっちゃうの……?」

「全然噛み合わないずら……」

 

「どうなるも何もな………」

 

「随分冷静ですわね……隼斗さん」

 

隼斗はスマホで日本各地の名のある刀を調べながら名前を考えていた。

 

「まあな……天下五剣……五って微妙だな…」

 

「このままだと曲なんてできっこないよ……」

「そうですわね………」

「so……bad………」

 

「そんなに違うのかな、ルビィ達……」

 

 

 

 

 

「さっき斬ったあの感覚……虫1匹を狙ったはずが蝋燭まで巻き込んだ……あれだけ強力ならなんでも斬れるんじゃ………?この世にこれより強い刀は恐らく無い……唯一無二……これ以外に存在しない……すなわち零…」

 

「隼斗さんはさっきから何ブツブツ言ってるのよ?」

「え?あ、いやこいつの名前をな。俺だけの武器なんだからこう、カッコいい名前を付けたいなーと思ってそれで………」

 

そう話していると、隼斗の首に何かが落ちた。

 

「つめてっ⁉︎」

 

上を見上げると、あちこちから水滴が。

 

「雨漏りずら………」

 

「やっぱ建物が古いからか……」

 

「こっちにお皿あったよ!」

「姉ちゃんナイス!他には?」

 

「ハヤト!こっちも!それからこっちにも……」

 

「こちらにお茶碗がありましたわ!これを……」

「それでなんとかなるな。」

 

「こっちにも頂戴!」

 

「こっちにも!」

 

「こっちもずら!」

 

 

全員で声をかけあい、確認しながら対応していく。

 

ピチャン………ピチョン………

 

器や雨漏りの粒次第で、一見どれも同じようなその音は幾つにも分かれて聞こえた。

 

「テンポも音色も大きさも……」

 

「一つ一つ、全部違ってバラバラだけど!」

 

「一つ一つが重なって……」

「一つ一つが調和して……」

 

「一つの曲になっていく。」

 

「まる達もずら。」

 

「それすなわち………音楽、歌。」

 

意味ありげに指揮者のように両手を振ってみせる隼斗。

 

どうやら1、3年生もみんなすっかり打ち解けたようだ。

 

「よーし!今日はここで合宿ずらー!」

 

『えええ⁉︎』

 

 

「あのー帰っていいですかね?」

 

『〜。』

 

しかし隼斗、自分の仕事は途中で投げ出さない為翌朝までみんなに付き合ったとか。

 

 

________________________________________________________________________

 

 

次の日の朝。

 

 

「んー………結局一晩ここで過ごすとは…….」

 

 

刀を持って外に出た隼斗。

鞘から引き抜き、右手に持って構える。

 

「………ハァッ‼︎」

 

左手には拾った小石を沢山。

それを自分の頭上に放り投げると、隼斗はその場から離れ、投げられた石を斬りまくる。

 

「まだまだ!そらっ!」

 

更に斬ると、石はあっという間に粉々に。

それを見た隼斗は登る陽にその刃を向けた。

 

「こいつならどんな敵だって斬れる!目の前の絶望すらも斬って捨てる!一晩考えて、考えまくっていい名が思いついた!

 

こいつは煌めく奇跡の刃!吹き荒ぶ風の剣!

天の下にあるこの世に、対抗できる剣はない!

 

今日からこいつは……『天下零剣 煌風(てんかれいけん きらかぜ)』だ‼︎」

 

 

朝日を受けて煌めく刃。隼斗は剣にそう名付けた。

 

 

「隼斗!」

 

 

その時、隼斗を呼ぶ声が聞こえた。

振り向くと、そこにはみんなが揃っていた。

 

「あー………見てた?」

 

 

「見てましたとも」

 

「奇跡の煌めく風の剣……今ここにカタチと成る!」

 

「so coolよ!」

 

「さ、千歌さん達のとこに行くずら!」

 

「曲、できたのか!」

「もちろん!」

 

「よし!じゃあ行くぞ!」

 

 

『おー‼︎』

 

次回に続く!

 

 

次回 サンシャインサーガ!

 

 

「なんだ……あれは………?」

 

「変、身……。」

 

 

ついに襲来!ゴルドドライブ‼︎

 

その強力さ故に苦戦を強いられる2人。

 

「所詮お前達はドライブやマッハの贋作、あれにも及ばない屑だ!

私に敵うはずが無い‼︎」

 

 

だが、その時隼斗が…………

 

 

「贋作……偽物……模造品だって言いたいなら、それはお前にそっくり返す!見せてやるよ、俺だけの力‼︎」

 

 

《Evolution!Super Rider!》

 

ソニックは今、進化する‼︎

 

 

「お前は俺がぶっ倒す!それが俺の、やるべき事だ‼︎」

 

 

次回 覚悟がもたらす進化とは何か

 

 

 

 

 




新武器解説 (メモにある原案より引用)

天下零剣 煌風
てんかれいけん きらかぜ

ハンドル剣と同じS01合金で作られた
ソニックの日本刀型新武装。煌く風と書いて煌風。



この武器はソニックのシステムを応用する事で風を取り込んで斬れ味を強化できる。

その為片手のみでも威力をさほど落とさずに運用でき、片手剣と同様の扱い方もできる。

見た目こそ刀と言った感じだが、所々彼なりにアレンジが加えられている為かなり近代的になっている。

形状イメージはモンスターストライクの神威の持つ刀(進化)
を色違いにしアレンジを加えたもの。


刃はハンドル剣と色合いが同じ。
刀の持ち手は青を使い、よりソニックらしい武装に。



「天下」つまり空の下であるこの世に一つとしてこの刀に匹敵する刀は無い、すなわち零。それ程強力という意味合いを込めて天下零剣と名付けられた。

そして、キラカゼというワードはキラキラと輝く奇跡=Aqoursとソニック(隼斗)の自慢の速さ、風から取ってキラカゼと付けている。


満を持して新武器登場!まあ今回は戦闘が無かったのであまり活躍はしてませんでしたが………
次回はついにヤツが来る!ソニックも遂に、最終形態へ!

次回もお楽しみに!感想・評価等お待ちしてます

それでは!




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第2期3話 覚悟がもたらす進化とは何か

とうとう高校三年生になりました、Master Treeです。進路関係が忙しくまともに編集の時間が取れません。ダレカタスケテ。

まあその話は置いといて……
ソニック最終フォーム、遂に登場!
勇猛なるその強さをしかと見よ!


前回のサンシャインサーガ!

 

学校を廃校から救う為、入学希望者を100人集めるべくAqours一行はそれに向けて行動を開始する。

 

一方隼斗は博士にソニックの謎の現象を話すが、博士も知らないという。RF-01にそんな機能は搭載されてないらしいが……?

そして隼斗は新たな武器、煌風を入手した。

シューターとは違い近接特化な武装だ。

 

Aqoursの面々も、2班に分かれてそれぞれ曲作りを開始する。

特に1、3年組は性格の違いから衝突するも、なんとか和解し曲を完成させた。

 

さて、今回のお話は……………?

 

 

______________________________________________________________________

 

 

夜、淡島神社にて。

 

「よーし……来い、鳥!」

 

『ー!』

 

 

ソニックに変身済みの隼斗。

そしてその頭上を旋回しながら飛ぶRF-01。

通称 鳥。名前はまだ無い。

 

その01がソニックの右肩にとまると、首の下あたりが開き、シグナルバイクが出てくる。博士の言っていた、戦闘記録保存用のメモリーバイクだ。

 

飛び出してきたそれをソニックは左手で掴むと、ドライバーを展開しシグナルソニックを抜く。

そしてそのシグナルバイクを差し込む。

 

《Signal Bike!》

 

「…………変身!」

 

01が右肩から飛び立ち、その後ソニックがそう言って勢いよく右手を振り下ろしスロットを下ろそうとするが、何か硬くロックされたかのように下ろせない。

 

「あ?あれ?……おかしいな………?んじゃ、もっかい!」

 

シグナルバイクを一度抜き、再び差し込む。

 

《Signal Bike!》

 

 

「スゥ…………フゥ……………変身ッ‼︎」

 

深呼吸をしもう一度やるも、やはり下ろせない。硬くロックされ変身すらできない。

 

 

「アレェ………⁉︎ん〜………なんでだ……?」

 

『ー?』

 

01も不思議そうに見ている。

そうしているうちにソニックの変身が解除された。

 

 

「んー……やり方としては間違ってないはずなんだけどな………戦闘データが足りないのか……?

それとも何か別の理由が………?」

 

『ー。』

 

ドライバーを外し、そのシグナルバイクと一緒に見る隼斗。

 

見た感じ両方共壊れてはいない。ドライバーは戦いの中で付いた傷が少しあるが、これもあまりぱっと見目立たない。

シグナルバイクも同様だ。

 

「このままデッドヒートに頼りきりってのもすぐに限界が来る。できるんならモノにしないと………その凄い奴。ビューでバーンは意味わからんけど…………帰るか………」

 

 

_________________________________________________________________

 

 

翌日。

 

 

「で?戻ってきてからも特訓してたら寝不足だと?」

 

「そういうことです………」

 

 

次の日の放課後練習。屋上にて他のメンバーがストレッチをしてる中隼斗は座り込んで1人ぐでーっとなっていた。

 

その横には鳥が。

 

「隼斗、今日は帰って寝たら?」

「姉ちゃんがそういうのなら……」

 

「素直ね隼斗くん………」

「隼斗、果南ちゃんには逆らえないから。というかこう言われると速攻で従っちゃうから」

 

「余程カナンの事が好きなのねー」

「まぁ……姉ちゃんがいたから今の俺があるわけで……………あーいや、その……と、とにかく今日は俺帰る!これ以上話してると余計に………!」

 

「あ、ちょっと隼斗く……行っちゃった……」

「隼斗、果南ちゃんの事となるとねー」

 

「ハヤトったら照れ屋さんねー」

 

 

 

______________________________________________________________________

 

 

 

「そうかぁ……そっちも考えなきゃ……」

 

 

頭を抱えて考える。

夏のあの日、果南姉ちゃんに言いかけたあの言葉を。

 

たしかに、俺は姉ちゃんの事が好きなのかもしれない。けど、その答えがハッキリしないばかりかその資格すらあるかもあるか分からないのに………

 

 

「はぁ〜…………」

 

 

「どうしたんだい少年よ?そんなため息なんか吐いて。」

 

「博士…………」

 

 

そこに現れたのは、霧香博士……もとい先生だった。いつも通りの白衣姿。

 

 

_______________________________________________________________

 

 

 

使われていない空き教室にて。

浦の星は元々全生徒合わせても100人いるかいないかって程に少ないのもあってか、こうした教室はいくつかあった。

 

 

「やはり実験は失敗か。きっと、何かの見間違いだったんだろう」

 

「そう……かなぁ……?でもやっぱり諦めきれなくって……」

 

「みんなの証言によると、青くて翼の生えた……鳥人間のような感じだったらしいな?なら、それっぽいのを一応作ってみる」

 

「本当か⁉︎」

「使えるかはわからないぞ?何せデータが無さすぎる。見た目の再現は可能だが、性能までは流石に………」

 

「なんかすごい速かったっつってたけどそれすら?」

 

「速さだけなら……でもそれを制御できるかが問題になる。通常のソニックだってそうだ。確かに速いが、それをコントロールするシステムが必要になる………」

 

「システム………ねぇ……」

 

「あーそれはそうと隼斗、君達に調査してもらいたい場所があるんだが………」

 

「場所?調査?」

 

「ああ。以前01がいくつか撮ってきた写真のうちの1枚。これだ。」

 

博士が取り出したのは、ホラーゲームとかで出てきそうな怪しい雰囲気の洋館の写真。

以前練習場所を探していた時に01が撮ってきたいくつかの写真のうちの1枚だ。

 

「あ、これか………」

 

「私はこれを敵の本拠地と考えている。まああくまで推測だがね。怪物の目撃情報とやらも数件ある」

 

「信憑性はありそうだな………分かった。明日明後日にでも調べに行ってみる」

 

「くれぐれも気をつけてくれ。今の君なら負けはしないだろうが……それでもだ」

 

「了解了解」

 

 

 

________________________________________________________________

 

次の日。朝の教室にて。

 

 

「今日も朝練疲れたよー」

「ラブライブまでもうすこしだから、頑張らないと。」

 

「それはそうと2人とも、隼斗くんは?今日は朝練にもいなかったし………」

 

「隼斗君なら今日は学校休むって」

 

「休む?今のこの時期に?」

 

「うん。昨日の夜、『すこしやる事ができちまった』とか言ってた」

 

「やる事………」

「学校休んでまでする事なのかなぁ……?」

 

 

朝練後教室に向かったのは、千歌、梨子、曜の3人。

で、その隼斗はというと………?

 

 

 

_________________________________________________________________

 

 

 

「ここか………」

 

 

隼斗がやってきたのは町外れの古い洋館。

ホラースポットとして数年前までは知られていたが、ここ最近は近づく人が全くと言っていいほどいなくなった。

 

「いかにも、って感じだな……。さて、んじゃ突撃お隣ホラースポットってね……」

 

 

 

「何処へ行く〜?」

 

 

その時聞こえた機械的なくぐもった声。だが、周りを見渡しても草木ばかりで人影など何も見えない。

 

「誰だ!ってか出てこねえなら撃つ。」

 

そう言ってその方向にシューターを構える隼斗。だがそこから人が出てくる。

 

「ストップストップ!ハーさん俺っちだって!」

 

 

近くの木の陰から出てきたのはまさかの憐だった。

何かインカムのようなものを着けている。

 

 

「憐⁉︎おまえ、学校どうした!そもそもおまえには伝えてなかったはず………ってか何それ」

 

「これ?博士が趣味で作ったらしい発明品。変声機。本当は蝶ネクタイ型にしようと…」

 

「それ別の方向から怒られそうだからやめろマジで」

 

「この件の事は博士から聞いたんだけどナ。サポートよろしくって」

 

「あーそう。んじゃ……行くか。離れんなよ?」

 

「わーってらー」

 

 

______________________________________________________________________

 

 

赤い絨毯の敷かれた廊下を歩く。

いつでも変身可能なように、一応ドライバーは装着してある。

それにしても………

 

 

「静かすぎる………ダロ?」

 

「ああ。それに、ここに来るまであちこちキョロキョロしてたが、監視カメラの1つも設置されてなかった。セキュリティがガバすぎる…」

 

「敵の本拠地……なんだよな?」

 

「そのはずだが………」

 

「っ……待て。」

 

歩き続けていたが、前を歩く隼斗が突然手で憐を制止する。

 

「んだよ……」

「静かに。この部屋……なんかある」

「なんかって………」

 

2人がその部屋を除くと、中にはいくつもの精密機器。コンピューターなどが置かれていた。複雑な数式が表示されている。

その中には下級ロイミュードや進化態を持つロイミュードのデータもあった。

 

「これって………」

 

「研究室、だな。憐、探るぞ」

 

「オッケ」

 

 

そのまま奥へ進む俺たち。けどこの時は気づいてなかった。

 

この部屋にのみ、いくつか監視カメラがあった事を…………

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「見た感じ大したデータじゃ無かったな……」

「俺たちの持ってるロイミュードのデータばっかりだったし………ここはハズレか……」

 

 

「おい!ハーさんハーさん!」

 

 

憐が呼ぶ声がする。何かを見つけたらしい。

その方へ走っていくと、そこには更に重要なものを保管してそうな部屋の扉が。だが……

 

「パスワードが必要みたいだな……つっても俺たちそんなパスワード解析の技術なんてないのによー………」

 

「あ?何言ってんだハーさん」

 

「なんだよ、まるでいい案があるみたいな………別の道を探した方が………」

 

《SignalBike!Rider!Slayer‼︎》

 

「変身」

 

 

すると、憐が突然スレイヤーへ変身し両手のクローを構える。

 

「おい、まさかとは思うが………」

 

「俺たちにはどんなパスワードも破れる最強のマスターキーがある。それは…………………

 

 

 

力でぶっ壊す‼︎」

 

 

スレイヤーはそのクローで頑丈そうな扉を切りつける。するとXを描くように切られた扉が崩れて壊れた。

 

「ナ?」

 

「な?じゃねえだろ!少しは頭使えや!」

 

「でもグダグダ考えてるよりはいいダロ?」

 

「そうは言ってもな………あ……?」

 

「どったのハーさん……何あれ………」

 

憐は変身を解除。

隼斗が少し残った扉の残骸を蹴り飛ばし内部に入るとその中には一体の下級ロイミュードが。

だが、その姿は通常とは違い、バット型、コブラ型、そしてスパイダー型の3種類、全てが混ざったような見た目をしていた。

 

「ロイミュードの……合成体……?」

「なんだ……あれは………?」

 

 

 

「そいつは……研究品だ。いずれ究極のロイミュードのベースとなる……な」

 

 

 

突然背後から声がして振り返る。

そこには一体の下級ロイミュード。そしてその身体に装着されていたのは、黒いドライブドライバーだった。

 

「究極のロイミュードだト………?」

「ってそのドライバー………まさか‼︎」

 

 

「よく来たな………新しい仮面ライダーども…知っているとは思うが自己紹介をしておこうか。変………身」

 

ドライバーのキーを捻る。

ロイミュードの変化のような形でそれは金色のドライブへと姿を変えた。

 

「ゴルドドライブ、蛮野天十郎。ロイミュードの生みの親、一度はドライブ達に倒されしものだ」

 

 

「マジかヨ………」

「なんでマッハ先輩に倒されたお前が生きてんだ!しかもロイミュード達まで引き連れて………」

 

「確かに。私は、一度剛によって倒された。だが………私があの程度で死ぬはずがないだろう?こんな事もあろうかと、バックアップを残しておいたのだよ」

 

「バックアップ………」

「ったく性懲りも無く地獄から戻ってきやがって……」

 

「今はクリムもドライブもいない、計画は順調に進むはずだったが………まさか予想外が起こるとはな。2人も仮面ライダーが増えていたなど………」

 

「そっちからわざわざ出て来てくれるとは、手間が省けた。今ここで、お前をぶっ潰す‼︎」

 

《SignalBike!Rider!Sonic‼︎》

 

隼斗は装着済みのドライバーにシグナルソニックをセット。パネルを下ろす。

 

「Ready、変身‼︎」

 

隼斗、速攻でソニックに変身。

持ってきていたゼンリンシューターを装備する。

 

「あれ?ハーさん刀は?」

「忘れた!」

 

《ズーット!ソニック‼︎》

 

その直後にシフトアップを発動。最初から飛ばすいつもの戦法でいく。

 

「無謀な奴め………」

 

そう言ってゴルドドライブはドライバーのキーをもう一度捻る。

だが、何も起きない。

 

「?どうした…何故発動しない⁉︎」

 

 

 

「残念だったな!お前の能力はほぼ全部分析済み!ソニックを開発した時点で、武器奪取能力無効化の特殊コーティングはしてあるんだよ!念には念をとやっておいたが、本当に役に立つとは思わなかったぜ‼︎」

 

手に持つシューターを回転させながら得意げに言う隼斗。

そのまま近距離まで接近しトリガーを引いて撃つ。

 

「チッ!小癪な真似を……!」

 

シューターを持つ右手を掴み、その上で蹴りを入れるゴルドドライブ。

 

無防備だったソニックはダメージを受けて転がる。

 

「クッ!」

 

「ちなみに!」

 

そこへすかさずスレイヤーがクローを構え飛びかかる。そしてそのまま切りつけ下がらせた。

 

「俺っちのスレイヤーの武器のクローもだ!スーツと一体化してるから影響無し!お前の能力はほぼ無意味って事だ‼︎」

 

「おのれ‼︎」

 

ゴルドが手から光の触手を何本も伸ばしてくる。

 

「うっわ気持ちわり!」

「触手プレイは趣味じゃねえなぁ!憐!」

「ホイサ!」

 

《ヒッサツ!Full throttle!》

 

「ハンティングエンド、ラッシュ!」

 

が、それもスレイヤー自慢の爪で切り落とされる。

 

「おのれ忌々しい狗め!」

 

「今だ!ハーさん!」

「任せろ!」

 

《ヒッサツ!》

 

ゼンリンシューターにシグナルソニックをセット。

銃口にエネルギーがチャージされていく。

 

「チェックメイト!第3部完ってな!」

 

《Full throttle‼︎》

 

「シューティング・ソニック‼︎」

 

 

風を纏った瞬足の光弾がゴルドドライブに向かって放たれる。

 

「ぐおあああ!」

 

 

触手のガードも無かったゴルドドライブにその一撃は炸裂し、爆発を起こした。

爆炎を背にソニックは得意げに言う。

 

 

「二度と復活するな、金メッキ………」

 

 

が、しかし……………

 

 

「………フン………」

 

そこには微動だにせず立っていたゴルドドライブが。

 

「嘘だろ⁉︎」

 

「あの程度の攻撃で、私が倒せるとでも思っていたのか?だとしたら勘違いも甚だしい…」

 

「006は超進化体に匹敵する程の素体…まあそりゃこれで倒せるほど甘くはねえわな。だったら……‼︎来い!デッドヒート!」

 

ソニックはシグナルソニックを抜き、シフトデッドヒートⅡをドライバーに装填。

 

《SignalBike/Shift Car!Rider!Dead Heat‼︎》

 

「ッアア‼︎」

 

デッドヒートソニックへと姿を変えて再度向かっていく。

 

「なるほど、パワーアップか………」

 

「オルァァァ‼︎」

 

ジャンプするとゼンリンシューターで殴りつける。

右、左、その後キックと自分が思いつく限りの手でラッシュを叩き込む。

 

「お前如きが、私に勝てるか!」

 

だが、ゴルドドライブはそれらを両腕で全てガード。ソニックの胸部にカウンターパンチを喰らわせる。

 

「があっ!」

「ハーさん!テメェこの野郎!」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer‼︎》

 

「スレイヤーエンド‼︎」

 

ソニックがカウンターで吹き飛んだ直後、スレイヤーがフルスロットルを発動。必殺のライダーキックを放つ。だが………

 

 

「フン!」

 

ゴルドドライブはそれを紙一重で回避。

すかさずイグニッションキーを捻る。

 

「馬鹿が………ハァァッ‼︎」

 

ライダーキックは失敗して着地した直後がかなり無防備。そんな状態のスレイヤーにゴルドドライブの回し蹴りが炸裂した。

 

「うぁぁぁっ‼︎」

 

「憐‼︎」

 

転がり壁に激突。その衝撃で変身が強制解除される。

 

「確かに、システムではドライブやマッハに勝っているのかもしれない。だが所詮、お前達はアレを真似た……贋作に過ぎない。そんな屑が私に敵うとでも思ったか‼︎」

 

「ぐあああっ‼︎」

 

さらにゴルドは変身解除された憐を踏みつける。

力の無さやその言葉に隼斗の怒りは限界まで来ていた。いや、とうに沸点を超えていた。

 

 

「うるっせええええええ‼︎‼︎」

 

《Burst!キュウニ!Dead Heat‼︎》

 

シフトアップ発動。メーターも限界を振り切りひび割れ、タイヤが暴発する。

 

「まだ向かってくるか………」

 

「アアアアア‼︎」

 

ゼンリンシューターを連射し憐から引き離した後、そのまま連続で殴りつける。乱暴な使い方をし過ぎたせいか、それにはヒビが入っていた。

 

「まだ!負けてないッ‼︎こんな!野郎に‼︎俺が!俺がっ‼︎」

 

「暴走して半ば自我を無くしているか。その状態は、なによりも隙が大きすぎる‼︎」

 

左手でシューターを持つ右手を捻って封じる。右手でイグニッションを捻りエネルギーがその手にチャージされていく。

 

「砕け散れ‼︎」

 

ゴルドドライブのパンチがソニックに当たると思った次の瞬間、

 

 

「させるかァァァ‼︎」

 

なんと憐はスレイヤーに再変身。その足に飛びかかる。

その直後右手を掴んでいた左手が離れバランスを崩し、そのパンチはソニックの手から離れたゼンリンシューターに当たる。

 

「なにっ!貴様いつのまに……!」

 

落下したゼンリンシューターはボロボロになっていた。もはや一発撃てるかどうかというところだ。

 

「レ………ン…………!」

 

「ゼェ……ハーさん……意識……残ってる……?こりゃ無理だわ。いっぺん、撤退しよ………?」

 

「分かっ………た………!」

 

ソニックはゼンリンシューターを拾い上げ、カクサーンⅡをセットする。

 

《ヒッサツ!Full throttle!》

 

「その程度の攻撃、目くらましにも……」

 

《ヒッサツ!Burst!Full throttle‼︎》

 

「デッドヒート・ガトリング‼︎」

 

《シューター‼︎》

 

シューターから放たれた拡散弾がゴルドドライブに襲いかかる。

 

 

「クッ!だが、これしきの事でこの場は…」

 

そこへさらにソニックが飛び上がり、拡散弾の飛び交う中へエネルギーを込めたゼンリンシューターをぶん投げる。拡散弾を受けたシューターは爆発四散。たちまち煙が上がる。

 

煙が晴れると、そこにソニックとスレイヤーはいなかった。

 

 

「クソ!逃したか………まあいい、あの程度ならば、奴らは野放しにしていても構わないだろう………」

 

ゴルドドライブは歩いてその場から立ち去っていった。

 

 

_______________________________________________________________________

 

 

所と時間変わって内浦の海近く。

お互いの肩を借り、満身創痍の状態でボロボロになって逃げてきた2人。

 

 

「ゼェ………ゼェ……」

 

「よう……生きてるか憐………」

 

「なんとかネ………死にそうだったのは確か。けどハーさん………」

 

「ああ……」

 

隼斗の手の中には、青色の金属片、ゼンリンシューターのカケラがあった。あのように、スモークグレネードの容量で煙に巻く事でなんとか難を逃れたのだ。

 

「ところでハーさん、時間は……?」

 

「もうすぐ昼ってとこだな……とりあえず俺は帰っとく………」

「あとで博士んとこナ………」

 

_________________________________________________________________

 

旅館十千万。

 

「ただいま………」

「あらおかえり………ってやだ、隼斗くんどうしたのその怪我⁉︎」

 

「あやっべ志満さん………」

 

 

_____________________________________________

 

 

運悪く見つかってしまった隼斗。傷の手当てをしてもらっている。

 

「今日は学校休んでまでやる事がある、とか言ってたけど……何があったの?」

「いやーそれとこれとは別の用事なんだけど…途中でバイク乗ったひったくり捕まえようとしてボロボロに………」

「え?その犯人は?」

「逃げられたわ………クッソ………」

 

「……でも、だれかを助けようとするなんて、隼斗くん、すごく勇敢じゃない」

 

「そう?俺は別に………」

 

「昔の隼斗くんからは想像もつかないぐらい。弱虫でいつも果南ちゃんに助けられてたっていうけど、今は立場が逆みたいね。」

 

「姉ちゃんはそれ程大切な存在だから……。大きくなった今、今度は俺が……って思って。中学になってからは体鍛えて強くなって……」

 

ボロボロの体で笑顔で語る隼斗。

小さい頃から見ていた志満にはその姿が幼き日の隼斗のように見えていた。

 

 

およそ十年前。

 

「それでね、果南姉ちゃんがね………」

 

 

 

 

「あんな時もあったわね〜。」

「よくよく考えたらあの時の俺果南姉ちゃんのことめっちゃ喋ってたのか………なんか今思い返すと恥ずかしい………」

 

包帯が巻かれた手で顔を覆い隠す隼斗。

 

「でも、それ程好きな女の子の為ならそうなるのもね。はい、これでオッケー」

 

気づけば手当てが終わっていた。

見る限り絆創膏や包帯だらけだ。ここまでの怪我を負ったのはいつ以来だろうか。

 

「ん、ありがとう。じゃあ俺、夕方からまた出かけてくる」

 

「また?怪我してるんだから無理して動いたら………」

 

「心配無用。こう見えて頑丈だから」

 

「あ、遠く行くならせめてバイク乗ってかないでバスにしなさいよ!」

「はーい」

 

______________________________________________________________________

 

で、浦の星の地下にある霧香の研究所。

 

「いやー見事にボロボロにされたみたいだな。でもまあ、生きてるようで何よりだ」

 

「なんとかなー。あとシューターぶっ壊しちまった。それで、例のものできてるのか?」

 

「シューターはもうこの際いいだろう。私もあれに変わる武器をもう一つ作ってる途中だったからな。遅かれ早かれそうなってただろうしよかった。ん、ああ。君や高海くんから得た情報を元に作った。これでどうだい?」

 

霧香がコンピューターを起動し設計図のようなものを表示した。

頭部が鳥に近い形になり先端は嘴を模した形に。

背中には一対の翼、腰辺りには尾羽のようなものが。

両肩のクレストを表示するシグナコウリンは無くなっている。

 

金色に近い脚部も鳥の足を模した感じになっている。

 

設計図の為か色は単色だが………

 

「おお、すげえ!カッコいい………」

 

「01とソニックを融合合体する事で強力な力を発揮できる。開発コードネームはソニックB。まあ正式名称なんて後からどうにでもなるさ。」

 

「B、か………なんかカッコいいのは無いかなー?」

 

「だが、単純に変身できたら苦労はしない。無論それに必要な感情、条件みたいなものもある」

 

「条件?」

 

「覚悟、さ」

 

「覚悟………」

 

「君の戦いはこれからもっと激しくなるだろう。それでも君は、自分の為に、そして街や世界。Aqoursのみんなの為、君の好きな人の為に………その命をかけて、戦えるか?」

 

「命がけで………みんなのために………そんなのできるさ!」

 

「本当にか?」

 

いつもと少し変わって真剣な表情で隼斗を見て話す博士。その雰囲気に隼斗は少し戸惑っていた。

 

その時、ブザー音が鳴りモニターに何かが映る。

場所は校庭、逃げ惑う生徒。そしてその中心には………ゴルドドライブ。

 

「何っ⁉︎」

「ゴルドドライブ………どうしてここに!」

 

「博士、その答えはまた今度。あいつをぶっ倒してくる!」

 

そう言って研究所を出て行こうとする隼斗。

 

「待て」

 

博士がそれを引き止めると、煌風を投げ渡してくる。

 

「忘れ物だ、武器無しじゃ辛いだろう?持っていけ」

「ありがとう。んじゃ!」

 

___________________________________________________________

 

校舎の屋上では。

 

「何あの金ピカ?」

「仮面ライダーみたいだけど………」

 

「いえ、あの身体は…黄金だけどおぞましいオーラ…….あれは敵側よ」

 

「善子ちゃん分かるずら?」

 

「だからヨハネ!こんな時になんだけど……」

 

「というか隼斗さんは来るんですの⁉︎私たちはここにいますが………」

 

「噂をすればなんとやら、みたいよ?ほらみんな、look!ヒーロー見参よ!」

 

_________________________________________________________________

 

「オルァ金メッキ!」

 

開口一番悪口を浴びせる隼斗。

その視線の先にはゴルドドライブが。

 

「来たか。わざわざ出向いた甲斐があったものだ」

「今度こそ、おまえを倒す!」

 

「できるのか?贋作のおまえが………」

 

「贋作、偽物ね………模造品だってのは認めてやるよ。たしかに、俺はずっとマッハに憧れて、その真似ばっかりだった。けど、今の俺は違う!」

 

隼斗はマッハドライバーMk-IIを装着。左腰に煌風を差す。

 

「俺だけの力、見せてやる!」

 

隼斗が右手を空に掲げると、01が飛んでくる。

ゴルドドライブの周りを飛び回り突き攻撃を繰り返す。

 

「なんだこの鳥!くそっ!離れろ!」

 

そして、隼斗の頭上まで来ると一台のシグナルバイクを中から射出し自身は隼斗の右手にとまる。

隼斗はシグナルバイクを左手で掴むと、ドライバーを展開する。

 

そして、隼を模したヘッドと翼が付いたその『シグナルブレイヴ』をセットしパネルを下ろした!

 

《Evolution!Super Rider!》

 

「Are you ready?超変身‼︎」

 

その瞬間、01が飛び上がりそのボディが分解する。頭部、胴体、翼、脚部。

それぞれがソニックに合った装甲へと変化していく。

 

そして隼斗はソニックへ変身。だが、通常のソニックとは少し違い、マフラーが無く、両肩のシグナコウリンも無い。ゴーグル部分も水色になり緑色がボディから消えている。

これが進化の素体、スタンバイフェイズである。

 

ソニックは10歩程下がると前に向かって駆け出し、思い切り踏み込んで飛び上がる。

 

「ハアッ!」

 

そして、その身に01の装甲を纏っていく。

よりゴーグル部分などが鋭い頭部のヘルム、

その背に装備された翼。

尾羽が腰に追加され、脚部も鳥に少し近い形に。

そして、全ての装甲が装着されるとボディの青色がより鮮やかで光り輝くサファイアのような色に。

 

そして、空中で何回か回転すると着地。何処ぞのアメコミヒーローのような、カッコいい着地を決めた。

 

 

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

「なんだ………その姿は⁉︎」

 

「そういや名前思いついてたわ。いいぜ、教えてやる!」

 

その翼がバサァ!という音とともに広がり、名乗りをあげる。

 

「勇気と奇跡がもたらす翼!吹き荒れるのは正義の嵐!俺はソニック………仮面ライダー ブレイヴソニック‼︎」

 

勇猛なる蒼穹の戦士、ブレイヴソニックが今ここに誕生した!

 

そして、広がった翼はまたマフラーのように元の位置に。

 

「ブレイヴ………ソニックだと………⁉︎」

 

驚く蛮野を放っておき、ソニック、もといブレイヴソニックは正面から突っ込んでいく。

 

「だが、パワーアップしたところで同じ戦法が通じるとでmグフォア⁉︎」

 

台詞を言い切る前に吹き飛ばされるゴルドドライブ。

そのスピードは前とは比べものにならないほどに上がっていた。

今のパワーアップしたところで、から同じ戦法が、の間に彼は瞬時に懐に飛び込み右ストレートパンチを喰らわせたのだ。

 

「馬鹿な、何処からこんな力が……!」

 

 

「やっと覚悟が決まったってところだ。俺はずっと、ただヒーローになりたいって気持ちで仮面ライダーをやってた。けど、それだけじゃ何も変わらない!煌風!」

 

煌風を腰から抜くと再び加速し斬撃を浴びせる。

 

「グオッ!」

 

「どれだけボロボロになっても、自分が大切だと思う人の為に戦うっていう覚悟!」

 

左、右のワンツー。からの横一文字斬り。

 

「守りたいって願い!」

 

時計回りでの踵での回し蹴り。

 

「そしてほんの少しの奇跡!」

 

「ぐっ………!」

 

「おまえは俺が倒す!それが俺のやるべき事だ‼︎」

 

ソニックは煌風を投げ捨て、ドライバーに手をかける。

 

《ヒッサツ!Full throttle!Brave‼︎》

 

「ハッ!」

「小癪な!」

 

フルスロットルを発動し、飛び上がって必殺技の体制に。

ゴルドドライブもそれを見てイグニッションキーを捻る。

 

腕をクロスさせてそれを思い切り広げた後、ソニックは風を、エネルギーを纏い、その一撃を繰り出した!

 

 

「ブレイヴ・エクストリーム‼︎ハァァァァァァ‼︎」

 

「ヌァァァァ!」

 

ゴルドドライブもカウンターキックで対抗するが、パワーはソニックの方が有利。

 

「喰らいやがれええええ‼︎」

 

そのままソニックはゴルドドライブを蹴り抜いた。

 

吹き飛ばされ、決定的な大ダメージが入ったゴルドドライブはゆらりと立ち上がった。

 

「貴様………っ⁉︎」

 

だがその直後、ゴルドドライブの両腕に亀裂が走り、肘から先が両方砕けた。

 

「馬鹿な………‼︎この私が‼︎フンっ‼︎」

 

ゴルドドライブは光弾や触手を使い、砂煙を上げてその姿を消した。

 

「あっ待て……!クッ、逃げられたか……」

 

シグナルブレイヴを抜くと、装甲が解除され01の姿に。その直後に余剰エネルギーが青い羽根となって宙に舞い落ちる。

ソニックの変身も解除された。

 

《オツカーレ!》

 

 

「いいいっ…………よっしゃあああ‼︎」

 

 

久しぶりに満足のいく勝利に、隼斗は心の底からガッツポーズをしていた。

 

 

「隼斗くーん!」

 

そこへ、降りてきたのだろうAqoursの面々が駆け寄って来る。

 

「練習中だったか、邪魔したか?」

「むしろあっちが邪魔だったから別にーって感じ。隼斗すごいじゃん!」

 

「まさに隼のような戦闘ぶりでしたわ。」

「so cool!すごかったわよ!ほら、カナンも何か言って上げなさい!」

 

「え、私⁉︎えーとそうだなぁ…隼斗らしくてカッコよかったよ。」

 

「そ、そう⁉︎ならよかった!俺も頑張った甲斐があったわ!よし!せっかくだし練習行くぞ!」

 

 

「え、今からですか⁉︎」

「隼斗さんあまり無茶は………」

 

「大丈夫だって!ほら行くぞ‼︎」

 

ルビィと善子がそう言うが隼斗は気にせず歩いて行く。

 

「まあいいか!私達も行くよ!」

 

千歌も走ってその後を追って行く。

新たな進化を遂げた隼斗。

今のAqoursは最高の雰囲気!

 

さあ、次のラブライブはもうすぐだ。

 

 

次回に続く‼︎

 




久しぶりにこんなに書いた………遂に満を持して最終フォームであるブレイヴソニック誕生です!

ハエーイ・ツエーイ・スゲーイの三点セット!個人的にはデンライブの超ストよりも好き。

詳しい性能についてこちらを。
『ステータスデータ』
名称 仮面ライダーブレイヴソニック


仮面ライダーソニックがハヤブサ型支援機体擬似ロイミュードRF–01と合体し変身する、本作のソニック最終フォーム。
ちなみにブレイ『ブ』ではなくブレイ『ヴ』である。(かなり重要)(これなら被らない)


ブレイブには「勇気」や「勇敢」という意味もあるが、「派手な」や「雄々しい」などの意味もある。(ネット調べ)
それらを引っくるめて『Brave』である。


変身時は、支援メカRF–01の中に搭載されている特殊な変身用のシグナルバイク
『シグナルブレイヴ』を使用。
後部には一対の翼が物が付いていて、ヘッド部分が鳥のようになっているのが特徴。
これをドライバーに挿入する事で01と合体し変身する。

見た目(姿形)
この形態になるとまずマフラーが無くなる。
頭部の先端には、金色に近い色の嘴のようなパーツが追加され、あのハリネズミのような形状から鳥の頭部を模したスタイリッシュな形状へと変化し、より隼らしい姿に。
ヘッドのゴーグル部分も元のイラストのように、緑がかった色からより青に近い水色な感じに。
眼の形状は両目共にビルドのホークガトリングのタカのようになっておりより飛行するライダーらしさ、最終フォームらしさを追求したデザインに。


背中には、通常のソニックの装備マフラーのシステムを受け継いだ翼型の飛行用装備
『アクセラーウイング』を装備しており見た目通りにブレイヴは空中戦が得意。
青と銀色のカラーリング。


ハヤブサが出せる速度である、時速300㎞は割と余裕。

使用しない時は縮小して垂れ下がっている。
(オーズのプトティラのようなイメージ)
更に下半身には尾羽『Fテイルスラスター』が装備されており、こちらは自由に広げたり閉じたりが可能。姿勢制御やブレーキなどの役割を持つ。色は青と白の2色。
シグナルバイク使用時にクレストが表示される両肩のシグナコウリンの装甲は無くなっている。


脚部も通常のものから鳥のように変化。
素の01のような生物感を出しながらも近未来な戦士的なデザイン。
脚力が強化されており、飛行してない状態でも強力な蹴りの攻撃が可能。
もちろん基本走力も上がっている。

ちなみに、ボディカラーも青色が鮮やかになりまるでサファイアブルーの輝きに。

通常のソニックよりも装甲が追加され、一見スピードが落ちているように思えるがむしろ
逆に性能は機動力と攻撃力を中心に全体的に強化されている。

見た目がより生物感を増しており、ドライブ達旧世代ライダーとの差別化を図っている。

変身シークエンスはまず通常のソニックからマフラーが外され、スーツが少し変化する。
(この姿の状態をブレイヴスタンバイフェイズと言う)
その後、01が変化したアーマーが装着されてブレイヴへの変身が完了する。



使用武器はゼンリンシューター破壊により序盤は己が身体のみ。徒手空拳で戦う。

その後、新武器の煌風等を使用する。

『固有能力と必殺技』

・立体的な飛行
背中の翼を使い空を地を縦横無尽に駆け回る姿はまさに空の戦士ハヤブサ。

必殺技は翼を広げて空中に飛び上がりった後高エネルギーの竜巻を身に纏って敵を貫通し破壊する
『ブレイヴ・エクストリーム』

ちなみにこのブレイヴソニックにはまだまだ隠された能力がありますがそれはまた今度の機会に。

それでは次回もお楽しみに!感想・評価お待ちしてます‼︎


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第2期4話 虹見える空にあるものは何か

進めたいのにやる気が出ないという致命的な負のループに陥ってるMaster Treeです。
更新しっかりできてる人すごすぎない?

さて夏休みという事もあるからこれと合わせてあと一、二話は夏中に更新したいのだが…上手くいくといいなぁ。

それではアニメ2期3話編、参ります!


 

前回のあらすじ!

 

二学期が始まって、学校説明会が無くなりかけたりして大変な最中、ついに敵の本拠地を発見した隼斗達。

 

隼斗と憐の2人は揃ってそこに乗り込むが、蛮野、もといゴルドドライブに返り討ちにあって撤退を余儀なくされ、ゼンリンシューターも破壊されてしまう。

 

だが隼斗の覚悟が思いを形にしたのか、ついに進化形態、ブレイヴソニックへとパワーアップを果たした!

 

その圧倒的なスピードとパワーによって蛮野に一矢報いる事に成功する隼斗。

彼の影響か、Aqoursの面々の思いも加速していく!

 

 

はずだったのだが…………

 

 

 

時間は、あの作曲をしていた頃に巻き戻る。

 

 

「ん……?」

 

「どうしたよ鞠莉?」

「電話ね、パパからだわ………もしもし?うん、うん……………えええ⁉︎でも、それは…」

 

「なんだなんだ今度は一体……!」

 

「いい知らせではなさそうですわね……」

 

「実は、学校説明会が1週間延期になるって……」

 

「そんな…!」

「1週間って……」

「翌週の日曜、よね?」

 

「yes.雨の影響で道路の復旧に影響が出るだろうから、1週間延期にした方がいいだろうって………」

 

「あの雨そこまで強かったか………?たしかに結構降ってはいたけれど………」

 

 

 

「確かに、その考えは分かるけど……」

「でもよりによって………」

 

窓からその話を聞いていた2年組のうち2人、梨子と曜が言う。

確かにそうだ、よりにもよってこのタイミングでだ。

 

そう言っていると、千歌が瓦の屋根を歩き、こちら側にやってくる。

 

「どーしたのみんな?その分もっといいパフォーマンスになるよう頑張ればいいんじゃん!」

「………どうやら状況が分かってないようですわね。」

 

「千歌、おまえのいつものような楽観的発言によって普通ならみんな安堵するところだが今回ばかりはダメだ。2人とも、言ってやってくれ。」

 

隼斗が曜と梨子に伝えると、ふたりが話し始める。

 

「じゃあここで問題です!ラブライブの予備予選が行われるのは?」

 

「?そんなの、学校説明会の次の日曜でしょ?」

「ですが、その学校説明会が1週間延びるという報せが届きました。」

 

3人の言葉に続き、今度は下でその光景を見上げている隼斗が話し始める。

 

「ラブライブ予備予選の日は変わりません。するとなると、二つが開催されるのはいつでしょうか?」

 

 

「そんなの簡単だよ!って…………ん?」

 

「うわ、ちょ!馬鹿!」

 

次の瞬間、千歌がバランスを崩して屋根から落ちてくる。が、低かったのとちょうど外に出てきたしいたけがクッションになったおかげか、事なきを得た。

 

「せ、セーフ…………」

 

「大丈夫⁉︎」

 

「それって同じ日曜だ⁉︎」

「大正解だ馬鹿野郎‼︎」

 

「ってそれどうすんだヨ⁉︎」

 

 

___________________________________________________________________

 

 

 

 

そしてそれから大体3日後。

(ここから時系列を第3話終了後、ブレイヴ登場後とする。)

つまりその間にブレイヴ回があった、と補完をおねがいします。

 

時系列が頭の中でごちゃごちゃに………

 

by作者

 

 

 

 

昼休み。

生徒達も遊ぶ中Aqoursの面々は体育館に集合していた。

予備予選の開催場所が分かった為広げられた地図を囲みながらそれを確認している。

 

「ここが、ラブライブ予備予選が行われる会場。」

 

果南が指差しながらいう場所、それは山の中だった。どうやら今回はここに特設ステージが作られ、そこで行われるらしい。

 

「それで学校は?」

「それはこっちの方角。けど、バスも電車も通ってない。」

「マジかヨ………」

 

「じゃあそっちに向けて電車を乗り継いで……」

「あああ!ごちゃごちゃごちゃごちゃしてきましたわ!」

 

「到底、間に合いまセーン。」

「空でも飛ばなきゃ無理ずらね………」

 

 

「クックックッ………ならば、この堕天使の翼で!」

 

 

「その手があったかー(棒)」

「堕天使ヨハネの翼で空から会場入りすればひとっ飛びずらー(棒)」

 

「まるちゃんルビィちゃんボー読みダゼ……」

 

「嘘よ嘘!冗談に決まってるじゃない!常識で考えなさい!」

 

「そうだ!空だよ!鞠莉ちゃん!鞠莉ちゃんちならヘリとかあるよね⁉︎」

 

「oh!それはナイスアイディア!と、言いたいけれどそれは無理ね………」

「ダメなの?」

「パパには自力で100人集めるって言っちゃったの!今更力貸してーなんて言えないわ!」

 

「鞠莉、地図、踏んでる。」

「ウップス……」

 

「ダメかぁ………いいアイデアだと思ったけどなー。」

 

 

 

各々が考えていると、それまで何か考えていた隼斗が手を挙げた。

 

 

 

「空、もしかしたら俺なら行けるかも!おーい鳥!」

『ー?』

 

主人の声に呼ばれ、RF−01がやってくる。

 

「あれなら行けるんじゃないか?あのブレイヴなら!あの大きな翼と、変身してりゃパワーもある。何人かを抱き抱えて空飛んで往復すれば………」

 

 

「確かに、君の案は最高のものだ。

流石は現状我が陣営最強の仮面ライダー。」

 

そこへ白衣姿にゆるふわ長髪の女教師、霧香博士がやってくる。

 

「博士?」

 

「霧香先生!」

 

「やあ諸君、今日も元気そうで何よりだ。

でだ、話を戻すぞ。確かに君の思ってる通りブレイヴソニックなら理論上は2つの会場の往復は可能だ。ただし………まあその後については実際に体験してもらおうか。ついてきたまえ。」

 

で、みんな揃って屋上へ。

 

「で?俺に何をしろと博士?」

 

「なあに、実験だよ、実験。君の考えている通りブレイヴソニックのその翼、アクセラーウイングは飛行用の武装だ。しかし、旅客機のようにそうスマートでおしとやかな飛び方はできないという事を見せておこうと思ってね。ほらほら変身変身!」

 

「………分かったよ……」

 

隼斗がマッハドライバーMk-IIを装着。01からシグナルブレイヴが射出され隼斗の左手に。

ベルトを展開しセットする。

 

 

《Evolution!》

 

《Super Rider!Brave!TAKE OFF‼︎》

 

認証音声とともに両腕を顔の前で交差させ、左手を前に、握りしめた右手を腰に持ってきて構えるような体勢に。

 

「Are you ready?超変身‼︎」

 

 

隼斗が素体のソニックスタンバイフェイズへ変身。分解変化した01の装甲が装着されて、ブレイヴソニックへと変身完了した。

 

「ほい、これ実験用の人形。これ持って、とりあえずこっから……ここまで。」

 

地図を見て確認する。まずこの屋上から沼津駅周辺の街の適当な所へ。そこから戻ってくるというルートだ。

そしてその手にはカメラ付きの人形が。

 

「遠くね?あとこの人形何?」

「実験なんだからこんなもんでいいだろう。その翼で人抱えて飛ぶのがどれだけ大変かをみんなにも知っておいてもらいたいからね。さ、行った行った!TAKE OFFだ!」

 

「はあ………つってもどうやって飛べば……」

「その翼は秘密システムによって仮想の神経みたいなものを変身者の肉体に繋いでいる。君がそれを動かして空を飛ぶイメージをすれば行ける。」

 

「空を飛ぶイメージ………えーと………こうか!」

 

バサァ!という大きな音を立ててその翼が動いた。そして、その身は宙に浮いた。

 

ほんの僅かな高さだが空を飛んでいる。

 

『おおおおお!』

 

全員が一斉に驚きの声を上げる。

 

「すげえ!本当に飛んでる!夢見たいだ!」

「自由に、されども出来る限り速く飛んでみてくれ!」

 

「おーし!行ってくるぜぇぇぇぇ‼︎」

 

そう言った途端ブレイヴソニック……隼斗は瞬時にブースターを起動。

 

あっという間にジェット機やミサイルの如く向こうの方へと飛んでいってしまった。

 

「さて諸君。あれをみた上で問おう。あれに抱えられ落下死するかもしれん危険を冒してなおあの方法を使って二つの会場を行き来したい、というものはいるかな?」

 

笑顔の博士の問いに対し、Aqoursや憐の面々が一斉に首を横に振る。

 

「だよな。さて、それでは別の方法を考えるとしよう。戻るぞー。」

 

「え、博士隼斗は………」

「そのうち戻ってくるだろ。行くぞー。」

 

『えぇ…………』

 

 

で、体育館に戻る。

 

戻ってきてから1番に新たな案を出したのは、ルビィだった。

 

「そうだ!空がダメなら海は?」

「船ですわね!」

 

「それなら果南サンとこが……」

「うちは無理だよ、日曜は仕事だし。」

「じゃあ曜ちゃんは?」

 

「私?」

「確かに、船と聞いて思いつくのは曜サンも同じか………親父さん船乗りなんだっけか。」

 

「そう!曜ちゃんのお父さんの船で!」

「パパの船も多分………無理だよ?」

「だろうナァ………」

 

そこへ、息を切らしながら彼が戻ってきた。ちなみにだが、飛び立ってからはまだ10分経ってるかどうかぐらいである。

 

 

「もう少し………ゼェ……現実的な話をだなぁ………」

 

「あ、隼斗くんおかえり!」

「早かったな、2つの意味で。」

「俺抜きで話を進めるんじゃねえっての!ってか空飛ぶの案外爽快かと思いきやそうでもない………」

 

「……オホン!話を続けますわよ。現実的に考えると、2つのステージを間に合わせる方法は、1つだけありますわ。」

 

「1つだけ………」

「そんなのあるの?」

「あるのか。」

 

「ええ、予備予選出場番号1番で歌った後、直ぐであればバスがありますわ。それに乗れればギリギリですが説明会には間に合いますわ。」

 

「本当⁉︎」

 

その言葉に小さく頷くダイヤ。

 

「ただし、そのバスに乗れなければ、次のバスは3時間後。つまり、予備予選で歌うのは1番でないといけません。」

「その手しか方法はナシってことか………」

 

「で、その順番とやらはどうやって決めるんだっけ?」

 

「それは…「それは!」」

 

「食い気味だなルビィちゃんヨ……」

 

 

で、翌日。

 

巨大なモニターに映し出される2文字。この順番決めの方法。すなわち………

 

 

「抽選⁉︎」

 

である。

 

「そうです。各グループの代表がその歌う順番を決める!」

「責任重大だね………」

 

「けどよ、そんな何十組もいる中で、狙って1番を引き当てるのなんてどれほど至難の技だか………ソシャゲのガチャで最高レアレベルを単発で当てるぐらいの………」

「ハーさん、多分それよりは楽だ。ってかそう考えるとソシャゲのガチャってヤベェナ………0.0何%とかダゼ?」

 

「誰がいく?」

 

『ううーん……………』

 

「ここはやっぱりリーダーが………」

「千歌ちゃん………」

 

そう言って梨子がスマホの画面を見せる。

そこに映っていたのは正座占いだった。8/1、すなわち千歌、獅子座の運勢。

 

結果は………超凶。最悪レベルだった。

 

「自信無くなってきた………」

 

 

『さあ!それでは抽選会スタート‼︎』

 

「またあの人いる………」

「東京でも見たよね。」

 

「待って。Aqours最大のピンチ、堕天使アイドル界のレジェンドであるこのヨハネが!行きまーす‼︎」

 

「無いずら。」

「ぶっぶーですわ。」

 

「どーしてよー⁉︎」

 

「だって、ジャンケンずっと負けてるし…」

「お前はそのリアルガチな不幸体質をそろそろ自覚した方がいい。」

「よっちゃん、これからは手を引け。この抽選にはAqoursの未来がマジでかかってるんだからヨ………」

 

「この前なんか突然何も無いところで躓いて海に落ちちゃうし……」

「マル達がいつもハッピーなのは善子ちゃんのおかげずら。」

 

「不幸言うな!あと善子言うな!普段は運を貯めてるのよ!いざという時は私の力を……」

 

「あなたがそこまで言うのなら………今ここで私とジャンケンをしましょう!これに勝てばよろしいですわよ。

ちなみに、わたくしの本日の運勢は超吉ですわよ?」

 

「ダイヤさんも見てたんだ……」

 

「と、とにかくよろしくて⁉︎」

 

 

2人がそれぞれ手を出し構える。

緊張した空気が俺たちにも伝わってくる。

 

「じゃん……」

「けん……」

 

「「ぽん‼︎」」

 

その瞬間、善子の尻をぽんと誰かの手が押す。グーを出すはずだった手がその勢いで開きパーに。

 

善子 パー

 

ダイヤ グー

 

そう、まさかの善子の勝利である。

 

「か、勝った………?」

 

「すごい!善子ちゃん!」

「善子ちゃんがパーで勝ったずら!」

 

「イヤー今のは勝ったと言っていいノカ…?」

「ってかヨハネ!」

 

「これはもしかしたらもしかするかも!」

「分かりましたわ、あなたの力を信じましょう!

 

さあ引いてらっしゃい!栄光の1番を‼︎」

 

 

____________________________________________________________

 

 

「堕天使ルシフェル……そして数多のリトルデーモン達よ。ヨハネの福音を、全魔力をここに召喚せよ!

 

ヨハネ、堕天‼︎」

 

長ったらしくもいつも通りの掛け声とともに福引で使われるガラポンみたいな装置を回す。

というかこれ普通に引くのでよかったんじゃね?と終わった後俺は考えた。

 

そして機械が回る。数字も回る。

 

 

14

 

9

 

 

そして1…………‼︎

 

 

誰もが期待していた。が…………

 

 

 

 

24

 

 

『あぁ………………』

 

上がる落胆の声。

無情にも運命は俺たちに味方をしてはくれなかったようだ。

 

 

「不死………フェニックス!」

 

「喜んでる場合じゃないずら!」

 

 

 

__________________________________________________________________

 

 

その後移動し、一向フードコートのクレープ店へ。

 

「どーすんの⁉︎24なんて中盤じゃん!ど真ん中じゃん!」

 

「仕方ない、堕天使の力がこの数字を引き寄せたのだから………‼︎」

 

「今日ばっかりはその言い訳は断じて許さん!Aqoursの未来がかかった勝負をおまえは伊豆の海に放り捨てたみたいなもんだどうしてくれるこの野郎‼︎」

 

「ストップストップハーさん止めて止めて‼︎」

 

「本当に申し訳ない‼︎」

 

「善子ちゃんだけが悪いわけじゃないよ。」

 

 

 

「でも、こうなった以上本気で考えないといけないね。」

「説明会なのか、ラブライブなのか。」

 

「どっちかを選べってこと?」

 

「現実的に考えてどちらかを切り捨てる他無くなった、からな………」

 

「そうなったら説明会ね。」

「学校を見捨てるわけにはいかないもんね……」

 

「それはそうだけど………」

「今必要なのは、入学希望者を集めること。効果的なのはラブライブではありませんか?」

 

「たくさんの人に見てもらえるし…」

「注目されるし……」

 

「それもそうずら。」

 

「効果的なのは確かにそっちダナ………」

 

「じゃあどうするのよ?」

 

 

「学校説明会に出るべきだっていう人は?」

 

 

果南がみんなにいうが、誰も手をあげるものはいない。

 

「じゃあ、ラブライブに出るべきだという人は?」

 

こちらもまた、手をあげるものはいなかった。

 

「どっちかだよ。」

 

 

「分かってるけど………」

「決められないずら」

 

「そうだよ………」

 

「千歌?」

「だって、どっちも大切だもん。……どっちも…………とても………!」

 

 

 

__________________________________________________________________

 

 

その夜。

 

 

「…………」

 

屋根の上に登り夜空を見る千歌。

 

 

「フッ!このっ!セイヤー!」

 

すぐ下で剣を振る隼斗。

 

「あー!なんかいいアイデア出てこないかなぁぁぁ‼︎もー!」

 

「うるさいわよもう!」

 

「そうだぞ!もうちょい静かによ………」

「隼斗くんも大概よ?ストレスをトレーニングで剣にぶつけても強くはならないんじゃないの?」

 

「そりゃあ………そうかもだけどよ……っと!」

 

その脚力で1番屋根までの距離がない箇所を掴み、あとは腕力で屋根まで登る隼斗。そして千歌と同じ位置にまで来た。

 

「だって!」

 

「気持ちは分かるけど……いつまでも悩んでる時間は無いわ。」

「だよねえ………」

 

「もう、あと数日だものな………」

 

カチンという音と共に剣を鞘に納める隼斗。

 

「梨子ちゃんはどっちがいいと思う?」

 

 

千歌の問いに対し

一呼吸置いてから、梨子は答える。

 

「そうね……ラブライブに出て輝きたい。輝いてみたいってスクールアイドルを始めたけど………」

 

「それができたのも、学校があったから。

浦の星があったから。」

 

「そうよね………」

 

「あーあ………なんで同じ日にあるんだろ……体が2つあればな………」

 

寝っ転がりながら、千歌は手を伸ばす。向こうにいる梨子に向かって。

 

「やっぱり選べない?」

「そりゃあね。」

 

梨子も同じように手を伸ばす。

2人とも、あの時と同じように。

 

「………もう一つだけ方法はあるけど…」

「本当………うわっ⁉︎」

 

一瞬千歌が屋根から落ちかけるも無事だった。

 

「もう一つだって?そんなの………あるか?」

 

「隼斗くんだって分かるでしょ?私達は1人じゃない。スクールアイドルグループなのよ?11人……いや、2人は歌ったり踊ったりしないから9人だけど………」

 

「9人………あ、そういやその手もあり、か……」

 

「え?なになに?」

 

そして、またまた翌日。部室にみんなが集まっていた。

 

__________________________________________________________

 

千歌と隼斗は、昨日梨子から聞かされたアイデアをみんなに話していた。

 

「二つに分ける?」

 

「ああ、5人と4人。それぞれにアシスタント兼マネージャーとして俺たち仮面ライダー組が1人つくから6人と5人。この二手に分けて説明会とラブライブ、同時にこなす作戦だ。みんなの気持ちも理解できる。両方共諦めきれないなら、両方こなせるこの作戦でなら…」

 

「でも………」

「それでAqoursと言えるの?」

「ずら………」

 

「それに、5人で予選を突破できるか分からないデース。」

「まあ、人数を考えると見栄えガナ……」

 

しかし、1年3人に鞠莉と憐は気が乗らないようだ。

 

「嫌なのは分かるけど………じゃあ他に方法はある?」

 

 

___________________________________________

 

 

「本当にこれで良かったのかな……?」

 

「よくはない。けど、最善の策を取るなら、これしかない。私達は、奇跡を起こせないもの。この前のラブライブの予選の時も、学校の統廃合の時も………

だから、その中で1番良いと思える方法で精一杯頑張る。

 

それが私達だと思う。」

 

「1番良いと思える方法で精一杯、か……」

 

「そうだね。…………あ。」

 

 

4人が向く方にはみかん畑が。多くの木々にたくさんの実が生っている。

 

「みかん?」

「もうこんなに実ってるんだ……。」

「おお、もうそんな時期か!」

 

「そりゃあ内浦のみかんは美味しくて有名だもんね。」

 

「そうだ!みかん!みかんだよ!」

「みかんがどうかしたって?」

 

「みかーん‼︎」

 

「だからなんなんだよ⁉︎」

 

千歌は何やら思いついたようだが果たして…⁉︎

 

 

 

そして迎えた学校説明会/ラブライブ予備予選の日‼︎

 

浦の星サイド。

 

天気は晴れ、シャボン玉が飛んでいる。

 

 

「よろしくおねがいしまーす!」

 

「我が校のスクールアイドル!Aqoursのライブもありまーす!」

 

「「「よろしくおねがいしまーす‼︎」」」

 

 

3人が呼びかけやチラシ配りなどをしている。今回の件に関しては、学校の生徒全員に協力を頼んでいるのだ。

 

 

そして一方、Aqoursはというと……?

 

 

 

「今前半が終わったって。」

 

「こっから、だな………人数的不利はこの際仕方がない。パフォーマンスで真っ向勝負だ!」

 

「うぅ…………」

 

少し不安なのか、縮こまっているルビィ。

見かねて曜が励ます。

 

「大丈夫、花丸ちゃんも言ってたよ。『練習通りにやれば問題ないずら!』ってね。

それに、今回ルビィちゃんが作った衣装、すっごく可愛いよ!」

 

「見た感じ和風な感じだな。未熟DREAMERの時を思い出すぜ。」

 

 

「おまたせしましたわね……」

 

そこへもう1人。

ダイヤも着替え終えたのかやってきた。

 

「綺麗……!」

 

「すっごく似合ってる!」

「やっぱダイヤさん和装似合うよな……」

「そ、そうですか………?」

 

「ルビィ、ずっとずっと思ってたんだ。お姉ちゃん、絶対似合うのにって。」

 

 

そういうルビィをダイヤがそっと抱きしめてやる。

 

「いい妹さんですね、ダイヤさん。」

「いやぁ……愛だねぇ………姉妹愛。」

「何故そこで愛……」

 

「もちろん、自慢の妹ですわ。

さあ、行きますわよ!」

 

「次のステージに向けて!」

 

 

『エントリーナンバー24!Aqoursの皆さんでーす‼︎』

 

そして迎えた本番。照明に照らされるステージにいるのは、千歌、梨子、曜、そしてルビィとダイヤの5人のみ。

 

隼斗は裏で見守りの為、この5人だけだ。

そう、ステージのみんなも、隼斗も思っていたが…………

 

 

『ちょっと待ったぁぁぁッ‼︎』

「勘違いしないよーに!」

 

突然割と大きな声で響く声。

その方を振り向くと……………

 

 

 

「やっぱり、私達は一つじゃないとね!」

 

そこには、同じ衣装に着替えた善子、果南、鞠莉、花丸の4人と、後ろの憐。

 

そう、本来説明会側を担当するはずだった5人である。

 

「みんな………!」

 

「ほらほら、始めるわよ!」

 

「お客さん待ってっからナ!」

 

「ルビィちゃん、この衣装素敵ずら!」

 

 

「さ、やるよ!」

 

 

 

「うん!」

 

そして始まる予備予選ステージ。

曲はMY舞☆TONIGHT

衣装から分かるように和風ロックな感じの曲調。

 

黒澤姉妹の出だしのパートから一気に盛り上がるその曲に、俺も憐も聴き入ってしまっていた。

 

 

 

曲が終わり、客席からも拍手が。

そして、終わりを見計らい二年生組がすぐに走り出す。

 

「さあ行くよ!」

 

「ここからが勝負よ!」

 

「花丸ちゃん達大丈夫⁉︎」

 

「憐!俺たちは別ルートだ!ついてこい!」

 

「どういうことですの⁉︎」

 

隼斗は3人とは反対側にはけていく。

 

 

そして、Aqours9人は簡単にラフな服装に着替えたのち外へ。

 

「さあ、行くよ!」

 

 

「もしかして……」

「学校説明会に⁉︎」

「間にあわせるつもりなの⁉︎」

 

「隼斗くんも別働隊として動いてくれてる!急いで!」

 

 

それは、この前のみかん畑でのこと。

 

「みかん?」

「そう。あそこからこっちまで全部みかん畑!」

 

「「で?」」

 

「そりゃ地元だし少しは知ってるけどそれがどうか………」

 

「だって………」

 

_______________________________________________________________

 

「たしかに、うちのみかん畑だけど………」

「よっしゃ!」

 

「大方理解はできたよその考え………」

 

そう話すのはあの3人組の1人、よしみ。

そして、部室で話していた事を思い出す。

 

「そしたらここを通って、こっちに通り抜ける。こういってこういって……」

 

「本当、諦めないね。」

 

「こうなったこいつ、本当に強いからな。」

 

 

______________________________________________________________

 

「お嬢ちゃん達、乗ってくかい?」

 

 

そう、みかんの収穫などに使うあのモノレール的な……というかモノレールか。

 

作者の知識が乏しい為よくは分からないが、なんとそれを使うのが千歌の作戦であった。

 

「なるほど、これだったのね……」

 

「でも、隼斗と憐くんは?2人は……」

 

「それなら大丈夫!だって2人は……」

 

 

___________________________________________________________________________

 

 

「よし行くぞ憐!」

「俺っち達だけこうなるのか……」

「確かにあの千歌のアイデアはいい作戦だがそうなると準備やらなんやら全部ギリギリだ。あらかじめ俺たちが先に行く!そんでやる事をやっておく!」

 

「ヤレヤレ………しゃーねえ、やるか!」

 

 

2人がドライバーを装着。シグナルバイクを装填する。

 

《Evolution!》

《SignalBike!》

 

「Are You Ready?」

 

「変身!」

「超変身!」

 

 

隼斗はブレイヴソニックに、憐はスレイヤーに変身した。

 

「よし、しっかり掴まってろよ憐!落ちたら普通に死ぬからな!」

 

そして、ソニックはスレイヤーを抱っこするような形で持ち上げるとエネルギー全開で飛び上がる。

 

「ちょま心の準備がああああぁぁぁぁぁぁ…」

 

 

___________________________________________________________________

 

 

一方Aqours。

 

乗ったのはいいものの、使用方法が方法な為か、超スピードが遅い。

 

「冗談は善子さんずら。」

「ヨハネ。」

 

「見てみて!」

 

ルビィが空を指差す。そこには、昼間なのに空をかける青い流星。

 

「速いなぁ………」

「流石ライダーシステム、だね……」

 

「もう!もっとスピード出ないのこれ‼︎」

 

果南が無理にレバーを引きスピードを上げようとするが………

 

 

バキッ!

 

 

無論、無理を強いればこうなる。

 

 

「取れちゃった…………」

 

そして、その先には下り坂が。制御不能になった乗り物は猛スピードでその坂を下っていく。

 

だが、怪我の功名と言うべきかスピードはかなり上がり、順調に進んでいった。

 

 

そして一方浦の星。

 

 

「博士!そっちはどうだ⁉︎」

 

「天才を舐めんなよ少年!音響、照明……はこの青空だ必要あるまい!問題無しだぞ!」

 

「あとは千歌サン達だけ…………」

 

「頼む………なんとか引き伸ばしてっから間に合えよ………!」

 

準備を完了させていた。あとはAqoursのメンバーの到着を待つのみ。

 

Aqoursの面々は…………

 

 

 

「時間がありませんわ!」

「間に合うかな………?」

 

息を切らせて坂を駆け上る。天気雨も降ってきて、みんなや木々を濡らす。

 

「あと少しなのに………!」

「ここまで来たのに………!」

 

「このままだと……」

「ダメなのかな……?」

 

 

「ずら………」

 

「奇跡は……起こるのかな……?」

 

「わたし………思うんだ……!奇跡を最初から起こそうなんて人、いないと思う。

ただ一生懸命、夢中になって、なにかをしようとしている。なんとかしたい、何かを変えたい!それだけの事かもしれない!

 

だから………!

 

起こせるよ奇跡!わたし達にも!」

 

「起こるかな⁉︎奇跡!」

「起こるよ!だって………!だって……‼︎

 

 

虹がかかったもん‼︎」

 

 

 

雨上がりのその空には、七色に光る色の橋。

虹がかかっていた。

 

 

 

そう、彼女達は本当に奇跡を起こしたのだ。

説明会のステージに間に合った。

 

曲は 君の心は輝いてるかい?

 

あの時作られた曲、そのもう一つである。

間近でみていた俺だが、疲れ一つ感じさせない程すごいパフォーマンスだったと思う。

 

 

 

__________________________________________________________________

 

 

パフォーマンス後、千歌が言っていた。

 

「どっちにするかなんて、選べないし。どっちも叶えたいんだよ!

 

だから行くよ、諦めず心が輝く方へ‼︎」

 

 

 

次回へ続く!

 

 

 

次回のサンシャインサーガは⁉︎

 

 

「まあそりゃあ説明会に予備予選にと色々あったからなぁ………」

 

 

Aqours、まさかの財政難⁉︎

 

それを解決するべく水族館でお手伝いをする事になったみんなだが………

 

 

「実は………」

 

一方で、ある悩みを抱えるダイヤ。それは一体………?

 

 

次回 大きな問題とは何か?

 

 

 




やっと完成致しました………
夏中にもう少し進める、とは言ったものの大変です………

それでは次回もお楽しみに!

更新遅いのにいつもみてくださる人達、本当にありがとうございます‼︎


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第2期4.5話 大きな問題とは何か?の前に


誰かやる気をください切実に。
個人的にやる気が起きなかったのと、リアル博士に頼んでいた新武器デザインイラストの完成を待ってたらいつのまにかこんなになってました。

アニメ4話のお話、の前に2期4.5話です。
振り返りの為に。

あと今回はまとめ回なので、かなりメタ発言盛り込んでます。


 

浦の星女学院地下

霧香博士の研究所キリカラボにて

 

隼斗がデスクに手をつきながら言った。

 

 

「唐突だが、新学期入ってからのこれまでの出来事を整理してみようと思う。」

「ハーさんどしたの急に。」

 

「あれだろう、あまりにも投稿期間が空きすぎたからこのシリーズの事を読者に忘れられてるのではという可能性を考えてこれまでのあらすじを………と、あまり世界観ぶち壊さないうちに…隼斗!」

 

「それじゃあサクッと片付けますか!」

 

そういうと隼斗は近くにあったホワイトボードをひっくり返す。そこには黒いペンと相関図のように作られたポスターが。ボードにはこう書かれていた。

 

『これまでの仮面ライダーソニック!』

 

それと同時に博士が持ってきたテレビ台にあるモニターが動画も再生。

 

「ついに始まった二学期。気持ち新たに頑張ろうとしていたものの、ロイミュード復活のせいで早々に遅刻。こっからだったよな、急に出現頻度が増したのは。」

 

「そして俺っち達は学校に。学校説明会とカ次のラブライブに向けて練習していた時に…説明会中止の報せ。加えて統廃合決定ときた。」

 

「しかもそれ言い出したのは小原君を理事長にした出資元の小原家……かなりどうしようもない状況に追い込まれてた。」

 

「けど、あいつは諦めなかった。普通ならとっくに諦めもつくはずなのに、千歌だけは。けど、そんなあいつに影響されるように結局は全員がまた立ち上がった。」

 

「けどそんな時に現れたのは、上級ナンバーのロイミュード004。クリム博士をコピーしたまま復活したせいか進化態を持ってるわけでもないのに強敵。俺たちはなすすべなく倒されかけた。」

 

「しかし!そこは天才であるこの私!2人がピンチになった瞬間、01が現れソニックを新たな姿に変身させた。その凄まじい力で奴を撤退まで追い込んだのである………。」

 

再生が終わり戦闘データの記録映像(Blu-ray)を閉じる。

 

 

「思えばあれが後のブレイヴソニックだったんだよな………」

「ハーさんイイなぁ……博士、俺っちにも何か作ってくれヨ!」

「今は別の事で忙しいんだ。憐はしばらく、デッドヒートで頑張って貰うしかないな…」

「チェ………」

 

「どんどん行くぞ、次だ。再生スタートっと……」

 

メニューを操作して次の動画を再生する。

(読者の皆さんはイメージでお楽しみください)

 

 

「鞠莉の説得によって、統廃合決定を阻止する為には入学希望者数を100人集めればいいという事になり、俺たちは再び活動を開始する。」

 

「ここで私が開発したのがソニックの新武器天下零剣煌風だ。」

 

モニターには設計図とソニックが使っている映像が流れる。

 

「ドライブのハンドル剣やチェイサーのシンゴウアックスとも違う刀型の武器。まさに、ソニック専用に作られてるのさ。」

 

「ヘェ……よくワカンネーがすげえナ……」

 

「そして一方Aqoursの面々は大会や説明会の曲作りの為に二手に分かれる事に。俺がついた1年と3年生側はそれぞれの違いからぶつかり合うもなんとか曲を完成させたんだよな。」

「和風ロックとはイイじゃないか。MY舞……なんだっけ?」

「TO NIGHT。あとで聴いとけ博士。名目上は顧問なんだから。」

 

「で、あとはここで語るべきハ………」

「やはり、奴だろうな。」

「あいつか………」

 

______________________________________________________________

 

 

「町から離れた場所にある古びた洋館。そこの調査に向かった俺っち達。」

 

「そこに待っていたのは、ドライブ達に一度倒されたはずの蛮野…もといゴルドドライブだった。」

「スペックの差から俺たちはかなり苦戦を強いられた。しかもデッドヒートのシステムの影響で暴走し……結局は敗走。武器の1つのゼンリンシューターも破壊されてしまった。」

「自分で壊してなかった?ハーさんさぁ」

 

「いやまああいつの攻撃でボロボロだったのもあるし。ってかさ博士、これに変わる武器開発してるんだろ?それってあとどれぐらいで………」

 

「ん?ああそれかい。それに関しては……」

 

と言った次の瞬間、映像に何か銃と剣が一体化したような武器のデータの画像が映る。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あ」

「あ」

「うおいい!」

 

とっさに霧香は電源を消してそれを隠す。

 

「あれか?」

「ま、まだ開発途中だから!ここからドーンとほら!変わるから!」

 

「ふーん………」

「ま、まあいいだろう今は!?それよりほら続きだ!」

 

 

「ぼろ負けした俺は帰ってきたところを志満さんに見つかってしまう。そこで果南姉ちゃんの話をした時に思い出した。自分がこうして仮面ライダーになった訳を、なった後にどうなりたいのかを。」

 

「そんな隼斗の覚悟と私の天才的なアイデアが重なり、ソニックは最強の強化形態ブレイヴソニックへと進化を遂げた。初戦であれ程ゴルドドライブを圧倒するほどの強さだが…フフン、あれにはまだ隠されたシステムがな…」

 

「戦う理由か………」

「……どうした憐?」

「……いや、なんでもネエ。」

 

「まあそれもまた後々で良かろう。そして、ついに俺たちは説明会とラブライブの予備予選に挑む。」

 

「トラブルがあったセイで一週間説明会が延期になり、さらにラブライブも重なった事で俺っち達は選択を迫られた。

頼みの綱であったクジもヨッちゃんがヤラカシたせいで1を引かにゃならん時に24。」

「本当にあの時はマジギレしそうだった…」

「普通にハーさん怒ってなかった?」

 

「が、しかし高海くんのまさかの発想のお陰でなんとメンバー全員で両方の参加に成功。大成功だったんだよな。」

 

「まさかみかん収穫用のあのモノレールを、移動手段として使おうなんて誰が考えるか普通……」

「まあ良かったじゃないか、成功して。」

 

「まあ、それもそうだな。」

 

「で、明日だったか…その発表日。」

「あ、そうだった!」

 

「遅くならないうちに帰りたまえ、もう夜遅いぞ。」

「そうだな、憐!帰ろうぜ!」

「あ、ああ先帰ってていいゼ!俺っちちょっと寄るとこあるから!」

「そっか。ならお先に。じゃなー。」

 

そう言って部屋を出て行く隼斗。

残ったのは2人だけだった。

 

 

「でだ憐。君はどうなんだい?」

「………何がだ?」

「君の戦う理由さ。隼斗がそれ言ってた時、君少しその話題を気にしてただろ?私も少し気になってたんだ。かなり前、私が君達に接触する際に2人の事は調べたが……憐、君の戦う理由はヒーローになる事とも、研究のためとも思えない。憐、

 

 

本当の君は、何のために?」

 

 

憐はそれを聞くとフウと息を吐き真面目な表情になりながら言った。

 

 

「俺っちの…………いや『俺』の戦う理由は、1つだけ。

 

 

悪は潰す、善は生かす。簡単だろ?」

 

 

そういうと憐はラボから立ち去った。

 

 

「狩夜憐、私すら知り得なかった男。はぁ…どうやら予想以上の闇を抱えてるみたいだな。さて隼斗、そしてAqours。これから先の君達は私に、どんな輝きを見せてくれる…?」

 

霧香はコンピューターを操作しとある論文のデータを表示した。

その内容は…………

 

 

『別次元の存在とその干渉について』

 

この研究データが後にとある事件を起こす事を、この時の全員まだ知らない…………

 

 

5話に続く。

 





謎多き少年狩夜憐/仮面ライダースレイヤー
協力者の科学者一時霧香。本作オリジナルのキャラの2人についてはまたいずれ………

第5話は出来る限り早く仕上げられるように頑張ります。
早ければ明日に‼︎
それでは次回もお楽しみに!


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第2期5話 大きな問題とは何か?

キャラ紹介
(思い出したようにやってくスタイル)
一時 霧香(ひととき きりか)
イメージCV.日笠陽子

突如浦の星にやってきた化学担当の教師。
しかしそれは仮の姿。
本当は隼斗達仮面ライダーの協力者の科学者である謎の美女(本人談)
という彼女だがその素性については未だ謎に包まれている。

ウェーブのかかった緑っぽい黒髪を伸ばしており、暗い緑系のTシャツとベージュのズボン。どんな服装でも白衣を羽織っている。
教師の時はレディーススーツに白衣。

素性こそ多くは語らないものの、隼斗達の事を第一に考える優しい心の持ち主。

「え?私のスリーサイズとか好みのタイプとかがそういう情報がもっと知りたい?それは……今は言えないねぇ〜。余程悪い物じゃない限り、女は秘密があった方が美しいんだぜ?」

外見は青豚の双葉(眼鏡なし)っぽいイメージ。

ちなみに名前の由来はソニックのイラストを描いてくださったりしてた恩人のtwitterとかGoogle+での小説で使われてるとあるキャラのネームをお借りしてます。自分にも縁深く毎度お世話になってます本当に………

これからもちょくちょくキャラ紹介はしていきたい。このキャラ紹介してほしい!というリクエストがあれば感想と一緒にでも。
高評価付与セットだと更に嬉しい。

今年もデンライブ完結できなかった。
来年からは本当に時間無くなりそうだし………
そしてこんな時に限って新しいシリーズのアイデア思いついてしまったし……
おのれディケイド


『ーッ!』

 

 

自分の名は鳥……いやそれはご主人様が適当に呼んでる名前だった。そろそろ別の名前が欲しい。まあ、それはともかくだ。

私の名前はRF-01。マスター・隼斗こと仮面ライダーソニックのサポートメカとして作り出された。

 

RF-01の朝は早い。ご主人が適当に脱ぎ散らかした服で作った巣から出て、ベッドで寝ている主人の元へ。

 

 

 

「zzz………んぅ……」

 

昨晩は仰向けで寝ていたのに何故かうつ伏せ状態で寝ている。一体この一晩でどんな寝返りの打ち方をしたのだろうか。

それもまあ、どうでもいい事だ。ともかく私は自慢の羽根を動かしてベッドの上に上がる。

 

「んへへ………いやぁ楽しいなぁ…久しぶりの果南姉ちゃんとの………」

 

果南…マスターが大事に思っている人の名前だったか。どんな楽しそうな夢を見ているのかが気になるところ。

 

主人の身が第1の自分としてはこのまま寝かせておきたいが、今日も学校だ。

夢から覚めてもらうとしよう。

 

自分は頭を振り上げ、その嘴の先端を………

 

 

主人の額に振り下ろす。

コン!と音が響きそれから………

 

 

 

 

 

「いってええええええええ‼︎‼︎」

 

 

 

バサバサと音を立てて同族達が屋根から飛び去っていく。そんなに響くものか今の鳴き声は…

 

 

「何すんだテメェ鳥!今もうちょっとで姉ちゃんが………」

 

『ー。』

 

飛び起きると自分を掴み勢いよく揺さぶるご主人。

そんな事言われても………しかしどんな夢を見ていらしたんだ本当に?果南が……?

 

 

「何してんのー隼斗くん?」

 

む、この声は………

 

ご主人が窓を開けると、下にはオレンジの髪の少女。タカミチカ、と言ったか。

 

「千歌!?早いなお前………」

 

「うるさいわよ隼斗君!」

 

お隣から声がした。振り向くとまた別の少女がいた。確か彼女は…サクラウチリコ、か。

 

「文句なら鳥に言え!こいつの起こし方が…」

 

「言い訳しないの!あ、01ちゃんもおはよう。」

『ー。』

 

「それにしても早えな千歌!どうしたんだよ今日は!」

「まあねー!しいたけも鳥さんもおはよう!志満姉に美渡姉も行ってきまーす!」

 

「早………」

 

「今日は雨かしら………?」

 

「降らなそうだけどな………まあいいや。

鳥!荷物準備よろしく!着替えたりとか色々済ませてくる!梨子!俺もちょっとあいつ追っかけて早くいくわ!」

 

ご主人はそういうと部屋の中へ。

 

「あ、ちょっと……!もう……困ったご主人様ね01ちゃん。」

 

『ー。』

まあ、そんなご主人をサポートする為の私なのだがな。さて、こちらも動こうか………!

 

 

_____________________________________________

 

 

 

 

放課後の部室。

 

「フフンフン………♪」

 

「oh my god………まさかの雨とは……傘持ってねえしバイクだし……」

「そもそも傘差し運転は危険ですわよ。おやめなさい。」

 

「ぐぬぅ…………」

 

「隼斗の英語交じりの喋り方、なんか凄く久しぶりに聴いた……」

「確かに。」

 

「そうか?まあもう何ヶ月も経つからな……俺も今思ったよ。アメリカから帰ってしばらく経つからな……父さんと母さん元気かな…」

 

「そういえば気になったんだけど……」

 

 

「ん?どうした善k「ヨハネ!」あーハイハイ……」

「隼斗さんの両親ってどんな人?」

「あれ、善子ちゃん知らないの?」

 

「隼斗のお父さんとお母さんは………」

 

曜が話そうとしたところをダイヤが遮って話し始める。

 

「隼斗さんのご両親は共に天文学者。およそ19年前に父の天城戒斗博士が、新しい星座である隼座の発見などに関わった偉大な人。

そして母の美琴さんが、海外にいくつもある観測所の望遠鏡開発に関わる優秀な技術者。どちらも今日までの天文学に大きく貢献した方々、でしたよね。」

 

※隼座は本作だけのオリジナルの設定になります。作者も調べたけど無かった。

ってか天文学者の説明難しい事ばかり書かれていて………わかんね。

 

 

その話を聞いていたルビィが急に立ち上がり隼斗の方を見た。

 

「隼座………?もしかして!」

「そ。俺の隼斗の隼の字はそっからつけられたとかなんとか。にしても、流石だなダイヤさん。そこまで知る人はそうそういないぜ?」

 

「ま、まあ普段から新聞やニュースは目を通していますから。これぐらい当然ですわ!」

 

「ふーん………まあ俺の話は別にいいんだ。

父さん達にはまた後でちょっと電話してみるよ。にしても………」

 

「フンフン……♪」

 

「機嫌いいな千歌の奴………」

「もしかしたら、今日の事忘れてたり……?」

「なんか、その可能性が高い気がする。」

「really?」

 

「千歌ちゃん!」

「ん?なーに曜ちゃん?」

「今日がなんの日か、覚えてる?」

 

「んー…………ラブライブ予備予選の結果が出る日でしょ?」

 

 

『おおー!』

 

「覚えていたずら!」

「き、緊張しないの……?」

 

「ぜーんぜん!あんなに上手くいって、あんなにステキな歌を歌えたんだもの!絶対突破してる!昨日、聖良さんにも言われたんだもの!」

 

「セイントスノーの姉の方の?連絡取ってるのな………」

 

 

そうこうしているうちに、パソコンの画面に表示されたのはメール通知。

 

「あ、来た!」

 

一斉にみんながパソコンの画面に集中する。

 

「さあて……どうダ……?ルビィちゃんよろ!」

「じゃあ……行きます!」

 

「やあ諸君!みんなお揃いのようで!ってなんかあるのかい?」

 

と、見ようとした瞬間やってきた霧香。

 

「あ、一時先生。」

「これからラブライブ予備予選の結果を見るところだ。」

「ほほう。ならちょうどよかったな。私も見ていくとしようか!」

 

「では改めて…………」

 

ルビィがenterをクリック。表示されたのは

entry no.24Aqours 予選突破の文字。

 

 

「もしかしてこれ、トップって事!?」

「まあ、まずは好調な滑り出しってとこだな。」

 

「やったずら!」

「うむ!良きに計らえ!」

 

 

「あー!花丸ちゃんズリーぞ!」

 

「マリー!」

「yes!」

「やったゼ!」

 

喜びに沸くみんな。花丸が果南に抱きつき、隼斗は少し羨ましそうに。

 

鞠莉と善子、憐は3人でハイタッチ。

 

「ダイヤさんも!」

 

「え、ええ………」

 

 

「………?」

 

ダイヤさんもその光景を見ていたが、千歌に言われて遅れてハイタッチ。

 

果南姉ちゃん達をなんか羨ましげな目で見てたのは、俺の気のせいか………?

 

 

 

_____________________________________________

____________________________

 

 

 

 

 

「とは言ったものの………」

 

「今度は何?」

 

「説明会とラブライブと、2つもイベントがあったでしょ?だからお金が………」

 

俺たちの目の前には、三津シーのマスコットキャラであるセイウチのうちっちーの貯金箱。この中には本来、衣装とかに使うお金が入ってるのだが……

千歌の言った通り、中身はその2つのせいで絶賛枯渇中。

 

「この前1000円ずつ入れたばっかなのに?」

「俺なんて3000は入れたぜ?」

「隼斗さん意外と持ってますのね……」

「まあ親が親ですからねー。小遣いも昔から存外多いのです。」

 

「私も結構投資したんだぜ?可愛い教え子のために!」

「あーはい感謝してるよー。」

 

「幾ら残ってるの……?」

 

梨子が貯金箱をひっくり返す。

出てきたのは…………5円。

 

 

「すっっっっっくね!?」

 

 

「Wao!綺麗な5エンデース!」

「ご縁がありますよーにって!」

「言ってる場合かっ!」

 

「まさかここまでひっどい事になってたとは……なあダイヤさん?ダイヤさん?」

 

「は、はい!?」

「何ぼーっとしてたんすか、らしくない……」

 

「い、いえ。鞠莉さんも果南さんも随分みんなと打ち解けたと思ってまして。」

 

「まあ、確かにな………」

 

曲作りの時は結構対立してたのにな……時の流れというやつか。

 

「果南ちゃんはどう思うずら?」

「そうだねぇ………」

 

 

「果南、ちゃん?」

 

 

で、その後俺たちがやってきたのは………

 

 

「で、早速神頼みと。」

 

銭洗いってやつだ。これ本当に増えるのかどうかは疑心暗鬼になるが………

 

「何卒5円を5倍……10倍、いや100倍に!」

 

「5円100倍にしたところで500円だからな。せめて千倍にしねぇと。ってーか神頼みするぐらいならよ………なあ鞠莉…」

「小原家の力は借りられまセーン。」

「だったな………うー……あ、そうだ博士!」

 

「私の才能は金稼ぎのための道具じゃないぞ……だが、確かに深刻な問題ではあるな。」

 

「だよなぁ…………」

 

 

「鞠莉、ちゃん…………?」

 

_______________________________________________________________

 

 

「じゃーね鞠莉ちゃん!」

「果南ちゃん!明日本持ってくるずら!」

 

「お姉ちゃんも早く!」

 

 

「で?なんのtalkですか?」

 

「え?いえ、大したことでは無いのですがその……2人とも急に仲良くなりましたわよね。」

 

「仲良く?」

「私と果南が?」

 

「違います!1年生や2年生達とです!」

 

「え?」

「もしかしてダイヤ、妬いてるの?」

 

「ま、まさか!生徒会長として規律を守らな

ければ皆に示しがつきませんわ!」

 

「まーたそういう固いこと言う。」

「very heardねぇ。」

 

「ただ…………」

 

「「ただ?」」

 

 

『ー!』

 

イルカの煽るような鳴き声にそちらを睨みつけるダイヤ。イルカもとっさに逃げた。

 

「あーもううるさいです!別になんでもありませんわ!鞠莉さん達もとにかく上級生であるという自覚を失くさないように!」

 

そう言ってダイヤもみんなの元へ。

 

 

「…どう思う?」

「smellプンプン嫉妬fire〜♪まあ、しばらくすれば尻尾見せるでしょ。ダイヤは自分の事になるとへっぽこぴーだから。」

「へっぽこぴー?」

 

 

 

 

 

「鞠莉ちゃん、果南ちゃん、か…………。」

 

 

 

翌日。

 

 

「バイト?」

「しょうがないよ。」

「まあこんな状況だしな……無いなら稼ぐ、他に方法無いしな。」

「だよねぇ………」

 

練習の休憩中。俺に千歌、梨子と曜の二年生組は求人誌を見ていた。

手っ取り早くお金を稼ぐ為には、もうこれぐらいしか無いしな………

 

 

「あら、今度は何ですの?」

 

「ああ、ダイヤさんか。見ての通り、バイト探し。」

「内浦辺りで探してたんです。コンビニか、それか新聞配達かなって。」

 

「なら……沼津の方が良いかもしれませんわね。」

 

「沼津かぁ………」

「色々あるよね。例えば……カフェとか。お花屋さんとか。変わった所だと、写真スタジオのモデルさんとか!」

「そんなのあるのか!?」

「ある所はあるよ。」

「初めて聞いた………」

 

「なんか楽しそう!」

「でしょ!」

「バイトは沼津に決定!」

 

と、やっと決まった……と思いきや

 

 

「ブッブーですわ!!」

 

「うわすげえ久しぶりそれ」

 

地を踏みしめながら久しぶりに聞いたこの台詞。

 

「安直すぎですわ!バイトはそう簡単ではありません!

大抵土日含んでの週4日からのシフトもありますので全員揃っての練習というのも難しくなります。大体なんでも簡単に決めすぎてはいけません!

ちゃんとなさい!・・・あ」

 

 

なんだそのやってしまった……みたいな顔

 

 

「確かに、ダイヤさんの言う通りね。」

「流石ダイヤさん!」

「でもじゃあどうするの?」

 

「と、俺含めて4人思ってるのだがどう思いますダイヤさん?なんかアイデアありません?」

 

「え、えーっと・・・」

 

 

で、次の週の週末。

中央公園にて。

 

 

「フリマか……」

 

今開催中のフリーマーケット。

俺も昔見たことあるが、これが中々いい物あるんだよな。

 

「これならあまり時間も取られず、お金も集まりますわ!」

「すごいお姉ちゃん!」

「ダイヤさんはこんな事も思いつくずらね!」

「流石Aqoursのジョーシキ人。」

 

「そ、それほどでも……ありますわ!」

 

 

「貴女にこの堕天使の羽を授けましょう。」

「こ、光栄ですわ。」

 

「おいダイヤさん戸惑ってんぞ」

 

 

「(よし、これで打ち解けて信頼を得られれば……!)」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

放課後、3年の教室にやって来た千歌。

 

 

『一緒に帰ろ!ダイヤちゃん!』

 

 

図書室にて、沢山の本を持って来た花丸。

 

『これ読むずら!ダイヤちゃん!』

 

ツーショット写真を渡す曜。

 

『はい!この間の写真だよ、ダイヤちゃん!』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「フフ………デュフフフ…………」

 

「ダ、ダイヤ………」

 

「え、何今日のダイヤさん怖………」

「ナニ、なんか当たったか……?」

 

 

「お待たせー!」

 

そこへ遅れて千歌がやってきた。しかしその姿は………?

 

「なにそれ……?」

 

「美渡姉の会社で使わなくなったからって。」

 

みかんの着ぐるみ。しかも半分に切れてる。

 

「使用目的が謎すぎますわ…。」

「ってか何に使ってたし。」

「着るんでしょ。」

「いやそりゃ着るためだけど姉ちゃん真顔でそんな正論ぶつけられても」

 

「みかんのお姉ちゃん。」

 

そこへやってきたのは小さな女の子。

抱えているのは大きなペンギンのぬいぐるみ。これ誰が持ってきたんだ……?

 

「これ、いくらですか?」

 

「んー………どうしようかな……」

 

「事前に決めとくもんだろ……ってか今俺も思ったわ。そうだな……大体200円〜300円ぐらいじゃないか?」

 

「だって。お兄さんの言う通りなら200円、かな。」

 

「200円………これしかない……」

 

 

女の子が取り出したのは5円玉。

しかし………

 

 

「これじゃあな…………」

「流石にナ……」

 

ダメ?という目で千歌を見る女の子。

そんな顔してもこのお姉ちゃんは………

 

 

 

「お姉ちゃんありがとー!」

 

「毎度ありー!」

 

 

 

 

落ちるんだよなぁこれが………

 

 

「やった!5円が倍に!」

 

「弁天様のお陰だね。」

「だね。」

 

「何を言ってくれてるんですの。」

 

「え?」

 

「だよな……」

 

「Aqoursの活動資金を集めるためにここに来てるのでしょう?まずは心を鬼にしてキッチリ稼がないと!」

「だってぇ………」

 

「Hay girl's.この話はその辺で。次のお客さんだぜ?」

 

「すいません、これ1000円でいいかしら?」

 

「見てなさいな。」

 

さっきのとは逆にダイヤさんかなり強気な姿勢で挑む。

 

「いらっしゃいませ!残念ながら原価的にそれ以下はブッブーですわ!」

 

「で、でも………」

 

「ハッキリと言っておきますが新品ではありませんが未使用品。出品するに当たって一つ一つ丁寧にクリーニングを施した自慢の一品!それをこのお値段、既に価格破壊となっておりますわ!!」

 

ビシッと指差しながら言うダイヤさん。うんまあ言ってることはいいけどよ………

 

「お客さん指差しちゃダメだよ………?」

 

 

で、売り上げの方はその後も伸び悩み………

 

「こりゃダメだナ………」

「ダメずらね………」

「というか花丸くん、今時算盤での計算なのかい……?」

「これが使いやすいずら。」

「オールドだねぇ………」

 

「それにしても………」

「何者にも屈しない迫力だったわね…!」

「流石ダイヤさん!」

「そ、そうですか……?ハハ………」

 

 

「ってか鞠莉よ、この像何さ?」

「見ての通り私のだけど?」

「何故売ろうと思ったし」

「それを言うなら善子だって売り上げナッシングでーす!」

 

軽トラの荷台に立つ善子。ってか降りろや

 

「ヨハネよ……」

「ってかその黒い羽売り物だったのかヨ。」

 

風に吹かれて飛んでいく黒い羽。

ダンボール一つ分あったのか………多くね?

 

 

「フフ……まるで傷ついた私の心を癒してくれるよう………美しい。」

 

 

「馬鹿なこと言ってないで急いで拾いな!」

 

「は、はい!」

 

「憐そっち行ったぞ!」

 

「ハーさんヨーさんそっちも!」

 

「千歌っち右にも沢山!」

 

「あーもー分かって………ん?」

 

ふとダイヤの方を見る千歌。

そのダイヤは、何故かとても落ち込んでいる様子だが………

 

「果南ちゃん!ダイヤさん、何かあったの?」

 

「どうしてそう思うの?」

「まあ、なんとなくだけど………」

 

 

 

「千歌はそういうとこ、本当に鼻が効くよね。」

「それ、褒めてる?」

「褒めてるよ。心配しなくても大丈夫。私と鞠莉がちゃんとやっておくから!」

 

 

_____________________________________________________

 

 

「じゃあ先に行ってるね。」

「気をつけるんですのよ。」

 

「あれ、ハーさん帰んないの?」

「あーまあな。先帰っててくれ。あと一応みんなを頼む。」

「リョーカイ。」

 

メンバー達の乗るバスを見送る隼斗とダイヤ。

そして、鞠莉と果南がまだ残っていた。

 

「隼斗さんは帰らないのですか?」

 

「俺はあんたらの護衛。向こうは憐も博士もいるし、大丈夫だからな。」

 

「そうですか。で、おふたり共話ってなんです?明日じゃダメなんですか?」

 

「やっぱりダイヤ、何か隠してるでしょ?」

「下級生と仲良くなりたいなら素直に言えば良いのに。」

 

「っ!違いますわ!わたくしは別に……」

 

そう言いながら頬を…というよりは黒子を掻くダイヤ。

 

「どう?」

「BLACKデース。」

 

「黒?嘘って事か?」

「そっか、隼斗は知らないよね。ダイヤにはある癖があってね。嘘をついてる時、誤魔化す時に必ず黒子の所を掻くんだ。」

 

「へぇ……」

 

 

改めて見てると……たしかに。

昔から一緒にいる幼馴染だからこそ見抜けるって事か。

まあ一緒にいるという点では果南姉ちゃんと俺も負けてないけど………そういや姉ちゃんにそういったものは無かった気が……って何張り合ってんだ俺。

 

 

「もう逃げられないわよ?」

「さあ、話すがよい!」

「ここにいるのは俺らだけだ、何もそこまで隠さなくてもいいんじゃねえか?」

 

 

「いえ、わたくしは…ただ………」

 

「「「ただ?」」」

 

「ただ……………………………笑いませんか?」

 

「笑う?」

「そんな事するわけアリマセーン!」

「よほど面白いアメリカンジョークでもない限りは。」

「隼斗はもう少しほかの言い方なかったの?」

「咄嗟に思いついたのがこれだった。」

 

 

「でも………「あーもう!」」

 

「何年の付き合いだと思ってんの!?」

「俺はまあ……1年ないけど!悔しい事に……アイドルとしてのメンバーじゃないがAqoursの仲間だ。なんでも言ってみてくれよ!できる限りで協力はするから!」

 

「じゃあ………」

 

ダイヤさんが俺達3人の方に来て耳元で話す。

その内容を聞いた途端、鞠莉も果南姉ちゃんも笑ってしまった。なるほどなぁ…こりゃ…笑うわ!

 

 

________________________________________________________________

 

 

翌日。

みとシーにて集まったこの前の4人。

 

「しかしあのダイヤが…」

「ダイヤ『ちゃん』って呼ばれたいなんて。」

「まあ確かに、2人とは違ってダイヤ『ちゃん』は堅物キャラが染み付いてるからな〜。」

 

「だから別にそう呼ばれたいと言った覚えは……ってなんで今日も隼斗さんはいらっしゃるんですの!?あとあなたがちゃん付けはなんか違う気が………」

「そりゃあんな話聞いたらなぁ……この続きを知りたくもなるってもんよ。あ、なんなら呼び捨てにするか、ダイヤ?」

「それはそれで………なんというか。」

「うわめんどくせ」

「すいませんね、めんどくさい女で。」

 

「まあまあ隼斗もそう言ってやんな。」

「ダイヤにとってはheavyな悩みなんだから。」

 

「おふたり…それに隼斗さんはいいでしょうけど、わたくしだけこのままのメンバーとの距離があるというのは、今後のためにもよくなくなくないというか……」

「ダイヤなくって何回言った?」

「2回。つまりよくない。」

「ハヤトear良いのね。」

 

「まあな。まあ、要はあれだろ?鞠莉と姉ちゃんが羨まイタタタタ」

 

「ち・が・い・ま・す・わ!」

 

「ひっはらふぁいでふれよふぁいやふぁん(引っ張らないでくれよダイヤさん)」

 

 

「というか………」

 

やっと引っ張ってた隼斗の頬を放すダイヤ。

 

「あ、戻った……ってて…」

「それぐらい大丈夫でしょう?で、話を戻しますけど、どうしてここに呼び出したのですか?」

 

「そっか、ダイヤにはまだ話してなかったもんね。」

 

「曜からの連絡で、今日イベントがあるから1日だけでもバイト手伝って欲しいって。」

「何処でですの?」

 

「そんなの、ここに決まってるでしょーが。」

 

「……ここ、ですか?」

 

「みんな揃っての1日アルバイトだからさ。」

「距離を縮めて、ダイヤちゃんって呼ばれるチャンスだよ!」

 

「ダイヤ……ちゃん……!!

 

い、いえ別に、そういうのを求めている訳では……」

 

「かんっぜんに」

「本音が顔に出てる。」

「だな。」

 

 

_________________________________________________________________

 

 

水中から勢いをつけ、一気にジャンプするイルカ。

 

ここはみんなご存知の施設、

伊豆三津シーパラダイス。内浦にある水族館の一つである。

 

その中心にあるのが、イルカショーなどが行われるこのプールなのだ。

 

「今日はなんか子供多いナ………」

「近くの幼稚園から遠足……というか見学の団体さんが来てるからな。」

 

その子供達に混じって一年生組と千歌まで一緒になって水槽に張り付いて見てるけどな…

仕事はどうしたよ?

 

 

 

 

「イルカさん凄い……!」

 

 

「えーっと……じゃあ、仕事いい?」

 

「あれ?曜ちゃん?」

 

曜の声はするが本人がいない。いるのは千歌と一年生3人だけ……あとは風船を持ったうちっちーが。

 

「あれ、曜ちゃん?」

「何処?」

 

「ここだよー。」

 

そう言いながら手を振るうちっちー。そう、着ぐるみの中に曜が入ってるのだ。

 

え、着ぐるみじゃない?中身などいないって?ハハッ、何のことやら

 

「とりあえず、3人ずつに分かれて。」

 

『オー!』

 

 

_________________________________________________

 

 

「向こうは順調みたいだな。」

 

「曜さん、随分詳しいんですのね。」

 

「前、バイトした事あるんだってさ。」

「ああ。その話、俺も少し聞いたことがあるような……」

 

「さ、私たちと一緒にいても、距離は縮まらないよー?」

 

そう言って鞠莉と果南は自分達の仕事へ。

 

「よーし憐、俺達も行動開始だ。」

「ラジャー。んじゃま、なんだか知らねーけど、頑張ろーゼ、ダイヤサン。」

 

「あ、はい!分かってますわ!」

 

____________________________________________________________

 

食堂サイド

 

「きつねうどん、お待ちどうさまです!」

 

「ありがとう。」

 

「うどんもう一丁!」

 

「マルは麺苦手ズラ……」

 

こちらを担当するのは千歌・花丸・ダイヤの3人。

 

「ほら、のんびりしている暇はありませんわよ!」

 

「「はーい(ずらー)」」

 

と、言ったところでダイヤは鞠莉から言われたある言葉を思い出した。

 

『さっきも言ったけど、ダイヤはいつも硬すぎ。まずは、話しやすい話題を振って……』

 

 

「話しやすい話題を振る………」

 

それを思い出したダイヤは千歌の方へスススと寄って行き………

 

「ち、千歌さん。き、今日はいい天気ですわね?」

「え?は、はぁ………。」

 

と、一つ話題を振ったあとは花丸の方へ。

 

「花丸さん、うどんはお嫌い?」

 

「え……?」

 

 

「何かあった?あったずら?」

「分かんない……けどあれはきっと………」

 

 

「「すっごい怒っているずら…!」」

 

どうやら当の2人はすごい誤解をしているようだが。

 

 

____________________________________________________________

 

 

場所は変わって先程いた中央エリア。

今度はブラシを手にステージの清掃をしている。

 

「あれが怒っているように見えるとは、うまくいかないものですね………」

 

 

「ダイヤさん!」

「売店の方はいいの?お姉ちゃん。」

 

そこへ梨子とルビィの本来の担当2人がやってきた。

梨子の方は魚の沢山入ったバケツを持っている。

 

「ええ、お昼過ぎて少し人が減ったのでこちらの手伝いをと来たのですわ。

ところで、それは?」

 

「ああ、これはアシカちゃんのごはんです。」

「トレーナーさんに調教用の笛も借りたんだ。」

 

「それはよかったですわね。」

 

ザバァと音がして、その本人……アシカが水から上がってきた。

 

「あら、アシカさん。」

 

上がってきてすぐにエサのバケツに気づいたらしく、独特の鳴き声を上げる。

 

「ごはんが欲しいって言ってますわよ。」

 

「で、でもアシカさんって近くで見ると結構大きい……」

「それに、なんというか………犬っぽい…」

 

『アウ?』

 

「いや犬ではなかろうよ。ヒゲ生えてたり鼻高かったりするけど。」

 

そこへ01を肩に乗せた隼斗が。

 

「あ、隼斗君。」

「何処行ってらしたんですの?」

「まあ色々なとこをね。俺は見回りも兼ねてるから。」

「それより01さんは大丈夫なんですの……?」

「ああ、こいつ生き物じゃなくてロボットだし。大丈夫でしょ。」

「そういう問題ではなく……」

 

 

『ワゥ!』

 

次の瞬間、どうしたかアシカが2人を追いかけはじめる。

ペチペチと地面を這って移動してるが……以外と早いか?

 

「やっべ!えーと……鳥!足止め!」

 

『ーッ!』

 

俺は01に指示を出しアシカの前に立たせる。

あいつは前に降り立つと両翼を広げて威嚇。

 

「ダイヤさんなんかない?あいつを鎮める方法!」

「と、言われましても………あっ!」

 

ダイヤが気づいたのはルビィが逃げる際に落とした赤い笛。先程言っていた調教用のだ。

 

「静かに!プールにお戻りなさい!」

 

そう言って笛を一回、二回吹いて手を振るとアシカは大人しく戻っていった。

よく鍛えられてるな………

 

「凄い……!」

「流石お姉ちゃん……!」

 

「やるねぇ………」

 

 

「ふぅ………って!こんなことしてたらまた堅いと思われて…………はぁ」

 

 

____________________________________________________________

 

場所は変わってペンギンエリア。

 

果南と鞠莉がペンギンの水浴びをしていた。ちなみに隼斗も一緒についてきた。

 

「うまくいかない?」

「まあそうなるとは思ってたけどね…。」

「予想してたのか。」

 

「どうしてですの……?」

 

「だいたいダイヤは、自分から近づこうとはしないからね〜。」

「小学校の頃、いつも私たちとべったりだったしね。」

「そ、そんな事………」

 

「自分から行かなきゃ始まらないよ?」

「こうして見ると、鞠莉がいい例だな。」

「やかましすぎるのもアレだけどね。」

 

「そう言われましても……どうすれば?」

 

 

「簡単でしょ?まずは………」

 

 

________________________________________________________

 

入り口付近で風船を配っていた曜。

着ぐるみの頭はとっていた。

善子はあの売れ残りの羽を……いる?

 

憐も一緒だった。

 

 

「よ、曜…………ちゃん………」

 

「?ダイヤさん何か言いました?」

 

「い、いえ何も………」

 

「ダイヤさんも配ります?」

 

そう言って持っていたいくつかの風船を手渡されるダイヤ。

 

「ありがとう……曜ちゃん」

 

急に言い方が変わったダイヤに驚き風船を手放してしまう曜。

 

「善子ちゃんも、アルバイト一緒にがんばりましょー!」

 

「・・・ヨハネよ?」

 

「え、なに本当にどーしたんだあの人?」

 

「さあ………ともかくこの違和感は一体…」

「分かる………」

 

________________________________________________________

 

場所は戻って食堂(売店)サイドの千歌と花丸コンビ。

客もほぼいなくなり食器洗いに専念していた。

何故かすごく泡立っているが………いや凄くとかいうレベルじゃない。

 

「ダイヤさん怒ってたずらね……」

「だね……っていうか泡多くない?」

「早く綺麗になるよう洗剤ぜーんぶ入れたずら!」

「賢ーい!」

 

次の瞬間、花丸が持っていたうどんのどんぶりが、手から滑って宙を舞い………

 

 

コロンコロンとたまたまそこにいたダイヤの頭に被さる形に。

割れなかったから結果良しだろうか……

 

「2人とも、お気をつけなさい。」

 

「「はーい……………」」

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

「お姉ちゃんが変?」

 

その後、悩んだ末に千歌と花丸は、妹であるルビィに相談しに来た。

ちょうど居合わせた梨子も一緒だ。

 

「凄く怒っていたような………」

「悩んでいたような………」

 

「やっぱり何かあったんだよ。」

「何か、ネェ………」

 

「あるに決まってるわ!あれはまさに、闇に染まりし者の微笑み………」

「かどうかは分からないけどね………」

 

その会話を物陰から見ていた果南・鞠莉、そして隼斗。

 

 

 

「どうする?」

「これ以上混乱させてもダメじゃない?」

「流石に昨日の今日でこれは流石に違和感あるよな……確かに。」

 

 

というわけで、みんなを集めてネタバラシをする事になった。

 

 

「ダイヤ……ちゃん?」

 

「みんなともう少し距離を近づけたいって事なんだと思うけど………」

 

「それで………」

「なるほどナ……」

 

「じゃあ、あの笑顔は怒っているわけじゃなかったずら?」

 

「ああ、多分あの人なりに頑張ってた結果のそれだと思う。俺の推理だけどね。」

 

「でも、可愛いところあるんですね。ダイヤさん。」

「なんだぁ……言ってくれればいいのに。」

 

「言えるような人じゃねえからな。あの人の性格的に。」

 

「そう思うでしょ?」

「だから、小学校の頃から私たち以外は中々気づかなくてね。

 

真面目でちゃんとしてて、頭が良くてお嬢様。頼り甲斐があるけどどこか雲の上の存在で。

 

ダイヤ本人もそう振舞わなきゃって思っちゃって………」

 

「で、今の彼女が出来上がった。と………」

「そーゆこと。」

「本当は、すごく寂しがり屋なのにね。」

 

 

________________________________________________________________

 

 

「……………」

 

1人悩み空を見上げるダイヤ。

一体どうすればいいのかと悩んでいたときだった。

 

聞こえてきたのは子供達のはしゃぎ声。

見れば見学に来ていた幼稚園の子達がバラバラになって好き勝手に動いていた。

 

「あ!こら待ちなさい!」

 

「みんな!ちゃんとしてよ!」

 

先生達やリーダー感のある子が呼ぶも、みんなアシカや水が張った池に夢中で聞く耳を持たない。

 

 

「なにこれ!?」

 

「大変!」

 

「おいオメーら!ちゃんとセンセーの言うこと聞けー!」

 

 

「oh……ダメだこりゃ手に負えねえ。1人2人ならまだしも………この人数は流石に…!」

「収集がつかないよ……!」

 

みんながみんな違う対応に追われ追いつかず。困り果てていた時、大きな音で鳴り響く笛。

 

 

「さあみんな!スタジアムに集まれー!」

 

 

笛の主は誰であろう、ダイヤさんだった。

それを聞いて、バラバラだった子供達は一斉にプール側に。

 

「園児の皆さん、走ったり大声を出すのは、他のお客さんの迷惑になるからブッブーですわ!

みんな、ちゃんとしましょうね!」

 

『はーい!!』

 

 

 

 

「fantastic…………」

「ダイヤさん、凄い………!」

「あれぞまさに主導者の輝き……!」

「ずら……!」

 

隼斗、花丸、善子に梨子、みんながそのまとめ上げっぷりに驚いていた。

 

 

 

________________________________________________________

 

 

その後は特に大きなトラブルも無く、俺達の一日アルバイトは終わりを告げた。

 

 

「結局、わたくしはわたくしでしか無いのですね……。」

 

 

 

 

「それでいいと思います!」

 

 

 

ダイヤが振り向くと、そこにはみんなが。

 

 

「私、ダイヤさんはダイヤさんでいてほしいって思います。

果南ちゃんや鞠莉ちゃんと違って、ふざけたり冗談言ったりできないって思うこともあるけど。

 

でも、ダイヤさんはいざとなった時すごく頼りになって、私達がだらけている時は叱ってくれる。ちゃんとしてるんです!」

 

「だから、俺達みんながあんたを信頼してる。みんながあんたを好きなんだ。」

 

「だからこれからも、ダイヤさんはダイヤさんでいてください!よろしくお願いします!」

 

それを聞いたダイヤさんは、黒子を掻きながらいつもの調子で言った。

 

「まあ……わたくしはどちらでもいいんですのよ?別に………」

 

「んじゃみんな、行くぞ?」

 

「セーノっ!」

 

『ダイヤちゃん!!(ダイヤ!)』

 

 

 

 

次回(来年)に続く。

 

 

 

 

次回(来年)のサンシャインサーガ!

 

 

「この子は………?」

 

雨風吹き荒れるある日、善子が出会った1匹の犬。

 

「大丈夫!絶対動かないから!」

 

梨子、ついに犬嫌いを克服する!?

 

 

そして…………!!

 

 

「お前か?風の仮面ライダーっていうのは。同じような呼ばれ方の人間がどんなやつかと思えば……こいつもあの仮面ライダー同様、モテそうにない奴だな。」

 

「んだとゴルァもっぺん言ってみろ!」

「ハーさんそこ怒るとこじゃねえだろ!」

 

強敵、008トルネードついに襲来!?

 

「できたぞ隼斗!これぞ新装備、君の最強武装だ!!」

 

そして霧香博士、今度は何を作ったんだ!?

 

 

次回 雨風に遭遇するモノは何か?

 

 




今年最後の本編投稿になりました。数日かけてやっと完成……前は1日ぶっ通しでやって完成だったのにその途中色々あってやる気ごと精神を殺されかけたけど……あれは許せない。

あ、平成ジェネレーションズForever面白かったです。今日観に行ってきました。

来年もこんな感じのペースになりますが、本シリーズをどうかよろしくおねがいします!

それでは次回もお楽しみに!




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第2期6話 雨風に遭遇するモノは何か?


皆さん新年明けましておめでとうございます(大遅刻)
今年も多分こんなですが本年もよろしくお願いします。

そして一つ読者の皆さんにお知らせを。
この度自分の連載しているデンライブシリーズ、こちらの方の休載、事実上の打ち切りとしたいと思います。

理由としては作者である自分の忙しさ、加えて設定等の大幅なズレなどになります。
思えば初期の初期にGoogle+でやってたある小説のそのままのノリでやってたのが悪かった……

というわけで一度こちらの方は一先ず無かったことにしておき、また機会があれば再開したいと思います。

そして、ただいまそれに変わる作品の設定を綿密に作成中。あくまで気分転換の為ですが………こちらは早ければこの春休み中に1話を投稿できるかもしれません。投稿されたらよろしくお願いします。

業務連絡は以上です。
それでは本編をどうぞ!


 

 

前回のサンシャインサーガ!

予備予選突破を果たしたAqours。

しかし、度重なるライブに活動費がとうとう尽きてしまう。

そんな中、ダイヤが抱えていたとある悩みが明らかになる。

 

後輩達との距離感に悩んでおり、自身も鞠莉や果南のようにちゃん付けで呼ばれたいと思っていたらしい。

 

結局上手くはいかなかったが、それでも仲間達との距離は多少は縮まった模様。

次なる関門、地区予選に向けて進む。

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「また雨強くなってきたね。」

「夜にかけて更に強くなるみたいだよ?」

「今日は無理して続けない方がいいですわね。」

 

沼津、Aqoursの練習場所。

今日も俺たちは練習に励んでいたが、空は生憎の雨模様。

 

「もうすぐ地区予選なのに……」

「入学希望者も50人超えてきたんでしょ?」

「あと半分いるのカ………」

 

「まあ焦っても仕方ないよ。安全第一で行こう。」

 

予備予選を突破した俺たちに待ち受けるのは地区予選。

ここを突破すれば本大会はすぐそことなる。

 

「はい、コレ!」

 

鞠莉が果南に何かを渡した。冬はとても便利なカイロだ。まだ早くないかこれ………?

 

「待てばカイロの日和ありってね!」

 

 

「あー……そゆこと。」

 

奇しくもメンバーにはウケなかったようだ。

俺は意外と面白いと思ったけどな。

 

 

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「果南ちゃんと梨子ちゃんはうちの車ね。曜ちゃんも乗ってく?」

「いいの!?で、隼斗は?」

 

「残念ながらバイクで来ちまったからな………レインコートはあるから別で帰るわ。」

「隼斗もバイク縛りやめたら?戦いではともかく、普段の生活で事故でもあって怪我したら大変でしょ?」

 

「姉ちゃんの気遣いはありがたいけどさ……なんか勿体ない気がして。せっかくこれがあるんだから乗らずにはいられないというか。」

「ほんと滑らないようにね。」

「分かってる。憐と善子は?」

 

「嵐が堕天使の魂を揺さぶる……秘めた力がこの羽根に宿る!」

「俺っち達はほら、すぐワリとそこだし。」

「あ、そうだったな。でも気をつけろよ。」

「お互いにナ。」

 

隼斗達乗り物で帰る組はここで帰っていき、そこには憐と善子だけが残った。

 

「さて、俺っち達も帰るぞよっちゃん。」

 

そう言って歩き出す憐。だが、善子だけは傘を差したまま上を向き止まっている。

 

「?おーいどした?」

「胸騒ぎがする……最終決戦的な何かが……」

「最終決戦?」

 

瞬間、強風が彼らを襲った。

うっかり傘を手放してしまった善子はその傘を追いかける。

 

「あ!待て!」

「全く注意してねーから……!」

 

憐もそのあとを追いかける。

跳ねて転がっていく傘。それは何か導いているようでもあり………

 

「あ、止まった!」

「早く取っちまえ。」

 

途中のブロックに引っかかったところで傘を確保。

 

「ふぅ………ん?」

 

「おーいよっちゃん大丈夫………ああ。」

 

善子は見つけた何かを傘に入れてやる。

それは……………

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

一方その頃隼斗達。

 

「冷たっ!しかも前見えづらっ!!」

 

ヘルメットのバイザーに打ち付ける雨水をグローブで拭いながらバイクを走らせる隼斗。

それに続くはほかのメンバー達の乗る二台の車。

 

「雨避けのスプレーやったはずなんだけどな……」

「それは最後いつだい?」

「だいぶ前………ってか博士なにしれっと後ろ乗ってんだ!しかもヘルメット二つ目!」

「いやー車は人数的にアレだしここしかなくってね!仕方なくだ。」

 

博士の服はいつものリケジョスタイル。の上に灰色レインコートだ。ヘルメットはおれが持ってた二つ目を被っている。

 

「まあ別にいいけどよ……」

「前気をつけろよ。巻き添え喰らいたくはないんでね。」

「わーってるようっせえな母親か………」

 

と言い合っていた次の瞬間、2人を、3台を強風が襲った。

 

「ぐっっ!?」

「突風だ、一度止まれ!」

「いやこの強さは異常だろ!」

 

隼斗はハンドルを切り路肩に寄せて止めた。

が、止めた途端にその風は嘘のようにふと止んだ。

 

「あっぶね………」

 

「隼斗大丈夫!?」

 

同時に止まった後ろの車の窓から曜が顔を出す。

 

「ああ、大丈夫!そっちは!?」

「ちょっと揺れたけど無事!ルビィちゃん達も!」

 

「びっくりしたな……なんだ?季節外れの台風か?」

「いや、今は然程大雨じゃない。まあ、風は強かったが………まあいいや、早く帰ろう。またさっきのような風が来ないとも限らない。」

 

アクセルを入れ、再び走り出す3台。

それと同時に、入れちがうようにして現れたのは1人の男。旅人のようで傘もささずに帽子を被っている。

 

「青い風の仮面ライダー…………奴か。しかもあの中に………なるほどな。」

 

そう呟き男は去っていった。

弱まったものの風が吹き続ける雨の中を歩きながら・・・

 

________________________________________________________

 

 

日と場所は変わって高海家。

 

「いける!大丈夫!絶対動かないから!」

 

曜、梨子、そしてしいたけの2人と1匹。

梨子の犬嫌いを治すべくまたチャレンジをしていた。

 

大人しくおすわりしているしいたけの側には曜。そろりそろりと近づく梨子。

 

あとは手を伸ばせば頭に触れる………

 

「ワン!」

 

「ひぃぃ!やっぱり無理!」

 

 

というところでやはりダメになる。

 

「この過剰な犬嫌い……何がどうなったらそうなるんだ?」

「ほら、さっさと始めるよ!」

 

「うーんなんでだろ………しいたけは梨子ちゃんの事好きだと思うんだけど……」

「全然そんな事ないよ!」

「あるよ。なんかね、犬には見ただけで敵と味方を見分ける力があるって聞いたよ。」

「知能はそれなりに高いからな。だから芸も覚えられるんだし。」

 

「ほら!いい加減始めるよ!」

 

「はーい。」

「ワン!」

 

「しいたけも参加するか?」

「戻しておいて!!」

 

※このあとしいたけは、梨子に念を押された隼斗によって小屋に繋いで戻されました

 

 

で、Aqoursの面々が集まったのは高海家の千歌の部屋。

そう、ここに集まった理由は………

 

「それではただいまより第………何回かは忘れたけど作戦会議を始めます!」

 

襖に貼られた作戦会議の紙を棒で差しながら言う果南。

それを見る鞠莉を除くメンバー達、そして、タブレットをいじり何かを作っている霧香。

 

「もう時間もないからね。」

「分かってるズラ。」

 

「でも、テーマって言われると……」

「中々思いつかねーよナ………」

 

「だからといって、流石に『暗黒』は無しですわ。」

「どーしてよ!?堕天使といえば暗黒、Aqoursがこれまで共に歩んだ堕天使ヨハネの軌跡を……「やっぱり輝きだよ!」って聞きなさいよ!」

 

千歌が善子の言葉を遮って言った。輝き、ね……

 

「まあ、輝きっていうのは千歌がAqoursを始めた時から言ってたからね……」

「ですが、Aqoursの可能性を広げる為には、それだけじゃダメです。もっと模索が必要ですわ。」

 

そう言ってダイヤが携帯の画面をみんなに見せる。

そこに映っていたのはセイントスノーの姉妹だった。

 

「これってセイントスノーさんなの!?」

「一つに止まらない多くの魅力を持っていなければ、全国大会には進めませんわ。」

「それに次は、この前は突破できなかった地区予選。」

「何か新しい要素が欲しいよね………」

 

「私も新しいアイデアが欲しいよ……!」

 

タブレットとにらめっこしながら唸っている霧香。

 

「ってか博士はいったい何やってんだ?」

「あのなぁ隼斗、君のためなんだぞこの私の作業は!見ろこれを!」

 

そういって霧香は画面を見せる。

そこに映っているのは新武器の設計図だった。(詳しくは以前投稿した振り返り回参照)

 

「あ、この前の………これがどうか?」

「蛮野との初戦。君は撤退の時にゼンリンシューターを派手にぶっ壊しただろう?それに変わる新武器を開発中なんだよ。」

「あーあれか………これがデザインか?いいじゃん。剣と銃の一体武器。ロマンがある。」

「まだ名前が決まってないんだがね………前のシューターの改修版だからリジェネレートってワードは付けたいんだけど……銃だからブラスターにすべきか剣だしスラッシャーにするか………」

 

「どっちでもかっこいいと思うが………」

 

「うーーーん……………」

 

「先生はともかく、隼斗は集中して。ほら、鞠莉も………鞠莉?」

 

眼鏡をかけ、やけにぱっちりとして目の鞠莉。

 

「まさかとは思うが………」

 

隼斗がその眼鏡を外すと、更に同じ目………のシールが剥がれ落ちる。

完全に寝ていた。

 

「鞠莉ちゃん長い話苦手だから………」

「まああいつはな………ったく、善子もお前真面目に………」

 

振り向くと、なんという事でしょう、善子の姿はそこになく、しいたけがいるではないですか………え、しいたけ?

 

「よ、善子ちゃんがしいたけちゃんに!」

「なわけないでしょう?」

 

「騒がしいデスネ………」

「こいつやっと起きた……」

 

全員が困惑しているところに、花丸のところにメールが来た。

 

「天界の勢力の波動を察知したため現空間より離脱………って書いてあるずら。」

「よーするに帰ったってことダナ。」

 

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その日の夕方。梨子は1人沼津に出てきていた。

どうやら日中梨子の家に善子のお母さんが来ていたらしく、その際にスマホを忘れたらしい。それを届けるのを任されたのだ。

 

「この辺のはずだけど………あら?」

 

路地に入り、角を曲がるとそこには鳥居が。

祠のあるちょっとした神社のような場所には緑色のケースが。

 

「これって………」

 

『ワン!』

 

ゆっくりと近づくと、ガタンと揺れ中からは鳴き声が。

驚き下がる梨子に近づく影が1人。

 

「ちょっと!静かにして!」

 

「え、善子ちゃん!?」

 

「よっちゃん!頼まれたもん買ってき………あれ?梨子サンなんでここに?」

 

「ヨハネよ!ありがと、憐。それと……梨子、なんでここにいるの?」

 

そこへ、色々なものが入った袋を抱えて憐もやってきた。それを善子に渡す。

 

「あ、私はちょっと忘れ物を届けに……」

 

そう言って梨子は彼女にそれを手渡し、憐は善子に預けた袋の中身を取り出すと、それを開けた。

中身はドッグフードだ。しかも缶の若干高そうなやつ。(作者は犬飼った事無いのでよく分からない。)

 

「ちょーっとマッテローヨ……ほれ、ご飯だぞ。」

 

緑のケースを開け犬を出してやる。黒と白の2色の毛だ。

そこから出てくるとすぐに餌を食べ始めた。

 

「そんなあわてんなって。ほれほれ……」

 

 

しばらくして餌を食い終わると善子はその犬を抱えた。それを見た途端に梨子はそこから離れる。

 

「あ、あら、かわいい………」

「梨子サン露骨に嫌そうにすんのな……」

 

善子が近づくごとに離れていく梨子。

善子がそれを見て犬を地面に下ろすと……

 

「いけ!」

 

梨子にその犬をけしかける。

逃げ回る梨子。全速力で逃げ回り、最後は近くの階段を跳んで降り振り切った。

 

 

「何するのよ!」

「いくらなんでも嫌いすぎダロ………」

 

とりあえず梨子は事情を聞いた。

犬は皿のミルクを飲んでおり、憐がしっかり見ている。

 

「拾った?」

「違う。出逢ったの。」

「拾ったナ。」

 

運命(デスティニー)が私達を引き合わせたのよ!」

 

「そ、そうなの……それで、どっちが飼うかを決めてたの?」

 

「私の家、動物は禁止で………」

「俺っちも生憎な。コイツ飼ってる程ヨユー無いんだわ。」

 

「それで、お願いがあるんだけど。」

「聞かない!」

「まだ何も言ってないでしょ!?」

 

梨子、即答。よほど嫌なのか………

 

「ほんの少しの間だけでいいの!この子の生きていく場所は私が見つけるから!」

 

すると梨子は下がりながら言った。

 

「そ、そうだ!花丸ちゃんかルビィちゃんはどう?」

「ダメ!ズラ丸の家もルビィの家も許可取るの面倒みたいだし………」

 

「鞠莉ちゃんは?」

「ホテルでしょ?果南の家も店があるし、千歌のところはしいたけがいるし!」

「じゃあ霧香先生は?それか曜ちゃん!」

 

「博士は研究所。機材色々あって危ないダロ?そんなに嫌か梨子サン………」

 

「嫌って訳じゃ…………」

 

すると、犬を抱き抱えていた憐がその子を下ろし………

 

「GO!」

 

また梨子を追わせる。しばらく逃げ回った後先程のように逃げ切った。

 

「とにかくお願い!この子の事は堕天使ヨハネにとって神々の黄昏に匹敵する重大な議決事項なの!」

「俺っちからも頼む!」

 

「クゥーン………」

 

憐もその場で頭を下げ頼み込む。

犬も………頼んでいるようだ。

 

 

____________________________________________________________

 

 

結局は梨子の方が折れ、その子を家に連れ帰った。

犬は未だケースの中にいる。鳴きながら前足でバタバタと扉部分を叩き、出してくれ〜と頼んでいるようだ。

 

「しーっ……ここまで連れてきたはいいけれど……どうしよう………?」

 

「ワン!ワン!」

 

「しーっ!静かにして!まだお母さんにも言ってないんだから………」

 

「クゥーン…………」

 

そう言われて、犬は急にショボンとして大人しくなった。

 

「お腹空いてるのかな?憐くんはこれがいいなんて言ってたけど………」

 

そう言って梨子が袋から取り出したのは小型犬用ビスケット。どちらかといえばこれご飯というよりおやつなのでは………?

 

それをお皿に出し、あとはこの子を出すだけとなったのだが………知っての通り梨子にそれは不可能。そこで梨子が思いついたのは……

 

 

「エサ食べるだけだからね。わたしに近づいちゃダメよ?」

 

扉の取っ手にリードを括り付け、部屋の扉越しにそれを引く。すると開いて出て来られる……という方法を取る。

 

与えられたビスケットをサクサク音を立てながら美味しそうに食べている。

 

 

 

それから少し経ち梨子は気になったのか部屋の扉を少し開く。

 

 

ドアが開いたのに気づくと梨子に近づくが、即座に閉められる。

そしてまたエサに戻っていった。

 

 

「敵と味方を見分ける不思議な力、か……」

 

再びドアを開けると、その子は梨子が持っている紐が気になったのかドアの近くで前足で床の紐に触って遊んでいた。

梨子に気づくと彼女を見つめて尻尾をパタパタと振っていた。

 

_______________________________________________________________

 

それからしばらくが経ち、ある日の夕方。

今日は学校の屋上での練習だ。

 

「ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー…そこで近づいて!はい!」

 

隼斗の合図に合わせてみんなが動き、最後にキメ。

 

 

「ルビィもう少し内側。ダイヤさんによって……うん、そんな感じだ。」

「だいぶ良くなってるゼ。

 

「本当!?」

「ではもう一度……と言いたいところですが」

 

「日が短くなってるからね………」

 

夕焼けに染まる空を見上げて曜が言った。

確かに、まだ早いのにかなり陽が傾いてる。季節の移り変わりは早いな………

 

「ケガしたら大変だしね。あとは沼津で練習するときにしよ。」

 

「じゃあ終わり!?」

「うん……どうしたの?」

 

「なんかやけに終わりが嬉しそうだが……」

「なんか用事でもあるの?」

 

「え、いや別に………あ!私今日は先に帰るね!お疲れ様!」

 

そう言うと梨子はそそくさと屋上を後にした。

 

「なんかあいつ最近ヤケに帰るの早いな…」

「確かに、ここの練習終わるとすぐ帰っちゃうよね。」

「で、でもそれはハーさんもダロ?最近ほら」

「あれは博士に付き合ってるんだよ。そろそろ俺の新武器完成しそうだから………この3日ぐらいなんか徹夜してるらしいしなあの博士……」

 

「最近授業の先生のテンションがおかしいのはそれが原因か………」

「なんか終わったら燃え尽きてそうなぐらい変な暑苦しさが感じられましたわね……」

 

果南とダイヤが揃って呆れ顔をしていた。

そんな顔をさせている自称天才美人女科学者はというと………

 

 

一方その頃、浦の星地下のキリカラボ。

 

「全パーツ構成完了、あとは組み立てにプログラミングを…………グッ……」

 

一通り操作を終えデスクに突っ伏す三徹目の霧香博士。

 

「あともう少しなんだ、彼には強くなってもらわなければ困るのだから………頑張れ頑張れできるできる一時霧香、ここが正念場だァァァ!!」

 

 

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「あ、俺もちょっと先上がるわ。あの博士が心配だし……こんなところで死なれたら迷惑だしな……最悪強制的に寝かせてくるわ。」

「手荒な真似は辞めるのですよ?」

 

「あくまで穏便にな。んじゃみんな!気をつけて帰れよー。」

 

そう言って隼斗も駆け足で屋上を後にする。

 

 

____________________________________________________________

 

そして梨子はというと、ホームセンターに寄り道してあの犬へのお土産を買って帰っていた。

 

「たっだいま〜♪いい子にしてた?今日は…お土産があるのよ?じゃーん!」

 

梨子が取り出したのはカラフルないも虫型のおもちゃだった。

 

ケースを開けそれを渡して即閉じ。犬はそれを咥えて遊んでいた。

 

「どう?面白い?」

 

その様子を見ていると、部屋のドアをノックする音がした。

 

「なに?」

 

「梨子、お友達よ。」

 

ドアが開くと、そこには梨子の母と善子が。

 

「善子ちゃん?」

 

「あら、まだそのワンちゃんいたの。」

「あ、うん。まだ、もう少しだけって言われちゃって。」

 

「あら、そうなの?」

「でも梨子ちゃん、犬すっごい苦手みたいだからやっぱり私の家で預かろうかなーって!」

「あら、善子ちゃんの家はマンションだからダメだって聞いたけど……」

「少しなら大丈夫よ、ほんの少し……」

「ダメって聞いたから私が預かったのだけれど?さーご飯にしましょうね〜ノクターン?」

「ノク、ターン?」

 

「ま、まあどうぞ。ごゆっくり〜。」

 

何故かその子の取り合いに発展する2人。

梨子の母も戻っていった。

 

 

「ちょっと!ノクターンってなによ!」

「なにってこの子の名前!いつまでもワンちゃんじゃかわいそうでしょ?」

「はぁ?この子は元は私が拾ったのよ!名前だってライラプスっていう立派なのがあるんだから!」

「ラブライブ?」

「ライラプス!!」

 

 

ライラプス:ギリシア神話に登場する、どんな獲物でも決して逃がさないと運命に定められた犬。狙った獲物は外さないという槍とともにクレータ島の王ミーノースの宝であったらしい。

Wikipediaより作者調べ

恐らくこれが元ネタと思われる。

 

 

「大体なによ、犬苦手だったんじゃないの?」

「苦手だけど……仕方ないでしょ?面倒見てほしいって言ったのは善子ちゃんよ?」

「ヨハネ!」

 

ドアがノックされ、梨子の母が1枚の紙を持って入ってくる。

 

「2人とも、ちょっといい?」

「「え?」」

 

「沼津の方で貰ってきてたんだけど………」

 

そこには『迷い犬探しています』の文字が。善子が拾ったあの犬のようだ。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「見つかって良かった〜!」

 

「よ、良かったですね………」

 

2人はその子を連れて沼津の飼い主の元へ。

その子の本当の名前は「あんこ」らしい。

 

「本当にありがとうございました。あんこもほら、お礼言いなさい。」

「ワン!」

 

「お姉ちゃん達、ありがとう!」

 

あんこを抱えていた女の子が梨子に近づく。少し抵抗があったものの、その子に手を近づけると、あんこは梨子の手のひらをペロッと舐めた。

 

「……!」

 

「それでは、失礼します。」

「バイバーイ!」

 

「ライラプスゥ…………」

 

こうして、飼い主さんも見つかり、2人の犬を巡る話は一先ず終わったのである。

 

 

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スクールアイドル部部室。

ホワイトボードいっぱいに書かれたテーマ案。

その前にはAqoursフォーメーションアイディアノートと書かれたノートを持った果南が立っていた。

 

 

「どうしたの?」

 

そこへやってきたのは千歌と肩に01を乗せた隼斗。

すると果南は背後に手を回しそのノートを隠した。

 

「姉ちゃん一人で何してんのさ。」

 

「ん、ちょっとね。どんなテーマがいいかなって思って。」

「テーマ、かぁ………」

「果南ちゃんは、なんかアイデアある?」

 

 

 

「ううん。ただ私は、後悔しないようにするだけ。」

「後悔、しないように………」

 

「私達にとっては、これが最後のラブライブだしね。」

「最後………」

「3年生は、卒業したらもう出られないからな…どんな結果であれ、俺たちが全員揃って大会に挑めるのはこれがラストチャンス。」

 

「そ。私は昔から、ダイヤと鞠莉と三人で曲作って、その思いが繋がって……いくつもの偶然が重なってここまで来たんだもん。

全部が終わった時に、やり切った、って思いたい。」

 

「満足して終われるように………か。」

 

 

「千歌ちゃん!あ、隼斗に果南ちゃんも!」

「どうしたの?」

「梨子ちゃんと善子ちゃんが………」

 

「何かあったみたいだな……」

「2人とも、行こう!」

 

3人で話していると、中庭の方から曜が走ってきた。何やら大変な様子。

 

 

千歌と曜が先に走って行き、果南も後を追おうとするが……

 

「待って果南姉ちゃん!」

 

隼斗の前を通り過ぎた果南を彼が引き止めた。

 

「なに隼斗?なんかあったみたいだし、急がないと……あっ!」

 

そして、有無を言わせず隠し持っていたノートを取り上げた。

パラパラとそれをめくっていく。

 

「これ、フォーメーションのやつか?へぇ…これ3人の時に全部?」

「ま、まあね………ってそれ早く返して。読むのは後ででも………」

 

ページをめくっていくと、隼斗はあるページに書かれた技を見つけた。

 

「これは………?」

 

「っ………昔のやつ。今度の地区予選にもしかしたら使えるかもしれないけど……やっぱり今のみんなには使わせられない。」

 

「禁じ手、ってことか?」

「それで2年前に鞠莉がちょっと、ね………」

 

2年前、3年生の3人の分裂のきっかけになったラブライブでの事件。

これが原因だったのか………

 

 

「これ、千歌達には言わないでおいて。必ず何か別のアイデアを考えるから。千歌達にはあんな思い、させたくないの。」

 

 

果南の千歌達を、他のメンバーみんなを思いやる気持ち。それは彼女の良いところの一つだ。

 

それを聞いた隼斗は、そのノートをパタンと閉じ果南に返した。

 

 

「……まあ、深くは聞かない事にする。話したくない事も……あるだろうし。」

 

その言葉を聞いて安心したのか、果南はふっと微笑んだ。

 

「………ありがとう。やっぱり優しいね、隼斗は。昔っから変わってない。」

「何度も言うなよ。分かり切ってる事を。」

「そうだったね。フフッ……」

 

そう言って笑い合う2人。

それを遮るかのように01が鳴き声をあげる。

 

『ーッ!ーッ!』

 

「あ、あの2人追いかけなきゃ!」

「ああそうだった!行こう!」

 

01が先導し果南、隼斗がそれについて行く。

 

「ああそうだ果南姉ちゃん!」

「なに?」

 

隼斗は右手で果南の肩に触れ、そのまま背を向けた果南に語りかけた。

 

「………後悔、絶対させないから。

俺が生きている限りは、絶対に。」

 

 

強い決意と、約束を込めた言葉を伝える。

隼斗にとってはとても大切な言葉だ。

彼が戦うのは、かつて弱かった己を守り続けてくれた彼女のために。

何があっても、自分が彼女を守ると。

 

 

この大会で悔いを残させない。目の前の事に全力を出せるように、守り続ける。

 

 

「………うん。頼りにしてる。」

 

それを聞いた果南は、余計なことは言わず、そう返した。

 

そして今度こそ1匹と2人は向かっていった。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「これは………」

「曜、説明、お願いできる?もう一回……」

 

「梨子ちゃんと善子ちゃんが……情緒、不安定………」

 

校庭に出ると、2人は地面に何やら棒で絵を描いていた。

 

「ノクターン…………」

 

「ライラプス………」

 

 

「「とってこーい………」」

 

棒を投げ、ため息を吐いてしゃがみこむ2人。それを見ていた他のみんなは………

 

「どうなってんだ?」

 

「まさか、悪霊に取り憑かれたずら?」

 

善子のようなポーズを決めながら言う花丸。

 

「なんか善子ちゃんっぽいね花丸ちゃん

 

「マルちゃんまで染まらないでクレ……ま、おーかたあの犬が原因なんだろうサ。」

「犬?」

「色々あってな。話すと長くなる。俺っちも関わってたけどこの件からは手を引いた。」

 

 

 

 

「善子ちゃん………」

 

「………ヨハネ。」

 

 

 

「練習、しよっか。」

「そうね!思いっきり体を動かして、このモヤモヤした気持ちをふっとば…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せない…………」

 

 

 

 

結局、練習終了後もその気持ちは晴れなかった。どうも2人はあのワンちゃんに未練がまだあるらしい。

 

 

 

「飼い主の元に戻ったのはよかったんだけど………」

 

手すりに座っていた善子が立ち上がり言った。

 

「やっぱりこんなの間違ってる!よくよく考えれば、あの人が飼い主だっていう証拠は無いはずよ!」

「ええ………?」

「仮に飼っていたとしても、飼っていたのがライラプスとは限らない。そっくりの違う犬だったっていう可能性も………!」

「そんな無茶苦茶な………」

 

そういうと善子は持っていたあの緑のケースを手に取り

 

「取り戻しに行くわよ!」

「はい?」

「言ったでしょう?あの子と私は上級契約の関係、ディステニーで結ばれているの。」

「無茶よ!迷惑でしょそんなの………」

 

「だったらいい!私1人で行くから!」

 

そう言うと善子は1人階段を駆け下りて行ってしまった。

 

 

_

 

_______________________________________________________________

 

 

 

 

 

 

「で、結局付いてきたのね。」

「だって、一応私にも責任はあるし……」

 

そして、2人はそのワンちゃんを飼っているという家の近くまで来た。

 

 

「流石……なんか邪悪な気配に満ちている家ね。」

「そう?普通の家にしか見えないけど………」

 

 

善子は家の方に右手をかざす。

 

「感じる………この壁の向こうからライラプスの気配が!」

 

だが、梨子が改めてあの時の迷い犬の紙を見てみると………

 

「善子ちゃん。」

「ヨハネ!」

 

「この住所だと、こっちじゃなくて……向こうの家じゃない?」

 

なんと一件ズレていた。

気配を感じるとはなんだったのか。

改めて2人はそちらの家の前に。

 

「たしかに感じる……ライラプスの気配を。」

「それさっきも言ってなかった?」

 

「う、うるさいわね!喚び寄せる…………来い……来い………!リトルデーモン・ライラプス……!主の元に………」

 

そんな事をやってると、外出していたのか、あの女の子の母親が帰ってきた。

 

「あら、あの時の……このあいだはどーも。」

 

「あ、あの……その………失礼しました!!」

 

梨子も、流石の善子も気まずくなったのかその場から走り去る。

 

______________________________________________________________

 

近くのコインパーキングの料金を払う機械の陰に隠れて、出てこないかと待ち伏せてることにした2人。

 

 

「出てこないわね……」

「やはり何者かに妨害されているようね…。」

「こうなったら……」

「こうなったら?」

 

「出てくるまで待つ!!」

「本気?日が暮れちゃうわよ?」

「嫌なら帰りなさいよ。梨子、家遠いんだし。

前にも言ったけど、あの子は私にとって特別なの。」

「でも………」

 

梨子のスマホに通知が来た。母から何時に帰ってくるの?とのことだ。

流石にこうまでして付き合っていれば、必然的に遅くはなる。

 

『もうすぐ帰る』梨子はそう返信し、帰るべくバス停に向かった。

 

 

 

停留所でバスを待っていると、空からはポツポツと水滴が。雨が降り出した。

 

「雨…………」

 

 

_______________________________________________________________

 

制服の上から羽織った紫色のパーカーのフードを被り、雨が降り出してもなお来ないであろうそれを待ち続ける善子。

そこに現れたのは………

 

 

「風邪、引くわよ。あとほら、これ。」

 

帰ったはずの梨子だった。先程来ていたバスを見送り、心配になって戻ってきたのだ。

その手にはおにぎりが入ったビニール袋が。

 

「要らない。」

 

そういう善子だが、梨子が袋から取り出すと、渋々だが受け取って食べた。

 

「………どうして戻ってきたの?」

「考えてみたら、帰っちゃったら本当に出てきたときに会えないなって。」

「私が先に出逢ったんだからね!」

「それは分かってるけど……!」

 

2人でそのおにぎりを食べながらそんな事を話す。そして、梨子は気になってを口にした。

 

「どうして、運命なの?」

「何が?」

「犬。」

「ディステニーはディステニーよ。」

「そうかもしれないけど………」

 

すると、今度は善子から、梨子に聞いた。

 

 

 

「堕天使って、いると思う?」

「え?」

「私、小さい時からすっごい運が悪かったの。外に出ればいつも雨に降られるし、転ぶし何しても自分だけ上手くいかないし。

それで思ったの。きっと、私が特別だから見えない力が働いてるんだって。」

 

「それで、堕天使………」

「もちろん、堕天使なんてのはいないって、そういうのはなんとなく感じてる。クラスでも言わないようにしてるし。

でもさ、本当に、そういうの全くないのかなって運命とか、見えない力とか。」

 

「…でもら特別だなんて言ったら、それこそほら、隼斗君とか!憐くんとか!あの2人みたいな……」

「あの2人は例外!イレギュラーよ。だからそれは無しって事で聞いて。そんなときに出逢ったの。何か見えない力に引き寄せられるようだった。

これは偶然なんかじゃない!って。何かに導かれてるんだって。そう、思った。

 

不思議な力が、働いたんだって。」

 

善子のその思いが、力が届いたのか。

偶然かはわからないが、雨が止んでいた。

 

 

「はい、ライラプス!」

 

そう言って善子が手渡したのは缶のぜんざい。2人分近くの自販機で買ったのだ。

 

「ノクターン!」

 

 

 

「雨、止んだね!」

「ワン!」

 

雨が止んだのに気づいたのか、あの時の女の子とワンちゃん、あんこが出てきた。

 

「もえちゃん!ちょっと!」

 

「はーい!ちょっと待っててね、あんこ。」

 

お母さんに呼ばれて、リードを門にくくりつけたあと女の子は家に戻っていった。

それを見た善子は、先程のようになんとか犬を呼び寄せようとする。

 

 

「気づいて………!」

 

 

すると、振り向いた。確かにその子は振り向いたのだ。

 

「気づいた!」

 

しかし………

 

「あんこ!まだ雨上がったばかりだからお散歩ダメだって。おうちに戻ろうね。」

 

どうやら外には出ないらしく、そのまま家の中に連れ戻された。

 

善子も諦めたらしく、2人はバス停に向かった。

 

 

 

 

 

「やっぱり偶然だったようね。この堕天使ヨハネに気づかないなんて。」

 

「でも、あの時見てくれた。

見えない力、きっとあると思う。善子ちゃんだけじゃない。どんな人にも………」

「………そうかな?」

「うん。だから信じている限り、その力は働いてると思うよ。」

 

 

「流石、ヨハネのリトルデーモン。

堕天使ヨハネの名において、上級リトルデーモンに認定してあげる!」

「ありがと、ヨハネちゃん。」

「善子!あっ………」

 

いつもとは違うパターンだったからか、引っかかってしまうヨハネ。

思わず梨子もそれを見て笑ってしまった。

 

そうこうしてるうちに、バスが来た。

これでようやく、2人の犬をめぐる物語は、本当に終わりである。

 

 

______________________________________________________________

 

 

 

「偶然が重なって、ここまで来た。か……」

 

雨上がりの夜、1人外に出ていた千歌。中に戻ろうとすると、ちょうど帰ってきた梨子に会った。

小屋にいるしいたけになんとか触ろうと頑張っている。

 

「梨子ちゃん、どうしたの?」

「あ、千歌ちゃん……試してみようかなって思って。これも出逢いだから。

 

私ね、この世界に偶然は無いのかもって思ったの。」

 

「偶然は、無い?」

「色んな人が、色んな想いを抱いて、その想いが見えない力になって、引き寄せられて、まるで運命のように出会う。その全てに意味がある。」

 

「………うん!」

 

梨子の手には、あの犬にあげるはずだった犬用ビスケットが。

それを前に出してやると、しいたけはそれを食べた。

そして、左手をそっと出し……今度こそ、その頭に触れたのだ。

 

「そう思えたら、きっと素敵じゃない?」

 

 

次回に続く。

 

 

 




アニメ観ながら思い出して編集してるとああ、この回いいなぁ……と思った。皆さんは信じますか?運命とか、見えない力って。

自分は信じたいです。多分あるんじゃないかと。


さて、今回かなり長くなってしまったような気がするので、本来この話に入れる予定だった戦闘シーンメイン回はこれとは別で投稿します。
そちらも合わせてお楽しみください!それでは次回もお楽しみに!




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幕間 電光石火の戦いはいつ起こったのか?

ステータスデータ改定版

仮面ライダーブレイヴソニック

スペック(仮)
パンチ力 35.5t(通常モード時)
キック力 45.5t(通常モード時)
ジャンプ力 測定不能
走力 100mを約1秒55(通常モード時)

仮面ライダーソニックがハヤブサ型支援機体擬似ロイミュードRF–01と合体し変身する、本作のソニック最終フォーム。
ちなみにブレイ『ブ』ではなくブレイ『ヴ』である。(かなり重要)(これなら被らない)


ブレイブには「勇気」や「勇敢」という意味もあるが、「派手な」や「雄々しい」などの意味もある。(ネット調べ)
それらを引っくるめて『Brave』である。


変身時は、支援メカRF–01の中に搭載されている特殊な変身用のシグナルバイク
『シグナルブレイヴ』を使用。
後部には一対の翼のような物が付いていて、ヘッド部分が鳥のようになっているのが特徴。
これをドライバーに挿入する事で01と合体し変身する。

見た目(姿形)
この形態になるとまずマフラーが無くなる。
頭部の先端には、金色に近い色の嘴のようなパーツが追加され、あのハリネズミのような形状から鳥の頭部を模したスタイリッシュな形状へと変化し、より隼らしい姿に。
ヘッドのゴーグル部分も元のイラストのように、緑がかった色からより青に近い水色な感じに。
眼の形状は、両目共に仮面ライダービルドのホークガトリングのタカのようになっておりより飛行するライダーらしさ、最終フォームらしさを追求したデザインに。


背中には、通常のソニックの装備マフラーのシステムを受け継いだ翼型の飛行用装備
『アクセラーウイング』を装備しており見た目通りにブレイヴは空中戦が得意。
青と銀色のカラーリング。
また、この翼には周囲に吹く風や空気を取り込んで推進力や攻撃を強化するエネルギーに変える力を持っている。



使用しない時はまるでマフラーのように垂れ下がっている。
(オーズのプトティラ、ビルドラビットラビットのようなイメージ)
更に下半身には尾羽『Fテイルスラスター』が装備されており、こちらは自由に広げたり閉じたりが可能。姿勢制御やブレーキなどの役割を持つ。色は青と白の2色。
シグナルバイク使用時にクレストが表示される両肩のシグナコウリンの装甲は無くなっている。


脚部も通常のものから鳥のように変化。
素の01のような生物感を出しながらも近未来な戦士的なデザイン。
脚力が強化されており、飛行してない状態でも強力な蹴りの攻撃が可能。
もちろん基本走力も上がっている。

ちなみに、ボディカラーも青色が鮮やかになりまるで宝石のサファイアのような輝きに。

通常のソニックよりも装甲が追加され、一見スピードが落ちているように思えるがむしろ
逆に性能は機動力と攻撃力を中心に全体的に強化されている。

見た目がより生物感を増しており、ドライブ達旧世代ライダーとの差別化を図っている。

変身シークエンスはまず通常のソニックからマフラーが外され、スーツが少し変化する。
(この姿の状態をブレイヴスタンバイフェイズと言う)
その後、01が変化したアーマーが装着されてヘッド部分(主に眼の辺り)が変化しブレイヴへの変身が完了する。



使用武器は、ゼンリンシューター破壊により序盤は己が身体のみ。徒手空拳で戦う。

その後新武器の煌風や銃剣一体型の新武装、リジェネレイトブラッシャー使用する。

『固有能力と必殺技』

・立体的な飛行
背中の翼を使い空を地を縦横無尽に駆け回る姿はまさに空の戦士ハヤブサ。

・風系統攻撃の吸収、または抑制
通常フォームが持っていたマフラーの機能が、ブレイヴでは翼になった事で強化された。同じ風の力を持つ相手に対しては相性抜群。

必殺技は翼を広げて空中に飛び上がった後高エネルギーの竜巻を身に纏ってライダーキックで敵を貫く
『ブレイヴ・エクストリーム』

「強いだろ?最強だろ?主役のヒーローに相応しいイメージだろ?」
「あーはいはいカッコいいよー。全く、作者に画力があれば、それはそれはカッコいいヒーローイラストが出来てただろうに……」

悪かったなぁ絵がド下手クソで!
あ、この話は前の話の途中の話です。犬が飼い主に戻ったあと、その後の練習が終わり、残った隼斗と憐の戦いをご覧ください。





 

Aqoursのメンバーは練習を終え、みんな帰っていった。だが残っている者もいる。

 

 

「フッ!ハッ!フンッ!」

 

学校の屋上に残った隼斗、そしてそれを見ている憐。

隼斗は煌風を手に横に縦に、あるいは体を捻って空中回転斬りをしたりと自主トレーニングに励んでいた。

 

「(今後も奴らが来る可能性は大いにある……それに今まで出てはいないけれど、上級ナンバーの敵が来たら勝てる保証は無い…もっと強く!もっと………)」

 

 

 

 

 

 

その時、屋上に強風が吹く。

前も感じたような、それでいて嫌な感じの風が。

 

 

 

「っ………風?そういやここんとこ強い日がやけに多いが…………」

「そんなの自然現象なんだからあるダロ。そんな気にする事………」

 

 

 

「トレーニングか?精が出るな。」

 

 

俺たち以外の声がした。その方向を向くと、そこにはいつのまにか謎の男が。夕日をバックになんかアメリカにでもいそうな感じで、この時期に帽子にサングラスという、一言で言えばダンディーな男だった。

 

 

「オッサン………?」

「学校関係者………には見えねえな。何者だ?」

 

 

「オレは世界を駆ける情熱の風。そうだな…トルネード、なんて言えばわかるか?」

 

そう言うと男はその姿を変化させた。

腕や足に竜巻そのものを纏ったかのような、渦巻きの擬人化といってもいい姿。そして一瞬だが浮かび上がった008のナンバー。

トルネード・ロイミュードだった。

 

「008………一桁クラス!?」

「上級ナンバーか………!」

 

2人はそれを見るや否や同時にドライバーを装着した。

 

「なるほど、お前達が新しい仮面ライダーって訳か。」

 

「そー言う事だ。悪かったな、ドライブ先輩達じゃなくてご不満か?」

「いいや結構。どうせ変わらないからな。

相手が少し違うだけだ。しっかし………」

 

「しかし?」

 

「お前だろ?風の仮面ライダーは。」

 

トルネードが隼斗を指しながら言う。

 

「たしかに俺だが………待てよ、まさかあの雨の日の突風は……!」

「そう、オレだ。あの時にオレと同じような人間がどんな奴かと思って試してみれば………やれやれ、水も滴るいい男なんて言葉は世辞にも似合わん。服のセンスも平凡なあの男と同じようなヤツだとはな。」

 

 

そう言って肩をすくめるようなジェスチャーをしてみせるトルネード。

憧れの詩島剛に似せた服を馬鹿にされ、あの雨の日危うく事故りかけ、もとより沸点低めな隼斗の怒りはその一言だけで臨界点を超えた。

 

「んだとゴルァもっぺん言ってみろ!お前なんて俺1人で充分!今ここでぶっ潰してやる!!」

 

「おいちょっとハーさん落ち着けって!」

 

憐の制止も聞かず、隼斗は飛来したシフトデッドヒートMk-IIを変形、ドライバーに装填する。

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

「変身!」

 

《Rider!Dead Heat‼︎》

 

いつものReadyも忘れ真紅と青の入り混じるスーツを身に纏い、デッドヒートソニックへと変身し飛びかかる。

 

「覚悟しろキザ野郎!!」

 

「すぐに熱くなりすぎだ。クールにいこうぜ!」

 

そう言ってトルネードが左手を思い切り振り上げると、地面から風が巻き起こりソニックの体を捕らえた。

 

「なっ、竜巻!?」

「忘れたか、俺はトルネード、風を巻き起こす男だと言うことを!」

 

猛烈な風がソニックを襲い、そのまま壁に叩きつけた。

 

「グッ!」

 

「だーから言わんこっちゃナイ!」

 

《SignalBike!Rider!Slayer‼︎》

 

「変身!」

 

憐も見かねてスレイヤーに変身。両手に装備されたクローを構えて斬りかかるも、その渦巻きの両腕に防がれた。

 

「俺っちも相手になるぜ!」

 

「お前に用は無い。こいつと遊んでろ」

 

すると、どこからともなく武装した死神ロイミュードが。ナンバーは028。

 

「あ、待て……ってええい邪魔!」

 

振り下ろされた鎌をスレイヤーはクローでガード。だが、行く手を阻まれ、トルネードはその隙にソニックの元へ。

 

________________________________________________________

 

キリカラボ

 

「よーしこれで……ッシャア完成だ!!早速届けに………ってこれじゃ徒歩か……ええい仕方ない!」

 

一方霧香はついに例のものを完成させていた。

新たな剣のようで大型銃のようでもあるその新武器を抱えるとその場を出て屋上へ向かった。

 

_____________________________________________________________

 

 

「ってて………それもそうか、相手は風を操る奴。だったら……!」

 

シフトデッドヒートをドライバーから抜くと、シグナルソニックを装填した。

 

《SignalBike!》

 

「こっちの姿の方がいいか!」

 

《Rider!Sonic‼︎》

 

全身青や緑の通常フォームのソニックに変身し腰の刀型武器 煌風を抜く。

 

「ほう、ようやくエンジンかかったか?」

「待たせたな!こっからは更に本気だ!」

 

両手で構え、走り込む。

 

「馬鹿正直に正面からだと、どうなるかもう忘れたか!」

 

トルネードがまたソニックの正面に竜巻を生成した。

ソニックを取り込もうと接近してくる。

 

「忘れてねえよ!だから………」

 

ソニックはイグナイターを連打。シフトアップを発動する。

 

《ズーット・ソニック!!》

 

「その風、貰うぜ!」

 

左足を前に出し、急ブレーキをかけた後爪先の向きを内側に変えて竜巻の右前側に急転換。

 

その瞬間、竜巻側になびいたマフラーが能力でその風を吸収、更にその身を加速させた。

 

「なにっ!?」

 

「貰った!」

 

その加速力のお陰で、ソニックは一瞬にしてトルネードの懐に入り込み、煌風を振り抜き一閃。重い一撃を喰らったトルネードはそこから下がった。

 

「おお、ハーさんやるじゃん!っとあぶね!」

 

よそ見していたスレイヤーもロイミュードの攻撃を喰らいそうになるがギリガード。

危うく落下するところだった。

 

「チッ…………」

 

「まだまだ!」

 

 

「させるか!」

 

更に手首を返しもう一度斬撃を喰らわそうとするが、それは両手で挟んで防がれた。

 

「反応速度随分速えな………」

「生憎速さには自信があるんだ。フンッ!」

 

そのままソニックを押し返し、互いに距離をとった。

 

「だったらこれだ!来い、鳥!」

 

『ーッ!』

 

鳴き声を響かせRF-01が飛来する。ソニックの周りをグルグル回った後、自身の体の中からシグナルブレイヴを射出。

 

「それは………」

 

 

《Evolution!》

 

それをキャッチすると、ドライバーにセットしレバーを下ろした。

 

《Super Rider!Brave!TAKE OFF‼︎》

 

「超変身!」

 

通常のソニックのスーツが変化、分離変形し装甲になった01が全身に装着され、最強形態ブレイヴソニックへと変身した。

 

「ほう………」

 

「待たせたな、スピードレースと洒落込もうぜ!」

 

《カナリ・ブレイヴ!!》

 

ボタンを何度か連打しシフトアップ発動。

姿勢を低くし、軽く両腕を広げると、右手の煌風を構え直す。

 

「面白い」

 

トルネードも両手を広げ構えを取る。

一瞬だけ止まると、両者が同時に動いた。

 

「ハァッ!」

「フッ!」

 

その2人の速さはまさに電光石火。

ブレイヴソニックの左パンチを避け、トルネードがドリルのようなエネルギーを纏った右手を突き出す。

だがソニックはこれを左手の甲で弾き、前蹴りを喰らわせる。

 

「グッ!」

「ハァッ!」

 

煌風を振り抜き斬撃を喰らわせ、トルネードを吹っ飛ばす。その隙に一気に急加速、先程のように竜巻トラップを発生させる事隙も与えず突き攻撃でダメージを与えた。

 

「この速さ………あの仮面ライダー以上!」

「どうだ?俺結構(つよ)いだろ?」

 

「やるな………だがオレだって負けてない!」

 

トルネードが一気に急加速し、屋上から姿を消した。

 

「消えた?」

 

 

「ハーさん………あそこ!」

 

未だ死神と戦闘中のスレイヤーが右手のクローで校庭を指し示す。数人の生徒が残っていたが、全員が逃げていく。

 

「サンキュー憐!逃すかってんだ!!」

 

屋上から飛び降り、背のアクセラーウイングを展開。滑空するように降りていく。

 

 

________________________________________________________

 

 

「待てぇぇぇぇ!」

 

 

ソニックはその勢いを保ったまま一気に急加速、煌風の剣先を突き出した。

 

「その速さはもう慣れた!」

 

だが、トルネードは右手をドリル状に変化させてそれをガード。

加えて左手に風を纏い、着地したソニックを殴り飛ばした。加えてまた竜巻を起こし、それがソニックを捕らえた。凄まじい強風が彼を襲う。だが………

 

 

「こっちも対策は万全…………なんだよ!!」

 

ソニックは背の両翼を大きく広げた。

すると竜巻が徐々に弱まっていき、最終的に全ての風が翼に取り込まれてしまった。

 

 

「なんだと!?」

 

「おお………ソニックの正統進化って感じの見た目だからもしかしたら搭載されてるかなーと思ったけど………スゲェなこれ!」

 

 

 

 

「当然!!ブレイヴソニックの能力は、強力な攻撃力とスピードが自慢だ。加えて第3の能力もある!これが1番設定作るのに苦労したよ………この『風属性攻撃のほぼ完全無効化』は!」

 

そこへ、校舎の方から声が聞こえた。

ソニックが振り向くと、そこには剣型武器を持ち、ゼェゼェと息を切らせた霧香がいた。

 

 

「博士!?」

「全く……普段はほとんど校舎か自宅兼任のラボに引きこもっているから…自分が本当に体力無いのを忘れてたよ……とにかく受け取り………たまえ!!」

 

ハンマー投げのハンマーの要領で霧香はそれをぶん投げた。それと同時に、勢いに負けたか三徹の疲れか倒れ込んでしまった。

距離が足りず少しだけ飛んだのそれを、ソニックは加速して左手でキャッチした。

 

 

【挿絵表示】

 

 

緑色に光る刀身に、赤と青の雄々しい色。

持ち手の部分には銃のトリガーがついていた。

 

イメージ挿入歌

Spinning Wheel 隼斗ソロver.

 

「重っ……おお!できたのか新武器!これ名前は……」

「自分で………決めて………それじゃあおやすみ………」

 

そう途切れ途切れな声で言い、今度こそ霧香はパタリと寝てしまった。

 

「リジェネレート………スラッシャー?いやこれ銃としても使えるっぽいしブラスターと呼ぶべき………?」

 

「なんだかよく分からんが……風が通じないならこれだ!」

 

トルネードはドリルのような右手を挙げて接近してくる。

 

「まだ決めてる途中だっつってんだろ!!」

 

 

左手に掴んだ新武器でトルネードの振り上げた右手をガードし、右手の煌風で横に斬りつける。更に、そこから振り上げたあと即座に振り下ろし新武器で同じように斬りつける。

 

「ぐおっ!」

 

重い一撃が入ったか、トルネードは下がって体制を立て直す。

 

「まだまだ!」

 

「なっ!」

 

《カナリ・ブレイヴ!》

 

 

もう一度シフトアップし急加速。

一気に接近した後、右膝蹴り、煌風、新武器の連続斬り、右足前蹴り両手武器の交差させての斬撃を目にも留まらぬ速さで繰り出し、大きく吹き飛ばした。

 

「ぐおああ!」

 

 

 

「よっ……おお!こりゃすっげえ………で、これ銃にするには…………これか!」

 

 

持ち手部分を見回してみると、親指の先の辺りに1箇所だけカッターナイフで四角に切ったような妙な箇所が見つかった。

そこを親指で押し込みながら斜めにする。

すると、グリップが斜めになり武器が変形した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「おお、銃だ!ん?いやこれどちらかというとブラスターとかランチャーとかその辺か?んー…ま、いいや!」

 

「武器を変えたか……」

 

「………ハッ!」

 

そのままそれをトルネードに向け、トリガーを引いた。

そして瞬時に風が緑色のエネルギーとともに銃口に収束し放たれた。しかし、反動で腕が上がって狙いがズレた。

 

「グッ!?」

 

だが、見事弾はトルネードの腹ではなく肩に命中し吹っ飛ばした。

どうやら多少ノックバックがあるようだ。

 

「チャージ時間が少し延びたか…?速射性はシューターに劣るが、威力は充分!」

 

続けてトリガーを引きまくり、弾丸を撃ち続ける。反動のせいで狙いは無茶苦茶だが、それでもかなりの数命中した。

 

 

「ば、馬鹿な………!」

 

度重なるダメージでボロボロになっていたトルネードは、それでも耐えておりフラフラと立ち上がった。

 

それを見たソニックも急加速しバックした。

 

「さぁ、フィニッシュと行こうか!えーとこれどうすれば………?あ、こうか!」

 

変形させたグリップの上に僅かにスペースができている。ひょっとしてだけど………

俺は煌風を一度その辺に放り捨て、武器を右手に持ち変えると手元からシグナルソニックとシフトデッドヒートⅡを取り出し、そこに装填した。

 

《Signal Sonic!》

 

《Shift Dead Heat!》

 

「なるほど、トレーラー砲と同じってわけ!」

 

《ヒッサツ!》

 

トリガーを引くと必殺!の音声が鳴り、銃口にエネルギーが収束していく。

ソニックは翼を大きく広げ、足でしっかりと地面を踏みしめ左手は武器の上の部分に添えガッチリと構えた。

 

 

「おのれ…………!!」

 

 

 

「あばよトルネード!風属性でスピード系は俺1人で充分だ!!」

 

 

《Full throttle Over!!》

《Sonic!Heat!》

 

もう一度トリガーを引くと、銃口から超巨大な青と赤の入り混じったエネルギー砲のようなものが放たれ、トルネードに一直線に向かっていく。

 

 

「吹っ飛べぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

「まだ終わるかァァァ!!」

 

 

トルネードは自身の周りにいくつもの竜巻を起こしバリアを作った。だが、そのエネルギー砲はそれすらもあっという間に打ち消し、有り余るエネルギーでトルネード本体を吹き飛ばした。

爆炎と土煙が同時に上がり、それが晴れる。

 

 

「やったか………?」

 

 

だが、そこにトルネードの姿は無く。そこらを見回してもコアの一つも見当たらなかった。

 

「あれだけやってまさか逃げられるとは……超進化してたらハート・ロイミュードに匹敵の実力は伊達じゃないってことか………」

 

後一歩及ばなかったのが我ながら悔しくてたまらない。蛮野すら一方的にボコれた程の力があったのに…………ん?何か聞こえるような………

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ !?」

 

ふと振り向くと、いつのまにかスレイヤーが死神にやられ叩き落とされてるではないか…

 

「ってやっべ!」

 

右足を一歩下げ、走り出して急加速。

落ちて地面に叩きつけられる前にダイビングキャッチした。

 

「セ、セーフ………」

 

「サンキューハーさん助かった………肝を冷やしたぜ……」

「こっちの台詞だ」

 

「すいませーん。っ!ハーさん後ろ!」

 

「え?うぉっ!?」

 

振り向くと死神が鎌を構えたままこっちに向かって飛び込んできた。

俺は即座に一時停止し右に避けた。

死神は地面に着地した。

 

俺は憐を地上に下ろし一気に死神に接近する。

 

「憐、ここで待ってろ!せめてあいつだけでも仕留めてやらぁ!」

 

走り込んで思い切り右手を握りしめ殴り飛ばす。

吹き飛んで起き上がるまでに、俺は新武器の方を即座に取りに行く。

 

「ここで終わらせる!」

 

そして右手に再び持った。

既にシグナルバイク二つは装填済み。

俺はそのままトリガーを引いた。

 

《ヒッサツ!》

 

そして、そのままグリップを剣の状態に戻しトリガーを引く。

緑色の刃が光り輝き、エネルギーを纏って刀身が伸びる。その状態の武器を左に構えた。

 

「トドメだ!!はあぁぁぁぁぁッ!!」

 

《Full throttle Over!!》

《Sonic!Heat!》

 

翼を広げて少し地面から浮かび上がりホバー移動の要領で加速。

高速で一気に接近し、エネルギーの刃で死神を斬り裂いた。

 

強力な一撃を喰らった死神は大爆発。

そのボディからコアが飛び出した。

 

「銃………あ、これで……どうだ!!」

 

一瞬コアをどう破壊するか迷ったが、なんとそのままその武器を投擲。

刃がコアを貫き砕いた。

勢いを失った武器は落ちていき、グラウンドに突き刺さった。

 

 

「ふぅ…………」

 

 

一息つくのと同時に、装甲の01が分離し元に戻る。余剰エネルギーが青い羽になって散り残ったスーツも変身解除で消えた。

 

《オツカーレ!》

 

「なんかすげえ久しぶりな気がする。おう、本当にお疲れさん。」

 

「ハーさんなんだよ今の!すげー速くて目で追えなかったゼ⁈」

「新武器ができたからこそのあの活躍っぷりよ。博士に感謝しないとな。」

「ところでよ、名前どーすんダ?」

「名前………名前か………リジェネレートってとこまでは思いついたんだよ。博士も言ってたし。それであとはブラスターにすべきか、スラッシャーにすべきか………ってとこだったんだけれど。うーん…………」

 

隼斗が首を捻って考えていると、憐が思いついたように言った。

 

「だったら両方つければ?ほら、ブラスタースラッシャーみたいな。」

「いやそれだとややこしいだろ?…………いや待てよ………ブラスター……スラッシャー……ブラスラッシャー………ブラッシャー!

そうだ!これだ!」

 

「ハーさん?」

 

「決まった、こいつの名前!リジェネレイトブラッシャー!!」

 

「リジェネレイトブラッシャー?ブラシかなんかに聞こえるが………」

 

「なんかごろの良い感じに思いついたからこれにする。ブラスター+スラッシャー、二つの武器の要素を一つにした博士の最高傑作!」

 

「んー………まあ、ハーさんが満足してるなら俺っちもそれでいいよ」

 

「よし!決定!今日からお前は、リジェネレイトブラッシャーだ!」

 

隼斗は新武器を拾い上げ、空にかざしながら言った。

新武器、リジェネレイトブラッシャーはその命名を喜んでか、誇らしげに輝いていた。

 

 

 

「あ、そうだ博士を回収しねーと………」

 

「あ、そうだ………戦いにこそ巻き込まなかったけどあれ放置してたら!戻るぞ憐!」

 

2人は息つくヒマもなく博士の所へ戻った。

ついでに隼斗は両方の武器を回収。

その後、霧香博士は2人によってラボのソファーに丁重に寝かされたとかなんとか。

 

 

幕間の物語 FIN.

 




ソニック新武器
武器名 リジェネレイトブラッシャー

霧香博士が戦闘で破壊されたソニック専用のゼンリンシューターを元に開発したソニックの新武装。
シューターと比べて全長は少し大きめ。
名前のブラッシャーの由来は、ブラスター×スラッシャーでブラッシャー。
regenerateは再生する、生まれ変わるという意味を持つ。
そこから分かる通りゴルドドライブとの戦闘で破壊されたゼンリンシューターを元にアレの後継機として開発された。

ブラスターガンモードとブラスターブレードモードの2種類モードがあり、状況に応じて使い分ける。
グリップ部分にあるモードシフトスイッチを押しながら動かす事で変形できる。

必殺技の発動
ブラッシャーにシグナルバイクを2つ装填。
(1つだけ、なおかつセットしたのが変身用のシグナルバイクの場合は強化通常攻撃)

トマーレⅡやカクサーンⅡの単体使用の場合は従来の特殊攻撃の強化版。
シグナルバイク1つセットでの発動音声は
《Signal Boost!○○○!》
○○○はシグナルバイクの名称

*ブラスターガンでも、ブラスターブレードでも必殺技は発動可能。

必殺技はシグナルバイク2つセットに加えてドライバーでのフルスロットル発動により、最大出力に更に曲が上乗せされた超強力版が出せる。

必殺技1
・ブラスターブレードモードでの場合
一度ブラスターガンモードに変形させる。
その時に変形させる事でできたスペースからシグナルバイクをセット。
ブラスターブレードモードにしてトリガーを二回引く事で発動。
ブレードモードでの発動時はグリップを両手で持っている。

必殺技は、ブレードの刃部分にエネルギーをチャージして刀身を伸ばし、超高速で相手の懐に入り込みそのまま相手を叩き斬る(もしくは薙ぎ払う)
カミカゼ・アクセルキャリバー

必殺技2
・ブラスターガンモードの場合
ブラスターガンモードでの必殺技発動の時はブレードモードとは異なり、ブラスターガンモードの状態でシグナルバイクをセットし、トリガーを2回引く。(発動手順はブラスターブレードモードと変わらず)
グリップを持たない左手はこの時上の部分に添えてブラッシャーを体につけしっかり地面を踏み込み反動で吹き飛ばないようにする。


ブラスターガンモード必殺技
シグナルソニックとシグナルブレイヴの2つをセットし銃口から巨大竜巻に匹敵する暴風とエネルギーを纏った、敵を貫通する超強力エネルギー砲を放つ
テンペスト・バースト

発動音声
1回目トリガーで《ヒッサツ!》の音声と待機音が鳴る。
2回目トリガーで《Full throttle Over‼︎》
《○○○‼︎・○○○‼︎》○○○はシグナルバイク名
デッドヒートは都合上省略してヒートのみ


ビルドの武器 フルボトルバスターと似た感じになっており、大きさもほぼ同じである。


ブラスターガンの威力はゼンリンシューターとは段違いに底上げされているが、撃った時の反動は割と大きめ。
ブラスターブレードの斬れ味は煌風と同等。
武器そのものの重量もそこまで無い為煌風と合わせて二刀流での使用も可能である。
なお大きさは多少異なる為バランスの悪さが気になるところ。




やっと出せました新武器!デザインはおなじみ一時キリカさんに作成してもらいました。本当助かってます。
というかドライブ観たのなんてもうかなり前だからトルネードの口調とかこれであってるのか実に不安です。

ともかく、よりパワーアップし続けるブレイヴの活躍もいっしょに、次回もお楽しみに!



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第2期7話 彼女(達)の輝きとは何か

ミニメタストーリー 『俺の方が速い』

隼斗「おい作者!」

ますつり「なんだぁ隼斗?」

隼斗「最近、新人ライダーのゲイツなんとかってやつがいるらしいな?」

ますつり「ゲイツリバイブな。パワータイプでオレンジ色の剛烈とスピードタイプで青色してる疾風の2モードがあるぞ。」

隼斗「そうそれだ!なんか姿少し見たんだがよ、あれ俺とイメージモロ被りじゃねえか!スピードタイプってのも………」


ますつり「まあ先に出たのはこっちだが……所詮こっちは2次創作だ。公式どうこうは言えねえよ。」

隼斗「でもよ、未来予知超えられる速さっつーけどよ、その疾風。流石に俺よりは遅いだろ!」

ますつり「あー、それなんだがな隼斗。」

隼斗「なんだよ。」








ますつり「お前の方が遅いぞ。」



隼斗「…………え?」



説明しよう!ソニックの強化フォームである最強形態ブレイヴソニックのスピードは設定上100mを1.55秒に対しゲイツリバイブ疾風は100mを0.9秒なのである!!



隼斗「向こうの方が、速い………?」

ますつり「まあ心配すんな少年よ。お前は更に強くなる。速くなる。それこそ俺が今まで作り上げてきたキャラたちの……誰よりもな。」

隼斗「…………速く?」

見てみると作者の手元には一台のスマホが。

ますつり「このデータによれば、ブレイヴソニックには隠された秘密のシステムが……」

隼斗「おいそれ言っちゃダメなやつだろ!!」

この前見たゲイツリバイブ剛烈(モモタロスver.)を結構気に入った作者。
妄想でゲイツリバイブ疾風(隼斗)とか考えてました。コラボとかがあればワンチャン…


大変長らくお待たせしました!異世界ディケイドにハマりすぎてこっちが手につかず………

コラボ控えてるし急がねば!


本当はこれジオウまだやってるときに投稿する予定で書いてた。
まさかゼロワンワンクール終わるまで投稿しなかったとは……



 

これまでのサンシャインサーガ!

 

雨の日の帰り、犬を拾った善子達。

だが、善子は自分の住む家の事情からその犬を梨子に預ける事にする。

しかしそんな梨子も大の犬嫌い。なんとか頑張りながらもそのお世話をするのだが……

 

数日後。その犬の飼い主が見つかる。

だが、拾った本人善子は飼い主は本物ではないのでは、あの犬との出会いは運命だと信じて疑わず……

 

結局善子はその犬の事を諦めた。

 

だが彼女も、そして梨子も信じているようだ。

 

どの人にも、見えない力はあるのだと。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、今日は地区大会の会場発表の日。

一年生、二年生の7人が部室にいた。

 

「来ました!」

 

『!!』

 

ルビィの開くパソコンに表示された場所。

そこは見覚えのある場所だった。

 

「見た事あるずら!」

 

「ここは……前回ラグナロクが行われた約束の場所…!!」

「私達が突破できなかった地区大会……」

「あの時と同じ場所、か………」

 

「あの時のリベンジ、だね。」

 

「……………。」

 

千歌はその画面を真剣な表情でジッと見ていた。

前回大会では突破できなかった地区大会。

それも同じ会場で行われるのだ。気が引き締まる感じなのだろう。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

同時刻、生徒会室。

三年生+隼斗(と01)が現在の状況について確認していた。

 

「57人?」

 

 

「そう。今日現在、入学希望者は57人。」

 

「一応半分は越してるのか………けど100目標とするとまだまだ足りてねえ……」

 

「ですが、この1ヶ月で10人も増えていないという事ですのよ?」

 

「鞠莉のお父さんに言われた期限まではあと1ヶ月も無いって事だよね?」

 

「ええ。ラブライブ地区大会が行われる日。そこまでに100人到達していなければ…今度こそ、あとはnothingデス。」

 

「……最低でも、あと…43人か。」

 

「つまり、次の地区大会が………」

 

 

 

 

「Yes.Last Chance……………」

 

 

「そこに賭けるしかない、ということですわね。」

「そうなるな。いよいよ追い込まれたか…」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「one.tow.three.four!one.tow.three.four!チェンジして!UP!UP!!

Oh!good !ここの腕、もう少し合わせたいね!花丸はもう少し上げて!そう!よし!

じゃあインターバル後個人でね!」

 

「全員、水分補給しっかりな!休める時にしっかり休めよ!!」

 

 

今日の沼津での練習。

地区大会に向けて、全員気合いが入っていた。

 

「疲れたずらぁ………」

 

「大丈夫花丸ちゃん?」

「ずらぁ……」

 

 

「おっ!全国大会進出が有力視されてるグループだって!」

 

「なになに⁉︎そんなのあるの?」

 

「ラブライブはスクールアイドルの甲子園。最も注目を浴びるイベントと言っても過言ではないからな。予想する人も少なくはないんだろ。」

 

「どんなグループがいるの?」

 

「前年度大会に出たグループはもちろんいるみたいだし……あっ」

 

曜が見つけたのはSaint Snow。

 

「Saint Snow…」

 

「前回大会では地区予選をトップ通過シ、本戦…決勝デモトップ10入り。

あの2人もかなりのヤリ手だナ…」

 

「姉の聖良は今年3年生。最後の大会で優勝を目指している、か…」

 

「あの2人も気合入ってるだろうな…」

 

「他にはどんなグループが?」

 

「他は……あっ!」

 

 

他のグループについて見ていると、そこにはAqoursの名前が。

 

「Aqoursいるじゃねえか!」

「オー…」

 

「『前回は地区予選で涙を飲んだAqoursだが、今回の予備予選でのパフォーマンスは、全国大会出場者達に引けを取らない物だった。今後の成長に期待したい。』」

 

 

「…頑張らねえとな。」

 

「うん!」

 

 

「このヨハネの堕天使としての闇能力を持ってすれば、その程度造作もない事なのです!」

 

「そう!造作もないことなのです!…ハッ」

 

おなじみヨハネ…もとい善子の堕天使節。

だが今回は何故か梨子まで一緒になっていた。

 

 

「流石我と契約を結んだだけの事はあるぞ、リトルデーモン、リリーよ!」

 

「無礼な!我はそのような契約結んでおらぬわ!!」

 

 

「こいつらこの数日で何があった?」

 

「リリー?」

 

「これが堕天ずらか…」

 

「うゅ。」

 

「違う!!」

 

「welcome to hell zone!」

「待てぃ!」

 

「なんか楽しそう!」

「千歌ちゃんまで⁉︎」

 

「同胞が増えてテンション上がってるみたいだな。」

「ゆーて俺っち達もダゼ?ある意味。」

「だな。」

 

そう談笑していると、ルビィがまたスマホでサイトをみていた。

 

「今回の地区予選は会場とネット中継でのお客さんの投票で結果が決まるんだって。」

 

「へぇ、って事はわりとすぐ結果出るのかもな。」

「何日も待つよりはいいじゃん!」

 

「そんな簡単な話ではありませんわ。」

「え?なんでだよ?」

 

その話を遮ったのはダイヤ。

何やら深刻そうな表情をしていた。

 

「会場には出場校の生徒達が応援に来ていますのよ。」

 

「それってつまり…!」

 

「生徒数が多い学校が有利になる…俺達からしたらかなりその点でのハンデが大きいって事になる。」

 

「厳しイ戦いになる…って事ダナ。」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

その夜、浦の星地下のキリカラボにて。

 

「なるほどな。それは確かに最もだ。」

 

棒状のお菓子をまるで煙草のように口に加えながら、お気に入りの回転椅子に座っていた霧香が隼斗が話していた。

 

「生徒数の数の差…そこに関しては、残念だが現状の我々では埋めようがない。」

 

「どうにかできないか?一時的にでも人を増やしたり、それか…「君は不正してでも勝ちに行きたいのか?」…だよな。悪い、今のは忘れてくれ。」

 

「我々が勝つ方法は一つ。パフォーマンスでその差を埋める。だが…私もここ数日の練習を見ていて思うが…今のままではそれは少し難しいだろう。何かこうもうひとこえ有れば…」

 

「もうひとこえ……」

 

ふと、脳裏にある景色が浮かぶ。

いつだったか、アレを見たのは……

 

 

『これ、フォーメーションのやつか?へぇ…これ3人の時に全部?』

 

 

 

『これは………?』

 

『っ………昔のやつ。今度の地区予選にもしかしたら使えるかもしれないけど……やっぱり今のみんなには使わせられない。』

 

 

そうだ、アレがあった!

 

 

「いい事思いついた!博士、鳥は⁉︎」

 

「その辺にいるはずだが…」

 

「借りてく!!」

 

「あっ…!終わったら返せよ!メンテしないとだから…」

「わーってるって!!」

 

隼斗は何かを思い出し、駆け足でラボを飛び出していった。

 

「やれやれ…若いってのはいいねぇ…」

 

1人取り残された霧香は、更に袋からもう一本追加でお菓子を取っていた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……」

 

1人海の近くで黄昏ていた果南。その手元には『Aqours ダンスフォーメーションアイデアノート』と書かれたノートが1冊。

 

 

「やっぱりそれしかないかもね!」

 

「…!」

 

振り向くとそこには鞠莉とダイヤの2人が。

 

「ですわね。」

「懐かしい…。まだ持ってたんだ、ソレ。」

 

 

「まさか…やるなんて言うんじゃないだろうね?」

 

「まさか…やらない、なんて言うんじゃないでしょうね?」

 

「っ…」

 

「状況は分かってるでしょ?それに賭けるしか方法は無い。」

「でも…」

 

「私、あの頃の気持ちと変わってないよ。」

 

「鞠莉…」

 

「今回は私も鞠莉さんに賛成ですわ。学校の存続の為に、やれる事は全てやる。それが、生徒会長としての義務だと思ってますので。それにこれが、ラストチャンスですわ。」

 

「…でも、出来る事じゃない。これは出来ない事…」

「そんな事はない。あの時ももう少しだった。もう少しで…」

「でも出来なかった。それどころか、鞠莉の足まで…」

 

「それは、私がいけなかったの!果南に追いつきたいって、頑張り過ぎたせいで…」

 

「そうですわ。それに今は9…いえ、11人もいる。私達だけではありませんわ。」

 

「…駄目。やっぱり駄目だよ!…届かない物に手を伸ばそうとして、その所為で誰かを傷つけて…それを千歌達に押し付けるなんて…っ!こんなの…!!」

 

そう言うと果南は、その手に持っていたノートを海に投げ捨てる。だが…

 

「…!!」

 

鞠莉は木の柵を踏み台にそのノートをキャッチしようと飛び出した。

 

「鞠莉さん!!」

 

ノート諸共海に落ちるかと思ったその時……

 

 

 

 

「っしゃラッキー!!目的のものが向こうから来てくれるとは!!」

 

 

大きな音を立てて海を斬り裂き、一筋の流れ星の如く彼女達に迫る一条の蒼く輝く光が。

 

それは宙を舞っていたノートを掴み取り、海に落ちかけていた少女をもキャッチしてみせた。

鞠莉が目を開け、顔を上げてみると……

 

「っ……ハヤト…?」

 

そこには彼女がよく知る仮面のヒーローが、自慢げに彼女の方を向いていた。

 

「ったく…なにをやってるのかと遠目で視てたら、果南姉ちゃんは急に目的の物を捨てようとしてるし、鞠莉がそれを取ろうとして海に飛び込もうとしてるんだもんなぁ…超特急のブレイヴで来て正解だったぜ。」

 

「隼斗さん…!どうしてここに?」

 

「いやぁ何、俺もちょっと姉ちゃんに急用があって。どうやら、みんな用件は同じみたいですけどね…っと!」

 

鞠莉をキャッチしたそれは、彼女を2人の側に下ろしてやると、自身もベルトからシグナルブレイヴを引き抜く。

 

すると、装甲の一部が分離、鳥型のメカとして再構築される。

余剰エネルギーが羽根の形となって周囲に舞い散り、ドライバーを閉じると残ったスーツも光となって消える。

そしてそこには、変身者である隼斗がいつも通りの姿で立っていた。

 

「わざわざ飛んできたの…?」

 

「いやぁすぐに話したかったんだけどこの時間はもう船無いし。バイクじゃ海は渡れないし。そう考えると今の俺には残された手段はこれだけだったから。」

 

「…ケータイで連絡すればよかったのでは?」

「マジレスしないでダイヤさん。…ってか、こんなので話したところで姉ちゃん説得するのは無理だな〜って思ったから。だったら直接話したかった。」

 

「ホント、隼斗はカナンの事になると一直線なのね。」

「一直線過ぎるのもどうかと思うけどね。」

 

「それが俺の存在意義だから。果南姉ちゃんが困ってるなら助ける。これは、俺の恩返しでもあるから。」

 

「「恩返し…?」」

 

「まあ、その話は今はいいんだ。…それより姉ちゃん。話は一部始終聞かせてもらった。それで、これは俺の勝手な意見なんだけど…」

 

ドライバーを外し、ジャケットのフードに放り込む。そして彼は果南をジッと見つめながら真剣な目で言った。

 

 

「…姉ちゃんにとっては、確かにその昔の事ってのは辛い記憶かもしれない。

でも、どうかその事を否定するのだけは…余りして欲しくは無い、かな。だって、ほら!鞠莉とか、ダイヤさんにとっては…それは、大切な思い出の一つのはず。

今はもう3人だけじゃない。仲間達がいる!

俺達だっている!」

 

「隼斗…?」

 

「…あの時3人が夢見た景色。今度こそ、完成させようよ!!俺、言ったでしょ?後悔させないって!俺が生きている限りは、姉ちゃんに少しでも後悔なんてして欲しくないんだ!その為なら、俺は…俺は自分の全部を出す事を惜しまない!だから…!!」

 

そう言って勢いよく頭を下げ、そのノートを果南に差し出す隼斗。そう、彼は誓った。

自分が愛する人の夢、それが果たせるかもしれない最後のチャンス。

それを掴む為なら、自分は……

 

「隼斗、私は…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

翌日の練習にて。

 

 

『新しいフォーメーション⁉︎』

 

「そうだ。2年前…この3人だけだった頃の旧Aqours時代、考えられていた物。」

 

「でも、それをやろうとして鞠莉は足を痛めて…それに、他のメンバーの負担も大きいの。今、そこまでしてやる意味は…」

 

「ある!言ったでしょ?やれる事はやるんだって!昨日も散々言ったのに!」

 

「隼斗はそう言うけどね!何度も言うけどアレは…」

「はいはいお二人とも、こんな所で喧嘩しないでください。」

 

「「だって姉ちゃん(隼斗)が!!」」

 

「なんです?」

 

 

「「…すいませんでした…」」

 

 

ダイヤのひと睨みで即座に沈黙する2人。

その光景を見ていたメンバーも「おお…」と感嘆の声を上げていた。

 

「そんなのがあったの⁉︎やろうよ!それ!ねぇ果南ちゃん、そんなのがあるなら今使わないでどうするの?私最初に言った!絶対に諦めたくない!」

 

「…でも、これはセンターを務める人の負担が大きいの。あの時は私だったけど、今の千歌にそれができるの?」

 

「大丈夫。やるよ、私!」

 

千歌は果南の手を取り、真っ直ぐに見つめて言ってみせた。

 

「決まりですわね。果南さん、あのノートを渡しますわよ。」

 

「今のAqoursをbreak throughする為には、必ず越えなきゃならないwallがありマース!」

「今がその時かもしれませんわね。」

 

「…言っておくけど、私が危険だと判断したら私はラブライブを棄権してでも千歌を止めるからね。」

 

果南は何がなんでもやるという姿勢の千歌を見てとうとう諦めたのか、ノートを取り出すと千歌に手渡した。

 

「なに、俺も協力は惜しまない。

みんなで完成させるんだ、今度こそ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

その夜…

 

旅館の居住エリア内。隼斗の自室にて。

 

「……」

 

夕食後、特にやる事も無いのでベッドに寝っ転がって天井を見上げていた隼斗。

その隣では01が羽を休めていた。

 

「トレーニングは今日の分済ませたし、宿題も特に無し。暇だな…」

 

『ー。』

 

01も主人の言葉に同意を示すかのように首を縦に振っている。

 

「そういや本当に今更だけどお前の名前…個体名とは別の名前考えてなかったな…呼びやすい名前か…いつまでも鳥ってのもなんだかなぁ…」

 

すると、ドスン!と突如衝撃が音を伴って響いた。

 

「なんだ?地震?」

 

 

『いてて…思ったより難しいな…』

 

襖越しに聞こえる声。

アイツ家の中で練習してんのか…俺達はともかく他の客に迷惑じゃないのか…

 

『千歌!うるさいって…『うわぁぁ⁉︎』』

 

 

今最高に大きな音したけどまぁ気にするほどじゃねえか…ってか今絶ッッ対美渡姉にぶつかったな…?しかもドタバタ音がする…あの2人追いかけっこしてんな……このまま放置したらそれこそ迷惑だ、仕方ない…

 

「鳥、アイツら止めに行くぞ。」

 

『ー。』

 

了解、ご主人。とでも言うかのように01は彼の肩に乗ると、共に部屋を出た。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「よっ…とと……うわぁっ⁉︎」

 

あの後なんとか2人を止め、練習場所を砂浜に移した。

 

「ダメだダメだ!もっと体全体使って!」

 

「全体…分かった!」

 

俺なりの解析だが、今回のフォーメーションはかなりアクロバティックな要素が強い。

そこで、俺は千歌の専属コーチとしてアメリカで得た技術を使い指導する事になった。

のだが…

 

「うわっ⁉︎」

 

これが中々難しい。あの果南姉ちゃんですら難しいと考えさせただけの事はある。これはかなり苦労する事になりそうだ……

 

 

_____________________________________________

 

 

「心配?」

「…やっぱり、こうなっちゃうんだなって…隼斗も、戦いなんかがある中で普段の練習とはまた違った事をやる事になったし…」

 

「ソコはまあ、あの子がやるって言い出したんだし。…でも、やりたかったね。私達3人で、アレ。」

 

「それなら、なんで千歌達にやらせるの?まるで押し付けるみたいな…」

 

「千歌っちならできるって信じてるから。

今のAqoursなら、必ず成功する。果南だって信じてるでしょ?」

 

2人は遠くからただその練習風景を見守っているだけであった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「千歌ー!頑張ってー!!」

 

あれから早くも1週間が経過した。

今日は体育館でスペースを借りての特訓。

もちろんマットは敷いて安全を確保した上でだ。

 

だが今回も上手く行っていなかった。

千歌は勢いよく前のめりにマットに倒れ伏していた。

 

「大丈夫⁉︎」

 

「大丈夫…大丈夫…っ!もう一回!」

 

「そろそろ休憩しない?5日もこんな調子じゃ体壊しちゃうわよ?」

 

「ううん、大丈夫!もうちょっとで掴めそうだから…」

 

息を切らしながらそう答える千歌をメンバーは全員心配そうな目で見ていた。

 

「地区大会まで残り2週間なんだよ?ここで無理して怪我したら…」

 

「うん、分かってる。でも、やってみたいんだ。…私、最初にここで歌ったときに思ったんだ。みんながいなかったら何もできなかったって。

 

ラブライブ地区大会の時も、この前の予備予選の時も。みんなが一緒だったから頑張れた。学校のみんなにも、町の人達にも助けられて…だから、少しくらい恩返しがしたい!

 

怪我しないよう注意するから、もう少しだけやらせて!」

 

そう言って元の場所へと戻っていく千歌。

 

果南も、そして隼斗やみんなも止める事なくそれを見守っていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

その日の夕方。

また砂浜で練習しているものの、中々上手く行かない。

 

「気持ちは分かるんだけどね…やっぱり心配。」

「だよね。」

 

「じゃ、2人で止めたら?私より2人が言った方が千歌には効くと思うけど。千歌には。」

 

「そうは言っても…」

「隼斗がねぇ…」

「隼斗くんの場合は果南さんが効くだろうから……」

 

「うわっ⁉︎」

 

「…なんだかなぁ…教える事は全部言ったはず…まだ何か足りないのか?」

 

「うん、コツは掴めてきたんだけど…」

 

「考えないと…考えないと……」

 

 

「アレを止めるのは難しいかも。」

「2人とも、すっごく集中してるしね。」

 

「…隼斗」

 

「隼斗?」

「隼斗君がどうかしたんですか?」

 

「コレやるってなったとき、隼斗言ったんだ。」

 

 

『今度こそ、完成させようよ!!俺、言ったでしょ?後悔させないって!俺が生きている限りは、姉ちゃんに少しでも後悔なんてして欲しくないんだ!その為なら、俺は…俺は自分の全部を出す事を惜しまない!だから…!!』

 

 

「後悔させない…」

「なんというか、隼斗らしいと言えばらしいんだけど…」

 

「そういえば気になったんだけど…隼斗君ってどうしてそこまで果南さんに尽くすんだろう?」

 

「確かに…昔はいつも誰かの…というかいつも果南ちゃんに隠れてオドオドしてた隼斗がどうして…」

 

「多分、それこそ私だと思う。…梨子は知らないだろうけど…隼斗、昔はとっても弱かったんだよ?」

 

「隼斗君が?…前に聞いたことがあるような…ないような…」

 

記憶を探るが、中々思い出せずにいる梨子。そんな中、果南は話し始めた。

 

「すっごく弱虫で…泣き虫で…虐められてる事も少なくなかったと思う。

隼斗が同性の友達そんなに多くなかったってのもあるだろうけど、そんなのが理由で…で、その度に私が助けて。

隼斗はきっと、それを必要以上に重く受け止めちゃってるのかな。

だから、あんな風に……」

 

 

「考えても仕方ねぇ、俺がやる!」

 

「隼斗くんが?」

 

「こう見えてもできるんだっての忘れたか?見てろ千歌、俺のやり方!」

「うん!!」

 

 

「自分を削ってまで私に尽くしてる。」

 

「そうだったんだ…」

 

「果南ちゃん、止めないの?」

 

「止めない、っていうか…止められない、かな。一度突っ走ったら止まらない。ある意味今の千歌と同じで…」

 

 

「おお…!っとと…っつぁ!!」

 

ドサッ!と音をたてて隼斗が着地する。が、勢い余って尻餅をついてしまった。

 

「「「おお……」」」

 

2年生の3人の声が重なる程驚いていた。

 

「よく言えば、頼もしい。強くなった。けどいつか壊れちゃいそうで…それが不安でもあるって感じかな。」

 

「…隼斗君は、壊れないと思いますよ。」

「え?」

 

「隼斗君、すごいから。」

「まあ、確かにすごいけど…」

 

「ただ単にすごいんじゃないです。果南さんの為に自分を奮い立たせる勇気。強くなるっていう覚悟の強さ。それを貫く意志の強さ…それを全部ひっくるめてすごいんですよ。」

 

「…そっか。そう言えばいつだったか言ってたっけ……」

 

『俺は確かに無鉄砲で、負けず嫌いで…………時々だけど姉ちゃんや、千歌や、曜。みんなを振り回す。でも俺は…俺は姉ちゃんの事を、心から愛してる。その気持ちがある限り、俺は不死身だよ!』

 

「あ、愛してる…」

「だ、大胆だね…隼斗君。」

 

「でも、それ聞いて少し安心した。隼斗も、それに千歌も。頑張ってはいる。けど…」

 

 

 

「うわぁっ⁉︎」

 

「っと!」

 

着地をミスした千歌を隼斗が受け止める。

 

「大丈夫か?」

「あ、ありがとう…隼斗くん。」

 

「惜しいとこまでは行ってるんだよなぁ…」

 

思わず俺もその場に座り込む。

ふと見ると、千歌が海の向こうの夕陽に手を伸ばしているのが見えた。

 

それを真似るかのように俺の手も自然と伸びていた。手の届く所にあるかのように見えて遠い。今の状況と同じようだ。

 

すると、ずっと見ていた果南姉ちゃんがこちらに来た。

 

「隼斗、千歌。」

 

「果南ちゃん(姉ちゃん)…」

 

「2人とも、約束して。」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その夜。

ベランダに出た梨子は、向かいにある千歌の家の方を見ていた。

 

「梨子ちゃん?」

 

そこに、千歌の姉である長女の志満が現れた。

 

「志満さん!千歌ちゃんは?」

 

「なんか、少し練習してくるって。隼斗君引っ張ってったわ。」

 

「隼斗くんまで⁉︎こんな時間に…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「よっ…っぁ!!」

 

聞いた通りに海の方へ行ってみると、そこには練習している千歌、そして隼斗。

 

加えて曜が遠くから座って見守っていた。

 

「千歌ちゃん…」

 

「梨子ちゃんに頼むと止められそうだからって。わざわざ隼斗くんも律儀にそれに付き合ってさ…」

 

「でも、2人ともこんな夜中まで…」

 

「そりゃあんな事言われたらね…」

 

 

遡る事数時間前、夕方の練習中。

 

「千歌、それに隼斗も。…約束して。明日の朝までにできなかったら、諦めるって。

よくやったよ、2人とも。けど…もう限界でしょ?」

 

「そんな事…っ」

 

反論しようとした隼斗の足元がふらつく。

ずっと千歌に付きっきりで彼自身も何度かやっていた影響が少し出たのだろう。

 

「隼斗くん!」

 

「ほら、隼斗だって…」

 

「まだやれる!もう少し…もう少しなんだ…!だから…!!」

 

「それは私の為?それとも千歌の為?」

 

「っ…自分の為だ!協力するって言ったんだ、こんな所で諦めるなんて…!」

 

「それで無理して欲しくないの。隼斗には、戦いだってあるんだから。

余計な寄り道で迷惑をかけたくないの。」

 

 

「余計な寄り道…?…それ、本気で言ってるの…?」

 

 

「……」

 

「だったら断る。これは俺がやるって決めたんだ。ここで投げ出したくは…ない!」

 

 

そして現在に至る。

 

「果南ちゃんは昔やってたから、尚更分かっちゃってるのかもね。これの難しさが…」

 

 

「もう少し…そこっ!」

 

「わっ⁉︎」

 

 

「「惜しい!」」

 

「ああっもうっ!!」

 

砂浜に仰向けに倒れる千歌。

隼斗もそこに駆け寄る。

 

「何がダメなんだろう…」

 

「動き自体は間違ってなかった。できそうな所までは来てるんだが…!」

 

「2人とも!」

 

そこへ見ていた梨子と曜も駆け寄り、千歌の手を取った。

 

「千歌ちゃん、落ち着いて、練習通りに!」

 

「できるよ、絶対できる!」

 

「隼斗くんも、そろそろ休んで。教えれる事は全部教えたんでしょ?後は千歌ちゃん次第。ここまでにしよう?」

 

「…分かった。」

 

隼斗も梨子と曜に連れられゆっくりと歩いてその場を離れた。

 

そして、千歌が深呼吸し再挑戦しようとした時…

 

「千歌ちゃーん!(千歌!)」

 

声がした方を振り向くと、そこには1年生の3人+憐が。

 

「頑張るずらー!」

 

その声援を受け、千歌は再び走り出す。

足を踏み込み、飛び上がる。

が…

 

「ああっ⁉︎」

 

またしても失敗。勢い余って倒れてしまった。

 

「ああっ!できる所だろこれ!!」

 

「今までで1番惜しかったのに…!」

 

隼斗も悔しさを露わにしていた。

彼女の練習を1番近くで見てきただけに本人と同じぐらいに難易度は理解している。

それがあと少しのところだったのだが…

 

「(なんでできないんだろ…梨子ちゃんも曜ちゃんも、それに隼斗君までこんなに応援してくれてるのに…!)」

 

それでも諦めたくない。何もしてない。まだ何もできていない…彼女の中で悔しさが渦巻いていた。

 

「まだだろ…」

 

 

「隼斗くん…?」

 

梨子と曜の2人に連れられ、座り込んで休憩していた隼斗が突如立ち上がり、思い切り息を吸い込む。

 

そして、夜にも関わらず気持ちそのものを彼女にぶつけるかのように大声で言い放った。

 

 

「まだやれるだろ!高海千歌!!」

 

「っ!」

 

その大声にその場にいた全員が耳を塞いでいた。

 

「ちょっと隼斗君!うるさいわよ!」

 

「あ、あぁ悪い…んんっ!…千歌、お前の気持ちはそんなもんなのか?ここまでバラバラの色だらけのAqoursを引っ張ってきたお前の力は!」

 

「…でも…」

 

「確かにお前の言う通り、お前1人じゃ、何もできなかったかもしれない。普通()()()お前じゃ。けどそれがどうした!!」

 

荒くなっていた息を整えると、隼斗はまた話だした。

 

「…さて、突然だけど問題だ。今、こうして俺達がいられるのは、誰のおかげだと思う?」

 

「それは…学校のみんなでしょ…?それに、曜ちゃんや梨子ちゃん、町の人達やみんな…「合ってはいるが不正解だな。」…なんで?」

 

「1番大事な人を忘れてませんか?」

 

「1番…大事な人?」

 

 

「今のAqoursができたのは、誰のお陰?」

 

「最初にやろうって言ったのは、何度部を作るのを断られても、それでも諦めずに何度も何度もトライしてたのは、どこの誰だよ?」

 

曜や梨子が言うのに続き、隼斗もやれやれと言った表情で言ってみせた。

 

他の誰でもない。もしも他の誰かがこの部を、このスクールアイドル作っていたとしても今のAqoursは作れていなかっただろう。

 

 

 

「千歌ちゃんがいたから、今があるんだよ。その事は…忘れないで!」

 

「自分の事を普通だって思い続けてた人が、諦めずに進み続けて…それができるって、すごい事なのよ!すごい勇気が必要だと思う!」

 

「そんな千歌ちゃんだから、みんな頑張ろうって思える!Aqoursをやってみようって思えたんだよ!!」

 

「なーにが普通怪獣だよ。ここで捨てとけ、そんな変な称号。

お前は千歌、高海千歌。Aqoursのリーダーで…俺が認めたスクールアイドルだ!!」

 

「恩返しとか考えなくても、みんなワクワクしてるんだよ!千歌ちゃんと一緒に、自分達だけの輝きを見つけられるのを!」

 

 

「新たなAqoursのWAVEだね。」

 

振り向くとそこには3年生の3人も来ていた。

その中心には果南が立っていた。

 

「千歌、時間だよ。準備はいいね?」

 

その言葉の後、近くにいた隼斗は千歌の肩をポンと叩く。

 

「…行ってこい!」

 

「うんっ!!」

 

力強く頷くと、千歌は呼吸を整え、助走をつけて走り出す。

 

みんなが見届ける中、朝日が昇る。

それと同時に千歌は地面を蹴り______

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして迎えた地区大会当日。

 

「随分ボロボロダナ、ハーさん。」

 

「うっせえ。これでも確実にするためにあれから自分でもやってみて特訓してたんだよ。

それで負った傷だ。別に大したもんじゃない。」

 

「だといいけどな。ほら、始まるぞ。」

 

俺、憐、そして顧問(名目上)の霧香博士。

3人が関係者席で見守る中、いよいよAqoursのパフォーマンスが始まった。

 

曲目はもちろん新曲。

その名もMIRACLE WAVE。

 

鞠莉の言っていたWAVE、それが決めるきっかけの一つになっていた。

 

そして、ここからが本番。

曲のサビ前、うつ伏せ状態になるメンバー達の上を…

 

千歌は側転、バク転、更にはバク宙で飛び越えてみせた。

 

「ッシャア!!!!」

 

歓声に湧く会場。

思わず俺も裏でガッツポーズしてしまった。

 

 

新しい未来 掴めるんだろうか?

信じようよ MIRACLE WAVEが

MIRACLE呼ぶよ

 

この曲の一節に、そんな歌詞がある。

 

諦めずに挑戦し続けたみんなは、千歌は。

 

奇跡を掴み取ってみせたのだ。

 

その光景を見た俺の目には、一筋の伝う何かが…なんだこれ

 

「…隼斗、君…」

 

「ハーさん…泣いてる?」

 

「バッカお前…別に。あいつらならやるだろうとは最初から思ってたけど、ちょっと安心しただけだ。」

 

「素直じゃないねぇ、君も。」

 

「けど、俺今思ったよ。本当に今更だけど、日本帰ってきて良かったーって。」

 

 

だって、今まで見てきた星空と同じぐらいの綺麗な輝きを目にする事になるなんて、思いもしなかったのだから。

 

次回に続く。




待たせたな!(待ってない)
まさか半年以上(1年)も投稿していなかったとは…結局今年も年内完結は不可能という結果になってしまいました。本当に申し訳ない。

どうにかこうにか冬休み中にあと2.3本投稿できたらなとは考えているので、調子を取り戻しながらになるからスローペースではありますが、どうかよろしくお願いします!

それでは次回もお楽しみに!


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仮面ライダーソニックHyper Battle Novel Extra Mission type Meteor 宇宙の力!デッドヒートメテオ爆誕!!

本当はもう少し後に出す予定だったけど折角だからここで出す。(2月末に急ピッチで書き上げて遅刻した)
今回は本編とはあまり関係の無い番外編。
本編に入れるとしたら2期6話直後?になります。

宇宙キター!!な新フォーム誕生⁉︎


「ハァァッ!」

 

その手に握られた専用の銘刀、煌風を振るう戦士が1人。

ある日ソニックはロイミュード二体と戦闘になっていた。

 

「ったくなんでこんな時に…!ってかあいつらもしや…」

 

胸に刻まれた数字を確認。

死神型の021と022、以前取り逃したやつらだ。

*第14話参照

 

「ちょうどいい!あの時は逃したけど…今度こそきっちりここでぶっ倒してやるぜ!」

 

刀を構え、自身の俊足を持って一気に懐へ駆ける。そのまま横一文字に振り抜き、022にダメージを与えた。

 

「よし、これで決めるぜ!!」

 

ソニックが呼び寄せたのは、白いバイクに赤色のサイドカーのついた特殊なシフトカー。

シグナルバイクでもあるそれ、シフトデッドヒートをドライバーからシグナルソニックを抜き、入れ替える。

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

《Rider!Dead Heat!!》

 

 

「ッシャオラ!!」

 

 

青いスーツから一転、灼熱の赤の鎧をその身に纏う。まさしく灼熱の獅子のようなデッドヒートソニックへと変身させた。

 

「ッ!!」

 

「そうか、お前らこの姿を見るのは初めてだったか。だったら冥土の土産に見せてやる!コイツの超パワーをな!!」

 

手元にあった煌風を投げ捨て、拳を構えると一直線に走り出す。

 

実を言うとこの天下零剣煌風、風を力に変えるというシステムの都合上デッドヒートとは相性が悪い。故にこの姿の時は素手で殴りに行った方が速いのだ。

 

「オラァッ!」

 

故に殴る。ちなみにだがこの時のソニックはパワーが上がっている代償にスピードが遅くなっている。

 

「オラっ!」

 

故に相手より先手を取りひたすら殴る。

 

「オラっ!」

 

殴る。

 

「オラっ!」

 

殴る!

 

殴る!!

 

「オラオラオラオラ!!」

 

炎を纏った拳を叩き込む。

 

一発、二発、三発、五発……

 

「吹っ飛べっ!!」

 

そうして20発ぐらい叩き込み、022を吹っ飛ばした。

 

「__________っ!」

 

 

「っし…!」

 

 

「隼斗!」

 

と、そこへ隼斗を呼ぶ声が。

戦闘中というのを霧香から聞きつけやってきた果南がそこにはいた。

 

「おー果南姉ちゃん!見ての通りもうすぐ終わるからまってて〜!」

 

最愛の人に手を振りながら言う隼斗。だが彼は気づいていなかった。

 

「バカ隼斗!後ろ!!」

 

突如死神ロイミュードから放たれた光弾。

だがそれはソニックに当たる事はなく素通りしていった。

 

「なんだよどこ狙って…」

 

そう、狙いは彼では無かった。それが狙う先は…

 

「え…?」

 

それはなんと真っ直ぐに果南に向かって放たれていたのだ。

 

「っ⁉︎」

 

「果南姉ちゃん!!」

 

その凶弾に彼女は撃たれるかと思ったその時

 

 

 

 

 

 

物陰から現れる1つの影が。

 

「ハァッ!!」

 

狩夜憐の変身する黒狼の姿をしたライダー、スレイヤーが自身の爪でその光弾を切り裂いていた。

 

「果南サン平気⁉︎」

 

「た、助かった…ありがとう憐。」

 

「どーいたしまして。ハーさんこっちは無…」

 

無事だ。そう伝えようにも、今の彼にはその言葉が届かない。

彼の目線…否目線だけにあらず。

敵意、殺意、怒り…戦闘に関する感情全てが021ただ一体に向けられていたのだから。

 

「お前…姉ちゃんを狙ったな…?」

 

「ッ⁉︎」

 

ドスの効いた声を聞き、思わず後退りをする。

それに応じてデッドヒートの右肩に備えられたメーターも限界値を指し示していた。

 

警告音が鳴り、動体に袈裟懸けのように備えられたタイヤが火を吹いてバースト。

炎のような模様が顕になる。

 

そして、ただ一言彼は敵に言い放つ。

 

 

「……ぶっ殺す!!」

 

両方の拳と足に炎を纏うと、ソニックは一直線に021へと向かっていく。

 

ワンツーを繰り出し、自身を切り裂こうと振り下ろされた鎌を左腕でガード。そのまま正拳突きを繰り出し吹っ飛ばす。立て続けに攻撃を繰り出そうとそのまま走って接近する。

 

だがそれを読んでいたかのように死神ロイミュードは自身の武装である鎌を盾に。

 

「ソレで防いだつもりカっ!!」

 

だが、振り上げられたソニックの炎拳がその武器ごと頭部の籠のようなものを粉砕。地面に叩きつけられバランスボールサイズのクレーターができる。

 

「隼斗⁉︎」

 

「ヤベェ!あれ例の暴走ジャネーか⁉︎」

 

「っ!フルバーストシステム…!」

 

怒りがトリガーとなり発動する、眼前の敵を排除するべく暴走する、デッドヒートⅡに仕組まれたプログラム。

それが今また発動していたのだ。

 

「っ!っ!!」

 

何度も何度も足で踏みつけ、更に胸倉を掴み無理やり立たせる。

 

そのまま2発殴ると、放り投げて右足で蹴り飛ばし電柱を巻き込み吹き飛んだ。

 

「ッ……!」

 

死神は危険を察知したのか、その場から飛び上がり逃走しようと跳躍。

だが、暴走する赤い嵐はそれを逃さない。

 

ガシッ!!

 

「逃げンナよ…」

 

その頭部を左手で掴まえるとそのまま地面に叩きつける。

 

「オルァ!!」

 

そのままサッカーボールのように蹴り飛ばし地面を転がる。

火花が散り、息も絶え絶えなロイミュード。だが、それで終わりでは無い。

 

ソニックはドライバーを展開、ドライバー上部のイグナイターを押した。

 

《ヒッサツ!》

 

そしてそのまま静かにパネルを下ろす。

 

 

《バースト!Full throttle!!》

 

 

「っ!!」

 

飛び上がり、右足にエネルギーを集中させていく。やがてエネルギーが赤黒い炎のようにも変化し…

 

 

「…消えろ」

 

《Dead Heat!!》

 

デッドヒートソニックの必殺技

ヒートストリーム・ソニックがロイミュードのボディを貫く。

そして、そのボディが炎に焼かれるかの如く燃え上がるとそのまま大爆発。

 

残ったコアはまるで紙が黒焦げて燃え尽きるかのように音も立てずに塵となった。

 

「…」

 

022が消えたのを確認すると、興味も失せたかのようにもう一体…021の方へと振り返る。

 

「次はお前か…?」

 

「ッ!」

 

獣のように姿勢を低く構え、今にも次の敵へと飛びかかりそうになる。

 

だが021は光弾を連射し煙幕を張ると何処かへ消えてしまった。

 

「っ!待ちやが…ッ⁉︎」

 

すぐに追いかけようとするも、突如膝をつくソニック。

右手をつき肩で息をしていた。

 

「ハーさん⁉︎」

「隼斗!!」

 

「っ…!クッソ…!!」

 

憐と果南が駆け寄り、憐がソニックをその場に座らせると果南がドライバーからシフトデッドヒートⅡを抜く。

変身が解除されソニックは隼斗に戻ったが、

頭を抑えて少し苦しそうな表情を浮かべていた。

 

「ってて…」

 

「フルバーストの影響カ…」

「確か変身者の脳に影響して暴走が起こるんだっけ…?だからか…」

 

 

「いやいや、ちょっと疲れただけだから…これぐらいなんともな…」

 

そう言って立ち上がろうとするも、ふっと力が抜けたかのようにまたペタンと尻餅をついてしまった。

 

「ほら、まだ無理だってば。」

「果南サン、ハーさんお願い。俺っち先帰ってるカラ!」

 

そう言うと憐はそそくさと立ち去ってしまった。

 

「とりあえず、帰ろ?」

 

「全く…とりあえずどっかコンビニでも寄ってこう。お菓子でも食べれば少しは楽になるかもしれないし」

 

「あー、さんせー…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

とりあえず近くにあったコンビニで板チョコ(ミルクチョコ)を購入。それを齧りながら姉ちゃんと並んで歩いていた。

 

「…やっぱり、隼斗にはあっちの青い方が似合ってるよ。あの赤い方は…なんか隼斗じゃ無いみたいだもん」

 

「俺じゃない…?どう言う事?」

 

「なんというか…普段は結構穏やかな隼斗だけど、アレで暴走してる時はなんか大荒れの海みたいな。そんな感じがする」

 

「例えが解りにくいな…まあなんとなーく掴めはするけど…」

 

果南姉ちゃんに返されたシフトデッドヒートを見つめながら考える。

大荒れの海…手がつけられない、どうにもならない、か…

 

「なんとかこいつを制御できる方法でもあればいいんだけど……」

 

「でも、バーストの暴走って副作用みたいなものなんだよね?完全に無くすってのはできないんじゃ…」

 

「でも、剛先輩なんかは克服できてたらしいからコツさえ掴めれば…」

 

「隼斗、着いたよ」

 

「……」

 

どうすりゃいいんだ…?アレに負けないようにするなんて…いつまた強力なロイミュードが襲ってくるかも分からないのに…

 

「隼斗?」

 

「ん?……あっ…⁉︎」

 

ふと気がつくと姉ちゃんが俺の顔を覗き込んでいた。

ってか近い…!

あとめっちゃいい匂いする…///

 

「な、なんでもない!!じゃ、じゃあまた!!」

 

顔の熱さを冷ますように急いで中に入る。

見られてないよな…?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

翌朝。

 

「くぁ…」

 

「珍しい。隼斗が欠伸なんて…」

「いつもなら休日でもシャッキリ起きてるのにねぇ…」

 

「昨日はちょっと疲れて…」

 

 

そんな事を言いながら朝食にありつく。

とりあえず味噌汁でも飲んで目ぇ覚ますか…

 

『〜♪』

 

と思った時、スマホの着信音が鳴る。

そういやデッドヒートの時の待機音使ってたんだっけ…あれ音だけはいいからな。

えーと相手は……父さん⁉︎

 

「え、なになに戒斗さんから⁉︎」

 

「どうしたんだろこんな時に…はいはい?」

 

『もしもし隼斗!聞こえるか⁉︎』

 

その声は間違いなくしばらく顔も見てなかった父さんの声だった。

 

「父さんどうしたの?今日本は朝だけど…」

 

『時間がない、よく聞いてくれ!ついさっき観測したものなんだが…そちらの方に向けて謎の小惑星体が落下していくのが確認された!』

 

場所が変わって某国の研究所。

長くなった後髪をゴムで結き、白衣を着た若さを感じさせる男。

隼斗の父である天文学者 天城戒斗が、コンピューターのような装置をいじりながらスマホ片手に話していた。

 

「小惑星体ィ?なにそれ?」

 

『俺のもとで育ったのに忘れたのか⁉︎簡単に言うとだな…隕石だ隕石!!』

 

「・・・隕石ィ!?」

 

『大きさとしてはデカくはないが、それでもそのまま落ちれば半径50km圏内は吹っ飛ぶ!突然の事で信じてはくれないだろうけど…とにかく何処か地下とかに逃げろ!あと死ぬな!以上だ!!』

 

「え、ちょ、具体的にどの辺に落ちるか…父さん⁉︎父さん!!」

 

だが、その答えを待つ間もなく電話は切れてしまった。

 

「…マジかよこんな時に!!」

 

俺は急いで朝飯を食い終えると自室へ向かいドライバーとシグナルバイクと鳥をとっ捕まえて外に出た。

 

「ちょっと隼斗!」

「いきなりそんな飛び出してどうしたの…」

 

上を見上げてみると……あったわ。

上空何千メートルかは分からないけどあったわ。太陽にも負けず劣らずの光を放ちながらなんか落ちてきてるのが。

 

「「えええええええええええ⁉︎」」

 

「ちょちょちょあれって隕石⁉︎」

 

「なんで⁉︎なんでここに⁉︎ってか隼斗くん、戒斗さんなんて言ってたの⁉︎」

 

「とにかく死ぬなってんな無責任な……ああ志満さん達は中入ってて!あとガラスとか割れやすいものから出来るだけ離れたところに!!」

 

「隼斗!アンタも逃げないと……!」

 

「俺は大丈夫!早く!!」

 

「わ、分かった!急ぎなよ!!」

 

そういうと2人も中へ戻っていった。

さーて……

 

「こんな形で内浦存亡の危機が来るとは思わなかったけど……鳥、行くぞ。この町は…俺達が守る!!」

 

『ーッ!』

 

心得た。そんな声が聞こえた気がして、思わず顔がにやけてしまう。

隕石なんてぶっ壊せばいいだけの話!!

 

俺はマッハドライバーMk-IIを腰に装着。

鳥から射出されたシグナルブレイヴを手に取りドライバーに装填する。

 

《Evolution!》

 

「Are You Ready…超・変身!!」

 

《Super Rider!Brave!TAKE OFF‼︎》

 

装甲に変換された01を纏い、俺はソニックの最強形態、ブレイヴソニックへと変身する。

 

そして、背中の翼に力を込めると思い切り地面を踏み込み大空へと飛び上がった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『現在沼津市上空に落下してきている隕石ですが、現在もその勢いは衰える事なく…!』

 

「隕石かぁ…研究対象としては中々に興味深いけどねぇ…落ちたら落ちたでくすねに行くとしようかね?」

 

一方霧香博士は、ニュースを見ながら地下にあるラボにいる以上安全なので1人楽観視している。

 

『あ、あれは!!』

 

「アレ?もう一つ隕石でも……おいおい」

 

『謎の鳥人間のような人影が隕石の方へと真っ直ぐに向かっていきます!』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「っと…さーて…」

 

目視できる、なおかつ衝突しない距離を取った所までやってきたブレイヴソニック。

自身の専用武器、リジェネレートブラッシャーを取り出した。

 

「まずは…アレを止める!」

 

ブラスターブレードモードからブラスターガンモードに変形。取り出したシグナルトマーレⅡを装填した。

 

《Signal Toma-re!》

 

《Signal Boost!Toma-re!!》

 

「いっけえッ!!」

 

狙いを定め、そのままトリガーを引いて能力を発動。

リジェネレイトブラッシャーは、シグナルバイクが持つ能力を増幅させるシステムを搭載している。

このように既存のシグナルバイクを使えば、より強力な技も放てるようになるのだ。

 

黄色い光弾が一直線に飛んでいく。

それは狙い通りに隕石に着弾。トマーレの力により、網状の光が隕石を足止めした。

 

「よし!あとは…!」

 

止めた以上はこちらのもの。そのまま接近してみると、大きさは運動会で使う大玉およそ5個分ぐらいだろうか。それほどの大きさだった。こりゃ落ちたら大変だわな。

そんな事を考えながらブラッシャーをブラスターブレードモードに切り替える。

 

シグナルトマーレⅡを抜き、シグナルソニックを入れ替えで装填。

 

《Signal Sonic!Signal boost!!》

 

「即興必殺!デブリ・スライサー!!」

 

拘束されていた隕石をそのままぶった斬る。

真っ二つから、更に横にして4等分。

 

そこからさらに半分に、もう一つ半分に……

落ちても問題無いであろう大きさに斬り裂いていく。

 

「こんなもんか…あとは……!!」

 

自身の能力で風を操作し海や山など、人がいないであろう安全な場所に落ちるよう勢いを殺して修正をかける。これで大丈夫な筈だ。

 

バラバラにされた隕石だったものは、それぞれ山や海などに落ちていった。

 

「ふぅ……ったくなんでいきなり隕石なんか…」

 

落下した方をみると、海に落ちたものは水しぶきを上げ、山に落ちた方は煙を上げていた。

 

「一応俺も見てみるか…気になるし。」

 

翼を動かし、俺は山に落ちたものの方へと向かっていった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『静岡県沼津市に突如落下した隕石ですが、これは一体何処から来た隕石なんでしょうねぇ?

 

本日は専門家の○○さんにお越し頂きました。○○さん、今回のは____』

 

 

「お手柄だったじゃないハヤト!まさか隕石を……」

 

「俺の手柄じゃねえよ。父さんがいなかったら今頃どうなってたか……」

 

「でも、やっぱ隼斗のお父さんすごいね」

 

「非常事態とはいえすぐに連絡をよこしてくださるとは…さすが天城博士ですわね」

 

「それでそれで⁉︎隕石どうだったの⁉︎」

 

「どうだったっていっても…別にトマーレで止めてブラッシャーでぶった斬ったからな…いくら変身してるとはいえ隕石にぶつかったらタダじゃ済まないだろうし。

ああ、けどカケラはいくつか拾ってきた。今頃博士が解析してる筈だが…」

 

「できたぞ。どうやらこの隕石、かなり昔に生成されたものだ。大体40億年ぐらいってところだ」

 

『40億⁉︎』

 

「隼斗、大半のカケラは回収したんだろう?ああ、さっき渡したのと…これとだ。あとは博物館にでも寄付して、学校にも飾るか」

 

「ふむ……なあ隼斗、それに憐。一つ提案があるんだが……」

 

 

「んだよ?」

「なんダ?」

 

博士は少し考えると、子供のようなにっこり顔で俺達に言った。

 

 

 

「宇宙の力、欲しくないか?」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハァッ⁉︎デッドヒートにコイツ(隕石のカケラ)を組み込む⁉︎」

 

「ああ!これはあくまで私の予想なんだが、隕石に秘められた我々ですら知り得ないパワーを使えば、暴走すら抑え込んでパワーアップなんてできるんじゃないだろうか!」

 

「科学者らしからぬ希望的観測ダナ…」

 

「私は時と場合によっては浪漫を追い求めるからね。さあさあシフトデッドヒートを出してくれ!そうと決まればすぐに改造開始だ!!」

 

勢いに押されシフトデッドヒートを渡す。

その後は俺達も授業などがあるのでラボを後にした。

 

 

あれから1週間後。

 

 

 

「できたぞーっ!!!」

 

博士に呼び出されラボに来た俺達。

博士の手の中には生まれ変わった?であろうシフトデッドヒートだったものがあった。

 

ヘッドライト部の色が黄色からオレンジ色に変えられ、最初からバイク部分が折り畳まれた変形後の形となっている。

ベースのサイドカー部分も、より鋭利な鋭い形状に作り替えられ、その見た目はまるで超小型のドラゴンのような姿形になっていた。

 

「…ドラゴン?」

 

「ふっふっふっ…こいつはただのドラゴンじゃないぜ?名付けて、シフトデッドヒートver.メテオカスタム!!」

 

「「メテオカスタム?」」

 

「ああ。隼斗が回収してきた隕石をボディの素材として使用した事により、より強度が増している。そんじょそこらの攻撃じゃ傷すらつかない!

 

そして、もちろん変身もできる!その姿は…まあ実際に戦ってみればわかるはずさ!」

 

「戦ってみればって言っても相手が…」

 

「いるとも!君たちが逃して021、あれの目撃情報が入っている。そこに向かってくれ。」

 

「なるほど、了解!」

「ラジャー!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、俺達は目撃情報のあった山中にやってきていた。

この辺の筈だが…

 

「ハーさんアレ!」

 

憐が指差す方向をみると、そこには021がたしかにいた。

 

だがそれだけでは無かった。

 

「来たか仮面ライダー!」

 

なんと死神がもう一体いた。

胸には100の数字が。かつてアルティメットルパンを倒したと言われるロイミュード100だ。

 

「100…」

「まーた面倒なのが増えたな…」

 

「こいつに話を聞いた!今日ここで!お前達2人を俺が倒してやる!!」

 

「ハッ!言うじゃねえか。憐、下がってろ。

こいつらは俺がやる!」

 

「でもハーさん!相手はツエーんじゃ…」

 

「大丈夫だっての!新しい力も試してみたいしな!」

 

ドライバーを装着、新しいシフトカーをその手に構える。

 

「行くぜ…!」

 

 

尻尾(リアウイング部分)を押し、龍の咆哮と共にヘッドライト部分が光る。

 

《Burst!Overd Power!!》

 

「ハッ!」

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

「Ready…変身ッ!!」

 

《Rider!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

隼斗は新たなる装甲をその身に纏った。

 

その姿は通常のデッドヒート時とは全く別のものになっており、通常デッドヒートと同じくマフラーが無く、橙と赤の2色が混ざったゴツゴツした装甲。

加えて背中には翼を持つまさに竜人とも言うべき姿をしており、頭部の緑色のバイザー部分も少し変化。まるで複眼のような形状になった。

 

憐は少し離れた所に隠れ、スマホを横向きにしてビデオ通話でリアルタイムでそれをラボに送っていた。

 

「これぞ我が最高傑作!」

 

「あれが、暴走しないデッドヒート?」

 

「ワォ!Dragon!!」

 

「何あれ?まるっきり別物じゃない!」

「カッコいいズラ〜!」

「うゅ!」

 

 

 

 

 

「なんだ、その姿は⁉︎」

 

100に答えるかのように彼は天に向けて拳を突き上げると、堂々たる名乗りを上げた。

 

「ソラの果てより流れ出で、輝き纏いて燃え上がれ!魂の星はここにあり!

仮面ライダーソニック、メテオデッドヒートフォーム!!」

 

 

灼熱の猛獣改め灼熱の星の龍。

メテオデッドヒートフォームがここに誕生した瞬間であった。

 

「メテオデッドヒートフォーム…?」

 

「さぁ…第一ラウンドだ!!」

 

シャドーボクシングをして構えるソニック。

死神021は自身の武装である鎌を装備するとソニックに向かって攻撃を仕掛けようと接近してくる。

 

「ッ!!」

 

飛び上がり鎌を振り下ろそうとする021。

だが、なんとソニックは……

 

「フン…!」

 

なんとそれをガードもせずに真っ向から体で受け止めたのだ。

 

「なっ⁉︎」

 

 

「ガードもせずに何してるのよ!」

「これじゃすぐに……!」

 

 

「……見て、アレ!!」

 

善子がそう言うとみんなは一斉にモニターを見る。するとそこには……

 

 

「………どうした?」

 

「ッ⁉︎」

 

なんと仁王立ちで鎌を受けながらも、装甲に傷の一つも負っていないソニックの姿があった。

 

そのまま左手で鎌を掴むとその刃部分を握力でへし折り、右手を握りしめる。

021をそのまま左手で突き飛ばすと同時に、ドラゴンの腕にも似た形状の腕のガントレットが変形、勢いよく炎を噴出。

 

「ハァッ!!」

 

そのまま渾身のパンチを叩き込むのと同時に火柱が021をまるでロケットのように吹き飛ばす。

 

「む、無傷…」

 

「それにすごいパワーですわ!」

 

曜とダイヤが驚きの声を漏らしていた。

 

「霧香先生、これって……?」

 

 

「隕石から作り出した超ド級装甲、その名もメテオテクターで全身を覆った事により耐久性が大幅に上昇。防御力ならソニック・スレイヤーを含めた全ドライブシステム系列ライダー最強の硬さに仕上がった!

加えて隕石から抽出したパワーを使って火力も増している。純粋な殴り合いならまず他のロイミュードに後れは取らない!」

 

 

正拳突きを繰り出したあとのように、パンチの体勢のまま敵を見据えるソニック。

吹き飛ばされた021は、マントがよりボロボロになっており、頭部のオリも砕けていた。

 

 

《ヒッサツ!》

 

ドライバーを展開、イグナイターを押してパネルを下げる。

 

《Volca Full throttle!》

 

そのまま上空に飛び上がり、背中の翼を折りたたむ。

 

更には全身に龍の形をした炎を纏い、隕石の如く凄まじい勢いで相手に向かって突撃していく。

 

「メテオソニックバーストォッ!!」

 

その姿はまさに炎の龍。

その渾身の一撃をガードできる手段もなく、021は全身を砕かれ爆散。巨大な火柱が上がった。

 

出現したコアも、そのまま蹴り砕いた。

 

 

「なんだと⁉︎021がいとも簡単に……っ!だが俺を倒せると思うな!俺は蘇り、100の武器を超えて200の武器を使えるようになった!ルパンも仮面ライダーももはや敵ではない!見るが良い、俺の更なる力を!!」

 

すると、100の周りには剣や槍、刀など数多の武器が出現。

 

だがソニックはそれを見ても焦りを見せなかった。

空に手をかさずと、バランスボール程の大きさの火球を生成。

 

バク転しそれをオーバーヘッドキックの要領で蹴った。

 

「グレンメテオ・レイン!!」

 

するとその火球はサッカーボール程の大きさで数百個の火球に分裂。

 

「喰らえ!!」

 

そう言って100が射出した武器の事如くを、流星群のように撃ち落としてしまった。

 

「っと…200の武器がなんだって?」

 

「ば、馬鹿な……ッ!!」

 

 

「スゲェ…これがメテオデッドヒート…」

 

記録している憐も驚いていた。隕石一つでこれ程の力を発揮するのか…と。

 

「さーて、コイツの性能も把握できたし?

そろそろキメに……行くぜ!」

 

右足を踏み込むのと同時に右拳を構える。

100は咄嗟に身の丈ほどの大きさの盾を召喚し構えるが、ソニックが繰り出した炎拳はその盾ごと100を殴り飛ばした。

 

そして、その隙を見逃さない。

 

《ヒッサツ!》

 

ドラゴンが吠えるような態勢を取ると、その勢いでパネルを勢いよく下ろす。

 

《Volca Full throttle!Dead Heat!》

 

《Meteor!!》

 

翼や腕部ガントレットの装甲を展開。

そこから赤い炎が燃え上がると、飛び上がる。

 

その姿はさながら炎のドラゴン。

そのままキックの体勢を取ると、勢いよく100へと突撃した。

 

 

「メテオ・エクストリームッ!!」

 

 

隕石衝突に匹敵するそのライダーキックが100を蹴り砕く。

そのままスライディングするかのようにブレーキをかけると停止した。

 

 

「これが…仮面ライダーの力……!グオァァァァ!!!!」

 

100は断末魔と共に爆散。コアも巻き込まれて砕け散った。

 

「…ま、こんなもんか…」

 

《オツカーレ!》

 

隼斗はそのまま変身を解除。

元に戻るとシフトデッドヒートメテオを見つめた。

 

「すげえな…コレ!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いやぁすごかったぜ?メテオデッドヒート!私の予想通り、隕石によって暴走のリスクも完璧に抑え込めてた!ヒュウ!さすが私、天才だ!!アーッハハハ!!」

 

霧香博士はテンションが上がっているのか、シフトデッドヒートメテオを手に持ちながら座っている回転椅子でクルクルと回っている。

 

「はしゃぐないい大人が…」

「まだ20代ですぅ〜!」

「充分大人だろうが!!」

 

「俺っちもなりたかっタ…スレイヤーメテオデッドヒート…」

 

「まあまあ、機会があればなれるって多分!」

「多分カヨ…」

 

「まあとりあえず記録は取れたからよしとしようかね。」

 

「それはそうと霧香博士。」

 

「んー?なんだい隼斗?」

 

「なんでデッドヒートメテオはドラゴンモチーフなんだ?デッドヒートなら他のやつでもよかったんじゃ…」

 

「あーそれか。ほら、隕石って流れ星…流星だろ?流星…りゅうせい…龍星。だからドラゴンにしてみた」

 

「語呂合わせかよ!」

 

「いいだろべつに!

だって好きだろ?ドラゴン!!」

 

霧香博士はそう言いながら、自身の開発したシフトデッドヒートメテオを2人に自慢していた。

 

何はともあれ、俺達に新たな戦力が加わった。

宇宙の力ってスゲェ!!

 

 

終わり。(オチはない)

 




仮面ライダーソニック
メテオデッドヒートフォーム

パンチ力 40.5t

キック力 25.5t

ジャンプ力 36m

走力 2.8s/100m

※ソニック・スレイヤー共通スペック
注 数値はおおよそのものである

シフトデッドヒートに霧香博士が隕石の欠片から作り出したパーツを用いて調整を施し、暴走のリスクを完全に抑え込んだ上で更なる強化を施して作り上げたシフトデッドヒート(ver.メテオカスタム)を使って隼斗が変身したソニックの新たなる姿。
唯一の○○フォーム表記の強化形態でもある

その姿は通常のデッドヒート時とは全く別のものになっており、通常デッドヒートと同じくマフラーが無くなり、橙と赤の2色が混ざったゴツゴツした装甲に翼を持つまさに竜人とも言うべき姿をしており、頭部の緑色のバイザー部分も少し変化。複眼のような形状になった。

落下した隕石から作り出した超ド級装甲メテオテクターで全身を覆った事により耐久性が大幅に上昇。
防御力はソニック・スレイヤー両ライダーの全フォーム中最高クラスにパワーアップ。

「流星、だからね。龍…ドラゴンをモチーフにこのフォームを作り上げたのさ!ドラゴンは男の子みんなが大好きだからね!!」
by霧香

メテオデッドヒートは通常のデッドヒートと同じく格闘戦を得意とするフォーム。
だがパワーは段違いの為、殴り続けるだけでそこらの怪人相手なら力尽くで叩き伏せる事が可能。

改良前から引き続き火属性攻撃も可能。
火力の方も、隕石の力を取り入れた事により破壊力が倍増している。

更に、その背中に翼がある事から分かる通りメテオデッドヒートには飛行能力も備わっている。
だが、飛行速度では速さに特化したブレイヴソニックには遠く及ばない。

必殺技一覧

・上空に飛び上がって翼を折りたたみ全身に龍のような炎を纏った後、隕石の如く凄まじい勢いで相手に向かって突撃し強力なライダーパンチを叩き込む
『メテオソニックバースト』

・空に手をかざし(飛び上がって手でエネルギーを圧縮し)自身のエネルギーに加えて隕石から抽出活性化させたエネルギーによって隕石のような巨大エネルギー弾を作り出しそれを蹴り飛ばす(かかと落としでなどで叩き割る)事で複数に分裂させそれを上空から降らせる範囲攻撃技
『グレンメテオ・レイン』

・炎を纏い さながら空を駆ける流星のような強力なライダーキックを放つ一撃必殺の技
『メテオ・エクストリーム』

グレンメテオ・レインを発動した直後に放つコンボのパターンもある。

シフトデッドヒートメテオカスタムの見た目はシフトデッドヒートのヘッドライト部が黄色からオレンジ色に変えられ、最初から変形後の形となっている。
サイドカー部分もより鋭利に鋭い形状に作り替えられ、超小型のドラゴンのような姿形になった。

更に上部にはドラゴンの翼のようなパーツが付いており、それを内側に折りたたむ事でドライバーに装填し力を発動させる事ができるようにする。

変身シークエンスは変身前に尻尾(リアウイング部分)を押す事で起動。
変身待機状態にしてドライバーに挿し、変身する。

《Burst!Overd Power!!》

《SignalBike/Shift Car!》

「Ready…変身ッ!!」

《Rider!Dead Heat!!》

《Meteor!!》

変身音はオリジナルのボイスとタイプスペシャルのインストを使用。

本当は2月中に出したかったけど間に合わなかった…
番外編のはずが1万字超えてました。ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。

それでは次回の本編もお楽しみに!


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第2期8話 全霊の果て〜それは報われるのか〜

あつ森楽しい。(編集やれ)
コロナ騒ぎは未だ終息する気配すら見せないですが皆さんいかがお過ごしでしょうか。

自粛してる人も、働いてる人も本当にお疲れさまです。
まだまだ先の見えない日々ですが、引き続き頑張りましょう。

ぐだっと続いてるサンシャインサーガも一区切り。終わりはすぐそこと信じたい。
そんなわけで、今回もお楽しみください。


これまでのサンシャインサーガ!

その1

地方予選に向け新たなフォーメーション習得に挑戦した千歌。

だがそのフォーメーションは、かつてAqoursが3年生組3人だった頃に鞠莉が失敗して怪我をした禁じ手だった。

 

だが、我らがリーダー千歌は仲間達の協力の元に必死の努力の末これを習得。

新曲、MIRACLE WAVEを形にした。

 

これまでのサンシャインサーガ!

その2

 

割といつも通りのある日、隼斗は戦闘中にデッドヒートになるもまたしてもフルバーストシステムを起動させてしまい暴走。

どうにかできないかと悩んでいた。

 

翌日、突如隼斗の元に一本の電話が。相手は隼斗の父である天文学者、戒斗。

なんと電話の内容は小惑星体、つまり隕石の落下だった!

 

隼斗はブレイヴソニックに変身、その隕石を微塵切りにし町はなんとか守られた。

 

しかも霧香博士は、この隕石を用いてデッドヒートの改造に乗り出した!

 

その名もデッドヒートメテオ!暴走を抑え、隕石に秘められた謎の宇宙パワーによりフルバーストシステムの暴走を制御、自身の火力に変えた事で暴走を克服したのであった。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

『それでは皆さん!ラブライブファイナリストの発表です!!』

 

その後、会場にて。

決勝に進めるグループの発表が行われた。

 

決勝に進めるのは、僅か3グループのみ。

 

 

「いよいよか…」

「彼女らは持てる全てを出した。後は客がどうか……」

 

 

俺達の方にも緊張が走る。

そして、上位グループが発表された。

 

 

『上位3グループはこちらのチームです!!』

 

 

 

 

1位Aqours

 

2位 PAR☆DICE

 

3位 うちきんとん

 

 

 

 

 

「やったよ千歌ちゃん!」

 

「これ…夢じゃないよね…?だってドームだよ?本当だったら奇跡じゃん!」

 

「奇跡よ…奇跡を起こしたのよ、わたし達!」

 

 

一方のサポーター組も。

 

「…っしゃァ!!」

 

「1位カヨ!!」

 

「まあ、あれだけやったなら当然だろうね。」

 

 

地方予選、まさかの1位通過!

Aqoursはついに念願の全国大会出場を決めたのだ!

 

 

「あとは……こいつがどうなるか……」

 

隼斗はポケットからスマホを取り出し、とあるページを開いた。

浦の星の学校ページ。

入学希望者数の表示されている場所。

人数は現在………

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「それにしてもアキバドームかぁ…」

 

「どんな場所なんだろうね?」

 

「アキバドームつったらそりゃ広くてデカイところだろ!全国大会決勝の場所だぜ?」

 

「いい曲を作りたい!」

 

「ダンスも、もっともっと元気に!」

 

 

「あっ、見て!」

 

ルビィが指差す方を見てみると、そこの大型モニターには、先程の大会のパフォーマンス映像が。

それも今はAqoursのMIRACLE WAVEが流れており…

 

「すごい視聴回数!」

 

「本当……」

 

「48000を超えてまだ増えてるじゃないか…すごいなこりゃ」

 

「生徒数の差を考えれば当然ですわ。これだけの人が見てくれて、私達を応援してくれた…」

 

「じゃあ、入学希望者の数も……!!」

 

 

皆が鞠莉の方をみる。だが…

 

「ケータイ…フリーズしてるだけだよね?

あれだけの数応援があったのに

 

…全く変わってないなんて……」

 

 

「…鞠莉、今のは流石に嘘だよな?」

 

「…sorry.認めたくないけど…」

 

「shit…マジかよ…」

 

「隼斗くん、珍しく英語が…」

 

「鞠莉ちゃんのお父さんに言われてる期限って今夜までだよね⁉︎」

 

「大丈夫、時間はまだありますわ。

学校に行けば正確な数は分かりますわよね?」

 

「…うん」

 

時間はまだある、とはいえみんなの間には重苦しい空気が漂っていた。

すると千歌がそれを払拭するかのように一言

 

「よし!帰ろう!」

 

「だな、いつまでもここにいちゃ何にもならねえし。」

 

「よし諸君!とりあえず今大会の反省会などは後で、戻るとしようか!」

 

『はい!(ああ)』

 

 

そして、一同は真っ先に浦の星の理事長室へ

時刻は8時になろうとしていた。

 

「ちょっと待ってて…」

 

鞠莉がパソコンを操作、ページを表示する。

 

現在の希望者は…80人。

 

「変わってない…」

 

「そんな…」

 

「まさか……天界の邪魔が「善子少し黙れ」…ゴメン」

 

「ではやはり…」

 

「あと4時間しかないよ…」

 

「なーに4時間だろ⁉︎4時間もありゃどうにかなるって!……なる…よな…?」

 

「ハーさんが弱気になってどーすんダヨ!」

 

「Aqoursの再生数は?」

 

「さっきから増え続けてる。」

 

 

「パパに電話してくる。」

 

 

そう言って鞠莉は1度外へ。

俺達はただ、変わりのない画面を見続けていた。

 

 

 

そのまま時は過ぎ…時刻は9時を周った。

 

「遅いね、鞠莉ちゃん…」

 

「向こうは早朝だからね。中々電話が繋がらないのかもしれないし…」

 

「そうか、向こうは時差があるのか…すっかり忘れてた」

 

 

そう話していると、ドアが開き鞠莉が戻ってきた。

 

「waitingだったね」

 

「お父さんと話せた?」

 

「うん!決勝に進んで、再生数が凄いことになってるって!」

 

「それで…?」

 

「なんとか、明日のmorningまで延ばしてもらった。それでどうなるか…」

 

「朝…何時だ?」

 

「こちらの…日本時間で朝5時まで。そこまでに100人に満たなければ募集ページは停止すると」

 

「5時…」

 

「今が21時だから残り8時間、それまでに達しなければ今度こそ、か…」

 

「でも、あと3時間だったのを延ばせたならよかったね」

 

「わぁ!」

 

「どったのルビィちゃん?」

 

「今、1人増えた!」

 

「本当カ⁉︎」

 

ちなみに先程から人数は見ると少し変わっていた。希望者合計86人。

 

「やっぱりわたし達を見てくれた人が興味を持ってくれたのよ!」

 

「このまま増えてくれれば……!」

 

そう言った途端、突如千歌が走り出しドアへ

 

「おい、どこいくんだよ!」

「駅前!浦の星をお願いしますってみんなにお願いして…それから…それから…」

 

「今からじゃ無理よ…」

 

「じゃあ!今からライブやろう!それをネットで…」

「準備してる間に朝になっちゃうよ」

 

「そうだ!」

「落ち着いて!」

 

焦る気持ちからか、千歌がどうにかしようと考えるが、曜がそれを止める。

 

「大丈夫…大丈夫だよ…」

 

「でも…何もしないなんて…」

 

「やれる事は全部やった。あとはなるようにだ」

「隼斗の言う通り。信じるしかないよ、今日の私達を」

 

 

「…そうだよね。あれだけの人に観てもらえたんだもん!大丈夫…だよね?」

 

「さ、そうとなったら皆さん帰宅してください。」

「帰るずらか?」

 

「なんか一人でいるとイライラしそう…」

 

「落ち着かないよね…」

 

「だって。」

 

「……仕方ないですわね」

 

「じゃあ、いてもいいの⁉︎」

 

「皆さんの家の許可と、理事長の許可があれば…」

 

そう言ってダイヤは鞠莉の方を見る。

鞠莉の答えは当然…

 

「もちろん、みんなで見守ろう!」

 

 

「あ!また1人増えた!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

それから、時は過ぎていき…

時刻は1時、タイムリミットまで残り4時間となっていた。

 

霧香博士はRF-01のシステム調整とかいって学校地下のラボへ戻り理事長室には俺達だけが残った。

 

 

「あれっきり、全然増えない…」

 

「やっぱりこのパソコンがおかしいんじゃないの⁉︎」

 

「…STOP、壊れてないわ」

 

「これが現実なのですわ。例えこれだけ浦の星を知ってくれた人がいても…」

「例え人が優しくて、街が綺麗でも…わざわざここまで通おうとは思わない。」

 

「……」

 

すると、何処からか音がした。

 

「誰だ?今のserious Breakerは…」

 

「そういえばお昼食べたあと何も食べてなかったわね!」

 

音の出所は梨子のお腹の音だった。

 

「ム、確か二…」

 

「なら、俺がなんか下のコンビニで買ってくる。お前ら希望あるか?」

 

「いいよハーさん、俺っちが行く。

1年3人衆、オトモヨロシク」

 

『ずら!(うゆ!)(了解!)』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「全く…私はリトルデーモンの事で手一杯なのに…世話が焼けるったらありゃしない」

 

「デモそれでも面倒見のいい辺り、善い子だと思うゼ?」

 

「なんか言い方が引っかかるわね…まあいいわ」

 

「でも、仕方ないずら。今のAqoursを作ったのは千歌ちゃん達4人」

「さらにその前のAqoursを作ったのはお姉ちゃん達3人だもん」

 

「隼斗さん達も本当によく協力してくれるし…」

「ルビィ達の事、いつも守ってくれるしね」

 

「隼斗さんに関しては、果南のついでみたいな所もありそうだけどね…」

 

「「あはは…」」

 

「でも…少なくとも、私はあのみんなには…感謝しか…」

 

「だから、マル達が面倒見るずら。それが仲間」

「だね。」

 

「ナカマ…か…」

 

「憐くん?」

 

「いんや、なんでもネ。さ、早く帰るぞ!」

 

「そうね」

「みんなが待ってるずら」

 

「なんかいいよね、こういうの」

 

そう言いながら4人は足早に学校へ戻る。

憐は独り呟いた。

 

 

「コレが…いつまでも続きますヨーニ、なんてナ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「94人……」

 

「お前らが行った後に結構増えたが…それでも後6人…」

 

「時間は?」

 

時計を見ると、時刻は4時13分。

残り時間は、47分。

 

「1時間も無い…」

 

 

「お願い!お願い!お願い!お願い

…増えて……!!」

 

 

 

「千歌ちゃん…」

 

 

そこへ、ガチャリとドアの音がし…

 

 

「みんな、お疲れ」

 

「博士」

 

「霧香先生…」

 

「状況はラボのコンピューターでも把握できてる。残り6人、か…」

 

「はい…」

 

「でも…あれから増えなくて…先生お願い!なんかいい方法ありませんか⁉︎天才なんですよね⁉︎だったら……」

 

「…残念ながら…今の私にできる事はないよ。これは君達が決着をつけるべき戦いなのだから。私にできるのは、オーディエンスとして見守る事だ」

 

「…そう、ですか…」

 

「むぅ、私としたことが少し言葉を間違えた。気分転換に外の空気でも吸いに行こう。ついてくるものは?」

 

 

 

 

 

 

そして、千歌、曜、果南に霧香、隼斗が外のプールへと来た。

既に朝日が昇っており、上空にはメンテナンスを終えた01が旋回しながらゆうゆうと空を飛んでいた。

 

 

「あと6人、お願い…!」

「お願いします!」

 

「頼む…」

 

3人がどうにかなれと祈っている中、

突然果南が…

 

 

 

 

「おーーーーーい!

 

浦の星は、良い学校だぞーーーーー!!」

 

 

「姉ちゃん?」

 

 

すると、それを見た曜と千歌も…

 

 

「おーーーーーい!絶対後悔させないぞーーーー!!」

 

「みんないい子ばっかだぞーーーー!!」

 

 

 

「私が!!保証するーーーーー!!」

 

後ろを振り返ると、そこには梨子が。

彼女は音ノ木坂からこの学校にやってきた。

Aqoursを通して、学校生活を通してそれを知った彼女が言うのだから間違いはない。

 

 

「千歌ちゃん!!」

 

 

突然、ルビィが呼ぶ声が。

理事長室に戻ってみると…

 

「人数が…」

 

「97人!」

 

「あと3人…」

 

「でも、時間はもう…」

 

ダイヤの言う通り、残り時間はあって10分程にまでなっていた。

 

「お願い…!お願い……!!」

 

「あと3人…3人なんだ……!!」

 

 

すると、数がまた増えて…

 

「98!」

 

「あと2人…」

 

 

あとたった2人。

誰もが届く!そう思っていたが…

 

 

 

 

 

 

 

無情にも画面には、『募集終了』の文字が出ていた。

 

時刻は…午前5時。タイムリミットだった。

 

 

「募集…終了…」

 

「博士、時間は⁉︎」

 

霧香も手元の時計を見る。だが、首を横に振るだけだった。

 

「おい!なんとかもう1日…いや半日だ!」

 

「1時間!1時間でいいよ!それで…」

 

「気持ちは分かりますが…一晩中何度もかけあって、2度も期限を延ばしてもらったのです。これ以上は…」

 

「パパも、流石にここまで自分一人で全てを決める事はできないって…もう…限界だとも…」

 

「でも、1日なら…!」

 

「この前だって、それで…」

 

「今頃もう、統合の手続きに入ってる」

 

「じゃあ…」

「本当に、もう駄目って事…?」

 

 

 

「…駄目だよ……だって、まだ私達足掻いてない…やれる事全部やろうって言ったじゃん!」

 

「全部やったよ。そして…決勝に進んだ。私達は、やれる事はやった」

 

ゴン、という音が響く。

隼斗がやり場のない気を壁にぶつけていた。

 

「やって…やったってのにこれなのかよッ!!」

 

「隼斗…」

 

「なんだ…何が足りなかった…!人か?パフォーマンスか?それとも…!」

 

「ハヤト!…まだ、まだ諦めるには…!」

 

「2人とも!……おやめなさい。」

 

「ダイヤの言う通り。…残念だけど認めるしかない…学校は…無くなる………」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『浦の星女学院は、来年度より沼津の学校と統合する事になります。

皆さんは来年の春より、そちらの学園の生徒として明るく元気な高校生活を送ってもらいたいと思います』

 

そして、その日の集会で伝えられた正式な統廃合の発表。

鞠莉くんも声色こそ明るいものだったが内心では相当きているだろう。

 

「隼斗は…来てないか」

 

「一時先生、天城くんは…」

「ああ、あいつなら体調不良でね。遅れてくると思いますよ」

 

「そうですか…」

 

 

一方ラボでは…

 

 

「……」

 

手に握ったドライバーを無言で見つめる隼斗の姿があった。

 

 

「何が…何が仮面ライダーだよ…学校の一つの守れないで!姉ちゃんと約束したのに!自分の全部をだしたのに!このザマだってのかよ!!!」

 

頬を伝う一筋の涙。

果たせなかった約束が、責任が、彼に重くのしかかっていた。

 

 

「…ハーさん……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして、夕方の練習。

だが、そこにはAqoursのメンバーと憐のみがおり、隼斗と霧香は姿を見せなかった。

 

 

「統廃合の事は残念ですが、ラブライブは待ってくれませんわ」

 

「昨日までの事は忘れて、今日から決勝に向けて気持ちを改めて頑張ろう!」

 

 

 

 

「もちろんよ!55000のリトルデーモンが待ってる魔窟だもの!」

 

 

「みんな善子ちゃんの滑り芸を待ってるずら」

「ヨハネ!」

 

「そ、それに!お姉ちゃん達は…3年生は最後のラブライブだから…!だから……!

 

絶対に!優勝したい!!」

 

「ダナ」

 

「yes!じゃあ優勝だね!!」

「そんな簡単な事じゃないけどね」

 

「でも、そのつもりで行かないと!」

 

「…だね!」

 

「じゃあみんなアップしてー!」

「ライブ後だから念入りにね!」

 

 

「(そうだよね…今は、ラブライブに集中してよっと)」

 

 

『1、2…3、4…』

 

 

だが、千歌の脳裏には、あの時の光景が…

あと一歩届かなかった、その悔しさが涙となって頬を伝っていた。

 

「…千歌ちゃん…」

 

「千歌…」

 

「…?どうしたの…みんな…?」

 

 

 

「今日は、やめておこうか」

 

「え?なんで?平気だよ?」

 

「ごめんね。無理にでも前を向いた方がいいと思ったんだけど…やっぱり、気持ちが追いつかないよね」

 

「そんな事ないよ!ほら、ルビィちゃんも言ってたじゃん!鞠莉ちゃん達最後のライブなんだよ!それに…それに……」

 

そう言う千歌の手を取り果南が優しく語りかける。

 

「…千歌だけじゃない。みんなそうだよ。」

 

「ここにいる全員、そう簡単に割り切れると思ってますの?」

 

「千歌っちだけじゃない、ここにいないハヤトも…先生も…」

 

「…やっぱり、私はちゃんと考え直した方がいいと思う。

本当にこのままラブライブの決勝に出るのか、それとも……」

 

「…そうですわね」

 

「ま、待ってよ!そんなの、出るに決まってるよ!決勝だよ!ダイヤさん達の……」

 

 

「本当にそう思ってる?」

 

「鞠莉サン…」

 

 

「……自分の心に聞いてみて。千歌っちだけじゃない、ここにいるみんな…そしてハヤトにも、この事は…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あれから、数日が経過した。

皆それぞれが考えた、この先どう進むのかを。

 

 

「おはよう!」

「…おはよう」

 

「やっぱり、みんなここに来たね!」

 

「結局、みんな同じ気持ちって事でしょ?」

 

「出た方がいいってのは分かる」

 

「でも、学校は救えなかった」

「例え決勝に出て歌って…」

「それで優勝したって…」

 

 

「確かにそうですわね」

 

「でも、千歌達は学校を救う為にスクールアイドルを始めた訳じゃない」

 

「輝きを探す為…」

「みんながそれぞれ自分達だけの輝きを見つける為」

 

「でも…見つからない。例え優勝したって、学校は無くなっちゃうんだよ?奇跡を起こして、学校を救って…だから輝けたんだ!輝きを見つけられたんだ!学校が救えなかったのに……輝きが見つかるなんて思えない!!」

 

「千歌サン…」

 

「私ね、今はラブライブなんてどうでもよくなってる。私達の輝きなんてどうでもいい!学校を救いたい!みんなと一緒に頑張ってきたここを……!」

 

 

 

「じゃあ救ってよ!!」

 

 

千歌の心の叫びに応えるかのように何処からか声がした。

 

下を見下ろしてみると、そこには浦の星の全校生徒が。

 

「ラブライブに出て!優勝して!!」

 

 

 

「みんな……」

 

「できるならそうしたい!みんなともっともっと足掻いて!そして……!」

 

 

「そして⁉︎」

 

「そして……!学校を存続させられたら…!」

 

どんなに良かったか、そう言おうとしたときであった。

 

 

「それだけが、学校を救うって事?」

 

「私達、みんなに聞いたよ!千歌達にどうして欲しいか、どうしたら嬉しいのか!」

 

「みんな一緒だった!ラブライブで優勝してほしい!私達の為に!学校の為に!」

 

「この学校の名前を、残してきてほしい!」

 

 

 

「学校の…」

 

「千歌達しかいないの!

千歌達にしか、できないの!!」

 

「浦の星女学院スクールアイドル、Aqours!その名前を、あの歴史に!あの舞台に!永遠に残してきてほしい!!」

 

「Aqoursと共に!浦の星女学院の名前を!!」

 

 

『だから!!輝いて!!』

 

 

それは、全員が望む願いだった。

例え学校が無くなろうとも…

その名前を、Aqoursというスクールアイドルがそこにいたという証を、遺してきてほしいと。

 

 

「優勝して、学校の名前を…!」

「ラブライブに…!」

 

「千歌ちゃん。」

 

そして曜と梨子は仕上げに千歌を焚きつけるあの言葉を。

 

「「やめる?」」

 

 

「やめるわけ…やめるわけないじゃん!!

 

優勝する!ぶっちぎりで優勝してやる!!

 

相手なんか関係ない!アキバドームも、決勝も関係ない!優勝する!!

 

優勝して、この学校の名前を残して!

 

 

一生消えない思い出を作ろう!!!」

 

 

 

リーダー千歌の堂々とした宣言。

それともに響いたのは謎の爆発と地震だった。

 

「何⁉︎」

 

「爆発⁉︎」

 

「まさカ……!ッ!」

 

憐は何かを感じ取ったのか走りだしていた。

 

「憐くん!」

 

「私達も行こう!!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

外に行ってみると、そこには邪悪さを纏った黄金の体に赤い眼の鉄の怪人。

ゴルドドライブと六体の死神ロイミュードがいた。

 

加えてなんらかの攻撃を受けたであろう校舎は傷つき崩れそうになっている。

 

「っあんニャロウ…!!」

 

「んん?…おやおや…誰かと思えば黒い方の仮面ライダーか。青いのはどうした?」

 

「何しにキタ!蛮野!!」

 

「いやなに…この学校が無くなると聞いてなぁ?解体工事の手間を省いてやろうと私自らが直々に出向いてやったというわけさ。」

 

「ふざっけんじゃねェ…!んな事させっか!」

 

憐はドライバーを装着、シグナルスレイヤーを挿入する。

 

《SignalBike!Rider!Slayer!!》

 

 

「変身ッ!」

 

その合言葉と共に憐は黒狼を象ったライダーへとその姿を変え、たった1人で向かっていった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

そして、この男は……

 

 

「………」

 

 

「ったく…いつまで引きずってんだよ、らしくないぞ」

 

ラボに入ってきた霧香は

ソファーに横になる隼斗を見ながら言った。

 

隼斗はあれからメンバーのみんなと顔を合わせていない。家にこそ帰っているが、千歌とは口もきいていない。あの果南とは連絡すら取っておらず、トークアプリのメッセージすら返していない。

 

「なんだよ…」

 

「ン、口を利くだけの元気はあったか。…みんな集まってるぞ。あとは君だけだ」

 

「…今の俺に何ができるんだよ…決勝に進んでも、学校が残らなきゃ意味はねえんだ…その為に俺は今までAqoursに協力してきた。MIRACLE WAVEだってそうだ、あれだけ頑張ったのに…頑張ったのに……!」

 

「そうだな」

 

 

「…アンタは…どうなんだよ?」

 

「…私かい?そうだねぇ…」

 

そう言って霧香は自分の胸の内を語りだした。

 

 

「確かに…ここが無くなるのは、少しばかり寂しくなるね。本当に短い時間とはいえ、私はこの学校で教師をして生徒達と交友を深めて、教えて…楽しかった。本当に、楽しかったよ。」

 

これまでの事を思い返し、彼女はふっと微笑を浮かべていた。

 

「…」

 

「けどさ、それで人生全てが終わるわけじゃない。ぶっちゃけるとだな、私はこのレベルのどん底、何度も遭遇してきた。天才でも壁にはぶち当たる。多過ぎて、もう数えるのはやめたけどね?…考えるだけ無駄なんだよ。…我々は、どこまで行っても人間だ。時間を戻せない、死人を生き返らせられないし過ぎた過去は変えられない…不老不死などもってのほかだ。…そうやって歩いてきた」

 

「過ぎた事を変えられないなら…意味なんて…」

 

「あるとも!過去は無理だ。けど、未来なら幾らでもどうにかなる!まあ、今回に関してはどうしようもないけどね。廃校という結末は変えられない。けどこれからの行動次第で、これを絶望的なまでのバッドエンドにするか、少しだけビターなハッピーエンドにするかは変えられる」

 

 

霧香はモニターに映る映像を彼に見せながら問いかけた。

 

 

「さあ、君はどちらを選ぶ?天城隼斗」

 

 

「……おれは……「俺」は………!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ッ!コノッ!!」

 

一方の憐ことスレイヤー。

 

両腕のクローで死神軍団の鎌を捌きながらなんとか持ち堪えていた。

 

「うおっ!コノッ…!くっ…!!」

 

 

「全く……何をしている!!たかが犬1匹に時間をかけるな!!」

 

当の本人、蛮野は鉄棒に腰掛けその様子をただ見ているだけだったが、それが焦ったかったのか手から光弾を発射。

味方もろとも攻撃を浴びせた。

 

『ッ⁉︎』

 

「なにっ⁉︎ガァァッ!!」

 

 

『憐!!(憐くん!)』

 

 

その衝撃で倒され地面を転がるスレイヤー。

死神も巻き込まれてはいるがダメージは少ないようだ。

 

やれやれといった雰囲気でそれを見た蛮野は言った。

 

「全く…どいつもこいつも余計な手間をかけさせる…!」

 

「どうしよう、憐くんが…!」

 

「このままじゃ……!」

 

 

「このまま終わらせてくれる。これ以上面倒な事にならないようにな!」

 

 

そう言ってトドメを刺そうとしたときだった。

 

「ハァッ!!」

 

突如スレイヤーの背後から1本の刀が飛んできた。

その刀はゴルドドライブに飛んでいき、奴を下がらせると地面に突き刺ささった。

 

「これって……!!」

 

 

Aqoursの面々が振り向くと、そこにはいつも通り青い制服の上からジャケットを羽織り、腰にはドライバーを巻いた少年の姿があった。

 

 

『隼斗!(隼斗君!)(隼斗さん!)』

 

 

「憐、よく耐えた。あとは任せろ。…2分で片付けてくる」

 

そう言って自身ありげにピースサインを向けながら、彼は天に手をかざし高らかに叫ぶ!

 

「こい鳥…いや、今日からお前は…『ブレイヴ・ファルコン』だ!!」

 

『ーッ!!』

 

主人にその名を呼ばれ、舞い降りる蒼き隼。

シグナルブレイヴが射出され、彼の手元に収まった。

 

ドライバーを開き、挿入する。

 

《Evolution!》

 

両手両足を肩幅に開き、意識を落ち着かせるかのように目を閉じる。

 

そして…必ず倒す。その覚悟を胸に、自らをヒーローへと変えるキーワードを言い放った

 

「I'm Ready !超・Hensin!!」

 

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

青い鎧にその身を包み、隼斗は仮面ライダーブレイヴソニックへと変身した。

 

「勇気と奇跡がもたらす翼!望む未来を拓く為、オレの正義を貫き通す!仮面ライダー…ブレイヴソニック!!」

 

「仮面ライダー…ソニック!!!!」

 

「隼斗!」

 

 

「ゴメンみんな、言いたいことは山ほどあるだろうけど、ちょっとまってて…な!!」

 

そういうと地面を踏みしめとてつもない速さで駆け出した。

途中で地面に突き刺さった愛刀、天下零剣煌風を抜き構えながら死神の群れに突っ込んでいく。

 

「行け!!」

 

蛮野の命令で死神達がそれぞれの武器を構えブレイヴソニックに向かっていく。

 

だが、彼はそれを持ち前の機動力を活かして難なく回避。

すれ違いざまに胴に刃を叩き込む。

 

「ハッ!」

 

一体

 

「セアッ!」

 

二体

 

「フッ!」

 

三体!

 

鋭利な刃に胴体を2つに裂かれ、三体の死神は瞬く間に倒され、コアが飛び出る。

 

044、045、059の3つのコアが飛び出てきたが、ブレイヴソニックはそれを刀の一振りで一刀両断。破壊してみせた。

 

 

「遅い!俺を倒したきゃ、最低限戦闘機でも持ってきな!」

 

「貴様ァ……!!」

 

 

 

「あの軽口…!」

「いつものハヤトだよ!」

 

「失墜せし蒼翼の戦士…今、復活の刻!」

「ずら!」

 

 

「何故だ…何故ドライブでもマッハでもない貴様に、この私がァ!!」

 

 

ゴルドドライブはこちらに向かってくるや否やワンツーと蹴りでこちらを攻撃してくる。だがブレイヴとなった隼斗はその一挙一動を直前で見切り、ダメージが最低限になるよう捌いていく。

 

そして、胴体を掴んで投げ飛ばそうとこちらに手を伸ばしてきた隙に…

 

「吹っ飛べ!」

 

バサァ!と両翼を勢いよく動かし突風でゴルドドライブを吹き飛ばす。

 

「そこっ!!」

 

そして、ガラ空きになったボディに横一閃!

火花を散らし、ゴルドドライブが地面に膝をつく。

 

「こい!リジェネレイトブラッシャー!」

 

その隙を見逃す彼ではない。

最強武器リジェネレイトブラッシャーを呼び出し、ブラスター・ガンモードに変形。

 

シグナルソニックと…

 

《Signal Sonic!》

 

ドライバーを展開、シグナルブレイヴを抜き取りそれを追加で装填!

 

《Signal Brave!》

 

《ヒッサツ!》

 

《Full throttle Over!!》

 

銃口にエネルギーが集中、それはやがて巨大な渦を巻いて勢いを増す。

 

 

「ッ…!仮面ライダーソニック!お前はこの学校をも守ると言ったな!潰れ、消えゆくこの学び舎を守る事になんの意味がある!!」

 

「うるせぇ!!!!」

 

「グオッ⁉︎」

 

そう言って煌風をぶん投げ、ゴルドドライブに突き刺す。

そして、堂々と言い放った。

 

「学校がどうとか戦う理由とか知ったことか!今そこにある物を守る!例え無くなるのだとしても、「そこにあった」という証を残す!!そのために俺は戦う!それには…お前が邪魔だ!!!」

 

リジェネレイトブラッシャーに充填されたエネルギーが最大になり輝きを放つ。

 

「テンペスト・バースト!威力…最ッ大!!」

 

そしてそれは巨大な竜巻『テンペスト・バースト』となってゴルドドライブを襲う!!

 

「馬鹿め!その武器はこれなら…!!」

 

そう言ってドライバーのキーを捻る。

ゴルドドライブの能力、武器奪取。

だが、いくら捻ろうともそれに反応は無い。

 

「なにっ⁉︎まさか……!」

 

「バーカ。お前の対策は完璧にしてるって、最初にあった時言ったろ、忘れたのか?」

 

その言葉を最後に、ゴルドドライブは竜巻に飲み込まれた。

 

 

「グァァァァァァァァアア!!!!」

 

 

その竜巻は空へと昇って行くような軌道を描き、飲み込んだゴルドドライブは爆散した。

 

 

 

「たーまやー…なんてな。」

 

 

《オツカーレ!》

 

 

それを見届けると変身を解除、青い羽が周囲に舞い散り、同時に刀が横に落ちてくる。

 

「隼斗ー!!」

 

「みんな……姉ちゃん……」

 

それを見たAqoursの面々が駆け寄ってくる。

隼斗はそれを手で制したあと、綺麗に腰を折り曲げ、頭を下げた。

 

「ゴメン!!」

 

「隼斗さん…?」

 

「あんだけ言っておいて…俺は結局何も出来なかった。学校も…」

 

 

「それならいいんだよ、隼斗くん!」

 

「…千歌…」

 

「みんなで決めたんだ!」

 

「決勝に出て優勝する!」

 

「優勝して、この学校を!」

 

「このAqoursっていうグループを」

 

「かの舞台の歴史に刻みつける!」

 

「私達の戦いは、まだ終わっていませんのよ」

 

「だからハヤト、faceを上げて」

 

鞠莉にそう言われ顔をあげる。

そこには、彼が守りたいと願う少女の優しい微笑みがあった。

 

「また、一緒に頑張ろう!」

 

約束を破った事に怒らず、また責めるわけでもなく、彼女は言った。「頑張ろう」と。

 

その一言で自分をせめていた心が軽くなったのか、それが形となって目から流れ出ていた。

 

「……ああ!」

 

差し出された手を、そっと握る。

もう迷わない、最後までみんなと共にいる。

 

彼は再び自分の…みんなの望みに向かって飛び立つ。

 

 

次回に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……ハァッ………ハァッ……」

 

 

草木も寝静まる真夜中。

全身ズタボロになりながらもなんとか生存していたゴルドドライブ。

アジトに逃げ帰るとそこにあった複合ロイミュードに触れた。

 

 

「おのれ…仮面ライダーソニック…!!だが…私はまだ負けを認めた訳ではない…!

この最強のロイミュードがあれば、貴様など……!」

 

 

 

 

「ほう、それは面白そうだ。」

 

 

「っ!誰だ!」

 

振り向くとそこに立っていたのは、ボロマントを羽織り片目の隠れた仮面をつけた朽ちた鎧を身につけた謎の怪人。腰には中心部に玉の入ったベルトのようなものが巻かれていた。

 

「初めまして、蛮野天十郎博士。俺の名は○○○…あなたのその研究成果…いただきに来た。」

 

「いただきにだと…ふざけるな…!この私を誰だと…」

 

そう言い切る前に、ゴルドドライブは真っ二つにされていた。

 

「ガッ…⁉︎」

 

目を向けると謎の怪人が手に持っていた剣を振るっていた。

 

それだけではない、ゴルドドライブはおろか周囲の機器や窓までもが()()()()()()()()()()()()()()()()()切り裂かれていたのだ。

 

「ああ、いただきに来たのはそれだけでな。貴方は邪魔だ……消えろ。」

 

 

「アアアアアアアア!!!!」

 

謎の斬撃を喰らったゴルドドライブは爆散。

あとには黒いバンノドライバーが残った。

 

それを確認すると、その怪人はドライバーを拾い上げた。

するとその怪人は人間の姿に戻った。

 

見た目は18歳程の青年。

ロングコートを羽織り、腕や首には縫合痕のような傷がついている。

 

「蛮野博士、俺の計画に貴方は邪魔になる…が、何かに使えるかもしれない。

せいぜい利用させてもらおう。」

 

その男は空を見上げて言った。

それはこの世界のモノにあらず、別世界の侵略者。

 

「別の世界の仮面ライダー…このロイミュード……久しぶりに笑えそうだ。

 

さぁ、この『憂鬱』を晴らしに行くとしよう!!」

 

高らかに謎の男は言い放つ。

ヒトが背負いし大罪の一つ、『憂鬱』

その忌み名を持つ者は……

 

 

Crossing the world is close……??




最後の謎の人物は近々開始予定の特別編の登場人物の先行登場です。
彼がどんな人物なのか…それはいずれまた。

それでは次回もお楽しみに!

https://syosetu.org/novel/239403/
こちらは自分の誕生日に書いていただいた、度近亭心恋さんによる今回のお話のその後のちょっとした短編ストーリーのリンクです。
ぜひ合わせてお読みください!


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第2期9話 嵐を齎すのは何か

お待たせしました(?敗)
心恋さんに書いて頂いた三次小説のおかげでモチベが戻ったので投稿します

この物語を読む前にとりあえずこれまでのお話(2期分だけでok)と度近亭心恋さん作の
『彼女はなぜ模造されたのか』を読んでおく事をお勧めします。

本当マジであの人すごいや…神。


 

これまでのサンシャインサーガ!

その1 全霊の果て〜それは報われるのか〜

 

地方予選を突破し、ついにラブライブ決勝へ駒を進めたAqours達。

 

残すところは学校存続か否かというところだったが…

 

あと一歩というところで、それは叶わず。

浦の星女学院は正式な統廃合が決定してしまった。

 

失意に暮れていたAqoursや隼斗達。

だが、Aqoursは学校の仲間たち、隼斗は霧香博士に背中を押されて再び立ち上がる。

 

学校の名前をラブライブの歴史に残す為、己の守るべきものを最後まで守り続ける為に

Aqoursと隼斗達仮面ライダーは再び夢に向かって飛び立つのであった。

 

その2 番外編(モロ本編)

彼女はなぜ模造されたのか

 

とある日曜日。気分転換という事で、果南と2人で出かけることになった隼斗。

 

沼津の街を思い思いに巡る2人だったが、そんな中でのロイミュードの襲撃。

 

果南の姿をコピーした027に翻弄され苦戦していたが、加えて突如として殺し屋を名乗る謎の少女 ジュリアンと融合 融合進化態であるイミテーション・ロイミュードへと進化を遂げる。

 

武器を複製され一時は圧倒され地に伏せられるも、果南に対する想いの強さで隼斗は再び立ち上がり、最後はブレイヴソニックの超高速の連斬で敵を撃破した。

 

だがジュリアンは生存、謎のローブの人物達と接触をしており…?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

キリカラボ

 

「これで…よしっと」

 

浦の星女学院の地下にある秘密のラボの主、一時霧香はこれまでのソニックの戦闘データをコンピューターで整理していた。

 

「この間のトレーニングも、それなりに成果はあったようだね。全く…まさかその為とはいえ昔の黒歴史を引っ張り出すことになるとはねぇ…」

 

『別次元の存在とその干渉について』そう書かれた論文のデータを見ながら、彼女は深い溜息を漏らした。

 

「だが、これも全て君に強くなってもらう為……()()()()()()()()()

 

そう言って画面の中の少年に触れ、独り言のように霧香はつぶやいた。

 

「君ならなれるかな?……………隼斗」

 

 

「俺がどうかしたか?」

 

「っ!?」

 

私は驚いて声がした方をバッと振り向く。

するとそこにはいつも通り着崩したYシャツとネクタイの上に、お気に入りのフード付きジャケットを羽織った隼斗の姿があった。

 

「隼斗…いつからそこに?」

 

「『私の夢を叶える為だ』の辺りだな」

 

「そ、そうか…(危ない…ギリギリ聴かれてなかったようだな…)」

 

「それよりなんだよ、博士の夢って」

 

「・・・内緒だ」

 

「なんだよ!?教えてくれたっていいだろそれぐらい!」

 

「嫌だね。それよりほら!直ったぞ!」

 

話を無理やり終わらせ、彼にあるものを投げ渡す。

黒いタイヤのついた銃のような武器。

ゴルドドライブとの戦闘で破損、修復していたゼンリンシューターBS(ブルーソニック)だ。

 

「お、やっとか〜!いや煌風やブラッシャーも悪かねぇけどやっぱこういう手頃な武器は無いと困るからな」

 

「一応弾丸発射速度とゼンリン攻撃の威力は5.55%向上している。以前より耐久性もアップさせたからそう簡単には壊れない筈だ」

 

「いつもありがとな、博士」

「気にするな、私と君の仲だろう?ほら、早く行きたまえ!みんな待ってるだろう?」

 

「ああそうだった!そんじゃ!」

 

そう言うと隼斗は駆け足でラボを去っていった。

その背中を見送り、椅子に深く座り直す。

 

「…頑張ってくれよ、正義のヒーロー(仮面ライダー)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

スクールアイドル部 部室

 

 

「わぁ〜!可愛い!」

 

「見て見て!こっちのも綺麗だよ!」

 

「純白の衣…ヨハネには似合わないわね。」

 

「いやいや、善子ちゃん案外似合うかもずらよ?」

「そ、そう…?じゃなくてヨハネ!」

 

「カナンはこっちなんていいんじゃない?」

 

「わ、私!?これは…うーん…」

 

 

 

「うーっす遅くなっ…何してんだお前ら?」

 

「あ、隼斗君」

 

「ちょうど良かった!ハヤトはどれが良いと思う!?」

 

そう言って鞠莉が見せてきたのは一冊の雑誌だった。どうやらウェディング系のものの様だが…

 

「ドレス?」

 

「実はこの辺りの教会で今度ブライダル雑誌の撮影があるらしくて…モデルをやってくれないかって」

 

「わたくし達にその話が回ってきたんですの。この町の宣伝も兼ねてということで」

 

「今、その為のドレスを選んでるところなんだ」

 

「モデルねぇ…ふーん…」

 

そう言って雑誌のページをパラパラとめくっていく。

王道の白いものに、赤、青…更には黒なんてのもあった。

 

「色々あるんだな」

 

「隼斗はどんな色が良いと思う?」

 

「色?そうだな…メンバー全員共通か各個人かによって異なるが…水色なんてどうよ?」

 

「なるほど、Aqoursと同じ色ってことか」

 

「俺っち黒がいいと思うゼ?」

 

「黒か〜」

 

「ダーク過ぎるのもどうかと思うけどね」

 

 

 

 

「…あ、そうだ思イ出した…」

 

「どうしたの憐くん?」

 

「俺っちが街で聞いた噂なんだけど…」

 

ルビィに尋ねられ、憐は自身が聞いていた噂話について話し始めた。

 

「ここ何ヶ月か、奇妙な事件があってナ…その名も『花嫁強風喪失事件』」

 

『花嫁強風喪失事件???』

 

「アア、ここらの教会デの挙式の最中に突如として強い風が吹いたかと思いきや式の途中で新婦が消え去る…しかも、前兆無しで突然起こるから警察も動けネーって…」

 

「なるほど…そりゃたしかに奇妙だな」

 

「ロイミュード関係、かな?」

 

「強風と聞くとアイツ(トルネード)が思い当たるが…」

 

「アイツ、というとここ最近鳴りを潜めてるという…」

 

「008、だろうな…」

 

曜とダイヤの言葉に、一体のロイミュードを思い浮かべる。

ナンバー008 トルネード。同じ風属性同士ということである種のライバルのような存在と考えている。ナンバーだけなら最強クラス、どうするかを考えないとだが…

 

「でも、ソイツが犯人だったとしてどうやって捕まえるの?そもそも結婚式なんて早々あちこちでやってるものじゃないだろうし…」

 

「そうなんだよなぁ…」

 

 

『うーん…………………』

 

 

 

 

「話は聞かせてもらった!!」

 

 

 

そこにやってきたのはラボの整理を終えて戻ってきた霧香博士だった。

 

「博士!あとちょっとうるせえ

 

「霧香先生!」

 

「私に良い考えがある。今回のその撮影とやらを利用させてもらおうじゃないか!

ま、向こうのクライアントには悪いけどね。」

 

「今回の撮影を?」

 

「どーするの先生?」

 

「それはだな…」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

内浦近郊某教会

 

 

「はい!OKでーす!黒澤ダイヤさんありがとうございまーす!!」

 

 

迎えた当日。

俺達+博士が見守る中、撮影のリハーサルが始まった。

 

「(しかし、上手く行くのか?式の()()なんて…)」

 

 

時は前日まで遡る…

 

 

 

沼津の練習スタジオ内

 

 

『結婚式劇場作戦!?』

 

驚くメンバー達の前で霧香博士はペンとホワイトボードを使って詳しい説明を始める。

 

「ああ、仕組みはこうだ。まず、予定通りに撮影の方を進めさせる。

続いて式の途中風景の写真を撮る時に誰か1人に新郎役、もう1人に新婦役をやってもらって本当に結婚式をやってる風に進めていく。

 

そうすればヤツは必ず食いついてくるはず!正に完璧な作戦だ…さすが私!天才的だ…!」

 

 

片手で顔を覆うようにして自画自賛する霧香博士。いや天才的っつーか…

 

 

「悪魔的の間違いだろ」

「ソーソー」

 

「悪魔的!?」

「善子ちゃんステイずら」

 

「つまり、みんなして囮になるって事だよね?それって不味いんじゃ…」

 

「その為に俺らがいるんだよ!心配すんな速攻で潰すから」

 

「っていうか隼斗、そのトルネードってどんなやつなの?」

 

「ああ、それはな…」

 

果南と曜に言われ、俺は知ってる限りの頭の中の情報を引き出す。

 

「やつのコピー元の人間はジョージ白鐘…海外で活躍してた、業界じゃ超有名なファッションデザイナーだ」

 

「ルビィ見たことある!すっごい綺麗だったなぁ…あの人の服…」

 

「アイツの目的は『海の見える教会で首元が最高に綺麗な女性に、自身が作ったネックレスを付ける』…それを果たす事で最高に強くなる超進化ってのを目的にしてたらしい」

 

「超進化?」

 

「ロイミュードは特定の人間の感情を極める事で今以上に強くなる可能性を秘めている。それが超進化だ。

過去に超進化を遂げたのは全部で5体。

001 フリーズ。002 ハート。003 ブレン。

009 メディック。そして099 エンジェル。

 

ドライブ先輩達もかつてアイツと戦ったことがあるらしい。ま、どれもこれも倒されてるけどな」

 

「それに、そのトルネードってのはハートに匹敵するレベルの強さだって聞いてル」

 

「今回の作戦はそれを阻止する為でもある。

蛮野が消えた今脅威となるのはロイミュードのみ。その中でもヤツは特に厄介だからな。隼斗、憐。ここでトルネードとカタをつける。そう考えておいてくれ」

 

「了解。」

「ガッテン!」

 

「そしてAqours諸君。今回の作戦は君達の全面的な協力あって初めて成立するものだ。今回は今まで以上に少し危ないが…危険を承知で君達に協力を要請したい」

 

「勿論、俺達が全力で護衛に徹する」

「それでも無理そうナラ…」

 

「大丈夫!」

 

真っ先に手を挙げたのは千歌だった。

 

「やれるよ、私達なら!」

 

「千歌…」

 

「みんな、やろう!今まで私達は隼斗君達にたっくさん助けられた。今度は私達が隼斗君達を助ける番だよ!」

 

「確かに、助けられっぱなしはイヤだもんね!」

 

「曜サン!」

 

「2人だけじゃ心配だし…付き合うわよ」

「儀式にて敵を誘き寄せる…正にうってつけの舞台!」

 

「梨子…善子…」

 

「マル達に…出来ることがあるなら!」

「ルビィも!」

 

「マルちゃん、ルビィちゃん…」

 

「後輩達に任せてわたくし達は傍観、なんてのはブッブーですわね」

「一連タクショー!やりまショウ!」

 

「鞠莉、ダイヤさん…!」

 

「まあ、こんだけ言われちゃあね…ちゃんと私のこと、守ってよ?」

 

「果南姉ちゃん…………もちろん!!」

 

「よし!満場一致だな!作戦名は…名付けて『嵐を超える者達』!

一丸となってトルネードを打ち破るぞ!」

 

『オー!!!!!!!!!!!』

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

「さて、そろそろか…」

 

 

「天城隼斗さん!狩夜憐さん!準備お願いします!」

 

「「はーい!!」」

 

「一時先生もこちらに」

 

「ああ、はい!」

 

 

さて、俺は確か神父の役だっけか。

よーっし着替えに行くか………

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

ってなるはずだったんだがなぁ…

 

 

「天城隼斗さん、貴方は松浦果南を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも。妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

 

「・・・」

 

「隼斗さん?」

 

 

「いやこっちかよ!?」

 

 

俺は何故か白のYシャツに同色のネクタイ、更にブルーのベストとジャケットの…要するにタキシード姿で神父さんの前に立ってる。

 

 

「なに言ってんだ、さっき話しただろう変更になったって」

 

「いやいやんなの聞いてね……」

 

 

数時間前 控室にて

 

 

ドライバーを入念にチェックする隼斗。黙々と作業し集中していた。

そこへ霧香博士がドアを少し開けて覗き込み…

 

「隼斗〜?」

 

「ん」

 

「新郎役、憐から君に変更になったからな!」

 

「ん」

 

「あと新婦役決めジャンケンの結果果南くんになったから!じゃあよろしく!」

 

「ん〜………」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あの時かっ………!!しかも何ちゃっかりジャンケンで大事な役決めてんだ!」

 

「適当に話を聞いてた君が悪い。さぁさぁ頑張りたまえ〜!夢にまで見た舞台だぞ〜?」

 

「このクソ科学者め…!!」

 

畜生あのニヤケ顔ぶん殴りてぇ…今すぐとは言わねえけど…!

 

「隼斗?ほら続けないと…」

 

「え?…あ…」

 

 

声のした方を振り向くと…そこにはいつもと違って髪を下ろし、鮮やかなブルーのドレスに身を包み更にはプロの人のメイクによって数十倍は美しさを増した果南姉ちゃんの姿があった。

その姿に、俺は確実に心を奪われていた。

 

 

「…隼斗?」

「あーはい!分かってる!分かってるよ!?誓う!誓います!」

 

「テンパってんナ…」

 

「そりゃあ果南ちゃん相手ならこうなるでしょ…」

「状況が状況とはいえ、もう少ししっかりして欲しいですわね…」

「very beautiful!最高じゃない!!」

 

「鞠〜莉〜!!」

 

「あの、続けても?」

 

「あ、すいません。どうぞ」

 

「松浦果南さん。

貴方は天城隼斗を夫とし 健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも。

夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」

 

「…はい、誓います!」

 

動揺する俺に比べて、姉ちゃんはハッキリとそう答えた。

流石というかなんというか…ぶれねえな…

 

「では、指輪の交換を…」

 

「あ、やるんすね…」

 

この神父役の人確か今回の撮影の現場責任者の人だっけ?結構ノリノリか?

とりあえず以前貰っていた指輪を代用品として指輪交換は済ませた。

 

「最後にもう一度問います。隼斗さん、果南さん。お二人は変わらず、これからの人生を共に支え合い、助け合っていくことを誓いますか?」

 

 

神父さんの問い。

誓うかって?Stupid.演技だろうが本当だろうが、俺の答えは変わらない。

 

守り続けると、約束したから。

 

 

これが演技だと分かっていても、本当じゃないとしても、私はもちろんこう言う。

大切な幼馴染。私を守ってくれる弟分。

 

けど隼斗はすっごく危なっかしいから、私が側にいてあげないと。

 

 

 

だから()は────

 

 

 

 

 

「「誓います」」

 

ピッタリ揃った肯定の言葉。

お互いに目が合って、思わず笑みが溢れた。

よし、これで一先ず全部終わり…

 

 

「では、誓いの口づけを」

 

 

「「やんの!!!?」」

 

 

思わず2人揃って大声が出てしまう。

いやいやいや演技とはいえそこまでやるか!?

 

「いやいやいや!私聞いてないよ!?」

「いやいや俺もだって!はか…先生!どういうことだ!?」

 

「いやいやこういうのは最後までやらないと〜。それに、君も果南くん相手なら本望だろう?」

「え?まぁ…」

「隼斗?」

 

「じゃなくて!!現役スクールアイドルとマネージャーで幼馴染とはいえ俺って!ちょっと色々不味いんじゃ…」

 

「なーにこれが雑誌の撮影ってのはちゃーんと説明されるんだしいいだろ!さーさーいったれいったれ〜!!」

 

「先生も悪ノリしないでください!!」

「そそそそうだぜ!いくら撮影の為とはいえ…姉ちゃんだって嫌だろうし…」

 

「え?別に嫌ってわけじゃないよ?」

 

「ほら!姉ちゃんもそう言って………は?」

 

「いやだから、いいよって」

 

 

「…は?」

 

 

いや待って?思考が追いつかん。

え?撮影なのに?誓いのキスしろって?

しかも姉ちゃん普通にやろうとしてるし。

え?いいの?ファーストよ?

 

「隼斗〜。まさか忘れたの?隼斗がすっっごく幼い頃。一緒におままごとした時、隼斗と私で夫婦役やってて……」

 

え?そんなことあった?えーと昔…昔…

あー…

 

 

「あー……待って。ぼんやり…すごくぼんやりとだけど…あー……思い出してきた」

 

 

「でしょ?だから今更だってば」

 

「いやいやそれとこれとは話が別だってば!あれから何年経ってると思ってんの!?」

 

「隼斗ノリノリだったじゃん」

 

「アレは昔の話だろ!?今俺17!姉ちゃん18!今と昔とじゃ意味が違うよ!!」

 

 

「もー!隼斗くん!そんなうだうだ言わないの!男の子でしょー!!」

 

「そーだそーだ!らしくないぞ隼斗!」

 

「これも大事なお仕事でしょ?隼斗君!」

 

「先輩!がんばルビィ!!」

 

「例えこれは偽りでも…その想いに嘘偽りは無いのであろう!?」

 

「気合入れるずらー!」

 

「ホレホレ!キース!キース!」

 

 

「お前らなぁ…!」

 

「ハヤト〜!思いっきり!カナンへのありったけのLOVEを込めて!!」

 

「これもわたくし達の為ですのよ?…まあ、少し賛成できないところはありますが…」

 

 

「〜っ!!あーもう分かった!分かったよ!!すりゃいいんだろすりゃあ!!」

 

 

こうなりゃ最後までやり切るのみだ!!

とりあえず…深呼吸して心を落ち着ける。

 

「姉ちゃん……」

 

「隼斗…?」

 

顔の前にかかっていたベールを取り、後ろに退かす。そして、そっと両手で彼女の頬に手を触れた。

 

「…いくよ?」

 

「…ん」

 

ふっと微笑むと、こちらに委ねるかのように姉ちゃんはゆっくりと目を閉じた。

 

あああああああ…本当クッッッッソ美人。

こういう場じゃなかったら即座にキスしてるレベルには本当美人。もうマジ世界一。これだけで日頃のストレス即座に消滅する。

今ならどんな敵が来ても瞬殺できる自信しかない。ロイミュードでも鬼でも悪魔でも究極の闇でもバッチこい。

 

本っっ当に今この場に撮影兼作戦でいる事が悔やまれる。

恨むぞ神様…いるかどうか分かんねえけど。あと姉ちゃん、ごめんなこんな時に。

でも………

 

 

いつの日かちゃんとした形でまたしたいから

今日は今日、いつかはいつかって割り切って今はするよ。

 

俺も目を閉じ、そのまま顔を近づけていく。

少しずつ…少しずつ…2人の唇が近づいていく。

 

 

 

そして………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が吹いた。

立っていても吹き飛ばされそうなほどの強い風が。

 

 

「っ!来たか!」

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁ !?』

 

「飛ばされちゃう〜!」

 

「ミンナ!こっちへ!ハーさん!」

 

「分かってる!姉ちゃん!」

 

「っ!うんっ!」

 

左手で即座に果南姉ちゃんを抱き寄せ、隠し持っていたゼンリンシューターを取り出す。

 

そして狙いを定め…

 

 

「そこだっ!」

 

一点に向かって銃弾を放った。

 

扉の方に向かっていったその弾は、1人の男の腕に弾き飛ばされた。

 

「ほう、やるじゃねえか。あの時から少しは成長したらしいな。」

 

「やっぱりお前だったんだな!ロイミュード008!」

 

扉の所にいたのは、バックパッカーのような服装の帽子を被った伊達男。

トルネードの人間体だ。

 

「お前…風の坊主か。少しはマシな男の顔になったな」

 

「お褒めに預かり光栄だな。今まで何してやがった!」

 

「別にどうってことはねえさ。今となっちゃ目的もないも無い。気の向くままに、世界をさすらっていた。俺はトルネード…世界を駆ける…」

「情熱の風、だろ?」

 

「そういうことだ」

 

「攫った人達を何処へやった!」

 

「フン…俺が素直に答えると思うか?」

 

「だったら力づくだ!博士!」

 

「ああ!皆さん!すまないけど外へ!」

 

「え?だ、だが…」

 

「ああそうだ。ここは関係者以外出入りはやめな。じゃねえと…」

 

そういうと奴は自身の肉体を歪ませると本来の姿であるトルネード・ロイミュードの姿へと変化した。

 

「怪物だぁぁぁぁ!!!?」

 

それを見た途端、一斉に式場内にいた人達が一目散に逃げていき、俺達だけが残った。

 

「うーし、これで心置きなく暴れられるな。」

 

マッハドライバーMk-IIを装着。

憐も同じようにドライバーを装着すると俺の隣に並び立つ。

 

「勝負だトルネード!ここでお前とケリを着ける!」

 

「やれるものなら…やってみろ!」

 

そういうとトルネードは小型の竜巻をこちらに放ってくる。

 

『ー!』

 

だが、それはステンドグラスを割って舞い降りてきたブレイヴファルコンによってそれは切り裂かれ霧散。

そして、体から射出されたシグナルブレイヴが俺の手元に納まる。

 

「行くぞ!」

 

《Evolution!》

 

《SignalBike!》

 

「Are You Ready?」

 

「OK!」

 

「超……」

 

「「Hensin(変身)!!」」

 

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

《Rider!Slayer!!》

 

素体となるブレイヴスタンバイフェイズに分解、変化したブレイヴファルコンが装甲となって合体。

 

憐も鎧をその身に纏いそれぞれブレイヴソニックとスレイヤーに変身した。

 

「勇気と奇跡がもたらす翼!望む未来を掴むため、俺の正義を貫き通す!仮面ライダー…ブレイヴソニック!!」

 

「この世の悪党、魑魅魍魎!全てを狩り尽くす漆黒の戦士!仮面ライダースレイヤー!!」

 

俺は煌風とゼンリンシューター、憐は両手のスレイクローを構えて向かっていく。

 

「こい」

 

「行くぜ!」

「ッシャア!!」

 

駆け出すスレイヤーを置き去りジェット機を凌駕する速度で接近。

 

飛行能力を使って少しだけ床から浮く事で、リニアモーターカーのように地面との摩擦を無くし超高速での戦闘を可能とするブレイヴの十八番である。

 

「あ、ミンナ!外にヒナン!!」

 

「オッケーだ!みんな!こっちへ!」

 

憐がそう言うと博士に連れられAqoursの面々は教会の外へと走って出て行った。

 

「憐!お前はみんなを頼む!コイツは俺が!」

 

「わかっタ!」

 

それを聞いた憐もみんなを追って外に出た。

それを確認すると翼に力を入れて一気に突っ込む。

 

「先手必勝!!」

 

そのまま煌風を振り下ろすも、それはトルネードの渦を巻く腕に防がれる。

だが、それを予期していたかのように左手のゼンリンシューターから弾丸を連射。

 

右腕を振り下ろしてくるも、それを紙一重で右に避けてもう一度銃撃。

そして煌風で一閃。

 

「ぬぅ…」

 

至近距離から撃たれたトルネードは火花を散らしながら後ずさる。

 

「まだまだ!」

 

即座に空中を蹴って加速。ブレイヴソニックの特徴は攻撃力+スピードにスペックガン振りの速攻。

この姿の時は相手に休む暇すら与えない。

 

《ゼンリン!》

 

煌風の刃をゼンリンシューターに当てそのまま回転。

光を纏ったゼンリンと刃を連続で叩きつける。

 

「チッ…!」

 

2つの武器の攻撃を喰らうと 自身の高速移動能力でトルネードはその場から距離を取り、竜巻による攻撃を放ってくる。

 

「ウイング・ザ・アブゾーブ!」

 

だが、ブレイヴソニックの能力でその竜巻を霧散させ無効化。

一度地面に足を下ろすと、すかさず煌風を鞘に収め直す。そのまま居合のように構えると、側面にあるスロットにシグナルソニックをセットする。

 

《必殺!ぁふるすろっとる!!》

 

「急に和風だな…まぁいいや!特訓の成果、見せてやるぜ!いくぜ新技!

我流剣技一刀流…」

 

足に力を込め、そのまま高速で接近。

そして…

 

 

霧祓(きりばらい)!!」

 

 

一気に間合いに入り、抜刀術の要領での鋭い斬撃を繰り出す。それは、さながら濃霧すら討ち払う程の一振り。その一撃はトルネードを大きくふっ飛ばした。

 

 

「wow…確実にあの時よりも強くなっている…何があった?」

 

「強くなってるのはそっちだけじゃねぇって事だ。お前がいない間、俺だってそれなりに修羅場潜って来てんだよ」

 

クルクルと煌風とゼンリンシューターを同時に回しながら思い返す。

つい最近にも謎の殺し屋女とやり合ったり、ゴルドドライブぶちのめしたりと意外と上級クラスの敵とやり合っている。

戦闘のレベルは着実に上がってきていると、自分でも思う。

 

 

「いいぜ…その強さ…傷つき、傷つき…そして磨かれてカッコよくなる…それでこそ倒し甲斐があるってもんだ。」

 

「奇遇だな。俺も同感だ…ロイミュードと戦ってて、こんなに手応えを感じるのは珍しいからな!こんな事本当は言いたかねぇが…楽しい、って感じる」

 

「ハートがあの人間に肩入れしていたのも頷ける。…お前、名前は?」

 

 

「…天城隼斗。仮面ライダーソニック」

 

 

「天城隼斗…お前とここで決着を着けるのは惜しい、今は目的の方を優先させてもらうとするぜ」

 

「目的だと?蛮野もいないのに何を今更!」

 

 

「あんなダサい奴はどうでもいい。超進化し、俺は更に強くなる!お前との決着はその時にお預けだ」

 

 

そう言うとトルネードはその場で高速回転、竜巻そのものとなる。

 

「っ!待てッ!?」

 

ブレイヴの影響で突風によるダメージは無いに等しいが、激突による衝撃は発生する為多少のノックバックが発生。

 

怯んだ隙にトルネードは席や壁を壊しながら外へと逃げていった。

 

「逃げた…?ッ!姉ちゃん達!!」

 

嫌な予感がする。刀を鞘に収めるとすぐさま外へと駆け出した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

一方、憐達は教会から離れた場所まで逃げてきていた。

ドレスで走った為か皆疲れており、立ち止まって休憩していた。

 

「ふぃ…ミンナいる!?」

 

「千歌いまーす!」

「ヨーソロー!」

「いるけど…」

 

「まるはここずら!」

「ルビィも!」

「堕天使ヨハネ、此処に」

 

「marryイマース!」

「わたくしもいますわよ。」

「いるけど…」

 

「ついでに私もだ。」

 

「ハーさん大丈夫カナ…」

 

 

「仲間の心配か?悠長なことだな。」

 

「ッ!」

 

そこへ竜巻となったトルネードが降りて来る。

 

「008…!」

 

憐はすぐさま全員を庇うように立ち塞がり、クローを構えた。

 

「もう1人の仮面ライダーか……む?」

 

それを見てトルネードも構えるが、ある1人にその視線は向けられていた。

 

青い髪と同色のドレス…

 

「…?」

 

「見つけた…!新しい運命の相手だ!」

 

そう、果南である。

 

「…え、私!?」

 

「オマエ!まさかとは思うが…!」

 

「そこのブルーヘアのレディ、一緒に来てもらうぞ。」

 

「んな事…俺っちがさせっかヨ!!」

 

スレイヤーが両手のクローを構え駆け出した。

 

「フンッ!」

 

だが、トルネードは右腕から竜巻を起こすとそれをスレイヤーにむけて放った。

 

「ッ!やべ!」

 

腕を交差させ即座にガードの体勢を取るが、トルネードの強力な突風に耐えきれず吹き飛ばされてしまった。

 

「うわぁぁぁぁ!?」

 

「憐くん!」

 

「ッ!コンチクショウ!」

 

なんとか着地するも、トルネードは立て続けに竜巻攻撃を放って来る。

 

「その手はもう喰らうか!」

 

だが憐はこれを地面にクローを突き刺す事で自らを固定。

竜巻による吹き飛ばし攻撃を凌いだ。

 

「っへへ…!」

 

「ほう…それなりに頭は回るらしいな。

だが…!」

 

トルネードが自身の体を捻って高速回転。

巨大な竜巻となる。

そしてスレイヤーに向かって突撃した。

 

「ザケンナ!ここで果南サン持ってかれたらハーさんに顔向けできネェ!!」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer!!》

 

「ハンティング・エンド!!」

 

「甘い」

 

フルスロットルを発動し飛び上がる。

爪による必殺斬撃、ハンティングエンドを繰り出すも、それはトルネードの纏う竜巻に巻き込まれてしまった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

『憐(くん)(さん)!!』

 

そして、トルネードはそのままAqoursの面々の方へと向かっていくと全員を竜巻で巻き上げてしまった。

 

『わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?』

 

 

「ぐるぐるする〜!?」

 

「ずら〜!?」

 

 

そして、気づいた時にはトルネードはその中から果南のみを抜き出し捕らえており、スレイヤーとAqoursメンバー達は地面に叩きつけられてしまった。

 

「このっ!離して!!」

 

「心配すんな、命までは取らねえ。だが少し俺に付き合ってもらうぞ。

黒い仮面ライダー、天城隼斗に伝えろ。

この女は預かる。

返して欲しければ、5日以内にセント・ミッシェルまで来るがいいとな」

 

 

そういうとトルネードは果南を連れ風と共にその場から消えてしまった。

 

「ッ!果南サン!!」

 

「カナン!?」

 

 

「果南姉ちゃぁぁぁぁぁん!!!」

 

そこへブレイヴソニックが高速で飛んできた。だが…

 

「っ!憐!トルネードは!?」

 

 

 

 

 

 

「…スマネェハーさん…やられた。」

 

「やられたって…おい、そういや姉ちゃんは?」

 

「…果南くんなら、008に攫われてしまった。」

 

「嘘だろ!?」

 

「ゴメン、隼斗君…。」

 

 

「姉ちゃん………果南姉ちゃん!!!!」

 

 

 

Aqours結婚式劇場作戦は失敗に終わってしまった。しかも果南姉ちゃんがまたしても敵の手に落ちるという最悪の展開も含めて。

 

けど、まだ終わりじゃねえ…終わってたまるか!

待ってろ果南姉ちゃん!俺が絶対に救い出してやるから!!

 

 

 

次回(後編)に続く。

 

 

 

次回 サンシャインサーガ!!

 

 

「ついにここまで来た…!!最高にカッコイイぜ、俺…!!」

 

トルネード、超進化!?

 

「ブレイヴの新たなる力!?」

 

「特訓ずら!!」

 

そして隼斗は……え、こんな時に修行!?

 

「超進化態に対抗するには…これしか無いのか…!?」

 

 

「多少のリスクは…覚悟の上だ!!」

 

「やめろ隼斗!!!!」

 

果南を救う為に……

 

 

「Clear mind!限界をブチ破り、速さのその先へ!」

 

 

ソニック、超絶進化!!

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

第2期10話 速さの先にあるものは何か

 

 




久しぶりに小説書くのが楽しいって思いました。
特に結婚式(仮)シーンは作者的にお気に入りポイント高いです。
いつか真の式を挙げさせてあげたいものです。

というか憐をあまり活躍させてあげられないのが悩みどころ…

トルネード編はもうちょっとだけ続きます。
そして次回は、果南への愛が試される…?

それでは次回もお楽しみに!!


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第2期10話 速さの先にあるものは何か

気分乗って来たんで続けて投稿頑張ります!遂にトルネードとの決着編!

隼斗に限界はねぇ!!


前回のサンシャインサーガ!

 

ブライダル雑誌のモデルの仕事をやる事になったAqours達。

だが、そんな中憐は立て続けに花嫁達が強風と共に謎の消失を遂げる奇妙な事件の噂を聞いた。

 

これをロイミュード008、トルネードの仕業だと断定した俺達は、偽の結婚式をでっち上げたトルネード討伐作戦を実行。

 

だが、超ハッピーで幸せな式の…いやまあ演技なんだけど!俺らの結婚式の最中予想通りトルネードが現れた!

 

ブレイヴソニックの力と特訓やこれまでの戦いのお陰で実力は互角まで持っていけていた。

 

だが一瞬の隙を突かれて逃亡を許し、しかも姉ちゃんまで連れ去られちまった…

 

待ってろ姉ちゃん!俺が助けてやる!!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

とは言ったものの…

 

 

 

スクールアイドル部 部室

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

 

ライダー2人+残りのAqoursメンバー+霧香博士。

その空気は重かった。

 

Aqours全員も協力しての大作戦が失敗に終わり、なおかつ果南拉致という最悪の展開になってしまったことが重なったせいである。

 

ちなみに、あの後流石に撮影を続行する事は不可能と判断され、その後の撮影は延期となってしまった。

 

「で、どうする?」

 

「どうするも何も、助けに行くに決まってんだろ!セント・ミッシェル…だったよな?」

 

「ああ、ここから少し離れた所に大きな教会がある。それも()()()()()()()()な…」

 

「それっテ…!!」

 

「ああ、トルネードの条件ピッタリって事だ。5日以内…とは言ってたが、うだうだしてると超進化されて手がつけられなくなる。」

 

「だったらすぐ行かねえと…!!」

 

「けど、このまま行ったところで勝てるの?アイツって相当な強敵なんでしょ?」

 

「確かに、あの力は正に荒れ狂う嵐そのもの…生半可な力では突破は不可能…」

 

曜と善子に言われ、隼斗は考えてしまう。

確かにブレイヴでもやっと互角に持って行けたレベルだ、今の自分が行ったところで勝てる相手か…と。

 

「博士」

 

「なんだい隼斗?」

 

「ブレイヴのこれ以上の強化は可能か?トルネードの速さは明らかに今の俺の数倍…いやそれ以上はあった。だったらこっちも更にスペックを底上げして…」

 

「おお、なるほど!」

 

「ブレイヴの新たな力!?」

 

「確かに、今よりハヤトがstrongになれば…」

 

「…残念だが、それは無理だ」

 

「なんで!」

 

「ブレイヴソニックはあくまで君のイメージを…あの時に見せた力を具現化させたに過ぎない。正直ここから更に強化するのは難しいんだよ。それに正直に言うとだな……超進化態のロイミュードが出ない以上、残党狩りなら強化はデッドヒート辺りで充分だと私は思ったんだ。ブレイヴはただでさえ計算外の力なんだ、下手に弄れば何があるか…」

 

「じゃあ、今から新しいのを作れば…」

 

「流石に時間が足りない。トルネードが街で暴れない保証もない以上はな」

 

「マジかよ…」

 

「じゃ、じゃあトルネードには勝てないってこと…!?」

 

 

「今のままだと、な…」

 

『………………………』

 

 

隼斗でも勝てない、そう聞かされた瞬間更に空気が重くなった。

想定外の事態、ブレイヴソニックのこれ以上の強化は不可能。

 

誰もが諦めかけたそのとき…

 

 

「…強化ができないなら、自分自身を強くすればいい」

 

口を開いたのは花丸だった。

 

「マルちゃん?」

 

「隼斗さん、なんでもかんでもしすてむに頼り切りじゃダメです!隼斗さん自身が強くなれば、きっと仮面ライダーも強くなれるはずです!!」

 

「え、あ、おう…?」

 

何故か謎の熱さを見せる花丸に、隼斗は若干タジタジであった。

 

「ってもよ、その方法って……」

 

「決まってます」

 

花丸は立ち上がると、ホワイトボードに何やら大きく文字を書き始めた。

 

そこには…

 

 

特 訓

 

 

の2文字。

 

 

「特訓ずら!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

とある山奥

 

 

ドドドドドと大きな音を立てて落ちる水。

そう今俺は何故か……

 

 

「無理無理無理痛え痛え痛え!!!!」

 

「我慢して!そして心を無にして集中するずらよ隼斗さん!!」

 

 

「いやごめん何言ってるか聞こえない!!」

 

 

集中して心を無に…

 

 

「いや滝の音で掻き消されてるから!!」

 

 

「集中!余計な事を考えない!心を無にして、自分と向き合うずらー!!!!」

 

 

「自分と向き合う!?よくわかんねえけど…ええい!!こうなりゃヤケだコンチクショウがぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

なんか、滝行してる。

 

 

 

「し、しんどい…でもなんでいきなり滝行なんだよ…」

 

「これも強くなるため。しすてむの方がどうしようも無い以上、隼斗さんが強くなるしかないずら。そして、この手の修行ならマルが適任ずら」

 

「まあ確かに仏教とかはこの手の修行とかかなりあるけど…それとこれとは別だろ!?」

 

「ぐずぐず言ってないで、次行くずらよ」

 

「お前意外と鬼だな…」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……」

 

「……」

 

 

次は一点、めちゃくちゃ静かだ。

ここはとある寺の境内、次はここで座禅を組んでいた。

 

ったくこんな事してる場合じゃ…俺はさっさと果南姉ちゃんを助けに行かなきゃいけねえのnバァン!!ってぇ!?

 

 

「隼斗さん」

 

「ったよ……」

 

改めて座り直し、静かに目を閉じる。

余計な事を考えずに…集中…集中……

 

ああああだめだダメだ!集中しようとしても姉ちゃんの事ばかり頭に浮かんd バァン!!マたか!!

 

 

「だぁぁぁぁぁもう無理!集中できねえよこんなの!!大体こんな事しても強くなんて…」

 

「なれるよ」

 

「何処が…」

 

「確かに、肉体的にはちょっとアレかもしれないけど…それでも、心は確かに強くなる」

 

「心…」

 

そう言われてふと思い出す。

このライダーシステムは、確かに科学的な面が強いかもしれない。けど、データによれば使いこなすには、強くなるには心が重要だとあった。

 

ライダーシステムは心と密接な関係にある。

 

 

それを思い出した途端、心がスーッと穏やかになってきた。

 

「……っし!!」

 

再び座禅に戻る。

またすぐにぶっ叩かれるかもしれなかったが今度はそんなの気にもならなかった。

 

そして次の日、滝行の修行中。

 

 

「……………………」

 

 

滝に打たれていると次第に滝の音が遠ざかり

 

気がつくと俺は、一面が平な水面の上にいた。

 

 

「…ここは…?」

 

周りを見渡すが、足元の水面以外は真っ暗。

 

だが次の瞬間見えたのは…

 

 

水面に落ちた、一雫

 

 

「!見えた!!」

 

 

「隼斗さん!?」

 

「悪い花丸!俺行くわ!」

 

「その様子だと、行けそう?」

 

 

「ああ、いける…今の俺ならアイツとやりあえるはず!修行途中で投げ出して申し訳ないが…」

 

「ううん。隼斗さんなら…きっと大丈夫!!」

 

「そっか…んじゃ行ってくる!花丸ちゃんもみんなのとこ戻っててくれ!」

 

 

そう言って俺は麓に停めてきたライドソニックに向けて走り出した。

 

「明鏡止水、冷静に。頑張るずらよ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

セント・ミッシェル

 

 

「っ!このっ…!」

 

「やめておけ、お前さんじゃあとてもじゃないが逃げ出せはせん。」

 

一方その頃、指定された教会。

そこにはトルネードと鎖で柱に縛られた果南の2人のみがいた。

果南のドレスは、元から着ていた青から白に変わっている。

 

「さぁ、それはどうかな?あんまり自慢したくないけど、力にはそれなりに覚えがあるから。」

 

「だとしてもそれは無理だ。大人しくそこで時を待っていろ。」

 

そう言うとトルネードは果南から離れ長椅子に腰かけた。

 

「…どうして?」

 

「ん?」

 

「どうしてその…首飾り着けないの?それさえやるだけでアンタは強くなれるのに…」

 

 

「フッ…アイツのいないところで着けても仕方がねぇ…ヤツが来てからの方が、レースは盛り上がる…そう思っただけのことだ。」

 

「ふぅん…」

 

 

 

いいのかよ、そんなに余裕ぶってて…よぉ!!

 

 

すると突然、声がした。

2人がその方向を振り向くとそこにはライドソニックに跨り扉をぶち破り突っ込んでくる隼斗が。

 

「隼斗!!」

 

「ワォ、意外と早…ん?」

 

「あ、ヤッベ勢いつけすぎtうぉぉぉ待って待って止まれえええええ!!!!」

 

 

しかし、かなりスピードを出してきたのかバイクが急には止まれない。

隼斗は咄嗟の判断で急ハンドルを切り縛られていた果南に向かいそうなバイクをトルネードの方に突っ込ませる。

 

「なんだと!?」

 

突然の事に余裕をかましていたトルネードは対応できず、椅子を破壊しながら突っ込んでくるライドソニックに吹っ飛ばされた。

 

隼斗も運転席から投げ出されるが咄嗟に身を捻って受け身を取ることで事なきを得た。

 

「痛てて…悪りぃハンドル滑った…あ、相手ロイミュードなんだしいっか。」

 

「隼斗!!」

 

「あ、姉ちゃんごめん!遅くなって!無事!?無事だね!それならとりあえずヨシ!!」

 

「いやヨシじゃないでしょ…なんて罰当たりな入り方してんのさ…」

 

 

「なんてワイルドな乱入の仕方…だがいい、豪快な男は嫌いじゃあねぇ」

 

木屑と化した椅子だったものから起き上がるトルネード。

それを見ると隼斗はドライバーを取り出し、腰に装着した。

 

「余裕無かったもんでな。ちょっと手荒な入り方させてもらったぜ!」

 

「まあいい、これで舞台は整った。今こそオレの…ジョージ白銀積年の夢を果たす時だ!」

 

トルネードはそう言うと持っていた箱から煌めく宝石がこれでもかとつけられた首飾りを取り出した。大きなダイヤモンドが中心で光を浴びて輝いている。

 

「それは!」

 

「そう、ジョージの最高傑作。これをつけた時、オレは更なるカッコよさを手にすることができる…!」

 

「ドライブ先輩がぶっ壊したはずなのに…」

 

「もう一度作り上げたのさ。ま、苦労したがな…この輝きはあの時以上…!これならば…」

 

「んなこと…させっかよ!!」

 

隼斗は隠し持っていたゼンリンシューターで首飾りを撃ち抜かんと弾丸を放ったが、それはトルネードの暴風によって阻まれた。

 

「おっと、ソイツはよしてもらおうか。前はそれで仮面ライダーに邪魔されたが…今回はそうはいかない。お前もちょっと大人しくしてろ!!」

 

トルネードが放った竜巻に吹っ飛ばされ隼斗が壁に叩きつけられた。

 

「っ!!」

 

「隼斗!!」

 

「さぁ、クライマックスだ…!」

 

「っ!よせ…!!」

 

妨害しようにも、先程攻撃を受けた時に隼斗はゼンリンシューターを手から弾かれていた。

煌風を投擲した所でアレは恐らく防がれる。

 

なす術は無かった。

 

 

そして果南の首にトルネードの首飾りが遂に着けられてしまった……

 

 

「っ!くそッ…!!」

 

「っ…!」

 

 

「おおお……!!最高だ…やはりオレの目に狂いは無かった!あの時と同じ…いやそれ以上…!最高だぜ…!!」

 

トルネードはロイミュード態へ変身。

そしてその体は強風と共に次第に黄金の輝きを放ち始める。

 

 

「辿り着いた…ようやくここまで来たぞ……!ウォォォォォォォォ!!!!」

 

 

その衝撃波で教会内のステンドグラスが割れ色とりどりの硝子の雨が降り注ぐ。

 

「っ!姉ちゃん!!」

 

隼斗は咄嗟に駆け出し、果南に覆い被さるようにして硝子から彼女を庇った。

 

「隼斗!?」

 

降り注ぎ、飛んでくる硝子によって傷つけられる彼の体。だが隼斗はそれをお構いなしと言わんばかりに微動だにせずにいた。

そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ついにここまで来た…!!最高にカッコイイぜ、俺…!!」

 

それが止むと、そこには身に纏った竜巻が黄金に、肉体は赤から青に変わったトルネードがいた。

 

これこそ008、トルネード・ロイミュードの至った究極の姿、超進化態である。

 

「あれがトルネードの…」

 

 

「超…進化態……!?」

 

 

「感謝するぜ、天城隼斗。お前のお陰でオレはこの領域にまで至れた…」

 

「礼は…いらねーよ…どのみちここで…俺がぶちのめすんだからな!!」

 

隼斗が手を上に振り上げると、空からブレイヴファルコンが舞い降りる。

射出されたシグナルブレイヴを掴み取ると、ドライバーのパネルを展開した。

 

「無理だよ隼斗!その体じゃ……!!」

 

果南の言う通り、吹っ飛ばされた衝撃や硝子などで服は切られ、腕や足には傷がいくつもつき血が出ていた。

 

「だとしても…やるしかねぇんだ!!」

 

《Evolution!》

 

「I'm Ready…超変身!!」

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

隼斗は足元をふらつかせながらもブレイヴに変身。

腰元の煌風を抜刀した。

 

「ここで…なんとしてでも倒す!!」

 

 

翼に力を込めて一気に加速し、トルネードに向けて刀を振り抜く。

だがそこにトルネードの姿は無く、刀は空を斬っただけであった。

 

「消え……」

 

「何処を見ている」

 

「何っ!?」

 

いつの間にか背後に回っていたトルネード。

不意を突かれ、蹴りを喰らって倒される。

 

「っ!」

 

「どうした?これで終わりじゃないだろ?」

 

「まだ…まだッ!!」

 

足元を払い、連続の斬撃を繰り出す。

だが、トルネードはドリル状の右腕で払い、左手から金色のオーラを纏った竜巻を打ち出した。

 

「忘れたかよ!風なら俺の…!」

 

「忘れるかよ。その証拠に…」

 

翼を盾にし風を吸収しようとする。

放たれた暴風は背中の翼に吸収されていくが、金色のオーラはお構いなしと言わんばかりにブレイヴソニックに襲いかかった。

 

「マジか!?」

 

その衝撃波でブレイヴソニックは床を削りながらジリジリと後ろに押されていた。

 

「確かに風は吸い取れても…それ以外まではできないだろう!」

 

「変な小細工しやがって…!!」

 

煌風でオーラを斬りあげると、一気にバックステップで距離とり、片手で霞の構えを取った。

 

「(正面から行くのはキツい、暴風攻撃は変なオーラで受け切れない…だったら加速して一気に突きを繰り出す……!)」

 

そして、両足にエネルギーを集中させ思い切り地面を踏み込んだ。

 

「隼斗流剣技…伍ノ芸(ごのわざ)!」

 

神速とも言える程の速さで瞬時に敵の真正面に出現。

 

「さっきと同じか、それが通用すると思ったか!!」

 

「一刀流 風孔突(かざあなづき)!!」

 

それは如何なるモノをも貫く疾風の突き。

だが、それはトルネードの速さで回避されてしまう。

 

だが、この技はあくまでブラフ。

 

 

「と、見せかけて…!!」

 

左手を刀の頭の部分に当て、右手は刀を逆手持ちに切り替える。

 

そして、そこから繰り出される鋭い刃!!

 

 

「参ノ芸 一刀流 鎌鼬(かまいたち)!!」

 

 

体を捻り 逆手持ちにした煌風で鋭い袈裟斬りを背後に回っていたトルネードに浴びせた!

だが…

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おいおい」

 

 

「…いいハッタリだ、前のオレだったらやられてたかもしれねぇな」

 

渾身の一太刀はトルネードの右腕に防がれていた。

 

「そんな…今のも通らないなんて…!?」

 

「超進化を果たした今、オレはお前の速さを上回った。()()()()()()オレには勝てねえぞ!」

 

右腕による攻撃を喰らい、ステンドグラスの割れた窓から外に放り出され地面を転がる。

なんとか起き上がったところに追撃が入り、更に吹っ飛ばされた。

 

「隼斗ッ!?」

 

「クソっ…!」

 

 

万事休す。

もはやこれまでかと思ったその時…

 

「…ん?」

 

 

隼斗の視界に、とある表示が入った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「パワーアップ…か…」

 

霧香はAqoursの面々を部室に残し、ラボで1人隼斗の戦いをモニタリングしていた。

 

「無いことはないんだが…今の隼斗には使わせられない…。使えば彼は……!?」

 

だが霧香は突如画面に表示された通知に目を見張った。

 

「馬鹿な…どうしてこのシステムが!!?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……なんだって?」

 

 

オーバーブレイクシステム ロック解除 使用可能にしました

 

 

そこにあったのは、このような表示だった。

 

「オーバー…ブレイクシステム…?何かのパワーアップのシステムか?こんなのブレイヴに搭載されてたのか…フルバーストと同じようなものか?」

 

 

『おい隼斗!聞こえるか!?』

 

「博士?」

 

そこに霧香博士からの緊急通信が入った。

ゴーグル内の視界に表示されている。

 

『今オーバーブレイクシステム、みたいな表示されなかったか!?』

 

「ああ、今現在進行形で表示されてるが…なんだよ、あるじゃねえかパワーアップ」

 

『君には黙ってたんだよ。どうせ使う事もないだろうと思ってたからな!厳重にロックをかけて、発動できないようにしていたのになんで解除されたんだ…?自分で搭載しておいてなんだが、このシステムすごく危険なんだ!使えば君の体にどんな負担がかかるか…それに、このシステムを使いこなすには変身者の強い精神力が……』

 

「負担……それに強い精神力……」

 

『くっそ!今すぐシステムの再ロックを……っ!こちらからの操作を受け付けない!?…まさか!RF-01の方が自分の意思でこちらの干渉を拒絶してるのか…!?』

 

 

だが、このままだと埒があかない…長期戦に持ち込めばブレイヴは不利……使うしかないのか…?

 

「超進化態に対抗するには…これしか無いのか…!?」

 

「何をごちゃごちゃと…言っている!!」

 

トルネードが黄金の竜巻を放ってくる。

ブレイヴソニックはそれを転がって横に回避。

 

「ええい!負担がどうとか知ったことか!!多少のリスクは…覚悟の上だ!!」

 

頭を振って不安を無理やりかき消す。

そしてブレイヴソニックはブーストイグナイターを連打し始めた。

 

「……?何をする気だ」

 

「隼斗、一体何を……!」

 

 

そして、15回きっかり連打すると足を肩幅に開き、すっとした立ち姿になる。

 

意識を集中させ、心を落ち着かせる。

 

そして、波一つ立たない水面(こころ)に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一雫

 

 

 

 

 

「Clear mind!限界をブチ破り、速さのその先へ!」

 

 

『やめろ隼斗!!!!』

 

 

「オーバーブレイクモード…起動!!」

 

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

ドライバーから発された音声。

すると、マッハドライバーMk-IIの黒い部分が蛍光色の緑に発光、肩や脚、腕の装甲が展開していく。

 

 

「そんなもの……ハァッ!!」

 

トルネードがブレイヴに向けて黄金のオーラを纏った竜巻を放ってくる。

 

だがそれをブレイヴソニックは……

 

 

「……はぁっ!!」

 

 

斬!!

 

 

一刀両断。

文字通りに真正面から真っ二つにしてみせた。

 

断ち切った竜巻が勢い余って背後で大爆発。

爆煙がブレイヴソニックの周囲を包み込んだ。

 

そして煙が晴れると………

 

そこに彼はいなかった。

 

「……消え…」

 

「後ろだ」

 

「っ!?」

 

トルネードが咄嗟に右腕で攻撃してくるもそれを難なく回避。

 

「ほう、やる……っ!?」

 

突如トルネードを襲ったのは斬撃。

死角から鋭い一撃を叩き込まれ、トルネードはその場に膝をついた。

 

「な…んだと…!?」

 

 

気がつくと、ブレイヴソニックは再びトルネードの前にその姿を現していた。

だがその姿は先程とは見違えるようだった。

 

全身の色が宝石のサファイアのような青色からソーダ、または海のような透き通る綺麗な水色に変わり、肩や脚、腕の装甲が展開している。

そして背中の翼からはエネルギー粒子が放出されていた。

 

これが仮面ライダーブレイヴソニック真の姿

 

限界を突き破り、潜在能力の全てを解放した姿。

 

仮面ライダーブレイヴソニック

オーバーブレイクモードである。

 

 

「隼斗……なの…?」

 

 

「wow…!!いいぜ、これまでで最も最高の輝きだ……!オレが見たかったのはソレだ!天城隼斗!!」

 

 

「さぁ、決着を着けようぜ。真に速いのが…どっちかを!!」

 

「面白い!勝負だ!!」

 

 

青と金、2つの異形がその場から駆け出す。

以下は、数十秒の間に起きた一瞬の出来事である。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ブレイヴソニックが繰り出す連続パンチ、それをトルネードは両手で捌き、右腕のドリルを纏った竜巻と共にぶつけに来る。

 

だがブレイヴソニックはそれを体を横に向けることで紙一重で回避。

 

左右の手で殴りのラッシュを繰り出したあと右の裏拳、左ストレート、右アッパーを連続で繰り出す。

 

怯んだトルネードが左手から放った竜巻で攻撃してくるものの、ブレイヴソニックはそれを難なく回避。

風だけを翼に吸収させ、オーラによる余波の攻撃は躱した。

 

そして、そのまま即座に接近。

取り出したゼンリンシューターによる銃撃のあとボレーキックで吹っ飛ばし、追撃の銃撃を連射。

そして、隙ができた所で煌風を鞘に納刀。

居合いのように構えた。

 

 

「隼斗流剣技壱ノ芸 一刀流改…百連霧祓!!」

 

瞬時に最高速度まで加速。

抜刀術から編み出した剣技 霧祓。それを百連撃でトルネードに繰り出す。

 

「させるか!」

 

正面から斬りかかろうとするブレイヴソニックを見て回避するトルネード。

だが、避けた先でブレイヴソニックに先回りされており斬撃を受けてしまう。

 

攻撃から逃れようとして距離を取るもまた瞬時に背後に、横に、正面に。

 

オーバーブレイクの発動中は限界を超えた力を発揮できる。故に自慢の攻撃力とスピードを100%、否。500%の力で使える。

 

逃れられるモノは、いない。

 

「はぁっ!!!」

 

百連目の斬撃を喰らい、全身から火花を散らすトルネード。

 

ブレイヴソニックはそれを見ると飛び上がり煌風を納刀、ゼンリンシューターを教会の方に向けるとそのまま発砲。

 

果南を縛っていた鎖を撃ち抜き、破壊した。

それを確認し頷くと、トルネードの方に向き直った。

 

 

「これで終わりだ」

 

ドライバーのパネルを上げ、ブーストイグナイターを押す。

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!!》

 

 

「まだ……まだだ!!」

 

 

最後の足掻きと言わんばかりにトルネードは自身を回転させ、巨大な大竜巻と化す。

 

それは周囲の岩や砂を巻き上げ、正に全てを飲み込まんとする大災害。

 

それを砕くため、ブレイヴソニックは加速しその右足を突き出した!!

 

 

「ブレイヴ・エクストリーム!!!!」

 

青い軌跡を描きながら放たれた必殺のライダーキック。

それはトルネードの巻き起こす突風をものともせず、竜巻を貫いた。

 

「っ………!ハハハっ…!やるじゃねえか…だがな、一撃叩き込んで倒れるほど、オレはヤワじゃねぇぞ…?」

 

それでもなおトルネードは未だ倒れていなかった。

 

「わかってるさ、だから……!」

 

加速して再びキック。

加速してキック。加速してキック。

 

そう、オーバーブレイクでのブレイヴ・エクストリームは一撃では終わらない。

 

相手が一撃で倒れないのならば倒れるまで、何度も、何度でも叩き込む!!

 

「これが俺の!全力!全開ッ!!!」

 

 

それがこの………!!

 

 

 

 

「"ブレイヴ・エクストリーム・ラッシュ"!!!!」

 

 

 

目にも止まらぬ速さで叩き込まれる必殺ライダーキック。

 

トルネードはその手数と速さにもはやガードもついていけてなかった。

 

 

そして、何十回と叩き込まれた所でブレイヴソニックは停止。地面を擦りながら着地し、オーバーブレイクモードが解除された。

 

 

「ゼェ……ゼェ………」

 

 

「あ…あ………」

 

 

 

「俺の………勝ちだ………!!」

 

「ああ、そうだな……そしてオレの敗北だ…」

 

 

トルネードはその変身を保ったまま、表情は見えないが何処か満足したような声色だった。

 

「最高にカッコいいぜ、お前………」

 

「お前も……な……!」

 

「首飾りはくれてやる…オレを楽しませてくれた礼だ」

 

「……そうか、ならありがたく貰っとく」

 

 

「…あばよ、仮面ライダーソニック」

 

 

そう言うと、トルネードは倒れ爆散。

飛び出たコアも砕け散り、風に溶けて消えていった。

 

同時にブレイヴソニックの変身も解け、隼斗は元の姿に戻った。

 

 

「じゃあな…俺のライバル。お前との戦い、ある意味悪くなかった」

 

 

 

「隼斗くーん!!」

 

 

上から声がした。

見上げるとそこには博士から知らされてきたのだろう、Aqoursの面々に加えて憐も来ていた。

もちろん、果南姉ちゃんも無事だ。

 

俺は右手の人差し指と中指をピンと立て、ピースサインでそれに答えた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

帰り道。

戦いを振り返りながら、夕日の中をみんなで歩いていた。

 

「やったなハーさん!まさかトルネード…それも超進化したのを倒すなんテ!!」

 

「やっぱりマルの特訓がよかったずら!」

 

「いや…アレ本当に成果あったの?」

 

「なかったら隼斗さん勝ててなかったかも…やっぱり花丸ちゃんすごい!」

 

「エヘヘ〜」

 

一年生組がワイワイと話している。

するとダイヤが事の顛末を聞き…

 

「それにしても、災難でしたわね果南さん」

 

「災難って…何が?」

 

「アララ〜?カナン知らないの?」

 

「世の中には、"結婚式の前にウェディングドレスを着ると婚期が遅れる"というジンクスがありますのよ?」

 

「ええっ!そうなの!?」

 

「今回の騒動で合計2回…災難だったね果南ちゃん」

 

「そんなぁ………」

 

鞠莉や曜、ダイヤに言われ少しショボンとする果南。

すると千歌が果南を励ますように

 

「でも大丈夫だよ!果南ちゃんにはいるじゃん!未来の旦那さん第一候補が!」

 

「そうそう。お願い!って頼めばすぐにでもOKしてくれる人がいるじゃないですか」

 

「そうだよね!隼斗くん!!」

 

 

 

「……え?あ、ああ……そうだな……ハハ…」

 

 

「隼斗?」

 

「どうしたの?顔色悪いよ?」

 

「戦いで疲れたんでしょ。早く帰ってご飯食べて寝れば大丈夫!!」

 

「…ただ、疲れてるって感じには見えないけど…」

 

「き、気にすんな……ちょっと疲れただけ…」

 

 

梨子や曜に言われ、咄嗟にそう返す。

けど…確かにおかしいな…フラフラするし……なんか…疲れたっていうか……息苦しいっていうか………まあ、恐らく戦闘であった負担ってやつだろう。

これぐらいなら………

 

 

ドクン………

 

 

っ!?なん……これ…………

 

 

突如強く脈打った心臓。より強くなる息苦しさ。まるで首と心臓を握りつぶされている様な苦しさが襲いかかってきた。

 

あ…これ……

 

 

 

それが何なのかを認識する前に、俺の体から力は抜け……

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ドサッ、という音が聞こえて振り向く。

 

「……隼斗?」

 

 

先程まで立って歩いていたはずの隼斗が胸を押さえて倒れていた。

 

「…へ?」

 

「隼斗くん………隼斗くん!!?」

 

「どうしたんですの隼斗さん!?」

 

「隼斗サン!しっかりシロ!!」

 

 

「「隼斗さん!」」

 

「隼斗!!」

 

「ぁ……っぁ………!!」

 

声も出せず、息をする事もままならないような状態。

苦しそうにその場にうずくまる隼斗。

 

「ダダダダイヤさん救急車!!」

 

「そ、そうですわね!それと一時先生にも連絡を!!果南さん!あなたは隼斗さんの側にいてあげてください!」

 

「う、うんっ!!」

 

果南はすぐさま駆け寄り、隼斗の手を握った。

 

「隼斗!隼斗しっかりして!!」

 

 

ねぇ…ちゃ………ん…

 

 

か細い声でそう呟くと、握っていた手がするりと落ち、隼斗は意識を手放した。

 

 

「隼斗………?ねぇ隼斗!隼斗ぉ!!!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

酸素マスクをつけ、病室のベッドの上で横になる隼斗。

加えて頭には包帯、腕や足にもいくつかの包帯と絆創膏がついた、誰が見てもボロボロと言わんばかりの状態になっていた。

 

「……」

 

外から彼を見ていた面々の所に医師から話を聞いていた霧香が戻ってきた。

 

「先生!隼斗は……!」

 

「…とりあえず、命に別状は無い。じきに目を覚ますだろうとの事だ」

 

 

「よ、よかったぁ……!」

 

 

「それよりハカセ、ハーさんが倒れた原因って……」

 

 

「ああ、大方見当は付いている。あの傷による失血…まあ、それよりもオーバーブレイクの過剰使用の方だろうな」

 

「オーバー…ブレイク」

 

「それが、隼斗が使ってたあの力?」

 

「ああ、内部のコア・ドライビアが生み出す膨大なエネルギーを変身者の肉体に直接流す事で身体能力を大幅に強化する、リミッター解除能力…私がRF-01に搭載し、封印していた()()の力だ」

 

「はず?…って事は何かのきっかけで封印が解除された…ってことかしら?」

 

「恐らく….隼斗のトルネードを倒したい、勝ちたいという強い思いに01…ブレイヴファルコンが応えてシステムロックを解除したんだ。プログラムに逆らうとは、私も正直予想外だった」

 

「そこまでして隼斗は勝ちに……」

 

「彼にとっても果南くんを助けたい一心での発動だったんだろう。それこそ、自分の身のことなんて顧みずに……」

 

「隼斗……」

 

果南はずっと隼斗の手を握っていた。

そして、ぎゅうっとより強く握った次の瞬間

 

 

「ん…………いででででで!!?」

 

あまりの強さと痛みに一瞬にして覚醒。

隼斗は文字通り 跳ね起きた。

 

「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ……ってぇな姉ちゃん!あんま強く握……」

 

一瞬ぽかんとした表情になる果南。

だが、すぐに彼女の目には大粒の涙が溢れ出し……

 

「隼斗…………っ!!!!」

 

がばっと力の限り彼を抱きしめた。

突然の事に驚きながらも隼斗は優しく彼女を抱きしめた。

 

「どうしたの姉ちゃんいきなり……」

 

「いきなりじゃない!!隼斗こそ……隼斗こそ突然倒れて……!心配したんだからぁぁぁぁ!!!!」

 

まるで幼い子供のように泣きじゃくる果南。それを見た隼斗はやれやれと言った表情を浮かべながらも…

 

「(また……泣かせちゃったな……)」

 

心の中で深く落ち込んでいた。

あの時からそう時は経っていない。

短い間にまたしても彼女に涙を流させてしまった己を彼は悔やんでいた。

 

 

「隼斗くん!」

 

『隼斗!(君!)(さん!)(ハーさん!)』

 

「無事で良かった!」

 

「本当心配したんだよ!?」

 

「また果南さんを泣かせて…ブッブーですわよ…?」

 

「マーマー!生きてればAll OK!!」

 

駆け寄る仲間達。

隼斗は一人一人にすまなかった、心配かけた、など丁寧に謝っていた。

 

「隼斗」

 

「博士……」

 

「勝手にオーバーブレイクを発動して挙げ句の果てに死にかけて…自分が何をしたか、分かってるだろうな?」

 

「…分かってる、けど今回は仕方なかったんだ。アイツを倒すのにはこれしかなかっ…」

 

「言い訳はいらない!私は君達に死なれては困るんだ。これに懲りたら、この力は以後絶対に軽率に発動しないように!分かったな」

 

「…へい」

 

「返事は!?」

 

「はい!!」

 

「ったく……けど、よくやったよ。008トルネード。強敵を撃破できたのだから。それに、行方不明者も警察が見つけたそうだ。これにて一件落着だ。とりあえずこう言おう、おめでとう」

 

霧香博士がそう言うと、各々が一斉におめでとうと言い出した。

 

 

隼斗は病室のベッドの上で、みんなの声を、みんなの想いを、そして…

手を握り続ける彼女の温もりを夜が更けるまで感じ続けていた。

 

 

 

次回に続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、人々が寝静まり月が町を照らす真夜中。

男は1人、傍に立つ異形と共に月を見上げていた。

 

 

「時は来た…!」

 

その手に握られた歪な黄金の小箱。

それは絶望郷の名を冠する記憶の力。

 

「さぁ、始めようか!!」

 

 

《Dystopia!》

 

交差する物語。

その1ページは、開かれた。

 

 




というわけでついに登場!最強!最速!オーバーブレイクモードです!
やっと出したいもの出せたって感じです。まあまだまだ使いたいってアイデアは山のようにあるんですけど。
というわけでオーバーブレイクモードの設定です!

仮面ライダーブレイヴソニック
オーバーブレイクモード

スペック
パンチ力 60.5t
キック力 55.5t
ジャンプ力 一飛び300m
走力 ???


・概要
ブーストイグナイターを15回以上連打する事で発動する、ブレイヴソニックのリミッター解除形態。
全身がサファイアのような青色から透き通るような水色に変わり、ドライバーの黒の部分が蛍光色に発光、肩や脚、腕の装甲が展開。
背中の翼からはエネルギー粒子が放出されており、このモード発動中は常時体が発光している。

コアドライビアが生み出す無尽蔵にも等しい膨大なエネルギーを変身者である隼斗の肉体にダイレクトで流す事でその身体能力を大幅強化。
これによりスーツ自体のスペックも向上しているため、これまで通りのシフトアップ発動時とは比べ物にならない程のスピードとパワーを発揮できる。
走力及びジャンプ力のスペックは不明。
いずれのスペックもかなり強化されている為通常モード時の何倍もの超高速戦闘が可能となる。


しかし、デッドヒートのような暴走こそ無いものの強力故に当然デメリットはある。

まず前提として、発動するには通常モードのブレイヴよりも極めて速い超高速移動を戦闘で使いこなす為の強い精神力が必要である。

元々ソニックはネオホープシステムの特性により、マッハやチェイサーなどの旧世代のネクストシステムと比べると、戦闘時にかかる負担こそ少ない。
それはソニック達の方のシステムはある種の制限によって負担を軽減されている為である。
しかしこの姿は、いわばそれらの制限が全て外された状態。強力な力を発揮できる代償として諸々の負担が直接隼斗自身に来る。

これらの理由からこの能力を発動できるのは一回の戦闘中に一度きり、時間も精々15秒が限界であり、それ以上使用すれば最悪命にかかわる。
副作用としては呼吸困難、動悸がする、過度の疲労など。


こんな感じです。
詳しい事は暇がある時に何処かで設定集的な感じで作ろうかと思ってます。

そして、こちらはいよいよキリがいいとこまで行けました!
次回から146さんのラブダブルとのコラボ編スタート!(の予定)です!!
企画から数年の時が経ち、いよいよ実現できます!

それでは次回もお楽しみに!
高評価とか感想くれると作者のモチベが急上昇します。



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果南誕生日記念SS 星の海の下で

書きたい時に書くそれが自分流。
果南誕生日記念SS!
久しぶりの隼斗×果南SSです!!

時系列上ちょっと未来になります。



 

水面に身を預け、1人空を見上げてみる。

 

そこに広がるもう一つの海。

数多の輝きが生まれては消える、無限に広がる星の海。

 

そんな────近くて遠いこの空。

 

 

「This wonderful night sky…独り占めできんのはここに住んでる人の特権だよな…そう思わない?姉ちゃん」

 

 

「そうだね。ところで隼斗……」

 

「なに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで変身してんの?」

 

少女─松浦果南が彼に問う。

 

その青年──天城隼斗は、何故か青い装甲に身を包み…仮面ライダーとしての姿でいた。

 

「ふと思ってさ。昔姉ちゃん言ってたでしょ?この季節は空気が澄んでるから星が綺麗だって。それなら海に入りながら星を見れたら最高じゃない?って思って…けどさぁこの時期の海って寒いじゃん?しかも濡れるじゃん?んで…思いついた方法が…」

 

「変身してぷかぷかしながら星を見る、と」

 

「そゆこと」

 

 

能天気にそう言う隼斗の言葉に思わず笑ってしまう果南。

いつも自分達を守り戦う為に纏う鎧をあろうことかこの青年は海に入りながら星を見る為に使っているのだから。

 

 

 

「そんな笑わなくても…」

 

「ごめんごめん!けど、それ本当によく見えるの?」

 

「このゴーグル部分を通して見ると結構よく見えるよ?姉ちゃんも見てみる?」

 

「でも、そのベルトって隼斗にしか使えないんでしょ?」

 

「あ、そうだった…けどプログラム書き換えればできなくも…いや、今からじゃめっちゃ時間かかるわ。ごめん姉ちゃん、忘れて」

 

「あぁ、そういうのあるんだね…」

 

 

「まぁ…全部が終わったら俺の見てた景色を姉ちゃんにも体験させてあげられるかもだし!それよりほら、始めよう!」

 

「そうだね!今日は天体観測するんだった!」

 

水面から飛び上がり、シグナルバイクを抜き取って変身を解除。

桟橋の上に着地する。

 

 

《オツカーレ!》

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ところで望遠鏡は?」

 

「あるよ!もちろん隼斗のも!」

 

「久しぶりだな〜昔使ってたのまだあったなんて…!」

 

「ずっとしまっておいたからね。まだ使えるかな…」

 

ピント合わせをしながら角度などの調整を行う2人。

 

「ok…俺できたよ!姉ちゃんは?」

 

「待って…うーんこれがこうだから…」

 

「ちょっと貸して」

 

「あ…」

 

そう言うと隼斗は優しくポンと果南の肩を押して退かし、レンズや角度などを見始めた。

 

「うっわかなりズレてるよ姉ちゃんなにしてんのさ…」

 

「うるさいなぁ…しょうがないでしょ?すっごい久しぶりなんだから…」

 

「まー待ってなさいって!俺に任せてよ」

 

 

そう言って果南の分も調整を始める隼斗。

果南はその間、彼の横顔をじっと見ていた。

 

キリッとした表情、しっかりとした体つき。

そして高くなった背…まあ、こちらはやっと果南を追い越すかどうかという所なのだが。

 

 

果南の記憶にある隼斗は、幼い頃の彼が色濃く残っている。

 

幼少期から千歌や自分達との付き合いの方が長く、同性の友達との関わりが少なかった故かいじめられ、いつも泣いていた彼。

 

自分に守られていた────あんなに弱かった男の子がいつの間にやらとても頼もしくなり、今では自分や仲間達を守る側になり、しかも正義のヒーローをしている。

 

留学中で全く会わなかった期間があったとはいえここまで変わるとは『男子、三日会わざれば刮目してみよ』とは、よく言ったものである。

 

 

…大きくなったなぁ

 

 

 

「なんか言った?」

 

 

「なんでもなーい!」

 

「?…まあいいや。ほら、できたよ!」

 

「ん、ありがと♪」

 

 

調整を終えた望遠鏡を2人で覗く。

冬は四季の中でも星が観やすい時期であり、幼い頃は隼斗の父が天文学者なこともあってか家族ぐるみでよく天体観測をしたものだがこうして2人きりで観るのは初めてである。

 

「あ、オリオン座!」

 

「冬じゃ代表的な星座だね。望遠鏡がなくても観ようと思えば観えるし」

 

「あ、そうだ姉ちゃん!オリオン座がなんで冬に観えるかって知ってる?」

 

「オリオンが自分に倒せない獲物はいない!なんて言ったら神様が怒って、サソリをけしかけたらそのサソリに刺されて死んだ…それでサソリと一緒に天に上げられて星座になったけど、サソリが苦手でそれから逃げる為に冬に観えるようになった…だっけ?」

 

That’s correct!(正解!)まああくまで伝説の1つだけどね」

 

「隼斗のお父さんが聞かせてくれたからね」

 

「父さん星座関係なら神話も割と知ってるからね。そうだ、オリオン座といえばもう一つ神話があったな…」

 

「もう一つ…えっと…どんな話だっけ?」

 

 

「俺覚えてるよ!えっとね───」

 

頭の中にあった知識を自慢げに話そうとして

ふと思いとどまった。

 

オリオン座にまつわるもう一つの神話。

 

 

 

 

オリオンとアルテミス。

2人は互いに愛し合い結ばれるはずだった。

しかし2人の愛は悲劇的な結末を迎えることとなる───

 

アルテミスの兄 アポロンはオリオンとアルテミスが結ばれることをよしとしなかった。

 

海から出ていたオリオンの頭を、黄金の岩と偽りアポロンはそれをアルテミスに射らせた。

 

何も知らないアルテミスは矢を放ち、結果的にオリオンはその矢によって命を落とした。

 

そのことを酷く悲しんだアルテミスは、大神ゼウスに頼み彼を星座として夜空に上げた─

 

これがもう一つの結末である。

 

愛しあい、幸せだったはずなのに…理不尽な引き裂かれ方をした2人。

幼い頃にこの話を聞いた時はなんとも思わなかったが…今思うととても悲しく、そして何よりアポロンに対して怒りが湧いてくる。

まあいもしない神様に怒っても意味はないのだが……

 

 

だから俺は────この話が嫌いだ。

 

 

「……隼斗?」

 

 

「ううん、なんでもない!この話は…話さない方がいいかなって」

 

 

「話したくないくらいの内容だったの?」

 

 

「まあね。…自分がそんな目に遭ったら嫌だって思うくらいには…」

 

つい暗い表情になってしまう。

ダメだな…せっかく楽しんでいたのに、こうどうでもいいことで無駄に考えて……

 

でも───

 

もしも自分が、最期にそんな悲劇的な結末を迎えることになってしまったら…

 

果南姉ちゃんに殺される…いやいや考えたくもない。

ってか姉ちゃんはそんなこと絶対にしない!

 

 

 

だが───もし予想だにしない何かによって姉ちゃんと引き離されたら…

 

 

「隼斗?」

 

 

「…嫌だ」

 

 

ぎゅっと果南の上着の袖が掴まれる。

その手の主──隼斗は震えており俯いたまままるで小さな子供のように怯えていた。

 

「どうしたの隼斗?」

 

 

「姉ちゃんと離れ離れになりたくないよ…俺、ずっとずっと一緒にいたい…!」

 

「隼斗…」

 

3月が過ぎれば、果南達は浦の星を卒業。

果南はダイビング資格取得のため留学する。

永遠…とまでは行かずともまたしばらく別れることになってしまう。

 

隼斗は分かっている。

自分の大切な人が選んだ道なら、それを応援してやるのが自分の役目なのだと。

 

だが──もしもそのたった一度の別れが何かの拍子に“永遠“の別れになってしまったらと思うと…隼斗はとてつもない恐怖に襲われてしまっていた。

 

 

「姉ちゃん……いなくならないで……」

 

ポロポロとこぼれ落ちる涙。

果南の前で我慢しなくてはいけないのに、拭えど拭えど溢れてくる。

 

 

 

だが、それを堰き止めるかのように彼の体を優しい温もりが包んだ。

 

力強くない、むしろ柔らかな感覚。

果南が隼斗を抱き寄せていた。

 

 

「大丈夫。大丈夫だよ……」

 

「姉ちゃん……」

 

まるで小さな子供をあやすように、優しく、ゆっくりと果南は彼の背中を摩っていた。

 

「隼斗が何を考えてたのかは分からないけど…心配しないで。私はここにいるよ」

 

「・・・」

 

「隼斗が戻ってきて一年で今度は私が海外に行くことになっちゃったけど…私は大丈夫。隼斗が生きてる間は、私もちゃーんと生きてるから。私を守り続けてくれる、ヒーローがいるんだもん」

 

「姉ちゃん……」

 

「だからほら、顔あげて。せっかくカッコよくなったのに台無しだぞ?」

 

頬に手を当て、隼斗の顔を上に向かせる。

涙の流れた跡と赤くなった目元が彼の内の悲しみを物語っていたが、服の袖で目を擦ると、また笑顔を見せた。

 

 

「…うん!!」

 

 

「ん、よし!さ、続けよう!」

 

 

「あ、ちょっと待ってて!」

 

すると隼斗はお気に入りのジャケットのフードを漁り始める。

色々と物が飛び出してきてはまた再収納されていき、やがて1つの箱が飛び出てきた。

 

青い箱に緑のリボンでラッピングがされている。

 

「はいコレ!誕生日おめでとう果南姉ちゃん!!くだらねえ話してたからすっかり忘れて渡しそびれるところだった!」

 

「わぁ…!開けてもいい?」

 

「もちろん!」

 

箱を開けると、そこには1つワイドバングルが入っていた。

水色ベースで黄緑色のラインが入っており、その中心には蒼く輝く宝石のような石が埋め込まれている。

 

「おお…!ブレスレット…?」

 

「そう!色々考えたんだけどさ…結局これに決めた。実は俺の手作りなんだぜ?」

 

「隼斗が作ったの!?」

 

「ま、ライダーシステムに比べりゃチョチョイのチョイよ。博士に協力してもらって防水加工とか防腐加工もしてあるから、海で泳ぐ時でもno problem!」

 

「すっごい!嬉しいよ、ありがとう隼斗!」

 

「どういたしまして!あ、ちなみに……」

 

隼斗が右腕の袖を捲ると、内側からはそれと同じ物が出てきた。

 

「あ、お揃い!」

 

「そう!と言ってもこっちは試作品だから…まあでもお揃いなことに変わりないから!」

 

 

「これならいつでも一緒、だね!」

 

「うん!あぁそうだ、もう一つ…姉ちゃん、すごい言うの後になっちゃったけど今言うね」

 

「まだ何かあるの?」

 

「まあね!……果南姉ちゃん」

 

 

 

 

 

 

生まれてきてくれてありがとう!

 

俺と出会ってくれてありがとう!!

 

────俺を守ってくれて、ありがとう。

 

 

HAPPY BIRTHDAY!松浦果南姉ちゃん!!

 

 

誕生日特別編 終わり。

 

 

 

※後日、この事を言いふらした果南によって隼斗はしばらくイジられることになるのだが、それはまた別のお話。

 




神話にまつわる恋愛ごとって大抵理不尽な悲劇なの本当心にきますよね…特に今回の題材としても少し扱ったオリオンとアルテミスなんてこれ調べた時マジで心に来ました。

大切な誰かとの別れ。それは遠い未来かもしれませんし、もしかしたら明日、明後日、すぐ次の瞬間かもしれません。
もしその『ある日』が突然来てしまったら…
この話ではそれに怯える隼斗を入れてみました。

今回はここまでです。
次からはまたコラボ編になると思います!そちらも是非お楽しみに!!



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エピソード2.5 ラブダブル!〜女神と運命のガイアメモリ〜コラボ編
ラブダブルコラボ編 プロローグ 侵略者D/異世界インベーダー


新年あけましておめでとうございます!
今年も私Master Treeをどうぞよろしくお願いします!

大変長らくお待たせいたしました!
ついに突入!146さんのラブダブルとのコラボ編です!

がっつり互いの本編要素が関わってくる一大ストーリーの為まずは相手先の作品を見直しておくのもアリです。

それではどうぞ!

※なお、今回はプロローグの為コラボ要素はほぼありません。ご注意ください。


 

「さて、必要なものはこれで全て手に入った…」

 

男は自身の傍に佇むモノに目を向ける。

()()はかつて悪の科学者が作り上げた究極の機械生命体。『だったモノ』

 

だがそれはすでにそのものではなく。

2つの世界の異なる力、それらが合わさった正に異物

 

 

「長かった停滞もここまでだ、そろそろ事を動かしに行くとしよう!」

 

 

男は嗤う。

全てはかつての復讐のためか、それともただの享楽故か。

 

 

「楽しませてもらうぞ、仮面ライダー達!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

小原家ホテル前

 

 

 

「行くよ隼斗…」

 

「悪く思うな姉ちゃん…この勝負だけは負けられない……!!」

 

 

場所は変わって小原家のホテル前。

テーブルの上で組まれた手と手。

いつもは仲睦まじいはずの隼斗と果南が睨み合っていた。

 

「Ready……」

 

 

『GO!!』

 

 

 

 

 

 

 

合図の瞬間。

隼斗の手の甲が、一瞬にしてテーブルに叩き伏せられた。

 

 

 

「よっしゃー!!」

 

 

「負けたぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

「winner!カナーン!!」

 

「というわけで、優勝者である果南ちゃんには期間限定塩プリンラスト一個が贈呈されまーす!」

 

 

「この腕相撲対決、何としてでも勝ちたかったんだよね〜♪いただきまーす!」

 

 

「瞬殺…された……」

 

 

「すごい落ち込んでる………」

 

「そりゃ果南ちゃんに負けたんじゃねぇ…」

「自分が守るって誓った人に力で負けたんじゃ、そりゃ落ち込みもするよ…」

 

 

「…コレ、そんなにうめーのカ…?」

 

千歌と梨子がとてつもない落ち込みを見せている隼斗を慰めていた。

 

某日。静岡県内浦。

ここは小原家の運営するホテル。

にあるちょっとした庭スペース。

来年春のラブライブ決勝に向けて練習を続けるAqours+隼斗達仮面ライダーの面々。

 

だが、何も毎日練習練習の日々ではない。

外部から依頼される仕事があったりもちろん偶にはこうした何もない休みの日だってあるのである。

 

 

そしてたった今沼津の有名スイーツ店で期間限定の商品だった塩プリン+一個をかけたAqours対抗の腕相撲大会が終結した所だ。

 

ちなみに憐はお気に召さなかったらしく一個でいいとのことで不参加。

 

 

「何言ってんだ憐!こいつは沼津生まれ沼津育ちの超有名パティシェ 鳳凰・ピーター・アルデンテさんが作り出した超有名商品!

しかも!材料は手に入れるのがすごく難しく、なおかつ季節に左右される為その販売は期間限定!しかも不定期ときたもんだ…程よい塩加減が何故か甘さを引き立てベストマッチするという訳のわからなさからそれを求める人は数知れず!美味いに決まってる!ってか美味い!!」

 

「オ、オゥ…立ち直りはっえ…」

 

そう言って早口で解説する隼斗が指す方には果南が食べているプリンが。

見た目こそ普通のプリンにクリームでデコレーションが施されたちょっといい感じのヤツに見えるが、とても拘りの製法で作られているのである。

 

「にしても…意外だったな。一見非力な面子も中々いい勝負いい勝負してて…」

 

「確かに、あのルビィちゃんが果南さんと何故かいい勝負をしてたずら…」

 

「まさか、あの細腕に秘めたる強大な魔力を…!?」

 

「ち、違うよぉ…!じ、実はコレのお陰で…」

 

そう言ってルビィが袖の下から腕を出すと、そこには何らかの水色のロボットの骨格にも似た形状の金属製の補助パーツのような機械が取り付けられていた。

 

「これは……?」

 

「何かの機械?」

「腕の力を補助するための、かな?」

 

曜と梨子が物珍しそうにそれを突いたり触ったりしていると、そこに白衣を羽織った女教師がやってきた。

 

「それこそ私の新たな発明、『誰でも力持ち!マッスルスカル』だ!

偶然ガラクタをいじってたらできた代物でな?ライダーシステムに応用できないかと思いちょうど非検体を探してたところでね……で、こういう事になると話を聞いてピンときたのだよ。はむ…へっはふのひょうふだ、ほーへいひゃなへへははお?」

 

「霧香先生!」

 

「って、アンタも食ってんのカイ…」

 

「独自ルートでね。私もあの店のケーキは偶に買うのさ。あ、ちなみに今回ルビィくん、花丸くん、それから善子くんの3人に実験台になってもらっている」

 

「1年生3人不正してたのかよ!」

「不正ではない、ハンデだよハ・ン・デ。

この化け物揃いに普通に放り込まれて彼女達に勝ち目があるとお思いか?」

 

「まぁ、な…」

 

ライダーの俺、それを何故か超える力を持つ果南姉ちゃん。

その他鍛えてるメンバー多数。

元々非力な1年面子はかなり不利となる…

 

「俺っちはともかく、ルビィちゃん達は非力がスギルシナ」

 

「正にデウス・エクス・マキナ…此度の戦いこれに頼るのも止むなし…」

 

「でもコレ、中々楽しかったね!」

 

「他の先輩達とも対等に渡り合えるずら!」

 

2人ともそう言いながら、袖口からルビィがつけていたものと同型のものを出した。

よくできてるな…コレ。

 

 

「ま、試運転はこれでよしとしようかね。

んじゃ3人とも、外すからこっち来て〜」

 

「「「はーい」」」

 

 

霧香博士が手招きし、3人につけられていた補助機具を外していく。

それを見ながら梨子と曜の2人が近づいてきて言った。

 

 

「にしても、すぐに退院できて本当よかったね隼斗君」

 

「確かに…あんだけすごい力を使って倒れもしたのに今すごいピンピンして…」

 

そう言って俺の方を見る2人。

俺の体には今も腕やら足やらに所々絆創膏が残ってたり、頭に包帯巻いてたりしているがとりあえず肉体に問題は無い。予定より早く退院できたのは幸運だったといえよう。

 

 

「傷もほとんど治ったしな。っていうか身体中の辛さがあったのも2日寝たら引いたし……今はむしろ動きたくて仕方ねえぐらいなんだよ」

 

 

「あれだけやってその程度で済んでる君の体が異常だよ…ありえないとは思うが…恐らくオーバーブレイク発動後にコア・ドライビアのエネルギーが体内に残留し、身体の自然治癒能力を高めているんだろう」

 

「ほんと便利だなこのエネルギー…」

 

「だがそれにも限度はある。治ったからと言って、あまり無茶はしないように。いいな?」

 

「わーってるって」

 

「やれやれ…」

 

作業を終え、呆れ顔で言う霧香。

だが、その表情はどこか喜んでいるような、そんな顔をしていた。

 

 

「とりあえず、今日は休みなんだ。

今日しっかり休んどきゃ明日にはコレもコレも取れてるって!」

 

「そーダナ!今日は遊びまくって英気を養おーゼ!!」

 

「遊ぶのはいいですが…明日からまた練習ですからね?ハメを外すにしても、節度を持って!ですわよ?」

 

「分かってまーす」

 

「本当に分かってるんですの…?」

 

 

あんな事があったにも関わらず、今日も隼斗も皆も変わらず和気藹々とした空気だった。

 

 

そこへ……………

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼」

 

「…?」

 

「お客さん?」

 

 

見るとその客は少し季節が早いがロングコートを羽織り、袖や首に見える縫い痕のようなものが。ボディステッチ…か?

歳はみたところ俺らと大差無さそうだが…

 

「no.ワタシ宿泊客全員覚えてるって訳じゃないけど…こんな人泊まって無かったわよ?」

 

「違うノカ」

 

「お医者さんの人じゃない?」

「こんな医者いてたまるか」

 

「ブ○○○ジャ○クとか」

「まずこの世界にその人が存在するかバカチカ」

 

「予約の人じゃない?多分だけど…そうですか?」

 

「すまないが、今日の要件は宿泊ではない。予約でもなければお嬢さん、君に用がある訳でもない。……君達だ、少年」

 

 

そう言ってその人は真っ直ぐに俺達の事を指さした。

その一連の動作には、何か底知れぬ恐ろしさの様なものが込められていたのを、

俺ははっきりと感じた。

 

「俺…達に?」

 

「俺っち達そんなにゆー名人じゃネーよな?」

 

 

「隼斗君、知り合い?」

 

「いや知らん。初めて会った」

 

「俺っちも同じく」

 

 

「君達は俺を知らない……だが、俺は君達を知っている。…天城隼斗」

 

「え?」

 

「狩夜憐」

 

「ウェ?」

 

「いや…こんな個人を識別する記号よりも、もっと相応しい呼び方があるな。

そうだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()

 

 

 

「「っ!?」」

 

 

その呼び方をする者、その事を知っている者はAqoursの面々や博士達以外に知る者はいない。

とすればそれを知っているコイツは…!?

 

俺と憐はすぐさまドライバーを取り出し皆の前に立つ。

無論警戒は解かないまま。

 

「お前……何者だ!」

 

「なんで俺っち達のコト…!」

 

「まさか、この世界にまで同じ名前が存在するとは思わなかったが…お陰で計画に算段がついた。それは感謝しなければならないな」

 

「計画…?なんの話だ!」

 

「君達には関係……いや、あるか。その為にわざわざ助けにこんな事までしたのだから…ね」

 

男がそう言うと、突如空間に切れ目が発生。

そして中からは…『黒いドライブドライバー』が。

 

「それは!」

 

「バンノの!」

 

「俺の計画の邪魔になりそうだったからな。掃除がてらあの人には消えてもらったよ」

 

「お前が…蛮野を……!?」

 

「ってことはあの時…仕留め損なってたって事か…!」

 

 

「ああ、もしや…余計な事をしてしまったかな?君としては自分で手を下したかったんだろうが…悪く思わないでくれ。コレが必要になるかもしれなかったからな」

 

 

「いや……

 

 

 

 

 

 

むしろありがてぇ!

これで邪魔者が1人減った!!」

 

 

「イヤ感謝すんのカヨ!?」

 

 

 

「礼などいらない。いや、強いて言えばそうだな…君達には、俺の退屈を治す為の相手をしてもらおう」

 

そういうと男はバンノドライバーをまた裂け目に放り込むと、代わりに中心に小さな窪みのついた、ベルトのバックルのようなものを取り出すと腰に装着。

それはまるで俺達の使うドライバーにも似ていた。

 

「ドライバー…?」

 

そして、男がもう一つ取り出したのは歪なデザインが施された黄金のUSBメモリ。

その形には見覚えがあった。

 

「ガイアメモリ!?なんでお前が…!」

 

「おや、コレを知っているのか。

なら話が早い、始めようか」

 

《Dystopia!》

 

ボタンを押すとガイド音声が流れ、それをドライバーの中心部に挿した。

 

黒い波動と共にその身に鎧を纏うように姿を変えた。

左右非対称の仮面をつけ、朽ちた鎧と外套を身につけた姿。

メモリが挿された腰のドライバーには球状のものが出現していた。

 

「ディストピア…暗黒郷か…」

 

「よく知っているな。英語は得意か?

では諸君、手合わせ願おう」

 

「はっ!何企んでんだか知らねえが…それ持ってるって事はロクな人間じゃないことは確かだな!やるぞ憐!」

 

「ガッテン!博士!ミンナを頼む!」

 

「任せたまえ!みんな!こっちだ!」

 

 

Aqoursの面々を博士に任せ、俺達はドライバーを装着。

パネルを展開した。

 

《SignalBike!》

 

「Ready!」

 

「「Hensin!(変身!)」」

 

《Rider!Sonic!!》

 

《Rider!Slayer!!》

 

 

青き音速の戦士、ソニック。

 

黒き悪殺しの獣戦士、スレイヤー。

 

2人はそれぞれ、戦士としての姿へと自らを変えた。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の総てを、トップスピードでぶっちぎる!

仮面ライダー………ソニック!!」

 

「この世の悪党、魑魅魍魎…全てを狩り殺す漆黒の戦士!仮面ライダースレイヤー!!」

 

ソニックはゼンリンシューターBSを、スレイヤーはスレイクロー。

 

それぞれの武器を構えるとシフトアップし謎の敵へ向かっていった。

 

「来い」

 

「行くぜ!」

 

「ヨッシャ!」

 

先に仕掛けたのはソニック。

敵に向かっていくのと同時にゼンリンシューターを連射。

スレイヤーはその弾幕を縫うように避けると敵にクローでの連撃を繰り出す。

 

「なるほど…」

 

だが、それを敵はほぼその場を動かずクローによる攻撃も全て捌き切った。

 

「避けタ!?」

 

「だったら!」

 

《ゼンリン!》

 

ゼンリンシューターの前輪部分を回転。

接近戦に持ち込む。

 

「これで!」

 

電動鋸のようになり、打撃を強化することで攻撃に利用するこの攻撃。

 

連続で振り回し、叩きつけにいくように攻撃する。

 

「なるほど…」

 

避けられるも、一撃、二撃が敵に入った。

だが、敵には大したダメージにはなっていないようだ。

 

「どうした?君の力はそんなものではないはずだ!もっと俺を楽しませてくれ!」

 

「っ!この野郎ッ!!」

 

ゼンリンシューターを顔面に向けて叩きつける。が……

 

 

「……狙いはいいな」

 

それは当たる寸前で片手で止められていた。

 

「止めた…!?」

 

 

 

「俺っちを忘れて貰っちゃ困るゼ!!」

 

 

死角から憐が切り込む。

クローを振り上げ敵を切り裂かんとする。

 

その一瞬、スレイヤーに意識が向いた瞬間にソニックはゼンリンシューターを連射。目眩しした瞬間、手を離すとバックステップ。

腰の煌風に手をかける。

 

「隼斗流剣技 壱ノ芸!」

 

 

「隼斗、いつの間にあんな技を…?」

 

「ああ、特訓で作ったらしい。煌風を使った十の技。隼斗流剣技」

 

「自分の名前を付けるんですのね…」

 

何気にAqoursメンバーがこのワザを見るのは初めてである。

自分の名前をつけるセンスについては一同ノーコメントのようだ。

 

だが隼斗はそんな事気にしない。

力強く踏み込み、一気に敵の目前に!

 

「一刀流!霧祓ッ!!」

 

そして素早く抜刀し斬撃!

 

霧祓は隼斗が編み出した10ある剣技のうち、最初に作り出した技にして最速の技。

 

スピード自慢のソニックがそれを使えばほぼ防ぐ事は不可能。

 

 

 

…そのはずだった。

 

 

「フッ!」

 

だが、その刃は届く前に敵の持つ剣に。

背後からのスレイヤーの攻撃は左手によって止められていた。

 

「何っ!?」

 

「ハーさんの剣が止められた…!?」

 

 

「あの速さのを止められる奴なんて早々いないはず…!」

 

 

「仮面ライダーソニック。そのスピードが君の自慢のようだが…これでは俺の遊び相手にもならないな」

 

「んだと…!」

 

「もう少し楽しめると思ったんだが…これは笑えない。今回のところはこれぐらいでいいだろう」

 

瞬間。

その剣にとてつもないエネルギーが集まっていった。

紫色のどす黒い色のエネルギーを帯びていくその剣に危険を察知したソニック。

 

 

「憐!避けろッ!!」

 

 

「それは君の方だ」

 

スレイヤーが飛びのいた途端、剣から放たれたエネルギーの斬撃。

ソニックは煌風でそれをなんとか逸らし、それは山向こうの方へと飛んでいき………

 

 

 

そしてその斬撃は……

()()()()()()()

 

 

 

「っぶねぇ……!!」

 

「なんだ……イマのワザ……!?」

 

よく見てみると、切られた箇所は紫の裂け目のようなものができている。

あれは一体……?

 

「ほう、よく避けられたものだ。あの空間すら斬り裂く攻撃。避けられるものは早々ない…見どころはあるようだな」

 

「空間をぶった斬ル攻撃……!?」

 

「そんなんありかよ……!」

 

 

「それでは俺はこの辺りで。また会おう仮面ライダー諸君。そして………」

 

その敵は一瞬、霧香の方を一瞥し…

 

 

「一時霧香博士、あなたも。運が良ければ、また会えるだろう………やれ」

 

「マテっ!!」

 

止めに行くも間に合わず、敵は剣で自身の背後を斬ると、その裂け目の間に姿を消した。

 

「消えた……」

「逃したカ…ッ!」

 

 

そして中からはまた別の怪物が出てきた。

それは俺達がよく知る姿だった。

 

「何故私の名前を…?彼は一体……」

 

「ねぇ!アレ見て!!」

 

千歌が叫ぶと、その裂け目からはもう一体の怪物が出てきた。

 

「おいマジかよ!」

「アレって…!」

 

中から現れたのは、以前蛮野のアジトで見た複合ロイミュードだった。

しかし、胸部のナンバープレートのナンバーは001、058、096など変化しては別の番号に、また別の番号に変わり、まるでバグっているかのような表示をしていた。

 

 

『………』

 

 

「あれ確か蛮野が作ってたっていう…!」

 

「究極のロイミュード…」

 

 

複合ロイミュードは何も喋らず、その姿を歪め変えていく。

 

変化したその姿はかつて世界を第2のグローバルフリーズに陥れかけた、失われた109体目 ロイミュード108 パラドックスロイミュードに似ていたが、どこかそれとは異なる気配を感じた。

 

「なんだ……あの姿……!」

 

「どの進化体でもない……あの時と同じ、データにねえ進化だ!」

 

あの時と同じというのは、俺が以前戦った例のロイミュードの事である。

 

コピーを得意とする027が謎の女と融合進化したことで未知の融合進化態となったあの時と同じ。

 

しかし、今回は違う。融合進化態とは違い体は赤くなく、またあのロイミュードに自我を感じない。

 

「しゃーねぇ…ここは一気にブレイヴで!

憐!これ使え!」

 

さっきはタイミングを逃したが、今はこっちを片付けるのが最優先!

俺は憐にデッドヒートメテオを渡し、自分は愛機、ブレイヴファルコンを呼び寄せる。

 

ファルコン内部のシグナルブレイヴを取り出そうとした、その時

 

 

 

『…………!!』

 

 

突如そのロイミュードが両手を空に掲げた。

するとその手からは巨大な光線が放たれ、それはやがて空に大きな孔を創り出した。

その黒い孔は紫の閃光を放っており、まるで大きな渦のようにも見えた。

 

「おいおいなんだよアレ!?」

 

「ブラックホール!?イヤ…にしてはなんかチゲーけど……」

 

「さっきのアイツは空間がなんとかっつってたから…まさかワームホールか!?」

 

「ワームホール!?………ナニソレ?」

 

「自分で調べろ!」

 

「この状況でムリなの分かって言ってるダロ!簡単に説明ヨロ!!」

 

「恐らくどっか別の時空にでも繋がってる…ってええい!今はそんな事言ってる場合じゃねえ!憐!アイツ止めろ!!」

 

そう言い合っていると、突如強い力が俺達を吸い込まんとあの孔から発生し出した。

 

「ムリムリムリ!こっから手ェ離したら俺っち吸い込まれる!!」

 

「ったくこれだから地上専門は…!鳥!来い!!」

 

『ー!!』

 

『………!』

 

ブレイヴ・ファルコンを呼び寄せ、ブレイヴソニックに変身を試みる。

 

だが、突如謎のロイミュードから光弾が放たれ、それが直撃したファルコンはコントロールを失いその孔の中に吸い寄せられていってしまう。

 

 

「鳥ぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

『ーッ!ーッ!』

 

ブレイヴ・ファルコン(アイツ)のこともなんとかしなきゃだが、まずはアイツだ!

なんとかゼンリンシューターを拾い上げ、謎のこの現象を食い止めようとしてみるが……

 

「クッソこいつめ!!」

 

 

闇雲に放った銃弾はロイミュードの腕が変化した光の鞭で叩き落とされた。

そして伸びてきた鞭は俺とスレイヤーの方にまで近づいてきて………

 

 

「しまっ………」

 

速度が速すぎて反応しきれなかった。

俺と憐は2人揃って地面から引き剥がされ、武器や偶々近くに停めていた自分達のバイクごと、あの孔の中に吸い込まれてしまった。

 

 

「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!!?」」

 

 

「隼斗ぉぉぉぉ!!」

 

 

『隼斗くん!!(隼斗さん!!)(隼斗!)

憐くん!!(憐さん!!)(憐!!)』

 

 

 

『………』

 

 

そして、そのロイミュードもまたまもなく孔と共に姿を消してしまった。

 

 

「霧香先生!隼斗くん達が!」

 

「先生!隼斗は!?隼斗達を助ける方法は!?」

 

「落ち着け千歌くん!果南くん!」

 

 

「こんな状況で落ち着けって無理に決まってるでしょ!!!」

 

 

つい声を荒げてしまう果南。

だがすぐにハッとなると、暗い表情になってしまった。

 

「ごめん…」

 

「大丈夫、カナン」

 

「鞠莉…」

 

「ハヤトは死んでないわよ。あなたが1番、よく知ってるでしょ?あなたのことが大好きなheroはこんな事じゃ死なないわよ」

 

「…そう、だよね…?きっとそうだよね!…ね?」

 

「弱気になってはダメですわ。ですよね、一時先生………先生?」

 

 

 

「ワームホール…時空…別世界……異次元…まさか…!」

 

「先生?」

 

「あ……あ、ああなんだいダイヤくん?」

 

「あの現象に何か心当たりが?」

 

「……ない、ことはない」

 

「本当ですか!?」

 

「先生!なら隼斗は何処に!?」

 

「果南ちゃん!それを言うなら憐くんもずら!」

「空に空いたあの孔…ワームホールと隼斗さんは言ってたけど…ワームホールってまさか…」

 

「ああ。アレは多分、時空の孔……そして彼らが生きているなら、行き先は恐らく……()()()()だ」

 

 

『別の世界!?』

 

「それって、なんだっけ……?パラソル…パラダイス……」

 

「パラレル。パラレルワールドよ千歌ちゃん。隼斗君達が飛ばされたのは、恐らく今私達がいる場所とは別の世界ってこと」

「流石は名誉リトルデーモンリリー!よくぞ詳しく知っていた!」

 

「いや、これはリトルデーモンとか以前に少し本で見たことがあって……」

 

「でも、それなら隼斗さん達、きっと生きてるってことだよね!?」

「ルビィの言う通りですわ!一時先生、アレを知ってるいるようでしたが…それなら何か方法はあるってことですわよね?」

 

「…あの現象に心当たりがあるってだけで、方法に確証は無い。……が、確認したいことがある。全員、学校の私のラボに行くぞ!」

 

『はい!!!』

 

 

そうしてAqoursと霧香は浦の星の地下に存在するラボへと向かった。

 

彼らは生きている。そう信じて…………

 

 

 

 

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「っ………憐………?」

 

「ハー……さん………?」

 

 

「お互い…生きてるみてえだな…」

「ラッキーだった……ナ……」

 

「ってかここ…何処だ……?」

 

「サァ……ってか…なんか俺っち達…見られてネェ?」

「それになんかうっせえな……ガヤガヤガヤガヤと……は?」

 

「どったのハーさん?」

「おい起きろ!憐!」

 

バシン!と勢いよく背中をぶっ叩き、憐を覚醒させる。

憐が勢いよく起き上がったのを確認すると、俺も自分の頬を叩き意識をハッキリとさせると、通行人の1人が声をかけてきた。

 

「き、君達!大丈夫か!?」

 

「は?大丈夫ですけど……見ての通り」

 

「そ、そうか……いや、急に2人とも空から落ちてきたんだ、無事ならよかった…」

 

「ってかオッサン、ここ何処だ?」

「ここかい?ここは見ての通り…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋葉原だが?」

 

 

 

 

 

 

「・・・・・」

 

 

 

 

 

「「秋葉原ァァァ!!!?」」

 

 

見渡す限りの高層ビルやゲームセンター。

アニメやゲーム、メイドカフェの広告。

 

飛ばされた先はスクールアイドルの聖地

 

秋葉原だった。

 

 

 

 

次回に続く!

 




次回、邂逅のW(予定)

コラボ編とは言いましたが彼らとはまだ会いません。
突如現れた謎の男、そして未知のロイミュード。
奴らの目的とは?別世界に飛ばされた隼斗達の運命は?

それでは次回もお楽しみに!!
高評価とかくれると作者達が喜びます。


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ラブダブルコラボ編 第1話 邂逅のW/出会ったアイツは半分こ

コラボ編、本格的に始まります!
別世界の秋葉原に飛ばされた隼斗達。

はたして無事に帰ることができるのか……?



これまでのサンシャインサーガ!

 

超進化を果たしたトルネードロイミュード。

隼斗はそれを特訓に加え、新たな力 オーバーブレイクを使うことによりなんとか撃破。

負担により倒れ、多くの傷を負うもなんとか回復。

 

療養も兼ねて休日をAqoursの面々と楽しんでいたのだが、突如謎の男が変身した謎の怪物 ディストピア・ドーパントの襲撃を受け更には謎のロイミュードによって隼斗と憐の2人は異世界に飛ばされてしまう。

 

そして2人が流れ着いたのは、なんと秋葉原の街で……?

 

 

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あの後、俺達は近くにあったカフェに移動して状況を整理していた。

そしてさっきから向こうにいる姉ちゃん達に電話をかけようと試みているんだが……

 

 

「…どーよ、ハーさん?」

 

 

「…ま、薄々思ってはいたけどダメだな。

みんなのケータイは繋がらん、鳥は行方不明。GPSの信号も途絶えてやがる。

これじゃマスター権限で呼び戻すのも不可能だな…俺らと同じで、この街の何処かに飛ばされてるはずだが…デッドヒートメテオは?」

 

「辛うじテ守った。ケドそれぐらいダ…」

 

「バイクや武装が残ってたのが幸いだな…。ブラッシャーとかを普段から軒並みバイクに収納しといてよかったぜ」

 

「俺っちも元から武器使ってなかったしナ…」

「確かに、お前のクローは備え付けのタイプだからな…ってか憐、思ったんだけどさ」

 

「ナニ?」

「お前っていつから俺っちなんて言い出したっけ?」

 

「そりゃハーさんと一人称…キャラ被るからナ。同性で同じライダーである以上ごっちゃにならないよう…」

「いつにも増してメタ発言多いな…」

 

「ま、オレら2人きりって久々だしナ。状況が状況だし、こんなことも言いたくナルよ。ってかんなこたドーでもいいんだヨ。

ハーさん、これからどーすんの?」

 

運ばれてきたチョコバナナパンケーキを素早く切り分け、フォークで口に運ぶ。

ふむ…中々美味いなこの店。

 

「それなんだよな…アイツがいる以上、この世界にも何かがあるはず…何かアイツに繋がるような手掛かり探し……まずはそれだな」

 

「手掛かりっつってもどーすんダヨ?」

 

「それなんだが…恐らくこの世界はアイツにとってのHome ground.ってことはここにはガイアメモリ…ひいてはドーパントもいるはずだ。とりあえずこの街を探索して、んでもってそれらしき事件を追っていけば…自ずと何か掴めんじゃねえかな……」

 

「ナルホド!そんでドーパント片っ端からぶっ潰しテ、アイツを誘き出す!ナイスアイデアだぜハーさん!」

 

よし、とりあえずの行動方針決定!そしたら次は動く!

俺はテーブルの上の伝票を取り、煌風の入った袋を背負い直す。

 

「そうと決まれば行動開始だ!行くぜ憐!」

「アイヨ!ところでハーさん!」

「なんだ?」

 

会計を済ませ、店を出ようとする隼斗と憐。

2人に対して微笑みかけるのは……

 

 

 

 

「いってらっしゃいませ!旦那様方!」

 

 

「作戦会議の為にメイドカフェ来る必要あったカ?」

「バカいえ、アキバつったらメイドカフェだろ」

「それは一理アル」

 

 

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とは言っても鳥が行方不明となっている以上空から調査…なんて事はまず不可能。

 

そんなわけで、俺達は二手に分かれて街を調べることにした。

 

幸い2人ともバイクごと飛ばされてきたので移動手段には困らなかった。そこは不幸中の幸いと言えよう。

いくらよく知る秋葉原とはいえ、歩いて情報収集ってのは少し骨が折れるからな。

 

「まずは色々噂レベルの情報から集めていくとするか……」

 

とりあえずあの辺の地元民っぽいJKからだな。制服着てるし。

 

 

「excuse me?じゃなかった…すいません!」

 

 

 

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そして約1時間半後。2人は

とりあえず電話で互いの集めた情報を共有することにした。

 

向こうの世界にいるAqoursの面々は無理だったが、どうやら同じ世界にいる互いのケータイはギリギリ繋がるようだ。

 

『んで…そっちはドーだったハーさん?』

 

「色々情報が集まったぜ?まあ主に怪物騒ぎの情報だったけどな…夜に騒ぐ若者達を襲う暗闇の怪物、謎の完全密室失踪事件、地下闘技場での違法賭博?とか、あとは最近世界が地獄みてえに変わった…なんて話もあった。そっちはどうだ?」

 

『俺っちのほうはハーさんがいってた地獄変に怪盗…隕石が東京に落ちかけタとか、あとはそうだ…雷獣、なんて都市伝説もあったゼ?俺っち雷獣気になル!』

 

「個人的興味はすまないが後にしてくれ…んで?それ以外だとなんかあるか?」

 

『いんや、今のとこは。あ、ただスッゲー気にナル情報はあったゾ?』

 

「気になる情報?」

 

『この街にもいるんだとサ。俺っち達と同じ…仮面ライダーが』

 

「仮面ライダー!?どんなやつだ?」

 

『ソレがちーともワカランのよ。

ある人は赤いっていうし、ある人は銀色。

ある人は青とかある人はピンクとか……証言がバラバラ過ぎてワカンネ』

 

色がバラバラか…確かにそりゃ分からんわな……

 

「まあ、そっちの方は今は後回しで構わねえよ。引き続き頼むわ」

 

『リョーカイ♪んじゃまた後で〜!』

 

そう言うと憐はケータイを切った。

それを確認し、俺もスマホをポケットにしまった。

 

 

んで、今は何してるかって言うと………

 

 

 

「ふむ…やっぱランクはA-RISEがトップか……」

 

ここはとあるスクールアイドル専門店。

ここにある雑誌を見て現地の調査だ。

 

え?サボってるだろお前って?

馬鹿野郎これは立派な調査だ。

 

 

「(けどおかしいな……A-RISEはとっくにUTXを卒業。現在はプロアイドルとして活動しているはず……なのになんで未だにこの雑誌の記事じゃスクールアイドルなんだ……?)」

 

 

不思議に思いながらパラパラとページをめくっていく。

すると、そこに記されていたのは……

 

 

「この日付……古くね?いやでもこんな店に古本置くようなことはしねえだろうし……待てよ、もしかしたら……!!」

 

 

本を置いて店の外に出て高層ビルの電光掲示板を見上げる。なんとそこに表示されていたのは……

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

A-RISEが現役、それに加え調べてみたところ既に引退したはずのスクールアイドル達がここでは未だ現役。

 

間違いない、ここは別世界だがここには俺が知るスクールアイドルが存在する。しかも、この日付だとまだ第1回ラブライブは開催されていない。ということはつまりここは………

 

「並行世界…それに加えて過去の世界でもあるって事か………!」

 

って事はこの世界だとまだ千歌達はAqoursの面々とは出会ってない…いや、そもそも果南姉ちゃん達まだ高校生になってない…か…?

うん、多分そのはず……

 

「ここ秋葉原だろ?…ワンチャンμ'sの面々に会えるのでは?しかも現役バリバリの!luckyだぜ俺!

別世界に飛ばされるってのも悪いことばかりじゃねえってことか!こうしちゃおれん、早く探索に戻らねえと……」

 

 

そう思った矢先だった。

 

 

「_____!!」

 

 

微かに叫び声が聞こえたのは。やや遠いか…にしてもなんだ?これはまるで悲鳴のような……悲鳴?

 

声がした方向に行ってみると、いきなり人が雪崩の如くこっちに押し寄せて来ていた。

 

とりあえず、人混みから逃げる途中の男1人をとっ捕まえる。

事情を聞かないことには始まらない。

 

「おい何があった!?」

 

「分からない!けど急に怪物が現れたって…」

 

「怪物?……それってどんな……っ!?」

 

 

それを聞く前に、頭上から何かが降ってくるのを感じ取った。

 

「危ねえ!!」

 

すぐさま男を突き飛ばし、その衝撃で自分もそこから離れる。

 

見ると足元には何か粘質のある液体がついていた。

 

「なんだこれ……?」

 

 

「チッ!コイツ避けやがった!」

 

 

声がした方を向くと、空から3体の怪物が降りてきた。

見た目は正にゴキブリそのもの。

 

ゴキブリの記憶を宿したガイアメモリで変身したコックローチ・ドーパントである。

 

 

「うわ気持ちわり!あの見た目…どう見てもcockroachだな……うっわキモ……」

 

「あの怪物達があちこちの店を襲って……!」

 

「なるほどな…状況は理解した」

 

「コイツなんでこんな冷静なんだ…!?」

 

「ああ、他の奴らは一目散に逃げていきやがったのに……」

 

「どうでもいいだろ!邪魔するならさっさとコイツらもやっちまおうぜ!!」

 

 

「「おう!!」」

 

そう言うと2体がジリジリとこっちに寄ってくる。

背中の袋(ルビィお手製)から煌風を取り出しすぐさま抜刀。

背後の男を守るようにして立つ。

 

「き、君!早く逃げないと……!」

 

「…………」

 

「おい!聞こえてるのか!?」

 

 

「問題ない。俺の予想が正しければ……おいゴキブリ野郎共」

 

「あ?」

 

「あと5つ数えるうちにそこから離れた方がいいぞ?」

 

「なに?」

 

「忠告はしたからな?4………………3……………2…………1…………」

 

「何を言って……」

 

「Zero.おっさん伏せろ!!」

 

「ヒィッ!?」

 

その男と共に地面に伏せると、自分達の背後から青と黒の2台のバイクが走ってくる。

 

青のマシン……ライドソニックは人こそ乗ってないが、そのヘッド部分に装備されているレーザー砲からビームを放ってきた。

 

油断していたコックローチ達にそのビームが直撃。

 

更に人が乗った黒のマシン…ライドスレイヤーは前輪部分についた爪型の装飾から鋭いレーザー弾を放ちドーパント達を怯ませた。

 

 

「随分早かったな憐!」

 

「タマタマ近くにいたもんデ。ハーさんこそ俺っち無しでなんとかなったの?」

 

「この程度なら俺1人でもなんとかなったけどな〜?」

 

「本当にどーにかなりそうだからコエーなぁこの人……」

 

 

「ゲホッ、ゲホッ……助っ人がいやがったのか!」

 

「けど獲物が増えただけだ、どうってことねえよ!!」

 

「獲物ぉ?……idiot!狩られるのはどっちか分かってねえみたいだな……なぁ憐!」

 

「イヤ狩るのは俺っちの本職なんだケド…まいいや。モチ!」

 

「な、なんだ君達は……?」

 

 

「おっさん、悪いけどさっさとここから逃げてくれ。こっから先は俺達の仕事だ」

 

「ソーソー。じゃないと集中して対処デキネーからサ」

 

「わ、分かった!死ぬなよ君達!」

 

 

そう言い残すと男も逃げていった。

さーて…これで思い切りやれるな!

 

 

「たかが子供2人に……」

 

「さーて、コイツらからどれだけ情報引き出せるかだな!」

「オウよ!行くぜハーさん!!」

 

 

俺と憐はマッハドライバーMk-IIを腰に装着。俺の方はベルトの左腰に煌風をセット。

 

ドライバーを展開し、それぞれのシグナルバイクを装填した。

 

《SignalBike!》

 

「Ready!」

 

「「Hensin(変身)!!」」

 

《Rider!Sonic!!》

 

《Rider!Slayer!!》

 

 

それぞれの変身ポーズと共に俺は青い装甲を、憐は黒い装甲をその身に纏う。

俺達はそうしてそれぞれ正義のヒーロー……仮面ライダーとしての姿に変身した。

 

 

「なにっ!?」

 

「お前ら…誰だ!!」

 

 

「どなたか誰かと聞かれちゃあ……」

「答えてヤルのが世の情け…ってナァ?」

 

首元のマフラーを靡かせて俺はこの別世界で初の名乗りを上げた。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の全てをトップスピードでぶっちぎる!

仮面ライダー………ソニック!!」

 

眼前の悪を撃ち倒し、己の正義を不滅とする

これこそ我が信念の証。

緑のゴーグルを光らせる

青き音速の戦士 仮面ライダーソニック。

 

「この世の悪党、魑魅魍魎!全てを狩り殺す漆黒の戦士!仮面ライダースレイヤー!!」

 

闇に生まれ正義に生きる獣の如き黒き狩人。

黒いボディに黄色の鋭い眼。

黒き闇の狩人仮面ライダースレイヤー。

 

今ここに異世界に新たなる2人のライダーが並び立った。

 

 

「仮面ライダーだと!?」

 

「けど仮面ライダーってこんなやつらだったか…?」

 

「ごちゃごちゃ話してるとは余裕かよ!さぁて……It's show time!!」

 

 

《ズーット!Sonic!!》

 

「オルァ!!」

 

何やら狼狽えている隙だらけのコックローチの一体に加速して飛び膝蹴り。

 

怯んだところに左右のワンツーと右ストレートを喰らわせる。

 

「クッ……コイツめ!!」

 

瞬間、コックローチの姿が消える。

このドーパントの強さは元の虫にもある高速移動にある。

 

その高速移動能力を使ってソニックの視界から消えたのだ。

 

「憐!背後任せた!」

 

「ガッテンしょーち!!」

 

俺は煌風を抜刀。

互いに背中を合わせ、360度何処から来ても対応できるような体制を取る。

 

「このスピードについて来れる訳ねぇだろ!お前ら!」

 

「「おう!!」」

 

リーダーらしき奴の声と共に2体のコックローチが飛びかかってくる。

 

「くたばれ!!」

 

「…憐!」

 

「でりゃあっ!!」

 

だが、直前でスレイヤーが両腕についている3本爪型装備スレイクローで切りつけ、2体を分断させる。

 

「なにっ!」

 

「遅え遅え!超進化前のトルネードの数倍は遅えなぁ!ハエが止まりそうだぜ!!」

 

すぐさまソニックが飛び出し切りつけられた一体に煌風の斬撃を5連続で繰り出す。

追撃で何度も斬りつけ、膝蹴り、突き、上段蹴りのコンボで大きく吹っ飛ばす。

 

「憐!そっち任せた!」

 

「おっけいハーさん!!」

 

その声でスレイヤーが飛び出し、もう一方のコックローチに襲いかかる。

 

左右のクローによる連続攻撃、飛びついて地面を転がり、そのまま投げ飛ばす。

 

「クッソ!何なんだコイツら!!」

 

「何やってる!さっさと片付けろ!!」

 

 

そう言いながら、リーダー格と思われる奴がさっきの粘液を連続で飛ばしてくる。

 

「ハーさんキケーン貸して!」

 

「あ?…ほらよ!!」

 

 

それを転がって避けながら俺は手元に二台のシグナルバイクを取り出し、片方を憐に投げ渡す。

 

 

「せっかくだ、久しぶりにお前らの出番だ!」

 

《SignalBike!Signal koukan!超・トマーレ!!》

 

取り出したシグナルトマーレⅡをドライバーにセット。

もはや最後に出したのがいつかを忘れるレベルで久しぶりの登場となるシグナルトマーレにシグナル交換。

 

左手にゼンリンシューターBSを装備し銃弾を放つ。

 

《shooter!超・トマーレ!!》

 

すると、銃弾の形状が変化し逆三角形の一時停止の標識のようなバリアが粘液攻撃を阻んだ。

 

「からの〜?」

 

《SignalBike!Signal koukan!超・カクサーン!!》

 

「喰らえ!」

 

《shooter!超・カクサーン!!》

 

ゼンリンシューターを敵の頭上に向けて放ち、イグナイターを短押しする。

すると、放った弾丸が無数に分裂し敵に雨の如く降り注いだ。

 

「急に弾が増えた!?」

 

「なんなんだコイツ!?」

 

標識型バリアは弾丸の雨の中少しずつコックローチに近づいていき、やがて一体の体を通り抜ける。

すると黄色い網状のエネルギーネットがコックローチを拘束、その動きを止めた。

 

 

その隙にソニックは乱れ打ちされる弾丸の雨を縫いバリアを避け、すぐさまコックローチの背後に回り込む。

 

「消え……」

 

「これで終いだ」

 

そして、ゼンリンシューターを捨て煌風にシグナルソニックをセット。片手で霞の構えを取った。

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

「隼斗流剣技、伍ノ芸」

 

そして力強く踏み込んで一気にコックローチの背後に迫り、その鋭い刃を突き出した!!

 

「一刀流 ”風孔突“!!」

 

無防備な背中に突き刺さる鋭い一閃。

それが描くのは光の軌跡。

 

 

「…Check mate.」

 

血振をするように刀を振るい、その言葉と共に煌風を納刀。

 

瞬間、コックローチの体に閃光が走り煌風の一撃に耐えきれず爆散。

 

爆炎の中から目出し帽を被ったガタイのいい男が転がり出てきた。

 

「ふぅ……」

 

 

「ば、馬鹿な……こんなアッサリと……」

 

 

「俺っちも忘れてもらっちゃ困るゼ!」

 

《SignalBike!Signal koukan!超・キケーン!!》

 

キケーンⅡにシグナル交換。

スレイクローで連撃を浴びせ、続けて交差させるように一撃。

 

 

「オーシ!出てこい!」

 

 

《トテモ!超・キケーン!!》

 

イグナイターを連打し、クローを地面に突き刺す。

 

そのまま地面を掘り起こすようにコンクリートの地面を壊すと、中からは銃弾のような形状をした巨大なトゲトゲのモンスターが3体出現。もう1体のコックローチに襲いかかる。

 

「ななななんだコイツら!!?」

 

「やっちまえスレイヤーキラーズ!…まあ、食っても不味いだろうケド……」

 

その命令で3体のモンスターが一気に襲いかかる。

 

変わる変わるガブガブと噛み付き、よく噛んで味わうようにじっくりとダメージを与えている。

 

「ぎゃああああああああ!!!!」

 

「本当久しぶりに見たけどエッグ……」

 

倒した奴を縛りながらその光景を見ているが時折ボキ!とかグシャ!とか生々しい音が聴こえるんだが…これ中身大丈夫だよな?

 

 

「サァて…トドメ、行くゼ?」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer!!》

 

シグナルバイクをスレイヤーのものに戻し、パネルを展開。イグナイターを短押しすると再び閉じる。

フルスロットルが発動し必殺技体制に入る。

 

そのままスレイヤーは飛び上がり、右足を空高く振り上げる。

そのまま高速回転し、やがてその脚は強力な一撃を………

 

 

「スレイヤー・ブレイク!!」

 

コックローチの脳天に直撃するはスレイヤーの強力な必殺踵落とし。

 

そのままコンクリートの地面に叩きつけられて地面諸共爆散。

メモリが砕け、中から別のメンバーらしき男が転がり出てきた。

 

 

「オッシャア!久しぶりの勝利ィ!!」

 

「確かに…憐お前最近良いとこ無しだったもんな…Poor thing(可哀想に)…」

 

「なんだハーさんその憐れみに満ちた目は」

 

「マスク越しで見えねえのになんでわかんだよ」

 

「野生のカンってヤツ?」

 

 

「クソが!使えねえ奴らめ……!!」

 

 

「っと、そういやお残しがあったな……」

 

「最後の1匹、俺っち貰ってもいいよなぁ…?」

 

シャキンと互いの得物を煌めかせ、残った1匹リーダー格のコックローチを追い詰めていく2人。

 

「こうなったらオレだけでも…!!」

 

だが次の瞬間、コックローチは粘液を連射。

加えて高速移動を使いその場から消え去った。

 

「逃げタ!?」

 

「心配すんな、逃げた方向は分かってる。走れば充分間に合うぜ!!」

 

「ヨシ!ならバイクデ……」

 

《ズーット!Sonic!!》

 

「こっちの方が速い!!」

 

そう言うとソニックは自分の足でコックローチが逃げた方向へと走っていった。

 

 

「・・・つくづく思うケド、もしかしなくてもハーさんバイク使わネー方がハエーよな……」

 

スレイヤーは撃破し拘束した強盗と思わしき男達を一瞥し、大丈夫だと判断するとバイク達と共にソニックを追いかけていった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「待てやコルァァ!!」

 

「くそっ!!完全に振り切ったつもりなのに何でもう追いついて来てやがるんだこのバケモノ!!」

 

「バケモノにバケモノって言われたくねえ!とっとと倒されろ!この虫野郎!!」

 

ゼンリンシューターを乱射しながらコックローチを追いかけるソニック。

 

人の消えた道路を駆け抜け、コックローチは曲がり角を急カーブ。

 

「逃すか!」

 

地面をガリガリと削り、火花を散らしながらソニックもなんとか急ブレーキをかけ曲がると裏路地の方へコックローチを追い込む。

 

そこは右に曲がるしかない一方通行と思われるL字路だった。

 

コックローチも右に曲がって逃げようとしている。その先が行き止まりか抜け道があるかは知らんがここで仕留める!

 

《SignalBike!Signal koukan!超・マガール!!》

 

「そこで止まれ!!」

 

《shooter!キュウニ!超・マガール!!》

 

ゼンリンシューターを乱射すると同時にマガールの力を発動。

器用に弾丸を曲げ、コックローチの正面と背後から放った弾丸達を直撃させると

 

《Signal koukan!超・トマーレ!!》

 

《shooter!今スグ!超・トマーレ!!》

 

トマーレⅡに再びシグナル交換。

拘束弾で完全に動きを止めた。

 

「これで………!」

 

《Signal koukan!Rider!Sonic!!》

 

シグナルバイクを元のソニックに戻す。

そして、パネルを展開しイグナイターを短押しした。

 

 

《ヒッサツ!》

 

 

「perfect game!俺の勝ちだ!!」

 

 

《Full throttle!Sonic!!》

 

 

パネルを下ろし、フルスロットル発動!

飛び上がって体を捻り、ビルの壁を次々と蹴る。

すると右足にエネルギーと風が渦巻き、集中していく。

 

そしてそのままコックローチに向けて必殺のライダーキックを放った!!

 

 

「ストリーム・ソニック!!」

 

 

これで完全撃破。

ソニックはコックローチ達に完全勝利……

 

 

 

 

だが、同時刻。

勝ちを確信したソニックには見えもしないし聴こえもしなかった。

そう、彼は気づいていなかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ジョーカー!マキシマムドライブ!!》

 

 

 

このドーパントにトドメを刺そうとしていたのは、()()()()()()()()()()という事に。

 

彼も、そして……()()も。

気づいていなかったのである。

 

 

 

 

つまるところ…………

 

 

 

 

「『ジョーカーエクストリーム!!』」

 

 

 

「ハァァァァァァッ!!」

 

 

こうなることは

 

 

 

「「『あっ』」」

 

 

 

火を見るよりも明らかである。

 

 

「ギャアアア!?half&half monster(半分半分の怪物)!?」

 

 

「なんだと!?」

 

『あー……そのパターンは思いつかなかったなぁ……』

 

 

「え、今なんか2人分声が聞こえ……」

 

 

刹那、2つに割れていた緑と黒の人型の異形が纏っていた風。

 

それがソニックのマフラーに吸収され……

 

 

「うおおおお!?」

 

発動中のストリーム・ソニックが急に勢いを増した。

それはコックローチ・ドーパントごと突然現れた謎の異形をも吹っ飛ばし………

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

纏めて爆発。

 

 

「・・・」

 

 

何が起こったのか、さっきの光景はなんだったのか。

今、隼斗の頭の中では色々なものが混在していた。

 

「(え?何今の…半分?人が半分になってたよな?明らか人がなっちゃいけない割れ方してたよな?って事はアレもドーパント?にしては俺達にそっくりな感じだったし……え?もしや俺やらかした?さっきのアレ明らかにあのドーパント狙ってたよな……?)」

 

もしや俺はとんでもないことをしてしまったのではないだろうか。

けどアレも見た感じガイアメモリを使用していた。だがドーパントにしてはどうにもヒーロー感が強かった。

 

まるでこちらの世界の東京で出会ったアクセルのような………

 

 

「………よし!俺は何も見なかった!とりあえず、ドーパントは全員ぶっ倒した!さーてと!さっさと戻って憐と合流…………」

 

 

「ちょっと待てゴラ」

 

 

ガシッととてつもなく強い力で肩を掴まれ、恐る恐る後ろを振り向く。

 

するとそこには、俺から見て左半分が緑、右半分が黒。赤い複眼に銀の触覚のようなものを生やし、腰にアルファベットのWの形をした赤いバックルのベルトを巻いた、先程の人型が立っていた。

 

 

「ぎゃああああ!生きてるぅぅぅ!?」

 

「生きてるに決まってんだろこの野郎!テメェ俺らごとドーパントぶっ飛ばしやがって!そもそもお前何者だ!新手のドーパントか!?」

 

「ドーパントならこの俺がさっき倒してやっただろうが!それに…お前みる目ねえな!この!どっからどう見ても!正義のヒーローな見た目したこの俺が!怪物な訳ねえだろうが!!お前こそ同じガイアメモリ使ってやがる!お前こそドーパントなんじゃねえのか!?」

 

「んだと!?あんな化け物ならいざ知らずこの見た目の何処が……!」

 

『まーまーお二人共、その辺にして。』

 

するとそのハーフ&ハーフのコックローチだった男を指差していた黒い腕を緑の方が強制的に降ろさせる。

 

やや乱暴そうな声とは異なる気怠げな声質の別の声が。見てみると、右目側の複眼が声に合わせて点滅している。

 

『それでさ()()()、僕の勘が正しければだけど……この不審者(仮)さん、恐らく()()()()のことを知ってる人物だと思う』

 

「本当か?」

 

「誰が不審者だ!!」

 

『あ、それと今回の事故だけど過失はどっちも同じくらいだから一先ず水に流してもらって…その人連れて帰ってきてもらってもいい?』

 

「…お前がそう言うなら……わーったよ、()()

 

そう言うと気怠げな方の声が消える。

 

そしてその異形は腰のバックルを閉じ、左側から黒いJと書かれたガイアメモリを抜いた。

 

すると、風が吹きまるで纏っていた装甲が剥がれるように中からは1人の人間が現れた。

 

「人間!?」

 

「当たり前だ。俺をどんな化け物だと思ってたんだ!」

 

見た感じは少しどころかすごく目つきの悪い少年だった。

それでいてまるで歴戦の戦士のような迫力を感じさせる……歳は俺らと同じぐらいっぽいが………

 

とりあえず敵ではないっぽいので、こちらも変身を解除した。

 

《オツカーレ!》

 

 

「とりあえず、お前何者だ。名を名乗れ」

 

「人に名前を聞くときはまず自分から、だろ?what's your name?半分こさん?」

 

「半分こさんじゃねえ!」

 

そう一喝すると、その少年は名乗った。

 

 

「俺は切風アラシ。……探偵だ」

 

 

 

次回に続く。

 




ついに出会いました(なお事故発生)
巡り会う2人(3人)の戦士達。
ここからが本当のスタートです!

それでは次回もお楽しみに!!
そして、146さん側のストーリーも合わせてご覧ください!!

https://syosetu.org/novel/96993/64.html
146さんサイドのURL載せときます!


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ラブダブルコラボ編 第2話 邂逅のW/2人で1人のディテクティブ

コラボ編第2話!
別世界の仮面ライダー、Wと出会った隼斗。そして一方憐の方も何やら出会いがあったようで。
そしてサンシャインサーガサイドではこちらの作品限定シーンとして、隼斗がアイツと…?

それでは本編どうぞ!




これまでのサンシャインサーガ!

 

隼斗達が飛ばされた先は別世界の秋葉原。

2人はとりあえず手掛かりを探すべく、その世界についての調査を始めた。

 

不可思議な事件の数々を調べていくうちに、隼斗達は強盗事件に遭遇。

コックローチ・ドーパント達に遭遇するも、2人はソニックとスレイヤーへ変身。戦闘になった!

 

だが、所詮はただのドーパント。

重加速を使うロイミュードならともかくただのドーパントに後れは取らない。

彼ら2人はこれをあっさり撃退。

 

逃げた一体をソニックが追うも、なんと必殺技を放った瞬間に謎の半分こ怪人を巻き込んでしまってさぁ大変!

 

謎の怪人に変身していたのは人間。

その青年の名は切風アラシ。

 

一体彼は何者なのか?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

強盗犯のコックローチ・ドーパントを追い、トドメを刺す瞬間。俺は未知の仮面ライダー?と遭遇した。探偵を名乗る目つきの悪い男に連れられ探偵事務所らしき所に来たんだが……

 

 

「見てんじゃねぇよガキ」

 

「見てねえしガキじゃねえよ。俺は高校二年生だ!」

 

「同い年だぁ!?冗談も休み休み言えやチビ!」

 

「ほんっっと口悪いなテメェ!お前それでも仮面ライダーか!?」

 

コイツ、非ッッ常に態度がクソ悪い。

 

まあ、ソニックのライダーキックでこの男をドーパント諸共吹き飛ばす事故があったせいなんだが。この光景を外から見ている相方らしき少年も面倒そうに溜息を漏らしている。

 

けどさっきのあの感じコイツもろくに周囲を確認せずに必殺技撃ってただろうが。

そっちこそ反省しやがれ反省!

 

 

「だから謝っただろ!さっきのは事故だったし、それ言うなら俺のソニックをドーパント(バケモノ)呼ばわりしたことを謝れ!俺の!あの!超絶Coolなソニックのどこがドーパントだ!」

 

「そっちの過失の事故だボケ!謝ってやる謂れは無ぇ!こっちは危うく死ぬとこだったんだ誠意見せろやオラァ!」

 

「はいはい、そこまで。口喧嘩でどれだけ尺使うつもりよ二人とも」

 

「グヌヌヌ……礼儀のレの字も知らんmad dog(狂犬)め……」

 

俺たちを止めに入った少年。

こっちの男とは裏腹に、気怠げでdownerな空気を醸し出している。

 

とりあえずこのままだとこちらとしても埒があかないので一旦大人しく引き下がる。

 

 

「それで…説明しろ永斗。コイツがあの怪人と関係あるって、どういうことだ」

 

「本人に聞くのが早いでしょ。という訳で隼斗さん、この怪物に見覚えは?」

 

「おう…ってあれ、俺名乗ったか?」

 

 

そう言って永斗少年が出したのは雑に描かれた怪人の絵。

機械的な蝙蝠の怪人の絵だった。

すげえ雑だな…怪物つったってこんなのに見覚え……ん?「106」……これって!!

 

 

「これロイミュードじゃねえか!106、か……アイツ以外にもいたなんて…やっぱり、この世界にもロイミュードがいるのか!?」

 

「は?この世界?何言ってんだコイツ」

 

「ふーん、そっか。やっぱ確定だ。

面倒だし単刀直入、ストレート150㎞/hで行こう。天城隼斗さん、あと狩夜憐さん。

 

二人は別世界から来た仮面ライダー…だよね?」

 

 

少年の推理に思わず身構える。

なんでこの子別世界から来たって事を知ってんだ!?

 

 

「あんた…なんでそれを…!それに憐の名前まで!あれ、そういやその声…さっきの半分ライダーから聞こえた気が…もう一つの人格…?」

 

「いや説明しないよ。面倒って言ったじゃん」

 

「しないのかよ!しろよ!」

 

「まぁこっからは僕の予想だけど、このロイミュードは別世界の怪人。彼らは僕らがドーパントと戦うみたいに、ロイミュードと戦ってるってこと。それで今日出てきたロイミュードも隼斗さんも、同じ別世界から来たってことだね」

 

「俺にはその別世界…ってのがよく分からねぇんだが」

 

「まぁ分岐した並行世界とか、もっと大雑把なIFの世界とか、根本から違う魔法とファンタジーの世界とか……うん、そんな感じ。まぁ今回は僕らの世界とそんな変わって無さそうかな。なんやかんやあって、僕らの世界と隼斗さんの世界が繋がってるってことだと思う」

 

 

男の方はいまいちピンと来ていないようだが…驚いたな、ほとんど話してないのに事情を知り尽くしてるかのような推理…

 

 

「その少年の推理はだいたい正解だな…探偵って言ってたが…ここまでとはな」

 

「ん?まぁね。僕、天才だから」

 

 

「それに比べてこっちは…」

 

男の方に視線を向ける。

ま、話しててなんとなく分かったがコイツの方そこまで頭良さそうではない感じだしな。

detectiveつってもほとんどこっちの永斗少年頼りだろ。

 

そう思っていると、永斗少年が話を戻した。

 

 

「さーて、それでこの件をどうするか…どうアラシ?」

 

「あぁ?そうだな…あのロイミュードってのがポンポン出られると困るが…逆に言えば不都合はそんくらいだ。文化祭もあるし、せめてそれまでは様子見で良いんじゃねぇか?」

 

「そうだねー。世界の穴塞ぐ方法なんて見当もつかないし、ぶっちゃけ最近は大事件続きで面倒くさいし。僕もしばらく放置に一票。ロイミュードは隼斗さんに倒してもらお」

 

は?放置?ふざけんなロイミュードもいてしかも元の世界帰る方法すらなんも思い付いてねえのにほっとかれるとかコイツらマジか!!

 

「待て待てwait!さっきから聞いてりゃ勝手に話進めんな!しばらく様子見だと?ふざけんじゃねえぞ!俺は一刻も早く元の世界に戻りたいんだ!!」

 

 

俺ににとっちゃ受け入れがたいものだった。

それに俺たちもだが向こうには姉ちゃん達が残っている。博士がいるとはいえ向こうには今戦えるやつが1人もいない。

蛮野が既にいないとはいえもしロイミュードが向こうで出ようものなら…

 

 

「あっちの世界には…とんでもなく強い怪物が残ってる!ロイミュードだってまだまだいる!皆を守るために、留守になんてできない!俺たちにも何が何だか分かんねえから…そっちの天才の力を借りさせてくれ!」

 

「知らねぇな。こっちにはこっちの都合がある。他所の世界の事まで面倒見れるか、お前らだけでやれ」

 

知らねえだと!?コイツそれでも仮面ライダーか!それに人を助けるのが探偵だろうが!

堪忍袋もburst寸前。怒り任せに返していた。

 

「何なんだよお前!仮面ライダーだろ!?正義のヒーローだろうが!」

 

「そんな面倒なもんに成った覚えはねぇ!お前の世界の仮面ライダーが何なのかは知らねぇが、正義の味方ごっこに俺たちを巻き込むな。迷惑だ」

 

あくまでコイツはこの件には関わらないつもりのようだ。

 

…あぁそうかよ。

この世界の仮面ライダーがどんなヤツだろうと思ってたが…とんだ期待はずれだ。

そんな心持ちのお前らなんぞ偉大な先輩方の足元にも及ばねえ!!

 

「…OK…!わかったよ!期待した俺がバカだったぜ!だったらお前らなんかに頼むか!俺と憐だけで…!」

 

 

そのまま事務所を出ようとするが、ふとよぎった考えがドアノブに手が触れる直前で俺を踏みとどまらせた。

 

「(この何も分からない世界で本当に俺らだけで元の世界に戻れるのか?今のとこ何も手掛かりらしい手掛かりも見つかってねえ。闇雲に探しても帰れる手段が見つかるかどうか……)」

 

 

置き去りにした大切な人の顔がよぎる。

意地はったせいで、もしもの事があって間に合わなかった、なんてことになれば……

 

「くそッ……!!」

 

何やってんだ…cool downだ俺。

今やるべきは言い合いじゃねぇだろ!

 

 

はっきり言ってアイツは気に食わない。

だがこっちは別に仲間になれと言っているんじゃない。

……待てよ、そうだコイツらは…!

 

 

そうだ、コイツらの力を借りるなら、すごく簡単な手段があったじゃねえか。

 

 

「Detective…探偵って言ったよな!?だったら依頼だ、俺と憐を…元の世界に戻してくれ!」

 

 

「依頼」そう聞いて、男の表情が変わった。

大して変わっちゃいないが先程までの険しい表情から、凄く嫌そうな表情に。

 

 

「…依頼人を大事にしない奴は?」

 

「探偵失格…だろ。うるせぇわかってるよ永斗。全く…またこのパターンか。いい加減にしろってんだ」

 

 

よし、やっぱり乗った!よくぞ思いついたぞ流石俺、genius!

 

 

「上等だ。その依頼、切風探偵事務所が受けてやる。迅速に終わらせっから報酬弾めや」

 

「いいぜ。足引っ張るんじゃねえぞ、Bad detective(不良探偵)!」

 

「あー…本当に手がかかる二人だなぁ…」

 

 

永斗少年はまたも溜息。

探偵と依頼人。

どうにか共闘戦線成立に成功した。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

で、依頼するにあたってこちらの事情を一から話してるんだが……

 

 

 

「だーかーらー!データにねえロイミュードが空に孔を作って、そこに吸い込まれたら秋葉に落ちてたんだよ!鳥もそこではぐれた!」

 

「抽象的だって言ってんだよ!んだよ鳥って!誰もテメェのペットの話はしてねぇ!」

 

「駄目だこりゃー」

 

 

案の定喧嘩が再開。

このアラシ?ってヤツマジで話が分からねえヤツだな…!

 

 

「まぁ…隼斗さんの話をザックリまとめると、世界を移動したのは事故じゃなくて人為的なもの。その上、並行世界ってだけじゃなくて時間も移動してると来た。隼斗さんは異世界人にして未来人ってわけだ」

 

「Exactly!やっぱそっちは話が早いな!お前、名前は?」

 

「士門永斗。この脳筋顔面犯罪者の相棒やってる苦労人です」

 

「誰が誰に苦労してるって!?あ゛ぁ!?」

 

永斗少年の自己紹介に俺も思わず深く頷いてしまう。こんなのの相棒やってるとは…苦労してんだろうなぁ……

 

「だよな、ウンウン。そりゃこんな奴が相棒だと苦労するぜ。よろしくな永斗」

 

「お前、コイツが一体どれだけ……まぁいい!今は情報だ!話を続けろ!」

 

 

永斗少年はこちらの話を聞きながら情報を整理しているようだった。

 

だが見た感じかなり頭を悩ませている。

 

こっちの話をちゃんと聞いてくれる辺り常識がそれなりにある文字通りの天才なのだろうが、確かにこの状況は余りに常軌を逸している。

 

「だーっ!分かんねぇんだよ!もっと詳しくだ!詳細に話せチビ!」

 

「隼斗だ!ったくしょうがねぇなぁ…そんじゃ最初っから行くぞ。それはこっちの世界での休みの日のことだった…俺たちが期間限定塩プリンを賭けて腕相撲大会をしてたら、妙な男が現れて……」

 

「…おい、その期間限定塩プリンってのは何だ。美味いのか?」

 

「は?そりゃまぁ…美味いに決まってるだろ!厳選された食材を使い、最強パティシエの鳳凰・ピーター・アルデンテさんが神の手によって作り上げた、沼津が誇る究極のスイーツ……」

 

「すいませーん。スイーツ談義は後でいいんで、というか金輪際やらなくていいんで、その妙な男ってのを詳しく」

 

「ん?あぁ。sorry.話を戻そう。

で、そいつは俺たちの前に現れたかと思うと、ガイアメモリを使って変身を───」

 

 

話したその単語を聞いた途端、二人の態度が急変する。

 

 

「おい!てことはソイツはドーパントってことか!?」

 

「あぁ…そうか、お前はドーパントと戦ってるんだったな。でも違うと思うぜ?俺たちの世界にもドーパントはいるし。ただ…とんでもなく強かったのは確かだ」

 

 

「そっちの世界にはロイミュードとドーパント、両方いるってことか。永斗、こっちの世界にロイミュードはいたのか?」

 

「うーん…どうだろ。本棚にはあったけど、なんか変な本だった。存在の有無は2:8ってとこで、いたとしても未完成か全く何もしてないってとこかな」

 

未完成か何もしてない…って事はこっちの世界じゃドライブ先輩達はまだ本格的にはってところか……ん?

 

「本棚?」

 

「あー、こっちの話。隼斗さん」

 

 

「……朱月だ」

 

 

突然口に出された名前。

こっちはよく分からなかったが、永斗少年はその意味を理解したようだ。

 

 

「俺たちは何度か、ロイミュード以外にも妙な怪人と出くわしてる。あの時は分かんなくてスルーしたが、ファーストの奴は確かに言ってやがった。『別世界の怪人』……と」

 

「朱月のメモリは『ゲート』らしいからね。インチキみたいだけど、異世界への扉を作れる可能性は十分にある」

 

そのアカツキってヤツなら異世界への扉を作れる…?ってことは!!

 

「なんだ、方法が見つかったのか!?」

 

そう言うや否やアラシが俺の腕を掴んで引っ張っていく。

 

「おい!どこに連れて行くつもりだよ!放せ!」

 

「うるせぇ!黙ってついて来い異世界迷子!」

 

「ちょっと待て!せめて憐に連絡を…ってなんで出ないんだよ!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

一方その頃。

時は遡ること先程の事件の数分前。

 

 

 

「チクショー…完ッ全に見失っタ…」

 

 

俺っちあの後猛スピードでドーパントを追いかけてったハーさんを追っかけてんだケド…コレ無理…全く追いつけネーし見失ったシ…

 

あ、とりあえずさっきの強盗共は縛り上げて『こいつらメモリ使って強盗しました』って紙を貼っつけたから大丈夫。

 

「スピードじゃやっぱハーさんに勝てねぇヤ…とりあえず一回落ち着こ…」

 

 

憐は路地裏に入ると、バイクを降りてその場に座り込んだ。

ちなみにだが隼斗のバイク、ライドソニックはオート運転機能により今頃主人の元に走っている頃であろう。

 

 

「ドーパント倒したカナ…?いや、まあハーさんなら軽々やってるカ…。ケータイ繋がるカラ連絡は取れっケド今繋がるカナ…?」

 

そう言って憐がスマホを取り出したその時、

遠くから爆発音が聞こえた。

 

「一難去ってマタ一難?ったーくぶっちゃけアリエネーんですケド!」

 

新たな事件の予感に愚痴をこぼしながらも、スレイヤーはバイクに跨り音の聞こえた方へと駆けていった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

幸い現場は意外と近く、俺っちの足と野生の勘ですぐにたどり着いた。

 

ただ唯一驚いたノガ……

 

 

「フッ!はぁっ!!」

 

そこで溶岩みたいに赤いドーパントと戦っていたのは、多分…仮面ライダー、だと思ウ。そんな感じの戦士だった。

 

西洋の騎士みたいな白銀の鎧。

頭部の竜の頭の意匠に黄色の複眼。

左胸に刻まれた竜で象ったアルファベットのD。

 

そしてその手にはランス状の槍の武器。

 

普通にカッケーな。騎士のライダーカ…

ってかアレ?俺っちもしかしてすごい拾い物シタ?

 

 

「煮えたぎる溶岩…マグマのメモリか。

だが、この程度の熱で我が鎧が溶け落ちる事はない!!」

 

騎士は放たれた溶岩弾を槍で叩き落すと、槍を構えた。

 

《ドラゴン!マキシマムドライブ!!》

 

 

「光輝なる竜よ!その牙に輝きを宿し、剣と化して闇を裂け!」

 

 

その詠唱と共に槍に纏わせた光のエネルギーが一本の剣として形となる。

そして騎士は溶岩の記憶を持つその怪物、『マグマ・ドーパント』に向けて断罪の一太刀を浴びせた!

 

翼竜の光剣!(ワイバーン・クラウソラス)

 

 

光の刃による一閃。それは溶岩をも切り裂きマグマはそのまま爆散。

中から大柄の男が転がり出てきた。

 

 

「全く…我が天使の為の貢物を探していたらドーパント騒ぎに巻き込まれるとは…だが、あれ以降ドーパントによる事件が増えている…これも騎士としての運命か……む?」

 

 

「あっ」

 

騎士っぽいライダー?と目が合った。

こっちに近づいてクル…

 

「…」

 

「…」

 

「こ、コンチハ……?」

 

「貴様…何者だ?」

 

「それ俺っちが言いたいんだケド…」

 

「見たところ我らは同じ戦士として生きる者…だがそのベルトは見たことがないぞ…?まさか新しいシステムか…?」

 

「戦士か…って事はアンタも仮面ライダー、なのカ?」

 

「いかにも!我が名は竜騎士シュヴァルツ!またの名を、仮面ライダーエデン!!」

 

「エデン…」

 

その竜騎士のライダー…エデンはそう名乗ると槍を天に掲げた。

そして槍を下ろすとそこから銀色のメモリを引き抜き、トリガーを押した。

 

変身が解除され、中から少年の姿が現れた。

 

「改めて問おう、貴様は……」

 

その時、ガコン!という音と共に2人を大きな影が覆う。

 

 

「「ん?」」

 

 

上を見上げてみると、先程のマグマの攻撃が当たって支えの部分が溶けたのだろう。

大きな看板が今正に2人を押し潰さんと落下してきているではないか。

 

「ワァァァァァァ!!!?ヤバイヤバイヤバイ死ぬ死ぬ死ぬ!!!」

 

 

おい竜騎士さん(自称)めっちゃパニクってるじゃネェか。

さっきまでのキャラ影も形もネェぞ?

ってそれどころじゃねぇか!なんでって思ったケド、大方さっきのドーパントのセイか!だったら!

 

両手の爪型武装、スレイクローにエネルギーを集中、エネルギーを纏い爪が鋭利になる。

 

「でりゃああああッ!!」

 

そして、スレイヤーはそのまま飛び上がると自分達を潰しにかかった看板をその爪で切り刻んでしまった。

 

「っと…」

 

玉ねぎのようにみじん切りにされた看板だったものが降ってくる中、スレイヤーは静かに地面に降りた。

 

「手間かけさせやがっテ……」

 

安全を確認すると、ドライバーからシグナルスレイヤーを抜き憐も変身を解除した。

 

《オツカーレ!》

 

「ベルトが労いの言葉を…!まさか、これは意思を持つのか!?」

 

「ちげーよ。これはドライバーについてる補助AIの音声…デ……」

 

憐はそこでようやく少年の姿を見た。

ダークブルーの髪にピンクに近い色の眼。

 

右腕には包帯を巻いており槍を持ったままといかにも厨二チック。その容姿と雰囲気は彼がよく知る友人にとてもよく似ていた。

 

 

「アンタ…」

 

「む?なんだ貴様」

 

「イヤ、でも……ん?その見た目何処かで…」

 

「俺とどこかで逢った事がある、とでも言いたげだな」

 

「…まぁ、そんなトコ」

 

「それよりすまなかった。俺とした事が不覚をとった…まさか看板が落ちてくるなど…」

 

「イイってイイって!」

 

「何か礼をしなければな。フム……」

 

 

少年は少し考えると、何かを思い付いたかのように憐の方を見た。

 

 

「よし!謎の仮面ライダーよ!貴様には我が新たなる盟友『異界の黒騎士』の称号を授けよう!」

 

「黒……騎士?」

 

「?何か違ったか?あのいかにもな鎧姿、あの闇の力を感じざるを得ない力…」

 

「いやそれはまあ自覚してっケド…それより異界って……」

 

 

「我らのようなガイアメモリ使いとは全くの異なる力…俺が知らないという事は、つまりこの世界には存在しないという事だ。

 

 

 

ずばり、貴様の正体は我々の世界とは異なる異界から来たりし戦士だな!!」

 

なんと少年は憐が別世界から来たということを見事当ててみせたのだ。

思わぬ解答に憐は内心驚いていた。

 

 

「(え!このヒト俺っちが別世界から来たってコトを知ってる!?ダガ、襲ってきた連中にこんなのはいなかった…え?じゃあ一体…)」

 

「どうした黒騎士よ?」

 

「え?あーなんでもナイ。まあ概ね正解…って言ってイイのカナ…?」

 

 

「おお!やはりそうか!っと…それでは改めて名乗ろう、我が名は竜騎士シュヴァルツ!天より竜の力を授かり、騎士としてその力を振るう者である!」

 

 

「竜騎士シュヴァルツ?その口振り、やっぱりこのヒト……まぁ、イイや!それなら多分アンタはイイ人っポイし。俺っちは憐。狩夜憐!この世の悪を狩り尽くす狩人ってとこカナ?よろしくナ、シュヴァルツ!」

 

「狩人にして黒騎士のレンか…いいだろう!これより我ら友として共に騎士道を歩まん!行くぞ!」

 

「なんだかよくワカンネーけど…とりあえずまあいいや!オー!!」

 

 

まさかまさかの意気投合。

今ここに、時空を越えた奇妙なコンビが誕生した瞬間であった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

アラシは俺をバイクに乗せると、とある目的地までバイクを飛ばした。

その目的地とは───

 

 

 

 

 

 

「……いい加減にして欲しいんスけど」

 

「話聞かせろハイド。朱月どこにいる」

 

「話聞く気有るのか無いのかどっちなんスか」

 

 

やって来たのは、とある小さな診療所。

そこにいたのは眼帯で片目を隠した医者が1人。ハイド、と言うらしい。確実に本名ではない事が分かる。

 

一瞬で警戒心を強める。

自分の勘が「コイツは只者じゃない」と告げているかのようで。

 

 

「知らない子連れて来たと思ったら、どーにも只者じゃあなさそうっスね」

 

「そういうお前こそ何者だ…!?もしかして……!」

 

「察しがいいっスね。でもだいじょぶっスよ。良い人では無いっスけど、ここは病院。君らとドンパチやり合う気は無いっス。うるさくしたら珊瑚ちゃん起きちゃうし、後で怒られるのジブンなんスから…」

 

 

ハイド先生?は奥のベッドを気にする素振りを見せる。珊瑚ちゃん?誰か俺たちの他にもいるのか…?

 

 

「で、そこの彼。彼はなんスか?新しい仮面ライダーとかっスか?」

 

「みたいだ。しかも異世界から来たとか言ってやがる」

 

「それで朱月…っスか。なんとなーく状況が掴めてきたっスよ」

 

 

ハイド先生に事情を説明している間、警戒心をハイド先生だけでなくアラシの方も向けておく。恐らくはヤツも気づいているだろうが正直なところどうでもいい。

 

()()()()()()()のはお互い様だろうしな。

 

 

「オススメは出来ないっスねー…彼に頼み事はアホらしいって言わざるを得ない。彼に指図できる奴なんて、この世に存在しないって思った方がいいっスから」

 

「そこまで言うなんて…そんなにヤバいのか、その朱月って奴は…!」

 

「ヤバいっスよー。君が会ったっていう『とんでもなく強い異世界のドーパント』も気になるっスけど、流石に朱月ほどじゃ無いと思うっス」

 

「あのディストピアとかいうドーパントより強い…!?そいつの力を借りねえと元の世界には戻れない…か。上等だぜ、やってやる!」

 

そのディストピア・ドーパントの名前を聞いた途端、ハイド先生の態度が急変した。

 

「待って。今、何て言ったっスか?ディストピア!?」

 

 

俺が遭遇したメモリの名前。

ディストピア、暗黒郷、絶望郷。

ハイド先生はどうやらそれを知っているようだ。

 

 

「まさか……『憂鬱』が…!?」

 

「憂鬱?それって……」

 

 

話を遮るように、轟音が響いた。

まるで大地が割れ、削られ、砕けるような音。それと同時に窓から差していた陽の光が消え失せた。

 

その理由は単純。

外を見てみると突如現れた巨大な『塔』によりこの診療所を日陰で飲み込んでいたからだ。

 

 

「んだよアレ…また野良のドーパントか!?」

 

「だったら黙っておく訳には行かねえだろ!行くぞ!」

 

「テメェが仕切んなチビ!」

 

 

ドライバーを取り出しすぐさま駆け出す。

アラシも後から追いかけてきた。

 

 

「もしかすると、まーた世界の危機かもしれないっスね……」

 

 

そう呟いたハイドの声は、2人には聞こえていなかったが…

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ったくなんでこんな時に……って俺のバイク!」

 

「あ?バイク?……あぁ」

 

外に出ると、そこにはいつの間にやら戻ってきていたのか俺のバイク『ライドソニック』が主人の帰りを待っていたかのように停車していた。

 

「置いてきちまったけどまさか勝手にきてくれるとはありがてぇ!っしゃ行くぜ!!」

 

「行くぜじゃねぇ勝手に動くなコルァ!!」

 

何はともあれ現場に急行。

出現した塔に向かっていたがそれよりも早く二人はバイクを停めた。

 

塔への道を塞ぐように、一体のドーパントが立っていたからだ。

 

 

「早速お出ましか。ありゃ…分かりやすいな、多分タワーのメモリだ」

 

「ん…まぁ、言われてみりゃ…レンガ造りの身体に、頭には弾け飛んだ王冠みたいなのもある……The towerのタロットカードみてえだ」

 

確か前に善子に見せてもらったことがあるな。意味は確か正位置だと不幸、逆位置だと反対に幸福的な意味だった気がする。

 

 

推理通り、目の前のドーパントは「タワー・ドーパント」。動きに余裕を見せるタワー。と思いきや、俺達に向けて掌から雷撃を放ってきた。避けたアラシに対しては、更に指を鳴らして炎の追撃が。

 

 

「うおっ!?いきなり攻撃してきやがった!」

 

「なんで俺だけ…!あぁクソ、頭に来た!ぶっ潰してやる!」

 

 

沸点が低めのアラシは、怒り任せで赤いバックルのドライバーを装着。

そして、黒いガイアメモリを起動させた。

 

 

《Joker!》

 

「Joker…道化師…いや、切札のメモリ…?」

 

「変身!」

 

《Cyclone!Joker!!》

 

 

すると、右側のスロットに緑色のメモリが転送されてきて、ドライバーに二本のメモリが揃う。

 

ドライバーを展開し、アラシは仮面ライダーダブルへと変身。再び放たれた炎を風で掻き消し、タワーに鋭い跳び蹴りを突き刺した。

 

 

「やはり野蛮…ワタシの見立て通り、アナタはそっち側のようですね!」

 

「あ?何言ってんだテメェ」

 

 

しかし攻撃は大して効いていなかったようで蹴られた部分を手で払いながらタワーが口を開いた。

 

 

「何の話か知らねぇが、人を見かけで判断してんじゃねぇ。つーか、俺がダメであのチビはオーケーなのが気に食わん」

 

『アラシ、それそこまで気にしなくていいでしょ』

 

「ん…?その声、やっぱり永斗少年か!?」

 

『あ、そうそう隼斗さん。僕らは二人で一人の仮面ライダー…まぁ合体ロボみたいな感じ?』

 

「そういう事…なのか?異世界ってすげえな…」

「全然違ぇよ。それで、俺の何が野蛮だ塔野郎。納得いくように説明しやがれ」

 

 

アラシが野蛮という意見には俺も同意する。

 

だが、タワーは何か考える素振りをすると、ダブルと俺に指を向けた。

 

 

「なるほど一理ある意見、ならば聞きましょう。全員、あの塔を見なさい!」

 

 

タワーが次に指を向けたのは、出現した例の巨大な塔だ。

 

 

「あの塔はワタシの作品!第一の塔はスペインのヘラクレスの塔をオマージュしたローマ建築で仕上げ、古の技術に最先端の感性を織り交ぜた正にッ!究極の美術たる塔です!あの塔を見て、アナタたちは何を感じる!?」

 

 

タワーが何やら熱弁し始めた。どう感じると言われても、俺は芸術に大した興味も無い。だから単純に感想を述べてみる。

 

 

「超デカい」

 

「洗濯乾かすのに邪魔だ」

 

洗濯物ってそういう問題か…?主婦かオメーは。

 

「ガアアアアアアッデム!!話にならない!そっちの男だけかと思いきや、そっちのボーイも!まるで理解を持たない低能の劣等種族め!」

 

突然キレるタワー・ドーパント。

究極の芸術?あんなん普通に建築基準法バリバリ違反だし邪魔でしかねぇわidiot(マヌケ)め…

 

どうやら俺らの率直な感想はアイツのお気に召さなかった合わなかったようで激しく拒絶反応を起こす。そして、今度は明らかに俺を巻き込みに来る規模で攻撃を放ってきた。

 

 

「うわっ危なっ!あの野郎、人を低能呼ばわりしやがって!」

 

 

マッハドライバーMk-IIを装着。

シグナルソニックをドライバーにセットする。

 

 

《SignalBike!》

 

「Ready!変──おわっ!?」

 

 

異世界での二度目の変身をキメようとしたその時。遠方から放たれた光弾が戦場に降り注ぎ、それを避けた結果

 

 

《Rider!Sonic!!》

 

転がって回避した瞬間中途半端なタイミングでパネルを下げてしまい、青い装甲が俺を包む。

 

「うわぁ…決まんねえ…」

 

「ゴメ!怪我はねぇ…あ、なんだ!ハーさんダ」

 

「憐!?なんだじゃねえよ!電話にも出ないし俺の折角の見せ場をだな…

まぁ今はそれより!あの塔のドーパントだ!」

 

「分かってるっテ!いっちょ行くゼ!」

 

 

ドーパントの騒ぎを聞きつけ、駆け付けたのは仲間の憐こと仮面ライダースレイヤー。

 

先に戦闘に入っているダブルの存在を確認すると、その攻防に相槌を打つように爪で迫撃を加える。

 

 

「半分半分!?アンタがシュバルツが言ってたダブル…ダナ!」

 

『そういう君は仮面ライダースレイヤー、狩夜憐だね』

 

「つか今シュバルツって…大体状況が見えてきた」

 

「は?シュバルツ?オマエ何があっ」

「話は後デ!行くゼ!!」

 

 

互いに初見にも関わらずダブルとスレイヤーの連携が想像以上にハマっており怒涛の勢いでタワーを追い詰める。

恐らく双方が近接戦闘を得意とするタイプのライダーだからだろうか。

 

そんな状況に、なんか謎の疎外感を感じる。

 

 

「…よし、これなら多分手は十分だな!だったら俺はあの塔を調べに行く!」

 

「あっ…おい待てチビ!」

 

「そうだ待て!キサマのような理解の無い節足動物がワタシの塔に触るな!!」

 

「うっせぇテメェは黙ってロ!」

 

 

そこに遅れて駆け付けたもう一台のバイク。

それに乗って現れた槍を持つ騎士のような姿のライダーが慌てた様子で現れる。

 

 

「黒騎士よ!盟友である俺を置いていくとはなんたる…この状況何事!?うおっ!しかも今度は蒼騎士だと!?」

 

「遅ぇよ瞬樹!そうだ、アイツ追え!その蒼騎士の後に付いていけ!」

 

「何が何やら…だが承知!断罪の竜騎士、異界の蒼騎士に助太刀を…」

 

 

《ズーット!Sonic!!》

 

「Ready…Go!!」

 

シフトアップを発動し、一気に加速。

アラシの静止など待たずに塔に向けて一直線に走り出す。

 

 

「って速っ!!?」

 

 

背後を振り向くと、ダブル達の姿は見えないくらいにまで小さくなっていた。やはりスピードならダブルや騎士のライダーよりも遥かに優れているようだ。流石俺のソニック!と思わず自画自賛。

 

瞬樹、と呼ばれていた騎士のライダーだが流石に全速力の俺に追いつくのは困難だろう。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「作品って言ってたな。確かに…中まで超凝った造りだ、すげえ…」

 

 

塔にはご丁寧に入り口が用意されており塔の内部の侵入は割と容易く成功した。

 

内部は精密な装飾まで施されているというこだわりっぷり。普通に「作品」としてならば価値あるものだと思う。

 

 

「でもドーパントが作ったもんだ。中に何があるわけでも無かったし、悪いが一発ぶっ壊させて……」

 

左腰の煌風に手をかけ、さっさと最大級の技を叩き込んでこの塔を輪切りにでもしてやろうと思いかけていたそのとき

 

 

「やめた方がいいんじゃないかなー?」

 

「…!?誰だ!」

 

何処からか聴こえる謎の声。

 

上かと思いきや右から、はたまた左から。

 

「憂鬱んとこのスーザくんのことだし、内壁に爆薬でも入ってんじゃない?下手に殴ったらドカン!だったりぃ?あ、そうそう誰って話だったっけ?初手から質問の押し付けなんて、随分と傲慢だよねぇ」

 

 

背後から声。と思えば、振り返るとその右側から。一瞬毎に位置を変えるその気配は、何の法則性も無く、突然俺の前に現れた。

 

 

「じゃあ逆に問題です!オレは一体何者でしょうか!?」

 

 

現れた青年の姿に、一瞬呼吸が止まる。

生存本能が瞬時に覚醒。間違いなく「何かをしたら殺される」という直感が一切の行動を禁じている。

 

眼前の男は飄々とした態度とは裏腹に殺気と興味を剝き出しにしているのだから。

 

今まで体感したことのない、途轍もない威圧感の中これまでの記憶から導き出された一つの名前をどうにか絞り出した。

 

 

「お前が……朱月…!!」

 

「おーまさかの正解!オレのクイズに答えられる奴はそういない、誇っていいよ異世界の仮面ライダー!」

 

「お前…俺たちのことを知って…!?

あぁ…まあそうだよな!異世界への扉を作れるって話だったからな!」

 

その話を聞いて朱月は何やら驚いた表情を見せた。感心したかのように笑みを浮かべながら。

 

「普通に喋れてる…いいねぇ、もう威嚇は克服したんだ」

 

「ヘッ!んな子供だましが効くかよ!ここで会ったがLuckyだ!さぁ、元の世界への扉を作りやがれ!」

 

 

絡みつく恐怖をどうにか振り切り朱月の首元に煌風の刃を向ける。が、朱月はその行動に口角を上げる。

己に指図する自分の傲慢を楽しむように。

 

 

「はははっ!いいねぇ!そんで嫌だ!その指図は聞いてやらなーい。だってつまんないから。別世界の扉に入って帰る?あっちに帰った時、まだ固体だったらいいね。アレで無事なのはあのバケモノだけで十分だよ」

 

「バケモノ…誰かが異世界に行ったってことだな。じゃあ俺でも無理じゃあねえってこった!」

 

「ポジティブシンキング!でもこれ以上の傲慢はオレも我慢できないなぁ!

扉を作って欲しければ!そいつの事を教えて欲しければ!その傲慢を叶えたければ遊ぼう!!異世界の仮面ライダー!!」

 

そういうと朱月は俺に蹴りを入れその場から離れ、あのディストピアと同じドライバーと金色のガイアメモリを取り出した。

 

 

 

《Gate!》

 

 

メモリを起動し、ドライバーに挿す。

 

するとその姿が変化し、赤黒い衣服に頭には黄金の角が六本。だが顔には目も口も無い。

全身には縫い目のようなものがあり、そこからは指やら大きな眼やらが除いている。

正に皇帝、もしくは王のような姿をしたドーパントへ変わった。

 

「それがお前の本当の姿か!」

 

「ゲート・ドーパント。これがオレの本来の力ってやつ?さ、どっからでも来なよ」

 

くいくいと手招きをし、こちらを挑発するかのような仕草で余裕を見せるゲート。

 

As desired(望み通り)!」

 

煌風を抜刀、シフトアップで加速し一気に接近する。様子見なんてのが通じる相手では無いのは確か。

 

だったら初手から正面突破!

 

 

「っラァ!!」

 

上段に構えてからの真っ向。

だが、その刃は黒い靄のようなものに飲み込まれゲートには届いていなかった。

 

「っ!?だったら!」

 

横に、逆手に持ち替えて斜め下から。

切り替えて左から。だがどれもこれもがあの靄に阻まれゲートに届かない。

 

「ほらほら、そんなもん?」

 

気づけばゲートはソニックの背後に。

すぐさま振り向き刀を振るうも容易く避けられてしまう。

 

「…近接でダメなら!」

 

ゼンリンシューターBSを呼び出し、左手に持ち銃撃。

エネルギー弾を連射するも、今度は上に出現していた靄がソニックにその攻撃を跳ね返していた。

 

「って…!あぁ、そういうことかよ!異世界へのゲートを作れるのはその力のおかげ…お前の能力は、空間転移系能力か!」

 

「あったり〜!空間を切って繋げる…それがオレの力。生半可な攻撃じゃ突破はできないぜ?」

 

「なるほどな…けど、タネさえ分かれば!」

 

《ズーット!Sonic!!》

 

シフトアップして加速。距離を取るとゲートの周囲を高速で走り続け相手を撹乱する。

 

「これならどうだ!!」

 

周回しながら銃を乱射。

だが、やはりそれは靄に阻まれてしまう。

加えて銃撃がこちらに返ってくる。

 

「さっきと変わらない戦術。力押しで突破…ってのは悪くはないけど、それでオレに攻撃を当てられるって思うのはちょっと傲慢じゃない?」

 

だがこの隼斗、先のイミテーションとの戦いを知る人はご存知の通り要領はいい方。

そんなものは承知の上だ。

背後と頭上に靄が現れ、自分が放った銃撃が返ってくる。が……

 

「んなもん Hundreds aware(百も承知)だぜ!」

 

瞬時に接近してゲートの目の前に現れると、すぐさまバックステップで回避。

 

自分に向かってきた銃撃が、直前で避けたことでゲートにヒット。

ソニックの攻撃が初めてゲートに当たった。

 

「へぇ、やるねぇ!オレに攻撃を当てるのはあの仮面ライダー達でもできてないことだ!すごいじゃん、異世界の仮面ライダー!」

 

「どんなに強い相手でも、工夫次第で充分に対処はできる!そっちが空間を弄ってこっちの攻撃を躱すんなら、それを頭に置いた上で動く!簡単なことだ」

 

「頭の回転もめっぽういい方…いいよいいよ!やっぱ面白いよキミ!」

 

刀を真っ直ぐにゲートに向けながら言い放つ。そんなソニックに対してゲートは面白がるかのようにこちらを見ていた。

だが…

 

 

 

 

 

 

 

「これなら…少し本気出すのもアリだな」

 

 

先程とは打って変わって声色が低く変わる。その瞬間、忘れていた途轍もない威圧感が場を支配し、ソニックの動きを止めた。

 

「(…来る!)」

 

 

分かってるはずなのに体が震えて動かない。その瞬間、ゲートが能力を使い目の前に現れる。

 

「っ!」

 

咄嗟に煌風を振り抜き、ゲートに斬撃を繰り出すも容易く転移で回避され背後に周りこまれる。

無防備な背中にゲートの強力なパンチが叩き込まれソニックは勢いよく吹っ飛ばされる。

 

だが、その瞬間目の前に靄が出現。

転移によりゲートの背後に飛ばされ、続けて後ろ回し蹴り。

 

「ガッ…!?」

 

蹴り飛ばされた先にはゲートが先回りしており、そこから更に上に蹴り飛ばされる。

 

 

「ッ!クソっ!!」

 

咄嗟に地面に向けて銃口を向けるも既にそこにゲートの姿は無く。

 

「っ!上…」

 

気配を察知しすぐさま上に向き直すが遅かった。ゲートの貌がすぐ間近に。

 

「気づいたのはいいね。けど…あと一歩だけ遅かった」

 

胸に当てられた手から黒い波動が放たれソニックは勢いよく地面に叩きつけられた。

 

ガハッと衝撃で声が漏れ、気がつけばゲートの手刀が首元に突き付けられていた。

 

 

「つ、強え…っ」

 

 

「うーん…ま、今はまだこんなもんかな?」

 

 

そういうとゲートはそのまま変身を解き人間の姿に戻った。

 

 

「なんでだ…トドメも…刺せるはずなのに…」

 

 

 

ダメージが残る体に鞭を打ち、息も絶え絶えになんとか体を起こしソニックは朱月に問いを投げかけた。

 

「んー?なんでだと思う?」

 

「っ…それ…は……」

 

 

「はい時間切れ〜!正解は、オレの気分!でした!」

 

「…気分?」

 

この男の気分一つで、自分は命を落とさずに済んだのか?

その言葉でどこか安心感と同時に腹立たしさも湧いてくる。

 

「だって面白くないだろ?今ここでキミを殺しちゃったらさぁ!この戦いはまだ始まったばかりだ。あのバケモノを倒すのは、仮面ライダーか、キミか、はたまたオレか……これはゲームなんだよ。

参加プレイヤーは多い方がいい、そうだろ?それとも……

 

 

 

 

 

 

 

 

今ここでお望み通りに殺してやろうか?」

 

 

息が止まる。

最悪の元凶蛮野も、かつての好敵手であったトルネードすらその比ではない。

 

恐怖という刃が、心臓に突き立てられたかのような威圧感が隼斗に襲いかかった。

 

 

 

「……!!!」

 

 

 

「なーんてね!ウソウソ!自分からゲームをつまんなくするなんて趣味じゃないしね!

あ、そうだ。名前聞いてなかった…キミ、名前は?」

 

途轍もない殺意から一転、無邪気な子供のような笑顔を向けられ途端に威圧感が消えた。

 

少し怯えながらも隼斗は答えた。

 

 

「…俺はソニック、仮面ライダーソニック。天城、隼斗」

 

 

「ふーん…ハヤト、仮面ライダーソニックね…じゃあハヤト、オレの下僕になる気は無い?」

 

「っ…冗談じゃねえ…!誰が…!」

 

「だよねー!まぁ覚えとくよ。少なくとも、あの騎士のライダーよりかは面白かったし?」

 

すると、朱月はソニックから離れ自身の横に手を翳しワームホールを生成。その中へと入っていく。

 

「まぁ、今日はとりあえずこの辺で。キミはオレに初めて攻撃を浴びせた。オレはキミを倒す寸前まで追い込んだ。今回は引き分けって事で勝負は預けといてやるよ!もしまた会った時に命があればその時は……」

 

そう言って笑みを浮かべる朱月。

 

「今度こそ、全霊でやりあおう。んじゃ、またねー!」

 

そのままワームホールに入り、姿を消した。

完全に気配が消えたのを確認し、ソニックはその場に大の字で倒れた。

 

 

「なんとか…引いてくれたか…」

 

朱月、ゲート・ドーパント。

一瞬見えたが、あれも金色のメモリだった。

 

という事は、少なくともあのディストピアと同等か、それ以上のスペックを秘めているということ。

 

初期フォームだけでよく乗り切ったものだ、と隼斗は自分を褒めるとシグナルバイクを抜き変身を解除した。

 

 

《オツカーレ!》

 

 

「あぁ…本当…疲れた……」

 

先程の事務所での出来事からの怒涛の展開や連続戦闘のダメージが響いているのか、体がとても重い。

 

「ちょっと休んでもバチは当たらねえよな…?」

 

 

 

床は硬いが贅沢は言えない。

俺はそのまま目を閉じ、休むことにした。

 

次回に続く。

 




※今回仮面ライダーエデンという146さんのラブダブル側のオリライダーがいますが、実在する楽園の創造者の例のライダーとは一切の関係がありませんのであしからず。

ついにこの世界の敵、そしてライダー達と遭遇した隼斗達。
役者は揃い、物語は加速する!

それでは次回もお楽しみに!
そして今回書いてなかったタワー・ドーパント戦は146さんサイドのラブダブルにて書かれています。
そちらも是非ご覧ください!

https://syosetu.org/novel/96993/65.html
146さんサイドもこちらのリンクからどうぞ!


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ラブダブルコラボ編 第3話 U達と共に/探偵の真意

コラボ編第3話!朱月との戦いの果てになんとか引き分けた隼斗。最初の戦いを終えても相変わらずアラシ達と仲良くできない彼だったが……?

今回はいよいよ彼女達が本格参戦。
異なる世界の過去と未来が交わります。

146さんと自分側。それぞれのコラボ編第2話を読んだ上でお楽しみください!

それでは本編どうぞ!



これまでのサンシャインサーガ !

 

長いイザコザの果てに、依頼という形で探偵コンビの協力を取りつけた隼斗。

 

探偵 切風アラシの情報からアカツキという男を探しに謎の医者ハイドの所へ行くもあまり有益な情報は得られず。

しかも突如巨大な塔が現れ、そっちの対処に動くこととなった。

 

 

 

その塔を作ったというタワー・ドーパントの相手を駆けつけた憐と謎の竜騎士ライダーに任せ隼斗は内部に突入。

 

だがそこに現れたのは、隼斗達が探していた異世界の扉を作れる男、朱月だった!

ゴールドメモリのドーパント『ゲート・ドーパント』に変身した朱月と戦闘になった隼斗/仮面ライダーソニックだったが、その圧倒的な力の前に攻撃を一度当てるのみで終わってしまう。それでもなんとかその場を生き延びた隼斗だったが……?

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

あの後目を覚まして塔から出ると、いつの間にやら外で戦ってた面々はいなくなっておりドーパントすらいなかった。

どうやら俺は置いて行かれたらしい。

 

 

「ったく…こちとら、怪我人だってのに…!依頼人は大事にするんじゃねぇのかよくそったれが…!」

 

 

まあ文句を言っても仕方がない。

とりあえず一度戻るか…どうせアイツらあの探偵事務所だろうしな…

 

 

とりあえず場所は覚えていたのでバイクを走らせる。古びた建物の一角にある例の探偵事務所。

 

バイクを止め扉を開けた。

 

 

「あっ、隼斗さん帰ってきたね」

 

「遅えぞ!勝手に飛び出して何やってたんだ!」

 

「っせえな…ついて来れなかったそっちが悪いだろ。それにでけえ声出すな傷に響く…」

 

「んだと?大体お前が人の話を聞かずに突っ走ってくから…」

「はいはいそこまで。また喧嘩されてそれを仲裁する僕の身にもなってくれる?とりあえず隼斗さん、その怪我どうしたの?」

 

 

「ああ、永斗少年か。まあこれは元からのやつもあるが……まぁさっきちょっとあの塔の中で戦ってる時に…」

 

「塔の中で?あのドーパント達の他にも敵がいたってこと?」

 

「一体何とやり合ってたんだよ」

 

「アンタらが言ってたアカツキって奴だよ。異世界への扉を作れるっていう…」

 

それを聞いてアラシと永斗少年、そして何処か既視感のあるもう1人の少年の表情が目に見えて変わった。

 

「なんだと!朱月の野郎が!?」

 

「まさか向こう側から出向いてくれるとはね…で、結果は?って…聞くまでもないか。サクッと倒されたら僕らの面目立たないよ。こっちの大ボスなんだから」

 

 

「正直しんどかったけどな。向こうに追いつくのが精一杯だったが…この通り生き延びてやったぜ?」

 

「まさか…あの化物とマトモにやり合えていただと!?流石は黒騎士の盟友…」

 

「黒騎士?さっきも言ってたが…ってアンタは…!!」

 

その少年はダークブルーの髪にピンクに近い瞳。そして背負った槍に右手の包帯…どこか向こうにいる仲間の1人を彷彿とさせる容姿をしていた。憐がこちらに近づき耳打ちをしてくる。

 

「ア、黒騎士っての俺っちね。多分だけど…この人この世界のヨっちゃんの身内」

 

「なるほどな…それと憐、わかってると思うがこの世界は…」

 

「あぁ。過去の世界、ダロ?μ'sが現役、それだけで確信したヨ」

 

「分かってるならいい。とりあえず憐、ここでは俺達の時代の話は極力控えてくれ。世界が違えどもしかしたらAqoursがこの世界でも後々誕生するかもしれない。下手にこの時代で喋れば…」

 

「後のAqoursに影響がデル…りょーかい」

 

 

「お前らさっきから何をコソコソ話してんだ」

 

「こっちの話だ。別に関係ねえよ」

 

「それより異界の蒼騎士!お前の名前は…」

 

「ああワリ。天城隼斗だ。nice to meet you.」

 

「テンジョウ…天の城か?」

 

「ああ、そう書く。アンタは…」

 

「そうか!ならば答えよう我が名は…」

 

「津島…か?」

 

「そう!我が名は津島……待て、何故お前が我が真名を知っている!?」

 

「そしてシュヴァルツ。アンタには妹が1人イル、堕天使のナ。違うカ?」

 

「た、たしかに妹はいるが……何故そこまで知っている?」

 

「俺達の世界ではその妹さんは仲間の1人なんだ。だからアンタの容姿とキャラを見て確信が持てたって事だ」

 

 

「そ、そうか…まあいい!ゴホン!我が名は竜騎士シュヴァルツ!そこの黒騎士と出会い盟友の契りを交わした者である!!」

 

 

その竜騎士…シュヴァルツと名乗ったその少年は槍を天井に掲げ堂々と名乗りを上げた。

 

「永斗少年、彼は?」

 

「津島瞬樹。静岡からやってきた仮面ライダーで、僕らの仲間の1人です」

「喧しいのが玉に瑕だがな」

 

 

津島瞬樹…この兄にして妹ありか。

いや待てよ?アイツ一人っ子だって聞いたことがあるような…世界が違えば人も違うのか?

 

 

「しかし、あのドーパントとやり合えてるとは蒼騎士もなかなかやるではないか!」

 

「まあな。けど、こっちは数発喰らわせるのが精一杯だった。アンタもアレと戦ったことがあったのか?あの時…」

 

 

『少なくとも、あの騎士のライダーよりかは面白かったし?』

 

 

「とかアイツ言ってたけど…」

 

 

「…ああ、一度だけな。だがあの時の俺は自らの強さに疑念を抱いていたせいで惨敗を喫し命を落とす寸前まで行った。今は全く負ける気はせんがな!ただ、生き延びただけでなく一対一で奴とやり合えていただけそちらの方が凄い。流石は善子の友!」

 

「…そっか、まあ色々あったんだな」

 

 

「それより、朱月とやり合っただけか?他に何かあの塔について情報はねぇのかよ?」

 

 

 

「朱月の言ってた情報通りなら内壁には多分爆薬かそれに似た何かがある。だから下手にぶっ壊すのはNG。異世界の扉についてだが、俺達の他に誰か別の奴が行ってたらしい。多分そいつが俺達がこっちに来る前に俺らが戦ったディストピアとみていいと思う。

 

ただ…朱月がそいつを化け物って言ってたのが気になったな。確かにアイツは強敵だったが…俺からは以上だ。

そっから先は朱月とやり合ってたから無い」

 

 

 

「了解。それでこっちだけど…」

 

「ハーさんが塔の中に入ってったあと、タワー・ドーパントとやり合ってたケド邪魔が入って…」

 

「フーディエとかいうやつが変な本を使ってタワーを連れて逃げてった。僕たちの方はこんなもんです」

 

「そうか…サンキュ、永斗少年」

 

「いえいえ」

 

「んで、こっからドーすんの?」

 

「どーするっつっても…」

 

 

「今のところは隼斗さんや僕らが得た情報以外に目立った手掛かりは無しだからね…」

 

「まぁ言うなら塔のドーパントが言ってた『第一の塔』ってのが気になるな。第一があるってことは二、三もある可能性が高ぇ。でも予測もできねぇし手掛かりとは言えねぇ」

 

 

「手掛かりが無いなら探せばいいだろ!さっさとあの朱月ってやつをぶっ倒して…」

 

「待てよハーさん。その朱月ってヤツ強エーんダロ?今もういっぺん戦いに行って勝てる見込みは?」

 

「・・・んなもんどうにかする!例え強敵っつってもライダー全員でかかればどうにか…」

 

「俺っち、金色クラスならブレイヴは絶対に必要になると思うけどナ。鳥も見つかってない現時点で挑んだところで返り討ちになるだけダ」

 

「んなもんそこのダブルと竜騎士で足りない分は補えば…」

 

 

「俺らを勝手に巻き込むな」

 

「この暴れん坊に同じく」

「あ゛ぁ!?」

 

「俺としては我が盟友達に手を貸したい気持ちは山々だが…恐らく今のままでは…」

 

「けどこのまま待ってても…!!」

 

 

「それにハーさん、怪我まだ治りきってないでしょ?」

 

「あ、確かに出会った時から所々…朱月との戦いで負った傷…ではないよね」

 

 

憐と永斗少年の言う通りだ。

頭に巻いてる包帯、右頬の絆創膏…俺の身体にはトルネードとの戦いで負った傷痕がまだ残っている。

 

「けどこんなもん見た目だけでほとんど治りきって…」

 

「テイ」

 

「っ!?」

 

 

すると憐が突然俺の額にデコピンを当てて来た。しかも包帯巻いてる1番やっちゃならねえ所を。

 

「っ……!」

 

傷の痛みに加え、衝撃で頭痛のような感覚まで一瞬した。思いの外痛かった…

 

「ホレミロ言わんこっちゃナイ。それで無理でもしてミロ、果南サンにまた会う前にこっちの世界でおっ死ぬゼ?」

 

 

「果南さん…って誰?」

 

「向こうにいる俺っち達の仲間でハーさんの幼馴染のオネーさん。ハーさんにとっての1番大切な存在なんダ」

 

「幼馴染のお姉さん?美人なの?」

 

 

「そりゃーもう!ハーさんがゾッコンにナルレベルで!あ、写真見ル?」

 

 

「善子はいるのか!?いや…俺は見ない!今はまだ運命の時では……というか勝手に出て行って迷惑かけたくせに俺だけそれを見て満足するのは少し違うというか騎士道に…そう俺の騎士道に反して……」

 

「素が出てるよ瞬樹。あ、この子可愛い」

 

「御目が高い!それがシュバルツの妹さんデ……」

 

「わあああああああっ!!」

 

 

そう言って憐と永斗少年は憐のスマホでAqoursの面々の写真を見ていた。

おいおい、歴史のことに関しての写真は避けろよ…

 

 

「で、そっちはなんかアイデアねえのかBad detective(不良探偵)

 

「随分上からな依頼人だな」

「最初に目の前の依頼人を見捨てようとした探偵の屑よりはマシだと思うが?」

「勝手にどっか行った奴が悪い。身長以外もガキか?」

 

アラシと俺の間でバチバチと火花が散る。

俺だって好きでこの背じゃねぇんだボケ。

今まで特に気にしてなかったがそこまで言うなら望み通り叩き潰すぞコラ

 

「まーまー2人ともその辺で」

「そうダゼハーさん!確かに俺っちもこのヒトのことは言いたいことあるケド…」

「あるのか」

 

「あーもう…とにかく、事件に関しては一度ここで切ろう。ところで隼斗さん、憐くん、2人ってスクールアイドルは好き?」

 

「え?まあ好きだが…」

「ってか俺っち達向こうでスクールアイドルのマネージャーやってるシナ」

 

「それならよかった。じゃあ、僕らの仲間の手伝いをして欲しいんだけど…お願いできる?」

 

「手伝い?…まぁ休憩にはなるか。そんで、どんなグループなんだ?永斗少年達の仲間って…」

 

「行けば分かるよ。じゃアラシバイク出してー」

「…わーったよ、行くぞ」

 

「行けば分かるって…」

「ハーさん俺っちのバイク乗ってく?」

「運転できねえ程の怪我じゃねえ。自力で行くから安心しろ」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「こ、ここって……!!」

「まさカ……!!」

 

 

目の前にあるのは巨大な煉瓦造りの学校。

その校門の看板に刻まれていた名前は……

 

 

「音ノ木坂学院。僕らの通ってる学校です」

 

 

「「音ノ木坂ァァァァァァ!!!?」」

 

 

そう、音ノ木坂学院。

あのμ'sのメンバーの通う学校である!!

 

 

「うっせえな!そんなに驚くことかよ!」

 

 

「shut up!未来人の俺らからしたら音ノ木坂はかなりの有名どころなんだよ!!」

「詳細はイエネーのが厳しいトコだけどナ」

 

今のμ'sの方達に後々貴方達ラブライブで優勝するんですよ、なんて言えねえしな。

言ったところで信じてもらえないしそもそも俺らが異世界から来たことも話すわけにはいかねえし…

 

「まあいい、行くぞ。アイツらが待ってる」

 

「アイツらって…」

「マサカ……」

 

「決まってるでしょ?μ'sだよ」

 

 

2人に手続きしてもらい、俺と憐は許可証のようなものを発行してもらう。

そういえば南ことりさんのお母様がこの学校の理事長なんだっけか。その仲間だってんだからこれぐらいできて当然か…加えて生徒会長にはあの絢瀬絵里さん…やっぱμ's強すぎねぇ?

 

「おぉ……!まさか内部に入れるなんて…!」

 

「写真撮るのはいいけど他の生徒達を入れないようにね?というか隼斗さん達中に入るのは初めてなの?」

 

「前に外まで来たことはあったんだけどな。中を観るのは初めてだ…」

 

中を進んでいくと、やがて小さな部屋の前まで来た。

 

『アイドル研究部』と書かれた看板。そして『探偵部』とマジックで書かれた木の看板が立てかけられていた。

 

「探偵部…?」

 

「うちの仲間達はスクールアイドルと同時に探偵部もやってる。事務所にあんまりにも依頼が来なすぎて、我らがリーダーの提案とみんなの相談で出来上がったんだ」

 

「ま、こんなのが探偵なんじゃな…ってかあの人達になんて事させてんだ…」

「まあ、それもみんなの決断故だから。さ、入るよ」

 

「いや待ってくれ永斗少年心の準備が」

「ただいまー」

 

こっちの話を聞くまでもなく永斗少年が扉を開けた。

 

「あ、アラシ君に永斗君!おかえり!」

 

扉を開けた途端に響く太陽のような明るい声色。茶色の髪をリボンで右に纏めてサイドテールにしたパンを食べてる女の子。

μ'sのリーダー、高坂穂乃果さんだ。

 

「Real高坂穂乃果さん…!」

 

「あれ?その人達は誰?」

「ただいまほのちゃん。この人たちはちょっと訳ありの依頼人で…」

 

「え!依頼人の人!?今回はどんな…」

 

「悪いがそれについては話せない。ともかくコイツらがその依頼人だ」

 

「あ、ちょ、テメェ待て…!」

 

「おととと…!」

 

そう言うとアラシは俺らの首根っこを掴み前に出す。

 

「この人達が?」

 

「ああ、事務所に置いとくのも面倒だからな。永斗の提案で連れてきた」

 

 

「へぇ、そうなんだ!あ、私高坂穂乃果!この音ノ木坂のスクールアイドル、μ'sのメンバーです!よろしくね!」

 

知ってます。めちゃくちゃ知ってます。

逆にスクールアイドル好きであなたを知らない人は絶対いないです。

 

「よ、よろしくお願いします!俺、天城隼斗です!初めまして!」

 

「ツレの狩夜憐デス。ヨロしくお願いします!」

 

「うん!よろしくね!って…もしかして2人とも私と同じぐらいの年齢?」

 

「一応俺が17で…」

「俺っちが16デス」

 

「そっか、じゃあ隼斗くんとは同い年だし、憐君は後輩かぁ…!」

 

まあ俺達の世界とこの世界では時代が違うので厳密には違うんですけど…まあいいか?

 

「まあ年齢だけなら、ですけど…」

 

「え?それってどういう……」

 

 

 

「ちょっと穂乃果!いつまで休憩しているつもりですか!?」

 

すると奥のドアが開き、青く長い髪の女の子が顔を出す。凛としたとした雰囲気を漂わせる彼女は園田海未さん。

穂乃果さんと同じく二年生のメンバーだ。

 

「あ、ごめーん海未ちゃん!けどほら!依頼人の人だって!」

 

「依頼人、ですか?…見たところこの学校の生徒では無いようですが…アラシが連れてきたのですか?」

 

「みたい!だからこっちの対処もしなくちゃ!」

 

「あーいえ!お構いなく!一応俺…自分達も色々あるんでここに居させてさえくれれば…」

 

やばい。

緊張という名のメーターが危険域なんだが。

そうじゃんここ部室だからワンチャンメンバー全員いるんじゃん。

 

そう思った途端、またしても轟音が響く。

窓を開けると、見え辛いがどうやらまた例の塔が出現したらしい。

 

「アラシ、今の音…」

 

「ったくまたアレかよ!次から次へと…!!」

 

「何かあったのですか?」

 

「ああ、ちょっとな。だけど心配すんな、この件は俺たちだけで片付ける。行くぞ永斗」

「あーちょっと待って。真姫ちゃんいる?」

 

「真姫、永斗が……」

 

「何よこんな時に…」

 

「西木野真姫さん!!」

 

ドアから顔を覗かせた赤髪つり目の女の子。

あの子…あの人は一年生メンバーの西木野真姫さんだ。作曲担当で確かお家が凄い有名な病院とか言ってたっけか…

 

「ちょっとお家の車借りたいんだけどいい?」

「車?構わないけど…何に使うのよ?」

「ちょっと調べ物。あ、あと凛ちゃん借りてくね」

 

「永斗くん呼んだ!?」

 

ひょっこりと顔を出すオレンジ髪のショートカットの女の子。猫のような仕草が特徴的な星空凛さんだ。

あ、ヤッベかわいさの暴力こんなん死ぬ…あ、サンキュー憐。

 

「ちょっと調査に付き合って欲しい。来てくれる?」

 

「分かったにゃ!」

 

「あとはもう2人ぐらい人手が欲しいけど…」

 

「待ってください!これ以上そちらに人員を裂くと文化祭の準備が……」

 

「あー、そっかぁ…でも残ったメンバーでもどうにかならない?」

 

「ただでさえ私たちは事件に次ぐ事件で遅れてるんですよ?それを更に遅らせてしまったら……」

 

どうやら事件に裂く人員と文化祭準備の件で揉めているようだ。文化祭ってことはあの曲…no brand girlsの時か。確かあの時穂乃果さんは…いやそれは今はいいか。この世界で同じことが起きるとは限らない。

人の問題か…だったら!

 

「永斗少年、さっき言ってたよな?仲間の手伝いをして欲しいって」

 

「え?…あーうん、けどさっきのは何というかあわよくば隼斗さん達に手伝わせようかな〜と思ってただけだから…」

 

「俺にやらせてくれ!それなら多少そっちにメンバーが行っても俺がその分をFollowすればいいだろ?」

 

「「ええっ!?」」

 

「は、隼斗くんが私たちの手伝いを!?」

「申し訳ないですよ!依頼人の方に私たちの都合でそんなこと…」

 

「そんなこと言わないでください海未先輩!」

 

「せ、先輩…?」

 

「あ、いえ!なんでもないですあはは…とにかく!俺でよければ力を貸しますよ!それに諸々の理由で当分満足に動けないですし…」

 

というより、元の世界に帰るためとはいえアイツ(アラシ)と行動するの正直面倒くさいんだよなぁ…

 

「猫の手でも借りたい気分だったし、本人もそう言ってるんだからいいんじゃないの?」

 

「…よろしいのですか?ええと…」

 

「あ、こちら依頼人の天城隼斗くん!そして後輩の狩夜憐くん!」

 

「天城さん、よろしいのですか?」

 

真姫さんの言葉に、海未さんが申し訳なさそうにこちらに尋ねてきた。

 

「sure!喜んで!あと、隼斗でいいですよ。一応自分達同い年…ですし。さん付けも必要無いです!」

 

「では…隼斗、お願いします」

 

「はい!ああ憐、悪いが永斗少年達とそっちを頼む」

 

「あっ!ズリィぞハーさん!俺っちもμ'sのヒト達と…」

「それなら後で幾らでも時間あるから大丈夫だよ憐くん。だからお願い」

 

「…後で全員分のサインは欲しいナ」

 

「お安い御用だよ!だから頑張ってきて!!」

 

穂乃果さんが胸を張ってそう言った。

あ、じゃあ俺も欲しいな…あとで交渉してみるか

 

「じゃあ穂乃果、こっちは任せるぞ。

あと海未、そいつきっちり見張っとけ」

 

「まかせて!」

 

「何故見張りを?」

 

「訳ありだって言ったろ?じゃあ頼むぞ」

 

 

そう言うとアラシは永斗少年、凛さん、憐と瞬樹少年に加え、にこさんと希さんの2人を連れて部室を出て行った。

 

気配が遠かったのを確認すると、部室の椅子に深々と腰掛けた。

 

 

「…はぁぁぁぁぁぁ…!やっと面倒くさいのと離れられた……!!」

 

「面倒くさいの…とは?」

 

「え?あのアラシとかいうヤツですよ。ちょっと今回の依頼の件で色々ありましてね…正直苦手意識が…」

 

「あはは…まあアラシくん怖いもんね〜。分かるよ〜その気持ち!」

 

「分かりますか穂乃果さん!あの人殺ししてそうな目つきの悪さ!言葉遣いの悪さ!正直探偵というよりはそっち側の…」

 

「うんうんうん!」

 

「二人共?意気投合するのは結構ですが…私達もそろそろ作業を再開しますよ?」

 

「あ、そうだった!」

 

「すいません海未さん…」

 

「あ、いえ。こちらこそすみません…元々こちらからお願いしているというのに…」

 

「いえいえとんでもない!No problemです!さぁ、じゃあ始めますか!自分は何処から手をつければ?」

 

「そうですね、まずは────」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「で、布はこれで…ことりさん!」

 

「オッケーだよ!あとはこれで縫い合わせれば…」

 

ことりさん達の手によって僅かなズレもなく大きな布が糸で縫い合わされていく。これがステージの後ろ側に使われる背景のベースとなるのだ。

 

「よーし!これで背景用の布のつなぎ合わせ完成♪」

 

「終わったー!いやー意外と早く作れたね!」

 

 

「流石ことりさん!伊達にμ'sの衣装担当やっちゃいないですね!amazing!」

 

 

「エヘヘ…ありがとう♪でも隼斗くんのおかげでもあるんだよ?」

 

「確かに…隼斗さんがほとんどズレなく布を切って…」

「それをことり達が縫い合わせる。隼斗さんなんてさっき会ったばかりなのに息ピッタリだったわね」

 

「皆さんの教え方が良かったんですよ!」

 

 

作業開始からおよそ1時間と少し。

μ'sの皆さんとすっかり打ち解け、作業も順調に進んでいた。

 

あぁ〜ことりさんの生フワフワボイスかわええ…めっちゃ癒される……

 

 

「それにしても訳ありの依頼人だってアラシが言ってたからどんな人かと思ったけど…」

 

「ええ。礼儀正しく、誠実さを感じる人です。見張っておけと言われましたが…とても監視が必要な人には思えませんね…」

 

「誠実なんて…そこまで出来た人間じゃないですよ、自分は」

 

 

「随分謙遜するのね…」

 

「でも、隼斗君のおかげで助かってるのは事実だよ!だよね?」

 

「うん!」

 

「確かに、隼斗さんがいなかったら事件の方に追われて今よりもっと遅れてたかもしれないし…」

 

 

絵里さんや海未さん、真姫さんや花陽さん達に口々がそう言う。

そう言われると素直に悪い気がしないな…。

 

 

「そういえば…隼斗君と憐君?って何処から来たの?」

 

「自分達は静岡県の内浦からです。こっちにはちょっと訳あって来てて…」

 

「静岡ってことは…」

「瞬樹と同じなのね。もしかして知り合いだったり…」

 

「いえ、残念ながら初対面です」

 

真姫さんと花陽さんは1年生…あの瞬樹少年と同じなのか。

 

「その訳っていうのは…」

「言える訳ないでしょ?訳ありの依頼人って言ってたんだし…」

「あ、そっか…ごめんなさい隼斗さん…」

 

「いえいえ!まぁ…強いていうなら例の…ほらあの怪物の…」

 

「それってもしかして…ドーパント!?」

 

穂乃果さんが発したワードに思わず驚いた。

この人達ドーパントの事知ってるのか!

 

「ドーパント知ってるんですか!?」

 

「え!隼斗くんも!?」

「もしや…依頼っていうのはドーパント関係の?」

 

「ええ。少し厄介な事になってて…あの2人を頼ったんですが…」

 

「厄介なこと?」

 

ああそれは────と言おうとした所で踏みとどまった。

いけないいけない…つい別世界から来たことや未来の事まで喋る所だった…

 

「…すいません、こっからは少し話しづらい内容なので…自分が話せるのはここまでです」

 

 

「あーいいところで〜!それ続きがすっごい気になる終わり方!ね!もうちょっと!もうちょっとだけ先の話を…」

「穂乃果!隼斗を困らせないでください」

「えー!海未ちゃんは気にならないの!?」

 

「気になりはしますが…そもそも依頼人の事情にこうも私達が深く踏み入ってはいけないでしょう?」

「そうだよ穂乃果ちゃん。隼斗君達にも色々人に言えないことの一つや二つあるんだから…」

 

「ことりちゃんまで…むぅ、分かった」

 

「すいません。折角無理を言っていさせてもらってるのに…」

 

「いえいえ!こちらこそ穂乃果が失礼しました…」

「ごめんね隼斗君…」

 

「穂乃果さん達が謝るようなことじゃないですよ!さぁ、そろそろ作業再開しましょう!次は何やりますか?」

 

「次は確か演劇部から簡易ステージ用の材料を…」

 

「場所は屋上でしたっけ?」

 

「ええ、次はそっちの作業ね」

 

絵里さん達に案内され、演劇部の人達の所へ行き、ステージの土台となる物を運び出す。

 

その途中、どうしても気になることがあったので隣を歩いていた海未さんにそれを聞いてみることにした。

 

 

「海未さん、少しいいですか?」

 

「どうかしましたか?」

 

「いえ、少し気になったことがあって…海未さん達ってスクールアイドル、ですよね?何故探偵なんて…」

 

「ああ、そのことですか。あれは穂乃果の提案ですよ。アラシ達の事務所に依頼があまり来ないので、学校に探偵部を作れば生徒達から依頼が来て儲かるのではないか…と」

 

「それは永斗少年から聞きました。自分が知りたいのは皆さんがアイツらに協力する理由です」

 

「理由?」

 

「探偵なんてすごい危険が伴う役職じゃないですか!スクールアイドルの…ましてや女子高生のあなた達がどうしてあんな…あんな奴に…」

 

「隼斗は、アラシが嫌いなのですか?」

 

「…世辞にもlikeとは言えないです。初めて会ってこっちの事情を話した時、知らんだの迷惑だの言って…危うく俺達見捨てられる所でした。あんな探偵の…無辜の人達の味方とは思えない乱暴者の何処が!!!」

 

「…隼斗?」

 

「…すいません、大きな声出して…」

 

ついハッとなって我に帰る。

ダメだな…何処までも相性が良くないのか妙にイラついて仕方がない。

 

 

「そうですね…私達は、このμ'sのメンバーはみんな大なり少なりあの2人と瞬樹達に助けられたことがありまして。かくいう私もなんですよ?」

 

 

声を荒げた俺を咎める事もせず、海未さんは俺に話してくれた。毒を操るコーヌスというドーパントの起こした事件の話だ。

 

犯罪の証拠品を盗み出し、それを使って犯人を脅迫。

 

人の命を弄ぶ極悪非道のゲームに参加させ、ルール違反やクリアできなければその人間を殺す…そんな奴だったそうだ。

 

「あの時に私も毒を受けてしまって死にかけまして。アラシは自分が関わったせいで私を巻き込んでしまったと思っていたらしく…それに責任を感じて当時3人と2人だったμ'sを抜けるとまで言い出したんです」

 

聞いたことがある。

μ'sが初めてアップした曲、始まりの歌である『START:DASH!!』後に今の9人でやったパフォーマンスもあったが、あの時はまだ1年生メンバーも3年生メンバーもいない穂乃果さん達3人だけのものだった。

 

「海未さんは、なんて?」

 

「怒りましたよ。自分から勝手に引き離して守った気になって…そんな人に守って欲しくはない、と。助けになんて来ないでください!と。

けどアラシは…」

 

 

『海未…お前は俺がお前らを引き離して、守った気になってるって言ったよな。

でも本当は違った。俺はただ怖かったんだ、また守り切れないのが…

だからお前らを引き離すことで、守ることから逃げてた……

 

やっと気づいたんだ、俺はお前らと過ごす時間が大好きだった。

出来ることならこれからも、お前らと過ごす時間を諦めたくない!!

そのために…俺はもう逃げない!!!何があったってお前らを守り抜いて見せる!!』

 

 

「拉致された私の所までたどり着き、そう言ってくれたんです。ですから隼斗、あなたはたった一つだけ誤解をしています。アラシは確かに口の悪さは本当にどうしようも無いですが…それでも私達の事を本当に思ってくれている、とても仲間想いな人なんですよ?」

 

「アイツが…?」

 

あんなことを言った奴と同一人物の言葉にはどうしても聞こえない。

俄には信じがたい言葉だった。

 

「さぁ、お話は一旦ここまでにしましょうか。急ぎますよ隼斗!」

 

そう言って土台のパーツを持ち廊下を駆けて行く海未さんの顔は、すごく穏やかな表情をしていた。

 

「切風アラシ…奴は───」

 

仲間思いの男。その一点だけに関してはどうやら同じらしい。

 

姉ちゃんから貰った首元のペンダントにそっと触れ、俺はすぐ海未さんのあとを追いかけた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

そして、気づけば陽は落ちかけ夕方。

かなりスピードアップしていたのかステージはほぼ完成。ちょうどそこに永斗少年と凛さんも帰ってきて驚きを見せていた。

 

「これは……また随分と進んだね」

 

「えぇ、隼斗がとても働いてくれました。これなら早くて明日からは打ち合わせや練習に専念できそうです!」

 

「そりゃ全速全開で張り切りますよ!何せあのμ’sと……いや、なんでもないっす」

 

っぶね〜また口滑らせる所だった…

あぁ、そうだ

 

「それで永斗少年はどこに行ってたんだ?」

 

「過去」

 

「過去!!??」

 

いやでも俺も今過去に……ん…!?え?

 

「説明は後で。とりま情報共有しよう。

もう遅いし、皆はそろそろ帰った方がいいんじゃない?」

 

「そうですね。今日は随分と進みましたし…そろそろ片付けましょう」

 

そう言うとμ'sの皆さんは片付けを始める。

よし、とりあえず俺は憐の方に連絡を…

 

永斗少年も同時にアラシに連絡しようとしたのか携帯で電話をかける。

だが意外にも着信音は近距離から聴こえた。

 

ドアが開くとそこには疲弊した様子のアラシと、実に楽しそうな希さんと憐。何があった…

あと何やら負のオーラを撒き散らすにこさんがいた。

 

「……今戻った」

 

「なんかめちゃくちゃ疲れてねえかアイツ」

「うわ絶対面白い事あったじゃん。見逃したの痛すぎ」

 

「うるせぇ…お前んとこのコイツが…その…お前が……あぁもういい。情報共有するんだろ、早くしてくれ」

 

疲労からか、語彙力の低下+あの悪態からキレが消失している。

アイツが戻ってきたらもう一度見定めようと思ってたんだが…これじゃどうしようもねぇな…

 

「えーと…僕は例の研究所兼実家に行ってきたんだけど、そこで過去に触れて全知全能になりました」

 

「……ゼウスか」

 

アラシの言葉に永斗少年は文字通り雷が落ちたかのようなとてつもない驚きの表情でこちらを見ていた。

 

「ヤバいよ隼斗さん、アラシがクソツッコミした。これは重症だ」

 

「おい何があったんだよ憐。あのMad dog(狂犬)が老いたブルドッグみたいになってるぞ」

 

「何ってずーっと褒めてたダケ。そしたらアラシサンがフニャフニャに。なんでダロ?」

 

「…よく分からんが、褒め殺しが実現し得る事象だってことは分かった」

 

そんな状況はさておきと言わんばかりに永斗少年は手に入れた情報を話し始めた。

 

「まず塔のドーパントね。アイツは僕らの世界の敵組織の構成員確定で、アイツが創る塔には『原料』がある。具体的に言えば壊れた建物のリサイクルね」

 

「質量保存の法則だな」

 

「隼斗さん理系?話が早くていいや。どうにも原料は組織が所有してた建物を再利用してるみたいで、調べた限りだと崩壊したまま放置されてた建物が二件まるっと消えてた。大きさは大体同じくらいのやつ」

 

「塔は今のトコ二本…つまり一件で一本ってことダナ、エイくん」

 

「エイくんって僕?」

 

「永斗だからエイくん」

 

「あそう。そんで僕らと憐くんの前に現れたあの女の人だけど…彼女は胡蝶(フーディエ)。組織の最高幹部『憂鬱』の側近。タワーことデュオン・ヴァン・スーザも憂鬱の部下」

 

「『憂鬱』だと…!最高幹部は七人じゃねぇのか!?」

 

7人!?うち1人が確か朱月だって言ってたからそれ以外にあと6人か…だが7人ってならその憂鬱ってのはなんだ?8人目がいるじゃねえか…

 

「ここに来る前ハイドから聞いた。僕が記憶を失った直後に八幹部『憂鬱』が謀反を起こし、朱月の手によって処理されてる。憂鬱は朱月でも倒せず、取られた処刑方法は……ゲートの能力での別世界追放」

 

ゲート・ドーパントの能力での別世界追放…まさか!

 

「おい、てことは俺たちが戦ったのが…!」

 

「使用メモリはディストピア、その名はエルバ。称号は『憂鬱』にして組織最高の万能を持った最も完全に近しい人類。そいつが今、この世界に戻って来ようとしてると見て間違いない」

 

「…何が何事も起こらないように、だよ。未曾有のピンチじゃねぇかよクソが」

 

「あんな危ないヤツがこの世界に…!早く帰ってぶっ倒さねえと!この世界のμ’sの学園祭、邪魔なんてさせてたまるか!手を貸せよBad detective(不良探偵)、μ’sを守り抜くんだろ?」

 

「初めて意見が合ったが言われるまでもねぇ。これ以上アイツらの道を歪めさせねぇよ。そのためにお前が手を貸せ」

 

ここにきて初めてコイツと意見が合った。

どうやら海未さんの言ってたことは事実だったらしい。少しは認めてやってもいいか…

 

「よーし。変わらず目標は異世界御一行をお帰しするでいいね。他にも色々分かってるから明日からは憂鬱の作戦を探りつつ、ワンチャンその異世界転移を利用して隼斗さんと憐くんを送るって流れで。それで一つ気になるんだけど……お二人はどこ泊まるの?」

 

え?泊まる…泊まる……あっ

 

「っべ!?完全に忘れてた!!」

「どーすんのハーさん?そこまで手頃な宿はこの辺りネーはずダロ?」

 

確かにこの辺りは期待は出来ねぇ…例の東京イベントの時の所もそれなりの値段はしたはずだ。鞠莉が出してくれたからよかったものの……ええい、Incrediblyに不本意だがコイツ(アラシ)の事務所で…

露骨に嫌な顔しやがったぞコイツ。

 

マズイな…このままだと野宿不可避だ。流石に何かと物騒な東京のど真ん中でそれだけは避けたいぞ……

 

 

「それなら、ウチたちの内誰かの家に泊まるってのはどう?」

 

その時、困っていた俺達に女神の救いの手が差し伸べられた。と同時にとんでもなく驚く言葉が飛び出した。

 

「はいっ!?」

 

思わず変な声出たわ!!

ののの希さん!?何をおっしゃっておいでで!!!!????

 

「あーなるほどそういう展開…希ちゃんそんなこと言ってるけど、どうするアラシ?」

 

「あ?いいんじゃねぇか別に。コイツら泊めなくていいなら願ったり叶ったりだ」

 

その瞬間、気づけば0.001秒でアラシに掴みかかっていた。

 

「はっ!?バッッッカじゃねぇのお前!あのμ’sだぞ!?そもそも俺ら初対面でいきなりは迷惑だし、男二人がこんな美少女アイドルと、しかもあのμ’sと一つ屋根の下って!?」

 

「ハーさんあのμ'sって2回言ったゾ」

 

 

「何がダメなんだよ。俺も何人かの家に泊まったことあるけど、別に邪険に扱われるなんて無かったぞ」

 

俺も何人かの家に泊まったことあるけど

 

俺も何人かの家に泊まったことあるけど

 

俺も何人かの家に泊まったことあるけど

 

 

その言葉で脳のcapacityがオーバーしたのか、そこから先の言葉は覚えてない。

 

「あ、ハーさん死んだ」

 

「アラシはその辺の観念ガバいからね…希ちゃんも分かって言ってるでしょ。依頼人で遊ばないで」

 

「んー?なんのことかウチさっぱりわかんな〜い」

 

「うるせぇのが寝てるうちにさっさと決めろ。誰の家に泊まるんだ?」

 

「えぇ…本当に泊めてくれるのカヨ……」

 

あ、ハーさん倒れたから俺っちが変わるナ。

多分ハーさんが準備チームで頑張ったんダロうか。その提案には意外にもμ'sの皆さん肯定テキだった。

 

「はいはい!私の家に泊まってよ!みんなはどう?」

 

誰の家に泊まらセテもらうかを決める時、真っ先に手を挙げたのは穂乃果サンだった。

 

「穂乃果!?いえ…流石に私は見知ったばかりの男性を泊めるのはその…やはり少し抵抗があると言いますか……」

 

「私はお母さんに聞いてからって思ったけど…穂乃果ちゃんは大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよことりちゃん!二人も急に泊まった時あったじゃない!それと同じだよ!」

 

エイくんも頭を抱えてタ。

アラシサンも穂乃果サンも多分テーソーカンネンってやつが低い。

大丈夫なんかねこのチーム…

 

んで、結局俺っち達は穂乃果サンのお家にお世話になることになりましたトサ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハッ!Where is this! ?(ここは何処だ!?)

 

「あ、気がついた!」

 

「大丈夫カヨハーさん…」

 

 

「ああ、大丈夫だ。すまん…畜生あの野郎…!よくもそんな軽率に…!!」

 

「まぁまぁハーさんその辺デ…」

 

「そうだよ!さぁ、着いたよ!」

 

「着いたって…」

 

ふと見上げてみると、そこには和風な建物が一件。看板には穂むらと書かれていた。

 

 

「穂むらァァァ!!!?」

 

 

「そ!ようこそ私のお家へ!って、2人とも私達を知ってたって事は、もしかしてうちが和菓子屋ってことを知ってたり?」

 

「マァ、そんなトコっス。俺っちもハーさんもμ'sのファンなんデ。もっともハーさんの場合は幼馴染のヒトから聞いた話からっていう後天的なファンですケド…」

 

「ほ、ほ、本当にいいんですよね穂乃果さん?今日だけとはいえ泊めてもらうなんて…」

 

「ただいまー!!」

「人の話聞いてください!!」

 

俺の質問を華麗にスルーして引き扉を開ける穂乃果さん。流石です…はい

 

「あ、お姉ちゃんおかえ…り」

 

そこにいたのは割烹着を着た赤毛の少女。

確か雪穂さん…だったはず。

 

姉の穂乃果さんと同様アイドル研究部に属してたと何処かで資料を見たような…

 

「雪穂!紹介するね!こちらちょっと訳ありの……」

 

「お姉ちゃんが男の人2人も連れてきたぁぁぁぁ!!」

 

驚愕したような声をあげる雪穂さん。

まあそら驚きますわ。スクールアイドルってこともあって色恋沙汰とか無さそうだしな。

 

「ちょいちょいちょい待って待って!俺ら…自分ら別に穂乃果さんとそういう関係じゃないから!」

 

「え?じゃあ一体…」

 

 

「ちょっと雪穂?どうしたのいきなり…ってあら、おかえり穂乃果。…その人達は?」

 

「あ、お母さん!実はこの人達ちょっと困ってるらしくて、今日うちに一晩泊めてあげたいんだけど…」

 

穂乃果さんに紹介され、俺と憐は2人とも揃ってお辞儀。この人が穂乃果さんのお母様か…何処となくおふたりの面影が…

 

「困ってる?」

 

「はい。訳を話すとかなり長く複雑になるので簡潔に申し上げると、自分たち道に迷って帰れなくなりまして…」

 

「そうなの!それにそれに、その人に話せない訳故に警察の人とかも頼れないみたいだから…なんとかウチに泊めてあげられないかな?」

 

「俺っち達にできることがあったら何デモお手伝いするんで!」

 

「ね!お母さん!いいでしょ!?あ、あとこの2人はね!文化祭の準備とかも手伝ってくれてすっごく頼りになったんだよ!絶対いい人だから!ね!?」

 

「うーん…そうは言ってもね…」

 

何やら悩んでるお母様。まあそりゃそうだ、俺ら現時点だと急に来て泊めてほしいって言ってる知らん人だからな。

仕方ない、他の人を頼るか…と思った次の瞬間、何処からか着信音が聴こえた。

 

「あ、私だ…誰だろう…」

 

雪穂さんがスマホを取り出すと、その画面を見た途端表情が変わる。

何やら溜息を吐きそのまま「ちょっと失礼」というと俺達から離れて電話に出た。

 

 

「もしもし?」

 

『やあ雪穂ちゃん、こんにちは』

 

「もう日本はこんばんはの時間ですよ…で、ミツバさん。今度は何ですか?」

 

『お仕事。また新しいお宝の情報が入ったんだ。アリサちゃんもシオンが既に迎えに行ってるから、あとは君だけさ』

 

「またですか…」

 

 

なんかがっくりと肩を落とした。

ミツバ…一体電話の相手は誰なんだ?日本はってことは相手は外国人?名前的には日本人だが…

 

『…賢王の右目の弁償代』

 

「うぐっ…」

 

『普通に働いたら一生かかっても払えないけど、オレ達のとこならそこまで長くはかからない。それに、仲間は沢山いた方が楽しいからね!』

 

「…はぁ…分かりました。それで、何処に行けばいいですか?」

 

『オーケー!オレからシオンに伝えておく。彼に拾ってもらってくれ。合流ポイントはこちらから連絡するよ。じゃ、今夜も楽しもうか!!』

 

 

「…はぁ〜…」

 

電話を切り、また溜息を吐く雪穂さん。

何か面倒事でも起きたのだろうか?

 

「どうしたの雪穂?」

 

「ごめんお姉ちゃん、お母さん。私急用ができた」

 

「え?急用って…」

 

「ほんっとゴメン!早めに帰ってくるようにはするから!」

 

そう言って奥の方へと消えていった雪穂さんは何やら少し荷物を持つと店を出て行ってしまった。

 

「行っちゃった…」

 

「本当あの子なんか知らないけどよく出かけるようになったわよね…」

 

「でも、雪穂もたまにはリフレッシュしないと!受験のためとはいえお勉強ばかりじゃダメだからね!」

 

「いやアレはrefreshって感じには見えませんでしたけど…」

 

「ってかあの子店番してたよナ?大丈夫カ?」

 

「あ、そういえば…」

 

「…そうね、ちょうど手が足りないみたいだし…いいわ。お2人とも、うちでよければいいですよ?」

 

「本当ですか!?」

 

「ただし、店番を手伝ってくれるとありがたいわね。穂乃果、2人に色々と教えてあげて」

 

「わかった!2人とも、いいよね!?」

 

「of course!それぐらいやりますよ!」

「俺っちも同じク!」

 

「よーし決まり!じゃあ2人とも、ついてきて!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

で、あの後穂乃果さんに連れられて家の中へ。その後着替えたり何やかんやして…

 

 

「…ハーさん存外様になってんナ」

「そういうお前こそ」

 

「うんうん!2人ともバッチリ!似合ってるよ!!」

 

何故か和菓子職人(っぽい)格好に俺達はなっていた。

 

「そ、そうですかね?」

 

「で…俺っちタチは何をすれば?」

 

「2人に和菓子は作れないし…っていうか作るのはお父さんが全部やっちゃってるから店番だけかな?といっても、この時間はほとんどお客さんは来ないからそんなに大変じゃないよ!」

 

「そうなんすか…」

「なんか泊めてもらうワリにほとんど手伝うコトが無いってのもナ…」

 

「あ、じゃあ…その代わりといってはなんだけど、私2人のことが聞きたいな!」

 

「俺らの…ですか?」

 

「うんうん!だってほら、2人はどんな学校に行ってるのかなーとか!隼斗君からは手伝いながら話したりもしてたけど、詳しくは聞いてなかったからさ!」

 

「俺達のことですか…ん〜」

 

憐をクイクイと手招きし、耳を貸してもらう。

 

「(とりあえずμ'sの未来については触れずに話す。Aqoursのことだけをいい感じにボカして話そう)」

「(リョーカイ)」

 

「2人とも?」

 

「いいですよ!そうですね…まずは──」

 

そして、歴史に関することは暈して穂乃果さんに聞かせてあげた。俺達のことや、仲間のこと。そして────浦の星のことを。

 

「ええっ!2人の学校も!?」

 

「そうなんすよ。なにぶん小さな学校なもんで。つい(未来の)この間、入学希望者が100人集まらずに正式に統廃合されることになって…」

 

「…そっか…実は私達の学校も今ちょっと危なくてね」

 

「1年生はひとクラスしかないんでしたっけ?」

 

「そうそう!…あれ、そこまで話したっけ?」

 

「あー!エイくん達に連れられて来た時にチラッと見たンすよ!ネ!?」

 

「そうそうそう!けど、音ノ木坂の方がまだ可能性ありますよ!東京ですし、これからきっと…」

 

「それがそうもいかないんだよねぇ…すっごく大きくてすごい学校がこの辺にあってさ」

 

「…UTX」

 

「そうそう!よく知ってるね!」

 

「A-RISEの学校っつったらそら有名ですヨ」

 

「すごいよね…。あの人達を見てると、私も頑張らなきゃ!ってなるんだ。学校のこともあるし…」

 

そう言って真っ直ぐに何かを見つめる穂乃果さん。その表情を見た俺の口から思わず一言出ていた。

 

 

「…なれますよ、穂乃果さん達なら」

 

 

「え?」

 

「あぁ、いえ。こっちの話です。けど、μ'sの皆さんならきっとやれますよ!なぁ憐!」

 

「ソーソー!あのメンバーが揃ってるんナラダイジョーブだって!!」

 

「そっか…そうだよね!2人ともありがとう!!」

 

「…どういたしまして!」

 

感謝の言葉と共に向けられる笑み。

それは向こうにいる千歌と同じような太陽のような輝きを持っていた。

 

「そうだ!2人の仲間のみんなもスクールアイドルなんだよね?名前は何ていうの?」

 

「俺達の方は、Aqoursって名前なんです」

 

「アクア…水?」

 

憐はポケットからスマホを取り出すとしっかり日付を隠したのを確認した上で穂乃果さんに見せた。

 

「Aquaとours…二つの単語を掛け合わせてうちの先輩方が考えたチーム名デス。海沿いの町のスクールアイドルらしい名前でしょ?」

 

「へぇ…いい名前!でも聞いたことないな…にこちゃんなら知ってるかな?」

 

「さ、さぁ…?確かににこサンってスクールアイドルに詳しいみたいだケド、流石に田舎の方のグループまでは…」

 

「ソーソー!あの人今活躍してるランク上位陣なら知ってるだろうケド流石に下位の方までハ…」

 

俺も憐も思わず焦る。

そう、そもそもこの世界には未だ姉ちゃん達先代Aqoursすら誕生していないのだ。

スクールアイドルに詳しいにこさんなんかに調べられては色々面倒なことになる。

 

「あーそっか…にこちゃん確かにランキングトップなら詳しそうだしね…」

 

「そうですそうです!」

 

まあ一応Aqoursは決勝進出決めてるレベルの実力なんですけどね。みんなには悪いがここはあえて黙る。ゴメンな…

 

「大切な仲間の人達がいるなら、なおさら早く戻ってあげなきゃね。解決するといいね、隼斗君達の問題!」

 

「えぇ、本当に…」

「ダナ…」

 

その為にも、早くディストピア(アイツ)をぶっ倒さねえと…俺と憐は互いに顔を見合わせ、決意を新たにした。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

翌朝。夜明けを告げるように昇る太陽と同時に現れたのは、『第三の塔』と轟音。

 

 

「Good morning…なんて気分じゃねえな、クソ」

 

「遅ぇぞ、呑気に寝坊しやがって」

 

「穂乃果さんの家だぞバカ!こちとら疲れてたのに緊張で全然寝付けなかったんだよ!」

 

「ハーさん寝たのほとんど朝だったらしいゼ。エイくんは?」

 

「寝てる。いつものことだ、どーせ起きねぇから置いてきた。それはいいとして…コイツは随分と分かりやすい号砲だ」

 

 

俺は頭に巻いてた包帯を取っ払い、絆創膏を勢いよく剥がした。

体内に残っていたオーバーブレイクの余剰エネルギーのおかげか、傷もほとんど完治している。我ながらcrazyな体質だ。

 

 

「いち早く俺たちの世界に帰って、ディストピアから姉ちゃんたちを守る」

 

「憂鬱の帰還作戦を阻止して、学園祭を守る」

 

「「この一日が勝負だ」」

 

 

アラシと俺は力強く決意を口にする。

2つの世界を巻き込んだ、最大級の戦いが今始まろうとしていた───

 




μ'sとの出会い、そしてアラシの真意を知る隼斗。短くて長い夜は明けいよいよ次回から決戦です!憐・アラシ組の調査パートは、146さんのラブダブル側限定シナリオとなっていますのでそちらもセットで見てください!

https://syosetu.org/novel/96993/66.html ←こちら146さんサイドのリンクです

それでは次回もお楽しみに!!


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ラブダブルコラボ編 第4話 Tを討て/真相を求めて

コラボ編第4話!
いよいよ事件の真相へ迫ります。スレイヤーも超進化!
そしてついに、あの人の謎が明かされます。

それでは本編どうぞ!!


前回のサンシャインサーガ !

 

隼斗と憐は、スクールアイドルの仲間の手伝いをして欲しいと言われ、2人に連れられてとある場所に。

 

なんとそこは、あの音ノ木坂学院だった!

現役のμ'sのメンバーに出会い大興奮の2人。

だがそんな時、2本目の塔が出現!永斗の方とアラシの方で別の調査をする為人員分けがされるが、文化祭準備の方もあるせいか人を裂きすぎれば作業が遅れてしまうという事態に。

 

そこで隼斗は自分が代わりに手伝いをすると言い出し憐をアラシ・希・にこ達と共に調査に向かわせ、自身は文化祭準備の作業手伝いを始める。

 

その途中、隼斗は海未から話を聞きアラシの意外な一面を知る。あの一見すると人でなしな男の裏側に隠れていたのは、自分と同じく仲間を想う気持ちであった。

 

穂乃果の家で一晩を過ごした2人は、ついに決戦の日を迎えたのであった────

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

時は遡り、隼斗達が異世界のゲートに消えた後───

 

 

「えーと確か…あれでもない…これでもない…!!」

 

ここは、浦の星女学院地下にある隼斗達仮面ライダーの秘密基地『キリカラボ』

 

そこにあるコンピューターでラボの主である一時 霧香はとある資料を漁っていた。

 

「どう先生?見つかりそう?」

 

「もう少し待ってくれ…!あった!!」

 

勢いよく弾かれたエンターキーとその言葉にAqoursのメンバー全員が画面を覗き込む。

 

「…なんですかこれ?」

 

「論文…のようですわね。しかしこれは…」

 

梨子とダイヤが首を傾げる。

 

論文のタイトルは

『別次元の存在とその干渉について』

 

 

「別次元?」

 

「異次元の存在…!すなわち魔界も存在するということ!!」

 

「善子ちゃん、今はそれどころじゃないよ…」

「ヨハネよ!!」

 

「霧香先生、これって…」

 

いつもの善子の言い方にルビィも思わず静止する。千歌の問いに霧香は椅子に深く腰掛けながら答えた。

 

「これはかつて、ある科学者が書いた論文でね。文字通り別の世界…並行世界の存在を証明し…そして、その世界へ干渉する方法などを記した論文さ。最もこの論文は既にこの世には存在しない…はずだった」

 

『はずだった?』

 

「why?なんでなの?」

 

 

「論文の著者が、研究データごとこの論文を抹消したからさ。その科学者は学界から己の存在を消し…この研究があったという事実ごと存在を消した…らしい」

 

「そんな…どうして?」

 

「悪用されるのを恐れたんだろうね。恐らくは今回のようなことが起こりうるということを危惧したんだろう」

 

「確かに…別世界の存在なんて知られたら」

「それを悪用しようとする人も現れる…良い人ばかりじゃないからね」

 

梨子と曜が口々にそう言う。

すると果南がふと思ったことを霧香に訪ねた。

 

「ところで、この研究をしてた科学者の人っていうのは…」

 

「分からないと言っただろう?存在ごと研究に関しては消しているんだ。そんなもの…」

 

すると霧香の言葉を遮るようにダイヤが挙手をし、話し始めた。

 

「いえ、分かりますわ。…ただ1人を除いて」

 

「ダイヤ、分かるの?」

 

「ええ。そもそも皆さん、おかしいとは思いませんか?

 

何故、その科学者の方が消したはずの論文が残っているのか」

 

『!?』

 

「何故敵が隼斗さん達を別世界に飛ばしたと分かったのか。何故そのデータがこの基地に存在しているのか。その答えはただ一つ…」

 

「…まさか」

 

その言葉で全員の視線が1人に向く。

 

「『別次元の存在とその干渉について』この論文を書いた研究者はあなたですわね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時霧香先生」

 

 

 

「……フッ。流石は、黒澤家の御令嬢。頭のキレることで」

 

 

笑みを溢し、ダイヤの推理を称賛する霧香。そう、かつてその研究をしていたのはここにいる一時霧香その人であったのだ。

 

 

「まさか、先生が…」

 

 

「何故消したはずの論文が残っていたのかは知らないけどね。私にとってそいつは黒歴史みたいなものさ」

 

「黒歴史?」

「うぐっ」

 

1人流れ弾を喰らった堕天使が1人いたがそれは気にせず、博士は論文を睨みながらもそう答えた。

 

「まさか、先生が今回の黒幕なんじゃ…」

「やめるずら善子ちゃん!」

「いくら先生でもそんなこと…」

 

「いくら私でもって…これまで私が散々悪いことをしてきたような言いようだな…」

 

している。

デッドヒートⅡのフルバーストシステムによる暴走、ブレイヴのオーバーブレイクによる、隼斗に莫大な負荷のかかるシステム作成。

そしてAqoursメンバーと憐は知る由もない、例の事件。前科三犯どころではない。

 

「だいぶしてると思いますけど…」

 

果南の言葉に対し、気まずくなった霧香は咳払いを一つすると、話を切り替えた。

 

「んんっ!ともかくだ!大方あの男が何処からかあれを見つけてきて、今回の件を企てたんだろう。だからこそ…私がケリをつけなくてはならない。他の誰でもない…私がな」

 

 

「霧香先生…」

 

「…先生、隼斗達を助ける方法は何か無いんですか!?」

 

「カナン…」

 

「現状こちらから助けに行くというのは不可能だ。何処の世界に行ったかも分からない以上は…いや、待てよ…あの方法なら…!」

 

「先生?」

 

すると霧香は、コンピューターを操作し通話ソフトを起動する。そこに数字やアルファベットが入り乱れた複雑なコードを入力すると『非常用特殊電波帯回線』というのを起動した。

 

「よし、使えるな…!みんな、私に1日時間を欲しい。そうすれば、なんとか向こうと連絡を取れるシステム作成を試みる」

 

「出来るんですか!?」

 

「私を誰だと思ってるんだい?一時霧香、浦の星女学院の教員にして仮面ライダーのサポーター!天才科学者を舐めるなよ!」

 

「お願いします!」

 

そうして霧香はキーボードを叩き出し、早速作業に取り掛かった。

 

 

「甘く見るなよコソ泥…天才を敵に回した事、後悔させてやるとも…!!」

 

 

 

この世界の何処かに潜んでいるであろうあの男に、確かな敵対心を燃やしながら。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「arriving…っと。ここだな」

 

永斗少年の『検索』とやらを駆使し、俺達は憂鬱一派の足取り追跡を開始。アラシと憐はそれぞれ別の場所を調査中。瞬樹くんは何故か行方不明。

 

そして今俺が来ているこのゴミ処理場だが、昨日まであったはずの捨てられていた廃車やら瓦礫やらが突如として消え去ったのだという。それの聞き込みをしに来た。

 

一連の騒動の元凶が組織の元幹部『憂鬱』を名乗る男、『エルバ』だということ判明。

二つの世界を巡る決戦が始まろうとしていた。ちなみに組織の幹部というのは現状七つあるらしく、上から順に『憤怒』『色欲』『傲慢』『嫉妬』『強欲』『暴食』『怠惰』

 

いずれも7つの大罪から取られたWordだ。

これをつけたボスは神様か何かか?なんでこのワードを選んだのかが気になる所だがとりあえず今はどうでもいい。ちなみにだが怠惰は今のところ空席なんだとか。何故かは知らないけどな。っと…それはいいんだそれは。

それより……あ、いたいた。ここの職員の人だな。

 

「excuse me?」

 

「はい?」

 

「あ、またやっちまった…失礼。実は今ちょっと調べ物をしてまして…ここにあったものが急に消えたってのは本当なんですか?」

 

「ああ、2日前くらい…だったかな?朝ここに来たらそれまで積まれていたはずのものが急に無くなっていたんだよ。監視カメラとかを確認しても何も分からなかったし…まぁ、何かが盗まれたってわけじゃ無いし、こちらとしてはゴミが無くなって助かってるしね。特に困ってないから警察にも言ってないんだ」

 

なるほど…ま、普通の人からすりゃあゴミが無くなってたら感謝しかないわな。

まあそのせいであのどデカい塔が立ってるんだが…と、遠くに見えるタワーが作った塔を見ながら思った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あー!あの時のおにいさんじゃん!超ぐーぜん!昨日ぶり?」

 

「ですね。また会うことになるとは…ああそうそう…お姉さん、今ちょっと調べ物してるんすけど…こんなヤツ見た?」

 

調査の帰り道のこと。今やってるのは消えたロイミュード探しだ。聞き込みの途中、昨日調査中に出会った女子高生にまたしても会った。

 

俺が見せたのは、永斗少年が描いた106の絵…を清書した物。アラシ達から聞いた話によれば、ダブルと戦った後重加速を発動して逃げ延びたらしいが────

 

「あ、見た見た!なんか空飛んでったよ?」

 

「どっち?ってか写真とかあると嬉しいんだけど…」

 

「んーとね〜あっちだったかな?珍しかったからウチ写真撮りたかったんだけどなんか急に体が重くなってどんより〜って感じで〜」

 

「撮れなかった、と」

 

「そうそう!」

 

そうか…写真がありゃ方角とかを永斗少年が調べてくれそうだったんだが…どんよりってことはアイツこの世界で重加速使ったってことか…

 

「あっちね…」

 

とりあえず方角だけは覚えとくか。

よし、俺の担当はここまでだな…事務所に戻るか…

 

「あ、お兄さん!せっかくまた会えたんだしウチ達と遊んでかない?お兄さん結構イケメンだし、友達も気に入ると思うよ?」

 

「あぁ悪い、ちょっとこの後用事があって…それが終わってまた何処かで会えたらその時は考えとくよ。んじゃ、see you!!」

 

止めておいたバイクに乗り込むと逃げるようにその場から去った。口約束だし、どのみちもう二度と会うことはないだろう。俺はこの世界の人間じゃないのだから。

 

それに俺には姉ちゃんがいますし?そこらのJKなど今更OUT of 眼中だ。

 

 

 

 

 

で、事務所に戻ると肝心の永斗少年は………

 

 

「おいコラ!テメェいつまで寝てんだこのボケが!」

 

「うるさい…いーじゃん僕いなくても。せっかく2人増えたんだし、浮いた人数はちゃんと有効活用しないと……」

 

「手がいくらあっても足りないって分かってんだろ!おら動け!朝飯食え!」

 

 

なんかめちゃくちゃダラけてた。おいおい…昨日までのめちゃくちゃ優秀で常識人の君は何処いったのさ……

 

「今んとこ出てんのが塔三本。憂鬱の一派の足取りは全く掴めねぇ」

 

「前はあのスーザって奴が勝手してたっぽいから会えたが、あれ以降徹底した作戦を取ってるみたいだな…」

 

「確かにタワーはアホだったケドあのフーディエっていう姉さんはマジメそうだったしナ」

 

「奴らが行動を終わらす前に動くには、お前の本棚が必要なんだ。キビキビ働け永斗」

 

「へいへい…」

 

また『本棚』か…なんだそれ?見たところこの事務所を見る限りそれなりに本はあるみたいだがそれで敵のことが分かるなんてのは…

 

「前から気になってたんだけど、その本棚ってなんだ?」

 

「あー言ってなかったっけ」

「お前が説明面倒くさがるからだろ」

 

 

その後アラシから『地球の本棚』とやらについて説明した。簡単に言えば地球上の全てを閲覧できるデータベース、なんだとか。

oh my god…この少年が生きるG○○gleとは恐れ入った…

 

「つまるところ、その本棚であの時俺達の事も調べられたってことか…I'm Understand.ってかすげえな地球の本棚」

 

「でしょ?だから僕はあんまり外出しないんです。というわけで……はいこれ」

 

そう言うと永斗少年は俺達3人に集めた情報を纏めたメモ書きのようなものを手渡した。

 

俺と憐も捜査に参加した為か、効率が格段に上がって予定より早く情報は集まったらしい。一方アラシの方は、永斗少年の情報から『憂鬱』が使っていたとされる施設を発見。

憐の方も俺同様に廃工場などを調査していたが、瓦礫などが綺麗さっぱり消えていたのを確認したらしい。

 

そして永斗少年の情報によると、タワー・ドーパントは塔を作る時にその立てる場所の近くにいる必要があるらしい。後から出た2本の時もその近くに潜んでたって事か…

 

「消えた材料の量から見積もって雑に計算すると……塔3本分ってとこかな」

 

「今日の朝の1本と、さらに2本…これで合計5本か。キリがいいな」

 

「とにかく、タワーは塔を作りにまた現れる!てこたぁ塔の出る場所さえ分かりゃぶっ倒せるってことだ!」

 

「隼斗さんもアラシに劣らず脳筋だねー」

 

「追跡、撲滅!いずれもMach!それが分かったなら、さっさとアイツを見つけてぶっ潰す!そうだろ?」

 

「あとやっぱ気になるって言えバ、その憂鬱のアジト……」

 

 

憐の言葉を遮り、俺の携帯が鳴り響いた。

なんだと息をつく一同だが、ふと思った。

別世界から来た俺に一体誰が電話を掛けてくる?穂乃果さん達とは結局連絡先交換してないし…

 

不審に思いながらも俺はポケットからスマホを取り出す。

するとそこに表示されていたのは────

 

 

 

「『霧香博士』!!!?」

 

「マジ!?博士カラ!?」

 

 

「博士?」

 

「誰だそいつ?」

 

「俺達の顧問でうちの学校の教師。んでもって仮面ライダーとしての協力者の…とにかく今はそんなのどうでもいいんだ!早く出ないと……もしもし!!!?」

 

 

『ん?おい、真っ暗だぞ!しかも何も見えない…』

 

「真っ暗?」

 

ふと画面を見てみると、そこにはウェーブのかかった長髪を靡かせYシャツの上に茶色のベストを着て白衣を羽織った見慣れた顔が。

間違いなく博士だった。

ってテレビ電話かよ……すぐに耳からスマホを離しデスクの上に置いた。

 

『ああ見えた見えた!やっと繋がったか!こちらキリカラボ!2人…も無事か!?』

 

「博士!ああ、こっちは2人ともなんとか無事だ!ってかどうやってケータイ繋げたんだよ!?」

 

『フン!愚…だな隼斗!私は君たちのためにい…でいろんな発明をしてきた女だぜ?一…も有れば別の世界と回線を繋…る装置など…おい曜くん!角度が悪い!戻…てくれ!そうそうそっち方向…オッケー固定!戻ってきてくれ!』

 

多少音声がぶつ切りになるが、どうやら博士が向こうとこちらの電波を繋げる装置を作ってたらしい。本当何でもできるなこの人…

 

「誰だコイツ」

 

「こいつとか言うな!この人はなぁ…」

 

『いい質問だ目つきの悪い少年A!ならば答えよう!私の名は一時 霧香(ひととき きりか)。そこにいる天城隼斗と狩夜憐の所属するスクールアイドル部顧問にして浦の星女学院の化学担当教師!しかしてその正体は………一言で言うならばそう!天才科学者だ!!』

 

アラシに問われ、自信満々に答える博士。

だがアラシはまたしても胡散臭いモノを見る目をしていたのを俺は見逃さなかった。

 

『おっと滑った?そこはほら、もっとさー盛り上がってくれたまえよ〜人が自己紹介してるんだからさぁ〜』

 

「博士、それは後にしてくれ。あ、こいつらは切風アラシと士門永斗少年。こっちの世界で協力を取り付けた高校生探偵コンビで、この世界の仮面ライダー達だ!」

 

『高校生探偵だぁ?馬鹿も休み休み言いたまえよ。そんなコ○ンじゃないんだから…………ちょっと待て!仮面ライダー!?仮面ライダーって言ったか!』

 

「ああ、んでもってこの異世界迷子の預かり人だ。アンタがコイツらの保護者か?」

 

『ああ、切風少年…と言ったね。彼らが無事ということは君たちが助けてくれたんだな。まずは礼を言うよ。彼らの無事を知れただけでも、私たちはみんな安心している』

 

「博士!姉ちゃんはいるか!?一応俺は無事だって伝えて…」

 

『隼斗!隼斗いるの!?』

 

霧香博士をすごい勢いで押し退けて現れたのは、青いポニーテールを揺らした愛しき果南姉ちゃん。ってか今博士吹っ飛ばなかった?

 

「もしもし姉ちゃん?とりあえず俺無事だから…」

 

『馬鹿!また心配かけて…今度こそ隼斗が…』

 

「前にも言ったでしょ?姉ちゃんがいてくれる限り俺は不死身だって!」

 

『隼斗……』

 

ああ、画面越しでも感じるこの安心感。

生きててよかった…

 

「すいませーんイチャつくの後にしてもらっていいですかね隼斗さん?」

 

『そ、その通りだな士門少年…痛てて……思いの外強かったな…

 

吹っ飛ばされた霧香博士が画面下から戻ってきた。

…なんだ永斗少年その目は。言いたいことがあるなら言ってみろ。

 

 

「あ、ああ悪い、つい…」

 

「その人が果南さん?あ、確かに美人…それと博士?僕は士門永斗。先の他己紹介の通り探偵やってる仮面ライダーの片割れでーす」

 

『ああ、よろしくな士門くん。でだ隼斗、憐。2人がそちらの世界に飛ばされた件だが…こちらでも少し調べた結果ある事が分かった』

 

「何が分かったんだ!?」

 

『あの謎のドーパント男…私の過去の黒歴史を悪用して今回の事件を起こしやがったんだ』

 

「黒歴史?」

「ドーユーことよ博士?」

 

『Aqoursの面々には話したが…改めて君たちに話そう。そこの探偵くん達も聞いてくれたまえ』

 

「黒歴史ってのはどういうことだ。まさかお前が…」

「一応聞いとこうよアラシ、まだ敵だと決めつけるにはいくらなんでも早すぎるよ」

 

すると、霧香博士は話し始めた。

自分のかつてのことについて────

 

『私は君たちの前にこうして現れる前…とある研究をしていたんだ。それが、並行世界の存在論』

 

「並行世界の?」

 

『多次元存在干渉論…私はかつてそれを研究する1人のしがない科学者だった。だがある日研究をしてる途中で思ったんだ。私はこの研究を続けていいのか、とね』

 

「何でだよ?並行世界なんて割と浪漫のある話だと思うけど…」

 

「悪用されることを恐れたんだろ。現にお前らが今の騒ぎの渦中に巻き込まれてるじゃねえか」

「奇遇だね。僕も同じこと考えてたよ。アラシと意見が合うなんてめっずらし」

「黙ってろ。で、どうしたんだよ?」

 

『私は一度自分の研究を論文として纏めた。が…それを世に出すことなく消し去ることに決めた。世に出してしまって、もしも悪用されるぐらいなら…研究が無駄になるのはキツイものがあったけどね。それで救われるものがあるなら…そう思ってのことだった』

 

「だがその論文を誰かが見つけてしまったと…」

 

『ああ。全く誰がこんな事を…』

 

「それについてならこっちで調べがついてる。永斗少年!」

 

「はいはい…えーと霧香博士。あなた達の教え子2人をこっちの世界に飛ばしたの奴なんですけど…奴の名前はエルバ。僕らが戦ってるガイアメモリをばら撒いてる組織の元幹部で…異世界に追放されたはずの奴です」

 

『エルバ…それがアイツの名前か』

 

「はい、なんか知らないけど本来他の幹部の力で飛ばされた時点で死んでるはずなんですけどアイツ生きてたらしくて…」

 

『今回の事件を起こした、と…一体なんの為に…』

 

「正直それは今のところ不明。僕らでも調査中です」

「それで博士、もう一つ言っておく事があるんだが…」

 

『なんだい?』

 

「俺達とは別に、どうやらロイミュードも一体こっちに来てたらしい。ナンバーは106。アラシと永斗少年が一度戦ったらしいけど逃げられて…こっちに関しても今調査中だ」

 

『もう一体ロイミュードが!?そして今回の異世界へのゲート…なるほどな………』

 

「なるほどってどういう事だよ?」

 

『いいかい?今回隼斗達が飛ばされた件だが…これは私が考えていた別世界への転移を可能とする理論と似たようなものだ』

 

 

 

1人納得したような霧香に対しアラシがもったいぶるなと言わんばかりに疑問をぶつける。

博士はホワイトボードを持ってくると、ペンを用いて解説を始めた。

 

『まず初めにその指定した世界の座標を算出し…その世界にマーカー…言うなれば目印となるものを送り込む。

 

このマーカーが、今回の場合はロイミュード106だったんだろう。あとは別世界に繋げるゲートを作り出せる装置を作り、それを使って転移…といった感じだ』

 

簡易的なイラストをホワイトボードに描き込んでいき、矢印で繋ぎ合わせる。なるほど…意外と分かりやすい仕組みだな。

 

「なるほど単純。その装置となるものが、隼斗さんの言ってたデータに無いロイミュードだったってことだね。それで博士さん、こっちも色々と聞きたいことあるんだけど」

 

『何かな?』

 

「世界転移の理論を全部。どーにもエルバがこっちの世界戻るために色々やってるみたいで、その辺を推理するのに理論を知らなきゃ無理ゲーなんですよ」

 

『ふむ…この通信がいつまで持つか分からない。教えるとなるとかなりの突貫作業になるが、君のような少年に理解できるとはとても……』

 

「あ、その辺は心配なく。僕は天才なので」

 

『ほう…!そこまで言うなら見せてもらおう。付いてきたまえ士門少年!まず世界間のゲートというのは血管の弁のようになっており───』

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「───ってことだよね博士」

 

『正解だ士門少年。43点をあげよう!』

 

あ、終わったか。

俺も途中までは頑張って聞いてたんだがソニックを作った時とは次元が違うレベルの専門用語と概念に数式、理論etc...

どうやら脳がまたover heatしてたらしい。

 

 

「数字が中途半端過ぎんだろ」

 

『あとの57点は無事にこっちに隼斗達が戻って来てく…たらあ…られ…ん……が…』

 

アラシが博士の言葉に思わずつっこんだ。

そう言った途端、突如画面がテレビの砂嵐のようになり、音声にもノイズがかかり始めた。

 

「博士?おい博士!」

 

『す……ん!時…切れらしい!ともかく切風くん!士門くん!2人を……頼………』

 

 

その言葉を言い切る前に、テレビ電話は砂嵐。通信は途絶えてしまった。

 

「クソ…やっぱ世界間の通信には無理があんのか…!?でも何はともあれ、姉ちゃん達が無事でよかった……」

 

とりあえず、向こうの世界は大丈夫そうだ。けど悠長にしてられねえ…なんとかしねえと…

 

「すごいね彼女。僕は天才だけど新しいこと考えるのは苦手だから、あぁいう理論は思いつかないし現代科学で世界間通信なんか作れない」

 

「俺っちから見りゃエイくんも大概だけどナ…」

 

「同じ開発職の博士って言っても、師匠とは大分違ったな」

 

「あー山神博士ね。僕会ったことないけど。

とにかくあっちの状況は分かったし、超大事な情報も入った。今の通信はかなり大きいよ」

 

開発職の博士?師匠?また気になるワードが出てきたがとりあえず後回しにするか……

 

「アラシ」

 

「分かってる。次は憂鬱の元アジトだな」

 

「随分と神妙ダナ。アジトっていってももう使われてないんダロ?そんなとこわざわざ行く必要あんのカ?」

 

「いやそれがそうでもないんだよ憐くん。あのフーディエとかいう人、ハチャメチャに忠誠心と主君愛がヤバい。主君のエルバが昔使ってた部屋なんて、絶対そのままにしてある。重要な情報も置いてあるに決まってる」

 

「なるほどな…てことは当然、余所者には入って欲しくないってことだ。そうなると相当強い見張りがいるはず…だろ永斗少年」

 

永斗少年は無言で頷くと、その見張りについてを話し始めた。

 

 

「憂鬱の戦闘員、グリウス・コベルシア。エルバの配下の中じゃ戦闘力は三本の指に入る危険な男だ。使うメモリは『スコミムス』」

 

「スコミムス?なんだそりゃ」

 

「聞いたことあるゼ、確か水場に住む恐竜!」

 

「俺も聞いたことあるかも。恐竜キ○グだったか?」

「やっぱ恐竜って少年の夢だよナ!」

 

今度恐竜系強化形態でも作ってもらうか?とか考えたけど既にドラゴン型(メテオデッドヒート)があったな…と思ったのでやめた。

 

「スコミムス・ドーパントは『ワニもどき』の名の通り、アジトの傍の湖に標的を引きずり込んで一方的な虐殺を展開する。アジトの建物はグルっと湖に囲まれてるから、正攻法では侵入不可能だね」

 

「そんなの空飛べばいいじゃねえか…ってそうだ今鳥いないんじゃん!…あっ!でも俺達の持ってるこのメテオデッドヒートなら…」

 

「当然、空の門番もいるよ。フーディエのメモリ…サテライトの自動迎撃衛星だ。飛行物体は全て衛星がシャットアウトする。もし飛んで行こうものならレーザー一斉照射で湖に叩き墜とされるね」

 

shit…制空権も取られてると来たか。

鳥がいなくてもメテオデッドヒートで飛べるが…いやワンチャンメテオの防御装甲ならレーザー程度防げる…保証はねえか相手幹部格だもんな…

 

それに相手が水中を得意とするドーパントだとこっちにまず勝ち目はねぇ。

 

今のソニックとスレイヤーには水中戦を想定した姿が無い。空中を対処できても水中に引き込まれたら詰む可能性が大いにある。

 

どうしたものかと考えあぐねているとアラシが……

 

「お前が行け、音速チビ」

 

あ、俺?ご指名とは珍しい……ああ゛!?

 

「音速チビ…俺のことか!?だからお前いい加減に……」

 

いや待て、今コイツ俺に……

ああ、そういうことかよ!ったくわかり辛え言い方しやがって!!

 

「ったく…言い方ってあるだろうよ。上等だ探偵(ディテクティブ)、お前の信頼ってやつに応えてやるよ!」

 

「おぉ、チビから音速チビ。不良探偵から探偵。お互い昇格だアツいね」

 

「両方とも素直じゃないカンジだケド」

 

「お前らと俺は塔出現地点の予想だ。余計な事言ってねぇで働け」

 

「ガッテンしょーち!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「よし。今のとこ塔は3本、場所を地図に書き込むと…」

 

 

壁に貼られた地図にアラシサンが印を付けていく。ハーさんが敵の拠点の攻略に向かった後、俺っち達はあのタワーって奴ガ建ててる塔について調べを進めていタ。

 

 

「塔の場所を結ぶト…おぉっ!これは二等辺三角形ダナ!」

 

「塔で図形を描くっていう観点は合ってると思うんだけど、やっぱり3本じゃ特定まではいかないかな。4本目まで分かればいけそうなんだけど…」

 

「待てよ。そもそも塔には材料がいるんだ、そんな大量の瓦礫やらを運ぶんだから目立ちもするだろ。そこを叩けばいい話じゃねぇか」

 

「それもそーだよナ。タワーが近くにいなきゃ塔は作れないカラ、同時に塔を建てられることもナイ。4本目を見てからでも十分間に合うんじゃないカ?」

 

「まぁ、確かにそれならラクチンだけどさ…」

 

 

そうだったら塔3本分を見過ごしていることにナル。ってかそもそもどうやって材料を運んダ?エイくんの知る限りだと、憂鬱ってのは構成員は少数で戦力層はそこまで厚くない。

あれだけの質量の運搬を可能にするメモリの使い手なんていないらしい。

 

 

「…それもそうだね。今は外を調べようか」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

で、エイくんの提案で外で憂鬱の連中を探していた俺っち達。

そこに飛来したのはシュヴァルツに持たせていたアラシサン達の携帯だった。『スタッグフォン』って言うらしイ。クワガタに変形するノカ……ガラケーとはいえ悪くないデザインダナ。

 

「…瞬樹が憂鬱の奴らを見つけたらしい」

 

「スゲーなシュバルツ」

 

「世の中はマジメな奴が馬鹿を見るって決まってんだ。仕方ねぇ、急いで助けに向かうか……」

 

 

と、走り出そうとした矢先。

もはや慣れてきた轟音と共に、遠くで鉄塔が大樹の如く生えてそびえ立った。

ん?待ってアレって……

 

「「瞬樹ぃぃぃぃぃ!?」」

 

鉄塔の天辺から何処かで見たようなゲーム(黒ひげ危機一髪)のように放り出された何かは……紛れもなくあの時の竜騎士の仮面ライダー……エデンことシュヴァルツだった。

 

ナンカいい笑顔でサムズアップするシュヴァルツが見えたのは多分気のせいダ……

 

 

「大丈夫カ、シュバルツ」

 

「すまない黒騎士…危うく天界に送られるところだった…竜騎士をも裁くバベルの塔……フッ…」

 

「こういうとこ見ると確かにヨっちゃんそっくりダナ」

 

「まぁアホの尊い犠牲のおかげで4本目の塔も出た。これで次の話に進めるな」

 

 

「死んでないぞ!」

 

地図に4つ目の印を入れた。

その配置を見れば、5本目の場所は簡単ニ予測できル。

 

 

「やっぱり星形。それも一番メジャーな五芒星だね。まだ確定じゃないにせよ、ここに狙いを付けてよさそうだ」

 

「あんまり期待してねぇが瞬樹、他になんか気付いたことは?」

 

「タワーの変身者は天才だ!あの塔はとてもカッコいい!」

 

「期待しただけ無駄だった」

 

「待て待て!まだだ!まだあるぞ!えっと…そうだ、鉄の山がいきなり出て来てそれが塔になったぞ!一緒に現れた機械のドーパントは超強かった!敵のボスはエルバという名前らしい!」

 

「シュバルツ…それ分かってることばっかダゾ…」

 

アラシサンは早速自分のバイクに跨って出発の素振りを見せる。目的地は分かり切っている。

 

 

「五番目の塔の場所に行くんダナ!俺っちも行くゼ!」

 

「じゃ僕は事務所帰ってお昼寝タイムってことで…」

 

「もしかしてだけど、エイくんって結構自堕落?」

 

「結構どころか自堕落の擬人化だ。帰るならついでに瞬樹を見張ってろ。瞬樹、お前次勝手にどっか行ったら事務所のお前用七味唐辛子を全部砂糖にすっからな」

 

「悪魔ァ!?」

 

あ、なんか事務所に置いてあったアレってそういうことだったのナ…どうやらシュヴァルツ、かなりの頻度で事務所に厄介になってるらしいゼ?なんでも鬼畜な同居人がいるとかなんとか……

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

バイクを走らせ、たどり着いた場所。

そこにいたのは────

 

「ここが第五の塔、出現予測地点だ。待ち伏せでもするつもりだったが…」

 

「あぁ、どーやらアタリみたいダナ」

 

 

地面にうつ伏せで寝っ転がった上半身裸の男だった。ツッコミどころ満載の風貌はさておき、おそらくアイツが見張り。それがいるという事はここが出現地点だって言ってるようなモンだろ。

 

 

「なぁ、何してんダ?アンタ」

 

「シッ!静かにしてくれるか、おれは今…大地の声を聴いているんだ」

 

「また変な奴が出やがった……おい裸族、テメェの気色悪い趣味に付き合ってる暇はねぇんだ。関係ねぇならどっか行け。もしテメェが憂鬱の一味なら……」

 

《swamp!》

 

その警告が締められる前に、ゆらりと立ち上がった男は腹部にメモリを突き刺した。紫色のドーパントメモリ。刻まれた文字は沼と引きずり込まれる人間で描かれたS。

 

 

 

スワンプ(泥沼の記憶)のメモリ。

植物の根で辛うじて形を保った泥人形のような姿が、地面に溶けていくように消えると、

スワンプはアラシサンの傍に浮上する。

 

アラシサンが攻撃を回避しようとするガ、足元がぬかるんだようになっていることに気付いた。付近を泥沼に変化させる力を持っているらしい。

 

 

「おれの邪魔をした罰だ。土の中で反省するんだな」

 

「クソ、避けられねぇ…!?」

 

 

足元を固定されたせいで吹っ飛んで衝撃を逃がせない、受け身も取れない。こんな状態でドーパントの攻撃を喰らえば間違いなく全身が砕ける。

 

「行け!シグナルスレイヤー!」

 

シグナルスレイヤーを飛ばし、なんとかアラシさんへの攻撃を逸らし、俺っちも沈みゆくバイクを足場にして足元の自由を死守し、スワンプに蹴りを叩き込んだ。

 

 

「危ないトコだったな、アラシサン!」

 

「…あぁ、悪い。助かった」

 

「ココは俺っちに任せてよ。ハーさんにばっかカッコつけさせるわけにはいかねーからナ!」

 

俺っちはマッハドライバーMk-IIを取り出しテ腰に装着。シグナルスレイヤーを呼び戻シ、それを展開したドライバーにセット!

 

《SignalBike!Rider!》

 

「変身ッ!!」

 

《Rider!Slayer!!》

 

ガイド音声と共ニ、オオカミをモチーフにシタ黒い装甲ガ俺っちに装着されていく。鋭イ複眼に漆黒のボディー。そして自慢ノ両腕の3本爪『スレイクロー』が展開して俺っちを仮面ライダーとしての姿に変身させル!!

 

 

「おまえ、何者だ?」

 

 

「聞きたキャその耳カッポじり、その目を開いてよーく聞ケ!!」

 

腰を低くし、クローを構えたケモノの様ナ体勢になる。

 

「この世の悪党!魑魅魍魎!全テを狩り尽くす漆黒の戦士!仮面ライダースレイヤー!!」

 

そして右手のクローでその敵…『スワンプ・ドーパント』を指し、俺っちはハーさんリスペクトのいつもの口上ヲ高らかに言い放ツ。

 

「仮面ライダーだと…!?黒一色は聞いてないぞフーディエ…!」

 

「アンタが何考えてんだかはわかんねーケド…こっちもこっちで訳ありナンダ。邪魔をすんなら……ぶっ倒ス!!」

 

足場にしていたライドスレイヤーを蹴ってスワンプに向かって飛びかかル。

そして自慢の爪を振りかざすも、スワンプは溶けたように急にその場から消えた。

地面を転がり、なんとか体勢を立て直ス。

 

「消えた…!?何処ニ…」

 

「さっきのを忘れたのか!下から来るぞ!」

 

アラシサンに言われて地面を見ると、まるで水に物が落ちタ時にできる波紋のように地面が模様を描いてイテ、そこから泥人形の姿のスワンプが飛び出し俺っちに一撃。だがアラシサンの注意のおかげでクローでガードできた。

バックステップで距離を取り構え直す。

 

「今のを防いだ…だと」

 

「ワリ、助かった!」

 

「これで貸し借り無しだ。アイツは地面に潜って攻撃してくる、足元に気をつけて戦え!」

 

その言葉通り、スワンプは地面に潜っては現レ、潜っては現レの繰り返しで攻撃してクル。これじゃあマトモに攻撃もできネェ…!

 

 

「気をつけて戦えっつーケドさ!アラシサンもなんとかしてくれヨ!」

 

「無理に決まってんだろ!この状態じゃまともに動けねえしドライバーも出せねえよ!」

 

 

アラシサンの方ニ視線を向けるト、腰まで体が埋まっていた。確かにマトモに身動きが取れなくなってるラシイ。

 

 

「シャーねぇ!俺っちだけでなんとかするしかねーカァ!!」

 

《ズーット!Slayer!!》

 

ドライバー上部の『ブーストイグナイター』を連打しシフトアップ。

全身にエネルギーをチャージし、地面に手をついて狼のような格好デ構える。

 

「行っくゼェェェッ!!」

 

獲物を追いかけるオオカミの様に、泥沼と化した道を一気に走り抜けル。

地面がじっとしてたら沈んでいく泥沼だってんナラ、足ガ沈む前に駆け抜ける!あの忍者ガ水面を走る理論と同じ様ニ!!

 

「なにっ!?」

 

思わヌ力押しにスワンプもどうやら驚いているラシイ。咄嗟に地面に潜りまた姿を消してしまっタ。

 

「また消えやがった…気をつけろ!」

 

「わーってるヨ!ここハ……」

 

マスクの下で目を瞑り、耳と鼻ニ意識を集中。何処から来るかを勘デ探り当てル。

 

「………」

 

背後。ポコっと何かが泡立つような音が聞こえた!即座に振り返ると、そこにはスワンプガ。

 

「みっけた!」

 

 

「っ!しまっ…」

 

俺っちに気づかれると再び潜って逃げようとするスワンプ。

だがその隙を見逃す俺っちじゃあナイ!

 

「微塵切りダゼ!」

 

思い切り右手のクローを振り下ろし、スワンプの身体を引き裂いた。

 

「なっ……!」

 

その一撃でスワンプの身体ハ引き裂かれ、ドチャっという鈍い音と共に地面に落ちタ。

厄介ナ能力の割に意外にあっけなく倒しちまったカラ少し拍子抜けダナ……

 

「アレ?微塵切りどころか輪切りレベルで倒しちっタ…まーいいヤこれでジ・エンド…」

 

だが次の瞬間。

ぶった切ったハズのスワンプの体が巻き戻しのようにくっついていく。

そして数秒後には元通りになってしまっタ。

 

「まじかヨ!?」

 

「こいつ再生能力まで持ってんのか!」

 

「当然だ。今のおれはこの大地と一体化しているも同然!簡単に倒せると思うな!」

 

まるで泥団子のような弾を次々と連射しながらそう叫ぶスワンプ。

泥団子自体はそこまで強固では無く、容易くクローで切り崩せる。だガ……

 

「ッ!コイツ……!?」

 

ふと両手を見ると、付着した泥が硬質化してまるで土…いや、もはや岩のように固まっていタ。クローを封じられては俺っちは対処が難しくなる。

 

「腕ガ!?」

 

「どうだ。たかが泥と侮るな!土は遥か昔から人類が様々なものを造り出す為に使われてきた、正に大地の恵みそのもの!おまえ如きがおれを倒せると思うな!」

 

クローが封じられタのを良いことに接近し、殴り、蹴りの連続攻撃。辛うじて腕が上がるのでガードはできているが、このままじゃどーしようもネェ。

 

「流石に不味いナ……!」

 

「クッソ!変身さえできりゃあんなヤツ…!」

 

アラシサンもそろそろ限界ダ。

マジで早くケリをつけないト……

 

ん?変身………そーダ!!

 

 

「来イ!メテオデッドヒート!!」

 

俺っちの呼びかけに答え、空から小型のドラゴンとスポーツカーが一体化した様な真紅のシフトカーが飛んでくる。

ヘッドライト部分から勢いよく赤い炎を吐き出し、スワンプをノックバックさせタ。

 

「なに…?」

 

「なんだ、アレもあのバイクと同じやつか?」

 

 

そのシフトカー『シフトデッドヒートver.メテオカスタム』略してデッドヒートメテオを手に取り、ドライバーからシグナルスレイヤーを抜き取る。

 

「ぶっつけ本番だケド…やるしかねぇ!!」

 

リアウイング部分を押し、ドラゴンの咆哮と共にヘッドライトが点灯。上部の翼部分を折り畳み、変身シークエンスを起動スル。

 

《Burst!Overd Power!!》

 

そしテ、そのまま勢いよくドライバーに叩き込んだ!!

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

《Rider!Dead Heat!Meteor!!》

 

 

「オオオオオッ!!」

 

すると、スレイヤーの周りに同じサイズの赤いドラゴンの装甲が現れ分解。それらが一つになっていく。

 

赤くゴツゴツとした装甲に、スレイヤー自慢の3本爪。黒かったソレの先端には赤い炎の様なものが追加されており、頭部の複眼は黄色く輝き、3本の角が追加されている。

背中のタイヤは2つの小型のモノになり、ハーさん同様にドラゴンの翼が生えている。

 

 

「なに……!?」

 

「進化……したのか…!?」

 

 

 

「悪鬼羅刹ヲ焼き尽くシ地獄をも焦がす龍の炎!全ての悪よ 俺っちの前に恐れ平伏セ!!仮面ライダースレイヤー

メテオデッドヒートフォーム!!」

 

 

赤黒く燃え上がる姿、正に煉獄のドラゴンの如ク。俺っちは遂にメテオデッドヒートフォームへと進化ヲ遂げた!!

 

「幾ら姿が変わった所で!」

 

スワンプが再び地面に潜ル。

また地面を泳いで接近してくる気ダロう。

ケド……!!

 

背中に力を込めると、背にあるドラゴンの翼型の飛行用装備『ドラゴフレアウイング』に炎を纏わせる。その直後、スワンプが目の前に現れ、その拳を振りかざしてくる。だが…

 

 

「喰らえ!!」

 

 

その瞬間、()()()()()()()()()()

 

 

「何っ!?」

 

「アイツ飛べんのかよ!」

 

「っハハー!空飛べんのはハーさんの専売特許じゃねぇんダゼ!!」

 

そして、そのまま空から急接近。

右のクローに炎を纏わセル。

 

「喰らエッ!!」

 

そして、さっきと同じようにスワンプの体をぶった切った。

 

「忘れたのか。幾ら切られようとおれの体は……」

 

「それはどうカナ?」

 

「なに…?」

 

自分の体を見るスワンプ。

見ると切った箇所が泥ではなくよりサラサラとした土になっていた。デッドヒートメテオの炎によって熱が加えられたことで、これで泥のようにくっついて元通り、という芸当はできナイ。

 

 

「馬鹿な!再生できないだと!?」

 

 

「アンタ、焼き物って知ってるカ?ホラ、お皿とか…壺トカ。アレも元をたどりゃタダの泥ダ。けど色々手を加えて熱を入れりゃたちまち硬くナル。んでもって割れモノ故に壊れやすい。その理論を使ったダケさ!!」

 

そのまま急接近。

左右のクローで切り付け、さらに右足で蹴り飛ばす。それらの攻撃全てに炎が加えられたことにより、泥はただの土塊と化す。

そうしてしまえば、泥を固めて再生の能力は使用不可能。

 

「なるほどな、アイツ中々考えは良いじゃねえか…あの音速チビの仲間なだけはあるか」

 

 

 

「くっ…馬鹿な!このおれがこんな奴に…!!」

 

スワンプが再び地面に潜ろうとするが、それだけではない。その泥状の腕を伸ばしスレイヤーの足を掴んでキタ。

 

 

「ヤッベ」

 

「底なしの地面に沈めてくれる!」

 

「エェッ!?おいおいおいちょっとマテマテマテ!!

 

 

 

 

 

 

 

…………………なんてナ」

 

息を吸うのと同時にスレイヤーメテオデッドヒートの口部装甲が展開。燃えるような赤いエネルギーが溜まっていく。

 

「なっ……!」

 

「まさかアレは…!」

 

そして、それをスワンプに向け一気に放射!

 

「ブレス・オブ・バーン!!!」

 

それは正に、ドラゴンのファイアブレス。

捕らえたのが仇となり、至近距離で放たれた凄まじい威力の火炎放射がたちまちスワンプの体を焼き上げ土へと変えていく。

 

「ぐおおおおおおおっ!!!?」

 

やがてスワンプは綺麗に焼き上げられ、焼き物の人形の出来上がり。ただの土と化した腕から簡単に抜け出し、再び上空へ。

 

 

「ウーン……土偶とか埴輪の方ガまだマシなデザインしてんナ…俺っち正直趣味じゃネェや。つー訳デ……」

 

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

 

「これで最後ダ!」

 

ドライバーを展開。イグナイターを押してパネルを戻し、フルスロットルを発動。

 

右腕のクローが変形し、ガントレットのような形状へ変形したあとそれが展開。右腕に炎が集まっていく。

 

 

「くっ……!まだだ…おれは……!」

 

スワンプもなんとか動こうとするも、その身は既に焼き物。完全に硬質化してしまった体ではマトモに動くこともできない。

 

「ヨッちゃんじゃねーケド言わせてもらうゼ……

 

 

地獄の炎に焼かれて散りナ!!」

 

空に掲げた拳には赤黒く燃えたぎる炎が。

それを構えて、スワンプに向かって思い切り突き出ス。これが、俺っちの新必殺技!

 

 

「ヴォルカニック・ヘル・バースト!!!」

 

 

拳から撃ち出された炎はやがて竜の頭の様な形となり、スワンプを飲み込んだ。

いくら火に焼かれて完成する焼き物があるとはいえども、過剰に熱を加えればひび割れ、砕け散る。隕石の大気圏突入時の表面温度に匹敵する数千度もの炎がスワンプを焼き尽くし、爆散。

 

 

炎の中から先程の男が焦げた状態で出てきて倒れ、持っていたメモリも砕けた。

 

「よーし…いっちょアガリ!」

 

「まだアガリじゃねぇ!こっちを助けろ!」

 

「『助けてください』ダロ?ヤレヤレ……」

 

地面も元に戻っていたが、アラシサンは半身が埋まってた状態でドーパントを倒したせいか、地面に腰から下が埋まっていた。

 

「そら……ヨっと!!」

 

ガントレット状態の右腕で地面をぶん殴ってヒビを入れ、引っ張り出して救出した。

 

「で、コイツどーすんの?」

 

「あ?…とりあえずメモリは砕いたし、放置でいいだろ」

 

「ラジャー♪」

 

戦闘終了。

敵の無力化を完了した俺っちはドライバーからシフトデッドヒートメテオを抜き取り、パネルを下げて変身を解除シタ。ドラゴンの鎧がパージされ、纏っていたスーツが消える。

 

《オツカーレ!》

 

 

「後はここで待ち伏せシテ、残りの敵を待てばいいんダロ?楽勝じゃネ?」

 

「……いや、気になる。順調すぎるんだよ。確かに見張りは決して雑魚じゃなかったし、お前らがいなけりゃもっと手間取ってた。それにしても……だ」

 

そう言うとアラシサンはあのクワガタケータイ…『スタッグフォン』を取り出シ電話をかけタ。

 

『もしもし?どしたの、そっち着いた?見張りいた?』

 

「見張りはもう片付いた。それより検索だ!奴らは必ずまだ何かを温存してやがる。今ここで憂鬱の策を一切合切洗い出す!」

 

『検索って言ったって…めぼしい新情報はそこまで無いし……』

 

エイくんも何やら『検索』とヤラを渋っているみたいだった。すると、今度は俺っちのスマホが鳴る。ハーさんからだ……

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

時はおよそ数時間前に遡る────

 

Meanwhile at that time.(一方その頃)

 

 

「やれやれここか…思いの外遠かったな」

 

途中立ち寄ったGo-HANYA (花陽さんイチ推しの店)のおにぎりを齧りながら目の前に広がる風景を見てふと呟く。

 

永斗少年に言われてやってきたのは、なんと栃木県のとある湖。まさか別世界で別の県に行くことになるとは思わなかった…。

 

都内からバイクでも2時間ちょいはかかったぞ?普通に行ったらどれだけ時間とガソリン代とかが掛かる事か……コアドライビアって本当便利。半永久機関みたいなもんだしな。

こんな素晴らしいものを開発してくれて本当にありがとうございます、クリム博士。

 

 

「さて、いっぺん情報を整理してみるか…」

 

永斗少年から貰っていたメモをジャケットから取り出して見る。

 

1. アジト跡地には『憂鬱』の戦闘員

グリウス・コベルシアがいる。

使用メモリは スコミムス。恐竜の一種で湖に標的を引きずり込んで倒しにくるらしい。

正攻法での侵入はまず不可能。

 

2.空からも無理ゲー。

サテライト・ドーパントとやらの自動迎撃衛星があり飛行物体は全て衛星がshut out.

敵が得意な水場での戦いを強いられることになる。

 

「ったく…ならせめて攻略法ぐらい書いといてくれよ永斗少年……けどま、なんとかするのがこの俺だし?さっさとその部下とやらをブチのめしてあのクソ探偵にbubble吹かせてやるぜ!」

 

食った後の包み紙を握りつぶして放り投げ、ライドソニックに跨る。

アクセルを蒸し、湖に向かった。

 

道路を走り近づいていくにつれ、やや人が増えてきている。確かここらは確か有名な観光地だった気がする。なのにこんな所にアジトなんてあったんだな…

 

「っし…行くぜ!!」

 

やや離れた森の中でバイクを停めルビィお手製の肩掛け袋から天下零剣 煌風を取り出し、ドライバーを装着。

ベルトの左側に煌風をセッティングし、戦闘準備を整えると湖に向かって歩きだす。が、ここで少し違和感を覚えた。

 

 

ふと目を向けると、森の木々に妙な傷がついていたのを見つけた。その大きさや形から、野生動物によってつけられた傷では無いことは確かだった。どちらかと言うとまるで刃物で人為的につけられた傷のような……

 

 

「しかもこの切り口……」

 

 

触ってみた感じかなり新しい…割と最近っぽいな…まさかとは思うがこっちの狙いが既にバレてた…?いやいやそんな事は…だとしたらとっくにこっちを襲撃してきてもおかしくはない…だったらこの傷はなんだ……?

 

何かが変だ、そう思った俺は歩く速度を上げ湖に向かって走った。

 

近づくにつれ増えていく傷。更には木の枝や幹が切られているものもあり、足元には枝や太い木が転がっていてまるで何者かによって荒らされているようだった。

 

そして、着いた時に見えた光景は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

What does it mean…?(どういうことだ)

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

場所は戻って秋葉原の憐・アラシサイド。

 

 

 

『もしもし、憐か?』

 

 

「ハーさん!そっちはどうナノ?まぁ連絡してきたってことハ…勝ったんだナ!さっすがハーさん!よっ!最強ヒーロー!!」

 

 

『だったら良かったんだがな……予想外の事態が起きた。永斗少年に伝えてほしい』

 

 

「………エイくんに?予想外?どうしたんだよハーさん?」

 

 

『よく聞け、どうやら────』

 

 

 

森を抜けた先に見えたもの。

俺が目にしたのは、遠目に見える目的地であるアジト跡地らしき場所と────

 

戦うはずだった、スコミムス・ドーパントの変身者と思わしき銀髪の外国人っぽい男。

それが何故か湖に浮かんでいるのだ。周りを見渡してみると、あたり一面には通ってきた道の木々にあったのと同じ…いやそれよりもハッキリと、大きく刻まれている傷。

間違いなく、誰かが戦ったと思われる痕跡が残っていた。

 

だがこれで確信が持てた。

まさかとは思ったが、どうやら────

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「マジ?うん…うん…あのーアラシサン?」

 

「んだよ?アイツに何かあったか?」

 

「なんかハーさん曰く、奴らを追う第三者?がいるらしいケド…あと今からアジト入るっテ」

 

『なんか電話越しにすごく面倒くさそうな事が聞こえた』

 

「第三者も気になるが…今は丁度いい。その電話ちょっと俺と代われ」

 

電話越しに声が聞こえた。

どうやらアラシもそこにいるらしい。

 

『なんだよ探偵。言われた通り来てやったぞ。ま、見張りに関しちゃ誰かに倒されてたが…』

 

「それはまた後から聞いてやる。今の急ぎは憂鬱の情報だ。何か一つ…どデカい見落としがある気がする。その正体がそこにあるはずなんだ」

 

『なんだよそれ…根拠は?』

『どうせ勘だから聞くだけ無駄だよ』

 

「うるせぇ勘だよ悪いかさっさとしろ」

 

永斗少年もいるのか。いや、音からして電話か…アイツどんな風に今通話してんだ?

 

疑問に思いつつも歩を進めて行く。

アジトの内部は人気が無く、『憂鬱』が少数というのは事実なようだ。

さってと…目ぼしい情報はなんかねぇかなぁ…

 

あ、この部屋ってまさか……

 

『永斗少年、エルバは研究者だったのか?』

 

『憂鬱は基本エルバが好きな事やってそれに部下がついて行く感じだったから、何やってたかは部外者には分からないんだ。でも…エルバなら出来ただろうね、常軌を逸した研究くらいは』

 

bingo.色々並んだ小難しそうな機材。

それに隅っこに積まれた山のような資料…間違いないらしい。

 

『確かに霧香博士の研究を利用したくらいだもんな。それなら間違いねえ、俺は今エルバが使ってた研究室にいる』

 

「よし、そのまま捜索を続けろ。その間にこっちも真実に近づきに行ってやる」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

戦いこそしなかったものの、謎の第三者の件もあると考えた俺は一応ドライバーと煌風を腰に備えたまま室内の探索を始めた。

 

紙のファイルに纏められた研究データが多数あったため、それらを順に漁って行く。

生物学、心理学etc...なんかの普通の研究から今の科学技術じゃ到底不可能な研究まで様々あった。

 

そして、その部屋にあったコンピューターを弄って観ていると(パスコードなんかがあったが霧香博士直伝ハッキング術でなんとかした)

そこには今の俺の常識を覆すようなデータがあったのだ。

 

「んなのアリかよ……?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「考えろ…!絶対に何か見落としてる。未知の中の不自然が、これまでの何処かに…!」

 

『…おい!おい!聞いてるか探偵!?見つけたぞ!エルバの研究に一つ、俺でも分かるとんでもないヤツがあった!』

 

「おぉっ!さすがハーさん!」

 

「でかした音速チビ!そいつは一体───」

 

『その前に一つ質問だ探偵!ドーパントはガイアメモリを人間が体に挿すことで変身する。そうだろ!?』

 

「あ?当たり前だろうが。お前散々戦ってきただろ何言ってんだ」

 

『idiot!俺だってそう思ってたよ!さっきの資料を見つけるまではな!!いいかよく聞け!アイツの研究ってのは────』

 

それを聞いたアラシがすぐさま永斗少年に今伝えた情報を元に指示を出した。

 

「永斗!項目変更、『メモリ』だ!キーワードは…『瞬間移動』!

そして……『()()()()()()()()()()』だ!!」

 

『はぁっ!?非生物って…そりゃ猫や鳥類のドーパント化には成功してたらしいけど、物をドーパントになんて……!』

 

マジか、猫とか鳥でもできんのかよガイアメモリ。って事は(アイツ)も…?って今はそれどころじゃねえか!

 

曰く、憐とアイツらが初めて会った時に戦ったタワー・ドーパント。その時に別の女幹部フーディエが謎の本を持っていたらしい。

 

本がドーパントってそんなん分かるか!

 

「次に『本』…いや待て本はいい。

確かにドーパント態の見た目は本だった。でも人が変身したら二本の手足になるように、物の場合も変身物の元の形状に引っ張られるとしたら…あのページの無い本は本というよりも……ノートパソコン!『コンピューター』だ!

 

クソ…!他に何か…瓦礫運びだけにんな大層なもん使うとは思えねぇ。恐らく世界転移にもコイツが何か関係して……」

 

「本って、アレがドーパントだったのカ…いやー、でも瞬間移動したり世界の扉を作ったりって、まるで魔法みたいダナ」

 

電話越しに聞こえた憐のその言葉。

どうやらアラシは何やら閃いたらしく、それだと言わんばかりに永斗少年に言った。

 

「それだ!キーワードは『魔法』!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

永斗少年の検索でそれの正体が判明。

謎の本の正体は、『グリモア・ドーパント』

パソコンが変身したものらしい。

 

 

『グリモアは魔法を作って使えるようになるメモリ。でもメモリを使ってもその魔法理論っていう概念を知れるだけで、それを理解&構築は簡単じゃない。普通の人なら必死に頑張っても火の玉出すくらいの魔法が関の山。そんなので世界を繋ぐなんて大魔法を作るなんて、ローマ字覚えたてがシェイクスピアレベルの戯曲を作るのと大差無いよ』

 

「そいつをコンピューターに使うとどうなる?」

 

『そこが肝だね。コンピューターの記憶力と演算能力で魔法理解+構築を劇的に簡易化。しかもそれによってプログラム構築の要領で外部から魔法構築ができるようになってる。それでも十分難しいけど、無理じゃない』

 

「そうなりゃ奴らが一気に塔を作れない理由も分かってくるな。多分だが電力と情報処理の問題だ。あれだけの量の瓦礫を移動させるには、それなりの充電時間が必要ってこった。だそうだ、話は聞いてたか?」

 

『あぁ、俺もすぐそっちに戻る。やっと決戦の時…だろ?』

 

「話が早くて結構だ。これまでの塔出現の間隔を考えると、奴らが動くのは早くても……今夜。それまでに俺たち探偵が奴らの策を探り尽くす」

 

「そこで俺っちとハーさんが加わって一気にぶっ叩ク!待ってロ憂鬱野郎!」

 

『できる限りすっ飛ばしてく!憐、それにお前らも入念に準備しとけよ!!』

 

「分かってる!」

 

「待ってるゼ!ハーさん!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

すっ飛ばすとは言ったがスピード違反とかで別世界で捕まって面倒起こしたくなかったので安全運転で戻ってきた。

 

陽は沈み、辺りはすっかり夜に。

第一の塔の近くまで戻ってきた。

 

「思いの外かかっちまったな…クソが…なんでこんな時に渋滞に巻き込まれんだ俺は…!」

 

スピードを上げ、急いで合流しようとしたその時だった。棚からぼた餅、瓢箪から駒とは誰が言ったか。

 

正面を見ると、そこにはさっきの塔の男スーザに、アラシと見たことのない女が1人。

恐らくアレがフーディエってヤツか。となるとあの手に持ってるのが……!

 

「thank you 幸運の女神!運命の追い風は俺に吹いた!!」

 

バイクからソニック第二の武器である大型武装、リジェネレイトブラッシャーを取り出しブラスターガンモードに。

 

「いっけえええっ!!」

 

トリガーを引き、強力な光弾が発射される。ただでさえゼンリンシューターより反動が強かったのに変身もせずに撃ったせいでバイクから落ちかけたがギリギリセーフ。

 

その弾は一直線にフーディエが持っていたグリモアへと飛んでいき、被弾。それを破壊してみせた!

 

「っしゃあ見たか!hit!!」

 

「相変わらず遅ぇな。どこがソニックだ」

 

「分かってねぇなぁ…見計らってたんだよ。最高にカッコいいタイミング…ってヤツをな!どうせ放っておいても上手くやんだろDetective(ディテクティブ)!」

 

「貴様…あちらの世界の…!どこまで邪魔をすれば気が済むのだ!」

 

フーディエはレディーススーツを着て、見た感じはアジア系の顔つき。俺たちと大差ない感じ恐らくは中国辺りの人間か…

あれが憂鬱のもう1人の幹部か。

どこまでだって?

 

「Stupid!『どこまでも』だ!俺たちの世界を守るため、お前もお前のご主人様もぶっ飛ばす!」

 

「許されざる愚行…!エルバ様の帰還を妨げたその大罪!命を以て償え虫けら共がッ!!」

 

《satellite!》

 

グリモアを破壊され、怒り狂ったフーディエはメモリを鎖骨部分に挿し『サテライト・ドーパント』へ変身。

やる気か!上等!!

 

運転中は外していたマッハドライバーMk-IIを再び装着。天下零剣 煌風を再びベルトの左腰部分にセットしスタンバイ。

アラシも赤いバックルのダブルドライバーを装着。それぞれガイアメモリとシグナルバイクをその手に握った。

 

「最初っから飛ばすぜ、付いて来いよ!」

 

「そっちこそ、ちょこまか動いて足引っ張んじゃねぇぞ!」

 

 

《Joker!》

《SignalBike!》

 

それぞれの変身アイテムをドライバーにセット。変身の構えを取る。

 

そして、世界が違えども同じその身を戦士としての姿に変える言葉を言い放つ!

 

「Ready!」

「「変身!!」」

 

 

《Cyclone/Joker!!》

《Rider!Sonic!!》

 

風が吹き荒れる。それは2つの世界を蝕まんとする悪を吹き飛ばす大嵐。

 

風が止みそこに立つのは2人…否、『3人』の仮面ライダー達。

 

「さーって!昨日は決め損ねたからな!思い切り行くぜ!!」

 

そして、忘れちゃいけないいつもの儀式。

先代仮面ライダーにして、俺の憧れの存在である先輩をオマージュした、あの決め台詞を。ダブルは敵に懺悔の時間を告げるように、高らかに叫ぶ。

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の全てをトップスピードでぶっちぎる!仮面ライダー………ソニック!!」

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

残る憂鬱幹部はあと僅か。

今、決戦の幕は切って落とされた────

 

 

次回に続く!

 




第4話はここまで!
次回、いよいよ決戦開始です!

そして今回146さんサイドでは、プロローグから行方知れずのアイツが……?↓向こう側もお願いします!!
https://syosetu.org/novel/96993/67.html

それでは次回もお楽しみに!
感想・評価等お待ちしてます!!


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ラブダブルコラボ編 第5話 激闘B/両雄立つ時

コラボ編第5話!ついに憂鬱のフーディエ達を追い詰めた隼斗達。
VS憂鬱幹部、決戦の時!!
そしてついにアイツが復活!

*なお、かなり言うのが遅れましたがコラボ編開始当初から見事にラブライブ要素が極限にまで減っていますのであしからず。


前回のサンシャインサーガ!

 

突如隼斗のスマホに届いた連絡。

なんとそれは元の世界にいるはずの霧香博士からだった!果南達の無事を確認してほっとしたのも束の間、霧香博士は隼斗達に自分はかつて並行世界の研究をしていた科学者だと彼らに明かした。そして今回はどうやらその研究を悪用されたらしいという事も。

 

彼女から貰った情報をもとに調査を進める内憐の方は憂鬱の幹部の1人、スワンプ・ドーパントと交戦。泥沼による地形変化と再生に苦しめられるも、デッドヒートメテオに進化しこれを撃退。

 

一方隼斗は永斗からもらった情報を元に栃木の憂鬱の元アジトの施設へ。

 

だが、そこにいるはずの強力な見張り『グリウス・コベルシア』が既に倒されていた。

どうやら彼らの他に憂鬱に敵対している第三者がいるらしく……?

 

戻ってきた隼斗は非生物のドーパント『グリモア』を破壊。

ついにフーディエ達との決戦が始まろうとしていた!!

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「悪は撃滅!正義は不滅!この世の全てをトップスピードでぶっちぎる!仮面ライダー………ソニック!!」

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

「それで私を止められたつもりか、愚か者が!貴様たちをここで消し、我々は必ず陣を完成させる!」

 

「させるわけねぇだろボケが!」

 

「そのために俺たちが来たんだからな!行くぜ!」

 

フーディエの変身した人工衛星のような姿のサテライト・ドーパントが猛スピードで接近してくる。

 

地球の軌道上を回る人工衛星の速さは、時速約28,440km。恐らくはサテライトも相当な速さではあるのだろう。幹部クラスというのもあってか、かなりの速さだ。

 

 

だが────遅え!!

 

 

「何…!?」

 

即座にシフトアップしダブルとの間に入り、サテライトの攻撃を弾く。

 

コックローチ戦の時もそうだったが、以前に超進化態のトルネードと戦った時に目が慣れたのか、前より敵の攻撃に対する反応速度が良くなっている気がする。

 

「おいおいそれがfull-throttleか?こっちはまだエンジンも温まってないぜ!」

 

「貴様っ!!」

 

そのサテライトも、まさか自分に追いついてくるとは思ってもいなかったのか驚きを見せていた。

 

今のでこちらにhateが向いた。

アイツは俺がやる!!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「グリモアを破壊した貴様だけは許さん!消え失せろ異世界の仮面ライダー!!!」

 

サテライトは自身の端末である小型ビットを複数展開し、そこからレーザーを一斉発射してくる。それによって周囲に光線の檻が張り巡らされ、一見俺の逃げ場は完全に塞がれたかのように思える。だが…

 

「9時!3時!12時…と見せかけて10時!」

 

レーザー攻撃がビットから出る以上、撃たれる方向さえ分かれば回避は容易い。

上を向けば無数のビットが展開されているがレーザー本体が見えさえすればこっちのものだ。

 

走って止まって転がって、足元を狙ってきたから急停止してBack Step&Run!

 

一度止まれば集中砲火でThe End不可避。

だから止まるな、走り続けろ!

 

「けど、逃げ回ってちゃ勝てねえよなっ!」

 

ゼンリンシューターBSを呼び出し連射。

レーザーを避けつつ一個一個を撃ち落としていく。

 

Annoying(鬱陶しい)!」

 

ビットをどうにか撃ち落とすも、今度はサテライト自身がその手に持ったレーザーキャノンを構えて撃ち込んでくる。

 

ビットならゼンリンシューターで撃ち落とせるが…これは流石にムリだ。

そっからはまた回避に徹するが、そうしてる間にまたビットが追加で射出される。

 

「あーもうマジでキリ無しかよ!!」

 

連射でビットは片付くけど本体にたどり着けないんじゃ意味がねえ!かといって下手に突っ込めばレーザーの餌食…通常フォームじゃ耐えれる補償はねぇしどうすれば……

 

────そうだ!

 

接近してくるサテライトのキャノンを弾き、ダブルの方に目配せ。

そのサインに気づいたのか、ダブルがこちらとの距離を詰めてくる。

背中合わせになり、互いの相手が向かってきた瞬間。

 

 

「チェンジだ」

 

「OK!」

 

そのまま180°回転しポジションチェンジ。

ダブルがサテライトを、俺がタワーを相手に切り替えた。

 

『上手いね隼斗さん。苦い物食べた後だと甘い物がより甘く感じるみたいな?とにかく人は急激な環境変化に弱い。タイマン得意のプロ様だと猶更切り替えの瞬間が顕著だ』

 

「くっ…小細工を…!」

 

「俺たちは小細工で戦う探偵なんだよ。まだまだ行くぞ、弾幕だ音速チビ。俺たちがお前の速さに適応してやる」

 

 

《Luna/Trigger!!》

 

「そーかよ!俺のmessageは伝わったみたいだな!」

 

《Signal koukan!超・カクサーン!!》

 

ダブルが黄色と水色のhalf&halfに変わる。

俺もシグナル交換でカクサーンⅡを使い、同時に空に向けて無数の銃弾を放った。

 

「なっ…なかなかに美しい光景…!ジェラシーだ…ベホォっ!?痛ぁっ!」

 

芸術家としての性か、見惚れていたタワーに銃弾の雨が降り注ぐ。

 

サテライトの方はこれを予想していたのか、俺らが撃とうとした時点で浮遊し空に逃げている。

 

僅かに存在した弾幕の薄い部分をすり抜け、この場を脱して反撃に転じようとしてるんだろうが………

 

 

《超・トマーレ!!》

 

 

「なんだ…これは…!?貴様の仕業か異世界の仮面ライダー!」

 

「おっとLady、そこは通行止めだぜ!」

 

No worries if prepared.(備えあれば憂いなし)

 

カクサーンⅡの弾幕はあくまで誘導。

本命はこのトマーレⅡによる拘束だ。一時停止の標識型エネルギーがサテライトを空中で磔状態に。スピードさえ封じてしまえばこっちのもんだ!

 

《ゼンリン!》

 

「ちょこまかした動きも止まった!Chanceだ!これでも喰らえ…!」

 

《Heat/Joker!!》

 

「ぶっ飛べぇっ!!」

「おいちょ待て……!」

 

回り込んで背中から追撃…と行こうとしたら赤と黒になったダブルがサテライトに炎を纏った拳を叩きつける。

 

その姿がパワー系のフォームだったのか、その拳の衝撃でサテライトは吹っ飛ばされた。()()()

 

ギリギリ受け身取ってダメージは抑えられたが……

 

「おいコラ馬鹿探偵!お前何やって…いやわざとだろ!絶対わざとだ!お前初対面のアレ(ライダーキック事故)まだ根に持ってんだろ!?」

 

「持ってねぇ。避けなかったお前が悪ぃ」

 

「空中で避けれるか!smallな(器の小さい)ヤツめ……」

 

 

本当コイツマジで……けど、こうして戦ってみて分かる。アイツの戦闘センスは確かなモノだ。

 

2人分の思考能力に加えて、複数のガイアメモリを使っての多彩な戦術。

純粋なスペックとスピードで勝っている俺のソニックに匹敵する爆発的な力を発揮できている。

これなら行ける!よし!ならこっちは…

 

「俺が相手だエセ芸術家!お前も塔もここでぶっ壊し……あ?」

 

サテライトはダブルに任せ、タワーをさっさと倒そうと思いきや……いつの間にかタワーの姿が消えていた。

 

そして、消えたタワーがどこに行ったかというと────

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

俺っちがいるのは第五の塔の現レルと思う予測地点。そして横には倒れたまま起きないエイくん。

 

どうやらダブルへの変身はアラシサンの肉体にエイくんの魂がインして一心同体にナルことで変身するっていうなんか変わった仕組みらしい。さっき待ってる途中で聞いタ。

 

「本当に寝ちゃったよエイくん…にしても暇ダナ。俺っちが念押しの保険扱いってのはやっぱ納得いかないっていうカ……」

 

 

ぶっちゃけこのままだと俺っち出番無いんですケド……まあ何も起こらないのが一番なんだけどナ。

 

 

「ここは…何が起こったというのだ!」

 

 

 

分かりやすいフラグを立てたのが悪かったらしイ。

最悪だ…!依りによってなんデアイツが!?

 

「アイツ、タワー!?ってことはヤバイ!」

 

なんでカ知らねーケド、いきなり現れたのはタワー・ドーパント!おいおいハーさん達が抑えてるんじゃなかったのカヨ!?

 

しかも俺っちのすぐ後ろには塔の材料となりうる素材の積まれた山。

 

「…よく分からないが幸運!ワタシの作品、完成の時!出でよ第五の塔!」

 

「クッソ……待テ!!」

 

速攻変身して止めようとするも、ハーさん程のスピードがあるわけじゃ無い俺っちには止められなかった。

 

地中から生えるように、塔が天高く伸びていク。こうなっちまったら、俺っちにはどうしようもナイ。

 

これで5本目。

全ての塔が、揃っちまった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「What's!?何が起こったんだ!?あのエセ芸術家はどこに…」

 

『分かんない。でも…行き先は明らかだね』

 

「クソが冗談じゃねぇ…最悪だ…!」

 

 

タワー・ドーパントが消えたと思いきや、予測地点には気づけば最後の塔が立っていた。

 

あれだけ対策もして5本目は阻止できるはずだったのに…なんてこった…!

 

「…よくやったスーザ。そして我が僥倖に、感謝を。今ここに、エルバ様降臨の儀式を開始する!!」

 

サテライトが一気に飛び上がり、小型ビットや別の場所からは端末と思われる小さな衛星が飛んできた。

 

『アレは……憂鬱のアジトとかを見張ってた衛星か。つまりサテライトは別の場所に半身を置いてたも同然ってことね』

 

「マジかよ…てか、それを今になって集めるってことは…!」

 

塔による転移魔法陣自体は完成してしまった。だが、ひとつだけ問題が残っていた。

 

それは『どうやってエルバをこの世界に呼ぶか』なのだが…それについて、憐が少し前に言っていた事を思い出す。

 

 

「こうグルっと丸を書いテ、そこに星。これで異世界と来れば…なんか聞いたコト………あぁっ!思い出しタ!これ有名な都市伝説だぜハーさん!」

 

 

そう言って憐は、小さな紙に丸と六芒星、更に赤い文字で「飽きた」と書いた。

 

 

「…飽きた?なんだ永斗みたいなこと言いやがって」

 

「違うぜアラシサン!前にヨっちゃんあたりから聞いた気がすんだケド、こーやって紙に書いて寝ると、起きたら異世界の自分と入れ替わる…っていう都市伝説があるらしいんダ!」

 

「ほへー、それ多分そっちの時代で広まった都市伝説だね。僕の本棚には無かった。異世界にいるエルバが、なんらかの方法で部下に伝えたとかかな?」

 

「でも憐、それ形が違うぞ?六芒星と五芒星じゃ全然……」

 

それについては、永斗少年がすぐに地球の本棚で調べてくれた。

 

「その都市伝説を実行するにせよ、それは『入れ替わり』のための方法だよね。それじゃ駄目だからこそのアレンジなんだ」

 

「記号で何か変わるってのか?」

 

「六芒星の効力は『宇宙のパワーを集める』とされてる。でも今はグリモア・ドーパントと電力っていうエネルギー源があるからいらないんだ。対して五芒星の意味は『循環』、いかにもシステムにあつらえ向きじゃない?しかも逆五芒星になると…『穴』を意味するようになる」

 

「『穴』…俺たちを吸い込んだのも穴だ!つまり敵は六芒星を五芒星にして、都市伝説の魔術を作り替えた…!?そんなことできんのかよ!」

 

「魔術理論はよく知らないけど、グリモアならそういうシステムを構築できる可能性は高いね」

 

「それじゃ、この赤文字の『飽きた』ってのハ…?」

 

「それも頭柔軟にして解釈すると…」

 

『飽きた』ってのは、言うなれば一種の逃避願望。今の世界に対する絶望、言い換えれば

 

『憂鬱』

 

赤文字で『飽きた』。それらの要素を解釈して再構築すると、『赤』で逃避の『憂鬱』を描く。巨大魔法陣に描くのにうってつけの『憂鬱』の『赤』と言えば───

 

 

 

「『血』だ。アイツは今ここで、魔法陣範囲内の一般人を大量虐殺する気だ!」

 

『だよね…で、あの衛星ってわけ…!』

 

 

エネルギーを充電していた小型衛星が全て合体し、一つのレーザー砲を構築。

 

空高くにあるのに地上からでもハッキリと見える程の輝き。放たれるであろうその威力は明らかだった。

 

「永斗!ライトニングトリガーだ!あれなら射程も時間も間に合う!」

 

『無理!レーザー砲の周囲に別の衛星、あれは避雷針だ!中途半端な飛び道具じゃ吸われる!止めるなら直接行って叩かないと…!』

 

「クッソ……鳥がいれば…ブレイヴさえ使えれば余裕で間に合うのに…!」

 

メテオデッドヒートもあるが、飛行速度だとブレイヴには圧倒的に劣るため追いつく前に撃たれて終わる。

 

かといってこっからサテライトに辿り着くだけの突破力は今のところ無い。

 

黙ってみてればそれこそ大勢の人が死ぬ。

 

 

────仕方ないか。

 

 

「瞬樹くんに連絡だ!世界転移を制御するグリモアを今すぐ壊せば、作戦は続行不可能!そうなればサテライトも止まるかもしれない!」

 

 

フーディエが使っていたのは、瞬間移動を制御するノートパソコンのグリモア・ドーパント。

 

世界転移ほどの大魔法をコントロールするにはノートパソコンのスペックじゃ足りない、というのが永斗少年の推理だった。

 

つまりグリモアはもう一つある。

 

仮にグリモアⅡと名付けたそれだがそのベースは恐らくスーパーコンピューター。

国内にあるスーパーコンピューターの数など限られており、その場所を特定するのは容易だった。

 

そこで瞬樹くんをそのグリモアⅡの場所に配置した。最悪の事態に陥った際、グリモアⅡを破壊してエルバ帰還を阻止するために。

 

だがコイツはあくまで最終手段。

なにせ、グリモアⅡを破壊すれば今度こそ帰る手段が無くなっちまうからだ。

 

『隼斗さん…でも帰る方法が無くなるよ?本当にいいの?』

 

「ここでこの世界見捨てて帰って…そんなんで姉ちゃんたちに顔向けできるわけねえ!もうこれしかないんだ早くしろ!μ'sを守るんだろ!!」

 

確かに元の世界のことも大事だ。

父さんや母さん、Aqoursのみんなや博士……それに果南姉ちゃん。

 

あの世界には大切な人達が沢山いる。

けど、かと言ってこの世界を見捨てるのは違う。そんなのは、俺がなりたいヒーローじゃないから。

 

まぁ向こうには博士がいるしここで帰れようが帰れまいがなんとか──

 

 

「駄目だ」

 

 

なんてnegativeな考えをアイツは真っ向から拒否した。

 

「…何言ってんだバカ野郎!!ここはお前らの世界だろ!人が大勢死ぬんだぞ!そんなことになれば…μ'sの未来は絶対に終わる!!お前はそれを守るんじゃなかったのかよ!!」

 

「俺たちは探偵だ!依頼は絶対、依頼人のために最善を尽くすそれが俺たちだ!お前らを元の世界に速攻で帰す、探偵の誇りに懸けてそれだけは違えねぇ!!」

 

「そんなこと言ってる場合かよ!」

 

「お前と一緒だ。μ'sは守る!お前らも帰す!その両方を通すしか生きる道はねぇんだよ!」

 

 

こんな状況でそんな頑固に…

俺だってそうしたいよ、けどどうしろってんだよこの状況を!

 

あのレーザーが撃たれたらそれこそ────

 

 

「叫べ有象無象の虫けら共よ。貴様らの憂鬱を喰らい、我が主は舞い戻る!!」

 

 

 

そして、無情にもその光が放たれる────

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何処からか飛んできた『斬撃』がレーザー砲を斬り裂いた。

 

 

「なっ……!?」

 

 

「レーザーが…壊れやがった…!?」

『なにが…ラッキーだけど…えっ…!?』

 

 

突然の出来事に俺ら3人とも呆然とするばかり。だがあの斬撃、まさか……!

 

栃木のアジトに行った時、俺が目撃した無数の刀傷。恐らく、今の攻撃を放った『何か』と同一人物だ。それも、相当な手練れの。

 

 

「すげえ……!!」

 

それが何者かは知らないが…『強い』

そう感じさせたそれに、何故かとてつもなく惹かれた。

 

そしてそんな俺を引き戻すかのように、空から飛んできた何かが頭に激突。

 

「痛ぁっ!?…ってこの感じ……鳥!?」

 

『ー!ー!』

 

その正体は、俺達より先にあの穴に吸い込まれ、こちらの世界に転移してきたであろう俺の相棒。

 

サポートメカである擬似ロイミュードRF-01ブレイヴ・ファルコンだった!

 

 

「お前今まで何処行ってたんだ!?いや…無事でよかった!お前がいれば百人力だ!」

 

翼と拳を打ち合わせ、感動の再会を喜ぶ俺たち。それを遮るかのようにアラシが突っ込んできた。

 

「ペットと感動の再会やってる暇ねぇぞ馬鹿」

 

『いやでも凄いよアラシ。自律AI搭載の鳥型アンドロイド、霧香博士が作ったんでしょ。あの人やっぱ凄い』

 

「だろ!?でも驚くには早いぜ永斗少年!コイツはただのペットじゃねえ。正真正銘の『相棒』だ!

さぁ見せてやろうぜ、俺達の本気!」

 

『ーッ!!』

 

ブレイヴ・ファルコンの首下部分が開き、中から新たな青いシグナルバイク『シグナルブレイヴ』が射出される。

 

それを掴み取り、ドライバーからシグナルソニックを抜き、入れ替えて装填!

 

《Evolution!》

 

走り出した俺の姿が変化する。マフラーと肩のシグナコウリンが外れ、通常フォームとは異なる素体『スタンバイ・フェイズ』に。

 

そして飛び上がると同時にブレイヴ・ファルコンが蒼く輝く装甲へ分解、変形。俺に装着されていく。

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

「あれがアイツの全力か…!」

 

『僕らはまだ到達できてない領域…アツいね』

 

 

 

一気に加速し、大空へ。

駆けろ!飛べ!その背の翼を羽ばたかせ、

遥か彼方へ────!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「馬鹿な!私の衛星を誰が……!?いいや、そんな事はどうでもいい!我が主を世界が拒絶するというのならば!!こんな世界、私の手で真っ新に整地してくれる!」

 

 

「させるかよ!もうお前には何もさせねえ!」

 

 

堂々と言い放ち、サテライトの目の前へ。

俺の姿はさっきとは打って変わり、

鳥が翼を広げたような形のバイザーの頭部。

その背には天空を駆けるための翼と、腰には尾羽。鳥の脚部のような鋭利な足。

 

そして全身は爽やかな青からサファイアのように煌めく蒼色にColor change!!

 

 

「仮面ライダー…ソニック…っ!!」

 

「ようやく名前を覚えてくれたか!でも違うな。進化した俺の名前を、その胸によーく刻み込め!!」

 

『勇気』『勇敢』または『雄々しい』

その名を持った真の姿。

 

これが俺の最強形態!!

 

「勇気と奇跡がもたらす翼!望む未来を拓く為、オレの正義を貫き通す!仮面ライダー…ブレイヴソニック!!」

 

勇気はこの胸に、本気の力で未来をこの手に!最強、最速!ブレイヴソニック!!

今ここに復活!

さぁ、ここからが本番だぜ!!

 

 

「翼を得たぐらいで…今更何ができる!!」

 

新たに展開された小型ビットに、端末衛星。360度、文字通りの全方位に展開された無数の衛星。

そこから一斉に放たれたレーザーが俺を射抜かんと撃ち出された。

 

回避不可能のレーザーは撃ち込まれた俺を蜂の巣にする────

 

 

ことは無く。

 

「っ!?消えた……」

 

 

 

既に、そこに俺の姿は無い。

俺は……

 

「こっちだ!」

 

「っ!?背……ッ」

 

「遅えんだよ!」

 

高速で打ち込まれた拳がサテライトを大きく吹き飛ばす。

 

 

ちなみにどうやって今の攻撃を回避したかというと、

 

 

あの撃ち込まれる直前にレーザーの範囲、射線、密度を目視とブレイヴ・ファルコンのAIを利用して予測。

背の翼『アクセラーウイング』にエネルギーを集中させて一気に加速し、隙間を縫いサテライトの死角に潜り込む。

 

 

そして無防備な背後から拳を叩き込んだ…という感じだ。

 

この姿、ブレイヴソニックは通常フォームのソニックの完全上位互換となる最強の姿。

ブレイヴ・ファルコンとの合体変身により、自慢の攻撃力とスピードが飛躍的に上昇。

 

そこらの相手にまず後れはとらねえ!!

 

加速して急接近。

殴る、蹴る!蹴る!蹴って蹴って蹴って……

 

 

「ぶん殴るッ!!」

 

強力な風を纏った拳がサテライトを吹っ飛ばす。その鋼鉄の体がひび割れ、破片が落ちていく。

 

「速い…!さっきの数倍…否、それを遥かに上回る…なんなんだお前は!!」

 

再び撃たれるレーザーの雨。

けど、もう逃げ回るのは終わりだ!

 

「煌風!」

 

腰に差していた専用武器『天下零剣 煌風』を抜刀。正面からレーザーを叩き切り、一気にサテライトの目前に。

 

「ハァッ!」

 

そのまま一閃。

サテライトの鉄のボディに刻まれる傷。

 

「ガァっ!」

 

「喰らえ!」

 

《ゼンリン!シューター!》

 

更に、呼び出したゼンリンシューターBSによる弾丸の追撃。怯んだ所を殴りつける。

そして煌風でぶった斬る!

隙を作ればまたあの巨大レーザーを撃たれる危険性がある。

 

風孔突(かざあなづき)!」

 

 

加速して繰り出した煌風の一突きがサテライトを貫く。アレをまた撃たせる前に潰す!

今ならそれができる!!

 

 

「何故だ…貴様如きにィィ!!!」

 

サテライトが小型ビットを呼び戻し、自身の両腕に合体させる。レーザーの形状が変化し、まるでビームサーベルのような武器となった。

 

背中のブースターを点火し、こちらに向かって突っ込んでくる。

 

「スピード勝負か面白え!来やがれ!リジェネレイトブラッシャー!!」

 

《カナリ!Brave!!》

 

こちらもシフトアップして更に加速。

そして銃剣一体型のもうひとつの武器、『リジェネレイトブラッシャー』を呼び出しブラスターブレードモードで左手に。

煌風と合わせて二刀流!!

 

ビームサーベルによる攻撃を2本の剣で受け止め、弾く。そのまま更に上へと飛び、第5の塔の方面へ。空中で光の軌跡を描きながら互いの刃がぶつかり合う。

 

 

「(オーバーブレイクを使えばこの拮抗状態の突破は容易い、けど……)」

 

アレを使うにはリスクが大きい。

あのトルネード戦後にぶっ倒れての入院中、霧香博士から聞いた話をふと思い出した。

 

 

「いいかい隼斗、オーバーブレイクモードは確かに強力な力だ。ただそれだけに君に対する負担がかなり大きい。

君の体力などを考えると、負荷を最小限に抑えて安全に使える時間は…まぁ、せいぜい15秒が限界って所だな」

 

「そんな短えのかよ!」

 

「君の安全面を考えてだ。システムロックをかけようにも鳥側が拒否するから、開発者としての妥協点がソコなんだよ」

 

「妥協、ね……」

 

「だから安易な発動は今後固く禁ずる。それこそ超進化態レベルの相手で、私が発動を許可した時だけにしろと言っておく」

 

「そんなの絶対使うなって言ってるようなもんじゃねえか…あんな強い力を使うなって…!?」

 

そう言った途端、博士は俺の頭を鷲掴みにし力を入れてててて!!

 

「何すんだよ!」

 

博士は手を離すと両手を白衣のポケットに突っ込んだ。

 

「言っただろ、私は君に死なれては困るって。それにだ、そもそも君ならあんなのに頼らずともどんな敵も倒せる。そんな可能性を君は秘めている。信じられないだろうけどな?

これでも私は、君に期待してるんだぜ?」

 

「俺に……?」

 

博士が椅子から立ち上がり窓を開けると、風が入り込んでくる。もう冬も近いはずだが、それ程寒くはない、爽やかな風が。

振り向いた博士はその長い髪をなびかせ、

笑いながら答えた。

 

「ああ!……私は、信じているからな。

君ならなれるさ。君が望む────

 

 

()()()()()()()に!」

 

 

 

 

なんて言ってたっけ。

俺ならなれる、か────

 

 

「なってやるよ!望み通り!!」

 

接近してきたサテライトを蹴り飛ばして距離を取り、ブラスターガンモードに変形させたリジェネレイトブラッシャーのエネルギー弾がサテライトを撃ち抜く。

 

 

「がああっ!」

 

 

「だから、こんな所で躓いてる訳にはいかねぇんだ!!」

 

 

煌風とリジェネレイトブラッシャー、2本の刃による攻撃。咄嗟に両手のビームサーベルでガードしようとするも、その光刃は呆気なくへし折られ、追撃の刃が叩き込まれた。

 

全身をボロボロにし、スパークを散らしながらもなお飛行状態を保つサテライト。

幹部クラスは伊達じゃねぇってことか……

 

 

「ッ…!何故だ…何故抗う仮面ライダーソニック!我らが主の意志に叛いてまで!何故そこまで愚かしくも戦うのだ!!!」

 

 

「うっせえバカ!!!」

 

あーだこーだと本当うるせえ!

答えるのも面倒だからと、煌風の刃を叩き込みサテライトを黙らせる。

 

 

「バ………!?」

 

 

「お前のボスの意志だかなんだか知らねえけど……俺の大切なものを脅かす奴がいるってんなら、例え異世界の敵だろうがなんだろうがぶっ倒す!理由なんてそれだけだ!!」

 

 

煌風の刃を向けながらそう言い放ち、2本の刃を一気に叩き込む。

 

そうだ。それが天城隼斗(この俺)だ。

 

世界を守る?人類の平和のために戦う?

そんな大層な理由じゃない。

俺には大切な人がいる。その人達の日常を、その人たちの未来を守りたいから────!

 

 

「だから戦うんだ!守りたいもののために!!」

 

 

「貴様ァァァ!!!」

 

 

怒り狂ったサテライトが先程のビームサーベルを展開、こちらに突貫して来た。

 

 

恐らく接近してビームサーベルでの攻撃……と見せかけてゼロ距離最大威力でレーザーを撃ち込む…なんて考えてるんだろ。

 

動き自体は単調だから避けるのは容易い…が、その時ふと足元から何かが迫ってくるのを感じた。

 

咄嗟にその場から飛び退くと、迫ってきたのは稲妻と斬撃を伴う竜巻。

 

まるで天を舞う竜のようなそれがサテライトを飲み込み、その翼を噛み砕いた。

 

「今のは…!?」

 

下を覗くと、そこには何故か巨大化しているタワー・ドーパント。(しかも胴体に大穴の空いた)と白と青のhalf&halfで鋭利な見た目をしたダブルの姿が。

どうやらあいつらが放ったものらしい。

 

サテライトが、ダブルが落下していく。

だが、落下していくダブルはまるで慌てる様子がない。

まるで俺を信じて「後は任せた」とでも言っているようで…

 

あぁ、やっぱりそうなのか。

俺も、お前らも…同じだった。

 

守るべきもののためにその力を使う。

自分のやり方で、仲間達のために戦う。

 

だから────!!

 

 

『決めろ、()()!』

 

「───あぁ、任せろ()()()!」

 

 

2本の剣をその手に構え、煌風にはシグナルソニックを、リジェネレイトブラッシャーにはドライバーから抜き取ったシグナルブレイヴとシグナルカクサーンⅡを装填!

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!カクサーン!!》

 

「見せてやる!これが俺の新必殺技!」

 

あの時の殺し屋戦以来、特訓し続けてきた技がある。

 

煌風とリジェネレイトブラッシャー。

2本の剣を使い、最短で、最速で、最大威力で、最多の斬撃を叩き込む。

 

それがこの────!

 

「隼斗流剣技、二刀流ッ!!」

 

一気に加速し、落下するサテライトに喰らい付く。複眼に宿る鋭い光が線を描く。

 

それは正に、鬼の眼光。

 

「ハァァァァァッ!!」

 

 

そして、すれ違いざまに青い光を纏った2本の刃でありったけの斬撃をサテライトに叩き込んだ!!

 

 

「っ…!今…何が」

 

 

打ち込まれたサテライトはなんともないようだったが、煌風を納刀しシグナルバイク達が排出された途端

 

「────飛夜叉(とびやしゃ)

 

 

無数の斬撃が、遅れてサテライトの鋼鉄の体を斬り裂いた。

 

 

「エルバ……様────!!」

 

 

叩き込まれた無数の斬撃に耐えきれず、サテライトは爆散した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「──よっとっ!!」

 

《オツカーレ!》

 

サテライトを撃破した俺は飛び降りても問題のない高さまで降り、シグナルブレイヴを抜き取って変身を解除。

 

 

空中で変身解除した事によりスーツが消え、余剰エネルギーは青い羽根となって排出されブレイヴ・ファルコンも元に戻る。

 

そして、羽根が舞い散る中カッコよく着地。

決まった……!

 

 

「永斗少年!アラシ!」

 

「おー隼斗さん、お疲れ」

 

「おいハーさん、なんダヨあの技!」

「あぁカッコよかった!二刀流でズバズバズバって!侍だ!」

 

「だろ?Coolだろ!?飛夜叉って言ってな……アレの完成には苦労したぜ…っと、それよりも…アラシ!」

 

右手を挙げ、アラシにもそうするよう首を向けて促す。やや戸惑った様子を見せながらも2人でハイタッチをした。

 

「やるじゃねぇか」

 

「そっちこそな。大した探偵だぜ」

 

交わしたのはただの二言だが、構わない。

俺も、ようやくコイツのことが分かった気がするからな。

 

「で、隼斗さん。サテライトの変身者は?こっちのタワーの方はご覧の通りだけど」

 

「それがだな永斗少年…いないんだ。空からも地上からも探したが全く見つからなかった」

 

そう、飛夜叉で撃破した時爆煙の中からアイツは見つからなかった。

空中で撃破したから逃げ場は無かったはず。落下してるならまず見逃さない筈だし…

 

「物探しはチビの専売特許だろ。しっかりしろ」

「なんだコラやんのか?」

 

「アンタら仲良くなったんじゃなかったのカヨ…」

 

ま、別に後でゆっくり探しても大丈夫だろ。

タワーがぶっ倒されたことで奴が建てた塔も崩壊を始めている。後は帰る方法を探せばめでたしめでたし────

 

 

なんて思っていたのは、少々甘過ぎたらしい。

 

 

「……オイ!なんだアレ!?」

 

 

憐が指差す方向を向く。

 

なんと突如崩壊し始めていたはずの塔が輝き出し、5本の塔から光が伸びていた。

 

 

その光によって、五芒星の紋章が空中に描き出されている。あれが世界を繋ぐゲートってやつか……!いやそれよりもだ!

 

「…どうなってんだ!サテライトもタワーも倒したはずだろ!」

 

「落ち着け隼斗。システム起動条件にサテライトもタワーも関係ねぇ、条件は……赤文字で『飽きた』、つまり『憂鬱』の……!」

 

 

 

「──── Shit(しまった!)!」

 

 

その可能性は考えてなかった……!

まさかあの女、自分の命と引き換えに…!!

 

 

「なるほど。確かに条件達成のための生贄って、一般人限定って縛りがある訳じゃ無かったからね。裏技ってのは盲点だったよ」

 

「冷静に分析してる場合か。んで、どうすんだよアレ、情報通りならあの先に隼斗達の世界があるんだろ?」

 

「!そうか、ならもういっぺんブレイヴに変身してあのゲートを通れば……」

 

そう思いブレイヴ・ファルコンを呼び寄せるが永斗少年がそれを遮り話し始めた。

 

「あー、それなんだけど…まだ帰れないよ、隼斗さん」

 

「なんでだよ!?アレが俺達の世界への帰り道なんだろ?それなら……」

 

「確かにあれは異世界のゲートだけど…正確に言えばまだ『未開通』なんだよね」

 

「未開通?」

 

「そ。起動自体はしてしまってるけど、まだ穴が空いてる訳じゃない」

 

「だったラこのまま起動前に戻しテ……」

 

「そしたら帰る方法今度こそ無くなるぞ」

 

「かと言ってこのまま空けたらそれこそエルバが戻ってきて帰るどころじゃすまねぇだろ。どうするんだ永斗少年?」

 

「まー任せなさいって。僕に考えがある、とりま一旦グリモアⅡの所に行くよ」

 

 

 

そんな訳で永斗少年案内のもとバイクを走らせ、グリモアⅡのある場所までやってきた俺達。そこにあるサーバールームにグリモアⅡはあるらしい。

 

 

 

「調べた通りならここに……あった」

 

大きな扉を開けると、そこには巨大なスーパーコンピューターがあった。

ただし、グリモアの影響かその見た目が少し変化しており、あちらのグリモアが魔法の本ならばこのグリモアⅡは蔓のようなものが絡み付いた魔法の本棚とでも言うかのような少し神秘的な見た目になっていた。

 

「これがグリモアⅡか……」

 

「んで、どーすんのエイくん?」

 

「これでこちらから開くゲートの位置を変える。そうすれば、2つの世界を繋ぐゲートは少なくともトンネルでは無くなり…少なくともエルバがこのまま来る…なんで事態は最低限防げる筈だよ」

 

「なるほど、流石永斗少年」

 

 

「だが、そのゲートの位置ってのは何処にするんだ?」

 

「うーんそうだね……あの魔法陣から最も遠くて…かつ効果範囲圏内で最適な場所となると……………」

 

そう言いながらコンピューターを操作する永斗少年。しかし…中心部から最も遠くて、効果の範囲内でなおかつ最適な場所なんてそんな都合のいい場所ってそうそう……

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「ここだと」

 

「うん」

 

あったわ。意外とあっさり見つかった。

バイクを使って行って帰って、やってきたのは音ノ木坂学院の屋上。

 

 

 

「しかし、マタ戻ってくる事になっちまうとは……」

 

「と言っても一時的にだけどな。これから帰るんだ、ちっとばかし名残惜しいがな…」

 

 

「2人とも、忘れ物ない?多分一回帰ったらもう戻ってくることはできないからね」

 

「ってか2度と来るな。こんなこと一度で充分だ」

 

「ねぇよ。そもそもバイクやらドライバーやら以外はこっち来る時持ってなかったからな」

 

 

「俺っちも同じく。特に忘れモノ…は……」

 

 

 

その時、憐が「あっ」という声と共に何かを思い出した。

 

 

「あああああっ!!」

 

 

「うっせ!どうしたんだよ憐!?」

 

「ハーさん!俺っち、いや俺っち『達』重要な忘れ物してル!!」

 

 

「忘れ物?んなもんねぇだろ。ドライバー、武器装備、バイク…は瞬樹くんがあのバイク…ライバーンだっけか。アレで吊り上げてくれるって言ってたし、鳥もいるしそれ以外には何も……」

 

 

「μ'sの!サイン!!俺っち達の世界ジャとっくに解散して会えないケド、この世界じゃ現役ダロ!?持って帰ったらゼッテーみんな喜ぶッテ!」

 

「俺達もな」

 

「イェア!!」

 

清々しい笑顔でサムズアップする憐。

そうか!確かに大変な忘れ物だ!!あっぶねえ忘れる所だった!よくやった憐!!

 

 

「なんだよ、手伝いしてた時に貰ったんじゃねぇのかよ」

 

「思いの外忙しくてとても頼める状況じゃなかったんだよ察しろ鈍チン探偵」

 

「誰が鈍いって!?」

 

「俺らがμ'sの誰かの家泊まるってなった時にロクに反応しなかったアレの何処が鈍いってんだ!」

 

「んだと!大体あの程度の攻撃も避けられないお前の方が鈍いんじゃねぇのか!?」

 

「アレはお前がワザとやったんだろ!分かってんだよこっちは!!」

 

 

「なんで最後まで喧嘩してんのこの2人は…」

 

 

「まぁ心の底デは通じ合ってルみてーだし…いいんじゃナイ?どの道この戦いが終わったらお別れなんダ」

 

「じゃあやらせとこうか、面倒くさいし」

「オウ」

 

「あ、でも憐くん。μ'sのサインがどうとか言ってたけど、ぶっちゃけもう時間無いよ。いくらなんでも今からは無理」

 

「嘘ダロ!?マジで?もう無理!?そんなああぁぁぁ……千載一遇のチャンスだったノニ…あー、今からμ'sがここに来てくれればナ……」

 

そうしてそれぞれが話していると、突如ドアの開く音がした。

 

「呼んだ?」

 

 

振り返ると、そこには穂乃果さんが。

いや、穂乃果さんどころかμ'sが全員集合していた。瓢箪から駒とはまさにこの事だ。

 

「うおおおおおおっ!?スゲー!!神サマ仏サマ!サンキュー!」

「Miracle!奇跡だ!奇跡が起こった!」

 

「ほのちゃんたち…なんでここに?」

「そうだ、なんで来やがった。寝てろ」

 

「瞬樹君のバイクが学校のところで浮かんでたから、ここにいるんだろうなーって。ちょっと聞きたい事あったから来ちゃった!」

 

「そもそも巨大なドーパントが暴れていたのだから気にもなります。どうして永斗もアラシも連絡に応じないのですか!」

 

「海未ちゃん…いやー全部終わってから説明しようと…」

 

「シュバルツ…!お前マジでナイス!」

 

「…ん?ま、まぁ礼には及ばんぞ黒騎士!」

 

「そう!瞬樹君!瞬樹君に聞きたいの!」

 

 

「憐!今のうちに!」

「オーライハーさん!!」

 

何やら瞬樹くんの方に話があるらしいので、とりあえず俺らは今のうちにμ'sのみなさんにサインを貰っておく。

いやぁ…言ってみるもんだなマジで。

 

「真姫さんサインお願いしマス!この色紙のこの辺に…」

 

「サ…サイン…?なんで私がそんな…え、ちょっとどうすればいいのよ!」

 

「じゃあ希さん!俺にもサインを!」

 

「おーウチからとはお目が高いね!」

「はぁ!?普通私からに決まってんでしょ!ちょっと貸しなさい希!ど真ん中におっきく書かないで!にこにースペースが無くなるじゃない!」

 

「ニコさんspaceはまだまだありますから、どうか落ち着いて……」

 

サインを貰いながら穂乃果さんと瞬樹くんの方の話に耳を傾けていると、聞こえてきたのは恐れていた内容だった。

 

 

「瞬樹君って…妹いるよね!?」

 

 

「…!?まぁいるが、な、なぜそれを……!」

 

「おい待て穂乃果。何の話をするつもりだ」

 

「隼斗君と憐君がうちに泊まって、色々お話聞いたんだ。静岡のスクールアイドル、Aqoursのこと。でも花陽ちゃんもにこちゃんもそんなアイドル知らないって。それでその中に子の一人が、瞬樹君に似てた気がして……」

 

 

っべ……やっぱり喋り過ぎたか!?

でも話した内容はほんの僅か、しかも時系列については完全に伏せてたはず……!

 

「それでクロに聞いたんだ。そしたら瞬樹君に妹はいるけど、その子はまだ小学生だって。写真も見せてもらったけどやっぱり同じ人だった。だから……

 

 

 

 

 

ズバリ、隼斗君たちは未来から来た!だよね!?」

 

 

……Really(マジ)

確かにその兄妹の繋がりがあったとはいえ、あのとき一目見たぐらいでそこまで辿り着いたのか?

 

別世界から、という点までは言及されなかったがそれを省いても正解だ。

 

さすがはμ'sのリーダー………

 

「…あぁ、隼斗と憐は未来から来た仮面ライダーだ」

 

「おいアラシ!仮面ライダーのことまでは…!」

 

「もういいだろ。別にコイツらに隠してもしょうがないことだ」

 

…ああそうか、この人達もダブルやエデンについて知ってるんだっけ。

そらそうか。それに俺達も別に正体隠してるって訳じゃないし…結果的にバラしてたから気にはしてなかったけど。

 

「やっぱり!じゃあAqoursは未来のスクールアイドルなんだ…!でも酷いよアラシ君!なんでそんな凄いこと言ってくれなかったの!知ってたら未来のアイドルのこととかもっと聞けたのにー!」

 

「別に隠してたわけじゃねぇ、次のライブに集中して欲しかっただけだ」

 

「あと…すんません穂乃果さん、Aqoursのこと話したいのは山々なんですけど、俺らもう帰らなきゃいけなくて……あっちで倒さなきゃいけないヤツいるんです。あ、最後にサインだけ」

 

ちょっと不満げな穂乃果さん。本当マジでごめんなさい……せっかくなら個人的に撮ったライブとかの動画データだけでも渡せるか?とも思ったけど……どうやら時間のようだ。

 

両手を広げたくらいの大きさの穴が開いた。

アレが俺達の元の世界へのゲート……

 

「さて、お別れだね」

 

「あぁ…こっちの世界に来てビックリしたけど、今となっちゃ来てよかったって思うよ」

 

「まさか過去の世界でμ'sに会えるなんてナ!ホントにラッキー!」

 

「ちょっと待ちなさい!その口ぶり、まるで未来でμ'sが有名みたいじゃない!未来でどうなってるの!?私はもちろんトップアイドルよね!!?」

 

「うるせぇ空気読め馬鹿にこ」

 

「そうよ。未来のことを聞くのは反則だと思うけど?」

「絵里は頭が固いのよ!」

 

絵里さんの言う通りだ。

俺としてもAqoursの話を聞かせてあげたいのは山々だが、未来のことを話し過ぎてこの世界のAqoursに影響が出たら申し訳ない。

 

「μ'sの皆さん、今回は本当にありがとうございました!あんま多くは言えないですけど…最後にこれだけ言わせてください。

 

 

あなた達の作る物語は…いつか誰かにとっての輝きになる、そんな素晴らしさを秘めてるんです!俺が、俺たちが保証します!だからこれからも……頑張ってください!!」

 

「俺っちも、仲間たちの誰もが夢中になっちまうスーパーアイドル…それがアンタ達なんだゼ!もう会えないかもだケド…この2日間を俺っちは忘れナイ!!」

 

俺達はそれぞれ激励と別れの言葉を言い終えると、鳥と共に瞬樹くんが引き上げてくれたバイクの方へと向かう。

 

「二人ともなんで見てるの?」

 

「…あぁそうだな穂乃果。見てたって仕方ねぇな」

 

「…?穂乃果さんとアラシ、何言って…」

 

?マークが頭に浮かぶ俺達の隣にアラシが並び立つ。永斗少年がそれを見て頭を抱えているが、まさか……

 

 

「俺たちもお前らの時代に行く」

 

 

 

「「はあぁぁっ!!?」」

 

 

「だよね!アラシ君見てて絶対そうするって思ってたんだ!やっつけたい人がいるなら、一緒に戦ったほうがいいもん!ね?」

 

「そう言う事だ」

 

「いやいやそう言う事じゃねぇよ!依頼はこれで終わりだろ!?なんでお前らが来なきゃいけないんだよ!帰る方法無いって言ってただろ!」

 

「うん僕もそう思う。やめとこ。ね、アラシ」

 

永斗少年に関しては絶対面倒くさがってるだけなんだろうが肯定せざるを得ない。

こっちの世界から元の世界へは今のゲートで戻れるが、あくまでそれは一方通行。

 

俺達が元の世界へ戻れて、仮について来たとしても帰る方法が見つかるとは限らない。

エルバは俺達でなんとかするしか……

 

「エルバは俺達の世界の荷物だからな。そいつを放置した結果、勝手に死なれると探偵の名折れだ。帰る方法は…まぁなんとかなるだろ。その時考える」

 

「んな適当な…」

 

「そのなんとかのために働くの僕なんですけど。エルバって滅茶苦茶強いんですけど。なんでわざわざ自分から頭突っ込みに行かなきゃなんないのさ……」

 

「もー!ウダウダうるさいにゃ!永斗くんも男らしく行った行った!」

 

「えぇ……」

 

 

永斗少年も凛さんに押され、ゲートの前まで来てしまう。

 

俺としてはμ'sの皆さんを守るのに集中してほしい。だがそれは向こうも同じだ。

アラシのやつは一探偵として、依頼人としての俺達にどうあっても最後まで付き合うつもりらしい。

 

「貸しっぱなしで逃がさねぇよ。大人しく返させろ」

 

「割に合わねぇって話だ!それに、帰れるかどうかもわからない、エルバは強い。お前らがどうなるか……」

 

「そうだな、そういえば報酬もまだ貰ってねぇしな。

 

……じゃあ塩プリンだ」

 

「は?」

 

「報酬はお前の言ってた塩プリンでいい。美味いんだろ?マズかったら殺す」

 

「はっ…!よく覚えてたなそんなの!なんだよアラシ、お前スイーツ好きなのかよ!」

 

「悪ぃか?」

 

…どうあっても曲げねえつもりか。

────なら仕方ねえか!!

 

「いいや、スイーツ好きに悪いヤツはいねえ!そうだな…俺もお前と話し足りないって思ってたとこだ。わかったよ!報酬も善処してやる、帰る方法は…まあ博士がいるしなんとかなるだろ!多分!!」

 

「多分なんだ……」

 

永斗少年がマジか…という顔をしている。

まあ補償はできねえけどさ…博士ならなんとかしてくれるだろ、あの人一応天才だし。

 

 

「だから来い!一緒に戦うぞアラシ!」

 

もう一度、手を伸ばす。

今度は衝突からではなく、巡り合った戦友として。

 

互いに手を握り、そこに憐と永斗少年も続いて寄ってきて手を重ねる。

 

「待て待て!俺を置いていくな!騎士道的にここで友を見捨てることはできん!」

 

瞬樹くんも来るようだ。

まぁ、戦力は多いに越したことはないしな。

それに妹のことも気になるんだろう。

 

よし!All the actors(役者は揃った)!!

 

アラシ、永斗少年は2人でハードボイルダー

瞬樹くんはライバーン、俺はライドソニック

そして憐はライドスレイヤー。

 

それぞれのバイクに乗り、エンジンをかける。スロットルを捻り、それぞれのマシンが音を立てて発進準備。今度は鳥もしっかりと俺の横に着く。

 

「────行くぞ!!」

 

 

「ファイトだよっ!仮面ライダー!」

 

 

最後に聴こえた穂乃果さんの激励の声。

それを耳に残し、俺達は元の世界へのゲートに飛び込んだ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「よっ!」

 

「ホッ!」

 

「っ!」

 

「フッ!」

 

『ーッ!』

 

ゲートを抜けると、そこは道路のど真ん中。

スマホで確認したが、浦の星からは少し離れた場所だった。

 

「よーし!I'm home 我が故郷!」

 

「ここが未来の世界か…未来、つってもクソ田舎ってこんな感じなんだな」

 

 

「正確には『別世界』の未来だけどね」

 

「未来世界…別世界の未来の我が故郷……」

 

向こうの世界の3人組は周りをキョロキョロと見渡していた。つってもこの辺何もねえぞ?まぁとりあえず……

 

「ようこそ、3人とも。ここが我が故郷静岡県内浦の……」

 

「あー、隼斗さん?言いたそうにしてる所悪いけど……なんか静か過ぎない?」

 

「田舎だし当たり前だろ、秋葉原とこっちとじゃ言いたかないが天地の差があるわ。が…否定はできないな。普段はまだ住民の人達の話し声が聞こえてきてもいいはず……」

 

 

「っ!おい、アレを見ろ!人がいるぞ!」

 

突然瞬樹くんがこちらに呼びかけてきた。人?そんなのいて当然……だが、指差す方に目を向けるとそこには不自然かつ奇妙な光景が広がっていた。

 

人はいた。普通にいるのだ。

 

 

────()()()()()()()()()という点を除けば。

 

 

「っ!?どうなってやがる!」

 

「人が止まっテ……それにこの空気…ハーさん!」

 

「まさか、重加速…!?」

 

永斗少年が驚いている。

そうか、106と戦ったし本棚で検索したんだから知っているか。

 

「いや、だとしてもグローバルフリーズ級じゃない限り『完全停止』なんてのはあり得ねえんだ!」

 

「グローバルフリーズ?」

 

「かつてこっちの世界で起こった、世界中で重加速が起こったっていう大事件。ってかそんなこと今はどうでもいいんだ!」

 

「ああ、ロイミュードじゃねぇってんなら…この現象を起こしてる奴なんて1人しかいねぇだろ。

 

そうだろ?『憂鬱』さんよぉ!!」

 

 

アラシがそう叫ぶ。

すると、何処からともなく奴は現れた。

 

 

「おや、まさか俺を知るものがまだいたとはね…意外だったよ」

 

 

 

腕や袖に縫い跡が刻まれた青年。

 

ディストピア・ドーパントの変身者である『憂鬱』エルバ本人が、そこに立っていた。

 

「エルバ…!マジかよ早速お出ましか!」

 

「あっちの世界で名前を知ったのか。まぁだが、帰って来るとは思っていたよ。あの程度の障壁など超えると分かっていた、だからこうしてここで待っていた」

 

「あの程度、か…敵に同情はしねぇが、あのカンフー女は気の毒だな」

 

「結果、全ては俺の思う通りになった。全てが俺の想像の域を出ない。あぁ…やはり驚きも無い、感動も無い、この世界はモノクロ…本当に笑えない」

 

そうつまらなそうな表情で憂うエルバ。

見れば周りの人々はただ止まっているだけではない。

苦しんでいる表情…全部コイツが…!!

 

「俺はポエムが嫌いなんだ、分かりにくくて仕方ねぇ。文句があるなら聞いてやるよ、拳でな」

 

「…はっ、やる気みたいだなアラシ。だったら俺も最初からFull speedだ!今の俺達は、俄然負ける気がしないんでね!!」

 

「そうだな。御託ばかりじゃいつまで経っても笑えない。

そろそろ楽しませてもらおうか、仮面ライダー」

 

我欲の為に世界を覆う憂鬱の暗雲。

あの時こそ手が届かなかったが…今の俺たちには頼もしい戦友がいる。

負ける気なんてNot at all!

 

さぁ…終わらせるぞ、この戦いを!!

 

 

次回に続く!

 




ブレイヴソニック、復活!幹部撃破!

そして隼斗・憐はついに帰還!
再び立ちはだかる『憂鬱』のエルバ、5人は勝つことができるのか!?

同時に投稿されてる146さんサイドでは、ブレイヴ・ファルコンがどうなっていたのか、謎の斬撃を放った人物についても描かれてますのでそちらも下のリンクからお楽しみください。

https://syosetu.org/novel/96993/68.html

それでは次回もお楽しみに!
感想・評価お待ちしてますマジで。


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ラブダブルコラボ編 第6話 Dの襲来/憂鬱ナル絶望郷

コラボ編も終盤に突入(多分)!
アラシ達3人と共についに元の世界への帰還を果たした隼斗と憐。

残すはラスボスエルバのみ、果たして彼らは勝利することができるのか!?


これまでのサンシャインサーガ !

 

謎の斬撃による一般人大量殺害の阻止、

そしてようやく戻ってきたブレイヴ・ファルコンによりブレイヴソニックの力を取り戻し憂鬱幹部達を撃破した隼斗達。

そして永斗の機転によりエルバを帰還させることなくついに元の世界へ戻ってこられた。

 

だが帰ってきた彼らを待っていたのは重加速が起こっている訳でも無いのに停止した人々と、彼らを異世界へ飛ばした元凶『憂鬱』のエルバだった────

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「俺はポエムが嫌いなんだ、分かりにくくて仕方ねぇ。文句があるなら聞いてやるよ、拳でな」

 

「…はっ、やる気みたいだなアラシ。だったら俺も最初からFull speedだ!今の俺達は、俄然負ける気がしないんでね!!」

 

「そうだな。御託ばかりじゃいつまで経っても笑えない。

そろそろ楽しませてもらおうか、仮面ライダー」

 

 

《Dystopia!》

 

 

中心に窪みのついたベルト…『ガイアドライバー』と言うらしいそれを装着し、エルバがメモリを挿す。

 

忘れるはずもない、手も足も出なかった黒鎧のドーパント『ディストピア』。

あの時は俺達2人だけだったが、今は違う。

 

隣には戦友達がいる。

今の俺たちならきっと────!

 

「初手から全力だ!行くぞみんな!!」

 

「オウよ!」

 

「覚悟しやがれ憂鬱野郎、とっとと片付けてアイツらの所に帰らせてもらう!」

 

「ステージ移動したらいきなりラスボスとかちょっと笑えないんだけど…ま、それもそうだね」

 

「貴様はここで俺が裁く!」

 

俺はシグナルブレイヴ、憐はシフトデッドヒートメテオ、アラシ、永斗少年はそれぞれジョーカーメモリとサイクロンメモリを、瞬樹くんはドラゴンメモリをそれぞれのドライバーをセットし構えた。

 

《Evolution!》

 

《SignalBike/Shift Car!》

 

《Cyclone!》

 

《Joker!》

 

《Dragon!》

 

 

「Ready────!」

 

 

「「「「「変身(Hensin)!!」」」」」

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

《Rider!Dead Heat!Meteor!!》

 

《Cyclone/Joker!!》

 

《Dragon!!》

 

 

 

とりあえず俺らは最初にやり合った時に実力をある程度把握しているので初手ブレイヴ&メテオデッドヒート。

 

ダブルは緑と黒のサイクロンジョーカーに、エデンも初期フォームへと変身した。

 

この両者にも強化フォームはあるらしいが、敵の全貌が分からない今、初手から軽率には使えないという事だろう。

 

 

「来るがいい」

 

 

「名乗り省略!まずは俺だ!!」

 

「あ、おい待て隼斗!!」

 

下手に出方を伺っていればまたあの(空間を斬り裂く)技を撃ってくる可能性が大いにある。アレを撃たせる前にケリをつければ行けるはずだ!!

 

煌風とリジェネレイトブラッシャーの二刀流を構え一気に加速しディストピアの懐へ。

 

「っラァっ!」

 

煌風を振り抜き、胴へ一閃。

ブラッシャーと煌風でもう二撃。

 

ディストピアも剣を取り出すが、ガードは間に合わずその身に刃を受けてしまう。

 

「…ほう」

 

「まだまだ!」

 

続けて左手のリジェネレイトブラッシャーを振り抜くが、これはディストピアの持つ剣で受け止められた。

 

このままだとカウンター攻撃を貰って俺は大ダメージ…だっただろう。

 

だがそれは1()()()()の話だ。

 

 

「余所見すんな憂鬱野郎!」

 

そこから離れることなく剣で剣を抑えていると、ダブルがディストピアの死角から上段蹴りを繰り出す。

 

「先走りがちな馬鹿の扱いなんて、ここんとこ日常茶飯事なんだよ!おら行けバカ二号!」

 

「竜騎士だ!」

 

 

続けてエデンが自身の得物である槍を剣のように叩きつけた。

それを見てすぐさまその場を離れると

 

 

「黒騎士!」

 

「オウ!グレン・メテオ・レイン!」

 

エデンの合図で空中のスレイヤーが両手で生成した火球を放り投げ蹴り飛ばす。

 

分裂した隕石型エネルギー弾がディストピアを襲い、更には追加攻撃の『ブレス・オブ・バーン』による火炎放射。

 

『手数には手数、アレで行くよ』

「分かってる!」

 

《Luna/Trigger!!》

 

 

ダブルがルナトリガーにチェンジし、専用の銃トリガーマグナムから追尾弾を連射し文字通りの集中砲火。

ディストピアに反撃の余地すら与えない。

 

 

「Yes!これなら行ける!」

 

「オウ!ブレイヴにメテオデドヒ、加えてアラシサン達の力!初戦とはちげーゼ!」

 

 

「…ほう、少しは手応えのある戦い振りになったみたいだな。だが……」

 

「……ッ!?こいつは───!」

 

集中攻撃の中から聞こえる余裕のある声。

そこから危険を感じ取ったダブルは、全ての攻撃を中断して退避に切り替える。

 

瞬間ダブルが立っていた場所が『斬り取られた』。

 

地面のコンクリートは抉られたのではなく、削り取られている。

 

『ディストピアの斬撃が通った場所は無に還る。まぁ月並みな表現だけど“空間を切り裂く剣”がディストピアの能力の一つだね』

 

「おい待てコラ永斗、あと隼斗!お前ら知ってただろ!言えや!死ぬとこだったぞ!」

 

「アラシ!俺でも知っていたぞ!?傲慢のヤツが…」

「黙れボケカス中二病!」

 

「説明の暇も無かったんだよ!それに…あんなNo motion(予備動作無し)な攻撃どうしようもねえだろ」

 

 

あの集中攻撃の中でこんな大技を繰り出してきたディストピア。相手がどれだけの手練れであってもそんなの予想しろって方がムズイんだよ!

 

『それでこれは余談なんだけど…憂鬱は組織の中で最も才能に優れる者の称号だった』

 

「なんでもござれの全能の天才…ってことカ?」

 

「全方位の天才、どっかのクソ親父思い出すな」

 

『そんでこれ言おうか迷ってたけど…七幹部の序列教えたよね?

憂鬱、エルバは追放時点で傲慢の一つ下に入ってた。つまり……』

 

 

頭の中から向こうで聞いた話を引っ張り出す。序列は上から『憤怒』『色欲』『傲慢』『嫉妬』『強欲』『暴食』『怠惰』。

 

三番手傲慢は確か朱月、1番下の怠惰が元は永斗少年だったっけか。といっても怠惰は非戦闘員らしいからノーカンでもいいんだが。

 

一つ下ということは、『憂鬱』は組織の四天王に名を連ねる強敵ということになる。

 

 

「やはり笑えない…もう終わりにしよう」

 

 

ディストピアの剣にエネルギーが集中していく。またあの空間を斬り裂く斬撃を飛ばす気だ。今喰らえば今度こそ全員即死のGAME OVER不可避。

 

けど、それはもうやらせねぇよ!

 

「永斗少年!」

 

『アラシ、早撃ちゲーってやれる?』

「やれるに決まってんだろ!」

 

《Lightning/Trigger!!》

 

右半身がターコイズカラーに。全身には稲妻のディテールの施された姿にフォームチェンジ。トリガーマグナムから放たれた、雷に匹敵する疾さの弾丸がディストピアの手から剣を弾き飛ばした。

 

 

「なに?」

 

 

「隼斗!行け!!」

 

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Sonic!Brave!!》

 

リジェネレイトブラッシャーをブラスターガンモードに変形させ、シグナルソニックとシグナルブレイヴを装填。

ブーストをかけディストピアに急接近。

 

 

「愚かな。早めに決着を着けたいからとはいえ、闇雲に接近すればいいというものでは……」

 

 

ライトニングトリガーの弾丸を弾き、こちらを向いたディストピア。だが、余所見をしたのは失策だぜ!

 

 

《Metal!マキシマムドライブ!!》

 

 

「これは……」

 

 

ディストピアの体を縛り上げる光で生成されたクロー。

 

さながらクワガタのツノのようなそれは黄色と銀のダブル、ルナメタルが自身の武器であるメタルシャフトとスタッグフォンを合体させることで機能拡張されたもの。

それでディストピアを縛り上げているのだ。

 

その手に剣は無く、防御姿勢もこれではとれない。懐に飛び込み、リジェネレイトブラッシャーの銃口をディストピアに突きつけた!

 

 

「吹っ飛びやがれ!テンペスト・バーストォォッ!!!」

 

 

身動きの取れないディストピアにゼロ距離でのテンペスト・バーストが直撃。

 

凄まじい風を纏った蒼嵐の如きエネルギー砲が黒鎧を撃ち抜き、地面を抉りながら吹き飛ばした。

 

 

『…いや、本当すごいねソレ…速いしオマケに高火力、攻撃と素早さにスペックガン振りって』

 

「蒼き嵐…これが蒼騎士の真の力か…!」

 

「どうだ……!?」

 

 

粉塵の中から現れる影。

テンペスト・バーストを喰らったディストピアだが………

 

 

 

「────なるほど、これが今の君達の力量か」

 

 

中から現れたディストピア・ドーパント。

だが目立った外傷はほとんど無く無傷と言っても過言では無かった。

 

 

「なん…だと…!?」

 

「今のは確かに会心の一撃だったはず!それを奴は……」

 

『まぁいくらこのメンバーとはいえ相手は元最高幹部最強クラス。瞬殺は無理だとは思ってたけど、まさかね…』

 

「冗談ダロ…!?強いなんてもんじゃねーゾ……!」

 

 

驚嘆と弱音が漏れながらも、まだ戦いの意志は研ぎ澄まされている。誰一人として一歩たりとも退くつもりはない、その覚悟をディストピアに見せつける。

 

 

「…なるほど、悪くない。少し試そうか」

 

「試すだと…!?」

 

「選別さ、仮面ライダーソニック。君たちが俺の憂鬱を晴らしてくれる希望か、つまらない凡夫か、はたまた俺の理解者になってくれるか……」

 

 

ディストピアが剣の先を地面に向ける。

ほんの一瞬ディストピアから戦意が消え、感じ取れるのは僅かな高揚と深い憂鬱。

そして──その剣を両手で突き立てた。

 

「開闢せよ、『憂鬱世界』───」

 

黒いオーラが大気を染め上げる。

それと同時に奇妙な不快感が俺達を襲った。

 

重加速とは性質の異なる何かが自分を押さえつける。

 

いいや、身体だけじゃない。まるで粘液の海に沈んてるようで、だが空気は感じられるのに酸素が喉を通らない。

 

しかも心臓の音すら徐々に遅くなって……

 

 

認識する思考さえも、

動きが鈍くなっていく。

 

なんだ………これ………………?

 

 

「憂鬱とは停滞の意志さ。外界に希望を見いだせなくなり、前進の意味を見失った時、人はそれを憂鬱と呼ぶ。君たちが今感じているソレは、俺を蝕む憂鬱の一片だ」

 

奴の言葉がそのまま重さとなってのしかかってくる。

クソっ……頭が………回らねえ……!

 

「チッ…!重加速でもねぇのに…ソニックが止められるなんて……ッ!!」

 

「面倒な能力……持ちやがって…!」

 

「どーすんだヨ……ハーさん…!!」

 

「動けないか…仮面ライダー、どうやらとんだ期待外れだったようだな」

 

「なんだと……!?」

 

「選別はこれまでにも行っていた。俺以外にこの退屈を共有できるものがいれば、そう思ったんだが……誰一人として俺の憂鬱を受け入れる者はいなかった」

 

辺りを見回すディストピア。その言いぶりと苦悶の表情を浮かべたまま止まる街の人々から、何をしたのかは理解できた。

 

そうか、コイツの変な力で街の人達が…!

 

「まさか、お前そんなことのために…!」

 

『この街の人たちを次々に止めていったって訳ね…本当暇人なのこの人?』

 

「暇だとも。この世界は退屈な事ばかりだ。

毎日を生きる人の人生も、人が描く物語も…俺にとってはどうでもいい。だが一つ面白いことを思いついてね」

 

「面白いことだと…?」

『この手の面白いこととか絶対碌でもないでしょ』

 

自分が所属していた組織を裏切ってまで楽しみを求めたエルバ。そこまでして一体何をする気だ……?

 

エルバが出した結論、それは────

 

 

「────世界を己が物とする。

これほど面白いことは無いだろう、とね。

その時俺は…あぁ、久々に笑える気がするよ」

 

『………驚いた。大層な能力持ってる割に、やりたい事が世界征服なんてね』

 

「あぁ……思いの外……拍子抜けで助かったぜ…!」

 

2人もそこまで驚愕はしておらず、かえって落ち着いているようだ。

 

世界を手にする…要するに世界征服宣言だ。

おいおい本気かよ…確かにありきたりだが、たかが一組織の元一幹部にしちゃ、やる事壮大過ぎねえか……?

 

「だったら…止めなきゃな…!sober&better(地味だしありきたり)なのも良いとこだが…世界征服の阻止……HEROらしくていいじゃねえか…!」

 

 

 

煌風を杖になんとか体勢を整える。

さて、とは言ったものの…この状況をどう打破したらいいものか……!

 

頭も体もまともに動かない、気を抜けば意識を持っていかれそうだ。

 

 

「ヒーロー…か………フフッ」

 

「ッ!何がおかしい!」

 

「いや何、少し驚いてね。思わず失笑してしまった。

確か君達が来る前…街の方でこの姿で力を使っていたら、警察の連中が立ち向かってきたのをふと思い出してね」

 

「警察…?」

 

「ドーパントに立ち向かうとは…勇気ある者達だ!」

 

「ああそうだね。だが…いやはや、流石は市民の味方と言ったところか?その姿勢は評価するが…その盲目さは凡人の証だ、実に笑えない。自分達では勝てないと思っていながら、敵わないと理解していながらも…

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

感情の無い笑いで、ため息交じりの侮辱を吐き出す。

 

嘲笑うかのように言ったディストピア。

マジか…って事は内浦だけじゃねぇ、沼津の方までコイツに……!

 

 

「市民どころか警察にまで犠牲者が……!」

 

「何という事を……!!」

 

『マズイね…思ったより事態が深刻そうだ。

とりあえずこの状況をなんとかしないと………憐くん?』

 

 

 

 

「………ろ」

 

「憐?お前────」

 

永斗少年が何やら疑問系の言い方に。

ふと横を向くと、スレイヤーデッドヒートメテオが握りしめた拳が震えており、全身からは赤黒い炎がたち上っていた。

 

それはさながら、アイツ自身の怒りを表しているかのようで────

 

 

「もういっぺん……言ってみろ!!!

 

 

 

その瞬間、スレイヤーの全身から放たれた獄炎の咆哮が周囲を焼き、炎がその爪や翼に宿る。

 

それはさながら、煉獄のドラゴンとでも言うべき姿に。

 

「エルバァァァァァァ!!!!」

 

スレイヤーが急加速しディストピアに突撃。

俺達は3人ともマスクの下で目を見張っていた。

 

そう、鈍化した状態から『憐だけ』が解き放たれていたのだから。

 

獄炎の龍爪がディストピアを焼き切るかと思われたが、それは突如飛来した謎の怪物に阻まれた。

 

「コイツは──!?」

 

「……参ったな。せっかく笑えるかもしれない所に…」

 

『なるほどね、コイツが隼斗さんの言ってた…』

 

「あぁ、俺達をあっちの世界に飛ばした…謎のロイミュード……!」

 

 

その正体は、異世界へのゲートを開いた謎の漆黒のロイミュード。

108/パラドックスに酷似しており、片目にはまるでサイボーグのようなカメラアイが付いている他、所々人工的に改造された跡がある。

 

 

「謎のロイミュードか…その名でもいいんだが、それだと些か呼びづらいだろう。これの名は『ディファレント』。俺が作り出した、忠実なる僕だ。たまにこうして勝手な真似をするのが玉に瑕だがね」

 

「different…」

 

「ハーさん、コイツは…」

 

「分かってる。恐らくコイツは今まで戦ってきた奴らの中でも特に強敵だ…」

 

 

「君たちの思う通り『強敵』という解釈に間違いは無い。選別はやめだ、兎角今は…それだけでは無いということを覚えてもらおうか」

 

 

ディストピアが剣を振るうとかかっていた謎の重圧が途端に消え失せた。スレイヤーはそんな事を気にしないとばかりに炎を纏う爪を振るおうとするが、ディファレントが右手にエネルギーを集中させていく。

 

それを地面に叩きつけた途端、とてつもなく重い衝撃と共に紫のオーラフィールドが展開された。

 

ほんの一瞬感じたプレッシャー。

だが、今度はすぐさま打ち消された。

 

「っ!おい、なんだこれ……!?」

 

『体が重い…こっちは重加速!?いや、あの時とは…レベルが違う!』

 

「この途轍も無い威圧感…ヤツが放っているのか……!?」

 

やっぱ重加速だったか。それならno problemだ、充分対処でき……いや、それにしちゃ強すぎる。ダブルとエデンの動きが鈍るどころか、ほぼ完全停止状態。

重加速……違う、これは────!

 

「重加速…いや、『超』重加速だと!?」

 

「ありえねぇ!だって超重加速を使えてたのっテ……」

 

「あぁ…魔進…否、仮面ライダーチェイサーと言うべきか?それとハート…その2機のみがこれを使用していた。ソレについてこの世界に来てから調べ、そして利用させてもらった。仕組み自体を解き明かすのは極めて簡単だったからな」

 

メテオデッドヒート、そしてブレイヴは一応超重加速対策機構を搭載した上で調整されている。まさか本当に使ってくる奴がいるとは思わなかったけどな…!

 

蛮野の時といい、備えあれば憂いなしとは言ったが本当に来いとは言ってねえんだよ!

 

 

「shit!けど無いよりはマシか…!マガール!カクサーン!それからお前もだキケーン!」

 

マガールⅡとカクサーンⅡをダブルの元へ、キケーンⅡをエデンに向けて飛ばし、その手に握らせる。すると、完全停止状態からダブル達が解放された。

 

「すまねぇ助かった!」

『まだちょっと重いけどね…なんだったの今の…』

 

「おお!体が動く!なんのこれしき!竜騎士を舐めるな!」

 

それでもこれらの次世代シグナルバイク達では超重加速相手だと旧式デッドヒートと同じでギリギリ動ける程度だ。動きが制限された状態だとちっとばかし厳しいか…!

 

「憐!正直コイツの相手はアラシ達じゃ難しい!俺達でなんとかするぞ!!」

 

「分かってる!行くぜ!!!」

 

炎と風、それぞれの翼にそれらを纏わせディファレントへと向かっていき、二刀流とクロー、それぞれの得物を構えながら周囲を飛び回りhit&awayを繰り返す。

 

「アイツらに任せっきりにさせてたまるかよ…!いいとこ無しで帰ったらアイツらに顔向けできねぇ!永斗!こんなもん死ぬ気で振り払え!!」

 

『いやいやアラシ、これは気力でどうにかなるもんじゃないから。今の僕らにできるのは…ま、後方支援だよね』

 

《Heat/Trigger!!》

 

ダブルが赤と青の灼熱のガンマン、火力ならトップクラスのヒートトリガーにチェンジ。

炎の弾丸をその場から連射する。

 

「クッ…先の決戦でハイドラを使ってさえいなければ…!」

 

一方のエデンはシグナルバイクの力でなんとか超重加速フィールド内で動けるようで、槍を振り回し俺達と共に近接戦を仕掛ける。

 

遠距離攻撃が可能なメモリもあったようだが、どうやら一度使うとしばらくは使えなくなる代物のようだ。

 

恐らくタワー戦で使ってしまったのだろう。ここであると楽だったんだが…無いものねだりはできない、あるものでどうにかしてやる!!

 

「っのやろっ!!」

 

煌風で斬りつけ、ブラッシャーの銃撃。

怯んだ所をブレードモードにチェンジし叩き斬る。

 

「ゼリャアッ!」

 

「オオッ!」

 

いつもより攻撃が荒々しいスレイヤーとエデンのドラゴンコンビもクローと槍で息のあった連携攻撃を次々に繰り出している。

 

そこにダブルの後方支援もあり、ディストピアよりかは戦いやすい。最も当の本人は文字通りの高みの見物を決め込んでいるが。

手を出してこないだけマシと見るべきか…

 

「この程度に手こずるか…やはりまだ早かったようだ。この程度では退屈凌ぎにもならない…全く、あれを超えてきたから少しは楽しめると思ったのだが…笑えないな…」

 

「んだと…!?」

 

「ハッ!そんなこと言ってられるのも…今のうちだぜ!」

 

退屈だとばかりにこちらを見下ろすディストピア。

全くムカつくなこのキザ野郎…だがな!

 

「そんなこと言ってられるのも…今のうちだぜ!」

 

《SignalBike!Signal Boost!トマーレ!》

 

トマーレⅡをブラッシャーに装填し、強化拘束弾を発射。黄色の網状の電磁ネットがディストピアを拘束した。

 

「そこで大人しく見てろ!お前の最高傑作が無惨にscrapになる瞬間をな!みんな!!」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Brave!!》

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Dead Heat!Meteor!!》

 

《Dragon!マキシマムドライブ!!》

 

「ディファレントだがなんだか知らねえが、これで終わりだ!憐!瞬樹くん!合わせろ!!」

 

「分かってる!!」

 

「承知!」

 

3人同時に飛び上がり、右足にエネルギーを集中。ライダーキックを繰り出した!!

 

「ブレイヴ・エクストリーム!!」

 

「メテオ・インフェルノブレイク!!!」

 

竜爪蹴砕撃(ドラゴニック・ミョルニル)!!」

 

 

3人同時に放たれたライダーキック。

だがそれが直撃する瞬間、ディファレントは両手を広げ紫色の障壁を貼りそれを防いでいた。

 

『────!』

 

「バリア!?おいそれは聞いてねえぞ!!」

 

「けどこの程度!ハーさん!シュヴァルツ!息を合わせてブチ抜くぜ!!」

 

「おう!黒騎士!蒼騎士!力の全てを!!」

 

 

一度飛び退くと、再びその足を突き出しバリアに向けてライダーキック。

ブレイヴの風の力で2人を後押しして威力を増したことで、バリアにヒビが入りだす。

 

 

「踏ん張れ2人とも!もうちょっとだ!」

 

「「オオッ!!」」

 

だが、その亀裂も入った側から修復されていく。なんとか3人同時攻撃で修復を食い止めてる状態だ。

これだけならまだ足りないが────

 

この状況を打ち破れる可能性…silver bullet(銀の弾丸)なら既にある!

 

 

《Trigger!マキシマムドライブ!!》

 

「撃て!アラシ!永斗少年!!」

 

 

「お前らばっかにいいとこ持ってかせるかよ!行くぞ!!」

 

 

「『トリガー・エクスプロージョン!!』」

 

 

銃口から放たれた凄まじい威力の火炎放射がディファレントに向かっていく。

 

バリアを焼き尽くそうとする超火力の一撃。

3人のライダーキック+2人分のライダーの技。これなら或いは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう思っていた。ディファレントから紫の光が放たれるまでは。

 

 

 

『────!!』

 

その光が放たれたのと同時に、バリアが一瞬にして修復。それに加え、俺達全員の攻撃のエネルギーがバリアに吸収されていっている。

 

「何っ!?」

 

「我らの必殺技が……!」

 

「エネルギーが吸われテル…!?」

 

それだけならまだ良かった。

見るとバリアにはダブルの放った炎が。

加えて体にあるラインに光を宿し、点滅し出していた。本体に必殺技のエネルギーが流れ込んでいるのだ。

 

──まさか

 

 

そう思うや否や、俺は全員に向けて叫んでいた。

 

 

「全員ソイツから離れ───!」

 

 

遅かった。

強い光に炎、衝撃波が放たれ、全員纏めて吹き飛ばされた。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「────無事か、お前ら…?」

 

「ギリ…ってとこかな……」

 

「俺っちもなんとか……」

 

 

気がついた俺達は辺りを見渡してみる。先程とは別のところに飛ばされたらしい。

ここは確か近くの神社。前に果南姉ちゃんの後をつけてた頃を思い出す。

 

「にしても隼斗さん、よくあの場を切り抜けられたね?」

 

「そーそー。普通あの一瞬であんな事できるカ?」

 

口々にそう言う後輩組。

ちなみにあの時どうしたかと言うと………

 

 

「全員ソイツから離れ───!」

 

 

あのロイミュード、ディファレントから光が放たれる瞬間、俺はシフトアップして駆け出し地面に倒れていた空っぽの永斗少年の肉体と近くにいた憐をどうにか回収。

 

そんでもって咄嗟にブレイヴのエネルギーをオーバーブレイク手前まで強制解放。

 

衝撃をある程度緩和し、なんとかあの場で全員爆死は避けた……と言いたいが…ッ

流石に無茶し過ぎたか?また傷が……それに

 

 

「sorry.永斗少年、アラシと瞬樹くんを取り損ねた………」

 

 

「あー、それなら大丈夫だよ隼斗さん。僕らはドライバーで精神が繋がってるからアラシの安否は………」

 

「エイくん、そのドライバードコ?」

 

「え?…………………あ」

 

永斗少年が腹部を見てみると、そこにはあのダブルドライバーは無く、代わりに身体中には火傷や爆破の衝撃で怪我を追っていた。

 

和らげたとはいえかなりの衝撃を生身で喰らった影響か、大怪我とまでは行かずともアスファルトの破片が刺さっていたり皮膚が焼け焦げていたりしている。

 

「エイくん!?」

 

「ドライバーが……それに怪我してるじゃねぇか!!」

 

「そんな慌てなくても大丈夫大丈夫。だってほら………」

 

永斗少年がそう言うと、みるみるうちにおったはずの怪我が治っていく。いや、治っていくと言うよりは()()()()()()()と言うべきか。まるで巻き戻しのようにその傷が無かったことになっていき…………

 

 

「ね?」

 

あっという間に無傷の状態になった。

What do you mean?

 

「な、治った……!?」

 

「実は僕、『オリジンメモリ』っていう特別なガイアメモリと一体化して不変…まあ事実上の不老不死みたいな感じになってるんだよね。だから怪我とかもこの通り、少しあればすぐに治るんだ」

 

「オリジンメモリ……?」

 

「地球の意思が分裂した普通のガイアメモリとは違ったやつで…まあその話は長くなるからまた時間がある時にね。それよりベルトが無いってことは……」

 

「オリジンメモリ…博士あたりに話してやってくれ。多分食いつくだろうし……でだ、アラシの奴的にこの状況でドライバーを外す…なんてのはまずあり得ない。恐らくさっきの衝撃で外れたと見るべきか。生きてりゃ良いけど…」

 

「それなら心配しなくても大丈夫だよ隼斗さん。アラシってよっぽどの事がない限り死なないバカ高い生命力持ってるから」

 

「……あれ、シュヴァルツは?」

 

「まああの竜騎士も……うん、死んではないでしょ」

 

「雑!?もうちょい心配してやれよ仲間なんだから!」

「まあ、言動や厨二な所が玉に瑕なだけで瞬樹自身かなり強いし…それに、信頼してるから」

 

「ならいいか……それより憐、少し気になったんだが……」

 

「何?」

 

「珍しいな、お前がブチ切れるなんて…確かに俺も頭には来たが…なんかあったか?」

 

「────別に、何も…」

 

「何もって事はねぇだろ、普段あんなに落ち着いてるお前があそこまでなるってよっぽどだぞ?」

 

「そうなの?」

 

「ああ、憐がキレた所は俺も仲間たちも見た事がない。今回が初めてだ」

 

「へぇ……」

 

「なんかワケあるんだろ?それとも…仲間にも話せないような事なのか?」

 

「……俺っちが話したくないだけ。それに、今その話は関係ないでしょ」

 

「でもよ……」

 

「ストップ。例えハーさんでもそれ以上()の中踏み込むなら────

 

 

相応の覚悟はしてもらうけど」

 

 

そう言った憐の目は、明らかな敵意を持っていた。今までになく冷徹な、いつもの穏やかなアイツとは相反する表情だった。

 

「お前…………」

 

「…………」

 

 

「はいはい2人とも、そこまでにしてくれる?僕置いてけぼりでシリアス展開しないで。今は仲間割れしてる場合じゃないって散々向こうで話したでしょ?」

 

「…そうだな。悪い、永斗少年。…憐も」

 

 

「いいよ。ゴメンね、話せなくって」

 

憐はそう言って何処か憂いた表情で言った。

憐は確かに俺達の仲間、それは分かってる。

だが───俺はまだコイツを知らなさ過ぎるみたいだ。

 

「気が向いたらいつでも言ってくれ。俺達は仲間なんだ、悩みや迷いはできる限りない方がいい」

 

「個人の悩みって意外と他人に話すと楽になるしね。……僕も、そうだったから。

 

それで2人とも、今後の行動方針なんだけど……」

 

「そうだな……アラシと瞬樹くんの捜索とかか?」

 

「いいや、エイくんの言った通リ、2人とも生きている確率が高いならそれは後回しでも大丈夫だと思う」

 

「うん、多分憂鬱はさっきの戦いで僕ら全員の実力を把握した。あの様子じゃ当分手出ししてこないと考えるのがいいと思う。

 

隼斗さん、僕としては霧香博士と合流するのをオススメするよ。こっちの世界の出来事を知っておきたいしね」

 

「だな、せっかく戻ってきたんだ。まずはアイツらの安否確認だな。それに…姉ちゃんに帰ってきた事伝えなくっちゃ!」

 

「本当好きなんだね、果南さんのこと」

 

「まぁな!そうと決まれば善は急げ!鳥!」

 

「メテオデッドヒート!」

 

バイクが無いためブレイヴとデッドヒートを呼び出し、俺達は再変身。スレイヤーが永斗少年を抱え、空へと飛び立った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「へぇ、ここが浦の星女学院……田舎の古き良き学校って感じだね」

 

「ああ、俺達の仲間の学校。Aqoursの本拠地だ」

 

 

 

俺達3人は浦の星女学院へ。

校舎内を通り抜け、体育館裏の倉庫の方へと向かった。

 

「ここに基地があるの?」

 

「ああ、えーと確かこの辺に……」

 

『移動禁止』と書かれた段ボール箱の山をどかしていくと、電子パネルのようなものが現れた。えーとパスワードは……あれ、なんだっけ?

 

「ハーさん、まさか忘れたトカ?」

 

「バカいえ!俺がそんな大事な事忘れるわけが……」

 

「隼斗さん、お言葉だけどそう言う人は大抵忘れてるんだよ」

 

「クッ、永斗少年まで…!」

 

 

『何をしている3人とも?早く入ってきたまえ!』

 

すると突然ガシュン!という音がし、足元をみると地下へと続く滑り台が現れていた。

ラボへの入り口だ。

 

「3人ともって…」

 

「ああ、そういやこの部屋隠し監視カメラみたいなのあるんだっけな」

 

「ああ、なんか聞いたようナ……」

「だから僕の事も分かったんだね」

 

「よし、ついてこい永斗少年!」

 

そういうや否やスライダーに飛び込み、続く憐と永斗少年も飛び込んだ。

 

 

長めのトンネルを抜けると、ドライブピットをモデルにしたいつもの見慣れたラボへと着いた。

 

 

「おお……正に秘密基地だね。良い趣味してるよ、ここを作った人」

 

 

「そうだろうそうだろう!流石天才少年だな士門くん!!」

 

 

声がした方を向く。

緑がかったゆるふわな黒髪、白のYシャツに緑ネクタイと黒ベスト。黒のパンツスーツ姿に丈の長い白衣を羽織った女性。

 

直接顔を合わせるのは数日ぶりになる我らの霧香博士だった。

 

「「博士!!」」

 

「やぁ、2人とも!よくぞ無事に帰ってきてくれた。異世界に飛ばされるなんてトラブルがありながらもよく生き延びてくれたもんだ!流石私自慢の教え子達だ!!」

 

そう言って俺達2人を抱き寄せた博士。

何もそこまでしなくても……!

 

 

「仲良さそうで何より。僕も加えてくれると嬉しかったけどね」

 

「ん?…ああ悪いな士門くん。ほら、君も!」

 

永斗少年もこの中に加わり、纏めてハグされた。帰ってきて姉ちゃんより先に博士にされるとは……ちょっと悔しい。

しかしこうしてると本当生徒と教師だよな…実際そうだけど。

 

数秒すると博士は俺達を離し、改めて向き合った。

 

「改めて…だな。はじめまして、士門永斗くん。一時霧香だ、まさか君達もこっちに来ていたとはね」

 

「来る気は無かったんだけど仲間たちに背中を押されるどころか蹴飛ばされてきたもんで。僕とアラシ、それともう1人の3人で来ました」

 

「もう1人?」

 

「瞬樹っていう仲間の1人です。どうやら血縁上はこっちの世界のAqoursの身内みたいなんですけど…」

 

「Aqoursの身内?誰だい?」

 

「俺達の見立てじゃ120%善子と思われる」

「キャラもそっくりだっタ」

 

「ほう…仲間、という事はその彼も仮面ライダーか…会うのが楽しみだよ。

それで、君の相棒とその仲間は?」

 

「ああ、実は────」

 

俺達はここまでの出来事を簡潔に纏めて霧香博士に報告した。

 

μ'sに会ってきたこと、向こうで憂鬱の3幹部(2幹部)を倒した事。

それ以上に強力な最高幹部『傲慢』朱月と戦ったことや異世界のゲートをなんとかエルバを向こうの世界に戻さずに開けて帰ってきたこと。

 

それからこっちに戻ってきて早々エルバとの戦闘になったことなど────

 

全てを話し終えると、霧香博士は椅子に深々と腰掛けた。

 

「なるほど、そしてエルバとの戦闘中に謎のロイミュード、ディファレントの攻撃によって吹っ飛ばされ、切風くんや瞬樹くん達とはぐれてしまったと……」

 

「do you understand?」

 

「Yes…とは言いたくないものだね…状況は割と悪い方だ、深刻とまではいかないけどな」

 

「けど、2人とも死んではないと思うので多分大丈夫だと思います」

 

「君がそう言うなら、一先ずはそれを信じようか。しかし、エルバの手によって改造された強力なロイミュードか…超重加速を使えるって一体どんな方法で…」

 

「あぁ、正直めちゃくちゃ強かっタ…」

 

「俺達5人がかりでも厳しいとなると、超進化態に匹敵…もしくはそれ以上かもな」

 

「さしずめ、『異常進化態』ってところか。融合でもなく、通常進化でもない……厄介なものを作り出しやがって……!」

 

「ロイミュードの進化?」

 

永斗少年が何やら首を傾げる。

そうか、本棚じゃロイミュードの情報は不充分なんだっけか?

 

「ロイミュードは、機械生命体でありながら『人間の感情』を糧として進化する怪物なんだ。人間の心とシンクロするパターンや、ネオバイラルコアってのを使って人間そのものと融合するパターン。だが今回のパターンはどれにも該当しない……」

 

霧香博士がコンピュータでロイミュードのデータを見せながら永斗少年に解説をしている。これで穴だらけの情報も少しはマシになるか…?

 

「なるほどね…だから異常ってことか。ロイミュードの事もこれでほぼ完璧にインプットできた、これならなんとか対策は立てられるかもね」

 

「本当すげえな……あ、ところで博士!姉ちゃん達は!?」

 

「彼女達なら各々自宅の筈だ。心配せずとも無事だとも」

 

「そうか……」

 

 

家にいるってならとりあえず安心……いや、この目で確かめるまでは安心はできねぇ!

 

「悪い博士!憐!永斗少年!俺姉ちゃんの所行ってくるわ!」

 

「え?今行かなくてもいいだろう!それに、君らとはこれからの方針を話し合わなくてはいけないし」

 

「頭脳派天才が2人もいりゃ充分だろ!んじゃな!!」

 

 

そう言ってあとは天才共に任せ、俺はラボを飛び出した。

 

 

「…やれやれ…ま、ここんとこ心配かけっぱなしだったし顔見せついでに怒られてくるといいさ」

 

「本当大好きなんだね、果南さんのこと」

 

「なんでも彼らは幼少期からの長い付き合いらしいからな。まあ、何があってああなったかとかのことは私も詳しく知っているわけではないからあまり語れはしないが」

 

「ふーん……じゃ博士、僕らは頭脳担当同士これからの方針について語りますか」

 

「だな。君がいるなら心強いことこの上ない、頼りにしているぞ」

 

「なにせエイくんは地球の全てを知ってるらしいからナ!」

 

「地球の全て…だと?」

 

「ええ、まあ……色々複雑で長くなりますけど、聞きます?」

 

「是非聞かせてもらおうか!知識の世界に生きる者として、そいつは聞き逃せないよ!」

 

「おっけー。ちょっと面倒くさいけど…それじゃあまずは────」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

バイクが行方不明なので、すごく面倒だったが歩いて向かうことにした。

 

距離だけならそう遠くはないし、ブレイヴを使えばすぐなのだが…鳥をさっき無理させすぎたので休ませてやらねえとな。

 

本来なら船着場から船にのる…はずだったが船を操縦する人も止まってた。まあ幸いすぐに動かせる状態ではあったので事故らないよう慎重に動かしながらマリンパーク方面にある姉ちゃんの家へ。

そして店の方へと顔を出す。

 

が、店は閉まっておりcloseの看板がぶら下がっていた。

 

「まあ、そらそうか…」

 

季節が季節、加えて今日は確か平日だった。

定休日だっけか……けどおかしいな…それでも家にいるなら何かしら誰かの返事は来るはず……

 

「…いやな予感がする」

 

 

背に背負った煌風を抜き、鍵穴のすぐ隣に狙いを定める。

 

「おじさん、おばさん…sorry!」

 

出来るだけ他の部分に影響を与えないよう正確に突き刺す。

そうしてできたスペースから手を突っ込み鍵を開けて中に。

 

すると────

 

 

「……だと思ったぜ」

 

そこには何か作業をしている果南姉ちゃんの親父さんとお母さんの姿が。

それも、()()()()()()で。

 

「shit!手遅れだったか……っ!?姉ちゃん!」

 

 

何度か遊びにきたときに場所は知っているので急いで姉ちゃんの部屋に。だが部屋はもぬけの殻、誰もいなかった。

 

「いねぇ……そうだ!携帯携帯……!」

 

電話帳から連絡先を見てダイヤル。

何度か呼び出し音が鳴るも……

 

『おかけになった電話は電波の届かない所にあるか、電源が入っていない可能性が────』

 

無機質なアナウンスだけが流れる。

だと思ったぜ畜生が!!

 

しかもよく見たら圏外だ、普段は問題なく使えてたから……アイツがなんかしらのjammingをしているとみた。

 

「電話は使えない…こっから1番近い奴は……っ!アイツなら!鳥!来い!!」

 

無理はさせられないとか言ってられる状況じゃなくなった。俺はブレイヴ・ファルコンを呼び戻し即座に変身。近くに堂々と立つホテルの上の階へと飛び上がった。

 

「携帯が繋がらねえ、行方不明になるまで姉ちゃんが誰かと一緒にいたとして、それを知ってるとしたら……」

 

ジェット機も目じゃないスピードでかっ飛ばし、外周をぐるりと回る。

 

「っ!いた!」

 

ふと下に目を向けると、出入り口から誰かが飛び出してくるのが見えた。特徴的な輝くような金髪と黄色の目。探していた張本人だ!

 

「マリー!!!」

 

 

「へ………Falcon!?」

 

勢いよく目の前に着地。

地面が少しひび割れたが、そんな事気にしてられない。

 

「帰ってきてたの!?」

 

「ああ、ちょうどついさっきな!話したい事は山みてえにあるんだがそれはまた後回しで!とんでもなくemergencyなんだよ!」

 

「アナタの聞きたいことは分かるわ。ワタシもそれを伝えに行こうとしてたから……カナンでしょ?」

 

「ああ!今姉ちゃんは何処に!?」

 

「あの怪物男……アイツがカナンを…!」

 

エルバが!?にしても姉ちゃんまたかよ…なんか攫われるのこれで3度目だぞ!姉ちゃんのせいじゃないから怒っても仕方ねえけどよ…!

 

「っの野郎……!何処に!?」

 

「それがなんとも…場所は言ってなかったわ」

 

「…オーケー、別にいい」

 

「ハヤト?」

 

「虱潰しに探せばいいだけだ!ちょうど町の人はいつもより少ねえ、シグナルバイク達と俺のカンで!集まれお前たち!」

 

口笛を吹きシグナルバイク達を呼び戻す。

あとは俺が空から探せば大丈夫なはずだ。

 

恐らく奴はこの町からは出ちゃいない。

この状況だ、外に出ようもんなら先輩方が動かないはずはない。

 

それがないってことは、この惨状が外には伝わってないということ。

恐らく今の内浦はなんらかの影響で完全孤立状態…それならこっちの事情的にも都合がいい。

 

早く見つかる可能性は大いにある!

 

「マリー、とりあえず博士のラボに行っとけ。あそこには博士と憐と…あと向こうの世界から一緒に来た仲間がいる。家に篭ってるよりは安全だ。できれば他の連中にも声かけて欲しいが…」

 

「携帯がどこにも通じないの、だから…」

 

「だろうな、今から全員を集めるのは危険が過ぎる。そこんとこは憐に頼むしかねえか……とにかく、早く学校の方に!」

 

「ハヤトは!?」

 

「決まってんだろ?

 

…果南姉ちゃんが攫われて、大人しくしてろって方がどうかしてるぜ!!」

 

アクセラーウイングにエネルギーを集中させ風と共に一気に跳躍。マリーが飛ばされそうになってしまったがそこはすまんと心の中で謝る。

 

そして空中でブーストをかけ一気に急加速。

とりあえず街の方へと進路をとった。

 

待ってろ姉ちゃん!あとエルバ、てめえは俺がぶっ飛ばす!!

 

 

「……気をつけて、ハヤト」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「それにしても、まさか2人まで捕まってたとはね……」

 

「本当、驚いたよ……」

 

「でも、2人が一緒にいて少し安心かも。1人じゃ心細かったもの」

 

私達が連れてこられたのは、何処かの研究所みたいな所だった。

まさか、曜と梨子まで一緒だったとは思わなかったけどね。

 

「みんな無事かなぁ…」

 

「ここに来ては無さそうだし、もう捕まったってことは無さそうね。外の様子は分からないのがちょっと怖いけど…」

 

「隼斗……」

 

未だ向こうの世界から帰ってこない弟分。

無事だっていうのは分かってるけど、それでも気になって仕方がない。

 

それに、ここには私達の他にも沢山の人達が捕まっていた。

 

テレビで見たことがあるような人も多くいて…どうやらあの人は物事に対して優れた才能を持った人を集めてるらしい。理由はわからないけど…

 

「でも、才能でなんで私なんだろうね?そりゃ曜は水泳、梨子はピアノで分かるけどさぁ」

 

「果南ちゃんも私から見れば凄いよ。体力とか色々…」

 

 

「いい観点じゃないか。思考停止しない、則ち憂鬱に沈まない心というのは十分に才能だ。やはり俺の目に狂いは無かった。それはそれで…笑えないがな」

 

あの男が戻ってきた。私達を攫った張本人、隼斗達を別の世界に飛ばしたドーパント。

 

「で!いつまで私たちをこうしておくつもりなわけ!?」

 

「俺の手の上での自由なら許すと言ったはずだけどね。君たちは俺が興味を持った才能の持ち主なんだ。あっちの世界で敗れ、減った手駒の補填として迎え入れてもいいと言っているだろう。君たちに適したメモリも用意してある」

 

「だーかーらー!嫌だって言ってるでしょ!?早くここから帰して!」

 

それにそのガイアメモリ?っていうの危ないやつなんでしょ!?なんてもの渡そうとしてんのこの人!!

 

それを知らないのか、普通に貰っちゃってる人もいるし…!しかもこれ言われるの5回目!

 

「無駄だ。ここから出ても既にこの街は俺の拠点、俺が世界を掌握するための城となっている」

 

「世界を…掌握…!?」

 

「言っていなかったかな桜内梨子、そう怪訝な顔をされるのは心外だ。通信妨害で情報は遮断し、外部にこの状況が漏れることはない。誰も俺の計画を知り得ない。今、別の仮面ライダーに来られるとそれはそれで笑えないからな」

 

別の仮面ライダー?

…そう言えば隼斗がいつだったか言ってたっけ?隼斗達の先駆け、かつて世界を救ったもの凄い偉大な先輩たちがいるって。

 

けど……ふーん。そうなんだ?結構大それた計画を立ててるみたいだけど……

 

「散々なんでもできるって言っておいて、仮面ライダーには怯えるんだ。戦って楽しくなりたいなら他所の仮面ライダーのとこに行っちゃえばいいのに」

 

「…例えば、だ。強さに飢える戦闘民族がいたとして、彼は迫る津波に勝負を挑むか?…答えは否だ、それでは笑えない。何故なら彼らは死にたいわけじゃないからだ。俺も失敗したいわけじゃない。順序を立て、その道のりを噛み締め…作り上げた城の上で笑うのさ。

 

一つの挑戦を乗り越えてこそ、憂鬱を晴らし前に進める。その届き得る限界こそ、俺の場合は二つの世界の支配なんだ」

 

そう言うとその人は新しく2本のメモリを取り出した。色は2本とも金色で、他の人にあげてた奴とは別格だというのは、素人の私でも分かる。

 

「今のところつまらないほど予想通りに苦戦し、順調で、少し苛立っている。世界を掌握し、憤怒も『神』も殺し地球の意志を掌上に置いた時…その時にようやく笑えるのかもしれないな。最も…このままでは退屈でその前に死んでしまいそうだが…」

 

「…あっそう。別にあんたのことなんて知らないけどさ、さっきから聞いてりゃ面白くないつまらないって文句ばっかり。子供じゃないんだから」

 

「何…?」

 

「自分ばっかり不幸な顔してるのが可笑しいって言ってるの。自分だけが憂鬱だなんて馬鹿みたい」

 

憂鬱なんて、そんなもの私はよく知ってる。

多分、梨子も曜も同じ。

 

ピアノでスランプに陥っていた梨子。

その梨子がいないときに曜も千歌と一悶着あったと聞いている。

 

私は────大切な親友のことで。

 

父さんのこともあって学校に行ってなかったのもあったけど、大元の原因があるとしたらそれだ。

 

負の感情の雁字搦め。

私は自分から鞠莉を突き放し続け、危うく修復不可能な傷を負わせるところだった。

 

「そうか、ならば教えてくれ。俺の憂鬱はどうすれば晴れる?憂鬱を知っているというのなら、君はどうやってそこから解き放たれた?」

 

「……そんなの、言ったってあんたなんかに分かるわけない。でもさ、もしあんたが世界征服して誰も敵わなくなったとしても……本当にそれで笑えると思ってる?」

 

 

「…面白いことを言うな。それを確かめるため、成し遂げるのさ」

 

その言葉に思わず驚いたような顔を見せた男。少なくとも少しは響いたらしい。

 

「確かめる、ね……悪いけど、多分あなたの目的は果たせないよ、『絶対』に」

 

 

「それは、彼のことを言ってるのかい?天城隼斗……確か君の幼馴染だったな。幼馴染…いや違うな。もはや姉弟と言っても過言ではない…理解はできないが、彼と君との間には切っても切れない縁がある…そう、人が言う『絆』というものが。硬い鎖のように君達を繋いでいる」

 

「隼斗達がいる限り、絶対にあなたの目的は果たせない。いや、果たさせない」

 

「そうだよ!隼斗達を打ち負かした気になってるみたいだけど、隼斗が本気出したらすごいんだからね!!」

 

「隼斗君と憐君がいる限り、あなたが目的を果たす事はないですよ。倒れても立ち上がる…憐君はともかく、隼斗君すごく負けず嫌いだから」

 

「だとしてもだ。彼は一度俺に完膚なきまでに倒されている。いくら力をつけたところで、仲間を増やしたところで勝てはしないさ。それに、今の彼にここを突き止めることは────」

 

そう言いかけた途端、突如として揺れ始める地面。大きな音を立て、床や天井にヒビが入り出したのが見えた。

 

「え!え!?何!?」

 

「地震!?こんなときに……」

 

「いや、待って!地震だけじゃない……これは────────風?」

 

まさか、そう思った私は咄嗟にみんなに呼びかけていた。

 

「みんな!気をつけて────」

 

その瞬間、天井を風をまとった凄まじい光が貫いた。しかも的確に数秒前までその男の人がいたところを撃ち抜いていた。

 

 

「…全く、野蛮な訪問者だ。笑えない…正義のヒーローとは思えないな」

 

 

晴れていく煙の中から、うっすらと影が見えた。

現れたそれを見て、喜びや驚き、そしてほんのちょっぴりの怒りが私の中に湧き上がったのを感じていた。

 

 

 

「────エルバァ!!」

 

 

青いスーツとゴーグルを光らせて空から降り立ったのは、危なっかしくて、強くて、優しくて。

 

とっても頼りになる、私のヒーローだった。

 

次回に続く!




対策?それよりも動く!それが大切な人のためなら尚のこと。
ダブル達を連れてきたもののまたしてもはぐれ、別行動かと思いきや攫われた彼女たちを助けるべく隼斗は単身エルバの隠れ家へ!

一方のアラシはどうなったのか?それは146さんのラブダブルサイドでお楽しみください。↓146さんのラブダブルはこちらのリンクから!
https://syosetu.org/novel/96993/69.html

それでは次回もお楽しみに!


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ラブダブルコラボ編 第7話 解放せよF/ゲンカイブレイク

お待たせしましたコラボ編第7話!
果南を救出するべく1人エルバのアジトに単身突撃した隼斗。果たして無事に彼女(ついでに2人)を助ける事ができるのか?


これまでのサンシャインサーガ!

 

自分達の世界に戻ってきたのも束の間、早速元凶であるエルバと交戦する隼斗達一向+アラシ・永斗・瞬樹のトリオ。

 

しかし、ディストピア相手にライダー達必殺技は効かず、彼が繰り出した謎の技『憂鬱世界』にはなす術もなく、激情に狩られた憐の攻撃は異常進化態ロイミュード『ディファレント・ロイミュード』に受け止められ、しまいには攻撃によって吹き飛ばされ分断されてしまう。

 

永斗と憐を霧香博士のラボへ残し、隼斗は果南の元へ向かうも、なんとその果南は曜、梨子と共にエルバに連れ去られていた。

 

まさかの果南が再び攫われたと知った隼斗は怒りのままにエルバの元へ単身突撃し───

 

 

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少し時を遡る。

突撃およそ10分前。

 

 

「何処だ…!何処に行った…!!」

 

あれからジェットで町中を飛び回り、ゴーグル部分に備え付けられたアイレーダーでサーチをかけるも、それらしい施設が見当たらない。俺の苛立ちもそろそろ限界に達しようとしていた。

 

「あとはここぐらいか……!」

 

やってきたのはとある研究所。

サーマルゴーグルをオンにし、真下にある建物にスキャンをかける。

 

 

「人が大勢いるな…もう少しアップ…そんでもって再スキャン……!」

 

サーマルモードを切り、通常モードに切り替える。スキャンをかけると目的の人物はすぐに見つかった。

 

レーダーに捕らえたのは複数の生体反応。

 

一つは果南姉ちゃん。やっぱここだったか!

 

 

それに…ん?この反応……曜に……梨子!?

 

 

「なーんでアイツらまで捕まってんだ…?…まあいいや、姉ちゃんのついでだ、見捨てる選択肢は元からないし…」

 

さて助けるか…と思った所で、ふと頭に一つの考えがよぎった。

 

多分あの中は奴の護衛もいるだろう。まともに正面から行けばその護衛に袋叩き…いや、ドーパントだけならただの雑魚ロイミュードと変わらない、ブレイヴで対処できるだろう。

 

問題はディストピア、それにディファレントだ。今の俺1人じゃアイツらに勝つのはHardだろう。取り返すもん取り返してさっさと撤退…うん、このPlanで行こう。

 

となると侵入経路は…一つだよな?

 

俺はゴーグルに映ったターゲットを確認すると、ニヤリとしながらリジェネレイトブラッシャーを取り出した。

 

「TARGET……Lock on…!」

 

 

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「チッ……当たんなかったか……」

 

 

ま、奇襲狙撃作戦は失敗に終わったんだが。

ぶち開けた穴から施設に飛び込み着地。

スッと立ち上がり、いつもの二本を構えた。

 

「隼斗!!」

 

その声を聞いた途端、向けてる意識とは逆方向に体が勝手に動く。まあ目の前にエルバいるけどそんなもん知るか。

 

「おお!果南姉ちゃんたっだいま!!無事!?無事だね!ならよし!!」

 

「危ないじゃない!確認もせずに必殺技ぶっ放すなんて!!私達に当たったらどうするつもりだったの!?」

 

「いや、でもレーダーで位置は分かってたしさっきのテンペスト・バーストもエネルギーを圧縮・威力調整をしたうえでエルバの奴だけを狙って……」

 

「言い訳はいらない!!ほらそこ座る!!」

 

 

「・・・はい」

 

「無事に帰ってきてくれたこと、助けに来てくれたのは嬉しいけど…その私の事になると周りが見えなくなる癖、よくないぞ?」

 

正座させられ両頬をバシンと手で挟まれる。

まあマスクあるから痛くはないんだけど……なんか申し訳なさで心が一杯になる。

 

「…ごめんなさい」

 

「ん、よろしい!」

 

いや、でもさ…いやもう喋らない。姉ちゃん明らかに怒ってるもん。けど…何故かその顔は笑みを浮かべていた。

その笑顔に思わず俺も緊張が解けてしまう。

 

 

「…んんっ。もういいかい、天城隼斗」

 

っとそうだったそうだった!

今はコイツだったな!

 

 

「まさかここを突き止めるとはね…。まずはその洞察力とガッツに拍手を」

 

「賞賛の言葉は要らねえよ。賞品はてめえの首で勘弁してやる」

 

「まさか、君1人で俺を倒すつもりか?あいにくディファレントは出払っているが…ここには新たな部下候補がこんなにもいる。君1人でどうにかなるとは思えないが…」

 

「部下候補ぉ?」

 

 

「隼斗!」

「隼斗君!」

 

聞き覚えのある声がして振り向く。

あ、梨子と曜か。

 

「あ、そういやお前らもいたな…なんで?」

 

「それは私達が知りたいよ…」

「なんでもその人、才能を持った人達を集めてるって……」

 

「才能……?」

 

姉ちゃんは体力、曜は水泳、梨子はピアノ…確かに3人とも、それぞれかなりの実力者だ。それに…あの人達、誰も彼もテレビで見た事があるようなプロの人達ばかりだ。研究分野にスポーツ関係、諸々etc…

 

「隼斗、その人達全員ガイアメモリ持ってる!いくら隼斗とはいえ、流石に危ないよ!!」

 

「……ふーん」

 

姉ちゃんから飛んできた警告。

あの人たち全員メモリ持ちねぇ…全部が片付いたら照井先輩にしょっぴいてもらうか?いや、そもそもここ風都じゃねえし別の世界から持ってきたであろうメモリだから対象外か?

 

まあ分かんねえけど…ともかく、メモリ持ちって事はあの全員がドーパントになって襲ってくる可能性もあるわけだ。

 

…それは怠いな。

やる事済ませてさっさと帰りてえし。正直、この時心の中にあったのは「面倒くせえ」。その一言だけだった。

 

ならここは────

 

「オルァ!」

 

エネルギーを纏わせた煌風を振り抜き、3人や他の人達にギリギリ当たらないように正確にエネルギーの斬撃を放つ。その斬撃は近くの壁を切り裂き、大きな裂け目を作った。

 

 

「……隼斗?」

 

 

こちらの突然の攻撃に驚いたのか、ざわざわと騒ぎ立てるような声がする。

あるものは怯え、ある者は「危ないじゃないか!!」という怒りの声を。

 

だがそれもゼンリンシューターを1発天井に向けて撃ち放ち、穴を開けると途端にしんと静まり返った。

 

「俺の目的はアンタらじゃねえ。逃げるなりなんなり好きにしろ。だが…もし俺の邪魔をするってなら…

 

 

 

 

容赦はしねぇぞ!!!

 

 

そう怒鳴りつけ、翼から暴風を放つ。

テンペスト・バーストの衝撃で割れていた窓ガラスが完全に木っ端微塵になり、窓枠を残して砕け散った。

 

それに完全にビビったのか、我先にとそこにいた他の人たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていき、3人だけが残った。

 

「やれやれ、酷い言い方をするものだな。

もっと紳士なやり方はできなかったのかい?」

 

「Shut up!言ったろ、俺の目的はアイツらじゃねえって。ここである程度お前を足止めして3人を連れ帰れば、俺のmissionは完了なんだよ」

 

「ほう。だが…まさか1人で俺の相手をできるとでも?」

 

「あいにく俺はソロの方が戦いは得意でな。曜、梨子、姉ちゃん!下がって……な!!」

 

足と翼にエネルギーを集め、ノーモーションからの超加速。幸いエルバの野郎はまだ人間だ、変身させなきゃ勝ち目は充分にある!

 

 

「ちょっ隼斗!?いくら相手が相手だからって生身の人間に……」

 

「コイツの場合変身させたらそれこそ The ENDなんだよ!だからその前に!!」

 

 

未だ人間体のエルバに対し、容赦なく煌風を振り下ろす。しかし、奴はそれを紙一重でかわした。

 

「っ!このっ!」

 

続けてリジェネレイトブラッシャー、煌風と2本の刃を連続で振るも避けられる。

 

いくら元最高幹部最強クラスとはいえ、変身もせずに最速を誇るブレイヴの攻撃を避け切っている。なんつー動体視力してんだ!

 

「流石に速さだと君に利があるか。やはり、この姿での相手が相応しい」

 

《Dystopia!》

 

ドライバーを装着、ディストピアのメモリを起動する。

 

「やべっ!…けど!」

 

即座にリジェネレイトブラッシャーをブラスターガンモードに変形。エルバの腹部に狙いを定める。

 

「…!?」

 

「Criticalだ!くたばりやがれ!!」

 

 

トリガーを引き、放たれる強力なエネルギー弾。衝撃でエルバの身体が吹っ飛び、壁に叩きつけられて崩れる音と共に土煙がその姿を隠した。

 

 

「まだまだ!油断大敵、一寸先はDarkness!全部まとめて持って逝きやがれ!!!」

 

煌風を腰に納め、ゼンリンシューターBSに持ち替える。

 

《ヒッサツ!Full throttle!!》

《ヒッサツ!Full throttle Over!!ブレイヴ!カクサーン!!》

 

ゼンリンシューターにシグナルソニックを、リジェネレイトブラッシャーにシグナルブレイヴとカクサーンⅡを装填。エルバが吹っ飛んだ方向へと向けた。

 

Improvisation(即興必殺技)!!

ブレイヴ・フルバースト!!!」

 

ゼンリンシューターの光弾を放ち、即座にブラッシャーのエネルギー砲をぶっ放す。

オマケに背中の翼から羽根型ビットをありったけ!!

 

ってか今思ったけどこんな技あったっけ……まあいいや。なんかできたし……それにこういう翼のついてる奴って大抵できるイメージあるしな!

 

 

ともかくこれだけぶちかませば流石のエルバでも…それに最悪メモリは壊せなくてもあのドライバーさえ破壊できれば!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────言ったはずだ。君1人ではどうにかなるとは思えないと」

 

 

爆煙の中からディストピア・ドーパントが姿を表す。腰にあるドライバーにも、ましてやその肉体も煙が上がっているだけで目立った外傷は無いようだった。

 

「そんな!」

 

「「無傷!?」」

 

「チッ…!バケモンかよマジで…!確実に生身を狙ったしOver kill確定だったろ!!」

 

「悪いがこのドライバーは特別製でね。普通の攻撃では、まず破壊は不可能だ」

 

「充分普通じゃ無かったけどな…!」

 

あの攻撃は今やれる最大火力を出したつもりだった。それでも1人じゃやっぱシンドいか…!

 

 

「今度はこちらから行かせてもらおう」

 

 

剣を取り出したディストピアがこちらに向かってきて、上段に構えた剣を振り下ろす。

だが、エネルギーを纏っていないただの斬撃なら受けられる!

 

2つの武器を交差させ、ディストピアの剣を受け止める。ただの斬撃の筈なのに、かなりの重みが剣から伝わってくる。

 

「っのやろぉっ!!」

 

弾くのは不可能と判断し、風の力でジェット噴射。そのままディストピアごと押し出す。

 

右足で蹴り飛ばし、ゼンリンシューターを連射。だがそれは全て剣で叩き落とされてしまう。並の攻撃じゃラチが開かねえ…!

 

 

「どうした天城隼斗、その程度では全然笑えないぞ!」

 

刹那、暗い紫の光を纏った剣が振り上げられる。咄嗟に避けるが先程までいた場所が削り取られた。あっぶねぇ……!

 

「このっ…!」

 

両手の銃を乱射し、急加速して距離を取る。

 

このまま戦闘が長引けば、先にスタミナ切れでくたばるのはこっちの方……

仕方ねえ、一か八か────!

 

 

『安易な発動は今後固く禁ずる』

 

ドライバーに手をかけた途端、ふとよぎる博士の声。あの時襲われた苦しみ、そして死の感覚に一瞬手が止まる。

 

そんなの分かってるっつーの!けどこのままだとラチ開かねえし決め手に欠ける…それに戦いが長引けば3人も危ない。

 

やるしか────ねぇんだ!!!

 

「オオオオッ!!」

 

右手でブーストイグナイターを連打する。

エネルギーが極限まで高められ、体の内に収束していく。

 

 

「…?何をする気だ」

 

 

「隼斗………まさか!」

 

ひたすらイグナイターを連打し、15回。

目を閉じ、大きく息を吸い、吐き出す。

心を波一つ立たない水面に変え、雑念を捨て去る。

 

焦るな、落ち着け。

俺ならやれる、集中しろ!

そして感じ取れ…

 

 

その一雫

 

 

「Clear mind!放て全開!ブチ抜け限界!音も!光も!超えていけ!

 

オーバーブレイクモード───解放ッ!!」

 

 

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

 

その音声と共にドライバーが展開。

黒い部分が蛍光色の緑に光り出し、発生した竜巻がブレイヴソニックを包み込む。

 

 

「オーバーブレイク……まさか!?」

 

 

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一方その頃

 

 

エイくんと博士はなんか色々話をして盛り上がっていた。

 

俺っちはソファーに寝っ転がって休憩中。

今のところやれる事もないので休んどくようニ命じられていル。

 

「地球の本棚…地球上の全ての知識を得られる全能の力か…実に興味深い!」

 

「まあ誰もが得られる力じゃないですけどね…それに僕自身望んでこの力手に入れた訳でもないので」

 

「だとしてもだよ。『知りたい』を突き詰める科学者にとってこれほど心惹かれるものもあるまい!礼を言うよ、士門くん!」

 

 

「いえいえ、僕の方も大変為になる話を聞かせてもらいましたよ。仮面ライダードライブ…へぇ、隼斗さん達の他にも仮面ライダーがいるんだね」

 

「他にも、というよりは彼らこそがこの子達の先輩でね…かつて一度は世界を救った英雄達さ。まあ、私も話に聞いただけだから詳しい事は知らないがね」

 

「グローバルフリーズ…世界全てが止まるってどんな感じなんだろうね」

 

「ロクでも無いということは確かさ。あの時の出来事を繰り返させないために…我々は今も研究を続けているのだから」

 

 

「だとしたらエルバは絶対に止めないとですね。アイツが思いつきで全世界に重加速起こしてみるか、なんてなったらより面倒くさいですし」

 

「確かに。世界征服に飽き足らずそんな事を言い出したらよっぽど厄介になる。その為にも対策をきっちり立てないとだな……」

 

 

 

「センセイ!いるかしら!?」

 

 

そこに息を切らして飛び込んできたのはなんと鞠莉サン。何やら慌てた様子だが……

 

「鞠莉くん!うちにいるんじゃなかったのかい?」

 

「え?誰この絵里ちゃんにそっくりな子」

 

「あら?どなた?」

 

「ああ鞠莉サン、コイツはエイくん。俺っち達が向こうの世界で出会った人ダヨ」

 

「どーも。えーと…鞠莉さん?」

 

「ええ、小原鞠莉よ。ヨロシクね。って、それより先生!大変なの!!」

 

「大変?どうしたんだい?」

 

鞠莉サンが慌てるってよっぽどの事ダ。

ただごとでは無いのは確かだが…次に続いた言葉を聞いて、俺っち達は全員衝撃を受けタ。

 

 

「実は、帰る途中でカナンにリコ、ヨウがあの男に攫われて……」

 

 

「「「え!!?」」」

 

「果南サン達ガ!?」

 

「やっとの再会とはいかずにまた事件とはね……って、そう言えばさっき隼斗さん出て行ったよね?まさか………」

 

「ハヤト、それを知ってすっ飛んで行っちゃったの!何処に行ったかも分からないのに……」

 

「マジかヨ!?ハーさん行動派ァ……」

 

「いやいや憐くん、考えるより動くっていうのは隼斗さんの良いところだけど、もしも今エルバと隼斗さんにやり合われたらちょっとマズイと思うよ?なにせ────」

 

すると、突如パソコンから鳴る電子的な通知音。警告のブザーにも聴こえるその音を聴いて、何やら博士ガコンピュータを操作し出す。

 

「高出力のコアドライビアエネルギー反応…場所は…ここから離れた化学研究所!?それにこのエネルギー量は………っ!!」

 

ドン!と音が立つ程にデスクをぶっ叩く博士。今俺っち達が持ってる中で相当量のコアドライビアのエネルギーを出せる反応となると、まあ一つしか無いナ…

 

 

「あのバカ………!!」

 

 

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次の瞬間内部から吹き飛ばされるかのように竜巻は霧散し、その姿が露わになった。

 

その体を鮮やかな蒼からクリスタルのように透き通る水色へと変え、翼や肩、腕や足の装甲が展開。

 

背の翼からは青い粒子が放出され、その体は夜空の星のように光り輝いている。

 

体を流れる凄まじい量と質のエネルギー。

外側だけでなく、内側の己自身も強くする。

 

ブレイヴソニック奥の手

オーバーブレイクモード!!

 

 

「オーバー…ブレイクモード……!」

 

物陰に隠れて見ていた果南姉ちゃんが怯えたような顔に。まあそりゃそうだよなぁ…一回目の前で死にかけてるんだし…だが今回ばかりはそんなヘマしねぇよ!

 

「ほう…素晴らしい輝きだ。だが、みてくれだけ良くとも中身が良くなければ────」

 

 

瞬間、ディストピアの肉体に刻まれる刀傷。

 

「な…に…!?」

 

左肩から腹にかけてバッサリと深く斬られ、ディストピアが初めてよろめいた。

そして俺は奴から少し離れた後ろ方向に。

 

「い、今何が…!?」

 

ちなみに今何がどうなったかというと…

 

奴が喋っている間に急加速。

リジェネレイトブラッシャーを捨て煌風一本でディストピアに向かっていく。

 

オーバーブレイクで増幅したエネルギーを刃に集中させたことで切れ味が大幅アップし、ディストピアの硬い装甲をぶち抜いたのだ。

 

「…っ!!」

 

一瞬でも隙ができたならそれを逃さない。

今度は両足と翼にエネルギーを集め、一気に加速。

 

ディストピアが空間切断攻撃を繰り出すも、それを難なく回避、身を捻って胴に一閃。

 

右斜め上、反対からと2連撃でバツ印を描くように斬りつけ、後ろ回し蹴りを3連打。

 

 

「(どういう事だ…スピード、パワー共に先程までのソニックを遥かに上回っている…この力…さっきまでは本気では無かったのか?)」

 

 

「隼斗流剣技伍ノ芸 一刀流!」

 

「っ!」

 

技を繰り出そうとした俺に反応し、ディストピアが空間切断の技を繰り出そうと剣にエネルギーを収束させ始める。だが…

 

「遅い!」

 

手を返しディストピアの手から剣を弾き飛ばす。天高く剣が飛ばされ、ディストピアは武器を失った。そして胴体がガラ空きに!

 

それを見逃す俺じゃない。

胸部に狙いを定め、煌風の切先を突き出した!

 

「風孔突・!!」

 

短時間の間に繰り出される何十連もの突き。

加えてダメ押しの一突きがその身を貫き、それを喰らったディストピアが初めて膝をついた。同時にオーバーブレイクモードが解除され、元の姿に戻る。

 

「あのドーパントが膝をついた…!?」

 

「すごい!すごいよ隼斗!!」

 

姉ちゃんと曜もあれだけ苦戦していた相手に対し有利に立ち回り、あろうことか膝をつかせるという驚きの展開に目を見開いていた。

 

「っ…!やるじゃないか、天城隼斗…!」

 

 

「どーよ…!俺の……力…!!」

 

 

ディストピアの野郎はあの様子じゃあともう少しはマトモに動けねぇだろう…とりあえずアイツが……動けなくなってるうち……に……!?

 

 

 

今のうちに3人を連れて逃げようとする。

だが、突然心臓がドクンと強く脈打った。

 

加えて上手く呼吸ができなくなり、身体が言うことを聞かなくなる。そのまま地面に倒れてしまった。

 

 

「アッ…!?ガァ………!!?」

 

 

「っ!隼斗っ!!?」

 

 

「「隼斗!(隼斗君!)」」

 

 

3人が駆け寄ってくる。

なんでだ…!?今回はタイムリミット以内のはずなのに…!!

 

 

「なるほど…どうやらその姿でいられるのはほんの僅かな時間らしい…な」

 

かろうじて動く顔だけを向けると、そこには剣を杖にして立ち上がるディストピアの姿が。

 

「っ……!立て……立て…!俺の、から…だ…!!」

 

転がっていた煌風を手で手繰り寄せ、右手で掴む。

 

「っ!?がぁぁ!!」

 

だがボロボロの体ではマトモに動く事もできず、そのまま煌風を落としてしまう。しかもディストピアがすぐそこまで近づいてきていた。

 

やっぱ、ダメだったか……クソっ……!!

 

そう諦めかけた途端、ディストピアが足を止める。

 

 

「…………どういうつもりだい?」

 

 

 

見るとそこには、両手を広げて奴の前に立ち塞がる果南姉ちゃんの姿があった。

 

「隼斗には、指一本触れさせない!」

 

「よせ…姉…ちゃん…!!」

 

「大丈夫。……あなた、目的は私たちなんでしょう?だったら────隼斗には手を出さないで」

 

真っ直ぐに、恐れずに姉ちゃんはただディストピアを睨んでいた。たしかに、才能ある人間を集めてると奴は言った。けど、それは殺されないって事じゃ……!

 

「……俺を恐れず、逆に睨みつけ挑んでくるか。やはり君は面白い、松浦果南。

 

いいだろう、天城隼斗はこの場では見逃してやる」

 

持っていた剣を消し、ディストピアが戦闘態勢を解いた。マジで…見逃すって言うのか…!

 

「本当に?」

 

「その代わり条件がある。

 

────俺と共に来い」

 

「私が…?」

 

「その胆力、身体能力、そして彼を思う心…実に良い。君ならばあるいは……」

 

「その条件を呑めば、隼斗は助けてくれるんだよね」

 

「約束しよう。本命のプラン実行まではまだ幾分か猶予がある、それまでの間だがね」

 

 

「……分かった」

 

「果南ちゃん!?」

 

「待ってください!それなら私たちは!?私たちも一緒に……」

 

「彼女1人いれば充分だ。それとも…君達はそこで苦しんでいる友達を置き去りにしても大丈夫だと?」

 

そう言って俺の方を指さすディストピア。

梨子も曜も心配そうにこちらを見ている。

 

「俺は…いい…!それよりも…ふざ…けんな…!姉ちゃんを……っがぁぁ!?」

 

身体に襲いかかる反動。胸を締め付けるかのような苦しみ。

安全装置が働いたのか、ブレイヴファルコンが分離、変身が強制解除された。

 

「無理しない方がいい。君も最愛の人の前で命を散らしたくはないだろう。安心したまえ、彼女に傷をつける事はしないとも」

 

「信じ……られ……か…」

 

必死に手を伸ばすも、届かない。目の前が暗くなり、意識が遠のいていく。

 

すると、果南姉ちゃんが近づいてきて耳元で囁いた。

 

『わたしは大丈夫』

 

「!!」

 

そっと俺の頬を撫で微笑むと変身を解除したエルバの方へと歩いて行った。

 

「これより24時間と半日程の猶予をやろう。

せいぜいそれまで身体を休めておく事だ。

……また会おう」

 

その言葉とともに羽織っていた外套を靡かせるエルバ。すると、果南姉ちゃんとエルバはその姿を消した────

 

 

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「……ぅ」

 

「隼斗!隼斗!?」

 

「隼斗君、大丈夫!?」

 

 

気がつくとここは研究所の外。学校へ戻る道の途中だった。しかも梨子と曜に肩を支えられていて…今まで気を失っていたらしい。

ってかこの状態両足引き摺られてねえか…?

 

「ここ…は…?」

 

「私達はこれから学校に戻るつもり」

「とりあえず、家よりは安全かなって。ほら霧香先生もいるし!」

 

 

「そうか…ってこたぁ…帰ったら、説教確定…かぁ……ゲホッ!ゲホッ!!」

 

胸が締め付けられるような、詰まるような痛みが襲ってきて咳き込む。めちゃくちゃ苦しいが、超進化したトルネードと戦った時の1回目の発動時に比べたらかなり軽症で済んでると思う。

 

「ああもう無理しないで!いくら果南ちゃんの為とはいえまた相当な無茶したんだから!」

 

「前、よりは…軽い方、だ…この前は、ぶっ倒れて、死にかけた、んだから……」

 

「はいはいもう喋らないの。さっきまでまともに呼吸もできてなかったのに……」

 

「泳いでも無いのに陸で溺れるとかやめてよ?」

 

 

「溺れるか…とりあえず、もういいから離せ…自力で歩ける…」

 

2人の肩から手を離し自力でなんとか歩こうとするが、どうにもフラフラして立つのが精一杯。また倒れかけた所を2人にキャッチされた。

 

「まだ無理だって…」

 

「とりあえず学校まではこのままで行こう?先生のラボに着けば寝られるでしょ?」

 

「とりあえずゆっくり休まないと。それじゃあ果南さんも助けられないよ?」

 

「…ああ」

 

2人に身を預け、肩を借りてゆっくりと歩く。とりあえずラボで一眠りすりゃちっとはマシになるか…

 

そう思い、重くて申し訳ないが2人に身を預けて道を行く。

 

 

 

それからしばらく歩き続け、鞠莉の家のホテルが近づいてきた。すると突然……

 

 

「…子ちゃーん!曜ちゃーん!!」

 

 

「この声……え!?曜ちゃん、アレ!!」

 

「…アレって!!」

 

目を閉じていたから見えはしていないがそれでも声は分かる。

 

聴こえてきた方を見る為目を開ける。

疲労のせいだか目を開けたばかりだからか、なんか視界がボヤけているが…走ってくるあれは間違い無い。

オレンジの髪…千歌の声か……

 

 

「千歌ちゃん!よかった、無事だったのね!」

 

「梨子ちゃんたちこそ…怪我は無い!?」

 

「うん、私たちは隼斗に助けられて…」

 

 

「そっか!隼斗くんが……隼斗くん!?」

 

やっと気づいたのか、この状態の俺を見て驚く千歌。そりゃ戻ってきた矢先にコレはそうなるわな…

 

「隼斗さーん!」

 

「隼斗!!」

 

そして、息を切らしてもう3人走ってきた。

えーと…誰だあれ……?

 

「おいどうした!しっかりしろ!!」

 

「ぁ……アラシ……?」

 

あ、やっと視界が戻ってきた…アラシに善子…花丸ちゃんもいたか。

 

「そうだ、俺だ!一体何があった?…まあ聞かなくても大方予想はついてるが…」

 

「貴方のことだから、愛する者を助ける為、単身敵の居城へと侵攻した…でしょ?」

 

「…その言葉…善子か…なんだかいつも通りなのに妙に懐かしいな。数日離れてただけなのに…」

 

「ヨハネよ!!」

 

「…だろうな。否定しねぇってことはやっぱそうか。お前、相当な無茶しただろう。見りゃわかる」

 

「ちょっと…張り切りすぎただけだ…心配いらねぇよ…」

 

「ったくお前ってやつは…どこの世界も仮面ライダーはバカしかいねぇ。お前ら変われ。

俺がコイツおぶっていく」

 

そうして曜と梨子から俺を剥がすとその背中に背負われた。何故かこっちの方が楽だな…

 

「あ、あの…あなたは?」

 

「ああ、俺は……」

 

「この人は切風アラシくん!あの時通信してた高校生探偵の子だよ!!」

 

「ああ、霧香先生が言ってた…って事は、この人が別の世界の仮面ライダー!?」

 

そうか、梨子と曜は初対面か。

あの時は画面にいなかったからな…

 

「ああ。隼斗だけじゃねえ、憐も一緒に戻ってきた。ここからは俺たちも協力させてもらう」

 

「憐くんも!?よかったぁ…」

 

「ところで、みんなはどうして?」

 

「私は海に落ちてたアラシくんを助けたあと私自身もロイミュードに襲われたところを助けられて…」

 

「マル達はロイミュードに襲われたところを謎の剣士さんに助けられたあと、千歌ちゃん達と合流したずら」

 

 

千歌と花丸ちゃんがそれぞれここまでの経緯を簡潔に説明してくれた。…剣士?よく分からないが…まあ無事ならいいか。

 

 

「で…お前ら…これから、どうする気だ?」

 

「とりあえず鞠莉ちゃんの所に行って…」

「その後は先生のところね。今はあのラボの方が家よりは安全だと思うし」

 

「…了解。んじゃ行くか…降ろせアラシ」

 

「お前は休んでろ、そんな状態でマトモに歩けるわけがねぇ。何があったかは知らねえが…ったく後先考えずに突っ走りやがって…」

 

「んな事になって…止まってる方がどうかしてる…俺にとって姉ちゃんは……っぐぅ…!」

 

「本当に何があったんだよ…つか寝てろ。もう喋んな」

 

「悪い…。なら、頼………」

 

信頼できる奴と合流できた安心感からか、急に安心感と眠気が襲ってくる。戦闘のダメージも相まってか俺の意識はすぐに落ちていった…。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「へぇ…じゃあ鞠莉さん達3人が最初のAqoursだったんだ」

 

「そうなの!まあ色々あったけどね。今は9人で頑張ってるのよ」

 

「メインメンバーは、だけどナ。俺っち達非アイドル組3人もいるから12人ダゼ」

 

 

残された俺っち達は…というよりエイくんは鞠莉サンと話してタ。

 

博士曰く、オーバーブレイクのエネルギーを検知したものの、ハーさんの生体反応はあるため無事と判断。しかもこっちに向かって移動してきてるらしい。

 

「にしてもハーさん大丈夫カナ…」

 

 

「生体反応がある以上無事だとも。それにこっちに向かって移動してるなら捕まってもないんだろ。心配は無用だ」

 

「…センセイ明らかにangryね…」

 

「まあこの状況で色々やらかしてるしナ。

そりゃこうもなるって…ン?」

 

ラボの端っこにあるスライダーから何やら声がスル。飛び出してきたのは…

 

「うおおっ!?」

 

アラシサン+背負われてるハーさんとヨッちゃんにマルちゃん。曜サンと梨子サン、最後に千歌サンだった。

 

「皆にアラシサンにハーさん…あー、こっぴどくやられたカ…」

 

「遅いよアラシ。遅すぎて暇だったからマリーちゃんと意気投合しちゃった」

 

「Hello! アナタがエイトのbuddyね? 私は小原鞠莉、マリーって呼んで」

 

「ほぼ全員集合じゃねぇか」

 

博士が怒り顔から一転、いつもの顔に。

あんなに言っておきながらも帰ってきてくれた事が嬉しかったのかネ。

 

「長い旅路ご苦労だったね。おかえり、そしてようこそ私のキリカラボへ! ん? 切風くんはテンションが低いね。士門くんは私のラボに喜んでくれたのに…」

 

「あんたが一時博士か。悪ぃが再会のアレコレやってるほど暇じゃねぇぞ。あといねぇのは瞬樹と黒澤姉妹、あとは松浦果南だったか」

 

アラシサンが近くにあったソファーにハーさんをほっぽり出す。まあハーさんは寝かせとけば治るでしょ、タブン。

 

「そうだよ果南ちゃん! 果南ちゃんはどうしたの!?」

 

「ホントだ。攫われたっていう3人のうち果南サンだけいない…肝心のハーさんはグッタリだしナ…」

 

「そのことなんだけど…実は果南ちゃんはあの人との取引で……」

 

曜サンから事の顛末が語られタ。

ハーさんはブレイヴでエルバのアジトに単身突撃。

 

戦いの途中でオーバーブレイクを発動するも完全撃破までは至らず、ハーさんと曜サン梨子サンを見逃す代わりに果南サンが残った…らしい。

 

「それで、エルバは計画実行までに猶予があるって言ってた。確か…」

「24時間と半日…だったと思う」

 

「36時間かぁ…いやーどう思う霧香博士? 僕はキッツいと思うんだけど」

 

「厳しいだろうね。これを見る限り、このバカ者はオーバーブレイクを使ったようだ。ったく生きてるだけ奇跡というべきか……それでもこのやられようという事は…どの仮面ライダーもエルバには遠く及ばないという事になる」

 

「それに加えて配下のロイミュードもいやがる。36時間で戦力差は埋まらねぇぞ」

 

「しかもアラシくんはベルト失くして変身できないし…」

 

『!?』

 

千歌サンから言われた衝撃の事実。

まぁあの時エイくんのとこにドライバー無かった時点でほぼ確定だったとはいえマジでカ…

 

「なにやってんだよアラシサン…」

 

「うるせぇ俺が一番凹んでんだよ」

 

「それならあの黒き剣聖を召喚…いてっ」

「あのファーストさん?に力を貸してもらえれば…」

 

「え、ファースト来てんの? マ?」

 

ファースト?誰だソイツ…聞いた感じアラシサン達の関係者みたいだケド…もしかしてあれか?ハーさんが言ってた第三者…いやまさかナ……第一向こうの世界にいるはずなのに俺っち達みたいに次元を超えてくるなんて…

 

「だから友達じゃねぇって言ってんだろ。それより瞬樹と黒澤姉妹が優先だろうが」

 

「ん? それならもう見つけてるけど」

 

そうだそうだシュヴァルツだ。

未だに行方不明のアイツが見つかっ……エ?

 

「どーいうことだよエイくん? エイくんずっとここにいたヨナ?」

 

「ファングメモリ…って言ってもわかんないね。僕の分身みたいなのがいて、そいつに瞬樹を探させてたんだ。それでさっき、めちゃくちゃ落ち込んでた瞬樹と、その黒澤ダイヤさんとルビィちゃんを見つけたんだ」

 

「アイツら一緒にいたのか。ならまぁある程度安心だな」

 

「んでファング見つけた瞬樹から色々聞いてるよ。なんかエルバのとこ勝手に突撃したけど無意味に終わったとか」

 

「ワーオDynamic…」

「流石は竜騎士シュバルツ、破天荒ダナ…」

 

「竜騎士シュバルツ…? 何よそれ、堕天使ヨハネのパクリよパクリ!」

 

パクリっつーけどソイツお前のアニキだぞ。

と言いたかったけど口を挟めなかったので俺っち黙りました。

 

「あぁ…うん、そだね。偶然だよ偶然。

あと瞬樹曰く、これから黒澤姉妹と一緒に解放軍を結成して各地のロイミュードを倒して回るって」

 

「ファングに『ざけんなアホ帰って来い』って手紙運ばせろ。帰って来ねぇならもうアイツは知らん」

 

いや、何やってんだシュヴァルツ…ってか別行動させるのって割と危ないんじゃ…?それニあっちダイヤサンとルビィちゃんいるんダロ?ダイヤサンはともかくルビィちゃんガ……

 

「まあ、別行動というのも存外悪くは無いかもしれん。陽動になれば良し、ついでに各地のロイミュードを倒してくれれば時間稼ぎにもなるし、我々としても助かるが……」

 

チラリとハーさんの方を見る博士。

オーバーブレイクの反動か、呼吸は荒く時折苦しそうに胸を押さえる。これでも1回目よりはあるかに楽な方だろう(博士談)というのだから驚いタ。

 

「せめてこのバカが回復するまで、持ってくれれば……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『これより24時間と半日程の猶予をやろう。

せいぜいそれまで身体を休めておく事だ。

……また会おう』

 

「──待てッ!!」

 

目を覚ました。

って、俺はどれくらい眠っていたんだ…?

暗くてよく見えないがどうやらここは博士のラボらしい。千歌達も何処から引っ張り出してきたのか、各々布団を敷いて眠っている。

 

明日に備えて…って事か。

それならもう一回…いや寝れねえよ。

こちとら気分最悪なんだが。

 

で、どうにも寝付けない俺は────

 

 

「っ!はっ!っあッ!!」

 

ラボを出て屋上へ。どうにも気が休まらず、こうして一心不乱に刀を振っている。

 

「まだだ、こんなもんじゃ…この程度じゃアイツ(エルバ)には勝てねぇ…!」

 

だが、昼間の戦闘で手応えはあった。

せめてオーバーブレイクをもうあと10秒…いやちっとばかし命を削る覚悟すりゃあ1分、いや3分いけるか?それぐらいあれば……!!

 

なんて考えてたとき。

 

「オルァ!」

 

考え事に意識が向いてた俺は、横から飛んできた何者かに気づかずにそのまま地面に蹴り転がされた。

 

 

「っ!の野郎!!」

 

頭に血が上ってた俺に相手が誰かなんて見えてはないし考える余裕なんて無かった訳で。敵かと思い込んで煌風を振り回す。

 

「っぶね!お前、ちょっ!!」

 

それを捌き、煌風の2回攻撃を避け、更には斬りあげをバク転で避けた。

 

「だったらッ!!」

 

煌風を振り上げ、真っ向に斬り下ろす。

が、煌風を握っていた手をその襲撃者は両腕を交差させ俺の手を抑えることで止めてみせた。

 

「っ!?」

 

 

「ったく……寝てねえ悪ガキ連れ戻しに来たんだが…何やってんだテメェ」

 

そこで初めて気づいた。

俺より早く寝ていたはずのアラシだ、なんでこんなところに……とりあえず刀を下ろし、戦闘態勢を解いた。

 

 

「んだよ…脅かしやがって」

 

「こっちの台詞だ!死ぬかと思ったわ!おまえが俺らの中で1番重症だってのに無駄に体力使ってんじゃねえ」

 

「動いてる方がいいんだよ。コアドライビアのエネルギーのお陰で自然治癒力が活性化してる、これならほとんど休まなくても傷は治るし反動も問題ねえ」

 

「そういう問題じゃねえ。言いたかねぇが…お前が今いる中じゃ最高戦力なんだ、あの野郎倒す切り札みてえなもんなのに下手に体力使うと────」

 

 

「分かってんだよ!!!」

 

「お前……」

 

「っ……分かってる。分かってるけど…落ち着かねえんだよ…」

 

煌風を鞘に収め、その場に座り込む。

 

そうだ、あのまま俺の体が耐えられていればあの場でエルバを倒し切れたかもしれない。

勝手に突っ込んだとはいえ、チャンスは充分にあったんだ。

 

だが結果としてあと一歩で倒しきれず、逆に倒される所だった。加えて姉ちゃんまで……

 

完全に俺の責任だった、また自分の所為で…その罪悪感だけが、重くのしかかる。

 

 

「……てめえも大概だな」

 

「え?」

 

「仲間想いのお人好し、どっかの馬鹿とそっくりだ」

 

アラシが俺の隣に座り込む。

馬鹿とはなんだ馬鹿とは!

 

「落ち着かねえのはこっちも同じだ。デカい山場が片付いてようやく文化祭の準備に取り掛かれると思った矢先にこの事件、最初は本当に面倒で仕方なかったし、今もアイツらがしっかりやれてるか気が気で仕方ねえよ」

 

「…そうだな。本当にすまな「でもな」…え?」

 

「まあ、アイツらなら大丈夫だろって思ってる。半分くらいだけどな?まぁ元から思ってたんだよ。μ'sは俺ら抜きでもキッチリやるだろってな、…だからお前もなんでもかんでも1人で背負い込むんじゃねえ。お前の仲間を、俺たちを……果南って奴を信じろ」

 

「信じる………」

 

「もっと肩の力抜け。信じて、そんで危なくなったら助け合う。そんなもんだろ」

 

「助け合う………」

 

 

 

「……って、あークソ!説教なんて柄でもねえ事しちまった。俺は寝るぞ、お前もさっさと──」

 

 

「アラシ!」

 

「んだよ?」

 

「…ありがとな」

 

「別に。見てられなかっただけだ」

 

「面倒見いいんだな」

 

 

「普段からあのクソニートとμ'sの連中と一緒にいるんだ、そりゃ嫌でもなるさ。それに…それを言うなら、もっと昔から…………」

 

「……昔?なんだそりゃ」

 

何かを言いかけてアラシは突然黙る。

昔…コイツの過去か……少し気になるな。

 

「…聞いても面白くはねえぞ」

 

「気になるんだから聞かせてくれよ。ちっとはよく眠れるかもしれねえ」

 

「俺の昔話は絵本じゃねぇんだよ」

 

「んな扱いするもんか。これはそう…あれだ!海未さんから聞いたよ、コーヌスって奴の事件。それを聞いて思ったんだ、俺もお前も…なんのために戦うのかとか、何処か似てるってな。だから知りてえんだ」

 

 

アラシはその場に寝っ転がり空を見上げる。それに合わせて俺も隣に寝転ぶと、奴はゆっくりと語りだした。

 

 

「…もう、だいぶ昔の話だ。それはそれは手のかかるダメ親父がいてな?いい歳こいて化石に熱中するわ、化学実験で事務所吹っ飛ばしかけるわ、敵の研究所にピンポンダッシュのノリで一緒に侵入させられるわ…散々だった」

 

「ヤベェ大人じゃねえか……お前大概波瀾万丈な人生送ってんだな」

 

「まあな。ソイツが切風空介……俺の親父だ」

 

「空介さんか…化石や化学はともかく敵の研究所にピンポンダッシュて…」

 

 

「しかも当時まだガキだった俺を勝手に別行動させやがって…んでその時に組織の研究所からぶんどったのが……このジョーカーメモリだった」

 

そう言ってアラシはポケットから黒いメモリを取り出した。ダブルの変身に使われる切札の記憶のガイアメモリだ。

 

「敵の基地から…!?」

 

「ぶんどったっつーかいつの間にか持ってたんだがな。今思えば、コイツがオリジンメモリだったから…だろうな。ちなみに永斗と空介はその時に会ってたらしい」

 

「オリジンメモリ…?」

 

 

「地球の意思が分離した特別なガイアメモリだ。永斗が持ってるサイクロンやファングなんかもそれにあたる」

 

「へぇ…すげえな!…もしかして空介さんってそれがある事を分かってたから…」

 

「んなわけあるかあのクソ親父が……」

 

「そんで、その空介さんが今も探偵事務所の所長やってんのか?いなかったけど…」

 

そこまで言った途端、アラシの…というか空気そのものが少し重くなったような気がした。するとアラシが────

 

 

 

「いや、空介はもういねぇ」

 

 

その口から出てきたのは予想外の言葉だった。いない、ってことはもう……

 

「いねぇって…」

 

「ドーパント事件を追ってる最中に敵にやられた。そっからは永斗と2人での探偵だ」

 

 

「………そうか。…悪い」

 

 

「勝手に話したのは俺だ、別に謝ることじゃねえよ。ま、色々あったが…今の俺があるのはμ'sや永斗だけじゃねえ。少なからず…空介の存在もあるんだよ」

 

「…いい親父さんなんだな」

 

「まあな。自慢はできねぇが……んじゃ、次お前な」

 

「はぁ!?俺!?」

 

「当たり前だろ。こっちも慣れねぇことしたんだから割に合わせろ。なんか面白い昔話でも吐けや」

 

 

 

「………スゥ」

 

 

「寝たふりすんな起きろ!!」

 

無防備な腹に叩き込まれる拳。

鈍い痛みとともに咳き込んでしまう。

 

「殺す気か!つーかお前寝ろっつったり寝るなつったりどっちなんだよ!!」

 

「あー殺す気だよ。お前の話聞くまで死んでも放さねぇ。あと5秒で話さねぇと次は顔面だ」

 

 

「怖えよ。つーか、聞いても面白くねぇぞ?」

 

「俺がそれ言っても聞いたろうがお前は。具体的に言えば…アレだ。普通の学生やってたお前がどういう経緯で仮面ライダーになったのかとか気になって仕方がねえ」

 

「あーそれな。つっても、本当にどうって事ねえ理由だぜ?」

 

「それを聞かせろっつってんだよ。何回も言わせんな殴るぞ」

 

我儘な奴め…ま、1つ語って聞かせてやるとしますかね……

 

 

「…かつて、世界の全てが止まりとある悪の機械生命体『ロイミュード』によって支配されようとしていた。

だが…仮面ライダードライブ、マッハ、チェイサー。彼ら3人を始めとした人達によりこの世界は救われた。

 

んでその後、それらの技術は戦いの後に凍結され……彼らの戦いは終わりを告げた。

 

で、そんなヒーロー達に憧れた1人の少年がいた。その男の名は天城隼斗、彼はアメリカでその仮面ライダー達の協力者である科学者と出会い、紆余曲折あって助手として研究を手伝い始めた」

 

だいぶ端折ったがここまでの経緯を話した。

まあ長々と説明してもあれだしな。

 

「お前が助手に?それに科学者ってことはあの一時博士が作ったのか?」

 

「いや、別の人だ。ハーレー博士っていう人でな…ソニックのデザインやら基本やらは俺が作った。仕上げとか細けえ所はその博士がやったんだ」

 

「はー、お前そう見えて永斗タイプなのかよ」

 

「で、いよいよ高1の終わり頃にソニックを完成させて、たまたま実戦でのテストもできて…それを持って高2の春に日本に帰ってきたら…倒されたはずのロイミュードが何故か復活。戦う事になった…って訳だ」

 

「なるほどな……なんとなーくだがそこまでは分かった。んで、もう一つ気になる事があるんだが…」

 

「これ以上何聞くってんだよ……」

 

 

「人質として残ってるっていう松浦果南だ。お前が必死になる程惚れ込んでる…っていうのは分かる。顔しか見たことねぇけど、どんな奴なんだ?」

 

 

「…優しい人だよ。昔、よく助けられてな。これでも幼い頃は強い人間じゃなくってな…姉ちゃんにはいつも助けられてた。頼りになるし、一緒にいると安心できて…俺にとっちゃ、果南姉ちゃんはもう1人の家族みたいなもんなんだ」

 

 

「なるほどな。だからあんなガチでゾッコンなのか。『愛してる』なんて言うほどによ」

 

 

「まあな!……おい待て、誰から聞いたその話」

 

「憐が言ってたぞ。俺らが手伝いと調査を分担してた頃にな」

 

「…んのヤロウ………」

 

けど待て、憐のやつにそんな話してねぇぞ?第一あの時はアイツいなかったし…姉ちゃん喋ったな……

 

 

「愛してるってんなら、死んでも助けろ。んでてめえも死ぬな」

 

「死んでも助けろなのに死ぬなって…」

 

「死んでなきゃどうとでもなる。死んだら負け、それだけだ。でも()()の存在価値は多分そんなに簡単じゃねぇ…なぁ隼斗、感情論抜きで考えた時、アイツらにとって俺達は何のために存在してると思う?」

 

感情論抜きで…か。

何のために……考えたことも無かったな…

 

仮面ライダーになる前は本当にただの幼馴染で、友達で…いやそれは普通か。

 

何のために?俺は、天城隼斗は……

 

「分かんねえ。…なんだよそれ」

 

「いや、なんでもねぇ。ただの比喩だ忘れろ。要するに、周りのもんを誰も死なせんなってことだ。おら、無駄に感傷に浸ってるぐらいなら戻って休め。明日も早えぞ」

 

「…分かってる」

 

アラシが起き上がり、戻っていく。

それを追うように飛び起き、置いてあった煌風と拳を握りしめる。

 

 

 

「どうでもいい、今は目の前の事に集中しろ」

 

そうだ、これ以上好きにはさせない。俺たちの世界で、絶対に……

 

「…俺はもう負けない」

 

 

確かな決意と、覚悟を胸に。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ねぇ、人質ってこんな自由でいいわけ?」

 

「ここで逃げるほど愚かな女を引き留めたつもりはないさ。退屈なら踊りでも歌でも好きにすればいい。そちらの方が、俺も退屈しないかもしれない」

 

「あなたのために見せるものなんて無いし」

 

「それは残念」

 

 

隼斗達が撤退し、ダイヤたちと謎の仮面ライダーが帰ったあと。

私は特に何をされるでもなくフリーだった。

 

拘束もされてない以上、逃げ出すことは多分できる。けどそうしたら隼斗たちが危なくなるかもしれない。自由とはいえ不自由でもあった。

 

「それにしても、なんで36時間なの? さっさと別の世界にでも行っちゃえばいいのに」

 

「あちらの世界に帰ることなんて造作も無い。奴らは穴をずらして手を打ったつもりだろうが、こちらから穴を広げれば扉は開通する。36時間は単にディファレントの充電時間だ。先の戦いで削れてしまった分が大きい」

 

「じゃあ世界を手に入れる計画っていうのは…」

 

「質問が多いな。仲間に伝える手段があるわけでもあるまいし」

 

「暇なの。あと1日もこうしてなきゃいけないんだから!」

 

「暇…それは妙だな。暇、則ち憂鬱の種のはずだ。これだけ俺の近くに居ながら何の異常も無いということは、君は全く憂鬱に沈んでいないという事だが」

 

「当たり前。だって隼斗が助けに来てくれるから」

 

わたしが信じているように、きっと隼斗もわたしを信じてくれている。だから安心できる。大丈夫だって。

 

「天城隼斗は君の弟なのか?」

 

「急になに? 弟…だとは思ってるし、隼斗も『姉ちゃん』って呼んでくれるけど、別に血が繋がってるわけじゃないよ。弟っていうよりは、私のヒーローって感じかも」

 

まあ、本当に頼もしくなったのはこの一年でだけど。幼い頃の隼斗とはまるっきり変わって…嬉しいような寂しいような。

 

「ヒーロー…なるほど、それが憂鬱を晴らすモノの一つか。俺という『悪』には無縁な存在だな。驚いたか? これでも自分が悪だという自覚はある」

 

「別に。なんか開き直ってる感じはずっとイラついてたし。

じゃあそっちはどうなの。家族とか友達とかいないの?」

 

思わず口から出た言葉。

悪い自覚がありながら平気でいられるのは正直こっちもイライラする。

 

「…親はいたが、会っていない。俺の才能を疎んで家から追い出されて以来は一度もだ。歳の離れた弟は俺の才能に憧れたのか、家を捨てて組織にまで接触してきたな。ヤツは俺ではなく『暴食』の下につき、ついぞ会うことは無かったが…」

 

「歳の離れた弟って…あなた今いくつ? なんなら年下に見えるんだけど」

 

「軽く君の倍は生きている」

 

「えぇ…その歳で女子高生攫って世界征服って…ちょっと引く」

 

「成長なんて憂鬱の温床だ。行動原理は幼いくらいが薬というものじゃないか? 後は友達だったか…友はいない。部下は集めたが誰も彼も役に立たなかったな。本当に笑えない人生だ」

 

「…あっそう。なんでそこまで言って気付かないの?って感じなんだけど」

 

「どういうことだ…?」

 

「自分で考えれば。あと1日、隼斗にぶっ飛ばされる時までね」

 

あの時の戦い。

隼斗がオーバーブレイクを使った途端、一気に戦況が覆ったのは素人のわたしから見ても明らかだった。

 

隼斗1人の本気でアレなら、多分憐やあの仮面ライダーたちも加われば充分勝機はある。

 

そう思ったからか、思わずお腹が鳴った。

 

「お腹すいたー、あとお風呂とかないの!?」

 

「強かが過ぎるな君は。浴室も寝室も勝手に使えばいい。全く…」

 

 

とりあえず命の保証はされている。

なら後はお伽話のお姫さまよろしく、隼斗(王子さま)が助けに来るのを待つだけだ。

 

 

「だから隼斗、無茶しないでよ?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「でりゃあっ!」

 

「っ!」

 

翌朝。

アラシやこっちにいるAqoursの面々は紛失したドライバー探し。手伝おうかとも言ったが、アラシの奴が

 

『お前は少しでも体あっためとけ。治ってるってんならリハビリとかもバッチリしといたほうがいいはずだ』

 

なんて言ってたからな…まあアイツいるなら万が一があってもなんとかなるか。

 

永斗少年と霧香博士はエルバ対策。

なんか作ってたなそういや……

 

んで俺たちは……

 

「まあ、トレーニングだよナァっ!!」

 

「That's absolutely right!!」

 

「なんて!?」

 

「"全くもってその通り"だ!!」

 

体育館にて互いに霧香博士お手製の重り×4を手足に着けた状態での組み手。

 

そして俺は竹刀を二刀流、憐はスレイクロー…っぽい籠手(俺製)を使い、より実戦に近い環境でやっている。

 

エルバの使う重加速とも異なるあの力…あれで動きが重くなっても動けるように…そう考えての対策って訳だ。

 

「で、ハーさんまたオーバーブレイク使う気!?」

 

「タイマンでやった感じ、奴はブレイヴでトントン、オーバーブレイクで有利を取れる!隙を見つけて、なおかつ全員でかかれば今度こそやれる!!」

 

竹刀を弾き、床を転がって受け身を取り、クローを振り下ろしてくる。

 

左手の竹刀でクローを受け止め、上に弾いて右手の竹刀で落とし、突き。

 

「それに、いざって時は………」

 

「時は?」

 

「……………ま、なんとかするさ!オラ隙あり!!」

 

「っぶね!不意打ちは卑怯ダロ!?」

 

「戦いに卑怯も何もねえよ!!」

 

「ハーさんヒーローやめちまえ!!」

 

 

『あー2人とも、聞こえる?こちらラボの士門永斗くんでーす』

 

耳につけた小型通信機(霧香博士ハンドメイド)から声が聞こえる。ラボにいるはずの永斗少年からだ。

 

「こちら隼斗」

「同じく憐。エイくん?」

 

『アラシからの報告。ダブルドライバー捜索はAqoursのみんなに任せたから、俺たちはエルバのアジトに突撃するぞ!とのこと。2人とも、いける?』

 

憐と顔を見合わせ、互いに頷く。

互いに使っていた得物をその場に放ると、部室に戻りドライバーや武器を取る。

 

「モチロン!」

 

「Naturally!当然だ!!」

 

 

恐らくこれが正真正銘最後の戦い。

さあ、今度こそ終わらせるぞ!!

 

次回に続く!




アラシはドライバー紛失、瞬樹と黒澤姉妹は別行動。
加えて人質と化した果南。問題は山積み、状況は極めて悪い。

隼斗達はこの危機をどう切り抜けるのか?
それでは次回もお楽しみに!!

善子・花丸コンビと黒澤姉妹に何があったかは同時投稿されている146さんのラブダブルサイドをご覧ください!!

https://syosetu.org/novel/96993/70.html


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ラブダブルコラボ編 第8話 駆け抜けろS/激戦のロード

長きに渡るコラボ編も残り僅か!はたして隼斗は果南を無事助け出すことができるのか?
今回も両者の作品でかなりストーリー展開が異なっています。
あちら側も合わせてご覧ください!

そして今回はこのコラボ編でやりたかった事トップのあの戦いが!
世界と作品を超えたドリームマッチをお見逃しなく!!



これまでのサンシャインサーガ!

 

攫われた果南を助けるため、一人エルバのアジトへ突撃した隼斗。しかしそこには、他にも曜や梨子、そしてその他大勢の人達が。

 

隼斗は一人エルバに戦いを挑むも苦戦を強いられてしまう。そして決死の覚悟でオーバーブレイクモードを発動するも、後一歩のところで力及ばず倒れてしまった。

 

逆に倒されるかと思われたが、なんと果南が1人残るという条件と引き換えに見逃される。

 

与えられた猶予、36時間が過ぎついに決戦の日を迎えたのであった…

 

 

_____________________________________________

 

 

バイクを走らせやってきたのは昨日攻め入ったエルバのアジトであった研究所。

 

上の方には撃ち抜かれたような痕(俺の)やら

壁には大穴が空いたりしていた。

これに関しては覚えがないんでこれが後から聞いた瞬樹くんが突撃したって言ってたやつか…

 

ちなみにメンバーは俺(隼斗)と憐、アラシだ。瞬樹くん及び黒澤姉妹とは未だ連絡が取れず、永斗少年は何やらやる事があるらしく霧香博士と留守番。

 

「準備はいいか?」

 

「とっくに一回突撃してんだ、準備も何もAll readyだぜ!」

 

「ちなみに俺は全くだけどな。ドライバー見つかってねぇし」

 

やる気は充分なんだが戦力的には正直かなりしんどい。俺と憐はともかくアラシはダブルドライバーが未だ行方不明のため変身不能。

 

それでもやるしかない、そう思い中に入ろうとするもアラシが突如その足を止めた。

 

 

「このアジト、どうにも怪しい感じすんだよな」

 

「罠ってことカ? まぁこんなバリア張ってあるくらいだしナ…」

 

憐が手を伸ばすと、そこには透明だが確かにそこにあるエネルギーの壁。というよりドームに近い形で展開されたバリアがあった。

 

事前のbriefingで話を聞いた限りでは、昨日の内にシグナルバイク達や永斗少年の分身のメカであるファングメモリで各地の偵察を試みていたらしいが、この場所に関してはコレのせいでほとんど収穫が無かったらしい。

 

事前情報ほとんど無しで攻め込むとか無謀にも程がある。まあ罠だと分かっててもやるしかねぇんだけどな。姉ちゃんも待ってるし。

 

「……あぁもう、しゃらくせぇ!! どうせ分かんねぇんだ! フクザツに考えるのはもうやめだ!」

 

「気が合うじゃねえかアラシ! そうだよな、こーいうのは…Dashで突破あるのみだぜ!!」

 

《SignalBike!》

 

「Ready! Hensin!!」

 

《Rider!Sonic!!》

 

仮面ライダーソニックへ変身。

握りしめた右拳に風を纏わせる。

 

「Rider……Wind Knuckle!!」

 

 

そしてそれをバリアに向けて思い切り叩きつける。ヒビが入り砕けたところで転がり込みなんとか侵入成功。振り返るとバリアがもう再生していた。

どういう仕組みしてんだコレ…

 

 

「しゃあ! 突入成功!!」

 

「マジで雑だなハーさん…アラシサンももうちょいクールだった気ガ…」

 

「永斗曰く脳筋らしいぞ、俺は。知らんけど。んで…どうにも予想通りガッツリ罠だったみてぇだな」

 

「ま、罠ごとBreakすればいいだけだろ!行くぞ!」

 

そのまま建物の中へ突入。

だが、俺たちを待っていたのはエルバではなく……

 

「クク…待っていたぞ愚かな下等生物共が。まんまと罠に嵌ったな!」

 

そこにいたのはエルバでもドーパントでもなく、スパイダー型の下級ロイミュード。

 

胸に刻まれたナンバーは050。

かつてシーカー・ロイミュードとしてマッハ先輩達を苦しめたという個体だ。

 

「050…!」

 

「テメェは…見覚えある番号だな。海底でスクラップになったかと思ってたぜ」

 

「あの程度で死ぬとでも思ったか! この上なく不愉快だ。借りは返させてもらおうか切風アラシ!」

 

そういやアラシと千歌がコイツに遭遇してたんだっけか。何があったかは知らんが、相当怒らせたことは確からしい。

 

 

「ハッ!たかが下級1匹、お前に何ができるってんだ!今は西堀令子もいねぇ、進化態にもなれねぇお前が、俺たち相手にどうするつもりだ?」

 

確かに050の持つ『負の感情増幅』の能力は厄介だが、進化もしてない今はそこまで脅威では無いはず…だが奴は何処か余裕のある様子だった。

 

「これが何か、お前たちに分かるか?」

 

そう言って奴が取り出したのは、青いドーパント用のガイアメモリ。…なんだよまたそのパターンか。

 

「東京で出くわした奴みたいに、ロイミュードでもドーパントに変身できるんだったな、そういえば!」

 

「そんなのは凡人の発想だ。ロイミュードがガイアメモリを使ったところで、できあがるのは多少強力なドーパント。進化態と大差は無い、077が良い例だ。だがもし、進化態とドーパントの力を融合できれば? これはそういう実験だ!」

 

《Aquarium!》

 

アクアリウム…水族館?

 

奴が肩にメモリを突き刺した途端、その姿はドーム状のエネルギーと水に包まれ進化態に変化する時のように歪みその姿を変えていく。

 

そしてその姿は元のシーカー・ロイミュード同様の魔術師のような見た目に、無数の水棲生物の意匠が施された見たことない進化態へと変化した。

 

「馬鹿な!シーカー・ロイミュード!?」

 

「でも色がチゲーぜ!?」

 

「コイツ、ドーパントの力を取り込んだってのか…!」

 

ガイアメモリの力を取り込んでの進化…方法的には異常っちゃ異常だがディファレント程じゃない。さしずめ『亜種進化態』…アクアリウム・ドーパント・シーカーってところか!

 

 

「実験は成功だ! 次は性能検証に移行しよう!」

 

 

アクアリウム・シーカーの右腕がウツボに変化。ドライバーを構えていた憐の体に絡みつくと、そのまま放り投げ窓ガラスを突き破った。

 

「憐っ!」

 

腕には珊瑚に貝殻の装甲が。

切り落としに行ったら間に合わないと判断し先回りしてキャッチ。

 

「わ、ワリィハーさん……」

 

「気にすんな。ロイミュードがドーパントの力取り込んで進化とか予想できる方がcrazyだぜ。…だが」

 

気づけばそこはバリアの外側。

まぁno problem.

 

「この程度、またぶち抜いて…!!」

 

拳に風を纏い、バリアを殴りつける。

が……

 

「…ってぇ…!!」

 

痛ってぇ…!今度はヒビすら入らねぇ…コレ

明らか強度が上がってやがる…

 

「だったらコイツで…!」

 

ゼンリンシューターを取り出し連射。

前輪を回転させ殴りつける。まだダメ。

 

「こうなったら……!」

 

煌風を抜刀し、ドライバーからシグナルソニックを抜き煌風のスロットに挿入。

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

「隼斗流剣技 捌ノ芸!一刀流……」

 

助走をつけて駆け出す。

そして、バリアの目前まで来たところで回転し、足を思い切り踏み込む。

そして半円を描くように刀を切り上げる!

 

怒魃天(どはつてん)!!」

 

 

エネルギーの斬撃がバリアに直撃。

強力なバリアだろうが、フルスロットルならザックリといける…と思ったがそれでも多少傷ついたぐらいでほぼダメージはなかった。

 

 

「…これが狙いかお魚天国」

 

「最初の実験モルモットはお前と決めていたんだ。おっと、逃げようとしても無駄だぞ? 変身したことでバリアの強度は上がっている」

 

「水族館の水槽ってとこか。アクリル板を何層にも重ねてるっつう」

 

そうか、この建物を覆ってるバリアは水槽って訳か!確かに水族館の水槽は水圧で割れたりしないようにとても頑丈な極厚アクリル板でできている。ちょっとやそっとじゃ割れなくて当たり前…

 

「こうなりゃブレイヴで…!」

 

ブレイヴ・ファルコンを呼び寄せ、強行突破を試みたが窓から見えたのはアラシのハンドサイン。アレは……

 

 

『早く行け』

 

 

「…っ!」

 

「ハーさん、アレって…」

 

「…行くぞ」

 

「デモ…!」

 

「憐!!」

 

正直なんとしてでもバリアを破ってアラシを助けたいが…破るのに無駄に時間を食ったら敵の思う壺。エルバの奴はここにはいねぇ、となると別の候補の……

 

「…いいんだナ」

 

「ああ。…アラシを、信じる」

 

 

俺たちはバイクに乗り込み、もう一つのアジトの候補地である場所に向かった。

行き先は駿河湾沿いにある鷲頭山。ここらの山並は『沼津アルプス』なんて呼ばれてて、割とハイカーに人気のスポットだ。

 

 

「山ん中、か…」

 

「つってもよーハーさん、さっきのあの場所は科学研究所、ここはいい感ジの有名スポット。アジト候補地がいくらなんでも人目につきそうな場所ばっかじゃネ?」

 

「これはただの予想なんだが…多分アイツの例の能力が関係してんだろ。人が多い方があの止めるやつ使う時により多くの人間を巻き込める…バレたところでアイツならどうとでもなるしな」

 

「ナルホド、それは一理アル」

 

「それに有名スポットとはいえここは山…普通の人じゃくるのが難しい場所にアジト作っちまえば多少セキュリティの面も楽になるしな」

 

「確かニ。…待てよ、って事はさハーさん…」

 

「ああ。こっからは……」

 

 

『ーッ!』

 

空から偵察させてたファルコンが戻ってきた。一通りこの山の周辺を探らせていたが、どうやらそれが済んだようだ。

 

「山登り、だな」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「よっ…」

 

「テリャッ」

 

まあ山登りつってもわざわざ登山もrock-climbingもする必要なく飛べるからめっちゃeasyだったんだけどな。俺はブレイヴ、憐はメテオデッドヒートを使い、一気に上空まで飛び上がる。向こうの世界のアジトみたいな対空防御兵器が無かったのは幸いだったな。

 

「ハーさん、なんか見えル?」

 

「こっからじゃあなんともだな…もう少し高度下げて探索するぞ」

 

「オケ〜」

 

高度を下げ、地上に近づくように飛びながら辺りを見渡す俺たち。だが辺りを見渡しても木々が生い茂るばかりでそれらしき建物一つ見当たらない。まああったらあったでそれは困るんだが…

 

「どこ見ても木ばっかだな…」

 

「なーハーさん、これ降りた方がいいんじゃねぇカ?多分空から探してたら木に邪魔されてマトモに見えねーゼ?」

 

「そうだな」

 

地上へ降り、一旦通常フォームへ戻す。

ファルコンには引き続き空から探索を続けてもらい、俺たちは歩いて探すことに。

 

 

「しかし、さっきの050…ガイアメモリの力を完全に取り込んで進化した、みたいな感じだったな…」

 

「ああ、あの青いヤツか…ロイミュードは本来人間の感情が進化条件…シーカーに関しては融合進化だったカラ…」

 

「ああ、アイツの融合してた人間…西堀令子は今は檻の中だ。それに、他の人間を探すにしても、再度融合できるほどの条件を満たす悪意を持つ人間ってのは限られてくる」

 

「その制限を克服されちまっタ…」

 

「多分エルバの奴だろうな。天才だってんだから、ロイミュードにガイアメモリの力を馴染ませて進化を促す…そういうtuningができても不思議じゃねぇ」

 

「厄介ダナ…」

 

「ま、だとしても関係ねぇよ。進化条件が変えられただけで、大きな問題じゃねぇ。倒すってのは変わらな……っ!」

 

何かを感じ、即座に煌風を抜刀。

すると奥の方から木々を切り裂いてエネルギーの斬撃が飛んできた。

 

ギリギリの所でそれを弾き、近くにあった木が真っ二つに切り倒された。

 

「っぶねぇ…!?」

 

「今のっテ…!」

 

 

「なんだよ!せっかくぶった斬れたと思ったのに…悪運の強い奴め!」

 

奥の方から現れたのはロイミュード007。

下級状態のバット型だったが、一本の灰色のガイアメモリを取り出すと、それを腕に挿した。

 

《bullet!》

 

するとその姿が歪み、変化する。

007の進化態ソード・ロイミュード。

だがその姿はさっきのシーカー同様に変化を遂げており、ガンメタカラーのボディに両腕の刃には銃口のような筒がつき、体中にはガトリングや弾丸などの意匠が施された見たことのない姿になっていた。

 

「007カ!」

 

「またてめえもドーパントの力を…」

 

「何故それを…」

 

「さっき050がくっちゃべってくれたからな。どーせお前も融合進化出来なくて仕方なくガイアメモリ使ってんだろ?」

 

「フン!侮ってもらっては困る!今の俺はあの時よりも性能ははるかに上がっている、もはや融合すべき多賀の奴も不要だ!津島善子と国木田花丸は仕留め損ねたが…あの黒の剣士や他の連中の前にまずはお前たちから始末してくれる!!」

 

 

「黒の剣士?」

 

「ああ、ヨッちゃん達が助けられたって言う…ま、どうでもいいカ。ハーさん、やれる?」

 

「ああ!たかがロイミュードの1匹、今の俺たちの実力ならno problemだ」

 

 

「そんなら……俺っちだけでもジューぶんカナ」

 

 

「は?」

 

そう言うとスレイヤーが俺の前に出てクローを構えた。おいおい、まさかお前……!

 

「行きなよハーさん、コイツは俺っちが引き受けル!」

 

「なっ…馬鹿言うんじゃねぇ!この進化態の力は正直わかんねぇ、いくらお前とはいえ1人は…」

 

「そっちこそ馬鹿言うナ!果南サン待たせてんダロ!?アンタが行ってやらないでどーする!!」

 

「でもよ…」

 

 

「それともなに?俺っちの…仲間の事が信じられないトカ?」

 

そう言われてハッとなる。

…そうだ、自分から残った果南姉ちゃんも、さっきのアラシも、俺を…俺たちを信じてくれたからそういう判断をした。

 

だったら────信じると言われた俺たちが…俺が仲間を信じないでどうする!!

 

 

「…やれるか?」

 

「何度も言わすなヨ。俺っちダゼ?」

 

「…分かった。なら遠慮なく!!」

 

《ズーット!Sonic!!》

 

憐を信じ、シフトアップして駆け出す。

目指すはこの山のどっかにあるエルバのアジト!!

 

「逃がすか!」

「こっちの台詞だボケ!!」

 

ソード・ロイミュード改めバレット・ドーパント・ソードはエネルギー斬撃と共に銃口から弾丸を放とうとするが、直前にスレイヤーが奴に飛びつき攻撃を中止させた。

 

「オメーの相手は俺っちダ!!」

 

「ならまずは貴様から切り刻んでやる!!」

 

「ジョートーだ!逆にそのナマクラへし折ってやラァ!!」

 

 

頼んだぞ…憐!

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

って、さっきハーさんに啖呵切ったのはいいんだケド…ちょっとこれきビィかなぁ……?

 

 

「っルァ!」

 

「ッ!」

 

ソードが振り下ろす両腕の刃を避け、クローで一閃。再び振り下ろされた右腕の刃を受け止め、右腕のクローを突き出す。

 

「クッ…!」

 

火花を散らし、怯んだ所に蹴りを入れ両手のクローで二撃。後ろ回し蹴りを入れて吹っ飛ばス。

 

「やるな…ならこれはどうだァ!?」

 

すると今度はソードが両腕からエネルギーを纏った刃を射出。加えて腕や体の銃口から弾丸を連射してキタ。

 

「ハァ!?銃は聞いてネェんだケド!?」

 

何発かは叩き落とせたものの、流石に全てを捌き切ることはできず二被弾してしまう。

 

「ソード…剣じゃなかったのかよテメェ!」

 

「甘いな!今のオレはガイアメモリで別の力を取り込んでいる!刃物だけがオレの武器だと思うな!!」

 

そう言うと右腕の銃口をこちらに向け、また弾丸を放ってキタ。

 

走り出してその場を離れ連続で撃たれる銃を避ける。木の陰に隠れるが、すぐ横をぶち抜いたのはなんと弾丸ではなく刃。

 

「ハァ!?なんだよソレェッ!!」

 

《ズーット!Slayer!!》

 

シフトアップしてすぐさまそこから飛び出すも、ソードは既に目の前に。腕の刃の一撃をガードできずニもらってはしまい、加えて反対の腕の銃口から剣のように鋭い弾丸が俺っちを襲い、吹っ飛ばされる。

 

「ぐうっ!」

 

追撃で叩きつけられる弾丸の雨。コレを突破スルのは至難の技。

 

俺っちはハーさんみたいに多種多様なシグナルバイクを持たない。

相手に応じてシグナル交換を使っての対策はできない…ケド!

 

「ソニックになくてスレイヤーにあるモノ…それは基礎のパワーと装甲の硬サ!これさえありゃ……多少の無理は、押し通セル!」

 

左腕で奴の腕を掴むと、脇に挟んでガッツリ固定。右腕のクローで何度も何度も切りつける。

 

「クッソ!離せ!」

 

「へっ…やなこった!!」

 

だが、こっちも敵の刃が装甲に食い込み、銃弾が至近距離から撃ち込まれ続けることでじわじわと俺っちもダメージを負ってル。

どっちが先に根を上げるか…こっからは我慢比べダ!!

 

こっちも負けじとクローで引っ掻きまくる。ソードの方も連続で切り続けたダメージが蓄積していってるのか、そのボディーに傷が増え始めている。

 

「クッソ!なんだコイツ…!」

 

「オメェが!死ぬまで!離すもんか!!」

 

「いい加減に……しやがれぇぇッ!!!」

 

その叫びと共に放たれる弾丸。

だが俺っちも負けじと蹴り飛ばしたあと食らいついてクローで連撃を浴びせて吹っ飛ばし地面を転がる。

 

起き上がった007の体がよろめき、一瞬動きが止まった。

 

「(っ!チャンスだ!!)」

 

一気に駆け出し、トドメを刺さんと爪を構えた。

 

「コレで────!」

 

俺っちの勝ち、そう思いドライバーに手をかけた瞬間

 

 

ガガガガガ!!

 

 

何処からか目に見えない何かが一斉に飛んできて全身に直撃。

バランスを崩し思い切り転倒、その場に倒れ伏してしまった。

 

「ガアアッ!?」

 

「ふーっ、危ねぇ危ねぇ。ダメ元でやってみたが…思いの外上手くいったな?」

 

「今、なに…ガ……!」

 

「ああ?…ああそうか、お前には見えてなかったのか。コレが」

 

ふと見上げると、007の周りには肉眼でやっと見えるレベルの極小サイズの無数の弾丸と金属片が浮いていた。

 

そうか、アイツはそれを射出シテ…!

 

「俺がエルバの野郎からいただいたメモリは『バレット』使えるモノをなんでも弾丸に変えちまうとんでもねぇメモリでな?こういう事も…できんだよ!!」

 

蹴飛ばされ地面を転がる。

弾丸はともかく、あの金属片は何処から…と思ったが、すぐさま理解した。

 

アレは戦闘で打ち合った時に刃こぼれしたりして散らばったモノだ。それを奴は能力で弾丸に変え、高速で射出する事で弾丸にした…!

 

「めんどくセェメモリ使いやがって…!」

 

 

「しかし、これなら仮面ライダーも敵じゃないな!お前を倒したあとはあの青い方を、そして別世界の仮面ライダーどもを倒し…あの忌々しい仮面ライダーも始末してやる!」

 

「なん…だと…!?」

 

「ああそうだ、それとも…先にお前のお友達からぶっ殺してやろうか?全員切り刻んで、二度とアイドルなんてできないように……」

 

 

その瞬間、脳裏に浮かんだのは幼い日に目にしたある光景。

燃え上がり崩れた建物、逃げ惑う人々。

 

 

そして────()()()()()()()()()()()()

 

「………ざけんな」

 

 

「ああ?」

 

飛んできたシフトデッドヒートメテオを掴み取り、ウイングを畳みリアウイングを押す。

 

「そんな事……させるか!!!」

 

《burst!Overd Power!!》

 

《SignalBike/Shift Car!

Rider!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

真紅の竜鎧を身に纏い、デッドヒートメテオにフォームチェンジ。

 

 

「姿が変わった所でなんだってんだ!」

 

再び弾丸と金属片を飛ばしてくる007。

だが、もうその手は通用しない。

 

大きく息を吸い込み、口部装甲が展開。

収束させたエネルギーを放出するブレス・オブ・バーンで飛んできた弾丸や金属片を焼き尽くす。

 

「なにっ!?」

 

「俺っちの…()()大事な仲間に手ェ出すってなら……」

 

紅蓮の炎を纏った爪が007に炸裂。

そして散らばる金属片は炎の熱に溶かされ、弾丸としては使えなくなった。

 

 

「ぶっ殺す!!」

 

前のエルバの時といい、俺もハーさんのこと言えねえなぁ……体の奥底から湧き上がるのは、大切な仲間達を脅かす奴らへの怒り。

それは己の中の黒い感情を呼び起こし、赤黒い炎となり、自身の体を包み込む。

 

「なんだ…なんだお前は!!」

 

007が銃弾や刃を連射するもそれは熱く燃え上がる炎に阻まれ溶け落ちる。真っ直ぐ、ゆっくりとガードもせずに近づいていく。

 

間合いに入った瞬間、炎爪を振り下ろし007のボディを焼き切りつける。

斬撃とともに炎の熱による溶解で射出能力も使用不可。こうなればあとはこちらのものだ。

 

左右のクローで滅多切り、至近距離からブレスで焼き尽くす。

 

「ッ!テメェ!!」

 

再び腕の刃を振りかざしてくる007。

だがその攻撃は見切っている!

 

左のクローで受け止め、それを先程と同じく腕を締め上げるようにして挟んで捕らえる。

 

「オルァァッ!!」

 

そしてそのままもう片方の腕で瓦割りの如く掴んだ刃を叩き折る!

 

「ガアアアアッ!?」

 

叩き折った刃は弾として再利用される可能性があるため、念入りに踏み砕き熱で溶かす。

銃身ごと叩き折ったことで、コレで片方の攻撃手段は潰した。

 

そのまま掴み、膝蹴りを2連で入れ殴りつける。そのまま左右のクローで切りつけ、蹴りで吹っ飛ばした。

 

「何故だ……何故だ何故だ何故だァァ!!!!」

 

ヤケになった007が残った片方の刃からエネルギーの刃を飛ばしてくるが、メテオデッドヒートの装甲に柔な攻撃は通用しない。

 

《ヒッサツ!》

 

俺はドライバーのパネルを上げ、イグナイターを押して必殺体制にはいる。

 

「────終わりだ!!」

 

《Volca Full throttle!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

右足に赤黒い炎を纏い、飛び上がる。

そしてそのまま007に向けてその足を突き出した!!

 

「メテオ・インフェルノブレイク!!!」

 

吠える竜のような獄炎を纏ったライダーキック。それはさながら、太古の時代に大絶滅を引き起こした隕石の大激突。

 

無防備な007にその一撃が炸裂し、その体が燃え上がった。

 

 

 

「グッ………ッハハハ……!!」

 

 

「…何がおかしい」

 

「やるじゃねぇか…だがコレで終わりだと思うな!俺が消えようがお前らの敗北は変わらない…!今のうちにせいぜい喜んでおくといい…ガッ!?」

 

「うるせぇな…さっさと消えろ」

 

喋っている007にクローを突き刺し黙らせる。そのまま引き抜き最後にもう一撃喰らわせると同時にその体は爆散。

 

ガイアメモリが排出され、コアと共に砕け散った。

 

「……ふぅ」

 

それを確認し変身解除。

一息つき、空を見上げた。

 

「……やべ、落ち着いてル場合じゃネェや。急がなきゃ!ハーさんが待ってるゼ!」

 

俺は……俺っちは先に行った先輩のことを思い出し、急いで走り出した。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

憐に007の相手を任せ、俺はアジト探しに専念するべく山を駆け抜けていたのだが……

 

「全く見つからねえ……!」

 

怪しい隠し扉の一つも見つからずどうしたものかと困り果てていた。

 

ちなみにだが、こういうのってなんかこう斜面とかに土で隠されてるんじゃ?と思い先程銃撃や剣で掘ってみたものの全然見つからなかった。

 

「地面とかに隠されてる、無し。どっか人間では到達できないエリアにある、これも無し……あーもうどうしろってんだよ!!!」

 

思わず近くの木に八つ当たりしてしまう。

煌風を持っていたせいか、木の幹が真っ二つになりザザザザと大きな音を立てて倒れた。

 

「………………そうだ!!」

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

木の幹が倒れた瞬間、俺の中にあるideaが浮かび上がった。シグナルカクサーンⅡを煌風にセットし、baseballでバットを構えるかのように並行に大きく振りかぶる。

 

煌風の刀身が青い光を纏い、輝きを増す。

 

「隼斗流剣技陸ノ芸(ろくのわざ)。一刀流…!」

 

そして、勢いのままにそれを振りかぶりその場で加速、高速回転!!

 

乱レ旋(みだれつむじ)!!」

 

エネルギーの刃が四方八方に向けて無差別に飛んでいく。この技は多数の敵を同時に相手にするために作ったのだが、この通り攻撃が飛んでいく先が制御不能で実戦で使うには不向きだというのが難点だった。

 

だが今の状況ならBestな技。

木が多過ぎて何も見つからんのなら木を減らせばなんか見つかるはず!

環境破壊?この際気にしてられん!!

 

周りの木々が切れ、視界が開けて来た。

それはいいんだ、だが………

 

 

「……ウェッ………」

 

回転するのを止め、煌風を杖にして平衡感覚を保つ。

 

この技の難点その2、『めっちゃ酔う』。

何度も練習したが、どうにも慣れることができず、未だ克服できていない。

 

だから極力使いたくないんだこれ………やべ、吐きそう……

 

「無理…ちょっと…休憩しよ…」

 

落ち着くために一度座って休もうとしたその瞬間、近くでバチバチと何かがショートするような音がして振り向く。

 

すると、透明なそれがハッキリとしてきて…それまでは見えて無かった扉のようなものが出現していた。

 

「…マジか」

 

光学迷彩か?まさかこんな形で隠されていたなんて…そりゃ分からねえはずだわ。

ともあれコレはlucky!入口が見つかった以上あとは突入してエルバボコってサクッと姉ちゃんを救出するだけ…そう思った瞬間、突如として地鳴りが。それもだんだんとこちらに近づいてきて………

 

「っ!」

 

咄嗟にその場から飛び退く。

周りの土を巻き上げ、それは姿を表した。

 

爬虫類のような鱗と大地に突き刺さる爪。

鋭利な牙にギロリとした眼。巨大で長い角、空を覆う翼。

 

「なんだ…!?」

 

それは正に、太古の時代においてこの地球の頂点に君臨していた最強の生物。

色々混ざってこそいるが、それは紛れもなく『恐竜』そのものだった。

 

 

『────────!!!!』

 

 

「なんだコイツ!?これもドーパント…なんだよな?」

 

『……!!』

 

謎の恐竜はこちらを認識するや否や咆哮し、こちらに向かって来た。アンキロサウルスのような棘付きハンマーのような尻尾を此方に向けて振ってくる。大振りだったため跳躍で回避、逆に煌風の刃を叩きつける。が…

 

「っ!硬え…!」

 

硬い鱗に阻まれ刃はほとんど通らず。恐竜は

逆に大口を開け、噛み付いてきた。

 

「っがぁ…!痛えっつぅの…!離せコラ!俺なんて食っても美味くはねぇぞ!!」

 

ゼンリンシューターを顔面に向けて連射、加えて煌風で何度も斬りつけるが効いていない+咬合力がとてつもなく、食らいついたまま離さない。

 

恐竜はそのまま木々を薙ぎ倒しながら突進。木に何度も叩きつけた俺を投げ飛ばした。

 

「っぇ……!番犬役に恐竜とかイカれてんだろ!ふざけやがってこの野郎!!」

 

《SignalBike!》

《Signal koukan!超・カクサーン!!》

 

シグナルカクサーンⅡにシグナル交換。

奴の頭上に向けて弾丸を放ち、カクサーンⅡの能力で弾丸を分裂、エネルギー弾の雨を降らせる。

 

弾丸で牽制している隙にその間を縫うようにすり抜け、煌風でのhit&awayを繰り返す。

 

加速により風を取り込み、それを力に変えて刃を叩きつける。風の力を得た刀は切れ味を増し先程よりは目に見えて傷はつけられているが、恐竜はそれをものともせずにこちらを真っ直ぐ睨み大気が震えるような咆哮を轟かせた。

 

「敵意MAX、加えてさっきの攻撃といい硬さといい……変身してんのが誰だか知らねえが、コイツ確実にこっちを殺しに来てやがる…」

 

生半可な攻撃は鱗に阻まれる、かといって時間をかければスタミナ切れでこっちが食われてお陀仏だ。だったらここは…!

 

「come on!ブレイヴ・ファルコン!」

 

『ーッ!』

 

ブレイヴ・ファルコンを呼び寄せ、射出されたシグナルブレイヴを掴み取る。カクサーンⅡと入れ替え、そのままパネルを下ろした。

 

《Evolution!》

《Super Rider!Brave!TAKE OFF‼︎》

 

ファルコンと合体変身し、ブレイヴソニックへと姿を変える。攻撃力とスピード、得意とする二つを兼ね備えたこのブレイヴなら!

 

「行くぜ!」

 

一気に加速し足元へ。

また噛みつかれる前に煌風で首から顎にかけて切り上げ、空いた口に向けてシューターを連射。流石に鱗で守られてない部分だったから効いたのか、口から煙を上げながら悶えている。

 

高くジャンプし、そのまま真っ向で追撃。

思った通りだ、さっきまでと違って深く切り込めた感覚が手から伝わって来た。

 

「よし!思った通りだ、ブレイヴの攻撃力なら奴の硬さをぶち抜ける!」

 

《カナリ!Brave!!》

 

シフトアップし更に加速する。

恐竜の周りを高速で駆け抜けることで敵を撹乱し、死角から煌風で一閃。飛び上がり空中へ。恐竜もその背にプテラノドンのような翼がついているためこちらを追って空へと舞い上がり、口から火炎弾を乱射。

 

火炎弾は煌風で叩き斬り、最後の1発は持ち替えたリジェネレイトブラッシャーのガンモードで撃ち落とす。

 

「コイツでどうだ!」

 

《Signal Sonic!》

 

《Signal Boost!Sonic!!》

 

リジェネレイトブラッシャーにシグナルソニックを装填、強化弾を撃ち出す。だが恐竜はその頭部に鋭い3本のツノを生やし、それを伸ばして強化弾を叩き落とした。

 

「トリケラトプスかっつーの…!それなら!」

 

《signal kakusa-n!》

《Signal Boost!Kakusa-n!!》

 

装填するシグナルバイクをカクサーンⅡに変更し強化弾を拡散弾に変える。発射された弾丸は無数に分裂し、雨となって降り注いだ。

 

『────!!』

 

「一気に決める!鳥!もう一段boostかけるぜ!!」

 

《カナリ!Brave!!》

 

もう一度イグナイターを連打しシフトアップ。更に加速し、二刀流を振るい連続で敵を斬りつける。

 

『────!────!!』

 

噛みつき、火炎弾、更には両腕を巨大化させての鉤爪攻撃。それら全てを加速し、急停止し、身を捻って避けきる。

 

ブレイヴの時はかなり無茶苦茶な空中軌道と加速、そして停止を繰り返しているが、腰にある尾羽『Fテイルスラスター』が空中での姿勢制御をサポートしてくれている。

 

そのためBlue Impulseもびっくり仰天なアクロバティック飛行を可能としているのだ!

 

「ってか、いい加減ブンブン飛び回ってんじゃ………ねぇ!!」

 

一気に上に飛び上がったあと急降下、両手の刃で片翼を切り落とす。翼を失ったことで平衡感覚を保てず落下していく巨体に追いつき更にもう一撃。両翼を切り落とした。

 

『────!!!?』

 

「落ちろ!!」

 

ダメ押しのリジェネレイトブラッシャーでゼロレンジ銃撃。恐竜を地面に叩きつけた。

着地し、煌風を鞘に納めるとブラッシャーにトマーレⅡを装填。

 

《Signal Boost!Toma-re!!》

 

強化拘束弾を発射し、エネルギーの網で恐竜を捕らえ、動きを止めた。

 

「よし!このまま一気に……!!」

『───ッ!────ッ!!』

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!!》

 

「喰らえ!テンペスト・バース……」

『───ッ!────ッ!!』

 

トドメを刺そうとリジェネレイトブラッシャーにシグナルソニック、シグナルブレイヴを装填。必殺技を放とうとした瞬間、ファルコンからけたたましく警告が発された。

 

「ってなんだよ鳥!アイツが拘束振り払う前に仕留めねえと………」

 

トドメを刺そうとした瞬間、突如として発されたファルコンからの警告。瞬間、メット内のモニターに表示されたのはスキャン結果の画像だった。

 

「は?あの中身に人間の生体反応?そんなんあたりメェだろ、人間が変身してんだから。いや、グリモアの例があったか…で?その反応ってのは一体どんな野郎の…………は?」

 

その結果をみた瞬間、俺は衝撃のあまり武器を落とし、言葉を失った。

 

「なんで……どうして!?」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

真相の話の為、少し時間を巻き戻す。

ここはアジト内部。

そこに果南とエルバは2人でいた。

 

 

「…そろそろ気付いた頃か」

 

「待ってるんじゃなかったの? こんな山の中に逃げ込んでさ」

 

「切風アラシと狩夜憐の足止めには成功したようだが、天城隼斗は間もなくここに来るだろう。松浦果南、君を助けに。こちらも見つからないよう場所を移すか」

 

「だからなんで逃げるの!? 隼斗と勝負したいんじゃないの!」

 

「勝負? 勘違いを正すが、このまま彼と俺が遭えば、俺は天城隼斗を殺す。殺せる。間違いなくだ。それが君の望みか?」

 

「隼斗は負けない」

 

「根拠のない自信は笑えない…が、君と彼の関係性は興味深い。それもまた肯定しよう。しかし、俺から見ればその結果は必然なんだ。それで終幕では、余りに退屈で俺は死んでしまう。力量差があるのに挑みに来る彼は理解できないが、それならこちらは計画を完遂させるだけだ」

 

「結局、計画ってなんなの? 昨日から暇潰しだとか、世界征服だとか言ってるけど、まさか具体的なこと何も考えてないとか無いよね? これだけ私たちの街と、友達と、色んなもの巻き込んどいて」

 

「それは理解する気があると解釈してもいいか?」

 

「……まさか」

 

「まぁ聞いてくれ。君との会話は悪くない」

 

 

そう言うとエルバはこちらを手で制し、椅子に深々と腰掛けた。

 

 

「…ねぇ、聞かせてよ。私たちを巻き込んで、あなたが何をしようとしてるのか」

 

 

「この憂鬱を晴らすために、俺は世界を統べたい。そのために───

 

 

この街を俺の城にする。俺の憂鬱を晴らせない凡夫は、もはや価値もない。『憂鬱世界』で永久に静止させる」

 

 

「どういうこと……!?」

 

 

「どうした。あぁ、表現が分かりにくかったか」

 

エルバは近くに居たディファレントロイミュードを操作し、映像を空中に投影した。

 

 

そこに映っていたのは実家のダイビングショップの「映像」で、そこでは父さんと母さんが完全に動かなくなっていた。窓から見える動く雲がなければ、写真と勘違いしてしまうところだ。

 

「この街を拠点に陣地を広げ、ある程度の憂鬱に耐えられる器だけを手駒として置く。労働力にしても君の両親程度の者はいらない。そして、俺が設計した『兵器』を始めとした戦力を生産した末、あの世界への侵攻を行う。そのために、こちらの世界のメモリと、この『ゴールドメモリ』を用意したのだ。この戦争に勝利した時、俺の憂鬱が晴れるはずさ」

 

思わず思考が停止してしまった。

手駒?兵器?何を言ってるの…この人は

 

「……つまり、あなたは…大勢の人を動かない人形にして…奴隷にして…! 人を殺す兵器を作らせて、化け物にして! 戦争に使おうって言うの!?」

 

「そうなる。だが安心していい、兵力として『消費』するのは中の上レベルの人間。松浦果南、君はそんな真似をすることはない。君もまた、俺の憂鬱を晴らす可能性がある存在だからな」

 

「なに…それ…!!」

 

何が「自分を悪と自覚している」、だ。

自分のしていること、やろうとしていることの恐ろしさをまるで理解していない。

ここまで話してみて、もしかしたら────なんて、一瞬でも思ったわたしが馬鹿だった。

 

「やっぱり…分かり合うなんてできない! だって、あんたは人の気持ちをまるで理解できないから! 理解できるなら、そんな恐ろしいこと言わない! やっと分かった、あんたは自分が退屈だ、憂鬱だって、自分のことしか考えてない!」

 

「…何をそんなに怒っている? 君には危害は加えないと言ったはずだが…そうか、もしかして両親や天城隼斗のことか。それならこうしよう、君が選んだ人間は特別待遇にする。君の意見次第で、俺の計画を変えてもいい」

 

いつの間にかそれまで自分の手を縛っていた鎖が消えていた。その言葉は確かなのだろうけど、その言葉に首を縦に振ることはもう今のわたしにはできなかった。

 

そして、次に続く言葉がそれを決定付けた。

 

 

 

「特に君と天城隼斗は俺にとっての鍵、もはや手荒な真似はしないと約束する。君たち2人は…()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

わたしを、みんなを。そして───隼斗を。

その全てを否定するような無情な言葉。

 

気付けばわたしは、その横面を思い切り引っ叩いていた。

 

 

「ふざけないで…! 隼斗は命を懸けて、私を助けようと戦ってくれる。それなのに…隼斗に誰かが傷つくのを安全圏から見てろって!? しかもあんたなんかの下で! 隼斗を…私のヒーローを馬鹿にするな!!」

 

 

「……!」

 

《Dystopia!》

 

驚きか、困惑か、それまでの態度から一変した顔を見せたエルバは、ドーパントとしての姿へと変わるとわたしの頭を乱暴に掴んだ。

 

 

「やめ…て…!!放して……っ……!!?」

 

その手から流れ込んでくるのは、怒りか、拒絶か。他に何もない負の感情『悪意』。

 

 

「……何故だ、君は俺の憂鬱を晴らす存在ではなかったのか? 何故俺に反抗する…?」

 

「違…う…! 私も、隼斗も…あんたの都合のいい道具なんかじゃ…ない…!!」

 

「馬鹿な……どういうことだ。思い通りにいかない、それなのに何故俺の心は晴れない。何故こんなにも気分が悪い…!?」

 

「やっぱり、分かるわけ…ない…! それが分かんないなら…あんたの『憂鬱』は、一生………」

 

そして、気づけばわたしの腕には一本の金のガイアメモリが。それが挿された瞬間、わたしの中でその悪意が膨れ上がる。自分が自分で無くなっていく。自我も意識も薄れていって────

 

 

「隼…斗……………」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「そんな……!あのドーパントが、果南姉ちゃん!?」

 

スキャンの結果、あの恐竜ドーパントに変身しているのが果南姉ちゃんだと分かった。

でもなんで!?姉ちゃんが自ら望んでドーパントになるなんて100%あり得ない、だとしたら────

 

 

『────!!!』

 

「っ!やべぇ!!」

 

気づけば恐竜ドーパントは拘束を破り再びこちらに向けて突撃してきた。

尻尾の振り下ろしを避け、鉤爪で切り裂く攻撃を寸前で回避。その衝撃波は転がっていた木の幹ごと地面を切り裂いた。

 

「っ!このっ…!」

 

ブラッシャーのトリガーを引こうとして踏みとどまる。アレが、果南姉ちゃんだと分かってしまった以上、無闇に攻撃することはできない。どうすれば………

 

『────!!!!』

 

「しまっ……!」

 

その躊躇が俺の判断を鈍らせた。

尻尾の攻撃が腹部に直撃。コンクリートの柱で腹を思い切り殴られたような衝撃が体を襲い、俺を大きく吹っ飛ばした。

 

「ガッ………!?」

 

木々を薙ぎ倒し、地面に叩きつけられる。

その瞬間過剰な被ダメージによりファルコンとの合体が強制解除、元のソニックに戻ってしまった。

 

「っ……ぁ………」

 

数瞬呼吸が止まるほどの衝撃。ブレイヴじゃなければ恐らく1発で意識を持ってかれていただろう。

 

「ゲホッ!ゲホッ!……っ…はぁ……」

 

なんとか息を整え立ち上がる。けどさっきのダメージ+ショックがかなりこたえてる…気を抜いたら多分タダじゃ済まねえだろうなぁ…

 

 

「くっそ……どうすりゃいいんだよ…!下手に倒したら果南姉ちゃんがどうなるか分からねえ、かといってこのままジリ貧になればそれこそ時間が…アラシ達も…戦ってるのに…ここで俺が倒れたら………!」

 

『────ッ!────ッ!!』

 

鳥の鳴き声が聞こえた。

気づけば大きな足音と咆哮を響かせ、恐竜ドーパントがすぐ側まで来ていた。

 

なんとか避けようと足を踏み出す、が……

 

「…え」

 

ここまでの疲労か、はたまた怪我か。

足がもつれて地面に倒れ込んでしまった。

 

今にも俺を食い殺そうと大口を開けてこちらに襲いくる巨体。あ、これ無理かも……

 

あーあ…情けねえ死に方…。

ゴメン、姉ちゃん…やっぱ俺には………

 

 

 

『わたしは大丈夫』

 

 

「っ!!」

 

瞬間、脳裏に浮かんだのはあの時の笑顔。

それが俺の体を活性化させ、その場から飛び退かせた。

 

 

「………っ!!」

 

 

マスク越しに自分の頬を思い切りぶん殴る。

衝撃は少し緩和されているが、この痛みのおかげで目は覚めた。

 

「ふざけんな俺!何が『無理かも』だ!!

それは俺が1番言っちゃいけねえ言葉だろうが!!」

 

そうだ、俺は託されたんだ。

μ'sの皆さん、Aqoursの仲間達、アラシから、そしてなにより果南姉ちゃんから!

 

何があっても助けるんだって!絶対にエルバの野郎を倒すんだって!!だから!!

 

 

「こんなところで…死んでたまるかァァァァ!!!!」

 

 

 

 

 

 

「よく吠えた。諦めという感情への怒り…それは己への戒めであると同時に、自身の背中を押し戦う力となる。それでこそと言うものだ」

 

「は?」

 

 

その瞬間、俺の隣を黒い影が通り過ぎた。

そして振り向いた直後、一筋の斬撃が恐竜の尻尾を切り裂いていた。

 

 

「ダイノエイジ…憂鬱め、まさか他にゴールドメモリを持ち出していたとはな」

 

 

そこに立っていたのは、1人の剣士だった。

だが、その姿は人間とは言えない異形であり漆黒の外套に鎧姿。右腕には向こうの世界でみたガイアメモリの生体コネクタのような模様が描かれている。

 

まるで黒騎士のような、禍々しくも雄々しい姿形をしたそれが、そこに立っていた。

 

「お前は……!?」

 

「貴様か?異世界の仮面ライダー、ソニックとやらは」

 

「確かに、俺は仮面ライダーソニックだが…どうしてその名前を!まさかお前もエルバの…!」

 

「勘違いするな、俺はむしろ奴を葬りに来た側だ」

 

「倒しに…?…そういやアイツ裏切り者だって…なんでそれを?」

 

「話は岸戸から全て聞いている。ある程度の貴様達の動向もな」

 

「岸戸?…誰だそれ、仲間か?」

 

「ハイド…と言えばわかるか」

 

ハイド!?それってあの医者の……ってことはこの剣士は!

 

「結局お前も敵じゃねえか!ちょうどいい、これ以上面倒増えるのも厄介だ、まずはお前から……!」

 

『────!!!』

 

「っ!避けろ!」

 

剣士に突き飛ばされ、なんとか突進を回避。コイツ、今俺を助けて…!?

 

「俺の前に立ち塞がるというのなら、叩き斬るのみ。覚悟しろ…!」

 

「待ってくれ!!」

 

剣士は刀を生成し、今にも恐竜ドーパント…もといダイノエイジ?に斬りかかろうとしていた。咄嗟に殺気満々だった剣士に飛びついて止めに入る。

 

「離せ、何故邪魔をする!」

 

「アレは姉ちゃんなんだ!俺の大切な……」

 

 

「姉ちゃん…姉なのか」

 

「いや、血は繋がってないんだけど…ってそれはいいんだ!とにかく、俺にとって大事な人なんだ!なんとか助ける方法は……」

 

 

「…無くはない」

 

「本当か!?それってどうすれば……」

 

「だがその為には貴様の協力が不可欠だ。一時だけだが……俺を、信用できるか」

 

「…協力しろって事か。それで果南姉ちゃんは助けられるんだな!約束できるのか!?」

 

「武士は約束を違えない。

力を貸せ、仮面ライダーソニック」

 

そう言いながら手を差し伸べる剣士。

信じていいのか正直不安なのは確か、だがこのまま俺1人だけじゃどうしようもないってのも事実。

だったら────やるしかねぇか!

 

その手を取り、引っ張り上げられる。

 

「いいか、奴は今恐らく暴走状態にある。

原因は不明だが、このまま暴れ続ければやがて生命力を使い果たし、最悪死に至る」

 

「じゃあどうすれば…」

 

「最後まで聞け。俺のメモリ『スラッシュ』と奴を同調させ、体内のメモリの位置を探る。そしてメモリのみを正確に破壊できれば奴は助かるはずだ」

 

「メモリを同調だって…!?」

 

「俺のメモリはオリジンメモリ…通常のガイアメモリを凌駕する物だ。このくらいどうということは無い」

 

オリジンメモリ…なるほど、アラシ達と同じ特別なメモリって訳か、understand!

 

「了解。で、俺は何をすれば良い?」

 

「お前は速さが自慢なのだろう?奴を撹乱し動きを止めろ。その隙に俺が奴のメモリを探る、最後はお前が仕留めろ」

 

「俺が?」

 

「大事な存在、なのだろう?ならばその手で救ってみせろ」

 

「…ああ、分かった!」

 

《ズーット!Sonic!!》

 

ダイノエイジがこちらに向かってきながら火炎弾を連射してくるので、シフトアップしてそれを避け、周囲をグルグルと走り回る。

 

大振りな尻尾の攻撃を跳躍で避け、バランスを崩したところでドロップキック、その巨体を地面に倒す。

 

その瞬間剣士がその手に剣を生成し、刀と共に斬りつける。俺じゃまともにダメージを与えられなさったのに、その斬撃は深々と斬り込まれていた。なんて斬れ味だ……

 

そしてダイノエイジに飛び乗るとその手に持っていた剣を突き立てる。

 

腕にあるコネクタが光を放ち始め、剣を伝ってダイノエイジに流れていく。するとその胴体部分の一箇所が光を放ち始めた。

 

光の中心には、歪で細長い形をした形状の物が一つ。あれが内部のメモリ!

 

「仮面ライダーソニック!コレが奴のメモリの位置だ!」

 

『────!!!!────!!」

 

「クッ……ええい、大人しくしていろ暴れ蜥蜴!!」

 

ダイノエイジは起きあがろうと手足をジタバタさせて暴れもがく。剣士は新たに剣を何本も生成し、それを使って地面に縫い付けるように突き刺した。おいそんな乱暴な…!

 

「討て!そう長くはもたんぞ!!」

 

落ちていたシグナルブレイヴを煌風に装填。

青い光が刃に流れ、輝きを放つ。

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》 

 

「一撃で決める!一刀流…伍ノ芸!」

 

力強く踏み出し、そこに向けて刃を突き出した!

 

「風孔突!!」

 

 

シグナルブレイヴの力、加速力、そして風の力。その全てを込めた刃がメモリに突き刺さった。

 

 

『────!!』

 

メモリを中心にその巨体にヒビが入っていきダイノエイジは爆発。

 

その爆煙が晴れると、中からは果南姉ちゃんを抱えた剣士が出てきた。加えて姉ちゃんの腕からヒビの入った金色のメモリが飛び出して地面に落下。え、破壊できてねぇじゃん…まあ、いいか!姉ちゃんは一応元に戻ってるしコレでなんとか解決…じゃねぇ!

 

「っ!姉ちゃん!!おい、姉ちゃん!!」

 

咄嗟に剣士を突き飛ばし、変身解除して果南姉ちゃんを手の中から奪った。

見た感じ目立った外傷は無さそうだ………

 

 

「……………隼、斗………?」

 

「っ!姉ちゃん……!」

 

「…ゴメン。心配…かけちゃったね…」

 

「そんな事無いよ…。俺の方こそごめん…また危険な目に遭わせちゃって……」

 

「何言ってるの…そんなの全然だよ。隼斗が助けてくれるって、信じてたもん」

 

 

「っ…!!」

 

 

助けられた安心感とようやく再会できた喜びからか、思わず涙が溢れる。それを見せまいと姉ちゃんの肩に顔を埋めて思い切り抱きしめた。

 

「その様子ならば命に別状は無さそうだな」

 

剣士は飛び出したメモリを拾い上げ、こちらに近づいてきた。

 

「ああ、悪い!アンタのこと忘れてた…。ありがとうな」

 

「気にするな、ただの気まぐれだ」

 

「それでも、本当に…本当にありがとう…!」

 

深く深く頭を下げる。

例え敵だったのだとしても、助けてもらった以上礼はキッチリしないとな。

 

「ああそういや、アンタ名前は?」

 

「名前?」

 

「ほら、せっかく助けられたのにその恩人の名前聞いてないのもなんかアレだからよ…」

 

「…俺の名はファースト。またの名を…スラッシュ」

 

「ファースト!?」

 

「…なんだ」

 

今朝の作戦会議中、俺は昨日寝ていた間の話を簡潔に聞かされていた。

 

その中の一つに善子と花丸が007に襲われていたところを謎の剣士に助けられたと聞かされたのを思い出した。そしてアラシ曰く、そいつがファーストだと。

 

「剣士…まさか、善子と花丸ちゃんを助けたのって!」

 

「善子、花丸…そうか、あの女子高生2人は貴様の仲間だったのか。そしてその鳥……」

 

「鳥?」

 

『────ッ!』

 

システムが復旧したのか、ブレイヴ・ファルコンがファーストの周りを飛び回る。

なんだ?お前ら知り合いだったのか?

 

「あちらの世界で拾ったのだが、どうやら助けて正解だったようだな」

 

「拾った!?まさかコイツもアンタが助けて…」

 

「破損していたからな。修復をしたのは俺では無いが……」

 

なるほど…だからあの時…

 

「そうか…あっちの世界では2回もアンタに助けられてたって事か」

 

「2度?どういう事だ」

 

「まず1回目が鳥を助けてくれた事。そして2回目…サテライトのレーザーをぶった斬ったアレ、アンタなんだろ?」

 

「ほう…何故わかった?」

 

「湖だよ。俺が栃木のエルバのアジトに行った時、門番の野郎が既に倒されていた。しかも周りにはいくつも鋭利な斬撃の痕が残っていた。…さっきの戦いを見て確信が持てた、あんなことができるのはアンタぐらいだって。違うか?」

 

 

「…間違ってはいない。良い観察眼を持っているな」

 

「そうか?まあアンタがそう言うならそうなのかもな!ともかくそれもだな、ありがとう!なんか礼をしたいところだが…」

 

「礼は不要だ。ただ…そうだな、もし一つ望んでも良いと言うのであれば」

 

するとファーストは刀を生成、それを真っ直ぐこちらに向けて来た。

 

 

「俺と戦え」

 

 

「何…!?」

 

「あの世界で貴様を見た時から、俺はお前が気になっていた。俺に無い強さを持つお前が…俺は強くならなければならない、憂鬱を斬り、ゼロを超える…何者にも屈しない、最強の力を手にする!その為に、俺はお前と戦う!」

 

あのハイドって医者の仲間って事はコイツはアラシ達の敵…だがコイツはエルバ達とは違うみてぇだ。

 

強さを求める…なるほど、根っからの武人気質ってことか。

 

「…隼斗?どうしたの?」

 

「…姉ちゃん、ちょっとごめんな」

 

「え?」

 

抱えていた果南姉ちゃんを下ろしジャケットを脱いでそれを敷いた上に姉ちゃんを寝かせる。

 

「隼斗?」

 

「…いいぜ、受けて立つ!」

 

「隼斗!?」

 

 

何度も助けられて、なんか分からんが認められて…そこまで言われて戦わねえ理由が見つからねえ!

 

「ほう…」

 

「実の所、俺もアンタがずっと気になってた。あの剣筋、あの強さ…それにさっき共闘してた時、アンタとは何か近いものを感じた。そのせいかな…ヒーローとかそういうの以前に、お前と戦いたいって体が疼いてやがるんだ!!」

 

 

確かにエルバは早くぶっ潰さなきゃならねぇ、それは分かってる。

 

だけど今この時だけは、正義のヒーローではなく1人の戦士として。

俺は今、コイツと向き合ってみたい!

 

「それでこそだ。さぁ、構えろ!」

 

《SignalBike!》

 

「Ready……Hensin!!」

 

《Rider!Sonic!!》

 

装甲を纏うと同時に煌風を抜刀。

構えを取った。

 

「悪は撃滅、正義は不滅…だが今この時だけは1人の戦士としてお前と戦う!

 

仮面ライダー…ソニック!!」

 

「ただ一振りの剣として、俺は貴様を超えていく!

ファースト……またの名をスラッシュ!!」

 

 

「来やがれ!」

 

「行くぞ!!」

 

互いに駆け出し、刃を交える。

Slash VS Sonic、戦士としての意地を賭けた戦いが幕を開けた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハァァッ!」

 

「オオオッ!」

 

 

ぶつかる刃、飛び散る火花。

ファーストと俺、互いの持つ剣と刀が甲高い音を立てて衝突し合う。

 

ファーストが剣を振るえば俺がそれを受け流し、俺が斬りかかればファーストは意図も容易くそれをかわし、逆に斬られる。

 

ってかアイツの使ってる剣や刀、見た目はマジで普通の刀や剣なのにこっちの装甲に確実にダメージ与えてきやがる!アイツのメモリには武器を強化する能力でもあんのか!?

 

それに、予想してはいたがこうして斬り合って確信した。純粋な剣の腕なら向こうが圧倒的……でも!

 

「っルァァ!!」

 

「っ…!」

 

煌風の一閃がファーストの外套を掠める。

そこから手首を返して斬りあげ、真っ向、一文字。

 

技で敵わないなら速さでそれを上回れ、力が足りないのなら手数で攻めろ!

 

シフトアップで加速して、間合いの外からの斬りかかる。hit&awayで極力刀での斬り合いを避ける。

 

 

「っ!」

 

「なるほどな、マトモに斬り合わなければ或いは…と考えたか。だが甘い!」

 

ファーストが手を振り上げると空中に何本もの剣が現れ、それが一斉にこちらに向かって飛んでくる。

 

「っ!やべっ」

 

煌風一本だけで弾き切ることは流石に不可能と判断し、リジェネレイトブラッシャーを呼び寄せ二刀流に。

 

全てを叩き落とし、ブラッシャーをガンモードに変形しエネルギー弾を乱射。だがファーストが手に持った刀で全て叩き落とされた。

 

更に新たに生成された大剣がこちらに向かって振り下ろされる。マトモに受けるのは無理と判断し咄嗟に回避すると、その衝撃は山肌を伝い地面に大きな斬撃の痕を刻んだ。

 

「武士とか剣士っつーから正面戦闘だけかと思いきや、存外器用な真似するじゃねえか!まさに剣のMagicianだな!」

 

「貴様こそ、速さだけでなく力もそれなりにあるらしいな。…だが!」

 

新たに剣を2本生成、二刀流でこちらに接近しその剣を振り下ろす。咄嗟に2本を交差させてガードし、上に弾いて2連撃。

 

ファーストも負けじと連続斬りを繰り出し、最後に力強い一閃が入り俺を地面に転がした。

 

「っ…!」

 

「隼斗…!」

 

「貴様の剣には速さはある、強さもある。だが…貴様は第一に『剣を使う』ということを理解していない」

 

「剣を使うことを理解してない…だと…!?」

 

2本を杖にして立ち上がる。

煌風もブラッシャーも、この2本は何度も特訓して使いこなしてると自負している。

 

なのに、使いこなしていないってことか?

…どういう意味だ?

 

「それを俺が教えてやる…」

 

そう言うとファーストは持っていた剣を消し一本の日本刀を生成した。

 

「行くぞ…髭切」

 

「っ!髭切…鬼切丸か!」

 

以前煌風を名付けるに当たって、日本の刀剣について調べた時に知った。鬼の腕を切ってみせたという極めて強力な伝承を持つ刀!

 

ファーストはそれを構えるとこちらに急接近、その刀を振り下ろす。咄嗟に避けられたから良かったがギリギリだったせいか刀の切先がマフラーを掠めた。

 

「敵の攻撃の対処だけに気を取られるな!剣による勝負では、常にその二手三手先を予測しろ!」

 

こちらも負けじと煌風を振り抜き牽制、2度3度に渡って振り抜くもそれは避けられ、上に弾かれた隙に逆に突きでダメージを受けてしまう。

 

 

「っ!この野郎!」

 

 

ブラッシャーと煌風の二刀を連続で繰り出すが、ファーストの刀が器用にそれらを受け流しマトモに攻撃を当てさせてくれない。

だったら!

 

「このっ!」

 

斬撃を繰り返し注意を引きつける。

こちらから攻めることで先程とは出方を変え動きを多少読みにくくさせる狙いだ。

もちろんその攻撃は避けられるが……

 

「闇雲に振った所で当たらなければ意味はない!もっと相手をその目で見ろ!如何に敵が動くか、どの軌道ならば避けられないか!瞬時に考え、そして動け!」

 

「分かってる!だから……」

 

 

姿勢を低くし、足元を払いバランスを崩させる。そして奴の腹部に銃口を突きつけブラッシャーでゼロ距離射撃!

 

「っ!」

 

「Chance!」

 

《ズーット!Sonic!!》

 

射撃の衝撃で吹っ飛んだ所でシフトアップし一気に再接近。2本の武器による連続斬りで反撃。

 

ファーストも瞬時に立ち上がり、その攻撃をかわすと髭切を使いブラッシャーを弾きこちらに二撃。

 

「このっ…!」

 

「っ!」

 

煌風と髭切、互いに力強く振り下ろした刃が互いの装甲を切り裂く。火花が散り、互いにその場を飛びのいた。

 

ファーストは斬られた箇所を手で払い、余裕そうにしている。クッソ…こっち割と痛えんだが…!?スーツが無かったら多分左肩辺りの骨逝ってたぞコレ…!!

 

「クッ…しぶといな……」

 

「アンタもな…!」

 

トルネードと同等…いや、純粋な力量ならアイツや蛮野よりずっと強えし多分エルバにも匹敵するレベルだ。ファースト(一番手)ってのは伊達じゃ無いらしい…

 

「一つ、聞かせろ」

 

「なんだよ?」

 

「何故貴様は仮面ライダーとして戦う?ここまで戦って理解した、貴様は相当な修羅場を潜り抜けてきている。だが…それでも疑問が残る。貴様はなんのためにその命を賭ける。なんの為に、この戦いの定めを受け入れたのか」

 

 

「…別に、大層な理由は無いさ。強いて言うならそうだな…『守るため』だ」

 

「守る…?」

 

「大切な人、大切な町。大切な日常…変わらずに来る今日という日が少しでも長く続けられるようにする。それを壊そうとする障害は一切合切討ち滅ぼす!…その証の一つがまあその…あの人だ」

 

煌風で果南姉ちゃんを指す。

どうやら戦ってる間にだいぶ離れてしまったらしく、かなり遠くにいるのが見えた。

 

「あの少女が?」

 

「俺達の学校さ、見ての通り田舎だから人数少なすぎて廃校の危機だったんだ。んで、俺の仲間たちはそれを阻止しようと頑張ってたんだが……つい先日、正式に統廃合が決まった」

 

「…努力が報われなかった、という事か」

 

「ああ、みんな相当悔しい思いをしたはずだ。俺もな、ずっと頑張ってきたのに、どうして報われなかったんだって…俺のやってきた事に意味はあったのかってな…めちゃくちゃ落ち込んだよ。でもな、アイツらはずっと落ち込んでばかりじゃ無かったんだ」

 

『努力は報われる』人は皆そう言うが、その全てが報われるとは限らない…こんな形で思い知るとは、俺も思いはしなかった。

 

だがそのまま終わるアイツらじゃ無かった。立ち上がったんだ、俺なんかよりも早く。

 

アイツらを強いとおもった。

学校の名前を残すため、そこにあったという証を残すため、未来を少しでも明るいものにするため。

 

俺は、そんなアイツらの力になる事を誓ってまた立ち上がった。

 

「大切な仲間達の未来を守る。アイツらの想いを、夢を!最後まで見届けるって誓った!だから俺は負けられない…奴らの道に立ち塞がる障害は、邪魔する奴らは!ロイミュードだろうがドーパントだろうが、異世界の敵だろうが全て砕く!

 

それが…『仮面ライダー』という力を手に入れた俺の責任だと思うからな!!」

 

未来の為に、かけがえのない輝きを守る為にどこまでも駆け抜ける、強くなる!

それが…『仮面ライダーソニック』だ!!

 

「…そうか。貴様もダブルと同じ、という事か」

 

「まあな。少なくとも、アラシとは似たもの同士だと思ってる。向こうがどう思ってるかは知らねえけどな?」

 

「だからこそ憂鬱は己の手で倒す、そういう事か?」

 

「ああ、俺はアイツに勝つ。例えどんなに強い相手でも、俺は超えていかなきゃならねぇ」

 

「…勝ちたいか」

 

「勝ちたい?違うな………勝つ!!」

 

 

絶対に、何があっても。

この覚悟は揺るがないと言わんばかりに堂々と叫んだ。

 

ファーストは一言「…そうか」と呟くと

 

「ならば、ここからは更に本気で行かせてもらう!俺の全てを貴様に叩き込む!ここで倒れるようならば、憂鬱を倒すなど夢のまた夢と思え!!」

 

髭切を消し、新たな日本刀を2本生成。

 

「天下五剣 三日月宗近!同じく、鬼丸国綱!」

 

天下五剣。

この国において最も優れた刀と称される業物のうち二振りを出してきた。いよいよアイツも本気度MAXって訳か!

 

それだけじゃない、その2本を手にした瞬間から奴の雰囲気がガラッと変わった。

 

「レベル…2!!」

 

紫の炎が奴を包み、その姿を変えてゆく。

半身が異形へと変わり、鎧に変化が。

角の生えたその姿は正に鬼のようであった。

 

通常フォームで太刀打ち不可能なのは明らか。ならばこちらも!

 

「…鳥!」

 

『────ッ!』

 

ブレイヴ・ファルコンを呼び寄せ、内部のシグナルブレイヴを手にする。そしてドライバーを展開し、それを装填!

 

《Evolution!》

 

「I'm Ready!超変身!!」

 

《Super Rider!Brave!TAKE OFF‼︎》

 

ブレイヴソニックへ強化変身。

けどまだ足りない、コイツは全てを叩き込むと言った。だったらこっちも本気の本気でいかなきゃ…なぁ!

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

イグナイターを連打し体のうちにエネルギーを収束させる。体はだいぶ慣れてきた、いざという時の対策もある。今の俺なら!

 

「オーバーブレイクモード、強制解放!」

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

心を落ち着かせるフェーズをカットし、強制的にシステム起動。

装甲展開、蒼く光輝く力を纏う。

MAX of MAX、オーバーブレイクモード!!

 

「とことんまで付き合ってやる!」

 

「来い!」

 

風と光、炎を纏った2人の異形が互いに駆け出し────消えた。

 

残ったものは辺りに響くは剣戟の音と微かに見える残像のみ。常人ではまず目で追うことが不可能な速度での斬り合いを繰り広げる。

 

斬り、防ぎ、避け、弾き、また斬る。

ただでさえ瞬時かつ正確な判断が要求されるこの戦闘は互いにパワーアップしたことでさらに苛烈になる。

 

互いの刃がぶつかり合い、斬って斬られの激しい応酬。かつタイムリミットも気にしなければならない…

 

「ったくめんどくせえ奴だな!」

 

「その言葉、そのまま貴様に返してやる!」

 

「残念だったな返品お断りだ!それに、めんどくせえのは本当だが、それ以上に……」

 

急接近、交差させた刃での押し合いになる。

ああそうだ、奴の幹部ですら面倒くさかったエルバ達に加えてまさかお前と戦う事になるとか考えてもいなかった。

 

けど戦えて良かったとも思ってる。

だって…正義も悪も関係なしにこんなに本気でぶつかり合える奴にまた会えると思っていなかった。

 

だから────

 

「それ以上に、俺は楽しい!!」

 

「ああ、俺もだ!」

 

死力を尽くして戦える、だから俺は強くなれる!何処までも、何処までも!

 

「…一つ、礼を言わねばなるまい」

 

「どうしたよ。戦いの最中だぜ?」

 

「貴様は俺だ。貴様と斬り合うことで、俺は俺の怒りを再確認できた。俺の剣は更に研ぎ澄まされた。俺の原点…その憤怒、覚悟、燃える命の全てを刃に乗せる!」

 

「っ……」

 

またファーストの雰囲気が変わった…!?囂々と燃える紫の炎が、呼吸を思い出したみたいに、周りの空気を取り込んで青く変わっていく。

 

ひりつく風が教えてくれる。ここから先、僅かでも気圧された方が負ける。勝負の決着はすぐそこだ。それなら…

 

「次で決める!」

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!カクサーン!!》

 

煌風にシグナルソニックを、ブラッシャーにはシグナルブレイヴとカクサーンⅡを装填。

2つの刃にエネルギーがチャージされていく。

 

「行くぜファースト……これが俺の全力だ!」

 

「面白い…ならば俺も最大の力をもって貴様を叩き伏せよう!」

 

青い炎で熱された2本の刀を構えた。その隅々にまで奴の意識が張り巡らされているのが分かる。それだけじゃない、ソニックの風を取り込んで、炎が更に青く、細く───

 

「───レベル3」

 

鬼じゃない。これは……火の鳥…?

いいや…関係ねえ。俺は俺のこの一撃で、ファーストを凌駕する!

 

「隼斗流剣技、二刀流奥義!」

 

「最大の賞賛と敬意を込めて、この技を貴様にくれてやる!我流剣 十一ノ技・改────」

 

 

一気に飛び出し、奴の間合いへ。

そして互いに今持てる最大の力を込めた斬撃を繰り出す!!

 

 

「絶禍凌嵐!!」(ぜっかりょうらん)

 

「裂空!!」

 

 

互いにくり出した全力の剣技がぶつかるその刹那、発生した凄まじい衝撃波が周囲に倒れる木々を吹き飛ばした。

 

 

互いに剣を構えたまま、背中合わせの状態。静寂が空間を支配していたが………

 

「っ…………!?」

 

斬撃が体を襲い、装甲に無数の傷をつける。

変身が解け、先に倒れたのは俺の方だった。

 

 

「隼斗!!」

 

姉ちゃんがおぼつかない足取りで駆け寄ってきて、体を起こしてくれた。

無理しなくていいのに………

 

「見事だ、仮面ライダーソニック……」

 

ファーストは体に無数の切傷を作りながらも未だ立ち続けており、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

どうやら向こうもそれなりにダメージを受けていたらしい。

 

俺の目の前まで来ると片膝を突き、俺の胸に手を当てる。そこから発された紫色の光が俺の体を包み、戦いで負った傷を癒していく。

同時にオーバーブレイクの反動による苦しみも和らいでいっている。

 

「これは……」

 

「ここまで付き合わせた礼代わりというやつだ、俺の力の一部を分けてやった。これでもうしばらくすればまた立てるようにはなるだろう」

 

そう言って立ち去ろうとするファーストだったが、歩き出した直後に苦しみ出しその場で膝をついた。

 

「ファースト!」

 

果南姉ちゃんと揃って駆け寄る。

まだ余裕ありそうに見えたがやっぱアンタも限界だったんじゃ……

 

「俺のことならば心配するな、この程度の傷どうということは無い…」

 

「無理すんな。さっき俺にも言ったけどアンタこそ休んだ方がいい、まだお互いに倒さなきゃならない相手がいるだろ?」

 

「互いに、か……そうだな」

 

 

「…ファースト、提案がある」

 

 

「……聞くだけは聞いてやる」

 

「手、組まねえか?」

 

 

俺はそう思いながら、ファーストの目を真っ直ぐに見て言った。

 

「貴様と…だと?」

 

「ああ。見ての通りお互い全力出してボロボロ。このまま行ったら目標達成出来ないどころか2人まとめてお陀仏だ。それに…俺はアンタに恩を返し切れていない」

 

「だから礼など不要だと…」

 

「助けてもらいっぱなしは性に合わなくてな。それに────俺には奴を許せない理由が増えた」

 

側にいる果南姉ちゃんを一瞥してその一言を言う瞬間、自然と声のトーンが一つ落ちたのを覚えている。胸の中にモヤモヤとしているコレ。紛れもなく『怒り』そのものだ。

 

「そうか、貴様も……」

 

「…どういうことだ?」

 

 

「いや、なんでもない。……いいだろう」

 

「…っし!交渉成立だな!」

 

 

「ただし条件がある」

 

「…条件?」

 

「全てが終わった後、貴様との決着を着ける。だからそれまで死ぬことは絶対に許さん、いいな」

 

「All right.それぐらいお安い御用だ!」

 

俺が手を出すと、ファーストが渋々ながらもその手を握る。そのまま引っ張り上げファーストを立ち上がらせた。

 

「っし、んじゃ行くか!」

 

「ああ」

 

「隼斗、わたしは……」

 

「姉ちゃんは留守番」

 

「…だよねぇ」

 

「ちょっと迎え呼ぶから待ってて。…博士、聞こえる?」

 

 

『ああ、こちら霧香。隼斗かい?その様子だと果南くんの救出には成功したようだな』

 

耳元につけっぱなしだった通信機で呼び出すと、少し時間を置いて霧香博士が出た。

 

「ああ。んで今からちょっと意気投合した異世界の剣士と一緒にアイツぶん殴りに行ってくるから姉ちゃん迎えに来てくれない?」

 

『異世界の剣士?…ああ善子くんと花丸くんを助けたっていう…え、マジ?何があったんだ一体…まあそれは後で聞こう。で、迎え?正直私も手が離せないんだがねぇ…まあ、あとはコンピューターに任せて細かい所は後で手直しして……あ、そうだ隼斗()()使えばいいんじゃないか?』

 

「アレ?」

 

『ほら、君と憐のバイクを合体させたあのライドクロッサー擬き』

 

あーライドXガンナー(仮)の事か。

ってなんでそれ知ってんだよ最後に使ったのだいぶ前だしまだアンタいなかっただろうが。

 

「擬き言うな。まあ実際擬きなんだが…確かにオートパイロットシステムがあるとはいえ今の姉ちゃんをバイクに乗せるのは不安だしな…そうするか」

 

『バイクはこちらから操作して向かわせる、そしたらあとは果南くんを乗せるだけだろう?そんじゃそういう事で!あー忙しい忙しい…この能力の再現がなぁ……!』

 

そう言って通信は切られた。

なんか気になるワードが聞こえてきたんだが…なに能力の再現って。

 

「よし…そしたら姉ちゃんはしばらくここで待っててよ、座標拾って迎えがそのうち来るはずだからさ。あ、寂しかったらそのジャケット俺の代わりにして持って行っても…」

 

「あ、それはいいや」

 

「あ、さいですか……」

 

バッサリ切られた。うーんさすがのサバサバ感、いつも通りの姉ちゃんだわ。

 

「それに、これは隼斗の大事なものでしょ?気合い入れる為にも着てってもらわなきゃ」

 

そう言って姉ちゃんは土で汚れたジャケットを投げ渡してくる。叩いて土を落とし、再びそれに袖を通した。

うん、やっぱこれがある方がしっくり来る!

 

「用は済んだか」

 

「ああ、待たせて悪かったな。んじゃま…

お楽しみは、俺達からだ!」

 

シグナルブレイヴを手に、それを上へと放り投げるといつもの変身ポーズを取り…

 

「……変身!!」

 

右手でシグナルブレイヴをキャッチ、展開したドライバーに装填!

 

《Evolution!》

 

《Super Rider!Brave!TAKE OFF‼︎》

 

青き装甲をその身に纏う。今の俺を突き動かすのは、純粋な『怒り』のみ。

 

「……行くぜ!!」

 

深呼吸。加速して一気に駆け出すのと同時に、ファーストもその後を追って走り出した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

走る。

 

走る。

 

走る。

 

許さない、許せない。

ふざけるな、何が『彼女に傷をつける事はしないとも』だ。お前は約束を破った。

 

当然だ。奴は悪、俺は正義。

そんな単純な事すら考えてなかった自分が腹立たしい。デッドヒートになっていないのに怒りが止まない。怒りを通り越して、もはや憎しみすら湧いてくる。

 

 

それが頂点に達しようとしていたその時。

目の前に見えたのは、傷だらけで倒れている永斗少年と、今しがたその対象になっていた元凶(エルバ)がそこに剣を振り下ろそうとしている所だった。

 

瞬間、堪忍袋はついに爆発四散し────

 

 

「エルバァァァァァァッッ!!!」

 

 

エネルギーの高まりでほんの一瞬オーバーブレイクのように全身が光輝き、そのまま煌風の刃を奴の胸目掛けて突き出す。

 

全力を刀に乗せ、一撃で命を奪いに行ったつもりだったが刃が深く突き刺さることは無くその身を吹っ飛ばしよろめかせた。

 

「フーッ……!フーッ……!!」

 

怒りを、殺意を乗せた全力の一撃だった。

けど…外しちまったか……心の中で舌打ちをしつつ永斗少年を起こす。

 

「大丈夫か永斗少年!」

 

「気付いてたよ、厳密に言えばアラシがだけど。ね、言ったでしょ憂鬱さん。君は…何も成し遂げられない」

 

《Cyclone!》

 

永斗少年はサイクロンメモリを起動しドライバーに挿入、メモリが消失した。アラシの元へ転送されたのだろう。

 

その隙を狙ってディストピアの剣が振り下ろされる、この状況からじゃ俺では対処できない。そう、()()()

 

 

防御不可能の空間切断の能力が発現する瞬間一振りの剣がそれを防いだ。

 

「ようやくお目にかかれたな、組織の離反者…“憂鬱”!」

 

「君は、憤怒の…! それに仮面ライダーソニック…まさか、ダイノエイジを倒したのか」

 

追いついてきたのは、次元を越えて出会った好敵手。こいつなら追いついてきて防いでくれるだろうなという読みはなんとか当たってくれた。更には……

 

「待たせたな、第2ラウンド…いや、最終ラウンドだ!」

 

その言葉と共に打たれる連撃。

サイクロンジョーカーになったダブルが俺とファーストと共にディストピアを退けた。

 

『で、なんでファーストいんのさ』

「そうだ。しれーっと並んでんじゃねぇよ帰れ」

 

「さっき一緒に戦おうってなったんだよ! 協力してアイツに勝とう、ってな!いやぁ本当なら小一時間は喋り倒してえ所だ!あんなに充実した戦いは初めてだったからな!」

 

「やはり手は退かないか。が、ヤツを斬るのは俺だ。そしてその次は貴様らだ。そのメモリはついでに頂く」

 

「うるせぇなやってみろや。エルバのついでに勢い余ってぶっ飛ばされないよう気ぃつけろ」

 

「え、何? お前ら仲悪いのか?」

 

そういや憤怒とは何度か共闘関係にあった、とは聞いていたが…まあ結局は敵同士だし、何度もある呉越同舟なんて本当に稀だしな……

 

「不思議だな。ソニックにファースト、相応の才が集っているのに期待ができない。俺の憂鬱は増す一方だ。それも全て…貴様のせいか、仮面ライダーダブル」

 

『そうやってさ、人のせいにするのやめてもらっていいかな?』

「そうだ三下野郎。自分とこどころか人様の世界で…俺の()()の居場所で好き勝手やった報い、受けさせてやるよ!」

 

「あぁ…エルバ! お前はやっちゃいけねえことをやった。町を…仲間を…そして果南姉ちゃんを……! 大切なものを傷つけまくったてめぇだけは、絶対に許さない!! 俺の…俺達の『正義』が、お前という『悪』を討ち滅ぼす!!!」

 

始めはどうしようもねぇ相手だった。

2人ぼっちで別世界に飛ばされて、仲間とも引き離されて。でもそんな中で嫌々ながらも手を差し伸べ、力を貸してくれた奴らがいた。

 

だが今は嫌々でも成り行きでもない。

自分達の世界を、大切な人たちを守るために俺たちは今肩を並べて立つ。

 

「勝つぞ。ここまでお膳立てしてもらって勝てなけりゃ先はねぇ。ここで大罪の一柱、へし折ってやる」

 

長かった俺たち史上最大クラスの大事件。

今度こそ……ここで終わらせる!!

 

次回に続く!

 




というわけでコラボ編8話でした!

ちょっとした小ネタになりますが、ラブダブル古参読者の人ならご存知でしょう、ファースト…もといスラッシュを作ったのは何を隠そう自分Master Treeなのです。
後に146さんによりオリジンメモリ云々の設定が追加され、現在の形になっています。

ファーストVSソニック、この組み合わせはコラボ編企画当初からやりたいとリクエストしていたので今回やれて大満足です。


次回、決戦!VSディストピア!!
2つの世界を賭けた戦いの行方を最後までどうか見届けてください!
それでは次回もお楽しみに!!

146さんサイドのお話は下のリンクからどうぞ!

https://syosetu.org/novel/96993/71.html


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ラブダブルコラボ編 第9話 Lを超えろ/絶望断つ剣

あけましておめでとうございます(超絶大遅刻)

コラボ編本当のクライマックス!
ダブル・ソニックVSディストピア

スレイヤー・エデンVSディファレント

両陣営の戦い、最後までどうぞお楽しみください!!


これまでのサンシャインサーガ ! 

 

亜種進化態ロイミュード達の妨害に遭いながらも鷲頭山にあるエルバのアジトにたどり着いた隼斗達。

 

だが、そこで待っていたのはダイノエイジ・ドーパントにされた果南やディファレント、ディストピア達。

 

隼斗は異世界から来たドーパント、スラッシュことファーストとの共闘、及び決闘を繰り広げた末に協力関係を結び、ついにエルバの元へとたどり着く。

 

今、それぞれの場所でこの世界を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた────!! 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「急がネェと……ハーさん1人にしたらまた無茶すっからナァ……!」

 

007との戦いを終え、俺っちはハーさんを追っていル。

とりあえずハーさんが走ってった方にひたすら向かってるけど……これ道合ってんのカナ……? 

 

一度足を止め、呼吸を整えル。

ほんの数瞬だけ休んで、また走り出す。

 

「でもとりあえず走らなきゃ……急げ俺っち!」

 

だが突如として響く地鳴りのような音。

思わずコケて尻餅をついてしまう。すると次の瞬間

 

 

『────!!!!』

 

遠目に見えた地点に土を巻き上げて現れた巨体。

オイオイオイ! ジョーダンダロ!? アレって恐竜じゃねぇカ!! 

 

「マズイ! あっちって確かハーさんいるよな!? 絶対アレを1人では無理ゲーだって!!」

 

ペースを早め走り出した次の瞬間、突如目の前の空間が歪ム。

そこから現れたのは、見慣れた歪な機械の怪物。

 

108に酷似した姿の異常進化態ロイミュード『ディファレント』だっタ。

 

『…………!!』

 

「お前カ……! 悪いけど急いでんダ! 邪魔するってんならぶっ飛ばす!!」

 

《SignalBike!》

 

「変身!!」

 

《Rider!Slayer!!》

 

変身し、黒い獣の鎧を纏う。

1人じゃ心許ないガやるしかナイ。俺っちは意を決してクローを構えてディファレントに向かっていク。

 

『……!』

 

ディファレントは右腕を巨大なガトリングに変化させ、弾丸を連射。腕でそれをガードしながら突っ込み、クローで二撃。左腕が変化した鉤爪を振ってくるがそれは右手で受け、逆に左のクローを喰らわせル。

 

だがそれもちっとも効いちゃいないようでガトリングを叩きつけられたあと右腕から放たれたエネルギー弾で吹っ飛ばされ、地面を転がっタ。

 

「アレ試してみるカ……頼むから使ってないでくれヨ……カクサーン!」

 

俺っちが声をかけると、ハーさんの持つシグナルカクサーンⅡが飛んでくる。

 

「お前の力、貸してクレ!」

 

シグナルスレイヤーと入れ替え、それを装填! 

 

《SignalBike! Signal koukan! 超・カクサーン!!》

 

シグナル交換でカクサーンⅡを発動、両手のクローが青いエネルギーを纏ウ。

 

俺っちはハーさんのソニックみたいな銃火器を持たなイ。一見カクサーンは意味ないように思われがちダガ……

 

「デリャアッ!」

 

そのまま振りかぶることで残像の様にクローの切先が分身、ディファレントを切りつけ傷を負わせタ。

 

「よーし……これナラ!!」

 

そのまま再度接近、両手のクローを連続で振りラッシュ攻撃を繰り出す。通常の斬撃に加えて分身した切先がディファレントを切りつけることで二重にダメージを与え、着実にダメージを与えていル。

 

『…………!』

 

「そんデ…………」

 

《タクサン! 超・カクサーン!!》

 

「オラオラオラオラ! ンデ……もう一丁!!」

 

回転、からの後ろ蹴り連打! 

何連撃も叩き込んだ後最後に一発、ディファレントを吹っ飛ばし、地面に転がス。

 

「チャンスだゼ!」

 

その隙を逃さずそのまま飛びかかル。

だがディファレントは即座に体勢を立て直し立ち上がり、今度は両腕をガトリングに変化させ至近距離で弾丸を連射。

 

空中にいたせいで咄嗟のガードが出来ず、弾丸を一気に喰らって撃ち落とされタ。

 

「ってて……ギリギリセーフ……」

 

なんとか受身を取ってダメージを最小限に抑えたガ……コイツ思ったより隙がネェ。見たとこコイツ自身意思は持たないみてぇダガ……まさにコンピュータみたいな正確無比な戦闘力、ハーさん達もいない今、突破すんのは骨が折れそうダ…………

 

「クッソ……やっぱコイツ強すぎ……ん?」

 

ふと、目線を向けた先。

先程見た恐竜の方に向けて一目散に走っていくのは白銀の鎧に槍を持った竜騎士……竜騎士!? 

 

「ッテ、シュバルツ!? オイ、どこ行ってんダ!? シュバルツ!!?」

 

「……ん? 黒騎士! こんなところで何を……貴様、あの時の黒い機械生命体か!!」

 

危うくスルーされそうだったんで必死に呼びかけル、ようやくアッチも気づいてくれタ。

 

「シュバルツお前、ダイヤサンとルビィちゃんは!?」

 

「親分とお嬢ならば無論置いてきた! 今頃仲間たちと合流しているはずだ!」

 

「親分? お嬢……? まぁイイヤ手を貸してくれ! さっさとコイツ倒してハーさんのとこ行かなきゃいけねーんダ!」

 

「え……俺、あの恐竜の方がいい……ってアレ!? いない! 恐竜いなくなってるぞ!?」

 

そう言われて見てみると、シュヴァルツの言う通りいつの間にやら恐竜は消え失せてイタ、多分ハーさん辺りがやったんだろうナ。

 

アレがいなくなった事は厨二なシュヴァルツにとってかなりショックだったらしいがすぐに槍を構え直し、堂々とディファレントに向き直っタ。

 

「まあいい! 我こそは竜騎士シュバルツ!! 覚悟せよ異界の機械兵! 黒騎士と竜騎士が、貴様の鉄の心臓を穿つ!!」

 

「さっき俺っちを無視しようとしたよナ!?」

 

「……細かい事は良い!! 奇跡の絆が結んだ盟友がここに揃った。もはや負ける事は有り得ない! 共に征くぞ黒騎士スレイヤー!」

 

「ったく……そうダナ! 2人揃ったからには、この世界も……向こうの世界も! これ以上お前らの好きにはさせネェ! お前は、俺っち達が狩ル!!」

 

 

まあ何はともあれ援軍2号が来てくれタ。

これならなんとなる!……と信じてえナァ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……笑えないなぁ。全く笑えない……!!」

 

殴りかかるダブル、それを追い抜きブレイヴになっている俺とファーストが同時に斬り込む。何やら向こうもキレてるらしいが、それらをディストピアは易々と捌き、ダブルの右腕に剣を振り下ろす。

 

「させるか!」

 

それよりも速く、俺の殴打がディストピアの斬撃の軌道を逸らす。

結果、ディストピアの空間切断はダブルのマフラーの端だけを斬り取った。

 

空いた体にダブルの蹴りが入りスラッシュの追撃も続く。

 

だがその連携もしっかりと受けられている、

ほとんどダメージになっていないと見ていいかもな……ったく本当めんどくせぇなぁコイツ!! 

 

「っクソ! あと一歩だってのにあの野郎!!」

 

『3人がかりでコレかぁ……しんどいなぁ。ていうか隼斗さんキレてない?』

 

「この間も全員攻撃がまるで効いてなかったしな。この分だと素の防御力もあるだろうが、単純にコイツの技術がふざけてやがるのか」

 

「この程度を技術と言うなら論外だ。凡夫と悪は去れ。俺を笑わせる気が無い者は、朽ちて消えろ」

 

精度の高い斬撃。

速さによるラッシュを得意とする俺や、後出しによる適応の戦術をとるダブルとはかなり異なるアイツの攻撃。だがファーストは違っていた。

「空間を削り取る剣。触れたものを殺す、対話拒否の刃。武士としては全く趣を感じさせない剣だな、憂鬱」

 

「“憤怒”のファースト、あのゼロが秘蔵とした天才剣士だとは聞いていたが……悪である以上興味がないのはこっちだ。それに君の太刀筋は泥臭く、血反吐の匂いがする」

 

「たわけ者が。正義だ、悪だ、好き嫌いだなどと戦いに余計な感情は不要。突き進むは己が覚悟。従うは己の怒り。悪だろうが正義だろうが、俺は全てを喰らって前に進む!」

 

元々生粋の剣士であるファーストは、同じく剣を使うディストピアの動きに順応していた。

 

才能頼りで研鑽の跡がないような太刀筋ならファーストにはどうってことはないらしい。けど……このまま美味しいとこ持ってかれるのは俺としても癪だからな!!

 

「アンタにばっかカッコつけさせねえよ! そいつをぶっ倒すのは、俺だ!」

 

《カナリ!Brave!!》

 

シフトアップで加速し、斬り合いをしているディストピアとファーストの間に割って入り今出せる全開で二刀を振りまくる。

 

ダブルは徒手空拳故にこの状況に入れないのか蚊帳の外だったが、突然アラシが俺たちに向けて叫んだ。

 

「ファースト、隼斗! 左肩から腹、あとは特に心臓付近だ!」

 

 

左肩に腹、心臓付近?────そうか! 

 

「ファースト!」

 

「分かっている!」

 

斬り合い、通じ合って俺たちは言葉にせずともその心意を感じ取れた。

 

互いにFollowし合いながらディストピアに向けて切り込んでいく、そしてガードが崩れたほんの一瞬。

 

「ソニック!」

 

「オオオッ!!」

 

 

斬ッ!! 

 

ファーストと俺、呼吸を合わせた斬撃がディストピアに直撃。「「入った!」」互いに顔を見合わせてそれを確信した。

 

「気付くか……オリジンメモリに選ばれる程度の才覚はあるようだ」

 

「動きをよく見りゃバレバレだ。テメェは……」

 

「“傷”だ! アラシが教えてくれたのは、俺の前の戦い、後は今回特に深くダメージの入った箇所だった!」

 

左肩から腹はオーバーブレイクで初撃を入れた箇所、心臓付近はさっき突撃した時のやつだ。アレは確かにclean hitしていたらしい。

 

「……あぁ、そうだ。エルバ、テメェはそこを庇って動いてた。つまり……」

 

「お前のWeak point(弱点)は回復力の無さだ!!」

 

「おい隼斗。俺のセリフだ。戦闘以外でも見せ場取ってんじゃねぇぞチビコラ」

 

だが、これで奴の弱点は見えた。

一見硬いが再生力はない、それならそれで突破方法はあるはずだ。

 

『で、その弱点をどうするかだよ。折角3人いるんだし、上手いこと連携しよ』

 

「そうだ、俺がエルバをぶっ飛ばす! そもそも俺がダメージ与えたんだしな。ソニックがこん中じゃ最速最強だから、俺に合わせてくれ!」

 

「「……」」

 

 good ideaを提案したつもりが何故か沈黙。

 なんだよ、文句あんのかコラ

 

「なんだよその間は」

 

「……強いのは認めるけど、指図されたと思うと腹が立つ。作戦はこっちで建てる」


 

「俺の方が強い。仮面ライダーソニックに出来たのなら、俺の剣も奴に届く。俺がとっておきの技で仕留める、貴様らがサポートしろ」

 

「いいや、いくらアンタらでも譲れねえな! 姉ちゃんを傷付けられた借りは絶対に返す! ていうか実際問題、俺が一番速いだろ。俺がメイン張るのがBest、大正義だ!」

 

「速さとか剣でマウント取ってんじゃねぇよ。それともなんだ、2人揃ってまた俺らに貸しを作る気か? 知らんうちに仲良くなってたと思ったが、変な趣味まで気が合ってよかったな」

 

「上等だ仮面ライダー。全員でかかって来い、まとめて斬り伏せてやる」

 

『駄目だ。この人たち全然話聞いてくれない』

 

 ギャーギャーと互いに主張しまくる俺ら。

 だがそれをよそにディストピアが休む暇を与えず襲いくる。

 

「仲間割れとは……笑えない!」

 

 

「うるせぇ!!」

 

煌風を持った手で顔面をぶん殴って吹っ飛ばす。あーもうコイツら本当なんで分かんねえかなぁ! 

 

「あぁもう大体が敵のファーストがいるんだ! 仲良くなんて無理だろが!」

 

「同感だ。状況がどうあろうが関係ない。どんな敵が相手でも、思うままに刀を振っていればそのうち大抵斬れる。勝手にやらせてもらおう」

 

「だったらRaceだ! 誰が最初にエルバぶっ倒すか! 俺のソニックが最速だって見せてやるよ!」

 

飛び上がって空中からブラッシャーによる銃撃を浴びせ、煌風の斬撃と合わせhit&awayを繰り返す。

 

『ねぇ論点違うよね。言ってる場合じゃないよね全体的に』

 

 

「笑えない談笑も十分だろう。そろそろ退屈も限界だ、終わりにしよう」

 

ディストピアの剣に黒い光が宿る。そのまま振り抜かれたそれは無数の斬撃へと分裂。

 

凶悪なエネルギーカッターが、不規則に俺を襲う。凌ぎ切ったかと思うと、今度はディストピアの剣が大地に突き刺さる音が聞こえて……

 

「隼斗、逸れろ!!」

 

「ッ!?」

 

アラシの本能的な指示が出たのは、音が聞こえる寸前。ジェットを利用して咄嗟に飛び退くと、大地から突き上げる斬撃が間欠泉の如く天に昇り、その余波は雲をも斬り裂いた。

 

っぶねぇ……あとミリ遅れてたら真っ二つだったぞ!?

てめぇ……この野郎!!

 

「治りが遅えなら、また深いのをくれてやる!!」

 

一気に急降下し、その速度を利用して六連撃。初手五連は見切られたが、最後の一太刀がディストピアの脚を掠めた。

 

「っ……浅い。溜息が出るな。それで俺を倒せるつもりか?」

 

「そりゃこっちのセリフだボケが」

 

地面を蹴って跳躍したダブルが、傷を負ったディストピアの脚を蹴り崩す。すかさず、蹴りの勢いを殺さぬように風で加速し、胴体に風を纏った回し蹴りを喰らわせた。

 

思わぬ追撃を許したディストピアに、手応えのあるダメージが焼き付いた。

 

「仮面ライダーダブル……!」

 

「眼中に無い雑魚だと思って油断したか? 殺してもねぇ癖に見下ろしてんじゃねぇぞ」

 

『悪いね憂鬱さん。ウチの相棒、重度の負けず嫌いなんだわ』

 

俺の二刀での高速連撃にダブルが合わせてきて、そこにファーストも入り込んできた。

 

3人が互いに連携し出し、やっと数の有利が取れているという実感が湧いてきた気がする。

 

『やっと見えて来たよエルバ、君の戦い方。あと能力。ステータスは超チート級だけど、戦法自体は至ってシンプル。弱さ故に戦略を練ったりとか、自分のスタイルを見つけるとかがないからね。あと傷の治りに、君のその剣。空間を斬る技には必ずチャージがある』

 

「テメェのふざけた体力と気力で誤魔化してるだけで、本来はそう何発も使える技じゃねぇってことだ。道理で能力が強すぎると思ったぜ」

 

「MP消費の必殺技ってとこか……なるほどな! 流石はダブルのBrainだぜ永斗少年!」

 

「再生が遅いという理屈なら体力も同じであるはずだ。そうなれば切り拓く道はただ一つ!」

 

「テメェがぶっ倒れるまで殴って削りきる!!」

「テメェがぶっ倒れるまで殴って削りきる!!」

 

永斗少年としては「エルバの奴の体力切れを待って剣の方を無力化してからボコろうぜ」と言いたかったんだろうが、俺とアラシは互いにその逆の事を考えていたらしい。

コイツの攻略法は『とにかく攻撃あるのみ!!』

 

ディストピアの繰り出す剣撃をギリで見切って懐に入り込む。攻撃あるのみ、それが分かった以上避けの選択肢は捨てる。

 

一気に加速して超高速で2本の剣を振り翳す。一瞬でも手を緩めれば技が発動、Dead Endは免れない。

 

 0.01秒の気の緩みすらも許されない極限状態が俺の体を支配し、神経を研ぎ澄まし腕を、足を動かしている。

 

 

「うおおおおおおおおッ!!!」

 

だが、その集中よりも先に悲鳴を上げたのは俺の身体の方だった。

 

「────ッ!?」

 

右腕から力が抜け、煌風が弾き飛ばされた。

果南姉ちゃんのダイノエイジ、そしてファーストとの決闘。ファースト戦の後エネルギーを分け与えられて復活したとはいえここまで休み無しの連戦に次ぐ連戦。

 

全力の数倍上を要求される戦いが続いていたツケが、まさかここで回ってくるなんて……ッ!! 

 

 

「畜生っ……! なんでここで……!」

 

「まだだ、前を向け! 仮面ライダーソニック!」

 

だが、それを無駄にはしまいと背中を押す声が聞こえて空を見上げる。

宙を舞った煌風をファーストがcatch、俺がディストピアに付けた傷と、寸分狂わず重なるように斬り込んだ。

 

そして、気づけば空いた右手元には一本の刀が。ファーストの粋な計らいなのか、その刀を掴み取って力が戻った両腕で連続斬り!

今度は全ての斬撃がディストピアにヒットしダメージを与えた。

 

「いい刀だ」

 

「だろ? 天下一……それをも超える零! それと皆の煌きから名前を貰った、天下零剣 煌風……俺の自慢の愛刀だ!」

 

「道理だな。侍たるもの、目指すべきは強さの異次元。即ち絶対的な“0”だ」

 

 互いの持っていた武器を返却、本来の武装に戻した。

 

「お前らだけで仲良くしてんじゃねぇよ。喋ってんなら一番乗りは貰うぜ」

 

《Heat/Metal!!》

 

ルナメタルになったダブルの伸縮自在なシャフトがディストピアを縛り上げ木に叩きつけそのまま右側をメモリチェンジし特攻する。

 

「ここまでの戦闘で削れていれば、そう思ったのか? やはり君が一番笑えないことに変わりはないな。俺を苛立たせるだけの存在は一片の価値すらない。消えろ……!」

 

引き剥がしてしまった影響でディストピアに時間を与えてしまった。その間にチャージを完了させ、空間を斬り裂く攻撃がダブルに振りかざされた。

 

「かかりやがったな」

 

《Blessing!Maximum Drive!!》

 

数秒だけ光のベールがダブルを包む。

そのベールに触れた途端ディストピアの空間切除能力が霧散、ただの斬撃と化したそれをダブルの左側の鋼鉄装甲が受け止めた。

 

『僕らも初めて使うメモリだ。知らないでしょ? そんで……』

 

止まった剣の側部に熱されたシャフトが叩きつけられる。剣は側面からの攻撃には弱く、賭けに勝ったダブルの一撃は、絶望郷の剣を砕き折った。回避難解な一撃必殺能力がようやく無力化され、硬い壁に亀裂が入った。

 

ダブルは一瞬の勝機に闘気と体力の全てを注ぎ込み、熱波と打撃の乱舞へとディストピアを誘う。

 

《Metal!Maximum Drive!!》

 

「雑魚にいいようにされて冷めてんだろ憂鬱。お熱いの一発喰らっとけや!!」

 

「『メタルブランディング!!』」

 

灼熱の棍棒が黒い鎧に打ち込まれ、炎を纏った重い一撃がディストピアを吹っ飛ばし地面に転がした。

 

「行け、隼斗!」

 

「All right!合わせろファースト!」

 

「たわけ!貴様が合わせろ!!」

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!カクサーン!!》

 

「隼斗流剣技 二刀流!」

 

「我流剣七ノ技、二刀流!」

 

 

その一瞬を逃さず、俺とファーストは互いの得物を握りしめディストピアに接近。今持てる全力を叩き込んだ! 

 

「蝉時雨!!」

 

二刀で叩き込まれる無数の斬撃。

真夏の蝉の鳴き声のような季節外れな連撃がディストピアを斬りつけ、そして……

 

「究極奥義! 絶禍凌嵐!!」

 

ファーストが飛び退いたところで今度は俺。

煌風とリジェネレイトブラッシャー、二刀による高速連撃。

 

飛夜叉が瞬間に叩き込む連続斬りならこちらは継続しての連続斬り、ただひたすらに斬って斬って斬りまくる!! 

 

「速く! 速く! もっと速く!!」

 

空間切断の剣無き今奴はただの案山子。

これまでの怒りの全てを込めてただ刃を叩きつけまくる、そして────

 

「オルァァァっ!!!!」

 

最後の一太刀が炸裂。ディストピアは傷から火花を散らし目に見えて大ダメージが入ったのが見える。

 

「やったか!?」

『やめてよアラシここでフラグはマジで無いから』

 

「いや、ソニックの一撃は確かに入った。だが油断するな!」

 

「『ッ!』」

 

ファーストの言葉で再び構え直す。

ディストピアは全身に傷を負いながらもなお立ちあがろうとしていた。

 

「マジかよ……ッ!」

 

『いやぁ……これで倒れないのはどうかしてるでしょマジで』

 

 

「何故だ……実力も計画も、こちらが先を行っていたはず……!俺の目論見に狂いなんてあるはずがない……なのに何故……!!」

 

 

「まだわかんねぇかよ、確かにテメェの計画は厄介だったし、ここまで来るのに苦労はしたさ。でもな……テメェは甘く見過ぎてたんだよ、俺たちのことを」

 

「そうだ、『憂鬱』。こいつらはどんな逆境に立たされてなお折れることが無かった、俺の認めた強き戦士たち。天才ともあろうものが、まさかその予想を見誤ったか?」

 

「黙れ……!俺はまだ立っている……俺はまだ……まだ……!」

 

マジかよ……!立ち上がったディストピアから立ち昇る黒いオーラ。アイツまだそんな力を……! 

 

だが、こっちは今のでかなり全力を叩き込んだ。

これ以上なんて他に何が────

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハァッ!」

 

「ルァァ!!」

 

突き、切り、叩きつけ。殴り、蹴り、突き出し、切り付けル。

 

エデンの槍とスレイヤーのクロー。

互いの得意とする連携攻撃でディファレントに攻め寄ってイク。

 

『……!!』

 

 

ディファレントが右腕のガトリングを構えタ。咄嗟に防御の姿勢を取るがエデンはそれに構わず突っ込んでいク。

 

「無茶だゼシュヴァルツ!?」

 

「無茶なものか! この程度!!」

 

放たれる弾丸。このままだと全弾ヒットして蜂の巣不可避ダ。だが…………

 

「ハァァッ!!」

 

エデンはその手に持った槍を回転させ、放たれる弾丸を見事に弾き飛ばしてイル。咄嗟にあんな芸当できるとかすげぇナ!? 

 

「“不良”の“加護”を“受け取っ(キメ)た”極道竜騎士卍シュバルツ卍は止まらないッ!! 故に鉄砲玉! 行け、黒騎士!!」

 

「お……おおっ!肩借りるゼシュヴァルツ!」

 

不良……え?……よくわかんネェけどまあいいや。エデンが弾丸を防いでいる隙をついて俺っちはその肩を踏み台にし跳躍、前宙でディファレントの背後に回り込ム。

 

そしてそのままクローを振り下ろし、更に二連撃。ヘイトがコッチに向き、エデンに背中を向けたことで攻撃が止んで手が空いたエデンが槍を連続で叩きつけ、突きを繰り出ス。

 

その衝撃で吹っ飛んで来たディファレントを避け、身を捻ってクローで連撃、そのまま蹴り飛ばしタ。

 

『…………!』

 

ディファレントが再び立ち上がる。

シュヴァルツとの連携のお陰でダメージは通り出したものの、イマイチ決め手に欠けル……ってとこダ。

 

「やっぱ手強いナ……」

 

「ああ、この機械兵……一筋縄ではいかないな」

 

すると、こちらを見据えていたディファレントのカメラアイが光を放つ。

 

俺っち達の前の空間が歪み、その中からは新たに3体の下級ロイミュードが現れタ。ナンバーはそれぞれ038、039、040。

 

「新手だと!?」

 

「マジかよこんな時ニ!」

 

その三体は手を広げ、こちらに向けて重加速の波動を放って来タ。

俺っちはともかく、その瞬間エデンの動きが鈍くナル。

 

「しまった!?」

 

その隙をついて飛びかかる040。

バット型特有の能力で翼を広げ空中から光弾を連射し襲ってキタ。

 

「っ! させるカっての!!」

 

俺っちはドライバーのカクサーンⅡを抜き、シグナルスレイヤーに戻す。光弾をクローで弾き、持っていたカクサーンⅡをエデンに投げ渡して重加速を打ち消し、エデンは即座にその場から飛び退き距離を取った。

 

「っ!すまない黒騎士!」

 

「礼はいらネェ。それよりもここで増えるって……」

 

「やや面倒になったな……黒騎士、何か策はあるか?」

 

「とーゼン!来い、デッドヒート!!」

 

 俺っちが呼ぶと、空からデッドヒートメテオが飛来。翼を折りたたみ、リアウイング部分の尻尾を押して起動状態ニ。

 

《Burst!Overd Power!!》

 

《SignalBike/Shift Car!Rider!Dead Heat!!Meteor!!》

 

黒い獣装の上に真紅の竜鎧を身に纏う。

紅蓮の暴竜、メテオデッドヒートにチェンジシタ! 

 

「おおお! あの時の煉獄の竜!!」

 

「こっからはガチの上のガチで行く!シュヴァルツ!そっちもなんかネーのか!?切り札とかそーいうの!」

 

「ある!!」

 

「マジか!」

 

それなら2人でもなんとかなる!流石シュヴァルツ……

 

 

「が、今は何故か使えないんだ……」

 

いや使えないんかい!?

 

「エ、エ、なんで!?」

 

「我が天使に認められ、忠誠を誓ったあの時以来、使おうとしても何故か変身ができん……禁じられし力、その道理は神のみぞ知る……か」

 

聞けばエデンにもどうやらハーさんにとってのブレイヴ、俺っちにとってのデッドヒートにあたる強化フォームが存在するらしイ。

 

そういやタワーの時になんか使おうとしてたナ……アレの事か。

 

だが、その時は使っていなかった……どうやらとある事件で習得して以来それっきり変身ができなくなっているという。

 

「なんでこんな時ニ……!」

 

「す、すまん……」

 

「マァ、使えないもんはしゃーねぇ……俺っちがやる!バックアップ任せタ!!」

 

「承知!!」

 

脚部と翼に炎を纏わせてロケット噴射の如く一気に加速、下級共を突っ切ってディファレントに向けて一直線、んで思いっきりぶん殴る!!

 

「っ……」

 

『……!!』

 

「んなろォッ!」

 

ダガ、やっぱ装甲が分厚くて思いの外ダメージが入らナイ。そのまま続けて攻撃を繰り出すも、威力が強化されたこちらの攻撃に対応し出している。なんつー学習能力!しかも……

 

『ッ!!』

 

後から来た下級ロイミュード三体。

こいつら取り巻きの雑魚のくせにかなり手強いんですケド!? 

 

「雑魚かと思ったら進化ロイミュードくらいパワーがありやがル!」



 

「そこを退け兵隊共! 我らの道を開けろ!」

 

《Griffon!》

《Griffon! Maximum Over!!》

 

エデンが新たに緑の武装を纏い、下級ロイミュードを相手してくれてイル。風を纏ったその姿はハーさんのような正に疾風の戦士。

 

だが、ただでさえ強くなっているのに数も三体とやや多め。火力不足で俺っちの方まで到達するのはちと難しそうダ……!

 

「この野郎っ!!」

 

《Mega burst!キュウニ!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

シフトアップで火力を強化、爆炎を纏った拳をディファレントに向けて振りかざす。だがそれは紫色の障壁に阻まれた。それに加えて炎が奴に吸収されテ…………やべェ!!

 

 

「またアレだ、伏せロ! シュバルツ!」

 

だが、今回はそのままぶっ放さずエネルギーが右腕のガトリングに収束。砲撃が俺っちを直撃シタ。

 

 

「黒騎士!!」

 

「くッ……! アイツ、俺っちの攻撃を吸収して、右腕一本に収まる分だけ解放しやがっタ……あの感じじゃ、ここまでの戦いのエネルギーがまだまだチャージされてるっぽいナ……!」

 

だがこれで分かった。

吸収と放出によるカウンター、それがアイツのメイン戦法と考えていいと思ウ……思うけど……! 

 

それを破る方法は一つ、許容範囲をぶち破る超火力に限る。回りくどい方法が苦手なハーさんならきっとそう考えるダロウ。

だとしても、まだ俺っちたち2人じゃパワーが足りナイ……!! 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

隼斗から連絡を受けてしばらく。

私は一心不乱に最後の仕上げに取り掛かっている!! 

 

 

「これで……どうだっ!!!」

 

画面に表示される「ALL CLEAR」の文字。

火照る脳の熱気を排出するように深く息を吐きだして背もたれに身を預け、たった今調整が終わったアイテム達を抜き取る。

 

よし……急ぎ足とはいえ調整は完璧。

テストがまだだがこの状況で四の五の言ってる場合では無い。まあ彼らならうまくやってくれるだろう。

 

「いよっっっっし!! 流石は天才科学者! 士門くんが抜けてどうなることかと思ったが、よくやったぞ一時霧香!! さぁ最終調整が完了した! あとはコイツを……」

彼らに届けるだけ、そう思った途端ふと士門くんと話したことを思い出した。

 

「博士。ウチの中二病が、あの善子ちゃんの兄って話はしましたよね?」

 

「ん? あぁ、津島瞬樹くんだったか。だがこちらの世界の善子くんは一人っ子と聞いている。恐らく並行世界における細かな差異の一つだろう」

 

パラレルワールド……その可能性は実に多種多様だ。研究の中で私はそれを知っている。

 

ある人がいない世界、あるものが発明されなかった世界……文明、人種、世界のあり方……今我々が暮らす国々と同様に実に沢山ある。

 

「まぁそれはアイツも分かってると思うんです。でもアイツ、話じゃドーパントとの戦いに巻き込まないため勝手に家を出て行ったらしくて、本人も気にしてるみたいなんですよ」

 

「ほう……」

 

「多分瞬樹はわざと合流しないんだと思います。違うって分かってても、会えないから。向ける顔が無いと思ってる。本当に面倒くさい……どんな形でも、家族と向き合えるなら向き合った方がいい、そう思いませんか」

 

聞けば士門くんはかつて敵の組織にいた最高科学者であり、幼い頃からガイアメモリ開発に関わっていたとか。家族はおらず、孤独な幼少期を送っていた。

 

それ故のクールな性格かと思いきや意外にも彼はかなりの仲間想い、うちの隼斗と似たもの同士と知った時は少し驚かされた。

 

……確かにそうだな。

 

 

「……仕方ない。先生らしく、たまにはお節介を焼くとしようかな」

 

「先生!? どうしたんですか急に大声出して……?」

 

そこにやってきたのは梨子くん。

彼女には戻ってきた果南くんのことを任せていたのだが……

 

「おぉ梨子くん! 丁度良かった、帰って来た果南くんの調子は?」

 

「呼吸も落ち着いて、今は横になってます。千歌ちゃんも疲れてそうだけど、怪我とかはなさそうです」

 

「ふむ、ガイアメモリの後遺症が無いのは幸運だったな。それでは善子くんを呼んでくれないか?」

 

「ククッ……この堕天使ヨハネ、召喚に応じて降臨……!」

「盗み聞きしてたのね」

 

よかった〜探す手間が省けたラッキー。

加えて他のAqoursの面々もゾロゾロと集まってきている。そこには果南くんもいたが……やれやれ、弟も弟なら姉も姉かい。

 

「たった今、仮面ライダーたちを超パワーアップする秘策のアイテムが完成したところだ! がしかし、私としたことが急ぎの余り自律走行機能を付け忘れてしまってね……」

 

 

んな訳ないだろう馬鹿め。

と1人心の中で突っ込むが、今はそんな1人漫才してる場合じゃないんだ。

 

「というわけで。すまないがAqours諸君、彼らに届けに行ってくれないか?」

 

「じゃあ私が隼斗に届ける!」

「私も行く!」

 

「果南くんと千歌くんは留守番だ! 絶対安静とヘトヘト娘はステイ! で、こっちが隼斗と士門くんに切風くん。こっちは憐に、つし……いや、竜騎士シュバルツ用だ」

 

「じゃあシュバルツさんにはわたくし達が……」

「いいやストップだ黒澤姉妹。憐とシュバルツには、善子くん。君が届けに行きたまえ」

 

「……え? なんで私が名指しなのよ!?」

 

「それは……その……闇の運命だよ」

 

我ながら酷いワードセレクトセンスだ。

もう少しいい感じの言葉選べただろう一時霧香!! 

 

「闇の運命……ですって……?」

 

あ、そうだこの子チョロかったわ。

よかったー……

 

「その通り。✝漆黒の魔天黙示録✝がそう導いている! さぁ行けAqours諸君! 君たちの手で仮面ライダーを救うんだ!!」

 

「✝漆黒の魔天黙示録✝が……!? ククッ、そうと決まればこの堕天使ヨハネ……預言に従い、いざ堕天っ! ギラン!」

 

……よし、ひとまずはこれでヨシと。

 

 

アイツらを頼むぞ、天使くん。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「憐っ!」

 

戦闘中に声がして振り向ク。

そこにはヨッちゃんと梨子サンのコンビが。

傍にはライドXガンナーがある、なるほど……アレに乗ってきてたノカ。

 

「その声……ヨッちゃん!? しかも梨子サンも! 危ねェって、早く逃げロ!」

 

「そんな事言ったって、黙示録が……!」

その瞬間、ディファレントの左腕から衝撃が解放されタ。

 

「ッ! 黒騎士!!」

 

だが俺っちを庇ってシュヴァルツがそれをモロに喰らってしまい、エデンを強制変身解除させてしまった。

 

「シュバルツ!!」

「……シュバルツ? この人が、竜騎士……?」

 

「ッ……すまん黒騎士! 心配無用! 俺はまだ戦え───」

 

あー……出会っちまったカ……

 

2人はそのまま時が止まったのかと思うほどに互いに見つめ合い固まっている。

 

 

「な……なに……? はっ! そういうことね……この堕天使ヨハネの魅了魔術で、また罪なき下位存在を虜に……! 」

 

 

「………………」

 

 

「……なんか言いなさいよ!」

 

 

固まったままの2人だったが、やがてシュヴァルツの方が何故か突然跪いて涙を流し出しテ…………ええっ!? 

 

「泣いたぁっ!?」

 

「初対面の人に何したの!?」

「何もしてないわよ!! 分かんない、ちょっと無理! リリー、パス!」

 

「いや……ごめん……! 君は何もしていない……悪いのは、俺なんだ……! ただ、すこし……嬉しくて……!」

 

シュバルツ……お前……。

っ、だったら……! 

 

「いよーし、決まりダ! シュバルツ、こっから先はしばらく俺っちが引き受けル! その間、好きなだけヨっちゃんと喋って来イ!!」

「……ありがとう、憐……」

 

 

言葉は告げず、サムズアップで答える。

さぁて、ちっとばかし付き合えよロイミュード達! 俺っちが相手になってやラァっ!!! 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

正に私自身の生き写し、彼を見た第一印象がそれだった。槍をその手に携えて、竜騎士(仮称)が問いかける。

 

「……汝、名はなんという」

「え……?」

 

「我が名は竜騎士シュバルツ! 天界より天使を守護するために降り立った、断罪の竜騎士! 俺には見える、汝の姿は下界を生きる仮初のもの……今一度問おう、汝の真名はなんだ!」

 

堕天使と竜騎士、本来ならば相容れることの無い存在。だが、この男は何かが違った。

 

ならば、こちらも応えねばなるまい。

 

「ククッ……どこの愚か者かと思いましたが、見る目があるようですね。そう! 我が名は堕天使ヨハネ! あなた、竜騎士と言いましたね。天界より降り立ったのなら、その位階を示しなさい」

 

「我は大天使ミカエル配下、天頂四大騎士ウルフェリオンの末弟。しかし下界に蔓延る悪から天使を守護するため言いつけを破った身……お師匠の名を借りることは出来ない……」

 

「なるほど、ウルフェリオンの末弟ですか。私が天界にいた頃、彼とは何度も言葉を交わし、時には剣を交わした間柄なのです……懐かしき天界の記憶、そうあれは魔界と天界の存亡を揺るがす最終呪詛プロジェクト『ルシファー』を構築した時のこと……」

 

「なっ……! あの数多の使い魔を同時生成し、世界一つを呑み込むという混沌極まるアジェンダを……!?」

 

驚きに駆られる私だったが、シュヴァルツは突然より真剣な顔になり私に向き直った。

 

「……堕天使ヨハネよ。名のある天使と見込んで、一つ話を聞いて欲しい」

 

「いいでしょう、竜騎士シュバルツ、我が同士。迷える子羊を導くのもまた……地上に降りし堕天使の使命!」

 

「恩に着る……俺には、相棒と主君がいる。相棒は人ならざる残酷さを持ってはいるが、俺の行く末を示してくれる、全てを任せることが出来る奴だ」

 

「人ならざる……魔物?」

「そして我が主君は、俺が命を捧げると心に決めた最愛の天使だ。彼女は俺の全てを肯定してくれた。彼女と出会えたから騎士としての俺がいる。だが……ここは異界の地、俺の強さを支えてくれる相棒も主君もいない。ここにいるのは、残った弱き俺だ……」

 

道に迷えるか弱き竜騎士。

なればこの堕天使ヨハネ、汝に道を指し示しましょう!

 

「堕天使ヨハネが宣言します。生命である限り、光と闇が、強さと弱さがあるのは当然。だから……悩むことはありません、その弱さもあなたなのです! 嫌っていた自分が、人に愛されると知るように。完全に別なんて、そんなことは有り得ないのです!」

 

「弱さも、俺……!?」

 

「弱き者ならこの堕天使ヨハネが直々に契約を……そう思ったけれど、あなたにその必要はないようです。あなたなら飛べる! この矛盾の空を!」

 

「……たまにはいい事言うじゃない、善子ちゃん」

「ヨハネよ!」

「最後にもう一つだけ……聞いてくれ」

「……な、なに? さっきので終わりだと思ってたんだけど……」

 

 

「俺は戦いに身を投じるため、家族を置いてきた。危険から守るためとはいえ一方的に、言葉も交わさず」

 

「家族……?」

 

「やっと気付いたんだ。俺のせいで、家族がどれだけ迷惑を……! その顔に泥を塗る過ちも犯した! 本当に……ごめん…!俺がお前の未来を歪めたっ……! 俺は、お前に……なんて謝れば…」

 

 

それは騎士ではなく、ただ1人の少年としての言葉。その口から出てきたのは懺悔の言葉、彼が置いていった家族への謝罪に他ならなかった。

 

それなら私も「私」として彼に答えてあげなければいけない。

 

「……何言ってるの、大事な家族なんでしょ? だったら迷惑だなんて思ってない」

 

「っ……!」

 

「この私が保証してあげる! ちゃんと帰って、家族と向き合いなさい。許しが無いと帰れないなら、私が許すわ。全然関係ないけど無いよりはいいでしょ?」

 

関係ない、だろうけど……彼にはどうもシンパシーを感じて仕方がない。初めて会ったはずなのに何処か互いの在り方が似ていて、それ故に悩み苦しんでいた。

 

少しでも寄り添ってやる事が救いとなるならば、私はそうして手を差し伸べよう。たとえ堕天使なのだとしても、それで誰かを救えるならば、私はそれでいい。

 

そのままでいいということを、私自身がみんなから教えられたように。

 

「すごいな……やっぱり俺の誇りだ。強く、綺麗に、立派な天使になったんだな……善子」

「ヨハネ!……って、なんで私の真名を……」

 

「あれ……? 別の世界から来て、この見た目……もしかしてこの人って、善子ちゃんの───」

 

私の?リリー、何よそれ……と聞こうとした瞬間放たれるロイミュードの弾頭。

 

憐が討ち漏らしたらしいそれが私たちに迫っていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ヤベェ! 一発撃ち漏らした! 

すぐさま向かうも間に合わない。これまでかと思いきや……

 

 

シュヴァルツがそれを槍の一振りで爆風ごと叩き割った。

 

「堕天使ヨハネ、その従者。そして黒騎士! 時間を取らせた。騎士道に則り、心より全身全霊の感謝を!」

 

「完全復活……ダナ! シュバルツ!」

 

「あぁ! もはや俺を縛る楔は、何一つ存在しない! 最大級の礼としてお見せしよう、堕天使ヨハネ! そして傷一つ付けぬよう守り抜くと約束する! この竜騎士の戦いを刮目せよ!」

 

《Dragon!》

 

「変身!」

 

銀の鎧を身に纏う。ヨッちゃんはその隣に立ち、立ち塞がる機械兵士共に向けて言い放った。

 

「この堕天使ヨハネの名の下に宣誓します。この歪な世界に邂逅した勇士達よ、今こそ力を結集させ堕天同盟の名を響かせる時です。名を連ねるは堕天使ヨハネ、そして!」

 

「信仰の白銀竜と契約せし、天使を守護する天界の槍! 竜騎士シュバルツ!」

 

「……え、私? えっと……堕天使ヨハネの闇の盟友、リトルデーモン・リリー!」

 

「マジか梨子サン。これ俺っちも言うヤツ?」

「いつもと違う奴でね」

 

「ヨッちゃん無茶ぶりィ……っと……、地の果てから闇を駆け、悪を噛み砕く漆黒の獣騎士! 地獄の狩人スレイヤー!」

 

 

「「我ら堕天同盟が、汝を闇へと葬る!!」」

 

 

世界を越えた出会い、引き合った運命。

互いに喜び、笑い合った。

 

「まずはリリー!地獄の狩人に天啓の神器を!」

 

「そうだったわね……これ、先生から預かった新しいシグナルバイクよ! 使って憐くん!」

 

「お、マジ!? この期に及んで新装備って、あの人も粋なコト……このシグナルバイク!?」

 

梨子サンが投げ渡してくれたのは、シュヴァルツのバイクと同じデザインのシグナルバイク。

標識がある部分にはドラゴンメモリと同じクレストが描かれてイタ。

 

「大魔導士キリカ曰く、異世界の術師と共に創造した奇跡の魔道具……」

 

「永斗さんと一緒に作った、あっちの世界の仮面ライダーの力を使えるシグナルバイク……って先生が!」

 

「こりゃシュバルツの力が使えるってことカ! リョーカイ! そうと決まりゃ、有難く使わせてもらうゼ!」

 

《SignalBike!》

《Signal koukan!Legend!!》

 

メテオデッドヒートの装甲の上に一角獣の様なデザインの紫の装甲が重ねがけされる。

 

「ん? なっ、それ俺の鎧!!」

 

「うわ、スッゲェゴツい……でもなんか力が漲ってクル……?」

 

ケドちょっとばかし重いナ……そう思ってると下級ロイミュード達がこちらに向かってくる。攻撃を捌きながら動き回るうちに段々と体が鎧に慣れてきたのか体全体に力が馴染んでクル。

 

「邪魔だってノ!!」

 

そして、039が近づき飛びついてきたのを振り払おうとしたが……

 

『────ッ!?』

 

なんと軽い一振りで遥か後方にまで吹っ飛ばされタ。すげぇ……この鎧の力はパワーの強化みてぇダナ……? 

 

「スゲェ……! 軽く殴っただけでこの吹っ飛ばしカヨ!! これがマキシマムオーバー!!」

 

「フッ……当然だ。俺の鎧だからな! 俺の!」

「さぁドンドン行くゼ! 頼むぜユニコーン!」

 

「ヨハネ、俺にも! 俺にも無いのかあぁいうの!? 勝手に使って黒騎士だけズルいぞ!」

 

「ククッ……もちろんあるわ! さぁ、堕天使の恵みを使いなさい!」「先生の、ね」

 

「感謝する! よし、これで俺も黒騎士の力を……ってアレ!? これ黒騎士じゃないぞ誰だこれ!?」

 

シュヴァルツに渡されたのは同じく紫色のガイアメモリ。

 

だがそこに描かれていたのはアルファベットの記号ではなく、なんと俺っちの尊敬する初代仮面ライダーの先輩『プロトドライブ』こと000、仮面ライダーチェイサー先輩だった! 

 

「おぉッ! これはチェイサー先輩ダナ!」

 

「チェイサー?」

 

「かつてはロイミュードの番人にして死神だったんダガ……今じゃロイミュードから人間を守った大英雄! 俺っちが尊敬する大先輩ダ!」

 

「伝説の死神……いいだろう。この竜騎士に力を貸せ、仮面ライダーチェイサー!」

 

《Chaser!》

 

《Chaser! Maximum Over!!》

 

そのメモリ……『チェイサーレジェンドメモリ』をエデンがスロットに装填。

 

するとエデンの背中に閉じた翼のようなバックパックが出現。右腕へ移動しメタルクロー『ファングスパイディー』へ変形、装備された。

 

って、あれ魔進チェイサーの能力じゃねぇか! 博士アレまで再現したノカ!? 

 

「さぁ征くぞ、死神竜騎士が貴様を凌駕する!」

「俺っち達の裁きをうけナ!」

 

超パワーと超防御、シンプル故強い俺っち達のクローが迫る奴らを片っ端から斬り付け、削り、薙ぎ倒す。

 

さっきまでとは桁外れの突破能力であっという間にディファレントの下へ辿り着き、至近距離から俺っちの全力攻撃が炸裂!

 

『……!?』

 

「効いた……って感じの反応ダナ!」

 

余波だけで木々を激しく揺らす一撃。

明らかに見せた反応が異なっていたが、それでも許容範囲内だったらしくディファレントはすぐさまカウンターの構えを見せル。

 

 またエネルギー反射を喰らいそうになる寸前エデンの武装が弓形状をした『ウイングスナイパー』へと変形。

 

射出された矢はディファレントの腕の関節を的確に射貫き、その動きを止めた。

 

「攻め続けろ黒騎士! 周りは俺に任せておけ!」

「オッケー任せたゼ、シュバルツ!」

 

カウンターを封じた隙に、強化された火力でガンガン攻めル! 吹っ飛ばされた奴らもこっちに向かってくるが、それはエデンが抑えてくれていル! 

 

 エデンの武装が再度変形、翼が折りたたまれその中心部からは蛇のような金属鞭が生えてくる。『テイルウィッパー』だ。

 

「蜘蛛に蝙蝠、そして蛇! 全員纏めて俺が相手だ機械兵!」

 

翼を広げる040、力と速度で殴りかかる038、捕縛糸を吐く039。

統率された動きだが、なんとエデンがその全てを金属鞭で制してみせた。

 

飛ぶ040をはたき落とし、糸を斬り裂き、038を退ける。

巧みな鞭の操術で、近くでやり合う俺っちの戦いには一切干渉させることなく、しかも初見でチェイサー先輩の武装を使いこなしてイル。

凄まじいセンスダ……

 

俺っちも負けじとラッシュを繰り出す。が、それもエネルギー吸収からの反射ではなくただ反撃に徹しガトリング乱射というマシンゆえの戦法を取ってきタ。けどナ……! 

 

「効かネェんだよ、そっちの攻撃はナァ!」

 

攻撃を喰らう瞬間、フェニックスメモリの「イモータルフェザー」を展開。

 

タワー戦で使っていた時のように受けたダメージを即座に再生・回復させ、メテオデッドヒートの炎とフェニックスの炎を合わせて両腕に宿し、一気に放出!

 

「ヴォルケイノ・ツヴァイ・ブラスター!!」

「トリプルチューン!!」

 

フェニックスとメテオデッドヒートの炎、そしてエデンの方はバット・コブラ・スパイダーの3種の武装を同時展開した『デッドリベレーション』から放たれるエネルギー砲が吸収を解いたディファレントに炸裂。

 

だが、やはり異常進化態は強くこれでも撃破はできていない。

 

「ならばもう一発!」

《Chaser! Maximum Drive!!》

 

エデンがドライバーにチェイサーメモリを装填。トドメを刺そうと必殺技の体勢になり───

 

「来たれ異界の追跡者! 紫の爆音が生命の業を死へと───」

 

 

《マッテローヨ!》

 

「……なんて!?」

 

止められた。

見ればその槍は歩行者用の信号機と斧が一体化したような武器のオーラを纏っており……って、あれチェイサー先輩のシンゴウアックスじゃねぇカ!?

 

「あぁ……シュバルツ?それシンゴウアックスつって、そーゆー仕様なんだワ。信号待ちってコト。悪いけどもうチョイ待ってテ」

 

「待つのか? 今? まぁ確かに信号待ちは大事なルール、騎士道!」

「堕天使の翼を以てすれば、横断歩道なんてひとっ飛び!」

「それ言ってる場合じゃないと思うんだけど……」

 

そうこうしているうちにピーッ! という音と共にエネルギーチャージ完了を知らせる合図が鳴っタ。

 

《イッテイーヨ!》

 

「あ、行っていいってサ」

 

「よし来た! 喰ら……!」

 

《Full throttle!!》

 

寄りかかっていた槍を引き抜き、勢いのまま振り翳ス。

その瞬間、起こる凄まじい爆風。

紫の波動が山肌と木々を薙ぎ、水平線目掛けて爆走していった。

 

通り道にいた3体の下級ロイミュードは全員爆散し……よく見えなかったケド多分アレコアごとやられテル。馬鹿ミテーに強烈な一撃が放たれ、ついでにエデンも反動でぶっ飛んだ。

 

「こ……これは神話級の一撃ね……流石にちょっと引く……」

 

「ふ……フッ……こ、これが竜騎士の本気……! ……!?」

 

「なんつーアホみてぇなパワー……流石は先輩の武器……ってかやり過ぎダロ博士」

 

「あぁ、そういえば……」

 

『士門くんとの悪ノリでチェイサーメモリだけ出力と燃費の調整馬鹿みたいな出力にしちゃったけど、なんか竜騎士は無敵って言ってたし多分大丈夫だよな! じゃ、よろしく!!』

 

「なんて言ってたっけ……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「お待ちなさい!」

 

「just a moment!!」

 

瞬間、空から聞こえた声。

アレは……瞬樹くんのライバーン!? 

 

しかもそこから2つの影が……って、アレは!真っ直ぐに飛び降りて来て……っぶね!? 

 

「お待たせしました!隼斗さん!」

 

「でもGood timingだったようね!」

 

ギリギリキャッチし顔をよく見る。

なんと飛び降りて来たのはダイヤさんと鞠莉だった!

 

 

「ダイヤさん!?」

 

『え、鞠莉さんまで……なんで?』

 

「お前が黒澤ダイヤか。なんで瞬樹のバイクに乗って来たかとかはこの際突っ込まねえが……危ねぇぞ退いてろ!」

 

「フフーン!ハヤト!エイト!それにアラシ!センセイからのpresentよ!!」

 

俺と、そしてダブルにそれぞれ手渡される手のひらサイズのアイテム。

 

俺にはシグナルバイク……これってダブルのバイク!? そしてダブルに手渡された方は2本のガイアメモリ。だが、そこに描かれていたのはアルファベットではなく……

 

「これって……!?」

 

「なんだコレ?英語じゃねぇな……仮面ライダーか?」

 

『そういうことね。よかった、博士間に合わせてくれたんだ』

 

赤い方のメモリには真紅の装甲を身に纏った戦士 泊進ノ介先輩の変身する『仮面ライダードライブ』が、白い方のメモリには俺が尊敬する大先輩、詩島剛先輩が変身する『仮面ライダーマッハ』がそれぞれ描かれていた!!

 

「ドライブ先輩! マッハ先輩!? どうして……」

 

『やぁ、無事届いたようだな!』

 

通信機から聞こえる声。

何処か疲弊した感じが感じ取れるに、相当な無理をさせてしまっていたらしい。

 

「博士!コレって……」

 

『シグナルレジェンドダブル、そしてドライブレジェンドメモリ、マッハレジェンドメモリだ! ダブル、ドライブ、マッハのそれぞれの力を再現できるようになるアイテムだ!コイツでエルバをぶっ倒したまえ!!』

 

 

俺はダブルのシグナルバイクを、ダブルはドライブとマッハのメモリを握りしめ、エルバに向き直る。

 

「ってかなんで俺だけこれ一個なんだよ! むしろドライブ先輩達の力とか俺の方が使いたいんだが!?」

 

「ぐだぐだ文句言ってんじゃねぇ、オラ行くぞ!」

 

『さぁお待ちかねだね。先輩ライダーの力……使わせてもらうよ!』

 

《Drive!》

 

しかもご丁寧にメモリの音声がクリム・スタインベルト博士っぽいし!ズルいぞ!だがそのこだわりはNiceだ博士!

 

《Drive!Maximum Drive!!》

 

マキシマムスロットにセットすると、ダブルの目の前に一本の剣が現れる。車のハンドルが付いた特徴的な形状の剣……『ハンドル剣』だ。

 

「なんだコレ……永斗の趣味か?」

 

『能力は博士に任せっきりだったから……ドライブの武器だと思うけど、ハンドルソード?』

 

「ハンドル剣だ」

 

「まんまじゃねぇか」

『もう少しいいネーミング無かったの?』

 

「文句なら泊先輩に言え。言わせないけどな!とにかく使ってみろ!」

 

「使ってみろって……あぁクソ! んなトンチキな剣どう使えば……」

 

シャフトを背中に戻し、ハンドル剣で斬りかかるダブル。ディストピアの徒手空拳による攻撃を避け、まずは二撃。蹴りの攻撃を左腕で受け止めたあともう二撃入れた。

 

「へぇ……名前の割には以外と使いやすいじゃねぇかコレ」

 

「フフン……それだけじゃねぇぜ! ハンドル切ってみろ!」

 

「ハンドルを?」

『アラシ貸して。こうでしょ』

 

《Turn!》

 

「これでどうすんだ?」

 

「こうすんだ。ほら行ってこい!」

 

「うおおっ!?」

 

そのまま背中を押してやるとダブルが急加速。目にも止まらぬ速さで連続斬りを繰り出す。

 

「な、なんだ今のは……」

 

「コレもハンドル剣の能力だ! それに……ドライブの力が使えるってんなら多分アレも……っと!」

 

メモリが装填されたスロットのボタンを叩く。すると今度は車のドアのついた赤い銃が現れた。

 

「なんだ? 銃……まさかコレ……」

『ドア銃だね』

 

「正解だ永斗少年!」

 

「マジでネーミングセンスどうかしてんぞお前の先輩!」

 

「それは言わねえ約束だ、んじゃまそろそろ俺も行くかぁ!」

 

《SignalBike!》

《Signal koukan!Legend!!》

 

シグナルブレイヴと入れ替えてレジェンドダブルのシグナルバイクを装填。一瞬ダブルのライダーズクレストが浮かび上がり、俺は体に緑色の風を身に纏った。

 

「よーし……行くぜ!」

 

ダブルが度々やってたように手首をスナップさせ、加速してディストピアに向かって行く。

 

蹴りを一発、二発。風の力が二乗になった事+機動力の増加で威力も倍増し、更にダメージが加速する。

 

『ま、銃ならコレだよね!』

 

《Luna/Trigger!!》

 

ダブルは黄色と青のルナトリガーにチェンジ。ドア銃と青い銃……トリガーマグナム? との二丁拳銃で弾丸を乱射する。

 

「へぇ、名前の割に威力はいいじゃねぇか」

 

「お前ばっかズルいぞ!それよこせ!」

 

煌風を納刀しダブルからハンドル剣を奪取、ディストピアに接近して斬りつける。

 

「ったく……使いてえならそう言えっての」

『憧れの先輩だっけ? それなら尚更だよね〜。って、ん?』

 

銃を連射していたダブルの攻撃が突如止む。

見ればトリガーマグナムからは弾が出ているが、ドア銃からは出ておらず……弾切れか。

 

「ドアを開けて閉めろ!」

 

「あ?開けて閉める?……こうか」

 

ドアを開け、勢いよく閉めた。そして────

 

「喰らえ!」

 

 

《半・ドア…………》

 

 

「……は?」

 

弾丸が発射されなかった。よく見るとドアが少し開いたままになっている。これではリロードができていないのだ。

 

「ばーか……ドアはちゃんと閉めろって」

 

「なんだよそれ!?」

 

そう、このドア銃はしっかりと開けて閉めないとリロードされないという忠実な再現力がまたいいんだよな。手間は確かに否定できないが……

 

『そうだよアラシ、開けたらちゃんと閉めないと……』

 

「いやそうじゃねぇだろ!なんだこの仕様は!?」

 

「ドア銃を作った沢神りんな博士の拘りなんだとさ」

 

「なんだよそのこだわり……どいつもこいつも一周回って馬鹿なんだろ、天才ってやつは」


 

《Charge!》

 

ぶつくさと文句をいいながらも今度はちゃんと開けて閉めてリロード、再び弾丸を乱射する。

 

「そうそう……よーし、俺も!」

 

出現させたトリガーマグナムで風の弾丸を連射し撹乱。

 

そのままブラッシャーとマグナムを投げ捨ててハンドル剣とさっきまでダブルが使っていたシャフトを構える。

 

《Turn! ドリフト・カイテーン!!》

 

「行くぜ!」

 

ハンドルを切ってクラクションを鳴らし、シャフトと共に構えて駆け出す。そのまま体を捻って回転し、独楽のようにディストピアを連続で斬りつけ、同時にシャフトで連打。

 

『アラシ、こっちも使ってみようよ』

 

「ああ、この白い方だな!」

 

《Mach!》

 

《Mach!Maximum Drive!!》

 

スロットに今度はマッハ先輩のメモリが装填される。俺はその時先輩の戦い方を思い出し、アラシに呼びかけた。

 

「アラシ!サイクロンジョーカーに戻せ!」

 

「あ?……おう」

 

ダブルはルナトリガーから初期フォームのサイクロンジョーカーへと元に戻った。

 

「でもなんでだ?」

 

「マッハ先輩の力を活かすならその姿が多分1番だ。ほらコレ!」

 

俺のゼンリンシューターを呼び出し、ダブルに手渡してやる。まあこれは青だから色が違うんだが……

 

「さぁ着いてこい!」

 

『着いてこいって……あーでもなんか速そうな感じするね』

 

「おいファースト、さっきからボサっと見てんじゃねぇよ。テメェも合わせろ!」

 

「異世界の仮面ライダーの力。珍しかったから見入っていただけだ。指図をするな!」

 

走り出したダブルが急加速、ブンブンというエンジンを吹かしたような音と共に凄まじいスピードでディストピアに連撃を叩き込み、さらにゼンリンシューターを連射。

 

『すっご……ライトニングより速いよこれ』


「この速さなら置いて行かれねぇな!」

 

 

「よーし……俺も!」

 

《Turn!Turn!U・Turn!!》

 

ハンドルを2回切って連続で斬りつけ、もう一度ハンドルを操作。2連続で斬撃を喰らわせたあとそこから加速し急カーブ、もう一度斬りつける。

 

更にダブルがカクサーンの能力を発動、弾を分裂させディストピアの頭上に弾丸の雨を降らせる。

 

「泊進ノ介……詩島剛……!ここにいない仮面ライダーの力まで……一時霧香……!」

 

 

急ブレーキをかけ並び立つ俺とダブル。そして、俺はドライバーのシグナルレジェンドダブルをハンドル剣に装填! 

 

《ヒッサーツ!Full throttle!!》

 

《Drive!Maximum Drive!!》

 

「ハァァァァッ!!」

 

「レベル……2!」

 

緑と青、異なる色の風を纏った斬撃がディストピアに炸裂。更に何処からともなく現れたのは真紅のボディのドライブ先輩の相棒マシン、トライドロン! 

 

「我流剣 二ノ技……二刀流・怒髪天(どはつてん)!」

 

ファーストの斬撃がディストピアの拳と打ち合い、ディストピアがその衝撃で大きく弾かれる。

 

そして、その吹っ飛ばされた先に待ち構えていたのはトライドロン。高速周回するそれの中心に叩き込まれたならば、逃げ場はもう無い。

 

「『ダブル・スピードロップ!!』」

 

ディストピアの周りを高速周回しダブルはそれを使って連続でキックを叩き込む。

 

「よーし……俺も!!」

 

せっかくの機会、これを逃したくは無いと俺の心が疼き自慢のスピードで隙間を縫って乱入、ダブルと同じようにトライドロンを蹴りながら連続キックを浴びせる。

 

「「『ハァァァァッッ!!!』」」

 

最後の一撃が入り、俺とダブルは地面を擦りながら同時に着地した。

確かな手答え。拳を打合せ、決定的な一撃が入ったことを確信。未だ変身こそ解けていないが、ドライバーから火花を散らすディストピア。

 

アレならもう大丈夫だろう、そう思っていたのだが────

 

 

「───どうでもいいな」

 

「っ……おいざけんなボケが。倒せた流れだったろうが!」

 

「流石にJokeが過ぎるぜ、まだ起きるってのかよ!」

 

「天城隼斗……切風アラシ……士門……いや、もういいか。俺にとっては結局、全部が無価値だった。それだけの話だったんだ」

 

もはや死に体のディストピア。

だが、何処にそんな気力残っているのか奴はなおも立ち上がってきた。

 

奴が手を空にかざすと、黒雷が収束。

その手に現れたのは剣……いや、Battle-Axe(戦斧)……!? 

 

「雲があると、見栄えが悪いか」

 

巨大な斧を振るう。

放たれたエネルギーが天空で爆ぜ、その一撃は()()()()()

爆発が起こるよりも遥かに静かに、鷲頭山上空の雲を全て消滅させた。

 

「どういうことだよ……どこにそんな力が!」

 

「馬鹿を言うな。ずっと考えて試していただけだ、俺が笑うための手段を。だが無理だと悟っただけの事。俺がただ世界を壊すのに、策も力も必要無い」

 

世界を壊す……?

コイツ、一体何を……! 

 

 

「テメェ……まさか元の世界に逃げる気か!? 上等だよ、どこまでだって追いかけてやる」

 

「帰る? 違うな、俺が向かう場所なんてどこにもない。だから壊すんだ。今度は世界の移動なんて生温いことは言わない、二つの世界を衝突させる」

 

「衝突!? そんなことになりゃ……どうなっちまうんだよ!」

 

『分かんないけど……上手いこと融合できても死人は千や万じゃ済まないだろうし、下手すればぶつかったとこから綺麗さっぱり対消滅……! 普通にぶつかっても災害どころじゃないでしょ……!』

 

「絶望し、生きる理由を、戦う理由を忘れたか? 精々味わえ、それが俺の憂鬱だ」

 

斧を大地に突き刺す。

その瞬間、地面をエネルギーが駆け、足場がひび割れ崩壊を始める。そしてディストピアは憂鬱そうに、それを発した。

 

 

「開闢せよ、『憂鬱世界』───」

 

 

あの時と同じ黒い霧。

重加速とも異なるこちらの動きを阻害する謎の力……!! 

まるで自身にかかる重力そのものが強くなったかのように動けない。

 

 

「最初からこうするべきだったんだ。こんな結末、あぁ全く……笑えないな」

 

黒い穴の空いた空を睨む。

うっすらと見える『あちらの世界』らしきものが、あと少しで来る覆しようのないBADENDを物語っていた。

 

動こうにも身体が言うことを聞かない。手足どころか指一本すら動かせず、まるで体が石にでもなったみてぇだ……!

 

 

「(っ! 馬鹿野郎が……!こんなもんに負けてどうすんだ!今までこんなpinch何度もあっただろ!こんなもんに負けて……どうすんだ!)」

 

……って、気合いで持ち直したはいいけど根本的な解決には至ってねぇ。

 

それに、さっきから感じる妙な違和感。

目の前のディストピアはただ突っ立ったままで仕掛けてこねぇ。

 

これが動きを止める能力だってんならそのままこっちを仕留めりゃいい話だ。なのに向こうは動かない、というか動こうともしねぇ……なんでだ? 

 

動けない……動かない……

 

 

『開闢せよ、『憂鬱世界』───』

 

『憂鬱とは停滞の意志さ。外界に希望を見いだせなくなり、前進の意味を見失った時、人はそれを憂鬱と呼ぶ。君たちが今感じているソレは、俺を蝕む憂鬱の一片だ』

 

『選別はこれまでにも行っていた。俺以外にこの退屈を共有できるものがいれば、そう思ったんだが……誰一人として俺の憂鬱を受け入れる者はいなかった』

 

 

「(……まさか!)」

 

繋がった。

正に『脳細胞がTop gear』だ!! 

 

「(奴のあの能力、アレは恐らく術者であるエルバ本人の精神状態の強制! 憂鬱ってやつそのものを俺たちに押し付けている……みてぇなもんだろう。それなら奴もまた俺たちと同じ状態のはず!)」

 

それにもう一つ。奴はゴールドメモリ……上級クラスのドーパントでありながら大ダメージが回復するどころかほぼそのままになっている。

 

つまりあの能力はドーパント依存じゃなく、エルバの奴自身の力。あの能力は人間の姿でも常時発動しているやつで、恐らくその能力が奴の身体にも干渉しているからだと思われる。それでも他が止まってないのに関しては、普段は奴の意志で出力を抑えてるって事なんだろう。

 

だが今は恐らく出力MAX、つまり奴自身も動く事はできない!……けどあの時、初めて奴の能力を受けた時ただ1人憐だけはコレを破って動けていた。あの時は憐がブチギレてた……憂鬱に囚われていなかった影響だ。

 

だったらそれを無くせばいい。

とことん精神を研ぎ澄まして心の底の底からですら、『憂鬱』って奴を消し去る! 

 

「(もう考えるのはやめた!この止まった世界の中で、奴に追いつけるのも……走れるのも俺たちだけ。だったらやるしかねぇだろ?行くぜアラシ、俺とお前で……世界を救う!!)」

 

抜刀した煌風を地面に突き刺し、心を研ぎ澄ます。コツなら何度もやったおかげで掴んでる、花丸ちゃんとの滝行を思い出せ! 

 

ほんの一瞬でいい、怒りも、恨みも、憎しみも!全てを捨てて……至れ、Clear mind!!

 

 

「「うおおおおおおおおおっ!!!!」」

 

 

俺が立ち上がると同時にダブルも能力を破っていた。どうやら互いに同じ結論に至っていたらしい! 

 

「……は……!? 馬鹿な……! この憂鬱世界の中で、何故動ける……!?」

 

「テメェとは違うんだよ根暗野郎が! 背負う責任、戦う覚悟ってやつがな!」

 

『まぁ僕は死ねないからねー。全部諦めてずっと後悔する方が、死ぬより面倒くさい。だから諦めない』

 

「俺達を舐めんなって言っただろエルバ! 俺達はヒーローだ! ヒーローは……憂鬱なんかじゃ終わらねえんだよ!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

また突然俺っち達に重くのしかかるあの時のカンカク。だけど……なんのこれしきィ!! 

 

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》

 

体に纏ウ紅蓮の炎!俺っちをこんなもんで止めれると思うナ!!! 

 

「……っシャア!!しっかり覚えてるゼ、あの時の感覚! 体中熱くなるくらいの怒り! こんなもんで俺っちのデッドヒートは止められネェ!!」

 

前の時と同じひたすらブチギレモードで振り払う! どうってことネェぜ!!

 

「フッ……竜騎士、再び復活!」

 

「シュバルツ! マジかお前、このプレッシャーをぶっつけで乗り切ったのカヨ!」

 

「プレッシャー……?何のことだ。俺はただ、さっきの死神の一撃の代償で動けなかっただけだが……」

 

「……ハハッ! お前やっぱ半端ねぇナ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「さぁ引っ越しの準備はできたかクソ野郎。悪ぃが元の世界にも帰らせねぇぞ。テメェの引っ越し先は地獄だ、憂鬱になんて一人で堕ちてろ!」

 

動きが鈍るディストピアに反しダブルは身軽に全霊の回し蹴りを叩き入れる。

 

「お前の敗因はsimpleだ! お前は俺達の逆鱗に触れた! 覚えておけ! 俺達は……スクールアイドルを守る、仮面ライダーだ!」

 

加速、そしてぶん殴る!音速に匹敵するRush attackがディストピアの装甲をぶち抜いた。

 

「つまんねぇ人生の終わりが見えたか。そいつがテメェのやってきたことのツケだ。そういや、テメェにはまだ言ってなかったよな」

 

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

「何故……だ。俺の苦しみを、重さを……絶望を……! 全て知ったはずだ! 何故お前達は笑っている。何故お前達の世界は晴れた……! 何故、俺、だけ……が…………」

 

ダブルの決め台詞がディストピアに突き刺さる。今能力の影響を受けているのは奴だけ。回復力が遅く、更に動きすら鈍くなっているならここで絶対に仕留め切る! 

 

煌風とリジェネレイトブラッシャー、俺本来の武器である2種を再び構える。

 

 

「…………愚かだな、まるで子供じゃないか」

 

 

立場が大逆転し、崖っぷちに追い込んだはずのエルバ。だが奴は……

 

 

「は……はははははっ!! あっはっはははははは!!」

 

エルバは何故か()()()()()

腹を抱え、まるで子供のように。それまでの激情が嘘だったかのように一転して笑っていたのだ。

 

そして、ふと見上げてみると空に開いた穴も閉じていく。すぐそこにあったはずの終わりが消えていった。

 

 

「……認めよう、天城隼斗。切風アラシ。士門永斗。そして……松浦果南。俺は君たちを侮っていた。俺より下の、取るに足らない存在と。だが訂正する、それは誤りだ」

 

「急に何言ってやがんだテメェ……」

 

「まぁ聞いてくれ。劣っていたのは俺だ。全ては君たちの言う通りだった! 俺は認めたくなくて、駄々をこねていたに過ぎない。滑稽だろう、笑うといい」

 

『隼斗さん、この人急にキモくなったんだけど……その……』

「分かってる永斗少年。さっきよりもずっと、強さの圧が半端ねぇ……!」

 

 

よくわかんねぇけど、何処か吹っ切れたような感覚。アイツ、これまで以上に隙が無くなってやがる……! 

 

「世界を滅ぼすのは中止だ。災害にだろうと立ち向かおう、この世界の全てのライダー、悪に挑もう。空を飛び、海を駆け、大地を制する日まで退屈する暇なんて無い。俺に出来ないことなんて山ほどある」

 

「……させねえよ。お前にはもう、何も!」

 

「それでいいさ仮面ライダーソニック。……そうだ、そういえば一つ、自覚したことがある。俺は松浦果南に恋をしていたようだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ!!??」

 

 

 

「これだけ生きて初めての経験だよ。だが、彼女は君を好いているようだ。それでは全く笑えない。だからこれが、俺の最初の挑戦だ」

 

引き抜かれた斧でこちらを差し、奴はそう宣言した。

 

 

「仮面ライダーソニック、恋敵の君を超え、松浦果南を手に入れる。仮面ライダーダブル、俺を否定する君を倒し、俺という存在を俺自身が肯定する。さぁ……ここからが本当の勝負だ。笑い合おう、仮面ライダー!」

 

「……あ゙?」

 

吹き荒れる暴風。放たれたそれはさながらhurricaneの如く、俺の心と共鳴し辺りの木々を激しく揺らしていた。災害にも、他の仮面ライダーにも挑む。それはいい、そうする前にぶっ潰すだけだ。いや良くはねぇが……ねぇが…………その言葉がどうでもよくなるくらいに────

 

 

その最後の一言だけは、聞き捨てならねぇ!!!! 

 

 

 

「ざっけんなクソが! 誰が誰に恋したって!? お前みたいな悪党に姉ちゃんを渡すわけねえだろうが!! もう我慢ならねぇ……俺がぶっ殺す!!!」

 

 

「急に開き直ってんじゃねぇよボケ! そのまま落ち込んだまま死んどきゃよかったんだカスが!!! 何回でも否定してやんよ憂鬱ゲリクソ野郎!!」

 

『お二人さん。ヒーローの台詞じゃないよそれ』

 

互いに怒りのvoltageがメーター振り切ってヒーローにあるまじき暴言を放ってしまったが、それぐらいにマジでそれは許せねぇ!! 

 

怒りと共に構え直した瞬間、ディストピアは一瞬で俺とダブルの懐に切り込んで来ていた。

 

「嘘だろ、速───」

「体が軽い。思い出す、生まれた頃のようだ」

 

そうか! 今のアイツも俺たち同様憂鬱を振り払っている……だったら本来の力を発揮できて当然なのか!! 

 

身の丈ほどの斧を軽々振り回し、しかも当然のように空間切断の能力付き。

 

そんなクソチートみたいな攻撃をなんとか切り抜けたが……

 

すぐさま振り下ろされる次の攻撃。振り上げた斧が、縦一閃に叩き下ろされた。黒い閃光を纏うその一撃は地中深くにまで到達。山を割り、ここから見える海すらも切り裂いた。

 

『地形変えたんだけどあの人……!!』

 

「正真正銘、これが俺の全力だ。君たちに対する全霊の敬意を示し、久々に『技』を使うとしよう」

 

 

技!?

あの空間切断って技じゃ無かったのかよ!? いやそんなことはどうでもいい、さっさと避けなきゃとにかくヤバイ!!

 

「───黒天の彼方(ネロ・ユニヴェルソ)!」

 

衝撃波に加え、この感覚は奴の能力。

それに加えて無数のエネルギーの斬撃が同時に飛んできてそれには空間切断付き! なんだよこの無理ゲー!!

 

「やるしかねぇ!! 突破するぞ!!」

「All right! 上等だぁッ!!」

『あーもう! なんなのこのクソゲーは!!』

 

雑にクソ強く、それでいて緻密に放たれた攻撃が俺たちに襲いかかる。たった一振りでコレ撃てるってマジでどうかしてんだろ! 

 

なんとか避け、捌き切ろうと試みるがやはり難しかったのか……受けきれねぇ、そう思った途端…………

 

突如として何かが俺たちの間に割って入り、そのおかげで技を突破できた。

 

「なんだ今の……!」

「いや、一瞬見えた。今のはファースト!……どこ行ったんだ?」

 

ファーストが?やるじゃねぇか……と、奴がいた場所をみるとそこにはジョーカーメモリよりも黒いガイアメモリが落ちていた。

 

流麗な斬撃が竹を斬る“S”。

間違いない、ファーストが使うスラッシュのオリジンメモリだ! 

 

『これ、スラッシュメモリ!? マジで……!?』

 

「good.粋な計らいしてくれやがるぜ……!」

「いつからそんな仲になったんだ? まぁ使えって言うなら上等だ。借りパクしても文句言うんじゃねぇぞ!」

 

《Slash!》

 

ダブルはジョーカーメモリを引き抜き、オリジンメモリの“S”、スラッシュメモリを装填。再びドライバーを展開し新たな姿へと変身した! 

 

「『変身!』」

 

《Cyclone/Slash!!》

 

ギターと共に鳴り響く三味線の変身音。和洋折衷な音楽と共にダブルの姿は左半身がより濃い黒へと変わり、マフラーの代わりにその腰には2色のマントが現れ左手には一本の剣が現れた。

 

これがダブルの新たな力『サイクロンスラッシュ』!! 

 

「“S”のメモリを継承したか……!」

 

『いいね、スペシャルな感じ。いつも以上に……下手すりゃファング以上の力を感じる』

 

「隼斗!俺はまだ見た事ねぇけど、お前まだ限界突破の全力があるんだろ? それまだ使えるか!」

 

「オーバーブレイクのことか?10秒くらいなら……いや……」

 

10……いや、奴があの時よりダメージを負っているとはいえ、吹っ切れた奴をたったそれだけで仕留められる自信はない。

 

それに、ここまで2度もオーバーブレイクを使用したせいでガチで体も限界に来ている。

これ以上無理したら本当に命に関わる、けどやるしかない。

 

ごめん姉ちゃん。

俺は今から───人生で1番命を賭ける!! 

 

 

「20秒だ!20秒なら全速力で駆け抜けられる!」

 

『了解。思ったよりもずっと長いけど、博士には黙っとくよ』

「命運賭けるには十分過ぎる時間だ。この20秒で……終わりにするぞ!」

 

「いいだろう。さぁ、最後の勝負だ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「凄い地響き……さっき海も割れたし、あの空の穴も消えた……何が起こってるの……?」

 

「愚問ねリリー。きっと近づいているということよ、この聖戦の終幕が! さぁ堕天使ヨハネの名において命じます! 我が堕天同盟よ、今こそ地上を救いへと導くのです!」

 

「合点承知! ハーさんも激しくやり合ってるみたいだシ、俺っちたちもいっちょ行こうゼ!ド派手にナァ!!」

 

「あぁ!心が無い貴様にも刻み付けてやる、憂鬱の傀儡!来たる断罪の恐れを、そして我らが天使の偉大さを!」

 

そう言うとエデンは盾の形をした不思議なガイアメモリを起動。バックル部分を取り外しテ、剣の形をした別の装備を装着しタ。

アレがアイツのパワーアップアイテムか!

 

《Heaven!》

 

「待たせた黒騎士! これが俺の、ガチの上のガチ! 刮目せよ、我が名は天竜騎士シュバルツだ!」

 

装填されたヘブンメモリが更に叩き込まれ、盾が展開して左右三枚ずつの翼ニ。

 

《Heaven!Maximum Over Load!!》

《Mode:MESSIAH》

 

メットや胴体、腕、脚……体の至る所に宿した翼の意匠。鎧は元の銀から輝く白になッテ、胴体の竜の顔が噛みついた緑のラインがアルファベットの『H』を鎧に刻んダ。

 

その手に持った槍……エデンドライバーはランス型からスピア型に。

エデンはその身を御伽噺の聖騎士のような姿に進化させタ!

 

「仮面ライダーエデンヘブンズ! 異界の地にて、いざ! 再誕!」

 

『……!!』

 

名乗りを遮るかのようニ間髪入れず仕掛けてクルディファレント。

爆発的加速からノ急接近、エネルギーを両腕に充填シ、ガトリングヲ乱射してキタ。

 

「シュバルツ!」

 

しかし、一瞬の強い光が放たれたかと思ったらエデンの姿は何故かディファレントの背後に。アイツ、瞬間移動の能力持ってんノカ!即反応したディファレントだが、一歩遅い。エデンドライバーに光を纏わせて振るうと、衝撃波がディファレントを遥か天空に吹っ飛ばしタ。

 

「瞬間移動に超パワー……アレがシュバルツのガチ……スッゲェ!」

 

「当然でしょ憐。この堕天使ヨハネが認めた竜騎士よ!」

 

だが、ディファレントは弾き飛ばされた先、落ちてくることなく空中で留まっていテ……

 

「アイツ飛べたのカヨ……」

 

「望む所だ。我ら2人の竜騎士、双方共に羽ばたく翼を持っている。その大空が貴様の墓標だ! ロイミュード!」

 

「ヨッシャ! そこで見てな、ヨっちゃんに梨子サン! シュバルツと一緒に、いっちょ世界救って来っカラ!」

 

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》


 

イグナイターを連打してシフトアップ。

炎を纏ってその熱と闘志をバースト!! 

 

俺っちは紅蓮の翼を、エデンは光の翼を広げテ戦いは空へと場所を変えル。その瞬間ディファレントはカメラアイを怪しく光らせ────

 

『……破壊!』

 

うぇ!?……そうか、ここまでの戦闘でようやく()()()なってきたってことカ!

 

「急に喋りやがっテ! ビックリすんだろーガ!」

 

あの時と同ジ、強力なバリアがディファレントを覆う。いや、あのバリアなんか違うナ……

 

「……そうか!」

 

間違いねぇ! アレ超重加速混じりダ!ったくめんどーナ……だったらこっちは更に勢いを爆発させテその守りを突破!灼熱のクローで、胴体をぶったギル!!赤く焼けたような傷痕ニ重ねるように、次々と爪痕を刻み付けていク。

 

ダガ、向こうもこのまま接近戦を続ける理由は無く、衝撃波でディファレントは俺っちを地上近くまで吹っ飛ばした。

 

「任せタ、シュバルツ!」

 

『……!?』

 

「こっちだ!」

 

バリアをテレポートで突破、光の一閃がディファレントを刺し貫いタ。

四方八方から放たれる反射エネルギー弾の反撃をエデンはテレポートで避け続けル、空を駆ける閃光にディファレントは追いついて行けてナイ。

 

天刃飛翔(ヘブンズソード)!」

 

エデンの周囲に出現する3本の光刃。周囲を飛び回るそれによって増えた攻撃手段に意識向けたディファレント。隙ありィ! 

 

「ただいま……ッテナ!」

 

 

「それを使え黒騎士!」

「ありがたく頂戴するゼ!」

 

クローでぶった切って、エデンの刃を受け取り、斬りかかル。

 

ディファレントはもうこちらの戦闘パターンを再学習したノカ、クローを装備して対応。2対1の斬り合いを分析し、渡り合ってイル。だが、この光刃を持ってる俺っちはエデンのサポート下にアル。

 

ディファレントのエネルギー斬撃がヒットする寸前に俺っちを瞬間移動させ、転移先でクローをガントレットに変形させてぶん殴る!

 

『……スレイヤー……!エデン……!』

 

ガントレットに纏った黒い炎で焼け焦げるディファレント。

繰り出された無数の追尾式のエネルギー斬撃も、エデンの2本の刃に阻まれ、その隙に接近。

 

俺っちがぶん投げた光刃がディファレントを斬り、反転、他の2本と同様にエデンの槍に合体し強化された槍の光が、空に、海に、大地に降り注ぎ、ディファレントの装備を一撃で打ち砕いタ。ケド…………

 

「……チクショウ、やっぱ足りねぇよナァ……」

 

思わず舌打ちして呟いた。

肝心のディファレントに入っているダメージは充分とは言い難イ。これだけ攻撃しても、多分かなりの攻撃を吸収されている。

 

そもそも、前に戦った時はダブル、ハーさんに俺っち、エデンの必殺技を全て吸収され、全部反射されてイル。

 

軽〜く見積もってあれ以上の攻撃を2人でやんなきゃならネェ。装備を破損したディファレントが、大きく構えている。さっきの攻防で気を向け過ぎたせいで反応が遅れてしまった。ここまでのエネルギーをこっちに反射する気カ!

 

「噂をすれば光が射す……か……!」

「影ナ! シュヴァルツ!その姿、防御はそんなダロ!? 俺っちの後ろ隠れてロ!」

 

砲撃の如く放出されたエネルギーを、俺っちが受け止める。

隕石から作られたメテオデッドヒートの装甲は元より防御に長けてイル。まあそれにも限度があるカラなんとか耐えられはしたものの、かなり体力を持ってかれた……

 

「クッソ、急に頭悪い攻撃しやがっテ……いや待てヨ……!?」

 

よく見たらディファレントの体の光が、先程よりも弱まっている。今はでっかい攻撃を放った直後……………………そうか!

 

「シュバルツ! アイツ、さっきからちょくちょくエネルギーを“排出”してル! 溜めたエネルギーは出さなきゃ消えなくて、体に溜めておけるエネルギーにも限界があるんダ!」

 

「トイレみたいなものか!」

 

「……うんじゃあそれでいーワ! 認識が汚ぇケド!」

 

「フッ……つまり、どういうことだ!」

 

「アイツがパンクするまで、放出させずにぶん殴り続けル! とどのつまり根性の体力勝負ダ!」

 

文字通りのデッドゾーン真っ只中。

せっかく見つけた大チャンス、ここでケリをつけてヤル!! 

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

《Gaia Connect》

 

《Heaven!》

《Dragon!》

 

《Maximum Over Drive!!》

 

「ブレイクダウン・シャウト!!」

 

炎を纏った拳ごと、ディファレントの奴を地面に叩きつける。地面が波状にひび割れ、さながら火山の噴火のように爆炎が噴き出した。

 

『津島善子……!!』

 

起き上がったディファレントからは、今までソイツが向けてこなかった激情が感じ取れタ。

 

さっきと同じエネルギー砲を撃とうとしてイル……エネルギーその矛先は……ゲッ! ヨッちゃん!? 

 

 

「貴様、誰に向けて牙を剥いている!」

 

 

瞬間移動したエデンがエネルギーのヨッちゃんに向けられた腕を斬り落とし、槍を放り投げて顔面に回し蹴り。更に、神速の殴撃がもう一度頭部を襲っタ。

 

「あと、名を呼ぶときは気を付けろ。貴様如きが二度と間違えるな……『ヨハネ』だっ!!」

 

いつもの詠唱を省略シ、最短最速で、ディファレントに莫大なエネルギーを叩きつけタ! 

 

楽園を統べる天竜皇の裁剣(ロード・エデン・カラドボルグ)!!」

 

光が槍と一体化し、光剣となってディファレントに炸裂させる。大地を割るほどの一撃ダガ、それもディファレントに触れた部分から吸収されてイル。出力を上げ続けるが、ディファレントはそれさえも吸収してしまっタ。このエネルギーを跳ね返されたら辺り一帯消し飛ブ…………いや! 

 

「「まだだ!!!」」

 

終わってなんかいない。この体が動く限り、この心が叫ぶ限り、騎士道が折れない限り、俺っち達は倒れない!!

 

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》

 

「ガルァァァァァ!!」

 

もういっぺんイグナイターを連打し、この身すら焼くような限界を超えた熱量が空間を喰い尽くス。木々を、大地を焼き尽くしながらガントレットを叩きつける!エデンもヘブンメモリを閉じ、盾の中心に出現したコネクターに、一本のメモリを挿した。

 

《Chaser!》

 

《Chaser!Maximum Over Reload!!》

 

「堕天竜騎士……シュバルツ!」

 

チェイサー先輩の力を受けたエデンヘブンズがもう一度翼を広げる。闇と光の異なる力。死神の力を得たエデンの姿を見て、ヨッちゃんの口から言葉が零れた。右翼は白。左翼は黒。正に堕天使のエデンヘブンズ。モノクロの羽が舞い落ち、炎が走る大地を蹴って、俺っち達はディファレントに向かって駆け出した。

 

俺っち、シュヴァルツ、そしてヨッちゃん。

生まれも育ちも違うケド、志はみんな一緒。3つの心が一つになって、一つの詠唱(ことば)を紡ぎ出す! 

 

「悪を滅ぼセ、激憤の業火!! 悪鬼羅刹、魑魅魍魎、地獄の狩人は全てを燃やシ、狩り尽くス!! 絶望の暗闇を切り拓ケ!!」

 

「絶望を超え、二頭の竜が遍く世界に光をもたらす。我は断罪の使者。愛する堕天使の願いに応え、異界の大地を救世する者!!」

 

 

「光と闇は一つに! 堕天の絆が結ぶ、奇跡の剣は世界を導いた! 全てのリトルデーモンよ、愛する地上の人々よ! その目に焼き付けよこれが……仮面騎士が紡ぐ希望の光!」

 

 

感情と気力の全身全霊を乗せたエデンドライバーとスレイクローを、絆が結んだ大いなる力を───ぶっ放す!!

 

《Heaven!》

《Dragon!》

《Reload・Chaser》

 

《Maximum Over Drive!!》

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

 

「「「騎聖と鬼神の竜皇剣(インフェルノ・エデン・レーヴァテイン)黙示録(アポカリプス)!!」」」

 

 

獄炎の剣がディファレントを貫く。

ディファレントの身が炎に焼かれ、行き場を失ったエネルギーが外へ拡散仕掛けてイルが、エデンヘブンズの力で遥か上空に送られ蓄えられた全てのエネルギーを吐き出して大爆発した。

 

俺っち達2人は空を見上げて一緒に倒れた。流石に本気を出し過ぎたカナ……今から助けに行きたいけど正直シンドイ……ま、大丈夫でしょ。

あの3人なら絶対ニ……

 

「後は頼むゼ……!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「行くぜ!!」

 

イグナイターを連打。深呼吸して、さっきと同じように心を落ち着け…………落ち着かせ………………〜〜ッ!!

 

 

「られるかボケェェェェェ!!!」

 

体から放たれる暴風+衝撃波がディストピアとダブルを同時に怯ませた。

 

「どあっ!?っぶねぇな隼斗!!」

 

「っ! あ、悪い……つい…………」

 

『まあ果南さん関連でアレコレキレてるのは分からなくも無いけど今は冷静に。じゃないと使えないんじゃないのそれ?』

 

「っ……分かってる! 今度こそ……」

 

武器をそれぞれ逆手に持ち替え、左手は印を結ぶように構える。cool down……cool down……

 

そうだ、この20秒で仕留められなきゃ俺の負け……! マジで本気のDead or Arive!!いくぜ天城隼斗、今こそ風と一つに……

 

 

 

 ────見えた、一雫!! 

 

 

「Clear mind!永遠に輝く俺の翼が 新たな未来の扉を開く!!」

 

全てを超える……力をこの手に! 

 

「オーバーブレイクモード!解放ッ!!」

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

発生した小型の竜巻が俺の体を包み、青く光り輝く。そして、ブレイヴソニックの装甲が展開して青から水色に近い輝きを放ち翼からエネルギー粒子を放出。

 

竜巻をぶった斬り、変身完了!! 

 

「おぉ、ソイツが……!」

『オーバーブレイクモード……コアドライビアが半永久的に生み出す膨大なエネルギーを、変身する隼斗さんの肉体に流し爆発的な身体強化をするっていう……』

 

「来たか……輝くソニック……!」

 

 

「っ……!」

 

変身してもうすぐに膝が崩れそうになる。

身体を襲う傷の痛み、息苦しさ。これじゃあ何秒保つかすら分からねえ……! 

 

「……さっさと終わらせる!!」

 

力強く一歩を踏み込み一気に急加速。

とにかくまず空間切断の能力を発動させない事が大前提、ひたすらに攻撃を撃ち込んで隙を作らせねえ。

 

煌風とブラッシャーの2本にエネルギーを纏わせhit&away……いや、オーバーブレイクによる加速でもはやhit&hitとも言うべきラッシュを叩き込む! 

 

「は、速え……!」

『いやぁ……目で追うのが精一杯ってマジであるんだねぇ……』

 

「俺たちも行くぞ、永斗!」

『とは言ってもあのスピードについていくのはしんどいよ? どうすんのアラシ』

 

 

「いいや、今の俺らならアイツに追いつける!」

 

『あ、そうか。そうだったね!マッハ先輩、もう一度よろしく!』

 

《Mach!》

 

《Mach!Maximum Drive!!》

 

ダブルはマキシマムスロットにマッハメモリを装填。白いオーラを纏ってその手に持った剣『スラッシュブレイカー』を構え急加速。

俺たちの戦ってるところに割り込んできた。

 

「俺たちを忘れんなよ!」

 

「面白い!来るがいい、仮面ライダー!」

 

煌風で斬り込み、ディストピアの斧をブラッシャーで弾きつつダメージを与えていく。

 

ディストピアが斧を振るおうとした瞬間、ダブルがそれを弾き、俺が急加速して跳び膝蹴り。そのまま2連続で殴りつけ、五連撃。

 

ダブルが剣を振るい、さっきまでの戦いでつけた傷を狙って集中攻撃を喰らわせた。

 

「やるな……だが、()()()()()()()()()()()()?」

 

俺たちの足元が崩れだす。ここまでの激しい戦いに、そもそもfieldの方が耐えれてねえってことか! 

 

しかも、突如ディストピアの周囲の空間が歪みその姿が消えて────

 

「名も無い技だ、何せ初めてやったからな。挑戦というものはいいな……世界が瞬きで塗り替わる、形容し難い快感だ!」

 

『っ! 隼斗さん!!』

 

「問題ねぇ!」

 

 真正面に現れたディストピアは斧にエネルギーをチャージし空間切断を俺に放ってきたが、この速度なら余裕で躱せる。

 

身体を捻って回避、もう一度踏み込んで強く煌風を振り下ろす。

 

「っ!」

 

「隼斗!合わせろ!」

 

「おう!!」

 

《Slash!Maximum Drive!!》

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

 ダブルはスラッシュメモリをブレイカーに装填、俺もリジェネレイトブラッシャーを捨てシグナルソニックを煌風に装填!

 

「隼斗流剣技、拾ノ芸!」

 

「『これで決まりだ!!』」

 

互いに剣を握りしめ、最大の必殺技を放つ! 

 

「一刀流!天之波覇斬(アメノハバギリ)!!」

 

「『スラッシュストリーム!!』」

 

吼える青龍のオーラを纏った俺と、緑の烈風を纏ったダブルが強力な連撃がディストピアの斧とぶつかり合う。しかし────

 

 

「っ!?」

 

息苦しさがより強くなり、体から力が抜けていく。心臓が締め付けられるような苦しみが俺を襲い、仮面の下で血を吐いた。

 

「隼斗!?」

 

「っまだ……まだぁ……!!」

 

 

「諦めたまえ、これ以上無理をすれば君は間違いなく…………」

 

だが、まだ終わってたまるか……! 吐いた血を飲み込み、煌風を強く握りなおす。

 

「ぶざ げん゙な゙…………ッ!これ以上……お前に好きにさせてたまるかぁぁぁッ!!!」

 

 

「そうか。…………君ほど勇敢な戦士は初めてだ。俺がこうして心惹かれたのも……倒すのは非常に心苦しいが……」

 

ディストピアが振るった斧が必殺技を打ち消し、俺たちを空高く弾き飛ばす。そして、斧に黒いエネルギーが収束して…………

 

「しまった!」

『マズイ!今空中に飛ばされたら逃げられない!!』

 

「ここまでだ。……さらばだ、我が宿敵たち!仮面ライダーソニック、仮面ライダーダブル!!」

 

放たれる斬撃。

今まで放ってきたどれよりも大きく、そして強い。空中に打ち上げられ逃げ場は無く、この体で咄嗟の回避は不可能。

 

そう考える前に俺の体は動いており…………

 

 

「させるかァァァァ!!!!」

 

 

もちろん自分の体の事は分かってる。

この攻撃を『2人共避けきることはできない』事も。だから────

 

最後の力を振り絞ってダブルを突き飛ばした直後………………

 

 

「……………………なんと」

 

 

「…………っ!?」

『……そんな……!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………だよ…………なぁ………………」

 

 

 

漆黒の斬撃が、俺の体を直撃した。

 

 

体は徐々に力を失い、落下していく。見ればダブルは地面に叩きつけられてはいたが、変身は解けていない。

 

「あぁ、よかっ……た……」

 

安心と共に体から力は抜け、意識は薄れていく。やがて俺は…………海面に落下した。

 

 

「隼斗ォォォォッ!!?」

『まさか隼斗さん、僕らを庇って!?』

 

 

「まさかここまでするとはね……驚いたよ、天城隼斗。最期まで仲間のためにその身を捧げて散るとは……素晴らしい。敵ながら賞賛に値する」

 

 

「……何勝手に終わらせてんだてめぇ……」

 

「……何?」

 

 

「アイツがまだ死ぬわけねえだろうが馬鹿が!あの何処までもお人好しで!仲間思いで!馬鹿みてえに真っ直ぐで!誰よりも正義のヒーローしてるアイツが!たかが空間ぶった斬る攻撃喰らった程度で!!」

 

『いやアラシ、いくらなんでも今回は……いや、そうだね。隼斗さんなら死ぬはずない!あんなこれ以上ないくらいのヒーローが、こんな所で終わるはずがない!』

 

「昼寝するにはまだ早えぞ隼斗!お前が本当に死んでるってんなら俺が天国だろうが地獄だろうが引き摺ってでも連れ戻しに行ってやる!だから……まだ勝手に諦めてんじゃねぇぞ!!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「…………ぁ」

 

うっすらと目を開く。

意識はぼんやりとしていて、見えるのは何処までも深い暗闇に自分が吐き出した空気が泡となっていくのが見えるだけ。胸元を見ると血は出ていないが削り取られたような黒い傷痕が。

 

弱々しく手を伸ばしながら今にも止まりそうな頭で考える。アラシと永斗少年は無事だろうか、憐や瞬樹くんたちは大丈夫だろうか。疑問は尽きないが……今の俺には、もう何もできない。

 

「(にしても……『死ぬ』って意外と怖くねぇんだな……頭がふわふわして……このまま目ぇ瞑れば普通に眠るだけって感じ……)」

 

さっきから手足の感覚が徐々に消えていってもうほとんど動かせず、指先が辛うじて動く程度。それに視界すらボヤけてきて、段々と眠くなってきた……

 

あぁ、こりゃ今度こそ死ぬな……父さん、母さん、先立つ不孝を以下省略……千歌、曜、梨子ダイヤさん、鞠莉、ルビィちゃん、善子、花丸ちゃん、姉ちゃんを頼む……憐、博士……後のことは任せた……

 

姉ちゃん……まだ言いたかったこと、やりたかったことは結構あるし、アイツの言ってたことが心残りだけど、俺もうダメみたい……とりあえず姉ちゃんが絶対あんなのに靡かないって信じる……あぁやべぇ、もう……無理…………

 

 

姉ちゃん…………ごめん。

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーッ!ーッ!』

 

 

 

 

意識の消えかかっていた俺に呼びかける何か。この海の底にまで飛び込んできたアレは鳥……それにアレは…………シグナルバイク達、なのか……? 

 

「お前……ら……?」

 

『ーッ!ーッ!』

 

「諦めるなって?…………無理だよ。体力は尽きた、それにこの傷、こんなの……もうどうにもならねぇって…………」

 

 

 

『なんだよ、諦めんのか?』

 

 

「…………?」

 

 **が、聞コエル。

 

『絶対ぶっ殺す、なんて吠えたのは虚勢か? だとしたらガッカリだな』

 

 コエが…………聞こえる。

 

「(……誰だよ?迎えの天使にしちゃ、急に出てきて……随分失礼じゃねえか?)」

 

 

『もう負けない、なんて誓った言葉。アレは嘘だったのか?』

 

 

声が、聞こえる。

 

 

そうだ、これ以上好きにはさせない。

俺たちの世界で、絶対に……

 

 

「……がう……」

 

 

『聞こえねえな』

 

 

 

「違うっ!!」

 

 

朧げだった意識が覚醒する。そうだ。

 

何があっても守るって、絶対にアイツを倒すんだって決めたのは誰だ? まだ頭も体もギリギリ動かせる、だったら!こんな所で諦めてたまるか、終わってたまるか!! 

 

『ほぅ……威勢の良さは負けちゃいねぇか。いいだろう、少しばかり力を貸してやる。

 

この“切り札”どう使うかはお前次第だ』

 

すると、俺の目の前に黒光りする何かが降りてきた。輝きを放つそれは、俺が散々見てきた、『ダチ』の持っていた────

 

 

温かなそれが体の中に入っていくと同時に、力を失っていた手足に力が戻る。治るはずの無い傷が消えていく。体力もマシなレベルには戻ってきた。

 

「……よし、復k……ガボボボボッ!!?」

 

 

忘れてたここ海ん中じゃねぇか!? 

ヤバイ……!なんとか戦死は免れたけど、今度は……溺れ死ぬ……

 

 

『ーッ!』

 

 

ぼばべば(お前ら)!?」

 

 

マガールⅡ、カクサーンⅡ、トマーレⅡ、キケーンⅡ、それにアレは……ダブル、エデン、それに……スレイヤーとデッドヒートメテオ!?

 

降りてきたシグナルバイク達が円を描くように俺の周りを駆ける。

 

光を発しながら広がり、縮みを繰り返すそれは、まるでドライブ先輩の…………

 

『ーッ!!』

 

射出されたシグナルブレイヴを手に取る。そうだ……そうだよな! 

 

 

「(例え体が限界でも!)」

 

その意志がまだ生きてるなら

 

「(どんなに絶望的な状況でも!)」

 

0.1%でも希望が残っているのなら

 

「(この命がある限り!)」

 

愛する人たちがいる限り

 

「(俺は!)」

 

それを全力で守り抜く!そうだ、俺は────!! 

 

 

「俺は、仮面ライダーソニックだ!!」

 

 

シグナルブレイヴを掴み取る。

再起動したドライバーにそれを叩き込み心の底から湧き上がる闘志と共に、高らかにその言葉を叫ぶ!

 

 

 

「変身!!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「まだやれるかよ、永斗……!」

『正直もうマジで限界だけどね……僕らが諦めたらその瞬間コンテ不可能ゲームオーバー。ハードコアもいいとこだけどやらなきゃね……!』

 

「まだ憂鬱に堕ちないか。それでこそだ。天城隼斗ももういない、序列4位“S”のオリジンメモリの力があるとはいえ、君達たった2人で何ができる?」

 

 

「……たった2人だぁ? 何言ってんだテメェ」

 

「……何?」

 

「あいにく俺らは2人じゃねぇ。あっちの世界に残してきたアイツら、瞬樹、Aqours、憐、霧香博士、それに…………隼斗も!」

 

『そ、スポ根は好きじゃないんだけどね。僕らはみんなの想い全部を背負って今ここに立ってる。今の君が相手してるのはたった2人なんかじゃない!』

 

「全ての想い……か。ならば今ここで、そのことごとくを打ち砕こう!」

 

 

再び斧にチャージされる漆黒のエネルギー。今度こそ全てを無に還さんとするソレが放たれようとした────その瞬間

 

 

『ッ! アラシ!』

 

「…………アレは!?」

 

海の方に見えたのは巨大な竜巻。

それは海水を空高く巻き上げ、やがて…………

 

「何っ!…………まさか!?」

 

 

 

 

「そのまさかだ!!」

 

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

 

光の柱が暗雲ごと竜巻を貫き、俺の姿を露わにした。頭上から陽の光が差し込み、明るく俺を照らしている。

 

 

「天城…………隼斗…………!?」

 

「はッ……思ったよか元気そうだな……!」

『信じてみるもんだね。隼斗さんコンティニュー入ります……ってか何あの姿……』

 

空中を蹴って一気に加速。が、いつもの感覚で加速したつもりがあっという間にディストピアの背後にいた。

 

「え!? っととと……ウルァッ!!」

 

そのまま煌風で叩き斬るつもりだったが反応が遅れて咄嗟に奴を蹴り飛ばす。だが、ただのキックじゃびくともしなかったディストピアが、衝撃波を伴って大きく吹っ飛ばされた。

 

「お……え…………え!?」

 

「隼斗!?」

『隼斗さん!』

 

ダブルが駆け寄ってくる。

ああよかった、やっぱり無事だっ……イデデデデ!? 首! 首絞まるって! 

 

「テメェふざけんな!勝手に庇って死にかけてんじゃねぇよ殺すぞ!?」

 

「いやしょうがねぇだろさっきまでガチで死にかけだったんだぞこちとら!?」

 

『でもよかった、生きてて……それより隼斗さん、その姿なに?』

 

「え?…………ああ、これか……」

 

 

改めて今の自分をよく見てみる。見た目はブレイヴソニック、しかもオーバーブレイクモード…………なのだが。水色に輝いていた全身の装甲が白銀になり、背中に生えるアクセラーウイングが淡く紫色のオーラを纏いマフラーの様に靡いている。Fテイルスラスターも白銀の光を纏いまるで腰マントのようになっていた。

 

しかも、何故かオーバーブレイク特有の負荷による体の苦しさを一切感じない。

 

「うーん……わかんね!けどまぁ……さっき以上の力が湧いて来るのは確かだ!」

 

「さっき以上って……大丈夫なのかよそれ?」

 

『……ちょっと待って、え……これマジ……?』

「どうしたんだよ永斗?」

 

何やら物凄く驚いている様子の永斗少年。

なんだよ、なんか分かったのか? このパワーアップの原因……

 

『アラシ……ジョーカーメモリ持ってる?』

「あ? 何言ってんだよ、ちゃんと持って…………ねぇ…………!? ふざけんなまた失くしたのか!?」

 

『いや、それは違う。あと、僕はサイクロン持ってる。ファングはいないけど……今回のコレは違う』

 

「…………おい待て、まさか……!」

 

 

 

 

『……隼斗さん、ジョーカーメモリ……持ってる?』

 

 

は?ジョーカーメモリ?そんなもの持って……え…………? 

 

色々弄っていると、手元にあったのは漆黒のガイアメモリ、描かれてるのは『J』。

 

 

『……確定だね。隼斗さん、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「「はぁっ!!?」」

 

ジョーカーメモリと一体化!?それって永斗少年と同じってことか!? 

 

「おいちょっと待て永斗! お前それ本気で言ってんのか!?」

 

『ファングと一体化してるから感じ取れる。それに、そうじゃなきゃアレ喰らって生きてるのおかしいし。それにこれは、まさかスラッシュの……?』

 

「なんだそれ……つか適合者俺だろうが。んな事有り得んのかよ」

「え……有り得ないけど」

 

「有り得ないのかよ! どーなってんだ俺の体!?」

 

本来の持ち主であるアラシではなく何故か俺に引き寄せられ、更には一体化までしている。どうなってんだよマジ……? 

 

「マジで分かんない……でも、ちゃんと一つになってる僕に比べたら今の隼斗さんとジョーカーの繋がりはかなり弱い。多分本当に一時的なものだと思うけど……』

 

「マジかよ……」

 

「……ともかく、今のところ特に害は無いんだよな? 永斗少年」

 

『多分ね。限定的とはいえど、僕と同じなら多少のダメージも問題無いはず……でもどうやって……?』

 

「うるせぇな、一体化しちゃったもんは仕方ねぇだろ。奇跡ってことにしとけや」

 

「奇跡、か……」

 

 ダブル(アラシ)がこちらをまじまじと見つめて来る。

 

俺すら知らない未知の強化形態、しかも自分が持っていたメモリと融合してるってんだからそりゃ驚くだろうが……

 

 

「な、なんだよジロジロと」

 

「なんでもねぇ。ただ、テメェも大概頑固な野郎だなって思っただけだよ」

 

「あいにく諦めは悪い方でな。死のうがくたばろうが……負けを認めない限り、大事な人がいる限り、俺は死なねえよ!」

 

「当たり前だ、そうじゃなきゃ困る」

 

そう言って笑いながら俺の胸に拳を当てるアラシ。それを掴むと、俺は奴に問いかけた。

 

「……なあアラシ、覚えてるか?あの夜の事」

 

「夜?」

 

「『感情論抜きで考えた時、アイツらにとって俺達は何のために存在してると思う?』……お前が聞いた言葉だ」

 

「あぁ、丁度それ考えてたとこだ。でもアレはただの比喩で……」

 

「俺、なんとなく答えが分かった気がする」

 

「答えって……なんだよ?」

 

 

「…………分かんねえ!!」

 

「…………はぁ??」

 

何のためにいるのか。

考えたけど、結局全然分かんなかった。

 

幼馴染だからとか、仲間だからとか、ありきたりな理由しか浮かんでこなかった。感情論抜きで、と言ってたが結局俺が行き着いたのはそういう想いだった。

 

「仲間達が大好きだから。守りたいから守る、理屈なんかどうでもいい!それが俺の…『天城隼斗(仮面ライダーソニック)』のあり方なんだ!だから……もう考えるのはやめた!!」

 

誰にも俺を笑わせない、誰にも文句は言わせない!そう決めたから、だから俺はこうして立っている、戦える! 

 

「ったくお前は……」

『でも、隼斗さんらしくていいじゃん。僕は嫌いじゃないよ』

 

「だな。そうだ、お前はそのままでいい!難しい事は考えんな!」

 

「ああ!」

 

思わず笑みが溢れて笑い合う。そうしていると、さっき吹っ飛ばしたはずのディストピアがいつの間にか目の前に立っていた。

 

「やはり生きていたか仮面ライダーソニック……だがなんだ……俺は知らない……なんなんだ、その姿は……!?」

 

「I don't know!だけどこれだけは分かるぜ、この姿は……今の俺の天辺だ!!」

 

輝く風がフィールドに吹く。その風が、再び俺達に力を与えてくれている。

 

「ッハハ……ハハハハハ!面白い!やはり君は面白い!天城隼斗!!」

 

「さぁ、終わらせようぜエルバ!最後の一走り……付き合いな!!」

 

「面白い!来い!ダブル!ソニック!」

 

 

俺達がそれぞれ武器を構えたのと同時にディストピアが黒いエネルギーを圧縮、大型弾にしてこちらに放つ。

 

だが、その程度今の俺には通じない!煌風で真っ二つにぶった斬り、エネルギー弾が背後で大爆発した。

 

「これまでしてきた事の報い、受けやがれ!」

 

一気に急加速、またしてもover runしかけるが急ブレーキをかけてターン、ガラ空きの背を煌風で連続斬り。追いついて来たダブルがディストピアの斧と打ち合い、上に弾いたところをブレイカーで斬りつけ、更に突き出す。

 

「ッ…………まだ……まだ!」

 

 だが、それを斧で弾きディストピアは再び空間切断を放とうとエネルギーをチャージしだす。

 

「させるか!」

 

《Blessing!Maximum Drive!!》

 

だが、それを見越していたかのようにダブルはスラッシュブレイカーにブレッシングのメモリを装填、白い光を纏った刃が振り下ろされた斧と打ち合い、対消滅。その邪悪なエネルギーを打ち消した。

 

『もう1発!』

 

《Drive!Maximum Drive!!》

 

「『ダブル・ドリフトスラッシュ!!』」

 

ハンドル剣を呼び出したダブルが二刀流で高速回転し、ドライブ先輩さながらの連続斬りを繰り出す。そして俺は────

 

 

「ファースト……お前の力、借りるぞ!」

 

この体に残る好敵手の力。今こそ、これを全開で解き放つ! 

 

「共鳴しろ、オリジンメモリ『S』!!」

 

翼が紫色の光を放ち、背中から放たれた羽が無数の剣や刀と成る。

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Sonic!W!!》

 

「オマケにコイツも!」

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!!》

 

「我流剣 “継承“」

 

カクサーンⅡを装填した煌風とシグナルソニックとレジェンドダブルを装填したブラッシャーを構え、更にドライバーのフルスロットルを上乗せ。生成された刀剣と共に、一斉に斬りかかる! 

 

 

「多刀流 裂空(れっくう)!!」

 

正に剣撃の雨霰。空をも引き裂く程の連撃がディストピアの斧とぶつかり合う。

 

「この力…………まさか、ジョーカーだけでなくスラッシュの力まで!?」

 

 

「いっ…………けぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

全力で振り下ろした剣がディストピアの斧を粉々に打ち砕く。

だが同時に煌風とブラッシャーもここまでの激闘で限界を迎えたのか、刃にヒビが入り、砕けてしまった。

 

互いに武器を失い、残ったものは己が身だけ。

これが正真正銘、最後の────

 

「面白い……! 次の一瞬、死んでいるのはお前達か! 俺か! 何も分からない、この美しい世界に生きる、この一瞬! それだけが全てだと、さぁ笑おうか仮面ライダー!!!」

 

剣と斧、2つの武器も失った奴にもう勝ち目は無い。────そう判断するには早かった。

 

■■(■■・■■■)

 

奴の呟いた何かをトリガーに、奴の姿が闇に包まれる。人型か、それとも獣のような姿か。周囲に広がる黒のせいでよく見えないが、もはやドーパントという括りですらなくなった『何か』がそこに立っていた。

 

それがどうした。俺は恐れない、止まらない!! 

 

「エルバァァァッ!!」

 

闇を纏った一挙一動がフィールドを削る。だが、今の俺にはそんなものは通じない! 

 

「オルァァァァッ!!」

 

「ガッ……!?」

 

先に攻撃が届いたのは俺だった。ガラ空きだったボディに1発高速のパンチを叩き込み……

 

「ぶっっっっっ飛べェェェェェェっ!!」

 

右足を大きく振り上げ、ディストピアを空高く蹴り飛ばした!! 

だが、奴は諦めまいと腕を振るう。衝撃波が地面を抉り、大気が削られ黒く染まる。

 

けど、俺は確信した。あの姿は諸刃の剣。確かにこれまで以上の、尋常じゃないエネルギーを放っているけど、同時にそれは偉く脆い!

 

奴に武器は無く、逃げ場の無い空中。ここが最後のBig Chance!! 

 

『アラシ!』

「分かってる!今度こそ決めるぞ、隼斗!!」

 

「ああ!行くぞ、アラシ!永斗少年!!」

 

《Slash!Maximum Drive!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!!》

 

ダブルはマキシマムスロットにスラッシュを装填、俺もドライバーを展開、イグナイターを押して必殺技体勢に! 

 

すると、麓の方から走ってくるのはダブルのバイク『ハードボイルダー』と俺の『ライドソニック』。2機のマシンは光を纏いディストピアに向かって飛んで行く。その周囲を縦横無尽に駆け回り、奴を球状のエネルギーフィールドに閉じ込めた。

 

「飛っっっべぇぇぇぇ!!」

 

俺はダブルの手を取り、思い切りぶん投げる。風による後押しを得たダブルが空中へと飛び上がり、俺も一瞬でそれに追いつく。

 

同時にライダーキックの体勢を取り、ディストピアに一撃。だが、それだけでは終わらない。

 

ライドソニックとハードボイルダー、2機を足場にして何度も何度もディストピアに連続でライダーキックを叩き込む! 

 

 

「これで……」

 

 

「「『終わりだ!!!』」」

 

その瞬間、初めて出会った時を思い出す。

ダブルのキックの風を吸収、吹っ飛ばしてしまった時。

 

あの時感じたのは、異なる2つの風の『共鳴』。

ダブルのサイクロンの力、ソニックの持つ風の力。

 

 

俺、アラシ、永斗少年。俺たち3人の全ての力を奴に叩き込む。

三位一体のLast Attack! 

 

相乗り(ダブル)の力で音速(ソニック)を超える!! 

 

 

「「『ダブル・オーバー・エクストリーム!!!』」」

 

 

緑と紫、そして白銀と蒼。四色の風纏い、全力を超えた一撃が砕くのは憂鬱蔓延る絶望郷。

 

 

「あぁ…………笑えないな。これでもう……終わってしまうだなん……て……」

 

 

大爆発に呑まれ奴は笑う事なく消えていく。

ようやく全てが…………終わりを告げた。

 

次回に続く。

 




ここまでお読み頂きありがとうございました!

互いにやりたい事を詰め込んだ結果、過去最長の話となりました。
このコラボ編も後はエピローグを残すのみです。どうか最後までよろしくお願いします!

それでは次回もお楽しみに!!

146さんサイドはこちらのリンクからどうぞ!

https://syosetu.org/novel/96993/72.html


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ラブダブルコラボ編 エピローグ グッバイR/明日も正義の風は吹く

ミニ解説コーナー
白銀のソニック

ディストピア戦終盤、空間切断攻撃を喰らい命の危機に陥った隼斗がオリジンメモリ『J』と融合、更には他のシグナルバイク達の力を受けて覚醒した謎の姿。

厳密にはオーバーブレイクモードらしいのだが、全身が白銀に輝き、翼や尾羽が光を帯びて変化したりとオーバーブレイクモードとはかなり違う点が多い。
オーバーブレイクモード時よりもスピードとパワーが格段に上昇しているが、あまりにも強力すぎてブレイヴやオーバーブレイクに即順応できていた隼斗ですら制御不能になっていた。

なお、発動条件などは今のところ不明。


コラボ編、いよいよラストのエピローグです。大きな戦いを終えた隼斗達、戦いを終えた今彼らは何を語るのか────


これまでのサンシャインサーガ !

ディストピア・ドーパントとの死闘を繰り広げるダブルとソニック、そしてディファレント・ロイミュードとスレイヤー・エデンのバトル。それぞれの陣営は己の力やレジェンドシグナルバイク、レジェンドガイアメモリを使用して敵を追い詰める。

 

スレイヤー、エデンの方はエネルギーを反射するディファレントに苦戦を強いられるも、妹善子の励ましによって覚醒した瞬樹が発動したエデンヘブンズの力とメテオデッドヒート、そして善子の3人の心を合わせた必殺技でディファレントを撃破。

 

一方のディストピア戦は、『憂鬱世界』や新たな武装に苦戦を強いられ、更に激闘の最中ダブルを庇い隼斗が瀕死の重症を負う。だがしかしオリジンメモリジョーカーと融合更には逆境で覚醒した白銀のソニック、そしてファーストから託されたスラッシュメモリの力を使用したダブルの3人の力でついに『憂鬱』のエルバ/ディストピアを撃破したのであった────

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「えーそれでは!この度はえーと…エルバ?をぶっ倒して!」

「俺たちがな」

 

「内浦に平和が訪れましたって事で!『隼斗くんと憐くん、アラシくん、永斗くん、シュヴァルツくんありがとう&勝利おめでとうパーティー』を始めます!!」

 

「長いねー」

「まあいいじゃない。本当なんだし」

「そうそう!」

「エヘン。てな訳でみんな、グラスをお持ちください!」

 

「…ん?まちたまえ千歌くん、私は!?」

 

千歌の挨拶に突っ込む永斗少年、曜と梨子。そして、我らがリーダーの言葉で総勢14人がそれぞれ飲み物の入ったグラスを掲げる。

 

「みんな!今日はとことん!飲んだり食べたりして楽しもう!カンパーイ!!」

 

『カンパーイ!!!』

 

「聞けえええええ!?」

 

影の立役者(諸悪の元凶?)のツッコミをスルーしつつ、俺たちは手持ちの皿に好きな料理を取っていく。あの戦いから2日後。浦の星女学院の屋上にて俺たちは小規模ではあるが祝勝会を開いていた。曜や博士、更にはアラシなんかが手伝って沢山の料理を作って…お前料理できたんだな。

 

「まあな。普段からこの怠け者の面倒見てんだ、これぐらい朝飯前だ」

「アラシー、ハンバーガーまだー?」

「黙って待ってろクソニート!」

「本当お疲れ様だな」

 


愚痴りながらも手早く魚を捌いていくアラシ。実はアイツ昨日沼津の方に行ってたらしく、そこでなんか食ったのか食材を色々買ってきて沢山の料理を作っていた。永斗少年もゲームしながら「料理漫画の主人公か」とツッコミを入れていたものだ。

 

「はーい!ヨキソバ、もうすぐあがるよー!」

「marryのシャイ煮もよ!」

「曜のはともかくなんだあのグロテスクな料理」

「高級食材を適当にぶち込んで煮込んだらなんかすごいのができた奴だ。見た目は擁護できないが味は保証する」

「濾す前のコンソメスープみたいなもんか。ってか食ったことあんのか………」

 

まさかのリターンズとは思わなかったぞシャイ煮……ん?待てよ………アレがあるって事はまさか!!

 

「アラシ!永斗!食ってみろこれ!とてつもなく美味いぞ!!」

「クックックッ…そうでしょう?我が至高の一品、堕天使の泪……竜騎士シュヴァルツ、お口に合ったようで何よりです」

 

遅かったか…って、え?瞬樹くんなんでそれ普通に食えてんの?アレって確かクッッッッソ辛いぞ?

 

「アイツ辛い物好きなんだよ。初めて会った時なんて辛い担々麺に七味めっちゃぶち込んで食ってたし」

「マジか……」

「しかし、こんなことしてていいのか?事件は終わったんだ、さっさと帰らねえと……」

 

「それがそうもいかんのだよ、切風くん」

 

向こうからカレーの皿を持ちながら歩いてくる霧香博士。

 

「…あんた楽しそうだな。なんだその山盛りカレー」

「あ、博士いいところに。これあげる」

「やめたまえ士門くん、いらないからってその黒い物体を私のカレーに乗せるのは」

 

おいおい、白衣に飛ぶぞ…?カレー染みってかなり面倒だからな…幼い頃によく母さんに怒られたのを今でも覚えているからよく分かる。

 

「もう一度世界間ゲートを開くにはちょっとまた装置を作り直さなきゃならなくてな……設計、開発、起動実験エトセトラ…諸々細かい点を全て省いてどんなに急いでも最低3日はかかる」

 

「「3日!?」」

 

「うん。僕と霧香博士で検討した結果多分どんなに急いでもそれぐらいはかかる。だからとりあえず今はのんびりしとこうよ、せっかく大きな山場を越えたんだし」

「つってもなぁ……どうすんだよ文化祭とか。モタモタしてたら余裕で始まるぞ」

 

3日か…あと3日でコイツらともお別れなんだな。ってかそうか、あっちは文化祭準備真っ只中だったな。あぁ〜μ'sの生ライブみてぇなぁ…!

 

「なら、それまでは暇って事だな?」

「私と士門くん以外は、だが」

 

「いや……博士、それって俺にも手伝えるか?」

「隼斗に?……まあ所々君でも出来そうな所はありそうだが…」

「せっかくだ、サクッとゲート完成させてそしたら最後に遊ぼうぜ!あとは…どうせならAqoursのパフォーマンス見てってもらうか?この時代のスクールアイドルのパフォーマンスを生で見れる大チャンスだし」

 

「名案ですわね隼斗さん!」

「good idea!カナン、いけるわよね?」

「もちろん!もうすっかり良くなったしね!」

 

果南姉ちゃんだが、見ての通りあれから安静にしてたらもういつも通りだった。本当バケモンphysicalだな……

 

「未来から過去へ…最高の贈り物ずら!」

「で、でも!それで過去が変わったりしたら……」

「並行世界なんだし、心配ないんじゃないの?あ、でもμ'sが…スクールアイドルが存在する以上過去の私達も確かに存在するかもしれない…そうしたら…」

 

「心配すんな、そんな未来のことをベラベラ喋る気はねぇよ」

「それに、こっちのμ'sが君らの知ってるような歴史を辿るかどうかなんて分からないしね~」

「影響が出ない程度になら大丈夫なはずだ。そんな訳だ、とりあえず今日は思いっきり騒ごうぜ!!」

 

「…まあ、今日ぐらいはいいか。ところで隼斗」

「あ?」

「お前、体は大丈夫なのか?」

「そういえば。ジョーカーとはもう分離してるけど、そうなるとオーバーブレイクのバックファイアが…」

 

「あー、それか…実はな……特に何もねえ」

 

「え?」

 

そう。あれからラボに戻ってすぐ霧香博士に検査してもらったのだが、特に異常は見られなかった。負荷による体調不良もほぼゼロ。ちなみにだが、あの白銀のソニックについてまだ博士には喋っていない。

 

「なんかちっともなんだよ、全然反動がねぇんだ…」

 

「最強の力なのにまさかの反動無効化?…それちょっとチートじゃない?」

「んなもんどうでもいいだろ、無事ならそれでいいじゃねえか。死ななかったんだから得したぜラッキー、ぐらいに思っとけ」

 

「…まあ、それならいいか。そうだな!よしもっと食うぞー!曜!こっちにも焼きそばplease!」

「ヨーソロー!」

「よし、俺らも食うか!」

「だね」

 

「堕天使の泪おかわり!!」

「承知!」

 

そんなこんなで、俺らは揃って夜になるまでどんちゃん騒ぎ。宴は夜まで続いたのであった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ふぅ…」

 

「いやぁ…これは極楽だねぇ」

「戦いで負った傷が癒えてゆく……」

「だろ?ここの温泉悪くねえだろ」

 

「ハーさん確かここ毎日入れんだよナ?いいな〜」

「けどなんで俺ら揃って一緒に温泉入ってんだよ」

 

俺らライダー組は現在in the 温泉。アラシ・永斗少年・瞬樹くんの3人は千歌の家の旅館に宿泊することになり(費用は博士のPocket moneyから)せっかくだしと揃って入っている。

 

「いいじゃねえか、裸の付き合いってやつ。こうして一緒に居られんのも残り3日だ、どうせなら最後の最後まで一緒にいてぇ」

「お前なぁ…」

 

「まあいいじゃんアラシ。今のうちに沢山喋っときなよ、友達いないアラシにとって隼斗さんは貴重な同性タメじゃん?」

「うっせえ黙ってろ。それに、手を組んだとはいえダチなんかじゃ…」

 

「え、そうなのか?」

「は?」

「俺はてっきりお前とはもうダチなのかと…」

 

「なんでだよ」

 

「お前自分で言ってたじゃねえか。『俺のダチの居場所で好き勝手やった報い、受けさせてやるよ!』って」

「お前本当どうでもいい事よく覚えてるよな」

 

そう。俺たちの出会いこそ衝突(物理)からだったけど、戦いの中で互いを知り、心を通わせ、理解しあって絆を結んだ。そう解釈してたのだが……

 

「……そうだな。確かに最初はお前が気に食わなかった、仮面ライダーが正義のヒーローだのなんだの面倒事持ち込んできやがってってな。お前の真っ直ぐな志が眩しかったんだ。くだらねえ感情からキツく当たっちまって…」

「no problem.別に気にしてねえよ」

 

「隼斗、お前言ったよな。守りたいから守る、理屈なんぞどうでもいいって。…その言葉、最後まで貫けよ」

 

「アラシ…」

「あと、果南のこと。あまり心配かけさせんなよ?家族みてえなもんなんだろ」

 

そう言うアラシの目はとても真っ直ぐだった。親父さんの話を聞いた俺にはすごく突き刺さる言葉だった。

 

「…分かってる。死ぬほど分かってる」

「死んだじゃん一回」

「シャラップ永斗少年」

 

そう、永斗少年の言葉通り俺は一回マジで死んだ判定下ってたらしい。帰った時にログを確認したらしい博士からそれはそれは怒られたのを覚えている。

 

「今度は何をしたんだお前は!!戦闘ログを見直してたらまたオーバーブレイクを使った挙句、君の生体反応が一瞬消えていたんだが!?」

「いやいや別に大したことねえって!そんな怒らなくても…」

 

「いーや良くない!それに、あの時それを見ていた果南くんがどれだけ取り乱したか!君には想像つくまい!!」

「……まあ」

 

「……だが、五体満足で生きているならいいさ。私は許そう、この事は不問に処す」


「博士……!!」

 

「が、()()が許すかな?」

 

「彼女?」

 

博士が指差した方向を向くと、そこには……

 

「…………………あっ」

 

目に涙を浮かべ、ずかずかとこちらに歩いてくる姉ちゃんの姿が。

 

「あ、やっほー姉ちゃんただい…」

 

ま、を言う前に走る衝撃。あの時同様、また頬を引っ叩かれたらしい。突然の行動にアラシ達も驚いている。

 

「「「!?」」」

 

「っ……痛って!?痛ったいよ姉ちゃん!俺怪我人なんだけど!?」

 

「うるさい!!!」

「………ごめん、また…心配かけて…」

 

「本当に…本当に死んじゃったかと思ったんだから……!」

 

涙を流す果南姉ちゃん。頬の痛さ以上にかなり心が痛い&申し訳なさが湧いてきて、ちょっと背伸びしてその頭を撫でた。

 

「でも死んでないから。またちゃんと帰ってきたから……ね?」

「……バカ」

 

「…ただいま、果南姉ちゃん」

「…おかえり、隼斗!」

 

そのまま力強く抱きしめられる俺。大好きな人の温もりで、やっと戦いが終わったことを実感し

 

「はい終わり終わり! いらなかったよね果南ちゃんのくだり丸々。あーもうやめよこの話。温泉に砂糖リバースしそう」

 

「だな、これ以上惚気話なんか聞けるか」

 

何おう!?せっかくの感動エピソードだったってのに!?本当マジでアレ喰らった時過去一の死を感じたってのに!そっからの生還があったってのに!!

 

「……………」

「シュヴァルツ死んでるケド」

「ほっといて大丈夫だよ、リア充のオーラに殺されてるだけだから」

「あ、ウン」

 

「リア充って…まだ付き合ってねえんだけど」

 

「「は?」」

 

マジか、とばかりにこちらを向くダブルコンビ。あれ、言ってなかったっけ?

 

「あんだけイチャついてそりゃないでしょ。別に幸せが妬ましいとかそういうのじゃないけどさ、持ってる側がこっち側の顔してるのは流石に看過できないよ僕は」

「お前それは嘘だろあんだけイチャついといて」

 

アラシはともかく永斗少年からかつてないhateを向けられている気がする。元から色恋には無関心だと思ってたアラシはともかく、永斗少年って意外と気にするんだな……

 

「事実だ、そもそも姉ちゃんは俺を異性としては見てねえよ。それに俺も…この好きはlikeであってloveでは……」

「いやあれはラブだろ良く分かんねえけど」

「あのアラシまで言ってるのヤバいよ。100%ラブでしよなんなの隼斗さん」

 

「…………」

 


「ハーさん、悪いケド俺っちもそう思ウ。いい加減自覚したら?」

「でも………」

 

「likeだってんなら、エルバの野郎にあんな事言われたりしてキレはしねぇだろうがよ」

 

『俺は松浦果南に恋をしていたようだ』

 

「…………!」

 

脳裏に浮かぶアイツの言葉。確かにあの時、俺はこれまでで最もキレた気がする。

「な?」

「見えるよ隼斗さん、嫉妬の炎が」

 

あの時…確かに私怨以上の、他の何かが湧き上がったのをハッキリ覚えてる。やっと分かったかもしれない。多分、この気持ちは……

 

「……かもな」

「だろ?他の奴に盗られる前にさっさと告れ」

「そうそう、後々バトルになった時面倒だよ?」

 

「そうする」

 

けど…それは今じゃない。今はラブライブ決勝に向けての大事な時期だ。ここで告って姉ちゃんに余計な事は考えさせたくない。

 

「その時が来たら……伝えるさ」

 

「チキんな」

「クソビビり」

 

「うるっせーーーなぁ!!! じゃあそっちはどうなんだよ! μ'sの皆さんと随分仲良さそうだったけど!!?」

 

「いや俺らのは違ぇだろ。何言ってんだ」

「うん。ほら、流石に僕ら弁えてるし。現役アイドルだよ?」

 

「ああぁぁぁぁぁ納得いかねぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「善子の恋愛話とか知らないか? 黒騎士は善子のことどう思ってる?」

「ヨッちゃん?…いや、そんな話はねぇナ…ヨッちゃんガワはいいけど中身がナー…それに、俺には……」

 

理不尽に晒されて思わず心からの叫びが飛び出す。だが、これでやっとこの気持ちに整理が付きそうだ………

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「次そっちの回路を頼むよ。電位差キープが肝だから留意するように」

「げぇ、これ半導体作りからやんの。母相はこれでいいとしてもドープ何? さっき使えそうなデータあったからテキトーに改良でおk?」

 

「それなら合成条件をこうするといい。光電効果がフルで回るようになるはずだ」

「めんどい。今更何を電気代ケチってるんすか」

 

「なぁここのプログラム、こうじゃなくて繋げるのこっちじゃないか?」

「そーだね、隼斗さんナイス。それでお願い。あーあと10分、それで休憩でいい? もう無理」

 

翌日、早速博士のラボでゲート開発が始まった。博士と永斗少年がデータ管理やメインプログラムの作成、そして俺はできる範囲でそれらの作業のバックアップ。で、他のメンツは何してるかというと───

 

「フッ……この時を待っていた! 行くぞ8切り、からの起きよ革命! これより強さの定義は逆転する!」

「今こそ月の魔力が満ちる時…褒めて遣わします竜騎士シュバルツ!」

 

「ヤベーぞアラシサン! ヨっちゃんのことだから絶対手札クソザコ数字に決まってル!」

「これはまさかの善子ちゃん大富豪コースずら…!?」

「行けーっ! 決めろ善子!!」

 

「ヨハネよ! さぁ喰らいなさい堕天の一撃、4の3枚出し!」

 

「3の3枚出し。8切り。10捨てであがり」

「あ、俺っちも6であがりダ」

「マルもあがりずら。後はシュバルツさんと善子ちゃんだけずらね」

 

「……始めようか堕天使ヨハネ、貧民の座を賭けた闇のゲームを…!」

「なんでまたこうなるのよ!!」

 

「Heyお前ら!トランプなら他所でやってくんねぇかな!?」

 

アラシと瞬樹くん以下Aqours+憐は横にあるテーブルとソファーの所で大富豪に興じていた。しかもとてつもなくレベルが低い戦いになっている…

 

「ったく…遊んでるなら手伝えっての。瞬樹くんはともかくアラシとかなら少しは……」

「何言ってんの。少しでもアラシが触ったら完成が半日は遠のくよ」

「マジ…?」

 

聞くところによると、アラシはとてつもない機械音痴らしく、調べ事のためにパソコンを使っていたら動かなくなり、叩いて直そうとしたらぶっ壊したりしたんだとか……まあそんなこんなで色々あって、ゲートがようやく完成したのである。予定より1日余裕を残しての出来上がりとなった。

 

「はああああああ疲れた……!」

「Wake up永斗少年! もうみんな待ってる!」

 

「えー…僕寝る…って言いたいけど、仕方ないね。そういう話だったし」

 

「さぁ行こうぜ最後の一日、遊ぶぞ!!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「とりあえず土産買っとかなきゃだよな、アイツらにも」

「この辺で土産ならやっぱみかんダゼ、アラシサン!」

「海鮮類も美味いぞ!まあ長持ちはしないだろうが……」

 

「アラシ! 木刀がある! 買うぞ!」

「いらん。返してこい」

 

とりあえず俺らはバイクを走らせ伊豆長岡の商店街側のエリアへ。千歌たちはかつてPV作りの際に自転車でいこうとしていたが大層苦労していたのは記憶に新しい。が、俺たちライダー組ならかなり余裕で行けるのだ。

 

「刀と言えば…あのスラッシュメモリはどうしたんだ? ファーストも…」

「戦いの後すぐ飛んでったよ。ファーストも来る時勝手に来たんだし、帰る時も勝手にやるでしょ。知らんけど」

 

ファースト…アイツも不思議なやつだったな。そりゃ、アラシ達にとっては倒すべき敵なんだろうけど…俺にはどうもアイツがただの悪人には思えなかった。果南姉ちゃんを助けてもらって、そのあと成り行きで戦うことになって…色々あったけどあの時は俺もアイツも互いに真っ向からぶつかり合った。全力で戦ったあの時の感覚は、今でもハッキリと覚えている。

 

「…また、戦いてえな」

「何してんだ隼斗!おら行くぞ!」

 

「……わかってるよ!!」

 

多分、もう会う事は無いかもしれない。だがそれでも────俺は1人の戦士としてあの強い剣士を忘れる事は無いだろう。で、土産物を見たりして…その後も俺たちは時間の許す限り色んなところをまわって行った。

 

「おお…まさかこんなすげえもん食えるなんてな……」

「隼斗さん、マジでいいのコレ…?」

「no problem!どうせ博士の金だし!」

「あの人謎に金持ちだよナ」

 

名店である丸勘で絶品海鮮丼に舌鼓。ちなみに観光にかかる費用は全部博士持ちである。自分の不始末による事件の詫びのつもりか、それともアラシたちにこの町を少しでも多く楽しんでいって欲しいという気持ち故か……

 

「霧香博士、か……」

「どうしたアラシ?」

 

「なぁ隼斗、ちょっと気になったんだが…あの博士ってどういう流れでお前らの仲間になったんだ?」

 

「あ?霧香博士なら、確かハーレー博士…ああ、お前にはあの夜話したろ?俺が助手やってたその博士の紹介で浦女に来たんだが…それより前のこととなると知らねえな」

「…そうか」

「それがどうかしたのか?」

 

「…いや、なんでもねえ。ちょっと気になっただけだ。あと美味いな、魚が良い。やっぱ魚買って帰るぞ。他のやつも色々食っとくか」

「マジで?アラシまだ食うの?」

「高えもんを金のこと気にせず食える貴重な機会なんだ、食わなきゃ損だろ?」

 

そう言ってメニューをチェックするアラシ
よーし、じゃあ俺ももう一品食うかな!そして、美味しい海鮮類を食べまくった後は…

 

「…美味いなコレ」

「だろ!?ここらのみかんは日本一だぜ!他の県にも負けちゃいねぇよ!」

「持ち帰りもできるから、その辺気にしなくていいのが最高だよナ」

 

「烈の分と、我が天使の分…ハッ!善子にも持っていってやらねば!」「オイシュヴァルツ!あんま採りすぎんなヨ!?」

 

「μ'sのみんなにもお土産として持っていかなきゃだからね。迷惑にならない程度に沢山持っていっとこうか」

「だな、甘いもんはいくらあってもいいもんだ。足りない分は別途で買えばいい」

 

「博士の金だからって遠慮なさすぎナ…」

 

みかん園でデザートタイム。新鮮なみかんを採って食べ、あとはアラシ達はお土産にもといくつか購入した後は…

 

「『がんばって』」

「『禁煙』……妙に馴染むあと張りされてんな」

「だろ?一周回って自然に見えるよな本当に」

 

「ゼェ…ゼェ…蒼騎士!黒騎士!あとどれぐらい登るんだ!?」

「ちょ…無理…マジで……死ぬ…」

 

「シュヴァルツもエイくんもバテ過ぎダロ……」

「ってか毎回練習で上り下りしてんのか?」

「いいや、最近は全くだ。終バスの時間とかの都合で沼津のスタジオに練習拠点移したからな」

 

「って事はその前は結構やってたんだな」

「鬼じゃん……Aqours鬼じゃん……」

「うちの海未とどっこいどっこいだな」

 

「そういやアラシ、ダイヤさんが言ってたんだが……この特訓メニュー、マジでやったのか?」

「あ?…………お前なんでこれ知ってんだ」

「ゲェッ………」

 

アラシに見せたのは、夏にやった(やってない)ダイヤさんが極秘ルートで手に入れたというμ'sの練習メニュー表、それが映っているスマホの画面だ。

 

「ダイヤさんが裏ルートで手に入れたって。μ'sが夏合宿でやった(とされてる)super特訓メニュー表」

「……アイツ、こっちの世界でも変わらねえのか」

「え、really………?」

「負の遺産すぎる……」

 

練習で何度も長い石段を駆け上がって降りた淡島神社に行ってみたり……

 

「しかし、初めて来たなこんなとこ……」

「それは僕もだよ、知識としては勿論知ってたけどやっぱり実際に来ないと楽しさってのは分からないもんだね」

 

「アラシ!永斗!巨大な牙を持った魔獣がいるぞ!!」

「シュヴァルツそれうちっちー!マスコットだゼ!?」

 

「そろそろだな……アラシ、永斗少年、大丈夫か?」

「問題ねぇ」

「モチ。瞬樹、本当にいいの?」

「たかが水飛沫程度、この俺には効かん!さぁどんとこい!!」

『ー!』

 

トレーナーさんの合図で飛び上がるイルカ。着水した途端、とてつもない水飛沫が俺たちを襲った。まあ俺らはレインコート着てたから問題ないが、案の定瞬樹くんがずぶ濡れに。

 

「だから言ったのに……」

「シュヴァルツ…警告を無視したカラ…」

「フッ…水も滴る偉大な竜騎士……ブェクショイ!!!」

 

三津シーで色んな魚や動物、イルカショーを見たり。時間の許す限り、俺たちは普通の高校生としてほんの一瞬だけ戦いを忘れて思い切り遊びまくった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

やがて日は暮れて、もうすぐ夜になるかというところで時間がやってきた。最後に残されたのは、アラシ達に送るAqoursのミニライブだ。

 

「…にしても、わざわざそこまでしてくれなくても良かったんだぞ。この短期間でライブだなんて無茶だろ」

「それ僕らが言う? まぁちょい見せくらいのテンションでしょ。そんな大変じゃないんじゃない」

 

「いや、なんかμ’sに伝わるかもって事で気合入ったらしくてな」

「特にダイヤサンがナ」

「3曲やるらしいぜ。しかも一つは新曲だとよ」

「マジかよ」

 

指定された場所へ向かうと、そこにはきっちりと簡易ステージが用意されていた。よくこの1日で作り上げられたな…どう考えてもAqoursの全員+霧香博士を加えても…あ、お前か憐。遊んでる途中ちょいちょい抜け出してたけどまさかそういうことか?

 

「お待たせ! 私たちは…浦の星女学院のスクールアイドル、Aqoursです!」

 

ステージの照明が閃光し、華やかな衣装をまとったAqoursの9人が登場した。マイクを握って声を張る千歌。

 

「まず最初に……私たちの世界を守ってくれて、ありがとう!!」

 

マイク越しに真っ直ぐな感謝をぶつける千歌、他の8人もきっと気持ちは同じはずだ。すると永斗少年が俺達にサイリウムを手渡す。どっから出した?…まあいいか。

 

「私は…μ'sが憧れでした! μ'sがいたからAqoursがいる! そんなμ'sを守ってくれてありがとう!!この感謝をこめて、未来から過去に! これが私たち…Aqoursの輝き! 聞いてください───『MIRAI TICKET』!」

 

一回目のラブライブ地区大会で披露した曲、MIRAI TICKET。あの時は惜しくも敗退してしまったけど、『未来』からの贈り物だってなら、この曲を外せないよな。

 

「いい曲だね。なんていうか、彼女たちが歩んできた道が見えるみたいだ」

「そのための曲だからな。あの時もとにかくみんな必死だったんだ、学校を守ろうって」

「μ'sとはまた違ぇな…」

 

「善子ー!! 善子すごいぞ!! 善子ー!!」

 

一曲目が終わり暗転。次の曲が始まり、9人が新しいフォーメーションに。

「おっ…この曲やるのカ!」

「なんだ憐?」

「まあ見てなってお前ら。凄いもん見れっから! 『MIRACLE WAVE』だ!」

 

打って変わってギターの激しいメロディが駆ける2曲目『MIRACLE WAVE』。

 

ラブライブ地区大会で披露した曲で、あの猛特訓の日々は昨日のことのように覚えている。Aqoursはこの曲で地区大会突破を果たしたのだ。

 

曲がサビ前に差し掛かり、千歌以外の8人が作り出したドルフィンウェーブ。そこを渡る千歌と、そこから訪れる静寂の時。そして、披露されたのは千歌のバク転!これにはアラシ達も目を見開き、かなり驚かされているようだ。

 

「…すっご。何今の、難易度鬼じゃん」

「アイツあんなに運動神経良さそうには見えなかったけどな…凛ならともかく」

「そりゃもー大変だったゼ。な、ハーさん」

「だな。でも…千歌なら絶対やれるって信じてた」

 

「泣いてたくせに」

 

うるせぇ。と、気づけば曲は終わっており…別の曲が流れ出すが…あれ?こんな曲あったっけ?

 

「これが最後の曲…世界と世界、私たちの知らない戦い。知らなかった仮面ライダー。この掛け替えのない出会いを……全力で歌います!

 

―『KU-RU-KU-RU Cruller!』―

 

「いつの間に作ったんだか…amazingだな。本当、皆には驚かされてばっかりだ」

「気持ち分かるぞ。スクールアイドルってのはどいつも予想を超えて、驚かせることしかしねぇんだよ」

 

──空はつながってるよ──海もつながってるよ──いつだって いつだって 心のなかで会えるから

 

憐の情報によると、コイツは千歌と梨子が作ったまま形にはならず、埃を被っていたものの一つ。…そういや前に千歌のノートを見た時こんな歌詞があったような…アレだったのか!確かに今回の事件での世界を超えた出会い、送別ライブと来て、偶然にもこの曲の歌詞と状況がBest matchしたのだ。未発表で既存の曲がベストという奇跡。しかもこの短時間で新たなパフォーマンスを創り出し、アラシ達に送るライブを最高のものへと昇華させた。この奇跡はきっと必然で、意味のあるものだ。

 

──飛びこんだ世界で 夢よまわれ…まわれ!

 

『ギャアアア!?half&half monster!?』

『なんだと!?』

 

出会いは最低で最悪だった。いがみ合って、ぶつかり合って。その先で見えたモノが確かにあった。

 

『───決めろ、隼斗!』

『……あぁ、任せろアラシ!』

 

だが、そんな億分の一レベルの奇跡が憂鬱の高い壁をぶっ壊した。1人でも、2人でも越えられなかった高い壁。俺たち5人が揃っていたからこそ、この戦いは乗り越えられた。

 

──楽しいなら大丈夫さ──新しいやり方で Make you happy!

 

2つの世界で命を懸けて戦った。出会って少しの知らない奴らに命を預けた。そうやって勝ち取ったこれ以上無いMiracle。

 

──おなじキモチだって 分かっちゃう いつも分かっちゃう──君の想いが分かっちゃうんだ

 

戦いの先で手に入った友情と、異なる世界、異なるやり方で守るべきもののために戦う者がいると知った。そしてこの戦いの全てが、俺を新たなStageへと導いてくれた。

 

「……すげぇな。μ'sが憧れ…か。えらいもんに憧れられたな、アイツらも」

「何言ってんだアラシ。超えてくぜ、Aqoursはμ'sを!」

 

確かにμ'sは凄い。A-RISEと共にスクールアイドル時代の礎を築いた偉大な人たちだ。けど、だからって他の全てのスクールアイドルがあの人たちより格下とは今は全然思えない。

今の俺なら分かる。アイツらはきっと───

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「回路接続、起動シークエンス開始。次元座標設定WL-02、接続レベル146。目標設定…日本 東京…秋葉原周辺と…」

 

「博士、まだかかりそうか?」

「急かすな隼斗。テスト不可の1発勝負なんだ、ちゃんと帰せなくてみすみす切風くん達を死なせる訳にはいかないんだよ!」

「あ、そうか…了解」

 

「まあそう言わないでよ隼斗さん、仕方ないし。博士には随分無理頼んでるんだからこれぐらいはね」

「ああ、時間云々もほぼ気にしなくていいってなら別に急ぎはしねぇよ」

 

「善子ォォォ!俺が帰っても息災でいるんだぞぉぉ!!」

「あとこの竜騎士どうにかしてくれ」

「ゴメン、それは無理カナ」

 

日が昇り、別れの時がやってきた。今は博士がゲートの設定中で、俺たちは待ちの時間となっている。

 

「いや、そうだ!俺は残るぞアラシ!永斗!我が妹を残して帰る訳には…」

「向こうにいる本来の妹はどうすんだ瞬樹くん」

「そうだぞ、シュヴァルツ」

 

「ハッ!そうだった…グッ…仕方ないか…」

「なくねぇだろ何言ってんだ」

 

瞬樹くんの頭にチョップを入れながらツッコむアラシ。と、ゲート方向から大きな音がしたかと思えば……

 

「待たせたな3人とも!ゲート…開通だ!」

 

博士がキーボードを勢いよく叩くと、円形のゲートの中に緑色の光が現れる。あれが向こうの世界に繋がるゲートか。

 

「…お別れだな」

「ああ。…世話になったな、色々と」

「面倒くさかったけどね…世界が違ってもμ'sが、スクールアイドルが与える影響って凄いんだね。ちょっと安心したよ」

 

「そうだな…面倒だったし疲れたし…でも、楽しかった。それが全然気にならなくなるくらい、この数日は楽しかった!」

「ダナ!俺っちも久しぶりに楽しかったゼ」

 

「楽しかった…かもな。全部が全部とは言わねえが」

「だね」

「異世界での新たなる盟友…この出会い、俺は決して忘れないぞ!」

 

アラシは俺と、憐は瞬樹くんと。永斗少年は俺と憐2人同時に手を差し出し握手を交わす。で、俺はアラシの手をグイッと引っ張ると他の面子も引き寄せ思い切り抱きしめた。

 

「ちょ、いきなり何すんだお前…!」

「…俺は忘れない。お前らのこと、μ'sの皆さんのこと…この戦いの全てを、絶対忘れねえから…!」

「…ハーさん?」

 

目に浮かぶソレをしれっとアラシの肩で拭い肩を押して離れた。そして最高の笑顔で、心からの言葉で感謝を込めて叫んだ。

 

「Let's meet again!Our best companion!」

 

「…なんて?」

「またな…だってさ」

「…ああ、その時が来ればいいな」

「ダナ。…あ、アラシサン達これ!」

 

憐が駆け寄り、アラシ達に一つのビニール袋を渡す。その中身は……プリン?

 

「ああ!それ私の残してたやつ!?」

「まだ持ってたのかよ!?…まあいいや、ほらアラシ!約束の物だ」

 

「馬鹿律儀だな、流石正義のヒーロー様」

「まあな、ヒーローたる者約束は守んなきゃな。コイツで依頼達成って事で」

 

「……そういう事か。ならいいだろう!切風くん、士門くん!そしてシュヴァルツ!そろそろ時間だ、行きたまえ!」

 

霧香博士に言われ、3人はそれぞれのバイクの元へ向かう。すると、それを見ていたAqoursの面々の中から1人が飛び出してきて……

 

「竜騎士シュヴァルツ!」

 

「……善子?」

 

「竜騎士シュヴァルツ…いや、『兄上』…と呼んでもいいのかしら」

 

『兄上』そう呼んだ善子の言葉に瞬樹くんは一瞬迷ったような顔になると、彼女に背を向けて答えた。

 

「…俺は、お前の本当の兄じゃない。この世界のお前は一人っ子、俺は存在しないのだろう?なら俺とお前は運命が巡り合わせただけの関係、家族や兄妹では…」

「それでも、あなたは私を守ってくれた。心を通わせ、あの巨悪を共に打ち砕いた!ならば何をそんな事!世界が違えど同じ血が流れているのなら、心に宿す誇りが似通っているのなら!……私達は兄妹、そうでしょう?」

 

善子はポケットからある物を取り出した。黒い羽根…いつもアイツが持ち歩いている自身のトレードマークだ。

 

「これは…」

「貴方にこれを授けましょう。これは私との絆の証…そして誓いの証。今ここで永遠の別れとなろうとも、これからも互いに己の道を突き進む。貴方は…それを約束できる?」

 

一瞬躊躇ったような素振りを見せたが、瞬樹くんはそれを力強く掴み取り、槍と共に掲げてみせた。

 

「我は誓おう!異なる世界の妹よ!天界堕天条約に基づき、命尽きる時までこの誓約を破らぬ事を!」

「ええ!我らの魂は永久不変!共に互いの明日に祝福を!」

 

善子…堕天使ヨハネも片目を隠すようないつものポーズをとる。例え世界が違っても、兄妹の絆は変わらない。その通りだ。

 

「そして…いつでもいい。向こうの私に会えたら、それを渡して。そして伝えてほしいの。『貴女は貴女の道を行きなさい、ありのままの貴女を受け入れてくれる仲間に、いつか必ず巡り合える。信念を曲げずに生きなさい』とね」

「ああ、約束しよう」

 

互いの手を取り、包み込むような握手。この出会いもまた奇跡の一つだ。

 

「…さぁ、行くぞ!」

 

アラシと永斗少年はハードボイルダーに。瞬樹くんはライバーンに乗り込みエンジンを始動させた。

 

「アラシくん!永斗くん!瞬樹くん!ありがとー!!!!」

『ありがとう!!!!』

 

「ああ!またなお前ら!超えて見せろよ、μ'sを!」

「またね〜!」

「さらば異世界の盟友達よ!いずれ運命が、再び我らを導くまで!」

 

2台のバイクが光の中へ消えていく。それと同時に、ゲートから火花やスパークが散り、光のゲートが閉じた。

 

「…行っちまったな」

「ああ。…さて、隼斗」

「なんだよ?」

 

「ゲート、ぶっ壊してくれ」

 

「ああ。………………………なんて?」

「ゲート、ぶっ壊せ」

 

『なんで!!!?』

 

博士から突然言われた『ぶっ壊宣言』。え、せっかく新しく作ったのに壊すのかよ!?

 

「チョ、いいのかヨ博士!?」

「そうだよ!あんなに3人で苦労して作ったのに…」

「そうですわよ!何も破壊する事は無いのでは!?」

 

「また今回のような悪用のされ方をしたらたまったもんじゃない。だったらここで跡形もなくぶっ壊してしまった方がいい」

「そんな…」

「だから隼斗、やってくれ」

 

「…了解」

 

ゼンリンシューターを取り出し、ゲートに狙いを定める。そのままトリガーに手をかけ、ゲートを破壊……しようとしたけど。

 

 

「………いや、壊さない」

 

 

「え?」

 

「いやもったいねえし。それに、悪用されたらーなんて言うけどよ…()()()()()()()()()んだろ?」

「…隼斗」

 

「確かにあんたの技術のせいで今回大事件に巻き込まれたけど…それと同時に今回の一件は俺にとって貴重な経験だったしな」

「確かニ。他の世界の仮面ライダー、それにμ'sとの出会い…悪いことばかりじゃなかったしナ」

 

「だから博士、あんたにはこれからも研究を続けてほしい。並行世界のこと、こういうゲートのこと。あんたのことは俺が…俺たちが守る。だからさ、いいだろ?」

 

それに、俺にはまた会いたい人が何人もいる。そのチャンスをみすみす自分の手でぶっ壊したくはなかったのだ。

 

「……………全く、君は本当に………」

「博士?」

 

「そこまで言われちゃあ仕方がない!先生として生徒の希望を叶えてやるのもまた一興だ、天才科学者一時霧香の名にかけて並行世界研究再開してやろうじゃないか!!」

 

白衣の裾を翻し、コンピューターを操作する博士。そして、どこからか取ってきた幌布をゲートに被せた。とりあえず封印って事か…

 

「ま、でもコイツは当分使えないな。今のでエネルギーをだいぶ消費したし、急場凌ぎで無理やり動かしたから回路がショートしてしまった…ちゃーんと直すにはそれなりに時間がかかるぞ……?」

「でもでも!それなら直せばまたアラシくんたちに会えるってことだよね!?」

 

「確かに。でも直ったとしてもルビィたちがそう簡単に別の世界に行けるかなぁ?」

「そうだよ。並行世界とはいえ一応こっちとあっちじゃ過去と未来なんだし…どっちかが軽率に向こうにいったりして歴史に影響が出たら…」

 

「ルビィくんや果南くんの疑問は最もだ。まずルビィくんの疑問だが、行くこと自体は可能だ。帰ってくるには向こうに空いたゲートから戻ればいいだけだしな」

「そうなんですか?それなら……」

 

「だが、問題なのは果南くんの疑問だ。隼斗たちから聞いた話だと向こうの世界はμ's、A-RISEが現役…彼女らは今のスクールアイドル戦国時代を築き上げた正に原点にして頂点。そこで何があってみろ、向こうの君たちやこちらの世界にもなんらかの影響が出かねない。だからコイツを使うには慎重にならなきゃだな」

「そっか…」

 

なら、多分もう会うのは難しいだろうな…少し残念だが。ドライバー一式と鳥を呼び出し博士のデスクの上に置いて俺はラボを出る扉の方へ向かう。

 

「……とりあえずもう終わったし…博士、後の事は任せる」

「ん?おい、何処に…」

 

「屋上。少し感傷に浸らせてくれ、偶には1人に……あ、姉ちゃん来る?」

「1人になりたいんじゃなかったの?」

「姉ちゃんなら2人でもいいの。ほら、来るんなら来て」

 

「…じゃあ、お言葉に甘えて?」

 

果南姉ちゃんの手を引き、俺は2人で屋上へと登っていった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「んんんっ……!疲れたぁ…………」

「お疲れ様。隼斗」

 

大の字に寝っ転がって青空を見上げる。雲一つ無い、透き通るような快晴。大きな事件が片付いたって感じだ。

 

「それにしても、まさか別の世界とはねぇ…」

「俺だって驚いたよ、別の世界にも仮面ライダーって、しかも現役μ'sがいたって!」

「μ'sかぁ…私も会いたかったなぁ…」

 

「いつか会いに行こうよ!ゲートが安全に使えるようになって、戦いが終わって…そしたらさ」



「それじゃ、その時は護衛よろしく!」

「頼まれるまでもないよ。果南姉ちゃんは俺の………俺、の………」

 

ふとよぎるヤツ(エルバ)の言葉、アラシと永斗少年に言われた事。この胸の中で燻ってる果南姉ちゃんへの『好き』の感情。紛れもない Loveの感情。気づけば俺は体を起こし隣に座っていた姉ちゃんに寄りかかり、強く抱きしめていた。

 

「わっ…!……隼斗?」

「……誰にも渡さない」

「えっ……?」

 

「姉ちゃんは……俺のものだ」

 

「はや…と……?」

 

その綺麗な紫色の眼を見つめながらハッキリと口にした。言いたいことを言ったことで緊張が解けたのか、体から力が抜けて……

「うわ危な……!…隼斗?隼斗!」

「……………」

 

「寝てる……?…そっか、ここまでほとんど休みなしだったもんね。…お疲れ様」

 

意識が落ちる直前、後頭部に何か柔らかい感じがした。目の前に姉ちゃんがいるってことはこれ膝枕かぁ…しかも頭撫でてくれてる…これ以上無いgorgeousな寝床だ……もう会うことは無いかもしれないけど…楽しかったぜ、永斗少年、瞬樹くん。

そして────アラシ、俺の最高のダチへ。いつか絶対、また会おうな。

 

力を合わせた守った青空。世界レベルで離れていても、俺たちの心は繋がっている。その手に残ったレジェンドダブルを握りしめながら、俺は深い眠りに落ちていくのであった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…行っちゃった」

 

「ま、久しぶりなんだ。2人きりにさせてやりたまえ。ほら、私もドライバーのメンテとかがあるんだ!君たちはさっさと帰った帰った!」

 

「はーい!さようなら霧香先生!」

 

「また明日ずら!」

「今回の記録、きちんと残しておくように。遠い異世界の兄…とても心に残る存在であった」

 

「センセイ!楽しみにしてるわよ、異世界のGATE!」

「お仕事も結構ですが、今回かなり無茶をしたのです。きちんと休むのも仕事のうちですわよ?」

 

「んじゃメンテよろしくナ博士!」

 

各々がラボを出ていき、私1人が取り残される。Aqoursの面子の気配が消えたのを確認し私は1人ラボの床に寝っ転がった。

 

「ああああああ!あっぶなかったぁ…いやぁ隼斗なら多分壊さないだろうと踏んでちょっと言ってみたけど、スリルあったなぁ……」

 

正直言うと、私も「このゲートは破壊しない」って言おうとしてたが、そうなると今度は私が悪用するんじゃないかって疑われかねなかったしなぁ…ワンクッション置いてみたのと、隼斗のお陰で事なきを得たよ。あぁ〜よかったぁ……

 

「だが、終わりよければなんとやらが私のモットーだ。今はこれで、よしとしよう…」

 

床から跳ね起きてコンピューターに向かう。

アクシデントから起こったとはいえ、今回の一件でかなり有効なデータが取れた。異世界の仮面ライダーダブルとエデン…憐が真っ先にエルバの能力を打ち破れた理由、そして隼斗が使用したオーバーブレイクモードのデータ…それらを含む大量の戦闘データの数々と、こちらの世界にあったエルバのアジトからぶんどってきた研究データ。

 

そして、隼斗の生命反応が戻ってきた瞬間にあった謎の反応……オーバーブレイクに近いが何かが違った。

 

しかも隼斗にかかっている副作用らしき反応は見られないというのだから驚きだ。原因は分からないが、隼斗は更に強くなっている。それなら私としては特に問題は無い。

 

「面白くなってきたじゃないか。そのままどんどん成長を続けたまえ。………私の英雄」

 

 

理想への道は至って順調、僅かな揺らぎの一つも見えない。手元に安置された『黒いドライブドライバー』を撫でながら、誰もいないラボで1人笑い声を上げていた。

 

 

ラブダブル!~女神と運命のガイアメモリ〜コラボ編 完

 




長きに渡る146さんとのコラボ編、これにてようやく完結です!
およそ1年に渡ってお送りしてきたこの大長編、最後まで読んでいただきありがとうございました!
146さんサイドも合わせて最後まで両方見ていってください!

そしてここでお知らせです。
遅くはなりましたが、『彼女は何故模造されたのか』を作ってくださった度近亭心恋さんからまた誕プレ三次創作をいただきました!

本編前日談となる、憐が主役のスピンオフ作品!下のリンクからぜひこちらも見に行ってみてください!
*なお、話の内容的に年齢制限がついてしまったので18歳未満の人は閲覧をご遠慮ください。

https://syosetu.org/novel/239403/


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エピソード3 Over Drive Hero's
Extra Mission Type Unknown 恐怖再び!復活!?ズンボガンボ・ロイミュード


本編クライマックスの前の一休み&解説回的なのをやります。

先輩ドライブ達が苦戦した?という強敵のアイツが再びやってくる!?
短いですが久しぶりの本編、途中の戦闘シーンを脳内でお好きにイメージしつつお楽しみください!


「いやいや悪いね隼斗、私の買い物に付き合ってもらってしまって」

 

「病人を駆り出してまで…何が欲しかったんだよ…」

 

「病人と言ってもほぼ治りかけだろう?それにわざわざ君を気遣って電車で来たんだし。交通費だって私持ちだぞ?」

「それは当たり前だろ。こちとら体だる重だってのに朝から叩き起こされて荷物持ちだぞ?」

 

 

あの事件から数日が経ったある日、霧香博士に駆り出されて俺は何故か郊外の街の方に来ていた。どうやら博士は何か買うものがあったらしいが…

 

 

「で?結局何買ってたんだよ」

「ん〜?まあ研究機材ってやつさ。君たちなんだぞ?私に『研究を続けてほしい』なんて言ったのは」

 

「まあ、そりゃそうだけどよ…何も今じゃなくても」

「善は急げ、備えあればなんとやら。何事も事前の準備が大事なのだよ少年、まあ若い身空の君にはまだ分からないと思うが」

「あんたも充分若いだろうが」

 

「ナイスツッコミ。そして今のは女性的にポイント高いぞ?果南くんもその調子で落としたまえ!」

「突っ込ませるな。そんでなんでここで果南姉ちゃんが出て来るんだよ」

「ええ〜?もう割と噂になってるぞ?君が果南くんを一異性として見始めているかもしれないなんてこと」

 

「は!?おい、情報源何処だ!いつ聞いた!?吐け!」

「割と最近。情報源は黙秘する!私は人の色恋沙汰の話が大好物なんだ、そうそう吐くわけ」

 

瞬間、俺たちの体に走る重力。重加速だ!だがその重みは一瞬で消えて、後には何も無くなっていた。周りの人々も特に気にする様子は無く会話を交わしていた。…のだが

 

 

「ああそうだ、思い出したよ隼斗。君を連れ出したもう一つの理由なんだがな……」

 

 

 

「ズンボ?」

「ガンボ!」

 

「ガンボズンボ」

 

「ズンボガンボ!」

「ボンガ!?」

「……………は?」

 

何故か街の人の様子がおかしい。

普通に会話をしてるはずなのにおかしい、主に言語が。

 

「実はこの辺で、ズンボガンボっていう正体不明の変な怪物…まあ多分ロイミュードだ。それの目撃情報があってな、あくまで噂だが」

 

 

「それを早く言え馬鹿野郎!!」

 

 

俺は角に隠れてマッハドライバーMk-IIを装着。ドライバーを展開し、シグナルソニックを装填した。

 

《SignalBike!Rider!Sonic!!》

 

「Ready!Hensin!!」

 

仮面ライダーソニック、見参!名乗りはまあ…敵を見つけてからだ!

 

「んじゃ行ってくる!鳥!空からそいつらしきものを探しておけ!ガンボ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「でも隼斗?敵の能力も分からないのに無闇に突っ込むのは愚策としか言いようがないぞ?」

 

「Don't worry!そいつって先輩達も一度戦ってるんだろ?ズンボガンボっていう変な名前をしてるぐらいだ、ズンボガンボは絶対に Noobs(雑魚)!初期フォームで充分だ!」

 

「本当にそうか?」

 

 

確かに仮面ライダーソニックは、ドライブ達の戦闘データを元にシステムを改修した最新システム『ネオホープシステム』を採用したおかげで初期フォームの時点で総合スペックに関してはドライブ達のスペックを上回っている。

 

自慢のスピードを活かしつつ、バランスもいいのでオールラウンドに対抗できるようになっているのだ。正に最先端を行く次世代の最新型仮面ライダーにふさわしい性能だ。その基本となるアイデアを隼斗が作ったってんだから驚きだよなぁ……

 

「ズンボガンボ……!」

 

「ズンボ……向こうか!」

 

彼が憧れている詩島剛の変身する仮面ライダーマッハがベースになってる事から、こちらもゼンリンシューターとシグナルバイクを用いた戦闘を得意としている。

 

マガールⅡで弾丸を曲げたり…

 

「ガンボ…!」

「おお、あっちか…ズンボガンボ!」

 

カクサーンⅡで弾幕を張る。隼斗の奴困ったらとりあえずこれ使えばいいと思ってないか?

 

「ガンボでズンボ……」

 

あとはキケーンでガブガブと。………この魔獣いつ見てもマ○オの○ラーに見えるよな、黒でも赤でも。

 

「ボンガでズボン……」

 

それからもう一つの彼の専用武器が、天下零剣 煌風。ドライブのハンドル剣とは異なり、刀をベースに設計した武装だ。風の力で切れ味を強化してどんなものでもぶった斬る!『切る』ということに特化した刀とソニックとは相性抜群なのさ。

 

「ってか隼斗?君ズンボガンボを単体のロイミュードだと思い込んで無いか?ズンボガンボはなんかズンボとガンボの2体コンビって情報もあるみたいだが…」

 

「Hmm...ま、1人でもなんとかなるだろ。でもキツかったら憐を呼べば来てくれるだろ!」

 

《SignalBike!Rider!Slayer!!》

 

「呼ばれタ気がしたゼ!」

「来てくれたのか憐!やけに早いな!?」

「飛んで来たからナ」

 

ネオホープシステム2号機、仮面ライダースレイヤー。憐の変身するスレイヤーは、ソニックより後に開発された黒狼のような仮面ライダーだ。

 

隼斗のソニックとは打って変わって多種多様なシグナルバイクはほぼ使わず両手に装備されているスレイクローを使った野生溢れるワイルドな戦いを得意としている。

 

「ズンボがガンボ!?」

「これがズンボガンボ…!」

 

だが、何も全く使わないというわけでもない。キケーンⅡとは相性良さげだし、カクサーンを使えば攻撃の手数も増やせる。

隼斗のものと互換性があるのはいい事だな。

 

「ズンボ、ガンボ…」

 

そういえば私たちに出会う前は、何やら東京の歌舞伎町なんかで暴れ回っていたみたいな噂もあるが…私は正直その辺の話は詳しくは無い。ハーレー博士からも聞いてはいないし、こればかりは本人の口から聞かねばな。

 

「ズンガボンボ……ッ!」

 

「おい隼斗、憐、大丈夫か?なんか苦戦してるみたいだが…」

 

「問題ネェ…!」

「ちょっと油断しただけだ!博士!デッドヒートを使う、よこせ!」

 

「なるほどそう来たか!」

 

戦いは激化し流石に最新システムとはいえ限界は来る。そこでこの天ッッ才科学者である私『一時霧香』が開発したのがネオホープシステムのライダー用に調整した、シフトデッドヒートⅡ!これを使えばソニックとスレイヤーをデッドヒートへと進化させることができるのだ!

 

ソニックは青と赤のヒロイックな獅子のような姿に。スレイヤーは赤と黒のよりダークな獣の姿に!その溢れんばかりの熱気と炎、そしてパワーで敵を打ち砕く……のだが。

 

「ガンボガンボ……!!」

 

隼斗がブチギレた時に作動してしまったのが『フルバーストシステム』。使用者の脳にちょーっと危ない信号を送る事で暴走させて敵を殲滅するプログラムなのだが…正直コイツは失敗作だったなぁと今は反省している。

 

「ズンボボンボ…!?」

 

「だがしかぁぁぁぁぁし!!」

 

 

「うわっ!急に大声出すなよ!」

 

「私が失敗をそのままにしておくとでも思うたか!」

「割としてないカ?うわズンボ!」

 

思いつきで宇宙からキター!隕石を使ってデッドヒートを弄ってみたらあら不思議!デッドヒートが進化したではないか!!

 

《SignalBike/Shift Car!Rider!Dead Heat!Meteor!!》

 

「HOTに行こうぜ!」

 

それがこの最高傑作!『メテオデッドヒートフォーム』だ!その姿は正に赤き竜!燃え上がる爆炎が立ち塞がる悪を打ち砕くッ!!

 

ソニックならばその格闘性能を活かした他の姿ではできないパワーファイトができるようになる!パンチだ!顎を狙え!ボディガラ空き!キックだ!

 

「ワァァァッ!?」

 

「憐!ガンボ!?」

 

「クッ…!ハーさん!デッドヒートメテオ借りるゼ!意外にやるじゃねえか…ズンボガンボ…!」

 

もちろん、メテオデッドヒートはスレイヤーも変身可能。満を辞しての現時点最強形態だ。

 

攻撃方法は火炎放射に隕石攻撃、炎の爪で敵を焼き切り炎の翼で飛行もできる!ソニックが正統派のレッドドラゴン的な感じならスレイヤーの赤黒いボディは正に煉獄の悪魔竜ってな!

 

「ズンボガンボ、ふざけた名前の割にかなりの強敵だぜ…!デッドヒートは憐が使ってるし、こうなったらアレを使うしか!来い、相棒!」

 

『ーッ!』

 

空の上から舞い降りる青い翼の機構鳥。一機のシグナルバイクが射出され、それが隼斗の手に収まった。

 

《Evolution!》

 

「I'm Ready!超・Hensin!!」

 

《Brave!TAKE OFF‼︎》

 

おっと、あんだけ余裕こいてた割には苦戦しているようだな…ズンボガンボコイツはかなりの強敵らしい。だが問題ない、隼斗がこの姿になった以上、ズンボガンボもラッスンゴレラ…失礼。なす術がないだろう!

 

 

仮面ライダーソニックの最終形態、その名も『ブレイヴソニック』!私が開発した隼型支援メカ『擬似ロイミュード RF-01 ブレイヴ・ファルコン』まあブレイヴ・ファルコンという名前は隼斗が後からつけた名前だが…コイツとソニックが合体変身した姿だ。

 

「ズンボガンボ!!」

 

その特徴はなんと言っても初期フォームとは比べ物にならない程のスピード!シフトアップして加速すれば通常のロイミュード共なんぞ周回遅れにできる速さ!背中のアクセラーウイングで風を取り込み自身の力に変えられるのだ。この翼には風属性攻撃無効化の能力もついている、同じ力を使う相手ならまず負けはしない!

もちろん翼があるから飛行も可能。飛行速度だけならメテオよりもこちらの方が断然性能がいいぞ。

 

そして、最強形態であるが故に攻撃力も折り紙付き。『天下零剣 煌風』とゼンリンシューターのデータを基に作り上げた新武装『リジェネレイトブラッシャー』による2種の武器を用いた戦術は正に彼の得意とする戦い方だな。

 

「ズンボガンボ…あっガンボがズンボに…!ズンボがガンボ…!がぁっ!?」

 

あっ、マズイ!憐がやられかけてやがる…!ズンボガンボ、思ったよりやばいやつだったのか…まさかとは思うが、アイツって超進化態クラス!?となると次に考えられるパターンは……

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「憐!大丈夫か!?」

 

「マジかヨ…ズンボ…ガンボ…」

 

変身が強制解除されて倒れる憐。ズンボガンボ…くっ、なんて恐ろしいロイミュードなんだ…!

 

「半端ねえなズンボガンボ…こうなったら奥の手だ!憐、危ねえからちょっと離れてろ!」

 

隼斗はそう言うとドライバー上部のブーストイグナイターを連打し始めて…おいおい、まさかやる気かあの馬鹿!?

 

「Clear mind!放て全開!ブチ抜け限界!音も光も超えていけ!

 

オーバーブレイクモード、解放!!」

 

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

その音声と共にブレイヴソニックの装甲が展開し、半透明に光輝き出す。

これがブレイヴソニックに隠されたシステム、奥の手中の奥の手。最強の切り札『オーバーブレイクモード』!

 

強靭な精神力をトリガーとして発動できる、コアドライビアが生み出す無尽蔵のエネルギーを隼斗の肉体にダイレクトで流して身体能力を大幅強化するリミッター解除形態、攻撃力とスピードを限界を超えて引き出せるのだ。これさえあれば、強敵である超進化態のロイミュードとも一対一でやりあうことも可能になるのだ!

 

どうせ使わないし負担が大きいからと封印していたのだが、まさか使いこなせるものが現れるなんてねぇ…

 

「喰らいやがれ、ズンボガンボォォッ!!」

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!!》

 

「ブレイヴ・エクストリーム・ラッシュ!!」

 

お、ブレイヴ・エクストリーム・ラッシュ…必殺技の連続キックが決まったようだ。まあオーバーブレイクまで使ったんだ、勝ってくれなきゃ私が困る。

 

さて…………そろそろかな?

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「………っはぁぁ〜!」

 

光が落ち着き、装甲が閉じられて大きく息を吐き出して呼吸を整える。

ズンボガンボをなんとか倒したことを確認し、オーバーブレイクモードを解除した。

 

「…呼吸正常、苦しくもない。動悸なども特に問題なし……やっぱり、あの時からか」

 

戦闘終了から数分経っても負荷に襲われることがない。あの時…アラシのジョーカーメモリとの謎の一体化現象とあの銀色のソニック…あの時同様にオーバーブレイク特有の負荷が来ない。慣れて来たのかな?俺の体…

 

「…ハーさん、終わった?」

 

「まあ、来ないならそれに越した事はないけどな。さーて…憐、待たせたな。終わったし帰ろうぜ。とりあえず博士に連絡を……」

 

 

「…っ!ハーさん!」

「あ?…っ!?」

 

博士に連絡をしようとした瞬間、突如飛んできた黄色の光弾。ギリギリのところで煌風を抜いてそれを弾き、光弾が爆発した。

 

「誰だ!!」

 

攻撃を受けた方向を振り向く。

そこにいたのは────

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

黒い体に黄金の装甲、紅の眼。伸ばした掌から煙を揚げながらソイツは立っていた。かつて倒したはずの敵…『ゴルドドライブ』がそこにいた。

 

「蛮野!?」

 

「ありえネェ!だってアイツはハーさん…それとエルバの野郎が倒したって…!」

「性懲りも無く地獄から這い上がって来たって事か…だったらもう一度送り返してやらぁ!」

 

幸い体力には余裕がある、オーバーブレイクをもう一度使う事なくぶっ倒せるはずだ!煌風とブラッシャーの二刀を構えて一気に駆け出し、思い切り振りかぶる。

 

「オルァッ!」

 

「…っ!」

 

そのままガード不能の高速斬りを繰り出そうとした瞬間蛮野はドライバーのキーを捻る。武器奪取か!けど馬鹿め忘れたか!全ての武器にはコーティングがされている、お前の力では奪えないって最初に言って……

 

という俺の思考は、キィン!という金属音と共にかき消された。

 

「……なにっ!?」

 

 

「…フッ」

 

見れば蛮野の手元には何故かドライブ先輩の武器、ハンドル剣が握られており二刀の攻撃はそれに防がれていた。

 

「武器を奪うんじゃ無くテ…武器のコピー!?」

 

「ハッ!とうとうドライバーだけじゃなく武器までパクり出したかてめぇ!」

 

一度離れ、再び接近。加速して煌風を振り抜くもそれは奴の左手に現れたドア銃のエネルギーシールドに防がれていた。そのままハンドル剣によるカウンターを喰らい、立て続けにドア銃の弾丸が浴びせられる。斬撃は避け損ねたが、ドア銃は翼を盾にしてなんとか防ぐことができた。

 

「っ…盗られなくなった分マシ…いや、俺らのは元から盗られないよう対策してたし、武器を自分で好きに作れるってのはちっと面倒だな…」

 

「ならハーさん、俺っちもやる!」

 

憐はスレイヤーに再変身し俺の横に立つ。

すると再び蛮野がキーを捻り、今度コピーしたのは………

 

「…!」

 

青い刃の刀のような武器。間違いなく俺の天下零剣 煌風だった。奴は慣れた手つきでそれを構えこちらに刃を向けて来た。

 

「っの野郎…!俺の武器パクりやがってぇ…!」

「でも武器をコピっても使い方はハーさん程じゃ無いはず…冷静にいけばやれるっテ!」

「ま、だよな!んじゃ…行くぜ!」

 

《カナリ・Brave!!》

 

 

シフトアップしてspeed-up、一気に加速して煌風を振り下ろす。だが蛮野はそれを見切って避ける、避ける、また避ける。

 

「っ!ならこれで!」

 

ブラッシャーをブラスターガンモードに変形し銃撃を放とうとすれば煌風で受け流し、手を返して逆に斬りつけてくる。コイツ…俺の攻撃を見切ってるのか!?

 

それになんだ?さっきから感じるこの妙な違和感…見切られるのは当然だ、相手だって馬鹿じゃねえ。復活して学習して慣れててもおかしくは無い、無いんだが…それにコイツさっきからダンマリ決め込みやがって…

 

「ラァっ!!」

 

スレイヤーもクローを振り翳して攻撃するが、やはり蛮野に捌かれている。まるで俺たちの攻撃方法、癖なんかを理解しているみたいで……

 

「…フンっ!」

 

蛮野がスレイヤーのクローを左腕で受け止め、煌風で二撃与えて地面を転がす。そのまま追撃…してこない……?隙だらけだったのに、奴なら見逃さずに追撃してくるはず……

 

「………」

 

向こうは何も言わず、クイクイと片手で挑発してくる。さっきからの違和感といい…コイツ、余裕こきやがって……!

 

「舐めやがっテ……!」

 

「…憐、俺に考えがある。一瞬でいい、無茶苦茶に必殺技打ちまくって目眩しできるか?」

「一瞬でいいナラ……」

「なら頼む、5秒後に突っ込むから。よろしく!」

「…エ?5秒後ってハーさんちょっ」

 

憐の言葉を待たずして加速して蛮野に急接近。スレイヤーの方はデッドヒートメテオに変身すると……

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Meteor!!》

 

「ああもう!グレンメテオ・レイン!!ブレイクダウン・シャウトッ!!」」

 

隕石の雨と共に地面に拳を叩きつけ、地割れと共にマグマと炎が噴き上がる。それが俺たちの姿を隠してくれるからその隙に再接近!背後に回って……

 

 

「そこだっ!」

 

「……!」

 

二刀を振り下ろすもそれはまたしても防がれる。まあここまでは想定内、俺は最高に冷静、すなわちClear mind!

 

「オーバーブレイクモード、セカンド発動!」

 

再びオーバーブレイクモードを発動!武器から手を離し、空中を蹴って一瞬で奴の背後に回り蹴り飛ばす!

 

「憐!」

 

「おうヨ!!」

 

そして吹っ飛ばした先にはスレイヤーが待機。突き出したクローを蛮野の腹めがけて突き出す!

 

「ッ……!」

 

深く刺さりこそしなかったものの明確なダメージが入ったようで苦しんでいるように見える。やっぱりアイツも知らなかったオーバーブレイクまでは対処できてないらしい。よっしゃ、今がチャンスだ!

 

「決めるぞ憐!」

「ああ!あの世に帰りやがレ!!」

 

《ヒッサツ!Full throttle !》

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!!》

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Meteor!!》

 

ゼンリンシューターBSにシグナルソニックを装填、ゼンリン部分を回転させまくるとまるで丸鋸のように光の刃となって高速回転し出す。

 

クローが変形しガントレット状になった右拳を構えたスレイヤーと共にそれを一気に突き出した!

 

「ヴォルカニック・ヘルバースト!!」

 

「ストライク・ハイパー・ソニック!!」

 

「ッ!?」

 

蛮野は更に武器召喚。今度はチェイサー先輩の武器、シンゴウアックスを呼び出しそれで俺たちの攻撃を正面からガードしていた。

 

「んな模造品ぐらいでッ!」

「俺っちたちを止めれると思うナ!」

 

《カナリ!Brave!!》

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》

 

だがその程度で止まる俺たちじゃない。シフトアップを重ねがけし、更に俺は弾丸を連射しまくって押し込む!

 

「「オオオオっ!!」」

 

 

 

『「………まさか、ここまで………!」』

 

「っ!喋っ……」

 

初めて言葉らしい言葉を喋った蛮野。それに気づいたのもつかの間、蛮野はシフトブレスに謎のシフトカーのようなものを装填。ボタンを押すとシンゴウアックスにエネルギーが溜まっていき……

 

『「ハァァッ!!」』

 

それを横に振り抜くと同時に大爆発、爆煙が俺たちを包み込んだ。

 

吹っ飛ばされて変身が強制解除され、煙が晴れた時には蛮野は既に消えて奴が使っていたのであろうシンゴウアックスだけが残されていた。

 

「消えた……?」

「逃げられた…ってことだろうナ」

 

ひとまず難を逃れた事で、俺たちは安心感から座り込んでしまった。

 

「助かったナ…」

「…まあな。…けど…」

 

「どったのハーさん、なんか考え事?」

「…いや、別に…」

 

「蛮野ならまたぶっ倒しゃいいじゃん!ナ?」

「まあそりゃそうだ、当たり前だろ。…けど、どうも今の戦い、何か違和感が…」

 

 

 

「おーいお前たち!」

 

 

そう考えているとこちらに駆けてくる女性が1人、霧香博士だ。戦いが終わって安全になったから来たんだろう。…にしてはタイミングが良すぎる気もするが…それになんか白衣とかボロくね?

 

「怪我は…っておいおいだいぶ酷いことになってるじゃないか!それに隼斗、またモニタリングしてたがオーバーブレイクを2度も使いやがって!また死んだらどうする気だ!」

 

「勝てたんだからいいだろ別に!それに今は苦しくもなんともねえし!それを言うなら博士こそ…」

 

「これは…!ただここにくる途中転んだり引っ掛けたりしてな…見た目よりかは痛く無いさ。いやまぁ、すごく痛いけど…というか私よりも君だ!後から何かあっては困るんだ!第一君はまだあの戦いの傷が完治した訳じゃ無いんだ、自分の体を大事にしろ!」

 

「…………」

 

「返事!」

 

「はーい」

 

「…男なんだからもうちょいしゃっきり返事をせんか若人が…まあいい、長いは無用だ。騒ぎで警察にでもこられたら面倒だ、目的も果たしたしさっさと引き上げるぞ!」

 

「お、おう!」

「分かってラ!」

 

「って、待ちたまえ2人とも。…その武器は…」

 

博士が指差したのはシンゴウアックス…蛮野の奴が落として行ったやつだ。あの武器だけ残ってたのか…?

 

「ああ、蛮野のdrop品。そうだ博士!アイツ武器のコピー能力手に入れてやがったんだ!」

 

「武器コピーだって!?…いや、まあ別に大した能力では無いか。さして強力ってわけでも無いし…………って、蛮野だと!?」

「おせえよ反応が」

 

「待て待て!アイツは君達が倒したはずだろう!?何故今になってまた復活を…いや、でも今の戦力なら奴なんて然程脅威では無いし、武器も奴が落としてったんなら借りパクしても文句はあるまい、戦利品としていただいていこうか」

 

博士はそれを拾い上げ、どこからか布を取り出してそれを巻き付けて包むとせかせかと歩き出した。

 

「……俺っち達も行こうぜハーさん!………ハーさん?」

 

「……ああ悪い、今行く!!」

 

俺も憐と博士を追って走り出した。

が、俺の脳裏には拭いきれない違和感がこびりついていた。

 

あの蛮野の戦い方…まるで俺たちの事を知り尽くしているかのような、それもただ知ってるだけじゃ無い。まるで『すごく近くで見て来ていた』かのような。それにあの時…

 

『「………まさか、ここまで………!」』

 

あの一瞬。あの声はいつもの蛮野の声じゃ無かった。まるで声が重なっていたように聞こえたな…もう一つの声は凛々しく落ち着きのあるトーンで、こっちは女性の声だったが……しかも、聞き覚えのある。

 

「何をしている隼斗!置いていくぞ!」

 

…いや、ナイナイ。第一確かドライバーの仕組み的に人間が変身するってのはできないはずだ。

 

「……まさかな」

 

「…隼斗?」

 

「…っ!今行くよ!!」

 

気のせいだ。考えすぎるのは良くない、そうに決まっている。

そう思いながら、置いていかれないように俺は足をすすめるのであった。

 

 

「で、結局なんだったんだ?ズンボガンボって」

 

「「さぁ?」」

 

次回に続く!




ドロップアイテム
☆4 シンゴウアックス
仮面ライダーチェイサー用に沢神りんなが開発した、斧を模した大型武器。 必殺技のアクロスブレイカーはどんなベルトも打ち砕くぞ。

というわけで久しぶりの本編でした。なんでズンボガンボ使おうとか思ったんだろう自分(恐らく深夜テンション)。
何はともあれサンシャインサーガシリーズもクライマックス!次回からはアニメ本編シリーズ北海道編へと入ります!そして北海道編では憐が……?

それでは次回もお楽しみに!
感想・評価・ここすきなどなどお待ちしています!!


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第二期11話 白き大地が導くものは何か

クソお久しぶりですMaster Treeです。
昨年から社会人となりまして、環境の変化だったり二輪免許を取得したりと色々立て込んでて結局また更新遅れました…本当にいつになれば完結できるか、もう作者ですら分かりません。

そういえば数ヶ月前から身内で話題になってたのでひろプリを見始めました。プリキュアとか幼い頃に響鬼のついでにマックスハートかじってた程度だったかつちょっと避けてすらいたのですが、今となってはツバあげに狂わされてます。

あと、同じ青系ヒーロー属性ってことで隼斗とソラちゃんを並べてみたいと感じた今日この頃です。スピンオフとかでやってみようか…

さて、このシリーズもいよいよ北海道編。
試される大地と称される北の果ての地で、彼らを待っているものは何か…それでは本編どうぞ!


 

 

これまでのサンシャインサーガ !

 

霧香博士に駆り出され出かけた先で謎のロイミュード、ズンボガンボとエンカウントした隼斗は、途中合流した憐との共闘の末に見事そいつを打ち倒した。

 

と、一安心したのも束の間今度はなんとゴルドドライブが現れた!新たな力、武器コピーを使ってきたものの、その程度で苦戦する2人ではなく、難なく倒すことに成功する。

 

戦利品として奴が落としていったシンゴウアックスも手に入れて戦力アップもできた一行。

だが隼斗だけは、交戦したゴルドドライブに謎の違和感を覚えていたらしく……?

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

吹き荒ブ吹雪、体を打ち付けル冷たい風…まともに先の見えナイ白い世界。

 

「ここ、何処…?」

「何も見えませんわ…!」

 

「天はルビィたちを…」

「見放したずら…」

 

「これがsnow white!beautiful…」

「しっかりして鞠莉!」

 

 

白、白、白。

俺っち達の前に広がるのは、ただただ雪ばかりの真っ白ナ世界。

 

「雪め、甘いわ!この程度、避けるべし…!」

「避けランねーダロ」

 

あ、ヨッちゃん吹っ飛ばされた…

 

「そうだよ、これ多分夢なんだよ…」

「そうそう、目を閉じて…目が覚めたら自分の家で……」

 

「って、なるわけないでしょ。だってここ……

 

 

 

 

北海道だもん!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「いやぁ、はるばる来たね!函館!」

「まさか地区大会のゲストに招待されるなんてね!」

 

「うぅ…でも寒っ……」

「曜ちゃん、もうちょっと厚着した方がいいわよ」

 

そう、俺っち達は大会側の招待を受けて、遠路はるばる北の大地、北海道までやってキタ!

北海道にはSaint Snowもいる訳ダシ、偵察にはもってこいって訳ダナ!

 

「さぁ行くわよ!リトルデーモンリリー!レッツ・ニューワールドんぎゅ!?」

「っと!」

 

案の定滑ってコケそうになったヨッちゃんをなんとかギリ受け止める。受け止めるっつーか首根っこ掴む形になっちまったケド。

 

「気をつけろヨ…地面凍ってるんだカラ」

「死ぬ…!その前に息の根が止まるから…!!」

「ああ、ワリ…そういや、マルちゃんは?」

 

 

「お待たせずら〜」

 

声がした方を振り向くと、そこにはやたら大きくなったマルちゃんガ。いや、それ厚着か?それともただ太って…はネェか。流石に有り得ねえわ。

 

「やっとあったかくなったずらうわぁぁ!?」

 

あ、ルビィちゃん、ヨッちゃん、曜サンの3人がマルちゃんの下敷きに。あーあーなんて事に……

 

「それにしても、隼斗さん残念でしたわね」

「ねー、隼斗ってばよりによってこんな時に……」

 

ダイヤサンと果南サンが口々にそう言う。ああそうそう、なんでハーさんがいないのかって話ダガ…ちょっと前まで時を遡るナ?あれはそう…確か2日前のラボで…

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ホッガイドウ?メッジャイギデェゲドミデノドオリダガラ…ゲホッ!ゲホッ!ズマネェゲドオマェラデイッデゴイ…ゲホッ」

 

「なんて?」

 

「北海道?めっちゃ行きてえけど見ての通りだから咳き込む音×2、済まねえけどお前らで行ってこい、以下咳き込む音」

「通訳ありがとう先生」

 

ベッドに横たわり、鳥の足に吊るされた氷嚢を頭に乗っけて寝ている病人スタイルのハーさん。ってかマトモに声が聞き取れないんダガ。

とりあえず俺っち達はみんなマスクしてルから大丈夫だケド…

 

「多分、今まで無理してたのが一気に来たって感じなのかな?」

「確かに、ここまで立て続けに大事件が連発…大戦をくぐり抜けてきた戦士がまさか病魔に倒されるとは……」

 

「隼斗ってばこれまで全く風邪ひかなかったのに…」

 

「まあ、なんとかは風邪引かないって言うしね!よかったじゃん隼斗くん、違うってことが証明されて!」

 

「ボマエニダゲハイワレダガネェッテノ!ゴノバガヂガゲホッゲホッ!」

「え?」

「お前にだけは言われたかねぇってのこのバカチカ、以下咳き込む音」

 

「思いの外重症ですわね…」

「こりゃハヤトは当分Recuperationね」

 

「あーもう私に伝染すなよお前…そういう訳だ、私の見立てでは多分当分マトモに動けなそうだし君らだけで行ってくるといい。私も看病の為に残るよ、千歌くんのお姉さん方も仕事で頼れないだろうしね」

 

「ええ!?隼斗くんはともかく先生も!?」

 

「ああ、コイツを1人で放置するのも危険だしな。個人的に少しやっておきたい仕事もあるし…憐、彼女達を頼むぞ。あと、お土産よろしくな!」

 

「任せナ!俺っちなら大丈夫ダゼ!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ハーさん大丈夫カナァ…」

 

「大丈夫だよ、霧香先生もついてるし!」

「そうそう、さっさと治して元気にトレーニングでもしてるんじゃない?」

 

「だといいけど…」

 

「なーにカナン、ハヤトが心配?」

「心配っていうか!その…また変なことしてないかなって」

 

「博士がいる以上、無茶はさせナイと思うケド…まあ果南サンの心配も最もだよナ」

「まあ…大人しくしていることを祈るしかありませんわね。あとは先生も先生で何かしてないか…」

 

『あー……』

 

どうやらエルバの事件の一件のせいでAqoursメンバーの中での多少博士の信用が落ちてるらしイ。頑張れ博士…

 

「まあまあ話はその辺で…あ、着いた〜!」

 

そうこうしている内に地区大会会場に到着。出場チームの中に、Saint Snowも載っていた。

 

「あ、あの!Aqoursの皆さん…ですよね!?」

 

そこへやって来たのは地元の女子高生達。どうやらAqoursのファンらしい。

 

「あの、写真…撮ってください!!」

 

「み、みんな…お、落ち着いて!」

「アンタが落ち着ケ。あ、俺っちが撮るヨ」

 

「あなたは…?」

「Aqoursのマネージャー、憐くんでーす。ヨロシク」

 

そんでファンの子と写真を1枚撮り、俺っち達はSaint Snowの2人に会いに行く事ニ。

 

「失礼しまーす…Saint Snowのおふたりは…」

 

「…!ああ、お久しぶりです!」

 

俺っち達に気付き、姉の方…聖良サンって言ったっけ?その人が挨拶してくれタ。

 

「ごめんなさい、本番前に…」

「いえいえ…ん?」

 

「どうかしましたか?」

「ああ、いえ。1人足りないなと…確か、天城隼斗さん…でしたっけ?」

 

「ああ、隼斗さんですか?実は……」

 

ダイヤサンが経緯を話すと、聖良サンは少し残念そうな顔をしていた。

 

「そうですか…でも病気なら仕方ないですね。彼にお大事にとお伝えください」

「分かりました」

 

「今日はぜひ楽しんでいってください。皆さんと決勝で戦うのはまだ先ですから」

「はい、そのつもりです」

 

「なに?もう決勝に進んだ気でいるの?」

「随分な自身ダナ…らしいといやらしいガ」

「ものすごい自信…そしてものすごい差し入れずら…」

 

「食うなヨ?」

「憐くんはマルのことなんだと思ってるずら!?」

 

いやだってマルちゃん俺っちたちの中じゃ大食いキャラで通ってル…通ってナイ?だし。

 

「お二人とも、去年の地区大会は圧倒的な実力で勝ち上がってきたし…」

「マ、今更頑張れとかの言葉は不用だよナ」

 

「それに、また見せつけようとしてるんじゃないの?自分達の実力を」

 

「いえいえ、他意はありません。それにもうみなさんは何をしても動揺したりしない…」

 

「どういう意味ですの?」

「Aqoursは格段にレベルアップしている。今は紛れもない優勝候補ですから」

 

「優勝候補…」

「…あの時は失礼なことを言いました。お詫びします」

 

そう言って深々と頭を下げる聖良サン。

俺っちも東京イベでの事は少し聞いてるケド…うーん、この場にハーさんがいたらなんと言ったのヤラ。

 

「次の決勝では、共にラブライブの歴史に残る大会にしましょう!」

「…うん!」

 

差し出された手を握る千歌サン。

これで正真正銘、対等なライバル同士ってことダナ。

 

「理亞!理亞も挨拶なさい!」

 

聖良サンが理亞ちゃんの方に呼びかけるガ、彼女は椅子に座りイヤホンをつけたママ。こちらの声は聞こえてないようダ。

 

「ああ、いいんです!本番前ですもんね…」

「よっぽど集中してんダロ。行こーゼみんな」

 

「…」

 

「ルビィちゃん?」

「ホラ行くゼ?」

 

「あ、うん!」

 

 

そして、俺っち達も観客席へ。

招待枠として中々いい席を用意してくれてイタ。

 

「スゲェ声援ダナ…」

 

「観客席から見て、ステージ上の自分達がどう見えているか…」

「どうすれば楽しんでもらえるかも、すごく勉強になるはずだよ」

「だよね!」

 

「Saint Snowさんは?」

「確か次のはずだけど…」

 

「あ、始まるずら!」

 

マルちゃんに言われステージを見ると、2人が背中合わせでスタンバってるのが見えタ。

 

「サテ、何気俺っちセイスノの生パフォーマンスみんのは初だからナ…お手並み拝見といきますカナ」

 

「its show time!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

『ー?』

 

「ゲホッ、ゲホッ…ん?あぁ、鳥か…。心配すんな、罹ったばっかの時に比べりゃだいぶラクだ。ま、あと2日もありゃ流石に治んだろ。Christmasには響かないはずだ」

 

 

「治りかけてるからって油断するなよ?あくまで君は人間なんだから…いくら強くなっても、己の本質を忘れるなよ」

 

 

白衣ではなく、何故かエプロン姿にバンダナを巻いた姿の博士がラボのドアを開けて入ってきた。

 

「家庭科室でお粥作ってきたが、食えるか?」

「Don't worry.飯食えないレベルじゃねぇよ。…というか」

「うん?」

 

「あの時も思ったけど、博士って料理できたんだな」

「そりゃできるさ、私だって歴とした社会人だし天才だぞ?自炊とてお茶の子さ。というか君は私を生活能力皆無だと思ってたのk「おう」食い気味でいうんじゃないこのガキ…」

 

 

そう言いつつもレンゲで掬った玉子粥を冷まし俺の口に運んでくれる辺り、博士の面倒見のよさが伺える。

 

「…アイツら、どうなったかな」

「Saint Snow?Aqoursの面々?」

「Aqoursも大事だが、まあ前者だよ」

 

「そんな心配する程でもなかろうさ。彼女達、実力は確かなのだろう?私も彼女達のパフォーマンスは動画で見たが、アレなら決勝まで勝ち上がってくるのはほぼ確と言ってもいい。しかし、君が彼女達を気にかけるとは。嫌いだったんだろ?」

 

「最初はな。喧嘩ふっかけられた気がして頭に血ィ登りもしたが…まあ実力は本物だしな、そりゃ気にもなるさ。…決勝で当たるかもしれねぇんだ」

「…そうかい」

 

テーブルの上に置かれたスマホがメキシカンなけたたましい音を響かせる。そういや結果分かったら電話くれって言った気がする。…覚えてないけど。

 

「…と、噂をすればか」

「ブレイヴ・ファルコン。電話応答、隼斗のスマホとの無線接続、及びスピーカーモードON」

 

「は?」

 

霧香博士が鳥に向かって言葉を投げかけると、俺のスマホが勝手に操作されて、同時に鳥の目がオレンジ色に光った。

 

『もしもし隼斗くん?』

 

え!?鳥から千歌の声が!

しかもなんか翼を広げて身振り手振りして話してる…?

 

『鳥ってどういう状況?ファルコンちゃんに何かあったの?』

 

今度は曜の声、目が水色だ。

どうやら話してるメンバーに応じて目の色が変わってるみたいだが、これって…

 

「ブレイヴ・ファルコンにスマホと連動できるスピーカー機能をつけてみた。音楽の再生や、このような進化した音声通話を楽しめる」

「なんだその無駄機能…」

「遊び心と言いたまえ」

 

『また先生が何かやってましたのね…』

『隼斗?ちゃんとご飯食べてる?休んでる?』

 

レッドとグリーン…ダイヤさんと果南姉ちゃんだ。

 

「大丈夫。飯もさっき食ったし、大人しくしてるよ」

『…まあ、ならいいけど』

 

『聞いてよハヤト〜!カナンったらこっち着いてからずっとハヤト大丈夫かな〜ってソワソワしてて…』

『もう!それは今はいいでしょ!!』

 

「心配してくれてありがと。でも、だいぶ楽になったから大丈夫だよ」

『そう?…ならいいけど』

 

「それよりどうなった?いや、まあ聞くまでもないが一応聞いとくわ。Saint Snowが決勝進出、東京で俺たちとぶち当た…」

 

 

『…違うの』

 

ピンク色の光とこの声、ルビィのものだ。

 

「違う?何が?…いや待て、まさかとは思うが…」

 

『マジだよ、ハーさん。Saint Snowは…』

 

 

スピーカー越しに憐から告げられた北海道地区大会の衝撃の結末に、俺も博士も耳を疑った。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「びっくりしたね…」

「まさか、あんな事になるなんて…」

 

「これがラブライブなんだね」

「一度ミスをすると、立ち直るのは本当に難しい…」

「一歩間違えれば私たちもってこと?」

 

「否定はできないゼ、ヨッちゃん。決して他人事じゃネェ…ある意味俺っち達もだケド」

 

「でもこれで、もう決勝に進めないんだよね…Saint Snowの2人…」

「敗者復活戦、なんて都合のイイもんもないシナ…」

 

 

結論から言うト、Saint Snowはトップ3にも入れず敗退。理亞ちゃんの方がステップをミスって2人ともぶつかって転倒…とてもじゃないが続行不能って感じだっタ。

 

俺っちが控室で感じタ、あの張り詰めた空気…あの時、何かしらアクシデントは起こりそうダなんて直感が告げていたガ、まさかこうなるなんてナ…。

 

 

「まだ気になる?」

「うん、まあね…」

 

「ずっと2人でやってきたんだもんね…」

「それが最後の大会でミスして…」

 

「まぁ、こんなこともあるサ。勝負の世界なんだから…なんて、割り切れねえよナ」

 

「でも、私たちが気に病んでも仕方のないことデース」

「…そうかもね」

 

「あの2人なら大丈夫だよ」

「仲のいい姉妹だしね」

 

「じゃあ、この後はホテルにチェックインして…」

「明日は晴れるらしいから、函館観光だね!」

 

 

そんで翌日。

俺っち達は色々街を見て回った後五稜郭タワーへとやってきていた。

 

五稜郭…時代の移り変わりの幕末、新政府軍と旧幕府軍がやり合ってたとかなんとか…まあ俺っち歴史そんなキョーミ無いんだけどネ。

 

しかしタワーの上から見ると、本当に五角形が綺麗ダナ…今ほど技術が発展してないにも関わらず、昔の人ってスゲェな…。

 

 

その後、歩き回って疲れたナって事で俺っち達はお茶にする事ニ。見つけた店が────

 

 

 

「『くじら汁』?」

「シブい…」

 

「今調べてみたら塩漬けにした鯨の肉やら野菜とか山菜を煮て作るんだってサ。年越しの時に食うらしいゼ?」

 

「とにかく入ってみようよ!すいませーん?」

 

 

千歌サンが戸を開けて呼ぶも、何故か声はしない。…開いてるよナ?

 

「商い中って書いてありマース」

「じゃあ開いてるカ」

 

「失礼しまーす…!」

 

マルちゃんも寒がってたので、とりあえず中に。靴脱いで入るタイプか…

 

 

「ワタシぜんざいが食べたいなー!」

「俺っちせっかくだしくじら汁食ってみるカナ…あと抹茶」

 

「憐くん以外とシブいチョイスなのね…」

 

「ルビィちゃんは何ヲ…ルビィちゃん?」

 

一番遅いはずのルビィちゃんが来ねェ。

廊下を覗いてみるも入り口にはおらず…いや、反対方向に一瞬赤毛が見えたナ…トイレか?

 

「オーイ、ルビィちゃん何を……エ?」

 

とりあえずルビィちゃんは発見。

が、俺っちはそっちよりももう1人の方に目が向いてイタ。

 

ベッドにうつ伏せになってイテ、さっきまで泣いてたのか目元が赤くなっていたその人物。

 

「アンタは…!」

 

Saint Snowの鹿角理亞ちゃんだったノダ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ウメーなコレ!」

 

「綺麗な見た目…」

 

「雰囲気のある、いいお店ですね」

「その制服も可愛いし!」

 

「この美味しさ…まさに天界からの貢物!」

 

「おかわりずら!」

「早っ!?」

 

 

「学校に寄られるかもとは思っていましたが、ビックリしました」

 

「そりゃ俺っち達もっすよ。まさか観光の休憩がてら偶然立ち寄ったここが、聖良サン達のウチだったなんてナ」

 

「街並みも素敵ですね。落ち着いてて、ロマンチックで…」

 

「ありがとうございます。私も理亞も、ここが大好きで…大人になったら2人でこの店を継いで暮らして行きたいなって…」

「…そうなんだ…」

 

「…昨日は、残念でしたわね」

 

「いえ。でも…」

 

 

「食べたらさっさと出ていって!」

 

 

「理亞!なんて言い方を…!」

 

 

そう言ってルビィちゃんに何か呟くと、理亞ちゃんは店の奥に引っ込んでいってしまっタ。

 

「ごめんなさい。まだ昨日の事が引っかかってるみたいで…」

「…まあ、そうですよね…やっぱり」

「無理もネェよ。あんなのがあった後じゃナ…」

 

「でも、私は後悔してません。これまで全力でやってきたことに変わりはありませんから。だから理亞も、きっと次は────」

 

「嫌!何度言っても同じ!私は続けない、スクールアイドルは!Saint Snowはもう終わり!」

「本当にいいの?あなたはまだ一年生、来年だってまだチャンスは…」

 

「いい。だからもう、関係ないから。ラブライブも…スクールアイドルも」

 

 

そっか、理亞ちゃんに関しては俺っち達と同じ一年生…三年生の聖良さんはともかくまだやれるのか。なのにやらないって…

 

「お恥ずかしいところを見せてしまいました。ごめんなさい」

 

「don't worry.ってハーさんなら言うかもナ。ああそうそう、ハーさん思ったより体調楽になってた見たいダゼ?この分ならクリスマスまでには治せるかもってサ」

 

「そうでしたか。それはよかった…ごゆっくりどうぞ」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

その後、昼食がてら有名なバーガーショップへ。さっき割と食ったはずなのに意外と腹減るもんダナ…マルちゃんはこれまたデカいハンバーガー食ってるシ…

 

「何も辞めちゃうこと無いのに…」

「でも続けるにしても、理亞ちゃん来年は1人になっちゃうんでしょ?」

 

「新メンバーを集めてrestart!」

「って、簡単には考えられないでしょ?」

 

「正直コミュ力長けてるとは思えんしナ…」

「憐君?」

「いっけね、口がスベッた」

 

「わたくし達もそうでしたものね…」

 

旧Aqoursから今に至るまでの事カ…俺っちも加入前の事はよく知らないケド…色々あったってのは聞いた事がアル。

 

「結局ステージでのミスって、ステージで取り返すしか無いんだよね…」

「ですが、そうしてすぐ切り替えられる程、人の心は強くはないのですものね…」

 

「自信、無くしちゃったのかな…?」

 

 

 

「…違うと思う」

 

「ルビィちゃん?」

 

「聖良さんがいなくなっちゃうから。…お姉ちゃんと一緒に続けられなくなるのが嫌なんだと思うお姉ちゃんがいないなら、もう続けたくないって」

「ルビィ…」

 

「アンタ…」

「すごいズラ…」

 

まぁ、気持ちは分からんでもナイ。

今までずっと一緒だったのが、あんな事があって終わって…それで今度は1人でって…辛えに決まってるヨ。

 

「そうだよね…寂しいよね…」

 

「ち、違うの!ルビィはただ、理亞ちゃんが泣いて…あっ」

 

「泣いて?」

 

「…あぁ〜」

 

「ピ…ピギィィィィ!!」

 

さっきのアレか…とふと思い出しタ。

って、ルビィちゃん飛び出してっちまったんダガ!?

 

「ワリ、俺っち行ってくる!」

 

「きゃっ!?」

 

「っ、ヤベッ!」

 

ルビィちゃん追いかけなきゃって気持ちで気づかなくて、人とぶつかってしまった。なんとか反射でギリギリ相手の手を掴んで尻餅つくのは避けられたケド…

 

「ごめんなさい!大丈…」

 

「…憐くん?」

「へ?」

 

「憐くんよね!?」

「なんで俺っちの名前…アレ!?」

 

ベージュのコートに暗めの緑色のマフラーを巻いたハーフアップな栗色の髪の女性。俺っちはこの人の事をよく知ってイタ。

 

「…明日香おねーちゃん!?」

 

ぎゅうと抱きしめられ、頭を撫でられた。この人は明日香おねーちゃん。

俺っちがまだ幼かった頃…よく覚えてないんだけどよく一緒に遊んでたらしいオネーサンで…父さんと母さんが亡くなったあとは親代わりに育ててくれたヒト。

 

「急にいなくなって、連絡つかなくなったから心配してたのに…無事でよかった。元気そうでホッとしたよ」

「…まぁ、色々あってネ。とりあえずちゃんと学校も行ってるし、今は楽しくやれてるヨ」

「…そっか。ならよかった」

 

「憐さん!?ルビィは…あ…」

 

明日香おねーちゃんをみるや否やペコリとお辞儀をするダイヤサン。

 

「こちらの方は?」

「…憐くんのお友達?」

 

「まあ、そんなとこ。今の学校の先輩で仲間の…」

「黒澤ダイヤと申します。あなたは…憐さんのお知り合いの方ですか?」

 

「ダイヤちゃん、って言うの?いい名前ね。あ、私は安達明日香。憐くんのご近所さんってところかな?」

「ダイヤちゃん…って、憐さんのご近所さん!それがどうしてこちらに?」

「確かに、偶然とはいえ北海道だなんテ…」

 

「旅行旅行。一人旅ってところかな?たまにはこういうのも良いでしょ?」

「確かに…あ、ダイヤさん。ルビィちゃんならあっち行ったゼ?今ならまだ間に合うと思う」

「分かりました!」

 

そう言ってダイヤサンはルビィちゃんの元に駆けて行った。

 

「それにしても、本当に久しぶりだね。というか俺っちって、何その一人称?」

「キャラ作りカナ?ほら、第一印象とか新しい場所だと大事じゃん?」

「フフッ♪だとしてもそれは変でしょ?」

「エ〜そうカナ?」

 

 

「そうだ、積もる話もあるし、少し2人で話さない?」

「あ〜そうしたいんだケド、今他のみんなもいるカラ…」

「ああそっか…じゃあ、今夜って空いてる?」

 

「夜?いいケド…」

「連絡先変わってないよね?こっちから連絡するから、そしたら落ち合おう?」

「分かった!」

 

「それじゃ、また後でね!」

「オウ!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「あれ?ルビィは?」

「ちょっと行きたい所があるって」

 

「それに、さっき憐も出て行ってたけど…」

「憐くんも同じ。なんかすごい美人さんと一緒だったずら」

 

「すごい美人…ハッ!まさか、逢引き!?いやでも憐って彼女いなかったわよね…まさか、この地で運命の出会いがあったとでも!?」

「そうかもね〜」

 

「というかそのハンバーガー…」

 

「あ〜むっ!」

 

「ルビィに買ってきてあげたやつでしょ?」

「いらないって」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ゴメン!結局無駄に時間かかっちまっテ…」

「ううん、大丈夫!それにしても、良い子達だね、みんな」

「まぁ、ネ…」

 

案の定みんなに見つかって明日香おねーちゃんとの関係をしつこく聞かれたせいで、思いの外出発が遅れてしまった。

 

「じゃあ、行こっか!」

「オウ!」

 

すると、俺っちの手が手袋をつけた明日香さんの手に握られた。一応俺っちも手袋してるから寒くは無いんだケド…

 

「あ、ゴメンね?つい昔の癖が…」

「あーいいのいいの!俺っちもまぁ、嫌ではないシ…?」

「そっか。ならこのままで」

「うん!」

 

そうして俺っち達は、夜の街へと繰り出した。

今の時期の夜らしくイルミネーションが煌めいていて、昼間の街とはまた違った雰囲気を醸し出してイタ。

 

「へぇ〜!じゃあ憐くん今はあのスクールアイドル…Aqoursって子達の友達ってこと!?」

 

「そうそう、色々あってサ。今はもう1人の先輩…こっちも男でハーさ…隼斗サンって人なんだけど、これがすごい頼りになる人でサ。その人と一緒にマネージャー的な事やってるんだ」

 

「アイドルのマネージャーさんかぁ…なんだかすごい事してるね。でも、そのもう1人の子は?」

「あー実は色々忙しくしてたせいか体調崩して風邪引いててサ…今は療養中」

「あらら、せっかくの北海道なのに…」

 

「だからその分色々土産話を持ち帰ってやろうカナって。ちょうど明日香おねーちゃんにも会えたしネ」

 

「なら、今度その子にも会わせて欲しいな?憐くんが尊敬してるっていうその人にも」

 

 

「尊敬、か…どうだろうな」

 

あの戦いからしばらくが経って、ふと思う事がある。実力は上、だなんて最初に言ったこともあったけど、自分とあの人の間には、とっくに差ができているのではないかと。

 

「…どうしたの?」

 

「尊敬、というよりは…もしかしたら嫉妬かもね」

「嫉妬…?」

 

ダブルの協力ありきとはいえ、ハーさんはあの強敵、エルバを打ち破った。蛮野の野郎も1人で撃ち倒せる程に力をつけて、使用者の体への負荷が大きいオーバーブレイクによる限界突破をも使いこなした…。

 

「俺っちとは違って、あの人なんでもできる人だからさ。仲間のみんなにも好かれて、すごく頼りにされてるからさ。どんな不可能も可能にしちゃう、正義のヒーローって感じで…」

 

あの先輩達と比べるとどうかは知らないが…オレの思う限り、今のあの人は間違いなく『最強』になったと言っても過言では無い。

 

 

「ヒーロー、かぁ…」

 

「…おねーちゃん?」

 

「憐くんだってそうじゃないの?だってあの子達、みんな憐くんのことを…」

 

「今は、ね。けど…オレはヒーローなんてもんじゃ…」

 

 

 

「────!」

「────!」

 

何やら言い争う声が聞こえる。

その2つとも、何処か聞き覚えのある声で…

 

「この声…」

「あっちから!」

 

明日香おねーちゃんの手を引いて声の聞こえた方に走る。するとソコには…

 

「バク転できないでしょ?」

「日本舞踊だったら人に教えられるくらいできるし、お琴もできるし!」

「スクールアイドルに無い!」

「そんなことないもん!必要な基礎は同じだって、果南ちゃんも言ってたもん!」

 

 

「…ナニしてんのルビィちゃん」

 

「あ、憐くん…と、誰?」

「何?あなたの知り合い?いや、男の方は確かマネージャーだったわね。えーと…憐?」

 

「せーかい。そしてこっちガ…」

「安達明日香。憐くんのお姉ちゃんってところかな?」

「憐くんお姉ちゃんいたの!?」

 

「あ〜近所の、ね。近所の。血の繋がりは無いの」

「あ、そうなんだ…」

 

「で、何してたのサ2人共…」

 

「ルビィと理亞さんのお姉ちゃん、どっちがすごいかって話!憐くんはどう思う!?ルビィのお姉ちゃんの方が凄いよね!?」

「いいえ!あなたもパフォーマンスの動画とかを見た事があるなら分かるはず!姉様の方が上!」

 

 

「…あーそうだナ〜…うーん…どっちもどっちじゃナイ?」

 

「どっちもどっち?」

「どういう事?」

 

「伝統文化に触れて育ってきたダイヤサン、ラブライブのためダンスも歌もパフォーマンスも、様々な形で磨いてきた聖良サン…やってきた事は違えど今は同じ土俵で勝負してて…とにかくどっちも凄いってことサ」

 

「…結局、答え有耶無耶にしてるじゃない」

「それを言うんじゃねぇヨ…」

 

「あの〜少しいいかな?」

「…なに」

 

「えーと、理亞ちゃん、でいいのかな?」

「そう…ですけど」

「そのお姉さんのこと、大好きなのね」

 

「当たり前でしょ!それにアンタ!」

「俺っち?」

 

「違う!アンタじゃなくて…」

「ルビィのこと?」

 

「そうよ!普段気弱な癖に…」

 

「…だって、大好きだもん。お姉ちゃんのこと」

「…ルビィちゃん」

 

「それでね?ルビィ、お姉ちゃんと話して分かったの。…嬉しいんだって。お姉ちゃんがいなくても、別々でも…頑張ってお姉ちゃんの力無しでルビィが何かできたら嬉しいんだって。

 

…きっと、聖良さんもそうなんじゃないかな?」

 

「ダイヤサンと話した?…俺っちが明日香おねーちゃんと話してる間に、何かあったの?」

「うん。…実はね」

 

「憐くん、どういうこと?」

「あ〜ほら、昼間会った黒髪のヒトいるでしょ?あの人がダイヤサン。ルビィちゃんのお姉さんだヨ」

「あーあの人!姉妹だったんだ!…あ、ゴメンね話逸らしちゃって。で、何があったの?」

 

ルビィちゃんは、理亞ちゃんの気持ちに気づいていたらしい。同じ三年生の姉を持つもの同士、ルビィちゃんもまたダイヤサンの卒業を控えてイル。

 

ダイヤサンは、一年のみんなと、二年のみんなと、そして俺っち達とここまでこれた事を、ルビィちゃんの成長を、とても喜んでイタ。

 

それと同時に 全部終わったらどうするかというのを聞かれたらしイ。ルビィちゃんの答えは…

 

『分かんない。でも、学校無くなっちゃうし、お姉ちゃんたちもいなくなっちゃうし…』

『…そうですわね』

 

『お姉ちゃんは?』

『…そうね。分からないですわ、その時になってみないと。今はラブライブ決勝の事しか考えないようにしていますし。ただ────』

 

 

 

「…そんなのは分かってる」

「理亞さん…」

 

「だから頑張ってきた。姉様がいなくても1人でできるって、安心してって。なのに…最後の大会だったのに…!」

 

 

自分のミスで、それを終わらせてしまっタ。

その責任感が、彼女に重くのしかかっていたのだろう。

 

「じゃあ、最後にしなければいいんじゃないかな!?」

 

「…?それってどういう…」

 

 

その瞬間、俺っち達に何処からともなく鉄線が飛びかかって来た。鉄線は足元に刺さるとスパークを散らし火花が俺っち達を襲った。

 

「キャッ!?」

「なに!なんなの!?」

 

「れ、憐くん!これって…」

 

 

「ようやく見つけたぞ、仮面ライダースレイヤー!」

 

「ッ!テメェは…」

 

そこにいたのはコブラ型のロイミュード。

そのナンバーは…065。

 

「か、怪物…!?」

「憐くん…仮面ライダーって…?」

 

 

「…人違いじゃねぇノカ?誰が仮面ライダーだって…」

 

「しらばっくれても無駄だ!既に004から情報は聞いている。それでもなおシラを切るつもりならば…」

 

 

096が変化する。

髑髏顔に老人のような顔つき、腰に差した一本の竹刀のような剣。進化態のジャッジ・ロイミュードだ。

 

「ただの人間を騙る悪として貴様を裁く!」

 

「やっぱり、ロイミュード….!」

 

「それって、確か昔ニュースでやってた機械生命体…!?」

「東京で出てたって聞いたはずなのに、なんで北海道に!?」

 

理亞ちゃんと明日香おねーちゃんも驚いている。そうだよな、俺っち達はともかく2人はロイミュードが蘇ってるってことを知らねーもんナァ…!

 

「行くぞォ!!」

「3人とも、離れてロ!」

 

走り込んできたジャッジの剣による素早い打ち込み。初手の2回は避けられたが、その後の連撃はガードせざるを得なかっタ。

 

「どうした!変身しなければ死ぬぞ!!」

 

そのまま突きが腹に直撃し思わず蹲る。

クッソ…!明日香おねーちゃんには黙ってるって決めたノニ…!

 

「まだ変身を渋るか…であれば、仕方ない」

 

ジャッジの視線が向いた先は…っ!ルビィちゃん達!?

 

「ピギッ…!」

「悪人以外をいたぶるのは主義に反するが…悪く思うな、小娘共!」

 

腕から射出されるワイヤー。

高電圧をまとったソレは、生身の人間が喰らえばひとたまりもなイ…!

 

3人に迫るワイヤー。だが────

 

「2人共!」

 

ルビィちゃんと理亞ちゃんに覆い被さるようにして2人を守る明日香おねーちゃん。

 

 

それを見て、オレの心も決まった。

 

「お前ラ!」

 

シグナルスレイヤーとシフトデッドヒートメテオがそのワイヤーを弾いた。突然の事にジャッジも驚いたようだが、達人をコピーしてただけはある。すぐに体勢を立て直してイタ。

 

 

「…ようやくやる気になったか、仮面ライダー!」

 

「仮面…」

「ライダー…?」

 

3人の前に立ち、ドライバーを構えル。そうだった、だいぶ前にハーさんにも言ったっけ。正体バレがなんダ、それで守りたいもん守れなくなるぐらいなら…失うぐらいなら…

 

そんなもの、クソ喰らえだ。

 

「理亞ちゃん、それに明日香おねーちゃん。

それにルビィちゃんも、安心していいヨ。ここからは…俺っちが守る!」

 

「憐…くん…?」

「あなた、いったい…」

 

「明日香おねーちゃん、見てて。今の俺っちを…俺っちの、変身!」

 

マッハドライバーMk-IIを装着、シグナルランディングパネルを展開し、シグナルスレイヤーを装填。パネルを下ろした。

 

《SignalBike!Rider!》

 

両手は爪を立てるような手つきで、立てた左腕と横にした右腕を交差させ、右手をゆっくりと引く。腰を落としながら体を左に捻って左手は腰に、右手は爪を立て、敵に向けて構える。

 

そして自分を戦士に変える、2文字のフレーズを唱えた。

 

「────変身」

 

漆黒の狼を模した装甲が身を包み、鋭い爪が黒光りする。紫の鋭い複眼が光り、俺っちを1匹のケモノへと変えタ。

 

「憐…くん…?」

「あなた、それは…!」

 

「きた!仮面ライダー!」

 

「ほぅ…」

 

 

「この世の悪党、魑魅魍魎。全てを狩り殺す漆黒の戦士!仮面ライダー…スレイヤー!」

 

悪を闇を、全てを己の黒で塗りつぶす。

仮面ライダー、スレイヤー!

 

「勝負ダ…ジャッジ!」

「いいだろう、かかって来い若造!」

 

互いに爪と剣を構えて駆け出す。

ハーさんがいない今、俺っちが1人でコイツを倒すんだ!

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハァッ!」

「っ!にゃろうッ!」

 

剣による攻撃を左のクローで受け、右で切りつけル。そのクローを上に弾き胴に一発。

 

戦闘開始から少し経った今も俺っちとジャッジの攻防は一進一退の状況だっタ。

 

「答えロ!何故俺っちを狙ってきた!ハーさんって選択肢もあったダロ!」

「知れた事を!あの小僧では俺の力の足しにならん。さっきも言った通り、俺の目的は貴様だ仮面ライダースレイヤー、狩夜憐!」

 

「名前が売れてて嬉しいネェ…ハーさんばっか警戒されんのも腹立つから、ヨォ!!」

 

振り下ろされる剣をクローで弾き、左右の連撃。

ドロップキックで吹っ飛ばす。ジャッジは地面を転がるも、剣を杖にして即座に立ち上がっタ。

 

「んで、なんなのさ。目的が俺っちって」

 

「俺はかつて、とある男の復讐のために人間と手を結んだ。だがあと一歩及ばず仮面ライダーに阻まれた!あの甘い正義を掲げる小僧共に!」

 

再びの激しい打ち込み。先ほどよりも目が慣れたのか、今度はクローでガードして受け切って剣を押し上げて側頭を入れる。

 

「その復讐のためってか!なら俺っちを狙うのは筋違いだと思うけどナァ?」

「いいや、そうでもないさ」

「なに…?」

 

「仮面ライダースレイヤー、狩夜憐。俺は知っているぞ。貴様にもいるのだろう、殺したい程に復讐したい相手が!」

「っ!?」

 

何故、お前がそれを知っている。

思い出したくも無い、自分の中に封印した、そして2度と繰り返すまいと誓った、あの地獄のような記憶の事を…!

 

脳裏に過ぎる、かつての光景。

腕に負った古傷が疼く。

 

「どうだ、仮面ライダー。俺と来ないか?」

「んだと…!」

 

「俺がお前の代わりに…いや、お前に復讐させてやろう。俺とお前が組めば、あの時をも超える最強の復讐者へと進化できるはずだ。どうだ、悪い話では無かろう?」

 

「っ!黙レ!!」

 

突き出したクローがジャッジの胸を抉る。

確かに、奴は憎い…殺したい程に!でも…例えそうだとしても、オレは…俺っちは!

 

「ロイミュードと組むなんて、ゴメンだぜ!!」

 

《ズーット!Slayer!!》

 

シフトアップして加速、ジャッジに急接近すると飛び蹴りをかまして吹っ飛ばし、更に追いついて両手のクローによる連撃。掴んで地面を転がり蹴り飛ばしタ。

 

「っ!まさか、ここまでとは…」

 

「それは…()()が独りで成すべき事だ」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer!!》

 

ドライバーのパネルを上げ、イグナイターを単押しして再び下ろす。両手のスレイクローにエネルギーがチャージされる。

 

「ハンティング・エンド!」

 

立ち上がったジャッジに放たれる、エネルギーの斬撃の雨霰。ジャッジのボディーはズタズタに引き裂かれ、爆散した。が────

 

 

「…逃げたか」

 

どうやらあの剣で電撃を放って、エネルギーの斬撃の一部を弾いていたらしい。コアの破裂する音がしなかっタ。

 

「ま、いいや。次仕留めればいいだけのコトだしナ」

 

《オツカーレ!》

 

「…ふぅ」

 

「憐くーん!」

 

シグナルスレイヤーを抜き、変身を解いた。

なんとかハーさん抜きでもやれた事にホッとして小さく息を吐くと、3人が駆け寄ってキタ。

 

「勝ったの!?」

「とりあえずは、カナ。逃げられちった」

 

「あんだけカッコつけておいて、逃げられたんだ」

「ハァ!?助けられといてそれ言うかヨ普通!?」

 

「まあまあ2人ともその辺に。それよりも、憐くん。今のは────」

 

「ごめんね、明日香おねーちゃん。コレが今の俺っち、仮面ライダー」

 

「憐くん…」

 

明日香おねーちゃんの手が俺っちに伸びる。

ハーさんが果南さんにやられたみたいに引っ叩かれるかと思いきや…ぽすん、と頭の上に手が乗せられ、撫でられていタ。

 

「すごいじゃん。本当にヒーローになっちゃってたなんて」

「おねーちゃん…」

 

「そうだよ!憐くんはすっごくすっごく強いんだから!ルビィもお姉ちゃんも何度も助けられたし…!」

 

「ルビィちゃん…あんがとナ」

 

「…まあ、すごいってのは分かった。それは認めてあげる」

「何を偉そーニ…」

 

「でも、みんな無事でよかったね。それでいいじゃない」

「明日香おねーちゃん…」

 

「それよりもルビィちゃん」

 

「へ?…はい!?」

「そんなに驚かなくても…あ、そうそう。あの時、何か理亞ちゃんに言い掛けてたんじゃないかなって思ってさ」

 

 

「…あ、そうだった!忘れてた!理亞ちゃん!」

「…な、なに?」

 

その瞬間、俺っち達の周りがパッと明るくナル。ふと見ればそこには巨大なクリスマスツリーが。

 

 

「…理亞ちゃん、歌いませんか?一緒に曲を…お姉ちゃんに送る曲を作って、この光の中で…もう一度!!」

 

 

 

次回に続く!





久々本編は函館回からのスタート。
隼斗は風邪でくたばってる途中のため、今回は憐が頑張ります!
彼が幼い頃に世話になっていた女性、明日香も加わり彼に関する物語が加速します。

またジャッジが少し触れていた憐の過去については以下のリンクから度近亭心恋さん作の本シリーズスピンオフ作品『仮面ライダーソニック 掌編集』をご覧ください↓
https://syosetu.org/novel/239403/

なお、その憐本人のエピソードがアレなためR-18指定作品となっています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。


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