東方紫藍談  ~紫と藍の幻想談~ (カテサミン)
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《東方紫藍談》キャラクター設定資料室・壱



 【設定資料室】での注意になります。

 設定はこれからも話を投稿していくので徐々に更新していきます。

 5人ごとに資料として乗せていきます『設定資料、壱』としているのはそのためです。

 続々、更新してきます。




 噂話程度の物まであります。この小説の若干のネタバレがあります。

 二次設定、事故解釈ですのでご了承下さい。




 それでは、『東方紫藍談』設定資料室へようこそ!




 

 

 【八雲紫】

 《境界を操る程度の能力》

 

 《一人しかいない八雲紫という名の種族の妖怪》

 

 『年齢』ヒミツ♪

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 境界弄り 幻想郷の住人全員 住人達とお喋り 藍との談話 藍弄り 霊夢の全て 最愛の親友との語らい 自分磨き 睡眠 度数濃いめの酒

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 束縛系の仕事 説教 退屈 年寄り扱い 幻想郷に害を成すもの 睡眠の邪魔 綿月姉妹 自分と同じ波長の人物 つれぇ出来事 おにぎり(死ぬほど嫌い) 

 

 

 

 

『東方紫藍談』の主人公にして一番の問題児、今日も幻想郷に非日常と言う名の嵐を巻き起こす超絶美人の大妖怪♪

 

 

 境界を操る程度の能力を用いて、空間の境界を操りスキマという穴を作り出すことができ、そこに数々の物を収納したり、空間と空間を繋ぎ、行き来したり、幻想郷の住人を呼び出したりする事が出来る。スキマを開くとき、ギュオンと音が鳴る。

 

 スキマの能力で他人と合体できる。

 

 幻想郷の表と裏の顔を全て知っている者の一人。

 

 

 自分の気に入った物はスキマの中に入れておく癖があり、それが度々問題に発展することがある。

 

 

 『スキマオシオキ秘術』というスキマを使ったおしおき術が893通りある、主にご乱心モード中の八雲藍を止めるために使われる。

 

 

 六十四卦の沢地萃なる紋様が描かれた道士服のような服を着ている。またナイトキャップに似た帽子も着用、同じ服がスキマの中に1000着以上ある、紫外線百%カットの日傘もそれぐらいあるとか

 

 

 幻想郷という忘れられた者が最後に訪れる秘境の管理人であり、幻想郷の住人全てを愛していて住人達の悩みを聞くため『スキマボックス』なるものを作ったりしている。『幻想郷は全てを受け入れる』という言葉も彼女が作った。表には出さないが、かなり愛情深い妖怪。幻想郷に仇なすものには容赦はしない。

 

 スキマが誤作動するときがあり、たまにそれが問題に発展するときがある。

 

 誤作動ではあったが『河城みとり』が霊夢達と友達になるきっかけを作っている

 

 

 気になった事は直ぐ調べ、頭に叩き込まないと気がすまない、自分がやりたいことを周りを考えずにやる、思い立ったら直ぐ行動な性格をしているため幻想郷の住人達からめんどくさがられる事が多々あるが、自分が作り出した幻想郷のためを思っての事だと自負している。結果的には全て丸く修まっているため計算付くでやっているのではないかと疑念を持つものもいる。 …が、基本的に後先考えずに行動しているし、オープンに自分をさらけ出しているため胡散臭いとはあまり言われない。

 

 

 交遊関係はかなり広く、天界から地底、果ては魔界まで…とありとあらゆる人物と知り合いである

 

 

 

 前述の通り幻想郷の全ての住人を愛しているが、博麗霊夢だけは溺愛以上の何か状態である。何故この様になるのかは未だに分かっておらず、スキマを開けて霊夢の所にいきなり訪れては帰れ! と言われるのは鉄板ネタであり、そのやり取りはまるで夫婦か親子のそれである。

 

 博麗霊夢、霧雨魔理沙、十六夜咲夜の三人の人間は彼女にとって『特別な存在』であると咲夜に対して本人が打ち明けた。

 

 外の世界出身の十六夜咲夜を幻想入りさせた張本人でもある。

 

 

 

 レミリアとは霊夢を取り合う仲であり、ライバルでもあるがそのライバルにバレンタインで手を貸しているのでライバルとは言いつつかなり仲が良いのではないかと噂されている。

 

 何百年も昔、レミリアが起こした吸血鬼異変を幻想郷の賢者、当時の博麗の巫女、力のある妖怪達と協力し異変を解決したことがある。 

 

 その際、紫はレミリアに対し『人間を好きになれる素質がある』と見出だした

 

 同じ賢者である摩多羅隠岐奈とは小言を言い合う仲であり『何かあれば頼りになる』とお互いに信頼している。

 

 幻想郷の裏の巫女である冴月麟とは特別な関係、彼女の活躍を暖かく見守っている。

 

 

 

 

 

 自由奔放に生きているため自分を束縛するタイプの仕事は嫌いだが幻想郷のためになる仕事は率先して片付ける、それ以外の仕事は自分の式神の八雲藍に押し付けている。

 

 

 趣味は住人達との会話、睡眠、境界を弄って遊ぶこと。八雲藍と談話することが一番の楽しみであるが本人は決してその事を言わない。

 

 

 式の式である橙には将来、八雲の名を受け継がせようとしている。

 

 

 大妖怪故の行動なのかパワーを蓄えるため冬眠をする珍しい妖怪である、冬眠は1月1日から3月1日までの間に紫の作ったスキマの中で行われるが、本当に冬眠しているのかは怪しいところである。

 

 冬眠前はイライラしているため能力を使うのを嫌がる、口調が荒くなる、不安定になる等の弱点を抱える。

 

 冬眠前日には『割りと困ったちゃんな性格』が『割りと本気で困ったちゃんに』なってしまう、その最たる例が心配性である。

 

 博麗の巫女に一言言ってもらわないと安心して眠れないらしい。

 

 また眠らなくても良いらしく幻想郷が非常事態のときには眠らない。

 

 

 自分の事をゆかりんと呼ぶ時がある、これは『自分は今ふざけていますよ』という意思表示であり、何か事件が起きている時はゆかりんと言わない。 

 

 『助けてゆかりん』は魔法の呪文、この言葉が幻想郷で発せられた場合、直ぐに発っした者の所にすっ飛んでいく様にスキマに細工をしている。

 

 

 自分と同じ波長の人物が苦手、理由は『ゆかりんは二人もいらない』から。

 

 おにぎりが苦手な理由は明かされてはいないが親友の西行寺幽々子はその真相を知っている…と言うか原因を作った張本人。

 

 月の民の事は大嫌いだが月から幻想郷に移住してきた者には敵意を示さず友好的に接する。

 

 クリスマスの事件で鈴仙と仲良くなっている。

 

 

 『○○りんバトル』というカオスなバトルを考えた張本人。 ○○りんとあだ名を付けられるもしくは呼ばれる物しか挑戦出来ず弾幕ごっこに絶対に勝らない戦いである。

 

 戦い方式もカオスそのものでスキマの中で公式大会まで開いている。

 

 ○○りんバトルの初代チャンピオンでもある。

 

 

 異界にあたる魔界にも知り合いが多い、魔界神から死の天使までありとあらゆる魔界人と友達である

 

 

 隠しているが時を渡れる能力を持っている、

 

 境界をいじってやっているのだろうが実際はどうやって時を渡っているのかは分かっていない。

 

 

 頑張れば一週間程で自分のスキマ空間に太陽と月のレプリカ、一軒家、川、大木、大草原を作り出すことが出来る(ゆかりんハウス)

 

 

 

 

 現在から見て未来の世界にいるマエリベリー・ハーン(メリー)と宇佐見蓮子とは特別な繋がりがあり、紫はこの繋がりを隠している

 

 この繋がりの秘密は墓場まで持っていくつもりである

 

 

 魔理沙の師匠である魅魔とは友達以上の関係を持っている、とても仲が良い様だ

 

 

 最近怖かったことは親友に食われかけたこと

 

 口癖が『つれぇ』になりつつあったが遂に口癖になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【八雲藍】《式神を使う程度の能力》

 

 《式神 化け狐 九尾の狐》

 

 『年齢』軽く見積もっても千歳以上

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 読書 計算問題の暗記 紫と談話しながら茶を飲む事 紫との非日常 橙の全て 尻尾の手入れ 掃除 頭を撫でられる事 油揚げ いなり寿司 きつねうどん きつねそば

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 仕事を押し付けられる事 尻尾を蹂躙される事 過度のストレス 気持ち悪い系の虫 耳をつんざく大きな音 夏の暑さ 八ツ橋 たぬきそば たぬきうどん

 

 

 

 『東方紫藍談』の二人目の主人公にしてこの物語の一番の苦労人、今日も八雲紫の非日常に巻き込まれて頑張る毎日。

 

 

 性格は基本的に穏やか、涙脆く中性的なしゃべり方をし、八雲紫と同じ様な道士服を着ている。 狐の耳を隠すための帽子を被っている、その帽子は紫が作ったものである。

 

 通常、式神は式に使う紙が濡れると術が解けてしまうが藍はこの弱点を克服している。

 

 

 能力は橙以外に使っていない、理由として橙以外に式にしたい妖怪がいないため…愛故のせいではないらしい。

 

 

 前述の通り、主である八雲紫の非日常に巻き込まれてストレスを溜めている毎日を送っているが、その非日常を楽しんでいる自分もいるためやること全てを否定出来ない。

 

 だがストレスが溜まりに溜まってしまうとご乱心…いや、ご藍心モードに移項してしまう。自分の式である橙を溺愛し過ぎて『狂喜の藍しゃま』になってしまう。

 

 そのストレスには自分で気付いており、何とかしたいと言う理由から《今日も一日お疲れ様でしたの会》を魂魄妖夢と共に設立、上司や周りから与えられるストレスを自分で解消するのが難しい者達を集めて宴会を開いている。ちなみに役職は会長である。

 

 

 たまに紫の言葉に反撃するが軽く往なされる事が殆どである。仕事を押し付けられるのは日常茶飯事なので諦めているが、紫の仕事振りは自分には真似できないとも思っている。 

 

 

 実は頭を撫でられたり褒められたりすると顔を赤くして照れてしまう癖がある。

 

 嬉しい事があると尻尾をブンブン振ったりする等、照れ隠しを行動で示す癖もある、褒めちぎられた後に汚れてもいないのに掃除をしだしたりするので分かりやすい

 

 

 自慢の九本の尻尾をまさぐられたり蹂躙されるのが嫌い、毛を整えるのが大変だから。フランドール・スカーレット、古明地こいし、ルーミア、チルノ、西行寺幽々子にやられた経験がある。

 

 

 ゆかりんの幻想郷民のことシリーズでは問題を読み上げる天の声を担当している。 仕事として割り切っているが、たまにおまけで正解にしてくれることがある

 

 

 紫の無茶ぶりに嫌だ嫌だと言いつつ乗ってあげたり、ツッコミを入れてあげたりしているので本当は嫌がってなどいないのではないかという噂がある

 

 

 狸とは犬猿の仲であり、少し抗争があったそうで狸を毛嫌いしている

 

 だが狸側の二ツ岩マミゾウからしてみれば勝手に喧嘩を吹っ掛けられただけであり、全く相手にしていない

 

 たぬきうどん、そばが嫌いで存在を否定するほど大嫌い。

 

 

 

 八ツ橋が嫌い…というか食べれない。

 

 理由として藍がまだ小さい頃、八雲紫に《八ツ橋を食べると尻尾が八本になる》と言われ未だにそれを信じているためである。

 

 因みに付喪神である九十九八橋のことは嫌いではない

 

 

 

 実は千年以上も前、傾国と言う所でブイブイ言わせていた過去があるがこれは自称である。

実際は九尾として産まれたばかりの頃、例えるとチルノよりも小さい背格好で男どもを誘っていただけである。当然相手にされるわけもなく…

 

 紫に言わせれば《ちょっと背伸びしようとした、がきんちょの戯れ》らしい。

 

 その頃に八雲紫と初めて出会っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

【橙】《妖術を扱う程度の能力》(式神憑依時)

 

   《人を驚かす程度の能力》(化け猫時)

 

 《式神 化け猫》

 

 『年齢』不明 見た目十二歳ぐらい

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 八雲紫と八雲藍と自分三人で過ごすこと 友達と遊ぶこと 人を驚かすこと 式神としての修行 マタタビ おやき

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 八雲藍のご乱心 水に濡れること 気持ち悪い系の虫 尻尾を握られること お酒

 

 

 

 八雲紫から見れば式の式、八雲藍から見れば式の化け猫の妖怪、紫が自分の都合に巻き込みたく無いと自制するほど人懐っこく、藍が乱心するほど溺愛したくなる愛くるしい妖怪である。

 

 優しい性格、だが藍に対してたまに辛辣になるときがある。ご乱心している時しか辛辣にならない

 

 紫と藍が住んでいるマヨヒガには住んでおらず、妖怪の山に住んでいる。これは紫がもっと見聞を広めてほしいと言う親心からである。藍がこの事に対して最初は抗議したのは言うまでもない。

 

 友達と遊ぶことが好き。チルノ、大妖精、リグル、ミスティア、ルーミア、等がいる。

 

 また、主との繋がりで魂魄妖夢と仲が良い。

 

 式神が付いている時と付いていない時とでは能力が異なっている…が付いている時の橙しか最近は目撃されておらず、化け猫状態の橙はここ数百年目撃されていない。

 

 紫と藍、この二人といる時間が何よりも好きで大事にしている。 修行が好きなのも二人と一緒にいる時間が増えるためである。八雲の名を受け継ぐ為、日々精進している。

 

 現在、自分が八雲の名に相応しくないことを自覚しており、今自分が出来ることは藍の側に居て癒してあげること、紫の側に居て話を聞いてあげることだと思っている。

 

 …がたまに八雲の名を受け継ぐ事に対して不安があるようだ。

 

 

 

 

 

 

 【博麗霊夢】『空を飛ぶ程度の能力』

 

 『人間 博麗の巫女(十三代目)』

 

 『年齢』不明、大体15~17歳 A型

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 何の変化もない日常 魔理沙との談話 神社の境内等の掃除 妖怪、妖精達との会話 お札作り 和食全般 お酒 お茶(お茶ラー)

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 唐突な紫 変化のある日常 修行 説教 素直になれない自分 めんどうなこと全般 油っこい物 

 

 

 

 

 今回は主人公を紫と藍に任せている東方projectの主人公、幻想郷の顔、楽園の素敵な巫女、博麗霊夢。

 

 怒りっぽく面倒くさがりで、人に対して素直になれない性格をしている。口も悪いが根は優しく困っている妖怪等にアドバイスを与えたりしている。掃除やお札作りは面倒事に入っていない。

 

 照れ屋でもあり、自分にとって嬉しい事が起きると直ぐに顔に出てしまう。 その際、顔が赤くなりニヤニヤが止まらなくなる

 

 

 

 霊夢にとって大切なのは『今』であり、過去は振り返らない性格だが他人が悲惨な過去を送っていたり、悲しい出来事で気持ちを塞ぎ混んでいたりすると叱咤激励し、励ます事がある

 

 

 何の変化もない日常を好んでおり、霧雨魔理沙が神社に来て何の変鉄もない話をし、二人で茶を飲み、たまに異変を解決し、終われば宴会を開いて騒ぐ…これが彼女の日常である。

 

 逆に変化がある事を嫌っている節がある。

 

 自分で気付いていないが妖怪、妖精達とお喋りするのが好きで素直になれない自分自信を嫌っている。

 

 出会った幻想郷の住人の心を惹き付け、その住人から愛される体質をしている。

 

 が、博麗の巫女として妖怪と親しくするのはどうなのかと自答することがある、その際『私は博麗の巫女、私は博麗の巫女』と自分に言い聞かせている。

 

 

 

 

 

 幻想郷のことは紫並みに好きである。

 

 それは博麗の巫女としてではなく博麗霊夢としてである。

 

 

 人間と妖怪が平和的に問題を解決出来るスペルカードルールを考えたのは他でもない霊夢である。

 

 

 天才的なラーニング技術の持ち主でもあり、十六夜咲夜が眠りこけていた紅美鈴に繰り出したジャーマンスープレックスを、紫のおしおきのために見よう見まねで使ったことがある。

 

 格闘技だけでなく、道具を使う技術に対してもそれの使い方を見れば難なく使いこなせてしまえる。

 

 ただその人が持っている特性まではラーニング出来ない様だ。

 

 

 結構ツッコミ気質で自分からはあんまりボケたりしないが、レミリアのカリスマガードを1発ギャグだと思っていたり、アリスの暴走にツッコミを入れたり、ノリが良く少し天然なところがある。

 

 

 華扇に修行を薦められているが華扇の修行コース責めにはうんざりしている。

 

 修行をしない理由として疲れる、めんどくさいがあげられる。

 

 生活習慣が整っており規則正しい毎日を送っている。

 

 

 かなり質素な食生活を送っている、白米とお茶と焼き魚で昼を済ませることも何度か…その事については魔理沙に本気で心配されている。

 

 

 

 

 神社にお賽銭を入れる人がいないので貧乏だと思われがちだが、八雲紫が一ヶ月事に必要な食材、食費、遊び賃諸々を霊夢に渡しているためお金には困っていないが無駄遣いもしない。

 

 そのお金の使い道について本気で困っているため、少し額を減らしてほしいと紫に言ったが断られている。

 

 その額1年で『365万115円』である。

 

 

 紫には溺愛以上の何かを受けている、唐突に現れる彼女にうんざりしながらも話を聞いてあげたり、遊び相手になってあげたりしている。これも彼女の大切な日常の一つになっている。

 

 

 アリスとは何かしらのシンパシーを感じており、自分に似ているところがあると思っている。

 

 高麗野あうんが博麗神社に住み着いた際に追い出そうとしたがあうんのうるうるとした瞳には勝てなかったらしく、半同居狛犬として見ている。

 

 

 自分を動物に例えると狐らしい。

 

 

 女子力向上において料理が得意な事が判明したが、これはまだ霊夢が小さい頃に八雲紫に料理の手解きを受け、料理のなん足るかを教えられたからである。

 

 何故か湯飲みに対して拘りがあるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 【霧雨魔理沙】『魔法を使う程度の能力』

 

 『人間 普通の魔法使い』

 

 『年齢』不明、大体15~17歳 B型のRH-

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 努力 魔法研究 魔導書を読む 霊夢との談話 めずらしい物収集 友達作り 弾幕研究 師匠との思い出 キノコ料理全般(特にキノコグラタン、キノコシチュー) お酒 

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 料理をすること(苦手) アリスの変態の部分 説教 退屈 堅苦しいこと 食べられそうにないもの  

 

 

 

 今回は主人公を紫と藍に任せている東方projectの主人公、普通の魔法使いこと霧雨魔理沙。

 

 どんな人物でも上下関係を気にせず話すフランクな性格をしている。堅苦しいのも嫌い。

 

 そのため妖怪、妖精問わずありとあらゆる人物と友達になっており交遊関係はかなり広い。

 

 中でも子供っぽい性格や態度をしている妖怪や妖精に好かれやすい様子、面倒見が良いからである。(チルノ、フラン、ルーミア等)

 

 霊夢は『妖怪等に好かれやすい体質』なのに対し魔理沙は『妖怪等に自分から好かれに行く』タイプの人間である

 

 『困っている奴が居たら助ける精神』を持っている

 

 

 

 自分が成長するための努力は欠かさないが自分に合わず、これ以上成長の兆しが見えない場合は直ぐにその事について学ぶことをやめる。

 

 決して飽きやすいという訳ではなく機転が利くのである。その最たる例が料理をすることだった。

 

 

 

 

 キノコマスターを自称しており、自身の住居がある魔法の森に自生しているキノコを大半は把握している

 

 知らないキノコ、図鑑に乗っていないキノコは身を持って毒味する等、キノコに対して並々ならぬモノを持っているようだ

 

 

 珍しい物を収集したがる癖があり、欲しいものが人の手元にある場合、死ぬまで借りるのを条件に勝手に持ち出してしまう困った一面も。

 

 だが他人から貰ったものは大切にするところがある。 この事を本人は隠している節がある。

 

 

 親友である霊夢とは一緒にいるのが当たり前の間柄であり、魔理沙が霊夢の元を尋ね、霊夢に茶菓子をねだる光景は日常と化している。これを見ないと落ち着かない人物もいるとかいないとか。

 

 アリスとは種族の差があるものの魔法使い同士、馬が会うのか霊夢の次に一緒にいることが多いが、自分に対するアリスの邪な思いに気付いており度々ツッコミをいれている。

 

 魔法の森で暮らしている矢田寺成美と仲が良い。

 

 

 話している最中に会話の内容が自分の駄目な部分に触れたり指摘されると焦り『○○なのぜ』と独特な訛りで喋ってしまう癖がある。

 

 博麗神社の宴会で飲み過ぎて『口からマスタースパーク』してしまったのは黒歴史である。

 

 

 自分を動物に例えるとカラスらしい

 

 

 紫の事をババア呼ばわりしているが、老けているとは思っていない。

 

 因みに幻想郷で紫の事をババア呼ばわりしているのは『魔理沙、チルノ、メディスン、女苑』の四人。

 

 

 家族関係のことは本人も余り触れてほしくない話題であり、魔理沙の両親との関係を知っている者は少数だがその話題に触れることは避けている

 

 

 

 実は本編開始から10年程前、魔理沙がまだ子供だった頃にある人物と出会い、弟子入りした過去がある

 

 その人物…魔理沙の師匠に当たる人物なのだが、1ヶ月程しか弟子入りしてなかった故か、はたまた子供の記憶力故か…魔理沙はその人物との思い出、その人物の外見を断片的にしか覚えていないが『魔理沙の日常』にて間接的にではあるがその師匠と再会することが出来た

 

 忘れていた記憶を取り戻し、新たな思い出を作ることが出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

 八雲紫が境界を弄って作り出した幻想郷の何処かにある謎の場所。天狗の話によると西行寺幽々子が住む『白玉楼』の近くにあるらしい。

 

 

 数々の非日常が八雲紫によって繰り返される場所であり舞台の大半はここから始まる。主に縁側。

 

 

 八雲紫と八雲藍の住居として知られている。

 

 昭和レトロな一戸建て。

 間取りは4K、90㎡。

 

 二階あり。

 

 人を100人横と縦に並ばせてもまだ余裕がある程の大きな庭がある。この縁側は紫と藍の憩いの場所である。

 

 

 回りを木々に囲まれているため『白玉楼』近くに建っているという噂は意外と当たっているのかも知れない。

 

 摩多羅隠岐奈曰く『紫自身が建てた訳ではなく、何処かの空間から持ってきた屋敷』らしい

 

 






 ここまで読んでいただき、ありがとうございました!




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《東方紫藍談》キャラクター設定資料室・弐



 設定資料室その弐です、壱とセットで読んでいただけると嬉しいです♪ 

 注意事項等は壱に書いてありますので先にそちらをお読み下さい。

 今回も『へー、そーなのかー』な感じでお読み下さい!



 では『東方紫藍談』設定資料室へようこそ!




 

 

 【ルーミア】

 

 『闇を操る程度の能力』

 

 

 《妖怪 宵闇の妖怪》

 

 《年齢》不明 見た目十歳ぐらい。

 幻想郷の年齢=自分の年齢の説あり。

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 友達と遊ぶこと 幻想郷をフラフラ散歩すること、 食べること 自分のノリに乗ってくれる人 頭のリボン お肉系の食べ物 ザクロ 

 

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 散歩の邪魔をされたり遊びの邪魔をされること ノリの悪い人 難しい事を言う人 頭のリボンを触られること ネバネバした食べ物(納豆等)

 

 

 

 

 幻想郷の空を自由気ままにふよふよ飛んでいる妖怪、謎が多い妖怪さんだがその実態は天真爛漫で親しみやすい妖怪である。

 

 自由の度数で言えばあの八雲紫を超えているのかもしれない。何にも縛られない人生…? を送っている。

 

 

 

 口癖は自分の両腕を真横に広げたポーズをとった後に言う『そーなのかー♪』。

 

 これにはバリエーションがあり『そーなのだー♪』や締めに使われる『わはー♪』等がある。どれも凡庸性が高く使いやすい言葉とポーズであるため、幻想郷の住人に真似される事が多い。真似される事はルーミア自身嫌がっておらずむしろどんどんやってほしいそうだ。

 

 また普通に会話してても『○○なのかー』やたまに『○○なのだー』は言う。

 

 

 実は上の三つの他にも口癖らしき言葉を聞いたという報告がちらほらあるが『○○のかー』の基本は代わっていないようだ。だが辛辣、罵倒に近い言葉を聞いたという人もちらほらいることから信憑性は無い

 

 笑いのノリがカオスになることが多々ある。

 

 

 散歩の他にも友達(チルノ、大妖精、ミスティア、リグル、橙等々)と遊ぶのも好きなようだ。ノリが良い人、妖精、妖怪なら誰でも彼女とお友達になれるはず。

 

 

 ミスティアの営んでいる屋台を見学した事がある。

 

 どんな風に食材を調理しているか興味があったようだ。

 

 その見学中にミスティアが包丁で自分の指を切ってしまった…が傷は浅く少し血が出た程度。 その時ルーミアが治療と称してミスティアの指を舐めた事がある。

 ルーミア曰く『鶏肉の味がしたのだー♪』らしい。ミスティアのことを食べ物として狙ってはいない。

 

 

 ネバネバした食べ物が嫌いな理由はネバネバに味がなく美味しくないから

 

 食には拘りがあるらしく結構グルメ。

 

 

 

 人喰い妖怪と言われている彼女は人を襲って食べたりはしていない… 少なくとも1000年以上は食べてない。

 

 人里にある上白沢慧音の寺子屋に通っていて成績は可もなく不可もなく、授業中何かとカオスな言動が目立っている。 慧音の事は大好きな様子

 

 

 ある一件で『堀川雷鼓、稀神サグメ、物部布都』と仲良くなった。

 

 

 

 頭に付いているのは一見、リボンのように見えるがこれは『お札』であり、取ったらどうなるのか、なぜお札が付いているのかはルーミアは覚えていない。

 

 だが『これはお札』という認識はしているようで八雲紫ならお札を外せると思い、外すように頼もうとしているが紫にお肉を与えられたりして会話の内容を反らされている。

 

 お札を取ったらどうなるのか…紫には分かっているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 【レミリア・スカーレット】

 《運命を操る程度の能力》

 

 《妖怪 吸血鬼》

 

 『年齢』五百歳 見た目は十歳

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 紅魔館の家族 博麗霊夢 カリスマ磨き 朝のストレッチ 暇を潰せること全て 注目されること 特殊なネーミング作り 妹との談話 紅茶 甘いもの 納豆  B型の人間の血 十六夜咲夜、博麗霊夢が作った食べ物

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 退屈 日光 流れる水 弄られすぎること フランからのおしおき カリスマブレイク 子供扱い 無視されること 炒り豆 苦い食べ物 ニンニク

 

 

 

 

 

 

 幻想郷の住人誰もが知っている紅魔館の主にして吸血鬼、カリスマの権化とも言われるレミリア・スカーレット。

 

 だが言われているだけで実態はカリスマ0%のお子ちゃま吸血鬼。弄り弄られ、うー☆うー☆うー☆うー☆言う日々にめげず今日もカリスママックスを目指してひたすら頑張る女の子妖怪。

 

 

 見栄っ張りで目立ちたがり、暇を潰せるならどんなことにも首をつっこみたがる性格であり、端からみたら関わり合いたい人物ではないが根は優しく、家族と友達思い、頑張り屋、人懐っこい、子供っぽっくて可愛らしい外見…と欠点を打ち消す以上に際立つ物があるため彼女と一度会話をしたことがある者はレミリアの事を嫌わない、嫌いになれない。

 

 

 カリスマガードというかぶっているナイトキャップ型の帽子を両手で鷲掴み、しゃがんで防御する技がある。

 

 

 紅魔館の面々(十六夜咲夜、パチュリー・ノーレッジ、紅美鈴、小悪魔《こあ》、フランドール・スカーレット)を家族としてとても大事に思っている。

 

 妹のフランとはとても仲睦まじい間柄であり、時には喧嘩もするがケーキの取り合い等々、見てて微笑ましい光景が広がる。

 

 

 レミリアが起こした紅霧異変の際にフランの狂気の心を和らげてくれた博麗霊夢と霧雨魔理沙にとても感謝していて二人を度々館に招待しパーティーを開いている。

 

 霊夢には個人的に特別な好感を抱いており、ずっと館にいてほしいと思っている。霊夢が早寝早起きであるため吸血鬼の生活リズムを捨て、朝に起きる様にした。

 

 朝のモーニングレミリアストレッチも日課になっている、全ては霊夢に合わせるため。

 

 霊夢を巡って八雲紫と言い争う事があり、ライバル関係であるが本人は紫のことを嫌ってはいない。 

 

 むしろ友好的に接している。

 

 実は人間が大好きであり、その素質があるのを大昔に八雲紫に見抜かれた。

 

 

 

 彼女が数百年前に幻想郷の全てを手に入れようと引き起こした吸血鬼異変、異変の最中に八雲紫と一対一で戦い敗北した。 

 

 その際に紫から『あなたの運命を変えてくれる人間が現れる』と意味深な言葉を投げられた。

 

 

 独特のネーミングセンスの持ち主であり、自分の考えたスペルカードとにらめっこしては世間ズレしたネーミングを考えている。

 

 親友のパチュリー曰く『私のカードにレミィが名前を付けたらそのスペルは絶対に使わない』と言わせるほど。

 

 だが人に名前をつける時は世間的にズレた名前をつける事は無い。

 

 

 吸血鬼という種族の例に漏れず非常に弱点が多い、日光、炒った豆、流水等があるが彼女の一番の弱点は自身のカリスマをブレイクさせられる事だろう。

 

 紫からカリスマが無いと言われる、幽々子とルーミアにしりとりで弄られるぐらいでカリスマブレイクしてしまう。カリスマブレイクしている間はカリスマガードをしながら『う~☆』しか言わなくなる。

 

 

 フランからおしおきされたことがある。

 

 暇すぎて本を読んでいるパチュリーに猫の如く構って攻撃を10分に渡ってしたためパチュリーの怒りを買い魔法で動きを封じられた。

 

 その後、近くで見ていたフランに近寄られ、魔力で分身したフランとフランの分身三人計四人にレミリアの回り四方を分身と共に取り囲まれた挙げ句『童謡かごめかごめ』を歌いながらレミリアの周囲を回りつつ、不思議な踊りを踊られた…八雲藍曰く呪術の一種に相当するらしい。

 

 レミリアはカリスマガードをするしか対抗手段がない程の恐怖を覚えたという…それを見ていたパチュリーが親指を立ててニヤニヤしていたのはフランしか知らない。

 

 

 

 

 クリスマスの事件で演技力が高い事が判明、その時はバリバリにカリスマが出ているらしい。

 

 カリスマに関しては常に磨きをかけたいと思っており、カリスマが上がる食べ物や道具を多数所持しているが効果の程はレミリアを見れば分かるだろう…現実は非情である

 

 自身はプラシーボ効果でカリスマが上がっていることに気付いていない

 

 泥酔すると『クリスマスをカリスマス』と聞き間違える程に自身のカリスマに心酔し、探求してしまう。

 

 

 東風谷早苗と同じく笑い上戸である。

 

 

 

 月の民である綿月依姫にトラウマをもっている

 

 レミリアが彼女に繰り出した勇気ある捨て身である、バシュッ、ゴォォォォは黒歴史である

 

 

 

 バレンタインのいざこざで『お菓子やデザート、甘い食べ物に対してだけ味覚音痴』であることが判明した。 舌が高級品のお菓子しか受け付けないご様子

 

 また咲夜のお菓子作りを間近で何度も見ているお陰かお菓子作りは人並みに出来る模様。

 

 

 魔理沙には親友であるパチュリーの本、紅魔館地下図書館にある本は持っていってほしくないと思っているが魔理沙が図書館に来ないと自分の妹のフランと会わせられず、魔理沙と遊ばせてあげる事が出来ないため複雑な気持ちになっているようだ

 

 妹がいるもの同士、古明地さとりとは仲が良い。

 

 因みに二人とも少食である。

 

 

 

 数百年前のレミリアの性格は今の性格とは全く異なり、残虐非道そのものであった。

 

 吸血鬼異変終結を気に彼女の性格は徐々に丸くなり、親友であるパチュリーや十六夜咲夜たち人間と関わることで今の状態に落ち着いた。

 

 

 

 

 

 

 【アリス・マーガトロイド】

 《魔法を扱う程度の能力》

 

 《魔法使いという種族 七色の人形使い》

 

 『年齢』不明 見た目十八歳くらい

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 自作の人形(上海、蓬莱がお気に入り) 人形製作 人里で人形劇 家庭菜園 魔界に住んでいる家族から渡されたお守り 魔理沙の全て クリームシチュー 

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 人形を侮辱されること 面倒事に巻き込まれること 母親の突然の訪問 高麗人参 母親の作ったダークマター(料理)

 

 

 

 

 魔法の森に住居を構えひっそりと暮らしている七色の人形使い、アリス・マーガトロイド。

 

 

 魔法使いという種族であり人間ではない。

 

 食事をすることを必要としないが、人間と同じ生き方を好んでいるため食事を欠かさない。

 

 人形作りが趣味で様々な人形を作っている。

 

 戦闘、家事、人形劇用の人形がいて、全てアリスの魔力で操作可能。

 

 アリスは手先、魔法コントロールが器用なのである。

 

 因みにアリスが人里で暮らさない理由は『人形作りは集中力がいるから静かな所の方が良い』ということらしい。

 

 魔界人→人間→魔法使いと種族を転々とし、今の状態に落ち着いた。

 

 

 優しく、温厚な性格で人間から妖怪まで幅広い層から慕われている。

 

 私は友達が少ない…と思っているが魔理沙並みに多い方である

 

 

 家庭菜園も趣味で菜園用の種や土は友達の風見幽香に分けてもらっている。花等を大事に扱うので幽香はアリスを信用している。

 

 アリスは幽香と波長が合うらしく友人関係である。

 

 

 霊夢と魔理沙から女子力が高いと評価されている。

 

 頭の回転が早く気配り上手、女子力の高さはここからか?

 

 

 魔理沙とは種族こそ違うものの魔法使いという点、マジックアイテムの収集癖が二人ともあるということで馬が合うらしい。

 

 だが段々と魔理沙と親密になっていく内に彼女は魔理沙を愛してしまった…魔理沙の遠慮がなくたくましい生き方を好きになってしまった。

 

 魔理沙への愛はオープンにさらけ出しているため人によってはおかしく見られるが、アリスの人柄が良いため大半の人は『アリスの最大の欠点』と思われるだけにとどまっている。

 

 魔理沙自身はそんなアリスを友達以上恋人未満と見ている。

 

 

 何かを誤魔化す時『ふふっ』と笑う癖がある。

 

 この誤魔化し…よく魔理沙に対する愛への暴走で自分が追い込まれた時に良く使われる。

 

 『ふふっ』のほかに『あははっ♪』がある、これは魔理沙への愛が極まり過ぎている時に使われる。

 

 この『ふふっ』がアリスの口から出たあとに魔理沙、霊夢、咲夜の内二人がいると鉄板ネタを見ることが出来る。 

 

 俗に言う『ブレないアリス』が降臨する。

 

 ブレないアリスは

 

 霊夢「ヘブンリーワンダーランドから帰ってこない」

 

 咲夜「妄想力が度を越していて恋愛小説が書けるほど」

 

 魔理沙「不思議の国に逝っちゃってる」

 

 と評されている

 

 

 

 

 ブレているときの対処法としては

 

 

・霊夢、魔理沙、咲夜を連れてくる

 

・ブレが収まるまで徹底的に無視する

 

・勇気を出してツッコミを入れてみる

 

・彼女が『ふふっ♪』と笑ったタイミングを見逃さない

 

・どうしようもないときは最終兵器の矢田寺成美を連れて来て邪な感情を浄化させる。

 

 

 等があげられる

 

 

 

 

 実は幻想郷の出身ではなく魔界と呼ばれる異界の出身である。母親は魔界神で姉が五人いる。

 

 姉の一人に魔理沙に見た目がよく似た人物がいる。

 

 母親は自覚の無いポンコツで頭の中がお花畑な性格をしているためアリスが一番苦手なタイプである。

 

 料理もヘタで作るもの全てが暗黒物質になってしまう、それがアリスは大嫌い。

 

 ちなみにその母親は八雲紫と仲良しだったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 【十六夜咲夜】《時間を操る程度の能力》

 

 《人間 紅魔館の瀟洒なメイド》

 

 《年齢》十八歳

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 家事全般 手品 レミリアお嬢様 紅魔館の家族 ダーツ 読書 格闘技 釣り(狩に近い) 自分以外が作った料理 フルーツタルト 母から貰った懐中時計

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 紅魔館に面倒を持ち込まれること レミリアを侮辱されること 仕事をサボる者 じめじめした場所 絵に描いたような悪魔の心の持ち主 レミリアが嫌いな食べ物

 

 

 

 

 人間であるにも関わらず《時間を操る程度の能力》という人間離れした能力を持ち、何度か霊夢達と異変を解決してきたパーフェクトメイド長、十六夜咲夜。

 

 

 性格は冷静沈着、物静かな性格。外から物事の善し悪しを客観的に見極めるタイプで適応力も高い。

 

 魔理沙から『心に熱いハートを持っていて結構好戦的、ノリも良い』と言われている。

 

 これについては咲夜自身否定していない。

 

 紅魔館の家事全般を担当しており、全てを咲夜がこなしている。お手伝いのメイド妖精、ホフゴブリンという種族が館にいるがサボったり手抜きしたりしている。

 

 咲夜は隅々までやらないと気が済まないという理由から、紅魔館の家事は実質咲夜一人でこなしている。

 

 一人では時間が足りないので時間を操ったりしてやりくりしている。働きすぎている咲夜をレミリア達は本気で心配している様だ。

 

 時を止める際に懐中時計を取り出すが、これは癖であり、懐中時計を使用せずとも時は止められる様子。

 

 

 

 手先が器用で手品が得意、よく館に遊びに来るチルノ達に披露している。その中にレミリアが混じっているのは言わずもがな。

 

 戦闘では投げナイフを用いて戦う為、ダーツが得意。

 

 霊夢から足が長く、綺麗だと評価されている。

 

 

 格闘技は紅魔図書館にある本を読んで覚えたもの。門番の紅美鈴がサボって寝ているところにおしおきするために覚えた。

 

 

 

 自分が作った料理を嫌というほど食べている為、他の人が作る料理を食べるのが好き。

 

 『刺激があって良い、学ぶ事も出来るから一石二鳥』と本人は答えている。

 

 霊夢と魔理沙から女子力が高いと評価されている。

 

 

 レミリアの事を主と慕いながらも彼女に抱き着きたい、抱き着かれたい、と忠誠心が度を超えたり、周りに合わせてたまにレミリアを弄る事がある。

 

 鼻から忠誠心はまだ出ていないし、出す予定もない。

 

 

 良くも悪くも彼女の全ては紅魔館を中心に回っているため、世間の状勢に疎いという欠点がある。

 

 もっと外に出て見聞を広めてほしいとレミリアは思っている。

 

 

 咲夜の出生、能力、何故紅魔館に勤めているのか…と彼女は色々と謎、そして秘密がある。 

 

 その全てを知っているのは紅魔館ではレミリア、パチュリー、紅美鈴である。

 

 実は咲夜は幻想郷出身ではなく『外の世界出身』であり、辛く悲惨な過去を経験している。

 

 幻想入りした際にレミリアに救われ生きる意味と希望を取り戻せた

 

 

 

 

 鈴仙とは親友の間柄であり自分の主について相談したりできる仲である。 自分の体調を顧みず、紅魔館の仕事をこなしている咲夜を鈴仙は本気で心配している様だ。

 

 

 アリスのお陰でツッコミの技術力がアップしていることに気が付いていない

 

 

 十六夜咲夜は本名ではなく、レミリアにつけられた名前である。

 

 

 

 

 

 

 

 【西行寺幽々子】《死を操る程度の能力》

 

 《亡霊 白玉楼の主 西行寺家のお姫様》

 

 『年齢』紫がヒミツなら私もヒミツ♪

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 最愛の親友との語らい 人を驚かすこと お花見 月見酒 食べること 幻想郷でのんびりすること、 おにぎり 妖夢の作ったご飯

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 束縛されること 命を粗末にする者 食事の邪魔をされること 自分の路を自分で見つけられない者 食べられない物などあんまりないわぁ♪

 

 

 

 八雲紫の大親友にして冥界に存在する広大な建物、白玉楼の主、西行寺幽々子。

 

 幻想郷の表と裏の顔を全て知っている者の一人(自分の生死の事以外)

 

 

 掴み所がない性格をしており、常に飄々としている人物。何を考えているのか分からないし、自分の平静を貫き通しているため八雲紫以上に胡散臭いと言われる人物なのかもしれない。

 

 だが彼女の心の裏は思慮深く、真実を見通す力を持っている。

 

 表面では呑気に過ごしているが、物事の解決法を遠回りな形で言葉で伝えたりして周りの人を奔走させる事が多い。 彼女の真意は掴み辛いのである。

 

 親友の八雲紫ですら出し抜く時があり、紫曰く『私が幽々子に勝てないところはたくさんある』と言わせるほど。

 

 

 前述の通り幽々子の事全てを知るのは不可能であろう、だが分かりにくいだけであって一度彼女のことを理解すると、彼女とどう接していけば良いかがわかる様になるだろう。

 

 幽々子は物事に対して遠回しな言い方をするが、嘘は絶対に言わないのもポイントの一つ。

 

 

 ルーミアと同様に食に対して何故か拘りがあり、雑食この上ないため食べられるものは何でも食べようとする。

 

 中でも白玉楼の庭師、魂魄妖夢の作るご飯がお気に入りのようだ。

 

 親友の八雲紫が嫌いなおにぎりが好きな理由には何か意味がある。

 

 

 驚かしの一貫として屋台営業中のミスティアを紫と共に驚かした事があり、その際ミスティアの耳を噛んだ。

 

 幽々子曰く『鶏肉の味がしたわぁ♪』らしい。

 

 怖がりの妖夢を驚かす事も好きな様だ。

 

 

 また程度の能力以外にも『物体をすり抜ける能力』も持っている模様。 

 

 亡霊は幽霊と違って物体をすり抜ける事が出来ないのだがそれが出来ている…八雲紫が関わっているのだろう。

 

 

 

 暇潰しで紫と共に作った『MUSHA NOTE』なる物がプチ異変を引き起こした事がある。

 

 この事について本人は本気で反省しているようだ。

 

 

 

 料理の採点には公平な審査をするため辛口になる、作り手の愛がこもっていなければ料理としては認めない。

 

 彼女から何かを聞き出したいなら食べ物を与えてあげれば話してくれるかもしれない。

 

 特技は口元にある食べ物を四十四秒溜めた後、一瞬にしてムシャムシャすること。

 

 食べ物が何処かに消えた様に見えるが幽々子はきちんと食べており、歯応えを実感し、ちゃんと味わっている。

 

 八雲紫曰く『これはゆゆしき特技』らしい。

 

 

 また小さな欠点として飽き性であることがあげられる。

 

 ちょっと太った? と聞いてはいけない、親友の間柄でもなければ彼女の能力で死に誘われることだろう

 

 

 彼女が人間から亡霊になった理由は幻想郷の極秘事項の一つであり語られてはいけない物語の一つ、八雲紫だけが全てを知っているがこのことだけは自分の墓場まで持っていく気でいる。

 

 紫が人間を大好きになる切っ掛けを作った張本人。

 

 

 

 

 






 他にも書きたいものがまだまだあるというのに本当時間が足りないですね…

 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。



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《東方紫藍談》キャラクター設定資料室・参



 久し振りに設定資料室です。

 注意事項等は『設定資料室・壱』に書いてありますので先にそちらをお読み下さい。

 完全なる二次設定の羅列です。


 今回も『はー、そーなのかー』な感じでお楽しみ下さい。




 

 

 

 【鈴仙・優曇華院・イナバ】

 【旧名 玉兎No.3000xx】

 《狂気を操る程度の能力》

 

 《元、月の軍人の玉兎 幻想郷では妖怪兎》

 

 『年齢』不明 見た目十七歳

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 道具の手入れ(主に薬品道具、弾幕用のウサ耳メガホン銃) 蓬莱山輝夜の昔話 親友である十六夜咲夜に貰った懐中時計 褒められる事 耳かき(する、される) ダーツ等の的当て系の遊び 餅つき お団子 月見そば きな粉餅

 

 

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 玉兎時代の事を引き合いに出される事 因幡てゐからのイジリ 極端に煽られたりイジられること 八意永琳の薬物実験(お仕置き) 頭の硬い人 人が多い所で目立つ事 人の黒歴史を聞くこと 寂しがり屋だと見抜かれる事 純狐に耳毛をいじられる事 血液(克服済みだが苦手) うどん系の食べ物全般

 

 

 

 

 幻想郷にある迷いの竹林に建つ屋敷兼、診療所、永遠亭に住んでいる月の都出身でありながら地上の妖怪兎を名乗る八意永琳の弟子。

 

 永遠亭に住まう者はあまり外に出ないが鈴仙は外に出る事を好み、幻想郷の住人達と打ち解けたいと心から望んでいる。 その背景には恩師として尊敬している輝夜と永琳の言葉、永夜異変を通して得た友達と親友、八雲紫との出会いがあったからである。

 

 永遠亭での仕事は主に機具の手入れ、薬の行商である。

 

 地上の兎として何度か幻想郷の異変解決に挑んだ。

 

 

 喜怒哀楽が激しく、恥ずかしがり屋な性格。本人はこの性格を自分で認めており、思ったことが直ぐに顔と耳に出るため、大勢の人の前に立って話をするなんて出来ないと思っている。

 

 彼女の頭のウサ耳はその喜怒哀楽の体現者であり、嬉しかったり喜んだりするとピーンと張ったり、哀しかったり寂しかったりするとシナシナ、シワシワになる。 

 

 鈴仙が今どういう感情になっているのかを知りたければ先ずはウサ耳を見てみよう…因みに純狐といるときに限っては常にシナシナ状態である。

 

 寂しがり屋なのも自覚しており、これに関して彼女は周りに覚られるのを嫌がっている。永遠亭に住んでいる者、鈴仙と親しい者にはバレているが…

 

 

 見た目に関しては外の世界の女学生が着ているブレザー、ブラウスに似ている。

 

 これは玉兎の正装らしく玉兎の女性兵士全員がこの服装であるが、ウサ耳にけているボタンの様なアクセサリーは鈴仙だけしかつけていない。

 

 レミリアが鈴仙の服装に対して『挑戦的な見た目』と言った事があるが深い意味はあるのだろうか。

 

 

 薬の行商をしている時の格好は紫色の和服に身を包み、笠を被るというもの。 本人は人間に変装しているつもりであるが周囲にはバレバレで玉兎が人間に成り済ますのは難しいと八雲紫に思われている。

 

 医者としての腕は薬の調合(永琳は特効薬等、鈴仙は漢方等)に長けている。

 

 能力を使い、波長を合わせれば能力発動状態の古明地こいしを見付ける事が出来る。

 

 意外と手先が器用なのか月の技術を用いて様々な機械を作る事が出来る、人に役立つ物から自分が携帯出来る武器まで作れる。

 

 

 

 十六夜咲夜とは親友の間柄であり、とても親しい。 咲夜が紅魔館の仕事で無理をしている事をとても心配しており、もっと自分を大切にしてほしいと思っている。

 

 それは咲夜を人間として好きになり、親友になった事から来る寂しさからである。

 

 種族の壁を断ち切ってほしい(人間を辞めてほしい)と思うほど咲夜に長生きしてほしいと思っているが咲夜本人には打ち明けていない。

 

 

 紫は鈴仙を『人間に成り済ますのは無理だが、人間として生き、その心を人間として成長させる事が出来る』と永夜異変で両者が遭遇した際に見抜いている。

 

 その紫とはクリスマスの一件で友達関係となり、紫と輝夜の纏っている雰囲気が似ていると感じた。

 

 鍵山雛、河城にとり、藤原妹紅、魂魄妖夢とも親交がありとても仲が良い。

 

 また幻想郷に住み着いた月の玉兎、清蘭と鈴瑚とも仲良し。

 

 霧雨魔理沙に対して『こんなに欲張りな人間がいるのか』と若干引いた…そんな魔理沙から自分が考えて作ったスペルカードの名前を『カリスマ予備軍』と言われた事の意味を理解していない。

 

 博麗霊夢より身長が少し低い。

 

 

 

 霊夢と魔理沙からツッコミの才能があることを見出だされた。

 

 一緒に住んでいる因幡てゐによくイジられている。落とし穴に落とされたり、変なあだ名を付けられたりしているがお互い頼りにはしている様子。

 

 てゐのイジリに関して『何かイジられてこっちがやり返しても数倍になって返ってくるから半分諦めている』と思っている。

 

 八雲藍が開いている『今日も一日お疲れ様でしたの会』に入っている。

 

 

 

 

 実は大昔に月にいた頃、玉兎の軍人として一番の戦績を記録しており銃撃と格闘センス(剣術はからっきし)はピカイチ。玉兎のNo.1の位置にいて綿月豊姫、綿月依姫姉妹のペットだったがその位置にいたせいでとんでもない苦労をしたらしい。

 

 その苦労は現在、克服しているがまだ語られていない

 

 『耐え難く、分かってもらえない苦痛の連続。恐怖心に押し潰される毎日、血液恐怖症になった事件が忘れられない』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【魂魄 妖夢】

 《剣術を扱う程度の能力》

 

 《幽霊と人間のハーフ 半人半霊という名の種族》

 

 『年齢』推定 十歳~六十歳 見た目十六歳

 

 

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 剣術の稽古 二刀の手入れ 主である西行寺幽々子との語らい 努力(する者も好き) 料理(趣味だと思うことにした) 白玉楼の庭の手入れ 精神力が強い者と戦うこと 祖父の教え 白米 白玉あんみつ 桜餅

 

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 料理人だと思われること 自分の深夜テンション お化けや得体の知れない怪物 幽々子の無茶振り 未熟な自分 怖い話 魂魄の名をからかわれる事 半霊を物理的にイジる者 度数濃い目の酒 おでん(はんぺん)

 

 

 

 

 冥界に存在するお屋敷、白玉楼の庭師兼その主である西行寺幽々子の剣術指南役を務めている半人半霊の剣士、魂魄妖夢。

 

 肩書き通り少し堅い性格で優しくて頑固、気配り上手で生真面目である。

 

 自分が目上だと思った人物を直ぐに尊敬してしまう癖があり、主である幽々子に柔軟性が無いことが弱点であることを見抜かれている。

 

 

 また根に持つタイプで昔に何をされたのか、過去に自分が発した失言…など過去の事を寸分違わず覚えている。 

 

 そのせいなのか記憶力が良く、咲夜が昔に持っていたであろう星のマークが付いた青い球体を霊夢や魔理沙と違い忘れずに覚えていた。

 

 

 産まれた時から目上の人(祖父、紫、藍、幽々子等)としか接していなかったため、春雪異変が起こる前は友人と呼べる人物がいなかったが異変解決後、十六夜咲夜と主の問題で意気投合したのを切っ掛けに徐々に幻想郷住人との交流を深める様になった。

 

 剣の腕に関してまだまだ実力不足で半人前という事を自覚しており日々修行に励んでいる。

 

 また八雲家の一員として半人前を自覚している橙、お互い主の自由奔放な行動に悩まされている八雲藍と特に仲が良い。

 

 その藍が開いている『今日も一日お疲れ様でしたの会』に参加している。

 

 友情を住人たちと育む様になってから親友という存在に憧れを抱いており、咲夜と鈴仙の関係を羨ましがっている。 

 

 

 幽霊屋敷に住んでいるのにも関わらずお化けとその類いの化け物や怖い話が苦手である。

 

 妖夢が怖がりなのは幻想郷住人の殆どが認知しており度々この事でイジられてしまう、特に幽々子と紫からの驚かしには頭を悩ませている。

 

 料理の事に関して、料理上手の咲夜が味を認める程の腕前で殆どの料理を作る事が出来る。

 

 白玉楼の食材は紫がどこからか仕入れているらしく、困る事はないが主の溢れでる食欲には困り果てている。

 

 因みに殆どの料理を作れる理由は紫から外の世界の料理のレシピを伝授されているため。

 

 料理人と言われる事を嫌がるが魔理沙の『作れぬ物などあんまりないだろ?』という言葉に反論出来なかった。

 

 霊夢並みに規則正しい生活をしているため、深夜まで起きていることが少ない…が、深夜に叩き起こされたりして無理矢理起こされると露骨にテンションが上がって深夜テンションになってしまい物騒な言葉をノリで言い放ってしまったりする…黒歴史確定。

 

 紫曰く『泥酔している感じに近い』らしい。

 

 

 半霊は常に妖夢の回りをふよふよと漂っている。物理的に触る事も可能でチルノやルーミアに狙われている。

 

 狙われている理由は『触ったらふわふわで絶対気持ちいい』と思われているため。

 

 クイズ大会にて『白玉侍(しらたまザムライ)』という不名誉なあだ名を付けられた。

 

 

 

 長刀『楼観剣』と短刀『白楼剣』という二つの刀を所持している魂魄流剣術二刀一対の使い手。

 

 免許皆伝には至っておらずまだまだ半人前ではあるが剣術の腕は確かで天狗の目でも太刀筋が速すぎて追えない。

 

 『楼観剣』は妖怪が鍛えた剣、長すぎて並みの人間には扱えず『一振りで幽霊10匹分の殺傷力を持つ』因みに柄に桜の花の絵が描かれていて、鞘の先端に一輪の花を挿している。 こちらを鍛冶が得意な多々良小傘に鍛えてもらいたいと思っている。

 

 『白楼剣』は魂魄家の家宝で斬られた者の迷いを断つことが出来る剣、幽霊に使えば成仏してしまうので白玉楼回りではあまり扱う事を自分で禁じており、魂魄家の者にしか扱えない。因みにこの刀で因幡てゐを斬ると大変な事になるらしいが真相は不明。

 

 祖父であり、どこかに幽居している魂魄妖忌の教えを守っている。

 

 『真実は斬って知る』精神を常に心の根っこに置いている。

 

 

 

 

 

 

 【チルノ】

 《冷気を操る程度の能力》

 

 《氷の妖精》

 

 『年齢』不明 見た目十歳ぐらい

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 楽しく生きること! 友達といっぱい遊ぶこととたくさん作ること! 強い奴と戦うこと! 魔理沙にどっか連れてってもらうこと! 最強になること! カエルを凍らせること!(特に山にいるデカイ奴) 氷でカッコいい物造り!(氷細工) 寒い所! 氷砂糖! 咲夜の作るお菓子(食い逃げ)

 

 

 

 《嫌いな物、事、食べ物》

 

 難しい事! 計算問題… 暑い体をしてる奴! 夏の日差し! お説教… 日焼けしたときの皮向き! 友情を何とも思ってない奴! 妖怪扱いする奴! 食べられそうにないもの!

 

 

 

 

 幻想郷を自由奔放に動き回り、縦横無尽に自分がやりたい事をやり尽くす氷の妖精チルノ。

 

 氷の妖精ということでクールな印象を受けるが、その実態は気になった事は何でも首を突っ込み、友情に厚く熱いハートを持っていて何事にも一生懸命に立ち向かう…と、おてんばで明るい性格をしている。

 

 欠点として場に流されやすく、嘘を見抜けず、周りに影響されやすい。

 

 外は凍える冷気を纏い、中はメラメラと熱いハートの炎で彼女は作られている。

 

 

 友情に関しては自分が大切にしたいことリストの一番上に存在しているらしく仲が良くなった友達をとても大事にしている。

 

 妖精仲間の大妖精、シュガーサテラ、エタニティラルバ、サニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアは元よりルーミア、リグル・ナイトバグ、ミスティア・ローレライ、橙ととても仲良し。

 

 レティ・ホワイトロックに最初敵意を向けられていたが次第に彼女の方からチルノの実力を認められて仲良くなった。

 

 ある一件で黒谷ヤマメ、茨木華扇、稗田阿求、メディスン・メランコリーと仲良くなった。

 

 紅魔館には大妖精とともに度々遊びに行っており、中でも紅美鈴と仲が良い。

 

 

 霧雨魔理沙とクラウンピースとはライバルであり、悪友である。

 

 魔理沙に会って友達となった時からかなり魔理沙に影響されている。 博麗霊夢から見てチルノは『魔理沙2号』に見えるらしい。

 

 紫の事をババア呼ばわりしている四人のうちの一人だが昔は紫と呼んでいた。魔理沙に影響されてババア呼びに変えた。

 

 年齢は不明だが長い時を生きているらしく幻想郷の歴史に結構詳しい…興味のあることしか覚えないが。

 

 

 妖精は力が弱く、頭が弱い種族だがそれは一般的なモブ妖精や向日葵妖精の話、チルノたちの様な唯一無二の能力を持っている妖精からはそれを感じられない。

 

 現に天狗の発行している新聞の内容を理解し、漢字も読めている。

 

 さらに幻想郷の賢者である摩多羅隠岐奈に実力とやる気の高さを認められている。

 

 

 人里の上白沢慧音が開いている寺子屋に興味で通っている。 チルノは『頭が良くなればもっと最強になれるから』と思っている。 成績は下から数えた方が早いが…一番苦手なのは数字の計算と見たことも聞いたこともない言葉が問題に出てきた時。

 

 お説教されるのが嫌いであり、会うたびに何かしらの注意をしてくる四季映姫・ヤマザナドゥが苦手で天敵。 この事は紫と同調している。

 

 

 趣味に自身の能力で作った氷をカッコいい剣などに形作る氷細工があり、アリス・マーガトロイドにその才能を認められているがぬいぐるみ等を作る時は別、綿とフェルトの山が出来上がってしまう。

 

 

 日焼けしたチルノと呼ばれる状態になることがあり、体が褐色に、自身のパワーが大幅に増した状態になることがある。

 

 これは自然のエネルギーを無意識に多く吸収してしまったためにおきた力の暴走である。

 

 力が妖怪に近いと思われることを嫌がっており、妖精として最強になりたいと心から思っている。

 

 

 

 

 

 

 【古明地 さとり】

 《心を読む程度の能力》

 

 《覚 さとり妖怪》

 

 『年齢』不明 見た目十二歳ぐらい

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 愛する家族 最愛の妹との語らい 自分と相対したときに心を閉ざさない者(裏表が無い者) 読書(心理描写が多い小説、心理学書を好み、活字中毒) 小説の執筆 地底の活性化 可愛い動物系の妖怪 紫のスキマ通販での買い物 料理 赤ぶちメガネ 肉球触り(犬と猫) 甘い物全般 魚料理全般

 

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 下心のある者(顔見知りは別) 激しい運動 地底を荒らす者 動物嫌いの者 狡猾な者 四代目博麗の巫女 老眼鏡 外の世界の目薬 動物の肉を使った料理全般 手が汚れる系のお菓子

 

 

 

 

 幻想郷の地底、旧地獄にある灼熱地獄跡の真上に建てられた館、地霊殿の主である古明地さとり。

 

 サードアイと言われる第三の目を持っている。

 

 幻想郷の表と裏の顔を全て知っている者の一人。

 

 

 大昔、彼女と妹である古明地こいしが地底に住む前は姉妹揃って妖怪の山に住んでいた。

 

 その時、後に妖怪となり二人を家族として支える火焔猫燐と霊烏路空に出会っている。

 

 

 その名の通り『覚妖怪』という他社の心の中を読む能力の持ち主である。

 

 相手が今現在、何を考えているのかは直ぐに読み取る事が出来、言葉を発する前にさとり自身が先読みして言い放つ事も可能。 また他社の心の奥底にある本質までも見抜く事が出来るが心の中に潜り込んで探っていかなければならないので時間を有する。

 

 心を読む際、相手の顔をジッと見る癖がある。

 

 ある程度の能力の制御は出来るらしく読みたくないときは読まない様にする技術を最近になって身に付けた。

 

 この能力のせいで幻想郷の治安が悪かった大昔に妹のこいしと共に他の幻想郷住人から嫌われ、避けられ、恐れられ、迫害を受けていた。

 

 迫害に耐えきれなくなった妹は心を閉ざし、さとりは深い悲しみと絶望に苛まれつつ他人の迷惑にならぬ様、地底に住む様になった。

 

 だが現在、妹のこいしが地上で博麗の巫女である博麗霊夢と激闘を繰り広げたり、霧雨魔理沙と仲良く歩いているところを人里の住人に目撃されたり、フランドール・スカーレットと友達になってレミリア・スカーレットに『害が無く、妹と遊んでくれる良い子』扱いされたり、命蓮寺のメンバーに入ったり、八雲紫に心配されたり、異変解決に挑んだりしたことが幻想郷中に広まり、『覚妖怪は心を読み、人に害を与える怖い妖怪』という悪い噂が完全に消え去った。

 

 この事はさとりの心に大きな影響を与え、こいしや霊夢たちに深く感謝すると共に『幻想郷の環境が良い方向に変わったのなら私も心を開いて大きく変わろう』と思う様になった。

 

 怨霊たちには恐れられているが『恐れてもらわないといけないから丁度良い存在』だと思う様にもするようになった。

 

 

 何故地底に降りていっただけのさとりが地霊殿の主になったのかはまだ語られていないが八雲紫と摩多羅隠岐奈が深く関わっているらしい。

 

 またその二人から古明地さとりは、幻想郷の賢者になれる器があると認識されている。

 

 

 

 性格に関しては無駄な言葉省き、結論だけを言うサバサバした性格。

 

 だが能力を活用して笑いを取りにいったり、惚けたり、わざと煽ったり、ジト目を使った芸まで披露しておりユーモアセンスがある。

 

 地霊殿では多種多様な動物たちが住んでおり、さとり自身がかなりの動物好きで家族として愛情を注いでいること、動物たちの心を覗いて話が出来る事などから動物たちからは信頼されている。

 

 因みに純粋な戦闘力で一番強いのは霊烏路空であるが、精神力ならハシビロコウさんが一番強いとさとりは思っている。

 

 動物タイプの妖怪も好きで幽谷響子、今泉影狼、犬走椛などに一緒に住んで欲しいと願っているが叶っていない。

 

 紫がある特定の人物(賢者クラスの人物)にしか行っていないスキマ通販で買い物(外の世界の物)をするのが趣味で赤ぶちメガネと暖房器具、ペットフード、小説と心理学書を買い漁っている。

 

 買った物の中で失敗した物は老眼鏡と目薬。

 

 老眼鏡は掛けた時に全く見えなくなり、頭がくらくらしてしまった。 

 

 目薬は興味本意でサードアイに差した際、この世の物とは思えない痛みを味わったらしく大嫌い。

 

 かなりの活字中毒者であり、本の虫。 本人も趣味で小説を書くほどであり、いつか古明地こいしを主人公にした小説を書くのが夢。

 

 運動をするのが苦手で弾幕ごっこすらあまりしたくないとさとり自身は語っているが本人の真の戦闘力が高い事を知っている者からすれば説得力が無い。 本気(死ぬ気)でやるとあの鬼の四天王と恐れられた星熊勇儀と互角に戦えるほど。

 

 妹がお世話になっている事からレミリアとずっと話したいと思っていた。そしてバレンタインの一件でやっとレミリアと話す事が出来、仲良くなった。

 

 河城みとりを心の底から気に掛けていたが彼女が地上に出たと聞いた時、とても嬉しそうにしていた。

 

 

 さとりに『スケベ心を持って近付いてはならない』という伝説がある。

 

 さとりの友人の黒谷ヤマメは『そういう気持ちで近付けばさとりが恥ずかしがると思っているんだろうが、そういう欲求を持っている奴に対して百戦錬磨だったらしくてね、だから辞めておいた方がいい、逆に心を完膚なきまでにへし折られる、さとりが妖怪の山に住んでいた時に身に付けたそういう奴への対策用の闇を見せられる』と語っている。

 

 

 地底観光委員会の委員長で地底が観光都市になった事を喜んでいる。

 

 因みに観光名所にしたらどうか? と提案したのは八坂神奈子と洩矢諏訪子である。

 

 

 

 

 大昔、四代目博麗の巫女と一悶着あった。

 

 さとりが一番苦手な人間であるが故人である。

 

 

 

 

 

 

 【魅魔】

 《あらゆる物に取り憑く程度の能力》

 

 《大悪霊 伝説の悪霊 幻想郷の守護霊》

 

 

 

 《好きな物 事 食べ物》

 

 魔法研究 異世界旅行 弟子(魔理沙) 人間 努力する者 魔導書の執筆 幻想郷の今の環境 魔界の独特のノリ 外の世界の友情 三代目博麗の巫女(人として) 白米 カレー(菫子に食べさせれて好きになった)

 

 

 《嫌いな物 事 食べ物》

 

 努力しない者 治安が悪い所 悪霊扱いされる事 強い者に喧嘩を吹っ掛けられること(面倒臭い) 博麗神社以外の神社 醜い心の持ち主 電磁波 乳製品 漢方薬

 

 

 

 

 幻想郷の大悪霊として恐れられ名を語る事さえも禁じられた伝説の悪霊、魅魔。

 

 ……それも昔の話、現在は悠々自適に異世界旅行を楽しみ、弟子の成長を密かに見守り、気の会う友人達と語らう事を大切にしているノリの良い悪霊さん。

 

 

 性格は人間に対しては基本優しく、自分にとって面倒臭くなる物事を嫌う、涙もろく結構律儀。

 

 少しプライドが高い事を自分で気にしている。

 

 幻想郷の表と裏の顔を全て知っている者の一人。

 

 魅魔の存在を知っている者は幻想郷の上層部、賢者クラスの人物。

 

 大悪霊として暴れたのにも関わらず歴史書にも載っていない。

 

 

 幼少期の霧雨魔理沙に出会い、弟子にして一ヶ月の間、魔法を教えた人物で魔理沙の人生に多大な影響を与えた。

 

 大きくなった魔理沙に会いたいのに変なプライドが邪魔していたが、紫たちの協力を得て間接的にだが会うことが出来た。

 

 その事に魅魔、魔理沙の二人はとても満足している。

 

 魔理沙が得意としている魔法『マスタースパーク』の生みの親であり、魔法を極めた末にここに辿り着いたらしい。

 

 風見幽香が魅魔や魔理沙と同じマスタースパークを使えるのは昔、幽香と死闘を夢幻空間という場で繰り広げた時に幽香にマスタースパークを打った際『魔力をそう使うと打てる』ということを分析され、幽香の魔力で打ち返された事が発端である。

 

 魅魔曰く『パクられた』。

 

 

 普段は蘇我屠自古と同じ様に足が無い(所謂、幽霊足の状態)が人化の術で足を生やしている。

 

 博麗神社以外の神社が苦手、これは神社に貼ってあるお札の力が悪霊としての魅魔に働いているため。

 

 神社に入れない訳では無いが『ヤバイタイプの電気風呂に入った感覚』に似ているらしく、我慢しないと入れない。

 

 

 

 異世界旅行が趣味で、幻想郷の外の世界、魔界とありとあらゆる場所に足を運んでいて、その趣味が幸いし交遊関係がかなり広い。

 

 幻想郷を覆っている結界をすり抜ける術を知っている。

 

 

 魔界神である神綺とその娘たち五人(アリスは知らない)、サリエルとエリス達が住む霊異殿、幽香が昔住んでいた夢幻空間の住人、夢の世界の管理人ドレミー・スイート、外の世界の人間である宇佐見菫子など。

 

 中でも魔界と外の世界の景色が綺麗な所、友達の菫子の家が好き。

 

 菫子とは特別な友情で結ばれており、外の世界にいるときは基本菫子の家で寝泊まりしていて彼女の通っている高校に守護霊として行ったことがある。

 

 幻想郷は故郷であり『帰る場所があるのはとても嬉しい事』だと思っている。

 

 紫とは旧知の中で、幻想郷では一番心を許している。

 

 

 

 実は幻想郷を裏から支え、外側から見守る事が彼女の仕事…これは紫に頼まれてやっている。

 

 魅魔は『好きに旅行させてもらっているからこれぐらいやってやる』と仕事に前向きである。

 

 

 

 こんなにノリの良い悪霊さんになった理由として八雲紫と三代目博麗の巫女が影響している。

 

 中でも三代目博麗の巫女は魅魔が大悪霊時代、魅魔の暴走を止めた人物。

 

 魅魔が人間を好きになった事、魅魔が幻想郷の外の世界で見聞を広めようと思った事、幻想郷を外側から見守る事を決意した事……心変わりした理由全てに三代目が関わっているがまだ語られていない。

 

 

 

 

 

 

 





 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした。

 三代目や四代目の話が出てますが…何れ登場させるつもりで名前も決まっていますがそれはお楽しみに。



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【短編集】
《短編スペシャル》ゆかりんとうどんげのクリスマス




 今回最初だけですが紫の口が悪いです、冬眠前なので不機嫌なのです。

 イライラしていて、まともな思考になってませんが紫の口から説明してくれます。

 スペシャルと言うことで一つのお話で完結ですが、今回は長めです。


 紫と鈴仙の活躍にご期待ください!


 それでは始まります! ゆっくり読んでいってください!



 

 

 クリスマス…それは一年に一度訪れる聖夜…

 

 

 あるものは家族と、あるものは友人と、そしてあるものは異性と…

 

 

 語らったりプレゼントを贈り合ったり、美味しい物を食べたりして過ごす。

 

 人間の、人間による、人間の為のスペシャルイベントであるのだ。

 

 

 幻想郷の住人たちも外の世界の例に漏れずクリスマスを楽しむ…家族、気の会う友人と共に楽しい一日を過ごすだろう。

 

 

 そう、過ごす筈なのである…

 

 

 

 

 

 

 

 《幻想郷、人里、12月24日、PM 13:00》

 

 

 

 八雲紫は人里の川の流れる橋の上で川とにらめっこをしていた。

 

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「つれぇんだけど」

 

 

紫「え、いや、割りとマジでつれぇんだけどもさ」

 

 

紫「今ってクリスマスイブじゃない? だからゆかりんもさ、クリスマスイブを楽しむわけじゃん? 八雲家でさ、あの名前分かんないヒラヒラした飾り付けして、ツリー飾って、ミスティア特製のクリスマスケーキだのタンドリーチキンだの買って私と藍と橙でクリスマスイブを過ごすのよ」

 

 

紫「んで深夜になったら橙の枕元にプレゼント置いて、明日になったらサンタさんだやったぜ! …ってなるのが私の考えるクリスマスの理想でいつもの事なんだけどさ」

 

 

紫「…」

 

 

紫「何で朝から藍が行方不明なのか」

 

 

 

紫「藍だけじゃないのよ、霊夢、魔理沙、アリス、橙、白玉楼、紅魔館、永遠亭…それに関わる住人が行方不明」

 

 

紫「彼女等の所在を妖怪の山、命蓮寺とかの連中に聞いても知らないの一点張り」

 

 

紫「え? ちゃんと探したのか? もちろん探したわよ」

 

 

紫「クリスマスだから朝の5:00起きでつれぇけどワクワクのゆかりんは探したわよ、自分の足でね? マヨヒガ出て歩いて探したわよ、紅魔館とかの中にも入って探したのよ」

 

 

紫「人の子一人も見当たらなかったけどね」

 

 

紫「え? だったらスキマとか空間いじって探しだせばいいじゃないかって?」

 

 

紫「私は必ず1月1日に冬眠するんだけど…その前の二週間、色んなパワーを溜め込んで冬眠しないといけないから余計なパワーを使いたくないの、だからスキマは開きたくないの」

 

 

紫「わかって? イライラするのよ…余計なパワー使っちゃうと…」

 

 

紫「でもそれは心にも同じ事なのよ、私は心にゆとりを持って、楽しんで遊んで喜びに満ち溢れたまま冬眠したいの」

 

 

紫「なのに!!!」バンッ!

 

 

紫「クリスマスという大イベントが始まらない!? 八雲家でのパーティーは!? 橙の喜ぶ顔は!? 皆のクリスマスを楽しむ笑顔は!?」

 

 

紫「…割りとマジでつれぇんだけど」

 

 

紫「そもそも何故に皆が行方不明なのか」

 

 

紫「異変…それも考えたけど人里の人間や妖怪の山、命蓮寺諸々の住人が平然としているのがおかしい…」

 

 

紫「というか…何で朝に最初に見るであろう藍がいないのかが分からない」

 

 

紫「みんな…どこ行っちゃったの…?」

 

 

紫「…これはあれか? クリスマスボッチを楽しめという藍からの嫌がらせかしら…?」

 

 

紫「今年は藍に仕事を押し付け過ぎたから…その腹いせ? メリークリスマスならぬ滅入り苦しみます状態にさせることで私を懲らしめようと…」

 

 

紫「あり得る…」イライラ

 

 

紫「あんにゃろう…とうとう反撃の狼煙を上げたわね、でもまさかこんな形でやってくるとは…」

 

 

紫「だからここまで考えたゆかりんは藍を出し抜く為に策を練りました」

 

 

紫「行方不明は恐らく藍が仕掛けた罠、何より霊夢たちが行方不明はまず有り得ない、藍とグルになって私をはめようとしてる」イライラ

 

 

紫「根回しも完璧、他の住人たちに一言『紫様を懲らしめるため協力してほしい』と言えば済む話」

 

 

紫「? あぁ、策? それはね」

 

 

紫「人通りの多い人里で張り込んで藍の協力者が通り掛からないか探す! これよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

赤蛮奇「…何でそれを私に延々と話すんだろう」

 

 

紫「だって誰かに聞いてほしかったから…あなたは協力者ではないって言ってくれたし」

 

 

赤蛮奇「あなた…仮にもあの八雲紫さんだよね?」

 

 

紫「そうよゆかりんよ、どっからどう見ても八雲のゆかりんその人よ」

 

 

赤蛮奇「…」

 

 

紫「…何よ」

 

 

赤蛮奇「いや…」

 

 

赤蛮奇(初めて会話をしたがこんなにフレンドリーだとは思わなかった…大妖怪、八雲紫がこんなにも人間臭いとは)

 

 

紫「…ねえばんきっき」

 

 

赤蛮奇「赤蛮奇で結構、何か?」

 

 

紫「あなた首を飛ばすタイプのろくろ首よね?」

 

 

赤蛮奇「はい」

 

 

紫「その能力で藍の協力者探し手伝ってくれない?」

 

 

赤蛮奇「悪いけど…力にはなれないよ、私はこれから用があるので」

 

 

紫「用事ってなに」

 

 

赤蛮奇「…」

 

 

赤蛮奇「聞いて怒らない?」

 

 

紫「イライラしたくないから怒らない」

 

 

赤蛮奇「わかさぎ姫と今泉影狼を知ってるかな?」

 

 

紫「人魚と狼の」

 

 

赤蛮奇「そう、今日二人に誘われてね、竹林の影狼の家でクリスマスパーティーを」

 

 

紫「ばんきっき」

 

 

赤蛮奇「?」

 

 

紫「ごめん、クリスマスのクの字当たりからイラッとしてしまったわ」

 

 

赤蛮奇「…」

 

 

紫「話聞いてくれてありがとう、さっさとクリスマスパーティーを楽しみやがれこんにゃろうが」

 

 

赤蛮奇(!? 怒りと感謝が混ざり合っているだと!?)

 

 

赤蛮奇「…策の成功を祈っている」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

紫「ありがとう、おとといきやがれチキショーめぇ」

 

 

赤蛮奇(イライラしてなければ協力しても良かったのだけど予定もあるし…仕方ない)スタスタ

 

 

 

 

紫「…つれぇんだけど」

 

 

紫「ろくろ首には逃げられ、人里で張り込んで早2時間…そろそろ成果がほしいところだけど…」

 

 

紫「そういえば地底には行ってないわね、さとりはクリスマスは必ず家族と過ごす筈、藍の協力者ではない」

 

 

紫「…ダメ元で協力してもらいに行くか、さとりの前ならどんな嘘も無意味、藍の協力者を吐かせるのに頑張ってもらいましょう」スッ

 

 

紫(藍め…見てなさいよ、必ずとっちめてやるか…ん…?)

 

 

 タッタッタッ! 

 

 

紫(あ、あれは…!!)

 

 

 

 

 

 タッタッタッ!

 

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ(はぁ、はぁ…まったくもう、何で私が買い出しなんて行かなきゃならないのよ!)

 

 

鈴仙(うぅ、買い出しジャンケンなんかに参加しなきゃよかったわ…まさか負けるなんて思わなかった…)

 

 

鈴仙(咲夜の私が行って来ましょうか? の一言が身に染みるよー…うぅ、でも負けてしまった私がいけないんだし…)

 

 

鈴仙(はっ!? 考えてる時間はないわね、外に出れば四面楚歌状態…回りは口止めしてるけど一度紅魔館に探りに来た八雲紫…あれは神出鬼没…見つからない様にしないと私の幻想郷人生がまた短くなる)

 

 

鈴仙(えーっと…苺とかぼちゃと…日本酒!? これ魔理沙の字! 自分で買いに行きなさいよ! ここぞとばかりに色んな物を書くんじゃないわよ!)

 

 

鈴仙(! 早くしないとダメね、この先の店で日本酒を)

 

 

謎の美女「あの…」

 

 

鈴仙「え!? あ、はい?」キキキー

 

 

謎の美女「あっ…! ご、ごめんなさい、急いでいますよね…」

 

 

鈴仙(うわー…明らかに困ってます感の人に捕まった~!!)

 

 

謎の美女「あの、す、すいません…他を当たります…!」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

鈴仙「え!? ちょっ…!」

 

 

謎の美女「…」スタスタ

 

 

鈴仙(後味悪いわ! 私顔に出てたかしら…く、くそぅ!)

 

 

鈴仙「あ、あの!」

 

 

謎の美女「…はい?」

 

 

鈴仙「何かお困りの様ですが…良かったら私に訳を話してくれませんか?」

 

 

謎の美女「…ですが」

 

 

鈴仙「私こう見えても医者の弟子なんです、そんな私が何に急ごうと困ってる人を見過ごすわけないじゃないですか」

 

 

鈴仙「さぁ話してください、何にお困りなんですか?」

 

 

謎の美女「…ありがとう、ございます」

 

 

鈴仙(ヤバイ状況だけど見過ごせないわね…)

 

 

謎の美女「実は私の飼っていた動物がいなくなってしまいまして」

 

 

鈴仙(いーやー! これは時間かかるやつだー!)

 

 

鈴仙「ど、動物ですか…?」

 

 

謎の美女「はい、人間の顔と体格で頭には獣耳、尻尾が9本あって鳴き声がちぇぇぇぇぇぇんの狐なんですけど…ご存じありませんか?」

 

 

鈴仙「ほ、ほおほお…狐…うん?」

 

 

鈴仙(え…? これ藍さんじゃ…)

 

 

鈴仙「あ、あの~…こ、これって」

 

 

謎の美女「はい?」

 

 

鈴仙「これって八雲藍の事ですよね? 何故あなたが…」

 

 

謎の美女「…勘のいい奴は嫌いだよ」ボソッ

 

 

鈴仙「え? 何か言いましたか?」

 

 

謎の美女「あ、な、なんでもありませんよ、ところで…」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

謎の美女「さっきからあなたの後ろにいる方はあの八雲紫さんですよね?」

 

 

鈴仙「えっ!!?」スッ

 

 

 グルン! 

 

 

鈴仙「…!? …! …」キョロキョロ

 

 

鈴仙(い、いない…けど)

 

 

 ガシッ! 

 

 

鈴仙「!!?」

 

 

謎の美女「情けないわねぇ…元月の軍人さん♪」

 

 

鈴仙「いっ!?」

 

 

 スーッ パッ!

 

 

謎の美女→紫「私の変身を見破れないなんてねぇ♪」

 

 

鈴仙「なっ!!?」

 

 

紫「後ろにゆかりんは居たでしょう? 振り替えればゆかりんここにあり」

 

 

紫「兎狩りって結構楽チンなのねぇ♪ ふふふ♪」ニタァ

 

 

鈴仙「 」ポカーン

 

 

鈴仙(お、終わった…私の幻想郷人生終わった…)

 

 

紫「これから楽しい尋問よ♪ でも大丈夫! ゆかりん優しいから」

 

 

紫「本当の事をすぐに話せば耳毛1本で済むわ」

 

 

鈴仙「!!?」

 

 

紫「では、スキマ空間にごあんな~い♪」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

鈴仙「い、いやあぁぁ!!」ジタバタ

 

 

 ギュオン!

 

 

 

 

 

 

??「た、大変ウサ…! 鈴仙が捕まった!」

 

 

??「お師匠様たちに報告だ!」ザッ

 

 

 

 

 

 

 

 

  《スキマ空間》

 

 

 

紫「あぁぁイライラするなぁこんにゃろう!」イライラ

 

 

鈴仙「ひぃ!」ビクッ

 

 

紫「冬眠前に余計な体力使わせやがって…! なめとんのか!? あ``ぁ``!?」ゴオッ

 

 

鈴仙「うひぃ!」ビクッ

 

 

紫「怯えてるの? 可愛いわねぇ…ところで今私はあなたの首根っこならぬウサ耳根っこ掴んでるわけだけど…」イライラ

 

 

紫「もしも今から私が質問することに嘘ついたり、口答えしたり余計な事を言ったりしたら」イライラ

 

 

紫「この可愛いらしいウサ耳を引きちぎる」イライラ

 

 

鈴仙「!!!??」ゾクッ

 

 

紫「真実だけを語ってくれたら耳毛1本で我慢してあげるわ♪」イライラ

 

 

鈴仙(どっちにしろ私の耳に痛みと変化が伴うのは確定なの!?)

 

 

紫「あなたが今出来ることは私の質問に首を縦に振るか横に振るかの2択…それ以外は認めない、良いわね?」

 

 

鈴仙「そ、そんな…」

 

 

紫「んーーーー?」ニッコリ 

 

 

鈴仙「ひっ!?」ビクッ

 

 

紫「何か言った?」ニッコリ

 

 

鈴仙「!」ブンブン!

 

 

紫「そう…ふふふ…♪ ならいいのよ♪」

 

 

鈴仙「…!」ガタガタブルブル

 

 

鈴仙(に、逃げられない!)

 

 

鈴仙(耳根っこ掴まれてるしスキマに連れ込まれた…! 私の能力を使っても逃げられないのは明白…)

 

 

鈴仙(なにより…)

 

 

紫「藍! 墓穴を掘ったわね! 待ってなさいよ! 私をクリスマスボッチにさせようなんて900年早いわ! あはははは♪」

 

 

鈴仙(あ、相手が悪すぎる!!)

 

 

紫「さぁ、うどんちゃん♪ お姉さんとゆっくりお話していってね♪ ね?」

 

 

鈴仙(詰んだ…)

 

 

紫「返事ぃ!!」

 

 

鈴仙「!!」ブンブン!

 

 

紫「よーし♪ なら何から尋問…いやいやお話しようかな~♪」

 

 

鈴仙(うぅ…師匠、姫様、藍さん、みんな…ごめんなさい…)

 

 

鈴仙(みんなの努力…無駄になっちゃった…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《??????》

 

 

 

???「はぁ!? 鈴仙が紫に捕まった!?」

 

 

??「うん、この目でハッキリ見たよ、スキマに引き込まれて行った」

 

 

??「あのバカ…」

 

 

??「やっぱり私が行けば良かったかしら」

 

 

??「で、でも鈴仙は口を割らない筈だよ」

 

 

??「…いえ、相手はあの八雲紫、どんな手を使ってでも聞き出すでしょうね、それに家の鈴仙じゃまだまだ力不足、簡単に口を割るわ」

 

 

?「鈴仙…」

 

 

??「…」

 

 

??「ねぇ、私に良い考えがあるんだけど」

 

 

???「お、流石月の賢者だな」

 

 

?「…?」

 

 

??「要は夜に行う様にすればいいだけの話、計画は少し変更するけど支障はないわ、そのために…」

 

 

??たち「??」

 

 

??「鈴仙には犠牲になってもらいましょう」

 

 

??たち「え!!?」

 

 

??「サプライズにしたいんでしょう? なら尊い犠牲よ」

 

 

??「さらっと身内売ってる事については触れない方がいいのかしら」

 

 

???「おい、作戦通りになるようにしてくれよ?」

 

 

??「善処するわ」

 

 

?「…どうする気だ」

 

 

??「まずは…」

 

 

??「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《スキマ空間》

 

 

 

紫「え…えぇ!?」

 

 

鈴仙「うぅ…」

 

 

紫「う、嘘よ…!! だってそんな…/// ま、まさかそんなこと…」

 

 

鈴仙「嘘じゃないわよ! 全部真実なの!」

 

 

紫「誰が喋って良いと言ったぁ!!」

 

 

鈴仙「ひいぃ!?」ビクッ

 

 

紫「この兎の解答を全て信じると辻褄が合ってしまう…むう」

 

 

紫「私に月の兎の言うことを信じろっての…? いや、でも…」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「兎」

 

 

鈴仙「!」

 

 

紫「私なりに整理して答えを見つけたんだけど聞いていいかしら?」

 

 

鈴仙「!」ブンブン

 

 

紫「そ、なら聞くわ」

 

 

紫「『八雲藍及び霊夢、魔理沙、アリス、紅魔館組、白玉楼組、永遠亭組は今日、八雲紫の為のクリスマスパーティーを開催しようと現在紅魔館でパーティーの準備をしている』」

 

 

鈴仙「!」ブンブン

 

 

紫「『このパーティーの主催者は八雲藍、会場は紅魔館、私が能力を使いたくないという状況を逆手にとり、したことのないサプライズパーティーを準備中』」

 

 

鈴仙「!」ブンブン

 

 

紫「……マジ?」

 

 

鈴仙「…」ブンブン

 

 

紫「……」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…///」カァ

 

 

鈴仙(え…!?)

 

 

紫「…///」カァ

 

 

鈴仙(えぇ!? 顔赤っ!! めっちゃ照れてる!)

 

 

紫「な、何よ藍ったら…/// 私の為にそこまで…/// しかも私の霊夢までそんな事…/// それに幽々子あなたまで…///」

 

 

鈴仙(い、以外な反応ね…『隠し事なんて千年早いわぁ!』とか言って会場に乗り込んで行くかと思ったけど…)

 

 

紫「…ん? でも待ちなさいよ」

 

 

鈴仙「?」

 

 

紫「兎、私は紅魔館に偵察に行ったけど誰もいなかったんだけど…それはどう説明してくれるのかしら?」

 

 

鈴仙「…」ブンブン!

 

 

紫「…あ?」

 

 

鈴仙「!! …!」ブンブン!

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「!!」ブンブン!

 

 

紫「首振ってるだけじゃ分かるわけないだろうがぁ!」イライラ

 

 

鈴仙(えぇ!?)

 

 

鈴仙「じゃ」

 

 

紫「喋るな兎ぃ!」

 

 

鈴仙(えぇー!?)

 

 

鈴仙(じゃどうすりゃいいのよ! 何をして伝えればいいの!? 理不尽すぎるわよ!)

 

 

紫「チッ あぁ…ほら、あれよ、あれしなさい」イライラ

 

 

鈴仙(舌打ち!?)

 

 

紫「ジェスチャー、ジェスチャーしなさいそれならいいから」

 

 

鈴仙(ジェ、ジェスチャー!? ええと…)

 

 

鈴仙「!」カクカク

 

 

鈴仙「!」ワタワタ

 

 

鈴仙「!」ワチワチ

 

 

紫「これっくらいの」

 

 

鈴仙「!」ワタワタ

 

 

紫「お弁当箱に♪」

 

 

鈴仙「!」ワチャワチャ

 

 

紫「おっにぎりおにぎり♪ ちょいと積めてってゴルァ!!!」

 

 

鈴仙「!?」

 

 

紫「私はおにぎり大っっ嫌いなのよ!! あぁぁおぞましい!! 流石元軍人! テロはお手の物ねぇ! 飯テロとはまさにこの事だわね兎ぃ!!」

 

 

鈴仙(そんなジェスチャーしてないぃ!! 誰か助けてぇ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 《5分後…》

 

 

 

紫「…」イライラ

 

 

鈴仙「うぅ…」シナシナ

 

 

紫「ウサ耳しなるんだ…」

 

 

鈴仙「…」グッタリ

 

 

紫「…はぁ、喋りなさい…」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

紫「もう喋っていいわよ、自分の策が成功したからちょっと有頂天になってたわ、藍をとっちめる為に自棄になってた…まあとっちめるけど」

 

 

鈴仙(藍さんをとっちめるのは変わらないのね…)

 

 

鈴仙「…いいの?」

 

 

紫「いいわよ」

 

 

鈴仙「もうこの際だから全部言うけど…さっきあなたが私に聞いた通りよ、あなたの為にクリスマスパーティーを開催しようとしてたの、主催者は藍さん、霊夢や魔理沙たちもあなたの為にお酒やら料理やらを作ってた、場所は紅魔館、みんな集まってパーティーの準備をしてた」

 

 

鈴仙「理由は…藍さんから聞いたけど今までしたことなかったからやってみたかったらしいわ、それで協力してくれる人を集めてたんですって」

 

 

鈴仙「あなたが紅魔館に行ったとき誰もいなかったのはサプライズのため…あなたの為のパーティーの準備を気取られたらサプライズにならないから、咲夜と姫様の能力でパーティー会場の空間を切り取って上手く隠してたのよ…当然その会場に私も含めて全員いたわ、朝からみんなが雲隠れしてた理由もサプライズのため、幻想郷民の根回しもあなたが思ってる通り」

 

 

紫「手が込んでるわねぇ」

 

 

鈴仙「今のあなた能力というか…あんまり力を使いたくないんでしょ? 冬眠前の八雲紫は少し力の強いおばあさんだから大丈夫だって魔理沙が言ってたけど本当だったのね」

 

 

紫「魔理沙ぁ…あの子最近私に対するババア属性付与が著しいわね…」

 

 

紫「…もう1つ質問よ」

 

 

紫「橙…私の為のサプライズパーティーなら当然橙もいるわよね?」

 

 

鈴仙「あぁ、あの子たちね」

 

 

紫「たち?」

 

 

鈴仙「実はチルノたち六人もパーティー参加者なの、でも何かの不注意であなたに会ってしまったらチルノなら簡単に口を割ってしまう…サプライズだからそれを許す訳にはいかない、だから今は純狐さんたちの家で匿われて…もとい遊んでる筈よ、あそこは仙界だから力を使わないあなたでは辿り着けない、私が頼んだのよ、純狐さんと私仲良いから」

 

 

鈴仙(まぁ…私の耳が大変な事になるんだけどね)

 

 

紫「ふーん…あなたはチルノと同等ねぇ」

 

 

鈴仙「だ、だって…! あなたがあんな形相で尋問なんかしてくるから」

 

 

紫「口を割ったのは事実、こりゃまたいじられの日々が始まるのかしら♪」

 

 

鈴仙「言わないで…覚悟出来てないの…」orz

 

 

紫「ふふっ…」

 

 

鈴仙「でも…あなたはいいの? 確かに私があなたに出会ってしまって、喋ってしまった事が100%悪いとしても…あなたの気持ちは」

 

 

紫「? 平気よ、あなたから何も聞かなかった事にしてパーティーが始まる時に堂々と紅魔館に突撃してやるから」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「正直嬉しいのよ? サプライズパーティー、クリスマスに私のためにやってくれるみんなに感謝しかないわ、例え元、月の連中が絡んでいようとも…」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「まぁこの時期にやってはほしくなかったかも…冬眠前だから色々とイライラは嫌だし、だから藍はとっちめる」

 

 

鈴仙(変わらないんだ、それは)

 

 

紫「…うどん」

 

 

鈴仙「せめてうどんげ呼びにしてよ」

 

 

紫「あなたもクリスマスパーティーの協力者…ならあなたにも感謝しないとね」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

紫「それと…個人的にあなたに謝礼もしてあげる♪」

 

 

鈴仙「え…?」

 

 

紫「こんなところに拉致ってしまった謝罪も込めてね、えーっと…パーティーはいつ始まるのかしら?」

 

 

鈴仙「午後22:00からよ、21:30ぐらいになったらあなたを霊夢が迎えにいく事になってるの」

 

 

紫「あらあら♪ 私の霊夢が!? きゃっ♪」

 

 

鈴仙(私の霊夢て)

 

 

紫「ふふふ♪ ならまだ時間あるわね♪」

 

 

紫「ちょっと付き合いなさいな♪」

 

 

鈴仙「ふぇ…?」

 

 

 

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、定食屋、PM14:30》

 

 

 

紫「私たぬきそばね、うどんはやっぱり焼きうど」

 

 

鈴仙「月見そばで」

 

 

 カシコマリィッ!

 

 

紫「えぇ…マジで?」

 

 

鈴仙「何よ」

 

 

紫「焼きうどんとかじゃないんだ」

 

 

鈴仙「あなたさ…てゐと同じこと言うのやめてよ、うどんげがうどん食わないなんてどうかしてるとか言われた私の気持ち考えてよ」

 

 

紫「ごめん、まったく分からない」

 

 

鈴仙「そうよねぇ…はぁ…」

 

 

鈴仙「あなたこそきつねうどんじゃないのね」

 

 

紫「やめて」

 

 

鈴仙「?」

 

 

紫「もう油揚げは懲り懲りなの」

 

 

鈴仙「え?」

 

 

紫「今だからたぬきそばを注文出来たけど藍と一緒にこういうとこ来てたぬきそば注文してみなさい」

 

 

鈴仙「どうなるの?」

 

 

紫「前に…」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

八雲藍『たぬきっっっっ!!』

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

藍『天かすだとぉ!? そんなもんはカス以下の以下だ!!』

 

 

紫『はぁ!?』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

紫「こうなるから…私にきつねうどん、そば以外の選択肢無いから」

 

 

鈴仙「えぇ…藍さんどうしたの…?」

 

 

紫「ほら、狸と狐は仲悪いから」

 

 

鈴仙「食べ物じゃない、てかあれ噂じゃなかったんだ」

 

 

紫「真実よ、まぁ私から言わせてみればしょーもない喧嘩よ、狸の方は全然相手にしてないんだから」

 

 

鈴仙「喧嘩すらしてないわよね、それ」

 

 

紫「ふふっ、確かに」

 

 

鈴仙「…あなたたちって持ちつ持たれつって感じよね」

 

 

紫「まあ家族だしねぇ…ここに橙を加えるとハッピーにしかならないんだけどね」

 

 

鈴仙(…家族、か)

 

 

紫「うどんのところはどうなの?」

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙(話してもいいものなんだろうか…)

 

 

紫「…別に話したくないならいいけどね」

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙「毎日…楽しくはやってる」

 

 

紫「話してくれるんだ」ニヤニヤ

 

 

鈴仙「あ、あなただけ話して私が話さないってのは…あれだから…///」

 

 

紫「律儀ねぇ…それに優しいし」

 

 

鈴仙「なっ!?」

 

 

紫「変身していた私、さっきの謎の美女のお困り事を聞いてあげてくれたじゃない」

 

 

鈴仙「自分で美女って言う? そ、それにあれは普通よ…///」カァ

 

 

紫「うどん可愛い♪」ニヤニヤ

 

 

鈴仙「か、からかわないでよ!」

 

 

紫「ふははは♪」

 

 

鈴仙「まったくもう…///」

 

 

鈴仙「…あなたのからかい方姫様にそっくりね」

 

 

紫「輝夜に?」

 

 

鈴仙「私が何かしたらやれ可愛いだの、やらかしたら可愛いさ余ってなんとやらとか言ってくるとこ」

 

 

紫「あなた今自分のこと可愛いアピールしてる?」

 

 

鈴仙「してない!! それよ! そういうとこ姫様にそっくり!!」

 

 

紫「ふーん、輝夜もノリが良いわよね面白いし…もこたん柄みは特に♪ ちょっと嬉しいわ」

 

 

鈴仙「…! ねぇ」

 

 

紫「ん?」

 

 

鈴仙「あなたって月の民の事嫌い…なのよね?」

 

 

紫「? えぇ嫌いよ?」

 

 

鈴仙「だったらなん」

 

 

 

 オマセタシマシター!

 

 

 

紫「お、きたきた♪」

 

 

鈴仙「あ…」

 

 

紫「まだパーティーには早いし腹拵えよ♪ あ、私今幽々子みたいなこと言っちゃった… 嬉しい♪」

 

 

紫「うどんは七味掛ける?」

 

 

鈴仙「い、いらない」

 

 

紫「そんじゃ、いっただきまーす♪」

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙(謎だわ…)

 

 

鈴仙「いただきます…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《30分後、人里の外れ》

 

 

 

 

鈴仙「はぁ、はぁ、急がなくちゃ!」

 

 

鈴仙「…」タタタ

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

紫『あなた買い物途中だったのね、なら私と会ったことは言わず、買い物をこなして何食わぬ顔で紅魔館に戻りなさいな』

 

 

紫『遅れた事に関しては八雲紫を人里で発見して紫の目から逃れるのに必死だったと言えば良いわ、私に会ったことさえバレなければ良いのだから』

 

 

鈴仙『うん、ありがとう』

 

 

紫『何でお礼?』

 

 

鈴仙『そばのお礼』

 

 

紫『律儀ねぇ』

 

 

鈴仙『あなたはどうするの?』

 

 

紫『口止めの根回ししてようが普通に接してくれるでしょうから、河童のところで将棋とかして暇を潰してるわ』

 

 

紫『それじゃまた後でね、うどんげ♪』

 

 

鈴仙『えぇまた…って、え…?』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

鈴仙「なによ…/// いきなり呼び方変えて…///」カァ

 

 

鈴仙「…///」

 

 

鈴仙「は、早く紅魔館に戻ろ…」

 

 

 

 

 

 

 

 《カリスマの館、紅魔館》

 

 

 

鈴仙「ふぅ…やっと着いた…って、え…?」

 

 

紅美鈴「…! おや、鈴仙さん」

 

 

鈴仙「あれ? 美鈴、あなた何で門に」

 

 

美鈴「へ? 何でって…私がここの門番だからですけど」

 

 

鈴仙「…? え? いや、だって今日は」

 

 

美鈴「今日?」

 

 

鈴仙「え?」

 

 

美鈴「はい?」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

美鈴「? おやその荷物… ! あぁ、分かりましたよ薬の補充ですか」

 

 

鈴仙「は…?」

 

 

美鈴「さぁどうぞどうぞ、薬のことは咲夜さんに言ってくださいね」スッ

 

 

ガチャ ギィィィ~

 

 

鈴仙「え? え!? ちょ、ちょっと美鈴押さないで!」

 

 

美鈴「ではではごゆっくり♪」

 

 

 バタン!

 

 

鈴仙「ちょっ…!?」

 

 

鈴仙「…居眠りが過ぎてるのかしら」スタスタ

 

 

 

 

 

《紅魔館、パーティー会場》

 

 

 ガチャ

 

 

鈴仙「戻ったわよ、まったく魔理沙! あなた日本酒だけでなくつまみだのなんだの書いてまったくどういうつも…り…」

 

 

 

 シーン

 

 

鈴仙「…!? は? え!?」

 

 

鈴仙「だ、誰もいない…? 料理とかもなくなって…はっ!」

 

 

鈴仙「姫様! からかってるんでしょう!? んもうやめてくださいよー! 遅れたのには訳があるんですからー!」

 

 

鈴仙「咲夜も乗らなくて良いから! ほら、材料買ってきたんだから受け取ってよ」

 

 

 シーン

 

 

鈴仙「……」

 

 

鈴仙「あ、あははは…ちょっとー! ふざけすぎてませんかー! 師匠も何とか言って」

 

 

十六夜咲夜「そこで何しているの?」

 

 

鈴仙「うひゃっ!?」ビクッ

 

 

咲夜「…」

 

 

鈴仙「いきなり後ろから声かけないでよ! あーびっくりした」

 

 

咲夜「鈴仙…あなた、ここで何してるの?」

 

 

鈴仙「は? 何ってほら買い出しよ、ジャンケン負けて買い出し言って来たから、はいこれ」スッ

 

 

咲夜「…」

 

 

鈴仙「言っとくけど必要な物は全部買ってきてるからね、間違えて変なの買ってきたりなんかしないんだから、てかさ、八雲紫もいないんだからさっさと能力解いて」

 

 

咲夜「…鈴仙」

 

 

鈴仙「?」

 

 

咲夜「あなた…大丈夫?」

 

 

鈴仙「……はい?」

 

 

 

 

 

《レミリアの部屋》

 

 

 

鈴仙「はぁ!?」

 

 

レミリア・スカーレット「咲夜、この兎は大丈夫なの?」

 

 

咲夜「えぇ…」

 

 

レミリア「兎、お前の戯言に付き合ってる暇は無い、だからもう一度だけ言うが」

 

 

レミリア「私たちはこれから家族でクリスマスパーティーをするんだ、家族でだ」

 

 

レミリア「八雲紫のクリスマスパーティー? 何故我々がそんなことをしなければならない、紫とて八雲家でのパーティーがあるだろう、それに今日の館への来客はお前が最初だ」

 

 

鈴仙「? ??」

 

 

咲夜「……さっき美鈴に聞いて来たけどあなた薬売りに来たんでしょう? 薬なら買うから用が済んだら帰りなさい、疲れてるのよあなた」

 

 

レミリア「仕事熱心な事だ、そういえば永遠亭でのクリスマスパーティーはいったいどんな感じ」

 

 

鈴仙「ふざけないでよ!!」

 

 

レミリア、咲夜「…」

 

 

鈴仙「なに!? なんなの!? 戯言だの疲れてるだの! ここまで手が込んでるイタズラは初めてよ!」

 

 

鈴仙「咲夜! あなたは私に苺とカボチャがほしいから買ってきてってさっき私に頼んだわよね!? 買い物ジャンケンもあなたは参加してたし、料理担当のアリスと妖夢と一緒に料理を作ってたじゃない!」

 

 

咲夜「…」

 

 

鈴仙「それとレミリア! 私がここを出る前に霊夢と一緒にいられる~とか言って霊夢にくっついてたわよね! 紫の為のパーティーの会場をうちにしないかと言ったのもあなただって藍さんから聞いたけど!? それに会場で一番はしゃいでいたのはあんたとフランドールだった!」

 

 

レミリア「…」

 

 

鈴仙「他の! 他のみんなはどこにいるのよ! はぁ、はぁ…」

 

 

レミリア「…咲夜」

 

 

咲夜「はい」

 

 

咲夜「……鈴仙、それ以上訳の分からない事を言い続けてお嬢様を困らせるのならここから摘まみ出すわよ、例えあなたでも容赦しないわ」

 

 

鈴仙「な…!?」

 

 

レミリア「狂気の瞳だったか…? くくく、自分の能力に溺れたか?」

 

 

鈴仙「な…何を言って…! そんな…そんなことが...」

 

 

鈴仙(! 落ち着きなさい鈴仙…! 絶対におかしい…! 私はおかしくなんかない! 私をはめようとしているのは確実! 恐らくてゐか姫様、師匠、魔理沙…数え上げたらキリがない!)

 

 

鈴仙(そっちがその気なら反抗してやるわ! 私の能力使って波長を…)スッ

 

 

 ブゥン!

 

 

 

咲夜、レミリア「!」

 

 

咲夜「…」スッ

 

 

 パチン!

 

 

鈴仙「…え?」

 

 

咲夜「…なんのつもりかしら」

 

 

 

 鈴仙の喉元には咲夜のナイフが突き着けられていた

 

 

 

鈴仙(時を止めて一瞬で…)

 

 

咲夜「あなたの能力の怖さは分かってる、発動なんかさせたらナイフを喉に押し込むわよ」ゴオッ

 

 

鈴仙「…!」ゾクッ

 

 

レミリア「あっはっは♪ 見事、咲夜」

 

 

咲夜「…」

 

 

鈴仙「さ、咲夜…本気なの…?」

 

 

咲夜「…あなたの事は親友だと思ってる、けど…」

 

 

咲夜「お嬢様の事をこれ以上困らせないで」

 

 

鈴仙「っ…!」スッ

 

 

 タタタ バタン!

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリア「…」

 

 

 

 

 

《紅魔館》

 

 

 

 バンッ!

 

 

美鈴「あ、鈴仙さんもう終わったんです」

 

 

鈴仙「…!!」ダッ

 

 

 タタタタ!

 

 

美鈴「あっ! 鈴仙さん!」

 

 

 タタタタ!

 

 

美鈴「…」

 

 

パチン!

 

 

咲夜「…」

 

 

美鈴「咲夜さん…」

 

 

咲夜「心が…痛いわ…」

 

 

美鈴「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

《人里の外れ》

 

 

 

鈴仙「はぁはぁ! っ! はぁはぁ…!」

 

 

鈴仙「はぁ…はぁ…うっ…」

 

 

鈴仙「はぁ…はぁ」

 

 

鈴仙「なん…なのよ…! 何がっ…!」

 

 

鈴仙「イタズラじゃないの…? なんなのよ…! 咲夜もレミリアも…!」

 

 

鈴仙「私は…!」

 

 

鈴仙「全部最初から…そんな…」

 

 

鈴仙「…そんなわけない! 絶対に違う…!」

 

 

鈴仙「…でも、どうしたら…」

 

 

鈴仙「…! 八雲、紫…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《妖怪の山、麓、PM16:00》

 

 

 

河城にとり「え! じゃあ全部知ってんだ」パチン

 

 

紫「そうよ」パチン

 

 

にとり「へぇー、んじゃ私たちがもう隠す必要も無いわけだ」パチン

 

 

紫「そうなるわねぇ」パチン

 

 

鍵山雛「でも、分かった上でよく楽しめるわね」

 

 

紫「それがゆかりんよ♪」

 

 

にとり「サプライズなのにねぇ」パチン

 

 

紫「私の為にしてくれるってだけで、私は満足だし~」パチン

 

 

雛「寛大ね」

 

 

にとり「私は隠し事は性に合わないし紫が楽しんでるならそれでいいんじゃない?」

 

 

紫「どうも…はい、王手よ」パチン

 

 

にとり「ありゃ!?」

 

 

雛「ふふっ、紫さんの勝ちね」

 

 

にとり「ぬおぉ…ま、まさか負けるとは」

 

 

紫「えぇー…私に勝てると思ってたの?ちょっと心外」

 

 

にとり「だって紫って将棋やってるイメージないから…」

 

 

紫「あのね…古今東西の有りとあらゆるゲームを遊び尽くした私が将棋をやってないはずないでしょう?」

 

 

紫「それに将棋は兵法に通ずる物があるからね、昔に幽々子と散々やったわ」

 

 

にとり「くそぅ…てか兵法学ぶ意味あんの?」

 

 

紫「今は無いかもね♪」

 

 

雛(自由な人…)

 

 

にとり「紫! もう一回! もう一回勝負だ!」

 

 

紫「良いわよぉ♪ 夜までは暇の極みだからとことん付き合って」

 

 

 ガサガサ!!

 

 

紫、にとり、雛「?」

 

 

 

鈴仙「はーっ…! はーっ…!」

 

 

 

にとり「ひゅい!?」

 

 

雛「きゃっ!」

 

 

紫「? あら、うどんげじゃない♪」

 

 

鈴仙「はーっ…! はぁ、はぁ…! !? ゆ、紫…!」

 

 

紫「何でここに? まだパーティーには早い」

 

 

鈴仙「た、助け…! はぁ…はぁ 助けて!」

 

 

紫「…?」

 

 

にとり「はいはい、ちょっと待ちなよ…」ガサゴソ

 

 

にとり「これ飲みな、河童印のエナジーウォーター、そんな息切らしてたら何を助けてほしいか分からないだろう?」スッ

 

 

鈴仙「あ、あり…げほっげほっ! ありがとう…」

 

 

雛「永遠亭の兎さん…? よね、何があったのかしら」

 

 

紫「…うどんげ、ゆっくりで良いから話なさい」

 

 

鈴仙「うっ…げほっ、うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 《うどんげ、説明中…》

 

 

 

紫「…」

 

 

にとり「ん? なんじゃそりゃ」

 

 

雛「どういうことかしら」

 

 

鈴仙「こっちが聞きたいわよ…! もう何がなんだか…どうしていいか、分からなくて…」

 

 

雛「ん~…なんか突っ込みたいところが山のようにあるんだけど」

 

 

にとり「うん、あのさ、それがマジだとして蓬莱人の気配とか感じなかったの?」

 

 

鈴仙「感じなかったわ…もしあの場に姫様がいたら気配すら消し去るわ」

 

 

にとり「証拠が逃げたのかな…んでもあの咲夜がそんなことするわけが、ないか…」

 

 

雛「本気の殺意だったのね…」

 

 

鈴仙「うん…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「にとり、雛」

 

 

にとり、雛「?」

 

 

紫「私のクリスマスサプライズパーティーをやるから紫には黙ってて…かしら? これ誰から聞いたの?」

 

 

にとり「え? そうだな…私は魔理沙だよ」

 

 

雛「私はアリスさんから」

 

 

紫「ふーん…覚えてる、か…」

 

 

にとり、雛「え…?」

 

 

雛「どういうこと?」

 

 

紫「いえ? 藍のところに強力な協力者がいないか確かめただけよ」

 

 

にとり「覚えてるって、当たり前じゃんか」

 

 

紫「その当たり前が大事なの、それとにとり、あなた今にとりんレーダー持ってる?」

 

 

にとり「うん? あぁ、持ってるけど」

 

 

紫「じゃあこの妖怪の山の麓付近、妖怪の山在住じゃない奴がいるか探して」

 

 

にとり「お? お、おう、分かった」スッ

 

 

 ピコンピコン

 

 

紫「うどんげ」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

紫「バカねぇ、その場で逃げなかったらあなたの勝ちだったのに…」

 

 

鈴仙「え…」

 

 

紫「にとりと雛が覚えてる、そしてあなたの話…この時点であなたが私をはめようとはしていないという事と、パーティーはきっかり夜の22:00に始まるのは確定した」

 

 

雛「何故鈴仙さんがあなたをはめようとするの?」

 

 

紫「根回しまでして私を一人ボッチにしようとした奴等よ? 紅魔館に戻ったうどんげを操って私のとこに行かせて嘘をつかせる、もしくはうどんげに咲夜たちの幻影を見せ、不信感でいっぱいにしたあと泳がせる、または咲夜たちの記憶を消す」

 

 

雛「そ、そこまでするの?」

 

 

紫「やりかねないわよ、相手には月の賢者がいるからね…あれは怖いわよ~、たまにぶっ飛ばしたくなるぐらいにね」

 

 

紫「んでさっきの答えだけど、うどんげが会った紅美鈴、十六夜咲夜、カリスマ幼女は本物、幻影でもなんでもない」

 

 

鈴仙「え…?」

 

 

紫「パーティー会場がなくなってたのは輝夜と咲夜の能力で空間ごと切り取っていたから、そしてパーティー会場には誰もいなかった、本当に誰もいないのよ」

 

 

鈴仙、雛「??」

 

 

紫「恐らく奴等は一度作戦を練り直した、そしてその作戦の最中でクリスマスパーティーの準備はもう整ってる、だから一旦解散してるの、霊夢も魔理沙たちもみんな自分の家に戻ってるのよ」

 

 

鈴仙「自分の家に戻ってる…!?」

 

 

紫「そうよ、藍もマヨヒガにいるでしょうし幽々子と妖夢も白玉楼に戻ってる…紅魔館以外のところにあなたが一人で行ってもきっと同じ対応をされた筈よ、私に干渉してこないのは優しさ有っての事かしら、私が本元だからかしらね」

 

 

紫「うどんげ、あなたがこんな目にあっているのはなんでか分かる?」

 

 

鈴仙「……」

 

 

紫「…簡単に最初から言ってあげる」

 

 

紫「藍が私の為のクリスマスパーティーを計画、これに賛同したのは、霊夢、魔理沙、アリス、紅魔館の6人、白玉楼の二人、橙を含めた子供たち6人、あなたを含めた永遠亭の四人」

 

 

紫「パーティー準備の中サプライズにしたほうが面白いと誰かが言い放ち、これに全員が賛成『ゆかりんクリスマスイブにボッチだったけど最後にはみんなお友達計画』がスタート…私が冬眠前で力を極力使いたくないのを良いことに人里、妖怪の山、命蓮寺の者に根回しをし始める」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「イブの今日に計画施行、橙たちを純狐の仙界に預けた後、橙たちを除く全員が紅魔館でパーティーの準備、作戦通りクリスマスボッチを過ごすゆかりん…だけどここで計画にある狂いが起こる」

 

 

紫「うどんげ、ジャンケンに負け買い出しに…その最中私に見つかりスキマに落とされて尋問される」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「うどんげを紅魔館から尾行し、それを見ていた何者か、紅魔館に戻りそれを報告」

 

 

鈴仙「な…!?」

 

 

紫「何者かから報告を受けた紅魔館にいた者たちは計画を変更、私だけでなくうどんげもはめる計画を提案、実行する」

 

 

にとり「その計画を提案したのは?」ピコンピコン

 

 

紫「八意永琳♪ あ、ついでに尾行の『何者か』は因幡てゐの可能性大ね」

 

 

鈴仙「!?」

 

 

紫「私に見つかって不甲斐ないうどんげに罰を…と言ったところかしら? うどんげが私に口を割ることまで見抜いてるから恐らく八意永琳よ、尾行がバレなかったのも因幡てゐの能力を持ってすれば簡単なこと」

 

 

紫「計画はうどんげを私と過激な方法で同じ状態にすること、その為に一度解散して紅魔館を元の紅魔館にすることが必要、パーティー会場の空間だけはどこかに切り取っておいて後は普通にしてるだけ」

 

 

紫「紅美鈴と十六夜咲夜、レミリアはあなたに演技をしたのよ、もしあの場にあなたが一人だったらあなたは自分の能力を使って波長の揺らぎを見抜き、パーティー会場を探し当てる事が出来たはずだから」

 

 

鈴仙「演技…」

 

 

雛「二人の為にここまでするのね…」

 

 

にとり「愛されてんだか弄ばれてんだかわかんないね」ピコンピコン

 

 

紫「少なくとも私に今直接干渉してない者は傍観しているということ、さっきも言ったけどそれは優しさあってのことよ、ゆかりんそこは嬉しいわ」

 

 

紫「もう1つ、これは大事な事ね、咲夜の演技は悪ノリしたレミリアの指示よ、大方…作戦と言う言葉にウキウキして咲夜に無理を言ってやらせてるのね、こういうとこにバカリスマが発動するのはあのちんちくりんの悪いとこ」

 

 

紫「友達なんでしょう? 信じてあげなさいな」

 

 

鈴仙「!! …そっかぁ…あはは…」ドサッ

 

 

紫、にとり、雛「…?」

 

 

鈴仙「咲夜…演技だったんだ…良かったぁ…」ニコッ

 

 

雛「…喜ぶところかしら」

 

 

にとり「いやいや! いいわ…いいのかなぁ?」ピコンピコン

 

 

紫「良いんじゃない? 本人が良ければ、ね♪」

 

 

紫「それはそれとして…ねぇうどんげ、あなた悔しくないの?」

 

 

鈴仙「!」

 

 

紫「私に拉致られただけでこんな目に合わされて、挙げ句の果てに友達の咲夜を間接的に利用されて…あなた悔しくないのかしら? 今のは推測に過ぎないとは言え辻褄が合いすぎてる、これは真実よ」

 

 

鈴仙「…! そ、それは…」

 

 

紫「…」

 

 

にとり、雛「…」

 

 

鈴仙「く、悔しいわよ! 元はと言えば私の蒔いた種だけど…! 師匠とはいえ私の友達を…悔しい…けど」

 

 

紫「相手が悪い?」

 

 

鈴仙「…」コク

 

 

紫「誰を目の前に首を縦に振るの?」

 

 

鈴仙「!」

 

 

紫「これは永遠亭の問題だから~とか思ってる? バカね、これは私の為のクリスマスパーティーと偽ったうどんげへの質の悪いイタズラになってるのよ?」

 

 

紫「そんなことされてる私の身になってみなさい、楽しくクリスマスパーティー出来ると思う? 『えーりんありがとう!』…なんてここまで口が裂けてる私でも口が裂けても言えないわね」

 

 

鈴仙「……紫…」

 

 

紫「あなたと一緒に食べたご飯、美味しかったわ、それに楽しかった…ボッチになってた私には至福の時だった」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

紫「うどんげ、私と一緒に永遠亭の連中、いや、八意永琳を少し懲らしめてみない?」

 

 

鈴仙「!」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「…」

 

 

にとり、雛「…」

 

 

鈴仙「……」

 

 

鈴仙「…やる」

 

 

紫「…!」

 

 

鈴仙「やるわ! やってやるわよ!」

 

 

紫「! 良く言った!」

 

 

鈴仙「でもどうするの? 仕返しと言っても何をするのよ、相手は師匠だから並大抵のことでは…」

 

 

紫「あぁ、あなたは何にも心配いらないわ、あなたの今後の事についてのアフターサービスも完璧、私に全部罪がくるようにするから、この事であなたがずっと言われ続ける様な事にはさせないから」

 

 

鈴仙「え…?」

 

 

紫「作戦はあるんだけど穴がある…その穴を埋めるために」スッ

 

 

紫「にとり、雛、あなたたちにも手伝ってほしいの」

 

 

にとり、雛「……」

 

 

紫「協力、お願い出来ないかしら」

 

 

にとり「はっ…あのさぁ、ここまで聞かされて協力しない~なんて言えると思うのかい?」

 

 

鈴仙「!」

 

 

にとり「それに面白そうじゃん♪ 月の賢者に河童の科学力を見せてやるよ!」

 

 

雛「私がどこまで手伝えるか分からないけど…」

 

 

雛「兎さんの厄払い、してあげるわ♪」

 

 

鈴仙「ありがとう…にとり、雛さん」

 

 

紫「感謝するわ…このお礼は私のクリスマスパーティーに参加でどうかしら?」

 

 

にとり「おっ! 良いねぇ♪ ならお金の請求はやめておこう」

 

 

雛「こらにとり、お金取る気だったの?」

 

 

にとり「じょ、冗談だよ~」

 

 

鈴仙「…! 紫、この二人がパーティーに参加したら今からやる仕返しに協力したとバレるんじゃ…」ヒソヒソ

 

 

紫「私がボッチ中に彼女たちと遊んでてついでに…よ、大丈夫、そこの道筋までちゃんと考えてるから」ヒソヒソ

 

 

鈴仙(い、いつの間にそんな…)

 

 

紫「にとり、レーダーの結果は?」

 

 

にとり「とっくに出てるよ、ここら辺にはいないね」

 

 

紫「よし…尾行等は今は無い、良い? これから作戦を簡単に説明するから良く聞きなさい」

 

 

にとり、雛、鈴仙「…!」コクコク

 

 

紫「本当に簡単なの、あの薬剤師への仕返しは奴の心を攻めればいいんだから」

 

 

紫「あれを盗み出せば勝ったも同然よ♪」

 

 

にとり、雛、鈴仙「??」

 

 

紫「ふふっ♪ 取り合えず作戦会議場所に移動しましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《永遠亭、入り口前 PM18:00》

 

 

 

 

 

鈴仙「…」

 

 

 

 

 

 【数分前…作戦会議場所、○○の家】

 

 

紫『うどんげ、あなたの役割は八意永琳、因幡てゐの注意を引き付ける事よ、二人は私とうどんげが会ったことは知ってるけどその後の事は知らない、尾行はスキマに落とされた時点で終わってるから私と一緒にご飯食べて紅魔館でカリスマ劇団に騙された後、私とにとりと雛で仕返しに来ているなんて微塵にも思ってないでしょうね』

 

 

紫『ポイントはあなたがまだ騙されている感覚を持っていること、オーバーリアクションでいいから二人と会話なさい、家族だからって手を抜いたら反撃されるからね? これがあなたにしか出来ない役割、頼んだわよ』

 

 

鈴仙『…分かったわ』

 

 

紫『その間に私と雛で永遠亭宝物庫に潜入、あるものを盗み出す』

 

 

紫『問題なのは永遠亭にあるであろう侵入者対策の罠、因幡てゐの能力、見張りの妖怪兎、蓬莱山輝夜の無限回廊の術』

 

 

紫『因幡てゐは『人間を幸運にする程度の能力』だけどこれをあの兎は自在に操っている、幸運を分け与えられるんだから物や罠にまで幸運にすることが出来て『幸運にも八雲紫がトラバサミに引っ掛かった』とかの幸運を呼ぶことが出来るから厄介、これを破るために雛、あなたが必要なの』

 

 

紫『幸運にも私に降り注ぐ罠…言い替えれば、私にとっての厄が降り注いでくる…因幡てゐの能力を厄として溜め込む、それがあなたの役割』

 

 

雛『待ってそれは無理よ、そんな一瞬で終わる厄を吸収なんて出来ないわ、その厄を吸収するなら…厄を間近で見るか私の回りで起こさないと直ぐには』

 

 

紫『私と一緒にってさっき言ったじゃない』

 

 

雛『えっ!?』

 

 

紫『疲れるけど…私のスキマを使ってあなたの溜めた厄が私に来ないようにあなたに密着すればいいのよ』

 

 

雛『み、密着!?』

 

 

紫『そう♪ 肌と肌が触れ合うぐらい♪』

 

 

雛『えぇっ…!? で、でもやるからにはやらなくちゃね…///』

 

 

紫『ふふっ♪ …にとり、あなたはここに残って機械を駆使して見張りの妖怪兎どもの逆監視、あなたの光学迷彩スーツと私の術があろうとも近くで匂いを嗅がれたら終わりだからそこんとこ頼むわね、私に発信器と通信機、うどんげに発信器と盗聴機を渡しなさい』

 

 

にとり『おうさ! 監視のヤマメンロボ30体と…はいこれ、通信機と発信器、盗聴機ね♪ 服の中に入れときゃ絶対にバレないから安心して良いよ! 通信機は脳の電波を読み取るから喋らなくていい優れものさ! 思い浮かべるだけでこっちに思いが伝わるように作ってあるのだよ、念波みたいなもんだね』

 

 

紫『ほ、本気ね…ありがと…あぁ、心配しなくて良いわよ? 輝夜の無限回廊の術は私がバレない様にこじ開けていくから…よし、作戦はこれで決まりよ、何か質問とかある?』

 

 

にとり『あ、鈴仙の方にてゐがいるけど鈴仙に対して何か運が働いたりしないの?』

 

 

紫『うどんげの事を今は舐めてるだろうからそれはないわ、運の無駄遣いはしない…因幡てゐのやり方よ』

 

 

紫『他にある?』

 

 

鈴仙、雛、にとり『…』フリフリ

 

 

紫『説明は以上よ、あ、後…』

 

 

紫『作戦会議場所の提供、ありがとねもこたん』

 

 

藤原妹紅『もこたん言うな! それに良いって言ったろ? 月の奴等に一泡吹かせる会議ならいくらでも家でしてくれて構わないんだぞ?』

 

 

紫、にとり『もこたん優しい~♪』

 

 

妹紅『もこたんはやめろぉ!』

 

 

雛『こっちの蓬莱人さんは優しいのね』

 

 

鈴仙『…妹紅ありがとう、家、上げてくれて…』

 

 

妹紅『鈴仙ちゃん…』

 

 

妹紅『作戦成功するといいな、私はここで見守らせてもらうよ』

 

 

鈴仙『…! うん!』

 

 

紫『もこたんはこれから慧音先生とパーティーだもんねぇ、良いわねぇラブラブで』

 

 

妹紅『アホか! そんなんじゃないよ!』

 

 

紫『やっぱあれなの? そのままお泊まりの流れに』

 

 

妹紅『なるかぁ!』

 

 

雛『もこたん?』

 

 

にとり『妹紅のあだ名なんだって、良いよね分かりやすいあだ名でさ』

 

 

雛『にとりは工場長だもんね』

 

 

にとり『雛ぁ!』

 

 

雛『ウフフ♪』

 

 

鈴仙『…あのさ、紫』

 

 

紫『ん?』

 

 

鈴仙『…』

 

 

紫『大丈夫』

 

 

鈴仙『!』

 

 

紫『月の柵? 今はそんなもの関係ない、日頃の鬱憤を晴らすつもりで堂々とやりなさい』

 

 

鈴仙『…ありがとう、紫』

 

 

紫『ふふっ、よ~し! 作戦開始よ!』

 

 

 おーっ!!

 

 

 

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙「行くわ…!」スッ

 

 

 

 

 

《永遠亭》

 

 

 

鈴仙「師匠! 師匠居ますか!?」

 

 

八意永琳「あらうどんげ、戻ったのね」

 

 

因幡てゐ「おっ帰り~♪」

 

 

永琳「どこに行っていたの? こんなに遅くまで、そろそろ夕飯の支度という名のクリスマスパーティーを」

 

 

鈴仙「夕飯!? 何を言っているんですか!? 八雲紫へのサプライズクリスマスパーティーはどうしたんですか!?」

 

 

てゐ「は? 八雲紫のクリスマスパーティー?」

 

 

永琳「うどんげ…それはこちらのセリフよ、あなた一体何を言っているの?」

 

 

鈴仙「え…?」

 

 

てゐ「プクク…! 鈴仙、薬のやり過ぎウサ? どうして私たちが八雲紫の為にパーティーしなきゃならないウサ」

 

 

鈴仙「私を危ない人みたいに言うのやめて! その取って付けた語尾もやめなさい!」

 

 

永琳「うどんげ、てゐの言う通りよ、どういうことなのかしら」

 

 

永琳「八雲紫にサプライズ? それは私たちがあの妖怪の為に用意したと言うことかしら?」

 

 

鈴仙「そうですよ!! 師匠たちさっきまで紅魔館に居たのになんで」

 

 

てゐ「は? 私たちここにずっと居たんだけど」

 

 

鈴仙「なっ!?」

 

 

永琳「紅魔館? なんであの館が出てくるの?」

 

 

鈴仙「!!? し、師匠…! 何を…! 言って…」

 

 

てゐ「クク…鈴仙、マジで大丈夫?」

 

 

鈴仙「わ、私は…! 大丈夫よ! 師匠! あなたもてゐも姫様も紅魔館…………」

 

 

 

 

 ピー、ガガガ

 

 

 

 

 

紫、にとり、雛、妹紅「…」

 

 

紫「ここまで清々しいと逆に笑えてくるわね」

 

 

雛「なんか燃えてきたわ…厄を移してやりたいほどに」

 

 

妹紅「永琳とてゐをぶっ飛ばしたいと思ったのは初めてだ…ここまでやるのか?」

 

 

にとり「……よし…!」カタカタ

 

 

にとり「モニター機器の感度良好、ヤマメンロボ設置完了、光学迷彩スーツのエネルギーMAX、いつでもいけるよ」

 

 

紫「分かったわ、雛、スキマを繋げるからこっち来なさい」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

雛「んっ…」

 

 

紫「よし…よいしょっと…」スッ

 

 

 グイッ!

 

 

雛「えっ……えぇっ!?」

 

 

紫「雛、能力の発動はお願いね♪ にとり、こっちは頼んだわよ」

 

 

にとり「お、おう」

 

 

雛「ゆ、紫さん! こ、これは…///」

 

 

紫「悪いけどこのまま行くからね、この方が動きやすいし…んじゃ作戦通りにね♪」スッ

 

 

雛「うぅ…///」

 

 

紫「光学迷彩、スイッチオン!」スッ

 

 

 カチッ ブゥン!

 

 

紫「うーわ本当に見えなくなるのね…んじゃ、行ってくるから」

 

 

にとり、妹紅「お、おう…」

 

 

妹紅「…お姫様抱っこする必要はあんのか?」

 

 

にとり「お雛様なのにね、あ、お雛様抱っこじゃん」

 

 

妹紅「そこじゃない、突っ込むとこそこじゃないから」

 

 

 

 

 

《永遠亭、裏口、宝物庫への道》

 

 

 

紫「雛、もっとくっつきなさい、こう腕を私の首に回して…あ、厄の吸収頼んだわよ」ヒソヒソ

 

 

雛「わ、分かってるわよ…///」ヒソヒソ

 

 

雛(厄を…集中して…溜め込む…!)

 

 

 にとりだよ、聞こえてる?

 

 

紫(えぇ、聞こえてるわ、こっちの声は?)

 

 

 聞こえてるよー♪ 流石私! 河童の科学力は世界一ぃ!

 

 

紫(にとり、そんなことより敵の数を教えて)

 

 

 そんなことって…むー… えっとねぇ見張りの妖怪兎は全部で15羽、紫の言ってた赤い扉の宝物庫の近くにはいないけどその道中に4羽居るね

 

 

紫(4羽ぐらいならどうとでもなるわね、宝物庫にいないのはラッキーだわ)

 

 

 鈴仙は頑張ってくれてるよ、ただ月のお姫様がヤマメンロボじゃ探知できないんだけど…

 

 

紫(…輝夜なら自分の部屋に居る可能性が高いわね、そこは見張らなくていいから、何か変な動きがあったら伝えて?)

 

 

 りょーかい

 

 

雛(ムムム…)ゴゴゴゴ

 

 

紫(その調子よ雛、堂々と歩いても罠が不発で終わってる…凄いわね厄神様の本気)

 

 

雛(厄いわね…ここの罠、トラバサミ、タライ、巨大ネズミ取り…)

 

 

紫(厄いのね…でも妙ね、無限回廊の術が無いのは計算外)

 

 

紫(まぁ、楽だからいいけどね)

 

 

 

 紫と雛は妖怪兎とてゐの仕掛けたトラップを掻い潜り、宝物庫の扉の前にたどり着いた

 

 

 

 

紫(思いのほかあっさりと着いたわね)

 

 

雛(えぇ、急ぎましょう、兎さんの為にも)

 

 

紫(そうね、ここに来るまで5分、ちょうど半分…)

 

 

雛(この扉鍵穴が無い…何かの封印術みたいなのが使われているみたいね、どうやって開けるの?)

 

 

紫(心配無用よ)スッ

 

 

 ギュオン! ブゥン! 

 

 

紫(ほらこの通り)

 

 

雛(! どうやったの?)

 

 

紫(この封印は月の技術の産物、ただ単純に結界で覆うだけの結構古いタイプの封印、こんなもん力を込めれば簡単に解けるわ)

 

 

雛(月の宝物が眠っている場所なのに…)

 

 

紫(…それじゃ中に入りましょう)

 

 

 どうやら中に入れたみたいだね、敵には気付かれてないから今のうちだよ

 

 

紫(了解よ)

 

 

 

 

 

《永遠亭、宝物庫》

 

 

紫(あった…これね)

 

 

雛(この壺なの?)

 

 

紫(中身が重要なのよ、これをスキマにしまってと)スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

紫(っ…!)

 

 

雛(紫さん?)

 

 

紫(…なんでもないわ、用も済んだし早く撤退よ)

 

 

雛(…えぇ)

 

 

 任務完了だね♪ …ん? あ、待って!

 

 

雛(にとり?)

 

 

紫(?)

 

 

 紫、雛! なんか宝物庫前辺りに変な動きがある! なんか空間が歪んでるというか…

 

 

雛(えっ!)

 

 

紫(空間…)

 

 

紫(にとり大丈夫よ、通信はそのままでいいけどそっちからはコンタクトしないでね)

 

 

 分かった

 

 

 

 

《宝物庫入り口》

 

 

 

紫(…)

 

 

 グワングワン

 

 

雛(!? 空間が歪んでる)

 

 

紫(雛、何があっても喋っちゃだめよ)

 

 

雛(!)コクコク

 

 

 グワングワン! ブゥン!

 

 

蓬莱山輝夜「…」

 

 

雛(あれは…!)

 

 

紫(輝夜…)

 

 

輝夜「…!」

 

 

輝夜「…」

 

 

雛(こ、こっちを見られているような…)

 

 

紫(シッ…)

 

 

輝夜「…」

 

 

紫、雛(…)

 

 

輝夜「…月が綺麗ね…」

 

 

紫、雛(!)

 

 

輝夜「こういう日は、永遠に紅い幼き月の元で月見酒も悪くないわね」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

紫、雛(…)

 

 

雛(い、行っちゃった…)

 

 

紫(…やっぱりね)

 

 

 紫、雛、輝夜が離れていったよ、てかやっぱりって?

 

 

紫(宝物庫の封印、これ輝夜がやってるんだけどあの子めんどくさがって弱っちい封印術しか施してないのよ)

 

 

紫(封印が解けたから様子を見に来たんでしょうね、そして私たちの存在に気が付いた、いくら光学迷彩でも輝夜なら見破るわね)

 

 

雛(えっ!?)

 

 

 何ぃ! ヤバイじゃんか!

 

 

紫(いいえ? 私たちの存在に気が付いた時点で永琳なりなんなり呼ぶはずでしょう? でもそれをしない、それにさっきの言動)

 

 

紫(輝夜はこのうどんげいじりには中立なのね、敵でも味方でもない、霊夢たちみたいに傍観してるのよ)

 

 

雛(でも自分の家の宝物を盗まれているのに何で…)

 

 

紫(うどんげいじり作戦に本心では反対…盗まれた物を把握して私たちの企みに気付いて賛同…)

 

 

紫(紅魔館のパーティー会場を切り取ってまでサプライズに協力してるけど輝夜はどっちかって言ったら私たちの味方…)

 

 

雛(助けられたって事よね、でもよく分かったわね、輝夜さんが中立の立場だなんて)

 

 

紫(輝夜ってうどんげの事そんなにいじってないのよ、軽く話の中でからかうぐらいでね)

 

 

 なんにせよ任務完了だね 早くこっちに戻っておいでよ

 

 

紫(分かったわ、行くわよ雛)

 

 

雛(えぇ、えっ…/// また抱っこ?)

 

 

紫(行きはヨイヨイ帰りもヨイヨイよ♪)

 

 

雛(うぅ…/// 恥ずかしい…///)

 

 

紫(あなたふんわり服なのに以外に軽いわよね♪)

 

 

雛(どういう意味よ…///)

 

 

 

 

 

《永遠亭》

 

 

てゐ「ああもうしつこいウサ!」

 

 

永琳「うどんげ、あなたいい加減になさい」

 

 

鈴仙「いい加減にするのは師匠の方ですよ!! みんな紅魔館で八雲紫のクリスマスパーティーの準備をしていたじゃないですか!」

 

 

てゐ「だーかーらー…! 何で私たちがあの妖怪の為にそんなことしなきゃならないのさ」

 

 

鈴仙「姫様が面白そうだから行かないかと提案したからでしょ! 覚えてないの!? そうだ…! 姫様! 姫様はどこですか!?」

 

 

てゐ「姫なら部屋で休んでるよ、今日はずっと部屋にいたじゃんか」

 

 

永琳「あの妖怪の為に姫が能力を? そこまでするかしら? うどんげ、よく考えてみなさい」

 

 

鈴仙「…!?」

 

 

永琳「あなた今日八雲紫に会ったの? もしパーティーをやるとしてあなたがそこまで混乱しているのなら彼女を頼る…何か話したの?」

 

 

鈴仙(! 探られてる…!)

 

 

永琳「大体あなた紅魔館には行ったの? パーティー参加者の博麗の巫女とかに会ったの? 話の内容の重要な部分が所々抜けてるわ、落ち着いて詳しく話してほしいものね」

 

 

鈴仙(もう限界ね…これ以上はもう)

 

 

てゐ「鈴仙、一番強い精神薬ウサ、これ飲んで一旦落ち着くウサよ」

 

 

鈴仙(こ、こいつ…!)

 

 

鈴仙「わ、私は…!」

 

 

永琳「うどんげ…」

 

 

永琳「質問しても何も答えないつもりかしら? なら自白剤という手もあるけど?」

 

 

鈴仙「!  私は…!」

 

 

鈴仙「わ、私はおかしくなんかない!」スッ

 

 

 タタタ!

 

 

永琳、てゐ「…」

 

 

てゐ「あーあ、逃げちった」

 

 

永琳「ふふっ…これで懲りたかしら」

 

 

てゐ「おー怖い、お師匠様も人が悪いよね」

 

 

永琳「良い薬にはなったでしょ、最近平和ボケしすぎてるのよあの子」

 

 

てゐ(お師匠様は敵に回したくないウサ…)

 

 

てゐ「鈴仙どこ行ったんでしょうね」

 

 

永琳「さぁ? でも最終的には紅魔館に行かざるを得ない…そこでネタばらしよ、ふふっ、どんな反応をするかしら♪」

 

 

てゐ(こえぇウサ…)

 

 

 

 

 

 

《迷いの竹林、藤原妹紅の家》

 

 

 

紫、にとり「いえ~い♪」ハイタッチ

 

 

雛「やったわね♪」

 

 

妹紅「うまくいったな! 良かったじゃないか」

 

 

鈴仙「…」

 

 

にとり「ヤバイ…私月の奴等出し抜いたわ…これから河童の時代くるわ…」ジーン

 

 

雛「スリルがあって楽しかったわ♪ お姫様抱っこは勘弁だけど…///」

 

 

妹紅「私も参加してりゃよかったかな」

 

 

紫「ダメ、もこたん輝夜の事見たら特攻していくから計画台無し」

 

 

妹紅「ぬぐっ…い、言い返せない」

 

 

鈴仙「み、みんな!」

 

 

紫、にとり、雛、妹紅「!」

 

 

鈴仙「その…えと…」

 

 

鈴仙「私のために…あ、ありがとうございました!」

 

 

紫、にとり、雛、妹紅「…!」

 

 

紫「…おりゃ♪」スッ

 

 

 パチッ

 

 

鈴仙「あいたっ」

 

 

 紫は鈴仙の額に小さくデコピンした

 

 

紫「なーに辛気臭い顔でお礼言ってんの? 成功したんだからあなたももっと喜びなさいな」

 

 

紫「優しすぎる所はあなたの悪いところようどんげ、今のこの状況を楽しみなさいよ」

 

 

鈴仙「!」

 

 

にとり「お礼の気持ちぐらい素直に受け取ったらどうなのかねぇ」

 

 

雛「優しいのって逆に長所なんじゃないかしら」

 

 

妹紅「鈴仙ちゃんははしゃぐとかそういうタイプじゃないからなぁ」

 

 

鈴仙「で、でもさ! もとはといえば私が」

 

 

紫「それはさっき聞いたわ! 笑え! うどんげぇ!」スッ

 

 

鈴仙「い、いひゃいいひゃい!」グニー

 

 

にとり、雛、妹紅(口引っ張って無理矢理笑わそうとしてる…)

 

 

紫「おらぁー♪ 笑えうどん…! っ…!」ユラッ

 

 

鈴仙「!? えっ…」

 

 

にとり、雛、妹紅「!?」

 

 

 ドサッ…

 

 

鈴仙「ゆ、紫!?」

 

 

にとり「紫!」

 

 

雛「紫さん!?」

 

 

妹紅「お、おい…! 何で倒れんだよ! 大丈夫か!?」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「!!」ハッ

 

 

 

 

紫『冬眠前に余計な体力使わせやがって…!』

 

 

 

 

紫「うっわ…ダルっ…」

 

 

にとり、雛「へ…?」

 

 

紫「怠いわ…ごっつダルい」

 

 

妹紅「だ、ダルい?」

 

 

紫「冬眠前にこんなに力を使ったことなかったから分からなかったけど…ダルい、気持ち悪っ…」

 

 

妹紅「な、なんだ、おどかすなよ」

 

 

雛「そういえば疲れるとか言ってたものね」

 

 

にとり「あーそっかぁ、もうすぐ冬眠の時期だもんね」

 

 

紫「あなたたち今心配して損したって思ってない?」

 

 

にとり、雛、妹紅「思ってない」

 

 

紫「…つれぇわ、今日戦友になったのに優しくないわ」

 

 

にとり「心配してるって言ってるじゃないか!」

 

 

紫「あー、ダルくて耳が遠くなってきたわ」

 

 

にとり「おばあちゃんかっ!」

 

 

紫「なんですって!?」

 

 

妹紅「聞こえてるじゃないか」

 

 

鈴仙「…紫」

 

 

紫「ん? あぁうどんげはこのあとどうする? 霊夢が私を迎えに来るのは変わってないだろうから霊夢が来るま」

 

 

鈴仙「ビックリするじゃない…」スッ 

 

 

紫「ん? 何ようどん…!?」

 

 

 ギュッ

 

 

にとり「お」

 

 

雛「あら♪」

 

 

妹紅「…ふっ♪」

 

 

 鈴仙は倒れている紫を優しく抱きしめた

 

 

鈴仙「私を助けてくれたのは凄く嬉しい、嬉しいけど…倒れるほど無理しないでよ…バカ」

 

 

紫「…!」

 

 

鈴仙「ありがとう、紫」

 

 

紫「……ふふん…///」

 

 

 鈴仙と紫の姿を見て、傍らの三人は静かに微笑んでいた

 

 

 

 

 

 

 紫の回復を妹紅の家で待った後、五人は竹林を後にし人里に到着した。

 

 

 妹紅は上白沢慧音の家にクリスマスパーティーをしに行くため、紫たちとはここで別れることになった。

 

 

 そして八雲紫へのサプライズクリスマスパーティーの時が近付いてきた…

 

 

 

 

《人里、PM21:25》

 

 

にとり「ここで待つのかい?」

 

 

紫「ここにいれば霊夢に早く見つけてもらえる気がするの」

 

 

紫「うどんげ、橙たちはもう紅魔館に居るのね?」

 

 

鈴仙「えぇその筈よ、師匠たちの計画にはあの子たちは含まれていないだろうから手筈通り、純狐さんが紅魔館まで送り届けてくれているわ」

 

 

紫「そ、なら良いわ」

 

 

雛「紫さんにとっては凄く長い一日になったわね」

 

 

紫「ほんとにね、朝の5時から起きてて本当に…まぁこれからが本番よね、歌って騒ぐのはゆかりん諦めない」

 

 

鈴仙「また倒れたりしないわよね?」

 

 

紫「宴で倒れるとかであるゆかりん経験ないわぁ」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「そんな目で見ないの、大丈夫大丈夫…ん?」

 

 

 ヒュウ!

 

 

博麗霊夢「紫、探したわよ…ってうん?」

 

 

にとり「おっす霊夢」

 

 

雛「今晩は♪」

 

 

鈴仙「霊夢…」

 

 

霊夢「にとり? 雛? ! 鈴仙…」

 

 

鈴仙「霊夢、私は」

 

 

霊夢「鈴仙…ごめん」

 

 

鈴仙「!」

 

 

紫「霊夢が謝る事ではないでしょう? 元はと言えばあの月の賢者の仕業じゃない」

 

 

霊夢「! そっか、もう全部分かってんのね」

 

 

紫「えぇ」

 

 

霊夢「鈴仙、咲夜と美鈴とレミリアがあんたに言いたい事があるそうよ、パーティー中に話を聞いてあげなさいね」

 

 

鈴仙「! うん!」

 

 

霊夢「あんたたちは?」

 

 

紫「霊夢、この二人…私のボッチ中に遊んでくれたのよ、この二人も参加させてもいいでしょう?」

 

 

霊夢「ボッチ中て…まぁ、あんたの為のパーティーだしあんたが良いなら…にとり、雛、歓迎するわ」

 

 

にとり「おう、よろしくな!」

 

 

雛「ありがとう、霊夢」

 

 

霊夢「しかし…やっぱあんた相手にサプライズなんて…無理な話だったのかもね」

 

 

紫「そんなことないわよ? してくれるその気持ちが嬉しいのよ、それに…」

 

 

霊夢「?」

 

 

紫「楽しい事、色々あったわ…早起きもたまには悪くないわね」

 

 

霊夢「…そ、ならいいけどね」

 

 

紫「うん♪ あ、うどんげ、あなたはまだ騙されてる体でいなさいね、そうしないとバレちゃうから♪ 当然私もだけど♪」

 

 

鈴仙「! えぇ、もちろん」

 

 

霊夢「? …じゃあ行きましょうか、紅魔館に」

 

 

 

 

 

 

《紅魔館、パーティー会場扉前、PM22:00》

 

 

 

霊夢「さ、入りなさい、みんな待ってる」

 

 

紫「えぇ…」スッ

 

 

にとり、雛、鈴仙「…」

 

 

 ギィィ~…

 

 

 パアン!パアン!パアン!

 

 

 

紫「!」

 

 

チルノ、ルーミア、フラン「紫!メリークリスマース!!」

 

 

大妖精「ちょっ! 三人ともまだ零時になってないよ!?」

 

 

橙「あぁ、紫様! ごめんなさい! まだ早いですよね」

 

 

ミスティア・ローレライ「良いんじゃない?」

 

 

リグル・ナイトバグ「イブだってクリスマスの一部だし」

 

 

大妖精、橙「よくないよ!」

 

 

霧雨魔理沙「よう! 待ってたぞ紫!」

 

 

アリス・マーガトロイド「紫、どうかしら? 素敵な飾り付けでしょう?」

 

 

西行寺幽々子「紫ぃ~♪ ングング 待ってたわ~♪」

 

 

魂魄妖夢「あぁ、幽々子様! まだ食べちゃダメですよ!」

 

 

 

 他、紅魔館の面々、永遠亭の面々が勢揃いしていた

 

 

 

紫「…!」

 

 

 

 

 クリスマスパーティーが行われる事は分かっていたとはいえ…その会場は紫の想像していた物よりとても絢爛豪華なものでした

 

 

 色とりどりの料理、可愛い飾り、巨大なクリスマスツリーと上げたらキリがありません。

 

 

 ですがそれ以上に紫が心に嬉しさと喜びを感じたのは…

 

 

 自分の愛した幻想郷の住人たちが自分の為にこんな素敵な催しをしてくれた事でした。それを今、目と心で見て、感じることが出来る…彼女にとってそれは言葉で表現することの出来ないとても素敵な思い出になるのでしょう

 

 

 

藍「紫様…」

 

 

紫「! 藍」

 

 

藍「色々と申し訳ありませんでした…サプライズとは名ばかりですが…どうか、このクリスマスパーティーを楽しんでいってください」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「私こんな気持ちになったの初めてかも…」

 

 

藍「!」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

紫「みんな…私の為にどうもありがとう! 私とっても嬉しいわ」

 

 

紫「私の為のパーティーになってはいるけど…みんなも今宵のクリスマスパーティーを存分に楽しんでほしいわ!」

 

 

紫「みんな!グラスを持って!」

 

 

チルノ「おー! ついについに!」

 

 

ルーミア「くるのかー♪」

 

 

紫「いくわよ! せーのっ!」

 

 

 

 カンパーイ!

 

 

 

 

 

 こうしてクリスマスパーティーは始まった、初期の計画から大部変更のあったパーティーにはなったが、パーティー事態は何事も無く行われた。

 

 

 

 

 

魔理沙「やっぱお前相手にサプライズは無理があったか」

 

 

霊夢「それ私も言ったわ」

 

 

藍「最初から無理があった、そう言うことだ」

 

 

アリス「あの時ああ言ったのは子供たちの前だったからなのね」

 

 

紫「そう、でもまだ一つ分からない事があるわ」

 

 

紫「パーティーをしたいと考えたのは藍として、最初にサプライズにしようと提案したのは誰?」

 

 

霊夢「それは…」

 

 

霊夢、アリス、藍「…」チラッ

 

 

魔理沙「…!」

 

 

紫「魔理沙」

 

 

魔理沙「な、なんの事だか分からないのぜ!」

 

 

紫「訛ってるわよ」

 

 

魔理沙「! だ、だってそっちの方が面白そうじゃんか!」

 

 

紫「はぁ…あなたねぇ、あなたのせいで私は…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…良い経験が出来たわ」

 

 

魔理沙「あ? え?」

 

 

霊夢「怒んないの?」

 

 

紫「えぇ、怒る必要ないし」

 

 

アリス、藍「?」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

にとり「おいこら! くっつくな!」

 

 

チルノ「工場長! 遊んでくれよう!」

 

 

ルーミア「遊べ~♪」

 

 

にとり「ここでも工場長かよ!」

 

 

 

ミスティア「美味しい…これどうやって作ってるのかしら…」

 

 

幽々子「あらあら♪ それ私が作ったのよ♪」

 

 

リグル「へーそーなのかーって、えぇ!?」

 

 

妖夢「驚かれるのも無理ないよね…」

 

 

 

大妖精、橙「おぉ~…」

 

 

雛「な、何かしら?」

 

 

大妖精「雛さんってこういうところにいると…」

 

 

橙「お姫様みたいです! 服装が!」

 

 

雛「えぇ!? た、確かにお姫様抱っこはされたけ」

 

 

大妖精、橙「え?」

 

 

雛「な、何でもない!」

 

 

 

 

鈴仙「えぇ!? じゃあ…」

 

 

てゐ「そうウサ♪ 全部鈴仙を騙すための演技ウサ」

 

 

永琳「鍛練を怠ってはいけないということを理解してほしいのよ」

 

 

鈴仙「で、でも酷いですよぉ…ここまでするなんて」

 

 

輝夜「…」

 

 

永琳「油断してやられたんじゃ意味ないの、分かりなさい」

 

 

鈴仙「あうぅ…」

 

 

鈴仙(…酷いなぁ、ほんとに)

 

 

輝夜「鈴仙、ちょっと」

 

 

鈴仙「は、はい?」

 

 

輝夜「…耳かして?」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

輝夜「紫が何をするのか楽しみにしてるわ♪」ヒソヒソ

 

 

鈴仙「え…!?」

 

 

輝夜「あ、そうそう、レミリアたちがあなたを呼んでたわよ? 早く行ってあげなさい」

 

 

鈴仙「へ? あぁ、はい!」

 

 

輝夜「一皮剥けたわね、鈴仙」

 

 

永琳、てゐ「?」

 

 

 

 

レミリア、咲夜、美鈴「ごめんなさい」

 

 

鈴仙「…」

 

 

美鈴「すいませんでした鈴仙さん…サプライズの為とは言えあなたに酷いことを…」

 

 

咲夜「ごめん…本当にごめんなさい鈴仙…私、貴方にあんなこと…」

 

 

鈴仙「美鈴、咲夜…」

 

 

レミリア「わ、悪かったわね! 少し遊びすぎたわ」

 

 

小悪魔(こあ)「お嬢様…もう少し丁寧に謝った方がよろしいかと」

 

 

パチュリー・ノーレッジ「今回、月の賢者の入れ知恵であなたが調子に乗って鈴仙を苦しめたのは事実、咲夜も美鈴もあなたの頼みは断れないもの、これは紅魔館側の不手際とも取れるわよ? レミィ」

 

 

フラン「お姉様! あれはダメだよ! 流石にやりすぎだよ! 咲夜も美鈴も…あんなことしたら可愛そうじゃない!」

 

 

レミリア「! …鈴仙…ごめんなさい…」

 

 

レミリア「咲夜と美鈴は悪くないわ、全ての責任は私にある、演技させたのも私の指示…あなたの心を傷付けて弄んでしまった…」

 

 

レミリア「私の事は許さなくていい…でも咲夜と美鈴の事は許してあげてください…本当にごめんなさい…」

 

 

鈴仙「…! …」ニコッ

 

 

鈴仙「あなた、そういう謝りかたも出来るのね」

 

 

レミリア「!」

 

 

鈴仙「美鈴、私は薬売りの時しか紅魔館に来ちゃダメかしら?」

 

 

美鈴「え!? いえいえ! そんなことありませんよ!」

 

 

鈴仙「そ、なら今度近くに寄ったら薬売りの時でもここに寄ろうかしら、あなたとちょっとした立ち話をするためにね♪ あなたとの会話は楽しいのよ♪」

 

 

美鈴「! はい!」

 

 

鈴仙「咲夜…あれは怖かったわ…私とっても怖かった…心も…痛くなった…」

 

 

咲夜「! 鈴仙…」

 

 

鈴仙「でも…本当にお互い大変よね、上の立場の人を信頼してると何が良いのか悪いのか分からなくなっちゃう」

 

 

鈴仙「お互い同じ悩みを持つもの同士、これからも仲良くしていきたいの、だから…」

 

 

鈴仙「だから私、咲夜を許せちゃうのよね…咲夜、これからも友達としてよろしくお願いします」

 

 

咲夜「!! 鈴仙、許してくれるの…?」

 

 

鈴仙「あなたのあれが演技だって分かった時、良かったなって思ったのよ? 怖い目にはあったし心苦しかったけどそれは咲夜をどこかで信じていられたからだと思うの」

 

 

鈴仙「幻想郷に来てこんな気持ちになったの初めてだったから…私、咲夜のことを許します」

 

 

咲夜「うぅ…! グスッ! 鈴仙!」バッ

 

 

鈴仙「わわっ!」

 

 

咲夜「ごめん! 本当にごめんねぇ…! グスッ! 鈴仙! うぅ、グスッ…!」

 

 

鈴仙「な、泣かないでよ…! てか抱きついて…///」

 

 

咲夜「うぅ…! ありがとう…! れいせん…!」

 

 

鈴仙「咲夜…」ニコッ

 

 

パチュリー「気持ちに整理が出来ていないのよ、あなたに感謝、謝罪…そして様々な気持ちが咲夜の中で駆け巡ってる、一つ一つがあなたに対する愛のような感情ばかりだけどね」

 

 

鈴仙「そ、そんな的確に言わなくても…///」

 

 

咲夜「鈴仙…」

 

 

鈴仙「! なぁに? 咲夜」

 

 

咲夜「これからも…グスッ…友達でいてください」

 

 

鈴仙「! ふふっ、もちろんよ♪」

 

 

咲夜「! ありがとう、グスッ…」

 

 

フラン「…なんかいいなぁ、こういうの」

 

 

こあ「きっと妹様にも鈴仙さんと咲夜さんの様に、素敵な友人関係を築ける時がきますよ♪」

 

 

フラン「! うん! 私も友達を大事にする! 咲夜と鈴仙みたいになるように頑張ってみるよ!」

 

 

美鈴「良かったですね! 咲夜さん、鈴仙さん!」

 

 

パチュリー「…さて、これ以上の感動をどう見せてくれるのかしらね、レミィ?」

 

 

レミリア「うっ!? え、えっと…」

 

 

鈴仙「…レミリア、あなたさぁ」

 

 

レミリア「!」

 

 

鈴仙「…」ジーッ

 

 

レミリア「うぅ…」

 

 

鈴仙「…あなた演技力凄いわよね」

 

 

レミリア「! …へっ?」

 

 

鈴仙「あのカリスマバリバリの佇まい、あれ演技だったの? 凄かったわ、レミリア本人じゃないみたい」

 

 

レミリア「うえぇ!?」

 

 

咲夜「確かに…お嬢様とは思えませんでしたわ」

 

 

レミリア「ちょっ!?」

 

 

鈴仙「あ、ならあれレミリアじゃなかったのかしら」

 

 

咲夜「偽者…有り得るわね」

 

 

鈴仙「あ~ならレミリア悪くないじゃない、レミリアに対して怒る必要もないわね♪」

 

 

鈴仙「レミリア、私あなたを怒る必要全くないわ、だから許すわ、まぁ何を許すのかすらもう分からないけどね」

 

 

咲夜「良かったですね、お嬢様」

 

 

レミリア「う? うー?」

 

 

こあ「お嬢様、何だかんだで許してもらえましたね」

 

 

美鈴「良かったですね! お嬢様」

 

 

レミリア「え? え? うんまぁ、うん?」

 

 

パチュリー(気が利く兎ね…ありがとう)

 

 

フラン(お姉様チョロすぎじゃないかなぁ…でも鈴仙、許してくれてるからいいかぁ♪)

 

 

レミリア「鈴仙、今度紅魔館に遊びに来てほしいわ…ゆっくり紅茶でも飲んで語らいたいの、咲夜の為にも」

 

 

鈴仙「えぇ、是非♪」

 

 

レミリア「約束よ」

 

 

鈴仙「約束、ね」

 

 

レミリア、鈴仙「ふふっ♪」

 

 

 

 

 こうして夜が更けていった…そしてクリスマスまで後10分に迫った時、紫が声を上げた

 

 

 

紫「はいはーい♪ みんな注目♪」

 

 

紫「みんな私のためにこんな素敵なクリスマスパーティーというプレゼントをくれてどうもありがとう!」

 

 

紫「お返しといってなんだけどみんなに私からクリスマスプレゼントをあげるわ♪」

 

 

霊夢「プレゼント?」

 

 

魔理沙「お! マジか! 何くれんだぁ?」

 

 

藍「紫様、何を…?」

 

 

紫「そこ、真ん中開けて? そこに落とすから」

 

 

全員「?」

 

 

紫「それではー! スキマオープン!」スッ

 

 

 ギュオン! ガゴン! ゴン!

 

 

永琳「…!? !!?」

 

 

てゐ「えっ…!? あれは…!」ボソッ

 

 

輝夜「…」ニヤッ

 

 

紫「メリークリスマスよ♪」

 

 

アリス「まだ早いって…な、何これ?」

 

 

幽々子「壺? よねぇ…紫~、これはなんなのかしらぁ?」

 

 

紫「中、中身を見て?」

 

 

レミリア「きゅ、急に爆発するんじゃないでしょうね!」

 

 

紫「んな訳あるか! 早く開けてみなさいな」

 

 

藍「では、私が…」スッ

 

 

 ガパッ!

 

 

藍「! ? 水?」

 

 

幽々子「いえ…これはお酒ね♪」

 

 

魔理沙「おぉ♪ 酒とは良いプレゼントだぜ! では早速味見を」

 

 

永琳「ま、待ちなさい!」

 

 

魔理沙「ん? なんだよ永琳」

 

 

永琳「そ、そんな…ま、まさか…」

 

 

魔理沙「あー? なんだよ?」

 

 

霊夢「? 紫、このお酒名前とかあんの?」

 

 

紫「え? えーっとそうねぇ…確か…」

 

 

紫「月琳酒…だったかしらねぇ…」ニヤッ

 

 

永琳「!!?」

 

 

霊夢「げつりん? 聞いたことないお酒ね」

 

 

紫「そりゃそうよ♪ だってそれは誰かさんが自分の為だけに丹精込めて作ったお酒だもの」

 

 

幽々子「へぇ~…誰かさん、ね♪」

 

 

永琳「! …!」

 

 

紫「偶然に偶然を重ねて私の手に届いてね、こんな美味しいお酒を私が独り占めするのもあれだしせっかくだからみんなでいただきましょう♪ 私からのクリスマスのプレゼント受け取って!」

 

 

霊夢「では… ズズッ…! うまっ!? 何これ!」

 

 

魔理沙「あっ! ズルいぞ霊夢! 私にもくれよぉ!」

 

 

アリス「ま、魔理沙! 私にも魔理沙の口が付いた柄杓で飲ませて!」

 

 

魔理沙「さらっとセクハラだなアリスぅ!?」

 

 

藍(月琳酒…? 名前が…いや、まさかな)

 

 

チルノ「あたいにも飲ませろ!」

 

 

ルーミア「飲むのだー♪」

 

 

ミスティア「少し持って帰ったら…ダメ?」

 

 

リグル「ダメ…じゃない? それにここでなくなりそうだし」

 

 

大妖精「わ、私たちが飲んで良いのかなぁ?」

 

 

橙「絵面は気にしないでって紫様が言ってたよ? 飲もう大ちゃん!」

 

 

レミリア「うー☆んまい♪ 何これ!ワインよりも味が深いわね」

 

 

フラン「美味しいー♪」

 

 

美鈴「くーっ、キツイけどこれは美味ですね♪」

 

 

こあ「美味しい! ささっ、パチュリー様もどうぞ♪」

 

 

パチュリー「うっ…お、美味しいけど、度数がキツいわね」

 

 

妖夢「これは…うん? なんか似たような味のお酒を飲んだことがあるような…」

 

 

幽々子「気のせいよ♪ う~ん♪ 美味しいわぁ♪」

 

 

にとり「! おー中々良い水使ってんね! 味に深みが出てるよ♪」

 

 

雛「本当! 口当たりが良くて飲みやすい♪」

 

 

にとり、雛(一仕事終えた後だから余計にね♪)

 

 

てゐ「お、お師匠様…あれってお師匠様の」

 

 

永琳「やられたわ…いつのまに…でもどうやって」

 

 

輝夜「ん、美味しい♪ ねぇてゐ、永琳、鈴仙、あなたたちもどう?」

 

 

鈴仙「あ、はい! いただきますね♪」

 

 

てゐ「わ、私は遠慮しとこうかなぁ…あははは」

 

 

永琳(…姫がまさか八雲紫にこれを…いえ、これは八雲紫が単独で…? でも宝物庫には見張りと結界が)

 

 

紫「知りたい?」ボソッ

 

 

永琳「!?」

 

 

紫「ズルいじゃない独り占めなんて…幻想郷に住んでいるのだからもう少し人に分け与えるという優しさを学んでほしいわねぇ」ヒソヒソ

 

 

永琳「…あなたがそれを言えるのかしら」ヒソヒソ

 

 

紫「えぇ言えるわよ? だって今日は優しくされてばかりだったし」

 

 

永琳「…? いつから盗んだの…?」

 

 

紫「今日よ、あなた私をまた見くびったわね?」

 

 

紫「いくら冬眠前だろうと力は使えるのよ? ちょっと疲れるけどね♪」

 

 

永琳「…!」

 

 

紫「私はねぇ幻想郷に住む全ての住人を愛しているの、もちろんあなたもよ、だから…」

 

 

紫「時々イタズラしてあげたくなっちゃうのよねぇ…」ニタァ

 

 

永琳「…!?」ゾクッ

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

 鈴仙が紫に視線を向けると紫は鈴仙に片目を瞑り、ウインクして見せた、紫の隣にはプルプルと体を震わせている自分の師匠が目に写った

 

 

紫「…」クイッ

 

 

鈴仙「…!」

 

 

 紫は永琳に気付かれぬ様、鈴仙にそっちの方に視線を向けろと、指で合図した…そこには

 

 

にとり「…」グッ

 

 

雛「…」ニコッ

 

 

 鈴仙にしか分からぬ様に小さく親指を立てているにとりと、微笑みを浮かべる雛の姿が見えた

 

 

 

鈴仙「…」ニコッ

 

 

鈴仙(紫、にとり、雛さん)

 

 

鈴仙(助けてくれて…ありがとう…!)

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《おまけ》

 

 

 

 

 

《紅魔館エントランス》

 

 

 

鈴仙「うっ…の、飲みすぎた…」

 

 

紫「調子に乗って飲みすぎるとか医者の弟子とは思えないわねぇ」

 

 

鈴仙「だ、だって姫様が進めてくるから」

 

 

紫「あのお酒輝夜が一番飲んでたような…」

 

 

鈴仙「故郷のお酒に似てたからかも…師匠の作ったお酒だから月の技法で作ってるだろうし」

 

 

紫「隠れてこそこそお酒作りねぇ、薬剤師がお酒作る時代になったのね、物騒」

 

 

鈴仙「なにそれ」

 

 

紫「薬剤師ならぬ、ヤクザ、医師」

 

 

鈴仙「ぷっ…あはは♪」

 

 

紫「おー怖い怖い♪」

 

 

鈴仙「ちょっ…わ、笑わせないで! あははは!」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

 

 

紫「…ねぇ、さっき故郷って言ってたけど」

 

 

鈴仙「うん」

 

 

紫「月が恋しくなるときはないの?」

 

 

鈴仙「…無いと言えば嘘になるわね」

 

 

鈴仙「でも私はそこから逃げてきた…故郷を捨てたのよ」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「だからもう一度帰って住む…なんて資格ないし今はもう帰りたくないもん」

 

 

鈴仙「私にはもう…帰る場所と故郷があるから」

 

 

紫「!」

 

 

鈴仙「地上に降りてきた時…一人で怖かった、寂しかった…幻想郷の事を知って住み始めて師匠に拾ってもらって…姫様と再会して…てゐとかと知り合って…」

 

 

鈴仙「異変を起こして霊夢たちに会って、知り合って…友達になって……親友が出来て…」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「あ、ごめん…何か一人で盛り上がっちゃって…」

 

 

紫「別にいいのよ、気にしてないし」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「…」

 

 

紫「あなたは私の愛した幻想郷を故郷だと言ったわね」

 

 

鈴仙「えぇ」

 

 

紫「…♪」

 

 

紫「鈴仙」

 

 

鈴仙「え…!?」

 

 

紫「ありがとう、その言葉だけで私はあなたの事とっても好きになったわ、だから…」

 

 

紫「これからも私の幻想郷とここに住む住人たちと仲良くしてね♪」

 

 

鈴仙「!」

 

 

紫「それと…個人的にこれからもよろしくね、鈴仙」

 

 

鈴仙「なっ…!? なぁ…///」

 

 

紫「あらぁ♪ ウサ耳がピーンと立ってるけどどうしたのかしら♪ それに顔赤いけど大丈夫? お薬飲む?」

 

 

鈴仙「な、なんなのよ! 紫ぃ!」

 

 

紫「おほほほ♪」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

 

 鈴仙はこのとき気付いた、二人でご飯を食べているときの会話の意味を

 

 

 紫は月の民は嫌い、でも月の民だった者、そしてこの幻想郷を愛してくれる者は嫌いじゃないんだと

 

 

 例え師匠の様に月にコンタクトを今でもしていようとも…紫は師匠の事までも愛しているのだと

 

 

 でも今は…

 

 

鈴仙「ちょっと! 何でいきなり鈴仙呼びに変わったのよ!」

 

 

紫「はぁ? 別に良いじゃないそんなこと」

 

 

鈴仙「私にとっては重要なのよ!」

 

 

紫「うっさいわねぇ、そんなにガタガタ言うならイナバって呼ぶわよ?」

 

 

鈴仙「!?」

 

 

紫「因幡てゐと区別付かなくなるわねぇ♪ あーめんどくさい♪」

 

 

鈴仙「れ…///」

 

 

紫「ん?」

 

 

鈴仙「れ、鈴仙呼びでいいわよ…///」

 

 

紫「ふふふ♪ 結構結構♪」

 

 

紫「あぁそうだわ、もう一ついい忘れてた」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

紫「メリークリスマス、鈴仙」

 

 

鈴仙「め、メリークリスマス…/// 紫」

 

 

紫、鈴仙「ふふっ…」ニコッ

 

 

 紫の鈴仙呼びの方が気になる鈴仙なのでした。

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 






 熱が入り込んでしまってかなりの文字数になってしまいましたがいかがでしたでしょうか…楽しんでいただけたら幸いでございます!


 でもこのお話かなり疑問点がありますよね、輝夜の封印を解いたとき鈴仙と会話していようが永琳なら気づくとか、上げたらキリ無いですけど…


 永琳には今回悪者役をやっていただきましたが鈴仙との仲は悪くありません、鈴仙も永琳を嫌ってる訳ではないですよ



 では…本当にここまで読んでいただいてありがとうございました!  お疲れ様でございました!



 以下、にとりの発明品



《にとりんレーダー》手のひらサイズの魚群探知機みたいなもの、スイッチを押して地面に置くだけでそこから1㎞の範囲に何がいるかを探ることが出来る。


《ヤマメンロボ》黒谷ヤマメをモチーフにした2㎝ほどの小型監視カメラ、蜘蛛の様に地面、壁、挙げ句には糸を吐いてターザン張りに動く超ハイテクなロボ


《にとりんモニター》ヤマメンロボの見ている映像を写し出せるモニター、電池式で一度に十個の映像を写せる、ボタンを押せば最大30のヤマメンロボと映像をリンクできる


《発信器、盗聴器、通信器》外の世界と基本は同じものだが逆探知不可、どんな電波の妨害をも遮断出来る、にとりが言うには、ペットボトルの蓋と同じサイズ、中でも通信器はにとりの自信作で、耳の穴に入れて置けば喋らずとももうひとつの通信器に電気信号として言葉を飛ばす事が出来る。




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《短編スペシャルその2》レミリアのバレバレバレンタイン



 短編スペシャルの第2段目です。


 『東方紫藍談』ではいじられキャラが定着してしまっているレミリア…そんな彼女にスポットを当てたお話で『いじられキャラだけじゃない!!』そんなレミリアを書いてみたかったのです。


 今回はギャグ、コメディ、パロディ、カオス、ほのぼの、のんびりと色々な成分が多いお話となっております。

 あ…冬眠している筈の紫ですが普通に出ちゃってます…


 それでは始まります! バレンタイン遅刻作品ですがゆっくり読んでいってください!






 

 

 【2月13日、紅魔館、キッチン】

 

 

 

 

レミリア・スカーレット「…」

 

 

 

 レミリアは紅魔館のキッチンに一人で皿の上に置かれたチョコレートとにらめっこをしていた

 

 

 

レミリア「よ、よし! 今度は大丈夫、よね? ちゃんと出来てるし見た目も悪くない」

 

 

レミリア「…いただきます」パクッ

 

 

レミリア「…! ん~…」

 

 

レミリア「うっわ…何これ…美味しくない…」

 

 

 

 レミリアはそのチョコレートを口に入れ、むしゃむしゃしたが味には納得していない様子

 

 

 

レミリア「まっず…なにこれ! にっがい…とは違うと言うかなんというかとにかく不快な味!! あぁんもうなんでこうなるのよ!」

 

 

 

 お嬢様!? お嬢様!!

 

 

 

 扉越しに十六夜咲夜の声が聞こえて来た

 

 

 

 

レミリア「! さ、咲夜!?」

 

 

 

 お嬢様、先程のお声は一体! 入っても

 

 

 

レミリア「だ、ダメよ!! 入って来ちゃダメ!」

 

 

 

 し、しかし…

 

 

 

レミリア「私がキッチンから出るまでは誰も入れるなと言ったはずよ! 咲夜とて例外ではないわ!」

 

 

 

 お嬢様…

 

 

 

レミリア「だ、大丈夫よ! 何でもないからほっといてちょうだい!」

 

 

 

 …騒ぎ立ててしまい申し訳ありませんでした

 

 

 

レミリア「…良いのよ咲夜、心配してくれてありがとう」

 

 

 

 …はい

 

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「はぁ…」

 

 

レミリア(また失敗しちゃったか…咲夜と同じ作り方をしているのにどうしてこうなるのかしら)

 

 

レミリア(もう12時か…今回はここまでね)

 

 

レミリア(片付けて…これもあれも、あぁこれも隠滅しておかないと…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガチャッ

 

 

十六夜咲夜「! お嬢様…」

 

 

レミリア「咲夜、悪かったわね、またキッチン占領して」

 

 

咲夜「いえ、それは全く問題ないのですが…その…」

 

 

レミリア「ん? あぁさっきの? 大丈夫よ、ちょっとつまづいて転けただけだから」

 

 

咲夜「キッチンで、ですか?」

 

 

レミリア「! そ、そうよ!? 悪い? 私だってキッチンで転ける事ぐらいあるわよ」

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリア「…余計な詮索は無用よ、咲夜」

 

 

咲夜「はい…申し訳ありません」

 

 

レミリア「…それよりもお腹が空いたわね、お昼にしましょう? 今日はどんな食べ物がテーブルに出てくるのか楽しみだわ、期待してるわよ」

 

 

咲夜「はい、腕に縒りを掛けて作らせていただきますわ」

 

 

レミリア「今日は曇りで太陽出てないからテラスで食べられるわね、出来たらテラスに来てね、先に行って待ってるから」

 

 

咲夜「はい、分かりました」

 

 

レミリア「それじゃあよろしくね」スッ

 

 

 

咲夜「…」スッ

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜(お嬢様は三日前から10時から12時、そして私が夕食の仕度を開始するまでの間キッチンに籠られるようになった)

 

 

咲夜(キッチンには誰も入れるなと命令され、私はその間キッチンの門番をするようになった)

 

 

咲夜(お嬢様はその間キッチンの中で何をなされているのか…詮索は無用であり、パチュリー様や妹様にまで、何をなされているのかを語らない、教えてはいない)

 

 

咲夜(のですが…)

 

 

咲夜(正直に申し上げますと…お嬢様がなさろうとしていることは先のお二人、私、美鈴やこあにまでバレバレなのでございます)

 

 

咲夜(臭いまでも消し、完璧に隠蔽しているおつもりなのでしょうが、この十六夜…紅魔館のキッチンに立ち続け早10年以上…少しの変化も見逃しません)

 

 

咲夜(お嬢様…そのお気持ちだけでも私は…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、テラス】

 

 

 

レミリア「はぁ~…」

 

 

レミリア(また失敗しちゃった…)

 

 

レミリア「...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 【4日前、博麗神社】

 

 

 

博麗霊夢『バレンタイン?』

 

 

八雲紫、霧雨魔理沙『その通りぃ!』グッ

 

 

レミリア『ねぇねぇ霊夢は誰に作るの? 作る人とか決めてるの?』

 

 

霊夢『…?』ズズッ

 

 

紫、魔、レミ『!』ワクワク 

 

 

霊夢『…ふぅ』

 

 

紫、魔、レミ『…!』ワクワク

 

 

霊夢『…』スッ

 

 

 

 

 

霊夢『いや、全く興味ないんだけど』

 

 

紫、魔、レミ『えぇぇぇーー!!?』

 

 

霊夢『えぇぇって…』

 

 

魔理沙『うわぁ…おまっ…お前それはねぇわぁ』

 

 

霊夢『あー?』

 

 

魔理沙『女の子だろう!? 女の子ならチョコの一つや二つ作って自分の気持ちを伝えたいとか思うだろう!?』

 

 

霊夢『乙女かっ!』

 

 

魔理沙『魔法少女はいつでも乙女心は持ってるもんだぜ』

 

 

霊夢『部屋が本やらなんやらで散らかり放題の魔法少女に乙女心があるんかい、それにあんた料理苦手じゃない』

 

 

魔理沙『ギクッ!』

 

 

霊夢『それに自分の気持ちて…確か女の子が好きな男の子にあげるんだったわよねバレンタインのチョコって、あんた好きな人でも出来たの?』

 

 

紫『霊夢、世の中には友チョコと呼ばれるものが存在しているのよ』

 

 

霊夢『友チョコ?』

 

 

紫『好きな男はいないけど日頃の感謝、これからも友達でいてくださいねとまじないをかけて友達に渡すのよ、同性でやるのがもっともポピュラーね、大切な人とかでももちろんOKよ、義理チョコよりも嬉しかったりするんだから』

 

 

霊夢『ふーん…で?』

 

 

紫『ゆかりんに霊夢のゆかりんラブが注入されたチョコを作ってほしいの!!』

 

 

霊夢『断るっ!!』

 

 

紫『うええっ!?』

 

 

霊夢『そういうのってサプライズでやるもんなんでしょ!? ほしいって…ただチョコが食べたいだけにしか見えないんだけど』

 

 

紫『霊夢が私のために作ったチョコが食べたいっ!』

 

 

霊夢『ほら、ただ食べたいだけじゃない』

 

 

レミリア『霊夢、それは違うわ』

 

 

レミリア『私のために作っているという事実を知っていたとしてもその気持ちが込められたチョコの味は忘れることが出来ないものになるのよ、もちろん渡す側も渡される側も同じ気持ちであることが大切、そしてお互いにチョコを作ることも大切』

 

 

霊夢『…で? 本音は?』

 

 

レミリア『私も霊夢と友チョコ交換がしたいの!!』

 

 

霊夢『だから?』

 

 

レミリア『私も霊夢のために作るから霊夢も私のために作ってほしいの!!』

 

 

霊夢『断るっっ!!』

 

 

レミリア『えーっ!!?』

 

 

霊夢『…あのねぇ、あんたらに誤解のないよう一応言っとくけど別にあんたらの事が嫌いだからチョコを作りたくない訳じゃないのよ?』 

 

 

霊夢『ほら、なんかさぁ、ほら…バレンタインだからってチョコ作って相手に気持ちを伝えるってのがなんか』

 

 

霊夢『私よく分かんないのよ、その…なんかそういう…雰囲気? それに私あんまりチョコ好きじゃないし』

 

 

魔理沙『霊夢お前、本当に女の子なのか?』

 

 

霊夢『なんなのよさっきから』

 

 

魔理沙『アリスと咲夜から女子力を学んだやつの発言とは思えないぜ』

 

 

霊夢『それとこれとは関係ないでしょうが!』

 

 

魔理沙『大有りだバカヤロー! バレンタインには女子力の半分が詰まっているんだぞ!?』

 

 

霊夢『残りの半分は?』

 

 

魔理沙『乙女心だぜ!』

 

 

霊夢『あんたそればっかりじゃないのよ!』

 

 

魔理沙『へっ…なんとでも言え霊夢、お前覚えとけよ? 私はお前のために日頃の感謝を込めてチョコを必ず作る!』

 

 

霊夢『はぁ!?』

 

 

魔理沙『お前は優しいから私に作らざるをえない…! それは分かってる! だから私の思いに答えてみせろ博麗霊夢!』

 

 

霊夢『さっきからあんた何を勝手なこと言ってんのよ!』

 

 

魔理沙『必ず私ためのチョコ用意しとけよ♪ じゃあな霊夢! 5日後だからな、楽しみに待ってるし楽しみにしとけよ!』スッ

 

 

霊夢『ちょっ…! 待ちなさい魔理沙ぁ!』

 

 

魔理沙『アリスのところでチョコを学んでくるぜ~♪』スイー

 

 

霊夢『…! はぁ~…』

 

 

霊夢『ったく…本当に自分勝手なんだから…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…/// はぁ、もう…』ポリポリ

 

 

紫『…その手があったか』

 

 

霊夢『なんか言った?』

 

 

紫『霊夢、私も魔理沙と同じ道を歩むわ』

 

 

霊夢『!?』

 

 

紫『私も霊夢のために愛のあるチョコを作る!』

 

 

紫『そうしたら霊夢も私に愛のあるチョコを作ってくれる! 絶対に!』

 

 

霊夢『数分前に乙女心だの気持ちだの言ってたのに私がチョコ作ることが強制になってきてるわよね!』

 

 

紫『霊夢、私は今からスキマ籠りしてあなたに喜んでもらえる愛のチョコを作るから楽しみに待っててね!? ゆかりんもあなたのチョコを楽しみにしているから』スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

紫『それじゃあね霊夢! 愛してるわ!』スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

 

霊夢『ちょっ、こらぁ! 紫ぃ!』

 

 

 

 

 

霊夢『…はぁ、もうあれか…私に拒否権はないのか…』

 

 

レミリア『…』

 

 

霊夢『しょうがない…か』

 

 

霊夢『てかスキマ籠りて…藍がまた愚痴を言いに来そうね』

 

 

レミリア『れ、霊夢!』

 

 

霊夢『分かってるわよ』

 

 

レミリア『えっ?』

 

 

霊夢『チョコほしいんでしょ? 私の気持ちがチョコに入るかどうかは保障しないけど、作ってあげるわよ…///』カァ

 

 

レミリア『ほ、本当!?』

 

 

霊夢『その代わりあんたも私に作りなさいよ? 友チョコ交換したいんでしょ?』

 

 

レミリア『! 霊夢~♪ ありがとう! ありがとう霊夢! 私頑張ってあなたのためにチョコを作るわ!』

 

 

霊夢『その台詞はあの二人から何度も聞いたわよ、まぁ頑張りなさい』

 

 

レミリア『やったぁ~♪ そうと決まれば私も』

 

 

霊夢『あ、ねぇレミリア』

 

 

レミリア『?』

 

 

霊夢『まぁ…さっきの紫の受け売りになるけどバレンタインの友チョコ? 同性でも大切な人に渡すもんなんでしょ?』

 

 

レミリア『そうよ、だから霊夢にチョコを』

 

 

霊夢『あんた自分家の家族にチョコ作らないの?』

 

 

レミリア『…あ』

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

 

 

 【現在】

 

 

 

レミリア(霊夢のことで頭がいっぱいで迂闊だったわ…霊夢のためだけに作るなら咲夜に教えてもらいながらチョコを作ることが出来たけど)

 

 

レミリア(そうよ…家族…私の大切な家族にもチョコを作って渡さないといけないとなると)

 

 

レミリア(友チョコとはわけが違う! 私の家族にはサプライズで渡したいじゃない! 渡したくなるじゃない! フランたちみんなに驚いて、喜んでほしいからみんなに悟られずに作るしかないじゃない…!)

 

 

レミリア(4日前に神社から帰ってきてパチェとこあにバレずに地下図書館でチョコの作り方の本も読んだ、あの二人はあまり図書館から出ないしフランには美鈴を見張る任務という名目で美鈴に遊ばせてる、咲夜には私の口から命令すればなんとか大丈夫…だ、だけど)

 

 

レミリア(肝心のチョコの出来が悪すぎる…!)

 

 

レミリア(なんでよ…! 日頃から咲夜のお菓子を食べ続けて作っているところを良く見ているのに…本まで読んで作り方をバレない様にこそこそと学んだのに何故うまくいかないの?)

 

 

レミリア(何故あんな不快な味に…砂糖と塩を間違えるなんてベタな事はしていない、なのに何がいけないというのか…)

 

 

レミリア(バレンタインは明日…これじゃあ間に合わない…)

 

 

レミリア(…)

 

 

レミリア(こ、こうなったら咲夜にだけでも事情を話して協力を…)

 

 

レミリア(…!)

 

 

レミリア(いやダメよレミリア・スカーレット…! めげてはいけない、皆に喜んでもらうために、驚いてもらうためにも必ずサプライズで渡さなければ…!)

 

 

レミリア(で、でも時間が…)

 

 

咲夜「お嬢様お食事をお持ちいたし」

 

 

レミリア「うわぁびっくりしたぁ!」

 

 

咲夜「えっ!?」

 

 

レミリア「咲夜ぁ! 音も立てずに背後から現れるなっていつもいってるでしょ!? 怖いのよ!」

 

 

咲夜「…申し訳ありませんお嬢様」

 

 

レミリア「全くもう、あなたの能力には助けられてるけど、イタズラ目的では使わないでほしいものだわね」

 

 

咲夜「私、今能力使っていませんけど…」

 

 

レミリア「えっ? そ、そうなの?」

 

 

咲夜「はい」

 

 

レミリア「…とにかくびっくりした」

 

 

咲夜「申し訳ございません」

 

 

レミリア「今日のメニューは?」

 

 

咲夜「和食にしてみました、白米、納豆、東風谷早苗からいただいた魚をバター焼きに、それとお味噌汁でございます」

 

 

レミリア「ほほう、霊夢が喜びそうなメニューね♪ もちろん私も喜んでいただくけど」

 

 

レミリア「…うん、喜んでいただくわ…咲夜」

 

 

咲夜「はい、どうぞお召し上がりくださいませ」

 

 

レミリア「いただきます…」スッ

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリア「…」モグモグ

 

 

咲夜(聞きたいけど聞ける状況ではありませんね…ここで私が『何かお悩みがあるのでは?』なんて聞いてしまうのは野暮…誰にも知られたくない、言っていないということは悟られたくないのでしょう、ここは黙ってお嬢様を見守るのが一番の選択…しかし)

 

 

咲夜(こんなにもお悩みになられているお嬢様を放っておくなどメイド長として、従者としてはあるまじき行為…何とかお力添えを…)

 

 

レミリア(咲夜は人を喜ばせられる料理をいつでも作れる…咲夜の人柄もあるけど才能と言ってもいい、なのに私はチョコすらもまともに作れない)

 

 

レミリア(私は…どうなのかしら…霊夢はああ言ってくれたけど)

 

 

レミリア(みんなは…紅魔館のみんなは私が作ったチョコをもらって喜んでくれるのかしら…)

 

 

レミリア(も…もし)

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

フランドール・スカーレット『うわっまっず! お姉様この暗黒物質はなんなの!?』

 

 

パチュリー・ノーレッジ『むぐっ!? げほっげほっ!! れ、レミィよくもこんなものを…私を殺す気なの!?』

 

 

小悪魔(こあ)『うわぁなんて不快な味…あっ、でもイタズラには使えそうですねぇ、これ』

 

 

紅美鈴『お、美味しいですよ…! お、美味し…ご、ごめんなさいお嬢様やっぱり無理です、うぇ…』

 

 

咲夜『お嬢様、もうキッチンに立つのはお辞めください、材料がもったいないので』

 

 

レミリア『み、みんな…!』

 

 

フラン『これ霊夢にあげようとしてるの? こんなものあげたら霊夢が可哀想だわ』

 

 

フラン『壊れちゃえ♪』

 

 

レミリア『ふ、フラン』

 

 

フラン『きゅっとしてドカーン♪』

 

 

レミリア『うっ、うー☆』

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

レミリア(なんてことになったらどうしよう…!!)

 

 

レミリア(ふ、フランたちがこんなことするわけないじゃない! で、でもバレンタインのチョコなんて渡すの初めてだし…もしかしたら…)

 

 

レミリア(こ、このままではなりかねないわ…! 何とかしなければ…!)プルプル

 

 

レミリア(! 落ち着きなさいレミリア・スカーレット、そもそもみんなに喜んでもらえないのではと私が思ってしまっている原因はチョコの出来が悪すぎるから…! チョコを美味しく作ることが出来れば良いのよ!)グッ

 

 

レミリア(私に今足りないのは時間と、料理の腕…! 何か手は…)プルプル

 

 

咲夜(あぁ、お嬢様が震えたり急に立ち上がったり…そこまでお悩みになられるとは…! 私たちのためにそこまで…嬉しさのあまり手助けをしてあげたくなります!)ウズウズ

 

 

レミリア(うー……! そうだわ! 私は私なりの、私の手でチョコを作る、そうしないと意味はない、教えを乞うのは魔理沙もしていること…咲夜たちに悟られない方法はこれしかないわね)

 

 

レミリア(咲夜がいつも作っているような美味しいチョコを…!)

 

 

レミリア「…咲夜」

 

 

咲夜「はい! 私十六夜咲夜はお嬢様の手となり足となりお嬢様を…はっ!?」

 

 

レミリア「? 咲夜、どうかしたの?」

 

 

咲夜「あ…い、いえ…な、なんでもありません…///」

 

 

レミリア「そう? ならいいけど…それよりも咲夜、これは…そうね、主としての命になるのだけれども聞いてくれるかしら?」

 

 

咲夜「はい、なんなりとお申し付けくださいませ」

 

 

レミリア「ありがとう、あのね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  【紅魔館、門前】

 

 

 

レミリア「それじゃあ行ってくるわ、17時ぐらいには帰ってくると思うから」

 

 

咲夜「お気をつけて、留守はお任せください」

 

 

美鈴「お嬢様、お気をつけて!」

 

 

フラン「ぶー、お姉様だけズルい!」

 

 

レミリア「あなた前に魔理沙の家に泊まりに行ったでしょ、それに私は直ぐに戻ってくるのよ?」

 

 

フラン「ぶー」

 

 

レミリア「あら、寂しいの?」

 

 

フラン「それは無い」

 

 

レミリア「こらっ! 即答しないの!」

 

 

フラン「あはは! 冗談だよ」

 

 

レミリア「! ふふっ…からかうんじゃないの」

 

 

レミリア「それじゃ、パチェとこあにはよろしく言っといてね」スッ

 

 

 

咲夜、美鈴「行ってらっしゃいませ、お嬢様」

 

 

フラン「言ってらっしゃーい」

 

 

 

 

レミリア(…ふぅ、今日は曇りで助かったわ、雨も降らないみたいだし)スタスタ

 

 

レミリア(後は人里で…)

 

 

 

 

美鈴「? あ、パチュリー様、こあさん」

 

 

こあ「皆様お揃いですね」

 

 

パチュリー「…? レミィは?」

 

 

フラン「パチュリー、お姉様なら人里に散歩しに行ったよ」

 

 

パチュリー「散歩、ね」

 

 

フラン「絶対散歩じゃないよね」

 

 

パチュリー「えぇそう思います、ここにいる者皆気付いてますからね」

 

 

パチュリー「咲夜、どう思う?」

 

 

咲夜「恐らくですが…誰かに助力を求めに出たのだと」

 

 

パチュリー「そうでしょうね、はぁ…図書館でお菓子の作り方の本を持っていった時は何事かと思ったけど予想は当たっていたのね」

 

 

こあ「咲夜さんの証言もありますしね、お嬢様、私達にはバレてないと思っているんですよね? バレンタインのチョコを私達のために作っていること」

 

 

フラン「それと霊夢のため、だよね?」

 

 

パチュリー「はい、神社から帰ってきてから様子がおかしかったですからね…でもそう思い続けているなら、このままにしておく方がかえってちょうどいい」

 

 

美鈴「こういうときは黙って見守るのが一番いい方法ですからね」

 

 

フラン「咲夜は助けたくてウズウズしてるけどね♪」

 

 

咲夜「そ、それは…」

 

 

パチュリー「ふふっ、でも良く耐えたじゃない」

 

 

咲夜「ギリギリでしたがお嬢様のお気持ちを汲み取ってなんとか…」

 

 

パチュリー「そう…でもこの状況は好都合、ね」

 

 

フラン「そうだね」

 

 

こあ「はい♪」

 

 

美鈴「ですね」

 

 

咲夜「えぇ」

 

 

パチュリー「キッチンを占領していたレミィがいなくなった、これで堂々と私達もキッチンが使えるわね、咲夜、材料はまだある?」

 

 

咲夜「お嬢様がキッチンに籠り始めてからこの日のために隠しておいた材料がございます」

 

 

こあ「ほんっと流石ですメイド長様!」

 

 

美鈴「よっ! 咲夜さんのメイド長!」

 

 

咲夜「悪口に聞こえるのは私だけかしら?」スッ

 

 

美鈴「ちょっ!? さささ、咲夜さん!?」

 

 

こあ「ナイフ構えないでくださいよぉ!」

 

 

フラン「あははは、ねぇパチュリー」

 

 

パチュリー「はい?」

 

 

フラン「お姉様のお返しに、私たちもお姉様のためにチョコいっぱい作ろうね♪」

 

 

パチュリー「はいもちろん、レミィが帰ってくる前に…急ぎましょう」ニコッ

 

 

 

 

 

パチュリー(レミィ…)

 

 

パチュリー(私達にバレてないと思えるのが不思議でしょうがないわ、これはカリスマ云々ではなく注意力の問題)

 

 

パチュリー(やっぱり最後にはネタバラシした方がレミィの為になるのかしら…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そのころ人里では…】

 

 

 

 

レミリア「えっ!? いない!?」

 

 

上白沢慧音「あぁ、ミスティアなら命蓮寺に遊びに行ってるぞ、打ち合わせ…とか言ってたな」

 

 

レミリア(人里で料理上手って言ったらミスティア…まさかいないとは…)

 

 

慧音「しかしレミリアがミスティアに会いたいとは珍しいな、いったいどういう風の吹き回しだ?」

 

 

レミリア「! な、なんでもない! そうなのねいないのね! いないのならそれでいいわ、教えてくれて助かったわ、それじゃあね!」ピューン

 

 

慧音「あ、おい…むぅ、行ってしまった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「えぇー…うっそぉ…」トボトボ

 

 

レミリア「ミスティアの事しか頭に無かったわ…てっきりいるもんだと…」

 

 

レミリア「他に人里で料理が得意な奴って誰かいたかしら…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「あれ…? いない…?」

 

 

レミリア「いないじゃない…」

 

 

レミリア「人里じゃなくて魔法の森の方が良かったかしら…そしたらアリスに教えてもらえた…でも霊夢の愛あるチョコのライバルである魔理沙と一緒に作るってのもどうかと思うし…」

 

 

レミリア「不味いわね、こうしている間にもどんどん時間が過ぎていく…帰りが遅くなれば咲夜、いえパチェに悟られてしまうのがオチ…」トボトボ

 

 

レミリア「ど、どうしよう…! い、いや考えてる暇はない、もうアリスのところで」

 

 

 ドンッ!

 

 

 

紫「あら、ごめんなさい」

 

 

レミリア「あ、こちらこそぶつかってしまってごめんなさい」スッ

 

 

紫「いえいえ、ごめんあそばせ」スッ

 

 

レミリア「…」スタスタ

 

 

紫「…」スタスタ

 

 

レミリア「…」スタスタ

 

 

紫「…」スタスタ

 

 

八雲藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「ちょっと待てぃ!!」

 

 

紫「え~…」

 

 

藍「やっぱりそうなるよな、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里、休憩所】

 

 

 

レミリア「何で人里にいるの?」

 

 

紫「橙のためのチョコを作る材料を買いにね」

 

 

レミリア「ふーん…で? 何で他人の振りなんてしたのよ」

 

 

紫「スルースキルを磨こうかなって」

 

 

藍「スルースキルが度を超えていると言うのにまだ磨く気ですか」

 

 

紫「やぁほらぁ、メーターが振り切れたらどうなるのかなって」

 

 

藍「スルーし過ぎて誰にも相手にされなくなるんじゃないですか?」

 

 

紫「言い方にトゲがあるわよ藍、まだ怒ってんの?」

 

 

藍「3日もスキマに籠り続けてチョコ作ってました~なんて言い訳で仕事を押し付けられた私の怒りが収まると思いますか!?」

 

 

レミリア「!」

 

 

紫「あなたねぇ、良く考えてみなさいよ? あなたが私の立場で相手が橙だったらぜーったいに同じ事してるわよ?」

 

 

藍「うっ…! そ、それは…」

 

 

紫「ほらぁ♪ 言い返せないじゃなーい♪」

 

 

藍「ぐぬぬ…」プルプル

 

 

紫「おほほのほ♪」

 

 

レミリア「ゆ、紫!」

 

 

紫「うん?」

 

 

レミリア「あなた…もう霊夢のチョコ作ったの?」

 

 

紫「当然じゃない、ゆかりんの愛が100%も凝縮されたチョコレートが私のスキマチルドの中で眠ってるわ、今日の朝完成したのよ」

 

 

レミリア「スキマチルドって…」

 

 

藍「スキマチルドの中では賞味期限の概念が無いんだ、持ち運べる冷蔵庫のようなものか…しかし普通の冷蔵庫の中に入れて置けばとも思うのだが」

 

 

紫「だって誰にも見られたくないんだもん」

 

 

レミリア「ほんと便利な能力よね」

 

 

紫「褒めてもスキマしか開かないわよ」

 

 

藍「濫用はお辞めください」

 

 

紫「藍なだけに?」

 

 

藍「…紫様、ほんとに一回でいいので平手打ちしてもいいですか?」

 

 

紫「暴力はんたーい♪」

 

 

藍「いきますよ紫様」グッ

 

 

紫「ちょっ…!? あなたそれグーじゃない!」

 

 

藍「もうグーでも許される筈です」

 

 

紫「ふっ…主にグーを向けるのか?」キリッ

 

 

藍「…」ググッ

 

 

紫「ちょっ、こらぁ! そんなに振りかぶるんじゃないわよ!」

 

 

レミリア「ふふっ…! あっはははは!」

 

 

紫、藍「!」

 

 

レミリア「見てて飽きないわあなたたち、本当に仲が良いのね」

 

 

紫「そりゃそうよ家族だし、仲の良さなら霊夢と魔理沙にも負けてないわよ」

 

 

藍「…///」

 

 

紫「照れなくたって良いじゃない」

 

 

藍「照れてません…///」カァ

 

 

レミリア(…)

 

 

紫「あら、そういえばあなた一人なの? 咲夜は一緒じゃないの?」

 

 

藍「言われてみれば…珍しいな」

 

 

レミリア「…!」

 

 

藍「?」

 

 

紫「あら、フランと喧嘩でもした?」

 

 

レミリア「違う、そんなんじゃない…」

 

 

紫「…なんかあったの?」

 

 

レミリア「まぁ、うん」

 

 

紫「じゃ話してみれば?」

 

 

レミリア「…! …誰にも言わない?」

 

 

紫「言わないわよ、ゆかりんお口チャック」

 

 

藍「悩みは話してみれば楽になることもある、話してみるといい」

 

 

レミリア「うん、実は…」

 

 

 

 

 

 

 【カリスマ、説明中…】

 

 

 

紫、藍「…」

 

 

レミリア「そういうことなのよ、だから人里で探して」

 

 

紫「レミリアごめん、ちょ、ちょ~っと待ってくれる?」

 

 

紫「藍、ちょっとこっち来なさい」

 

 

藍「はい」

 

 

レミリア「?」

 

 

 

 

 

紫「ねぇ藍」ヒソヒソ

 

 

藍「はい」ヒソヒソ

 

 

紫「レミリアの行為が咲夜達にバレてないと思う?」ヒソヒソ

 

 

藍「バレて…ますよね、確実に」ヒソヒソ

 

 

紫「そうよねぇ…」ヒソヒソ

 

 

藍「それよりもどうします? 話を聞いた手前このままにしておくのも…」ヒソヒソ

 

 

紫「んー…まぁ野生のレミリア状態にしておいてもそれはそれで面白いからいいんだけども」ヒソヒソ

 

 

藍「面白くはないと思いまけど」ヒソヒソ

 

 

紫「…マヨヒガ連れてっちゃう?」ヒソヒソ

 

 

藍「私は構いませんよ、丁度いいじゃないですか、帰って橙の為のチョコを二人で作る予定でしたし、今チョコの材料を買って帰るところでしたしね」ヒソヒソ

 

 

紫「う~ん、でもねぇ…」ヒソヒソ

 

 

藍「何か?」ヒソヒソ

 

 

紫「霊夢に愛あるチョコを渡すライバルでもあるカリスマに手を貸すのはなぁって」ヒソヒソ

 

 

藍「そういうところは気にするんですか」ヒソヒソ

 

 

 

 

レミリア「長いわね、何をヒソヒソと」

 

 

 

 

 ガララッ

 

 

 休憩所の扉を開けた音に、扉に対して背を向けていたレミリアは振り向いた

 

 

 

 

レミリア「うん?」

 

 

???「ふぅ…やはりお燐にも着いてきてもらうべきでしたね…疲れました」

 

 

レミリア「あ」

 

 

???「? あ…」

 

 

 

 

藍「では私がレミリアに教えますよ、紫様は見ていてください」ヒソヒソ

 

 

紫「まっ! さっきまで橙のために一緒にチョコ作りましょうとか言ってたのに仲間外れにするの!? ゆかりん寂しいわ! 寂しい!」

 

 

藍「ちょっ、声大き…というかそういう事じゃないです! 紫様も一緒に作るんですよ!」

 

 

紫「恋敵と一緒に作るっての!? それが悩ましいところなんだって言ってんのよ!」

 

 

藍「そこは妥協して下さいよ! レミリアは家族にも作るって聞いたでしょう!? それに紫様はもう霊夢の分は作ってあるじゃないですか!」

 

 

紫「レミリア派なのね!? この裏切り者め!」

 

 

藍「はぁ!?」

 

 

 

 ギャーギャー! ギャーギャー!

 

 

 

 

 

 

???「お隣失礼します、お久し振りですねレミリアさん、そして珍しいですねこんなところで会うなんて」

 

 

レミリア「それはこちらの台詞よ、さとり」

 

 

???→古明地さとり「ふふっ、そうですね、私も人の事言えないです…それとあのお二人は何を」

 

 

レミリア「さぁ…分かんないわ、私の悩みを聞いてもらって話終えたら急にヒソヒソし出してそしたらあんな感じに」

 

 

さとり「悩み?」

 

 

レミリア「えぇ… !! はっ!」

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

レミリア「うっ…」

 

 

さとり「あぁ…把握しました」

 

 

レミリア「はぁ…あなたに隠し事は無理よね」

 

 

さとり「すいませんね、気になると心を読みたくなってしまうので」

 

 

レミリア「まぁ別にいいけどさ」

 

 

さとり「ありがとうございます」

 

 

レミリア「ところで…なんで人里にいるの?」

 

 

さとり「紫さんたちと同じ理由ですよ、私もチョコの材料を買いにここへ、まぁ家族にチョコを作るためという意味ではレミリアさんと同じになりますが」

 

 

レミリア「…? 地底にも材料売ってるんじゃないの?」

 

 

さとり「地底にもバレンタインの荒波が押し寄せてましてね、材料が品薄状態になってるんです」

 

 

さとり「それに地底と地上の交流等が深まったとはいえ、やはり物資は地上の方が品質が良いのです」

 

 

レミリア「あなた一人で?」

 

 

さとり「お燐とお空は忙しい身ですし、こいしは帰ってきていないですし、私は今日は暇でしたから…お燐に材料の買い出しをしてくるって言ったら一緒に行くってせがまれましたけどなんとか宥めてここまで来れました」

 

 

レミリア「…」

 

 

さとり「仕事の邪魔はしたくありませんでしたし、けどこんなにも荷物が多くなるとは想定外でした、不覚です」

 

 

レミリア「あなたは…」

 

 

さとり「?」

 

 

レミリア「あなたは家族に…チョコの事説明してるのね」

 

 

さとり「私がレミリアさんと同じ事をしようとしても隠し通せる自信が無いですから」

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「素敵ですねレミリアさんは、家族想いで努力家で、家族のためにそこまでするのは主の鑑だと思いますよ、館の主としてではなく家の長として…の方がしっくり来るかもしれませんね」

 

 

さとり「例えあなたの努力を咲夜さんたちが知らなくても、その思いはきっと咲夜さん達に届くと思います」

 

 

レミリア「! さとり…」

 

 

さとり(ですがチョコの事は咲夜さんたちに気付かれているでしょうね、レミリアさんの事を思っての事か…気付いていない振りをしているのでしょう)

 

 

レミリア「で、でも肝心のチョコがまだ作れてなくて」

 

 

紫「だったら作れば良いじゃない」

 

 

レミ、さと「!」

 

 

紫「弄られてカリスマガードするのがあなたの日常だとしても何時までもウジウジ悩んでいるのなんてあなたらしくないじゃない」

 

 

レミリア「そんな日常送ってないわよ! それに悩みをどうにかしようとしたいから人里に来たんじゃない」

 

 

藍「でももう悩む必要なんてないだろう?」

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

紫「ここに今、便利屋の私と料理上手のさとりんがいるのよ? それにチョコを作るための材料もある、全て揃っている」

 

 

レミリア「料理上手って…えぇっ!?」

 

 

さとり「いえい」ピース

 

 

紫「レミリア、協力してあげるわ、こういうのはスキマボックスの役目なんだけれどねぇ、まぁここで出会ったのも何かの縁でしょう、あなた的に言えば運命的なってやつかしら」

 

 

紫「さとり、あなたも協力してくれないかしら?」

 

 

さとり「ふふっ、愚問ですね」

 

 

さとり「良いですよ、私は自分の家族にチョコを作れればそれで良いです、レミリアさんも同じ理由ですし、それにレミリアさんとももっと仲良くしたいとも常日頃思っていましたので」

 

 

レミリア「わ、私と?」

 

 

さとり「家の妹がフランさんと遊んだ時の話をよくしてくれるんですよ、とても楽しそうに」

 

 

さとり「間接的ではありますがレミリアさんにお世話になっているのは事実、恩返しも兼ねてです」

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「それにしても先程まで取っ組み合いをしていたというのに私を見たとたんの状況整理と作戦を思い付くその頭脳、流石ですね」

 

 

紫「まぁねぇ♪ 伊達に大妖怪してないのよ?」

 

 

さとり「ですが…」

 

 

 

 

 

さとり「そんなボロボロの姿でそれを言われても格好がつかないです」

 

 

紫「だって藍が引っ掻くから」ボロッ

 

 

藍「紫様が服を引っ張るから」ボロッ

 

 

 

 

 

紫「藍、さっきも言ったけど勝負よ」

 

 

藍「えぇ、臨むところです」

 

 

紫「私たちが作ったチョコ」メラメラ

 

 

藍「どっちが橙に一番喜んでもらえるか勝負です」メラメラ

 

 

レミリア「えぇ…」

 

 

さとり「取っ組み合いながらそんな会話してたんですね」

 

 

紫「藍、あなたはマヨヒガに帰りなさい、私はさとりとレミリアと一緒に行くわ」

 

 

藍「分かりました」

 

 

紫「レミリア、本題に入るわ」

 

 

レミリア「え? う、うん」

 

 

紫「さっきも言ったけどあなたのチョコ作りに協力してあげるわ、場所は地底にある地霊殿のキッチン」

 

 

紫「チョコ作りはさとりに教えてもらいなさい、こう見えてもさとりの料理の腕は幻想郷の住人の中で10本の指に入る程の腕前を持っているわ」

 

 

レミリア「えぇぇ!? 本当!?」

 

 

さとり「いえ~い」ピース

 

 

紫「時間の事も心配いらない、今はお昼…日が沈み始める辺りに帰れば咲夜たちも安心するでしょう、後四時間ぐらいかしら」

 

 

紫「今から作れば間に合うわ、私のスキマで地霊殿まで一緒に行くわよ」

 

 

さとり「それは私にとってもありがたいですね、重たい荷物は肩が痛くなります」

 

 

紫「それとさとり、私にもキッチンでチョコ作りをさせてもらえるかしら」

 

 

さとり「もちろん構いませんよ」

 

 

紫「ありがと…で、レミリア」

 

 

レミリア「!」

 

 

紫「何か質問、問題はある?」

 

 

レミリア「…無い、無いけど」

 

 

レミリア「どうしてここまでやってくれるのよ、特に紫、あなたは」

 

 

紫「確かに霊夢のチョコの恋敵ではあるけども」

 

 

紫「家族のために…そこは応援してあげたくなるわ」

 

 

レミリア「!」

 

 

さとり「私も同じ気持ちだからこそ協力したいと思ったんです、レミリアさん、チョコ作り頑張りましょう」

 

 

レミリア「! うん! ありがとう!」

 

 

紫「さあってと! スキマオープン!」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「付く先は地霊殿の門前で良いか、藍、それじゃあ行ってくるわ」

 

 

藍「はい、行ってらっしゃいませ」

 

 

紫「…負けないからね!」

 

 

藍「えぇ臨むところです、私のチョコが最高だと橙に言ってもらえるようなチョコを作ります」

 

 

紫「こっちの台詞よ」

 

 

紫、藍「…」ニヤッ

 

 

さとり「バレンタインって色々なところで味方が敵になりますよね」

 

 

レミリア「こんなに殺伐としてるものだったかしら…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【地底、地霊殿門前】

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「到着♪」

 

 

レミリア「10秒も経ってないわね…」

 

 

さとり「助かりました、人里からここまで飛んで来るのも楽ではなかったので」

 

 

紫「行きは怖い帰りはよいよいってね♪」

 

 

レミリア「逆よね、それ」

 

 

 

 タッタッタッ

 

 

 

さとり「おや」

 

 

火焔猫燐「さとり様~♪ 早かったですね、お帰りなさいませってうおう!?」

 

 

紫「はぁい♪ おりんりん、おひさ♪」

 

 

レミリア「久し振りね、火車の…確か火焔猫燐」

 

 

お燐「スキマのお姉さんに、紅魔館の吸血鬼じゃないか!」

 

 

さとり「お燐、ただいま」

 

 

お燐「お帰りなさいませ…ってさとり様、この状況は一体…」

 

 

さとり「私の心を読めば一発じゃないですか」

 

 

お燐「あたいはさとり様じゃないんですからね!? ちゃんと説明してくださいよ!」

 

 

さとり「一からですか? 一から説明しないとダメですか?」

 

 

お燐「一からです!」

 

 

レミリア「さとりもボケ担当なの…?」

 

 

紫「さとりんのボケは一流よ、煽りとボケのハーモニーは秀逸…そこに無表情が入るからさらに面白いのよ♪」

 

 

レミリア「芸人かっ!」

 

 

 

 

 

 【さとりん、説明中…】

 

 

 

お燐「ほぇ~…チョコですか」

 

 

紫「そゆこと」

 

 

レミリア「世話になるわ、燐」

 

 

お燐「ちょっ…/// 恥ずかしいからあたいの事はお燐って呼んでおくれよ」カア

 

 

レミリア「分かったわ、お燐」

 

 

さとり「お燐、そういうわけですのでお二人をキッチンへ、私は荷物を置いてから向かいますので」

 

 

お燐「はい分かりました! それではキッチンへってにゃあぁ!?」

 

 

さ、レ、紫「?」

 

 

お燐「あぁ…さ、さとり様」

 

 

さとり「今日はよく大声を出しますねお燐、どうかしましたか?」

 

 

お燐「じ、実はその…せ、先客が…」

 

 

紫、レミリア「先客?」

 

 

さとり「? …」ジーッ

 

 

お燐「うっ…」

 

 

さとり「…えっ? お燐…何故彼女たちを招き入れたのですか?」

 

 

お燐「えと…あははは…」

 

 

さとり「笑って誤魔化す気ですか?」

 

 

お燐「こ、断りづらくて…それにスキマのお姉さんたちと同じ理由でしたし…」

 

 

さとり「まぁ、あの人の頼みは断りづらいのは分かりますけどね」

 

 

さとり「紫さん、レミリアさん、どうやらキッチンに先客がいるようです、四人程」

 

 

レミリア「えっ、四人?」

 

 

紫「…誰だかな~んとなく分かっちゃった」

 

 

さとり「私たちを含めると7人でチョコを作ることになりそうです、まぁ無駄に広いキッチンですからチョコを作れなくなるという心配はありませんが少し窮屈に感じるかも知れません」

 

 

レミリア「別に私は構わないわ、場所まで提供してくれてる身だし文句は言えないもの」

 

 

紫「右に同じよ」

 

 

さとり「助かります、それでは…お燐」

 

 

お燐「はい、ささっこっちですよ、あたいに着いてきてくださいにゃ~」

 

 

 

レミリア「四人って誰なのかしら?」

 

 

紫「退屈しない連中よ? 色んな意味で」

 

 

レミリア「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、キッチン前】

 

 

 

お燐「ここだよん♪」

 

 

レミリア「…」キョロキョロ

 

 

紫「何をキョロキョロしてるの?」

 

 

レミリア「私の家と…ちょっと似てるなぁと思って」

 

 

お燐「そう言われると…そうなのかねぇ」

 

 

レミリア「えぇ、でも全体的に紅魔館よりちょっと暗いかしら」

 

 

紫「吸血鬼の館が全体的に明るいのはつっこむところ?」

 

 

お燐「あはは、地霊殿の方がレミリア嬢に合ってるのかもねぇ」

 

 

レミリア「ふふっ、かもね、この雰囲気嫌いじゃないわ」

 

 

 ダカラァ! オマエガ!

 

 

 

 

紫「あら、賑やかねぇ」

 

 

お燐「ま~たもめてんのかな?」

 

 

レミリア「本当に誰なのかしら」

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、キッチン】

 

 

 

水橋パルスィ「だから違うって言ってんでしょうが!」

 

 

星熊勇儀「あぁ? こうじゃねぇのか?」

 

 

 バキッ!

 

 

 

黒谷ヤマメ「ありゃりゃ、ま~たやっちゃったよ」

 

 

キスメ「チョコ…真っ二つ…」

 

 

勇儀「おいパルスィ、また割れちまったぞ?」

 

 

パルスィ「力の加減を考えろって何回言えば分かんのよ妬ましいわね!」

 

 

ヤマメ「それは勇儀の力に? それとも割られたチョコに?」

 

 

パルスィ「あぁ!? チョコに妬む奴が何処にいんのよ!」

 

 

ヤマメ、キスメ、勇儀「…」スッ

 

 

パルスィ「一斉に指差すんじゃねぇわよ!」

 

 

ヤマメ「パルパルは今日もパルってるねぇ」

 

 

キスメ「パルちゃんらしい…よね」

 

 

勇儀「パルってるって新しいなぁ、あははは!」

 

 

ヤマメ「今の場合、甘くてパルル…ってやつかい?」

 

 

勇儀「ぷはっ…! おいヤマメ笑わすなっ…! くくく…!」

 

 

キスメ「ふふふっ…パルルって…ふふっ…」

 

 

パルスィ「うがぁぁ!!」

 

 

 

 ガチャ!

 

 

お燐「ちょっとー? オーブンとか壊してないですよねー?」

 

 

勇儀「おうお燐、それは大丈夫だ、さとりにここ借りてる恩があるからな」 

 

 

パルスィ「どうだか…今にも冷蔵庫とか真っ二つにしそうで見てらんないわね」

 

 

勇儀「パルスィ、私がチョコ作るの見ててくれるって言ったろ? 見ててくれないのか?」

 

 

パルスィ「見るもなにもその前にチョコを破壊しつくすのを止めてくれないかしらねぇ!?」

 

 

ヤマメ「このやり取り何回目だっけねぇ」

 

 

キスメ「四回目…だね…」

 

 

勇儀「だから力の加減を教えてくれって言ってるじゃないか」

 

 

パルスィ「型から取り出すだけなのに力の加減も有ったもんじゃねぇわよ!」

 

 

お燐「あははは、まぁこんな感じだけど大丈夫かい?」

 

 

紫「大丈夫よ、ゆかりん修羅場は潜り抜けて来たもん」スッ

 

 

レミリア「まぁ…大丈夫よ、うん」スッ

 

 

勇儀「お!」

 

 

ヤマメ、キスメ「あ」

 

 

パルスィ「ん!?」

 

 

紫「はぁい地底の四人娘♪ お元気だったかしら?」

 

 

レミリア「勇儀とヤマメ…あの時は世話になったわね」

 

 

勇儀「紫! レミリア! 久し振りだな」

 

 

紫「久し振りねぇ、勇儀」

 

 

勇儀「あぁ一ヶ月振りぐらいか? あ、萃香元気にしてるか?」

 

 

紫「相も変わらず博麗神社で伸び伸びしてるわよ」

 

 

勇儀「そっか、あいつ最近こっち来ないからなぁ」

 

 

レミリア「勇儀、ヤマメ、久し振りね」

 

 

勇儀「おうレミリア、あれから館は壊れてねぇのか?」

 

 

レミリア「お陰様でね、前より頑丈になったって家族の皆が言ってるわよ」

 

 

ヤマメ「そりゃあ私と勇儀と萃香で建て直したからねぇ、半端な仕事は出来ないよ」

 

 

レミリア「ふふっ、大工にでもなったら良いのに」

 

 

ヤマメ「はは、一時考えた事あったよね」

 

 

勇儀「な、あははは!」

 

 

勇儀「うし! せっかく会えたんだし外に出て一緒に運動でも」

 

 

紫、レミリア「しないわよ」

 

 

勇儀「あ?」

 

 

紫「あなたの運動って運動じゃないんだもん」

 

 

レミリア「ストレッチかと思って乗ったら喧嘩だったのには正直驚いたわね」

 

 

勇儀「なんだよー…萎えちまうぜ」

 

 

紫「私たちはチョコを作りに来たのよ、喧嘩してる暇なんてないの」

 

 

ヤマメ「え? あんたたちもかい?」

 

 

紫「色々あってね、さとりも後で来るわよ」

 

 

ヤマメ「あ、帰って来たんだね、ほら勇儀、さっさとチョコ作らないとさとりにどやされちまうよ?」

 

 

勇儀「チョコの残骸見られたらグチグチ言われそうだな、でも隠すってのもなんだかなぁ」

 

 

ヤマメ「鬼の性だねぇ」

 

 

パルスィ「フン! こんなところまで来てチョコ作りに来るとは遠路遙々とご苦労なこったわね!」

 

 

キスメ「パルちゃん…歓迎しますって素直に言えば良いのに…」

 

 

パルスィ「あぁ!? んなこと言えるか!」

 

 

ヤマメ「あ、そう思ってるんだ」

 

 

パルスィ「うぐ…!? う、うるせぇわよ地底のアイドル!」

 

 

ヤマメ「褒められたねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「はっ!」

 

 

パルスィ「こ、このチョコ色女ぁ!」

 

 

ヤマメ「? あぁ私の服の色かい? また褒められちまったねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「それを褒められたと認識するその頭ん中どうなってんのヤマメぇ! 本当に妬ましい!」

 

 

レミリア「…ねぇ、紫、このうるさいのと桶の妖怪は誰なの?」

 

 

紫「会うの初めて? なら仲良くなるための自己紹介ね」

 

 

紫「この子は釣瓶落としのキスメ、地底の妖怪の中では一番大人しい子ね『鬼火を落とす程度の能力』を持っているわ」

 

 

キスメ「そ、そんな…大人しいだなんて…///」カァ

 

 

パルスィ「何故照れるキスメよ」

 

 

レミリア「へぇ、あなたがあの釣瓶落としなのね、でもそんな風には見えないわね、優しい顔してるもの」

 

 

キスメ「あ、あぅ…///」

 

 

レミリア「紅魔館の主、レミリア・スカーレットよ、よろしくねキスメ」

 

 

キスメ「よ、よろしく…です…レミリアさん」

 

 

ヤマメ「仲良くしてやってね、私が言うのもなんだけどキスメは良い子だからねぇ」

 

 

勇儀「もうちょっと酒に強くなってくれると嬉しいんだけどなぁ」

 

 

パルスィ「鬼の物差しで図るんじゃないわよ、キスメは酒強くないんだから」

 

 

ヤマメ「キスメの事良く分かってるねぇパルパルやっさしー♪」

 

 

パルスィ「ヤマメぇ…!」プルプル

 

 

レミリア「こっちは?」

 

 

紫「水橋パルスィ、橋姫よ『嫉妬心を操る程度の能力』を持っているグリーンアイドルモンスター、ネタマシンガン…まぁ好きに呼んであげるとパルパルと喜ぶ素敵妖怪よ」

 

 

パルスィ「あぁ!?」

 

 

勇儀、ヤマメ「ふはっ…! ふっふふふっ…!」プルプル

 

 

キスメ「ふっ、ふふふふ…!」プルプル

 

 

レミリア「パルパル?」

 

 

パルスィ「ふっざ…! ふざけんじゃないわよあんたぁ! するならちゃんと紹介しなさいよ!」

 

 

紫「えー、ゆかりん何にも間違った事言ってなくない?」

 

 

パルスィ「間違いだらけで妬ましいわぁ!」

 

 

パルスィ「アイドルじゃなくて『グリーンアイド、モンスター』だっつーのよ! アイドルはこいつよ!」ビシッ

 

 

ヤマメ「またまた褒められたねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「ネタマシンガンってのもなんなのよ!?」

 

 

紫「妬ましい妬ましいって機関銃の砲撃の如く連呼してるから…ねぇ」

 

 

パルスィ「ねぇじゃねえわよ!」

 

 

紫「妬ましいとネタとマシンガンを掛けてみました♪」

 

 

パルスィ「上手くもねぇわよ! てかましんがんって何なのよ!」

 

 

紫「まぁ簡単に言うと嫉妬深くて他人の幸せが気にくわなくてついつい邪魔をしてしまう橋姫さんよ♪」

 

 

レミリア「し、嫉妬ね…能力の副作用的な感じなのかしら」

 

 

パルスィ「…」

 

 

ヤマメ「ははは、まぁ全部本当の事だけどもこんなパルパルでも良いところがたくさんあってね、誤解しないでほしいんだ」

 

 

パルスィ「…! アイドルでもないし…ましんがんでもないわよ…」

 

 

ヤマメ「そこは置いといて…ほら、地底と地上を繋いでる穴があるだろう? あそこで地底と地上を無事に行き来出来る様に人間や妖怪を見守ってくれる守護神でもあるんだ」

 

 

パルスィ「…!」

 

 

勇儀「それに妬ましい妬ましいと口で言っていても…そういう風に私たちに見せていても…根っこの部分は腐っちゃいねぇんだ」

 

 

キスメ「うん…パルちゃんはとっても優しいの」

 

 

ヤマメ「一度仲良くなってずっと付き合ってるとね? パルパルの良さが分かってるくるもんなのさ、口は悪いけど友達になればそれは素直になれない自分への照れ隠しだってのが分かるんだ」

 

 

パルスィ「!?」

 

 

勇儀「妬むけど人の悪口言わねぇもんな」

 

 

キスメ「前に私が落ち込んでたら励ましてくれたの…」

 

 

ヤマメ「私より落ち込むなんて妬ましいとか言いながらね、あっはっは♪」

 

 

勇儀「あぁ、そこから励ますのかよって笑ったよな」

 

 

ヤマメ「それに何よりさぁ…パルパルって可愛いんだよねぇ」

 

 

パルスィ「ちょっ…!?」

 

 

勇儀「あぁ、可愛いよな」

 

 

キスメ「うん、可愛い」

 

 

パルスィ「はぁ!?」

 

 

ヤマメ「ほら、こうやって照れてるパルパル可愛いでしょ」

 

 

勇儀「大体パルパルってあだ名自体が可愛もんな」

 

 

キスメ「パルちゃん寂しがり屋さんなのも可愛い…」

 

 

パルスィ「っ…///」カァ

 

 

ヤマメ「友達思い」

 

 

勇儀「気配り上手」

 

 

キスメ「優しい」

 

 

ヤマメ「根は素直」

 

 

勇儀「人の心に敏感」

 

 

キスメ「口が上手い」

 

 

ヤマメ「みんなの?」

 

 

勇儀「アイドル」

 

 

キスメ「水橋パルスィ」

 

 

ヤマメ、勇儀、キスメ「うえーい♪」

 

 

パルスィ「やめろぉ!」

 

 

ヤマメ、勇儀「あっはっはっは♪」

 

 

キスメ「ふふっ…」

 

 

パルスィ「言わせておけば有ること無いこと…! 妬ましいったらありゃしない!」

 

 

勇儀「全部有ることじゃねえか」

 

 

パルスィ「うっせぇわよ!」

 

 

勇儀「あっはっはっ!」

 

 

パルスィ「チッ…」

 

 

レミリア「へぇ♪」

 

 

パルスィ「な、何よ」

 

 

レミリア「あなたって友達から愛されてるのね」

 

 

パルスィ「!?」

 

 

レミリア「ちょっと紫、出鱈目を教えるんじゃないわよ、私この橋姫のこと気に入ったわ」

 

 

紫「多少の出鱈目は心の奥底を覗くのに必要な事よ♪」

 

 

ヤマメ「紫も素直じゃないもんねぇ♪」

 

 

紫「えー、ゆかりん超素直よ?」

 

 

ヤマメ「どの口が言うのかねぇ…」

 

 

レミリア「ふふっ、えっと…水橋パルシー?」

 

 

パルスィ「…スィよスィ、スに小さいイ」

 

 

レミリア「パルスィね、私はレミリア・スカーレットよ、よろしくねパルスィ」

 

 

パルスィ「っ…/// な、名前はさっき聞いたわよ」

 

 

レミリア「面と向かって名乗ることに意味があるのよ、仲良くなるための第一歩だもの」

 

 

パルスィ「私と仲良くなっても私に妬まれるだけよ」

 

 

レミリア「カリスマがあると妬まれるのは常…挑むところだわ」ニコッ

 

 

パルスィ「…! ふん…///」

 

 

紫(ほんとレミリアって無意識にカリスマが出るわよねぇ…不思議だわ)

 

 

さとり「そうなんですか?」

 

 

紫「そうよ?」

 

 

さとり「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「読んだわね?」

 

 

さとり「気になったもので、すいませんね」

 

 

紫「いつからいたの?」

 

 

さとり「レミリアさんがパルスィさんに名乗った辺りからです」

 

 

紫「随分と都合の良い登場ねぇ」

 

 

さとり「はてさてなんの事やらです」

 

 

お燐「ではさとり様、あたいはこれで」

 

 

さとり「はい、ご苦労様でしたお燐」

 

 

 

 

勇儀「おうさとり、邪魔してるぞ」

 

 

ヤマメ「キッチンも借りてるよ~♪」

 

 

さとり「はい、私の家に誰かが来るのは良いですし、勇儀さんたちなら大歓迎ですけど」

 

 

さとり「家の家具を壊すのだけはやめて下さいね?」

 

 

勇儀「家に上げてもらってるのにそんなことするわけないだろ」

 

 

さとり「さっきからチョコを砕き割ってダメにしている者の台詞とは思えませんね」

 

 

勇儀「うっ…! 心を読むなよ」

 

 

さとり「それにヤマメさん達の中では『そのうち何かを壊しそう』という思いが巡っているので不安なのです」

 

 

勇儀「おい! お前らな、少しは信用しろよ」

 

 

ヤマメ「酔っ払って私の家の物を壊されたことあったからねぇ」

 

 

キスメ「私も…」

 

 

勇儀「今は酔ってないだろ」

 

 

パルスィ「私の時はシラフだったわよねあんた」

 

 

勇儀「あ~…」

 

 

パルスィ「あ~じゃねぇわよ」

 

 

勇儀「が、頑張って壊さない様にする…うん」

 

 

さとり「そうしてください、チョコ作りは続けていただいて結構ですので」

 

 

レミリア「地底の妖怪は個性的なのばっかりね」

 

 

紫「キャラ濃いもんね」

 

 

さとり「幻想郷に住むもの全員がキャラ濃い気がしますが…まぁそれはさておき」

 

 

さとり「レミリアさんお待たせしました、咲夜さんたちと霊夢さんに喜んでいただけるようなチョコ作り、頑張りましょう」

 

 

レミリア「! えぇ、お願いするわさとり」

 

 

さとり「ではこちらへ」

 

 

紫「さとり、私ここ使うわよ」

 

 

さとり「はい、ボウルとかは好きに使っていただいて結構です」

 

 

紫「はいはい」

 

 

紫(前から思ってたけど本当に無駄に広いわよねぇ、細長いキッチンテーブル三つも並べて…地霊殿の料理人は二人しかいないのに)

 

 

勇儀「お、三チームに分かれて料理対決みたいな構図だな」

 

 

パルスィ「戦ってないから、それに勝負だとしたら負けるのは勇儀、あんたよ」

 

 

勇儀「負けねぇって、料理は根性でなんとかなるだろ?」

 

 

パルスィ「技術と知識だバカやろう」

 

 

 

 

 

 

 【レミリア、さとりチーム】

 

 

 

さとり「レミリアさんの心の奥底を覗いてみたんですけど、形は完璧なのに味が不快なチョコしか作れない様で」

 

 

レミリア「えぇそうなのよ、本読んで勉強して咲夜がやってるように作ってるんだけどどうしても咲夜のお菓子みたいな味に辿り着けなくて」

 

 

さとり(咲夜さんのお菓子みたいな味に…?)

 

 

さとり「…」

 

 

レミリア「…? さとり?」

 

 

さとり「レミリアさん、そのチョコはあなたしか味をみてないんですよね?」

 

 

レミリア「え? えぇそうよ」

 

 

さとり「…レミリアさん、最初私のアドバイスも何も無しで自分の思う通りのチョコを作ってみてくれませんか?」

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

さとり「渡すレベルの物じゃなくて簡単な物でいいので作ってみてください、ただこれなら味は完璧だと思う物でお願いします」

 

 

レミリア「わ、分かったわ」スッ

 

 

さとり(レミリアさんは恐らく…いえ、一回レミリアさんの腕前を拝見する意味でも作らせてみましょう)

 

 

 

 

 【お一人様ゆかりんチーム】

 

 

 

紫「何でこっちのテーブルに来るの?」

 

 

ヤマメ「いやぁ、だって暇だしさ」

 

 

キスメ「暇です…」

 

 

紫「いやいや、だったら何でここにいるの? そもそもあなたたち何でチョコ作りに来たのかしら」

 

 

ヤマメ「それは勇儀が酒のチョコがあるって旧都で聞いたらしくて『自分で作ってみたい』って私の家で言い出したからなのさ」

 

 

紫「酒? あぁ、ボンボンのことね」

 

 

キスメ「そうです…『それを作ってお前らに食わせてやるから待ってろ』って言って地霊殿に向かって行ったんですけど」

 

 

ヤマメ「それを黙って見送ったらさ、パルパルが『あいつが一人でまともなチョコを作って来るなんて想像出来ないし信用も出来ない』って言い出してさ」

 

 

紫「んでそれに納得したあなたたちは勇儀追っ掛けて地霊殿入りしたわけね」

 

 

キスメ「はい…」

 

 

紫「勇儀って料理下手だっけ」

 

 

ヤマメ「ドが着くほどね」

 

 

キスメ「前に勇儀さんが作ってくれた地獄カレーなるものをいただいたんですけど…」

 

 

ヤマメ「もう見事にね、焦げだらけで食えたもんじゃなかった」

 

 

紫「色々な意味で地獄ね、それ」

 

 

キスメ「だから『私たちの胃袋を破壊するチョコを食わされる前に勇儀にまともなチョコを作らせる』ってパルちゃん意気込んでたよね」

 

 

紫「パルスィもお節介焼きねぇ」

 

 

ヤマメ「あははは、そうだね」

 

 

キスメ「パルちゃん私たちの中で一番お料理上手なんです」

 

 

紫「へぇ女子力高いんだ、ちょっと意外」

 

 

ヤマメ「そこもパルパルの魅力だよねぇ♪」

 

 

紫「でもいいのかしらね」

 

 

ヤマメ、キスメ「え?」

 

 

紫「自分の女子力が高かったら『あんたの女子力の高さが妬ましい』とか言えなくなるんじゃない?」

 

 

ヤマメ、キスメ「…」

 

 

ヤマメ「紫、それパルパルに言わないであげておくれよ?」

 

 

キスメ「たぶんすっごく落ち込むと思います…」

 

 

紫「自分のスキルと能力の両立で難儀するのってパルスィだけの様な気がするわね…」

 

 

 

 

 

 【勇パルチーム】

 

 

 

パルスィ「あんたが作るチョコ…いや料理全般に言えることだけど必要な物ってなんだかわかる?」

 

 

勇儀「だから根性」

 

 

パルスィ「ちげぇわよ! 何でもかんでも入れすぎないって事よ」

 

 

勇儀「力は入ってるな」

 

 

パルスィ「力も入れない、調味料も入れすぎない、火も入れすぎない…分かるでしょ?」

 

 

勇儀「なぁパルスィよぉ」

 

 

パルスィ「あ?」

 

 

勇儀「おにぎりあるだろ? おにぎり」

 

 

パルスィ「それが?」

 

 

勇儀「おにぎりの具がいっぱい入ってたらうめぇだろうが!」

 

 

パルスィ「物によるってのよ!! 作ってる料理の物にぃ!!」

 

 

 

紫「おにぎりの話しないでくれないかしらねぇ…」イライラ

 

 

 

さとり「そういえば紫さんおにぎり大嫌いでしたね」

 

 

レミリア「え? 何で?」

 

 

さとり「それは…」

 

 

さとり「いえ、やめておきましょう」

 

 

レミリア「…?」

 

 

 

 

 【1時間後…】

 

 

 

紫「よっし、出来たわ♪ 後は冷やして固めるのみ」

 

 

ヤマメ、キスメ「…」

 

 

紫「ふふっ、橙喜んでくれるかしら」

 

 

キスメ「ヤマメちゃん…紫さんって…」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「うん、紫は女子力とかそういうんじゃないの、ただただ料理が上手いのさ」ヒソヒソ

 

 

キスメ「見ているだけで勉強になるね…」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

パルスィ「はぁ…やっと型から取り出せた…」

 

 

勇儀「後はこれを冷やせば良いんだろ? ラクショーだったな」

 

 

パルスィ「ここまでくるのに5回も失敗した奴がよく言うわ…」

 

 

勇儀「失敗は成功のもとって言うだろ?」

 

 

パルスィ「そういう言葉を身に付ける前に料理の腕を付けなさいよ、まだ味見もしてないのに」

 

 

勇儀「大丈夫だっての、絶対美味いから」

 

 

パルスィ「その楽観的思考が妬ましい」

 

 

 

 

紫「あのチョコ酒の匂いがキツいわね」

 

 

ヤマメ「純米大吟醸使って作ったんだよ」

 

 

紫「高級品になり得るわね、外の世界なら余計に」

 

 

 

 

 

 

 

さとり「…」パクッ

 

 

さとり「ん~…」モグモグ

 

 

レミリア「どう? さとり」

 

 

さとり「どうもなにも…」モグモグ

 

 

さとり(やはりレミリアさんは気付いていないようですね)

 

 

レミリア「あ、やっぱりダメだった? もう…どうしても不快な味になるのね…ねぇさとり、私何処で間違えた? 何をどこでどう間違えたのかはっきり言って?」

 

 

さとり「…レミリアさん」ズイッ

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

レミリア「う…」

 

 

さとり「…」

 

 

 

 

 

 

さとり「このチョコレート凄く美味しいです」

 

 

レミリア「……」

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「えぇっ!!?」

 

 

さとり「チョコ作りの工程、砂糖等の分量計算などなど…全てにおいて完璧でした」

 

 

さとり「料理が得意な方が『初めてだけど作ってみようかな』の精神で作って成功したみたいな感じでしょうか、それにしては手際が良い…私が教える事は特に無いです」

 

 

さとり「レミリアさんの努力が稔ってると思います、本で勉強した事も咲夜さんのお菓子作りを間近で見ていた事も無駄ではなかった、ほろ苦い甘さが食欲をそそりますね」

 

 

レミリア「う、嘘よ! だってこんな」ヒョイ

 

 

 パクッ!

 

 

レミリア「…! ほら! 味も何もあったもんじゃない、不快な味よ! さとり、私の事を思っての評価だったとしてもこれは」

 

 

さとり「その不快な味…というのが引っ掛かってたんですけど」

 

 

さとり「何を思っての不快、なのですか?」

 

 

レミリア「だから…! だから咲夜のお菓子みたいな味がしないから」

 

 

さとり「このチョコレートを作ったのは誰ですか?」

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「レミリアさんが一から勉強して作り上げたチョコレートですよね? 家族のため、霊夢さんのためにと…」

 

 

さとり「咲夜さんの作ったチョコレートと完璧に同じ味がするものをレミリアさんが作ってどうするんですか?」

 

 

さとり「確かに美味しいチョコレートを貰う、自信作の物をあげれば双方喜ぶでしょう…しかし」

 

 

さとり「レミリアさんが作ったという事実と、レミリアさんのこれが美味しいと思った味のチョコを作りあげたという確たる事実があって初めて自分の真心を込めたチョコを皆さんに渡せるのではないですか?」

 

 

レミリア「…!!」

 

 

さとり「咲夜さんたちはレミリアさんがチョコを作っているという努力は知らないでしょう、だからこそ」

 

 

さとり「咲夜さんの作るお菓子の味を真似したレミリアさんのチョコレートではなく、レミリアさんが作り上げたオリジナルのチョコレートを渡すんです」

 

 

さとり「咲夜さんと同じ様な物を作って『これ咲夜さんの作るお菓子と同じ様な味がする』という感想をレミリアさんは欲していますか? そんな感想を言われたらレミリアさんが傷付いてしまう可能性もあるんですよ?」

 

 

さとり「初めてのことですから不安になる気持ちも分かります、ですがもっと自信を持ってください」

 

 

さとり「レミリアさんが自分の思う心のままに作ればそのチョコにはレミリアさんの思いが込められるのですから」ニコッ

 

 

レミリア「…! さとり」フルフル

 

 

レミリア「さとりぃ!」スッ

 

 

 ガシッ!

 

 

さとり「うっ…! れ、レミリアさん…!?」

 

 

レミリア「ありがと…! ありがとうさとり!」

 

 

さとり「あ、あの…/// きゅ、急に抱き着くのは、そのえっと…///」カア

 

 

レミリア「私、大切なものを失いかけていたわ」

 

 

さとり「!」

 

 

レミリア「そうよね、私のチョコじゃないと意味がないのよね…そうじゃないと私の気持ちが、思いが伝わらない」

 

 

レミリア「『いつもありがとう、これからもよろしくね』って…言葉は簡単に出せるけど、これをチョコに乗せるのって難しいわね」

 

 

さとり「…! …そこまで考えられているのなら答えはもう出てますね」

 

 

レミリア「えぇ、咲夜のを真似た物ではなく私のオリジナルのチョコレートを作るわ! 皆に喜んでもらえる様な最高のチョコをね!」

 

 

さとり「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

紫(カリスマも一皮剥けたかしら♪)

 

 

紫(…あ、剥けたらダメよね)

 

 

 

 

レミリア「でもさとり、味に関してはこれ私には本当に不快で…」

 

 

さとり「私は美味しいと思いますけど、現に美味しかったですし」

 

 

レミリア「…う~ん」

 

 

さとり「それに関してもレミリアさんに自信を持って貰うために協力してもらいましょうか」

 

 

さとり「皆さん、少しよろしいですか?」

 

 

 

 

紫「うん?」

 

 

ヤマメ「どったの?」

 

 

勇儀「何だ?」

 

 

 

さとり「レミリアさんに試験的に作っていただいたチョコなんですけど味見をしてもらえませんか?」

 

 

さとり「このチョコ、レミリアさんには私の手解き無しで作っていただいたものです」

 

 

紫「あら、これ本当にあなた一人で作ったの?」

 

 

レミリア「え、えぇそうよ」

 

 

さとり「食べて率直な感想をお願いします」

 

 

キスメ「美味しそう…」

 

 

パルスィ「見た目は…普通ね、毒味にならなきゃ良いけど」

 

 

ヤマメ「そんなこと言っちゃダメだよパルパル!」

 

 

パルスィ「わ、悪かったわね…」

 

 

勇儀「んじゃ食うぞ? 私は不味いか美味いかはっきり言うからな?」

 

 

さとり「そうでないと困ります」

 

 

紫「それじゃいただくわ」

 

 

 スッ パクッ パクッ

 

 

 

レミリア「…!」

 

 

さとり「…」

 

 

 モグモグ モグモグ

 

 

さとり「いかがです?」

 

 

ヤマメ「おっ! 美味しいじゃん♪」

 

 

キスメ「うん、凄く美味しい」

 

 

レミリア「!」

 

 

ヤマメ「比べちゃ悪いけどさ、そこらで売ってるやつよりちょっと上って感じじゃないかい?」

 

 

キスメ「あはは…でも、そうだね…ほんとに美味しい」

 

 

紫「ば、バカなっ…!」

 

 

レミリア「え!?」

 

 

紫「カリスマのチョコレートが美味い…だと!?」

 

 

さとり「普通に感想が言えないんですかあなたは」

 

 

紫「だってぇ! 一応恋敵だし!」

 

 

さとり「大人気無いです、子供に聞かせる台詞ではありませんね」

 

 

レミリア「さ、さとり、これでも私一応500年は…」

 

 

ヤマメ「パルパルは?」

 

 

パルスィ「…」

 

 

パルスィ「ほろ苦い甘さ、口溶けも程良い…カカオブレンドのビターな味…あー…」

 

 

 

 

パルスィ「妬ましい」

 

 

キスメ「最終的にそれなんだ…」

 

 

ヤマメ「美味しいってさ、良かったね♪」

 

 

レミリア「…!」

 

 

パルスィ「んなこと言ってねぇわよ!」

 

 

ヤマメ「じゃあ不味いの?」

 

 

パルスィ「別に不味かねぇわよ、寧ろおいち…!!」

 

 

ヤマメ「ぶふっ…!? お、おいちいの…? パルスィちゃん?」プルプル

 

 

キスメ「ふはっ…! ふっ…ふふふふっ…」プルプル

 

 

ヤマメ「よかったぁ♪ ほらお母さんがもう一個食べさせてあげるからね♪ はい、あーん♪」

 

 

パルスィ「ぶっ飛ばすわよヤマメぇ!!」

 

 

ヤマメ「うははは♪」

 

 

勇儀「…」

 

 

さとり「勇儀さんはどうですか?」

 

 

勇儀「…うめぇ」

 

 

レミリア「!」

 

 

勇儀「美味いじゃんか、これ」

 

 

レミリア「へっ…?」

 

 

勇儀「おいおい、これにさとりの手が加わるのか? もう加えなくても充分過ぎるだろ」

 

 

レミリア「!」

 

 

勇儀「なぁもう一個食っていいか?」

 

 

レミリア「そ、そんな…だ、だって」

 

 

勇儀「あん?」

 

 

さとり「自分で食べて美味しくないそうなんです」

 

 

勇儀「あぁ? こんなに美味いのにか?」

 

 

紫(あぁそういうこと、か♪)

 

 

レミリア「勇儀、気を使って言ってくれてるのならそれは」

 

 

勇儀「お前…萃香のダチなんだろ? だったら私の事も分かるよな?」

 

 

勇儀「鬼は嘘付かないんだぜ?」

 

 

レミリア「…!」

 

 

紫「勇儀まで美味いと言ってるのにまだ納得出来ないのかしら?」

 

 

レミリア「…」

 

 

紫「あなたがそれを不味いと思う原因はあなたにあるのよレミリア」

 

 

レミリア「!?」

 

 

紫「料理の腕前とかそういうレベルのお話じゃないのよレミリア…あなたさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「咲夜のお菓子の味を基準として舌が機能してるからちょっとした味音痴なんじゃないの?」

 

 

レミリア「……」

 

 

レミリア「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「はぁぁぁぁ!!?」

 

 

レミリア「わ、私が!? この私が味音痴ですって!?」

 

 

さとり「あ、やはりそうでしたか」

 

 

紫「そうとしか考えられないんだけど」

 

 

レミリア「さとりまで!?」

 

 

さとり「レミリアさん、その、そうとしか…はい、考えられません、はい…」

 

 

レミリア「気を使わないでよさとりぃ!」

 

 

勇儀「わかんねぇな、味音痴って感覚が」

 

 

ヤマメ「まさかの味音痴とはね」

 

 

パルスィ「でも音痴だとしても不快な味としてとらえるのはどうかしてると思うわ」

 

 

キスメ「どうしてそうなるんですか?」

 

 

紫「ん~、まぁ簡単に言っちゃうとねぇ」

 

 

紫「咲夜のお菓子は一度食べたら忘れられないほど美味い、それを毎日食べる…これを基準に考えるでしょ?」

 

 

紫「加えてレミリアの食べてきたお菓子遍歴を考えるとアリスに始まり妖夢、霊夢、ミスティア、恐らく鈴仙やうちの藍のお菓子も食べたことあるでしょう」

 

 

紫「どれも料理に定評のある者たちばかり…そしてレミリアは人里とかの出店のお菓子は食べない」

 

 

紫「ヤマメとキスメのレミリアへのチョコレートへの評価が的を得ていて『そこらで売ってるやつよりちょっと上って感じ』この評価事態は悪い評価ではないし寧ろ好意的な評価なんだけどね、作った本人は喜ぶレベルなのにね」

 

 

パルスィ「! あぁ、それか」

 

 

紫「そうそれが原因、つまり」

 

 

 

 

紫「あなたはお菓子に対して舌が肥えすぎているのよ!!」

 

 

 

 

レミリア「うえぇぇ!?」ガビーン

 

 

さとり「お菓子に対してだけは贅沢をし過ぎて高級品以外舌が認めないと言ったところでしょうか、それが自分の作ったお菓子やチョコにも発動してしまった」

 

 

パルスィ「物凄い妬ましいじゃない! ほら、私に妬まれなさい! 庶民のお菓子食いなさい!」

 

 

ヤマメ「妬ましいと言うか羨ましいと言うか…あのメイドさんのお菓子が食べたくなるねぇ」

 

 

キスメ「ね、でもこんなことってあるんだ…」

 

 

勇儀「う~ん、あぁ駄目だ! 味音痴の感覚がわかんねぇ」

 

 

さとり「レミリアさんは最初から美味しいチョコを作れていた…ということになりますね」

 

 

紫「そうなっちゃうわねぇ」

 

 

紫「あなた他の食べ物に関しては庶民派なのにね、納豆とかさ」

 

 

レミリア「そ、そんな…私が味音痴だなんて」orz

 

 

紫「悪魔でもお菓子だけよ? あ♪ あなた悪魔じゃない♪ 良かったわね」

 

 

レミリア「良くないわよ…それじゃあなんのために今まで悩んでたんだってなるじゃない…」

 

 

紫「でもそうやって悩んだからこそ今ここにこうしているんでしょ?」

 

 

レミリア「…!」

 

 

紫「人里で私と藍に会ったのも、さとりに会ったのも、勇儀たちと会ったのも…そしてお菓子作りのなんたるかをさとりから学んだことも」

 

 

さとり「…」

 

 

紫「あなたにとってはどんな感じなのかしら?」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「ふっ…なによ、またいつもみたいに回りくどい言い方してさ」

 

 

紫「ふふっ」

 

 

レミリア「悩んで良かった…なんて言い方は変だけどお陰で得たものが沢山あったわ」

 

 

レミリア「皆、色々とありがとう」

 

 

ヤマメ「あはは、私たちはお菓子の感想言っただけなのにねぇ」

 

 

レミリア「私の悩み解決に協力してくれた事は確か、感謝してるわ」

 

 

パルスィ「…」

 

 

勇儀、キスメ「…」ジッ

 

 

勇儀「あれ、パルらねぇな」ヒソヒソ

 

 

キスメ「パルパルしないね…ん?」ヒソヒソ

 

 

パルスィ「ネタマシイ…」ブツブツ

 

 

キスメ「小声で言ってる」ヒソヒソ

 

 

勇儀「空気読めるようになったか」ヒソヒソ

 

 

さとり(元からパルスィさんは空気が読めるタイプだと思うのですが…)

 

 

レミリア「さとり」

 

 

さとり「! はい?」

 

 

レミリア「あなたには本当に感謝してるわ」

 

 

レミリア「あなたの言葉のお陰で大切なものを取り戻す事が出来たんですもの…改めてお礼を言わせて? ありがとう、さとり」ニコッ

 

 

さとり「! …///」カア

 

 

紫「あらさとり、顔が赤いわよ?」

 

 

さとり「め、面と向かってこういうことを言われるのに慣れてないだけです…」

 

 

レミリア「ふふっ」ニコッ

 

 

さとり「! ふふっ…」ニコッ

 

 

紫「さて! レミリア、もう何も心配要らないわね、チョコ作り頑張りなさい」

 

 

レミリア「! えぇ、やってやるわ!」

 

 

さとり「ふふっ、私のサポートはもう必要なさそうですね、なら私もこいしたちのために作るとします」

 

 

レミリア「お互い頑張りましょ、さとり」

 

 

さとり「はい、ふふっ」

 

 

 

紫「あ~あ、恋敵を応援しちゃったわ」

 

 

勇儀「の割には嬉しそうな顔してるな」

 

 

紫「そう見えちゃう?」

 

 

勇儀「清々しいってやつだな」

 

 

紫「あらあらうふふ♪」

 

 

勇儀「誤魔化すなっての」

 

 

紫「あ、ねぇ、あなたたちは互いにチョコ作らないの?」

 

 

ヤマメ「あぁ、ほら…いつも一緒にいるからなんか小っ恥ずかしくて」

 

 

キスメ「う、うん…///」

 

 

勇儀「だから私のチョコでバレンタイン気分味わうんだろ?」

 

 

パルスィ「私が手伝ったチョコでね!」

 

 

勇儀「まぁ細かいことは気にしないで明日を楽しもうぜ」

 

 

パルスィ「あぁん!?」

 

 

紫「明日はパルスィ書き入れ時よね」

 

 

ヤマメ「明日の地底はパルパルにはご用心だからねぇ」

 

 

キスメ「特にカップルさんたちはご用心です…」

 

 

ヤマメ「人間でも妖怪でも関係なし、家の中で渡しても乗り込んで妬む事があるから注意してね♪」

 

 

紫「なんか精神攻撃するなまはげみたいね」

 

 

 

 

 

 

 【そしてさらに1時間後…】

 

 

 

レミリア「出来た~!」

 

 

さとり「こちらも出来ました、お疲れ様でしたレミリアさん」

 

 

レミリア「さとりもね、ふぅ~…」

 

 

紫「どれも違った形で個性出てるわね」

 

 

レミリア「でしょ? これが咲夜ので…これがフランのよ」

 

 

紫「霊夢のは?」

 

 

レミリア「それはこ…!」

 

 

紫「うん?」

 

 

レミリア「教えたら『恋敵撲滅!』とか言って砕こうとか考えてない!?」

 

 

紫「恋敵とは言えそこまでゆかりん腐っちゃいないわぁ! このバカちんがぁ!」

 

 

レミリア「そ、そうよね…ほら、この一番小さいやつよ」

 

 

さとり「流石の紫さんとてそこまでしたら嫌われるのが目に見えてるのでやらないでしょう」

 

 

紫「なんかその言い方だと嫌われない範疇だったら私がやるみたいな感じなんですけど」

 

 

さとり「え? やらないんですか?」

 

 

紫「…」メソラシ

 

 

レミリア「やるんかい!」

 

 

紫「非常事態の時だけよ、もしも…もしもよ? 月の綿月が霊夢にチョコを作ったら叩き割ってやるわ」

 

 

レミリア「うげっ、何であいつらが出てくんのよ」

 

 

紫「妹の方は霊夢の事気に入ってるから…イラッとするから砕いてやるわ、まぁあり得ないけど」

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

さとり(紫さんの月の民嫌いは直りそうにないですね、レミリアさんはその妹さんに少しトラウマありですか)

 

 

さとり(鈴仙さんや輝夜さん、永琳さんの事は嫌ってる訳ではないみたいですね、何故…?)

 

 

さとり(おや、これ以上は結界が張られていて覗けませんね、残念…)

 

 

紫「…レミリア」

 

 

レミリア「うん?」

 

 

紫「チョコは完成したけど何か足りないわよね?」

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

紫「バレンタインのチョコとして渡すんだから包装しなきゃでしょ?」

 

 

レミリア「あっ…! そうだった…」 

 

 

さとり「プレゼントですからね」

 

 

紫「サービスしてあげるわ」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 紫はスキマの中から何枚かの包装紙とリボンを取り出した

 

 

 

紫「はい、どれでも好きなの使っていいから」

 

 

レミリア「! いいの?」

 

 

紫「えぇ、どうぞ?」

 

 

レミリア「あ、ありがとう…助かるわ」

 

 

レミリア「…今日の紫っていつもの紫じゃないみたいね」

 

 

紫「そう?」

 

 

レミリア「だっていつになく優しいし」

 

 

紫「ゆかりんいつも優しいじゃない」

 

 

レミリア「太っ腹だし」 

 

 

紫「幻想の少女に太ってる奴などおらぬわぁ」

 

 

さとり(少女…? …いや、やめておきましょう)

 

 

レミリア「私の事もいじらないし」

 

 

紫「いじってほしいならカリスマガードさせるほどいじるけど?」ニタァ

 

 

レミリア「や、やめなさいよ!」

 

 

紫「ふふっ、ほら早く包装しちゃいなさいな」

 

 

レミリア「分かってるわよ…」

 

 

レミリア(やっぱりいつもの紫か…むむむ)

 

 

さとり「…」ジーッ

 

 

紫「…さとり」

 

 

さとり「ふふっ、言いませんよ、そこまで野暮じゃないですから」

 

 

紫「そ…」

 

 

紫「…」チラッ

 

 

 

勇儀「また明日さとりん家にこれ取りに来て私の家でバレンタインパーティーするって計画なんだが」

 

 

ヤマメ「いいけどバレンタインパーティーという名の飲み会にならないか不安だよあたしゃ」

 

 

キスメ「同じく…」

 

 

パルスィ「行けたら行くわ」

 

 

勇儀「その便利な言葉やめろっての、チョコの刻参りが済んだら家に来てくれな」

 

 

パルスィ「ふん、まぁ私が作ったチョコの味もみたいから行ってもいいけどね」

 

 

勇儀「私が作ったんだろうが」

 

 

パルスィ「7割は私のお陰でしょうが!」

 

 

 

 

紫「賑やかねぇ地底は」

 

 

さとり「賑やかになった…が正解ですよ」

 

 

さとり「地底と地上の交流が進んで得たものが大きかったですからね、主に守矢さんたちの影響でです」

 

 

紫「まぁちょーっと? 好き勝手し過ぎじゃないかと思う今日この頃」

 

 

さとり「でも守矢さんたちには感謝してるんですよね? 地底がこうなった事については」

 

 

紫「…あなたも今日おしゃべりが過ぎるんじゃないの?」

 

 

さとり「睨まないでくださいよ」

 

 

紫「ゆかりん睨んでない」

 

 

紫「…」

 

 

さとり「…」

 

 

紫「地底の事はこれからもあなたに任せるわ」

 

 

さとり「何百年か前にも聞きましたねそれ」

 

 

紫「…」

 

 

さとり「おっと、さとりんお口チャックです、ジジジジジ~」

 

 

紫「さらっと人の芸パクるのやめて」

 

 

さとり「芸だったんですかこれ」

 

 

 

レミリア「えと、これはフランのチョコにしましょう♪ 紅いからスカーレットの名に相応しい色合いだわ」

 

 

紫「…レミリア」

 

 

レミリア「なに?」

 

 

紫「もうすぐ16時になるけどそろそろ帰る?」

 

 

レミリア「あら、もうそんな時間なのね、でも後ちょっと待って、包装はちゃんとしたいのよ」

 

 

レミリア「あれ? さとり、あなたは包装しないの?」

 

 

さとり「私は家にずっといますから夜にでもやります、お燐たちが眠ったぐらいにこそこそと♪」ニコッ

 

 

レミリア「そっか…!」

 

 

紫「むぅ、包装し終わるまで暇ねぇ」

 

 

さとり「勇儀さんとバトルしてくればいいじゃないですか」

 

 

紫「嫌よ勇儀って本気でやるから」

 

 

さとり「暇潰しでは済まないですね」

 

 

紫「はぁ… ! さとり、バトルといえば」

 

 

さとり「…! えぇ…ここでやるんですか?」

 

 

レミリア「?」

 

 

紫「キッチンルールでやったらすぐ終わらない?」

 

 

さとり「まぁ、はい、そうですけど…」

 

 

レミリア「は…? えっ!? キッチン!?」

 

 

 

 

さとり「○○りんバトル…」

 

 

紫「○○りんとあだ名を付けられる、もしくは名前に入っている者しか挑戦することが出来ない幻想郷の伝統勝負」

 

 

さとり「弾幕ごっこに絶対に勝ることはない、女と女の伝統勝負」

 

 

 

レミリア「はい!?」

 

 

紫「さっきも言ったけどキッチンルールよ!」

 

 

さとり「はい、今度は私が勝ちます」

 

 

紫「勝負よ! 古明地さとり!」

 

 

さとり「捩じ伏せてあげますからかかってきなさい!」

 

 

レミリア「なんか始まったー!?」

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、廊下】

 

 

 

霊烏路空「あのカリスマさんも来てるんだぁ♪」

 

 

お燐「そうだよ、皆でチョコ作りに励んでいるのさ」

 

 

お空「わぁ…♪」キラキラ

 

 

お燐「どったのお空?」

 

 

お空「私あのカリスマさんとは仲良くしてみたかったんだよー!」

 

 

お燐「え? お空が? 何でさ」

 

 

お空「こいし様が『カリスマさんってとっても面白くて優しい人』だって言ってたから仲良く出来たらなぁって♪」

 

 

お燐「お…う~ん、大丈夫かなぁ」

 

 

お空「うにゅ? 何が?」

 

 

お燐「だってお空、あんたは仮にも太陽なんだよ?」

 

 

お空「そんなこと分かってるよ~♪」

 

 

お燐「…分かってないねこりゃ」

 

 

お空「ほぇ?」

 

 

お燐(太陽と吸血鬼が仲良しとか…う~ん、有り?)

 

 

 オルァ! クッ!

 

 ドカーン!

 

 

お燐、お空「!?」

 

 

お燐「え!? な、何事だい!?」

 

 

お空「キッチンの方から聞こえたよ!」

 

 

お燐「えぇぇキッチン!? やっぱり!? 空耳で有ってほしかったけどもさぁ!」

 

 

お空「行こうお燐!」スッ

 

 

お燐「あっ、待ちなよお空!」スッ

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、キッチン】

 

 

 

お空「さとり様!」

 

 

お燐「さとり様! さっきの音はなんですかってえぇぇ!?」

 

 

 

紫「はぁ、はぁ…!」

 

 

さとり「ふぅ…ふぅ…」

 

 

 キッチンに入ったお燐とお空が見たものはキッチンにはとても似つかわしくない光景だった、それもそのはず。

 

 

 

さとり「あぁ、お燐…! お空、お仕事お疲れ様で」

 

 

紫「余所見してんじゃないわよさとりぃ!」

 

 

さとり「!」スッ

 

 

 ボゴォン!

 

 

 

 キッチンの部屋半分を覆っている結界の中で乱闘しているさとりと紫を見たら誰しもがここで何をしてるんだと思うからだ。

 

 

 

レミリア「何をし出してんのよ二人して!」

 

 

紫「○○りんバトルだって言ってるでしょうが!」

 

 

レミリア「何じゃそりゃぁ!」

 

 

お燐「いぃ!? こ、ここでやってんの!?」

 

 

紫「レミリア! さっさと包装なさい! さとり倒してさっさと帰るんだからね!」

 

 

レミリア「気になって集中出来るかぁ!」

 

 

 

勇儀「どういう形式なんだ…? 何をしたら勝ちなんだ?」

 

 

ヤマメ「考察してる場合かい!?」

 

 

キスメ「紫さんとさとりさんが何をしているのかさっぱりです…」

 

 

パルスィ「カオスだわ…理解が及ばない」

 

 

 

 

 

紫「キッチンペーパーを初手で使うなんて汚いわよさとりぃ!」

 

 

さとり「前にパン屋さんルールでチョコクロワッサンを使った人の台詞とは思えませんね」

 

 

紫「あなただってメロンパン使ったでしょう!?」

 

 

さとり「ふっ…そのメロンパンをチョコクロワッサンで潰された私の気持ちが分かりますか!?」

 

 

さとり「私は許しませんよ! あの時の勝負!」

 

 

紫「根に持ってたんかい!」

 

 

さとり「サラダ油!」

 

 

紫「ぬぁ!?」

 

 

さとり「ふふふ、これであのパンの袋をとめるアレとティースプーンのシナジーコンボは使えませんよ!」

 

 

紫「炊飯器! スポンジ!」

 

 

さとり「! あなたはいつもそうだ!」

 

 

さとり「守りに守って最終的に相手の隙を付く戦法、古いんですよ!」

 

 

紫「誰がババァだクルァ!」ズズズ

 

 

さとり「そんなこと言ってませんよ!」スッ

 

 

 ゴッ、ボゴッ!

 

 

 

 

お空「な、なんかさとり様楽しそう!」

 

 

お燐「楽しく無いよあんなもん!」

 

 

勇儀「おいお燐、お前アレがなんだか知ってんのか?」

 

 

お燐「え!? えっと~…」

 

 

勇儀「知ってるなら教えてくれ、私は知りたいんだ」

 

 

お燐「えぇぇ…」

 

 

ヤマメ「バトルオタクが出てるね」ヒソヒソ

 

 

キスメ「うん」

 

 

パルスィ「いや、こんなもん知ってどうすんのよ」ヒソヒソ

 

 

 

お燐「知ってるというか…やったことがあるというか…」

 

 

レミ、ヤマ、キス「えぇ!?」

 

 

パルスィ「あんたが? アレを?」

 

 

勇儀「教えてくれ、お燐」

 

 

お燐「アレは…」

 

 

お燐「ただのノリだよ」

 

 

ヤマメ「の、ノリ?」

 

 

お燐「○○りんとあだ名を付けられる、もしくはそう呼ばれる者しか挑戦することは出来ない、弾幕勝負には勝ることはない遊戯」

 

 

お燐「毎年一回、スキマのお姉さんのスキマの中で大会が開かれる」

 

 

ヤマメ、パルスィ、レミリア「はぁ!?」

 

 

お燐「ルールは簡単、先に場所ルールを決める、今はキッチンになってるね」

 

 

お燐「後は自分のノリを頼りにしながらその場所にあるものを召喚していきながらハジケていって、相手に負けと宣言させる…これだけ」

 

 

お燐「大切なのは場の雰囲気にノリノリになってハジケること、これだけ」

 

 

ヤマメ「いやまっったく分かんない」

 

 

お燐「さとり様がシナジーコンボとか言ったらそれはシナジーコンボになっちゃうのさ、そんな感じだよ」

 

 

勇儀「…奥が深いぜ」

 

 

パルスィ「あんたそれマジで言ってるんだったら医者に行った方がいいわよ」

 

 

勇儀「私に言ってんのか?」

 

 

パルスィ「あんたに言ってんのよ!」

 

 

お燐「ちなみにね」

 

 

レ、パ、勇、ヤ、キ「?」

 

 

お燐「さとり様は第3回、第8回大会のチャンピオンだから」

 

 

レ、パ、勇、ヤ、キ「!?」

 

 

お燐「あたいは…第5回チャンピオン…」

 

 

パルスィ「優勝してんのあんた!?」

 

 

お燐「か、勝ちたくなかったよ!? あたいだってこんな訳の分かんない大会出たくなかったけどさとり様が出ろって言うから…」

 

 

キスメ「そのハジケるって言うのは…」

 

 

お燐「まぁ…簡単に言っちゃうとね」

 

 

お燐「ただのバカのバカ騒ぎだよ」

 

 

 

お空「いけー! さとり様ー! ガンバレー!」

 

 

 

さとり「! ふふっ、本当に負けられませんね」

 

 

紫「これで最後よさとりぃ…」

 

 

さとり「えぇ、これで決めます」

 

 

紫「フライ返し…!」

 

 

さとり「お玉、ふわふわミトン!」

 

 

紫、さとり「うおおおぉぉぉ!!」

 

 

 

 ドゴーン!!

 

 

 

お空「うっひょー! さとり様かっこいい!」

 

 

パルスィ、ヤマメ「もう勝手にやってろぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【16時40分、地霊殿ロビー】

 

 

 

紫「くっそぉ…まさか負けるとは…」

 

 

さとり「勝ちました、いえい」ピース

 

 

お空「流石ですさとり様!」

 

 

お燐「何が流石なのか小一時間問い詰めたい」

 

 

レミリア「てか何でぶっ倒れるのよ、アレで」

 

 

さとり「体力使いますから」

紫「体力使うから」

 

 

レミリア「アレが!?」

 

 

お燐「ダメですよ、ツッコミは余計に頭を痛くするんです」

 

 

紫「…? あら? 勇儀たちは?」

 

 

お燐「帰りましたよ、もうチョコは作ったしこれ以上あなたたちのバトルを見てたら頭が痛くなるからって、勇儀姐さんはもっと居たかったみたいですけど」

 

 

紫「サヨナラも言わないとか」

 

 

さとり「主の立場が…」

 

 

お空「私サヨナラ言われました!」

 

 

レミリア「私も言われた」

 

 

お燐「あたいも…」

 

 

紫、さとり「…」

 

 

さとり「ふっ、別に寂しくなんかないですよ」

 

 

紫「ゆかりんお別れ言われなくても泣かないもん」

 

 

お燐「じゃあそれ言わなくても良いじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「レミリア、包装し終わった?」

 

 

レミリア「えぇ、ほらこれ…あなたたちが倒れてる間に終わったわ」

 

 

紫「観戦しながらやりなさいよ」

 

 

レミリア「出来るわけがない」

 

 

紫「んじゃ帰りましょっか、時間もちょうどいいみたいだしね」

 

 

レミリア「何がじゃなのか分かんないけどそれは賛成だわ」

 

 

さとり「お見送りします」

 

 

レミリア「えぇ、ありがとうさと…」

 

 

さとり「…?」

 

 

レミリア「…」

 

 

お燐「レミリア嬢?」

 

 

お空「どうしたの?」

 

 

レミリア「紫、お燐と…」

 

 

お空「! お空だよー」

 

 

レミリア「お空ね…あなたたち先に地霊殿の門前に行っててくれる? さとりと二人で話したい事があるの」

 

 

お空「うにゅ? 何を?」

 

 

お燐「こら、詮索無用だよお空」

 

 

紫「じゃあ先に行ってるわ、長くならないようにね」

 

 

レミリア「えぇ」

 

 

紫「…」

 

 

紫(またカリスマ発動かしら♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さとり「あの、レミリアさん、お話と言うのは?」

 

 

レミリア「あら、心を読めば一発のはずじゃない」

 

 

さとり「疲れてて読む気にならなくて…すいませんね」

 

 

レミリア「ふふっ、アレでね」

 

 

さとり「はい、アレで、です」

 

 

さとり、レミリア「ふふっ」

 

 

 

レミリア「さとり、本当にありがとう、あなたと人里で会っていなかったらここにも来れなかったしチョコを作ることは出来なかったわ」

 

 

レミリア「それに…楽しかったわ」

 

 

さとり「レミリアさん…」

 

 

レミリア「ここに来たのも初めてで新鮮だった、勇儀たちとも会えて良かったわ、アレなバトルも見れたしね」

 

 

レミリア「一つ一つが私の中で思い出になったの、大切な思い出に…感謝しても仕切れないわ」

 

 

さとり「ふふっ、感謝ならもうお腹一杯ですよレミリアさん、私も楽しかったです」

 

 

さとり「こいしの事で感謝を返そうとしたのに…なんか申し訳ないです、レミリアさんにばかりお礼を言わせてしまって」

 

 

レミリア「だって感謝しかないんだもの」

 

 

レミリア「! ふふっ、なんか」

 

 

さとり「えぇ、感謝のしあいですね、これは止まらなくなりそうです」

 

 

レミリア「ふふっ、そうね♪」ニコッ

 

 

さとり「はい♪」ニコッ

 

 

 

レミリア「…ねぇさとり」

 

 

さとり「はい?」

 

 

レミリア「私はあなたに恩が出来てしまったわけよね?」

 

 

さとり「恩だなんてそんな…」

 

 

レミリア「いいえ、これは恩なの、だからその恩を返したいの」

 

 

レミリア「だからさとり、正直に答えてほしいんだけど」

 

 

レミリア「あなたバレンタインデーの日にこいしにチョコを渡せたことってある?」

 

 

さとり「!!」

 

 

レミリア「…」

 

 

さとり「…」

 

 

レミリア「ないのね」

 

 

さとり「そうですね…ない、ですね」

 

 

レミリア「フランからこいしの話をよく聞くからもしかして…とは思ったんだけど」

 

 

さとり「あの子はあの能力故に神出鬼没ですからね…決まった時に帰って来る事なんてないんです」

 

 

さとり「帰って来るのが3日後か、はたまた1週間後か…バレンタインデーの日に狙って帰って来てくれたら嬉しいんですけどね」

 

 

さとり「こっちが帰って来てほしいときに限って帰って来ないですよねこういうのって…あはは、本当に困った子です…こいしは…」

 

 

レミリア「…」

 

 

さとり「…」

 

 

レミリア「…大丈夫よさとり」

 

 

さとり「えっ?」

 

 

レミリア「私が何とかしてあげるから」

 

 

さとり「レミリアさん…?」

 

 

レミリア「本当に困った妹ね、お姉ちゃんの気持ちも知らないで…こいしにはお姉ちゃんの気持ちを知る義務があるわ」

 

 

さとり「何とかって…レミリアさん何を」

 

 

レミリア「私の能力…知らないはずないわよね」

 

 

さとり「!」

 

 

レミリア「はあぁぁ…!」グググ

 

 

 

 レミリアは手のひらに魔力を込めた

 

 

 

レミリア「はぁ!」スッ

 

 

 地霊殿のロビーに解き放った

 

 

 

 

 

 

レミリア「古明地こいしがバレンタインデーの日に帰って来る…! そういう運命よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【地霊殿、門前】

 

 

 ギュオン!

 

 

さとり「…」

 

 

お燐「帰っちゃいましたねぇ」

 

 

お空「ねー♪ ってあー!?」

 

 

お燐「な、何だいお空」

 

 

お空「カリスマさんと仲良くなるの忘れてたよー!」

 

 

お燐「え、もう仲良くなってたと思ってたんだけど」

 

 

お空「お友達になろーって言ってないもん…」 

 

 

お燐「言わなくてもなることだってあると思うよ? レミリア嬢はそう思ってるかもだし」

 

 

お空「うにゅーん…」

 

 

お燐「うにゅーんって…」

 

 

さとり「お燐、お空…」

 

 

お燐、お空「は、はい?」

 

 

さとり「明日…」

 

 

お燐、お空「あ、明日…?」

 

 

さとり「明日こいしが帰って来ると思います」

 

 

お空「え!? ほ、ほんとですか!?」

 

 

さとり「えぇ」ニコッ

 

 

お空「やったー♪ こいし様と遊べるぞー♪」

 

 

お燐「お気楽な…でもさとり様、どうして分かるんですか? こいし様が帰って来るって」

 

 

さとり「ふふっ、そうですねぇ…」

 

 

さとり「そういう運命だから、ですかね」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【スキマ空間】

 

 

 

紫「カリスマさんカリスマさん、どうしてあなたは今カリスマに満ち溢れているの?」

 

 

レミリア「そりゃあ私がカリスマの権化だからよ」

 

 

紫「うわぁなんだぁ、いつものレミリアさんじゃないですかやだー」

 

 

レミリア「なんなのよさっきからぁ!」

 

 

紫「だって今のあなたカリスマオーラが半端ないんだもん」

 

 

レミリア「だってそれが私だもの」

 

 

紫「ほらこれだ、いつものスカーレットなんとかさんですよ」

 

 

レミリア「スカーレットデビルよ!」

 

 

紫「あなたさとりと何話したの?」

 

 

レミリア「! ふふっ」

 

 

レミリア「秘密よ♪」

 

 

紫「…そ」ニコッ

 

 

レミリア「そうよ♪ ふふふっ」

 

 

紫「レミリア、そのチョコ貸しなさいな」

 

 

紫「明日の朝スキマ便で届けてあげるわ、冷蔵庫に入れといたら咲夜たちにバレるかも知れないでしょ?」

 

 

レミリア「あ、そっか…じゃあ…」スッ

 

 

レミリア「…」

 

 

紫「ん? 渡しなさいよ」

 

 

レミリア「砕こ」

 

 

紫「砕こうとしないから大丈夫よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、門、17時】

 

 

 

 

紫「それじゃあね、また明日♪」

 

 

レミリア「えぇ…紫、あなたも色々とありがとう」

 

 

紫「ふふん、もっと感謝してもいいのよ?」

 

 

レミリア「今日は感謝し過ぎて疲れてるのよ」

 

 

紫「あらそ、そんじゃバイビー♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

レミリア「ばいびー?」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「帰ってきた、か…」

 

 

レミリア「…」チラッ

 

 

美鈴「スー スー」zzZ

 

 

レミリア「…はぁ」

 

 

レミリア「おーい美鈴、おきなさーい」

 

 

美鈴「さ、咲夜さん…あぁ…そ、それ以上は…」

 

 

レミリア「……」

 

 

美鈴「た、食べられ…ま、ましぇん…ムニャムニャ」zzZ

 

 

レミリア「…」イラッ

 

 

レミリア「ミニミニスピア・ザ・グングニル」スッ

 

 

レミリア「ていやぁ!」

 

 

 プスッ!

 

 

美鈴「痛いっ!?」

 

 

レミリア「あら、起きた?」

 

 

美鈴「はっ!? えっ!? お、お嬢様!?」

 

 

レミリア「美鈴、ただいま」

 

 

美鈴「お、お帰りなさいませお嬢様!」

 

 

レミリア「ただーいま♪ あなたまた居眠りして…咲夜に八つ裂きにされても知らないわよ?」

 

 

美鈴「あぁえと、それは勘弁してください」

 

 

レミリア「私に言われても困るのよねそれ」

 

 

美鈴「えぇ…ではどうすれば私は助かるんでしょうか…」

 

 

レミリア「…無理」

 

 

美鈴「ですよねぇ…」

 

 

レミリア「ふふっ」

 

 

レミリア(あぁ、我が家だわ…短いようで長い一日だったわね)

 

 

 パチン!

 

 

咲夜「お嬢様!」

 

 

レミリア「咲夜」

 

 

咲夜「お嬢様、お帰りなさいませ!」

 

 

レミリア「ただいま、咲夜」

 

 

咲夜「お帰りが遅いのでこの咲夜、心配で胸が張り裂けそうでしたわ」

 

 

レミリア「大袈裟ねぇ、それに17時には帰るって言ったじゃない」

 

 

咲夜「ですが…」

 

 

レミリア「ふふっ心配してくれてありがとうね、咲夜」

 

 

レミリア「でもほら、ちゃんと帰って来てるから、ね?」

 

 

咲夜「! はい!」

 

 

レミリア「はぁ、なんか帰って来たら安心してお腹が空いちゃったわね、早いけど夕飯食べちゃおうかしら、咲夜用意してくれる?」

 

 

咲夜「はい、もちろんですわ」

 

 

レミリア「それじゃあよろしくね♪」スッ

 

 

レミリア「こあー、パチェー、フラーン、ただいまー♪」スタスタ

 

 

咲夜、美鈴「…」

 

 

美鈴「咲夜さん、お嬢様チョコ持ってませんでしたね、一体どこに」

 

 

咲夜「ねぇ、美鈴」

 

 

美鈴「はい?」

 

 

咲夜「お嬢様、なんか代わられたと思わない?」

 

 

美鈴「え? そうですか? 確かにお出掛けになる前と帰って来られた時とでは気の大きさが違うなとは思いましたけど」

 

 

咲夜「そういうのを代わったって言うんでしょ?」

 

 

美鈴「あ、はい…」

 

 

咲夜「お嬢様…今まで一体どこにいたのかしら…」

 

 

美鈴「お嬢様のみぞ知る、ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そして…夜も更け…】

 

 

 

 

 【レミリアの部屋 22時】

 

 

 

レミリア「いよいよ明日かぁ…」

 

 

レミリア「あ…渡すときなんて言えば良いのかしら…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「ふっ、それこそ運命に任せてみましょうか」

 

 

レミリア「出たとこ勝負よ」バフッ

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「お休みなさい」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「スースー」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

パチュリー「…寝た?」

 

 

咲夜「はい」

 

 

パチュリー「おかしいわね…満面の笑みで帰って来たから私たちへのチョコは恐らく作られているはずなのに」

 

 

咲夜「お嬢様が持っていなかった…」

 

 

パチュリー「ふむ…」

 

 

咲夜「パチュリー様、あまり詮索なさるのは」

 

 

パチュリー「だって気になるじゃない」

 

 

咲夜「まぁ…はい」

 

 

パチュリー「どこに行っていたか夕飯の時に聞いたんだけど言わなかったし…謎だわ」

 

 

咲夜(気になって調べたがるのは魔法使いとしての性なのでしょうか…)

 

 

パチュリー「むぅ…」

 

 

咲夜(あぁ、眠たい…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【2月14日、バレンタインデー当日の朝】

 

 

 

レミリア「んっ…」

 

 

レミリア「…」ボー

 

 

レミリア「朝…」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「すっごい夢見たわね…」

 

 

レミリア「何よあれ、魔理沙とアリスとパチェと命蓮寺の聖? あの四人が槍投げで世界記録目指す夢とか…」

 

 

レミリア「何であんな夢を…さとりと紫のバトルを見たせいかしら」

 

 

レミリア「ふふっ、変なの」

 

 

レミリア「…いつ渡そうかしら」

 

 

レミリア「7時か…早いけど、渡しちゃおうかしら」

 

 

レミリア「ん~、えっと…」

 

 

レミリア「ゆかりんゆかりんゆかりんりーん♪」

 

 

 

 フッ ギュオン…!

 

 

 パサッ、パサッ!

 

 

 

レミリア「…呪文の語呂っ!」

 

 

レミリア「スキマ便…便利だけどこの呪文は絶対おかしいわ、これさとりも使ってるって言ってたけど」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「うん、考えるのやめなさいレミリア・スカーレット、友達が恥ずかしがってる姿なんて想像するのは愚よ、愚」

 

 

レミリア「チョコは…よし、全員分あるわね、ん?」

 

 

レミリア「手紙?」スッ

 

 

 

 『レミリアへ、家族に渡したら博麗神社に集合よ♪ 来ないと霊夢のハートは私のものよ♪ 八雲紫』

 

 

 

レミリア「ふふん、甘いわね紫! 霊夢のハートは私にハートブレイクされるのよ!」

 

 

レミリア「…あ、ブレイクしたらいけないわ…危ない危ない」

 

 

レミリア「ん? あら?」

 

 

 

 『PS. 最近お風呂に入ると烏の行水なんだけどこれって私が年寄りだってことを暗にお風呂に訴えかけられてるみたいで不快なんだけどどうしたらいいと思う?』

 

 

レミリア「ぬあぁぁ知るかぁ!」バンッ

 

 

レミリア「PSでお悩み相談するんじゃないわよ!」

 

 

 

 

 お、お嬢様!?

 

 

 

レミリア「さ、咲夜!?」

 

 

 

 どうかなさいましたか!? 今の大声は一体…

 

 

レミリア「だ、大丈夫だから! 何でもないから!」

 

 

 

 ほ、本当でございますか?

 

 

 

レミリア「も、もちろん!」

 

 

 

 ならよいのですが…何かあれば直ぐに駆け付けますので

 

 

 

レミリア「えぇ、ありがとう」

 

 

レミリア「……咲夜」

 

 

 

 はい?

 

 

レミリア「フランたち起きてる?」

 

 

 

 はい、お目覚めになっております

 

 

 

レミリア「そう、ならみんなをリビングに集めてくれないかしら」

 

 

 

 は、はい! 分かりました!

 

 

 

レミリア「急がなくていいからね、特にパチェは朝不機嫌だからって言わなくても分かるわよね」

 

 

レミリア「咲夜、そういうことだからお願いね」

 

 

レミリア「咲夜?」

 

 

レミリア「?」スタスタ

 

 

 

 がちゃっ

 

 

 

レミリア「あら? いない…」

 

 

レミリア「急がなくていいのに…」

 

 

レミリア「着替えよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「パチュリー様、起きてください!」

 

 

パチュリー「あぁ…?」

 

 

こあ「お嬢様がチョコを私たちに渡す時が来たんですよ! 私たちも準備しないと!」

 

 

パチュリー「……しばくぞ貴様らぁ」

 

 

咲夜、こあ「いっ…!?」

 

 

パチュリー「 」スッ

 

 

 バタン!

 

 

 

パチュリー「スースー」zzZ

 

 

咲夜、こあ「えぇ!? 寝たぁ!?」

 

 

咲夜「早く起こしてよ!」

 

 

こあ「嫌ですよ! しばかれたくないですもん!」

 

 

フラン「おはよ♪ あれ? パチュリーまだ寝てたの?」

 

 

美鈴「おはようございまーす!」

 

 

咲夜「妹様! お願いがございます!」

 

 

こあ「パチュリー様をなんとかして起こしてください!」

 

 

フラン「うん、いいよ」

 

 

フラン「パチュリー、起きてー」

 

 

パチュリー「ん…んあぁ?」

 

 

フラン「朝だよー、お姉様にチョコ渡しにいかないと♪」

 

 

パチュリー「お、おぉ…あぁんん…んあぁ…」

 

 

パチュリー「そうだった…おうおう…そうだったなぁ…」

 

 

フラン「うん、だから起きてよ」

 

 

パチュリー「はぁぁんんん…ふぅ…」プルプル

 

 

パチュリー「はぁ…おはようみんな」

 

 

咲夜「お、おはよう…ございます」

 

 

こあ「しばきますか?」

 

 

咲夜「ちょっ…!」

 

 

パチュリー「しばく? 何をかしら」

 

 

こあ「あぁ良かった、パチュリー様だ」

 

 

パチュリー「何? なんなの?」

 

 

美鈴「な、何でもないと思いますよ!」

 

 

パチュリー「? 気になるわね、一体なに」

 

 

フラン「ほらほらパチュリー、お姉様に見つかる前に隠し冷蔵庫からチョコ取り出さないと」

 

 

パチュリー「あっ…い、妹様押さないで…」

 

 

咲夜、こあ、美鈴「…」

 

 

咲夜「どうしてパチュリー様は寝起きの30秒はああなるのかしら」

 

 

こあ「恐らく魔法の副作用です」

 

 

美鈴「副作用なんですか、あれ」

 

 

咲夜「魔法使いはしばくぞ~なんて言わないと思うの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、リビング】

 

 

 

レミリア「みんな、おはよう」

 

 

パチュリー「レミィ、おはよう」

 

 

咲夜、こあ、美鈴「おはようございます、お嬢様」 

 

 

フラン「おはよ、お姉様♪」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア(うっ、き、緊張するわね…///)

 

 

パチュリー(緊張と照れかしら、レミィらしいわね)

 

 

美鈴(お嬢様…)

 

 

咲夜(あぁ、お嬢様の照れてるお顔が可愛すぎて思わず見惚れてしまいますわ)

 

 

こあ(お嬢様のチョコレート、気になりますね♪)

 

 

フラン「…」

 

 

フラン「ねぇ、お姉様」

 

 

レミリア「! な、何かしらフラン」

 

 

フラン「朝から私たちを呼び出してどうしたの? 何かあるの?」

 

 

レミリア「!」

 

 

咲夜(妹様ナイスですわ!)

 

 

レミリア「そ、そう! そうなのよ! だだっだ大事な話がね、あるのよ、うん」

 

 

フラン「話? お話なの?」

 

 

レミリア「そ、そうよ! お話よ!」

 

 

フラン「へぇ、何のお話をしてくれるの?」

 

 

レミリア「それは…! その…」

 

 

レミリア(頑張れスカーレットデビル! くじけるなぁ…!)

 

 

レミリア「きょ、今日はなーんの日でしょうか!!」

 

 

フラン「…」

 

 

咲夜、こあ、美鈴(えぇ…か、可愛いですけど…)

 

 

パチュリー(ふふふ…あ、危ない…笑いそうになったわ)プルプル

 

 

レミリア「…あ、えと…」

 

 

パチュリー(仕方ないわね)

 

 

パチュリー「レミィ、2×7は?」

 

 

レミリア「はっ!? えと、14!」

 

 

パチュリー「そう、今日は14日よね」

 

 

レミリア「そ、そうよね!」

 

 

パチュリー「えぇ、そうよ」

 

 

レミリア「…」

 

 

パチュリー「…」

 

 

レミリア「えっ、意味は?」

 

 

パチュリー「特に無いわ」 

 

 

レミリア「ないんかい!」

 

 

フラン「あはは!」

 

 

咲夜「ふっ、ふふふ」

 

 

こあ「ふははっ…! ふふ」

 

 

美鈴「あははは!」

 

 

レミリア「今日は2月14日ぁ! バレンタインデーでしょうが!」

 

 

パチュリー「へぇ、バレンタインデーなのね」

 

 

レミリア「そうよ! チョコを自分の大切な人に思いを込めて渡すあのバレンタインデー…はっ!?」

 

 

パチュリー「…」ニヤリ

 

 

フラン、美鈴、咲夜、こあ「…」

 

 

レミリア「…!」

 

 

レミリア(…はぁ、ドジね…パチェに悟られてしまったわ)

 

 

レミリア(でも話しやすくなった…かな♪)

 

 

レミリア「そう、今日は2月14日バレンタインデー、自分の大切な人にチョコを思いを込めて渡すあのバレンタインデー」

 

 

レミリア「実は私ね? みんなのために日頃の感謝を込めてチョコを…作ったの」

 

 

レミリア「この4日間キッチンを占領してたのもそのためよ、咲夜、迷惑を掛けちゃったわね」

 

 

咲夜「迷惑だなんて…そんなこと思ってませんわ」

 

 

レミリア「ありがとう、そして昨日人里に行ったのもチョコを作るためなの」

 

 

レミリア「みんなにサプライズとしてチョコを渡したくて…内緒で作ってたの」

 

 

パチュリー「そうだったのね…」

 

 

美鈴「お、お嬢様…私達のためにそこまで…!」

 

 

こあ「嬉しさの極みでございますわ!」

 

 

咲夜「お嬢様…!」キラキラ

 

 

パチュリー(皆オーバーリアクション過ぎよ…でも)

 

 

パチュリー(レミィの口から感謝を込めてなんて…素直に嬉しいわね…///)

 

 

フラン「お姉様」

 

 

レミリア「フラン…!」

 

 

フラン「そっかぁ♪ 私達のために頑張ってくれてたんだね♪」

 

 

フラン「お姉様のその気持ち、ちゃんと届いてるよ」

 

 

レミリア「!」

 

 

フラン「ありがとう、お姉様♪」

 

 

レミリア「フラン…それはこちらのセリフなのよ」

 

 

レミリア「あなたたちには本当に感謝してるんだもの」

 

 

レミリア「パチェ、咲夜、こあ、美鈴、フラン…私の大好きで…大切な家族」

 

 

レミリア「いつも、いつも私を支えてくれてありがとうね…! そしてこれからも…よろしくね!」

 

 

咲夜「お嬢様…!」グスッ

 

 

レミリア「あはは、泣かないで咲夜…はいこれ咲夜のチョコよ」

 

 

レミリア「こあと、はい美鈴」

 

 

レミリア「パチェ、これはあなたのよ」

 

 

レミリア「フランにはこれよ」

 

 

咲夜「お嬢様ぁ! 有り難き幸せです!」

 

 

咲夜「食べません! 一生大事にします! 部屋に飾っておきます!」

 

 

レミリア「いやいや食べてよぉ! ほら、包装紙開けて、ね?」

 

 

美鈴「ありがとうございます! お嬢様」

 

 

こあ「ありがとうございます!」

 

 

レミリア「いつもお仕事頑張ってくれてありがとうね、あなたたちにはこれからも紅魔館を私と共に支えていってほしいの」

 

 

レミリア「これからもよろしくね」

 

 

咲夜、こあ、美鈴「はい!」

 

 

レミリア「ふふっ」

 

 

パチュリー「まさかレミィがチョコレート作りとはね」

 

 

レミリア「ふふふ、意外?」

 

 

パチュリー「意外過ぎるわ、あなたがまともに料理しているだなんて考えられなかったから」

 

 

レミリア「パチェ…それは酷いわ」

 

 

パチュリー「ふふっ、冗談よ」

 

 

レミリア「! ふふっ、ねぇパチェ」

 

 

パチュリー「なに?」

 

 

レミリア「これからも私の親友でいてくれる?」

 

 

パチュリー「…! 愚問ね」

 

 

パチュリー「こちらの方こそよろしくお願いするわ、レミィ」

 

 

パチュリー「あなたが親友じゃないと私は色々と困るんだから」

 

 

パチュリー「あなたに支えられてるところがたくさんあるの、言葉で表現出来ないほどに、ね」

 

 

レミリア「パチェ…」

 

 

パチュリー「…/// あなたと親友になれて本当に良かった…///」ボソッ

 

 

レミリア「えっ?」

 

 

パチュリー「な、何でもない」

 

 

パチュリー(あぁんもう…///)

 

 

フラン「お姉様…」

 

 

レミリア「! フラン」

 

 

フラン「今こんなこと言いたくないけど私…昔はお姉様のこと嫌いだった」

 

 

レミリア「!」

 

 

フラン「地下に閉じ込められたりしたから…お姉様のこといっぱいいっぱい憎んだりしたけど…」

 

 

フラン「でも今は全然そんなこと思ってない…その逆、すっごく大好き」

 

 

フラン「お姉様は私のことを一番に考えて行動してくれてたんだなぁって…思えるようになったんだそれは幻想郷でいろんな人と関わったからだと思うの、その切っ掛けをくれたのはお姉様だもんね」

 

 

フラン「幻想郷に来て私も変わったけどお姉様も変わっていったんだよね」

 

 

フラン「お姉様、これからもよろしくね…? 妹として、姉として」

 

 

レミリア「フラン…」

 

 

フラン「大好きだよ、お姉様」

 

 

レミリア「! …私だって、あなたのこと大好きよフラン…!」

 

 

フラン「! えへへ…!」

 

 

レミリア「ふふっ…!」

 

 

フラン「…あっ! そうだお姉様!」

 

 

レミリア「? なぁにフラン」

 

 

フラン「みんな!」

 

 

パチュリー「えぇ」

 

 

咲夜「はい!」

 

 

美鈴「えへへ!」

 

 

こあ「ふふっ!」

 

 

レミリア「へっ…? えっ!?」

 

 

 

咲夜「お嬢様」

 

 

こあ「お嬢様♪」

 

 

美鈴「お嬢様!」

 

 

パチュリー「レミィ」

 

 

フラン「お姉様」

 

 

咲夜、こあ、美鈴、パチュリー、フラン「いつもありがとう!」

 

 

レミリア「!」

 

 

 ハッピーバレンタイン♪ レミリア・スカーレット

 

 

 

 

 

 

 

 この後、レミリアは感激のあまり涙を流しながらフランたちの作ったチョコレートを一つずつ食べていき、一人ずつ、出会った頃から今までの思い出を語り尽くすのだが…

 

 

 それもまた紅魔館の住人のみぞ知る…大切な思い出の一つとなったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 






 実は書ききれなかったオマケがあるのでそちらもどうぞ…本編に組み込みたかったのですが…長くなってしまったので分割しました。



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました!





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《短編スペシャルその2.5》レミリアのバレバレバレンタイン、オマケ



 こちらオマケの部分になります。


 先にレミリアのバレバレバレンタインの本編をご覧ください。


 それでは始まります♪ …短いです




 

 

  【おまけ、その1】

 

 

 

ヤマメ「ふにゃ~…」

 

 

キスメ「ふへ~…」

 

 

パルスィ「くぁ…」

 

 

勇儀「なんだよだらしねぇなぁ」

 

 

パルスィ「舐めてたわ純米大吟醸のチョコ…チョコに凝縮された酒がキツイ…」

 

 

勇儀「もうちょっと酒に強くなってほしいなぁ、お前らと飲む酒は最高なんだからよ」

 

 

パルスィ「鬼の土俵で…それを語るんじゃないわよ…妬ま、しいわね…うっ…」バタッ

 

 

勇儀「あっ、酒じゃなくて今回のはチョコだったな! あっはっはっは♪」

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ その2】

 

 

 

紫「橙!」

 

 

藍「さぁ、どっちのチョコが美味しい!?」

 

 

橙「あ、あのその…えーっと…ですね」

 

 

紫「狐の嫁入りのチョコなんて食えたもんじゃないでしょう? 水分がびっちゃびちゃだもんねぇ」

 

 

藍「なんですかそれは!? また訳のわからないことを! 橙、この人のチョコなんぞ食えたもんではないだろう? ほらペッてしなさい」

 

 

紫「うわぁ引くわぁ…そのペッてしたの拾い上げて食べるんでしょ? 変態も渡を超すと危ない人になるわよね」

 

 

藍「そんなことするわけないでしょう、スキマ開いてふらふらしてる不審者じゃあるまいし」

 

 

紫「なんですって!?」

 

 

藍「なんですか!?」

 

 

 

 

 今日という今日は許さないわよ!!

 

 それはこちらのセリフですよ!!

 

 

 

 

橙(だ、誰か助けてください!!)

 

 

橙(ど、どっちも美味しいなんて言える雰囲気じゃないよぉ…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【おまけ その3】

 

 

 

さとり「ハッピーバレンタイン、お燐、お空」

 

 

お空「わぁ! ありがとうございますさとり様ぁ!」

 

 

お燐「ありがとうございますさとり様!」

 

 

さとり「ふふっ、作った本人が言うのもなんですが食べ過ぎないでくださいね?」

 

 

お空、お燐「はい!」

 

 

さとり「…」

 

 

さとり(ちょっと作りすぎちゃいましたかね…♪)

 

 

お空「わぁ、鳥の形のチョコだー♪」

 

 

お燐(共食いでは!? さとり様!?)

 

 

さとり「…」

 

 

さとり(レミリアさん、運命とは引き寄せる物なのですか? それとも)

 

 

 

 

 ガチャッ…という音とともに地霊殿の玄関の扉が開かれた

 

 

 

 

 

さとり「!!」

 

 

古明地こいし「ふぃー♪ ふぅ、着いた着いたー♪」

 

 

お空、お燐「あ!!」

 

 

こいし「あ! お空ー♪ おりーん!」

 

 

お空「こいし様! 会いたかった~♪」

 

 

お燐「こいし様! お帰りなさいませ!」

 

 

こいし「えへへー♪ ただいま~!」

 

 

さとり「…!」

 

 

さとり(レミリアさん本当は私…運命という言葉はあまり好きではないんです、そういう運命だったとか決め付けられるような確定した未来…そんなものは要らない)

 

 

さとり(でも、あなたがくれた運命は)

 

 

さとり「こいし…!」

 

 

こいし「お姉ちゃん!」

 

 

こいし「えへへ♪ 運命に導かれて帰ってまいりました! みたいな?」

 

 

さとり「…! ふふっ」

 

 

さとり「お帰りなさい、こいし」

 

 

こいし「! えへへへ…」

 

 

こいし「ただいま!」ニコッ

 

 

 

 大好きです…♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケその4 闇と血のバレンタイン】

 

 

 

霊夢「うんまっ!?」

 

 

紫「どう霊夢! さいっこうでしょ?」

 

 

霊夢「そうね、確かに美味すぎて最高だわね」

 

 

紫「ふへへへ♪ そうでしょう?」

 

 

霊夢「…まぁでも最高過ぎてそれしか感想が出て来ないのよね」

 

 

紫「!!?」

 

 

霊夢「愛を感じて! とか受け取ってとか言ってたけどただただ美味い…! それしか感想がないわね」

 

 

紫「 」

 

 

レミリア「あ、真っ白になった」

 

 

魔理沙「うはは♪ 紫、墓穴を掘ってしまった様だな」

 

 

魔理沙「美味すぎるチョコは身を滅ぼす、いい教訓だぜ」

 

 

レミリア「なんか良いこと言ってるように聞こえるのは不思議だわ」

 

 

霊夢「まぁでも美味しかったわよ?」

 

 

魔理沙「だからそれしか感想がねぇんだろ?」

 

 

霊夢「まぁそうだとしても作ってくれたことは感謝しないとね、はい紫、私からのお返しのチョコよ」スッ

 

 

紫「 」

 

 

レミリア「動かないんだけど」

 

 

魔理沙「霊夢のチョコがお供え物みたいになってるぞ?」

 

 

霊夢「次ね、これは?」

 

 

レミリア「! はい!」

 

 

霊夢「レミリアのね」

 

 

魔理沙「カリスマのチョコレートか、さてさて」

 

 

レミリア「ふふん」

 

 

魔理沙(お? やけに自信たっぷりだな)

 

 

霊夢「これは…ハート形のチョコね」

 

 

魔理沙「形はベーシックだな」

 

 

霊夢「美味しそうじゃない」

 

 

霊夢「いただきます」パクッ

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

レミリア「ど、どう? 霊夢?」

 

 

霊夢「…んー」モグモグ

 

 

魔理沙「どうだ?」

 

 

霊夢「…あら、美味しいわこれ」

 

 

霊夢「うん、うん…良いわ、美味しい!」

 

 

レミリア「!」

 

 

霊夢「なんか手作り感があってさ、頑張って作った感が伝わってくるわね」

 

 

霊夢「味も…えぇ悪くないわね」

 

 

霊夢「レミリア、このチョコレート美味しいわ♪ 洋菓子なのにお茶にも合いそうよね♪ それも良い!」

 

 

レミリア「!!!」グッ!

 

 

魔理沙「こ、言葉にならないほどのガッツポーズだな」

 

 

霊夢「ふふっ、なんだかどこかで見たような光景ね」

 

 

霊夢「レミリアありがとうね、はいこれお返し、受け取りなさい」

 

 

レミリア「霊夢! ありがとう霊夢!」キラキラ

 

 

レミリア「私の愛は伝わったかしら?」

 

 

霊夢「愛は…まぁ伝わった…かもね」

 

 

レミリア「やったー♪」

 

 

レミリア「これで霊夢は毎日紅魔館に来てくれるのね♪」

 

 

霊夢「それはちょっと…」

 

 

魔理沙「毎日遊ぶことが愛なのか?」

 

 

レミリア「これ食べていい?」

 

 

霊夢「もちろん」

 

 

レミリア「! おおっ!?」

 

 

魔理沙「んん? 陰陽玉じゃないか」

 

 

霊夢「のチョコよ、本物じゃないっての」

 

 

レミリア「いただきます!」パクッ

 

 

レミリア「うーんまい! とってもクリーミーだわ!」

 

 

霊夢「ミルクチョコなのよ、美味いでしょ?」

 

 

レミリア「うん! ありがとね! 霊夢!」

 

 

魔理沙「お前バレンタインノリノリで満喫してるじゃねぇか」

 

 

霊夢「そりゃああんたらが作ってくるとか言うから…」

 

 

魔理沙「流石霊夢、期待は裏切らないぜ」

 

 

霊夢「うっさいわね!」

 

 

魔理沙「照れんな照れんな」

 

 

霊夢「照れてない!」

 

 

霊夢「…さて、あんたのだけど」

 

 

魔理沙「さぁ食え! そのほっぺを叩き落としてやるぜ」

 

 

霊夢「物騒ね、てかあんたのが一番不安なのよね」

 

 

魔理沙「アリスと一緒に作ったんだぞ!? 抜かりないぜ」

 

 

霊夢「それはアリスだけは信用しろと言ってる様に聞こえるんだけど」

 

 

魔理沙「魔理沙さんも然りだぜ」

 

 

霊夢「…まぁ食べるけど」

 

 

霊夢「いただきます」パクッ

 

 

 

 タッタッタッ!

 

 

 

アリス・マーガトロイド「はぁはぁ! ま、魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「おう、アリス!」

 

 

レミリア「アリス、あなたも来たのね」

 

 

紫「 」

 

 

アリス「チョコは!? あなたが作ったチョコはどうしたの!?」

 

 

魔理沙「ん」ユビサシ

 

 

アリス「ん!? うわぁぁぁ!?」

 

 

霊夢「え? 何よアリ」モグモグ

 

 

アリス「れ、霊夢!! 吐きなさい! 今すぐ吐きなさい!!」グッ

 

 

霊夢「ムグっ…!?」ユサユサ

 

 

レミリア「アリス!?」

 

 

魔理沙「おいアリス! なにしてんだよ!」

 

 

アリス「味わっちゃ駄目よ! 悪いことは言わないから吐きなさい霊夢!」

 

 

霊夢「いや…もう口の中で溶け…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「!!?」ゾクッ

 

 

アリス「あぁ…!」

 

 

レミリア「え?」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

霊夢「…!!」ゾワゾワッ

 

 

 

 

 

 

霊夢「かはっ!」

 

 

レミリア、魔理沙「!?」

 

 

霊夢「かっ!? かふっ!? けほっけほっ!!」

 

 

アリス「…!」ゴソゴソ

 

 

アリス「霊夢、これ飲んで!!」

 

 

霊夢「げほっげほっ!! うっ!!」ゴクッ

 

 

魔理沙「えっ…? あ…?」

 

 

レミリア「アリス! 何がどうなってるのよ!」

 

 

アリス「5日間かけてたけどさっきまで魔理沙と一緒に霊夢へのチョコを私の家で作ってたの」

 

 

アリス「魔理沙が神社に出発する前にそのチョコ一つくれるって言うから一つもらって、魔理沙がいなくなってから食べたら…」

 

 

レミリア「た、食べたら?」

 

 

アリス「霊夢と同じ症状になったのよ、今飲ませたのは解毒剤」

 

 

レミリア「解毒剤!?」

 

 

魔理沙「なっ!?」

 

 

アリス「魔理沙、私が少しチョコから目を離した隙よね!? チョコをかき混ぜる時にあの粉末また入れたでしょ!? あれ以上入れたら駄目って言ったわよね!?」

 

 

魔理沙「い、入れたぜ! だってよ! それはお前が入れたら美味しくなる魔法の粉末だからって…!」

 

 

アリス「確かに適量入れればチョコの味を引き立たせてくれる魔法の粉末よ、でもね!」

 

 

アリス「適量よ適量! 入れすぎれば毒になるのよ!」

 

 

魔理沙「なにぃ!?」

 

 

アリス「味見して『な~んか一味足りねぇなぁ…』とか思って入れたんでしょ!?」

 

 

魔理沙「ギクッ!」

 

 

アリス「そういうあなたの危険を顧みない様なチャレンジ精神が好きで愛してるけどやって良いことと悪いことはハッキリしてほしいわ!」

 

 

レミリア「さらっと何を言ってるのよアリスぅ!?」

 

 

魔理沙「そ、そんな…カレーだってスパイスをたくさん入れれば美味しくなるじゃないか…!」

 

 

レミリア、アリス「ならないわよ!!」 

 

 

レミリア「てかカレーじゃないし!」

 

 

アリス「スパイスの物にもよるし!」

 

 

魔理沙「な、何だよお前ら! 私のチョコは失敗作だってのか!?」

 

 

レミリア「じゃあ魔理沙! 霊夢に食べさせたこのチョコ食べてみなさいよ!」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「ど、毒入りのチョコを食べる馬鹿がどこにいるのぜ…あははは」

 

 

レミリア「最悪じゃないの!」

 

 

 

 ドゴゴゴゴゴゴ!!

 

 

 

レミリア、アリス、魔理沙「!!?」

 

 

闇霊夢「まぁ…りぃ…さぁ…!」ドゴゴゴゴゴゴ!

 

 

レミリア「ひぃ!?」ビクッ

 

 

アリス(な、なんて霊力なの!?)

 

 

闇霊夢「…」ガッ

 

 

 パクッパクッ

 

 

闇霊夢「…」ムシャムシャ

 

 

レミリア「あっ!」

 

 

闇霊夢「美味しいわぁ…レミリアの作ってくれたチョコはぁ」

 

 

レミリア(く、口を開いてはいけないわ!)

 

 

アリス(う、動いたら殺られる…!)

 

 

魔理沙「れ、れれれ霊夢! い、生きてて何よりなのだぜ」

 

 

闇霊夢「…」スッ

 

 

 

 ガシッ!

 

 

 

闇霊夢「アリスぅ」

 

 

アリス(!?)

 

 

闇霊夢「助けてくれてありがとうね…」

 

 

アリス(!!!)コクコクコクコク

 

 

闇霊夢「まぁりぃさぁ…」

 

 

魔理沙「いっ…!?」

 

 

闇霊夢「…」

 

 

魔理沙「な、なんなんだぜ…!?」

 

 

闇霊夢「ふふふふふふふ♪」

 

 

魔理沙「!!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇霊夢「お前も食えやぁおらぁ!」ガッ

 

 

魔理沙「モガッ!!?」ジタバタ

 

 

闇霊夢「自分の作ったチョコなんでしょう? ねぇ? ほらちゃんと味わって食いなさいよ!!」

 

 

闇霊夢「ねぇどんなお味? ねぇどんなお味? ねぇ!?」

 

 

闇霊夢「感想を聞かせてほしいなぁ!? 魔理沙ぁ!!」

 

 

魔理沙「モガモガ!!? グブッ!?」ジタバタ

 

 

 ごっくん…

 

 

魔理沙「ぐ、が…!」プルプル

 

 

魔理沙「ぐはぁ!!」ブシャッ

 

 

アリス、レミリア「吐血したー!!?」

 

 

闇霊夢「あっはっはっはー!」

 

 

闇霊夢「美味しいでしょうねぇ…? 何せ…」

 

 

闇霊夢「あんたが自分で作ったんだからねぇ!? ふはっはっはっはっはっ!!」

 

 

レミリア「あ、悪魔だ…!」

 

 

アリス「あ、あなたがそれを言ったらあの霊夢は本物の悪魔以上よ…!」

 

 

紫「 」チーン

 

 

魔理沙「 」ブクブク

 

 

 

 

 

 これは後に闇と血のバレンタイン事件と呼ばれ、アリスとレミリアと魔理沙にとっては忘れられない思い出となった。

 

 

 

 なお闇に染まった霊夢は魔理沙にチョコを全て食わせ尽くした後、元の霊夢に戻った。

 

 だが霊夢はアリスに薬を飲ませてもらった後の記憶がないらしい

 

 

 めでたしめでたし

 

 

 

 

 

魔理沙「めでたくねぇよ!!」

 

 

紫「いいじゃない気絶組は気絶組で楽しく仲良く気絶してれば」

 

 

魔理沙「も、もうやだぜ…もう絶対にするもんか」

 

 

紫「気絶?」

 

 

魔理沙「チョコ作りだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 






 オマケでした、ここまで読んでいただいてありがとうございました!


 地底四人娘の登場、そしてさとりと紫のハジケバトルも書けたので個人的にはこの、お話、自分でもかなり好きです。



 短編の《第9談》グッスリ眠れると… で最初に書かれている紫とさとりの○○りんバトルの設定は実は元ネタがあったりします…


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、また次回!!



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《短編スペシャルその3》冬眠ゆかりんと夢の世界と魅魔様と



 このお話は紫が冬眠から目覚めるちょっと前に藍と橙が何をしていたのか…になります

 冬眠の経緯については『短編、第10談』にて触れていますが読んでいなくても大丈夫です!


 当然普通の日常ではなく様々な試練が藍と橙を待ち受けます…そして『いや、冬眠しなよ』『寝なよ』と誰もがツッコミたくなります


 ついにはあの人たちまで登場してしまいます


 今回も新キャラ多め、二次設定多めです


 それでは始まります!





 

 

 【三月一日 朝 マヨヒガ】

 

 

 幻想郷の皆様、私です、八雲藍です

 

 

 紫様のいないこの二ヶ月間いかがお過ごしだったでしょうか…冬が終わり、春の季節に向かおうとしている今日ですが体調等はお変わり無いでしょうか

 

 そうだ、紫様が何故かバレンタインの時に出て来てた様な来てなかった様な気がしますが紫様は冬眠はなさっていたようです

 

 紫様ですからね、あまり深く考えないでください

 

 

 さて、私は今日マヨヒガで橙と一緒に楽しく大掃除をしていたのですが…

 

 

 

 

八雲藍「…」

 

 

橙「…」

 

 

橙「藍様…」

 

 

藍「うん分かって…分かってはいるんだよ橙」

 

 

橙「もう見つけてから二十分も経っちゃってます」

 

 

藍「…覚悟を決めるよ」

 

 

橙「はい、私も覚悟は出来てます」

 

 

 

 橙と大掃除をしている最中、軒下に隠されていた謎の箱を発見してしまい、私たちは居間で二十分もの間この箱を見つめ、この箱の存在に首を傾げている

 

 

 箱は手のひらサイズの小さな箱だ

 

 

 え? 何故首を傾げているのかって? それは…

 

 

 

藍「それじゃあ開けるよ、橙」

 

 

橙「はい、藍様」

 

 

 スッ パカッ!

 

 

藍、橙「…!!」

 

 

 

 

 箱の表面に貼ってある紙に

 

 『冬眠中のゆかりんを目覚めさせるたった一つの方法』と書かれているからです

 

 

 発見したときは目を疑いました

 

 『えっ、今回は自分で起きてこないの?』これが最初に頭をよぎりましたから、橙も恐らくそう思ったのでしょう、開けるのを躊躇っていたのは恐いもの見たさで箱を開けたく無かったんです

 

 …さて、肝心の箱の中身ですが

 

 

橙「これは…封筒? あ、中に手紙が入ってます」

 

 

藍「手紙か…紫様、また何を企んで…」

 

 

橙「えっ、紫様が何かを企んでるんですか?」

 

 

藍「あ…い、いや…た、企んでいると言っても気にしてはいけないよ、紫様が橙に何か酷いことをするような事は決して無いからね」

 

 

橙「は、はい! それは心配してないです! けど…」

 

 

藍「…ごめんね橙、心配させるようなことを言ってしまって…冬眠中に紫様がこんな箱を隠していただなんて知らなかったんだ、しかもこんなものを残して冬眠なさるのは初めての事だから私も少し混乱しているんだ」

 

 

藍(また何を私に無茶振りさせるつもりだろうというのが本音だが…橙はそんなことは知らなくていいんだ、うん)

 

 

橙「そうなんですか?」

 

 

藍「うん…そうだね、冷静に考えてみようか」

 

 

藍「箱の表面の紙からして冬眠中の紫様を目覚めさせる方法がこの手紙には記されているんだろう」

 

 

藍「そして手紙に書かれている事を実行しなければ紫様はお目覚めにならない」

 

 

橙「! そ、それでは紫様がお目覚めになるかは私たちの手にかかっているという事ですか!?」

 

 

藍「そうなるね」

 

 

藍(そうしないと『ゆかりん目覚めてやらないんだからぁ☆』みたいなことを考えているんだろうなぁ…くそぅ、私だけならともかく橙まで巻き込まないでくださいよ! …しかし今日ここに橙がいたのも箱を発見したのも偶然ならば仕方がない…か)

 

 

橙「ならなんとしてでも成功させないといけないですね…!」

 

 

藍「そうだね、うん…」

 

 

藍(だけどこれは確実に紫様の悪ふざけだ、これをやらなくても普通に目覚めてくるだろうな、あの人の事だから)

 

 

藍(……いいや、ダメだ、やらないという手もあるがやらなかったらやらなかったできっと拗ねて拗ねて拗ねりの極みになるに決まってる…それに橙も成功を望んでいるし)

 

 

藍「では橙、手紙を読んでみようか」

 

 

橙「は、はい!」

 

 

藍、橙「…」

 

 

 私が手紙を手に取り、橙と共に読み始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

『私の可愛い可愛い藍へ愛を込めて…あ、もしかして橙、そこにあなたもいるのかしら? うふふ、橙も最強可愛いわよ』

 

 

 

藍「…」

 

 

橙「…」

 

 

藍「書き出しがこれですか…///」

 

 

橙「ゆ、紫様から可愛い…/// あうぅ…///」カァ

 

 

藍「私はともかくとして橙が最強可愛いのは決まっている事なのに…書く必要なんて無いではないですか」

 

 

橙「…///」モジモジ

 

 

藍「!?」

 

 

藍(グフッ、あぁ可愛い…可愛いなぁ橙…♪ ……はっ!!? い、いかんいかん…紫様が冬眠中の時のご乱心だけは絶対にやってはいかんのだ)

 

 

藍「つ、続きを読むよ橙」

 

 

橙「は、はい…///」

 

 

 

 

『藍…いるとしたら橙も…この手紙をあなたが読んでいるという事は私はもうこの世にはいないでしょう』

 

 

 

 

橙「えぇっ!?」

 

 

藍「橙、落ち着きなさい、紫様は今スキマの中で冬眠中なんだからこの世にいないのは当然の事なんだよ」

 

 

橙「はっ! そ、そうですよね…! ほっ…」

 

 

藍(どうして人を不安にさせるような事を書くんだこの人はぁ…!)イラッ

 

 

 

『そりゃあいないわよ、だってゆかりんスキマの中で冬眠中だもの♪ おーっほっほっ♪』

 

 

 

藍「…」

 

 

橙「…」

 

 

藍「ね?」

 

 

橙「はい」

 

 

藍、橙「…」

 

 

 

『私は楽しく冬眠しているわ、そっちはどうかしら? 霊夢たちは元気? あなたたちは楽しく過ごしてる? 幻想郷はいつでも平和だけど体調管理には気を付けてる? ふふっ、心配し過ぎかしら? でもね…あなたたちが健やかに日々を送ってくれているからこそ八雲紫は安心して冬眠が出来るの、それを忘れないでほしいの、私は幻想郷に住まう皆を愛しているのだから』

 

 

藍「…」

 

 

橙「紫様…」

 

 

藍「…」

 

 

藍(ふふっ…本音…かな)

 

 

藍「お目覚めになったら冬眠中、幻想郷に何があったのか…一つずつ話してあげないとね」

 

 

橙「! はい、藍様!」

 

 

藍「ふふっ…」

 

 

 

『そう、愛しているわ…愛しているのよ』

 

 

 

藍、橙「…」

 

 

 

『愛し……あれ? ちょーっと待ちなさいよ? 良く考えたら』

 

 

 

藍、橙「え?」

 

 

 

『橙はともかくとして藍って私の事を愛してくれているのかしら?』

 

 

 

藍、橙「…」

 

 

橙「えっ…!?」

 

 

藍「は…?」

 

 

 

『八雲紫は八雲藍を愛しています…これは、うん、事実…そう、こうやって手紙を書きながら愛してるって思ってるんだから愛してるに決まっているのよ、それは本当なの、でも八雲藍は八雲紫を愛しているのかしら…あれれ~? ひょっとして愛されてない? …あ、そうだ、思い返してみれば良いのよ』

 

 

『私が去年の三月から今年の一月までの冬眠に至るまでの過程の中、そこから私は藍が本当に私を愛しているのかを思い返してみました』

 

 

 

『いなり寿司地獄が一月一回、これは変わらなくても量が年々増えた事』

 

『ツッコミが年々増えててたまに暴言が多い! ゆかりんプンスカよ!?』

 

『ご乱心が自重しない、隣に橙がいるなら今謝っときなさい!』

 

『年寄り扱いするようになってキツイとかスキマァ! とか言ってくるけどなんなの? そのうち魔理沙やチルノみたいにババア呼ばわりしそうで怖い』

 

『寂しいから一緒に寝てやろうと思ったのに拒絶された』

 

『幽々子の満腹に付き合ってる途中でリタイアし、私を満腹地獄の渦中に一人にした』

 

『幽々子の恐ろしい特技に私がやられているのに助けもしない』

 

『昔は可愛かったのになぁ』

 

『ゆかりんより橙の方が好き、分からんでもないけど寂しい!』

 

『何か最近私に隠してる、これには鈴仙と命蓮寺のネズミが関わってると見てるが詳細不明』

 

『狸と仲良くしなさい』

 

『私からのブラッシングを最近嫌がりやがる』

 

『ピクニック…あぁ、これは私が悪いんだったわね、ゆかりんてへぺろ♪ …橙、ごめんね?』

 

『度重なる私へのサプライズの失敗、もっと私を楽しませろ!』

 

『あなた忠誠心って言葉知ってる?』

 

 

 

 

 

 

 

 

『あ……これ愛されてないわ…つれぇわ…』

 

 

 

 

藍「…!」プルプル

 

 

橙「ら、藍様!」

 

 

藍「なっ…なに…何を言っ…!」プルプル

 

 

橙「つ、続きを読んでみましょう!」

 

 

 

『でもこれだけではまだまだ判断材料にはなりそうにないわね、藍が私を愛してないのではないか…そう思ってしまった瞬間から私はそれを確かめたくて仕方がなくなってしまいました、そ・こ・で♪』

 

 

『冬眠を利用して藍が本当に私を愛しているのかどうか確かめさせてもらう作戦を立てました! 拒否権はありませんし出来ません、何故ならば三月一日に八雲紫が目覚めなければ幽々子や閻魔様等が疑問を抱き、ここに来てあなたを問い詰めるからです』

 

 

『閻魔様から問い詰められたらありがたい…いや、とってもうざったいお説教の嵐よ? あなたがちゃんとしっかりしていないから八雲紫は目覚めないのです! とかなんとか言うわよきっと、おお怖い怖い♪』

 

 

『さて、本題に入りましょうか…箱の表面に貼ってある紙に書いてある通り、この手紙にはゆかりんを目覚めさせるたった一つの方法が書いてあるわ』

 

 

『方法はとっても簡単よ♪ ゆかりん優しいもの、あなたが私に対し、愛していると証明すれば良いだけの話』

 

 

『そのためには誠意と行動力を私に見せなさい、今から下に書く物をマヨヒガで供物とし、ゆかりん愛してると心の中で三回唱えるのだ、さすればゆかりん復活し、幻想郷に再び明るい未来が訪れる』

 

 

 

 

『人里の団子屋、清鈴屋のみたらし団子』

 

『人里のミスティアの屋台でたまに提供される雀酒』

 

『ゆうかりんが持っている菜種油で揚げたふきのとうの天ぷら』

『紅美鈴が作った麻婆豆腐』

 

『死神界にあるという幻の米から作るごはん』

 

 

 

『以上…あなたのゆかりん愛を見せてご覧なさい、藍なだけに…うふふっ、期待してるわよ♪ ゆかりんから藍へ愛をこめて』

 

 

『PS 橙? もしあなたが側にいたとしても藍を手伝ったりしたらダメよ?』

 

 

 

藍「…」

 

 

橙(こ…これは…!)

 

 

橙(紫様むちゃくちゃに書きすぎでは…!? こ、これには流石の藍様でも怒っ…)チラッ

 

 

藍「…」プルプル

 

 

橙(てる…? あ、藍様の体が震えて)

 

 

藍「橙」

 

 

橙「! は、はい!」

 

 

藍「少しの間一人にしてほしい…居間から出て耳を塞いでいてくれないか」

 

 

橙「へっ…えっ!?」

 

 

藍「お願いだ、三分ぐらいでいいから」ニコニコ

 

 

橙「は、はい!」

 

 

 タタタッ! 

 

 

 

橙(ら、藍様の笑顔が怖かった…やっぱり怒って)

 

 

 

 くうううおおおおああああぁぁぁぁぁ!!!!

 

 

 

橙(!!?)

 

 

 

 スキマァァァァ! おんどれぇぇぇぇ!!

 

 

 なぁにが…!! なぁにが愛じゃクルァァ!!

 

 

 

橙(ひぇっ…!? 耳塞いでも聞こえちゃうぅぅ!)

 

 

 

 赤いき○ねぇ!! 緑のた○きぃ!!

 

 

 

橙(えぇっ!?)

 

 

 

 

 

【三分後】

 

 

 

橙「ら、藍様!!」

 

 

藍「橙、ありがとう…なんというか私の心から、いや魂からの声が絶え間無く出て来てしまってね、でもそのお陰で晴れやかな気分になることが出来たよ、はぁ…スッキリした」スッキリ

 

 

橙(なんか藍様が一気に老けた様な…はっ!? い、いやいや、こんなこと思ってはいけない!)

 

 

藍「…」

 

 

橙「うっ…」

 

 

橙(聞き辛いけど…き、聞かないと…!)

 

 

橙「藍様、その…紫様の手紙の事なのですが」

 

 

藍「大丈夫、分かっているよ」

 

 

橙「!」

 

 

藍「まるで飴と鞭の様な手紙だったね、まぁ鞭のしなり方が異常だったけど」

 

 

藍「まったくどこまでも手間の掛かることを…こんなことしなくても私はあなたを…」ブツブツ

 

 

橙「…? 藍様?」

 

 

藍「! あぁごめんね橙、それで手紙の事なんだけど」

 

 

藍「橙も読んだから分かると思うけどこれは紫様の…悪戯に相当するものだ、でも愛の事や私への供物の事は本気だろうね」

 

 

藍「あの人は言い出したら最後まで止まらないからね、だからこそ私はこの挑戦を受けよう」

 

 

藍「八雲藍は八雲紫様を愛しているのだと認めさせるんだ、そのための供物だろうが復活の儀式だろうがなんでもやってみせるさ」グッ

 

 

橙(手紙であんなに罵られ、結構な無理難題を押し付けられているのに藍様は決して紫様を裏切らない…)

 

 

橙(私が藍様の立場だったらとっくに心を折られてる、藍様は心が強くて立派だなぁ…たまに乱心してしまうけど)

 

 

藍(……なんて橙の前ではかっこつけてしまったが手紙にも書いてある通り私には拒否権がない…むむ、ここはこのまま)

 

 

藍「橙、私は早速この供物を集めに行って来るよ」

 

 

橙「! えっ、あっ…」

 

 

藍「橙はここマヨヒガで待っていなさい、すぐに」

 

 

橙「藍様!」

 

 

藍「橙?」

 

 

橙「わ、私も一緒に行きます!」

 

 

藍「…! その気持ちだけでも私は嬉しいよ」

 

 

藍「でもこれは私の試験みたいなものだ、それにPSにも書いてあったが私を手伝ったりしたら紫様に小言」

 

 

橙「それでも! それでも私は藍様のお手伝いがしたいです!」

 

 

藍「橙…しかしだな、紫様の言うことに逆らうとめんどくさ」

 

 

橙「私も藍様と紫様が好きです!」

 

 

藍「…!」

 

 

橙「あっ…あの…愛とかそういうのはまだ良く分からないんですけど…私はお二人のことがすっ、好きだから…だから…」

 

 

橙「紫様には冬眠から目覚めてほしいですし藍様のお手伝いもしたいんです! だから私は紫様がダメと仰られても藍様のお手伝いをしたいんです!」

 

 

藍「…橙」

 

 

 私は橙の側に近寄り、優しく抱き締め、耳元で優しく語りかけた

 

 

藍「ありがとう…私は嬉しいよ橙」

 

 

藍「紫様の言うことだけが全てでは無い、もしかしたら橙がそうやって自分の意見を押し通し、気持ちを表してくれることを紫様は狙ってああいう風に書いたのかもしれない」

 

 

橙「!」

 

 

藍「橙、着いてきてくれるね?」

 

 

橙「! はい! 藍様!」

 

 

藍(…すまない橙、正直そんな確証は無いんだ)

 

 

藍(でもわざわざああいう風に書いたのだからあながち間違ってはいないのかもしれない…だが今重要なのはそこじゃない)

 

 

藍(橙に好きだと言われた瞬間から我慢していたのだが私のこの無様なにやけ顔を見られる訳にはいかない、だから橙に抱き着いて顔を見せないようにしているのだ、鏡は見ていないが自分の顔が今どうなっているのかぐらい分かるさ、ご乱心を体験したことのある者ならば大抵察しがつく)

 

 

藍「よ、よーし橙、まずは人里から行こうか」

 

 

橙「はい藍様!」

 

 

 

橙「あ、あの…藍様?」

 

 

藍「なんだい橙」

 

 

橙「い、いつまで…抱き着いているのですか」

 

 

藍「後二分」

 

 

橙「え?」

 

 

藍「後二分で顔が戻りそうなんだ、それまでは抱き着くことを許してくれ」

 

 

橙「は、はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【そして二人は人里へ…】

 

 

藍「清鈴屋…? こんな名前の団子屋があったかな?」

 

 

橙「はい、ありますよ」

 

 

藍「橙は行ったことあるのかい?」

 

 

橙「チルノたちとたまに行くんです、人里の大通りにあるんです、二人の兎さんがお店をやっていてつい最近出来たばかりなんです」

 

 

藍「兎…? あれ? だとするとあの二人か?」

 

 

 

 

【人里、清鈴屋】

 

 

 

藍「あ、やはりお前たちか」

 

 

橙「こんにちは~」

 

 

清蘭「あっ! いらっしゃい!」

 

 

鈴瑚「むぐっんぐっ…! い、いはっはーい!」モグモグ

 

 

清蘭「こらぁ鈴瑚ぉ! 食べながらの接客応対はよくないっててゐさんに教わったじゃない!」

 

 

鈴瑚「ングッ…! 大丈夫だよ清蘭、これ客に売る方の団子じゃなくて私用の団子だから」モグモグ

 

 

清蘭「ちがーう! 食いながらの接客は金にならないっててゐさんからも教わったでしょ!」

 

 

鈴瑚「…それを大声で言う?」

 

 

清蘭「はぁ!? …あっ」

 

 

藍、橙「…」

 

 

清蘭「い、いやぁ…あ、あははは…」

 

 

藍「ま、まぁ…まだまだ開店したばかりなんだろう? 失敗は誰にでもあるさ、それに私たちはそんなことは気にしないから大丈夫だ」

 

 

清蘭「お、お心遣い感謝します…」

 

 

鈴瑚「ぷっ…! 清蘭の口は災いの元よね」

 

 

清蘭「あんたの口は団子しか入らないクセに」

 

 

鈴瑚「あ、褒めてくれてありがとう♪」

 

 

清蘭「! く、くそぅ…これは悪口にならなかったか…!」

 

 

藍「なあ、注文をお願いしてもいいか?」

 

 

清蘭「あっ、は、はい!」

 

 

鈴瑚「どうぞ~♪」モグモグ

 

 

藍(何本とは指定されていないからな、ならば)

 

 

藍「では、みたらし団子を十本いただこうかな」

 

 

清蘭「はい! かしこまりました! 鈴瑚、今日はあなたが調理担当なんだからね! しっかりやってよ?」

 

 

鈴瑚「はいはい、喜んで~♪」

 

 

清蘭「はいは、一回っ!」

 

 

橙「あはは…」

 

 

藍「ふふっ」

 

 

藍(確か…最近起きた月の異変の後に幻想郷に移り住んだんだったな、月の玉兎の二人組…青い服の方が清蘭、黄色い服の方が鈴瑚だったか)

 

 

藍(月の玉兎とはいえ幻想郷を頼り、生活している…紫様は来るものは拒まずの精神だからな、彼女等が楽しくしてくれればそれでいいんだろう、無論私もそう思う)

 

 

藍「なぁ、少し聞いてもいいかな?」

 

 

清蘭「はい、なんでしょう」

 

 

藍「確かお前たち二人は別々で団子屋を経営していたのを記憶してるのだが…どうして二人で経営することになったんだ?」

 

 

清蘭「その事ですか、確かに私たちは別々で団子屋やってました『私の清蘭屋』と『鈴瑚の鈴瑚屋』ですね」

 

 

藍(名前がまんまなのはつっこむところなのだろうか)

 

 

清蘭「幻想郷で団子屋やるからには私と勝負がしたいって鈴瑚が言い出したのでお互いに売り上げを競い合っていたんです、私がちょっと…ほんのちょっとだけ負けてたんですけどね」

 

 

清蘭「で…競い合う日々が続いてたある日、あのお方が店に来て私たちにこう言ったんです」

 

 

藍、橙「お方?」

 

 

清蘭「…」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

因幡てゐ『はっ! 片腹痛いわ!』

 

 

清蘭、鈴瑚『!?』

 

 

てゐ『お前ら金をなんだと思ってるんだ!? ああん!?』

 

 

てゐ『いいか!? 売り上げで争うなんてバカのすることだ! 争うのを今すぐやめて売上を上げる事だけを考えろ!』

 

 

てゐ『一に金、二に金! 三に金で四に金だ! 金が全てだということを理解しろ!』

 

 

てゐ『それが分かったら今すぐお前たちのそれぞれの店を合併し売り上げを伸ばせ、集客や接客のやり方は私が教えてやる! 幸い、お前たちは可愛いからそこを意識しろ! 迷っている客がいたら媚びろ! それだけで売り上げはうなぎ登りだ! 分かったか!?』

 

 

清蘭、鈴瑚『は、はいぃ!』

 

 

てゐ『はっはっは♪ そうかそうか分かってくれたならそれでいいんだ♪ いいか? もし『何で合併したんだ?』とか『どうして一緒に店をやりだしたんだ』とか聞かれたらこの因幡てゐから教わったと言うんだぞ? それも分かったかな?』

 

 

清蘭、鈴瑚『わ、わかりました~!』

 

 

てゐ『…』

 

 

てゐ『ククク…ウ~サウサウサ♪』ニヤリ

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

清蘭「てゐさんの言う通りにしたら本当に売り上げが伸びて…てゐさんには本当に感謝してるんです」

 

 

藍(あ、あの守銭奴ウサギ…! 結局最後は自分の利益に繋がっているではないか!)

 

 

橙「わぁ~! てゐさんは助けてくれたんですね」

 

 

清蘭「うん、てゐさんには頭が上がらないよ、あははは♪」

 

 

清蘭「それに…合併したことで鈴瑚と争わなくてすむ様になったしさ」

 

 

藍「!」

 

 

清蘭「元々鈴瑚が勝負しろって言い出したから勝負してただけで…本当は私、鈴瑚とこうやって一緒に団子屋やりたかったんだよね」

 

 

橙「夢も叶えてくれたんですね」

 

 

清蘭「あはは、そうなるかな…♪ あっ! これ鈴瑚には内緒にしてね♪」

 

 

藍(利益には利益で、か…狙ってやったのかそうでないのかは定かではないが丸く収まっているのならそれでいいか)

 

 

鈴瑚「はーい、みたらし団子十本おまちどー♪」

 

 

橙「わぁ! 美味しそう~!」キラキラ

 

 

藍「おぉ、これは中々…では持ち帰るからこのタッパーに入れてくれ」

 

 

藍(みたらしの醤油の匂いが食欲をそそるな、団子の大きさも一口サイズで食べやすそうだ)

 

 

鈴瑚「はーい…ってお持ち帰りのお客さんだったんですか…清蘭?」

 

 

清蘭「! うっ…! き、聞き忘れただけだもん」

 

 

鈴瑚「はぁ…接客担当が不安だわ」

 

 

清蘭「うぐっ…き、気を付けるわよ…」

 

 

藍「あはは、では勘定良いかな?」

 

 

清蘭「は、はい! えーっと、十本ですので五百円になります!」

 

 

藍「ん、随分安いな」

 

 

鈴瑚「値段もうちの売りですからねぇ」

 

 

藍(これも因幡てゐの指示なのかな)

 

 

橙「安くお団子が食べられるからおやつ感覚で食べられるんです」

 

 

清蘭「そういえばあなたよく妖精さんたちと来てくれるよね」

 

 

鈴瑚「ありがとね、今後とも清鈴屋をよろしく~♪」

 

 

橙「! はい!」

 

 

藍「ではお代だ、今度はお使いではなく個人的に店に食べに来るよ、ではな」

 

 

橙「さようならー」

 

 

清蘭「はい! ありがとうございまーす!」

 

 

鈴瑚「またどうぞー!」

 

 

 

 

藍「今度は二人で食べに行こうか、橙」

 

 

橙「はい、藍様と橙も食べに行きたいです」

 

 

藍「ふふっ、私もだよ…よし次はミスティアのところに行こうか」

 

 

橙「はい!」

 

 

藍(う~ん、しかし何故紫様はこれを供物に選んだんだろうか)

 

 

 

 

 

 

清蘭「ねぇ鈴瑚」

 

 

鈴瑚「ん~? ングッハグッ」モグモグ

 

 

清蘭「また食ってるし…まぁいいわ…それよりさ、今日あの二人来ないね」

 

 

鈴瑚「ん~まだ早いんじゃない?」モグモグゥ

 

 

清蘭「そうかなぁ、いつもこの時間に…あっ」

 

 

鈴瑚「噂をすればってやつかな?」

 

 

 

純狐「ねぇねぇうどんげちゃん♪ 今日はきな粉団子にする? それともゴマ団子?」ギュー

 

 

鈴仙・優雲華院・イナバ「い、いやぁ…も、もう何でも良いですよ純狐さん…てか抱き着くのやめてもらってもいいですか…」シナシナ

 

 

純狐「そう♪ ならみたらし団子にしましょう♪ 今日も私が食べさせてあげるからねうどんげちゃん♪」

 

 

鈴仙「あははは~…もうどうにでもな~れ~…」シナシナ

 

 

 

清蘭「来た~…鈴仙また耳がシナシナだし目が死んでる…」

 

 

鈴瑚「また抱き着きながら食べさせ合いという名前の一方的な赤ちゃんプレイが始まるのかな」

 

 

清蘭「言わないであげて」

 

 

 

 

 

【ミスティアの屋台】

 

 

 

ミスティア・ローレライ「雀酒ですか?」

 

 

藍「あぁ、もしあったら売ってほしいのだが」

 

 

橙「ある? みすちー」

 

 

ミスティア「う~ん…あっ……たかなぁ」

 

 

ミスティア「最近出てないからなぁ…あっ、ちょっと待っててくださいね、今在庫確認しますから」

 

 

藍「あぁ、分かった」

 

 

橙「みすちー、私も手伝うよ」

 

 

ミスティア「ありがとう橙、じゃあここの棚の中を…」

 

 

橙「うん」

 

 

 

藍(雀酒…確か雀が墓に供えられていた米粒をくわえて持ち帰り、それを青竹の切り株に溜め込んだ物がそのまま放置され、切り株になり水が溜まって発酵が進んで酒になったものだったな)

 

 

藍(最初の酒とまで言われた伝説の酒…供物にはピッタリだな、踊らずにはいられないほどの味がするらしいが…あまりの美味しさに気分が高まるのだろう)

 

 

藍(霊夢と魔理沙が飲んだ後の様が地獄絵図だったらしいが…どんな感じになったんだろうか)

 

 

 

橙「あっ! みすちー! これは?」

 

 

ミスティア「ん? あーっ! あったー♪ これだよ橙!」

 

 

藍「おっ、あったのか」

 

 

ミスティア「はい、橙が見つけてくれました」

 

 

藍「ふふっ、お手柄だったね、橙」

 

 

橙「! えへへ…///」

 

 

藍「では買い取らせていただこうかな」

 

 

ミスティア「ふふふ♪ そうだなぁ…橙が見付けてくれたからまけてまけて…六万五千円になりますね」

 

 

藍「! や、やはり高いな」

 

 

橙(うわぁ、高いなぁ)

 

 

ミスティア「そりゃあそうですよ手間に手間がかかってますし、それにお持ち帰りのお客様には雀酒を注ぐこの…よいしょっ…! 竹のコップもお付けしてますから」

 

 

藍「なるほど…そう考えると良心的な値段に思えてきたな」

 

 

藍「うん、では…これで」スッ

 

 

ミスティア「えーと…はい、丁度ですね♪ ありがとうございました~♪」

 

 

藍「よし、なんか良い買い物をしたな、橙、次に行こう」

 

 

橙「はい! じゃあねみすちー、今度皆で焼き鳥食べに来るからね」

 

 

ミスティア「うん、待ってるよ♪」

 

 

ミスティア(わ、私に対して焼き鳥食べに来る…い、いやぁ確かに売ってるけどなんか…うん)

 

 

ミスティア(…まぁいいか、これも商売商売…)

 

 

 

 

 

 

藍(うん? そういえばまけてもらってはいたが雀酒の瓶一本の本来の値段はいくらなのだろうか)

 

 

 

 

 

 数は少ないが、人里に貼られているミスティアの屋台宣伝ポスターにはこう書かれている

 

 

 あの伝説の雀酒!! 一升瓶一本、竹のコップ付きで六万五千円!!

 

 

ミスティア「~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橙「藍様、次はどちらに?」

 

 

藍「そうだね、次は紅魔館かな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 藍が紫を目覚めさせる為の供物集めに奔走し、苦労している同時刻

 

 幻想郷とは別の世界である『夢の世界』ではとある一人の少女が不思議な体験をしていた…

 

 

【夢の世界】

 

 

 

 幻想郷の皆さん、いかがお過ごしでしょうか…

 

 

 私は宇佐見菫子、幻想郷の外の世界で暮らしている現役の女子高生

 

 

 私が計画したオカルトボールの異変が記憶に新しいかしら? その異変の首謀者であるこの私、オカルトボールの力を利用して幻想郷と外の世界である私の存在している世界を繋げようとした宇佐見菫子

 

 だけど最近聞いた話によるとこれには月の人たちが関係…というか私のオカルトボールを逆利用されて…いや、でも私のしたことは許されることじゃないよね

 

 そんな異変をやらかしたのにも関わらず霊夢さんや魔理沙さん、マミゾウさん、華扇さんは許してくれた…あの四人が許してくれなかったら今ごろ私は…あの四人には感謝しても仕切れないわ

 

 そんな私だけど何故か寝ている間だけ、外の世界で眠りについている時に幻想郷に来られる様になったの、幻想郷と外の世界は結界で隔離されているのによ? その原理は色々と判明してきてはいるんだけど…まぁそれは今度にしときましょう

 

 正直外の世界はつまらなくてね、幻想郷にいた方が刺激が沢山あって楽しいからずっと居たいぐらいなの

 

 それで今日、また幻想郷に行こうと思って意気揚々と寝たんだけど…

 

 

 

 

宇佐見菫子「…」

 

 

八雲紫「しんちゃん、頑張って!」

 

 

ドレミー・スイート「何を頑張れって言うんですか」

 

 

魅魔「おい、さっさと引かせろって」

 

 

神綺「ダメーっ! 待って魅魔ちゃん!」

 

 

サリエル「夜が明けちゃうわね…あ…いま昼……?」

 

 

エリス「キャハハ♪ 神綺さん早く往生しろよって☆」

 

 

菫子「…」

 

 

 

 目覚めたら何故かここ、夢の世界だったの…博麗神社の辺りで目が覚めて霊夢さんに会おうとプランを立ててたのに何故か夢の世界

 

 そして何故か今私は口に出すのも憚られる様な凄い人達と卓を囲み、トランプでババ抜きをしている…

 

『幻想郷の管理人 八雲紫さん』

『夢の世界の管理人 ドレミーさん』

 

 ここまでは分かるのよ、紫さんのことは霊夢さんから聞いてるし、ドレミーさんも獏の妖怪でたまに会うし…

 

『魔界の創造神 神綺さん』

『大昔に博麗神社に取り憑いていた悪霊 魅魔さん』

『魔界に住んでる死の天使 サリエルさん』

『その死の天使の付き人の悪魔 エリスさん』

 

 

 

 

 

 はい…紫さんからざっくり説明されたけど濃すぎる人達

 

 

 うん、正直ね? 私凄い場違いなのは自分でも分かってるの、でもね? 

 

 幻想郷だと思って目を覚ましたら何故だか夢の世界で目が覚めて、紫さんとドレミーさんに会って『ここは夢の世界ですわ♪』って簡単に状況説明されて、そして何故だか紫さんがいきなり『友達呼んでいい?』なんて言い出して、紫さんの能力で神綺さんたちがここに来て、私が持ってたトランプで皆で遊んでる…てか何でトランプのルール知ってるんですかこの人達

 

 

 …もう展開が急過ぎて付いていけないの

 

 

 

菫子(なんなのこれは…! 異変やらかした罰かなんかがまだ続いてるの!?)

 

 

魅魔「いい加減にしろよお前は」

 

 

神綺「だって~! ババ持ってるの私だし魅魔ちゃんにババ以外の取られちゃったら私の敗けだもん!」

 

 

魅魔「んなことは分かってんだよ、いつまでその二枚を後ろ手でシャッフルしてんだ! さっさと引かせろ!」

 

 

神綺「くぅぅ~…はいっ!」バッ

 

 

魅魔「……こっち!」パッ

 

 

神綺「!? はわわっ!!」

 

 

魅魔「…! よっしゃ勝ったオラァ!」バァン

 

 

紫「はーい、しんちゃんの負け~♪」

 

 

神綺「ふえ~ん…! シクシク…また負け…」

 

 

魅魔「やったぞー♪」

 

 

サリエル「神綺、あなた弱すぎよ…」

 

 

ドレミー「ババ抜きで五連敗なんて普通出来ないですよ」

 

 

エリス「ね~☆ 弱っちいよね、菫子ちゃんもそう思うっしょ☆」

 

 

菫子「あははは…」

 

 

菫子(魔界の創造神に弱っちいなんて言えるかっ!)

 

 

神綺「むぅ~、ねぇ他のやろうよ」

 

 

魅魔「ババ抜きでも私は満足なんだけどねぇ♪」

 

 

神綺「どうして?」

 

 

魅魔「お前が絶対負けるから」

 

 

神綺「!? 助けてゆかりん! 魅魔ちゃんがいじめる!」

 

 

紫「魅魔…あなた」

 

 

魅魔「うん?」

 

 

紫「……良く分かってるわね!」グッ

 

 

魅魔「だろぉ?」グッ

 

 

神綺「!? さ、さっちゃん! えっちゃん! ドレちゃん!」

 

 

サリエル「いじられていじられて…いじられて死ぬ運命」

 

 

エリス「運命には逆らうなっ☆」

 

 

ドレミー「いじられ役を買う趣味は無いです」

 

 

神綺「れ、れっこちゃん!」

 

 

菫子(えぇ!? 変なあだ名付けられたぁ!!)

 

 

菫子「……諦めてください」

 

 

神綺「はわわっ!!? うえーん! 助けてアリスちゃーん!」

 

 

魅魔「お前そればっかりじゃないか」

 

 

紫「そこ夢子ちゃんじゃないのね」

 

 

サリエル「……でも流石に五回連続は飽きてきたわね…」

 

 

エリス「だったら七並べなんてどうかな☆」

 

 

ドレミー「あっ、良いですね」

 

 

サリエル「いい提案ねエリス…死地並べ…クフフ…」

 

 

菫子(なんか字が違うような気がするなぁ!)

 

 

魅魔「七並べか、それならお前でも勝てそうだなぁ?」

 

 

神綺「ニヤニヤしないでよ魅魔ちゃん!」

 

 

紫「1と13が手札に四枚ぐらいあったときの絶望はスゴイわよね」

 

 

エリス「わかるわかる☆」

 

 

サリエル「六と八が四枚あったときは優越感に浸れる……クフフ♪」

 

 

魅魔「お前それ絶対やるなよ? パスの嵐になるんだからな?」

 

 

エリス「やったら嫌われちゃうよ☆」

 

 

サリエル「……」

 

 

サリエル「それは嫌ね…」

 

 

菫子(えぇぇ…死の天使がそういうの気にするの?)

 

 

紫「はい、菫子、また山札切ってくれる?」

 

 

菫子「は、はい」

 

 

 ブゥン… パラララッ!

 

 

エリス「スゲーな☆ 手を使わないでシャッフルするなんてさ、菫子ちゃんって本当に人間なん☆」

 

 

菫子「い、一応ね」

 

 

サリエル「最近の人間は器用ね……人間もやれば出来るのね……」

 

 

ドレミー「さっき聞いてましたよね、菫子さんの能力なんですから人間だったら彼女にしか出来ないんですよ?」

 

 

魅魔「サイコパワーだっけか、魔法とはまた別の…いや、それも魔法にしか見えんな」

 

 

神綺「魔法と言えばアリスちゃん♪」

 

 

魅魔「アリスちゃんから離れろ親バカが」

 

 

神綺「シクシク…」

 

 

紫「マジシャンは良いわよね、あ、そういえば咲夜も手品が出来るって言ってたわねぇ」

 

 

菫子(褒められてもリアクション取りづらい…)

 

 

神綺「家の夢子ちゃんも手品出来るよ!」

 

 

魅魔「家庭ネタから離れろバ過保護」

 

 

神綺「バ過保護!? ふぇぇ! 魅魔ちゃんがいじめる~!」

 

 

魅魔「いじめてはないだろ」

 

 

紫「しんちゃん、こういうのはいじりって言うのよ」

 

 

サリエル「いじっていじっていじり倒してるのよ……」

 

 

ドレミー「そういうのを世間ではいじめって言うんじゃないですか?」

 

 

エリス「紙一重だなあ☆ でも面白ければオッケー☆」

 

 

神綺「オッケーじゃないよぅ!」

 

 

菫子「…ねぇ、配って良い?」

 

 

エリス「オッケーよ☆」

 

 

神綺「それはオッケーだけども…」

 

 

菫子(異界の人ってメンタル弱いのかな?)

 

 

サリエル「魔法……魅魔も魔法使えたわよね……」

 

 

魅魔「あぁ、でも菫子みたいに器用な魔法は撃てないな」

 

 

菫子(魔法じゃないんですけど)

 

 

エリス「相手をぶっ潰す魔法しか出ないもんな☆」

 

 

魅魔「おいこら人聞き…んまぁそうか」

 

 

魅魔「てかお前らもその気になれば魔法っぽいの使えるだろ、能力使えばなんとかなるし」

 

 

サリエル「……私のは使う=死だから…」

 

 

エリス「星の力(物理)だし~☆」

 

 

ドレミー「夢の力で変化とかも出来ますね」

 

 

神綺「大事なのは創造力♪」

 

 

紫「ゆかりん魔法少女だからスキマからは人を幸せにする魔法しか出ない♪」

 

 

魅魔「一人だけすげぇ嘘つきがいるんだが」

 

 

紫「誰っ!? ゆかりんが成敗して」

 

 

魅魔「確信犯じゃないか」

 

 

菫子「…配り終わりましたよ」

 

 

紫「ふっふっふ、さぁて始めましょうか」

 

 

サリエル「本当の七並べを見せてあげるわ……」

 

 

エリス「キャハッ☆ 偽物の七並べを見てみたい件☆」

 

 

サリエル「……エリス、左手の親指の爪から壊死させるわよ……?」

 

 

エリス「ちょっ、シャレにならねぇ☆」

 

 

魅魔「地味に痛いことすんなよ」

 

 

ドレミー「何でちょっとキレてんですか」

 

 

神綺「あ~♪ さっちゃんの怒りんぼさん♪」

 

 

サリエル「……神綺……右手のひ」

 

 

神綺「ストーップ!」

 

 

紫「言わせなかったからセーフ!」

 

 

サリエル「……チッ…」

 

 

魅魔「舌打ちすんな」

 

 

菫子(か、会話の輪に入れない…!)

 

 

魅魔「おし、さっさと始めるぞ」

 

 

神綺「七並べなら負けないもん!」

 

 

サリエル「……フラグ?」

 

 

エリス「フラグだね~☆」

 

 

神綺「違うよぉ!」

 

 

魅魔「あっはっは! 笑える♪」

 

 

紫「超笑える♪」

 

 

神綺「ふぇぇ~!」

 

 

菫子(れ、霊夢さん助けて~!!)

 

 

 

 

 

 

 そのころ…幻想郷

 

 

【紅魔館、キッチン】

 

 

紅美鈴「ほっ! よっ! はっ!」

 

 

橙「わぁ♪ 美鈴さん凄いです♪」キラキラ

 

 

美鈴「ふっふっふ…! このぐらいちょちょいのちょいですよ」

 

 

藍(ふむ、供物の中に何故紅美鈴の麻婆豆腐なのかと首を傾げていたが中華鍋を操る技量、そして味付け…素人の腕ではないな)

 

 

藍「料理の心得があったんだな、驚いたよ」

 

 

美鈴「あはは、よく言われますね」

 

 

美鈴「今では咲夜さんが家事全般とを担当してますが、昔は私がやっていたんですよ」

 

 

藍「? 一人でか?」

 

 

美鈴「まさか、私一人ではこの館を掃除できませんよ、掃除は妖精メイドたちに…やってたのは料理の方です」

 

 

レミリア・スカーレット「中でも中華料理においては美鈴の右に出るものはいなかったわね、悪いけど中華料理の味を比べたら咲夜のより美鈴の方が美味しいのよね、紫が目を付ける気持ちも分かるわ」

 

 

藍「…居たのか」

 

 

レミリア「居たわよ」

 

 

美鈴「お、お嬢様!」

 

 

レミリア「ふふん、キッチンから良い匂いがして立ち寄ったらあなたがキッチンに立っていた、その姿を見るのは久し振りだから見に来てあげたわよ」

 

 

橙「見に来る気持ちも分かります! 美鈴さんの料理の匂いを嗅いだらお腹が空いちゃいますもんね」

 

 

レミリア「そうそう♪ 少食の私と言えど美鈴の中華料理なら何皿でも…」

 

 

藍「いけるのか?」

 

 

レミリア「……ごめん、一皿は無理」

 

 

美鈴「無理しないでくださいよ?」

 

 

レミリア「食には敬意を払うものよ、それに作った側の気持ちも考えたら残さずにはいられないじゃない、例え量が多くて食べられなくてもよ」

 

 

藍、橙(律儀だなぁ)

 

 

美鈴「そう言っていただけると嬉しいです!」

 

 

レミリア「咲夜には毎日のように言ってるわ」

 

 

レミリア「あぁ、なんか本当にお腹が空いてきたわね… ! そうか、もうお昼時なのね」

 

 

レミリア「美鈴、今日のお昼はあなたが作ってくれるかしら、紫の分を作り終わったらでいいからさ」

 

 

美鈴「はい! わかりました!」

 

 

レミリア「あなたたちも食べていく? お昼まだなんでしょ」

 

 

橙「…あ、はい」グゥー

 

 

藍「んっ…そうだが、良いのか?」

 

 

レミリア「良いのよ良いのよ♪ 食卓は大勢で囲んだ方が楽しいしね♪」

 

 

パチュリー・ノーレッジ「懐が深いわね、またカリスマが上がったみたいよ」

 

 

レミリア「ふははは♪ その通りよ! この懐の深さこそがカリスマの証っ…!」

 

 

パチュリー「まぁ上がるカリスマがあなたにあるのかは分からないけどね」

 

 

レミリア「また意地悪したわねパチェー!」

 

 

パチュリー「ふふふっ…♪」

 

 

橙「藍様、どうしましょう」

 

 

藍「ふふっ、ここは館の主の言うことを聞いておこうか」

 

 

橙「はい、藍様!」

 

 

美鈴(これは期待されてますねぇ、張り切って腕を振るわなくてはいけませんね♪)

 

 

レミリア「食べてくのね、なら咲夜たちも呼ばないと」

 

 

パチュリー「そう言うと思ったからここに来る前に妹様とこあに呼びに行かせておいたの、探知結界って本当に便利」

 

 

レミリア「流石ね、パチェ」

 

 

パチュリー「魔法使いに不可能は無いのよ、レミィ」

 

 

 

 

 

 

 

【紅魔館、門前】

 

 

十六夜咲夜「…」

 

 

咲夜(料理のために門番代わってあげたけど)

 

 

咲夜(暇…)

 

 

咲夜(……良い天気ね……)

 

 

咲夜(……)

 

 

咲夜(…)

 

 

咲夜(…zzZ)カクン

 

 

咲夜(! はっ!?)

 

 

咲夜(…い、いや…/// ね、寝てない、寝てないから)

 

 

咲夜(美鈴じゃあるまいし…/// こんなところ誰かに見られたら恥ずかし…!)チラッ

 

 

小悪魔(こあ)「…」ジーッ

 

 

フランドール・スカーレット「…」ジーッ

 

 

咲夜「…!?」

 

 

フラン「咲夜首がカクンってなってたね」

 

 

こあ「咲夜さん寝てましたね」

 

 

フラン「咲夜も油断してると寝ちゃうんだね♪」

 

 

こあ「咲夜さん可愛いですね!」

 

 

咲夜(うわぁぁ…! 見られたぁぁ…!)orz

 

 

 

 こうして供物の一つである麻婆豆腐を手に入れ、紅魔館の面々と中華料理を満喫した藍と橙なのでした

 

 

 

 

 

 

 

 そしてまた夢の世界

 

 

【夢の世界】

 

 

魅魔「…おい」

 

 

紫「うん?」

 

 

菫子「どうしたんですか?」

 

 

魅魔「さっきからダイヤの6出さないで止めてる奴は誰だ」

 

 

サ、エ、ド、神、紫、菫「…」

 

 

サリエル「神綺……」

 

 

神綺「違うよ!? 私じゃないよ!?」

 

 

紫「じゃあドレミー」

 

 

ドレミー「じゃあってなんですか、じゃあ紫さんですね」

 

 

エリス「まさかの菫子ちゃん☆」

 

 

菫子「ち、違いますよ!」

 

 

魅魔「…」

 

 

魅魔「!」

 

 

 スッ...!

 

 

全員「!」

 

 

エリス「…キャハッ☆」

 

 

魅魔「お前じゃないか!!」

 

 

紫「よくもまぁ黙ってたものね」

 

 

ドレミー「流石悪魔ですね」

 

 

エリス「だってぇ、なんかダイヤって出したくないんだもん☆」

 

 

菫子「出したくない?」

 

 

エリス「ほらぁ、ダイヤと星って似てるから☆」

 

 

魅魔「似てないだろ」

 

 

ドレミー「似てませんね」

 

 

紫「似てないわね」

 

 

菫子「似てないと思います」

 

 

神綺「に…てるかもしれないよ? ほらここの出っ張りとか」

 

 

魅魔「いいよ無理矢理答え探さなくて」

 

 

サリエル「……似てるわよ」

 

 

エリス「さっすがサリエルさん、話がわかるぅ☆」

 

 

魅魔「自分の付き人だからって庇うなよ」

 

 

サリエル「……庇ってなんてないわ…何故ならエリスは私の付き人だから私が守るのは当然……」

 

 

魅魔「…そういうのを庇ってるって言うんだろ?」

 

 

サリエル「……そうよ」

 

 

魅魔「おいこいつぶっとばしていいか?」

 

 

紫「落ち着きなさい魅魔」

 

 

エリス「キャハハッ☆」

 

 

魅魔「笑うとこじゃないからな?」

 

 

ドレミー「サリエルさんをぶっとばしたら壊死しますよ?」

 

 

神綺「ぼ、暴力はダメだよ?」

 

 

魅魔「…本当お前が一番厄介だよサリエル」

 

 

サリエル「……クフフ♪」

 

 

菫子「フフッ… !!?」

 

 

菫子(な、なんか馴染んできている私がいる…!?)

 

 

 

 

 

 またまた幻想郷

 

 

 【太陽の畑】

 

 

 風見幽香は太陽の畑に二階建てのログハウスを構え、暮らしている

 

 ログハウスの二階からは太陽の畑が一望できるテラスがあり、そこで洒落た木の椅子に座り、紅茶を飲みながら寛ぐ幽香の姿を目撃したという報告は後を絶たない、そしてその傍らには金髪の幼い少女が笑顔で寄り添っているという報告もだ

 

 

 

藍「そこをなんとかお願いできないだろうか」

 

 

風見幽香「嫌よ」

 

 

橙「お、お願いします!」

 

 

幽香「…嫌だと言っているでしょう?」

 

 

幽香「何故私があのスキマ野郎の為に私の菜種油を渡してやらなきゃならないのよ」

 

 

幽香「おまけにふきのとうを天ぷらにして? はっ…冗談はスキマ野郎の顔だけにするのね」

 

 

メディスン・メランコリー「そうだそうだー! 厚化粧のクソババア!」

 

 

橙「ゆ、紫様は化粧なんてしないよ!」

 

 

メディ「えっ、してないであの顔なの?」

 

 

橙「そうだよ?」

 

 

メディ「…ねぇ幽香、ババアってもしかして美人なのかな?」

 

 

幽香「やめなさいメディ、どうせスキマでいじって整形かなんかしてるのよ」

 

 

メディ「あっ! そうか! なら偽物の顔じゃない!」

 

 

橙「そんなこと紫様はしないよ!」

 

 

藍(私の口からはなんとも言えないのが辛いところだな…)

 

 

幽香「ともかく…諦めることね」

 

 

幽香「良い機会じゃない、供物を捧げなければアイツは目覚めない、目覚めなければアイツが何かをやらかすこともなくなる、あなたたちの負担も減る」

 

 

幽香「前の天邪鬼のノートの事件、忘れたとは言わせないわよ?」

 

 

藍「そ、それは…」

 

 

橙「うっ…」

 

 

メディ「…」

 

 

幽香「分かったら帰りなさい」

 

 

メディ「…ねぇ幽香、なんか可哀想じゃない?」

 

 

幽香「八雲紫が関わってるのなら話は別よ、これだけは譲れないわね」

 

 

メディ「…」

 

 

橙「…」

 

 

橙「た、確かに紫様は突然常人を超えた摩訶不思議なことをやってしまうかもしれませんが」

 

 

橙「私は紫様がお目覚めになるのを楽しみにしているんです、紫様はとっても優しいお方だから…毎日側にいたいんです!」

 

 

幽香「毎日? 無理ね、一日の半分を眠りに費やし、挙げ句やりたい放題のアイツの側に毎日なんて無理よ、それに冬眠で二ヶ月は眠りこけている」

 

 

橙「だからこそ! お目覚めになった紫様が寂しくない様にできる限り毎日お側にいてあげたいんです!」

 

 

幽香「……」

 

 

藍「橙…」

 

 

 ピンポーン!

 

 

メディ「! あっ、私出るよ」

 

 

藍、橙「…」

 

 

幽香「…こればっかりは諦めなさい、私がアイツの為に何かをしてやるなんてあり得な」

 

 

メディ「幽香幽香! お客さんだよ♪」

 

 

幽香「…? !」

 

 

アリス・マーガトロイド「こんにちは幽香…ってあら、藍と橙じゃない」

 

 

藍「アリス…」

 

 

橙「アリスさん…」

 

 

幽香「……何しに来たのかしら」

 

 

アリス「遊びに来たのよ、でも…」

 

 

アリス「この雰囲気…なんかもめてたりした?」

 

 

幽香「別に何も」

 

 

メディ「ねぇ聞いてよアリス、実はね?」

 

 

幽香「ちょっ…メデ」

 

 

アリス「あら何かしら、気になるわね♪」

 

 

メディ「実はさぁ…♪」

 

 

 ヒソヒソヒソヒソ

 

 

幽香「…! はぁ…」

 

 

藍(幽香に喋らせない様に間髪入れずに会話を…)

 

 

 

 

 

 【メディ、説明中…】

 

 

アリス「なるほどね、あなたたちも大変ね」

 

 

藍「まぁ、な」

 

 

アリス「この状況、虎穴に入らずんば虎子を得ずだもんね」

 

 

幽香「誰が虎よ」

 

 

アリス「あなたの事を虎だなんて言って無いでしょ、そんなことより幽香、少しキッチン借りるわね」

 

 

幽香「…まぁ、別に好きにしなさい」

 

 

アリス「えぇ♪ じゃあ好きにさせてもらうわね♪」

 

 

幽香「……!?」

 

 

アリス「幽香、私の荷物の中にメディスンの新しい服とあなたにあげようと思って持ってきた洋菓子とバゲットが入ってるから見てみてくれるかしら?」

 

 

メディ「お♪ やったわ♪ 新しい服♪」

 

 

アリス「気に入ってくれると良いんだけど、あぁ幽香、それと交換で菜種油とふきのとう貰うわね♪」

 

 

藍、橙「!!」

 

 

幽香「! アリス…! さっきから何を勝手に…!」

 

 

メディ「ダーメ♪」

 

 

幽香「! ど、退きなさいメディ!」

 

 

メディ「ダメだよアリスの邪魔したら、それに今の商談成立って言うんでしょ? 幽香受け取っちゃったんだからさ、ね?」

 

 

幽香「ね? じゃないわよメディ、いいから退きなさい」

 

 

アリス(駄目押しね)

 

 

アリス「上海、蓬莱」クイックイッ

 

 

上海「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱「ホラーイ♪」

 

 

幽香「!? こ、こらっ…! は、離れろっ…!」

 

 

藍「お、おいアリス」

 

 

橙「アリスさん!」

 

 

アリス「幽香の菜種油とふきのとうを使えとは言われてるけど『幽香が作った』とは言われてないんでしょ? だったら私が作っても同じよね?」

 

 

アリス「前のクイズ大会のお礼よ♪ 結構楽しかったもん♪」

 

 

藍「!」

 

 

橙(…? クイズ?)

 

 

 

 

幽香「くっ…メディ退きなさい! コイツらも引き剥がしなさい」

 

 

メディ「そんな可哀想なこと出来なーい♪」

 

 

上海「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱「ホラーイ♪」

 

 

 

 

アリス「よし、準備出来たわ、後は揚げるだけね」

 

 

藍「相変わらず手際が良いな」

 

 

橙「流石アリスさんです」

 

 

アリス「そりゃあ伊達に花嫁修業してないからね、あっ! でも魔理沙が望むなら私は婿になっても…うふふふふっ♪」

 

 

藍「おい、大丈夫か?」

 

 

アリス「はっ!? だ、大丈夫大丈夫…あははは…」

 

 

 

 

 

アリス「ここなら大きな声を出さなければ私たちの声は聞こえないわね、揚げてる間少し暇だから少し面白いこと教えてあげるわ、でもあんまり詮索しないでね? それから他言無用よ」

 

 

藍、橙「?」

 

 

アリス「幽香の弱点その一『人形を破壊できない』その二『自分が心を許してる相手には本気で攻撃するとき以外は無意識に手加減する癖がある』その三『家族には絶対に手を下さないけど軽度のお仕置きはする』」

 

 

藍、橙「えっ…?」

 

 

アリス「二は最近私が発見したの、一と三は…ふふっもう見れば分かるかしら?」

 

 

 

幽香「…はぁ……分かった…分かったわよメディ、もう止めないわよ」

 

 

メディ「やったー♪ 私たちの勝ちー♪」

 

 

上海「シャンッ…ハーイ!」

 

 

蓬莱「ホラーイ!」

 

 

幽香「…アリス、後片付けはちゃんとしておきなさいよ」

 

 

 

アリス「! 分かってるわ、キッチン貸してくれてありがとね幽香」

 

 

 

幽香「フン……」

 

 

 

 

橙「…幽香さんはメディちゃんの事を家族だと思っているってことですか?」

 

 

アリス「こーら、詮索はしない約束よ」

 

 

橙「あっ! ご、ごめんなさい」

 

 

藍「…」

 

 

藍(紫様は幽香をどう思っているんだろうか…出会えば小言の言い合いしかしない二人だが…)

 

 

藍「アリス、私の間違いでなければ聞き流してくれて構わないんだが」

 

 

アリス「?」

 

 

藍「幽香は紫様の事を嫌いではないのか?」

 

 

アリス「……私から言えることは」

 

 

アリス「幽香は『紫の事が嫌い』なんじゃなくて『気に入らない』のよ」

 

 

藍「! そうか…!」

 

 

アリス「えぇ♪」

 

 

藍(気に入らない…嫌いと似ているが幽香にとっては大きな違いなのだろう、紫様はこれをご存知なのだろうか)

 

 

 

 

メディ「わぁ、可愛い服♪」

 

 

幽香「…来なさいメディ、着せてあげるわ」

 

 

メディ「うん♪」

 

 

幽香「…♪」

 

 

上海、蓬莱「! ~♪~♪」

 

 

 

 

藍(…ふっ、それこそ余計な詮索、か)

 

 

 

 こうして藍と橙はアリスの助けもあり、幽香の作った菜種油で揚げたふきのとうの天ぷらを手に入れた

 

 

 

 

 

 そしてその頃、摩訶不思議な夢の世界

 

 

 

【夢の世界】

 

 

 トランプゲームを満喫した紫たちは少し遅めのお昼を食べていた

 

 

 

神綺「おいし~♪ このヨーグルトのお菓子私好き♪」

 

 

紫「でしょ? 手作りには負けるけど中々の美味しさなのよね♪」

 

 

魅魔「またドサドサとスキマからお菓子出したがこれ幻想郷の外の世界のもんだろ?」

 

 

紫「そうよ」

 

 

魅魔「怪奇現象だろ、いきなり店から商品消えたら」

 

 

紫「失礼ね、ちゃんとお代は払ってるわよ!」

 

 

魅魔「スキマでだろ? 充分怪奇現象じゃないか」

 

 

紫「良いじゃない別に、それにゆかりんが直々に買いに行ったら店員さんがゆかりんのあまりの美貌に気絶しちゃうからお買い物どころじゃないもん♪」

 

 

魅魔「おぇっ…」

 

 

紫「失礼しちゃうわね魅魔ぁ!」

 

 

エリス「うまっ☆ この星形のチョコうまっ☆ でもこの箱に書いてあるこのへんちくりんのピンク色の恐竜の絵はなんなんだろ、チョーうける☆」

 

 

サリエル「……プリン…」パクッ

 

 

サリエル「……美味い…クフフ♪……」

 

 

菫子(これ近所のコンビニにあるやつだ…てかサリエルさんが食べてるプリン、あれだけ高級プリンじゃん…そりゃあ美味いよ)

 

 

ドレミー「ケーキ美味しいです♪」

 

 

神綺「ドレちゃんはケーキみたいにぽわぽわしてるもんね♪」

 

 

ドレミー「私以上にぽわぽわしてる人に言われたくないんですけど」

 

 

神綺「わ、私そんなにぽわぽわしてないよ?」

 

 

魅魔「ぽわぽわの塊だろお前は」

 

 

紫「ぽわぽわしてないとしんちゃんっぽくないもんね」

 

 

サリエル「ぽわぽわしてない神綺などいない……」

 

 

エリス「してないって言い張ってるなら偽物かなっ☆」

 

 

神綺「わ、私は本物だよ!」

 

 

魅魔「だろうなぁ、好き好んでお前のマネなんてしたくないもんなぁ」

 

 

神綺「魅魔ちゃんさっきから酷いよ!?」

 

 

魅魔「んふふふ♪」

 

 

菫子「ふふっ…!」

 

 

神綺「!」

 

 

菫子「…! あっ…ご、ごめんなさい! 笑ってしまって」

 

 

神綺「ううん良いの、それよりも菫子ちゃんやっと笑ってくれたね♪」

 

 

菫子「えっ…?」

 

 

エリス「なーんだ☆ 笑えんじゃん☆」

 

 

サリエル「……笑いの感情が死んでるのかと思ってたわ…」

 

 

魅魔「そんな人間いるわけないだろ」

 

 

ドレミー「もしかしてずっと緊張されてたんですか?」

 

 

菫子「はい…実は…」

 

 

菫子「死の天使とか悪霊さんとか創造神とか…そんな人たちと初めて会ったので少し…」

 

 

ドレミー「紫さんがざっくり説明し過ぎなのがいけないんですよ」

 

 

魅魔「お前、私たちの事なんて説明したんだよ」

 

 

紫「名前と職業と種族をざっくりと」

 

 

魅魔「ちゃんと説明してやれよ、性格とか能力とか色々あんだろうが」

 

 

神綺「ゆかりんがちゃんと説明してたかと思ってたよ~」

 

 

紫「むぅ…分かるかと思ったのに」

 

 

魅魔「わかんねぇよお前じゃないんだから」

 

 

紫「ん~、じゃ改めて菫子に自己紹介でもしますか、お菓子でも食べながらね」

 

 

エリス「良いね☆ 菫子ちゃんもそれでいい?」

 

 

菫子「は、はい!」

 

 

 

 

 

ドレミー「では、私から…この夢の世界を管理している獏の妖怪、ドレミー・スイートです『夢を喰い、夢を創る程度の能力』を持ってます」

 

 

ドレミー「夢の世界の秩序を守るため、私は夢を悪用されないように監視しているのです」

 

 

菫子「夢…」

 

 

サリエル「夢を上手く扱う事が出来れば何でも出来てしまう……そういう輩が秩序を乱さないよう監視しているのよ……」

 

 

エリス「誰にでも出来る仕事じゃねえぞ☆」

 

 

菫子(夢か…他人事じゃないわよね…)

 

 

 

 

 

 

紫「ゆかりんは永遠の十七歳♪ 今日も幻想郷の管理人としてバリバリ働く霊夢が大好きな普通の女の子よ♪ てへっ♪」

 

 

菫子「……」

 

 

魅魔「あぁ気にしなくていいぞ、こいつの言動の八割は全部適当だからな」

 

 

神綺「えっ!?」

 

 

紫「魅魔ちゃんドイヒー」

 

 

魅魔「真実だろ、てか何でお前驚いてんだ」

 

 

菫子「霊夢さんから紫さんのことは良く聞きます、いきなり出てきてテンション高くてめんどくさくて場をわきまえなくてとってもウザいけど退屈はしないやつだって」

 

 

紫「いやぁん♪ 霊夢ったら…そりゃあもう退屈なんてさせてあげませんとも♪」

 

 

魅魔「前半ボロクソに…いや、やめとくか」

 

 

 

 

 

 

神綺「私は神綺っていうの♪ 魔界で創造神をやってます♪ パンデモニウムってところに館を構えてそこに住んでます♪ 能力は…えっと…『創造して実現する程度の能力』…だよね?」

 

 

紫「私の見た感じではそうよ、しんちゃん」

 

 

神綺「とっても可愛くて綺麗で美人な自慢の娘が六人いるの♪ 仲良くしてね♪」

 

 

菫子「能力も凄いですけど娘が六人ですか!?」

 

 

神綺「そうなの♪ サラちゃんルイズちゃん、マイちゃんユキちゃん夢子ちゃん! そして…アリスちゃん♪」

 

 

菫子(創造神だから創ったのかな? それとも…あ、でも神は無機物からも…いや、これはやめておこう)

 

 

菫子「アリスさんとは会ったことがあります、霊夢さんのところとか人里によく来るので」

 

 

神綺「! そうなの!? アリスちゃん私の事なんか言ってなかった!?」

 

 

菫子「…いえ、特には」

 

 

神綺「ガ~ン…はうぅ…」ショボーン

 

 

魅魔「素で口からガーンって言うやつお前ぐらいだよな」

 

 

紫「アリスはしんちゃんに対してもっと親孝行した方が良いと思うのよねぇ」

 

 

 

 

 

 

エリス「私はエリス、魔界で飛び回ってイタズラしながら遊んでた悪魔だよ☆ 今はサリエルさんの付き人やってるけどね☆ 『星の力を借りる程度の能力』かな? よろしくー☆」

 

 

神綺「エリスちゃんは魔界一番のイタズラっ子なのよね♪」

 

 

菫子「えっと…エリスさんは」

 

 

エリス「ちょっとちょっと☆ エリスで良いって菫子ちゃん☆」

 

 

サリエル「…遠慮することはないわ……」

 

 

菫子「では…エリス、エリスは何でサリエルさんの付き人に?」

 

 

エリス「ん~それ聞いちゃう? んとね、別にずっとイタズラの毎日でも良かったんだけどさ」

 

 

エリス「飽きてきちゃったんだよね、だからそろそろ私も落ち着きたかったの」

 

 

菫子「落ち着きたかった?」

 

 

エリス「そそ、私より強い人の下でさ、その人の事ずっと支えてやんの、そういうの昔から憧れてたんだよね」

 

 

エリス「んで私の条件に合いそうな人探してたら魔界の端っこにいたサリエルさんと偶然出会って、今に至る訳☆」

 

 

菫子「そうなんだ、偶然っていうか運命的な出会いってやつだったのね」

 

 

エリス「キャハハ☆ そーとも言うかもね~☆」

 

 

サリエル「……」

 

 

魅魔「…ふっ、嬉しそうだな?」

 

 

サリエル「…そう見えてしまったのならあなたの左足の中指の爪から壊死させるわよ…」

 

 

魅魔「照れ隠しでいちいち恐いこと言うな」

 

 

 

 

 

 

サリエル「サリエルよ…魔界の端っこに位置する靈異殿の主…能力は『生と死の狭間を操る程度の能力』…なの? 紫…?」

 

 

紫「サリエルの能力はそうね、私の親友の能力に似ている…かしら、でも幽々子は一瞬で死に追いやるけどサリエルのは毒の様な感じでジワジワいくタイプね、生も操るから生き返らすって芸当も出来なくはないのよね」

 

 

菫子(だから壊死させるとか言ってたのね、それに生すらも…あの大天使サリエルが実在していただけでも驚きなのにね)

 

 

神綺「サリエルちゃんのお家は私のお家からは結構離れているのよね、後私のお家並みに家族が多いの」

 

 

サリエル「…エリスに…家事担当のキクリ…警備のマガン…門番の兄妹、神玉…それから今はいないけど…コンガラ…」

 

 

魅魔(あいつ家事担当だったのか…)

 

 

エリス「コンガラさんは武者修行の旅に出てるんだよね☆」

 

 

紫「魔界でサリエルとサシで殺り合える人はしんちゃん、コンガラ…あ、夢子ちゃんもいけるかな?」

 

 

魅魔「夢子か…あいつも結構強いよな」

 

 

菫子(魔界の人たちは想像の遥か上をいくわね…)

 

 

 

 

 

 

魅魔「名前は魅魔、まぁ見ての通り霊だ、能力は『あらゆるものに取り憑く程度の能力』、能力の他にも魔法を幾つか使える」

 

 

紫「悪霊だけどねぇ」

 

 

魅魔「昔…博麗神社に取り憑いてちょっと悪さしてたな、あー…趣味は旅行だ、色んなところを見て回るのが好きでな」

 

 

紫「ちょっとどころじゃなかったんですけど?」

 

 

魅魔「いちいち水指すなよ」

 

 

紫「取り憑いて三代目博麗の巫女を操ろうとしたくせに! 私まだあの事根に持ってるんだからね!」

 

 

魅魔「もういいだろ!? お前らに見つかってこてんぱんにされたし謝ったじゃないか!」

 

 

エリス「ポルターガイスト魅魔さんってか☆」

 

 

魅魔「うっせぇ」

 

 

菫子(三代目って…何百年前の話なのかな)

 

 

神綺「旅行は最近外の世界が主流なんでしょ?」

 

 

魅魔「ああ、あ…そういや岩山に囲まれたでけぇ滝がある観光スポットでルイズに会ったぞ」

 

 

神綺「えっ!? 本当!? はぁ~、ルイズちゃんも最近帰ってきてくれないのよね…」

 

 

魅魔「便りが無いのは良い便りなんだろ? アイツも旅行好きだしな」

 

 

神綺「でも寂しぃ~…」

 

 

紫「そんな魅魔なんだけどね? これでもあの魔理沙のお師匠さんなのよねぇ♪」

 

 

菫子「へぇ~……えっ……? ええぇ!!?」

 

 

魅魔「おい! 余計なこと言うな!」

 

 

紫「事実じゃない」

 

 

魅魔「じじ…! いや事実じゃないだろ、魔理沙は私の事を覚えてないんだろ!?」

 

 

紫「でもあなたから貰った本を今でもとても大事そうにしてるのはなぜかしらねぇ?」

 

 

魅魔「! ……」

 

 

サリエル「…頭が覚えていなくても心と体は覚えているものよ…」

 

 

エリス「良いね♪ そういう話は好きだよ☆」

 

 

ドレミー「たまに魅魔さんの夢を魔理沙さん見てるみたいですよ? ただ魅魔さんが出ていても黒いモヤが顔にかかっているせいで顔は確認出来ないみたいですけどね」

 

 

神綺「魅魔ちゃんと魔理沙ちゃんの絆ね♪」

 

 

魅魔「……」

 

 

菫子「ちょっ、ちょっと待ってください! 魅魔さんが魔理沙さんの師匠!?」

 

 

紫「えぇ、まぁ形だけ…だけどね」

 

 

菫子「形だけ……あの、魅魔さん」

 

 

菫子「良かったら話してくれませんか? 凄い気になっちゃって…」

 

 

魅魔「…」

 

 

紫「…話してあげなさいよ、菫子は口が固い子らしいし、魔理沙の友達なんだからさ」

 

 

魅魔「……」

 

 

魅魔「他言しないと約束してくれ、お前らもだぞ?」

 

 

エリス「りょーかい☆」

 

 

菫子「! はい」

 

 

 

 

 

 

 

魅魔「十年ぐらい前になるか…旅行から幻想郷に帰ってきて体を見えなくして人里を散歩してたら急に私の目の前に箒を握り締めた小さい人間のガキが飛び出してきてな」

 

 

 おいこのあくりょうやろー! このわたしがせーばいしてくれる!

 

 

魅魔「てなこと言いながら私に向かってブンブン箒をブンまわしてきやがってな」

 

 

 く、くそー! 何であたらないんだよー

 

 

魅魔「そりゃ当たるわけないよな、悪霊なんだから実体を無くすなんて容易だし、姿消してるしな」

 

 

 こんのくそババアめ!

 

 

魅魔「…これには流石の私もカチンとしちゃってな、そのガキに電撃落としてやったんだよ」

 

 

 ぎにゃあああぁぁぁ!!

 

 

魅魔「見事に決まった、黒こげにしてやったよ…まぁ手加減はしたけどな、悪ガキには丁度良い仕置きだ」

 

 

 うぐぅ…

 

 

魅魔「私はガキが気を失ったのを見届けてからその場を立ち去ったんだ…んで次の日、また人里を散歩してたらな?」

 

 

 おいこのあくりょうやろー!

 

 

魅魔「また出やがったんだよ、同じ場所で同じ台詞で箒を握り締めた悪ガキが」

 

 

 うぉりゃあー!!

 

 

魅魔「あぁまたか、また箒をブンまわしてくんのかコイツ、私には効かないってのを学習しないのかこのガキは」

 

 

魅魔「なんて思ってたんだがな…そのガキ、私の予想を遥かに越える行動をしやがったんだ」

 

 

 とぅ!

 

 

魅魔「何しやがったと思う?」

 

 

 わたしをでしにしてくれ!

 

 

魅魔「華麗なジャンピング土下座を決めたあと『私を弟子にしてくれ』って言ったんだ」

 

 

 あくりょうのおねーさんみたいなすげぇまほーつかいになりたいんだ!

 

 

魅魔「あぁ、コイツはすげぇと思ったね」

 

 

魅魔「最初から凄かったんだよ、姿を消していたのに私の姿を視認出来、私の実力をこのガキは肌で感じ取り、そしてこの私に弟子入りを申し出たんだ…悪霊であるこの私に弟子入りなんてな…私自身、初めての事だったから少し嬉しさがあったんだと思う」

 

 

魅魔「だから私は人目の付かないところでみっちり一ヶ月の間修行をつけてやった」

 

 

魅魔「ガキの成長は目覚ましかったよ、始めて三日で集中するって技術は身に付けたし、十日で魔法玉を放てる様になったし、二十日で密度の小さなレーザーを撃てる様になった」

 

 

魅魔「だがいつまでも悪霊であるこの私と一緒にいるわけにはいかなかったんだ…あの伝説の悪霊、魅魔と一緒にいるなんて知れたらガキにまで退治のお触れが出るんじゃないかと思ってな…基本、ガキの親が黙ってないだろうし」

 

 

魅魔「十年前の幻想郷は今の何倍も治安が悪かったからな、私はそんなもん気にしないがこのガキには罪はない」

 

 

魅魔「だから修行開始からちょうど一ヶ月目の朝…そのガキと別れる事にした」

 

 

 

 「な、なんでだよ! もうしゅぎょうはおわりなのかよ!」

 

 

 「あぁ、お前にはもう私から教える事は何にもないからな、ここでさよならだ」

 

 

 「ま、まだいっかげつだぞ!」

 

 

 「充分だろ、お前には魔法の才能がある、その気になりゃあ夢の魔法使いにだってなれるさ」

 

 

 「ほ、ほんとうか!?」

 

 

 「あぁ、基礎は教えてやった、んでお前は覚えた、だから後は自分の好きなように学べ、魔法ってのは自分のスタイルにあった学び方があるんだ、自分を知ってもっと強くなれ」

 

 

 「じぶんを、しる…」

 

 

 「…まぁもし、もしもだぞ? もしも自分のやり方が分からなくなったらこの本を読め」

 

 

 「ほん…? うわぁ、なんだよこれ、よめないじばっかりだ」

 

 

 「お前みたいなガキにはまだ早いからな…それは私が旅しながら書いた自作の魔導書だ、無くすんじゃないぞ?」

 

 

 「! うん、わかった!」

 

 

 「…それじゃあな、またいつか…」

 

 

 「! ま、まって!」

 

 

 「?」

 

 

 「し、ししょー! ま…またあえるか?」

 

 

 「! ……」ニコッ

 

 

 「そういやまだ聞いてなかったな、お前名前は?」

 

 

 「! ま、まりさ! きりさめまりさ!」

 

 

 「魔理沙、か…よし魔理沙、その本の最後のページ開いてみろ」

 

 

 「うん! …うわっ、またよめないや」

 

 

 「この最後のページには私の最強の魔法の名前とやり方が書いてある」

 

 

 「!」

 

 

 「いつか…いつかお前がこの魔法を使えるようになったら…この魔法を自在に扱えるような大魔法使いになれたら」

 

 

 「会いに来てやるよ、魔理沙のところにな」

 

 

 「! うんっ!」

 

 

 「いいか? これで最後だ、お別れ前に見せといてやるからしっかりと目に焼き付けろよ?」

 

 

 「おう!」

 

 

 「ふっ、いくぞっ!」

 

 

 

 

 「マスター……!! スパーク!!」

 

 

 

 

 

 

 

菫子「…」

 

 

魅魔「…その後で別れた、んで現在に至る訳だ」

 

 

紫「その後私に『魔理沙って面白いガキがいる』って言いに来たのよねぇ、あれは何故?」

 

 

魅魔「…別に」

 

 

紫「別になんてことないでしょう? あなたなりに私に魔理沙を気にかけてやってくれっていう魔理沙に対しての愛情表現に見えたけど?」

 

 

魅魔「…分かってんだったらいちいち口に出すんじゃないよ、お前の悪いとこだ」

 

 

紫「あなたの悪いとこはそうやって自分の気持ちを素直に口に出して言わないとこね」

 

 

魅魔「どの口が言うんだよ」

 

 

紫「ふふっ、お互い様ね♪」

 

 

魅魔「ったく…そういう事にしておいてやるよ」

 

 

魅魔「…あ~、んまあこんなとこだ、悪かったな、面白話でもなんでもないからシラケちまった」

 

 

神綺「そんなことないよぉ!!」ドバッ

 

 

魅魔「うおっ!?」

 

 

神綺「びばちゃんどまびばちゃんの…! グスッ! ヒグッ! 二人のおばびゃびびばがんぼうびだびょう!!」ボロボロ

 

 

魅魔「ボロ泣きだぁ!? てか何言ってるか分かんないし鼻拭け汚ないから!」

 

 

サリエル「…涙は出ないけど、胸の辺りが熱くなるのを感じるわ…」

 

 

エリス「所々自己主張と自慢があったけど良い話だったぞ☆」

 

 

魅魔「自慢なんかしてねぇよ!」

 

 

ドレミー「ほぅ、そんな過去があったんですねぇ」

 

 

菫子「あ、あの魅魔さん!」

 

 

菫子「魔理沙さんはマスタースパークを使えてます! 条件を満たしているんですから会ってあげてもいいんじゃないですか?」

 

 

魅魔「……」

 

 

紫「…まだまだだそうよ」

 

 

菫子「えっ?」

 

 

紫「まだまだ最高のマスタースパークになってないから会うのはまだダメ、なんでしょ?」

 

 

魅魔「あぁそうだ、私は手から撃てるが魔理沙は八卦炉とかいう道具を使ってんだろ? だからまだダメだ」

 

 

紫「まぁ私からしてみれば? 十年経って顔も覚えてない自分の弟子にどうやって声を掛けていいか分からない恥ずかしがりやの言い訳にしか聞こえないけどねぇ♪」

 

 

魅魔「んな訳あるかぁ!」

 

 

紫「えぇ~違うのぉ~?」

 

 

魅魔「お前月までぶっ飛ばすぞ!?」

 

 

紫「それだけは勘弁してよ、月嫌い」

 

 

菫子「魔理沙さん…」

 

 

エリス「あれ? でも魔理沙って人間はなんで魅魔さんのこと覚えてないんだろ」

 

 

サリエル「人間の記憶力の発達は私たちに比べて遥かに劣る…十年前子供だったのなら尚更よ…例え自分の生に影響を与えた者であったとしてもね…」

 

 

エリス「そんなもんなんだね~☆ でも体と心は覚えてるらしいからそれはそれで良いのかな☆」

 

 

ドレミー「…魅魔さん、私からも質問いいですか?」

 

 

魅魔「ん? ってこらこの親バカが! いつまでも引っ付くなぁ!」

 

 

神綺「うえーん! 感動したよ~!」

 

 

ドレミー「マスタースパーク、魅魔さんのオリジナルならなんであの風見幽香さんが使えるんですか?」

 

 

魅魔「ん? あぁあいつか、あいつがまだ幻想郷在住じゃなかった頃に喧嘩して戦った事があってな」

 

 

魅魔「あいつにおみまいしてやったらよ、煙の中から平然と立ち上がってこう言いやがったんだよ」

 

 

魅魔「『へぇ…そういう使い方があるのね』って」

 

 

魅魔「あれは迂闊だったなぁ、まさか技を盗まれるとは思わなかったからな」

 

 

紫「ゆうかりんがユウカりんだった頃ね」

 

 

ドレミー「分かりにくいですよ紫さん、なるほどねぇ、だから幽香さんがマスタースパークを…」

 

 

菫子(太陽の畑に住んでるって妖怪さん? マミゾウさんから聞いたことあるわね)

 

 

紫「…会ってあげなさいよ」

 

 

魅魔「…いつか、な」

 

 

紫「魔理沙が本物の魔法使いになるかは分からない」

 

 

魅魔「それは魔理沙次第だ、他の奴が口を出すことじゃない」

 

 

紫「人間のままだったら寿命は儚いのよ?」

 

 

魅魔「……あいつが死ぬまでには会ってやるさ」

 

 

紫「……悪霊に二言は無いのね?」

 

 

魅魔「なんじゃそりゃ……あぁ、約束だ」

 

 

紫「そ…ならいいわ」

 

 

魅魔「ふっ…」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

エリス、サリエル、ドレミー、菫子、神綺「…」

 

 

エリス「仲良しだね☆」

 

 

ドレミー「三代目博麗の巫女からの知り合いですからねぇ、幽々子さんの次に仲良いいんじゃないですか」

 

 

神綺「むむ、良いなぁ…ゆかりんと魅魔ちゃん」

 

 

サリエル「…友情は概念…言葉では言い表せない不思議な感覚…」

 

 

菫子(昔はああいうの嫌いだったけど…今の私ならハッキリ言える…羨ましいってね)

 

 

魅魔「…さて? 次は菫子の番だな?」

 

 

菫子「!」

 

 

エリス「私たちにだけ喋らせといて語らせないわけねぇぞ☆」

 

 

サリエル「…まだ緊張しているのなら緊張の部分だけ削り殺してあげるわよ…」

 

 

ドレミー「器用ですね、でも怖いです」

 

 

紫「ふふっ、大丈夫よ菫子」

 

 

紫「異変の事、もう霊夢たちと話は着いてるんでしょう?」

 

 

菫子「! …はい! では…」

 

 

菫子「私は宇佐見菫子、非公認オカルトサークル秘封倶楽部の初代会長よ! 能力は『超能力を操る程度の能力』なの!」

 

 

 

 

 

 

 場所は代わってここは三途の川、彼岸の反対側、比岸

 

 

 【三途の川】

 

 

小野塚小町「米だって?」

 

 

藍「あぁ、どうやら死神界にあるという幻の米らしいのだが」

 

 

橙「小町さん、知りませんか?」

 

 

小町「なんでお前さんたちが知ってんだい…つってもあれか、相手があの八雲紫じゃあ隠すも何もないもんねぇ…」

 

 

藍「どうやら知っているようだな、小町、その米について詳しく」

 

 

小町「あげるよ」

 

 

藍、橙「えっ?」

 

 

小町「だからその米をくれてやるってのさ、あたいその米持ってるから」

 

 

小町「というか…あたいが製作者だし…」ドヨーン

 

 

藍、橙「…えっ!?」

 

 

小町「着いてきな、幻の米の正体を明かしてやろう」

 

 

 

 

小町「前に仕事のお休みがあった日にさ」

 

 

藍「お前はいつでも休みの日ではないのか?」

 

 

小町「こらこら、口を挟むんじゃないよまったく…」

 

 

小町「え~…あぁ、仕事のお休みがあった日にさ、いつものように自分の家で寝転がりながら酒かっくらってたらさ」

 

 

橙(それもいつもの事ですね…)

 

 

小町「あたいの家の戸を開ける音が聞こえたんだ、その時酔っ払ってたからあたい『誰じゃクルァ!』って意気揚々と言ってやったんだよ、そしたら…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

四季映姫・ヤマザナドゥ『誰じゃクルァ…? 随分と偉そうな物言いですねぇ…小町ぃ…?』プルプル

 

 

小町『ひゃっ!? し、四季様!?』

 

 

映姫『小町ぃ!!』

 

 

小町『きゃん!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

小町「閻魔通り越して鬼だったよありゃあ、怒りで体がぷるぷると震えてて眉間に青筋浮かべてさ、怖いのなんのって…最終的に悔悟の棒で叩かれたし…痛かったなぁあれ」

 

 

藍(容易に想像できるな)

 

 

橙「あの、何故閻魔様は小町さんの家を訪ねて来られたんですか?」

 

 

小町「重要なのはそこさ、あたいもどうして家に来たのか聞いたのさ、そしたら『貴方は休みの日でもそうやってうんたらかんたら』…やんなっちゃうよ、休みの日にまでお説教だよ? 休みの日なんだからあたいが何して過ごしてたってあたいの勝手じゃないか」

 

 

小町「んで鋼の精神でお説教を二時間くらい聞いてたんだけど最後に四季様とんでもないこと言ったんだよ」

 

 

小町「『そんなに暇なら田植えでもして精神を鍛えなさい! 田植えは良いですよ、貴方みたいなサボり癖のついてしまっている者にはうってつけです!』って言って帰っていったんだ」

 

 

小町「その時は『はぁ?』って思ってやっと終わってくれた事に感謝しつつその日を終えた、問題は次の日だったんだ」

 

 

小町「何でか知らないけどあたいの家の隣の更地が小さな田んぼになってた」

 

 

藍、橙「!?」

 

 

小町「ご丁寧に稲と田植えのやり方とかいう本まで置いてあってさ…正直引いたよ、マジでやりやがったって」

 

 

小町「まぁでもやらなかったらまたお説教だろうし暇だったからやれるだけやってみたんだよ、そしたら案外面白くてさ、はまっちゃったんだよね」

 

 

小町「秋の機嫌の良い時に秋姉妹にコツを聞いたりもしたねぇ♪」

 

 

藍「ほぅ、良かったじゃないか、暇潰しじゃなく趣味になったのだからな」

 

 

橙「…あっ、じゃあ小町さんが作ったそのお米が」

 

 

小町「ご名答、紫が欲している幻の米ってわけさね」

 

 

藍「味も美味いんだな」

 

 

小町「四季様お墨付きだからねぇ、しっかしあたいと四季様しか知らなかったのにまさか他人にあげることになるとはねぇ」

 

 

 

 

 

 

小町「よし着いた…ここがあたいの家さ」

 

 

藍「随分質素なところに住んでるんだな、木造の囲炉裏付きの和式小屋とは」

 

 

小町「雨風凌げればそれでいいさね、さて…」

 

 

小町「よっと…ほい、米俵一俵で足りるかい?」

 

 

橙「そんなに頂けるんですか?」

 

 

小町「良いよ良いよ♪ 遠慮なく貰っておくれよ」

 

 

藍「あぁ、ありがとう小町」

 

 

橙「やりましたね藍様」

 

 

藍「あぁ、これで任務完了だね」

 

 

小町「一粒残さず食べとくれよ? この小野塚小町が作った米、ひまなこまちを!」

 

 

藍、橙「…はい?」

 

 

小町「その米の名前だよ、ひまなこまち!」

 

 

藍、橙「…」

 

 

藍「ぷふっ…!クックク…!」プルプル

 

 

橙「ふふっ…!フッフフッ…!」プルプル

 

 

小町「くふっ…! あっはっは♪ だよねぇ、やっぱり笑うよねぇ♪ 良いよ、大声で笑いなよ」

 

 

小町「あたいも耳を疑ったよ、その米食べた四季様が名前付けたいって言うからどうぞって言ったら出てきたのがこれだもん」

 

 

小町「いやっ四季様!? あたいなのか米なのか分からないじゃん!? って」

 

 

藍「や、やめろ小町っ…! くふはははは…!」

 

 

橙「あははっ…! ふふっ…!」

 

 

小町「あっはっはっは!」ゲラゲラ

 

 

映姫「何をそんなに…楽しそうですねぇ…? 小町?」

 

 

小町「はっは…は?」

 

 

映姫「は? とは?」

 

 

藍、橙「いっ!?」

 

 

小町「いいぃぃぃ!? し、しししし四季様!?」

 

 

映姫「驚き過ぎでしょう…それよりも小町! またサボって…! 何を考えているんですか貴方は! とうとう家まで戻ってサボシングするようになったのですか!?」

 

 

小町「ひっ…!」

 

 

藍(ひ、一先ず米のネーミングセンスのことは覚られていないようだな)

 

 

橙(び、びっくりした…)

 

 

映姫「まったく…それよりも、八雲藍、橙」

 

 

藍、橙「は、はい!」

 

 

映姫「確か今日は八雲紫が冬眠から目覚める日でしたね、それなのにあなた方は何故ここにいるのですか? おや、ひまなこまちまで持って…」

 

 

小町、藍「ぶふっ…!」プルプル

 

 

映姫「? 答えられないのですか?」

 

 

藍「い、いえ…そ、そういうわけでは…な、ないんですけど」

 

 

映姫「…何か隠してますね?」

 

 

藍「! め、滅相もない!」

 

 

映姫「いえ、私の長年の勘が言っています! 貴方は何かを隠している! 貴方から漂う何やら美味しそうな匂いとそのひまなこまちが」

 

 

小町「あふっ、あははっ!」

 

 

映姫「何がおかしいのですか小町ぃ!」

 

 

小町「きゃん!」

 

 

映姫「こほん…とにかく八雲藍、隠している事がある様なのでここで白状するまで、橙共々幻想郷に帰ることは許しません、私は気になったら止まらないので! それに隠し事をされることも大嫌いですので!」

 

 

藍、橙「!?」

 

 

映姫「さぁ、観念なさい」

 

 

藍(…こ、ここまでか)

 

 

藍(紫様…お許しを…)

 

 

 

 

 

 

 

 そして、別れの時

 

 

【夢の世界】

 

 

 

 ヤッタネユカリン! カゾクガニンムタッセイ!

 

 

紫「お」

 

 

魅魔「んあ?」

 

 

 ヤッタネユカリン! カゾクガニンムタッセイ!

 

 

紫「あぁ、ごめんなさい、私のゆかりんタイマーが鳴ってたわ」

 

 

 ヤッタネユカリン! カゾクガ ピッ!

 

 

神綺「ゆかりんのデフォルメシールが可愛い♪」

 

 

魅魔「キビシイだろ、色々と」

 

 

菫子(今のは…い、いや、私は何も聞いてない聞いてない…)

 

 

エリス「任務達成ってなんぞ☆」

 

 

サリエル「……」

 

 

ドレミー「紫さん」

 

 

紫「えぇ、そうよ」

 

 

紫「夢を見続けるのもここまで、八雲紫は冬眠から目覚めなければならない」

 

 

魅魔「あぁ、そういえばお前冬眠してたんだったな」

 

 

菫子「えっ、冬眠?」

 

 

ドレミー「紫さんは大妖怪故なのか、一月から三月の初めまで自分のスキマ空間で冬眠するんです」

 

 

菫子「へぇ~…えっ? じゃあここにいる紫さんは…? えっ!?」

 

 

魅魔「まぁ細かいこと気にすんな、こいつに常識通用しないから」

 

 

菫子「は、はい…」

 

 

サリエル「…お別れかしら…」

 

 

紫「そうなるわねぇ」

 

 

紫「魅魔、サリエル、エリス、神綺ちゃん、ドレミー、菫子…今日は楽しかったわ、遊んでくれてありがとね」

 

 

神綺「…うぅ」ウルウル

 

 

魅魔「いちいち泣くなよお前は」

 

 

神綺「だって~…」

 

 

エリス「ゆかりん元に戻るだけだし☆」

 

 

サリエル「…永遠の別れになるわけでもない…」

 

 

ドレミー「あぁ、やっと紫さんから解放されます」

 

 

紫「ドレミーさらっと酷いわよね」

 

 

菫子(ツッコミたいことが山のようにあるけど黙っておこう)

 

 

 

 

 

サリエル「…私たちは魔界に帰るわ…」

 

 

ドレミー「紫さんが突然呼んでご迷惑お掛けしました」

 

 

サリエル「…クフフ、気にしてないわ…♪」

 

 

エリス「じゃあな☆ あ、菫子ちゃん、トランプマジで楽しかったぞ☆ またやろうね☆」

 

 

菫子「! うん、またやりましょうエリスさ…ううん、エリス!」

 

 

神綺「別れは辛いけど…愛する娘たちのために帰るね、あ、会えなくなっちゃうかも知れないけど…さ、さようなら!」

 

 

魅魔「いつでも会えるつってるじゃないか」

 

 

紫「ありがと、じゃあね三人とも…楽しかったわ♪」

 

 

 

 

エリス「今日の晩ごはん何かな☆」

 

 

サリエル「…キクリの体の一部の岩…」

 

 

エリス「マジでシャレにならねぇ☆」

 

 

神綺「家に帰ったらアリスちゃんがお出迎え…!」

 

 

サリエル「それは無いわ…」

エリス「ねぇわ☆」

 

 

神綺「二人とも酷いよぉ!」

 

 

 ズオオォォォ!

 

 

 

 

 

魅魔「…騒がしいな、魔界人は」

 

 

紫「私は好きよ♪」

 

 

ドレミー「紫さんも負けず劣らず騒がしいですからね」

 

 

菫子「…」

 

 

菫子(濃い人たちだったけど、また会えるかな…)

 

 

 

 

 

魅魔「んじゃ、私も行くかぁ」

 

 

紫「あら、一緒に帰って魔理沙に会わなくて良いの?」

 

 

魅魔「しつけぇぞ? …まだまだだ」

 

 

紫「ふふふっ…♪」

 

 

菫子「またどこかに旅行に?」

 

 

魅魔「ん~そうだなぁ、今度は日本に行くかぁ」

 

 

ドレミー「おや、外の世界ですね」

 

 

魅魔「菫子、私はまだ東京見物ってのをしたことがないんだよ」

 

 

菫子「!」

 

 

魅魔「ふっ…外の世界のお前に会いに行くのも悪くないと思ってな、その時は案内してくれるか?」

 

 

菫子「はい! もちろんですよ、魅魔さん」

 

 

魅魔「…そうか、ありがとな♪」

 

 

紫「気を付けなさいよ~? 取り憑かれたら最後操られて」

 

 

魅魔「するかアホ!」

 

 

魅魔「ったく…じゃあな」

 

 

 ズオオォォォ!

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

ドレミー「普通のお別れを何でしないんですか、あなたは」

 

 

紫「…湿っぽいのは嫌いなの」

 

 

ドレミー「…ふふっ、そうですか」

 

 

菫子「ふふっ…」

 

 

紫「菫子、あなたはどうする? 私と一緒に幻想郷に来る?」

 

 

菫子「いえ、今日は外の世界に…私の世界に戻ります」

 

 

菫子「今日はもう…充分楽しみましたから♪」

 

 

紫「…分かったわ♪」

 

 

ドレミー「菫子さん、夢の事で何か悩みがあったら私に相談しても良いですよ、あなたは夢を悪用したりしない人ですからね」

 

 

菫子「! ありがとうドレミーさん」

 

 

菫子「それでは、さようなら…」

 

 

紫「菫子、ここは夢の世界だけれどあなたが今日体験した事は全て現実、夢でも幻でも無いわ」

 

 

菫子「…!」

 

 

紫「思い出を大切にね、それと…霊夢たちとずっと仲良くしてあげてね♪」

 

 

菫子「! はい! ふふふっ♪」スッ

 

 

 パッ!

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

ドレミー「ほ~、本当に幻の様にパッと消えてしまうんですねぇ、いやはや…夢魂と夢幻病の関係性は奥が深いですねぇ」

 

 

紫(…夢でも幻でも無い、か)

 

 

 

 

 

 

ドレミー「二ヶ月もあなたと一緒にいるのって私ぐらいなんじゃないですか?」

 

 

紫「あら? お嫌い?」

 

 

ドレミー「静かに大人しくしててくれれば大歓迎なんですけどねぇ、でもあなたにお菓子やら何やらを貰ってしまっているせいで追い出せないですし」

 

 

紫「だから言ってるじゃない、ゆかりん善玉菌」

 

 

ドレミー「二ヶ月も前のネタを引っ張り出すのはやめなさい」

 

 

紫「うい」

 

 

 ギュオン! と紫はスキマを開く

 

 

紫「じゃあ帰るから」

 

 

ドレミー「お達者で」

 

 

紫「…つれぇわ、引き止めも無しとか」

 

 

ドレミー「早く出ていきなさい悪玉菌」

 

 

紫「はぁ? ゆかりん善玉」

 

 

ドレミー「早く帰りなさい!」

 

 

紫「あっ! ちょっこらっ…! ドレミー押すのや」

 

 

 スッ、ギュオン!

 

 

ドレミー「…ふぅ」

 

 

ドレミー「…」

 

 

 シーン

 

 

ドレミー「あぁ、やっと私の日常が帰ってきた」

 

 

ドレミー「ふぅ~…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

ドレミー「取り敢えず寝ますか…」

 

 

ドレミー「…お休みなさい」

 

 

ドレミー「…」

 

 

ドレミー「スースー…」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【スキマ空間】

 

 

紫「あんにゃろう、善玉菌追い出すとか…お腹下しても知らないわよ」

 

 

紫「…」

 

 

紫「二ヶ月振りね、これから自分の体に戻って…それからマヨヒガへ…」

 

 

紫「…? はて、二ヶ月…バレンタイン…? なんのことやら、別に良いじゃない♪」

 

 

紫「ふふっ、まぁあんな手紙の通りにやらなくても目覚めてたわよ藍、でもやり遂げたみたいね」

 

 

紫「ふっ、十日ぐらい労ってやろうかしら♪」

 

 

紫「んじゃ、帰りますか」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

紫「ただいま 私の愛する幻想郷」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【幻想郷、マヨヒガ、居間】

 

 

藍、橙「…」

 

 

藍「いくよ、橙」

 

 

橙「はい、藍様」

 

 

藍、橙「せーっの…!」

 

 

藍、橙(ゆかりん愛してるゆかりん愛してるゆかりん愛してる!)

 

 

 ギュオン!

 

 

藍、橙「!」

 

 

紫「よいしょっと…!」

 

 

紫「ひゃっはー! ゆかりん大復活~♪」

 

 

橙「紫様!」

 

 

紫「ちぇーーん♪ あぁん♪ 会いたかったわ!」スッ

 

 

橙「わわっ!」

 

 

紫「このこの~♪ ふふっ、あぁ~この抱き心地…橙だわ…私は幻想郷に帰ってきたのね♪」ナデナデ

 

 

橙「んっ…♪ え、えへへ♪」ナデラレ

 

 

紫「寂しかった?」

 

 

橙「はい、とても寂しかったです…でもこうしてまた紫様に会えたから…今は嬉しさでいっぱいです」

 

 

紫「そっか…ありがとね橙、私も橙にまた会えて嬉しいわ♪」

 

 

橙「紫様…!」

 

 

紫「ふふっ、後でこの二ヶ月の間何をしてたか聞かせてね」

 

 

橙「はい!」

 

 

 

紫「藍、ただいま」

 

 

藍「お帰りなさいませ紫様」

 

 

紫「寂しかった~?」

 

 

藍「まぁ、はい」

 

 

紫「ふふふのふ♪ 素直じゃないわねぇ… ! あらあら」

 

 

紫「団子に、雀酒、麻婆豆腐にふきのとうの天ぷら、ひまなこまちまであるのね」

 

 

藍(名前知ってたんですか)

 

 

紫「…藍、あなたよくこれだけの物を集めたわね、大変だったでしょう、特にゆうかりんの天ぷらは」

 

 

藍「えぇ、まぁ色々と助け船がありましてね、何とか集めきる事が出来ました」

 

 

紫「ふーん、橙も手伝ったの?」

 

 

橙「はい、あ! でも手紙には手伝ってはいけないと…」

 

 

紫「…いえ、良いのよ橙、あなたが手伝ったことは咎めません、寧ろ嬉しいもの」

 

 

橙「! 紫様…」

 

 

紫「藍、橙も…よく頑張ってくれたわね、私嬉しいわ」

 

 

藍、橙「!」

 

 

紫「特に藍…まぁ手紙にはあんな風に書いてしまったどあなたはよくやってくれました…あなたの行動、誠意…全て本物よ」

 

 

紫「私の事を愛してくれてありがとう、藍、橙…私も…私もあなたたち二人の事を家族として愛してるわ」

 

 

紫「だから…ここまでしてくれて本当にありがとう…ありがとうございました…」ペコッ

 

 

藍「紫様…」

 

 

橙「…紫様」

 

 

紫「ふふっ♪ あらら、私らしく無かった?」

 

 

藍「いいえとんでもない、寧ろ紫様らしかったですよ」

 

 

紫「そう? なら良かったわ、あぁなんか冬眠明けだからお腹空いちゃったわ♪ ほら、二人もこれ食べましょ♪ せっかくの食事が」

 

 

藍「…あっ!! あ、あの…ゆ、紫様…!」

 

 

紫「? どうしたの? 藍」

 

 

藍「その…きゃ、客間に来客が…」

 

 

紫「え? 来客? …あ♪ も、もしかして私の霊夢!?」

 

 

 タタタタッ!

 

 

藍「あ…え、えーっと…」

 

 

 バァン!

 

 

紫「霊夢~♪ 早速会いに来てくれたの」

 

 

映姫「すいませんね博麗の巫女じゃなくて」

 

 

紫「 」

 

 

映姫「冬眠から目覚め、家族水入らずのところに申し訳ないと思ったのですがどうしてもあなたに言いたい事がってこらっ!」

 

 

 スススッ

 

 

紫「えっ?」

 

 

映姫「静かに襖を閉めようとしないっ! ともかくこちらに来て座りなさい!」

 

 

紫「ちょちょちょっと待っていただけますか? 直ぐに確認を取りますので…」

 

 

映姫「その間に逃げよう等と企んでいるとしたら」

 

 

紫「いえいえそんなぁ…あははは…」スッ

 

 

 

紫「ちょっと藍! なんで閻魔様がここにいるのよ!?」ヒソヒソ

 

 

藍「すいません紫様…その…ひまなこまちを小町に貰った時に偶然閻魔様がその場に来てしまいまして…それで何かを隠していると問い詰められ…紫様の手紙を没収されてしまいました」ヒソヒソ

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「その…申し訳ありません」

 

 

紫「いやいや、申し訳ありませんじゃないでしょうが!」

 

 

藍「どうしようも無いんですよもう! さっと話をしてさっと帰ってもらえば良いじゃないですか!」

 

 

紫「さっと終わる奴だと思ってんの!? あいつのお説教が私の過労死に繋がるのよ!?」

 

 

藍「あなたは録に仕事もしないんですから過労死とは無縁でしょう!?」

 

 

紫「失礼ぶっこいちゃうわねぇ! 何が」

 

 

映姫「グダグダと何をしているんですか!!?」

 

 

紫「ひゃぁ!?」

 

 

映姫「八雲紫! さっさとこちらに来て座りなさい! 話をするだけです!」

 

 

紫「くっ…! う、恨むわよ藍…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

映姫「手紙の内容については良いんです! 愛だのなんだのと、八雲家でお遊びをするのは勝手です!」

 

 

紫「はい」

 

 

映姫「ただ…! ただです! この部分だけはどうしても許せません!」

 

 

紫「?」

 

 

『閻魔様から問い詰められたらありがたい…いや、とってもうざったいお説教の嵐よ?』

 

 

紫「あ」

 

 

映姫「あ!? 今あって言いましたか!?」

 

 

紫「言ってません」

 

 

映姫「それはいいです! ここ! この文章ですよ! うざったいぃ…!? あなたは私の心のこもった言い付けをあなたはいつもうざったいと思って聞いてたんですか!? えぇ!?」

 

 

紫「思ってません」

 

 

映姫「思ってない!? ならこの文章はなんなんですか!?」

 

 

紫「……私はこの文章を書いてません」

 

 

映姫「嘘をつくなっ!!」

 

 

紫「ひっ!?」ビクッ

 

 

映姫「あなたの筆跡でしょうが! この期に及んで嘘を付くとは…! 何度も何度も何度も言いますがあなたという人はぁ…!」

 

 

紫「ぬぐあぁぁ…!」

 

 

 

藍「…すいません、紫様」

 

 

橙「え、閻魔様怖いです…」

 

 

 

 

 

紫(こ、こんなことになるなら手紙なんて書かなければ良かったわ…)

 

 

紫(夢、幻…あぁ、夢の世界の思い出がお説教で埋め尽くされていく…どうして冬眠から目覚めてすぐさまお説教…最悪だわ)

 

 

紫(もう一日だけ寝ていれば良かったかなぁ)

 

 

映姫「聞いてるんですか八雲紫ぃ!!」

 

 

紫「き、聞いてまーす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫(あぁ、夢の世界が恋しい…)

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 






 お疲れ様でした! ここまで読んでいただいてありがとうございました!


 一円札で一万円の時代を省いて普通にしてしまいましたが…はい


 新キャラの名前が出たりして混乱させてしまって申し訳ないのですが、いずれ本編で出し、必ず収集は着けますので気長にお待ちいただければと思います

 また『東方紫藍談』の魔理沙は魅魔を覚えていない設定にしてあります、顔とどんな性格だったかは覚えていませんが 

 修行、本、マスタースパークだけは緑の長い髪の人に教わったといううろ覚えの状態にあります、これはいずれ霧雨魔理沙の200の事にて触れます


 それではくどいようですがここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした!




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《第1談》紫と藍の談話



 深夜テンションで書いた物でただ喋るだけ…だったんですけどまさかシリーズとして進める事になるとは…

 1話目なので頭の中をカラッポにして読んでみて下さい。




 

 

 【おにぎり】

 

 

 

 

八雲紫「おにぎりが食べたいわ」

 

 

八雲藍「はぁ、唐突ですね」

 

 

紫「おにぎり」

 

 

藍「にぎってきましょうか?」

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「藍、あなた今何て言った!?」

 

 

藍「え、いやだからにぎってきましょうかって」

 

 

紫「はぁ…無いわぁ…幻想郷があまのじゃくに支配されるぐらい無いわぁ…」

 

 

藍「何なんですか! 私変なこと言いました!?」

 

 

紫「いや…あなたさぁ」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「人がにぎったおにぎり食べれるの?」

 

 

藍「はい、普通に食べれますけど」

 

 

紫「うっわ…マジ…!? きっもちわるい」

 

 

藍「そこまで言わなくてもいいじゃないですか!!」

 

 

紫「だってさぁ……」

 

 

藍「紫様食べられない…んでしたっけ?」

 

 

紫「ゆかりんムリ、食べられない」

 

 

藍「何故です?」

 

 

紫「ほら…だってほら、人がにぎったおにぎりってさぁ? 手に包まれてるじゃない? 作り手の」

 

 

藍「当たり前じゃないですか」

 

 

紫「ちゃんと聞きなさい! えと、なんかね? その感覚? が私は嫌なのよ」

 

 

藍「…あぁ、つまり人が直に? 触って作るものが嫌なんですね?」

 

 

紫「そう! なんか嫌じゃない、手のバイ菌だの垢だのが着いてそうでさぁ、ばっちいじゃない」

 

 

藍「でもそんなこと言ってたら何も食べられない様な気がするんですけど」

 

 

紫「え?」

 

 

藍「肉も野菜も手で一度は触るじゃないですか、下ごしらえの時とか」

 

 

紫「肉は焼くし野菜は水洗いするでしょう!?」

 

 

藍「えぇ!?」

 

 

紫「おにぎりは直だって言ってんのよ! その場でにぎってぽん!! よ!?」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

紫「あぁおぞましいわ、私には人ににぎられたおにぎりが紫色の妖力を放っているように見えるのよ?」

 

 

藍「おにぎり全否定じゃないですか…」

 

 

紫「あなたは橙がにぎったおにぎりなら喜んで食すんでしょうね、その光景を私に見せないでよ? 橙を悲しませたくないから」

 

 

藍(何するつもりですか!?)

 

 

紫「はぁ…つれぇわ」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「うん?」

 

 

藍「私が今まで紫様の御飯におにぎりをお出ししたことは?」

 

 

紫「ない、作らせない」

 

 

藍「私が作っても食べられない?」

 

 

紫「ムリ」

 

 

藍「妖夢が作っても?」

 

 

紫「ムリね」

 

 

藍「料理が得意であろう十六夜咲夜、アリス・マーガトロイドが作っても?」

 

 

紫「はぁ? ムリムリ」

 

 

藍「橙が頑張って作っても?」

 

 

紫「……ムリ」

 

 

藍「…霊夢が紫様の為に愛情込めて作っても?」

 

 

紫「ム……!?」

 

 

藍「……」

 

 

紫「ム、ムリ!」

 

 

藍「幽々子殿が紫様の為に作っても?」

 

 

紫「クフッ! あははははは! ちょ、ちょっと藍! いきなり笑わせないでよ!」

 

 

藍「笑うとこなんですかねぇ」

 

 

紫「そりゃ…ふふっ…! 笑うわよ、あの幽々子が!? 私の為におにぎり!? あははは!」

 

 

藍「笑いすぎじゃあないですか? 失礼ですよ」

 

 

紫「だって…ふふっ♪ あり得ないもの」

 

 

藍「? あり得ない?」

 

 

紫「私の嫌いな物をわざわざ作って持って来るわけないでしょう? 真の親友同士はそんなことしないのよ」

 

 

藍「そうですね、なんかすいま…ん?」

 

 

紫「分かってくれた? でも藍、今の冗談は結構面白かったわよ? 今度幽々子にも聞かせてみない?」

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「?」

 

 

藍「今おにぎりのこと嫌いって仰いました?」

 

 

紫「えぇ、嫌いよ」

 

 

藍「人がにぎったおにぎりではなく、おにぎり自体が」

 

 

紫「だから嫌いって言ってるでしょ」

 

 

藍「紫様…紫様が最初に私に何て仰ったか覚えていますか」

 

 

紫「…あのね藍、人を年寄りみたいに言わないでくれる? そんなもの…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「私の冗談の方が面白かったわね!!」ニッコリ!

 

 

藍「最初から茶番だったのかぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  おしまい!

 

 

 

 

 

 





 紫と藍が喋ってるだけです。

 場所のイメージはマヨヒガ、紫が所有している和式のお屋敷の縁側でお茶を飲みながら談笑している感じです。

 読んでいただきありがとうございました。



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《第2談》紫の年齢と藍しゃま一本釣り




 今回も頭の中をカラッポにしてゆっくりお読み下さいませ。

 それでは始まります♪



 

 

 【年齢ってなんなの?】

 

 

 

八雲紫「ねぇ、藍」

 

 

八雲藍「なんです? 紫様」

 

 

紫「今から私がやることに何も言わな…いえ、出来ればツッコミも無しにして見ていてほしいのだけれど」

 

 

藍「…」ジトッ

 

 

紫「…なによその目は」

 

 

藍「紫様が今からなさることはその事に対して私が物を言い、私がツッコミをするレベルの物だと」

 

 

紫「…見ててね藍」スッ

 

 

藍(えぇ…無視ですか)

 

 

紫「いくわよ…!」

 

 

藍「…?」

 

 

紫「…! …!」スーハースーハー

 

 

藍(私の目の前に立って、本当に何を…)

 

 

紫「…」

 

 

藍「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「キャハッ! ゆかりん十七歳!」キャピッ!

 

 

藍「 」ピキッ

 

 

紫「…」ダブルピース

 

 

藍「 」ポカーン

 

 

紫「…」スッ

 

 

藍「 」ポカーン

 

 

紫「ふぅ…」ドッコイショ

 

 

藍「 」

 

 

紫「ズズッ…! あらこのお茶美味しいわねぇ、外の世界の茶葉も侮れないわね? 藍」

 

 

藍「 」

 

 

紫「…? ちょっとら」

 

 

藍「ぬあああああああぁぁぁアホかぁ!!」

 

 

紫「!?」ビクッ!

 

 

藍「無視して勝手に進めて溜めに溜めて出した物がそれかぁ!! スキマぁ!」

 

 

紫「なっ…!? 藍! なんなのその言葉使いは! 貴方は家族でも私の式なのよ!?」

 

 

藍「あんなものを見せられて取り乱さない方がおかしいでしょうがよぉ!? 何をやってくれてんですか!?」

 

 

紫「あ、あんなものですって…!? 人が勇気を出してやってみたのに貴方までそんなこと言うの!?」

 

 

藍「勇気を出すところがおかしいでしょう!? 貴方があんなことをするわけないと思ってるからこそこんな感じになるんですよ!!」

 

 

紫「普段やらないことをやる妖怪…まさに私にぴったりね!」グッ

 

 

藍「親指を立てないで下さい! そのしてやったり顔もやめて下さい! ああもうおぞましい!」

 

 

紫「おぞま…!? 藍! 貴方言い過ぎよ!? どうして私があれをやったらいけないのよ!?」

 

 

藍「一応貴方が幻想郷の顔だからです!」

 

 

紫「一応!?」

 

 

藍「それとご自分の年齢を考えて下さい! どこから十七歳が出てきたんですか!」

 

 

紫「……藍」

 

 

藍「はぁ、はぁ…な、なんですか!?」

 

 

紫「自分の年齢を考えて下さいぃ? 貴方それブーメランって言うのよ? 知ってる?」

 

 

藍「…!」イラッ

 

 

紫「あ! 藍なだけに、ブーメ藍って? ぷっ、あははは! …藍、これそんなに面白くないわよ?」

 

 

藍「あなたには特大ブーメランだろうがぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は紫、藍にやる前にやっていた

 

 

 

 

 

【数日前、博麗神社】

 

 

紫「はぁい♪ 霊夢」

 

 

博麗霊夢「あら紫こんにちは、素敵なスキマはすぐそこよ?」

 

 

紫「遠回しに帰れって言わないでよ…悲しいわ、ゆかりん悲しい」シクシク

 

 

霊夢「勝手に家に上がり込む奴に拒否権は無い♪」

 

 

紫「お邪魔します」

 

 

霊夢「遅いっ! はぁ…ていうか今私めっちゃ忙しいのよ、あんたに構ってられないの」

 

 

紫「なに? 異変?」

 

 

霊夢「命蓮寺、萃香、天子、幽香、スイカ割り」

 

 

紫「…なんか察したわ…」

 

 

霊夢「どうも、じゃ私行くから」

 

 

紫「! 霊夢待って!!」

 

 

霊夢「…? なによ」

 

 

紫「…よ、よし! 行くわよ…?」

 

 

霊夢「…あー?」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「なんなのよ…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「キャハッ! ゆかりんじゅうなへぶぅ!!」スパン

 

 

霊夢「忙しいってんのよ!! 遊ぶなら藍でやってなさい!!」ビューン

 

 

紫「痛た…! 先代にも大弊でぶたれたことないのに!」

 

 

紫「……」

 

 

 シーン…

 

 

紫「ゆかりん泣かない…一人でも泣かない…」グスン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  【番外】 【藍様一本釣り】

 

 

 

橙「藍様~? 藍様~?」

 

 

紫「あら橙、藍に用?」

 

 

橙「あ! 紫様! おはようございます」ペコッ

 

 

紫「はいおはよう♪ で? 藍に用があるの?」

 

 

橙「はい! 今日藍様に人里で買い物をしてきてと頼まれてるんです」

 

 

紫「そう…あ、だからあそこに置いてあるのかしら」

 

 

橙「?」

 

 

紫「橙、藍なら今博麗神社よ? 霊夢に結界とかその他もろもろの連絡してるの」

 

 

橙「え? そうなんですか?」

 

 

紫「そ、でも大丈夫よ? ほら…あそこに買い物袋があるでしょ? あれ持って行っていきなさいな」

 

 

橙「はい! 分かりました」タタタ

 

 

紫「買い物か…私最近買い物のかの字もしてないかも…」

 

 

橙「あれ? あれ!?」ガサゴソ

 

 

紫「かといって私が人里で買い物してもねぇ…ダメだわ、ゆかりん注目され過ぎて買い物どころじゃなくなっちゃうわ♪」

 

 

橙「紫様、紫様!」

 

 

紫「! 橙、どうしたの?」

 

 

橙「あの…買い物リストが無いんです…」

 

 

紫「買い物リスト?」

 

 

橙「はい、この袋の中に人里で何を買ってくるのか書いてある紙を藍様はいつも入れておいて下さるのですが…」

 

 

紫「あらら、そこら辺にないの?」

 

 

橙「はい…見当たりませんでした」

 

 

紫「……! はは~ん、書き忘れたわねぇ? いつも私にコンコン言ってる割にはこういうところでドジねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

橙「ど、どうしましょう紫様、これでは買い物が」

 

 

紫「大丈夫よ? 分からなければ藍に直接聞けばいいんだもの」

 

 

橙「そ、そうですよね! では博麗神社に」

 

 

紫「その必要はないわ」

 

 

橙「え…?」

 

 

紫「よし釣るか、久しぶりに」

 

 

橙「……えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「橙は釣りしたことある?」

 

 

橙「いえ…無い、ですけど…」

 

 

紫「そうなの? 湖とかで釣りってのも中々良いものよ? はぁ…いっそのこと海増やしてやろうかしら、そしたら皆も喜んでくれるかしら…ゆかりんありがとう! ゆかりん素敵! とか」

 

 

橙「あ、あの紫様…」

 

 

紫「どうしたの?」

 

 

橙「あの、藍様に聞きにいくのと釣りになんの関係が」

 

 

紫「橙!」

 

 

橙「は、はい!?」

 

 

紫「貴方にはいずれ八雲の名を受け継いでもらおうと考えています」

 

 

橙「!!」

 

 

紫「でも貴方はまだ八雲の名を継ぐにはまだ力不足です…ですが」

 

 

橙「…?」

 

 

紫「いまからやる八雲流釣り作法を覚えれば貴方は八雲の名を継ぐ者として立派に成長することができます、よく見ておきなさい」

 

 

橙「! はい! 分かりました! 紫様!」

 

 

紫「よろしい! では準備に取りかかる!」

 

 

橙「はい!」

 

 

紫「ふんふーん♪」ギュオン

 

 

橙(…あれ? 買い物…)

 

 

紫「どこに入れたっけ? スキマの中も整理しないとねぇ…あ、あった!」ズイッ

 

 

橙「! わぁ!」

 

 

紫「見なさい橙、これが八雲に伝わる釣竿! その名も御藍心釣よ!」

 

 

橙「ご、ごらんしんちょう…!」

 

 

紫「釣りのやり方は知ってる?」

 

 

橙「やり方だけは一応…」

 

 

紫「よろしい、では釣らせていただきます」

 

 

橙「こ、これが礼儀に始まり礼儀に…!」

 

 

紫「まずスキマオープン!」ギュオン

 

 

橙「はい! ……えっ?」

 

 

紫「釣糸に~、餌と~もうひとつ餌を巻き付けて~♪」

 

 

橙(え… あれって)

 

 

紫「スキマに垂らします」スッ

 

 

橙「…」

 

 

紫「まあ、三十秒ってところかしら」

 

 

橙「…」

 

 

紫「まぐれでもカジキだったら魚拓をとってやるわ」

 

 

橙「ゆ、紫様…? その、さっきの餌はなん」

 

 

 ビシィッ!

 

 

紫「!! ヒット♪」

 

 

橙「え…?」

 

 

紫「釣り上げろゆかりん! 魚拓よ! 魚拓ぅ~♪」ググッ

 

 

橙(まさか…まさか…! 釣られませんよね!?)

 

 

紫「どりゃ~♪」グイッ!

 

 

 

 ザッバァ~ン!!

 

 

 見たことも聞いたこともありませんが、橙には魚が釣り上げられたような音が聞こえました。

 

 …が、釣れたのは魚ではありませんでした

 

 釣れたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 餌の油揚げと…オマケなのかなんなのか

 

 もうひとつの餌、橙の写真にかぶり付いていた妖怪

 

 

 八雲藍でした

 

 

 

 

紫「…」

 

 

橙「…」

 

 

ご藍心「ハグハグ…! ングッ…!? ゆ、紫様!?  はっ!? ちぇ、橙!?」モグモグ

 

 

橙「…」

 

 

ご藍心「ち、違う…! 違うんだよ橙、これには深い訳が…そ、そう! 動物! 私は狐だからね! 食べ物があれば食べずにはいられないのさ、獣だからね!」モグモグ

 

 

橙「…」

 

 

ご藍心「ちぇ、橙…?」ゴクン

 

 

橙「……キツイ」

 

 

ご藍心「!?」

 

 

紫「…橙、はいこれ買い物リスト、あの獣の頭の中覗いて書いたの、行ってらっしゃい」

 

 

橙「……行って来ます、紫様」スタスタ

 

 

ご藍心「橙! 待ってくれ! ちぇぇぇん!!」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「うぅ…! なんですか!」

 

 

紫「魚拓ならぬ… 狐拓? ってどうとるの?」

 

 

藍「知りませんよぉぉ!! うわああぁぁん!」

 

 

 

 

 

 

 

 シランノカ-  おしまい!

 

 

 

 

 






 ここまで読んでいただきありがとうございました!



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《第3談》鳥の鳥肌は大妖怪も震えて逃げる



 『紫が藍をいじるだけ』をタイトルにしても違和感がないような…

 今回は夏がテーマになってます、それでは始まります♪



 

 

 

  【鳥肌の立った話】

 

 

 

八雲紫「……ぬぁ~…」ダラダラ

 

 

八雲藍「……紫様」ダラダラ

 

 

紫「……ぬぉ~」ダラダラ

 

 

藍「……紫様」ダラダラ

 

 

紫「……何」ダラダラ

 

                

藍「助けて下さい……」ダラダラ

 

 

紫「……ムリ…」ダラダラ

 

 

藍「ですよね……」ダラダラ

 

 

紫「藍……」ダラダラ

 

 

藍「紫様……」ダラダラ

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 ジリジリ、ジリジリ、ジリジリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫、藍「あっっっっっつい!!」

 

 

紫「なんなのよこの暑さは…これが幻想郷なの…?」

 

 

藍「はい…間違いなく…貴方の愛する幻想郷です」

 

 

紫「愛されてるのなら少しは慈悲があってもいいんじゃないかしら…管理人に対するこの仕打ち…如何なものか…」

 

 

藍「汗が止まらない…」

 

 

紫「あなたを見ててもつらいわよ…そんな暑苦しいの九本もぶら下げてるの見てたら余計にね…取り外しなさいよ…」

 

 

藍「無茶言わないで下さいよ…九尾のアイデンティティーなんですよ?」

 

 

紫「…金魚のフンみたいにくっついて…こう、スポーン! って抜けないの…?」

 

 

藍「さらっと酷いこと言いましたね…力もうがなにしようが抜けませんよ…」

 

 

紫「…暑苦しい」ダラダラ

 

 

藍「酷いなぁ…」ダラダラ

 

 

紫「まぁ確かに可哀想ではあるわ…藍みたいな獣タイプの妖怪は…」

 

 

藍「えぇほんとにつらいですよ…暑さは敵です…竹林の狼や命蓮寺の山彦はどう過ごしているのでしょうか…」

 

 

紫「藍…珍しいわね、あなたが橙の心配をしないなんて」

 

 

藍「…? あぁ、紫様はご存じないのですか? 橙なら心配無用ですよ」

 

 

紫「…?」

 

 

藍「橙はチルノ達と遊んだりしてますし、チルノが側にいればそれだけで快適でしょう、それにこの時期になるとにとり達のところに行って夏を満喫しているそうです…式神の紙が取れない様に工夫して毎日楽しいみたいですよ?」

 

 

紫「…!?」

 

 

藍「…? 紫様?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…?」

 

 

紫「…」スッ

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」ギュオン

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」ススス

 

 

  ガシッ!

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「藍……私の美しい手を離してくれない? 何故掴むの?」

 

 

藍「嫌です」

 

 

紫「何故?」

 

 

藍「スキマを開いて自分だけどこに行こうとしてるんですか?」

 

 

紫「…別に…」

 

 

藍「橙の話を聞いたときに『その手があったか』みたいな顔しましたよね」

 

 

紫「…さすがね藍、以心伝心とはこの事ね」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

紫「じゃあこの手を離して?」

 

 

藍「嫌です」

 

 

紫「…」ニッコリ

 

 

藍「…」ニッコリ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ヤダヤダ!! 離しなさい藍!! ゆかりんは橙のところに行くの!」グググッ

 

 

藍「行かせるわけないでしょう!? 色々と考えて下さいよ!」グググッ

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「貴方が橙達と『いる』ぐらいならまだしも『遊ぶ』となったらまずいでしょ色々と!! まだまだ子供のあの子達と貴方がキャッキャッしてたら霊夢が異変解決に乗り出すレベルの光景が広がるんですよ!?」

 

 

紫「私は涼みながら遊ぶだけよ!!」

 

 

藍「ほらぁ! やっぱり遊ぶ気マンマンじゃあないですか! まだ書類整理が残ってるんですよ!?」

 

 

紫「あぁんもう! コンコンコンコンうるさいキツネねぇ! 閻魔かっての!! 今日は仕事はなし! ゆかりん遊ぶ!」

 

 

藍「毎日何かしら理由付けてサボる者が遊ぶなぁ!」

 

 

紫「はぁはぁ…」ダラダラ

 

 

藍「はぁ…はぁ…」ダラダラ

 

 

紫、藍「はぁ~……」グッタリ

 

 

紫「分かった…分かったわよ藍」

 

 

藍「…分かっていただけました?」

 

 

紫「でも今日は仕事は無しで…暑すぎる」

 

 

藍「それは…う~ん…」

 

 

紫「首が中々縦に振れないわね…だったらなにか涼しくなることして」

 

 

藍「ですからそれができれば…あ、でも」

 

 

紫「?」

 

 

藍「紫様が子供達と絶賛お戯れ中を想像したら鳥肌が立って少し涼しくなりました」

 

 

紫「さらっと酷いこと言ったわね…」

 

 

藍「お返しです…」

 

 

紫「鳥肌ねぇ…藍、なにか怖い話して」

 

 

藍「貴方を恐怖させる怪談が思い付きません…」

 

 

紫「希望が絶たれたか…」

 

 

藍「紫様が話して下さいよ、そういうのは得意でしょう?」

 

 

紫「何で私が…あ」

 

 

藍「?」

 

 

紫「この前…ちょうど九日前の夜にさ? 幽々子と私で飲みに行ったじゃない? 人里に」

 

 

藍「話して下さるんですね…あぁ、はい」

 

 

紫「どこで飲むかは決めて無かったの、だから適当にフラ付いてたらあの夜雀の屋台が目に入ってね? 『あそこにしましょう?』って私幽々子に聞いたの、そしたら幽々子何て言ったと思う?」

 

 

藍「?」

 

 

紫「『いいわね♪ でも紫、少し練習させてくれない?』って言ってきたの」

 

 

藍「? 練習?」

 

 

紫「…妖夢を驚かせる練習」

 

 

藍「…はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  【9日前、人里】

 

 

 

ミスティア・ローレライ「ふぅ…仕込みはこんなものかな…?」

 

 

ミスティア「夏でもおでんは結構売れるんだよね、八ツ目鰻も準備よし! お酒よし! うん、完璧!」

 

 

ミスティア「後はお客さんよねぇ、今日は妹紅さん来るかな…? …!? つぅ…!」キィィン

 

 

ミスティア「な、なに今の!? な、なんか頭に電気みたいのがバチッ! って…」

 

 

ミスティア「…? なんか、頭の中がザワザワするような」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハラペコ ハラペコ ユユコサマー

 

 

ミスティア「!!?」

 

 

 マンプク シリタイ ユユコサマ♪

 

 

ミスティア「え!? え!? な、なに!? 声が頭の中で響いて…」

 

 

 ヤツメ~ ウナギジャ モノタリナイ

 

 

 オデン~ ヤキトリ  マダマダヨ

 

 

ミスティア「ひっ…! ひゃっ…!?」ブルブル

 

 

 エッ、ナニ? ココワタシ? …フンフンフフ~ン、フンフンフフーン

 

 

ミスティア「ひ、ひぇ…」ガタガタ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サイゴニ ミスティア イタダキマス♪

 

 

  ガブッ!

 

 

ミスティア「きゃああああああああああぁぁ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「紫様のスキマをミスティアの頭の中に繋いで語り掛けたと」

 

 

紫「そ♪ でも最後にインパクトがほしいって言うからね? 『そっと背中から抱きついて耳でも噛んでやったら?』って言ったの、まさかほんとにやるとは思わなかったけどね」

 

 

藍(今度迷惑掛けた侘びになにか持っていかなければ…)

 

 

藍「その後は…?」

 

 

紫「気絶した夜雀を叩き起こして普通に食べて飲んで 帰ったわよ? 夜雀の手がガタガタ震えてたのが印象的だったわ」

 

 

藍(鬼ですか貴方達は!! いや鬼でもやらないわ!!)

 

 

藍「ちゃんと謝ったんでしょうね…?」

 

 

紫「誤解は解いたわ『鳥肌が立ちましたよ…』って言われたの」

 

 

藍「はぁそうですか、それで? これの何処が怪談何ですか? ちっとも怖くないじゃないですか」

 

 

紫「…藍、あなたそれ本気で言っているの…?」

 

 

藍「…はい?」

 

 

紫「私はね、この話を今思い返して恐怖を感じているのよ!?」

 

 

藍「え?」

 

 

紫「あの子夜雀の妖怪でしょ?」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「ってことは鳥よね」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「鳥なら最初から鳥肌じゃないのよ!! 鳥肌の上にさらに鳥肌よ!? きっと身体中が黒色の斑模様で埋め尽くされた皮膚にあの時なっていた筈よ!? フジツボみたいに! いやぁ! おぞましい!」

 

 

藍「いやただのダジャレじゃないですか!!」

 

 

紫「どっちにしろゆかりん肝が冷えたわよ!」

 

 

藍「私は紫様のせいで『もうギャグだけしか聞こえない』ですよ!! あぁ寒い寒い!!」

 

 

 

 

 

 

 

  おしまい!

 

 

 






 今回は文字で遊び過ぎた気がします…

 ここまで読んでいただきありがとうございました。


 


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《第4談》ゆかりん美顔計画



 美顔を計画しなくても紫は美顔な気がする…とかつっこんでいただけると嬉しがると思いますよ♪


 それでは始まります♪




 

 

 【私、綺麗…?】

 

 

 

 

八雲紫「ぐへぇ…」グデーン

 

 

八雲藍「お疲れ様でした…ふぅ」

 

 

紫「あ~っ…くぅぅ…! はぁ、疲れた…」ノビー

 

 

藍「本当にお疲れ様でした、紫様」

 

 

紫「ほんとよ…あの閻魔、私を朝から昼まで働かせて…ほんとやんなっちゃうわ」

 

 

藍「朝に家を訪ねてきて紫様叩き起こされてましたよね」

 

 

紫「『これ以上小町の様に成り、部下に仕事を押し付け、怠けきるのならば貴方の死後、永遠なる地獄を与え続ける事になるでしょう』って言ったのよ!? この私に対してよ!? 挙げ句の果てに悔悟の棒で殴られたし! ゆかりん暴力反対!!」

 

 

藍「寝起きにはキツいですよね、というより何故殴られたんです?」

 

 

紫「分かんないわ…私が『私、死神、違う、ゆかりん、死なない、オーケー?』って言った後に急に殴られたの!」

 

 

藍(布団の中でスキマ越しにそんな片言で言ったら殴られますよ…一応あの方上司の立場にあるんですよ!?)

 

 

藍「でもその後の仕事振りは見事なものでしたよ? 私驚いたんですから、紫様が自室で見えない速さで二日分の書類の束を捌く姿を見て」

 

 

紫「今日は個人的にやりたい事があったからね、ま、私にかかればあれくらい楽勝よ♪」

 

 

藍(いつもそうしてくれると助かるんですけどね…いやもう慣れましたけど…)

 

 

紫「しかしあんにゃろう…あの仕事量はなんなんだってのよ…! 書類の束が富士山ヴォルケイノかってぐらい盛られてたし、あれは寝起きの妖怪のやる仕事じゃないっての…いつもの十二時間睡眠がぱぁよ…一妖怪の生活リズムを考えてから仕事回せっての! ねぇ藍」

 

 

藍「そうですね…」

 

 

紫「?」

 

 

藍(…最早何も言うまい)

 

 

藍「…お茶を淹れてきますね」スッ

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「? はい?」

 

 

紫「…まぁその、何よ…いつもありがとうね、私の仕事してくれて…///」

 

 

藍「…!!」

 

 

紫「…! こ、これはあれよ!? 私があの書類共を片付けているときに藍もこんな感じなのかなぁって少し…! ほんのちょっぴり思っただけで別に深い意味とかないからね!」

 

 

藍「…/// す、直ぐに茶を淹れてきます…!」タタタ

 

 

紫「す、素直じゃないわね、誰に似たのかしら…」

 

 

紫「ま! そんなことより、スキマ~そい!」ギュオン

 

 

 ガサゴソ ガサゴソ

 

 

紫「う~んと…あ、あったあった!」ヒョイ

 

 

 ペラッ

 

 

紫「ふふふ、さてと…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍(きょ、今日はいつもよりも高級な茶葉にしよう! うん、不意打ちをくらって舞い上がって高級な茶葉に手が延びてしまったのだうん、それだけのことだ)ブンブン

 

 

藍(しかし今日は尻尾の調子もいい日だな! 先程から荒ぶりが止まらないよ)ブンブン

 

 

藍(は、早く持っていって差し上げねば…)トテトテ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「…」ジィー

 

 

藍「ゆ、紫様、お茶をお持ちしました!」コトッ

 

 

紫「…」ジィー

 

 

藍「紫様…?」

 

 

紫「…」ジィー

 

 

藍(…? 本? こんなに熱心に何を読んで)

 

 

紫「これだ!」バン!

 

 

藍「うわビックリしたぁ!!」ビクッ!

 

 

紫「藍! これよ! これしかないわ!」

 

 

藍「えっ? はい!? なにが、なんなんですか!?」

 

 

紫「ここよ! ここ読んでみなさい!」スッ

 

 

藍「はっ!? …? あ、これ外来本じゃないですか、しかし随分とハイカラな…『nan nan』…?」

 

 

紫「違~う! 誰が表紙見ろって言ったのよ、ここよ! このページ!」

 

 

藍「はぁ、えっと…?」

 

 

 

 

『非モテ女子必見! 早口言葉で口角アップ! 貴女もなれる! キレイな美顔の作り方!! 貴女も小顔に!?』

 

 

 

 

 

藍「  」ポカーン

 

 

紫「藍! 私やるわ! キレイな美顔よ!? 綺麗なび・が・ん♪ いい響きだし今の私に必要な物! ふふふ、今日中に手にいれてやるわ!」

 

 

紫「というわけだから藍、あなたも手伝ってね? あ、お茶ありがと♪ いただくわね」スッ

 

 

藍「な…」

 

 

紫「ズズッ、! あら、すっごく美味しいわ! ねぇ藍、この茶葉前に阿求にもら」

 

 

藍「なんでこうなるんですかぁぁぁあああ!!!」

 

 

紫「!!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「いい? 人、妖怪問わず顔には表情筋という筋肉があるらしいの」

 

 

藍「…」

 

 

紫「普段こうして喋るだけでも表情筋は動き、鍛え上げられるそうなの、でもただ喋るだけではダメ…何故ならそれだけでは何時もと同じ筋肉しか使っていないから、普段飛んでいるのと同じようにね」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「つまり早い話が飛ぶ+弾幕ごっこを表情筋のトレーニングに置き換えればそれはそれは素晴らしい美顔に」

 

 

藍「紫様!」

 

 

紫「な、なに?」

 

 

藍「紫様がなさりたい事はわかりますよ」

 

 

紫「さすがね藍、ゆかりん感動」

 

 

藍「手伝いますし手伝わされます、なので手伝えとおっしゃったからには私にもそれなりの責任が来るので色々と確認ならぬツッコミをいれさせていただきます」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

藍「今日個人的にやりたい事というのはこれだと」

 

 

紫「そうよ、本の中身はまだ見てなかったから正確にはこの本を読むが正解ね」

 

 

藍「その幻想郷に似つかわしくないおぞましき書物はどこから」

 

 

紫「無縁塚に落ちてたの」

 

 

藍「何故拾う」イライラ

 

 

紫「好奇心♪」

 

 

藍「何故そのページに興味が」

 

 

紫「好奇心&ゆかりん、やりたい」

 

 

藍「何故挑戦なさる」

 

 

紫「……黙秘♪」ニコッ

 

 

藍「何故っっ!!」

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

藍「一番重要なことでしょうがよぉ!? 何故そこだけ黙秘なさるのですか!!」

 

 

紫「別にいいじゃないの! 言いたくないのよ!」

 

 

藍「手伝わされるこっちの身にもなってくださいよ!! 目的がないなら意味がないじゃないですか!」

 

 

紫「藍、あなたいつからそんなつまらない狐になってしまったの? というよりやる意味はあるじゃないのよ」

 

 

藍「だからそこを聞いているんですよ! 美顔だか小顔だか分かりませんけど何故やるのかを!」

 

 

紫「あ~んもう五月蝿いわねぇ! 黙秘黙秘黙秘!」

 

 

藍「ぬぁぁぁああ!!」イライラ

 

 

藍(く、くそぉ…! さっきの感動は何処に消えた!? 紫様とて顔を赤らめていたのにこれだよ! また私は紫様の戯れの犠牲者に!? く、くぅぅ…)

 

 

紫「……」ペラッ

 

 

藍「はぁ…」

 

 

紫「ほぉほぉなるほどねぇ…」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「黙秘っ!」

 

 

藍「もう問いませんよ…はぁ分かりました、もうどうにでもなれです、とことん付き合います」

 

 

紫「そう! ありがとね、藍」ニコッ

 

 

藍「…」

 

 

藍(紫様、本当に何故…大体貴方が美顔…いや考えるな八雲藍、これはただの戯れだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「じゃ、やってみますか」グッ

 

 

藍「いきなりやって大丈夫なんですか? 仕事明けですのに」

 

 

紫「私を誰だと思ってんの? あんな仕事ごときで体力削られるほどやわな妖怪じゃなくってよ?」

 

 

藍「そうですか」

 

 

紫「そうなのよ」

 

 

藍「それで、その…美顔ですか? 具体的には何をすればよろしいので?」

 

 

紫「さっき読んだでしょ? 早口言葉よ」

 

 

藍「それだけですか?」

 

 

紫「そうよ? でもただの早口言葉じゃダメみたいね、この本によれば自分で自分の顔の表情を動かすのに最適な早口言葉を作り、意識して発音することでよりよいトレーニングになるみたい…それしか書いてないわね」

 

 

藍(ほぼ読者に丸投げなうえに効果があるのか分からないじゃないですか! そりゃ幻想入りもしますよ!)

 

 

藍「紫様、こう言ってはなんですが顔のマッサージなどでも表情筋は鍛えられるのではないでしょうか? 顔を普段動かさない方向に動かしてみたりとか」

 

 

紫「そんなやり方じゃダメよ、私がやったら人前で見せられない方向に目とか口が行くのよ? 福笑い妖怪になっちゃうじゃないの」

 

 

藍「…そうですね」

 

 

紫「うん…あ、藍には早口言葉作りを手伝ってほしいのよ、なんなら一緒にやる?」

 

 

藍「え!? い、いや私は」

 

 

紫「橙に『藍様、またお顔が一段と美しくなられましたね!』とか言われたくないの?」

 

 

藍「!? や、やるだけやってみます…」

 

 

紫「その意気はよし、さぁてねぇ…」

 

 

藍「早口言葉…隣の客は~とか、赤青黄からなるものとかがお馴染みですかね」

 

 

紫「ありきたりよねぇ…あ」

 

 

藍「?」

 

 

紫「隣の藍はよく橙食う藍だ」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「楽焼で蘭が藍を焼きつける」

 

 

藍「はい!?」

 

 

紫「藍か燐か燐か藍か分からないので藍と燐を比べたら燐か藍か分からなくなった」

 

 

藍「狐と猫ですよ!?」

 

 

紫「ちぇんこ 子ちぇんこ 孫ちぇんこ」

 

 

藍「ちぇぇぇぇん!! …はっ!?」

 

 

紫「あなた手伝う気あんの!?」

 

 

藍「紫様がポンポン変なの出すからでしょう!?」

 

 

紫「じゃああなたが次出してみなさいよ!」

 

 

藍「…あ…赤河童 青河童 黄河童」

 

 

紫「ひねりがないわ、赤河童 青河童 黄ばっぱ」

 

 

藍「ふはっ…! ゆ、紫様今」プルプル

 

 

紫「ち、違う! ゆかりん噛んでない!」

 

 

藍「…」ジト

 

 

紫「…」ムスッ

 

 

藍「…紅魔の牢屋の広い廊下を 六十六のろくろ首がロウソク持って オロオロ歩く」

 

 

紫「紅魔の牢屋の広い廊下を 六十六のろくろ首が ロウソク持って オロオロ歩く」

 

 

藍「怖いですね、六十六のろくろ首」

 

 

紫「吸血鬼も裸足で逃げるわね」

 

 

藍「文やや 八百屋にあややまり」

 

 

紫「文やや 八百屋にあややまり」

 

 

藍「自分で言っておいてなんですが、あややまりってなんなのでしょう」

 

 

紫「…知らないわよ」

 

 

藍「…こう作るというのも難しいですね」

 

 

紫「ゆゆゆか優遇幽香床」

 

 

藍「彼女が聞いたら怒りそうですね…」

 

 

紫「聞いてないわぁ」

 

 

藍「次は…う~ん」

 

 

紫「マーガトロイドトロトロマーガリン」

 

 

藍「マーガリンって…」

 

 

紫「洩矢ケロケロ三ケロケロ 合わせてケロケロ六ケロケロ」

 

 

藍「増えた!?」

 

 

紫「お? おお!? ねぇ藍、なんか私口角アップしてない!?」ニコニコ

 

 

藍「え!? 早くないですか!?」

 

 

紫「この調子よ! 夜までには美顔、小顔ゆかりんよ!」

 

 

藍「そんな簡単には…」

 

 

紫「不可能を可能にするのが八雲のゆかりんよ! さ! 続けるわよ」

 

 

藍「…はい」

 

 

 

 

 

 

 

 八雲のゆかりんの美顔、小顔猛特訓は申の刻、夜まで続いた…

 

 そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「う、うふ、うふふふ!」ツヤツヤ

 

 

藍「ゆ、紫様…」

 

 

紫「やったわ、私やったわ、大成功ようふふ」ツヤツヤ

 

 

藍「は、はい…そ、そうですね…」メソラシ

 

 

紫「外来のものを取り入れ、それでトレーニングを積み進化し、美顔を手に入れたゆかりん…♪」ニコニコ

 

 

藍「…」

 

 

紫「パーフェクト~…ゆかりんっ!!!」ニコニコ

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍(誰か私を助けてくれ!!!)

 

 

紫「うふふふふ!」ツヤツヤ

 

 

藍(いや、なにを助けてほしいかというとこの雰囲気と状況だ! もうやるべき事も終わり、直ぐにでもこの場から立ち去り夕飯の準備を始めたいのだがそれは出来ない…何故なら)

 

 

 

 

 

藍(私の目の前にいる美顔妖怪の監視をしなければならないからだ…! 確かにトレーニングをしたという状況を知っていればこの顔の様について納得できるだろう、だが知らぬものが見ればこれは異変レベルのものだ、手伝った私も共犯…だが)

 

 

 

藍(こうなるとは思わなかった…口角をつり上げ、不気味な笑顔のまま固定された幻想郷の大妖怪…! 我が主、八雲紫…!! このお方が野に出れば確実に異変が起きる…! 見るものが見れば気味悪がり、喧嘩を売られている様に見られるだろう…! 夕飯の準備をしている最中にスキマを開けられ、逃げられでもしたら幻想郷が大パニックに陥る!)

 

 

紫「うふふふ…! 楽しみ、これで…きゃっ♪」キャピ

 

 

藍(そもそも紫様がこの不気味な顔を手にいれようとした理由はなんだ!? それさえわかれば…)

 

 

紫「さぁてと……♪ よし、心は決まったわ」ギュオン

 

 

藍(もう戯れでは済まされない! 紫様に直接…!)

 

 

紫「じゃあね藍、私行ってくるから夕飯宜しくね♪」

 

 

 スッ ギュオン

 

 

藍「はい、いってらっしゃいませ……って」

 

 

 シーン…

 

 

藍「うわぁああ! し、しまったぁ! ついいつもの癖で反射的に!」

 

 

藍「紫様ぁ! 紫様! スキマを開けてください…! くっ! もうだめか…!」

 

 

藍「不味い不味い不味い非常に不味いっ…! どこだ! 紫様は何処へ行った!? 考えろ…! 考えろ八雲藍……!」

 

 

藍「……! どっ…ちだ…?」

 

 

藍「はっ…!? 考えても仕方がない! 行動あるのみだ!」

 

 

 スッ ヒューン

 

 

藍(頼むぞ…私の勘よ! こっちにいてくれ紫様!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【白玉楼】

 

 

 

魂魄妖夢「セイッ! やぁ! はぁっ!」ブンブン

 

 

 ヒュン ヒュン ヒュン

 

 

妖夢「…ふぅ、今日の稽古はここまでにしておこう」

 

 

妖夢「次は…幽々子様の夕飯の準備をしなくちゃ、今日は3倍増し増しの日だから楽かな、よし! 気合い入れなおさないと!」グッ

 

 

 ヨウムー

 

 

妖夢「ん? 今声が…」

 

 

 ヨウム-!

 

 

妖夢「! 私を呼んでいる? 一体…」

 

 

 ヨウムー!

 

 

妖夢「! 上…?」

 

 

藍「妖夢!」

 

 

妖夢「え!? ら、藍さん!?」

 

 

 シュタッ

 

 

藍「妖夢! 無事か!? 固定美顔大妖怪に威圧されていないか!?」

 

 

妖夢「は、はい!? なんですかその怖そうな妖怪は!?」

 

 

藍「あぁ、まちが…いや間違ってはいない! 間違ってはいないのだがと、ともかく紫様はここにいるか!?」

 

 

妖夢「へ? 紫様ですか? 今日はお見えになっていませんが…」

 

 

藍「! 外したか! ならばあっちの方か!」

 

 

妖夢「? 藍さん、なにかあったんですか? ここに来る時もかなり急いでいた様ですし」

 

 

藍「! い、いやなんでもない! なんでもないんだ! そうか、紫様はいないか! はははは!」

 

 

妖夢「…藍さん、やはり何かあったん」

 

 

藍「邪魔したな妖夢! 私がここに来てからの事を忘れてくれると助かるよ! それではな!」ググッ

 

 

 バヒューン

 

 

妖夢「え!? あ! ちょっと! …行っちゃった」

 

 

 スッ

 

 

西行寺幽々子「妖夢~? あら…?」

 

 

妖夢「幽々子様」

 

 

幽々子「ん~? 今飛んで行ったのは藍ちゃん?」

 

 

妖夢「はいそうです、何でも紫様を探しているらしく」

 

 

幽々子「紫を?」

 

 

妖夢「えぇ、でもその前に大妖怪がどうとか…かなり急いでいた様子でした」

 

 

幽々子「ふ~ん…そう」

 

 

妖夢「紫様がいなくなってしまったのでしょうか… はっ!? これはまさか異変では!?」

 

 

幽々子「…ねぇ妖夢」

 

 

妖夢「はっ! では直ぐに調査を」

 

 

幽々子「今日は人里に外食しに行きましょうか♪」

 

 

妖夢「はい! …はい!?」

 

 

幽々子「はいは一回で十分、さ、行きましょ♪」

 

 

妖夢「…よろしいのですか? 紫様がもし行方不明だとしたら」

 

 

幽々子「大丈夫大丈夫♪ 歩く行方不明さんがいなくなるなんて幻想郷じゃあり得ないことなのよ♪」

 

 

妖夢「またそんなこと言って…何かあったらどうするんですか」

 

 

幽々子「心配性ねぇ…なら今はお財布の中身を心配なさい、妖夢」

 

 

妖夢「え!?」

 

 

幽々子「外食でも3倍増し増しよぉ♪」

 

 

妖夢「お、お金持ってきます!」タタタ

 

 

幽々子「…今夜も月が綺麗ねぇ? 紫?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《博麗神社》

 

 

 

博麗霊夢、霧雨魔理沙「いただきます」

 

 

 カチャ パクッ

 

 

魔理沙「ムグムグ、お! 美味いなこれ! やっぱりキノコご飯は最高だぜ!」

 

 

霊夢「…」ジィー

 

 

魔理沙「ん? なんだよ霊夢、食わないのか?」

 

 

霊夢「ふーん、毒は無いみたいね、このキノコ」

 

 

魔理沙「おいおい毒味させたのか? ってか私が採ってきたキノコなんだぜ? 少しは信用してほしいもんだが」

 

 

霊夢「あんな毒々しい色のキノコ初めて見たんだもの、疑わない方がどうかしてるわよ」

 

 

魔理沙「まぁ確かに見た目は悪いが味と安全さはこのキノコマスターの魔理沙さんのお墨付きだぜ?」

 

 

霊夢「あんたこれ食べたことあったの?」

 

 

魔理沙「あぁ美味しくいただいたな、シチューに入れて食った」

 

 

霊夢「図鑑に載ってない新種のキノコだって言ってなかった?」

 

 

魔理沙「あぁ、だから自分で食って確かめた」

 

 

霊夢「あんたねぇ少しは…キノコマスターも大変なのね」

 

 

魔理沙「キノコマスターは魔法使いでもある、魔法使いに実験は付き物だぜ」

 

 

霊夢「たくましいわねぇ、魔理沙は」

 

 

魔理沙「褒めても弾幕とキノコしか出ないぞ? ほら、冷めないうちに食べようぜ」ニコ

 

 

霊夢「えぇいただくわ、あーんっ…! おっ!? 美味っ!? なにこれ!」

 

 

魔理沙「だろ? すげえ美味いだろ?」

 

 

霊夢「すげえわ! 本当にすげえわ! ムグムグ! ムグムグ! ハグハグ!」モグモグ

 

 

魔理沙「おお、そんなに食ってもらってキノコも満足だろうな、今度アリスにも分けてやるか」モグモグ

 

 

霊夢「魔理沙! このキノコ何ていうの? この私を唸らせたキノコ、名前を一生覚えておいてやるわ」

 

 

魔理沙「そこまでかよ…てか新種だって言ったろ? 名前なんかついてないぜ」

 

 

霊夢「じゃあこういうのって発見者が名前付けるんじゃないの?」

 

 

魔理沙「私がか? お、そりゃいいな、う~む」

 

 

霊夢「ムグムグ…んっ……そんなに悩むんだったら他の人に付けてもらえば?」

 

 

魔理沙「このキノコはこの霧雨魔理沙さんが発見した唯一のキノコなんだぜ? 容易く付けらんねぇよ、付けてもらうとしても誰に頼むんだよ?」

 

 

霊夢「……レミリア」

 

 

魔理沙「ぶふっ! ははははははっ!! おい霊夢笑わせんな、絶対ないぜ!」

 

 

霊夢「ふふっ、やっぱり?」

 

 

魔理沙「あぁ!『魔理沙が見つけたキノコ…フフフ、決めた! このキノコの名はマリッシュルーム!』とか言うに決まってるぜ、ははははは!」

 

 

霊夢「ちょ、ちょっと魔理…ふふふっ! あんた声似すぎよ、あははは!」

 

 

魔理沙「でも語呂はいいぜ『マリッシュルーム』検討させていただくとするか」

 

 

霊夢「…カリスマッシュルーム」

 

 

魔理沙「ふはっ…! 霊夢、もうやめてくれ…! くふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっ♪ ほら魔理沙、食べないと全部私が食うわよ」

 

 

魔理沙「あ! ズルいぜ霊夢!」

 

 

霊夢「では改めて、二杯めいただきま」

 

 

 ギュオン

 

 

紫「はぁい♪ 霊夢…と、あら魔理沙」ニコニコ

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…」ジト

 

 

紫「あ、あら? あなた達今楽しくおしゃべりしてなかった?」ニコニコ

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「萎えたぜ…」

 

 

紫「な、萎え…!?」

 

 

霊夢「今晩は紫、素敵なスキマはすぐそこよ?」

 

 

紫「また遠まわしに帰れって言う! ゆかりん悲しいわ! 悲しい」ニコニコ

 

 

霊夢「悲しいんかい」

 

 

魔理沙「まだ自分の事ゆかりんとか言ってんのかよ」

 

 

紫「あら? いけない?」ニコニコ

 

 

魔理沙「いけないというか恥ずかしくないのか?」

 

 

紫「恥ずかしくなっていたら何事も挑戦出来なくってよ? あなたが一番良く知っている事でしょう?」ニコニコ

 

 

魔理沙「このや…まぁいいや」

 

 

紫「ね、霊夢、あなたもそう思うでしょう?」ニコニコ

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「? 霊夢?」ニコニコ

 

 

魔理沙「おい霊夢、どうした?」

 

 

霊夢「…魔理沙、ご飯冷める」モグモグ

 

 

魔理沙「お、おう…いただくぜ」モグモグ

 

 

紫「…?」ニコニコ

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

魔理沙「…」モグモグ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

魔理沙「…」モグモグ

 

 

紫「…」ニコニコ ツヤツヤ

 

 

霊夢「ズズズッ…」モグモグ

 

 

魔理沙「…」

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

魔理沙(何なんだよこの空気は!?)

 

 

魔理沙(こえぇよ、何してんだスキマババア…霊夢の事ニコニコしながらずっと見てやがる…いや何がこえぇって口だよ、あいつ鏡見たことあんのかってぐらい口角がつりあがってるぜ、幽香のお楽しみモード以上にあがってる…新種のオカルトか? 『顔面凶器! スキマから貴方を見ているぞ』か!?)

 

 

魔理沙(それに対する霊夢はどうだ…動じていない、ただ淡々と飯を食らっている…何でだよ!? 何でこの空気の中で平然と飯を食らえるんだ霊夢!?)

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

魔理沙(…ダメだ、耐えらんねぇよ)

 

 

魔理沙「な、なぁ、れい」

 

 

霊夢「魔理沙」

 

 

魔理沙「…! ん、ん!?」

 

 

霊夢「ご飯、冷める」

 

 

魔理沙「お、おう…」

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

魔理沙(…いやいやいや! それさっき聞いたぜ!? …! そ、そうか霊夢、手を出すなって事だな!? 霊夢があの顔面凶器に気付いてない訳がないじゃないか!)

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

魔理沙(この勝負、見届けさせてもらうぜ…!)

 

 

霊夢「…」モグモグ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

魔理沙(…)

 

 

霊夢「ズズズッ…ふぅ…ご馳走さまでした」パン

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

魔理沙(霊夢が食い終わったな、どうする気だ?)

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

霊夢「…」ポリポリ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

霊夢「…」イラッ

 

 

紫「…」ニコニコ

 

 

霊夢「はぁ…」スッ 

 

 

魔理沙(霊夢が動いたぜ!)

 

 

霊夢「…」ジッ

 

 

紫「! …!」ニコニコ

 

 

魔理沙(おぉっ! やっと二人の目があったぜ、さぁどうなるんだ!?)

 

 

霊夢「紫…」

 

 

紫「!! な、何かしら!? 霊夢♪」ニコニコ

 

 

霊夢「ふふふ…」ニッコリ

 

 

紫「! ふふふ♪」ニコニコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「歯ぁ食いしばれ」スッ

 

 

紫「え」ニコニコ

 

 

 霊夢はそう言うと紫の背後に回り込み

 

 綺麗なジャーマンスープレックスを決めた

 

 

 

霊夢「おらぁ!!」ブン!

 

 

紫「ぐほぉ!!」ズダン!

 

 

魔理沙「おぉっ!? あれ咲夜が美鈴にやってた技じゃないか!」

 

 

霊夢「何なのよあんたぁ! さっきから人の顔を凝視しやがって!」

 

 

魔理沙「霊夢見事だったぜ、やっぱり気付いてたのか」

 

 

霊夢「気付かないわけないでしょ!? こんな顔面凶器にずっと見られてんのよ!?」

 

 

魔理沙「私と同じ感想で何よりだぜ」

 

 

霊夢「ったく、ほら紫立ちなさい! なに企んでんのよ!」

 

 

紫「痛い! いきなりなにするのよ霊夢!」ニコニコ

 

 

霊夢「…!?」ゾクッ

 

 

魔理沙(か、顔が顔面凶器のままじゃないか!)

 

 

霊夢「ゆ、紫…! あ、あんたその顔…」

 

 

紫「!!! れ、霊夢! 顔!! 私の顔がどうかしたの!?」ニコニコ

 

 

魔理沙「いや、どうかしたもなにもだな…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「ねぇ霊夢! 私の顔! 私の顔はどうな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「キモい!」

 

 

紫「 」ピキッ

 

 

魔理沙「あ、固まった」

 

 

紫「 」

 

 

霊夢「? あら、動かなくなったわ」

 

 

魔理沙「霊夢、あれはキモイじゃなくて恐いだぜ」

 

 

霊夢「いや、私にはキモく感じたわ」

 

 

魔理沙「ま、どっちでもいいぜ…んな事よりコイツは何がしたかったんだ?」

 

 

霊夢「さぁね…真っ白になって動かなくなったし」

 

 

紫「 」orz

 

 

霊夢、魔理沙「???」

 

 

 ユカリサマ-!

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

 ユカリサマ-!

 

 

霊夢「この声…」

 

 

 ガララ!

 

 

藍「紫様! 霊夢! 紫様はいるか!?」

 

 

霊夢「次から次へと…」

 

 

魔理沙「今度は藍か、お前は…普通だな」

 

 

藍「! 今度は!? 魔理沙! 紫様はここにいるんだな!?」

 

 

魔理沙「いるっつーか、置いてあるっつーか…」

 

 

霊夢「藍、保護者ならしっかりと管理してほしいもんだわね! これ!」

 

 

紫「 」orz

 

 

藍「!? あぁ紫様!」ダッ!

 

 

霊夢「…これはなに? 八雲家の喜劇?」

 

 

魔理沙「こころでもやらないぜ、能楽でもないな」

 

 

紫「 」orz

 

 

藍「紫様ぁ! あぁ! 私がもう少し早く到着していればこんなことには、でも回りに被害が出ていなくて良かった様な良くないような…!」

 

 

魔理沙「なんなんだよ…」

 

 

霊夢「…藍、あんたなら知ってるわよね、説明してくれる? コイツが顔面凶器になった理由」

 

 

藍「……あぁ、分かった…」

 

 

魔理沙「こっちで何が合ったかも説明してやるぜ、お前紫の事探してたみたいだしな」

 

 

藍「あぁ、頼むよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【藍、説明中…】

 

 

 

魔理沙「あははははは!! ひぃー! はははは!」ゲラゲラ

 

 

藍「笑われても文句が言えないよ…」

 

 

霊夢「ばかね、バカの極みだわ…」

 

 

紫「 」orz

 

 

魔理沙「わ、あははははは! 笑い死ぬ…! び、美顔って…! ふ、ふふふっ! あはははは!」ゲラゲラ

 

 

藍「私が悪いのだ、全てな…」

 

 

霊夢「あんたも被害者じゃない? ある意味さ」

 

 

藍「…」

 

 

霊夢「コイツが来たときからなんかいやな感じがしてたのよね、だから耐えてたんだけど流石の私もイライラが押さえきれなかったわ」

 

 

魔理沙「ふ、ふふふっ! で、でもよ? 何で本当にそんなことやり始めたんだろうな、美顔なんて」

 

 

藍「それがわかればな…理由を聞いても教えてくれないのだ」

 

 

霊夢「…バカじゃないの」

 

 

藍「…そうだな、理由があるなら教えてほしかったのだが…」

 

 

霊夢「…? いや違う違う、そのバカじゃなくってさ」

 

 

藍「…?」

 

 

魔理沙「なんだよ霊夢、どういう事だ?」

 

 

霊夢「だからやる理由もなにもないでしょ? コイツの場合さ」ポンポン

 

 

 霊夢は紫の頭をポンポンと優しく叩く

 

 

紫「 」orz

 

 

魔理沙、藍「??」

 

 

霊夢「私からして見ればこのおバカが美顔だか小顔だか知らないけどやる必要性が無いし、意味が分からないって言ってんの、最初っから顔が憎たらしい程に整っている奴が何に挑戦してんだって話よ」

 

 

紫「 」ピクッ!

 

 

魔理沙、藍「……」

 

 

霊夢「大体藍、あんたが最初っからそう言っとけば」

 

 

 ガバッ

 

 

紫「れいむぅ~!!」ダキッ

 

 

霊夢「うわっ!?」

 

 

紫「うえ~ん! グスッ! ヒグッ!」ポロポロ

 

 

霊夢「な、何なのよ!? ちょ、ちょっと! 離しなさい! 紫!」

 

 

紫「ねぇねぇ霊夢ぅ! 私綺麗?」ニコニコ

 

 

霊夢「あぁ!?」

 

 

魔理沙「…! はは~ん成る程な…そういうことか」

 

 

藍「紫様…」

 

 

魔理沙「紫は霊夢に顔が綺麗だって言われたかったわけか、んでトレーニングしたと」

 

 

藍「だが霊夢は初めから紫様の事を綺麗だったと思っていた…」

 

 

魔理沙「綺麗とは言ってないがまぁ本人が幸せならいいんじゃないのか? トレーニングも無駄になっちまったな」

 

 

藍「ふふっ…いいや、無駄じゃないさ」

 

 

 

 

霊夢「離しなさい紫ぃ! 暑苦しい!」

 

 

紫「ねぇ霊夢! 綺麗? 私綺麗?」

 

 

霊夢「…! あぁもう、綺麗よ! 綺麗なんじゃないの!? 幻想郷では綺麗な方でしょ!?」

 

 

紫「!!! 霊夢ぅ~♪ 大好きよ~♪」

 

 

霊夢「いい加減に離れろぉ!!」

 

 

魔理沙(嬉しいもんかねぇ…綺麗って言われて)

 

 

藍(良かったですね紫様…♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あぁやっと帰った、これで喜劇も幕引きね」

 

 

魔理沙「…なぁ、霊夢」

 

 

霊夢「ん? なによ」

 

 

魔理沙「…私ってさ…どうだ? 綺麗な顔してんのか?」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「なぁ、どうなんだ? 答えてくれないか」

 

 

霊夢「…」ジィー

 

 

魔理沙「…!」ゴクリ

 

 

霊夢「あんたさ…」

 

 

魔理沙「お、おう」

 

 

霊夢「……肌荒れてない?」

 

 

魔理沙「…あ?」

 

 

霊夢「キノコばっか食ってるからじゃないの? アクが強いから人によっては肌が荒れるらしいわよ?」

 

 

魔理沙「…気を付けるぜ…」

 

 

霊夢「? ほら、暇なら片付け手伝いなさいよ、ただ飯は許さないわよ」

 

 

魔理沙(期待した私がバカだったぜ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ふふふふふふふ! ヤバイわ! ニヤニヤが止まらないわ、ふふふ♪」

 

 

藍「トレーニングの成果が実りましたね」

 

 

紫「もうほんとにね! あぁ私は幸せ者だわ、うふふふ!」

 

 

藍「…」ニコッ

 

 

紫「…そういえば藍、あなた何で博麗神社にいたの?」

 

 

藍「え? あぁいや、それは…」

 

 

紫「…ってことは夕飯の準備が出来ていないわけね」

 

 

藍「はい……はっ!?」

 

 

紫「もう本当にしょうがないわねぇ! 今回は許してあげるわ! 今日は気分がいいから外食! 人里で飲むわよ!」

 

 

藍「あ、待って下さいよ! 紫様!」

 

 

紫「ふふふのふ! さ、急ぐわよぉ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の事心配して来てくれたんでしょ?

 

 

 いつも感謝してるわ

 

 

 ありがとうね、藍

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 






 この後、紫と藍は幽々子、妖夢と偶然出会い今日の出来事を肴に酒盛りをしますがそれはまた別のお話し



 幽々子様はエスパータイプ…というか紫のことに関しては霊夢以上に勘が働き、紫の気持ちを察する事が出来るのでしょう、きっと。


 ここまで読んでいただき、ありがとうございました! お疲れ様でした!




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《第5談》夏の終わりに二暴れ


 今回は夏の終わりをコンセプトにしてます…が夏はあまり関係ないような…

 夏の終わりに執筆したからだと思います…


 それでは始まります♪




 

 

 【夏の終わりに、恐れと怒り】

 

 

 紫と藍の憩いの場…マヨヒガにて

 

 

橙「藍様~!」タタタ

 

 

八雲藍「橙! 待っていたよ」

 

 

橙「ごめんなさい、お待たせしてしまって…」

 

 

藍「良いんだよ橙、急に呼び出してしまった私の方が悪いのさ」

 

 

橙「そんなことありませんよ! 悪いのは」

 

 

藍「ふふふ、橙は優しいな♪ その気持ちだけで充分だよ」

 

 

橙「藍様…」ジーン

 

 

藍「橙…」

 

 

橙「…あ、ところで藍様、橙に用事とは…」

 

 

藍「あぁそうだったね、橙、用事というのは他でもない、今日はここマヨヒガで私と話をしないか?」

 

 

橙「お話ですか?」

 

 

藍「ここ最近一緒にいる機会がなかったからね、ほら、今年も夏が終わるだろう? 夏の間に橙が何をしてきたかを聞かせてほしいんだ、夏の思い出…作って来たんだろう? 聞かせてくれないか?」

 

 

橙「はい、とっても沢山作って来ました! 色んなところに皆と行って、色んな話をしてそれから」

 

 

藍「ははは、一度に話されると流石の私でも混乱してしまうよ、そろそろ夕飯の時間だから食べながら話そう」

 

 

橙「!! 藍様、作ってくださるのですか!?」

 

 

藍「もちろん、なんなら泊まっていくかい?」

 

 

橙「はい! 喜んで!!」ニパー

 

 

藍(グフッ♪ 心が洗われる、最高だ)

 

 

藍「では居間で待っていなさい、私は支度をしてくるからね」

 

 

橙「はい! お邪魔します!」タタタ

 

 

藍「お邪魔します、か…橙、ここはお前の家でもある、いつでも気軽に来てくれても構わないというのに…というか私に会いに来てほしい」

 

 

藍「あぁ橙…今日は二人でずっとずっと一緒いられる…! あの可愛い声も可愛い容姿も可愛い尻尾も今日は私のもの…あぁぁぁああ…♪」

 

 

藍「みなぎってきたぞ! ちぇぇぇぇぇんん!!」

 

 

藍「……」ニヤァ

 

 

藍「グフッ♪ こうしてはいられぬ、早速夕飯の準備だぁ♪」

 

 

 【マヨヒガ、居間】

 

 

 

 チェェェェェンン

 

 

橙「!?」ビクッ

 

 

橙「……はぁ、また藍様ご乱心なのかな…でも仕方ないよね、お仕事いつも頑張ってるし…橙がいることで藍様のストレスが無くなってくれれば橙は…」

 

 

橙「藍様を少しでも癒す事が橙のお仕事…今はそれしか藍様のお役にたてない」

 

 

橙「…? あれ?」

 

 

橙「今日は紫様お出掛けしているのかな?」

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、お台所】

 

 

藍「ふふふふふふ♪ あぁダメだ、ニヤニヤが止まらないよ」

 

 

藍「何故なら今日は橙とずっと二人きり!! そしてぇ!!」

 

 

藍「あのスキマの妖怪は今日ここに帰って来ないのだよ!」

 

 

藍「スキマ様は博麗神社にお泊まりなのだからな…ふぁ~はっはっは!」

 

 

藍「仕事から開放され、小言偏屈常識逸脱スキマ女子から開放された私には怖いものなど何もない!!」

 

 

藍「気を使い、はたまた気を使い、よしんば気を使う事もない! 傾国を揺るがし蹂躙した九尾! ここに現れり!!」

 

 

藍「クカカカ…♪ 橙、ご飯を食べたら一緒にお風呂、そして一緒のお布団で寝よう…そして…」

 

 

藍「……今夜は寝かせないぞ♪ ちぇぇん…」ニタァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橙「!!? なんか寒気が…」ゾクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【数十分後…】

 

 

 

藍「さぁ橙! たんと召し上がりなさい」

 

 

橙「…!? ら、藍様…! こ、これは」

 

 

藍「橙の好きな物ばかりだよ♪ 美味しそうだろぉ♪」

 

 

橙「そ、そうなんですけど…」

 

 

 ドーン!

 

 

橙(量が多すぎますよ藍様!)

 

 

橙(それに凄い豪華だよぉ…この前に紫様と藍様と橙でお夕飯を食べた時以上の物が出てるよ…それに)

 

 

橙(橙、藍様におやきが好きって言ったこと無いはずなのになんであるの…?)

 

 

橙(守矢さんの所でご馳走になって好きになったのに、しかもそれが二日前…)

 

 

橙「あ、あの藍様」

 

 

藍「どうたんだぁいちぇぇん…♪」ニタァ

 

 

橙「ひっ…!? あ…あの! こ、このお料理なんですけど、どうして橙が好きって知って」

 

 

藍「愛だ」

 

 

橙「え…!?」

 

 

藍「アモーレだよ♪」ニタァ

 

 

橙「!?」ビクッ

 

 

藍「ちなみにアモールとかいう水はHPが六十ぐらい回復するんだよ♪ フフフフ」

 

 

橙(えいちぴー!? あもーる!? 何なんですか!?)

 

 

橙(な、なんか今日の藍様はいつものキツいを通り越して…)

 

 

藍「さぁ橙一緒に…♪ 一緒に食べようね♪」

 

 

橙(恐いよぉ…!)ビクビク

 

 

藍「さぁ頂こうね♪ おっと、思わず橙に箸が伸びてしまいそうだよ♪ なんでだろうね♪」ニタァ

 

 

橙(ゆ、紫様…! た、たすけ…)ビクビク

 

 

藍「橙どうたんだぁい♪ そんなに震えてぇ♪ あぁ、寒いんだね♪ どれ、私が温めてあげよう♪ もちろんくっついてね♪ フフフ♪」ニタァ

 

 

橙「た……たす…」ブルブル

 

 

藍「んん? た?」

 

 

橙「助けてーー!! ゆかりーーん!!」

 

 

藍「え」

 

 

 

 その時

 

 

 スキマが開いた

 

 

 ギュオン ヒュー

 

 

八雲紫「いったぁ!!?」ドゴ

 

 

橙「!!? あ、あぁっ…!」

 

 

藍「な…!?」

 

 

紫「いったっ…痛いっ…!! 腰打った…!! くぅぅ、あんにゃろうどもぉ! よくも私と霊夢の邪魔を」

 

 

橙「ゆかりさまぁー!!」バッ

 

 

紫「!? ち、橙!?」ダキシメ

 

 

橙「グスッ…! ゆ、ゆかりさまぁ! 恐かった...! 恐かったですよぉ!!」

 

 

紫「ちょ、ちょっと橙!? なんでここにいる…って違うわね…なんで泣いているの?」

 

 

橙「グスッ…ヒグッ…うええん!!」ポロポロ

 

 

紫「んー…? おー良し良し、なんかわかんないけど恐かったのね、ゆかりんが来たからにはもう大丈夫よ」

 

 

橙「グスッ…ううぅ…そ、それがぁ…グスッ」

 

 

紫「あー待ちなさい、あなたがここまで泣くって事は相当ね…何か分からないけど辛かったでしょう? 無理して言わなくて良いからね…さて?」スッ

 

 

紫「ちょっと藍!? あなたがいながら橙をここまで泣かせるってのはどういうことなのかしら!? 流石の私でもそこは怒るわよ…!? って」

 

 

藍「 」ピキッ

 

 

紫「…藍?」

 

 

藍「 」

 

 

紫「? 藍、聞いてるの!?」

 

 

橙「ゆ、紫様、その」

 

 

紫「何よそのすっとぼけた顔は! 橙が泣い」

 

 

藍「うわあああぁぁぁぁ!!」ボロボロ 

 

 

紫、橙「!?」

 

 

藍「うわあああぁぁぁぁ!!」ボロボロ

 

 

紫「ちょっ!?」

 

 

藍「うわあああぁぁぁぁ!! うわあああぁぁぁぁ!」

 

 

紫「何であなたまで泣いてるのよ!!」

 

 

藍「うわあああぁぁぁぁん!! うわあああぁぁぁぁ! うわあああぁぁぁぁ!」ボロボロ

 

 

紫「…」イラッ

 

 

藍「うわあああぁぁ」ボロボロ

 

 

紫「ええい!! うっさいわ!!」パン

 

ギュオン

 

 

紫「スキマオシオキ秘術その八百九十三!! スキマに頭突っ込ませて息が出来なくなるの術!!」

 

 

藍「!!?…… !!?」ジタバタ

 

 

紫「…」

 

 

橙「紫様…藍様…」

 

 

藍「!? …!」ジタバタ

 

 

藍「……」ジタ…バタ

 

 

藍「 」スッ

 

 

紫「ちょっと気絶してなさいな」

 

 

橙「藍様…」

 

 

藍「 」チーン

 

紫「ったく何なのよ…ってうおう!? 何このフルコースの山は!? 幽々子の三倍増し増しの時ぐらいあるんじゃないの!?」

 

 

橙「ゆ、紫様、これには…」

 

 

紫「橙…今私ね、頭の中フル回転で状況整理中よ、たった今終わったけど」

 

 

紫「…でも橙、ちょーっと頭の中覗かせてね、ついでにあのアホ狐の中も覗くか」

 

 

橙「は、はい」

 

 

藍「 」チーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、縁側】

 

 

紫「このバカ狐はっ…!! えぇ!?」イライラ

 

 

藍「 」チーン

 

 

橙「紫様…」

 

 

紫「橙! あなたは一つも悪くないわ! 藍! 起きなさいよこら! ご乱心も良いところよ!? ゆかりんがいないところでお楽しみってか!? あぁん!?」

 

 

 気絶した藍を紫は激しく揺さぶる

 

 

藍「 」ユサユサ

 

 

紫「狐の発情期は冬でしょうがよ! あなたの身勝手で橙がどれほど苦しんだか分かってんの!?」

 

 

橙「紫様!」

 

 

紫「橙、今回ばかりは溺愛では済まされないわ! これは異常よ! 非常事態なのよ! それに私の監督不行き届きでもあるわ、このバカちんの狼藉はスキマオシオキ秘術フルコースで」

 

 

橙「で、でも、橙は! 橙はそんな藍様も好きです!!」

 

 

紫「!」

 

 

橙「藍様はたまにその…暴走してしまうときもあります、でもそれは全部この橙の為なんです」

 

 

橙「こんななんの取り柄もない橙を藍様はいつも可愛がってくれています、私はそれだけでも充分なんです! だから藍様へのオシオキは…」

 

 

紫「また恐い思いするかもしれないわよ?」

 

 

橙「そ、それは……で、でも…」

 

 

紫「……まぁ良いか、その時は私が何とかしてやればいいんだもんね」

 

 

橙「!」

 

 

紫「全くまだまだ世話の係る狐だわ、誰に似たのかしら…でもね橙、藍へのオシオキはするわよ、ちょっと軽い奴にしてあげる」

 

 

橙「紫様! ありがとうございます!」

 

 

紫「ふぅ…ま、一件落着かしらね」ナデナデ

 

 

橙「えへへ…♪」ナデラレ

 

 

紫(橙…あなたは優しい、それが武器でもあり弱点でもある…それに自分自身で気付き、コントロールしてこそ八雲の名にまた一歩)

 

 

橙「紫様、あのときは助けてくださってありがとうございました」

 

 

紫「ん? あぁ、ほら前に言ったでしょ? 『助けてゆかりん』は魔法の呪文♪ 幻想郷でその言葉を口にすれば何処へでも駆け付けるわよ」

 

 

橙「紫様…ありがとうございます」

 

 

紫「橙こそ助かって良かったわねぇ、このアホの起こしたこととはいえ」

 

 

藍「 」チーン

 

 

橙「はい…あ! あの紫様、先程から気になっているのですが」

 

 

紫「?」

 

 

橙「どうして、そんなに服がボロボロなんですか? 確かスキマから出てきてくれた時からでしたよね?」

 

 

紫「あぁこれ? これはね…」

 

 

橙「?」

 

 

紫「……」

 

 

橙「? 紫様?」

 

 

紫「ぬあああぁん! あぁっ!? 思い出したら腹が立ってきたわ!!」

 

 

橙「!?」

 

 

紫「あんにゃろうどもめぇ! よくも私と霊夢のドキドキお泊まり会をよくも…よくも!」

 

 

橙「お、落ち着いてください紫様! 何があったんですか!?」

 

 

紫「橙聞いてくれる!? 私今日霊夢の所にお泊まりしようと思ってアポなしで神社に行ったの」

 

 

橙「あぽ…? え!? 連絡なしでってことですよね!?」

 

 

紫「ゆかりん大好きっ子の霊夢なら泊めてくれるはずだと思ってね、突撃よ突撃」

 

 

橙「…」

 

 

紫「神社に着いたゆかりん、霊夢の名を呼ぶも出てこなかったの、どうやら何処かに出掛けてたみたいでね」

 

 

紫「だからゆかりん、神社の中で待つことにしたの…そしたらね」

 

 

橙「…!」

 

 

紫「来るわ来るわ空気の読めないお馬鹿たち」

 

 

橙「えっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【数時間前、博麗神社、居間】

 

 

紫「…」

 

 

伊吹萃香「んぐっんぐっ…」グビグビ

 

 

風見幽香「…」

 

 

比那名居天子「…」

 

 

アリス・マーガトロイド「…」

 

 

紫「…」

 

 

萃香「ぷはーっ! うぃー…ヒック♪」

 

 

幽香「…」

 

 

天子「…」

 

 

アリス「…」

 

 

紫、幽香、天子、アリス「…」

 

 

アリス「お願い、誰か沈黙を破って」

 

 

紫「沈黙? さっきから萃香がただ一人喋っていたじゃない」

 

 

アリス「ただお酒飲んでただけじゃない」

 

 

幽香「アリス、コイツの家ではあれを喋るというのよ」

 

 

紫「息を吸うかの如く酒を飲む、これこそ飲んで語ると言うのよ」

 

 

幽香「へぇ…八雲家では飲まないと語れないと」

 

 

紫「あなたはお花がないと語れないでしょう?」

 

 

幽香「花は何処にでも咲くものよ」

 

 

紫「ほんとよねぇ、私の目の前にゆうかりんっていう食人植物が咲いてるものね」

 

 

幽香「…!」スッ

 

 

アリス「幽香、その振り上げた拳を降ろして…ちゃぶ台が割れるわ」

 

 

紫「ちゃぶ台はひっくり返すものよ? 風情よ風情」

 

 

アリス「なんであなたは煽るのよ!」

 

 

紫「ゆかりん煽ってない」

 

 

天子「煽るのもいいけどやっぱり直接殴らなきゃね」

 

 

紫「殴る方も痛いのよ?」

 

 

天子「それもまた一興、二倍ましでスッキリするもの」

 

 

アリス「あなたも! 何の話をしてるのよ!」

 

 

天子「殴って殴られて気持ちよくなったときの話」

 

 

アリス「うわぁ…」

 

 

幽香「まだ殴られ足りなかったのかしら?」

 

 

天子「足りないわね、あんたの拳はいい味してたけど優しさがあって物足りないわ」

 

 

紫、アリス「え」

 

 

幽香「優しさですって…?」

 

 

天子「殺意はバリバリ出してる癖にこう…グッとくる物がないのよ、かといって手を抜いてるわけでもなし」

 

 

幽香「だったら」

 

 

天子「あんた大切な人でもいんの?」

 

 

幽香「…別に」

 

 

紫「アリスさんアリスさん、向かいの幽香さんどうやら好きな人が出来たみたいよ?」

 

 

アリス「やめなさい、巻き込まないで」

 

 

幽香「そうは言うけどあなた、殴りあいを所望している割りにはその剣を振るうのね」

 

 

天子「実を言うと私はこれを使いこなせてない、だからたまに自分の体を傷つける、それがいいの」

 

 

アリス「もうあなた黙りなさいよ」

 

 

天子「お人形さんの様に口を縫い付けてみる? 初めての体験だわ」

 

 

アリス「本当に黙って」

 

 

紫「ゆうかりん」

 

 

幽香「何よ腐れスキマ」

 

 

紫「前々から思ってたんだけど『ゆの字』同士仲良くしない? 日傘もあるし」

 

 

幽香「おふざけはスキマの中でするのね、あなたと仲良くしたらもれなくあの食欲魔神がついてくる、付き合ってられないわ」

 

 

紫「よく分かったわね」

 

 

幽香「それとあなたのは普通の日傘、私の日傘と一緒にするな」

 

 

紫「ゆかりんの日傘は紫外線百二十%カット」

 

 

幽香「なら私のは百五十カット」

 

 

紫「あ、ごめん、百七十カットでした♪」

 

 

幽香「ごめんなさいね、私のは二百はカットしていたわ」

 

 

紫「バカじゃないの?」

 

 

幽香「表に出ろ、捻り潰す」

 

 

アリス「あなたたちも黙りなさい!」

 

 

幽香「沈黙を破れって言ったのはあなたよアリス」

 

 

紫「そーだそーだ~♪」

 

 

天子「破るより、破られる方が好きよ♪」

 

 

アリス「聞いてないから!」

 

 

萃香「何だっけあれ…あぁ♪ ソーダ割も良いよね、紫、また持ってきておくれよ~」

 

 

アリス「頭が痛くなるわ…」

 

 

紫「ハイハイ、愉快な会話はここまでよ」

 

 

紫、幽香、天子、アリス、萃香「…」

 

 

 

 

 

紫「お主ら何しにここにいる」

 

 

萃香「霊夢と酒盛り」

 

 

紫「許す」

 

 

萃香「よっしゃ」

 

 

天子「霊夢に一発してもらう」

 

 

紫「ゆ…るされない?」

 

 

天子「許せ」

 

 

幽香「霊夢に話がある」

 

 

紫「内容」

 

 

幽香「黙秘」

 

 

紫「許されない」

 

 

幽香「許されろ」

 

 

アリス「幽香の付き添い、個人的に霊夢に用事があるの、幽香が黙秘なら私も黙秘」

 

 

紫「許されない」

 

 

アリス「何でよ…」

 

 

幽香「あなたは」

 

 

紫「霊夢のお家にお泊まり」

 

 

幽香「くたばれ」

 

 

アリス「許されない」

 

 

天子「若干羨ましい」

 

 

萃香「純米大吟醸」

 

 

紫、幽香、アリス、天子、萃香「…」

 

 

 フゥ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ゆかりん許さない!」

 

 

天子、幽香「ふざけんな!」

 

 

アリス「ふざけないで!」

 

 

萃香「これが酒の力だ」

 

 

紫「ふざけんなぁ!? ふざけてんのはどっちよ! 一方は自分の欲求もう二方は何を話すのか分からない! そんなことの為に私と霊夢との時間を割かないでよ!」

 

 

天子「何で萃香が良くて私がダメなのよ!? 大体あんたが一番欲求満たしたいだけじゃない!」

 

 

紫「萃香、私の友、酒、霊夢好き、萃香いる、私、霊夢、萃香、ハッピー、OK?」

 

 

天子「急に片言で話すな! ていうかお泊まりは良いわね♪ 皆で川の字で寝るんでしょ? 寝返り打たれて腹に蹴りを入れられた経験が無いのよ、良し決めた♪ 私も泊まる!」

 

 

紫「本当に欲望に忠実な奴ね!? 霊夢にキモいと言われた事あるでしょう!? まだ懲りてないの!?」

 

 

天子「そんなもんご褒美よ!」

 

 

紫「もういやこの天人!」

 

 

アリス「ちょっと話をするだけでしょう!? 何であなたの許可がいるのよ!?」

 

 

紫「人形に爆薬仕込むような危険な子が霊夢と話そうだなんておこがましい! あれでしょ!? 『神社に爆弾をセットしたから解除してほしければ銭をよこせ! ぐへへ』とか言うんでしょ!?」

 

 

アリス「想像力豊かね!? そんなこと言うわけないでしょうが!」

 

 

幽香「アリスの言う通り自分勝手な奴ねあなたは、霊夢はあなたの所有物じゃないのよ?」

 

 

紫「そんなことはわかってますぅ~! 束縛なんかしてませんよ? そんなこと考えてるあなたこそブーメランじゃないの?」

 

 

幽香「…霊夢と一対一…本気で勝負したいとは思っているわ」

 

 

紫「まぁ野蛮! 益々許されないわ! 向日葵の種と小一時間にらめっこして遊ぶならまだ考えたわよ」

 

 

幽香「本気で殺られたい様ねスキマぁ…!」

 

 

紫「これ以上の黙秘は肯定とみなす!」

 

 

幽香「スキマぁ!!」

 

 

萃香「酒がうめぇ♪」

 

 

天子「要石の点検も兼ねてやるって言ってんのよ! 自分の身をもってね!」

 

 

紫「間に合ってるわ! ってか欲望を隠しなさい!」

 

 

アリス「私の芸術に文句は言わせないわ!」

 

 

紫「本当に爆発させるのは駄目でしょうが!」

 

 

幽香「大体貴様のせいで私は回りの妖精共から夏の妖怪さん呼ばわりされてんのよ!! 私は夏を司っているわけじゃないってのに!!」

 

 

紫「満更でもない癖に! ゆうかりんはゆうかりんらしくしてなさいよ!!」

 

 

紫、幽香、天子、アリス「あぁん!?」

 

 

萃香「夏の夜に 酒を飲みつつ スイカ割り♪ ってか♪」

 

 

幽香「上等よ…! 表に出なさい!」

 

 

天子「! 喧嘩ね! 言っとくけど私は紫の味方でもなければあんたたちの味方でもない! どっからでもかかってきなさい!」

 

 

紫「私が作った結界の中でやるわよ! あなた達の攻撃で神社が壊れたりしたら大変だもの」

 

 

アリス「そんな不器用な喧嘩するもんですか! 魔界の戦いかたって奴を見せてあげるわよ!」

 

 

 ギュオン

 

 

 

紫「お泊まりの為に」

 

 

幽香、アリス「話をするために」

 

 

天子「痛みの最高を知るために」

 

 

紫、アリス、天子、幽香「ぶっ潰す!」

 

 

 オラーッ! ドゴッ!

 

 

 

 

萃香「おおっ…♪ 派手だねぇ、しっかしまあ」

 

 

萃香「愛されてるねぇ、霊夢♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【現在、マヨヒガ縁側】

 

 

紫「それで戦ってる最中に橙が魔法の呪文を言ったからスキマが自動発動、ここに落っこちてきたってわけよ」

 

 

橙「…」

 

 

紫「あ、別に橙を攻めているわけではないのよ? 何事もなくて良かったわ♪」

 

 

橙「紫様、その、なんか…ごめんなさい…」

 

 

紫「ふふっ、良いのよ気にしないで? さぁってと! 橙も無事だったことだし、もう一暴れしてきますか!」

 

 

橙「…」

 

 

橙(橙は幸せものです、たまに暴走してしまうけど橙の事を一番に考えてくれる優しい人)

 

 

橙(何でも相談に載ってくれてものすごい人で頼りがいのある人…そんなお二人が橙は大好きです)

 

 

橙(だけど度々不安に思うことがあります、それは…)

 

 

紫「待ってなさいよ! 霊夢は渡さないわ!」

 

 

藍「 」チーン

 

 

橙(八雲という大きな家を橙が…それを継ぐ事の覚悟を持つのが後何百年先なのか…ということです)

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 






 藍が橙の事に対して暴走、ご藍心モードになっていなければ普通に会話できるんです、溜まりに溜まった物が出ちゃったんです…


 後本当に夏関係ないですね、これorz

 それではここまで読んでいただいてありがとうございました♪



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《第6談》四コマ的なお話、その1



 今回は四コマ漫画的な何かとなっております


 それでは始まります♪




 

 

 【賞味期限】

 

 

橙「アイス美味しいです~♪」

 

 

八雲藍「そうだね、でも食べ過ぎてはいけないよ?」

 

 

橙「はい、藍様!」

 

 

八雲紫「…」ジッ

 

 

藍「…? 紫様、召し上がられないのですか?」

 

 

橙「紫様? アイス溶けちゃいますよ」

 

 

紫「ねぇ二人とも知ってる?」

 

 

藍、橙「?」

 

 

紫「アイスってさ、賞味期限無いのよ」

 

 

藍「え!? そうなんですか!?」

 

 

橙「賞味期限?」

 

 

藍「んー…食べ物の腐らない期間、美味しく食べられる期間のことかな」

 

 

橙「へ~…え!? じゃあアイスはいつでも食べられるんですか!?」

 

 

紫「アイスの個体によっては一部期限はあるけどちゃんと保存してさえいれば大半は腐らないらしいわよ」

 

 

橙「アイスって凄いですね」

 

 

紫「そうアイスは凄い、つまり」

 

 

紫「このゆかりんも凄い!」

 

 

藍、橙「え」

 

 

紫「アイスと言えば冷たい! 冷たいと言えば冬! 冬と言えば冬眠! 冬眠と言えばこの私! ゆかりん!」

 

 

橙「おぉ!」

 

 

藍「…」

 

 

紫「あーっはっはっは!」

 

 

藍「つまり、紫様にも賞味期限があるんですね?」

 

 

橙「え!?」

 

 

紫「 」ピシッ

 

 

藍「賞味期限と言えばアイスなんですから、結果的に紫様にも賞味期限が」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「バーカ! 藍のバーカ! くたばっちまえ!」

 

 

藍「子供ですか貴方は!?」

 

 

橙「…賞味期限」

 

 

橙(あれ? じゃあレティさんにも賞味期限?)

 

 

 橙が一番失礼でした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆうかりん】

 

 

メディスン・メランコリー「ねぇ幽香」

 

 

風見幽香「何かしら」ズズズ

 

 

メディ「幽香のあだ名ってゆうかりんなの?」

 

 

幽香「んっ!? げほっげほっ!!」

 

 

メディ「何でむせるの?」

 

 

幽香「あなたがいきなり変なこと聞くからでしょう? そのあだ名も変よ?」

 

 

メディ「変? 可愛いと思うけど」

 

 

幽香「…!?」

 

 

メディ「でもゆかりんは無いわね、あのスキマのババアから『ゆかりんとゆうかりんはお友達なのよ♪』って言われたけど正直キモいと思ったわ」

 

 

幽香「あの野郎…!」

 

 

幽香「メディ、あいつには近付かない方がいいわよ、あいつから近付いてきたら毒づいてやりなさい、泣いて喜ぶわよ」

 

 

メディ「うん、分かった」

 

 

幽香(綺麗な花にはトゲがあるけど、可愛い花には毒があるもの…)

 

 

メディ「ゆかりんは無い! キモい! ゆうかりんは可愛いけどね! ねぇ幽香、こんな感じ?」

 

 

幽香「最後のは余計ね」

 

 

メディ「え~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ぱっつぁん、くしゃみる】

 

 

霧雨魔理沙「死ぬまで借りてくぜ~♪」ギューン

 

 

パチュリー・ノーレッジ「まって~! 持ってかないで~」

 

 

 ポロッ

 

 

魔理沙「ん? あ、やべっ!」

 

 

パチェ「むきゅ!?」

 

 

 ゴスッ

 

 

魔理沙「パチュリー! 大丈夫か?」

 

 

パチェ「痛た…」

 

 

魔理沙「わりぃわりぃ、バッグに詰め込み過ぎて落としちまったぜ…てか顔面直撃したな、大丈夫か?」

 

 

パチェ「えぇまぁ平気よ…というより悪いと思ってるなら返しなさい、後図書館で飛び回るのはやめなさい、埃がま…」

 

 

魔理沙「次からは気を付けるぜ…ん?」

 

 

パチェ「へ、へあ…」

 

 

魔理沙「パチュリー?」

 

 

パチェ「む、む…」ブルブル

 

 

魔理沙「あ、もしかして埃が舞っちまったか? 悪いな今度から気を付ける、気を付けるぜ♪ んじゃこの本もいただいて」

 

 

パチェ「むっっきゅしょい!!」

 

 

魔理沙「!?」

 

 

パチェ「ズズズっ…! き、気を付ける? 気を付ける前に返して…!? はっ!?」

 

 

魔理沙「…以外に可愛いくしゃみすんだな、パチュリーって」

 

 

パチェ「!?」

 

 

魔理沙「だがそのくしゃみを受け入れてくれない奴もいる、気を付けろよ」

 

 

パチェ「ま、魔理」

 

 

魔理沙「んじゃな♪」

 

 

 バビューン

 

 

パチェ「う、うん、それじゃ…」

 

 

こあ「パチュリー様…また盗られちゃいましたね」

 

 

パチェ「はっ!? ま、待ちなさい魔理沙ぁ!」

 

 

こあ「優しくされるとすぐ許しちゃうんですねぇ、パチュリー様可愛い♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ぱっつぁん、またくしゃみる】

 

 

アリス・マーガトロイド「使ってない人形ならたくさんあるから好きなの使って良いわよ」

 

 

パチュリー「意外ね、断ると思ってたわ」

 

 

アリス「魔法に心得がある者なら人形達を雑に扱わないでしょ? 使ってないとは言え私の可愛い人形達だもの」

 

 

パチェ「親心ってやつ?」

 

 

アリス「えぇ、そうかもね」

 

 

パチェ「ふーん…! この子でいいわ」

 

 

アリス「その子が気に入ったのね? あら、すごい埃が…ちょっと祓うわね」

 

 

 パッパッ

 

 

パチェ「…! む…へ、へぁ…」プルプル

 

 

アリス「埃って不思議よね、綺麗好きな奴の家でさえいるんだから、まるで永久機関だわ…」

 

 

パチェ「む、むあ…」

 

 

アリス「永久機関か…パチュリー、あなた永久機関に興味あ」

 

 

パチェ「むっっきゅしょい!!」

 

 

アリス「!?」ビクッ

 

 

パチェ「ズズズっ…! アリス、ち、違うの今のは」

 

 

アリス「くしゃみ…?」

 

 

パチェ「…///」

 

 

アリス「ぷふっ…」

 

 

パチェ「な、何よ!」

 

 

アリス「あなたにも可愛い所があるのね、と思って」

 

 

パチェ「…/// ふん…///」

 

 

アリス(でもこの体の何処からあんな声が出てるのかしら…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 【あれ? いつものは?】

 

 

チルノ「この前魔理沙と弾幕勝負したんだ!」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」

 

 

大妖精「チルノちゃんと一緒にお昼寝したの♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」

 

 

ミスティア・ローレライ「最近屋台が繁盛してるの♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」

 

 

リグル・ナイトバグ「虫の知らせサービス不評だから辞めちゃったんだ…」

 

 

ルーミア「ざまぁねぇのかー♪」

 

 

リグル「!?」

 

 

大妖精「ルーミアちゃん何でたまに辛辣になるんだろう」

 

 

 

 

 

 【こころのあだ名事情、豪族編】

 

 

秦こころ「とじー」

 

 

蘇我屠自古「おう」

 

 

こころ「みみこ」

 

 

豊聡耳神子「私はみが三つありますからね」

 

 

こころ「にゃんさん」

 

 

霍青娥「にゃんにゃんちゃんでも良いですよ♪」

 

 

こころ「よっしー」

 

 

宮古芳香「よっしー…? なんだそれはー」

 

 

こころ「うーん」

 

 

物部布都「…」ワクワク

 

 

こころ「! モノノフ!」カカン!

 

 

布都「もののふ!?」ガーン

 

 

屠自古「お布団じゃないだけ有り難く思え」

 

 

 もののべのふと→もののふ

 

 

 

 

 

 【こころのあだ名事情、命蓮寺編】

 

 

こころ「ぎゃーちゃん」

 

 

幽谷響子「ぎゃーてー♪」

 

 

こころ「マミー」

 

 

二ツ岩マミゾウ「母さんみたいじゃな…それともミイラ男の様な」

 

 

こころ「ナズー」

 

 

ナズーリン「うん、なにより」

 

 

こころ「いっちー、みっちー」

 

 

雲居一輪「な、なんか」

 

 

村紗水蜜「コンビみたいだね」

 

 

こころ「とらっち」

 

 

寅丸星「あ、いいですね」

 

 

こころ「ぬえーん」

 

 

封獣ぬえ「う、嬉しくないからな!?」

 

 

こころ「ひじりん」

 

 

聖白蓮「あらあら」

 

 

こころ「...」

 

 

多々良小傘、古明地こいし「ワクワク!」

 

 

こころ「小傘、こいし」

 

 

小傘、こいし「えー!?」

 

 

こころ「小傘は小傘、こいしはこいしだ」

 

 

小傘「喜んで良いの?」

 

 

こいし「分かんないけど喜んじゃおう♪」

 

 

こころ「これが喜びの表情♪」

 

 

 

 

 

 【何の集まり?】

 

 

堀川雷鼓「うーん最近良いビートが刻めないわね」

 

 

雷鼓「こういうときこそ原点に立ち返るべきかしら」

 

 

雷鼓「原点…あ、叩かれてみるとか?」

 

 

比那名居天子「叩いてくれると聞いて!」ガサッ

 

 

雷鼓「はい!?」

 

 

射命丸文「ドMの特ダネですか、わかります」

 

 

雷鼓「分かんないわよ!?」

 

 

ルーミア「…」

 

 

雷鼓「!!」ハッ

 

 

ルーミア「もう一回遊べるドン♪」

 

 

雷鼓「何が!?」

 

 

 

 

 

 

 

 【誰?】

 

 

霊夢「美味しいわね! このキノコ♪」

 

 

魔理沙「もうすぐ秋だからな!どんどん美味くなるぜ」

 

 

 

 

 秋真っ盛りでイチャイチャしやがって!

 

 

 

 

霊夢、魔理沙「誰だ!」

 

 

紫「えっ!? 誰かいるの!?」

 

 

霊夢、魔理沙「お前だよ!!」

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 





 ネタのオンパレード的なもの…ですね

 
 読んでいただきありがとうございました!


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《第7談》秋のピクニック道中記




 新しく読んでいただく方も、継続して読んでいただいている方も、これからも『東方紫藍談』を宜しくお願いいたします!


 今回は秋がテーマです、でも秋姉妹は…


 それでは始まります♪




 

 

 【喜怒哀楽の激しい秋】

 

 

 

 《マヨヒガ、縁側、夜19:00》

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

藍「紫様…」

 

 

 八雲紫はマヨヒガの縁側でうつ伏せの状態でふてくされていた

 

 

 

紫「らんのバーカ…」

 

 

藍「だから…えと…もう何回も謝ってるじゃないですか…」

 

 

紫「らんのぶぁ~か…」

 

 

藍「もう許してくださいよ…」

 

 

紫「くたばっちまえ…」

 

 

藍「ごめんなさい…」

 

 

紫「ごめんなさいですみゃあ警察はいらないのよ」

 

 

藍「あぁ…はい、外の世界の」

 

 

紫「今はそういう話はしてないでしょ?」

 

 

藍「すいません…」

 

 

紫「謝れ」

 

 

藍「…もう十九回目ですよ?」

 

 

紫「謝れ」

 

 

藍「う…」

 

 

紫「あ~や~ま~れ~」

 

 

藍「…」スッ

 

 

 藍は膝をつき頭を下げた、誠心誠意を込めた土下座

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「今日の朝に紫様をマヨヒガに置いて橙と私の二人で妖怪の山に秋の遠足と言う名のピクニックに出掛けて申し訳ありませんでしたぁ!」

 

 

 

紫「許すわきゃねえだろうがぁ!」ガバァ!

 

 

藍「えぇ!?」

 

 

紫「あなたねぇ! 私がどん…どんだけ楽しみに…! くうぅおあぁぁ!!」ジタバタ

 

 

藍「だからごめんなさいって言ってるじゃないですか!!」

 

 

紫「だからごめんなさいですみゃあ警察はいらないって言ってんでしょうが!」

 

 

藍「このやりとり何回目だと思ってるんですか!?」

 

 

紫「二十回目だよバカちんがぁ! 私だってもうやりたくないわよ!」

 

 

藍「だったらもう許してくださいよ!」

 

 

紫「ならこの私のピクニックに行けなかった虚しさはどうしてくれんのよ !? えぇ!?」

 

 

藍「だからそこは許容していただくしかないんですよ!! 本当に申し訳ありませんでしたぁぁ!」

 

 

紫「だから許すわきゃねぇだろうがぁぁぁ!!」

 

 

藍「はぁ…! はぁ…!」

 

 

紫「はぁはぁ…ぜぇ…ぜぇ…!」

 

 

藍「まだ…はぁ…許してくれませんか…?」

 

 

紫「あたり…はぁ…まえじゃないのよ…!ぜぇ…」

 

 

藍「では…お言葉を返すようで悪いんですがね紫様…」

 

 

藍「私は今日の朝に何回も何回も何回も! あなたのことを起こそうとしましたよね!?」

 

 

藍「揺すったり声を掛け続けたり! それなのにあなたという人は布団の中から出てきやしなかった!」

 

 

紫「ゆかりんは人じゃないわぁ!」

 

 

藍「論点をずらさないで下さい!」

 

 

紫「だから昨日の夜に殺してでも叩き起こしてって言っておいたでしょうが!!」

 

 

藍「そんなこと出来るわけないでしょうがよぉ!」

 

 

紫「そのせいで私は虚しさの極みを味わってんのよ!? あなたの無慈悲な心のせいでね!」

 

 

藍「何でもかんでも私のせいにしないで下さいよ! 大体十二時間睡眠は当たり前! 三十九度寝は当たり前のあなたを起こせるわけなかったんですよ!」イライラ

 

 

藍「おまけに昨日の朝から霊夢や魔理沙達と酒盛りしていたんでしょう!? 二日酔いの上に睡眠の質が尋常じゃないあなたを起こせるわけがないんですよ!! 起きたのだってさっきなんでしょう!? 私が橙と別れてピクニックから帰って来てからですよね!?」イライラ

 

 

紫「うっ…! で、でも私は!? 私のこの気持ちは!? ピクニック行きたかったこの気持ちは!?」

 

 

藍「そんなもん知るかぁ!!」イライラ

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

藍「あぁ! なんかさっきまで謝ってた自分がアホ臭く思えてきましたよ! 二日酔いで機嫌が悪いであろうあなたと橙を一緒にピクニックに~なんてさせなくて正解でしたねぇ!」

 

 

紫「う…」

 

 

藍「おまけに昨日も私に仕事を押し付けて自分だけ酒盛りとは…! それでピクニックに行こうだなんておこがましい! あなたには恥というものがないんですか!?」

 

 

紫「う、うぅ…」

 

 

藍「サンドイッチやら何やらを用意したのも私ですしね! 本当にあなたという妖怪はぁ! あぁもうちゃんちゃらおかしいですよ!」

 

 

紫「うぅ、うぅぅ…」

 

 

藍「これに懲りたらですね!少しはご自身の生活を改め…て…」

 

 

 

 

 

 

紫「うぅ…グスッ…ヒグッ…うぐっ…ズッ…うぅ…」ポロポロ

 

 

藍「!!?」

 

 

 紫は両手でハンカチを握り締めつつ膝の上に置き、歯を食い縛り、頬を赤く染め、庭の一点を見詰め、両目から涙をボロボロと流していた

 

 

 

紫「そ、そん…うぐっ…そ、そごまで…いば…! いわなぐでも…! 良いじゃ…グスッヒグッ、ズッ! ないぼ!!」ポロポロ

 

 

藍「ゆ、紫さ…!」

 

 

藍(い、いや…騙されるな八雲藍、これは確実にウソ泣き! 紫様の事だから私が謝ったらまたけろっとして手のひらを返されるに決まっている…! 心を鬼にせよ、八雲藍!)

 

 

紫「わだじはだだ…! グズッ! 三人でグスッ…! ビグニックに行きだがっだだけなのに…!」ポロポロ

 

 

藍「…」

 

 

紫「ひ、ひどい…! ひどいよぉ~! うわああぁぁん!」ポロポロ

 

 

藍「…」

 

 

藍(だ、騙されませんよ…)

 

 

紫「うわああぁぁん! グスッウグッ! えぐっひぐっ…! うぐぅ…!」ポロポロ

 

 

藍「…!」

 

 

紫「えぐっひぐっ! おにぃ~! あぐまぁぁあ! グスッ…! えぐっグスッ!」ポロポロ

 

 

藍(あ、あれっ…!?)

 

 

紫「ズズッ…! うえええぇぇん! グスッ!」

 

 

藍(え!? う、嘘!? こ、これは…!?)

 

 

 

 

藍(マジ泣きなのか!?)ドギャーン!

 

 

 

 

藍(よ、妖怪にとって精神的ダメージは致命傷! 妖怪は肉体は強くとも精神は脆い…! こ、これがまさか紫様にまで当てはまるのか!? ピクニックに行けなかっただけで!? し、しかし…)

 

 

紫「グスッ…! うぐぅ! ううぅ!」ポロポロ

 

 

藍(紫様がこんなに泣きわめくなんて……何故だか絵面がキツくならないって違う!)クワッ!

 

 

藍(こ、この始末は私の責任…! だが紫様にも非がある…)

 

 

藍(え、これ誰が悪いんです?)

 

 

紫「うわーん…! ぐっすんえっぐひ、ひどいよぉ…! うぐぅグスッ!」ポロポロ

 

 

藍(何が何だか分からない…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 八雲紫が泣きました、ガチ泣きです

 

 ピクニックに行けなかっただけで? 

 

 それもありますが藍の言葉が止めを指してしまったのです

 

 藍にこれだけ言われたのは初めてなのですから

 

 

 

 

 

 

 彼女が泣き出してから二十分後、紫は漸く落ち着いたようです

 

 

 

紫「くすん…」

 

 

藍「あ、あの…」

 

 

藍(は、話し掛けづらい…)

 

 

紫「グスッ…藍…」

 

 

藍「は、はいぃい!?」

 

 

紫「…何よその返事」

 

 

藍「い、いえ、そ、その…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍…」

 

 

藍「ゆ、紫様…」

 

 

紫、藍「…」

 

 

 

 

 

紫、藍「ごめんなさい」

 

 

 

 

 

紫、藍「!」

 

 

 

紫「藍、その、ね…」

 

 

藍「はい…その…えぇと…」

 

 

紫、藍「…///」

 

 

紫「私が悪かったわ…今回ばかりは素直に謝ります、本当にごめんなさい」ペコリ

 

 

藍「!」

 

 

紫「好き勝手にはしゃぎすぎて大切な物を失ってしまったわ…これは私の責任です、後先考えない行動をした罰、そしてあなた達との約束を破った事への罰」

 

 

紫「あなたと橙には本当に申し訳ないと思っています、昨日ピクニックに行きたいなんて私が勝手に言い出して、巻き込んで、挙げ句の果てに自分が馬鹿して行かないなんて…」

 

 

紫「何馬鹿みたいに泣いてんだって話よね…軽率だったわ…本当にごめんなさい」

 

 

藍「紫様…」

 

 

藍「橙、とっても楽しみにしてたんですよ?」

 

 

紫「!」

 

 

藍「『紫様と藍様と三人でお出掛け♪ お出掛け♪』って嬉しそうにはしゃいでいました、私はその姿を見ていたので私自身、必ずピクニックには紫様も含め三人で行きたかったんです」

 

 

藍「ですが昨日のあなたを見ていて…『あぁ、これは起きないな』と思ってしまいました、だから橙に嘘をつきました…紫様はお仕事で疲れているんだよ、と…橙は酒盛りのことは知らないですから」

 

 

藍「行くことを優先してしまったんです、このままあなたを起こし続けて日が暮れるよりかは…橙の楽しみを尊重し、そして優先した」

 

 

藍「これは私のエゴなのかもしれません、橙を楽しませてあげたいという私のエゴ、橙の望みは『三人で』だったのに」

 

 

藍「紫様、私の方こそ申し訳ありませんでした、あなたのこと、そして橙の事を思うならあなたを本気で叩き起こすべきでした」

 

 

紫「! 藍、あなたが謝る必要なんてないのよ、元はといえば私がしっかりしていなかったから」

 

 

藍「はい、それが第一です、ですが私は私自身が許せない」

 

 

紫「だから橙との約束も私が破って」

 

 

藍「私も破ってしまいました…三人でピクニックに行っていませんから」

 

 

紫「!」

 

 

藍「先程の無礼な発言の数々…式として本当に申し訳ありませんでした」

 

 

紫「藍…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「このままじゃ謝り合戦になっちゃうわね…」

 

 

藍「そうですね…」

 

 

紫「藍、私は八雲紫という妖怪、睡眠云々の私の生き方は変えられない」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「でも気を付けていくことは出来る、羽目を外しすぎて大切な物を見失わない様にするわ」

 

 

藍「…ありがとうございます」

 

 

紫「どうしてお礼を言うの?」

 

 

藍「橙の為を思っての言葉なんですよね?」

 

 

紫「あなたの事も含まれてるけど…」

 

 

藍「! …///」

 

 

紫「ふふっ、照れないの」

 

 

藍「て、照れてませんよ!」

 

 

紫「…」ニコッ

 

 

藍「! …紫様、明日橙に謝りに行きましょう、私達二人で」

 

 

紫「えぇ、ありがと藍」

 

 

藍「それこそお礼は不要ですよ」

 

 

紫、藍「ふふっ…」ニコッ

 

 

紫「ねぇ、藍」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「こんなこと言える立場じゃないのかもしれないけど…聞かせてくれない? ピクニックで何を見て、何を体験してきたか」

 

 

藍「…! 聞いててまた泣いたりしません?」

 

 

紫「こ~ら~? 意地悪しないの!」

 

 

藍「ふふっ、すいません」

 

 

紫「んもう…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【気を取り直して…】

 

 

 

藍「紫様を起こすのに二十分ぐらい時間を費やした後に私達はマヨヒガを出発しました」

 

 

紫「本当に申し訳ねぇだ」

 

 

藍(あ、もういつもの感じになってる…でもこの方が話しやすいかな…メソメソしてると紫様らしくないし)

 

 

藍「何で訛ってるんですか」

 

 

紫「だって秋だもん」

 

 

藍「関係あるんですか?」

 

 

紫「もっつろんだぁ♪」

 

 

藍「ふっ、は、話を進めますよ!」

 

 

藍「まず人里に向かいました、その道中の紅魔館の前で少し話をしましたね」

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

紅美鈴『おや、藍さんに橙さん』

 

 

橙『あ! 美鈴さん!』

 

 

藍『やあ、こんにちは』

 

 

美鈴『はいこんにちは! いやぁ今日もいい天気ですねぇ♪』

 

 

藍『そうだな、ポカポカしているからついうたた寝をしてしまいそうだ』

 

 

美鈴『ら、藍さん! それは洒落になりませんよ!』

 

 

橙『あれ? 美鈴さん、今日は眠たくないんですか?』

 

 

美鈴『うう、やっぱり私はそのイメージです?』

 

 

藍『ああ』

橙『はい』

 

 

美鈴『ですよねぇ…あははは…』

 

 

藍『しかしお仕事御苦労様だな、一日中突っ立っているのも苦だろう』

 

 

美鈴『それが私の仕事ですからね』

 

 

橙『美鈴さんは凄いです! 橙には出来そうにないです』

 

 

美鈴『そうですかね? あ、でもお手伝いすることは出来ると思いますよ?』

 

 

橙『お手伝い?』

 

 

美鈴『寝たら私の事を起こして下さい! 咲夜さんの格闘技でたたき起こされたり顔面ナイフはもう嫌なんです!』

 

 

橙、藍『えぇ…』

 

 

美鈴『お二人は知らないでしょうけど咲夜さんを怒らせると本当に恐いんですよ?』

 

 

藍『いや、何となく想像付くが』

 

 

美鈴『その想像の上をいきますよ! 人間なのか疑う時があるぐらいですから』

 

 

レミリア・スカーレット『ほんとよね、咲夜ったら人間以上の強さ、私の従者にぴったりよね!』

 

 

橙『わわっ?』

 

 

美鈴『お、お嬢様いつの間に!?』

 

 

レミリア『たった今よ、美鈴…あなた少し能力が弛んでるんじゃないの? 私の気配すら気付けなくなっちゃったの?』

 

 

美鈴『そ、そんなことありませんよ! お嬢様はオーラに満ち溢れておいでですから能力使うまでもありません!』

 

 

レミリア『ふふっ! 当然よね! あーっはっは♪』

 

 

藍(ちょろいな…これもレミリアの良さだか)

 

 

レミリア『ん? 紫のとこの式達じゃないか』

 

 

橙『こ、こんにちは』

 

 

レミリア『こんにちは…じゃなくって、なんか楽しそうね、二人でそのリュック背負ってどこいくの?』

 

 

藍『あぁ、これから二人で妖怪の山にピクニックに行くんだ』

 

 

レミリア『ピ、ピクニックですって!?』

 

 

橙、藍『?』

 

 

美鈴『お嬢様?』

 

 

レミリア『なんてうらやま…! いや、うらやましい! ちょ、ちょっと待ってなさい!』

 

 

橙『え!?』

 

 

美鈴『お嬢様!? 一体どうしたんですか!?』

 

 

レミリア『決まってるでしょ!? 私も行くのよ! 八雲藍、それから…橙! 私も連れてって!』

 

 

藍『いや待てレミリア! 急すぎるぞ!』

 

 

レミリア『当たり前でしょ! 今私が決めたんだから!』

 

 

美鈴『お嬢様! 勝手に出歩いては咲夜さんに』

 

 

レミリア『美鈴から言っといて! 私は優雅なピクニックに出掛けたとね!』

 

 

美鈴『ええ!?』

 

 

藍『う~ん、橙、どうしようか?』

 

 

橙『橙は、レミリアさんと一緒に行きたいです! 大勢の方が楽しいですよ♪』

 

 

藍『そうか、うんそうだね、レミリア、待っててあげるからそんなに急がなくていいぞ』

 

 

レミリア『やったー♪ そうと決まれば準備準備! この日傘と、それから』

 

 

 フッ!

 

 

十六夜咲夜『お嬢様』

 

 

レミリア『 』ピシッ

 

 

藍、橙、美鈴『あ』

 

 

レミリア『さ、ささささ咲夜!?』

 

 

咲夜『はい、咲夜でございます』ペコリ

 

 

レミリア『う…と、止めても無駄よ咲夜! 私は』

 

 

咲夜『ピクニックに行くのは構いませんがその前にパチュリー様がお嬢様に用があるそうです、お会いになって下さいませ』

 

 

レミリア『!? ぱ、ぱぱパチェが、わわわ私に!?』

 

 

咲夜『はい、なんでも『暇だからって私の大事な本達をドミノ倒しに利用した私の素敵な親友に会いたいの、咲夜、探してきて』だそうです』

 

 

レミリア『!?』ダラダラ

 

 

橙『レミリアさん、汗が…』

 

 

藍『橙、残念だがレミリアはピクニックに行けそうにないようだ』

 

 

美鈴『あはは…』

 

 

 咲夜はレミリアの首の後ろを掴んで持ち上げた、その光景はまるで飼い猫と飼い主の様だった

 

 

レミリア『は、離しなさい咲夜ぁ!』

 

 

咲夜『申し訳ありません、パチュリー様のご命令ですので』

 

 

レミリア『! 咲夜、これは命令よ! この手を離しなさい』

 

 

咲夜『…』スタスタ

 

 

レミリア『ちょっ!? えぇ!? 咲夜ぁ! 咲夜聞いてる!? これは命令よ!?』

 

 

咲夜『状況判断の結果、パチュリー様の命令を先に片付けなければ事態は悪化すると判断いたしました、ご容赦ください』

 

 

レミリア『さっすが咲夜ね! ってう~☆ いーやー! はーなーせー!』ジタバタ

 

 

 咲夜とレミリアは館の中に消えていった

 

 

藍『レミリアは何をしてるんだ…』

 

 

美鈴『パチュリー様きっと怒ってるんだろうなぁ』

 

 

橙『一緒に行けなくなっちゃいましたね、残念です~…』

 

 

 

  レミィ!!!   う~☆

 

 

藍、橙、美鈴『!!?』ビクッ

 

 

 パチュリーの怒号で紅魔館がちょっと揺れました

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

紫「カリスマぁ…最近フランの方がしっかりしてるんじゃないかしら」

 

 

藍「それは…」

 

 

紫「こりゃ館の主が交代する日も近いかな?」ニヤニヤ

 

 

藍「そうなりそうで反論出来ない自分がいます」

 

 

紫「そうなったら野生のレミリアが現れるわね」

 

 

藍「捨てられちゃってる!?」

 

 

紫「戦闘する間もなく仲間になりたそうにこっち見るわよ、きっと」

 

 

藍「もうモンスター扱いじゃないですか!」

 

 

紫「そしたら上から目線でこう言うの」

 

 

紫「こっち見んな、と…ふはは♪」

 

 

藍(鬼か…)

 

 

 

 

 

 

 

紫「その後は人里に?」

 

 

藍「はい、そこで少し休憩を…と思いまして茶屋でお茶をいただいたんですけど」

 

 

紫「けど?」

 

 

藍「その茶屋に珍しい組み合わせの先客が言い争いをしてまして…遭遇してしまったと言うべきか」

 

 

紫「?」

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

藤原妹紅『譲れないね!』

 

 

茨木華扇『私とて譲れませんね!』

 

 

 ガヤガヤ… ガヤガヤ…

 

 

藍『お、おいおい』

 

 

橙『ら、藍様』

 

 

藍『大丈夫だよ橙、ここは私に任せなさい』

 

 

妹紅『仙人って人に優しい筈なんだがな、ここは譲ってほしいね』

 

 

華扇『あなたは蓬莱人では? 人ではないでしょう?』

 

 

妹紅『…! 悪いけど私は人である誇りを捨てたことは一度たりともないんだ』

 

 

華扇『それは失礼しました、ですがそれとこれとは話が別です』

 

 

妹紅『あぁ、そうだな』ニッコリ

 

 

華扇『はい、そうです』ニッコリ

 

 

妹紅『…』バチバチ

 

 

華扇『…』バチバチ

 

 

藍『喧嘩したり納得したり火花を散らしたり、茶屋の外で何をやっているんだ…人の注目を浴びているぞ?』

 

 

妹紅『! あんたは…お!』スッ

 

 

華扇『! 八雲藍、暫く振りですね』

 

 

妹紅『よっ、橙!』

 

 

橙『もこたんさん、今日は!』

 

 

妹紅『もこたんさん…橙、もこたんはやめてくれ…』

 

 

橙『でも、もこたんさんはもこたんさんです』ニパッ

 

 

妹紅『!? まったく…そんな顔されると何にも言えなくなるな…まぁ良くないけどチルノ達よりさん付けなだけましなのか?』

 

 

橙『この前皆でやった『もこたん将軍ごっこ』は楽しかったですね♪』

 

 

妹紅『あ、あははー…そ、そうだな』

 

 

妹紅(慧音が見ているから断れなかったんだよなぁ…)

 

 

華扇『八雲藍、考えていただきましたか? この前の話』

 

 

藍『お断りした筈だが? 私は八雲紫様の式だ、これからもそれは変わらん、当然私の式である橙も同様にな』

 

 

華扇『そうですか…残念です、ん~これは諦めるしかありませんね』

 

 

華扇(この二人を私のペットにして尻尾をモフモフしていたい、撫で回したいという夢は散りましたか…だって九尾と化け猫ですよ? 珍しいじゃないですか飼いたいじゃないですか)

 

 

華扇『橙ですね、初めまして…仙人の茨華扇と申します』

 

 

橙『ひっ、こ、今日は…は、初めまして』

 

 

妹紅『おい、怖がらせんな』

 

 

華扇『え!? そ、そんなつもりは…』

 

 

藍『邪な考えを察知したのかもな、橙、大丈夫だよ』

 

 

妹紅『お前邪仙だったのか…そんなんでよく説教だのなんだの出来るな、恥ずかしくないのか?』

 

 

華扇『私は邪仙ではありません! それに、せんに…!?』

 

 

藍、橙、妹紅『?』

 

 

華扇『い、いえ! 何でもありません!』

 

 

華扇(あ、危ない危ない…)

 

 

橙『あ、あの…お二人は何故喧嘩をしていたのですか?』

 

 

妹紅『! そうだった…おい仙人!』ゴゴゴ

 

 

華扇『! そうでしたね、決着を着けましょう!』ゴゴゴ

 

 

華扇『この茶屋の秋の季節一日限定二十個の紅葉饅頭』

 

 

妹紅『渡す訳にはいかないな!』

 

 

藍、橙『え!?』

 

 

藍『そ、そんなことで喧嘩していたのか!?』

 

 

妹紅『そんなこと!? 食べ物の怨みは蓬莱の薬よりも恐ろしいんだぞ!?』

 

 

藍『そんなにか!?』

 

 

華扇『失望しましたよ八雲藍、貴女とて油揚げが人の手に渡るのならば奪ってでも食べたい筈です!』

 

 

藍『生憎油揚げには困ってないんだよ! 気持ちは分かるけどな!』

 

 

藍(…他に食べる人があんまりいないからな)

 

 

妹紅『私は二十番目の客だったんだよ! 私が先だ!』

 

 

華扇『ほぼ同時に滑り込んでいましたが、私の方が速かったです!』

 

 

妹紅『私が先だ!』

華扇『私が先です!』

 

 

妹紅、華扇『ぬぬぬ…!』

 

 

藍『…橙、休憩出来たから妖怪の山に向かおうか』

 

 

橙『は、はい…! あっ!』

 

 

藍『ん?』

 

 

 ありがとうございましたー♪

 

 

妹紅、華扇『!?』

 

 

稗田阿求『いやぁ、最後に残ってて良かったー♪ 秋の仕事の前にはこれだよねぇ♪』

 

 

妹紅、華扇『あぁー!?』

 

 

阿求『!? な、何ですか!? ってあなた達は…』

 

 

華扇『ひ、稗田阿求! ま、まさか貴方最後の紅葉饅頭を…』

 

 

阿求『え? か、買いましたけど?』

 

 

妹紅『な!? お、おい! それは私が並んで買おうとしてたんだぞ!?』

 

 

阿求『並んでなかったのでは?』

 

 

華扇『藤原妹紅、それは私の台詞です! 阿求! 値段の倍の額を支払います! その饅頭を譲っていただけませんか?』

 

 

妹紅『あ、汚いぞ!』

 

 

阿求『! ほほーう…倍の…』

 

 

妹紅『阿求! それを譲ってくれたら今度筍料理をご馳走してやるぞ!?』

 

 

阿求『ほう、筍料理…』

 

 

華扇『んなっ!?』

 

 

阿求『ん~どちらも魅力的なお誘いですねぇ』

 

 

華扇、妹紅『さあ、どっち!?』

 

 

阿求『……』

 

 

阿求『あの、さっきから気になっていたんですけどあなたたちの後ろにある物は一体…』

 

 

妹紅、華扇『へ!?』クルッ

 

 

 シーン…

 

 

妹紅『何も…』

 

 

華扇『無いけど…』

 

 

 ムシャムシャ

 

 

妹紅、華扇『!?』クルッ 

 

 

阿求『立ち食い饅頭も、モグモグ…んん~♪ 美味しいですねー♪』ムシャムシャ

 

 

妹紅、華扇『ああぁぁぁあ!!?』

 

 

阿求『誰が渡すものですか! ムグムグ、んっ♪ これは買った瞬間から私の物なのですよ! ふふん、お金!? 筍料理!? どっちも間に合ってますよ! あっはっは♪』ムシャムシャ

 

 

妹紅、華扇『ああぁぁぁ…』orz

 

 

藍、橙『…』

 

 

藍『橙、ああいう大人になってはいけないよ?』

 

 

橙『はい…藍様』

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

紫「阿求ってさぁ…たまに性格悪いのよねぇ、知ってる? 毒舌阿求の伝説」

 

 

藍「何ですかそれは!?」

 

 

紫「ちらほら聞くのよ、阿求にブチブチ言われて心折られた妖怪の話」

 

 

藍「幻想郷の記録係の名は何処へ…」

 

 

紫「それでもちゃんと仕事してるから文句も言えないのよねぇ、ゆかりんとは大違い♪」

 

 

藍(自分で言うんですか…)

 

 

紫「それよりも藍、あの似非仙人から勧誘されてたの?」

 

 

藍「! えぇ、最初から断っていましたしその時にも断りましたから、もう勧誘はしてこないでしょう」

 

 

紫「そう…」

 

 

藍「橙もきっと同じ気持ちです、私達の主は紫様だけですから」

 

 

紫「…! …///」

 

 

藍「照れてます…?」

 

 

紫「う、うっさい! ゆかりん照れてない!」

 

 

藍「ふふっ」

 

 

紫「ふん…でもあの似非仙人にはまだまだ注意が必要よ? ゆかりんのブラックリストに入ってるんだからね?」

 

 

藍「ブラックリスト?」

 

 

紫「『霊夢に近付き過ぎな奴リスト』魔理沙は除外してるけど」

 

 

藍「あぁ…なるほど…ま、まぁ気を付けておきます」

 

 

紫「説教と称して霊夢に構ってもらいたいんじゃないか問題、これは調べておかないとね」

 

 

藍(似非仙人…まぁいいか)

 

 

 

 

 

 

 

紫「そんで人里を後にして妖怪の山に着いたわけね」

 

 

藍「はい、妖怪の山の麓でピクニックを満喫しました」

 

 

紫「あら? 登ってないの?」

 

 

藍「それだとハイキングになってしまいますから、それに辿り着く迄に結構歩いてますからね、簡単な所で済ませたかったんです」

 

 

藍「山の秋の紅葉を麓から見上げて楽しめる絶景スポットがあるのを橙から聞きましてね、高原で目の前に川を挟んで山が見えるんです、そこに行くことにしたんです」

 

 

紫「へぇ…ふふっ、橙はもう妖怪の山を知り尽くしているのかもね」

 

 

藍「えぇ、本当にそう思います、ですが…」

 

 

紫「?」

 

 

藍「橙が知っているということは当然、山の妖怪達も知っているわけでして」

 

 

紫「あ、やっぱり? ん~、私が考えている通りで良いのかしら?」

 

 

藍「はい、他の妖怪達の憩いの場にもなっていました」

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

河城にとり『あ、橙じゃん♪ おーっす!』

 

 

鍵山雛『橙ちゃん、こんにちは!』

 

 

犬走椛『橙さん、こんにちは』

 

 

東風谷早苗『橙さん! こんにちは~♪』

 

 

橙『あ! にとりさん、雛さん、椛さん、守矢さん、こんにちは!』

 

 

藍『! なるほど、ここは皆の憩いの場所にもなっているようだな』

 

 

にとり『おや、今日は保護者連れかい?』

 

 

橙『保護者…!? え、えとら、藍様は…///』

 

 

早苗『橙さん照れてます? 可愛いですね♪』

 

 

雛『ふふっ、端から見たら親子の様にも見えるわよ?』

 

 

橙『お!? おや…///』カァ

 

 

椛『顔が赤い、照れてますね』

 

 

橙『う~…///』

 

 

藍『おいおい、あまり橙を困らせないでくれ』

 

 

にとり『困ってんじゃなくて照れてんだっての、あ、そういや久しぶりだね藍』

 

 

藍『久しぶりだな、にとり』

 

 

雛『私は初めましてですね♪ 鍵山雛、厄神をしております、よろしくお願いしますね』

 

 

藍『厄神…いつも人の厄を払ってくれているあの厄神か、私は八雲藍だ、よろしく頼む』

 

 

椛『お久しぶりです藍さん、最近八雲紫が大天狗様…いえ、天魔様にお会いしてないそうですが…天魔様は八雲紫に話があるそうですよ?』

 

 

藍『!? はぁ、まったくあの人は…またサボってるな…帰ったら伝えておくよ、ありがとう椛』

 

 

早苗『博麗神社の宴会以来ですね! さあ! 今日こそはその尻尾をモフモフさせていただきましょう!』ワキワキ

 

 

藍『やめろと断ったはずだが!?』

 

 

早苗『私は常識には囚われません! いざっ! モフモフの幻想へ!』ダッ

 

 

藍『ぬあっ!? 飛び掛かってくるなぁ!』

 

 

橙『ら、藍様ー!?』

 

 

 

 ヌワー!  ココカ?ココガエエンノカ? ランサマー!

 

 

 

雛『早苗ちゃんのあれ口癖なのかしら…』

 

 

にとり『「それ言えば何でも許されると思うな!」って霊夢に言われたばかりじゃないか』パチン

 

 

椛『彼女は悪い人…いえ現人神ではありませんが少し自省の念を持つべきです』パチン

 

 

にとり『だよね~、王手っと』パチン

 

 

椛『あっ!?』

 

 

雛『にとりの勝ち、これで今日は三勝無敗ね』

 

 

にとり『椛は勝負運を持つべきだーね♪』

 

 

椛『くっ! にとりさん! もう一勝負しましょう!』

 

 

にとり『良いよ、今日は皆お休みだからね♪ とことんやろうじゃないか』

 

 

にとり『あ…雛、たまには雛も将棋指してみたら?』

 

 

雛『え? 私?』

 

 

にとり『ルールは知ってるだろう? 椛相手にやってみなよ』

 

 

椛『私は構いませんよ、ですが初心者とはいえ手加減はしないのでそのつもりでお願いします』

 

 

雛『う~ん…せっかくだからやってみようかしら、でも今日は厄を集めてないから調子がでないかも』

 

 

椛『言い訳は聞きません、勝負は勝負です』

 

 

雛『あら、バレちゃった?』テヘペロ

 

 

にとり(雛が勝つに一万…なんてね、さて…)スッ

 

 

藍『おぉ…おぁ…』ピクピク

 

 

早苗『やってやりました♪』ツヤツヤ

 

 

橙『藍様!? 大丈夫ですか!?』

 

 

にとり『派手にやられたね、ボッサボサじゃん』

 

 

藍『くっ…早苗…よくも…!』

 

 

早苗『モフられるような尻尾をしてるのが悪いんです!』

 

 

にとり『気持ちは分からんでもないね』

 

 

早苗『でしょう? あ、そういえばお二人は何故ここに?』

 

 

橙『ピクニックです♪ 本当なら紫様も一緒に来るはずだったんですけど…』

 

 

にとり『へーってひゅい!? 紫が!?』

 

 

早苗『ピクニック…紫さんがですか、珍しいですね』

 

 

橙『はい、でも昨日のお仕事が忙しかったみたいで

今日は来れなくなってしまったんです…』

 

 

にとり(紫が仕事? 怪しいね)

 

 

早苗(あれ? 霊夢さんの話だと紫さんはお仕事しないタイプの人じゃ…?)

 

 

藍『…』

 

 

にとり『ま良いさ、一緒に来れなかったのは残念だろうけどせっかく来たんだ、ゆっくりしていきなよ』

 

 

早苗『そうですよ? 楽しまなきゃ損です! 橙さん、ピクニックは楽しまなきゃ損なんです!』

 

 

にとり『何故二回言った』

 

 

早苗『大事な事だからです!』

 

 

藍『尻尾を弄るのは楽しまないでほしいな…』

 

 

早苗『それだと私が損します!』

 

 

藍『おい!』

 

 

橙『ふふっ…』

 

 

藍、早苗、にとり『!』

 

 

橙『はい! 今日は紫様の分まで楽しみます! 藍様も楽しみましょう! それで紫様にここで合ったことたくさんお話ししてあげるんです♪』

 

 

藍『橙…』

 

 

早苗、にとり(なんて良い子なんだ!)

 

 

藍『あぁ、そうだな! 今日は思いっきり遊ぼう!』

 

 

橙『はい!』

 

 

にとり『いやぁ良いね、心打たれたよ♪ こういう話は好きなんだ、ホッコリさせてもらった礼に良いことしてあげよう』スッ

 

 ポチっ グイーン カチャカチャ!

 

 

橙、早苗『おぉー!』キラキラ

 

 

藍『お、おい、なんだそのリュックから出てる鉄のアーム達は』

 

 

にとり『私が作ったケサキトトノエール君! 一号機さ!』

 

 

早苗、橙『ロボだー♪』キラキラ

 

 

藍『ケサキ? !? ケサキって毛先か!?』

 

 

にとり『それ以外に何があんのさ、これは元々妖怪とかの髪を切るために作ったんだけど創作意欲が湧いちゃってね』

 

 

藍『湧きすぎだろう、アーム六本もいらんだろうし…それ私にやる気か? 大丈夫なんだろうな?』

 

 

にとり『大丈夫大丈夫、椛と影狼で実験済みだし人里で噂の高級ブラシとハサミを使ってるし、マッサージ付きだぞ?』

 

 

椛(あれ凄かったなぁ…思わず体が…ううん)パチン

 

 

雛『あの時の椛の顔忘れられないわ、まるで』パチン

 

 

椛『わっ!? わーわー! 聞こえないー!』

 

 

早苗『そう、その効果足るや!』

 

 

早苗、にとり『お値段以上! にとりん!』

 

 

橙『おぉー』キラキラ

 

 

藍『なんだそれは……! まさか金を取るんじゃないだろうな』

 

 

にとり『とらないよ、でも下心あるんだよね…』

 

 

藍『?』

 

 

 グゥー

 

 

橙『あ』

 

 

にとり『実はお腹空いちゃってさぁ…あはは』

 

 

早苗『あ、そういえば私も…///』グゥー

 

 

雛『あ///』グゥー

 

 

椛『!』グゥー

 

 

藍『…なるほどな』

 

 

橙『! 藍様、お昼皆で食べませんか? 皆さんと一緒に食べた方がもっと美味しいと思います!』

 

 

藍『…そうだね、そうしようか』

 

 

にとり、早苗、雛、椛(良い子…)ホッコリ

 

 

藍『私のリュックにランチが入っている、好きに食べてくれ』

 

 

早苗、椛、雛『いただきます!』

 

 

橙『えへへ…』

 

 

にとり『そんじゃ私も…てか、本当に尻尾蹂躙されると動けないんだね』

 

 

藍『こればっかりはどうもな…にとり、頼むぞ』

 

 

にとり『あいよー、食べながら出来るから楽なんだよねこれ、あ、あんまり動いちゃダメだよ?』

 

 

橙『藍様が全部作ってくれたんですよ!』

 

 

雛、椛(り、量が多い!)

 

 

早苗『わぁ! 凄いサンドウィッチの山ですね! でも私としては和食派なのでおにぎりを所望します!』

 

 

椛『ここで贅沢言います? ご馳走してくれてるんですよ?』

 

 

雛『厄いわよ?』

 

 

早苗『じょ、常識に囚われては』

 

 

にとり『はいはい、分かったからいただこうね』

 

 

早苗『む~』

 

 

橙『あはは♪』

 

 

藍(妖怪の山は相変わらず騒がしい所だ、でも)

 

 

藍(…私は橙が楽しいなら何よりだよ)ニコッ

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

藍「その後は皆で対岸で暴れていた秋姉妹の喧嘩と木々の紅葉を楽しみながらランチを食べて、河原で石を見つけて水切りしたり、将棋を指したり、紅葉狩りをしたりして過ごしました」

 

 

藍「とても楽しかったです、橙はもちろんのこと私も時間を忘れてはしゃいでしまいました、あそこにあの四人が居てくれて良かったと今では思います」

 

 

藍「何より橙の笑顔がとても自然な形で出ていたことがとても印象深かったですね、とても楽しそうでした…」

 

 

藍「日が沈むころまで遊んで現地解散、にとり、雛、椛はそのまま住処へと帰り、橙は早苗が送ってくれるとの事でしたので彼女に橙を任せました」

 

 

藍「…別れ際に、橙が私に言ってきた言葉があるんです」

 

 

紫「?」

 

 

藍「『藍様! 今日はありがとうございました! 橙はとっても楽しかったです! 今度は紫様も一緒に、三人で一緒にピクニックがしたいです!』と」

 

 

紫「…!」

 

 

藍「橙は貴方の真相を知りません、ですが知っていたとしても紫様を責める事は無いでしょう、橙はとても優しい子ですから」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「今度は予定をちゃんと構築してから橙と…いえ三人で一緒にピクニックに行きましょうね」

 

 

藍「! はい、もちろんです!」

 

 

紫「その前に橙に謝らないと、ケジメは着けなくちゃ」

 

 

藍「お供しますよ」

 

 

紫「! 私だけが悪いのに」

 

 

藍「私も謝らなければなりませんしね、それに私はあなたの式なんです、どんな理由であれ何処までもお供します」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「紫様…」

 

 

 

 

紫「今日の晩ごはん私が作ってあげるわ」

 

 

藍「はい …はい!?」

 

 

紫「疲れてるんでしょ? 好意は受け取っておきなさい、それじゃ作ってくるから」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

藍「あ…」

 

 

藍「紫様の手料理なんて何年振りだろうか、意外に料理が得意だからなぁあの人は」ブンブン

 

 

藍「!? お、落ち着け我が九本の尻尾達よ! 荒ぶるな!」ブンブン

 

 

藍「…」ブンブン

 

 

藍「今日は楽しかったな、ピクニックのことも紫様の以外な一面を見れたことも…全て…」

 

 

藍「橙、ありがとう…いや、これも明日謝る時に一緒に言うべきだな」

 

 

藍「ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、台所】

 

 

紫「にとり、雛、椛、早苗…個人的にお礼がしたいわね」

 

 

紫「橙、私達の知らないところで見聞を広め、数々の妖怪や人間達と友になり、遊び、学び、成長していってるのね」

 

 

紫「橙、貴方ならいずれ必ず八雲の…」

 

 

紫「…それにしても早苗め、橙を送ってくれるとは中々面倒見がいいのね、こりゃサービスしちゃおうかな?」

 

 

紫「さってと! 藍、覚悟しなさい、物理的に貴方のほっぺを落としてやるような料理作ってやるわ! このゆかりんがね! あーっはっは♪」

 

 

 

 

  おしまい!

 

 

 






 本当は秋姉妹たちにも動いてほしかったのですが…話の関係上カットしました…


 お疲れ様でした、ここまで読んでいただいてありがとうございました!



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《第8談》四コマ的なお話、その2



 今回はハロウィンに因んで…ますけどあまり関係無いです。 四コマ的なお話はネタのオンパレードになってしまうので話の中身は薄いですが、楽しんでいただけると嬉しいです


 それでは始まります♪


 

 

 【 trick or ?】

 

 

ルーミア「お菓子くれなきゃなんなのかー♪」

 

 

八雲紫「なんなのだー♪」

 

 

八雲藍「…」

 

 

ルーミア、紫「わはー♪」

 

 

藍「…」

 

 

紫「お菓子くれなきゃー…」

 

 

ルーミア「なんなんかー♪」

 

 

紫、ルーミア「わはー♪」

 

 

藍「いやあの、本当になんなんですか?」

 

 

紫、ルーミア「…」

 

 

 

紫「お菓子」

 

 

ルーミア「くれ」

 

 

藍「だったら最初からそう言いなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆうかりん2】

 

 

メディスン・メランコリー「やっぱり幽香のあだ名はゆうかりんがいいよ~」

 

 

風見幽香「…メディ、前にも言ったけどそれはあの腐れスキマが勝手に言いふらしているの、私はそれ嫌いよ?」

 

 

メディ「確かにあのババアが言ってるから納得はあんまり出来ないんだけどさぁ、ゆうかりんはしっくりくるの!」

 

 

幽香(最近毒舌ね…能力の副作用かしら)

 

 

メディ「ゆうかりん♪ ゆうかり~ん♪」

 

 

幽香「メディ、私は普通に幽香でいいのよ」

 

 

メディ「でも幽香だって私の事メディって呼ぶじゃない」

 

 

幽香「それは…」スッ

 

 

メディ「ゆうかりんがだめなら……ん~」

 

 

幽香「…」ズズッ

 

 

メディ「! かざミン!」

 

 

幽香「んぐっ!? げほっげほっ!」

 

 

メディ「かざピ○ミンは~♪ 最強だ~♪ どんな~敵でもぶちのめす♪」

 

 

幽香「メ、メデ…げほっ…!」

 

 

メディ「個性の塊ゆうかりん~♪」

 

 

幽香「混ざってる! 色々な物が混ざってるわメディ! 後名前変わっちゃってるじゃない!」

 

 

メディ「…引っこ抜かれてー♪」

 

 

幽香「それ以上はダメよ、メディ!」

 

 

 

 

 【ゆうかりん3】

 

 

メディ「あだ名の先生に来てもらったよ♪」

 

 

秦こころ「よっ」スッ

 

 

幽香(あだ名の先生…?)

 

 

幽香「あなた命蓮寺でよく見かける面霊気ね、悪いけどあだ名は勘弁し」

 

 

こころ「ゆうかりん」

 

 

幽香「ちょっ…!?」

 

 

メディ「嫌なんだって、可愛いのに」

 

 

こころ「かざミン」

 

 

メディ「それ拒否られたの~…」

 

 

こころ「かざピ○ミンは~?」

 

 

メディ「お花屋さん♪」

 

 

幽香「…そのかざ何とかは戦闘力無いの?」

 

 

こころ「みゆうさん」

 

 

幽香(何処から出てきた)

 

 

メディ「綺麗系? 可愛い系がいい!」

 

 

幽香(その拘りは何…)

 

 

こころ「ザミー」

 

 

幽香(ザミー!?)

 

 

メディ「ダーメ! 可愛くない!」

 

 

こころ「困った」

 

 

メディ「難しい…」

 

 

幽香「…」

 

 

こころ「やはりゆうかりんだ」

 

 

メディ「ゆうかりん! ほらぁやっぱりゆうかりんなんだよ!」

 

 

幽香「…」

 

 

こころ、メディ「ゆうかりん♪ ゆうかりん♪ ゆうかりんりーん♪」

 

 

幽香「……」

 

 

こころ、メディ「いえーい♪」ハイタッチ

 

 

幽香(…はぁ)

 

 

 

 

 

 

 

 【trick or うー☆】

 

 

レミリア・スカーレット「お菓子くれなきゃうー☆ するぞ!」

 

 

十六夜咲夜「後者をお願いします!」

 

 

レミリア「ヴェ!?」

 

 

咲夜「お菓子が無いのでうー☆ 下さい! さぁ…! さぁ!」

 

 

レミリア「う、うー☆ ?」

 

 

咲夜「!!! きゃわいい! お嬢様きゃわいいですわ!」

 

 

レミリア「たまに咲夜がわからないのよね…」

 

 

 

 

 

 【trick or うー☆2】

 

 

レミリア「お菓子くれなきゃうー☆ するぞ!」

 

 

紅美鈴「うー? あの雪女の?」

 

 

レミリア「え?」

 

 

美鈴「あ、因みに二代目は雪男なんですよね!」

 

 

レミリア「え? え!? なによそれ?」

 

 

美鈴「前に早苗さんに特撮とかいう赤と銀のヒーローが戦う映像を見せてもらったんです♪ 確かウルト…? あれ、何だっけ」

 

 

レミリア「ず、ずるいわよ美鈴! 私も誘いなさいよ!」

 

 

美鈴「なら今度一緒に観に行きましょう!」

 

 

レミリア「うん! 楽しみにしてるわ!」

 

 

レミリア「……私って雪女だったの…?」

 

 

 違います

 

 

 

 

 

 【trick or うー☆3】

 

 

フランドール・スカーレット「お菓子くれなきゃいたずらするよ♪」

 

 

パチュリー・ノーレッジ「あら恐い、ならばお菓子をあげましょう、見逃してね」スッ

 

 

フラン「わーい♪」

 

 

レミリア「! ふっふっふ」

 

 

レミリア「お菓子くれなきゃうー☆ するぞ! ガオー、たーべちゃうぞー!」

 

 

パチュリー「うるさい」

 

 

レミリア「!?」

 

 

パチュリー「レミィ、私は読書中なのは分かる? いえ分かってくれるわよね、私の親友なら当然よね? 長年の経験から察してくれるわよね? 図書館というところは本当は静かでとても神聖な記憶たちの宝庫なの、それなのにあなたときたら毎日毎日うー☆うー☆うー☆うー☆唸って静かになったためしがない、大体何処からか借りてきたカリスマ状態から卒業出来ないのは努力の方向性が間違っているからであってちゃんと真剣に向き合えばカリスマを上げることが可能、それが可能なのに年中無休で子供っぽい事ばかりするからあなたのカリスマが」クドクド

 

 

小悪魔「あの、パチュリー様…」

 

 

パチュリー「こあ静かにして、今レミィに…って」

 

 

レミリア「 」チーン

 

 

パチュリー「!?」

 

 

こあ「借りてきたカリスマ辺りから真っ白になって気絶してしまいました…」

 

 

パチュリー「言い過ぎたかしら…」

 

 

 その後ちゃんと復活させて謝って仲直りして、お菓子をあげたパチュリーでした

 

 

 

 

 

 

 【晩ごはんの話】

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「蕎麦!」

 

 

因幡てゐ「うどん!」

 

 

八意永琳「何の話?」

 

 

うどんげ「今日の晩ごはん何にするかの話です!」

 

 

てゐ「うどんげがうどん食わないなんてどうかしてるウサよ」

 

 

うどんげ「その理屈は何!? 後その取って付けた様な語尾をやめなさい! 師匠、今日は蕎麦で良いですよね!?」

 

 

てゐ「いやいや今日うどんにしてほしいね♪ お師匠様、どう?」

 

 

永琳「…う~ん」

 

 

うどんげ「蕎麦ですよね!?」

 

 

てゐ「うどんウサ!」

 

 

永琳「……」

 

 

永琳「ウサギ鍋…」

 

 

うどんげ、てゐ「!?」

 

 

永琳「いや、やっぱりモツ鍋にしましょう」

 

 

てゐ「やっぱり!? やっぱりってなにウサ!?」

 

 

うどんげ「今兎鍋って言いませんでしたか師匠ー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 【衣玖さんの特技】

 

 

博麗霊夢「相談?」

 

 

霧雨魔理沙「お前が? 珍しいな」

 

 

永江衣玖「はい」

 

 

魔理沙「おう、良いぞ何でも言ってくれ」

 

 

霊夢「う~ん、気乗りしないけど聞いてあげるわ」

 

 

衣玖「では…」スッ

 

 

衣玖「……」

 

 

霊夢、魔理沙「?」

 

 

衣玖「はっ!」スッ

 

 

 シャキーン!

 

 

霊夢、魔理沙「キャーイクサーン!!」

 

 

衣玖「!?」

 

 

霊夢、魔理沙「はっ!?」

 

 

霊夢「は!? あ、あれ!?」

 

 

魔理沙「く、口が勝手に…!」

 

 

衣玖「あなた方もですか!? この天を指差すポーズを私がするとこれを見た誰もがキャーイクサーンと言うのです! 原因を教えて下さい!」

 

 

魔理沙「分かるわけねぇだろ!? どうなってるのかこっちが聞きてぇよ!」

 

 

霊夢「なんか急に元気になった気がするわ…けど悪いけど専門外よ」

 

 

衣玖「そ、そんな!?」ガビーン

 

 

 

 

 

 

 

 【人それぞれなのかー】

 

 

ルーミア「さいきょうなのかー?」

 

 

チルノ「そうなのだー♪」

 

 

ルーミア「大ちゃんなのかー?」

 

 

大妖精「そ、そうなのだー///」

 

 

ルーミア「おかみすちーなのかー?」

 

 

ミスティア・ローレライ「お仕事なのだー♪」

 

 

ルーミア「てんとう虫なのかー?」

 

 

リグル・ナイトバグ「!?」

 

 

 ホタルです

 

 

 

 

 

 

 【四季の方々、春編】

 

 

リリー・ホワイト「んん~…!!」

 

 

リリー・W「はっるでっすよー♪」

 

 

秋静葉「うぜぇ…」グデー

 

 

秋穣子「しゃらくせぇ…」グデー

 

 

レティ・ホワイトロック「二人とも口が悪いわ」

 

 

幽香「憂鬱とかのレベルじゃないわね」

 

 

リリー・W「お二人とも酷いですよー! 春を楽しんでほしいですよー」

 

 

穣子「はいはい桜咲いた桜咲いた」グデー

 

 

静葉「赤白黄色ってか? あぁん?」グデー

 

 

幽香「それチューリップよ」

 

 

レティ「リリー、冬の後はあなたの番、任せたわ」

 

 

リリー・W「お任せですよー♪」

 

 

穣子「その頭の中お花畑みたいな語尾何とかなんないのか」ゴロゴロ

 

 

静葉「春だからって調子こくなよクルァ」ゴロゴロ

 

 

リリー・W「ひ、酷いですよー! 何でそんなことばかり言うですよー!?」

 

 

穣子「大体貴様らが春に湧いて出てくること事態おかしいでしょ」グデー

 

 

静葉「どこぞの黒光り害虫のようにわんさかと…鬱陶しいったらありゃしない」グデー

 

 

リリー・W「うう…」

 

 

穣子「黒光リリー」

 

 

静葉「ふはっ…! 笑うわそんなん、はははは」

 

 

リリー・W「ゆ``る`` さ``ん``!!!」

 

 

穣子、静葉「え」

 

 

 カッ!! ボフン!

 

 

 

リリー・ブラック「だぁぁれが害虫ですよぉ?」シュウウ!

 

 

穣子、静葉「!!?」ビクッ

 

 

リリー・B「黒光リリーですかぁ? 笑えねぇですよぉ? フハハハ!」

 

 

幽香「笑ってるじゃない、ブラック」

 

 

レティ「いつもの光景ね、ホワイトを怒らせるから」

 

 

穣子「い、稲田姫様に叱られちゃうから…!」スッ

 

 

静葉「き、今日はこの辺で失礼するわね!」スッ

 

 

 ガシッ!

 

 

リリー・B 「どぉこに行くんですよぉ?」

 

 

静葉、穣子「!?」ガタガタ

 

 

リリー・B「妖怪の山ですよぉ? 帰りたいですかぁ?」

 

 

静葉、穣子「!!!」コクコクコク!

 

 

リリー・B「かぁえりたいと思っているですかぁ…? かぁえれるといいですよぉ?」

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ!

 

 

リリー・B「とぉっておきですよぉ…!」ズッ

 

 

静葉、穣子「ひっ!?」

 

 

リリー・B「ずぅえい!!!」シュッ!

 

 

 ヒューン… ドゴーン!

 

 

静葉、穣子「ぎゃあああぁぁ!!」

 

 

リリー・B「フハハハ!DEATH!ですよぉ!」

 

 

レティ、幽香「…」

 

 

幽香「着弾した後大爆発する弾幕か…腕を上げたわねブラック」ズズッ

 

 

レティ「落ち着いて紅茶を飲んでる私たちは異常かしら」ズズッ

 

 

幽香「見慣れてるだけよ」

 

 

 

 

 

 【なに年ですか?】

 

 

紫「えーっとねぇ」

 

 

ナズーリン「いきなり始まるんだね…」

 

 

紫「お人よしの純情派、恋愛は不器用だけども好きな人は全力で愛す」

 

 

ナズ「好きな人はいない…いないはずだが…/// お人好しは当たっているかもな」

 

 

紫「辛抱強く優れた適応能力と順応性があり、明朗で調和の取れた性格で人間関係は円満、でも主張しきれずに損をする事があるみたい、チームワークを大切にして個性を現し、仕事が好き…どう?」

 

 

ナズ「概ね当たっているかもね、占いというのもバカに出来ないかもしれない…損をする、か」

 

 

紫「損してるの?」

 

 

ナズ「あれだよ」スッ

 

 

寅丸星「ナズー! ナズー!! 何処ですかー! 宝塔がおでんになってしまいました! これはこれで美味しいです! 色んな意味で!」ムシャ

 

 

紫「…」

 

 

ナズ「我慢しすぎて自分の意見を言えない状況にならないようにするよ、ありがとう八雲紫」スッ 

 

 

ナズ「ご主人! 少しは自分で宝塔を探してみたまえよ! おでんを食うんじゃない!! そのうち宝塔も食うんじゃないだろうな!?」

 

 

紫「小さな小さな賢将…頑張って」

 

 

 

 

 

 

 【ほら…ね?】

 

 

チルノ「ドッジボールやろう!」

 

 

大妖精「うん! やろうチルノちゃん!」

 

 

ルーミア「やるのだー♪」

 

 

橙「がんばるよ!」

 

 

リグル「負けないからね!」

 

 

ミスティア「私に当てられるかな!」

 

 

チルノ「あたいと大ちゃん、ルーミアと橙、みすちーとリグルチームね! みょんどもえのバトルだ!」

 

 

大妖精「みつどもえだよチルノちゃん…」

 

 

チルノ「…? あ、あぁそうだった! 」

 

 

ルーミア「勝とうな~♪」

 

 

橙「うん、絶対勝とうね!」

 

 

リグル「みすちー、頑張ろうね」

 

 

ミスティア「…リグル、耳かして」

 

 

リグル「ん? あ、何か作戦があるの?」スッ

 

 

ミスティア『もしこの試合勝てなかったらお前を喰う』

 

 

リグル『!!?』

 

 

ミスティア『その可愛いらしい右耳を頂く、良い?』

 

 

リグル『ひっ!?』コクコク

 

 

ミスティア「うん、そっか! よーし負けられないよ! ねっリグル♪」ニッコォ

 

 

リグル「は、はいぃぃ!!」

 

 

チルノ「それじゃいくぞ~! でりゃあ!」

 

 

 

 無事にミスティア、リグルチームが勝ちました

 

 

 

 ミスティア=夜雀=鳥

 

 リグル=ホタル=虫 

 

 

 

 おわかりいただけるだろうか…

 

 

 

 

 

 

 【大漁大漁】

 

 

咲夜「…」

 

 

今泉影狼「げっ…! あの怖い人間…」

 

 

咲夜「…」

 

 

影狼(こ、怖がってばっかりじゃ駄目よ影狼! 私は狼! 人間にとって親しみやすい妖怪! ここは気さくに…)スッ

 

 

咲夜「…」

 

 

影狼(つ、釣りしてるのよね…? なら)

 

 

影狼「釣れますか~?」

 

 

咲夜「? あら、いつぞやの狼」

 

 

影狼「あのときはどうも…そ、それで釣れますか?」

 

 

咲夜「あぁ、そこの桶の中見てみて? 大漁よ」

 

 

影狼(へぇ~湖なのによく釣れるわね、何を釣っ…)

 

 

キスメ「釣られました…」グッタリ

 

 

黒谷ヤマメ「私が釣られるなんて…」グッタリ

 

 

姫海棠はたて「なんで私まで…」グッタリ

 

 

影狼「わぁぁ!!?」ビクッ

 

 

咲夜「キスとヤマメとホタテ、活きが良いでしょ?」

 

 

影狼「冗談よね!? 冗談だって言ってよ! ねぇ!」

 

 

 ザバァーン!!

 

 

咲夜「あら、また釣れた」

 

 

わかさぎ姫「きゅ~…」グッタリ

 

 

影狼「姫ー!?」

 

 

 

 

 

 

 【可愛い担当の人】

 

 

アリス・マーガトロイド「はい?」

 

 

紫「だから幻想郷の可愛い担当になって♪ って言ってるの」

 

 

アリス「…」

 

 

紫「ゆかりんと契約して可愛い担当になってよ!」

 

 

アリス「なるかぁ!」

 

 

紫「何で?」

 

 

アリス「なる意味が分からないから、何よ可愛い担当って」

 

 

紫「幻想郷に新しく来た者に『幻想郷にはこんなに可愛い子がいるのよ』って言いたいじゃない♪ 私だって幻想郷の活性化したいときだってあるし」

 

 

アリス「それに私を使う…? というかあなたの可愛い霊夢が要るんじゃないの?」

 

 

紫「霊夢はだめ」

 

 

アリス「何で」

 

 

紫「ゆかりんの霊夢だから…きゃっ♪」

 

 

アリス「…」

 

 

紫「それで? 不服?」

 

 

アリス「えぇ、絶対やらないわよ」

 

 

紫「残念ねぇ…容姿端麗、頭脳明晰、胆大心小と素質は揃ってるのにねぇ」

 

 

アリス「そ、そこまでじゃないわよ…///」カァ

 

 

紫「それともう一つ重要な事までクリアしてる、パーフェクトなのに」

 

 

アリス「ん? 何それ」

 

 

紫「親に可愛い可愛い言われながら溺愛されて育った」

 

 

アリス「!!?」

 

 

アリス「だ、誰から聞いた!? 誰から聞いたのよ!」

 

 

紫「あなたのお母さんから」

 

 

アリス「なっ!!?」

 

 

紫「あなたが本を無くしてわんわん泣いてた時にあなたのお母さんが優しく」

 

 

アリス「わー! や、やめなさい! やめなさいったら!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神綺『アリスちゃんアイラビュー♪』ブイッ

 

 

夢子『はぁ…』

 

 

 

 

 おしまい!

 

 






 リリー・ホワイトを怒らせるとブラックに変身します白目を向き、身長が紫並みになります

【伝説のスーパースプリングフェアリー】と言われてもおかしくはないでしょう、戦闘力は幽香が認めるぐらいありますが三分程で元に戻ってしまいます。



 ここまで読んでいただいてありがとうございました!

 


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《第9談》グッスリ眠れると思っているのか?


 今回はカオスです…何も考えずに読んでいただければと思います。


 それでは始まります♪


 

 

    【眠れぬマヨヒガのゆかりん】

 

 

 

 

 《マヨヒガ、深夜、紫の寝室》

 

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

 

 カチ…コチ…カチ…コチ…

 

 

 

紫「…」

 

 

 

 カチ…コチ…カチ…コチ…

 

 

 

紫「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「眠れねぇ…」

 

 

紫「何で眠れないのかしら、どうして寝付けないのかしら、今の私は覚醒ゆかりんね」

 

 

紫「なんて言ってる場合じゃないわ…ゆかりんが寝付けないなんて幻想郷が危機に陥るレベルの問題なのに…これは由々しき事態よ…」

 

 

紫「幽々子の親友なだけにね」

 

 

紫「…」

 

 

紫「つれぇわ」

 

 

紫「今…1:00か、霊夢には迷惑掛けたくないし、幽々子は寝てるだろうし…私は寝られないし」

 

 

紫「…」

 

 

紫「え、マジでどうしよう…ゆかりん一人で起きてんの? 朝まで? いやいやないない♪ そんなことって絶対な」

 

 

紫「…!」

 

 

紫「ないないないない! おバカさんね、わんちゃんあると思ったゆかりんどっか飛んでけ! このバカちんがぁ!」

 

 

紫「…あ」

 

 

紫「なんだ簡単なことじゃない」

 

 

紫「眠れないのなら寝なきゃ良いのよ、一人が嫌なら一人にならなきゃ良いのよ、ゆかりんったら天才ね♪」

 

 

紫「フフフ♪」ニッコォ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《藍の寝室》

 

 

 

八雲藍「ん…」モゾッ 

 

 

藍(今何時だ…? ……1:00か、後五時間は寝れるな)

 

 

藍(紫様は後十時間ぐらいは寝るのだろう、正直いつまで寝てるんだこんにゃろうだがそれは紫様の特性の様なもの…つべこべ言ってはいられない)

 

 

藍(私も昼までぐっすり寝てみたいものだ…いや、そんなことをしたら朝に起きられなくなってしまう…生活のリズムが乱れてしまう、家事や仕事もあるから乱すわけにはいかん)

 

 

藍(橙と過ごす時間すらも取れなくなってしまう…やはり早起きは三文の徳だ、紫様にも私を見習ってほしいものだな)

 

 

藍(しかし霊夢が早寝早起きだというのにそこは合わせようとしないのは不思議だ…自分の生き方までは流石に曲げられないのか…?)

 

 

 ギュオン

 

 

藍(……考え込んでしまったな、はやく寝ねば…こうやって目を瞑れば誰でも夢の中…あの夢の続きは見れないかな)

 

 

藍(橙と二人で外の世界に散歩か…中々素晴らしい夢だったなぁ……って)

 

 

藍(…今……ギュオンって音しなかったか…?)

 

 

藍(……いや、気のせいか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ちわーっす! いなり寿司のお届けでーす♪」

 

 

藍(!!?)

 

 

紫「八雲の藍さーん! デリバリーゆかりんのいなり寿司! お届けにあがりましたー♪」

 

 

藍(な!? なん…!? なんだ!?)

 

 

紫「こちとらお仕事なんでねぇ、早いとこお代を払っていただかないと困るんですよ!」

 

 

藍(いなり寿司!? お仕事!? 一体何なんだ!? 紫様は何を……はっ!?)

 

 

 

 

 このとき、八雲藍は休み掛かっている脳をフル回転させて状況を把握した!

 

 

 

 

 

藍(なるほど珍しいですね紫様、あなたが寝付けないとは…! それで暇だとか一人じゃゆかりん寂しいとか…そういう感じで私のところにきたんですね!? あなたという人は本当に…!)イライラ

 

 

紫「お代を払え♪ お代を払え♪ いなりずっしのお代♪」

 

 

藍(ふっ…甘くみられたもんですね紫様、こちとら我慢することに関しては幻想郷の中でもトップクラスだと自負しているんですよ、私は絶対に起きない!)

 

 

紫「いなりとえ○りで寿司○昧…きゃっ♪」

 

 

藍(!? …と、とにかく絶対に起きませんよ! 起きたら紫様の思うつぼ、なんならこの状況の中で寝てやりますよ! さぁかかってくるがいいスキマァ!)

 

 

紫「ふんふーん♪」スッ

 

 

 

 カチッ!

 

 

 

藍(カチッ…?)

 

 

紫「ドーはドSのゆうかりん♪ レは、霊夢のレ~♪」

 

 

藍(歌いだしたー!?)

 

 

紫「ミーは、ミスティアごちそうさん♪ ファーは…ふんふふふーん♪」

 

 

藍(思い付かないなら無理に歌わないで下さいよ!)

 

 

紫「ソーはそーなのかー♪ ラーは、藍もっと働け!」

 

 

藍(こんの、スキマぁ…!)

 

 

紫「シーは、死ぬがよい」

 

 

藍(恐いわ!)

 

 

紫「さぁうー☆ たいまーしょー♪」

 

 

藍(レミリア!?)

 

 

 

 カチッ!

 

 

 

紫「らん らん らん♪ ちぇん触る♪」

 

 

藍(はい!?)

 

 

紫「流石にゆかりん見過ごせないわよ♪」

 

 

紫「らん らん らん♪ ちぇん触る♪」

 

 

藍(触るわ……!? いやいや触るわけないだろうがぁ!)

 

 

紫「ゆかりんのー、八雲藍モノマネシリーズー♪」

 

 

藍(休ませる気がないのか!? この人は!)

 

 

紫「900年前に藍が小さかった頃にゆかりんの事を言い間違えたとき」

 

 

藍(!?)

 

 

紫『おかあさん、あ…///』

 

 

紫『え? 藍、今なんて?』

 

 

紫『ゆ、紫しゃま! な、何でも、何でもありましぇん!』

 

 

紫『お母さん? ふふっ♪ 藍ちゃんカーワイイ♪』

 

 

紫『あうう…///』

 

 

藍(うわぁぁ!? な、何で覚えてんですかこの人は!?)プルプル

 

 

藍(やめて…! やめて下さいよ紫様! は、恥ずかしい…///)プルプル

 

 

紫「893年前に幽々子にからかわれた時の藍」

 

 

藍(なにぃっ!?)

 

 

紫『藍ちゃーん、はいお稲荷さんあげるわぁ♪』

 

 

紫『わー♪ 幽々子どにょ、ありがとうございます♪』

 

 

紫『ふふふーん♪ あーん♪ モグモグ』

 

 

紫『あっ!?』

 

 

紫『この世の食べ物は私のものよぉ♪ 藍ちゃんのお稲荷さんも私のものよぉ♪ あげないわぁ♪』

 

 

紫『う、うぅぅ…びえー! 紫しゃまー! 幽々子どにょがいじめるー!』

 

 

藍(何で覚えてんですかほんとにもおぉぉ!!)

 

 

藍(私はあんなに滑舌悪かったか!? いや、そんなはずは…)プルプル

 

 

 ギュオン

 

 

紫「ふんふーん♪」ゴソゴソ

 

 

藍(!! いかん! 今は寝るか起こされるかの真剣勝負! ペースを乱されるな八雲藍!)

 

 

 ヒョイ

 

 

紫「よっと…あら、やっぱり起きてた?」

 

 

???「紫さん、いきなりスキマから引っ張り上げないでくださいよ、びっくりするじゃないですか」

 

 

紫「何してたの?」

 

 

???「小説書いてました」

 

 

藍(は!? え!? 誰か呼んだの!?)

 

 

紫「出来は?」

 

 

???「イマイチです、ネタが思い付かなくて」

 

 

紫「ふーん、じゃ勝負しない?」

 

 

藍(え!? 何でそうなるの!?)

 

 

???「何を突然…あぁ、そういことですか」

 

 

紫「そ、ネタが思い付くかもだし、私は寂しくないし」

 

 

???「言わなくても分かりますよ、私のこと知ってるでしょう?」

 

 

紫「まぁ、そうだけど」

 

 

???「勝負は『○○りんバトル』ですか?」

 

 

紫「そうよ」

 

 

藍(なんですかそれは!? …! それとここにいるのは誰だ!?)

 

 

???「○○りんとあだ名を付けられる、もしくは付けられた者しか挑戦することが出来ない幻想郷の伝統勝負」

 

 

紫「弾幕ごっこに勝ることはない、女と女の伝統勝負」

 

 

藍(勝らないんですか!?)

 

 

紫「ルールはパン屋さんルールでいいわね」

 

 

?「はい」

 

 

藍(は!?)

 

 

紫「勝負よ! さとり!」

 

 

???→古明地さとり「勝負です、紫さん」

 

 

藍(ええぇぇぇぇ!? なんか凄いのが家にいるー!)

 

 

 

さとり「チョココロネ!」

 

 

紫「先手か…クロワッサン!」

 

 

さとり「なっ!?」

 

 

紫「ふふのふ♪ これでサンドイッチとのコンボは使えないわよ♪」

 

 

さとり「くっ! なら、コーヒー牛乳でいきます」

 

 

紫「守りを固めたのね、やるじゃない」

 

 

さとり「これで終わりだと思ってます?」 

 

 

紫「なにぃ!?」

 

 

さとり「クルミパンとフランスパンのコンボ発動」

 

 

紫「やばっ!?」

 

 

さとり「これであなたはツナサンドバリアは使えませんし、ウインナーロールドリラーも使えません」

 

 

紫「! …心を読んだな!?」

 

 

さとり「さとりですから」

 

 

藍(な、何が起こっているんだ!?)

 

 

紫「くっ…玄武の型か…」

 

 

さとり「どうします?」

 

 

紫「…アンドーナッツ」

 

 

さとり「あれ、博士戦法ですか?」

 

 

紫「さあ…どうかしら」

 

 

藍(解説者を呼んでくれ…! この人たちはどうかしてる!)

 

 

さとり「心を読む気にもなれない退屈な試合ですね、フランスパンをガーリックフランスに変更、これでアーモンドナッツを特殊召喚します」

 

 

紫「む!」

 

 

さとり「まだです、ベーグルをスタッフが美味しく頂いた事による錬成効果により、ガーリックフランスとアーモンドナッツに錬成します! これで錬成召喚の準備が整った!」

 

 

さとり「ガーリックフランスとアーモンドナッツを生け贄にして出でよ! メロンパン!!」

 

 

藍(何故ぇ!? ガーリックとナッツは何処に消えたぁ!)プルプル

 

 

紫「!!?」

 

 

さとり「…降参してください、あなたを殺したくない」

 

 

紫「…」

 

 

藍(えっ!? 命掛かってんですか!? この馬鹿げた争いに!?)

 

 

紫「さとり」

 

 

さとり「?」

 

 

紫「幻想郷の管理人さんはね、一歩も退かないのよ」

 

 

さとり「…残念です」

 

 

藍(か、かっこよくない…!)

 

 

さとり「ならば…香ばしいメロンパンに包まれ、心を闇に沈めて差し上げましょう!」

 

 

 

 ゴゴゴゴ!

 

 

 

紫「!」

 

 

藍(ちょっとー!? 何の音ですかー!?)

 

 

さとり「ふふっ♪ 勝負ありです」

 

 

紫「……」

 

 

紫「ふっ…」ニヤリ

 

 

さとり「ん!?」

 

 

紫「さとり、覚り妖怪が心を読むのをやめたらそこで試合終了よ?」

 

 

さとり「負け惜しみですか? メロンパンはすぐそこまで迫って来てますよ!」

 

 

藍(恐いんだよ! 色んな意味で!)

 

 

紫「……」

 

 

さとり「ふふっ、ほら、手も足も出ないで」

 

 

紫「チョコクロワッサン」

 

 

さとり「なっ!!?」

 

 

 

 バリーン!!

 

 

 

藍(さっきから何の音なんですか!?)

 

 

紫「アンドーナッツに気をとられ過ぎよ」

 

 

さとり「…!」

 

 

紫「私は駒を二個しか出してない、それなのにあなたはコストギリギリのを連発、そんなカツカツな駒を使い続けてたらチョコクロワッサンに勝てるわけないでしょう?」

 

 

さとり「ぐっ…! 勝負を急がせ過ぎましたか」

 

 

藍(『ぐっ』…じゃないよ! 急がせ過ぎたとか分かんないですから!)

 

 

紫「ベーグルのときに私の心を読んでたら私の負けだったかもね…心を読まれたらこの戦法は使えないもの」

 

 

さとり「私の…負けですね」

 

 

紫「チョコ・クロワール・ミ・ケラン・ジェ・ロン」

 

 

 

 ドドドドド!

 

 

 

さとり「ぐああああぁぁ!」

 

 

藍(名前名前!! てか『ぐあああ』って何!? どうなってるんですかぁ!?)

 

 

 

 

 

 そして二分後…

 

 

 

さとり「流石です紫さん、お見事でした」

 

 

紫「あなたもね、中々良い試合だったわ」

 

 

藍(目開けてないから頭が疲れた)

 

 

さとり「! おぉ、小説のアイディアが浮かんできましたよ、一勝負してみるものですね」

 

 

紫「気分転換になったでしょう?」

 

 

さとり「はい、ゆかりん色々とありがとうございました。」

 

 

紫「こっちこそありがとねさとりん」

 

 

藍(仲良いですね…)

 

 

紫「それじゃお帰りは足元のスキマから」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

さとり「えぇそれでは、さようなら」

 

 

紫「ばいばーい♪」

 

 

 ギュオン

 

 

紫「あ~♪ んん~♪ 楽しかったわ!」

 

 

藍(私は全然楽しくないです…)

 

 

紫「…」

 

 

藍(…)

 

 

紫「…」

 

 

藍(…?)

 

 

紫「…」

 

 

藍(お? 諦めたか?)

 

 

紫「…」

 

 

藍(…はぁ、これでやっと寝られ)

 

 

紫「藍」

 

 

藍(…)

 

 

紫「…」

 

 

藍(…)

 

 

紫「ゆかりん寂しい! 起きて?」

 

 

 ガバッ!

 

 

藍「だったら最初からそう言いなさいよ訳の分からん事を何回も何回もぉ! 今何時だと思ってるんですか!?」

 

 

紫「あ」

 

 

藍「ん!? あっ…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「起きてるんだったら余計な体力使わせるんじゃないわよ!」

 

 

藍「好き勝手やったのはあなたの方でしょうがよぉ!」

 

 

紫「寝れないのよ! 構え!」

 

 

藍「構えるかぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【おまけ】

 

 

 

紫「こうやって一緒の布団で寝るのって何年振りかしらね♪」

 

 

藍「何百年振りの間違いでしょう…?」

 

 

紫「またそういうこと言う…ゆかりんは年齢じゃ語れないのよ?」

 

 

藍「だったら早く寝てくださいよ…もう4:00ですよ?」

 

 

紫「ゆかりん寝られない」

 

 

藍「…羊でも数えたらどうです?」

 

 

紫「じゃあ一緒に数えて」

 

 

藍「はい…?」

 

 

紫「私とあなたの頭の中をスキマで繋げるから一緒に数えてって言ってるの」

 

 

藍「…それで本当に寝ます?」

 

 

紫「寝る」

 

 

藍「…ではどうぞ」

 

 

紫「よっしゃ♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

藍「おやすみなさい紫様」

 

 

紫「お休み藍」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹

 

 

 羊が四匹、幽々子に食われた

 

 

 

藍「こらこらこらこら!」

 

 

紫「藍、うるさいわよ…」

 

 

藍「余計なことを考えないでくださいよ!」

 

 

紫「いや…食べそうかなって」

 

 

藍「知りませんよ! 羊だけで良いんです! 寝なさい!」

 

 

紫「はい」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹

 

 

 羊が四匹、マエリベリー・ハーンが一人

 

 

 

藍「メリー違いだよ!」

 

 

紫「メリーさんの~ ヒツジ~♪」

 

 

藍「人間じゃないですか! 羊を数えなさいよ!」 

 

 

紫「うい」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…確か外の世界の人間でしたっけ?」

 

 

紫「度々こっちに来るみたいね、何処の次元から来ているのかは知らないけど♪」

 

 

藍「はぁ…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹

 

 

 羊が四匹、羊が五匹、羊が六匹

 

 

 羊が七匹、羊が八匹、チルノが⑨

 

 

 

藍「アウト」

 

 

紫「えー…」

 

 

藍「⑨=チルノはやめて下さいよ…」

 

 

紫「お約束かなって」

 

 

藍「寝てください」

 

 

紫「ほい」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 諏訪子が一匹、諏訪子が二匹、諏訪子が三匹

 

 

 

藍「何故っ!」

 

 

紫「羊が寝かせてくれないから」

 

 

藍「カエルで寝れる妖怪がどこにいるんですか!」

 

 

紫「いけるかなって」

 

 

藍「無理!!」

 

 

紫「あい」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 橙が一匹、橙が二匹、橙が三匹

 

 

 

藍「ちぇぇぇん…♪」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…? 藍?」

 

 

藍「スー…スー…」zzz

 

 

紫「えぇ!? 寝たぁ!?」

 

 

藍「橙…ふふっ…スー…」zzz

 

 

紫「ちょっ…! 『ふふっ』じゃないわよ! 私より先に寝るなぁ! 起きなさい藍!」スッ

 

 

藍「スー…スー…」ユサユサ

 

 

紫「くっ、橙を出したのは失敗だったわね…」

 

 

藍「スー…スー…」zzz

 

 

紫「…私も寝よう」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 羊が…  ん?

 

 

 先程数えた三匹の諏訪子が紫を見ている

 

 

 

紫(ん?)

 

 

 

 よくも増やしてくれたなケロ

 

 よくも増やしてくれたなケロ

 

 よくも増やしてくれたなケロ

 

 

 

紫(!?)

 

 

 

 祟ってやるケロ

 

 祟ってやるケロ

 

 祟ってやるケロ

 

 

 

紫(いっ…!?)

 

 

 

 ケロケロケロケロケロケロケロケロケロケロ♪

 

 

 

紫(い…いやあぁぁぁ!!!)

 

 

 

 ケーロケロケロ♪

 

 

 

 

 その日八雲紫は寝れませんでした…

 

 

 

 

 

 《守矢神社》

 

 

洩矢諏訪子「ぐふふ♪  …グーグー…」zzz

 

 

八坂神奈子「何をニヤニヤしながら寝とるんだ…」

 

 

東風谷早苗「むにゃむにゃ… 神奈子様の~…ふふっ…♪ スー…」zzz

 

 

神奈子(!? 何だ!? 神奈子様の何なんだ早苗ぇ!)

 

 

 

 

 ほんとにおしまい!

 

 

 






 カオス…いや、深夜テンションの何かのような気がしますね


 ここまで読んでくださってありがとうございました!



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《第10談》八雲紫の冬眠には博麗の愛を



 短編もついに十話目…♪


 『東方紫藍談』を読んでいただいてくれている方が増えてきていると実感しております…本当にありがとうございます!


 今回はほのぼの…です!


 それでは始まります♪




 

 

 

 【ゆかりん…冬眠します(泣)】

 

 

 

 

 

 《マヨヒガ、一月一日、縁側》

 

 

 

八雲紫「じゃあね…藍」

 

 

八雲藍「はい、後の事はお任せ下さい」

 

 

 

 スキマを空中に展開させ、上半身だけスキマから出している八雲紫が八雲藍に話し掛けている

 

 

 

紫「橙…ゆかりん、2ヶ月ぐらい居なくなっちゃうけど本当に大丈夫かしら」

 

 

藍「大丈夫ですよ、昨日お別れ会した時に納得していたのは紫様ですよ? 何より寺子屋の友達もいますしこの私がいるじゃないですか」

 

 

紫「ご乱心がさぁ…」

 

 

藍「うっ…! だ、大丈夫ですよ! 乱心したりはしませんから!」

 

 

紫「はぁぁ…ちょー不安…不安の極みなんだけど」

 

 

藍「少しは信用してくださいよ…」

 

 

紫「ガスの元栓は?」

 

 

藍「閉めた…というか閉まってます、そんな『これからお出掛け~♪』な感じじゃないんですから閉まってますよ、それに私が家に居るんですから心配ないじゃないですか」

 

 

紫「窓は? 戸締まりは?」

 

 

藍「いや…ですから私が」

 

 

紫「はっ!? 幽々子が私が居ないー! と寂しがらないように、プレゼントとして取っておいたお食事券五万円分渡したかしら!?」

 

 

藍「渡しましたよ、というかその場に居ましたよね紫様」

 

 

紫「レミリアにカリスマが上がるだろうと取っておいた遮光性百%のサングラス」

 

 

藍「渡しました」

 

 

紫「アリスに安眠出来るようにと作った魔理沙の笑顔プリントのYES、NO枕は?」

 

 

藍「何故作ったのか分かりかねましたが一応渡しておきました」

 

 

紫「永遠亭の永琳の為に作った小型ヤゴコロインチキ爆弾は!?」

 

 

藍「わた…して良いものか分かりかねましたが、一応渡しました」

 

 

紫「あぁ…えーっとそれからそれから…」

 

 

藍(うーむ…また始まったかぁ…)

 

 

藍(我が主、八雲紫は幻想郷の中でも珍しい冬眠をする妖怪である)

 

 

藍(寒い冬を越すため、幻想郷を維持する為に覆っている結界を乱さない様にパワーを溜めるためと色々あるのだ…新年の挨拶を皆に済ませたあと一月一日の午後から三月一日の午後までの間、紫様は自分の作ったスキマ空間で冬眠をする)

 

 

藍(するのだが…)

 

 

紫「あれ…!? 私ゆうかりんにお鼻畑とか言って鼻の模型の奴が沢山くっついた向日葵あげたっけ…? 守矢の三神に『無敵要塞ユカランの設計図』渡したっけ…? 神綺ちゃんに髪の毛が引っ張られても大丈夫な様に『ヘアーガタクマシクナール』あげたっけ…? もこたんに『モコモコウール』あげたっけ…? さとりに『カフェインたっぷりのコーヒー』あげたっけ…? 秦こころに『ヤバイタイプの奴に遭遇したときの表情』あげたっけ…!? あぁ、あと萃香に酒のつまみにとフルーツの盛り合わせ二ヶ月分を…」ブツブツ

 

 

紫「二ヶ月分の霊夢への仕送りと…二ヶ月分の私の食料、遊び道具は用意した…あれ…!? したわよね!? あぁもう一回確認しないと!」ワタワタ

 

 

 

藍(何故か冬眠前の前日から心配性と物あげが酷くなる…)

 

 

 

藍(まず物あげだが…『私が二ヶ月の間冬眠で居なくなるからこれを渡します、だから私の事を忘れないでください』これが理由である)

 

 

藍(いやいや忘れる訳がないでしょう…幻想郷の住人は絶対に忘れないですって、あなたに会ったことのある者ならば忘れたくても忘れられませんよ)

 

 

藍(この事について私がツッコんだら『二ヶ月の間にゆかりんが何者かに差し替えられたらどうすんのよ! この九尾がぁ!』の一言で一蹴された事があった)

 

 

藍(えぇ…しか言葉が出なかった)

 

 

藍(普段なら『私の事を忘れるわけないでしょう?』と紫様なら自己判断出来る筈なのだが冬眠前の『極力、能力を使いたくない』と何か関係があるらしい…もし、紫様が判断力を使いたくないと言い出したら私は耳を疑う、判断力は妖力ではなく頭を使えば誰でも出来るからだ)

 

 

藍(私にそこまで思わせる程の豹変振り)

 

 

紫「ある…! 藍! 必ず霊夢に二ヶ月分の仕送り金渡しておきなさいよ!? あぁとこれは渡してあるから…そうだわ、にとりと雛に前の礼を兼ねてこれを渡しておきましょう! 後は…あぁ冬眠用の飯…ミスティアの特製弁当六十人前と藍の作ったご飯…インスタント食品も持っていかないと…!」

 

 

藍(後は心配性)

 

 

藍(夏休みに遊びに集中して寺子屋が始まる前日に宿題を片付けるチルノの如くあたふたし出す…物あげと被るところがあるが自分自信の事にまでその心配が及んでいる)

 

 

藍(紫様は正直、何に使うのかよく分からないものまでスキマ空間に持っていき冬眠する…その準備は一週間ぐらい前からしていて必要な物は全て前日に揃うのだが再確認を怠らない)

 

 

藍(怠らないのは良いことだがもう何百回としているのにまだやりますか…)

 

 

紫「あ、これも持っていきましょう…これもこれも…あ、後これも」

 

 

藍(もう…もうね…)

 

 

藍(えぇもうツッコミどころ満載です、寝てるのにインスタントどうやって食べるんだとか、食いすぎだろとか遊び道具持っていってるってことは寝てないんじゃないかとか上げたらキリが無い)

 

 

藍(オマケにこの紫様の冬眠物あげの期を狙い、魔理沙や天子たちが物をねだりに来る始末…! 紫様、この時期の彼女たちは最早物取りのそれですよ)

 

 

紫「よし! よし出来たぁ! これで完成ね♪ フカフカお布団も掛け布団もセット完了! …あれ、もう何も忘れて無いわよね…?」

 

 

藍(喜怒哀楽も激しいな…うん)

 

 

藍「…大丈夫ですよ紫様、スキマ空間に私も入って確認してるんですから」

 

 

紫「はぁ!? あなた勝手に入ったの!?」

 

 

藍「あなたが私に入って確認してって言ったじゃないですか!」

 

 

紫「うぇえ!? そ、そうだっけ!? 私…そんなこと…」

 

 

藍「言いましたよさっき、ほんの二時間ぐらい前に」

 

 

紫「……言ったわ」

 

 

藍「……大丈夫ですか?」

 

 

紫「ヤバイわ…記憶が曖昧になってきたわ、冬眠前っていつもこう」

 

 

藍「…また確認したいとか言わないでくださいよ?」

 

 

紫「……確認し」

 

 

藍「ダメ」

 

 

紫「う…」

 

 

藍「ダメ」

 

 

紫「…」ジトッ

 

 

藍「…」

 

 

藍「そんな目で見られてもダメです」

 

 

紫「なんかあなた今日冷たくない?」

 

 

藍「そう…ですか?」

 

 

紫「ふっ…あれか? 早く冬眠してくださいってか? 厄介払いか? ああん?」

 

 

藍「そ、そんなこと思ってるわけがないじゃないですか!」

 

 

藍(不貞腐れた…)

 

 

紫「てかさ、ダメダメダメダメって…そんなこと言われるともっと確認したくなるんだけど」

 

 

藍「ダメ…でなくてもう確認し過ぎたんですから大丈夫なんですよ、安心してお休みになれる環境はもう整ってるんです」

 

 

紫「確認し過ぎたって何よ…本当に大丈夫なの?」

 

 

藍「はい、渡せる物は私が責任を持って全て幻想郷の住人たちに渡しておきますし、紫様のスキマ空間での寝床の整理も完璧です」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様、ですからもう安心してお休みになれられても大丈夫なんですよ」

 

 

紫「…うん」

 

 

藍(湿っぽくなった…)

 

 

紫「そう…そうなのよね…うん」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…じゃあ、後は」

 

 

藍「そうですね、後は…」

 

 

 

 ピンポーン♪

 

 

 

藍「あ、ちょうど来たみたいですね、迎えに行ってきます」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

紫「霊夢…」

 

 

 

 

 《マヨヒガ、玄関》

 

 

 

藍「やぁ、来てくれたか…って」

 

 

博麗霊夢「ん? あぁ、こいつら? 行きたい行きたいってうるさいから連れて来ちゃったんだけど」

 

 

霧雨魔理沙「うるさいってなんだよ…よう! この魔理沙さんが来てやったぜ」

 

 

伊吹萃香「連れないこと言うなよぉ霊夢、よっ♪ 藍、紫の冬眠久し振りに見に来てやったぞ」

 

 

藍「萃香は良いとして、魔理沙…」

 

 

魔理沙「も、もうねだったりしないぜ」

 

 

霊夢「あんた完全に物取りよね、冬眠前の紫から物ねだるのは」

 

 

魔理沙「だってよ、くれって言ったら何でもくれるからさ」

 

 

萃香「くれって言わなくてもくれるけどねぇ♪」

 

 

霊夢「なんか…あの性格になるのは発作みたいよね」

 

 

藍「発作か…的を得ているかもな」

 

 

魔理沙「毎年毎年こうだもんな」

 

 

霊夢「もう慣れちゃったから別に良いけどね」

 

 

藍「足労感謝するよ、さぁ上がってくれ、紫様がお待ちだ」

 

 

魔理沙「おう、邪魔するぜー♪」

 

 

萃香「そういえばマヨヒガも久し振りにくるねぇ」

 

 

霊夢「…藍、ちょっと」

 

 

藍「?」

 

 

霊夢「やっぱ…言わなくちゃダメ?」

 

 

藍「う~ん…ダメだろうな」

 

 

霊夢「はぁ…あれさぁ、なんかねぇ…」

 

 

藍「気持ちは分かるが頼むよ、紫様の為にも」

 

 

霊夢「分かってるわよ…」

 

 

霊夢(魔理沙を連れて来たのは…やっぱりダメだったかしら)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《マヨヒガ、縁側》

 

 

 

紫「! 霊夢!?」

 

 

魔理沙「残念、魔理沙さんだぜ」

 

 

萃香「同じく萃香さんだよ♪」

 

 

紫「魔理沙、萃香…?」

 

 

萃香「紫、久し振りに見送りに来たよ」

 

 

紫「萃香…」

 

 

萃香「あはは、相変わらず冬眠前はまごまごしている感じかい?」

 

 

紫「む~、笑い事じゃないのよ? 私だってしたくてしてるわけじゃないんだからね?」

 

 

萃香「分かってるよ、でも本当にいつもの紫じゃないみたいだよねぇ」

 

 

紫「す~い~か~? おちょくりに来たのか見送りに来たのかどっちなのよ~」スッ

 

 

萃香「わひゃ!? く、口を引っひゃんなよ~♪」

 

 

紫「相変わらず毎日楽しそうにしやがるわね…あ、ほっぺすっごく柔らかい」

 

 

萃香「よく言われるねぇ♪ あっはっは♪」

 

 

萃香「あ、紫、フルーツあんがとね、あれ酒のつまみに合うんだよねぇ」

 

 

紫「え? あ、うん、どうも」

 

 

魔理沙(ついでにみたいに言ったな、おい)

 

 

紫「魔理沙、あなたは?」

 

 

魔理沙「ん? あぁ、私は」

 

 

紫「あ、まさかあれだけじゃ足りなかった!?」

 

 

魔理沙「! そうなんだよ紫ぃ♪ 地獄の古代図書館だっけ? そこから魔導書をあと五冊ぐらい」

 

 

霊夢「ふん!」スッ

 

 

 

 ゴチン!

 

 

 

魔理沙「あいたっ!」

 

 

霊夢「アホかっ! 二十冊も貰っといてまだ足りんのかい」

 

 

魔理沙「いってて…げ、ゲンコツはないだろう霊夢ぅ!」

 

 

霊夢「集りすぎだっての、少しは自分で集めなさいって」

 

 

魔理沙「うん? あ~、紅魔館から借りてこいってか」

 

 

霊夢「借りる…?」

 

 

魔理沙「おう死ぬまでな、あっはっは♪」

 

 

萃香「いつも思うけど借りてないよねぇ」

 

 

藍「本好きなら辞書で引いてみるといいぞ、『借りる』をな」

 

 

魔理沙「私の辞書でか?」

 

 

藍「本の辞書でだ!」

 

 

魔理沙「あっはっはっは♪ ま、それは冗談としてだ」

 

 

魔理沙「冬眠前の見送りってのがどんなもんなのか見に来たんだ、本くれた礼も兼ねてな」

 

 

紫「! そ、そうなの」

 

 

紫「萃香、魔理沙…ありがと…」

 

 

魔理沙(本当にいつもの紫じゃないな…やけに大人しいぜ)

 

 

紫「霊夢…」

 

 

霊夢「! 紫…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「んぐっんぐっ…ぷはぁー♪ うぃ~っ…」

 

 

藍「…」

 

 

魔理沙(…ん? 何だよこの間は…)

 

 

魔理沙(そういや霊夢もこんときは紫みたいにいつもの感じじゃなくなるんだよな…なんつーか紫の味方をすることが多くなるっつーか、しおらしくなるっつーか)

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙(私の気のせいか?)

 

 

紫「…霊夢、よく来てくれたわね」

 

 

霊夢「別に…毎年の事だし」

 

 

紫「うん…あ、新年会の準備はどう?」

 

 

霊夢「順調よ、アリスとか咲夜とか手伝ってくれてるし、今年は地底の奴らも家の神社に来てんのよ? さとりとか勇儀も来てるわ」

 

 

紫「そうなんだ…今年も楽しそうね」

 

 

霊夢「まぁね…今年も何時もの様に代わり映えなく始まるわ」

 

 

紫「ふふっ、それが幻想郷だもの」

 

 

霊夢「そうね、それが幻想郷だもんね」

 

 

霊夢「あんたは…いつも新年会欠席よね」

 

 

紫「しょうがないわ…冬眠は私にとって外せないイベントの一つだもの…」

 

 

霊夢「そう…よね」

 

 

紫「えぇ…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「んぐっんぐっ…ひっく…うぃ~」

 

 

藍「…」

 

 

魔理沙(え…? マジか…? えっ…こ、こんな感じでいつも毎年見送りしてんのか?)

 

 

魔理沙(普通に会話してるだけなのになんでこう…なんかモヤモヤするもんがあるんだが…私だけか?)

 

 

萃香「んぐっ、ヒック♪」

 

 

魔理沙(藍は知ってるだろうし、萃香は何も考えてないとして…私のこのモヤモヤはなんだ?)

 

 

魔理沙(霊夢の態度か? それとも場の雰囲気か? な、なんか)

 

 

魔理沙(居づれぇ…)

 

 

霊夢「あんたこそ…準備はどうなの?」

 

 

紫「もう終わったわ、準備は完璧よ…後は寝に入るだけなの」

 

 

霊夢「そ…けどあんたの事だからまたあたふたしたりしてたんでしょ?」

 

 

紫「うっ…ま、まぁ」

 

 

霊夢「あたふたする理由がね」

 

 

紫「だ、だってぇ…」

 

 

霊夢「藍がやってくれてるし、あんただって事前に準備してんのにまだ確認するんかい」

 

 

紫「だってぇ…だってね? 藍が余計な物をスキマに入れてたりしないか~とか心配で…」

 

 

藍「なっ!? 私のせい!?」

 

 

萃香「余計なもん?」

 

 

紫「油揚げ一年分とか」

 

 

藍「入れるかぁ!」

 

 

魔理沙「二ヶ月間だろうがよ、一年分とか拷問じゃないか」

 

 

紫「やりかねないもん」

 

 

藍「やるわけあるかぁ!」

 

 

萃香「あっはははは♪」

 

 

霊夢「はぁ…」

 

 

紫「日頃の怨みだくらえっ! でしょ!」

 

 

藍「バカ言わないでくださいよ! そんなことしたら油揚げたちに申し訳ないです! 食されずに腐っていく油揚げの気持ちを考えたらそんなこと出来ませんよ!」

 

 

紫「何よ! 私と油揚げどっちが大事なのよ!」

 

 

藍「どっちもですよ!」

 

 

紫「へぇへぇ、どうもありがとうございましたねぇこのバカちんがぁ!」

 

 

霊夢「感謝してんのか、怒ってんのか」

 

 

魔理沙「正直どっちが大切か、みたいな質問されんの一番困るよな」

 

 

萃香「そうかい?」

 

 

魔理沙「酒と霊夢どっちが大切だ?」

 

 

萃香「どっちも! どっちも好き!」

 

 

魔理沙「流石鬼だ、なんともないぜ」

 

 

霊夢「…///」

 

 

魔理沙「霊夢、顔赤いぜ」ニヤニヤ

 

 

霊夢「!? あ、赤くない!」

 

 

萃香「すぐに顔に出るのは霊夢の良いとこだよねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

霊夢「は、はぁ!?」

 

 

魔理沙、萃香「あっはっは!」

 

 

霊夢「あ、あんたたちねぇ…!」

 

 

 

藍、紫「…」

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「…えぇ」

 

 

紫(楽しそうねいつもいつも、あなたたちは本当に…)

 

 

紫「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そして…》

 

 

 

萃香「寂しくなるねぇ…紫、二ヶ月後は最初に博麗神社で会おうよ、今年はサシでどっかに飲みに行こう♪」

 

 

紫「えぇ、楽しみにしてるわ」

 

 

魔理沙「ま、二ヶ月なんてあっという間だしな、忘れた頃にいきなりスキマから出てくんだろ」

 

 

紫「ふっ、なら夜中にあなたの枕元にいきなり出てやろうかしら」

 

 

魔理沙「いっ!? か、勘弁してくれよ…」

 

 

紫「ふふっ」

 

 

藍「紫様、あなたに頼まれたことと結界の維持等はお任せください、一つのミスもなくこなしてみせます」

 

 

紫「頼んだわ、藍、いつもありがとう」

 

 

藍「何を仰いますやら…」

 

 

紫「ふふっ…」

 

 

藍「お休みなさいませ、紫様」

 

 

萃香「お休み、紫」

 

 

魔理沙「…! お、お休みだ、紫」

 

 

紫「お休み…藍、萃香、魔理沙…」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…? おい霊夢、どうしむぐっ!?」スッ

 

 

藍「シッ…」

 

 

魔理沙「…? …」

 

 

萃香「…」

 

 

魔理沙(な、なんなんだよ…)

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「ゆ、紫…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「え…っと……」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢(恥ずかしさもある…けど…)

 

 

霊夢(…紫)

 

 

霊夢「…」スーハー

 

 

霊夢「紫」

 

 

紫「…!」

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あなたの愛した幻想郷はいつまでもここにあり続けます、私たち幻想郷の全ての民も幻想郷を愛し、またいつまでもここにずっといて、あなたと共にあり続けます」

 

 

霊夢「幻想郷はいつまでも大丈夫です」

 

 

霊夢「だから…」

 

 

霊夢「安心してお休みなさい……紫」

 

 

 

 

 

紫「……」

 

 

紫「…」ニコッ

 

 

 紫は切なく微笑んだ後…

 

 

紫「お休みなさい… 霊夢」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

 スキマの中に静かに消えていった…

 

 

 

霊夢「…」

 

 

藍「…」

 

 

萃香「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

藍「霊夢…大丈夫か?」

 

 

霊夢「な、何が…? 別にいつものことだから…」スッ

 

 

霊夢「……私、先帰ってるわ…神社の事が心配だし」フワフワ

 

 

藍「あぁ、気を付けてな」

 

 

霊夢「えぇ…」スッ

 

 

 

 霊夢はそう言うと博麗神社に飛んでいってしまった

 

 

 

萃香「なぁ、藍は新年会くるだろ?」

 

 

藍「そのつもりだ、ハメを外さない程度に楽しませてもらうよ、少し家の掃除をしたらな」

 

 

萃香「おうおう♪ なら私たちも帰ろうかねぇ、行こう魔理沙」

 

 

魔理沙「…」

 

 

萃香「? 魔理沙?」

 

 

魔理沙「少し聞いていいか?」

 

 

藍「…あぁ」

 

 

魔理沙「私は初めて紫の冬眠の見送りに来た、だからこんな感じで見送るなんて全然思ってなかった、すぐにバイバイするもんだと思ってたからな」

 

 

魔理沙「霊夢が紫に対して言ったあの伝統的? なあのセリフみたいなの…あれ毎年言ってんのか?」

 

 

藍「あぁ、毎年霊夢に言ってもらってるな」

 

 

萃香「霊夢ってか博麗の巫女に、だよねぇ」

 

 

魔理沙「? 博麗の巫女?」

 

 

萃香「毎年紫が冬眠するのは確定事項…そしてあのセリフを言われるのも確定事項なのさ」

 

 

藍「霊夢の前の先代の巫女も、その先代の先代も同じ様なセリフを言ってもらっているんだよ」

 

 

魔理沙「理由とか…あんのか?」

 

 

萃香「さぁねぇ、何代目の博麗の巫女が言い出したんだかも覚えてないしねぇ」

 

 

藍「理由、あるとしても単純な事だ」

 

 

魔理沙「?」

 

 

藍「ただただ…安心して眠りたいからだよ」

 

 

魔理沙「…ふ~ん、そっか」

 

 

萃香「別に深い意味なんてないよ…あ、でもさ、去年とセリフ変わってたよねぇ」

 

 

魔理沙「え? そうなのか?」

 

 

藍「そうだな、今回は霊夢っぽくなかったな」

 

 

魔理沙「あん? っぽいとかあんのかよ」

 

 

萃香「紫を安心させればいいだけの話だしねぇ♪」

 

 

魔理沙「前はなんて言ったんだ?」

 

 

萃香「本人に聞けば良いじゃないか」

 

 

魔理沙「……ぜってぇ教えてくれないな」

 

 

萃香「ははは♪ だろうねぇ♪ 霊夢は恥ずかしがり屋さんだからねぇ」

 

 

魔理沙「気になるぜ…」

 

 

萃香「そんなことより魔理沙、さっさと帰ろうよ、酒が私たちを待ってるよ♪ じゃあ後でね藍」

 

 

藍「あぁ」

 

 

魔理沙「おう…」

 

 

魔理沙(ヤバイ…めちゃくちゃ気になるぜ…)

 

 

藍「…」

 

 

 

藍(お休みなさいませ、紫様)

 

 

 

 

 

 

 

 《幻想郷、上空》

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(またね、紫…♪)

 

 

 

 

 

 

 

 《スキマ空間》

 

 

 

紫「…」

 

 

紫「…」ニコッ

 

 

紫「…」

 

 

紫「 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お休みなさい…私の愛した幻想郷…

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ】

 

 

 

 《夢の世界》

 

 

 

ドレミー・スイート「あの」

 

 

紫「何よ」

 

 

ドレミー「いや何よ、じゃなくてですね」

 

 

紫「…! 何ですか?」

 

 

ドレミー「いえ、言い方の問題じゃないんですよ」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

ドレミー「紫さんあなた冬眠中でしょう、なんでここにいるんですか」

 

 

紫「何でって…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

紫「冬眠してるからなのだ♪」

 

 

ドレミー「だったらここにいるのはおかしい」

 

 

紫「いや、よく考えてみなさいよ?」

 

 

紫「ここは夢の世界…寝ていて夢を見ている物しか立ち入ることの出来ない禁断の地」

 

 

ドレミー「その夢の世界を管理してる私と話している時点で夢も何も見てないですよね?」

 

 

紫「ドレドレうっさいわねぇ、ほら、ミスティアの特製弁当わけてあげるからそういうツッコミは無しよ」

 

 

ドレミー「ドレドレって…はぁ…」

 

 

紫「いらないの?」モグモグ

 

 

ドレミー「いただきます…」

 

 

 

 

 

紫「てか毎年ここ来てるじゃない」

 

 

ドレミー「いつもここに一人で居るから慣れないんですよ、なんと言いますか…自分の体内に異物が混入したみたいで」

 

 

紫「じゃあ慣れるわよ、ゆかりん善玉菌」

 

 

ドレミー「……あ、悪玉菌が飛んでますよ」

 

 

紫「あんにゃろう! ゆかりん善玉ビーム! ビビビビ!」

 

 

ドレミー「ぎゃあ! 悪玉~…」

 

 

紫「悪玉退散♪」

 

 

紫「…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

ドレミー「楽しいですか?」

 

 

紫「ううん、つまんない」

 

 

 

 

 

紫「肉体と脳は眠っていても精神は暇なのよ」モグモグ

 

 

ドレミー「精神も休ませましょうよ」モグモグ

 

 

紫「だから精神だけこっちに送ってバカンスしてるんじゃない、熊の冬眠じゃあるまいし」モグモグ

 

 

ドレミー「ホントただ者でないですよね」モグモグ

 

 

紫「だってゆかりん善玉」

 

 

ドレミー「それはもういいです」

 

 

紫「うい」

 

 

 

 

 

 

 

ドレミー「食べ物とかどうやってこっちに持ってきてるんです?」

 

 

紫「寝る、精神体に分離、スキマ広げる、持ってくる」

 

 

ドレミー「精神体でも能力使えるんですね」

 

 

紫「まぁね」

 

 

ドレミー「精神体が食事してる件についてはどうなんですか」

 

 

紫「ん~、これは元に戻った時に私の体に還元されるから別に気にしなくていいのよ」

 

 

ドレミー「説明になってないです」

 

 

紫「…ゆかりん善玉」

 

 

ドレミー「やめて」

 

 

紫「うい」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「さぁってと、皆の初夢でも覗きましょうかねぇ♪」

 

 

ドレミー「またですか?」

 

 

紫「毎年一緒に見てるじゃない」

 

 

ドレミー「まぁ…はい」

 

 

紫「面白かったわ、去年のMVPは物部布都の『そうであろう! なぁそうであろうよなぁ!』だったわね」

 

 

ドレミー「カオスでしたねぇ」

 

 

紫「ね、今年のMVPは誰かしら♪」

 

 

ドレミー「…紫さん、これって仕事ですか?」

 

 

紫「?」

 

 

ドレミー「皆が悪夢に襲われてないか見守ってるとか」

 

 

紫「…さぁ、どうかしらねぇ♪」

 

 

ドレミー「縁の下の力持ちとか言われません?」

 

 

紫「そんなこと言ってくれるのあなただけよ…」

 

 

ドレミー「…なんかすいません」

 

 

紫「謝んないで、空しくなるから」

 

 

ドレミー「はい…」

 

 

紫「ほら夢の管理者さん、早く夢の扉を開けなさい」

 

 

ドレミー「は~い♪ いきますよっ…と」

 

 

紫「さてさて♪ 皆の初夢見ていこー♪」

 

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 

 

 

 






 以下、補足になります。



 博麗の巫女が冬眠前の紫に言うセリフは決まってません、ただ本当に紫を安心させればそれでいいのです。

 霊夢は魔理沙が居た手前、恥ずかしがってしまったんだと思います。

 萃香と藍はその事を知っているので『今年はこんな感じかぁ』程度に思ってます。 

 魔理沙が初めてだということを霊夢が知っていた事もあのセリフが霊夢の口から出た原因の一つです。

 それと紫が居るのが日常でそれが心地好いと思っている(無自覚ですが)霊夢は二ヶ月の間、仕方がないとは言え紫が居なくなるのをあまり好ましく思ってないのでしょう。 

 『そのセリフを私が言ったら紫は冬眠して二ヶ月は居なくなってしまう、そんなの嫌だ』…とか思っているのかも…


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした!




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《第11談》藍しゃま鼻血五秒前



 今回のお話は藍がまたやらかしたお話…シュールと表現すると正しいでしょうか。


 それでは始まります♪




 

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「お助けください」

 

 

紫「あ~…うん、やっぱりそうくるのね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      【藍様鼻血5秒前】

 

 

 

 

 

 

紫「まずさぁ、藍…この状況はなんなのかしら」

 

 

藍「…見て分かりませんか?」

 

 

紫「はぁ!?」ギロッ

 

 

藍「…! み、見てお分かりになりませんでしょうか…!」

 

 

紫「まぁ、なんとな~く想像はつくわよ? 伊達に何百年もあなたとずっと一緒にいないものね、こんくらいお見通しよ」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

紫「お礼を言う前に言うことがあるんじゃないの?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「申し訳ありません、またご乱心してしまいました」

 

 

紫「ですよねー、あっはっはっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「笑ってる場合じゃないわよね、これ」

 

 

藍「はい…申し訳ありません…」

 

 

紫「はぁ…なんかもう伝統芸と言うかなんというか」

 

 

藍「これが伝統芸だとしたら私は外に出歩けませんよ…大手を振って『ちぇぇぇぇぇぇぇん!!』なんて出来ません、仮に伝統芸だとしてもこの状況の再現はもう不可能ですよ」

 

 

紫「この状況で落ち着いてよくもそんなに淡々と言葉が出せるわね」

 

 

藍「誠に申し訳ございません…」

 

 

紫「ご乱心の時は?」

 

 

藍「橙の前ではやらかさない」

 

 

紫「守られてる?」

 

 

藍「……いえ」

 

 

紫「何回目?」

 

 

藍「…百…いや…」

 

 

紫「数えられない程よね」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍、私はね? 普通の生活がマヨヒガで出来ればそれで満足なの、だからあなたのことを助けてあげる事は吝かではないし頑張ってみたいとは思うのよ」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「先ずは状況整理よ、てか本当に私に感謝なさい」

 

 

藍「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「嘘偽り無く答えなさいよ? こんな状況初めてなんだから」

 

 

藍「もちろんでございます」

 

 

紫「ここは何処?」

 

 

藍「マヨヒガのお台所でございます」

 

 

紫「そうね、いつも見慣れた私たちの家の台所だわね」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「…で? あそこにいるのは?」スッ

 

 

 

 

 

 

藍「 」

 

 

橙「 」

 

 

 

 

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「私の本体と橙です…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

紫「はぁ!!?」

 

 

藍「!?」ビクッ

 

 

紫「いや、えぇ!? 何!? 本体って何!?」

 

 

藍「いえ…ですから私の本体なんです…」

 

 

紫「あれが!? あの白目向きかけてるあのバカちんが藍!?」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「じゃああなたはなんなのよ!?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「その…あれが私の本体ですから…恐らく私は思念体みたいなものなんだと思います」

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「本体から抜け出た魂と言うかなんというか…」

 

 

紫「本気で言ってんの?」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「…え? 死んでるの…?」

 

 

藍「あ、いえいえそこは心配なさらないでください、ちゃんと生きてるって実感出来てますし、こんなところで死ぬわけにはいかないですから」

 

 

紫「ふざけてんの?」

 

 

藍「ごめんなさい…割りと本気でマジなんです」

 

 

紫「思念体…? だとしたらなんで本体から抜け出たの?」

 

 

藍「…分かりません」

 

 

紫「分からないんかい」

 

 

紫「……まぁ良いわ、本当は良くないけど…まぁ本体と紛らわしいからあなたの事は藍の思念体…らんし…そう『藍思』と呼ぶわね」

 

 

藍→藍思「そ、そんな馬鹿みたいな名前を…! ふざけてる場合じゃ」

 

 

紫「あぁん?」

 

 

藍思「……藍思でございます、はい…」

 

 

紫「で? なんで本体のあなたは白目を向きかけているのかしら」

 

 

藍思「あぁそれは橙がですね、料理をしている私のところに来て『藍様…その…ご、ごめんなさい! 橙おねしょをしてしまいました! ごめんなさい! ごめんなさい藍様!!』と言ってきてスカートの裾を捲って下着を見せつけてきたからです、その…ふふっ♪ 不覚にも鼻血が出そうになりましてですね」

 

 

紫「へぇ~♪ ふふっ♪ 橙もまだまだ子供ねぇ」

 

 

藍思「えぇ、本当に可愛いですよね!」

 

 

紫「うん可愛いわね♪」

 

 

藍思「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「あなたマジでぶつわよ」

 

 

藍思「申し訳ございません!!」

 

 

紫「あぁなんとなく分かってきたわ、耐えられなくなって鼻血とか…マジなの?」

 

 

藍思「はい…橙がスカートを捲って私に下着を見せつけるという素晴らし…!? いや! 突然の行為に度肝を抜かれてしまいまして…」

 

 

紫「変態じゃない」

 

 

藍思「返す言葉もございません…」

 

 

紫「うっわぁ引くわ~…なんかなんとなく橙のせいにしてるのも引くわ~…」

 

 

藍思「そんなことはございません…」

 

 

紫「う~ん、橙…あなたなら藍がこうなるって分かっていた筈なのに何故…寝て起きたらおねしょしてたから適切な状況判断が出来なくなったのかしら…寝ぼけてたの…? 『絶対に橙はおねしょなんかしないもん』的な物があの子の中にあったから? でも…そうね水…水だからパニックになってもおかしくはないか」

 

 

藍思「そうなんですかね?」

 

 

紫「そうなんじゃないの? たぶん」

 

 

藍思「そーなのかー?」

 

 

紫「そーなんじゃないのかー?」

 

 

紫、藍思「わはー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ぶっとばされたいの!? 藍思!!」

 

 

藍思「申し訳ございませんでしたぁ!!」orz

 

 

紫「頭のネジまで抜け出てんのかしらぁ!? あぁ!?」

 

 

藍思「申し訳ございません!! 申し訳ございません!!」orz

 

 

紫「何が申し訳ござらないのか言ってみなさいよ!!」

 

 

藍思「少々…その、ふざけてしまいまして」

 

 

紫「この状況でふざけましただぁ!?」

 

 

藍思「いっ!?」

 

 

紫「許さん! 喰らえ、ゆかりんパンチ!!」スッ

 

 

藍思「いったぁ!!?」バシッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍思「い、痛い…」ヒリヒリ

 

 

紫「絶対頭のネジまで抜け出てるわ、あなた…」

 

 

藍思「申し訳ございません…」

 

 

紫「その申し訳程度の申し訳ございませんはもういいわよ」

 

 

藍思「…ごめんなさい」

 

 

紫「…最後の質問よ」

 

 

紫「この台所だけ白黒に…いえ灰色かしら、モノトーンになっていて」

 

 

紫「恐らくだけど時間が停止しているわよね? この空間、台所だけ切り取られたみたいに…それは何故?」

 

 

藍思「……」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「分かりません…」

 

 

紫「分からないことだらけでよくもまぁ助けてくださいなんて言えたものね」

 

 

藍思「申し訳」

 

 

紫「それはもういいから」

 

 

藍思「…はい」

 

 

紫「藍思、橙がスカートを捲る前あなたは何をしてたの? それは覚えてるんでしょう?」

 

 

藍思「はい」

 

 

紫「聞かせて」

 

 

藍思「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《思念体、説明中…》

 

 

 

 

紫「…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「…」チラッ

 

 

 

藍「 」

 

 

橙「 」

 

 

 

 

紫「分かった、謎は全て解けたわ」

 

 

藍思「え…?」

 

 

紫「愛が故の力の暴走、防衛本能よ防衛本能」

 

 

藍思「ぼ、防衛本能!?」

 

 

紫「あの白目狐のまん前にスカートを捲った橙がいるのよ? そしてあなた…まぁこのまま時が動き始めたらあの白目狐から鼻血が飛び出る事を前提に置くとそれしか考えられない」

 

 

紫「橙に鼻血をぶっかけたくない…橙に鼻血を吹き出すまたは吹き出る瞬間を見られたくない…橙にまた白い目で見られたくないとか橙を傷付けたくないとか悲しませたくないとかその他諸々よ」

 

 

紫「橙がスカートを捲った瞬間あなたの脳内で物凄いスピードで電流が走った…さっき言った事柄とそれ以上の感情があなたの精神を駆け巡る」

 

 

紫「そしてそれと同時にあなたの外側である身体は限界だった、あまりの衝撃的な光景に鼻血を出さざるをえなかった…その気持ちは全然微塵も分かんないけどそうなってしまった」

 

 

紫「精神と身体が限界を迎えたあなたは自分の思いを誰かに伝えたいがため、思念体として自分の中から思念を出した、そしてそのパワーは時をも止めてしまうものだった…こんなところかしら」

 

 

藍思「!? な、なんと!」

 

 

紫「ま、簡単に言うと…」

 

 

紫「夕飯の準備をしていたあなたの元に橙がやって来る、橙はおねしょをしてしまい混乱していた、ごめんなさいとスカートを捲って状況を説明、その突然の行為と光景にド変態のあなたは精神と身体にダメージ、そしてとっさの防衛本能、橙を思う余りに思念体が分離、それが時をも止めてしまうほどの凄まじいエネルギーだった…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「何か言いたい事は?」

 

 

藍思「…」

 

 

藍思「そ、そんなことがあり得るのでしょうか…?」

 

 

紫「あぁん!!?」

 

 

藍思「!?」ビクッ

 

 

紫「現に起こっているでしょうが! これ以上の説明はないわよ!」

 

 

藍思「う、受け入れがたいですよ!! 私が時を止めただなんて…」

 

 

紫「そこに関してはほんと驚いてるわ、伊達に九尾の狐じゃないってところかしら、凄い妖力ねぇ、溺愛している物から下着を見せつけられたらそうなるの?」

 

 

藍思「うぅ…」

 

 

紫「でもこれっぽっちも…ほっんとうにこれ~っぽっちも凄いとか嬉しいとかないわね、だって時を止めた要因がアホ丸出しなんだもん、大興奮したド変態狐の鼻血事件よ!?」

 

 

藍思「もう…本当にごめんなさい…」

 

 

紫「あなた今日謝ってばっかりね」

 

 

藍思「謝る以外に何も言えないんですよ…なんか自分が情けなさすぎて…」

 

 

紫「…そこまで考えられているのなら大丈夫よ、それにこの状況をなんとかする手立てもあるわ」

 

 

藍思「え…」

 

 

紫「あなたが自分の身体に戻ればこの止まった空間も動き始めるでしょう、そしてあなたが身体に戻った瞬間、私と話していた出来事は本体に蓄積される」

 

 

紫「私の話を聞き、冷静さを取り戻せている今のあなたなら鼻血を我慢して耐えることが出来る筈よ、私はあなたを信じるわ」

 

 

藍思「紫様…」

 

 

紫「大丈夫よ藍思…自分を信じなさい」

 

 

藍思「! は、はい! やってみます」

 

 

紫「ふふっ…」

 

 

紫(まぁぶっちゃけると根拠はないのよね、今回は摩訶不思議過ぎて私も思考がおかしくなってるのかも)

 

 

藍思「よ、よし…こう…自分の身体に飛び込む感じで…」

 

 

紫(家に帰ってきて藍を探してたらモノトーン空間に遭遇してしまった私の身にもなってほしいわね…てかなんで私は時の影響を受けないのかしら、まぁでもこれで解決よね)

 

 

紫(様は藍が元に戻って鼻血を我慢すれば良いだけの話、藍も突然の思念体離脱に混乱していたのかもね)

 

 

藍思「紫様! 行きます!」スッ

 

 

紫「はいはい、ガンバガンバ♪」

 

 

紫(さぁてどうなるかしら、上向いて手で鼻を押さえるのかしらね)

 

 

 

 

 

 ズズッ! ニュルン!

 

 

 思念体は藍の身体に飛び込んだ!

 

 

 

 

 

橙「藍さ」

 

 

藍「…!!?」フッ

 

 

 

 ズズッ! ニュルン!

 

 

 

 

 

 

 

紫「は!?」

 

 

藍思「はぁ! はぁ…!!」

 

 

紫「ちょっ…!? えぇ!? な、なんでまた出てくるのよ! また時が止まっちゃってるし!」

 

 

藍思「ゆ、紫様…!」

 

 

紫「な、何よ」

 

 

藍思「て…手遅れでした」ガタガタブルブル

 

 

紫「!?」

 

 

藍思「もう手遅れなんですよ! 元に戻ってなんとか踏ん張ってみたんですけど頭がもう橙の事で一杯で鼻血を耐えるどころか気絶の一歩手前の状態でした!!」

 

 

紫「な、なんですって…!?」

 

 

藍思「お…」

 

 

藍思「お助けください!!」

 

 

紫「知るかぁ!!」

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍思「いやいやいやいや!! 終わらせないでくださいよ!!」

 

 

紫「もう終わりでいいでしょうが! 何とか橙に鼻血が当たらないように首を横に振って鼻血発射すればいいじゃないのよ!」

 

 

藍思「嫌ですよ! 橙には当たらなくとも橙の前で鼻血を発射したという黒歴史は残るんですよ!?」

 

 

紫「残ってもいいじゃないのよめんどくさいわねえ!!」

 

 

藍思「頑張って助けてあげると言ったのは何処の誰ですか!?」

 

 

紫「それが助けられる者の態度なのかしらねぇ!? ふざけるのも大概にしなさいよ!?」

 

 

紫、藍思「はぁはぁ… はぁ…!」

 

 

藍思「うぅ…ゆ、紫様…」 

 

 

紫「…」

 

 

藍思「お、お願いです…最後までた、助けてください…」

 

 

紫「……」

 

 

紫「はぁ~…」

 

 

紫「分かった…分かったからそのウルウルした眼で私を見ないの」

 

 

藍思「!」

 

 

紫「まったくもう…」

 

 

紫「藍…いえ藍思、少し自分の身体に戻ってみた感想は?」

 

 

藍思「…手遅れの一言です」

 

 

紫「聞いたわよ」

 

 

藍思「正直こうしてまた思念体として出てこれたのが奇跡に近いです、危なかった…後少しでも遅ければ私は鼻血を橙に発射していた事でしょう」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「やはり橙の下着を目の当たりにしてしまうともうアウトです…理性なんて効きゃあしないです」

 

 

紫「ド変態じゃない」

 

 

藍思「はい…」

 

 

紫「鼻血五秒前と言ったところね…藍、分かってるとは思うけど」

 

 

藍思「…やはり、避けられませんか…」

 

 

紫「だって手遅れなんだもん、もう本体も白目剥き出してるし鼻血もちらっと見えてるし」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「時を巻き戻すことは不可能! よってあなたは鼻血を出し気絶する! これは確定している運命なのよ!」

 

 

藍思「うわぁぁ…!」orz

 

 

紫「藍思、辛いと思うけど受け入れないと…」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍思「…前には進めない、ですね…」

 

 

紫「えぇ、このめんどくさい物語に幕は降ろされない」

 

 

藍思「…し、しかし橙の前で鼻血は…」

 

 

紫「…なんとかしてみせるわよ」

 

 

藍思「え…?」

 

 

紫「八雲のゆかりん舐めんじゃないわよ? そんじょそこらの妖怪とは一味も二味も違うんだから」

 

 

藍思「…紫様」

 

 

紫「…藍思」

 

 

藍思「…はい」

 

 

紫「…骨は拾ってあげるわよ」

 

 

藍思「ありがとうございます」

 

 

紫「あなたが鋼の精神で鼻血を耐えることが一番良い解決策だった…でもそれはもう無理なんだからこの作戦しかないわね」

 

 

藍思「も、もう解決策が…?」

 

 

紫「いい藍思、よく聞きなさい、作戦はこうよ」

 

 

紫「あなたが自分の身体に飛び込んだ瞬間、時が進み始める訳だからその隙に私が橙をスキマで私のスキマ空間に送るわ、そうすれば鼻血を見られる事も浴びせかけることもない、そこで橙のケアをした後ここに戻って来てあげる…いい? 勝負は一瞬よ」

 

 

藍思「…」

 

 

紫「覚悟は出来てる?」

 

 

藍思「はい…あの、紫様」

 

 

藍思「紫様…ここまで付き合ってくださってありがとうございました…」

 

 

紫「…何よ、最後のお別れみたいな言い方して」

 

 

藍思「ははっ…そうですね、最後のお別れなんて」

 

 

紫「…生きなさい、藍」

 

 

藍思「!」

 

 

紫「生きてまた縁側でお話するの、その日常は八雲家にはなくてはならない物なの…だから生きて、生きてまた会いましょう」

 

 

藍思「…! はい!」

 

 

紫「…行くわよ! 藍!」スッ

 

 

藍思「はい!」スッ

 

 

 

 ダッ!

 

 

 

 

 

 

 

紫、藍思「うおおぉぉぉ!!」スッ

 

 

 

 ズズッ! ニュルン!

 

 

 

紫「スキマオープン!」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

橙「ま、ごめんなさ…えっ!?」

 

 

紫「橙!! ごめんなさいね!!」スッ

 

 

橙「紫さ…きゃあ!?」スッ

 

 

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

 

 

 

 

藍「…」

 

 

藍(あぁ作戦は無事に成功した様だ…本当に良かった…)

 

 

 四

 

 

藍(ふふっ、九尾が時を止める、か…新聞になったらさぞや一面を飾るのだろうな)

 

 

藍(咲夜や輝夜が聞いたらどんな反応をするのだろうな…驚いてくれるだろうか『まさか妖怪が時を止めるとは…』とか、ふふっ♪ 話の種にはちょうどいいのかもな)

 

 

 三

 

 

藍(橙、ごめんな…不甲斐ない主で本当にごめんなぁ…)

 

 

藍(紫様…)

 

 

 二

 

 

藍(私も…私も縁側でお話する八雲家の日常は大好きです、だから例え全身の穴から橙の下着を見たという興奮による鼻血が流れようとも)

 

 

藍(生き抜いてみせますとも、あなたの為に…そして)

 

 

 一

 

 

藍(橙の為にも…)

 

 

藍(…)ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 0…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!!」ググッ

 

 

 

 

 ドッバァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、幻想郷に一つの悲鳴が響いた

 

 マヨヒガと呼ばれる場所、大妖怪八雲紫の住みかで悲鳴が響いたのだ

 

 その悲鳴の場所には

 

 

 

 鼻から大量の血を流し、床を血の海で染めながら幸せそうに眠る九尾の妖狐の姿がありました

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ】

 

 

 

 《永遠亭、治療室》

 

 

 

 

八意永琳「ん~…てゐ、輸血パックもう二つよ」

 

 

因幡てゐ「は~い」タタタ

 

 

永琳「脈拍安定、心拍数異常なし」

 

 

てゐ「お師匠様、持ってきたよ」

 

 

永琳「ありがとう……よし、これで後は安静にしていれば大丈夫ね」

 

 

藍「スー…スー…」zzZ

 

 

てゐ「ねぇお師匠様」

 

 

永琳「何?」

 

 

てゐ「この狐さぁ、出血多量でここ来たんでしょ?」

 

 

永琳「えぇ、それがどうかしたの?」

 

 

てゐ「なのになんで外傷がないの? 身体の何処にも傷一つありゃしないのに何でなのかなって」

 

 

永琳「それ私も気になったから調べてみたの、で答えが出たわ」

 

 

てゐ「おっ! で? 答えは?」

 

 

永琳「…てゐ」

 

 

てゐ「ん?」

 

 

永琳「あなた瀕死になるまで鼻血を出し続ける事って出来る? それも身体の中にある四十%以上もの大量の血を」

 

 

てゐ「……は!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《永遠亭、客間》

 

 

 

紫「…」

 

 

蓬莱山輝夜「紫、次あなたの番よ?」

 

 

紫「えっ、あぁ…ほい」

 

 

輝夜「あらら、んじゃここっと」

 

 

輝夜「ふふっ、オセロって奥が深いわよね、角をとれば勝ちって訳でもないのがまた…中々面白いゲームよ、プレゼントしてくれてありがとうね紫」

 

 

紫「うん…」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「お茶が入りましたよ~♪」

 

 

輝夜「あら、ありがとう鈴仙、いただくわ」

 

 

鈴仙「いえいえ、はい、紫もどうぞ」

 

 

紫「ありがと、鈴仙」

 

 

鈴仙「あ、オセロですか」

 

 

輝夜「えぇ♪ いやぁやっぱり紫は強いわね、鈴仙とは大違い」

 

 

鈴仙「わ、私はこれ苦手なんですよぉ!」

 

 

輝夜「角をとれば勝ちの風潮があなたの負けを後押ししていると何度言わせれば分かるのかしらねぇ♪」

 

 

鈴仙「む~…角は正義です…正義なんです」

 

 

輝夜「あはは、何それ…って紫?」

 

 

紫「…」

 

 

鈴仙「? 紫、どうしたの?」

 

 

輝夜「藍が心配? 大丈夫よ、永琳は暗黒治療モードじゃなきゃ幻想郷一の医者なんだから」

 

 

鈴仙「さっき見てきたけど藍さんの容体は安定の方向よ、一日安静にしてなきゃだけどね」

 

 

紫「ねぇ…輝夜、鈴仙」

 

 

輝夜、鈴仙「?」

 

 

紫「あなたたちって鼻血出したことある?」

 

 

鈴仙「え? は、鼻血?」

 

 

紫「うん」

 

 

輝夜「鼻血ねぇ…う~ん、妹紅と殺り合ってる時はしょっちゅう出るわね」

 

 

鈴仙「…ぼぉーっと歩いてて竹にぶつかって出たことなら…///」

 

 

輝夜「理由が可愛いわよね、あなたは」

 

 

鈴仙「ど、どこがですか!?」

 

 

輝夜「パンダみたいで」

 

 

鈴仙「パンダァ!? いやいや、パンダは竹にぶつかって鼻血なんか出しませんって!」

 

 

輝夜「みたいなって言ってるでしょ、そうやって一々ツッコミしてくるところも可愛いわね♪ なんというか律儀でさ」

 

 

鈴仙「も、もう…/// 姫様やめてくださいよ…///」

 

 

紫「あぁ違う違う、そういう鼻血じゃなくてさ」

 

 

紫「興奮による鼻血よ、ある?」

 

 

輝夜「あ、そっち? う~ん…ないわね」

 

 

鈴仙「私もそれはないなぁ」

 

 

紫「…鈴仙、あなた咲夜と仲良かったわよね」

 

 

鈴仙「えっ、まぁ、うん」

 

 

紫「咲夜からそういう話聞いてない?」

 

 

鈴仙「え…咲夜?」

 

 

紫「うん」

 

 

輝夜(鼻血の話引っ張るわね紫、何かあるのかしら)

 

 

鈴仙「えっと……あ」

 

 

紫「あ、あるんだ?」

 

 

鈴仙「うっ…だ、誰にも言わないでよ?」

 

 

紫「もちろん」

 

 

鈴仙「自分の主の話になってね? 『出したことは無いんだけど、気を抜いてるとお嬢様の前で出しそうで恐い、突拍子もなく無自覚に私の心にダイレクトアタックなさる事があるから』って言ってたわね」

 

 

輝夜「咲夜はレミリアの事大好きだもんね、鈴仙も私の事好きなら鼻血出してもいいのよ?」

 

 

鈴仙「出しませんよ!」

 

 

輝夜「うわぁ…それって私のこと嫌いってことじゃない…? 辛い…」

 

 

鈴仙「ちょっ…! そ、そんなこと言ってないじゃないですか!」

 

 

輝夜「あ、じゃあ好きなの?」

 

 

鈴仙「うぇ…!? そ、それは…///」

 

 

輝夜「あ~っ♪ 照れてる♪ そっかそっか鈴仙私の事好きなのね♪」

 

 

鈴仙「あうぅ…/// ひ、姫様ぁ…///」

 

 

輝夜「ふふっ…♪」クスクス

 

 

紫「はぁ…」

 

 

輝夜、鈴仙「?」

 

 

紫「家だけかぁ…」

 

 

輝夜、鈴仙「え?」

 

 

紫「幻想郷で上下関係間の事で鼻血出すの家だけなのかぁ…」ダラーン

 

 

鈴仙「えぇ…」

 

 

輝夜(…? ほうほう、ここに来たのはそういうことか)

 

 

紫「個性と取るか、それとも愚と判断するか果たして…いや鼻血を出そうとした時点で負け、か」

 

 

鈴仙(藍さん…)

 

 

輝夜「紫」

 

 

紫「…?」

 

 

輝夜「お互い家族の事になると色々と大変よね」

 

 

紫「…分かっちゃった?」

 

 

輝夜「うん」

 

 

紫「…」

 

 

輝夜「…あ♪ 今日泊まってく? 橙もここに呼んで安心させてあげましょうよ、なんの説明もしてないのでしょう?」

 

 

紫「…! …相変わらず目敏いわね」

 

 

輝夜「ふふっ♪」

 

 

紫「ならお言葉に甘えさせてもらおうかしら」

 

 

輝夜「やった♪ じゃあ今日はとことんゲームよ! あなたぐらいじゃないと張り合いがなくてつまらないんだもん」

 

 

鈴仙(ゆ、紫が家に泊まる……な、何よこの気持ち、ぜ、全然嬉しくなんか…///)

 

 

紫「…橙に藍のこと説明しないとダメかしら」

 

 

輝夜「それは…あなたに任せるとしか言えないわね」

 

 

紫「はぁ…」

 

 

紫「…」

 

 

 

紫「藍のバ~カ…」

 

 

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 

 





 興奮して鼻血出すってことを私はあんまり聞かないですね…

 説明不足で申し訳ないのですが『ゆかりんとうどんげのクリスマス』にて、紫と鈴仙は友達以上親友未満になっております。 


 それではここまで読んでいただき、ありがとうございました! 




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《第12談》シュガーサテラという妖精



 今回は二次創作で生まれたキャラクターにスポットを当てており、後書きにて説明させていただきます



 それでは始まります♪




 

 

 【親しすぎる仲にも…?】

 

 

 

八雲紫「ねぇ幽々子」

 

 

西行寺幽々子「なぁに~♪ 紫」モグモグ

 

 

紫「お饅頭食べて幸せそうにしているところ悪いんだけどあなたに聞きたい事があるの」

 

 

幽々子「ん~? 紫…ん、ムグムグ…私たちの…モグモグ…むしゃむしゃ、んっ…仲じゃない♪ 何でも聞いて?」モグモグ

 

 

紫「そっ…そうよね、うん…ありがとう幽々子」

 

 

幽々子「そうよぉ♪ それムグムグ…それでききたいことってなぁに? 紫」モグモグ

 

 

紫「うん、えっとあなた」

 

 

幽々子「ん~?」

 

 

紫「…」ジーッ

 

 

幽々子「…?」

 

 

紫「…」ジーッ

 

 

幽々子「…/// ちょ、ちょっと紫~…/// 聞きたい事なら早く言ってよ~…/// そんなにあなたに見つめられたら私照れちゃうわぁ…///」

 

 

紫「…」ジーッ

 

 

幽々子「んもぉ…/// 早く言っ」

 

 

 

 

 

 

紫「前よりちょっと太った?」

 

 

幽々子「 」ピシッ

 

 

紫「……ぷっ、あははは♪ な~んちゃってぇ♪ 冗談よ冗談♪」

 

 

幽々子「 」ユラァ

 

 

紫「あなたが太るわけないもんね♪ あ、でもそれだけ食べてるから胸にだけ栄養が」

 

 

幽々子「八雲紫さん」

 

 

紫「!!?」

 

 

幽々子「えぇそう、確か八雲紫さんでしたよね? 何故ここに? ここは冥界…あなたの様な生き生きとした者が立ち入るところではありません」

 

 

紫「えっ…!? えっちょっ」

 

 

幽々子「お帰りはあの門からどうぞ、私はこれから大事な用がございますのでこれにて、さようなら」

 

 

紫「ゆ、幽々子ご、ごめんっ!! ごめんってば幽々子ぉ!! 他人のフリは止めてぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

魂魄妖夢「屠自古さん」

 

 

蘇我屠自古「ん? 何だ?」

 

 

妖夢「亡霊って太るんでしょうか?」

 

 

屠自古「は? いきなり何を聞いてんだよ」

 

 

妖夢「ほら、幽々子様はあんなにも召し上がられているのに何で太らないのかなって」

 

 

屠自古「…いや、知らんよ」

 

 

妖夢「えぇ!?」

 

 

屠自古「あのな、お前んとこの主と私を一緒にするなよ、食ってる量が違うんだ」

 

 

妖夢「屠自古さんも痩せてるし、何で亡霊ってのは太らないんでしょうか」

 

 

屠自古「死んでるから…? とか」

 

 

妖夢「私は体重の変動があるんですけどね」

 

 

屠自古「お前半霊じゃねぇか」

 

 

屠自古「そこまで聞くってことは何か? お前んとこの主には太ってほしいのか?」

 

 

妖夢「太ればちょっとは体重気にして食べる量を減らしてくれるかな…と」

 

 

屠自古「切実だな、でもそれは望み薄だと思うぞ」

 

 

妖夢「ですよね…はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

幽々子「親しき仲にも?」

 

 

紫「礼儀あり!!」orz

 

 

幽々子「私と紫は?」

 

 

紫「大親友!!」orz

 

 

幽々子「ごめんなさいは?」

 

 

紫「ごめんなさい!!」orz

 

 

幽々子「ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【こんこん わんわん にゃんにゃん】

 

 

 

紫「ゆきや~♪」

 

 

八雲藍「こ、こんこん」

 

 

紫「あられや~♪」

 

 

藍「こんこん…///」

 

 

紫「降ってもぉ~降っても~まだ降りやまぬぅ!」

 

 

紫「犬はよろこんで庭駆け回ってるし~♪」

 

 

今泉影狼「わ、わんわん…///」

 

 

藍(犬じゃない狼だ!)

 

 

紫「ねこは炬燵でまるくなってるのよぉ♪」

 

 

橙、火焔猫燐「にゃ~♪」

 

 

藍「ちぇぇぇぇぇぇん!!」

 

 

博麗霊夢「朝っぱらからうるさいのよあんたらぁ! 余所でやりなさい!!」

 

 

紫、お燐「えぇ~…」

 

 

藍「ほら、怒られたじゃないですか!」

 

 

お燐「ここの炬燵は出れない魔力が高いにゃ~♪」

 

 

橙「あ、分かります♪」

 

 

霊夢「出なさい、自分家の炬燵に入りなさい」

 

 

お燐「さとり様があたいたちが怠けるからって出してくれないんだよ」

 

 

橙「マヨヒガの炬燵が壊れてしまいまして…」

 

 

影狼「私の家炬燵無いの…ひもじい…」

 

 

藍「霊夢、すまないが私も炬燵は恋しいんだ」

 

 

紫「霊夢、そういうわけだから」

 

 

霊夢「どういうわけなのよ」

 

 

紫「あ~♪ 霊夢、私たちがここにいること許してくれるのね! ゆかりん嬉しい♪」

 

 

霊夢「いや帰りなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【音楽ってなぁに?】

 

 

 

 

堀河雷鼓「…」

 

 

九十九八橋「…」

 

 

九十九弁々「百戦錬磨の琵琶法師…琵琶湖を渡れどこの琵琶牧々…音の頂にはまだ遠い」ベンベン

 

 

弁々「幻想の郷の波に私は抗い続ける…! そう! 熱く! 凄絶に!」ベベン

 

 

弁々「…」

 

 

雷鼓「…」

 

 

八橋「…」

 

 

弁々「雷鼓姐、私この方向で琵琶を極めたいと思ってるんだけどどうかな?」

 

 

八橋「止めて、今すぐ止めて」

 

 

弁々「何よ八橋! 私の音楽性を否定するの!?」

 

 

八橋「それっぽいこと言ってかっこつけて音出してるだけじゃん! 何なの!? 百戦錬磨のとか凄絶にとかさぁ! 抗い続けるとかもダメでしょ!? 天邪鬼の台詞じゃん!」

 

 

弁々「なっ!? ふざけんじゃないわよ! これが私の音楽性の極みになるのよ!?」

 

 

八橋「極まってんのは姉さんの頭の中でしょ!?」

 

 

弁々「…? あっ! 今すっごい私の事バカにしたわね!?」

 

 

八橋「えぇ…気付くの遅っ!」

 

 

弁々「またバカにしたわね八橋ぃ!」

 

 

雷鼓「はいはい、喧嘩のビートはそこまでよ」

 

 

八橋「…! 雷鼓姐…」

 

 

弁々「雷鼓姐! 雷鼓姐なら分かってくれるよね?」

 

 

雷鼓「…弁々」

 

 

弁々「…!」

 

 

八橋「…」

 

 

 

 

 

 

雷鼓「さいっっっっっこうにクールだわ!!」

 

 

弁々「!!」

 

 

八橋「えぇぇぇぇ!!?」

 

 

雷鼓「あなたのその音楽性は間違ってないわ、かっこいい! そのビートならどんな人でもあなたの音楽を愛してくれるし人の心を動かせる!」

 

 

弁々「ら、雷鼓姐…!」キラキラ

 

 

雷鼓「自信を持って弁々♪ その熱いビートは幻想郷に轟き、幻想郷の歴史にその名を刻むわ! 頑張りなさい!」

 

 

弁々「うん、私頑張る! ありがと雷鼓姐!」

 

 

八橋「え、えぇ…」

 

 

弁々「…! や~つ~は~し~? 私のビートすごいって♪ ねぇ何かある? 言いたいことはある? ねぇ?ねぇ?」ドヤァ

 

 

八橋(うざい)

 

 

 

 

 

 

 

 【音楽ってなぁに? 二】

 

 

 

雷鼓「幻想郷の音楽家、音楽御三家と言えば?」

 

 

八橋「プリズムリバー演奏隊、鳥獣伎楽」

 

 

弁々「そして我ら!」

 

 

雷鼓、八橋、弁々「付喪神和楽器ビートシスターズ!」

 

 

八橋(名前がダサいよ雷鼓姐)

 

 

 

 

 

 

 【音楽ってなぁに? 三】

 

 

 

雷鼓「最近演奏隊と鳥獣伎楽が演奏と歌を頼まれているとの情報を手に入れたの」

 

 

八橋「へぇ~、頼まれてやってるんだ」

 

 

弁々「何故だぁ…何故私たちには演奏してくれとオファーが来ないんだぁ」orz

 

 

八橋「喜怒哀楽激しいよね、姉さん」

 

 

八橋「まぁでも声を掛けてくれないのはちょっと寂しいかなぁ…」

 

 

雷鼓「だからね? 弁々、八橋」

 

 

八橋、弁々「?」

 

 

雷鼓「直談判よ」

 

 

八橋、弁々「えっ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風見幽香「…で?」

 

 

雷鼓「ここで演奏をさせてください」orz

 

 

弁々「お願いします、どんな曲でも奏でます」orz

 

 

八橋「お、お願いします」orz

 

 

幽香「…」

 

 

八橋(ええええぇぇぇぇぇ!!?)

 

 

八橋(嘘でしょ!? あの大妖怪の風見幽香のところで演奏!? プリズムリバーと鳥獣伎楽が!? ありえない! ありえないって雷鼓姐! それ嘘情報だよぉ!!)

 

 

幽香「…楽器と演奏の形は?」

 

 

雷鼓「太鼓、琵琶、琴…和楽器でどんなビートも奏でます」

 

 

弁々「奏でます」

 

 

八橋(あぁぁ…今日が命日か…短い付喪神人生だったなぁ…)

 

 

幽香「…」チラッ

 

 

雷鼓「和楽器は根強い人気があります」orz

 

 

弁々「頑張ります」orz

 

 

八橋(無理だよ姉さんたち…これから私たちの悲鳴のビートが向日葵畑にこだまするんだよ…)

 

 

幽香「…」

 

 

幽香「金曜日」

 

 

雷鼓、弁々「!」

 

 

八橋「えっ!?」

 

 

幽香「毎週金曜日、十一時ぐらいに私の向日葵畑で演奏してもいいわよ」

 

 

幽香「曲は咲いてる向日葵たちに聞こえる様に…ただ条件として」

 

 

幽香「楽しそうに演奏しなさい、自分たちが奏でていて楽しいと感じる曲を弾くこと…これが条件」

 

 

雷鼓、弁々、八橋「…!」

 

 

幽香「返事は?」ニコッ

 

 

雷鼓、弁々、八橋「は、はい!」

 

 

幽香「よろしい、じゃあ今日は帰りなさい」

 

 

雷鼓、弁々、八橋「あ、ありがとうございましたー!」

 

 

 

 

弁々「いいぃやっっほぉぉ!! お仕事ゲットだぜぇ!」

 

 

八橋「ま、マジ…!!? い、生きてるし夢じゃない…!?」

 

 

雷鼓「さぁ、これから帰って練習よ! ビートを刻むわよぉ!」

 

 

弁々「おー!」

 

 

八橋「お、おー!」

 

 

八橋(ゆ、幽香さんって意外に優しい妖怪なのかな…?)

 

 

 

 

 

幽香「…はぁ」

 

 

幽香「また増えたか…我ながら甘いわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆうかりん、照れる】

 

 

 

アリス・マーガトロイド「最近楽しそうにしてるわよね、あの子」

 

 

幽香「うん? あぁ、メディのこと?」

 

 

 

 

メディスン・メランコリー「今日はあいつらかぁ♪」

 

 

 

 

幽香「メディって音楽好きなのよ、どんな曲でもノリノリでダンスしたりとか、歌ってみたりとかするのが楽しいらしいの」

 

 

アリス「で、それを見ているあなたは癒される、と♪」

 

 

幽香「……」

 

 

アリス「間違ってるのかしら?」

 

 

幽香「…」

 

 

アリス「無言は肯定よ?」

 

 

幽香「うるさい」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香「あなたが私に余計な事を教えなければこんなことにはならなかったわ」

 

 

アリス「『花に音楽を聞かせると良く育つ』その通りだったでしょ?」

 

 

幽香「花の為よ花の為、それ以上でもそれ以下でもない」

 

 

幽香「それにそんなこと教えられたら試さずにはいられない、全ては花の為の純粋な興味」 

 

 

アリス「…」ニコッ

 

 

幽香「何よその顔は」

 

 

アリス「ふふっ、別に」

 

 

幽香「ふん…」

 

 

 

 

メディスン「おっ! 来たぁ!」

 

 

ミスティア・ローレライ「今日もバリバリで元気だして歌うぜぇ!!」

 

 

幽谷響子「パンクバンドの恐ろしさを向日葵たちに刻んでやるぜぇ!!」

 

 

メディスン「いぇーい!!」

 

 

 

アリス「あの二人ってどうしてあそこまで豹変出来るのかしら…」

 

 

幽香「さぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆうかりん、ボロを出す】

 

 

 

アリス「ねぇ幽香」

 

 

幽香「?」

 

 

アリス「あなたにとってメディスンは何なの?」

 

 

幽香「何なの、とは?」

 

 

アリス「ほら…友達~とか、家族~とか」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香「……さぁ、なんなのかしらね」

 

 

アリス「…あなたが向日葵だったらあの子は太陽かしら」

 

 

幽香「?」

 

 

アリス「逆かしら、あなたが太陽だったらあの子は向日葵?」

 

 

アリス「どちらかが水と向日葵…でも成り立つのかも」

 

 

幽香「それって大切、欠かせないってことじゃない」

 

 

アリス「あ、そうなんだ」

 

 

幽香「…!」

 

 

アリス「幽香はメディスンのことが大切なのね」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香「……」

 

 

アリス「無言は肯定よ?」

 

 

幽香「二度も言うんじゃないわよ、うるさいわね」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

幽香「…あなたはどうなのよ」

 

 

アリス「私? 私はメディスンのこと好きよ? 妖怪と言えども人形、人形には縁がある私だもの、これからも仲良くしたいと思ってるわ」

 

 

幽香「…」

 

 

 

 

ミスティア「ノってきたぜぇ!!」

 

 

響子「たぎるハートぉ!!」

 

 

メディスン「燃え尽きるほどのリズムぅ!!」

 

 

 

 

幽香「…そ、別になんとも思わないけど」

 

 

アリス「ふふっ、ありがと」

 

 

幽香「お礼の意味が分からないわ」

 

 

アリス「分からなくて良いの」

 

 

幽香「…ふん」

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香「因みに魔理沙の事は」

 

 

アリス「愛しているわ!!」

 

 

幽香「…」

 

 

アリス「あ、愛しているわ!!」

 

 

幽香「二度も言うんじゃないわようるさいわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷のお砂糖屋さん】

 

 

 

シュガーサテラ「ふぅ…ふふっ、出来ました」

 

 

 

 皆様ごきげんよう♪ わたくし、シュガーサテラと申します。

 

 幻想郷の妖精の森にてお砂糖作りを趣味とし、妖精として楽しく毎日を過ごしております

 

 

 

シュガー「おや、来てくださいましたね」

 

 

 

 自然そのもののわたくしがお砂糖を作っていることに疑問を持つ方も多いと存じますが、そんなこと気にしなくていいと八雲紫様からお言葉を戴いたので全然気にしていません。

 

 それに私のお砂糖作りは…ふふっ♪ 秘密でございます♪

 

 

 

チルノ「おーいシュガー! 来たぞ~!」

 

 

大妖精「シュガーさん、こんにちは~!」

 

 

 

 お友達は多い方だとよく言われます。

 

 チルノ様、大ちゃん様、ルナ様、スター様、サニー様、ルーミア様と上げればキリがありません、とても恵まれております。

 

 

 

シュガー「チルノ様、大ちゃん様、ごきげんよう」

 

 

チルノ「おいシュガー! 様呼びは将軍暴れん坊ゴッコの時に使うんだぞ? 普通に呼んでよ」

 

 

シュガー「そう言われましてもわたくしは生まれた頃からこの呼び方ですのでいきなり変更するとなるとそれなりの鍛練とお時間をいただきますがよろし」

 

 

大妖精「あぁ! あぁあぁそうですよねシュガーさん! チルノちゃん、シュガーさんはこの呼び方じゃないとシュガーさんじゃなくなっちゃうんだよ?」

 

 

チルノ「な、なにぃ!? そ、そんな仕組みがシュガーの中にあるのか…?」

 

 

 

 チルノ様はいつも楽しそうでございますね。

 

 

 それにしてもわたくしは先程の様に会話を途中で遮られる事が多々あります、何故なのかルーミア様に問うたのですが『話がなげーのだー♪』と言われました。

 

 

 どう返答していいのか分からなかったので、その事について頭の中で自答、答えを探していたらルーミア様が何故か意気消沈しておりました、そしてその事を大ちゃん様に問うたら『思う通りのノリに乗ってくれなかったから』だと言われました。

 

 

 はてさて…どういうことなのかさっぱりです。

 

 

 

チルノ「様呼びを止めたら何サテラになるんだ…」

 

 

シュガー「はて? わたくしはいつでもシュガーサテラですが」

 

 

大ちゃん「あ、あの! シュガーさん、私たちに頼みたい事ってなんなんですか!?」

 

 

シュガー「あ、それはですね」

 

 

 

 む…また遮られてしまいました、何故でしょう。

 

 あ、それはそれとして

 

 

 

シュガー「お使いを共に…と思いまして」

 

 

チルノ「お使い?」

 

 

シュガー「はい、わたくしは月に一度、紅魔の館にお砂糖をお届けしているのですがそれをあなた方お二人、わたくしを含め三人で伺いたいと思いまして」

 

 

チルノ「おっ、レミリアのとこか!」

 

 

シュガー「はい♪ それでお返事の方は」

 

 

大妖精「ふふっ、全然構わないですよ♪ 一緒に行きましょう」

 

 

チルノ「うん! あたいも行くよ! ついでにレミリアと弾幕勝負したいなぁ!」

 

 

 

 争い事は好きではありません、とても楽しそうに弾幕で勝負をしているところをよく拝見させていただくのですがわたくしには刺激が強すぎる様です。

 

 

 

シュガー「ありがとうございます、準備は宜しいですか? それでは参りましょう」

 

 

チルノ「おう! 参るぞ参るぞー!」

 

 

大妖精「意味が分かってないチルノちゃん可愛いなぁ…♪」

 

 

 

 大ちゃん様はチルノ様が大好きなご様子。

 

 逆も然りのご様子、相思相愛の様ですね

 

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷のお砂糖屋さん 三】

 

 

 

 

シュガー「美鈴様、ごきげんよう」

 

 

紅美鈴「おや、シュガーさんごきげんようです! チルノさんと大妖精さんまで」

 

 

チルノ「おっすみすず! 遊びに来たぞ!」

 

 

大妖精「めいりんさんだよ、チルノちゃん!」

 

 

美鈴「み、みすず…!? それわざとですよね? 地味に傷付くんですよ?」

 

 

チルノ「あははは、魔理沙がこれ言うと楽々門を突破出来るって言ってたから試してみた」

 

 

美鈴「あの人は…でも事実なんですよね、私が落ち込んでいる隙に門を突破された事が何度か」

 

 

チルノ「あははは♪ めーりんダメダメじゃん」

 

 

美鈴「ははは…言い返せませんねぇ」

 

 

シュガー「ふふふ…」

 

 

大妖精「あははは…」

 

 

 

 パチン

 

 

 

十六夜咲夜「笑い事じゃないわよ? 美鈴」

 

 

美鈴「さ、咲夜さん!」

 

 

咲夜「寝込みの隙を突破されたなら分かるけど実力や罠で突破されたらあなたの立つ瀬がないじゃない」

 

 

美鈴「うっ…!」

 

 

咲夜「寝ててもダメだけどね」

 

 

チルノ「いつも寝てるもんね、めーりん」

 

 

大妖精「う、うん…まぁ…」

 

 

シュガー「こんなポカポカ陽気にはのんびり日向ぼっこ、眠くなるお気持ちはよく分かります」

 

 

美鈴「で、ですよね」

 

 

咲夜「分からないわ、お仕事中なのに」

 

 

美鈴「はぁ…厳しいです」

 

 

チルノ「おい咲夜ー、めーりんイジメるなよ~」

 

 

咲夜「イジメてなんかないわよ、これはお説教なの」

 

 

チルノ「お、お説教か…なら仕方ないな」

 

 

咲夜「?」

 

 

大妖精「チルノちゃん、慧音先生のお説教が堪えたみたいで」

 

 

咲夜「何したの?」

 

 

大妖精「教卓の床を凍らせて先生を転ばせてしまって」

 

 

咲夜「それは怒られるわね」

 

 

美鈴「それはちょっと危ないイタズラですね」

 

 

チルノ「ちゃんと謝ったよ、反省もしたもん…」

 

 

美鈴「もうやってはいけませんよ?」

 

 

チルノ「うん、分かってる」

 

 

咲夜「ふふっ…♪ あらシュガー、来てくれたのね」

 

 

シュガー「はい♪ 咲夜様、ごきげんよう」

 

 

咲夜「はいごきげんよう」

 

 

シュガー「こちらを…頼まれていたお砂糖でございます」スッ

 

 

咲夜「いつも悪いわね」

 

 

シュガー「いえ、わたくしも趣味で作っておりますので」

 

 

咲夜「趣味であそこまで深みのある味の砂糖を作れるのはある意味趣味を越えていると思うわ」

 

 

シュガー「そう言っていただけると光栄です」

 

 

美鈴「シュガーさんの砂糖で作った咲夜さんのお菓子は最強ですよね」

 

 

チルノ「最強!?」

 

 

大妖精「チルノちゃん、相手は食べ物だよ?」

 

 

チルノ「むぅ…咲夜のお菓子には勝てない…」

 

 

咲夜「ふふっ♪ あ、そうだわシュガー」

 

 

シュガー「はい?」

 

 

咲夜「お嬢様が『一緒に紅茶でも』と仰っておられてね、あなたに砂糖を届けてもらっているお礼がしたいんですって」

 

 

シュガー「まあ! レミリア様からの素敵なお誘いですね、そのお誘いお受けします」

 

 

シュガー「お受けしたい…のですが」

 

 

咲夜「?」

 

 

シュガー「…」チラッ

 

 

チルノ、大妖精「?」

 

 

シュガー「…大変厚かましいとは重々承知ですが、チルノ様、大ちゃん様も共に…よろしいでしょうか」

 

 

咲夜「? 何を言っているの?」

 

 

シュガー「…」

 

 

咲夜「そんなもの決まっているわ」

 

 

シュガー「え?」

 

 

咲夜「あなたたちももちろん食べてくわよね?」

 

 

チルノ「! お菓子食わせてくれるのか!?」

 

 

咲夜「もちろん♪ あぁ、あなたはアイスティーじゃないとダメだったわね」

 

 

チルノ「おぉ~! 太っ腹だな咲夜!」

 

 

咲夜「難しい言葉知ってるのね…チルノ、あなた最近魔理沙の影響受けすぎじゃないかしら」

 

 

大妖精「で、でも良いんですか? 私たちまで」

 

 

咲夜「良いのよ、お嬢様もお茶の席は大勢の方がお喜びになられるからね」

 

 

シュガー「咲夜様、ありがとうございます」

 

 

咲夜「それはお嬢様に言ってね♪ さ、入りなさい」

 

 

チルノ「おう! お菓子お菓子♪」

 

 

大妖精「お、お邪魔します、」

 

 

シュガー「咲夜様、美鈴様、お邪魔いたしますね」

 

 

美鈴「はい、どうぞどうぞ」

 

 

咲夜「ふふっ…はい、美鈴」スッ

 

 

美鈴「え? わっ! さ、咲夜さんこれは…?」

 

 

咲夜「お昼御飯、今日サンドイッチにしたから」

 

 

美鈴「お、おぉ~…!」キラキラ

 

 

咲夜「な、なに?」

 

 

美鈴「咲夜さんは何だかんだ言ってもやっぱり優しいです!」

 

 

咲夜「褒めてるのかしら…それ食べたらお仕事頑張ってね」

 

 

美鈴「はい! いただきます! 頑張ります!」

 

 

咲夜「それじゃ私は戻るから…あ、因みに」

 

 

美鈴「はい?」

 

 

咲夜「それ食べてる最中に魔理沙が館に突っ込んで来て『食べるのに夢中で通してしまいました』なんて言ったら」

 

 

美鈴「い、言ったら…?」

 

 

咲夜「ふふふ」

 

 

美鈴「えっ!?」

 

 

咲夜「それじゃ美鈴、後はよろしく」スッ

 

 

美鈴「え、いやちょっと咲夜さーん!? ふふふってなんですかぁー!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷のお砂糖屋さん 三】

 

 

 

レミリア・スカーレット「良く来てくれたわね、シュガーサテライト」

 

 

シュガー「レミリア様、ごきげんよう」

 

 

咲夜「お嬢様…サテラですよ、シュガーサテラです」

 

 

レミリア「えっ…? サテライトじゃないの?」

 

 

咲夜「はい、サテラです」

 

 

レミリア「……サテライトの方がカッコいいのに」ブツブツ

 

 

チルノ「名前間違えてやんの~! お嬢ダサいぞ!」

 

 

レミリア「なんですってぇ!?」

 

 

大妖精「あ…レミリアさん、チルノちゃんがすいません」

 

 

レミリア「ふん…咲夜から聞いてるわ、シュガーと…何よりこの私と共に紅茶を飲める機会なんてそうそうないわよ? ありがたく思いなさい♪」

 

 

チルノ「咲夜、これなんていうの?」

 

 

咲夜「それはガトーショコラよ」

 

 

レミリア「人の話を聞けぇぃ!!」

 

 

シュガー「レミリア様」ズイッ

 

 

レミリア「うん?」

 

 

シュガー「ごきげんよう」ゴゴゴゴ

 

 

レミリア「ひっ…!? ご、ごきげんよう」

 

 

シュガー「ふふふ♪ はいごきげんよう、今日はわたくしのお友達共々お招きいただきましてありがとうございます」

 

 

レミリア「え、えぇ…あ、ありがたいと思いなさい」

 

 

シュガー「はい♪ とてもありがたいです」

 

 

咲夜「シュガーがたまにみせるあの詰め寄りはなんなの?」ヒソヒソ

 

 

大妖精「シュガーさんは挨拶に厳しいんです『ごきげんよう』って返してくれないと嫌みたいで…それと少し頑固なところがあって自分を曲げないんです」ヒソヒソ

 

 

咲夜「何なのその謎の拘りは…」

 

 

 

 

 

レミリア「あなたの砂糖のお陰でうちの食卓は大分潤ってるわ、いつか感謝を込めて紅茶をご馳走したかったのよ」

 

 

シュガー「レミリア様にそう言っていただけるととても嬉しいです、これからもよろしくお願いします」

 

 

レミリア「ふふふ♪ ねぇシュガー、どう? 紅魔館専属の砂糖職人にならない?」

 

 

シュガー「それは嬉しい申し出でございますが、お断りさせていただきます、ごめんなさい」

 

 

レミリア「えぇ~…残念だわ、何か理由があるの?」

 

 

シュガー「理由ですか…そうですね」

 

 

 

 

 

チルノ「ハグハグ、おーいしーこれぇ!!」

 

 

大妖精「そ、そんなにガツガツ食べなくても…」

 

 

咲夜「食べ方はどうであれそんなに美味しそうに食べてもらえると嬉しいわね」

 

 

 

 

 

シュガー「…」

 

 

シュガー「お友達と一緒にいられる時間が取れないから…です」

 

 

レミリア「…! ふふっ、そう」

 

 

シュガー「はい」ニコッ

 

 

レミリア「友達は一生もの…大事にしないとね♪」

 

 

シュガー「レミリア様…ありがとうございます」

 

 

レミリア「シュガー、あなたの事気に入ったわ♪ 今度私の妹のフランとも友達になってくれないかしら」

 

 

シュガー「ふふふ♪ はい、喜んで」

 

 

レミリア「ありがとう、頼みごとばかりで悪いわね」

 

 

シュガー「頼まれるのは信頼の証…とわたくしの心にあります、その思いに答える事はわたくしの生き甲斐でもあります」

 

 

レミリア「ふふっ♪ あなた本当に妖精?」

 

 

シュガー「えぇまごうことなき」

 

 

シュガー「シュガーサテラという名の妖精です♪」

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 それでは幻想郷のお砂糖屋さん、シュガーサテラについて簡単な説明を。



 光の三妖精の四人目…あのサニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアに四人目の光の妖精が!? という名目で作られたキャラクターであり、所要ゲームの新作に合わせて捏造された釣りキャラと呼ばれる存在です。



 お砂糖屋をやっている事、しゃべり方、性格等に関しては『東方紫藍談の二次設定』ですが彼女自身、東方の二次創作キャラクターの位置付けですので書き手様によって性格が異なると思います。


 嘘で生まれたキャラにも関わらずその可愛らしい容姿、ぽわぽわした雰囲気からか彼女のファンになる方がたくさんいるようです、そんな私もその一人。

 シュガーの能力については…いずれ本編で。





 それでは…ここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした!



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《第13談》チルノが焼けても友情は焼けない


 一目見た瞬間のインパクトが衝撃でした…

 あのチルノを見た衝動で書いたので今回は短めですが楽しんでいただけたらと思います話の内容は二次創作ですのでよろしくお願いします。

 それでは始まります♪





 

 

 【日焼けしたチルノ その一】

 

 

大妖精「ん~…チルノちゃん遅いなぁ」

 

 

大妖精「ここに来る途中でカエル見つけて凍らせて遊んじゃってるのかな?」

 

 

大妖精「……私とカエルどっちが好き? …なんて聞けるわけないし」

 

 

大妖精「聞いたら聞いたでカエルなんて言われたら妖精やめれる自信あるなぁ私」

 

 

大妖精「そしたら私本当の意味で大ちゃんになっちゃうのかな…?」

 

 

大妖精「…あははっ、なんてね♪ 私のチルノちゃんがそんなこと言うわけないよね♪ 考えすぎだよ、私♪」

 

 

大妖精「……う~ん、それにしてもチルノちゃん遅」

 

 

 

 おーい! 大ちゃーん!

 

 

 

大妖精「!! 来た!」

 

 

 後ろから聞こえたチルノの呼び声に答えるように大妖精は後ろを振り返る

 

 

大妖精「んもう♪ チルノちゃんったらもう二時間も遅刻だ…よっ!!?」

 

 

 

日焼けしたチルノ「いやぁごめんごめん♪ 途中で見つけたカエルが『モリヤノ祟りケロ祟りケロ』とうるさくあたいに近づいて来たからちょっと戦ってたんだ」

 

 

 

大妖精「なっ…!? あっ…!? わっ、わわっ……」

 

 

日焼けしたチルノ「なんかさ、早苗んとこのあのケロケロ帽子に似たカエルだったんだよ、強かったけどこの最強のあたいの敵ではなかったよ! まとめてカチンコチンさ♪」

 

 

大妖精「わ…わわ…わ…わで」

 

 

日焼けしたチルノ「その後もさって……お? どったの大ちゃん、あたいの話聞いてる?」

 

 

大妖精「わ…」

 

 

日焼けしたチルノ「?」

 

 

大妖精「わ…わわわ…」

 

 

日焼けしたチルノ「わわ? …! ははーん分かったよ大ちゃん! 行くよ? せーっの、わーなのか」

 

 

大妖精「ワイルドッッッ!!!」

 

 

日焼けしたチルノ「!!?」ビクッ

 

 

大妖精「コゲコゲのチルノちゃんはワイルドだよっ♪ ワイルドだよカッコいいよ強く見えるよその腕で抱いてほしいよたくましいっ!」

 

 

日焼けしたチルノ「どどっ、どうしたんだい大ちゃん!?」

 

 

大妖精「チルノちゃんもう私たちゴールインしても良いよね? だって大親友だしワイルドになってくれたしそうしたらもう我が生涯に一片の悔い無しだよチルノちゃん!」

 

 

大妖精「あぁ~んもう私妖精やめてもいい~♪」

 

 

 ドサッ! 

 

 

日焼けしたチルノ「だ、大ちゃん! どうしたんだ大ちゃん! 大ちゃん…! 大ちゃーん!!」

 

 

 

 

 

 【日焼けしたチルノ その二】

 

 

大妖精「ご、ごめんねチルノちゃん…私取り乱してアリスさんみたいになっちゃってたよ」

 

 

日焼けしたチルノ「アリス? えっ、何でアリスなの?」

 

 

大妖精「あぁごめん、気にしないでチルノちゃん」

 

 

日焼けしたチルノ「お、おう…」

 

 

大妖精「そんなことよりも本当にどうしちゃったのチルノちゃん…そんなにワイルドになっちゃって」

 

 

日焼けしたチルノ「ん? ワイルド? 何が?」

 

 

大妖精「何がって…その体だよ」

 

 

日焼けしたチルノ「からだ?」

 

 

大妖精「……」

 

 

大妖精「チルノちゃん今日鏡見た?」

 

 

日焼けしたチルノ「ううん」

 

 

大妖精「水とか氷に映った自分の姿は?」

 

 

日焼けしたチルノ「ううん、見てない」

 

 

大妖精「……チルノちゃん、今から私鏡を取り出すけど鏡に映った自分の姿に驚いたりショックを受けたりしないでね?」ゴソゴソ

 

 

日焼けしたチルノ「? うん、分かった」

 

 

大妖精「行くよ? …はいっ!」スッ

 

 

日焼けしたチルノ「…お?」

 

 

 

 チルノは鏡に映った自分の姿を見ながら顔を両手で触ったり持ち上げたり、ペチペチ叩いたりした

 

 

 

日焼けしたチルノ「お~…お…? おー…」ペチペチ

 

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「……おぉ?」

 

 

大妖精「…」

 

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「うおおぉぉぉっ!!?」

 

 

大妖精「ち、チルノちゃ」

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「あたいし○るになってるーー!!!?」

 

 

大妖精「誰なのっ!?」

 

 

 

 

 

【日焼けしたチルノ その三】

 

 

日焼けしたチルノ「うおぉ…! し○るじゃん♪ し○るになってる!」

 

 

大妖精「本当に誰なのチルノちゃん…」

 

 

日焼けしたチルノ「紫のオババが教えてくれたんだよ、外の世界のスーパースターなんだって」

 

 

大妖精「スーパースター…?」

 

 

日焼けしたチルノ「なんかすごくカッコイイらしくてさ! 凄く歌が上手いらし」

 

 

大妖精「取り敢えずそのし○るさんから離れようかチルノちゃん」

 

 

 

 

 

【日焼けしたチルノ その四】

 

 

大妖精「し…いやチルノちゃん、何でそんなに真っ黒になっちゃったの?」

 

 

日焼けしたチルノ「う~ん…分かんない」

 

 

大妖精「うん私も分からないよ、なんかし○るって聞いた辺りからワイルドよりもたくましいって思いはじめてきた私を私が分からなくなってきたもん」

 

 

日焼けしたチルノ「む、難しいよ大ちゃん」

 

 

大妖精「でも原因はあるはずだよ、だって昨日遊んだ時は普通だったもんね」

 

 

日焼けしたチルノ「うん、昨日のあたいの手も足も体もこんなにコゲコゲしてなかったもん」

 

 

大妖精「朝起きてから変なことなかった? 思い出してみて?」

 

 

日焼けしたチルノ「なんにもなかった筈だよ、えっと…起きて…歯みがきして…シュガーにもらった砂糖菓子を食べて…大ちゃんとの約束場所に向かう途中でカエルと戦って…うん、それで大ちゃんのとこに来たの」

 

 

大妖精「う~んいつもと変わらないよね…何で真っ黒に」

 

 

日焼けしたチルノ「コゲコゲ、うお、背中までコゲコゲじゃん」

 

 

大妖精「心当たりは無いよね?」

 

 

日焼けしたチルノ「うん」

 

 

大妖精、日焼けしたチルノ「…」

 

 

大妖精、日焼けしたチルノ「謎だ…」

 

 

大妖精「考えても答えは出ないね、ならチルノちゃん」

 

 

日焼けしたチルノ「?」

 

 

大妖精「こういう時は人に聞こう!」

 

 

日焼けしたチルノ「おぉ! やっぱ大ちゃんったら天才ね!」

 

 

大妖精「あはは…/// 褒められてもチルノちゃんへの愛しか出てこないよ~♪」

 

 

 

 

 

 

 

【聞いてみよう! その一 シュガーサテラ】

 

 

シュガーサテラ「はて…?」

 

 

シュガー「初めましてになりますね、わたくしは妖精のシュガーサテラと申します、あなたはかりんとうかなにかの妖精様なのですか?」

 

 

日焼けしたチルノ「シュガー! あたいだよあたい!」

 

 

シュガー「? あたい様? 個性的なお名前ですね」

 

 

大妖精「ち、違いますよシュガーさん! この黒い…いやこの妖精はチルノちゃんなんです!」

 

 

シュガー「チルノ様? 大ちゃん様、ご冗談はお止めくださいませ、チルノ様は透き通るような白い肌のはず、このお方の様にかりんとうの様な肌色はしておられません、それを分かっているのは大ちゃん様も同じなので」

 

 

大妖精「あ、あぁあぁわ、分かりました! 分かりましたシュガーさん! この子はかりんとう妖精のシゲールちゃんです! お友達になったので紹介しに来ました! お仕事中お邪魔してすいませんでした! さぁシゲールちゃん! 次行こう!」

 

 

シュガー「シゲール様?」

 

 

日焼けしたチルノ「ちょっ!? だ、大ちゃん!? ひ、引っ張らないでいたたたっ!」

 

 

シュガー「あぁ…行ってしまわれました」

 

 

シュガー「それにしてもまた話を遮られてしまいました、最後までお話したい事があるというのに何故でしょう」

 

 

シュガー「シゲール様…やはりかりんとうの妖精様でしたか、ふふっ♪ また妖精の森が賑やかになりそうですね♪」

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「大ちゃん、あたいかりんとうの妖精になっちゃってるのかな? だからこんなにコゲコゲなのかな?」

 

 

大妖精「そんなことあるわけないから大丈夫だよチルノちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

【聞いてみよう! その二 博麗神社】

 

 

 

霧雨魔理沙「だっはははは!! あっははは! ひー!! あっはっははは!」ゲラゲラ

 

 

日焼けしたチルノ「笑うなぁー!」

 

 

博麗霊夢「えぇ何あの肌の色…一体どうしたらああなるのよ」

 

 

大妖精「それを聞きに来たんです」

 

 

霊夢「いやいや、分からないから」

 

 

大妖精「霊夢さんと魔理沙さんでも分からないんですか?」

 

 

霊夢「むしろ知ってると思ったの? 悪いけど専門外、妖精が黒く変色するなんて初めて見たわ…てか見事に真っ黒ねチルノ」

 

 

大妖精「うぅ…そうですか…」

 

 

魔理沙「ふふっ…! ま、まぁそう言ってやるなよ霊夢、くははっ…! 一緒に原因を考えてやるぐらい良いだろ? ふくくっ…!」

 

 

日焼けしたチルノ「まだ笑ってるぞ!」

 

 

霊夢「まぁ暇だから考えてあげてもいいけど、それでいい?」

 

 

大妖精「は、はい、お願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 十分後…

 

 

 

霊夢「手掛かりが無さすぎるわ」

 

 

魔理沙「お前が朝起きた瞬間からこうなったのか?」

 

 

日焼けしたチルノ「たぶん」

 

 

魔理沙「はっ…どうせそこら辺に落ちてる変なもんでも食ったんだろ」

 

 

日焼けしたチルノ「そんなことするわけないだろ魔理沙じゃあるまいし」

 

 

霊夢「いくらチルノでもそれはやらないんじゃない? 拾い食いマスターのあんたじゃあるまいし」

 

 

大妖精「そこだけは魔理沙さんの真似はしたくないそうですよチルノちゃんは」

 

 

魔理沙「お前らさらっと私の心にトゲ刺してくるのやめてくれねぇかな」

 

 

 

 

 

 

霊夢「黒ねぇ…黒、黒…」

 

 

魔理沙「ひょっとしたらマジで体がコゲてるんじゃないのか?」

 

 

日焼けしたチルノ「昨日は地底のアイツとは戦ってないぞ」

 

 

霊夢「あ」

 

 

魔、チ、大「?」

 

 

霊夢「あんたさ、昨日ルナチャイルドに会った?」

 

 

日焼けしたチルノ「…? あ、うん、会った」

 

 

霊夢「あいつに出されたコーヒーとか飲んだ?」

 

 

日焼けしたチルノ「ううん、飲んでない」

 

 

霊夢「…違うか」

 

 

大妖精「どういうことですか?」

 

 

魔理沙「あぁなるほど『コーヒー色に染まってしまったのかー』的な?」

 

 

霊夢「そう」

 

 

魔理沙「だとしたらチルノがなんか食う度に変色するだろ」

 

 

霊夢「そうよね、食べ続けているわけでもないし」

 

 

日焼けしたチルノ「黒いお菓子は好きだぞ」

 

 

魔理沙「…なんか黒いもんぶっかけられたとか」

 

 

大妖精「それだったら泥遊びとかで」

 

 

霊夢、魔理沙「あぁ~…」

 

 

日焼けしたチルノ「言っとくけどあたい昨日泥遊びしてないからね」

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「結局原因は分からんかったが別にこのままでも良いんじゃねぇか?」

 

 

日焼けしたチルノ「うーん、良いのかなぁ」

 

 

大妖精「確かにワイルドなチルノちゃんも素敵ですけどやっぱり元のチルノちゃんの美しい肌の方が良いですよ、綺麗ですし」

 

 

霊夢(なんだろう…最近大妖精から暴走しているときのアリスと同じ臭いを感じるわね)

 

 

魔理沙「だなぁ、お前が真っ黒だと違和感が半端ねぇもん」

 

 

日焼けしたチルノ「だったらあたい元に戻りたいなぁ」

 

 

魔理沙「でもよ、変色したことにもし意味があるんだったらどうなんだろうな」

 

 

霊夢「意味?」

 

 

魔理沙「変化には何事にも意味があるもんだぜ」

 

 

大妖精「変化…」

 

 

日焼けしたチルノ「なんだよそれ」

 

 

魔理沙「黒くなった事でお前の中の何かが変わったのかも知れねぇだろ? ほら、強くなったとかさ」

 

 

日焼けしたチルノ「!! あたい強くなったのか!?」

 

 

霊夢、大妖精「えぇ…根拠は…?」

 

 

魔理沙「そんなもんねぇよ、NEWチルノだNEWチルノ」

 

 

日焼けしたチルノ「おぉ! でも何がニューなんだ?」

 

 

魔理沙「そうだな…バニラアイスあるだろ?」

 

 

日焼けしたチルノ「おう」

 

 

魔理沙「どう思う」

 

 

日焼けしたチルノ「最強に美味い」

 

 

魔理沙「そこに砕いたチョコチップクッキーを加える」

 

 

日焼けしたチルノ「あ、それも最強に美味い」

 

 

魔理沙「どう思う」

 

 

日焼けしたチルノ「……」

 

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「超最強じゃん」

 

 

霊夢、大妖精「!?」

 

 

魔理沙「だろ? でだ、良く考えろ? よーく考えろよ? 今の説明の部分のバニラアイスをお前に、チョコチップクッキーを体の黒こげに置き換える」

 

 

日焼けしたチルノ「…」

 

 

魔理沙「どう思う」

 

 

日焼けしたチルノ「……」

 

 

日焼けしたチルノ「最強の上に最強が乗った」

 

 

魔理沙「で?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「あたいったら超最強じゃん!!」

 

 

霊夢、大妖精「!!?」

 

 

魔理沙「ククッ…! だ、だろ?」

 

 

日焼けしたチルノ「うんそうだよ! あたいったら超最強じゃん! 大ちゃん大ちゃん!」

 

 

大妖精「えっ? えっ?」

 

 

日焼けしたチルノ「あたいずっとこのままでいるよ! 超最強なら誰にも負けないじゃん♪ あっはっはっは!」

 

 

大妖精「ち、チルノちゃ~ん? 肌の色が変わっただけでそれは」

 

 

魔理沙「くっふふふっふふ…!」プルプル

 

 

霊夢「あんたチルノで遊ぶのも程々にしときなさいよ」

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「でも何で超最強になったのか知りたい!」

 

 

魔理沙「確かに変色の原因は知りたいぜ」

 

 

霊夢「最強は置いといてもそれは知りたいわね」

 

 

大妖精「…あっ! 紫さんなら知ってるんじゃないでしょうか」

 

 

魔、チ「ババア?」

 

 

霊夢「紫か…アイツなら知ってるかもね」

 

 

魔理沙「だな、呼んでくれよ霊夢」

 

 

霊夢「また私が呼ぶの?」

 

 

魔理沙「だってお前が呼ぶと一発で来るじゃん」

 

 

霊夢「……はぁ…ほらそこどいて、そこに背負い投げするから」

 

 

大妖精「せ、背負い投げ?」

 

 

日焼けしたチルノ「おぉ! 寺子屋で見せてくれたやつか!」

 

 

 

霊夢「はぁ…行くわよ?」

 

 

 

 

 

 

霊夢「紫愛してるわ! 超愛してる!」

 

 

 ギュオン!

 

 

八雲紫「霊夢ー♪ ゆかりんも超愛して」

 

 

 霊夢はいきなり背後に現れた紫の伸ばしてきた腕を掴み、肘を紫の脇の下に入れ、肩越しに引き手で引いて投げた!

 

 

霊夢「おらぁ!」ブン

 

 

紫「ぐほぉ!!」ドゴッ

 

 

日焼けしたチルノ「おぉー! スゲー!」

 

 

大妖精「うわぁ…」

 

 

紫「いったい…! 背中痛いっ!」

 

 

霊夢「紫、あんたにちょっと聞きたい事があるんだけどさ」

 

 

紫「れ、霊夢…! そんなことよりわ、私の背中が…」

 

 

霊夢「聞いてる? 聞きたい事があるの」ニッコリ

 

 

魔理沙「酷だろ、いきなり背負い投げされて質問責めとか」

 

 

 

 

 

紫「酷いわよぉ♪ 霊夢ぅー♪」

 

 

霊夢「出てくるときに抱き付いて来なきゃやらないっての」

 

 

魔理沙「何でちょっと嬉しそうなんだよお前は」

 

 

紫「だって愛してるって…きゃっ♪」

 

 

霊夢、魔理沙「…」イラッ

 

 

霊夢「紫、さっきも言ったけどあんたに聞きたい事があるの」

 

 

紫「良いわよ♪ 何でも聞いて」

 

 

霊夢「アレの原因教えて」

 

 

紫「え? …おおぅ!?」

 

 

日焼けしたチルノ「! ふん、どうだババア! ニューあたいだぞニューあたい! 超最強だぞ!」

 

 

日焼けしたチルノ「今ならババアだって指一本で倒せるぞ! あっはっはー!」

 

 

大妖精「ゆ、紫さんごめんなさい! チルノちゃんは悪気があってああ言ってる訳ではなくて」

 

 

霊夢「魔理沙のせいよ」

 

 

魔理沙「半分はアイツの頭の問題だろ」

 

 

紫「あらあらふーん? このゆかりんを指一本?」

 

 

日焼けしたチルノ「そうだ! けちょんけちょんにしてやる!」

 

 

紫「日焼けした程度で?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、大妖精「え」

 

 

日焼けしたチルノ「え…えっ…!?」

 

 

紫「? だから日焼けした程度でって」

 

 

霊夢「えっ…ひ、ひや…け?」

 

 

紫「えぇ、あんなのただの日焼けじゃない」

 

 

 

 

 

 

 

霊、魔、大、チ「ええぇぇーー!!?」

 

 

紫「驚き過ぎじゃないかしら…」

 

 

紫「…」

 

 

紫(まぁただの日焼けじゃないかもしれないわね…♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【原因を探ろう! 教えてパチュリー】

 

 

 

パチュリー・ノーレッジ「良い? 日焼けっていうのはね?」

 

 

日焼けしたチルノ「うん」

 

 

大妖精「はい」

 

 

パチュリー「紫外線を皮膚に浴びることにより皮膚が赤く炎症を起こす急性症状と、メラニン色素が皮膚表面に沈着することなのよ、日光の過剰照射の結果として発生して照射された紫外線がメラニンの保護能力を超えている時に起こるのよ」

 

 

チルノ、大妖精「…」

 

 

大妖精「す、すいません」

 

 

日焼けしたチルノ「簡単にって言ったじゃん」

 

 

パチュリー「……凄く簡単に言ったのに」

 

 

小悪魔(こあ)「まぁ早い話が紫外線という名前の光をチルノさんが浴び続けてしまったから肌が黒くなってしまったんですね♪」

 

 

日焼けしたチルノ「おー、そーなのかー!」

 

 

こあ「そーなのだー♪」

 

 

チルノ、こあ「わはー♪」

 

 

大妖精「紫外線…ですか」

 

 

パチュリー「…今ので分かったの?」

 

 

こあ「相手は子供なんですから分かりやすく言わないとダメですよ?」ヒソヒソ

 

 

パチュリー「…レミィに分かるように言えば良かったってことね」ボソッ

 

 

こあ「それはそれで…良いんですか…?」

 

 

パチュリー「良いのよ、伝えて分からせることは重要だもの」

 

 

パチュリー「紫外線のことも教えるわ、レミィにも分かるように言うから安心なさい」

 

 

パチュリー「紫外線は太陽の光に含まれているの、強い日差しを浴びれば浴び続けるほど体は黒くなっていくわ、個人差があるけどね」

 

 

日焼けしたチルノ「太陽の光? そんなの毎日浴びてるぞ?」

 

 

パチュリー「そこが疑問なところなのよ、昨日は普通の肌の色だったらしいじゃない、それなのに半日足らずでそんなに黒く変色するなんてまずあり得ないわ」

 

 

大妖精「なら…原因は?」

 

 

パチュリー「あなたの体に異常が起きてる、もしくはチルノだけに影響与える何かが自然に起きている、妖精なら自然の影響をモロに受けるから、ね」

 

 

日焼けしたチルノ「でも体が黒くなっただけだし痛くも痒くもないぞ?」

 

 

パチュリー「それか…」

 

 

チルノ、大妖精「?」

 

 

パチュリー「何者かがイタズラであなたの体を黒くしたか」

 

 

チルノ、大妖精「!」

 

 

パチュリー「でもイタズラの範疇を越えてるわね、そういう能力持ちの何者かが新しく現れたのかもね」

 

 

日焼けしたチルノ「なっ何ぃ!? もしそうだったらあたいやられっぱなしじゃんか!」

 

 

パチュリー「悪魔でも仮説よ」

 

 

大妖精「治療法とかないんですか?」

 

 

パチュリー「無いことも無いわね、あなたたちの言う一回休みになってみればいいんじゃないかしら」

 

 

チルノ、大妖精「!」

 

 

日焼けしたチルノ「痛いのは嫌だなぁ」

 

 

大妖精「わ、私も反対です」

 

 

パチュリー「でしょうね、まぁ異常は今のところ無さそうだから気にしないでもいいと思う、もし何か不調があればまた私のところに来なさい、永遠亭の医者よりは妖精のことに詳しいから何とかしてあげられると思うわ」

 

 

日焼けしたチルノ「おう! ありがとなぱっつぁん!」

 

 

大妖精「あ、ありがとうございました!」

 

 

日焼けしたチルノ「よし! なら皆に報告しに行こう大ちゃん!」

 

 

大妖精「うん! そうだねチルノちゃん!」

 

 

 

パチュリー「ふっ…♪ 忙しないわね」

 

 

こあ「えらく優しい対応でしたねパチュリー様」

 

 

パチュリー「だって興味あるもの、黒くなった原因とその何者かがいたとしたらその正体もね」

 

 

こあ「ふふっ、そうですね」

 

 

 バタン!

 

 

レミリア・スカーレット「ん? あれ? パチェ、お客が居たんじゃないの?」

 

 

パチュリー「たった今帰ったわよ」

 

 

レミリア「そう…残念ね、一緒に遊ぼうと思っていたのに」

 

 

パチュリー「あなたみたいにいつも暇じゃないのよあの子たちは…って妖精も似たような物かしら」

 

 

レミリア「むっ! 何よ! 私が年がら年中暇だって言いたいの?」

 

 

パチュリー「そうなんじゃないの?」

 

 

レミリア「…」

 

 

パチュリー「…」

 

 

レミリア「う~…」

 

 

パチュリー「ちょっとは否定してほしかったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【チルノは焼けても友情は焼けない】

 

 

 

ルーミア「ぶっ…!! くふふっ…!! わはははははは!!」ゲラゲラ

 

 

日焼けしたチルノ「笑うなよルーミアぁ!」

 

 

ルーミア「まっ…! わはははー! 真っ黒なのかー!! わひゃひゃひゃ!」ゲラゲラ

 

 

大妖精「うん、ルーミアちゃんなら笑うと思ってたよ…」

 

 

リグル・ナイトバグ「それ日焼けなんだ、すごいね」

 

 

ミスティア・ローレライ「炭火焼きで焼かれたみたいに真っ黒だね」

 

 

橙「真っ黒なネコでもそこまでは黒くならないよね」

 

 

藤原妹紅「そういう問題か?」

 

 

上白沢慧音「不思議なこともあるものだな…」

 

 

妹紅「チルノが日焼けか、珍しいもん見…いや、不謹慎かもな…慧音はどう思う?」

 

 

慧音「う~む…」

 

 

慧音「チルノは氷の妖精…太陽の光の熱だな、それを苦手としているから日焼けなどとは無縁だと思ったのだが」

 

 

妹紅「見事な日焼けをしてるもんな」

 

 

慧音「そうだな…言い方は悪いが、日焼けをする前にチルノなら溶けてしまいそうな気がするのだが」

 

 

妹紅「あぁ、私もそう思ったよ」

 

 

妹紅「やっぱり紅魔館の魔法使いが言うように何者かの仕業なのかもしれないな」

 

 

慧音「日焼けをさせただけなら可愛いイタズラで済むが…もし他に何か企んでいたとしたら注意しなければな」

 

 

妹紅「まだまだわかんない事だらけだから今のところは待つしかないな、色々と」

 

 

慧音「そうだな、しかし…もしチルノに何か危害を加えたり悲しませようとする者であったならば」

 

 

妹紅「ならば?」

 

 

慧音「頭突きだけでは済まさんよ、ふふっ」

 

 

妹紅「あはは、こりゃ特別授業コースだな♪」

 

 

 

 

ルーミア「チルノ、お前の事は友達だと思ってる…だからこれだけは言わせてくれ」

 

 

日焼けしたチルノ「な、何だよ?」

 

 

ルーミア「…」

 

 

 

 

 

 

 

ルーミア「黒いキャラはこの私だけで間に合ってるのだー!」

 

 

日焼けしたチルノ「な、なにぃ!?」

 

 

ルーミア「バカルテット+大ちゃん&橙に黒いキャラは私だけで充分なのだー! よしんばリグルが黒光りのアレだったとしても私は闇を操るのだからこれ以上黒キャラはいらねーのだー!」

 

 

リグル「!!?」

 

 

ミスティア、橙「出た! ルーミアの心無い天使! 『言葉攻め!』」

 

 

ルーミア「わーははのはー! どーだ! 正論過ぎて何にも言えないだろう!?」

 

 

リグル「いや…ルーミア、私はホタ」

 

 

日焼けしたチルノ「す、好きで焼けた訳じゃないんだぞあたいは!」

 

 

ルーミア「知るかなのだー! 悔しかったら黒キャラの座を賭けて私と勝負するがいいのだー!」

 

 

日焼けしたチルノ「く、くそぅ、戦うしかないのか!?」

 

 

ルーミア「わははー♪ かかってこ」

 

 

 

 ズイッ!

 

 

 

大妖精「ルーミアちゃん♪」ニッコリ

 

 

ルーミア「!?」ビクッ

 

 

大妖精「好き勝手言ってるけど私はね? チルノちゃんならどんなチルノちゃんでも大好きなの、分かるかな?」ニコニコ

 

 

ルーミア「ひっ!?」

 

 

大妖精「いつもの透き通るような美しい肌の色のチルノちゃんも大好きだし、このワイルドな日焼けしたチルノちゃんも大好きなの? 分かるかな? わかるよね? わかれよ? ね?」

 

 

ルーミア「!!?」

 

 

DIE妖精「返事」ゴゴゴ

 

 

ルーミア「ひゃっ、ひゃい…!」

 

 

大妖精「うん♪ だよね♪ チルノちゃん、ルーミアちゃん分かってくれたよ♪」

 

 

日焼けしたチルノ「お? お、おう…わ、分かってくれれば良いけど…」

 

 

 

ミスティア「…あの怖い大ちゃんに勝てる人って寺子屋にいると思う?」

 

 

リグル「いないよ…」

 

 

橙「いないと思うよ…」

 

 

ミスティア「だよね…」

 

 

 

ルーミア「まぁ…なんなのだー」

 

 

日焼けしたチルノ「うん?」

 

 

ルーミア「もしチルノを日焼けさせた奴がいてそいつのことが分かったらそいつを皆でやっつけに行くのだー、それでいいかー?」

 

 

日焼けしたチルノ「! おう! ありがとなルーミア!」

 

 

ルーミア「そうすれば日焼けも治るしなー♪ 黒キャラも返上出来るもんなー」

 

 

日焼けしたチルノ「そうだな! でもちょっと思っちゃったんだけどさ」

 

 

ルーミア「?」

 

 

日焼けしたチルノ「日焼けしたあたいも悪くないだろ? ニシシ♪」

 

 

ルーミア「! わはー♪ まーなー♪」

 

 

日焼けしたチルノ「だったら日焼けしたままのニューで超最強のあたいを少しの間楽しむとするよ」

 

 

ルーミア「…チルノらしいなー♪」

 

 

大妖精「ふふっ、そうだね」

 

 

日焼けしたチルノ「よーし! せっかくの日焼けだ! 他の皆にもニューあたいを見せつけてやりにいくとするかー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

日焼けしたチルノ「行くぞ! あたいに続けっ!」

 

 

大妖精、ルーミア「おーー♪」

 

 

 

 

 

 

 おしまい♪

 

 

 






 日焼けしてもチルノはチルノ♪ 性格は全く変わりませんね


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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《第14談》八雲紫の秘密と幻想大学


 活動報告にも書かせていただきましたがUAが10000を突破いたしました、この場でもお礼を述べさせていただきます、読者の皆様ありがとうございます、これからもよろしくお願いします!





 今回はサクサク読めるタイプの物語を一つ書かせていただきました。

 ですが今回、私なりにちょっと紫に思うところがあったので物語に少し含みを持たせております

 紫(藍と、東方キャラ全員)が存在しているお陰で『東方紫藍談』が書けていますので紫にちょっとした設定をまた追加したかったのです


 このお話はコメディとシリアスが5:5で構成されてます、そして四コマ要素も少々あります。

 物語の副主人公として旧作キャラを出しました。


 それでは始まります♪




 

 

 

 【幻想郷 博麗神社】

 

 

八雲紫「ねぇ、霊夢」

 

 

博麗霊夢「なに?」

 

 

紫「『生まれ変わってみたい』とかって思ったこととかある?」

 

 

霊夢「…は?」

 

 

紫「生まれ変わってみたいなぁって」

 

 

霊夢「……なんなの突然」

 

 

紫「なんか聞いてみたくなっちゃって」

 

 

霊夢「……」ジーッ

 

 

紫「…! きゃっ♪ 霊夢ったらぁ♪ そんなに見つめちゃイ~ヤ♪」

 

 

霊夢「質問に答えなさい」

 

 

紫「ええっ!? 質問してたの!?」

 

 

霊夢「あんたなら私の目を見れば分かるんでしょ?」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「他意はないわよ」

 

 

霊夢「本当かしら」

 

 

紫「私、嘘つかない」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「答えてくれる?」

 

 

霊夢「まぁいいけど、でもちょっと考えさせてもらうからね」

 

 

紫「そ…ありがと、霊夢」

 

 

霊夢「お礼は別にいらないでしょ」

 

 

霊夢(怪しすぎるけどまぁいいか)

 

 

 

 

 

霊夢「生まれ変わってみたい…か」

 

 

紫「どう?」

 

 

霊夢「う~ん……」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(生まれ変わる…私が…?)

 

 

霊夢(先ず最初に浮かんでくるのは何に生まれ変わりたいかってこと、空を見上げて鳥は自由で良いから生まれ変わってみたい…とかは良く聞く話だけど)

 

 

霊夢(鳥が自由なわけないじゃない、鳥は野性の世界で生きてるんだから意味もなく行きたいところを飛び回ってる訳じゃない…群れを成し、繁殖し、子育てする…鳥も人と同じでそれぞれだけど忙しいもんだわ)

 

 

霊夢(でも文とかミスティアとか…あっいやいや、あれは妖怪じゃないの)

 

 

霊夢(となると生まれ変わってみたい対象は自分? 私は私に満足してるんだから私に生まれ変わりたい…のかしら…? 転生…阿求みたいね)

 

 

霊夢(後は理由)

 

 

霊夢(生まれ変わりたい程の理由…様は一度死んで、死んだけどもう一度蘇ってみたいと思わせる何か)

 

 

霊夢(紫は生まれ変わってみたいかと思ったことはあるか…と聞いてきてる…私がもう一回自分に…?)

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「……紫、私は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「そんなの思ったこと一度も無いわ」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「そして私はこれからもそんなことは思わない筈よ」

 

 

紫「…どうして?」

 

 

霊夢「最初に転生すること自体に意味があって、それを義務づけられてる阿求を参考にして自己分析してみたんだけど、私には阿求みたいに転生してまで何かをしたい、しなきゃいけないなんて思わない人間なのよ」

 

 

霊夢「今の私には生まれ変わって何かしたいってものが無い、そしてこれからもこの思いは変わらないから一生そんなことは思わない」

 

 

霊夢「私は今の日常が好きだしこの日常が変わるのが嫌いだから私は転生とかには全然興味ないわね」

 

 

紫「……今は思ってないかもしれないけどまだまだあなたには無限の未来が待っているのよ? 色んな異変があなたを待ち受けているだろうし、様々な人種との出会いがあなたを待っている…喜び、悲しみ、無限の可能性…数えきれない程の感情があなたをこれから先包んで行くの」

 

 

紫「それなのにあなたは自分は変わらない、心変わりしないと言い切れるの?」

 

 

霊夢「言い切れるわよ」

 

 

紫「何故?」

 

 

霊夢「私が『心の底から生まれ変わりたい!』って言ってる姿をあんたが望んでいないから」

 

 

紫「!!」

 

 

霊夢「あんたさぁ、私が見抜けないとでも思ったの? ここに何日と、何年も顔を出してる奴の心の中なりなんなり見抜くのなんて簡単なの」

 

 

霊夢「まぁ…その…///」カアッ

 

 

霊夢「生まれ変わってみたい…なんて大抵悲劇とかから来るもんでしょ? その悲劇をあんたが黙って私に背負わせるとは…ええと…/// お、思えないのよ…!」

 

 

霊夢「だから生まれ変わってみたいなんて思ってないしこれからも思わない、思えない、思わせてくれない」

 

 

紫「…霊夢」

 

 

霊夢「それだけのことよ」

 

 

紫「…」

 

 

紫「そっか」

 

 

霊夢「そうよ」

 

 

紫「そうよね、あなたの日常は壊させないし誰も壊せない、それは私の気持ち…望んでいること…ふふっ、もしかしたらあなたの友達もそう望んでいるのかも」

 

 

紫「何で私こんなことあなたに聞いているんでしょう…ごめんなさいね霊夢、変なことを聞いてしまったわね」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「…あんたまさか私がこう答えるの分かってて質問してない?」

 

 

紫「ふふっ♪ さぁどうかしら♪」

 

 

霊夢「まぁ、別に興味ないけどさ」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…あんたはどうなのよ」

 

 

紫「私?」

 

 

霊夢「生まれ変わってみたいとか思ったことあんの?」

 

 

紫「あるわよ、何百と…数え切れないわね」

 

 

霊夢「即答すんの? てか何でそんなに思ったのよ」

 

 

紫「だってゆかりんだし♪」

 

 

霊夢「答えになってない」

 

 

紫「それもまたゆかりん♪」

 

 

霊夢「一回殴っていい?」

 

 

紫「グーは勘弁して下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「よっ…と、そろそろ帰ろうかしら♪ それじゃあね霊夢、また明日♪」

 

 

霊夢「明日も来るんかい、まぁお茶ぐらいなら出してあげるわよ」

 

 

紫「ふふっ♪ 楽しみにしてるわ」

 

 

紫「じゃあね、私の霊夢♪」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「本当に何でいきなりあんなこと聞いたのかしら…?」

 

 

霊夢「変な奴…って元から変か」

 

 

霊夢「ズズッ…! はぁ、お茶が美味い♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【スキマ空間】

 

 

紫「久し振りに会いに行こうかしら、あの子…元気かしらね」

 

 

紫「会いに行くのは良いんだけど時間がかかっちゃうのよねぇ…何せ」

 

 

紫「外の世界のちょっと先の未来だからね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【先の未来 外の世界の幻想大学】

 

 

 ここは幻想大学。

 

 まぁ幻想と言っても名ばかりで本当の幻想に存在してる訳じゃない、普通に京の都に存在している何の変鉄もない普通の大学である

 

 

 そう、大学は…

 

 

 大学自体は普通の大学であるのだがここに入学、そして教職に付いている人の何人かは普通じゃない

 

 

 

 

北白河ちゆり「…」

 

 

 

 

 

 この私、北白河ちゆりも普通じゃないらしい、私は普通に生きているつもりだったんだが、どうも普通の生き方…いや、人生を歩んでいない

 

 私は十二歳で中学を卒業、十三歳で高校を卒業、そして大学院を十五歳で卒業した。

 

 

 私は普通に学校生活を送っていくつもりだった、普通の年齢で普通の卒業をして友人関係もそこそこ、大学では遊んでバイトなりなんなりして友達作ってワイワイ遊ぶ。

 

 これが私の理想だった

 

 

 でもそんな私の理想を大人たちは聞いてはくれなかった、耳を傾けようともしてくれなかった、教師からの質問の受け答え、テストで点をとる度に職員室という入りたくもない場所に連れていかれ、親と私と教師で面談

 

 

 『この子は普通じゃない』

 『この子は普通じゃない』

 『天才だ!』

 『天才です!』

 

 

 聞き飽きたっつーの

 

 

 

 私の親も親だ、その言葉に感銘でも受けたのかなんなのか知らないけど私を一人ほっぽりだして大学院からは一人暮らし、言う言葉は決まって娘の為、私の為だから

 

 

 

 おい、本当に私の為を思うなら少しは私の話を聞いてくれ、私はあんたらの操り人形なんかじゃねぇんだから

 

 

 

 ……でも私はそれを受け入れてしまった、普通じゃないなら普通でいなきゃいい、天才と呼ばれるなら天才でいてやろう

 

 

 何でそうしたかって? そうした方が楽だからさ、余計な事を考えると私が私で無くなるからな、だから普通でいることを辞め、天才として生きることにしたんだ

 

 望むのならその望まれた通りに、色々考えんのめんどくせぇし、望みに反発すると倍になって返ってくる可能性もあるからな。

 

 

 だが…今の私はこの考えを捨てている、捨てることが出来たって言い方が正解だな

 

 

 

 

 

 

 

 話を戻そう、大学院を卒業した私は幻想大学の物理学研究所で仕事として、物理学の研究をするようになった。

 

 配属初日から物理学研究所の准教授としてだ

 

 

 まぁ最初、ここに来る前は正直ここでも私は普通扱いされないんだろうなと思ってた、優秀な成績で飛び級を重ねた北白河ちゆりが研究所准教授としてやって来る…そう思う大人達の巣窟だと思ってたからな

 

 

 

 でもその考えは研究所に配属されてから一日で変わってしまった…いや、変わってくれたんだ。

 

 

 

 上には上がいるなんて言葉は嘘くせぇと昔から思ってたんだが幻想大学の物理学研究所…そう、今私がいるこの場所

 

 

 

 

 ここには私よりも普通じゃない人がいた

 

 いてくれたって言った方がいいのかもしれない

 

 

 

 幻想大学物理学研究所の教授

 

 

 岡崎夢美

 

 

 

 この人は私よりも天才で

 

 

 

岡崎夢美「んふふふ♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

 

 私よりも普通じゃなくて

 

 

 

 

夢美「よぉし♪ 出来たよる~こと」

 

 

る~こと「あの…夢美様」

 

 

ちゆり「…」

 

 

 

 私よりも馬鹿だ

 

 

 

夢美「なんだいる~こと、どうかしたのかい?」

 

 

る~こと「私は家事専門のメイドロボです」

 

 

夢美「そんなことは製作者の私が一番良く分かっているよ~♪」

 

 

る~こと「でしたら」

 

 

 

 

 

 

る~こと「何故私にロケットパンチ、腕を射出する機能を付けたのでしょう?」

 

 

夢美「子供たちの夢だからだよ、る~こと」

 

 

ちゆり「いや、いらねぇだろ」

 

 

 

 私はこの人の側にいると自分が普通なんだ、という感覚を肌で感じることが出来るようになった

 

 この大学でなら私は普通でいられる…私が小さい頃から思い描いていた理想の北白河ちゆりになれるんだ

 

 

 

 

 

 

 【フリーダム岡崎 その一】

 

 

 

夢美「何を言うんだいちゆり君、ロケットパンチは子供たちの夢なんだよ?」

 

 

ちゆり「いやここ大学だから、それにる~こと研究室しか掃除しないからここから出ないじゃないですか」

 

 

夢美「いつかはこの研究室に子供たちが見学に来るかも知れないじゃないか、その為の機能なんだよちゆり君」

 

 

ちゆり「…聞くけど、そのロケットパンチの威力は?」

 

 

夢美「んふふふ♪ 鋼鉄だろうがダイヤモンドだろうがどんな硬いものでもぶち抜くスーパーロケットパン」

 

 

ちゆり「アホかぁぁ!!」

 

 

夢美「何を言うんだいちゆり君」

 

 

ちゆり「場所だよ場所を考えろってんだ! 危ねぇだろうが!」

 

 

る~こと「…後でこっそり外しておきましょう」

 

 

 

 

 

 【フリーダム岡崎 その二】

 

 

夢美「んふふ♪ 出来たよちゆり君」

 

 

ちゆり「…なんすかこれ」

 

 

夢美「鉛筆型ミミちゃん」

 

 

ちゆり「は?」

 

 

夢美「鉛筆型ミミちゃんだよ♪」

 

 

ちゆり「二回も言わなくていいっすよ」

 

 

夢美「だって、は? って君が冷たく言うから」

 

 

ちゆり「冷たくは言ってないんですけどね、で? これの使い道は?」

 

 

夢美「うん! よくぞ聞いてくれたねちゆり君!」

 

 

ちゆり(聞くしか道がねぇもん)

 

 

夢美「これはミミちゃんを小型化したものでね♪ 鉛筆に似せて作ってあるんだ」

 

 

夢美「この鉛筆の芯の部分がスイッチになっていてね、ここを押すと…?」スッ

 

 

 カチッ! ヒュッ! ペシッ!

 

 

ちゆり「いってっ」

 

 

夢美「と! こういう感じで中に入っている小型ミミちゃんが射出され、指定した相手に当たるわけだ♪」

 

 

ちゆり「…なぁ、私の手の甲に当たったんですけど」

 

 

夢美「前に作ったペットボトル型ミミちゃんでは威力が強すぎたからねぇ、んふふふ♪ まさか大学の中庭に風穴開けるとは思わなかったよ」

 

 

ちゆり「当たったつってんだよ、なぁ」

 

 

夢美「でねちゆり君、これの有効活用なんだけど」

 

 

ちゆり「謝れよ」

 

 

 ミミちゃんってのは教授が趣味で作る小型のミサイルだ、ミサイルの先端には可愛い顔が(教授談)描かれている

 

 ん? あぁ聞かないでくれ、教授の趣味なんだから考えたって無駄なんだ、なんでそんなもん作るのかって質問はな

 

 

 

 

 

 

 【フリーダム岡崎 その三】

 

 

 

 前言ったかも知れないけど岡崎教授は私より天才だ、何せ大学の物理学教授を十八歳という若さで勤めている

 

 聞いた話によると大学院は十二歳で卒業したらしい

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「んふふふ♪ はい、出来たよる~こと♪」

 

 

る~こと「あの…夢美様」

 

 

夢美「ん? どうしたんだいる~こと」

 

 

 

 

 

る~こと「何故私に目から瞬間冷凍ビームを射出する機能を付けたのでしょう」

 

 

ちゆり「おい、いい加減る~ことを武装兵器にするのやめろよ」

 

 

夢美「ちゆり君、君は何を言ってるんだい」

 

 

ちゆり「逆にあんたは何を作っているんだ」

 

 

夢美「こんな素晴らしい発明が理解されないなんてねぇ…しかもちゆり君に…私は悲しいよ」

 

 

ちゆり「る~ことだって理解してねぇって、なぁ?」

 

 

る~こと「はいちゆり様、私は家事専門メイドロボ、ビームを射出する必要性が分かりませんもの」

 

 

夢美「なんで分かってくれないの?」

 

 

ちゆり「逆に分かってくれる奴がいたとしたら私はそいつの側には近寄りたくねぇよ、危ねぇんだよビーム」

 

 

る~こと「同じく」

 

 

夢美「仕方ない、取り外すか…」

 

 

夢美「一匹いたら無限湧きするGと呼ばれる黒い生物を視認すると瞬間冷凍ビームで凍らせる素晴らしい発明なのに」

 

 

ちゆり、る~こと「!?」

 

 

ちゆり「る、る~こと! 取り外さなくても良いよな! なっ!?」

 

 

る~こと「は、はい! 私もあの生物には手を焼いておりましたから!」

 

 

夢美「おぉ♪ 分かってくれたかい二人とも!」

 

 

ちゆり「やるじゃん教授」

 

 

る~こと「見直しましたよ♪」

 

 

夢美「んふふふ♪ 嬉しいよ♪」

 

 

 

 たまに役に立つ発明をする

 

 

 

 

 

 【岡崎教授の素敵な食癖】

 

 

夢美「ん~ふふ~んふふ~ん♪」スッ

 

 

 ドバッ! ドボボボッ!

 

 

ちゆり(うっわまたアレ食うのかよ)

 

 

夢美「おや、ちゆり君、君もお昼かな?」

 

 

ちゆり「うん、まぁ…うん」

 

 

夢美「ちゆり君は…ほう、トマトサラダにおかかのおにぎりだね、コンビニの物とはいえ栄養とエネルギーはしっかり入るからね、そのトマトとおかかには疲労回復の成分の」

 

 

ちゆり「あのさぁ」

 

 

夢美「ん? なんだいちゆり君」

 

 

ちゆり「教授…またそれ食うの?」

 

 

夢美「また? 何を言ってるんだいちゆり君、いつも私はお昼はこれしか食べてないじゃないか、というかこれをお昼に食べないと蕁麻疹が出るんだよ?」

 

 

ちゆり「いやうん、知ってるんだけどさ」

 

 

夢美「ちゆり君? どうしたんだい?」

 

 

ちゆり「…その食べ方やめてくんない?」

 

 

夢美「食べ方? はて?」

 

 

ちゆり「そんな食べ方してる奴いないっての!」

 

 

ちゆり「なんだよそれ! どんぶりに山盛りに盛った練乳! それとその中に入っている大量の刻んだ苺!」

 

 

ちゆり「それをシリアルを食べるが如きのスピードで食うなって言ってんだ!」

 

 

夢美「あぐっんぐっ!」ムッシャムッシャ

 

 

ちゆり「食ってんじゃねぇって! 話聞けよ!」

 

 

夢美「んぐっ…! 食べ方と言うがねちゆり君、苺に練乳をかけて食べるのを練乳の海の中に苺を入れて食べる事に置き換えただけの事なんだよちゆり君」

 

 

ちゆり「絵面ぁ! 絵面がキツいんだよ! それに甘ったるい匂いが研究室覆ってて嫌なんだよ!」

 

 

夢美「部屋の中まで苺と練乳の匂い…んふふふ♪ 最高じゃないか♪」

 

 

ちゆり「嫌だっつってんだろ、人の話聞いてんのか」

 

 

夢美「なら君も苺を食べなさい♪ ほら、あーん♪」

 

 

ちゆり「マジでやめろ? 甘ったるい匂いと特盛練乳苺のダブルパンチなんかされたらどうなるか分かったもんじゃない」

 

 

夢美「幸せに…なれるんじゃないかな♪」

 

 

ちゆり「教授だけだバカ野郎」

 

 

 

 

 

 【教授の嫌いなもの】

 

 

ちゆり「教授、教授が一番嫌いなものってなんかあるんすか?」

 

 

夢美「嫌いなものかい? う~ん…毒だね」

 

 

ちゆり「毒? なんの毒すか?」

 

 

夢美「なんの? 何を言ってるんだいちゆり君」

 

 

ちゆり「ん? いや、だからどんな種類の毒が」

 

 

夢美「毒は毒だよ、毒という漢字だよ」

 

 

ちゆり「は? 漢字?」

 

 

夢美「苺と毒…」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「字面が似ていて紛らわしいのだよ!」

 

 

ちゆり「いやそんなに似てねぇだろ!」

 

 

夢美「毒と苺を書き間違えたり読み間違えたりして苦渋を飲まされた人間がどれ程いると思ってるんだいちゆり君! あぁ紛らわしい!」

 

 

ちゆり「居ねぇだろそんな奴!」

 

 

 

 

 【ちゆりの気になる人達 その一】

 

 

 私はこの大学の物理学の准教授になって本当に良かったと思っている。

 

 何故ならこの幻想大学には教授以外にも私を良い意味で普通だと思わせてくれる人がたくさんいるのだから

 

 順番に紹介していこう、先ずはこの人、幻想大学物理学研究所の研究員、メガネの人、二十歳、クールビューティー、朝倉理香子先輩

 

 

 

 

朝倉理香子「ちゆり、これ見てもらえる?」

 

 

ちゆり「はい? おっ、これは…」

 

 

理香子「えぇ、あなたの研究データから作り出してみたんだけどどうかしら?」

 

 

ちゆり「すげぇ、これならデータベースと合わせて効果的なレベルまで質量を高められますね」

 

 

理香子「ふふっ、お役に立てたかしら♪」

 

 

ちゆり「えぇとっても! ありがとうございます」

 

 

 

 この人は私が初めて尊敬という感情を抱いた人である、だから幻想大学に在籍中のこの人のことを私は敬意を表して先輩と呼んでいる

 

 え? 教授? 教授は二番目に尊敬したよ

 

 

 

夢美「理香子君、まだ足りないよ」

 

 

理香子「何がですか?」

 

 

夢美「分子の破壊エネルギーだよ、これじゃあどう頑張っても二分は掛かるよ?」

 

 

 

 まぁたまに恐ろしいもの作る人でもあるんだけど

 

 

 

理香子「入れた物を分子レベルでバラバラにする箱なんて作って意味があるんですか?」

 

 

夢美「書類処理が楽になるよ~♪」

 

 

ちゆり「そういうのはシュレッダーさんのお仕事だろ」

 

 

夢美「ちゆり君!」

 

 

ちゆり「な、何だよ」

 

 

夢美「私はねぇ…! シュレッダーさんのお仕事は奪うつもりはない!」

 

 

夢美「でも私はシュレッダーさんが最後に残していくあの紙のチリチリが大嫌いなんだ! 何故分子レベルでバラバラにしないんだ!? 私には理解できないんだよちゆり君!」

 

 

ちゆり「私には紙のチリチリが大嫌いな理由が理解できねぇんだよ教授」

 

 

理香子「分子レベルでバラバラにする箱なんて需要ないと思います」

 

 

 

 

 【ちゆりの気になる人達 その二】

 

 

 次は人…だった人だ

 

 名前はカナ カナ・アナベラル

 

 まぁ、なんつったら良いのか…

 

 

 

カナ・アナベラル「教授さん、これは?」

 

 

夢美「これは被ると透明になれる帽子だよ、こいし恋しい帽子というんだ」

 

 

カナ「へぇ~♪ でも私最初から透明だから意味ないなぁ」

 

 

夢美「そうだねぇ、まぁでもこれは凄い発明なんだよ? 透明人間にだったら工夫すれば誰にでもなれるものだけど、これは物質を透過させることで壁をすり抜ける事が出来るんだからね」

 

 

カナ「それも私出来ちゃうなぁ♪」

 

 

夢美「むむむ、物理学の難問を平然とやってのけるのは素晴らしい、けど私の努力が無駄に感じてしまうね…」

 

 

ちゆり「…」

 

 

 

 この女、騒霊である

 

 一時、研究所がポルターガイストに悩まされてた時、教授が二時間で完成させたスコープで正体を見破り、実体化させられたのがカナである、ポルターガイストの正体がこの女だなんて思いもしなかったよ

 

 見た目は…まぁ可愛いのか? 都生まれじゃなくて遠い海外の生まれらしい

 

 それと若くして死んだらしいけどどうやって死んだかは覚えてないみたいだ、年齢も不明。

 

 

 

夢美「カナ君を材料にしたら何か凄い物が作れそうな気がするんだけどね」

 

 

カナ「ちょ、ちょっと! 私の何処を材料にする気なの!?」

 

 

夢美「その半透明で消えかかっている服の切れ端を少々」

 

 

カナ「嫌だよ! お気に入りの服なんだから破くの禁止! こ、こらっ! 引っ張らないでよぉ!」

 

 

夢美「良いじゃないか、減るものでもないし」

 

 

カナ「減るよ!? 霊成分が!」

 

 

 

 何故か成仏せずにカナはここに居座っている、しかも教授が変にスコープをいじって壊したせいで私と教授と理香子先輩とその他知人にしかカナは見えていない、でもそれが救いなのかもしれない、カナが他の人にまで見える様になったら大変だからな

 

 

 

夢美「ちゆり君、ちゆり君からも言ってやってくれないかな、ほんの少しビリっと破いていただくだけなんだけど」

 

 

カナ「ち、ちゆり! 服破かれたら私外出歩け無くなっちゃうよ! 助けて!」

 

 

ちゆり「…教授、聞いていいっすか」

 

 

夢美「なんだいちゆり君」

 

 

ちゆり「確かにスコープでカナの事が見える様になったの良いんですよ、けど」

 

 

 

 

 

ちゆり「何で教授普通にカナの体に触れてんの?」

 

 

夢美、カナ「…」

 

 

カナ「えっ、ちゆり私の事触れないの!?」

 

 

ちゆり「触れる訳ないだろ! お前仮にも幽霊だろうが! ほらみろ」スッ

 

 

 ブゥンブゥン!

 

 

カナ「わぁ本当だ、すり抜けちゃうんだね」

 

 

夢美「ちゆり君、私がカナ君に触れられる理由はね」

 

 

ちゆり「…?」

 

 

夢美「……」

 

 

夢美「気合いだよ♪」

 

 

ちゆり「物理学しろよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 【ちゆりの気になる人達 その三】

 

 

小兎姫「夢美! お願いよ、助けてほしいの」

 

 

夢美「嫌だよ、私は警察が大嫌いなんだから」

 

 

小兎姫「そんなこと言わないでさぁ…! お願い今回だけでも協力してっ! この通りっ…!」

 

 

夢美「嫌だと言っているだろう、それに君の今回だけはこれで三十三回目だよ? ねぇちゆり君」

 

 

ちゆり「私に振らないでくれ」

 

 

 この人は小兎姫さん、端から見れば赤い和服を着たイイトコのお嬢様みたいな感じの人

 

 

 なんだけどこの人、こんな格好してるけど職業はなんと警察官である

 

 

 

小兎姫「捜査協力してほしいのよ! お願いします!」

 

 

夢美「あのねぇ、私も暇じゃないんだよ小兎姫君」

 

 

小兎姫「そんな他人行儀で名前呼ばないでよ、私たち友達でしょ?」

 

 

夢美「君それ本名じゃないだろう? それに親しき仲にも礼儀有りだよ、ねぇちゆり君」

 

 

ちゆり「振るなっつってんだろ」

 

 

 

 そう小兎姫ってのは本当の名前じゃない、この人は警察の中でも特殊な任務を請け負う部署に配属している、秘密捜査官の一員らしい

 

 本名と、年齢は教えてくれなかった

 

 裏で仕事を請け負うからか普段は警察官として見られてはいけないという理由から小兎姫と名乗り、和服姿でいつも出歩いているらしい

 

 

 仕事中も和服でいるのは秘密よ♪ ってこの人から聞いたけど良いのか? 色々と

 

 教授との関係は友達、何度か捜査協力してるうちに仲良くなったらしく三年来の友達みたいだ

 

 ということは十五歳で教授はこの人の捜査協力をしていることになる

 

 

 

夢美「悪いけど私はこれから『いちごとうふ』の製作に着手しなければならないんだよ、今回は諦めてくれ小兎姫君」

 

 

小兎姫「そんなぁ…」

 

 

ちゆり(またあの気味の悪い豆腐作るのかよ)

 

 

夢美「それじゃあね小兎姫君、たまには自分の力で頑張りなさい、ちゆり君、私は調理室でいちごとうふの製作をしてくるから後は頼んだよ」

 

 

ちゆり「うっ~す」

 

 

ちゆり(また調理室の人達に迷惑掛けなきゃ良いけどな)

 

 

小兎姫「はぁダメかぁ…やっぱり自分の力で頑張らないとダメなのかなぁ」

 

 

ちゆり(警察ってそういうもんなんじゃねぇの?)

 

 

ちゆり「…あの小兎姫さん、私で良かったら力になりますけど」

 

 

小兎姫「! 本当!?」

 

 

ちゆり「まぁ私が出来る範囲で、ですけど」

 

 

小兎姫「わぁ! ありがとうちゆりちゃん!」キラキラ

 

 

ちゆり「お、おう…」

 

 

ちゆり(この人絶対警察官じゃねぇだろ…でも手帳はマジもんだしなぁ……あ、私とかにこう思わせるのも仕事か?)

 

 

ちゆり「…協力する前に一つ聞いてもいいっすか?」

 

 

小兎姫「あら、何かしら?」

 

 

ちゆり「前々から気になってたんすけど教授に聞いても教えてくれなかったんです、何で教授警察が大嫌いなんですか?」

 

 

小兎姫「あぁ…ふふふっ! その事ね」

 

 

小兎姫「話してあげても良いけど私から聞いたなんて夢美に言わないでよ?」

 

 

ちゆり「分かってますよ、それで?」

 

 

小兎姫「ん~と三年ぐらい前かな、夢美が公園で警察に職務質問されたことがあってね」

 

 

ちゆり(十五歳で職質されたのかよ)

 

 

小兎姫「公園で火薬と薬品の匂いがする女の子を放っておけないでしょ?」

 

 

ちゆり(確かに十五歳で火薬と薬品の匂いがするのはやべぇな)

 

 

小兎姫「それで持ち物検査をされたらしいんだけどね、その時夢美が持ってた物が…ふふふっ…!」

 

 

ちゆり「…? !! ま、まさかその頃にはもうペットボトルサイズの小型爆弾ミミちゃんを所持していて…」

 

 

小兎姫「いちごパック三十個」

 

 

ちゆり「…は?」

 

 

小兎姫「いちごパック三十個を手提げバッグに入れて持ち歩いてたの」

 

 

ちゆり「…」

 

 

小兎姫「…いち」

 

 

ちゆり「言い直さなくて良いですよ」

 

 

小兎姫「そう? それで持ち物検査した警察官の人驚いて夢美がそれしか持ってなかったから立ち去ろうとしたんだけど、やっぱり火薬と薬品の匂いがする女の子を放っておけないから署まで補導の名目で連れてきたの」

 

 

ちゆり(驚いたんじゃなくてドン引きしたんだろうな、火薬の匂いが甘ったるい苺になったわけだし)

 

 

小兎姫「私その時に夢美と出会ったのよ、女の子なら女性警官にって私に頼んで来たの」

 

 

ちゆり「へぇ…」

 

 

小兎姫「それでね? 話をしようとしたんだけど凄く不機嫌な態度だったから『どうしたの?』って聞いてみたの、そしたら…」

 

 

ちゆり「?」

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

夢美『私はこれからこの苺たちを使って公園をいちご畑にするという素晴らしい実験をしようとしてたのだよ! それなのにあなた方警察は私の言うことに耳も傾けず、薬品、火薬臭いからと補導し、権力を盾に私の研究を邪魔したのだ! 断じてこれは許されることではないぞ! 公園をいちご畑にしようとして何が悪い!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

ちゆり「うっわぁ…」ドンビキ

 

 

小兎姫「何とか私が宥めて落ち着かせたの」

 

 

ちゆり「犯罪一歩手前だぞおい、何やってんだよバカ教授…」

 

 

小兎姫「教授も若かったのよ」

 

 

ちゆり「若かったで済めば警察いらないですって」

 

 

 

 

 【ちゆりの気になる人達 その四】

 

 

エレン「ふわぁ~♪ 綿飴買ってくれてありがとうございますぅ♪ ちゆりちゃん大好き~♪」

 

 

ちゆり「うん、どういたしまして」

 

 

エレン「ふわふわ~♪ 甘くてとってもふわふわですぅ~♪ おいすぃ~♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

 

 こいつの名前はエレン、頭の中がちょっとお花畑の女の子だ。

 

 幻想大学一年生にして年齢十五歳、エレンも天才と呼ばれるタイプの奴なのだ

 

 お花畑って言っても別に私はこいつの事をバカにしてるつもりは無い、私はこいつと良く話が合う友達…なのかもしれないな

 

 

 

エレン「あまあまですぅ♪ ちゆりちゃんも食べますか?」

 

 

ちゆり「わりぃけど甘いものは研究室だけで充分なんだよ…一人で食って良いぞ」

 

 

エレン「ほぇ? 研究室?」

 

 

ちゆり「気にすんな、気にしたら負けだ」

 

 

エレン「気になりますねぇ、でもわかりましたぁ♪」

 

 

 聞き分けが良くて素直なのも良いとこだな

 

 あ、そうそう、エレンは大学生である傍ら『ふわふわエレンの魔法のお店♪』という菓子屋を経営しているんだ、大学の近くにあるから私も良く通っている、菓子はどれも美味くて絶品なんだ

 

 ソクラテスって名前の看板猫も居てそいつのジトッとした目に心奪われて入店したって話もよく聞く

 

 因みにその店の開店資金等の援助をしたのは他でもない岡崎教授、苺に並々ならぬ情熱を注いでいるあの人とお菓子職人エレンが会ったらそりゃ仲良くなるさ

 

 

エレン「あ! そうだちゆりちゃん」

 

 

ちゆり「ん?」

 

 

エレン「最近新しいパチパチを覚えたんですけどぉ♪ 見てもらえますか?」

 

 

ちゆり「おう、良いぞ、今度はどんなんだ?」

 

 

エレン「えへへぇ♪ いきますよぉ♪ せーのっ♪ パチパチ~♪」

 

 

 パチパチッ☆

 

 

ちゆり「うおっ」

 

 

エレン「えへへ♪ はい♪」

 

 

ちゆり「ん?」

 

 

エレン「綿飴の味が変わってるはずですぅ♪ 食べてみてください♪」

 

 

ちゆり「おい、お前さっきの私の話…まぁ我慢して食うよ」

 

 

 パクッ…

 

 

ちゆり「お、すげぇ…桃の味になってる」

 

 

エレン「おぉ~♪ 成功ですぅ♪ また新しいお菓子のレパートリーが増えますねぇ♪ えへへ♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

 

 エレンが普通じゃないと私に思わせる理由は何も天才的な頭脳を持ってるってだけじゃないんだ

 

 エレンは謎の魔法が使える…いや、使えてしまうと言った方が聞こえは良いのかもな、現代的には

 

 手のひらから火の玉を出したりとかそういう物は使えないらしい、さっきのパチパチってのは食べ物の味を変える魔法だ、他にもふわふわってのがあってこっちは食べ物を食ったときの食感を変えてしまう魔法なんだ

 

 他にも変な魔法が使えるらしいけど試した事が無いから分からんらしい。

 

 因みに自分が信頼している人にしか魔法を見せたことが無いらしい…私を信頼してくれているのは…まぁ嬉しいな、うん

 

 

ちゆり「…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

夢美『私は非科学的な物は信じる方だよちゆり君』

 

 

ちゆり『え? そこは普通信じないもんなんじゃないんすか?』

 

 

夢美『エレン君や理香子君の魔法の原理をどう説明しろと言うんだい? いくら私でもそれは不可能なのだよ、マジックパワーだよマジックパワー』

 

 

ちゆり『物理学の教授が言っていい言葉なのか分からないけど意外にそういうの許容出来るんすね』

 

 

夢美『私の頭は常に柔らかいからねぇ♪ 無理なものは無理! 切り替えが大事なのだよちゆり君、分からない物に拘り続けていては前には進めないのだよ、君がどう思うかは君の自由だが常に前を向いて物事に着手し続けてほしいと思っているよ♪』

 

 

ちゆり『…』

 

 

ちゆり(へぇ~…カッコいいとこあんじゃん)

 

 

ちゆり(…ん? 理香子先輩の魔法…?)

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

エレン「次はどんなお菓子を作りましょうかねぇ♪ ちゆりちゃん、何かアイデアありますかぁ?」

 

 

ちゆり「…いちごとうふ」

 

 

エレン「お豆腐はいちごではありませんよぉ? それにお菓子でも無いと思いますよぉ」

 

 

ちゆり「…わりぃ、今の無しで」

 

 

エレン「ほ~?」

 

 

ちゆり「やっぱりねぇよなぁ♪ いちごとうふなんて、さ♪」

 

 

 エレンといると不思議と笑顔になってる自分がいる

 

 

 

 

 【ちゆりの気になる人達 その五】

 

 

宇佐見蓮子「教授! 頼んでいた資料作ってくれましたか!?」

 

 

夢美「うん? あぁ、出来ているよ蓮子君♪ はいこれ」スッ

 

 

ちゆり「…」

 

 

 この人は宇佐見蓮子さん、この大学のオカルトサークルである秘封倶楽部の部長さんだ

 

 超統一物理学専攻でちょくちょくこの研究室に訪れている、最近ひも理論の研究をしているらしい

 

 『星を見ただけで今の時間が分かり、月を見ただけで今居る場所が分かる能力を持っている』

 

 って教授が言ってたけどマジなのかな…? だとしたらこの人も普通じゃない

 

 

 

蓮子「! おぉ~…こ、こんなにたくさん…!」

 

 

夢美「物理学的な統計、心理学的な統計とあらゆる学問からの観点から導き出したデータだよ♪ きっと君の助けになるだろう」

 

 

蓮子「ありがとうございます! 本当に助かります! うおぉぉ…! こ、これだけあれば…! これだけでも捗りそうだなぁ♪」

 

 

ちゆり(? そういや…なんのデータだ?)チラッ

 

 

 

 『マエリベリー・ハーンを口説き落とす二百の方法とその実践方法、及び、その後の対応と婚約に至るまでのプロセス』

 

 

 

ちゆり「お``っ…!!?」

 

 

蓮子「教授、その…このデータの報酬の事なんですが」

 

 

夢美「あぁ、それなら無料で良いよ♪ 私も人間観察をしてデータをとるのは久し振りだったからね、私自身とっても良い刺激になったからお礼も込めてタダで良いよ~♪」

 

 

蓮子「いいえ! せっかくですけど教授がここまでしてくれたんだから私も何かお礼をさせてください!」ゴソゴソ

 

 

蓮子「これ、秘封倶楽部で調査してる物をデータ化して資料にしてみました、良かったら読んでみてください」

 

 

夢美「お、嬉しいね♪ こういう見たことないデータは大好きだよ、ありがとう蓮子君、目を通しておくよ」

 

 

蓮子「はい! それでは教授、ありがとうございました!」

 

 

夢美「うん、君の想いが成就することを祈っているよ」

 

 

蓮子「はい♪ ちゆりちゃんもまたね♪」

 

 

ちゆり「お…おう…」 

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「幻想郷…? と読むのかな? ほうほう♪ 中々興味深いね」

 

 

ちゆり「教授…あのさぁ…」

 

 

夢美「ちゆり君、私は恋愛経験が無いから愛だの恋だのは表面的なデータからしか情報を得られないけど」

 

 

夢美「恋愛の対象は人それぞれだよ♪ 中には物、建築物そのものを本当の夫や妻の様に見立て愛してしまう人間もいるのだからね、それを病気と判断する者もいるけど私はそんなことはしない、恋愛は自由で良いんだよ♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「んふふふ♪ ちゆり君もいつかは素敵な恋愛が出来ると良いねぇ♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

ちゆり(で、出来れば普通の恋愛を…! い、いや…うん)

 

 

 

 

 【ちゆりの気になる人達 その六】

 

 

マエリベリー・ハーン(メリー)「教授さん! 私が頼んでいた資料作っていただけましたか!?」

 

 

夢美「うん? あぁ出来ているよハーン君、はいこれ」

 

 

ちゆり「…」

 

 

 この人はマエリベリー・ハーン

 

 

 通称メリー…メリーさんだ

 

 メリーさんっつっても電話のアレじゃないことだけは断言しておく、名前から分かると思うけど外国の人で出身国は分からないけど日本語はペラペラだ

 

 大学の専攻分野は相対性精神学、この人もあのオカルトサークルの秘封倶楽部の部長さんなんだ、蓮子さんと二人でやってるみたいだな

 

 『境界の境目が見える能力』を持っているらしい…

 

 言い方は悪いけど人間が持っていい能力のレベルを越えている様な気がするな

 

 

 

メリー「! わぁ♪ こんなにたくさん調べていただいたんですね」

 

 

夢美「物理学的な統計、精神学的な統計とあらゆる観点から導き出したデータだよ♪ きっと君の助けになるだろうね♪」

 

 

メリー「ありがとうございます! 本当に助かります! うふふっ♪ これだけあれば…ふふふっ…あぁ、これだけでも捗りそうね♪」

 

 

ちゆり(…えっ、なんかデジャブなんだけど)

 

 

ちゆり(い、一応なんのデータなのかを…!)チラッ

 

 

 

『宇佐見蓮子と婚約後、家庭を円満に導く二百の方法と対策、十年後、二十年後と続く家庭の問題、その他対応マニュアル(おしどり夫婦バージョン)』

 

 

 

ちゆり「い``っ…!!?」

 

 

メリー「教授さん、あの…このデータの報酬の件なのですが…」

 

 

夢美「あぁ、それなら無料で良いよ~♪ 私もいつか家庭を持つのかなぁと妄想しながらデータ化したお陰で良い脳の運動になったからね、そのお礼も込めてタダで良いよ♪」

 

 

メリー「いえ、教授さんがここまでしてくださったのですから私も何かお礼をさせていただきます」ゴソゴソ

 

 

メリー「これなんて如何でしょう、私と蓮子が秘封倶楽部で調査している物をデータ化して資料にしたものなのですが」

 

 

夢美「おぉ、私は読み物が大好きだからね、せっかくだからいただいておくよ、ありがとうハーン君」

 

 

メリー「はい! こちらこそありがとうございました!」

 

 

夢美「うん、君の想いが成就することを祈っているよ」

 

 

メリー「はい、それじゃちゆりちゃんもさようなら♪」

 

 

ちゆり「お、おう…」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「ふむふむ、なるほどねぇ…過去の境界の綻びが幻想の扉を…? いや、これは興味深い」

 

 

ちゆり「…教授」

 

 

夢美「ちゆり君、この場合私は愛のキューピッドになってしまうのかな? んふふ♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「ハーン君と蓮子君の結婚式は何時だろうね♪」

 

 

ちゆり「そう遠く無い…のかな?」

 

 

 

 周りが個性的過ぎて天才天才言われてた私が霞むんだよ、それが私には心地いんだ

 

 北白河ちゆりは幻想大学の准教授

 

 あぁ、これがちょうど良い

 

 

 

 

 

 【理香子先輩の秘密】

 

 

ちゆり「理香子先輩もエレンみたいに魔法が使えるんすか?」

 

 

理香子「!?」

 

 

ちゆり「なんか教授がしれっと言ってた様な気がするんすよ、で、どうなんすか?」

 

 

理香子「…」ダラダラ

 

 

ちゆり「? 理香子先輩?」

 

 

理香子「つ、つつっつ使えるわけないじゃない! 本当にあの人は何を言ってるのかしらね! オホホホ!」

 

 

ちゆり(動揺を隠す努力が見受けられねぇだと!?)

 

 

 

 

 【る~ことの秘密】

 

 

ちゆり「る~ことってさ、何でる~ことって名前なんだ?」

 

 

る~こと「ルンルン楽しそうにお仕事してくれたら良いなぁ♪ という理由で教授が付けたそうですよ」

 

 

ちゆり「『ルンルンお仕事』…で、る~ことか」

 

 

る~こと「はい♪」

 

 

ちゆり「安直だけど可愛いよな、名前」

 

 

る~こと「ふふふ♪ ありがとうございます♪」

 

 

 

 

 【エレンとカナ】

 

 

カナ「エレン! 教授が私の事を研究したがるのをやめさせたいんだけど何か良い方法ない?」

 

 

エレン「う~ん、そーですねぇ」

 

 

ちゆり「…」

 

 

エレン「…」

 

 

エレン「あっ♪ カナちゃんが成仏すれば良いんじゃないですかぁ?」

 

 

カナ「えぇっ!? そ、そんなぁ~!」

 

 

エレン「お日様にふわふわ~って飛んで行くだけで良いと思うんですけどぉ♪」

 

 

カナ「い・や! まだまだここに居たいの!」

 

 

ちゆり「天然で言ってるんだよな? エレン」

 

 

ちゆり(てか何でマジで成仏しないんだよ、未練か何かあんのか?)

 

 

ちゆり(…未練があったからポルターガイストしてた、ってことも考えられるか)

 

 

 

 

 【教授ちゃん】

 

 

理香子「ちゆり、ちゆりの思う教授の子供っぽいところって何処?」

 

 

ちゆり「…」

 

 

ちゆり「子供用のいちご味の歯みがき粉で歯磨きするとこです」

 

 

理香子「あぁ…」

 

 

夢美「凄いよね♪ 歯磨き中も口いっぱいに苺だよ♪ ほら♪ ちゆり君もこれで歯を磨こう♪」

 

 

ちゆり「居たのかよ」

 

 

理香子「聞いてたんですか?」

 

 

夢美「なんか冷たいね、君たち」

 

 

 

 

 【秘封倶楽部は相思相愛】

 

 

蓮子「はい♪ メリー、あーん♪」

 

 

メリー「あ~ん♪ んむっはむっ…ん~♪ 美味しい~♪」

 

 

メリー「はい、蓮子も♪ あーん♪」

 

 

蓮子「あーん♪ んむんむ…ん~♪ 美味しいわ♪」

 

 

ちゆり、夢美「…」

 

 

ちゆり「何で朝っぱらから研究室でパフェの食べさせ合いを見せ付けられにゃあならねぇのよ」

 

 

夢美「…」

 

 

ちゆり「甘い物と空間は練乳いちごでこりごりなんだよなぁ…教授、教授からもなんか言ってやってくれよ」

 

 

夢美「何故…」

 

 

ちゆり「ん?」

 

 

夢美「何故いちごパフェで食べさせ合わないんだ!」

 

 

ちゆり「そこじゃねぇよ言うと思ったけどさぁ!」

 

 

 

 

 

 

 【フリーダム北白河!? その一】

 

 

ちゆり「ん?」

 

 

 

 『押してはいけないよちゆり君、絶対に押してはいけないボタンだからねちゆり君』

 

 

 

ちゆり「あっはっは…押せってか? あぁん?」イラッ

 

 

ちゆり「良いよ押してやるよ! どんとこいだ!」スッ

 

 

 ポチッ!

 

 

ちゆり「…? ……あれ?」

 

 

 シーン…

 

 

ちゆり「……何だ? 珍しいな、何も起き…!」

 

 

 ドクンッ!

 

 

ちゆり「!? な、なん…!」ユラァ

 

 

ちゆり(い、意識が……うっ…)

 

 

 ドサッ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢美「んっ……あ、あれ?」

 

 

夢美「私どうしたんだ…何でこんなとこで寝て…」

 

 

夢美「…確かあの変なスイッチを押し」

 

 

ちゆり「おぉ! これがちゆり君の感覚かぁ♪」

 

 

夢美「…えっ?」

 

 

ちゆり「んふふふ♪ ちゆり君、押したね? 押してしまったんだねちゆり君♪」

 

 

夢美「は…? えっ…!?」

 

 

ちゆり「入れ替わりスイッチだよ~♪ いやぁ、まさか本当に成功するとはねぇ♪」

 

 

夢美「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢美「はあぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

 

 【フリーダム北白河!? その二】

 

 

夢美(INちゆり)「ふざけんなよ教授くらぁ!!」

 

 

ちゆり(IN夢美)「教授? どうしたんすか? 私みたいな言葉使いして」

 

 

夢美「さっそくなりきるんじゃねぇよ! 適応し過ぎだろ!」

 

 

ちゆり「…ちゆり君、君ちゃんと食べてるのかい? この年でこの体はちょっと細すぎるよ、あっでも意外に胸は」

 

 

夢美「やめろやめろ! おいこらぁ! 勝手に人の体に触んな!」

 

 

ちゆり「ちゆり君…せっかく成功したんだから少しはこの状況を楽しもうじゃないか、んふふふ♪」

 

 

夢美「喋んなバカ教授…! 私の体でちゆり君って言うな…! なんか気持ちわりぃ…」プルプル

 

 

ちゆり「そんなことよりさぁちゆり君♪ 入れ替わった原理なんだけどね?」

 

 

夢美「人の話聞けっての!」

 

 

ちゆり「このスイッチは押すとその人間の脳波と電波を登録するという機能が備わっているんだよ、そして押す回数に仕掛けがしてある、一回目は登録、二回目は登録と登録した物二人へ登録した電波と脳波を放出」

 

 

ちゆり「ちゆり君の電波と脳波を私に、私にちゆり君の電波と脳波を放出したんだよ、人間の脳は電気信号でやり取りしてるからねぇ♪ 入れ替わりなんて簡単簡単♪」

 

 

夢美「……で?」

 

 

ちゆり「うん?」

 

 

夢美「そのスイッチ何処にやった」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「…」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「…」

 

 

ちゆり「んふふふ♪ そんなことを教える教授が何処に」

 

 

夢美「右ポケットか!? …! 左!」

 

 

ちゆり「! ちゆり君!!」

 

 

夢美「あぁん!?」

 

 

ちゆり「ダメだ!! 左ポケットはダメだ!」

 

 

夢美「はぁ!?」

 

 

ちゆり「少しでも力の加減を間違えたら爆発するよ!!」

 

 

夢美「なにがだよ!!」

 

 

ちゆり「わ…私の…い、いちごとうふ!」

 

 

夢美「……ふんっ…!!」ズボッ

 

 

ちゆり「ああっ!!?」

 

 

 

 

 【フリーダムだった北白河 その三】

 

 

理香子「それで左ポケットにスイッチ入ってたのね、良かったわね、元に戻れて」

 

 

ちゆり「マジで悪夢でした…」

 

 

夢美「そんな酷いこと言わなくたって良いじゃないかちゆり君♪ 私はちゆり君にほんの数分なれただけでも凄く嬉しかったんだよ♪ しかも実験は大成こ」

 

 

ちゆり「!!」ギロッ

 

 

夢美「うっ…! そ、そんな怖い顔しないでほしいなぁ…♪」

 

 

ちゆり「…」

 

 

理香子「少しは反省なさってください、教授」

 

 

夢美「……すまなかったねちゆり君、君の同意を得てから試すべきだったね」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「ごめんね…ちゆり君」

 

 

ちゆり「…ふん」

 

 

夢美「…」

 

 

理香子「…」

 

 

ちゆり「…」

 

 

ちゆり「…ったくよぉ」

 

 

夢美「…!」

 

 

ちゆり「教授っていつも口の中甘いのか? 喋ってる時常にいちごの味がしてたぞ?」

 

 

ちゆり「それと教授、私のこと細すぎるとかなんとか言ってたけど教授だって細すぎるからな? 練乳いちご丼をあんなに食くってるのに体が太らないのが不思議だよ」

 

 

夢美「ちゆり君…」

 

 

ちゆり「…/// 少しはいちご以外の食い物も食えよ…体壊すぞ…///」

 

 

理香子「…」ホッ

 

 

夢美「…」

 

 

ちゆり「…」

 

 

夢美「…ちゆり君」

 

 

ちゆり「…?」

 

 

夢美「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢美「ごめん、いちごを食べないとそれこそ本当に体を壊してしまうよ」

 

 

ちゆり「だと思ったよちくしょう!」

 

 

理香子「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【?????】

 

 

 ここは 幻想大学の屋上

 

 

 

 

メリー「あ、あのっ!!」

 

 

紫「……」

 

 

メリー「あ、あなたは誰…なんですか…?」

 

 

紫「…」

 

 

メリー「あなたは…あなたは境界の境目が不安定になると決まって私の目に前に現れる、その境界の綻びを私は感じ取れてしまう」

 

 

メリー「そしてあなたは私と会話をする…それが何回もあった、数えきれない程たくさんの話をした…筈」

 

 

紫「…」

 

 

メリー「あなたと会って、あなたと何か会話をしたという断片的なものしか思い出せないのよ」

 

 

メリー「まるで…境界の境目に切り取られたみたいに…」

 

 

紫「…」

 

 

メリー「正直あなたの顔も名前も知らない…でも」

 

 

メリー「あなたが現れると会わなければいけない…! この得体のしれない感情はなんなんですか!?」

 

 

メリー「あなたは私の……私の…」

 

 

メリー「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「私の顔、名前、交わした会話…何一つ覚えていないのに…あなたの何が私を覚えているのかしら」

 

 

メリー「!」

 

 

紫「あなたの言う境界の境目が不安定な事と何か関係があるのかしら」

 

 

紫「その得体のしれない感情、何処から沸き上がってくるの?」

 

 

メリー「だ、だからそれを」

 

 

紫「知ってどうするつもりなの? また忘れてしまうかもしれないわよ?」

 

 

メリー「…」

 

 

紫「知ることに意味はない、けど知りすぎるとその意味を持つ」

 

 

紫「意味は形を成し、あなたの事を蝕んで行く…耐えられない苦痛と恐怖」

 

 

紫「なら忘れた方がいいでしょう? それがあなたの心を蝕む膿であるのなら出し切らないと」

 

 

メリー「……なら、何であなたは私の目の前に現れるんですか」

 

 

メリー「あなたが私に意味と苦痛と恐怖を与える者であるなら…あなたは私をどうしたいんですか」

 

 

紫「…」

 

 

メリー「…」

 

 

紫「あなたのことを苦しませて弄ぼうなんて考えたことは無いわ」

 

 

紫「私はあなたに会いに来た、それだけよ」

 

 

メリー「!」

 

 

メリー「会いに来た…? なら何で…私は…」

 

 

紫「境界の境目が不安定になると決まって現れる者、そんなものの存在を覚えていてはいけないのよ」

 

 

メリー「何故…ですか」

 

 

紫「あなたは考えたことはある? 自分が何者なのかを」

 

 

メリー「えっ…?」

 

 

紫「カードには表と裏があるのよ、愛や憎しみ、生と死の様に、すべては同じ物なの」

 

 

紫「あなたは自分を否定したことがあるかしら、得体のしれない私を否定してみたい?」

 

 

紫「私は自分を否定しない、あなたのことも否定しない」

 

 

紫「私を否定することは自分を否定することと同じ、私が私を否定しても同じこと」

 

 

メリー「な、何を…」

 

 

紫「私は罪を犯したけれど代わりに得たものがある」

 

 

メリー「罪…?」

 

 

紫「得たものは隔たりの無い愛情…そして犯した罪を否定したらあなたたち二人の否定に繋がる」

 

 

メリー「! れ、蓮子の…ことですか!?」

 

 

紫「私は罪と向かい合わなければならないの、死ぬまでずっとね」

 

 

メリー「質問に答えてください! 蓮子もあなたに関係があるんですか!?」

 

 

紫「……ごめんなさいね」スッ

 

 

メリー「えっ…!? きゃっ…!?」

 

 

紫「もう行かないといけないの…」

 

 

 紫はメリーを優しく抱き締めた

 

 

メリー「…! …!! あ、あなたは…!」

 

 

紫「何でこうなっちゃうのかしらね、私はただあなたに会いたかったから会いに来てるだけなのに」

 

 

紫「普段の私からは想像も付かないわね♪」

 

 

メリー(! 雰囲気が変わった…!)

 

 

紫「でも罪は罪…私はこれからも罪と向き合う、その戒めを自分でしたいだけなのにね」

 

 

メリー「戒め…?」

 

 

紫「…」

 

 

メリー「あなたの言う…罪って…?」

 

 

紫「許されない罪…私の大切な人との約束を破った罪」

 

 

メリー「大切な人…?」

 

 

紫「私が心から愛した人間よ」

 

 

メリー「人間…」

 

 

紫「さぁそろそろお別れ…」

 

 

紫「ごめんなさい…そしてありがとう」

 

 

紫「マエリベリー・ハーン…あなたの大切な人といつまでも仲良くね」

 

 

メリー「!!」

 

 

紫「…」

 

 

紫「お休みなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おーい

 

 

メリー「…」

 

 

 おーいって…

 

 

メリー「んっ…」

 

 

 ちょっと? メリー?

 

 

メリー「れ、蓮子ぉ…そこはぁ…んっ…」

 

 

 !? ちょっとちょっと! メリーってば!!

 

 

 起きなさい! メリー!

 

 

メリー「!? はっ…!?」ガバッ

 

 

蓮子「お、起きた? メリー」

 

 

メリー「れ、れん…こ?」

 

 

蓮子「はい、正真正銘の蓮子さんですよ」

 

 

メリー「…ここは?」

 

 

蓮子「大学の屋上だよ、てかメリー…あんたよくこんなところで寝られるわね」

 

 

メリー「…寝てた?」

 

 

蓮子「そうよ、寝てたのよここで」

 

 

メリー「…」

 

 

蓮子「まったく、あんたがいないから心配して探してたのにこんなところでお昼寝とはね…あ~あ心配しちゃって損しちゃったかなぁ」

 

 

メリー「…」

 

 

蓮子「…! な、な~んちゃって! 冗談よメリー」

 

 

蓮子「マジで心配したのよ…? 大丈夫? メリー」

 

 

メリー「…ねぇ、蓮子」

 

 

蓮子「う、うん?」

 

 

メリー「私から否定されたら…悲しい…?」

 

 

蓮子「えっ…私メリーに否定されてたの…? うっわぁ…つれぇわ…」

 

 

メリー「ち、違うわよ! もしもの話よ!」

 

 

蓮子「もしもの話だとしてもその質問はキツイわ」

 

 

メリー「真面目に答えてよぉ!」

 

 

蓮子「そりゃあ悲しいわよ」

 

 

メリー「!」

 

 

蓮子「逆に聞くけど私がメリーのこと否定したら?」

 

 

メリー「か、悲しいわよ! あなたに否定されたら生きてけないもん!」

 

 

蓮子「少し大袈裟な…まぁそういうことよ」

 

 

蓮子「何でいきなりそんなこと聞いたか知らないけど、あんたを否定するなんてありえないっての」

 

 

メリー「ほ、本当?」

 

 

蓮子「信用してよ」

 

 

メリー「…」

 

 

メリー「…うん、信用する」

 

 

蓮子「…ねぇ、本当に大丈夫なの? いきなり変な質問したと思ったら急にブルー入っちゃってるけど」

 

 

メリー「大丈夫だよ…」

 

 

蓮子「そんな風には見えないんだけど」

 

 

メリー「だ、大丈夫大丈夫! ほら♪ メリーさんだよぉ♪」

 

 

蓮子「…」

 

 

メリー「わ、私メリーさん! 今あなたの目の前にいるの♪」

 

 

蓮子「…うりゃ」スッ

 

 

メリー「あいたっ!?」トスッ

 

 

蓮子「そんなもの当たり前でしょ、現に今いるんだから」

 

 

メリー「う、うおぉぉ…! れ、蓮子にチョップされた…痛い…!」

 

 

蓮子「…ねぇねぇメリーさん?」

 

 

メリー「は、はい?」

 

 

蓮子「あんたはこれからずっと…何処に居たいですか?」

 

 

メリー「! …ふふっ」

 

 

メリー「私、メリーさん♪ これからも蓮子の側にずっと…ずーっといるの♪」

 

 

蓮子「…ふふっ、そうなのね」

 

 

メリー「そーなのよー♪」

 

 

蓮子「…だったらさ」

 

 

 

 

 

蓮子「屋上で寝るなんてバカな事はしないでよ?」

 

 

メリー「うっ…! き、気を付けます…!」

 

 

蓮子「ふふっ…♪ ほら、帰ろっ! メリー!」

 

 

メリー「! うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつまでもお幸せにね

 

 

 メリー 蓮子

 

 

 さようなら 私の───── ふふっ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 






 ここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れさまでした!


 夢美たちは直接幻想郷と関係ありませんが、蓮子とメリーから幻想郷のデータを貰っているのでいつか時を越えて幻想郷に遊びに来るかもしれません

 夢美ならタイムマシンぐらい簡単に作れるでしょう。



 紫とメリーの関係は二人の会話のシーンで何か含みを持たせるためにわざとなんだか良く分からないように書きました、ヒント的な物を下の方に置いておきますが『ある意味完全に東方紫藍談の裏設定です、本編には一切影響しません』






































 紫とメリーには同じ血が流れているがメリーの血に妖怪としての血は一切流れていない、メリーが紫に会うたびに記憶を消されているのに紫を感じて接触出来るのはその為で境界の綻びを見つけられるのも同じ。

 紫が罪を犯すのは紫の元居た時間から八十年後、その時、一度外の世界に出てあることをしてしまった。

 紫の大切な人間とメリーの大切な人にはある共通点が存在している。

 紫は境界を操る程度の能力を持っている事をメリーは体で覚えている。

 メリーとメリーの大切な人はある意味被害者であり、存在自体が現在の幻想郷にとって望ましくないものであり有り得ないことでもあり、掟やぶりでもある。

 現在の紫は未来の世界に存在しているメリーとメリーの大切な人との関係が羨ましい。

 紫がメリーに会いに行く理由は自分を戒めるため。

 紫はメリーの大切な人に接触することを自分で禁じている。

 


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《第15談》魅魔は皆に感謝したい



 今回は【○○編】というように分けて物語を作りました。

 順番としては以下のようになります


【夢の世界編】
【魔界編】
【幻想郷編】


 最近魔理沙関係のお話が多かった都合上、魅魔がでずっぱり状態でした。

 魅魔は特殊なポジションにいるので幻想郷を影から見守る(魔理沙も)存在として、何かしらの物語に関わって来るかもしれません。



 またこのお話は

 《短編スペシャルその3》冬眠ゆかりんと夢の世界と魅魔様と

 【霧雨魔理沙の日常】『普通の魔法使い』

 の二つのお話と繋がりがあり、今回のお話はこの二つの後日談になってます、そちらから先に読んでいただくと物語を楽しめる様になってます。



 それでは始まります♪




 

 

 【夢の世界編】

 

 

 《魅魔から感謝を込めて その一》

 

 

 

魅魔「ありがとうなドレミー、魔理沙に会えたのはお前のお陰だよ」

 

 

ドレミー・スイート「いえいえ、私は何もしていませんよ、私は紫さんに頼まれて夢の世界に魅魔さんを放り込んだだけですからねぇ」

 

 

魅魔「それだよ、それがお前にしか出来ない事なんだからよ、本当に感謝してる…ありがとうドレミー」

 

 

ドレミー「ふふっ、夢の中という間接的な場ではありましたが会えて良かったですねぇ」

 

 

魅魔「あぁ…本当にな」

 

 

ドレミー「魅魔さん…最初、私はあなたと魔理沙さんを会わせてあげたいとかそういう気持ちは無かったんです」

 

 

ドレミー「ただ紫さんが…あの紫さんが私に熱心に頭を下げて頼み込んできたんですよ『魅魔を助けてあげたいから協力してほしい』と」

 

 

魅魔「…!」

 

 

ドレミー「ふふっ、信じられないでしょう? 夢の事にしか興味の無い私でも情が移りましてね、その時思ったんです、あなたと魔理沙さんを会わせてあげたいとね」

 

 

魅魔「ふっ…そうか…!」ニコッ

 

 

ドレミー「ふふっ、お互い紫さんには振り回されてますねぇ」

 

 

魅魔「あははっそうだな、あいつには振り回されっぱなしだよ…だけどそのお陰で助かってるから文句の一つも言えやしないぜ」

 

 

ドレミー「ですねぇ、ふふっ…♪」

 

 

ドレミー(夢の中であったとしても起こったことは現実…アレは本来やってはいけないタブーなんですけどねぇ)

 

 

ドレミー(興味が無いと言いつつも私の心の何処かでは引っ掛かっていたのかもしれませんね、だから紫さんに協力した)

 

 

ドレミー(まぁ、人助けのために夢を扱うのも悪くないのかもしれませんね)

 

 

ドレミー(たまには私も生身で幻想郷に遊びに行きましょうかねぇ♪ 良いですか? 紫さん♪)

 

 

 

 

 

 《サグメとドレミー その一》

 

 

稀神サグメ「…」ソワソワ

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「…」チラッ

 

 

ドレミー「さっきからなにをソワソワしてるんですか」

 

 

サグメ「いや…その…」

 

 

ドレミー「…?」

 

 

サグメ「し、してたか…? ソワソワ」

 

 

ドレミー「今ものすごくソワソワしてましたよ? まるで何かを私に言いたそうに、何かを伝えたいという気持ちが溢れんばかりに私の方をチラチラと見ながらですね」

 

 

サグメ「伝えたい、か」

 

 

ドレミー「お話したい事があるならどうぞ?」

 

 

サグメ「聞いてくれるか?」

 

 

ドレミー「良いですよ? ここならあなたの能力は発動しないですし今あなたの本体は眠っているんでしょう? 夜はまだまだ長いですからねぇ」

 

 

サグメ「…すまない」

 

 

ドレミー「それで? 何を話して下さるんです?」

 

 

サグメ「じ、実はな…?」

 

 

ドレミー「はい」

 

 

サグメ「と、とと…」

 

 

ドレミー「?」

 

 

サグメ「と、友が…」

 

 

ドレミー「とも?」

 

 

サグメ「友が…で、出来たんだ」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「…」

 

 

ドレミー「あぁお友達ですか、あなたのお住まいの月の玉兎の誰かさん、ですか?」

 

 

サグメ「いや、そうではない」

 

 

ドレミー「?」

 

 

サグメ「前に幻想郷に豊姫達と行ったんだが…ワープ装置の故障で私だけ幻想郷の人里に飛ばされてしまったんだが」

 

 

サグメ「その時…色々と出会いがあって友になったというか、なってくれたというか」

 

 

サグメ「と、とりあえず友達が出来た…幻想郷で初めて…」

 

 

ドレミー「……へぇ…♪」ニヤリ

 

 

サグメ「な、何だ…?」

 

 

ドレミー「無口で寡黙なあなたにもやっと友達が出来たんだなぁと思いましてねぇ♪ いやぁ感心感心♪」

 

 

サグメ「バッ…/// バカにしないでくれ、私だって友ぐらい作れるさ」

 

 

ドレミー「玉兎に命令を出すのも億劫と言っていた頃のサグメさんはもうこの世にはいないんですねぇ♪」

 

 

サグメ「その話はやめてくれ…」

 

 

 

 

 《サグメとドレミー そのニ》

 

 

 

ドレミー「で? 誰なんです? そのお友だちとやらは」

 

 

サグメ「とても個性的な三人だ、私が最初出会ったときは色々と問題があって『どうなる事やら』と思った物だが何かしらの波長…が合うのか初対面であったにも関わらず直ぐに打ち解けてな、その輪の中に自然と私も…という感じで仲良くなったのだ」

 

 

ドレミー(ほぉ、三人も…)

 

 

ドレミー「波長ねぇ…ではサグメさんもその波長に合ったということなんでしょうかねぇ?」

 

 

サグメ(! こ、ここか!?)スッ

 

 

サグメ「そ、そーなのかー!」シュビッ!

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「…」

 

 

 

 

 

 

サグメ「えっ」

 

 

ドレミー「はい?」

 

 

サグメ「や、やってくれないのか!?」

 

 

ドレミー「いきなり訳の分からないことやらないでくださいよ、紫さんじゃあるまいし」

 

 

サグメ(や、やはりルーミアと仲良くなってることがトリガーなのか…!? それとも私には荷が重いのか…)

 

 

 

 

 《サグメとドレミー その三》

 

 

ドレミー「ほぉほぉ…雷鼓さん、布都さん、ルーミアさんですか、その方たちのことをあなたはどう思ってるんですか?」

 

 

サグメ「!! 聞いてくれるか!?」キラキラ

 

 

ドレミー「え、えぇ…聞かせてください?」

 

 

ドレミー(こんなキラキラとした表情は初めて見ますねぇ…あっ、そうか…月でお友だちのことを誰かに言いたくても言えないですもんねぇ、立場的な意味でも能力的な意味でも)

 

 

 

 

サグメ「先ず雷鼓だが…赤髪のショートカット、和太鼓の付喪神で音楽家だ、一言で彼女を例えるとしたら『頼れるお姉さん』がしっくりくるだろうな、場の空気を読むのがとても上手く鋭い洞察力も持っているな、時折…いや、頻繁に音楽用語で物を例える癖を持っているな、私は音楽家の感性というものは良く分からないのだがそれも彼女の大切な長所だと思う、それと…そうだな、少し色気があると思う、これも音楽家には必要な要素だろう…幻想郷には娯楽が多いそうでな、音楽の分野で彼女は幻想郷に娯楽をもたらしているのだろう、音楽活動の際にはリーダーを務める事が多いそうだ、彼女の熱いビートには誰にも敵わないだろうな」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「次は布都だな…銀の髪をしている尸解仙だ、自ら死を選び、穢れから解放された者だ、穢れを嫌うという点では我ら月の民に通ずる物があるだろう、私はそこに少しシンパシーを感じた、一緒にされては嫌…かもしれなかったので言いはしなかったが、彼女は少し天然なところがあって場に流されやすい様だ、考え方が古典的なところがあるが自らそれを認め、自ら現代の風習に溶け込もうとするその姿勢は私も学ぶべきところがある、どんなことにも屈さぬ勇気があるのだろう、また自信過剰な部分もあるがそこから溢れる彼女の器の大きさに救われた者もいるのではないだろうか、色々とたくましいという言葉が似合うかもしれないな」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「最後はルーミアだ…金髪のショート、宵闇の妖怪らしい…のだが私には彼女が太陽の様に感じたよ、感じた理由としてはその性格だ、どんな時でも場を和ませる天真爛漫なところで明るく、純真…その言葉の体現者だと言っても過言ではないのかもしれないな…それと彼女には他の者には無い魅力を感じたんだ、私が先ほどやった『そーなのかー』から始まる魔法の言葉が良い例だろう、『そーなのかー、そーなのだー、わはー』の流れはこの私の口を無意識に開かせる程の底知れない魅力があるんだ、ふふっ♪ アレには本当に驚かされたよ でな? ルーミアには可愛らしいところがたくさんあるんだ、食い意地が張っていたり、さっきの独特の言葉使い…子供特有の可愛さが彼女にはあるんだ、悪い事をしたらその事に対して深く反省出来る素直さも持っているな、ふふっ…♪ 後なドレミー、私は…ん?」

 

 

ドレミー「ぷっ…! くっくくっ…!」プルプル

 

 

サグメ「…?」

 

 

ドレミー「あっはははははは!」

 

 

サグメ「!? な、何故笑うんだ!?」

 

 

ドレミー「いやぁ…あははっ! す、すいませんねぇ、あのサグメさんが楽しそうに、饒舌に人の事を語る物でしたからつい…! ふくくっ…!」

 

 

サグメ「なっ…!? わ、私はそんなに…/// だ、だがだからと言って笑うことは無いだろう!」

 

 

ドレミー「だ、だから…ふふっ、あ、謝ってるじゃないですか、あ~♪ ふふっ、面白かったですよ♪」

 

 

サグメ「…」ムスッ

 

 

ドレミー「そんなにむくれないでくださいよぉ、ふふっ♪」

 

 

サグメ「…」ムスッ

 

 

ドレミー「幻想郷でお友だちが出来て良かったですね」

 

 

サグメ「!」

 

 

ドレミー「その方達とは上司と部下の関係なんて気にしなくても良い」

 

 

ドレミー「あなたはあなたなりにその友達との友情を育めば良いんですよ、まぁあなたは月ではそれなりに忙しい身ですので会うのが難しいかもしれませんがここの幻想郷はそれなりに自由です、空いた時間に少しずつ会いに行けば良いんじゃないですかね」

 

 

サグメ「……そうだな」

 

 

ドレミー「えぇそうですとも」

 

 

サグメ「…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「…聞いてくれて感謝する」

 

 

ドレミー「…! ふふっ、それも何回目ですかねぇ?」

 

 

サグメ「…?」

 

 

ドレミー「あなたがここに来れば『玉兎達とどう接すれば親密な関係が築けるか』とか『最近玉兎から恋愛相談をされたんだがどうアドバイスしていいものか…』とか私に聞いてきて最後にはそれですもん」

 

 

サグメ「だっ、だからそういう話はやめてくれ…!」

 

 

ドレミー「ふふっ♪」

 

 

 

 

 《サグメとドレミー、終》

 

 

ドレミー「幻想郷にお友だちが出来たのは喜ばしい事ですが」

 

 

サグメ「…?」

 

 

ドレミー「私とあなたはどういう関係なのでしょうかねぇ?」

 

 

サグメ「…!?」

 

 

ドレミー「あなたは私の事をどう思ってるんでしょうかね? 夢の世界でたまたま居合わせた妖怪? それとも夢の中で暇そうにしていて話し掛ければ何でも相談事に乗ってくれる都合の良い妖怪さん…ですか?」

 

 

サグメ「そ、そんな風に思っているわけがないだろう…!」

 

 

ドレミー「では…何と?」

 

 

サグメ「そ、それは…!」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「ウッ…」

 

 

ドレミー「…」

 

 

サグメ「…///」カアッ

 

 

サグメ「わ、私は…///」

 

 

サグメ「あ、貴方の事は…と、ととっ、と…友だと思っている…///」

 

 

ドレミー「…!」

 

 

サグメ「…///」カアッ

 

 

ドレミー「……」ニコッ 

 

 

ドレミー「ほほぉ~う♪」ニヤニヤ

 

 

サグメ「! な、何だその笑いは…!」

 

 

ドレミー「いやぁ♪ ふふっ、私の事をそんな風に思ってくれていたんだなぁと思いましてねぇ♪」

 

 

サグメ「…!」

 

 

ドレミー「素直に嬉しいですよ♪ ありがとうございます、サグメさん♪」

 

 

ドレミー「あぁ因みにですね、私もあなたの事を友達だと思っているので心配なさらぬよう…ふふっ♪」

 

 

サグメ「…!! な、何も心配などしていない…!」

 

 

ドレミー「そうですねぇ♪ お互い友達だと思い合っているのなら何も心配無いですもんねぇ♪」

 

 

サグメ「そ、そういうことでは」

 

 

ドレミー「無いんですか? ふふっ♪」

 

 

サグメ「ぐっ…! き、今日は意地悪が過ぎるぞ…///」

 

 

ドレミー「ふふっ♪」

 

 

ドレミー(紫さんがいるときはあっちが一方的にギャグの嵐を連発するもんですから大人しくしてますけど…本来私はイジリ派ですからねぇ♪ ふふふふっ♪)

 

 

サグメ「はぁ…」

 

 

ドレミー(まぁこの夢の世界であなたの心が少しでも安らぐのなら…何時でもお話相手になりましょう、稀神サグメさん♪)

 

 

ドレミー(かく言う私もあなたとのお喋りは楽しいですからねぇ♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【魔界編】

 

 

 《魅魔から感謝を込めて そのニ》

 

 

 

 

 ここは外の世界、宇佐見菫子の家の彼女の部屋から物語は始まる

 

 

 

宇佐見菫子「そ、それじゃあ魅魔さん…!」

 

 

魅魔「あぁ、間接的にではあるが夢の世界で魔理沙に会って来たんだ」

 

 

菫子「…」

 

 

魅魔「ああいう形になっちまったが、新しい約束も魔理沙と果たしたし色々と話すことも出来た…これで良かったんだ」

 

 

魅魔「ははっ、ったく私らしく無かったよなぁ…何で私はあんなにウジウジ悩んでたんだか、伝説の悪霊の名が泣いちま」

 

 

菫子「魅魔さーん!」バッ!

 

 

 ダキッ!

 

 

魅魔「うおっ!? ど、どうした菫子!? 急に抱き着いて…」

 

 

菫子「良かった…! 良かったです本当に…!」

 

 

魅魔「!」

 

 

菫子「良かった……! 会えたんですね、やっと…!」

 

 

菫子「本当に良かった…!」

 

 

魅魔「…」ニコッ

 

 

魅魔「…ありがとうな、菫子」

 

 

菫子「! 何で私にお礼を…?」

 

 

魅魔「お前と一緒に紫から渡されたアレを観てた時、私の顔色を伺っていてくれただろう? 番組の終盤になっていくうちに深刻な顔をしていく私をお前は黙って見守ってくれていた、気付いていたんだろう?」

 

 

菫子「!」

 

 

魅魔「それに幻想郷で魔理沙がお前に私の本を見せた時、お前は私のために黙っていてくれた」

 

 

魅魔「お前のその優しい気持ち私にしっかりと届いていたからな、だからそのお礼だよ…本当にありがとうな、菫子」

 

 

菫子「あはは…お見通し、だったんですね」

 

 

菫子「でも魅魔さん、お礼なんて言わなくても良いんですよ? だって話してくれたとき約束したじゃないですか『他言しないでくれ』って…言ったのは魅魔さんなんですよ?」

 

 

魅魔「…! はぁ…どうしてどいつもこいつも人間は約束を守るのかねぇ、まぁ私の弟子の友達は特にか」

 

 

菫子「ふふっ、そうですね♪」

 

 

魅魔「おいおい、自分で言うなよぉ!」

 

 

菫子「ふふっ♪」

 

 

魅魔「ふっ…♪」

 

 

魅魔「…! そうだ菫子、私は個人的にお前にお礼がしたいんだが」

 

 

菫子「えっ、お礼ですか?」

 

 

魅魔「お前とダチになってなかったらあのCDを観ることもなかっただろうし、それにさっき言ったお前からの気持ちもそうだ、お前には世話になりっぱなしだからな、やっぱりちゃんとしたお礼はさせてくれ、なんか望みはあるか? 何でも叶えてやるぞ?」

 

 

菫子「えっと…良いんですか?」

 

 

魅魔「良いよ遠慮すんな♪ あぁでも私の弟子になりたいとか、世界の半分を手に入れたいだとか、彼氏がほしいだとかそういうのは無しだぞ?」

 

 

菫子「ふふっ、分かってますよ♪ ってか、彼氏って…」

 

 

魅魔「あ~…悪い、そういうのはマジで無しにしよう、なんかあるか?」

 

 

菫子「ん~…そうですね、いきなりだから」

 

 

魅魔「あ~だよなぁ…まぁ何か思い付いたらで良いからな、この話はまた今度にし」

 

 

菫子「あっ!」

 

 

魅魔「ん…?」

 

 

菫子「魅魔さん! あそこに連れて行ってもらえますか!?」

 

 

魅魔「もう思い付いたのかよ!? ってかどこだ?」

 

 

菫子「ふふっ、ほら♪ あそこですよ…!」

 

 

魅魔「…?」

 

 

 

 

 

 

 《また遊ぼうと約束したから》

 

 

 魅魔と菫子は魅魔が作った魔界へ通じるゲートの中を飛んでいた

 

 

魅魔「お前も物好きだねぇ、まさか魔界のサリエルの家に行きたい、とはな」

 

 

菫子「行きたいと思ってたんです、こういう時じゃ無いと行けないと思いまして…幻想郷経由で行ってしまうと私が目を覚ましたらここに戻って来ちゃいますから」

 

 

魅魔「あ~、なるほどねぇ」

 

 

菫子「それにエリスさ…いえ、エリスと約束してますから」

 

 

菫子「またトランプして遊ぼうって♪ ふふっ♪」

 

 

魅魔「…! そっか♪」

 

 

菫子「はい♪」

 

 

魅魔「どんな所でもどんな形でもダチは一生もんだ、大事にしないとな」

 

 

菫子「はい! あ、それと…サリエルさんが言ってたサリエルさんの家族の人たちとも会ってみたかったんですよね」

 

 

魅魔「……その事なんだが、たぶんお前拍子抜けすると思うぞ?」

 

 

菫子「拍子抜けですか?」

 

 

魅魔「あぁあいつの家…靈異殿はよ」

 

 

魅魔「エリスとサリエルだけキャラが濃すぎるからな」

 

 

菫子「……えっ!!?」

 

 

 

 

 

 《魔界の風景》

 

 

菫子「うっわぁ~♪」キラキラ

 

 

魅魔「まぁ初めて来たんだから物珍しいよな、私も昔はそうだったぜ」

 

 

魅魔「魔界は一年中夜…菫子の世界で例えるとプラネタリウムか? そして地面は塩湖…だっけか? それに似てて何処までも白い景色が続いてんだ」

 

 

菫子「凄いです、海外に来たみたいです!」

 

 

魅魔「幻想郷から見たらここは海外みたいなもんなのかねぇ…」

 

 

魅魔「まぁいいか、ほらこっちだ菫子、靈異殿に行くぞ」

 

 

菫子「あっ、はい!」

 

 

 

 

 《靈異殿の門番》

 

 

 

神「私の名前は神『しん』!」

 

 

玉「私の名前は玉『ぎょく』!」

 

 

菫子、魅魔「……」

 

 

神、玉「二人会わせてぇ…!」

 

 

神玉「神玉『しんぎょく』です!!」バーン!

 

 

魅魔「……よう、お二人さん」

 

 

神「おや、これは魅魔殿」

 

 

玉「靈異殿にようこそです♪ 魅魔殿、暫く…いえ、少し前振りですね」

 

 

魅魔「あぁ、そうだな」

 

 

神「最近良く来られますね、またサリエル殿にご用が?」

 

 

魅魔「まぁそんなとこだ、それと…私のダチを連れて来たから自己紹介してやってくれや」

 

 

神玉「ダチ…? おや」

 

 

菫子「こ、今日は~…私は宇佐見菫子です、よろしくお願いします」

 

 

神「菫子殿…? はて…」

 

 

玉「兄さん、この子エリスちゃんが言ってた子じゃないかしら」

 

 

神「…! あぁ思い出しましたよ玉、なるほど…あなたが人間でありながら魔法使いの宇佐見菫子殿」

 

 

菫子「は、はい!」

 

 

菫子(え、エリス~! 私は魔法使いじゃないって言ったのに~!)

 

 

玉「ふふっ、エリスちゃんと魅魔殿のお友だちなら断る理由がありませんね、ようこそ靈異殿へ♪ その前に私たちの自己紹介をしましょう」

 

 

玉「私は玉、靈異殿の門番をしているわ、そしてこっちは私の兄さん」

 

 

神「お初にお目にかかります、神です」

 

 

菫子「ご丁寧にどうも…ってええっ!? ご、ご兄弟なんですか!?」

 

 

玉「えぇ」

 

 

神「そうですが」

 

 

菫子「えぇ…」

 

 

神玉「…?」キョトン

 

 

魅魔「いや首を傾げるなよ、パッと見お前ら全然兄弟に見えねぇから」

 

 

玉「そうでしょうか?」

 

 

神「むぅ、昔エリス殿にも同じことを言われたような…やはり私も玉の様に角を生やした方が良いのでしょうか?」

 

 

玉「兄さんらしくないからやめといた方が良いと思うわ」

 

 

菫子(兄弟って…似て無さすぎでしょ!!?)

 

 

菫子(神さんは男性なの…? なんか陰陽師の安倍晴明みたいな人だし、玉さんは赤い長髪の角を生やした女性で妖怪みたい)

 

 

菫子(てか人じゃないわよね二人とも、魔界人なのかしら)

 

 

魅魔「毎回思うんだけどよ、お前ら兄弟は門番してる意味あんのか?」

 

 

神「特には無いですね、ここに攻めいられた経験も無いですし」

 

 

玉「形だけでも…とサリエルさんが仰るものですから」

 

 

魅魔「あいつは…あいつもノリで役職与えるタイプだったったか?」

 

 

神「ですが不自由はしておりませんよ?」

 

 

玉「門番としての業務は自由ですからね」

 

 

魅魔「門の警備ザルだろ、おい」

 

 

菫子(ま、魔界人に常識は通用しないわね、やっぱり…)

 

 

 

 

 

 

 《靈異殿の警備担当》

 

 

魅魔「まぁ神玉兄弟はあんなんでもかなり結界術に長けててな『神玉陰陽結界』って技は私のマスタースパーク十発で漸く壊れるほどなんだぜ?」

 

 

菫子「へぇ~…」

 

 

菫子(す、凄い事…なんだよね、うん)

 

 

 

 ピピピピピッ!

 

 

 

菫子「うん? 今の音は?」

 

 

魅魔「ん、上見てみ?」スッ

 

 

菫子「えっ…? わわっ!? な、何ですかアレは!?」

 

 

 

 丸い球体に目玉がくっついた物が五つ、菫子と魅魔を凝視している

 

 

魅魔「ったく客驚かしてんじゃねぇって、おい魔眼! 出てこいよ」

 

 

菫子「ま、マガン?」

 

 

 

 シュタッ!

 

 

幽幻魔眼「これはこれは…魅魔殿」

 

 

魅魔「『これはこれは』じゃねぇよ、お前私達が門入って来た時から私達の事見てたろ」

 

 

魔眼「ふふっ、バレてましたか」

 

 

菫子(黄色の長い髪のポニーテール…黄色の和服の人…)

 

 

魔眼「人間がここに来るのは珍しい事なので少し驚かしてあげようかなと、魅魔殿は驚いてくれないからね」

 

 

魅魔「警備担当は暇人ばかりだなおい」

 

 

魔眼「警備が暇なのは平和な証拠…マガン達もそう思っているわ」

 

 

魅魔「この目玉どもに意思あったのか…」

 

 

菫子(まがん? この飛んでいる目玉の名前も同じ名前なんだ…)

 

 

魔眼「さて…人間さん、私の自己紹介もさせてもらいましょう」

 

 

菫子「は、はい」

 

 

魔眼「私は幽幻魔眼『ゆうげんまがん』靈異殿の警備を担当しているわ、よろしくね」

 

 

菫子「よろしくお願いします、私は宇佐見菫子です」

 

 

魔眼「! あなたが菫子…エリスはあなたの何処を気に入ったのか興味あるわ、外の世界の人間で魔法使い…私も興味があるわ」

 

 

菫子「あ、あははは…」

 

 

菫子(だから私は魔法使いじゃないんですけど)

 

 

菫子「あ、あの魔眼さん…この目玉はなんなんですか?」

 

 

魔眼「? あぁ、この子達は私の能力で作ったマガンという名前の…まぁ私の分身みたいなものよ、私と視覚を共有しているの」

 

 

魅魔「その気になれば催眠術だの目からビームだの雷だの出せるんだろ?」

 

 

魔眼「えぇ、まぁここに攻めいられた経験が無いからそんなことしたこと一度も無いんですけどね」

 

 

魅魔「強力な能力も宝の持ち腐れじゃないか?」

 

 

魔眼「いえ? そんなことないですよ」

 

 

魅魔、菫子「え?」

 

 

魔眼「前にサリエルさんが『興奮し過ぎて眠れないから催眠術かけて寝かせて欲しい』って言って来た事があってね」

 

 

魅魔(ガキかよ)

 

 

菫子(興奮って…サリエルさんが何に興奮するのかしら)

 

 

魔眼「正直自分の主に催眠術かけるのは忍びなかったけどかけてみたの、そしたら催眠術にかかりやすい体質だったのか見事に効いてくれてね、凄い深い眠りに落ちてくれたわ」

 

 

魅魔「あいつ催眠術にかかりやすいのか」

 

 

菫子「安眠出来て良かった…んですかね?」

 

 

魔眼「本人の感想は『三ヶ月も安眠出来て良かったわ、素晴らしい夢も見られたし…またお願いするわ…魔眼』だそうよ」

 

 

魅魔、菫子「……えっ?」

 

 

魔眼「?」

 

 

魅魔「お前……今三ヶ月って言ったか?」

 

 

魔眼「えぇ、それが?」

 

 

菫子「さ…!! 三ヶ月も眠ってたんですか!?」

 

 

魔眼「えぇそうよ? だから言ってるじゃない、催眠術にかかりやすい体質だって」

 

 

菫子「効き過ぎですよぉ!!」

 

 

魅魔「何処のスキマ妖怪だアイツはぁ!」

 

 

魔眼「何でそんなに…三ヶ月なんて一瞬じゃない?」

 

 

菫子「人間にはかなりの日数なんですよ!」

 

 

魅魔「貴重な三ヶ月無駄な眠りに費やしてんじゃねぇよ!」

 

 

 

 

 

 《靈異殿の家事担当》

 

 

魅魔「サリエルは紫体質だったのか」

 

 

菫子「なんなんですかその紫さん体質って」

 

 

魅魔「本気で寝るとどこまでもどこまでも眠るんだよ、紫だって二ヶ月は平気で冬眠してるからな」

 

 

菫子「二ヶ月、三ヶ月も眠る…じ、実感が出来ませんね」

 

 

魅魔「しなくて良いと思うぞ? あいつらが特別なだけだからな」

 

 

菫子(立場が上の人ばかり特別な気がする…)

 

 

魅魔「さて、そろそろ…うん? お! いたいた」

 

 

菫子「?」

 

 

魅魔「お~い、キクリ!」

 

 

 

 

キクリ「? あら…♪」

 

 

 キクリはふよふよと浮かびながら菫子と魅魔に近付いてきた

 

 

菫子「う、うん…!?」

 

 

キクリ「あらあら~、魅魔さんこんにちは~♪」

 

 

魅魔「ようキクリ、遊びに来たぜ」

 

 

キクリ「ふふ♪ 最近良く遊びに来てくれますね~♪ 魔界に…というよりはここに住む準備でも始めているのですか~?」

 

 

魅魔「ここに住むだぁ? 悪いがな、私は一箇所には留まらないタチなんだわ」

 

 

キクリ「あらあら♪ さらっと浮浪者発言ですか~?」

 

 

魅魔「うっせぇ、そんなんじゃねぇよ」

 

 

キクリ「ふふっ♪ ! あら♪」

 

 

菫子「…!」

 

 

キクリ「あなたはどなた? 見ない顔ですね~♪」ニッコリ

 

 

菫子(こ、この人はな、なんなんだろう…なんて言ったら良いのか)

 

 

菫子(岩から人が生えてる…岩の円盤に女の人の上半身が浮かび上がった様な…でも凄く綺麗な人)

 

 

菫子「あっ…えっと、私は宇佐見菫子です」

 

 

キクリ「菫子……あ、あぁあぁ♪ 思い出しました~エリスのお友だちの~」

 

 

菫子「は、はい!」

 

 

キクリ「…魔法使いちゃんね♪」

 

 

菫子(ちがぁ~うぅ~!!)orz

 

 

魅魔「? どうした?」

 

 

菫子「…何でも無いです」orz

 

 

魅魔「?」

 

 

キクリ「ふふっ、脱力しているところ悪いけど自己紹介させてね♪ 私はキクリ、靈異殿の家事担当なの♪ よろしくね♪」

 

 

菫子「よ、よろしくお願いします」orz

 

 

魅魔「本当にどうした? おい」

 

 

 

 

 《キクリの能力》

 

 

 

魅魔「そういえばお前ここの家事担当なんだって?」

 

 

キクリ「えぇ♪ そうですけど♪」

 

 

魅魔「…その体で家事してるとかシュールだよな」

 

 

キクリ「あら、失礼ですね~♪ ふわふわ浮きながらゆったりのんびりしながらやるのが楽しいんじゃないですか~♪」

 

 

魅魔「いやぁ、絵面もさぁ…」

 

 

キクリ「ふふっ♪ なら…神と玉、魔眼、エリス、サリエル、コンガラ…この六人が家事していたら如何ですか~?」

 

 

魅魔「……キツいな、特にサリエルとコンガラ」

 

 

キクリ「でしょう? ふふふふ♪」

 

 

菫子(ノリが良いのは魔界人特有なの…?)

 

 

菫子「あ、あの~…話変えてしまって申し訳ないんですけど、キクリさんの能力ってあるんですか?」

 

 

キクリ「能力? えぇ、もちろん♪」

 

 

魅魔「私的にはお前の能力が一番厄介なんだよなぁ」

 

 

キクリ「そうですねぇ~♪ 魅魔さんの天敵は私かしら♪ ふふっ♪」

 

 

菫子「? 一体どんな能力を…」

 

 

キクリ「見せてあげましょうか?」

 

 

菫子「えっ…?」

 

 

キクリ「魅魔さん、一番強いやつで良いですよ?」

 

 

魅魔「アホか、一番弱いやつにするからな、色々とめんどくさいからよ」

 

 

キクリ「うふふ♪ さぁさぁ、どこからでもどうぞ?」

 

 

魅魔「菫子、私の後ろに下がれ、それから動くなよ? 危ないからな」

 

 

菫子「な、何を…?」

 

 

魅魔「まぁ見てろって」

 

 

菫子「…?」

 

 

魅魔「…」

 

 

キクリ「…」ニッコリ

 

 

魅魔「…」

 

 

キクリ「…」

 

 

 

 

 

 

魅魔「ちょっとマスタースパーク!」スッ

 

 

 ドォォォ!

 

 

菫子「えぇっ!?」

 

 

 

キクリ「…」スッ

 

 

 

菫子「ちょっ…! キクリさん! 当たっちゃいますよ!」

 

 

魅魔「…」

 

 

 

 ドォォォ!

 

 

キクリ「黄泉反射鏡《よみはんしゃきょう》」スッ

 

 

 カッ! ギュイン!

 

 

 

菫子「!?」

 

 

魅魔「……はっ!」スッ

 

 

 ブンッ サァァァ…

 

 

魅魔「はぁ…魔法使いには天敵だろ、あいつ」

 

 

菫子「……! み、魅魔さん…! 今のって…?」

 

 

魅魔「ん? あぁ、跳ねっ返って来たマスタースパークを手で塵にして消し飛ばしたんだが」

 

 

菫子「いや違っ…! いやいやいやいや! それも凄いですけどキクリさんは何をしたんですか!?」

 

 

魅魔「見てただろ? んまぁ、紫曰く…」

 

 

 

キクリ「もうちょっと強めでも良かったのに~♪ 魅魔さんったら~」

 

 

 

魅魔「『あらゆるものを反射する程度の能力』だそうだ」

 

 

菫子「反射…」

 

 

魅魔「魔法も弾幕も物理もアイツには効かねぇぞ? 全て跳ね返してくるからな」

 

 

魅魔「因みに魔眼は『マガンを造り、それを操る程度の能力』神玉兄弟は『二人で結界を造り出す程度の能力』…幻想郷風に言うとそうなんだと」

 

 

菫子「はぁ~…魔界の人達には驚かされてばっかりです」

 

 

魅魔「まぁ確かに能力には最初驚かされたもんだがそいつの中身を知ると『あぁ…コイツもアホなのか』っていうギャップが凄まじいよなぁ、神綺然り、サリエル然り、紫然り…な」

 

 

菫子「あははは…」

 

 

菫子(私からは何とも言えないよぉ…)

 

 

 

 

 《キクリとコンガラ》

 

 

魅魔「そういやコンガラは帰って来てるのか?」

 

 

キクリ「いいえ~、まだ帰って来てないですねぇ」

 

 

菫子「サリエルさんから聞きました、そのコンガラさんって人…武者修行の旅に出ているとか」

 

 

キクリ「そうなのよねぇ~…はぁ、全く何処をほっつき歩いているのやら」

 

 

魅魔「そっか、菫子にも会わせてやりたかったんだけどなぁ」

 

 

キクリ「残念でしたねぇ~♪ あぁそうそう、エリスとサリエルならテラスにいますよ♪」

 

 

魅魔「おう、分かった」

 

 

キクリ「それでは私はこれで…ふふっ、菫子ちゃん、ゆっくりしていってね♪」スッ

 

 

菫子「は、はい、ありがとうございます」

 

 

 

 フワフワ…

 

 

魅魔「正直よぉ」

 

 

菫子「はい?」

 

 

魅魔「キクリ程の奴が何でここに居るのかがわかんねぇんだよ」

 

 

菫子「どういう事ですか?」

 

 

魅魔「良く知らんが…アイツは月と地獄に深い関わりがあるらしい」

 

 

魅魔「それでいてヘカテー神? ヘカーティアだっけか? そいつとも面識があるらしいんだよ、終いにゃ紫からは何処かの女神なんじゃないかと疑惑を持たれてる」

 

 

菫子「え」

 

 

魅魔「そんな奴が何で魔界に居るのか…コンガラとサリエルは知ってるらしいが教えてくれねぇんだよなぁ」

 

 

菫子「そんなに凄い…人、なんですかね?」

 

 

魅魔「ははっ、人じゃねぇことは確かだぞ?」

 

 

菫子「そ、それはそうですけど」

 

 

菫子(キクリさん…キクリ…? 何かの神話に載ってるかしら…)

 

 

 

 

 《靈異殿の主とその付き人》

 

 

 

サリエル「……♪ …良く来てくれたわね…菫子…」

 

 

エリス「菫子ちゃ~ん☆ キャハハッ☆ 会いたかったぜ☆」

 

 

菫子「ご無沙汰してます、サリエルさん、エリス」

 

 

エリス「わざわざここまで来てくれたのか☆ キャハッ☆ パネェ☆ 嬉しさがパネェわ☆」

 

 

菫子「あはは、相変わらずねエリス、私も会えて嬉しいわ♪」

 

 

エリス「おぉぉぉ☆ やべぇよサリエルさん、これ感動の再会って奴じゃね☆」

 

 

サリエル「…クフフ…やべぇ再会程嬉しいものは無いわ…」

 

 

エリス「マジパネェ☆」

 

 

菫子「ふふっ…♪ サリエルさん、改めてお邪魔します」

 

 

サリエル「…そんなに固くならなくていいのよ…自分の家だと思って寛ぎなさい、菫子…」

 

 

菫子「はい♪ ありがとうございます、サリエルさん」

 

 

魅魔「おいこら、私も居るんだが?」

 

 

エリス、サリエル、菫子「……」

 

 

魅魔「…?」

 

 

 

 

エリス「誰だテメェ☆」

 

 

サリエル「悪霊退散…♪」

 

 

菫子「あ、道案内ありがとうございました」

 

 

魅魔「ふざけんなよお前らぁぁ!!」

 

 

エリス「キャハハハッ☆」

 

 

菫子「くふっ…! ふふっ…♪」

 

 

サリエル「冗談も分からなくなったの…? 魅魔…」

 

 

魅魔「ぐっ…! ってか菫子ぉ! お前も悪ノリしなくて良いんだよ!」

 

 

菫子「ご、ごめんなさ…! あっはははは!」

 

 

エリス「やべぇおもしれぇわ☆」

 

 

魅魔「面白くねぇよ!」

 

 

サリエル「…クフフ…♪」

 

 

 

 《魅魔から感謝を込めて、その三》

 

 

サリエル「そう……会えたのね…自分の弟子に…」

 

 

魅魔「あぁ」

 

 

エリス「夢の中かぁ☆ でも嬉しかったんじゃね、魔理沙って人間はさ」

 

 

魅魔「そう思ってくれてると私も嬉しいね、会ったときお互い涙をボロボロ流してさ…ははっ、最初まともに話も出来なかったんだぜ? 参ったぜあの時は」

 

 

エリス、サリエル、菫子「…」

 

 

魅魔「本当に良かったな、あの時会っといて…会うって決断して本当に…」

 

 

サリエル「…運命に偶然等無いわ、会うべくして会った…それだけのことよ」

 

 

サリエル「…今度はあなたの本体と会う事になるでしょう…それも運命…いつかは来る運命…」

 

 

魅魔「あぁ、わかってるよ」

 

 

サリエル「…クフフ♪ …また項垂れないように注意しなさい、魅魔…」

 

 

魅魔「分かってるっての…」

 

 

エリス「おぉやべぇ鳥肌立ってきた☆ 私こういう話弱いんだよね、胸が暖かくなるってかさ」ヒソヒソ

 

 

菫子「うん、私も同じ気持ちだよ」ヒソヒソ

 

 

魅魔「……」

 

 

魅魔「ありがとうなサリエル、エリス」

 

 

エリス「おん?」

 

 

サリエル「…! …何故お礼…?」

 

 

魅魔「私がここで項垂れてたときお前ら色々と私に言葉かけくれただろ? それが私の『魔理沙に会う』って決断の後押しになったんだ」

 

 

魅魔「紫とドレミーが動機ならお前達はきっかけと支えだ、私の考えを変えてくれたからな」

 

 

魅魔「感謝してるぜ、ありがとうな二人とも」

 

 

サリエル、エリス「…」

 

 

菫子「…」

 

 

エリス「菫子ちゃんやべぇ」

 

 

菫子「えっ?」

 

 

エリス「こういう時私どういう顔して良いのかわかんねぇ…パネェ…」

 

 

菫子「…」ニコッ

 

 

菫子「エリスが今したい顔をすれば良いと思うよ、我慢する必要なんて無いじゃない♪」

 

 

エリス「! ……そっか☆ そうだよな☆」ニカッ

 

 

菫子「うん、そうだよ♪」

 

 

エリス「キャハッ☆ やっぱ魅魔さん色々パネェわ☆」

 

 

魅魔「それ褒めてんのかぁ?」

 

 

エリス「褒めてる褒めてる☆ 超褒めてる☆」

 

 

魅魔「ハイハイ、そういう事にしとい…」チラッ

 

 

サリエル「……」

 

 

サリエル「…♪」ニコッ

 

 

魅魔「! ふっ、貴重だなぁおい」

 

 

サリエル「…! ……何がかしら」

 

 

魅魔「お前のマジの微笑み」

 

 

サリエル「! ……///」

 

 

サリエル「……」

 

 

魅魔「…」

 

 

サリエル「……壊死させ」

 

 

魅魔「照れ隠しでいちいち怖いことすんじゃねぇっつーの!」

 

 

菫子「あはははっ!」

 

 

エリス「キャハハハッ☆ やっぱサリエルさんが一番パネェわ☆」

 

 

魅魔「いつも思うんだが、お前のパネェの度合いがわかんねぇんだよ!」

 

 

エリス「そんなもんノリだぜコノヤロー☆」

 

 

魅魔「度合い関係ねぇのかよ!」

 

 

菫子「ふふっ♪」

 

 

菫子(……! 魔界に馴染みすぎかなぁ…私)

 

 

菫子(でも良いよねこういうのも♪ だって私今すっごく楽しいんだもん♪)

 

 

 

 

 

 

 その後、菫子は夢の世界での約束通り、靈異殿でエリス達とトランプで遊び、魅魔と共に靈異殿に一泊し、自分の世界へと帰って行った。

 

 トランプの場にはキクリや魔眼、神玉兄弟の姿もあったそうな

 

 

 この靈異殿での出来事は菫子にとってまた、素敵な思い出となったのである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷編】

 

 

 

 《頑張れ! 朱鷺子ちゃん! その一》

 

 

霧雨魔理沙「…」ジーッ

 

 

森近霖之助「さっきから椅子に座って僕の事をじっと見てるけどどうしたんだい? 魔理沙」

 

 

魔理沙「私は魔理沙ではないぜ」

 

 

霖之助「?」

 

 

魔理沙「私は『朱鷺子を個人的に応援したい友の会』会長の霧雨魔理沙だぜ」

 

 

霖之助「普通の魔理沙じゃないか」

 

 

魔理沙「はっ! 何とでも言え、後で『魔理沙、君のお陰だよ!』とか吠え面かくなよな!」

 

 

霖之助「?」

 

 

 

 

朱鷺子「ま、魔理沙さん…」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「良いか朱鷺子、作戦通りにやれよ? 恋はいつでもパワーなんだからな? 胸張って行けよ?」ヒソヒソ

 

 

朱鷺子「は、はい! い、行きます!」ヒソヒソ

 

 

 

 

朱鷺子「あ、あの…! り、霖之助さん!」

 

 

霖之助「ん? なんだい朱鷺子」

 

 

朱鷺子「あ、あの…! えぇっと… うぅ…///」カアッ

 

 

霖之助「…?」

 

 

朱鷺子「そ、その…///」

 

 

霖之助「? どうしたんだい?」

 

 

朱鷺子「…///」ソワソワ

 

 

朱鷺子「…!」キッ

 

 

霖之助「? 朱鷺」

 

 

 

朱鷺子「わ、私とお前の結婚式場を…! 一緒に考えてみようぜっ!?」

 

 

 

霖之助「…!」

 

 

朱鷺子「…///」カアッ

 

 

霖之助「…」

 

 

朱鷺子「…///」

 

 

霖之助「朱鷺子…」

 

 

朱鷺子「ひゃっ…! ひゃい!!」

 

 

 

 

 

 

霖之助「あはは、魔理沙のモノマネかい? 良く似ていたよ、宴会で使うネタの練習か何かかい?」

 

 

魔理沙「おまっ…!?」

 

 

朱鷺子「!!?」ガーン

 

 

朱鷺子「びえぇぇぇぇぇ! ま、まりしゃしゃぁーーん!!」ボロボロ

 

 

魔理沙「くっ…! アリスの様なパワーで告白大作戦はダメだったか!!」

 

 

霖之助「おや、魔理沙もそのネタに一役買っているのかい?」

 

 

魔理沙「うっせぇバーカ! このバーカ!」

 

 

霖之助「その言葉を聞くと君が小さかった頃を思い出すよ、ふふっ」

 

 

 

 

 

 《頑張れ! 朱鷺子ちゃん! その二》

 

 

 

博麗霊夢「…」ジーッ

 

 

霖之助「さっきから椅子に座って僕の事をじっと見てるけどどうしたんだい? 霊夢」

 

 

霊夢「私は霊夢ではないわ」

 

 

霖之助「?」

 

 

霊夢「私は『朱鷺子を個人的に応援したい友の会』副会長の博麗霊夢よ」

 

 

霖之助「君は博麗の巫女だろう?」

 

 

霊夢「今は何とでも言いなさい、後で『霊夢、君のお陰だよ、ありがとう』って言う霖之助さんの顔が目に浮かぶわ」

 

 

霖之助「?」

 

 

 

 

朱鷺子「れ、霊夢さん…」ヒソヒソ

 

 

霊夢「朱鷺子、私は恋愛なんてこれっぽっちも興味無いんだけど…まぁ要は『あなたが好きです!』っていうのをハッキリと言えばいいんでしょ、後は私がさっき言った作戦通りにね?」ヒソヒソ

 

 

朱鷺子「は、はい!」ヒソヒソ

 

 

 

 

朱鷺子「あ、あの…! り、霖之助さん!」

 

 

霖之助「ん? なんだい朱鷺子」

 

 

朱鷺子「あ、あの…! えぇっと… うぅ…///」カアッ

 

 

霖之助「…?」

 

 

朱鷺子「そ、その…///」

 

 

霖之助「? どうしたんだい?」

 

 

朱鷺子「…///」ソワソワ

 

 

朱鷺子「…!」キッ

 

 

霖之助「? 朱鷺」

 

 

 

朱鷺子「わ、私は…! あ、あなたの事がだ…だだっ…! 大好きですっ!!」

 

 

 

霖之助「…!」

 

 

朱鷺子(キャーーー!! つ、ついに言っちゃったー!!)カアッ

 

 

霖之助「…」

 

 

朱鷺子(ヤバイヤバイヤバイヤバイ…!! どどどど、どうしよう…!! きょ、拒否されたらどうしよう!!)

 

 

霖之助「朱鷺子」

 

 

朱鷺子「ひゃっ! ひゃいぃ!?」

 

 

 

 

 

 

 

霖之助「うん、僕も大好きだよ」

 

 

朱鷺子「!!」

 

 

霊夢(! やったわね! 朱鷺子!)

 

 

朱鷺子「ほ、本当ですか!?」

 

 

霖之助「? いやいや、本当もなにも」

 

 

 

 

 

 

霖之助「今僕が読んでいるこの小説の台詞のモノマネをしたんだろう? 僕もこの主人公の台詞が大好きでね、あっはっは」

 

 

霊夢「は……!? はぁ!?」

 

 

朱鷺子「!!?」ガーン

 

 

霖之助「いや、君にこの台詞をそんなに感情を込めて言ってもらえるなんてね、ありがとう朱鷺」

 

 

 

朱鷺子「びえぇぇぇぇぇ!! れ、れいむしゃぁーん…!!」ボロボロ

 

 

霊夢「りんっ…! 霖之助さんあんたねぇ…!! どういう神経してたらそっちの方に捉えるのよ!!」

 

 

霖之助「この小説は僕がおすすめする一冊なんだ、朱鷺子にも貸して読んでもらったんだよ、君は…本は読まないよね」

 

 

霊夢「そんなこと聞いてないっての! 人の話を聞けぇい!!」

 

 

 

 

 

 《頑張れ! 朱鷺子ちゃん! 終》

 

 

 

八雲紫「…」ジーッ

 

 

霖之助「さっきから椅子に座って僕の事をじっと見てるけどどうしたんだい? 幻想郷の管理人、八雲紫さん」

 

 

紫「私は八雲紫ではありませんわ」

 

 

霖之助「?」

 

 

紫「私は『恋する乙女を応援する大人で美人で綺麗な妖怪のお姉さん』ですわ」

 

 

霖之助「自分で言っていて恥ずかしくないのかい?」

 

 

紫「ぐっ…! 何でそういうのは普通に返して来るのかしらねぇ…! この超鈍感店主はぁ…!」ブツブツ

 

 

紫「ふんっ! 後で『あぁ、ゆかりん! あなたには感謝しかないよ!』しか言えない体にしてやりますわ!」

 

 

霖之助「?」

 

 

 

 

朱鷺子「ゆ、紫さん…」ヒソヒソ

 

 

紫「いいかしら? 霊夢と魔理沙に足りなかったのは大人の魅力…それを存分に発揮なさい、後は私の作戦通りに…頑張ってね」ヒソヒソ

 

 

朱鷺子「は、はい!」ヒソヒソ

 

 

 

朱鷺子「あ、あの…! 霖之助さん!」

 

 

霖之助「ん? なんだい朱鷺子」

 

 

朱鷺子「あ、あの…! えぇっと…///」カアッ

 

 

霖之助「…?」

 

 

朱鷺子「そ、その…///」

 

 

霖之助「? どうしたんだい?」

 

 

朱鷺子「…///」ソワソワ

 

 

霖之助「? 朱鷺子?」

 

 

朱鷺子「さ、最近暑くなってきましたよね! 熱中症とか気をつけないとですね!」

 

 

霖之助「うんそうだね、今は夏真っ盛りだからね、僕も半妖とはいえ熱中症対策は万全にしているよ、何かあってからじゃ遅いからね」

 

 

朱鷺子「ですよねぇ~…あぁ、ほんとに暑い暑い…」パタパタ

 

 

朱鷺子「こ、こうも暑いとふ、服が汗で肌にくっついてベタベタしちゃいますよねぇ~…!」チラッ

 

 

朱鷺子「それに服が汗を吸い込んで…ほ、ほら! こんなに透けちゃってます…!」スッ

 

 

霖之助「? そうかい? そんなに透けているように見えないけど、それに汗をかくほど香霖堂の中は暑いかな? 河童たちに作ってもらったエアコンが」

 

 

朱鷺子「よ、良く見てください! ほ、ほらほらぁ…! こんなにす…/// 透けちゃってますよぉ…!」スッ

 

 

 

紫(そう! そうよ朱鷺子! 胸元が見えそうで見えない位置をキープして見せ付けるのよ!)

 

 

 

霖之助「…? じゃあ着替えるかい? そのままだと気持ち悪いだろう? 奥の部屋で着替えておいでよ」

 

 

朱鷺子(! き、来た!)

 

 

 

紫(次の手を予測し、考えてこその作戦よ!)

 

 

 

朱鷺子「な、ならここで着替えちゃいますね!」

 

 

霖之助「え?」

 

 

朱鷺子「あぁんもう本当に…/// あ、暑い暑い…! 私もう我慢出来ないです! ここで脱いで、は…/// 裸になってやりますよ!」

 

 

霖之助「! 朱鷺子ぉ!」

 

 

朱鷺子「ひゃっ! ひゃいっ!?」

 

 

 

 

霖之助「ダメじゃないか、今は一応お客さんの八雲の紫さんがいらっしゃるんだよ? いくら我慢出来ないからってここで着替えてはいけないよ、時と場合を考えるんだ、僕たち二人しか居ない時ならここで着替えてもいいけどお客さんの前で着替えるのは商売人の…いや、これはモラルの問題が」クドクド

 

 

紫「クルァ!!」

 

 

霖之助「なんだい? 今僕は朱鷺子に」

 

 

紫「あなたには性欲ってもんがないの!? えぇっ!? 興奮しなさいよ! 透け透けのチラリズムよ!? 純真無垢な妖怪の裸を拝みつつ興奮しなさいよ!」

 

 

紫「てか二人の時なら着替えてもいいですって!? はんっ、とんだスケベ店主ね!」

 

 

霖之助「人聞きが悪いね、僕は朱鷺子にお客さんの前でのマナーを説いているんだよ、万が一に朱鷺子がここで着替える様な事があったとしても僕は何とも思わないよ」

 

 

紫「なっ…!?」

 

 

朱鷺子「!!?」ガーン

 

 

霖之助「? 何をそんなに驚いて」

 

 

 バァン!

 

 

魔理沙「だから言ったろババア! やり方が古いんだよ! 何がチラリズム大作戦だ! バカ丸出しじゃねぇか!」

 

 

霊夢「いきなり裸で迫るとかありえないっつーのよ! 効かないわよそんなもん! 朱鷺子はここで住み込みで働いているんだからね!」

 

 

紫「や、やってみなくちゃ分からないでしょう!?」

 

 

魔理沙「ダメだったじゃねぇかよ!」

 

 

霊夢「あんたに頼んだのは間違いだったわね! こんなことになるならアリスか咲夜に頼めば良かったわ!」

 

 

紫「そんなこと言わないでよ霊夢ぅ!」

 

 

朱鷺子「びえぇぇぇぇぇ!! 霖之助さんのバカーー!」ボロボロ

 

 

 ギャーギャー!

 

 

霖之助「あんまり店の中で騒がしくしないでくれないかな」

 

 

 

 

 

 《魅魔から感謝を込めて、その四》

 

 

 

魅魔「おぉ…! 藍坊、久し振りだなぁおい」

 

 

八雲藍「み、魅魔殿…! その呼び方は…」

 

 

魅魔「大きくなったなぁ、尻尾もこんなにモフモフになりやがってよぉ♪」サワサワ

 

 

藍「そ、そんなに優しく触らないでくださいよ…/// というか頭も撫でないでください…///」

 

 

紫「もっとこう…『がーっ!』って尻尾を蹂躙する気持ちで触りなさいよ」

 

 

魅魔「そんなことしたら可哀想だろうがよ、動物には優しくしろっての」

 

 

藍「動物って…」

 

 

紫「あなたはご乱心を知らないからそういう事が言えるのよ」

 

 

魅魔「ご乱心?」

 

 

藍「ちょっ…!?」

 

 

紫「自分の式に興奮する変態九尾なん」

 

 

藍「わっ…! わーっ! わーっ!」

 

 

紫「藍、最後まで言わせなさいよ、それにこれは事実じゃない」

 

 

藍「じ、事実であったとしても魅魔殿には言わなくてもいいでしょう!?」

 

 

紫「魅魔は口固いわよ?」

 

 

藍「そういう事じゃないんですよ! 言わなくても良いことは言わないでください!」

 

 

紫「めんどくさいわねぇ」

 

 

藍「それだけはあなたに言われたくないですねぇ!」

 

 

紫「まっ! 私のどこがめんどくさいってのよ!」

 

 

藍「やることなす事全部ですよ!」

 

 

紫「主に対してよくもまぁ好き勝手ぶっこいてくれるわねぇ! らあぁぁん!!」

 

 

 ギャーギャー!

 

 

魅魔「あっはははっ! 相変わらず仲良いな、お前ら」

 

 

紫「まぁねぇ♪ こんなおバカさんでも私の大切な家族ですもの」

 

 

藍「っ…! …/// そ、そういう事をしれっと言うのやめてくださいよ…///」

 

 

魅魔「照れ性なのは直って無いのな、藍坊」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

紫「…魅魔、あなた今実体化してるけどちょっとは危機感持ちなさいよ、いくらここがマヨヒガとはいえ魔理沙がいきなり訪ねて来ないとも限らないのよ?」

 

 

魅魔「ん~…まぁ大丈夫だろ?」

 

 

紫「あなた魔理沙に会ってから気が緩んでるんじゃない?」

 

 

魅魔「ん? そうか? そんなことねぇと思うけどなぁ、あっははははっ!」

 

 

紫「で? 何しに来たのかしら?」

 

 

魅魔「ん? そんなもんお前、お前に礼を言いに来たんだよ」

 

 

紫「礼?」

 

 

魅魔「魔理沙に会ったあの後言いそびれたからな、ドレミーたちにはもう言ってきたがお前にも言っておかなきゃ気が済まねぇんだよ」

 

 

魅魔「ありがとうな紫、魔理沙に会えたのはお前のお陰だ」

 

 

魅魔「感謝する…本当にありがとう」スッ

 

 

紫「…!」

 

 

紫「…」ニコッ

 

 

紫「古い顔馴染みが辛気臭い顔してたらこっちまで気が滅入るのよ」

 

 

魅魔「!」

 

 

紫「だから…そう、仕方なく…仕方なくよ!? それに魔理沙がいつまでも落ち込んでたら私の霊夢まで落ち込んじゃうもん! ゆかりんそれは嫌だもん!」

 

 

紫「だから…/// 仕方無くなのよ、うん」

 

 

魅魔「…」

 

 

紫「…///」

 

 

魅魔「相変わらず素直じゃないなぁ、お前も」

 

 

紫「あなたにだけは言われたくないわねぇ魅魔ぁ!」

 

 

魅魔「あっははははっ!」

 

 

紫(緩んだというか弛んだというか気が抜けたというか…良い顔で笑う様になったわねぇ)

 

 

紫(良かったわね、魅魔♪)

 

 

 

 

 

 

 《魅魔から感謝を込めて、その五》

 

 

西行寺幽々子「魅魔ちゃ~ん♪ お久し振りねぇ~♪」

 

 

魅魔「お、おう…久し振りだな」

 

 

紫「幽々子、悪霊にちゃん付けで名前呼んだら取り憑かれちゃうわよ?」

 

 

幽々子「あらそうなの? 怖いわぁ~♪」

 

 

魅魔「さらっと嘘つくんじゃねぇよ」

 

 

魅魔(幽々子…こいつ昔から苦手なんだよなぁ…不思議ちゃんオーラ全開なのは神綺と同じだが、普段何考えてんだかよく分からんし)

 

 

幽々子「ふふふ♪ それで? 伝説の悪霊さんが私に何のご用かしら♪」

 

 

魅魔「あ、あぁ…お前にも一応礼を、と思ってな」

 

 

幽々子「お礼~?」

 

 

魅魔「紫から聞いたんだ、魔理沙が私の事をお前に聞きにここに来たときお前は私の事を黙っててくれたってな」

 

 

魅魔「助かったよ、ありがとうな黙っててくれて」

 

 

幽々子「…」

 

 

幽々子「あなたの名前を出すことは幻想郷でしてはいけない事…私はそのルールに従ったまで」

 

 

魅魔「…!」

 

 

幽々子「ふふふ、でしょう? 紫」

 

 

紫「そうね、幽々子はルールに従ってくれただけ、お礼を言うほどでも無いんじゃないかしらねぇ」

 

 

幽々子「そうよねぇ~♪ でもその気持ちは嬉しいわぁ~♪ 素直に受け取っておくわね、魅魔ちゃん♪」

 

 

魅魔「お、おう…まぁ、あんがとな」

 

 

幽々子「うふふ♪ でもそうねぇ…お礼なら別の形で寄越してほしかったわねぇ♪」

 

 

魅魔「別の形?」

 

 

幽々子「例えばぁ、私のお腹を満たすまでお店を転々とするとか♪」

 

 

紫「!?」

 

 

魅魔「げ、現金な奴だな…まぁメシ奢るぐらいなら」

 

 

紫「メシ奢るぐらいならで済むと思ってんの!?」

 

 

魅魔「うわっ!? な、なんだよいきなり」

 

 

紫「割りとマジで地獄を見るわよ魅魔! 油物を見る度に来る吐き気と胃もたれ、鼻をつんざく臭い! 肉を焼き続ける体力! 凄い早さで飛んでいくお金たち! あなた耐えきれる自信あるの!?」

 

 

魅魔「は、はぁ!?」

 

 

幽々子「うふふふ♪」

 

 

 

 

 《結婚なんて…》

 

 

 

魅魔「そういえばお前ん所のジジイはどうしたんだ? 姿が見えなかったが」

 

 

幽々子「ん~? あぁ、妖忌の事? さぁ…今何処にいて何をしているのやら…紫なら知っているんじゃない?」

 

 

魅魔「え、お前知ってんのか?」

 

 

紫「…! ……」

 

 

紫「こ、この私が一人のおじいちゃんの行方なんて知るわけないじゃない! 何を言っているのかしらねぇ幽々子のバカちんがぁ♪ オホホホ♪」

 

 

魅魔「ウソ下手っ!!」

 

 

幽々子「まぁ妖忌が何処に居ようとも元気でやっているのなら私は何よりなんだけどね~♪」

 

 

魅魔「…? あれ? じゃあさっきチラッと見掛けたあのガキは?」

 

 

幽々子「妖忌の孫よ、妖夢って言うの♪」

 

 

魅魔「孫ぉ!? おいおいマジか…」

 

 

紫「驚き過ぎじゃない?」

 

 

魅魔「いや…だってよ、あんな堅物ジジイに孫がいるなんて…」

 

 

紫「魅魔、行き遅れたからって落ち込む事ないのよ?」

 

 

魅魔「そんなんじゃねぇよ! そんなこと言ったらお前らもそうじゃねぇか!」

 

 

幽々子「私には妖夢がいるもの♪」

 

 

紫「私にも霊夢がいるもん♪」

 

 

魅魔「私にも魔理沙がいるぞ♪」

 

 

幽々子、紫、魅魔「……」

 

 

紫「なんか空しくなったわ…」

 

 

魅魔「んじゃ言うんじゃないよ…」

 

 

幽々子「結婚なんてしても…ねぇ」

 

 

紫「…私達に釣り合う男なんて幻想郷におらぬわぁ…」

 

 

魅魔「……話題変えてくれ」

 

 

紫「…魔理沙と妖夢は仲良いわよ」

 

 

魅魔「うちの弟子がいつもお世話になってるぜ…」

 

 

幽々子「こちらこそ家の妖夢がお世話になってるわ…」

 

 

紫、幽々子、魅魔「……」

 

 

紫「…なんかつれぇわ」

 

 

魅魔「言うな、マジで辛くなるから…」

 

 

紫、幽々子、魅魔「はぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魂魄妖夢「あの、藍さん」

 

 

藍「うん?」

 

 

妖夢「何故紫様と幽々子様は部屋に結界を張っているんでしょうか、誰にも入られない様にしてますけど…」

 

 

藍「…! さ、さぁ…!? ど、どうしてだろうなぁ…」

 

 

妖夢「……またあのくだらないノートの様なプチ異変を起こす気なんでしょうか、もしまた何か企んでいたとしたら…」

 

 

藍「そ、それは心配無いんじゃないかなぁ…あはははは…」

 

 

妖夢「はぁ…胃が痛くなります」

 

 

藍(それは私のセリフだよ、妖夢…)

 

 

 

 

 

 

 《魅魔から感謝を込めて、終》

 

 

 

風見幽香「…で?」

 

 

魅魔「ありがとうな、黙っててくれてよ」

 

 

幽香「別に…」

 

 

紫「別になんて事は無いでしょう? あなたは気を使って魔理沙に魅魔の事を喋らなかったのは事実、あなたは関係無いなんて言わせないわよ?」

 

 

幽香「…あなたたち見てたのね」

 

 

魅魔「あぁ、気付かれない様に紫のスキマからな」

 

 

紫「ゆうかりんが気付かない様にすっご~く小さなスキマでね♪」

 

 

幽香「ふん、そんなことはどうでも良いのよ、それにあなたたちにお礼を言われる筋合いも無い」

 

 

幽香「そんなことより魅魔、紫、あなたたち私に借りが出来たことになるわよね? その借り返してもらおうかしら?」

 

 

紫「まっ! 私達に借りを作るために魔理沙に魅魔の事を言わなかったの!? ちょっと打算的過ぎるんじゃないの? やぁねぇお花畑のゆうかりんさんはこれだから」

 

 

幽香「何とでも言え、借りは返してもらうわよ」

 

 

紫「おぉ怖い…魅魔、どうするの?」

 

 

魅魔「…どうすればいい?」

 

 

紫「魅魔…」

 

 

魅魔「どんな形であれ私は幽香に救われてるんだ、借りは作ってるから返すのが筋だろう」

 

 

幽香「潔いわね魅魔、あなたのそういうところは気に入ってるわ」

 

 

魅魔「そいつはどうも」

 

 

幽香「…あなたは?」

 

 

紫「…魅魔が返すのに私が返さないわけにはいかないでしょ、返してあげるわよ」

 

 

幽香「意外に素直ね」

 

 

紫「ゆかりんはいつでも素直よ、どこかのゆうかりんと違ってね」

 

 

幽香「あぁ?」

 

 

魅魔「いちいち煽るんじゃねぇよお前は」

 

 

紫「はいはい、悪うござんしたねぇ…」ムスッ

 

 

魅魔「ったく…んで? 私たちはお前に何をしたらいいんだ?」

 

 

幽香「まず…魅魔、あなた私と戦いなさい、幻想郷の弾幕ごっこではなく純粋な勝負でよ」

 

 

魅魔「うげっ…やっぱりそれかよ」

 

 

幽香「嫌なの?」

 

 

魅魔「疲れんだよ…お前強いからさぁ」

 

 

幽香「それはこっちも同じよ、それに疲れない勝負なんて退屈以外の何者でもないわ」

 

 

魅魔「あぁそう…」

 

 

幽香「そして紫、あなたは私達の戦いの場を設けなさい」

 

 

紫「えぇ~…私のスキマの中でやるつもり?」

 

 

幽香「幻想郷でやるよりましでしょう? それに見届け人もいなければならないわ」

 

 

紫「あなた…なんか戦いに拘り過ぎじゃない? そんなに戦いたいの?」

 

 

幽香「…そうよ、それがなにか?」

 

 

紫「別に~…」

 

 

幽香(……)

 

 

幽香(膨大な魔力も溜め込み過ぎると制御が利かなくなる…)

 

 

幽香(自分の事は自分でよく知っている…このままだと私は…)

 

 

幽香(訳の分からぬまま一輪の綺麗な花を潰したくはないのよ)

 

 

 

 

 《強さ談義、その一》

 

 

紫「あのさぁ、聞いていい?」

 

 

幽香「何よ」

 

 

魅魔「ん?」

 

 

紫「ぶっちゃけさ、ゆうかりんと魅魔ってどっちが強いの?」

 

 

幽香「はっ、そんな決まりきった事を今更聞くの? バカ丸出しの質問ね」

 

 

魅魔「お前…私の実力知ってて聞いてんのか? 愚か者の極みだぞ?」

 

 

紫「なんか辛辣ねぇ…で? どっちが強いの?」

 

 

魅魔、幽香「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魅魔「私だろ」

幽香「私よ」

 

 

 

幽香「は?」

 

 

魅魔「んん?」

 

 

紫「……」

 

 

 

 

 

 

魅魔「おい紫今すぐスキマ開け、こいつぶっ飛ばす」

 

 

幽香「この私をぶっ飛ばす? その前にこの日傘で貴様を刺し貫いてやるわ」

 

 

魅魔「ふざけたこと抜かしてんじゃねぇぞ? 大体お前人の技パクっといてよく恥ずかしくねぇな? オリジナルを考えろよオリジナルを!」

 

 

幽香「貴様のマスタースパークはパクられる程度の強さだったって事よ、あの時私が打ち返した奴とは最早別物、貴様のマスタースパークと一緒にしない事ね!」

 

 

魅魔「あぁん!?」

 

 

幽香「あぁ!?」

 

 

紫「血気盛んねぇ、怖い怖い」

 

 

 

 

 

 《強さ談義、その二》

 

 

紫「戦いならスキマの中でやりなさいっての、今は落ち着きなさいよ」

 

 

幽香「…あなたが余計なこと聞くからよ」

 

 

魅魔「……なぁ」

 

 

紫「なに?」

 

 

幽香「なによ」

 

 

魅魔「お前らはどっちが強いんだ?」

 

 

紫「んははははっ! ちょっと魅魔、笑わせないでよ、そんなの決まってるじゃない♪」

 

 

幽香「ふっ…決まりきった質問で笑うほど私はバカでは無いわ」

 

 

魅魔「で? どっちが強ぇんだよ?」

 

 

紫、幽香「それは…」

 

 

 

 

 

 

紫「ゆかりんよ♪」

幽香「私ね」

 

 

 

 

紫「んぁ?」

 

 

幽香「あぁ?」

 

 

魅魔「……」

 

 

 

 

紫「ふざけんじゃないわよ!? 幻想郷の管理人に勝てると思ってる訳!? なぁにを失礼ぶっこいてくれちゃってるのかしらねぇゆうかりんさんはぁ!?」

 

 

幽香「そんな弱っちい肩書きしか持てないスキマ野郎にこの私が負けるわけないでしょう? 私が勝って幻想郷の負け犬に名前を変更させてやるわ」

 

 

紫「なによ! この残虐向日葵!」

 

 

幽香「黙れ、なんちゃって大妖怪」

 

 

紫「脳内お花畑!」

 

 

幽香「クソ賢者」

 

 

紫「おぉう!?」

 

 

幽香「あぁん!?」

 

 

魅魔(幽香の最後の奴思いっきり悪口じゃねぇか)

 

 

 

 

 《強さ談義、終》

 

 

魅魔「分かった…! 分かったからガキの悪口大会はやめろ!」

 

 

幽香、紫「誰がガキですってぇ!!」

 

 

魅魔「わ、悪かったよ…! だから一旦落ち着け、な?」

 

 

幽香「……チッ」

 

 

紫「舌打ちすんなクルァ」

 

 

魅魔「口を閉じろ、怒りを鎮めるんだ」

 

 

幽香、紫、魅魔「……」

 

 

紫「…ゆうかりんのゆの字は『ゆっくりしていってね♪』の、ゆ」

 

 

幽香「死にたいのかしら?」

 

 

魅魔「黙れっつってんだろ」

 

 

幽香、魅魔、紫「……」

 

 

幽香「…あなたたちはどっちが強いのよ」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

幽香「私にだって聞く権利はあるはずよね? で? どっちが強いのよ」

 

 

紫「はぁ、また分かりきった質問を…お花畑はこれだから」

 

 

魅魔「幽香、お前も抜けてるところあるよな、こんなくだらん質問するとはな」

 

 

幽香「ごちゃごちゃ言ってないで質問に答えろ」

 

 

紫、魅魔「そんなもの…」

 

 

 

 

 

 

紫「私よ♪」

魅魔「紫だろ?」

 

 

 

 

幽香「…!」

 

 

紫「…」

 

 

魅魔「…?」

 

 

幽香「…」

 

 

紫「……」スッ

 

 

紫「えぇっ!?」

 

 

 

 

 

幽香「魅魔、あなた真面目に答えたの?」

 

 

魅魔「答えたよ、こればっかりはマジだぞ?」

 

 

紫「ちょっ…/// み、魅魔ったらそんな…///」

 

 

幽香「何であなたは照れてるのよ」

 

 

紫「だ、だって…/// ゆかりんが最強だなんて…///」

 

 

魅魔「最強とは言ってねぇけど…まぁでも私は紫の方が強いと思ってるぜ? こいつに負けてるしな」

 

 

幽香「負けてる…?」

 

 

紫「オホホホ♪ な~んか勝っちゃってごめんなさいねぇ♪」

 

 

魅魔「うぜぇ…けど事実だしなぁ」

 

 

幽香「……」

 

 

幽香「魅魔、あなた負けてるって言っても紫と戦った事あるのは一回だけよね?」

 

 

魅魔「あぁ、そうだぞ」

 

 

幽香「…その勝負、三代目博麗の巫女と紫に負けたのよね?」

 

 

魅魔「ん、まぁ詳しく言うとそうだな」

 

 

幽香「……」

 

 

幽香「それって二対一よね?」

 

 

魅魔、紫「……」

 

 

魅魔、紫「…」

 

 

魅魔、紫「あ」

 

 

 

 

 

 

 

魅魔「良く考えればそうじゃねぇか!!」

 

 

紫「何よ! 負けたのは事実でしょうが!」

 

 

魅魔「お前と『三代目』にだよ! てかお前あの時ちゃんと戦ってたか!?」

 

 

紫「戦ってたわよ!! ゆかりんなくして私達に勝ちは訪れなかったって程にね!」

 

 

幽香「ウソ臭いわね…三代目ってかなりの戦闘力を持っていたと聞いてるけど」

 

 

紫「笑顔で撲殺ゆうかりんは黙ってなさいよ」

 

 

幽香「なんだとスキマァ!」

 

 

魅魔「んだとこらぁ!」

 

 

紫「やんのかぁ!?」

 

 

 

 

幽香「あぁん!?」

 

 

魅魔「んん!?」

 

 

紫「おぉう!?」

 

 

紫、魅魔、幽香「……」ビキビキ

 

 

 

紫「ふん! スキマオープン!」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「こうなったら三つ巴戦よ! あなたたちボコボコにしてスキマで挟んでゴミ箱にポイしてやるわ!」

 

 

魅魔「上等だぁ! お前ら月までぶっ飛ばしてやるぜ!」

 

 

幽香「それはこっちのセリフよ! 貴様ら骨も残さず粉々にしてやるから覚悟しなさい!!」

 

 

 

 

 

 ギュオン…

 

 

 

 幻想郷は今日も平和です…平和なのですよ

 

 

 

 おしまい♪

 

 






 ここまで読んでいただいてありがとうございました!

 投稿が遅れた理由として…その、私、体調を崩していました(。0。;)


 読者の方々からいただいた感想等に、お身体に気を付けてとあれほど言われていたのに…本当に申し訳ないです… 


 今後このような事が無いよう、体調を一番に考え、気を付けていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたしますm(。_。)m


 次回もお楽しみに♪




 ちょっとした補足と本編に出てない小ネタですが…


 靈異殿は北欧神話の神殿をベースとし、柱の色が全体的に白、そこに洋風の家具を無理矢理突っ込んだ感じになってます、エリスやサリエルの部屋もあったりします


 コンガラは後々登場します、彼女は一人の剣士と一人の技士と共に三人で旅をしています


 エリスが一番やったパネェイタズラはサリエルの羽をもぎ取ろうとしたこと。 未遂


 キクリは元ネタを探ってみると結構凄い人物で紫藍談にもそれを反映させてます。


 妖忌は…さて、どう登場させましょうか悩んでます


 魅魔と幽香と紫…誰が一番強いのかは私にも分かりません、勝ったのが誰なのかも分かりません。


 因みに年齢は紫が一番年上、幽香が二番目、魅魔が三番目になります…具体的な年齢? 言えるわけないです、まだ消されたく無いです。



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《第16談》地底の河童 河城みとり


 すいません投稿遅れてしまいました…


 タイトルの通り二次創作から生まれたキャラで人気なあの子が登場します。

 彼女についてはシュガー同様、後書きにて説明します


 それでは始まります、ゆっくり読んでいってください!




 

 

 【博麗神社 境内の温泉】

 

 

 

 物語は博麗神社境内にある温泉から始まる…

 

 

 

 

 

河城にとり「ん~…? あっれぇ~? 何でだぁ~?」カンカン

 

 

博麗霊夢「どう? にとり」

 

 

にとり「ん~おっかしいねぇ…急に出なくなったんでしょ? シャワーもパイプからも蛇口からも」

 

 

霊夢「えぇそうなのよ、急にピタッと出なくなっちゃって」

 

 

にとり「ん~…もしかしてなんか詰まっちゃってるのかも、でもいきなり温泉や水が出なくなるなんておかしいんだけどね、汚れが詰まった訳でもあるまいし」

 

 

霊夢「直りそう?」

 

 

にとり「うん、でも少し時間もらうよ、原因を探ってみたいからね!」キラキラ

 

 

霊夢「何でそんなに楽しそうなのよ」

 

 

にとり「私が作った機械の原因不明のトラブルを解明出来るんだぞ、こんなに楽しい事はないよね♪ エンジニアの血が騒ぐよ♪」

 

 

霊夢「そ、そう…と、とにかくお願いね」

 

 

にとり「おう! 任せとけ!」

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「はぁ、せっかくの朝風呂が出来ないとか…ショックだわ…」

 

 

霧雨魔理沙「本当にな、残念だぜ」

 

 

アリス・マーガトロイド「朝にお風呂入れないのって辛いわよね」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「はぁ…」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「……」

 

 

 

 

 

霊夢「あんたらいつから居たの?」

 

 

魔理沙「今さっき来たぜ」

 

 

アリス「私もよ、ふふっ♪」

 

 

霊夢「いや、えぇ…? てか何で来たのよ」

 

 

魔理沙「私は今日何故か早起きしてしまってな、だから霊夢ん所の温泉でひとっ風呂浴びようと思ってここに来た! はっはっは!」

 

 

霊夢「早起きって…今十時なんですけど」

 

 

魔理沙「まぁまぁ細かい事は気にすんなよ」

 

 

霊夢「…アリスは?」

 

 

アリス「霊夢いるところに魔理沙あり、魔理沙いるところに私あり、でしょ? ふふっ♪」

 

 

霊夢「なんじゃそりゃ…」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇよ、てか何で私が霊夢のところに行くって分かったんだよ?」

 

 

アリス「それはもちろん偏にあなたへの愛があるからよ♪ ふふっ♪ それにあなたが行くところって言ったらここか紅魔館、香霖堂、時々人里でしょう?」

 

 

魔理沙「…最近アリスさんは会話の中にしれっと『ふふっ♪』を入れてくる技術を身に付けたらしくてな」

 

 

霊夢「えぇ…やめてよ、負担が増えるじゃない」

 

 

魔理沙「咲夜にもこの事を伝えたら『頭が痛くなるわ…』って言ってたぜ」

 

 

霊夢「私達に気を張らせ過ぎなのよアリスは」

 

 

アリス「そ、そんなことないと思うけど…友達同士でそんなことやってたら疲れちゃうわよ? 普通にしてて良いからね?」

 

 

魔理沙「その普通をまずお前がやるべきなんだよなぁ…」

 

 

霊夢「普通にしていればアリスは最高の魔法使いよ、私が保証してあげるわ」

 

 

アリス「む~、私はいつも普通にしているんだけどなぁ」

 

 

魔理沙「…ギャグか?」

 

 

霊夢「たぶん」

 

 

アリス「えぇ~…」

 

 

霊夢、魔理沙「えぇ~じゃない」

 

 

 

 

 

 

 《博麗神社の温泉の秘密》

 

 

 

魔理沙「急に温泉が出なくなった?」

 

 

アリス「水も?」

 

 

霊夢「そうなのよ、温泉もシャワーもいきなり止まってね、今原因をにとりに探ってもらってるわ」

 

 

アリス「そういえば神社の温泉って何処から引いてるの?」

 

 

霊夢「地下よ、地下ってか地底か」

 

 

霊夢「諏訪子と神奈子がいきなり『温泉を神社に引いてやる、温泉は良いぞ!』とか言いに来てさ、最初それ聞いたとき私『はぁ?』だったんだけどそれを聞いていた萃香が『私も手伝ってやるよ霊夢』とか言い出したの、後はもうなすがままよ」

 

 

霊夢「地底で萃香と勇儀が温泉掘り当てて、諏訪子と神奈子が地面の整備をした後、にとりを含めた河童軍団が工事を開始してパイプだのポンプだのシャワーだの取り付けていきやがったのよ、終いにゃさとりと紫が来て『博麗神社温泉完成式』とかやりだした時は頭を抱えたわね…」

 

 

魔理沙「ふはっ…! はははっ! 容易に想像出来るぜ」

 

 

アリス「ふふふっ! なんか楽しそうね」

 

 

霊夢「笑い事じゃなぁい…!」

 

 

魔理沙「つうかさ、お前妖怪に世話になりっぱなしじゃねぇか、神奈子と諏訪子は別として」

 

 

霊夢「はぁ…私は博麗の巫女私は博麗の巫女…」ブツブツ

 

 

アリス「でもその後は文句も言わずお礼も言って現在に至るわけなんでしょ?」

 

 

霊夢「…まぁそうなんだけどさ」

 

 

魔理沙「至れり尽くせりだよな、異変解決する~その異変に関わってた連中と仲良くなる~何かしてもらう~って流れは鉄板だな♪ 博麗の巫女としての仕事のあとの駄賃みたいなもんだと考えれば良いんじゃねぇか?」

 

 

霊夢「……これ喜んでいいの?」

 

 

アリス「起きた物事が面倒臭く無かったらあなたはそれで良いんでしょ?」

 

 

霊夢「…まぁ、そうだけどさ」

 

 

魔理沙「妖怪であったとしても好意は素直に受け取れよ、皆霊夢が大好きなんだからよ♪ あっははは!」

 

 

霊夢「…/// はぁ…///」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

 

 おーい、霊夢ー!

 

 

魔理沙「お、にとりが呼んでるぞ」

 

 

霊夢「行ってみましょ」

 

 

 

 

 

 

 《詰まっていた者》

 

 

にとり「お? 魔理沙にアリスじゃないか」

 

 

魔理沙「よっ、にとり」

 

 

アリス「こんにちはにとり」

 

 

にとり「おっす! あぁ霊夢、原因分かったよ」

 

 

霊夢「一体なんなの?」

 

 

にとり「やっぱりなんか詰まってるよ、それが水の流れを塞き止めてるんだね」

 

 

魔理沙「どうすりゃ直るんだ?」

 

 

にとり「そりゃ詰まってる物を押し出すのさ」

 

 

アリス「押し出す?」

 

 

にとり「ほら見てこれ、今やったんだけど温泉を地底から引いているこのパイプを切り抜いたの、この状態で温泉が出たら上向きにお湯が出るようにしたんだ」

 

 

にとり「んで、このボタンを押せば…万事解決さ!」

 

 

霊夢「なにこれ」

 

 

にとり「温泉が勢いよく飛び出して来るボタン、水の力で詰まり物を押し出すのさ! まるで噴水の様にね」

 

 

アリス「にとり的には何が詰まってると思うの?」

 

 

にとり「でっかい岩かなんかじゃないの? 引っ掛かったんだよきっと」

 

 

魔理沙「岩ぁ? 勢いよく飛び出して来るんだろ? 危なくないか?」

 

 

にとり「心配すんなって、ほらこのウォーターブラスターで岩が飛び出して来たら粉々に破壊するからさ」

 

 

霊夢「用意がいいことで」

 

 

アリス(空中で破壊したら破片とか…大丈夫なの?)

 

 

にとり「エンジニアなめんなよ~? は~っはっはっは♪」

 

 

にとり「んじゃやるからちょっと離れてなよ、あ…あぁそうだ、これ持ってなよ」スッ

 

 

アリス「傘?」

 

 

にとり「お湯が噴水の様に出るんだぞ? 浴びたら火傷するかも知れないから念のためにね」

 

 

アリス「…!! ま、魔理沙と相合い傘!? いやぁん♪」

 

 

魔理沙「…指してるときちょっと寄せてアリスにお湯浴びてもらおうぜ」

 

 

霊夢「浮かれててお湯が効かなそうよね」

 

 

 

 

 

 

にとり「そんじゃいくぞー!」スッ

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「…!」

 

 

にとり「スイッチ…オン!」

 

 

 

 ポチッ!

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 

 

 

 

霊夢「うわっ…!」ユラッ

 

 

魔理沙「おい! 地面揺れてんぞ!?」

 

 

アリス「キャー♪ 魔理沙ぁ♪」

 

 

魔理沙「どさくさにくっついて来るんじゃねぇ!」

 

 

にとり「来るぞー!」

 

 

 

 

 ドッパアァン! サァァァァ!

 

 

 

 

にとり「よーし食らえぃ…!」スッ

 

 

 サァァァァ…!

 

 

 

霊夢「いっ…! あっつ!?」

 

 

魔理沙「あちっ!? あちちちっ!! おい! 温泉掛かってるんだが!?」

 

 

アリス「傘意味無いじゃない! 熱いっ!!」

 

 

 

にとり「ウォーターブラス…! えっ!!? えぇぇぇぇぇぇっ!!?」

 

 

 

魔理沙「にとり早くしろあっちいっ! てかお前何で平気なんだよぉ!」

 

 

霊夢「む…夢想天生!!」バァァン

 

 

魔理沙「お前それはズルいぞ霊夢! あっちぃ!」

 

 

アリス「こ、これは魔理沙との愛が原因で燃え上がるような修羅場に発展してる物だと思えば」

 

 

魔理沙「何を悟っちゃってんだよお前はぁ! にとりぃ早くしろって!! あちちっ!」

 

 

にとり「……!!」スッ

 

 

 

 ポチッ! ゴボゴボ…

 

 

 

 

 

 

魔理沙「はぁはぁ…あ~、熱かった…夏にこれはキツいぜ…」

 

 

霊夢「と、止まったの…?」

 

 

アリス「ふぅ…愛ある妄想でなんとか乗りきれたわ…」

 

 

魔理沙「色々とツッコミたいが…おいにとり、原因はなん…てかお前ブラスター撃ったのか?」

 

 

にとり「いや…その…撃ってない…撃てない」

 

 

霊夢「撃てないって、どういう事?」

 

 

にとり「あ、アレだよ…」スッ

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「うん…? うわぁ!!?」

 

 

 

???「 」プカプカ

 

 

 人の形をしたモノが神社の温泉溜まりにぷかぷかとうつ伏せで浮いている、顔が確認できない

 

 

 

霊夢「えっ!? 何!? に、人間なの!?」

 

 

アリス「ま、まさか人が詰まってたの!? 温泉のパイプに!?」

 

 

にとり「うん…出て来たのがアレだったんだ、撃てる訳がないだろう…?」

 

 

魔理沙「こ、これが博麗神社温泉殺人事件か!?」

 

 

霊夢「不吉な事を言うなぁ!!」

 

 

アリス「と、取り合えず引き上げてあげましょうよ!」

 

 

にとり「そ、そうだね…! のびーるアーム!」スッ

 

 

 ギュイーン… ガシッ!

 

 

にとり「お、おーい…! 生きてるかーい!」

 

 

魔理沙「うつ伏せじゃダメだろ、仰向けに…! ってあちちっ!」

 

 

アリス「温泉溜まりにいたからそれはね…! あつっ…!」

 

 

 ごろん…!

 

 

 

 

にとり「……!? えっ…!!?」

 

 

 

霊夢「ちょ、ちょっとあんた! 生きてんの!? ねぇ」

 

 

 

 霊夢はペチペチと倒れている人? の頬を叩く

 

 

 

???「…」

 

 

アリス「息は…してるみたいね、命に別状は無さそうよ」

 

 

魔理沙「おぉ良かったじゃねぇか、てかこいつ人なのか? 妖怪なんじゃねぇのか?」

 

 

霊夢「何でよ?」

 

 

魔理沙「温泉のお湯自体地底から汲み上げてるんだろ、そのパイプに何でこいつが詰まってたのかは知らないがこいつは地底から来たって事になるだろ」

 

 

 

にとり「お……あ、あ、ぁ…」プルプル

 

 

 

霊夢「そう言われてみれば確かにそうだけど…」

 

 

魔理沙「それに死んでねぇのがその証拠じゃねぇか、妖怪がパイプに詰まったぐらいじゃ死にゃあしないだろ」

 

 

霊夢「だから不吉な事を言うなっつーのに…」

 

 

アリス「妖怪なら問題は無いかもね、でも目を覚ますまで介抱した方が良いと思うわ、見た感じ火傷とかはしてなさそうだけど…」

 

 

霊夢「ん~…そうね、床の間に運びましょう」

 

 

魔理沙「だな、良し頑張れ」

 

 

霊夢「あんたも手伝いなさい!」

 

 

魔理沙「へいへい…にとりお前も…うん?」

 

 

 

にとり「お…ぁ…」プルプル

 

 

 

アリス「? にとり?」

 

 

霊夢「ん? なに? どうしたのにとり」

 

 

 

にとり「げ…」

 

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「げ?」

 

 

 

にとり「げえぇっ!? ね、姉ちゃん!?」

 

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「……?」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「えっ…?」スッ

 

 

???「…」

 

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「ええぇっ!!? ねっ…! 姉ちゃん!!?」

 

 

???「…」

 

 

 

 

 

 

 

 《河城みとりという存在》

 

 

 

モブ河童A「おーい、そっち持ってー」

 

 

モブ河童B「あいよー」

 

 

 

 ドガガガガ!

 

 

モブ河童C「温泉のパイプ修復中であります…あと十五分程で完成でありますので…」シュビッ

 

 

にとり「うん、ご苦労さん」

 

 

霊夢「どうも…」

 

 

 

 

 

???「…」

 

 

魔理沙「まさかお前に姉ちゃんがいたとはな…驚いだぜ」

 

 

アリス「私も驚いたわ…顔、似てないわね」

 

 

霊夢「色も全体的に似てないじゃない、服も赤色だし髪色も赤…いや桃色かしら、それにあんた達みたいに河童っぽくもないわね」

 

 

にとり「まぁ似てなくて当然…いや、似てるところもあるっちゃあるんだよ」

 

 

魔理沙「なんだ? 血が繋がって無いとかか?」

 

 

にとり「そういう訳じゃない…姉ちゃんはさ、その…異母姉なんだよ」

 

 

霊夢、魔理沙「いぼし?」

 

 

アリス「腹違いのお姉ちゃん…ってことよね?」

 

 

にとり「そうそう、私は純粋な妖怪の父と母から産まれたんだけど姉ちゃんはさ、母さんが…人間…なんだよね」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「えぇっ!?」

 

 

霊夢「じゃああんたの姉ちゃんって半人半妖になるわよね?」

 

 

にとり「そうだね…」

 

 

魔理沙「香霖と同じか、妖夢も…いやあいつは半人半霊だったな」

 

 

アリス「…名前は?」

 

 

にとり「みとり…河城みとりだよ」

 

 

アリス「みとり…あのパイプに詰まってたって事は地底に住んでいるの?」

 

 

にとり「うん、そうだよ」

 

 

魔理沙「ん? 何で河童が地底に住んでるんだよ、普通妖怪の山に住んでるんだろ?」

 

 

にとり「色々とあるんだよ、複雑な事情がさ…」

 

 

魔理沙「…それは母ちゃんが人間だって事と関係あんのか?」

 

 

にとり「大有り…だね、うん」

 

 

アリス「……聞かせてくれない…?」

 

 

魔理沙「お、おいアリス…」

 

 

霊夢「…」

 

 

にとり「…いいよ、隠すことでもないし…地底の奴らは皆知ってるし妖怪の山住みの奴らも姉ちゃんのことは知ってる、文たち天狗はもちろんのこと雛も知ってるかな…紫も知ってるよ」

 

 

霊夢「…」

 

 

にとり「んじゃ話すよ?」

 

 

 

 

 

にとり「昔の幻想郷ってこんなに平和じゃ無かったんだよ、二百年とか百年前とかは特にね、人間と妖怪の仲は最悪だった時代…原因は治安を維持してくれる人がいなかったからだね、食うか食われるか…弱肉強食の時代だ」

 

 

にとり「その時代に姉ちゃんは産まれたのさ、河童と人間の子、半人半妖としてね」

 

 

にとり「姉ちゃんの…まぁ私の親父は人間が本当に大好きな男でね、人間の女と恋に落ちるのは必然だったのかも知れない、現にそれで姉ちゃんが産まれてるからね」

 

 

にとり「荒れてた時代の幻想郷に半人半妖の子が妖怪の山に誕生、人間と河童は盟友…姉ちゃんの母さんは『この子が人間と妖怪の仲を取り持つ架け橋になってほしい』という願いを込めて育てられたんだ、時が経って大きくなった姉ちゃんもその願いを胸に生きていくと決めたのさ、人間と妖怪のために頑張る…ってね」

 

 

にとり「けど現実は甘くなかった…姉ちゃんがどんなに頑張っても無理だったのさ」

 

 

にとり「姉ちゃんは半人半妖として人間と妖怪から疎まれ、人間でも河童でもない存在…どっちの世界にも受け入れられなかった、人間と妖怪が仲良くなんて話さえも聞いてもらえなかった」

 

 

にとり「現実を突き付けられて心に痛みを抱え続けた姉ちゃんは孤独になり人間と妖怪を嫌うようになってしまった心が耐えられなかったんだよ…時が経つにつれて姉ちゃんは『自分なんて必要ない、私なんて消えてしまえばいい』って思うようになった」

 

 

にとり「そして地底に自ら降りていった…自分の存在を無かったことにするために」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「…」

 

 

 

 

にとり「地底に降りていった事も姉ちゃんにとっては失敗だったんだ、辿り着いた旧地獄には親しげに話す妖怪達がわんさか…そして妖怪の山で畏怖されていた鬼達が住んでいた…『地上でも嫌われ者の私があの輪の中に入れっこない』そう思ってしまったのさ」

 

 

にとり「それを見た姉ちゃんは自ら心を閉ざすまでになっちゃったんだ…そして地底の奥底、誰にも見つからない様な洞窟でひっそりと隠れ住むことにした…これが姉ちゃんが地底に暮らすことになった原因さ」

 

 

 

魔理沙「なんつーか…悲しい話だな」

 

 

アリス「期待され過ぎたというのもあるんでしょうね、でも時代に彼女の心は耐えれ切れなかった…現実に押し潰されてしまったのね」

 

 

にとり「そうだね、妖怪は心をやられるのが一番嫌…そして人間としての血、姉ちゃんの母さんである優しい血が姉ちゃんには流れているからね…相当辛かったと思う」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「お前、姉ちゃんのこと助けてやれなかったのかよ」

 

 

にとり「無理だよ…私が産まれたのは姉ちゃんが地底に行った後だったんだ…」

 

 

魔理沙「……悪い」

 

 

にとり「ううん…しょうがないよこればっかりは」

 

 

にとり「あぁ…でもね? そんな姉ちゃんにも救いの手を差し伸べてくれた奴が居たのさ、憐れみなんかじゃない、心の底から姉ちゃんを何とかしたい、助けたいって思ってくれた奴がね」

 

 

アリス「…? それは誰なの?」

 

 

にとり「盟友達三人も知ってる奴だよ、妖怪の山の四天王と呼ばれた鬼の一人…」

 

 

にとり「星熊勇儀さ」

 

 

魔理沙、アリス「!」

 

 

霊夢「…」

 

 

にとり「最初は勇儀も拒絶されてたらしいんだけど話すうちに徐々に打ち解けていったんだって、裏表が無く、正直で嘘つかない、拒絶されても諦めない、そういう妖怪と話すのは初めてだったから姉ちゃんも心を開いていったんだと思うよ」

 

 

魔理沙「やるなぁ、流石勇儀だぜ」

 

 

にとり「その事については私も感謝してるんだ、まぁ…まだ鬼は苦手ではあるんだけど…」

 

 

にとり「その後は勇儀の説得もあってさ、地底の妖怪たち、そして地霊殿のさとりたちとも交流を深めていって、ついには笑顔を見せるようになったんだ」

 

 

にとり「そして現在…時代は流れ平和になり、霊夢達が地底の異変を解決、そして守矢の二柱が地底に色々と温泉施設だのを作る様になってからは私も地底に足を運ぶ様になったからね、その時に姉ちゃんと会って色々と聞いたのさ、さっき話した事とかね」

 

 

魔理沙「ほぉ~…なるほどな」

 

 

アリス「ふふっ♪ 嬉しかったでしょう、会えて」

 

 

にとり「そりゃあね♪ 腹違いとは言え私の姉ちゃんだって事は事実、私に姉ちゃんが居るとは聞いてたけど会えるとは微塵も思ってなかったからさ、機械の事には疎い姉ちゃんだけど物を作るって事に関して話が合ってさ、喋ってるととっても楽しいんだ」

 

 

にとり「そういやこうやって会える様になったのって、霊夢と魔理沙達のお陰なのかもね♪ ははっ♪ ありがとう、霊夢、魔理沙、アリス」

 

 

アリス「ふふっ♪ 私は何もしてないわ、お礼を言うならこの二人でしょ?」

 

 

魔理沙「名だたる異変を解決してきてるからなぁ♪ あっはっはっは♪ なぁ霊夢よぉ♪」

 

 

霊夢「…」

 

 

にとり「ははっ! あっ! でもね…?」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「?」

 

 

にとり「姉ちゃん地底の旧都とかには頻繁に顔を出すようにはなってるんだけど人間に対してはまだまだ不信感を持ってるんだよ、地底には妖怪しか居ないからさ、まぁ観光で人間が地底に行くことはあるけども鉢合わせた事は無いみたい、それに地上にはもう行きたくないとも言ってるんだ」

 

 

アリス「それは難しいところよね…」

 

 

にとり「うん、私も地上には良い人間が増えてるんだよ? もう平和なんだよ…って言ってもあんまり信じてもらえないんだ」

 

 

魔理沙「闇が深いだろうからなぁ…ん? じゃあここにお前の姉ちゃん居るの不味くねぇか?」

 

 

にとり「だから最初に『げえっ!?』って言ったんじゃないかよぉ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

???「ん、んん…?」ユラッ

 

 

にとり、アリス、魔理沙「!!」

 

 

 

 

 

 ピシャッ!

 

 

霊夢「ちょっ…! ちょっと! 何で襖閉めてんのよ!」

 

 

魔理沙「シーッ…! 静かにしてろって…!」ヒソヒソ

 

 

アリス「ここは様子を伺いましょう…!」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

 

???→河城みとり「あ、あれ…? こ、ここは…? えっ…? 何で布団に寝て…」

 

 

にとり「よ…! よお! ね、姉ちゃ~ん!」

 

 

みとり「にとり…?」

 

 

にとり「久しぶりだなぁ姉ちゃん! あっはっはっは!」

 

 

みとり「? 何でそんなにテンション高いの…? それに久しぶりじゃないと思うよ、前に会ったのは二日前だよ…?」

 

 

にとり「そ、そうだっけ~? えっへっへっ!」

 

 

みとり「大丈夫…? 頭…」

 

 

にとり「え、エンジニアの頭はいつでもフル稼働してるからね! しょうがないのさぁ! あっはっはっは!」

 

 

みとり「…? 何か隠してる…?」

 

 

にとり「そ、そんなことないですよぉ!?」

 

 

にとり(や、ヤバイ…! ど、どうしよう! 良い案が思い付かない!)

 

 

にとり(ね、姉ちゃんを気絶させて地底に運ぶとか…? い、いやいや、そんなこと出来るかぁ!)

 

 

みとり「……にとり」

 

 

にとり「う、うん!?」

 

 

みとり「隠し事…『禁止』」

 

 

にとり「いっ…!?」

 

 

みとり「正直に話して…」

 

 

にとり「はい」

 

 

にとり(く、口が勝手に…!)

 

 

みとり「何故私は寝ていたの? ここは何処?」

 

 

にとり「お話しします」

 

 

にとり(ね、姉ちゃんの能力には逆らえないの忘れてたぁぁ…!)

 

 

 

 

 

 【にとり、説明中…】

 

 

みとり「!!? こ、ここは地上!? パイプに詰まってた!?」

 

 

にとり「はい、そうです」

 

 

みとり「そ、そんな…そんなお馬鹿さんみたいな…! あ、でも…」

 

 

にとり「正直パイプに詰まった姉ちゃんを想像したら凄く面白かったです」

 

 

みとり「!? むっ…!」ムスッ

 

 

にとり(よ、余計なことまで言うんじゃないよ私ぃ!!)

 

 

みとり「…普通にすることを『許可』します」

 

 

にとり「ぷはっ!? はぁはぁ…!」

 

 

みとり「にとり…!」ムッスー

 

 

にとり「ち、違うんだよ姉ちゃん! そ、そりゃおもっ…! 思っちゃったかも知れないけどすっごく心配したんだからね!」

 

 

みとり「…」プクー

 

 

にとり「ほ、本当だよ!」

 

 

みとり「…うん、信じてあげる」

 

 

にとり「ほっ…」

 

 

みとり「にとり…ここは地上なんでしょ…? 私早く地底に帰りたい、にとり、地底まで案内して…! こんなところ居たくない…」

 

 

にとり「お、おう…! もちろんいいよ」

 

 

 

 

 

アリス「と、咄嗟に襖を閉めて隠れちゃったけど…」

 

 

魔理沙「良い判断だったぜ、てかにとりの奴…何であんな素直にベラベラ喋ってんだよ」

 

 

アリス「たぶんあの子の能力じゃないかしら『禁止と許可』この二つのワードが出た瞬間にとりに変化が見られたわ」

 

 

魔理沙「流石だなアリス、良く見てるぜ」

 

 

アリス「私は魔理沙を中心にして色んな物を見ているからね」

 

 

魔理沙「そんなアホみたいな豆知識はいらねぇ」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「はぁ…本当にアホらしいわ…」スッ

 

 

魔理沙「珍しいな霊夢、ツッコミ終わった後にツッコミをいれるとはな」

 

 

霊夢「違うわよ…アリスのことじゃない」

 

 

霊夢「何で自分の家でコソコソしなくちゃならないのよ…!」スッ

 

 

魔理沙、アリス「! ちょっ…!?」

 

 

 

 

 

 ピシャッ!

 

 

にとり、みとり「!!」

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり「…? !? に、人間…!?」

 

 

にとり「れ、霊夢…!」

 

 

霊夢「…!」ギロッ

 

 

みとり「ひっ…!」ビクッ

 

 

 

魔理沙(おいおいおいおい! 何してんだ霊夢!)

 

 

アリス(その子の人間不信は何百年と続いて出来た物よ…! 霊夢、何をする気なの…!?)

 

 

 

にとり「ね、姉ちゃん…! しょ、紹介するよ…! 私が何度か話したと思うけど、ここの家の主の博麗の巫女の博麗霊夢だよ、怖がらなくても大丈夫だからね」

 

 

みとり「! こ、この人が…あ、あの博麗の巫女…? 勇儀さんやさとりさんが言ってた人間…!?」

 

 

にとり「そ、そうだよ! 良く聞いてるだろ? 良い奴なんだよ本当にさぁ! あっはっはっは…」

 

 

みとり「で…でもにんげ…!」

 

 

にとり「だ、大丈夫だって! 本当に良い奴なんだからさ、私の盟友の一人なんだぞ?」

 

 

みとり「……!」ビクビク

 

 

霊夢「…私の何を聞こうと、何を言われようと、私の事をあんたがどう思おうとも構わない」

 

 

霊夢「でもあんたさぁ…にとりから事の顛末を全部聞いたのになんか私に言うこと無いの? ねぇ?」

 

 

みとり「……!?」

 

 

 

魔理沙(何でそんなに喧嘩腰なんだよぉ!)

 

 

アリス(霊夢! そんな言い方はダメよ…!)

 

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり「な…何か…!? い、言う…?」ブルブル

 

 

にとり「…!」

 

 

霊夢「そうよ、言うことあるでしょうが」

 

 

みとり「言うこと…あなたは人間…」ブルブル

 

 

霊夢「そうよ人間よ、だからなんなのよ」

 

 

みとり「うぅっ…! うっ…に、にん…!」ブルブル

 

 

魔理沙、アリス、にとり「…!」

 

 

みとり「……!」

 

 

霊夢「あー? はっきり言いなさ」

 

 

みとり「あ、あっちいって!! 人間なんかに話すことなんか何もない!」

 

 

霊夢「!」ピクッ

 

 

みとり「早く私を地底に帰してよ! 私は地上なんかに居たくないの! 私の事なんて放っておいてよ! これ以上私に酷いことしないで!!」

 

 

みとり「私の居場所は…! 私の居場所は地底にしか無いんだか」

 

 

霊夢「違ぁう!!」クワッ

 

 

みとり「ひっ…!?」ビクッ

 

 

魔理沙、アリス、にとり「!!」

 

 

 

 

 

 霊夢はみとりの胸ぐらを掴み、凄い剣幕で言葉を言い放つ

 

 

 

 

霊夢「地底とか地上とか人間だとか人間じゃないとか居場所がどうとか! そんな話はしてないしどうでもいいのよ!!」

 

 

霊夢「あんたの過去もにとりから聞いたけどね! 辛そうだとか悲惨だとか悲しいだとかこれっぽっちも思わなかったし全く興味も無い! くだらない過去なんかどうでもいいだろうが! そんなもん捨てちまえ! そんなものよりも一番大切なのは今よ今!」

 

 

みとり「!!」

 

 

霊夢「あんたは何でか知らないけど私の家の温泉のパイプに詰まり、私の朝風呂の邪魔をし、にとりに助けてもらい、私達に介抱された! これが今なのよ!」

 

 

霊夢「先ず私に謝れ! それからにとりに感謝して私と、私の後ろにいる二人の魔法使いに感謝しなさい!」

 

 

 

魔理沙、アリス、にとり「…!!」

 

 

 

 

 

霊夢「どんなに辛い日々を送ろうとどんなに悲しい過去を歩んでいようと出来る事はあるでしょうが! これには人間も妖怪も関係ないわ! バカでも出来る事よ!」

 

 

霊夢「あんたは助けてもらった人に『ありがとう』と『ごめんなさい』も言えないんかい!」

 

 

みとり「…!!」

 

 

にとり「…! ……」

 

 

霊夢「はぁ…はぁ…!」

 

 

みとり「……」

 

 

 

 

みとり(私の過去に興味がない……? 勇儀さんやさとりさん、にとり、ヤマメさん達にも言われたことない……励まされたり気にするな…とは言われたことはあるけど……こんなこと言われたの初めて……)

 

 

みとり(?? ???)

 

 

みとり(……この気持ちは何だろう…分からない…でもとても…)

 

 

みとり(そう思われると……とても楽……)

 

 

みとり(……一番大切なのは…今…)

 

 

みとり(今…私は地底にいて勇儀さん達と居て凄く楽しい……それが今の私の気持ち…でもにとり達から聞いているのは…今の…)

 

 

みとり(そう……今……はっ…!?)ピクッ

 

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり「…!」

 

 

 

 霊夢はみとりの目をジッと見据えている

 

 

みとり「うっ…! うぅ…!」

 

 

霊夢「……」ジッ

 

 

みとり「え…えっ…と…その…あの…」ブルブル

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり(わ、私が今…で、出来る事…)

 

 

みとり「……」

 

 

みとり「ご、ごめんなさい…!」

 

 

にとり「!」

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり「ぱ、パイプに…つ…詰まっちゃって……ご、ごめんなさい…!」

 

 

霊夢「…!」

 

 

みとり「うぅっ…」

 

 

にとり(! 姉ちゃん…)

 

 

霊夢「よろしい、はい次」

 

 

みとり「!! え…… えっと…に、にとり…!」

 

 

にとり「! う、うん?」

 

 

みとり「た、助けて…くれて…あ、ありがとう…!」

 

 

にとり「お…お、おう…どういたしまして」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「ほら次、最後よ」

 

 

みとり「う…」

 

 

みとり「……」チラッ

 

 

魔理沙、アリス「…!」

 

 

みとり「あ…あの…」

 

 

みとり「た、助けて…! か、介抱してくれて…! あ、ありがとうございました…!」ペコッ

 

 

魔理沙「…! お、おう!」

 

 

アリス「ぶ、無事で何よりよ…」

 

 

みとり「…!」

 

 

みとり「……」チラッ

 

 

霊夢「何よ、言えるんじゃない♪」ニコッ

 

 

みとり「…えっ」

 

 

霊夢「えっと、あんた名前みとりだっけ?」

 

 

みとり「えっ…? は、はい…!」

 

 

霊夢「じゃあみとり、あんた喉渇いてないの? お茶飲む? それとお腹は空いてないの? お煎餅食べる?」

 

 

みとり「えっ…? えっ…!?」

 

 

霊夢「どんな形でここに来ようと、あんたは一応客でしょうが、で? どうなの?」

 

 

みとり「えっ…と…そ、その…」

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり「か…渇いてます…お、お腹も…空いてます」

 

 

霊夢「分かったわ、じゃあそこの茶の間の座布団に座って大人しく待ってなさい、良いわね?」

 

 

みとり「……」モジモジ

 

 

霊夢「返事ぃ!」

 

 

みとり「ひゃっ、ひゃい!!」ビクッ

 

 

霊夢「うんよろしい、じゃあ私お茶いれてくるから」

 

 

魔理沙「おう! 高級茶葉で頼むぜ」

 

 

霊夢「ふっ…気が向いたらね♪」スッ

 

 

 

 スタスタ…

 

 

 

魔理沙、アリス、にとり、みとり「……」

 

 

魔理沙「あっははは!」

 

 

アリス「ふふっ…!」

 

 

にとり「はははっ!」

 

 

みとり「…! ……」

 

 

みとり(……不思議な人……なんか…)

 

 

みとり(あの人間の事を嫌いになれない…何で…? あんなこと言われたから…?)

 

 

みとり(本当ならあんなこと言われたら怒るし、喋りたくもない…それが私の筈なのに怒れなかった…何も言えなかった…拒絶もしなかった)

 

 

みとり(私の過去に何も感じない…興味もない…それが私にとって癒しになってるのかな…?)

 

 

みとり(それとも…今が大事だって…気付かせてくれたから…? 出来る事…『ありがとう』と『ごめんなさい』…)

 

 

みとり(今、か……)

 

 

みとり(……)

 

 

みとり「…」ニコッ

 

 

にとり「…!」

 

 

魔理沙「はははっ! ありゃ高級茶葉確定だな♪」

 

 

アリス「ふふっ、霊夢がお説教モードになるのを見たのは久し振りな気がするわ」

 

 

魔理沙「『怒れる霊夢』通称イカレイム、だな♪」

 

 

アリス「ふふっ、怒ってる訳じゃないんじゃない?」

 

 

魔理沙「お説教には怒りが大切だろ?」

 

 

アリス「まぁそうだけどね」

 

 

 

みとり「…」

 

 

にとり「…姉ちゃん」

 

 

みとり「な、なに? にとり」

 

 

にとり「姉ちゃん今笑ってたよ、地底でいつも見る表情とおんなじだった」

 

 

みとり「…! わ、私笑ってた…?」

 

 

にとり「頭の中でグルグル色んな事を考えてたんだろうけどさ、霊夢にそういうのは通用しないよ」

 

 

にとり「さっき言ったことに嘘偽りは無い、霊夢は妖怪だろうと人間だろうと分け隔てなく接する…そういうところが皆から好かれる理由なんだ、勇儀とかからも聞いてるだろ?」

 

 

みとり「うん聞いてたよ、でも信じられなかった」

 

 

にとり「鬼が嘘つかないって分かってたのに?」

 

 

みとり「うん…話だけじゃ信じられない…勇儀さんたちの前では納得してた様に見せてたけど…」

 

 

にとり「あんまり人の顔色伺っちゃダメだよ、姉ちゃん」

 

 

みとり「うん…」

 

 

にとり「で、実際に霊夢に会ってみてどうだった?」

 

 

みとり「……みんなから噂されて、みんなから好かれる理由が…分かった気がする…」

 

 

にとり「…そっか♪」

 

 

みとり「うん…」

 

 

にとり「でもね、霊夢だけじゃないよ? そこの白黒大泥棒の魔理沙も霊夢とは毛色が違うけど、とっても良い奴なんだ、種族関係なく分け隔てなく接するから妖怪や妖精たちから好かれてるんだ」

 

 

魔理沙「おいこら、大泥棒は余計だぞ?」

 

 

みとり「魔理沙…! 勇儀さんが話してくれた人間…『ノリが良くて勇気がある奴』って言ってた…でも泥棒なの…?」

 

 

魔理沙「泥棒じゃねえよ、死ぬまで借りてるだけだって、私が死んだら返してやるぜ♪」

 

 

みとり「…? そういうのを泥棒って言うんじゃないの?」

 

 

魔理沙「ギクッ…!」

 

 

アリス「ギクッって言っちゃってるわよ?」

 

 

にとり「ははっ! 言われてやんのー!」

 

 

魔理沙「うっせぇ、この金の亡者め!」

 

 

にとり「なんだとぉ!? 私の何処が金の亡者なんだよぉ!」

 

 

魔理沙「最近お前何かあれば『買います?』って聞いてくるじゃねぇか」

 

 

にとり「ぐっ…! エンジニアのお仕事にはお金が掛かるもんなんだよぉ…!」

 

 

魔理沙「認めちまったなぁ、にとり」

 

 

にとり「だってしょうがないじゃないかぁ…! 金があれば何でも…うぅ…」

 

 

魔理沙「切実だな…」

 

 

アリス「ふふっ…♪」

 

 

みとり「ふふっ… !!」

 

 

みとり(…また……今のは自分でも分かった…笑顔に…)

 

 

みとり(この人間も…私の心の中に存在している人間と全然違う…)

 

 

みとり(……)

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

星熊勇儀『地上との確執が無くなってよ、萃香に誘われて地上に出て博麗神社の宴会に参加してみたんだ、いやぁアレは楽しかったなぁ♪ 人間妖怪妖精入り乱れて色んな奴等と話せて楽しかったぜ♪ みとり、今度お前も一緒にどうだ?』

 

 

 

黒谷ヤマメ『前に地上にある紅魔館って所の建て直しに行ったのさ、派手に壊れちゃっててねぇ♪ 直し甲斐があったよ♪ でさ? そこの紅魔館のメイドさんが人間なんだけどその人間が作るお菓子がとっても美味しかったんだぁ♪ みとりにも食べさせてあげたかったねぇ、なんだっけ名前…あぁ、サンデーだサンデー♪』

 

 

 

キスメ『人間が怖い…? 普通私たちが怖がられるんじゃないの…? でも最近は怖がってくれる人もあんまり見なくなったよ…? 寧ろ友好的に接してくれる人が多くなったと思う、でも私としては恥ずかしいからあんまり話し掛けて来ないでほしいんだけどね…/// えへへへ…/// みとりちゃんは恥ずかしいとか思わない…?』

 

 

 

水橋パルスィ『あ? 人間? 最近地上から地底にくる奴等が増えたのよ、幸せそうな顔してたりとか地底に観光目的でルンルン気分で来やがる奴等が増えて…あぁ、本当に妬ましいわ…! えっ? 私が楽しそうにしてるですって…!? みとりぃ! そう思うあんたを妬んでも良いのよ!? 私は全然楽しくなんかない…!? ちょっ…!? こらぁヤマメぇ! ニヤニヤするなぁ!』

 

 

 

 

古明地さとり『地上から人間? えぇ、今では技術革新とかで地底に温泉を作っていただいたお陰で地底も観光名所になりました、私としては喜ばしい事なのですが…みとりさん、辛ければ人間の観光客とは目を合わせぬよう…えっ? 人間が地底に来ることについてですか? う~ん…良いんじゃないでしょうか、それが幻想郷が望んだ事なのなら私は文句は言いません、私としては人間と妖怪が手を取り合って道を切り開いて行く…そんな未来を望んでますので』

 

 

 

 

火焔猫燐『前に元人間の住職さんが開山している命蓮寺ってお寺に入門しようと思ったんだけど断られちゃったんだよねぇ…こいし様が入門出来たんだからあたいもってさ、でも動機が不純だからって断られたんだよ? 酷いよねぇただちょっと…ほんのちょっとお墓から死体を数体いただければなぁとは思ったけどもさ♪ えっ? 断られて当然? そんにゃ事言わないでよみとりぃ…』

 

 

 

 

霊烏路空『守矢の神様達がたまに私の…メンテ? だっけ? それをしに来るんだよ、その時にたくさんお菓子を貰えるんだぁ♪ みとりちゃんも食べる? 地上にある人里って人間がたくさん居るところで作られてるんだって♪ これがおはぎでしょ? それからお饅頭に…これは卵たっぷりプリンケーキ♪ 人間ってこんな美味しい物たくさん食べてるんだよね♪ 羨ましいなぁ♪』

 

 

 

 

 

古明地こいし『地上は不思議がたくさんあるんだよ♪ 心がホカホカするんだぁ♪ 人間や妖怪、妖精さんや神様達と話してると私のこの第三の目が暖かくなるのが分かるの…何でだろうね♪ 良く分かんないんだけど~♪ えっ? 仲の良い人間? たくさんいるよ♪ 霊夢に魔理沙にフランちゃんの家のメイドの咲夜でしょ? それから妹紅さん♪ 会ったらもこたんって呼んであげてね♪ 後はお空から聞いてるかな? 守矢の人で名前は早苗! みんなとってもいい人だよ♪ みとりちゃんも好きになると思うなぁ~♪』

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

みとり(……)

 

 

みとり(私は聞いてただけ…自分の目で見ようともしなかった…)

 

 

みとり(みんなの言ってた事は…本当…?)

 

 

にとり「姉ちゃん? おーい姉ちゃん!」

 

 

みとり「!」ハッ

 

 

魔理沙「何やってんだ? 早くこっち来て座れって」

 

 

アリス「美味しいお茶が出迎えてくれるわよ、ふふっ♪」

 

 

みとり「あ…う、うん」スッ

 

 

みとり(信じても…良いのかな…?)

 

 

 

 

 

 

 《お茶飲んで煎餅食うのが博麗流》

 

 

 

魔理沙、にとり「はあぁぁ~…茶がうめぇ…」ホッコリ

 

 

霊夢「おっさんかあんたらは」

 

 

にとり「いやぁ、一仕事終えた後のお茶は格別だね」

 

 

魔理沙「それに霊夢がいれてくれたお茶だからなぁ」

 

 

霊夢「誰がいれようと変わらないでしょ?」

 

 

魔理沙「いや、真心が入ってるぜ」

 

 

霊夢「はっ…!? そんなもん入ってないわよ!」

 

 

アリス「ふぅ…♪ 美味しい…♪」

 

 

魔理沙「ほら見ろ、七色の女子力使いと言われてるアリスさんのお墨付きだぞ?」

 

 

にとり「ふはっ…! な、七色の女子力…! くふふっ!」プルプル

 

 

霊夢「ふっ…! に、人形使いでしょ…! ふくくっ…!」

 

 

アリス「七色も女子力があったらそれはそれで…ん?」

 

 

みとり「…」

 

 

アリス「あら、飲まないの?」

 

 

みとり「! いや、これ」スッ

 

 

魔理沙「うん? おっ、茶柱が立ってるな」

 

 

にとり「おぉ良かったね姉ちゃん、何か良いことあるかもよ?」

 

 

みとり「良いこと…?」

 

 

アリス「縁起が良いとか、吉事の前触れとか言われてるのよね」

 

 

霊夢「でもそんなに珍しい事でもなくない?」

 

 

魔理沙「そりゃお茶好きのお前は毎日見てるだろうからな」

 

 

霊夢「お茶好きなのは認めるけど流石に毎日見ないわよ」

 

 

みとり「…良いこと…」

 

 

みとり(……)

 

 

みとり(ここに来れたのは良いこと…?)

 

 

霊夢「…あ~、みとり?」

 

 

みとり「! は、はい…?」

 

 

霊夢「私としては早く飲んでほしいんだけど、冷めちゃうじゃない」

 

 

みとり「! い、いただきます…」

 

 

みとり「ズズッ…… ふぅ…」

 

 

みとり「…! 美味しい…♪」

 

 

霊夢「…♪ そ、お口に合った様で何よりよ♪ ほら、お煎餅も食べなさい」

 

 

みとり「い、いただきます…」スッ

 

 

 パキッ!

 

 

みとり「んぐっ……」モグモグ

 

 

霊夢「…どう?」

 

 

みとり「…美味しいです、お煎餅」

 

 

霊夢「そう…良かったわ」

 

 

みとり「…! あ、あの!」

 

 

霊夢「うん?」

 

 

みとり「お、お煎餅とお茶…あ、ありがとう…!」

 

 

霊夢「…! …どういたしまして」

 

 

みとり「はい…!」

 

 

霊夢「ふっ…! そこで返事するのおかしくない?」

 

 

みとり「そ、そうですか?」

 

 

霊夢「まぁあんたの好きにしたら良いけどね」

 

 

みとり「…はい」ニコッ

 

 

霊夢「…!」

 

 

霊夢(本当ににとりと似てないわね…なんというか…小動物っぽい…)

 

 

 

 

アリス「まだ緊張してるみたいだけど少しずつ緊張がほぐれていっている様に感じるわ」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「んじゃもっとほぐれてもらおうぜ、軽く自己紹介とでもいくか」ヒソヒソ

 

 

にとり「…世話をかけるね、盟友たち」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「世話なんかじゃねぇよ、こっちは好きでやってんだからな」ヒソヒソ

 

 

にとり「! ……」ニコッ

 

 

にとり(ありがとう…♪)

 

 

 

 

 

 

 《大切なのは今の思い出》

 

 

アリス「私はアリス・マーガトロイド、よろしくね、みとり」

 

 

みとり「よ、よろしくです」

 

 

にとり「アリスとは本当に初めましてになるね、私達との会話でも出て来なかっただろうからね」

 

 

みとり「うん、えっと…あなたは人間なの?」

 

 

アリス「人間…だったわ、人間から魔法使いという種族になったのよ」

 

 

みとり「人間だった…?」

 

 

アリス「そ♪ ふふっ、でもね? 魔法使いになった今でも人間だった頃の誇りや習慣は捨てて無いのよ? 人間だったからこそ得られたこともたくさんあったしね」

 

 

にとり「人間だったから私達河童もアリスに接しやすいのかもね」

 

 

アリス(人間の前にまだあるんだけどね…でもこれは今は言うべき事では無いわね)

 

 

アリス「色々とにとり達には助けてもらってるのよ、戦闘用人形の改造諸々ね」

 

 

みとり「人形?」

 

 

アリス「ふふっ、見せてあげるわ…♪ はっ…!」パンッ

 

 

 

 アリスは魔力を込めて手のひらを合わせる

 

 

 ポンッ ポンッ

 

 

上海人形「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱人形「ホーライ♪」

 

 

みとり「! わぁ…!」

 

 

上海「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱「ホーライ♪」

 

 

アリス「どう? 可愛いでしょ♪ 私が作った人形なの」

 

 

みとり「うん…! とっても可愛い…♪」

 

 

 

 みとりは上海と蓬莱の頭を撫でてあげる

 

 

 

みとり「ふふっ♪」

 

 

上海「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱「ホーライ♪」

 

 

にとり「気に入ったみたいだね姉ちゃん♪」

 

 

みとり「うん♪」

 

 

魔理沙「ふっ、相変わらず上海と蓬莱は可愛いよな」

 

 

霊夢、にとり「ね」

 

 

アリス「私の事は!!?」バッ

 

 

魔理沙「おわぁっ!? びっくりしたぁ!」ビクッ

 

 

みとり、霊夢、にとり「!?」ビクッ

 

 

魔理沙「いきなり大きな声を出すんじゃねぇよお前は!」

 

 

アリス「上海と蓬莱が可愛いなら私も可愛いってことよね!? そうでしょ!? そうと言ってよ魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「どうしてそうなるんだよぉぉぉ!!」

 

 

みとり「えっ…? えっ?」

 

 

霊夢「たまに…たまに不思議の国からアリスの頭に使者が来てね、たまーにあぁなっちゃうのよ」

 

 

みとり「…頭の病気か何かなの?」

 

 

にとり「病気…まぁ恋の病ではあるよね」

 

 

みとり「恋…」

 

 

 

アリス「上海と蓬莱に浮気されても私はめげないわよ魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「何の話だよ!」

 

 

アリス「修羅場の話よ!」

 

 

魔理沙「真面目に答えんじゃねぇ!」

 

 

 

みとり「アレは恋なの?」

 

 

にとり、霊夢「たぶん…」

 

 

上海「バカジャネーノ…」ヤレヤレ

 

 

蓬莱「バカジャナイノ…」ヤレヤレ

 

 

 

 

 

魔理沙「私は霧雨魔理沙だ、勇儀とかから聞いていると思うが人間の魔法使いだ、よろしくなみとり」

 

 

みとり「よろしく…人間で魔法使いなのは凄い…」

 

 

魔理沙「だろぉ? はっはっは!」

 

 

霊夢「まぁ泥棒だけどね」

 

 

魔理沙「おい!」

 

 

みとり「泥棒…さっきから聞くけど勇儀さん達から聞いてる話と全然違う…あなたは勇気がある人だって聞ききます」

 

 

にとり「勇気は人一倍あるよね、生身の人間なのに妖怪に特攻してったりするから」

 

 

霊夢「無鉄砲とも言えるわよね」

 

 

魔理沙「無鉄砲も良く考えれば長所だろ? 良いもんじゃねぇか」

 

 

霊夢「…泥棒は?」

 

 

魔理沙「だから泥棒じゃねぇっての」

 

 

にとり「『死ぬまで借りる』が魔理沙の流儀なんだよ」

 

 

みとり「…? 完全に泥棒…」

 

 

魔理沙「おいおい、嘘を教えんなよ…」

 

 

アリス「…あっ聞いてみとり、魔理沙はね? 私のとんでもない物を盗んでいったのよ?」

 

 

みとり「とんでもない物?」

 

 

アリス「ふふっ、それはね…?」

 

 

 

 

アリス「私の心なの…! ってキャーーー!! 私のハート盗まれちゃ」

 

 

 

魔理沙「みとり良く聞けよ? 私は泥棒なんかじゃ」

 

 

アリス「あぁん♪ 無視しないでよ魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「うっせぇアホ! 一人でやってろ!」

 

 

アリス「ふっ! ふふふっ!」

 

 

魔理沙「ふふっ♪ って無理矢理言うんじゃねぇよ!」

 

 

霊夢「何回同じことを繰り返すのよあんたらはぁ!」

 

 

みとり「ぷっ…! ふふふっ…!」

 

 

にとり「! ははっ、面白いだろう?」

 

 

みとり「! ふふっ…! うん、面白い…♪」

 

 

 

 

霊夢「私は博麗の巫女、博麗霊夢よ、よろしく」

 

 

みとり「よろしくです…」

 

 

霊夢「にとりや勇儀から聞いてるなら私の紹介はいらないかしらね」

 

 

みとり「『とってもいい人間』だって地底の妖怪たちはみんな言ってました、にとりも魔理沙さんと同じ盟友の一人で仲良しだって」

 

 

霊夢「…!」

 

 

魔理沙「まぁちょっと怒りっぽい所があるが概ねその通りだぜ、良い奴なんだよ霊夢は♪ 妖怪、妖精、神から月の民までみんな霊夢が大好き、神社は今日も大賑わいなんだぜ!」

 

 

みとり「そ、そんなに…?」

 

 

アリス「そうなの、この神社で宴会が始まると凄い光景よ♪」

 

 

にとり「私も参加させてもらってるけどさ、鬼を呼ぶのはちょっと勘弁…」

 

 

霊夢「萃香に来るなって言うのは無理な話よ」

 

 

にとり「ですよね~…絡み酒が無ければなぁ…」

 

 

みとり(あの伊吹萃香さん…勇儀さんと同じ鬼の四天王の一人…確かここで寝泊まりもしてるって勇儀さんが言ってた…)

 

 

みとり「霊夢さんは良い人間…そして凄い人間…だと思います」

 

 

霊夢「!」

 

 

みとり「あなたは…う、上手く言えないけど…とても、とても話しやすい…話すのが嫌にならない」

 

 

みとり「とても不思議な気持ちになれるんです…あなたと喋ってると…」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「分かるぜその気持ち、ほんと不思議な魅力あるもんなお前」

 

 

霊夢「無いわよそんなもん」

 

 

にとり「歴代の博麗の巫女には無い魅力なんじゃないの?」

 

 

霊夢「だから無いってのに」

 

 

アリス「その魅力、私の人形達にも分けてほしいわね」

 

 

霊夢「無いって言ってるでしょうが」

 

 

みとり「ふふっ…♪ あると思います、あなたには不思議な魅力が、ふふっ」

 

 

霊夢「! 無いっちゅーのに…///」カアッ 

 

 

魔理沙、アリス、にとり「…」

 

 

魔理沙「照れたな」

アリス「照れたわね」

にとり「顔赤いぞ?」

 

 

霊夢「うっさい!」

 

 

魔理沙、にとり「あっははははっ!」

 

 

アリス「ふふふっ!」

 

 

みとり「ふふっ…♪」

 

 

霊夢「…/// ったく…///」

 

 

 

 

 

 

みとり「河城みとりです、私の事はにとりから聞いてますよね…?」

 

 

アリス「えぇ、聞いてるわ」

 

 

みとり「……」

 

 

魔理沙「…私達もな、霊夢と同じ気持ちだぞ?」

 

 

みとり「…!」

 

 

魔理沙「まぁ…なんだ、こう…私とアリスは霊夢みたいに興味が無いって訳じゃねぇ、だからその時代に一緒に産まれてたらお前の力に絶対なってた、これは私の本当の気持ちだぜ」

 

 

アリス「えぇ、私も同じ気持ちよ」

 

 

魔理沙「信じてほしい…今の地上はお前が思っているより平和なんだ、そしてお前の境遇を笑ったり疎んだりするやつはいねぇんだ、断言するぜ」

 

 

みとり「!!」

 

 

魔理沙「過去の事は私達にはどうしようも出来ねぇ、けど霊夢も言ったように大事なのは『今』だとも思う、もうお前と私達は知り合いになって友達になったんだ、だから…」

 

 

魔理沙「これからは楽しい思い出を一緒にたくさん作って行こうぜ? 時代の事は良くわかんねぇけど『今』の時代は捨てたもんじゃないからよ」

 

 

アリス「そうね、いきなり地上に一人で放り出される訳じゃないわ、私や魔理沙、そして霊夢もいる…それにあなたには何より大切な妹が何時でも側にいる」

 

 

アリス「過去の記憶が蘇って辛かったりするかもしれないけど少しずつで良いの、地上で楽しい思い出を作っていきましょう、私達と一緒にね♪」

 

 

霊夢「あんたは『今』の地上のなんたるかをその目で見るべきよ、自分で見て感じること…あんたなら出来ると思うわ」

 

 

霊夢「大丈夫、心配いらないわ」

 

 

みとり「…!」

 

 

みとり「……」プルプル

 

 

みとり「…」

 

 

にとり「姉ちゃん…? !」

 

 

みとり「グスッ…! うぅ……」ポロポロ

 

 

にとり「姉ちゃん…」

 

 

みとり「あり……グスッ…! うっ…グスッ…! ありがとう…!」ポロポロ

 

 

にとり「…!」ポロッ

 

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「…! ……」ニコッ

 

 

にとり「あ、あぁ~…グスッ…ん~…なん…なんでかなぁ…グスッ…」ポロポロ

 

 

魔理沙「おいおい、何でお前まで泣いてんだよぉ」

 

 

にとり「う、うっさいなぁ…! 河童の涙ってのは伝染すんだ…! グスッ…! バカヤロー…!」ポロポロ

 

 

みとり「そ…グスッ…そんなの聞いたことないよぉ…グスッ…にとり…」ポロポロ

 

 

にとり「最近…! 発見されたんだよぉ…グスッ…姉ちゃんは機械に疎いから知らなくてもしょうがないのさ…グスッ…」ポロポロ

 

 

みとり「ふふっ…グスッ…機械関係ある…?」ポロポロ

 

 

にとり「あるよぉ…! グスッ…! 大有りだぁちくしょー…グスッ…」ポロポロ

 

 

みとり「ふふっ、ふふふふっ…!」ポロポロ

 

 

 

 

 

 

アリス「あぁ…もらい泣きしそう…♪」

 

 

魔理沙「へへっ…姉妹って良いよな、カリスマんところ然り、さとりとこいし然りな♪」

 

 

霊夢「…」ニコッ

 

 

霊夢(河城みとり、か…ふふっ…♪)

 

 

 

 

 

 

 《みとりの能力》

 

 

魔理沙「なぁみとり、こうして仲良くなれたんだからみとりの能力を教えてくれよ」

 

 

みとり「私の能力ですか?」

 

 

アリス「えぇ是非教えてほしいわ、さっき襖越しにあなたとにとりの会話を見てたんだけどその時に能力を発動させてたわよね?」

 

 

みとり「はい、使ってました」

 

 

にとり「姉ちゃんの能力は凄いぞ? あのさとりの能力でさえ無効化するからね」

 

 

魔理沙「えっ!? マジで? すげぇなおい」

 

 

みとり「そ、それは言い過ぎだよにとり」

 

 

にとり「でも実際やってみたら出来たじゃん」

 

 

みとり「それは出来たけど…」

 

 

霊夢「へぇ…見せてよ、面白そうじゃない」

 

 

みとり「! そ、それじゃあ…! や、やりますよ?」スッ

 

 

みとり「あ、アリスさん!」

 

 

アリス「えっ?」

 

 

みとり「魔理沙さんに抱き着くの『禁止』です!」

 

 

アリス「えぇっ!?」

 

 

みとり「…」

 

 

魔理沙、アリス、霊夢「……?」

 

 

 シーン…

 

 

霊夢「えっ? な、何か変わったの?」

 

 

みとり「はい♪」

 

 

にとり「アリス、魔理沙におもいっきり抱き着いてみなよ」

 

 

魔理沙「おまっ…!!? はぁ!?」

 

 

アリス「!! えぇ~~♪ えへへへっ♪」ニンマリ

 

 

魔理沙「ちょおまっ…!!? 何言っちゃってくれてんだよぉ!」

 

 

にとり「大丈夫大丈夫♪」

 

 

魔理沙「何が大丈夫なんだよ!」

 

 

アリス「魔理沙ぁ…♪」ニンマリ

 

 

魔理沙「いっ…!?」

 

 

アリス「ふひっ…♪ ひひひひっ♪」ニタァ

 

 

霊夢「うわぁ…あんた凄い顔してるわよ」

 

 

アリス「行くわよ魔理沙ぁ! 友達公認だからいよいよ何も心配いらないわ!」

 

 

魔理沙「心配だらけだバカ野郎!」

 

 

アリス「この日の為に暖めておいた技よ! アリス・イン・ワンダーダイブよぉ!」バッ

 

 

魔理沙「名前を考えろぉ!! ふざけてんじゃねぇぞぉぉ!!?」バッ

 

 

 

アリス「……?」ピタッ

 

 

魔理沙「ひいぃ……? あ、あん…?」

 

 

 

 

 シーン

 

 

アリス「あ、あれ? あれっ!? う、動けない…!?」

 

 

魔理沙「た、助かった…のか?」

 

 

霊夢「く、空中で固まってる…!?」

 

 

にとり「これが姉ちゃんの能力だよ」

 

 

みとり「私の能力は『あらゆるものを禁止する程度の能力』なんです」

 

 

霊夢「禁止…! なるほどね、魔理沙に抱き着く…つまり飛び付くのも禁止されて動けなくなっちゃってるのね」

 

 

みとり「そうです♪」

 

 

魔理沙「そ、そういうことか…! はぁ…命拾いしたぜ」

 

 

にとり「姉ちゃんが禁止にしたことはなんでも禁止される、『さとりに心を読むのを禁止』と言ったら本当に読めなくなるんだ『他にも水に入るのは禁止!』とか『空を飛ぶの禁止!』川とかに向かって『流れるの禁止!』って言ったらその川は流れを止めてしまうんだよ」

 

 

霊夢「色々と便利そうねその能力、凄いじゃない」

 

 

みとり「そ、そうですか? えへへ…///」

 

 

みとり「でも禁止する対象、事象は一つだけなんです」

 

 

霊夢「そんなに強力な能力ならそれぐらいのリスクみたいなもんはあるわよね」

 

 

魔理沙「凄いのは良くわかったぜ、なぁアリス、一生そのままでいる気はないか?」

 

 

アリス「そんなこと言わないでよ魔理沙ぁ!」

 

 

みとり「ふふっ♪ アリスさん、抱き着く事を『許可』します!」

 

 

アリス「えっ!? あうっ!?」スッ

 

 

 ベシャッ!

 

 

 

魔理沙「アリス選手、魔理沙さんへの飛び込み失敗、顔面から落ちましたー」

 

 

霊夢「痛そう…」

 

 

みとり「『許可』…これで私の能力を解くことが出来るんです」

 

 

アリス「と…解く時は一言…言ってからにしてほしいわ…痛い…」

 

 

みとり「あ、ごめんなさい…」

 

 

魔理沙「謝るなみとり、アリス選手には良い薬になっただろう」

 

 

アリス「あ、諦めないわ…! こ、今度はどんな手を使っても魔理沙に…うふふふっ♪」

 

 

魔理沙「…」

 

 

にとり「薬にはなってないみたいだね」

 

 

霊夢「夜道とか気を付けなさいよ? 後ろからアリス選手が挑戦しに来るかもしれないわ」

 

 

魔理沙「やめろマジでやめろ…!」プルプル

 

 

みとり「な、なんかごめんなさい…」

 

 

 

 

 

 《つまり…詰まった原因は?》

 

 

 

にとり「ところで姉ちゃん、姉ちゃんなんでパイプに詰まってたんだ?」

 

 

みとり「えっ!? そ、それは…」

 

 

魔理沙「あ、それ私も気になってたぜ」

 

 

アリス「私もよ」

 

 

霊夢「教えて? みとり」

 

 

みとり「!」

 

 

霊夢「私はね? あんたのお陰で朝風呂に入れなかった事は全然、いや本当全然…! これっぽっちも気にしてない、ないのよいやいやいやいや、本当に全然…はっはっはっは♪ …本当に怒ってないのよ!」

 

 

みとり「は、はい…!」

 

 

魔理沙(気にしてるじゃねぇか)

 

 

アリス(怒るに怒れないのね)

 

 

にとり(優しさが身に染みるねぇ)

 

 

霊夢「まぁ、とにかくあんたがパイプに詰まってた原因ぐらいはハッキリとさせておきたいのよ」

 

 

アリス「ん~…というかあなた何で詰まってたのか覚えているの?」

 

 

みとり「え、えっと…その…」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス、にとり「?」

 

 

みとり「お、覚えてます…話しますね」

 

 

 

 

 

みとり「実は今日、地底に人間の観光客が団体でたくさん来るって聞いたから私の家がある洞窟から出てもっと遠く…地底深くに潜って行ったんです」

 

 

みとり「そしたらにとりが作った機械を見つけたんです、河童のマークがあったからすぐ分かりました、それが霊夢さんの家の温泉を汲み上げているパイプだったんですね」

 

 

みとり「それで私それをじっと見てたんです、機械の事は全然分からないけどにとりの作った物だから興味が沸いて、どういう仕組みなんだろうとか、どうやって動いているんだろうとか…色々と見学してたんです」

 

 

みとり「そしたら…その…夢中になっててうっかり温泉の中にあるものを落としてしまったんです」

 

 

 

アリス「あるもの?」

 

 

 

みとり「私がいつも持ち歩いている看板です」

 

 

 

霊夢「看板?」

 

 

にとり「地底には悪い怨霊や妖怪が多いからね、私が作った護身用の看板で武器になるんだ、紫が言うには『外の世界の道路の規制標識』に似てるって言ってたけど何のことやらだよ」

 

 

 

みとり「それが温泉の中に入っちゃって私取りに水の中に潜って行ったんです、にとりが作ってくれた大事な物だから…私は半分河童…水の中でも生きていけますし泳ぐのは得意なんです」

 

 

みとり「けど温泉を汲み上げる機械の水の速度が予想以上に速くて…看板がパイプの穴の網に激突して網が破けてしまったんです、そしてそのまま看板を吸い込んでしまったんです」

 

 

みとり「そして私もそのまま…」

 

 

にとり「あ~…なるほどねぇ…それで詰まっちゃった訳か」

 

 

みとり「う、うん」

 

 

アリス「つまり…」

 

 

魔理沙「みとりの不注意が原因か」

 

 

みとり「はい、そうなりますね…」

 

 

魔理沙、アリス「…」チラッ

 

 

霊夢「…」

 

 

みとり「…! あ、あの霊夢さん!」

 

 

みとり「ほ、本当にごめんなさい! 私の不注意で…! 朝のお風呂の邪魔をしてしまって本当にごめんなさ」

 

 

霊夢「みとりぃ!」

 

 

みとり「ひゃい!?」

 

 

霊夢「…全く、怪我が無かったから良いものの本当だったら怪我しててもおかしくないのよ? 大切な物だったとしても自分の身体は替えはきかないのよ?」

 

 

みとり「!」

 

 

霊夢「もう朝風呂の事は良いのよ本当に…だからみとり」

 

 

霊夢「今度からは気を付けなさいよ?」

 

 

みとり「! は、はい!」

 

 

にとり、アリス、魔理沙「…!」

 

 

霊夢「うん、なら良いわ、許してあげる」

 

 

みとり「あ、ありがとうございます!」

 

 

魔理沙(我慢は…してないみたいだな)

 

 

アリス(お風呂のことで我慢はしてないみたいね)

 

 

にとり(…霊夢、色々とありがとうね)

 

 

 

モブ河童C「にとり…ちょっと…」

 

 

にとり「お、どうしたの?」

 

 

モブ河童C「パイプにこれが引っ掛かってた…これにとりが作ったやつ…」

 

 

にとり「お、姉ちゃんの看板だ、持ってきてくれてサンキューね」

 

 

モブ河童C「お安いご用…もう温泉は直しておいたから私達帰るね…」

 

 

にとり「うん、お疲れさん」

 

 

 

 

にとり「姉ちゃんほら、看板だよ」

 

 

みとり「あ、これこれ…♪ ふふっ」

 

 

魔理沙「想像してたのよりでけぇな」

 

 

霊夢「人並みね、こころの薙刀より長いし」

 

 

アリス「これをあなた武器として使ってるの?」

 

 

みとり「はい、色々とにとりが仕込んでくれててとっても頼りになるんです」

 

 

にとり「スイッチ一つで攻撃にも防御にもパーフェクトに立ち回れるんだよ、姉ちゃん用に作ってあるから姉ちゃんにしか扱えないのさ」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霊夢「…欲しいの?」

 

 

魔理沙「ちょっと…な」

 

 

にとり「んん? 欲しいのかい? なら作ってあげても」

 

 

魔理沙「金取るんだろ?」

 

 

にとり「当たり前じゃないか!」

 

 

魔理沙「じゃあいらないぜ」

 

 

にとり「じゃ、じゃあって何だ! じゃあって!」

 

 

魔理沙「私は、死ぬまで借りてぇ」

 

 

にとり「泥棒ばっかりしてないで少しは買うという行為をしろよぉ!」

 

 

霊夢「ふっ…!」

 

 

アリス「ふふっ…!」

 

 

みとり「ふふふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 《地底に帰ろう》

 

 

 霊夢たちは茶の間から境内に出ていた

 

 

 

霊夢「あの河童共め…礼も言わさず茶も飲まずに帰るとは…」

 

 

にとり「みんな自分の仕事で忙しいんだよ、分かってあげてね」

 

 

魔理沙「なぁ、本当に良いのか?」

 

 

アリス「まだお昼だし、私達が人里を案内しようかと思ったんだけど」

 

 

みとり「ありがとうございます…! でもまだ…やっぱり人間と地上はちょっと怖いです」

 

 

魔理沙、アリス「…」

 

 

みとり「でも霊夢さん、魔理沙さん、アリスさん三人のお陰で私は人間に対して前を向いて接して行こうと決める事が出来ました、そう想える様になりました」

 

 

魔理沙、アリス「!」

 

 

みとり「もう一度、人間と妖怪が大好きだった頃の自分に戻りたい…あのときの気持ちを『今』の私は取り戻したいと思ってるんです」

 

 

みとり「人間ともう一度向かい合いたい…人間と妖怪が楽しく暮らせてる今の時代なら頑張れると思うんです」

 

 

みとり「魔理沙さん、アリスさん、この決意が固まったらにとりと一緒にまた会いに…地底から地上に自分の足で出て来ようと思います、その時になったら…」

 

 

魔理沙「! おう、その時になったらまた会おうぜ! そんで今度こそ人里を案内するぜ!」

 

 

アリス「ふふっ♪ 何時でも待ってるわ、みとり」

 

 

魔理沙「約束しようぜ、また会うってな!」スッ

 

 

アリス「えぇ、約束ね♪」スッ

 

 

 魔理沙とアリスは互いに小指を立てる

 

 

みとり「! はい!」スッ

 

 

 

 みとりはアリスと魔理沙の小指に自分の小指を合わせ、指切りをした

 

 

 

アリス「ふふっ♪ また会いましょうね、みとり」

 

 

魔理沙「またな、みとり、今度会うときは神社に集合しようぜ♪」

 

 

霊夢「こらこら、さらっと人の家を集合場所にしないでよ」

 

 

魔理沙「ダメなのか?」

アリス「ダメなの?」

みとり「ダメなんですか?」

 

 

霊夢「おっ…!? な、何よ揃いも揃って!」

 

 

にとり「固いこと言うなよ、霊夢ぅ~」

 

 

霊夢「…はぁ、しょうがないわねぇ」

 

 

魔理沙「やったぜ♪」

 

 

アリス「これが『みんなの勢いに弱い博麗霊夢』の図よ♪ 覚えておいてね♪」ヒソヒソ

 

 

みとり「ほ、本当に出来るんですね…♪」ヒソヒソ

 

 

霊夢「…なんか悪意を感じるわ」

 

 

にとり「気にしない気にしない♪ あっはっはっは♪」

 

 

にとり「あぁ霊夢、お風呂修理の代金はいらないからね?」

 

 

霊夢「えっ? 良いの?」

 

 

にとり「金で買えない物をもらっちゃってるからねぇ♪ サービスだよ♪」

 

 

霊夢「あっそ…♪」

 

 

にとり「そうだよ~♪」

 

 

霊夢(紫の無駄金が役に立つ時が来たかなと思ったけど…今回ばかりは仕方ないわね♪)

 

 

 

 

 

 

 

にとり「それじゃ姉ちゃん、地底の入り口まで案内するよ、行こう!」

 

 

みとり「うん!」

 

 

魔理沙「みとり、また会おうぜー!」

 

 

アリス「今度あなたのぬいぐるみを作るからプレゼントさせてね♪ またね、みとり!」

 

 

みとり「はい! ありがとうございます! 魔理沙さん、アリスさん!」

 

 

霊夢「…みとり!」

 

 

みとり「!」

 

 

霊夢「またお茶飲みに来なさい、今度はパイプから来るんじゃないわよ?」

 

 

みとり「! はいっ! ふふっ♪」

 

 

 

 

みとり「霊夢さん、魔理沙さん、アリスさん! あなた方に会えて本当に良かったです…!」

 

 

みとり「また会いましょう! さようなら!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《宝物は宝物を造る》

 

 

 

にとり「しっかし…あのパイプに突っ込んで引っ掛かってた癖によく壊れなかったね、それ」

 

 

みとり「にとりがちゃんと作ってくれたお陰でしょ?」

 

 

にとり「まぁそうなんですけどね~♪」

 

 

みとり「…これはにとりと私が初めて会ったときにあなたがプレゼントしてくれた物だもんね」

 

 

にとり「…ごめんね、そんな物しか渡せなくてさ、私何を姉ちゃんにプレゼントして良いか分からなかったからさ…」

 

 

みとり「そんな物なんて言わないで? 私とても嬉しかったんだから」

 

 

みとり「漸く会えた血の繋がった妹…噂でしか聞けなかった妹からの初めてのプレゼント…どんな物でも私にとっては宝物なの」

 

 

にとり「姉ちゃん…」

 

 

みとり「それに…」ニコッ

 

 

みとり「これが無かったら霊夢さんたちとも会えなかったもんね♪」

 

 

にとり「…! あははっ、確かにそうだね♪」

 

 

みとり「ふふっ…♪ ! これだとにとりが霊夢さんたちに会わせてくれた事になるのかな?」

 

 

にとり「ん? ん~…そうなる?」

 

 

みとり「ふふっ♪ 本当、出来の良い妹を持てて幸せですよ♪」

 

 

にとり「よ…! よせやいよせやい…///」テレッ

 

 

みとり「ふふっ…♪」

 

 

みとり「…」

 

 

みとり(地上の景色…変わったなぁ…)

 

 

みとり(この景色…何時かは自分の足で歩いて、見て、いろんな物を感じたい)

 

 

みとり(そして人と妖怪…色んな人達と触れ合ってみたい…)

 

 

みとり(霊夢さん、魔理沙さん、アリスさん…)

 

 

みとり(その時はよろしくお願いしますね♪ ふふっ♪)

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ、犯人はスキマなのか?】

 

 

 これはみとりが霊夢達と別れる前のお話。

 

 

 時間を遡る事、一時間前

 

 

 《マヨヒガ》

 

 

八雲紫「…あれ~?」

 

 

八雲藍「また何をやってるんですか?」

 

 

紫「見れば分かるでしょう? …んもう」ガサゴソ

 

 

藍「スキマの中に腕突っ込んでガサゴソやってるのは分かりますけど、何か探してるんですか?」

 

 

紫「いや…釣り…竿…をね? 探してるんだけど…何処に…」ガサゴソ

 

 

藍「釣竿? …またスキマに糸垂らして暇を弄ぶ気ですか?」

 

 

紫「はぁ? あなたの分の釣竿も探してるんですけど?」ガサゴソ

 

 

藍「…えっ!?」

 

 

紫「ほら…夏だからって洩矢諏訪子が釣りの大会を妖怪の山でやるって言ってたじゃない? あれエントリーしといたから」

 

 

藍「…はっ!?」

 

 

紫「だから探してるんだけど…」

 

 

藍「ま、待ちなさいよ!? また勝手にエントリーしたんですか!?」

 

 

紫「えぇ」

 

 

藍「私の承諾も得ずに!?」

 

 

紫「えぇ」

 

 

藍「なっ…! なんっ…! 何であなたはそう勝手に」

 

 

紫「橙も出るわよ?」

 

 

藍「保護者は出るものですね♪ えぇ、分かります! 分かっていますとも!」

 

 

紫「…喜怒哀楽激しいわねぇ」ガサゴソ

 

 

紫「あぁんもう…何処にしまってって痛っ!?」スッ

 

 

藍「えっ…? ど、どうなされたので?」

 

 

紫「な、何!? なんか…」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「か、固い鉄の棒みたいなのに指ぶつけた…」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

紫「あ…あぁっ…! これジワジワ来る奴だぁ…! いったい…! 痛たたた…!」

 

 

藍「あぁ分かりますその痛み、というか何でそんな物入れてるんですか…」

 

 

紫「えぇ…そんな物入れてたかなぁ…痛いっ…!」

 

 

紫(スキマが誤作動でもしちゃったかしら…)

 

 

紫(一回閉じよっと…)スッ

 

 

 ギュオン…

 

 

 

 

 《その頃地底奥深く》

 

 

 ギュオン…!

 

 

 

???「えっ…えぇっ…な、何で?」

 

 

???「ここに立て掛けて置いた筈なのに…どうして温泉の中に…!?」

 

 

???「ど、どうしよう…あ、危ないけどアレは…」

 

 

???「と、取りに行かなきゃ!」

 

 

???→みとり「アレはにとりが作ってくれた…私の宝物なんだから…!」スッ

 

 

 

 ザバァン…!

 

 

 

 そして半人半妖の赤河童は何かに導かれるように博麗神社へと辿り着く

 

 それは運命かそれとも必然か、それともスキマの不注意か

 

 

 それは誰にも分からないのである

 

 

 

 

 

 

 おしまい…!

 

 

 






 ここまで読んでいただいてありがとうございました! そしてお疲れ様でした!

 また四コマ詐欺です…長いです




 河城みとりはシュガー同様に嘘から産まれた『釣りキャラ』と呼ばれる存在です、原作に登場している訳ではありません

 ただ嘘から産まれたのにも関わらずキャラのクオリティ、設定等が好評だった事で評判が評判を呼び、二次創作キャラの中ではかなりの人気を誇っています


 二次創作キャラのですので書き手様によって性格や能力の在り方が異なります『東方紫藍談』でのみとりは本編で語り尽くした通りです

 しゃべり方が徐々に変わっていってると思いますが、みとりなりに霊夢たちに心を開いているからだと思います、 本当は素直で優しく良く笑う子です。





 シュガー以上に設定を盛り込んだせいで長くなってしまったのは申し訳ないです、紫と藍も好きですが、私にとりも好きなキャラなので力が入ってしまいました。


 それではまた次回をお楽しみに♪



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《第17談》カリスマスになりたい!!



 今回は長期の執筆作業怠惰をしたため、リハビリを兼ねているので中身が無く、短い物語ですが…楽しんでいただければ何よりです。

 それでは始まります。おまけまでお楽しみ下さい。




 

 

 

 【12月24日 朝 紅魔館 地下図書館】

 

 

 

 

 

 

 

レミリア・スカーレット「う~ん」トントン

 

 

パチュリー・ノーレッジ→パチェ「……」

 

 

レミリア「…はぁ」

 

 

パチェ「…」ペラッ

 

 

レミリア「ん~…」

 

 

パチェ「…」ペラッ

 

 

パチェ(あぁここにこれが書いてあったのね、見落とし)

 

 

レミリア「ねぇパチェ……あの…」

 

 

パチェ「…」

 

 

 パチュリーは目線を手に持っている本から親友のレミリアへと向ける

 

 

パチェ(遂に来たわね)

 

 

パチェ「どうしたの? レミィ」

 

 

レミリア「う~んっと…その…う~ん…」

 

 

パチェ「…」

 

 

パチェ「…何か相談でも有るの?」

 

 

レミリア「!! そ、そう! 相談、相談があるのよ…うん」

 

 

パチェ(そりゃあそうでしょうね)

 

 

レミリア「良く分かったわね、私があなたに相談したがってるって」

 

 

パチェ「何百年あなたの親友をやってると思ってるの? 顔を見れば分かるわよ」

 

 

レミリア「! そう…♪ そうよね♪ はぁ良かった…♪」ニコッ

 

 

レミリア「…聞いてくれる?」

 

 

パチェ「もちろんよ」ニコッ

 

 

レミリア、パチェ「ふふっ♪」

 

 

パチェ(あなたが腕を組んで困った顔をしながら二十分以上も私の目の前の椅子に座り続けてた…『相談があるんだけど聞いてほしいなぁ』って私が感じとるのは当たり前のことなのよ、レミィ…)

 

 

パチェ「それで? 相談事は何なのかしら」

 

 

レミリア「あっ!? そうそう! その事なんだけどね!?」

 

 

パチェ(急に元気になったわね)

 

 

レミリア「私ね? 紫からある言葉を聞いたの」

 

 

パチェ「! 紫…?」ピクッ

 

 

レミリア「そう! 紫から!」

 

 

パチェ(凄く嫌な予感…それにこのレミィのテンション…)

 

 

パチェ「…その言葉って何なの?」

 

 

レミリア「凄く素敵な響きで優雅に満ち溢れた言葉だったわ、そんな言葉が存在していたなんて…私もまだまだね」

 

 

パチェ(知らなかったのね)

 

 

レミリア「それでね? その言葉を私なりに真剣に考えた結果が出てそれになりたいと心から思ったの、それになれれば誇り高き紅魔館の主としてまた一歩…歩みを進めるとも思ったわ」

 

 

パチェ「? なれるものなの?」

 

 

レミリア「えぇ! たぶん…」

 

 

パチェ「たぶん?」

 

 

レミリア「そうなの、そのなれるかどうかっていうのをパチェに聞きたかったのよ、というかそれのなりかたね」

 

 

パチェ「あぁそういう事…でもその紫から聞いたって言葉、私が知ってるかどうかっていうのは」

 

 

レミリア「知ってるわよ」

 

 

パチェ「…?」

 

 

レミリア「頭脳明晰な私の親友が答えられないことなんてない、そうでしょ?」

 

 

パチェ「!」

 

 

レミリア「あなたに聞く、相談すればあなたから希望の言葉と解答を得られる…いっつもあなたに助けられてるんだからね、パチェ」

 

 

パチェ「…ふっ…♪」ニコッ

 

 

パチェ「そんなに褒められても私からはあなたを救う言葉しか出ないわよ? レミィ」

 

 

レミリア「ふふふっ♪ 是非そうしてほしいわ」

 

 

パチェ「ふふっ…さぁ本題を聞こうかしら、その言葉…あなたがなりたがっているものって何?」

 

 

レミリア「えぇ! あのね!?」ニパー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「私『カリスマス』になりたいんだけど一体どうすればなれるのかパチェは知っ」

 

 

パチェ「待って」

 

 

小悪魔→こあ「ふっふふふっ…!」プルプル

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「えっ!? パチェ、私まだ話してる途中で」

 

 

パチェ「待ってって言ってるの」スッ

 

 

パチェ「……」スッ

 

 

パチェ「…」

 

 

パチェ「はぁー…はぁ~あ……はぁ…」

 

 

パチェ「はぁ~…」グッタリ

 

 

レミリア「えっ…えっ!? パチェ、何でそんなに頭抱え込んでいるの? あとそのため息は何!?」

 

 

パチェ「……」チラッ

 

 

パチェ「こあ、ちょっとこっちに来なさい…!」

 

 

 

 

こあ「フフッ…! えー! ぱ、パチュリー様ー! 今私本の整理を」

 

 

 

 

パチェ「いいからこっちに来なさいって言ってるの…!」イラァ

 

 

 

こあ「クッフフッ…! は、はいぃ!」スッ

 

 

 

 

レミリア「え? パチェ、何でこあを」

 

 

パチェ「ちょっと黙ってて…」ボソッ

 

 

レミリア「え、何て言っ」

 

 

パチェ「ちょっと黙っててって言ってるの」

 

 

レミリア「なっ!? 何でそんなこと」

 

 

パチェ「レミィ、今からこあと二人で話してくるから待ってて、良い?」

 

 

レミリア「え? う、うん…え? って何の話を」

 

 

パチェ「そこで待ってなさいよ? 動くんじゃないわよ!? 分かった!?」

 

 

レミリア「わ、分かったわ…で、でも何でそんな」

 

 

パチェ「それとレミィ、あなたそれ私以外の人に聞いた?」

 

 

レミリア「え? カリスマスの事?」

 

 

パチェ「くっ…!」プルプル

 

 

レミリア「え…今パチェ笑っ」

 

 

パチェ「笑ってないわよ」

 

 

レミリア「え」

 

 

パチェ「笑ってないから」

 

 

レミリア「でも今笑っ」

 

 

パチェ「笑ってないって言ってるでしょ!」

 

 

レミリア「うっ…!? な、何でそんなに怒鳴るの!? 怒ってるの!?」

 

 

パチェ「怒ってもないわよ! 質問に答えて! 私以外の人に聞いたの!?」

 

 

レミリア「き、聞いてないわよ!」

 

 

パチェ「本当に!?」

 

 

レミリア「う、うん」

 

 

パチェ「レミィ、私がこあと二人で話してる間ここに…咲夜とか妹様とか美鈴とか…あとクリスマスイブをいいことに逆サンタクロースをしてくる魔理沙が来てもその言葉を言ったり聞いたりするんじゃないわよ!? 分かった!?」クワッ

 

 

レミリア「は、はい…!」

 

 

パチェ「じゃあちょっと待ってなさい!」スッ

 

 

レミリア「…え~…」

 

 

レミリア「何で聞いちゃいけないのかしら…」

 

 

 

 

 

 

こあ「ふふっ…! ふっふふふっ…!」プルプル

 

 

パチェ「何を笑っているのよこあぁ…!」

 

 

こあ「だ、だって…! ははっ…!」ケラケラ

 

 

こあ「カッ、カリス…! ふふふはっ…! カリスマスってなんなんですか」プルプル

 

 

パチェ「こっちが聞きたいわよ!」

 

 

パチェ「何なのよ!? クリス…!? 違う! カリスマスって…!」

 

 

こあ「あはははっ!」

 

 

パチェ「カリスマスって何なの…? カリスマの事ばかり考えているせいで『スピア・ザ・グングニル』のスの字が語尾に着いちゃったとでも言うの…!?」

 

 

こあ「えっ、そうなんですか?」

 

 

パチェ「知らないわよ! カリスマスなんて言葉も初めて聞いたわよ! 私がその言葉の意味を知っていると思い込んでいることもなんか…『何で!?』って思うじゃない!」

 

 

こあ「ははははっ…!」ケラケラ

 

 

パチェ「くっ…! 何て答えたら正解なのよ…! 答えが出ない…」

 

 

こあ「咲夜さんなら知ってたりしませんかね?」

 

 

パチェ「今咲夜を呼んで聞くことは簡単だけど混乱を広げるだけよ、私と同じ状況になってレミィへの気遣いで一杯になったら大変でしょ」

 

 

こあ「それもそうですね…♪」

 

 

パチェ「カリスマス…はぁ~…」

 

 

こあ「希望の言葉、お嬢様に掛けてあげるんですよね」

 

 

パチェ「あなた最初から聞いてたわね…?」

 

 

こあ「悪魔の耳は地獄耳ですから♪ 私は小悪魔ですけど♪」

 

 

パチェ「……今はそんなことはどうでもいいのよ、そうよそれよ…それを言った手前、後に引けないじゃない」

 

 

こあ(あ、これマジで悩んでますね…)

 

 

パチェ「……」

 

 

パチェ「…紫から聞いたってレミィ言ったわよね」

 

 

こあ「そう仰ってましたね」

 

 

パチェ「…」

 

 

パチェ「紫にからかわれて言われた…若しくは誰かの悪ふざけが紫に伝わり、レミィに変な知識を植え付けた」

 

 

こあ「紫さんが悪いんですね…」

 

 

パチェ「当たり前じゃない、紫からカリスマスなんて言葉が出た時点で『私をからかっているのね』と疑ってかかるべきだわ、紫の掌で踊らされているのに…面白くも何ともないわよレミィ…」

 

 

こあ「でも私達が知らないだけで本当にカリスマスって物が存在しているのかも」

 

 

パチェ「存在しているわけないでしょこんなふざけた言葉、馬鹿じゃないの?」

 

 

こあ「ふははっ…! そ、そんな辛辣にならなくても」

 

 

パチェ「レミィもレミィよ、何故信じるのよカリスマスって言葉の存在を…!」

 

 

こあ「ふふっ…! でもなんか言葉の語呂は良いで……あっ」

 

 

パチェ「何…?」

 

 

こあ「お嬢様、もしかして勘違いなされているのではないですか?」

 

 

パチェ「勘違い?」

 

 

こあ「ほら…今日クリスマスイブじゃないですか」

 

 

パチェ「それが?」

 

 

こあ「『クリスマス』と『カリスマス』」

 

 

パチェ「…」

 

 

こあ「似てません?」

 

 

パチェ「……こあ」

 

 

こあ「はい」

 

 

パチェ「そういうのを考えてありえるって思えちゃうのがレミィの怖いところなのよ」

 

 

こあ「ふふふふっ…!」

 

 

パチェ「昔からそうなのよ…聞き間違いもするし、周りに影響されやすいし、信じやすいし、見栄っ張りだし、興味があることは何でも首を突っ込みたがるし、まぁそこがレミィの良いところでもあるんだけど…はぁ、全くもう…」ブツブツ

 

 

こあ(あぁ、良いですねこういうの…♪)

 

 

パチェ「…! ん''ん''っ…! ま、まぁこの話は置いといて……こあ、私は悪魔でもありえるって思ってるだけでそれが真実となることは無いと思うの」

 

 

こあ「何故です?」

 

 

パチェ「さっき私が『待って』と会話を遮る前にレミィは『カリスマスになりたい』と言ったわ」

 

 

パチェ「その理屈だと『クリスマスになりたい』と言ってる事とほぼ同じよ、いくらレミィでも外の世界の年間行事、ここ幻想郷でもそれになりつつある物になりたいなんて言わないわ」

 

 

こあ「クリスマスパーティーも毎年開いてますからね」

 

 

パチェ「それも理由の一つよ、人里の子供達とか寺子屋のチルノ達と同じレベルでクリスマスを楽しんでいるレミィでもその分別はついているはず、勘違いはしてないでしょうね」

 

 

こあ「う~ん、私の線は違うのかぁ…」

 

 

パチェ「……」

 

 

 パチュリーは腕を組み、目を瞑った。

 

 

こあ(あ、パチュリー様思案モードになったかな?)

 

 

パチェ「レミィはカリスマスになれるか、と聞いた…そしてそのなり方も聞いてきている」ブツブツ

 

 

パチェ「十中八九、紫がレミィにふざけて言ったことは確か…紫は普段カリスマカリスマとレミィのことをいじっているからカリスマと関係があるのは明白…辞書に載っているカリスマとは別方向のカリスマを追い求めているレミィがなりたいと心から思えるもの…それがカリスマス」ブツブツ

 

 

パチェ「何かになりたいということは努力すれば大抵はなれるもの…でもどうすればなれるかを私に聞いた」

 

 

パチェ「カリスマスが何なのかを私は知らないからレミィに掛けてあげる言葉が見付からない…だから悩んでる」

 

 

こあ(カリスマスって言葉を聞くたびに笑いそうになるのを堪えてる私は頑張ってますよ! パチュリー様!)プルプル

 

 

パチェ「レミィの為に私は紅魔館の頭脳でいてあげたい、あり続けなければならない…力になってあげたい…だけどカリスマス…これだけが…」

 

 

パチェ「……」

 

 

パチェ「……カリスマスって……何なのよ……」

 

 

こあ(そこに行き着いちゃうんですよね…私もカリスマスって何なのか分かりませんし…)

 

 

パチェ「……」

 

 

パチェ「もう自棄ね」

 

 

こあ「え」

 

 

パチェ「答えが出ない物を悩んでいても仕方ないわ…それにレミィは私からの言葉を待ってくれている」

 

 

パチェ「カリスマスが何なのか分からないし、答えに関して諦めている訳じゃないけどレミィの力になりたい、これだけで充分よ」

 

 

パチェ「レミィの事を傷付けず、尚且つレミィの期待を裏切らない様になり方を説明してみせるわ」

 

 

こあ「どうするつもりです?」

 

 

パチェ「レミィはカリスマスになれるかどうかって聞いた、紫に聞かされるまでは知らなかったけど説明されて一番信頼している私に聞いた…聞いたのはなり方で私が悩んでいたカリスマスという物が一体何なのか、という言葉の意味そのものは聞いてない」

 

 

パチェ「恐らくレミィはカリスマスという言葉の意味を理解している…私がその言葉の意味を理解しているもんだとレミィが勝手に思い込んでいることも、ね…それだけ分かっていれば私が知ったかぶりしていると悟られなければ大丈夫よ」

 

 

こあ(よ、良くそこまで考えられましたね…)

 

 

パチェ「まぁ見てなさい、レミィのペースに乗りながら正解を導きだして答えてみせるから」スッ

 

  スタスタ

 

 

こあ「は、はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチェ「レミィ、待たせたわね」

 

 

レミリア「あ! パチェ、遅かったわね♪ …あなた達何の話をしてたの?」

 

 

パチェ「言葉と言葉の解釈の擦れ違いから起きるかもしれない友情崩壊の回避方法よ」

 

 

レミリア「え?」

 

 

こあ「フフフッ…!」

 

 

パチェ「まぁこあとの話はどうでもいいのよレミィ、ええっと…」

 

 

パチェ「カリスマスについてだったわよね」

 

 

レミリア「! うんうん! そう! カリスマス!」

 

 

パチェ「そう…そうよね…♪ カリスマスよね♪」ニッコリ

 

 

パチェ「あなたはカリスマスになりたい…私にさっきそう聞いたわよね?」

 

 

レミリア「えぇ、本当になりたいのよ! カリスマス!」

 

 

パチェ「…」

 

 

パチェ「なりたいんでしょ?」

 

 

レミリア「うん! なりたい!」キラキラ

 

 

こあ(わ、笑っちゃダメだ…堪えるんだ…!)プルプル

 

 

パチェ「……」

 

 

パチェ「…レミィ、あなたはね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチェ「あなたは今カリスマスと言う名の土俵に乗っかったばかりの状態なの、言うなれば半カリスマスって所ね」

 

 

レミリア「えっ」

 

 

こあ(半カリスマス!?)

 

 

パチェ「ほら、カリスマスとクリスマスは紙一重だとか言うじゃない♪」

 

 

レミリア「そうなの!?」

 

 

こあ(えぇっ!?)

 

 

パチェ「あら、知らなかったの? 今日がクリスマスイブなんだから今のあなたはカリスマスイブの状態ね」

 

 

レミリア「か、カリスマスイブ…!」

 

 

こあ(カリスマとカリスマスに関係があるとしたらカリスマ前夜祭って事になりませんか!?)

 

 

パチェ「そうよ? 例えカリスマスとクリスマスの間に『キリスマス』なんて馬鹿げた物が存在していたとしてもレミリア・スカーレットはカリスマスイブなのよ!」

 

 

レミリア「そ、そうだったのね…!」

 

 

こあ(新しい単語が出てきてますけど!?)

 

 

パチェ「あとこのカリスマス…他の人に言い触らしたりすると力を失っていくの、カリスマスからどんどん遠退いて行くのよ」

 

 

レミリア「な、なんですって…!?」

 

 

パチェ「だからさっき聞いたのよ、咲夜とかに聞いたのか…とね」

 

 

パチェ「危なかったわね、でももう大丈夫…安心しなさいレミィ」

 

 

レミリア「…!」キラキラ

 

 

こあ(ハイレベルの会話をしてる…んですよね…?)

 

 

 

 

 

 

パチェ「レミィ、ここまで言えばもう分かるでしょ?」

 

 

パチェ「あなたが普段通り紅魔館の主として普通に過ごしていれば明日にはカリスマスになれるのよ、そしてカリスマスという言葉を他の人に言いふらしたりせずにどっしりと構えていれば良いの」

 

 

パチェ「焦らずゆっくり…あなたに真のカリスマスが来る事を祈っているわ♪」ニコッ

 

 

レミリア「!! パチェ…!」キラキラ

 

 

こあ(目からキラキラが止まらないお嬢様…)

 

 

レミリア「パチェ…本当にありがとう…! あなたに相談して本当に良かった」

 

 

パチェ「寧ろ私以外の人に相談していたら持病の喘息が悪化するところだったわ」

 

 

レミリア「え」

 

 

パチェ「何でもないわ、気にしちゃ駄目よレミィ」

 

 

レミリア「う、うん」

 

 

こあ(さらっと愚痴を言うほど疲労が溜まっていらっしゃる…)

 

 

レミリア「うん…! 良し! 真のカリスマス目指して頑張るわ♪ でもその前に朝食タイムよ♪ 咲夜ー! 今日は納豆で良いからねー♪」スッ

 

 

パチェ「……」

 

 

こあ「…」チラッ

 

 

パチェ「…」

 

 

パチェ「……最近」

 

 

こあ「はい?」

 

 

パチェ「最近レミィの幼さ加減が度を越して悪化して来ている気がするんだけど気のせい?」

 

 

こあ「そ、それは…私からは何とも…」

 

 

パチェ「……はぁ」スッ

 

 

パチェ「さて、と…行くわよこあ」

 

 

こあ「ええっ? どこにですか?」

 

 

パチェ「マヨヒガに決まってるでしょ、紫にカリスマスがなんなのか問いただすの」

 

 

パチェ「そのあと咲夜達に話して『明日のレミィはカリスマスになってる』ってことを説明するわ」

 

 

こあ「あぁなるほど…お供します」

 

 

パチェ「じゃあさっさと行っ」

 

 

 バーン!!

 

 

霧雨魔理沙「メリークリスマスだぜー♪」

 

 

こあ「あ、魔理沙さん」

 

 

パチェ「……」イラァ

 

 

魔理沙「おう、パチュリー知ってるか? 今日はクリスマスイブでよ、サンタって奴からプレゼント貰える日なんだよ」

 

 

こあ(プレゼント貰うの明日じゃ…)

 

 

魔理沙「でよ、サンタって奴は霊夢みたいに紅白衣装を着ているらしいから霊夢サンタに『私にプレゼント来れ!』って頼んだら『紅魔館の図書館で素敵なプレゼントの山があんたを待ってる』って言われてよ! すっ飛んで来たんだぜ♪」

 

 

こあ(そりゃあプレゼントの山でしょうね…魔導書を渡されたら跳び跳ねて喜ぶでしょうし)

 

 

魔理沙「だからプレゼントくれ♪ あ、プレゼントの他にも借りれるものは借りて」

 

 

パチェ「はい」スッ

 

 

魔理沙「…へ?」ポン

 

 

パチェ「この本あげるわ、私もう読んだから…それからその棚の上から四段目の本は好きなだけ持っていきなさい」

 

 

こあ(ええっ!?)

 

 

魔理沙「お、お…おう…」

 

 

魔理沙「おぉう…?」

 

 

パチェ「何? 不満?」

 

 

魔理沙「い、いや…別に」

 

 

パチェ「そう」スッ

 

 

こあ(パチュリー様の纏っている雰囲気が怖いんですけど…)

 

 

パチェ「…魔理沙」

 

 

魔理沙「あ、あー?」

 

 

パチェ「知らないとか分からないとか、意味が分からないと怖いものって沢山あるわよね、探求って大事だとつくづく思うわ」

 

 

魔理沙「お、おうそうだな、でもそれが魔法使いの本質ってもんだろ?」

 

 

パチェ「そうね、でもあなたは気遣いから来る恐怖と苦悩を知らなさそうだから学んでおいた方が良いわよ、それじゃあね」スッ

 

 

こあ「では私も…あっ! 他の本棚は荒らさないで下さいよ」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

魔理沙「…気遣いから来る恐怖…?」

 

 

魔理沙「……」ウーン

 

 

魔理沙「なんだそりゃ…」

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ カリスマスなんて単純明快】

 

 

 

 

 

 

 《マヨヒガ》

 

 

パチェ、こあ「『カリスマがマックス』の状態!?」

 

 

八雲紫「えぇ~…ちょっと考えれば分かるじゃないカリスマスなんてお子ちゃま言葉」

 

 

こあ「お子ちゃま言葉って…」

 

 

紫「まぁクリスマスが近いからそれと掛けたってのは当たってるわね、語呂は良いでしょ♪ カリスマス♪」

 

 

紫「話を広げたらカリスマスパーティーにカリスマスプレゼントにカリスマスケーキ…あ! ラストカリスマスなんてものも面白そうね♪」

 

 

こあ「…! ホワイトカリスマス!」

 

 

紫「良いわねぇ♪ レミリアにちんちくりんの雪ダルマ衣装着せたいわ」

 

 

パチェ「やめなさい…頭が痛くなる…」

 

 

八雲藍「…昨日の真夜中にレミリアとばったり人里で会ったらしくてな、ミスティアの屋台で月見酒を煽っていたらこういう会話になったそうだ」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

紫『もうすぐカリスマスよねぇ』

 

 

ミスティア・ローレライ『カリスマス…?』

 

 

紫『へ? あ、あぁあぁ…間違えた、クリスマスよクリスマス』

 

 

ミスティア『ふふっ、紫さん飲みす』

 

 

レミリア『カリスマス!?』バンッ

 

 

紫、ミスティア『!?』ビクッ

 

 

レミリア『うぇ~♪ なっ…何よ素敵な言葉は~♪ んふふふっ♪』

 

 

ミスティア『レミリアさんも酔ってますね~…』

 

 

紫『…! ~♪』ニヤリ

 

 

紫『あららぁ~? レミリアあなた500歳にもなってカリスマス知らないのぉ~?』

 

 

レミリア『! し、知ってるわよそのくらい』

 

 

レミリア『あれでしょ…あの…ほら…あれよ』

 

 

レミリア『カリスマの頂点に立った物だけが行けるカリスマの更なる上の高みがぁ…んふっ、カリスマスよ!』

 

 

ミスティア『ふくっ…! え、えぇ…?』

 

 

紫『フフッ…! そう、その通りよレミリア、あぁでも今のあなたじゃあそのカリスマの頂きであるカリスマスのなり方…分からないんじゃなくって?』

 

 

レミリア『! そ、そんなことは無いわよ! あぁ~! あれでしょ? あなたもなり方知らないんでしょ! そうでしょ!』

 

 

紫『えぇそれは否定しないわ、だってそれを知る術は自分じゃ絶対探せないもん』

 

 

紫『自分のことを親友だと思ってくれている人なら…♪ 答えを導き出してくれるはずよ』

 

 

レミリア『!!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

パチェ「あなたが全部悪いんじゃない!」

 

 

紫「私一回訂正したのにそれを聞かずに聞き間違えたレミリアが悪いと思わない?」

 

 

パチェ「う…! …はぁ…」

 

 

 

藍「流石に言い返せないか」ヒソヒソ

 

 

こあ「お嬢様にも非が…はい」ヒソヒソ

 

 

 

 

パチェ「はぁ、全く…そのお子ちゃま言葉にどれだけ私が…」

 

 

紫「でも親友が答えを導きだしたっていうのは間違ってなかった」

 

 

パチェ「!」

 

 

紫「ねぇぱっつぁん、カリスマってさ、こう…自分が言い触らしたりとか自分から見出だす物じゃなくって」

 

 

紫「他の人から与えてもらったりその無自覚に人の心を惹き付ける物…言葉では言い表せない何か…そう思わない?」

 

 

パチェ「…」

 

 

紫「吸血鬼異変の時のレミリアもバリバリにカリスマが出てたけど今のレミリアのカリスマの方が私は好きよ♪」

 

 

パチェ「…! ふっ…♪ そうかもね…♪」

 

 

こあ「…?」

 

 

藍「ふふっ…♪ 確かに…♪」

 

 

パチェ「それじゃ…邪魔したわね、帰るわよ、こあ」スッ

 

 

こあ「はーい♪」スッ

 

 

紫「私がカリスマを一番持っていると思うのは霊夢とか…霊夢とか、霊夢とかなんだけどね♪」

 

 

藍「霊夢ばっかりじゃないですか」

 

 

紫「藍、じゃああなたは? …あっ! もちろんこのゆかりん」

 

 

藍「霊夢ですね!」

 

 

紫「そこは私って答えなさいよぉ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こあ「私はパチュリー様にもカリスマがあると思いますけどね」

 

 

パチェ「私に? やめて、もし私にカリスマがあったとしたら間違いなくレミィから『どうやって手に入れたの?』とか聞かれるわ、そしてそれを追い求めるはず」

 

 

こあ「そのお手伝いをするのがパチュリー様でぇ~♪ お二人で切磋琢磨なさるんですよね♪ 素敵ですよ♪」

 

 

パチェ「! ふふっ、そう、ね…そうかもね…♪」

 

 

 

 

パチェ(…)

 

 

パチェ(私は正直カリスマに執着していない、レミィがどうなろうとどんな物を追い求めようと私の思いは変わらない)

 

 

パチェ(昔のレミィも今のレミィも…レミリア・スカーレットという存在が)

 

 

パチェ(私は大好きよ、これからもずっと、ね…♪)

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 






 お疲れ様でした。 ここまで読んでいただいてありがとうございました♪


 カリスマス、安直過ぎますよね…それにレミリアよりもパチュリーの苦労話になってしまいました。 ですがカリスマスの相談を咲夜か美鈴にしてもこんな回答は得られなかったでしょう、気遣いが先行して空回りするでしょうからね。 カリスマというものに対する私の思いも紫に代弁してもらいました。



 因みになのですが東方紫藍談での紅魔館の家族の一人、小悪魔(こあ)の髪型は良く目にする赤色ロングです。 ですが昔、紅魔館に召喚された時はショートカットで口調も悪く、エリスと正邪を足して二で割った感じの小悪魔さんでした…いつか昔のこあの事も物語にしたいと思います。 (小悪魔は公式さんでも髪型が安定していないんです…どっちなんでしょうね)


 次回は…天空璋キャラのお披露目です!!



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《第18談》摩多羅 隠岐奈の心の扉



 明けましておめでとうございます 今年はよろしくお願いします…!
 内容は少しだけシリアス寄り、でもホッコリ話です。



 新年一発目は『東方紫藍談』での天空璋キャラのお披露目、紫と隠岐奈のお話です。

 四コマ風なのでサクサク読めると思います。

 あうん、隠岐奈、舞、里乃は登場済みですが残りの三人は初登場! 最後のおまけで一人紹介するのでそちらまでお楽しみ下さい。


 それでは始まります!




 

 

 

 

 【摩多羅 隠岐奈 降臨!】

 

 

 今日は12月31日、大晦日。

 

 

 あるものは新年の宴、あるものは家族で新年を迎えるために、あるものは宴に参加して酒を飲みたいがために。

 

 幻想郷の住人達は新しい年を迎えるための準備で大忙し。

 

 

 ……の筈が

 

 

 

 

 《マヨヒガ》

 

 

 

爾子田 里乃「やんや~♪」クルクル

 

 

丁礼田 舞「やんやー♪」クルクル

 

 

 

八雲 紫「…」

 

 

八雲 藍「…」

 

 

 舞と里乃はマヨヒガにある屋敷の中庭に突如として出現した扉の前で何とも形容しがたい不思議な踊りを踊っている。

 

 

里乃「まったらー♪」クルリン

 

 

舞「まったら~♪」クルリン

 

 

 

紫、藍「……」

 

 

 

里乃「茗荷みょうみょうー♪」

 

 

舞「笹っと竹竹~♪」

 

 

里乃「摩多羅ー♪」

 

 

舞「隠岐奈様の~♪」

 

 

里乃、舞「おな~り~♪」スッ

 

 

 

 

 ガチャッ…! ギィィ…!

 

 バタン!

 

 

 

 

摩多羅隠岐奈「あーっはっはっはー♪」バァン

 

 

隠岐奈「摩多羅隠岐奈これにあり! 紫ぃ! 私の方から直々に来てやったぞ! お前の住処を覆っている結界を破るのは容易いが私の能力を持ってすればこうしてすり抜ける事も可能だ! …ふっ、少し危機感を持ったらどうだ? こんな弱い結界に守られている様では幻想郷の賢者として示しがつかんぞ? …あ、それより今日は博麗神社で新年の宴が」

 

 

 

紫「藍、年越し蕎麦はやっぱりたぬ」

 

 

藍「きつねぇー!!」クワッ

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

藍「たぬきなんて認めないっ! きつねが正義だと何度言ったら分かるんですか!」

 

 

紫「はぁ!? まっ…またぁ…? 去年も一昨年もきつね蕎麦だったじゃない! 毎年毎年何度も何度も口論してこっちが妥協してきたけど今度こそは私に従いなさいよ!?」

 

 

藍「そんなの関係ないんですよ紫様、あのですね? 冷静に考えれば分かるじゃないですか、たぬき蕎麦なんて物はこの世に存在しないんです、たぬきうどんもありません」

 

 

紫「…えっ…? は?」

 

 

藍「天かす? 揚げ玉? 知りませんよそんなの、こちとら油あげですよ? 甘煮で凄く美味しいんです、最強なんですよ最強」

 

 

紫「いや、あのさぁ…あなたチルノみたいな事言ってるけど根本的に…ねぇ? 油物の時点でどっちも同じみたいな物じゃない」

 

 

藍「じゃあきつね蕎麦で良いじゃないですか」

 

 

紫「私はたぬき蕎麦が食べたいの!」

 

 

藍「だから存在しない物をどうやって食べるんですか?」

 

 

紫「…!?」

 

 

藍「食べましょう? きつね蕎麦♪」ニッコリ

 

 

紫「あ、あなた…油揚げの食べ過ぎでとうとう頭が」

 

 

 

隠岐奈「うおぉぉい!!」

 

 

 

紫、藍「……」チラッ

 

 

隠岐奈「無視をするな! 来てやったと言っているんだ!」

 

 

紫、藍「…」スッ

 

 

紫「あぁ、やっと終わったの?」

 

 

隠岐奈「何?」

 

 

紫「あなたの長ったらしい茶番劇よ、毎回毎回出てくる度にやってさぁ…待ってるこっちの身にもなりなさいっての、里乃と舞を何十分踊らせてるのよ」

 

 

隠岐奈「長ったらしいだと? これは摩多羅神の為の伝統な儀式の一つだと昔に説明しただろう、里乃と舞は私への儀式を完璧にこなしただけだ、文句を言うほど呆けているのか?」

 

 

紫「あなたの方が年上じゃない…ゆかりんそんな年食ってないわぁ、ボケてもないわぁ」

 

 

隠岐奈「年齢の話は今してないだろうが!」

 

 

藍「ん''ん''っ…お久しぶりですね隠岐奈殿、こちらで少しゆっくりされるんですか?」

 

 

隠岐奈「ん? あぁ、そうだな…少しだけな」

 

 

紫「…」ジトッ

 

 

隠岐奈「露骨に嫌そうな顔をするな」

 

 

藍「では茶を…お前たちの分も用意するよ」スッ

 

 

里乃「あ、ありがとうございます」

 

 

舞「いただきま~す♪」

 

 

紫「…で? 何しに来たの?」

 

 

隠岐奈「お前に用事があるから来た」

 

 

紫「その用事を言いなさいよ今すぐに、こちとら冬眠しようとしてたのにあなたのお陰でめちゃくちゃに予定が狂ってるんだから」

 

 

隠岐奈「今回は茶でも飲みながらゆっくり話すのが定石だ、なに、大したことじゃない♪」

 

 

紫「…大したこと以外の用事であなたここに来ないじゃない」

 

 

隠岐奈「当たり前だ、大したことはお前が処理する…違うか?」

 

 

紫「はいはい、分かってるわよ」

 

 

 

舞「僕こういうお屋敷に住みたいなぁ…♪」

 

 

里乃「後戸の国も良いところだけど、まぁ気持ちは分かるかな」

 

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「屋敷の一つぐらい作ってあげたら?」

 

 

隠岐奈「つ、作る暇が無いからな、はははっ…!」

 

 

紫(やる気の問題ね、これ)

 

 

 

 

 

 

 

 【賢者悶着】

 

 

隠岐奈「あぁそうだ…用事の話をする前にお前に少し話しておきたい事があるんだが」

 

 

紫「あら♪ 奇遇ねぇ、私もあるのよあなたに話しておきたい事」

 

 

紫、隠岐奈「…」

 

 

紫、隠岐奈「お先にどう…!」スッ

 

 

紫、隠岐奈「…」

 

 

紫、隠岐奈「……♪」ニッコリ

 

 

 

舞「こういう時って場の空気がピリピリするよね」ヒソヒソ

 

 

里乃「そういう事は言わないの」ヒソヒソ

 

 

 

紫「じゃあ…私から話すわね♪ 別に深い意味も無い話だし」

 

 

隠岐奈「そうか、手短にな」

 

 

紫「そうするわ、ねぇ隠岐奈、あなたさ」

 

 

隠岐奈「何だ?」

 

 

 

紫「幻想郷の賢者としての誇りは捨てたの?」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

 

隠岐奈「何ぃ!?」

 

 

紫「四季異変だっけ? あなたが元凶なんでしょあの異変…あれさぁ、幻想郷の賢者が異変を起こすってだけでも大問題なのはあなた分かっててやったの?」

 

 

紫「チルノが日焼けしたのは面白かったし、あなたの扉の神力と季節の魔力を霊夢と魔理沙に使わせるってのは良いことだとは思ったわよ? 二人には経験になったでしょうしね、文は…まぁ取材も兼ねてるのかしらね、まぁそれは置いといて」

 

 

紫「賢者が異変の元凶…ありえないからねマジで」

 

 

隠岐奈「違う! …いや、元凶の部分は違わないがちゃんとした理由の元で異変を起こしたのだ私は!」

 

 

紫「どうせ目立つためでしょ?」

 

 

隠岐奈「それもある」

 

 

紫「うわぁでたでた、神様特有の目立ちたがり…」

 

 

隠岐奈「それはお前に言われたくないなぁ!?」

 

 

紫「何ですって!?」

 

 

隠岐奈「少し黙れ! 話を戻させろ! …いいか? 他にも理由が二つあるのだよ」

 

 

紫「何よ!」

 

 

隠岐奈「幻想郷の賢者としての誇りを捨てたのと聞いたなぁ…!? それはこちらの台詞なのだよバカ者が! お前は幻想郷の賢者としての立場を鑑みろ!」

 

 

紫「……はぁ!?」

 

 

隠岐奈「外の世界の人間、そして一人の月の民が発端となったオカルト異変をきっかけに幻想郷を覆う結界が不安定になりすぎたのだ、外の世界への裂け目は出来るわ、月の狭間に博麗の巫女たちが取り残されそうになるわ…終いには疫病神と貧乏神の姉妹に付け入られ、夢の世界までむちゃくちゃになった」

 

 

紫「っ…! それは…」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「…事態は終息したわ、良い方向に向かってる」

 

 

隠岐奈「そうだな…だがお前の干渉がもう少し早ければ事態はもっと早くに収まったはずだ」

 

 

紫「幻想郷の異変解決は博麗の巫女…霊夢の仕事よ」

 

 

隠岐奈「知恵ぐらい貸してやれただろう」

 

 

紫「……そうかもね…でも女苑と紫苑の能力の仕組みを理解するのに時間がかかったのよ」

 

 

隠岐奈「言い訳だな」

 

 

紫「……そうね」

 

 

紫、隠岐奈「……」

 

 

紫「あなた…もしかしてわざと?」

 

 

隠岐奈「そうだ『お前は最近、賢者として弛んでいる』と私が遠回しに言うために異変を起こした、博麗の巫女たちに試練の扉まで用意させてな」

 

 

紫「…直接言いに来なさいよ」

 

 

隠岐奈「そうしたら他の二つの目的が達成出来ん」

 

 

紫「用意が良いことで」

 

 

隠岐奈「私は秘神だぞ? 秘かに作戦は練るのは得意なんだ」

 

 

紫「……悪かったわね、不甲斐ない幻想郷の管理人さんで」

 

 

隠岐奈「そこまでは言ってないが、分かれば良い」

 

 

紫、隠岐奈「……」

 

 

紫「…後もう一つは? 何なの?」

 

 

隠岐奈「あぁ、それなんだが…」

 

 

隠岐奈「後任…二人の後任を探していたんだ」

 

 

里乃、舞「!!」

 

 

紫「後任…?」

 

 

里乃、舞「……」

 

 

隠岐奈「そろそろ里乃と舞を休ませてやろうと思ってな、何十…いや、何百年と私の手足となってくれた、もう良いだろうと思い、精神力と生命力に満ち溢れた者を探していたのだ」

 

 

紫「……」チラッ

 

 

里乃、舞「! ……」

 

 

 里乃と舞は顔を伏せている。

 

 

紫「…はぁ」

 

 

隠岐奈「ん?」

 

 

紫「それならそうと早く言いなさいよ…って言おうとしたけどやめるわ」

 

 

隠岐奈「…?」

 

 

紫「あなた後ろ戸に籠ってばかりいるから人間の気持ちが分からないのよ、もっと人に接しなさい」

 

 

隠岐奈「何? 里乃と舞はもう人間では」

 

 

紫「元人間でしょう?」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「二人に今までの感謝の気持ちがあるなら、本当に後任を探したかったら二人の気持ちも考えなさいよ、あなたはこの二人と後継者の事についてじっくり話したことあるの?」

 

 

隠岐奈「!」

 

 

里乃、舞「!!」

 

 

紫「…?」

 

 

隠岐奈「……」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫(…? 隠岐奈のこんな顔初めて見るかも…)

 

 

隠岐奈(そんな事を言われたのは初めてだな…二人の気持ち…?)

 

 

里乃「…お、お師匠…様?」

 

 

舞「だ、大丈夫ですか? お師匠様」

 

 

隠岐奈「あ、あぁ…」

 

 

隠岐奈「……」

 

 

隠岐奈(気持ち…だと?)

 

 

紫「…?」

 

 

隠岐奈(今日中に答えが見つかるといいが…)

 

 

 カラァン

 

 

藍「あの、お茶入りましたけど」

 

 

紫「! ありがとう、藍」スッ

 

 

藍「さ、どうぞ」スッ

 

 

里乃「ありがとう…ございます」

 

 

舞「ど、どうも…」

 

 

隠岐奈「……」スッ

 

 

藍「…?」

 

 

藍「何かありました?」ヒソヒソ

 

 

紫「いいえ? 別に?」ヒソヒソ

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「…あなたからの話は良いの?」

 

 

隠岐奈「お前が弛んでいる云々の話だったからな、もうした」

 

 

紫「あっそ…」

 

 

紫(何よ急にしんみりして…)

 

 

藍(後で二童子に聞いておこう)

 

 

舞、里乃「…」ズズッ

 

 

 

 

 

 

 【隠岐奈さんの用事】

 

 

紫「…さて? お茶も飲んだ所で聞きましょうか、あなたがここに来た用事って何?」

 

 

隠岐奈「! そうだな、それが本題だったな」

 

 

隠岐奈「よし…紫、私も博麗神社で行われる新年を迎える宴会に参加する事にしたからな!」

 

 

里乃「私たちも参加します!」

 

 

舞「僕大きな宴会は初めてだから楽しみなんです!」

 

 

隠岐奈「無礼講だからな、好きなだけ楽しむんだぞ♪」

 

 

里乃、舞「は~い♪」

 

 

紫、藍「…?」

 

 

紫「? え? 何、それだけ?」

 

 

隠岐奈「そうだが?」

 

 

紫「…何で私に言いに来るのよ、勝手に参加すれば良いじゃない、何でも持ち込み自由で参加も自由なんだから」

 

 

隠岐奈「始まるまでまだ時間があるだろう?」

 

 

紫「…何時からだっけ?」

 

 

藍「夜の21時ですね」

 

 

紫「今は?」

 

 

藍「紫様が起床なされたのが昼の14時で今は15時です」

 

 

紫「私の目覚めた時間は聞いてないわよ!」

 

 

里乃「え、遅っ…」ボソッ

 

 

舞「遅くないですか?」

 

 

里乃(聞こえる様に言っちゃったぁー!)

 

 

紫「良いじゃない、人の睡眠にケチ付けない方が良いわよ?」

 

 

隠岐奈「まぁお前の睡眠の事は仕方ないか…体質だし、昔からだからな」

 

 

紫「! ほ~らぁ!」

 

 

藍、里乃、舞(『ほ~らぁ!』 って…)

 

 

隠岐奈「話を戻すぞ? この余っている時間を私は有意義に使いたいと思ったんだ、私は異変を起こし、人里で行われた幻想郷フェスティバルだったか? という物に参加し、目立つ事には成功したがそれは摩多羅神が幻想郷にいるという噂程度の物が広まっただけなのではないか…それを思うと幻想郷の住人たちに私の存在が認知されているかの確認をしたい欲求が高まってしまってな…そこでだ」

 

 

隠岐奈「紫! 私と一緒に幻想郷を散歩しに行くぞ!」バァーン

 

 

紫「は~い三人とも早く神社に行くわよ~♪」スッ

 

 

 ギュオン…! という音とともにスキマが開かれた!

 

 

藍、里乃、舞「ちょっ…!?」グイッ

 

 

隠岐奈「!? まっ、待てぇ紫ぃ!」スッ

 

 

 キュオン…! という音とともに二つの小さな扉が現れた!

 

 

隠岐奈「ふん!」スッ

 

 

 ガチャッ!

 

 

紫「!? 痛ったぁっ!?」グイッ

 

 

 スキマに半分体を入れていた紫の体が外に引っ張り出されてしまった。

 

 隠岐奈が作った腕が通る程の小さな二つの扉は紫の背中と隠岐奈の目の前とで繋がっていたのだ。

 

 

藍、里乃、舞「ええっ!?」

 

 

隠岐奈「! そのスキマ博麗神社に繋がっているな? 藍、里乃、舞、お前たちは先に行くといい、私たちは散歩をしてから向かうからな♪」

 

 

里乃「! はーい、分かりましたー!」

 

 

舞「了解でーす♪」

 

 

紫「ちょっ…!? 痛ったぁ…腰打った…!」

 

 

藍「では私も」ソソソ

 

 

紫「!? らぁぁぁん!! 主のピンチよ!? 助けなさいよ!」

 

 

藍「……紫様」

 

 

藍「私、まだ年越し蕎麦の事は諦めてませんので、それではまた」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

紫「まだ根にもってたの!? ってこらぁぁ!」

 

 

 スキマは閉じてしまった

 

 

紫「…!? うっっわぁ…最悪…」

 

 

隠岐奈「ふっ♪ 見捨てられたな」

 

 

紫「あの狐ぇ…今に見てなさいよ…! 幻想郷の住人たちからたぬき蕎麦持って追いかけられる地獄を見せてやるわ…!」

 

 

隠岐奈「やめろ、子供かお前は」

 

 

紫「これからお散歩気分のお年寄りに言われたかないわよ…」

 

 

隠岐奈「…少しは藍を労え、罰が当たるぞ?」

 

 

紫「うるさいわね、もう当たってるわよ」

 

 

隠岐奈「じゃあ散歩して気分転換でもしようではないか♪ な♪」

 

 

紫「な♪ じゃないわよ、何でそんなに楽しそうなのよ全く…」

 

 

紫(幻想郷の賢者二人がお散歩なんて、それこそ昔じゃありえない事よねぇ…)

 

 

 

 

 

 【ランダム扉】

 

 

紫「どこから行く気なのよ…」

 

 

隠岐奈「私の扉で行くぞ、お前のスキマで行くとあの空間の目玉どもの眼差しがな…私には刺激が強すぎる」

 

 

紫(あなたの事が気になってるから見てる訳じゃないんだけどね)

 

 

隠岐奈「…ふっ!」スッ

 

 

 キュオン…!

 

 

隠岐奈「これは幻想郷のどこかに通じている扉だ、出る場所に法則性がなく、どこに出るかは予測が不可能だ」

 

 

紫「所謂ランダムってやつね」

 

 

紫「どこで○ドアがどこだ○ドアになったわけね」ボソッ

 

 

隠岐奈「…何か言ったか? では開けるぞ♪」

 

 

 ガチャッ! ギィィィ…!

 

 

 

 

 

 

 

 サァァァァ…!

 

 

??「ふんふふん♪ ふふ~ん♪」ワシャワシャ

 

 

??「あぁ耳洗いづらいなぁ…純狐さんが弄るから変な形になってきた気がする…」ブツブツ

 

 

??「てゐから『耳がシナシナしなんげじゃーん♪』って言われた時は腹が立ったけど言い返せなかったのよねぇ…」

 

 

??「ふっ…『しなんげいん』って何よ、私は『うどんげいん』だってのに」

 

 

??「独り言って寂しい…はぁ、今日は神社で宴会だしねぇ♪ 咲夜の料理、手伝っちゃうわよ~♪」

 

 

 ガチャッ!

 

 

??「! 姫様ですか? やっぱり今のうちにお風呂に入っ」

 

 

紫、隠岐奈「……」

 

 

??「……」

 

 

紫、隠岐奈「……」

 

 

??「……」

 

 

紫、隠岐奈「えっ」

 

 

??「えっ」

 

 

紫、隠岐奈、??「……」

 

 

 

 

 

??→鈴仙・優曇華院・イナバ「ちょっ…!?」

 

 

紫、隠岐奈「失礼しましたー!」スッ

 

 

 バタァン!

 

 

鈴仙「へっ!? はっ!? へぇっ!?」

 

 

鈴仙「はっ…!? はぁぁぁぁ!?」

 

 

鈴仙「なっ、何っ!? なんなの!? 紫!? 紫なの今の!? てかさっきの黄色の服の人誰!?」

 

 

鈴仙「!!? っ…/// て、ていうか…///」

 

 

鈴仙「ゆ、紫にがっつり見られたんだけど…///」カァッ

 

 

 

 

 

 

 バタン…!

 

 

隠岐奈「……」

 

 

紫「……」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「…」

 

 

隠岐奈「は、ははっ…ま、まさか永遠亭…だったな、あそこの風呂場に繋がってしまうとはな! ははっ、あっはっはっ」

 

 

紫「スケベ」

 

 

隠岐奈「!?」

 

 

紫「スケベじゃないあなた『キャー♪ 隠岐奈さんのエッチ~♪』とか言われたことあるわよね? その扉で覗き放題なんだから余罪とかあるわよね?」

 

 

隠岐奈「言われたことあるわけないだろうがぁ! 余罪もないわぁ!」

 

 

紫「扉開ける…オープン…あぁこれが本当のオープンスケベって奴ね、魅魔が言ってたのはこれだったのねぇ…」

 

 

隠岐奈「何の話をしているんだお前はぁ!!」

 

 

紫「てか嫌なんですけど、気まずいわぁ…これから鈴仙と会うときにどんな顔して会いに行けばいいのよ、教えてくれない? ねぇ?」

 

 

隠岐奈「うっ…! そ、それは…」

 

 

紫「……」ジーッ

 

 

隠岐奈「す、すまなかった…やはりランダム扉は辞めておこう」スッ

 

 

 キュオン……!

 

 

紫「最初からそうしなさいよね…全く」

 

 

紫「…」

 

 

紫(鈴仙、今頃恥ずかしがってるわよね♪ ふふっ♪)

 

 

紫(…でも気まずいのはマジであるのよね)

 

 

 

 

 

 【隠岐散歩 序】

 

 

 《妖精の森》

 

 

紫「え、チルノたちいないの?」

 

 

シュガーサテラ「はい、チルノ様は大ちゃん様、サニー様、スター様、ルナ様と供に博麗神社のご宴会に参加なさるそうで少し前にこの森を後にしました」

 

 

紫「ふーん、もう行っちゃってたか…強い妖精たちは出払っちゃってるわけね」

 

 

隠岐奈「お前は来ないのか?」

 

 

シュガー「わたくしは皆様と共に歌い、騒ぐ、という行為が苦手でして、この森で妖精の皆様と共に静かに…新しい年を迎えさせていただきます」

 

 

紫「そう…まぁあなたらしいわね」

 

 

シュガー「そう言っていただけるとありがたいです、紫様」

 

 

隠岐奈「しかし私が唯一認めた氷の妖精がいないとは…あいつに聞けば私の認知度が分かるのだが…大晦日だというのにここは変わらんな、そこら中に小さな妖精たちがふよふよふよふよと」

 

 

 ガサッガサッ!!

 

 

エタニティラルバ「うっひゃー! 寒い寒いさむーい!」

 

 

紫「! あらら…♪」

 

 

隠岐奈「!? ん…?」

 

 

隠岐奈(この妖精……)

 

 

シュガー「ラルバ様、お帰りなさいませ」

 

 

ラルバ「しゅ、シュガー! ほ、ほら持ってきたよ、砂糖の材料になりそうな木! 枝!」ガタガタ

 

 

シュガー「ありがとうございます、これだけあればまた甘いお砂糖が作れます、ご足労おかけました♪」

 

 

ラルバ「歩いて探してないけどね! 寒いから!」ブルブル

 

 

紫「分かるわ~、寒いのって本当に嫌…私も寒くなると冬眠したくなるし…シュガー、あなたこんな寒い中探させてたの?」

 

 

シュガー「いいえ、ラルバ様にはいつもこの時期にお砂糖の材料になる木々等をいただいているのです、ラルバ様のお家にあるものです」

 

 

ラルバ「寒いからさぁ! 動いてないと凍っちゃうぐらい寒いからぁ! 誰かの役に立つ速度で飛び回ってた方がいいんだよね!」ブルブル

 

 

紫「スッゴい必死さが伝わってくるわ…アゲハチョウの妖精さんって大変だわ…」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

ラルバ「あれ…? あなたたち妖精じゃないのね…! 誰?」

 

 

紫「あ、そういえば私は初めましてだったわね」

 

 

シュガー「ラルバ様、このお方は八雲紫様…ここ幻想郷の管理人をやられているお方であり、賢者様のお一人ですよ」

 

 

ラルバ「紫…? あー! あぁ知ってる知ってる! チルノがよく話す大妖怪さんだね! よろしくー♪」

 

 

紫「はいよろしく♪ 私も有名ねぇ♪ そりゃそうか」

 

 

ラルバ「いつもババアがババアがー…! って話してるのを聞くよ♪」

 

 

紫「あんにゃろうめぇ…!」プルプル

 

 

シュガー「そのチルノ様がよく話題に出すババア様と言うのは一体どんなお方なのでしょう…紫様とどういうご関係なのでしょうか、一度会ってご挨拶を」

 

 

紫「シュガー…あなたはブレないわね、純粋なままのあなたでいてね…」

 

 

シュガー「は、はい? わ、分かりました」

 

 

ラルバ「あなたは…? ええっと…」

 

 

シュガー「こちらは摩多羅隠岐奈様、隠岐奈様も賢者のお一人なのですよ」

 

 

ラルバ「隠岐奈…? あ…あー! 知ってるー! てか会ったことあるよね、チルノが黒くなっちゃった原因の人だ! チルノが黄色い神様と戦って倒したって言い触らしてたけどあなたの事だったのね!」

 

 

紫「言い触らしてたって事は隠岐奈の名前は広まってるってことね、良かったじゃない」

 

 

ラルバ「黄色い神様ってだけだよ? 名前は広まって…あ、私が広めてあげてもいいよ♪」

 

 

隠岐奈「そうかそれは助かる、私は名前から分かると思うが摩多羅神だ」

 

 

ラルバ「摩多羅神なの? へぇー…」

 

 

ラルバ「…」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

シュガー「…?」

 

 

隠岐奈「おい」

 

 

ラルバ「なにー?」

 

 

隠岐奈「河勝、スクナヒコナという名前に聞き覚えはあるか?」

 

 

ラルバ「んー? ん~…知らないなぁ」

 

 

隠岐奈「お前の能力は何だ?」

 

 

ラルバ「え? 『鱗粉を撒き散らす程度の能力』 だよ」

 

 

隠岐奈「富、長寿、不老不死、橘の木…何か引っ掛かる言葉はあるか?」

 

 

ラルバ「え~…? う~ん…難しい事は分かんないよ~…」

 

 

隠岐奈「そうか、ならいい…変なことを聞いてすまなかったな」

 

 

ラルバ「ううん、別に気にしてないよ~♪」

 

 

紫「…」

 

 

シュガー「ふふっ♪ それではわたくし達はそろそろ…ラルバ様が凍ってしまいますので」

 

 

ラルバ「!? あー! 寒いの我慢してたのにー!」

 

 

シュガー「わたくしの家で温かいお紅茶が待ってますよ♪」

 

 

ラルバ「砂糖多めにいれてね! 苦いの嫌だから!」

 

 

シュガー「ふふっ♪ それでは紫様、隠岐奈様、ごきげんよう♪ そしてよいお年を…」スッ

 

 

ラルバ「ばいばーい♪」スッ

 

 

紫「はいごきげんよう、こっちこそありがとうねシュガー、ラルバ…よいお年を幻想郷で過ごしてね♪」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「ふぅ、妖精たちには…まぁ認知されているんじゃないの? ラルバも広めてくれるって言ってたからそれで」

 

 

隠岐奈「紫」

 

 

紫「ん? 何?」

 

 

隠岐奈「お前にはあのエタニティラルバという妖精がアゲハチョウの妖精に見えたのか?」

 

 

紫「は? 他に何に見えるのよ」

 

 

隠岐奈「チルノはお前を大妖怪だと認知しているのか?」

 

 

紫「何でいきなりチルノの話になるのよ…」

 

 

隠岐奈「答えてくれ」

 

 

紫「…まぁチョー強い妖怪の大人のお姉さん! ぐらいには思ってるんじゃないの? 大妖怪とは…思われてなさそうね」

 

 

隠岐奈「ラルバはお前の事を大妖怪だと言ったぞ? それにチルノの日焼け現象の根本は私のせいであることも見抜いていた」

 

 

紫「考え過ぎなんじゃないの? シュガーから大妖怪だって聞いてる可能性もあるじゃない、それと妖精って意外に鋭いのよ? 洞察力」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「ラルバが常世神なんじゃないか…とか思ってるんでしょう?」

 

 

隠岐奈「! 気付いてたのか」

 

 

紫「河勝の名前が出た時点で察するわよ、でもこれは考え過ぎだと思うわ『かもしれない』って疑惑の段階だし、根拠も無いじゃない」

 

 

隠岐奈「……私が摩多羅神だからそうさせるのか、ラルバがアゲハチョウの妖精だからそうさせるのか」

 

 

紫「どんな者でも裏の顔は持っている物だけどあの子からは想像できないわね、常世神としての顔があるなんて」

 

 

隠岐奈「…少し考え過ぎたか、すまない」

 

 

紫「別に…妖精は自然と共に自然に生きていてくれれば私はそれで満足よ♪」

 

 

隠岐奈「そうだな、それは同意見だ」

 

 

隠岐奈(決め付けて考え過ぎるのは私の悪い癖だ…少し改めねばな)

 

 

紫(妖怪に近い妖精はたくさん見てきたけど神に近い妖精は初めてかもね)

 

 

 

隠岐奈「よし、次に行く…前に少し良いか?」

 

 

紫「ん? 何よまた」

 

 

隠岐奈「シュガーサテラはあの木材をどうする気なんだ? どうやってただの木材を砂糖にする、そもそも持っている能力は何だ?」

 

 

紫「あぁ…シュガーはね、『気配を変える程度の能力』を持っているの、木材を砂糖にする能力はあの子の体質と魔力によるものよ」

 

 

隠岐奈「気配か…急に何者かが現れたり消えたり姿を変えたりしたように見せるのは思いのままか、中々面白い能力だな」

 

 

紫「五感の撹乱ならお手のものかもね」

 

 

隠岐奈「そしてなんだ、体質だと?」

 

 

紫「木を粉になるまで砕くでしょ? でその粉を両手で魔力を使いながらギュッって握ると…」

 

 

隠岐奈「砂糖の完成か」

 

 

紫「そういうこと♪ いくら魔力を込めたってそこら辺の木が砂糖に変化するなんてことはないからね、シュガーの個性みたいなものよ」

 

 

隠岐奈「…妖精はどこまでも不思議な生き物だな」

 

 

紫「私たちが言っても説得力ないわよね」

 

 

隠岐奈「それもそうだな」スッ

 

 

 キュオン…!

 

 

 

 

 

 

 【隠岐散歩 中】

 

 

 《妖怪の山 麓》

 

 

 

河城 にとり「へぇ~、だから冬眠準備してないんだ」

 

 

紫「そう、そうなのよ『用事があるから冬眠は延期しろ』って一ヶ月も前に言い出してさぁ…はぁ、生活習慣狂っちゃうわ」

 

 

鍵山 雛「でもあの摩多羅神様に合わせてあげたのは紫さんのほう、懐が深いわね」

 

 

紫「分かってるわね雛♪ ゆかりん懐がめっちゃ深いからねぇ…♪ まるで私のスキマ空間の様に♪」

 

 

雛(深さの限度が…無限大?)

 

 

にとり「おっ! じゃあその懐の深さでこれを」

 

 

紫「買わないわよ」

 

 

にとり「なっ!? 何でだよぉ、買えよ~! 河童のバーゲン年末大特価セールだぞ!」

 

 

紫「嫌よ、何に使うか分からない物ばかりだし…何よこのデカイ白い箱は」

 

 

にとり「これ? これは中に入れた物が小さくなって色んな物をたくさん楽々収納出来るイッスンボックスって奴でさ、私の姉ちゃんと一緒に作った初めての作品なんだ♪」

 

 

紫「へぇ~、みとりとねぇ、最近霊夢たちと仲良くしてくれてるみたいでありがたいわ、今度お礼を…うん?」

 

 

紫「……入れた物が小さくなるの?」

 

 

にとり「そうだよ、姉ちゃんの能力を…ちょこっとだけ悪用して無理矢理作ったんだよね、ちゃんと姉ちゃんには許可は取ったんだよ? でも創作意欲には勝てなくてさ、あはは…」

 

 

紫「……」

 

 

紫「これって人間も入れたりする?」

 

 

にとり「え? ん~…たぶん大丈夫だと思うけど人間を箱にしまっちゃおうとか考える奴なんて普通いな」

 

 

紫「ふふふのふ…♪」ニヤリ

 

 

にとり「う、うわぁ…いたよここに」

 

 

紫「これ買うわにとり、いくら?」

 

 

にとり「え!? マジで!? ありがと~う♪」

 

 

雛(また紫さんが原因で何か始まっちゃうのかしら)

 

 

雛「…」チラッ

 

 

 

 

 

隠岐奈「! 本当か!」

 

 

射命丸 文「はい、私が取材で得た隠岐奈さんの情報を山で広めてたら神奈子さんたちの耳にも摩多羅隠岐奈の名前が知られたんですよ、まぁ神様事情は分かりませんが摩多羅神の思し召しみたいなのを説明してましたね」

 

 

文「人里でも幻想郷の賢者、摩多羅隠岐奈が現れた! と話題にもなってます、それは慧音さんや阿求さんの情報力、そしてあなたが参加したフェスによるものでもあるでしょうね」

 

 

隠岐奈「おぉ、そうか! ふふっ、異変を起こしたり行事に参加したりしたことは間違いではなかったということだな! 八坂神と洩矢神にも感謝せねば…何れ語り合ってみたいものだ」

 

 

文「異変を起こしたことはどうなんですかね…まぁ私も便乗しましたけど」

 

 

文(神様同士、目立つためには手段を選ばない…と言ったところでしょうか、お互いに良好な関係を築けるならそれでいいんでしょうけどね、阿求さんと慧音さんは仕事としてですし)

 

 

文「…それでは私はこの辺で、私も宴会に参加しますので♪ …ん? あっ! カメラを忘れてしまいました…はぁ、取ってこなければ…秘蔵写真が撮れなくなってしまいますからねぇ♪」

 

 

隠岐奈「一度山に戻るのか?」

 

 

文「えぇ」

 

 

隠岐奈「なら天魔に伝えてくれ『たまには外に出てこい』とな」

 

 

文「えぇー…私が言っても効果ないと思いますよ? それこそ対等な立場である賢者のあなたか紫さんが言わないと」

 

 

隠岐奈「あいつは堅すぎる、外交も部下任せなのも考えものだ」

 

 

文「それ天狗の上層部でよくこそこそと言われてますね…賢者の人もそう思うほどか」

 

 

文「…あ、今度の『幻想郷会議』でガツンと言ってくれませんか?」

 

 

隠岐奈「! そうだな、考えておこう」

 

 

文「よろしくお願いしますよ♪ それでは…」スッ

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「……部下任せ、か」スッ

 

 

 隠岐奈は目を瞑った。

 

 

隠岐奈(私も天魔の事を言えたものではないのかもしれんな、雑務等は部下の二人に任せっきり)

 

 

隠岐奈(だがそれが普通なのではないのか…? 主として、そして神として…当然の事)

 

 

隠岐奈(……)

 

 

 

  『少しは二人の気持ちも考えなさいよ』

 

 

 

隠岐奈(…気持ち、か)

 

 

隠岐奈(考える…いや、聞くか? その方が早)パチッ

 

 

茨木華扇「…」ズイッ

 

 

隠岐奈「うぉっ!?」ビクッ

 

 

華扇「何をしているのですか? こんな所で」

 

 

隠岐奈「こ、こちらの台詞だバカ者が! いきなり目の前に立つな!」

 

 

華扇「いきなり声をかけるのもどうかと思いましたので」

 

 

隠岐奈「では気配を消して近付いて来るな…! はぁ、心臓に悪い…」

 

 

華扇「そんな年寄りみたいな……! …ネムノ、道案内はここまでで大丈夫ですか?」

 

 

坂田 ネムノ「あぁ助かっただよ、ありがとうな華扇」

 

 

華扇「いえいえ、どういたしまして」

 

 

隠岐奈「…? お前…山姥か?」

 

 

ネムノ「そうだが、お前はだれだ? 見ない顔だべな」

 

 

隠岐奈「!? …知られておらんではないか」

 

 

華扇(…目立つために異変を起こしたのは本当だったようですね)

 

 

華扇「摩多羅神の摩多羅隠岐奈、幻想郷の賢者の一人ですよ」

 

 

ネムノ「! 賢者……まぁ何でもいいべ」

 

 

隠岐奈「それがよくないのだよ、名前は覚えて帰ってくれ、天狗共と不可侵条約を結ぶ程、閉鎖的な種族であったとしても私の名前は覚えてくれ」

 

 

ネムノ「何をそんなに…まぁ覚えるぐらい訳ないか」

 

 

ネムノ「うちは坂田ネムノ、よろしくだべ」スッ

 

 

 スタスタ…

 

 

隠岐奈「…天魔以上に山籠りしている山姥が何故麓まで来ているのだ?」

 

 

華扇「あなたの起こした異変に間接的に巻き込まれて霊夢たちと出会った結果、少しずつ見聞を広めるようになったそうです、まずは麓の河童達からだとか」

 

 

隠岐奈「! ほう…それはいいことだな、籠ってばかりいては何も変わらん、変化があるのは刺激にもなるからな…私の異変が私の知らない所でまた役に立っていたか」

 

 

華扇「ですが幻想郷の賢者が異変を起こした事は前代未聞です、とても褒められた事ではありません」

 

 

隠岐奈「紫と同じようなことを言うんだな」

 

 

華扇「言われて当然です」

 

 

隠岐奈「色々と私にも理由があるんだがなぁ…」

 

 

華扇「…」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「前のオカルト異変の時に色々と動き、解決への糸口を探って奔走していたと聞いた」

 

 

華扇「大した事はしてません、オカルト異変は霊夢が、夢の世界をも巻き込んだ憑依異変は霊夢と八雲紫たちの働きで解決に至ったのですから」

 

 

隠岐奈「博麗の巫女への助力、幻想郷を愛しているからこその行動、充分な働きだ」

 

 

華扇「…!」

 

 

隠岐奈「お前の席はいつでも空いている、好きなときに戻ってこい」

 

 

華扇「…考えておきます」

 

 

隠岐奈「…ふっ♪」

 

 

 

 

 

にとり「ね、ねぇ…!? いきなりその鉈で切り付けてこないよね!?」ブルブル

 

 

ネムノ「そんなことしないべ、そこまでうちは野蛮じゃないだよ」

 

 

にとり「だ、だよねぇ…」ホッ

 

 

ネムノ「…やるやつもいるが」

 

 

にとり「いるんじゃんかよぉ! ひぃぃ…! 雛ぁ! 私やっぱり山姥怖いよぉ!」

 

 

雛「で、でもネムノさんはそんなことしないと思うけど…」

 

 

ネムノ「! これで怖がるのか…冗談って難しいんだべな」

 

 

紫「山姥ジョークってやつね♪ 私は好きよ、それ」

 

 

ネムノ「じょーく…? …それより紫、うちと誰を会わせてみたいと言ったんだべ?」

 

 

紫「子供達よ、チルノとかルーミアとか…あなた面倒見がいいから仲良く出来そうかなって」

 

 

ネムノ「! 子供か…」

 

 

紫「苦手じゃないんでしょ? 昔のあなたは特に」

 

 

ネムノ「昔の話はやめてくんろ…!」ギロッ

 

 

紫「! …悪かった」

 

 

にとり、雛「…?」

 

 

 スタスタ

 

 

隠岐奈「おい紫、次に行くぞ」

 

 

紫「! は~いはい、それじゃあまた…神社に来れる人は是非来てね♪ あ! 華扇もばいばい♪」スッ

 

 

 キュオン…!

 

 

華扇「口が軽いようで堅い…はぁ」

 

 

ネムノ「紫の悪い癖だべな、ほんと…」

 

 

 

 

 

 《後戸空間》

 

 

紫「灰色の御髪の巫女、ありけり、その者、聖域を作る程度の能力にて邪を滅さんとす」

 

 

隠岐奈「…? 何だそれは」

 

 

紫「大昔の…そう、遥か昔の巻物に書いてあった文よ」

 

 

隠岐奈「続きは無いのか?」

 

 

紫「それが覚えてなくってさぁ♪ ゆかりんうっかりてへぺろりん♪」

 

 

隠岐奈「動きと言い方が気色悪いな」

 

 

紫「どストレートに言うんじゃないわよぉ!」

 

 

 

 

 

 その頃…博麗神社では…?

 

 

 《博麗神社》

 

 

 

高麗野 あうん「霊夢さん! この酒樽はどこに置きますか?」

 

 

博麗 霊夢「それはそっちに置いて、中庭の真ん中」

 

 

あうん「了解です!」スッ

 

 

 コトッ…!

 

 

あうん「置きました!」

 

 

霊夢「早いわね、助かっ…!?」

 

 

 ズイッ…!

 

 

あうん「くうぅ~ん♪ 霊夢さ~ん♪」スリスリ

 

 

霊夢「あ、あぁあぁあぁー…! わ、分かった! 分かったからいちいちくっつかない! 頬擦りもしなくていいから!」

 

 

あうん「! だったらもっと褒めて下さい!」

 

 

霊夢「……偉いっ!」

 

 

あうん「やったー♪ 霊夢さんに褒められたー♪」ルンルン

 

 

霧雨 魔理沙「ふくくっ…!」プルプル

 

 

伊吹 萃香「あははははっ…!」プルプル

 

 

あうん「次! 次は何をしたら良いですか?」

 

 

霊夢「はいこれ、この桶に水汲んできなさい」

 

 

あうん「はーい♪ 分かりましたー♪」スッ

 

 

 タタタタタッ…!

 

 

霊夢「…はぁ」

 

 

霊夢「笑ってないであんたらも手伝いなさいよ、大宴会なのよ大宴会!」

 

 

魔理沙「いやぁ…♪ 働き者がいるお陰で私たちの出番はないみたいだからな♪」

 

 

萃香「すまんね霊夢、今日の私は酒瓶と酒樽を空にすることぐらいしか手伝えないよ…♪」

 

 

霊夢「怠け者と飲んべえめ…全く」

 

 

霊夢「藍とあの二童子、里乃と舞だっけ、買い出し早く帰ってきてほしいわ、それと咲夜と鈴仙とアリス、妖夢も来てくれると料理が楽になるんだけど…」

 

 

魔理沙「まぁ気長に待とうぜ♪ 宴会は逃げねぇからさ」

 

 

霊夢「アリスが来たらあんたが『夫婦ごっこしてぇなぁ』って呟いてたって言ってやろうかしら♪」

 

 

魔理沙「おいそれはマジでやめろ!」

 

 

萃香「あっはははは♪」ケラケラ

 

 

霊夢「ふふふっ♪」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(藍が言ってたけど今回は紫参加するの…? 本当に来るのかしら?)

 

 

魔理沙「てかお前、マジであうんに好かれたな」

 

 

霊夢「好かれてるんじゃなくて勝手に居着いているだけよ」

 

 

魔理沙「すげぇ分かりやすくお前に好き好きオーラ出してるじゃん、レミリア以上だぞあいつ」

 

 

萃香「なんか犬っぽいよね、可愛いじゃないか」

 

 

霊夢「それよそれが問題なのよ、神霊だったみたいだけど実体を持ってから狛犬…いや犬っぽくなってきて私の膝の上に頭乗っけてくるし、頬擦りしてくるしで…しかも追い出そうとすると目をうるうるさせてこっち見てきてさ、あの目に弱いのよ、何も言えなくなっちゃう不思議な目にさ」

 

 

魔理沙「可愛いってのは否定しねぇのな」ヒソヒソ

 

 

萃香「実際気に入ってるんじゃない?」ヒソヒソ

 

 

霊夢「何で家なのかしら…神社なら命蓮寺とか守矢神社があるじゃない」

 

 

魔理沙「今更過ぎねぇかぁ♪」ニヤリ

 

 

萃香「だねぇ♪」ニヤリ

 

 

霊夢「はぁ~…」

 

 

萃香「もうさ、博麗神社のペットでいいじゃん」

 

 

魔理沙「だな、あいつ妖怪じゃなくて狛犬だし、しかも隠岐奈の魔力から肉体生成されたんだろ? 神の使いって感じでちょうどいいしな」

 

 

霊夢「! ……」

 

 

霊夢「…過剰な触れ合いを控えてくれたら考えてやらんでもない…うん…ない、わね」

 

 

魔理沙、萃香「…!」

 

 

萃香「家族が増えたね♪」

 

 

魔理沙「やったな霊夢♪」

 

 

霊夢「うるっさいわねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 【隠岐散歩 結】

 

 

 《地霊殿 さとりの部屋》

 

 

隠岐奈「あまり広まっていない!?」

 

 

古明地 さとり「はい、その四季異変が起きたのは地上ですし、取材をした文さんが地底にあまり来たがらないので…しかもここ地底では四季の移り変わる感覚というのが分かりづらい事もあります」

 

 

隠岐奈「そうか…やはり地底は地上の出来事に疎いか…」

 

 

さとり「ですが幻想郷賢者の隠岐奈さんが地上に現れる様になったと聞けば話題にはなるでしょう、強い人物に興味を示す者が多い所ですから勇儀さんが広める可能性もあります、何なら私が広めてもいいですよ?」

 

 

隠岐奈「! やってくれるならやってくれ、助かる」

 

 

さとり「では…あぁ、今日はやりませんよ? 神社での新年への宴、私たちも参加しますので」

 

 

隠岐奈「すぐにやってくれとは言わんさ、時間がかかってもいい」

 

 

さとり「分かりました」

 

 

 

 

紫「床暖房が効いてて暖かいわねぇここは」

 

 

火焔猫 燐「そのお陰で眠くなっちゃうんですよね、あたい仕事終わった後とかいつもソファで寝ちゃうんです」

 

 

霊烏路 空「あ! ダメだよお燐、ちゃんとベッドで寝なきゃ風邪引いちゃうよ」

 

 

お燐「この前床で大の字で爆睡してたお空に言われたくないねぇ…」

 

 

紫「え、風邪引いたことあるの?」

 

 

古明地こいし「無いと思うよ~♪ お空とお燐は火属性だから♪」

 

 

紫「そうよねぇ」

 

 

お燐「いやいや、あたいたちその前に猫と烏ですから! 風邪ぐらい引きますよ」

 

 

お空「この前体温計が壊れるぐらいお熱出しちゃったもん…」

 

 

紫「…それ風邪じゃなくて熱暴走な気がしてきたわ」

 

 

こいし「触ったら火傷しそうだね~♪」

 

 

 

隠岐奈「ふっ、賑やかだな」

 

 

さとり「えぇ、そうですね♪」

 

 

隠岐奈「お前ら姉妹が妖怪の山に居たときはこういうのは嫌いだと思ってたんだがな、お前自身も周りに干渉したがらなかったと記憶してる」

 

 

さとり「何百年前の話をしてるんですか、あの頃とは回りの環境も私自身の心のあり方も変わってきているんです」

 

 

隠岐奈「それはいい方向に、か?」

 

 

さとり「その質問に対しては…こいしを見れば答えは出ると思います」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

 

 

こいし「家にもこたつがほしいよね♪」

 

 

お燐「あぁ~ですよねぇ…あの暖房器具には本当に魔力が宿っていると思いましたもん」

 

 

お空「え~お燐ズルいよ~…私もこたつに入ってみたい!」

 

 

こいし「霊夢の家にあるから入れてもらえば良いんじゃないかな♪」

 

 

お空「あー! そうですね! やった~♪ 初めてのこたつだ~♪」

 

 

お燐「こたつでそんなに…ま、気持ちは分かるけどね」

 

 

紫「入ってもいいけど霊夢の隣は私専用だからね!」

 

 

お燐「何の拘りなんですか、それ」

 

 

 

 

隠岐奈「無意識に行動し、言葉を発しているようには見えんな」

 

 

さとり「でしょう? 最近、第三の眼がポカポカするのを感じるらしいですよ? …でもまだ私の眼からこいしの心を読むことは出来ていませんけど」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

さとり「…」

 

 

隠岐奈「何れ出来るかもしれん」

 

 

さとり「その想いはいつも持ち続けてますよ、私の心にずっと…ずっとね」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「さとり」

 

 

さとり「はい?」

 

 

隠岐奈「私はお前が地底に行ってからどの様に過ごしているのかを聞いていなかったが…幸せそうにしているんだな」

 

 

さとり「そうですね、地底の治安も良くなってきてますし、観光地にもなりました、私たちさとり妖怪に恐れを抱くものも少なくなりました、心を許せる友達も出来ました…そして何より大切な物に囲まれてますからね、私は恵まれてます」

 

 

隠岐奈「妹にペット達か」

 

 

さとり「……そういう言い方ではないですよ」

 

 

隠岐奈「?」

 

 

さとり「私の大切な家族です」ニコッ

 

 

隠岐奈「!」

 

 

隠岐奈(家族…)

 

 

さとり「…」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

さとり「隠岐奈さん、あなたが悩んでいる事に対して私が少し助言をするとしたらですね」

 

 

隠岐奈「! お前、私の心を勝手に」

 

 

さとり「私を前にして隠し通せると思いますか?」

 

 

隠岐奈「うっ…」

 

 

さとり「まぁただのお節介です、聞きます?」

 

 

隠岐奈「…聞かせてくれ」

 

 

さとり「あなたの悩みの種は紫さんが常日頃からやっていて思っていることです、それが顕著に現れているのは私の友達のレミリアさんです」

 

 

隠岐奈「…!?」

 

 

さとり「ふふっ…♪ 答え、ご自身で出せるといいですね」

 

 

 

 

 

 

 《後戸空間》

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「これで行きたい所は全部行ったんでしょ? 博麗神社行くわよ♪」

 

 

隠岐奈「あぁ…」

 

 

紫「何よその気のない返事は…はぁ、でも新年を私の霊夢と一緒に迎えるなんて何年ぶりかしら♪ 待っててね~霊夢ぅ♪」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈(紫には答えが出せている…あの吸血鬼にも、か)

 

 

隠岐奈「…紫」

 

 

紫「ん?」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「…?」

 

 

隠岐奈「あの吸血鬼異変を起こした吸血鬼…レミリア・スカーレットだったか…あいつは自分の部下の事をどう思っているんだ?」

 

 

紫「部下? あのちんちくりんに部下なんていないんじゃない? …あ、強いて言うならメイド妖精とゴブリンかしら」

 

 

隠岐奈「そっちじゃない、いただろ…ほらあの、格闘に長けた紅の妖怪と紫色の魔法使い」

 

 

紫「それに司書の小悪魔さんと銀髪の人間メイド長とレミリア最愛の妹も加えておきなさいよ? ってそっか…あなた吸血鬼異変の時のレミリアしか知らないんだもんね」

 

 

紫「レミリアはね、その五人の事は部下だなんてもう思ってないのよ、思わなくなったの」

 

 

隠岐奈「どう思っている」

 

 

紫「家族、よ♪」

 

 

隠岐奈「!」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「お前も…そう思っているのか?」

 

 

紫「何を?」

 

 

隠岐奈「藍、そして藍が式とし、お前が一目置いているあの化け猫の橙の事だ」

 

 

紫「はぁ? 当たり前じゃない、家族以外の何があるのよ」

 

 

隠岐奈「…!」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

紫「…」

 

 

隠岐奈「私が表に現れなくなってから随分と幻想郷は変わったのだな」

 

 

紫「幻想郷のルールと掟を守り、追加されたルールにも従う…人間、妖怪、神、妖精たち…それが幻想郷に生きる者達の希望、そして望みであり変わってはならない絶対的な物だけど、それがあったとしても良い方向に変化し続けるものがある」

 

 

紫「想い、気持ち…心のあり方」

 

 

隠岐奈「!」

 

 

紫「ルールが幻想郷にある限り安定し続けるけど人や妖怪の心は不安定で変化し続ける、だからこそ美しく変われる、変わっていける」

 

 

紫「心の扉を開けるのに時間はかかっちゃったけど開けることが出来た…私がそうだった様に、他の皆がそうだった様に…あなたも変われると良いわね、隠岐奈…♪」

 

 

隠岐奈「……」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「ふっ…心の扉か」

 

 

隠岐奈(私の中にもあったんだな、心の扉が)

 

 

 

 

 

 

 紫と隠岐奈は博麗神社へと辿り着く。

 

 紅魔館、白玉楼、人里、永遠亭、妖怪の山…

 

 数多くの幻想郷住人達が紫と隠岐奈を出迎えてくれた。

 

 そして少し時は流れて…

 

 

 

 

 

 

 【隠岐奈の想い 心の扉】

 

 

 《博麗神社 23時30分》

 

 

 

 わいわい…! ガヤガヤ…!

 

 

霊夢「えっ、今年冬眠しなかった理由ってそれなの?」

 

 

紫「そうよ、大事な用事って言うから我慢してあげたのに最終的にお散歩しましょ♪ よ? やんなっちゃうわ」

 

 

西行寺 幽々子「私が冬眠しないで一緒に過ごしましょ♪ って言っても冬眠しちゃう紫がねぇ」

 

 

紫「ごめんね幽々子、隠岐奈に会うのも久し振りだったし…何事かあったら困っちゃうから」

 

 

幽々子「紫に会うのを控えて私が何事か起こしたら紫は冬眠しないでくれるのかしら♪」

 

 

紫「幽々子に会えないのはつれぇわ…てかそれ冗談でも言わないの」

 

 

霊夢「私用で何事か起こすのも厳禁よ」

 

 

幽々子「うふふふっ♪」ニヤリ

 

 

霊夢「…やりそうなんだけど」

 

 

紫「大丈夫、私の親友を信じて…? あれ?」

 

 

紫「…?」キョロキョロ

 

 

紫(隠岐奈…?)

 

 

 

 

 

 

 《後戸空間》

 

 

里乃「お師匠様? どうしたんですか?」

 

 

舞「もう新年迎えちゃいますよ? 戻りませんか?」モグモグ

 

 

隠岐奈「…」

 

 

里乃「…何か食べてるし」

 

 

舞「お肉♪ スッゴい美味しいね♪ これ」

 

 

里乃「やめなさいよ、お師匠様が話をしたいって」

 

 

隠岐奈「里乃、舞」

 

 

里乃、舞「…! はい!」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

里乃、舞「…」

 

 

隠岐奈「……ふぅ」

 

 

里乃、舞「……?」

 

 

隠岐奈(心の扉を…開け)

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「私がお前たちに会ったのはお前達が人間の子供の頃だったな、遠い遠い昔の話だ」

 

 

隠岐奈「私はお前たちを一目見て確信した、この二人なら私の手足となって動いてくれると、私の力になってくれると思った」

 

 

隠岐奈「里乃、お前からは他の人間の子供になかった類い稀な精神力の高さを」

 

 

里乃「!」

 

 

隠岐奈「舞、お前からは他の人間の子供になかった類い稀な生命力の高さを」

 

 

舞「…」

 

 

隠岐奈「だからこそ私の魔力でお前たちを摩多羅神と共に歩む二童子へと変化させ、能力も与えた…私が勝手に、お前たちに無断でやったことだ」

 

 

隠岐奈「言わばお前たちは私の傀儡同然、私の言いなりに動く操り人形だ」

 

 

里乃、舞「……」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「なのだがな」

 

 

里乃、舞「…?」

 

 

隠岐奈「お前たちにそんなことをした身勝手な私をどう思う?」

 

 

里乃、舞「!?」

 

 

隠岐奈「お前たちの本心を聞きたい…正直に言ってくれ、私を蔑んだり怨んでくれても構わない」

 

 

里乃「えっ…? え…!?」

 

 

舞「……」

 

 

里乃「お、お師匠…様?」

 

 

里乃(な、何でこんなこと聞くんだろう…こんなこと聞かれたこと初めてだからどうしたら)

 

 

舞「僕は…」

 

 

隠岐奈「!」

 

 

里乃「…!」

 

 

舞「……僕はなんとも思ってませんよ」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

舞「過去のこと全然覚えてませんし、思い出そうとしても思い出せません、だから過去の事はどうでもいいんです、お師匠様の事を身勝手だとも思ってません、僕はこれからも摩多羅隠岐奈様の傀儡でいたいと思ってます」

 

 

里乃(舞…)

 

 

隠岐奈「…」

 

 

舞「……でも」

 

 

隠岐奈「! でも…?」

 

 

舞「幻想郷の人たちとさっきまで話してて思った事があります、隠岐奈様に興味を持ってもらえた僕と里乃ってもしかして凄い特別なんじゃないかなって」

 

 

隠岐奈、里乃「!」

 

 

舞「凄い人たちばっかりだったんです、月のお姫様に紫さんの親友の亡霊さんとか…その人たちに従者として仕えている人たちとも話しました、仲良くなれたらいいな…とも思いました」

 

 

舞「その人たちって結構ズバズバ言うんですよね、自分の主への文句とか…」

 

 

舞「なんか…思ってはいけないと分かってはいるんですけどその人たちが羨ましいなって」

 

 

隠岐奈「羨ましい…」

 

 

舞「はい」

 

 

里乃「…」

 

 

隠岐奈「里乃、お前は?」

 

 

里乃「! わ、私は…」

 

 

里乃「……」

 

 

舞「…」

 

 

里乃「わ、私も…舞と同じです」

 

 

隠岐奈「!」

 

 

里乃「過去の事、幻想郷の人たちのこと…そして隠岐奈様への想い」

 

 

里乃「一緒です、舞と変わりません」

 

 

舞(里乃…)

 

 

隠岐奈「…」

 

 

里乃、舞「…」

 

 

隠岐奈「そうか、そう思ったか」

 

 

隠岐奈「…二人とも」

 

 

里乃、舞「! は、はい」

 

 

隠岐奈「その考えを踏まえた上で聞く、私の事をどう思っている」

 

 

里乃、舞「! ……」

 

 

里乃「いつもと変わりません、私たち二人のお師匠様であり」

 

 

舞「僕たちの主、摩多羅隠岐奈様その人です」

 

 

隠岐奈「…」

 

 

隠岐奈「……そうか、分かった」

 

 

里乃、舞「…」

 

 

隠岐奈「二人とも」

 

 

 

 

 

 

 

隠岐奈「私の事を主として見てくれて感謝する、ありがとう」

 

 

隠岐奈「これからも私の手足となり、二童子としての役目を果たしてくれ、期待しているぞ」

 

 

隠岐奈「これからも、そしてまた来年もよろしく頼むぞ! 里乃、舞」

 

 

里乃、舞「!!?」

 

 

里乃、舞「…」ポカーン

 

 

隠岐奈「? どうした、返事は?」

 

 

里乃、舞「は…! は、はい!!」

 

 

隠岐奈「うむ、よろしい♪」

 

 

隠岐奈「……はぁ~…ふぅ…」

 

 

隠岐奈(何だ言えるじゃないか、摩多羅隠岐奈…♪)

 

 

里乃「ちょっ…! ちょっと…!」

 

 

舞「なになに…!? 痛いって…!」

 

 

里乃「お、お師匠様が…私たちにお礼言ったよ…!?」

 

 

舞「は、初めて…だよね」

 

 

里乃、舞「……」

 

 

里乃、舞(何だろう…胸が暖かくなる、この気持ち)

 

 

隠岐奈「…! そうだお前たち」

 

 

里乃、舞「は、はい?」

 

 

隠岐奈「これからは頻繁に幻想郷に顔を出す事にした、私が幻想郷にいる間はお前たちの好きに動いて構わない、私の側を離れても構わんぞ」

 

 

隠岐奈「幻想郷は広く、住人も多い…見聞を広めたり住人と交流を図り深めるのも自由だ、お前たち二人の好きにしてくれ」

 

 

里乃、舞「! は、はい! 分かりました!」

 

 

隠岐奈「…ふふっ♪」

 

 

隠岐奈(二人の後継者なぞ、必要ないのかも知れんな)

 

 

隠岐奈(本当に感謝しているよ、ありがとう…里乃、舞)

 

 

 

 

 

 

 

 

 新たな年を迎える僅か数分前、摩多羅神に仕える二童子

 

     爾子田里乃  丁礼田舞

 

 

  この二人の心に暖かい光が差し込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 終わり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【おまけ アリス浄化地蔵】

 

 

 《博麗神社 1月4日》

 

 

アリス・マーガトロイド「んんんん…! ん``ん``ん``っ…!」

 

 

霊夢「アリス、ハンカチ千切れるわよ? くわえるのやめなさいって」

 

 

アリス「だってぇっ…! だぁっ…!」グググ

 

 

霊夢「嫌なら見なけりゃ良いじゃない」

 

 

アリス「見るわよ! 死活問題なんだもん!」

 

 

霊夢「生死かかってんの!?」

 

 

アリス「あれぇっ…! あれを見なさいよぉっ…!」プルプル

 

 

霊夢「…」チラッ

 

 

 

 

魔理沙「年越してもさみぃなぁ…な! 成美」

 

 

矢田寺 成美「うん♪ でも慣れっこだよ、このくらい♪ それに焚き火の火が暖かいから大丈夫」

 

 

成美「魔理沙は無理しなくていいんだよ? こたつ使えばいいのに」

 

 

魔理沙「お前がこたつ使いたくないって言うからだろ、私も焚き火で暖まるしかねぇじゃん、一人には出来ねぇよ」 

 

 

成美「! えへへ…♪ 魔理沙は優しいね♪」

 

 

魔理沙「はっはっは♪ 褒めるな褒めるな♪」

 

 

成美「褒めてないよ♪ 本当のことだもん♪」

 

 

 

アリス「くぅっ…!? くぅぅぅ…!」ビリッ

 

 

霊夢「ハンカチから悲鳴が聞こえたわよ」

 

 

 

魔理沙「てかお前手袋は…してるか、マフラーもしろよ、見てて寒いぜ」

 

 

成美「それはいいよ~、私には笠と前掛けがあるから」

 

 

魔理沙「首もとの寒さは防げないだろ…ほら、私の使えよ」スッ

 

 

成美「だ、ダメだよ~! そうしたら魔理沙が寒いじゃん」

 

 

魔理沙「私のことは気にすんなって、ほら」スッ

 

 

成美「ん~…あっ! じゃあさ…♪」スッ

 

 

魔理沙「おっ?」スッ

 

 

 クルクル

 

 

成美「あ、やっぱり♪ マフラー長いから二人で巻けたね♪」

 

 

魔理沙「お、考えたな! あ~…♪ これ暖かいぜ」

 

 

成美「ね~♪ 二人で温かいね、えへへ…♪」

 

 

 

アリス「はぁっ!? ぺ、ペアマフラーっっ…!? 羨まっ…! なんっ…!! 私もまだしたことないのにぃっ!!」ブチッ

 

 

霊夢「あぁ、ハンカチがお亡くなりに」

 

 

アリス「な、何よあれはっ…! 新年早々何を見せ付けてくれちゃってんのよぉ!」

 

 

霊夢「いやあんたに見せ付けてる訳じゃないと思うわよ? 成美…あれたぶん天然で」

 

 

アリス「それは分かってるの、でも何で私の魔理沙とイチャイチャしているところを見せ付けられなきゃならないの? 生殺しよね、私」

 

 

霊夢「私に聞かれても…てかあんたさぁ、成美に嫉妬してるのかキレてるのかどっちなの?」

 

 

アリス「両方」

 

 

霊夢「両方!?」

 

 

アリス「な、なんか…あの『仲睦まじくしてる空間に私がいてもおかしくないわよね?』って自分に言い聞かせてるんだけど、どうなったらそうなるのかっていうビジョンが見えないの」

 

 

霊夢「私の魔理沙をかけて勝負よ! …とか言えば良いんじゃないの? その方があんたらしいし」

 

 

アリス「あなたは成美の怖さを知らないからそんなことが言えるのよ」

 

 

霊夢「は!?」

 

 

アリス「あぁもう我慢できない…見てなさい霊夢、私玉砕されてくるから」スッ

 

 

霊夢「ぎょ、玉砕…?」

 

 

 

 

アリス「魔理沙っ♪ と成美!」

 

 

成美「あっ、アリス!」

 

 

魔理沙「おうアリス、どうし…」

 

 

アリス「…」ギロッ

 

 

魔理沙(あ、やべぇ…暴走してるか…?)

 

 

アリス「な、成美っ!」

 

 

成美「ん? 何~?」

 

 

アリス「そのマフラー…あ、暖かそうね!」

 

 

成美「えっ? うん♪ とっても暖かいよ」

 

 

アリス「そ、そう…! あ、あーあー…! わ、私も首もとが寒くなってきちゃったなぁ!」

 

 

アリス「誰か、誰か私と一緒に巻いてくれる優しい白黒の服の金髪の女性がいないかなぁー! 誰かさんがおっ…! お邪魔しなければ私も巻けたのになぁー!」

 

 

魔理沙(あ、アリスお前…)

 

 

霊夢(若干言うの躊躇ってるわね、アリスらしいわ)

 

 

成美「…? …!!」ハッ

 

 

成美「…!」スッ

 

 

魔理沙「お、おい成美」

 

 

成美「ご、ごめんねアリス」

 

 

アリス「…!」

 

 

成美「そ、そうだよね…私だけじゃないよね…マフラーを一緒に巻いて暖まりたいって人は私以外にもいるもんね…ごめんね気付いてあげられなくて」

 

 

アリス「!?」

 

 

霊夢、魔理沙「…!?」

 

 

成美「だ、だから…私の代わりに…! 魔理沙と一緒にマフラー巻いて? ね?」

 

 

アリス「……うっ…」フラッ

 

 

 ドサッ…!

 

 

霊夢、魔理沙(倒れたー!?)

 

 

成美「えっ!? ど、どうしたのアリス」

 

 

アリス「やめて…私に優しくしないで…」orz

 

 

成美「えぇ…? ど、どうしよう…」

 

 

 

魔理沙「またこうなったか…すげぇな成美」

 

 

霊夢「またって?」

 

 

魔理沙「いやよ、アリスは成美が天然でめちゃくちゃ優しいって事が分かってるからああなるらしい、ワザと言ってる訳じゃないってのがアリスにも分かってしまっているのがポイントだな」

 

 

霊夢「…? あんたに対する暴走が成美に効かないってこと?」

 

 

魔理沙「簡単に言うとそうだ、お前とか咲夜がツッコミをいれるのは抑制、成美は喋るだけで私への邪な感情を浄化してくれるんだ」

 

 

霊夢「へぇ~……ふふっ…♪ あんた、お地蔵様に頭が上がらないんじゃない?」

 

 

魔理沙「人間なら誰でもそうだろ? 毎日挨拶しているぜ♪」

 

 

 

アリス「優しくされるのって…凶器だわ」

 

 

成美「だ、大丈夫…?」

 

 

 

 

 

 本当におしまい…!

 

 

 






 お疲れ様でした、ここまで読んでいただいてありがとうございました!



 隠岐奈からの里乃と舞への想い、そして里乃と舞からの隠岐奈への気持ち…如何でしたでしょうか。

 紫やさとり、レミリアたちの他にも違うタイプの関係がある、それを表現したかったので少し長めのお話になりました。

 隠岐奈は紫たちと違って里乃と舞に家族としての感情を抱くとは思えなかったのでこのような形で表現させていただきました、隠岐奈が二人にいつも仕えてくれているお礼を言った事で三人の心につっかえていた何かは晴れたのだと思います。

 紫藍談の舞と里乃は『本当は後継者なんてほしくない、ずっと隠岐奈に仕えていたいけど隠岐奈が決めた事なら覚悟を決める』と思ってましたので…隠岐奈は今後、後継者を探すことは無いでしょう。




 ネムノ、ラルバ、成美についても語らせていただきました。
 ネムノは山姥伝説を盛り込み、ラルバは隠岐奈に常世神(常夜神)ではないのかと言われた事、成美はお地蔵さんパワー(ド天然)…です。


 また紫がにとりから買った箱、幻想郷会議、幻想郷賢者の一人天魔についてはまた今度のお話で。



 それから『ペンネームの変更をしました、詳しくは活動報告にて…』名前は変わりますが作者は変わりませんのでこれからもよろしくお願いいたします。


 それではまた次回…! 

 次回は…疫病神さんが頑張るお話、お楽しみに♪



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《第19談》幻想郷の影の巫女 冴月麟



 今回はタイトルの通り、彼女の東方紫藍談での在り方等が明かされるお話となっております。
 初登場は今回のお話ではないのですが、他のお話を読んでなくても大丈夫ですし、四コマ仕立てにするのでサクサク読めると思います。

 もっと冴月麟を知りたい方は『もう一人のプリズムリバー』を読んでいただければと願います。

 彼女の存在は東方ファンでもあやふや……さて、読書の皆様に彼女はどんな風に見えているのでしょうか。


 また、鬼形獣キャラのお披露目も致します!


 それでは始まります。




 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 《私は概念、概念は私》

 

 

 

八雲 紫「お願いっ! 仕事の次いででいいから私の代わりに言って来て…この通りだから」

 

 

冴月麟「この通りってどういう通りなのよ、頭も下げてくれないじゃん」

 

 

紫「頭下げたら私が私じゃなくなりそうだし…」

 

 

冴月麟「まーた変なこと言って…てか自分で言いに行けば良いじゃん」

 

 

紫「だって私が言いに行くとあいつら『うーわ来たよ』とか『げっ…』とか『お帰り下さい』みたいな雰囲気出しやがるんだもん!」

 

 

冴月麟「えぇ…」

 

 

紫「つれぇのよマジで、そういう…なに…? 空気? 出して来やがるのよ本当に」

 

 

冴月麟「……」

 

 

紫「最近じゃ私の霊夢にですら似たような空気出されちゃうし……あぁつれぇわぁぁ…」オヨヨ

 

 

 

冴月麟「なんか辛そうっていうか可哀想って思えてきちゃうんだけど」ヒソヒソ

 

 

摩多羅 隠岐奈「言ってやるな、だが日頃の行いのせいではあるだろうな」ヒソヒソ

 

 

魅魔「まぁ人徳が無いって訳じゃねぇんだが…『うわ来たよ』みたいな感じになっちまわせる何かがあんだろうな」ヒソヒソ

 

 

八雲 藍「常に色んな人に思い付きの娯楽と言う名の勝手気ままな迷惑掛けてますからね…」ヒソヒソ

 

 

冴月麟「なんかもうちょっと静かに…違うね、落ち着けばいいのにねとは思うよ」ヒソヒソ

 

 

隠岐奈「それには同感だ」ヒソヒソ

 

 

魅魔、藍「同じく」ウンウン

 

 

 

紫「……な~にを四人でヒソヒソとお話してるのかしらねぇ!? このゆかりんも混ぜなさ」

 

 

隠岐奈「いやぁ何でもないぞ? 何てことない今日の予定の確認だ、そうだろ?」

 

 

藍「そ、そうですね!」

 

 

魅魔「あ、あぁ…」

 

 

紫「……」ムスッ

 

 

紫「私を除け者にして?」

 

 

魅魔「してないだろ…つーか何度も何度も打ち合わせしたじゃないか」

 

 

藍「話はまとまってますし、後は行動に移すだけですよ」

 

 

紫「そりゃあそうだけどさぁ…」チラッ

 

 

隠岐奈「……誓ってお前に隠していることはないぞ?」

 

 

紫「…」ムッスー

 

 

冴月麟(怪しんでるのか不貞腐れてるのか寂しいからなのか……あ、全部ね、きっと)

 

 

冴月麟「……ねぇ、私は華扇と天魔の所でいいの?」

 

 

紫「! えぇ、その二人だけで良いわ、他の賢者クラスの住人達には私と藍で言うから」

 

 

魅魔「定時の報告が終わったら博麗神社最上空まで来てくれ、そこで落ち合おう」

 

 

冴月麟「うん、分かったよ♪」

 

 

魅魔「私は外側からだけどな、まぁもう慣れたけど」

 

 

冴月麟「ふふふっ♪ 私も慣れたよ、もう何年とやってますからねぇ♪」スッ

 

 

紫「あ、ねぇ麟」

 

 

冴月麟「うん? なぁに?」

 

 

紫「妖怪の山に行く前に人里に寄っていってみなさいな♪ もちろん能力は使ったままでね」

 

 

冴月麟「へ? 何で?」

 

 

紫「良いから良いから♪」

 

 

冴月麟「うーん…? まぁ良いけど」

 

 

冴月麟「それじゃ♪ また後でね~♪」スッ

 

 

 麟は音も無く四人の目の前から姿を消した

 

 

藍「……! う…!」クラッ

 

 

魅魔「藍坊、まだ慣れてないのか?」

 

 

藍「は、はい…まだ麟への妖力調節が不安定でして…ふぅ、よし…! 今回も忘れることはなかったな」

 

 

隠岐奈「だが大した物だ、麟の能力に少なからず抗えて記憶に留めておけているのだからな、前にうちの里乃と舞に麟と話をさせたが今は存在すら覚えていない、幻想郷の影の存在として生きているのだから忘れるのは通りではあるのだがな」

 

 

魅魔「自分だけの博麗大結界を纏わせてる様なもんだしなぁ…また会わせたらその喋った時の記憶って戻るんだっけか?」

 

 

隠岐奈「あぁ、会えば…な」

 

 

紫「それ突発的に会わせたんでしょ? それじゃあ無理もないわよ、大事なのは『冴月麟と言う名の存在を忘れたくない』って気持ちの問題なんだから」

 

 

隠岐奈「気持ちで概念そのものである存在を自由にコントロール出来るのはお前ぐらいなものだろ」

 

 

紫「そこはゆかりんが強い! って意味も含まれてるのよね♪」

 

 

隠岐奈「そこまでは言ってない…まぁ私も似たような物か、神力と概念を掴むコツで何とか出来ているからな」

 

 

魅魔「『概念を自由に操る程度の能力』だもんな、端から見たらやべぇ能力だよ、ホント」

 

 

隠岐奈「未だに人間なのが信じられん」

 

 

紫「あらら? あの子は昔もこれからも変わらずずっと人間なんですけど?」

 

 

隠岐奈「人間が持てる能力の域を超えているということだ、現にソレで自分が人間であるのかないのか悩みを抱えていた時期があっただろう」

 

 

藍「……彼女が十三代目博麗の巫女に正式になる少し前の話ですね、懐かしい」

 

 

魅魔「あぁ、そんなときもあったなぁ…ガキの頃ここにいたアイツもよく覚えてるよ」

 

 

紫「えぇ、懐かしいわね……」

 

 

隠岐奈「……お前が何処からか見つけて来た霊夢を影から見て『この子なら私の代わりに幻想郷の心を背負っていける! 素質あるよ!』と言った後に『巫女を辞めて裏から幻想郷を支えたい! だって私の能力って巫女っぽくないじゃん♪』と笑顔で言い出した時は正直驚いた、自発的に巫女を辞めると笑顔で言ったのは歴代で冴月麟だけだったからな」

 

 

紫「……」

 

 

藍、魅魔「…」

 

 

隠岐奈「今では麟も立派な幻想郷賢者の一人…幻想郷が出来てから賢者になった人間、幻想郷を裏から護ると心に決め、博麗大結界を内側、影から護る存在となった」

 

 

紫「……何よ急に語り出して」

 

 

隠岐奈「いやなに、先の言葉を言われた時のお前の顔を思い出してな」

 

 

紫「! ……」

 

 

紫「……巫女にしようとして連れてきた人間の子が幻想郷を影から支えたいって心の底から言ってくれたのよ」

 

 

紫「嬉しくないわけないじゃない……♪」ニコッ

 

 

隠岐奈「…ふっ…そうか」ニコッ

 

 

藍「…ふふっ♪」

 

 

魅魔「…ふっ♪」

 

 

藍(紫様のあの時の顔、今でも覚えている)

 

 

藍(麟を抱きしめながらずっとありがとうって言い続けていた、麟に見えない様に涙を流していた紫様を)

 

 

魅魔「……さて、お喋りはここまでだ、行こうぜ隠岐奈」

 

 

隠岐奈「あぁ」スッ

 

 

 キュオン…の音と共に扉が出現した

 

 

紫「じゃあ、私たちも…行くわよ藍」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

藍「はい」スッ

 

 

隠岐奈「…! おい、紫」

 

 

紫「うん? 何よ」

 

 

隠岐奈「今度の『幻想郷会議』畜生界の奴らも呼ぶのか?」

 

 

紫「はぁ!? 呼ぶわけないじゃないあんな危なっかしい奴等なんてさぁ!」

 

 

隠岐奈「……そうだよな」

 

 

藍「それは議題として挙がる程度だと思いますよ」

 

 

紫「そうよ、呼んだとしてもあの鶏ちゃんぐらいだしヤバい所の動物園の園長先生二人組なんて呼べる訳ないでしょうが!」

 

 

魅魔「あの鶏一応閻魔の部下だよな、鶏ちゃんてお前」

 

 

藍「動物園の園長…? 組長の間違いでは?」

 

 

紫「どっちでも良いでしょ」

 

 

魅魔「まず動物園否定しろよ」

 

 

隠岐奈「……」

 

 

紫「言っておくけどあの造形神も駄目だからね!」

 

 

隠岐奈「……そうか」

 

 

魅魔「お前あいつと絡みあったのか?」

 

 

隠岐奈「神としての交流が少しな、お互いの存在を確認しあったぐらいの話だ」

 

 

魅魔「つっても私も名前しか知らないしなぁ、畜生界の奴等とは絡んだことないなぁ…」

 

 

隠岐奈(彼奴は発想力等は天才と呼べる物があるが天才過ぎるが故に自我が強く、人の話を聞かないからな…会議には不向きか)

 

 

隠岐奈(野蛮な畜生界も今は霊夢達の活躍で多少大人しくなったと聞くが…実際のところは分からんな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里 清鈴屋】

 

 《玉兎の気苦労》

 

 

稀神 サグメ「では…ここからここまでの団子を4本ずつ貰おう、頼めるか?」

 

 

鈴瑚「は~いっ!」スッ

 

 

清蘭「かしこまりました~!」スッ

 

 

ルーミア「おぉ~♪ やる気がすげぇのだー♪」

 

 

物部 布都「中々に気合いが入っておるの」

 

 

堀川 雷鼓「繁盛しているみたいだしね♪ それともサグメさんがいるからかしら、ふふっ♪」

 

 

サグメ「ふっ…♪ 二人とも頑張っているみたいだな」

 

 

レイセン「わ、私の時と対応が全然違う…」

 

 

サグメ「そうだったのか?」

 

 

レイセン「そうなんですよ、私の時なんて団子の押し売り状態でした」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」

 

 

レイセン「そーなのかーじゃないよぉ! 酷かったんだから、頼んでもない団子が皿に次々と乗っかってくるし、その分のお金は取られるし全部食べなきゃ帰さないとか言うしで…もう」

 

 

雷鼓「お友達相手だと接客も緩んじゃうものよ、きっと」

 

 

レイセン「私の財布の紐は固かった筈なんですけどね、見事にそっちが緩められてしまいましたよ、えぇ」

 

 

布都「ははっ♪ ……で、お主の名前はなんじゃったかの」

 

 

レイセン「…! あぁ、すみません挨拶まだでしたよね、えっと…」

 

 

レイセン「月の都中心街出身及び所属であり、綿月依姫様、綿月豊姫様を主人とし、稀神サグメ様の側近兼ボディーガードを務めさせていただいております、玉兎No.3314xx、レイセンです! よろしくお願いします!」

 

 

ルーミア、雷鼓、布都「………」キョトン

 

 

レイセン「……? な、なんですか?」

 

 

布都「ぎょくとな、なんばー…? とはなんぞ? しかも4から聞き取れんかったぞ?」

 

 

レイセン「あ、月語は地上の人聞き取れないんだっけ、忘れてた…」

 

 

サグメ(月語は月での周波数に合わせているからな…昔は番号で呼び会うのが規則だったらしいが、今の玉兎達はそれぞれ名を持っている)

 

 

ルーミア「主人が何人もいて世知辛そうなのだ」

 

 

レイセン「真顔で言うの辞めてよ…玉兎って結構大変なんだから…」ズーン

 

 

サグメ(そういえばレイセンは自分から休暇を取ろうとしないな…たまには英気を養ってほしい物だが)

 

 

布都「おぉそうじゃ、お主能力は?」

 

 

レイセン「あ…! えっと『自分の波長を操る程度の能力』です! ……サグメ様、こっちでは程度って言った方が良いんでしたよね?」

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

サグメ(自分で自分の波長を操り、身体能力を高めたりすることが出来る…豊姫は『自分の体を自分で騙してドーピングしている』と分析していたな)

 

 

雷鼓「ふ~ん、魅力的な兎さんねぇ…♪ それよりも気になるのはサグメさんのボディーガードって所よねぇ♪」ニヤリ

 

 

レイセン「…!? な、なん…です…?」ビクッ

 

 

雷鼓「月では付きっきりって事だからサグメさんが月でどんなことをしているのか、どんな暮らしをしているのか…知ってるわよね♪ 教えて?」

 

 

レイセン「へえぇ!?」

 

 

サグメ「雷鼓、私の月での暮らしなぞ面白くも何ともな」

 

 

雷鼓「面白くなくても知りたいの♪ ねぇ詳しく教えてくれない?」ニッコリ

 

 

レイセン「!? だ、ダメです! 例えサグメ様のご友人の方でもプライベートな事はお答え出来ませんよ!?」

 

 

雷鼓「えぇ~…少しも?」

 

 

レイセン「少しもです!」

 

 

サグメ(雷鼓、月での私は書類整理をしているか休んでいるか、それぐらいしかしてないんだ)

 

 

ルーミア「なーなー♪ 次は~」

 

 

布都「月語も気になるのぅ、それの事も教えてくれんか?」

 

 

レイセン(えぇ~! ま、まだ質問するの~!?)

 

 

 

 

清蘭「……ねぇ鈴瑚」

 

 

鈴瑚「うん? どうしたの清蘭…ってほら、最後の出来たからサグメ様のところ持っていってよ」コロコロ

 

 

清蘭「今日あの人うちの店に来ないよね?」

 

 

鈴瑚「えっ? ……あ~」

 

 

清蘭「サグメ様がいるから来たらヤバくない?」

 

 

鈴瑚「いや来ないでしょ、昨日も来たじゃん」

 

 

清蘭「そ、そうだよね…流石に二日連続で来たことなんてな」

 

 

 ガララッ…!

 

 

清蘭「あっ! い、いらっしゃいま……せっ!?」ビクッ

 

 

鈴瑚「…? どうしたのせいら……んっ!?」ビクッ

 

 

 

純狐「さぁうどんげちゃん♪ 今日はどのお団子にしましょうか♪」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「い、いやぁ~…もうなんでも良いですよ純狐さん……あの…もう、あの…腕回して抱き寄せるの辞めてもらってもいいですか」

 

 

純狐「何故?」ジロッ

 

 

鈴仙「ひっ…!? い、いえ…な、なんでも…ない…です」

 

 

純狐「………そう♪」ニッコリ

 

 

鈴仙(恐いっ…!! ギンギンに見開いたあの目が恐い、真顔で私の顔を覗き込んでくるのは二千歩譲ってまだいいけど光の無いあの目が恐過ぎるのよぉ…!)シナシナ

 

 

 

鈴瑚「う、うわー…また鈴仙耳がシナシナになってる」

 

 

清蘭「そ、そんなことより止めないとサグメ様の近く行っちゃ」

 

 

 

純狐「ふふっ、うどんげちゃん♪ またあの席に座り……うん?」スタスタ

 

 

 

サグメ「ルーミア、布都、前の宴会の時に酒が抜けるのが早かったのはどうい……うん?」チラッ

 

 

サグメ、純狐「……」

 

 

サグメ、純狐「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

純狐、サグメ「あ」

 

 

雷鼓、布都「…?」チラッ

 

 

ルーミア「! おー、純狐なのかー♪」

 

 

レイセン「えっ…!? えぇぇー!?」

 

 

サグメ、純狐「……」

 

 

サグメ、純狐「…」

 

 

 

サグメ、純狐「っ…!」ゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

鈴瑚「あちゃー…こりゃちょっとヤバいかも」

 

 

清蘭「かもじゃなくてヤバいよ! 二人ともオーラ出しちゃってるし!」

 

 

 

鈴仙(何でもいいから誰か私を助けて下さい)シナシナ

 

 

 

 

 

 

 《サグメと純狐》

 

 

 

サグメ、純狐「……」

 

 

サグメ、純狐「…」

 

 

鈴仙「……」シナシナ

 

 

 

 

ルーミア「なー、何で私たちこっちにいるのだー?」

 

 

布都「いきなり引っ張られて何事かと思ったぞ?」

 

 

雷鼓「何か訳ありなのかしら?」

 

 

レイセン「シッ…今は黙って机の影に隠れてて下さい…! 後で説明しますから…!」ヒソヒソ

 

 

清蘭「咄嗟の判断だったけどこれで良かったの…? ここじゃ何話してるかさえ聞こえないけど…」ヒソヒソ

 

 

レイセン「こうするしかないでしょ、私達が敵う相手じゃないし戦うにしてもサグメ様の邪魔したら駄目じゃん…!」ヒソヒソ

 

 

鈴瑚「でも二人とも嫌なオーラは出してるけど戦う気はないっぽいよ?」モグモグ

 

 

レイセン(鈴瑚この状況でよく団子食べれるね……本当にマイペースは変わらないな)

 

 

清蘭「確かに戦意は感じないわね……二人とも向き合ったまま何も喋らないけど」

 

 

鈴瑚「ていうかさ、良いの?」

 

 

清蘭、レイセン「何が?」

 

 

鈴瑚「鈴仙もこっちに引っ張ってこなくて」

 

 

レイセン、清蘭「………」

 

 

レイセン、清蘭「あ''っ!!」

 

 

レイセン、清蘭(あぁー!! わ、忘れてたぁー!!)

 

 

鈴瑚(鈴仙…ごめんね♪)

 

 

鈴瑚(……)チラッ

 

 

鈴瑚(てか鈴仙…白目向いてない? また無の境地にいるのかな)

 

 

 

雷鼓「うーん…気になるわねぇ」

 

 

布都「何がじゃ? 雷鼓殿」

 

 

雷鼓「あの金髪の人とサグメさんの関係よ♪ なんかこう…ゾクゾクするものを感じるの♪」

 

 

布都「ふむ? 知り合い…には見えるのぉ」

 

 

ルーミア「友達じゃないのかー?」

 

 

雷鼓「そんな感じじゃなくてスリルのビート、かしらね♪ それを感じるの」

 

 

布都、ルーミア「す、スリルのビート…?」キョトン

 

 

 

 

 

純狐「何故お前がここにいるのかしら」

 

 

サグメ「それはこちらの台詞だ、まさか幻想郷の人里にある団子屋…しかも玉兎が営む店に来るとはな」

 

 

純狐「そんなものは私の勝手だろう、何処に行こうと何をしようと私の自由」

 

 

サグメ「そうか、なら私も同じだな…何処で何をしようと私の自由だ」

 

 

鈴仙(二人には自由があって良いですね、私には今自由が無いんですけどね、自由ほしい)シナシナ

 

 

純狐「穢れが蔓延し、嫌悪している地上でか? ふっ、月の民らしくない行為だな」

 

 

サグメ「…! あぁそうだろうな、だがその行為をしたお陰で得た物がある」

 

 

純狐「それは?」

 

 

サグメ「人との繋がり…地上で友人が出来た事だ」

 

 

純狐「っ!?」

 

 

純狐「……」

 

 

サグメ「……」

 

 

純狐「そんな妄言でこの私を」

 

 

サグメ「妄言ではない、それに貴方を誑かそうとも思っていない」

 

 

サグメ「私の本心だ」

 

 

純狐「…!」

 

 

純狐「……」

 

 

純狐(……嘘を言っているようには見えないわね)

 

 

鈴仙(あれ、今日の純狐さんおとなしいな、いつもこうなら良いのになぁって心の奥底で思うようにしてますハイ)

 

 

純狐「…そう」

 

 

サグメ「あぁ、そうだ」

 

 

純狐「……」

 

 

純狐(店に入った時にルーミアちゃん達がいたわね、楽しそうに話をしていた…たぶんそういう事なんでしょうね)

 

 

純狐(友人…か)

 

 

サグメ「…?」

 

 

純狐(邪魔なのは私ね)スッ

 

 

純狐「…今日は帰るわ、何も注文しないで悪かったわね」

 

 

清蘭「へっ!? い、いえ…」

 

 

鈴瑚「あ、ありがとう…ございました」

 

 

レイセン(えっ…!? か、帰るの…?)

 

 

純狐「……あ」クルッ

 

 

清蘭、レイセン、鈴瑚「?」

 

 

サグメ「…?」

 

 

純狐「うどんげちゃん♪ 今日はごめんね、私先に帰るから♪ 今度は一緒にお団子食べましょうね♪」

 

 

サグメ、レイセン「!?」ビクッ

 

 

鈴仙「ハイ、コノワタシ鈴仙ハイツデモ純狐サント一緒デスヨー」

 

 

サグメ、レイセン「!!?」

 

 

純狐「ふふっ、良かったわ♪ それじゃあねうどんげちゃん♪」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

レイセン「な、何ですかあの変わり様は…あんな声出してるあの人見たの始めてです」

 

 

サグメ(輝夜から『純狐は鈴仙に何とも言えない好意があるみたいよ♪』と聞いていたが…本当に何とも形容し難いな)

 

 

ルーミア「! なー純狐ー」

 

 

純狐「! ルーミアちゃん…」

 

 

ルーミア「純狐はサグメの友達なのかー?」

 

 

純狐「! ……」

 

 

ルーミア「…お?」

 

 

純狐「…いえ、友達ではないわね」

 

 

ルーミア「違うのかー…」

 

 

布都「ならなんなのじゃ? お主とサグメ殿の関係は」

 

 

雷鼓「気になるわ、良ければ教えてくれないかしら」

 

 

純狐「……」

 

 

純狐「…」

 

 

純狐「あなた達は稀神サグメの友達、でも私は違う…深く考える必要はない簡単な事よ」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「!」

 

 

純狐「それで良いの…♪ またねルーミアちゃん、チルノちゃん達によろしくね♪」ニコッ

 

 

 スタスタ

 

 

ルーミア「お、おー…」

 

 

布都「うむぅ…何やら難しい間柄のようじゃな」

 

 

雷鼓「…そうね、今回ばかりは私も詮索するのは止そうかしら」

 

 

 カツンカツン

 

 

サグメ「純狐は…」

 

 

ルーミア、布都「!」

 

 

雷鼓「サグメさん…」

 

 

サグメ「……純狐は優しい人間だった、それだけは言える…今もきっとそうなんだろう」

 

 

ルーミア「! 純狐はとっても優しい奴なのだー♪ 私たち寺子屋の皆と遊んでくれるしなー♪」

 

 

サグメ「! ……ふふっ、そーなのかー♪」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

布都、ルーミア、雷鼓、サグメ「わはー♪」

 

 

布都、サグメ「ふっ…♪」ニコッ

 

 

雷鼓「ふふっ♪」ニコッ

 

 

ルーミア「わーははー♪」ニコッ

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(悲しみや憎しみは本来優しさや愛情が無ければ生まれない感情だ、そして怨みでさえも)

 

 

サグメ(その優しさ…彼女は神霊になった今でも持っているはず、ルーミアに対する接し方からも見て取れる)

 

 

サグメ(ヘカーティア・ラピスラズリやクラウンピースは純狐をどう思っているのだろうな)

 

 

 

 

鈴瑚「鈴仙、大丈夫?」モグモグ

 

 

鈴仙「ウンウン大丈夫大丈夫、イツモノ事ダシネー」ユラユラ

 

 

清蘭「また半分魂抜けかけちゃってる…」

 

 

鈴瑚「すぐに復活するでしょ、それもいつもの事だしね♪」

 

 

清蘭「まぁ、うん…」

 

 

レイセン「いやいやいやいや! もっと心配してあげなよ! 鈴仙大丈夫!? ねぇ!?」

 

 

鈴仙「ダイジョウブダヨー、アハハハ♪」

 

 

レイセン「全然大丈夫じゃなーい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冴月麟「……♪ ははーん、そういうことか♪」

 

 

冴月麟「月の人また幻想郷に来てくれたんだね、嬉しい♪」

 

 

冴月麟「今日は忙しいからお話出来ないけどいつかまた会えたら話したいな♪」

 

 

冴月麟「でも二人きりになれる時なんてあるかな…? ……あ、時間の概念を切り取ってみたら出来るかな? うーん…難しいなぁ…そういう使い方したことないし」

 

 

冴月麟「……ま、良いか♪」

 

 

冴月麟「さて、と…先ずは華扇の所に行きますかー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【妖怪の山 華扇の屋敷】

 

 《仙人として》

 

 

 

茨 華扇「……ふぅ、今回の修行はここまでにしておきましょうか」

 

 

華扇「……」グッ

 

 

華扇(右腕の再構築は以前と遜色なし、だけど力の制御がどうもまだ)

 

 

華扇(……弱音ばかりでは駄目ね、今は仙人として天への道を極めることが私の夢なのだから)

 

 

華扇(しかし私は今不安定な存在なのかもしれない、そんな事もたまに深く考えてしまうのも事実)

 

 

華扇(……私は一体何者な)

 

 

冴月麟「華扇が私に気付かないこともあるんだね♪」

 

 

華扇「へ?」

 

 

冴月麟「え?」

 

 

華扇「…」

 

 

冴月麟「…」

 

 

 

華扇「なっ!? あ、あなたいつの間に」

 

 

冴月麟「今入って来たんだよ~♪ 久し振りだね、華扇♪」

 

 

華扇「今、ですか?」

 

 

冴月麟「うん、今♪ あぁでも能力は使ってたよ、あなたの飼ってる動物に見付かったら不審者扱いされちゃうしね♪」

 

 

華扇「ふふっ♪ 私のペット達は邪な感情を持っていない人には危害は加えませんよ…そんなことよりも」

 

 

華扇「本当に久し振りですね麟、少し背が伸びましたか?」ニコッ

 

 

冴月麟「ん~背? 伸びたかなぁ?」キョトン

 

 

華扇(前に私と会ったのは確か……一年前ですね)

 

 

冴月麟「ん~……んん? 私って背伸びるの…? 謎だ…」

 

 

華扇(幻想郷の賢者になったとしてもあなたは人間、自分が実感しておらずとも日々成長しているものなのですよ、ふふっ♪)

 

 

華扇「…ところで麟、あなたは私に用事があってここまで来たのではないのですか?」

 

 

冴月麟「あっ、そうそうその事なんだけどね♪ 華扇も幻想郷会議に出席してほしいの」

 

 

華扇「…!」ピクッ

 

 

冴月麟「紫から頼まれたの、華扇にも報告してってさ」

 

 

華扇「……」

 

 

冴月麟「自分で言いに来ればいいのにさぁ…全くもう、何でも人任せにしてるから藍も疲れちゃ」

 

 

華扇「それは」

 

 

冴月麟「! うん…?」

 

 

華扇「……」

 

 

冴月麟「……」

 

 

 華扇は俯きながら麟に聞いた

 

 

華扇「それは幻想郷の賢者として出席しろということ、ですか…?」

 

 

冴月麟「へ? 何でそんなこと聞くの?」

 

 

華扇「…!」

 

 

冴月麟「華扇は華扇として出れば良いじゃん♪ 深く考える必要ないと思うけどな~♪」ニコッ

 

 

華扇「………麟、あなたはここ一年の私を知らないからそのようなことを言え」

 

 

冴月麟「紫から聞いてるから全部知ってるよ」

 

 

華扇「!!」

 

 

冴月麟「あなたは幻想郷が出来た時からの古参の賢者だった、辞めた理由は自分が自分でなくなるのを恐れたから」

 

 

冴月麟「『中途半端な気持ちで賢者なんて名乗れない』そう思ったあなたは自分の秘密と正体を封印して今まで暮らしてきた」

 

 

冴月麟「でもあなたは変わる事が出来た、現在の博麗の巫女、博麗霊夢の手によって」

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「…八雲紫に隠しておくと言うのも無理な話でしたね、彼女から『こっち側』と言われた時から覚悟はしていました」

 

 

冴月麟「覚悟?」

 

 

華扇「彼女からお節介を受ける覚悟ですよ」

 

 

冴月麟「! ぷっ♪ な~るほどね♪」

 

 

華扇「紫から他にはなんと?」

 

 

冴月麟「霊夢ともう一人、天人さんの天子って人に救われたって事…あなたを長い間縛っていた『茨木』という名の呪縛から解放してあげたって」

 

 

華扇「……はぁ全く、何もかもお見通し…ですか」ニコッ

 

 

冴月麟「自分で自分に決着、つけれたんだね♪」

 

 

華扇「えぇ、色々と誤算はありましたが今はこの通り、前と同じように生き、日々修行に励むことが出来るようになりました」

 

 

冴月麟「それは華扇として?」

 

 

華扇「! ……」

 

 

華扇「……あなたの目に私はどう映っていますか?」

 

 

冴月麟「えっ? 華扇は華扇でしょ」

 

 

華扇「そうではなく種族として、です」

 

 

冴月麟「……華扇」

 

 

華扇「はい?」

 

 

冴月麟「なんか右腕の邪気が取れてスッキリしたら面倒くさいお説教成分に加えて面倒くさい自問自答成分が加わってない?」

 

 

華扇「は、はい!?」

 

 

冴月麟「華扇は華扇なの、私の目にはそうとしか映らないの!」

 

 

冴月麟「何者でもいいでしょ? 華扇は華扇じゃん♪」

 

 

華扇「!」

 

 

華扇(私は私…)

 

 

冴月麟「てか逆に聞くけど華扇は周りの人にどう見られたいのさ」

 

 

華扇「! ……そうですね」

 

 

華扇「……」

 

 

華扇(私が周りに望むこと…)

 

 

華扇「……私の過去や正体を知る者もいるでしょう、ですがさっきもあなたが言った通り、呪縛から解放された今……私は」

 

 

華扇「『茨木 華扇』ではなく『茨 華扇』として見られたいです」

 

 

華扇「仙人の…茨 華扇として」

 

 

冴月麟「! ……そっか♪ そうだよね♪ そりゃそうだ♪」

 

 

冴月麟「それじゃ今度から私もそう思う事にしようかなぁ♪ 仙人だろうと何だろうと華扇は華扇だって事は私の中ではブレないけどね♪」ニコッ

 

 

華扇「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

華扇(私は何を深く悩んでいたんだろう…霊夢たちに救ってもらった時から心に決めていたのにブレるところだった)

 

 

華扇(賢者であった…そして妖怪でもあった…でも、でも今は)

 

 

華扇(仙人として幻想郷で生きていく、茨 華扇の名の元に)

 

 

華扇(……ありがとう、麟)

 

 

 

 

 

 

冴月麟「じゃあ『仙人の茨 華扇』として幻想郷会議に出席♪ よろしくね♪」

 

 

華扇「えぇ、分かりました」

 

 

冴月麟「日程とかは藍に聞いてね♪ よ~し、華扇には報告したし後は天魔ね♪ それじゃあね、華扇」

 

 

華扇「! あぁ麟、あなたは出席しないのですか?」

 

 

冴月麟「私? う~ん…私はいいや」

 

 

冴月麟「私も賢者の身だけど幻想郷の裏の巫女だもん、それに私の事を知らない霊夢たちに説明すると混乱しちゃいそうだし」

 

 

冴月麟「まぁでも近くで見ようかな、幻想郷会議っていうのを見るの初めてだし、能力使ってたら誰にも文句は言われないだろうしね♪」スッ

 

 

華扇「ふふっ、そうですね」

 

 

冴月麟「うん、だからそうする♪ それじゃあね華扇♪ また会おうね~♪」スッ

 

 

 麟は音も無く姿を消した

 

 

 

華扇「……麟、本当に不思議な子」

 

 

華扇(霊夢が居なければ今の博麗の巫女にはあの子がなっていた筈、もしなっていたとしたら幻想郷はどうなっていたのでしょうか)

 

 

華扇(霊夢と似通ったところがあるあの子に救われた私がここに存在していたかもしれませんね、ふふっ♪)

 

 

華扇「…」

 

 

華扇「また会いましょう、麟」

 

 

 

 

 

 

 

 【妖怪の山 天魔の屋敷】

 

 《三番目の賢者》

 

 

天魔「…」

 

 

天魔「…!」ピクッ

 

 

天魔「……おい」

 

 

烏天狗A、B「! はい」

 

 

天魔「急用だ、貴様ら少し席を外せ」

 

 

烏天狗B「? いきなりどうしたというのですか、天魔様」

 

 

天魔「説明を求めるな、今は護衛もいらん」

 

 

烏天狗A「し、しかしあなた様の警護をするのが我々の」

 

 

天魔「なら別の任を与えてやる、ここに射命丸、姫海棠、犬走を呼べ、来ないのならば引っ張ってでも連れてこい」

 

 

烏天狗A、B「!」

 

 

天魔「……どうした、早く行け」

 

 

烏天狗A、B「は、はい!」スッ

 

 

 バサッバサッ…!

 

 

天魔「……」

 

 

天魔「…」スッ

 

 

天魔「冴月麟」

 

 

冴月麟「うえぇっ!? な、何でいるって分かったの!?」ビクッ

 

 

天魔「姿を能力で消していようと私の前では無意味だ、風の流れが変わったからな」

 

 

天魔「消えている様に見せ掛けているだけでその場に貴様が存在している、見抜くのは容易い…それに冴月麟がここに来ると風が騒いでいた」

 

 

冴月麟「おぉ~…さっすが『風の声を訊く程度の能力』」

 

 

天魔「……で、私に何の様だ、貴様が態々ここに来た理由は何だ」

 

 

天魔「手短に話せ、出払わせた私の部下が戻って来る前にな」

 

 

冴月麟「え、えぇ~…うんまぁ…は、話すけど」

 

 

冴月麟(魅魔が『昔から絡み辛ぇ頭せっかち天狗』って言ってたけど…まぁせっかちは分かるかな、うん)

 

 

冴月麟(隠岐奈と紫も『堅苦しい出不精』って言ってたっけ…外交もあんまりしないみたいだし)

 

 

冴月麟(でも三人とも『意外と根は素直で部下思いで妖怪の山と幻想郷大好き』って所は同調してたなぁ)

 

 

天魔「…おい、麟」

 

 

冴月麟「あぁごめんごめん…! サッと話してサッと帰るからね♪」

 

 

冴月麟「ズバリ! 今度行われる幻想郷会議に出席して下さいって話だよ♪ よろしくね~♪」

 

 

天魔「! ……ふん、やっとやる気になったのか」

 

 

冴月麟「え?」

 

 

天魔「言葉通りの意味だ、前に行われたのは何十年も前になる」

 

 

冴月麟「へぇ~そうなんだ…それは知らなかったなぁ、てかやる気の問題なの?」

 

 

天魔「会議をする必要がないほど幻想郷に変化が無かったからな」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

天魔「……」スッ

 

 

冴月麟「…どうしたの? 急に空を眺めて」

 

 

天魔「ここ数年で幻想郷は随分変わったと聞く」

 

 

冴月麟「誰から聞いたの?」

 

 

天魔「風たちが噂でな、昔とは違う心地好い風が幻想郷に吹くようになった」

 

 

冴月麟「……風、ね♪」

 

 

天魔「…ふん」

 

 

天魔(今まで様々な風が幻想郷を吹きすさんで来たがこんな風は初めてだ…変化に変化を重ねた現在を幻想郷は望んでいるのだろうか)

 

 

天魔(思えば八坂と洩矢が私に交渉をし、奴等を受け入れた時から私自身も変化を望んでいたのかもしれないな、山の為、山に住まう者の為、幻想郷の一角を担う為…全ては妖怪の山の為)

 

 

天魔(…伊吹様が望まれていた人間との新たな歴史、私は賢者として、山の長として貢献できているのだろうか)

 

 

天魔(……)

 

 

天魔(幻想郷の台風の目…博麗霊夢、か)

 

 

天魔「……私の目で見定めてやるか、紫が見出だした十三番目の風を」

 

 

冴月麟「…♪ 霊夢はいい子だよ♪」ニコッ

 

 

天魔「それは私が判断することだ」

 

 

冴月麟「そういう風の噂は聞かないの?」

 

 

天魔「聞く必要のあるものと私自身が直接見たいものは違うからな」

 

 

冴月麟「…ふふ~ん♪ 霊夢の事、好きになっちゃうかもね♪」

 

 

天魔「ふん…さて、な」

 

 

冴月麟「ふふっ♪」スッ

 

 

冴月麟「さてと♪ じゃあ私そろそろ行くから、会議の日程とかは藍に聞いてね♪」

 

 

天魔「あぁ」

 

 

冴月麟「それじゃあね~♪」スッ

 

 

 麟は音も無く姿を消した

 

 

天魔「……」

 

 

天魔「会議、伊吹様や星熊様も出席なさるのだろうか」

 

 

天魔(まぁなるようになるか、華扇様ですら今回は出席されるやもしれん、腕の件もあるしな)

 

 

天魔「しかし紫の奴、なぜ冴月麟に報告しに来させたのだ…? 自分で来ればいいものを、奴は本当に昔から面倒を嫌がるな」

 

 

天魔「……もうそろそろ射命丸たちも来るか」

 

 

天魔「奴には説明不要だろうが姫海棠と犬走には言っておく必要がある」

 

 

天魔「会議の護衛、奴等三人に任せるとしよう」

 

 

天魔「……」

 

 

天魔(飯綱丸は独自に動いているようだな、虹龍洞の件もある…奴には連絡はいらんな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

冴月麟「さて、次は博麗神社の上空ね♪」

 

 

冴月麟「今回も結界管理の時間掛かりそうだなぁ、なんたって」

 

 

冴月麟「霊夢にバレない様にやらないといけないから…ね♪」

 

 

 

 

 

 

 【賽の河原】

 

 《素敵な河原で過ごしましょ♪》

 

 

戎 瓔花「キョンシーですか?」

 

 

霍 青娥「そうです♪ 興味ありませんか?」

 

 

瓔花「えっと…芳香さんみたいになるんですか?」

 

 

青娥「はい♪」ニッコリ

 

 

瓔花「私が?」

 

 

青娥「はい♪」ニッコリ

 

 

瓔花「……」チラッ

 

 

宮古 芳香「うおーここは綺麗なところだなー青娥ー」

 

 

瓔花「……いや、私骨が無いんですけど」

 

 

芳香「そーゆー問題かー?」

 

 

青娥「骨なんて仙人の力を使えばどうとでもなると思います♪ その積み上げている石を骨の代わりにしてみたりとか…♪ 水子としての新たな扉、開いてみませんか?」

 

 

瓔花「キョンシーになった時点で水子じゃなくなってしまうじゃないですか! それは嫌ですよ!」

 

 

瓔花「私は水子としてここに居たいんです、他の子達も私を慕ってくれてますし」

 

 

青娥「……ずっと?」

 

 

瓔花「はい、ずっとです」

 

 

青娥「……ふふっ♪ そうですか♪」

 

 

青娥「これはフラれてしまいましたねぇ…♪ でもまぁ仕方ないですね、帰りましょう芳香ちゃん」スッ

 

 

芳香「おー、もー帰るのかー」スッ

 

 

 スタスタ

 

 

芳香「なー青娥ー」

 

 

青娥「何ですか?」

 

 

芳香「あいつはー本当に水子かー?」

 

 

青娥「! あらあら芳香ちゃんにしては鋭いわねぇ♪」

 

 

芳香「私にしてはとはどういう意味だー! 青娥ー!」

 

 

青娥「あら、私を怒ってくれるの? 成長したのね、嬉しい♪」

 

 

芳香「うがー!」

 

 

青娥「ふふっ♪」

 

 

青娥「……」

 

 

青娥(まぁ噂を聞いたから確かめてみたかったというのが本音ですかね)

 

 

青娥(もしもあの子が水蛭子だったとしてもそれはそれで面白いですし…♪ ふふふっ♪)

 

 

 

 

瓔花「……変な人だったなぁ」

 

 

瓔花(でも噂を知って私に会いに来てくれたのは嬉しかったな…♪ 私も水子のアイドルとして名前が売れて来たのかなぁ♪)

 

 

瓔花(……まぁ骨のある体はちょっと憧れるかも、なんてね♪)

 

 

 

 

 

 【三途の河】

 

 《釣れない二人と、つりたい鶏》

 

 

牛崎 潤美「……」

 

 

 潤美は小舟の上で釣糸を垂らしている

 

 

潤美「…うーん」

 

 

潤美(今日はボウズか? 珍しい事もあるもんだ)

 

 

潤美「……? おや」

 

 

 

 ギィ… ギィィ……

 

 

 

小野塚 小町「ほら久佗歌、もうすぐだからしっかりしな」

 

 

庭渡 久佗歌「……」ドヨーン

 

 

小町「はぁ、こりゃあ女将の所に着く前にどうにかなっちまいそうだねぇ……うん?」スッ

 

 

潤美「やぁ小町、今日はちゃんと仕事をしているのかい?」

 

 

小町「おぉ潤美の旦那か! ってその言い方はあたいが毎日仕事をしてないみたいじゃないか」

 

 

潤美「真面目にやってるとこを見たこと無いが」

 

 

小町「死神ってのは閻魔様の縁の下の力持ちでいいのさ♪ それにあたいは自分の仕事ぶりを威張ったりしない質でねぇ♪」

 

 

潤美(至極真っ当だとは思うが、サボっているのを良く見掛けるのはどういう事なんだ)

 

 

小町「そう言うそっちはどうなんだい? 釣れてるかい?」

 

 

潤美「! あぁ今日は引きが悪くてね、小一時間粘っているけどまだ一匹も釣れちゃくれない」

 

 

小町「ありゃあ、珍しいねぇ」

 

 

潤美「そうなんだよ、うーん……引き上げるか…?」

 

 

潤美(……いや、もう少し粘っ)

 

 

小町「お! なら潤美の旦那も一緒に行かないかい?」

 

 

潤美「…? どこにだ?」

 

 

小町「夜雀の女将の屋台さ、女三人で日頃の疲れを酒で癒そうじゃないか♪」

 

 

潤美「! ……」

 

 

潤美「…嬉しい申し出だが、今回は断るよ」

 

 

小町「えぇ~…」

 

 

潤美「もう少し粘ってみようと思うんだ、こういう時は思わぬ大物が釣れそうだからさ」

 

 

小町「釣れないねぇ……ふぅ、しゃあないか…なら旦那が大物を釣りあげるのを祈っておくとするかね」

 

 

潤美「ふっ…♪ ありがとうな、また今度誘ってくれ」

 

 

小町「あいよ♪ じゃああたい達行くから」スッ

 

 

潤美「あぁまたな…って、ん? 三人…?」チラッ

 

 

久佗歌「……」ドヨーン

 

 

潤美「……居たのか」

 

 

潤美(舟に横になってたから気付かなかった、てか目が死んでる…)

 

 

小町「? あぁ…ほら久佗歌、シャキッとしなって」

 

 

久佗歌「……」

 

 

小町、潤美「…?」

 

 

久佗歌「……もう…動き…たく…ないです」

 

 

小町、潤美「えぇ…」

 

 

潤美「…どうしてこうなった」

 

 

小町「働き過ぎたらしい、久佗歌の同僚に聞いたんだけど妖怪の山にある自分の家に帰らずにずっと関所に缶詰だったんだと、二十日間もだよ? あたしゃ信じられなかったね」

 

 

潤美「…」

 

 

小町「だからあたいが有休取らせて無理矢理引っ張って来たのさ、定期的に休まないと体に毒だってね」

 

 

潤美「お前が言うと謎の説得力はあるな、というか既に猛毒状態な気がするが…」

 

 

久佗歌「猛毒…? ふっ…毒がなんだって言うんですか、風邪だろうがなんだろうが仕事はしなくちゃいけないんですするべきなんですその筈です、まぁ風邪なんて私の能力の前では無力ですけどもね」

 

 

小町、潤美(何でいきなり饒舌に…)

 

 

久佗歌「大体さっきから何なんですかお二人は、つるだのつれないだのと…ふふっ、なんなら私が自分自身を『つりたい』ぐらいですよ」

 

 

小町、潤美「……つりたい?」

 

 

小町、潤美「……」

 

 

小町、潤美「…」

 

 

小町、潤美「吊りた…!?」

 

 

潤美「おいお前ぇ! 早まっちゃいけないぞ!?」

 

 

小町「あたいが言うのもなんだけど命は大切にしな! そんなこと考えるもんじゃないよ!?」

 

 

久佗歌「? 早まるな…? 命…? 何の話ですか…?」

 

 

小町、潤美「え」

 

 

久佗歌「ほら、私が何処かでもう一匹釣れたら良いなぁって……でも庭渡神が二人に増えるのはどうかと思いますけ」

 

 

小町、潤美「紛らわしいからやめろぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 【地獄 畜生界 霊長園】

 

 《天才にしか理解が及ばない偶像》

 

 

 

杖刀偶 磨弓「……」

 

 

磨弓「…」チラッ

 

 

埴安神 袿姫「ふんふふ~ん♪ ふふ~ん♪」ゴリゴリ

 

 

磨弓「袿姫様」

 

 

袿姫「今私は作業中だよ、話なら後にしなさい」

 

 

磨弓「……」

 

 

磨弓「今回から出来た新しい埴輪部隊、私が率いないと駄目ですか?」

 

 

袿姫「何を言っているんだ、埴輪兵達を統率し、管理することがお前の役目であり使命だろう」

 

 

磨弓「……そう…なのですが……」チラッ

 

 

 ヒョコッ ヒョコッ

 

 

袿姫「……」チラッ

 

 

袿姫「やはり思う所があるか、磨弓」

 

 

磨弓「えっ…?」

 

 

袿姫「私は生身の人間達に負けた時に悟った、生気溢れる生き生きとした造形こそが私の部下として相応しく、そして美しい偶像になり得るのではないのか…? とな」

 

 

磨弓「は、はぁ」

 

 

袿姫「……だが些かやり過ぎたのやもしれん」チラッ

 

 

磨弓「…」チラッ

 

 

 

 

ミニミニ八千慧A、B、C「キッチョー♪ キッチョー♪」チョコチョコ

 

 

ミニミニ八千慧D、E、F「ヤッチエー♪ ヤッチエー♪」チョコチョコ

 

 

ミニミニ早鬼A、B、C「クロッコマー! クロッコマー!」ヒョコヒョコ

 

 

ミニミニ早鬼D、E、F「サッキー! ササッキー!」ヒョコヒョコ

 

 

 

 

袿姫「奴等をモデルにし、デフォルメして造り上げたは良いが人間霊共から可愛い可愛いと言われる様になってしまった、何故だ? 戦闘力なら他の埴輪兵士の倍以上はあると言うのに…やはり目や鼻、口も再現して造ってしまったからなのか…?」

 

 

磨弓「何ででしょうね」

 

 

磨弓(可愛さと言う名の戦闘力がかなり上がってしまっているような)

 

 

袿姫「…はぁ……しかたがない、しかたがないねぇ…」

 

 

袿姫「造り直すか、顔のパーツを従来の埴輪兵士と同様の物にしてやろう、そうすれば少しは可愛さも薄れるだろうしな、生気も薄れてしまうのが難点だが」

 

 

袿姫「……ふふっ、しかし兵士としての最高傑作は磨弓だけだからなぁ…♪ これ以上の物を望むのは欲張りやもしれん」

 

 

磨弓「っ!? ……///」カアッ

 

 

磨弓(そんな埴輪が嬉しくなる事をサラッと言わないで下さい、仕事が捗っちゃうぅ…///)

 

 

 

 

 

 

 

 【畜生界 鬼傑組屋敷、組長の部屋】

 

 《その選択は幸か不幸か》

 

 

 

吉弔 八千慧「最近早鬼の様子がおかしい?」

 

 

オオカミ霊「はい、譫言の様に『みこ様が~』とか『みこ様に会いたい~』だとか口走る毎日で」

 

 

八千慧「ふむ…『みこ』? とは」

 

 

オオカミ霊「さあ…私たちにもさっぱりなので」

 

 

カワウソ霊「『みこ』と聞くと博麗の巫女さんを思い出しますね♪ 懐かしいです」

 

 

八千慧「…ふっ、あの博麗の巫女に懐柔でもされたのではないですか?」

 

 

オオカミ霊「そ、そんなことあるわけが…」

 

 

八千慧「まぁ無いでしょうね、早鬼が誰かの下に着くなどありえないです、それに博麗の巫女とはあの件以来接触していない筈」

 

 

オオカミ霊「…」

 

 

カワウソ霊(で、出た組長のいじり…! 敵に対して容赦しないなぁ…♪)

 

 

カワウソ霊「…ですがその『みこ』と言う者が何者なのかは気になりますね」

 

 

八千慧「確かに、ふぅむ…」

 

 

八千慧「…」

 

 

八千慧「……分かりました、いいでしょう」

 

 

オオカミ霊「!」

 

 

八千慧「先程の貴方の案通り、早鬼に直接会って話を聞くとしましょう」

 

 

カワウソ霊「! き、吉弔様! それは」

 

 

オオカミ霊「…! 恩に着ます、八千慧殿」

 

 

八千慧「では行きましょうか」

 

 

カワウソ霊「し、しかし……! 組長、お耳を」スッ

 

 

八千慧「…?」スッ

 

 

カワウソ霊「組長を嵌める罠という可能性もあるのでは…?」ヒソヒソ

 

 

八千慧「あの猪突猛進ペガサスが罠を使う等ありえません、私と争いたいのなら堂々と乗り込んで来るでしょう」ヒソヒソ

 

 

カワウソ霊「…!」

 

 

オオカミ霊「…?」

 

 

八千慧「そういう事です…私がいない間、留守は任せましたよ」スッ

 

 

カワウソ霊「! はっ! 行ってらっしゃいまし!」

 

 

 

 

 

 【畜生界 勁牙組屋敷 組長の部屋】

 

 《聖徳太子だけの天馬》

 

 

 

驪駒 早鬼「あぁぁ~…♪ 神子様ぁ~♪ まさかご存命だとは…! しかもあの幻想郷近くの世界におられるのですね♪」

 

 

早鬼「会おうと思えばすぐにでも会いに行けるけど私には今立場が……あぁでも会いたい! 会いたい……けど」

 

 

早鬼「組を離れて神子様に会いに行くのは職務放棄に同じ…もしそんなことをしてしまったら『職務を全うできない者が豪族と共に歩めると思っているのか』とお叱りを受けるに決まっている! 私が神馬だった頃の失敗を繰り返してはだめだ!」

 

 

早鬼「……はっ!? 主から長く離れていた私が神子様等と言うのはおこがましいか…? やはり太子様とお呼びする方が良いのか…!? でもそれだと距離感があって私は嫌なんだよなぁ…今も物理的に距離感あるのも嫌だけどさぁ」

 

 

早鬼「はぁぁぁ……神子様ぁ…早く会いたいなぁ」

 

 

 

八千慧、オオカミ霊「……」

 

 

八千慧「何ともまぁ悶えながら長い一人言を…」

 

 

オオカミ霊「最近本当にこんな調子で…」

 

 

八千慧「しかし良い情報は得られましたね『みこ、みこ』と言うから何だと思えば……『太子様』ですか、ふふふっ…」ボソッ

 

 

オオカミ霊「…?」

 

 

八千慧(かの聖徳太子…本当に存在していたとは驚きましたがこれは都合が良い)

 

 

八千慧(昔に早鬼の素性を調べたことが実になって来ましたね、その太子の側にいて足となって働いていた、そして今も忠誠心は捨てきれてはいない…これだけ分かっていれば充分)

 

 

八千慧(今の状態の早鬼を利用すれば勁牙組を弱体化出来るかもしれない……だがしかし早鬼の決断力と組の団結力を侮るとこちらが血を見ることになりますね)

 

 

八千慧(太子側が早鬼に味方する可能性も十分にありえる話…ここは冷静に)

 

 

八千慧「……早鬼」

 

 

早鬼「……? っ!? や、八千慧!? どうやってここに」

 

 

八千慧「私がここに居ることが不思議ですか? 同盟を組んだ仲だというのに」

 

 

早鬼「そんなものはもう解消されているだろうが! 一人でカチコミとは…! お前らしくないが喧嘩なら受け」

 

 

八千慧「会わせてあげましょうか? というより私と共に会いに行きましょう」

 

 

早鬼「…?」

 

 

オオカミ霊「!?」

 

 

早鬼「な、何の話を」

 

 

八千慧「貴方が今一番会いたい人、聖徳太子…♪」ニヤッ

 

 

早鬼「なっ!? 何故その事を」

 

 

オオカミ霊(全部丸聞こえでしたよ驪駒様…)

 

 

八千慧「私と行けば自分の組が後ろから狙われる心配も不要でしょう、畜生界の住人は動きがなければ皆怠惰を貪り尽くす毎日、正直退屈していたのですよ」

 

 

八千慧「如何です? 早鬼」

 

 

早鬼「わ、私は…どうしたら」

 

 

八千慧「……」

 

 

八千慧(私が知りたいのは聖徳太子の素性と思想…そして早鬼への関心)

 

 

オオカミ霊「お、落ち着いて下さい驪駒様!」

 

 

早鬼「わ、分かってる! 分かってる…けど」

 

 

八千慧(ふふふっ、この様子だと会いに行くのも時間の問題…♪ あぁ私の思うように事が運ぶ…♪)

 

 

八千慧「……!」ハッ

 

 

八千慧(……私の方が早鬼よりもその太子に会いたいと強く想っている様に見える、と思われたら嫌ですね…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【深夜 幻想郷 遥か上空】

 

 《幻想郷の裏の巫女 冴月麟》

 

 

冴月麟「よ~し、異常な~し♪ 魅魔、そっちはどう?」

 

 

 『おう、こっちも異常はねぇぞ、幻想郷の結界は今年もド安定だぜ』

 

 

冴月麟「うんうん♪ 外側の方も大丈夫みたい、良かったね紫♪」

 

 

紫「……」

 

 

冴月麟「……またそんな顔してさ、どうしたの? 何か悩み事?」

 

 

紫「ねぇ、麟」

 

 

冴月麟「うん? なぁに?」

 

 

紫「…」

 

 

冴月麟「…」

 

 

紫「……」

 

 

冴月麟「……」

 

 

紫「あなたは賢者になる前に私たちに言ってくれたわよね、幻想郷を影から支えたいって」

 

 

冴月麟「うん、言ったね」

 

 

紫「何故そう思ったの? 霊夢がいたとはいえ、あなたが表で『十三代目博麗の巫女』として居続ける事も出来たし霊夢と協力して『二人の巫女』として生き続ける選択肢もあった」

 

 

紫「でもあなたは幻想郷の裏の巫女としての路を選んだ、選んでくれた」

 

 

冴月麟「…」

 

 

紫「その理由って、何?」

 

 

冴月麟「……」

 

 

冴月麟「…」

 

 

冴月麟「私と全然…うん、全然関係ないけど世界から忘れられたかも知れないある一人の少女とその少女を救ってくれたとある一人の妖怪さんの話をしていい?」

 

 

紫「………聞かせて」

 

 

 

 

 

冴月麟「記憶を失っていて右も左も分からなくなっていた幼い少女がいた、何処から来て何処へ向かおうとしていたのかも分からない少女は何故か博麗神社の前にボーッと立っていた、無から生まれた様な感覚を持ったその存在は虚無の様だった」

 

 

冴月麟「そんな少女に声を掛けた一人の妖怪さんがいた、その妖怪さんは少女に『名前』を与え、自分の住処で育てる事にした」

 

 

冴月麟「少女はその妖怪さんの元で幻想郷のあらゆる物を見て、学び、そして数々の人との出会いの中で成長していった」

 

 

冴月麟「少女は記憶は戻らなかったけどそのお陰で感情と自己を手にする事が出来た、一生忘れられない新しい思い出と記憶をも手にした」

 

 

冴月麟「そんな少女は妖怪さんとの生活の中で度々あることを思うようになったの、妖怪さんを近くでずっと見てたからだと思うの、偽りなんかじゃない、その少女の心からの想いであり本心」

 

 

 

 

 

 

 

 

  『私はこの妖怪さんみたいになりたい』

 

 

 

 

 

 

 

紫「……」

 

 

冴月麟「その妖怪さん、昔は『私は幻想郷の管理人だ~幻想郷の管理人だ~』って言うのが口癖だったらしくてさぁ♪ 少女にしつこく言ってたんだって、少女も『また同じこと言ってる』とか『冬眠しちゃうのにその間の管理はどうするの』とか不思議がってたなぁ~♪」

 

 

冴月麟「でもそんな妖怪さんに救われて、育てられて生きる意味を貰ったから…なのかなぁ、少女がそう思うようになったのは」

 

 

冴月麟「あ! 憧れとか育ててくれた恩を返したいとかそういう想いもあったのかもね♪」

 

 

冴月麟「少女の思い描く管理人さん像は『そこに生きる人や動物、植物に至るまでありとあらゆるもの全てが豊かに生きられる様に影から支える存在』なの、妖怪さんはどう思ってるのかは分からないけどね♪」

 

 

冴月麟「そう……そうなのよ、だからええっと…つまり、さ」

 

 

冴月麟「……///」カアッ

 

 

冴月麟「…う~んと、ね…? ……///」

 

 

冴月麟「よ、妖怪さんと同じ賢者になればその妖怪さんとずっと…うん、たぶんずっと一緒にいられるし、少女にはそれを叶えられる強さと能力も持ってたし、なる予定だった博麗の巫女も代わりが見つかるしで、さ……なれるものならなってやるって決めたんじゃないかな、たぶん……うん、たぶん」

 

 

紫「…」

 

 

冴月麟「そ、それに…ね、たぶんその少女その妖怪さんのこと好き…なんだろうし」

 

 

冴月麟「うん……きっと、きっと大好き…///」カアッ

 

 

冴月麟「な、何で私こんな話してるんだろうね、あ~あ~…! は、話して損しちゃったかなぁ! こんなの人から聞いた作り話かも知れないのにね」

 

 

冴月麟「ま、参っちゃうなぁ…本当に……」

 

 

紫「……」スッ

 

 

紫「…麟」

 

 

冴月麟「へ…? …わっ!」スッ

 

 

 紫は優しく麟を抱き締めた

 

 

冴月麟「うえっ!? ちょ、ちょっと紫!?」ギュッ

 

 

紫「……」ギュー

 

 

冴月麟「いきなりな、何を…/// 何…するのさ……は、離れてほしいかなぁ…なんて、あははは…」

 

 

紫「…」ギュー

 

 

冴月麟「…ははは…はは……」

 

 

冴月麟「……」

 

 

冴月麟「…」

 

 

冴月麟「……っ!」スッ

 

 

 麟は紫を抱き返した

 

 

紫「! ふふっ…♪ 全くあなたは」ギュッ

 

 

冴月麟「……」ギュー

 

 

紫「本当に昔から素直じゃないわよねぇ、麟ちゃん反抗期ぃ~♪」

 

 

冴月麟「! ま、まだそれ言うの…? 辞めてよ、私もう子供じゃないのに~…///」

 

 

紫「私からみたら子供みたいなものよ、特にあなたと霊夢はね♪」

 

 

冴月麟「! …ふふふっ♪ はいはい、私はまだまだ子供ですよーだ…♪」ニコッ

 

 

 紫と麟はお互いの目を合わせる

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

冴月麟「…♪」ニコッ

 

 

 

紫「話してくれてありがとう 少女さん」

 

 

冴月麟「こちらこそありがとう 妖怪さん」

 

 

 

紫「ふふっ♪」ニコッ

 

 

冴月麟「えへへへ…♪」ニコッ

 

 

 

 

  おしまい……!

 

 

 






 お疲れ様でした! ここまで読んでいただいてありがとうございました♪




 冴月麟という名の幻想郷の裏の巫女…如何でしたでしょうか、説明不足な所は多々あると思いますので少し補足をここに書かせていただきます、鬼形獣組もです。


 【冴月麟の能力について】

 麟の能力は『概念を自由に操る程度の能力』です、簡単に言ったら錯覚系の能力者です、人間は物事を理解するときに無意識に共通な所を見付ける…と説明すると分かりやすいでしょうか
 例えば猫…ペルシャとかメインクーンとかマンチカンとかの種類を見ても猫だと理解する『猫とはこういうもの』と物事に対する共通の思考内容…抽象的ですけど多くの人が必ず頭の中に描ける物が概念だと思います。
 それを操れるので冴月麟という人物の概念を消して姿を隠したり記憶から抜いたり(麟の事を知っていて尚且つ妖力等がずば抜けて高い人には効きません、恐らく無意識状態の古明地こいしにも効きません)出来る筈です、自分が概念という概念その物になることも出来ます。

 この能力にした理由は読者の皆様が二次創作では有名ではあるものの、冴月麟を知っているかいないかで印象がかなり変わるキャラなので採用しました、原作で登場する筈だったかもしれない幻の没キャラクターである彼女……あなたの頭の中にいる麟と他の方が思い描いている麟は同じ格好をしているでしょうか、六角二胡を持った金髪の謎巫女さん…? もしかしたら『さつきりん』ではなく『さえつきりん』かもしれないですね。


 【霊夢と紫との関係】

 冴月麟は霊夢を知っていますが、霊夢は麟の事を知りません。 霊夢は麟の能力によって麟という存在を知る事が出来ないだけです、本編で語った通り麟もそれを望んでいるので深く考えなくても大丈夫です、因みに霊夢との年齢差はありません、同い年です。
 紫とは本編での語りが全てです、麟の事を知っているのはサグメとレイラを除き、幻想郷古参の賢者クラスの住人のみです。

 それと紫、今回冴月麟ラブになってますが麟が珍しくデレたのでちょっとからかっているだけです、一緒に住んでいたので藍と橙並みに家族だと思っています。



 【鬼形獣組について】

 瓔花は元ネタと二次設定モリモリです。

 潤美と久侘歌は小町と知り合いであること以外そんなに…いえ、社畜侘歌は二次設定です! 個人的に久侘歌はミスティアと組ませてみたいですね

 袿姫と磨弓は畜生界で楽しくしてます、何れ幻想郷に出てくるかもですが人間霊とかどうしましょう…他の神様たちと組ませてみたいです。

 八千慧と早鬼は…何処かで神子に必ず会わせてみます、布都たちとの絡みも楽しみです。

 (オオワシ霊さんを出せなくて申し訳ありませんでした)




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【幻想郷の素敵な住人たち】
《第1話》『今日も一日お疲れ様でしたの会』




 ゆかりん今日はお休み…?

 チームを組んで話し合うという事もやってみたいと思ってたので書いてみました!

 それでは始まります!




 

 

 

 ここはみすち屋。

 

 普段は屋台で大っぴらに営業しているミスティア・ローレライが真夜中限定で営業している飲み屋さん。

 

 人里でひっそりと店を構え、人外相手に今日もお酒を振る舞う。

 

 

 

 

八雲藍「えー皆、忙しいなか集まってくれたこと…そしてこの会に参加してくれたことをを心より感謝する!」

 

 

藍「これより第一回、今日も一日お疲れ様でしたの会を開催する!」

 

 

藍「この会は常日頃から上下関係ないし切っても切れない友人関係、それらに日々ストレスを与えられている者が話し合い、飲み、食い、ストレスを発散させる事のできる会となっている」

 

 

藍「愚痴、日々のストレス発散方法、何でもいい…! 語りつくそうではないか!」

 

 

 パチパチパチ!

 

 

藍「会長は私八雲藍」

 

 

魂魄妖夢「副会長は私、魂魄妖夢です」

 

 

藍「そして場所を提供し、貸し切りにしてくれた店の女将、ミスティア・ローレライに拍手を」

 

 

 パチパチパチ

 

 

ミスティア・ローレライ「…///」テレテレ

 

 

藍「それでは乾杯の音頭を、皆、盃を…」

 

 

 スッ…

 

 

藍「では…乾杯!!」

 

 

妖夢「乾杯!」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「乾杯です!」

 

 

永江衣玖「乾杯」

 

 

ナズーリン「乾杯」

 

 

蘇我屠自古「乾杯だ」

 

 

 カラァン! ゴクゴク

 

 

藍「んぐっ…んっ…! ぷはぁ! 紫様ちくしょーい!」

 

 

妖夢「んっ、ぷはっ! 幽々子様ちくしょーい!」

 

 

衣玖「随分と荒れていらっしゃいますね」

 

 

ナズ「流石会長と副会長、あれぐらい荒れてもらわねば困る」

 

 

衣玖「お察しします」

 

 

屠自古「私達よりもかなり溜まってるな、ストレスって奴が」

 

 

鈴仙「何言ってるんですか! 人のストレスに大きいも小さいも無いんですよ!?」

 

 

屠自古「お、おう」

 

 

鈴仙「私がどれだけ…ううう」

 

 

ナズ「私達、だろう?」

 

 

鈴仙「私達がぁ…」シクシク

 

 

屠自古「重症じゃねぇか、医者見習い」

 

 

衣玖「私の悩みが小さく見えなければよろしいのですが」

 

 

ナズ「大丈夫さ、鈴仙の言う通り大きいも小さいも無い、ここでは皆平等だろう? 会長殿」

 

 

藍「もちろんだ、この会に弱肉強食は存在しない!」

 

 

屠自古「なんかすごい説得力あるな」

 

 

ナズ「会長だからね」

 

 

衣玖(獣…いえ、黙っておきましょう)

 

 

屠自古「しかし、もっと人数がいるかと思ったんだが…私含めて六人とはな」

 

 

妖夢「候補はもっといました」

 

 

衣玖「そうなのですか?」

 

 

妖夢「ですが、なんだかんだでストレスに対して愛着がある人は除害しました」

 

 

藍「眠れば回復する紅の門番…ストレスの中に嬉しさが滲み出ている大図書館…ストレスとの距離を物理的にとれている死神…むしろ弄られたい白狼天狗…」

 

 

ナズ(それなりに候補がいたようだね)

 

 

屠自古「私達は本当に愛着もクソもないからな」

 

 

鈴仙「逃げ場が無いんですよぉ…! 三方からの囲まれたストレスなんですよぉ!」シクシク

 

 

衣玖「うどんげさん、もう酔ってます?」

 

 

鈴仙「まだです!! 今日は私の話を聞いてもらいますよ!!」カッ

 

 

衣玖、屠自古「!?」

 

 

ナズ「その恐い目を直したらどうだ?」

 

 

妖夢「ノってきましたね」

 

 

藍「うむ、さぁ皆! 今宵は無礼講だぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 《しばらくして…》

 

 

 

鈴仙「うどんげぇぇ…!」ビチャッ

 

 

妖夢「れ、鈴仙! 飲みすぎだよ!」サスサス

 

 

鈴仙「よ、妖夢…あ、ありがと…ちょっと楽になったよ」

 

 

ナズ「そんなに飲み過ぎるタイプではないと思っていたが」

 

 

衣玖「その前にその吐き方は」

 

 

屠自古「その前にそのブツが見えていないとはいえ、目の前で吐かないでくれよ…」

 

 

鈴仙「ご、ごめんらさい…ヒック…」

 

 

藍「日々のストレスの悪夢が…由々しきことだ」

 

 

藍「よし、それでは、皆がどの様なストレスを受けているか話してみようではないか、楽になれるかも知れんぞ?」

 

 

衣玖「では私から…」

 

 

鈴仙「キャーイクサーン!」

 

 

藍、ナ、屠、妖、衣「…」

 

 

妖夢「鈴仙、飲み過ぎだよ…」

 

 

鈴仙「ヒック…」

 

 

衣玖「あの、それは一体…」

 

 

ナズ「気にしてはいけないよ、しかし飲む前から思っていたが君がこの中で一番ストレスとは無縁の様な気がするよ」

 

 

衣玖「そんなことありませんよ? 私は気にしていない様で気にしていますから」

 

 

屠自古「誰から受けているんだ?」

 

 

衣玖「私は上司の娘のお世話係をやらせて頂いております、総領娘様である比那名居天子様ですね、その方から少し…藍さんと妖夢さん、うどんげさんはご存知でしたね」

 

 

妖夢、鈴仙「あぁ…あの」

 

 

藍「うむ…そうだな」

 

 

ナズ「噂は聞いたことあるよ、天人でとても我が儘だと、紅魔館のお嬢様が見栄っ張りならこっちは意地っ張りだとか」

 

 

屠自古「意地張りか、そういうのに振り回されてんのか?」

 

 

衣玖「それは可愛い部類です! もっとあるんですよ!」

 

 

ナズ、屠自古「…!?」

 

 

衣玖「異常なまでの探求心! それに私の心は日々削られております」

 

 

ナズ、屠自古「?」

 

 

衣玖「…お話しします」

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

比那名居天子『ねぇ衣玖、あなたのあの羽衣をドリルみたいにする技あるじゃない? やって?』

 

 

衣玖『はい? えぇ、良いですけど』スッ

 

 

 ギュイイン

 

 

天子『おぉ、これが…♪』ドキドキ

 

 

衣玖『総領娘様?』

 

 

天子『衣玖! そのまま! そのまま動かないでよ...』

 

 

衣玖『?』

 

 

 ドギュルルル!

 

 

天子『うふふっ、よーし…』ベー

 

 

衣玖『え』

 

 

天子『んー…』レー

 

 

衣玖『な、何をなさっているのですか!!?』

 

 

 ドンッ!

 

 

天子『あん♪ ちょっと衣玖! なんで突き飛ばすのよ!』 

 

 

衣玖『こちらの台詞です!! 今何をしようとしていたのですか!』

 

 

天子『そんなもん決まってるじゃない、味見よ味見』

 

 

衣玖『はい!?』

 

 

天子『私ね、まだ舌をドリルで引き裂かれた事無いのよ』

 

 

衣玖『な…!』

 

 

天子『ドリルで舌をギュイインンってされたらどんな痛みが来るのかしら、想像しただけで… っ! あぁん♪』ワクワク

 

 

衣玖『…!?』ゾクッ

 

 

天子『だからお願い衣玖! ドリルを舐めさせて!』

 

 

衣玖『許可できる訳無いじゃないですか!!』

 

 

天子『何でよ!?』

 

 

衣玖『異常ですよ!? ドリルを舐めるだなんて! お辞めなさい!』

 

 

天子『ふっざけんじゃないわよ! もうちょいだったのに! もうあなたにしか頼めないから頼んでるのに! 私の邪魔をするの!?』

 

 

衣玖『邪魔とかそういうレベルの話ではありません!! !? もう…?』

 

 

天子『何よ衣玖まで! 河童に頼んでもやらせてくんなかったし! 興醒めよ!』

 

 

衣玖『何をしているのですかぁ!!』

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

 

衣玖「…」

 

 

ナズ、屠自古「うわぁ…」ドンビキ

 

 

衣玖「博麗の巫女に会うまではこんなおぞましいことを言うお方ではなかったのですが…ほんと、もう何でこうなってしまわれたのか…」

 

 

ナズ「君が背負う事ではないと思う、それに誰のせいでもあるまい、引いたけど」

 

 

屠自古「あぁ確かにな、元からそういう物を持ってて何かの拍子にそれが出たんだろうな、引いたけど」

 

 

衣玖「ううう…」

 

 

鈴仙「わかりますよ、上司の娘…気遣う…それだけでストレスが溜まりますもんね」

 

 

妖夢「しかも問題がその上司の方に報告出来ない事だと…」

 

 

藍「溜め込んでしまう、永江殿は優しい性格だからね辛かっただろう」

 

 

衣玖「皆さん…そう言っていただけるだけでも心が洗われます」

 

 

屠自古「しかし何なんだ、その天人のそれは…どうすりゃいいんだよ」

 

 

ナズ「マゾヒズムだったかな…? それを超えた何かなのだろう」

 

 

藍「紫様も呆れていたな、私も『その尻尾で串刺しにしてみなさいよ!』と言われた」

 

 

妖夢「私も『十回切れば百匹分よね!? さぁ! さぁ!』とか言われました」

 

 

鈴仙「私も『お尻か…未知の領域ね!』とか言われたわね…さっぱり意味が分からなかったけど」

 

 

衣玖「あぁ皆さんにご迷惑を! 私が至らないばかりに…!」

 

 

屠自古「追い詰めてどうすんだよ!」

 

 

藍、う、妖「すいません…」

 

 

ナズ「心の病みたいな物かな? だとしたら永遠亭に診てもらうといいんじゃないかな」

 

 

鈴仙「う~ん、師匠なら何とかしてくれるかもですね」

 

 

衣玖「永琳さんにも引かれたらどうしましょう…」

 

 

ナズ「引かれるのは前提に置いておくことだ、永琳に痛みを教えてもらうとか口実を立てて連れ出すといい、後は医者の仕事だよ、永江殿、さっきも言ったがあんまり自分を責めてはいけないよ」

 

 

衣玖「はい、ありがとうございます…少し元気になりました」

 

 

藍「流石、賢将と呼ばれているだけはあるな」

 

 

衣玖「ナズーリンさん、ありがとう」ニコッ

 

 

ナズ「べ、別に…ここはほら、そういうのを話し合う会だろう?」

 

 

屠自古「鼠が照れたぞ」

 

 

鈴仙「ちゅ、ちゅう…///」

 

 

妖夢「あはは! 何ですかそれ」

 

 

ナズ「…辞めたまえ」

 

 

衣玖「ふふっ…♪」

 

 

藍「ふふっ、では賢将殿、次お願いしていいかな?」

 

 

ナズ「うむ? 私か…?」

 

 

衣玖「私に適切なアドバイスをして下さるナズーリンさんこそストレスとは無縁な気がしますが」

 

 

ナズ「いやそんな事はない、私とて精神的に来ることが多々ある、主に寺でだね」

 

 

屠自古「そういやお前って命蓮寺のメンバーじゃないのか?」

 

 

ナズ「正確には違う、住職の聖から誘われてはいるが断っているよ、嬉しい申し出ではあるんだけどね」

 

 

妖夢「そんなナズーリンさんのストレスって?」

 

 

ナズ「私の場合は…そうだな、イライラだ」

 

 

鈴仙「あなたって怒りっぽいの?」

 

 

ナズ「そんな事はない筈…だからな、想像して聞いてほしいんだ」

 

 

藍、鈴、妖、屠、衣「?」

 

 

ナズ「私がイライラしている様をね」

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

寅丸星『ナズ!』

 

 

ナズ『はい分かりました、探しに行ってきます』

 

 

星『えぇ!? まだ何も言ってないじゃないですか!』

 

 

ナズ『その興奮の口振り、また宝塔を無くしたんだろう? 分かっているよ、分かっているともさ』

 

 

星『…』

 

 

ナズ『さぁ教えてくれるかい? どこから宝塔の記憶がない、どこで気が付いた、誰かと一緒だったのかい?』

 

 

星『ふっふっふっ…』

 

 

ナズ『? どうしたご主人』

 

 

星『ナズ、私はいつもあなたに宝塔がない宝塔がないと迷惑を掛けてばかりでしたね』

 

 

ナズ『自覚があるのか、何よりだよ』

 

 

星『だからですね…ふふふっ♪』

 

 

ナズ『…?』

 

 

星『見つけたんですよ!』

 

 

ナズ『見つけた?』

 

 

星『そうです!』

 

 

ナズ『…?』

 

 

星『ふふっ』

 

 

ナズ『…! まさかご主人…!』

 

 

星『そうです!』

 

 

ナズ『そ、そうか! 遂に…!』

 

 

星『はい!』

 

 

ナズ『遂に自分で無くした宝塔を自分で探す事が出来たのか!』

 

 

星『はい! はい…?』

 

 

ナズ『どんくさいご主人も遂にここまで成長出来たのだね! うんうん! 初めて感心したよ! いやあ、実に馬鹿なご主人だとは思っていたが、そのご主人がとうとう』

 

 

星『違いますよ?』

 

 

ナズ『ん?』

 

 

星『だからですね、違います』

 

 

ナズ『…何がだい?』

 

 

星『私が宝塔を探せる訳ないじゃあないですか、ナズ、大丈夫ですか?』

 

 

ナズ『…』イラッ

 

 

星『見つけたと言うのは宝塔が無くならない方法ですよ』

 

 

ナズ『…ちなみに?』

 

 

星『ほらぁ、宝塔って私の知らぬ間にいつも無くなるじゃないですか』

 

 

ナズ『あぁ、まるで息をするかの如くね』

 

 

星『そうなんですよ~♪ だからですね、この寅丸星! 考えました!』

 

 

星『私が知ってる間に無くなれば自動的に帰ってくるのではないかとね!!』

 

 

ナズ『いや、その理屈はおかしい』

 

 

星『そう考えた私は早速行動に移しました! そして!』

 

 

星『思いっきり宝塔を空の彼方にぶん投げてやったんですよ~♪ これでひと安心ですね!』

 

 

ナズ『…そうか、ぶん投げたのならこの辺にあるんだろうね、ありがとうご主人』イライラ

 

 

星『いえいえ、さ、ナズ、ここに座して宝塔の帰りを待ちましょう? 茶菓子もありますよ?』

 

 

ナズ『いや、折角だが遠慮しておくよ、少し出掛ける用事がたった目の前で発生したからね』

 

 

星『?』

 

 

ナズ『それじゃあねご主人、次は他の作戦を考えておくことをお勧めするよ』イライラ

 

 

星『何故です?』

 

 

ナズ『後ろを見ればわかるよ、ではね』スタスタ

 

 

星『?』スッ

 

 

聖白蓮『うふふ』ニッコリ

 

 

星『ひ、聖!? な、何をそんなに怒って』

 

 

聖『怒っている様に見えますか?』

 

 

聖『実はですね、私先程あなたが宝塔を空の彼方にぶん投げているのを見てしまいましてね』

 

 

星『そ、そうなんですか! 聞いてくださいよ聖! この方法なら宝塔が自動的に』

 

 

聖『誰かに当たったらどうするのです?』

 

 

星『………あっ!!?』ダラダラ

 

 

聖『……いざ、南無さーん♪』グッ

 

 

 ボゴォ! アーッ!

 

 

ナズ『ご主人は実に馬鹿だな…』

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

ナズ「な? 自然にイラッとするだろう?」

 

 

藍、鈴、妖、屠、衣「うんうん」コクコク

 

 

屠自古「ぶん投げてる時点で無くなってるじゃねぇか、あの虎本当に大丈夫か?」

 

 

鈴仙「ナズーリンはあれよね、上司が馬鹿過ぎて駄目な感じね」

 

 

ナズ「上司…う~んまあそんなとこだね、君達も永江殿を除き上司そのものに振り回されてる口だろうが私の場合は少し違う」

 

 

ナズ「同じことに対して注意しても全く直そうとしないし、成長の見込みすらない、しかも自覚があるせいで余計に質が悪い」

 

 

屠自古「空回りする奴のそれだもんな」

 

 

ナズ「そうだ、悪い方悪い方に事が進む…それが正しいと自分を曲げないのもいただけない所だ」

 

 

藍「私の場合は…わざとって感じもあるしなぁ」

 

 

妖夢、鈴仙「同じく」

 

 

衣玖「もう少し柔軟な発想が星さんにできれば或いは…」

 

 

ナズ「残念だが…私も諦めている節があるほどだ」

 

 

藍「それよりも何故そんなに宝塔が無くなるんだろう」

 

 

ナズ「こっちが聞きたいよ…何かズレているご主人に愛想がついた宝塔が逃げ回っているとしか思えないよ」

 

 

妖夢「本当にそうだったらどうします?」

 

 

ナズ「あり得なくないんだよ、だから恐いのさ」

 

 

屠自古「付喪神にでもなったりするのかな」

 

 

ナズ「いっそのことなれと言いたい…」

 

 

衣玖「ナズーリンさん、先程の事の受け売りになりますが星さんも永琳さんに診てもらっては?」

 

 

ナズ「…考えたくは無かったが、覚悟を決めるしかないか」

 

 

衣玖「なら共に行きませんか? 私も覚悟のうえです」

 

 

ナズ「ありがとう、心に留めておくよ」

 

 

衣玖「はい!」

 

 

鈴仙「家は大歓迎ですよぉ♪ 治療費を払っていただければ♪」

 

 

ナズ「診るのは君ではないだろう?」

 

 

鈴仙「わ、私だって少しは手伝うもん…」

 

 

妖夢「まあまあ」

 

 

屠自古「…しかしまぁ、あんまり自分の主の事を悪く言うのは感心しないぞ?」

 

 

ナズ「君の家とは考え方も違うからね」

 

 

藍「しかしそのせいで歩み寄れない事もあると私は思うが」

 

 

屠自古「…! 痛いとこついてくるな」

 

 

妖夢「屠自古さんの家の方々とは一度剣を交えましたが…思い込みが激しいくらいしか記憶に無いですね」

 

 

屠自古「よく見てんな、概ねその通りだ」

 

 

屠自古「私の主…太子様、それから物部布都、後…あの青いの」

 

 

藍「邪仙の青娥か?」

 

 

屠自古「あぁ、ストレスはそいつからが一番受けてる…次いで布都か」

 

 

衣玖「屠自古さんの家庭が気になりますね、同じ雷の力を持つものとして」

 

 

屠自古「お前空気じゃなかったか? ま、いいか」

 

 

屠自古「私の場合、チマチマと精神的に来る、がお前達と違うのは直ぐにそれを発散出来る立場にいるってとこか」

 

 

鈴仙、妖夢「いいなぁ…」

 

 

藍「聞かせてくれるか?」

 

 

屠自古「あぁ、聞かせてやんよ」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

屠自古『太子様、お呼びですか?』

 

 

豊聡耳神子『おぉ屠自古、待ってたよ』

 

 

屠自古『お待たせして申し訳ありません、布都のアホが私の皿の上に大根乗っけて『屠自古ぉ! 合体奥義を今こそみせる時じゃ! パワーを弾幕に!』とかアホやっていてそれの処理に手間取りました』

 

 

神子『あぁだから雷鳴が…布都もやんちゃが直らないね、もう少し落ち着いてくれると助かるんだが』

 

 

屠自古(やんちゃで済みゃあ雷はいらないんだけどなぁ)

 

 

屠自古『それより太子様、ご用は?』

 

 

神子『あぁ、実は…これを見てくれ』スッ

 

 

屠自古『? !? これは…!』

 

 

神子『どうだろう、遂先程完成してね』

 

 

神子『こころにプレゼントしようと思ってね、その名も…勇気の面!』

 

 

屠自古『ゆ、勇気…ですか』

 

 

神子『そうだよ、勇気をひしひしと感じるだろう! 希望があるなら今度は勇気をこころにあげたいと思ってね♪』

 

 

屠自古『ソ、ソウデスカ~…アハハ…』

 

 

屠自古(み、微塵も勇気が感じられねぇ!)

 

 

屠自古(なんだこの私と布都を足して二で割った様な造形は!? 希望が自分だったから勇気は私達だってか!? 嬉しいはずなのに嬉しさが無くなるのは何故なんだ!?)

 

 

屠自古(こころにこれを!? 駄目ですよ太子様! 希望の面でもこころは嫌々だったじゃあないですか!)

 

 

屠自古(や、やべぇ…! どうする、このままではこれがプレゼントされる…何とかしなければ…そして尚且つ、太子様を傷付けないように)

 

 

屠自古『た、太子様、私がこれをこころにプレゼントしてきますよ』

 

 

神子『屠自古がかい?』

 

 

屠自古『は、はい!』

 

 

屠自古(処分も考えたが太子様の事だ、こころに感想を聞くに決まってる、私からこころに事情を話して穏便に済ませるように言えばいい)

 

 

神子『う~ん、しかし…』

 

 

屠自古『大丈夫ですよ太子様、必ず届けますか』

 

 

 バン

 

 

霍青娥『はぁ~い♪ 豊聡耳様、あら屠自古さんも』

 

 

神子『おや、青娥ではないですか』

 

 

屠自古(何でこのタイミングで来やがるんだこの爆弾魔が!)

 

 

屠自古(ヤバイ! どうす)

 

 

青娥『? あら、このお面は』

 

 

神子『青娥、流石だなこれに目をつけるとは、素晴らしいだろう?』

 

 

青娥『えぇ、とても素晴らしいですねこれ♪』

 

 

屠自古(だ、黙れ…喋んななんちゃって仙人…!)

 

 

神子『これを着ければたちまち勇気が湧いて出』

 

 

青娥『ていくんですねわかりますよぉ♪ 勇気が零♪ この面が直に吸収していく仕組みですか? 豊聡耳様?』

 

 

神子『 』orz

 

 

青娥『? 豊聡耳さ』

 

 

屠自古『てめぇ何言っちゃってくれてんだゴルァ!』

 

 

青娥『はてさてなんの事やら♪』

 

 

屠自古『わざとだろてめぇ!』

 

 

青娥『屠自古さんだって私と同じ感想の癖に~♪』

 

 

屠自古『ぐっ…! あぁもうどうすんだよこの感じぃ!』

 

 

青娥『~♪ あっ、芳香ちゃ~ん♪ お札変えましょうねぇ♪』

 

 

神子『 』orz

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

屠自古「ま、こんな感じだな、いつものことだ」

 

 

妖夢「屠自古さんって頭の中で色々考えてから行動してるんですね」

 

 

鈴仙「驚いた…あなたって結構思考を練るタイプなのね」

 

 

衣玖「お二人とも失礼ですよ?」

 

 

屠自古「お前ら私の事何だと思ってんだよ」

 

 

妖夢、鈴仙「豪族ヤンキー」

 

 

屠自古「あぁ!?」

 

 

藍「しかし自分でストレス発散出来ているのは素晴らしい事だ、能力有っての事でもあるが…」

 

 

ナズ「それが出来る環境があるのが羨ましいと私は思うよ」

 

 

衣玖「私がやったらご褒美になってしまいますし…」

 

 

鈴仙「私は無理、反撃されるし何倍にもなって帰ってくる」

 

 

妖夢「主に剣は向けません…非常時以外は」

 

 

屠自古「……私は結構恵まれてる方な気がしてきたな」

 

 

鈴仙「恵まれてるよ、その恵みをください」

 

 

衣玖「切実ですね…」

 

 

屠自古「やってやれねぇのよ…分かれ」

 

 

鈴仙「うう…」

 

 

藍「さて、どんどん話していこうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖夢「どうしてあんなに食べれるんですか!? 亡霊の食事はどうなってるんですかぁ!?」

 

 

屠自古「ええい! 私に聞くなぁ!」

 

 

 

 

 今日も一日お疲れ様でしたの会の飲み会は

 

 

 

 

鈴仙「うどん食えよ! そば食うな! って言われたことある!? うえーん!」シクシク

 

 

鈴仙「何かある度に可愛い可愛い言ってはぐらかされたりする事が多いんですよぉ! ちゃんと私の話を聞いてくれないのはどうしてぇ…、 私の事もっと優しくしてぇぇ…」シクシク

 

 

衣玖「わかります…いえ実はあんまり分かってないですけど、理不尽なのはわかりますよ」

 

 

衣玖(う~ん…可愛い可愛いは愚痴…?)

 

 

 

 

 深夜まで続いた

 

 

 

 

藍「ババアのバカヤロー!!」

 

 

ナズ「もう少しオブラートに包みたまえ」

 

 

 

 

 そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「ゆ、ゆかりさまのばば…グー…」zzZ

 

 

鈴仙「し、ししょー…おいてかないで…スー…」zzZ

 

 

妖夢「だめですよ…ゆゆこさ…それははくろうけ…たべちゃだめ…スー…」zzZ

 

 

屠自古「クー…クー…」zzZ

 

 

衣玖「スヤスヤ…」zzZ

 

 

ナズ「うむ、女将、もう一杯だ」

 

 

ミスティア「ナズーリンさん凄いですね、全然酔ってないじゃないですか」

 

 

ナズ「私は酒に溺れないよ、酒で精神的苦痛から逃れるタイプじゃない…まぁそれを少し羨ましいと思っている私もいるにはいるけどね」

 

 

ミスティア「…」

 

 

ミスティア「皆さん楽しそうでしたね」

 

 

ナズ「あぁ、たまにはこういうのも悪くないね」

 

 

ナズ「…」チラッ

 

 

ナズ「今日も一日お疲れ様、幻想郷の世話好き達」

 

 

ミスティア「ふふっ…♪」

 

 

 

  おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《オマケ、マヨヒガのお一人様》

 

 

紫「はぁ…やっと家に着いたわ」

 

 

 紫はマヨヒガの縁側に腰を下ろす

 

 

紫「ふぅ…ら~ん、帰ったわよ~、お茶頼むわねー」

 

 

紫「ったく、あいつらときたら…ほんとにやんなっちゃうわね」

 

 

紫「四季同盟だか何だか知らないけど『自分の四季が一番良い!』だのなんだので暴れんなって話よ、特にリリーは制御が効かないんだから…」

 

 

紫「霊夢がレミリアのとこに行っちゃったから仕方なく私が鎮圧したけど…私のお仕事じゃないわよねあれ」

 

 

紫「ま、でも面白い物見れたからそれはそれで満足かな」

 

 

紫「吹っ切れ秋姉妹と雪女の倒れてるのを尻目に互角に格闘するフラワー畑とデスよー精…」

 

 

紫「やっぱ面白くないわ…パワーバランスを乱すなっちゅーのに…また阿求に伝えておかなきゃね、こんちきしょー、私に仕事を与えるでないわぁ…」

 

 

紫「? 藍? お茶はまだ?」

 

 

 シーン…

 

 

紫「……?」

 

 

紫「…藍?」

 

 

紫「…お~い、ら~ん」

 

 

 シーン…

 

 

紫「…」

 

 

紫「藍丸! 花藍! 藍暴!」

 

 

紫「淫藍狐!」

 

 

 シーン…

 

 

紫「…」

 

 

紫「ん``ん``…」セキバライ

 

 

紫「らんしゃま~、橙はここですよー!」

 

 

 シーン…

 

 

紫「? おかしいわねこの前は」

 

 

 

 

 

 

藍『ちぇぇぇぇんん♪』

 

 

紫『ざーんねん♪ ゆかりんでした♪』

 

 

藍『ぬぁっ!? おばぁ!?』

 

 

紫『ゆかりん激おこプンプン丸♪』

 

 

藍『古っ!? ってはっ!? しまったつい!』

 

 

紫『藍、覚悟しなさい!』

 

 

 アーッ…!

 

 

 

 

 

紫「な~んてやり取りしたけども」

 

 

紫「いないのかしら? 珍しいわね」スッ

 

 

 紫は藍を探しに居間に向かった

 

 

紫「藍? あれ…マジでいないわねって、ん?」

 

 

紫「手紙? それにこれは…?」ペラ

 

 

 『紫様へ、今日は私用がありここには帰れません、前に橙を偽った腹いせをしている訳ではありませんので心配しないで下さい、縁側での会話も無くなりますがお許し下さい』

 

 

紫「…」

 

 

 『なのでお夕飯ですが、この手紙の横にある物を外から持ってきたレンジで温めて食べて下さい、それとたまには仕事してください、お疲れ様のおの字も書けません、それでは行ってきます』

 

 

紫「…」

 

 

 『P.S.探さない、詮索しない、首を突っ込まないでください』

 

 

紫「新婚さんも大変ね、こうやってすれ違いが起きて次第に大きくなって離婚って違う!!」クワッ!

 

 

紫「帰らない!? 私用!? このゆかりん差し置いて!?」

 

 

紫「しかもなんなのよ! このシャンパンタワー並みに盛られたこのいなり寿司の山は!?」

 

 

紫「これを温めて食えと!? あなた絶対私が橙と偽った事を根にもってるでしょうが!」

 

 

紫「え? マジに帰ってこないの? お夕飯をゆかりん一人で食べんの? 山盛りいなり寿司を?」

 

 

紫「…」

 

 

紫「何これめっちゃ寂しい」シクシク

 

 

紫「うわーん!! れい…!」

 

 

 

 

 

霊夢『紫、今日レミリアのとこに呼ばれてるから着いて来ないでね? 先に来るなって行ったわ♪ 来たら…ふふっ』ニッコリ

 

 

 

 

紫「……」シクシク

 

 

紫「うわーん! 幽々子ぉ! 藍がいじめるぅ!」ギュオン

 

 

 紫はスキマの中へ…

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 







 読んでくださってありがとうございました!





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《第2話》『幽々子の特技』




 亡霊姫が先に登場するかと思いきや傘のあの子が登場します。


 それでは始まります♪




 

 

 

 【博麗神社、昼】

 

 

 霊夢は神社の縁側で寝転がっていた

 

 

博麗霊夢「ん~♪ 最近涼しくなってきたわねぇ、もう夏も終わりか」

 

 

霊夢「もうすぐこの木も紅葉を迎え、また秋が来るのか」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「なんか一人で虚しいわね…何でこんなこと言ってんのかしら」

 

 

霊夢「またあの吹っ切れ秋姉妹は暴走するのかな、紅葉がどうとか実りがどうとかで、一応神様なんだから大人しくしていてほしいもんね」

 

 

霊夢「はぁ~…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(暇…)

 

 

 霊夢は目をつぶる

 

 

霊夢(魔理沙は泥棒か…チルノ達は昨日来たから来ないか…ゆか…ああいいや紫のことは)

 

 

霊夢(たまには修業でもしてみようかしら? …そうするか、よしそうしよう)

 

 

霊夢(しかし…何の修業するかを考えんのってのもめんどくさいわね、華扇から聞いたやつでも試してみ)パチッ

 

 

多々良小傘「おぉぉっどろけ~♪」バッ

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「わはははどうだ! 驚いたか~!」

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「えへへ! 驚きすぎて声も出ないようだね♪ 博麗の巫女ですら驚かす、これが」

 

 

霊夢「お腹」

 

 

小傘「へ?」

 

 

霊夢「お腹は満たされたの?」

 

 

小傘「…あ、あれ? さっきと変わって…ない…?」

 

 

霊夢「じゃあ私は驚いてないわけね」

 

 

小傘「え、えぇ~…そんなぁ…」ガーン

 

 

霊夢「まぁなんにしても」スッ

 

 

 霊夢は立ち上がり、大幣を頭の上に持ち上げた

 

 

霊夢「この私の寝込みを襲うとは、覚悟は出来てんでしょうねぇ! 小傘ぁ!」スッ

 

 

小傘「ひゃぁ!?」ビクッ

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「さ、さでずむさでずむ…」ブルブル 

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「本気で驚かせるならこのぐらいしなきゃダメなんじゃない?」

 

 

小傘「…う、うえ?」

 

 

霊夢「でも小傘じゃ無理か、こういうのむいてないもんあんた」

 

 

小傘「うっ…!」グサッ

 

 

霊夢「驚かせ方もなってないし…あれよね、古典的ったやつ?」

 

 

霊夢「大体そのドデカイ茄子みたいなの背負ってワンパターンな驚かせ方じゃ皆慣れて誰も驚いてくれないって魔理沙が言ってたしそれに私も」

 

 

小傘「うええぇ! うぅ…! そ、そごまでいわなぐでもっ!!」ドバッ

 

 

霊夢「!?」

 

 

小傘「わちきだって! わぢきだっでがんばっでるのにぃ…! グスッヒグッ」ポロポロ

 

 

霊夢「えぇ!? べ、別に泣くこと…」

 

 

小傘「びえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

霊夢「わ、悪かった! 悪かったわよ! だから泣きやみなさい!」

 

 

小傘「んぐっ…グスッ…」

 

 

霊夢「……お茶、飲む?」

 

 

小傘「…うん」

 

 

 

 

 

 《五分後》

 

 

 

小傘「ズズズッ…ふぅ…」ホッコリ

 

 

霊夢「落ち着いた?」

 

 

小傘「うん」

 

 

霊夢「悪かったわね、さっきは言い過ぎた」

 

 

小傘「ううんいいよ、だってほんとの事だし…」ションボリ

 

 

霊夢「しょげないの、こっちまで気が滅入るでしょ」

 

 

小傘「うん…」

 

 

霊夢「ねぇあんたってさ、その…食事のために? 怖がらせたいの? それとも驚かせたいの?」

 

 

小傘「驚けばお腹が満たされるから驚いてほしいの、でも怖がらせれば驚きに繋がるから色々やってはいるんだけど」

 

 

霊夢「色々? 傘持って驚けーってやってるだけじゃないの?」

 

 

小傘「うっ…そ、そうなんだけど」

 

 

霊夢「あれ? あんた前ベビーシッターやってるって言ってなかったっけ?」

 

 

小傘「辞めました」

 

 

霊夢「何で」

 

 

小傘「やっては感謝、やっては感謝の雨あられで…はは…からかさお化けが感謝の雨に降られてもお腹は満たされませんよ…はははは…」

 

 

霊夢(何をやっても自分の為にならない、か…辛そうね)

 

 

霊夢「ん~…まぁ辞めるのはあんたの自由、後悔してないなら私は何も言わないけど」

 

 

小傘「うん…ありがと」

 

 

霊夢「そこでお礼はなんか違うような」

 

 

小傘「いいの、なんか気持ちが楽になったから」

 

 

霊夢「そう」

 

 

小傘「うん」

 

 

霊夢「…そういえば小傘、あんたなんでここに来たの?まさか私を驚かせる為だけ?」

 

 

小傘「ううん違う…! あぁそうだ! すっかり忘れてたよ」ゴソゴソ

 

 

霊夢「?」

 

 

小傘「霊夢、はいこれ!」スッ

 

 

霊夢「…! え、針…?」

 

 

小傘「そうだよ♪ 妖怪退治用に使ってる物と同じ様に作ったの♪ 丸ちゃんが霊夢へのプレゼントのために私に拵えてほしいって依頼をしてきたの」

 

 

霊夢「丸ちゃん?」

 

 

小傘「針妙丸だよ」

 

 

霊夢「あぁなるほど、ってその肝心の針妙丸はどこにいんの?」

 

 

小傘「今日はわかさぎちゃん達と釣りの約束が合って来れなくなっちゃったの、せっかく今日出来た新品だから霊夢に届けてほしいって言ってたよ? だから変わりに私が来たの」

 

 

霊夢「そ、そう…! き、気が利くじゃない」

 

 

小傘「明日は行くって言ってたから、明日は来るんじゃないかな?」

 

 

霊夢「そ、そうなんだ…」

 

 

 バッ!

 

 

 霊夢はちゃぶ台に顔を伏せた

 

 

小傘「?」

 

 

霊夢(い、いかん、顔がにやける…!)

 

 

小傘「霊夢?」

 

 

霊夢「今は黙れ…!」ゴゴゴ!

 

 

小傘「うひゃっ!? 霊夢はたまにさでずむだよぉ…」

 

 バッ!

 

霊夢「…ふぅ、てかあんたって中々良い仕事するわよね、そんなんで」

 

 

小傘「! そ、そうかな? 自分でもこれだけは結構自信あるんだよ」

 

 

霊夢「前にもあんたに妖怪退治用の針直してもらったけどあのときも良い仕事振りだったと思ったわね」

 

 

小傘「試し打ちをされましたけど…」

 

 

霊夢「あの後に謝ったでしょ! ってか腕前が前より上がってない? ほんとあんたの鍛治スキルには驚かされるわねぇ」

 

 

小傘「…! !? あ、あれ!?」

 

 

霊夢「どうしたの?」

 

 

小傘「今お腹が満たされた様な…いや、うん満たされてる! 私満たされてるよ!」

 

 

霊夢「…! そうよこれよ!」

 

 

小傘「へ? な、なにが?」

 

 

霊夢「おバカ、少しは考えなさい、鍛治スキルがあるなんて微塵も感じられないあんたがこんなに良いもの作れるって知ったら皆驚くわよ? 幻想郷じゃ珍しい特技だもの」

 

 

小傘「!」

 

 

霊夢「そしたらもうひもじい思いしなくて済むんじゃない? そりゃ大変かもしんないけど私が驚くぐらいだから大丈夫よ、きっとね」

 

 

霊夢「人里とか…あぁ、あんた命蓮寺住まいだったっけ、そこでその腕を披露すればそれはそれはもう」

 

 

小傘「霊夢~!」バッ

 

 

霊夢「うっ!」ダキッ

 

 

小傘「霊夢ありがとうほんっとにありがとう! 私頑張ってみるよ!」

 

 

霊夢「ええい頑張るのはいいけどくっつくなっちゅーのに! ここに来る妖怪共はどいつもこいつもくっつきやがってぇ!」

 

 

小傘「霊夢は私のお腹の恩人だよぉ!」

 

 

霊夢「なにそれ…あ、でもやる前に聖とかにちゃんと言うのよ?」

 

 

小傘「うん! えへへ、霊夢は優しいね!」

 

 

霊夢「はいはい、皆が驚いてくれると良いわね」

 

 

小傘「うん、よーし! やるぞ~!」

 

 

霊夢(でも成功しない可能性もあるのよね、『お前が作ったんじゃないんだろ嘘付け』なんて言われたら…でも聖がいるから平気か)

 

 

霊夢(巫女が妖怪のお悩み解決…確か前もやったっけ)

 

 

霊夢(それにしても針妙丸のやつなんでいきなりプレゼントなんか)

 

 

霊夢(…ん?)

 

 

 ギュオン

 

 

霊夢「げっ…」イラッ

 

 

小傘「? 霊夢、どうしたの?」

 

 

霊夢「あれ見なさい」

 

 

小傘「? うわ、空間にスキマが開いてる…?」

 

 

霊夢「あんた八雲紫って知ってる?」

 

 

小傘「あ、うん名前だけ、幻想郷の管理人さんなんでしょ?」

 

 

霊夢「そ、あいつ今ここに来るわよ」

 

 

小傘「えぇ!?」

 

 

霊夢「ったく、何しに来んだか知らないけどいきなり来るのはほんとにどうにかしてほ」

 

 

 ズイッ

 

 

八雲紫「いやああぁぁぁぁぁ!!!」ズッ

 

 

霊夢、小傘「うわぁああ!!?」

 

 

紫「ああああぁぁぁ!!」

 

 

小傘「いやぁぁああ!!」

 

 

 ゴン!

 

 

 勢い良くスキマから飛び出してきた紫は目の前にいた小傘とぶつかってしまった! 

 

 

紫「怖い怖い怖い怖い怖いぃ!! 怖いよぉ!!」

 

 

小傘「ひぃゃああ!!?」

 

 

霊夢「ちょっ!?」

 

 

 小傘が倒れてる所に紫が覆い被さる形になった

 

 

紫「怖い怖い怖いぃ!! 助けて下さい助けて下さい霊夢ぅぅ!!!」

 

 

小傘「怖いのはわちきだよぉ!!! 怖いよぉ!!」

 

 

霊夢「なん…!? 紫!! 何なのよ!?」

 

 

紫「うわあぁぁ!!」

 

 

小傘「きゃあああ!!」

 

 

霊夢「こん…の!」

 

 

 霊夢は紫の背後に回り込み…

 

 

霊夢「落ち着けスキマ女ぁぁ!!」

 

 

 

 豪快なバックドロップを決めた!

 

 ドゴン!

 

 

 

 

紫「ぐほぉ!!?」

 

 

霊夢「はぁはぁ…! アホか!!? アホかほんとに!!」

 

 

小傘「ひっ…ひぁ…!」

 

 

紫「 」チーン

 

 

霊夢「小傘! あんた大丈夫!?」

 

 

小傘「う…あ…」ビクビク

 

 

霊夢「…! こらぁゆかりぃ!」

 

 

霊夢「驚かせる事が生き甲斐の奴に本当の恐怖を与えてどうすんのよ!? 責任とりなさい!」

 

 

紫「はっ!?」

 

 

霊夢「気が付いたんならさっさとあや」

 

 

紫「いやぁぁ!!?」

 

 

小傘「きゃあああ!!」

 

 

霊夢「大幣脳天割り!!」

 

 

 

 ドゴッ

 

 

 

紫「ぴぎゃっ」

 

 

 ドサッ

 

 

 

 

霊夢「はぁ、はぁ」

 

 

紫「 」ビクンビクン

 

 

霊夢「何なんのよ!! 何が…なんなのよ!?」

 

 

小傘「れ、れい…うあ…」ガクガク

 

 

霊夢「…! あぁんもう! ほんとに何なのよ!?」

 

 

 

 三十分後…落ち着いた霊夢と小傘、そして気絶から復活し大人しくなった紫は三人でちゃぶ台を囲んでいた

 

 

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

小傘「…」

 

 

紫「れ、れい」

 

 

霊夢「お黙り」

 

 

紫「う…」

 

 

小傘「れ、霊夢…その、紫さんの事許してあげよう?」

 

 

霊夢「あぁん!?」

 

 

小傘「ひっ!?」

 

 

霊夢「…! ごめん小傘…でもあんた良いの? あんな目にあったばかりなのに」

 

 

小傘「そりゃ私の存在意義って何なんだろうって言うぐらい驚かされたけどこのままじゃ何も解決しないよ…」

 

 

霊夢「…! …紫」

 

 

紫「!」

 

 

霊夢「まず謝れ」

 

 

紫「…! 多々良小傘よね? いつも霊夢が使う針を拵えてくれている…その、悪かったわね…この私とあろうものが取り乱してしまって、怖い思いをさせたわね」

 

 

小傘「い、良いんです! 私は大丈夫ですから」

 

 

霊夢「良くないわよ、ったく…」

 

 

紫「霊夢もごめんなさい…いつものノリで登場できなくて」

 

 

霊夢「私に謝るとこそこかい!」

 

 

小傘(あ、なんかこの人雰囲気が聖とちょっと似てる? オーラってやつかな?)

 

 

霊夢「で? あんたは何をあんなに取り乱していたわけ?」

 

 

紫「!! そ、そうなのよ!! 霊夢! 小傘、あなたも聞いてほしいの!」

 

 

霊夢、小傘「?」

 

 

紫「夏も終わって涼しくなり始めたってのに私は怪談やアイスキャンディーよりも寒く! 身の毛もよだつ物を見て体験してしまったのよ!!」

 

 

小傘「あいすきゃんでぃー?」

 

 

霊夢「そこは良いから…ここに来たときのあんたのあの形相、よっぽどの事なの?」

 

 

紫「えぇ! もう八雲紫と言う存在が食われるんじゃないかってぐらいの物よ!? 死ぬかと思ったんだからね!?」

 

 

小傘「えぇ!?」

 

 

霊夢「食われる…?」

 

 

紫「そうよ! だから命からがら逃げ出して」

 

 

 ユカリィ…

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

小傘、霊夢「…!?」

 

 

 ヒドイジャナイノ キュウニヒメイヲアゲテ ニゲダシテ

 

 

紫「ひっ!?」ビクッ

 

 

 フッ!

 

 

西行寺幽々子「ねぇ…紫~♪」

 

 

紫「ひゃぁぁあ!?」

 

 

霊夢「え、幽々子?」

 

 

小傘(紫さんの後ろにいきなりなんか出た!?)

 

 

紫「ゆ、ゆゆゆゆ幽々子!? さ、さっき振りね!」

 

 

幽々子「ほんとにね、でも酷いわぁ♪ さっきまで藍ちゃんと妖夢とあなたと私とで仲良くご飯を食べていたのにいきなり逃げ出しちゃうんだもん」

 

 

紫「だ、だだだだって! あなあな、あなたがいきなり」

 

 

幽々子「私が何かしたかしらぁ♪」

 

 

紫「したじゃないのよ!! 藍!? 主のピンチよ!? こういう時にこそ」

 

 

幽々子「藍ちゃんは白玉楼でお留守番♪」

 

 

紫「あんにゃろうがぁ!」

 

 

霊夢「こらこら、コントはおしまいよ」

 

 

幽々子「あら霊夢、お久しぶりねぇ…あら?」

 

 

小傘「!」

 

 

幽々子「…美味しそうな茄子ねぇ」ジュルリ

 

 

小傘「こ、これは私の傘ですよぉ!」

 

 

幽々子「あら残念♪」

 

 

霊夢「私の話を聞きなさいよ!」

 

 

幽々子「ん~?」

 

 

霊夢「幽々子、さっき物凄い形相で紫がここに…まあ、すっ飛んで来たのよ、その原因はあんたにあるんだろうって私はにらんでるんだけど」

 

 

幽々子「私は何にもしてないわぁ~♪」

 

 

紫「したじゃないのよ!」

 

 

霊夢「あんたは黙ってなさい!」

 

 

小傘(な、なんか私場違いな気がするよ~…)

 

 

幽々子「本当に何もしてないわ…むしろ私が紫に聞きに来たのよ? 何故逃げたのか」

 

 

紫「あんなもの見せられてやられて! 逃げない方がどうかしてるわよ!」

 

 

霊夢、小傘「?」

 

 

幽々子「そこまで言わなくてもいいじゃない、酷いわぁ…♪ それにその言い方だと妖夢と藍ちゃんがどうかしてると言ってる様に聞こえるわ」

 

 

紫「そう言ってるのよ! 千年の時の中で一番の恐怖を感じたのよ!?」

 

 

小傘「千年?」

 

 

霊夢「二人は千年以上親友やってるんだって、まぁそんなことより」

 

 

霊夢「話が進まないわ!」

 

 

霊夢「ここからは私が仕切る! あんた達二人は黙る!」

 

 

紫、幽々子「えー…」

 

 

霊夢「そこだけ息を合わせるんじゃない! 喧嘩中なんでしょ!?」

 

 

紫「喧嘩なんかしてないわよ?」

 

 

幽々子「私紫と喧嘩なんかしたら生きていけないわぁ」

 

 

霊夢「何でもいい! 二人とも正座! とにかく整理させなさい!」

 

 

紫、幽々子「は~い♪」

 

 

小傘(霊夢しっかりしてるなぁ)

 

 

霊夢「紫、あんたは幽々子の何を見て驚き、ここに逃げて来たの?」

 

 

紫「!? そ、それは…」

 

 

小傘「?」

 

 

霊夢「言いなさい」

 

 

紫「ゆ、幽々子の特技よ! さっきの食事のくだりは聞いたわね? その時にいきなり幽々子がやったのよ!」

 

 

霊夢、小傘「特技?」

 

 

幽々子「出来るのかなぁって思ってやってみたら出来たの♪ 最近覚えたのよ」

 

 

霊夢「…見せてもらえる?」

 

 

紫「霊夢! 後悔するわよ!? 怖いもの見たさが身を滅ぼすのよ!?」

 

 

霊夢「うるっさい! 幽々子、見せてもらえる?」

 

 

幽々子「良いわよぉ♪ 紫、あれ…なんだったかしらあのパン」

 

 

紫「フ…フランスパン」

 

 

幽々子「そうそう♪ あの美味しくて細長いパンね、あれが一番やり易いの」

 

 

紫「…」スッ

 

 

 ギュオン ゴソゴソ

 

 

 紫はスキマに手を突っ込んでフランスパンを取り出し、幽々子に手渡した、長さ50cmぐらいの物だ

 

 

小傘「わ、何か美味しそう」

 

 

霊夢「何が始まるのかしら」

 

 

紫「…」ザッ

 

 

霊夢「なんで手を後ろに回してんの?」

 

 

紫「…」

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 幽々子は笑顔を崩さぬまま、フランスパンを口元に持っていき、手を止めた

 

 

霊夢「…?」

 

 

紫「…」

 

 

小傘「?」

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 幽々子はフランスパンが口元にあるのにも関わらず食べようとしない、普段の幽々子ならもうかぶりついている筈

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

霊夢「…?」

 

 

小傘「食べないの?」

 

 

紫「…」ブルブル

 

 

 五秒…十秒…十五秒……動かない

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

霊夢、小傘「…?」

 

 

 二十秒…二十五秒…三十秒……動かない

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 三十五秒…四十秒…

 

 

幽々子「♪」ニコニコ

 

 

 四十四秒…

 

 

幽々子「 」フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     ムッシャア……

 

 

霊夢「は!?」

 

 

小傘「え!?」

 

 

紫「あ、あぁ…うぁ…」

 

 

幽々子「♪」ゴクン

 

 

 

 

 フランスパンが

 

 

 

 

幽々子「ふぅ…ん~♪ この食感♪ 美味しいわぁ♪」

 

 

 

 

 

 四十四秒足った瞬間、幽々子は微動だにしていない筈なのに

 

 

 

 

紫「い、いぃ…」ガタガタ

 

 

霊夢、小傘「!!?」

 

 

幽々子「うふふ♪ 見てくれた? これが」

 

 

 

 

 

 50CMから10CMになっていた

 

 

 

 

紫「いぃやあぁぁあ!!!」スッ

 

 

 ギュオン

 

 紫はスキマの中に逃げ出した!

 

 

 

幽々子「あん♪ 紫、また逃げるの? こうなったらとことん付き合ってあげるわぁ♪ …ん?」

 

 

霊夢、小傘「 」ポカーン

 

 

幽々子「ねぇねぇどうだった? 私の特技♪ すごいでしょ?」

 

 

小傘「す、すごい…です、その、こういう驚き方もあるんですね…言葉がでない…は、初めて知りました」 

 

 

幽々子「お化けちゃんにそう言ってもらえると特技として誇れるわねぇ♪ 霊夢は?」

 

 

小傘(お化けちゃん…)

 

 

霊夢「いや…ちょっと驚いたけど何か…あんたらしい特技よね、今度宴会でやってみたら?」

 

 

幽々子「霊夢のお墨付きね♪ 素直に嬉しいわぁ」

 

 

霊夢「私の評価は置いといて、どうも腑に落ちないんだけど」

 

 

幽々子「何が?」

 

 

霊夢「あのお馬鹿がそれにビクビクしてる理由」

 

 

幽々子「それはこっちが聞きたいわぁ、ただ特技を披露しただけなのに何故私から逃げるのかをね」

 

 

霊夢「確かあんたらさっきまでお昼食べてたんでしょ?その時の話をして」

 

 

幽々子「え~めんどくさいわぁ♪」

 

 

霊夢「話しなさいよ! 消化不良なのよ!」

 

 

幽々子「こら霊夢、食生活はちゃんとなさいな、紫が悲しむわよ?」

 

 

霊夢「そっちの消化不良じゃないわよ!! あんたもほんとにめんどくさいわね!?」

 

 

小傘「れ、霊夢、落ち着いて?」

 

 

霊夢「…話してくれたらこの前アリスが作ってくれた洋菓子を」

 

 スッ

 

幽々子「座りなさい二人とも、話してあげるわ」キリッ

 

 

小傘「えっ!?」

 

 

霊夢(こういうのにはちょろいのよね)

 

 

幽々子「白玉楼で紫にこの特技を披露した直後からでいい?」

 

 

霊夢「えぇ」

 

 

小傘(さっきと別人みたいだなぁ、かっこいい)

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 《四十分前、白玉楼》

 

 

 

   ムッシャア……

 

 

幽々子『ふぅ…♪』

 

 

八雲藍『えぇ!?』

 

 

紫『…!』

 

 

魂魄妖夢『あの、幽々子様…それどうやってるんですか?』

 

 

幽々子『精神を集中させて食べ物と真剣に向き合えば誰だって出来るわよぉ♪』

 

 

妖夢『出来ませんよ…』

 

 

藍『なんとも…幽々子殿らしい特技ですね』

 

 

幽々子『そう? ねぇ、紫はどう思う?』

 

 

紫『…』

 

 

幽々子『? 紫?』

 

 

妖夢『紫様?』

 

 

藍『紫様、どうかなさいましたか?』

 

 

紫『…』

 

 

 紫こと八雲のゆかりんは普通の妖怪ではありません、ゆかりんは幽々子が披露した特技を見て瞬間的に思ってしまいました、もし

 

 

 もし幽々子が絶対に噛み千切らないものをこの特技でやってみたらどうなるのだろうと

 

 

紫『…』スッ

 

 

藍、妖夢『?』

 

 

幽々子『ん~?』

 

 

 紫は探求心から自分の手を幽々子の口元に持っていきました。

 

 今、幽々子の口元には紫の握りこぶしがあります

 

 

幽々子『…! ♪』

 

 

 幽々子は親友の探求心を察しました

 

 

幽々子『♪』ニコニコ

 

 

紫『…』ドキドキ

 

 

藍、妖夢『?』

 

 

 十秒…二十秒…三十秒…

 

 

紫『…』ドキドキ

 

 

幽々子『♪』ニコニコ

 

 

 四十秒…

 

 

幽々子『♪』ニコニコ

 

 

 

 四十四秒

 

 

 

幽々子『 』フッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    パッックゥ……

 

 

紫『!!?』ゾワゾワ!

 

 

幽々子『ん~♪』

 

 

藍、妖夢『!?』

 

 

 一瞬の出来事でした、紫の手は腕の関節辺りまで幽々子な口の中に入ってしまいました、噛み千切られてはいませんが

 

 

 八雲紫という名の妖怪に得体の知れない恐怖が全身を駆け巡りました、そしてこう思いました

 

 

 『あ、これほっといたら死ぬやつだ』と

 

 

 

紫『いやぁぁあああ!!!』

 

 

幽々子『ガジガジ、ゆふぁひぃ、あなひゃのうへっへ、いはいひおいひいふぉへぇ』モグモグ

 

 

紫『怖い怖い怖い怖いぃ!!? 離して離して幽久子ぉ!!』ジタバタ

 

 

幽々子『ふぉふぉふぁふぁふいひひっひゃおうふぁひふぁ♪ ふぁ~んふぇ』モグモグ

 

 

紫『い、いやあぁぁ!! 食い千切られるのはイヤァ!!』スッ

 

 

 ギュオン

 

 紫はスキマを開き幽々子の口の中、そして自分の境界線を操り、命からがら逃げ出しました

 

 

幽々子『あん♪ 紫…? んもう何処行っちゃったのかしら?』

 

 

藍、妖夢『 』ポカーン

 

 

幽々子『ん~♪ しょうがないわねぇ♪ 二人とも、私紫のこと探してくるわぁ♪ 食後の運動がてらね♪』スッ

 

 ヒューン

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

 

 

 《現在、博麗神社》

 

 

幽々子「ねぇ酷いと思わない? 私は特技を披露しただけなのに紫ったら急に逃げちゃって」

 

 

小傘「え!? いや、あの」

 

 

霊夢「小傘」

 

 

小傘「え」

 

 

霊夢「たぶんこれ以上は…ってやつよ」

 

 

小傘「ほぇ…?」

 

 

霊夢「まあ、良いわもう…何か疲れたし、暇潰しにもなったし…ツッコミももういいや」

 

 

幽々子「そんなことより霊夢、洋菓子は?」

 

 

霊夢「その棚の上の箱ん中」

 

 

幽々子「♪」スッ

 

 

霊夢、小傘「…」

 

 

小傘「霊夢、人を驚かせるってなんなんだろうね…」

 

 

霊夢「私が知るわけないじゃない…」グッタリ

 

 

幽々子「ん~♪ おいひぃ~♪」モグモグ

 

 

 

 

 

 

   おしまい!

 

 

 






 読んでいただいている皆様に感謝します、ありがとうございます!

 それではまた次回♪




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《第3話》『守矢家と八雲家と橙の一日』



 読者の皆様読んでいただいてありがとうございます!

 これからも、そして新しく読んでいただく方も『東方紫藍談』をよろしくお願いします。



 今回ちょっとパロディー要素強めです、外の世界に縁のある方々ですので一応ぼかしてます。

 二章仕立てにしてます。



 それでは始まります♪




 

 

  【一章 八雲家と守矢家のお鍋】

 

 

 

  《マヨヒガ 夜 居間》

 

 

 

 

 

橙(幻想郷の皆さんいかがお過ごしでしょうか、八雲藍様が式、橙です)

 

 

橙(冬…寒い季節になりました、一部の妖怪の皆さんには厳しい季節かもしれません、かくいう橙も冬は苦手です、しかし幻想郷にはせっかく四季があるのだから楽しむことも必要…橙はそう思います)

 

 

橙(春にリリーさん、夏には幽香さん、秋には静葉さんと穰子さん、冬にはレティさん…幻想郷の四季には欠かせないこの人たちがいるからこそ四季を楽しむことが出来、四季が移り変わっても幻想郷の平和が保たれているのだと橙は思います、幽香さんは夏を司っている訳ではありませんが)

 

 

橙(そう…幻想郷はいつも平和…平和なはずなのですが)

 

 

橙(…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲藍「紫様、お行儀が悪いですよ!」

 

 

東風谷早苗「諏訪子様、お下品ですよ!」

 

 

八坂神奈子「お前らなぁ…」

 

 

 

 

八雲紫「くおおぉぉ…!」グググ

 

 

洩矢諏訪子「ふぬぬぬぬ…!」グググ

 

 

 

 

橙(今…橙の第二の居場所であるここマヨヒガでは紫様、藍様、橙の八雲家、早苗さん、諏訪子さん、神奈子さんの守矢家の皆さんとで、炬燵に足を入れつつお鍋を囲んでいるのですが)

 

 

 

紫「肉を…! 離せっ…!」グググ

 

 

諏訪子「嫌だ…! よっ…!」グググ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橙(お肉を先に食べようと争っています)

 

 

 

 

 

 

 

神奈子「せっかくの鍋パーティーなのに静かに食えないのかお前たちは」

 

 

紫「うっさい! ガン○ャノンは黙ってなさい!」

 

 

諏訪子「うるさいよ! 妖怪三段腹は黙ってなよ!」

 

 

神奈子「今は装備してないだろうが! それと誰がみ○えだ! 妖怪でも無いわ!」

 

 

藍「八坂殿、ペースに乗せられるな…頭が痛くなるぞ」

 

 

神奈子「む…」

 

 

早苗「お肉なら山ほどあるんですから譲り合いましょうよ!」

 

 

紫「こんな時ばかり常識、常識…コロコロ変わってちゃいけないと思うわよ?」グググ

 

 

諏訪子「早苗! このまま私が負けても良いの!? 私はそんな風に育てた覚えはないよ!」グググ

 

 

早苗「常識は常に私の心にあるんですー! それと諏訪子様! お鍋に勝ち負けはありませんよ!?」

 

 

藍「東風谷早苗、お前もだ」

 

 

早苗「むむむ…」

 

 

 

紫「こんにゃろうがぁ…!」グググ

 

 

諏訪子「負~け~る~かぁ…!」グググ

 

 

 

藍、神奈子、早苗「まったくもう!」

 

 

橙(…)

 

 

紫「フフフ洩矢諏訪子♪ 少し、ほんのすこ~しでいいから箸から指を離してみない?」グググ

 

 

諏訪子「八雲紫、箸から指の力を抜くだけの簡単なお仕事だよ♪ やってみようよ♪」グググ

 

 

紫「それじゃ『いっせーのせっ!』でお互いにやりましょう」

 

 

諏訪子「仕方ないね、その方が平和的な解決だしね、良いよ~♪」

 

 

紫「んじゃ行くわよ?」

 

 

紫、諏訪子「いっせーのせっ!」

 

 

紫「…」グググ

 

 

諏訪子「…」グググ

 

 

紫「…」グググ

 

 

諏訪子「…」グググ

 

 

早苗、神奈子、藍「…」

 

 

橙「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「おるぅぁぁ!」グググ

諏訪子「ぶるぁぁぁ!」グググ

 

 

神奈子、藍「いい加減にしろぉ!」

 

 

紫「お肉を引きちぎる気かしら!? この肉の裏には八雲藍って名前が書いてあんのよ!」グググ

 

 

藍「そこで私!?」

 

 

諏訪子「だったら八雲藍に渡しなよ!」グググ

 

 

紫「私の物は私の物、藍の物も私の物なのだ!」グググ

 

 

藍「はぁ!?」

 

 

神奈子「どこのガキ大将の理屈だ!」

 

 

諏訪子「大体肉に名前が書けるわけないじゃんか! ボケてんじゃないの!?」グググ

 

 

紫「スキマで書いてあんのよ!」グググ

 

 

藍、神奈子「やりかねないなぁ!!」

 

 

諏訪子「なら私も神パワーで肉に名前を書いておいたのさ! めくってごらんよ!」グググ

 

 

紫「スキマの上からだと!?」

 

 

諏訪子「スキマの上からだよ!!」

 

 

藍、神奈子「こっちもやりかねないなぁ!」

 

 

神奈子「いや待て諏訪子! お前今名前書けるわけないって言ったよな!?」

 

 

諏訪子「勘がいい神奈子は大好きだよチキショーめ!」

 

 

紫「めくってみればわかるのよ! めくらせろ!」グググ

 

 

諏訪子「めくった隙に盗る気だな!? させないよ!」グググ

 

 

紫「ケロちゃんの分際で…! ケロちゃんはケロちゃんらしく虫でも食ってなさいよ!」グググ

 

 

諏訪子「虫なんざ食えるかぁ! 私は早苗が作ったもんと美味しいものしか食わないんだよ!」グググ

 

 

早苗「紫さんのケロちゃんって言い方可愛い…!」

 

 

神奈子「そこなの!? ってこら早苗、その変な空間から戻っておいで!」

 

 

紫「その長い舌を引っこ抜いてやろうかしら!?」

 

 

諏訪子「引っこ抜くだぁ!? ケロちゃんが引っこ抜くのはグ○ンドリオンだって相場は決まってんだ! 世界一格好いいカエルを知らないのか!?」

 

 

紫「なんの話だよ!?」

 

 

諏訪子「ゲームだよ!!」

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「…?」

 

 

早苗、神奈子(あのゲームかぁ、懐かしい…)

 

 

橙(…)

 

 

紫「幻想郷の管理人が命ずる! 今すぐにこの肉を離せ!」グググ

 

 

諏訪子「神は言っている、この肉は貴様に食われる運命ではないと!」グググ

 

 

紫、諏訪子「うおおぉぉ!」スッ

 

 

 ドタバタ! ドタバタ!

 

 

早苗「あぁとうとう炬燵からお二人が移動してしまいました、お肉空中戦線ですね! 肉汁が畳に飛び散る中、果たしてどちらが勝つのでしょうか!?」

 

 

神奈子「早苗、実況はやめなさい…はぁ、もう勝手にやっててくれ」

 

 

藍「あぁ私も同感だ…紫様、埃が舞わない程度に暴れて下さいね」

 

 

紫「あぁん!? なんか言ったぁ!?」

 

 

藍「いえ…」

 

 

早苗「ぶー、まぁ今のうちに食べちゃいましょう♪」

 

 

橙(…)

 

 

 

 

 

 オラー! クルァ!

 

 

神奈子「しかし八雲藍、どうして私たちとお前たちとで鍋パーティーしようという流れになったんだ?」

 

 

藍「東風谷早苗から聞いていなかったのか?」

 

 

神奈子「あぁ、私が地底の間欠泉センターの点検が終わって家に戻ったら急に諏訪子と早苗が『マヨヒガ行くぞー! お鍋だお鍋♪』と騒いでいるところに遭遇してなんの説明も無いままここまで連れてこられたからな」

 

 

早苗「あれ? そうでしたっけ?」

 

 

神奈子「飢えた獣の様だったぞ? 活動中の時はいいが、私たち家族間での時は常識は捨ててはダメだ」

 

 

早苗「て、てへっ♪」テヘペロ

 

 

神奈子「早苗、割と真面目だぞ?」

 

 

早苗「ご、ごめんなさい…」

 

 

 ケロー!? フハハ!

 

 

 

藍(宗教活動中も常識を持てと突っ込んだら負けか?)

 

 

早苗「え~っと…今日のお昼頃に橙さんが守矢神社まで来てくれまして『紫様がお鍋パーティーをしたいから守矢一家の皆さんで来てください』と紫さんからの伝言を私と諏訪子様に伝えてくれたんです」

 

 

神奈子「ふ~ん…どういう風の吹き回しだ?」

 

 

藍「別に下心も何もない、単に交流を深めたいと思っての事だ」

 

 

神奈子「それは紫からの提案か?」

 

 

 ヌァ!? ケロケロ!

 

 

藍「あぁ、それと私も提案していたから半々と言ったところだ」

 

 

神奈子「ふむ…」

 

 

早苗「神奈子様? あまり勘ぐるのはダメですよ? せっかくのお誘いなのですから素直に受け取りましょう、食べ物も紫さんたちの提供ですし」

 

 

神奈子「別に勘ぐっては…いや、勘ぐっているのか?」

 

 

早苗「神奈子様の悪い癖ですよ?」

 

 

神奈子「ん~言い返せないな…すまん、気を悪くしたか?」

 

 

藍「いや、その気持ちがあるのなら充分さ」

 

 

藍(この二人は半分まともだ…洩矢諏訪子共々悪ノリがなければ比較的大人しい…それに比べて家は)チラッ

 

 

 

 

諏訪子「このケロちゃん帽子を見ろ! 継ぎ目の無い美しいフォルムだろう!?」グググ

 

 

紫「無駄よ! あなたの帽子見てる暇があったらこの肉を見る! 引っ掛からんぞこのバカちんがぁ!」グググ

 

 

諏訪子「チッ!」

 

 

 

 

 

藍(子供っぽいのは洩矢諏訪子だけか?)

 

 

橙(…)

 

 

早苗「あ、そういえば交流って言っても博麗神社とかの宴会で散々やってますよね?」

 

 

神奈子「だから不思議に思っていたんだ、説明もなかったしな」ジトッ

 

 

早苗「そ、そんな目で見ないで下さいよ」

 

 

藍「…感謝だよ」

 

 

早苗、神奈子「感謝?」

 

 

藍「私と紫様から東風谷早苗に向けてな」

 

 

早苗「えぇ!? わ、私ですか!?」

 

 

藍「あぁ、お前は日頃橙と良く遊んでくれている様だからな、そのお礼だよ」

 

 

早苗「!」

 

 

藍「それともう一つ、紫様としては霊夢と色々な意味で交流しているお前に感謝している様だ、顔や口には出さないが私には分かる」

 

 

早苗「…! ちぇ、橙さんとはお友達ですし…それに霊夢さんとはその、商売敵ではありますが楽しくさせていただいてますけど…///」カァ

 

 

神奈子「あっはっはっは! 早苗、顔が赤くなってるぞ?」

 

 

早苗「あうぅ…///」

 

 

藍「紫様に代わって礼を言わせてもらおう、もちろん私の気持ちもある、橙…それから霊夢たちと仲良くしてくれてありがとう…」スッ

 

 

早苗「そ、そんな…頭まで下げなくても…!」

 

 

神奈子「早苗は昔から突然褒められたり、お礼言われるのに弱いからなぁ」ニヤニヤ

 

 

早苗「ニヤニヤしないで下さいよぉ…!」

 

 

神奈子「私と諏訪子はここに来て良かったのか? これは早苗の為みたいなところがあるだろう?」

 

 

藍「良いんだ、二人には幻想郷に新しい刺激を与えてもらっている、その礼も兼ねているんだ」

 

 

神奈子「! ふっ、そうか」

 

 

藍「まぁやり過ぎはよくないとは思う、何の相談も無しに…というのもな」

 

 

神奈子「! う~む…なるべく善処はしよう、私たちも幻想郷に生きるものだからな」

 

 

橙(…)

 

 

藍「…! 橙、さっきからどうしたんだい? ずっと黙っているけど」

 

 

橙「え? あっ…そう、でしたか?」

 

 

藍「うん、何か思い詰めているようにも見えたよ」

 

 

橙「思い詰める、ですか…」

 

 

神奈子「鍋にも手を付けていないな、悩みでもあるのか?」

 

 

橙「あ…えと、悩みとかではないんですけど」

 

 

早苗「ん~…橙さん、何かあるのなら話してみて下さい、楽になれるかもしれませんよ?」

 

 

橙「……はい、ありがとうございます…えっと、今こんなこと言うのは変かもしれないんですけど」

 

 

神奈子、早苗、藍「?」

 

 

橙「なんか自分でも良く分からないんです…けど橙は今とても幸せだなって思ったんです」

 

 

 

 

紫「…!」ピタッ

 

 

諏訪子「…?」ピタッ

 

 

 

 

神奈子「幸せ?」

 

 

橙「はい、ここには一緒にご飯を食べて、笑い会えて、時には喧嘩もするけれどとても暖かい大切な人がいる…この空間を見て感じて、橙はとても幸せな気分になったんです」

 

 

藍「…」

 

 

早苗「橙さん…」

 

 

橙「紫様と藍様、早苗さん神奈子さん諏訪子さんを見ていたらその思いで頭がいっぱいになっちゃいました、自分でも良く分からないんですけど…」

 

 

藍「橙、それは全然変な事なんかじゃないよ」

 

 

橙「藍様…」

 

 

藍「私もそう思う時があるからね、紫様が天変地異の如き非日常を私に押し付けようとも私はそれを受け入れ、幸せだと感じてしまう…橙と会話をしている時だって私はずっと幸せを感じているんだよ」

 

 

橙「そうなのですか…!?」

 

 

藍「うん、私も昔は今の橙の様に自分の幸せについて考えた事があるから橙の気持ちが分かるんだ」

 

 

藍「その思いに自分で気付けて実感出来ているのは橙が成長している証拠さ、だから自分の気持ちに変なんて言ってはいけないよ」

 

 

橙「藍様…!」

 

 

神奈子「私も…」

 

 

橙「神奈子さん…?」

 

 

神奈子「昔は戦いの毎日で自分の幸せについてなんかこれっぽっちも考えた事無かったが…今の私は幸せな毎日を送れているんだろうな」

 

 

神奈子「長い長い戦争が終わり、だらだらと外の世界で過ごし、幻想郷に来て何だかんだあって落ち着いた…気付けば幻想郷の住人として早苗と諏訪子、そして他の住人たちと楽しくやっている」

 

 

諏訪子「…」

 

 

橙「それが神奈子さんの幸せ…ですか?」

 

 

神奈子「まあそう、なんだろうな…今思えばそうなのだろう、うん…」

 

 

早苗「あ~♪ 神奈子様照れてますね♪」

 

 

神奈子「て、照れてない! からかうんじゃないよ、それに神が幸せじゃなければ信仰してくれている者にも幸せは届けられんからな」

 

 

早苗「まあ今はそういう事にしておきましょう♪」

 

 

神奈子「早苗~?」

 

 

早苗「ふふっ、さっきのお返しです♪ でも良かった…橙さん私たちに話せない様な悩みを抱えていたのでは無かったんですね、ホッとしましたよ」

 

 

橙「! ごめんなさい、心配掛けて…」

 

 

早苗「良いんですよ、私たち友達じゃないですか♪ 心配するのは当たり前のことですよ」

 

 

橙「早苗さんありがとうございます…! あ、早苗さんの思う幸せは…?」

 

 

早苗「私ですか? 私は神奈子様のお考えと一緒ですね、もちろん橙さんや霊夢さんたちとお話したりという事も私の大切な幸せの一部です、そうなったというのがポイントです♪」

 

 

早苗「でも、そうですね…正直言ってしまうとやはり守矢の神社で諏訪子様と神奈子様のお二人と談笑し会うのが一番の幸せです」

 

 

早苗「橙さんもそうなのではないですか?」

 

 

橙「!!」

 

 

早苗「師弟関係とか家の力を継ぐとかがあったとしても家族ですから特別視は仕方ないことなのです、でもその気持ちは大事にしてください、決して恥じる事ではないのですから♪」ニコッ

 

 

橙「はい! 私も紫様と藍様と一緒にいる時間が一番の幸せです! えへへ♪」ニコッ

 

 

早苗「お~ちゃんと自分の言葉で言えましたね! とても立派ですよ、ふふっ♪」ニコッ

 

 

藍(橙、また一歩成長したね…東風谷早苗ありがとう、お前のお陰で橙はまた大事なことに気付けた様だ)

 

 

神奈子(早苗、本気で嬉しそうだね、お前がその笑顔を見せる度に私も…いや私たちも…か)

 

 

神奈子(橙…これからも早苗と仲良くしてやってくれな、早苗の友になってくれたことを感謝しているよ)

 

 

藍「橙、良かったね」

 

 

橙「はい、藍様!」

 

 

神奈子「さぁ、気を取り直して鍋をつつこうじゃないか、ご厚意には甘えねばな」

 

 

早苗「はい! あ、私よそいます♪」

 

 

 

 ワイワイ♪ キャッキャッ♪

 

 

 

紫「…」

 

 

諏訪子「…」

 

 

紫「なにこれ」

 

 

諏訪子「寂しい」

 

 

紫、諏訪子「…」

 

 

紫「ふん…」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

諏訪子「あ」

 

 

 

 紫は諏訪子と先程まで取り合っていたお肉をスキマで真っ二つにした。

 

 箸と箸の間にぶら下がっていたお肉は紫と諏訪子の引っ張り会いから漸く解放され、二人の口の中に放り込まれた。

 

 

 

紫「…」モグモグ

 

 

諏訪子「…」モグモグ

 

 

紫「幸せ、か」

 

 

諏訪子「聞こえてたんだ」

 

 

紫「こっちの台詞よ」

 

 

紫、諏訪子「…」

 

 

諏訪子「私も神奈子と早苗とまったく同じ、守矢でワイワイやってんのが一番落ち着くし幸せ、それと早苗の幸せは私と神奈子の幸せでもあるのさ」

 

 

紫「あなたは分かるけど八坂神まで幸せなの?」

 

 

諏訪子「敵同士で戦ってたけど…今はそんなことはどうでもいいんだよ、ほら言うじゃん、苦楽を共にしたとか戦友とかさ、そんな感じでずっと一緒にいたから」

 

 

紫「敵同士だったのにね、おかしな話」

 

 

紫(って私が言うのも変よねぇ…)

 

 

諏訪子「あはは、自分でもそう思うよ」

 

 

諏訪子「…んで? お前の幸せは?」

 

 

紫「…」スッ

 

 

諏訪子「…?」

 

 

紫「ひみーつー♪」

 

 

諏訪子「なにぃ!?」

 

 

諏訪子「お、おい! ここは言う流れじゃん! 私喋ったじゃん!」

 

 

紫「あなたが勝手にケロケロ喋っただけでしょう? 私は簡単に流れにのせられなくてよ? オホホ♪」

 

 

諏訪子「空気読めよ! 言ーえーよー!」

 

 

紫「ゆかりんお口チャック! ジジジー♪」

 

 

諏訪子「あーうー! この堕落妖怪本当腹立つ~!」

 

 

紫「なっ!? 誰が堕落妖怪だクルァ!」

 

 

 

 ガヤガヤ! ガヤガヤ!

 

 

 

神奈子「あいつらまだやってるのか…」

 

 

早苗「あ、でも見てください! お肉が消えてます! 決着はついたみたいですね!」

 

 

藍「決着がついているのならあんな言い争いはしないだろうに…まったく、何をまだもめているんだ…」

 

 

橙「でも、お二人ともなんだか楽しそうです♪」

 

 

藍、神奈子「んー…」

 

 

 

紫「あなたにだけは堕落妖怪だとか呼ばれたく無いわね! この見た目詐欺師が!」

 

 

諏訪子「なんだとぅ!? このケロちゃんボディをバカにする奴は祟るぞ!」

 

 

紫「それだけはやめて下さいお願いします!! あれ結構トラウマなんです!!」ズイッ

 

 

諏訪子「詰め寄ってくるなぁ!! 痛い! 顔が当たって痛いからやめろぉ!」

 

 

紫「これ以上ゆかりん脅すとゆかりんビームくらわすわよ!? 一生藍の尻尾の毛先として余生を過ごす事になるわよ!?」

 

 

藍「えぇ!?」

 

 

早苗「!? ほ、ほう…♪」

 

 

神奈子「早苗!? 今くらってみたいと思わなかったか!?」

 

 

諏訪子「こっちの台詞だ!! ケロちゃんビームくらわすぞ! 一生ハエを食っていく余生を過ごす事になるよ!?」

 

 

藍「カエルにされるのか!?」

 

 

早苗「ふむ…?」

 

 

神奈子「早苗! それは奇跡でも何でもないからな!?」

 

 

 トテトテ

 

 

橙「紫様、諏訪子さん」

 

 

紫「橙! この見た目詐欺師をヤマザナドゥさんのとこに連れてくの手伝ってくれない!?」

 

 

諏訪子「あぁ!? 閻魔使うのは卑怯だぞ! 橙だったね、お前からもなにか言ってやってくれよ」

 

 

橙「ふふっ♪ そんなことよりお鍋一緒に食べませんか? とっても美味しいですよ♪」

 

 

紫、諏訪子「…!」

 

 

神奈子「ほら諏訪子、戻っておいで」

 

 

早苗「諏訪子様~! 諏訪子様の好きな鶏のつみれも入ってますよ~」

 

 

藍「紫様、鍋パーティーの話が出たときに一番はしゃいでいたのはあなたでしょう? ほんとにせっかくの機会なんですから楽しみましょうよ」

 

 

諏訪子「! ほう…?」ニヤニヤ

 

 

紫「ちょっ…! ら、藍…!」

 

 

諏訪子「うはは、スキマ破れたり!」

 

 

紫「うっさい!」

 

 

諏訪子「んなことは置いといて…橙、騒がしくして悪かったね、後これからも早苗と仲良くしてやってね」

 

 

橙「! はい!」

 

 

諏訪子「おーいい返事だ、さぁ鍋食うかー!」スタスタ

 

 

紫「…橙」

 

 

紫「ごめんね、私としたことが肉一枚ごときで争うなんてどうかしてたわ」

 

 

橙「良いんですよ、紫様楽しそうでしたし♪」

 

 

紫「! う~ん、楽しんでたかしら?」

 

 

橙「はい! 橙にはそう見えました」

 

 

紫「…ふふっ、あなたにそう見えていたのなら私は楽しんじゃってたのかしらね♪」

 

 

橙「これからもっと楽しくなりますよ♪ 一緒にお鍋食べましょう、紫様♪」

 

 

紫「ふふっ、ありがとう橙」ニコッ

 

 

藍(紫様…あなたがいつも楽しく過ごしていれば八雲家はいつも…)

 

 

紫「藍、ボケッとしてないの、お鍋食べちゃうわよ?」

 

 

藍「! はい、紫様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「え~それでは、八雲家と守矢家の親睦を深める鍋パーティーを改めて行います!」

 

 

諏訪子「八雲家と守矢家のますますの発展を願って~!」

 

 

 カンパーイ!!

 

 

 

 

橙(紫様と藍様…このお二人と一緒にいることが橙の幸せです、これはこれから先もずっと変わらない大切な思いです)

 

 

橙(大切な友達と過ごす時間も橙にとっての幸せなのだと今でははっきり言えます…そう感じることが出来る様になれたのは、他でもない紫様と藍様、そしてその友達…みんなのお陰だと思います)

 

 

橙(例えごくごく小さな幸せでもひとつひとつを大切に今を生きていこう)

 

 

橙(その思いを胸にこれからも幻想郷で八雲の名を継ぐために頑張ります)

 

 

橙(橙はもう昔の様にひとりぼっちじゃないですから…♪)

 

 

 

 

 

 

  第一章 完!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   【第二章】【妖怪の山へおつかい】

 

 

 

 

 これはマヨヒガで鍋パーティーが始まる数時間前のお話

 

 

 

 

 

 《人里、昼、寺子屋》

 

 

 

上白沢慧音「えー…では、番号!」

 

 

大妖精「一!」

 

 

橙「二!」

 

 

ミスティア・ローレライ「三!」

 

 

ルーミア「四!」

 

 

チルノ「六!」

 

 

リグル・ナイトバグ「六! ってえぇ!?」

 

 

藤原妹紅「チルノ…五だ、五」

 

 

チルノ「あれ…?」

 

 

大妖精「チルノちゃん、四の次は五だよ…」

 

 

ルーミア「バカなのかー?」

 

 

チルノ「わ、分かってたよそれぐらい! おいルーミア! ルーミアにはバカって言われたくないね!」

 

 

ルーミア「なんだとー!」

 

 

チルノ「やんのかぁ!」

 

 

大妖精「こら、二人とも喧嘩は駄目だよ?」

 

 

チルノ「むむ…い、今は大ちゃんに免じて許してやろう!」

 

 

ルーミア「大ちゃんには敵わないのか~…」

 

 

ミスティア「こんなんで大丈夫かな」

 

 

橙「大丈夫…だと思うよ」

 

 

リグル「いざとなったら私たちでなんとかしようよ」

 

 

ミスティア「大ちゃんの負担減らす係だね! 大ちゃん、私たちがサポートするからね!」

 

 

大妖精「負担って…あ、ありがとう…?」

 

 

妹紅「なぁ慧音、やっぱり私も…」ヒソヒソ

 

 

慧音「いや、これはこの子たちの成長を見るための宿題の様なものだ、大人の私たちが着いていくわけにはいかん」ヒソヒソ

 

 

妹紅「う~ん…仕方ないね」ヒソヒソ

 

 

慧音「良し、六人ちゃんといるな、放課後にお前たちに集まってもらったのには理由がある、妖怪の山におつかいを頼もうと思ってな」

 

 

大妖精「おつかいですか?」

 

 

慧音「あぁ、このメンバーで今日の夜、鍋をしようと思っている」

 

 

ルーミア、チルノ「鍋だと!!?」

 

 

リグル「うわっ、食いついた!」

 

 

慧音「だが食材が少し足りなくてな、肉はあるのだが野菜等が足りない」

 

 

妹紅「そこで野菜…まあ山菜だな、妖怪の山に取りに行ってほしいわけだ」

 

 

チルノ「こうしちゃいられないぞルーミア!」

 

 

ルーミア「行くのだ~♪」

 

 

妹紅「こらこら、話は最後まで聞けっての!」

 

 

大妖精「山菜…あ、みすちーなら分かる?」

 

 

ミスティア「大体は分かるけど、私は妖怪の山で食材の仕入れはあんまりやらないから…」

 

 

慧音「ふふっ、そこは心配するな、実は秋姉妹と話を付けていてな、冬に採れる山菜を既に彼女たちに用意してもらっている」

 

 

妹紅「要は妖怪の山に行って秋姉妹と会って、山菜をもらってここに帰ってくれば良いのさ」

 

 

チルノ「おー♪ なんだ簡単じゃん!」

 

 

ルーミア「チルノでも分かるのだ~♪」

 

 

リグル「ルーミア今さらっとチルノのことバカにしたよね…」

 

 

ミスティア「いつもの事だね」

 

 

大妖精「それなら安心です、慧音先生! ありがとうございます」

 

 

慧音「おー、褒めても鍋しか今日は出ないぞ」

 

 

妹紅「それじゃ出発…と言いたいところだがその前に橙から少しお前たちに話があるんだ」

 

 

リグル、ミスティア、チルノ「ん?」

 

 

大妖精「橙ちゃん?」

 

 

ルーミア「どうかしたのか~?」

 

 

橙「えっと…ごめん……今日の先生とみんなとのお鍋パーティーに橙は参加できないんだ…」

 

 

チ、ミ、リ、大、ル「えー!?」

 

 

チルノ「どうしたんだよ橙! まさか誰かにパーティー出るなとか脅されてるのか!?」

 

 

ルーミア「そいつの事教えなよ、噛み千切ってやるから」

 

 

ミスティア「それ人間? なら私の歌で…ふふっ♪」

 

 

リグル「虫たちに頼むのもありだよ?」

 

 

妹紅「怖い、怖いよお前ら」

 

 

橙「そ、そんなことされてないよ!」

 

 

慧音「こらお前たち、早合点するな」

 

 

大妖精「えと、どうして? 橙ちゃん」

 

 

橙「それは…」

 

 

 

 

 橙はチルノたちに慧音が主催する鍋パーティーに参加出来ない理由を説明した

 

 

 八雲紫主催の元、守矢家と八雲家で鍋パーティーを夜にすること、場所はマヨヒガですること等を簡単に説明した。

 

 

 

 

 

チ、ミ、リ、ル、大「えー…」ゲンナリ

 

 

妹紅「やる日と時間帯が被っちゃったんだな、良くある話だ」

 

 

慧音「皆分かってあげてな、橙だって皆と鍋したい気持ちは一緒なんだ」

 

 

橙「ごめんね、みんな…」

 

 

ミスティア「橙が謝ることないよ」

 

 

リグル「そうだよ、う~んでも仕方ないね」

 

 

ルーミア「相手が紫じゃなかったらな~…」ボソ

 

 

ミスティア、リグル「…え!?」

 

 

ルーミア「ん~♪」

 

 

チルノ「…」

 

 

大妖精「これは…うん、ほんとに仕方のないことなんだよね、私たちも橙ちゃんと出来ないのは寂しいけど…やっぱり家族の人との時間は大事にしないと…」

 

 

橙「大ちゃん…ありがとう」

 

 

妹紅(大妖精は本当に妖精なのかと思うときがあるな)

 

 

チルノ「なぁ、橙」

 

 

橙「?」

 

 

チルノ「あたいたちと鍋パーティーしたくない訳じゃないんだよね?」

 

 

橙「え?」

 

 

チルノ「どうなのさ?」

 

 

橙「したくないわけないよ…! チルノたちと一緒に橙もやりたいよ!」

 

 

チルノ「! そっか!」

 

 

チルノ「なら今度やるときは絶対、ぜーったい先生ともこたんとあたいたちでやるぞ! 約束だからな!」

 

 

橙「! うん! ありがとうチルノ!」

 

 

リグル「…またみんなが言いたいことを軽々と」

 

 

ミスティア「チルノのああいうところ見習いたいなぁ」

 

 

ルーミア「ボケないチルノなのか~♪」

 

 

大妖精「そうだねチルノちゃん、橙ちゃんも交えて今度はみんなでやろう!」

 

 

橙、大、ル、チ、ミ、リ、「おー!」

 

 

慧音(チルノ…ありがとうな)

 

 

妹紅(さらっともこたん…いや、今回は空気読むか)

 

 

大妖精「あ…先生、守矢さんということは」

 

 

慧音「察しが良いな、目的地は妖怪の山だから橙はついでに守矢神社に行ってその項を説明しに行く、紫から頼まれているんだ」

 

 

妹紅「そういうこった、んじゃお前たち食材の件は頼んだぞ」

 

 

チルノ「もこたん将軍! 了解しました! ズドン!」

 

 

橙、ミスティア、リグル「しました! ズドン!」

 

 

ルーミア「のだー♪」

 

 

大妖精「り、了解です…/// ず、ズドン…///」

 

 

妹紅「おらぁ! もこたんって言うなぁ!」

 

 

慧音「あははは!」

 

 

チルノ「よーし! 行くぞみんな!」

 

 

 おー! タタタ!!

 

 

慧音「気を付けてな~!」

 

 

妹紅「怪我すんなよ~!」

 

 

妹紅「…なぁ、慧音」

 

 

慧音「ん? どうした妹紅」

 

 

妹紅「私のことをもこたんって誰が最初に言い出したんだろうな」

 

 

慧音「…私だ」

 

 

妹紅「はぁ!?」

 

 

慧音「ふっ、冗談だ」

 

 

妹紅「…! お前が言うと冗談に聞こえないよ」

 

 

慧音(輝夜が元凶だなんて言ったら…うむ、辞めておこう、口は災いの元だ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 《妖怪の山、麓》

 

 

河城にとり「んじゃ秋姉妹に頼まれたの? この山菜の山を?」

 

 

鍵山雛「えぇ『冬は外に出たくねぇから…ほれ、これ子供に渡してくれ』って」

 

 

にとり「口悪いな!? 最早誰だよって感じなんだけど」

 

 

雛「秋が終わって憂鬱なんだって、冬はいつもこうだもんね…もうちょっと神様らしくしてくれると良いんだけど」

 

 

にとり「ね、あんな状態になってる秋姉妹に話を付けるあの先生は大したもんだよ」

 

 

 

 ワイワイ! ワイワイ!

 

 

 

にとり「お、団体さんのお出ましだ」

 

 

雛「ふふっ、賑やか♪」

 

 

チルノ「あ! 工場長とお雛様だ!」

 

 

ルーミア「工場長なのだ~♪ それとぼんぼり~♪」

 

 

リグル「ぷはっ…! ふふっ、ははは…!」プルプル

 

 

ミスティア「こ…工場っ…! あっははは!」プルプル

 

 

橙「ふふっ…!」プルプル

 

 

大妖精「ち、チルノちゃん! にとりさ…ふふっ…!」プルプル

 

 

にとり「おいぃぃ! 私をどこぞの親方みたいな言い方するな! それから笑うのをやめろぉ!」

 

 

雛「ふくっ…!」プルプル

 

 

にとり「雛まで笑うのかぁ!!」

 

 

雛「ご、ごめ…! ふふっ…」プルプル

 

 

チルノ「よっ! 工場長♪」

 

 

にとり「せめて発明家と言え発明家と!」

 

 

チルノ「何で怒ってんの?」

 

 

ルーミア「雷親方じゃないか~?」

 

 

にとり「親方属性をつけようとするな! なんだ雷親方ってのは! オヤジだろそこは!」

 

 

大妖精「ふふっ…ん``ん``…! ち、チルノちゃんルーミアちゃん! にとりさんに失礼だよ!」

 

 

チルノ、ルーミア「えー…」

 

 

にとり「お前も笑ってたな? ん?」

 

 

大妖精「ご、ごめんなさい!」

 

 

雛「にとり、詰め寄ったら可愛そうよ」

 

 

にとり「ちっ、まあいい…! そんなことよりガキんちょたち、これを見ろ!」スッ

 

 

 バーン!

 

 

チ、ル、大、橙、ミ、リ「おぉ!!」

 

 

雛(えぇここでそれ…? たくましいというかなんというか)

 

 

にとり「これはつい最近私が開発した道具、その名もノビーテツカーム1号だ!」

 

 

にとり「これは手を模して作った機械でね、ここの取っ手にグリップがあるだろう? ここを握ると…」グッ

 

 

 ギュイーン

 

 

チルノ、ミスティア、リグル「うおお!!」キラキラ

 

 

ルーミア「伸びたのだ~♪」

 

 

 ガシッ!

 

 

にとり「凄いだろ、そこに落ちてた石っころを掴んで手元まで持ってくるのさ! これはのびーるアームを小型化したもんで伸縮自在! 伸びる距離十三メートル! 壊れにくい! 防水!」

 

 

にとり「さあ、今ならお買い得だ! 本来なら、二万はするところをまけにまけて千三百! でどうだ!」

 

 

 シーン…

 

 

にとり「…ん、ん?」

 

 

ミスティア「お金とるの?」

 

 

リグル「これに?」

 

 

チルノ「マジ?」

 

 

ルーミア「なのか?」

 

 

橙、大妖精「…」

 

 

にとり「あ、当たり前じゃないか! こちとら制作費だのなんだの諸々」

 

 

 

チルノ「いらない」

ミスティア「いらない」

リグル「いらない」

大妖精「いらないです」

ルーミア「駄作」

橙「いらないです」

 

 

 

にとり「んなっ!?」

 

 

雛「にとり」

 

 

にとり「!」

 

 

雛「私もこれは買わない」

 

 

にとり「!!?」

 

 

ミスティア「あれで金取るとか無いよね、商売舐めんなって感じ、本当は最初から千三百の値打ちしかないのに二万て最初に言ってお買い得みたいに見せてるんだよ、下手な商売人のやり方だよ」

 

 

リグル「へぇ~…てかみすちーが言うと説得力があるね、怖いぐらいに」

 

 

ミスティア「伊達に屋台経営してないからね♪」

 

 

チルノ「ロボなら買ってた!」

 

 

ルーミア「肉なら買ってた!」

 

 

橙「流石にね…」

 

 

大妖精「うん…」

 

 

にとり「くそぅ…最近のガキんちょは小金持ちだと思ってたのに…」orz

 

 

雛「…あ、そうだわ、みんなはお野菜をここまで取りに来たのよね?」

 

 

大妖精「あ、はい、そうなんです」

 

 

橙「あれ? 雛さん何で知ってるんですか?」

 

 

雛「秋姉妹に頼まれたの、あの子たち今は動けない…まぁとにかく動けない状態でお野菜は渡してほしいって、はいこれ、確かに渡したわね」

 

 

大妖精「わぁ…! ありがとうございます!」

 

 

橙「ありがとうございます、雛さん!」

 

 

チルノ「おぉ! キノコに、これは…あ、苦いやつかなこれ」

 

 

ルーミア「うまそーだなー♪」

 

 

リグル「冬の味覚って感じなのかな? お鍋の中に入れたら美味しそう!」

 

 

ミスティア「うん、ほんとにね…」ジュルリ

 

 

リグル「え…み、みすちー!? な、何でそこで私を見るの!? ヨダレもたれてますけど!?」

 

 

大妖精「思ってた以上に早く手に入っちゃたね」

 

 

橙「そうだね、あ…じゃあ橙は守矢さんのところに行って来るね」

 

 

大妖精「橙ちゃん、一人で大丈夫?」

 

 

橙「大丈夫だよ、妖怪の山に住んでるんだから迷わないもん♪ 飛んで行けばすぐ近くだもん」

 

 

チルノ「そんじゃあたいたちここで待ってるからさ、早く行って来なよ、橙」

 

 

ルーミア「待ってるぞー♪」

 

 

ミスティア、リグル「行ってらっしゃい♪」

 

 

橙「うん! 行って来ます!」スッ

 

 

 ビューン

 

 

チルノ「早苗たちとも遊びたかったなー」

 

 

大妖精「またいつでも遊べるよ」

 

 

チルノ「にしし♪ そーだね♪」

 

 

にとり「ふふふふ…」ユラァ

 

 

雛「にとり? 大丈夫?」

 

 

にとり「いらないと言ったことは百歩譲って許してやろう…だがしかしぃ!!」

 

 

チ、ル、リ、大、ミ、雛「!?」

 

 

悪ノリにとり「この中に一人だけ私のノビーテツカームを駄作だと言いやがった悪ガキがいるなぁ…! 聞いてたんだぞ! 誰だぁ!?」

 

 

ルーミア「!」

 

 

チルノ「? あたい言ってないぞ」

 

 

ミスティア、リグル、大妖精「私も…」

 

 

にとり「…!」ギロッ!

 

 

雛「と、隣にいた私が言うわけないでしょ!」

 

 

ルーミア「!」ダラダラ

 

 

にとり「!」ジー

 

 

ルーミア「…わ、わはー…!」ダラダラ

 

 

にとり「…」ジー

 

 

ルーミア「…」ダラダラ

 

 

ルーミア「い、言ってないのかー!」ダラダラ

 

 

にとり「河童は水分…いや、汗を見過ごさない」

 

 

ルーミア「…」

 

 

にとり「…」

 

 

ルーミア「い、言ってないのだ~♪」ダラダラ

 

 

にとり「そーなのかー♪」

 

 

にとり、ルーミア「わはー♪」

 

 

にとり「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

チルノ「?」

 

 

大妖精、雛、リグル、ミスティア「…」

 

 

にとり「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

にとり「言ったのかー?」スッ

 

 

ルーミア「言ったのだー♪」スッ

 

 

にとり、ルーミア「わはー♪」

 

 

ルーミア「あ」

 

 

ルーミア「…」

 

 

にとり「…」

 

 

ミ、大、リ、雛「…」

 

 

チルノ「ルーミア今『あ』って言わなかった?」

 

 

ルーミア「おまっ!?」

 

 

にとり「お前かぁ!」スッ

 

 

 ポチっ! ギュイーン!

 

 

にとり「のびーるアームくすぐりバージョン! 行けぇい!!」

 

 

 ガシッ!

 

 

 

ルーミア「うおっ!?」

 

 

にとり「そ~ら、こちょこちょ地獄の刑だ! たっぷり味わえ!」

 

 

ルーミア「…!? わはははははっ!!? わひゃひゃ!!? わひゃひゃひゃ!!?」ジタバタ

 

 

大妖精「ルーミアちゃん!?」

 

 

チルノ「く、くそっ! ルーミアがやられた!」

 

 

リグル「やられた! 悪の手口だ!」

 

 

ミスティア「オネダンニトリンのこちょこちょ地獄から抜け出た者はいないと聞くが…」

 

 

チルノ「それでも助けるんだ! 行くぞみんな!」

 

 

リグル、ミスティア「おー♪」

 

 

大妖精、雛「え、えぇ…!?」

 

 

にとり「さらに倍!!」スッ

 

 

 ポチっ ギュイーン!

 

 

チルノ「リュックから出てるアームが!」

 

 

リグル「六本から十二本だと…!?」

 

 

ミスティア「不味いねこりゃ…」

 

 

ルーミア「ひーっ! ひーっ! あひゃひゃ!!? あははは!!?」

 

 

チルノ「ひ、怯むなー! ルーミアを助ける! あたいに続けー!」

 

 

にとり「かかって…来いやぁ!!」

 

 

チルノ「アイシクル…! フォール!!」

 

 

 

 

大妖精、雛「この茶番は何なのー!?」

 

 

 

 

 

 

 このあと橙が守矢神社から十五分後に戻って来るのだが

 

 

 そこには何かを成し遂げてボロボロになって満足げに倒れているにとりと、その横でガッツポーズをしているチルノ、ミスティア、リグル、ルーミア、状況についていけていない雛と大妖精の姿を見た橙は最初 

 

 

 何が何だか分からなかったという

 

 

 

 

 

 そして夜、悪の工場長を倒した武勇伝を慧音と妹紅はチルノたちから聞くことになるがそれはまた別のお話

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 







 ここまで読んでいただいてありがとうございました!

 お疲れ様でした!


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《第4話》『MUSHA NOTE』


 続けて読んでいただいている方、そしてこれからお読みになる方もこれからも宜しくお願いします! そしてありがとうございます! 


 今回の主役は、天邪鬼と…?

 オリキャラは出…あれ?


 あなたの好きなキャラが酷い目に合うかもですが救いはあります、そして今回は若干シリアス路線です


 
 それと今回は読み始めたら最後まで一気に読むか、面倒なら最後の真実を読むことをおすすめします。

 途中で読み終わると後味が悪くなると思うので…すいません、こんなに長い物語なのに本当に申し訳ないです


 それでは始まります、ゆっくり読んでいってください!



 

 

      【MUSHA NOTE】

 

 

 

 《人里、上空》

 

 

 

 今日も今日とて平和な幻想郷…なのだが人里の上空では小規模の争いが繰り広げられていた

 

 

 

 

 

鬼人正邪「は~っはっはっ! 悔しかったらここまで来てみろ!」

 

 

 

 緑色の唐草風呂敷に大量の本を抱えた正邪が言う

 

 

 

 

霧雨魔理沙「待ちやがれ! この泥棒が!」

 

 

正邪「お前にだけは言われたくねぇよ!」

 

 

二ツ岩マミゾウ「カッカッカッ! 確かにそうじゃのう」

 

 

魔理沙「おい納得すんなよ!」

 

 

マミゾウ「まちごうておらんじゃろうに…まぁ、何はともあれじゃ」

 

 

マミゾウ「その盗んだ大量の本を返せ天邪鬼、それは儂の友人の大切な商品なんじゃ、返さんと痛い目をみるぞい」

 

 

正邪「あぁ? 痛い目だぁ? やれるもんならやってみろよ」

 

 

マミゾウ「天邪鬼のクセによく吠える」

 

 

正邪「ただの狸が偉そうによぉ」

 

 

マミゾウ「…」ニヤッ

 

 

正邪「…」ニタァ

 

 

魔理沙「おいおい私がいんのも忘れんな? てかお前その本どうするつもりなんだよ」

 

 

正邪「はっ! んなもん決まってる!」

 

 

正邪「本はよく燃えるからなぁ…! 暖をとるために家で燃やしつくしてやんだよ!」

 

 

マミゾウ「そんなことのために…薪を割れ薪を」

 

 

正邪「薪だぁ? こっちの方が早いんだよ!」

 

 

マミゾウ「はぁ、くだらんことで盗みを…遊ばせておけばいい気になりおってからに」

 

 

魔理沙「まったくだ、燃やされんのはこの魔理沙さんに読まれてからだぜ!」

 

 

正邪「…」

 

 

マミゾウ「お主…取り返す為にここにおるんじゃよな?」

 

 

魔理沙「お、おうもちろんだ! と、とにかくその本返しやがれ!」

 

 

正邪「返せと言われて返すバカがどこにいんだよ! このバーカ!」

 

 

魔理沙「野郎っ…! マスタースパー…!」カチッ

 

 

マミゾウ「! 待て魔理沙」

 

 

魔理沙「ん!?」

 

 

マミゾウ「落ち着けい、そんなもん奴にフルで当たったら本当に本が燃えるじゃろうがい、弾幕はダメじゃ、別の方法…出来れば奴を捕まえるべきじゃ」

 

 

魔理沙「? どうすんだよ?」

 

 

マミゾウ「ちょいと耳貸してみい」

 

 

魔理沙「…?」

 

 

 

 

正邪「…あん?」

 

 

正邪「おいこらぁ! 何をコソコソと…!」ハッ

 

 

正邪(何か企んでやがんな? ここは保険として…)ゴソゴソ

 

 

 

マミゾウ「良いな?」

 

 

魔理沙「おう、任せときな」

 

 

マミゾウ「ふっ…ヘマするでないぞ?」スッ

 

 

魔理沙「へへっ、お前もな♪」スッ

 

 

正邪「…作戦会議は終わったか?」

 

 

マミゾウ「あぁ観念せい、今捕まえてやる」

 

 

魔理沙「行くぜ!」

 

 

正邪「へっ、来やがれ!」

 

 

魔理沙「星符『サテライトイリュージョン』!」

 

 

 

 魔理沙は自分の周囲に魔法の玉を6個旋回させる

 

 

 

正邪(! スペルカード!)

 

 

マミゾウ「…」スッ

 

 

正邪(! 狸は…)

 

 

マミゾウ「ドロン!」カッ

 

 

 

 ボフン! という音とともに白煙がマミゾウの体から舞う

 

 

 

正邪「うわっ!?」

 

 

正邪「チッ! 目眩ましか!」

 

 

正邪(くそっ! 煙であいつらの姿がわかんねぇ…お、ならここであのアイテムを…)ゴソゴソ

 

 

正邪「出てきやがれ! 卑怯だぞ!」

 

 

 

 ボボン!

 

 

 

魔理沙「お前に言われたかねぇよ!」スッ

 

 

正邪(来たな!)

 

 

魔理沙「彗星『ブレイジングスター』!」

 

 

正邪「なっ!? スペルカード二枚だとぉ!?」

 

 

 

 魔理沙はサテライトイリュージョンで出した七つの玉を自分を中心に旋回させながら、ブレイジングスターの凄まじい速度で正邪に突進していく

 

 

 

魔理沙「うおおおぉ!」ギューン

 

 

正邪(なっ!? 速っ…)

 

 

魔理沙「取った!」

 

 

正邪「うわあぁ…!」

 

 

正邪「なんてなぁ♪」

 

 

魔理沙「!?」

 

 

正邪「ひらり布!」ヒラッ

 

 

 

 スカッ…

 

 

 

魔理沙「くっ!」

 

 

正邪「はっはっは!」

 

 

 

 魔理沙は正邪にぶち当たると思いきや、正邪にヒラリとかわされてしまった

 

 

 

魔理沙「打出の小槌の不思議アイテムか!」

 

 

正邪「そうだ、当たると思ったのか?」

 

 

正邪「この本の為にお得意の弾幕を封印かぁ? そんなんで私を倒せると思うなよ!」

 

 

魔理沙「くっ…! このっ…!」ガシッ

 

 

 

 ブン!

 

 

 

正邪「! おっと…」スッ

 

 

 

 

 魔理沙はサテライトイリュージョンの玉を一個掴んで正邪にぶん投げたが、軽くかわされてしまう

 

 

 

 

正邪「ふん、他のアイテムを使うまでもないな」

 

 

魔理沙「…」フッ

 

 

正邪(スペルカードも時間切れか)

 

 

魔理沙「はぁ、はぁ…」

 

 

正邪「どうした、もう終わりかぁ!?」

 

 

魔理沙「あ、あぁ…残念だけど終わりだな」

 

 

正邪「ははは♪ 大したことないなぁ!? 城で戦った時の威勢はどうしたんだぁ!?」

 

 

魔理沙「だから…終わりだっつってんだろ♪」ニヤッ

 

 

 

 ボフン!

 

 

 

マミゾウ「お主がな♪」ニヤッ

 

 

正邪「なっ…!?」スッ

 

 

 

 突如、正邪の背後から現れたマミゾウは正邪を後ろから羽交い締めにした

 

 

 

マミゾウ「捕まえたぞい、天邪鬼確保じゃ♪」

 

 

正邪「なっ…! なぁ…!? お、お前…!」

 

 

マミゾウ「煙幕と魔理沙に気を取られ過ぎたのう、儂の事も忘れんでほしいもんじゃなぁ♪」

 

 

正邪「!??」

 

 

マミゾウ「何が起きたか分からんか?」

 

 

マミゾウ「魔理沙のサテライトイリュージョンの魔法の玉は最大で六つしか出ん、七つではない、最初に使った時と煙から出てきた時とでは旋回していた玉の数が違ったじゃろう?」

 

 

マミゾウ「では何故七つになったのか…簡単じゃ、儂が煙幕を張った後に儂が玉に化けただけのこと」

 

 

マミゾウ「そして魔理沙をお主に突撃させる、かわされる事も想定住みじゃ、そのことにイライラした魔理沙はお主に玉を投げる…儂が化けた玉をな」

 

 

マミゾウ「当然お主はその玉も避ける、じゃが儂はお主の後ろをとれる…という作戦じゃ」

 

 

正邪「だ、だが…! お前の変化は尻尾が…」

 

 

マミゾウ「儂が完璧に変化出来んと誰が言った、友の為なら頑張って化けたるわい」

 

 

魔理沙「でもお前なぁ、スペルカード二枚使用なんて普通は反則だからな? こんなとこ霊夢に見られたら八つ裂きにされるぜ」

 

 

マミゾウ「ふぉっふぉっ♪ 怖いのう♪ じゃが反則に反則を重ねている奴に反則をしても罰は当たらんて」

 

 

魔理沙「なら良いけどな…うし、年貢の納め時だな天邪鬼」

 

 

正邪「…」

 

 

マミゾウ「本は返してもらうぞい、さて…お主の身柄はどうしようかの」

 

 

魔理沙「なら紫のばあさんに預けようぜ、こいつのこと探してたからな『地獄のスキマ街道を拝ませてやるわぁ!』とか言ってたし」

 

 

マミゾウ「ばあさんて…それになんじゃその地獄のスキマ街道とは」

 

 

魔理沙「知らん、ただ通ったら最後、二度と普通の神経じゃいられないらしい」

 

 

マミゾウ「八雲紫も充分に怖いの」

 

 

正邪「あぁ…」

 

 

マミゾウ「ま、お主の悪行の数々、一つ一つ反省する事じゃ、八雲紫の所でみっちりとしごかれい」

 

 

正邪「ほんと…保険をかけといてホントニヨカッタゼ」

 

 

マミゾウ、魔理沙「ん!?」

 

 

 

 ボフッ! ゴッ!

 

 

 

 

マミゾウ「なんじゃと!?」

 

 

魔理沙「これは…身代わり地蔵か!」

 

 

 

 正邪の姿は身代わり地蔵に変わってしまった

 

 

 

魔理沙「小槌のアイテムを置いていかせるほど追い詰めたってのに…」

 

 

マミゾウ「相変わらず悪運は強い様じゃな…しかし本はこうして無事に取り返した、深追いは無用じゃ」

 

 

魔理沙「むう…この魔理沙さんの名がまた上がると思ったのによ」

 

 

マミゾウ「これ以上名を上げてどうするんじゃお主は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「はぁはぁ…あ、危なかった…」

 

 

正邪「くっそぉ魔法使いと狸め…味なまねしやがって、お陰でアイテムが一個パーになっちまった」

 

 

正邪「結局今回の戦利品はこれだけか…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「火の足しにはなるか…」

 

 

 

 

 

 

 

 《鈴奈庵》

 

 

 

本居小鈴「取り返してくれたんですね! 魔理沙さん! マミさん! 本当にありがとうございました!」ペコッ

 

 

マミゾウ「これこれ頭を下げるでない、儂らはここで偶然に泥棒に遭遇し、好き勝手に奴を追い掛けただけじゃよ」

 

 

魔理沙「小鈴の為だってハッキリ言えば良いじゃないか」

 

 

小鈴「私の、為…?」

 

 

マミゾウ「…」

 

 

魔理沙「そうだ、私たちと小鈴は友達だからな、困ってたら助けてやるのが当たり前だろ?」

 

 

マミゾウ「ま、まぁ……うむ…///」

 

 

小鈴「マミさん…!」ジーン

 

 

マミゾウ「! な、何を感じいっておる」

 

 

小鈴「私嬉しいんです…! マミさんが私の事を友達だと思っていてくれていることが…私、友達少ないから」

 

 

マミゾウ「! そう悲観するでない…お主とは儂が幻想郷に来てから長い付き合いになる、長らく一緒に居れば自然とそうなるもんじゃ」プイッ

 

 

小鈴「マミさん、ありがとう♪」ニコッ

 

 

マミゾウ「…///」

 

 

魔理沙「可愛いなお前」

 

 

マミゾウ「な、なんじゃと!?」

 

 

魔理沙「あっははは♪」

 

 

小鈴「ふふふ♪」

 

 

マミゾウ「…! 狸をからかうといつか化かされるぞい?」

 

 

魔理沙「そういうのには慣れてるぜ、いつでも化かしに来てくれ」

 

 

小鈴「あ、もちろん魔理沙さんもですよ、私の事を友達だと思ってくれてありがとうございます」

 

 

魔理沙「おいおい、私はついでか?」

 

 

小鈴「そんなことはないです!」

 

 

魔理沙「! 小鈴、友達ならここの本を借りていっても」

 

 

小鈴「それはダメです、霊夢さんとの約束は破れません」

 

 

魔理沙「くそぉ、霊夢に言われてから言い方が強くなったな小鈴」

 

 

小鈴「魔理沙さんに貸したら戻って来ないんですよね? ならダメです、家も商売ですので」

 

 

マミゾウ「商魂たくましいのう」

 

 

小鈴「ありがとうございます、マミさん!」ニパー

 

 

マミゾウ(何かある度にこちらにその眩しい笑顔で感謝してくるのは止めてくれんかのう、調子が狂う…///)

 

 

魔理沙「死ぬまで借りてるだけだって、でもなんか小鈴のとこから借りるという選択肢があまり出ないのも謎だな」

 

 

マミゾウ「自制心あるんかお主、なら紅魔の館にもその自制を働かせい」

 

 

魔理沙「あそこはまた別なんだよ、私にとっては特別な存在なんだよあの場所は、だから死ぬまで借り尽くすぜ」

 

 

マミゾウ「狩り尽くす、の間違いじゃなかろうか…」

 

 

 

小鈴「ふふっ♪ さて、本を棚に戻そっと♪」

 

 

 

マミゾウ「借りたもんは返さんといつか信頼を失うぞい」

 

 

魔理沙「大丈夫だ、霊夢から物は借りてないからな!」

 

 

マミゾウ「威張る方向が違うわい、回りの事を言っておるんじゃ」

 

 

魔理沙「皆快く貸してくれるぜ♪」

 

 

マミゾウ「あぁもうあれか…諦めてると言うか日常になってると言うか」

 

 

魔理沙「アリスはともかくとして紅魔館も最近はウェルカムな感じだぞ? 行ったら入れてくれるし、次いで地霊殿もな」

 

 

マミゾウ(普通なら嫌われる奴の典型なんじゃが、ここが幻想郷だからか、それとも魔理沙のひたすら前向きな性格と人柄故か)

 

 

マミゾウ「お主も不思議な奴じゃのう」

 

 

魔理沙「魔法使いは不思議ちゃんじゃなきゃやってられんからな」

 

 

マミゾウ「自分で言うなや」

 

 

魔理沙「はっはっは♪」

 

 

マミゾウ(聖もその部類に入っておったら面白いが、なんかコレジャナイ感があるのう……この言い回しも古いか?)

 

 

 

小鈴「あ、あれ!?」

 

 

 

 

マミゾウ、魔理沙「ん?」

 

 

小鈴「…」

 

 

魔理沙「どうした小鈴」

 

 

小鈴「あ、いえ…何でもないです」

 

 

マミゾウ「…これ」スッ

 

 

小鈴「あう」ペシッ

 

 

マミゾウ「そんなに大声を出して『何でもないです』はないじゃろう、話せ小鈴」

 

 

小鈴「で、でも…」

 

 

マミゾウ「でもも何もないわ、話さんかい」

 

 

小鈴「う…」

 

 

マミゾウ「……」

 

 

マミゾウ「儂は…お、お主の…ち、力になりたいんじゃよ…///」

 

 

小鈴「!」

 

 

魔理沙「お前可愛いな」

 

 

マミゾウ「なっ…! に、二度も言うなや!」

 

 

魔理沙「ははは! いやだってお前が照れてんのなんて初めて見たしよ」

 

 

マミゾウ「ぬう…」

 

 

魔理沙「まぁ小鈴、そういう訳だから話さない訳にはいかないぜ?」

 

 

小鈴「ありがとう、ございます」

 

 

マミゾウ「して…何事じゃ?」

 

 

小鈴「…あの天邪鬼の妖怪に本を泥棒されて、魔理沙さんとマミさんに取り返してもらって本はこうして戻ってきました」

 

 

魔理沙「あぁ」

 

 

小鈴「戻ってきた…んですけど」

 

 

小鈴「取られた本は全部で十二冊、戻ってきたのは全部で十一冊だったんです…」

 

 

魔理沙、マミゾウ「!?」

 

 

マミゾウ「なんと…」

 

 

魔理沙「まさかあいつどさくさにくすねたのか?」

 

 

マミゾウ「いや、逃避の途中、もしくはあの戦いの最中に何処かに落とした可能性も…いや、この際どっちでもええか」

 

 

魔理沙「だな、よし! 探すか!」

 

 

小鈴「な、なら私も!」

 

 

マミゾウ「お主はここに残れ」

 

 

小鈴「! マミさん…」

 

 

マミゾウ「さっき追っかけた時も言うたがお主は自分の店を守ることだけを考えい、天邪鬼のことは儂らに任せるんじゃ、それから負い目も感じるな、儂らは好きでやっとるんじゃからな」

 

 

魔理沙「そういうこった」

 

 

小鈴「…」

 

 

マミゾウ「ふぉっふぉっ…そんな顔をするな、もう一冊を手土産に必ず戻ってくるからの」

 

 

小鈴「…魔理沙さん! マミさん!」

 

 

マミゾウ、魔理沙「!」

 

 

小鈴「宜しくお願いします…!」ペコッ

 

 

魔理沙「おう!」

 

 

マミゾウ「ふっ…任せておけ」

 

 

魔理沙「小鈴、それでどの本が無いんだ?」

 

 

小鈴「あ、えぇっと、それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、正邪は…?

 

 

 

 

 《人里、正邪の隠れ家》

 

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

 

 メラメラ メラメラ

 

 

 

正邪「…」

 

 

 

 正邪は焚き火の火とにらめっこをしていた…いや正確には

 

 

 

正邪「なんだ…この本」

 

 

 

 焚き火の中に入れた鈴奈庵で手に入れた本とだ

 

 

 

正邪「何で…何でこの本は燃えないんだよ!?」

 

 

正邪「火の中につっこんでもう五分は経ってるぞ!? なのに何で…!?」ハッ

 

 

正邪(確かあの店には妖魔本とかって言うもんが置いてあるんだったな、まさか…!)

 

 

正邪(だとしたら不思議アイテムじゃないか!? 取り出して…)パッ

 

 

正邪「あちっ! あちちち!」パッ

 

 

 

 正邪は火を消さない様にして本を火の中から取り出した

 

 

 

正邪「あちちっ! っと、取れた…」

 

 

正邪「少しも燃えてねぇし傷すら着いてねぇ…なんなんだこの本は」

 

 

正邪「やっぱり妖魔本…? いやそれにしては…」

 

 

正邪「何でこんなに表紙がキラキラしてんだよ」

 

 

 

 その本はカバーが無く、表紙は桃色と紫色で色付けされた可愛らしい表紙になっている。

 

 なんかよくわからないピンク髪と金色の髪の可愛いキャラの顔の絵まで描いてある

 

 

 

正邪「なんだこりゃ…」

 

 

 

 表の表紙に何か書いてある

 

 

 

正邪「MUSHA NOTE? これあの吸血鬼の館で見た字と似てるな、なんて読むんだ?」

 

 

正邪「…開いて大丈夫かこれ」

 

 

正邪「ま、いいか」ペラッ

 

 

正邪「…」パララララッ

 

 

正邪「? 何だよ何にも書いてないな、これじゃ日記みたいなもんじゃねぇか」

 

 

正邪「期待して損し…うん?」

 

 

 

 表紙の裏面に何か書かれている

 

 

 

正邪「お、これ普通の文字じゃん、何々…」

 

 

 

 

 

 

 ☆このノートの使い方☆

 

 

 

正邪「……星がウザったいな」

 

 

 

 『このノートに名前を書かれた者は種族に関係なくむしゃむしゃされる』

 

 

 

正邪「……」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

 

 

 

正邪「は?」

 

 

 

 

 『名前を書かれた者の側に書いた本人がいなければならない、書かれた者を書いた本人がその者を目で見ていないと効果はない、ゆえにその者がむしゃむしゃされるのを見届けなければならない』

 

 

 『名前の後に幻想郷単位で六十四秒以内にむしゃ因を書くとその通りになる』

 

 

 『むしゃ因を書かなければ全てが普通のむしゃむしゃとなる』

 

 

 『むしゃ因を書くと更に四分九秒、詳しいむしゃむしゃの状況を記載する時間が与えられる』

 

 

 『むしゃむしゃする、させるだけのノートです、名前を書き込んだ対象の者の行動云々を操ったりなんて出来ません』

 

 

 

正邪「ふっ…つまり楽にむしゃむしゃさせたり苦しませてむしゃむしゃさせる事ができるってわけか」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「むしゃむしゃってなんだよ!?」

 

 

正邪「それとむしゃ因ってのも何だよ! 因!? 因って原因とかの因!?」

 

 

正邪「詳しい状況だぁ!? そもそもむしゃむしゃってのは本当になんなんだよぉ!?」

 

 

正邪「はぁはぁ…」

 

 

正邪「まるでガキの…幼稚な奴が書いた馬鹿馬鹿しい落書きノートじゃねぇか、くだらねぇ!」

 

 

正邪「…!」

 

 

正邪「でもこのノートは燃やしても燃えなかった…妖魔本でなくてもマジの不思議アイテムとしてなら…」

 

 

正邪「このノート、やっぱ普通じゃない…よな」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「た、試してみるか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、裏通り》

 

 

 

正邪(試す…試すつっても誰の名前を書きゃいいんだよ)

 

 

正邪(そいつの側にいて見てなきゃなんないんだよな、めんどくせぇ…)

 

 

正邪(まぁ誰でもいいか、そこら辺の奴を適当に…)

 

 

正邪「おっ」

 

 

赤蛮寄「ん、いい天気だ、平和だな」

 

 

正邪「あいつはあの時のろくろ首…あいつでいいや、確か…ばん」

 

 

正邪(あれ…あいつの名前なんだっけ)

 

 

正邪(…わかんねぇ)

 

 

赤蛮寄「あぁ、今日影狼と姫に会う約束だったな、ええとどこだったか」

 

 

正邪「…ダメ元だな」

 

 

正邪「おい! そこのろくろ首!」

 

 

赤蛮寄「! お前は…」

 

 

正邪「おやおやぁ? あの時みたいに暴走してないんだなぁ? 呑気にしてやがってよぉ!」

 

 

赤蛮寄「あの異変の時は世話になったな、悪い意味で」

 

 

正邪「ふん! 小槌の魔力でいきがっていた時を思い出せ! 弱小妖怪同士、共に下克上をなそうじゃないか!」

 

 

赤蛮寄「お前、まだそんなくだらない事を考えていたのか」

 

 

正邪「くだらないだと?」

 

 

赤蛮寄「弱小妖怪には弱小妖怪なりの生き方がある、私はそれを見つけて満足しているんだ」

 

 

赤蛮寄「お前の様に道を誤り、一人で闇の中に突き進む道は歩まない」

 

 

正邪「なにかっこつけて喋ってんだ野蛮首!」

 

 

赤蛮寄「赤蛮寄だ!」

 

 

正邪(! へっへっへ…! やったぜ、せきばんきか!)ニタァ

 

 

 

 せきば

 

 

 

正邪(あ…これって漢字で書かないとダメなのか…?)ピタッ

 

 

赤蛮寄「…?」

 

 

正邪(せきばんき…)

 

 

正邪(…ダメだ出てこねぇ…! くそ! イライラする!)

 

 

赤蛮寄「おい…何を」

 

 

正邪「おい!」

 

 

赤蛮寄「…?」

 

 

正邪「お前! ええと…せきばんき! お前の名前を教えろ!」

 

 

赤蛮寄「……は?」

 

 

正邪「あ、えと違う…! お、お前の名前の漢字を教えろ!」

 

 

赤蛮寄「…何故そんな事を教えなければならないんだ」

 

 

正邪「いいから教えろ! 教えてくれたら今日のところは大人しく引き下がってやる!」

 

 

赤蛮寄「…せきは赤色の赤、ばんは野蛮の蛮、きは寄付の寄だ」

 

 

正邪「ふ、ふん、そうか!」カキカキ

 

 

 

 赤蛮寄

 

 

 

正邪(よし…! こいつが馬鹿で助かった)

 

 

赤蛮寄(何故名前を…いや、別に名前くらいどうって事はない)

 

 

正邪(六十四秒でむしゃむしゃか…無駄に長いな…)

 

 

正邪(後は見張る…)

 

 

赤蛮寄「…? おい、引き下がるのではなかったのか?」

 

 

正邪「…」ジーッ

 

 

赤蛮寄「…天邪鬼、何か企んでいるのなら今ここで弾幕勝負をしてもいいんだぞ?」

 

 

正邪「61、62、63…」

 

 

赤蛮寄「?」

 

 

正邪「64!」

 

 

正邪「…」

 

 

赤蛮寄「…」

 

 

正邪「…」

 

 

赤蛮寄「…」

 

 

 

 シーン…

 

 

 

正邪「…あぁ!? 何も起こらないじゃないか!」

 

 

赤蛮寄「…?」

 

 

正邪「ふざけやがって! こんなキラッキラなキモいノート持ち歩いているだけでも嫌なのに期待させといてこれかよ! むしゃむしゃってなんなんだよ!」

 

 

赤蛮寄「むしゃ?」

 

 

正邪「あぁもうマジでイライラすんなぁ!」

 

 

赤蛮寄「荒れてるな…まぁお前はいつもの事だろうが」

 

 

 ギュイン!

 

 

 

赤蛮寄「付き合ってられないな、悪いが帰らせてもらうぞ」スッ

 

 

 

 イタダキマース

 

 

 

正邪「こんな本こうしてやる! このっこのっ! 千切れろよ! 無駄に頑丈なノートだなこんちく」

 

 

 ムシャア…

 

 

 

赤蛮寄「ぐあああぁ!!」

 

 

正邪「!?」

 

 

 

 赤蛮寄に背を向け、本を千切ろうとしていた正邪が赤蛮寄の声に振り向くとそこには

 

 

 

赤蛮寄「はぁはぁ…!!? な、なん…」

 

 

???「うへへへ♪ あーん♪」

 

 

 ムシャア…

 

 

 

赤蛮寄「ぐああぁ!! うっ…ぐあぁぁ!!」

 

 

正邪「なっ!?」

 

 

 

 左腕が無くなってる赤蛮寄と、赤蛮寄の残った右腕をむしゃむしゃしている謎の女だった

 

 

 

赤蛮寄「はぁはぁ…! うっ…あうう…!? あ、天邪鬼っ…! 貴様何を…!」

 

 

正邪「は…!? え…!?」

 

 

???「う~んうるさい頭ねぇ…分身されるとあれだし~、頭から下まで一気にいっちゃおうかしらぁ♪」

 

 

正邪(な、なんなんだあの女は!?)

 

 

赤蛮寄「う、腕が急に…!! 鬼人正邪っ…! 貴様あぁっ!!」

 

 

正邪「は…!!?」

 

 

正邪(こ、こいつ…! 何で私に…!?)

 

 

???「いただきまーす♪」

 

 

赤蛮寄「一体何をっ…!!?」

 

 

正邪(ま、まさか…)

 

 

正邪(こいつにはこの女が見えてないのか!?)

 

 

 

 ムシャア!

 

 

 

正邪「あ…!!」

 

 

赤蛮寄「!!?」

 

 

???「あぐっんぐっ♪ モグモグ♪」ムシャムシャ

 

 

正邪「…!」

 

 

???「ん~♪ ご馳走様でした~♪」

 

 

 

 赤蛮寄は謎の女にむしゃむしゃされてしまった…

 

 

 

正邪(む、むしゃむしゃ…これが…!? く、食うって事だったのかよ!?)

 

 

???「うへへ♪」

 

 

正邪「ひっ!?」ビクッ

 

 

???「あらあら、何をそんなに驚くのかしら」

 

 

正邪「だ、だっておまっ…お前…!」

 

 

???「ん~?」

 

 

正邪「お前は…! お前は誰だ! 何者だ!」

 

 

???「私? 私は…そのノートの落とし主」

 

 

正邪「ノート!?」

 

 

???「そう♪ そのノート、MUSHA NOTEのね」

 

 

正邪「む、むしゃノート…?」

 

 

???「種族は…まぁ神様でいいや、むしゃ神よ」

 

 

正邪「むしゃ神!?」

 

 

???「名前は…えーっと」

 

 

???→八行ゆかこ「あ、あぁあぁそれ良いわね♪ 八行ゆかこよ♪ 宜しくね♪ 天邪鬼さん♪」

 

 

 

 八行ゆかこと名乗ったむしゃ神は、ふよふよと宙に浮きながら金とピンク色が混じった長髪をかきあげ、楽しそうに自己紹介する

 

 

 

正邪「やぎょうゆかこ…むしゃ神…むしゃノート…」

 

 

ゆかこ「うへへ、その様子だともうそのノートが普通のノートじゃないってわかったみたいね」

 

 

正邪「…お前を含めてな」

 

 

ゆかこ「ま、酷いわぁ♪」

 

 

正邪「ゆかこだったな、色々と聞きたい事がある」

 

 

ゆかこ「良いわよぉ♪ しかし…あなた意外に冷静なのねぇ、伊達に天邪鬼してないってところかしら」

 

 

正邪「…ここじゃダメだな、着いてきてくれ」

 

 

ゆかこ「は~い♪」ススス

 

 

正邪「…」

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、正邪の隠れ家》

 

 

 

ゆかこ「まぁ汚い、お掃除ぐらいちゃんとなさいよ、それか引っ越すか」

 

 

正邪「家の事は今どうでもいいんだよ」

 

 

ゆかこ「むう~、天邪鬼さん冷たいわぁ」

 

 

正邪「さっきも言ったけど色々聞きたいことがある、答えろ」

 

 

ゆかこ「答えられる範囲ならね♪」

 

 

正邪「このノートはなんなんだ」

 

 

ゆかこ「なんなんだって…さっきも言ったじゃない、MUSHA NOTEよ」

 

 

正邪「違う、そんなことは分かってるんだ」

 

 

正邪「効力と言うか…ノートに書いてある使い方、これは本当なんだな?」

 

 

ゆかこ「本当もなにもあなたさっき自分で赤蛮寄と名前を書き、その赤蛮寄がむしゃむしゃされたところを見たでしょう?」

 

 

正邪「…むしゃむしゃってのが何だかよく分からなかったから試しにろくろ首の名前を書いたんだ」

 

 

正邪「むしゃむしゃってのは食うって事、そしてこのノートに名前を書かれた奴が64秒後にお前に食われる…そういう認識でいいんだな?」

 

 

ゆかこ「人聞きの悪いこと言わないで」

 

 

正邪「?」

 

 

ゆかこ「食うじゃなくてむしゃむしゃよ♪ むーしゃむ~しゃ♪」

 

 

正邪「…むしゃむしゃされた奴はどうなる」

 

 

ゆかこ「そうねぇ♪ 幻想郷にはもういないわねぇ♪」

 

 

正邪「…死ぬって事か?」

 

 

ゆかこ「むしゃむしゃされた可哀想な者…の方が良くない?」

 

 

正邪「いや私に聞くなよ、質問を質問で返すな」

 

 

ゆかこ「ノリ悪~い♪」

 

 

正邪(コイツ…)イラッ

 

 

正邪「むしゃ因ってのは何だ」

 

 

ゆかこ「むしゃむしゃされる要因、因子…あなたも気付いていると思うけど楽にむしゃむしゃさせたり苦しませてむしゃむしゃさせたり出来るのよ」

 

 

ゆかこ「使い方に書いてあるでしょう? 名前の後に『丸呑み』『踊り食い』『右手から』『左足から』といった具合にむしゃむしゃするやり方…むしゃ因を書けるって感じよ」

 

 

正邪(踊り食いってなんだよ)

 

 

ゆかこ「まぁ、名前を書かれた時点で全身をむしゃむしゃされるのは確定なんだけどねぇ♪」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「MUSHA NOTEに書かれた事は必ず実行されるわ、どんな事があろうとも書かれた者は逃れる事は出来ない、あなたがルールを破らなければね」

 

 

正邪「…このノートはお前のなんだろ? 落としたと言っていたが、取り返しに来たんじゃないのか?」

 

 

ゆかこ「いいえ? 落としたのはわざと、そして名前を書き込んだ時点でもうあなたの物」

 

 

正邪「!」

 

 

ゆかこ「いらない? なら他の人に渡しちゃいなさいな」

 

 

正邪「いや…てか何で落とした」

 

 

ゆかこ「暇潰し」

 

 

正邪「それだけ!?」

 

 

ゆかこ「そーなのよー♪」ビシッ

 

 

正邪「親指立てんな」

 

 

ゆかこ「中指の方がよかった?」

 

 

正邪「お前私のこと馬鹿にしてんだろ」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「…お前の事だけどさ」

 

 

ゆかこ「うへへ♪ 気付いていると思うけどあなた以外に私は見えないし声も聞こえないの♪ ノートに名前を書き込んだ者にしか私は見えない、どんな手を使われても絶対に見えない」

 

 

正邪「!」

 

 

ゆかこ「MUSHA NOTEが妖怪天邪鬼、鬼人正邪とむしゃ神、八行ゆかこをつなぐ絆よ♪」

 

 

正邪「絆…」

 

 

ゆかこ「後はね、あなたがノートを使っている限りずっと一緒に着いてなきゃいけないわねぇ」

 

 

正邪「それは…まぁいいよ」

 

 

正邪「…MUSHA NOTEを使った代償はあるのか? どんなもんでも欠点はある、妖器とかでもそういうのはあるからな」

 

 

ゆかこ「ん~、強いて言うなら…」

 

 

ゆかこ「そのノートに名前を書いた時その書かれた者の側にいて見てなきゃならないでしょう? その後にむしゃむしゃされる訳だけど」

 

 

ゆかこ「むしゃむしゃされるその様、残酷な場面ま見届けなければならない…あなたにはその精神力があって?」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「最後に聞くが」

 

 

正邪「ノートは私が自由に使っていいんだな?」

 

 

ゆかこ「もちろんよぉ♪ どんな使い方をしようともあなたの自由、ノートのルールには従ってもらわないとダメだけどね♪」

 

 

正邪「…!」

 

 

ゆかこ「…ここまで聞いてみてどうかしら? 嫌ならノートは私に返してね、暇潰しにならないし」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「…?」

 

 

 

 

正邪「クククク…ククク! あははは!! あっはっはっはっ!!」

 

 

ゆかこ「…♪」

 

 

正邪「誰が返すもんかよ! このノートさえあればあの魔法使いも! 狸も! あの博麗の巫女でさえも! 私の仕業だと認識させることなく始末できる!」

 

 

正邪「私が! 天邪鬼が! この鬼人正邪様が幻想郷を裏からひっくり返して全てを支配することも出来るってわけだぁ!!」

 

 

ゆかこ「まぁ♪ 怖い怖い♪」

 

 

正邪「クククククク…! 天邪鬼を弱小と言う時代は終わりだ! 今日から全てを覆してやる!! 幻想郷は私の物だ! 幻想郷の頂点に立ってやる!」

 

 

ゆかこ「壮大ねぇ♪」

 

 

正邪「…八行ゆかこ! この私に協力しろ! 嫌とは言わせないぞ!」

 

 

ゆかこ「だからぁ、ノートはもうあなたの物だしぃ~、私はノートの精霊みたいなもんだから協力は惜しまないわぁ♪」

 

 

正邪「…お前むしゃ神なんだろ? 神みたいなもんなんじゃないのか?」

 

 

ゆかこ「ん~、まぁ何でもいいじゃない」

 

 

正邪「色々と安定しないな、お前」

 

 

 

 

 

 

 

 《人里》

 

 

 

魔理沙「いたか!? あったか!?」

 

 

マミゾウ「いもせんしありもせん…やはり天邪鬼の手にあるのかもな」

 

 

魔理沙「あいつ燃やすとか言ってたよな、まずいぜ」

 

 

マミゾウ「…もし燃やしておったら」

 

 

魔理沙「あ?」

 

 

マミゾウ「全力で奴を潰す…!」ゴゴゴ

 

 

魔理沙「!? …お前その顔絶対に小鈴の前でするなよ」

 

 

マミゾウ「するわけなかろうが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、中心街》

 

 

 

正邪「MUSHA NOTE…ミッション?」

 

 

ゆかこ「そうそう♪ 私が遊び半分で付けたルールでね? 書いた人数に応じて、書いた者に応じて、そこに書いてないルールを私が教えてあげたり、あなたにメリットのある効果をノートに足してあげるから♪」

 

 

正邪「はぁ!? ここに書いてあるのが全てじゃないのかよ」

 

 

ゆかこ「その表紙に書ききれるわけないでしょう? スペース足りないもん」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「大丈夫、あなたにとって不利なルールは無いから安心して良いわよぉ♪ ルールを破っても64秒数え直しになるだけだから」

 

 

正邪「それ充分に不利なルールだな…意外に長いんだよ、1分4秒」

 

 

ゆかこ「まぁそこは妥協してね」

 

 

正邪「んで?ミッションは?」

 

 

ゆかこ「さっき一人書いたから『まずは一人書いてみよう!』は達成ね」

 

 

ゆかこ「新しいルールよ♪」

 

 

 

 『むしゃむしゃさせたい対象が二人以上いて、二人の名前を一気に書いた場合、先に名前を書かれた者がむしゃむしゃされる、その者が全てをむしゃむしゃされるまでは例え書いてから64秒経っていたとしても、一人目がむしゃむしゃされるまで待たなければ効果はない』

 

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「このルールには抜け道があるな」

 

 

正邪「一人目の名前を書いた後に丸呑みと書けば、直ぐに二人目の奴も始末できる、二人目は普通にむしゃらせてもいいし、苦しませてむしゃらせてもいい、でもこれ二人目もまた64秒数えないとってか」

 

 

ゆかこ「あらあら、頭のいいことで♪」

 

 

正邪「伊達に天邪鬼してないからな」

 

 

ゆかこ「もっと馬鹿だと思ってた」

 

 

正邪「お前さらっと辛辣だなおい!」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「そのうざったい笑いかたなんとかなんないのか?」

 

 

ゆかこ「バレ……最初からこれだから無理~♪」

 

 

正邪「? …まぁ我慢してやるよ、そのぐらい」

 

 

ゆかこ「ところで正ちゃん、どこに向かってるの?」

 

 

正邪「その呼び方はやめろ」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「…私は幻想郷の奴等の名前を知らなさすぎる」

 

 

正邪「だからまずはあれを手に入れる」

 

 

ゆかこ「ん~?」

 

 

 

 

 

 

 《人里、稗田邸前》

 

 

 

ゆかこ「あぁ、なるほどなるほど」

 

 

正邪「幻想郷縁起…その他にも幻想郷の住人を記してある書物があるはずだ、それを奪う」

 

 

ゆかこ「怖いわぁ♪ 泥棒さんになっちゃうのね」

 

 

正邪「…ゆかこ、ダメ元で聞くが、お前ここに入って盗んできてくれないか?」

 

 

ゆかこ「それは無理~♪ ってか嫌よ♪」

 

 

正邪「…だろうな」

 

 

ゆかこ「私はむしゃむしゃするだけ、あなたに着いて行くと決めたしあなたの事は嫌いじゃないけど、そういうことは協力しないわぁ♪」

 

 

正邪「…まぁ贅沢は言わねぇよ、なら潜入するしかないか」

 

 

ゆかこ「あら楽しそう♪ 私壁をすり抜けられるから心配しなくて良いわよぉ♪」

 

 

正邪「私はすり抜けられねぇんだよ、てか姿も見えない声も聞こえない…そっちの方が便利な能力じゃないか?」

 

 

ゆかこ「…うへへ♪」

 

 

正邪「ほんと何者だよお前」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《稗田邸 天井裏》

 

 

 

ゆかこ「忍者よ忍者♪ ニンニンニンニン♪」

 

 

正邪「シーっ…!! 静かにしろよ…!」

 

 

ゆかこ「大丈夫よぉ♪ 私の声はあなた以外には聞こえないんだから」

 

 

正邪「忍び込んでんのにそんなにべらべら喋られたらなんかこう…嫌なんだよ…!」

 

 

ゆかこ「正ちゃんの方がべらべら喋ってる♪」

 

 

正邪「…! くっ…!」

 

 

ゆかこ「鬼人正邪…あ♪ 鬼人忍者♪」

 

 

正邪(くだらねぇ!)

 

 

正邪「…! いたな、下見ろ…!」

 

 

ゆかこ「ん~?」

 

 

 

 

 

 

稗田阿求「ん…んーー!! んあぁ!! くたびれた!」

 

 

阿求「私一日何万文字書いてんだろ…はぁ、紫さんが羨ましい…私も仕事サボって地底の温泉行きたい」

 

 

 

 

ゆかこ「言動がおっさんのそれねぇ」

 

 

正邪「ふっ、安心しろ…! もう文字を書く必要もない」カキカキ

 

 

 

 

 稗田 阿求 丸呑み

 

 

 

 

ゆかこ「あら、名前を知ってたの? なんで丸呑み?」

 

 

正邪「コイツは人里では有名な奴だからな、それにここには使用人がいるんだよ…っと、後は見てないとな」

 

 

 

 

阿求「ふぅ、あ~小鈴誘って地底の温泉行きたい…」

 

 

阿求「温泉…卵…あっ、今日の夜ご飯卵料理にしよう」

 

 

 

正邪(…64秒!)

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

阿求「あれ? 料理本どこ行っ…!」

 

 

 

 ムッシャア…

 

 

 

ゆかこ「あぐあぐ♪」

 

 

阿求「…!!? !?」ジタバタ

 

 

ゆかこ「んぐんぐ…♪」

 

 

正邪(…エグいな、丸呑み)

 

 

正邪(頭から胴まで半分以上を先に丸呑みして、次に下半身全体か…丸呑みっても二口か、足がじたばたしてんのが余計に…)

 

 

正邪(てかあいつの口はどうなってんだよ)

 

 

 

 むしゃむしゃ…

 

 

 

ゆかこ「ふぅ、ごちそうさまでした♪」

 

 

正邪「よっと…よし、良くやったゆかこ、さて幻想郷縁起と名前の資料は…」

 

 

ゆかこ「ミッション成功! 『二人目を書いてみよう!』」

 

 

正邪「ん? 今かよ、探してるからなるべく手短に話せよ?」

 

 

ゆかこ「ルール追加よ♪」

 

 

正邪「?」

 

 

 

『ノートに名前を書き込んでからその書かれた者を目で見てもノートの効果はある』

 

 

 

正邪「つまり…例えばだが、私がこの家の外で稗田の名前を書いて天井裏で奴を発見した瞬間から64秒は始まるんだな?」

 

 

ゆかこ「正ちゃん頭いいわねぇ♪」

 

 

正邪「予約みたいなもんか、側にいなきゃなんないのは変わらないから別にって感じだな」

 

 

ゆかこ「知ることに意味があるのよ」

 

 

正邪「まぁ良いけど… お! これだ! あったぞ! よしこれで…」

 

 

ゆかこ「あらあら、本当に泥棒さんね♪」

 

 

正邪「なんとでも言え、撤収するぞ」

 

 

ゆかこ「は~い♪」

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、中心街》

 

 

 

正邪「しかし…こうして見てみると複雑な漢字の奴とシンプルな名前の奴との差が激しいな」

 

 

ゆかこ「正ちゃん人のこと言えるの?」

 

 

正邪「私はシンプルな方だろ」

 

 

ゆかこ「え~、鬼の人で正しい邪なんてド直球じゃない」

 

 

正邪「そういうのをシンプルって言うんだよ!」

 

 

ゆかこ「うへへ♪」

 

 

正邪「…? ん?」

 

 

ゆかこ「どったの?」

 

 

正邪「パラパラっとめくってみたけど…これお前の名前が書いてないぞ?」

 

 

ゆかこ「そりゃあねぇ、ごく最近幻想郷に生まれたから」

 

 

正邪「ふーん…別にいいけどよ」

 

 

ゆかこ「私の漢字知りたい? あ、知ったらノートに書いちゃう?」

 

 

正邪「書かねぇよ、まだまだ協力してもらうんだからな」

 

 

ゆかこ「うへへ♪ 正ちゃん優しい」

 

 

正邪「!! やめろ!? 私を褒めるとかそういうのだけはやめろ! 蕁麻疹が出てくるんだからな!?」

 

 

ゆかこ「天邪鬼の性ねぇ♪ うへへ♪」

 

 

正邪「笑ってんじゃねぇっ!」

 

 

 

 見つけたぞ!!

 

 

 

正邪「!」

 

 

マミゾウ「漸く見つけたぞ、天邪鬼よ」

 

 

魔理沙「よう、堂々とよくこんなとこ歩いてられんな、ふてぶてしさは一流だな」

 

 

正邪「お前ら…!」

 

 

マミゾウ「今まで何処に隠れていたのかは聞かんでおこう…して天邪鬼」

 

 

マミゾウ「小鈴から奪った本は何処にあるんじゃ、あぁ?」ゴゴゴゴ

 

 

正邪「!?」

 

 

魔理沙(すげぇ気迫だな、伊達に狸の親分やってないってか?)

 

 

正邪「…あぁ、これのことか?」スッ

 

 

マミゾウ、魔理沙「!」

 

 

魔理沙「小鈴の言った通りの本だな、表紙がキラキラなやつ! 燃やされてなかったみたいだな」

 

 

正邪「ふん! お前らあの時気付かなかったのか? 私がこれを取った事によぉ?」

 

 

魔理沙「あぁ流石だぜ正邪、ほんと感服したよ、すげぇなお前」

 

 

正邪「! てめっ…! 褒めんじゃねぇよ! クソッ! 蕁麻疹がぁ!」

 

 

魔理沙「おー効いてる効いてる、このまま褒めあげて」

 

 

マミゾウ「いや…」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

マミゾウ「あやつにはお灸を据えてやらねばならん」

 

 

魔理沙「おいおい、あいつを締め上げるのは取り返してからでいいじゃないか、燃やされてもなかったことだしよ」

 

 

マミゾウ「不思議アイテムでまた逃げられたらどうする、儂は儂のやり方で奴を捕まえ、本は必ず取り返してみせる、お主は見とれ」

 

 

魔理沙「お前も結構熱い奴だなぁ…友達の為だもんな」

 

 

マミゾウ「奴もお尋ね者じゃ、どんなにキツイ灸でも許されるじゃろうて」

 

 

魔理沙「んー、じゃ見届けさせてもらうぜ」

 

 

 

正邪(コイツらぁ…! さっきから好き勝手言いやがって! さっさと書いて始末してやる…!)スッ

 

 

ゆかこ「あらあら正ちゃん、良いの?」

 

 

正邪「あ? なんだよ?」

 

 

ゆかこ「こんな人通りの多いところでむしゃむしゃしたら大変じゃない?」

 

 

正邪「…!?」

 

 

 

魔理沙、マミゾウ「…?」

 

 

 

正邪(そうか…! 私にはゆかこが見えてて他の奴等には見えていない! 二人の名前をノートに書いて同時に始末する時、一人目に書いた奴が二人目の近くにいても何が起きたか分からないまま直ぐにむしゃむしゃされるだろうけど)

 

 

正邪(回りの奴等…人里の住人からしてみれば『鬼人正邪の目の前でいきなり人が消え失せた』となる)

 

 

正邪(そんなことが立て続けに起きていたと天狗の新聞かなんかに載せられたら真っ先に私が何かしていると疑われる…幻想郷を裏から支配するという夢が遠退いちまう…!)

 

 

正邪(そもそも三人以上の名前を同時に書くときもこれに気を付けていなければ悟られる奴には悟られる事は確かだ…!)

 

 

正邪(…ならば!)スッ

 

 

 

 霧雨 魔理沙 一口で一気に一瞬で丸呑み

 

 

 二ツ岩 マミゾウ 両足から頭に向かってむしゃむしゃされる

 

 

 

 

魔理沙「ん? あいつ本に何してんだ?」

 

 

マミゾウ「この期に及んでイタズラを…!」

 

 

ゆかこ「あらら、書いちゃった」

 

 

正邪(後は…)スッ

 

 

正邪「…!」ギューン

 

 

 

魔理沙「なっ!?」

 

 

マミゾウ「ぬっ!」

 

 

 

ゆかこ「え~? 逃げちゃうの?」

 

 

正邪「戦略的撤退と言え!」

 

 

 

マミゾウ「待つんじゃ! もう絶対に逃がさんぞい!」

 

 

魔理沙「あ、おい! 待てって!」

 

 

魔理沙(何も言わないで逃げるとかあいつらしくないな)

 

 

 

 

 《人里、正邪の隠れ家》

 

 

 

正邪「はぁ、はぁ…」

 

 

マミゾウ「はぁ…はぁ…追い詰めたぞい」

 

 

魔理沙「つかお前…はぁはぁ…どこまで逃げんだよ、ここどこだ?」

 

 

正邪「ここはなぁ、私の隠れ家だ…! はぁ、はぁ」

 

 

マミゾウ「…自分の土俵で戦うために退いたのか」

 

 

魔理沙「まんまと乗せられて来ちまったが、お前の逃げ場がなくなった事は確かだな」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪(馬鹿め!! 逃げ場なんて作らなくたっていいんだよ! ここなら思う存分むしゃらせられる! まずは霧雨、お前からだ!)

 

 

マミゾウ「…天邪鬼、聞くだけ無駄だとは思うが大人しく本を返す気はないんじゃな?」

 

 

正邪「はっ! 誰が返すか! 無駄なことすんな!」

 

 

マミゾウ「じゃあもう聞かんわい、覚悟せぇよ貴様」ゴゴゴゴ

 

 

正邪(うっ…! クソッ、後何秒だよ! 早くしてくれ!)

 

 

魔理沙(やる気…いや、殺る気満々だなぁマミゾウのやつ、なら私は隙を見てあの本を奪ってやるか、今回は裏方にまわ)

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

正邪「!」

 

 

マミゾウ「魔理沙、お主は少し下がっておれ! ここは儂から仕掛ける!」

 

 

 

ゆかこ「ん~、ごちそうさまでしたー♪」

 

 

正邪(い、一瞬で…! あ、あの魔法使いがこうもあっさりと……)

 

 

正邪「ククク…!」ニタァ

 

 

マミゾウ「何を笑っておる貴様!」

 

 

正邪「魔理沙ぁ? ククククク…! 誰に向かって喋ってんだお前」

 

 

マミゾウ「何!?」クルッ

 

 

 

 マミゾウが後ろを振り返るとさっきまでいた魔理沙がいなくなっていた

 

 

 

マミゾウ「なっ…!? なん…じゃと…!?」

 

 

マミゾウ「魔理沙! 魔理沙何処に…ま、まさか貴様が…!?」

 

 

正邪(あぁ、もういないさ…次は狸、お前だ…!)

 

 

マミゾウ「魔理沙に何をした!」

 

 

正邪「あぁ? 私は何もしてないぞ? お前だって私の事をずっと見てたじゃないかよ」  

 

 

マミゾウ「…!」

 

 

正邪「まぁそうだな、何をしたって聞かれたら」

 

 

正邪「あいつの名前をこれに書いたぐらいか?」

 

 

マミゾウ「何を戯けた事を…!」

 

 

正邪「事実なんだからしょうがないだろ」

 

 

マミゾウ(こやつほんとに何を…人を一瞬で消すなどまずあり得ん、魔理沙をどうやって…)

 

 

正邪「ククククク…!」ニタニタ

 

 

マミゾウ(この天邪鬼が何かした気配は微塵もなかった、妖術の類いでも何でもないとしたら何かの道具…妖器)

 

 

正邪「おいどうした? かかってこないのか?」

 

 

マミゾウ(…! いや、考えている場合ではない、今はこやつを取っ捕まえて)

 

 

正邪「あぁ…悪いな狸」

 

 

マミゾウ「!」

 

 

正邪「時間切れだ」ニタァ

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

マミゾウ「…? 何じゃ…? 何…!?」ゾクッ

 

 

マミゾウ「ぬあっ!? ぐっ!? な、なんじゃこれはぁ…!?」ドサッ

 

 

正邪「おいおい…自分の両足が無いことに漸く気づいたのか? 正確には無くなった、か?」

 

 

 

 むしゃむしゃ

 

 

 

マミゾウ(足がどんどんなくなってきておる…! なんじゃこれは!)

 

 

正邪「なぁ? 私は何もしてないだろう? 何かしていると言うんなら教えてくれよ、なぁ?」

 

 

マミゾウ「…! 鬼人…正邪っ…!」

 

 

正邪「あばよ、邪魔者が」

 

 

マミゾウ「ぐっ…! ぬ…ぁ…」

 

 

 

 むしゃむしゃぁ…!

 

 

 

ゆかこ「ごちそうさまでしたー♪」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「ふぅ…なーんだぁ、正ちゃん逃げたかと思ってたけど本当に戦略的撤退だったのねぇ」

 

 

ゆかこ「ノートに名前を書いてから人目につかないところに誘導、で…むしゃむしゃと」

 

 

正邪「まったく不便だな、MUSHA NOTEってのは…ゆかこが見えていなかろうが消える瞬間ってのは他人に見えちまうからな」

 

 

ゆかこ「じゃあノート返す?」

 

 

正邪「返すわけないだろ、返すとしても幻想郷を支配してからだ」

 

 

ゆかこ「あぁ良かった♪ 返されたらつまらないもの」

 

 

正邪「じゃ、聞くなよ……」

 

 

ゆかこ「ん~? 正ちゃんどうかした?」

 

 

正邪「…あの二人を消すことが出来たのが少し実感できなくてな」

 

 

ゆかこ「でも間違いなくむしゃむしゃされた、あなたが手を下した…覆らない事実よ」

 

 

正邪「そうだな…あぁ…そうなんだ」

 

 

正邪「もうあの魔法使いも狸もいない、これは事実、私が手を下した、幻想郷を裏から支配するのに奴等は邪魔だったからだ」

 

 

ゆかこ「そう、それが事実、あなたの野望」

 

 

正邪「…ククククク、あぁ野望が現実となる日が見えて来たぞ…もう躊躇わないでいける」

 

 

ゆかこ「♪」

 

 

正邪「…よし、なら次だ」

 

 

ゆかこ「?」

 

 

正邪「このノートの存在を知るものを全て消す必要がある…それで野望にぐっと近くなる」カキカキ

 

 

 

 本居 小鈴 頭から丸呑み

 

 

 

 

 

 《鈴奈庵》

 

 

小鈴「あ、いらっしゃいま…!?」

 

 

正邪「よぉ」

 

 

小鈴「なっ!? あ、天邪鬼! 何でここに」

 

 

正邪「なんだ、ここに来ちゃいけないのか?」スッ

 

 

小鈴「! そ、その本は」

 

 

正邪「本? これはノートだ、最高のな」

 

 

小鈴「か、返して! 返してよ!」

 

 

正邪「お前も同じことを…聞き飽きたな、ほんとに」

 

 

小鈴「同じ…? 魔理沙さんとマミさんのこと?」

 

 

正邪「あぁそうだ、このノートを返せ返せとしつこかったぜ…まぁでも」

 

 

正邪「もうこの幻想郷にはいないがな」ニタァ

 

 

小鈴「!? ど、どういう意味…!?」

 

 

正邪「そのままの意味だ」

 

 

小鈴「あ、あなたあの二人に何かしたの!?」

 

 

正邪「あぁしたな、もう影も形も残ってない」

 

 

正邪「だけどな、安心しろよ♪」

 

 

小鈴「ひっ…!? な、何を」

 

 

正邪「お前もあいつらとおんなじところに送ってやるからよ」

 

 

小鈴「!!?」ゾクッ

 

 

 

ゆかこ「いただきまーす♪」

 

 

 

正邪「さようなら、本居小鈴」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかこ「これであなたの思う邪魔者はむしゃむしゃされたわねぇ♪」

 

 

正邪「あぁ、これで行動に移せる」

 

 

ゆかこ「これからどうするの?」

 

 

正邪「決まってるだろ」

 

 

正邪「幻想郷を裏からひっくり返す…その計画の第一歩だ」

 

 

ゆかこ「あらあら、そんな計画があなたの中にもう出来てたのね」

 

 

正邪「あぁ、あの魔法使いと狸を消した時から考えてたんだ、情報が出回ると動き辛くなる…先ずはそういうところから潰していく」

 

 

ゆかこ「きゃ~こわ~い♪ でも退屈しないですみそうねぇ」

 

 

正邪「今日から…幻想郷は変わる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《三日後 人里 寺子屋》

 

 

 

博麗 霊夢「いったいどうなってるの…」

 

 

アリス・マーガトロイド「まさか慧音もいないなんて…」

 

 

豊聡耳 神子「これは今だかつてない異変になりそうだな」

 

 

霊夢「なりそうじゃなくてなってるのよ、大異変だわ」

 

 

神子「確認出来ているだけで『紅魔館』『命蓮寺』『地底、地霊殿』『妖怪の山』『永遠亭』『人里の住人』及びその周辺の者が消えたか」

 

 

アリス「…魔理沙もよ」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子「あの魔法使いが消えるなど、信じられ」

 

 

霊夢「魔理沙は消えてなんかいないわよ!」

 

 

アリス、神子「!」

 

 

霊夢「…! ……ごめん」

 

 

アリス「霊夢…」

 

 

神子「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子(霊夢、やつれているな…無理もないか)

 

 

伊吹萃香「おーい、霊夢ー!」

 

 

霊夢「! 萃香…」

 

 

霊夢「どうだった?」

 

 

萃香「ダメだ、霧になって幻想郷中を探しまわってみたけど消えたっていう連中の影も形もないよ」

 

 

霊夢「! そう…ありがと萃香、手間かけたわね」

 

 

萃香「それと…」

 

 

アリス「どうしたの?」

 

 

萃香「消えた奴がまた増えたよ…八雲家と白玉楼、それから妖精達とその遊び仲間の子供たち、寺子屋に通ってた子供」

 

 

霊夢「! ……」

 

 

アリス「子供達…それにあの紫まで」

 

 

神子「亡霊までも消すとは…犯人はいったい何者なのだ」

 

 

萃香「それが分かれば苦労しないよ」

 

 

神子「…霊夢、今こんなこと言うことではないと思っていたが言わせてもらおう」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子「これは神隠しの類いだ、そう思えるほど静かに、どんどん幻想郷の住人が消えていっている、だから私は神隠しに縁のある八雲紫の仕業ではないかと睨んでいる」

 

 

萃香「おいおい、紫がそんなことするわけないだろ! 現に紫と藍と橙も消えてるんだぞ?」

 

 

神子「私はお前たちの様に八雲紫を特別視していない、だからこそ八雲紫が犯人の線でこの異変を」

 

 

アリス「ちょっと待ちなさいよ! 少しは霊夢の気持ちを考えて…」

 

 

神子「他に手掛かりがあるというのか? 訳も分からずこのまま我らも消されていくというのか? 私は御免だ」

 

 

アリス「っ…!」

 

 

霊夢「…」

 

 

神子「……手分けをしてこの異変を解決した方が良いのかも知れんな、私は私の考えで動く…失礼する」

 

 

萃香「待ちなよ」

 

 

神子「…」

 

 

萃香「これだけは覚えときな、紫は霊夢を深く傷付ける事だけはしない」

 

 

神子「…分かった、覚えておこう…」スッ

 

 

 

霊夢「…」

 

 

アリス「…霊夢」

 

 

萃香「霊夢、あの」

 

 

霊夢「大丈夫よ」

 

 

霊夢「そのうちけろっとして魔理沙も紫も出てくるわよ『私がこいつを捕まえたんだぜ!』とか『霊夢~!犯人捕まえたわよ~!』とか言いながらさ、あいつらもうこの異変の犯人を突き止めてるかも知れないし」

 

 

萃香、アリス「…」

 

 

霊夢「あぁ、なんかそう考えると心配してる自分がアホらしく思えて来たわ! この異変、なんとしてもあいつらより先に犯人見つけ出してさっさと宴よ!」

 

 

霊夢「ほら、行くわよアリス、萃香! この異変、私たちで解決するんだからね」

 

 

アリス「え、えぇ…分かったわ」

 

 

アリス「……無理して笑うんじゃないわよ、霊夢のバカ」

 

 

萃香「アリス、霊夢のこと全力でサポートしよう、そうすることが今私たちに出来る最大限の事だよ」

 

 

アリス「うん…!」

 

 

 

 

 霊夢たちが寺子屋で話しているのを聞いている一つの影と、見えない何者かの姿に霊夢たちは気づいていなかった

 

 

 

正邪「よし、着々と幻想郷を裏から完全に支配する準備は整って来ている…!」

 

 

ゆかこ「……」

 

 

正邪「先ずは辺りの奴等を一掃することで異変が起きていると奴等に認知させる、そうすることで幻想郷に居ながらも他の空間にいる奴等を誘き出す事が出来るからな、後は私の仕業だと気付かれない様に順々に消していくだけだ! あはははは!」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「ゆかこ、お前がノートに色々とルールを追加してくれたお陰でより消すことが楽になった! 礼を言う…いや、礼を言うのは変か? 元々あった様なもんだったし、ミッション達成の褒美だしな」

 

 

 

 『偽名を貫通するようになる、その名、呼称で呼ばれた事があれば本名でなくてもその文字を書けばむしゃむしゃすることが出来る』

 

 

 『むしゃ神から『むしゃ神の目』をもらうことができる、むしゃ神の目は目を閉じ、念じる事でむしゃ神との視界を繋げさせ視野を繋げる事が出来る、ただむしゃむしゃするという感覚を自分で体験するかの様な苦痛を伴う』

 

 

 

正邪「むしゃ神の目にも不自由ないしな、最初は気持ち悪かったけど慣れちまえばこっちのもんだ…つーか、これ目は関係あるのか? 便利だから良いけどよ」

 

 

正邪「お前を部屋の中央に残して私はその部屋の何処かに隠れればもういつでも消せるからな、名前を書いて潜むだけ…これがなかったら古明地さとりはやれなかったな、あはは!」

 

 

正邪(もうすぐだ…もうすぐで幻想郷を裏から支配出来る…! そう遠くはない!)

 

 

正邪(博麗の巫女、そうやって苦しんでいろ…! 悩んで悩んで悩み続けていろ…!)

 

 

正邪(お前は最後に楽にしてやる)

 

 

ゆかこ「……霊夢…」

 

 

正邪「しかし私は八雲紫とあの幽々子とかいうやつは書いてないぞ…? まぁ消えてるなら手間が省けるけどな、どのみち消すつもりだし…あ、今書いとくか? 保険としても有効だもんな…うん? 何か言ったかゆかこ」

 

 

ゆかこ「…! え? べ、別に何も…」

 

 

正邪「…? お前らしくないじゃないか、まだまだ退屈はさせないぞ? もっとこの状況を楽しめよ」

 

 

ゆかこ「あ~、うんそうね~、そうだといいわね~♪」

 

 

正邪「なんだそりゃ…」

 

 

ゆかこ「それより良いのかしら?」

 

 

正邪「あん?」

 

 

ゆかこ「一人でべらべら喋ってると、おかしな人だと思われるわよ?」

 

 

正邪「あ? だからそれはいつも気を付けて」

 

 

少名 針妙丸「ねぇ正邪、さっきから何を独り言を喋っているの?」

 

 

正邪「え」

 

 

針妙丸「うん?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…」

 

 

 

 

 

 

正邪「うわっ!? びっくりした!」

 

 

針妙丸「えぇー! 遅くない!?」

 

 

針妙丸「気づいていなかったの!?」

 

 

正邪「急に現れんなよお前はいつもいつもよぉ!」

 

 

針妙丸「またぁ!? いつも普通に会おうとしてるのにいつもいつもそうじゃない!」

 

 

正邪「ちっちぇから気配が分かりづらいんだよ!」

 

 

針妙丸「あー! ちっちぇって言ったなぁ! 小人をバカにすると」

 

 

正邪「…?」

 

 

針妙丸「ば、バカにすると…」

 

 

正邪「…考えてないんだろ」

 

 

針妙丸「うっ…」

 

 

針妙丸「こ、この針でお前の傷口を縫うぞ!」

 

 

正邪「処置じゃねぇか」

 

 

 

 

 

 

 

針妙丸「ねぇ知ってる? 最近神隠しが多いって」

 

 

正邪「あぁ、知ってる」

 

 

針妙丸「霊夢から聞いたんだけど幻想郷の半分以上の実力者達が消えていってるんだって」

 

 

正邪「…実力者、ねぇ」

 

 

針妙丸「……私も神隠しにあっちゃうのかな…?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「怖いよね…急にいなくなっちゃうんだもん、皆の前から突然にさ」

 

 

針妙丸「さよならも言わないでさ…消えちゃうんだって」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「嫌だなぁ、そんなの」

 

 

正邪「…お前は大丈夫だろ」

 

 

針妙丸「えっ…?」

 

 

正邪「大した実力もないし? いなくなったかどうかも分からないぐらいにちんちくりんだし? お前は大丈夫だよ」

 

 

針妙丸「…? あっ! 正邪私のことスッゴくバカにしてる!」

 

 

正邪「バカにしたって処置が待ってるんだろ? ほら、早く縫ってくれよ、ん?」

 

 

針妙丸「うぅー! うがぁー! 正邪のバカー!」

 

 

正邪「ふははは♪」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「相変わらずからかいがいがあるやつだなぁ」

 

 

針妙丸「むぅ~…」

 

 

正邪「……お前はあの小槌を使える実力者…神隠しをされてもおかしくはないかもな」

 

 

針妙丸「!」

 

 

正邪「でもな、そんなもんにビビるお前じゃないだろう? 共にレジスタンスとして活躍していた時を思い出せよ」

 

 

正邪「神隠しなんて跳ね返せ、お前なら出来るさ」

 

 

針妙丸「! 正邪…!」

 

 

正邪「…たぶん」

 

 

針妙丸「たぶん!?」

 

 

正邪「まぁ気楽に生きろってこった、消されるのにビクビクしてたら何にも出来ねぇぞ? じゃあな、姫」スタスタ

 

 

針妙丸「えぇちょっとー! 何にも解決してないと思うんだけどー!」

 

 

針妙丸「……でも」

 

 

針妙丸「ちょっと元気でたかも…」

 

 

針妙丸「ありがと正邪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかこ「あなたらしくないセリフの数々…面白かったわよ♪」

 

 

正邪「面白がるんじゃねぇよ」

 

 

ゆかこ「でもあの子もいずれは書くんでしょう?」

 

 

正邪「…いずれな」

 

 

ゆかこ「まぁ♪ 容赦のないことで」

 

 

正邪「うっせぇ…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪(私は天邪鬼、そして幻想郷をひっくり返す者)

 

 

正邪(分かってくれるよな…? 姫)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《そしてさらに四日後… 博麗神社》

 

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「…」

 

 

霊夢「探しに…行ってくるわ」

 

 

萃香「! 霊夢ダメだよ! もう二日も寝てないじゃないか!」

 

 

霊夢「うるさいわね…離しなさいよ…」

 

 

萃香「探すのは私に任せろって言ったろ! 霊夢は休んでてくれよ! それに離れたらダメだ、相手は神隠しなんだぞ!」

 

 

霊夢「神隠し…? 違うわよこんな…」

 

 

萃香「…?」

 

 

霊夢「神隠しと偽って異変の首謀者は好き勝手やっているのよ!? 博麗の巫女がこれを見過ごせると思うの!? もう残っているのは私達と針妙丸しかいない!」

 

 

霊夢「アリスも、神子たちも、地獄の女神たちも! 幽香も天子もみんな消された…! 私が平和ボケしてまたいつもの異変解決だなんて思ってたばっかりに…!」

 

 

萃香「霊夢のせいじゃないだろ! 落ち着いてくれよ!」

 

 

霊夢「! …萃香」

 

 

萃香「霊夢、霊夢は今とにかく休むんだ、その状態で異変の首謀者がここに来たら倒せる相手も倒せない、だから…」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「霊夢…」

 

 

霊夢「…萃香、ありがとう…」

 

 

萃香「ふん、今更じゃないか霊夢」

 

 

霊夢「ふふっ…」

 

 

萃香「…大丈夫、霧になっても本体だけ私のとこに置いておけばいつでもいられるからさ、心配いらないよ」

 

 

霊夢「うん…頼んだわ、萃香」

 

 

萃香「おう、任しとけ」

 

 

 

 フワッ

 

 

 

霊夢「うん?」

 

 

萃香「?」

 

 

古明地 こいし「わったたた…! 到着到着♪」

 

 

萃香「お前…さとりの妹」

 

 

霊夢「こいし、あんた消えてなかったのね…」

 

 

こいし「消える? うーん、気配はいつでも消せますよー♪」

 

 

霊夢「そういうことじゃないんだけど、でも無事で良かったわ」

 

 

こいし「無事? あ、そうそう、霊夢に聞きたいことがあるの」

 

 

こいし「お姉ちゃんとお燐とお空が何処にもいないの、それとフランちゃんも命蓮寺の皆も、みんなみんないなくなっちゃってるんだけど何処に行ったか知らない?」

 

 

霊夢「あんた…この一週間何処にいたのよ」

 

 

こいし「幻想郷の果てまで旅行を♪」

 

 

萃香「気楽だねぇ、あっはっは♪」

 

 

こいし「そんなことよりさ、知らない?」

 

 

霊夢「今ね…幻想郷の危機なの、異変の真っ只中なのよ」

 

 

こいし「ほぇ?」

 

 

萃香「説明してあげるよ」

 

 

 

 

 

 《鬼、説明中…》

 

 

こいし「…ふーん、そうなんだねー」

 

 

霊夢「そうなのよ…だからあんたも気を付け」

 

 

こいし「じゃあ私がそいつのこと消してあげるよ」

 

 

霊夢「あんた…!」

 

 

萃香「お、おい待て待て! まだ犯人の事も分かってないんだぞ?」

 

 

こいし「いいよ私が消えながらそいつのこと探すから、そしたら私に何にも出来ないじゃん」

 

 

こいし「自分だけ消えないなんて不公平じゃない、私が消す、消す消す消す…」ブツブツ

 

 

霊夢「こいし…」

 

 

萃香(大好きな姉ちゃんとかが消えたって知ったから自我が崩壊しかかってるぞ…! 大丈夫か!?)

 

 

こいし「消してやる…消して、消して消して消してやる…消し」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

霊夢、萃香「!?」

 

 

 

 シーン…

 

 

 

霊夢「萃香…今こいし能力使った?」 

 

 

萃香「たぶん…」

 

 

霊夢「いつもの消えかたと違った様な…」

 

 

萃香「分かんないけど消えたんじゃないかな…自分の能力で」

 

 

霊夢「そう、よね」

 

 

霊夢、萃香「…」

 

 

 

 ザッザッザッ…!

 

 

 

霊夢、萃香「!」

 

 

正邪「…よぉ博麗の巫女」

 

 

霊夢「あんたは…」

 

 

萃香「ん? なんだ天邪鬼か」

 

 

正邪「なんだとはなんだ、随分なご挨拶じゃないか、えぇ?」

 

 

霊夢「あんたも消えてなかったのね」

 

 

萃香「消す必要がないと判断されたのかも」

 

 

正邪「…あぁ、最近流行りの神隠しか」

 

 

萃香「そうだ…悪いけど今お前に構ってる暇ないんだよ、これから私は霧になって」

 

 

正邪「ちょっと待てよ、神隠しの事だろ? えっと…なんだったかなぁ…♪」

 

 

霊夢「…?」

 

 

萃香「なんだよ、邪魔するなら」

 

 

正邪「邪魔なんかしないって、むしろ逆だって」

 

 

萃香「…逆?」

 

 

正邪「えっと…あぁ思い出した! 私さ、一週間前に白黒の魔法使いの奴と会ってるんだよ」

 

 

霊夢「!? 魔理沙と!?」

 

 

萃香「何っ!?」

 

 

正邪「その時さぁ弾幕勝負をしたんだよ、盗人とか因縁付けられてさぁ、まったく参ったよ」

 

 

正邪「んでさぁ、その勝負をしながらなんだけどさ、あの白黒の魔法使いのやついきなり…」

 

 

霊夢、萃香「…」

 

 

霊夢「…? いきなり?」

 

 

萃香「いきなり何なんだよ、ハッキリし」

 

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

霊夢「…えっ…」

 

 

正邪「…」ニタァ

 

 

霊夢「え…す、すい…か…?」

 

 

正邪「そう! こんな感じでさぁ! パッと消えたんだよねぇ私の目の前でさぁ! まるで神隠しの様にさぁ!! あははは!!」

 

 

霊夢「…!!」

 

 

正邪「誰にも知られずにさぁ!? こうパッと消えたんだよぉ! 面白過ぎて笑いがとまんねぇのなんのって」

 

 

 

 ゴォォ!!

 

 

 

正邪「!!?」

 

 

霊夢「お前の仕業かぁぁぁぁぁ!!」スッ

 

 

正邪(なっ!? 早っ…)

 

 

 

 凄まじい霊力を放ちながら霊夢は目にも止まらぬ速さで正邪に突撃し、正邪を地面に叩きつけた

 

 

 

正邪「ぐはっ!!」ドサッ

 

 

霊夢「鬼人正邪ぁぁ!!」

 

 

正邪「ぐあっ…! お、穏やかじゃねぇなぁ博麗の巫女よぉ!! いつもの弾幕勝負はどうしぐあぁ!!」

 

 

 

 霊夢はお払い棒を正邪の胸にくい込ませる

 

 

 

霊夢「みんなを…! みんなを返せこのクソやろうが!!」

 

 

正邪「ぐうっ…うぐっ…!」

 

 

霊夢「お前だけは…! お前だけは絶対に許さ」

 

 

 ムッシャア…!

 

 

 

霊夢「っ…!?」

 

 

正邪「ぐっ! げほっげほっ! くっ…ったく痛ってぇなぁ…♪ 博麗の巫女のさんよぉ♪」

 

 

 

 ゴッ!

 

 

 

霊夢「うぐっ…!? がっ…!」

 

 

 

 霊夢は地面にいきなり倒れ込んでしまう

 

 

 

霊夢(な、何よこれ…!! 力が入らない…!)

 

 

霊夢「えっ…!?」

 

 

 霊夢は自分の右手に違和感を覚え、目をやる

 

 

霊夢「!!?」ゾクッ

 

 

 

 霊夢の右腕の間接辺りから先が消滅していた

 

 

 

霊夢「あああぁぁ!! あ、ぐぅ! うぁ…!」

 

 

正邪「ククク…! ククククク…ははは! あはははははは!!」

 

 

霊夢「お前…!! はぁ、はぁ…何を…!?」

 

 

正邪「何が起きたか分かんないか? 博麗の巫女」

 

 

正邪「冥土の土産に教えといてやる、一連の神隠しの異変、あれは全部私の仕業だ!」

 

 

霊夢「!!」

 

 

正邪「だが何故、こんな力をいきなりこの私が手にしたのか…気になるだろう? 答えはこれだ」ペラッ

 

 

霊夢「!!?」

 

 

正邪「信じられないかもしれないがな、このノートに名前を書かれた奴はむしゃ…いや、体の隅から隅まで食い尽くされた挙げ句あの世に逝く!」

 

 

正邪「お前には見えてないだろうが私にはお前の事を食い尽くす神の姿がハッキリと見えてるんだ!」

 

 

霊夢「神…ですって…!?」

 

 

正邪「あぁそうさ、これは私に与えられた力、幻想郷を裏から支配することの出来る神の力だ!」

 

 

正邪「その神の力の前ではお前と言えども無力なんだよぉ! 自分の無力さを呪い! 地面に這いつくばりながらゆっくりと逝け!!」

 

 

霊夢「くっ…! くそぉ…!」ギリッ

 

 

正邪「安心しろよ、探してたみんなとおんなじとこに行けるんだぞ? だからさっさとぉ…♪」ニヤァ

 

 

正邪「くたばれ! 博麗霊夢!」

 

 

霊夢「はぁ、はぁ…! ぐっ! うおおぉぉ!!」

 

 

正邪「!」

 

 

霊夢「お前なんかに…お前、なんかに…!」

 

 

霊夢「幻想郷を…みんなを…!」

 

 

霊夢「お前…なんかに…!」ズズズッ

 

 

正邪「…」

 

 

霊夢「ちくしょう…」

 

 

霊夢(ごめん)

 

 

霊夢(私…みんなの…)

 

 

 

 

 

 

 

 むしゃむしゃムッシャア!

 

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「…」

 

 

正邪「…」

 

 

ゆかこ「…」

 

 

正邪「フフ…フフフ! フフフフフフ!」

 

 

正邪「ふははははははは!! あははははは!! ふはは! あっははははははは!!!」

 

 

正邪「どうだぁ!! 思い知ったかぁ!! 博麗の巫女ぉ!! 私の勝ちだぁ!!」

 

 

正邪「これで私が幻想郷のぉ!! 支配者だぁ!!」

 

 

正邪「ふははははは! あっははははははは!!」

 

 

ゆかこ「楽しそうね、正ちゃん」

 

 

正邪「当たり前だろ! これが笑わずにいられるかぁ!? もう邪魔する者なんか誰一人いない! ここから私が幻想郷を支配していくんだからなぁ!」

 

 

ゆかこ「そっかぁ~、そうよねぇ」

 

 

ゆかこ「じゃあそんなおめでたい正ちゃんに私から新たにルールのプレゼントよ、ミッション成功『博麗霊夢の名前を書いてみよう』よ」

 

 

正邪「ん? おい、これからこのノートはお前に返すんだぞ?」

 

 

ゆかこ「まぁまぁ、見るだけみてみなさいな」

 

 

 

 

 

 

 『るゆれりさゃしむゆゃしゆむが者だりん込ゆき書り、合場だんゆ込き書にりトーノをゆ前名のゆ者たっ思ゆもで度1ゆといりなりくたき書りが分自にトゆーノのこり、しゆも』

 

 

 

 

 

 

正邪「……は?」

 

 

ゆかこ「どうかしら」

 

 

正邪「いや…どうと言われてもな」

 

 

ゆかこ「分かんない?」

 

 

正邪「いやわかんねぇよ、何だよこの意味の分からん文字の羅列!」

 

 

ゆかこ「簡単なのに、私から抜け出てる物とあなたの能力があればラクショーなのに」

 

 

正邪「余計わかんねぇよ…てかもうこのノートはいらん、お前に返す」

 

 

ゆかこ「え~、散々扱き使っといて用事が済めばハイさよならなの?」

 

 

正邪「元々そうしようと思ってたんだよ」

 

 

ゆかこ「はっ!? これがリストラ!?」

 

 

正邪「また訳の分からないことを…ほら早く持って帰れっての」

 

 

 

 セイジャー

 

 

 

ゆかこ「嫌よ!」

 

 

正邪「お前のなんだろこれ、返すって言ってんだろうが!」

 

 

ゆかこ「いらないです」

 

 

正邪「言い方の問題でもねぇよ! てかお前いらないなら私に返してって最初に言ったよな!?」

 

 

針妙丸「正邪ー!」スーッ

 

 

正邪「! お前…」

 

 

針妙丸「正邪! どうしてここにいるの? …ってあれ? 霊夢と萃香は?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…? 霊夢ー! 萃香ー!」

 

 

 シーン…

 

 

 

針妙丸「あれ、いないの? 出掛けてるのかな…? !? ま、まさか神隠しに…!?」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「ど、どうしよう正邪! あの霊夢も神隠しにあっちゃったよ! わ、私達も神隠しに…」

 

 

正邪「大丈夫だって前に言ったよな、私」

 

 

針妙丸「で、でも…」

 

 

正邪「何で大丈夫だって言ったか分かるか?」

 

 

針妙丸「…え? どういう…事?」

 

 

正邪「それはな…」

 

 

 

 

 

正邪「神隠しの異変を起こしているのは他でもないこの私だからだよ」

 

 

 

 

 

 

針妙丸「え…?」

 

 

正邪「ほら、このノート見てみろ」

 

 

 

 古明地 こいし 抗う隙もなく丸呑みにされる

 

 伊吹 萃香 抗う隙もなく丸呑みにされる

 

 博麗 霊夢 地面に這いつくばらせてゆっくりとむしゃむしゃされる

 

 

 

針妙丸「!? な、なにこれ…!?」

 

 

正邪「このノートに名前を書かれるとな? 見えない神みたいな奴に全身を食い尽くされた後にあの世に逝くんだよ」

 

 

針妙丸「!?」

 

 

正邪「信じられないか? ほらよく見ろよ」ペラッ

 

 

正邪「私とお前の名前だけ書かれてないだろ? 他の奴等は神隠しにあったと騒がれていた奴等ばかり…これが答えなんだよ」

 

 

針妙丸「そ、そんな…! じゃ、じゃあ正邪が…!」

 

 

正邪「あぁ全部私の仕業だ、神隠しの正体は私が幻想郷を支配するために邪魔者を消していた、このMUSHA NOTEでな、ただそれだけの事だ」

 

 

針妙丸「…!!」

 

 

正邪「どうしてお前の名前を書いてないか、分かるか?」

 

 

針妙丸「…!?」

 

 

正邪「一度は共にレジスタンスとして戦った、ただそれだけだが…私としてはとても意味のある戦いだったんだ」

 

 

正邪「なぁ針妙丸、これから私とこの幻想郷を…いや、今日から始まる新世界の幻想郷を共に支配していかないか?」

 

 

正邪「邪魔者は全て消えた、最早私たちに背く実力者ももういない、現れない」

 

 

正邪「どうだ? この私と共にこの世界の頂点に君臨し… 」

 

 

 チャキッ…

 

 

針妙丸「…」

 

 

正邪「? どうして刀を構えるんだ? 針妙丸、よく考え」

 

 

針妙丸「考えるまでもないよ…! 鬼人正邪!」

 

 

正邪「!」

 

 

針妙丸「霊夢を…みんなを…! いったいどうしたらそんな酷い事が出来るんだ!」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「あの日常が! 霊夢や魔理沙たちがいた幻想郷の日常を! お前はそれを私利私欲のために奪ったんだ!」

 

 

針妙丸「みんなを! みんなを返せ正邪! それが出来なければ私が責任を持ってお前を地獄に連れていく!」

 

 

針妙丸「友達として!!」

 

 

正邪「! …お前はもっと利口な奴だと思ってたよ」

 

 

正邪「出来れば書きたくなかった…言っても分からんバカだったとはなぁ!」

 

 

 

 少名 針妙丸 

 

 

 

正邪「ほら見ろ、これでお前も終わりだ! 後1分4秒で消え去る!」

 

 

針妙丸(1分…? 時間制限みたいなのがあるのか? ならその間に!)チャキッ

 

 

正邪「ふははははは! そんななまくらが当たるか!!」

 

 

針妙丸「くっ!」

 

 

 

 

 正邪『なぁお前、一緒にこの世界をひっくり返さないか?』

 

 

 

 

針妙丸「!」

 

 

 

 

 正邪『へぇすげぇな、あの打出の小槌を使えるのか! そのちんちくりんの体で?』

 

 

 針妙丸『ち、ちんちくりんって言うなぁ~!』

 

 

 正邪『あははは♪』

 

 

 

 

針妙丸(な、何でこんな時に…!)

 

 

正邪「…? ははは! こんな時になんで泣いてんだぁ?」

 

 

針妙丸「お前が私の友達だからだ!」

 

 

正邪「まだそれを言うかぁ!」

 

 

正邪「裏切り者のお前は私からしてみればもう友達でもなんでもねぇ!! さっさとくたばれ!」

 

 

針妙丸「うっ…うわああぁぁぁ!!」スッ

 

 

正邪「よっと…!」

 

 

針妙丸「うぅ…!」

 

 

正邪「涙に濡れた目で敵を捕らえられるのか? あぁ!?」

 

 

針妙丸(も、もうダメ…)

 

 

針妙丸(悔しいのか悲しいのか怖いのか…もうわからない…)

 

 

正邪「後10秒だ!」

 

 

針妙丸(だ、誰か…! 誰か正邪を止めて…! 助けて…!)

 

 

正邪「5、4、3、2、1ぃ!」

 

 

正邪「64秒! さらばだ! 針妙丸!」

 

 

針妙丸「くぅぅ…!!」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…」

 

 

正邪「…」

 

 

針妙丸「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「…!?」

 

 

針妙丸「…! あ、あれ?」

 

 

正邪「お、おいゆかこ!」

 

 

ゆかこ「…」ニコニコ

 

 

正邪「お前! まだノートは私のものだ! ノートに書いたぞ!? 何故針妙丸を始末しない!」

 

 

正邪「ノートは絶対なんだろうが! 私はルールを破ってもいないぞ!? どうしてコイツを」

 

 

ゆかこ「…」スタスタ

 

 

 ポン

 

 

針妙丸「!? え…」

 

 

ゆかこ「針妙丸、私が見える?」

 

 

針妙丸「え、え!? あ、あなたはいったい…」

 

 

ゆかこ「私は八行ゆかこ、むしゃ神って設定の神様みたいなもんよ…安心して、あなたをむしゃむしゃする事はないから」

 

 

針妙丸「む、むしゃ…?」

 

 

正邪「!? ゆかこお前何してんだよ!!」

 

 

正邪(ゆかこと会話が出来ているだと…!? 何がどうなってる…)

 

 

ゆかこ「正ちゃん…いえ鬼人正邪、お遊びはここまでよ」

 

 

正邪「!?」

 

 

ゆかこ「あなたは確かにノートのルールは破ってないわね、ノートのルールに従い過ぎてた感はあったけど」

 

 

ゆかこ「ノートは絶対、ルールも絶対、だからお遊びはここまで」

 

 

正邪「何を言ってんだお前は! ちゃんと説明しろ!!」

 

 

ゆかこ「…これよ」

 

 

 

 

 『るゆれりさゃしむゆゃしゆむが者だりん込ゆき書り、合場だんゆ込き書にりトーノをゆ前名のゆ者たっ思ゆもで度1ゆといりなりくたき書りが分自にトゆーノのこり、しゆも』

 

 

 

 

正邪「! さっきの…」

 

 

ゆかこ「私から抜け出ているものと、あなたの能力を使えばラクショー…」

 

 

ゆかこ「ゆかこ…この名前は名ばかり、八行ゆかこは私の真実の名前ではない」

 

 

ゆかこ「あなたは幻想郷の実力者の名前を全て書いたけどむしゃむしゃされたのを見届けていない二人はだぁれ? 都合よく消えていた二人はだぁれだ♪」

 

 

正邪「!?」

 

 

ゆかこ「その二人の下の名前を私の名前にくっ付けると…ほら『ゆ、り』が余るでしょう?」

 

 

ゆかこ「抜け出た…つまりこの文から『ゆ、り』を抜いてあなたの能力の『なんでもひっくり返す程度の能力』を使うの、ひっくり返す、つまりは逆、逆から読むと…?」

 

 

正邪「…!?」

 

 

 『もし、このノートに自分が書きたくないと一度でも思った者の名前を書き込んだ場合、書き込んだ者がむしゃむしゃされる』

 

 

ゆかこ「あなたはルールに従い針妙丸の名前を書いた、だから私もノートのルールに従いあなたをむしゃむしゃする、これは絶対なのよ」

 

 

正邪「なん…なんだと!!?」

 

 

ゆかこ「もう退屈しのぎにもなったし…みんながいない幻想郷なんてつまらないもんね」スッ

 

 

正邪「あっ!」スパッ

 

 

正邪(ノートがゆかこのところに…!)

 

 

ゆかこ「あなたといた一週間、色々と楽しかったけど…もう終わりにしましょう」カキカキ

 

 

 

 鬼人 正邪 全身をむしゃむしゃされる

 

 

 

ゆかこ「はい♪ 書きました~♪」

 

 

正邪「なっ…!?」

 

 

ゆかこ「逃がさないわよ~♪ ノートは絶対だもんね♪」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

正邪「な、なんだこれは! い、いきなり空間にスキマが…!」

 

 

正邪(ば、バカな…! ここまで来て…せっかくここまでやったのに…! ここで…!?)

 

 

正邪「し…死ぬのか!? 私は死ぬのか!!」

 

 

ゆかこ「あのねぇ、むしゃむしゃだって最初から言ってるでしょう? それなのにあなたは始末だの食い尽くされるだのあの世に逝くだの死ぬだのと…ルールを自分で足さないでもらいたいものねぇ♪」

 

 

ゆかこ「てかあなたが一番知っているでしょう? ノートに名前を書かれたら64秒でむしゃむしゃ、もう決まりなの」

 

 

正邪「い、や…やだ むしゃむしゃされたくない!」プルプル

 

 

正邪「むしゃむしゃされたくない! ふざけるな! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!」

 

 

ゆかこ「いやぁねぇだらしない、天下の天邪鬼様が嫌だ嫌だと…プライドは何処に」

 

 

正邪「お前最初に言ってたじゃないか! 私とお前の絆がどうとかよぉ! それなのに」

 

 

ゆかこ「え~、たった今平気で友達の絆をぶち破った奴に言われたくな~い♪」

 

 

正邪「!」

 

 

針妙丸「…」

 

 

針妙丸「正邪…」

 

 

ゆかこ「優しいわねぇあなたは…こんなやつの心配するの?」

 

 

針妙丸「…」

 

 

ゆかこ「その優しさでこれからも霊夢と仲良くしてね♪」

 

 

針妙丸「え…!?」

 

 

ゆかこ「さて、そろそろさよならよ鬼人正邪」

 

 

ゆかこ「紫ぃ~♪ 私にやらせて? むしゃ神の本気をこのおバカさんにみせてやるわぁ♪」

 

 

ゆかこ「はぁ…むしゃむしゃはあなたの担当でしょ、私は能力を使うだけ」

 

 

ゆかこ「一回やってみればいいのに、この体なら出来ると思うけど」

 

 

ゆかこ「それこそ嫌だ! よ♪」

 

 

ゆかこ「ぶ~♪」

 

 

正邪「く、来るなぁ! や、止めろぉ!」

 

 

ゆかこ「嫌だ! よ、うふふ♪」

 

 

正邪(ここまでの努力が…! 私の幻想郷を支配する夢がこんなところで…!)

 

 

正邪(最初からこの女の掌の上だったのか!? だとしたら私は…!)

 

 

ゆかこ「大丈夫、むしゃむしゃされた者がいくところは平等なの」

 

 

ゆかこ「それではぁ♪ むしゃ神としての最後のお仕事よぉ♪」

 

 

正邪「や、止めろぉぉーー!!」

 

 

ゆかこ「いただきま~す♪」

 

 

正邪「!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 ムッシャア…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

針妙丸「…!」

 

 

ゆかこ「ん~♪ ゴチになりましたぁ♪」

 

 

ゆかこ「ゴチて」

 

 

ゆかこ「あ、ゴチで思い出したんだけどねぇ? この言葉を妖夢のご飯を食べた後に言ったら怒られたの」

 

 

ゆかこ「なんて?」

 

 

ゆかこ「『そんな男の人みたいな言い方止めてください』って」

 

 

ゆかこ「ふふっ、妖夢らしいわね」

 

 

針妙丸「あ、あの!」

 

 

ゆかこ「ん~?」

 

 

針妙丸「あなたは全てを知っているんですよね!? 神隠しの事とかあのノートの事とか全部…! それに霊夢と仲良くってことは…」

 

 

ゆかこ「……大抵真実は間近にあるもの、答えは私の中にある」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

ゆかこ「着いてきなさいな、あなたは今回の茶番の生き残り…真実を知る覚悟はある?」

 

 

針妙丸「は、はい!」

 

 

ゆかこ「じゃあおいでなさいな、真実のスキマへ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆかこ「紫、茶番は酷いわぁ」

 

 

ゆかこ「これは誰がどうみても茶番よ、幽々子」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《真実のスキマ空間》

 

 

 

八雲紫「発端はね、幽々子が私のあげた漫画を読んで興味を持ったからなの」

 

 

西行寺幽々子「暇で仕方なかったから私がこの漫画の真似して私なりのノートを作ってみたの♪」

 

 

紫「もちろんムシャノートの全てのルールはでっち上げよ、ただの自由帳だもんそれ」

 

 

幽々子「天邪鬼の思う通りに演技したのよ、書かれた子を片っ端からむしゃむしゃしてやったの♪」

 

 

紫「え? あぁノートのルール? これは…」

 

 

幽々子「紫がノリノリで書きました~♪」

 

 

紫「だ、だってあなたが書いてって言うから!」

 

 

幽々子「私のせいばかりにしないでほしいわぁ♪」

 

 

紫「つい筆が進んだのよ! ついよ、つい!」

 

 

幽々子「うふふ♪ ん? あぁ八行ゆかこ? あれはねぇ」

 

 

幽々子「気付いてる人も多いと思うけど私と紫が合体した姿よ、紫の能力で私と紫のスキマをなくして繋げるの、八行ゆかこは八雲紫であり、西行寺幽々子でもあるのよ」

 

 

紫「最後にむしゃむしゃのトリックね、あれは八行ゆかこの程度の能力で説明出来るわね」

 

 

紫「『むしゃむしゃした者をこのスキマ空間へ転送する程度の能力』」

 

 

幽々子「八行ゆかこの口の中にスキマを作って本当に食べ…いえ、むしゃむしゃしているように見せていただけよ」

 

 

紫「これをあなたの口から聞いたときは耳を疑ったわ、私はむしゃむしゃにトラウマありなのに」

 

 

幽々子「でもやってくれる紫が大好き♪」

 

 

紫「…ありがと」

 

 

紫「はい、これが全ての真実よ、神隠しだの異変だのは存在しないの」

 

 

幽々子「みんな、分かってくれたかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あんたらのやったことは全部把握したわ」

 

 

紫「流石! 私の霊夢ね♪」

 

 

幽々子「さっすがぁ♪」

 

 

霊夢「で?」

 

 

霊夢「何か私たちに言うことはないの?」

 

 

紫「…幽々子」

 

 

幽々子「そうね、今がその時なのね、MUSHA NOTEを作った時から練習したあの技を今からやるのね」

 

 

紫「行くわよ」

 

 

幽々子「えぇ」

 

 

紫、幽々子「せーっの!」

 

 

 ピョイーん

 

 

 

 

紫、幽々子「悪ふざけをしてしまって誠に! 誠に申し訳ありませんでしたぁ!!」

 

 

 紫と幽々子はそれはそれは見事なジャンピング土下座を決めてみせた!

 

 

 

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「みんなぁ! せーっの!」

 

 

幻想郷の皆さん「許すわけないだろうがぁ!!」

 

 

 

幽々子、紫「えぇーーー!!?」ガビーン

 

 

霊夢「紫ぃ!! 歯ぁ食いしばれ! 割りとマジでよ! この大馬鹿もんがぁ!」

 

 

魔理沙「お前らぁ! マスタースパーク十本いっとく覚悟は出来てんだろうなぁ!?」

 

 

風見幽香「手伝ってあげるわ魔理沙、マスパ二十本よ」

 

 

紫「えぇー!? さ、流石にそれは死んでしまうわよ!」

 

 

幽香「死んで償えこの害悪女どもがぁ!」

 

 

幽々子「ゆうかりんこわーい♪」

 

 

萃香「あっはっはっ! なんだそういうことかぁ♪ あっはっはっ!」

 

 

アリス「笑い事じゃないと思うわよ、これは流石に…うん、私も参加してこようかしら」

 

 

小鈴「でも、ここ一週間皆さんとお話出来て楽しかったです!」

 

 

マミゾウ「小鈴よ、間違ってもあの阿呆どもに感謝なぞするでないぞ?」

 

 

小鈴「それは分かってます!」

 

 

阿求「紫さんと幽々子さんに近づくべからずの立て札を幻想郷中に立ててやろうかしら」

 

 

 

神子「あっはっはっ! 私の読みが全て当たっていたとはな! あっはっはっ! 愉快愉快!」

 

 

物部 布都「お見事です太子様!」

 

 

蘇我屠自古「…もうどうにでもなれだ」

 

 

 

八雲藍「スキマぁ…今日という今日は許しませんよ…!」

 

 

紫「ま!? 藍! その言葉遣いはなんなのよ!」

 

 

藍「ウダウダ言ってないで反省をしろやぁ!」

 

 

紫「ひぃ!?」

 

 

魂魄妖夢「…」チャキッ

 

 

幽々子「よ、妖夢!? そ、その構えは」

 

 

妖夢「動かないで下さい、殺さない程度に仕留めるので」

 

 

幽々子「殺る気満々じゃないですかやだー!」

 

 

妖夢「皆の思いをこの刀に乗せて…切らせていただきます」

 

 

 

 

 

 

古明地さとり「こ、こいし…は、離れなさい」

 

 

こいし「いや」

 

 

さとり「ひ、人が多くて恥ずかしいから…///」

 

 

こいし「もう離さない」

 

 

さとり「え、えぇ…」

 

 

火焔猫燐「いいねぇ♪ いい光景ですよ、さとり様」

 

 

霊烏路空「こいし様羨ましいなぁ…」

 

 

さとり「み、見てないで助けなさい、お燐、お空」

 

 

お燐「助ける? 困ってないのにですか?」

 

 

お空「嫌です! なんでかわかんないけど嫌です!」

 

 

さとり「んもう…///」

 

 

こいし「…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正邪「 」ブクブク

 

 

 

 正邪は白目を向いて泡を吹いて倒れていた

 

 

 

八意永琳「あら、この薬じゃダメだったかしら…それじゃこっちを」プス

 

 

正邪「!!?」ビクン!

 

 

永琳「ふふっ、あぁこれ痛みが増す薬だったわね、今度はこっちを…」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「師匠もうよくないですか? 私の能力でありとあらゆる生物からむしゃむしゃされる幻覚を見せてるんですから…」

 

 

永琳「足りないわ、月人としてのプライドが許さないのウフフ♪」

 

 

鈴仙(目が笑ってない…)

 

 

 

 

わかさぎ姫「赤蛮寄ちゃんが最初の犠牲者なんだよね」

 

 

今泉影狼「なんというか…おめでとう?」

 

 

赤蛮寄「嬉しくない、止めてくれ…止めてくれ!」

 

 

わかさぎ姫「何で二回も言うの?」

 

 

赤蛮寄「最初の犠牲者おめでとうと何回言われたと思ってるんだ! この気持ちが分かるか!?」

 

 

わかさぎ姫、影狼「…ごめん、全然分からない」

 

 

赤蛮寄「何がおめでとうなんだ! 何が! く、くそぉ… !」シクシク

 

 

 

 

針妙丸「…」

 

 

鈴仙「…友達、なのよね」

 

 

針妙丸「! うん…」

 

 

鈴仙「大丈夫よ、紫がさっき私にこそっと言ってきたんだけどね?」

 

 

鈴仙「『ありとあらゆる生物からむしゃむしゃされる幻覚を一日分みせてくれる? その後私がこいつのノートに関する記憶を消すから、鈴仙、よろしくね♪』って」

 

 

針妙丸「えっ…!」

 

 

鈴仙「こいつがしたことは許される事じゃないけど…紫なりにやり直すチャンスは与えてくれてるのかもね」

 

 

針妙丸「…そっか」

 

 

正邪「ウゲェァ」ビクンビクン

 

 

永琳「あら、また間違えた♪」ニコニコ

 

 

因幡てゐ「わざとだ、絶対わざとだ」

 

 

藤原妹紅「うげぇぁ、って言ったぞあいつ」

 

 

蓬莱山輝夜「あれよ! あれが永琳の薬物治療『実験』の顔よ!」

 

 

針妙丸「…」

 

 

針妙丸(正邪…また一からやり直そう? そしたらまた)

 

 

針妙丸(一緒に笑ってくれるよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「裁判長! お慈悲を!」

 

 

幽々子「お慈悲を~!」

 

 

四季映姫・ヤマザナドゥ「…」

 

 

小野塚小町(この期に及んで慈悲をねだるのかい、録な死に方しないねぇこの二人…あぁ、一人は亡霊だったねぇ)

 

 

映姫「この期に及んで慈悲をねだるその愚考! 恥を知りなさい!」

 

 

小町(同じこと言ってくれた! よっ!四季様ナイス!)

 

 

紫、幽々子「そんな~」

 

 

映姫「反省をしなさい! その気持ちすらもないのですかあなた方は! 能力を使うまでもない! 陪審員たちも同じ気持ちでしょう! 黒です、どす黒い黒です!」

 

 

映姫「天邪鬼、鬼人正邪への罰は既に永遠亭の者に任せています、よってあなた方への罰はこの者たちにお任せします!」

 

 

紫、幽々子「え?」

 

 

霊夢「これで思う存分やれるわね」ニタァ

 

 

魔理沙「あぁ、閻魔様から期待されてるしな」

 

 

幽香「私は最初から殺るつもりで待ってたけどねぇ」

 

 

藍「すいませんねぇ紫様…これも閻魔様からの指示ですので」

 

 

妖夢「えぇ、本当に申し訳ありません幽々子様、これも閻魔様の指示です」

 

 

紫、幽々子「いぃ!?」

 

 

霊夢「改めて……おらぁ! 紫ぃ! 幽々子ぉ! 歯ぁ食いしばりなさい!!」

 

 

紫、幽々子「ひぃぃ!!」

 

 

 

霊夢「八方龍殺陣!!」

 

 

魔理沙、幽香「ダブルマスタースパーク!!」

 

 

藍「ユーニラタルコンタクト!!」

 

 

妖夢「六根清浄斬!!」

 

 

 

紫「い、いかん! これはいかんよ!? 幽々子! 逃げないと…」

 

 

幽々子「紫…」

 

 

紫「えっ、な、何!?」

 

 

幽々子「…」

 

 

紫「…?」

 

 

幽々子「死ぬときは一緒よ♪」

 

 

紫「! 幽々子…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「いや、あなた死んでるじゃない」

 

 

幽々子「あ、そうでした♪」

 

 

 

 ゴォォォ!

 

 

紫、幽々子「って言ってる場合じゃないぃ!!」

 

 

霊夢「おらぁー!!」

 

 

紫、幽々子「いっ…!?」

 

 

紫、幽々子「いやあああぁぁぁぁぁ…!!」

 

 

 

 

 チュドーン!!

 

 

 

 

 

小鈴「うわぁ…紫さんと幽々子さん大丈夫かなぁ…」

 

 

阿求「生きてるわよ、あの二人ってしつこい所があるから」

 

 

マミゾウ(儂も混ざってくればよかったかのう)

 

 

 

 

 

比那名居天子「…」

 

 

永江衣玖「…」

 

 

天子「いいなぁ、紫と幽々子」

 

 

衣玖「仰ると思いましたよ、えぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 





 お疲れ様でございました! ここまで読んでいただいてありがとうございました、なんか…こんな作品に付き合っていただいて本当に感謝です、ありがとうございます






 マミゾウは『東方紫藍談』では小鈴に自分が妖怪であることをバラしています、姿を変えて偽りたくないんだとか…でも小鈴は人間に変化したマミゾウを素敵なお姉さんだと思っている様です



 また正邪の、ゲスが半端ないですがこれはノートを手にしてしまったから出た感情だと思います、新世界の神になろうとした何処かの人もまたノートの魔力に溺れていましたし、正邪もノートの魔力に溺れてしまいました、ただ紫も鬼ではないので記憶を消してあげてます、今後の正邪にも救いはあるでしょう。 今回は全部紫と幽々子が悪いんですけどね





 さてMUSHA NOTEについての補足…という名の蛇足ですが


 ノートを拾ったのが正邪だったのは偶然です、幽々子が人の出入りが頻繁且つ、ノートを興味本意で使う人が多そうなところ…妖魔本が沢山置いてある鈴奈庵ならばと思い、ノートを鈴奈庵の商品棚に潜り込ませました。


 むしゃむしゃされた時点で転送が始まってますので例え左腕が消えた様に見えてもその左腕はもうスキマに転送されてます、どこでもドアみたいな感じです。


 「ぐあぁ」とかのセリフで痛がってる様に感じますが実際痛くないんです、いきなり腕とかが訳の分からないうちに消えたら幻想郷のみなさんとて普通の神経じゃいられないと思うのです『腕を見る、なくなってる、あ、これは痛いな』と脳が錯覚してるんです、思い込みの力で本当に痛くなる事が現実ではあるぐらいですので…





 八行ゆかこについて


 オリジナルキャラではなく、二人の能力で紫と幽々子がフュージョンした姿です、髪の色と名前だけで感の鋭い者なら正体が一発で分かります。

 他の人に見えなくする、物体をすり抜ける能力を持ってます、紫と幽々子なら造作もない事でしょう。



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《第5話》『溜まりに溜まった精神厄』



 『今日も一日お疲れ様でしたの会』が帰って来ました!


 今回物語の軸になって行動するのは妖怪の山の三人、三人は会のメンバーを救うことが出来るのか!?


 それでは始まります!



 『今日も一日お疲れ様でしたの会メンバー』


八雲 藍  
魂魄 妖夢 
永江 衣玖
ナズーリン
鈴仙・優雲華院・イナバ
蘇我 屠自古




 

 

 【朝 妖怪の山 休憩所屋外】

 

 

 

鍵山雛「…」

 

 

河城にとり「あぐっんぐっ…ん~♪ いやぁ~ここのお団子は美味しいね♪」

 

 

姫海棠はたて「うん、このみたらしのタレが甘塩っぱくて団子に合うのよね、お茶も渋味が効いていてみたらし団子のタレの味にマッチしてる、それでいて山の風景を一望出来る場所に店を構えているのも一役勝っている…最高の休憩所ね」

 

 

にとり「あはは、流石新聞記者だね、感想が一味も二味も違うや」

 

 

はたて「ふふん♪ そうでしょ? まるでこの団子の様にね」

 

 

にとり「上手い! 座布団一枚!」

 

 

はたて「はっはっは♪ …ってにとり、さっきの話の答えは?」

 

 

にとり「え? あ~、なんだったっけ?」

 

 

はたて「最近文が怪しいって話よ」

 

 

にとり「文なだけに?」

 

 

はたて「それは上手くないわよ」

 

 

にとり「ありゃりゃ」

 

 

はたて「紫のスキマボックスを有効活用したお陰で私の新聞が売れるようになったから文が焦り出すもんだとばかり思ってたんだけど、そんな様子が無いのよね」

 

 

にとり(一時は焦ってたけどね、酒に溺れて自暴自棄になってたし『つれぇです』が口癖になってたし)

 

 

はたて「寧ろ最近はなんかイキイキしてるのよ、何か知らない?」

 

 

にとり「さぁ? 私は知らないよ?」

 

 

はたて「本当に?」

 

 

にとり「知らんなぁ」

 

 

はたて「む…」

 

 

にとり(クイズ番組のライターやってるなんて言えないよねぇ、紫にも口止めされてるし)

 

 

にとり「てかそんなに気になるなら文に直接聞けば良いじゃないか、せっかく脱引きこもりしたんだからさ」

 

 

はたて「それとこれとは話が別よ、文に私が直接聞いたら負けな気がするじゃない」

 

 

にとり「何で?」

 

 

はたて「新聞記者ってのは情報を探るのが仕事だからよ」

 

 

にとり「なにその拘り、私には分からない拘りだね」

 

 

はたて「同じ物作り仲間としては分かってほしいわね」

 

 

にとり「発明家と新聞記者じゃ全然違うよ」

 

 

はたて「それは…うん」

 

 

にとり「だろう?」

 

 

はたて「ん~…ねぇ雛、雛は何か知らない?」

 

 

雛「…」

 

 

にとり「私が知らないんだから雛が知ってるわけないじゃないか」

 

 

はたて「分かんないでしょ、ねぇ雛、教えてくれたらこのお団子私が奢っちゃうわよ?」

 

 

にとり(えぇ…金で釣るんだ、もったいない事を)

 

 

雛「…」

 

 

はたて「雛、ねぇ聞いてる? …雛?」

 

 

にとり「雛?」

 

 

雛「…」

 

 

はたて「雛…? どうしたのよ、さっきからずっと空見上げてボーッとしてるけど」

 

 

にとり「団子も食べてないじゃないか、もしかして今日体調悪かったりする?」

 

 

雛「…」

 

 

はたて、にとり「…?」

 

 

 

 

 

 

雛「厄いわね」

 

 

はたて、にとり「え」

 

 

雛「厄いわ…凄く厄い…ごっつ厄い…」

 

 

はたて、にとり「…」

 

 

にとり「ほらぁ…お金で情報を得ようとするから」

 

 

はたて「そんないけない事だったの!?」

 

 

にとり「あれだよ、はたてが文の怪しい情報を得られないのははたてに厄が溜まってるせいなんじゃない?」

 

 

はたて「いぃっ!? ひ、雛! だったら私の厄を全部吸い取ってよ!」

 

 

雛「にとり…はたて…」

 

 

にとり、はたて「な、なに…?」

 

 

雛「幻想郷に蔓延る六つの厄が爆発しそうなの」

 

 

にとり、はたて「はい…?」

 

 

 

 

 

 【厄神、説明中】

 

 

 

にとり、はたて「せいしん…やく?」

 

 

雛「そう、精神厄よ」

 

 

にとり、はたて「…」

 

 

はたて「永遠亭でも最近需要が高いみたいなのよね」

 

 

にとり「あぁ薬か、確かに妖怪も精神をやられると困っちゃうから」

 

 

雛「違うわよ! そっちの精神薬じゃなくて厄の方よ!」

 

 

はたて「だから薬…えっ? 厄って厄年とかの厄!?」

 

 

雛「だからそう言ってるでしょ!?」

 

 

にとり「まぁ雛の口から薬の話が出るわけないよね、厄神様なんだからさ」

 

 

雛「そうよ、私は薬の神様じゃないんだから」

 

 

にとり、はたて(薬の神様って…)

 

 

はたて「それで…その精神厄? それってなんなの?」

 

 

にとり「初耳だよね、聞いたことないよ」

 

 

雛「厄って本当に様々な種類があるの」

 

 

雛「苦厄、大厄、危厄、水厄、困厄、重厄…と天変地異の類いから人に害をなすものまであって数えてたらキリがないわね」

 

 

雛「そういう厄は私の目に見えるし『あぁこれは厄なんだな』ってその人や妖怪が感じ取れるレベルのものなんだけど」

 

 

雛「中にはこう…表舞台に出てこないで人や妖怪の心の中で潜み続けてその者をじわじわと苦しめる厄が存在しているの」

 

 

雛「その厄は普段は心の中でじっとしていて普通に生活している分には何ら脅威は無いんだけど、心に何らかの負荷が掛かったり、ストレスを感じたりするとそのエネルギーを吸収しながら溜め込んで厄エネルギーに変換していくの、それで徐々に大きくなっていってその者の理性を崩壊させて暴走、豹変させるの」

 

 

はたて、にとり「それが…?」

 

 

雛「精神厄よ」

 

 

はたて、にとり「…」

 

 

はたて、にとり「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はたて、にとり「恐っ!!?」

 

 

雛「でしょう?」

 

 

はたて「えっ!? 何!? マジでそんな厄が存在してるの!?」

 

 

にとり「なんか最初病気のそれかと思って聞いてたけどよく考えると凄い恐くなってきたよ…」ブルブル

 

 

雛「あなたたち妖怪にとっては猛毒の様な厄かもね、この厄は私じゃないと見破れないのも恐いところなの」

 

 

雛「知らず知らずの内に精神厄に蝕まれているって人も少なくないのよ、自由な幻想郷でもその厄のせいで大切な物を失ったって話は聞くわね」

 

 

はたて「た、大切な物?」

 

 

雛「理性を崩壊させるのよ? 友達を傷付けたりとか物を破壊しつくしたりとか色々と…」

 

 

にとり「ね、ねぇ雛、念のために聞くけどそれって精神病とかの類いじゃないんだよね?」

 

 

雛「さっきも行ったけど全然違うわ、お医者さんが診て治せる様な代物じゃないの」

 

 

はたて「治療…とは違うんだろうけど、精神厄に蝕まれて雛に吸収してもらったってのは年に何回ぐらいあるの?」

 

 

雛「うーん…二十ぐらい?」

 

 

にとり「なんか地味に多いなぁ、益々恐くなってきた…」

 

 

はたて「私たちの中にもあるんでしょうね…精神厄…」

 

 

にとり「そういう事言うのやめてくれよ…」

 

 

雛「あるけどあなたたちは心配しなくても平気♪ ストレス発散の機会が二人は多いし、溜め込むタイプじゃないもの」

 

 

雛「私の目にははっきりと見えてるけど精神厄が肥大化する片鱗すらないわね」

 

 

にとり、はたて「ほっ…」

 

 

雛「これで精神厄のことを分かってくれたと思うけど…それを踏まえた上で最初の話に戻ってもいいかしら?」

 

 

にとり「うん、えっとなんだっけ?」

 

 

はたて「確か幻想郷に蔓延る六つの厄が爆発しそう、とかなんとか言ってたわよね?」

 

 

雛「えぇ」

 

 

はたて「…!? え…!?」

 

 

にとり「それってさ、ま、まさか…」

 

 

雛「そのまさかよ」

 

 

雛「精神厄が肥大化して限界を向かえている人…いえ妖怪かしら…? この場にいないのにも関わらずひしひしと感じるのよ、幻想郷に蔓延る六つの大きな精神厄をね」

 

 

はたて「六つ…六人って意味よね」

 

 

にとり「そんなに一度に現れるとはね」

 

 

雛「えぇ、こんなの初めてよ」

 

 

にとり「でもこんな時だからこそ厄神様の出番なんだろう?」

 

 

雛「ふふっ、そうね、その通りよにとり」

 

 

雛「雛祭りはもう終わっちゃったけど、幻想郷の厄神としての責務を果たす時よ!」

 

 

にとり「よっ! 流石幻想郷一番の厄神様!」

 

 

はたて(厄神って雛しかいないし、雛祭りは関係ある…?)

 

 

雛「うん! 私頑張るわ! ということで二人には手伝ってほしいんだけど」

 

 

にとり、はたて「え?」

 

 

雛「え?」

 

 

にとり「…」

 

 

はたて「…」

 

 

雛「…」

 

 

 

 

はたて、にとり「えぇー!? なんでぇ!?」

 

 

雛「えぇ!? 手伝ってくれないの!?」

 

 

はたて「なんで私たちが手伝う流れになったの!?」

 

 

雛「だって興味津々で聞いてくれたから…」

 

 

にとり「そりゃあ興味あるよ! 精神厄なんて初めて聞いたんだもん!」

 

 

はたて「そうよ! 一新聞記者としては聞き過ごす訳にはいかない話題だもん!」

 

 

雛「そう…よね…うん…物珍しい話題だもんね」

 

 

にとり「あ~…雛? 私たちは手伝いたくない訳じゃないんだよ?」

 

 

はたて「そ、そう! そうなのよ雛」

 

 

はたて(私は本当は手伝いたくないんだけどなぁ…あはははは…)

 

 

にとり「私たちが着いていってもどうにもならないんじゃないかと思ってさ、仮にも厄なんだから雛の仕事だ、私たちには精神厄をどうこう出来ないからさ」

 

 

雛「そうだけど精神厄を吸収するのって凄いパワーがいるのよ、相手が相手だから集中しないと吸収しきれないの」

 

 

雛「それと私が精神厄云々の話をしても簡単に信用してくれないかもしれない、さっきも言ったけど本当に物珍しい事だもの」

 

 

はたて「私たちがこんな反応だったからね」

 

 

雛「だから幻想郷に顔が広い二人が居てくれたら説明もしやすいと思ったの」

 

 

雛「そ、それに…/// 二人が側に居てくれたら、安心して吸収作業が出来るかなぁって…///」カァ

 

 

にとり、はたて「!」

 

 

にとり(まったく…その顔でそういう言い方は反則だよ)

 

 

はたて(…)

 

 

にとり「雛」

 

 

雛「!」

 

 

にとり「手伝いたくない訳じゃないって言ったろ? そういう理由があるんだったら手伝うよ」

 

 

にとり「私と雛の仲じゃないか、喜んで手伝わせてもらうよ」

 

 

雛「にとり…ふふっ、ありがとう」

 

 

にとり「ふっふっふ、雛の口下手なところは私が補ってあげるよ♪ 仲良くしてもらってる好で無料で一緒に行こうじゃないか」

 

 

雛「! もう、にとりったら…♪」

 

 

にとり「はっはっは♪」

 

 

はたて(…)

 

 

雛、にとり「…」

 

 

雛、にとり「チラッ♪」

 

 

はたて「! 『チラッ』じゃないわよ! 『お前はどうなん?』みたいな眼差しを向けないでよ」

 

 

はたて「まぁ…精神厄の取材にもなるだろうし? 一緒に行ってあげてもいいわよ?」

 

 

にとり、雛「…」ジトッ

 

 

はたて「な、何よ」

 

 

にとり「素直に一緒に行きたいって言えばいいのにね」ヒソヒソ

 

 

雛「私たちが一緒に来てくださいって言わなきゃ来てくれないのかしら」ヒソヒソ

 

 

にとり「めんどくさいから二人で行っちゃう?」ヒソヒソ

 

 

雛「そうね、残念だけどそうしま」ヒソヒソ

 

 

はたて「聞こえてるっ! 聞こえてるから! 全然ヒソヒソ話になってないから!」

 

 

雛、にとり「…」ジトッ

 

 

はたて「…! くっ! わ、分かったわよ! 手伝いますー! 手伝わせていただきますから連れて行ってくださいー!」

 

 

にとり「あっははは♪ そうこなくっちゃね」

 

 

雛「ふふっ…ありがとう、はたて」

 

 

はたて「ふん…///」

 

 

はたて「その代わり取材はさせてもらうわよ? 終わったら精神厄の事を記事にするかもしれないけど」

 

 

雛「それは願ったり叶ったりだわ、精神厄を認知してもらうには新聞は効果的だもの♪」

 

 

にとり(文が『なんでそこは私に頼んでくれないんですかぁぁ…!』とか言い出さなきゃ良いけどね)

 

 

はたて「それにしても六つか…結構移動することになりそうね、まずはどこからいくの?」

 

 

雛「そうね…近いところから順番に精神厄を撲滅していきましょう、一番近くに感じるのは…」

 

 

雛「守矢神社ね」

 

 

にとり、はたて「えっ…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【妖怪の山山頂、守矢神社近辺】

 

 

 

雛「むむっ…感じる…感じるわ、精神厄のパワー」

 

 

にとり「ん~、あの三神にストレス…?」

 

 

はたて「ストレスとは無縁だと思うけど、精神厄に蝕まれているのかしら」

 

 

にとり「可能性があるとしたら早苗かな?」

 

 

はたて「うーん、偶然そこにいた客人とか」

 

 

雛「…!?」ピクッ

 

 

にとり「ありえるね、てか私たちの知り合いなのかどうかもわからないけど」

 

 

はたて「あ、それ盲点だったわ…って雛?」

 

 

にとり「? 雛、どうしたんだい、急に立ち止まって」

 

 

雛「いけない!」スッ

 

 

はたて、にとり「ん?」

 

 

雛「にとり! はたて! 急ぎましょう!」ググッ

 

 

 

 ギューン! クルクルクルクル!

 

 

 

はたて、にとり「速っ!?」

 

 

はたて「雛ってあんなに速く飛べるの!?」

 

 

にとり「きっと回転しながら飛ぶことで空気抵抗が…」

 

 

はたて、にとり「…」

 

 

にとり、はたて「なんて言ってる場合じゃないわぁ!」

 

 

はたて「急ぐわよにとり!」

 

 

にとり「お、おう!」

 

 

 

 

 

 【守矢神社】

 

 

東風谷早苗「衣玖さん!! お、落ち着いて下さい! どうしちゃったんですか!?」

 

 

八坂神奈子「くっ…! お、おい暴れるな!」

 

 

永江衣玖「はぁはぁ…! は、離せぇ! こいつを始末してやるんだ…! 私が…! 私が殺らなきゃダメなんだぁ!」ジタバタ

 

 

早苗、神奈子「!!?」

 

 

 

 

比那名居天子「ちょっと! これ外しなさいよ!」

 

 

洩矢諏訪子「お前にまで暴れられたら困るからさ、悪いけど拘束させてもらうよ、それは洩矢の鉄の輪だ、そう簡単には外せない」

 

 

天子「何よこんなものっ…!」グググッ

 

 

諏訪子「力ずくじゃ無理だよ、にしてもさぁ」

 

 

諏訪子「あれ永江衣玖だよね? 何であんなになっちゃってんの?」

 

 

天子「くっ! 拘束して体をズタズタにしてくれるならまだしも、放置するだけなんて最悪だわ!」

 

 

諏訪子「いきなり空から降ってきた奴にご褒美くれてやるほどこのケロちゃんは優しくないのだ♪」

 

 

天子「くっそぉー! 衣玖がやっとその気になってくれたのにー!」ジタバタ

 

 

諏訪子「ドMとは聞いてたけどここまでとは…さて、一体全体どういうことか」

 

 

神奈子「自分だけ落ち着いてるんじゃないよ諏訪子! コイツにも鉄の輪をかけてくれ!」

 

 

衣玖「うがぁー!」ジタバタ

 

 

早苗「いたたっ! 痛いですよ衣玖さん! 暴れないでください!」

 

 

諏訪子「神奈子、それなら神奈子の注連縄でやりなよー♪」

 

 

神奈子「出来るかっ! 注連縄は拘束具じゃないんだぞ!?」

 

 

諏訪子「えー、大戦中に私やられた経験あるんだけど」

 

 

神奈子「…したようなしてないような」

 

 

諏訪子「したってば、ほらぁ、八回目の大戦の時だよ」

 

 

神奈子「……あ~、ははは…やってたわなぁ」

 

 

諏訪子「あれ結構痛かったんだからなぁ~!」

 

 

衣玖「殺ってやる…! 殺ってやりますよ私はぁ!」ジタバタ

 

 

早苗「お二人とも昔話に花を咲かせている場合ではありませんよ!?」

 

 

天子「こらぁ! 外すのは諦めてやるから痛め付けろー!」

 

 

早苗「何言ってるんですか!? あ~んもう! 誰か助けて下さーい!」

 

 

 スタッ!!

 

 

雛「早苗ちゃん!」

 

 

早苗「! ひ、雛さん!?」

 

 

雛「!? あぁっ!」

 

 

衣玖「ぬあぁぁっ!!」ジタバタ

 

 

神奈子「雛か、遊びに来てくれたところ悪いが今取り込み中でな」

 

 

諏訪子「取り込み中というか、巻き込まれたというか…雛も巻き込まれたくなかったらここから逃げた方がいいよ」

 

 

雛「いえ、この騒動を静める為にここまで来たんですもの、逃げるわけにはいかないわ!」パンッ

 

 

 雛は両手を合わせて集中する

 

 

雛「早苗ちゃん、神奈子さん! そのまま彼女を押さえててください!」

 

 

早苗「は、はい!」

 

 

神奈子「? おい、何をする気だ?」

 

 

雛「私が彼女の暴走を止めます! 協力してください!」

 

 

早苗「! 神奈子様!」

 

 

神奈子「あぁ、分かった!」

 

 

雛「…」スッ

 

 

雛「溜まりに溜まり、精神の狭間で蔓延る邪な精神厄よ! その身を具現と化し、厄神の手によって吸印せん!」

 

 

 

 雛の両手が淡い光に包まれる

 

 

 

衣玖「うがぁぁ!!」ジタバタ

 

 

雛「はあぁっ!」ズズッ

 

 

 

 その両手を衣玖の腹の辺りに押し付ける

 

 

 

雛「厄手吸印!!」

 

 

 ドッ!

 

 

衣玖「!!? うぐぅ!」

 

 

 雛の両手が衣玖から離れると同時にズズズッ、と音を立てて黒いモヤモヤした塊が衣玖の体から引き摺り出された

 

 

早苗、神奈子、諏訪子「!?」

 

 

衣玖「! ……」ガクッ

 

 

早苗「あ…! い、衣玖さん!?」

 

 

衣玖「 」グデーン

 

 

雛「大丈夫、気を失ってるだけよ、数分で目が覚めると思うわ」

 

 

神奈子「聞くが、今何をしたんだ?」

 

 

諏訪子「雛の事だから厄関係の事だと思うけど、永江衣玖から取り出したそのモヤモヤは厄なの?」

 

 

雛「えぇ、話せば長くなるんだけど…彼女が暴れていた原因はこの厄のせいなの」

 

 

早苗「原因は厄だったんですか…」

 

 

 雛は両手に乗っけていた厄を自分の胸に持っていき、厄を取り込んだ

 

 

早苗「えっ!? そんなことして大丈夫なんですか!?」

 

 

雛「ふふっ、大丈夫よ、これは特種な厄だけど厄は厄だもの、私の体に吸収さえしてしまえば還元出来るの、最終的には流し雛をする必要はあるけどね」

 

 

諏訪子「その厄って普通じゃなさそうだね」

 

 

雛「えぇ、実は」

 

 

 おーい!

 

 

にとり「はぁ、やっと追い付いた」

 

 

はたて「あんた遅すぎよ」

 

 

にとり「天狗じゃないんだからそんなに速く飛べるわけないじゃないか」

 

 

早苗「あ、にとりさん、はたてさん」

 

 

にとり「やぁ」

 

 

はたて「こんちは」

 

 

諏訪子「今日は客が多い日だねぇ」

 

 

神奈子「突然飛来してきたコイツらは客人とは言えないけどな」

 

 

衣玖「 」グデーン

 

 

にとり「ん? あれ、もしかしてもう終わっちゃった?」

 

 

雛「えぇ」

 

 

はたて「天狗も驚く程のスピード解決ね…」

 

 

にとり「まぁ地元だしね、説明いらずだろうし」

 

 

雛「精神厄の暴走が始まっていたから速く済ませたの、荒治療になってしまったけど早苗ちゃんと神奈子さんが押さえててくれていたから助かったわ、大惨事にならずに済んだんですもの」

 

 

にとり(治療とか聞くとやっぱり医者の仕事だと思っちゃうね)

 

 

はたて「察するに…永江衣玖よね」

 

 

雛「えぇ、これで後五つね」

 

 

早苗「あの…事態を収拾してくれたことにお礼をしたいんですけど、いまいち状況が…」

 

 

神奈子「ふむ…落ち着いた事だし、境内の中でゆっくり話でもしようじゃないか」

 

 

にとり「そうだね、それが良いと思うよ、こっちも何で天人達がいるのか知りたいしね」

 

 

はたて「私としてはあの大穴が気になるんだけど」

 

 

 

 守矢神社の敷地内に大きな穴が開いている

 

 

 

諏訪子「それも説明してあげるよ」

 

 

神奈子「よいしょっと…早苗、タオルか何か濡らして持ってきてくれ、永江衣玖を介抱してやろう」

 

 

早苗「はい、分かりました」

 

 

はたて「ゆっくりしてる時間あるの?」ヒソヒソ

 

 

雛「本当は急ぎたいけどお言葉には甘えなくちゃ、それに説明もしたいもの」ヒソヒソ

 

 

諏訪子「ぷっ…! 神奈子、獲ったどーって言ってみてよ」

 

 

神奈子「? 何だいきなり」

 

 

諏訪子「竜宮の使いお姫様抱っこしてるから」

 

 

神奈子「銛で仕留めてもないし食う気もないからな!? てか懐かしいなそのフレーズ」

 

 

諏訪子「あっはっは♪」

 

 

にとり「お姫様抱っこ…あはは、ありゃお雛様抱っこだったね」

 

 

雛「に、にとり!」

 

 

にとり「あれも懐かしいよね」

 

 

雛「あれは紫さんが勝手に…///」

 

 

はたて「?」

 

 

諏訪子「ほれ、お前たちも上がんなよ」

 

 

雛「え、えぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

天子「…」

 

 

天子「……」

 

 

天子「おらぁ! 放置プレイとスルーにも程があるわよ!?」

 

 

諏訪子「あぁ忘れてた、ケロちゃんうっかり…てへケロ♪」

 

 

はたて「てへけろ?」

 

 

神奈子「突っ込んだら負けだぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【数分後 守矢神社 境内】

 

 

諏訪子「やけに大人しくなったね」

 

 

天子「別に…最初は衣玖がやっとその気になってくれたと思ってワクワクしてたんだけど」

 

 

天子「あの大人しい衣玖が『殺ってやる』だの『うがぁー!』だの言うのは流石に…なんか変だなぁとは思うのよ」

 

 

雛(私の中では異変レベルの問題なのよね)

 

 

にとり「へぇ~気遣えるんだ、優しいとこあんじゃん」

 

 

諏訪子「雪でも降るのかな?」

 

 

はたて「異変じゃない、記事に書いてやろうかしら」

 

 

天子「…あんたら私のこと何だと思ってるのよ」

 

 

はたて「変態」

 

 

諏訪子「ドM」

 

 

にとり「クレイジーマゾヒスト」

 

 

天子「人聞きの悪いことを…! 私は『痛みの探求者』なのよ、そんなちんけな言葉で片付けてもらいたくないわね!」

 

 

神奈子「どうあれ変態なのは変わらんだろ」

 

 

天子「あぁん!?」

 

 

早苗(痛みの探求者ってなんかちょっとかっこいい…はっ!? い、いけないいけない、常識常識…)

 

 

天子「ふん…で? 衣玖がああなった原因、あんた知ってるんでしょ?」

 

 

雛「それは…」

 

 

天子「?」

 

 

にとり(…まてよ? 精神厄がストレスとかと関係あるって雛言ってたよね)

 

 

天子「何よ、早く言いなさいよ」

 

 

雛「…」

 

 

にとり(原因、目の前にいんじゃん)

 

 

 

衣玖「うっ…」パチッ

 

 

全員「!」

 

 

衣玖「…? う、うん…? こ、ここは…?」

 

 

神奈子「お、目が覚めたか」

 

 

早苗「衣玖さん、良かった…」

 

 

諏訪子「おはケロっ!」

 

 

衣玖「早苗さんたち…ということはここは…」

 

 

早苗「守矢神社ですよ、それよりもどこか身体が痛むとかありませんか?」

 

 

衣玖「…? いえ、特には…」

 

 

神奈子「それは何よりだな、急にお前達が空から降ってきたから何事かと思ったが」

 

 

衣玖「空…? ……! そ、総領娘様…! 総領娘様は」ガバッ

 

 

天子「いるわよ」

 

 

衣玖「! 総領娘様…」

 

 

天子「その様子だと元に戻ったみたいね」

 

 

衣玖「元に…?」

 

 

天子「? えっ、あんた何も覚えてないの?」

 

 

衣玖「……はい、私達が何故守矢神社にいるのか、どうして私が守矢神社で目覚めたのか…定かではありません」

 

 

天子「えぇ…あんなに積極的になってたのに覚えてないの?」

 

 

衣玖「積極…的?」

 

 

神奈子「お前はちょっと黙ってろ、永江、その答えならあの厄神に教えてもらうといい」

 

 

天子「…」ムスッ

 

 

衣玖「…? あ…」

 

 

雛「名前は知っていたけど初めましてよね、私は鍵山雛、厄神よ」

 

 

衣玖「あなたがあの厄神様…こちらこそ初めまして、私は永江衣玖、総領娘様…比那名居天子様の身の回りのお世話をさせていただいております」

 

 

雛「えぇ、ご丁寧にどうも…」

 

 

衣玖「はい…」

 

 

天子「…」

 

 

諏訪子「雛、そろそろ教えてよ、この竜宮の使いに何が起きたのかをさ」

 

 

雛「その前に…衣玖さん、ここで目覚める前の事教えてくれるかしら、覚えてるところまででいいの」

 

 

衣玖「…」

 

 

神奈子「確かに天人達の事情も気になるな」

 

 

衣玖「…」

 

 

早苗「あ、あの衣玖さん…話づらかったら無理に」

 

 

衣玖「いえ…お話します」

 

 

衣玖「総領娘様…」

 

 

天子「?」

 

 

衣玖「…ご無礼をお許し下さい」

 

 

天子「え?」

 

 

衣玖「…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

【数十分前、天界】

 

 

 

天子『…』

 

 

衣玖『総領娘様、どうかなさいました?』

 

 

天子『ねぇ、衣玖』

 

 

衣玖『はい?』

 

 

天子『天界ってさ、幻想郷の遥か上空に位置してるじゃない?』

 

 

衣玖『えぇ、そうですね』

 

 

天子『高度何メートルぐらいなのかしらね』

 

 

衣玖『雲の上に位置してますから、およそ一万メートルぐらいですかね』

 

 

天子『一万メートルかぁ…』ゾクゾク

 

 

衣玖『はい、悪魔でもおよそですけど』

 

 

天子『およそでも何でもいいのよ』

 

 

衣玖『はぁ、そうなのですか?』

 

 

天子『そう、問題なのはそこじゃないの』

 

 

衣玖『?』

 

 

天子『衣玖、今から私』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天子『天界から幻想郷の地面に飛び込みダイブしてくるわ!』

 

 

衣玖『…』

 

 

衣玖『……』

 

 

 

 

 

 

 

 

衣玖『はい!?』

 

 

天子『ふっふっふ、盲点だったわ…天界はしょーもなくて退屈にまみれたところだから楽しみも何も無いと思っていたけどこんなところに楽しみが眠っていたなんて』

 

 

天子『衣玖、私まだ高度一万メートルの高さから地面に落下した経験が無いのよ』

 

 

天子『飛ばずに停止もせずに地面に落下するのよ♪ どんな痛みが私を待っているのかしら…想像しただけで…っ! あはぁん♪ 想像痛覚が心地いわ♪』ビクビク

 

 

衣玖『な…!? なぁっ…!?』ゾクッ

 

 

天子『それじゃ衣玖! 私行ってくるから♪ あ、行くって言っても辿り着くのはどの地面かわからないけどね♪』

 

 

衣玖『お、お待ちなさい!』

 

 

天子『ん? 何よ』

 

 

衣玖『何よではありません! あなたはどうしてそんっ…! そんなおぞましい事を考え付くのですか!?』

 

 

天子『おぞましい? だから何回も言ってるでしょ、私は痛みの探求がしたいのよ』

 

 

天子『死なないギリギリのラインを見極めて痛みを味わって楽しむの♪ 痛覚を通して快感に伝わる楽しさに目覚めてからはさ、これがもう楽しくて楽しくて♪』

 

 

衣玖『で、ですからそれはもう百万歩をも譲って許容しました、いえ! 出来るようになったのです!』

 

 

天子『だったら私を止める理由が無いじゃない』

 

 

衣玖『理由ならあります! 自分で痛みの探求をなさるのなら私ももう諦めているので止める事はしません! ですけどもね!』

 

 

衣玖『他の方にご迷惑にならない範囲でお願いしたいのです! ここから飛び降りる!? 迷惑の何者でもありません! 建造物、通行人、その他諸々の何かに当たったりでもしたらどう責任をとるおつもりなのですか!』

 

 

天子『…フッ、衣玖』

 

 

衣玖『な、何ですか?』

 

 

天子『探求に犠牲は付き物よ』

 

 

衣玖『!!?』

 

 

衣玖(あぁ、どうしましょう…言い出したら最後、やり遂げるまで止まらない総領娘様を私は止める事が出来ない…)キリキリ

 

 

衣玖(飛び降りたら物凄い速度と重さでしょう、私では止める事すら叶わない…地面に落下で済めば話は別ですがそこに開くであろう大穴、落下した衝撃による地面の隆起、家屋等の被害…総領娘様の探求心が起こした被害の責任をまた私が…)イライラ

 

 

衣玖(そもそもそれをやることで私に迷惑を掛けていることは総領娘様は感じていらっしゃるのでしょうか…このご様子ですとそんなことは少しも思って無いのでしょうね)イライラ

 

 

衣玖(私の思いなど知らずに探求探求…人の迷惑等知らずに探求探求…)イライラ

 

 

衣玖(総領娘様は私の事をどう思っているのでしょうか…私はあなたをこんなにも慕い支えているというのに)

 

 

衣玖(あぁ…どうして私のこの声は総領娘様に届かないのでしょうか…探求心の犠牲に私もなっているというのに何故…)ザワザワ

 

 

衣玖(………)モヤモヤ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣玖(私、このお方の側にいる必要があるのでしょうか)

 

 

 

  モヤモヤ  ザワザワ

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

衣玖「そう思ってしまった瞬間から段々と意識が遠くなっていった様な気がします…そして気が付いたらここに…」

 

 

早苗、神奈子、にとり、はたて、雛「…」

 

 

天子「…」

 

 

諏訪子「…」

 

 

早苗(じ、常識の塊の様な衣玖さんにこれはキツいし辛すぎますね…)

 

 

神奈子(最早笑い事では済まされんな)

 

 

にとり(引くなぁ、マジかよ…)

 

 

はたて(重いわね…こういう話は苦手なのよ)

 

 

雛「…」

 

 

神奈子「恐らくその後、天子と共に落下したんだろうな、そして守矢神社の敷地内に落ちた」

 

 

衣玖「えっ!?」

 

 

神奈子「運が良かったな、あれぐらいの衝撃じゃ家の神社はびくともしない、穴は開いてしまったが家には土着神がいるから何も心配もいらないな」

 

 

衣玖「も、申し訳ありません! ご迷惑をお掛けして!」

 

 

神奈子「そんなに頭を下げるんじゃない、心配いらないと言ってるじゃないか」

 

 

衣玖「し、しかし…」

 

 

諏訪子「…」

 

 

天子「…」

 

 

雛「…話を割ってしまって申し訳ないけれど、あなたが気を失ってしまった原因とここに寝かされていた理由を話しても良いかしら?」

 

 

衣玖「…! は、はい」

 

 

雛「実は…」

 

 

 

 

 【厄神説明中…】

 

 

 

衣玖「そ、そんな…!」

 

 

雛「あなたはその精神厄に蝕まれていたの、だから常識から逸脱した行為と暴言を繰り返して暴走してしまったのよ」

 

 

神奈子「精神厄…そんな厄があるとはな」

 

 

早苗「知らなかったです…まだまだ幻想郷は広いですね」

 

 

衣玖「わ、私はなんてことを…私が未熟なばかりに皆さんにご迷惑を」

 

 

早苗「衣玖さんのせいじゃないじゃないですか! これは厄のせいですよ!」

 

 

神奈子「いや、あながちそうとは言い切れない」

 

 

神奈子「精神厄とは言うがな、見方を変えれば『雛にしか治療できない精神病』という風に捉える事も出来る」

 

 

早苗「神奈子様…」

 

 

雛「…」

 

 

にとり(確かにね、否定は出来ないか)

 

 

神奈子「永江が精神厄に犯された理由、どんなバカでもわかるよな」ジロッ

 

 

早苗、にとり、はたて、雛「…」

 

 

天子「…!」スッ

 

 

 天子は何故か俯いている

 

 

諏訪子「…」

 

 

衣玖「…! み、皆さん違いますよ、総領娘様は何も悪くないです」

 

 

天子「!」

 

 

衣玖「私が色々と未熟だからこうなってしまったのです、あはは、私も天界に住んで結構経つというのにまだまだですね」

 

 

衣玖「確かに妖怪は精神は弱い種ですが、私は精神を病んだ事なんて一度も無いんですよ? 今回は特例で厄にやられてしまいましたがもう大丈夫です、雛さん、ありがとうございました」

 

 

衣玖「総領娘様、さっきの私の心の中で思ってしまった声は恐らくその精神厄によるものだと思います、罵倒にも取れる言葉の数々、本当に申し訳ありませんでした」

 

 

天子「…!」

 

 

衣玖「決して私の本心ではありません、だから…」

 

 

諏訪子「おいクソガキ」

 

 

天子「!!」

 

 

早苗、にとり、はたて、雛、衣玖「!」

 

 

神奈子「…」

 

 

諏訪子「お前さっきから黙ってるけど何か言うことないのかよ」

 

 

諏訪子「コイツはこう言ってるけどお前分かんないの? 全部お前の為を思って言ってるんだぞ!」

 

 

諏訪子「よく知らないけどお前は偉い奴の娘だから顔を立てる為ってのもあるんだろうけどそれだけでここまで言ってくれる奴なんてそうそういない!」

 

 

諏訪子「何でか分かるか!? お前がどれ程奇行に走ろうともお前の事を大切に思ってるからだ!」

 

 

諏訪子「お前は何とも思わないのか!? 目ぇそらすな現実を受け入れろ! お前の事を大切に想ている奴の気持ちも考えろよ! その気持ち踏みにじって好き勝手やって傷つけてんだぞ!? 少しは永江の気持ちになって考えた事あんのかお前は!」

 

 

天子「…!」

 

 

衣玖「…!!」

 

 

諏訪子「はぁはぁ…はぁ…」

 

 

早苗(諏訪子様…)

 

 

神奈子(諏訪子…)

 

 

にとり「…立場の上下関係ってのはよくわかるから言わせてもらうけどさ、いつもお前が他人に迷惑掛けてもあんまりおとがめ無しなのは衣玖が頑張ってるお陰なんじゃないかな?」

 

 

にとり「天邪鬼みたいに指名手配されてもおかしくないじゃん、危険人物とは見なされてるかも知れないけどお前の事を誰も邪険にしてないのは何でだろうね」

 

 

天子「…!」

 

 

はたて「…前に」

 

 

はたて「前にあんたが地霊殿を興味本意で襲撃しに行ったって聞いたから取材しに行ったんだけどさ」

 

 

はたて「さとりが言ってたのよ、襲撃が終わった後に永江衣玖が謝りに来てくれたって『あんな奇行種みたいな人にも側にいて見守って、思ってくれる人がいるんですね、羨ましいです』って」

 

 

天子「…!」

 

 

雛「例え精神厄に蝕まれていたとしても心から出た言葉は本心よ」

 

 

雛「あなたにも届いている筈よ、厄に蝕まれない強い心を持っているあなたになら」

 

 

天子「…」

 

 

天子「……」

 

 

衣玖「そ、総領娘様…」

 

 

天子「…」スクッ

 

 

 天子は俯きながらおもむろに立ち上がると衣玖の側に近付き、腰を下ろすと…

 

 

衣玖「総領娘様…あ、あの…」

 

 

 ガバッ!

 

 

衣玖「! …!? えっ…」

 

 

天子「…」ギュッ

 

 

 優しく衣玖の体を抱き締めた

 

 

衣玖「えぇっ…!? そ、総領娘様あの…その…!」アタフタ

 

 

天子「ごめんっ…!」

 

 

衣玖「…!」

 

 

天子「衣玖っ…! 衣玖ごめん…! ごめんね…!」

 

 

天子「グスッ…! ごめんなさいっ…!」ポロポロ

 

 

衣玖「!! …」ニコッ

 

 

 衣玖は少し微笑むと、天子の真似をするように優しく天子の体を抱き締めていた

 

 

 

にとり、はたて「ふっ…」

 

 

雛、早苗「ふふっ…」

 

 

神奈子「…」チラッ

 

 

諏訪子「…」ニコッ

 

 

神奈子(良かったな)

 

 

天子「グスッ…うぅ…!」ポロポロ

 

 

衣玖「…」ニコッ

 

 

 

 私の言葉 あなたにやっと届いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 【守矢神社、中庭】

 

 

にとり「一件落着だね」

 

 

はたて「はぁ、何であんなこと言ったんだろ私…」

 

 

にとり「はたても中々優しいところあるじゃないか」

 

 

はたて「べ、別に取材の内容をそのまま行っただけよ!」

 

 

 

雛「ふふっ、早速二人に助けられちゃったわね」

 

 

早苗「にとりさんとはたてさんの言葉もグッと来ましたがやはり諏訪子様のあの一喝には勝りませんね!」

 

 

神奈子「こらこら早苗、勝ち負けじゃないんだぞ」

 

 

諏訪子「あ、早苗もそう思う? うはは♪ やっぱり守矢のケロちゃんは一味違うだろう?」

 

 

早苗「もちろんですとも!」

 

 

早苗、諏訪子「あーっはっはっは!」

 

 

神奈子「台無しだよ」

 

 

雛「あはは…」

 

 

雛「二人は?」

 

 

神奈子「境内だろう、暫く二人きりにさせてあげよう、積もる話もあるだろうしな」

 

 

雛「ふふっ、そうね…それじゃあ私たちはこれで」

 

 

早苗「えっ、もう行ってしまうんですか?」

 

 

雛「えぇ、次の精神厄をやっつけに行かないといけないから」

 

 

諏訪子「大変だねぇ、厄神様は」

 

 

神奈子「働き者なのは良いことだ」

 

 

諏訪子「何で私を見ながら言うのさ」

 

 

神奈子「他意は無い」

 

 

諏訪子「嘘つけ妖怪三段腹」

 

 

神奈子「あぁ!?」

 

 

早苗「ぶふっ…! あっははは…!」ゲラゲラ

 

 

雛「? それじゃあ早苗ちゃんまたね、衣玖さんたちによろしく伝えておいて」

 

 

早苗「あっ…はははっ…は、はい、ま、また…!」

 

 

神奈子「いい加減私と漫画のキャラを結び付けるのをやめろ! 紫じゃあるまいし、このケロケロ帽子が!」

 

 

諏訪子「ケロケロ帽子をバカにするな! 嫌だったら髪型を変える事だね!」

 

 

 ギャーギャー!

 

 

 

にとり「え、何で喧嘩してんの?」

 

 

はたて「さぁ?」

 

 

雛「お待たせ、次行きましょ」

 

 

にとり「はいよ」

 

 

はたて「はぁ、後五人もいるのね…まぁやるからには最後までやるけどさ」

 

 

にとり「次はどこ?」

 

 

雛「う~ん、精神厄の気配の方角からして…」

 

 

雛「あのお寺かしら」

 

 

にとり、はたて「寺…?」

 

 

 

 

 

【守矢神社、境内】

 

 

 

天子「ねぇ、衣玖」

 

 

衣玖「はい、なんですか?」

 

 

天子「本当にごめんなさい、あなたの気持ちも考えないで私…」

 

 

衣玖「ふふっ、良いんです、気にしないで下さい」

 

 

天子「…気にするわよ、私だってあなたの事は大切に思ってるんだから」

 

 

衣玖「!」

 

 

天子「……こんなの言える立場じゃないわね、虫がよすぎるもの」

 

 

衣玖「そんなことはありません、そう思っていただけるだけでも私はとても幸せです」

 

 

天子「ほ、本当?」

 

 

衣玖「えぇ、もちろん」ニコッ

 

 

天子「…ありがとう、衣玖」

 

 

衣玖「ふふっ、どういたしまして」

 

 

 

天子「衣玖、その…あのね?」

 

 

衣玖「はい、なんですか?」

 

 

天子「考えたんだけど私…痛みの探求については辞められないと思うの」

 

 

衣玖「はい、私もそう思ってました」

 

 

天子「え?」

 

 

衣玖「総領娘様の…楽しみというか趣味というのか分かりませんが、それを無理に辞めろというのは私の口からはとても言えません」

 

 

衣玖「私も趣味を無理に辞めろと言われたら深く傷ついてしまいますもの、ですから総領娘様にそんな残酷なことは言えません」

 

 

天子「で、でも」

 

 

衣玖「でもも何もありません、私がそうしたいのです」

 

 

天子「衣玖…」

 

 

天子「…でも衣玖、もし私が他人に迷惑をかけるような探求をし始めたらそれを止めてほしいの」

 

 

天子「わがままばっかりだけど、衣玖にはずっと私の側にいて見守ってほしいの、私も衣玖の言葉に必ず耳を傾けるから…!」

 

 

衣玖「! 総領娘様…」

 

 

天子「…」

 

 

衣玖「ふふっ、わがままなのは今に始まった事ではないじゃないですか」

 

 

衣玖「それよりも、私と総領娘様の二人でお互い腹を割って話し合えている事の方が大きいです」

 

 

天子「!」

 

 

衣玖「これからは二人で話し合っていきながら、支え合っていきましょう、総領娘様」ニコッ

 

 

天子「! うんっ♪」ニコッ

 

 

 

 

天子「後ね衣玖、一つお願いがあるんだけど…」

 

 

衣玖「あら、いきなりですね」

 

 

天子「ダメ?」

 

 

衣玖「ふふっ、いいですよ、なんなりと」

 

 

天子「うん、あのね衣玖」

 

 

天子「私の事を総領娘様って呼ぶのを辞めてほしいの」

 

 

衣玖「へ…? えぇ!?」

 

 

天子「ほ、ほら…/// せ、せっかくこういう関係になれたんだからさ…/// 地上にいる時ぐらいいいでしょ…?」カアッ

 

 

衣玖「そ、それは構わないですけど…/// ええと…///」カアッ

 

 

衣玖(想像の斜め上の願い事をされてしまいました…これは恥ずかしいというよりはなんかこそばゆいですね…///)

 

 

衣玖(しかし総領娘様の気持ちに応えなければ…覚悟を決めましょう)

 

 

衣玖「で、では…」

 

 

天子「うん…」ドキドキ

 

 

衣玖「…」

 

 

衣玖「……///」カアッ

 

 

衣玖「て、天子…様…///」

 

 

天子「…」

 

 

衣玖「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

天子「えぇ…様付けなの?」

 

 

衣玖「そ、そんな! 私結構頑張りましたよ!? 総領娘様!」

 

 

天子「天子っ!」

 

 

衣玖「て、天子様っ!」

 

 

天子「…でも、そうね」

 

 

衣玖「はい?」

 

 

天子「いや、衣玖が私の事をいきなりさん付けで呼んだり呼び捨てで呼んだりしたらなんか変だなぁと思って」

 

 

衣玖「…あ、確かにそうですね」

 

 

天子「でしょ? う~ん仕方ないわね」

 

 

天子「衣玖、これからは天子…って呼んでね? お願いよ」

 

 

衣玖「はい! 総領むす…!」

 

 

天子「…」ムスッ

 

 

衣玖「て、天子様!」

 

 

天子「ふふふ♪ よろしい♪」

 

 

衣玖「ふふっ…」

 

 

 

 

【守矢神社、中庭】

 

 

天子「皆に一言お礼言わないと気がすまないわ」

 

 

衣玖「ですね、私は個人的に雛さんにお礼をしたいです」

 

 

天子「精神厄…だったっけ? 本当に地上には不思議がいっぱいだわ」

 

 

衣玖「最初薬の名前かと思いました」

 

 

天子「うん、私も」

 

 

 

 オラァー! ドコッ!

 

 

 

天子、衣玖「え…?」

 

 

 

諏訪子「食らいやがれ! 必殺! ケロちゃん首ななめ上飛び込み打ちおろし延髄蹴りっ!」ヒュッ

 

 

神奈子「うごぉあ!?」ゴッ

 

 

 

 ドゴッ!

 

 

 

衣玖「えぇ!?」

 

 

天子「は? え? なにやってんの…?」

 

 

早苗「あ! お二人ともこちらへどうぞ! 今なら守矢名物プチ諏訪大戦が見れますよ!」

 

 

天子、衣玖「えぇ…」

 

 

 

神奈子「食らえっ! ミニ御柱で右から左に向かって対象物を粉砕、玉砕、大喝采する攻撃ぃ!」ヒュッ

 

 

諏訪子「うぎゃあ!?」ガスッ

 

 

 ドベシャッ!

 

 

 

天子「あ、なんか楽しそうね♪」

 

 

早苗「でしょう?」

 

 

衣玖「何故喧嘩を…」

 

 

早苗「喧嘩するほど仲が良い、これが神奈子様と諏訪子様なのです!」

 

 

天子「いや、理由になってない」

 

 

衣玖「? あら、雛さんたちは?」

 

 

早苗「雛さんたちなら次の精神厄退治に向かいました、まだまだ精神厄で苦しんでいる方がいるみたいで」

 

 

天子「むぅ、お礼も言わせないで行っちゃうなんて…」

 

 

衣玖「お礼を言うのはもう少し先になりそうですね、そうりょ…! て、天子様」

 

 

天子「ん~…もう少し待っててくれても良かったのに」

 

 

早苗「…お二人ともとっても良い顔をするようになりましたね」

 

 

天子、衣玖「!」

 

 

天子「そ、そりゃあ…ね…///」

 

 

衣玖「まぁ、はい…///」

 

 

早苗「あぁ、なんか雰囲気も良いですね! ご馳走さまです!」

 

 

早苗「あ、ご馳走さまと言えば天子さんたちもここでお昼食べていきませんか?」

 

 

衣玖「ご一緒してもよろしいのですか?」

 

 

早苗「はい♪ 私が腕に撚りを掛けて作ります!」

 

 

天子「あんた料理出来たんだ…まぁ作ってくれるなら」

 

 

衣玖「お言葉に甘えましょうか、早苗さん、よろしくお願いしますね」

 

 

早苗「はい! それでは少し待っててくださいね」 

 

 

天子「…思ったんだけど早苗って結構勝手にベラベラ喋るタイプよね」

 

 

衣玖「あはは…そうですね」

 

 

天子「…」

 

 

 スワコォー! カナコォー!

 

 

天子「…喧嘩するほど仲が良い、か」

 

 

衣玖「そういえば私たち喧嘩という喧嘩はしたこと無いですね」

 

 

天子「言い争ったりはあるじゃない」

 

 

衣玖「あれは喧嘩と呼べる物では無いのでは?」

 

 

天子「そうかもね」

 

 

衣玖「はい」

 

 

天子「…」

 

 

衣玖「…」

 

 

天子「衣玖」

 

 

衣玖「はい」

 

 

天子「これからもずっと側にいてね、よろしくね、衣玖」

 

 

衣玖「! はい! 総領娘様! …あっ!」

 

 

天子「! …」ジトッ

 

 

衣玖「うっ…て、天子様…」

 

 

天子「はぁ…早く慣れてね」

 

 

衣玖「は、はい…頑張ります」

 

 

天子「ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【命蓮寺、中庭】

 

 

 

蘇我屠自古「お前調子に乗んのもいい加減にしろよこらぁ!!」バチバチ

 

 

物部布都「ぬぉぉ!? と、屠自古ぉ!! じ、慈悲をぉぉ!」

 

 

 

ナズーリン「大丈夫だ寅丸ぅ! 永遠亭で頭カチ割ってもらって正常かどうか確認してもらうだけだからなぁ!」

 

 

寅丸星「そんなことをしたら死んでしまいますよナズぅ! いやぁぁ!!」

 

 

 

豊聡耳神子「ほら、じゃんけん勝負だ聖、今日は私が勝つからな」

 

 

聖白蓮「いえ、ですから…もう少し待ってくれませんか? まだ頭痛が酷くて…」グッタリ

 

 

 

雛、にとり、はたて「…」

 

 

雛、にとり、はたて「えぇ…?」

 

 

にとり「何が何でどうしてこういう状況になったんだろうか」

 

 

雲居一輪「それは話すと…」

 

 

村紗水蜜「長くなるよ、うん…」

 

 

多々良小傘「今日はなんか大変な一日だよね…」

 

 

幽谷響子「マミゾウさん大丈夫ですか?」

 

 

二ツ岩マミゾウ「イカン、儂まで頭が痛くなってきた…」

 

 

封獣ぬえ「つーかあいつらもどうすんだよ」

 

 

秦こころ「とじーがもののふに雷落とすのはいつもの事だぞ?」

 

 

はたて「精神厄あるところにカオス有りなのかしら」

 

 

にとり「雛、誰から精神厄を感じるの?」

 

 

雛「あの緑の亡霊さんと、ネズミさんからね」

 

 

雛「でも凄いわね、二人とも精神厄に蝕まれそうになっているけどギリギリのラインで理性が厄を押し留めているわ」

 

 

はたて「あいつは亡霊だし、ネズミの方は妖怪でも賢将と呼ばれているだけはあるのかしら」

 

 

雛「亡霊さんは厄が大きくなったり小さくなったり揺れ幅が大きいわ、ネズミさんは厄の肥大化を何か強い力で無意識に押さえつけてるわね」

 

 

にとり「厄もやっぱり千差万別なんだね」

 

 

一輪「厄…? 何の事?」

 

 

にとり「後で説明してあげるよ、雛、やっちゃいなよ」

 

 

雛「その前にどうしてああなってしまったか教えてもらえるかしら?」

 

 

はたて「あれ、手早く済ませないでいいの?」

 

 

雛「暴走は押し留められているから、ああなってしまった原因を聞いた方が厄の吸収も捗るわ、衣玖さんのように気絶させる程の荒治療になることもなくなるの」

 

 

はたて(雛が医者に見えてくる不思議…)

 

 

水蜜「本当に聞きたいの?」グッタリ

 

 

一輪「あなたたちまで頭痛くなると思うよ?」グッタリ

 

 

にとり「そんなに柔じゃないよ、てか何でそんなにグッタリしてるのさ」

 

 

一輪、水蜜「…」

 

 

一輪「いや…同じ仏門に身を置く仲間だけどもつくづく星と私たちの頭の中の作りが違うんだな、と思って」

 

 

水蜜「逆に私たちがおかしいのかもしれないって納得させられるところだったんだもん」

 

 

雛、にとり、はたて「?」

 

 

小傘「早苗じゃないけどさ、私たちの常識は星さんにとっての常識とはかけ離れてるんだと思う」

 

 

こころ「逆も然りだ」

 

 

ぬえ「私たちの方が正常だ、そうに決まってる」

 

 

マミゾウ「まぁ何じゃ、そんなに聞きたいのなら話してやるが」

 

 

響子「マミゾウさん、無理しないでください」

 

 

マミゾウ「大丈夫じゃ、ありがとな響子、さて…すまんが横になったままで話しをさせてくれ」

 

 

雛「えぇ」

 

 

にとり(この狸がここまで弱ってるの初めて見たな)

 

 

マミゾウ「お主らがここに来る少し前になるんじゃが…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 【数十分前、命蓮寺境内】

 

 

 

星『あぁ、皆さんよく集まってくれましたね』

 

 

一輪『まぁそりゃあね』

 

 

水蜜『星があんな深刻な顔して相談があるなんて言い出したからさ』

 

 

小傘『ちょっとびっくりしちゃったよね』

 

 

ぬえ『お前がびっくりしてどうすんだよ』

 

 

小傘『はっ!?』ドギャーン

 

 

こころ『ぬっ!』スチャッ

 

 

ぬえ『対抗して驚きの表情の面被るなよ』

 

 

響子『あははは!』

 

 

マミゾウ『お主大分ツッコミ役が板についてきたの』

 

 

ぬえ『やめろよ、定着させんな』

 

 

こころ『でもたまにボケてくれるぬえっちが好き』

 

 

ぬえ『そういう事を言うな!』

 

 

一輪、水蜜『ふっ…!』

 

 

マミゾウ『ククク…!』

 

 

星『あ、あの~、私の相談聞く気あります?』

 

 

マミゾウ『おお、すまんすまん』

 

 

水蜜『ごめんごめん、ぬえが可愛くてついね』

 

 

ぬえ『…///』

 

 

聖『ふふっ…星、皆貴方の悩みを解決するためにここにいます、ですが一番相談したいであろうナズーリンを待たなくて良いのですか?』

 

 

星『えぇ、その方が良いんです、ナズがいるとまたため息を吐いて元気を無くすのではないかと思いまして』

 

 

一輪、水蜜、ぬえ、聖(ナズが元気を無くす…)

 

 

マミゾウ(察したわい)

 

 

聖『そ、それで星、相談というのは何なのですか?』

 

 

星『あぁはい、相談というのはですね』

 

 

星『宝塔の事なんですけど』

 

 

一輪、ぬえ、水蜜、こころ、小傘『うん知ってた』

 

 

星『え?』

 

 

マミゾウ『あぁ気にするな、続けてくれ』

 

 

こころ(…お?)

 

 

星『? はい、それで宝塔の事なんですけどね?』

 

 

星『ほら…宝塔って私も何故だかわからないんですけど私の手元からよく無くなるじゃないですか』

 

 

星『もう本当に本当に何でこんなに無くなるのか不思議でしょうがないんですけどもね? それで私ふと思ったんですけど』

 

 

星『宝塔が無くなるとナズに怒られてしまう、これは分かるんですよ、ナズは宝塔を大事にしていますからね』

 

 

星『それで思った事なんですけど…』

 

 

 

 

 

 

 

星『宝塔が無くなる事については全面的に私が悪いんですかね?』

 

 

マミゾウ、こころ『ん?』

 

 

水蜜、一輪、ぬえ『は?』

 

 

聖、小傘、響子『え?』

 

 

星『? ですから宝塔が無くなるのって私が悪いんですかねって』

 

 

星以外『え?』

 

 

星『え?』

 

 

 

 

 

 

星以外『ええぇぇぇぇぇ!!?』

 

 

星『どうしたんですか? いきなりそんな大声出して』

 

 

一輪『どうしたはこっちのセリフよ!』

 

 

水蜜『うわぁ…なんか、うわぁ…』

 

 

ぬえ『お前とうとうヤバイぞ!』

 

 

響子『な、なんか背筋がゾゾゾ~ってなりました…』

 

 

小傘『わ、私も…』

 

 

こころ『?? ???』

 

 

聖『あぁ…なんか頭が痛くなってきました…』クラッ

 

 

マミゾウ『大丈夫か? しかしお主は何をいきなり言うとるんじゃ…』

 

 

星『え? 私変なこと言いましたか?』

 

 

一輪、ぬえ、水蜜、小傘『言ったよ!』

 

 

星『えぇ…それこそ私が『ええぇ』なんですけど』

 

 

一輪『ね、ねえ…星…? 今自分が変なこと言ったって自覚ある?』

 

 

星『無いですね』キッパリ

 

 

一輪『えぇ…』

 

 

星『だって変も何も無いじゃないですか』

 

 

一輪『…なんか鳥肌立ってきた』orz

 

 

こころ『いっちーがやられた』

 

 

小傘『恐いんだけど…』

 

 

水蜜『星…あのさ、ほら…例え話だけど宝塔が無くなるじゃん?』

 

 

星『はい』

 

 

水蜜『それはナズに対して申し訳ないなーって気持ちはあるの?』

 

 

星『まぁ、はい』

 

 

水蜜『宝塔が無くなる事については?』

 

 

星『私は悪くありませんよね?』

 

 

水蜜『…手に負えないんだけど』orz

 

 

こころ『みなみっちゃんもやられた』

 

 

ぬえ『…お前さ、何でそんな結論に至ったんだよ』

 

 

星『何がですか?』

 

 

ぬえ『自分が悪くないって』

 

 

星『はぁ…一から説明していいですか』

 

 

ぬえ『おい! 何で今ため息吐いたんだよ!』

 

 

マミゾウ『押さえろ、相手の思う壺じゃぞ?』ヒソヒソ

 

 

星『あのですね? 皆さん良く聞いてくださいよ?』

 

 

星『宝塔はね、私が無くしてる訳では無いんですよ、勝手に無くなるんです』

 

 

星『故意に私が無くした事は一回ありましたが、それ以外は私は関わっていないんですよ? 勝手に私の見ていないところで何故か無くなるんです』

 

 

星『ナズに怒られるのが分かっていて無くす馬鹿者が何処にいるんですか? 私は無くしたくないんですよ? 無くなる事については私は無関係だとも最近思うようになりましたし、勝手に無くなる相手をどうしろと言うんですか?』

 

 

星『あぁ、なんかそう思うとナズが私に怒るのもお門違いなのではないかと思いませんか? ナズは勝手に無くなる宝塔そのものに怒るべきなのではないでしょうか?』

 

 

星『で、です…今のを踏まえた上でもう一度言いますけど』

 

 

星『宝塔が無くなる事については私は悪くないですよね?』

 

 

ぬえ『…おいコイツどうにかしろ』orz

 

 

こころ『ぬえっちもやられた』

 

 

響子『はわわわっ…!』オドオド

 

 

小傘『ど、どうしたら良いのかな…』

 

 

聖『…すいませんマミゾウさん、肩に寄りかかってもいいですか?』

 

 

マミゾウ『…構わんが』

 

 

聖『ありがとうございます、さっきから頭痛がして…』

 

 

マミゾウ『気持ちはわかるぞい』

 

 

星『? 聖、大丈夫ですか?』

 

 

聖『大丈夫じゃないですよ…貴方も私も』

 

 

星『はい?』

 

 

マミゾウ『…星、聞いてよいか?』

 

 

星『はい』

 

 

マミゾウ『お主は何故宝塔が自分の側から無くなるかを考えた事はあるか?』

 

 

星『あ~…前は考えてたんですけど考えても答えが出ないので考えない事にしたんです』

 

 

マミゾウ『…あのな星、儂から言えることはこれだけじゃ』

 

 

マミゾウ『物というものは勝手に無くなるなんて事は無い、持ち主の不注意か無意識にポロッと無くしてしまうもんなんじゃ、宝塔はここの宝…誰かがイタズラで隠すなんて事もせんしな』

 

 

マミゾウ『自分の物を管理する能力というものが欠けていたりするもんなんじゃ、心当たりは無いんか?』

 

 

マミゾウ『もう一度自分と向き合ってみい、そうすれば宝塔が何故無くなるのかが自ずと見えてくるはずじゃ』

 

 

星『…』

 

 

小傘、響子(ま、マミゾウさんカッコイイ!)

 

 

星『マミゾウ』

 

 

マミゾウ『?』

 

 

星『はぁ…あなたからそんな言葉が出るとは思いませんでしたよ、私の話を聞いてたんですか?』

 

 

星『宝塔は私の知らない、見ていないところで勝手に無くなるんですよ』

 

 

星『それをどうしろって言うんですか? 宝塔と一日中にらめっこしてろって言うんですか? そんな拷問私には耐えられませんよ』

 

 

星『ほら、私悪くないじゃないですか』

 

 

マミゾウ『…』

 

 

マミゾウ『どうせぇっちゅうんじゃい…』グッタリ

 

 

響子、小傘(あぁ! 心を折られたー!?)

 

 

星『聖…あぁ頭痛が酷いんでしたね、では…響子、小傘、こころ』

 

 

響子、小傘『ひえっ!?』

 

 

星『あなたたちはどう思いますか? 私が悪いと思いますか?』

 

 

星『よーく考えてみてください、私が悪いところなんてないと思うんですよ』ズイッ

 

 

響子、小傘『ひぃぃ…』ブルブル

 

 

こころ『とらっち』

 

 

星『はい?』

 

 

こころ『驚いて言いそびれたから言えなかったのだが、さっきからその襖越しに誰かがこちらを覗いている』

 

 

響子、小傘『えぇっ!?』ビクッ

 

 

星『なんと覗きですか! 感心しませんね!』スッ

 

 

 バッ!

 

 

星『不埒者め! 何者ですか! 私が成敗してくれま…!?』

 

 

ナズ『…』

 

 

星『いぃ!? ななななナズぅ!?』

 

 

こころ『おぉ、ナズーだったか』

 

 

ナズ『私を成敗とは…君は何様のつもりなんだい? ご主人』

 

 

星『い、何時からそ、そこに…?』

 

 

ナズ『君が最初に宝塔と口にしたときからだね』

 

 

星『……』

 

 

星『えっ、それほぼ最初からじゃないですか?』

 

 

ナズ『そういう事になるな、さてご主人』フッ

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ!

 

 

星『!!?』

 

 

ナズ『随分と好き勝手を言うじゃないか寅丸ぅ…!』ゴゴゴゴゴゴ

 

 

響子『な、ナズーリンさん!?』

 

 

小傘『あ、あのオーラは!』

 

 

こころ『前に霊夢達と見たやつだ』

 

 

聖『あぁ…毘沙門天様…』

 

 

 

ナズ『私は悪くないだの、勝手に無くなるだの、私が貴様に怒るのはお門違いだの…ふざけるのも大概にしろよ寅丸ぅぅ!!』

 

 

星『ひえぇっ!!』

 

 

ナズ『仲間の声にも耳を傾けず、挙げ句には納得させるために詰め寄って脅しをかけるとは…不届き也!!』

 

 

ナズ『来いっ!! その根性を叩き直してくれるっ!』グッ

 

 

星『いたたっ!! ひ、引っ張らないで下さ痛いっ! だ、誰か助けて下さいー!!』ズルズル

 

 

 イヤァァァ…!

 

 

響子、小傘『い、行っちゃった…』

 

 

こころ『みんな、悪は去ったぞ』

 

 

一輪『うっ…やっぱり星を止められるのはナズしかいないのね…』

 

 

水蜜『鳥肌ヤバイ…てか何でたまにあんな素っ頓狂の事を言うんだろ』

 

 

ぬえ『絶対アイツ頭のネジ外れてるぞ…』

 

 

マミゾウ『頭のネジだけで済めばええがの…』

 

 

聖『頭痛が…』ズキズキ

 

 

 ガララッ!

 

 

神子『失礼するよ』

 

 

屠自古『勝手に入っちゃって良いんですか? って、お?』

 

 

こころ『お、みみこ、とじー』

 

 

聖『神子…』

 

 

神子『おぉ、ここにいたかこころ、会いたかったぞ!』スリスリ

 

 

こころ『ぬあっ、やめろくっつくなー』ユサユサ

 

 

屠自古(…なんかこの部屋空気が淀んでるな)

 

 

神子『ん? どうしたお前たち、元気が無いな』

 

 

一輪『無いのは宝塔だけで充分だわ…』

 

 

屠自古『何があったんよ…』

 

 

水蜜『家の飼ってる虎がね…ちょっと暴れたの…』

 

 

神子『虎は獰猛だからな、放し飼いはよくないぞ』

 

 

ぬえ『マジで檻の中に入れといた方がいいんじゃないのか?』

 

 

マミゾウ『それであやつの頭が治れば苦労はせんわい』

 

 

聖『それで神子…寺に来た用件は何ですか…?』

 

 

神子『今日は土曜日だろう、いつものじゃんけんだ』

 

 

聖『あぁそうでしたね…でももう少し待ってくれませんか? 頭痛が酷いんです』

 

 

神子『お前が頭痛? フッ、珍しい事もあるものだな、はっはっは♪』

 

 

屠自古『虎ってあの宝塔持ちの奴の事だよな?』

 

 

一輪『持ってないよ』

 

 

屠自古『は?』

 

 

一輪『そのいつも持ち歩いてるみたいな言い方しない方がいいよ』

 

 

屠自古『マジで何があったんよ…』

 

 

こころ『とじー、もののふは今日一緒じゃないのか?』

 

 

屠自古『布都か? 布都なら…あ?』

 

 

屠自古『太子様、布都がいません!』

 

 

神子『む? おかしいね、さっきまで着いて来ていたのに』

 

 

屠自古『…! まさかあいつ…!』

 

 

神子『…? あぁ、またか…私としてはこころの大切な拠り所の一つでもあるここを燃やされるのは忍びないのだけれどもね』

 

 

屠自古『あのアホが…! おいお前ら、あいつ捕まえるの手伝ってくれ!』

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

マミゾウ「全員グッタリしている体に鞭を打ち、皆で中庭に出て寺の柱に松明で火を着けようとしておったあやつを発見、そして今に至るという訳じゃ」

 

 

雛、にとり、はたて「…」

 

 

はたて「何か…大変だったみたいね…うん…」

 

 

にとり(これここにいる皆が精神厄にやられていてもおかしくないんじゃ…)

 

 

雛「そう…話してくれてありがとう、事情は分かったわ」

 

 

マミゾウ「ほうか…あぁ疲れたわい…」

 

 

はたて「一匹の虎が爆弾発言しただけで命蓮寺がここまで弱体化するとはね」

 

 

一輪「あんな大きな爆弾だったらそりゃあね」

 

 

水蜜「被害は甚大だよ、主に精神の方…」

 

 

にとり「雛…」

 

 

雛「うーん…私は厄専門だからそういうのはお医者様に任せるわ」

 

 

にとり「だよね」

 

 

雛「さてと…あの二人から厄を取り除かないと」スッ

 

 

はたて「密着させてもらうわよ、今度はこの目で精神厄を見なくちゃね」スッ

 

 

 

にとり「それにしても宝塔、私の技術でなんとか出来ないかな」

 

 

一輪「やってくれると嬉しいわ…寺の悩みの種だから」

 

 

にとり「宝塔に発信器を着けてみたりとか色々と案はあるけどね」

 

 

水蜜「いや、宝塔をどうにかしても解決にはならないんじゃない? 問題なのは星の方なんだからさ」

 

 

にとり「そっかぁ持ち主…! あの虎を改造してみるのが一番かもね、実は最近サイボーグって技術に興味があってさ♪」

 

 

マミゾウ「なんか色々と収拾つかなくなるからやめい」

 

 

 

屠自古「今日は百万ボルトで勘弁してやんよ!」

 

 

布都「ぬぉ!? 前の十倍ではないか屠自古ぉ!」

 

 

屠自古「うっせぇ! 命蓮寺の焼き討ちはやめろって太子様から言われてんだろうが! いい加減分かれや!」

 

 

屠自古「そもそもお前が寺を燃やす動機はなんなんだよ!」

 

 

布都「ふっ…なに、簡単な事じゃ」

 

 

布都「そこに寺があるじゃろう?」

 

 

屠自古「…」

 

 

布都「燃やしたくなるじゃろうが!」

 

 

屠自古「わかんねぇよ!」

 

 

布都「この気持ちが分からんとはな! 見損なったぞ屠自古!」

 

 

屠自古「もうどうでもいいわバカ野郎!」バチバチ

 

 

布都「ぬっ!?」

 

 

屠自古「放電! 百万ボルト!」ズッ

 

 

 バリバリバリッ!!

 

 

布都「ぬぎゃあぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

屠自古「…」バチバチ

 

 

布都「  」プスプス

 

 

屠自古「ったく…それ以前に寺が燃えたらこころが悲しむって事を分かれや」

 

 

はたて「す、凄いわね…目の前に雷雲があるみたい」

 

 

雛「静電気とか大丈夫かしら」

 

 

屠自古「ん? お前らは…?」

 

 

雛「初めまして、私は厄神の鍵山雛、こっちは友達の天狗のはたてよ」

 

 

はたて「どうも」

 

 

屠自古「天狗に厄神…何か私に用があるのか?」

 

 

雛「えぇ、あなたの厄を吸い取らせてほしいの」

 

 

屠自古「な、何!? 私に厄!?」

 

 

はたて「あるみたいよ、精神を蝕む厄があんたの中に」

 

 

屠自古「精神? 何だよそのストレスみたいなの」

 

 

はたて「察しが良いのね、まぁそんな物だと思ってもらっても構わないわ」

 

 

屠自古「…まぁ確かに苦労は絶えない生活はしてるからな、あぁ厄のことならやってくれるんならやってくれ」

 

 

雛「ありがとう、ではさっそく」スッ

 

 

 ポンっと雛は屠自古の肩に手を置く

 

 

屠自古「お…? おぉ~…」

 

 

はたて(これが吸収…はっ! 取材取材…♪)

 

 

はたて「ねぇ、どんな気分?」

 

 

屠自古「お、おぉ、な、なんかな」

 

 

屠自古「心がスーっとしていく様な感じがするな、一人でのんびりしているときと同じ様な気分だ」

 

 

はたて「ほぅほぅ…」メモメモ

 

 

雛(雷を打った時、精神厄が小さくなっていたのが見えたわね、大きくなったり小さくなったりしてあまり際立ってないけど放っておけないわね)

 

 

 ズズッ! スポンッ!

 

 

雛「…よし、取れたわ」

 

 

屠自古「! うわっ、なんだそれ」

 

 

雛「これがあなたの中に溜まっていた厄よ、精神厄って言うんだけど」

 

 

屠自古「黒いモヤモヤ…どす黒い雷雲がシャボン玉の中に入ってるみたいだな」

 

 

はたて(あ、今の表現凄い的確ね、いただきだわ)

 

 

雛「…」ズズッ

 

 

屠自古「!? おい…いや、大丈夫なんだろうな、厄神だからそれを吸収しても」

 

 

雛「えぇ、お仕事ですから♪」

 

 

屠自古「心なしか体も軽くなった気がするな…厄の事は良くわからんが、助けてくれてありがとな」

 

 

雛「いえいえ、どういたしまして♪」

 

 

 

 

一輪「精神厄とか初めて聞いたわ」

 

 

にとり「だろうね」

 

 

水蜜「病気との違いが良くわかんないけど、そんなもんが存在してんだね」

 

 

ぬえ「私とは一生縁が無さそうだな」

 

 

マミゾウ「どうかのう、誰しもがその要因を持っているのだとしたら気を付けねば足下をすくわれるかもしれんぞい?」

 

 

小傘「響子ちゃんの元気を見習えばその厄も出てこないかも」

 

 

響子「そ、そうかな…/// えへへ…///」

 

 

聖「確かに響子が一番その厄とは無縁かもしれませんね」

 

 

こころ「ぎゃーちゃんが羨ましいな」

 

 

神子(ふふふっ…屠自古を助けてくれたのか、あの厄神には個人的に何かお礼をしないといけないね)

 

 

 

ナズ「往生際が悪いぞご主人! 永遠亭で診察を受けるだけでいいんだ!」

 

 

星「い、嫌です!」

 

 

ナズ「何が嫌なんだ! 私はな? やっと決心が付いたんだ、仲間にまで迷惑をかけ、無くし続けても改善の策を考えないその思考! このままでは何も変わらないのだよ!」

 

 

星「なんと言われようと医者は嫌です! 注射は嫌いなんですよ!」

 

 

ナズ「注射? ハハッ♪ そんなもんで済むわけないだろう?」

 

 

ナズ「頭の中を隅々まで調べてもらうんだ…どんな検査をするのかは分からないがきっと注射よりも素晴らしい物が君を待っていることだろうね」

 

 

星「!?」ゾクッ

 

 

ナズ「大丈夫だよ、永遠亭のうどん殿と私は知り合いでね、話を通してくれるだろうから八意永琳はきっと良心的に接してくれるはずさ」

 

 

星「くっ…な、ナズ! どうあっても私を医者に連れていくつもりですか!?」

 

 

ナズ「もう決まった事なんだよご主人」

 

 

星「む、無理矢理連れていくというのならですね! 私にも考えがありますよ!」

 

 

ナズ「考え?」

 

 

星「も、もし医者に行って…か、帰って来たらですね!」

 

 

星「宝塔をずっと無くし続けてやることを誓ってやりますよ! えぇ!」

 

 

ナズ「…」

 

 

星「…」ビクビク

 

 

ナズ「…」

 

 

星「…」

 

 

ナズ「 」ブチッ

 

 

 

 

 

 

ナズ「そんなことが許されると思っているのかぁ!!」ゴォッ

 

 

星「ひゃっ!?」

 

 

ナズ「来いっ! 貴様が医者に行く意思を見せなければこのまま引き摺ってでも連れていくだけだぁ!」

 

 

星「いやあぁぁぁぁ!」

 

 

 ガシッ!

 

 

ナズ「ん!?」

 

 

星「えっ!?」

 

 

はたて「はい止まって」

 

 

ナズ「な、何をする! 離したまえ!」

 

 

はたて「取り込み中悪いけどこっちにも事情ってもんがあんのよ、やっちゃって雛」

 

 

雛「ありがとうはたて、ネズミさん、ごめんなさいね」スッ

 

 

ナズ「何を…! !!」ポンッ

 

 

雛「…」ズズッ

 

 

ナズ「うっ…うはぁ…んぐっ…」ズズッ

 

 

雛「危なかったわ…もう少しで衣玖さんの様に暴走するところだった」ズズッ

 

 

はたて「私には既に暴走してたように見えたんだけど…」

 

 

雛「ネズミさんには何か神の力があるみたいね、加護のような形でネズミさんに付いているの、でも今の一言でそれがプツリと途切れてしまったのよ、だから精神厄を抑えきれなくなったのね」

 

 

はたて「神…? てかあんたは何で火に油を注ぐような事を言うのよ」

 

 

星「だ、だって…」

 

 

はたて「だってもなにも無いわよ、ネズミがこうなったのはあんたのせいなのよ?」

 

 

はたて「宝塔の話は聞いたわ、ハッキリ言うけどあんたのその謎理論は理解できない、あんたが宝塔を無くす無くさないの話よりもっと大事なものがあるでしょ?」

 

 

雛「呆れながらも宝塔を探し続けてくれるネズミさんの気持ち、優しさ…あなたはどう感じるの?」

 

 

 スタスタ

 

 

にとり「宝塔は例え宝でも物だ、無くしても頑張って探せば見つけられるけど人への信頼ってのは一度無くすと取り戻すのはそう簡単じゃないんだぞ」

 

 

星「! …」

 

 

雛「チャンスはまだあるわ、大事なのはあなたが誠意を見せることよ、簡単な事からでいいから失われてしまった信頼を少しずつ取り戻していって?」ズズッ

 

 

ナズ「…」ズズッ

 

 

星「…」

 

 

星「ナズ…」

 

 

 ズズッ スポンッ!

 

 

雛「ふう…よし、取れたわ」モヤモヤ

 

 

にとり「うわぁ、初めて近くで見たけどなんか黒いガスみたいだね」

 

 

雛「たぶんガスよりも危険よ? んっ…よし、吸収完了」ズズッ

 

 

はたて(ガスねぇ、確かに…う~ん新聞に乗せるとしたらどんな例えがいいかな)

 

 

ナズ「んっ…ん? あれ?」

 

 

にとり「気が付いた?」

 

 

ナズ「君たちは…? 気が付いた、とは?」

 

 

ナズ(ご主人が何かを口走ってからの記憶が飛んでいるな…はて…)

 

 

はたて「まぁまぁ、そんなことはどうでもいいじゃない」

 

 

雛「ふふっ、あぁそうそう、そんなことよりそこの虎さんが話したい事があるそうよ」

 

 

ナズ「? あ、そうだご主人!」

 

 

星「…」

 

 

ナズ「まぁさっきのは大げさだったが永遠亭には行った方がいいんだ、これはご主人のためにもなるし命蓮寺の皆の為にもなるのだからね、さぁご主人も覚悟を決めて…!?」

 

 

星「…」orz

 

 

ナズ「えっ…!? ど、どうしたんだいご主人、何故土下座を…」

 

 

星「ナズ…ごめんなさい…本当に申し訳ありませんでした」

 

 

星「宝塔を無くしてしまった責任は全て私にあります…本当に申し訳ありません」

 

 

ナズ「…! また何か企んでいるのかい? いきなりそんなことを言うなんてご主人らしく無いじゃないか」

 

 

星「…! チャンスをいただきたいのです」

 

 

ナズ「チャンス…?」

 

 

星「信頼を取り戻すチャンスです、ナズに、そして皆に」

 

 

星「今更過ぎますけどね…こんなこと言える資格なんて私には無いのは分かってます…ですが」

 

 

星「私自身の考えを変えていかなければ宝塔を無くし続ける生活はこれからも続いてしまう…そうしたら私はもう誰からも頼られなくなってしまいます、信頼もされなくなってしまいます」

 

 

ナズ「!」

 

 

ナズ「…そのチャンス、具体的に何をするんだい?」

 

 

星「一週間宝塔を私の元から無くさない様にします」

 

 

ナズ「…! 君に出来るのかい?」

 

 

星「出来る出来ないではありません、やるんです…やり遂げてみせます」

 

 

ナズ「…! …ふっ」

 

 

ナズ「この短時間で君の中に何があったのかは知らないが、軽率に言葉は使わないものだ」

 

 

ナズ「だが…今までにない熱意は感じ取れたよご主人」

 

 

星「…!」

 

 

ナズ「覚悟の上だね?」

 

 

星「! はいっ!」

 

 

ナズ「ふっ、なら皆にも説明しなければいけないね、また『えぇぇ』と言われるかも知れないが」

 

 

星「そ、それも覚悟の上です!」

 

 

ナズ「ふふっ、なら行こうか、皆の元へ」

 

 

星「はい!」

 

 

ナズ「……あぁそうだそこの三人、感謝するよ」

 

 

雛、にとり、はたて「!」

 

 

はたて「は、はぁ? 私たちは別に何もしてないけど」

 

 

ナズ「私の記憶が飛んでから君たち三人が私の側にいたこと、そしてご主人の考えがいきなり変わった事から君たちは無関係ではないのだろう?」

 

 

ナズ「…ありがとう」スッ

 

 

雛、にとり、はたて「…」

 

 

にとり「な? お礼を言われるのは悪くないだろう? ほっこりするもん」

 

 

はたて「な、何で私を見て言うのよ!」

 

 

雛「ふふふっ…」

 

 

 スタスタ

 

 

聖「では」

 

 

神子「私たちからの礼も受け取ってくれるかな?」

 

 

雛、にとり、はたて「!」

 

 

聖「精神厄の事はよくわかりませんが、ナズと星を助けていただいてありがとうございました」

 

 

神子「屠自古のことも助けてくれたのだろう? 感謝するよ」

 

 

にとり「いやぁ♪ それほどでも」

 

 

はたて「あんた何もしてないでしょ」

 

 

にとり「なんだとぅ!? それを言うならはたてだって」

 

 

 ぎゃーぎゃー!

 

 

雛「あ、あはは…」

 

 

聖「ふふっ、仲がよろしいことで」

 

 

神子「上下関係の無い友情ほど眩しいものはないな」

 

 

雛「こちらこそ厄を取り除かせていただいてありがとうございました、それでは私たちはこれで…」

 

 

神子「…! ほう、まだその厄に苦しむ人たちをお前たちは救おうとしているのだな」

 

 

雛「…!」

 

 

神子「ならば頑張りなさい、お前たちの頑張りはきっと報われるはずだ」

 

 

雛「あ、ありがとうございます」

 

 

雛「にとり、はたて、行きましょう!」

 

 

はたて「ちっ…ほらにとり、さっさと行くわよ」

 

 

にとり「舌打ちすんなっ! あ! そうだ!」

 

 

聖、神子「?」

 

 

にとり「なぁ、土曜日のじゃんけんってなんだ? 気になってたんだけど」

 

 

聖、神子「へ? あぁ」

 

 

聖「こころの為のじゃんけんです」

 

 

神子「月曜、火曜、水曜日は我ら神霊廟で、木曜、金曜、土曜日はここ命蓮寺でこころは寝泊まりをしているのだ」

 

 

にとり「なにその仕事みたいなの」

 

 

聖「それで日曜日なんですが…こころの寝泊まり場所はじゃんけんで決める事になったんです」

 

 

神子「私はこころの好きな様にさせれば良いと言ったのだがな」

 

 

聖「は!? それは私が言ったんですよ!?」

 

 

神子「…はてさて、そうだったかな? はっはっは♪」

 

 

聖「誤魔化さないでください! 貴方という人は本当に…!」

 

 

神子「まぁどっちでも良いじゃないか」

 

 

聖「良くありません!」

 

 

はたて(仲良いわね)

 

 

にとり(夫婦かな?)

 

 

雛「ふふふっ、さ、行きましょ二人とも、お二人の邪魔をしては悪いわ」

 

 

はたて「そうね」

 

 

にとり「だね、雛、次はどこ?」

 

 

雛「ん? ネズミさんが行こうとしてた場所」

 

 

はたて、にとり「おっ…!?」

 

 

 

聖「いきますよ!」

 

 

神子「ふふふ、私はパーを出すぞ?」

 

 

聖「そんな手には乗りません!」

 

 

神子「ふふふっ、では…」

 

 

聖、神子「じゃーんけーんホイッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【迷いの竹林】

 

 

 ザッザッザ…

 

 

藤原妹紅「精神厄?」

 

 

雛「そうなの」

 

 

妹紅「ほー、そんなもんがあんのな、初めて知ったよ」

 

 

はたて「大体皆同じ反応よね」

 

 

にとり「まぁそりゃあねぇ」

 

 

妹紅「もしかして私にもその厄があったりすんのか?」

 

 

雛「えぇ一応ね、不老不死だろうと厄は溜まるから」

 

 

にとり「でももこたんはその厄は表に出て来ないんじゃない?」

 

 

妹紅「もこたん言うなっての、ってどうしてだよ」

 

 

にとり「ほら、輝夜とボコスカ殺りあってるからストレスとは無縁でしょ」

 

 

妹紅「…否定できないな、それがなんか嫌だな」

 

 

はたて「否定したいの?」

 

 

妹紅「なんかその言い方だと輝夜のお陰でストレスとは無縁なんだって言われてるようでなんか嫌なんだよ」

 

 

雛「実際そうなんじゃないかしら」

 

 

妹紅「やめてくれ…」

 

 

 

妹紅「そうだ、さっきお前たちが来る前にも道案内したんだけどさ」

 

 

にとり「そうなの?」

 

 

妹紅「ふっ…去年のクリスマスのときの面子が集まったな」

 

 

雛、にとり「…!」

 

 

はたて「?」

 

 

 

 

 

 【永遠亭、客間】

 

 

八雲藍「…う~ん」

 

 

魂魄妖夢「はぁ…」

 

 

妖夢「…藍さん」

 

 

藍「なんだ?」

 

 

妖夢「あの二人が黙って診察されると思いますか?」

 

 

藍「いいや、まったく」

 

 

妖夢「ですよねー…あははは…」

 

 

藍「はははは…」

 

 

藍、妖夢「…」

 

 

藍、妖夢「はぁ…」

 

 

藍「というか…何故二人揃って同じ症状なんだろうか」

 

 

妖夢「親友ですから」

 

 

藍「なんかそれが理由でもおかしくないよな、不思議だよ」

 

 

妖夢「姉妹みたいなところもありますしね」

 

 

藍「姉妹…まぁ物理的に合体したこともあったからなぁ」

 

 

妖夢「波長が合いすぎなんですよね」

 

 

藍「合いすぎてかなりの頻度で悪ノリしだすんだけどな」

 

 

妖夢「それだけは勘弁です…」

 

 

 ガララッ!

 

 

鈴仙・優雲華院・イナバ「二人とも、お茶でもいかがですかー」

 

 

藍「お、いただくよ」

 

 

妖夢「ありがとう、鈴仙」

 

 

鈴仙「ふふっ」

 

 

 

 その時! お茶を出している鈴仙を狙う曲者二人が物影でこそこそ話をしていた!

 

 

 

蓬莱山輝夜「あ、来たわよてゐ」

 

 

因幡てゐ「ふっふっふ♪ 鈴仙、コイツを食らうウサ!」

 

 

輝夜「本当にそんなので捲れるのかしら」

 

 

てゐ「実証済みだから大丈夫ですよ」

 

 

輝夜「誰で試したの?」

 

 

てゐ「竹林の狼」

 

 

輝夜「あの狼スカート長くなかったかしら」

 

 

てゐ「でも成功したウサよ、では姫様、行きますよ」

 

 

輝夜「えぇ」

 

 

てゐ、輝夜「さーん、にー、いーち…」

 

 

てゐ、輝夜「発射っ!!」スッ

 

 

 ボフンッ!

 

 

 

鈴仙「はい、藍さん」

 

 

藍「ありがとう、鈴仙…ん?」

 

 

 フワァッ… 

 

 

鈴仙「えっ…!? !!?」

 

 

藍、妖夢「あ…///」

 

 

鈴仙「…/// !? きゃあっ!!」バッ

 

 

 バァン!

 

 

てゐ「ふぁーっはっは♪ 大成功!」

 

 

輝夜「白か…可愛いわね鈴仙『きゃあっ』も可愛かったけど♪」

 

 

鈴仙「て、てぇゐ! 姫様! 何をしてくれてんですか!」

 

 

てゐ「空気砲でスカート捲り大作戦」

 

 

輝夜「大成功!」

 

 

てゐ、輝夜「いぇーい♪」パァン

 

 

鈴仙「いえーいじゃない! あんたは本当に…!」プルプル

 

 

鈴仙「姫様も! こんな子供みたいな事やらないでくださいよ!」

 

 

輝夜「私は可愛い鈴仙の姿が見れればそれで良いのよ♪」

 

 

鈴仙「だからってスカート捲りは無いでしょう!? ってはっ!?」クルッ

 

 

藍、妖夢「! …///」メソラシ

 

 

鈴仙「み、見た…?」

 

 

藍「み、見えてしまった、が正解だ…」

 

 

妖夢「う、うん…/// れ、鈴仙! でも下着の趣味は悪くないと思うよ! むしろ可愛いと」

 

 

鈴仙「それ以上は言わないで妖夢ぅ!」

 

 

てゐ「ちぇっ、な~んだ、てっきり奇抜なの履いてるかと思ったけど期待外れだったな」

 

 

鈴仙「なんですって!」

 

 

てゐ「面白味がねぇウサ!」

 

 

鈴仙「はぁ!?」イラッ

 

 

鈴仙「てゐ…今度という今度は許さないわよ…!」

 

 

てゐ「そのセリフも聞き飽きたウサァ!」

 

 

鈴仙「こんのぉ…! 私の目を見なさい!」ギィン

 

 

てゐ「!! イタズラウサギはクールにトンズラ!」

 

 

鈴仙「待ちなさいっ! 今までで一番残酷な幻覚を見せてあげるわ!」

 

 

 ドタバタドタバタ!

 

 

輝夜「…よいしょっと」スッ

 

 

輝夜「ズズズッ…ふぅ…」

 

 

藍「いや…何で何事も無かったかのように茶を飲んでいる」

 

 

輝夜「だって鈴仙ったら私の事追っ掛けて来てくれないんだもん」

 

 

妖夢「追っ掛けられたいんですか?」

 

 

輝夜「そうよ、私だって共犯者なんだから私にも罰がきてもいいじゃない」

 

 

藍「立場的に鈴仙はやらないだろうな」

 

 

輝夜「そんなの気にしないでほしいんだけどね、鈴仙のそういうところも好きだけど♪」

 

 

妖夢(輝夜さんって掴み所がないというかなんというか…でも基本的に優しい人だなぁ)

 

 

 

 

 

 【永遠亭、診察室】

 

 

 

八意永琳「…」

 

 

八雲紫「…」

 

 

西行寺幽々子「…」

 

 

 

 

 

 

永琳「で?」

 

 

紫「お腹痛い」

 

 

幽々子「お腹が痛いの」

 

 

永琳「お薬出しておきますね」

 

 

紫「ないわぁ」

 

 

幽々子「酷いわぁ」

 

 

 バンッ!

 

 

永琳「何回このやり取りをすれば気が済むのよ!」

 

 

紫「幽々子、今度は台パンし始めたわよ」

 

 

幽々子「恐いわぁ、最近のお医者さんは」

 

 

永琳「…」イラァ

 

 

永琳「あなたたち本当はお腹なんて痛くないんじゃないの?」

 

 

幽々子「痛いからここに来てるんでしょう?」

 

 

紫「ちょっと考えれば分かるでしょう?」

 

 

永琳「…」イラッ

 

 

永琳(コイツらの言動に振り回されてはコイツらの思う壺よ八意永琳、平常心平常心…)

 

 

永琳「…で? どこら辺が痛いの?」

 

 

紫、幽々子「え?」

 

 

永琳「どこら辺が痛いのよ」

 

 

幽々子「だからお腹だって言ってるじゃないの」

 

 

紫「患者様の話をちゃんと聞いてるのかしら? この診療所不安だわぁ」

 

 

永琳「チッ…部位よ部位…! ヘソ下辺りとかあるでしょ」

 

 

紫、幽々子「…」

 

 

幽々子「そんな大胆な事恥ずかしくて言えないわぁ…///」

 

 

紫「察しなさいよ、乙女なのよこっちは」

 

 

永琳(こ、コイツらぁ…!!)ヒクヒク

 

 

永琳「いつから痛いのよ」イライラ

 

 

紫「朝から」

 

 

幽々子「私は昨日の夜寝る前から」

 

 

永琳「夜から? 昨日の夜は良く眠れたの?」

 

 

幽々子「グッスリ」

 

 

永琳「朝起きても?」

 

 

幽々子「痛かった」

 

 

永琳「朝は何を食べたの?」

 

 

幽々子「すりおろしりんご」

 

 

永琳「消化に良いものを食べさせてもらったのね」

 

 

幽々子「酷いと思わない?」

 

 

永琳「は?」

 

 

幽々子「妖夢ったら酷いのよ? お腹が痛いって言ったらね? すりおろしりんごしか作ってくれなかったのよ?」

 

 

幽々子「この私に対してすりおろしりんごだけ」

 

 

幽々子「例えお腹が痛くても」

 

 

幽々子「私は満腹を知りたい」

 

 

永琳「…」

 

 

永琳「昨日の夜は何を食べたの?」

 

 

幽々子「カキフライ、鯵フライ、エビフライ、イカフライ、唐揚げ、カツ丼、イカリング」

 

 

永琳「!?」

 

 

幽々子「紫が持ってきてくれたから残さずむしゃむしゃしてやったわ」

 

 

永琳「…」

 

 

永琳「あなたは?」

 

 

紫「何が」

 

 

永琳「昨日の夜何を食べたの」

 

 

紫「昨日の夜はXデーだったのよ」

 

 

永琳「Xデー?」

 

 

紫「一ヶ月に一度の藍のいなり寿司地獄の日」

 

 

紫「あなたにあの地獄の日の過酷さが分かる?」

 

 

永琳「…」

 

 

紫「私はね、狐じゃないのよ? それなのに皿に山の様に盛られたたくさんのいなり寿司を残さず食えなんて言われてみなさいよ」

 

 

紫「つれぇわよ? とってもつれぇ…辛いのよ…」

 

 

永琳「…」

 

 

永琳「で?」

 

 

紫「お腹痛い」

 

 

幽々子「お腹が痛いの」

 

 

永琳「お薬出しておきますね」

 

 

紫「ないわぁ」

 

 

幽々子「酷いわぁ」

 

 

永琳「…原因が分かったのに?」

 

 

紫、幽々子「!」

 

 

紫「…嘘だ」

 

 

幽々子「ウソつき」

 

 

永琳「…」

 

 

紫「…え? マジ?」

 

 

幽々子「教えてヤゴコロ先生」

 

 

永琳「…」

 

 

紫「…」

 

 

幽々子「…」

 

 

 

 

 

 

 

永琳「胃もたれよ」

 

 

紫、幽々子「!!?」

 

 

 

 

 

【永遠亭、客間】

 

 

輝夜「あっははは、あの二人がお腹痛いって?」

 

 

藍「あぁ」

 

 

妖夢「変だと思いません?」

 

 

輝夜「確かに腹痛とは無縁の二人だもんね、特に幽々子」

 

 

藍「朝起きたら布団にくるまりながらブルブル震えてた紫様を見つけてな、どうしたんですかって聞いたらお腹痛いの一点張り…朝ご飯もあまり召し上がらなかったんだ」

 

 

藍「『ごっつ痛いわ…ごっつ痛い』あぁ、もう永遠亭連れていこうってなった」

 

 

妖夢「幽々子様は昨日の就寝前から痛くなったみたいで、朝起きてきて『妖夢お腹が痛い』の一点張り『朝食は召し上がられますか?』って訪ねたら『うん』って仰られたので消化に良いであろりんごをお出ししたんですけど」

 

 

妖夢「『え? これだけ?』って言ったんですよ? お腹痛いのを気遣ってりんごをお出ししたのにこれだけ? って」

 

 

輝夜「あっははは!」

 

 

妖夢「いや、あなたお腹痛いんですよね? それなのに朝から重いもの食べる気ですかって言ってやりたかったぐらいですよ」

 

 

藍「そこは言わなかったんだな」

 

 

妖夢「なんか凄い嫌な目付きで睨み付けてきたんで…はい」

 

 

藍「あぁ、なんか分かるよ」

 

 

輝夜「ふっふふっ、はぁ…笑ったわ♪ 面白いわね♪」

 

 

藍「面白くないよ」

 

 

妖夢「大変なんですよ? 毎日毎日」

 

 

輝夜「大変なのは分かるわ、でも正直私はあなたたちが羨ましい♪」

 

 

藍、妖夢「羨ましい?」

 

 

輝夜「そういう主従関係がよ、紫とかからあなたたちの話を聞いてると主従通り越して…まぁ家族なんだけどやってることは親友の間柄みたいな感じするの」

 

 

輝夜「私の場合すぐ姫様姫様なんだもん、なんか壁が一枚あるみたいで嫌なのよ」

 

 

藍「もう少し歩み寄ってほしいのか」

 

 

輝夜「うん」

 

 

妖夢「でも歩み寄り過ぎると私たちみたいになるかもしれませんよ?」

 

 

輝夜「どうかしら、う~ん…思い付かないわね」

 

 

輝夜「はぁ、いっそのこと鈴仙と体が入れ代わったりしないかしら♪」

 

 

藍(それ紫様に間違っても言わないでくれよ…やりかねんぞ)

 

 

 ザッ!

 

 

鈴仙「…」ボロボロ

 

 

妖夢「あ、鈴仙…うわっ…!」

 

 

藍「おいどうした、ボロボロじゃないか」

 

 

鈴仙「…」ストッ

 

 

鈴仙「うぅ~…逃げられた~…」

 

 

輝夜「追っ掛けてて落とし穴に落とされたのね」

 

 

鈴仙「そうです…くぅ~、チクショーめ…」

 

 

妖夢「鈴仙、髪に枝が…取ってあげるね」

 

 

鈴仙「ありがと妖夢…あなたの優しさが心に染みるわ」

 

 

妖夢「あはは…」

 

 

藍「これでも入れ代わりたいと?」

 

 

輝夜「姫様扱いよりはマシよ」

 

 

藍(一回入れ代わったら気持ちが分かるかもな…いや、でもやめておこう)

 

 

 ザッザッ!

 

 

紫「…」

 

 

幽々子「…」

 

 

藍「紫様」

 

 

妖夢「あ、幽々子様!」

 

 

輝夜「あら、二人とも診察は終わったの?」

 

 

紫「うん」

 

 

幽々子「えぇ」

 

 

鈴仙「どうだったの? 薬は出してもらえた?」

 

 

紫「えぇくれたわよ、くれたんだけどね」

 

 

幽々子「納得いかないの」

 

 

藍「は? 納得いかない?」

 

 

紫「鈴仙、あなたの師匠はヤブなの?」

 

 

鈴仙「…いやぁ、腕はピカイチよ?」

 

 

紫「あんな診断されるなら最初からあなたに診てもらえばよかったわ」

 

 

妖夢「結果はどうだったんですか?」

 

 

幽々子「胃もたれ」

 

 

藍、妖夢、鈴仙、輝夜「え?」

 

 

紫「二人揃って胃もたれって言われた」

 

 

藍、妖夢、鈴仙、輝夜「…」

 

 

藍「くっ…!」プルプル

 

 

妖夢「ふっ…!」プルプル

 

 

鈴仙「フフッ…」プルプル

 

 

輝夜「あっはははっ!」ゲラゲラ

 

 

紫「笑うとこじゃないわよ輝夜ぁ…」

 

 

輝夜「だ、だって胃も…! ぷっ、くっふふふっ!」

 

 

幽々子「酷いわぁ、まだお腹がズキズキするのに」

 

 

紫「ねぇ藍」

 

 

藍「な、何ですか」

 

 

紫「私が胃もたれとかおかしくない?」

 

 

藍「フッ…! お、おかしいですね、はい」

 

 

紫「笑い的な意味で?」

 

 

藍「と、とんでもない!」

 

 

紫「はっ…まぁ私がもし胃もたれだったとしたらあなたのせいだけどね」

 

 

藍「…はぁ!?」

 

 

 

幽々子「妖夢、あなたがちゃんとした朝ご飯を作ってくれていれば胃もたれなんて診断されなかったのよ?」

 

 

妖夢「えぇ!? だって幽々子様昨日の夜から痛かったって」

 

 

幽々子「昨日は昨日今日は今日でしょ? すりおろしりんごじゃなかったらこの痛みは吹っ飛んでいたかもしれないじゃない」

 

 

妖夢「そんな都合の良い胃もたれがありますかっ!」

 

 

 

紫「昨日のいなり寿司がきてるのよ、ほらあなたのせいじゃない」

 

 

藍「いやいや! なんでそうなるんですか!」

 

 

紫「一ヶ月に一度地獄のいなり寿司生活、これを毎日続けてみなさいよ、そりゃ胃もたれになるわ」

 

 

藍「一ヶ月に一度でしょう!? それにもう胃もたれって認めるんですか!?」

 

 

紫「取り合えずこのムカムカをどうにかしたいのよ」

 

 

藍「完全に胃もたれじゃないですか」

 

 

紫「だからもう完全にあなたのいなり寿司が原因だからね、責任取りなさいよ」

 

 

藍「どう責任取れっていうんですか」

 

 

紫「この痛みスキマであなたに移してあげるから覚悟しなさい」

 

 

藍「…はぁ!?」

 

 

 

永琳「疲れたわ…」

 

 

輝夜「お疲れ永琳」

 

 

鈴仙「お疲れ様です師匠」

 

 

永琳「はぁ…」グッタリ

 

 

輝夜「ねぇ、二人は本当に胃もたれなの?」

 

 

永琳「えぇ、もう何の変哲もない普通の胃もたれよ」

 

 

鈴仙「何で胃もたれに…」

 

 

永琳「ただの食べ過ぎ、油ものの過剰摂取…自分で診断出来るぐらいの物なのに何でうちに来るのかしら」

 

 

輝夜「永琳に会いたかったから♪」

 

 

永琳「冗談でもそれは言わないで下さい」

 

 

鈴仙「病状は?」

 

 

永琳「一日消化に良いものを食べて処方した薬を飲めば治るわよ、それに素直に従ってくれればの話だけど」

 

 

鈴仙「…」チラッ

 

 

 

紫「藍、ちょっとピリッてするだけよ」

 

 

藍「嫌ですよ! ピリッの後に胃もたれが来るんでしょ!?」

 

 

紫「八雲家家訓『同じ痛みを味わおう』忘れたとは言わせない」

 

 

藍「そんな家訓無かった筈だぁ!!」

 

 

 

幽々子「妖夢、今日の夜ごはんは五倍増し増しにしてね、食べれば治るから」

 

 

妖夢「死にますよ!? 余計に胃もたれが悪化します!」

 

 

幽々子「私もう死んでるもん」

 

 

妖夢「そこじゃなくて胃もたれを気にして下さいよ!」

 

 

 

輝夜「あはは、またここに来そうね♪」

 

 

永琳「勘弁して…聞き分けのない患者は懲り懲りよ」

 

 

 

 ザッ

 

 

てゐ「お師匠様、お客様ですよ」

 

 

永琳「今日は客が多い日ね、患者なの?」

 

 

てゐ「いや、患者じゃないですね、通しても?」

 

 

永琳「えぇ」

 

 

鈴仙「てゐ! あんたよくも…!」

 

 

 ザッ

 

 

雛「こんにちは」

 

 

にとり「やぁ」

 

 

はたて「ここちょっと苦手なのよねってうわっ!?」

 

 

妹紅「よう、また客連れて…ん?」

 

 

鈴仙「にとり! 雛!」

 

 

にとり「しーっ」ヒソヒソ

 

 

鈴仙「えっ?」

 

 

雛「お久し振りね鈴仙さん、でも再会を喜ぶと永琳さんに感づかれちゃうわよ?」ヒソヒソ

 

 

鈴仙「あ…そ、そうだった」ヒソヒソ

 

 

にとり「敵の大将が目の前にいるからね、でもまた会えて嬉しいよ戦友」ヒソヒソ

 

 

鈴仙「ふふっ、私もよ」ヒソヒソ

 

 

輝夜(あらあら、あの時の面子が揃って…ふふっ♪)

 

 

永琳「?」

 

 

はたて「な、何このすごい集まりは」

 

 

妹紅(そっか、この烏はあの時の作戦には関係ないんだったな)

 

 

永琳「厄神、河童、烏天狗…妖怪の山の方々が何のようかしら」

 

 

雛「えぇ、精神厄を取らせていただきたくここへ」

 

 

永琳、輝夜、てゐ「精神薬…?」

 

 

鈴仙「えっ? 薬が必要なんですか?」

 

 

にとり「違うよ、厄神様がいる時点で察してくれよ」

 

 

鈴仙「いや、分かんないわよ」

 

 

永琳「ナニかしら…精神に蔓延り、その者の身体を蝕む厄みたいな物が存在するとでも言うの?」

 

 

雛「流石月の賢者様、その通りです、今日は大きな精神厄の気配を感じて幻想郷中を巡っておりました」

 

 

にとり「まぁ三ヶ所しか行ってないけどね、そしてここで旅も終わりさ」

 

 

永琳「精神厄…知らなかったわ」

 

 

てゐ「厄なんて運がどうにかしてくれるから興味ないウサね」

 

 

はたて「油断してると危ないわよ?」

 

 

妹紅「そうだぞ? ここに来るまでに話聞いてたけど、逃れられないもんが自分の中にあると思うと結構くるもんがある」

 

 

輝夜「あら~? もこたん怖いのぉ?」

 

 

妹紅「言っとくけどお前の中にもあるらしいからな」

 

 

輝夜「…えっ? マジ…?」

 

 

にとり「大丈夫だよ~、もこたんが平気なら輝夜も平気なんだもん」

 

 

妹紅「おい! 余計な事を言うな!」

 

 

輝夜「?」

 

 

はたて「雛、ここは誰?」

 

 

雛「三人ね」

 

 

雛「藍さんと妖夢さんと…鈴仙さん」

 

 

鈴仙「えっ!? わ、私!?」

 

 

てゐ「うわぁ! や、厄イナバだぁ!」

 

 

鈴仙「変な呼び名を付けるなぁ!」

 

 

雛「あっ! 鈴仙さん! 押さえて押さえて!」

 

 

鈴仙「えっ…な、なんで!?」

 

 

雛「今あなたの精神厄が大きくなったわ、私が吸収するまで怒りを押さえて?」スッ

 

 

鈴仙「う、うん…わ、分かったわ」スッ

 

 

永琳「厄神にしか実体として見る事が出来ず、尚且つ、精神病の患者になる手前の…? そして厄が大きくなる要因はストレス…?」

 

 

はたて(あれだけでここまで分かるのね、医者だからなのか月の賢者としての頭脳か)

 

 

雛「じゃあ吸収するわよ?」スッ

 

 

鈴仙「お、お願いします」

 

 

雛「…」ズズッ

 

 

鈴仙「んっ…」ズズッ

 

 

 ズズッ スポンッ

 

 

雛「取れたわ♪」モヤモヤ

 

 

鈴仙、妹紅、てゐ、輝夜「!? うわぁ…」

 

 

雛「う~ん、屠自古さんより大きく、ナズーリンさんより小さい感じね」ズズッ

 

 

にとり「良かったね、これで一安心だ」

 

 

鈴仙「う、うん…ありがとう雛」

 

 

雛「いえいえ♪ さて…次は」

 

 

鈴仙(屠自古さんとナズーリン…? あ、なんか身体が軽くなったかも)

 

 

永琳(厄神にしか出来い芸当ね、物理的に取り出すとは…吸収して還元するのかしら)

 

 

てゐ「なんかキモいなぁ…モヤモヤしてて」

 

 

輝夜「ね、黒焦げになったもこたんみたい♪」

 

 

妹紅「あ``ぁ``!?」

 

 

 

幽々子「妖夢、白楼剣で私のお腹斬ってみてくれない?」

 

 

妖夢「何を言ってるんですか!」

 

 

幽々子「この私が胃もたれ…これは私のお腹に迷いがあるせいだと思うのよ」

 

 

妖夢「お腹に迷いがあるんですか!?」

 

 

幽々子「ほらぁ、今日はカレーが食べたいわぁとか今日はシチューが食べたいわぁとかで迷うでしょ?」

 

 

妖夢「…それは分かりますけど胃もたれとは無関係な気がします」

 

 

幽々子「……斬って♪」

 

 

妖夢「嫌ですよ!」

 

 

幽々子「こら妖夢、真実は斬って知るの精神はどうしたの?」

 

 

妖夢「胃もたれごときの真実なんて斬る意味すらないです! 薬を飲んで、消化に良いものを食べてれば治るんですからね!」

 

 

幽々子「主がここまで困っているのに妖夢ってば酷い子ねぇ…」

 

 

妖夢「その前に私を困らせるのをやめてもらってもいいですか?」イライラ

 

 

幽々子「あ…いたたた…お、お腹が…」ズキズキ

 

 

妖夢(なんかもう仮病に見えてきた…斬っちゃった方が早いかな…)イラァ

 

 

雛「妖夢さん」

 

 

妖夢「うひゃっ!? ひ、雛さん!?」

 

 

雛「あ、驚かしちゃってごめんなさい、ちょっと肩に手を置かせてね?」ポン

 

 

妖夢「えっ、あぁはい…ってえっ?」

 

 

雛「…」ズズッ

 

 

妖夢「んんっ…ひ、雛さん…こ、これは…?」ズズッ

 

 

雛「あなたに悪い厄が着いててね、今それを吸収してるの」ズズッ

 

 

妖夢「や、厄ですか…」

 

 

雛「そうよ…っと」ズズッ

 

 

 ズズッ スポンッ

 

 

雛「はい、もういいわ」モヤモヤ

 

 

妖夢「わっ…そんなものが私の中に…」

 

 

雛「大きめね、早めに取り出せて良かっ」

 

 

幽々子「いただきまーす♪」グァ

 

 

雛「きゃっ!」スッ

 

 

 ガチンッ!

 

 

幽々子「あん♪ 避けられちゃった♪」

 

 

妖夢「あなたは何をやってるんですか!」

 

 

幽々子「綿飴に見えたの」

 

 

妖夢「厄だって聞いてましたよね? それにこんな黒い綿飴があってたまりますかっ!」

 

 

雛(や、厄を食べられそうになるなんて初めての経験だわ…)

 

 

妖夢「…量は多目に作ります、白玉楼に帰ったら消化に良いものを食べて薬を飲んで安静にしてて下さいね」

 

 

幽々子「あら、嬉しいわぁ♪」

 

 

妖夢(もう私の中で仮病認定しておこう、そうしないと身が持たない…)

 

 

 

紫「藍、私の両手を離しなさい」ググッ

 

 

藍「嫌です、少しでもあなたに隙を与えたら胃もたれが私を襲うんですから」ググッ

 

 

紫「手を…離せ♪」ニッコリ

 

 

藍「嫌…ですよ♪」ニッコリ

 

 

藍「力強いですね…! 本当に胃もたれなんですかあなたは…!」ググッ

 

 

紫「出来れば信じたく無かった…でも現実は受け入れなければいけないわ」

 

 

紫「そして現実を受け入れたとき私の世界は変わったわ…胃もたれ大妖怪八雲紫なんて言われてババア扱いされて大笑いされるビジョンが見えたんですもの」

 

 

藍「フフッ…!」プルプル

 

 

紫「笑ったわね、ゆかりん激おこよ」

 

 

藍「自分で言ったんじゃないですか!」

 

 

紫「まあ今は笑うがいいわ、私があなたの事笑えない状態にしてやるから」

 

 

紫「あなたも九尾の大妖怪、そんなあなたが胃もたれになれば『あぁ、大妖怪にも胃もたれの荒波が押し寄せて来てるのね』で済むようになるの、私も笑われなくてすむのよ、ふはは♪」

 

 

藍「な、なんて卑劣な!」

 

 

紫「なんとでも言いなさい、事の発端はあなたのいなり寿司なのだからね、覚悟しなさい」

 

 

雛「あ、あの~」

 

 

藍「雛…?」

 

 

紫「久し振りね雛」

 

 

雛「お久し振りね、お取り込み中悪いのだけれど藍さんの厄抜きしてもいいかしら?」

 

 

藍「!! 雛、今はやめ」

 

 

紫「精神厄よね? 良いわよ、吸収しちゃいなさい」

 

 

藍「ちょっ…!?」

 

 

雛「ごめんなさいね藍さん、私もお仕事なのよ」スッ

 

 

藍「んくっ…!? ち、力が…!」ズズッ

 

 

紫「ふふふ、修行不足ね藍、胃もたれ状態の私の力に抗えもしない、さらに精神厄を溜め込んでしまうなんてね」

 

 

雛「やっぱり紫さん精神厄の事も知ってるのね」ズズッ

 

 

紫「もちろん、精神厄は幻想郷の敵…妖怪にとっては猛毒だもの、大昔私も精神厄に犯された経験あるわ」

 

 

雛「紫さんが…!?」

 

 

紫「辛かったわ、暴走する手前で抜き取ってもらったから事なきを得たんだけどね」

 

 

雛(? 誰に抜き取ってもらったのかしら)

 

 

藍「ぐっ…!?」ズズッ

 

 

雛「もう少しよ、藍さん」ズズッ

 

 

紫「えぇ、本当にもう少しねぇ…? 藍?」ニヤリ

 

 

藍「ぬぉぉぉ…!」プルプル

 

 

 

はたて「私たちは何を見せられてるのかしら」

 

 

にとり「厄神と胃もたれ妖怪と、時々精神厄」

 

 

幽々子「あら、映画かしら♪」

 

 

妖夢「面白くなさそうです」

 

 

てゐ「暇」

 

 

鈴仙「暇なら混ざってきなさいよ」

 

 

妹紅「私が厄の塊だって言いたいのか? あぁん?」

 

 

輝夜「厄妹紅…いや、妹紅厄…? あ、もくたん♪」

 

 

妹紅「炭じゃねぇか!」

 

 

永琳(早く終わらないかしら)

 

 

 

 

雛「! ていやぁ!」ズズッ

 

 

藍「うっ!」ズズッ

 

 

 ズズッ スポン

 

 

雛「ふぅ…ふふっ、取れたわ♪ あらら…随分大きい、何百年と溜め込んでたみたいね、暴走しないのが不思議なくらい」

 

 

藍「ま、まぁ…わ、私は我慢が得意だからな」

 

 

雛「我慢は身体に毒よ、精神厄にとっても良い栄養を与えてしまう事に繋がるんだから」

 

 

藍「あぁ、気を付けるよ…ふぅ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「隙あり」

 

 

 パチン ギュオン!

 

 

藍「あ」

 

 

雛「へ?」

 

 

に、は、鈴、て、輝、妹、妖「あ…」

 

 

紫「…」ニタァ

 

 

藍「…! !!?」

 

 

藍「……」プルプル

 

 

 

藍「お…」

 

 

に、は、鈴、て、輝、妹、妖「お?」

 

 

藍「お腹痛い…」

 

 

紫「やったぜ♪」

 

 

永琳「薬出してあげるからさっさと帰りなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして雛、にとり、はたての戦いは終わった…

 

 

 

 【妖怪の山、麓】

 

 

 

はたて「それじゃあね、私は帰って精神厄の記事を書くから、明日の新聞楽しみにしてなさい♪」

 

 

にとり「いや、私たちが解決したのにはたての新聞読む意味は」

 

 

はたて「新聞でしか伝わらない魅力があるでしょ! つべこべ言わず読みなさい!」

 

 

にとり「へぇへぇ」

 

 

雛「ふふっ…はたて」

 

 

はたて「?」

 

 

雛「手伝ってくれてありがとう」ニコッ

 

 

はたて「! …/// そ、それじゃあね!」

 

 

雛「またね♪」

 

 

にとり「バイバ~イ」

 

 

 

雛「さて、私は厄神としての務めを果たさないとね」ズオオ

 

 

にとり「あれ? 量は少ないね」

 

 

雛「厄の量は少なくても濃さはあるのよ、近付いたら危ないわよ?」

 

 

にとり「分かってるって」

 

 

にとり「…今回の流し雛は何日かかりそう?」

 

 

雛「う~ん、明日の夜には帰ってこられると思うわ」

 

 

にとり「そっか…」

 

 

雛「あら、寂しいの?」

 

 

にとり「そんなんじゃないよ…///」

 

 

雛「ふふっ、そう…なら安心して飛び込めるわね」

 

 

にとり「…帰ってきたら家に来なよ、一緒にご飯でも食べようよ」

 

 

雛「えぇ、楽しみにしてるわ♪」

 

 

 スタッ!

 

 

雛「行ってくるわね、にとり」ニコッ

 

 

にとり「行ってらっしゃい、雛」ニコッ

 

 

 クルクルクルクル… ザバァ…!

 

 

 

にとり「…」

 

 

にとり「さてと…私も帰るか」

 

 

にとり「なんか今日はグッスリ眠れそうだよ、雛」

 

 

 

 

 

 

 その後

 

 

 はたての新聞がバカ売れして文が少し落ち込んだり

 

 衣玖と天子が仲睦まじく人里を歩いていたり

 

 星が宝塔を一週間無くさない事に成功したり

 

 胃もたれ妖怪二人が一日、博麗神社で面倒をみてもらったりしたのだがこれはまた別のお話

 

 

 そして雛が帰ってきてから一週間後『今日も一日お疲れ様でしたの会』がミスティアのお店に集まり、そこに雛、にとり、はたて、天子が加わって『雛を労う会』が行われた事も、また別のお話…

 

 

 

 

 

紫「おかしいわ…!」ズキズキ

 

 

博麗霊夢「何が」

 

 

紫「なんで藍と幽々子は治って私の胃もたれが治らないのよ!」ズキズキ

 

 

霊夢「藍に胃もたれ移した罰が当たったんじゃないの?」

 

 

紫「そんなぁ…! あ、そもそも私胃もたれなんかじゃ無いんじゃないの!? あのヤブ医者めぇ…!」ズキズキ

 

 

霊夢「あんた最近人のせいにしてばっかじゃない?」

 

 

紫「はっ…!? ま、まさかの厄!? 雛~!助けてー!」

 

 

霊夢「ダーメだこりゃ…」

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 






 雛たちが巡る順番を逆にした方が物語的には良かったのかもですね、でもオチを藍にやらせる事に決まった瞬間から 衣玖さん→とじー、ナズ→藍、妖夢、鈴仙になっちゃいました。

 宴会シーンは文字数的にカットしました、雛の為に会のメンバーが集まって労う…藍の胃もたれの愚痴や衣玖とナズのその後の経過を聞く話も考えましたが泣く泣くカットしました。



 諏訪子が天子を叱咤したのは外の世界で苦労した早苗をずっと見て来たから…という設定がありますが諏訪子は早苗が自分の子孫だとは気付いていません、神奈子は気付いていますが誰にも喋った事はありません。


 それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした!



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《第6話》『遊来!! 月の民!!』


 今回はタイトルの通り月の民が幻想郷に遊びに来ます♪ あの方が登場…?


 ほのぼのとギャグが7:3で話が出来ていると思います、例にもよって文字数がまた多くなってしまいましたが楽しんでいただけたら幸いでございます


 それでは始まります! 





 

 

 【マヨヒガの縁側 昼 14:30】

 

 

八雲紫「…」

 

 

八雲藍「…」

 

 

 

綿月豊姫「…」

 

 

綿月依姫「…」

 

 

レイセン「…」

 

 

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

豊姫「…」

 

 

依姫「…」

 

 

レイセン「…」

 

 

 

 

 

 

 

紫「いい? 私が貴様らに言いたい事は二言」

 

 

藍(貴様ら…って)

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

紫「お前ら、嫌い、さっさと帰れ」

 

 

依姫、レイセン「!」スッ

 

 

藍「…」

 

 

豊姫「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…? えっ、三…」

 

 

豊姫「三言になっていませんか?」

 

 

紫「…!」

 

 

藍「…」

 

 

豊姫「…」

 

 

依姫「…」

 

 

レイセン「…」

 

 

 

 

紫「いい? 私が貴様らに言いたい事は二言」

 

 

藍(えぇ!? ま、まさかの言い直し!?)

 

 

 

 

 

紫「お前ら、嫌いさっさと帰れ」

 

 

依姫、レイセン「!」スッ

 

 

豊姫「…」

 

 

藍(いや、二言ですけども…)

 

 

 

 

 

紫「とっとこ帰れぃ」

 

 

依姫「!」

 

 

豊姫「…ハム○郎?」

 

 

紫「そうよ、とっとこ帰りやがれ」

 

 

豊姫「ハ○太郎ではないですか」

 

 

紫「ハム太○の何が悪いのよ」

 

 

豊姫「可愛いですよね、○ム太郎」

 

 

紫「えぇ、可愛いわね」

 

 

豊姫「…依姫も可愛いと思いますよね?」

 

 

依姫「えぇもちろん! 特にリボンを着けたあの白いハムス…!」

 

 

藍、レイセン「えっ」

 

 

紫「ん?」

 

 

依姫「はっ!!?」

 

 

豊姫「…」ニヤニヤ

 

 

依姫「い、いえお姉さま…ちち、違うのですよ? 何故私がハムちゃ…いえ、ハムスターが主人公の物語なぞに」

 

 

紫「あぁ? なに? 隠れファンなの?」

 

 

依姫「ち、ちが…」

 

 

豊姫「貴方の部屋にその類いのグッズがちらほら」

 

 

依姫「!?」

 

 

藍(さらっと秘密暴露してるが)

 

 

レイセン(な、なんですとぉ!? ……い、いや…依姫様が玉兎の間で流行っている可愛いハムスターのキャラのファンな訳がないじゃない、私は依姫様を信じます!)

 

 

紫「引くわぁ、月の兎たちの教育係の奴がまさかのハムスター好きとか…兎好きであってほしかった私の身にもなりなさいよ」

 

 

依姫「だ、黙れ貴様ぁ!」スチャッ

 

 

紫「お~怖い、でもそんなにいきり立って私に刀を向けてるって事は肯定してるとみなして良いのかしら」

 

 

依姫「バカなことを言うな! 何故私があんなものを…」

 

 

レイセン(あ、あんなもの…)ズーン

 

 

豊姫「…依姫」

 

 

依姫「お姉さまもデタラメを言わないで下さい、さ、早く用を済ませ」

 

 

豊姫「大好きなのは?」

 

 

依姫「ひ~まわりの種~♪ ……はっ!!?」

 

 

紫、レイセン「あっ」

 

 

豊姫「ふふっ♪」

 

 

紫「兎よりネズミ好きのよっちゃん」

 

 

豊姫「依姫、ここに来る前に貴方の部屋で飼っているジャンガリアンちゃんにエサはあげてきたの?」

 

 

依姫「これ以上は勘弁してくださいお姉さまぁぁぁ!」

 

 

レイセン(依姫様もハムスター好きなんだ…う、嬉しい様な…う~ん)

 

 

藍(こんなんだったかなぁ…月の民って)

 

 

 

 

 

 

 

依姫「くっ…///」カァ

 

 

紫「恥ずかしがるなら歌に乗らなきゃいいのにねぇ♪」

 

 

依姫「う、うるさい! 乗ってなどいない! 乗っていたとしても、あれはお姉さまのノリに乗ってしまっただけのことだ!」

 

 

 

豊姫「さらっと私のせいにされてないかしら」ヒソヒソ

 

 

レイセン「そ、そんな事はないと思います」ヒソヒソ

 

 

 

 

紫「よしんばそうだったとしてもあなたのハムスター好きは変わらないんじゃないかしら?」

 

 

依姫「ぐっ…」

 

 

紫「飼っているんでしょう?」

 

 

依姫「そ、それは…」

 

 

豊姫「貴方の自慢のジャンガリアンちゃんのお名前は?」

 

 

依姫「レイセンとイナバから取ってレイナと名付けましてね、もう…もうですね、ひまわりの種を頬張る姿がとても可愛くて…♪ ふふっ♪」クネクネ

 

 

紫「側にいる玉兎が『うわぁ、コイツマジか…』みたいな眼差しでよっちゃんを見ている」

 

 

依姫「!?」クルッ

 

 

レイセン「!! そ、そんなこと思って無いです! 見ても無いです!」

 

 

豊姫「部下ですからね、上司には気を使ってしまうものです」

 

 

依姫「れ、レイセン! 私をそんな目で見ないでくれ…!」

 

 

レイセン「見て無いですって! 大丈夫ですから依姫様!」

 

 

藍(紫様なんか月の民と仲良くしてませんか?)

 

 

紫「な~にが大丈夫と言うのかしらねぇ♪ 自分から秘密を暴露していくスタイルの上司のさぁ」

 

 

レイセン「…! こ、これ以上依姫様を侮辱しないでください!」チャキッ

 

 

紫「別に侮辱なんてしてないわよ、よっちゃんお得意の自爆芸を誘発させて遊んでただけのこと」

 

 

レイセン「そういうのを侮辱していると言うのです!」

 

 

紫「……あのさぁ、そうやっていちいち剣だの銃だの向けてくるのやめてくれない? 怖いんですけど」

 

 

紫「玉兎の教育は一体全体どうなっているのかしら、ハムスターを愛でてる暇があるなら部下の教育に力を注ぎなさいってのよねぇ? 藍?」

 

 

藍「私に言われましても…」

 

 

藍(紫様がまともな事を言ってらっしゃる…しかも相手は大嫌いの月の民なのに…)

 

 

紫「そこのレイセン二号、永遠亭の鈴仙を見習いなさい、あなたには優しさが足りないのよ」

 

 

レイセン「! ……」

 

 

レイセン「私は玉兎、月の軍人です…優しさなんていらないんです」

 

 

豊姫、依姫「…」

 

 

レイセン「私はあの人の様にはなれません」

 

 

紫「まぁ鈴仙は一人で充分、二人いる必要は無いものねぇ」

 

 

紫「でもその優しさがあったからこそ、私の幻想郷に鈴仙は流れ着き、貴様らの大好きな八意様の元で楽しそうに生活している」

 

 

紫「もしかして三人揃って鈴仙が羨ましいのかしら?」

 

 

豊姫、依姫、レイセン「……」

 

 

豊姫「肯定します、私たちは鈴仙が羨ましいのです」

 

 

依姫「お姉さま…」

 

 

レイセン「…」

 

 

紫、藍「…」

 

 

豊姫「今日右を向けばあの方が、明日左を向いてもあの方が側にいる…あの子はこれからもずっとあのお方のお側に居続けられるのですからね、私たち姉妹からすればこれほどの幸せはありません、そしてこのレイセンも八意様から直々にお世話を受けた身ですしね」

 

 

紫「幸せの事を言ったら輝夜もじゃないのかしら」

 

 

豊姫「そうですね、ですが輝夜は八意様にとって特別なのです、あの方は輝夜の為なら地位や身分も惜しまない」

 

 

依姫「…」

 

 

豊姫「本当に…羨ましい限りです」

 

 

紫「はっ…そんな二人を妬んだりしないの? パルパルしないの?」

 

 

依姫「そんなことはしない、八意様が私たちにそうなってほしくないと望んでおられるからな」

 

 

豊姫「八意様の名を傷付ける様な真似を私たちはいたしません」

 

 

紫「立派な忠義心だことで」

 

 

豊姫「貴方には縁遠い言葉ですね」

 

 

紫「上の存在を周囲に作ればそれに従う毎日、そんなもんは願い下げなのよ」

 

 

豊姫「相も変わらず自由な妖怪だこと」

 

 

紫「私には誉め言葉ですわ」

 

 

豊姫、紫「…」

 

 

藍(なんか不思議な空間…というか雰囲気だな、お互い敵対している身の筈なのに殺気をまったく出していない…チクチク小言は言っているが)

 

 

藍(紫様に至っては新年の景気付けに月に一発大砲射撃かましてるのになぁ…こちらもやり返されて文句言えない立場なのだが)

 

 

藍(綿月姉妹はどう思っているのだろうか…)

 

 

 

 

 

 

 【そして本題へ…】

 

 

 

紫「それで貴様らここに何しに来たの? 宣戦布告でもしに来たの?」

 

 

豊姫「いいえ、そうではありません、貴方にお話がありまして」

 

 

紫「今さらこのゆかりん様にお話だぁ? 私知ってるのよ、貴様らが暇な時間を見付けては無断で私の幻想郷に入り込んで永遠亭に遊びに行ってることを」

 

 

紫「幻想郷への不法侵入、並びにオカルト異変への関与…この件に関して月側からの清算をされてない様な気がするんですけど?」

 

 

豊姫「貴方の年に一度の月への大砲射撃…純狐、ヘカーティア・ラピスラズリ、クラウンピースが幻想郷に居着いた」

 

 

紫「…」

 

 

豊姫「清算されてませんか?」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

豊姫「私からすれば大砲が月への異物不法侵入、先の月の異変であの三人が幻想郷の新たな戦力になった」

 

 

紫「…」

 

 

豊姫「いかがでしょう」

 

 

紫「……」

 

 

紫「勘違いしないでもらいたいわね、あの三人を私は戦力として見てはいないわ」

 

 

豊姫「ならばなんと?」

 

 

紫「私の幻想郷を好きになってくれた…それだけで充分、私はあの三人を歓迎、そして感謝している」

 

 

依姫「どうだかな、お前の事だ、地獄の女神共々利用し、また月との戦争を企てているのではないのか?」

 

 

紫「もしそれを私が望んでいて実現させたとしたら今度こそ本当にその扇子で私を塵にするがいいわ」

 

 

依姫「…」

 

 

藍「紫様…」

 

 

豊姫「…分かりました、私と妹の身勝手な勘違いをお許し下さい」

 

 

依姫「お姉さま…しかし、よろしいのですか?」

 

 

豊姫「こういう場で八雲紫は言葉を軽率には扱わないものです、信じましょう」

 

 

依姫「…はい」

 

 

紫「ただ純狐の復讐は彼女だけのもの、私の月への攻撃と混同しない様に注意することね」

 

 

豊姫「大砲射撃等は続けるのですか…まぁ、肝に銘じておきましょう」

 

 

依姫「何故我等に大砲射撃を続ける」

 

 

紫「一年の景気付け、それと貴様らが大嫌いだから! 以上!」

 

 

依姫「お姉さま! やはり先程の言葉を信じるには判断材料がまだまだ足りません! とても信じられたものでは…!」

 

 

豊姫「相も変わらず本音の事柄の強弱が激しいですね…依姫慣れなさい、これが八雲紫なのですから」

 

 

紫「余裕のよっちゃんなんでしょ、さっさとゆかりんに慣れなさいよ」

 

 

依姫「変なあだ名を付けるなぁ!」

 

 

レイセン(あの依姫様が振り回されるなんて…)

 

 

藍(やっぱり大砲気にしてたのか…)

 

 

 

 

 

 

紫「で? 話ってなんなの?」

 

 

豊姫「話というよりかお願いになりますね」

 

 

紫「願い?」

 

 

豊姫「いつもなら月から永遠亭に直行しているので、こんなところに来る必要は無いのですが今回は少々こちらに事情がありましてね」

 

 

紫「藍、こんなところって言われてる事に関してぶちギレたら私の負けなの?」

 

 

藍「勝ち負けの問題ではないと思いますけど…いちいち気にしてたら話合いになりませんよ?」

 

 

紫「つれぇわ…」

 

 

藍「話が進まないじゃないですか」

 

 

依姫「ふざけてないで話を聞け」

 

 

紫「へいへい」

 

 

豊姫「いいですか? その事情を貴方に話しておかないと後々八意様に迷惑が掛かると思いここに来たのです、私たちは貴方に願いを聞いてもらうという立場にありますからね…見返り有り、八意様は関係無し、私たち三人の願いになります」

 

 

紫、藍(…?)

 

 

豊姫「さて…その願いなのですが二つあります、一つはこの私の妹、依姫の願いになります」

 

 

豊姫「依姫は博麗の巫女、博麗霊夢との談話を希望しています」

 

 

依姫「かなり前になるが月にロケットで彼女等が来たとき、諸々の理由で霊夢が少しの間月の都に滞在したことがあっただろう、霊夢が都に滞在している間私が都の案内をしたりと色々と世話をしていた、今となってはいい思い出だ」

 

 

依姫「その時を思い出したらまた霊夢と話がしたくなったんだ…私と同じ様な能力を持っていた故か、意気投合して話に花が咲いたからな」

 

 

依姫「八雲紫、お前にこの願いを私がするのはお前にとって霊夢が特別な存在であると耳にしたからだ、こうやって願いを聞き入れてもらわなければ、話もさせてもらえないだろうからな」

 

 

藍「あぁその通りだ、まず間違いなく談話の最中に横槍が入るだろう」

 

 

紫「らぁん…あなたはどっちの味方なのかしら?」

 

 

藍「もちろん紫様の味方ですが、事実は事実として伝えなければと思いまして」

 

 

紫「明日天狗の新聞に『八雲藍、月へ謀反の兆候あり!?』と書かれない様に注意なさい」

 

 

藍「やめなさいよ!? もっと酷い捏造をされそうで怖いですから!」

 

 

豊姫「私たちを嫌い、博麗霊夢に近付けさせまいとする気持ちと、博麗霊夢の好きにさせてあげたいという気持ちのどちらが大切なのか賢い貴方なら分かる筈です」

 

 

紫「…うっさいわね」

 

 

豊姫「そしてもう一つ、これは貴方がやってくれれば直ぐに解決してしまう事なのですが、これに関してはこちらの不手際ですので私たちで対処したいのです、それを踏まえて私たち三人からのお願いになります」

 

 

紫、藍「?」

 

 

豊姫「実は幻想郷に来る道中もう一人の同行者とはぐれてしまいましてね、その者の捜索の為、ここにいるレイセンに幻想郷中を捜索させていただく許可を願いたいのです」

 

 

レイセン「よ、よろしくお願いします!」

 

 

紫「ちなみにそいつは誰」

 

 

豊姫「稀神…サグメ様です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里】

 

 

 

稀神サグメ「…」

 

 

ルーミア「…」ジーッ

 

 

サグメ「…」

 

 

ルーミア「…」ジーッ

 

 

サグメ「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーミア「迷子なのかー?」

 

 

サグメ「……そうではない」

 

 

ルーミア「そーなのかー」

 

 

サグメ「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

 

 

ルーミア「ほんとーにそーなのかー?」

 

 

サグメ「…そうである」

 

 

ルーミア「ほー…そーなのかー」

 

 

サグメ「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

 

 

 

 

ルーミア「まい」

 

 

サグメ「迷子ではない」

 

 

堀川雷鼓「そうなの?」

 

 

物部布都「いや、我には分かるぞ! お主は迷子であろう! そうであろう!」

 

 

ルーミア「やっぱりそーなのかー♪」

 

 

雷鼓「やっぱりそーなのねー♪」

 

 

布都「やはりそーであったかー♪」

 

 

ルーミア、雷鼓、布都「わはー♪」

 

 

サグメ「!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

紫「あの天探女(あまのさぐめ)が迷子ぉ?」

 

 

依姫「違う! サグメ様が迷子になるわけないだろう」

 

 

紫「はぐれて幻想郷をさ迷ってる時点で完全に迷子じゃない」

 

 

豊姫「確かにサグメ様は今、迷子状態ではあります」

 

 

依姫「お、お姉さま!?」

 

 

レイセン「豊姫様!」

 

 

紫「えぇ~…この私が月の民であることを差し引いても一目置いている奴だったのに…結構抜けてるところがあるのねぇ」

 

 

藍「どんなに優れた人物でもそういうところがあるんですね」

 

 

紫「特技がご乱心の藍に言われちゃおしまいだわねぇ♪」

 

 

藍「とく…!? い、いやあれは断じて特技では…!」

 

 

 

レイセン「よ、よろしいのですか? 迷子状態なんて」ヒソヒソ

 

 

豊姫「月のワープ装置の誤作動でサグメ様だけ別の場所に飛ばされた、なんて言えばまた八雲紫は小言で返してくるはずですから」ヒソヒソ

 

 

依姫「しかし迷子状態という言い方ではサグメ様が能天気にフラフラとどこかに行ってしまう様なお方だと捉えられてしまう可能性も」ヒソヒソ

 

 

豊姫「……」

 

 

豊姫「言い間違えちゃったかもしれませんね♪ 私ったらついうっかり♪」

 

 

依姫、レイセン(えぇー!?)

 

 

 

豊姫「と、とにかくです! 八雲紫、この願い聞き入れてはもらえませんか?」

 

 

紫「……まぁ別に良いけど」

 

 

紫「でもその代わり、私からは条件を出させてもらうわ、願いを聞いてあげる為の条件、これを飲まないと願いは聞いてあげない」

 

 

豊姫「いいでしょう」

 

 

紫「まず…よっちゃん」

 

 

依姫「誰がよっちゃんだ」

 

 

紫「霊夢に危害を加えないこと、掠り傷一つでも着けたらよっちゃんの上半身と下半身が永遠にさようならする事になるわよ」

 

 

依姫「話をするだけだと言ってるだろうが、戦いに行くわけではないんだぞ……あぁ分かった、その条件飲もう」

 

 

紫「よし…次、そこの玉兎」

 

 

レイセン「!」

 

 

紫「幻想郷中を捜索することは許可しましょう♪ ただし…! 捜索中にその背負ってる銃を発砲しないこと、もし発砲したらその可愛らしいウサ耳を引きちぎってやるわよ」

 

 

レイセン「ひっ…!? わ、わわ分かりました!」

 

 

紫「よろしい、で? これからの各々の行動は?」

 

 

豊姫「私はこのまま永遠亭へ」

 

 

依姫「博麗神社で霊夢と話をした後、永遠亭へ」

 

 

レイセン「サグメ様を捜索、発見し、共に永遠亭へ」

 

 

紫「幻想郷の管理人、八雲紫の名を持ってその願いを聞き入れましょう、くれぐれも先程提示した条件を破る事はしないよう肝に銘じなさい」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…それで? 見返りはなに?」

 

 

豊姫「これでどうでしょうか」

 

 

紫「…!」

 

 

豊姫「貴方の親友の亡霊が私達の屋敷から堂々と盗み出した酒と同じ物です」

 

 

紫「…余程よっちゃんと霊夢を会わせたいらしいわね」

 

 

豊姫「私の可愛い妹の望んでいる事に手を差し伸べてあげたいだけですよ」

 

 

紫「あっそ…」

 

 

豊姫「交渉成立ですね」

 

 

紫「はいはい、出来ればゆっくりしないでサッと済ませてサッと帰ってね♪」

 

 

依姫「…では、一旦別れましょう」

 

 

紫「無視すんなクルァ」

 

 

藍「今は静かにしててください」

 

 

豊姫「えぇ、レイセン、サグメ様の事は頼みましたよ」

 

 

レイセン「お任せ下さい!」

 

 

紫「あ、そうそうよっちゃん」

 

 

依姫「?」

 

 

紫「霊夢にあなたの大好きなハムスターの話をしてもこれっぽっちも興味を示さないと思うわよ♪」

 

 

依姫「う、うるさいっ!」

 

 

紫「ふはははは♪」

 

 

 

 

 

 

 

紫「はぁ…この八雲のゆかりんも甘くなったもんね」

 

 

藍「う~ん、私はそうは思いませんけどね」

 

 

紫「ちょっとは思ってほしいところなんですけど…この私が月の民のお願いを聞いてやったのよ?」

 

 

藍「確かにあれは意外でしたね、紫様が首を立てに振るとは思いもしませんでした、でも見返りも貰ってしまってるんですからこちらも文句は言えないです」

 

 

紫「そこなのよねぇ~…受け取ってしまった時点で私の負けだもん」

 

 

藍「勝ち負けの問題じゃないと思いますけど…」

 

 

紫「そればっかりねぇ…はぁ、なんか調子狂うわ…いつものゆかりんじゃないわ…」

 

 

藍(バリバリいつもの紫様だった様な気がするんですけど)

 

 

紫「藍、このあと仕事しろなんて言わないでよ? 流石の私でもキレるわよ」

 

 

藍「………はい」

 

 

紫「その間はなに!」

 

 

藍「いえ…」

 

 

紫「失礼しちゃうわね! ほら、行くわよ藍」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

藍「スキマで何処に行くんですか?」

 

 

紫「白玉楼よ、今日はこの酒飲んで嫌な事は忘れる! レッツプチ宴会!」

 

 

藍「…」

 

 

紫「あ~ん♪ 待っててね幽々子ぉ♪ 今から月の民摂待で手に入れたお酒持って行くから~♪」

 

 

藍(月の民がここに来たときはどうなることかと思ったが…なんか安心しましたよ、いつもの紫様で)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里】

 

 

サグメ(……何故こうなったのだろうか)

 

 

サグメ(私は豊姫たちと共に永遠亭の前にワープする筈だったのだが…故障でもしたのか?)

 

 

サグメ(いや…それよりもだ)

 

 

布都「はっ!? って流れに乗っかっておる場合ではないわぁ! お主! 我が買った団子を勝手に食ったであろう!」

 

 

ルーミア「! く、食ってないのだー!」

 

 

布都「嘘を申すな! 団子屋の縁台で我が食べていた団子を涎を垂らしながらまじまじと見ておったではないか!」

 

 

雷鼓「そうなの?」

 

 

ルーミア「濡れ衣なのだー! 信じてほしいのだー!」

 

 

サグメ(何故私の目の前で争う…)

 

 

布都「では何故我が皿から目を離した隙に串に刺さった団子が四つ消えていたのだ!」

 

 

ルーミア「じ…自分で食ったんじゃないのかー?」

 

 

布都「ぬ…? そ、そうであったか…?」

 

 

ルーミア「! きっとそーなのだー!」

 

 

雷鼓「そうなの? って言いたいところだけど、私の探偵のビートが高鳴っているのよね」

 

 

布都「た、探偵とな?」

 

 

雷鼓「ええ、あなた、団子は何本買ったの?」

 

 

布都「団子が四つ刺さっているのを二本じゃ」

 

 

雷鼓「二本…じゃあ買った後の状況を思い出してみて?」

 

 

布都「むう……買って縁台に座り、皿を縁台に乗せ、涎を垂らしてこちらを見ているこやつを見つつ、一本手にとって団子を四つ食べたな」

 

 

ルーミア「食ってねぇのだ」

 

 

雷鼓「ちょっと待っててね、その後は?」

 

 

布都「…そうじゃ、お主が団子屋の前を歩いているのを見たから声を掛けたのじゃ、お主付喪神であろう? こころ殿から話は聞いておるでな、我もお主と話して見たかったのじゃ」

 

 

雷鼓「あら、こころちゃんの知り合いなの? なるほど、だから私を呼んだのね…あぁ、それで?」

 

 

布都「おぉそうじゃった、それでもう一本食べようと団子皿に手を伸ばして串を手に取ったら…」

 

 

雷鼓「その串のお団子が消えていたのね」

 

 

布都「そうじゃ、それで団子が突然消えたことに我は不覚にも狼狽えてしまい、キョロキョロ辺りを見回していたら」

 

 

布都「先程まで近くにいて涎を垂らしていたこやつが団子屋から走って遠ざかるのが見えたのじゃ」

 

 

雷鼓「それであなたは走って追い掛けたのね、私も呼び掛けられてたし、その呼んだ相手が急に走るから気になって追い掛けて来たの」

 

 

布都「心遣い感謝するぞ」

 

 

雷鼓「良いのよこれくらい♪ で、あなたは本当に食べてないの?」

 

 

ルーミア「食ってねぇ」

 

 

布都「段々と言葉遣いが荒くなっとる気がするが…」

 

 

雷鼓「でもねぇ、団子が急に消えるなんてあり得ないのよねぇ」

 

 

ルーミア「か、風でぶっ飛んだんじゃないのかー?」

 

 

雷鼓「団子の重みがあるから突風クラスの風じゃないと飛ばないと思うの、今日は風強くないじゃない」

 

 

布都「そのぐらいの風なら我は起こせるが、自分の団子を吹き飛ばす程馬鹿ではないぞ?」

 

 

雷鼓「…ええっと、ならもう犯人はあなたよね」

 

 

布都「ほれみろ! 犯人はお主以外にはおらんのじゃ! 観念せい!」

 

 

ルーミア「ヌグッ…! お、愚か者共めっ! は、犯人は他にいるのだー!」

 

 

布都、雷鼓「えっ…?」

 

 

ルーミア「は、犯人は…真犯人はこの片翼の奴なのだー!」

 

 

雷鼓、布都「な、何だってー!?」

 

 

サグメ「!?」

 

 

ルーミア「私は見てたのだ、物陰から団子を狙うこの片翼をな!」

 

 

布都「な、なんじゃとぉ!?」

 

 

サグメ「…」

 

 

雷鼓「そうなの? …かしら」

 

 

布都「まさかお主が真犯人じゃったとは…盲点じゃった!」

 

 

サグメ(何をもっての盲点なのだろうか)

 

 

布都「神妙にせい真犯人! 盗人はこの我が成敗してくれる!」

 

 

ルーミア「プッ…そーなのだー! せーばいしてやるのだー!」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(マズいな…只でさえここが何処だか分からないのにいきなり団子泥棒だと仕立て上げられるとは、ここは恐らく幻想郷の人里だとは思うのだが)

 

 

サグメ(下手にして騒ぎを起こせば八意様に迷惑が掛かる、それに幻想郷の住人は月の民に嫌悪を抱いている輩も多いと聞く…さて、どうしたものか)

 

 

雷鼓「…ねぇ、あなた本当に団子泥棒の真犯人なの?」

 

 

サグメ「!」

 

 

ルーミア「な、何を言っているのだ! こいつが真犯人なのだ!」

 

 

布都「この者もこう申しておる、物陰から団子を狙っていたと証言まであるのだぞ!?」

 

 

雷鼓「でもこの人からはそんなソウルを感じないのよね、泥棒とかしそうなタイプの人では無さそうだし」

 

 

布都「し、しかしじゃな」

 

 

サグメ「…!!」

 

 

サグメ(見付けた…!)

 

 

サグメ「…」スッ

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「?」

 

 

 サグメはルーミアの口元辺りを指差した

 

 

ルーミア「!」

 

 

布都「ん? なんじゃ?」

 

 

雷鼓「…? …!!」

 

 

ルーミア「な、なんなのだ真犯人! 悪足掻きはよすの」

 

 

雷鼓「待って」

 

 

布都「どうしたのじゃ?」

 

 

雷鼓「…」

 

 

雷鼓「ごめんね、ちょっと口閉じててもらえる?」

 

 

ルーミア「?」

 

 

雷鼓「…」ジーッ

 

 

ルーミア「…」

 

 

雷鼓「…! …」スッ

 

 

 雷鼓はルーミアの唇に自分の人差し指をなぞらせ…

 

 

ルーミア「んぷっ…」

 

 

雷鼓「んっ…」ペロッ

 

 

 人差し指を自分の口に持っていって先端を舐めた

 

 

布都(な、なんぞ…/// 何故か顔が熱くなるのを感じる…///)

 

 

雷鼓「…ねぇ、あなたの食べていた団子ってもしかしてみたらし団子?」

 

 

布都「ぬ? おぉそうじゃ、何故分かったのじゃ?」

 

 

雷鼓「…妖怪の少女さん」

 

 

ルーミア「な、なんなのだ」

 

 

雷鼓「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

布都「…?」

 

 

サグメ「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雷鼓「人から奪ったみたらし団子の味は格別だったのかー?」

 

 

ルーミア「とぉっっても美味かったのだー♪」

 

 

雷鼓、ルーミア「わはー♪」

 

 

ルーミア「あっ」

 

 

雷鼓「…」

 

 

サグメ「…」

 

 

布都「…」

 

 

ルーミア「…!」

 

 

雷鼓、布都、サグメ「…」ジーッ

 

 

ルーミア「…! !!」アセアセ

 

 

ルーミア「わ…わはー…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

布都「お主ではないかぁぁぁ!!」

 

 

ルーミア「うぬおぉぉぉ! は、離すのだぁー!」ジタバタ

 

 

雷鼓「うーん…私の探偵のビートもまだまだね、まさか真犯人に踊らされるなんて」

 

 

サグメ(先程から口にしているが、ビートの意味を分かっていて使っているのだろうか)

 

 

雷鼓「ごめんなさいね、あなたを巻き込んでしまったわ」

 

 

サグメ「…別に気にしていない」

 

 

雷鼓「ふふっ、心が広いのね」

 

 

サグメ「…そうでも…ない」

 

 

雷鼓「謙遜しなくても良いのよ♪ さて…と」

 

 

布都「人の物を盗り、それに対して嘘を付き、挙げ句には人のせいにするとは妖怪の中の妖怪! 妖怪の鏡の様な奴じゃ! 我が成敗してくれる!」

 

 

ルーミア「ふっ…」

 

 

布都「何が可笑しい!」

 

 

ルーミア「盗られる方がわりぃのだぁ!」

 

 

布都「反省もしておらんのかお主はぁ!!」

 

 

雷鼓「ねぇ、どうこの子を成敗するの?」

 

 

布都「決まっておろう! 塵と消えるまで退治し続けてくれるわ!」

 

 

ルーミア「なのかっ!?」

 

 

雷鼓「あはは…成敗が退治に代わっちゃってるし、ちょっとやり過ぎだと思うわ、それはやめた方がいいわね」

 

 

布都「ではどうするのじゃ! 我のこの怒りをどう静めれば…」

 

 

雷鼓「ん~、あなた人里の寺子屋の生徒さんよね?」

 

 

ルーミア「そ、それがどうしたのだ」

 

 

雷鼓「確か寺子屋の先生って怒ると凄く恐いって聞いた事があるんだけど」

 

 

ルーミア「…!? け、慧音に言う気か!? や、辞めるのだ! 頭突きだけは嫌なのだ!」

 

 

雷鼓「その様子だとよっぽど恐いみたいね、可哀想だけど今から寺子屋に行きましょう」

 

 

布都「なるほど、然るべき場所で罰を…ということじゃな♪」

 

 

雷鼓「そういうことよ♪ さ、行きましょう」

 

 

ルーミア「ぬおぉぉぉぉ! 嫌なのだぁ! 離すのだぁ!」ジタバタ

 

 

サグメ(…一難去ったか)

 

 

布都「おぉそうじゃお主、疑って悪かったの、まんまと妖怪の掌で踊らされるところじゃった」

 

 

サグメ「…気にしていない」

 

 

雷鼓「あ、ねぇ、あなたも一緒に来てくれないかしら、証人は多い方が良いから」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(着いていくか? いや、着いていってまた騒ぎに出くわしたら大変だ…だが寺子屋の教師ならば地理に詳しい筈だ、永遠亭の場所を聞けるかもしれないな、幻想郷に土地勘がない私にはチャンスだ)

 

 

雷鼓「でも強制はしないわ、嫌なら」

 

 

サグメ「いや…分かった、着いていこう」

 

 

雷鼓「そう♪ 良かったわ♪」

 

 

布都「では共に行こうぞ!」

 

 

ルーミア「はーなーせーなーのーだー!」ジタバタ

 

 

サグメ(吉と出るか凶と出るか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里、寺子屋】

 

 

上白沢慧音「こんのぉ……大バカモンがぁ!!」スッ

 

 

 ゴガァァァン!!

 

 

ルーミア「ひぎゃあぁっ!!」

 

 

雷鼓、布都、サグメ「!!?」

 

 

慧音「盗んで嘘付いて人のせいにしただと…!? ルーミア! お前は何をやっているんだ!」

 

 

ルーミア「あっ…うぐぁ…!! あ、頭が割れたのだぁ!!」ジタバタ

 

 

慧音「大丈夫だ、お仕置き用の頭突きだからな、頭なら割れてないぞルーミア! そんなことより聞くんだ!」

 

 

 

雷鼓、布都、サグメ(うわぁ…)

 

 

雷鼓(あの子のスクリームから分かるわ…先生の頭突きのビートがとんでもない物だということが)

 

 

布都(と、屠自古の電撃よりも恐ろしいかもしれん…)

 

 

サグメ(あれでお仕置き用か、本気の頭突きをまともに食らえば只では済まないだろうな)

 

 

 

慧音「ルーミア! 先生は悲しいぞ! 何でこんなことをしたんだ!」

 

 

ルーミア「だ、団子が目の前に有ったら食うしかねぇのだ…! わ、私は自分の食欲に従っただけなのだ…」

 

 

慧音「…」

 

 

ルーミア「美味しそうだったから…食ったのだ…」

 

 

慧音「もしもの話だが、ミスティアが屋台で料理の仕込みをしているところにお前が出くわしたとしよう」

 

 

慧音「その時己の腹が減っていたらミスティアの屋台の料理をつまみ食いするのか?」

 

 

ルーミア「そ、そんなことはしないのだ!」

 

 

慧音「何故しない、自分の食欲には従うんだろう?」

 

 

ルーミア「みすちーは友達だから『食べていいよ』とか言われるまでは食わねぇのだ…みすちーの商売魂は傷付けられないのだ…」

 

 

慧音「自制、出来るではないか」

 

 

ルーミア「…」

 

 

慧音「だが人の物を盗ったら泥棒だ、自制出来て友達想いで賢いルーミアなら分かる筈だろう」

 

 

慧音「物部布都は自分でお金を払い、団子を購入したんだ、いつもお前たちが寺子屋の帰りに駄菓子屋でお菓子を買っているようにな」

 

 

慧音「自分でお金を払って買ったお菓子を誰かに盗られたらルーミアだって許せないだろう? 『一口食べてみるか?』 と友達同士で聞くのとは訳が違うんだ」

 

 

慧音「団子はルーミアに盗まれたんだ、物部布都が怒るのも当たり前だろう、お前に団子を与えるという行為をしてなかったんだからな、全部一人で食べたいという楽しみを味わいたかったんだ、食通のお前なら分かるな?」

 

 

ルーミア「…」

 

 

慧音「嘘を付いたことと人のせいにしたことは許される事ではない…それをやって成功したという楽しみや体験を自分の中で見付けて無意識に作ってしまうとクセが付いてもっとやってしまうんだ」

 

 

慧音「最悪、さっきのミスティアの屋台でつまみ食いや友達に平気で嘘を付いたりするようになる、バレなきゃ問題ない、無問題だと自分で正当化し、それはさらに激しさを増す」

 

 

慧音「自分の大切な友達に対して嘘を付き続ける、何かあればすぐに人のせいにして難を逃れる…そんなことを続けていたらな、友達が友達じゃなくなるんだ、付いた嘘はお前の知らないところで友達にバレてルーミアという存在に不信感を覚える」

 

 

慧音「そんなことあるわけないと自分に言い聞かせていると痛い目に遭うんだ…不信感が不信感を呼びお前に近付く者はいなくなり、やがてお前は一人になってしまう…友達がいなくなってしまうんだ」

 

 

ルーミア「…!」

 

 

慧音「一人は辛いぞ…? 一人で闇の中さまよう…お前にそんなことを私はさせたく無いんだ」

 

 

慧音「分かってくれルーミア、お前を皆が嫌う様なタイプの人間…いや、妖怪にしたくないんだ、だから…皆から嫌われる妖怪になるんじゃない」

 

 

慧音「ルーミア、分かってくれたのならちゃんとあやま…!」

 

 

ルーミア「…け、けい…ね…グスッ…」

 

 

慧音「ルーミア…」

 

 

ルーミア「グスッ、ヒグッ…ううぅ…!」ポロポロ

 

 

慧音「…おいでルーミア」ニコッ

 

 

ルーミア「うわぁぁん! けーねぇ!」

 

 

 ルーミアはポロポロと涙を流しながら慧音に抱き着いた

 

 

慧音「おっとと…ち、力が強いな、あはは…」

 

 

ルーミア「けーねぇ…! グスッ、うぐぅ…! グスッ…!」ポロポロ

 

 

慧音「まったく大バカ者め、人の物を盗む程腹が減っているなら何故私のところに先ず相談しに来ない、先生そんなに信用ないか?」

 

 

ルーミア「ううぅ…そ、ぞんなごどはないのだ…グスッ…」ポロポロ

 

 

慧音「…」ニコッ

 

 

慧音「正直な、チルノたちならお前がどんなことをやろうとも嫌いになったりしないし、すぐに許してくれるだろう、だが傷付いたり嫌な思いはすると思う…こればっかりは遊びとノリでどうこう出来んものだ」

 

 

慧音「分かってくれたみたいで本当に良かったよ、ルーミア」

 

 

ルーミア「! グスッ…ううぅ…」

 

 

 

雷鼓、布都、サグメ「…」

 

 

雷鼓「良い人ね、優しくて素敵な旋律の持ち主だわ」

 

 

布都「うむ、人格者とは慧音殿の為にある言葉なのかもしれんのう」

 

 

サグメ(幻想郷で生きる者の師弟関係、いや…教師と生徒の関係も月と何ら変わらないのだな…眩しくもあり、美しくもある)

 

 

サグメ(言い方は悪いが、良いものを見せてもらったよ)

 

 

 

 

 

 【五分後…】

 

 

 

ルーミア「ごめんなさい」ペコッ

 

 

雷鼓、布都、サグメ「…」

 

 

慧音「…」

 

 

ルーミア「盗み食いをしてしまってごめんなさい、あなたのせいにしてしまって本当にごめんなさい」

 

 

布都、サグメ「…」

 

 

ルーミア「もう盗み食いも、人のせいにしたりもしません…本当にごめんなさい」

 

 

ルーミア「もうしません、どうか許してください」

 

 

布都、サグメ、雷鼓「…」

 

 

布都「ふっ…なんじゃ、お主ちゃんと謝れるではないか」

 

 

ルーミア「!」

 

 

布都「我も少し大人気なかったかのう、子供が団子を盗み食いしたぐらいであんなに問い詰める必要もなかったと今では思うのじゃ」

 

 

布都「正直、我はあまり妖怪は好かん、好かんが…話が分かる妖怪は嫌いではないぞ♪」

 

 

布都「それにあんなものを見せられて許さん様では物部の名が泣くというものじゃ」

 

 

布都「じゃからお主のことを我は許そうぞ」

 

 

ルーミア「! ほ、ほんとかー!?」

 

 

布都「もちろんじゃ、それにお主が良ければ我と仲良くしてくれても良いぞ♪ お主のことは嫌いではないでな♪ はっはっは♪」

 

 

ルーミア「あ、ありがとうなのだ!」

 

 

雷鼓「あ、ならそれに私も混ぜてくれるかしら♪」

 

 

ルーミア「!」

 

 

雷鼓「私は被害者じゃないし、あなたに謝られる必要が無いのよね…でもあなたのその友達想いの気持ちに私の心のビートが熱く激しく高鳴っているの、この私の気持ちには素直になりたいの」

 

 

ルーミア「そ、そーなのかー…?」

 

 

慧音、布都、サグメ「…」

 

 

慧音「つ、つまり…物部布都のようにルーミアと仲良くなりたいと?」

 

 

雷鼓「そうよ♪」

 

 

ルーミア「お…お、おぉ…あ、ありがとうなのだ」

 

 

慧音(反省中とはいえ、あのルーミアがノリで困惑するとは…私も音楽のことはさっぱりだがな)

 

 

布都(この者の言うことは難しいのう、ハイカラ過ぎるということか?)

 

 

サグメ(彼女は音楽家なのだろうか、音楽家というものの感性は良く分からん)

 

 

ルーミア「…! あ、あの…」

 

 

サグメ「!」

 

 

ルーミア「あ、あなたのせいにして本当にごめんなさいなのだ、許してほしいのだ」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(一呼吸で百文字以内ならば口に出せる、月の技術のお陰で私の能力は発動しない様にはしてあるのだが…)

 

 

サグメ(如何せん私は口下手だ…上手く私の思いを言葉で伝えられれば良いのだが)

 

 

慧音「…すまない、あなたにとってはとても許しがたい事だったのだな」

 

 

サグメ「…!」

 

 

慧音「だがどうか言葉だけでも掛けてやってはくれないだろうか…ルーミアもこの通り反省している、勝手な言い分だとは百も承知だが…どうか」

 

 

ルーミア「ごめんなさい…」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(いつもの調子で伝えてみるか)

 

 

サグメ「……そうではない」

 

 

ルーミア、慧音「えっ…?」

 

 

サグメ「私は最初から貴方に怒って等いないのだ」

 

 

サグメ「巻き込まれ、団子泥棒に仕立て上げられたのは事実だが…それに関して私は貴方を責めたりはしない」

 

 

サグメ(寧ろお礼を言いたいぐらいだ、ワープ先が永遠亭で無く土地勘の無い幻想郷の人里…途方に暮れていた私に道を示してくれたからな、迷子呼ばわりされたのは少し空しかったが)

 

 

ルーミア「ど、どうしてなのだ、私はスゴく悪いことを」

 

 

サグメ「先程のやり取り、貴方のその謝罪の気持ち…もう充分だ」

 

 

サグメ「それでも許しが欲しいと言うのなら、言葉で伝えよう」

 

 

サグメ「私は貴方を許す、怒って等いない」

 

 

ルーミア「ほ、本当か…?」

 

 

サグメ「本当だ」

 

 

ルーミア「…! 許してくれて…あ、ありがとうなのだ…!」

 

 

布都、雷鼓「…」

 

 

慧音「ふふっ…ありがとう、私の生徒を許してくれて」

 

 

サグメ「…当然の事だ」

 

 

サグメ(…ふっ、どうやら吉だったようだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーミア「慧音、何処行くのだ?」

 

 

慧音「ん? あぁ今から私用で稗田亭にな、少し阿求と話をするんだ」

 

 

ルーミア「そうかー…」

 

 

慧音「ん? 何だ? 寂しそうだな」

 

 

ルーミア「そ、そんなわけねぇのかー!」

 

 

慧音「こら、先生に向かってその言葉使いはやめろと言っているだろう」

 

 

ルーミア「わはははー…♪」

 

 

慧音「ふっ…じゃあな、ルーミア」スッ

 

 

ルーミア「…慧音」

 

 

慧音「うん?」

 

 

ルーミア「…」

 

 

ルーミア「わ、私の事叱ってくれてありがとな…これからも先生としてよろしくお願いするのだ」

 

 

ルーミア「慧音は良い先生だ…だ、だから…」

 

 

ルーミア「だ…だ…」

 

 

慧音「?」

 

 

ルーミア「だ…大好きだぞ…慧音先生…!」

 

 

慧音「…!? そ、そそそうか…! あ、ありがとう…! き、きょ、教師冥利につ、つきるよ!」

 

 

ルーミア「わ、わはー♪ 行ってらっしゃいなのだ、気を付けてな!」

 

 

慧音「お、おう…ま、またな、ルーミア…」スッ

 

 

 

慧音(くっ…な、なんて不意討ちだ…! ま、マズイ…! ニヤケ顔で人里を歩き回る訳には…!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そしてそして】

 

 

 

サグメ(……いかん、あの教師に永遠亭への道を聞くのを忘れていた、だがあの雰囲気の中で聞くということを出来ただろうか)

 

 

布都「のう、せっかくこうして仲良くなったのだ、各々自己紹介でもせんか?」

 

 

雷鼓「良いわね♪ 自己紹介のビートを奏でましょう♪」

 

 

ルーミア「やるのかー♪」

 

 

サグメ(この三人、初対面だったのにも関わらず最初に会った時にやったあのポーズと言葉…何かしらの波長が合っているのかもしれんな)

 

 

サグメ(…あ、私も自己紹介しなければならなくなってしまっているな)

 

 

 

 

布都「我は物部布都、尸解仙である」

 

 

雷鼓「しかいせん?」

 

 

ルーミア「歯医者さん専門なのかー?」

 

 

布都「お主間違うておるぞ? 歯科医の専門という意味ではないぞ? てかなんじゃ歯科医の専門というのは」

 

 

ルーミア「じゃあなんなのだー?」

 

 

サグメ「尸解仙…自ら死を選び、物…例えば剣でも壺でも何でもいい、それに自分の魂を宿らせ、然るべき時の後、その物体が自分の姿となる術であったな」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

雷鼓「そうなの?」

 

 

布都「おぉ! そうであるぞ! お主は物知りじゃのう」

 

 

サグメ「…そうでもない」

 

 

ルーミア「返事があるしかばねってかー?」

 

 

布都「なんか変にまとめられた気がするが、まぁそういうもんなんじゃろうなぁ…我は」

 

 

サグメ(自ら穢れを…生と死に恐怖するのは生物の基本的な概念なのかもしれんな)

 

 

 

 

雷鼓「堀川雷鼓よ、和太鼓の付喪神なの♪ よろしくね」

 

 

布都「先も言うたかもしれんがお主のことはこころ殿から聞いておるぞ、熱く激しいびーとそうる? じゃったか? それを持っているとか」

 

 

雷鼓「あら♪ こころちゃんがそんなことを…♪ 同じ付喪神仲間にそう言ってもらえると嬉しいわね」

 

 

ルーミア「ほー、太鼓なのか、なら自分が叩かれるのは好きなのかー?」

 

 

雷鼓「えぇ、大好きよ♪」

 

 

ルーミア「えっ…」

 

 

雷鼓「…? あぁ、私の中にそういう物があるわけでは無いのよ、ただ…そうねぇ太鼓の性というか…人に叩かれる事が喜びだから」

 

 

布都「難儀じゃのう」

 

 

サグメ「苦労している…のか?」

 

 

雷鼓「えぇまぁ…ん~八橋からも言われてるのよ、その言い方だと色々と危ないって」

 

 

ルーミア「真性ドMじゃなくて安心したのだ」

 

 

サグメ(この子は何処でこんな言葉を覚えてくるのだろうか)

 

 

 

 

ルーミア「妖怪のルーミアなのだ、さっきは本当にごめんなのだ、これからは仲良くしてほしいのだー」

 

 

布都「うむ、ルーミア、改めてよろしくであるぞ」

 

 

サグメ「…よろしく頼む」

 

 

雷鼓「よろしくね♪ あ、ねぇ、あなたがやっていたあのポーズ、もう一回やって?」

 

 

ルーミア「お? これかー?」スッ

 

 

雷鼓「そう、それよそれ、可愛いわ♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

雷鼓「そーなのよー♪」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓、サグメ「わはー♪」

 

 

サグメ「…!?」

 

 

雷鼓「あら、またわはーって言っちゃったわね」

 

 

布都「うむ、先程も『わはー』と口に出してしまったな、我の意識とは別の感じじゃ」

 

 

雷鼓「無意識にノリノリにさせるなんて最高のビートじゃない♪」

 

 

雷鼓「良いわ…! 凄く良い…! 一言でノリに乗らせるビートがひしひしと私を研ぎ澄ませてくれてるっ!」

 

 

ルーミア「そー…なのかー?」

 

 

布都「雷鼓殿の音楽的な感性がまだイマイチ良く分からんのう、びーととは難しい言葉じゃ…」

 

 

ルーミア「みすちーなら…分かるかなー」

 

 

サグメ(私に無意識に口を開かせるとは…しかしさっきは私の口は開かなかったのに何故今になって)

 

 

サグメ(まさかこの子と仲良くなる、或いは他人の関係ではなくなる事が『わはー』と言わせるトリガーになっているのか…? 辻褄はあってしまう…か?)

 

 

 

 

 

サグメ「稀神…サグメだ」

 

 

布都「ほう、サグメ殿というのか」

 

 

ルーミア「サグメかー♪ よろしくなのだ」

 

 

雷鼓「カッコいい名前ね♪ その片翼もカッコいいわ♪」

 

 

サグメ「そうでもない…とは思うが」

 

 

布都「のうサグメ殿、最初に会った時から気になっていたのじゃが、サグメ殿の種族はなんなのじゃ?」

 

 

サグメ「…!」

 

 

ルーミア「妖怪じゃないのかー?」

 

 

雷鼓「どうかしら…うーん、その片翼…」

 

 

雷鼓「もしかして天使?」

 

 

ルーミア「んお? あのドMのことかー?」

 

 

雷鼓「えっ? あぁあの天人さんじゃなくて、あの神の使いの」

 

 

布都「天使ではないのではないか? 頭の上に輪っかが無いではないか」

 

 

雷鼓「そんなアナログな天使今時居ないと思うの」

 

 

布都「ぬぉっ…! や、やはり時代は移り変わっていくものなのじゃな…我も早くハイカラな感性を身に付けたいものじゃ」

 

 

布都「じゃが一つはっきりしたのう、サグメ殿は天使であろう、そうであろう!」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

雷鼓「そうなの? …って私が言ったんだったわね」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(そうではないのだが、この者たちに本当の事を告げても良いのだろうか)

 

 

サグメ(月の民であること、そしてあのオカルトボールを通じて幻想郷を混乱させたのは他でもない私だ…全ての真実を話す必要は無いが、私自身負い目は感じている…月の民であることを暴露するのは得策ではないか)

 

 

サグメ(嘘を……! ……嘘、か…)

 

 

ルーミア「…?」

 

 

サグメ(ふっ、私自身が反面教師になってどうするというのだ)

 

 

サグメ(これも何かの運命、この者たちの心を信じて吐露すべきだな)

 

 

 

サグメ「…そうではない」

 

 

布都「な、なんと!」

 

 

雷鼓「そうなの?」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

布都「天使ではないのならサグメ殿はなんなのじゃ?」

 

 

サグメ「私は…」

 

 

サグメ「…つ」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「つ…?」

 

 

サグメ「…つ、月の民である」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「…!」

 

 

サグメ「…」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「月の民…」

 

 

サグメ「そうだ」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「…」

 

 

サグメ(……やはり月の民であることを話すべきでは無かったか、この者たちにとってもタブーで)

 

 

雷鼓「へぇ、じゃあ永遠亭の人たちの知り合いなの?」

 

 

ルーミア「輝夜の知り合いかー?」

 

 

布都「サグメ殿が月の民、う~む…我の描いていた月の民のいめーじとは全然違うのう」

 

 

サグメ「!」

 

 

雷鼓「イメージ?」

 

 

布都「うむ、なんかこう…高圧的な態度を崩さず、自分たちだけの世界だけに閉じ籠ってこそこそしておるいめーじじゃ」

 

 

雷鼓「あはは、それはちょっと偏見だと思うわよ? あの兎さん…鈴仙さんだったかしら、彼女はそんな風には見えないもの」

 

 

ルーミア「輝夜も良い奴なのだ、たまに寺子屋に来て先生してくれるのだ」

 

 

雷鼓「それに永琳さんだって人の為に薬を作ってるって聞くしねぇ」

 

 

布都「…我の偏見が過ぎた様じゃな、すまぬサグメ殿、月の民であるならば彼女等とも知り合いであろう、彼女等の事を悪く言ってすまんかった」

 

 

ルーミア「月の民は良い奴が多いーのかー♪」

 

 

サグメ「…! いや、良いのだ、私の方こそ貴方たちに偏見を持っていたからな」

 

 

ルーミア「偏見かー?」

 

 

サグメ「私は月の民は幻想郷の者たちに嫌われているのだと勝手に思っていたんだ」

 

 

雷鼓「そっか…だから自分の正体を話づらかったのね」

 

 

サグメ「…そうである」

 

 

ルーミア「ほー…でも月の民を嫌いだなんて思うやつは聞いたことがねぇーのだー♪」

 

 

布都「そうじゃのう、太子様も月の民の行動には注意せよと仰っておったが嫌いというわけではなさそうだしのう」

 

 

雷鼓「博麗の巫女さんを筆頭にね、だからサグメさん、あまりそういうことは気にしないで良いと思うわよ」

 

 

ルーミア「ここは幻想郷だからなー♪」

 

 

布都「答えになっておるのかのう、まぁでもそうかもしれんのう♪」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(八雲紫を基準として考えていたからかな、思えば月面戦争や純狐に関わっていない者は月の民に敵意や嫌悪を抱いていないのかもしれないな…ふっ)

 

 

サグメ(自分の目で確かめられて良かった…)

 

 

サグメ「ありがとう」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「?」

 

 

サグメ「私の偏見を変えてくれたからな、貴方たちには礼を…と」

 

 

布都「それは我とて同じじゃサグメ殿、我も月の民に偏見を持っておったのじゃからな」

 

 

ルーミア「偏見って怖いもんなんだなー」

 

 

雷鼓「そうね、でもこれで悩む必要も偏見を持つ必要も無くなったわね♪」

 

 

布都「そうであるな、これで我らは本当に仲良くなれたというわけじゃ♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」

 

 

雷鼓「そーなのよー♪」

 

 

布都「そーであるのかー♪」

 

 

サグメ「…そ、そーである」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓、サグメ「わはー♪」

 

 

ルーミア「わーははー♪」

 

 

布都「はっはっは♪」

 

 

雷鼓「ふふっ♪」

 

 

サグメ「…/// ふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

布都「そういえばサグメ殿、サグメ殿は一人なのか? 月から来たのなら他に連れがおるのではないのか?」

 

 

サグメ「それは色々と訳があってな」

 

 

雷鼓「良かったら聞かせてくれない?」

 

 

ルーミア「力になるのだ♪」

 

 

サグメ「! …聞いてくれるか」

 

 

雷鼓「もちろんよ」

 

 

布都「うむ」

 

 

ルーミア「なのだっ♪」

 

 

サグメ「ありがとう…実は…」

 

 

 

 

 

 

 

 

【その頃レイセン 人里、清鈴屋】

 

 

レイセン「うわぁぁぁ! こ、こんなことしてる場合じゃなーい!」

 

 

清蘭「え?」

 

 

鈴瑚「どったのレイセン」

 

 

レイセン「落ち着いて団子なんてゆっくり食ってる場合じゃないのよ! 早くサグメ様を探さないと」

 

 

清蘭、鈴瑚「…まぁまぁまぁまぁ♪」

 

 

レイセン「何がまぁまぁまぁまぁなの!?」

 

 

清蘭「お客さ~ん♪ 団子なんてって酷い言い方しないでくださいよ」

 

 

鈴瑚「ゆっくり食べていってね♪ 玉兎のNo.2さん♪」

 

 

レイセン「二人ともなんかノリがおかしくない!? さ、サグメ様ぁぁぁ!」

 

 

鈴瑚「サグメ様と団子どっちが大事なのよ!」

 

 

レイセン「サグメ様に決まってるでしょ!」

 

 

鈴瑚「えっ…」

 

 

レイセン「えっ?」

 

 

鈴瑚「そんな…ひ、酷い…! レイセンのためにせっかく作ったのに…!」

 

 

鈴瑚「酷いよぉ…シクシク…」

 

 

レイセン「いや…えっ…は!?」

 

 

清蘭「ちょっとレイセン…酷くない?」

 

 

レイセン「えぇ!?」

 

 

清蘭「謝ってよ! 謝りなよ!」

 

 

レイセン「な、何でそんなことで…」

 

 

鈴瑚「シクシク、シクシク…」

 

 

レイセン「いやいや、それに鈴瑚完全に嘘泣きじゃん! シクシクって言っちゃってるじゃん!」

 

 

鈴瑚「シクシ……シクシク」

 

 

レイセン「ほらぁ! 今絶対こっち見たって!」

 

 

清蘭「良いからとっとと謝れぇ!」

 

 

レイセン「!? わ、分かりましたー! ご、ごめんなさい、ごめんなさい鈴瑚!」

 

 

清蘭、鈴瑚「分かれば良いのよ♪」

 

 

レイセン「!?」

 

 

清蘭「ゆっくり♪」

 

 

鈴瑚「団子を食べていってね♪」

 

 

レイセン「いーやー! このノリ大嫌いー!」

 

 

清蘭、鈴瑚「うははは♪」

 

 

 団子責めにあっていた

 

 

 

 

【その頃豊姫は 永遠亭】

 

 

豊姫「痛いっ…! いたた」

 

 

八意永琳「あなたがてゐの落とし穴に引っ掛かるなんてね」

 

 

豊姫「ま、まさか永遠亭の入り口に掘ってあるとは思いもしませんでしたので…」

 

 

鈴仙・優雲華院・イナバ「てぇゐ! よくも豊姫様を落っことしてくれたわねぇ!」

 

 

因幡てゐ「鈴仙…こういう言葉があるのを知ってるかな?」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

てゐ「引っ掛かる方が悪いウサよ! ぎゃ~っはっはっは♪」

 

 

鈴仙「悪魔かあんたはぁ!!」

 

 

 

 

藤原妹紅「てめぇ! 今日という今日は許さねぇぞ輝夜ぁ!」

 

 

蓬莱山輝夜「私と殺り合うのは構わないのよもこたん、でもその前にあなたの胸に刺さってる竹槍を引き抜いてくれない? 痛々しいのよね♪」

 

 

妹紅「お前がさっきぶっ刺したんだろうが!」

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

鈴仙『へぇ、ふふっ、面白いですね♪』

 

 

妹紅『だろ? だから鈴仙ちゃんも』

 

 

 

 

輝夜『輝夜姫様の~お茶目なイタズラ♪』コソコソ

 

 

輝夜『そぉい!!』ブン

 

 

 

 グサッ!

 

 

妹紅『ごはぁっ!!?』ズン

 

 

鈴仙『!?』

 

 

輝夜『隙ありよ! も・こ・た・ん♪』

 

 

妹紅『ぐっ…て、てめぇ…!』

 

 

鈴仙『う、うわぁ…い、痛々しい…』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

輝夜「あれぐらい避けなさいよ」

 

 

妹紅「後ろからいきなりやられて避けられる訳ないだろうが!」

 

 

輝夜「はいはい、そんなことは良いから早くリザレクションしなさいよ、はよ…!! はよ!!」

 

 

妹紅「うっせぇぞてめぇ!!」

 

 

 

豊姫「いつにも増して賑やかですね」

 

 

永琳「最近これが普通になってきている様な気がするのよ…はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

【そして博麗神社の境内では】

 

 

博麗霊夢「うーん…こころの能楽」

 

 

霧雨魔理沙「く…クリスマスに独りぼっちのスキマ」

 

 

霊夢「魔理沙を愛するアリス」

 

 

魔理沙「おいやめろ」

 

 

霊夢「ありでしょ」

 

 

魔理沙「あり…だが、なんか複雑なんだよ」

 

 

霊夢「すよ、す」

 

 

魔理沙「す…スキマがあったら入りたい」

 

 

霊夢「茨木華扇のイージー華扇ちゃんコース」

 

 

魔理沙「スキマ女」

 

 

霊夢「南無三宝」

 

 

魔理沙「兎の耳」

 

 

霊夢「ミスティア」

 

 

魔理沙「…アリス」

 

 

霊夢「躊躇った?」

 

 

魔理沙「ちょっとな」

 

 

霊夢「スイカ割り」

 

 

魔理沙「鈴瑚の団子」

 

 

霊夢「ゴマ団子」

 

 

魔理沙「ゴマ入り団子」

 

 

霊夢「一緒じゃない!」

 

 

魔理沙「お前のは入って無いだろ、私のは入ってるんだ」

 

 

霊夢「くっ…ご、ご…五里霧中小傘!」

 

 

魔理沙「言ってやるなよ…早苗の奇跡」

 

 

霊夢「ふっ…! き、切れのあるカリスマ」

 

 

魔理沙「ぶはっ…! あはははっ…! ど、どんなカリスマだよ」

 

 

霊夢「ふふふっ…確かに…! あはははっ!」

 

 

魔理沙「いやぁ中々面白いじゃないか、幻想郷しりとり」

 

 

霊夢「す、が来たらほぼ間違いなくスキマになるわね」

 

 

魔理沙「しりとり中でもスキマでいきなり飛び出して来るのな」

 

 

霊夢「あははっ、スキマが…でしょ?」

 

 

魔理沙「ああ、スキマって単語がな」

 

 

霊夢「ははっ… !!」

 

 

魔理沙「ん? どうした?」

 

 

霊夢「誰か来るわ…」

 

 

魔理沙「どうせ妖怪だろ?」

 

 

霊夢「いや、な~んか…」

 

 

魔理沙「あー?」

 

 

 ザッ!

 

 

霊夢、魔理沙「…! えっ…」

 

 

依姫「久し振りだな霊夢…と、あの時の魔法使いではないか、一緒」

 

 

霊夢、魔理沙「えーーっ!!?」

 

 

依姫「な、何だ!?」

 

 

魔理沙「あの時の仕返しか!? カチコミかこのやろう!」

 

 

依姫「!? ち、違う! 誤解するな!」

 

 

霊夢「驚いた、意外過ぎる人物が現れたわね」

 

 

魔理沙「誤解だぁ!? 何しに来やがったんだ!」

 

 

依姫「話をしに来ただけだ」

 

 

魔理沙「話? 良い話か? それとも悪い話か?」

 

 

依姫「そういう類いの話ではない! ただ何の変鉄もない会話をしに来ただけだと言ってるんだ」

 

 

霊夢「魔理沙、落ち着きなさい、大丈夫よ」

 

 

魔理沙「…本当なのか?」

 

 

依姫「あぁ、二言はない」

 

 

霊夢「大体こいつがここに来てる時点であの紫が噛み付いて来ないのはおかしいじゃない」

 

 

魔理沙「おー…確かにそうだな」

 

 

霊夢「紫に話は付けてあるのね?」

 

 

依姫「私とお姉さまとレイセンでな…サグメ様も一緒に来ているが別行動中だ」

 

 

魔理沙「あいつも来てんのか、よく紫の奴OK出したな」

 

 

依姫「最初は敵意を剥き出しにされ、まともな話すら出来なかったが何とか説得出来たよ」

 

 

魔理沙「もしかしてまた脅したのか?」

 

 

依姫「いや、普通の話し合いで解決したよ、それと酒の見返りも与えたんだ」

 

 

霊夢「その酒って…」

 

 

依姫「あぁ、不覚にも亡霊に盗まれたアレだ」

 

 

魔理沙「あぁアレか…懐かしいぜ」

 

 

霊夢「アレねぇ…アレにはあんまり良い思いでは無いわね」

 

 

魔理沙「囮でした~♪ なんて言われて納得出来ねぇよなぁ」

 

 

霊夢「最高の囮にするために修行までさせられたのよ私は! ふざけんじゃないってのよ」

 

 

魔理沙「お前が一番キレてたもんな」

 

 

霊夢「あれはキレずにはいられない」

 

 

魔理沙「修行嫌いには拷問だもんなぁ」

 

 

依姫「だが我らから奪った酒は美味しく飲んだんだろう?」

 

 

霊夢、魔理沙「最高に美味しかったです、はい」

 

 

依姫「! ふふっ…まったくお前たちは」

 

 

魔理沙「異変解決祝いって奴じゃ無かったが格別の味だったぜ」

 

 

霊夢「ま、修行の駄賃ならアレぐらいのものは用意してもらわないとね」

 

 

依姫「現金な奴らだ、ふふっ…」

 

 

魔理沙「対価だよ対価、当然だぜ」

 

 

霊夢「そうそう当然よ♪ あ、依姫、お茶今からいれるけどあんたも飲む?」

 

 

依姫「あぁ、いただくよ」

 

 

霊夢「んじゃあちょっと待ってなさい」スッ

 

 

 

 

魔理沙「月の都に霊夢がいたとき案内してやったんだってな」

 

 

依姫「あぁ、月に人間が居ることは非常事態に等しい、だが私が着いていれば何の問題も無くなるからな」

 

 

魔理沙「お堅いねぇ、月の民のルールって奴は」

 

 

依姫「…あれからどうだ、お前たちは強くなったのか?」

 

 

魔理沙「私は確実に強くなったぜ! 霊夢は…修行嫌いだからなぁ、でも色々とやらされてるから強くはなってるな」

 

 

依姫「色々?」

 

 

魔理沙「華扇って仙人がいるんだが、そいつから色々と修行させられてるんだ、内容は良く分からないんだが爬虫類コースとか哺乳類コースとかイージー華扇ちゃんコースとかあるらしい、口で言われてもさっぱりだがな」

 

 

依姫「!? げ、げっ…」

 

 

魔理沙「んあ?」

 

 

依姫「齧歯類コースはないのか!? こう…ハムスターとかが寄り添って修行をみてくれるんだ」

 

 

魔理沙「いや知らねぇよ」

 

 

 バッ!! ピョイーン!

 

 

魔理沙、依姫「ん?」

 

 

フランドール・スカーレット「魔理沙ー♪」

 

 

魔理沙「フラン!? ってぐえぇっ!!」

 

 

 ドゴッ!!

 

 

依姫「!?」

 

 

フラン「魔理沙魔理沙~♪ やったぁ! 魔理沙がいた~♪」

 

 

魔理沙「おぐぁ…み、みぞおちに…!」プルプル

 

 

フラン「魔理沙♪ 最近遊んでくれなかった分たっぷり遊んでもらうからね♪ 最初は弾幕ごっこがいいなぁ♪」

 

 

依姫(な、なんだ…?)

 

 

魔理沙「あ、遊んでやるのは結構だが…その前に吸血鬼の速度で私に抱き着いてくるのだけは辞めてくれ…! 魔理沙さんじゃなかったら死んでるぜ…」

 

 

フラン「えぇっ!? 魔理沙死んじゃうの!?」

 

 

魔理沙「だ、だから…あ?」

 

 

 ザザッ!

 

 

十六夜咲夜「妹様! 今日は太陽が出ておりますので日傘の中へ…!」

 

 

レミリア・スカーレット「大丈夫よ咲夜、あのスピードなら体が焼け焦げる前に神社の境内へ入れるわ、元に入れてるし」

 

 

魔理沙「何が大丈夫なんだカリスマぁ…」

 

 

レミリア「生きているのなら平気でしょう?」

 

 

魔理沙「死ぬとこだアホォ! 人間のみぞおちに吸血鬼が突進してきてんだぞ!! お宅の妹さんの教育は一体どうなってやがるんですかねぇ!」

 

 

咲夜「逆に何で生きてるのよ」

 

 

魔理沙「あぁん? 私に死ねってか?」

 

 

咲夜「そんなこと言ってないでしょ、あぁ死ぬなら本を返してからにしてよ?」

 

 

魔理沙「味方がいねぇ…」

 

 

フラン「うふふふ♪」

 

 

レミリア「ふふっ、さぁって♪ 霊夢はどこにいるのかし…」

 

 

依姫「ん?」

 

 

レミリア「お``っ…!!?」ピシッ

 

 

咲夜「お嬢様? …あ」

 

 

依姫「あ」

 

 

咲夜「あなたは…」

 

 

依姫「久し振りだな、時を止めるメイド」

 

 

咲夜「お久し振り、てかその呼び方やめてよ」

 

 

レミリア「で、でで…」

 

 

依姫「そうか、癪に障ったのならあやま」

 

 

レミリア「出ぇたぁぁぁーーー!!」カリスマブレイク!

 

 

咲夜、依姫「!?」

 

 

レミリア「な、ななな、な…! なんであんたがここにいんのよ!」

 

 

依姫「お前も久し振りだな、いつぞやの吸血鬼」

 

 

レミリア「質問に答えなさい! 霊夢を何処にやったのよこらぁ!」

 

 

依姫「いや、別に何処にも」

 

 

 

霊夢「ちょっと? さっきの音は一体なに?」

 

 

レミリア「れ、霊夢! 何でこいつがここにいんのよ!」

 

 

咲夜「霊夢、お邪魔してるわ」

 

 

フラン「霊夢! 久し振り♪」

 

 

霊夢「あんたらかい! はぁ…こりゃお茶のいれ直しだわ…」

 

 

レミリア「答えてよ霊夢ぅ!」

 

 

フラン「ねぇ魔理沙、あのピンクの髪のお姉さんはだれ?」

 

 

魔理沙「ん? あぁそうか、お前月に行って無かったんだもんな」

 

 

魔理沙「あいつは月の民の綿月依姫だ、ほら、結構前に私が話したことあるだろ?」

 

 

フラン「月の民…依姫……あっ! 思い出した! お姉様を『バシュッ、ゴオオオ!』させた人ね!」

 

 

レミリア「へぁっ!!?」

 

 

霊夢「ふはっ…!」プルプル

 

 

咲夜「ふくっ…! フフフ…!」プルプル

 

 

魔理沙「ぶふっ…!! あっははは!」ゲラゲラ

 

 

依姫「ば、バシュッ、ゴオオオ?」

 

 

フラン「魔理沙から聞いたことあるの! お姉さんが私のお姉様をバシュッ、ゴオオオさせた人だって♪」

 

 

レミリア「や、やめなさいフラン!」

 

 

依姫「? ?? お、おい…バシュッ、ゴオオオとは何だ?」

 

 

魔理沙「ほ、ほら…ふふはっ…! お、お前と月で戦ったどこぞのカリスマ吸血鬼さんの勇気ある捨て身だよ」

 

 

霊夢「ちょっ、魔理…あっははは!」

 

 

咲夜「お、お嬢様を侮辱…! くふははっ…!」プルプル

 

 

レミリア「わ、笑うなぁ! 笑わないでよ!」

 

 

依姫「? ……フッ…! わ、ふふっ…! わ、分かったぞ、あ、あれか…! ふはっ…! はははっ!」プルプル

 

 

フラン「ねぇねぇお姉さん、月でのお姉様の戦いの話を聞きたいなぁ♪」

 

 

レミリア「割りとマジでやめなさいフラァン!」

 

 

魔理沙「はは! い、妹には知る権利あるだろ」

 

 

レミリア「魔理沙ぁぁ!! 元はと言えばあなたがフランにふざけて語るからこうなったのよ!!」

 

 

魔理沙「ナ、ナンノコトデスカ…?」

 

 

レミリア「私に目を合わせなさい魔理沙ぁ!!」

 

 

魔理沙「ウワァ、レミリアオジョウサマ、スゴイスゴイ」

 

 

レミリア「ぬああぁぁ!!」

 

 

 

依姫「そうか、お前はあの吸血鬼の妹なのか」

 

 

フラン「うん、フランドールって言うの♪ よろしくね」

 

 

依姫「よろしく、か…ふふっ、あぁよろしくな」

 

 

フラン「ねぇねぇ! お姉様と戦った時の感想を聞かせて!」

 

 

依姫「そうだな…あれは本当に勇気ある捨て身、吸血鬼の力の権化とでもいうのか、それはそれは素晴らしい捨て身だったよ」

 

 

フラン「へぇ♪ 私も見たかったなぁ♪」

 

 

レミリア「うっ…! う~…!」

 

 

 

レミリア「うー☆」カリスマガード

 

 

霊夢、咲夜「あっ…」

 

 

魔理沙「この辺にしとくか、流石に可哀想になってきたぜ」

 

 

依姫、フラン「?」

 

 

 

 

 

 

【人里中心街、ミスティアの屋台、16:30】

 

 

ルーミア「わはー♪ みすちー、みすちー二本追加なのだー♪」

 

 

ミスティア・ローレライ「こら、みすちー二本って言わないの、焼き鳥二本って言いなさい、分かった?」

 

 

ルーミア「は、はいなのだ…!」

 

 

ミスティア「分かれば良いんだよ♪ ちょっと待っててね」

 

 

ルーミア(女将のみすちーはこえぇのだ)

 

 

布都「雷鼓殿、本当に良いのか? 我も少しなら払えるぞ?」

 

 

雷鼓「良いのよ良いのよ♪ 最近は懐が潤っててね、プリズムリバー楽団と一緒にビートを刻んだのがウケてお仕事の依頼が結構多いの」

 

 

雷鼓「だからお金の事は気にしないでじゃんじゃん食べちゃって♪」

 

 

布都「うむ…ならばお言葉に甘えようかのう、ありがとう雷鼓殿、では、いただくとするかのう♪」

 

 

雷鼓「ほらほら、サグメさんも食べて食べて♪」

 

 

サグメ「あ、あぁ…いただくよ」

 

 

サグメ(妖怪が屋台を経営…しかも夜雀の妖怪が焼き鳥いや、何も言うまい)

 

 

ミスティア「確かホリズムリバーでしたっけ? 音楽団の名前」

 

 

雷鼓「そうよ、彼女達とセッションすることは私にとっても彼女達にとっても音楽性を高める為に必要なの、ビートを刻んで熱く激しく凄絶に…!」

 

 

ルーミア「みすちーも音楽やってるのだ」

 

 

ミスティア「響子とね♪ 最近は太陽の畑が主な活動拠点になってるんだよ♪ もっと人が居るところで音楽活動したいんだけどね…」

 

 

布都「ならばすればよいではないのか?」

 

 

ミスティア「そうなんですけどねぇ、でも響子の家の住職さんが『パンクバンドを人里でやるのは時と場合を選んで下さいね』なんて言われたらしくてちょっと人里ではやりにくくなってしまってるんです」

 

 

布都「ぬっ! 聖白蓮め…人の趣味にケチを付けるとは…やはりあの寺には少し火を付けて灸を据えてやらねばいかんのう!」

 

 

サグメ「? 何故燃やす」

 

 

布都「そこに寺があったら燃やすのじゃ、分かるであろう?」

 

 

サグメ「すまない…まったく分からない」

 

 

ミスティア「あはは、一応響子の家だから出来れば燃やすのは辞めて下さいね」

 

 

布都「むぅ…女将に言われては…いや、しかし」

 

 

雷鼓「パンクバンドはハマれる人はハマれるけど、ハマらない人はとことんハマらないからね」

 

 

ミスティア「そうなんですよねぇ」

 

 

ルーミア「みすちーも新しい音楽やれば良いんじゃないのかー?」

 

 

ミスティア「う~ん、響子と相談してみようかな」

 

 

雷鼓「実際私もプリズムリバー達と組んだし、弁々と八橋も私のところから離れたことで新たなビートを刻める様になったからやってみるのも悪くないと思うわ、ただ響子ちゃんとは道を違えない様にしてほしいの、あなたたちは二人揃うことで最高のビートを刻めると思うから」

 

 

ミスティア「はい! ありがとうございます雷鼓さん! そうしてみますね♪」

 

 

サグメ「…聞くが、幻想郷には音楽家が多いのか?」

 

 

雷鼓「際立って活動してるのがさっき話に出た子達ね、私、ミスティアちゃん、響子ちゃん、九十九姉妹にプリズムリバー楽団…多いわね」

 

 

ルーミア「多いのだー♪」

 

 

布都「音楽家ではないが、歌を歌ったりするのは皆好きではないか?」

 

 

ミスティア「そうですね♪ お酒が入ってると余計にです」

 

 

サグメ「酔っ払いの者は音楽家とカウントしても良いのだろうか」

 

 

雷鼓「良いんじゃないかしら♪ 楽しければどんなビートでも音楽家になれるものよ♪」

 

 

サグメ「…そういうものか」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

ル、布、雷、ミ、サ「わはー♪」

 

 

サグメ(!? 今のでも発動するのか…)

 

 

布都「音楽という物は最早芸術じゃな、むぅ? そう考えると幻想郷には本当に芸術を嗜んでおる者が多いのう」

 

 

雷鼓「そうね、私たちの音楽、こころの能楽、小傘ちゃんのビックリ芸、永江衣玖さんの踊り…上げていったらキリが無いわね♪」

 

 

ルーミア「チルノの氷芸と大ちゃんの能力、リグルの蛍火、みすちーの屋台も芸術なのだー」

 

 

ミスティア「一部芸術とは言えない物が混ざってる気がするよルーミア」

 

 

布都「太子様のお面作りも芸術なのかもしれんのう」

 

 

サグメ「…幻想郷には娯楽が多いのだな」

 

 

ルーミア「月にはねぇのかー?」

 

 

サグメ「無い訳ではないが幻想郷に比べればかなり少ないのは事実だ、その代わりに技術力は幻想郷より発達しているのが特徴だ」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

雷鼓「そうなの?」

 

 

布都「そーであるのか?」

 

 

サグメ「そーである…」

 

 

サグメ(兵器類が多いのだがな…)

 

 

雷鼓「そういえば幻想郷にはワープ装置を使って来てるんだもんね、一瞬で離れたところに行ける装置…♪ 夢があるわね」

 

 

ルーミア「工場長が欲しがりそうだなー♪」

 

 

布都「工場長?」

 

 

ミスティア「河童のにとりさんの事ですよ」

 

 

ミスティア「って…月? サグメさん月と関係が?」

 

 

ルーミア「サグメは月の民なのだ」

 

 

ミスティア「えっ!? そうだったんですか?」

 

 

サグメ「…そうである」

 

 

布都「何だと思っておったのだ?」

 

 

ミスティア「翼が生えてるからてっきり同族かと…」

 

 

雷鼓「あはは、サグメさんが妖怪ね」

 

 

サグメ「…妖怪に見えるか?」

 

 

ルーミア「見えない事もないのだー♪」

 

 

ミスティア「白鷺の妖怪だと思ってました」

 

 

サグメ「白鷺か……悪くはない」

 

 

布都「サグメ殿なら白鷺の妖怪として幻想郷でもやっていけそうだのう」

 

 

雷鼓「サグメさんは物知りだからね♪」

 

 

サグメ「…そうでもない」

 

 

ルーミア、雷鼓、布都「そーでもあるっ!」

 

 

サグメ「!」

 

 

ミスティア「あははっ、何ですかそれ」

 

 

布都「ふふふっ、サグメ殿は謙遜するのがクセの様じゃからなぁ」

 

 

雷鼓「せっかくカッコいいのに謙遜するのはもったいないもの♪」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

サグメ「…///」カァッ

 

 

ミスティア(サグメさん女の人じゃ…でもカッコいいっていうのは分かるわね)

 

 

 

 

 

 

【そして一時間後、17:30】

 

 

 

サグメ「…」

 

 

雷鼓「う~ん、通り掛からないわねぇ」

 

 

布都「雷鼓殿の作戦は良いものだとおもったんじゃがのう」

 

 

ルーミア「兎一匹も来ねぇのだ」

 

 

雷鼓「ワープ装置の誤作動で永遠亭とは違う場所に飛んでしまった…一緒に来ていた玉兎の兎さんがサグメさんを探すだろうから人里のど真ん中で待っている作戦」

 

 

サグメ「私を探すのであればあの八雲紫に話を付ける筈…恐らく許可はしてくれていると思うのだが」

 

 

ルーミア「紫はオババでも頭は固くは無いのだ、許可ぐらいならしてくれる筈なのだ」

 

 

サグメ「…そう言ってくれると助かるよ、ありがとう」

 

 

雷鼓「もう日も沈んでるし…サグメさんどうする? 永遠亭へ通じる迷いの竹林までなら案内できるけど」

 

 

サグメ「……もう少しだけ待たせてほしい」

 

 

雷鼓「分かったわ」

 

 

ミスティア「よっと…灯りは点けたよ、見やすい?」

 

 

ルーミア「これなら大丈夫なのだ、ありがとなー、みすちー」

 

 

サグメ(私の能力で確率を上げる事は可能だが、そんなことはしたくない…共に待ってくれているこの者達に申し訳がないからな)

 

 

サグメ(しかしこの者達にも帰るべき場所があるだろう…ならば早くレイセンと合流するのが一番ではあるのだが)

 

 

サグメ(レイセン、今何処にいるのだ)

 

 

 タッタッタッタ!

 

 

ルーミア「んお?」

 

 

 

 

レイセン「はぁはぁ…! ウプッ…く、苦しい…! た、食べ過ぎた…! 鈴瑚、清蘭二人とも覚えてなさいよ…! 何がまぁまぁまぁよ…! あんなの団子の押し売りじゃない…! お金も沢山取られたし…!」

 

 

 

 

 

ルーミア「!! さ、サグメサグメ! あいつかー!?」

 

 

サグメ「…? !!」

 

 

 

 

レイセン「日も沈んでる…うぅ、これ絶対依姫様に叱られるよ…サグメ様ぁ…あなたはいったい何処に」

 

 

サグメ「レイセン…!」

 

 

レイセン「!! ! さ、サグメ様!?」

 

 

サグメ「やはり探しに来てくれたのか」

 

 

レイセン「あぁー! サグメ様ぁ! やっと会えましたぁ!」

 

 

サグメ「まさか、今までずっと?」

 

 

レイセン「えっ!? は、はい! もちろんです!」

 

 

レイセン(うぅ…団子責めにあっていたなんて言えません…ごめんなさい)

 

 

サグメ「そうか…ありがとう、レイセン」

 

 

レイセン「は、はい! えへへ…♪」

 

 

 

 

 

 

レイセン「それでは永遠亭へ参りましょう、道はさっき会った鈴瑚と清蘭に教えてもらいました」

 

 

サグメ「…あの二人は幻想郷で団子屋をやっていると聞いたが、上手くやっているのか?」

 

 

レイセン「はい、二人とも上手くお店を回してました、売り上げの方も順調みたいで楽しくやっているみたいです」

 

 

サグメ「…そうか、なら心配する必要もないな」

 

 

レイセン「そうですね、ではサグメ様…」

 

 

サグメ「あぁ、では行…! ……レイセン、少しの間待っててほしい」

 

 

レイセン「えっ…あぁ、はい」

 

 

 

 

サグメ「…」

 

 

雷鼓「ふふっ、良かったわね♪ 無事に会えて」

 

 

サグメ「これも貴方達が一緒に待っていてくれたお陰だ」

 

 

布都「ただ一緒に待っていただけなんじゃがのう」

 

 

ルーミア「それでも嬉しいのかー?」

 

 

サグメ「あぁ、本当に感謝している…ありがとう…」

 

 

雷鼓、布都、ルーミア「…!」

 

 

雷鼓「……お別れね」

 

 

サグメ「そうだな」

 

 

サグメ、ルーミア、布都、雷鼓「…」

 

 

サグメ「私はこれから永遠亭に行き、一泊した後、明日の朝に月へ四人で帰ることになっている」

 

 

ルーミア「そー…なのかー…」

 

 

サグメ「ふふっ、いつもの様に両腕を伸ばした感じでしてはくれないのか?」

 

 

ルーミア「私だって空気は読むのだ…」

 

 

サグメ「…そ…そーなのかー♪」スッ

 

 

ルーミア「!」

 

 

サグメ「…/// こ、こんな感じ…か?」

 

 

ルーミア「わ…わはー♪ サグメも中々上手いのだー♪」

 

 

サグメ「ふっ…そうであろう?」

 

 

布都「! サグメ殿、それは我の台詞であるぞ」

 

 

サグメ「ふふっ、長く貴方といたせいで口癖が移ってしまったかな」

 

 

布都「ふっ、口癖とはそう簡単には移る物では無い、博識なサグメ殿ならきっと分かっている筈じゃ」

 

 

布都「そうであろう?」

 

 

サグメ「! ふふっ、そうであるな」

 

 

雷鼓「そうなの? ってそうなんだからそうなのよね」

 

 

サグメ「あぁ、そうだから、そうなのだ」

 

 

雷鼓「あはは、なんかこんがらがっちゃうわね♪」

 

 

サグメ「ふっ、確かにそうだな」

 

 

雷鼓「言葉のビートってのも難しいわね、伝えたい気持ちを声に出す…簡単な様でとっても難しいわ」

 

 

サグメ「ふふっ、そうだな」

 

 

サグメ(正直私にはまだ雷鼓が使うビートという言葉の意味を理解できていない)

 

 

 

 

 

サグメ「それでは…さらばだ」

 

 

雷鼓「さようなら、サグメさん」

 

 

布都「達者での、サグメ殿」

 

 

ルーミア「…」

 

 

ルーミア「サグメ…また…また会えるのかー?」

 

 

サグメ「…! …」ニコッ

 

 

サグメ「貴方達は幻想郷、私は月…例え遠く離れていてもこうして会った思い出は消えない」

 

 

サグメ「思い出は人を引き合わせる物、だからまたいずれ私たちが出会うこともあるだろう」

 

 

サグメ「そうではない…なんて口が裂けても言えないな」

 

 

ルーミア「! そーなのかー♪」

 

 

布都「そーであるのかー♪」

 

 

雷鼓「そうなの? ふふっ♪」

 

 

サグメ「…そーである♪」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓、サグメ「わはー♪」

 

 

 

 

サグメ「ルーミア、布都、雷鼓」

 

 

ルーミア、布都、雷鼓「!」

 

 

サグメ「また会おう…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【迷いの竹林】

 

 

地上の兎「ウサウサ♪」

 

 

レイセン「あ、こっち? サグメ様、こっちですって」

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

レイセン「それにしても驚きましたよ、サグメ様があんなにも饒舌に話されるなんて」

 

 

サグメ「…」

 

 

レイセン「あっ…も、申し訳ありません…その、い、嫌み的な意味で言ったのでは」

 

 

サグメ「ふふっ、分かっているよレイセン」

 

 

レイセン「…サグメ様、幻想郷に来てから良く喋る様になりました?」

 

 

サグメ「…能力を制限出来ているからだと思うのだが」

 

 

レイセン「いえ、なんかそういうのではなくて…なんというか」

 

 

レイセン「良い意味でですよ? 月に居るときより、表情が柔らかかったり、口元が凄く緩んでいるような感じなんですよ」

 

 

サグメ「! ……ふふっ、そうか…口元が緩むか」

 

 

レイセン「? 緩む事がおかしいんですか?」

 

 

サグメ「そうではない、口元が緩むのが嬉しいのだ」

 

 

レイセン「嬉しい…ですか?」

 

 

サグメ「あぁ、何故なら…月では口元が緩むのは能力を制限されていないから私には許されない事であるが」

 

 

 

 

サグメ「能力を制限されている幻想郷で口元が緩めば…」

 

 

レイセン「?」

 

 

サグメ「…」

 

 

 

《ルーミア、布都、雷鼓、サグメ》『わはー♪』

 

 

 

サグメ「素敵な言葉を自分の口でたくさん言える…これ程素敵な事はないのだからな♪ ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【オマケその一、よっちゃんと豊姫のその後】

 

 

 

依姫「その後はフランドールや魔理沙と弾幕勝負をしたり、レミリアからはカリスマガードのやり方、咲夜からは菓子を頂き、霊夢とは神々の話で盛り上がったりしてとても楽しかったです」

 

 

豊姫「そう…」

 

 

鈴仙「とても充実した一日になったんですね♪」

 

 

依姫「あぁ、霊夢と話をするだけでも良かったのだが、魔理沙達が居てくれたお陰で楽しさが増したのだな、今ではそう思うよ」

 

 

豊姫「…」

 

 

依姫「お姉さま? どうかしましたか?」

 

 

鈴仙「あ、そ、その…」

 

 

豊姫「私は今日一日、落とし穴に落とされ、輝夜と蓬莱人の仲裁に入り、八意様の薬を誤って飲んでしまい二時間ほど床に伏せっておりました」

 

 

依姫「えっ…」

 

 

豊姫「私が何をしたというのでしょうか」

 

 

依姫、鈴仙(な、なんて言葉を掛けて差し上げたらいいの!?)

 

 

 

 

【オマケ、その二、けーねは喜んだ】

 

 

 

慧音「ルーミアがな!? あのルーミアが私に…」

 

 

稗田阿求「はい、はい…」

 

 

慧音「大好きって…! 大好きって言ってくれたんだ! あのルーミアがだぞ!? これが嬉しがらずにいられるかっ!!?」

 

 

阿求「はい、もう聞いてます、何回も聞いてます」

 

 

慧音「阿求! ちゃんと聞いてくれ! この嬉しさをどう表現したら良いのか私でも良く分からないんだ! 伝わってるか!? この私の気持ちが!?」

 

 

阿求「あぁ、はい伝わってます、それはもう凄く」

 

 

慧音「いや…まだ伝わってないな…! 教師たるものこんなんではいかん! 阿求、すまないがまた聞いてくれ! 私がルーミアに大好きと言われたこの気持ち…喜びに満ち溢れたこの魂の叫びをな!」

 

 

阿求(えぇ!? ま、まだやるつもり!? だ、誰か助けて~!)

 

 

 

 

 

【オマケその三、酔っ払い】

 

 

紫「うぷっ…! くあぁ…の、飲み過ぎた…」

 

 

藍「あんなにガブガブ飲むからですよ」

 

 

紫「うっさいわねぇ…こちとら月の奴らに接待して勝ったのよ…これが飲まずにいられるかってんだ!」

 

 

藍「接待に勝ち負けなんて存在しないんですけどねぇ」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「あなた…いつから尻尾十九本になったの? 何尾の狐なのよ」

 

 

藍「飲みすぎですよ! ほら、さっさと帰りますよ!」

 

 

紫「そうだそうだ~! さっさと月に帰りやがれこのバカちんどもがぁ♪」

 

 

藍「はいはいさっさとマヨヒガに帰りましょうねぇ!」

 

 

紫「んふふ♪ ルナティック月の民~♪」

 

 

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 

 






 久々に登場のフランと雷鼓、雷鼓の方が出番は多めになりました


 紫は月の民は嫌いですが消し飛ばしたい程嫌っている訳では無いのです、でも大砲射撃の事があるので説得力は無いです



 魔理沙は色々とフランに楽しいお話を聞かせてあげているので『バシュッ、ゴオオオ』のことも知ってました


 本当は最初サグメと布都とルーミアで話を構成していたのですが、ある程度常識人の人を入れないと会話がおかしくなるので雷鼓さんを投入しました。 原作でも そうなの? は言ってるので頑張ってビートを刻んでいただきました、雷鼓さん意外に喋らせやすいです。

 最初の候補は雛でしたが最近出番が多いので没になりました。



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした!




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《第7話》『もう一人のプリズムリバー』 【前編】


 前々から暖めてきたこのお話を投稿出来る事に、読者の皆様に感謝申し上げます。

 このお話はある読者の方から案をいただき、私なりにストーリーを構築させていただいた物になります。

 リクエストや強要をされた訳ではなく、その読者の方とキチンと話し合い、纏められたお話です。 

 長い物語になるので【前編】【中編】【後編】と分けさせていただきました。

 本当は【前編と後編】で分け、完結するつもりでしたが予想以上に構想が膨らんでしまったので『中編』を挟む形となりました、読者の皆様にはお待たせしてしまっていることと、突然に中編を挟む事になったお詫びします、申し訳ありません。 それから投稿速度を早めたいんですけどね…




 タイトルから分かる通り、プリズムリバー家の秘密に迫ります、たくさんの芸術が織り成す物語でもあります、私の色々やりたかった事が詰まってます、ネタのバーゲンセールかも…この【前編】と【中編】は特にそれが顕著です。

 【前編のみ、場面がコロコロ代わります】

 【舞台は冬となっております】

 『二次設定が多目です』

 


 月の民の事もちょっとだけ語りたいと思います。 幻想郷の人里に新しい施設も建ちましたのでそれも紹介します。


 今回の主人公は『遊来、月の民!!』で偶然仲良くなったあの四人…

ルーミア
物部 布都
堀川 雷鼓
稀神 サグメ


 それでは始まります♪






 

 

 永遠の時の中で 私は覚えています

 

 

 これからもずっと ずっと

 

 

 紡いだ糸を 離さないように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【冬 マヨヒガ、紫の寝室 12:30】

 

 

 今日も今日とて八雲紫はお休み中、布団の中でヌクヌクしておりました。

 

 

八雲紫「……」モゾモゾ

 

 

紫「んぁ~…暖か~い♪ んふふ…♪」モゾモゾ

 

 

紫「……」

 

 

紫「はぁ外さっぶ…何よこれ、夏からいきなり秋通り越して冬になったんだけど」

 

 

紫「紅葉を見て楽しむ暇すら無かったわ、こんなに寒くて外に出歩けますかっての」

 

 

紫「気付けば十一月…もうすぐクリスマスじゃない、今度のクリスマスはどうしてやろうかしら」

 

 

紫「去年のクリスマスは楽しかったけどあんなサプライズはもう無いでしょうしねぇ…う~ん、自分からサプライズをやるのも悪くなさそうよねぇ♪ ゆかりん一肌脱いじゃおうかな? んふふ♪」

 

 

紫「…」

 

 

紫「……一人で布団の中で喋ってるとつれぇわ…でも布団の中から出たくないのよね」

 

 

紫「……寝よ」

 

 

紫「おやす」

 

 

 ピンポーン…!

 

 

紫「……」

 

 

紫「…ふぅ……」

 

 

紫「……お休みなさい」

 

 

紫「…」

 

 

 ピンポーンピンポーンピンポーン…!

 

 

紫「……」

 

 

紫「……」

 

 

 ピンッ…ポーン…!

 

 

紫「らぁん…お客さんよ~…」

 

 

紫「……」

 

 

紫「……」

 

 

 ピンポーンピンポーン!

 

 

紫「……?」

 

 

 ピンポーン!

 

 

紫「…あれ…? 居ないの?」

 

 

紫「……幻聴って事にしましょう」

 

 

紫「……」

 

 

紫「…」

 

 

 ピピピピピピピピピピピピピンポーン!

 

 

紫「んふふっ…!? 急に連打し過ぎよこのバカちんがぁ!」

 

 

紫「……」

 

 

紫「誰なのよ…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「……お休み」

 

 

紫「…」

 

 

 ピンッ…

 

 

紫「……」

 

 

紫「……」

 

 

紫「…?」

 

 

 ッポーン…!

 

 

紫「……」イラァ

 

 

紫「…なんか煽られてる様な気がする」

 

 

紫「なんなのよもう分かったわよ! 出りゃあ良いんでしょ出りゃあ!」スッ

 

 

紫「しょうがないわねぇもう、うわ寒っむ~い!」

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、玄関】

 

 

 ピンポーンピンポーン…!

 

 

紫「出る…出るからそんなに押すのやめなさいってのに、壊れるから本当に」

 

 

紫「はいはい…何処の誰さんですか?」スッ

 

 

 ガララッ!

 

 

 

 

 

 

ルーミア「わーははーのはー♪ なのかー!」

 

 

紫「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

紫「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

 

 

 

 

 

紫「180度~! 回転!」

 

 

ルーミア「はっ!」クルッ

 

 

紫「そのまま~…前進!」

 

 

ルーミア「はっ!」スッ

 

 

紫「いっちに♪ いっちに♪」

 

 

ルーミア「いっちに♪ いっちに♪」ルンルン

 

 

紫「…」

 

 

ルーミア「…」スタスタ

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「はい、お疲れ様でしたぁ」

 

 

ルーミア「うぉぉ!? 待つのかー! 待ってほしいのかー!」

 

 

紫「イヤよめんどくさい、これからゆかりん二度寝タイムなのよ…はいさようなら」

 

 

ルーミア「何で魔理沙と同じ様なことするのだ! ひでぇのだー!」

 

 

紫「同じことされたんなら少しは学習しなさいな、人が気持ち良く寝てるのにインターホン連打されたら誰だって嫌な気持ちになるでしょう?」

 

 

ルーミア「魔理沙の時は朝だったのだ、今はもう昼なのだ、皆起きてるのだ」

 

 

紫「……」

 

 

ルーミア「……」

 

 

紫「えっ? 何? 私が悪いの?」

 

 

ルーミア「うん」

 

 

紫「は?」

 

 

ルーミア「え?」

 

 

紫「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

ルーミア「何時までも寝てんじゃねぇのだぁ!」

 

 

紫「はぁ!? ゆかりんマジでマジギレさようならぁ!」スッ

 

 

ルーミア「ま、待つのだー! 引き戸を閉めないでほしいのかー!」スッ

 

 

紫「クルァ! 戸を掴むんじゃないわよ! 手を放しなさいよぉ!」

 

 

ルーミア「嫌なのだぁ!」

 

 

紫、ルーミア「ぬぁぁぁ…!!」ググッ

 

 

 

 

 【五分後…】

 

 

紫「はぁ…はぁ…!」グッタリ

 

 

ルーミア「はぁはぁ…!」グッタリ

 

 

紫「はぁ…あなたねぇ…! 何でそんなに…! はぁ…はぁ…ね、粘るのよ…! 何しに来たのよホントにぃ…!」

 

 

ルーミア「た、頼みを…! はぁ、はぁ…き、聞いてほしいのだ…」

 

 

紫「頼み…?」

 

 

ルーミア「そ、そーなのだ…」

 

 

紫「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

紫「朝ごはんなら藍が帰って来てからにしてくれる?」

 

 

ルーミア「ちげぇのだ、飯をたかりに来たんじゃねぇのだ、それに今はお昼なのだ」

 

 

紫「私にとっては朝ごはんなのよ…って、じゃあ本当に何をしに来たのかしら?」

 

 

ルーミア「それはこれ…はい」スッ

 

 

紫「?」

 

 

 ルーミアは懐からあるものを取り出す

 

 

紫「あら、なぁにこれ?」

 

 

ルーミア「手紙なのだ」

 

 

紫「手紙? …! ちょっ…/// やぁだぁ~♪ ルーミアったら私にラブレター!? あなたも私が好きな」

 

 

ルーミア「紫に手紙なんか出さねぇのだ、しかもラブレターなんてありえねぇのだ、そんなことするやつは幻想郷に居ねぇのだ」

 

 

紫「この紙ビリビリに破いたらあなたはどんな顔するのかしらね」

 

 

ルーミア「なっ…!? 何て事をするのだ!? 酷すぎるのだー!」

 

 

紫「朝からインターホン連打しまくって私を叩き起こした挙げ句、辛辣な言葉を浴びせかけるあなたの悲痛の叫びが聞きたい気分♪」ニッコリ

 

 

ルーミア「昼だって言ってるのだ! それにそんなことしたら外道の極みなのだ! この事を皆が聞いたら好感度が下がるぞ!?」

 

 

紫「…! ……」

 

 

ルーミア「…」

 

 

紫「それは嫌ねぇ…」

 

 

ルーミア「思い止まってくれただけでも感謝してやるのだ」

 

 

紫「上から目線なのはゆかりん気になるけどね」

 

 

ルーミア「細かい事は気にしちゃいけないのだ」

 

 

 

 

紫「それで? 何で私に頼むのよ、手紙くらい自分で渡せば良いじゃない」

 

 

ルーミア「それじゃあ意味が無いのだ」

 

 

紫「じゃあ文とかはたてに頼んだら? 配達料がかかるかも知れないけどね」

 

 

ルーミア「文とかじゃ無理なのだ、私でも渡せないのだ」

 

 

紫「渡せない? 誰に出すのよコレ」

 

 

ルーミア「裏に書いてあるのだ」

 

 

紫「うん? …! あら…♪」

 

 

紫「どうして? あなたとどういう関係なの?」

 

 

ルーミア「前に友達になったのだ、布都と雷鼓も一緒にな~♪」

 

 

紫「ふふっ、何その統一感の無いお友達は」

 

 

ルーミア「友情に統一感は関係ねぇのだ~♪」

 

 

紫「まぁそうねぇ…♪ なるほど、だから私の所に来たわけか」

 

 

ルーミア「永遠亭の人でも良かったんだけど、それだと内緒で渡せないかもしれないからって雷鼓に言われたのだ、だから紫に頼むのだ」

 

 

紫「ふーん、そっか…♪」

 

 

紫(月の民の中でも私が一目置く存在、本当は彼女と霊夢が仲良くなってほしかったんだけどねぇ…でも)スッ

 

 

ルーミア「…?」

 

 

紫(胸を張って友達だと言える存在、世界が違っても友情は変わらない…時々しか会えないからこそ応援したくなるのよね、何処かの悪霊さんを見ているからかしら? ふふっ♪)

 

 

紫「…しょうがない♪ 頼まれてあげましょう♪」

 

 

ルーミア「! ほ、ホントかー!?」ニパー

 

 

紫「その代わり! 条件が二つあるわ」

 

 

ルーミア「……ケチ」

 

 

紫「ケチって言わないっ! 一つ目…手紙の内容は?」

 

 

ルーミア「明後日のアレに呼びたいのだ、見せてあげたいのだ♪」

 

 

紫「明後日…? …あ、あぁあぁ…! アレね」

 

 

ルーミア「そう、アレなのだ♪」

 

 

紫「そっか、もう明後日だもんねぇ」

 

 

ルーミア「みんなそれぞれ色んな事を練習してるぞー、準備もしてくれてるしな~♪ みんな楽しそうだったぞ♪」

 

 

紫「あらそうなの? ふふっ、なら人里にアレを建てたのは正解だったわねぇ♪」

 

 

紫(何より慧音が一番喜んでたわよね、一番は子供達の為なんでしょうけどね)

 

 

ルーミア「なぁ紫、二つ目はなんだ?」

 

 

紫「へ? あぁ…単純な事よ♪」スッ

 

 

 ギュオンと音を立てて手のひらサイズの小さなスキマが開かれる

 

 

ルーミア「ほぇ?」

 

 

紫「手紙は自分で出す物よ、自分の友達になら尚更ね、このスキマの中に手紙を投函しちゃいなさい」

 

 

ルーミア「…! これに入れて本当に届くのかー?」

 

 

紫「少しは信用しなさいな…ほら早くしなさい、あいつらに気付かれるとめんどくさいから、特によっちゃんにはね」

 

 

ルーミア「! ……ほっ」スッ

 

 

 ルーミアは手紙をスキマに投函した

 

 

ルーミア「……」

 

 

紫「…不安そうな顔ねぇ」

 

 

ルーミア「ちゃんと、届くかなぁって」

 

 

紫「届くわよ…手紙も、あなたの想いも」

 

 

ルーミア「…! うん、そーだよなー♪」

 

 

紫「そーなのよー♪」

 

 

ルーミア、紫「わはー♪」

 

 

ルーミア「わははは♪ なら何にも心配いらないなー♪」

 

 

紫「ふふっ、そうよ♪」

 

 

ルーミア「んふふふ♪ 紫~♪」

 

 

紫「んー?」

 

 

ルーミア「わはー♪ ありがとなー♪」

 

 

紫「はいはい、どういたしまして」

 

 

ルーミア「それじゃあなー♪ 本当にありがとうなのだー♪」スッ

 

 

紫「今度来るときはインターホン連打するんじゃないわよー」

 

 

 ルーミアはふよふよと飛んでいった。

 

 

紫「……友達の輪って本当に私の知らない所で作られていくのよね」

 

 

紫(ルーミア、あなたが楽しく毎日を過ごせば過ごすほど幻想郷にも笑顔が満ちる…お世話になってるんだからお願いぐらい聞いてあげないとね♪)

 

 

紫「……」

 

 

紫「…友達、ねぇ」

 

 

紫「明後日か…呼んだら来てくれるかしら、ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【一方その頃 幻想郷、人里の中心街 12:30】

 

 

 

霧雨魔理沙「うっは~…でっけぇなぁ」

 

 

博麗霊夢「人里のど真ん中にこんなの建てちゃってまぁ…」

 

 

上白沢慧音「どうだ、凄いだろう?」

 

 

魔理沙「いや、すげぇっつーか…なぁ?」

 

 

霊夢「えぇ、そうね」

 

 

慧音「うん?」

 

 

 

 

霊夢、魔理沙「手間かかってるなぁ~って…」

 

 

慧音「それは当たり前だろう、これからこの建物は人里の代表的な名所になるかもしれんのだからな…とは言ってももう幻想郷中にここの存在は知れ渡っているがな」

 

 

魔理沙「それはそれで良いのか? お前の寺子屋でも…」

 

 

慧音「寺子屋がそうなるのも良いが、それでは子供達が窮屈な想いをするかもしれないだろう? 寺子屋には程好い人気があれば良いのさ」

 

 

魔理沙「チルノ達の事を先に考えるのか、流石先生だぜ」

 

 

霊夢「ここさ、娯楽場と憩いの場を兼ねてるって紫が言ってたけどどういう感じなの?」

 

 

慧音「ん? 何だ、まだ中を見ていないのか?」

 

 

霊夢「えぇ、三日前に出来たってのは聞いてたんだけどね」

 

 

魔理沙「見学しようにも中に入れてくれなかったからなぁ」

 

 

慧音「あぁそうか、その時はまだ中の整備をしていたんだったな…今日は見ていくんだろ?」

 

 

魔理沙「そのつもりでここに来たんだぜ♪」

 

 

霊夢「右に同じ、よ」

 

 

慧音「おぉそうかそうか♪ まだ準備中で本当は入れないんだが特別に私が案内をしてやろう、さ、こっちだ♪」スタスタ

 

 

魔理沙「…なんか慧音めっちゃ嬉しそうじゃねぇか?」ヒソヒソ

 

 

霊夢「名所が出来たから内心凄く嬉しいんじゃないの? 寺子屋の他に人里の活性化とかに余念がないじゃない、慧音って」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「そういやそうだったな、でもまだ名所になった訳じゃねぇんじゃ…」ヒソヒソ

 

 

慧音「おーい何をしてる、早くこっちに来い」

 

 

霊夢、魔理沙「は、はーい…」

 

 

 

 

 

 

魔理沙「外観は歌舞伎座に似てるな」

 

 

霊夢「和風造りよね、それでも歌舞伎座の三倍の大きさはあるけど」

 

 

慧音「的を得ているな、概ねその通りだ」

 

 

霊夢「中もそんな感じなの?」

 

 

慧音「似てはいるな、舞台があって観客席…座席があるな、まぁ舞台と言っても歌舞伎座以上の広さがあるし、収容人数も比ではないぞ?」

 

 

慧音「紫が言うには外の世界の体育館…? 後なんだったか…れ、レク…レクリレ…?」

 

 

霊夢、魔理沙「レクリレ…?」

 

 

慧音「……あっ! レクリエーションホールだ、それに似ているらしい」

 

 

霊夢「なんじゃそりゃ…」

 

 

魔理沙「レクなんとかは知らないが体育館は菫子から聞いた事あるな、運動しながら遊ぶ所なんだろ?」

 

 

慧音「あぁ、人里の子供達が遊べる場としても使えるな、そういう使い方をしても良い場所だ、だが大半は舞台で催し物を発表したり披露したりする場になるだろうな」

 

 

霊夢、魔理沙「ほぇ~…」

 

 

霊夢「ねぇ、これ誰が建てたの?」

 

 

慧音「企画と設計案は私と八雲紫と輝夜、守矢の三神に古明地さとり、聖白蓮と豊聡耳神子だな」

 

 

慧音「建設は伊吹萃香に黒谷ヤマメと星熊勇儀…妹紅も手伝ってくれていたな、建てた後の設備等はにとりたち河童軍団にやってもらったよ」

 

 

魔理沙「地味に多いな!? 何人がかりで建ててんだよ!」

 

 

霊夢「紫と早苗達は分かるけど、さとりと聖と神子に輝夜まで…建設はあの三人なら問題ないでしょうね、設備もにとりが居れば…うん」

 

 

慧音「さとり達は建設費の出資をしてくれたよ、白蓮と神子は嬉々として出資してくれていたな」

 

 

魔理沙「さとりは分かるが、あいつらそんな金あんのか?」

 

 

霊夢「聖達? さぁ…?」

 

 

慧音「『身内の為になるなら金も惜しまない』だそうだ」

 

 

霊夢「こころの為かしら」

 

 

魔理沙「だろうな、ここが娯楽場になるならこころもここで能を披露出来るだろうし」

 

 

慧音「ふふっ、何も能だけじゃないさ、芸と呼ばれる物は他にもあるだろう?」

 

 

霊夢「…? あぁ、音楽とか?」

 

 

魔理沙「劇とかもそうか」

 

 

慧音「まだあるだろう?」

 

 

魔理沙、霊夢「…あー?」

 

 

慧音「ふっ…♪ さ、次は中を案内しよう」

 

 

 

 

 【人里、娯楽場】

 

 

 

霊夢「広っ!」

 

 

魔理沙「紅魔館のロビー以上だな、地下図書館には負けるが」

 

 

霊夢「天井も高いわね、なんか色々と置いてあるし…あの扉は倉庫?」

 

 

慧音「座席と舞台用の小道具諸々を収納してあるんだ、まぁ小道具は各々持参することの方が多いだろうが」

 

 

霊夢「ふーん…」

 

 

 

 アァソレハ… コッチオイテクダサイネ!

 

 

 

魔理沙「ん? あれ、あいつら何してんだ?」

 

 

慧音「明後日の準備さ、話は聞いてるんだろう?」

 

 

霊夢「あそこの天狗二人が幻想郷中に配ってた宣伝ポスターを押し付けて来たからね」

 

 

 

 

姫海棠はたて「椛、もう少し左に寄せて」

 

 

犬走椛「こっちですか?」スッ

 

 

はたて「ん~…うん、オッケー♪ そこなら見栄えが良いわね」

 

 

射命丸文「えぇ~、もうちょっと右に寄せた方が良くないですかねぇ?」

 

 

はたて「ちょっと文! 私の考えに口出さないでくれる!?」

 

 

文「能やライブの公演ありますけど話をする講演だってあるんですから演台がその位置にあったら不自然じゃないですかねぇ? はたて♪」ニヤニヤ

 

 

はたて「むっ…! そ、そんなこと無いわよ! もう少し左よね!? 椛!」

 

 

文「椛、賢いあなたなら分かりますよねぇ♪ もう少し右に置くべきだと思うでしょう?」

 

 

椛「えっ…? えぇ!? わ、私に振るんですか!?」

 

 

稗田阿求「…どっちでも良いと思いますけど、それに椛さんに振った所で観客側から見てないんですから答えなんて出ないですよね?」

 

 

文「そこは椛の千里眼で何とかなると思うんですよぉ♪」

 

 

椛(文さん、私そこまで器用じゃないです…そんなこと出来ないです…)

 

 

阿求「椛さんそこまで器用じゃないと思いますけど、それに千里眼と言えど自分の目から千里眼が発動するのに観客側から見るなんて不可能では?」

 

 

椛(はうっ…!? き、気にしてる事を言われた…うぅ…)ズーン

 

 

はたて「あれ…? 椛何か落ち込んでない?」

 

 

文「阿求さんが毒舌でいじめるからですよ」

 

 

阿求「毒舌阿求は存在しません♪ 私は言いたい事を言っただけです、それにいじりの原因を作ったのは文さんでしょう?」

 

 

文「おぉ酷い酷い♪ 私の可愛い椛にそんなことするわけないじゃないですかぁ♪」

 

 

はたて「あんた確信犯よね」

 

 

椛「はうぅ…」ショボーン

 

 

阿求「何でも良いですから各々職務を全うして下さい、はたてさんと椛さんはステージのセット、文さんは観客に配る演目のリスト作りですよ」

 

 

文「私もう書き終わりましたよ? 後はコピーするだけです♪」

 

 

阿求「…早いですね」

 

 

文「新聞記者はスピードが命ですからねぇ♪ 何処かの鴉天狗と違って、ね」チラッ

 

 

はたて「! 何で私を見るのよ文ぁ!」

 

 

文「おぉ怖い怖い♪」

 

 

阿求、椛(何で煽っていくんだろう…)

 

 

慧音「やぁ四人とも」

 

 

阿求「あ、慧音さん…と」

 

 

霊夢「見学よ、邪魔はしないからね」

 

 

文「あやや、霊夢さんに魔理沙さんまで」

 

 

魔理沙「同じく見学に来たぜ、つっても大部分は見終わってる感はあるけどな」

 

 

文「なーに言ってるんですか、ステージ裏も見てって下さいよぉ♪ にとりさんが内緒で作った面白い仕掛けがたくさんあるんですよ?」

 

 

魔理沙「お♪ 面白そうじゃないか、見せてくれよ」

 

 

慧音、霊夢(内緒でって…)

 

 

はたて「ちょっと待ったぁ! その前に演台の位置をちゃんとしてからにしなさいよ!」

 

 

文「ん~、もうちょっと左で良いんじゃないですか?」

 

 

はたて「! 文のクセに良く分かって…うん? それって私が最初に言った事じゃない」

 

 

文「えぇそれがなにか? はたては最初から正しかったですよ?」

 

 

はたて「…!? あんた本当になんなのよっ!」クワッ

 

 

文「あっはははは♪」

 

 

椛「どっちでも良いから早く教えて下さいよ~!」

 

 

魔理沙「ここに来て一番初めに見た劇が天狗劇場とはな」

 

 

 

 

 

 

 

慧音「順調…なのか?」

 

 

霊夢「全く順調に見えないわね」

 

 

阿求「見えないですけど順調その物なんですよねぇ…後はセットの調整をして、私のコレが書き終われば終了ですから」

 

 

霊夢「何書いてるの?」

 

 

阿求「演目と演題、それから演者名を書いてるんです、ほら『次は誰が何をやります』って書いてある紙が板に貼り付けてあって、舞台の隅に置いてあるアレです」

 

 

霊夢「あぁ、めくり板ね」

 

 

阿求「それです」

 

 

慧音「ふっ、相変わらず達筆だな阿求」

 

 

阿求「ふふっ♪ 良く言われます」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「人里に大きな娯楽場…か」

 

 

阿求「娯楽場って言えるんですかね、この大きさで…劇場とでも言った方が良いかもですよ?」

 

 

慧音「劇場でもあり、遊び場でもある…娯楽場と憩いの場を兼ねてるとは良く言ったものだ」

 

 

霊夢「……人間、妖怪、神様、妖精その他色んな種族が種族の違いなんて関係なしに楽しめる憩いの場があったら素敵だと思わない?」

 

 

阿求「珍しいですね、霊夢さんがそんなこと言うなんて」

 

 

霊夢「ううん、これを言ったのは紫」

 

 

慧音「……私としてもそれは素敵な事だと思うが…霊夢、お前としては…」

 

 

霊夢「……」

 

 

慧音、阿求「…」

 

 

霊夢「……あいつさ、これを嬉しそうに…楽しそうに話して来るのよね、屈託の無い笑顔でさ」

 

 

慧音、阿求「…」

 

 

霊夢「何かあいつのそういう顔見てると不思議と何にも言えなくなっちゃうのよね…しかも何回も言ってくるのよ何回も…はぁ本当にもう…嫌んなっちゃうわ…最近、本当に…」

 

 

阿求、慧音「…」

 

 

霊夢「……まぁ私としてはこの劇場が出来ようが出来まいが別にどうでも良いのよ、でも自然とここに来て妖怪達の劇とか見る様になる訳じゃない、魔理沙達や人里の人達と一緒にさ」

 

 

霊夢「……それは博麗の巫女としては、良いのかなって」

 

 

阿求、慧音「…」

 

 

魔理沙「良いに決まってんだろ」

 

 

霊夢「!」

 

 

魔理沙「それは『博麗の巫女』としての話だろ? 人に悪さしたり害を成す妖怪を退治するのが博麗の巫女じゃねぇか」

 

 

魔理沙「『博麗霊夢』はそんなこと考えなくて良いんだよ、それにお前が妖怪…いや正確には妖怪じゃねぇけどさ、そいつに言ったこと忘れたとは言わせないぜ?」

 

 

魔理沙「大切なのは今…今が楽しけりゃそれが良い、それが『博麗霊夢』だろ?」

 

 

霊夢「…! ……」

 

 

霊夢「ふっ…何よあんた、聞いてたの?」

 

 

魔理沙「聞こえたんだよ、んで? どうなんだ?」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「あんたの言う通り…かもね」

 

 

魔理沙「…へっ!」

 

 

霊夢「あぁ! こんなことで悩むなんてね、紫が変な顔してあんな事言いまくるからいけないのよ」

 

 

魔理沙「そうだな、全部ババアのせいだぜ♪」

 

 

霊夢「……慧音、阿求、さっきの聞かなかった事にしといてくれる?」

 

 

慧音「…ふっ、聞かなかったもなにも、聞こえなかったんだが?」

 

 

霊夢「!」

 

 

阿求「最近難聴でしてね、仕事のし過ぎかもしれませんね」

 

 

慧音「私もだ、また妹紅に怒られてしまうかもな、はっはっは♪」

 

 

霊夢「ぷっ…! あんたら…♪」ニコッ

 

 

魔理沙「へへっ…♪」

 

 

阿求(霊夢さんも霊夢さんなりに考えてるんですね、傍から見れば妖怪大好き人間の霊夢さんにも悩みがあるんだなぁ…)

 

 

阿求(ふふっ、当たるかどうか分からないけどいつか霊夢さんにもゆかりんハウスに選ばれてほしいな、きっと素敵な三日間になると思いますよ♪)

 

 

 

 

 

魔理沙「あ、そうだ霊夢、さっき文達と話してて良いこと思い付いたんだけどよ」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

魔理沙「明後日に色んな奴等がここに来て劇とか披露するパーティみたいなもんが開かれるだろ? その事についてなんだが…耳かしてみ?」

 

 

霊夢「…?」

 

 

魔理沙「……」ボソボソ

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「…! ん~…人が多すぎてあいつ困惑しちゃうんじゃないの?」

 

 

魔理沙「そうかもしれないが良い機会じゃないか、人と妖怪が仲良くなってるってのを見せ付けるチャンスだぜ♪」

 

 

霊夢「……確かにそうね、じゃあ取り合えず妹の方に聞いてみましょうか」

 

 

魔理沙「だな、帰りに妖怪の山に寄っていこうぜ、後は紅魔館にもな」

 

 

霊夢「何で紅魔館にも寄るのよ」

 

 

魔理沙「一応アリスとも約束してるだろ? でもあいつ明後日の劇に出るらしくて忙しいんだ、だから代わりの奴と一緒に行く事にする」

 

 

霊夢「? ……あっ読めたわ、あいつも人間だしね」

 

 

魔理沙「クイズ大会で河童好きを公言した銀髪のメイドさんと一緒に行くぜ♪」

 

 

霊夢「ははっ、お嬢様がまたブチブチ言いそうね」

 

 

魔理沙「カリスマブレイクさせりゃあ大人しくなるだろ♪ そこは気にすんな、私に任せろ♪」

 

 

霊夢「はいはい…お任せするわね♪」

 

 

 

 

 

慧音「お、帰るのか?」

 

 

魔理沙「おう、見学面白かったぜ」

 

 

霊夢「ありがとね、あ…明後日は何時からだっけ」

 

 

阿求「朝の9:00からです」

 

 

魔理沙「は、早いな…あぁ、分かったそんじゃあな♪」スッ

 

 

霊夢「それじゃあね」スッ

 

 

慧音「あぁ、明後日に会おう」フリフリ

 

 

阿求「さようなら♪」フリフリ

 

 

慧音「さてと…阿求、手伝おうか?」

 

 

阿求「いえ大丈夫です、後四枚なので」

 

 

慧音「文もそうだが、阿求も大抵仕事が早いよな」

 

 

阿求「良く言われます」

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あんた起きれんの?」

 

 

魔理沙「9:00ぐらい起きれるぜ、気合いを入れればな」

 

 

霊夢「気合い入れないと起きられないんかい」

 

 

魔理沙「細かい事は気にしちゃいかんぜ~♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幻想郷の住人達が明後日に向けて各々が色々と準備を進めていた頃

 

 幻想郷から遠く、遠く離れた所にある月

 

 月の結界の裏側に存在する月の都では…?

 

 

 

 

 【月の都 レイセンの家 13:30】

 

 

レイセン「あぁ~…んんっ…んん~っ…♪」ノビー

 

 

レイセン「ふぅ、遅めのお昼休憩終わり~…」ダラーン

 

 

レイセン「何で今日に限ってあんなに書類が多かったんだろう、書類整理も楽じゃないよ…」

 

 

レイセン「…ふふっ♪ まぁでもこれからお昼の仕事が待ってるからね、その為に頑張れる様なもんだし♪」

 

 

レイセン「今行きますね! サグメ様!」

 

 

 

 

 【月の都 中層 中心街道】

 

 

 月の都の町並みは中華風の建築物が道を連ねている。

 

 建築様式、外装も含め全てが中世の中華風を維持している、都の特徴として挙げられるのが三層に分けられていることだ

 

 

 月の都にとって重要なポストにいる人々が住まう上層。 

 

 綿月姉妹や稀神サグメがここに居を構えている、月人が多い。

 

 

 その上層の人達を支え、戦いともなれば即戦力になり得るエリート玉兎達が住まう中層。 ここでは兵器開発等を行う部署や郵便局等の仕事場、様々な出店が立ち並んでおり、大半の玉兎達がここで日々を過ごしている。因みにレイセンの家は一軒家で中層に存在しているのだが、一軒家を与えられている事は珍しい事らしい

 

 

 そして新米玉兎達が住まう下層。 下層は玉兎を兵士として育てる訓練施設で埋め尽くされていると言っても良いだろう、兵器開発部、射撃訓練施設等があり、新米玉兎達は日々訓練を行っている。 

 

 ここである一定の成績を収めたり、能力がずば抜けて高い等の判断をされた玉兎は中層に住むことを許される

 

 文明と技術は幻想郷の遥か先を行き、外の世界の技術に勝っていると思われる物も少なくない

 

 

 

レイセン「そうだ、役所に言って書類を貰って来ないと…うん?」

 

 

 下層を一望することが出来る橋の上でレイセンは足を止める

 

 

レイセン「あ、今日の訓練外でやってるんだ…射撃訓練かな? …あっ!? 依姫様がいる!」

 

 

 

 

 【月の都 下層 玉兎訓練施設】

 

 

綿月依姫「玉兎の兵士たるもの!」

 

 

新米玉兎A「常に穢れを嫌うべし!」ビシッ

 

 

依姫「玉兎の兵士たるもの!」

 

 

新米玉兎B「常に迅速な対応を心掛けるべし!」ビシッ

 

 

依姫「玉兎の兵士たるもの!」

 

 

新米玉兎C「常に小動物を愛でるべし!」ビシッ

 

 

新米玉兎達「おまっ…!?」

 

 

依姫「ふふっ♪ そうだな! 特に私の最近のお気に入りはハムスターとか言う小動物で凄く可愛い」

 

 

新米玉兎達「えっ?」

 

 

依姫「え? ……はっ!?」

 

 

新米玉兎達「……」

 

 

依姫「……」

 

 

依姫「…///」カアッ

 

 

 

 

 

依姫「貴様ぁ!」クワッ

 

 

新米玉兎C「も、申し訳ございませんでしたぁ!」

 

 

依姫「謝れば済む問題ではない! わざと言ったことに問題があるんだ! 何故言ったぁ!」

 

 

新米玉兎C「そ、それは…よ、依姫様の照れたお顔が見れたらなぁって思いで…つ、つい…」

 

 

依姫「なっ!?」

 

 

新米玉兎A(あのバカ! なんで素直に言っちゃうのよ! 素直に言わなかったら言わなかったで怒られるけども!)

 

 

新米玉兎B(正直私は依姫様の照れた顔が見れて眼福なんだよなぁ♪ 後で何か奢ってあげよっと♪)

 

 

依姫「そ、そんな下らない理由だったのか!」

 

 

新米玉兎C「く、下らなくなんかありません! 依姫様の照れたお顔を拝顔することは」

 

 

依姫「黙れ! 理由なんかどうでもいい! 貴重な訓練の時間を妨害した罰として腕立て百回だ!」

 

 

新米玉兎C「は、はい!」スッ

 

 

依姫「……因みに連帯責任だからな」

 

 

新米玉兎達「えぇっ!?」

 

 

依姫「えぇっじゃない! さっさとやるんだ!」

 

 

新米玉兎達「は、はいぃ!」スッ

 

 

依姫「……はぁ」

 

 

依姫(最近の新米玉兎達は弛みすぎている…! 何とかしないと…)

 

 

依姫(しかし私の小動物好きが何故バレて居るのだ…あの時は八雲の二人とレイセンとお姉さましか……!?)

 

 

依姫(……完全にお姉さまの仕業だこれ)

 

 

 

 

 

 【中層】

 

 

レイセン「あはは懐かしいなぁ、良く連帯責任取らされてたっけ」

 

 

レイセン「……私はずっとナンバー2だった、どんなに頑張ってもあの人には勝てなかった…」

 

 

レイセン「……」

 

 

レイセン「! 考えるのやめやめ! 今じゃナンバー2も何も無いもんね」

 

 

レイセン「良し! 書類を貰ってサグメ様の所に急がないとね♪」

 

 

 

 【月の都、上層】

 

 

 玉兎が下層から中層に住むことが決定する際、玉兎が自分の職業を選ぶ事になるのだが大抵自分の能力に合ったもが上層の月人達によって選ばれる事になっている。 玉兎達に人気の職業も存在していて、最近では団子屋が高い人気を得ている

 

 中でも上層の月人達に関係する仕事に就く事は玉兎達にとって夢の様な職業であるとともに、ステータスでもあるのだ。

 

 上層の月人達、豊姫以外には知られていない事がある、それは月人に関係する仕事にも人気の職業があると言うこと、その職業は…

 

 

『稀神サグメの側近兼 ボディーガード』

 

 

 

 その職に就く事を許されたのは

 

 

レイセン「ふんふんふーん♪」

 

 

 他でもないこのレイセンなのである

 

 

 

 【サグメの自室兼、書斎】

 

 

稀神サグメ「……」

 

 

サグメ「はぁ…」

 

 

サグメ(……最近、ため息ばかりついているな)

 

 

サグメ(昨日だってそうだった、一日ため息ばかりで終わっていたな…眠りに付いた後の夢の世界でもため息ばかりついていたらしく、ドレミーにも小言を言われてしまった『どうしてそんなにため息ばかりついてるんですか?』と)

 

 

サグメ(いや、その理由が分かれば苦労はしないのだ、私とてつきたくてついている訳では無いのだからな…)

 

 

サグメ(しかし理由なぞあるのか…?)

 

 

サグメ「……はぁ…」

 

 

サグメ「……!?」

 

 

サグメ(まっ…また出てしまった…! な、何故だ…! 何故出るんだ…!?)

 

 

サグメ(まさかレイセンがいるときでもため息をついているんじゃないのか…!? い、いや…昨日もレイセンと共に仕事をしたはずだ、その時にレイセンは私のため息について言及すらしていなかった…!)

 

 

サグメ(……仕事をしていればため息をつかなくて済むのか…? ならば仕事をし続ける毎日を過ごせば良い、簡単な事だ)

 

 

サグメ(…仕事だけの毎日……か)

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「はぁ…」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「!?」

 

 

サグメ「くっ! なんなんだ…! 何故出る…!」

 

 

サグメ(何とかしなければ…! 仕事中にも出たら最悪じゃないか…!)

 

 

 トントントン!

 

 

サグメ「!」

 

 

 サグメ様、私です レイセンです

 

 

サグメ「あっ…!? あ、あぁ…! は、入ってくれ」

 

 

 失礼します!

 

 

レイセン「すいませんサグメ様、少し遅れてしまいました」

 

 

サグメ「いや…そうでもないだろう、気にすることはない」

 

 

レイセン「ありがとうございます」

 

 

レイセン(あぁ、サグメ様はやっぱり優しいな…♪)

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「地獄に仏とはこの事だな…」ボソッ

 

 

レイセン「え?」

 

 

サグメ「あ…い、いや…何でもない、気にしないでくれ」

 

 

レイセン「はい…」

 

 

サグメ「それより、それは…」

 

 

レイセン「はい…仕事ですね」

 

 

サグメ「…」

 

 

レイセン「見てくださいよこの書類の量、サグメ様にばかり押し付け過ぎだと思うんですよねぇ…」

 

 

サグメ「良いんだ、気にすることじゃない」

 

 

サグメ「それに私は書類整理ぐらいしか出来ない、新しく作ってくれた月の技術のお陰で一度に百文字以内ならば言葉に出せ、能力は月でも発動しない様にはなったが、私には喋る仕事は向いていない、私は口下手だからな」

 

 

サグメ「それに戦闘能力も依姫と比べれば天と地ほどの差がある、私には書類整理がお似合いなのさ」

 

 

レイセン「サグメ様…」

 

 

サグメ「それにこの仕事は楽しいと私は思っている…貴方がいるからな、レイセン」

 

 

レイセン「!」

 

 

サグメ「いつも仕事を手伝ってくれて感謝している、レイセン…ありがとう」

 

 

レイセン「さ、サグメ様…///」

 

 

レイセン(うわぁぁ…♪ サグメ様からありがとうを頂きましたぁ! キャー♪ 超嬉しい~!)

 

 

サグメ「ふふっ…さぁ、始めようか」

 

 

レイセン「は、はい! あ、その前にお茶をいれてきますね♪」

 

 

サグメ「あぁ、頼むよ」

 

 

レイセン「はい!」スッ

 

 

サグメ「…ふぅ」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(レイセンにはいつも感謝しているからな…ドレミーに『月で心を開いているのはレイセンさんだけなんじゃないんですか?』と問われた事があったが、実際そーなのかもしれない)

 

 

サグメ(何百年と私の側近をやってくれているのだ、開かない方がおかしいだろう)

 

 

サグメ(…そーなのかー? ……なんて聞いてくれたりしないだろうか)

 

 

サグメ(……いや、誰が聞いてくれると言うのだ)

 

 

 

 

 【十分後…】

 

 

サグメ(仕事と言っても私がやることは決まっている、難しい事ではない、書類に目を通してサインをするだけだ)

 

 

レイセン「これはこっち…これは…」スッ

 

 

サグメ(レイセンは書類の仕分けをしてくれている、やっていることは地味に見えるが私にとっては大助かりだ、山の様に盛られた書類を私一人では捌けない)

 

 

サグメ「……」カリカリ

 

 

サグメ「……」スッ

 

 

サグメ(…聞いてみるか)

 

 

サグメ「……レイセン」

 

 

レイセン「はい?」

 

 

サグメ「その…何だ…」

 

 

レイセン「何ですか?」

 

 

サグメ「私は…仕事中にため息をつくだろうか?」

 

 

レイセン「へ? ため息ですか?」

 

 

サグメ「あ、あぁ」

 

 

レイセン「う~ん……いいえ? 全く」

 

 

サグメ「! そ、そうか…」

 

 

レイセン「はい」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

サグメ「あ…邪魔して悪かったな、続けてくれ」

 

 

レイセン「は、はい…」

 

 

サグメ(…やはり出ていないのか)

 

 

レイセン(ため息? 何だろう…サグメ様何か悩んでるのかな?)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(茶化されるのを覚悟で今日もドレミーに相談してみるか…仕事中はため息が出ないとな)

 

 

サグメ(また『その程度の事で相談しに来たんですか?』と言われそうだな…)

 

 

サグメ(何がその程度なんだ…悩みに大きいも小さいもないではないか)

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(…続きをやろう)

 

 

サグメ「……」カリカリ

 

 

レイセン「ふぅ、これはこっち…これは…」スッ

 

 

レイセン「……これもこっち、か…これは……あれ?」

 

 

レイセン「あっ…! またぁ!? も~っ…!」

 

 

サグメ「…? どうした?」

 

 

レイセン「書類の間にコレが挟まってまして…」スッ

 

 

サグメ「また手紙か?」

 

 

レイセン「みたいです、はぁ全くもう…! また誰かやったなぁ…!」

 

 

サグメ(たまに…いや、かなりの頻度で書類の山から手紙が見つかる事がある、何でも玉兎の誰かが書いた私宛のファンレターらしい)

 

 

サグメ(『読ませてくれないか?』とレイセンに言うのだが駄目だと返されてしまう、なんでも『色々とアレな内容が多いので、サグメ様には見せられません』…いや、その色々ってなんなのだ、アレな内容とはなんなのだ)

 

 

サグメ(せっかく私に書いてくれているんだから読んでみたいのだが)

 

 

レイセン「熱狂的過ぎるのも困るのに…はい、これは処分処分」

 

 

サグメ(あぁ、また処分されてしまうのか)

 

 

レイセン「……ん?」

 

 

サグメ「…? レイセン?」

 

 

レイセン「あ、あれ…!? この手紙…」

 

 

サグメ「どうかしたのか?」

 

 

レイセン「これ月で作られた物じゃないです、この封筒月では売ってないですもん」

 

 

サグメ「! 分かるのか?」

 

 

レイセン「はい、私よくショップとかで買い物をするから分かるんです」

 

 

サグメ(私は玉兎のお洒落ショップで買い物をするなんて事をしたことがないから全く分からない)

 

 

レイセン「こんな不格好な…こんなんじゃ月じゃ売れないよ…ていうかこれ何処から…? 月の物じゃないなら…う~ん?」

 

 

サグメ(すまないレイセン、話についていけない…私にはキラキラ過ぎる)スッ

 

 

 サグメは紅茶が入ったティーカップを手に取る

 

 

レイセン「あ、裏に何か書いてある」

 

 

サグメ「…? ズズッ…」

 

 

 

 

 

レイセン「『サグメへ ルーミアより』」

 

 

サグメ「ブフッ!!?」

 

 

レイセン「!?」

 

 

サグメ「げほっ! げほっげほっ! うぐっ…!? ゴホッ!」

 

 

レイセン「さ、サグメ様…!? サグメ様ー!」

 

 

サグメ「ぐっ…! げほっげほっ!」

 

 

レイセン「あぁえぇとあぁっと……! た、タオルタオルー!」ダッ

 

 

サグメ「れ、れいせ…! げほっげほっ…!」

 

 

サグメ(こ、紅茶を盛大に吹き出してしまった…!! いや、そんなことはどうでもいい!)

 

 

サグメ(る、ルーミアからのっ…! て、ててて、てっ…! 手紙だとぉ…!?)プルプル

 

 

 

 

 

 【そして数分後…】

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

レイセン(書類に紅茶が掛かって無かったのは良かった、床も机も拭いたし、サグメ様も落ち着いたんだけど)

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン(さっきからサグメ様が何も喋ってくれない、私もサグメ様による紅茶の噴水を見てしまって……うぅ、話し掛けづらい)

 

 

レイセン「……」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン(で、でも私が何とかしないと! 私がサグメ様を助けないでどうするの!? 頑張れ! 私!)

 

 

レイセン「…さ、サグメ様」

 

 

サグメ「…」ピクッ

 

 

レイセン「あ、あの…だ、大丈夫…ですか?」

 

 

サグメ「大丈夫じゃない」プルプル

 

 

レイセン「あぁ良かっ……ってえぇっ!?」

 

 

サグメ「大丈夫じゃない…大問題だ!」

 

 

レイセン「そんなにですか!?」

 

 

サグメ「だだだだっ! だってレイセン! てててってっ…! 手紙! 手紙だぞ!? ルーミアからの手紙だぞ!?」

 

 

レイセン(だって!? サグメ様が『だって』って仰られた!?)

 

 

サグメ「嬉しすぎて心臓が飛び出しそうなのを何とか理性が押し止めている状態なんだ! この気持ちが分かるか!?」

 

 

レイセン「えぇっ!?」

 

 

サグメ「あぁマズイ! 非常にマズイ! 次から次へと沸き上がってくるこの嬉しさはなんなのだ! 初めてだこんな気持ちは!」

 

 

サグメ「る、ルーミア…! どういう事なんだ…! 手紙って…! 私に手紙って…!」プルプル

 

 

レイセン(サグメ様震えてる…! あっ可愛い♪ …!? い、いやいやそんなことよりもぉ!)ブンブン

 

 

レイセン「ルーミア…ルーミアってサグメ様が幻想郷で友達になったという妖怪の事ですよね?」

 

 

サグメ「そうだ…前に幻想郷に行ったときにワープ装置の故障で私だけ別の場所に飛ばされた私を助けてくれた友の一人だ」

 

 

レイセン「もう何ヵ月も前の事ですね、懐かしいです」

 

 

サグメ「そうだな…」

 

 

レイセン(私がはぐれたサグメ様を見つけた時にサグメ様と一緒にいたあの三人の内の一人…金髪の子がルーミアだったかな、話はしてないけどチラッと見たっけ)

 

 

レイセン「…これはあの子からの手紙」

 

 

レイセン(恐らく幻想郷で書かれたであろう物が何でここにあるのか…とか考え出したらキリがないけど今しなければいけないことは)

 

 

レイセン「サグメ様…この手紙」

 

 

サグメ「処分するのか!?」

 

 

レイセン「えっ!?」

 

 

サグメ「その手紙も他のファンレターの様に処分するのかと聞いているのだ!」

 

 

レイセン「そ…そんなことするわけないじゃないですか! サグメ様のお友達がサグメ様の為に書いた手紙を処分することなんて私には出来ませんよ!」

 

 

サグメ「そ、そうか…! 良かった…」

 

 

レイセン(スゴい喜怒哀楽が激しい…)

 

 

レイセン「サグメ様…それでこの手紙」

 

 

サグメ「う、うん?」

 

 

レイセン「読むんですよね?」

 

 

サグメ「もちろんだ」

 

 

レイセン「読んで大丈夫ですか?」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

サグメ「だだだっだ、大丈夫! 大丈夫だ、問題ない!」プルプル

 

 

レイセン「全然大丈夫そうに見えないですよ!? というかさっき『大丈夫じゃない大問題だ』って仰ってましたよね!?」

 

 

サグメ「!! …き、きっと大丈夫だ…!」

 

 

レイセン(ふ、不安しかないですよぉ!)

 

 

サグメ「……すまない、レイセン…」

 

 

レイセン「!」

 

 

サグメ「私は今まで友と呼べる存在から手紙を貰った事が無いんだ、だから少々取り乱してしまった…」

 

 

レイセン「あ、謝る事では…それとお気持ちは分かります」

 

 

レイセン(少々じゃなかった気がしますけど)

 

 

サグメ「嬉しすぎて心臓が飛び出しそうなんだ」

 

 

レイセン「はい…それはさっき聞きました…」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

レイセン「…手紙、読みましょう?」

 

 

サグメ「あ、あぁ…そ、そうだな」スッ

 

 

 

 

 【サグメVS手紙】

 

 

サグメ「っ…!」ゴクッ

 

 

レイセン(机の上に手紙を置いてずっと凝視してる…)

 

 

サグメ(単に手紙とは言うがな……)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(これは本当に手紙なのか!?)ガーン

 

 

サグメ(明らかにファンレターとは違う何かを感じる…! な、何と表現したら良いのだろうか…)プルプル

 

 

サグメ(神々しい光を放っている様にも見えるし、虹色に輝く神秘的なオーラを纏っている様にも見える、これが友からの手紙なのか…!? 言い方は悪いがファンレターよりもレベルが違い過ぎる…!)プルプル

 

 

サグメ(……)ピタッ

 

 

サグメ(果たして私はこの手紙を無事に読みきる事が出来るのだろうか)

 

 

レイセン(小刻みに震えたと思ったらいきなりピタッと停まったりしてるサグメ様がちょっと可愛い)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(どんな経緯で月にこの手紙が来たかは分からないが、ルーミアが私に宛てて出してくれた手紙…読まなければならない、例え私が私でなくなったとしても読みきる…それが友と言うものの在り方だろう…!)

 

 

サグメ(よ、良し…! い、行くぞ…!)スッ

 

 

レイセン(あ、サグメ様やっと動いた)

 

 

サグメ(先ずは封筒から便箋を取り出そう…)スッ

 

 

 ペリッ…パサッ…!

 

 

レイセン(便箋を取り出しているだけなのに緊張感が凄いです)

 

 

サグメ(…! 良し、便箋を取り出せた……うん? やけに厚みが…)

 

 

レイセン(…? なんであんなに厚みがあるんだろ)

 

 

サグメ(……なっ!!?)ビクッ

 

 

レイセン(ん? あれ? 三ま)

 

 

サグメ「便箋が三枚だとぉ!?」

 

 

レイセン「!?」ビクッ

 

 

サグメ「ど、どういう事なんだ…!? 普通手紙というものは一枚なのでは無いのか!? い、いや待てそうではない! そうではないのかもしれない!」

 

 

レイセン「お、落ち着いて下さいサグメ様! そうではないのかもしれないってなんなのですか!?」

 

 

サグメ「何がだ!」

 

 

レイセン「えぇっ!? わ、私が聞いているんですけど!?」

 

 

サグメ「レイセン!」

 

 

レイセン「は、はい!」

 

 

サグメ「これはルーミアからの手紙だよな?」

 

 

レイセン「…そう…なんですよね、その筈です…」

 

 

サグメ「何故三枚もあるんだ」

 

 

レイセン(えぇ…)

 

 

レイセン「…その…ルーミアって子が、三枚…はい、三枚書いたんじゃないでしょうか」

 

 

サグメ「私のために三枚も?」

 

 

レイセン「それは…あの、サグメ様…」

 

 

サグメ「なんだ」

 

 

レイセン「読めば…分かるんじゃないんですか…?」

 

 

サグメ「! ……」

 

 

サグメ「…」プルプル

 

 

レイセン(また震えてる)

 

 

サグメ「……三枚も…書いてくれたのか」

 

 

レイセン(嬉しいんだろうなぁ…)

 

 

サグメ「……すぅ~…ふぅ~…」

 

 

サグメ「…レイセン」

 

 

レイセン「はい」

 

 

サグメ「よ、読む…読むよ…?」

 

 

レイセン「ど、どうぞ?」

 

 

レイセン(そういえば口調も安定してないです、サグメ様…)

 

 

サグメ「……」スッ

 

 

サグメ「…!」ピラッ

 

 

レイセン(ついにいった…!)

 

 

 

 

 『サグメさんへ…お久し振りね。 元気にしてるかしら? 月の民の暮らし振りを見たことが無いから何とも言えないけど、サグメさんはいつもクールに過ごしているのかしら、それとも熱いビートを刻みながら毎日を過ごしているの? でもどんなサグメさんでも元気に過ごせているのなら私の心配のアクセントは弱めで大丈夫かしらね。 あ、この手紙の事なんだけどサグメさんに手紙を出すから一緒に出さないかってルーミアちゃんに誘われてね、嬉しかったわ、遠く離れた友達に手紙を書くなんて初めてだからちょっと緊張しながら書いてるのよ、あら、私らしくないかしら。 なんてね。 さて、私の事よりもこの手紙をあなたに出した理由なんだけど、たぶん布都さんとルーミアちゃんも同じ事を書いていると思うけど一応私も書いておくわね、この手紙があなたに届く日の二日後、明後日になるわね(ちゃんと届いていますように) 幻想郷の人里、私達四人が運命の出会いをしたあの場所で大規模のフェスが行われるの。 サグメさんが月には娯楽が少ないって言ってたじゃない? だから幻想郷の娯楽、幻想郷なりのもてなしであなたを楽しませてあげたいの。 ごめんなさいね、いきなりの事だから戸惑ってしまったり都合が悪くて来られないなんて事があるかもしれないけどサグメさんに見せてあげたいの、幻想郷の娯楽のビートをね。 来て損はさせないわ、それに私もフェスに参加して会場を湧かせるのよ。 サグメさん、もし良かったら明後日、幻想郷に来てフェスを一緒に楽しみましょう。 あなたに素敵な一日を過ごさせてあげたいの、時間は朝の9:00から始まるわ。 待ってるわね、サグメさん。 あなたの友人、堀川雷鼓より』

 

 

 

 『サグメ殿へ 久し振りだの、元気にしておるか? 我は元気に太子様を支える日々を送っておるぞ、たまに屠自古から電撃をもらってしまうのだけは解せんがの、酷いと思わんか? 何故我に電撃を落とすのかが不思議でしょうがないのだ、心当りが全くないのにどういう事なのだ、まぁ我の話はこれぐらいにしてサグメ殿、月では楽しくやっておるか? 前に人里でサグメ殿と出会い、ミスティア殿の屋台で会話を交わした時は楽しかったのう、思い返せば団子から始まった我等の関係、懐かしいのう、団子と言えば月と関係あるのではないのか? 月から来たと言う青色の兎と黄色の兎が団子屋を開いておったからのう、関係しているものから関係を得る、それが友との出会いとは不思議なものだの、出会うべくして出会ったと言うならば、団子が我等を引き合わせてくれたのかの、団子に感謝せねばならんな。 してサグメ殿、我がこうしてこの書状に筆を走らせておるのはルーミアに誘われたからなのだ、サグメ殿に文を出すから一緒にどうだ? とな、文を出すなど昔はやったおったが幻想郷では初めての事だったからの、誤字に気を付けながら今も書いておるのだ、あ、こういうのは余計なのかの? 文をお主に出した理由なのだが、何やら人里に新しく娯楽場なるものが建てられたらしくての、そこでフェスだったか? とかいうお祭りみたいな物が行われるのだ、音楽は元よりこころ殿の能や雷鼓殿のライブ? をやるらしいのだ、太子様は元より我もそれを見に行こうと思っておるのだが、サグメ殿もどうかの? 思い出したのだが、サグメ殿は娯楽に縁があまりないと言っておっただろう? 我は娯楽には縁はある方なのだがハイカラの文化には疎い、見て着いていけるか少々不安なのじゃ、だから同じ仲間、いや友としてだの、一緒にフェスなるものを見に行き、ハイカラな娯楽文化を学ぼうではないか! 月から幻想郷に来るのは難しい事なのかもしれんが、お主と共に見てみたいのだ、少し我が儘な言い分だが、サグメ殿、待っておるぞ! あ、始まる時刻は明後日の朝、辰の半刻だ、それではサグメ殿、明後日に会おうぞ! 遠き国の友へ。 著、物部布都  (悪い、こういう書き方じゃ分からないかもと思ったから布都のアホの目を盗んで書いといてやんよ、辰の半刻ってのは9時の事だからな、あぁ私の事は気にすんな)』

 

 

 

 『サグメへ サグメ元気かー? 私なのだー、その後にサグメはそーなのかー? と言うのだ、これはお約束ってやつなのだ ここまで書いてたんだけどなー? これじゃ言いたいことが伝わらないから私が一緒に考えてあげるって友達の大ちゃんに言われて一緒に書いてるのだ…手紙って書くのが難しいんだなー、書きたいことを書くのが手紙だと思ってたのだ、でも仕方がないなー、サグメ、サグメに手紙を書いたのはある理由があるからなのだ、サグメに幻想郷に来てほしいのだ、人里…覚えてるかー? サグメと私達が初めて会った場所にな? 新しく大きな建物が建ったのだ、そこで色々とみんなで出し物をやることになったのだ、けーね先生が言うにはお祭りらしいのだ、そのお祭りをみんなで見るんだけど、サグメも一緒に見ないか? と思って手紙を出したのだ、それと見るだけじゃないんだぞー? 私も参加するのだ、何に出るかは秘密なのだ、来てからのお楽しみと言うやつなのだー。 この手紙は紫に頼んでサグメの所に届ける事になったのだ、雷鼓と布都も書いてくれたんだ、きっと二人もサグメが来てくれるのを楽しみにしているのだ。 お祭りは明後日にやる事になったのだ、サグメ、私はサグメにもお祭りを楽しんでほしいのだ、サグメは月にいるから来れるか分からないけどもし来れたら、一緒に遊ぼうな、約束だぞ、サグメ  遠い月の友達へ、ルーミアより』

 

 

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

レイセン(読み…終えたよね)

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン「……」

 

 

 

 【十分後…】

 

 

レイセン(えぇっ!?)

 

 

サグメ「……」

 

 

レイセン(いやいやいや待って待って! 怖い怖い怖い! 怖いから! 最後の三枚目を読み終えてからサグメ様が動かなくなったよ!? 三枚目の手紙を持ったまま固まってるよ!? どうしちゃったんですかサグメ様ぁ!)

 

 

サグメ「…」

 

 

レイセン(こ、声をかけるのも怖いよぉ…! で、でもこのままじゃ何も変わらないし…! え、ええいままよ!)

 

 

レイセン「サグメ様、お手紙どうでしたか? 何が書かれていたんですか?」

 

 

サグメ「…」

 

 

レイセン「…」

 

 

サグメ「…」

 

 

レイセン(えっ、無視!?)

 

 

レイセン「サグメ様…?」

 

 

サグメ「…」

 

 

レイセン(……触って大丈夫だよね)

 

 

レイセン「サグメ様、あの」スッ

 

 

サグメ「 」ユラァッ

 

 

レイセン「えっ…?」

 

 

 ドサッ…

 

 

サグメ「 」

 

 

レイセン「えぇっ!? た、倒れたぁ!? サグメ様! サグメ様ぁ! 大丈夫ですかサグメ様!」

 

 

サグメ「 」ユサユサ

 

 

レイセン「サグ……!? えぇ!? う、嘘でしょぉ!?」

 

 

レイセン「この人気絶してるー!? 何でぇ!? どうしてこうなったんですかぁ!?」

 

 

 ガチャッ…

 

 

レイセン「!」

 

 

綿月豊姫「何事です? レイセン、大きな声が部屋の外まで聞こえていましたよ?」

 

 

レイセン「と、豊姫様ぁ…!」ウルウル

 

 

豊姫「まぁどうしたのですレイセン、そんなに泣きそうな顔で…あら…?」

 

 

サグメ「 」チーン

 

 

豊姫「……♪ まさかの『玉兎裏切り殺月人事件』の現場に遭遇ですか♪」

 

 

レイセン「ち、違いますよぉ! 変なことを仰らないで下さいよぉ!」

 

 

豊姫「ふふっ…♪ それで? どうしてこうなったのです? サグメ様が気絶なさる程の…」

 

 

レイセン「気絶の事は私には何がなんだか…で、ですがその手紙です! 手紙が原因なのです!」

 

 

豊姫「…?」ピラッ

 

 

 豊姫は手紙三枚を手にとって読んだ

 

 

豊姫「……なるほど」

 

 

レイセン「えっ…? な、何か分かったのですか?」

 

 

豊姫「レイセン、とりあえずサグメ様をソファーに寝かせてあげなさい」

 

 

レイセン「は、はい…! よいしょっ…と」スッ

 

 

サグメ「 」ススッ

 

 

豊姫「目を覚ますまでしばし待ちましょう、それから依姫に連絡を取ってここに来るように言いなさい」

 

 

レイセン「は、はい!」スッ

 

 

豊姫「……」

 

 

豊姫(サグメ様次第…と言う訳ですね)

 

 

 

 

 

 

 【夢の世界】

 

 

ドレミー・スイート「あっはははははは! ははっ…! くっふふ…!」ゲラゲラ

 

 

サグメ「…///」カアッ

 

 

ドレミー「ふっ…ふふっ…! ふふふふっふふふ…! んふふふふっ…!」ゲラゲラ

 

 

サグメ「わ、笑いすぎだろう!」

 

 

ドレミー「だ…だっ…! んっふはははは!」

 

 

サグメ「…!? くっ…!」

 

 

ドレミー「ふぁ~っ…んっふふふ…♪ あ~面白い♪ 笑いすぎて涙出てきちゃいましたよ」

 

 

サグメ「面白くない! 笑うことでも無いだろう!」

 

 

ドレミー「だって…んふふっ…! な、何でしたっけ? 『お友達からの遊びのお誘いのお手紙を読んであまりの嬉しさに気絶』でしょう? んふふっ!」

 

 

サグメ「! …/// わ、悪いか!?」

 

 

ドレミー「悪いなんて一言も言ってないじゃないですかぁ♪ んふふ♪」

 

 

サグメ「……」ムスッ

 

 

ドレミー「剥れないで下さいよぉ♪ 良かったじゃないですか、心臓が飛び出さなくて」

 

 

ドレミー「一種の防衛本能なんじゃないんですかね、そのまま気絶してなかったら本当に自分の心臓を生で見ることになったかも知れませんよ♪ それに気絶したことでここに来ることも出来ましたし」

 

 

サグメ「そ、それは…」

 

 

ドレミー「レイセンさんに今の自分の状態を話すなんて出来ないでしょう? サグメさんが落ち着かなければ会話すらままならないでしょうし」

 

 

サグメ「う、うむ…」

 

 

ドレミー「ふふっ…♪ で? どうするんです?」

 

 

サグメ「な、何をだ?」

 

 

ドレミー「手紙のお返事ですよ、まぁその内容なら返事を書くよりかは行動で示した方が良いんでしょうけどね」

 

 

サグメ「…!」

 

 

ドレミー「お答えは?」

 

 

サグメ「……私は…」

 

 

サグメ「ルーミア達の想いに答えたい、幻想郷に行きたいと思っている」

 

 

ドレミー「! ほぉ~…」

 

 

サグメ「…だが……月で特殊な立ち位置にいる私が私情で幻想郷に一人で行く事など許されるのだろうか…」

 

 

サグメ「……」

 

 

ドレミー「……」

 

 

ドレミー「…! サグメさん、どうやらここまでみたいです」

 

 

サグメ「な、何…?」

 

 

ドレミー「あなたの本体が目を覚まそうとしてます、ここにいたのは十五分…気絶なら妥当な時間ですね」

 

 

サグメ「! ドレミー、わ、私は…」

 

 

ドレミー「まぁそうですねぇ、私からアドバイスをするなら…」

 

 

ドレミー「月に戻っても自分の心に嘘はつかない方が良いですよ」

 

 

サグメ「!」

 

 

ドレミー「ふふっ♪ また今日の夜…お会いしましょう、サグメさん」

 

 

サグメ「ドレっ…!」スッ

 

 

 ズォォォ……

 

 

ドレミー「……」

 

 

ドレミー「サグメさんって気絶したの人生初なんじゃないかな、ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 【月の都、サグメの自室】

 

 

サグメ「……うっ」

 

 

依姫、豊姫、レイセン「…!」

 

 

サグメ「……」パチッ

 

 

サグメ「ここは…?」

 

 

レイセン「さ、サグメ様ぁ!」ダッ

 

 

サグメ「うっ…! れ、レイセン…」

 

 

レイセン「良かったです…! 目が覚めたんですね!」

 

 

サグメ「……?」

 

 

サグメ(! そうか、嬉しさのあまりに気絶して…夢の世界へ…)

 

 

依姫「サグメ様、お体に変わりはありませんか?」

 

 

サグメ「…! 依姫…! 豊姫まで…」

 

 

豊姫「……」

 

 

サグメ「…あ、あぁ大丈夫だ…問題ない」

 

 

レイセン「はぁ…良かったぁ~…」

 

 

依姫「驚きました、サグメ様が倒れられたと報告があったものですから…」

 

 

サグメ「…心配をかけてすまない」

 

 

依姫「無事で何よりです、サグメ様」

 

 

レイセン「はい、本当に良かったです…」

 

 

豊姫「……サグメ様」

 

 

サグメ「豊姫…?」

 

 

豊姫「このサグメ様宛のお手紙…大変失礼だとは重々承知でしたが読ませていただきました」

 

 

サグメ「!」

 

 

豊姫「依姫とレイセンは読んでいません、他の者に読ませる気もありませんから安心して下さい」

 

 

豊姫「依姫、レイセン…この手紙の事に関して詮索することは許しません、分かりましたね?」

 

 

依姫「! はっ…」

 

 

レイセン「は、はいっ…!」

 

 

サグメ「…! 豊姫、私は…」

 

 

豊姫「私はこの手紙の内容に関して何も感じておりませんし、興味もありません、そして何処からこの手紙が来たのか…それも知らない事にします」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイセン、依姫(……します…?)

 

 

豊姫「それでですねサグメ様、貴方様に一つ質問があります」

 

 

豊姫「サグメ様は幻想郷に行きたいですか?」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイセン、依姫「…!?」

 

 

豊姫「……」

 

 

サグメ「……わ、私は…」

 

 

サグメ「…」

 

 

豊姫「申し訳ありません答えづらいですよね、なら質問を変えます」

 

 

豊姫「幻想郷に行きたいか、それとも行きたくないか」

 

 

豊姫「どちらですか? サグメ様」

 

 

サグメ「……! ……」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(私の独断で…いや、月の民である私が…やはり……)

 

 

サグメ(……!)

 

 

 『自分の心に嘘はつかない方が良いですよ♪』

 

 

サグメ(ドレミー…こういうことか…)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ「…豊姫」

 

 

豊姫「はい」

 

 

サグメ「こ、答えは……っ…!」

 

 

サグメ「前者だ…行きたいと思っている」

 

 

依姫、レイセン「!」

 

 

豊姫「……」

 

 

豊姫「…♪ そうですか…♪ ふふっ♪」

 

 

豊姫「はぁ…また面倒な手続きを済ませなければなりませんね、まぁ今回はサグメ様お一人で、と言う事なので早く済ませられそうですね」

 

 

サグメ「! 豊姫…」

 

 

依姫「お、お姉さま!」

 

 

豊姫「詮索は許さないと言いましたよ?」

 

 

依姫「し、しかし…!」

 

 

豊姫「私達が八意様に会いに幻想郷へ赴く…サグメ様の今のお気持ちは私達のそれと同じ様な物です」

 

 

依姫、レイセン「!」

 

 

豊姫「ふふっ♪ そうですよね? サグメ様?」

 

 

サグメ「…! ふっ…あぁ、そうだな…」

 

 

豊姫「ふふっ…♪ う~ん、そうですねぇ…サグメ様のお仕事は依姫に引き継がせるとして…あぁそうです、レイセン、今地上の優曇華院に連絡は取れますか?」

 

 

依姫「えっ…!?」

 

 

レイセン「はい! 電波を飛ばせば連絡は容易かと…」

 

 

豊姫「では任せましたよ♪ それから八意様と輝夜にも聞こえる様にしてくださいね、私が全て話しますので」

 

 

レイセン「はい! ムムム…」ピピ

 

 

依姫「お、お姉さま! 私が書類整理をですか!?」

 

 

豊姫「たまにはやってみるのも良い経験になりますよ? あぁ、あなたの仕事は私に任せなさい♪ 新米の玉兎をしごいてさしあげましょう♪」

 

 

依姫「むぅ……しかし、あんまり飴を与えすぎない様にしてくださいね」

 

 

豊姫「もちろんです♪ あぁ、腕がなりますね」

 

 

サグメ「豊姫…」

 

 

豊姫「はい、なんでしょう」

 

 

サグメ「世話を掛ける…それと…感謝する、ありがとう」

 

 

豊姫「サグメ様にはいつもお世話になっておりますので、恩返し…と言ったところでしょうか、ふふっ♪」

 

 

豊姫「ですがサグメ様? くれぐれも穢れにはお気をつけを…」

 

 

サグメ「! あぁ、分かっている」

 

 

豊姫「…♪」ニコッ

 

 

依姫(はぁ、書類整理か…苦手なんだよなぁ)

 

 

レイセン「おおっ…繋がる…繋がりそう…! ……あっ、来た!」ピピ

 

 

 

 

 

 【幻想郷 永遠亭、茶の間】

 

 

因幡てゐ「鈴仙、醤油取って」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「はぁ? 自分で取りなさいよ」

 

 

てゐ「醤油も取れない程余裕が無いウサか?」ニヤッ

 

 

鈴仙「っ…! はいはい取れば良いんでしょ取れば」

 

 

てゐ「最初からそうすれば良いウサ♪」

 

 

鈴仙「うっさい!」

 

 

蓬莱山輝夜「ふふっ、鈴仙は素直じゃないからね」

 

 

鈴仙「す、素直とか関係ないじゃないですか…」

 

 

輝夜「私が取ってって言ったら取ってくれるでしょ?」

 

 

鈴仙「それは…もちろんですよ」

 

 

てゐ「うわぁ、人によって態度変えるんだこの兎」

 

 

鈴仙「詐欺師の兎に言われたく無いわね」

 

 

てゐ「誰が詐欺師だ!」

 

 

鈴仙「間違ってないでしょうが!」

 

 

八意永琳「…あなたたち、お昼を食べている時ぐらい静かに出来ないのかしら」スッ

 

 

てゐ、鈴仙「!?」

 

 

永琳「このお薬…そのお茶にいれて飲んでみない?」ニッコリ

 

 

てゐ、鈴仙「し、静かにお昼をいただきます!」

 

 

永琳「よろしい」

 

 

輝夜「あら、それ何の薬?」

 

 

永琳「ただの精神安定剤よ」

 

 

輝夜「精神破壊剤の間違いなんじゃないの~?」ニヤニヤ

 

 

永琳「ふふっ、そんな薬作りませんよ♪」ニッコリ

 

 

てゐ(しゃ、シャレにならねぇウサ…!)ブルブル

 

 

鈴仙(飲んだら絶対に明日の朝日は拝めない…!)ブルブル

 

 

 ピピピピ!

 

 

鈴仙、輝夜、永琳「!!」ピクッ

 

 

てゐ「…うん?」

 

 

鈴仙「あ、私宛ですね…はい、もしもし?」

 

 

鈴仙「! 豊姫様…! はい…! はい」

 

 

輝夜、永琳「…」

 

 

てゐ(ちぇっ、また月からの電波ってやつか)

 

 

鈴仙「はい…はい…! それは明後日に、はい確かに明後日に行われ…えっ? サグメ様がですか?」

 

 

鈴仙「はい…! はい、分かりました! お任せ下さい! それでは…! はい! 失礼しまーす!」スッ

 

 

鈴仙「…ふぅ」

 

 

永琳「まさかサグメが一人で来るなんてね、しかも明後日のアレを見に来るとは」

 

 

輝夜「サグメもこっちでお友達を作ったそうじゃない、会いに来る意味でも来るんでしょ?」

 

 

鈴仙「そうみたいですね、でも豊姫様何故小声だったんでしょうか」

 

 

永琳「依姫か誰かが近くに居たんじゃないかしら、周波数がレイセンの物だったから、他の者に知られていない可能性はあるわね、手紙の事も大っぴらに言えないでしょうし」

 

 

輝夜「なるほどねぇ~♪ …あら、てゐ?」

 

 

てゐ「……」ムッスー

 

 

鈴仙「何よその顔は」

 

 

てゐ「別に…」

 

 

輝夜「ふふっ…♪ サグメが明後日にこっちに一人で遊びに来るみたいなのよ、だからそれの出迎えのお話だったの」

 

 

永琳「サグメは土地勘が無いから迷ってしまわない様に案内してあげて、これが内容ね」

 

 

鈴仙「その案内役に私が選ばれたって訳よ、分かった?」

 

 

てゐ「……あっそ」

 

 

鈴仙「なんなのよ、興味無いの?」

 

 

てゐ「ふん…」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

輝夜(実際一番素直じゃないのはてゐなのよねぇ♪ ふふっ、可愛い♪)

 

 

永琳(八雲紫が手紙を出すのに協力したのは……ふっ、これこそいらぬ詮索かしらね)

 

 

 

 

 

 こうしてサグメは明後日、幻想郷に行くことになった

 

 そして、その日の夜

 

 

 

 【夢の世界】

 

 

ドレミー「ほぉ~♪ 良かったじゃないですか」

 

 

サグメ「あぁ、これで幻想郷に行くことが出来る、今回はワープ装置の故障などではなく、自分の意思で人里に行き、ルーミアたちに会うことが可能になったんだ」

 

 

サグメ「…これも貴方のお陰だ、ありがとうドレミー」

 

 

ドレミー「ふふっ♪ 私は何もしていませんよ、ただちょっと後押ししてあげただけですので」

 

 

サグメ「それにお礼を言っているのだ、貴方のあの言葉がなければ私は……後者を選び、幻想郷に行くのをやめていた可能性があった」

 

 

サグメ「本当に感謝しているよ…ドレミー」

 

 

ドレミー「……なんか最近感謝されることが多くなった気がしますねぇ、あなたからも、他の人からも」

 

 

サグメ「…?」

 

 

ドレミー「ははっ、笑っちゃいますよねぇ、夢の世界の獏が人助けだなんて…柄じゃないのに」

 

 

サグメ「笑えないぞ、それで心を救われた者もいるのだからな」

 

 

ドレミー「!」

 

 

サグメ「本気で言っているんだぞ、ドレミー」

 

 

ドレミー「…」

 

 

ドレミー(こういう時はちゃんと目を見て躊躇いなく言ってくるんですよねぇ、この人は…///)

 

 

ドレミー「どうも…本気で言っていただけてこちらも嬉しいですよ」

 

 

サグメ「そうか、ならいい」

 

 

サグメ「……」

 

 

ドレミー「……」

 

 

サグメ「と、ところで…! あ、明後日の事なのだが」

 

 

ドレミー(あ、いつものサグメさんだ)

 

 

サグメ「その…えっとだな…」

 

 

ドレミー「前日の夜に興奮して寝付けないようにすれば良いだけなんじゃないですか?」

 

 

サグメ「そんな子供みたいなことを私がするわけないだろう!? バカにしないでくれ!」

 

 

ドレミー(しそうだから言ったんですけどねぇ)

 

 

ドレミー「では何が心配なんですか? 心配することなんてもう何も無いじゃないですか、手続きが済んで明後日に行くことが決まっている、道に迷わない様に案内人もいるのに…」

 

 

サグメ「その…だな…」

 

 

ドレミー「はい」

 

 

サグメ「…」

 

 

ドレミー「……」

 

 

 

 

 

サグメ「明後日の日に何を着ていったら良いのかさっぱり分からな」

 

 

ドレミー「いつもの格好で行けば良いんですよ! 余計な事は考えなくて良いんです! あなたは本当に…! あんぽんたんなんですか!?」

 

 

サグメ「!?」ガーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 サグメは明後日の日に心を躍らせていた。

 

 幻想郷住人の大半が集まる人里のお祭り、果たしてどんな催し物があるのか、考えても考えても皆目見当がつかなかった

 

 手紙でもそうだ、布都と見ることは確定しているがルーミアと雷鼓は何を自分に見せてくれるのか

 

 友である者が私に何かを見せてくれること自体が嬉しい

 

 様々な感情がサグメを駆け巡っていた、それは時間が経つのを忘れてしまうほどに、そして気が付けば

 

 

 

 

 【二日後 サグメの自室 午前6:30】

 

 

サグメ「…んっ」スッ

 

 

サグメ「……」パチッ

 

 

サグメ「……」モゾモゾ

 

 

サグメ「…朝…か」

 

 

サグメ「……! 時間!」スッ

 

 

サグメ「……ふぅ…まだ六時半だったか…」

 

 

サグメ「余裕を持っていけそうだな、良かった…」

 

 

サグメ「……緊張もしてない、余計な物も持っていかない、私は決してあんぽんたん等では無いのだからな…」

 

 

サグメ「……着替えよう」スッ

 

 

 

 

 

 

 【その頃 幻想郷 博麗神社】

 

 

河城にとり「おっす♪ おはよう霊夢」

 

 

霊夢「おはよ、朝早くから悪いわね」

 

 

にとり「良いんだよぉ、こっちは提案してくれて寧ろってうおっ!?」

 

 

魔理沙「よっ、おはようさん」

 

 

にとり「おっ…!? 起きてる…だと…!?」

 

 

魔理沙「な、なんだよ! 悪いかよ!」

 

 

にとり「今朝の六時半だよね? 霊夢」

 

 

霊夢「時計は狂ってないわよ」

 

 

魔理沙「お前らな…」

 

 

霊夢「あれ? にとり、みとりは?」

 

 

にとり「ん? あぁ来てるよ、姉ちゃーん! 早く上がって来なよ♪」

 

 

河城みとり「はぁはぁ…ま、待ってよ…私にとりみたいに体力無いんだよ…?」

 

 

魔理沙「何で歩って来たんだよ」

 

 

にとり「ほら…寒いからさぁ」

 

 

霊夢「理由それなの…? まぁいいけど」スッ

 

 

霊夢「みとり、おはよ」

 

 

魔理沙「よっ、みとり! 久し振りだな♪」

 

 

みとり「あっ! 霊夢さん、魔理沙さんおはようございます! そしてお久し振りです!」

 

 

魔理沙「おっ? なんかちょっと垢抜けたか?」

 

 

みとり「え、えへへ…/// そ、そうですか?」

 

 

霊夢「前よりも姿勢が低くなくなったわね、それとオドオドした感じも消えてるじゃない」

 

 

にとり「姉ちゃん、前にここに来て地底に帰った後に少しずつ練習したらしいんだ、地底の妖怪たちに協力してもらってね」

 

 

魔理沙「ほぇ~…♪ じゃあ連れてっても問題なさそうだな」

 

 

みとり「ま、まだ少し不安ですけど…頑張ります」

 

 

霊夢「ふーん…♪」

 

 

霊夢(魔理沙も良い案を思い付いたわよね『良い機会だからみとりに人間と妖怪が仲良くなっているところを見せてやる』本当絶好の機会だもんね)

 

 

みとり「アリスさんが居ないのは寂しいです…」

 

 

魔理沙「あいつは劇の準備で忙しそうだったからなぁ、しょうがねぇさ、その代わりと言っちゃあなんだがもう一人来る事になってるからよ」

 

 

みとり「来るのは聞いてたんですけど…どんな方なんですか?」

 

 

霊夢「話してなかったの?」

 

 

にとり「うん、ちょっとしたサプライズさ♪」

 

 

霊夢「紫みたいなことを…」

 

 

 カツンカツン…

 

 

霊夢「! 来たみたいね」

 

 

魔理沙「約束の時間ピッタリに来るんだなあいつ」

 

 

霊夢「あんたと違ってね」

 

 

魔理沙「おい!」

 

 

 

十六夜咲夜「おはよう、来たわよ」

 

 

霊夢「おはよ、咲夜」

 

 

にとり「おっす咲夜!」

 

 

魔理沙「よっ、カリスマの館からご苦労さん」

 

 

咲夜「…えっ?」

 

 

魔理沙「…ん?」

 

 

咲夜「嘘でしょ…起きてる…」

 

 

魔理沙「うおぉい! なんだよお前まで!」

 

 

霊夢「ぷふっ…!」

 

 

にとり「んふふふっ…!」

 

 

みとり「ふふふっ…」

 

 

魔理沙「私が起きてるのがそんなに珍しいのかよ!?」

 

 

咲夜「逆に何で起きてるのよ」

 

 

魔理沙「あー? 私に楽しみばかりの今日の日に寝てろってのか? よくそんな酷いことが言えるな!」

 

 

咲夜「そこまで言ってないでしょ、珍しいとは思ってるけどね♪」スッ

 

 

魔理沙「こ、こんにゃろう…!」

 

 

霊夢、にとり「ふっふふふっ…!」

 

 

みとり「ふふっ… あっ…!」

 

 

咲夜「えっと、あなたが河城みとり?」

 

 

みとり「は、はい!」

 

 

咲夜「霊夢と魔理沙から話は聞いてるわ、あなたがにとりの姉で半人半妖のみとりなのね」

 

 

咲夜「私の名前は十六夜咲夜、人間よ、紅魔館でメイド長をしているの、よろしくね♪」スッ

 

 

みとり「は、はい! よろしくです、咲夜さん!」スッ

 

 

咲夜(人間が苦手だったとは思えないわね、霊夢達が心を開いてあげたみたいだけど何をしたのかしら)

 

 

にとり(人間と握手か、少し前じゃ考えられなかったもんね…♪)

 

 

咲夜「…ふふっ…あなたにとりと似てるわね、姉妹なんだから当然よね」

 

 

みとり「えっ?」

 

 

咲夜「目元とかそっくりよ? 優しい目をしてるわ」

 

 

みとり「ふえっ…!? そ、そんなこと言われたの初めてです…///」

 

 

霊夢、魔理沙「…? ……」ジーッ

 

 

にとり「…? な、何さ」

 

 

霊夢「…似てる?」

 

 

魔理沙「いや、わかんねぇ…」

 

 

にとり「! ははっ、咲夜には分かんだね」

 

 

咲夜「あなたたち分からないの?」

 

 

霊夢、魔理沙「いや、全く」

 

 

咲夜「えぇ…」

 

 

みとり「に、にとり…わ、私たち似てるって言われたよ…♪」

 

 

にとり「そりゃ当然さ♪ 姉妹だからね♪」

 

 

魔理沙「アリスでも気付かなかったのにな」

 

 

咲夜「それはほら…アリスはあなたの事しかじっくりねっとりと見ないから」

 

 

霊夢「あぁ、なるほど」

 

 

魔理沙「おい納得すんな! ねっとりとか言うなよ!」

 

 

霊夢「丸で絡み付くような眼差しで?」

 

 

咲夜「ねっちょりと…?」

 

 

魔理沙「やめろぉ!」

 

 

霊夢、咲夜「ふっふふっ…!」プルプル

 

 

にとり「あっははは…!」

 

 

みとり「ふふっ…♪」

 

 

みとり(咲夜さんもなんだか霊夢さんと同じ様な不思議なオーラを纏ってる人…かな)

 

 

みとり(ツンとしてるけど、根は凄く優しい人だと思う、この人とも仲良くなりたいな…♪)

 

 

 

 

霊夢「そういえばさ、咲夜のとこは何か出し物やらないの?」

 

 

咲夜「えっ? あぁ…うん…そうね」

 

 

魔理沙「お? 祭りの参加者がいるのか?」

 

 

咲夜「…まぁ…行ってみてのお楽しみよ、うん」

 

 

魔理沙「何で目に見えて元気が無くなってるんだよ」

 

 

霊夢「これは察してあげるべきなんじゃないの?」

 

 

魔理沙「あ、分かったぜ」

 

 

咲夜「…止められなかったのよ」

 

 

魔理沙「カリスマがやらかす未来が見えるな」

 

 

みとり「…? カリスマ?」

 

 

にとり「紅魔館は知ってるよね? そこの主の事だよ、咲夜が仕えてる人だね」

 

 

みとり「え? 紅魔館の主って…確かレミリアさんって人なんじゃ」

 

 

魔理沙「いいんだよみとり、カリスマって呼んでやると泣いて喜ぶから」

 

 

みとり「えっ…?」

 

 

咲夜「お嬢様の侮辱は許さないわよ…」ボソッ

 

 

霊夢、魔理沙、にとり「声小さっ!」

 

 

魔理沙「お前、まさか説得したのか」

 

 

咲夜「えぇ少し、特にパチュリー様が『恥をかくだけだから出るな』って…でもどうしても出たいって仰るから……」

 

 

霊夢「あんた達も大変ね」

 

 

魔理沙「私は遠慮なく笑うからな」

 

 

みとり「? ??」キョトン

 

 

にとり「まぁ…会場に行けば分かるよ、姉ちゃん」

 

 

みとり「う、うん」

 

 

 

 

霊夢「それじゃそろそろ行きましょうか」

 

 

咲夜「そうね、人里まで結構あるから」

 

 

魔理沙「ん? 歩いて行くのか?」

 

 

霊夢「その方が良いでしょ? みとり」

 

 

みとり「へっ? あ、はい!」

 

 

にとり「景色とかも見たいもんね♪ 紅葉シーズンだし」

 

 

咲夜「朝の散歩も気持ちが良いわよ?」

 

 

魔理沙「そこは認めてやるぜ」

 

 

霊夢「んじゃ行くわよ~」

 

 

 

 

 

魔理沙「そういやよ、お前が前に言い放った大好きについてなんだが」

 

 

咲夜「!」

 

 

魔理沙「あれ何で言ったんだ?」

 

 

咲夜「い…今は聞かなくて良いでしょ!」

 

 

魔理沙「今気になったんだからしょうがねぇじゃん、あの時にいた半分の奴等は照れてたし、レミリアとパチュリーと美鈴はちょっと泣いてたし…なんだったんだよあれ」

 

 

咲夜「いいから! 今聞かなくていいから!」

 

 

魔理沙「いつ聞くんだよ」

 

 

咲夜「明日でも良いでしょ! ほら行くわよ!」

 

 

魔理沙「…霊夢はどう思う?」

 

 

霊夢「…私は別に興味ないわよ」

 

 

霊夢(あの時の咲夜の笑顔に思わず照れたなんて言えないわよ…/// ち、ちくしょう…///)

 

 

にとり、みとり「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 【人里 娯楽場、控え室】

 

 

ルナサ・プリズムリバー「…」

 

 

メルラン・プリズムリバー「…」

 

 

リリカ・プリズムリバー「……」

 

 

ルナサ、メルラン「失敗したらどうしよう…」orz

 

 

リリカ「今更!?」

 

 

ルナサ「いや…だってさ、こんなちゃんとしたステージがあるところでやったことないじゃん」

 

 

メルラン「いつもはほら、宴会の場とか向日葵畑でやってるから…聴いてる様で聴いてないみたいなところでやってんじゃん」

 

 

リリカ「いや、皆聴いてくれてるからね? 私達の演奏良かったって言ってくれてる人いるからね?」

 

 

ルナサ「…私それ聞いてないんだけど」

 

 

メルラン「はっ…あれなんじゃないの? 皆さ、リリカにだけ言ってんじゃないの?」

 

 

ルナサ「あっ…そっか~…リリカだけしか評価されてないんだ~…」

 

 

メルラン「リリカだけのファンクラブもあるからね…」

 

 

メルラン、ルナサ「……」

 

 

メルラン、ルナサ「マジで辛いんですけど…」

 

 

リリカ「姉さん達のその自分で自分を追い込んで行くスタイル何なの? ねぇ?」

 

 

ルナサ「はい、リリカソロライブ決定~」

 

 

メルラン「行ってらっしゃい、姉さんたち応援してるから」

 

 

リリカ「無理だよ! 私がソロライブ苦手なの分かってて言ってるよね!? 姉さん達の方がソロライブ得意じゃん!」

 

 

ルナサ「何でそうやって直ぐ嘘付くの?」

 

 

リリカ「はぁ!?」

 

 

メルラン「満員御礼のステージでいきなり演奏をやらされる私達の気持ちが分かるかっ!」

 

 

リリカ「分かるよ! いつも三人で演奏してきてるんだからさぁ!」

 

 

メルラン、ルナサ「…」

 

 

リリカ「あのさ、雷鼓さん達もいるんだから頑張ろうよ、それに私達の演奏が無いと成り立たない演目だってあるんだよ?」

 

 

リリカ「たくさん演奏するからプレッシャーが凄いけど、その分期待されてるって事なんだから頑張ろ? ね?」

 

 

メルラン、ルナサ「……」

 

 

ルナサ「はいはい、やりゃあいいんでしょやりゃあ…」

 

 

メルラン「はっはっはっはー! ……最近テンション長続きしないんだよねぇ…」

 

 

リリカ「色々と不安だけど大丈夫そうだね、うん」

 

 

 

 

九十九八橋「あれは大丈夫って言えるの? 雷鼓姐」

 

 

堀川雷鼓「大丈夫よ、リリカ達は本番に強いタイプだから、それにさっきのは自分達を鼓舞する為にやっていたのよ?」

 

 

八橋「あれが!? 自分達の鼓舞に繋がってるの!?」

 

 

雷鼓「ハートに迸る熱いビートを感じるわね♪」

 

 

八橋(まっっったく分かんない!)

 

 

九十九弁々「それ分かるわ雷鼓姐、凄絶に迸るビートがリリカ達を後押ししてるわね」ベベン

 

 

雷鼓「流石ね弁々♪」

 

 

弁々「ふっ、当然でしょ♪」

 

 

八橋(最近の姉さんの凄絶推しは何なんだろうか…)

 

 

 

雷鼓「……」チラッ

 

 

 

幽谷響子「みすちー、チューニング合ってる?」

 

 

ミスティア・ローレライ「うん、バッチリ♪」

 

 

 

秦こころ「ほっ…よっ…ここでクルっと回って…こうだ」

 

 

 

アリス・マーガトロイド「人形達の仕込みは…大丈夫ね」

 

 

 

雷鼓(半分以上の人達が来てるわね、他の人達とのリハーサルも昨日やったし…演目に関しての問題は無いかな)

 

 

雷鼓「…八橋、ちょっと外に出てくるわね」

 

 

八橋「あ、うん、行ってらっしゃい」

 

 

 

 

 

 

 【娯楽場 客席】

 

 

 ガヤガヤ ワイワイ

 

 

雷鼓(もうこんなに人が集まってるのね…ふふっ♪ これは張り切らないとね♪)

 

 

雷鼓(……サグメさん、来てくれるかしら…)

 

 

雷鼓(はぁ、ダメよ観客一人を特別扱いするなんて…でも一番観てもらいたい人が居ないとテンションがダウンしちゃう…)

 

 

雷鼓(でもまだ時間はあるから…大丈夫…)

 

 

 雷鼓ー!

 

 

雷鼓「!」

 

 

ルーミア「雷鼓ー!」

 

 

布都「雷鼓殿!」

 

 

雷鼓「ルーミアちゃん! 布都さん!」

 

 

 

蘇我屠自古「はしゃぎ過ぎだろあいつ」

 

 

豊聡耳神子「いいじゃないか屠自古、せっかくの祭りなんだからね」

 

 

 

雷鼓「良く来てくれたわね♪」

 

 

布都「当たり前じゃろう、雷鼓殿のびーと? とやらをずっと見たかったからのう!」

 

 

雷鼓「ふふっ、ありがとう布都さん」

 

 

ルーミア「雷鼓、ちょっと遅れちゃったのだ…」

 

 

雷鼓「そんなこと無いわよ? まだ来て無い人もいるしね」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」

 

 

雷鼓「そーなのよー♪」

 

 

ルーミア、雷鼓、布都「わはー♪」

 

 

ルーミア「わはは♪ そっかー、まだ大丈夫だったか」

 

 

布都「ん? 何じゃ? ルーミアも何か出し物に参加するのか?」

 

 

雷鼓「えぇ、そうなのよ♪」

 

 

布都「なんと…!? 聞いとらんぞ~?」

 

 

ルーミア「秘密にしておいたのだ♪」

 

 

雷鼓「ふふっ、この日の為に私達と練習してきたんだもんね♪」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

布都「ほほぉ♪ それは楽しみにしておこうかのう」

 

 

ルーミア「わはは♪ あっ! 雷鼓、サグメは来てるかー?」

 

 

雷鼓「! ……いえ、まだ来て無いわね…」

 

 

ルーミア、布都「!」

 

 

ルーミア「……」

 

 

布都「だが始まるまでまだ時間もあるであろう? 気長に待とうぞ、サグメ殿はきっと来てくれる筈じゃ」

 

 

雷鼓「! …ふふっ、そうよね♪」

 

 

ルーミア「そ、そうだよな! だったら待つのだ」

 

 

雷鼓(…私だけが心配してる訳じゃないのよね)

 

 

 

 

ルーミア「雷鼓、私も控え室とか言うとこにいた方が良いのかー?」

 

 

雷鼓「う~ん…そうね、そうしてくれる?」

 

 

ルーミア「分かったのだ」

 

 

布都「では…我は始まるまで外に出ていよう、サグメ殿が来たら一緒に入るでな」

 

 

雷鼓「ありがと、布都さん」

 

 

布都「それでは太子様…我はこれにて」

 

 

神子「あぁ、分かった」

 

 

屠自古「……」

 

 

神子「最近布都があなた達の事をよく話してくれるんだ、とても嬉しそうにね」

 

 

雷鼓「あら、そうなの?」

 

 

神子「布都は人との交流が苦手で幻想郷のハイカラ文化には馴染めないと自分で言っていたのだが…ふふっ、その考えは今や何処吹く風だよ」

 

 

ルーミア、雷鼓「…」

 

 

神子「これもあなた達のお陰なのだろうな、感謝しているよ、そしてこれからも布都と仲良くしてやってくれ、よろしく頼む…と月の民の者にも言っておいてくれ」スッ

 

 

雷鼓「…! ふふっ、分かったわ♪ それとこちらこそよろしくお願いするわね」

 

 

ルーミア「うん! よろしくなのだ」

 

 

神子「ふふっ…♪」

 

 

屠自古(ふん…♪ あいつも私の知らない所で他のやつらと交流深めてんだな)

 

 

神子「あぁそうだ、こころは控え室とやらにいるのかな? どれ、こころと少し話を」

 

 

雷鼓「あぁ待って…! 神子さん、悪いけどあなたとこころちゃんを会わせる訳にはいかないわ」

 

 

神子「ん? 何故だ?」

 

 

雷鼓「…こころちゃんが会いたくないって言ってるから」

 

 

神子「なっ…!? 何っ!? 私のこころがそんなこと」

 

 

屠自古「あぁ待って下さい太子様…!」スッ

 

 

屠自古「なぁ…こころ何て言ってた?」ヒソヒソ

 

 

雷鼓「『練習中に神子に話し掛けられたら気が散るから終わるまで話したくない』って」ヒソヒソ

 

 

屠自古「あぁ納得した…ありがとな」ヒソヒソ

 

 

屠自古「た、太子様! 早く座りましょう!」

 

 

神子「むっ? 屠自古、こころには親として私が舞台に立つときの心構えを」

 

 

屠自古「こころに嫌われたくなかったら座って下さい! さぁ早く!」

 

 

神子「あっ…! と、屠自古…お、押さないでくれ」

 

 

雷鼓、ルーミア「…」

 

 

ルーミア「口うるせぇ親は嫌われるのだ」ボソッ

 

 

雷鼓「本人に聞こないように小声で言う優しいルーミアちゃんが好きよ」

 

 

雷鼓「…よし、サグメさんの事は布都さんに任せて…行きましょうルーミアちゃん♪」

 

 

ルーミア「分かったのだー♪」

 

 

 

 

 

 【そしてその頃 月の都 ワープ装置前】

 

 

サグメ「座標…永遠亭…良し」

 

 

豊姫「ふふっ…後はお任せください、サグメ様」

 

 

依姫「サグメ様、穢れには充分お気を付けを」スッ

 

 

サグメ「あぁ…」

 

 

サグメ(穢れ…か)

 

 

レイセン「……サグメ様」

 

 

サグメ「! レイセン…」

 

 

レイセン「……本当なら、サグメ様をお守りするために着いていきたい…ですけど…」

 

 

レイセン「今回はサグメ様が無事にお帰りになるよう、祈ってます」

 

 

サグメ「……」スッ

 

 

レイセン「わっ…!」

 

 

 サグメはレイセンの頭を優しく撫でる

 

 

レイセン「さ、サグメ様…!?」

 

 

サグメ「その気持ちを伝えてくれたのが何よりだ…ありがとうレイセン」

 

 

レイセン「…! サグメ様…///」カアッ

 

 

サグメ「ふふっ…」スッ

 

 

サグメ「では…行ってくる」スッ

 

 

 ズォォォォ…

 

 

豊姫「行ってらっしゃいませ、サグメ様♪」

 

 

依姫「留守はお任せを!」

 

 

レイセン「お気を付けて! サグメ様!」

 

 

サグメ「あぁ…♪」ニコッ

 

 

 シュン…!

 

 

 

 

 

 【幻想郷、永遠亭 午前8:00】

 

 

鈴仙「…」

 

 

 ズォォォォ…!

 

 

鈴仙「おっ…来た!」

 

 

 シュン…!

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「…!」

 

 

鈴仙「サグメ様! お久し振りですね!」

 

 

サグメ「鈴仙…」

 

 

サグメ(つ、ついに来たな…! 幻想郷に…!)

 

 

サグメ「久し振りだな、鈴仙」

 

 

鈴仙「はい」

 

 

サグメ「…? 八意様と輝夜の姿が見えないが…」

 

 

鈴仙「あ~…その…姫様に急かされて先に人里に向かわれて…」

 

 

サグメ「そうか……あ!」

 

 

鈴仙「…? あ…?」

 

 

サグメ(い、今そーなのかーって言うべきだったんじゃないのか…!? し、しかしまだルーミアも居ないしな…)

 

 

鈴仙「サグメ様…?」

 

 

サグメ「な、何でもない…! 気にしないでくれ」

 

 

鈴仙「はぁ…わ、わかりました」

 

 

鈴仙「それではサグメ様、早速ですが、人里に向かいましょう、案内は任せて下さいね♪ こちらへどうぞ♪」スッ

 

 

サグメ「あぁ、よろしく頼む…」スッ

 

 

サグメ(幻想郷…何ヵ月振りだろうか)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(余計な事は言わない、余計な事は言わなくて良い…! 言い聞かせて置かないと雷鼓とルーミアと布都に会ったときに変なことを口走りそうだ…!)

 

 

サグメ(あ、後何十分もしないうちに会ってしまうぞ…! が、頑張らなくては…!)

 

 

 

 

 

 

 

 【そしてそして 夢の世界では】

 

 

 

ドレミー「どうやら幻想郷に行ったみたいですねぇ♪」

 

 

ドレミー「昨日の夜もここに来て『お土産は持っていった方が良いのか』とか『髪型はどうしたら良いか』とか聞いてきましたけど…もう、本当にね? 普通で良いんですよ普通で」

 

 

ドレミー「余計な事はしなくて良いんですよ、そのままのサグメさんをあの三人は待ってるんですからね」

 

 

ドレミー「ふぁ~…さて、心配も無くなった事ですし…これでやっと深い睡眠ができ」

 

 

紫「やっほー♪ 八雲のゆかりん登場~♪」

 

 

ドレミー「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

ドレミー「お休みなさい」

 

 

紫「ちょっ…!? 人の話を聞きなさいドレミー!」

 

 

ドレミー「あなた人じゃ無いじゃないですか」

 

 

紫「それを言われたら本当に何にも言えなくなっちゃうでしょうが!」

 

 

ドレミー「はぁ…あのね紫さん、暇をもて余しているんだったら幻想郷の人里で……あれ?」

 

 

ドレミー「紫さん本体じゃないですか、珍しい……起きてるんですね」

 

 

紫「そのいつも寝ているみたいな言い方やめて」

 

 

ドレミー(何を言っても無駄ですね)

 

 

ドレミー「はいはい、それで? ご用件は?」

 

 

紫「あぁ、えっとね? あなたも来ない?」

 

 

ドレミー「? 何処にですか?」

 

 

紫「幻想郷の娯楽場…♪」

 

 

ドレミー「! ははっ…私がですか?」

 

 

紫「そうよぉ♪ ゆかりんの特別スキマVIPルームだから見応えありよきっと♪」

 

 

ドレミー「…」

 

 

ドレミー(…まぁもう別に心配する必要は無いんですけどね)

 

 

ドレミー「良いですよ、暇でしたし…ちょっと寝不足ですけどね」

 

 

紫「あら、睡眠はちゃんとしておかないとダメよ? ドレミー」

 

 

ドレミー「はいはい」

 

 

紫「さっきからはいはいばっかりで返されてつれぇわ」

 

 

ドレミー(寝不足とは無縁の人に言われたら…まぁいいか)

 

 

紫「う~ん私とドレミー入れて、これで八人か…ギリギリね」

 

 

ドレミー「八人?」

 

 

紫「えぇ、ほら♪」

 

 

ドレミー「…? あ」

 

 

 

 

神綺「アリスちゃんの劇♪ アリスちゃんの劇ー♪」

 

 

魅魔「お前さっきからそればっかりだな」

 

 

エリス「神綺さんマジでしつけぇ☆」

 

 

神綺「ふえっ!? み、皆だってアリスちゃんの劇観たいでしょ?」

 

 

魅魔「観たいけどそれだけじゃねぇだろ?」

 

 

サリエル「……全てがアリスで回ってる…そんな訳無いでしょう…?」

 

 

宇佐見菫子「自分の娘さんの劇ですもんね、楽しみになる気持ちは分かります」

 

 

神綺「そ、そうだよね! ほら、菫子ちゃんもこう言ってるよ?」

 

 

サリエル「…菫子がそう言ってるから……なんなのかしら……」

 

 

エリス「菫子ちゃんを巻き込むなっ☆」

 

 

魅魔「菫子、神綺のペースに乗るな、バカに間違われるぞ?」

 

 

菫子「えぇ!?」

 

 

エリス「そこんとこ夢子さんはどう思ってるん?」

 

 

夢子「……」

 

 

夢子「アリスの人形劇が終わり次第、魔界に帰らせましょう」

 

 

魅魔、サリエル、エリス「あ、それだ」

 

 

神綺「ゆ、夢子ちゃん!? どうしてそんな酷いこと言うの? お母さん寂しいよ?」

 

 

夢子「うるさいんですよさっきからアリスちゃんの劇、アリスちゃんの劇、と…馬鹿の一つ覚えなんですか? これ以上言い続けるのなら毟りますよ?」

 

 

神綺「何を!?」

 

 

夢子「毛」

 

 

神綺「!? い~や~…! それだけは~…!」プルプル

 

 

サリエル「……踞ったわね…」

 

 

エリス「魅魔さんみてぇだ☆」

 

 

魅魔「うっせぇ」

 

 

魅魔「お前、神綺が何かする度にあいつのたくましい毛を毟りたがるけど…何か理由あんのか?」

 

 

夢子「特にありません、ただこれを言うと何故か怯えるので母の制御が楽なのです」

 

 

魅魔「…マジで毟った事は?」

 

 

夢子「やろうと思えば出来ます」

 

 

魅魔(こえぇよ)

 

 

菫子(話に聞いてた夢子さん…アリスさんのお姉さんだって紹介されたけど性格が全然似てない、クールでカッコいいけど)

 

 

 

 

ドレミー「揃いも揃ってまぁ…おや、菫子さんも本体なんですね」

 

 

紫「誘ったら来てくれたのよ、しんちゃんと夢子ちゃんはアリス目当て、サリエルとエリスはただの興味、菫子と魅魔は幻想郷に縁のある二人だからね、最近魅魔ったら菫子の家に入り浸ってるらしいのよ?」

 

 

ドレミー「そこまでは聞いてません」

 

 

ドレミー(三日間退屈しないな、まぁ良いでしょう、寝てばかりでもつまらないですしね)

 

 

ドレミー「では…行きましょうか? 紫さん」

 

 

紫「えぇ、行きましょ♪」

 

 

紫(今回の娯楽は私が関わっていないからねぇ♪ どうなる事やら…♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷 人里、娯楽場入り口】

 

 

椛「あ、文さんやっぱり無理ですよぉ! 代わって下さい!」

 

 

文「仕事を途中で投げ出す様な天狗はいないんですよ♪ 椛♪」

 

 

椛「まだ始まってもないじゃないですか!」

 

 

文「これから始まるんですよ♪ んふふ♪」

 

 

椛(はうぅ…! む、無理! 絶対無理…! こんなこと出来るわけないよぉ…!)

 

 

はたて「…」

 

 

はたて(ここで口出ししたら本当に代わりそうだから敢えて何も言わない…)

 

 

 

 

霊夢「ん? あいつら何やってんのかしら」

 

 

魔理沙「さぁ?」

 

 

咲夜(お嬢様たちはもう中に入っているのかしら)

 

 

みとり「…! わぁ…♪」キラキラ

 

 

にとり「どうだい姉ちゃん、凄いだろう?」

 

 

みとり「うん! 凄い…! これが娯楽場って言うんだね♪」

 

 

みとり「あっ…! でも中に人がたくさん居る…よね」

 

 

にとり「そりゃあね、結構声も聞こえるし、こりゃ満員になるかな」

 

 

みとり「うっ…ちょ、ちょっと怖くなってきた…かも」

 

 

魔理沙「大丈夫だってみとり、私たちが居るだろ?」

 

 

咲夜「みとり、もし怖くなって耐えられなくなったら私たちに言ってね、それかステージだけを見続ける、私達の誰かの手を握る…これだけでも怖さは和らぐと思うから」

 

 

みとり「! はい、やってみます!」

 

 

魔理沙「霊夢の手は握り心地が良いみたいだぜ?」

 

 

霊夢「良くないわよそんなもん、確かめてもないくせに」

 

 

みとり「では握って確めてみます♪」

 

 

霊夢「! …みとり、あんた魔理沙の影響受けて魔理沙三号になるのだけはダメよ? 分かった?」

 

 

みとり「へ? は、はい…」

 

 

魔理沙「三号…? 二号が居るみたいな言い方だな」

 

 

霊夢「あんたチルノの前でそれ言ってみなさいよ」

 

 

にとり(姉ちゃんが自分でボケた…あははっ、なんか嬉しいね♪)

 

 

咲夜(魔理沙三号になれる素質はあるのかしら)

 

 

魔理沙「ま、とにかく中に入ろうぜ♪」スッ

 

 

にとり「そうだね、行こう」スッ

 

 

 

 

 

布都「……」

 

 

布都「霊夢殿たちはいつも楽しそうだのう」

 

 

布都「気軽に会える友と、気軽には会えぬが会えたときの喜びは凄まじい友か」

 

 

布都「いや、止そう…友情に優劣など存在しないのじゃ、気にする必要は無い」

 

 

布都「じゃが、無性に寂しくなるときはあるがそれは仕方がない……む? ……ぬっ!!」

 

 

 

 スタスタ

 

 

鈴仙「サグメ様、着きましたよ」

 

 

サグメ「あぁ… ! これが…」

 

 

鈴仙「そうです、これが幻想郷のホールですよ♪ あ、娯楽場って言った方が良いのかな」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(ここに雷鼓達が居るのか……)

 

 

サグメ(緊張……あれ? してない…だと…?)

 

 

サグメ(何故だ…? 自然と落ち着いている自分がいるのが分かる)

 

 

サグメ(……さっきまで緊張してたのに何故)

 

 

布都「サグメ殿ぉ!」

 

 

サグメ「!?」ビクッ

 

 

布都「おぉ! サグメ殿、サグメ殿じゃ! 本物のサグメ殿じゃ! 会いたかったぞー♪」

 

 

サグメ「ふ、布都…!?」

 

 

布都「来てくれたのじゃな! ぬぉ~! 我は嬉しいぞぉ!」

 

 

鈴仙「ちょっ…! あんたサグメ様に……!」

 

 

サグメ「…! 布都…」

 

 

布都「サグメ殿、やはり来てくれたな、信じておったぞ♪」

 

 

サグメ(何故だろう…凄く落ち着く)

 

 

サグメ「あぁ、貴方達からの手紙…その気持ちに答えたかったのだ、友の気持ちに」

 

 

布都「ちゃんと届いておったか! 良かった良かった♪」

 

 

サグメ「ふふっ…♪ だからこうしてここに居るのだ、布都」

 

 

サグメ「手紙…ありがとう、とても嬉しかった」

 

 

布都「! ふふっ…♪ その言葉、雷鼓殿とルーミアにもかけてやってくれ、中におるでな」

 

 

サグメ「あぁ、もちろんだ」

 

 

布都「では参ろうぞ♪」

 

 

サグメ「! あぁ、鈴仙」

 

 

鈴仙「! はい」

 

 

サグメ「道案内、助かった…ありがとう」

 

 

鈴仙「ふふっ、どういたしまして」

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙(サグメ様嬉しそうね♪ それにしてもこの豪族とお友だちとは…まぁ私も屠自古さんと友達だから人の事は言えないわね、縁って不思議だわ)

 

 

鈴仙「…さて、私も楽しむとしますか」

 

 

 

 

 【娯楽場、客席】

 

 

魔理沙「まさかの最前列を確保したぜ♪」

 

 

にとり「これで少しは緊張が和らぐよね、姉ちゃん」

 

 

みとり「う、うん…そ、そうだね」

 

 

みとり(う、後ろを振り返ったら人がたくさんだよぉ…で、でも頑張らないと…! 霊夢さんたちと劇を観るんだ…!)

 

 

咲夜「ねぇ霊夢…」

 

 

霊夢「う~ん、まぁ良いんじゃない? 最前列だってさ」

 

 

咲夜「…そうね」

 

 

咲夜(私達のために開けておいたって感じなのよね、みとりの為なのかしら…)

 

 

霊夢(たくさん来てるわね…紅魔館、白玉楼、地底、妖怪の山、命蓮寺、神霊廟、後は人里の住人達、寺子屋の子供たちね、一部居ないのは劇の参加者かしら)

 

 

霊夢(幽香とメディスンと…華扇? 何で一緒に居るのかしら…あ、藍と橙も居るわね……あれ? 紫が居ない…)

 

 

霊夢(……まぁ良いか)

 

 

 

 

 

 

 【秘密のゆかりんVIPルーム♪】

 

 

紫「娯楽場の客席中央上にみんなに気付かれないスキマを開けて観るのよ♪ 最高でしょ♪」

 

 

魅魔「まぁ確かに観やすいけどよ」

 

 

菫子「うつ伏せで観る理由は?」

 

 

紫「寝転がって観るなんて最高の贅沢じゃない♪」

 

 

サリエル「…最高ね……クフフ…♪」

 

 

紫「流石ねサリエル、話が分かるわ♪」

 

 

神綺「わぁ~♪ 人がたくさんだよぉ♪ すごーい♪」

 

 

夢子「……見心地は良いですね」

 

 

ドレミー(あぁ、この体制は寝そう…)

 

 

菫子「夢子さんと、サリエルさんだけ凄い違和感が」ヒソヒソ

 

 

魅魔「言うな菫子、後がめんどくさいからな」ヒソヒソ

 

 

魅魔(……)

 

 

魅魔(魔理沙、隣に居るのは友達か? 元気そうで何よりだぜ…♪)

 

 

エリス「キャハッ☆ これが幻想郷のホールってやつかぁ☆ 結構イケテんじゃん☆」

 

 

魅魔「ホールってか学校の体育館と作りがそっくりだな、そのまんまじゃないか」

 

 

菫子「そうですね、幻想郷じゃないみたいです」

 

 

紫「何であなた学校の体育館とか知ってるのよ」

 

 

魅魔「外の世界を旅行してんだから嫌でも見るだろ、それに菫子の学校に一緒に行ったりしてるからな」

 

 

紫「え?」

 

 

魅魔「ん?」

 

 

紫、魅魔「……」

 

 

紫「魅魔…その歳で女子高生を名乗るのは流石に引くわよ」

 

 

魅魔「アホか! 霊体で周りに見えなくして行ってるんだよ! 人間体で行くわけねぇだろうが!」

 

 

紫「そ、そうよねぇ…」

 

 

神綺「じょしこーせー? 学校?」

 

 

ドレミー「菫子さんみたいな若い人間達が通う外の世界の学舎です、私達には縁の無いところですね」

 

 

神綺「そうなんだ~♪ アリスちゃんが学校に行ってたら女子高生さんになってるのかなぁ」

 

 

菫子「アリスさんは女子高生でも違和感無いですね」

 

 

魅魔「お前も違和感無さそうだな」

 

 

エリス「え? マジ?」

 

 

菫子「うん、エリスは特に、ね♪」

 

 

エリス「おぉマジかぁ☆ 菫子ちゃんと学校とか行ってみてぇ♪ キャハッ、それパネェな☆」

 

 

菫子「ふふっ♪ うん、パネェよね♪」

 

 

サリエル「……♪」ニコッ

 

 

魅魔「夢子も…ギリ行けそうだな」

 

 

夢子「そうですか?」

 

 

菫子「はい、夢子さん制服似合うと思います」

 

 

夢子「母から離れて学校に通う、面白そうですね、それ」

 

 

神綺「だ、ダメだよぉ! 夢子ちゃんが学校に行っちゃったら反抗期になっちゃうよぉ!」

 

 

魅魔「学校行ったからって反抗期にならないぞ?」

 

 

紫「ふっふっふ…ここは八雲のゆかりん十七歳が本物の女子高生を見せて」

 

 

魅魔「想像したらガチで吐きそうになったから勘弁してくれねぇかぁ」

 

 

紫「失礼しちゃうわね魅魔ぁ!」

 

 

菫子「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

 

 

 

 

 

 【娯楽場 控え室前 8:40】

 

 

リリカ「雷鼓さん、ルーミア、そろそろ参加者の皆で円陣を組むんだけど」

 

 

雷鼓「…ごめんリリカ、もう少しだけ待ってもらえる?」

 

 

ルーミア「お願いなのだ、ちょっとだけで良いのだ」

 

 

リリカ「…うん、分かった、後十分だけ待つね」スッ

 

 

 

ルーミア「……雷鼓」

 

 

雷鼓「ルーミアちゃん?」

 

 

ルーミア「な、なぁ雷鼓…! 何かの間違いで手紙が届いて無かったり、サグメに用事があって来れなくなっちゃって」

 

 

雷鼓「あら、ルーミアちゃんらしくない考えね、それにそんなに悲しげな顔をサグメさんが見たら心配しちゃうかもしれないわよ?」

 

 

ルーミア「!」

 

 

雷鼓「大丈夫よルーミアちゃん、きっとサグメさんは」

 

 

 ガチャッ…!

 

 

雷鼓、ルーミア「!」

 

 

布都「…! 雷鼓殿、ルーミア」

 

 

ルーミア「布都…!」

 

 

雷鼓「布都さん…! と言う事は…」

 

 

雷鼓、ルーミア「!」

 

 

布都「ふっふっふ…♪ ささ、入るのじゃ♪」スッ

 

 

 

サグメ「……!」スッ

 

 

雷鼓「! サグメさん!」

 

 

サグメ「…! 雷鼓…! ルーミ」

 

 

ルーミア「サグメ~!」バッ

 

 

サグメ「わっ…!」ダキッ

 

 

ルーミア「サグメなのだ! サグメなのだ~!」ギュー

 

 

サグメ「る、ルーミア…! い、いきなり抱き着くのは…」

 

 

ルーミア「サグメ…! 待ってたのだ…ずっと待ってたのだぁ!」

 

 

サグメ「…! …♪」ニコッ

 

 

サグメ「待たせてすまなかった、ルーミア」

 

 

 サグメはルーミアの頭を優しく撫でる

 

 

ルーミア「うん…でも良いのだ、サグメは来てくれたのだ♪ 来てくれて良かったのだ♪」

 

 

サグメ「ふふっ、貴方達からの手紙は確かに私に届いたよ、そしてその想いと気持ちも…本当に来れて良かったよ、ルーミア」

 

 

ルーミア「! サグメ~…」ニコッ

 

 

雷鼓「それはこれからよ♪ サグメさん」

 

 

サグメ「雷鼓…!」

 

 

雷鼓「お久し振りね♪ 来てくれて嬉しいわ♪」

 

 

サグメ「あぁ、本当に久し振りだな…また会えて嬉しいよ、雷鼓」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ 私もよサグメさん」

 

 

雷鼓「再開の嬉しさも来れて良かった事になると思うけど、これから始まるフェス…! それを観てもここに来れて良かったと思えると思うわ♪」

 

 

サグメ「あぁ、楽しく観させてもらうとするよ」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

サグメ「そ、そーなのだー♪」

 

 

ルーミア、雷鼓、布都、サグメ「わはー♪」

 

 

サグメ(! や、やはり本家は違うな…ふふっ♪)

 

 

サグメ(何だろう…なんか…)

 

 

サグメ(凄く居心地が良い)

 

 

雷鼓「あぁ来たわ、ノってきたわぁ♪ 今なら最高なビートを刻めるわぁ!」バチッバチッ

 

 

雷鼓「はーっはっはっはー♪」バチバチ

 

 

布都「す、凄い迫力じゃ…!」

 

 

ルーミア「雷がバチバチしてるのだ…!」

 

 

サグメ「ほ、本気なのだな…雷鼓は」

 

 

雷鼓「当たり前でしょう!?」

 

 

サグメ、布都、ルーミア「!?」ビクッ

 

 

雷鼓「サグメさんが来てくれたこの嬉しさを和太鼓に乗せて皆に届けるわ! 観客にこのビートソウルを刻み付けてあげるわ!」

 

 

ルーミア「…まだ雷鼓のビートについて良く分かっていないのだ」ヒソヒソ

 

 

布都「我もだ…ハイカラ過ぎるからかの?」ヒソヒソ

 

 

サグメ「……勉強不足ですまない」

 

 

雷鼓「サグメさん! 布都さんも…! このフェスを楽しんで行ってね!」バチッ

 

 

サグメ、布都「は、はい…!」

 

 

雷鼓「さぁ行くわよルーミアちゃん! みんなぁ! 待たせてごめんなさいねぇ!」ゴゴゴ

 

 

ルーミア「お、おうなのだ…」スッ

 

 

ルーミア「…サグメ!」クルッ

 

 

サグメ「?」

 

 

ルーミア「…わはー♪ 楽しんで行ってなー♪」スッ

 

 

サグメ「! あぁ…♪」ニコッ

 

 

布都「それではサグメ殿、観客席の方に行こうぞ♪」

 

 

サグメ「あぁ、分かった」

 

 

サグメ(…本当に楽しみだよ、雷鼓、ルーミア)

 

 

 

 

 

 

 【控え室】

 

 

雷鼓「円陣ー!! テンション上げて行くわよぉ!」

 

 

リリカ「ら、雷鼓さんさっきとテンション違くない!?」

 

 

ルーミア「良いことあったからなー♪」

 

 

リリカ「だからってここまで上がるかな…」

 

 

アリス(テンション上げる必要が無い演目もある気がするけど…ここは乗っておくべきね♪)

 

 

雷鼓「さぁみんなぁ! 張り切って行くわよぉ!」

 

 

 

 おーーっ!!

 

 

 

 

 《中編へ続く!》

 

 

 

 





 取り合えずここまでです、次回の【中編】は劇の披露からプリズムリバー邸までのお話になります。

 娯楽場に関しては本当に体育館みたいな場所だと思っていただければと思います


 それからサグメのキャラが布都と会ってから元に戻っていますが、サグメは『一人で居るときや職場では感情が常にグルグルとしていて余計な事まで考えてしまうけれど、かなり心を開いている友達と居るときは不思議と落ち着く性格』の持ち主なんです。

 サグメが思う月と地上の穢れについてもこの物語で変化があり、答えを出せると思います。

 ドレミーにも心は開いていますが友達と言うよりも姉か妹に近い関係になってます、レイセンとは少しだけですが壁があるのでしょう、上司と部下の関係ですからね。


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした! 




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《第7話》『もう一人のプリズムリバー』 【中編】



 こちらは【中編】となっております、先に前編をご覧下さい。


 今回は多数のキャラクターのキャラ崩壊が起きております、劇の参加者は雷鼓を始めテンションが高いのでご注意ください、サグメと布都の視点を中心に置いています。



 【中編】は繋ぎの部分になります、そして四コマの様に話が進んでいきます。

 終盤は【後編】へのストーリーに大きく関わり、四コマっぽさは無くなります。



 『前編』にて、月から幻想郷に降り立ち、無事に友達と再会できた稀神サグメは幻想郷の娯楽を観ることとなります。 果たしてその娯楽とは!


 それでは始まります!




 

 

 

 夜の縁に舞い戻り 微かな光を辿って行く

 

 

 希薄な記憶の欠片を 探し続けて行こう

 

 

 癒しの旋律を奏でよう 思い出は私の胸の奥に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷 娯楽場、観客席 午前8:50】

 

 

 

博麗霊夢「ん、もうすぐ始まるわね」

 

 

河城にとり「いよいよだ姉ちゃん、後十分で始まるよ」

 

 

河城みとり「う、うん! はぁ…なんか緊張してきちゃった…!」

 

 

霊夢「あんたが劇をやるわけでも無いのに緊張してどうすんのよ、楽にしてなさいっての」

 

 

みとり「そうなんですけど…あぅ…」

 

 

咲夜「その緊張を舞台に向ければ自然と周りが気にならなくなるんじゃない? それに劇とかに感情移入しやすくなって良いことだと思うわよ?」

 

 

みとり「そ、そう…なんでしょうか」

 

 

霧雨魔理沙「そればっかりはみとりの気持ち次第だが、あんまり無理すんじゃねぇぞ?」

 

 

みとり「は、はい!」

 

 

にとり「楽しいお祭りみたいなもんだからね、挑戦するのも良いけど姉ちゃん自身も楽しまなきゃダメだよ?」

 

 

みとり「ふふっ♪ うん、分かったよ、にとり♪」

 

 

 

 

魔理沙「…」ジーッ

 

 

咲夜「…? 何?」

 

 

魔理沙「なんかお前さ、前よりちょっと優しくなったよな」

 

 

咲夜「! ……そう?」

 

 

霊夢「確かに、あんたって人に対して積極的にアドバイスするタイプじゃなかったじゃない」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「なら私は良い方向に変われてるって事なのかしらね」

 

 

魔理沙「そうかもな、でもどうしていきなりそんなになったのかってのは気になるんだよな」

 

 

咲夜「理由なんか特に無いわよ、それに気になる事でも無いでしょ」

 

 

霊夢「…そうね、咲夜がどう変わろうと私は興味無いし」

 

 

魔理沙「本当かよ」

 

 

霊夢「本当よ」

 

 

咲夜「本当なら話さなくても良いわよね」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜「……」

 

 

霊夢「えっ、理由あるの?」

 

 

魔理沙「お前興味に満ち溢れてるじゃねえか」

 

 

霊夢「ち、違う、違うから… ほ、ほら…! 『話さなくても良い』とか言うから気になっただけよ」

 

 

魔理沙「そういうのを興味津々って言うんだぜ?」

 

 

咲夜「あら、聞きたいの? 霊夢」

 

 

霊夢「だから違うっての」

 

 

咲夜「じゃあ話さなくて良いわね」

 

 

霊夢「えぇもちろん」

 

 

魔理沙「でもいつか聞かせろよ? お前からの『大好き』の件も含めてな」

 

 

咲夜「! ……えぇ、いつかね」

 

 

霊夢「……」ウズウズ

 

 

魔理沙「……お前やっぱ気になっ」

 

 

霊夢「あんたしつこいっての!」

 

 

魔理沙「うははは♪」

 

 

咲夜「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

魔理沙「…うん? おい霊夢、あれ…」スッ

 

 

霊夢「ん? …あれ、何であいつ居んの?」

 

 

咲夜「…? 誰?」

 

 

霊夢「稀神サグメって言うんだけど、月の民のあいつが何で…劇を観に来たのかしら」

 

 

魔理沙「かもな、輝夜か永琳が呼んだんじゃねぇの?」

 

 

咲夜「月の民…? 鈴仙からは何も聞いてないけど」

 

 

魔理沙「鈴仙が何も聞かされて無いってパターンじゃないか?」

 

 

咲夜、霊夢「あ、あり得る…」

 

 

霊夢(それより何で神子の所の布都と一緒にいるのかしら)

 

 

 

 

 

 

 ワイワイ ガヤガヤ

 

 

 

物部布都「サグメ殿こっちじゃ、そろそろ始まるでな」

 

 

稀神サグメ「あ、あぁ…」

 

 

サグメ(しかし凄い人の数だ、先の異変もそうだが何処かで見掛けた顔もちらほら居る…皆、ここで始まる娯楽を楽しみにしているのだろう)

 

 

サグメ(音楽家である雷鼓のファンの者も居るのだろうか……私も雷鼓の…いや、まだ彼女の演奏を観ても聴いてもいないのにファンを名乗るなどおこがましいか)

 

 

布都「う~む、何処に座ろうか…こういうのはやはり最前列の方が良いのかの」

 

 

サグメ「……布都、残念だが最前列は既に満席の様だ」

 

 

布都「むっ…! 流石に前は人気であったか…イカン、失念しておったわ…!」

 

 

サグメ「…?」

 

 

布都「サグメ殿を迎えると言う事だけを考えていたので席を取ることを忘れておったのじゃ! わ、我はなんという事を…! 一番大事な事ではないか…!」

 

 

サグメ「布都、私は何処の席でも構わない、立ち見でも観られればそれで」

 

 

布都「それは駄目じゃ! せっかくサグメ殿が来てくれたのじゃから観心地の良い席ではないと駄目なのじゃ!」

 

 

サグメ「そこまで考えてくれるのはありがたいのだが私は普通の観客の身だ、そんなに特別扱いしなくてもいい」

 

 

布都「いや、我は何とかしてみせるぞサグメ殿! こうなったら頼み込んででも席を譲ってもらおうぞ! それでも駄目なら実力行使で…!」

 

 

蘇我屠自古「アホかぁ!」スッ

 

 

 ゴスッ!

 

 

布都「ぬあぁっ!?」

 

 

サグメ「!?」

 

 

屠自古「朝から並んでる奴もいるってのに頼み込んで席を譲ってもらうとか普通考えるか? てか実力行使って何をする気だお前、周りの迷惑を考えろや!」

 

 

布都「痛いっ…! 何をするんじゃ屠自古ぉ!」

 

 

サグメ(この者、足が無い…幽霊…いや亡霊か? 布都と似た気も感じるが)

 

 

屠自古「頭に手刀されたぐらいで騒ぐな、そんなに痛くないだろ?」

 

 

布都「痛いわぁ! 最近は何かあれば直ぐに暴力じゃなぁ!? この大根足めが!」

 

 

屠自古「……電撃…やってやんよ…?」バチッ

 

 

布都「!? す、すいませんでしたー!」

 

 

屠自古「ふん」

 

 

サグメ(何者だ? 布都が怯えているが…ん? 『やってやんよ』…)

 

 

サグメ「……失礼だが、貴方は?」

 

 

屠自古「ん? あぁお前か? このアホのダチの月の民ってのは」

 

 

布都「アホではないわ! のう♪ サグメ殿」

 

 

サグメ「ふふっ、あぁそうだな」

 

 

サグメ「私の…大切な友だ」

 

 

屠自古「! はっ…♪ そうか…お前がそうなんだな」

 

 

屠自古「あー…いきなり悪かったな、驚いたろ」

 

 

サグメ「そうでもない、それに気にしてもいないさ」

 

 

屠自古「そうか、なら良いんだけどな」

 

 

布都「我には謝らんのかお主は…」

 

 

屠自古「ほら…コイツのダチならわかんだろ? こうやって止めてやらないと暴走するからさ、止めに来てやったんよ」

 

 

サグメ「! そうか…なるほど…」

 

 

布都「さ、サグメ殿…そこ納得してはイカン所じゃ」

 

 

屠自古「ダチならお前の暴走加減ぐらい百も承知だろ」

 

 

サグメ「そうだな…だが、納得したのはそこではない」

 

 

布都、屠自古「ん?」

 

 

サグメ「貴方か、布都の手紙に書いてあった屠自古…というのは」

 

 

屠自古「あぁそうだ、私は蘇我屠自古、よろしくな」スッ

 

 

サグメ「私は稀神サグメ…こちらこそよろしく頼む」スッ

 

 

 サグメと屠自古は互いに握手を交わす

 

 

布都「サグメ殿、我の手紙を読んでくれたのなら屠自古のことは分かるであろう? 充分に気を付けるのじゃ、怒らせたら直ぐに電撃と言う名の暴力が飛んでくるのだからの」

 

 

屠自古「その電撃を飛ばす前に私を怒らせんじゃないよ、それに私はお前が変なことしなきゃ電撃なんて落とさないんだからな?」

 

 

サグメ「あぁ、よく分かっているよ布都」

 

 

屠自古「ん…?」

 

 

サグメ「屠自古…貴方と布都の間には厚い信頼関係があること、それから貴方が心優しい人であることがな」

 

 

屠自古「なっ…!? は、はぁ!?」

 

 

布都「? サグメ殿、確かに太子様を共に支えると言う点では信頼関係は多少はあると我も思うが…屠自古は優しいとは思えんぞ?」

 

 

サグメ「ふふっ…そうかな? 私は優しいと思うのだが」

 

 

屠自古「お、おおお前! な、何を根拠にそんな…///」カアッ

 

 

サグメ「暴力とは言え布都を想っての行動、それから貴方が布都の手紙に分かりやすく加筆を」

 

 

屠自古「バッ…!? わっ、わーわー! 馬鹿や、やめろ! やめろって!」

 

 

サグメ「ふふっ…♪」

 

 

布都「む? 分かりやすく…?」

 

 

屠自古「な、何でもない! 何でもないから聞くな!」スッ

 

 

屠自古「お、お前なぁ…私のことは気にすんなって書いただろ…! てか何で私が加筆したって分かったんだよ…!」ヒソヒソ

 

 

サグメ「貴方の口癖から答えを導き出した、そしてそういう訳にもいかない、加筆してくれた事に礼を言わねば私の気が収まらないのだ、あの加筆は布都の為でもあったが私の為でもあったからな」ヒソヒソ

 

 

サグメ「ありがとう、感謝している」ヒソヒソ

 

 

屠自古「っ…! べ、別に私はコイツの為とかお前の為とか…/// そ、そんなつもりで…///」カアッ

 

 

布都「何ぞ二人でヒソヒソと…き、気になるのぅ」

 

 

屠自古(こ、こういう素直な奴は嫌いじゃないんだが調子が狂うんだよなぁ…///)

 

 

サグメ(布都と生活を共にする家族なのであろうな…口調は荒々しいが、面倒見が良い性格なのだろう)

 

 

サグメ(友以上の関係…か)

 

 

サグメ(……いや、考えるのはやめておこう、今私には大切な友が三人もいる…これだけで充分だ、ふふっ…♪)

 

 

 

 

 

布都「そういえば屠自古、お主何故ここにおる、太子様と共に客席に座っていたのではないのか?」

 

 

屠自古「あ…? あぁそうだった、その事でお前たちの所に来たんだったな」

 

 

サグメ、布都「?」

 

 

屠自古「まぁ何だ、お前たち…まぁ私も含めてだが、三人の席を取っといてあるから一緒に座らないか、って言いに来たんよ」

 

 

布都「ぬ? 何故客席が開くのじゃ、太子様も座っておるであろう?」

 

 

屠自古「あれ見ろ、後ろの方の客席」スッ

 

 

サグメ、布都「…?」

 

 

布都「ぬ? 何故太子様が聖白蓮の隣に座っておるのじゃ?」

 

 

屠自古「太子様が気を利かせてくれたんよ『月の民の者と屠自古、そして布都の三人で観るといい』ってな」

 

 

布都「な、なんと…!? 太子様ぁ…! 我はその慈悲深き行動に感銘を受けましたぞぉ…!」

 

 

屠自古「大袈裟だろ…」

 

 

サグメ(鈴仙から聞いた事がある、あれが豊聡耳神子か、オカルトボールの調査の為に永遠亭に訪れた彼女と一戦交えたと…)

 

 

屠自古(一応白蓮の隣に座った理由あるんだけどな、こころの事でだが)

 

 

屠自古「でだ、お前らどうする? 嫌なら別の席にしても良いんだぞ?」

 

 

布都「何を言う、答えは決まっておろう! 太子様のご厚意に感謝し、答えるのが太子様に仕える物の」

 

 

屠自古「こいつは仕えてねぇだろうが」スッ

 

 

サグメ「…!」

 

 

布都「! サグメ殿、ここは太子様のご厚意に…!」

 

 

サグメ「私にも断る理由はない、彼女の厚意に甘えよう」

 

 

布都「おぉ! そう言ってくれると思っておったぞ! では早速座るとしようぞ♪」スッ

 

 

 タッタッタ…!

 

 

屠自古「…やっぱあいつはしゃぎ過ぎだろ」

 

 

サグメ「ふふっ…♪」

 

 

屠自古「…悪いな、本当は布都と二人で観たかったんじゃないのか?」

 

 

サグメ「そんなことはない、大切な友が側に居るからと言って他の者を蔑ろにする様な事を私はしたくない」

 

 

屠自古「…!」

 

 

サグメ「それに貴方は幻想郷の娯楽に詳しそうだ、私と布都は娯楽には疎い、もし良かったら『この劇は何々だ』と助言をもらえると助かるのだが」

 

 

屠自古「…! はぁ…ったくしょうがねぇなぁ…///」

 

 

屠自古「私もお前に手紙書いたようなもんだしな、最後まで面通見てやんよ」

 

 

サグメ「! ふふっ…ありがとう、助かるよ」

 

 

屠自古「っ…/// で、でもあんまり私も詳しい方じゃ無いからな!? ほ、ほら行くぞ、中央の列だ」スッ

 

 

サグメ「あぁ」スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【娯楽場、舞台袖】

 

 

犬走椛「……」プルプル

 

 

椛「……」プルプル

 

 

椛(む…無理!! 絶対無理! 私には向いてないですって!)

 

 

 『総合司会 犬走椛』

 

 

椛(昨日文さんの家の飲み会で泥酔した私が悪い、それは認めます…! 認めますけど記憶が無い…私あんなこと言って無いですよ!? 言質を録音しておくなんて酷いですよぉ…)

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

射命丸文『椛、明日の人里の娯楽場での総合司会を私がやるじゃないですか』

 

 

椛『んふふふふ♪ そうれすねぇ…♪ がんひゃっれくらはいねぇ…♪ んふふ♪』フラフラ

 

 

文『えぇもちろん頑張りますよ、でもそうですねぇ、このお仕事は椛にも出来ると思うんですけどねぇ♪』

 

 

椛『んふっ…♪ わらひにへふはぁ…?』フラフラ

 

 

文『最近の椛の活躍には目を見張る物がありますからねぇ、侵入者の撃退や、悪さをしていた大妖怪の討伐…いやぁ♪ そんなものに比べたら総合司会なんて楽勝でしょう? ただ人前で喋るだけですからね♪』

 

 

椛『らくひょ~…?』

 

 

文『はたてもそう思いませんか?』

 

 

姫海棠はたて『……』

 

 

文『ほほぉ♪ そうですかそうですか、椛の司会が見てみたい! と♪』

 

 

はたて『……』

 

 

椛『んむぅ~…? 見たい~?』

 

 

文『えぇ、華麗な話術で会場を盛り上げる椛を見てみたいってはたても言ってます! もちろん私もね♪』

 

 

椛『会場~…?』

 

 

文『ふふっ、椛、娯楽場の総合司会…あなたなら楽勝な筈ですよ♪ やってみませんか♪』

 

 

椛『…ん~…』ポケー

 

 

椛『んぅ…? んふふふふっ…♪』

 

 

文、はたて『……』

 

 

文『…♪』カチッ

 

 

椛『ふふふふっ! 良いれしょう! このいにゅばしゅりもみゅじゅにお任せあり~♪ 総合司会でも何でも~♪ やってやりますよぉ~!』

 

 

文『おぉ! やってくれますか椛!』

 

 

椛『楽勝っすよ~♪ なんたってあたしはー! 誇り高き白狼天狗なんですからねぇ~♪』

 

 

文『…♪』カチッ

 

 

文『お~、そうですかそうですか♪ では頼みましたよ、椛♪』

 

 

椛『楽勝楽勝~! あっはっはっは♪』

 

 

文『…ふふっ♪』

 

 

はたて『あんた訴えられたら絶対負けるわよ』

 

 

文『はてさて…なんのことやら♪』

 

 

はたて『椛、南無…』

 

 

椛『んっふふふふ♪』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

椛(楽勝じゃないよぉ!)

 

 

椛「その後朝起きたら文さんにレコーダーの音声聞かされて…そしてこれだもん…二日酔いは無かったけどこんなのあんまりだよぉ…うぅ」

 

 

椛「台本を渡されて何を喋るかは分かってるんですけどむ、無理! 満員御礼の娯楽場で総合司会なんて無理だよぉ!」

 

 

 ガチッ…!

 

 

椛「はっ…!? しょ、照明が暗く…! も、もう始まる…!」

 

 

椛「私が出て行かないと劇が始まらない…! はうぅ! どうしようどうしよう…! き、緊張が…!」ブルブル

 

 

椛「でもやらないと皆に迷惑が掛かっちゃう…! 文さんもはたてさんも居ないから私がやらないと…! ふぅぅ…!」

 

 

椛「……」

 

 

椛「……」

 

 

椛「……」プツッ

 

 

椛「今日の夜…今日の夜が私の命日だ、うん、うんそうしよう、そうだ…うん、そうなんですよふふふ…」ブツブツ

 

 

椛「あぁ…なんかそう思うと気が楽だなぁ…ふふっ♪ 最初からそう思えば良かった」

 

 

椛「文さん、はたてさん…この犬走椛の最期の大舞台…その目に焼き付けて下さい」

 

 

椛「……!」キッ

 

 

椛「犬走椛…! いざ参る…!」スッ

 

 

 

 

 

 

《観客席 中央上 秘密のゆかりんVIPルーム♪》

 

 

 

エリス「お? いきなり暗くなったぞ?」

 

 

魅魔「暗転って言うんだよ、もうすぐ始まるな」

 

 

ドレミー・スイート「…スー…」zzZ

 

 

宇佐見菫子「あ、ドレミーさん起きて下さい、始まりますよ」スッ

 

 

ドレミー「んっ……あぁ…やっとですか…?」

 

 

サリエル「……幻想郷の娯楽…見物ね……」

 

 

神綺「うんうん♪ 夢子ちゃんもそう思うよね♪」

 

 

夢子「……」

 

 

神綺「はわっ!? む、無視!?」

 

 

魅魔「集中して観てんだから邪魔すんなっつーの」

 

 

神綺「えぇっ!? ま、まだ劇始まってないよ? 夢子ちゃん、お母さん寂し」

 

 

夢子「うるさい」ギロッ

 

 

神綺「ひっ!? は、はいぃ…!」

 

 

エリス「キャハッ☆ 夢子さんマジ怖ぇ☆」

 

 

サリエル「…今にも毛を毟りそうね…クフフ…」

 

 

ドレミー「母親を見る目付きじゃないですよね」

 

 

魅魔「その前に実の娘に怯えてどうすんだ」

 

 

菫子「あはは…」

 

 

八雲紫「……♪」ニコッ

 

 

ドレミー「…そういえば紫さん」

 

 

紫「あら、何かしら」

 

 

ドレミー「月からサグメさんが来てるんですけど良いんですか?」

 

 

紫「何が?」

 

 

ドレミー「だって紫さん、月の民が嫌いだって言ってたじゃないですか」

 

 

紫「月の民は嫌いだけど、稀神サグメの事は嫌いじゃないわよ?」

 

 

紫「私が嫌いなのは高圧的な態度で接してくる月の民よ……あぁ憎たらしい!」

 

 

ドレミー「あぁ…そうなんですか」

 

 

ドレミー(まぁ手紙を届けてる時点で容認してるって事ですもんね、サグメさんの事に関しては)

 

 

菫子「月の民ってそういう人が多いんですか…?」ヒソヒソ

 

 

魅魔「あくまでも『紫から見て』だからな、変な偏見を持つなよ?」ヒソヒソ

 

 

菫子「はい…そうします」ヒソヒソ

 

 

 パチパチパチパチ…!

 

 

魅魔「おっ! 始まるみたいだぜ♪」

 

 

菫子「あっ…! ふふっ、なんか学校の文化祭みたい♪」

 

 

紫(さてさて…♪ 素敵なお祭りの始まりよ♪)

 

 

紫(種族なんて関係ないわ…みんな、楽しんでいってね♪)

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷フェスティバル! 開幕!】

 

 

 パチパチパチパチ…!

 

 

椛「……」スタスタ

 

 

椛「……」スッ

 

 

椛「…」ペコッ

 

 

 椛はスポットライトが照らされている舞台の真ん中に立ち、観客席へ向かって深々と頭を下げた。

 

 

椛(今日の夜が私の命日、今日の夜が私の命日、今日の夜が私の命日……!)

 

 

椛(……)スッ

 

 

椛「……」スゥー

 

 

椛「幻想郷にお住まいの紳士淑女の皆様、本日はお忙しい中お集まり頂きまして、誠にありがとうございます」

 

 

椛「只今より、ここ人里の娯楽場において…! 幻想郷フェスティバルを開催します!」

 

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

椛「本日、総合司会を担当させていただきます犬走椛と申します! よろしくお願いします!」

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 モミジー! カワイイゾー!

 

 

椛「演劇、演説、音楽等々…! ありとあらゆる演目が…! 出演者が…! 皆様に娯楽を提供し、楽しませてくれる事でしょう!」

 

 

椛「それでは開幕させていただきます!」

 

 

椛「先ずは…! プリズムリバー楽団! 堀川雷鼓、九十九姉妹! 鳥獣伎楽によるオープニングセレモニーです!」スッ

 

 

 

 ワァーーー! パチパチパチパチ!!

 

 

 

 雷鼓を始めとした幻想郷の八人の音楽家達が舞台袖から登場する。

 

 

堀川雷鼓「……!」スッ

 

 

雷鼓(あぁ、良いわぁ…♪ 満席のステージで演奏出来るって最っ高…♪ それに私の演奏を聴かせたい人がいる…♪)

 

 

雷鼓(布都さん、サグメさん♪ 楽しんでいってね♪)

 

 

雷鼓「…椛ちゃんにマイク渡されちゃったけど、オープニングじゃあ歌は無いのよね、ふふっ♪」

 

 

雷鼓「今回のフェスには様々な催し物があるのは皆知ってると思うけど、演目一つ一つに音楽をつけさせてもらっているの、ここにいる八人の誰かが演者さんと一緒に会場の皆を盛り上げるわ!」

 

 

ミスティア・ローレライ「イェーイ!」

 

 

幽谷響子「イェーイ!」

 

 

雷鼓「ふふっ…♪ それじゃあ皆ぁ! 最初は私達の演奏よ! 盛り上がっていきましょう!」スッ

 

 

 

 ウォーーーー!!

 

 

 

 

 ~♪ ~♪

 

 

魔理沙「うはぁー…ついに始まったぜ、てか幻想郷フェスティバルって名前だったんだな」

 

 

咲夜「フェスティバルねぇ…雰囲気が合ってる様な合ってない様な」

 

 

霊夢「…まぁ別に良いんじゃない?」

 

 

魔理沙「楽しければってか?」

 

 

霊夢「そこまでは言ってないっての」

 

 

にとり「姉ちゃん、どう……おっ…!?」

 

 

みとり「わぁ…! ふんふ~ん♪ ん~♪」キラキラ

 

 

にとり「ありゃ、聞こえて無い?」

 

 

魔理沙「結構のめり込めるタイプなんだな、みとり」

 

 

咲夜「ノリノリじゃない、心配する必要は無かったみたいね♪」

 

 

霊夢(ノリが良いと言うか、そういうところはにとりに似てるのかしらね、咲夜が言ってた目元は…分からないわね)

 

 

魔理沙「そういやあれか? 照明とかもお前らが管理してるのか?」

 

 

にとり「そうだよ~♪ 河童の技術なめんなよ~?」

 

 

霊夢「…最近あんたら便利屋になってきてない?」

 

 

にとり「発明家だよっ! エンジニアって言ってほしいなぁ」

 

 

咲夜(大して変わらないわよね)

 

 

 

 

 

はたて「へぇ~…無理って言ってたのにきちんと出来てるじゃない」

 

 

文「あやや、椛にも意外な才能があったんですねぇ♪ 驚きですねぇ♪」

 

 

はたて「! ……あんた、もしかして…」

 

 

文「何です?」

 

 

はたて「椛に意地悪してやらせてんのかと思ったけど、『椛に司会をやらせてあげたかった』んじゃないの?」

 

 

はたて「椛はやるときはやる性格だし、司会業に不安で胸がいっぱいでも始まってしまえばちゃんとやってくれる…あんたはそれが分かってたんじゃないの?」

 

 

文「……ふふっ♪ さぁ、どうでしょうねぇ…♪」

 

 

はたて「……」

 

 

はたて(昔はお互い凄く仲が悪かった癖によくもまぁ…)

 

 

はたて(終わった後は魂が抜けて廃人みたいになるわよねきっと、天狗のよしみでフォローはしてあげるわ、椛)

 

 

文(人前に出るのが恥ずかしいというのが嘘の様ですねぇ、椛♪)

 

 

 

 

 

 

布都「おぉ~…! サグメ殿! 雷鼓殿が演奏をしておるぞ!」

 

 

サグメ「あぁ、そうだな…♪」

 

 

屠自古(見りゃわかんだろ…なんて言えねぇか、コイツらあの雷鼓って奴の演奏初めて聴いてんだもんな)

 

 

サグメ「雷鼓もそうだが、他の者達の旋律も実に興味深い…激しさ、楽しさ、哀しを音で伝えているのだな…演奏、曲を通じて自分の想いを届ける…そう感じるよ、音楽とは不思議な物だな」

 

 

布都「う、うむ…そ、そうであるな」

 

 

屠自古「お前絶対分かってねぇだろ」

 

 

布都「失敬じゃぞ屠自古ぉ!」

 

 

サグメ「ふふっ…♪」

 

 

サグメ(雷鼓…楽しそうに演奏するのだな♪)

 

 

 

 

 

雷鼓「~♪ ! ……♪」パチッ

 

 

 

 

サグメ(…!? い、今雷鼓と目が合ったな…目配せを私にした…よな…)

 

 

サグメ(な、なんだろう)

 

 

サグメ(何故かドキドキする)

 

 

 

 

 

 鳥獣伎楽のパンク・ロックバンドによるアップテンポで攻撃的なメロディー。

 

 雷鼓、九十九姉妹の和楽器を用いた和の旋律。

 

 プリズムリバー三姉妹のヴァイオリン、トランペット、キーボードによる軽快なリズム。

 

 

 それぞれの旋律が見事に合わさる事で違和感のない楽曲が生まれ、観客達を楽しませた。

 

 

 

 

 

 

椛「皆様、オープニングセレモニーで演奏をして下さった八人の音楽家に大きな拍手を!」

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

 演奏を終えた雷鼓達は観客に向かって頭を下げ、舞台袖へと捌けていった。

 

 

椛「楽団の皆様、演奏ありがとうございました、さて、素敵な音楽によって生まれた興奮が冷めやらぬうちに次のステージへと参りましょう!」

 

 

椛「続いてはこの舞台の端にあるめくり台に書かれている演目が上演されます、上演と言いましても演説、公演と言った物が皆様に披露されます! 何でも有りと言ってしまえばそれまでですが演目の一つ一つを楽しんでいただければと思います♪」

 

 

椛「それでは演者の方々、よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

【演目その一 ~レミリア・スカーレットのカリスマ講座~】

 

 

 

レミリア「くくく…! あーっはっはっはー!」

 

 

 

観客(!?)

 

 

 

レミリア「幻想郷住人のみんな! 私はレミリア・スカーレット…! カリスマの権化と名高いレミリア・スカーレットよ!」バーン

 

 

レミリア「今からこの私がカリスマとは何なのか、カリスマとはどういう物なのか、それをみっちりゆっくりじっくりと教えてあげるから覚悟しなさい!」

 

 

レミリア「まず! カリスマとは資質を現す概念みたいな物だと思っている人がたくさんいると思うけど本当は違うの、全然違うのよ!」

 

 

レミリア「何故ならば! カリスマの権化であるこの私が存在しているのだから概念なんかじゃないのよ! 先ずはそれを理解してほしいわ!」

 

 

 

観客(えぇ…)

 

 

 

レミリア「私はカリスマ、カリスマは私…! 私の存在がそれを証明しているのよ、ほら見なさい! 私から出るカリスマオーラを…!」

 

 

レミリア「ほら! ほらちゃんと見なさい! 今バリバリに出てるわよ!? このカリスマが感じ取れないそこの人! それは私を理解してない、もしくは出来ていない証拠! カリスマ理解力ゼロのおバカにも解りやすく説明してあげるわ♪」

 

 

レミリア「カリスマにはね、パチェ…あ、いやいや、自分で本で調べたんだけど魅力、特質がある者にしか宿らないと言われているらしいのよね」

 

 

レミリア「私を見れば一目瞭然だと思うんだけど、私には生まれた瞬間からカリスマの権化だと言われる所が幾つもあるの、そして今でもそれを感じ取ることが出来る物がたくさんあるわ、私の魅力と特質を教えてあげる!」

 

 

レミリア「誇り高い吸血鬼! 強い! 家族に恵まれている! 霊夢に可愛いって言われた! う~☆も可愛いって言われた! 親友がいる! 威厳を感じる佇まい! 紅魔館の主! 着脱出来る羽! 月の民の戦士に勇敢に捨て身を行った! 運命を操る程度の能力! 庶民派、納豆好きよ! カリスマガードの異常な防御力! …あっ! 後ね、カリスマガードも霊夢に可愛いって言われたわ!」

 

 

レミリア「ふふっ♪ ほら、あなた達が聞いた通りよ♪ 私から溢れ出るカリスマを感じたでしょう?」ニッコリ

 

 

 

観客(えぇ!?)

 

 

 

レミリア「まぁつまり、私があなた達に伝えたい事は何なのかって言ったらね?」

 

 

レミリア「私以上のカリスマの持ち主は存在しないし、あなた達がカリスマを持ったとしても、私を超えるカリスマを持つことは無い…残酷な事だけどね」

 

 

レミリア「けれど私を見て、理解して、学べる事はあるでしょう? カリスマが何なのか…分かってくれたかしら?」

 

 

レミリア「カリスマは感じとるもの、あなた達の一人一人のカリスマを私を通して学んで、磨きあげて行きなさい、良いわね?」

 

 

 

観客(……)

 

 

 

レミリア「ふふっ、どうやら分かってくれたみたいね♪ それじゃあ今回のカリスマ講座はここまでよ♪ 聞いてくれてありがとう♪ それじゃあね♪」スッ

 

 

 パチパチパチパチ…!

 

 

 

 

魔理沙「くっくくっ…! くくく…!」プルプル

 

 

霊夢「あんたレミリアが出てきた時から笑ってわよね」

 

 

魔理沙「だ、だってお前っ…! ぶふっ…! あっははは…!」

 

 

霊夢「…」チラッ

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「一言ある?」

 

 

咲夜「……ここに居る観客全員がお嬢様の事を可愛いと思ってくれればそれで良いの、私からは何も言えないわ…」

 

 

霊夢「…苦労してるわね、ほんと」

 

 

霊夢(私そんなにレミリアに可愛い可愛い言ってるっけ? まぁカリスマガードのポーズは可愛いかな、うん)

 

 

魔理沙「くふふふふっ…! あっははっ…!」プルプル

 

 

みとり「? ?? にとり、カリスマって何なのかな…? レミリアさんの言ってることが私、理解出来なくて」

 

 

にとり「姉ちゃん、それは皆が思ってる事だから大丈夫だよ」

 

 

 

 

紅美鈴「……」チラッ

 

 

小悪魔→こあ「…」チラッ

 

 

パチュリー・ノーレッジ→パチェ「……」

 

 

フランドール・スカーレット「…パチュリー」

 

 

パチェ「……」

 

 

パチェ「拍手をしてもらえただけでも良かったわね」

 

 

紅美鈴「そう…ですね」

 

 

こあ「は、はい…」

 

 

フラン「うん…」

 

 

パチェ「止められ無かった私が悪いのよ、そう…そうなの」

 

 

フラン「力になれなくてごめんね、パチュリー」

 

 

こあ、美鈴「……」

 

 

パチェ「……頭が痛いわ…」

 

 

フラン「私も…」

 

 

こあ、美鈴(わ、私達からは何も言えない…!)

 

 

 

 

 

屠自古「何言ってんだかわかんねぇし、何を伝えたいんだかわかんねぇ…」

 

 

布都「むぅ…? かりすま…とは一体…? 良く分からんぞ…」

 

 

屠自古「まぁ太子様にはカリスマあるだろうな、そう思えば良いだろ」

 

 

サグメ「カリスマ…」

 

 

サグメ(私の周りでは八意様、輝夜、豊姫にはカリスマがあると思うのだが)

 

 

サグメ(……布都の言う通り、良く分からないな)

 

 

 

 

 

【演目その二 ~色々な春ですよ~】

 

 

 

リリー・レッド「情熱の春をお届けっ! リリーレッドですよー!!」

 

 

リリー・ブルー「リリー…ブルー…寂しい春をお届けですよー…」

 

 

リリー・イエロー「リリーイエロー! スパイシーな春をお届けでっすよー!」

 

 

リリー・グリーン「リリーグリーン! 自然豊かな春をお届けですよー♪」

 

 

リリー・ホワイト「そして私が~…んんんん~…!」ググッ

 

 

リリー・W「リリー・ホワイトですよー♪ はっるでっすよー♪」

 

 

 

観客(!?)

 

 

 

リリー・W「はい♪ 春ですよー♪ 皆さん、いきなり私以外のリリーが出てきたからビックリしてると思うですよー」

 

 

リリー・W「でも驚く事ではないですよー、このリリー達はそれぞれが私と同じリリー・ホワイト達なのですよー」

 

 

リリー・W「服はアリスさんに作ってもらったのですよー♪ それぞれ赤のリリーと青のリリー、黄色のリリーと緑のリリーですよー♪ 私と同じ妖精リリー・ホワイトですが、この日の為にちょっと出てきてもらって協力してくれているのですよー♪ 冬の寒い中で感謝感謝ですよー♪」

 

 

リリー・W「それでですね、何故こんな格好をしているのかと皆さん疑問に思っていると思うのですよー、これには深い…深い理由があるのですよー」

 

 

リリー・W「私、リリーホワイトは考えたですよー…皆さんに来年の春を楽しんでもらうにはどうしたら良いのか、と…春を告げるだけではダメ、この小さい頭を捻りに捻って答えを探したのですよー、それはそれは苦労の連続でしたですよー」

 

 

リリー・W「そして答えを求めて数日…! ついに答えを出したのですよー! それは…!」

 

 

リリー・W「色々な春を作って皆さんにお届けして楽しんでもらうのですよー! これにビビビッ! と来たのですよー!」

 

 

リリー・W「情熱の春! 寂しい春等々! 皆さんには一人一人の春があって、それぞれの春を過ごす事になるですよー♪ そこに、私達リリーは色々な春と言う名の花を添えてあげるのですよー!」

 

 

 

 パチパチパチパチ…!

 

 

リリー・W「! わぁ…♪ 皆さん拍手をありがとうなのですよー! これは嬉しいですよー♪」

 

 

リリー・W「ふふっ♪ それでは次に、このリリー達がどんな春を皆さんにお届けするのかを詳し」

 

 

 オルァ!!

 

 

リリー達「!?」

 

 

 

観客(!?)

 

 

 

 舞台袖から二人の野生の神様が飛び出して来た…!

 

 

 

秋静葉「はいストップ! ストーップ!」

 

 

秋穣子「みなさーん? 春のお祭りは終わりですよー、はい終了~!」

 

 

リリー・W「! あ、秋さん達…!? な、何をしに来たのですよー!?」

 

 

穣子「ねぇ静葉、聞いた? リリーってば色々な春と言う名の花を皆に添えてあげるんだってさ」

 

 

静葉「えぇ聞いてたわよ穣子、ほんと…頭の中が春一番って感じの考えよね、そのまま強い風に乗ってどっかに吹き飛んじゃえば良いのにぃ…!」イライラ

 

 

リリー・W「えっ!?」

 

 

穣子「『えっ!?』っじゃないから、そもそもさぁ、こんな場所で何で春をアピールしてんのよ!」

 

 

静葉「そのアピールの仕方も姑息よねぇ…? 数で押せば良いって感じだもんねぇ!?」

 

 

穣子「何? 何なの? リリーグリーン? リリーブルー? 冗談はホワイトだけにしておきなさいよ!! 春にブルーな気持ちになるこっちの身にもなりなさいよ! えぇっ!?」

 

 

グリーン、ブルー「ひっ!?」ビクッ

 

 

リリー・W「ぐ、グリーン! ブルー! き、気にしなくても大丈夫ですよー!」

 

 

静葉「レッドとイエローに至っては私達と色が被ってんじゃないのよ! 私達に宣戦布告でもしてんの!? ねぇ!? 喧嘩なら買うわよ、秋の名の元に跪かせてあげましょうか!? あぁん!?」

 

 

レッド、イエロー「ひゃっ…!?」ビクッ

 

 

リリー・W「レッド! イエロー! 負けちゃダメですよー!」

 

 

穣子「はっ…! どうせあれでしょ? このままあんた達を放っておいたらリリーピンクだのリリーパープルだの…! ドンドン増えていくんでしょ!?」

 

 

静葉「丸でリリーのバーゲンセールよねぇ!? こちとら焼き芋のセールなんてしたこと無いのにさぁ!」

 

 

リリー・W「そ、そんなの知らないですよー!」

 

 

穣子、静葉「知れよ!!」

 

 

リリー達「えぇっ!?」

 

 

静葉「あーこれあれだわ…春をアピールすると見せ掛けて、ジワジワと秋を潰さんとする春の容赦ない責めだわ」

 

 

穣子「春告精の数の暴力って奴よね、春ってほんと野蛮…夏の幽香を見習いなさいよ」

 

 

リリー・W「そ、そんなことするわけないですよー!」

 

 

静葉「…皆さん、どう思いますか?」

 

 

穣子「春って怖いですよね? そうですよねぇ!? そうって言いなさいよぉ! ってか言え!」

 

 

 

観客(えぇー!?)

 

 

 

静葉「…あーほら、皆さん怖がってる」

 

 

穣子「色々な春の押し売り…それは怖がりますわ」

 

 

リリー・W「そ、それは秋さん達が」

 

 

静葉「穣子、これは私たち秋の出番よ、秋の魅力で皆さんを救う時よ」

 

 

穣子「そうだね、これ書き換えちゃおっと」スッ

 

 

 

【演目その二 ~色々な秋ですよ~】

 

 

 

観客(春が秋に乗っ取られた…)

 

 

 

リリー・W「ど、どうしてこんな事するですよー!? 酷いですよー!」

 

 

静葉「ですよですよと…! 何回言えば気が済むのよ! ご飯でも食べてなさいよ!」

 

 

穣子「こちとら大寒波が秋の中旬に来ちまったせいで『今年の秋は短かったですね』とか言われてイライラしてんのよ! 少しは秋の身にもなってみなさいよ!」

 

 

リリー・W「それは秋さん達のお仕事ですよー! 私にはどうすることも出来ないですよー!」

 

 

静葉「ああ言えばこういうんじゃないわよ!」

 

 

穣子「紅葉と豊穣の両方の楽しみを奪われた…秋の痛みを知りなさい!」

 

 

リリー・W「そ、そんな…」

 

 

穣子「大体『春ですよー♪』じゃないわよ、今冬でしょうが!」

 

 

リリー・W「うっ…」

 

 

静葉「冬に春をお届けしてどうすんのよ、これには流石のレティも激怒してるわ~…不味いわよこれ」

 

 

リリー・W「うぅ…」

 

 

穣子「てかさ、最初から良く考えれば分かるじゃん、リリーレッドだとか絶対流行んないから」

 

 

静葉「子供達は見た目よ見た目、白色じゃないあんたとかリリー感が無くて誰だか分からないから」

 

 

穣子「取って付けた様な個性はいらないのよ!」

 

 

リリー・W「うぅ…!」プシュゥ

 

 

リリー達(!! ま、マズイですよー! ここは逃げるですよー…!)コソコソ

 

 

静葉「あっ! ねぇ穣子、リリー・オータムって面白くない?」

 

 

穣子「はははっ! 語呂悪っ! あっははは!」

 

 

リリー・W「ゆ゛る゛さ゛ん゛!」グワッ

 

 

 カッ!

 

 

静葉、穣子「え?」

 

 

 ボフン…! 

 

 リリー・ホワイトの体から煙が吹き上がる!

 

 そして煙の中から立ち上がる大きな影、それは…!

 

 

 

リリー・W→リリー・ブラック「フハハハ! 久し振りのシャバですよぉ!」ボゴォ

 

 

静葉、穣子「!!?」ビクッ

 

 

 

観客(えぇっ!?)

 

 

 

リリー・B「毎度毎度懲りない秋共ですよぉ…? また春を囃し立て、揶揄し、茶化し、おちょくり、軽侮し、蔑む…フ、フハハ! フハハハハハハッ!」

 

 

静葉、穣子「は、ははは…」ビクビク

 

 

リリー・B「笑えねぇですよぉ!!」ゴォ

 

 

静葉、穣子「ひぃっ!?」ビクッ

 

 

リリー・B「春を侮辱した罪、その体に刻み込んでやるですよぉ…?」スッ

 

 

リリー・B「貴様ら用のとっておきの弾幕ですよぉ♪ 覚悟は良いですかぁ…?」

 

 

静葉、穣子「いっ!?」

 

 

リリー・B「フハハハ! 逃げられると思ったら大間違いですよぉ!」

 

 

リリー・B「さぁ…とうとうお約束の時が来たようですよぉ♪ 派手に散るですよぉ!!」スッ

 

 

 ゴゴゴゴゴ…!

 

 

静葉、穣子「ひっ!?」

 

 

リリー・B「ずぅえい!!」ブン

 

 

 ヒュッ…! ドゴーン!!

 

 

静葉、穣子「ぎゃあああぁぁぁぁ!!」

 

 

リリー・B「フハハハ! これぞ我が弾幕ですよぉ!」

 

 

リリー・B「……! みなさぁん…怖がらせてしまってごめんですよぉ…」

 

 

リリー・B「秋は…いや、悪は去ったですよぉ…これで一安心ですよぉ」

 

 

リリー・B「そろそろ私も元に戻るですよぉ、その前にみなさぁんに一言…言わせてほしいですよぉ」プシュゥ

 

 

リリー・B「春は一年に一回、必ずやって来るですよぉ…春と言う季節を楽しむと共にぃ…春の備えを万全にしておくですよぉ…♪」シュゥゥ

 

 

 

 ボフン…!

 

 

リリー・B→リリー・ホワイト「う~あ~…」

 

 

椛「! リリーさん、大丈夫ですか!?」

 

 

リリー・W「目~が~ま~わ~る~で~す~よ~…」グルグル

 

 

椛「え~っと…え、演目その2はこれにて終了です、リリーさん、ありがとうございました!」スッ

 

 

 椛はリリーを抱き抱え、舞台袖に捌けて行った…着弾すると爆発する弾幕を受け、大の字で倒れている秋姉妹もついでに運んで行った…

 

 

 

 

 

メディスン・メランコリー「懲りないね、秋姉妹」

 

 

レティ・ホワイトロック「どうしてこう学習をしないのかしら、冬で不機嫌になってるのは分かるんだけど…それと静葉、私怒ってないわよ」

 

 

風見幽香「ブラックの弾幕でもひび一つ入らないのね、この建物」

 

 

茨木華扇「気にするところはそこでは無いでしょうに」

 

 

 

 

屠自古「何であの妖精でかくなったんよ…身長が二倍ぐらいになってたぞ」

 

 

サグメ「でかく…なったというか変身していた様に見えたが」

 

 

布都「神であるにも拘わらずあの姉妹は何故あんなに辛辣な言葉を浴びせかけるのじゃ…」

 

 

サグメ「ふむ…春、か」

 

 

屠自古「ん? なんか思うことでもあるのか?」

 

 

サグメ「幻想郷に季節があるのが羨ましいんだ」

 

 

布都「ぬ? 月には季節が無いのか?」

 

 

サグメ「正確に言えば『月の都』には季節が無いんだ…一定の気温、湿度を保つ機械が常に稼働している」

 

 

布都「ほぉ~…」

 

 

屠自古「へぇ…」

 

 

サグメ「だが豊姫…いや、ある月の民が季節を楽しめる様にと地球の季節を再現出来る装置を作った、たまに稼働しているのを見掛けるな」

 

 

布都「な、なんと…!? それでは季節を思いのままに操れると言うことか!?」

 

 

サグメ「そうではないよ、本当に再現しているだけ…本物には遠く及ばないさ」

 

 

屠自古「それでも充分凄いなぁおい」

 

 

布都「おぉ~…♪ お? そうだサグメ殿、サグメ殿はどの季節が好きなのだ?」

 

 

サグメ「! 私は……秋、かな」

 

 

サグメ(中秋の名月…永遠亭で見た月は綺麗だったな)

 

 

布都「秋か! 秋……うぅむ…」

 

 

屠自古「お前さっきの姉妹見てそれ選ぶのな」

 

 

サグメ「……あの神達と季節の秋は別物と考えている」

 

 

布都「そう考えた方が良いんじゃろうな…」

 

 

屠自古「嫌な偏見持たれても文句言えねぇよな…」

 

 

 

 

 

【演目その三 ~アリスの人形劇~】

 

 

 

サリマ『スリア! 僕は…!』カタカタ

 

 

スリア『ダメよサリマ、私と貴方では種族が違うの…! 私達が結婚したらきっと後悔する、人間に疎まれている私と一緒になんて…!』カタカタ

 

 

スリア『貴方を傷付けたくない、辛い目にあってほしくないの! 人間じゃない私といても幸せになんてなれないわ! サリマ…どうか…どうか分かって…!』

 

 

サリマ『……スリア、聞いてくれ』

 

 

スリア『! サリマ…!?』

 

 

サリマ『種族…そんなものは関係無い! どんなに辛い運命がこれから先あったとしても構わない、私はあなたをずっと愛し続けてみせる! これからもずっと…ずっとだ!』

 

 

サリマ『この想いは変わらないよスリア!』

 

 

サリマ『……愛してる…愛してるよ、スリア』ダキッ

 

 

スリア『! サリマ…!』ダキッ

 

 

 

 こうして種族の違いと言う大きな壁を乗り越え、サリマとスリアの二人は結ばれ、家庭を築き、幸せに暮らす事ができました。

 

 互いの愛を深め合いながらいつまでも…いつまでも。

 

 めでたしめでたし…

 

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

 

アリス・マーガトロイド「ふふっ♪ ありがとう…! ありがとうございました!」ペコッ

 

 

上海人形「シャンハーイ♪」フリフリ

 

 

蓬来人形「ホーライ♪」フリフリ

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

アリス(ふふふっ♪ あぁ…なんか良いわね、こういうちゃんとしたステージで人形劇を披露するのって♪ 初めてだったけど失敗せずに出来て本当に良かった)

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

アリス(拍手が心地良いわね…♪ 魔理沙達も観てくれたし…ふふっ♪)

 

 

 キャーー♪ アリスちゃ……!

 

 

アリス(!? んっ…!?)ピクッ

 

 

アリス(えっ…? い、今の声…!)

 

 

アリス(……居るわけ無い…わよね)キョロキョロ

 

 

アリス(空耳かしら…)

 

 

 

 

 

 

にとり「やっぱりさ、改めて観るとアリスの人形劇ってレベル高いよね」パチパチ

 

 

咲夜「えぇ、糸を使っての人形捌き、人形に合わせた物語の構成力…見事だわ」パチパチ

 

 

霊夢「人形使いがアリスしか居ないから実感湧かないけど、劇の内容は今回も良かったわね」パチパチ

 

 

にとり「うん♪ 姉ちゃんはどうだった?」

 

 

みとり「……アリスさんの人形劇…私、初めて観たから…な、なんかね? 上手く言葉で伝えられないんだけど…」

 

 

みとり「…感動……うん、凄い感動したの…アリスさんの人形の扱いとか、演技とか…でも一番は物語の内容…観てて心が暖かくなるのを感じたの」

 

 

にとり「! …そうだね、私もそう思うよ、感動したよね♪」

 

 

みとり「! うん♪」ニコッ

 

 

霊夢(物語のテーマが種族を越えた愛、だもんね…みとりの心に響いたみたいよ、アリス)

 

 

魔理沙「……」パチパチ

 

 

魔理沙「内容…そうだな、内容は良かった…面白かったな」

 

 

霊夢、咲夜、にとり「くっ…!」プルプル

 

 

みとり「? 魔理沙さん?」

 

 

魔理沙「そうだな…感動もしたぜ? いや本当に水を差す様で悪いんだけどよ、ただ…ただな? 一つだけ気になる事があるんだ、聞いてくれるか? みとり」

 

 

みとり「は、はい」

 

 

魔理沙「何だあの……サリマとスリアだっけ? あの新しく作られた人形よぉ」

 

 

魔理沙「心なしか私とアリスに似てねぇか?」

 

 

霊夢「ふくっ…!」プルプル

 

 

咲夜「ふふっ…!」プルプル

 

 

にとり「ふはっ…!」プルプル

 

 

みとり「えっ!? そうでしたか…? あ…そういえばサリマ君は白黒の服で金髪、スリアちゃんは青の服にケープとカチューシャを着けてましたね」

 

 

魔理沙「後よ、逆から読んでみろ、二人の名前」

 

 

みとり「逆、ですか…? ……あっ!」

 

 

魔理沙「……もうまんまじゃん?」

 

 

霊夢、にとり、咲夜「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

霊夢「あ、あんた考えすぎよ…!」

 

 

咲夜「そ、そうよ、あれは人形じゃない…!」

 

 

にとり「た、たまたま似ちゃってただけだって…!」

 

 

魔理沙「そうか、じゃあ何でお前ら笑ってんだ」

 

 

霊夢、咲夜、にとり「くふふっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「……素直に感動したい私と、誤魔化しの『ふふっ♪』が来るのを承知でアリスに聞きたい私…どっちの私を優先させれば良いんだろうな」

 

 

霊夢「もちろん前者よ、そっちを大切にしなさい」

 

 

魔理沙「……はぁ~…」ドヨーン

 

 

霊夢、咲夜、にとり(げ、元気が…)

 

 

みとり(人形のモデルは魔理沙さんとアリスさんだったんだ…)

 

 

 

 

 

 

サグメ「素晴らしいな、人形であそこまで感情を表現できるのか」

 

 

布都「西洋の人形だから物語もハイカラかと思うとったが、とても楽しめたぞ♪」

 

 

屠自古「種族愛か、中々面白かったな」

 

 

 

 

《そして、秘密のゆかりんVIPルームでは》

 

 

 

魅魔「お前何スキマから身を乗り出して大声出してんだこらぁ!」

 

 

菫子「気付かれちゃいますよ!?」

 

 

神綺「だってだってだってぇ! 私…! 私、アリスちゃん…! アリスちゃんの劇に感動して…! びえぇぇぇぇ!!」

 

 

魅魔「感動するのは分かるがな! でけぇ声を出すな!」

 

 

紫「しんちゃん、気持ちは分かるけどバレるのはさすがにマズイわよ?」

 

 

神綺「だってゆかり~ん! 私のアリスちゃんがぁ…!」

 

 

エリス「神綺さんマジでアリスちゃんしか言ってねぇぞ☆」

 

 

サリエル「……神綺…その『アリスちゃん』がクドイのよ…劇は良かったけど…」

 

 

夢子「……」スチャッ

 

 

神綺「ふえっ!? ゆ、夢子ちゃん!? な、何で剣を構えてるの!?」

 

 

夢子「魔界に送り返す前に毟っておいた方がいい気がしました」

 

 

神綺「何を!?」

 

 

夢子「毛」

 

 

神綺「!? い~や~…! そ、それだけは~…!」

 

 

魅魔「おう、手伝ってやるぞ夢子」

 

 

エリス「キャハッ☆ 神綺さん暴れんなっ☆」

 

 

サリエル「……混ざってあげるわ…」

 

 

夢子「お手伝い感謝します、では」スッ

 

 

神綺「『では』じゃないよぉ!? あ、アリスちゃん助けて~!」

 

 

 い~や~…!

 

 

ドレミー「神綺さんが観客席にいなくて良かったですね」

 

 

紫「しんちゃんが客席に居たらアリス恥ずかしがってやらなかったかもね♪」

 

 

菫子「あ、気持ち分かります…自分の親が学校に来ていて、その時に何かを発表するのってなんか変な勇気がいるんですよね、意識してしまうときもありましたし」

 

 

紫「学校行事からは逃げられないものねぇ♪」

 

 

菫子「そうなんですよねぇ…」

 

 

ドレミー「…夢子さん」

 

 

夢子「はい?」

 

 

神綺「ゆ、夢子ちゃん!? 先っぽぉ! 剣の先っぽがお母さんの頭に当たってるよぉ!?」

 

 

ドレミー「夢子さんは如何でしたか? アリスさんの人形劇」

 

 

夢子「……」

 

 

夢子「とても面白かったです、アリスも楽しそうに劇を披露していてとても印象深かったです」

 

 

神綺「! あ~! 夢子ちゃんも私と同じなんだぁ♪ ってはわっ!?」

 

 

夢子「本当に良く動く口ですね、毛を毟る前に先ずはお口チャックからにしましょうか、神綺様?」

 

 

神綺「お口チャックって何をどうするの!? お母さん怖いよ!? てかそんな他人行儀で呼ばないでよぉ…!」

 

 

サリエル「……言い方可愛いわね…お口チャック…クフフ…」

 

 

魅魔「厳しいだろ、やることは可愛くねぇんだから」

 

 

夢子「……」

 

 

夢子(アリスの作った人形すっごい可愛い…/// 持ち帰りたい…///)ウズウズ

 

 

 

 

 

【演目その四 ~幻想郷の素敵な動物たち~】

 

 

 

高麗野(こまの)あうん「わんわん!」

今泉影狼「わんわん!」

 

 

火焔猫燐「にゃー!」

寅丸星「にゃー!」

 

 

 

観客(!?)

 

 

 

お燐「……うんそうだよね、説明いるよね…しょうがないにゃあ、あたいが説明するよ」

 

 

お燐「この演目はこの娯楽場の設計者の一人でもある地霊殿の主、古明地さとり…あたいの主のさとり様ね、その人が考えた演目なの」

 

 

お燐「ほら、あるじゃん? 犬派とか猫派とかさ、そういうの抜きにして犬と猫の魅力を知ってもらう為の演目なの、まぁあたい達が上手く伝えられるかは分からないけど楽しんでいってね♪ そんじゃ、そっちからよろしくにゃ~♪」

 

 

お燐(とは言ったものの、魅力って何を言えばいいんだろ…さとり様、あなたが『出て下さい、お燐の可愛い所が見たいのでお願いします』って言うから出たんですよ…? 他の連中もさとり様に頼まれたみたいだし、はぁ…)

 

 

 

影狼「わ、わん…! お、狼の影狼よ! よ、よろしくね」

 

 

影狼(こ、怖いわー人間怖いわー…うぅ…! ふ、普通ならこんな人前なんて絶対出ないんだけど覚り妖怪に『可愛いから出て下さい』って土下座までされたから仕方無く出てるのよね)

 

 

影狼(でも何を言うかはもう決まってるから大丈夫♪ 姫…わかさぎ姫が紙に書いてくれたこの文を読み上げるだけ…! 姫、書いてくれてありがとう…!)

 

 

影狼「え~…皆さん! 私、今泉影狼はニホンオオカミの妖怪で狼女です、狼はイヌ科の動物なのです! 一匹狼という言葉をご存知でしょうか、孤立して単独で活動している狼の事です、この話をすると私、影狼は一匹狼なのか? と思われる方もいらっしゃるかも知れませんがそんなことはありません、寧ろ外向的な性格で本当は寂しがりやの可愛い可愛い影狼ちゃんなんです」

 

 

影狼(……あれ…これ続き読んで大丈夫だよね…?)

 

 

影狼「影狼ちゃんは落ち着いた性格で優しい! 可愛いんです! 間違って私を食べようとした所も凄く可愛い! そんなうっかり影狼ちゃん『満月の夜は毛深くなるのが気になるから肌を出したくない』なんて言ってるんですが、そんなこと無いよ! 影狼ちゃんのモフモフな体毛がこの寒い時期にはかなりの需要があるんだからね! 暖かくてモフモフ…! あぁ、なんて素晴らしいんだろう! そんな影狼ちゃんのモフモフな体毛にダイブして暖を取りたい! 皆さんもそう思いませんか!? そう思ったのなら、寂しがりやで可愛い影狼ちゃんをこれからもよろしくお願いしますね! って……はっ!?」

 

 

影狼(か、かかかかっ…! 可愛いって…/// ひ、姫何を書いっ…!! それに体毛って…あぅぅ…///)

 

 

影狼「……///」プシュゥー

 

 

影狼「わ、私からは…い、以上です…///」カアッ

 

 

影狼(い、勢いで読んじゃったけど姫~…! なんて事を書いてるのよ~…! しかも全然犬のアピールしてないし! 私のアピールになっちゃってるし…! うぅ…は、恥ずかしい…///)

 

 

 

 

星「にゃー! 皆さん、私は寅丸星と言います、命蓮寺に住んでいる虎の妖怪です」

 

 

星「今回は宗教目的では無く虎…ネコ科の動物の魅力を伝える為に参りました! …そうなんですが」

 

 

星「魅力と言いましても、何を伝えれば良いのか全く分からないんです、私、命蓮寺での日々の生活の中でネコ…いえ、虎として生活したことなんてたぶん一度も無いと思いますもん」

 

 

星「まず、戒律のせいでお肉が食べられないんです、肉食である虎にはこれ拷問に近いですし、人里の屋台でお肉を見かけると思わず食べてしまいそうになるんですけど、食べたら聖のお仕置き南無三が飛んでくるので我慢してるんです、皆さん、人里の子猫達にはお肉を与えてあげて下さいね、だって可哀想なんですもん、お肉を食べられない猫ちゃん」

 

 

星「それから私は良くうっかり屋だと言われます、何に対してうっかり屋だと言われているのか聞いたところ、私は物を良く無くすらしいんですよね…でもこれには少し異を唱えたいと思ってるんですよ」

 

 

星「気に入った物を集めて貯めるコレクターのネコちゃんもいる、と聞いたことがあるんです、これを私に当て嵌めると財宝が勝手に集まってくる、これは私の能力によるものなんですが、財宝なんかよりも私が大事に大事にしてるものがあるんです、宝塔って言うんですけど、この宝塔…一つしか無いので私をコレクターとは呼べないんですが大事な物なので使わない時はしまっておくんです、大事に保管しておくんですよ、でも私の知らないところで勝手に無くなるんですよね」

 

 

星「ここでさっきの二つの話が出て来ます『ご主人がうっかりしてるから無くすんだ』と言われるんですよ…いやいやいやいや…そうじゃないではないですか、宝塔は勝手に私の知らないところで無くなるんですよ、私は妖怪ではありますがネコ科の虎、ネコちゃんは自分の集めた物を自分で無くすなんておバカな事はしない…そういう生き物なんです」

 

 

星「皆さんの中にはネコちゃんを飼っている方もいると思います、どうですか? 皆さんのネコちゃん、物を集める事はしていても無くすなんてしてないでしょう?」

 

 

星「私もそうなんですけど誰も信じてくれないんですよねぇ……宝塔は自分で勝手に無くなると言うのに、はぁ…あ、私ネコとして命蓮寺で生活してるところありました、発見しちゃいましたね♪」

 

 

星「まぁあれですね、ネコちゃんは自分の大切な物を無くさない! これネコちゃんの魅力なんじゃないでしょうか、それが他の人にとって大切な物であったとしても、勝手に無くなったという事実があるのならばネコちゃんを責める事はしないようにしましょう! それでは…!」スッ

 

 

 

 

あうん「わんわん! みんな! 私は高麗野あうん、獅子でもあるんだけど狛犬だからワンちゃんだよ、よろしくね♪ あっ、霊夢さん見て見て! 私出てるよ♪」

 

 

あうん「私なりにワンちゃんの魅力を紹介すれば良いんだよね? 任せて任せて♪」

 

 

あうん「えっと、私が狛犬だから気付いたのかも知れないけどみんな忠犬って知ってるよね? 飼い主さんに忠実なワンちゃん…そんな忠犬だけど、それって飼い主さんとお互いに信頼しあってるからこそ、そのワンちゃんは忠犬になれるってことなんだよね♪ 犬と人との良い関係ってほんと素敵なんだよ?」

 

 

あうん「飼い主さんに忠犬って認められてお互いの信頼関係が良好になるともう…えへへ…/// なんか言うの恥ずかしいなぁ…/// こう…お腹を見せて撫でて撫でて~って私達の方からアピールするの♪」

 

 

あうん「いや…/// もう本当に、えっへへへへ…/// あの気持ちよさって言ったら…/// なんて表現したら良いのか…ご主人様にナデナデしてもらってるんだなぁとか、ご主人様の手暖かいなぁってとにかく『あぁ、私愛されてるんだなぁ、ご主人様のお役に立ててるんだなぁ』ってスッゴク思うの♪」

 

 

あうん「もう…本当に…/// 霊夢さんにお腹をナデナデされてるときって本当にそんな感じで…/// えへへ…///」ニヘー

 

 

 

観客(……えっ?)

 

 

 

あうん「今まで色んな所を狛犬として守護してきたけどやっぱり博麗神社が一番だよ~♪ 守矢神社だと諏訪子さんにちょっかい出されるし、命蓮寺だと山彦妖怪さんの『おはよーございます!!』が耳をつんざくからストレス溜まりっぱなしだったけど博麗神社は全然そんなことないんだ~♪」

 

 

あうん「私が姿を現せば霊夢さんが頭ナデナデしてくれるし、ご飯だって作ってくれるの♪ お昼になって私が仰向けで日向ぼっこしていると霊夢さんが寄ってきてくれてお腹ナデナデしてくれるんだ~♪ ……たまに萃香さんにもナデナデされるけど鬼の人の力って強いよね…ちょっと乱暴…でもそんなときは霊夢さん♪ 優しくナデナデしてくれればそんな嫌なことだって吹き飛んじゃうの♪」

 

 

あうん「うん♪ あ…! みんなもワンちゃんを飼ってたり、野生のワンちゃんが側に近付いてお腹を見せて来たら優しくナデナデしてあげてね♪ ワンちゃんとの信頼関係! これが大事だよ♪ 私からは以上だよ、それじゃあバイバイ…♪」

 

 

 

 

お燐「にゃー♪ あたいは地霊殿でさとり様のペット兼、火車の妖怪! 火焔猫燐だよ、お燐って呼んでね♪」

 

 

お燐(って言っても何を話したら良いのやらだよ…! 三人とも犬と猫の魅力をちゃんと伝えるのかと思ったら最終的には自分とその身内の事ばっかりだったじゃんか! いや、何となく魅力は伝わったかも知れないけどさ、たぶんそれ一部の人にだけだよ! しかも三人とも話の内容が濃すぎるんだよー!)

 

 

お燐(な、何も思い浮かばにゃい…あるとすればさとり様が猫形態になってる私を膝の上に乗せて撫でてる時に言ったやつ…?)

 

 

お燐(『あぁ可愛い…プニプニしてる…お燐、私はたまにお燐の肉球になりたいと思うときがあるのですが、どうやったらなれるんでしょうかね?』)

 

 

お燐(……いやいやいやいや無理があるよこの話は!! この話をしたらさとり様が周りから白い目で見られるかもしれないじゃないか! この話はダメだよ! あたい!)

 

 

お燐(でもどうしたら…! この三人以上に面白い話なんて何も思い浮かばな)

 

 

 待てぇーい!!

 

 

 

あうん、お燐、星、影狼「えっ!?」

 

 

 

観客(!?)

 

 

 

 犬…!? 猫…!? 確かに可愛いがなぁ…! 他にもいるだろう!?

 

 

 犬と猫を超越した圧倒的な可愛さ…!

 

 

 どんなニーズにも答える個性豊かな可愛いらしい耳…!!

 

 

 そう…! それはぁ……!

 

 

 

 

 

因幡てゐ「ウサギだぁー!」

清蘭「ウサギだぁー!」

鈴瑚「ウサギだぁー!」

 

 

 舞台袖から三匹の兎が勢い良く飛び出してきた!

 

 

お燐、星、あうん、影狼「なっ!?」

 

 

 

観客(えぇー!?)

 

 

 

鈴瑚「ほら! 退いた退いたぁ!」

 

 

清蘭「ここからは私たち兎の時代だよ!」

 

 

お燐「ちょっ…!? あんたたち何を勝手に…!」

 

 

てゐ「仲良く手を取り合って可愛いさアピールなんて面白味が無いウサァ! 何故ならぁ…!?」

 

 

清蘭「ウサギが!」

 

 

てゐ「一番っ!」

 

 

鈴瑚「ウサギが!」

 

 

てゐ「可愛い動物の頂点っ!」

 

 

てゐ、清蘭、鈴瑚「だからだぴょん♪」キラッ

 

 

 

全員(うわぁ…)

 

 

 

てゐ「んん!? 何だ!? 不服なのか!?」

 

 

清蘭「何でみんな嫌そうな顔してるのよ!?」

 

 

鈴瑚「みんなウサギ嫌いなの!? ほらぁこんなに可愛いじゃん! 垂れ耳、折れ耳、立ち耳の三種類のウサ耳だよ!?」

 

 

 

観客(……)

 

 

 

てゐ「はぁ……みんな犬と猫に毒されてしまったんだな…しょうがない、こんな手は使いたくなかったけど…清蘭、鈴瑚」

 

 

清蘭、鈴瑚「へい、おやびん!」

 

 

てゐ「可愛いさアピールだ!」

 

 

清蘭、鈴瑚「了解っ!」

 

 

 

全員「!?」

 

 

 

鈴瑚「うふふ…♪ みなさぁ~ん、もし~、もしもウサギの方が一番可愛いって言ってくれたらぁ~…♪」

 

 

清蘭「私と鈴瑚が経営している清鈴屋のぉ~…♪ お・だ・ん・ご…♪」

 

 

鈴瑚、清蘭「安くしちゃおうかなっ♪」キラッ

 

 

てゐ「おまけに~…♪ 私の幸運もサービスしちゃうぞっ♪」キラッ

 

 

 

観客(えぇ…)

 

 

 

お燐「ちょっとちょっと! こら! そういうのは無しだよ! それになんなんだいその猫なで声は!」

 

 

影狼「そ、そうよそうよ! 物で釣るなんて汚いわよ!」

 

 

てゐ「はっ…! 何とでも言えば良いウサ! 勝った方が正義なのだよ!」

 

 

清蘭、鈴瑚「はーっはっはっはー!」

 

 

お燐、影狼「こ、このぉ~…!」

 

 

てゐ「はんっ…! 何か文句でもあるのウサか!?」

 

 

鈴瑚「喧嘩なら買うわよ!」

 

 

星「け、喧嘩はやめましょうよ~、一旦落ち着いて」

 

 

あうん「う~ん……あっ! こういう時は弾幕勝負で白黒着けよう? 霊夢さんならきっとそうするよ♪」

 

 

てゐ「! 良いね、その喧嘩乗ったぁ!」

 

 

影狼「こ、ここまで来たら自棄ね…! 犬の力を見せてあげるわ!」

 

 

あうん「うん、頑張ろー!」

 

 

お燐「しょうがないにゃあ…! こっちも負けてられないからやってあげるよ!」

 

 

星「私も猫ちゃん代表として頑張りますよ! さて宝塔を……あ、あれ!?」

 

 

てゐ、鈴瑚、清蘭「ふっふっふ…! ウサギの可愛さの前にひれ伏せぇい!」

 

 

お燐(あ、でもあたいこのウサギ達に今助けられたんじゃ…ま、まぁ良いや、ここは流れに身を任せよう、うん)

 

 

 ギャーギャー!!

 

 

椛「み、皆さん! 弾幕勝負なんてダメです! ダメですったら!」

 

 

 ドドドド…!

 

 

椛「み、皆さん! これにて演目その四は終了となります! 只今犬、猫、乱入兎たちを落ち着かせるので暫くお待ち下さい! 河童軍団の皆さん! 協力お願いします!」

 

 

 ギャーギャー! ギャーギャー!

 

 

 

 

 

霊夢「あうんのやつ~…! 何を言っちゃってくれてんのよ…!」ブツブツ

 

 

魔理沙「ほぉ~…♪」

 

 

にとり「へぇ…♪」

 

 

咲夜「ふぅん…♪」

 

 

霊夢「…! な、何よあんたら…!」

 

 

霊夢「ち、違うから…! あうんが言ってた事は全部デタラメよ」

 

 

咲夜「まだ何も言って無いじゃない? 霊夢♪」

 

 

霊夢「くっ…!」

 

 

魔理沙「お前ネコの方が好きなんじゃなかったか?」

 

 

霊夢「そ、そうよ、犬より猫の方が好きよ」

 

 

にとり「あうんって狛犬を随分可愛がってるみたいじゃん♪」

 

 

霊夢「可愛がって無いから、あいつの方からしつこく近寄って来るだけ、軽く往なしてあげてんの」

 

 

魔理沙「その割りにはお前とのやり取りをこと細かく話してくれたよなぁ?」

 

 

霊夢「だ、だから…」

 

 

みとり「霊夢さんってワンちゃんが好きなんですか?」

 

 

霊夢「ち、違う…! ほ、本当に違うから…!」

 

 

魔理沙「……」ジーッ

 

 

霊夢「うっ…! あぁんもう…! 余計な事を言うんじゃ無いわよあうぅん…」ブツブツ

 

 

咲夜「犬、好きなのね」

 

 

魔理沙「犬ってかあうんがお気に入りなのかもな」

 

 

 

 

サグメ「鈴瑚、清蘭…♪」ニコッ

 

 

布都「サグメ殿、あの者らが我が手紙に書いた月から来たと言う団子屋の二人であるぞ」

 

 

屠自古「月…? なら知り合いなのか?」

 

 

サグメ「あぁ、正確に言えば私の同僚の部下…ということになる」

 

 

布都「ほぉ…」

 

 

屠自古「あいつら月から来て人里に住み着いたって聞いたな、月に帰らなくて良いのか?」

 

 

サグメ「そうだな……恐らく大丈夫だ」

 

 

屠自古、布都「?」

 

 

サグメ(二人の帰還命令は出ていない、依姫なら直ぐに出すと思ったのだが、あの異変の後に豊姫と何か話していたことと関係があるのか…?)

 

 

布都「それよりサグメ殿! あの二人が経営しておる団子屋のみたらし団子は絶品じゃったぞ♪ 今度一緒に…あ、いや、ルーミアと雷鼓殿と四人で食べに行こうぞ!」

 

 

サグメ「あぁ、是非行こう…♪ 私も二人の作った団子を食べてみたい」

 

 

サグメ(清蘭、鈴瑚…二人とも元気そうだな…♪ 幻想郷での話を聞かせてほしいな、ふふっ♪)

 

 

 

 

 

 

【演目その五 ~さぁ、何でも質問するがいい~】

 

 

 

丁礼田(ていれいだ)舞「やんやー♪」

 

 

 

爾子田(にしだ)里乃「やんやー♪」

 

 

 

里乃「おいでませー♪」クルクル

 

 

舞「おっ…いでませー♪」クルクル

 

 

 

 キュオン…! と音を立て、ステージ上で謎の踊りを踊っていた舞と里乃の前に大きな扉が出現する

 

 

 

舞、里乃「摩多羅 隠岐奈様の~♪ おな~り~♪」スッ

 

 

 

 ガチャッ…! ギィィ…!

 

 

摩多羅隠岐奈「あーっはっはっはー♪」バァン

 

 

 

観客(!?)

 

 

 

隠岐奈「摩多羅隠岐奈(またらおきな)ここにあり! 幻想郷の娯楽場に来てやったぞ!」

 

 

隠岐奈「この楽しそうな場所…! 目立つ場所…! 私にこそ相応しいな、ふっふっふ♪」

 

 

舞「お師匠様、ここがあなたの場所でございますね♪」

 

 

隠岐奈「うん、そうだな……舞、それ今私が言ったぞ?」

 

 

舞「えっ? そうでしたっけ? 僕、最近耳が遠くて…」

 

 

隠岐奈「踊り狂うのも良いが、寝不足はいかんぞ?」

 

 

里乃「寝不足は関係無いんじゃ…お師匠様これを、司会の白狼天狗から渡されたマイクです」

 

 

隠岐奈「里乃、助かるぞ…しかし最近の河童の技術は凄いな、これも彼奴の入れ知恵か? まぁ何でもいいか……ん? ここに向かって喋ればいいの?」

 

 

里乃「そうみたいですね」

 

 

隠岐奈「おぉそうか! では……! ゴホン…!」

 

 

隠岐奈(…!! 紫、お前が隠しスキマから覗いて見ているのは私にはお見通しだぞ、人間、魔界人、獏…と? うむ? 魅魔も一緒か、彼奴までいるとはな)

 

 

隠岐奈(ふっ…良い機会だ、お前らにも見せてやろう、この摩多羅隠岐奈の威光溢れる舞台をなぁ!)

 

 

隠岐奈「ふっふっふ…! 幻想郷住人の者たちよ! 良く聞くがいい!」

 

 

隠岐奈「私は究極の秘神である摩多羅隠岐奈! 後戸の神でもあり、能楽の神でもある…多くの神格を携えてはいるが私の事は好きに呼ぶといい、変な呼び方をされても怒ったりしないからな、そんな器は小さくないからな? 何故かって? 何故なら私は秘神だからだ、それ以上でもそれ以下でも無い、まぁそんなことは置いといてだ」

 

 

隠岐奈「私がこの舞台に立って何をするのか期待に胸を膨らませている者もいるだろうがはっきりと言っておこう、私は何もしない」

 

 

 

観客(……えっ?)

 

 

 

隠岐奈「その代わり! お前たちの聞きたいこと、つまりは私に対する質問だな、その質問に私が答えてやろう! 先の異変で私を知った者もいるだろうが、それはこの舞台から見渡す限り指で数える程しかいない」

 

 

隠岐奈「それでだ、お前たちが私にすることが出来る質問のテーマだが…ズバリ、私の事だ! これが主題となる」

 

 

隠岐奈「さっきも言ったがお前たちは私の事を知らなさ過ぎるのだ、私の事をもっと知る良い機会だとおもわないか? 気になるだろう私の事、いや、気になっている筈だ、そうに違いない」

 

 

隠岐奈「さぁ何でも質問するがいいぞ♪ 挙手で来い! この私が直々に選んで当ててやろう♪ はっはっは♪」

 

 

 

観客(……)

 

 

 

 

【十分後…】

 

 

 

隠岐奈「誰も手を挙げてくれないんだが…」orz

 

 

里乃「お、お師匠様ー!?」

 

 

舞「ふあぁ~……あふぅ…♪」

 

 

里乃「ちょっと舞! 何で欠伸してるの!?」

 

 

舞「だって僕飽きて来ちゃったし、ふぁ~…眠い…」

 

 

里乃「はぁ!?」

 

 

舞「……かぁ~…♪」zZZ

 

 

里乃「お師匠様が大変なときに飽きてどうするのよ! てか寝るなぁ!」

 

 

舞「あはは、寝てない寝てない…♪ ……皆さん、お師匠様に何か質問はないんですか? 何でも良いんですよ?」

 

 

 

観客(……)

 

 

 

舞「…無いみたいだね♪ 皆さん興味ない感じなの?」

 

 

隠岐奈「はうっ…!?」グサッ

 

 

里乃「こ、こらこら! お師匠様にトゲを刺すんじゃないよ!」

 

 

 はい!

 

 

隠岐奈、舞、里乃「!」

 

 

 

文『あのー、質問良いですか?』

 

 

隠岐奈「お! お前はあの時の天狗ではないか!」

 

 

舞、里乃(あ、元気になった)

 

 

隠岐奈「ふっふっふ♪ さぁ、何でも質問するが」

 

 

文『あぁいえいえ、隠岐奈さんにではなくて後ろの二童子…舞さんと里乃さんに質問したいんです』

 

 

隠岐奈「え」

 

 

里乃「えっ…!? わ、私たちに?」

 

 

舞「……うん、良いよ♪」

 

 

里乃「ちょっ…!?」

 

 

文『お、やった♪ あの時は逃げられちゃいましたからねぇ♪ では早速…♪』

 

 

隠岐奈「……」

 

 

里乃(また急に元気が無くなった…)

 

 

隠岐奈「……チッ」

 

 

里乃(舌打ち!?)

 

 

文『里乃さん、里乃さんが持っている葉の事なんですが、それって茗荷ですよね?』

 

 

里乃「へ? う、うんそうだよ、食べると物忘れが激しくなるって迷信があるの」

 

 

文『ほぉ、だからスペルカードの名前にも使われている…と、なるほどなるほど♪』

 

 

里乃「そ、そうだね…うん、そう…なんだ、あはは…」チラッ

 

 

隠岐奈「……」

 

 

里乃(こ、答えづらいなぁ…!)

 

 

文『では次…舞さん、舞さんは笹を持っていますがその笹で何かしたいとかあったりしますか?』

 

 

舞「これで? う~んそうだなぁ」

 

 

舞「…あっ! 僕のこの笹に願い事を書いた短冊を飾ってくれたらさ、僕と里乃で踊って短冊への願い事パワーを引き出してあげるよ♪」

 

 

里乃「わ、私もやるの?」

 

 

舞「里乃も踊ってくれないと出来ないでしょ?」

 

 

里乃「そりゃあそうだけど…」

 

 

文『ほぉほぉ♪ つまりお二人の能力を幻想郷の為、人の為に使っても良いと?』

 

 

舞「うん、そういうのも良いんじゃないかって最近思い始めて来たんだよね」

 

 

里乃「え~っと…舞? 私たちはお師匠様の為だけに行動…」

 

 

舞「お師匠様はどう思います? 僕の考え」

 

 

隠岐奈「……」

 

 

隠岐奈「やれば良いんじゃないの…? そうすればちょっとは私の知名度も上がるから……」ボソボソ

 

 

里乃(声小さっ!?)

 

 

舞「…♪ まぁ僕たち幻想郷の新参者だからさ、そういうことからやってみようと思うんだ、幻想郷に馴染みたいからね」

 

 

里乃「そ、それには一理ある…かな」

 

 

文『分かりました♪ 答えてくれてありがとうございました♪』スッ

 

 

隠岐奈「……質問…くれ」ボソ

 

 

里乃「……みんな…何かお師匠様に聞きたいこと無い? 何でも良いんだよ? 答えてくれるよきっと」

 

 

舞「僕の持ってる笹に生えてる葉を使って草笛を作ってたお師匠様は可愛いかったよ♪」

 

 

里乃「聞いてない事を答えるんじゃないわよ!」

 

 

 はいはい!

 

 

隠岐奈「!」

 

 

里乃「…? あっ、あの時の妖精だ」

 

 

隠岐奈「おぉ氷の妖精か、覚えているぞ♪ バカっぽく見えて心根はバカではない面白妖精だな」

 

 

チルノ『なぁ! 質問しても良いのか?』

 

 

隠岐奈「あぁ、良いとも! …! そういえばお前、日焼けが治ったのだな、まぁ当然か、あの日焼けは私の能力のせいで」

 

 

チルノ『霊夢から聞いたんだけどお前って妖怪なのか?』

 

 

隠岐奈「妖怪じゃなくて神様ですよー…ってはあっ!?」

 

 

舞、里乃「ぶふっ…!?」プルプル

 

 

 

観客(ふふっ…!)プルプル

 

 

 

隠岐奈「お前は何を言っているんだ!? 最初に私は摩多羅神だと名乗ったのを聞いていなかったのか!?」

 

 

チルノ『いや聞いてたけどさ、お前が神様じゃなくて妖怪だって霊夢が言ってたからさ、気になった!』

 

 

舞、里乃「くふふっ…!」プルプル

 

 

隠岐奈「なっ…!? お、おい博麗の巫女! 私は神様だと二回も言ったんだぞ!? 忘れたのか!?」

 

 

霊夢『……』

 

 

隠岐奈「な、何故黙りを決め込む!? ほら、お前も私に質問しろ!」

 

 

霊夢『え? 質問して良いの?』

 

 

隠岐奈「さっきから質問して良いと言っているだろう? さぁほら、質問を」

 

 

霊夢『あんたって本当は妖怪なんでしょ?』

 

 

隠岐奈「妖怪じゃなくて神様ね♪ っておいぃ! 妖怪じゃなくて神様だと言っただろうが! これで三回目だぞ!?」

 

 

霊夢『ふふふっ…!』プルプル

 

 

 はーい!

 

 

隠岐奈「おっ! お前は…」

 

 

魔理沙『私も質問良いか?』

 

 

隠岐奈「もちろんだとも♪ お前は先の異変で私が認めた唯一の人間だからな♪ サービスだぞ♪ 深い質問でもいい、何でも答えてあげるよ」

 

 

魔理沙『いや、もう本当によ、お前に会ったときから気になってたんだ、異変が終わった後も気になって夜も眠れなかった、滅茶苦茶気になってるんだ…』

 

 

隠岐奈「そ、そこまで気になってくれていたのか…! なんか嬉しいぞ、やはりお前は見込みがあるな♪」

 

 

魔理沙『…答えてくれんのか? でも答えづらいと思うぜ?』

 

 

隠岐奈「大丈夫だ霧雨魔理沙、私はどんな質問でも答えてみせる、約束しよう」

 

 

魔理沙『そうか…じゃあ聞くぜ?』

 

 

魔理沙『隠岐奈、お前ってさ…』

 

 

 

 

 

 

魔理沙『妖怪なのか?』

 

 

隠岐奈「妖怪じゃなくて神様ですよー……!? って何回言わせるんだクルァ!!」

 

 

舞、里乃「はははっ!」

 

 

魔理沙『だっははは!!』

 

 

 

観客『あっはははは…!』ドッ 

 

 

 

隠岐奈「!? わ、笑うなっ! 笑うんじゃなーい!」

 

 

隠岐奈「わ、私は…/// うっ…! か、神様だ! 秘神なんだぞぉ! 摩多羅神なんだぞぉ! 信じろぉ!」

 

 

隠岐奈「あっ…/// うぅ…/// よ、妖怪じゃない! 妖怪じゃないんだからな! それだけは覚えておくんだぞ! ってかいつまでも笑うなぁ!」カァッ

 

 

隠岐奈「ぬぁぁ…! こ、こんな形で目立つ事になるとは…! やはり自分で自分の事を語った方が良かったか…?」

 

 

舞「だから僕言ったじゃないですか、お師匠様はお師匠様らしくした方が良いって」

 

 

隠岐奈「……むぅ…少し自信が無かったんだよ、摩多羅神なんて聞いたこと無いって人もいるだろうからって…」

 

 

里乃(お師匠様は優しい所があるんだけどなぁ…まぁこれから知っていってくれれば良いのかな?)

 

 

里乃「…今度博麗神社の宴会、参加しましょう?」

 

 

隠岐奈「そ、そうだな…」

 

 

隠岐奈(紫、今度お前の所に行くからな、神社への宴会…私も参加させてもらうぞ)

 

 

隠岐奈「里乃! 舞! か、帰るぞ!」スッ

 

 

 ギュン!

 

 

隠岐奈「だ、だが少しは目立つ事は出来た…か?」スッ

 

 

里乃「あっ! お、お師匠様! 待って下さい!」スッ

 

 

舞「あ、みんなバイバイ♪ これから私たちとお師匠様をどうぞよろしく~♪」スッ

 

 

 隠岐奈が出現させた扉の中に三人は消えて行った…

 

 

 

 

魔理沙「はは、ちょっと意地悪しすぎちまったかな」

 

 

霊夢「笑い者にさせちゃったからね…でも、あいつ目立つ為にここに来たんだろうからさ」

 

 

魔理沙「結果的に目立つ事が出来て良かったか?」

 

 

霊夢「そう思ってるかもね」

 

 

魔理沙「今度神社に来たときに謝っとくか」

 

 

霊夢「一応あいつもようか…神様だからね」

 

 

魔理沙(妖怪って言いかけたな)

 

 

 

 

 

 

 《秘密のゆかりんVIPルーム》

 

 

紫「はははっ! あっはははは!」ゲラゲラ

 

 

魅魔「お前さっきから笑いすぎだろ」

 

 

紫「だ、だって魅魔…! 見…! くふっ…! 見てたでしょ? あんなの笑うじゃない、あっはははは♪」

 

 

紫「隠岐奈…ぷふっ…! ははははっ…♪ はぁ~面白い♪」

 

 

菫子「ひ、秘神摩多羅って後戸の神様って言われてるあの摩多羅神の事ですか?」

 

 

魅魔「あぁそうだ、大物には違いないんだけどな…こいつと一緒みたいなもんだし」スッ

 

 

紫「ふっふふふ…!」

 

 

菫子「…?」

 

 

サリエル「……あの神、面白いわね…こっちに気付いていたし…」

 

 

菫子「えっ!? そうだったんですか?」

 

 

サリエル「…こっちを一瞬見ていたわ…まず気付いているわね……後ろの二人は気付いて無かったけど…」

 

 

エリス「それにチョー強そうだったな☆」

 

 

夢子「何故か紫殿と同じ様な気を感じましたね」

 

 

神綺「あ、私もだよ夢子ちゃん♪」

 

 

夢子「まだ魔界に帰ってなかったんですか?」

 

 

神綺「お母さん最後までいるからね!?」

 

 

菫子「紫さんと同じ…? ですか?」

 

 

魅魔「ん~…まぁそう捉えちまうのもしょうがないよな」

 

 

ドレミー「ですよねぇ、あの人も紫さんと同じ幻想郷を作った賢者の一人ですし」

 

 

菫子、神綺「えぇっ!?」

 

 

エリス「マジかよ☆ あいつパネェな☆」

 

 

サリエル「…パネェわね…クフフ…♪」

 

 

夢子「驚きましたね」

 

 

紫「まぁそれだけよ…腐れ縁よ腐れ縁」

 

 

魅魔「腐れ縁ねぇ…♪」

 

 

紫「何よ」

 

 

魅魔「お前らって結構仲良くないか?」

 

 

紫「そんなことありまっせーん♪」

 

 

魅魔「それに能力だってちょっと似てるだろ?」

 

 

紫「はぁ…!? ちょっと魅魔…! あいつと一緒にしないでくれない?」

 

 

菫子「えっと隠岐奈さん…でしたね、どんな能力なんですか?」

 

 

魅魔「あいつは『あらゆるものの背中に扉を作る程度の能力』だ、隠岐奈の作る扉は何処にでも移動できる、人の背中に扉を作ればそいつの潜在能力を目覚めさせたりできるのさ」

 

 

魅魔「因みに隠岐奈の部下、二童子である舞と里乃の能力…舞は『後ろで踊る事で生命力を引き出す程度の能力』で里乃は『後ろで踊る事で精神力を引き出す程度の能力』だったな」

 

 

菫子、エリス「へぇ~」

 

 

夢子「三人とも戦闘だとサポートに特化している様ですね」

 

 

魅魔「それは魔界人視点の話だろ? 幻想郷じゃ舞と里乃は賑やか担当、隠岐奈の能力は紫と似てるって事ぐらいしか思い付かねぇな」

 

 

紫「だから一緒にしないでって言ってるでしょ…! 私は境界、隠岐奈は『ちょっと便利な無限どこでも○ア』でしょ?」

 

 

菫子、ドレミー「ぷふっ…!」

 

 

魅魔「ふははっ…!」

 

 

夢子、神綺、エリス、サリエル「…?」

 

 

紫「あんなもんさぁ…えぇ? どこからどう見ても『どこでもド○』じゃない、私のスキマの足元にも及ばないオキえもんさんの能力よ、あいつのはいちいち扉を開かなきゃならないけどゆかりんのは直ぐよ? ギュオン! と開いて直ぐ届くのよ? 私の方がお手軽で早いの! だから一緒にしてはいけませーん♪」

 

 

紫「それにオキえもんはさぁ、目立ちたがり屋のバカちんなの、そこが私と全然違うところなのよねぇ♪ 空を自由に飛びたいなぁ~♪ とかあいつの目の前で歌っても『幻想郷住人の大半は飛べるじゃな~い♪』ってなるのよ? 歌ったこっちが虚しくなるのよ?」

 

 

菫子、ドレミー「あっははっ…!」

 

 

魅魔「ちょっ…! お、お前やめろ…! はっははは!」

 

 

紫「オキえも~ん! また藍に仕事を押し付けられちゃったよぉ! 四次元ドアから藍を懲らしめる何か道具を出してよぉ!」

 

 

紫「『しょうがないなぁゆかりんは♪ とっておきの扉を開いてやろうな! はーっはっはー♪』」

 

 

ドレミー、菫子「くふふふふっ…!」プルプル

 

 

魅魔「に、似すぎだろおまえっ…! あっはははっ!」プルプル

 

 

紫「オキえもんは不思議なドアで何でも叶えてくれるもんねぇ♪」

 

 

菫子、ドレミー、魅魔「んはははっ…!」ゲラゲラ

 

 

エリス「オキえもんってあだ名なん? オッキーナの方が可愛くね?」

 

 

神綺「私はマッキーナの方が可愛いと思うなぁ♪」

 

 

サリエル「…私はラッキーナを推すわ…」

 

 

夢子「なんとかッキーナから離れた方がよろしいかと」

 

 

紫「……」

 

 

紫(隠岐奈、空気は読める奴…そこだけ、うん、そこだけはゆかりん認めてあげてるわ)

 

 

紫(威光云々を語って目立つよりかは宴会に参加した方が目立つと思うんだけどねぇ…)

 

 

紫(ふふっ…隠岐奈? せっかく表に出て来たのならあなたの好きなようになさい、あなたはそれぐらいでちょうどいいんだから…♪)

 

 

 

 

 

【演目その六 ~秦こころ(能楽)希望の面の在処~】

 

 

 

秦こころ「希望の面は、我と共にあり…」スッ

 

 

こころ「これからも共に…歩みを進めん…」

 

 

こころ「万一…再び我が手元から離れんとしたとき…」

 

 

こころ「我、ひと度…道端の小石に目を向け…共に希望を探し出そうとせん…!」

 

 

こころ「はるかなる場に居ようとも…我は小石と共に希望を求めよう…何時か…必ず…!」スッ

 

 

 ポポン…!

 

 

 

こころ「……」スッ

 

 

こころ「…」ペコッ

 

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

こころ「ありがとう…!」ペコッ

 

 

 

 こころに客席から大きな拍手と、大きな歓呼の声が上がった。

 

 

 能楽に用いられた能楽囃子の楽器を担当した四人の者たちにも同様に客席からの歓声を受ける。

 

 それぞれ太鼓の雷鼓、小鼓の八橋、大鼓の弁々、笛のメルラン、彼女たちの活躍も称賛を受けた

 

 

こころ「おぉー、歓声が凄いな」

 

 

こころ「これが歓声を浴びて嬉しい時の表情…♪」スチャッ

 

 

 

 

 

 

 

古明地こいし「わぁ~♪ あははっ! こころちゃん嬉しそう♪」

 

 

古明地さとり「……ふふっ…♪」

 

 

霊烏路空「さとり様? どうしたんですか?」

 

 

さとり「お空、こころさんの能を観て如何でしたか?」

 

 

お空「うにゅ? う~ん…難しい事は私には分からないんですけどとにかく凄いなぁと思いました!」

 

 

さとり「そうですね、私もそう思います」

 

 

お空「お~♪ やった♪ さとり様もおんなじだ♪」

 

 

さとり「…♪」

 

 

さとり(道端の『小石』を求める…ですか、ふふっ…♪)

 

 

さとり(こころさん…これからも私の妹をよろしくお願いします)

 

 

こいし「面白かったね♪ お姉ちゃん、お空♪」

 

 

お空「はい! とっても面白かったです!」

 

 

さとり「えぇ、とってもね…♪」

 

 

 

 

豊聡耳神子「素晴らしい…! 見事だったぞ、こころ」

 

 

聖白蓮「今回も明媚でたおやかな能でしたね、こころ、お疲れ様でした」

 

 

聖「しかし…あの面のデザインは何とかならないのですか?」

 

 

神子「何を言う、希望に満ち溢れた美しい面だろう」

 

 

聖「美しい…? あなたの顔から生気が抜け出た様なデザインのあの面がですか?」

 

 

神子「生気に重点を置いて作っている訳では無いからな、希望があればそれで良いのだよ、はっはっは♪」

 

 

聖「こころの気持ちを考えなさい、あの面を持って人里を大手を振って歩けますか?」

 

 

神子「私は歩けるぞ? 私も歩けるということは、こころも歩けると言うことだ、私はあの子の親だからな♪ はっはっは♪」

 

 

聖(相変わらず自己完結の激しいこと、こころから直接聞いた事はあるんでしょうか)

 

 

 

 

屠自古「ふっ…♪ 頑張ったな、こころ」

 

 

布都「こころ殿の能はいつ観ても甘美な気持ちになるのぅ♪ 思わず見入ってしまうのじゃ♪ 雷鼓殿たちの囃子も見事だったぞ」

 

 

サグメ「そうだな、彼女の能楽も素晴らしい物があったが雷鼓達の囃子…舞台の演者の邪魔にならないように音量を控え目に、柔らかく演奏していた様に聴こえたよ」

 

 

布都「お、おう…わ、我もそう思っておったぞ!」

 

 

屠自古「お前絶対分かってないだろ」

 

 

布都「二回も言うでないわ屠自古ぉ!」

 

 

サグメ「ふふっ…♪」

 

 

サグメ(古くからある伝統の芸の型を守り、演じ、伝えて行く、その姿勢は見習いたい物だな…月では次々に新しい物が造られるから古い物は直ぐに排除されてしまう)

 

 

サグメ(気持ちが入っていたり、想いがこもっていたりすると古い物でも違って見えて来るのかもしれないな)

 

 

 

 

 

【演目その七 ~鳥獣伎楽と地獄に行こうぜ!~】

 

 

 

ミスティア「イエェーイ!!」

 

 

響子「おっはよーございまぁぁーーす!!」

 

 

 ゴォォォ!

 

 

観客(!?)

 

 

 黒いパンクファッションの服に身を包み、サングラスをかけた二人が会場に派手にシャウトする。

 

 

 

ミスティア「またの名を寺子屋の生徒ミスティア…またの名を屋台の女将、おかみすちー…そしてまたの名を…!」

 

 

ミスティア「パンク・ロックバンド鳥獣伎楽のギター担当のミスティア・ローレライなんだぜぇ! イエェーイ!!」

 

 

響子「ぎゃ~て~ぎゃ~て~♪ 命蓮寺ではでかいシャウトは禁じられてるけど朝の挨拶は何故か禁止されないのが最近の不思議! ボーカル担当の幽谷響子なんだぜぇ! イエェーイ!」

 

 

ミスティア「イエェーイ!!」

 

 

響子「はい皆さんご一緒にぃ!」

 

 

ミスティア、響子「イエェーイ!」

 

 

 

観客「い、イエェーイ!!」

 

 

 

響子「サンキュー!」

 

 

ミスティア「サンキュー! ……これから、鳥獣伎楽のライブを始めるけど今回はちょっとしたコラボって奴をやってるんだよね、ボーカルの人を一人増やしてるんだぜ!」

 

 

響子「この日の為だけのスペシャルコラボって奴だぜ! みんなぁ! 楽しんでってくれよぉ!」

 

 

ミスティア「それじゃあ河童のみんなぁ! 暗転よろしくぅ!」

 

 

 カチッ!

 

 ざわざわ…! ざわざわ…!

 

 

 

??「……今回ボーカルを担当させてもらってありがたく思ってるわよん♪ パンク・ロックバンドに地獄を足したら?」

 

 

ミスティア「そりゃあもう地獄の中の地獄だぜぇ!」

 

 

??「変なTシャツ? はっ! 地獄のファッション舐めんじゃないわよん!!」

 

 

響子「ウェルカム・トゥ・ザ!」

 

 

 

 カチッ!!

 

 

 

??→ヘカーティア・ラピスラズリ「ヘルアンドヘェェル!」

 

 

ヘカ、響子、ミス「イエェーイ!!」

 

 

 

 

観客「えぇー!?」

 

 

 

 

ヘカーティア「曲のタイトル言っちゃってぇ!」

 

 

響子、ミスティア「『ファニーTとは言わせねぇ!』」

 

 

ヘカーティア「盛り上がっていくわよん♪」

 

 

響子、ミスティア「ワン・ツー・スリー! イェーイ!」

 

 

 ジャカジャーン!! ~♪ ~♪

 

 

 ワー! ワー!

 

 

 

 

 

 

東風谷早苗「へ、変なTシャツヤローさん…」

 

 

八坂神奈子「ははっ! 面白いな、あの地獄の女神がロックバンドでボーカルをやるとは、結構周りも盛り上がっているじゃないか」

 

 

洩矢諏訪子「でも今回だけなんだろ? ずっとやってくれないと面白くないじゃん?」

 

 

神奈子「どうだろうな、三位一体のヘカテー神…体の一つは幻想郷の住人、これの評判が良かったら続けていくかもしれないぞ?」

 

 

諏訪子「お、だとしたらファンになってやっても良いね♪ ああいうの外の世界に居たときにちょっと聴いてたから懐かしくてさ」

 

 

早苗「ファン…!? やめましょうよ、あの変なTシャツが流行りでもしたらどうするんですか!」

 

 

早苗「大体曲名の『ファニーTとは言わせねぇ』って…ファニーっておかしな…って意味でしたよね、自分で認めちゃってる時点でもう常識が」ブツブツ

 

 

神奈子「早苗、人の趣味にケチは…いや、それよりもそのTシャツ嫌いはなんなのだ」

 

 

諏訪子「早苗はおちゃらけた服装が好きじゃないからね♪」

 

 

神奈子「私はそうは思わないのだが」

 

 

早苗「神奈子様! そう思っていただかないとあの変なTシャツを着ることになるかも知れませんよ!?」

 

 

神奈子「う、うん!?」

 

 

諏訪子「あの服を神奈子が着てたら絶対笑う自信あるなぁ♪」

 

 

 

 

 

純狐「キャー♪ ティアー! カッコいいわよー!」

 

 

クラウンピース「えぇー!? うっそぉ!?」

 

 

クラウンピース(ノリノリで歌ってるけど曲名ダサすぎでしょ!? Tシャツが益々変に見えて来るじゃん! ご主人様そういうの分かんないのかな)

 

 

純狐「ほら、クラウンピースも立って立って! ティアの事を応援しましょ♪」

 

 

クラウンピース「えぇ!? あ、あたいもですか!?」

 

 

純狐「だってティアがあんなに頑張っているのよ? 応援しなきゃ! ね?」

 

 

クラウンピース「は…はい…」

 

 

クラウンピース(友人様も気付いて! あの歌が広まれば広まる程ご主人様の『変T度数』が上がるんですってば!)

 

 

 

 

サグメ、布都「!?」

 

 

布都「さ、サグメ殿…」

 

 

サグメ「あ、あぁ…」

 

 

サグメ(ヘカーティア・ラピスラズリ…幻想郷に居着き、馴染み始めたとは聞いていたがまさかここまで…いや、今問題なのはそれではない)

 

 

サグメ「布都…あのギターとか言う楽器を担当しているのは前に私が幻想郷に来た時、貴方達と共に世話になったあの屋台の女将…なのか?」

 

 

布都「そ、その筈じゃ…し、しかしあの豹変ぶりは…本人とは思えぬな」

 

 

サグメ「音楽をやっていると聞いたのは記憶しているがこんなに激しい物だったとは…丸で爆音の様だな」

 

 

屠自古「すげぇよなあの女将…演奏しているときだけタガが外れると言うかなんと言うか…それでも本人なのは変わらないんだけどな」

 

 

サグメ、布都「そ、そーなのかー…」

 

 

サグメ(音楽は人の心でさえ変えてしまうのかもしれないな…それほど打ち込めているとも捉えられるか)

 

 

サグメ(私も…いや、あそこまで豹変するのは流石に無い、か)

 

 

 

 

 

 

【最終演目 ~?????~】

 

 

 

椛「皆様、幻想郷フェスティバルはお楽しみいただけているでしょうか! 先の鳥獣伎楽&地獄の女神は大いに会場を盛り上げてくれましたね! 客席の皆さんの熱気がこちらにも伝わって来るほどでした」

 

 

椛「宴も酣ですが、始まりもあれば終わりもあるものです…次の演目が最終演目となります」

 

 

椛「最終演目では皆様に癒しをお届けする演目になります…! え? どんな癒しなのかですか?」

 

 

椛「ふふっ…♪ それは楽器を担当する四人の方達曰く…」

 

 

椛「可愛さ! だそうです! それでは! 演目のラストを飾ってくれるのはこの方々です!」

 

 

椛「異色の音楽ユニット! ホリズムリバーミア!」

 

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

 

 舞台袖からルーミア、雷鼓、プリズムリバー三姉妹が出てくる。 

 

 五人の口元には河童達が作った小型のマイクが着けられている。

 

 

 

 

布都「ぬおっ!? サグメ殿!」

 

 

サグメ「! ルーミア、雷鼓…!」

 

 

 

 

 

 

ルーミア「わはー♪ 私が最後に出てきてびっくりしたかー?」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ 驚いてくれたかしら、サプライズのつもりだったんだけど」

 

 

リリカ・プリズムリバー「みんなは私たち姉妹と雷鼓さんのユニット、ホリズムリバーは知ってると思うけどルーミアの登場は予想出来なかったでしょ♪」

 

 

ルナサ・プリズムリバー「驚いてくれないとやる気が無くなるから驚いてほしいんだよね…」

 

 

メルラン・プリズムリバー「『わーっ!』とか『えぇーっ!?』みたいなのがほしい! ってか下さい!」

 

 

リリカ「こらぁ! 暗くなるのと催促は禁止だよ!」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ えっとね? 私たちが最終演目の担当になったわけだけど何をするのか…これをまずは話しておくわね」

 

 

雷鼓「私たちホリズムリバーは演奏を、そしてこのルーミアちゃんが歌を歌うの、歌詞はもちろんオリジナルよ♪ 歌詞は私とルーミアちゃんで考えたの♪」

 

 

 

観客「えぇ!?」

 

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

ルナサ「あ、驚いてくれたわ…!」

 

 

メルラン「なんかやる気出てきたわ…!」

 

 

リリカ「失敗云々言ってたのが嘘の様だね…二人のスイッチ入ったよ、雷鼓さん」

 

 

雷鼓「良し! 準備は良いかしら?」

 

 

リリカ「うん!」

 

 

メルラン、ルナサ「オッケー!」

 

 

 ルナサはヴァイオリン、メルランはトランペット、リリカはキーボード、雷鼓は和太鼓を構える。

 

 

ルーミア「……」

 

 

ルーミア(サグメ…布都…チルノ達みんなも…観てくれてるなー…少し不安だなー)

 

 

雷鼓「…! ルーミアちゃん」

 

 

ルーミア「!」

 

 

雷鼓「…大丈夫…♪ 行くわよ?」ニコッ

 

 

ルーミア「! …わはー♪」ニコッ

 

 

ルーミア「それでは聞いてほしいのだ! 曲名は…」

 

 

ルーミア『7の付く日は7日なのかー♪』

 

 

 

 

 

 ~♪ ~♪

 

 

ルーミア『ふんふんふ~ん♪ ふんふんふ~ん♪』

 

 

ルーミア『7日~なのかー♪ そーなのかー! 7日~なのかー♪ そぉーなのかー!』

 

 

ルーミア『7日なのかそーなのかー? そーなのかーったら7日なのかー! 7日の日では無かったとしても7の付く日7日なのかー!』

 

 

ルーミア『7日~なのかー♪ そーなのかー! 7日~なのかー♪ そぉーなのかー!』

 

 

雷鼓『7日なの~? そうなの~?』

 

 

ルーミア『そーなのだー♪』

 

 

リリカ、メルラン、ルナサ『わはー♪』

 

 

ルーミア『疑ってるなら教えてやるのだ♪』

 

 

雷鼓『大見得切って言っちゃって♪』

 

 

ルーミア『7日であろう! そうであろう!』

 

 

ルーミア『そーなのだー♪』

 

 

雷鼓、ルナサ、メルラン、リリカ『わはー♪』

 

 

ルーミア『そうなの~? って私が言ったな~♪』

 

 

メルラン『ちょっと待って~♪ おかしくない?』

 

 

リリカ『17日も7日なの~?』

 

 

ルナサ『27日も7日なの~?』

 

 

雷鼓『これに対してルーミアちゃん♪』

 

 

ルーミア『…7日ではない…そうではない』キリッ

 

 

雷鼓、ルナサ、メルラン、リリカ『えっ…』

 

 

ルーミア『……』

 

 

ルーミア『わはー♪ 嘘なのだー♪』

 

 

雷鼓、ルナサ、メルラン、リリカ『そうだったのかー♪』

 

 

五人『わはー♪』

 

 

ルーミア『7日~なのかー♪ そーなのかー♪ 7日~なのかー♪ そぉーなのかー♪』

 

 

ルーミア『7日なのだそーなのだー♪ そーなのだーったら7日なのだー♪ 7日の日では無かったとしても7の付く日7日なのだー♪』

 

 

ルーミア『毎月~♪ 7日~の日は自ずと~♪ やってく~るのだ何故なら~♪ 7の付~く日は』

 

 

ルーミア『7日だ~から~な~♪』

 

 

五人『わはー♪』

 

 

 

 ~♪ ~♪

 

 

 

 

 

 パチパチパチパチ!! パチパチパチパチ!!

 

 

 ワー! ワー!

 

 

 

 

ルーミア「! わはー♪ ありがとうなのだー!」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ ありがとう! ありがとうね♪ みんな!」

 

 

ルナサ「ほぁぁ…! う、歌えたぁ…!」

 

 

メルラン「リリカ私生きてる!? ちゃんと歌えてた!? 演奏出来てた!?」

 

 

リリカ「出来てたから! 大成功だったから!」

 

 

雷鼓「大丈夫よ、ルナサ、メルラン…♪ ほら、みんなの拍手と歓声が聞こえるでしょ♪」

 

 

ルナサ、メルラン「!」

 

 

ルーミア「みんなの演奏があったから歌えたんだぞー♪ 本当にありがとなのだー♪」

 

 

リリカ「! ふふっ♪ ありがとね♪ ほら、姉さんたちも素直に喜ぼうよ、ね♪」

 

 

ルナサ「…ちょっとだけ歌を歌うなんて雷鼓さんから聞かされたときは不安だらけだったけど…ここまで拍手されちゃあね♪」

 

 

メルラン「喜ばない訳にはいかない…わね♪」

 

 

リリカ「! そうだよ、二人とも♪」

 

 

雷鼓「ふふっ♪」

 

 

ルーミア「わははは♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「あはははっ! な、なんか…! ふっはは…! なんか良いな、あの歌」

 

 

霊夢「中毒性あるわよね、歌詞が」

 

 

咲夜「確かにね、それに…まぁ可愛かったわ、お嬢様には負けるけど♪」

 

 

みとり「わぁ~♪ 可愛い歌だったなぁ、リズムも何もかもが可愛かったよ~、ルーミアちゃんって可愛いね♪」

 

 

にとり「可愛いってのは認めてあげても良いんだけどねぇ…私に変なあだ名を着けなきゃ可愛いのにねぇ…やれやれだよ」

 

 

魔理沙「7日~なのかー♪ ってか?」

 

 

霊夢、咲夜、にとり、みとり「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「あ、やべぇ、なんかはまりそうだぜ」

 

 

霊夢(そーなのかー? なんてね♪)

 

 

 

 

 

 

サグメ「……」

 

 

布都「おぉ~、はははっ! ルーミアのやつめ~♪ 可愛いではないか♪ 雷鼓殿も和太鼓の演奏だけではなく歌うとは思いもせんかった…! いやぁ、見事な歌であったの♪」

 

 

屠自古「ふっ…♪ お前の口癖も歌に取り込んでたしな」

 

 

布都「口癖? なんのことじゃ?」

 

 

屠自古「そうであろう! って言ってたじゃんよ」

 

 

布都「ぬ? いや、あれは我の口癖では無いぞ?」

 

 

屠自古(自覚ねぇのかよ…)

 

 

布都「サグメ殿、サグメ殿は…ぬ!?」

 

 

屠自古「どうし…うん!?」

 

 

サグメ「…」ツー

 

 

布都「さ、サグメ殿…!? どうしたのじゃ!?」

 

 

サグメ「! ふ、布都…? な、何がだ…?」

 

 

屠自古「何がって、それだよ…!」スッ

 

 

 屠自古はサグメの目を指差す

 

 

サグメ「? ……えっ?」スッ

 

 

 サグメは自分の目元に指を這わせた

 

 

サグメ「…? こ、これは…」

 

 

布都「泣いておるのか? サグメ殿…」

 

 

サグメ「い、いやそんな…おかしいな…なぜ涙が」

 

 

屠自古「きっと感極まったんだろうな」

 

 

サグメ「!」

 

 

屠自古「嬉しいとか感動したとか、そういうのが一気に来ちまったから胸がいっぱいになったんよ、きっと」

 

 

サグメ「…!」

 

 

サグメ「そうか…そういうことか」

 

 

サグメ「雷鼓の演奏…そしてルーミアの歌…初めて出来た友の舞台を見た…それだけで心が凄く熱くなるのを感じた」

 

 

サグメ「他の演目では無かった、特別な感情だと思う」

 

 

布都「さ、サグメ殿、我もサグメ殿と同じ気持ちじゃぞ! な、涙は出んかったが…」

 

 

屠自古「良いんだよ別に涙なんか無理して流さなくて、捉え方は人それぞれなんだからな…それにお前は幻想郷にまだ馴染んでねぇんだから余計だろうよ」

 

 

サグメ「そうだな……布都」

 

 

布都「う、うむ?」

 

 

サグメ「捉え方は違うが私と貴方は同じ気持ちだ、雷鼓とルーミアの演目に感動した…それだけで私も嬉しいよ、布都」

 

 

布都「! サグメ殿…」

 

 

屠自古「…♪」ニコッ

 

 

サグメ「ふふっ♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【幻想郷フェスティバル、閉幕!! 14:30】

 

 

 舞台には隠岐奈と二童子を除く演者達が集まっていた

 

 

 

椛「幻想郷住人の皆様! 本日はお集まりいただきありがとうございました! またこの日の為に準備をしてくださった関係者の方々、本当にありがとうございました!」

 

 

椛「おかげさまで本日は客席は満員御礼となり、盛大に楽しいフェスティバルを開催することが出来ました、皆様、今一度、演者の方々に大きな拍手を!」

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

椛「それではこれにて…! 第一回! 幻想郷フェスティバルを閉幕させていただきます! 本日は本当にありがとうございました!」

 

 

 

 パチパチパチパチ!!

 

 

 

 

 【閉幕後 人里、娯楽場】

 

 

 こうして幻想郷フェスティバルが終了した

 

 

 演者、観客たちは、それぞれが自分に関わりのある者の側へと歩み寄っていた

 

 

 

パチェ「……」

 

 

レミリア「あら♪ どうしたのパチェ」ツヤツヤ

 

 

パチェ「…楽しかった?」

 

 

レミリア「えぇとっても♪ 私のカリスマがまたレベルアップするほどにね! あっはっは♪」ツヤツヤ

 

 

パチェ「そう…なら帰りましょう」スッ

 

 

レミリア「…? ねぇ、何でパチェあんなに元気が無いの?」

 

 

フラン「自分の胸に手を当てて考えてみたら…? お姉さま…」

 

 

こあ「あはは…」

 

 

レミリア「? あれ、咲夜は?」

 

 

美鈴「まだ霊夢さんたちと一緒にいるんじゃないですかね」

 

 

パチェ「友達と一緒にいるんだから邪魔しちゃダメよ、レミィ」

 

 

レミリア「わ、分かってるわよ」

 

 

 

 

 

穰子、静葉「 」プシュー

 

 

メディ「まだ気絶してるね」

 

 

リリー・W「何で秋さんたち気絶してるですよー?」

 

 

華扇「? 覚えていないのですか?」

 

 

リリー・W「ほぇ? 何をですよー?」

 

 

レティ「覚えていないのもいつもの事なのよ」

 

 

幽香「変身の副作用なんでしょうね」

 

 

リリー・W「ほー?」

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「? あら、にとりは?」

 

 

霊夢「ん、照明とかの片付け手伝ってくるんだって」

 

 

咲夜「あぁ…大変ね、色々と」

 

 

アリス「ふふっ、みとり、どうだった? 楽しんでくれたかしら?」

 

 

みとり「はい! 種族を越えた愛の物語…! とっても感動しました!」

 

 

アリス「! はぁ良かったわ♪ 観てくれてありがと、みとり」

 

 

アリス「あなた達はどうだった? 私の人形劇♪」

 

 

霊夢「! な、内容は…お、面白かったわよ」

 

 

咲夜「えぇ…と、とても…私も感動したわ…」

 

 

アリス「そう♪ 良かった♪」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「んふふふふっ♪ 魔・理・沙♪」

 

 

魔理沙「…何ですか」

 

 

霊夢、咲夜「ふくっ…!」プルプル 

 

 

アリス「どうだった私の人形劇♪ 良かったでしょ?」

 

 

魔理沙「そうですね、内容は面白かったですね」

 

 

アリス「な、何で敬語なの?」

 

 

魔理沙「敬語をやめてしまうとですね、その人形のデザインの事について言及しそうになるんですよ」

 

 

アリス「あ! スリアとサリマの事? これはねぇ♪ んふふふっ♪ 私とあなたを」

 

 

霊夢、咲夜「アリスぅ!」

 

 

アリス「な、何よ!?」

 

 

霊夢「今日ぐらい暴走は控えなさいよ!」

 

 

咲夜「こっちは疲れてるし、みとりだって居るんだからね!?」

 

 

アリス「疲れてる? そんなもので私の愛は止まらないわよ!? ふふっ!」

 

 

霊夢、咲夜「さらっとふふっ、じゃないわよ!」

 

 

みとり「ふふふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 各々がフェスティバルでの思い出を語らい、話に花を咲かせ、演目が終わった後でも会場は賑わいを見せていた

 

 

 

 そして時が過ぎ、日が沈み始めた頃

 

 

【人里、娯楽場 16:30】

 

 

 ギュオン…!

 

 

紫「よっ…! ふぅ…」

 

 

紫「はぁ~♪ 楽しかったわねぇ♪ やっぱり娯楽場を作って正解だったわ」

 

 

紫「これからもここで演目をやっていったりするのかしらね♪ 第二回! 幻想郷フェスティバル! な~んちゃって」

 

 

八雲藍「また何を一人で喋ってるんですか?」

 

 

紫「? あら、藍じゃない♪ 橙は一緒じゃないの?」

 

 

藍「『藍じゃない♪』じゃありませんよ! 朝からマヨヒガに居なかったから心配してたんですよ? それと橙はチルノ達ともう帰りました」

 

 

紫「あらら…皆を帰すのに時間掛かっちゃったわね、てか心配されるほどゆかりん弱っちい妖怪じゃないわぁ♪」

 

 

藍「…? 今まで何処に居たんですか?」

 

 

紫「VIPルームで観てたのよ、場所の話をするなら私はずっと娯楽場に居たことになるわねぇ♪」

 

 

藍「スキマの中で観てたんですか?」

 

 

紫「えぇ、ほら…魅魔とかと一緒にいたから」ヒソヒソ

 

 

藍「! あぁなるほど…察しました」

 

 

紫「話が早くて助かるわねぇ♪」

 

 

藍「ですがその前に私に一言言ってから行くか、手紙でも書いておいてくれれば、とは思いますね」

 

 

紫「…」ジトッ

 

 

藍「『何この九尾めんどくさい』みたいな目で見るのをやめなさい!」

 

 

紫「あ、伝わるのね」

 

 

藍「少しは大人として普通の事をしてくださいよ!」

 

 

紫「ほら、私って十七歳の時と二十歳の時があるじゃない? その差が最近激しいのよね♪ 少女になったり大人になったりで忙しいのよねぇ♪」

 

 

藍「千七百とか二千の間違いでしょう!?」

 

 

紫「はぁ!? 何をまた失礼ぶっこいちゃってくれ……!!」

 

 

藍「……? 紫様?」

 

 

紫「シッ…!」

 

 

藍「…? 何を…」

 

 

紫「良いからちょっと黙ってて…」スッ

 

 

紫(にとり達の片付けはまだ続いてて人妖がたくさんいる、舞台袖に居るのは…)

 

 

紫(……考え過ぎかしら…でも万が一って事もある…側に輝夜が居るから言いそうね…鈴仙達と一緒に帰って無かったの?)

 

 

紫(ちょっとスキマで声を聞いてみましょうか)スッ

 

 

 

 ギュオン…!

 

 

 

 

【舞台袖】

 

 

 

ルーミア「んおー? 輝夜は何でまだここにいるのかー? 永琳たちはもう帰ったみたいなのだ、一緒に帰らなくて良かったのかー?」

 

 

蓬莱山輝夜「ほら♪ サグメの帰りの付き添いよ、永遠亭には私が送って行くことにしたの♪」

 

 

ルーミア「おー、そーなのかー」

 

 

輝夜「そーなのよー♪」

 

 

ルーミア、輝夜「わはー♪」

 

 

輝夜(……ふふっ♪)

 

 

雷鼓「…輝夜さん」

 

 

輝夜「ふふっ、大丈夫よ♪ 私に任せて♪」

 

 

雷鼓「…ありがとう」

 

 

ルーミア「…?」

 

 

リリカ「この人たちが雷鼓さんが言ってたサグメさんと布都さん?」

 

 

雷鼓「そうよ♪」

 

 

リリカ「そうなんですね♪ 初めまして、私はリリカ・プリズムリバー、こっちの二人は私の姉さんたち、髪が白い方がメルラン姉さん、金髪の方がルナサ姉さんよ、種族は……騒霊だって言われたっけ」

 

 

布都「聞いておったが、三姉妹だそうじゃの」

 

 

リリカ「はい♪」

 

 

布都「そうか、我は物部布都、尸解仙じゃ♪ よろしくな♪」

 

 

サグメ「稀神サグメ、月の民だ、よろしく頼む…あなた達の演奏を聞いたよ、とても素敵だっ」

 

 

ルナサ、メルラン「おぉ~…」

 

 

サグメ「! な、何だ?」

 

 

メルラン「姉さん、この人翼が生えてるよ、凄く羨ましいんですけど」

 

 

ルナサ「なんか色々といじったらビジュアル系の音楽家になりそうね…カッコいいと思うわ」

 

 

サグメ「ビジュアル…?」

 

 

リリカ「あぁ無視して下さい、演奏終わりはこんな感じなんで…」

 

 

リリカ「てか姉さんたち、布都さんにも興味持ちなよ」

 

 

ルナサ「何で?」

 

 

リリカ「何で!? ほら、初対面でしょ?」

 

 

メルラン「えと…紫外線さんでしたっけ?」

 

 

布都「なんじゃそれは!? 我は尸解仙であるぞ!」

 

 

メルラン「あ~…要するに不死の仙人さんなんですよね?」

 

 

ルナサ「全然珍しくないよね、不死の人とか仙人とか幻想郷にごろごろいるし」

 

 

布都「んなっ…!?」

 

 

メルラン「そんなことよりもサグメさんでしたよね! カッコいいです! その翼が!」

 

 

ルナサ「…良いなぁ、その翼があればリリカより人気でそう、少しくれませんか?」

 

 

サグメ「い、いや、これはあげられる物では無いのだ」

 

 

ルナサ、メルラン「……」ジーッ

 

 

サグメ「うっ…!」 

 

 

リリカ「姉さんたち、私怒るよ? 演奏終わりだからって初対面の人を困らせるのはダメだよ!」

 

 

ルナサ「…ごめんね、わーかってはいるんだけどさぁ…」

 

 

メルラン「テンションが上がったりー! 下がったりー…! でこっちも忙しいのよね」

 

 

リリカ「二人とも本当にごめんなさい…!」

 

 

布都「お主大変じゃな…しかしこれも音楽家の感性と言う物なのであろう?」

 

 

サグメ「そー…なのであろうか」

 

 

雷鼓「ルナサとメルランは演奏しちゃうとビートのボルテージの浮き沈みが激しいのよね♪」

 

 

リリカ「雷鼓さん、それもっと分かりにくくなりますって」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

雷鼓「そーなのよー♪」

 

 

雷鼓、ルーミア、布都、サグメ「わはー♪」

 

 

サグメ「ん…!」

 

 

布都「おっ! 不意打ちでやられてしまったの♪」

 

 

雷鼓「ルーミアちゃんが居ると和むわねぇ♪」

 

 

ルーミア「わはは♪ サグメも上手くなってきたなー♪」

 

 

サグメ「ふふっ…♪ ルーミアが良くやってくれるからな…♪」

 

 

輝夜(…♪ サグメ楽しそうね、たぶんこの流れだと他のみんなと同じ様な展開になるわね、永琳を先に帰らせておいて良かった♪)

 

 

リリカ「仲良しですね…」

 

 

ルナサ「私達もああいうのほしいよね、三人で気合い入れるみたいな掛け声」

 

 

メルラン「メルランバンザーイ! で良くない?」

 

 

リリカ「メルラン姉さんふざけてるだけだよね? マジで言ってる訳じゃないよね?」

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(しかし…さっきから気になるな)

 

 

サグメ(プリズムリバー三姉妹…遠くから見ていた時は分からなかったがこの者達から感じる気は何だ?)

 

 

サグメ(三人居るのにも関わらず一人の気しか感じられない…そしてその気は、リリカ、メルラン、ルナサの三人の物では無い)

 

 

サグメ(リリカは自分たちは騒霊と言っていた…騒霊は幽霊とは違う、亡霊と同じならば気配も感じない筈なのだが)

 

 

サグメ(……)

 

 

ルーミア「んおー? サグメー?」

 

 

サグメ「! …ん?」

 

 

ルーミア「どうしたのだー? なんか難しい顔してたぞー?」

 

 

サグメ「! ……ふふっ♪ 何でもないよ、ルーミア」

 

 

ルーミア「そうかー? なら良いけどなー♪」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(よそう、変な考えを張り巡らすのは)

 

 

 

 

布都「そう言えば雷鼓殿、話ってなんなのじゃ?」

 

 

サグメ「私にもあると言っていたな…雷鼓」

 

 

雷鼓「えぇ、実は演目の参加者の人達ってみんなそれぞれの場所で今回のフェスの打ち上げをしているの」

 

 

布都「打ち上げとな?」

 

 

サグメ「宴会の事か…?」

 

 

雷鼓「そう、ミスティアちゃん、響子ちゃん、八橋、弁々…こころちゃんとその保護者さんたちはミスティアちゃんのお店で打ち上げを…その他の人達も色々な場所で宴会をしているでしょうね」

 

 

リリカ「博麗神社が大半なんじゃないかな」

 

 

ルーミア「賑やかだろーなー♪ チルノ達も行ってるかな♪」

 

 

雷鼓「そこで私達も打ち上げをすることになったの…なったんだけど…」

 

 

サグメ、布都、ルーミア「?」

 

 

雷鼓「……ここからは私の勝手な我が儘…リリカたちには話して了承を得ているわ、話の内容はここからなんだけど」

 

 

雷鼓「ルーミアちゃん、布都さん、サグメさん…あなたたちもこの打ち上げに参加してほしいの、場所はリリカ達の家でもあるプリズムリバー邸」

 

 

サグメ、布都「!!」

 

 

雷鼓「本当はみんなで博麗神社に行っても良かったんだけど…今回は静かに打ち上げをしたい気分なのよね」

 

 

リリカ、メルラン、ルナサ「……」

 

 

ルーミア「! 雷鼓! 私は雷鼓達と一緒に打ち上げしたいのだ」

 

 

雷鼓「でも良いの? 博麗神社の方がお友だちがたくさん」

 

 

ルーミア「雷鼓達だって友達なのだ! それに…! サグメもいるからな…!」

 

 

サグメ「…!」

 

 

雷鼓「…ありがとう、ルーミアちゃん♪」

 

 

布都「……雷鼓殿、その申し出嬉しく思うぞ、我もその打ち上げには参加したいと思うておる、太子様と屠自古ならこころ殿と一緒におるから心配無用じゃしな」

 

 

雷鼓「布都さん…ありがとう♪」

 

 

布都「じゃがサグメ殿は…」

 

 

サグメ「! ……」

 

 

雷鼓「……サグメさん」

 

 

ルーミア「サグメ…」

 

 

サグメ「……」

 

 

ルナサ「宴会…まぁ打ち上げに参加するって事は一日参加が普通なのよ」

 

 

メルラン「月ではどうか分からないけどさ、幻想郷じゃこれが普通なんだよね」

 

 

リリカ「でもサグメさんは月の民で夜には帰らないといけないとか…そういうのあるんでしょ?」

 

 

サグメ「私は……」

 

 

輝夜「…」

 

 

サグメ(滞在期間は今日の夜まで…劇を観るだけだからだと夜までにしてしまった、これを破れば豊姫、依姫、レイセンに責任が…)

 

 

サグメ「……」

 

 

雷鼓「……ごめんなさいサグメさん、無理にとは言わないわ」

 

 

ルーミア「で、でも雷鼓!」

 

 

雷鼓「ルーミアちゃん、こればっかりは…」

 

 

ルーミア「っ…!」

 

 

布都「サグメ殿…」

 

 

サグメ「……」

 

 

輝夜「…」

 

 

ルナサ「雷鼓さんから聞いてるけど、本当に寡黙な人なのね」

 

 

メルラン「どんな状況でも言葉に出さないと気持ちは伝わらないよ? あなたってそういうの分かってるんじゃないの?」

 

 

リリカ「……サグメさんは…どうしたいですか?」

 

 

サグメ「っ…! ……」フルフル

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「……私は…」

 

 

サグメ(私の本当の気持ち…ドレミー、貴方から教わったのに今ここで伝えないでどうするんだ、リリカたちからも言われているのに…!)

 

 

サグメ(…)

 

 

サグメ(すまない…豊姫、依姫、レイセン…)

 

 

サグメ「……雷鼓、布都、ルーミア…」

 

 

雷鼓、布都、ルーミア「…!」

 

 

サグメ「……私は酒を飲み、羽目を外す事は出来ないかもしれない、それでも私は雷鼓達と一緒にその打ち上げに参加したいと思っている」

 

 

ルナサ「それはさ、月の民の事情よりも優先してんの?」

 

 

サグメ「…! ……あぁ、そうだ」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「!」

 

 

雷鼓「サグメさん…」

 

 

輝夜「……ふふふっ♪」

 

 

サグメ「! 輝夜…?」

 

 

輝夜「良く言えたわね、サグメ♪」

 

 

ルナサ「はぁんもう…演技なんて私の柄じゃないから」

 

 

メルラン「様になってたよ姉さんのは、私なんかもっとパーっ! とやりたいのにさ!」

 

 

リリカ「はぁ、なんか疲れちゃった♪」

 

 

サグメ、布都、ルーミア「……!?」

 

 

布都「え、演技? とな?」

 

 

ルーミア「どういう事なのだ?」

 

 

雷鼓「…ごめんなさいサグメさん、あなたの事を試していたの」

 

 

サグメ「試す…?」

 

 

輝夜「勘違いしちゃダメよサグメ、その指示をしたのは全部私なんだからね」

 

 

サグメ「輝夜、何を…」

 

 

輝夜「あなたはこういう状況に置かれちゃうと悩んじゃうタイプでしょ? 月と…月の民と…友達と…それらが天秤に置かれた時にどちらも選ぼうとする…それが口下手なあなたの昔からの悪い癖♪」

 

 

サグメ「う…」

 

 

輝夜「二兎を追う者は一兎をも得ず、玉兎が近くにたくさん居るのにこの言葉は皮肉かしらね♪ ふふっ♪」

 

 

輝夜「だから試したの、雷鼓から宴会云々の話を聞いた時に思い付いたのよねぇ♪」

 

 

輝夜「月か友達か…どちらを選ぶか」

 

 

輝夜「結果あなたは友達を選んだ…それが正しいのよきっと♪ そこは変わったわね、サグメ?」

 

 

サグメ「輝夜…」

 

 

布都「…? し、しかし根本的な解決にはなっていないのでは無いのか!?」

 

 

ルーミア「そ、そうなのだ、サグメは月に…!」

 

 

輝夜「それも大丈夫♪ サグメが友達を選んだ時点で私はサグメの味方だから♪」

 

 

輝夜「サグメ、行ってきなさい♪ 月の民の上層部には話をつけておくから」

 

 

サグメ「!」

 

 

輝夜「こっちにはあの八意様が居るのよ~♪ 月夜見だって怖くないわよ♪ 何がなんでも言うこと聞かすからね」

 

 

 

ルナサ「…月の事何にも知らないけど怖くない?」

 

 

メルラン「何が?」

 

 

ルナサ「輝夜さんと永琳さんの権力」

 

 

リリカ「そういう話はしないの!」

 

 

 

サグメ「輝夜…!」

 

 

輝夜「ほら♪ お友達と楽しんで来なさいよ? 一日ゆっくりとね」

 

 

サグメ「…! ありがとう、輝夜…!」

 

 

輝夜「どういたしまして♪ それじゃあね、サグメ…♪」ニコッ

 

 

 

 

ルーミア「じゃあ、サグメ! 一緒に打ち上げ出来るのかー!」

 

 

サグメ「あぁ、それに…その…泊まっても文句は言われないだろうな」

 

 

ルーミア「! 泊まりまでかー!? やったのだー!」

 

 

雷鼓「ふふっ、サグメさんと一緒にお泊まりなんてね♪」

 

 

布都「い、いきなり過ぎて少し着いていけんが…サグメ殿や皆と一緒に一つ屋根の下で共に過ごせるのは大変嬉しいことなのじゃ♪」

 

 

ルナサ「会場は私たちの家だけどね」

 

 

メルラン「食べ物とかあったっけ?」

 

 

リリカ「人里で買っていけば良いでしょ」

 

 

サグメ「! リリカ、メルラン、ルナサ」

 

 

リリカ、メルラン、ルナサ「…!」

 

 

サグメ「騒がしくなるかもしれないが…一日、よろしく頼む…!」スッ

 

 

リリカ、メルラン、ルナサ「……」

 

 

ルナサ「…サグメさんって生真面目だよね?」

 

 

メルラン「生真面目なのにちょっといじればビジュアル系なところがギャップとして受けるんですか?」

 

 

リリカ「変なことを聞かないっ!」

 

 

サグメ「ふふっ…♪」

 

 

 

 

【娯楽場、客席中央】

 

 

紫「……」

 

 

藍「…?」

 

 

紫「ねぇ、藍」

 

 

藍「は、はい?」

 

 

紫「さっきまで月に居た月の民と、幻想郷に居着いている月の民の違いって何だと思う?」

 

 

藍「…なんですか唐突に」

 

 

紫「答えなさい」

 

 

藍「……そうですね…」

 

 

藍「……前者の月の民が穢れに敏感…な所でしょうか」

 

 

紫「ピンポーン…♪ だ~いせ~いか~い♪」

 

 

藍「は、はぁ…」

 

 

紫「……たったそれだけの事、だけどその月の民がもしも」

 

 

紫「強い力を持っていて、それでいて穢れに敏感であり、尚且つその力に理解をしてくれる者が複数居た場合、知らなくても良いことを知ってしまうかもしれない」

 

 

藍「…? 紫様、何を仰りたいのです?」

 

 

紫「藍、私今日は帰らないから、博麗神社に行ったら、霊夢によろしく言っておいてね、それじゃ…」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

藍「あっ!? ゆ、紫様…!」

 

 

藍「あの雰囲気、何を…」

 

 

藍「……いや、これは余計な詮索はするなと言われてい様な物だな、それも本気で」

 

 

藍「…明日帰って来たら、話してくれるところまで聞きますかね」

 

 

 

 

【スキマ空間】

 

 

 

 

 

紫「……」

 

 

紫「…」

 

 

紫「ごめんね…あなた、あんまり騒がれるの好きじゃないかもしれないけどこうなっちゃったら仕方ないわよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ごめんね、レイラ」

 

 

 

 

 

 

 

 後編へ続く…!

 

 






 お疲れ様でしたここまで読んでくださってありがとうございました!


 後編の完結までもう少しお待ち下さい。




 中編、如何でしたでしょうか、今回あうんや隠岐奈たち天空璋のキャラを出してみました。


 隠岐奈は紫と少し性格を似せています、彼女も賢者の一人として、幻想郷を愛しています。


 違いと言えば隠岐奈は目立ちたがり屋で少しだけしつこい所でしょうか、霊夢と魔理沙とチルノの事を個人的に気に入ってたりします。

 紫と隠岐奈は腐れ縁ですが、魅魔が言っていた通り、周りから見れば凄く仲が良い様に見えます。

 隠岐奈の目的はどんな形であれ目立つ事なのであれで良いのでしょう…たぶん





 あうんは霊夢大好きっ子、また神社に人ではない者が居着くことになりました。

 彼女がああは言ってましたが、萃香とは仲が良い様です。





 それからルーミアの歌の事なんですが歌詞は本当に適当で雷鼓、布都、サグメの口癖を含めただけな感じです。

 七日~なのかー♪ の部分はゆっくりと

 雷鼓達が入って来る部分はセリフで早口で歌えば何となくで歌えたりします



 次回から物語の核心に迫り、終わりを迎えます。

 ここの幻想郷のもう一人のプリズムリバーは…?



 それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました、次回をお楽しみに♪



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《第7話》『もう一人のプリズムリバー』 【後編】



 こちらは【後編】となっております、先に【前編、中編】をお読みいただければと思います。

 全体を通してかなり長い物語となりますがよろしくお願いします。






 【中編】にて幻想郷フェスティバルが終わり、プリズムリバー邸での打ち上げに誘われる稀神サグメ、夜には月へ帰らなければならなかったが月の民として月へ帰還するよりも、幻想郷で友達との繋がりを優先することを決めたサグメ

 そんな彼女を応援する蓬莱山輝夜は『サグメを幻想郷に一日滞在させる許可』を月に連絡(脅し)してくれる事を約束してくれました。

 一日自由になったサグメは友達のルーミア、物部布都、堀川雷鼓、そしてプリズムリバー三姉妹と共に打ち上げ会場であるプリズムリバー邸へと赴く事になります。

 プリズムリバー邸に隠された秘密

 そして八雲紫、彼女は何を想うのか



 それでは始まります




 

 

 

 

 

 

 痛みは消えない 胸の奥にいつも響いているけれど

 

 

 夜風に震える小さな手で 愛する想いを手渡したい

 

 

 遠く離れた貴方たちの心に 届きます様に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【プリズムリバー邸への道 霧の湖周辺 17:30】

 

 

 人里で買い出しを済ませたサグメ達は打ち上げの会場であるプリズムリバー邸へと向かっていた。

 

 七人は霧が掛かった森の中を歩いている。

 

 

 

ルーミア「7日~♪ なのか~♪」

 

 

物部布都「そ~なのか~♪」

ルナサ・プリズムリバー「そ~なのか~♪」

メルラン・プリズムリバー「そ~なのか~♪」

 

 

メルラン「7日~♪ なのか~♪ さんハイッ!」

 

 

布都、ルナサ、ルーミア「そーなのかー!」

 

 

ルーミア、布都、ルナサ、メルラン「わははー♪」

 

 

 

リリカ・プリズムリバー「えぇ…いつの間に布都さんと仲良くなったの…?」

 

 

堀川雷鼓「私達が買い出しをしてる時じゃないかしら、ふふっ♪ 楽しそうね♪」

 

 

リリカ「私達三人に買いに行かせて何してるんだろうと思ったら…布都さんノリが良い人なんですね、ちょっと意外かも」

 

 

雷鼓「そう? 布都さん結構グイグイ来るタイプの人よ?」

 

 

リリカ「へぇ~…ってまだ宴会もしてないのにあんなにテンション高くしちゃって大丈夫なんですか?」

 

 

雷鼓「大丈夫大丈夫♪ 宴会の前祝いって感じだもの♪」

 

 

リリカ「はぁ…宴会やる前に疲れなきゃ良いですけどね」

 

 

リリカ(あ、もしかしてサグメさんの事でかな…? 輝夜さんと雷鼓さんの話を思い返せば嬉しいってのは伝わるもんね…)

 

 

稀神サグメ「……」スタスタ

 

 

雷鼓「…? あら、サグメさん」

 

 

サグメ「…!」

 

 

雷鼓「さっきから黙っちゃってるけど何か心配事?」

 

 

サグメ「ふふっ…♪ そうではないよ、雷鼓」

 

 

サグメ「ただそうだな、まだ実感が湧かないんだ…私が月に直接連絡を取った訳では無いからかもしれないな」

 

 

サグメ「永遠亭ではない場所、月とは関係ない場所に一日居られる…しかも心を許せる友と語らい、酒を酌み交わす事が出来る」

 

 

リリカ、雷鼓「…」

 

 

サグメ「夢の様なんだ……私にとってはとても嬉しい事なのにこう…ルーミアや布都の様に嬉しさを体や言葉で表現出来ないのが少しもどかしくてな」

 

 

リリカ、雷鼓「……ぷっ…!」

 

 

サグメ「! う、うん?」

 

 

リリカ「ふふふっ! サグメさんって可愛い人なんですね♪ クールなのに友達想いって素敵だと思います」

 

 

サグメ「か、可愛い…!?」

 

 

雷鼓「あ、リリカ分かる? そこがサグメさんの魅力なのよねぇ♪」

 

 

サグメ「い、いや待ってくれ…! 私に魅力など…」

 

 

雷鼓「私はねぇ♪ いつもは寡黙で謙虚なサグメさんなんだけど心の中では私達と一緒に居て遊びたいっ! って想ってくれてるサグメさんが本当に好きなのよ~♪」

 

 

サグメ「ら、雷鼓…! 私はそんな…///」カアッ

 

 

リリカ「あ、顔赤いですよサグメさん」

 

 

雷鼓「ふふっ、サグメさん可愛い♪」

 

 

サグメ「か、からかわないでくれ…///」カアッ

 

 

リリカ「ふふっ…♪」

 

 

リリカ(あ、姉さん達が言ってたサグメさんのギャップってのが分かってしまったかも…)

 

 

 

 

リリカ「噂のサグメさんとこうやって実際に会って喋って思ったんですけど…サグメさんって結構頭の中でグルグル考えちゃうタイプの人ですよね?」

 

 

サグメ「それは……良く言われる」

 

 

サグメ(主にドレミーにだが)

 

 

リリカ「あぁやっぱり、私もそうだから良く分かるんですよ」

 

 

サグメ「…? そうなのか?」

 

 

リリカ「はい…ほらあの二人、私の姉さん達の事なんですけど、もう何と言うか…私が確りしてないとまともに人と話せなくなることが多々あるんです、ツッコミみたいなフォローをしてあげるだけなんですけどね、そのフォローの言葉を考えるのにグルグルするときがありまして…」

 

 

リリカ「ルナ姉はライブ終わりな事もあって今はあんなにハイテンションになってるんですけど本当は終始暗い…いや、大人しい性格なんです」

 

 

リリカ「大人しいのは良いことなんですけどその大人しさが激し過ぎると言うか…」

 

 

サグメ「激しい?」

 

 

リリカ「二日前の話なんですけど今日のフェスで演奏する曲の練習をしてたんです…練習終わって直ぐはあのぐらいのハイテンションなんですけどね…」

 

 

リリカ「私がふと目を離した隙に控え室の隅に踞って何かブツブツ呟いてるんですよ、私には見慣れた光景なので『あぁ、またやってるなぁ…』で済むんですけど私達の家じゃなくて周りに人がたくさんいたから放っておけなくてやめさせたんです…だって怖いじゃないですか、どんよりオーラ出しながら部屋の隅っこでブツブツ独り言なんて」

 

 

サグメ「…独り言とは何を?」

 

 

リリカ「『どうしたらリリカみたいに人気が出るのか…』とか『どうしたらメルランみたいにテンション高くして生きていけるのかなぁ…』とか『はぁ…鬱だわぁ…』とかです」

 

 

サグメ(鬱…?)

 

 

雷鼓「そこがルナサの良いところだって私は思っているんだけどね、良い方向に考えてみれば自分で自分の事を分析出来て打開策を見つけようとしているじゃない」

 

 

リリカ「そうなんですかねぇ…でもそれルナ姉に言わないで下さいよ? たぶん変な方向に捉えてしまうと思うので」

 

 

サグメ「ならば素直に明るくなってはどうか…と言えば良いのでは無いか?」

 

 

リリカ「それもダメですね、言われた事を歪曲して捉える事があるので…」

 

 

 

 

ルナサ「今日は7日じゃ無いけどー…?」

 

 

ルナサ、ルーミア、布都、メルラン「7日なのか~♪」

 

 

 

 

サグメ「…とてもそうは見えないのだが」

 

 

リリカ「練習終わりのちょっとした時間だけなんです、それを過ぎれば大人しくてたまに変な事を言ういつものルナ姉に戻ってくれるんです」

 

 

雷鼓「ルナサは演奏前と後のクールダウンが激しいのかもしれないわね」

 

 

サグメ「……それは音楽家として、か?」

 

 

雷鼓「ん~、私はそう感じるわね」

 

 

リリカ「ノリで済ませられればそれで良い…いや、良くは無いですね、はぁ…普通にしてれば何でもそつなくこなす真面目で頼りになる姉さんなんだけどなぁ」

 

 

サグメ「……」

 

 

リリカ「あ、メル姉の話もしますね…メル姉はルナ姉と同じで暗いときはルナ姉みたいに暗くなってしまうんですけど明るい時はとことん明るい性格なんです、メル姉も演奏した後になるんですよ」

 

 

サグメ「ルナサとは逆なのだな」

 

 

雷鼓「メルランは心のアップダウンが激しい感じよね♪」

 

 

リリカ「ですね、明るすぎてそのハイテンションに着いていけないんですよ、しかも突発的にやるもんだから余計に…」

 

 

サグメ「突発的…?」

 

 

リリカ「大きな声を出したりとか、口調を荒げていきなり『イェェエーイ!!』とか『ヤッフゥゥー!!』とか…後は気分が異常に高揚したり支離滅裂な言動をするんです、酷いときなんか『うひゃひゃひゃー!』とか『私は躁なんだー!』なんて言ったりしますからね」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(そう…? ……躁の事か?)

 

 

雷鼓「元気があるのは良いことじゃない? いつも元気だったら疲れちゃうし、落ち込む事も時には必要な事よ」

 

 

リリカ「それはそうなんですけど雷鼓さんみたいに前向きに考えてないと思うんですよねぇ、なんと言うかその場のノリで生きてるって感じがするんで…」

 

 

サグメ「……」

 

 

 

 

メルラン「宴会に~! 行きたいかぁ!?」

 

 

ルーミア、布都、ルナサ「おー!」

 

 

メルラン「飲み過ぎて最高にハイって奴になるぜぇ!! って思ってた時期もありました……」

 

 

布都、ルーミア「おー! って…えっ!?」

 

 

ルナサ「メルラン、テンション下がってるよ」

 

 

メルラン「! ……なーんちゃってぇ♪ ほらほら♪ 宴会でハジケまくってやるわよぉ!」

 

 

ルナサ「それでこそメルランね♪ はぁ…私もそのテンション欲しいわぁ…」

 

 

布都、ルーミア「お、おぉ…?」

 

 

 

 

 

サグメ(鬱…そして躁…? なんだろう…何か)

 

 

サグメ(ルナサとメルランは不安定だ、だがリリカは安定していてとてもしっかりしている印象を受けるな…彼女達は三姉妹、こんなにも差が出るものなのか? 外見は似ているが中身が似てなさすぎる様な…)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(こんなこと思ってはいけないな、彼女達から感じる何かの気の事もそうだが何も考えるな、今は雷鼓達と楽しむ事だけを考えれば良いのだからな…)

 

 

サグメ「メルランは貴方から聞いた通りだな」

 

 

リリカ「はいそうです、毎日あんな感じなんですよホント…」

 

 

雷鼓「あれもメルランの良いところよ♪ 他の人には無い長所だわ♪」

 

 

リリカ「そう思ってくれる人に出会えて私達は幸せですよ雷鼓さん」

 

 

サグメ「ふふっ…」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ ん~、私が思うにルナサとメルランだけじゃ心配なのは分かるわ、でもあなたが居るからこそプリズムリバー三姉妹は成り立ってると思うのよ」

 

 

リリカ「! …大変なんですよ? 二人の制御…いや、面倒を見るのって」

 

 

雷鼓「でも嫌じゃないんでしょ?」

 

 

リリカ「まぁ……あんなんでも私の大切な二人の姉ですから…/// はい…///」カァ

 

 

雷鼓「ふふっ♪」

 

 

サグメ「ふっ…♪」

 

 

 サグメは歩きながら目を閉じる

 

 

サグメ(三つで一つ、三位一体…昔聞いた話では三矢の教えという物にも例えられるか)

 

 

サグメ(一人欠けると成功する物もしなくなる、その悲しみにとらわれて虚無を感じてしまうかもしれない…彼女達の演奏がそれに当てはまるのだろう、三人揃わなければ成り立たなくなってしまう…)

 

 

サグメ(私も人数は違うが同じなのだろうな、ルーミア達、ドレミー、レイセン達、八意様達…もし彼女らが一人でも欠けてしまったら私の中で悲しみが生まれ、心に穴が開くだろう)

 

 

サグメ(……また何を考えているのだ私は、そんなこと考える暇があるな)パチッ

 

 

雷鼓「サ~グメさん!!」

 

 

サグメ「!?」ビクッ

 

 

雷鼓「また考え事してたの? んもう、何を考えちゃうのサグメさんは!」

 

 

サグメ「い、いや…別に大したことでは無い」

 

 

雷鼓「本当に?」

 

 

サグメ「も、もちろんだ」

 

 

雷鼓「……」ジーッ

 

 

サグメ「うっ…」

 

 

雷鼓「……サグメさん」

 

 

サグメ「う、うん?」

 

 

雷鼓「サグメさんはお酒、どのぐらい飲めるの?」

 

 

サグメ「…? な、何?」

 

 

雷鼓「お・さ・け♪ どのぐらいいける口なの?」

 

 

サグメ「そ、そうだな……あまり好んで飲まないが強い方ではあると思う」

 

 

雷鼓「そう、良かったわ♪ ふふっ♪」

 

 

雷鼓「はぁ~♪ 早くサグメさんやルーミアちゃん達と飲みたいわぁ、ふふっ♪」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(何故こう……考え込んでしまうのだろうか)

 

 

リリカ「…サグメさん」ヒソヒソ

 

 

サグメ「うん?」

 

 

リリカ「雷鼓さんヤバイんですよ」ヒソヒソ

 

 

サグメ「…何がだ?」

 

 

リリカ「何ってお酒の強さですよ、甘くみない方が良いです、本当に尋常じゃないですから」ヒソヒソ

 

 

リリカ「それからほろ酔い状態になってる雷鼓さんの近くにいかない方が良いですよ」ヒソヒソ

 

 

サグメ「何故?」

 

 

リリカ「雷鼓さんほろ酔いすると密着してくる癖があるんです、雷鼓さんの妖艶な雰囲気と甘い言葉で口説き落とされかけた女の人を何人か博麗神社の宴会で見たことがあるので」

 

 

サグメ「妖艶…?」

 

 

リリカ「本当に気を付けた方が良いですよマジで、私とルナ姉も落とされかけましたから」

 

 

サグメ「う、うん…!?」

 

 

 

雷鼓「お酒は飲んでも~?」

 

 

ルーミア、布都「呑まれるな~♪」

ルナサ、メルラン「飲み返せ~♪」

 

 

雷鼓、ルーミア、布都「…え?」

 

 

ルナサ、メルラン「え?」

 

 

 

リリカ「……今日割りと本気で飲み過ぎない様に監視しておこうかな」

 

 

サグメ「私からは何とも言えない…」

 

 

 

 

【霧の湖、プリズムリバー邸 18:00】

 

 

 

ルーミア「おぉ~…!」

 

 

布都「ぬっ…!? う、うおぉ……!?」

 

 

サグメ「立派な屋敷だな…!」

 

 

サグメ(建てられてから長い時が経過している様だな…周りの木々、そして霧が出ているが月の光に照らされ、怪しげな雰囲気が出ている)

 

 

サグメ(西洋風建築の二階建てか…テラス等は無い、無骨な作りだと言えるだろう)

 

 

サグメ(古い洋館…と例えた方が良いだろうか)

 

 

雷鼓「ふふっ、相変わらず雰囲気出てるわよねぇ♪」

 

 

サグメ(あ、雷鼓もそう思っていたのか)

 

 

サグメ「雷鼓はここに来たことが?」

 

 

雷鼓「えぇ、でも実は中に入るのは初めてなのよねぇ、演奏練習でも屋敷の前でやるからね♪」

 

 

ルーミア「ほー! そーなのかー」

 

 

雷鼓「そーなのだー♪」

 

 

雷鼓、ルーミア、サグメ、布都「わはー♪」

 

 

サグメ(抵抗が無くなっている私がいるのが実感できるな…ふふっ)ニコッ

 

 

ルーミア「でもなー、レミリアの館の近くにあったとはなー、全然気付かなかったのだ」

 

 

雷鼓「ここら辺一帯の霧…そして生い茂る木々が屋敷を上手く隠しちゃってるのね♪」

 

 

布都「ふ、雰囲気だっ…! だけじゃろ…!? そ、そうであろう!?」ブルブル

 

 

雷鼓、ルーミア、サグメ「…?」

 

 

雷鼓「布都さん何で震えてるの?」

 

 

布都「ふ、震えてなぞおらぬぞ! はっはっは!」ブルブル

 

 

ルーミア「震えまくってるのだ」ヒソヒソ

 

 

雷鼓「ブルブルしてるわね」ヒソヒソ

 

 

サグメ(布都、寒いのか?)

 

 

ルナサ「うんそうなんだよね、ルーミアの言う通り影薄いからね、私達の家」

 

 

リリカ「そういう事言わないの! 影薄いなんて言われて無いでしょ!」

 

 

リリカ「まったく…え~改めまして…♪ プリズムリバー邸にようこそ、無駄に広い屋敷だからゆっくり出来ると思いますよ♪」

 

 

メルラン「ふっ……違うわよリリカ、こうよ、こう」

 

 

リリカ「へ? 何が?」

 

 

メルラン「プリズムリバー邸にようこそ! ダイニング以外は掃除して無くて埃っぽいけどゆっくりしていってね! …よ!」

 

 

リリカ「それは真実だけども今言わなくて良いでしょうが!」

 

 

メルラン「嘘ついちゃいけないんだよ、リリカ」

 

 

リリカ「う…!? あぁんもう嘘とかそんなんじゃ無いでしょ、あのね! 雷鼓さん達は一応お客さんなの、分かるでしょ!?」

 

 

ルナサ「……友達に嘘つくのもどうなのかと思うじゃん」

 

 

リリカ「おっ…!? お、思うけどぉぉ…! 思うけどもねぇ…? これから宴会するのにテンション下がる事を言っちゃいけないの、親しき仲にも礼儀ありなの! 気を使うとかしてよ!」イラッ

 

 

リリカ「てか何で二人ともテンション下がってんの? さっきまでルーミアと布都さんとはしゃいでたじゃん、あの時の二人は何処行ったの?」

 

 

ルナサ、メルラン「捨ててきた」

 

 

リリカ「はぁぁぁ!? 何で捨てちゃうのよ!」

 

 

ルナサ「テンションにもメリハリがあるでしょ」

 

 

メルラン「メルランじゃなくてメリハリね? ずっとハイテンションだと宴会やる前に疲れちゃうでしょ?」

 

 

リリカ「ぐっ…! そう思ってサグメさんと雷鼓さんにはさっき言ったのにぃ…! 姉さん達にも聞かせてやればよかったよちくしょうめ!」

 

 

ルナサ「聞こえなかったもんね」

 

 

メルラン「私達に聞かせる必要があるかしら」

 

 

リリカ「ぬぁぁ!」ジタバタ

 

 

ルナサ、メルラン「ふははは♪」

 

 

 

 

雷鼓「あっはははっ…♪ 仲良いわねぇ♪」

 

 

サグメ「会場でもやっていたな、リリカ達なりの特殊な親睦の深め方なのだろうか」

 

 

ルーミア「そーなのかー?」

 

 

サグメ「そーな…! ……ルーミアすまない、これは私見なんだ」

 

 

ルーミア「でもしょっちゅうやってるから当たってると思うのだ」

 

 

サグメ「そ、そーなのかー?」

 

 

ルーミア「! そーなのだー♪」

 

 

サグメ、ルーミア「わはー♪」

 

 

ルーミア「わはは~♪ サグメからやってくれたのだ~♪ やったのだ~♪」

 

 

サグメ「ふふっ…♪ ルーミアが導いてくれたお陰だよ」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ これが私達なりの親睦の深め方なのかもしれないわね♪」

 

 

サグメ「! そう…なのかもな、ふふっ」

 

 

布都「う、うむ! わ、我もそう思うぞ! わっはっはっは♪」フルフル

 

 

サグメ、ルーミア、雷鼓(まだ震えてる…)

 

 

 

リリカ「全くもう…さ、雷鼓さん達、ゆっくり寛いで行って下さいね」

 

 

ルナサ「これから宴会で大騒ぎするのにゆっくり寛ぐとかなん」

 

 

リリカ「ルナ姉マジで静かにして」

 

 

 

 

 

【プリズムリバー邸、エントランスホール】

 

 

 

 プリズムリバー邸のエントランスホールは紅魔館には及ばないがそれなりの広さがある。

 

 見上げるとシャンデリアが飾られており、床にはカーペットが敷かれ、それが二階へと続く二つの階段に伸びている。

 

 壁際には棚があり、その棚の上には埃を被った絵や写真、壺等の様々な骨董品の類いが置かれていて、ソファやテーブルと言った家具も置いてある。

 

 左側と右側に大きな両開きの扉が一つずつある。

 

 

 

ルーミア、雷鼓、サグメ「おぉ~…♪」

 

 

布都「ぬぅっ…!? うぅ…!」ブルブル

 

 

雷鼓「外で見てた時から思ってたけど中は広いのねぇ♪ ここでホリズムリバー四人で演奏の練習が出来るぐらいにね♪」

 

 

サグメ「味がある…とはこういう物を言うのだろうな、落ち着いた雰囲気でとても居心地が良い」

 

 

ルーミア「レミリアの家の玄関よりはちょっと狭いけどなー♪」

 

 

メルラン「…狭いって言われた」

 

 

ルナサ「狭い所って落ち着かない? 私は落ち着くんだけど」

 

 

リリカ「いちいち気にしないの、サグメさんは居心地が良いって言ってくれてるでしょ」

 

 

ルーミア「…何か悪いこと言っちゃったかー?」

 

 

リリカ「あぁ気にしなくても良いよルーミア、いつものちょっとしたボケだから」

 

 

メルラン「私まだボケる年齢じゃないわぁ!」

 

 

リリカ「メル姉も少し黙ってなさい!」

 

 

 

 ──   ──

 

  ── ──

 

 

 

サグメ「…!?」ピクッ

 

 

 サグメは周囲を見回す。

 

 

サグメ「…! ……?」キョロキョロ

 

 

サグメ(……何だ…? 今…何か…)

 

 

サグメ(……気のせい…か?)

 

 

サグメ(……?)

 

 

布都「ぬぅぅ…うぬぅ…!?」スッスッ

 

 

雷鼓「? 布都さん?」

 

 

ルーミア「さっきから何してるのだー?」

 

 

リリカ「あの~…布都さん? 何でこう…色んな方向に身構えてるんですか?」

 

 

メルラン「戦闘態勢の練習か何かですか?」

 

 

ルナサ「『でゅあ!』とか『へやっ!』とかセリフ喋った方が良いですか?」

 

 

リリカ「二人とも何でそれを今ここでやる必要があるのか説明してくれる? ねぇ」

 

 

布都「だ、だだっだだだっだから…! な、何でも無いとゆ、言うておろう…!?」プルプル

 

 

サグメ、ルーミア「?」

 

 

雷鼓「……!! …♪」ニッコリ

 

 

雷鼓「布~都さん♪」

 

 

布都「な、なななっ…! 何じゃ雷鼓殿ぉ!」

 

 

雷鼓「布都さん、もしかして怖いの~?」

 

 

布都「こぉっ!!? な、何を言うて…! こっこここ怖い訳がな」

 

 

ルーミア「そーなのばぁぁぁ!!」ガバッ

 

 

布都「うひゃぁぁぃ!!?」ビクッ

 

 

サグメ、リリカ、メルラン、ルナサ「!?」

 

 

雷鼓「あらやっぱり♪」

 

 

ルーミア「やってやったのだー♪」

 

 

布都「ぬぉぉぉ…お、オバケなど居らぬぅ…! 居らぬのだぁ…!」プルプル

 

 

布都「こ、怖くないぞぉ…! 怖くなど無いからなぁ…!」ビクビク

 

 

ルナサ「踞って震えてたら説得力無いですよ、布都さん」

 

 

サグメ「布都は霊の類いが苦手だったのか…」

 

 

雷鼓「布都さんの新たな魅力発見だわ♪ ふふっ♪」

 

 

ルーミア「幽霊怖いのかー♪」

 

 

布都「こ、怖くないなどないわぁ!」

 

 

ルーミア「オカルトのお菊さんは平気なのになー♪」

 

 

布都「お菊さんはお菊さんであろう!? そうであろう!?」

 

 

雷鼓「あら? 確か屠自古さん亡霊じゃ」

 

 

布都「と、屠自古は屠自古であるからのぅ!」

 

 

サグメ「幽霊とは違うが、リリカ達も騒霊という意味では霊の類いで」

 

 

布都「それとこれとは話が違うのじゃ!」

 

 

サグメ、ルーミア、雷鼓「…」

 

 

ルーミア「何に怖がってるのだ」ヒソヒソ

 

 

雷鼓「きっと『自分の頭の中で想像しているオバケ』が怖いのよ♪ 布都さんの場合白い布を被った何か…なら驚いてくれそうね♪ 古典的な驚かしにも弱そうよねぇ、お化け屋敷とか連れて行ったら布都さん気絶しちゃいそう♪」ヒソヒソ

 

 

サグメ「なるほど…基準が分かった気がするよ」

 

 

ルナサ「私達の家ってお化け屋敷そのものだもんね」

 

 

メルラン「雰囲気と私達の存在があるからね」

 

 

リリカ「雰囲気はともかく私達はお化けじゃないから…あ~…布都さん、ここ変な悪霊とかお化けとか出ないですから大丈夫ですよ」

 

 

布都「そ、そうか…! なら良いのじゃが…!」プルプル

 

 

ルーミア「……怖がってると霊の方から寄って来るって幽々子から聞いたことがあるのだ♪」

 

 

布都「い、要らんこと言うでないわぁ!」

 

 

ルーミア「わはは~♪」

 

 

雷鼓「ふふっ♪」

 

 

サグメ「ふっ…♪」

 

 

メルラン「てか『そーなのばぁ!』って良いわね、語呂が」

 

 

ルナサ「可愛いしね、今度私もやってみようかな」

 

 

メルラン「可愛いさアピール出来るなら私もやりたい」

 

 

リリカ「邪な気持ちでやらなくいいから、てか誰にやるつもりなの?」

 

 

ルナサ、メルラン「リリカ」

 

 

リリカ「私にやる必要、ある?」

 

 

ルナサ、メルラン「…」

 

 

リリカ「…」

 

 

ルナサ、メルラン「ふっ……ふふっ、ふへっ、ふへへっ……♪」ニタァ

 

 

リリカ「笑って誤魔化すの下手かな?」

 

 

リリカ(含みを持たせても何も考えて無いのが透けて見える…)

 

 

リリカ「はぁ~……あ、さぁ雷鼓さん達、こちらにどうぞ♪」スッ

 

 

 リリカは屋敷の正面から見て右の扉へサグメ達を誘導した。

 

 

 

 

 

 【プリズムリバー邸、ダイニングルーム】

 

 

ルーミア、布都「!! おぉ~…!」

 

 

サグメ「長い机…いや、テーブルだな」

 

 

雷鼓「素敵ね…♪ 西洋のテーブルはこんな感じなのね♪」

 

 

ルーミア「レミリアの家の物よりデカイ気がするのだー♪」

 

 

布都「は、初めて見たぞ…これもハイカラ文化の賜物なのか?」

 

 

サグメ(長すぎる気もするが…人が数十人は座れるな、それにこの部屋もかなり広い)

 

 

サグメ(リリカ達は三人で住んでいるらしいがこんなに長い物が必要なのか?)

 

 

ルナサ「メルラン、グラスとか出してきて」

 

 

メルラン「了解~♪」スッ

 

 

 カチャッ カチャッ

 

 

リリカ「雷鼓さんたち適当に掛けてくださいね♪ ふぅ、この部屋で宴会をする日が来るとは…やっぱりこの部屋掃除しておいて正解だったね」

 

 

メルラン「ね、でもリリカが一番掃除サボっ」

 

 

リリカ「私が一番やってたでしょうが!」

 

 

ルナサ「まぁリリカには同意するわ、私は汚い所でご飯食べたくないし」

 

 

メルラン「それはルナ姉に同意するわね」

 

 

リリカ「だから掃除…いやもういいや……その話は…」グッタリ

 

 

ルナサ「そうよリリカ、宴会よ宴会♪ 楽しむわよ」

 

 

メルラン「サグメさんというビックゲストもいるしね」

 

 

リリカ「……うん、そうだね」チラッ

 

 

 

 

雷鼓「私サグメさんの隣が良いわ♪」スッ

 

 

サグメ「あ、あぁ」

 

 

ルーミア「じゃあ私も♪」

布都「では我も♪」

 

 

ルーミア、布都「……」

 

 

ルーミア、布都「…♪」ニッコリ

 

 

ルーミア「私が先に…!」

布都「我が先に…!」

 

 

サグメ「そんなことで争わなくても…」

 

 

ルーミア、布都「いや、でも…!」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ あ、私は飲み終わるまでここから一歩も動かないわよ♪」

 

 

ルーミア、布都「えぇ~…」

 

 

サグメ(何故そこで頑固になるんだ雷鼓)

 

 

 

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「……♪」ニコッ

 

 

リリカ「ふふふっ♪ ほんと久しぶりだよね、パーティーなんて何十年ぶりかしら♪」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「……?」

 

 

ルナサ「……パーティー…?」

 

 

メルラン「買ってきたの日本酒とかじゃん、これ宴会だから、パーティー……ならワイン……とか…」

 

 

ルナサ「ワインならその戸棚……あれ……?」

 

 

リリカ「あるわけないでしょ…だってもう……」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「……」

 

 

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「…?」

 

 

 

 

サグメ「では先にルーミアが座っ……うん?」

 

 

ルーミア、布都「お?」

 

 

雷鼓「…? あら…ルナサ、メルラン、リリカ?」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「!!」ハッ

 

 

雷鼓「三人ともどうしたの? 早くこっちで飲みましょ?」

 

 

ルナサ、メルラン「う、うん…」

 

 

サグメ「…? 大丈夫か?」

 

 

リリカ「は、はい、なんとも…ないですよ…?」

 

 

雷鼓、ルーミア、布都、サグメ「…?」

 

 

サグメ(一瞬三人とも目に光が無いように見えたが…本当に大丈)

 

 

リリカ「…! ほ、ほら! 無駄話なら飲みながらでも出来るでしょ! 今日はパーっと飲むわよ!」

 

 

ルナサ「! はいは~い! ではこのルナサが乾杯の音頭を取らせていただきまーす!」

 

 

メルラン「あっ! ルナ姉ズルい! いつもそうじゃん!」

 

 

ルナサ「こういうのは長女の特権でしょ♪ ふっふっふっ♪」

 

 

メルラン「あ~あ…またこれだよ……こういうのが積み重なるから早々に躁の気が出るんだよ」

 

 

ルナサ「そんなこと言うんだったら私の鬱の気は長女であることからくるストレスの賜物で」

 

 

リリカ「宴会前に気が滅入る話は辞めなさーい!」

 

 

雷鼓「ふふふっ…♪」クスッ

 

 

ルーミア「わはは~♪」

 

 

布都「はははっ♪」

 

 

サグメ「……ふっ♪」ニコッ

 

 

サグメ(杞憂…か)

 

 

 

 

 そして…

 

 

リリカ「え~それでは! 第一回幻想郷フェスティバルの成功、稀神サグメさんと物部布都さんとの出会いを祝しまして~…!」

 

 

ルナサ「リリカに音頭役を取られた」

 

 

メルラン「リリカ、私やる気はあったんだけど体が着いていかなく」

 

 

リリカ「ルナ姉が『やっぱり自信ない』とか言い出したからでしょうがぁ! …あっ…! そ、それではー!」

 

 

七人「乾杯!!」カァン

 

 

 

 幻想郷フェスティバルの打ち上げ…飲み、食い、歌い…七人の賑やかで小さな規模の宴会が始まった。

 

 フェスの成功を祝う為の物だったがプリズムリバー三姉妹はサグメと布都に出会えた事もお祝いとしてくれた。

 

 

 

 そして時は二時間後……宴もたけなわ…

 

 

 

 

 

【プリズムリバー邸 ダイニングルーム 20:00】

 

 

 

サグメ(し、しまった…リリカに言われたことを忘れていた…!)

 

 

雷鼓「サ・グ・メさん♪」ススッ

 

 

サグメ「う…!」ゾクッ

 

 

サグメ「ら、雷鼓! 何故私の腰に手を回すんだ…!」

 

 

雷鼓「う~ん♪ 私そんなことしてる~?」

 

 

サグメ「いや、現に今こうやって…うぐっ…!?」グイッ

 

 

サグメ(だ、抱き寄せられた…)

 

 

雷鼓「そんなことよりサグメさん♪ 私今日凄く嬉しいのよ、サグメさんとずうっと一緒にいられるんだもの♪」

 

 

サグメ「それは今日一日だけで…」

 

 

雷鼓「んもぉ♪ そんな細かい事は気にしないの♪」ズイッ

 

 

サグメ(か、顔が近いぞ…! それと顔が火照っていてなんだか…)

 

 

雷鼓「サグメさん顔、綺麗ね…♪ 何でこんなに綺麗なの? …あっ! 髪、後ろで結んでいるのね♪ ふふっ、可愛い…♪ んふっ、うふふふっ♪」スッ

 

 

 雷鼓はサグメの顔に自分の顔を近付け、耳元で囁いた。

 

 

雷鼓「この髪ほどいたらサグメさんの可愛いと・こ・ろ…♪ もっと見れちゃうかしら、ふふっ♪」

 

 

サグメ「!!?」ゾクゾク

 

 

サグメ(くっ…!? 何なんだ…! 何なんだこの不思議で艶かしい感覚は!!)

 

 

サグメ(私達は同姓だぞ雷鼓! いや、確かに私はドレミーに『サグメさんは男性っぽい雰囲気を纏ってますよね』とは言われたことがあるが私は女だ、男ではないんだ! そして何故体を触るんだ雷鼓っ…! ほろ酔いでこれなのか…!? 泥酔したら一体どうなるというんだ…!)

 

 

サグメ(それとこういうのは普通女が男にやるものではないのか!? こう…なんだ…そういう雰囲気の時に…その…)

 

 

サグメ(…!? なっ、何を考えているんだ私は! そうではない、そういう話は私の中ではしてないんだ稀神サグメ! 雷鼓が色っぽいだとかよっ…余計な事は考え…/// るな…///)カァッ

 

 

雷鼓「あら、サグメさん顔が真っ赤よぉ…♪ 飲みすぎちゃった…? もしかして熱でもあるの?」スッ

 

 

サグメ(また何故顔を近付ける…!)

 

 

雷鼓「う~ん手じゃ分からないわねぇ、おでことおでこを合わせて、ね…? ふふっ、勢い余って唇と唇が触れちゃったら…ごめんなさいね♪」

 

 

サグメ(なっ、何ぃ!?)

 

 

雷鼓「ん~…♪」ススッ

 

 

サグメ(おでこではなく唇を突き出しているではないか雷鼓ぉ!)

 

 

雷鼓「んふふっ♪」

 

 

サグメ(ま、まずい…! こ、これ以上は…///)ドキッ

 

 

サグメ(雷鼓や、やめっ…! 唇が当たっ…!?)

 

 

雷鼓「ん~…♪」ススッ

 

 

リリカ「…」スッ

 

 

 ピトッ

 

 

雷鼓「きゃっ! あぁん、リリカ…♪」

 

 

サグメ「!? り、リリカ…」

 

 

 リリカはサグメと雷鼓の唇が触れ合う前に雷鼓の頬へ冷たいグラスを軽く当てた

 

 

リリカ「雷鼓さん、さっきからルーミア達が呼んでますよ」

 

 

雷鼓「ん~?」チラッ

 

 

 

ルーミア「わひゃ~♪ 雷鼓ぉ~♪」フラフラ

 

 

布都「りゃいこ殿~♪ 今一度ぉ~乾杯の音頭を~頼もぉ~♪」フラフラ

 

 

メルラン、ルナサ「あっひゃっひゃ~♪ 太鼓持って来~い♪」ケラケラ

 

 

 

雷鼓「…んふっ、もうちょっとだったのにぃ~♪ しょ~がないわねぇ~♪」スッ

 

 

リリカ(…もうちょっとって)

 

 

雷鼓「サグメさん、また後でね♪」

 

 

サグメ「…えっ…!?」

 

 

雷鼓「はいは~い♪ 堀川雷鼓、始原のビートを奏でるわよぉ~♪」スタスタ

 

 

 イェーイ♪

 

 

サグメ「…ふぅ……た、助かった…ありがとうリリカ」

 

 

リリカ「どういたしまして…♪ でも私言ったじゃないですか、ほろ酔い雷鼓さんには気を付けた方が良いって」

 

 

サグメ「うっ…! し、しかし雷鼓があんな妖艶な…」

 

 

リリカ「まぁ想像出来ないですよね、雷鼓さんが酔った所初めてみたんでしょうから」

 

 

サグメ「あぁ、驚いたよ…」

 

 

リリカ「ふふっ♪ 私が止めてなかったら今頃は…♪」

 

 

サグメ「そ、それは…/// ううっ…///」カアッ

 

 

 

 【サグメとリリカ】

 

 

雷鼓「ビートを刻むぅ~♪」

ルーミア、布都「ノッリノリで~♪」

 

 

メルラン「燃え尽きる程の~♪」

ルナサ「ハートでぇ~♪」

 

 

メルラン、ルナサ「ひゃっひゃっひゃ~♪」ケラケラ

 

 

 サグメとリリカが座っている席から離れた場所で楽器の演奏と歌を歌っている。

 

 

 

リリカ「姉さんたち羽目を外し過ぎなんですよねぇ…雷鼓さんはまだ落ち着いてますがルーミアと布都さんはべろんべろんで…ノリがいいのは良いことだとは思いますけど」

 

 

サグメ「ふっ…♪ そうだな」

 

 

サグメ(楽しそうに歌うな…♪ 見ているだけで私も楽しいよ、皆)

 

 

リリカ「ふふっ…♪ そういえばサグメさん、お酒強いんですね」

 

 

サグメ「まだ三杯目なのだが、そう言うリリカも強そうだ」

 

 

リリカ「三杯? あれ、そんなに飲んでなかったんですね、私なんて十二杯目なのに」

 

 

 リリカは手に収まるサイズのグラスを片手に言う

 

 

サグメ「!? 十二杯目…?」

 

 

リリカ「はい、あぁ言わなかったんですけど私って昔から全然酔わないんですよ、何杯飲んでも」

 

 

サグメ「酔わない…?」

 

 

サグメ(この酒、それなりに濃い物だ…それを十二杯飲んで平然としているのか、雷鼓は五杯ぐらいで妖艶になっていた筈…)

 

 

リリカ「不思議なんですよね、姉さん達見たいにべろんべろんになっても良い筈なのに」

 

 

サグメ「…それは長所なのではないか? 酒そのものに飲まれないのは良いことだと思う」

 

 

リリカ「ん~、でも私もあんな風に酔ってみたいと思った事もあるんですよ」

 

 

サグメ「何故だ?」

 

 

リリカ「ほら…私だけずっと素面なもんですからあの二人が酔った時に私が介抱しなきゃならないじゃないですか、面倒くさいですけど仕方ないですしね」

 

 

サグメ「…」

 

 

リリカ「たまには私も介抱される側になってみたいですよ、ふふっ、なんてね♪」

 

 

サグメ「なるほどな…」

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(昔から酔わない…この口振りからするに酒を最初に口にした時から分かった事なのだろうか、私がメルラン、ルナサを不安定だと思った事と関係があるのか…? リリカは安定し過ぎているとも思えてきたな…何か関わりはあるのだろうか)

 

 

サグメ(…一度考えるのを辞めたのにも関わらず気になってしまうのは私の悪い癖だが、他にも聞いてみるか)

 

 

サグメ「話は変わるが、リリカ達は楽器を手を使わずに演奏していたな、あれはどうやっているんだ?」

 

 

リリカ「あぁ、それ私たち三姉妹共通の能力なんですよ『手足を使わずに楽器を演奏する程度の能力』です、幻想郷縁起とやらを書いている阿求さんって人によると霊体から音が出ているとか言われたんです、ピンと来なかったんですよね、確かにポルターガイストと呼ばれている私達がラップ音を出せる事は知ってますけどちゃんと演奏してるんです『音の幽霊を操ってるのでは?』とも言われましたけど何のことやらです」

 

 

リリカ「でも実は最近楽器そのものが無くても演奏…音を奏でられる事に気付いちゃったんです、私だけしか気付いてないですけど…あっ、これ姉さん達には秘密にしてくださいね」

 

 

サグメ「そうなのか、音を出す…いや、楽器は何時から嗜んでいるんだ?」

 

 

リリカ「楽器ですか? …………」

 

 

サグメ「…?」

 

 

リリカ「…う~ん…? あれ、思い出せない…」

 

 

サグメ(思い出せない…?)

 

 

リリカ「……楽器なんて使ってたっけ…何で私達楽器を使ってるの…そもそもそんなに上手くな…」ブツブツ

 

 

サグメ「? リリカ?」

 

 

リリカ「!! さ、サグメさん…」

 

 

サグメ「大丈夫か…?」

 

 

リリカ「はい…あ、えぇとすいません、思い出せない…ですね」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(何故そんなに悲しい表情をするのだろう…)

 

 

リリカ「…あ、えっと能力の話に戻しますね」

 

 

リリカ「私達三姉妹一人一人の能力もあるんですよ、ルナサ姉さんは『鬱の音を演奏する程度の能力』メルラン姉さんは『躁の音を演奏する程度の能力』そして私は『幻想の音を演奏する程度の能力』ですね」

 

 

サグメ「…」

 

 

リリカ「姉さん達には『リリカにはソロライブがあるから~』とか『リリカにはソロライブしかないんだぁ…』とかまぁ冗談で言われるんですがソロライブだと良い演奏は出来ないんです、姉さん達の鬱と躁の感情の起伏のある音に残された想いの音を私が奏でることで最高のメロディーになるんです」

 

 

サグメ「鬱と躁の音…そして幻想の音…」

 

 

サグメ(鬱と躁の音はルナサ、メルランから奏でられ、それが彼女達の性格にも現れているのが見て取れる、リリカからも説明された通りだ…だがリリカは性格に現れていない幻想の音…)

 

 

リリカ「ソロライブしたい気分になることもまぁあるんですけどやっぱり三人で一人前なんだなぁって思ってるんです、色々と文句も出ちゃいますけどね」

 

 

サグメ「…それが三姉妹という物だと私は思う、血の繋がりもあるが心と特技が同一だと繋がりはもっと深く、濃くなると思う」

 

 

リリカ「!」

 

 

サグメ「貴方達の関係が羨ましいよ、リリカ」ニコッ

 

 

リリカ「っ…!? そ、そうですか…/// あ、ありがとうございます…///」カァッ

 

 

サグメ「…?」

 

 

リリカ(そ、そんな台詞を堂々と…/// これがギャップ…? サグメさんも雷鼓さん並みに落として来るタイプなのかしら…///)

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(リリカの話を聞いて思ってしまった事が一つある…私はルナサとメルランの中身、心が不安定、リリカは安定していてしっかりものだと思っていたのだが)

 

 

サグメ(ルナサとメルランの視点から見てみればリリカは不安定のそれに当てはまるのではないか…安定し過ぎていることが逆に不安定なのではないか…と)

 

 

サグメ(幻想の音を操る事もそうだ、姉二人を補う様に得た能力…幻想という名の存在しない音…それを何故奏でら)

 

 

リリカ「…あっ! サグメさん、思い出せないで思い出した事があるんですけど」

 

 

サグメ「! 何だ?」

 

 

リリカ「冥界って知ってますか?」

 

 

サグメ「冥界…罪の無い死者が転生、或いは成仏するまでの間幽霊として過ごす世界だったか、亡霊姫が住んでいると聞く」

 

 

サグメ(その亡霊姫が月に忍び込んだ事があったと豊姫が言っていたな、酒を盗まれたとか…)

 

 

リリカ「そうです、その世界であったことなんですけど思い出せないことが一つあって」

 

 

リリカ「私と姉さん達、三人で初めて冥界に行くことになった理由なんです」

 

 

サグメ「理由?」

 

 

リリカ「行く必要がないはずなのに行くことになって、その行くことにした…というか『行かなくちゃ』って私達に思わせた理由…それが思い出せないんですよ」

 

 

サグメ「? 三人揃って忘れているということか?」

 

 

リリカ「……たぶんそうです、あとその事に関して閻魔様に怖い顔されたんですけどそれも気になってるんですよ、何故あの閻魔様に怖い顔されたんだろうとか、何で冥界に行ったんだろうとか…全部です」

 

 

サグメ(閻魔…? 噂に聞く白黒つける閻魔か…冥界との接点を見つけるなら死者絡みの事になるのか…? だがその閻魔の事と冥界に行くことになった理由は関係ないだろう、行った後に怖い顔をされた…行く前に何かあるとしたら…)

 

 

サグメ「リリカ、その冥界に行く前にしていた事は忘れてるのか?」

 

 

リリカ「行く前…?」

 

 

サグメ「行く理由を作る前だ、その時に姉妹三人で何をしていたのかは覚えているか?」

 

 

リリカ「ん~…その時は普通に三人で楽器を演奏していて、それで……」

 

 

サグメ「…」

 

 

リリカ「あの時…? …三人……? 三人で演奏隊を結成して……うん、だから結成したの……」ブツブツ

 

 

リリカ「……」

 

 

リリカ「…音を聞かせてあげたいって私が…」ブツブツ

 

 

サグメ「? リリカ、大丈」

 

 

 リリカ~!

 

 

サグメ、リリカ「!」

 

 

 

ルナサ「ちょっとこっち~♪ こっち来なしゃいよひっひっひ~♪」フラフラ

 

 

メルラン「演奏しゅるのよリリカぁ~! …しなくてもべちゅにいいんだけどしゃぁ~♪」フラフラ

 

 

雷鼓「リリカ、お願~い♪」

 

 

ルーミア、布都「わっひゃっひゃ~♪」ケラケラ

 

 

 

リリカ「あっ…は、はーい…!」

 

 

サグメ(さっきより酔っているな…皆)

 

 

サグメ「リリカ、大丈夫か?」

 

 

リリカ「え? …あぁはい、だ、大丈夫です」

 

 

サグメ「…すまなかったなリリカ、変なことを聞いてしまって」

 

 

リリカ「あぁ良いんですよ、たまに気になるってだけですから、忘れるぐらいのことだから重要って訳でも無いでしょうし」

 

 

サグメ「…」

 

 

リリカ「それよりもサグメさん、顔、凄く赤いですよ」

 

 

サグメ「うん? 顔?」

 

 

リリカ「私と話しているとき結構飲んでましたもん、お酒」

 

 

サグメ「…!? うっ…」クラッ

 

 

サグメ(そう言われてみれば話を肴に酒が進んでいた様な…しつこく色々と聞こうとしていたのはそのせいか…? ……うっ…! す、少し気分が…)

 

 

リリカ「…夜風に当たって来たらどうですか? 雷鼓さん達には私から言っておきますから」

 

 

サグメ「あ、あぁ…すまない」

 

 

リリカ「では……はいはい、私の音が必要なんですよね、奏でさせていただきますよ♪」スッ

 

 

 マタセタナ! イェーイ!

 

 

 

サグメ「……気を利かせてしまったな」

 

 

サグメ(雷鼓達には悪いが、少し席を外すとしよう)スッ

 

 

 ガチャッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 【─リズムリバー邸 エントランスホール】

 

 

 サグメは静かに扉を閉め、エントランスホールに出た

 

 

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「ふぅ…」

 

 

サグメ(私は会話をしながらだと酒が進む様だ…気を付けなければ)

 

 

サグメ(ここに来なければ分からなかっただろう、月では一人で飲むことが多い…喋りながら飲む事などしたことがない)

 

 

サグメ(…)

 

 

サグメ(……)キョロキョロ

 

 

サグメ(…)

 

 

 

 エントランスホールは静寂に包まれている

 

 

 

サグメ(扉一枚しか隔てていないのに随分と静かだ)

 

 

サグメ(……しかし本当に古い屋敷だな…)スッ

 

 

サグメ(……)スタスタ

 

 

サグメ(棚の上…随分と古い、骨董品と呼ばれる物だろう)

 

 

 サグメは棚に置かれている物を見ながら歩く

 

 

サグメ(……この棚、食器、壺、絵画…全てに埃が積もっている、それも古さを際立たせているのだろう)

 

 

サグメ(確かダイニング以外を掃除していないとメルランが言っていたな、三人でここに住んでいて埃っぽいとは思わないのだろうか)

 

 

サグメ(…私が気になるだけか? リリカ達は気にならな……うん?)

 

 

サグメ(写真立て…? これだけ小綺麗で埃を被ってないな、最近置かれた物なのか?)

 

 

サグメ(プリズムリバー邸を背にリリカ、メルラン、ルナサが楽器を弾いている写真、これは昼に撮影を…? 先程私達が見たこことは雰囲気がかなり違っ…)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(これを撮影したのは誰だ?)

 

 

サグメ(リリカ達が自分で撮ったのか? 演奏をしていて集中したいであろう時にするだろうか…いや、雷鼓か他の音楽家の誰かが撮った可能性もあるか)

 

 

サグメ(……また何を考え込んでいるのだ私は、深く考える必要のないものを一々気にしてどうする)

 

 

サグメ(だがプリズムリバー邸に入った時のあの感覚…あれは一体)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(…駄目だな、本格的に酔いが回っているようだ)

 

 

サグメ(早く覚まして来よう)スッ

 

 

 

 

 

 【─リ─ムリバー邸 外】

 

 

サグメ「はぁ、んんっ…」

 

 

サグメ「霧、晴れたのだな…良い月夜だ」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「月、か…」

 

 

サグメ(今地上で見えている月に私は住んでいる…と言っても裏側、月に結界を張った内側にあるから見えず、決められた道筋で進まなければ辿り着く事すら出来ない)

 

 

サグメ(そんな遠い所からワープ装置を使っているとは言え、私は自分の意思でここ幻想郷に来ている、大切な繋がりを持てた友に会うために…)

 

 

サグメ(……昔の私が今の私を見たらどう思うだろうか、穢れに穢れた地上に嫌悪したあの時の私、月夜見様の言明に賛同した時の私、月へ渡った時に喜びに浸っていた時の私…)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(私は地上が穢れているなんて今は思っていない、それは私の友…繋がりを持てたルーミア、雷鼓、布都…リリカ達、その他にも短い期間ではあるが地上で繋がりを持てた者達…その者達が穢れを生んでいると思ったことも穢れていると思った事も一度も無い)

 

 

サグメ(それに地上に住む者全てが穢れていると言うのなら恩師である八意様、輝夜や鈴仙、清蘭や鈴瑚も穢れていることになるが豊姫、依姫は何も言わず、罰せず、穢れていると思っている筈の地上に降り立ってまで大切な恩師たちの元へ会いに来ている…私と同じ想い、私と同じ感情、そして同じ意思…)

 

 

サグメ(……)

 

 

 

 

サグメ(穢れとは一体何だ?)

 

 

 

 

サグメ(月夜見様にこの事を問えば『それは貴女が穢れに触れた証拠』と答えを出すだろうか)

 

 

サグメ(……八意様、貴方なら…)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(…!)ハッ

 

 

サグメ(…今ここに雷鼓がいたら『また考え事をしているの?』と言われてしまうだろうな、ルーミアと布都なら何と言うだろうか、ふふっ…♪)

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(酔いも覚めた…戻ろう、私が心から居たい場所に)スッ

 

 

サグメ(…)チラッ

 

 

 サグメは振り返り、もう一度月を見上げる

 

 

サグメ(しかし輝夜、八意様を通して月の民の上層部に話をつけておくと言ってくれたが…一体何を言ったのだろうか)

 

 

サグメ(触らぬ神に祟りなし…八意様と輝夜を信じよう)スッ

 

 

 

 キィィィ…! バタン…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【─リ──リバー邸 エントランスホール】

 

 

 

 

サグメ「……?」

 

 

サグメ「…」キョロキョロ

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(何だろう、何か…)

 

 

サグメ(……気のせいか)スッ

 

 

サグメ「…」スタスタ

 

 

 

 私はダイニングルームへの扉の前に立ち、取っ手に手を掛けた

 

 

 

サグメ(私だけ酔いが覚めているが、皆はもう出来上がってしまっているかな、ふっ…♪)スッ

 

 

 ガチッ…!

 

 

サグメ「…?」ググッ

 

 

サグメ「何故扉が閉まっ…」ググッ

 

 

 ガチッガチッと音が鳴り響く、扉を引いたり押したりしたが何故か開かない。

 

 

サグメ「っ…!?」

 

 

サグメ「ルーミア! 雷鼓! 布都…! 私だ、鍵を掛けたなら開け……!?」

 

 

サグメ(この扉鍵穴が無い…!? いや、大きな屋敷とは言え普通食事室に鍵なぞ掛けないだろう、何故開かなくなっている…)

 

 

サグメ「リリカ! メルラン! ルナサ…! ルーミア、雷鼓、布都…! 返事をしてくれ!」

 

 

 扉の奥からは声は返って来なかった

 

 

サグメ「こ、これは一体…」

 

 

サグメ「何がどうなっ……うっ!?」キーン

 

 

 

 …… ……

 

 

 …… ……

 

 

 

サグメ「あっ…頭にっ…! こ、これはっ…!」プルプル

 

 

サグメ(この感覚、ここに入って来たときの物…!? い、いやそうでは…!? …声? !!)

 

 

 

 

 

 

 

 永遠の時の中で 眠りについた幻想

 

 始原の雷 古の風と水 煌めきの闇

 

 その穢れぬ心で 感受した月の欠片

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「あなたはここに来るべきじゃなかったかもね」

 

 

サグメ「!!?」ゾクッ

 

 

 トサッ…!

 

 

???「あっ、驚かせちゃった? ごめんね」スッ

 

 

???「腰、抜かしちゃったかな? 立てる?」

 

 

サグメ(こ、この者は一体…!? 気配もなくいきなり私の目の前に現れて…い、いやな、何が…)

 

 

サグメ「…! …!?」フルフル

 

 

???「え、え~っと…混乱してる? かな?」

 

 

???「もう、人の前に現れるなんて本当はしたくないって言ったのに…あれ、あなたって人じゃないんだったわね、私も…いや私は人…のような人ではないような?」キョトン

 

 

サグメ「……」

 

 

???「! あ、ごめんね♪ はい立って!」スッ

 

 

サグメ「!」スッ

 

 

 私は腕を掴まれ、立たされた

 

 

???「ふふっ♪ 翼があるから大きく見えるのね♪」

 

 

サグメ「……い、いや」

 

 

???「あ! やっと喋ってくれたね♪」

 

 

サグメ「!? ……」フルフル

 

 

???「…? さっきから面食らってポカーンってしてるけど、あなた大丈夫?」

 

 

サグメ「大丈夫な訳がないだろう!」

 

 

???「!?」ビクッ

 

 

サグメ「酔いを覚ましに外へ出ただけなのに友がいる部屋に戻ろうとしたら扉が開かず! 友へ声を掛けた途端に頭に謎の声が響いたと思ったら私の目の前に私の知らない者が突然現れた! 驚かない方がどうかしているだろう!」

 

 

???「お、おぉ…」

 

 

サグメ「まだ動揺しているよ、貴方のせいでな…!」フルフル

 

 

???「……」

 

 

???「な、なによぉ全然無口じゃないじゃん…感情的だし無意識に感知はしているし…本当にあの天探女なの…?」ブツブツ

 

 

サグメ「…? 何か言っ」

 

 

???「あぁごめんね? こっちの話♪ えっへへへ♪」ニコニコ

 

 

サグメ「……それより教えてほしい…この屋敷はどうなっている、さっきの声とここに来るべきじゃなかったとはどういう意味なんだ? それに貴方は一体…? 私の友たちは一体何処に」

 

 

???「あなたの質問には答えられる物と、答えられない物がある」

 

 

サグメ「!」

 

 

???「私にはあなたに教えないといけないものがあるけど本当は知っていてほしくないものがある」

 

 

サグメ「…?」

 

 

???「まず一つ目、ここはプリズムリバー邸であってプリズムリバー邸ではない」

 

 

サグメ「!?」

 

 

 

 

 

 【??????? エントランスホール】

 

 

サグメ「ど、どういう…」

 

 

???「夢の中の夢、眠りについたまま目覚めない場所、夢幻の彼方、幻想の中の幻想」

 

 

???「存在してほしかった存在、存在を望まれなかった場所、でもプリズムリバー邸であることに代わりはないの」

 

 

???「……言ってしまえばプリズムリバー邸がもう一つ存在しているってこと」

 

 

サグメ「い、意味が…」

 

 

???「存在している意味を考えちゃいけないの、それを望まれていないから」

 

 

サグメ「望まれていない? 誰にだ?」

 

 

???「…」

 

 

???「……」

 

 

サグメ「……?」

 

 

サグメ(答えられない…のか?)

 

 

サグメ「…先程の声は?」

 

 

???「それは私、あなたがこの屋敷に入った時にも声のような物が聞こえた…若しく何か感じたんだよね?」

 

 

サグメ「! あぁ」

 

 

???「あの声は私じゃない、けどあなた以外の人にも声は聞こえるようになっていたけど聞こえていなかった、届かなかった…二回目の時はあなたしかいなかったからちゃんと聞こえる様に私が自分を自分で調節したの、あっ! あなたが元のプリズムリバー邸に入った時からあなたの事は見てたよ♪」

 

 

サグメ「…?」

 

 

???「でも一回目の声はあなただけにしか聞こえなかった、それはあなたが『月で暮らしている月の人』だから…聞こえてはいけない歌声が聞こえてしまった」

 

 

サグメ「!?」

 

 

???「穢れは概念、概念は穢れ…似た者同士の存在…あなた達月の人は過敏に反応してしまうんでしょ? その穢れに」

 

 

サグメ「!!」ピクッ

 

 

サグメ「穢れは、概念……?」

 

 

???「……」

 

 

サグメ(そうでないと考える者もいるが間違ってはいない…のか? しかし何故この者は私が月の民だと知っているのだろう…いや、これは今聞くべき事ではないな)

 

 

サグメ「…穢れが答えなのか?」

 

 

???「そうだよ、あなたがここに来てしまった理由はそれなの」

 

 

サグメ「……だがここに来るべきではなかった、あなたは私にそう言ったな」

 

 

???「うん」

 

 

サグメ「何故だ?」

 

 

???「さっきも言ったけどあなたが月の人で穢れに過敏であること…そして知ってほしいけど、本当は教えたくない秘密がこの屋敷にあるから」

 

 

サグメ「…秘密?」

 

 

???「それ自体が『ここが望まれていない場所』の理由になるの」

 

 

サグメ「…!」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「さっきから質問の答えになっていないな」

 

 

???「うん…でも答えを表に出しちゃいけないの、答えを出すことを望まれていないから」

 

 

サグメ「……正解を出すには難しすぎるな」

 

 

???「うん、そうだね」

 

 

サグメ、???「……」

 

 

???「……でも」

 

 

サグメ「?」

 

 

???「でもその答え、秘密をあなたに教えたがっている人がいる、私はそれのお手伝いをするの、だからあなたの前に私は現れた」

 

 

サグメ「!」

 

 

???「秘密、知りたかったら私に着いてきて♪ 私があなたを導くから」

 

 

サグメ「ま、待ってくれ! だからそれを望まれていないのではないのか?」

 

 

???「そうだけどここの秘密を探ってもらわないとあなたはここから出られないし、あなたが言っていた友達にも会えない」

 

 

サグメ「っ!?」

 

 

???「……ごめん、わがままだよね、でもそうしないといけないの、私も誰かさんと同じ気持ちだから」

 

 

サグメ「…? それは…?」

 

 

???「望まれてないけれど、その望みを断ち切ってまで分かってほしいっていう想い、気持ち…秘密を追えばそれが分かるよ」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「聞くが…ルーミア達は無事なんだな?」

 

 

???「うん、それは絶対だよ」

 

 

サグメ(ルーミア達の事も知っている様だな…しかし本当に何者なのだろう…この状況から怪しさに満ち溢れているが彼女から邪な感情は全く感じられない)

 

 

サグメ(いや、感知しようとしても感知することそのものが出来ない……不思議な感覚だ)

 

 

サグメ(…信用しても良いのだろうか)

 

 

サグメ「…秘密を追えば私はまた友の元に帰れるんだな? ルーミア達の所に」

 

 

???「! うん」

 

 

???(ルーミアと友達の月の人…か♪)

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「分かった、着いていこう」

 

 

???「……♪ ありがとう」ニコッ

 

 

サグメ(何故そこで礼を言う)

 

 

サグメ「その前に最後の質問だ…あなたの事をまだ聞いていない」

 

 

???「えっ? あぁ~…名前だけなら…良い、のかな?」

 

 

サグメ「…私に聞かれてもな」

 

 

???「ふふっ♪ 冗談だよ、名前だけなら大丈夫だから♪ 私の名前は…」

 

 

 

 

 

???→冴月麟「冴月麟(さつきりん) 麟って呼んでね♪ 月の人♪」

 

 

 

 

 

 

 【もう一つのプリズムリバー邸 エントランスホール】

 

 

冴月麟「あなたに知ってほしい秘密はたった一つ、この屋敷、プリズムリバー邸その物の秘密なの」

 

 

サグメ「プリズムリバー邸その物?」

 

 

冴月麟「うん、一度に話すと混乱しちゃうかも知れないけど…こっちも時間がないからね」

 

 

サグメ「時間?」

 

 

冴月麟「この屋敷、夜が好きだから夜明け前にはあなたを戻さないといけないの」

 

 

サグメ「…?」

 

 

冴月麟「それも何れ分かること……さて♪ こっちだよ」

 

 

 私は麟の後に着いて行く、先程見た写真立ての前で立ち止まった。

 

 

サグメ「先ずはここか?」

 

 

冴月麟「うん、最初に知っておいてほしいのはここがもう一つのプリズムリバー邸だと言うこと…それはさっき説明したよね?」

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

冴月麟「どうしてもう一つ存在しているのか、どうして存在していることが重要なのか…存在を望まれていないはずなのに」

 

 

サグメ「……」

 

 

冴月麟「……」スッ

 

 

 麟は写真立てを手に取り、私に差し出した

 

 

冴月麟「答えはこれ、真実は幻想…だけどあの子は確かに存在している」

 

 

サグメ「…?」スッ

 

 

冴月麟「写真、もう一度見て?」

 

 

サグメ「………!?」

 

 

サグメ(写真に映っているものが変わっている…!? こ、これは…)

 

 

 

 女性が四人、プリズムリバー邸を背にしてこちらに笑顔を向けている。

 

 亜麻色の髪の女性、白みがかった水色の髪の女性が二人前屈みに並び、その上に金色の髪の女性、その下に膝を折り曲げて座っている長髪で緑色の髪の女性。

 

 

 

冴月麟「『核心』よ、表のプリズムリバー邸の写真は幻想を…裏のプリズムリバー邸の写真は真実を」

 

 

冴月麟「プリズムリバーは三姉妹じゃない、本当は四姉妹いるの、そしてそこに映っているリリカ、ルナサ、メルランは人間、本物であり本人よ」

 

 

サグメ「!! 四…姉妹…!? 人間…!?」

 

 

冴月麟「リリカ・プリズムリバー、メルラン・プリズムリバー、ルナサ・プリズムリバー……そして」

 

 

冴月麟「レイラ・プリズムリバー」

 

 

サグメ「……レイラ……プリズムリバー…」スッ

 

 

 私は写真をもう一度見る、

 

 

サグメ「し、しかし…これは」

 

 

冴月麟「見えないよね、外の世界のお嬢様貴族達って昔はそういう服装をしていたみたいなの、お洒落な羽飾りの帽子にドレス姿、でもそこに映っているのは本物のリリカ、メルラン、ルナサなの…顔をよく見て? 騒霊のリリカたち三人そのものでしょ?」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(このレイラ…と言う者の事も気になるが……)

 

 

サグメ「……本物とは…?」

 

 

冴月麟「あなたは感じ取っていた筈よ、リリカ達の違和感に…それが本物ではない証拠となるの」

 

 

サグメ「!」

 

 

冴月麟「ルナサは鬱の気、そして音…メルランは躁の気、そして音…リリカは二人を支える幻想、そして音…騒霊という存在、現実とは異なり幻である者」

 

 

冴月麟「あなたが知っているプリズムリバー三姉妹はそこに映っている者とは別の存在…人は死んだら普通は幽霊になるけど騒霊は異なる全く別の存在」

 

 

冴月麟「作り出されたの、レイラというもう一人のプリズムリバーの手によって」

 

 

サグメ「……!!」

 

 

冴月麟「本物の人間であるリリカ達三人が今生きているかは私には分からない、流石に幻想郷の外にはいけないから」

 

 

サグメ「……作り…出された? この者に?」

 

 

冴月麟「そう、その緑色の髪の子…レイラにね」

 

 

サグメ「……本物ではない…レイラに作られた…」

 

 

冴月麟「……」

 

 

サグメ「…何故作る必要があったんだ? それもここが望まれていない事と関係があるのではないのか?」

 

 

冴月麟「! …あなたって鋭いのね」

 

 

冴月麟「……うん、それは…」

 

 

サグメ「…」

 

 

冴月麟「レイラがずっと一人だったから」

 

 

サグメ「…?」

 

 

冴月麟「孤独から生まれた寂しさ、そこから愛と言う感情、想いに変わっていった…それが幻想となってリリカ達とこのプリズムリバー邸を繋ぎ止めているの」

 

 

冴月麟「偽物でも本物でも無い物は形として残っている、この屋敷、プリズムリバー三姉妹…そしてレイラ本人」

 

 

冴月麟「想いの強さは何物にも変えられない、それは本物、幻想なんかじゃない」

 

 

サグメ「……」

 

 

冴月麟「……」

 

 

サグメ(リリカ達は確かに存在している、これは間違いないだろう、騒霊としてのリリカ達…そして人間としてのリリカ達が存在している、若しくはしていた…と言うことだ…そしてレイラ本人という言葉)

 

 

サグメ(二つのプリズムリバー邸の存在、幻想として存在する屋敷ともう一つ、私達が打ち上げをしていた現実に存在している屋敷…)

 

 

サグメ(……しかし存在が望まれていないというその答えは…)

 

 

サグメ「リリカ達とプリズムリバー邸がもう一人、一つずつ存在している理由…作り出された方法、理由…そしてプリズムリバー三姉妹という肩書きを持ったリリカ達の能力、言動や行動…これはレイラが大きく関係しているのか?」

 

 

冴月麟「…!」

 

 

冴月麟(凄い…会話から人の心を1人ずつ読み取っているのね…感受性が強い人…♪)

 

 

冴月麟「うん、そうだよ…それとこの屋敷の存在だね」

 

 

サグメ「答えてくれるか?」

 

 

冴月麟「うん、あなたが求める答えになるかは分からないけどね」スッ

 

 

冴月麟「着いて来て、次は屋敷の二階だよ」

 

 

サグメ「……分かった」

 

 

 

 

 【もう一つのプリズムリバー邸 二階 廊下】

 

 

 

冴月麟「…」スタスタ

 

 

サグメ「……」スタスタ

 

 

 私と麟は階段を使って二階に上がった、見ると右と左に通路が続いているのが確認できる。

 

 

 私達は一階を見下ろす

 

 

冴月麟「玄関だけでも広いよね」

 

 

サグメ「…そうだな」

 

 

冴月麟「この屋敷が幻想では無かった頃は色んな人が来てパーティーとかしたんだろうね、そして色んな人との出会いがあったんだと思うの」

 

 

サグメ「…」

 

 

冴月麟「様々な人との出会いが愛を育んだかも知れない、四姉妹は愛されて育ったらしいから他人を、家族を愛する事が出来た、心優しい四姉妹…だけど」

 

 

サグメ「…?」

 

 

冴月麟「愛されたからこそ、本物の愛を知っているからこそ愛に飢えてしまった」

 

 

冴月麟「孤独に恐怖した、覚悟を決めた筈なのに」

 

 

サグメ「…それは誰のことなんだ?」

 

 

冴月麟「この屋敷に住んでいた五人の人間」

 

 

サグメ「……? 五人?」

 

 

サグメ(四姉妹の他にも誰かいたのか…?)

 

 

冴月麟「外の世界の柵は私にも詳しくは分からない、けど人間は強く逞しく生きていかなければならない…大切な物を失いたくないから」

 

 

冴月麟「彼はそういう生き方を望んだんだろうね…でも幻想に存在するある物がそれを打ち砕いてしまった」

 

 

冴月麟「彼自身が『発端』なの…四姉妹を心から愛した人、望んではいないけどレイラを幻想へ導いてしまった人」

 

 

サグメ「…さっきから誰の事を」

 

 

冴月麟「……」

 

 

冴月麟「プリズムリバー伯爵……レイラ、リリカ、メルラン、ルナサのお父様」

 

 

サグメ「! ……リリカ達の父」

 

 

冴月麟「もう誰も彼の痕跡を辿る事は出来ない…思い出は全てレイラの心の中にあるから」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(ここでまたレイラ…か)

 

 

冴月麟「リリカ達はその人に育てられたの、とても愛情深かった人…自分の娘である四姉妹の為に全てを捧げた人」

 

 

サグメ「……母は?」

 

 

冴月麟「…末っ子であるレイラを授かった後に亡くなってしまったみたいなの」

 

 

サグメ「! ……」

 

 

冴月麟「…」

 

 

サグメ「……」

 

 

冴月麟「愛が深かった人に育てられたからこそ、プリズムリバー四姉妹も愛情深くなるのは自然だった」

 

 

サグメ「だが…その愛が」

 

 

冴月麟「うん……愛が深かったからこそ孤独に恐怖し、耐えきれなかった、幻想からの闇を払えなかった」

 

 

サグメ「それがレイラ、いや…この屋敷に住んでいた五人だと?」

 

 

冴月麟「うん、それがあなたに知っていてほしい事の全て」

 

 

冴月麟「…」

 

 

サグメ「…」

 

 

冴月麟「……ここからは、あなたに決めてもらわなきゃいけな」

 

 

サグメ「待ってくれ」

 

 

冴月麟「!」

 

 

サグメ「……」

 

 

冴月麟「…?」

 

 

サグメ「…」

 

 

 

サグメ(レイラ、プリズムリバー伯爵、リリカ、メルラン、ルナサ…この五人が鍵、そしてプリズムリバー邸)

 

 

サグメ(故人、騒霊、人間…幻想と現実の秘密…穢れの概念…望まれる物と望まれぬ物…幻想からの闇…)

 

 

サグメ(核心と発端…存在の有無…『発端』は彼女たちの父、伯爵の様だがそれ以外は全てレイラに集約されている)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(…)

 

 

サグメ(…)

 

 

 

 

サグメ(レイラ・プリズムリバー 彼女は『真実』)

 

 

 

 

 

サグメ「麟」

 

 

冴月麟「…?」

 

 

サグメ「さっきからあなたが言っている幻想と言うのがここ、幻想郷のことだと仮定して考えたらある仮説が生まれるのだが」

 

 

冴月麟「仮説?」

 

 

サグメ「この屋敷は幻想郷の外の世界から流れて来た、理由はまだ分からないが、それには四姉妹と伯爵が大きく関わっている…屋敷は二つ『幻想郷に近い別次元に存在し、隠されているプリズムリバー邸』と『外の世界から流れ来て、幻想郷の多くの住人に認知されているプリズムリバー邸』が確かに存在している事…月の民である私だが幻想郷の事なら少しは知っている」

 

 

冴月麟「!」

 

 

サグメ「そしてリリカ達…騒霊としてのリリカ達と人間であるリリカ達が存在している、若しくはしていた事…それにはもう一人のプリズムリバー、レイラ・プリズムリバーの存在が大きく関わっている事」

 

 

サグメ「そしてあなたが言った『レイラ本人』と言う言葉…この事から」

 

 

 

サグメ「レイラ・プリズムリバーはこの別次元のプリズムリバー邸に存在している」

 

 

 

冴月麟「…!」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「彼女…レイラは居るのか? ここに」

 

 

冴月麟「……」

 

 

サグメ「麟、答えてく」

 

 

冴月麟「最初から」

 

 

サグメ「…?」

 

 

冴月麟「最初からあなたには真実だけを教えた方がよかったのかも知れないね」

 

 

サグメ「…!」

 

 

冴月麟「ごめんね、遠回しな言い方ばっかりして…あなたを混乱させるような事を」

 

 

サグメ「いや…謝らなくていい」

 

 

冴月麟「?」

 

 

サグメ「貴方の口からこの屋敷での出来事やレイラの事を聞けた、それだけで分かった事がある」

 

 

サグメ「彼女が、レイラが心優しく愛情深い人物だということがな」

 

 

冴月麟「…! ……そっか♪」ニコッ

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

冴月麟「ふふっ♪ ……さてと、これで最後だよ」スッ

 

 

冴月麟「プリズムリバーの『真実』あなたの目と心で感じて、あの子の心に…触れてみて」

 

 

 

 

 

 【もう一つのプリズムリバー邸 二階 廊下奥】

 

 

 

冴月麟「ここだよ、心の中への…大事な扉」

 

 

サグメ「…?」

 

 

冴月麟「存在してしまっている不幸…自分が必要としていたいと願う記憶」

 

 

冴月麟「存在を自分で否定しても『存在していてほしい、生きていてほしい』って願う人はいるんだよ」

 

 

冴月麟「あなたは…どっちかな」スッ

 

 

 ガチャッ ギィィィ……

 

 冴月麟は扉を開く

 

 

冴月麟「さぁ行って月の人…♪ あの子によろしくね」

 

 

サグメ(この先にレイラが…?)

 

 

サグメ「……! …貴方は来ないのか?」

 

 

冴月麟「! うん、ここからはあなた一人…その方が良いの、きっとね」

 

 

サグメ(最初に言われたな、知っていてほしいけど教えたくない秘密、存在してはいけないという事が引っ掛かってくるが…)

 

 

サグメ(彼女に会えばその謎も全て解ける筈)

 

 

サグメ「……分かった」

 

 

冴月麟「うん」

 

 

サグメ「…」

 

 

冴月麟「…」

 

 

サグメ「ここまでありがとう麟…また会えるか?」

 

 

冴月麟「!! ……♪」ニコッ

 

 

冴月麟「う~ん…それはどうかなぁ、私って一人一人に認知されているか分からない存在だから」

 

 

サグメ「? それはどういう」

 

 

冴月麟「ほらほら、行った行った♪ 早くしないと夜が終わっちゃうよ」スッ

 

 

サグメ「うっ…!」タッタッ

 

 

 サグメは麟が開いた扉の奥へと押された

 

 

サグメ「…麟」

 

 

 ギィィィ……

 

 閉まる扉を挟んで二人は目を合わせる

 

 

冴月麟「ここに来てくれてありがとう♪ ……穢れに疑義を抱く月の人、稀神サグメさん♪」

 

 

サグメ「…!」

 

 

冴月麟「さようなら♪」ニコッ

 

 

 ギィィ……バタン…!

 

 

 

 

冴月麟「……」

 

 

冴月麟「…」

 

 

冴月麟「はぁ…さっきから近くで見てるけどさ、本当はあなたが一から十まで月の人に説明した方が良かったんじゃないの?」

 

 

 

冴月麟「紫」

 

 

 ギュオン…!

 

 

 

八雲 紫「……」

 

 

冴月麟「…」

 

 

紫「私が月の民に一から十まで説明出来るわけないじゃない、ゆかりん月の奴ら嫌い」

 

 

冴月麟「でも毛嫌いしてるの綿月って名前の姉妹の人と地上を毛嫌いしてる月の人だけじゃん」

 

 

紫「逆もまた然りなのよ、月の奴らはゆかりんのこと嫌いなの」

 

 

冴月麟「稀神サグメさんからそうは感じなかったけどね、ルーミアと友達になれた人なら尚更だよ」

 

 

紫「…」

 

 

冴月麟「…」

 

 

冴月麟「レイラがまた少し寂しそうにしてたから口の固い人に話し相手、若しくは友達になってほしいってはっきり言えば良かったのに」

 

 

紫「そこまでの過程が重要なの、いきなり『複雑な状況に置かれている人と友達になってあげて下さい~』なんて言えるわけないでしょ、私だったら絶対嫌な顔するもん」

 

 

冴月麟「あ、そう思ってるんだ~♪」ニコッ

 

 

紫「…! ……」

 

 

冴月麟「……」

 

 

紫「麟ちゃん反抗期」

 

 

冴月麟「いいえ~♪ それほどでも~♪」

 

 

紫、冴月麟「……」

 

 

冴月麟「ルーミア達は?」

 

 

紫「酔っぱらって私のスキマの中で爆睡中よ、リリカ達も一緒にね」

 

 

冴月麟「ふふっ、そう…♪ 幸せそうに寝てるなら良いけどね」

 

 

冴月麟「…」

 

 

紫「…」

 

 

冴月麟「月の人、レイラのことどう思うかな」

 

 

紫「大丈夫よ、あなたがレイラに会わせても平気って感じ取ったんでしょう?」

 

 

冴月麟「感じた方向性は違うけどそこはお互い様なのね」

 

 

紫「はいはい…そこは否定しませんよ♪」

 

 

冴月麟「あっそ…ふふふっ♪」

 

 

紫「ふふっ…♪」

 

 

紫「……」

 

 

 

紫(利用したって思われても別に構わない、現にそうしてる…稀神サグメには悪いことをしたわ、友達との宴会を楽しんでいたものね)

 

 

紫(……月と言う名の鳥籠、もとい穢れにとらわれているあなたならあの子の気持ちが分かるはず、そしてあなたなら口も割らないだろうしね)

 

 

紫(レイラにとっての鳥籠はここ『幻想に導かれ幻想に溶けたプリズムリバー邸』その物……人里で聞き耳立てて偶然訪れたチャンスを無駄にしたくなかった、全ては私のエゴ…だけど)

 

 

紫(一人は寂しいのよ、ずっとずっと遥かなる未来まで…そう願ったあなたを幻想は導いたけれど)

 

 

紫(私は不幸せな幻想を望んでいないの、全てを受け入れる場所だとしてもね)

 

 

紫(……ごめんね、レイラ)

 

 

 

 

 

 

 

 

  【もう一つのプリズムリバー邸 真実への廊下】

 

 

サグメ「……」カツンカツン

 

 

サグメ(随分と長い廊下だ、白い靄の様な物が出ていて先が見えない)

 

 

サグメ(空間が不安定なのだろう、この廊下…いや幻想に置かれたプリズムリバー邸は)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(レイラに会ったとして、私は彼女に何をどうしたいのだろうか…彼女の事を麟から聞いたが謎ばかり、私は謎を解き明かしたいのか…? リリカ達の事もあって確かに気になってはいるのだが)

 

 

サグメ(プリズムリバー邸に来たのは偶然…だが麟に会ったこと、もう一つのプリズムリバー邸に来たことは偶然ではない…導かれるままにこの道を進んでいる)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(そもそも麟はレイラをどう思っているのだろうか、それと何故か私とレイラを会わせたがっていた様にも思えた、理由は聞けなかったが)

 

 

サグメ(……彼女に会えばそれも解けるのだろうか、彼女は真実…それだけは間違いない)

 

 

サグメ(麟が言っていた穢れに関する事も…?)

 

 

サグメ(……)

 

 

サグメ(いや、よそう…もう迷いはないのだから)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サグメ(…! 扉、か)

 

 

サグメ「この先にレイラが…?」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(私はルーミア達の所に帰りたい…本当はただそれだけだったのだがな)

 

 

サグメ(会うとしよう、真実に)

 

 

サグメ「…」スッ

 

 

 

 サグメは真実への扉を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【レイラ・プリズムリバー】

 

 

 

 永遠の時の中で 私は覚えています

 

 

 これからもずっと ずっと

 

 

 紡いだ糸を 離さないように

 

 

 

 夜の縁に舞い戻り 微かな光を辿って行く

 

 

 希薄な記憶の欠片を 探し続けて行こう

 

 

 癒しの旋律を奏でよう 思い出は私の胸の奥に

 

 

 

 痛みは消えず 胸の奥にいつも響いているけれど

 

 

 夜風に震える小さな手で 愛する想いを手渡したい

 

 

 遠く離れた貴方たちの心に 届きます様に

 

 

 

 

サグメ「……」

 

 

???「……」

 

 

サグメ(切ない…生気に満ちた歌声だ…)

 

 

???「歌は人のどんな感情をも伝えます、それはあらゆる旋律でも同じこと」

 

 

サグメ「あ、貴方は」

 

 

???「あなた様が現実にある館に入って来たときから気を感じ取っておりました、生気に満ち溢れたこの虚ろいの館に訪れた事は必然なのかもしれません」

 

 

サグメ「!」

 

 

???「初めまして、椅子に座ったままでの挨拶で申し訳ありません……私が」

 

 

???→レイラ・プリズムリバー「幻想の彼方に存在するプリズムリバー邸当主、レイラ・プリズムリバーです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【無為の少女】

 

 

サグメ「貴方が……レイラ」

 

 

レイラ「…」コクッ

 

 

 レイラは椅子に座ったまま小さく頷いた

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(レイラ、麟に案内されていたときに見た写真のままだな……いや、先ずは)

 

 

サグメ(この空間…)スッ

 

 

 無機質で小さな四角い部屋、床には絨毯が敷かれ、二つの窓から来る月明かりと暖炉の炎が部屋を照らしている。

 

 レイラは小さく揺れる揺り椅子に座っている、直ぐ側に暖炉もある。

 

 両手を膝に乗せており、手に香炉の様な物を持っている。

 

 

サグメ(……)スッ

 

 

 見回してみると部屋の四隅には使い古された楽器が無造作に置かれている

 

 一つ目の隅には弦楽器

 

 二つ目の隅には管楽器

 

 三つ目の隅には鍵盤楽器

 

 四つ目の隅には紙の山

 

 

サグメ(あれは…楽譜だろうか、人の高さにまで積み上げられている)

 

 

レイラ「それは私が書いた物です」

 

 

サグメ「! …貴方が?」

 

 

レイラ「お姉様たちと趣味を共有したくて書きました、私には楽器を奏でる才能はありませんでしたので…当時はどうにかしてお姉様たちと共通の趣味を持ちたかったのです」

 

 

サグメ(!! お姉様たち、か…恐らく人間のリリカたち…)

 

 

サグメ「…何故?」

 

 

レイラ「寂しさが紛れるから…でしょうか」

 

 

サグメ(……寂しさ…)

 

 

サグメ「…」

 

 

レイラ「…」

 

 

サグメ「レイラ、私は」

 

 

レイラ「麟様…冴月麟様からあなた様の事は聞いております、稀神サグメ様」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ「サグメ様のお名前、ご種族、何処からこの館に参られたのか…麟様が全て話して下さいました」

 

 

レイラ「先ほども申しましたが、サグメ様が現実のプリズムリバー邸に入って来た時からあなた様を見ておりました、と申しましても言葉の旋律まで読み取ることは不可能ですが…お友達と来館されたこと、宴の席を設けたこと、そしてサグメ様が席を離れた際に麟様がここ、幻想のプリズムリバー邸にあなた様を導いたこと」

 

 

レイラ「……ただなぜ麟様が私とサグメ様を会わせたのか…それは定かではないのです」

 

 

サグメ「…!」

 

 

サグメ(麟が私のことをレイラに話していたとは…初対面であるのにも関わらず私の事を知っていたのにも理由があるのか? …! さっき考えていた物が答えに繋がるか…?)

 

 

サグメ「私は麟からこの館のこと、プリズムリバーのこと、そしてレイラ…あなたのことも遠回しな言い方ではあったが聞いた、プリズムリバーの真実に辿り着ける様に導かれたとも取れるだろう」

 

 

サグメ「断片的な情報が多かったが、麟は懸命にこの館の秘密を私に打ち明けているようにも見えた…知っておいてほしいと思う気持ちが強く感じられた」

 

 

サグメ「麟は…私も真相は分からないが、私とレイラを会わせたがっているようにも思えた」

 

 

レイラ「会わせたがっていた…」

 

 

サグメ「あぁ、別れる際に『あの子の心に触れてみて』とまで言っていた」

 

 

レイラ「!」ピクッ

 

 

サグメ「…?」

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「レイラ…?」

 

 

レイラ「昔『あなたの心に触れたい』と、ある二人の方に言われた事があります」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ「そうですか、麟様が…」

 

 

サグメ(二人…? 一人は麟としてもう一人は一体)

 

 

レイラ「そこまで仰っているのであれば私はサグメ様に全てを…プリズムリバーの秘密を打ち明ける必要があるのでしょう、麟様もそれを望んでおられるはず」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ(紫様、恐らくあなた様も…ですね)

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(興味と偶然と好奇心からここまで来た、最初はルーミアたちの元に帰りたいがために話を聞いていた、それだけだったのだが)

 

 

サグメ「レイラ、話してくれるか」

 

 

レイラ「はい、全てをお話しします」

 

 

サグメ(私はプリズムリバーのこと、そしてレイラのことをもっと知りたい)

 

 

 

 

 

 

レイラ「語るには昔…プリズムリバー邸がここ幻想郷の外にあった時まで遡ります、もう何十年も過去のこと…プリズムリバーが繁栄を極め、生き生きとしていた輝かしいあの旋律は今でも思い出として心に残っています」

 

 

レイラ「私が……いえ、私たちプリズムリバーが生きていた時代……私を含めたリリカ、メルラン、ルナサお姉様たちと私を入れた四姉妹、そして私たちの父…特に不自由なく音楽や芸術を楽しみつつ毎日を過ごしておりました、今となっては懐かしい旋律です」

 

 

レイラ「母は私を出産して直ぐに天国への階段を上ってしまわれました、難産だったと聞いております……ですがその悲しみの旋律を私に与える事なく、お姉様たちと父は私に接し、愛し、育てて下さいました」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(麟からは聞けなかったな、彼女たちの母の事は…写真が無かったのはレイラを気遣ってのことかあるいはもう残っていないのか)

 

 

レイラ「私たちの父、プリズムリバー伯爵の事は?」

 

 

サグメ「…! あぁ麟から聞いているよ、四姉妹であるあなた達を心から愛することが出来た人だと」

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「そしてレイラ、あなたを幻想に導いてしまった人…プリズムリバー伯爵、彼が『発端』なんだとも言っていた」

 

 

レイラ「……幻想への発端、ですか…確かにその通りかもしれません」

 

 

レイラ「父は貿易商をしておりました、数々の品を輸出入することで収益を得ていました、時には気に入った家具等があればそのままこのプリズムリバー邸におくこともありました…今ここにある楽器等が最たる例でしょうか、私たち姉妹も運ばれてくる品々に興味を持ち、手に取ってみたものです、子供ながらに父の仕事に誇りと尊敬を持っていました」

 

 

レイラ「……この東洋品が我が邸に来るまでは」スッ

 

 

サグメ「…? 東洋品?」

 

 

 

 レイラは懐からあるものを取り出し、膝の上に置いた

 

 

 悲しい表情でそれを見つめ続けている

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「……それは…香炉か?」

 

 

レイラ「はい、今となっては何の変哲もないただの香炉…手のひらに収まる小さな小さな香炉」

 

 

レイラ「この香炉を父が手に入れた時から発端と言う名前の悲劇は始まったのだと今なら思うのです」

 

 

サグメ「!? 悲劇…だと?」

 

 

レイラ「はい、先程も申しましたがこれは今はただの香炉、父がプリズムリバー邸に持ち帰った時のこの香炉は淡い光を放っておりました、恐らく『魔力』が宿っていたのでしょう」

 

 

サグメ「魔力…!?」

 

 

レイラ「詳しく言うならば魔力と言う名の『程度の能力』が宿っていたのです、その言霊と東洋品ということから察していただけるとは思うのですが」

 

 

サグメ「……!! その香炉は幻想郷の…」

 

 

レイラ「はい、何処からどのような手段で父の手に渡ったのかは分かりませんが、ここ幻想郷にあった呪われし能力を持った品、マジックアイテムが我が邸に運び込まれてしまったのです、そこが発端、悲劇の旋律の始まりなのです」

 

 

レイラ「香炉に宿っていた能力は『持ち主の全ての夢を叶える程度の能力』です」

 

 

サグメ「夢を叶える? なら何故悲劇が」

 

 

レイラ「全て……なのです、幸せな夢も、不幸な夢でさえも、持ち主の記憶と心を媒介として全ての夢を叶えてしまう」

 

 

レイラ「人は夢を持つもの…目先の幸福、家族の明るい笑顔の旋律……想いの中にしまってある不幸、そうであってほしくない未来への夢、希望」

 

 

レイラ「香炉は父の夢を叶えました『プリズムリバーが繁栄し、私たち四姉妹がいつまでも笑顔でいられる夢』という幸せと『私たち四姉妹がずっと一緒にいられなくなる』という不幸を」

 

 

サグメ「!!」

 

 

レイラ「父の生気を吸収し、死に追いやる事でその夢を叶えたのでしょう…これを肌身離さず持っていた父は三ヶ月もせずうちに衰弱し、この世を去りました…まるで呪いにでも当てられたかのように、ただ夢を叶えたかっただけなのに」

 

 

レイラ「父が亡くなるとプリズムリバー家への資金操りと業績の悪化が顕著になり、プリズムリバー家は崩壊への一途を辿ることになります」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(そういうことだったのか…発端…その意味、か)

 

 

レイラ「身寄りが無くなった私たち四姉妹はプリズムリバーの名を持つこの家を何とか立て直そうと考えを張り巡らしたのですが…その手立ては既に無く、名のある家々に引き取られる他、ありませんでした」

 

 

レイラ「ルナサお姉様、メルランお姉様、リリカお姉様と引き取られ、次は私」

 

 

サグメ「だが、あなたは」

 

 

レイラ「はい、私はここに留まりました…廃洋館と化したこの邸から離れる事が出来なかったのです」

 

 

サグメ「…何故だ?」

 

 

レイラ「この家を、プリズムリバー邸を愛していたからです」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ「大好きだった父、ルナサ、メルラン、リリカお姉様と楽しく過ごした思い出…そして話したことはないけれど私をこの世に授けてくれた母がいた場所を守りたい…そう願ったのです」

 

 

レイラ「私と、私が愛した人たちが笑顔でいられたこの場所と別れる事なんて出来なかった」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイラ「館と共に滅びる覚悟でここに住み続けることに決めたのです、この呪われた香炉も共に…香炉の能力に気付いた私は夢も希望も失った自分ならばこの呪いを引き受ける事が出来るとも確信していましたので」

 

 

レイラ「ですが、夢は新しく作られるもの…ここからは『核心』となるでしょうか」

 

 

サグメ「…!」

 

 

レイラ「私は弱かった、そして甘かったのです…一人で全てを引き受けた結果、私の心に残った物は寂しさでした」

 

 

レイラ「そのような感情が芽生えた結果、夢を持ってしまったのです『お姉様たちがいてくれたら』『寂しさを紛らわす事が少しでも出来たなら』思っても口に出せぬ夢、希望…この香炉はそんな私の夢に反応したのでしょう、それが私にとって複雑な幸福と不幸であるのにも関わらず叶えてしまった」

 

 

レイラ「幸福と不幸の狭間の夢だったお陰なのか本物のお姉様たちではなく、三人の姿を模した『騒霊』という姿で具現化したのです」

 

 

サグメ「!!」

 

 

レイラ「半透明で手で顔に触れる事すら出来ず、会話すらもすることが出来ないルナサお姉様が最初に現れ、次にメルランお姉様、そしてリリカお姉様…存在そのものが不安定なお姉様たちであって、お姉様たちではない存在…リリカ、メルラン、ルナサという存在」

 

 

サグメ「!」

 

 

サグメ(そうやって幻想郷のプリズムリバー三姉妹はレイラの手によって創りだされたのだろう、麟と一緒に見たプリズムリバーの写真…本物と本物ではない存在)

 

 

サグメ(理由は寂しいという感情から…人間一人…孤独には耐えられなかったのだろう)

 

 

レイラ「気が付けば寂しいという感情は消え去っていき、私にとって嬉しい出来事もその時に起きたのです」

 

 

サグメ「それは?」

 

 

レイラ「プリズムリバー邸が幻想郷へと導かれた事です」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ「忘れられた物が辿り着く幻想郷…本物のお姉様たちの記憶や心からこの館が消えた、私はその事が嬉しかったのです、お姉様たちが他の家々で幸せを掴み、悲劇の痛みの旋律が安らぎを得ているのだとしたらとても幸福な事ですから」

 

 

サグメ「し、しかしそれは」

 

 

レイラ「私の事よりも他の事に目を向け、幸せの毎日をお姉様たちは各々過ごせている…それを考えるだけで私は幸せなのです」

 

 

サグメ「っ…!」

 

 

サグメ(……本心で言っている…私の目からは辛く見えてしまうが本人は想像を絶するほどの嬉しさなのだろうな)

 

 

レイラ「それに幻想郷に導かれたお陰なのかこの香炉の魔力をある程度制御出来る様になりました、麟様が仰るには『呪いと言えど魔力に抗い続けた結果の賜物と環境が与えてくれた奇跡』だと…次第にリリカ、メルラン、ルナサは実体と自我を持ち、会話をすることも可能になりました」

 

 

レイラ「幻想郷に来てからは正に夢…夢の中にいるかのように過ごしました、お姉様たちが奏でてくれた旋律をリリカ、メルラン、ルナサの三人はいつも楽器で弾いてくれました…とても、楽しかった」

 

 

サグメ「…そうか♪」ニコッ

 

 

レイラ「はい」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイラ「…」

 

 

サグメ「現実、あなたがリリカたちから受け取った感情やあなたが感じた心は現実だ…それは夢、いや悲劇の悪夢なんかじゃない」

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「現実、で思った事なのだかな」

 

 

レイラ「はい」

 

 

サグメ「レイラ、あなたは何故一人でここにいるんだ? この幻想のプリズムリバー邸にいる必要が無いのではないのか?」

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「孤独から来る感情は私にも分かる、一人は辛く、寂しい物だ…それが分かるあなたが何故ここにい」

 

 

レイラ「現実は」

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ「現実は夢よりも優しくないものです、夢に浸っていた時間が長ければ長いほどに……」

 

 

レイラ「ここからは『真実』現実のお話になります」

 

 

サグメ「一体どういう…」

 

 

レイラ「……」

 

 

レイラ「私はレイラ・プリズムリバーであって、レイラ・プリズムリバー本人でありません…ルナサ、メルラン、リリカの三人より不安定な虚ろいの存在なのです」

 

 

レイラ「レイラ・プリズムリバー、彼女は既に天寿を全うしているのです」

 

 

サグメ「!!」

 

 

 

 

 

 【もう一人のプリズムリバー】

 

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「天寿を…全うした…!?」

 

 

レイラ「はい」

 

 

サグメ「し、しかしあなたは今こうして」

 

 

レイラ「ここにいる私は、思念体の様な存在なのだと麟様から聞きました」

 

 

サグメ「思念体?」

 

 

レイラ「これです」スッ

 

 

サグメ「! 香炉…」

 

 

レイラ「私が思念体としてここに存在しているのはこの香炉の魔力によるもの…私が息を引き取る際に最後の夢を叶えたのです」

 

 

レイラ「先程も生前の私は、幸福な夢を見たと言いました…『お姉様たちがいてくれたら』と…そしてそれと同時に私にとっての不幸な夢も膨らんでしまっていたのです、思ってはいけないはずなのに」

 

 

レイラ「ずっとずっとこの時間が続けばいい、お姉様たちの幻影であるルナサ、メルラン、リリカと暮らしていたい……と」

 

 

レイラ「お姉様たちの幻影と共に天寿を全うしたい…最後の夢を打ち砕く形で不安定なまま先の夢も同時に叶えた結果が今の現実…この香炉は私が死ぬ寸前、本体と思念体とに分離させました」

 

 

レイラ「本当なら夢見の本体である私が死ねばルナサ、メルラン、リリカも消えるのは必然でしたがそれが成りませんでした」

 

 

レイラ「思念体である私が、プリズムリバー三姉妹を現世に繋ぎ止めている……麟様はそう仰っていました」

 

 

レイラ「思念体である私が生まれたのと同時に本体の私の魔力から生まれたプリズムリバー三姉妹の記憶は封印されました『レイラ・プリズムリバーという存在がいた』という記憶、自我を持ち始めたとは言え、生み出した本人が消えれば幻影も消え去る筈でしたが……現実はこうなのです」

 

 

レイラ「香炉は私が死ぬのと同時に、魔力全て解放したのでしょう、この通り、今はただの香炉……最後の呪いとでも言えばよいのでしょう」

 

 

サグメ「それが……全てなのか…それが、現実」

 

 

レイラ「はい」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(レイラは生きているものだと思っていた…これが現実…彼女が思念体だったとは)

 

 

サグメ「……レイラ」

 

 

レイラ「はい」

 

 

サグメ「思念体だったとしても、あなたはあなただろう」

 

 

レイラ「!」

 

 

サグメ「レイラ・プリズムリバーとして生きればいい、この幻想のプリズムリバー邸に一人でいる必要はないとも私は思う…! だから」

 

 

レイラ「なんて…お優しいお言葉」ニコッ

 

 

 レイラは優しく微笑んだ

 

 

サグメ「!」

 

 

レイラ「……夢を持った私…自我を持った三姉妹にも夢があるのです、私という記憶を失いながらも彼女たちは思い出したかの様に行動に移すことがあります」

 

 

レイラ「私に会いたいという夢…恐らくそれを無意識に持っているのでしょう」

 

 

レイラ「ルナサ、メルラン、リリカも私の魔力が生み出した物とは言え元を辿ればこの香炉から生み出されたと言ってもよいでしょう、魔力の源は香炉…まだ呪いが奥底で残っていたのだとしたら私に会った瞬間…望みが叶い、三姉妹が消えてしまうかもしれない」

 

 

サグメ「っ…!」

 

 

レイラ「それは私の望みではない、彼女たちが今を楽しく生きているだけで私は幸せなのです」

 

 

レイラ「彼女たちの喜びが、私の喜びなのですから」ニコッ

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(そうか…レイラはここから出る動機がない、作る必要がなく、作れない、生きていた彼女が望んだ様に、思念体であるレイラが望んでいる様に…一人は辛い、そう思っていたのは私だけなのだろう)

 

 

サグメ(自らが心から考え、行動に移そうと考えなければ何も動けない…私が月で感じていた事と同じ、八意様やルーミアたちの事がなければ地上に降り立つ事も考えなかっただろう)

 

 

サグメ(レイラは人の喜びに喜びを見出だせる心を持っている…そういう人だ、だからこそ)

 

 

サグメ(虚ろいの現実であったとしても、一人であり続けなければならないとしても、思念体としての現実を受け入れた今この瞬間の現実が)

 

 

サグメ(レイラにとっての幸せなんだ)

 

 

 

サグメ「……」

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「レイラ」

 

 

レイラ「はい」

 

 

サグメ「私はあなたのこと、そしてあなたと会った事を口外しないと約束しよう」

 

 

サグメ「そしてあなたのこと…レイラ・プリズムリバーを一生忘れないと心から誓おう」

 

 

レイラ「……ふふっ…♪」ニコッ

 

 

レイラ「ありがとうございます…サグメ様♪」

 

 

サグメ「ふっ、初めて心から笑ってくれたな」

 

 

レイラ「! ふふっ…麟様にもそのことでからかわれたことがあります」

 

 

サグメ「…! ふふっ♪」ニコッ

 

 

レイラ「ふふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

レイラ「…もうすぐ朝日が昇ります」

 

 

サグメ「……そうか」

 

 

サグメ「お別れ、だな」スッ

 

 

レイラ「そうですね」

 

 

サグメ「……」

 

 

レイラ「……」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「さようなら、レイラ」スッ

 

 

レイラ「さようなら、サグメ様」

 

 

 

レイラ「……」

 

 

レイラ「…」

 

 

レイラ「…♪」ニコッ

 

 

 もう一人のプリズムリバーである彼女はまた一人

 

 心と心で繋がれる人と出会う事が出来た

 

 彼女の心がまた癒された

 

 思念として生まれ 思念として生きようとも

 

 彼女はもう一人のプリズムリバー

 

 レイラ・プリズムリバー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【スキマ妖怪のエゴ】

 

 

サグメ「……ここは」

 

 

 サグメはエントランスホールの中心に立っていた

 

 

サグメ「…この感じ」

 

 

サグメ「戻ってきたのか、幻想郷のプリズムリバー邸に」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ(レイラ…もう、会うことはないのだろう)

 

 

サグメ「私は…」

 

 

紫「お帰りなさ~い♪」

 

 

サグメ「!?」スッ

 

 

 サグメは後ろを振り返る

 

 

サグメ「や、八雲紫!?」

 

 

紫「黙って聞いて? ここはもう幻想ではなく本物のプリズムリバー邸なんだから」

 

 

サグメ「!」

 

 

紫「…いい?」

 

 

サグメ「…」コクッ

 

 

紫「あの子にとっての幻想のプリズムリバー邸はあの子にとっての幻想郷の様なものなの、夜に覆う深い霧は結界の様な物…私と麟はあの子が望むままにずっと手助けをしているの」

 

 

サグメ「!」

 

 

紫「あなたはこちら側でレイラの歌声を聞くことが出来た、何故か…あなたが穢れにまだ敏感だから」

 

 

紫「思念体としても生き続けなければならない、存在が生に満ち溢れている存在…だからこそあなたはあの子を感じる事が出来た、リリカたちと一緒にいてもその違和感を感じとることが出来たでしょう?」

 

 

紫「あぁ、因みにねぇ♪ リリカたちが掃除とかしないのはそういう目的であの子に創られていないからなのよねぇ♪ 家具とか写真とか…たまに思い出す事もあるけど全然気にしてないんじゃないかしら、本物のプリズムリバー四姉妹の記憶なんてものも、あの子の中にあったプリズムリバーの思い出だけだしね」

 

 

紫「…ルナサとメルランがちょっと不安定な感情を持ち合わせているのは最初に生まれたから、まだ魔力操作が不安定だったからなの、最後に生まれたリリカ二人のバランスを保ちたかったという願いが少し反映されたのかしらね」

 

 

紫「リリカたちが楽器を弾いて音楽をやり始めたのは勿論本物の四姉妹の生き写しだってのもあるけど…本当はね、あの子に聴かせてあげたいのよ」

 

 

サグメ「!」

 

 

紫「天国にいるあの子にいつか届くような素敵な旋律…でも近くでいつも聞いているかもしれないわね♪」

 

 

サグメ「……」

 

 

紫「……リリカたちが冥界に行きたがる理由はね、あの子に会いたいからなの、記憶は無いから本能的に体が動いてしまっているのね」

 

 

紫「あの子から聞いたわね? 様は『自分の事は忘れて騒霊三姉妹として幻想郷で暮らしてほしい』その願いがあるのにあの子に会いたいとたまに思ってしまう…本人たちは気付いていないのに、誰に会いたいのかも分からないのにも関わらずね」

 

 

サグメ「……」

 

 

紫「これが全て、よ」

 

 

サグメ「…」

 

 

紫「どう思う?」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「私はこれから先、どんな事を聞かされてもどんな事を思おうとも変わらない」

 

 

サグメ「彼女を尊重し、一生忘れない」

 

 

紫「……そ♪」ニコッ

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

紫「……これは私の独り言」

 

 

サグメ「…?」

 

 

紫「一人でいたい、存在を認知されたくないと願う今のあの子は騒霊三姉妹と共にいようともたまに…たまにすごーく寂しそうな顔をするときがあるの」

 

 

紫「そんな顔見たくないのよ私人間大好きだから、少しの時間だけでもいいから話し相手、心と心が繋がれるだけの相手をあてがってあげたかった…最初から見てたから稀神サグメをプリズムリバー邸に行かせない様にすることも私なら出来た…出来たけどね」

 

 

紫「この人なら色んな意味で口も堅いし大丈夫かなって思っちゃったの」

 

 

紫「会わせてあげたかったのは私のエゴ…一人は寂しいじゃない」

 

 

サグメ「!」

 

 

紫「ふふっ…♪ ……あ~らあら口が回り過ぎちゃったかしらねぇ♪ それじゃあゆかりんさような」

 

 

サグメ「ま、待ってくれ!」

 

 

紫「んん? 何よ、まだ何かあるの?」

 

 

サグメ「……ルーミアたちはどこにいる」

 

 

紫「そこ、ダイニングよ」スッ

 

 

サグメ「!」

 

 

紫「酔い潰れてるんじゃない? 夜通し飲んでたんだし、叩き起こして永遠亭に運んであげたら? 二日酔いでしょうしねぇ」

 

 

サグメ「! …ふぅ」ホッ

 

 

紫「…」

 

 

サグメ「そうか、なら失礼する、起こしてあげないとな…ふふっ♪」スッ

 

 

紫「稀神サグメ」

 

 

サグメ「……?」

 

 

紫「……」

 

 

紫「…」

 

 

紫「ありがとう」

 

 

サグメ「!」

 

 

紫「あなたレアよ~♪ スキマ妖怪にお礼を言われた月の民…! な~んちゃって♪」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

紫「それじゃあね、月に帰ったらよっちゃんによろしくね♪」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「相変わらず底が見えないな…だが」

 

 

サグメ「こちらこそありがとう、八雲紫」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(ありがとう、レイラ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 終

 

 

 






 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした。

 レイラのこと、そして私なりのプリズムリバー家に対しての色々ある考察の一つの答えがこのお話の全てです、紫と麟が色々補足説明しちゃってますけどね。

 また短いお話ですが、サグメのその後、そして冴月麟の事を番外編として投稿したいと思います、一応繋がりがあるので前書きにて色々と書かせていただきます、よろしくお願いいたします。

 






 本当に投稿が遅くなって申し訳ありませんでした…色々と私の心身に問題があり、投稿出来ない状態が続いておりましたが今回からぼちぼち投稿再開出来ると思います。



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《第7.9話》『稀神サグメは何を思う』



 こちらは《もう一人のプリズムリバー》『前編』『中編』『後編』と繋がりがあり、一応続編となっております。

 【先にそちらを読むことを強くおすすめします】





 少し短い短編的なお話となっております、最後までお楽しみ下さい。


 サグメはプリズムリバー邸で起きた事を踏まえて何を思うのか


 それでは始まります。






 

 

 

 

 【永遠亭 中庭】

 

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「そうよ♪ これが月と地上とを結ぶワープ装置…ってこらぁ! 勝手にいじるなー!」

 

 

ルーミア「おー♪ 本当にこんなんで月に行けるのかー?」イジイジ

 

 

物部 布都「ふむぅ…? 分からぬ…何処がどうなっておるのじゃ、わーぷそーちと言われても人が一人入れる丸いガラス張りの箱にしか見えぬぞ」イジイジ

 

 

鈴仙「分からなくたっていいじゃない、そういう物だってことでさ……ってあー!? ダメ! メモリいじっちゃダメだって!」

 

 

ルーミア、布都「え?」

 

 

鈴仙「座標がズレちゃうでしょ!? 月の都門前に設定してあるんだから、それで飛ばしたら迷子になっちゃうのよ?」

 

 

ルーミア、布都「! お~♪ 迷子か♪」

 

 

鈴仙「…? な、なに?」

 

 

布都「ルーミア、もっとずらしてみようぞ♪」

 

 

ルーミア「これだけ回せば一周回って幻想郷なのだー♪」カチカチ

 

 

鈴仙「こらぁー! やめなさいってばぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

堀川 雷鼓「うっ……あぁ…」フラフラ

 

 

メルラン・プリズムリバー「うっぷ…」

 

 

ルナサ・プリズムリバー「うげぇぁ…」

 

 

リリカ・プリズムリバー「……何か言いたいことあります?」

 

 

雷鼓、ルナサ、メルラン「……」

 

 

 

三人「気持ち悪い……」

 

 

リリカ「でしょうね、昨日あんなに飲み過ぎれば二日酔いにもなりますよ、うん」

 

 

リリカ(でも布都さんとルーミアは何で二日酔いになってないんだろう、あんなに酔ってたのに…お酒が抜けるのが早いのかな)

 

 

ルナサ「飲み会で飲まない奴が何処にいんのよ…」

 

 

メルラン「飲まなきゃやってらんないのよ…こちとら打ち上げの真っ最中だってのに」

 

 

リリカ「だからって気を失うほど飲む? ハメを外しすぎだよ、全く」

 

 

ルナサ「てか何でリリカ本当に酔わないのよ」

 

 

メルラン「不公平よ、姉妹なのに~…」

 

 

リリカ「知らないよ、そういう体質だとしか言えないし」

 

 

ルナサ、メルラン「……」ジッ

 

 

リリカ「…?」

 

 

ルナサ「隠れてこそこそ吐いてるんじゃないの?」

 

 

リリカ「は!?」

 

 

メルラン「あ~だから酔わないんだぁ…定期的に吐けばそりゃ酔わないわ」

 

 

リリカ「吐いてる訳ないでしょ!? てかさっきまでド偉い吐き方をしてた人に言われたくないなぁ!」

 

 

ルナサ「てかさぁ、さっき吐いたからか分からないんだけど凄く胸がすいてるんだよね」

 

 

メルラン「ね、心がポカポカするよね、吐けば楽になる…あぁこう言うことだったのか」

 

 

リリカ「汚い、会話が汚いからやめなさいマジで」

 

 

リリカ「……」

 

 

リリカ(でも胸がすいてる…っていうのは私も同じなんだよね、私は吐いてないけど)

 

 

リリカ(なんだろう、なんか)

 

 

リリカ(心が落ち着いてる…不思議と暖かくて、とっても安心してる自分がいるのが分かる)

 

 

雷鼓「うっ…リリカぁ」

 

 

リリカ「! は、はい?」

 

 

雷鼓「私…そんなに飲んでた…?」

 

 

リリカ「えぇスッゴく酔ってましたよ、サグメさんに抱き着くぐらいまでいってましたから」

 

 

雷鼓「っ…!? サグメさんに…だ、抱き着く…?」

 

 

リリカ「…はい」

 

 

雷鼓「な、なんて羨ましいの!? 酔った私…! シラフでも抱き着いたことないのにぃ~……うっ」

 

 

リリカ(私が止めなかったら口と口がくっつきそうだったんだよなぁ)

 

 

 トコトコ

 

 

因幡てゐ「ほい、酔い止め持ってきたよ」

 

 

リリカ「あぁ、ありがとう兎さん」

 

 

てゐ「全く何でこんなに酔ったんだか…う~わ酒くせぇウサねぇ…」

 

 

ルナサ「……何で酔った側って臭みを感じないのかな」

 

 

雷鼓「気持ち悪さが先にくるからじゃない?」

 

 

メルラン「そんなことよりお薬下さい」

 

 

リリカ「……ねぇ、サグメさんは?」

 

 

てゐ「うん? まだ中じゃない? 姫とお師匠様と話してるんだからさ」

 

 

リリカ「そっか」

 

 

リリカ(サグメさん、何を話してるんだろう)

 

 

 

 

 

 

 

 【永遠亭 和室】

 

 

八意 永琳「あなたから話があるって珍しいわね、サグメ」

 

 

稀神 サグメ「はい…少しお二人にお聞きしたい事があります」

 

 

永琳「聞きたいこと?」

 

 

蓬莱山 輝夜「う~ん、何かしら……あっ、アレ? 月の民の上層部につけた話のこと? 大丈夫よサグメ、ちゃんと話して脅し……いえ、話して説得したからね♪」

 

 

永琳「よく覚えてましたね、アレ」

 

 

輝夜「ふんぞり返ってる上層部には痛手だったものねぇ♪ 月に住んでいる妖精たちに昔々にイタズラされたってく・ろ・れ・き・し♪」

 

 

永琳「通信した時にあわてふためいてましたね」

 

 

輝夜「『貴様ごとき月の民くずれがぁ!』とか言われたけど痛くも痒くもないわねぇ♪ その事に私は誇りを持ってるもん、地上大好きだし♪」

 

 

永琳「ふふっ…♪」

 

 

サグメ「いえ…その事についてではないのです」

 

 

輝夜、永琳「?」

 

 

輝夜「あら、じゃあなんなの?」

 

 

サグメ「八意様、輝夜……貴方たちなら私の問いに対する答えを持っていると思いました、だから今ここでお二人に問いたい」

 

 

輝夜、永琳「…?」

 

 

サグメ「……」

 

 

 

 

サグメ「穢れとは一体なんなのでしょうか」

 

 

輝夜、永琳「…!!」

 

 

サグメ「昔の私は穢れというものを月夜見様から聞かされ、認知したときから穢れている対象その物を毛嫌いし、穢れている地上の人々を忌み嫌っていました」

 

 

サグメ「穢れに触れてはならない、月の民もとい月に住んでいる者ならば常識です…なのですが」

 

 

サグメ「ここ地上…幻想郷に降り立つ事が増えてから日に日に思うのです、穢れとは一体なんなのだろうと」

 

 

サグメ「そして日を重ねる毎にこう思うようにもなってしまいました、穢れなんて物は存在せず概念的な物で地上との交流を縛る鎖…目に見えない呪いの様なものなのではないのか、と」

 

 

サグメ「地上に穢れが存在し、蔓延しているのだとしたら月から地上へ短期間ではあるが降り立っている私や豊姫、依姫…月から渡ってきて地上に住まう鈴仙、清蘭、鈴瑚…そして輝夜、八意様まで穢れていることになります、ですがそんな皆を見て心から思うのです、穢れてなんかいないと」

 

 

サグメ「お忍びとはいえ依姫と豊姫…私も地上へ行き、月から帰還しても上層部の物から何も罰せられたことは何故か一回もありません」

 

 

サグメ「……何より地上に降り立つことで得ることができた自分で胸を張って言えるかけがえのない友たちが穢れているなんて到底思えないのです」

 

 

サグメ「皆…それぞれの事情があり、どんな状態であろうとも必死に生きている…我々月の民と同じように喜怒哀楽を楽しんで生きている、私はその姿が眩しく、とても羨ましい」

 

 

サグメ「……」グッ

 

 

サグメ「輝夜、八意様…! 知っているのなら教えて下さい…! 穢れとは一体なんな」

 

 

輝夜「サグメ」スッ

 

 

サグメ「!」

 

 

 輝夜は人差し指を立ててサグメの口元に当てた

 

 

輝夜「サグメ…それ以上はダメよ、ダメだけど」

 

 

輝夜「思ったり感じたり、心の奥底にその想いはしまっておくのは良いと思う、でも口に出して言っちゃダメ」

 

 

輝夜「でないと…私と永琳みたいになっちゃうわよ♪」ニコッ

 

 

サグメ「…!!」

 

 

永琳「ふぅ…まさかあなたがそんなことを思うようになっていたなんて、昔のあなたからは想像も出来ないわね、ふふっ♪」

 

 

サグメ「……八意様」

 

 

永琳「良いのよサグメ、月と地上とを天秤に掛けている穢れをどう思うかなんてその人の勝手、その人自身の穢れがあるんだからね、あなたの考えも正しいのよ」

 

 

輝夜「でもあなたはまだその天秤がどちらも平行である、地上での暮らしも月での暮らしも捨てたくない、どちらの繋がりも大切にしたいからよね?」

 

 

サグメ「…!」

 

 

輝夜「だからそれで良いの、口に出さずに想っておけばね♪」

 

 

永琳「稀神サグメとして居たい所に好きなだけ居ればいい、自分が感じた事に逆らわずにあなたはあなたとして大切な人との時間を好きなだけ楽しみなさい」

 

 

輝夜「その感情…大切にしてね、サグメ」

 

 

サグメ「…!」

 

 

サグメ「……」フルフル

 

 

サグメ「っ…! うっ…!」フルフル

 

 

永琳、輝夜「!」

 

 

サグメ「ありがとう…グスッ…ございます…!」ポロポロ

 

 

永琳、輝夜「……♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

輝夜「サグメが泣いた所なんて初めてみたわ…なんか貴重な体験しちゃったんじゃないかしら」

 

 

永琳「気になったのそこですか?」

 

 

輝夜「違うわよ~、物珍しすぎただけよ~♪」

 

 

永琳「ふふっ…まぁそれは確かに」

 

 

輝夜「でも驚いたわ、まさかあのサグメが『私たちと同じ考え』を持つようになるなんてね」

 

 

永琳「そこは私も本当に驚いたわ…昔のあの子からは想像もつかない」

 

 

輝夜「ふふっ…♪ …あっ、ねぇねぇ、もしその事でサグメが地上に追いやられたらどうする?」

 

 

永琳「…そうですね、まずは薬の種類から覚えてもらおうかしら」

 

 

輝夜「あら♪ 家族が増えそうねぇ~♪ ふふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【永遠亭 中庭】

 

 

布都「おっ? サグメ殿、目が赤いぞ? 大丈夫か?」

 

 

サグメ「…! あ、あぁ…目に少しゴミでも入ったかな、大丈夫だよ」ゴシゴシ

 

 

ルーミア「おー♪ 大丈夫なのかーそーなのかー」

 

 

サグメ、ルーミア、布都「わはー♪」

 

 

ルーミア「わはは♪ なら心配いないなー♪」

 

 

サグメ「ふふっ♪ そうだな、心配してくれてありがとう」

 

 

雷鼓「さ、サグメさぁ~ん…」フラフラ

 

 

サグメ「雷鼓…大丈夫か?」

 

 

雷鼓「二日酔いのことなら大丈夫よ…そんなことよりもサグメさん、月に帰る前にお願いがあるんだけど」

 

 

サグメ「? な、なんだ」

 

 

雷鼓「あなたに思いっきり抱き着いていい?」

 

 

サグメ、ルーミア、布都「!?」

 

 

鈴仙「はぁぁぁぁぁ!?」

 

 

サグメ「なっ…何故そんな」

 

 

雷鼓「だってぇぇ…! リリカから聞いたのよ! 酔っ払った私があなたに抱き着いたってぇ…」

 

 

ルーミア「そ、そーなのかー!?」

 

 

サグメ「ま、まぁな」

 

 

サグメ(無理矢理だった、しかも口と口がくっつきかけた)

 

 

鈴仙「はぁ、酔っ払いって本当に…! しかも覚えてないんでしょ?」

 

 

雷鼓「まことに面目ないわ…お叱りで叩かれても文句も言えないわ…叩かれても音しかならない太鼓だったけれども」

 

 

てゐ「付喪神ジョークじゃん♪ 鈴仙、これ笑うとこ?」

 

 

鈴仙「笑えないし、笑うとこじゃないわよ…寧ろ軽く笑い飛ばしてあげるのが正解」

 

 

サグメ「ふふっ…」

 

 

ルーミア「むぅ……うりゃ」スッ

 

 

サグメ「うっ」

 

 

 ポスッ…と小さな音がなった

 

 

雷鼓、布都「!」

 

 

サグメ「る、ルーミア…!」

 

 

ルーミア「わははー♪ これで雷鼓と一緒だなー♪」

 

 

サグメ「…! ふふっ…あぁ、そうだな」スッ

 

 

 サグメはルーミアを抱き返してあげる

 

 

布都「…お、おぉなんとも…」

 

 

サグメ「…! 布都」

 

 

布都「!」

 

 

サグメ「布都も…さぁ」

 

 

布都「よ、良いのか?」

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

布都「で、では」スッ

 

 

サグメ「…」ポスン

 

 

ルーミア「三人でくっつくと暖かいなー♪」

 

 

布都「うむ、そうであるなぁ♪ 人肌とはどんな暖房器具よりも暖かいものじゃ」

 

 

雷鼓「あぁん二人ともズルいわ! 私もサグメさんと」

 

 

サグメ「! ら、雷鼓!」

 

 

雷鼓「な、なに?」

 

 

サグメ「私の腰に手を回したり顔と顔を近付けたりしないか!?」

 

 

雷鼓「そ、そんな大胆な事するわけないじゃない! それに恥ずかしくて出来るわけないし!」

 

 

サグメ(私はされたのだがな…雷鼓に)

 

 

サグメ「では…」スッ

 

 

雷鼓「んっ…」ポスン

 

 

ルーミア「四人だともっと暖かいなー♪」

 

 

布都「ホッコリするのぉ♪」

 

 

雷鼓「はぁ暖かい…♪ 心のビートがぞくぞくするわ」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ(あぁ、本当に暖かい)

 

 

 

鈴仙「えっ…えぇ…? サグメ様こういうの苦手じゃあ…てか何で私が顔真っ赤になってるんだろ…///」カァ

 

 

てゐ「……エロウサギ」ボソッ

 

 

鈴仙「はぁ!? そ、そんなんじゃないわよ」

 

 

てゐ「ふんっ…ほらほら鈴仙、私がハグしてあげよう♪ 一回三百円からだよ♪」

 

 

鈴仙「どさくさにお金むしりとろうとするんじゃないわよ!!」

 

 

 

 

ルナサ「…私たちも抱き着いた方がいいのかな」

 

 

リリカ「やめときなさいよ、お酒臭いんだから」

 

 

メルラン「そんなこと言ったら雷鼓さんだって」

 

 

リリカ「野暮なことは言わないの」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「……」

 

 

ルナサ「ねぇ」

 

 

メルラン、リリカ「なに?」

 

 

ルナサ「なんかさ、サグメさん見てると…」

 

 

リリカ「……見てると?」

 

 

メルラン「落ち着く?」

 

 

ルナサ「そうそうそうそう! なんか落ち着かない?」

 

 

メルラン「う~ん……そう…言われれば?」

 

 

リリカ「落ち…着く?」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「……?」

 

 

 

サグメ「……! ルナサ、メルラン、リリカ」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「! はい」

 

 

サグメ「プリズムリバー邸での宴会、とても楽しかった…ルーミアたちも、私を誘ってくれて本当にありがとう」

 

 

リリカ「ふふっ…♪ 楽しんでもらえたなら何よりです」

 

 

メルラン「今度は他の所でパーティーしましょうね♪」

 

 

ルナサ「待ってますからね、サグメさん♪」

 

 

サグメ「ふっ♪ あぁその時をまた楽しみにしているよ」

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「リリカ、メルラン、ルナサ」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「は、はい?」

 

 

サグメ「…」

 

 

サグメ「姉妹…いつまでも仲良くな」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「!!」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「…はい!」

 

 

サグメ「…♪」ニコッ

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ(やっぱり…なんか落ち着く)

 

 

 

ルーミア「サグメ、今度はいつ会えるのだー?」

 

 

サグメ「そうだな…前よりは間が空かないだろう、近いうちにこれると思う」

 

 

ルーミア「! ほんとかー!?」

 

 

サグメ「あぁ」

 

 

サグメ(そうだ…来たいときに来ればいい、もう迷いはしない)

 

 

布都「ならサグメ殿、昨日我が言っていた団子屋に行ってみようぞ」

 

 

サグメ「清蘭と鈴瑚の団子屋か、あぁ是非行こう」

 

 

雷鼓「ふふっ♪ 今度はゆっくりしましょうね、サグメさん」

 

 

サグメ「あぁ、そうだな♪」

 

 

鈴仙「…♪ では、サグメ様」

 

 

サグメ「あぁ、鈴仙もありがとう」スッ

 

 

サグメ「……」

 

 

サグメ「必ずまた来るよ」

 

 

サグメ「また会おう、みんな」

 

 

布都「また、な! サグメ殿」

 

 

雷鼓、リリカ、ルナサ、メルラン「じゃあ…♪」

 

 

ルーミア「元気でなー♪ サグメー♪」

 

 

サグメ「…♪」ニコッ

 

 

 バシュン……!

 

 

 

 

 

 

 おしまい…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【???】

 

 

レイラ「……」

 

 

冴月麟「…」

 

 

冴月麟「月、見るの好きになったの?」

 

 

レイラ「はい、昔は月に人が住んでいるなんて信じられませんでしたが…不思議なこともあるものですね」

 

 

レイラ「今は夜になったら一度月をみたい…そう思うようになりました」

 

 

冴月麟「…♪ そっか、そうだよね、そりゃそうだ♪」ニコッ

 

 

レイラ「はい…♪」ニコッ

 

 

レイラ「……」

 

 

レイラ「…」

 

 

レイラ(ありがとうございました、稀神サグメ様)

 

 

 

 

 

 

 終

 

 







 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪

 月の民が抱いている穢れ、その答えは東方紫藍談でも曖昧にしています。 本当に存在しているのかそれとも概念的な物で存在すらしていない代物なのではないか…とか。 寧ろ人によるとも思いますし、その意味でも曖昧の方が良いとも私は思います

 でも輝夜と永琳は穢れに関して何とも思ってない、若しくは穢れは存在していないと思っていると私は思います。




 因みにですが、今のレイラのことを知っているのは八雲紫、冴月麟、稀神サグメ…それともう三人、魅魔と幽々子、映姫も一応知ってます。

 魅魔は話したことはありませんがそういう存在がプリズムリバー邸にいるということだけ、幽々子は霊体になっていたレイラ本人と出会った事があり、本人から身の回りの事を聞きました、映姫は本人を天国に送ったその人、色々と事情を知っていてリリカたちプリズムリバー三姉妹を気に掛けています。

 思念となったレイラとは会ったことはありませんが三人もレイラの事は誰にも喋りません、三人口が堅いですからね。



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【流行りの幻想郷シリーズ】
《紅霧異変 壱の談》




 この章は『流行りの言葉シリーズ』というもので幻想郷で流行っている言葉を紫が勝手にラインナップして選び、言葉の意味と使い方を学んでみよう! といった物になります。

 言葉を使う本人も登場します、今回は紅霧異変で活躍した皆様です。


 それでは始まります♪




 

 

 

 マヨヒガにて

 

 

 

 

八雲紫「ねぇ藍」

 

 

八雲藍「なんですか? 紫様」

 

 

紫「私ってさ、幻想郷の管理人さんじゃない?」

 

 

藍「そうですね…そんな感じなんですかね」

 

 

紫「そんな感じじゃなくてそうなのよ」

 

 

藍「そうなんですか?」

 

 

紫「そうなのよ」

 

 

藍「そうなんですか…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「はぁ、あなたってほんとバカ」

 

 

藍「は!?」

 

 

紫「もう…何て言うか呆れて物も言えないわね、あなたってほんとに私の式なの?」

 

 

藍「また始まった!! なんなんですか突然に! こっちは貴方がサボって私に押し付けた仕事を今終わらせてやっと…! やっと一息いれたところなんですよ!?」

 

 

紫「ゆかりん仕事嫌い!」

 

 

藍「上司の言うセリフじゃないですね!? 本当に何なんですか!?」

 

 

紫「だから振ってやったでしょ!? そうなのよ、そうなのよ、って」

 

 

藍「分からないですよ!? どうせあれですよね!? スキマの隙間で隙を作ってやったとか訳の分からない振りか何かでしょう!?」

 

 

紫「んな訳の分からないこと私がやってるわけないでしょ!? 察せよ!」

 

 

藍「察せるかぁ!!」

 

 

紫「はぁはぁ…」

 

 

藍「はぁ…はぁ…」

 

 

紫「…疲れた」

 

 

藍「なにもしてないじゃないですか…十七歳なんでしょう? 頑張りましょうよ」

 

 

紫「ゆかりん今日は三十七歳…」

 

 

藍「十七歳の時から思ってましたけど若すぎません?」

 

 

紫「…ねぇ藍、本当に分かんないの?」

 

 

藍「えぇまったく、一から説明していただけると助かります」

 

 

紫「ふう、やれやれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【少女、説明中】

 

 

 

 

藍「は…? 幻想郷の管理人としての勤め?」

 

 

紫「そ♪ 私は幻想郷の管理人、全てを受け入れるこの地を管理するのがこの私、管理の為には幻想郷の流行りには敏感でなければならないの」

 

 

藍「…」

 

 

紫「分かる? 今幻想郷でトレンドの、流行りの言葉を身につけ、調査して、スーパーフェクトゆかりんになることでもっと幻想郷の事を管理出来るのかもと思ってね、それにここの住人の事よく知る良い機会だと思わない?」

 

 

藍「サボっていた理由はこれですか…」

 

 

紫「サボってないじゃない、私のお仕事は幻想郷がより良い場所になるように管理することなのよ?」

 

 

藍「さっきご自分で仕事嫌いって言ってたじゃないですか」

 

 

紫「あ~あ~ゆかりん難聴~♪」

 

 

藍「……スキマのおばあちゃん」ボソッ

 

 

紫「なんですって!?」

 

 

藍「聞こえてるじゃないですか!!」

 

 

紫「ふん! というか藍、これは貴方も知っておくべきことなのよ? 管理人の式としての職務を全うしなさい!」ビシッ!

 

 

藍「…」

 

 

藍(あなたは大妖怪、八雲紫としての職務を…いえ、もう慣れました、えぇ慣れましたとも)

 

 

藍「それで…そのスーパーパーフェクトゆかりんになるための調査ですか? 具体的には何をなさるのですか?」

 

 

紫「スーパーフェクトゆかりん」

 

 

藍「は?」

 

 

紫「スーパーフェクトゆかりん」

 

 

藍「…」ジトッ

 

 

紫「パが一個多い!!」クワッ

 

 

藍「めんどくさいなぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「調査はしてたんですよね? 経過は何処まで?」

 

 

紫「ん~とねぇ…ほら、こういうのって沢山聞いた方がいいでしょ? 人、妖怪、妖精、神…様々な者が現れる人里で調査をしたの、もちろん私だとばれない様に変化をしてね」

 

 

紫「ほんと私の知らないところでかなり住人が増えたのね、最初調査しててあまりの数に驚いたわ…だから霊夢達が解決してきた異変一つ一つに的を絞って調査をすることにしたの、まずは…紅霧異変ね」

 

 

藍「今となっては懐かしいですね、あの異変から全てが始まった様な気がします」

 

 

紫「昔から吸血鬼達は大暴れしてたけどね…さて! 今回の流行りの言葉、人里で聞いてきた物の中から私が選び抜いたラインナップはこれよ!」バサッ!

 

 

 

 

 

『あー?』

 

『そーなのかー』

 

『あたいったら最強ね」

 

『むっっきゅしょい!』

 

『う~☆』

 

『か~ごめ♪ か~ごめ♪』

 

 

 

 

 

藍「なんか聞いたことのあるのがちらほらあるような無いような…」

 

 

紫「普段から幻想郷で生活してたら聞く機会はあるでしょうね、さ! 次は身に付けるための実践よ」ギュオン

 

 

藍「…? えっ、紫様!? 実践ってまさかここに呼ぶ気ですか!?」

 

 

紫「当たり前じゃない、どんな用途で使ってるのか、どんな時に使ってるのか調査しないと意味ないじゃない」

 

 

藍「…スキマで無理矢理ですか?」

 

 

紫「ちょっと協力してもらうだけよ? それに協力してくれたらお土産もあげるから大丈夫よ、それにほら! スキマで呼んだ子はこのフカフカクッションの上に落とすから! ゆかりんやっさし~!」バフバフ

 

 

藍(大丈夫かな…あ)

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「?」

 

 

藍「最初の『あー?』なんですけど霊夢か魔理沙ですよね?」

 

 

紫「あら、良く分かったわね」

 

 

藍「魔理沙はともかく年柄年中貴方に振り回されてる霊夢…いきなり呼びだして大丈夫ですか?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「だっ、だだだ大丈夫よ! 問題ないわ! だって霊夢はこのゆかりんの事大好きなんだからぁ!」ダラダラ

 

 

藍「冷や汗がすごいですよ!?」

 

 

紫「大丈夫だって! さぁ! スキマを繋げるわよ!」

 

 

 ギュオン ヒュー ポスッ ポスッ

 

 

霧雨魔理沙「うおっ!?」

博麗霊夢「わっ!?」

 

 

紫「はぁい♪ 霊夢、魔理沙♪ 最近ぶりね♪」

 

 

魔理沙「ぬぁっババア!? と藍か、なんだいきなり…お? 霊夢、お前も居たのか」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「いきなりババアはないでしょ魔理沙!」

 

 

魔理沙「いきなりスキマに落としてくれやがっただろうがよ!」

 

 

藍「霊夢、魔理沙、すまないないきなり」

 

 

魔理沙「おう藍、またお前ら変なことやってるんのか? 説明してくれよ」

 

 

藍「かくかくしかじか…でな」

 

 

魔理沙「へぇ流行りねぇ…ってか私達最近はそれ言っ」

 

 

霊夢「…」イライラ

 

 

魔理沙「ん、霊夢どうした?」

 

 

紫「霊夢~♪ そんな訳だからこのゆかりんに協力して? ね♪」

 

 

 ゴゴゴ

 

 

藍「! 紫様!」

 

 

霊夢「夢想封い」

 

 

 ガシッ

 

 

霊夢「! 離しなさい藍! って魔理沙ぁ! あんたまでなにしてんのよ!」

 

 

藍「すまん霊夢悪かった! 悪かったから夢想封印はやめてくれ!」

 

 

紫「霊夢、どうしてそんなに怒るの? 私霊夢に悪いことした?」

 

 

霊夢「あぁん!?」クワッ

 

 

紫「ひぃ!」

 

 

魔理沙「まぁまぁ霊夢、いきなり呼び出されたのはムカついたけど答えてやれば謝礼付きで帰されんだぜ? もらってさっさと帰ればいいじゃないか♪」

 

 

霊夢「はぁ、あんたは相変わらず現金ね…まだ納得してないけど…まぁ良いわ 」

 

 

紫「ありがと霊夢♪」

 

 

魔理沙「んで『あー?』だっけか?」

 

 

紫「そ♪ 教えてくれる?」

 

 

魔理沙「…いや、教えるもなにもな」

 

 

霊夢「私達そんなにあー? って言ってないと思うけど?」

 

 

紫、藍「え?」

 

 

 

 紫と藍は目をパチクリさせた

 

 

魔理沙「普段生活しててあー? は普通に言う言葉だろ? 口癖になるほど言ってるって自覚はないな」

 

 

霊夢「確かに、私達そんなに言ってたかしら」

 

 

魔理沙「私の方が回数多そうだな、お前は最近『ああん?』 じゃないか?」

 

 

霊夢「私ってそんなにガラ悪いかしら…」

 

 

魔理沙「たまにな、ま気にする程でもないだろ」

 

 

霊夢「べ、別に気にしてないわよ!」

 

 

魔理沙「ははは♪ まあそういうわけだ紫、私達は最近使ってねぇよ」

 

 

霊夢「使いたかったら勝手に使えば? 流行りでもなんでもないと思うけど」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

魔理沙「? ババア?」

 

 

霊夢「固まるのが最近の流行りなの? 前も何かが原因で固まってたけど」

 

 

紫「あ、ありがと…霊夢、魔理沙…はい謝礼」スッ

 

 

魔理沙「お! 外の世界のお菓子か? キノコの形のチョコか!」

 

 

霊夢「ん? 紅白饅頭? またベタなものを」

 

 

魔理沙「要らないならくれよ」

 

 

霊夢「駄目、あげない」

 

 

紫「はい…お帰りは足元のスキマからどうぞ」ギュオン

 

 

魔理沙「おう、じゃあな霊夢、後で神社行くからお茶用意して待っててくれよな!」スッ

 

 

霊夢「あ、ちょ…ったく仕方ないわね、じゃあね紫、藍、あんまし遊びすぎるんじゃないわよ」スッ

 

 ギュオン

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「どうしましょ…こんなんで流行りの調査なんて出来るのかしら」

 

 

藍「やるなら頑張りましょうよ、まぁその…『あー?』は流行でも何でもなかったですし、幸先悪く感じるかも知れませんけど」

 

 

紫「言わないでよぉ! シクシク…霊夢には夢想封印されそうになるし、魔理沙にはババア呼ばわりされるし… ゆかりんこれからどうなるの!?」

 

 

藍「珍しく弱気ですね」

 

 

紫「ま、負けないわ! ゆかりん負けない!」

 

 

藍「その調子ですよ、最後までお付き合いしますから」

 

 

紫「藍、ありがと…んじゃ次行きましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「『そーなのかー』って聞いたことないですね」

 

 

紫「藍ったら遅れてるわねぇ~♪ 私これだけは知っていたわよ?」

 

 

藍(あ、もう復活してる)

 

 

紫「知ってたかと思って私が最初に貴方に振ったじゃない、そうなのよって『そーなのかー』で返してほしかったわ」

 

 

藍「…? えぇっ!? あんなわかりづらいのにですか!?」

 

 

紫「わか…!? い、いいもん! ゆかりんが元祖じゃないもん」プクー

 

 

藍「何で拗ねるんですか…」

 

 

紫「うっさい! さぁ呼ぶわよ!」ギュオン

 

 

 ヒュー ポスン

 

 

ルーミア「おー?」

 

 

紫「はぁいルーミア♪」

 

 

ルーミア「お? おー♪ 紫じゃないかー、久しぶりだなー♪」

 

 

藍(! ルーミアだったのか)

 

 

ルーミア「藍も久しぶりだなー 元気かー?」

 

 

藍「あぁ元気だよ、お前も相変わらずだな」

 

 

ルーミア「わはー♪」

 

 

紫「ルーミア、ちょっと頼みがあるんだけど」

 

 

ルーミア「なぁなぁ紫、前に話した私の頭のリボ」

 

 

紫「はーい♪ くんせい肉♪」スッ

 

 

ルーミア「! うまー♪」ムシャ

 

 

藍(餌付けされている…)

 

 

紫「ルーミア、かくかくしかじかなんだけど」

 

 

ルーミア「おー、そーなのかー」

 

 

紫「そーなのよー」

 

 

紫、ルーミア「わはー♪」

 

 

藍(…うん? あれ?)

 

 

ルーミア「んー♪ 私は使いたい時に使ってるなー♪」

 

 

紫「そーなのかー?」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

紫、ルーミア「わはー♪」

 

 

藍「何で早速使いこなしてるんですか!?」

 

 

紫「藍これ使いやすいわ! そーなのかなー? って思った時にさっと使えるし、何より可愛いじゃない! 両手をこうブーンって!」

 

 

藍「……そうですね」

 

 

藍(他の大人の前ではやらないでほしいと思ったけどこの願いは届かないんだろうなぁ…)

 

 

ルーミア「紫~♪ そんなことより私の頭のリボ」

 

 

紫「はーい♪ ほねつき肉♪」スッ

 

 

ルーミア「! うまー♪」ムシャ

 

 

藍「…紫様、この言葉は使い方から何まで全部知ってたんじゃないんですか?」

 

 

紫「知ってたけどやり方まではねぇ、でもほんとに気に入ったわこれ、幽々子にも教えてあげよあかしら♪」

 

 

藍(幽々子殿なら直ぐに飽きそうだから別に良いかな…)

 

 

紫「ふふふ♪ ありがとねルーミア、はい、お帰りは足下のスキマから」

 

 

ルーミア「ムグムグ…んー? もう帰っていいのかー?」

 

 

紫「えぇ」

 

 

ルーミア「んじゃ紫、最後にこの頭のリボ」

 

 

紫「はーいしもふり肉♪ お土産よ、じゃね♪」スッ

 

 

ルーミア「!! わはー♪ ありがとなー! バイバーイ♪」スッ

 

 ギュオン

 

紫「バイバイ♪ 良いわ、そーなのかー♪ うん良いわね」

 

 

藍「…紫様、『そーなのよー』と『わはー』なんなんですか?」

 

 

紫「あれはノリよ…ルーミアにあわせるためのノリ」

 

 

藍「あぁ、そうなんですか」

 

 

紫「くらぁ!!」クワッ

 

 

藍「!?」

 

 

紫「そこで、そーなのかーでしょうが!! 調査の意味!」

 

 

藍「この言葉めんどくさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「『あたいったら最強ね』私は聞き覚えがありますね」

 

 

紫「そーなのかー?」ビシッ!

 

 

藍「……そんな期待された目で見られてもやりませんよ」

 

 

紫「ぶー」プクー

 

 

藍「紫様がこの言葉を知らないことに驚きですけど」

 

 

紫「小耳には挟んだ事あるけどねぇ」

 

 

藍「人里でこれがトレンド…? もう口癖のような気が」

 

 

紫「ま、とりあえず呼ぶわね♪ は~い、スキマオープン♪」ギュオン

 

 

 ヒュー ポスッ

 

 

チルノ「うごっ!?」

 

 

藍「顔面から落ちたな…」

 

 

紫「はぁいチルノ、橙と仲良くしてる?」

 

 

チルノ「ん? 橙は友達だぞ? ってうおおお!? ここはどこだ!? あたいは何処に来たんだ!? うわっ!? ババア!」

 

 

紫「ババアって言うなぁ! 二度目は切れて良いわよね!?」ニッコリ

 

 

藍「紫様落ち着いてください、きっと魔理沙が吹き込んだんですよ」

 

 

紫「…チルノ、実はかくかくしかじかなんだけどね? 協力してくれる?」

 

 

チルノ「は?」

 

 

紫、藍「へ?」

 

 

チルノ「何言ってんの? かくかくしかじかって何? 意味わかんない…あっ!? これが馬鹿って奴か?」

 

 

紫「ゆかりんイラッとした♪」ニッコリ

 

 

 ゴゴゴ!

 

 

チルノ「な、なんだよ! やんのか!?」

 

 

藍「紫様大人気ないですよ!? チルノ悪かったな、私が解りやすく説明するからな!?」

 

 

チルノ「う、うん」

 

 

 【九尾、説明中…】

 

 

 

チルノ「へー、そーなんだー」

 

 

藍「そうなんだ、チルノの口癖のようだと私は思うんだがよければ教えてくれ」

 

 

チルノ「んー…教える? 決まってる事なのに?」

 

 

藍「決まってる?」

 

 

チルノ「そうだよ、あたいは最強なんだからあたいったら最強ねって言うに決まってんじゃん」

 

 

藍「うん…いやだから」

 

 

チルノ「あたいは最強なんだから言うの、よしんばあたいが最強じゃなくてもあたいったら最強ねって言うと思うよ?」

 

 

藍(よしんばって言葉の意味を知ってるんだな…)

 

 

チルノ「何故ならあたいが最強だから!」ドン!

 

 

藍「…いや、意味がわからんのだが」

 

 

チルノ「意味なんか無いって! 最強なのはあた」

 

 

紫「私ったら最強ね」ユラァ

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ

 

 

藍、チルノ「!?」

 

 

紫「ねぇチルノ…私ったら最強だと思わない?」ニッコリ

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ!

 

 

チルノ「ひっ!?」ビクッ

 

 

紫「よしんば私が最強じゃなかったとしても、今日も明日も明後日も毎日ずーっと私は最強なのよ」ニタァ

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ!

 

 

チルノ「ま、負けないぞ…あたいがさいきょ」ビクビク

 

 

紫「ねぇ…チルノ…」

 

 

 

紫「私ったら最強よね♪」ニッコリ

 

 

チルノ「う、うわー!!」タタタ

 

 

藍「あ、チルノ!」

 

 

チルノ「く、くそー! 覚えてろー!! ってうわあああぁぁぁ……」ヒュー

 

 

 ギュオン

 

 

紫「あらら、スキマに落っこちちゃった、チルノが元いた座標に落としておきますか」

 

 

藍「何やってんですか!?」

 

 

紫「おバカのがきんちょに美しいお姉さんがちょっとしたイタズラをしましたの♪ オホホホ♪」

 

 

藍「貴方の妖力全開の詰め寄りでちょっとした!? 本気だったじゃないですか! チルノと言えどトラウマ物ですよ!?」

 

 

紫「明日になったら忘れてるでしょ? ババアって言った仕返しよ♪」

 

 

藍「魔理沙にはしてないのに…」

 

 

紫「うっさい! ゆかりんイラッとしたんだもん! 良いでしょ、チルノのとこに駄菓子詰め合わせも送っておくから♪ ほらゆかりん優しいお姉さん♪」ギュオン

 

 

藍「まったくもう…」

 

 

紫「『私ったら最強ね』か、私なりにアレンジしちゃってるけど良いかも…そこら辺のやんちゃしてる妖怪には効くかもね、これも気に入ったわ♪」

 

 

藍「むやみやたらに使わないなら結構です…」

 

 

紫「これで半分か、続きはまた今度にしましょう、藍」

 

 

藍「はい…一応お疲れ様でした」

 

 

紫「一応は余計!」ビシッ!

 

 

 

 

 【ゆかりんメモ】

 

 

『あー?』誰しも日常で使ってる 無し…でもあの二人に使い続けてほしい言葉よね♪

 

『そーなのかー』お気に入り 今度幽々子にも教えてあげましょ♪

 

『あたいったら最強ね→私ったら最強ね』 まあまあ使えるわね、でも保留にしておいてって藍がうるさいから一応保留。

 

 

 

 

 続く!

 

 






 幻想郷の流行りの言葉を探して紫と藍が挑戦していく物語…なのかも


 ここまで読んでいただきありがとうございました! お疲れ様でした♪



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《紅霧異変 弐の談》



 このお話は壱の談の続きとなっております、そちらを先にお読み下さい。


 それでは始まります♪




 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

八雲紫「さてと…藍、流行りの言葉の続きよ続き♪」

 

 

八雲藍「…来ましたか」ジトッ

 

 

紫「……何よその顔は」

 

 

藍「いえ、前日貴方がそーなのかーそーなのかーって連呼しながら白玉楼に行ったときの事を思い出しまして」

 

 

紫「あぁあれね、楽しかったわねぇ♪ 幽々子もノリノリでやってくれたし」

 

 

藍「妖夢の事も考えてあげてくださいよ、貴方が悪ノリするから幽々子殿も『そーなのかー』しか言わない状態になって収集つかなくなったんですから…そしたら妖夢が」

 

 

妖夢『何処の物怪の仕業だ! 幽々子様をたぶらかして! 切って捨てる!!』

 

 

紫「あれは幽々子の戯れよ? 『そーなのかーしか言わなくなったら妖夢がどんな反応するか』って♪ …あら? ゆかりん全然悪くないじゃない」

 

 

藍「スキマに隠れてクスクス笑ってたのは何処の何方ですか…」

 

 

紫「妖夢が取り乱した時に説明して助けてあげなかったこんこん狐さんは何処の狐かしら」

 

 

藍「…貴方の目の前にいるスキマに挟まれて身動きとれなくなったこの私ですよぉ!!」

 

 

紫「あんなスキマも壊せないの? 修行が足りないんじゃない、藍」

 

 

藍「あんな高密度のスキマで挟まれたら誰でも身動きとれませんよ! 体が千切れるかと思ったんですよ!?」

 

 

紫「霊夢はとれるわよ?」

 

 

藍「能力を考えて下さいよ!!」

 

 

紫「橙を溺愛し過ぎて引かれる程度の能力?」

 

 

藍「っ…!? 人が気にしていることをさらっと言うのはやめてください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「元気出しなさいよ…」

 

 

藍「あぁ…橙…」

 

 

紫「猫は気まぐれなんだから構って攻撃してきたときに遊んであげるのが一番なの、例え家族でもそこら辺はキッチリなさいな」

 

 

藍「ううぅ……」シクシク

 

 

紫「藍、続きやるんだからめそめそしないの、橙はあなたの事嫌ってるわけじゃないんだからね?」ギュオン

 

 

藍「はい…ありがとうございます」

 

 

紫「さて…スキマ、フカフカ座布団セット完了♪ さてさて、何が残ってたかしらね」ガサゴソ

 

 

藍「…あれ? 私今お礼言う必要なかったんじゃないですか!?」

 

 

紫「うっさい! まるっと収まればそれでいいの! さ、ゆかりんメモオープン!」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

 

 

 

 《ゆかりんメモ》

 

 

『むっっきゅしょい!』

 

 

『う~☆』

 

 

『か~ごめ♪ か~ごめ♪』

 

 

 

 

 

藍「残りってこれでしたっけ?」

 

 

紫「そうよ♪」

 

 

藍「二番目は私も知ってますね、説明不要な気が…三番目は子供の遊び歌? 一番目が凄く気になるなぁ…」

 

 

紫「藍も一番目と三番目はわからないのね、私も未知の領域だわ…だからゆかりん楽しみ♪」

 

 

 

 

 

藍「それにしても『むっっきゅしょい!』とはいったい…」

 

 

紫「本人に聞けばわかるわよ、では♪ スキマオ~プン♪」

 

 

 ギュオン

 

 ヒュー ポスッ

 

 

パチュリー・ノーレッジ「きゃっ!?」

 

 

紫「動かない大図書館さんも可愛いとこあるのね『きゃっ♪』なんてね♪」

 

 

藍「失礼ですよ…? スキマに無理矢理落としてるんですから」

 

 

パチェ「…!? ! 八雲紫…? 八雲藍…」

 

 

パチェ(ここは…マヨヒガ? 一体何の目的で…)

 

 

紫「はぁいぱっつぁん♪ 月の一件の時は世話になったわね」

 

 

パチェ「別に…些細な事よ」

 

 

紫「相変わらずクールねぇ」

 

 

藍「突然呼び出してすまないなパチュリー、紫様の戯れに少し付き合ってくれないか?」

 

 

パチェ「……問答をする必要もなさそうね、マヨヒガに無理矢理連れてこられた時点で拒否出来そうにないもの」

 

 

紫「戯れってどういう意味よ、藍!」

 

 

藍「ちょっと黙ってて下さいよ! パチュリー、実はかくかくしかじかでな」

 

 

パチェ「まるまるうまうま、か…貴方も暇なのね」

 

 

紫「お互い様でしょう?」

 

 

藍(私は誰かさんのせいでいつも忙しいのだが…)

 

 

パチェ「…レミィがこの事を知ったら私も混ぜろと言いかねないわね」

 

 

紫「大丈夫よ、レミリアなら多分出落ちだから」

 

 

パチェ「…? まあ協力してもいいけど力にはなれそうにないわ」

 

 

紫、藍「?」

 

 

パチェ「だって私はこんな言葉使った事も言った事もない、そんな記憶もない」

 

 

紫、藍「え…」

 

 

パチェ「大体こんな激しさに満ちてる言葉を私が使うわけない、喘息に悩んでいる私がこんな迫力がある言葉言うわけがないじゃない」

 

 

藍「た、確かに言われてみれば…紫様、本当にパチュリーがこの言葉の使い手だと?」

 

 

紫「ゆかりんの情報収集力は侮れないのよ? …魔法の実験に失敗して記憶が無いとか」

 

 

パチェ「私はそんなに愚かではないわ」

 

 

紫「単に忘れてるだけなのでは?」

 

 

パチェ「記憶力には自信があるの、あり得ないわね」 

 

 

紫「む…じゃあほら、今言ってみて? 三、二、一、はい!」

 

 

パチェ「!!? む、むっっきゅ…! うっ!? ゴホッゴホッ…!」

 

 

藍(むせた…)

 

 

パチェ「八雲紫…! ゴホッ! なにやらせるのよ!」

 

 

紫「え~出来ないの…?」

 

 

パチェ「だから私じゃないと言っているじゃない!」

 

 

紫「おかしいわね…確かにあなたが使ったと聞いたのだけれど」

 

 

藍「紫様、ちなみに誰に聞いたのです?」

 

 

紫「ん~っとねぇ……あ、確かあなたのとこの悪魔よ」

 

 

パチェ「! …小悪魔?」

 

 

藍「人里にいたんですか?」

 

 

紫「そ、偶然見掛けたから声掛けて聞いたのよ」

 

 

パチェ「紫、小悪魔…こあをここに呼んでもらえる?」

 

 

紫「? 良いわよ、それで真実にたどり着けるなら♪」スッ

 

 

 ギュオン ヒュー ポスッ

 

 

小悪魔→こあ「わわっ!?」

 

 

紫「はぁい、可愛い小悪魔さん♪ ようこそマヨヒガへ」

 

 

こあ「うえぇい!? ゆ、紫さん!? ここはいったい…」

 

 

パチェ「こあ、ここは八雲紫の住みか、取り合えず落ち着きなさい」

 

 

こあ「あー! パチュリー様ぁ! 探してたんですよ、突然居なくなっちゃったから心配してたんです!」

 

 

パチェ「そう…心配掛けたわね、こあ」

 

 

こあ「ご無事で何よりです! しかしこの…何が起きてるんですか? そもそも私達がここにいる理由は…」

 

 

紫「説明してあげるわ、かくかくしかじかなのよ♪」

 

 

こあ「ほぇ~、そんなことしてるんですか…中々面白そうですね」

 

 

紫「あら、話がわかる小悪魔ね」

 

 

こあ「だって小悪魔ですから♪」

 

 

パチェ「こあ、無駄話はそこまでよ、そんなことよりも私の話を聞きなさい」

 

 

こあ「はい?」

 

 

紫「……管理人のお仕事なのに無駄話…」ブツブツ

 

 

藍「何でそういうことは気にするんですか…」

 

 

 

 

 

 

《ぱっつぁん、説明中… 》

 

 

 

パチェ「ということなんだけどあなたが知ってるらしいのよ、教えてくれるかしら?」

 

 

こあ「え」

 

 

パチェ「? 何?」

 

 

こあ「パチュリー様…まさか気づいてないんですか?」

 

 

パチェ「…? どういう事?」

 

 

こあ「パチュリー様これ言いますよ? たまに、条件付きですけど」

 

 

パチェ「な、なんですって!? 私が!?」

 

 

こあ「えぇ!? むしろ自覚無しですか!?」

 

 

藍「自覚無しなのか、トレンドですら無い…」

 

 

紫「そんな細かいこといいじゃない! いよいよ真相解明ね」

 

 

パチェ「こんな馬鹿げた言葉を私が使うわけないじゃない!」

 

 

こあ「え~…私も咲夜さんもお嬢様もフラン様も美鈴さんもみんな知ってますよ? 皆さんパチュリー様の可愛い一面だって言ってますし」

 

 

パチェ「な、なんですって…!?」

 

 

こあ「ん~…しょうがないですね! ご存知ないのなら気付かせて差し上げましょう♪ あ、良いこと思い付きました♪ 八雲紫さん少しお話を」

 

 

紫「あら、なにかしら」

 

 

こあと紫はパチュリーと藍の離れたところで二人に背を向け、聞こえないようにひそひそ話をし始めた

 

 

パチェ「…なにか嫌な予感がするわ」

 

 

藍「奇遇だな…私もだよ」

 

 

パチェ「お互い苦労してるわね」

 

 

藍「立場は逆とはいえな…」

 

 

パチェ、藍「はぁ…」

 

 

 ザッザッ

 

 

藍「…! どうやら話は済んだようだ」

 

 

パチェ「何を企んでいるのかしら…」

 

 

藍「気をつけた方が良い、紫様の戯れは底が知れん」

 

 

パチェ「胡散臭いのには慣れていないというのに…」

 

 

こあと紫はパチュリーの目の前に立った

 

 

紫、こあ「…」ニッコリ

 

 

パチェ「…なにかしら」

 

 

藍(パチュリー、武運を)

 

 

パチェ「…? そうやってずっと黙っているつもり? こあ、本当は私が言ってたなんて嘘なんでしょう?」

 

 

紫「自分の部下を嘘つき呼ばわりは良くないわね」

 

 

パチェ「自分の部下を扱き使うあなたに言われたくないわ」

 

 

藍(なんかちょっと嬉しい)

 

 

紫「そんなことよりパチュリー、このスキマを見て…?」ギュオン

 

 

パチェ「?」

 

 

 パチュリーは恐る恐るスキマを覗き込んだ

 

 

パチェ「…なにもないけ」

 

 

紫「食らえ! ゆかりんフラッシュ!!」ピカッ

 

 

パチェ「!?」

 

 

 スキマから凄まじい閃光が放たれた!

 

 

パチェ「あぁっ…!? め、目がっ…! 紫ぃ! なにをす」

 

 

こあ「いきます! 涙符『ペッパーレインストーム』」

 

 

パチェ(スペルカード!? くっ…目が見えない!)

 

 

こあ「パチュリー様! お覚悟!」

 

 

パチェ「!!」

 

 

 パッパッ

 

 

こあ「そ~れ胡椒をぱっぱっと♪」

 

 

藍(それっぽいこと言ったけどスペルカードですら無いじゃないか!!)

 

 

パチェ「!? げほっげほっ!! こ、こあっ…げほっげほっ!!」

 

 

こあ「パチュリー様~♪ ちょっと我慢してくださいね」

 

 

パチェ「ちょっ…やめっ…! げほっけほっ!! は、鼻が…」

 

 

藍「いやいやいや! 何やってんですかちょっと!」

 

 

こあ「まあ見ててください! もう少しですよ!」

 

 

パチェ「げほっげほっ…! うっ、へ…へ…!」ブルブル

 

 

こあ「お、きたきた♪」

 

 

紫「小悪魔、ついに来るのね?」カチッ

 

 

こあ「はい♪ 来ますよ…♪」

 

 

藍「?」

 

 

パチェ「へ…へぁ…へっ…む、む…」ブルブル

 

 

紫、藍、こあ「…」

 

 

パチェ「むっっきゅしょい!」ブン

 

 

紫、藍「あ」カチッ

 

 

藍(…ん? 何だ今のカチッって音は)

 

 

こあ「出た~♪」

 

 

パチェ「くっ…! 八雲紫ぃ! こあぁ!! いきなり何をして」

 

 

こあ「パチュリー様♪ 今言いましたよ♪」

 

 

パチェ「何を言ったというのかしらこあ! 覚悟は出来て」

 

 

こあ「だからぁ♪ 今パチュリー様、むっっきゅしょいって言いましたよ?」

 

 

パチェ「…は?」

 

 

紫「言ってたわね」

 

 

藍「…」メソラシ

 

 

パチェ「ば、馬鹿な事を! あの状況であんな言葉を」

 

 

紫「パチュリー、これ見て」スッ

 

 

パチェ「何よ!」

 

 

紫「これ外の世界の機械で声を記録、録音することが出来るの、真実を追い求める魔法使いなら知るべきよ」カチッ

 

 

パチェ「な、なにを」

 

 

 

 

 

紫『小悪魔、ついに来るのね?』

 

 

こあ『はい♪ 来ますよ…』

 

 

パチェ『へ…へぁ…へっ…む、む…』

 

 

パチェ『むっっきゅしょい!』

 

 

紫、藍『あ』

 

 

 

紫「はい♪ これが真実♪」カチッ

 

 

パチェ「な、んな…///」

 

 

藍(録音機の音だったのか…)

 

 

こあ「パチュリー様はくしゃみをなさるときはいつも言ってるんですよ♪ いやぁ~、可愛いですよね~♪」

 

 

パチェ「そ、そんな…/// で、でっち上げよ! 外の世界の機械なんて信用ならないわ!」

 

 

こあ「まんまパチュリー様の声じゃないですかぁ♪ 照れてます? ますます可愛いですねぇ♪」ニッコリ

 

 

パチェ「くっ…/// くぅ~…///」プシュー

 

 

紫「面白い子ね、さすが小悪魔だわ」

 

 

藍「あの言葉の正体がまさかパチュリーのくしゃみだったとは…」

 

 

紫「そうね、でも分かっても使いづらいわねぇ…くしゃみなんてはしたないこと少女ゆかりんはしないし、何より言いづらいもの」

 

 

藍「色々ツッコミたいことはありますが、それなら何よりですよ」

 

 

こあ「大丈夫ですよパチュリー様! まだ魔理沙さんとアリスさんは知らないですから」

 

 

パチェ「大丈夫じゃないわよ! 紅魔館の皆と顔合わせづらくなるじゃないの! く…これじゃレミィのこと色々と言える立場じゃないわね…」

 

 

こあ「似た者同士ですね♪」

 

 

パチェ「こあ、そろそろ私怒っても良いわよね」

 

 

紫「喧嘩するならお家でね、はい、二人とも協力ありがとう、これは謝礼よ」スッ

 

 

こあ「これは…おぉワインですね! わぁ、すごい年代物♪」

 

 

パチェ「? Grimoire of shinki…?」

 

 

紫「魔界のちょっとした知り合いの書いた本よ、他では絶対に手に入らないレア物よ?」

 

 

パチェ「魔界…? まぁいただいておくわ」

 

 

紫「お帰りは足下のスキマから、それじゃあね」ギュオン

 

 

こあ「はい! ありがとうございます♪ 紫さん、藍さん、それでは」ギュオン

 

 

パチェ「い、良い!? さっきのは他言無用よ!?」

 

 

紫「は~い♪」グッ

 

 

藍「ああ、わかったよ」

 

 

パチェ「それじゃ…」ギュオン

 

 

 

 

藍「くしゃみかぁ…」

 

 

紫「くしゃみねぇ…」

 

 

藍「くしゃみなら…」

 

 

紫「そうねぇ…」

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「えぇ、あなたと同意見よ」

 

 

藍、紫「橙のくしゃみの方が可愛い」

 

 

 

 

橙『へっくちゅん! うぅ… 』

 

 

 

 《ゆかりんメモ》

 

 

『むっっきゅしょい!』

 

 無し! ただのくしゃみじゃねぇ…でも録音したものは取っておきましょう♪

 

 

 

 

 

 

 続く!

 






 このシリーズでは他のキャラへの説明を省く時にかくかくしかじかを多様しています、一人一人説明していると長くなってしまいますので…

 ここまで読んでいただいてありがとうございました、それではまた次回!



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《紅霧異変 参の談》



 このお話は壱の談、弐の談の続きとなりますので先にそちらをお読みいただければと思います。



 それでは始まります♪




 

 

 【マヨヒガ】

 

 

 

八雲紫「余計なことは思わせな~い♪ 言わせな~い♪ …はい、続きやるわよ藍」

 

 

八雲藍「私のことは無視して進めるんですね、分かってます」

 

 

紫「僻むんじゃないの!」

 

 

 

 

 

 《ゆかりんメモ》

 

 

  『う~☆』

 

 

  『か~ごめ♪か~ごめ♪』

 

 

 

 

 

 

藍「『う~☆』…もうこれは」

 

 

紫「使い方はあんまり知らないけどレミリアしか言わないでしょうね」

 

 

藍「はい…って名前言っちゃってるじゃないですか」

 

 

紫「もう良いかなってね♪ 人里で聞いたときに『あ、これはレミリアのだろうな』って推測したら見事的中したのよねぇ」

 

 

藍「もしかしたらトレンドらしいトレンドなのかも知れないですね」

 

 

紫「かもね、よし♪ それではスキマ! レッツオープン!」ギュオン

 

 

 

 ヒュー ポスッ

 

 

 

レミリア・スカーレット「う~☆」

 

 

紫、藍「…」

 

 

レミリア「はっ!? ここはいったい…!? あ! 紫と藍じゃない、久し振りね! あなたがスキマで私を落としたのね? 何か面白い事でもしてるの?」

 

 

紫「…やっぱり出落ちね」

 

 

藍「スキマから落とされたから物理的にも出落ちですね」

 

 

紫「藍それ上手いわ、座蒲団一枚あげる」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

レミリア「ちょ、ちょっと! 無視するんじゃないわよ! 私も混ぜなさい!」

 

 

紫「はぁいレミリア、もう帰って良いわよ? 使い方もやり方も分かったから」

 

 

レミリア「速くない!? 呼び出しといてまだ一分と経ってないわよ!?」

 

 

紫「だってもう見たし聞いたし分かっちゃったし」

 

 

レミリア「ん!? 何か面白いものを見たのね、ちょうど退屈してたの、教えてよ」

 

 

藍「いや、そのな…レミリアの事なんだが」

 

 

レミリア「へ? 私?」

 

 

紫「あ、でも仮定を見るのも大事かしら」ギュオン

 

 

 ガサゴソ

 

 

紫「えっと…あ、あったあった♪」

 

 

レミリア「ほんとに何でも出てくるスキマね」

 

 

紫「よいしょっと…はい、これはスキマモニターよ」

 

 

レミリア「お~! これ外の世界の機械ね!」 

 

 

紫「まあね、これで見てみましょ」

 

 

レミリア「見るものなの? なにを見るの?」ワクワク

 

 

紫「あなたがここに落ちて来るまでの数十秒の映像」カチッ

 

 

レミリア「えっ!?」

 

 

 

 

 ブゥン…

 

 

 ヒュー

 

 

レミリア『ちょっ…うえええ!? な、なによこれぇ!? 何処よここはぁ!?』

 

 

レミリア『ひ、ひぃ何あの目玉は!? と、飛んで逃げ…』バサバサ

 

 

レミリア『と、飛べない!? お、落ちちゃう~!』

 

 

レミリア『うわあぁーん! 咲夜! 咲夜ぁ! 助けてぇ! 怖いよぉ!』

 

 

レミリア『うっ…』

 

 

レミリア『う~☆』

 

 

 ヒュー ポスッ

 

 ブゥン…

 

 

 

レミリア「な、なぁ…!?」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

紫「レミリア、あなたとは長い付き合いだけどお約束だから一つ言っておくわ」

 

 

紫「カリスマっ…! ぷふっ、あっはっは!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「!!? うっ、う~☆」カリスマガード

 

 

藍「レミリア、お前紫様のスキマを見たこと…いや、中はあまり見たことないか」

 

 

紫「ほんと会うたびにカリスマが無くなるわね、素敵なカリスマ吸血鬼目指して奮闘しているんじゃなかったのかしら」

 

 

藍「難しいんじゃあないですか、カリスマというものも」

 

 

紫「そんなことよりも『う~☆』か、ちょっとやってみるわ」スッ

 

 

藍「…」

 

 

紫「しゃがんで帽子を両手で鷲掴んでと…せーの」

 

 

紫「う~☆」カリスマガード

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」カリスマガード

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」カリスマガード

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「藍」カリスマガード

 

 

紫「これ私がやったら弱っちく見えちゃうわ」スッ

 

 

藍「えぇ直ぐにお辞めください、直ぐにです」

 

 

紫「確かに可愛いポーズではあるけどなんかやりにくいのよね、背の問題もあるのかしら」

 

 

藍(絵面がキツイんですよ!! 気付いてください!)

 

 

レミリア「う~☆ ち、ちくしょー! 別に恐がってなんかないわよ!? カリスマ吸血鬼の私があんなものに恐怖するわけないじゃない! たかが目玉ごときに何を」

 

 

紫「はいはい愉快なカリスマさん、これはお礼よ受け取りなさい」スッ

 

 

レミリア「? …!? こ、これは!」

 

 

紫「カリスビタミン紅よ、これを飲めばあなたもカリスマ王女になれる!」

 

 

レミリア「!? あ、ありがとう! これ飲んで私カリスマ王女になるわ!」

 

 

藍「…」

 

 

レミリア「? でも紫、お礼? 私あなたに何かしたっけ?」

 

 

紫「良いのよ、ここに呼んだ迷惑料だと思って?」

 

 

レミリア「? まぁくれるなら貰うけど」

 

 

紫「はい、お帰りは足下のスキマからどうぞ」ギュオン

 

 

レミリア「うん♪ 紫、これありがとね! それじゃ!」フリフリ

 

 ギュオン

 

 

 

藍「レミリアに説明してあげませんでしたね…」

 

 

紫「必要ないでしょ、ウキウキで帰って行ったしね」

 

 

藍「紫様、あのカリスビタミンとは?」

 

 

紫「ただの苺牛乳、外の世界の物のラベル私が張り替えて作ったの」

 

 

藍「そこに何で手間をかけるんですか…」

 

 

紫「思い込んで飲んだら効果が出るかも知れないわよ?」

 

 

藍「望み薄ですよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「『か~ごめ♪ か~ごめ♪』これは今の人里の子供達の流行りの歌ですか? でも何かなぁ…」

 

 

紫「最初は私もそう思ったの、でも調査していったら驚きの子に当たったのよ」

 

 

藍「?」

 

 

紫「言うよりも呼んだ方が速いわね♪ はい、スキマオープン!」ギュオン

 

 

 

ヒュー ポスッ

 

 

 

フランドール・スカーレット「わぁっ!?」

 

 

藍「これはまた以外な…」

 

 

フラン「…あれ? ここどこ?」

 

 

紫「はぁいフラン♪ 久し振りね、最近どう? 元気だった?」

 

 

フラン「! あ~♪ スキマのお姉さんだぁ♪ うん! フランは元気だよ! 最近また友達が増えたの♪」

 

 

紫「そうなの、良かったわね♪」

 

 

フラン「うん! こいしちゃん、こころちゃん、ぬえちゃん、それからマミゾウって人!」

 

 

紫「あら、前より増えてるわね♪ もちろん霊夢と魔理沙とも仲良しよね?」

 

 

フラン「うん♪」

 

 

紫「ふふっ♪ でも霊夢は渡さないわよ~」

 

 

フラン「スキマのお姉さんは相変わらず霊夢が好きだね」

 

 

紫「そりゃあもう、霊夢とゆかりんは相思相愛ですし?」

 

 

フラン「おすし?」

 

 

紫、フラン「いえ~い♪」ハイタッチ

 

 

藍(まるでお婆ちゃんと孫のよう…って言ったら怒られそうだなぁ)

 

 

フラン「…? あぁ~♪ 狐のお姉さん! またモフモフさせてよ!」

 

 

藍「! だ、駄目! 尻尾は駄目だ!」

 

 

紫「けちねぇ」

 

 

フラン「ケチ~」

 

 

藍(前に紫様に騙されて四人に分身されたフランに尻尾を蹂躙されたからなぁ…あの後は…思い出すと鳥肌が)

 

 

フラン「あ、ねぇスキマのお姉さん、どうしてフランはここにいるの? 私紅魔館に居たのに」

 

 

紫「あぁそれはね、かくかくしかじかなの」

 

 

フラン「! へぇ~、面白そうだね♪」

 

 

紫「でしょ? フランも協力してくれるとありがたいわ」

 

 

フラン「うんいいよ! んー…でも」

 

 

紫「どうしたの?」

 

 

フラン「そのカゴメカゴメ? それって私のスペルじゃないの?」

 

 

紫「…? あ、そういえば」

 

 

藍「ありましたね、フランのスペルカードに」

 

 

フラン「私のスペルが人里で流行ってるの!? わぁ!」キラキラ

 

 

紫「う~ん…?」

 

 

藍「なんか違うような…」

 

 

フラン「どうしたの二人とも」

 

 

紫「ねぇフラン、スペルカードじゃなくて…もっとこう…歌みたいな感じなのよ」

 

 

フラン「歌?」

 

 

藍「あぁ、カゴメカゴメは歌にあるのも知ってるだろう? 歌ったことはないか?」

 

 

フラン「ん~…………あっ」

 

 

紫、藍「ん?」

 

 

フラン「もしかしてあれかな?」

 

 

紫「心当たりがあるの?」

 

 

フラン「うん!」

 

 

藍「やってくれるかな」

 

 

フラン「良いよ! じゃあスキマのお姉さん」

 

 

紫「?」

 

 

フラン「アイツ…じゃなかった、お姉様をここに呼んで?」

 

 

紫「レミリアを? えぇ、いいわよ」

 

 

フラン「うん、よろしく!」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「じゃここに落とすわね」

 

 

フラン「うん、おねがーい!」

 

 

藍(何が始まるのだろう…)

 

 

紫「スキマオープン♪」ギュオン

 

 

フラン「禁忌!『フォーオブアカインド』」ブゥン

 

 

藍(…? 分身したな)

 

 

 

 ヒュー ポスッ

 

 

レミリア「う~☆ …はっ!」

 

 

紫「はぁいレミリア♪ さっきぶりね」

 

 

レミリア「ちょっと紫! やっぱり私に用があるんでしょ!? 面白い事を企んでいるのなら是非教えなさい!」

 

 

紫「そうねなら今度は協力してもらおうかしらね」

 

 

レミリア「! ふっふっふ♪ 良いわ協力してあげるわ、この私が協力すればどんなことでもたちどころに」

 

 

フラン「はぁい♪ お姉様♪」

 

 

レミリア「ふ、フラン!? あなたまで何でここに? …えっ!?」ピキッ

 

 

藍「固まった…?」

 

 

フラン「スキマのお姉さんに私も呼ばれたの♪ それよりもどうしたのお姉様、なんかビクビクしてるけど♪」

 

 

レミリア「そ、そうなの…!? そ、それでどうして四人に分身しているのか、かしら?」

 

 

フラン「ほらぁ♪ 前にお姉様パチュリーを怒らせてオシオキされたじゃない?」

 

 

レミリア「いぃっ!? あ、あれは」

 

 

フラン「フランね、あれもう一度やってみたくなっちゃったんだぁ♪」

 

 

レミリア「!?」ビクッ

 

 

フラン「アハハ♪ またコンティニュー出来なくなっちゃうね♪」

 

 

 

 そう言うとフランは

 

 

 

 

フラン「皆やるよ!」

 

 

フランA B C「おー♪」

 

 タタタ

 

 

レミリア「ひゃっ!?」

 

 

 

 レミリアの回り四方を分身と共に取り囲み

 

 

 

レミリア「ふ、フラン…! や、やめ」

 

 

フラン「オネエサマ♪ アソビマショ♪」

 

 

フランA B C 「オネエサマ♪ アソビマショ♪」

 

 

レミリア「うっ!」

 

 

フラン達「カ~リスマ♪ カ~リスマ~♪ 仮住まいの吸血鬼~♪」

 

 

レミリア「うっ!? う~☆ う~☆」カリスマガード

 

 

 

 不思議な踊りを踊りはじめた!

 

 

 

フラン達「い~つになったら借りれるの~♪」

 

 

レミリア「う~☆ う~☆ だ、誰か助けてぇー!! こ、怖いよぉ…!」カリスマガード

 

 

フラン「お姉様ぁ♪ なにが恐いのぉ♪」

 

 

レミリア「その変な踊りと歌よ!! 私の周りを四人でクルクル回らないでぇ!」

 

 

フラン「アハハァ~♪」

 

 

レミリア「う~☆ 咲夜ぁ! 助けてぇ~!」カリスマガード

 

 

紫、藍「…」

 

 

紫「世の中には色んなお仕置きがあるわね」

 

 

藍「端から見たら呪術のような、何かの儀式に見えなくもないかもですね」

 

 

紫「私も分身して交ざってこようかしら」

 

 

藍「やめて差し上げてください」

 

 

紫「ふふっ♪ 流石に可哀想になってきたから止めてあげましょうか、お土産もあげて帰ってもらいましょうね♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「…♪ さて、これで終わりね…色々と言葉を知れて面白かったわ」

 

 

紫「次は…ふふっ♪ 幽々子にも協力してもらいましょう♪」

 

 

 

  《ゆかりんメモ》

 

 

 

 『う~☆』無し

 

 私には使いづらいし、レミリアに悪いから…でもこういうの霊夢好きそうなのよね、あの子こういう可愛いらしいポーズ好きだし♪

 

 

 『カ~ゴメカ~ゴメ♪』無し

 

 フランに悪いわね、でも大昔にこれを知っていたら小さい藍にやってたわね、お仕置きとして♪

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 






 フランは紫から縫いぐるみセットを、レミリアはカリスビタミン紅を追加で五本、謝礼としてもらいました。


 次回は協力してくれた彼女達の後日談になります。

 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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《紅霧異変 後日の談》



 【流行りの幻想郷】『紅霧異変』の後日談となります、先に壱、弐、参の物語を読んでいただければと思います。

 それでは始まります♪





 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

八雲紫「どうだった? 結構楽しかったでしょ♪」

 

 

八雲藍「まぁ…幻想郷の住人達が普段から使っているあまり知らない言葉を知ることが出来たので、はい」

 

 

紫「そこは素直に喜びなさいよ…次、また調べておくからその時もよろしくね♪」

 

 

藍「はい、でもですね紫様、人里でお調べになる前にこの仕事を片付けてか」

 

 

紫「ゆかりんは逃げ出した!」ダッ!

 

 

藍「あ! ちょっと逃げないで下さ…って足速っ!?」

 

 

紫「スキマに引き込もってばかりのゆかりんの足が遅いとでも思った? ざ~んねんでしたぁ~♪」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

藍(飛んでる時より速いとは…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【博麗神社】

 

 

博麗霊夢「あんたさ…」

 

 

霧雨魔理沙「おっ、この紅白饅頭も美味いな♪ 紫の奴こんなもんばっか食ってんのか?」モグモグ

 

 

霊夢「結局饅頭も食うんかい!」

 

 

魔理沙「? 霊夢だって私のキノコのお菓子食べたじゃないか」

 

 

霊夢「そりゃああんたが食えって言うから…」

 

 

魔理沙「等価交換って奴だな♪」

 

 

霊夢「あんたの口からそれが出るとはね」

 

 

魔理沙「交換するものがなければ貰うだけだぜ」

 

 

霊夢「貰ってんだか借りてんだかどっちなのよ」

 

 

魔理沙「言葉って便利だよな! あっはっは♪」

 

 

霊夢(でも不思議と私から物を借りないのよね、何でかしら?)

 

 

魔理沙「…なあ、霊夢話変わるけどさ」

 

 

霊夢「なに?」

 

 

魔理沙「紅白饅頭があるなら白黒饅頭があっても良いと思わないか?」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霊夢「いやそれただの饅頭じゃない」

 

 

魔理沙「それを言うなら紅白饅頭もただの饅頭じゃねぇか」

 

 

霊夢「……でも、外の皮が黒くて中身の餡に白いクリームが入ってたら美味しそうかも」

 

 

魔理沙「おぉ霊夢、お前天才だな! うーん、咲夜かアリスに頼んでみるか!」

 

 

霊夢「作れるのかしら…でもあいつらさらっと作りそうね」

 

 

魔理沙「女子力半端ないからな」

 

 

霊夢「それに引き替え…」

 

 

魔理沙「言うな霊夢、肩身が狭くなる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【妖精の森】

 

 

ルーミア「これも美味いのだー♪」ムシャ

 

 

チルノ「あっ! ルーミアそれ一個ずつだぞ!」

 

 

大妖精「まあまあチルノちゃん、こんなにたくさんあるんだからそんなに焦らなくても」

 

 

チルノ「大ちゃん! このままではルーミアに食べ尽くされてしまうんだよ!? 急いで食べないと!」ムシャ

 

 

大妖精「そんなに食べたら太……らないね私達は、でも喉につかえない様に食べるんだよ二人とも?」

 

 

ルーミア「わかってるのだー♪」

 

 

チルノ「はい、大ちゃんも一緒に食べよう?」

 

 

大妖精「! うん、ありがとうチルノちゃん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館、大図書館】

 

 

 

こあ、紅美鈴「かんぱ~い!」カチャン

 

 

 ゴクゴク

 

 

美鈴「! わ、凄い美味しいですねこれ!」

 

 

こあ「でしょう? 超年代物なんですよ♪」

 

 

美鈴「紫さんならもっと沢山持ってるんでしょうね、これ以上の物とかあまり想像出来ませんけど」

 

 

こあ「ですよねぇ♪ あ、お嬢様、咲夜さん、フラン様、一緒にどうですか?」

 

 

レミリア・スカーレット「こあ! せっかくで悪いけど私にはこれがあるから♪」スッ

 

 

レミリア「紫から貰ったこのカリスビタミン紅がね!」バーン!

 

 

フランドール・スカーレット「ねぇ…お姉様それさぁ」

 

 

レミリア「何よフラン! これは私のよ!? ぜっっったいあげないからね!」

 

 

フラン「フランはカリスマいらないから飲まないよ」

 

 

十六夜咲夜「お嬢様その…カリスマビタミンですが」

 

 

レミリア「ちっがーう! カリスビタミン紅よ! これを飲めばたちどころにカリスマが溢れるって紫が言ってたの! 誰にも渡さないわ!」スッ

 

 

 ゴクゴク

 

 

レミリア「!! うんまーい♪ 味までしっかりしてるのね! さすがね紫!」

 

 

フラン(…お姉様)

 

 

咲夜(あの色、匂い)

 

 

こあ(あれって…)

 

 

美鈴(うーん、お嬢様の飲んでるあれは)

 

 

フ、咲、こ、美、(ただの苺牛乳…)

 

 

レミリア「おぉ!? ねぇ咲夜! 見て見て! 私のカリスマはどう!? 上がってる!?」

 

 

咲夜「っ…!? え、えぇも、勿論ですわ! お嬢様のカリスマにまた一段と磨きが掛かりましたね、神々しいですわ」

 

 

レミリア「当然よね! あーっはっはっは!」

 

 

咲夜(確かプラシーボ効果…お嬢様が元気なら何よりです)

 

 

 バン!!

 

 

レ、こ、咲、フ、美、「!?」ビクッ

 

 

パチュリー・ノーレッジ「何なのよこれはぁ!?」

 

 

こあ「ぱ、パチュリー様!? どうかなさいましたか?」

 

 

パチェ「Grimoire of shinki…!? Grimoireって書いてあるから魔導書かと思えばただの日記じゃない!」

 

 

こあ「に、日記ですか!?」

 

 

パチェ「そうなの『自分の家族は世界一!』だとか『ありすちゃんが冷たい』だとかそんなのが延延と書いてあるだけよ!?」

 

 

こあ「そう言えば…紫さんそれ渡すとき本とは言ってましたけど魔術書だとは一言も…」

 

 

パチェ「騙されたぁ!! おのれ八雲紫ぃぃ!」

 

 

こあ「ぱ、パチュリー様ぁ!?」

 

 

咲夜(shinki…しんき…? 誰かしらこれ、アリスと何か関係があるのかしら)

 

 

レミリア「パチェ、少しカリスマが足りないわね、もう少し落ち着いてほしいものだわ」

 

 

美鈴「カルシウムでは…?」

 

 

レミリア「え!? そ、そうだっけ?」

 

 

フラン「あ、そうだ♪ 新しいヌイグルミデコレーションしよっかなぁ♪」

 

 

咲夜(ふふっ、何はともあれ紅魔館は今日も平和ですわ♪)

 

 

 

 

 

 

 おしまい♪

 

 






 このシリーズの次回は白玉楼編となります。

 後日談少し短いですね、ちょっとだけ長くしても良いかも。



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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《春雪異変 壱の談》



 このシリーズでは『かくかくしかじか』や『説明中』を多様しております、無駄な説明を省く為です。

 詳細については『紅魔異変 壱の談』を読んでいただければと思います。



 それでは始まります♪




 

 

 【マヨヒガ 冬】

 

 

 

 

八雲藍「う~寒い寒い…今年は冷えるなぁ、風邪を引かない様にちゃんと体調管理をしておかねば…紫様の押し付け仕事も片付かん」

 

 

藍「そういえば『今年は冷えるなって来年も去年も言うのよね』って紫様が言っていたな」

 

 

藍「『今年も』の方が良いのかな?」 

 

 

藍「……それにしても風邪か」

 

 

藍「昔は風邪を引いた時は紫様に看病してもらっていたな、お粥に刻んだ油揚げを少量乗せた物を作って食べさせてもらっていた、冷たいタオルを額に乗せてもらって、それから…」

 

 

藍「!…/// 優しい母親の様だった…/// 様な…」カァ

 

 

藍(な、何を照れているんだ私は…/// それに私の母は…)

 

 

藍「…」

 

 

藍「……思えば、橙が風邪を引いた時も私は紫様と同じことを橙にしている気がするな」

 

 

藍「だとしたら…橙から見ると私はお母さん?」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

橙『ゴホッゴホッ…! お、お母様…風邪を引いてしまい申し訳ありません、橙は悪い子です…で、ですから』

 

 

橙『橙のことを上から下まで隅々まで看病してください!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

 

藍「ちえぇぇぇぇぇぇぇんん!!」

 

 

藍「!? おおぉ…いかんいかん、よ、ヨダレが…!」ジュルリ

 

 

八雲紫「…」

 

 

藍「し、しかし橙、良いのかい!? そんなこと言われたらお母さん頑張っちゃうぞ♪」

 

 

藍「ふっふふふ♪」

 

 

紫「…」

 

 

藍「さぁ橙、脱ぎ脱ぎしましょうね♪ お母さんの前だから恥ずかしがる事なんてないんだよぉ♪」クネクネ

 

 

紫「…」スッ

 

 

藍「何て事になったらこの九本の尾がたちまち十本にな」

 

 

紫「え~っと」カキカキ

 

 

藍「!!?」

 

 

紫「マヨヒガの狐、とうとう自分の幻想へ!? 一人で奇怪な行動を何度も繰り返す狐に月の賢者もお手上げか!? 八雲紫は変態キツネをどう分析するのか!?」

 

 

紫「ふむふむ、この見出しで文にリークして天狗の新聞の記事にすればそれはそれは飛ぶように売れるかもしれないわね」

 

 

紫「それじゃあね、藍♪ ゆかりんこのメモ文に渡してくるから♪ バイバーイ♪」スッ

 

 

藍「いやあぁぁぁぁぁぁ!!! それだけはぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ゆかりん、お説教》

 

 

 

 

紫「バカちん狐が! 私前に発情をわきまえろって言ったわよね!?」

 

 

藍「申し訳ございません!」

 

 

紫「なによ発情をわきまえろって! 初めて聞いたわよこんな言葉! 自分で言ってて恥ずかしいわ!」

 

 

藍「申し訳ございません!!」ドケザー

 

 

紫「私が橙を連れてここに戻って来たらどうするつもりだったのかしら!?」

 

 

藍「すいませんでしたぁ!!」ドケザー

 

 

紫「それよりもあなたの独り言を最初から聞いてたけどもさ」

 

 

藍「ま、またでございますか!?」ガバァ!

 

 

紫「あぁ!?」

 

 

藍「い、いえ…! 何でもありません!」

 

 

紫「あなたが橙のお母さんだとしたら、ゆかりんは橙の何になるのかしら?」

 

 

藍「そ、それはおばあ」

 

 

紫「あぁん!?」

 

 

藍「おっ…! お母さんの親戚の綺麗なお姉さん…とか?」

 

 

紫「……有りかしら」

 

 

藍「でしょう♪ 紫様にぴったりですね♪」

 

 

紫「あなた本当に反省してんの!? ねぇ!?」

 

 

藍「申し訳ございませんでしたぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《落ち着きました》

 

 

 

紫「落ち着いた?」

 

 

藍「はい…本当に申し訳ありませんでした」

 

 

紫「それさ…本当に何なのよ、あなたの性癖か何かなの? 私でさえ分からないんだけど」

 

 

藍「せいへ…!? い、いや…! そんなこと…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「分かりません…」

 

 

紫「橙にだけは見られない様になさいね?」

 

 

藍「はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《気を取り直して》

 

 

 

紫「さぁ藍! 今日も沢山幻想郷のトレンド! 流行りの言葉を仕入れて来たわよ!」

 

 

紫「今日もスーパーフェクトゆかりん目指して頑張っちゃうわよ♪」

 

 

藍「…何か久し振りにやる気がしますね、これ」

 

 

紫「調査にちょっと時間かかっちゃってね、今回の異変の言葉が人里に縁が無いものだからね」

 

 

藍「前は紅霧異変でしたよね、次は…順番的に春雪異変ですか?」

 

 

紫「そうよ♪ ゆかりん、幽々子、藍、橙、妖夢とその他諸々のスターが勢揃いしたあの異変よ♪」

 

 

藍「スター……いや、それよりも雑ですって…ちゃんと紹介してあげてください」

 

 

紫「良いじゃない、どうせここに来てもらうんだから」

 

 

藍「それもどうかと思いますけど」

 

 

紫「……この異変は結構思い入れがあるのよね」

 

 

藍「みんなの前に初めて出て行きましたからねぇ、私も霊夢たちと戦ったなぁ、懐かしいですね」

 

 

紫「初めて…ね……」

 

 

藍「? 紫様?」

 

 

紫「…」プルプル

 

 

藍「…あの」

 

 

紫「……何でもないわ」

 

 

藍「大丈夫ですか?」

 

 

紫「大丈夫よ、ゆかりん頑丈」

 

 

 

 

紫「藍、話は変わるけどあなた最初に『うー、寒い寒い』って言ったじゃない?」

 

 

藍「そこから聞いてたんですか…はい、言いましたね」

 

 

紫「レミリアがそれ言ったらさ」

 

 

藍「…?」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

レミリア・スカーレット『うー☆ 寒い寒い、冷えるわねぇ…咲夜ー、毛布ちょうだい♪』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

紫「脳内再生余裕よねぇ♪」

 

 

藍「……色々な意味で期待を裏切りませんね」

 

 

紫「キャラが濃いのにカリスマ薄いのはこれ如何に!」

 

 

藍「言って差し上げないでください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギュオン

 

 

紫「よし、スキマと…フカフカクッションの準備完了!」

 

 

藍(いきなり呼び出されるんだったっけ…何かしている最中じゃなければ良いけど)

 

 

藍「紫様、今回の言葉は?」

 

 

紫「ん? あら、そういえばまだだったわね」

 

 

紫「聞いて驚け! 見て笑え! 閻魔なんかなんぼのもんじゃい!」

 

 

藍「怒られますよ」

 

 

紫「今回のラインナップはこれよ!」

 

 

 

 

 

 

 

『くろまく~』『ふとましい』

 

 

『シャンハーイ♪ホーライ♪』『アリスさん嘘つかない』

 

 

『春ですよー♪』『春ですよぉ?』

 

 

『鬱だ…死のう…』『躁だ…死のう…』

 

 

『取り合えず切る!』

 

 

『ムシャムシャしてやったわぁ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「ツッコミを入れて良いですか」

 

 

紫「四十秒でお願いね♪」

 

 

藍「すぅー、はぁ~……」

 

 

 

 

藍「今回は何となく嫌な感じしかしません!!」

 

 

藍「前半は…! まぁ大丈夫かなとは思いますよ、えぇ思いたいですとも!」

 

 

紫「今日もツッコミの切れがいいですとも!」

 

 

藍「茶化さないでください! 問題なのは後半ですよ!」

 

 

藍「何なんですかこれは!? 全体的に悲愴だし物騒だし…! これが本当に人里のトレンド!?」

 

 

紫「聞いたらみんなこう言うんだもん、ありのままよ?ゆかりん不正してない」

 

 

藍「!? 何か人里の者たちが不安になります…」

 

 

紫「大丈夫よ、悪魔でもトレンドなんだから」

 

 

藍「…紫様は大丈夫なんですか?」

 

 

紫「? 何で私の心配をするの?」

 

 

藍「いえ…」

 

 

藍(言葉を学んでそれを言うことと使うことに抵抗は無いのかな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「『くろまく~』『ふとましい』ん? これ何で隣に書いてあるんですか?」

 

 

紫「それね、一人が二つ言ってるらしいのよ」

 

 

藍「あぁなるほど…しかし何ですかねこれ、全く意味が分からないです」

 

 

紫「ね、前は聞いただけで何となく想像出来たのが大かったし、知り合いばっかりだったから習得は容易だったのよねぇ」

 

 

藍「くろまく~…? 黒幕? う~ん」

 

 

紫「黒いものを巻く、とか」

 

 

藍「ふとましいの方は…? ましいが分からないな」

 

 

紫「悩んでても解決しないわ、さっさと呼びましょ♪」スッ

 

 

藍(……あれ? そういえばこれ誰の言葉なんだろ)

 

 

紫「スキマオープン!」

 

 

 

 ギュオン ヒュー ポスン

 

 

 

 

 

レティ・ホワイトロック「イヤッッホォォォオオォオウ!!!」ビュオオ

 

 

 

紫、藍「!!?」

 

 

紫、藍(うわっ…!? 寒っ!!?)

 

 

レティ「私の冬がきたぁー!! 待ちに待ち焦がれた冬がついに来たぜぇ!! 焦がれたら溶けちゃうけどねぇ!」

 

 

レティ「ブッリザード♪ ダイヤモンドダスト♪ シャーベット♪ かまくら作って凍らせろ♪ アイス好きぃ!」

 

 

藍(こ、怖いんですけどぉ!? レティってこんなんだったけ!?)

 

 

紫「……はぁい、レティ」

 

 

レティ「おおう!? ゆかりんセンパーイ♪ こんなとこで奇遇だね、まるで路地裏で鉢合わせしてビックリしたハイパー雪ダルマの様だね♪」

 

 

藍(何を言ってるんだ…!? 解説者を呼んでくれ!)

 

 

紫「…」

 

 

レティ「あれ? あれれ!? そういえば何でまだ冬眠してないんすか!? まるで冷蔵庫の奥に忘れられたアイスみたいに冬眠しないんすかぁ!?」

 

 

藍(例えが分かりにくい! それに何なんだこのハイテンションは!)

 

 

紫「…レティ」

 

 

レティ「ゆかりんもドライアイス食べますかぁ!? ふっふふふふっ♪ 美味しいで」

 

 

紫「唐辛子」

 

 

レティ「!!?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…!? えっ!?」

 

 

レティ「……」シュン

 

 

レティ「ご、ごめんなさい…取り乱して…」

 

 

藍「えぇー!? 大人しくなったぁ !?」

 

 

紫「藍、あなた知らないの? 唐辛子はレティを黙らせる魔法の呪文なのよ」

 

 

藍(えぇ…何か嫌な思い出があるのか…?)

 

 

紫「冬眠ならもうすぐするわよ、それよりあなた初冬だからってはしゃぐのは…まぁ仕方ないとして、もう少し大人しくなさいな、秋姉妹みたいになりたくないでしょう?」

 

 

レティ「えぇ、でも気を付けてはいるのよ、初冬はどうしても、その、タガが外れるというか…」

 

 

紫「まぁ九ヶ月の間へんてこりんじゃないだけあなたははるかにまともな部類だけどね♪」

 

 

レティ「ありがとう、紫さん」

 

 

レティ「…? 私何でこんなところに…? ここ紫さんの家よね、あら、藍さん」

 

 

藍「や、やぁレティ…それは私から説明しよう」

 

 

紫「藍、もういつものレティよ? 普通レティ」

 

 

藍「はい、分かってますよ」

 

 

藍(じゃあさっきのは何レティだったんですか…)

 

 

 

 

 

 

 《こんこん、説明中…》

 

 

 

レティ「流行りの言葉…そんなことしてるのね」

 

 

紫「どう? 面白いと思わない?」

 

 

レティ「ふふっ、面白いと思うわ、流行りを知るのは大事だってチルノも言ってたし、それでこれが私の流行りの言葉なの?」

 

 

紫「そうらしいわね、どうなの?」

 

 

レティ「『くろまく~』は使ったことあるわ」

 

 

藍「そうなのか?」

 

 

紫「そーなのかー♪」

 

 

レティ「あら、それルーミアちゃんの」

 

 

紫「……一緒にやってよ」

 

 

レティ「えっ?」

 

 

藍「あぁ無視してくれ、話が進まないから」

 

 

紫「辛辣ねぇ! 本当にリークするわよ!」

 

 

藍「本当に申し訳ございませんでしたぁ!」

 

 

レティ「…? え~っとほら、前に幽々子さん? あの亡霊が起こした異変で冬が終わらなかったことがあったじゃない?」

 

 

レティ「その時に、紅魔のメイドさんに私がこの異変の黒幕なんじゃないかって言われてね、冬のテンションもあったから少しからかってあげようと思って私が『くろまく~、なのよ~』的な言い方をしたことがあるの、それであの子の怒りに触れちゃったのか弾幕ごっこに発展しちゃったの、こてんぱんにされちゃったけどね」

 

 

紫「ほうほう、つまりからかう感じで言えば良いのね!」

 

 

レティ「これ流行ってるの…? なんか複雑だわ」

 

 

紫「どうして? 良いじゃないくろまく~」

 

 

レティ「私が黒幕なのよって嘘を言い触らすのよ? 自分は冗談のつもりでもそのうち人の信用を失うわ、きっと」

 

 

紫「うっ…!」グサッ

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「な、何よ藍!」

 

 

藍「心当たりがありすぎるのは分かります…はい」

 

 

紫「およよよ…うぅ」

 

 

レティ「?」

 

 

藍「紫様は勝手に黒幕にされたりする事があるから」

 

 

レティ「そうなの?」

 

 

藍「例えば…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

博麗霊夢『また異変? 紫が絡んでんじゃないでしょうね!? ったく、また何企んでんだか…』

 

 

霧雨魔理沙『あれ、本がない! 紫か!? おい! ババア!』

 

 

風見幽香『メディ、どうしたの? 何、花が枯れている? それはたぶんあのスキマ野郎のせいよ』

 

 

稗田阿求『ん? 幻想郷縁起が無い!? 紫さんまた持ち出したわね…もぅ』

 

 

東風谷早苗『あらら、それは大変でしたね♪ それって紫さんがまた何か企んでるんじゃないでしょうか?』

 

 

射命丸文『恐らく紫さんの仕業ですよ、前の異変も紫さんが黙っているから起きたことですしね♪』

 

 

伊吹萃香『んー? あたしゃ知らないよ、また紫がなんかやらかしたんじゃないかねぇ♪』

 

 

古明地さとり『心を読まなくても紫さんの仕業だと認識出来ます、決め付けている訳ではありませんよ?』

 

 

四季映姫・ヤマザナドゥ『どうせまた八雲紫でしょう! 黒です! 黒!』

 

 

ドレミー・スイート『変な夢ですかぁ? それ紫さんのせいですよ♪』ドレェ

 

 

比那名居天子『また紫がやったんじゃないの? そんなことしてる暇があるなら私を痛め付けてほしいけどね!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

藍「何かあれば最初に紫様を疑う感じなんだよ」

 

 

レティ「あらら…」

 

 

紫「ゆかりんそんなに信用ないのかしら…」

 

 

藍「で、でもほら…すぐに紫様の仕業じゃないって分かりますし」

 

 

紫「この能力のせいなのかしら…それともゆかりんが天真爛漫過ぎるが故の…?」

 

 

レティ「何を本気で言ってるのかしら」

 

 

藍「レティ、あれこそ本気じゃないよ」

 

 

紫「くろまく~か…本当に遊びの時に使わないと血をみるわね」

 

 

レティ「使うのは構わないけどご利用は計画的にね」

 

 

藍(全くだよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 《二つ目!》

 

 

 

 

レティ「ふとましい…? 私こんな言葉言ったことないと思うんだけど」

 

 

藍、紫「え?」

 

 

紫「本当に?」

 

 

レティ「ん~……ごめんなさい記憶にないわ、使ったことすらないはず」

 

 

藍「そもそもふとましいなんて言葉すら私たちも初めて聞いたよ」

 

 

紫「そうね、でも○○ましいと考えるとたくましいとか勇ましいみたいな意味なんじゃない?」

 

 

レティ「あら、良い意味なのかしら、私は言ってないけど」

 

 

藍「なら『ふと』は何なんですかね」

 

 

紫「ふと…ふとましい…ふ…太い?」

 

 

レティ「太い? 何がかしら」

 

 

藍「太い…そのマフラーはどうだ?」

 

 

レティ「これ? う~ん、これは太いじゃなくて長いだと思うわ」

 

 

紫「それじゃ、ながましいよね」

 

 

藍「ながましい…」

 

 

レティ「何でもありなの?」

 

 

紫「…! …レティ」

 

 

レティ「はい?」

 

 

紫「ちょっと…こうやって、こう」バッ

 

 

レティ「え?」

 

 

紫「だから手を上げてバンザーイしてみてって」

 

 

藍「?」

 

 

レティ「え…! は、恥ずかしいんだけど…///」

 

 

紫「唐辛子~♪」

 

 

レティ「!? わ、分かったわ…む~」スッ

 

 

藍(脅してるじゃないですか…)

 

 

レティ「こ、こう…? …///」バッ

 

 

紫「ふむふむ、どれどれ…?」

 

 

藍「紫様、何をなさる気ですか?」

 

 

紫「確かめるの」

 

 

藍「?」

 

 

紫「レティ、動いちゃダメよ?」

 

 

レティ「何でも良いから早くしてよ…///」

 

 

紫「…」スッ

 

 ソ~ 

 

 

 紫はバンザイしているレティの脇腹辺りに自分の両手を持っていった

 

 

藍「?」

 

 

 そして…!

 

 

 

 

 

 

 ガシッ!

 

 

 

レティ「ん…!」ビクッ

 

 

紫「…」ギュッ

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」ムニムニ

 

 

レティ「ちょ、ちょっ…! んんっ…///」

 

 

藍「あの、紫様」

 

 

紫「…」

 

 

藍「レティの脇腹触って何をしているんですか」

 

 

紫「…」スッ

 

 

 

 紫は手を離し、藍のいる後ろに振り向いた

 

 

 

レティ「はぁはぁ…く、くすぐったかった…!」

 

 

藍「紫様何を」

 

 

紫「太くなかった」

 

 

藍「……は?」

 

 

紫「太くないわ、藍!」

 

 

藍「はい!?」

 

 

紫「いやほら、ふとましいって『太い何か』しかないじゃない? だからレティが太いのかと思って触ってみたんだけど全然太く無かったわ!」

 

 

レティ「!?」ピクッ

 

 

藍「…」

 

 

紫「ふわっふわな服着てるから中はもしかしたら…って思ったんだけどそんなことは無かったわね! むしろ細すぎるぐらいよ」

 

 

 

レティ「…」ゴゴゴ

 

 

 

藍「あの…紫様」

 

 

紫「こうなるとこの言葉は益々謎ね、いったい何が太いんだか」

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「? さっきから何よ」

 

 

藍「レティの体が太いのでは…と考えたんですよね、簡単に言えば太っているのでは? と」

 

 

紫「そうよ?」

 

 

藍「これじゃあただのレティへの悪口じゃないですか」

 

 

紫「……あ」

 

 

藍「それを踏まえた上で後ろを振り向いてください」

 

 

 

 ゴゴゴゴ!

 

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

レティ「ふふふふ♪」ゴゴゴ!

 

 

紫「いぃっ…!?」

 

 

レティ「紫さん♪」ニコニコ

 

 

紫「は、はぁいレティ…♪ す、素敵な笑顔ね!」ダラダラ

 

 

レティ「そう見える?」ニコニコ

 

 

紫「え、えぇ! そりゃあもう…あははは♪」ダラダラ

 

 

レティ「うふふふ♪」

 

 

藍(オーラが怖い)

 

 

 ガシッ!

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

レティ「紫さん」

 

 

紫「ひ…」

 

 

レティ「私、結構怒ってるわ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ちょっ…!? 手!! てぇ!!? 手ぇ離してぇ!!」

 

 

レティ「ふとましい…よくよく考えれば悪口よねこれ♪」

 

 

 パキパキ! 

 

 

紫「あぁぁ!! こ、凍ってる凍ってる!! 先っちょ! 先っちょが凍ってきてるからぁ!!」

 

 

レティ「この言葉あなたが考えたんじゃないの? 私をからかうために作った造語?」

 

 

紫「違う違う違うわよ!! ほんとに違うから!! 人里でってあぁぁ!! 指先の感覚うぅ!!」

 

 

レティ「ならそれは誰が言ったのか教えてもらえる? 私知りたいわ…♪」ニッコォ

 

 

紫「そ、それは個人情報ってぬあぁぁ!!」パキパキ

 

 

レティ「冬眠ならぬ凍眠してみましょうか♪」

 

 

紫「ほわぁぁ!? 死んじゃう、死んじゃうからぁ!!」パキパキ

 

 

藍「れ、レティ!」

 

 

レティ「はいぃ?」ニコニコ

 

 

藍「と、唐辛子っ!」

 

 

レティ「!?」スッ

 

 

紫「ぬはっっ!? はぁはぁ! や、やっと解放された…って痛たたたっっ!?」パキパキ

 

 

藍「…ふっ!」ボッ

 

 

藍「紫様、狐火です」

 

 

 ボオッ! メラメラ!

 

 

紫「あぁ~…♪ 生き返るぅ~…♪」ジュー

 

 

レティ「うぅ…」

 

 

藍「レティ…その」

 

 

レティ「ショックなの…私、太って見える…?」

 

 

藍「そんなことはないよ『ふとましい』という言葉は誰が言ったかは分からない、だがそんなの気にしてはいけない、レティの事を知らない奴が勝手に言いふらしてるだけさ」

 

 

レティ「藍さん…」

 

 

藍「それにわざととはいえ、紫様が実証したじゃないか、それに細すぎるとも言ってた」

 

 

レティ「…あ」

 

 

紫「そ、そうよ! ゆかりん悪くないじゃない!」

 

 

藍「でもレティのことを少しでも『太いのかな?』と思ったのは事実ですよね!? そこは反省してください」

 

 

紫「わ、悪かったわねレティ! あぁ~…霜焼けが…」

 

 

レティ「……藍さん、ありがとう…それから紫さん、ごめんなさい」

 

 

紫「まぁ私にも非があったから、ごめん……お互い様ね、私も悪かったわ」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

紫「藍、そのスキマの中に謝礼が入ってるわ、出して」

 

 

藍「はい」

 

 

レティ「謝礼?」

 

 

藍「流行りの言葉を聞いた者に私たちから感謝と詫びの気持ちとして色々な品を渡しているんだ、突然呼び出しているからね、はい」

 

 

レティ「? あら、沢山のアイスと…これは?」

 

 

紫「スノードームって言うの、外の世界のお土産…♪ それ、ひっくり返してみて?」

 

 

レティ「! あら! 素敵ね、綺麗…!」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「ありがとねレティを止めてくれて、ゆかりん寒いのだけはダメなの、これじゃ末端冷え性だわ」

 

 

藍「はい分かってます、でも本当に反省してくださいよ?」

 

 

紫「うん」

 

 

 ギュオン

 

 

紫「レティ、協力ありがとうね、お帰りは足元のスキマからどうぞ」

 

 

レティ「えぇ、でも良いの? こんなにもらっちゃって」

 

 

紫「お礼…とあなた当人への謝罪の意味も込めてるわ」

 

 

レティ「! …ふふっ、じゃあありがたくもらっておくわね♪」スッ

 

 

レティ「雪女の私が言うのは変だけど寒さに気を付けて…さようなら♪」

 

 

藍「あ、レティ」

 

 

レティ「はい?」

 

 

藍「冬の間だけだが、橙と遊んでくれているんだろう?ありがとうな」

 

 

レティ「ふふっ、チルノたちと楽しそうに家に遊びに来るわね、こっちこそ楽しくさせてもらって感謝してるわ♪」

 

 

レティ「それでは本当にさようなら~♪」スッ

 

 ギュオン

 

 

紫「……ふ~、一時はどうなるかと思ったわ」

 

 

藍「流行りの言葉が悪口ではいけませんね、ふとましいなどと…まったくもう」

 

 

紫「そうね、悪口らしき物は今度からラインナップから避けるわ」

 

 

藍「珍しく素直ですね」

 

 

紫「その言い方トゲがあるわよ? ゆかりんの手がドライアイスになりかけたし…そ、それに橙と遊んでくれているみたいだしね、そんなところよ」

 

 

藍(あ、素直じゃなかった…ふふっ)

 

 

藍「では紫様、次いきますか」

 

 

紫「まだ」

 

 

藍「どうしてです?」 

 

 

紫「手の霜焼けがヤバイ」

 

 

藍「あぁ…」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「狐火追加、強火で」

 

 

藍「はい…」

 

 

 

 

 

  《ゆかりんメモ》

 

 

 『くろまく~』有り♪

 

 でも本当に遊びの時に使わないと血を見るから使いどころが大事ね。

 

 何でもゆかりんを黒幕にしたがるのは分かるわ、私って魅力的だからね♪

 

 

『ふとましい』八雲封印!

 

 ゆかりんは悪口を許しません! プンスカプン!

 

 

 

 

 

  続く!

 

 

 






 冬は狐の発情期…仕方ないのです、藍とてそういう狐事情からは逃げられない…はず。

 レティはふとましくないけど包容力は凄いと思います、この幻想郷ではチルノのお姉さん的立ち位置で冬以外でも活動しています。


 それから今回の流行りの言葉、それぞれのキャラのファンの皆様に不快な思いをさせてしまったかもしれません…申し訳ないです。


 それではまた次回、ここまで読んでいただいてありがとうございました♪



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《春雪異変 弐の談》

 


 続きです♪

 先に『春雪異変 壱ノ段』を読んでいただければと思います。


 それでは始まります♪




 

 

  【マヨヒガ】

 

 

 

八雲紫「うぅあ~…さっぶ~…」カタカタ

 

 

八雲藍「霜焼け治りました?」

 

 

紫「うん…でも治ったけどほら…あの手を寒いとこから暖かいところにやったときのジンジン来る名称不明の何かが今襲って来てるのよ」

 

 

藍「あぁ…足とかでもありますね、私はあの感覚好きです」

 

 

紫「物好きね…冬に洗い物してるときとかなるわよね」

 

 

藍「あぁなりますなります、冷たいのと温かいの繰り返してるとなるやつですよね、お米研いでるときとか」

 

 

紫「ふっ…主婦かっ!」

 

 

藍「家だと半主婦みたいな感じでしょう? 私」

 

 

紫「…それだとゆかりんは家だと何の役職なのかしら」

 

 

藍「……介護お婆ちゃ」

 

 

紫「あぁ!?」

 

 

藍「い、いえ…!」

 

 

紫「ふんっ…! というか…改めてゆかりんは寒いの苦手だと認識したわ、でもまだ冬眠しないけど」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「今『早く冬眠してくれないかなぁ』とか思わなかった? 『早く一月一日になってほしいなぁ』とか」

 

 

藍「…は!?」

 

 

紫「どうなの」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「そ、そんなこと思うわけない」

 

 

紫「本当に?」

 

 

藍「!」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「ゆかりんスキマ蹴り!」スッ

 

 

 

 ギュオン ドゴッ!

 

 

 

藍「いったぁ!!?」

 

 

紫「避けなさいよ!」

 

 

藍「避けられるかぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「さってと! 気を取り直して再開よ!」

 

 

藍「…」キッ

 

 

紫「なんで睨むの」

 

 

藍「気を取り直せないんですよ! 『背中蹴られたけど別にどうでもいいや、良しやるぞ』なんて直ぐに切り替えられる者が何処にいるんですか!?」

 

 

紫「紅美鈴」

 

 

藍「なっ!?」

 

 

藍(い、言い返せない!)

 

 

紫「ほ~っほっほっ♪」

 

 

藍(くぅっ…!)イライラ

 

 

紫「カリカリしないの、えっと次は…♪」

 

 

藍「…はぁ」

 

 

 

 

 

 《残り》

 

 

『シャンハーイ♪ホーライ♪』『アリスさん嘘つかない』

 

 

『春ですよー♪』『春ですよぉ?』

 

 

『鬱だ…死のう…』『躁だ…死のう…』

 

 

『取り合えず切る!』

 

 

『ムシャムシャしてやったわぁ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「もう隠す気がないじゃないですか、名前が出てますし」

 

 

紫「でも使い方は分からないから聞きたいわ」

 

 

藍「ラインナップ見てパッと人物像がはっきりするのもある意味凄いですよね」

 

 

紫「『くろまく~』ははっきりしなかったのにね」

 

 

藍「言って差し上げないで下さい」

 

 

紫「それじゃ呼びましょうか♪ スキマオープン!」スッ

 

 

 

 ギュオン ヒュー

 

 

 

紫「……あれ?」

 

 

藍「どうしたんです?」

 

 

紫「二人」

 

 

藍「二人…?」

 

 

紫「二人落ちてくる」

 

 

藍「え」

 

 

紫「アリスの足元辺りにスキマを狙い打ちしたのに」

 

 

藍「えっ!? 他の誰か落としちゃったんですか!?」

 

 

紫「みたい、う~ん…魔理沙かしら」

 

 

藍(スキマは人一人分くらいしか開けてない筈、アリスに密着していなければ二人落とすなんて…でもあの魔理沙が密着を許すとは思えないが)

 

 

紫「お、来るわよ」

 

 

藍「誰でしょうね」

 

 

 ストン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神綺「アリスちゃ~ん♪」

 

 

アリス・マーガトロイド「離れなさい! くっつかないでよ暑苦しい!」

 

 

紫、藍「…あっ」

 

 

神綺「アリスちゃん、今は冬だよ♪ お母さんとハグハグして暖まろう♪ ね?」

 

 

アリス「『ね?』 じゃないわよ、家には暖炉があるの、ハグハグはしなくていいから…それと歳を考えて」

 

 

神綺「う~ん、一万…あ、ごめんね? そこから数えるのやめちゃった♪」

 

 

アリス「その言い方もやめて、甘ったるいしゃべり方をしないでよ…」

 

 

神綺「あ! 甘いと言えばアリスちゃん! この前ルイズちゃんが旅行先で買ってきたお菓子が凄く甘くて美味し」

 

 

アリス「人の話を聞きなさいよ!」

 

 

藍「……神綺殿」

 

 

神綺「ん…? あら! 藍ちゃん!」

 

 

アリス「!? えっ…え!?」

 

 

藍「お、お久し振りですね」

 

 

神綺「久し振りだね~♪ 元気だった? うっふふふ♪」スッ

 

 

藍「?」

 

 

 

 シュッ

 

 

 

藍「え!?」

 

 

神綺「わ~♪ モフモフ~♪ 藍ちゃんの尻尾はしゅごぉい~♪」ワシャワシャ

 

 

藍「わっ!? えっ!? ちょっ!? や、やめてください!」

 

 

藍(い、いつのまに後ろに…!)

 

 

紫(能力あっての移動…ゆかりんじゃなきゃ見逃しちゃうわね♪)

 

 

神綺「そ~れ♪ わしゃわしゃ~」モフモフ

 

 

藍「ああぁぁぁやめてぇぇ!」ワシャワシャ

 

 

アリス「ここは…マヨヒガ? 何でここに…」

 

 

紫「はぁいアリス、親子水入らずでお邪魔しちゃったかしら?」

 

 

アリス「あなたわざとらしいわよ? …でも助かったわ」

 

 

紫「楽しそうに見えたけど?」

 

 

アリス「なっ…!? 私が楽しんでる!? 変なこと言わないでよ!」

 

 

紫(素直じゃないわねぇ)

 

 

神綺「ご馳走さま~♪ マイちゃんの羽根に勝るとも劣らないモフモフ感♪」ツヤツヤ

 

 

藍「うおおぉぉ…し、尻尾が…」ボッサボサ

 

 

アリス(マイ姉さんきっとブチ切れたわよね、触るなって)

 

 

紫「藍、大丈夫?」

 

 

藍「見てないで助けて欲しかったです…」

 

 

紫「ゆかりんの助け船は沈没中、ボコボコボコ~…♪」

 

 

藍「くぅぅ…」

 

 

神綺「…はっ!?」

 

 

紫「ぬっ!」

 

 

紫「…」ジッ

 

 

神綺「…」ジッ

 

 

アリス「…?」

 

 

藍「?」

 

 

紫「…」

 

 

神綺「…」

 

 

 

 

 

紫「しんちゃーん♪ おひさ~♪」

 

 

神綺「ゆかり~ん♪ おひさだよ~♪」

 

 

紫「しんちゃん何時からこっちに来てたの? 来てたならゆかりんに一言ほしかったよ~♪」

 

 

神綺「ごめんね~ゆかりん、愛しのアリスちゃんに会ってからゆかりんの所に行こうと思ってたの~♪」

 

 

紫「このゆかりんに会いに…うぅ…ゆかりん感動!」

 

 

神綺「ふふっ♪ でもゆかりんもゆかりんだよ? 最近魔界に遊びに来てくれないんだもん」プンスカ

 

 

紫「ごめんねしんちゃん、ゆかりんお仕事が忙しくて…」

 

 

藍「なにぃ!?」

 

 

神綺「そっか~…お仕事は大事だもんね~♪ でも絶対また来てね? 夢子ちゃんたちも会いたがってるから♪」

 

 

アリス「はぁ!?」

 

 

紫「あら、なら今度お暇が取れたら必ず行くわ♪」

 

 

神綺「約束だよ?」

 

 

紫「約束よ♪」

 

 

神綺「私たち」

 

 

紫「お友達だもんね♪」

 

 

紫、神綺「いえ~い♪」

 

 

 

 キャッキャッ キャッキャッ

 

 

 

アリス、藍「うわぁキッツい……じゃないわぁ!!」

 

 

藍「クルァスキマぁ! あなたは仕事を私に押し付けてばっかりでしょうがよぉ!」

 

 

アリス「いつ私の実家にあんたたち来たのよ!! はぁ、んもう…」

 

 

 

 キャッキャッ キャッキャッ

 

 

 

藍「ダメか…聞こえてない…」

 

 

アリス「はぁ…」スッ

 

 

アリス「藍、そのままで良いから答えてくれる? その代わりに毛先整えてあげるわ」

 

 

 

 アリスは魔法の糸で地面に倒れている藍の尻尾の毛先を整え始めた

 

 

 

藍「お…おぉ…! 助かるよ」サッサッ

 

 

アリス「私の…まぁ母の尻拭いをしてるだけよ、まったく人様に迷惑かけて」ブツブツ

 

 

アリス「それで、いつ私の実家に来たの?」

 

 

藍「少し前にちょっとな…魔界視察とか何とか言って暇潰しに魔界を紫様とうろうろしたことがあったんだ、聖白蓮が閉じ込められていたところとは別の魔界だぞ?」

 

 

アリス「それは分かってるわ、魔界事情なら詳しいから」

 

 

藍「その時に神綺殿とその娘たちに出会ったんだ、いや最初は驚いたぞ? 神綺殿がアリスの母親だとは思いもしなかった、それと魔界神であることも」

 

 

アリス「私と母は微塵も似てない…それに母には威厳も何もないからね」

 

 

藍「話してるうちに紫様と神綺殿は意気投合してな、幻想郷に住まないかと提案したこともあったな」

 

 

アリス「やめて、割りと本気でやめてよ…」

 

 

藍「それは大丈夫だ、見事に断られたからな『魔界にいないと娘たちの帰る場所がなくなるから』という理由でな」

 

 

アリス「…」

 

 

アリス「そう…あと一つ聞いていい?」

 

 

藍「ん?」

 

 

アリス「私の…姉さんたちと紫が仲良くなってるのはなんで」

 

 

藍「あぁ…なんでも」

 

 

アリス「?」

 

 

藍「カッコいい大人のキリっとした声を聞いたのが初めてだったかららしい」

 

 

アリス「え…? そ、そんな理由なの?」

 

 

アリス「何よそれ…夢子姉さんだって大人の…」ブツブツ

 

 

アリス(霊夢が言うには紫は『ちゃんとしているときとしてないとき』がはっきりしてるから姉さんたちには新鮮だったのかしら)

 

 

アリス(うちは最初から最後までああだから…気持ちは分かるわね)

 

 

藍「あれ、ここに呼んだ理由は聞かないのか?」

 

 

アリス「察しはついてるわ、私の魔理沙から聞いたのよ♪ 流行りの言葉を調べているんでしょ? 魔理沙が協力したのなら私がしないのはおかしいものね♪」

 

 

藍「……色々言いたいことはあるが、それなら話は早いな」

 

 

アリス「母にも説明しなきゃダメ?」

 

 

 

 

神綺「アリスちゃんの可愛いところはたまにみせるデレなの♪」

 

 

紫「霊夢の可愛いところは褒められると顔が赤くなるところなのよ♪」

 

 

 

 

藍「う~ん…一応?」

 

 

アリス「早く終わらせてね…魔界に送り返さなきゃ」

 

 

藍「なら…紫様ー! 神綺殿にも説明しましょう!」

 

 

アリス(う~ん…私の言葉は気になるわね、何か言ったかしら)

 

 

 

 

 

 

 

 《神綺にもゆかりん説明中》

 

 

 

神綺「へ~♪ ゆかりんそんなことしてるんだ」

 

 

紫「そうなのよー♪」

 

 

神綺「そーなのかー♪」

 

 

紫、神綺「わはー♪」

 

 

藍「なんで知ってるんですか!?」

 

 

神綺「ゆかりんに教えてもらっちゃった♪」

 

 

藍(い、いつの間に…)

 

 

アリス「私の言葉ってこれ?」

 

 

神綺「えっ!? ちょっ!? アリスちゃん! お母さんのこのすごーく可愛いポーズにも感想言ってほしいな!」

 

 

アリス「…」

 

 

神綺「ほらほら♪ そーなの」

 

 

アリス「しゃらくせぇのよ」

 

 

神綺「!!」ガーン

 

 

神綺「うぅ…アリスちゃんが不良さんになっちゃう…」orz

 

 

藍「不良さん…って」

 

 

紫「可愛そうよ、親は大事になさい」

 

 

アリス「話が進まないでしょ、う~んまさか二つもあるとは」

 

 

藍「あぁ、それでどうなんだ?」

 

 

アリス「前者は…私であって私じゃないわね」

 

 

藍「? どういうことだ?」

 

 

アリス「説明するより見てもらった方が早いわね、ちょっと離れてて…」スッ

 

 

アリス「はっ!!」パン!

 

 

 

 

 アリスは両手を合わせ、自身の魔力を集中させて召喚魔法を展開した。

 

 

 ボンッ ボンッ

 

 

 

 

上海人形「シャンハーイ!」

 

 

蓬莱人形「ホーライ!」

 

 

藍「おや」

 

 

紫「あら可愛い」

 

 

アリス「知ってると思うけど一応紹介しておくわ、大きいリボンの方が上海、帽子の方が蓬莱よ、よろしくね♪」

 

 

上海「シャンハーイ♪」スッ

 

 

蓬莱「ホーライ♪」スッ

 

 

藍「改めて見ると可愛いな、よろしくな」

 

 

紫「はい、握手、何度か顔を合わせたことあったわね♪」

 

 

アリス「この子たちは私の一番のお気に入りなの、弾幕ごっこ、人形劇、家事に至るまで何でも出来るのよ」

 

 

アリス「でもまだまだ自立には程遠いんだけどね、自分の意思を持った自立人形を必ず作ってみせるわ」

 

 

紫「それがあなたの夢だったかしら」

 

 

アリス「えぇ」

 

 

紫(夢がある子は良いわよねぇ♪ ほんとに…)

 

 

藍「しかし私の目にはもはや自立しているとしか思えんぞ?」

 

 

上海「シャンハーイ?」

 

 

蓬莱「ホーライ?」

 

 

アリス「そう言ってもらえると嬉しいけど、私の魔力を注がないと動かないし、その仕草一つ一つも私の指示よ」

 

 

藍「では今喋っているこの流行りの言葉もアリスの指示なのか?」

 

 

アリス「そうなるわね、だから私であって私じゃないなのよ」

 

 

藍「なるほど」

 

 

アリス「人形劇のお陰かしら、この子たちの言葉が流行っているのは私も嬉しいわね…ふふっ」

 

 

 

上海「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱「ホーライ♪」

 

 

紫「ユカリーン♪」

 

 

 

藍、アリス「うわっ!!?」

 

 

 

紫「ユカリーン?」

 

 

上海「シャ、シャンハーイ!?」

 

 

蓬莱「ホ、ホーライ!?」

 

 

紫「ユッッカリーン♪」

 

 

紫「ユカリーン ユカリーン ユカユカミ―ン♪」

 

 

上海「シャン、ハイ…!」ビクビク

 

 

蓬莱「ホー、ライ…」ガタガタ

 

 

紫「ウーン…!ユッッカリ」

 

 

藍「紫様ぁ!」

 

 

紫「ユカリーン?」キャルン

 

 

藍「うわっきっつ……!? って違う違う何をしてるんですかあなたは! 見てくださいよ! 上海と蓬莱が震えてます!」

 

 

紫「お人形さんの気持ちになってみました♪」

 

 

藍「絵面ぁ! 絵面を考えて下さいよ! お人形さんと戯れてるあなたを見たらこっちはどんな気持ちになるかを!」

 

 

紫「乙女心を擽られるわね♪」グッ!

 

 

藍「親指を立てないで下さい! 正気ですか!?」

 

 

紫「何よ! シ○バニアファ○リーだって私のこと裏切らなかったわよ!」

 

 

藍「何かヤバイ名前が出てきたぞ!? それ以上はお止めください!」

 

 

 

 

 

アリス「…紫ってあんなんだったかしら、言葉は使っても構わないけど霊夢に引かれても知らないわよ?」

 

 

アリス「…!」

 

 

神綺「ううぅ…アリスちゃんが都会の荒波に呑まれて非行少女になってしまったら夢子ちゃんたちになんて言えば…で、でもそれはそれでアリスちゃんの新たな魅力が出るのかな、でもお母さん心配だよぉ…」orz

 

 

アリス「…」

 

 

 

 クイッ

 

 

 

上海「シャンハーイ?」

 

 

蓬莱「ホーライ?」

 

 

神綺「! ん? あら、アリスちゃんのお人形さん…」

 

 

上海「シャンハイ」スッ

 

 

蓬莱「ホライ」スッ

 

 

神綺「えっと…握手? もしかして慰めてくれるの?」

 

 

上海「シャンハーイ♪」

 

 

蓬莱「ホーライ♪」

 

 

神綺「! ふふっ♪ ありがとう♪」

 

 

神綺「そうよね! アリスちゃんが非行に走って私のこと嫌う筈がないものね♪ うん♪ お母さん頑張る!」

 

 

上海「シャンハーイ!」

 

 

蓬莱「ホーライ♪」

 

 

アリス「…♪」ニコッ

 

 

 

 

藍、紫「…」

 

 

紫「素直じゃないわねぇ…♪」ヒソヒソ

 

 

藍「アリスなりの愛情表現なんですかね」ヒソヒソ

 

 

紫「…それより藍、どうかし」

 

 

藍「この言葉の事ならダメです私は断固反対します、人形には人形の可愛さがあるので紫様がやると地獄絵図となり、周りに精神的被害が出る可能性があるのでやらないでいただきたいです」

 

 

紫「そ、そこまで言わなくても良いじゃない!」

 

 

藍「想像して下さい、子供たちにみせる人形劇にですよ? 上海、蓬莱、八雲紫と並んでいたらどうです?」

 

 

紫「ユカリーン♪」

 

 

藍「ぐっすり眠れませんよ、ゆかりん人形が夢に出ます、あぁ怖い」

 

 

紫「あなた辛辣が過ぎない!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《上海、蓬莱はアリスの家に戻しました!》

 

 

 

神綺「お母さんふっかーつ♪」

 

 

紫「しんちゃんふっかーつ♪」

 

 

神綺、紫「いえ~い♪」ハイタッチ

 

 

神綺「アリスちゃんアリスちゃん! ほらほらお母さん大ふっかーつ♪」

 

 

アリス「アリスさん嘘つかない? 流行りの言葉…なの?」

 

 

藍「あ、あぁ…そうみたいだな」

 

 

神綺「はわっ!? あ、アリスちゃんまた無視!?」ガビーン

 

 

紫「もう少し柔らかい態度でお母さんと接しなさいよ」

 

 

アリス「何よその態度って…別に無視してないわ、聞く意味が無いだけよ」

 

 

藍「う~ん…アリス、ここは神綺殿も参加してもらえば良いじゃないか」

 

 

アリス「…はぁ」

 

 

神綺「柔らかい態度って?」

 

 

紫「ほんのりしてて朗らかでのほほん♪ って感じよ♪」

 

 

神綺「う~ん? ゆかりんの言うことはたまに難しくて私には分からないよ~」

 

 

藍「あんまり深く考えないで下さい、この人変なことばかり言いますから」

 

 

紫「なんだとぅ!?」

 

 

藍「なんですか!?」

 

 

アリス「喧嘩しない! 協力してあげないわよ?」

 

 

紫、藍「すいませんでした」

 

 

アリス(そこは藍も謝るんだ…)

 

 

神綺「…♪」ニコッ

 

 

アリス「? どうしたの?」

 

 

神綺「! 何でもない♪」

 

 

アリス「?」

 

 

神綺「ふふっ♪」

 

 

神綺(ゆかりんと藍ちゃんとも仲良くしてるんだね♪ お母さん嬉しい♪)

 

 

 

 

 

 

 《二つ目!》

 

 

藍「アリスさん嘘つかない…これはトレンドの言葉というかアリスの性格そのものを現している言葉では?」

 

 

紫「人里で聞いたのよ? トレンドよトレンド」

 

 

神綺「まぁ! 幻想郷の人たちはアリスちゃんのこと信用してくれているのね♪ お母さん嬉しい♪」

 

 

アリス「いや、その…///」カァ

 

 

藍「確かにアリスは嘘をつく様なタイプではありませんね」

 

 

紫「あの光の三妖精からちらっと聞いたことがあるのよねぇ」

 

 

アリス「な、何を?」

 

 

紫「幻想郷に鷽って鳥モドキがいるのは知ってる? 『今までについた嘘を啄む鳥』それに啄まれなかったらしいじゃないの」

 

 

神綺「幻想郷にはそんな鳥さんがいるのね♪」

 

 

紫「そうなの♪」

 

 

藍「あの鷽にですか? 凄いじゃないか」

 

 

アリス「べ、別に私は…///」

 

 

神綺「ふふっ♪ アリスちゃんが嘘なんかつくわけないわ、私の自慢の娘ですもの♪」

 

 

アリス「な、何よ…もう…///」

 

 

紫「お~、耳が赤くなってる」ヒソヒソ

 

 

藍「何だかんだで良い親子ですよね」ヒソヒソ

 

 

紫「そうなるとしんちゃんも嘘つかないんでしょうねぇ」

 

 

神綺「私? う~ん…無いのかなぁ?」

 

 

紫「試してみましょう?」

 

 

藍、アリス「え」

 

 

紫「スキマオープン♪」スッ

 

 

 

 ギュオン ゴソゴソ

 

 

 

紫「はい♪ この鳥が鷽よ、この鳥は痛いっ!?」

 

 

鷽「チュン」

 

 

神綺「まぁ♪ 可愛い♪」キラキラ

 

 

紫「いてっ、痛い…いたたっ」

 

 

藍「めっちゃ啄まれてますけど」

 

 

アリス「嘘つき…」

 

 

紫「ゆかりん嘘つかないっていたたたた!」

 

 

鷽「ヂュンヂュン!」

 

 

藍、アリス「啄むスピードが上がってる!?」

 

 

紫「いったい! いたた…し、しんちゃん! この子手の甲に乗せてみて、痛い」

 

 

神綺「だ、大丈夫かなぁ」スッ

 

 

 ストッ

 

 

紫「いったぁ…ふー、食いちぎられるかと思ったわ」

 

 

藍、アリス(大嘘つき…)

 

 

鷽「チュン」

 

 

神綺「と、鳥さん…? 私とお話しましょ…?」ビクビク

 

 

鷽「チュン」

 

 

神綺「う…」

 

 

紫「お」

 

 

藍「あ、啄まれないですね」

 

 

神綺「! 可愛い♪」ナデナデ

 

 

鷽「チュン♪」

 

 

アリス「…」

 

 

紫「そういうところがお母さんに似てるわねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

アリス「!? わ、私の姉さんたちが嘘つかないだけよ! 私は姉さんたちに似たの!」

 

 

紫「はいはい、そういうことにしておきましょう?」

 

 

アリス「そういうことにして…///」

 

 

 

 

神綺「藍ちゃんも乗せてみて?」

 

 

藍「では…あっ、痛い! いたた…」

 

 

神綺「え!? 藍ちゃんでも嘘つくの?」

 

 

藍「わ、私も嘘ぐらいつきまっていたた!」

 

 

鷽「ヂュン」

 

 

 

アリス「藍は主にあなたのせいで嘘つくはめになってるんじゃない?」

 

 

紫「そんなことないわよ? ゆかりん嘘つかない♪」

 

 

鷽「ヂュン!?」

 

 

紫「おっ!?」

 

 

藍、アリス、神綺「あ」

 

 

鷽「ヂューン!」

 

 

紫「わっ! こらぁ! こっち飛んでくるなぁ!」

 

 

鷽「ヂュンヂュン! ヂュン!」

 

 

紫「いたたたたいったいわぁ!! 鳥風情がこのゆかりんに痛い! 歯向かうって痛い! 痛いってクルァ!」

 

 

神綺「ゆかりんは鳥に好かれやすいのね♪」

 

 

アリス「さっきの説明聞いてたわよね?」

 

 

藍「ざまぁないですよ、紫様…」ボソッ

 

 

紫「!? 藍! 後で覚えてなさいよ!?痛い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「アリス、しんちゃん、協力してくれてありがとうね♪ はい、これはお礼よ」ボロボロ

 

 

アリス「ボロボロじゃない」

 

 

神綺「ゆかりん大丈夫?」

 

 

紫「大丈夫大丈夫、でもどっかの誰かが助けてればこんなにボロボロにはならなかったけどね!」

 

 

藍「…!」メソラシ

 

 

アリス「これは…!」

 

 

紫「外の世界のアクセサリーセットよ、お人形さんのデコレーションに是非♪」

 

 

アリス「あ、ありがと」

 

 

紫「お礼は素直に言えるのにねぇ♪」

 

 

アリス「…? お礼ぐらい誰だって言うでしょ」

 

 

神綺「これは…? あら♪ 髪飾りね♪」

 

 

紫「そうよ♪ しんちゃんなら似合うと思ってね、いつか渡そうと思ってたの♪」

 

 

神綺「綺麗…ゆかりん、私すっごく嬉しい♪」

 

 

紫「ふふっ、気に入ってくれたのなら何よりよ♪」

 

 

神綺「でもゆかりん、私何も協力出来てないけど受け取って良いの?」

 

 

紫「良いの、しんちゃんとはお友達だし、いきなり呼び出しちゃったから」

 

 

神綺「ゆかりん…ありがとう」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

神綺「ふふっ♪」

 

 

紫(私の方こそありがとう…他の世界に友達なんて今の時代そうそうなれるもんじゃないものね)

 

 

藍「神綺殿」

 

 

神綺「?」

 

 

藍「その、なんですか…これからも紫様と仲良くしてあげて下さい」

 

 

神綺「! 藍ちゃん…」

 

 

神綺「もちろんよ♪ ゆかりんは私の友達だもの♪」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

紫(余計なこと言うわねぇ、ふふっ…♪)

 

 

アリス「…」

 

 

アリス(楽しそうなら何よりよ、お母さん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「それじゃお帰りは足元のスキマから」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

神綺「ゆかりん、今度は私の家に来てね♪約束よ♪」

 

 

紫「えぇ♪ 約束よ、しんちゃん」

 

 

アリス「良い刺激にはなったわ、またね」

 

 

藍「あぁ、またな」

 

 

 

 

アリス「……いつまでこっちに居るつもり?」

 

 

神綺「ふふっ♪ 今日はアリスちゃんのお家にお泊まり♪」

 

 

アリス「ふ~ん…それ夢子姉さんは知ってるの?」

 

 

神綺「うっ…!」ダラダラ

 

 

アリス「…姉さんが迎えに来るまでね」スッ

 

 

神綺「い~や~! アリスちゃん家泊まる~!」スッ

 

 

 

 ギュオン ギュオン

 

 

 

紫、藍「…」

 

 

藍「神綺殿って紫様に似てますね」

 

 

紫「あらそう?」

 

 

藍「まぁ何処がと聞かれると答えられないんですけどね」

 

 

紫「何よ、気になるわね」

 

 

藍「どうかお気になさらず」

 

 

藍(恥ずかしいんです…)

 

 

紫「さとり呼ぶわよ?」

 

 

藍「そこまで気になりますか!?」

 

 

紫「嘘よ」

 

 

藍「…そういうことにチマチマ嘘ついてるから鷽に啄まれるんですよ」

 

 

紫「ゆかりんあの鳥嫌い」

 

 

藍「では次いきましょう」

 

 

紫「やだ」

 

 

藍「何故」

 

 

紫「あの鳥に啄まれて服がボロボロなのよ! 着替える!」

 

 

藍「あぁ…はい」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「着替え覗いたらもう一発スキマ蹴りよ♪ きゃっ♪」

 

 

藍「覗くかぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

   《ゆかりんメモ》

 

 

『シャンハーイ♪ホーライ♪』藍に拒否られた

 

 

 何でよ可愛いのに! こうなったら霊夢に判定してもらうわ! ユカリーン♪

 

 

 

『アリスさん嘘つかない』トラウマ

 

 ゆかりん嘘つかないは語呂が良いけど私に鷽が集る、封印かしらね、手が痛いわ

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 

 

 

 








 アリスの家族の事は何れ書きたいと思ってます、ちなみにここの神綺と霊夢、魔理沙はまだ面識がありません。



 
 それではここまで読んで下さってありがとうございました、お疲れ様でした♪



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《春雪異変 参の談》



 続きになります、《壱の談》《弐の談》を先に読んでいただければと思います。

 

 冬ですがあのキャラが登場します、そしてあの三姉妹は…?


 それでは始まります♪





 

 

 

 【マヨヒガ、縁側】

 

 

 

 

八雲紫「ふぅ、ゆかりんお着替え完了♪」キャピッ

 

 

八雲藍「随分時間かかりましたね、お着替え」

 

 

紫「そりゃあ乙女の着替えは長いわよ、試着したりとか『今日はこれ…ああん違う~』とかなるでしょ? それに髪もあの鳥に啄まれたからボサボサにされたし~」

 

 

藍「長すぎません? 一時間ですよ?」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「……って、えっ!?」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「ちょっ…ちょっと待ってくださいよ紫様! し、試着!? 試着なさってる?」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「あなたが?」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「同じ服しかないのにですか? 千着以上同じデザインで同じサイズしかないのにですか!?」

 

 

紫「くどいわよ? そうだって言ってるじゃないの」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

紫「何なのよさっきから!」

 

 

藍「試着する意味ないじゃないですか! 同じ服なんですからそのままバッと脱いでバッと取ってササッと着れば良いじゃないですか!」

 

 

紫「…」

 

 

藍「私だったらものの二分で終わるのにあなたときたら…待たされるこっちの身にもなって下さいよ!」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様! 聞いてるんですか!?」

 

 

紫「…藍さぁ」

 

 

藍「何ですか」

 

 

紫「幻想郷の女は少女しかいないのよ? 乙女なのよ乙女」

 

 

藍「それがどうしたん」

 

 

紫「少女のお着替えタイム舐めんな!! このバカちんがぁ!」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「お化粧! 身嗜み! お着替え! 幻想少女の三原則は男は黙って見守りやがれ!」

 

 

藍「はぁ!? なんなんですかそれは! それと聞き捨てなりませんねぇ!? 誰が男ですか!」

 

 

紫「…幻想郷~男前ランキング~♪」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「堂々の三位に輝いたのは…! 八雲ら」

 

 

藍「わっ!? わーわー!! や、やめてください!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「何で知ってるんですか…」

 

 

紫「ゆかりんは何でも知っている♪」

 

 

藍「橙には内緒に…」

 

 

紫「…少女の三原則は?」

 

 

藍「黙って見守る!」

 

 

紫「よろしい♪」

 

 

藍(何で本当に知ってるんだこの人は…あれは文が勝手にやった訳の分からん大会で秘密裏に行われた筈なのに…)

 

 

紫「ふふふのふ…♪ あ♪ そう言えば藍、私前々から聞きたかった事があるんだけど」

 

 

藍「何ですか?」

 

 

紫「服の話に戻るんだけどあなたって服の真下から尻尾出して無いじゃない? 服から貫通してるみたいに出してるけどそれどうやってるの?」

 

 

藍「…何でそれは知らないんですか」

 

 

紫「だって聞いたこと無かったから」

 

 

藍「これは服に穴を開けて、その穴に九本の尻尾を通して出してるんです」

 

 

紫「え?」

 

 

藍「はい?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「わざわざハサミで丸く切ってるの?」

 

 

藍「妖術でですよ!?」

 

 

紫「そ、そうよねぇ」

 

 

藍「ハサミって今言いましたよね!? 切る訳ないじゃないですか、そんなことしたら…その…丸出しになりますし」

 

 

紫「流石にそこまで変態じゃないか」

 

 

藍「なんですって!?」

 

 

紫「妖怪尻丸出し」

 

 

藍「私が変態…? 冗談は冬眠してから仰って下さい」

 

 

紫「それ橙の前でも同じこと言えるの?」

 

 

藍「…!?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…くっ…」

 

 

紫(言えないのね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《続きを始めよう♪》

 

 

 

紫「さてさて…続きといきますか」

 

 

藍「今回は二つある人がいるから少し長く感じますね」

 

 

紫「良いじゃない? 流行りは多いに越したことはないのよ?」

 

 

紫「残りは…」

 

 

 

 

 

 《残り》

 

 

 『春ですよー♪』『春ですよぉ?』

 

 

 『鬱だ…死のう…』『躁だ…死のう…』

 

 

 『取り合えず切る!』

 

 

 『ムシャムシャしてやったわぁ♪』

 

 

 

 

 

 

藍「『春ですよー♪』は春になれば嫌でも聞きますからねぇ」

 

 

紫「一年に一回は必ず聞くわよねぇ」

 

 

藍「ですよね、しかし…こっちの『春ですよぉ?』は一体…」

 

 

紫「う~ん、たぶんあっちの方ね」

 

 

藍(あっち…?)

 

 

紫「リリーってさ」

 

 

藍「もう名前出しちゃうんですね…」

 

 

紫「春になるとワラワラ沸いて出てきて、春が終ると何処かに行っちゃうじゃない?」

 

 

藍「春を告げて、役目が終われば消えていく…夏秋冬を跨ぎ春になるまでは出てこない」

 

 

紫「そうなんだけど一匹…いえ、一人だけその条件に当てはまらない子がいるの」

 

 

藍「?」

 

 

紫「春が終わった後も夏、秋、冬と跨いで消えずに妖精の森とかでチルノとかとよく遊んでるのよ、一人だけ」

 

 

藍「え…!? そ、そんなリリー居ましたっけ!?」

 

 

紫「いるわよ? 他のリリー・ホワイトと同じ個体の子なんだけどその子だけは特別…今日はその子に協力してもらいましょうか」

 

 

藍(そんなリリーいたんですか…気づかなかった)

 

 

紫「では、スキマオープン!」スッ

 

 

 

 ギュオン ヒュー ポスン

 

 

 

リリー・ホワイト「うぅっ!?」ボゴォ

 

 

藍「顔面から落ちた…チルノも確かそうでしたね」

 

 

紫「しかし妖精は顔から来る」

 

 

藍「…自分で考えて自分で流行らそうとしてます?」

 

 

紫「しかし妖術で尻尾は出る!」

 

 

藍「私の事はいいですから早く進めましょう?」

 

 

紫「…はぁい♪ リリー、四季の連中と仲良くやってる?」

 

 

リリー・W「ふえっ? ここはどこですよー? あ、紫さんですよー♪」

 

 

紫「はいはい♪ 紫さんですよー♪」

 

 

リリー・W「お久し振りですよー♪ 四季同盟の皆さんとは仲良くさせていただいてますよー♪」

 

 

 

藍「なんか『そーなのかー』に通じるものがある様な…」

 

 

 

紫「そうなの? でも大変でしょう?」

 

 

リリー・W「大変ですかー? そんなことないですよー、レティさんと幽香さんは優しいですし、秋さんたちも…」

 

 

紫、藍「…?」

 

 

リリー・W「優しくないですよー…」

 

 

藍「苦労しているんだな」

 

 

紫「あの子達本当に自重しないわね…秋の季節以外も楽しめばいいのにねぇ」

 

 

リリー・W「秋さんたちは目が死んでて怖いですよー、秋以外の季節の時は大体そんな感じですよー…あっ、狐さん、初めましてですよー」

 

 

藍「八雲藍だ、よろしくな、苦労人同士仲良くしていけそうだ」

 

 

リリー・W「藍さんですね? よろしくですよー♪」

 

 

リリー・W「ところで私はどうして座布団に顔面から落ちたですよー? 妖精の森に遊びに行こうと思ったら突然ここに…ん? ここはどこですよー?」

 

 

藍「あぁ、それは」

 

 

紫「リリー、あなた今ゆうかりんが優しいって言わなかった!?」

 

 

リリー・W「え? 幽香さんは優しいですよー?」

 

 

藍「そこ気になりますか?」

 

 

紫「当たり前じゃない! あのゆうかりんが優しいなんて…恐いわね、向日葵でも降って来るんじゃないかしら」

 

 

リリー・W「向日葵が降って来たら幽香さん喜ぶですよー♪」

 

 

紫「『ひまわりの雨に打たれて血まみれになるがいい、うふふ』的な?」

 

 

リリー・W「幽香さんはそんなこと言わないと思いますですよー」

 

 

藍「変なこと言わないで下さいよ! リリー、状況説明するから紫様の事は無視して聞いてくれ」

 

 

リリー・W「は、はいですよー」

 

 

紫「あなたが落としたのはこの怖いゆうかりんですか? それともこの優しいゆうかりんですか?」

 

 

藍「普通の風見幽香で結構です!」

 

 

リリー・W「幽香さんはゆうかりんというあだ名があるんですよー? 知らなかったですよー♪」

 

 

藍(これは後で『幽香にそのあだ名で呼ぶな』と言われる奴だな、うん)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《藍 説明中…》

 

 

 

リリー・W「!! 私たちの言葉が人里で流行ってるですよー!?」

 

 

紫「そうみたいねぇ」

 

 

リリー・W「おぉ…!」キラキラ

 

 

リリー・W「春ですよー♪ これは春ですよー♪」

 

 

リリー・W「私たちがたくさん春をお届けしてきた努力は報われてますよー♪ 凄く嬉しいですよー!」

 

 

紫「油でカラッと揚げてすぐだもんね!」

 

 

リリー・W「それは春巻きですよー!?」

 

 

リリー・W「それにしても、はぁ…! 感激ですよー♪」

 

 

藍「幻想郷が春にはリリーたちがいないとダメ、と認識しだしたのかも知れないな」

 

 

紫「私もあなたたちには感謝してるのよ? あなたたちが春の時季に飛び、舞えばすぐに春は来るからね、私の親友も春が一番好きな季節だし」

 

 

リリー・W「紫さんにまで…! うぅ、感動ですよー!」

 

 

紫「感動してるとこ悪いんだけど、春ですよー♪ はどんなときに使うのかしら?」

 

 

リリー・W「? もちろん春が来た時にですよー」

 

 

リリー・W「あ、でも」

 

 

藍、紫「?」

 

 

リリー・W「自分の気持ちがポカポカしてたり、他の人が嬉しい気持ちになっているのを見たときにも言ったりしますよー♪」

 

 

藍「お、おぉ…! ここにきて凄くまともで優しい言葉がついに」

 

 

紫「ほうほう、じゃあ藍は橙を見るたびに春ですよー♪ なのね」

 

 

藍「そ、そうかもしれませんね」

 

 

紫「ほら、春ですよー♪」

 

 

藍「は、は、春ですよー…///」

 

 

リリー・W「恥ずかしがることないですよー♪ 自分の気持ちに正直になるですよー」

 

 

紫「そうよ藍、自分の気持ちに正直にならないと春に狐の嫁入りで雨が降らないわよ?」

 

 

藍「え? あ、雨ですか!?」

 

 

リリー・W「それは春雨ですよー♪」

 

 

藍「えっ…!?」

 

 

紫「世界の終末が近づく!」

 

 

リリー・W「ハルマゲドンですよー!?」

 

 

藍「それ季節関係ないじゃないですか!」

 

 

紫「良い…! 良いわ春ですよー♪ 凡庸性、可愛さ、ネタとありとあらゆるものに対応出来る力を持ってるわ! リリー! あなたって凄いわ!」

 

 

リリー・W「ほ、褒められてるですよー?」

 

 

藍「嬉しくないと思いますけど…」

 

 

紫「春ですよー♪ 春ですよー♪」

 

 

リリー・W「紫さん楽しそうですよー♪」

 

 

藍「いやいや、ちょっと紫様! 乱用しすぎてリリーの評判を落とさない様にしてくださいね!」

 

 

紫「分かってますよー♪」

 

 

藍「○○ますよーなら何でも言い訳じゃないでしょうに…」

 

 

紫「…リリー、あなた何故ハルマゲドンの言葉を知っているの?」

 

 

リリー・W「…? 分からないですよー」

 

 

藍(『はる○○』ならリリーも返せるのかな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《二つ目!》

 

 

 

リリー・W「春ですよ…おぉー? 春ですよーお…?」

 

 

紫、藍「…」

 

 

リリー・W「こ、これは言えないですよー! 言おうとしても口が滑るですよー」

 

 

紫「…」

 

 

藍「『春ですよぉ?』むぅ、というか既に春ですよーがあるのにこの類似した言葉は何なんだ? 存在する意味があるのだろうか」

 

 

リリー・W「分からないですよー…春ですーよお! 春ですよおー! い、言えないですよー、私はこの言葉は言ったことないですよー!」

 

 

藍「だろうな…紫様、これ本当にリリーが」

 

 

紫「やっぱりあっちの方よね」

 

 

藍「…あっち?」

 

 

紫「藍、ちょっと身構えてなさい」

 

 

藍「え…?」

 

 

紫「リリー」

 

 

リリー・W「はい、なんですよー?」

 

 

紫「…」

 

 

藍(紫様…何を)

 

 

リリー・W「? 紫さん、なんですよー?」

 

 

紫「…」

 

 

リリー・W「?」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「春なんてクソ以下だわ」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「春は頭ポカポカ馬鹿ばっかり」

 

 

藍「紫様ぁぁ!! あなた何を言っ」

 

 

リリー・W「ゆ``る`` さ``ん``!!!」

 

 

藍「はっ!?」

 

 

 

 カッ! ボフン!

 

 

 

藍「なっ!?」

 

 

紫「…」

 

 

紫「このリリーだけが特別な理由はね、この子に唯一変身能力があることなの」

 

 

紫「春を貶されたり侮辱されたりすると怒りが黒い気となって高まり、溢れ出し、戦闘力が大幅に上がる」

 

 

紫「そして白から黒へと姿を変える、春を愛する優しさが度を超して春を侮辱する者へ弾幕と言う名の制裁を」

 

 

藍「な、何を言っ…」

 

 

紫「よく秋姉妹が四季連中との談義で大怪我する理由はこれよ、リリーを怒らせたから」

 

 

紫「ほら来るわよ、気が溢れて光だした後、煙と共に立ち上がるあれが」

 

 

リリー・ブラック「…」

 

 

紫「リリー・ブラックよ」

 

 

藍(えええええぇぇ!!?)

 

 

藍(別人じゃないですか! チルノ並みの背格好だったのが紫様並になってる! 大きいな!)

 

 

藍(そもそも気が高まるだの溢れるだのはなんのことなんですか!? 春侮辱したくらいでこんなになりますか!? あのリリーが!?) 

 

 

リリー・B「やぁくもゆかりぃ…!」

 

 

紫「はぁい♪ ブラック、久しいわね」

 

 

藍(声低いな!? …って知り合いなんですか!? それと久しい!? さっきのリリーとは本当に別人じゃないか!)

 

 

リリー・B「久しいですよぉ? フフハハ♪」

 

 

紫「ほんとにねぇ、フフフ♪」

 

 

リリー・B「とぉころでゆかりぃ…さっきの暴言の数々わぁ…」

 

 

紫「もちろん冗談よ、ホワイトの時にも言ったでしょう?」

 

 

リリー・B「フハハ♪ そうでしたよぉ、ゆかりぃは春が大好きですよぉ♪」

 

 

紫「私もよ、正確に言うとね♪ でもあなたを呼ぶために暴言を吐いたのは悪かったと思ってるわ、ごめんなさいね」

 

 

リリー・B「…ゆかりぃは良い人ですよぉ…♪ それに比べてあの大馬鹿どもは…」

 

 

紫「そこまで言わないの、秋姉妹だって素直になれないだけなのよきっと」

 

 

リリー・B「ぬぅ…」

 

 

紫「でも何か言われたらお仕置きはしてあげなさいな、その方が双方いい関係を築けるから」

 

 

リリー・B「ありがたい言葉ですよぉ…これが春ですよぉ?」

 

 

紫「春ですよぉ!」グッ!

 

 

藍(違う絶対に違う…! 春を侮辱する者を懲らしめるための怖い会話ですよ!)

 

 

紫「春ですよぉ…う~んこれは」

 

 

リリー・B「私の流行りぃの言葉ですよぉ? 役に立つですよぉ?」

 

 

紫「う~ん…まあ可愛さは足りないわねぇ」

 

 

リリー・B「むぅ…」

 

 

藍(落ち込むんだ…)

 

 

紫「でも威圧には使えそうよ♪」

 

 

リリー・B「本当ですよぉ!?」

 

 

紫「春を侮辱する奴は!」

 

 

紫、リリー・B「血祭りですよぉ!」

 

 

紫、リリー・B「フハハ!」

 

 

藍「血祭り!? それはやり過ぎだろうリリー!」

 

 

リリー・B「らぁん…そんなこと言わないでほしいですよぉ…」シュン

 

 

紫「藍! 人の心傷つけてたのしいですよぉ!?」

 

 

藍「私今そんなに変なこと言ってないですよね!? ってか心が弱いですね、このリリー」

 

 

リリー・B「ぬ…」スッ

 

 

 シュウウウ

 

 

紫「あら」

 

 

リリー・B「ゆかりぃ…そろそろ終わりの時間ですよぉ」

 

 

紫「そう…残念だわ」

 

 

藍「体から煙が出てますけど…」

 

 

紫「また会いましょ♪ 楽しかったわ、協力ありがとうね」 

 

 

リリー・B「フフ、さらばですよぉ…」フッ

 

 

 カッ! ボフン!

 

 

リリー・ホワイト「う~ん…」フラフラ

 

 

藍「あ、戻った…」

 

 

紫「ゆかりんったら最強ね以来の威圧系か、ゆかりんですよぉ♪」

 

 

藍「言葉遊びで楽しんでるとこ悪いんですけど聞いて良いですか」

 

 

紫「ダメ」

 

 

藍「聞く!」

 

 

紫「うい…」

 

 

リリー・W「め~が~ま~わ~るですよ~…」

 

 

藍「何故こんな変身能力をこのリリーだけが?」

 

 

紫「それは永遠の謎、ゆかりんでも分からんちんよ」

 

 

紫「でも良いじゃない? こういう妖精が一人いても」

 

 

藍「…良いんですかね」

 

 

紫「それに秋姉妹の暴走もとめてくれるしね、さってと、リリーをスキマで送ってあげましょうかね♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

紫「ありがとリリー・ホワイト、ブラック…謝礼も一緒にっと…じゃあね♪」

 

 

リリー・W「ムニャムニャ…ですよー…」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

藍「リリーは何で変身解けたら気絶するんですか?」

 

 

紫「エネルギーの酷使よ、あれ相当パワー使うらしいから♪ あ、変身は三分間よ♪」

 

 

藍「短いですね」

 

 

紫「まるで儚い桜の花びらの様ねぇ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「ちなみにホワイトはブラックの時の事は何一つ覚えて無いから、変身出来る事さえも知らない筈よ」

 

 

藍「え!?」

 

 

紫「逆にブラックはホワイトの記憶を全て受けついでいるのよねぇ」

 

 

藍「色々と難儀なんですね…」

 

 

紫「そうなんですよー♪」

 

 

藍「だから春関係無いじゃないですか」

 

 

紫「そうなんですよぉ♪」

 

 

藍「ブラックでも駄目!」

 

 

紫「ケチ!」

 

 

藍「ケチで結構!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《二人目!》

 

 

 

紫「うーん♪ 良い春日和だったわね♪」

 

 

藍「今冬なんですけどね」

 

 

紫「よしよし♪ 休憩挟まないで次行くわよ!」

 

 

藍「次行くのは良いんですけど…」

 

 

紫「ん?」

 

 

藍「次の本当にやります?」

 

 

紫「やるに決まってるでしょう? ゆかりん中途半端は嫌い」

 

 

藍「いやその…言いたいから言わせていただきますけどね」

 

 

藍「不安で胸がいっぱいなんですよ! 何ですか!? 『鬱だ…死のう…』とか『躁だ…死のう』とか! この言葉を学んで使いたいと思いますか!?」

 

 

紫「しょうがないじゃない、だって人里で聞いたんだもん」

 

 

藍「何でもかんでも人里のせいにしないでください! これが人里でトレンドなのもヤバイですよ! 大丈夫なのか人里!?」

 

 

紫「大丈夫大丈夫、自警団もいるし慧音もいるじゃない」

 

 

藍「そうではなくてこれは心の問題じゃないですか? それにここにこの言葉の主たちを呼んで大丈夫なのかというのも」

 

 

紫「ああんもうグチグチうっさいわねぇ、もういい! ゆかりん呼んじゃう!」スッ

 

 

 

 ギュオン ギュオン ギュオン

 

 

 

藍「ああっ!?」

 

 

紫「やってやったですよぉ♪」

 

 

藍「うっ…! か、覚悟しなきゃダメか…」

 

 

紫「そんなに身構えなくても大丈夫よ、あの子達だって年がら年中そんな感じじゃないでしょ? 言葉教えてもらうだけじゃない」

 

 

 ヒュー

 

 

 ポスン ポスン ポスン

 

 

 

ルナサ・プリズムリバー「鬱だ…」orz

 

 

メルラン・プリズムリバー「躁だ…」orz

 

 

リリカ・プリズムリバー「もういい加減にしてよぉぉ!!」

 

 

紫、藍「…」

 

 

ルナサ「ソロ演奏? 嘘です、ホントは皆でワイワイやりたいんです…」

 

 

メルラン「魔法最強? 嘘です、魔理沙やアリスとかの前でそんなこと言えません…」

 

 

ルナサ、メルラン「何であんなこと言っちゃったんだろう…」

 

 

ルナサ「鬱だ…死のう…」

 

 

メルラン「躁だ…死のう…」

 

 

リリカ「分かった! 分かったから! それ皆の前で言えば良いじゃん! さらけ出して謝れば良いじゃん! ってかさぁ、速く練習しようよ!」

 

 

ルナサ「妹が公開処刑を望んでるわ…」

 

 

メルラン「ヒャッハー! 首吊りだぜー♪ …って感じで死のう…公開処刑ふふふ…」

 

 

リリカ「ダメダメ駄目だって! その前に私達霊みたいなもんだから死んでる…そんな感じだって前に言われたでしょ!?」

 

 

ルナサ「もうだめだ…」orz

 

 

メルラン「おしまいだぁ…」orz

 

 

リリカ「話聞いてよぉ!」

 

 

紫、藍「えぇ…」

 

 

藍「ゆ、紫様これは…」ヒソヒソ

 

 

紫「お、思った以上に…」ヒソヒソ

 

 

紫、藍(憂鬱になりそう…)

 

 

リリカ「ん!? え、あれ…ここって…」

 

 

ルナサ「あの世か…」

 

 

メルラン「やっとお迎えが…」

 

 

リリカ「違うから! 来てないから!」

 

 

藍「紫様、早くリリカたちを帰しましょう、私耐えられませんよ…!」ヒソヒソ

 

 

紫「……い、いやでもまだ学んで…」ヒソヒソ

 

 

藍「変なプライドは捨ててください…! 自分の身を考え」

 

 

リリカ「あ、紫さん! 藍さん!」

 

 

紫、藍「げっ…!」

 

 

リリカ「…げ?」

 

 

ルナサ「げって言われた…」

 

 

メルラン「嫌われたー♪ わひゃひゃひゃ♪ ……げって言われた…」

 

 

ルナサ、メルラン「死にてぇ…」

 

 

リリカ「やめてよぉ!」

 

 

藍「こっちの説明して、何であんなことになってるのか聞いて、手っ取り早く終わらせましょう…」

 

 

紫「うん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 《八雲家、説明中》

 

 

リリカ「えぇ、トレンドぉ!?」

 

 

藍「そうなんだ…その…人里でな」

 

 

ルナサ「躁なんだってさ…」

 

 

メルラン「私はいつでも躁だよ…? うひゃひゃひゃ♪」

 

 

リリカ「言葉を変な方に捉えない! …それマジ…なんですか?」

 

 

紫「マジよ、ゆかりんの調査は抜かりなしなの」

 

 

藍(『プリズムリバー三姉妹の中で流行っている』って噂が広まっている可能性にかけよう、うん)

 

 

リリカ「あぁもう…姉さんたちがこんな風になるから」

 

 

藍「こんなになってるルナサ、メルランを見るのは初めてだな…」

 

 

紫「いつも宴会とかでどんちゃん音だしてくれて結構楽しいのにねぇ」

 

 

ルナサ「紫が、私たちを励ましてくれてる…」

 

 

メルラン「嘘だッ!」

 

 

ルナサ「嘘か…」

 

 

メルラン「嘘なんだよ…」

 

 

ルナサ「そうか」

 

 

メルラン「これが」

 

 

メルラン、ルナサ「絶望か」

 

 

リリカ「自爆するのやめなさいよ!」

 

 

藍「リリカ、どうしてこんなにも二人は…その…」

 

 

リリカ「えっと…」

 

 

紫「鬱なの?」

 

 

ルナサ「鬱だよ…」

 

 

紫「躁なの?」

 

 

メルラン「躁だよ…うしゃしゃ…」

 

 

紫「躁なのかー♪」

 

 

メルラン「躁なのだー…」

 

 

紫、メルラン「わはー♪」

 

 

紫「…」

 

 

メルラン「大妖怪が攻めてくる…」

 

 

ルナサ「負け戦よ…」

 

 

紫「藍、私なりの励ましも効かないわ」

 

 

藍「励ましてたんですか!?」

 

 

リリカ「あ、あの、話聞いてくれませんか? トレンド云々は分からないけどこのままじゃどっちも解決しないですし」

 

 

藍「あ、あぁ」

 

 

紫(お悩みはスキマボックス専門なのに…ま、仕方ないわね)

 

 

リリカ「姉さんたち最近何かあるといつもこうなんです、今日も音源と歌の練習しようとしてたのにしてくれなくて」

 

 

リリカ「『音源? そんなもん知らないから、九十九どもにやらせとけ』『歌? 鳥獣伎楽にやらせとけ…』とか言ってずっとこの調子なんです」

 

 

藍「確かに音楽に精通する者が最近幻想郷に増えたな、それが影響しているのか?」

 

 

リリカ「はい、この前もヘカなんとかさんって神様が『私の変Tから溢れるシナジーを聞けぇ!』とか言って鳥獣伎楽とコラボしてましたし」

 

 

藍「えぇ…」

 

 

紫「ふ~ん♪」

 

 

紫(ヘカテー神も楽しそうねぇ…♪ 幻想郷、気に入ってくれてる証拠かしら♪)

 

 

リリカ「私たちは宴会の人気者だからそれで良いじゃん! って私言ったんですけど『いつその座を奪われるか不安』『人気者の座を何時も狙われるのは辛い』…その繰り返しで」

 

 

藍「…他には?」

 

 

リリカ「う~ん……あっ! 音楽家人気投票が辛いって訳の分からない事を言ってたんですけど…」

 

 

藍「音楽家人気投票? …そんなものがあるんですか?」

 

 

紫「知らない」

 

 

リリカ「ファンの間で流行ってるみたいなんです、別に私は順位なんて気にしてないんですけどね」

 

 

ルナサ「こいつ言いやがった、同じグループでやってるのに…」

 

 

メルラン「人気投票! さぁこいさぁこい…! そんな時代もありました…」

 

 

ルナサ「もう見るのも辛いわ…」

 

 

メルラン「死にてぇ…」

 

 

リリカ「あっ…! わ、悪かった悪かったから…!」

 

 

ルナサ「実の妹に首噛まれたわ…」

 

 

メルラン「裏切り者は死刑じゃー! うひゃひゃ…! はぁぁ…」

 

 

リリカ「裏切ってないから!」

 

 

ルナサ「また嘘言ってる」

 

 

メルラン「どうせ九十九姉妹や雷鼓さん、鳥獣伎楽とソロコラボしようと策を練ってるのよ」

 

 

ルナサ「うわぁ…へこむわぁ…」

 

 

メルラン「鬱だ…」

 

 

ルナサ「それ私のせりふだぁ…」

 

 

メルラン「間違えちゃった…うひひひ…」

 

 

リリカ「いい加減にしてよぉ!! 一緒に練習しようよ!」

 

 

ルナサ「鬱だ…死のう…」

 

 

メルラン「躁だ…死のう…」

 

 

リリカ「うわぁぁ!!」

 

 

藍「じゅ、重傷だな…リリカの身が持ちそうにないですね、紫様何とかしてあげ」

 

 

紫「鬱だ…死のう…」

 

 

藍「おぉう!?」

 

 

紫「ご乱心、略してご藍心を見るの辛いわ…憂鬱…」

 

 

藍「ちょっ…!」

 

 

紫「うひゃひゃひゃ!? ゆかりんゆゆこんゆうかりーん♪」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「つれぇわ、ゆゆこんって誰よ…幽々子ごめんね…」

 

 

藍「辛いなら意味が分からないことを言わないでくださいよ!」

 

 

紫「藍、この言葉はダメだわ…こっちまで憂鬱になるもの」

 

 

藍「その様に考えてくださって逆にお礼言いたいですよ、乱発されたらこっちまで憂鬱になります」

 

 

紫「妖怪の心を抉られるわね、会ったばかりの妖怪にこんな言葉浴びせたら消え失せるんじゃないかしら」

 

 

藍(紫様が言ったら消え失せるでしょうね、大妖怪が鬱とかヤバイ…って感じで)

 

 

紫「まぁ、そんなことよりリリカ」

 

 

リリカ「は、はい?」

 

 

紫「ふふっ♪ サービスよ」スッ

 

 

リリカ「え…?」

 

 

紫「ほら、シャキッとなさい」

 

 

メルラン「それは野菜の様に? それとも果物の様に?」

 

 

ルナサ「果物が食べられなくなったら鬱だわ…」

 

 

紫「訳の分からないこと言わないの、人気だとか何だとかそんなのどうでも良いじゃない」

 

 

メルラン、ルナサ「皆そう言うよ…」

 

 

紫「そりゃそうよ、皆人気なんて気にして無いんだから」

 

 

メルラン、ルナサ「!」

 

 

紫「自由気ままに好きに生きてこそ幻想郷の住人よ、回りの目なんて気にせず常に自分を強く持ちなさい」

 

 

メルラン、ルナサ「…」

 

 

リリカ「紫さん…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「私はあなたたちの演奏好きよ、博麗神社での演奏、白玉楼での演奏、旋律の違う曲の数々…どっちも味があって素敵じゃない」

 

 

メルラン「私たちの演奏が…」

 

 

ルナサ「素敵…?」

 

 

紫「でも今のあなたたちの演奏なんか聞きたくないわ、人や妖怪の心を地に落とす勢いの憂鬱、躁状態の演奏なんか聞かされたらこっちの身が持たないもの…だからシャキッとなさい、後は妹の言葉にも素直に耳を傾けなさいな、せっかく救おうとしてくれているのに」

 

 

メルラン、ルナサ「…!」

 

 

リリカ「…」

 

 

メルラン「リリカ…その…」

 

 

ルナサ「えと…リリカ…」

 

 

メルラン、ルナサ「ごめんなさい」

 

 

リリカ「…ふん」

 

 

メルラン、ルナサ「う…」

 

 

リリカ「家帰ったら練習…だよ?」

 

 

メルラン、ルナサ「!」

 

 

メルラン、ルナサ「うん!」ニコッ

 

 

リリカ「…! ふふっ♪」ニコッ

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「ん?」

 

 

藍「ほ、本当に紫様ですよね…?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「つれぇわ偽者呼ばわりとか…鬱だ…死のう…」orz

 

 

藍「あっ!? えっと…! も、申し訳ありませんでしたぁ!」

 

 

紫「クルァ! いつもゆかりんがふざけてると思ったら大間違いよ!?」

 

 

藍「いつもふざけまくってるから信じられないんですよ! スキマボックスのノリじゃないですし!」

 

 

紫「う~わ、またそう言うこと言う…鬱だ…し」orz

 

 

藍「うわあぁ! も、申し訳ありません! 申し訳ありませんでしたぁ!」

 

 

紫「ふ~んだ! 藍の九尾! 八雲!」プンスカ

 

 

藍(わ、悪口なんですか!? それは)

 

 

紫「……え~プリズムリバー四しま…いや、プリズムリバー三姉妹、ご協力ありがとうね」

 

 

ルナサ「え? 協力?」

 

 

メルラン「私たち紫さんに何かしましたっけ?」

 

 

紫「ああ、良いのよ良いのよ、知らず知らずの内に協力してたなんて良くあることよ♪」

 

 

ルナサ、メルラン「?」

 

 

リリカ「ふふっ…♪」

 

 

紫「それで謝礼のことなんだけど最近練習してなかったんでしょう? と言うことは人前で演奏も最近は無し…だから機会をあげるわ、それを謝礼がわりにさせてね? ちょっと耳かしなさい」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「?」スッ

 

 

紫「…」ボソボソ

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「…」コクコク

 

 

紫「…どう?」

 

 

ルナサ「そ、それはありがたいけど」

 

 

メルラン「でも大丈夫なんですか?」

 

 

紫「大丈夫大丈夫、私の友達だって言えば何とかなるわよ♪」

 

 

リリカ「…二人とも紫さんがせっかくチャンスをくれたんだからさ、やってみようよ」

 

 

ルナサ「…うん、ちょっと不安だけど」

 

 

メルラン「うん、頑張ろう!」

 

 

紫「ふふっ♪ 済んだわね、はいお帰りは足元のスキマから♪ 帰ったら直ぐに向かうのよ?」スッ

 

 

 ギュオン ギュオン ギュオン

 

 

 

ルナサ「はい! 紫さん、藍さん、それじゃ♪」スッ

 

 

メルラン「色々迷惑かけました~♪」スッ

 

 

リリカ「紫さん、藍さん」

 

 

紫、藍「?」

 

 

リリカ「ふふっ♪ 色々とありがとうございました♪」スッ

 

 

 ギュオン ギュオン ギュオン

 

 

藍「…何を耳打ちされたのです?」

 

 

紫「偽者は多くを語らないわぁ♪」

 

 

藍「ご、ごめんなさいって謝ってるじゃないですか」

 

 

紫「…まあ、あの子たちが元気になる魔法の呪文よ」

 

 

藍「?」

 

 

紫「ふふっ♪ さってと、藍、お昼にしましょ♪ お腹すいたわ」

 

 

藍「あ、続けてやらないんですね」

 

 

紫「次は身内問答みたいなもんだしねぇ、それに今お昼時だから」

 

 

藍「…? あ」

 

 

紫「今いきなりスキマで呼んだら食事の邪魔者として私は食われかねない、良いわね?」

 

 

藍「はい…」

 

 

紫「食べ物の怨みは…ねぇ…」

 

 

藍「はい…恐ろしいですからね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    《ゆかりんメモ》

 

 

 

『春ですよー♪』 とても良い

 

 そーなのかーに匹敵する汎用性! 素晴らしいわ♪

 

 

 

『春ですよぉ?』 威圧系?

 

 春にそこら辺の妖怪にやってみようかしら? 聞く感じでこう…ね♪

 

 

 

『鬱だ…死のう…』『躁だ…死のう…』封印

 

 妖怪の使う言葉じゃ無いわね、封印封印♪ あの三姉妹が使うのも封印推奨ね、でないとレイ…あの子に悪いもの♪

 

 

 

 

 

   続く!

 

 

 

 







 リリーがブラックに変身する…という形で同一人物としています。


 ルナサとメルランは心のアップダウンが激しいです、音楽家の感性の一つ…だと捉えてあげて下さい。


 それではここまで読んでくださってありがとうございました、お疲れ様でした♪




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《春雪異変 肆の談》



 《春雪異変の談》の続きになります、先に《壱の談》《弐の談》《参の談》を先に読んでいただければと思います。




 今回は身内問答です。 それでは始まります♪





 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

八雲紫「ふ~♪ 食べた食べた♪」

 

 

紫「藍、ご馳走さま♪ 今回も美味しかったわ」

 

 

八雲藍「えぇ、お粗末さまでした…」

 

 

紫「? どうかしたの?」

 

 

藍「紫様っていつも美味しそうに御飯を召し上がられるなぁと思いまして」

 

 

紫「そりゃそうよ、ゆかりん食べる事も好きだもの♪」

 

 

紫「それにねぇ藍、あなたの作る御飯なら私はなんだって喜んで食べるわよ」

 

 

藍「!」

 

 

紫「幻想郷の御飯事情のご意見番、妖夢、咲夜、アリス、ミスティア…他にも何人かいるけど彼女たちが私のために御飯を作り、私の舌を唸らせたとしても結局は藍の作ってくれる御飯が恋しくなっちゃうの♪」

 

 

藍「紫様…!」ジーン

 

 

紫「ふふっ、やっぱり家族の御飯が一番よね♪」

 

 

藍「…///」カァ

 

 

紫「……そう、うん…そうなんだけど…藍? この際だから言わせてもらってもいい?」

 

 

藍「は、はい?」

 

 

紫「家族の御飯だからと言っても月に一度のいなり寿司タワーはやめなさい!」

 

 

藍「なっ!?」

 

 

紫「なんなのよあの盛りに盛られたいなり寿司の山! あなただけが得する御飯を私が美味しく召し上がれるとでも思ってんの!? あれだけは絶対に許せないわ!」

 

 

藍「何ですって!? いなり寿司を愚弄する気ですか!? あれは油揚げとごはんのハーモニーが食卓を茶色に染め上げ」

 

 

紫「そう言うこっちゃないのよ! ってかいなり寿司にハーモニー!? ちゃんちゃら可笑しいわね!」

 

 

紫「それと量よ量! 作りすぎなのよ、胃がもたれるわ!」

 

 

藍「いや、紫様だっていなり好きじゃないですか!」

 

 

紫「限度ぉ! 限度を考えなさいってのよ! 私は三個で充分! あなたみたいに十個も二十個もバクバク食べないの!」

 

 

藍「あれは私の褒美でもあるんですよ!? あなたから押し付けられた仕事を片付け、片付けは片付け、片付け続けた私の褒美なんです!」

 

 

紫「その褒美に私が付き合えと!?」

 

 

藍「少しは付き合いなさいよ! それぐらい付き合っても罰は当たらないはずですからね!」

 

 

紫「その罰はあなたが与えてるんでしょうが! いなり寿司がもう私への罰なのよ!」

 

 

藍「あぁもう! じゃあ仕事は片付けてあげますから私のいなりデーに付き合ってくださいよ!」

 

 

紫「えぇ良いわよ! そのXデーに付き合ってやろうじゃないの! ゆかりん胃を破壊する気で作りやがれってのよ!」

 

 

藍「ではこの話は終わりです!」

 

 

紫「えぇ良いわよ!」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫、藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

紫、藍「えぇっ!?」

 

 

紫、藍「いやいやいやいや良くない良くない!!」

 

 

紫「仕事は気分! いなり寿司Xデーをやめなさい!」

 

 

藍「仕事をしなさい! いなり寿司デーは一ヶ月に一度決行です!」

 

 

紫「嫌だぁ!」

 

 

藍「子供ですかあなたは! いなりは一歩譲ったとしても幻想郷の管理人としての責務を果たしなさいよ!」

 

 

紫「嫌だ! …あっ!?」

 

 

藍「!? 今嫌だって…!?」

 

 

紫「は…嵌めやがったな女狐め!」

 

 

藍「なにぃっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《落ち着きました》

 

 

 

紫「藍…」

 

 

藍「…なんですか」

 

 

紫「双方言いたい事はあるだろうけど続きやって良い?」

 

 

藍「…この険悪なムードでですか?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「いなりを三ヶ月に一度にしてくれない?」

 

 

藍「仕事」

 

 

紫「う…」

 

 

藍「仕事」

 

 

紫「ぐっ…」

 

 

藍「私は譲りませんよ」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…あ」

 

 

藍「?」

 

 

紫「橙にさぁ」

 

 

藍「…?」

 

 

紫「橙に藍がゆかりんを過労死させようとしているって言ったら…」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「冗談よ、言うわけないでしょ…そんなこと言ったら八雲の恥よ」

 

 

藍「…なんか安心しました」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「仕事は?」

 

 

紫「気が向いたら」

 

 

藍「ではこれからも変わらず…です」

 

 

紫「月一のいなり地獄に耐える日々」

 

 

藍「仕事地獄に耐える日々」

 

 

紫、藍「いぇーい♪」ハイタッチ

 

 

藍「…良いんですか結局元に戻っただけですけど」

 

 

紫「八雲家は変わらない、それで良いのよきっと」

 

 

藍(いなりで揉めただけなんですけどね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《気を取り直して》

 

 

 

紫「さてさてさて♪ 続きいきましょうかね~♪」

 

 

藍「う~む、最近茶番が増えてる様な」

 

 

紫「茶番? 八雲家の大事なコミュニケーションでしょう?」

 

 

藍「…そう、なんですかねぇ」

 

 

藍(橙の世代に受け継ぐのかな、このコミュニケーション)

 

 

紫「そうなのよ、え~と、次は…♪」

 

 

藍(そう考えると不安だなぁ、かと言って紫様を手本にしてはいけないとは言えないし…)

 

 

紫「あ、これね」

 

 

 

 

 

 

 《残り》

 

 

 『取り合えず斬る!』

 

 

 『ムシャムシャしてやったわぁ♪』

 

 

 

 

 

 

 

藍「もう身内問答だと言いましたし、あの二人ですよねぇ」

 

 

紫「そうなるわねぇ」

 

 

藍「しかし身内ではありますが、この言葉を私たちが認識していないんですよね」

 

 

紫「そーなのだー♪ 身内の私たちでも聞いたことないんですよー♪」

 

 

藍「ルーミアなのかリリーなのか統一してくださいよ」

 

 

紫「そーなんですよー♪」

 

 

藍「混ざってますよ?」

 

 

紫「リーリアちゃん♪」

 

 

藍「誰ですか!?」

 

 

紫「でも本当に藍の言う通りなのよねぇ、一番近くにいてしょっちゅう会ってるのに聞いたことないわ」

 

 

藍「う~ん、近すぎるからこそ聞いたこと無いのかもですね、それと」

 

 

紫「ん?」

 

 

藍「また物騒な…」

 

 

紫「そう?」

 

 

藍「斬るとか、してやったとか」

 

 

紫「私はむしゃむしゃが気になるわねぇ」

 

 

紫「幽々子のことは全部分かってるつもりなんだけどなぁ…ゆかりんちょっとショック」

 

 

藍「ん~言ったこと無いとか、デマの可能性もまだありますよ?」

 

 

紫「そうかもね『アリスさん嘘つかない』みたいなのも会ったし…聞いた方が早いわよね、では! スキマオープン!」スッ

 

 

 

 

 ギュオン ヒュー ポスン

 

 

 

 

 

魂魄妖夢「はっ!」シュタッ

 

 

紫、藍「おぉ~」パチパチ

 

 

妖夢「え? あ、あの…紫様? 藍さん?」

 

 

藍「見事だよ、妖夢」パチパチ

 

 

紫「はぁい妖夢♪ 流石ね、見事な着地だわ、ゆかりんポイント十点」パチパチ

 

 

妖夢「あ、ありがとうございます…?」

 

 

妖夢「い、いえ…ありがとうございますではありませんよ紫様! ご用がある時はいきなりスキマ落としはせず、白玉楼に直接来てください」

 

 

紫「え~、この前だってあなたの言う通りにして白玉楼に行ったとき『いきなり現れないでください!』ってゆかりん言われたんだけど」

 

 

妖夢「夜中に後ろからいきなり抱き付くとか、気配を消して床からスーっと現れるとかしないで普通に現れてください!」

 

 

藍「何をしてるんですか…」

 

 

紫「『妖夢の怖がってる姿を見るのが楽しいのよぉ♪』って幽々子が言うんだもん、そりゃ私だって見たいわよ、妖夢可愛いもん♪」

 

 

妖夢「なっ!? ぅ…///」

 

 

藍「幽々子殿…」

 

 

紫「そもそも妖夢、あなたが怖がりなのがいけないんじゃないの?」

 

 

妖夢「こ、これは生まれつきですから直しようが…」

 

 

紫「気の持ちようなんじゃないのかしら」

 

 

藍「そんなこと言って差し上げないでくださいよ、妖夢の悩みの一つなんですから」

 

 

妖夢「うぅ…藍さん、ありがとうございます」

 

 

紫「幽霊まみれのお屋敷に住んでて怖がりってのはステータスだもんね♪」

 

 

藍「褒めてないですよね、それ」

 

 

妖夢(前に鈴仙に相談して処方してもらった怖がりを治す薬、剣士たるもの薬に頼る訳には…それにあの薬色が青緑色で苦そうなんだよね…)

 

 

紫「聞くけど藍、お化け屋敷のバイトちゃんが極度の怖がりだったらお客のこっちは楽しめないでしょう? ちゃんとオバケ役なんて出来ないわよ?」

 

 

藍「それはその子が頑張れば…」

 

 

紫「ほらぁ、結局は気の持ちようじゃない」

 

 

藍「む…」

 

 

紫「でもゆかりん優しいから頑張ってる子のために頑張って怖がるわ♪ キャー♪ ゆかりんこっわ~い♪ って♪」

 

 

藍「……」

 

 

紫「ちょっとぉ! 何よその『よく恥ずかしくないですね』みたいな目は!」

 

 

藍「目で会話って出来るんですね」

 

 

紫「あなたってたまに辛辣よね!?」

 

 

藍「最後だから疲れてきているってのもありますね、はい」

 

 

紫「こ、こんにゃろう…」

 

 

妖夢「あの~」

 

 

妖夢「お二人とも、私に何か用があるんですよね?」

 

 

紫「あ、ごめんね妖夢、こっちで勝手に盛り上がっちゃって」

 

 

藍「悪いな、妖夢」

 

 

妖夢「藍さん、大丈夫ですか?」

 

 

紫「大丈夫よ、勝手に辛辣狐になっただけだから」

 

 

藍「紫様が変なこ」

 

 

紫「お黙り!」

 

 

妖夢(藍さんも大変そうだなぁ、またあの会を開いてはっちゃけないと私も身が持たないかも)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ゆかりん、説明中》

 

 

紫「実はね妖夢、かくかくしかじかなの♪」

 

 

妖夢「! 私の言葉が人里で!?」

 

 

紫「そうなの♪ この言葉について詳しく教えてもらえるかしら」

 

 

妖夢「それは構いませんが…えぇっと…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「? どうしたの?」

 

 

妖夢「私、こんな言葉使ってないです」

 

 

藍、紫「え」

 

 

妖夢「いえあの、思い返して下さい、私この言葉日常で使ってますか? 紫様たちが白玉楼に来たときとか」

 

 

紫「…使ってない」

 

 

藍「使ってないよな、うん」

 

 

妖夢「!? え!? これが人里で流行っている!? 私って人里の人達からどんな目で見られてるんですか!?」

 

 

藍「紫様、これ本当に…」

 

 

紫「人里で聞いたもん、ゆかりん嘘つかないもん!」

 

 

藍「また鷽に啄まれますよ!?」

 

 

紫「こ、これは嘘じゃないもん! 本当だもん!」

 

 

藍「そもそもこれ聞いた時からおかしいと思わなかったんですか!? 妖夢がこんな言葉を言ってると!」

 

 

紫「お肉…取り合えず斬る! とか言いそうかなって」

 

 

妖夢、藍「言いませんよ!」

 

 

妖夢「なんか人里を自由に歩けなくなりそうです…」

 

 

藍「これは完全なるデマだな…妖夢、気にするなと言うのは無理かも知れんが…」

 

 

妖夢「そのお心遣いだけで充分です…うぅ…」

 

 

紫「あ」

 

 

藍、妖夢「?」

 

 

紫「でもさぁ、妖夢」ニヤニヤ

 

 

妖夢「は、はい」

 

 

藍「紫様、でももへったくれもないですよ、これは」

 

 

紫「ほら…すごーく前に萃香が宴会三昧の日々を送るためにプチ異変を起こした事があったじゃない?」

 

 

妖夢「はい、ありましたね」

 

 

藍(珍しくあの時の紫様ちょっと怒ってましたね…)

 

 

紫「その時あなた『斬れば判る』だの『斬りに来た』だの『斬らなければ始まらない』だの…」

 

 

妖夢「…! !?」

 

 

藍「……あ」

 

 

紫「言ってなかった?」ニヤニヤ

 

 

藍「妖夢…」

 

 

妖夢「そ、そそそ、そんなことい、言ってな…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「言ってたわよねぇ、確か私もあなたに剣を向けられたし」

 

 

妖夢「あ…! あの時は…! そ、その…!」

 

 

紫、藍「…」ジトッ

 

 

妖夢「えと…わ、私は…」

 

 

藍「妖夢」

 

 

妖夢「!」

 

 

藍「その、何だ…若気の至りというやつだよな、お前もまだ若いし…」

 

 

妖夢「うわぁぁ! 私言ってたぁぁ!」orz

 

 

紫「ほらぁ♪ やっぱり言ってた♪」

 

 

藍「ううむ…あの時の妖夢は確かに…」

 

 

紫「辻斬りの半人半霊と言われてもおかしくないわよねぇ、霊夢も『通り魔じゃない』とか言ってたのを思い出したわ♪」

 

 

藍「その残り香というか印象というか…そういうのがまだ残ってるんでしょうか」

 

 

紫「かもね、ほらゆかりん嘘ついてない」

 

 

藍(い、言い返せないな…)

 

 

紫「おほほほ♪」

 

 

妖夢「若かったで済むかなぁ…あのあと咲夜とパチュリーとレミリアと霊夢と魔理沙に謝りに行ったけどまだ許してもらえてないのかな…そもそも何で私あんなに…あの時は深夜テンションじゃなかったのに」orz

 

 

紫「まだまだ半人前よねぇ♪」

 

 

妖夢「はうぅ!」グサッ

 

 

藍「もう許してあげましょうよ! 妖夢だって反省しているんですから!」

 

 

紫「私謝られた記憶ないもん! 私の調査を嘘呼ばわりされたもん!」

 

 

藍「もんもんもんもんと、さっきからなんなんですか!? 身内問答以前に身内弄りは駄目ですよ!」

 

 

紫「ぶちぶちうるさいわねぇ、取り合えず斬ってあげましょうか!? あ、ねぇ妖夢、こういう時に使えばいいの? 物騒ねぇ♪」

 

 

妖夢「も、申し訳ありませんでした紫様ぁぁ! うわぁぁん!」orz

 

 

紫「どういう気持ちで言えば良いの? 斬ってみたいと思った時に自然に? イラッとしたら一斬り行く感じ?」

 

 

藍「やめてあげて下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《落ち着いた》

 

 

妖夢「あぁ…私言ってました…あの時は本当に……どうしてあんな事を…」

 

 

藍「あまり気に病むな妖夢、言ったことは事実かも知れんが霊夢たちはもう気にしてないはずだよ」

 

 

妖夢「そ、そうでしょうか…」

 

 

藍「そうだよ、だから気に」

 

 

紫「霊夢と私の邪魔をする奴は取り合えず斬る! いやこんな感じ? ん``ん``…月の嫌みったらしい姉妹! 取り合えず斬る! あ、これしっくり来るわね♪」

 

 

妖夢「うわぁぁ」orz

 

 

藍「紫様ぁ!」

 

 

紫「ん?」

 

 

藍「言葉使う前に妖夢を気遣ってあげて下さい! というかこの言葉は妖夢のためにも封印すべきです!」

 

 

紫「えー」

 

 

藍「えーじゃありません!」

 

 

紫「藍、考え方変えてみなさいな…私はこの言葉カッコいいと思うの、剣士の特権よ?」

 

 

藍「あなた剣士じゃないじゃないですか」

 

 

紫「剣を持てば誰でも剣士よ♪ えい♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

紫「ほら見て、スキマに落っこちてたの♪ カッコいいでしょ?」

 

 

藍「落ちてたって…日本刀がですか?」

 

 

紫「妖刀よ妖刀♪ ほら♪ 居合いの型をとればゆかりんも立派な剣士♪」スッ

 

 

藍「さ、様にはなってますけど」

 

 

紫「でしょう♪」

 

 

藍(紫様が日本刀を構えるのはいつ以来だろうか、しかも魂魄流剣術の構え…)

 

 

紫「この刀で取り合えず」

 

 

藍「斬らない!」

 

 

紫「冗談よ、この刀で斬ったらヤバイもん♪」

 

 

藍「もう…」

 

 

藍(ヤバイって何がヤバイのだろうか)

 

 

紫(地獄にスキマを開いた時に刀輪処からポロっと落っこって来ちゃったのよねぇ…返したいけど閻魔に覚られると嫌だし…)

 

 

紫「まぁ…妖夢」

 

 

妖夢「…!」

 

 

紫「私は剣士じゃないしあなたの名誉のためにこの言葉は封印するわ、使う事もしないから安心なさい」

 

 

妖夢「紫様…」

 

 

紫「過去の過ちは取り消せるのよ、辻斬り妖夢はもう存在しない…さっき藍も言ってたけど気に病んじゃだめよ?」

 

 

紫「失敗から得た物は大きい…そうよね?」

 

 

妖夢「…!」

 

 

妖夢「ありがとうございます…紫様、藍さん」

 

 

藍「ほっ…」

 

 

紫(全ては幽々子のために、か…その動機は嫌いじゃないわ妖夢…でも)

 

 

藍「良かった…は変かな?」

 

 

妖夢「いえ…自分のした過ちを忘れてのうのうとしていたのは事実ですから」

 

 

藍「妖夢…」

 

 

妖夢「やはり私はまだまだ半人前です、斬れば判る等と安直な答えに至っていたあの時の私を斬ってやりたい程に、斬ること以外にも大切な事があることに気付かせてやりたいです」

 

 

妖夢「くよくよしてはいられませんね、幽々子様のためにも、そして自分のためにも…これからも精進していきます」

 

 

藍「その思いがあるなら大丈夫さ、妖夢は強いからな」

 

 

妖夢「ありがとうございます、藍さん」

 

 

紫(自分のためにもかぁ…♪ 幽々子、妖夢は私たちが思っている以上に成長しているのかも知れないわよ?)

 

 

妖夢「…あ、話は変わるんですけど藍さん」

 

 

藍「うん?」

 

 

妖夢「この前魔理沙に『お前から剣を取ったらただの料理人だよな』と言われてしまったのですが…」

 

 

藍「!?」

 

 

妖夢「私って剣以外の取り柄が料理しか無いのでしょうか…」

 

 

藍「嫌な事を思い出すんじゃない! これから精進していくんだろう!?」

 

 

妖夢「で、でも思い出しちゃって…」

 

 

藍「に、庭師の仕事が」

 

 

妖夢「チルノにも『葉っぱ斬るなよ! 可哀想だろ!』とか言われて…」

 

 

藍「気にするなとさっき言ったじゃないか! ネガティブ思考はやめておけって!」

 

 

妖夢「あ…前の神社の宴会で酔っ払った咲夜が『斬れぬ物などあんまり無いみょん!』って私のモノマネしてたなぁ」

 

 

藍「そんなことしてたか!? それにみょんって何だみょんって!」

 

 

妖夢「……やっぱり世の中斬らなきゃやっていけないんじゃ」

 

 

藍「やめろぉ!」

 

 

紫(あら…まだまだ半人前だったわねぇ、ふふっ♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《二人目!》

 

 

 

藍「また会を開くからその時に愚痴を聞いてもらおうな」ヒソヒソ

 

 

妖夢「はい…よろしくお願いします…」ヒソヒソ

 

 

紫「んん!? 内緒話かしらぁ!? ゆかりん気になるなぁ♪」

 

 

藍「!? な、何も言ってません!」

 

 

紫「私に隠れてこそこそ宴会なんてしてるんじゃないでしょうね!」

 

 

藍「し、してる訳ないじゃないですか!」

 

 

紫「本当に…?」

 

 

藍「え、えぇもちろん」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…さとりに協力してもら」

 

 

藍「ほ、ほら! 次行きましょう! 幽々子殿ですよね! わぁ楽しみです!」

 

 

紫「…」ジトッ

 

 

藍「…」ドキドキ

 

 

紫「まぁ良いわ」スッ

 

 

藍「…」ホッ

 

 

紫「もし私に隠れて宴会してたら、次の博麗神社の宴会で藍の小さい時のモノマネ十連発してやるわ」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「宴会してるの?」

 

 

藍「し、してません!」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「ふーん…」

 

 

藍(人里であの会は危険だ…! 神霊廟で出来ないか、蘇我屠自古に相談してみよう…いや、念には念、他の者にも相談してみるか)

 

 

妖夢(紫様に内緒にするのはやはり無理があるのでは…よく隠し通せてるなぁ、藍さん)

 

 

紫「気になるけど次行きましょうか♪ 妖夢、あなたもここにいなさい、次は幽々子だから」

 

 

妖夢「は、はい!」

 

 

藍「む…むしゃむしゃしてやった、ですか♪ これはどんな言葉なんでしょうかね♪」ダラダラ

 

 

紫「なんであなたそんなに汗かいてるの?」

 

 

藍「い、良いじゃないですかそんなことは」

 

 

妖夢(藍さん! バレちゃいますよ!)

 

 

紫「…むしゃむしゃ、気になるわ」

 

 

藍(お、落ち着け私!)

 

 

藍「わ、私はしてやったの方が気になりますね」

 

 

紫「妖夢は幽々子からこの言葉聞いたことある?」

 

 

妖夢「う~ん…無い、ですね」

 

 

藍「妖夢ですら知らないとは」

 

 

紫「大体この私が知らないんだもん、誰も聞いたこと無いはずよ、気になるわね」

 

 

紫「幽々子をこの企画に呼べるのは素直に嬉しいわね♪ さぁスキマオープン! 出でよ! 私の親友♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

 

妖夢「………あ」

 

 

藍「妖夢?」

 

 

妖夢「あの、別に今お伝えすることではないと思ったんですけど、思い出しちゃって」

 

 

紫「今日は良く思い出す日ねぇ」

 

 

藍「何を思い出したんだ?」

 

 

妖夢「最近幽々子様のせい…いえ、食事が度を越してきているおかげで紫様から教えていただいたエンゲル係数が大変な事になってまして」

 

 

紫、藍(いつものことじゃ…)

 

 

妖夢「そこで食事制限として食事の取り方を変えさせてみたんです『朝、昼、晩と私が用意した食事と他に食べたいからあれ作ってこれ作って』の食事から『朝、昼、晩それぞれ一時間の間、幽々子様の好きな物、食べたい物、食べてみたい物を作り、幽々子様が食べたことある物は味を変える』に変えたんです」

 

 

紫「毎日決まったメニューで用意された食事からバイキング形式になった感じかしら」

 

 

藍「効果はあったのか?」

 

 

妖夢「私がいつも用意していた料理分が減ったので少し効果はありました、栄養面の心配はありますが」

 

 

紫「大丈夫♪ 幽々子は食べること事態が栄養だから」

 

 

藍「もうカロリーとか食物繊維とか関係ないんですね…」

 

 

妖夢「それに一品一品ゆっくり味わって食べる様になったんです、思い付いて正解でした! 大きな進歩です!」

 

 

藍「切実だな…」

 

 

紫「好きな食べ物と食べたこと無い食べ物はゆっくり味わうタイプだからね幽々子は」

 

 

藍「なんですかその基準…そういえば嫌いな食べ物ってあるんですか?」

 

 

紫「無いわね、その食べ物の味が分かりきっていたりすると繋ぎとして体に流し込んだりはするけど」

 

 

妖夢「やはりそうでしたか!」

 

 

藍「そんな生態調査みたいな感じで言わなくても」

 

 

紫「ほら、ミスティアの屋台の焼き鳥とか『あぁ、この味よねぇ』は流し込むわね」

 

 

藍「き、基準がいまいち…」

 

 

妖夢「ふりかけの掛かっていないご飯は繋ぎとして流し込む感じですよ」

 

 

紫「仮に、仮によ? レミリアとかフランドールとかが作った料理は最初は流し込まない、ゆっくり味わう筈よ」

 

 

妖夢「基本的にカレーやシチューも流し込まないです」

 

 

紫「私といるときだけはお酒は流し込まない♪」

 

 

妖夢「シェフの気まぐれなんとかは流し込まないです」

 

 

紫「分かる?」

 

 

藍「……いや、全然分からないです!」

 

 

紫「何でよ、こんなに分かりやす…ん?」

 

 

妖夢、藍「?」

 

 

紫「よ、妖夢…! あなた幽々子が一品一品ゆっくり味わって食べる様になったって言った…!?」

 

 

妖夢「え? はい、言いましたけど」

 

 

紫「じゃあ今も…」

 

 

妖夢「? あぁはい、お昼ご飯の最中です、作りおきしたので今頃デザートを召し上がられているのではないでしょうか」

 

 

紫「!? やばっ!」スッ

 

 

妖夢、藍「え?」

 

 

 

 

 ヒュー ポスン ベチャッ

 

 

 

 

紫「あっ!?」

 

 

妖夢、藍「……べちゃっ?」

 

 

西行寺幽々子「…」

 

 

妖夢、藍「あっ…」

 

 

紫(や、ヤバイっ……!)

 

 

 

 

 

 いつもの感じでいきなりスキマに落としてここに出迎えていたのが仇になりました。

 

 八雲紫が親友、西行寺幽々子…彼女はスキマに落とされた衝撃のせいで手に持っていたのであろう皿の上に乗っかっていたプリンを落としてしまったのです。

 

 

 今、幽々子はプリンが乗っかっていた皿をニコニコしながら凝視しています。 

 

 

 あの鬼でも声を掛けるのを躊躇う程の笑顔で。

 

 

 

 

 

紫「…」ダラダラ

 

 

幽々子「…」ニコニコ

 

 

妖夢「ゆ、ゆゆムグッ!?」バッ

 

 

藍(妖夢! 今の幽々子殿に声を掛けるな!)

 

 

妖夢(!?)

 

 

紫「は、はぁい、ゆ、ゆゆゆゆゆ幽々子…!」

 

 

幽々子「…」ニコニコ

 

 

紫「うっ…ゆ、幽々子!」

 

 

幽々子「…」ニコニコ

 

 

紫「ゆ、ゆゆ、ゆ…」

 

 

紫「ゆ、ゆかりんだよ~っ♪ て、てへっ♪」

 

 

妖夢、藍(えぇ!? そこでそれぇ!?)

 

 

紫「てへ…ぺろ…りん…」

 

 

幽々子「…」ニコニコ

 

 

紫「ゆ、ゆかりんと幽々子はズッ友な」

 

 

 

 

 フッ ゴォ

 

 

 

 

幽々子「…」ゴゴゴゴゴ

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

妖夢、藍(笑顔のまま紫のオーラを!?)

 

 

幽々子「…」ユラァ

 

 

紫「ひっ!?」

 

 

幽々子「ふふふふふふふ」スタスタ

 

 

妖夢、藍「!?」ゾクッ

 

 

紫「幽々子…!?」ビクビク

 

 

幽々子「ふふふふふ、ふふふあはは♪」スタスタ

 

 

紫「え!? な、何!? そ、その笑顔のままで歩いて来ないで…!」

 

 

幽々子「ふふふふふ♪」スタスタ

 

 

 ガシッ!

 

 

紫「ひぃっ!?」ビクッ

 

 

妖夢、藍(紫様が捕まったぁ!)

 

 

幽々子「ふふふ…」

 

 

紫「ゆ、幽々子…」ビクビク

 

 

幽々子「ふふふふふふふ♪」

 

 

紫「ゆ、幽々子さん? か、かか肩から…! て、手を離してく、くれないかしらぁ…な、なんて」

 

 

幽々子「ふふふ」ニコニコ

 

 

紫「ふ、ふふふ?」ニコ

 

 

幽々子「ふふふ」ジュルリ

 

 

紫「!?」

 

 

幽々子「…」

 

 

紫「…? ?」ドキドキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽々子「いただきまぁす♪」ニッコリ

 

 

紫「!!!??」ゾクッ

 

 

 バクッ! アーーーーーーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「いやぁぁ!」

 

 

幽々子「ふごふごふご!」ガジガジ

 

 

紫「ゆ、幽々子ぉっ! ってあぁぁぁ!!」ジタバタ

 

 

幽々子「ゆふぁひぃ、ひふぉいははいふぉ、ふひんふぁふぁいふぁひひふぁっふぁっふぁっひゃひゃいほぉ、ほぉひてふへふはほぉ?」ガジガジ

 

 

紫「やめてぇ、謝る! 謝るからぁ! 腕を噛み千切ろうとしないでぇ!」

 

 

藍「ど、どこかで見たような光景…だな、ははは」

 

 

妖夢「そ、そうですね」

 

 

妖夢「……」

 

 

妖夢「『紫ぃ♪ 酷いじゃない、プリンがこぼれちゃったわぁ、どうしてしてくれるのぉ♪』かな」

 

 

藍「分かるのか!?」

 

 

妖夢「何となくですけど…」

 

 

 

 

 

 イヤー! ガジガジ

 

 

 

 

 

藍「し、しかし、前の時よりも幽々子殿のあの特技が洗練されているような…」

 

 

妖夢「歩きながらでも四十四秒溜める技術を身につけたんですよ」

 

 

藍(な、なんて無駄な努力を…!)

 

 

妖夢「飽き性のあの人が努力する姿を見ていると…なんか応援したくなっちゃって」

 

 

藍「気持ちは…分からんでもないが」

 

 

紫「ごめん! ごめんなさいぃ!! マジでごめん幽々子ぉ! うぐあぁぁ!」ジタバタ

 

 

幽々子「ふごふごふご♪」ガジガジ

 

 

 

 

 

 

 

 

 《解放されました》

 

 

紫「はぁはぁ…! 藍! ねぇ藍手ぇ! 手みて!? 私の手ぇある!? ちゃんとあるわよね!?」

 

 

藍「大丈夫ですから! ちゃんとありますから!」

 

 

紫「はぁはぁ! …はぁ、また食いちぎられたかと思ったわ…!」

 

 

幽々子「またぁ? 前も今も食いちぎってないと思うんだけどぉ♪」

 

 

紫「食いちぎられる程の痛みと恐怖よ! あなたには分からないでしょうね!」

 

 

幽々子「ぶー♪ なによぉ、今回は紫が悪いじゃない」

 

 

紫「そ、それは…ご、ごめんってさっき」

 

 

幽々子「ダーメ♪ ちゃんと謝って」

 

 

紫「う…ご、ごめんね幽々子、もうお昼ご飯終わってると思って」

 

 

幽々子「せっかく妖夢が作ってくれた特製プリンだったのにねぇ…♪ 残念だわぁ…」

 

 

妖夢「幽々子様、プリンならまた作れば」

 

 

幽々子「そういう問題じゃないの、食べ物が台無しになったのはもちろんだけどあのプリンはあのプリンの味しかしないの、他のプリンは存在しないのよ? 私はあのプリンが食べたかったの」

 

 

妖夢「は!? は、えっと、はい…」

 

 

藍(幽々子殿は怒っているのは確かだ、うん)

 

 

幽々子「紫、私今回は本当に怒っているわ、呼んでくれるのは嬉しいけど食べ物の怨みは何よりも恐ろしいのよ? 妖夢のプリンちゃんの無念も感じるわ」

 

 

紫「幽々子様の仰る通りでございます」ドゲザ

 

 

藍(あ、紫様が小さくなってる)

 

 

紫「…本当にごめんね幽々子、私あなたの楽しみを奪うつもりなんて無かったの、プリンちゃんをこんな無惨な姿にするつもりも無かったのよ」

 

 

妖夢、藍(プリンちゃん…)

 

 

幽々子「…反省してる?」

 

 

紫「えぇ、ごめんなさい…許して幽々子」

 

 

幽々子「…」ジーッ

 

 

紫「うっ…」

 

 

幽々子「…」ジーッ

 

 

紫「…! ゆ、幽々子! な、何でもするから許して!」

 

 

幽々子「ふふっ♪ 今何でもするって言ったわねぇ♪」

 

 

紫「へ…!? はっ!?」

 

 

藍、妖夢「!?」

 

 

幽々子「うふふっ♪ 紫ぃ…! 私のために何でもしてくれるのね♪ 嬉しいわぁ♪」

 

 

紫「ゆ、幽々子しゃん…!?」

 

 

幽々子「私がいくら頼んでもあなたは首を縦に振らなかった事、叶えてもらえる時が来たのね♪」

 

 

紫「!?」

 

 

妖夢、藍「?」

 

 

幽々子「ま・ん・ぷ・く♪ ついに己の限界を知ることが出来るのね!」

 

 

幽々子「満腹を知りたい♪ 叶えてね紫? 約束よ?」

 

 

紫「えぇっ!?」

 

 

妖夢「なっ!?」

 

 

藍「あぁ…」

 

 

妖夢「幽々子様! それはあまりにもやり方が」

 

 

幽々子「だって紫が何でもするって言ったもん♪」

 

 

妖夢「もん♪ じゃないですよ! あなたの満腹などどこにあると言うのですか!」

 

 

幽々子「それを紫が見つけてくれるのよぉ♪ 楽しみ♪」

 

 

妖夢「あぁ…ど、どうしたら」

 

 

紫「悪夢だわ…厄日だわ…」orz

 

 

藍「紫様…その」

 

 

紫「藍…スキマ貯金で足りるとか考えてる? 甘い、甘いわ」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「大昔…破産しかけたのよ? もう百年ぐらい前に挑戦してみようって…私も若かったから…それに私も幽々子の満腹を知りたいのもあったし」

 

 

藍「なんですって!?」

 

 

紫「霊夢に仕送りが出来なくなるわ…」

 

 

藍「心配するとこそこですか!?」

 

 

紫「うぅ…またあの閻魔に頭下げなきゃ…」

 

 

藍「そうですね…四季様に怒られるのも覚悟しましょう」

 

 

紫「幽々子…」

 

 

幽々子「ん~?」ニコニコ

 

 

紫「良いわ、覚悟を決めるわ…でもその前に」

 

 

幽々子「あ♪ 流行りの言葉でしょ? 良いわよ♪ 協力するわぁ♪」

 

 

紫「ありがとうなんだそーなんだー♪」

 

 

藍「やけくそですね…」

 

 

妖夢「ご迷惑をおかけします…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 《二つ目!》

 

 

幽々子「むしゃむしゃしてやったわぁ♪ …ん~、この言葉私使ったことないわぁ」

 

 

紫「えぇ…そうでしょうね…」

 

 

藍(元気が無くなってる)

 

 

妖夢「私も幽々子様が言っているのを聞いた事ないですね」

 

 

紫「そりゃあねぇ…そーなんでしょーよー…」

 

 

藍(もう露骨に元気が無いな!)

 

 

妖夢「むしゃむしゃ…? してやったとは?」

 

 

藍「またデマか…」

 

 

幽々子「でも私が使いそうと思っての流行りの言葉なのかしら? だとしたら使ってあげるのも悪くないわねぇ♪ それにこの言葉から私の波長に合う何かを感じるわ」

 

 

藍「まさかの逆輸入ですか」

 

 

幽々子「それもまた一興、むしゃむしゃは恐らく咀嚼の擬音ね、してやったわぁ♪ はそのままね♪」

 

 

幽々子「紫の腕をむしゃむしゃしてやったわぁ♪」

 

 

紫「ひっ!?」ビクッ

 

 

幽々子「妖夢のご飯をむしゃむしゃしてやったわぁ♪」

 

 

妖夢「日常茶飯事ですよね」

 

 

幽々子「藍ちゃんの尻尾をむしゃむしゃしてやったわぁ♪」

 

 

藍「本気でやらないでくださいよ!?」

 

 

幽々子「ミスティアちゃんをむしゃむしゃしてやったわぁ♪」

 

 

妖夢、藍「ちょっ!?」

 

 

紫「あなたそれ事実じゃない…」

 

 

幽々子「耳だけよ? …まだ」

 

 

妖夢、藍「まだ!?」

 

 

幽々子「ふふっ♪ 良いわねこれ♪ 日常で使ってみようかしら」

 

 

妖夢「多用し過ぎて身を滅ぼさないでくださいよ?」

 

 

幽々子「やぁねぇ♪ そんなことしないわよぉ♪」

 

 

藍(私が妖夢の立場でも同じことを言っていたよ)

 

 

紫「むしゃむしゃ…」

 

 

藍「紫様はお使いにならないんですか?」

 

 

紫「…」

 

 

紫「これ幽々子専用な気がするわね…」

 

 

藍「…そう、ですね」

 

 

紫「私はされる側…どう足掻いてもむしゃむしゃされる側なのよ、腕を二回もむしゃむしゃされたし、そりゃ私が全部悪いんだけど…」

 

 

藍(今日はもうずっとネガティブだな紫様…珍しい)

 

 

幽々子「紫、互いに使い合わない? むしゃむしゃしてやったわぁ♪ って」

 

 

紫「隙があればむしゃむしゃしてやるわ…ゆかりん頑張る」

 

 

幽々子「ふふっ♪ お役に立てた? それと私で最後なのよね?」

 

 

紫「うん…」

 

 

幽々子「そう、それは良かったわぁ♪ それじゃあ人里に行きましょう? 満腹を知るためにねぇ♪」

 

 

妖夢「幽々子様、お腹だけは壊さないでくださいね」

 

 

幽々子「壊れたら満腹なのかもね♪ ほら、早く行きましょ」スタスタ

 

 

妖夢「…紫様、藍さん、幽々子様がご迷惑をおかけします、もう私でも幽々子様は止められません」

 

 

紫「もう誰にも止められないわよ…幽々子の謝礼は…もう満腹で良いわよね…じゃあはい、妖夢への謝礼よ」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

妖夢「これは…布ですか? わぁ! 凄い手触り」

 

 

紫「最高級の布よ、刀の手入れに使いなさいな」

 

 

妖夢「ありがとうございます、大切に使わさせていただきます」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「妖夢、このあとなんだが」

 

 

妖夢「お供します、幽々子様を放っとけはしませんから…」

 

 

藍「…ありがとう」

 

 

幽々子「満腹を知るためにむしゃむしゃしてやったわぁ♪ ふふっ♪ 良いわねぇこれ」

 

 

妖夢「何軒店を跨ぐのかなぁ…私の料理もさっき食べたのに」

 

 

藍「紫様…私の貯金も少しなら」

 

 

紫「雀の涙ね…」

 

 

幽々子「さぁ、食べるわよぉ♪」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…ゆかりんの貯金がむしゃむしゃされてしまったわぁ♪」

 

 

藍「…」

 

 

紫「くすん…」

 

 

藍「お金も…か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    《ゆかりんメモ》

 

 

 

『取り合えず切る!』 封印

 

 カッコいいけどゆかりん剣士じゃないから微妙かもねぇ、それに妖夢と約束したから使わない。

 

 …この刀本当にどうしようかしら

 

 

『むしゃむしゃしてやったわぁ♪』トラウm

 

 水のような物が滲んで字が読めない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日の談へ続く!

 

 

 

 






 最初の茶番少し減らしたい感はありますね…


 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪




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《春雪異変 後日の談》



 こちらは《流行りの幻想郷シリーズ》の『春雪異変』の後日談のお話となります、先に『春雪異変、壱、弐、参、肆の談』をお読み下さい。



 それでは始まります♪





 

 

 

 【レティの家】

 

 

 

レティ・ホワイトロック「ね? 綺麗でしょ♪」

 

 

 キラキラ

 

 

チルノ「おースゲー! 綺麗だなー!」キラキラ

 

 

ルーミア「そ、そそそそそーなのだだだー」ガチガチ

 

 

大妖精「そ、そそうですね!」ガタガタ

 

 

リグル・ナイトバグ「うひぃぃ…」ガタガタブルブル

 

 

橙「…」ガタガタブルブル

 

 

レティ「スノードームって言うのよ、紫さんに貰ったの♪」

 

 

チルノ「ババアに貰ったの? こんな綺麗なの持ってんのか」

 

 

レティ「こら、流石にババアは失礼よ?」

 

 

チルノ「魔理沙がババアはババアで良いんだって言ってたよ?」

 

 

レティ「あの人間は…そのうち私の家にも何か盗みに来るのかしら」

 

 

チルノ「もう一回裏返してっと…! おぉー! また雪が降ってきた!」

 

 

レティ「…」

 

 

レティ(聞いてみようかな)

 

 

レティ「ねぇチルノ」

 

 

チルノ「ん? なんだ?」

 

 

レティ「……私って太って見える?」

 

 

チルノ「太ってる? 誰が?」

 

 

レティ「わ、私って言ったわよね?」

 

 

チルノ「レティが?」

 

 

レティ「う、うん」

 

 

チルノ「…」ジーッ

 

 

レティ「う…」

 

 

チルノ「…」ジーッ

 

 

レティ「…」

 

 

チルノ「…」ジーッ

 

 

レティ(何故か恥ずかしいわね、見ているのはチルノなのにドキドキしてきちゃった…///)

 

 

チルノ「ん~」

 

 

レティ「…ち、チルノ! ど、どうかし」

 

 

チルノ「太ってない!」

 

 

レティ「!」

 

 

チルノ「レティはいつもとずっと変わらないじゃん、冬に来て、遊んでくれて、ずっと綺麗なままじゃん」

 

 

レティ「え…えっ…!? えぇ…///」

 

 

チルノ「?」

 

 

レティ「き、綺麗って…/// わ、私は…///」

 

 

チルノ「レティって雪みたいに白くて綺麗じゃん、全然太ってなんかない! 大ちゃんたちもそう思うよね?」

 

 

大妖精「そ、そそそうですよ!」ガチガチ

 

 

ルーミア「か、かかか噛む肉がななな無いのだだだ」ガタガタ

 

 

リグル「う、うんうん!」ガタガタブルブル

 

 

橙「!!」ブンブン!

 

 

チルノ「ほら! 橙もあんなに首を縦に振ってるよ、太ってないし綺麗! それがレティだよ!」

 

 

レティ「!」

 

 

レティ「…ふふっ♪ チルノ…」スッ

 

 

チルノ「ん? うおっ」

 

 

 ガシッ

 

 

レティ「ありがとう…嬉しいわ…♪」

 

 

チルノ「な、なんだよー、急に抱きつくなよー」

 

 

レティ「チルノは…ふふっ♪ 暖かいわね」

 

 

チルノ「え? レティも暖かいよ?」

 

 

レティ「そう?」

 

 

チルノ「うん!」

 

 

レティ「…ふふっ♪」ニコッ

 

 

チルノ「? にしし♪」ニコッ

 

 

大妖精、ルーミア、リグル、橙「…」ガタガタブルブル

 

 

 

 

 

大妖精、ルーミア、リグル、橙(寒いよ!!)ガタガタブルブル

 

 

大妖精(暖かくて微笑ましい光景だよチルノちゃん! レティさん! でも寒いのには勝てないぃぃ…! そ、それにレティさんが羨まし…ひぃぃ寒い! こ、凍るよぉ!)ガタガタブルブル

 

 

ルーミア(鍋…熱々おでん…焼き肉…)ガタガタブルブル

 

 

リグル(冬眠冬眠冬眠冬眠冬眠…!!)ガタガタブルブル

 

 

橙(こ、炬燵は…! 炬燵は何処ですか!? 紫様! 藍様! 助けて!)ガタガタブルブル

 

 

 

チルノ「なぁレティ、何であたいはお礼を言われたんだ?」

 

 

レティ「私が嬉しかったから…♪ かしらね」

 

 

チルノ「んー?」キョトン

 

 

レティ「ふふっ…♪ あっ! 紫さんに貰った物がまだあるの、沢山あるから皆で食べようと思ってね」スッ

 

 

レティ「じゃーん♪ アイスよ♪」

 

 

チルノ「!? うおー!」ガッツ

 

 

大妖精、ルーミア、リグル、橙(な、なにぃっ!?)

 

 

レティ「食べるわよね?」

 

 

チルノ「あったり前じゃん! いただきまーす!」パクッ

 

 

チルノ「! うんまーい♪ やっぱバニラだよな!」

 

 

レティ「王道よね♪ 私も好きよ」

 

 

大妖精、ルーミア、リグル、橙(死ぬって!! 食べたら凍え死ぬから!)

 

 

チルノ「あれ? みんな食べないの?」

 

 

レティ「色々種類あるわよ?」

 

 

大妖精、ルーミア、リグル、橙(うわぁぁ、もう逃げられない!)

 

 

ルーミア「た、たたた食べ物…」ガタガタブルブル

 

 

大妖精、リグル、橙(行ったー!?)

 

 

ルーミア「い、いただきます!」ガタガタブルブル

 

 

 パクッ

 

 

ルーミア「なのかっ!?」キーン

 

 

 パキーン

 

 

大妖精、リグル、橙(凍っちゃったー!?)

 

 

チルノ「あはは、ルーミアチョコ味好きだもんなー、固まる程か♪」

 

 

ルーミア「 」パキパキ

 

 

チルノ「あ、大ちゃんはミントだよね、はい!」スッ

 

 

大妖精「うっ!?」

 

 

チルノ「? 食べないの? あ! もーしょうがないなぁ大ちゃんは♪」スッ

 

 

 シャクッ

 

 

チルノ「はい、あーん…!」スッ

 

 

大妖精「!!?」

 

 

橙、リグル(あ)

 

 

大妖精(ち、チルノちゃんのあーんチルノちゃんのあーんチルノちゃんのあーん…)

 

 

大妖精「チルノちゃんいただきますぅ!」パクッ

 

 

橙、リグル(あぁぁ!?)

 

 

 パキーン

 

 

大妖精「 」パキパキ

 

 

チルノ「大ちゃんもかー♪ みんなそんなにアイス好きだったっけ?」

 

 

レティ「貰い物だけどそんなに喜んでくれて嬉しいわ」

 

 

チルノ「リグルと橙も食べなよ! はい、これ!」

 

 

リグル、橙「!!」

 

 

リグル(せ、せめて土の上で死にたかった…)

 

 

橙(紫様…藍様…ごめんなさい…橙はここでさようならみたいです)

 

 

レティ「それでは、改めて♪」

 

 

 いただきまーす♪

 

 

 

 

 パキーン パキーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【アリスの家】

 

 

神綺「いーやー! はーなーしーてー!」ズルズル

 

 

夢子「勝手に家を抜け出し、幻想郷にお出掛けするその神経が分かりません、度しがたいですね」

 

 

アリス・マーガトロイド(髪の毛引っ張られて引き摺られてる…)

 

 

神綺「夢子ちゃん! お母さんの髪の毛取れちゃう! 取れちゃうからぁ!」

 

 

夢子「それだけたくましく生えている髪の毛が取れるとは思えません、服を引っ張ると伸びるのでこのまま魔界へ連れて帰ります」

 

 

神綺「髪の毛も伸びるよ!?」

 

 

夢子「あなたが五体満足で魔界に帰っていただければそれで良いのです、紫殿にもご迷惑を掛けた様ですね」

 

 

神綺「ゆかりんはお友達だもん! 迷惑かけないもん!」

 

 

夢子「知らずに掛けるのがあなたの迷惑、自重してください」

 

 

神綺「あ、アリスちゃん助けて!」

 

 

アリス「助けるわけないでしょ! さっさと帰りなさい!」

 

 

神綺「!?」ガーン

 

 

神綺「はぅぅ…」ショボーン

 

 

夢子「……」

 

 

夢子「元気そうで良かったわアリス、久し振りね」

 

 

アリス「姉さんもね、元気…まぁいつも通りで何よりよ」

 

 

夢子「……相変わらず素直じゃないのね」

 

 

アリス「そういうところは姉さんたちに似たの、人の事言えないでしょ」

 

 

夢子「素直じゃないのは認めるのね」

 

 

アリス「! …意地悪」

 

 

夢子「いつも通りで何より」

 

 

アリス「それ私言ったわよ?」

 

 

夢子「お返しよ」

 

 

アリス「んもう…」

 

 

夢子「…」

 

 

アリス「…」

 

 

アリス、夢子「ふふっ」

 

 

アリス「サラ姉さんたちはどう?」

 

 

夢子「変わらないわ、サラは武道の稽古に夢中、ルイズは時限を越えて旅行、ユキとマイはどっちが強いか争う毎日…」

 

 

アリス「ふふっ、変わってない」

 

 

夢子「えぇ」

 

 

アリス「夢子姉さんは?」

 

 

夢子「私もよ、何も変わって無い……いえ、母の事で何かをすることは増えたわ」

 

 

神綺「うぅ…」ショボーン

 

 

アリス「…お疲れ様」

 

 

夢子「ありがとう」

 

 

夢子「あなたは…変わったわね」

 

 

アリス「変わってないわよ」

 

 

夢子「こっちは刺激が多いのでしょう? あなたにとって良い事が沢山あるのね、紫殿と藍さんを見ていれば分かるわ」

 

 

アリス「紫では判断材料にはならないと思うけど…」

 

 

夢子「そう言うこと言わないの、お二人にはとても良くしていただいたのよ?」

 

 

アリス「はいはい」

 

 

アリス(魔理沙達の事は…言いたいけどまだ言わなくてもいいかしら)

 

 

夢子「…アリス」

 

 

アリス「ん?」

 

 

夢子「たまには帰って来なさい、こっちでの生活の話を聞かせて欲しいわ」

 

 

アリス「…考えとく」

 

 

夢子「期待してるわ」

 

 

アリス「し過ぎないようにね」

 

 

夢子「はいはい」

 

 

アリス「むっ」

 

 

神綺「アリスちゃん♪」

 

 

夢子「復活してらしたのですか」

 

 

アリス「…なに?」

 

 

神綺「帰って来るときはお友達も連れてきて良いからね? お母さんたち待ってるから♪」

 

 

アリス「! ……気が向けばね」

 

 

夢子「…♪ じゃあアリス、また会いましょう」

 

 

神綺「バイバイしたくないけど…またねアリスちゃん」

 

 

アリス「…じゃあ」スッ

 

 

上海「シャンハーイ♪」フリフリ

 

 

蓬莱「ホーライ♪」フリフリ

 

 

神綺「バイバーイ♪」フリフリ

 

 

夢子「またね、アリス」

 

 

神綺「む~、夢子ちゃんだってアリスちゃんのお家にお泊まりしたかったんじゃないの?」ズルズル

 

 

夢子「寝言は寝てから、でないと斬りますよ」

 

 

神綺「何を!?」ズルズル

 

 

夢子「毛」

 

 

神綺「いやぁ! そ、それだけはやめてぇ!」ズルズル

 

 

アリス「静かに帰ることを覚えて欲しいわ…」

 

 

アリス「……」

 

 

アリス(友達も一緒に…か)

 

 

 

 

 

 

 

夢子「…」

 

 

夢子(アリスの人形可愛い…/// 一体貰えば良かったわ…///)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【妖怪の山、麓】

 

 

リリー・ホワイト「春ですよー♪」

 

 

秋姉妹「春じゃないわよ!」

 

 

秋穣子「冬でしょ…今」ドヨーン

 

 

秋静葉「冬に春とか…ありえないから」ドヨーン

 

 

リリー・W「またそんなにテンション低いですよー? 少しは元気になってほしいですよー」

 

 

リリー・W「春、夏、秋、冬! それぞれ季節を楽しんでこその幻想郷ですよー」

 

 

穣子「誰の入れ知恵だ、クルァ」

 

 

静葉「秋以外は認めない! これが我らのスタンスなのよ!」

 

 

リリー・W「そこで! まずは春から楽しんでもらうために色々と用意してきたですよー」

 

 

穣子、静葉「話を聞けよ!」

 

 

リリー・W「春巻きですよー? それから春雨に…あっ! 春野菜もリリーは持っているのですよー♪」

 

 

穣子、静葉「…!?」

 

 

リリー・W「まずは胃袋から掴むですよー♪ さぁ、どんどん食べてくださいですよー♪」

 

 

穣子、静葉「季節関係ないじゃない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【太陽の畑】

 

 

ルナサ・プリズムリバー「~♪」

 

 

メルラン・プリズムリバー「~♪」

 

 

リリカ・プリズムリバー「よーし! ラストスパート~♪」

 

 

メディスン・メランコリー「ラン♪ ララン♪ ふんふーん♪」タッタッ

 

 

風見幽香「…」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香(解せないわ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

メディスン『ん? あれ? 幽香、誰か来るよ』

 

 

幽香『?』

 

 

メルラン『あ、あの~』

 

 

リリカ、ルナサ『こ、こんにちは…』

 

 

幽香『あら、ちんどん屋じゃない』

 

 

メディスン『ちんどん屋?』

 

 

幽香『騒がしい奴等って意味よ、メディ』

 

 

メディスン『騒がしい? 音楽隊でしょ? こいつら』

 

 

幽香『うるさい事には変わりないじゃない』

 

 

メルラン『う、うるさい…』

 

 

ルナサ『や、やっぱり私たちは…』

 

 

リリカ『こらぁ! せっかく頑張ろうとしてるのにまた落ち込んでどうするのよ! 紫さんの救いを無下にするなぁ!』

 

 

幽香(! 紫…?)

 

 

メディスン『ねぇねぇ、あんたらはここに何しに来たの?』

 

 

リリカ『あ、うん、えっと…幽香さん』

 

 

幽香『…何かしら』

 

 

リリカ『あなたは紫さんのお友達なんですよね?』

 

 

幽香『……は?』

 

 

リリカ『そんなあなたに頼めばその…何でもお願いを聞いてくれると紫さんから聞きまして、そこで私たち三姉妹からあなたにお願いがあるんです』

 

 

メディスン『ババアから?』

 

 

幽香『……願い? 冗談じゃないわ、あの腐れスキマと友達だのと戯れ言をほざく様な奴等の頼みなんか聞くわけ』

 

 

ルナサ『お、おおお願いしますぅぅ!!』

 

 

メルラン『ちょっとだけで良いんですぅ! ちょっとだけですからぁぁ!!』

 

 

幽香『…!?』

 

 

メディスン『違うよ、幽香とババァは腐れ縁ってやつなんだよ?』

 

 

幽香『…それも違うわよ、メディ』

 

 

リリカ『腐れ縁…あ、お友達ですね!』

 

 

幽香『違うわよ!』

 

 

メディスン『違うよ! 腐れ縁は腐れ縁なの!』

 

 

幽香『メディ、やめなさい』

 

 

ルナサ『とにかくお頼みを!』

 

 

メルラン『聞いてくださいぃ!』

 

 

幽香『!? ……うるさい、一旦黙れ!』

 

 

ルナサ、メルラン『はい』orz

 

 

幽香『…何で土下座を』

 

 

ルナサ『お願いを』

 

 

メルラン『聞いてください』

 

 

リリカ『あ…私からもお願いします』

 

 

幽香『…』

 

 

メディスン『ねぇ幽香、話だけでも聞いてみたら? 気に入らなかったらスペルでドカンしちゃえばいいじゃん♪』

 

 

幽香『はぁ…』

 

 

幽香『プリズムリバー三姉妹、要件は?』

 

 

メルラン、ルナサ、リリカ『!』

 

 

メディスン『ゆうかりんやっさしー♪』

 

 

幽香『やめて、メディ』

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

ルナサ「段々と音程が良くなってきたよー♪」

 

 

メルラン「練習がはかどるねー♪」

 

 

リリカ「次の宴会まで時間が無いよ、張り切って行こう!」

 

 

ルナサ、メルラン、リリカ「おー♪」

 

 

メディスン「良いメロディーね♪ 不思議と体が動いちゃう♪ ランララン♪」タッタッ

 

 

幽香「…」

 

 

幽香(音楽のことで紫に相談、紫に嘘を言われ、私を頼りに来た)

 

 

幽香(完全にあいつの手のひらの上だわ、解せない)

 

 

幽香(…でも)

 

 

幽香(花に曲、歌を聞かせると良く育つという噂をアリスから聞いた…この目で確かめる事が出来たのは収穫ね、まさか本当に効果が合ったとは…アリスの言ったことは正しかったのね、あんなに花たちがイキイキしてる)

 

 

幽香(それに…)

 

 

メディスン「あはは♪ なんか楽しいー♪」

 

 

幽香(…)

 

 

幽香(でもあのスキマ野郎と私が友達…? 腸が煮えくり返るわね、だけど奴がここにこの子たちを導かなかったらこの光景も噂も…)

 

 

幽香(私の方から手を出せないとは)

 

 

幽香(……)

 

 

幽香(プリズムリバー三姉妹、この子たちにまたここで演奏をしてもらおうかしら)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里、ミスティアの屋台】

 

 

西行寺幽々子「ミスティアちゃん、ここからここの行のお料理三品ずつね♪」

 

 

ミスティア・ローレライ「えぇ!? は、はいぃ!」

 

 

魂魄妖夢「こ、ここで三十九軒目…」グッタリ

 

 

八雲藍「も、もう…うっ…! 食べ物は…み、見たくない…」グッタリ

 

 

八雲紫「幽々子も、もうやめにしない…!? 私のお財布の中身が…」

 

 

幽々子「スキマ貯金♪」

 

 

紫「!?」

 

 

幽々子「まだまだあるわよね♪ 因みに私のお腹もまだまだ空いてるわぁ♪」ニッコォ

 

 

紫「!?」

 

 

幽々子「お腹のスキマ、まだ空いてます♪ な~んちゃって♪」

 

 

紫「スキマ貯金にスキマがぁ…!」シクシク

 

 

 

 

 スタスタ スタスタ

 

 

 

 

霧雨魔理沙「ん? なんか騒がしくないか?」

 

 

博麗霊夢「あら、ほんとね」

 

 

魔理沙「おっ、ミスティアの屋台じゃん! 霊夢、一杯やってかないか?」

 

 

霊夢「おっさんかあんたは…まぁ良いわよ」

 

 

魔理沙「おっし!」

 

 

霊夢(…? なんか嫌な予感がするわね)

 

 

魔理沙「今日は私が奢ってやるぜ」

 

 

霊夢「あんたそれ綺麗なお金よね?」

 

 

魔理沙「自分で稼いだ金だぜ! お金を盗む程腐っちゃいないさ♪」

 

 

霊夢(そこら辺はキチンとしてるのよね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「ようミスティア! 金ならあるぜ、酒をく…!?」

 

 

霊夢「? 何してんの? ミスティア、私はお酒だけでいいか…!?」

 

 

ミスティア「い、いらっしゃいませー」

 

 

幽々子「? あら、霊夢、魔理沙♪」

 

 

藍「胃袋とはいったい…」

 

 

妖夢「消化器官とはいったい…」

 

 

藍、妖夢「ぐふっ…」

 

 

霊夢、魔理沙「…っ!?」

 

 

紫「!! 霊夢、魔理沙! 助けて! 助けてよぉ!」

 

 

霊夢、魔理沙「ゆ、紫!?」

 

 

ミスティア「おまちどおさまです!」

 

 

幽々子「ふふふ♪ きたきた♪ いただきまーす♪」

 

 

 ムシャムシャ

 

 

 

幽々子「ん~♪ おいひ~♪」

 

 

紫「もうムシャムシャは懲り懲りなの! 助けて!」

 

 

霊夢「み、ミスティア! ごめん! 悪いけど出直すわ」

 

 

魔理沙「あ、あぁ! また今度頼むわ!」

 

 

ミスティア「あ、はーい、またのお越しを~!」

 

 

霊夢、魔理沙「それじゃ!」スッ

 

 

 

 

 ヒューン!

 

 

 

 

霊夢「店から嫌な予感がしたのよ!」

 

 

魔理沙「先に言えよ!」

 

 

霊夢「まさかと思うでしょうが!」

 

 

魔理沙「あれは…あれか? 幽々子のグルメが爆発してんだよな?」

 

 

霊夢「どうせそんなとこよ、関わらない方が身のためだわ」

 

 

魔理沙「そんなことよりも何をしてるか一目で分かる私たちはやっぱすげぇな!」

 

 

霊夢「えぇ! 危機回避の能力は並外れていると自負してるからね」

 

 

霊夢、魔理沙「は~っはっは!」

 

 

紫「!? 霊夢ぅ! 魔理沙ぁ! 見捨てないでぇ!」

 

 

霊夢、魔理沙「他人の振り他人の振り…!」スタスタ

 

 

 

 

幽々子「八つ目うなぎをねぇ、塩、タレ三品ずつ♪」

 

 

ミスティア「は、はい!」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

紫「食べ物の怨み…それはこの八雲紫をも震わせる怨み…」

 

 

紫「だ、誰か…私のお財布を助けて…」ガクッ

 

 

幽々子「幻想郷の食べ物は美味しいわぁ♪ ふふふ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 






 幽々子の大食いは定着がしやすい…原作でもその節があったりするので何処まで食べれるかは未知数ですよね


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪




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【スキマボックスシリーズ】
《スキマボックス計画 始動》




 新シリーズ物です、スキマボックスとは何なのか…?



 それでは始まります♪




 

 

 

【マヨヒガ 縁側】

 

 

八雲藍「……ふぅ」

 

 

藍「今日も紫様は仕事をサボり…私は普段通り、押し付けられた仕事をこなした」

 

 

藍「仕事を終え、こうして縁側で茶を飲む…八雲家ではこれがいつも日常だ」

 

 

藍「……」

 

 

藍「だがふと思った、日常化していいのだろうかと…我が主、怠惰大妖怪八雲紫様の言いなりになってばかりで良いのか? と…」

 

 

藍「まず仕事を押し付け、サボる…私が仕事を頼んでも何かしら理由をつけて逃げ出す、理由なんか何でもいい」

 

 

藍「この前は『ゆかりんアタック!』と言いながら手をクロスさせ、両手に持った油揚げで私の頬をぺしぺしと叩いてきた」

 

 

藍「そして『油揚げ臭い狐さんと一緒に働けないわぁ♪』と言いやがりました、そして怠惰大妖怪はそのままスキマを広げ、どこかへ消えました」

 

 

藍「あれには敵意を覚えた」

 

 

藍「こんなのが毎日続く、これからも続いて行くのか…そんなことを思ったら耐えられない…だから私はある人に相談をした、西行寺幽々子殿に」

 

 

藍「昨日の事になる、この私の思いを幽々子殿に秘密にしてもらう事を前提で話した、私は幽々子殿から返って来た言葉に驚いた」

 

 

 

 

 

西行寺幽々子『日常? 紫と一緒にいること事態が非日常でしょう♪ あなたはそれに順応し、心地よいと思っている筈♪』

 

 

 

 

 

藍「……私は昔からずっと非日常にいるということだろうか? そしてそれを心地よいと思っているのだろうか? それは式神として逆らえない間柄だからなのではないのだろうか?」

 

 

藍「自分で自分が解らなかった」

 

 

藍「だが昨日の幽々子殿に話を聞きに行ったことで私の中で答えが出せたのかも知れない」

 

 

藍「紫様のなさることに着いていけてる私は無意識にそれを楽しんでいるのかもしれない…と」

 

 

藍「たまにぶっ飛んでる非日常を無理矢理提供してくる主を日常として向かい入れている私がいるんだ…それが日常であり非日常でもあるのかもしれない…それが私は心地好いと思っている、私の知らない心の奥底でだ」

 

 

藍「……」

 

 

藍「自問自答はおしまい…さて」チラッ

 

 

藍「紫様、何時から聞いていたんですか?」

 

 

八雲紫「あなたが『ふぅ…』って言った辺りから♪」

 

 

藍「最初っからじゃないですか!」

 

 

紫「あなたが敵意云々言った時は、こんにゃろうとは思ったけどあなたなりに色んな事を考えてたのね、私は感動したわ」

 

 

藍「…」

 

 

藍(感動したならちょっとは私を労っ)

 

 

紫「藍、いつもゴメンね? そしてありがとう」

 

 

藍「っ…!? えっ!?」

 

 

紫「あなたのこと少し振り回し過ぎたわ、本当に反省してます…そしていつも私のお仕事を片付けてくれて感謝してます」ペコ

 

 

藍「ゆ、紫様」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様、頭を上げてください」

 

 

紫「藍…」

 

 

藍「さっきの最後まで聞いていたんですよね、なら頭を下げないでください」

 

 

藍「紫様と一緒にいるのが楽しいんですよ私は、例え何をされようとも、どんな非日常をあなたが私に持ってきても、私は心の何処かで楽しんでいるんです…たぶんあなたの式になった時からずっと」

 

 

紫「…!」

 

 

藍「……まぁ、少しは仕事をしてほしいところはありますけど」

 

 

紫「ら~ん!」ガバッ

 

 

藍「わっ!」

 

 

紫「ごめんね藍…ごめんなさい…」

 

 

藍「ゆ、紫様…!」

 

 

紫「うぅ…」シクシク

 

 

藍「別に泣かなくても…後そんなに顔を私の胸に押し付けないてください、苦しいです」

 

 

紫「…藍、許してくれる?」

 

 

藍「…! 勿論です」

 

 

紫「本当に?」

 

 

藍「本当です」

 

 

紫「ゆかりんの事嫌いになってない?」

 

 

藍「なるわけないでしょう?」

 

 

紫「ゆかりんは藍のこと好き♪」

 

 

藍「! はい…///」

 

 

紫「藍もゆかりんが好き」

 

 

藍「まぁ、はい…///」

 

 

紫「相思相愛? ふふっ♪」

 

 

藍「はい…//」

 

 

紫「愛する者同士、変わらない日常は望まれる物」

 

 

藍「…はい」

 

 

紫「刺激もほしい?」

 

 

藍「少しは…はい」

 

 

紫「だから今あなたに非日常を届けます、受け取って?」バッ

 

 

藍「はい………!? は!?」

 

 

紫「おっほほほほ♪ はいって言ったわねら~ん♪ もう逃げられないわよ!」

 

 

藍「なっ…!?」

 

 

紫「着いてきてくれるんでしょう? さぁ! 新たな非日常の始まりよ!」

 

 

藍「いい感じに終わらせたくは無いんですか!? 貴方はいつもいつもぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「今度は何をなさるんですか…? あのですね、非日常と言っても他人に迷惑を掛けるような物は」

 

 

紫「スキマボックス」

 

 

藍「…はい?」

 

 

紫「スキマボックス」

 

 

藍「スキマボックス?」

 

 

紫「そそ♪ ざっくり説明するわね」

 

 

 ギュオン

 

 

紫「この掌の大きさのスキマを幻想郷のありとあらゆる場所に設置します♪」

 

 

藍「それまずくないですか? 悪用されたり」

 

 

紫「こら! 話は最後まで聞く!」

 

 

紫「このスキマは特別に私が改良を加えた物なの、霊夢と弾幕ごっこをしたことのある者にしか見えない愛の特別設計よ♪」

 

 

藍(愛…? どうやっているのだろうか)

 

 

紫「掌サイズにして設置してる目的なんだけど分かる?」

 

 

藍「……見当も付きません」

 

 

紫「幻想郷の皆の声を聞くためよ」ガサゴソ

 

 

藍「え?」

 

 

 紫はスキマから掌サイズの紙を取り出した

 

 

紫「ほら、ちょうどこのぐらいの大きさの紙が入るでしょ? この紙に幻想郷の住民達のお悩みを書いてもらう、そしてそれを私達二人で解決するのよ、ポストにお悩みを書いて投函してもらう形になるわね♪」

 

 

紫「名付けて! スキマボックス計画!」

 

 

藍「……」ポカーン

 

 

紫「? 何よその顔は」

 

 

藍「いや…その……珍しくまともだなと」

 

 

紫「そのゆかりんがいつもまともじゃないみたいな言い方やめて」

 

 

藍「ごめんなさい…」

 

 

紫「早い話がこれも管理人のお仕事の一貫よ、幻想郷の皆の声を聞き、悩みがあるなら解決して交流を深める、悩みじゃくても良いけどね♪ …イタズラはゆかりん怒るけど」

 

 

紫「本名は書かなくても良いけど名前は書いてもらうわ、書いた者をここに呼ぶかその者の所に直接行くことにしているから♪」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「何」

 

 

藍「私も手伝います、良いじゃないですかスキマボックス」

 

 

紫「ありがとう、藍♪」

 

 

藍「ただ、一つ質問が」

 

 

紫「うん?」

 

 

藍「この事は幻想郷の住民が知っている事なのですか?」

 

 

紫「えぇ、天狗の新聞にこの記事を書かせて大々的に載せてもらったの、もちろん霊夢と弾幕ごっこした人達用の新聞だけどね、他の人じゃこのスキマも見えないし…後このお便りの紙付きなのよ♪」

 

 

藍「あぁなるほどそれなら安心です、文も飛び付いたでしょう、書くネタが増えたとか言って」

 

 

紫「文? 文には頼んでないわよ?」

 

 

藍「え?」

 

 

紫「え?」

 

 

藍「じゃあどの天狗に頼んだんですか?」

 

 

紫「えぇとほら…あの子よあの子…天魔のお気に入りの三人の内の一人」

 

 

藍「…椛ですか?」

 

 

紫「違う、そっちじゃなくて…ハマグリじゃなくてサザエ…あぁ違う…う~んと…あ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「……ホタテ?」

 

 

藍「姫海棠はたて」

 

 

紫「あぁそうそうそう! はたては文よりも新聞の売り上げが悪いって話を聞いての、スキマボックス計画始動前のお助けということで助け船を出してあげたのよ」

 

 

紫「契約成立したものね♪ 私達も行動に移せるしはたての新聞は流行る♪ winwinな関係ってやつね」

 

 

藍「彼女の喜ぶ顔が目に浮かびますねぇ」

 

 

紫「良かったわねぇ、これでもやし念報も知名度が上がるんじゃない?」

 

 

藍「花果子念報では?」

 

 

紫「あ、そうだっけ?」

 

 

藍「紫様…さっきからマジなのかボケてるのかどっちなんですか?」

 

 

紫「ぼ、ボケてるに決まってるじゃない! マジだったら痴呆レベルよ!? はたてだけよ!?」

 

 

藍「……はたてだけ?」

 

 

紫「……は!?」

 

 

藍「新聞の名前はマジじゃ」

 

 

紫「あ! 仕事の時間だ! ゆかりんダッシュ!」タタタ

 

 

藍「あぁ!? 逃げないでくださいよちょっとぉ!!」

 

 

藍「……」

 

 

藍「はぁ、本当にあの人は…」

 

 

藍「スキマボックス、か…ふふっ♪」ニコッ

 

 

藍「どうなるかこれから楽しみですよ、紫様♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 

 

 






 幻想郷の住人のお悩み解決という感じでこのシリーズは進んで行きます、匿名で出せるので深く悩まなくても大丈夫です!



 それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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御依頼その壱 【女子力を身に着けろ!】前編




 依頼が来たよ、やったねゆかりん♪

 スキマボックスシリーズは前編、中編、後編に分けて書いていきたいと思います。



 それでは始まります♪


 


 

 

 

  【マヨヒガ 冬】

 

 

 

八雲藍「ふぅ、寒くなってきたなぁ…そろそろ衣替えの時期か」

 

 

藍「私としては服とか色々整理しているのは楽しいし、紫様が面倒臭がって茶々を入れてこないから気兼ねなく出来る…黙々と作業しているだけだがな」

 

 

藍「……衣替えといえば紫様は衣替えを自分でしない、むしろする必要がないのだ」

 

 

藍「スキマに服を収納していて同じ様な服を別々に何千着と持っているからだ、私はその収納スペースを見たことはないが…」

 

 

藍「私は気になって見せてくれませんか? と頼んだんだ、そしたら」

 

 

藍「『乙女の身嗜み空間を見ようとするでないわぁ!』と言われ、断られた」

 

 

藍「……言葉が出なかった」

 

 

藍「今となっては見たいような見たくないような」

 

 

八雲紫「そんな妄想を小一時間する八雲藍であった」

 

 

藍「うわぁびっくりしたぁ!?」ビク!

 

 

紫「藍、そんな妄想をする前にお仕事を片付けなさいな」

 

 

藍「妄想は貴方の捏造でしょう!? それともう私の仕事も貴方が私に押し付けた仕事も終わったんですよ!」

 

 

紫「ゆかりん感動、雨霰~♪」

 

 

藍「紫様、前々から思ってたんですけど感動してばかりではなく少しは私を労ってくれてもいい」

 

 

紫「グッジョブ!」ビシッ!

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…グッ」

 

 

藍「労わせていただきましたよこんちくしょう!!」

 

 

紫「あっそう♪ そんなことよりもら~ん!! ついに! ついに来たのよー!」

 

 

藍「そんなことって…いえもういいですって、え? 何が来たんですか?」

 

 

紫「スキマボックスにお便りが来ました~♪」

 

 

紫「しかも二通よ二通♪」

 

 

藍「半月近く経ってるのにたったの二通ですか?」

 

 

紫「 」ピシャリ

 

 

藍「あ」

 

 

紫「 」

 

 

藍「ゆ、紫様…」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「そういうのは言っちゃ駄目、虚しくなるから」

 

 

藍「ごめんなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「うふふのふ♪ さてさて♪ 私達にどんなお願いがこの二人にあるのかしらね♪」

 

 

藍「二人いっぺんに解決するんです?」

 

 

紫「だって嬉しいんだもん、特別サービスよ♪」

 

 

藍(さっきはああ言っちゃったけど、紫様相当嬉しいんだろうなぁ)

 

 

藍「ところで紫様、これって秘密とか守られるのですか?」

 

 

紫「秘密? えぇもちろんよ、周りに話してほしくない相談なら公にしないわ」

 

 

藍「愚問でしたね、なんかすいません」

 

 

紫「良いのよ? んじゃ、読み上げるわね♪」

 

 

 

『P.N、紅と白の素敵な巫女』

 

『P.N、黒と白の弾幕パワー』

 

 

 

 

紫「!! きゃ~♪」

 

 

藍(P.N? あ、ペンネームか…って)

 

 

藍「どうしたんですか?」

 

 

紫「霊夢と魔理沙からじゃな~い♪ 御依頼第一号があの二人だなんて…しかも…あぁん♪ 私の霊夢ぅ~♪」

 

 

藍「ペンネームの意味がなーい!!」

 

 

紫「このゆかりんに幻想郷の顔とも言える二人から相談だなんて…あの二人の悩み! 是非とも解決してみせるわよ、藍!」

 

 

藍「は、はい…でも本当珍しいですよね、なんだろう…」

 

 

紫「うふふ♪ この紙を捲れば二人の悩み…さあ! 行くわよ!」

 

 

 ぺらっ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 P.N 紅と白の素敵な巫女『女子力って奴を頂戴』

 

 

 P.N 黒と白の弾幕パワー『女子力をくれ、頼むぜ♪』

 

 

 

 

 

 

 

紫「 」ビキッ

 

 

藍(……えぇ…)

 

 

紫「 」

 

 

藍「あ、あはは…悩み、えと悩みなんですかね…し、しかし女子力ですか…あの二人も何だかんだ女の子なんですねぇ…あはは」

 

 

紫「 」

 

 

藍「ゆ、ゆかりさ」

 

 

 

 

 

紫「ぬぁぁぁぁぁ!」

 

 

 

 

藍「!?」

 

 

紫「ふん!」スッ

 

 

 ギュオン ギュオン

 

 

 紫は凄まじい速度でスキマを二個展開し

 

 

 

藍「紫様! 何を!?」

 

 

紫「おらぁ!!」スッ

 

 

 

 

 ある二つの空間に繋げた

 

 

 

 ヒュー ヒュー

 

 ポスッ ポスッ

 

 

 

 

博麗霊夢「うわっ!?」

 

 

霧雨魔理沙「うおぉっ!?」

 

 

藍「! 霊夢、魔理沙!?」

 

 

紫「…」ムカムカ

 

 

魔理沙「は…え? …藍? っておい! またかババア!」

 

 

霊夢「ここマヨヒガ…? 紫ぃ! いつも言ってるでしょうが、用があるなら普通に呼びなさ」

 

 

紫「お黙りぃっ!!」クワッ!

 

 

霊夢、魔理沙「!?」

 

 

紫「霊夢ぅ! 魔理沙ぁ! 正座なさい!」

 

 

霊夢「はぁ!?」

 

 

魔理沙「あぁ!? いきなり呼び出しておいてなに」

 

 

紫「正座ぁ!!」ゴゴゴ

 

 

霊夢、魔理沙「!?」

 

 

霊夢「……ま、魔理沙」

 

 

魔理沙「れ、霊夢…?」

 

 

霊夢「正座しましょ…」スッ

 

 

魔理沙「…お、おう」スッ

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」ゴゴゴ

 

 

霊夢(久し振りに見るわね…)

 

 

藍(久し振りに見るな…)

 

 

紫「…」ゴゴゴ

 

 

霊夢、藍(本気で怒ってる…)

 

 

紫「うふふ…」ニッコリ

 

 

魔理沙(目が笑ってねぇじゃん…何なんだよ)

 

 

霊夢(私が最後に見たのは一年前かしら)

 

 

藍(昔は良く怒られたものだ…うんうん)

 

 

紫「私はね、怒っているのよ?」

 

 

紫「霊夢、魔理沙、何故私があなた達を怒っているのか分かる?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「藍のとばっちり…?」

 

 

魔理沙「違うぜ霊夢、ほらきっと女の子の…あの日だよあの日…///」

 

 

霊夢「恥ずかしいなら言うんじゃないわよ、てか大妖怪にもその日があるの?」

 

 

紫「違うわぁ!!」

 

 

霊夢、魔理沙「!?」ビクッ

 

 

紫「これよこれ!!」スッ

 

 

 ぺらっぺらっ

 

 

魔理沙「…? お、それお前のスキマックスに書いた」

 

 

紫「スキマボォックス!」

 

 

魔理沙「……スキマボックスに書いたやつじゃん」

 

 

紫「これ書いたのよね?」

 

 

霊夢「…うん、私と魔理沙二人で書いたわ、でも何書いて良いのかいまいち分からなかったのよね、悩みなんて特に無いし」

 

 

魔理沙「だから今私達がほしいものを書いたんだ、何だ? 何でこれに怒るんだ?」

 

 

紫「何を書いたのか言ってくれる?」

 

 

霊夢、魔理沙「女子力」

 

 

紫「で?」

 

 

霊夢「女子力って奴を頂戴」

 

 

魔理沙「女子力をくれ」

 

 

紫「何を言ってんだぁ!? このバカちんどもがぁ!!」

 

 

霊夢、魔理沙「!?」

 

 

紫「良く考えなさい! あなた達は何故怒られているのか!?」

 

 

霊夢、魔理沙「…? あ」

 

 

霊夢、魔理沙「女子力を下さい」

 

 

紫「言い方の問題じゃないわよ!!」

 

 

霊夢、魔理沙「えー…」

 

 

紫「まずこの書き方! 頂戴だの、くれだのと! 私は便利屋じゃないのよ!?」

 

 

霊夢「書き方の問題だったのか」

 

 

魔理沙「あ、ちなみに私は便利屋だぞ? 一応」

 

 

紫「聞いてないわよ! それにあなた達が欲しがっている物にも問題があるの!」

 

 

紫「これはあげられるものじゃないの、女子力は絶え間ない努力の果てに身に着けられる女の子の特権なの! そんなホイホイあげれるわけないでしょうが!」

 

 

霊夢(魔理沙は終始ふざけて書いてたけど私は結構欲しいのよね、女子力って物が何なのかも知りたいし、でも面倒臭いのは嫌よね…)

 

 

霊夢「そこは…あんたが境界を弄ってちょちょいと」

 

 

紫「霊夢ぅ!」

 

 

霊夢「ご免なさい…」

 

 

霊夢(やっぱり怒られたか…)

 

 

魔理沙「でもよ、私達は書いてやったんだぞ? 少しは感謝してほしいもんだが」

 

 

紫「なっ…!?」

 

 

霊夢「! あぁそういう考え方もあったわね♪ 私と弾幕ごっこした奴用のスキマなんてあんたのまたお遊びなんでしょ? こっちは聞かされても無いんだから付き合ってあげてるって事で…女子力さっさと頂戴?」

 

 

紫「んなっ…」

 

 

霊夢「折角頭捻り出して書いたのに」

 

 

魔理沙「な! 私も真面目に考えて書いたのによ、なんか怒られるのが馬鹿らしいぜ」

 

 

霊夢(あんたもちゃんと考えてたんかい)

 

 

藍「あ~……霊夢、魔理沙?」

 

 

霊夢、魔理沙「ん?」

 

 

紫「…」ゴゴゴゴゴゴ

 

 

霊夢、魔理沙「あ」

 

 

藍「今回ばかりは擁護出来んぞ」

 

 

紫「こんの…大バカちん共がぁ!!」

 

 

 

 ピシャア!!

 

 

 

 その日、マヨヒガに雷が落ちた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「折角依頼してくれたんだから私と藍はあなた達のお願いを聞いてあげます、最後まで面倒を見てあげます! 良いわね!?」

 

 

霊夢、魔理沙「はい…」

 

 

紫「ただ依頼の内容が内容だから私の考えに従うこと! 良いわね!?」

 

 

霊夢、魔理沙「……」

 

 

霊夢(えぇ…簡単じゃなさそう)

 

 

魔理沙(ババアから女子力ってのは…大丈夫なのか?)

 

 

紫「返事ぃ!」

 

 

霊夢、魔理沙「は、は~い!」

 

 

紫「さっきも言ったけどあなた達が欲している女子力はホイッと簡単にあげられるものじゃないの! 欲しければ努力して身に着けなさい!」

 

 

魔理沙「努力しても身に付かないから書いたんだぜ…」ボソッ

 

 

霊夢「めんどくさ…」ボソッ

 

 

紫「なんか言った!?」

 

 

霊夢、魔理沙「い、いいえ…!」

 

 

魔理沙「……でも、何だ…努力すりゃあいいんだろうけど、どう努力すれば良いんだよ?」

 

 

紫「心配する必要は無いわ! 私にいい考えがあるのよ! 藍、説明!」

 

 

藍「はい…霊夢、魔理沙、残念だが私達では女子力は教えられん」

 

 

霊夢「お手上げじゃない」

 

 

紫「最後まで黙って聞きなさい!」

 

 

霊夢「はい…」

 

 

藍「そこでだ…この幻想郷の中でもトップクラスに入る女子力の持ち主を私達の方で選出しておく、ここに来てもらって二人に女子力のなん足るかを叩き込んでもらう」

 

 

紫「スキマボックスに書いたって事は誰にも言えずにちょっとはその事で悩んでたんでしょ? 選出対象は任せなさい、周りに他言しない奴を呼ぶわ」

 

 

魔理沙(私はちょっと所じゃないが…霊夢はどうなのかな)

 

 

霊夢「そこまでしてくれんの?」

 

 

紫「霊夢、魔理沙も…私は嬉しいのよ? 書き方とかはあれだけど頼ってくれているんだから期待には答えてあげたいの、それにあなた達二人には私の愛した幻想郷をいつも守ってもらっているしね」

 

 

魔理沙「紫…」

 

 

霊夢「…///」

 

 

紫「でも努力はしなさいよ!? 女子力を身に着たければね!?」

 

 

霊夢、魔理沙「…はーい」

 

 

紫「よろしい! では明日の朝七時三十分! スキマを二人の家の前に展開しておくから入ってきなさい、忘れない様にね」

 

 

霊夢、魔理沙「はい」

 

 

霊夢「あ、今からじゃないのね」

 

 

紫「選出するから少し時間がほしいのよ、あっちにも都合があるだろうし」

 

 

魔理沙「目星はついてんのか?」

 

 

紫「一応ね♪」

 

 

霊夢、魔理沙(誰だろう…)

 

 

紫「さ、今日はもう帰りなさい、明日また会いましょう」

 

 

魔理沙「おう、んじゃよろしく頼むぜ」

 

 

紫「それは明日の女子力先生に言いなさいな」

 

 

魔理沙「ははっ、そうだな♪ じゃ明日な~♪」スッ

 

 ギュオン

 

 

霊夢「えぇ、じゃあ明日…」

 

 

紫「霊夢」

 

 

霊夢「紫…悪かったわね色々言っちゃって」

 

 

紫「良いのよ、気にしてないから」

 

 

霊夢「私が気にすんの」

 

 

紫「うふふ、それにしてもあなたが努力をする…なんてねぇ♪」

 

 

霊夢「べ、別に良いじゃない! じ、じゃあね紫、藍! また明日!」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

紫「えぇ、また明日…」

 

 

紫「…」ニコッ

 

 

藍「嬉しそうですね紫様」

 

 

紫「あ、やっぱりそう見える?」

 

 

藍「えぇそりゃあもう」

 

 

紫「ん~…何でかしら」

 

 

藍「二人の成長を見れるからですか?」

 

 

紫「あなたさとりにでもなったの?」

 

 

藍「いえいえ、相も変わらずあなたの式ですよ」

 

 

紫「ふふっ…そう…♪」

 

 

紫「さてと…藍、私はアポ取りしてくるわ、あの二人なら協力してくれるはず」

 

 

紫「それと女子力だから…うーん、一応声掛けておこうかしら、あ…それと」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

藍「?」

 

 

紫「藍、今広げたこのスキマの中にあるもの全部取り出しておいて? それじゃ行ってくるわ」スッ

 

 ギュオン

 

 

藍「はい分かりました、行ってらっしゃいませ」

 

 

藍「……何気に楽しんでいる自分がいるな、ふふっ」

 

 

藍「さてと、霊夢達の為にも頑張りますか!」

 

 

 

 

 続く!

 

 







 女子力先生は二人に縁があるあの二人。



 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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御依頼その壱 【女子力を身に着けろ!】中編



 こちらは【中編】になります、先に【前編】をお読みいただければと思います。

 女子力については私の独断と偏見があります…人によって答えが分かれる物ではあるので難しい所です。



 それでは始まります♪




 

 

 

 【マヨヒガ 朝 七時二十五分】

 

 

 

 

 女子力を身に着けたいと願う霊夢と魔理沙、そんな彼女達を助けるのは八雲のゆかりんとその上お供の狐さん♪

 

 

 

 

八雲紫「なのである♪」

 

 

八雲藍「何で自分で言うんですか…」

 

 

紫「一度言ってみたかったの!」

 

 

藍「それに助けるのは私達でなくこの二人では」

 

 

紫「それはそうなんだけどねぇ…学べる環境の準備はしたわ、後は任せるわね♪」

 

 

???「えぇ腕がなるわ♪ 私の魔理沙に女子力だなんて…ふふっ♪」

 

 

??(安易に引き受けちゃったけど、本当に大丈夫かしら…)

 

 

???「そういえばあなた達は学ばなくて良いの?」

 

 

紫「う~ん、それも考えたんだけど今回は見守る事にしたわ、二人の邪魔はしたくないもの」

 

 

藍「紫様がそんなこと言うのは珍しいですね」

 

 

紫「ゆかりんは空気を読める女よ、それに女子力はもう身に付けているようなもんだしね♪」

 

 

???、??、藍(……)

 

 

紫「おっと、そろそろ時間ね…♪」スッ

 

 

 

 

 ギュオン ギュオン

 

 

 

 

 紫はスキマを開き、霊夢と魔理沙の居場所に境界を結んだ

 

 

 

 

 スタスタ スタスタ

 

 

博麗霊夢「おはよ、待たせたかしら?」

 

 

紫「大丈夫よ時間内だから」

 

 

霧雨魔理沙「おっす、今日はとことんやるぜ」

 

 

霊夢「あら早起きね、珍しい」

 

 

魔理沙「結構楽しみでもあったからな、魔法の研究で夜更かししなかったんだ♪」

 

 

霊夢(私も…いや絶対口に出すもんか)

 

 

紫「はい、二人ともおはよう」

 

 

霊夢、魔理沙「おはよう」

 

 

紫「え~っと…? 昨日も言った通り、今日は一日を使ってあなた達には女子力のなん足るかを学んでもらいます、準備は万全だからそこは気にしないで良いわ」

 

 

紫「私と藍は手出ししないから見届け人となってしまうけどそこは私の可愛さに免じて許してね♪」

 

 

魔理沙(朝でも平常運転かよ)

 

 

霊夢(ツッコミは女子力関係ないわよね、ならしない)

 

 

紫「さて早速始めますか、先ずは先生の紹介をするわ、この二人よ♪」

 

 

 

 

 ザッ ザッ

 

 

 

霊夢、魔理沙「!」

 

 

 

アリス・マーガトロイド「二人とも、今日はよろしくね♪」

 

 

十六夜咲夜「引き受けたからにはお役目は果たす、頑張りましょう」

 

 

霊夢「なんか納得の人選だわ、それに安心出来るし…二人ともよろしくね」

 

 

咲夜「えぇ、こちらこそよろし」

 

 

魔理沙「うげっ…!」

 

 

霊夢、咲夜、紫、藍「…ぷふっ!」プルプル

 

 

アリス「ふふっ♪ おはよう魔・理・沙♪」ズイッ

 

 

魔理沙「お、おう…アリス」アセアセ

 

 

アリス「今日は一日付きっ切りであなたのこと見ていてげるからね♪」

 

 

魔理沙「あ、あぁ…お、お手柔らかに頼むぜアリス…顔が近いから離れてくれ」

 

 

アリス「そう言ってもらえるとこっちも張り合いがあるわ!」

 

 

魔理沙「はははそうだな、アリス、顔が近いぜ」

 

 

アリス「一緒に頑張りましょうね! 魔理沙!」ズイッ

 

 

魔理沙「だから顔が近いってんだよぉ!」

 

 

霊夢「女子力を教えてくれる前に暴走を阻止しなきゃいけない感じ?」

 

 

咲夜「そこは…まぁ大丈夫だと思うけど」

 

 

霊夢「てか私もいるんだけど」

 

 

咲夜「一対一でも良いんじゃない?」

 

 

霊夢「そうかもね」

 

 

咲夜「しかし…魔理沙はともかくあなたが女子力ねぇ、ふふっ…♪」

 

 

霊夢「…! な、何よ、悪い!?」

 

 

咲夜「悪いなんて思ってないわよ、ただ意外だなとは思ったけど」

 

 

霊夢「…別に」

 

 

咲夜「ふふっ♪」

 

 

霊夢「人選は納得したけどあんたいいの? 館を開けててさ、レミリアが何か言ってんじゃないの?」

 

 

咲夜「そこは紫が何とかしてるらしいわ、何とかが分からないから気になってはいるんだけど」

 

 

霊夢「…ふーん」チラッ

 

 

紫「…! きゃっ♪ 霊夢、そんなに見つめちゃイヤ♪」

 

 

霊夢、咲夜「…」

 

 

霊夢「まぁ大丈夫なんじゃない、変なことはしてなさそうだし」

 

 

咲夜「あなたの勘が発動してるなら何よりだわ」

 

 

藍(境界を弄ってレミリアに咲夜の幻覚見せているとは言えんな)

 

 

紫「さぁ始めましょう! 素敵な女子力講座のスタートよ!」

 

 

アリス「お~!」スッ

 

 

魔理沙「お、おー…ってこら! どこ触ってんだ!」

 

 

霊夢「教わる度にお触りが発生するの?」

 

 

アリス「! その手があったわね…♪」

 

 

魔理沙「おいお前何を余計なことを言っちゃってくれちゃってんだ!」

 

 

霊夢「あ、ごめん」

 

 

咲夜「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《女子力とは…?》

 

 

 

アリス「先ず聞くわ、二人は女子力って何だと思う?」

 

 

霊夢「……難しい質問ね」

 

 

魔理沙「そんなもんお前、女の子パワーだろ? 分かるよ」

 

 

咲夜「それは本気で言ってる?」

 

 

魔理沙「割りとマジだぜ」

 

 

咲夜「嘘でしょ…」

 

 

魔理沙「え? 違うのか?」

 

 

アリス「う~ん、魔理沙の場合パワーの考え方の方向がずれてるんじゃないかしら」

 

 

咲夜「霊夢は?」

 

 

霊夢「そのまんまだけど女の子らしい力とか?」

 

 

アリス「魔理沙のも正解にしたいけど概ねそのとおりよ!」

 

 

霊夢(判定が甘い…けど私も似たような解答よね)

 

 

咲夜「色々な考え方があるわ『人を惹き付ける力がある』とか『女子らしい振る舞い、または女子にしか出来ない向上心を持っている』とか『色気、品格、性格、家事能力』とかね、他にもあると思う」

 

 

アリス「総評としては『人間的に魅力的である上に女性らしさがある』かしらね」

 

 

霊夢、魔理沙「へぇ~…」

 

 

咲夜「悪魔でも私達の考えよ、自分の考えと同一化して自分らしさと自分が持っていて落ち着く女子力を見失ってはダメよ?」

 

 

霊夢「あ、今の咲夜の言い方グッと来たわ」

 

 

魔理沙「あぁ、流石悪魔に仕えてるメイドは格が違うぜ」

 

 

咲夜「それは最高の褒め言葉ね♪」

 

 

アリス「え、わ、私のは…?」

 

 

魔理沙「いや、アリスのも勉強になってるぞ?」

 

 

霊夢「えぇ、会話拾い忘れてるけど参考になってるわ」

 

 

アリス「ほっ…」

 

 

咲夜「ふふっ、それじゃあここまで聞いたあなた達に聞くわ」

 

 

 

 

 

咲夜「幻想郷で女子力が有りそうな人って思い浮かぶ?」

 

 

 

 

霊夢、魔理沙「…! う~ん…」

 

 

魔理沙「まぁさっきの話を聞いてて『私は女子力持ってるぞ!』って言ってる奴は無しだな」

 

 

霊夢「そんな奴いないんじゃない?」

 

 

魔理沙「…あ、これ早苗だわ」

 

 

霊夢「あ~…」

 

 

咲夜、アリス「ふっ…!」プルプル

 

 

咲夜「納得しちゃうのね」

 

 

霊夢「やってるやってないって考えじゃなくてさ、ふふっ…なんかやってそうってイメージがあるのよね」

 

 

アリス「そ、それは流石に無いんじゃない?」

 

 

霊夢「ふふっ、ちょっと言い過ぎたかしら」

 

 

魔理沙「あはは、後で心の中で謝っておくぜ♪ …しかし女子力ねぇ」

 

 

霊夢「咲夜とアリスには女子力があるって私達は思ってるから似たような奴?」

 

 

魔理沙「妖夢か?」

 

 

アリス「…もしかして美味しいご飯を作れる人が女子力を持ってるだとか思ってる?」

 

 

咲夜(アリスの妖夢のイメージもそんな感じなの…?)

 

 

霊夢「でも一応それも女子力でしょ?」

 

 

咲夜「間違ってはいないのかしら…」

 

 

魔理沙「それだとミスティアとか早苗、妹紅や藍も含まれるよな?」

 

 

藍(私か…)

 

 

霊夢「なんか違うわね…なんか足りないって言うか」

 

 

藍(あれ、なんか心がズキッとした)

 

 

魔理沙「品格はどうだ? 輝夜とかありそうじゃん」

 

 

霊夢「お洒落ではあるけど輝夜もなんか…妹紅と喧嘩してるし淑やかなイメージはあるけどあいつ結構行動的なのよね」

 

 

魔理沙「あぁ、そういやぁそうだな」

 

 

霊夢「性格、色気…? 優しくて気配り上手?」

 

 

アリス「良いと思うわ」

 

 

魔理沙「妖夢がまた来たぜ、次いで鈴仙か?」

 

 

霊夢「小鈴ちゃんも入る様な…一応針妙丸も」

 

 

魔理沙「針妙丸はどうなんだ?」

 

 

霊夢「あいつ優しいわよ、気配りも出来るし、たまに物騒な事言うけど」

 

 

咲夜、アリス「へぇ…」

 

 

アリス「あ…ねぇ、一人推薦してもいい?」

 

 

霊夢「誰?」

 

 

アリス「永江衣玖」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜「あ~…」

 

 

霊夢「納得するわね」

 

 

魔理沙「なんかすげぇ納得するな」

 

 

咲夜「何故かしら…? 不思議ね」

 

 

アリス「不思議な魅力も女子力の一つなのかもしれないわね」

 

 

霊夢「こう考えると難しいわね…女子力って」

 

 

咲夜「でも答えは出てきてるわよ」

 

 

霊夢、魔理沙「…?」

 

 

 

 

 

 

咲夜「じゃあ次ね、幻想郷で女子力が無さそうな人は?」

 

 

霊夢、魔理沙「レミリア」

 

 

咲夜「は!?」

 

 

アリス、紫、藍「ふふふっ…!」

 

 

魔理沙「あっははは! お、おい霊夢…! ふはは!」ゲラゲラ

 

 

霊夢「あふふふっ…! ま、魔理沙…! あんただって言ったじゃない…! あははははっ!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ちょっ…! ちょっと待ちなさい! 誰がお嬢様を侮辱しろと言ったのよ!?」

 

 

アリス「声揃えなくても…ふふふふふ…!」

 

 

藍「さ、流石だな、息がぴったりだったぞ…! ふふふっ!」

 

 

紫「ふふふっ! ふ、二人にとも不意打ちが過ぎるわ…♪」

 

 

咲夜「あなた達も笑いすぎよ!!」

 

 

霊夢「だっ…だって質問されたからこっちは素直に答えただけなのに」ブルブル

 

 

魔理沙「わ、悪い悪い、女子力じゃなかったな♪ 無いのはカリスマだもんな♪」

 

 

咲夜「喧嘩売ってんの魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「あっはははっ…!」

 

 

咲夜「お嬢様には女子力なんて不要なのよ、それにカリス…! わ、私にはカリスマは分からないけどもお嬢様には充分あるわ、それに女子力は私が補っているの!」

 

 

魔理沙「本気で言ってんのか?」

 

 

咲夜「真面目に言ってんのよ!」

 

 

霊夢「あはははっ…」フルフル

 

 

紫「咲夜はレミリアの事になると女子力が下がるのかしらねぇ…♪」

 

 

藍「彼女らしい欠点なのかもですねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「と、取り乱したわ…」

 

 

魔理沙「いつもの事じゃねぇか」

 

 

咲夜「…」キッ

 

 

魔理沙「に、睨むなよ」

 

 

霊夢「それでさ、何で女子力がある奴とない奴聞いたの?」

 

 

アリス「あれはあなた達の理想を知るためよ」

 

 

霊夢、魔理沙「理想?」

 

 

咲夜「ん``ん``っ…つまり二人の理想の女子力、あなた達は似たタイプの女子力を欲していると分かったわ」

 

 

アリス「妖夢や私達の様に料理が出来、輝夜みたいな品格、お洒落な気品を持ち、本居小鈴等の様に優しくて気配り上手な女の子があなた達の女子力の終着点よ」

 

 

霊夢、魔理沙「お~…」

 

 

アリス「咲夜には悪いけど、女子力の理想から外れているのは子供っぽい女の子ってところかしら」

 

 

咲夜「お嬢様の子供っぽいところも魅力の一つよ!」

 

 

アリス「私悪いけどって言ったわよね!?」

 

 

霊夢、魔理沙(子供っぽいのは否定しないのか)

 

 

霊夢「それが私達の理想の女子力なのね、お手本にすればいいのか」

 

 

魔理沙「実感が湧かないがそれを求めてんのかもな」

 

 

アリス「それを踏まえた上で学んでいきましょ、方向性は決まったものね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《自分を見つめ直そう!》

 

 

 

 

咲夜「次は簡単な質問に『はい』か『いいえ』で答えてもらうわ」

 

 

アリス「自分の生活を見つめ直すいい機会にもなるから嘘は駄目よ?」

 

 

霊夢、魔理沙「うん」

 

 

アリス「結婚生活には嘘もあった方がメリハリがあって私は良いと思うけどね、そう思わない魔理沙ぁ♪」

 

 

魔理沙「知らないです」

 

 

霊夢、咲夜「ふふふっ…」

 

 

アリス「は、はいかいいえで答えなきゃ駄目なのよ魔理沙ぁ!」

 

 

咲夜「お黙り」

 

 

霊夢「簡単な質問でも無いわよね、それ」

 

 

 

 

 

 

咲夜「『お風呂をサボる』」

 

 

 

霊夢「いいえ」

 

 

アリス「速答ね」

 

 

霊夢「流石に毎日入るわよ」

 

 

魔理沙「…」

 

 

咲夜「……魔理沙?」

 

 

魔理沙「い、いいえだぜ!」

 

 

咲夜「嘘は駄目って今言ったわよね!」

 

 

魔理沙「う、嘘じゃないのぜ! たまに…そうたまに魔法の研究とかしっぱなしで眠くなってそのまま寝る事はあるのぜ! でも明日の朝は必ず入るのぜ!」

 

 

霊夢「あんた訛ってるわよ?」

 

 

咲夜「意地を張らない! 朝に入っても駄目よ、一日の疲れを落とさないでそのまま眠るのは品があるとは言えないでしょ?」

 

 

魔理沙「こ、これが魔理沙さんの日常なのぜ!」

 

 

咲夜「じゃあ今度から直しなさい、女子力アップの為にもね」

 

 

霊夢「夜入って朝入るのが普通なんじゃないの?」

 

 

アリス「それが普通ね♪」

 

 

魔理沙「うぐ…」

 

 

アリス「あ♪ 魔理沙、もしもお風呂入るのがめんどくさいのなら私があなたの体を上から下まで洗い尽くしてあげるけど?」

 

 

魔理沙「……」

 

 

アリス「あぁん♪ 無視しないでよ魔理沙ぁ♪」

 

 

霊夢「洗いたいのか触りたいのか」

 

 

咲夜「ぶれないわね、アリス」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇよ」

 

 

 

 

 

咲夜「次行くわよ?『靴が汚い』」

 

 

霊夢、魔理沙「いいえ」

 

 

紫(毎日飛び回ってるから…愚問よね)

 

 

 

 

 

咲夜「次『部屋が汚い、モノが溢れかえっている』」

 

 

霊夢「ふっ…いいえ」

 

 

魔理沙「ちょっ…ちょっと待ってくれ! さっきから質問が私を狙ってないか!? てか今お前私見て笑ったろ霊夢!」

 

 

霊夢「わ、笑ってないわよ! 自覚があるなら直しなさい」

 

 

魔理沙「これは仕方ないじゃないか! 魔法使いの家ってのは物が溢れて散らかってるもんなんだ!」

 

 

霊夢「アリスの家とか紅魔館の図書館とかはどうなのよ」

 

 

魔理沙「それは…ひ、一人暮らしだからだぜ!」

 

 

霊夢「私とアリスも一人暮らしじゃない!」

 

 

咲夜「……良かったら今度あなたの家掃除しに行きましょうか?」

 

 

アリス「!?」

 

 

魔理沙「騙されんぞ!? どさくさにパチュリーの本を取り返す気だろう!」

 

 

咲夜「別にそんなつも…いえ、駄賃代わりとして」

 

 

魔理沙「ほらみろ! 死ぬまで借りてんだ、まだ返さないぞ!」

 

 

アリス「魔理沙、だったら私があなたの事まで」

 

 

魔理沙「お前は少し黙れよぉ!」

 

 

霊夢「咲夜、話が脱線してる」

 

 

咲夜「そうね…話を戻すわよ?」

 

 

魔理沙「なんか居た堪れないぜ」

 

 

 

 

咲夜「次『あらゆることに恥じらいがない』」

 

 

霊夢、魔理沙「いいえ」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

霊夢「何よ?」

 

 

魔理沙「おい霊夢、嘘はいかんぜ」ニヤニヤ

 

 

霊夢「は? 変な言いがかりは」

 

 

魔理沙「腋」

 

 

霊夢「!?」

 

 

魔理沙「知ってるか? 普通の巫女装束は腋なんて出してないらしいぞ? それなのにお前ときたら」

 

 

霊夢「こ、これは…動きやすいからよ! それにこの装束は博麗の巫女伝統の」

 

 

魔理沙「香霖に仕立ててもらってるのは私が一番良く知ってるがデザイン諸々はお前が考えてんだろ? 嘘はいかんぜ」

 

 

霊夢「うぐぐ…」

 

 

アリス「ねぇ、博麗の巫女の装束って決まってないの?」

 

 

紫「決まってないわよ? ただ巫女だと一目で分かるような物を着てほしいわね、後赤と白は確定よ♪」

 

 

アリス「へぇ~…」

 

 

咲夜「でも霊夢のそれは仕事着でもあるのよね」

 

 

霊夢「ほ、ほら! 恥じらいも何も」

 

 

魔理沙「毎日腋見せだぞ? 腋見せ屋にでもなるのか?」

 

 

霊夢「あんたねぇ!」

 

 

魔理沙「うはは♪」

 

 

咲夜「こら、喧嘩しないの」

 

 

魔理沙「おう咲夜、次行こうぜ」

 

 

霊夢「くっ…」

 

 

 

 

咲夜「次で最後ね、『言葉遣いが乱暴』」

 

 

霊夢、魔理沙「いいえ」

 

 

咲夜「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

紫、藍、アリス「…」

 

 

咲夜「この前紫が霊夢の湯飲みを故意に割ってるのを見たわ」

 

 

霊夢「あぁん!?」クワッ

 

 

紫「ひぃ!」ビクッ

 

 

咲夜「嘘よ」

 

 

アリス「アウト」

 

 

霊夢「はっ!?」

 

 

紫「私がやるわけないでしょ…」

 

 

咲夜「それとこの前アリスが魔理沙の私物を盗んでいるのを見たわ」

 

 

魔理沙「いや、無いなそれは」

 

 

咲夜「あら、ふふっ♪ もちろん嘘よ」

 

 

アリス「…」

 

 

魔理沙「当然だな」

 

 

咲夜「やるじゃない魔理……ん?」

 

 

アリス「……」ニコッ

 

 

咲夜(えっ…)

 

 

アリス「咲夜」ボソッ

 

 

咲夜「…!」

 

 

アリス「うふふっ♪」ニンマリ

 

 

咲夜「!?」ゾクッ

 

 

咲夜(ま、まさかそこまで…!? い、いやいつもの冗談よね、そうに決ま)

 

 

霊夢「咲夜ぁ! 今のは卑怯よ!」

 

 

咲夜「! れ、冷静になれば見抜けたでしょ、割られたり盗られてないのは良く考えれば分かった筈よ」

 

 

霊夢「む…」

 

 

魔理沙「確かに霊夢は冷静さが足りんなぁ」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

咲夜(何処までが本気なのよ、アリス…)

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス「どう? 自分の何処を治せば良いかわかった?」

 

 

霊夢「私は恥じらいが無い…? のかしら…それに怒りっぽいのかも」

 

 

魔理沙「私は色々ズボラなのかもな…」

 

 

アリス「女子力が有りそうな人と比べてみて? その人達はそれをやる?」

 

 

咲夜「さっきも言ったけど比べて『自分はこうじゃないから』とか落ち込むのは駄目よ、自分らしさを見つけるの」

 

 

霊夢「…ねぇ二人とも、酒癖が悪いのは?」

 

 

アリス「それも…まぁ駄目かもね、早苗が良く言うじゃないアルハラ? だったかしら」

 

 

魔理沙「酒は幻想郷のたしなみだぜ…」

 

 

霊夢「前の宴会であんたが家の神社で披露した口からマスタースパークもたしなみ?」

 

 

魔理沙「正直あれはすまないと思ってる…飲み過ぎたな」

 

 

霊夢「なんかちょっとずつ改善していかなきゃいけないとこが分かってきたわ」

 

 

魔理沙「あぁ、凄いな二人とも」

 

 

咲夜「自分じゃ気付かないところもあるものよ? それとあなた達みたいにずっと一緒だとお互いに気付けない物もあると思うし」

 

 

アリス「欠点を直せば自ずと向こうから女子力はやってくると考えたわけなの、急に女子力云々の話をしたらあなた達が混乱するし、あなた達二人の急激な変化に周りの皆が着いてこれないもの、口調を直すとかしたら尚更ね」

 

 

魔理沙「なんか本当すげぇな…」

 

 

霊夢「頭が上がらないわ…こりゃ」

 

 

 

 

藍「紫様、今のアリスの素晴らしい言葉聞いてましたか?」

 

 

紫「耳無しゆかりん♪」

 

 

藍「急に変な事ばかりやらないでくださいね!」

 

 

紫「聞こえないわぁ♪」

 

 

 

 

霊夢「ありがとう咲夜、アリス…私なりに頑張ってみるわ」

 

 

魔理沙「女子力ってもんが分かった気がするぜ、ありがとうなアリス、咲夜」

 

 

アリス「そう? なら良かったわ、頑張ってね♪」

 

 

咲夜「役に立てたのなら何より…」

 

 

魔理沙「おう! 頑張るぜ!」

 

 

霊夢「ふふっ、ズルいわね瀟洒なメイドは」

 

 

紫「どう霊夢、魔理沙、女子力のほどは」

 

 

魔理沙「勉強になったぜ、これからは少しずつ代わっていこうと思うぜ! 私らしく頑張るぜ! 本は返さないけど」

 

 

紫「一言余計ね、ふふっ♪」

 

 

霊夢「私もよ、最初はその、乗り気じゃ無かったけど為になったわ…」

 

 

紫「本当に乗り気じゃ無かったの?」

 

 

霊夢「! ふ、ふん…!」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

咲夜「任務完了かしら」

 

 

アリス「ふぅ…その様ね♪」

 

 

紫「えっ?」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、アリス「え?」

 

 

紫「な~に言ってんの? まだ学んで無いじゃないの」

 

 

紫「お料理も女子のたしなみよ! さぁレッツ、クッキング!!」スッ

 

 

 ギュオン

 

 ドッゴォォン!!

 

 

霊夢、魔理、咲夜、アリス「!?」

 

 

 紫はマヨヒガの庭の頭上に巨大なスキマを開け広げ、中から水道、コンロ等々、諸々完備された巨大なキッチンテーブルを呼び出した!

 

 

紫「さぁ女子力アップの為にも! 次はお料理対決よ!」

 

 

 

 続く!

 

 






 アリスは私物を盗んだり…はたぶんしないと思います。



 ここまで読んでいただいてありがとうございました!
お疲れ様でした♪


 次回、料理対決!



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御依頼その壱 【女子力を身に着けろ!】後編




  後編になります、先に前編、中編をお読み下さい♪



 やはり黙っていれる訳が無かった紫…お料理対決をすることになります。


 それでは始まります♪




 

 

 

  【マヨヒガ 午後十二時】

 

 

 女子力のなん足るかをアリス、咲夜から学んだ霊夢と魔理沙。

 

 楽しく学び終えたがこれで終わりではなかった。

 

 

 

 

八雲紫「女子力を聞くだけ聞いてはい、終わり…な訳ないでしょう?」

 

 

紫「これから女子力をさらに学ぶために~! お料理対決をすることを勝手に宣言するわ!」

 

 

十六夜咲夜「ゆ、紫! 料理対決するなんて聞いてないわよ!?」

 

 

紫「今言ったんだもん、聞いてるわけないでしょう?」

 

 

霧雨魔理沙「だもんじゃねぇよ良い感じで終わろうとしてたじゃねぇか!」

 

 

紫「でもあなた達自分で言ったことをまだ学んでいないじゃない」

 

 

博麗霊夢「自分で…?」

 

 

アリス・マーガトロイド「あ、そう言えば…」

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

アリス『妖夢や私達の様に料理が出来、輝夜みたいな品格、お洒落な気品を持ち、本居小鈴等の様に優しくて気配り上手な女の子があなた達の女子力の終着点よ』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

紫「妖夢や女子力先生二人の様に料理が出来る…ちゃんと聞いてたんだからね♪」

 

 

魔理沙「待て待て、だからそれを各自で勉強していくんだろ? 対決する必要なんかないじゃん」

 

 

八雲藍(テーブルとかを紫様が私に用意させたのはこのためか、まさかこんな形で…)

 

 

紫「魔理沙、女子力は戦争なのよ? 争えぃ!」

 

 

魔理沙「何言ってんだババア!」

 

 

霊夢「今まで大人しくしてると思ってたらこれか」

 

 

アリス「何かやらかさないと気がすまないのかしら」

 

 

霊夢「……まぁどっちにしろやらなきゃ帰れないみたいだしやるっきゃないわね」

 

 

魔理沙「えぇマジかよ…つかお前乗り気じゃないか?」

 

 

霊夢「別に…」

 

 

魔理沙(料理自信ねぇんだよなぁ…)

 

 

咲夜「お嬢様が私の帰りを待って下さっていると言うのに…お嬢様、もう暫くお待ちを…」

 

 

アリス「私は良いんだけど♪ これも女子力アップだと思って前向きにやりましょう?」

 

 

霊夢「どんな感じでやるの? 料理対決」

 

 

紫「ふふん♪ 今から説明してあげる」

 

 

 

 

 

 

紫「対決するからには相手が必要だから二人一組に別れてもらうわ、霊夢VS魔理沙…学び手なのだからこれは当然よ」

 

 

紫「アリスと咲夜の二人は霊夢と魔理沙のサポートにまわりなさい、それでチーム分けだけど」

 

 

アリス「私が魔理沙を妻としてサポートするわ!!」

 

 

紫「早速決まったわね♪」

 

 

魔理沙「早ぇんだよ! 悩めよ少しは!」

 

 

霊夢、咲夜「ふふふふっ…」プルプル

 

 

アリス「魔理沙♪ 私が手取り足取り妻として全力でサポートしてあげるからね♪ あ、今は女子力を学んでいるから私が夫の立場かしら? どっちがいい魔理沙ぁ♪」

 

 

魔理沙「……お前それ言ってて恥ずかしくなら」

 

 

アリス「絶対勝ちましょうね魔理沙!」ズイッ

 

 

魔理沙「お前も話を聞かねぇな!?」

 

 

霊夢「周りが見えないのも凄いわね」

 

 

咲夜「ほんとにぶれないわね」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇんだわ」

 

 

咲夜「…じゃあ私は霊夢のサポートね」

 

 

霊夢「本職のメイドがサポートとは、勝ったも同然ね」

 

 

咲夜(そういえば霊夢ってご飯とかどうしてるのかしら…質素な食事をしているとは聞いてるけど)

 

 

紫「あ、ねぇねぇ? 咲夜とアリスってどっちが料理作るの上手いのかしら?」

 

 

咲夜、アリス「へっ? それは…」

 

 

咲夜「私」

アリス「私よ」

 

 

咲夜「え?」

 

 

アリス「え?」

 

 

咲夜「…」

 

 

アリス「…」

 

 

霊夢、魔理沙「…」

 

 

咲夜「霊夢…私も全力でサポートするわ、紅魔館のメイド長の名に懸けてね、だから勝つわよ」メラメラ

 

 

霊夢「え、えぇ…頼もしいわね」

 

 

アリス「魔理沙、七色の食材使いの名に懸けてサポートするわ! 私達の愛の力を存分に見せつけて全力で勝ちましょう♪」ルンルン

 

 

魔理沙「人形使いだろうが! それと愛って何なんだよ…」

 

 

アリス「ためらわないことよ!」

 

 

魔理沙「真面目に答えんじゃねぇ!」

 

 

藍「紫様、わざと言いましたね?」

 

 

紫「口が勝手に~♪」

 

 

藍「そういうのをわざとって言うんですよ!」

 

 

紫「闘争心に火をつけてあげたのよ♪ やる気があって結構じゃない♪」

 

 

藍「全くもう…」

 

 

 

 

 

 

 

紫「本題に入るわ♪ 食材、調味料は幻想郷に在るもの全てを揃えてある、キッチンテーブルだからコンロの使い方とか分からないかも知れないけど大丈夫?」

 

 

咲夜「私は分かるわ、この使い方を教えるぐらいは勝負に含まれないわよね?」

 

 

紫「えぇ、もちろんよ」

 

 

紫「作ってもらう料理は各自自由に…と言いたいところだけどそれじゃ面白くないし、満足しないだろうから条件を付けさせてもらうわ」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス、咲夜(満足?)

 

 

 

 

紫「まず、作る料理は三品よ」

 

 

『一、肉を使った料理』

 

 

『二、自分の得意な料理』

 

 

『三、デザート』

 

 

霊夢「質問」

 

 

紫「あら、何かしら」

 

 

霊夢「対決って言ってるけど恐らく料理を食べてもらって採点かなんかしてもらうんでしょ? あんたと藍がすんの?」

 

 

紫「いいえ? 実はねぇ♪ この為に協力してもらう人に既に声を懸けてあるのよ、その人達に採点してもらうわ」

 

 

霊夢、魔理沙「なっ…!?」

 

 

紫「あ、大丈夫よ? 霊夢と魔理沙が作ってるところは見せないし、二人が作ったということも教えないし、女子力アップの為にやってるということも伝えてないから、ただの料理ショーをやるとは言ったけど」

 

 

霊夢「手間の掛かることを…」

 

 

紫「あなた達は一応私に依頼してるんだからそのぐらいやるわよ? ゆかりん頑張った」

 

 

魔理沙「ご苦労なこった、まぁ助かってるから文句は言えねぇな」

 

 

紫「ふふっ、良いのよこのくらい」

 

 

霊夢「あのさ、一応誰が採点すんのか教えてくれない?」

 

 

魔理沙「そうだな、それは知りたいぜ」

 

 

咲夜「敵を知ると作る料理の幅を狭めることも出来るから良い案だわ」

 

 

アリス「誰なのかしら」

 

 

紫「そうねぇ人の胃袋を掴むのも女子力だし…良いわよ♪ それじゃ、スキマオープン!」スッ

 

 

 ギュオン ギュオン ギュオン

 

 紫は三つのスキマを展開した

 

 

 

霊夢「三人もいんの!?」

 

 

魔理沙「おいおい、ほんとに誰だよ」

 

 

紫「入ってきて良いわよー?」

 

 

 

 スッ スッ スッ

 

 

ルーミア「わはー♪」

 

 

西行寺幽々子「お腹空いたわ~♪」

 

 

レミリア・スカーレット「あ、あれ? 咲夜は? ん?」

 

 

 

霊夢、魔理沙、アリス「えぇっ!?」

 

 

咲夜「お、お嬢様!?」

 

 

レミリア「あら咲夜…あれ? さっきまで一緒にポーカーやってたじゃない」

 

 

咲夜「は、はい!?」

 

 

藍(紫様、レミリアに咲夜の幻覚を見せたままここに連れて来て着いた途端に境界を弄るのを辞めたのか…レミリアは巻き添えか…?)

 

 

レミリア「そんなことよりここは…え!? マヨヒガよね!? いつの間に…」

 

 

アリス「色々と突っ込んだ方がいいのかしら」

 

 

霊夢「あの二人は分からんでもないけど、レミリアを選んだ理由は?」

 

 

紫「暇そうだった」

 

 

霊夢「人選ミスよね!」

 

 

 

 

魔理沙「お前らはメシ目的だよな、完全に」

 

 

ルーミア「お前らのはらわたを食いつくしてやるのか~♪」

 

 

魔理沙「怖いぞお前、飯を食え飯を」

 

 

幽々子「食には公平な審判を…白黒付けさせてもらうわ」

 

 

霊夢「それ閻魔の台詞じゃない?」

 

 

 

 

咲夜(お嬢様は催しを伝えられていないのね…どうしてお嬢様がここに来たのかを説明しなければ)

 

 

咲夜「お嬢様、その…実は」

 

 

レミリア「ん?」

 

 

 咲夜はこれから出される料理の採点をする大会をするから審査案として参加してほしいとレミリアに伝えた

 

 

レミリア「ほぉ…♪ ふっふっふ♪ この私に採点? 並大抵の料理じゃこの私を唸らせることは出来ないのを知ってるのかしら♪」

 

 

咲夜「もちろんですわ」

 

 

レミリア「どんな料理が出てくるのかなんて楽しみ…♪ じゃなくて…そんなの思ってないし微塵も期待してないけどせっかくだから参加させてもらうわね!」

 

 

咲夜「そのお嬢様の優しい心に作り手も感謝の言葉しか出ないでしょう」

 

 

霊夢(嬉しさを隠しきれてないんだけど)

 

 

レミリア「あっ!? 霊夢! 霊夢じゃない♪」

 

 

レミリア「霊夢~♪」タタタ

 

 

霊夢「ちょっと? 前に過剰なスキンシップは禁止した筈よ?」

 

 

レミリア「良いじゃない、別に抱きついたって」

 

 

霊夢(恥ずかしいのよ…てか何で抱き付く)

 

 

紫「抱きつくだぁ!?」

 

 

咲夜「霊夢!」

 

 

レミリア「っ!?」ビクッ

 

 

霊夢「え?」

 

 

咲夜「どうやったらお嬢様に抱きついてもらえるか教えてもらえないかしら…秘訣は?」

 

 

霊夢「はぁ!?」

 

 

紫「私の霊夢になに許可なく抱きついてんのよ!」

 

 

レミリア「別にあなたの許可はいらないでしょ!? こればかりは譲れないわよ!?」

 

 

アリス「…ねぇ、早く始めましょうよ」

 

 

魔理沙「チームワークに亀裂が入るぞ? 勝算ありだな」

 

 

ルーミア「そのふよふよしてるのはマシュマロかー?」

 

 

幽々子「かじってみる? 甘いかも知れないわぁ♪ 」

 

 

藍「嘘言わないでくださいよ! 皆落ち着いて下さい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《落ち着きました》

 

 

 

紫「それじゃあ、今から作ってくるからちょっと待っててね♪」

 

 

レミリア「え? 紫が作るの?」

 

 

紫「さあどうかしら♪ じゃあね~♪」スタスタ

 

 

レミリア「? まあ暇潰しにもなるし、美味しい料理が食べられるなら私は構わないけどね♪」

 

 

幽々子「楽しみなの?」

 

 

レミリア「えぇそりゃあもう…♪ ってはっ!?」

 

 

幽々子「私も楽しみよぉ♪」

 

 

レミリア「ち、違うわよ!」

 

 

ルーミア「素直じゃねーのかー♪」

 

 

レミリア「素直とかでも無いわよ!」

 

 

幽々子(……紫、今回は何も聞かないでおくわぁ♪ ふふっ♪)

 

 

レミリア「全く…ん? 咲夜達まで行っちゃったけど、まさか咲夜達が料理をつく」

 

 

幽々子「ねぇ待ってる間暇だし…しりとりでもしない?」

 

 

ルーミア「良いよ~♪」

 

 

レミリア「えぇ良いわ……え!?」

 

 

幽々子「私からね♪ ん~…筑前煮♪」

 

 

ルーミア「肉~♪」

 

 

レミリア「く…? く、く、クレイドル!」

 

 

幽々子「ルッコラ♪」

 

 

ルーミア「ライス~♪」

 

 

レミリア「す… !! スカーレット!!」

 

 

幽々子「そこはスイカでしょう?」

 

 

ルーミア「失望したのだ」

 

 

レミリア「!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《お料理のお時間》

 

 

 

紫「お料理のお時間よ♪」

 

 

藍「ノリノリですね…」

 

 

藍(この状況…確実にばれてるな、幽々子殿には)

 

 

 

紫「さあ始まりました♪ 女子力向上料理対決! 司会は私、幻想郷の管理人、歩く風光明媚こと八雲のゆかりんで~す♪」

 

 

藍「風光明媚は歩いたら駄目では?」

 

 

紫「……これは狐の八雲藍、突っ込み役です」

 

 

藍「雑っ!」

 

 

紫「次はチーム紹介よ! 魔法使い×魔法使いは無敵!? その無敵さは料理でも発揮されるのか!? 『禁呪の詠唱チーム!』」

 

 

アリス「懐かしいわねその呼び名、またマリス砲で大暴れしたいわ♪」

 

 

魔理沙「あぁ懐かしいぜ、でも今は料理を頑張ろうな」

 

 

紫「巫女とメイド!? 見た目、職業的な意味で不釣り合いな二人は果たしてどんな料理を作るのか!? 『冥土の土産に陰陽玉チーム!』」

 

 

霊夢「名前が物騒なんだけど」

 

 

咲夜「私達って仕事着よね、一応」

 

 

紫「制限時間は特に無し! 楽しく美味しい料理を作って女子力アップを目指してね♪ でもこれは対決…相手を倒す事も忘れずにね」

 

 

霊夢「負けないわよ、魔理沙!」

 

 

魔理沙「臨むところだぜ、霊夢!」

 

 

紫「それでは…レッツクッキング!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《一品目、肉料理》

 

 

咲夜「サポートだからあなたの言う通りに行動するわ、霊夢はそれで大丈夫?」

 

 

霊夢「えぇ、その方が私も楽に色々と出来るし…頼むわ」

 

 

咲夜「分かったわ」

 

 

咲夜(霊夢がちゃんと料理するところなんて初めてみるわね、神社の宴会でおつまみ作ってる所は見たことあるけど…今回はちゃんとした料理、どんなものを作るのかしら)

 

霊夢「肉か……よし、あれにしよう」

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「魔理沙?」

 

 

魔理沙「やべぇ…」

 

 

アリス「え?」

 

 

魔理沙「私料理は苦手なんだよ…アリス」

 

 

アリス「知ってるけど」

 

 

魔理沙「啖呵切った手前、意地でも霊夢に勝ちたいが…自信がないぜ」

 

 

アリス「その為の私よ、サポートするから自分の好きな料理を作れば良いのよ」

 

 

魔理沙「得意な料理なんてないんだが…」

 

 

アリス「私は得意な料理なんて言ってないわ、好きな料理を作ってと言ったの」

 

 

魔理沙「アリス…」

 

 

アリス「肉料理の何々を作れなんて指定は無かった…だから自分の好きな物を作れば自ずと美味しい物が作れるわよ、頑張りましょ♪」

 

 

魔理沙「! 好きな料理……そうか、そう考えればいけるのかもな」

 

 

魔理沙「アリス、ありがとな…! うだうだ悩むなんて私らしくねぇし! やってやるかぁ!」

 

 

アリス「うふふっ、それでこそ私の魔理沙よ♪」

 

 

魔理沙「でもアリス、私は包丁の使い方ぐらいは分かるからな? 私の後ろに回って体をまさぐるのは無しだぞ?」

 

 

アリス「……」ニコッ

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「焦らしてるの?」

 

 

魔理沙「アホだろお前」

 

 

魔理沙(肉か…ここは魔理沙さんらしくあれで行くか)

 

 

 

 

 

 

 

 そのころ…

 

 

幽々子「ムニエル♪」

 

 

ルーミア「瑠璃煮♪」

 

 

レミリア「瑠璃煮…? 何の料理よ…」ボソッ

 

 

幽々子「よく知ってるわね」

 

 

ルーミア「わはー♪」

 

 

レミリア「わ、私も知ってたわよ!?」

 

 

幽々子「嘘つきは~?」

 

 

ルーミア「泥棒の始まりなのだー♪」

 

 

レミリア「う、嘘じゃないわよ! 知ってるもん!」

 

 

幽々子「じゃあどんな料理?」

 

 

レミリア「うっ…!」

 

 

幽々子、ルーミア「……」ニコニコ

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア「う~…」

 

 

幽々子「見栄を張らなきゃ可愛いのにねぇ♪」

 

 

ルーミア「後で教えてやるのだー」

 

 

レミリア「……うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢と魔理沙は一品目を作り終えた

 

 

霊夢「ふぅ、こんなもんね」

 

 

咲夜「へぇ…」

 

 

霊夢「ん? どうしたの?」

 

 

咲夜「ううん、何でもないわ」

 

 

霊夢「?」

 

 

咲夜(驚いた…霊夢って意外に)

 

 

 

魔理沙「こっちも完成だぜ!」

 

 

アリス「ふぅ…」

 

 

アリス(砂糖と塩間違えたときは焦ったけど未遂で終わって良かったわ)

 

 

 

紫「藍先生、二人の料理は如何でしたか?」 

 

 

藍「えっ…!? まぁ良かったんじゃないですか」

 

 

紫「無難な返答、こっちが反応しにくいわぁ…」

 

 

藍「べ、別にいいじゃないですか! 苦手なんですよコメントとかするの…」

 

 

 

 

 

 

 

  《二品目、得意料理》

 

 

霊夢「得意料理か…私の得意な料理って何なのかしら?」

 

 

咲夜「難しいわね、私も今得意料理を作れなんて言われたら悩むかも」

 

 

霊夢「うーん」

 

 

咲夜「なら相手に合わせてみる? お嬢様達を満足させられる様な料理」

 

 

霊夢「相手…? ……」

 

 

霊夢「…! うん、それ良い案よ咲夜! 作る物が決まったわ」

 

 

 

 

 

魔理沙「私と言ったら?」

 

 

アリス「もちろんキノコよ♪」

 

 

魔理沙「だよな、キノコマスターのキノコ料理を見せてやるぜ!」

 

 

アリス「でもキノコご飯だけじゃ駄目よ?」

 

 

魔理沙「え」

 

 

アリス「え?」

 

 

魔理沙「な、何で分かった!? 何で駄目なんだ!?」

 

 

アリス「それだけじゃ駄目よ! 魔理沙、キノコご飯も良いけどもう一品ぐらい作るぐらいしないと霊夢に勝てないわよ!?」

 

 

魔理沙「マジかよ!?」

 

 

アリス「考えてみましょ! キノコご飯だけにしない様にね」

 

 

 

 

 

 

 そのころ…

 

 

幽々子「メンチ♪」

 

 

ルーミア「チョコ~♪」

 

 

レミリア「こ…小麦粉!」

 

 

ルーミア「そのままじゃ食えねぇのだー!」グワッ

 

 

レミリア「!?」ビクッ

 

 

幽々子「おバカさんなの? 死ぬの?」

 

 

レミリア「あんたが言うと洒落にならないのよ! それと何なのよこのしりとり…料理とか調味料で責めて来るのやめなさいよ!」

 

 

幽々子「…食べ物が目の前に無くても名前を発し、匂いと味を想像する」

 

 

ルーミア「グルメの基本なのだ、分かったのだ?」

 

 

レミリア「う……うん…」

 

 

レミリア「……ん?」キョトン

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢と魔理沙は二品目を作りあげた

 

 

 

霊夢「これで良いわ」

 

 

咲夜(味付けもバッチリ…やるわね)

 

 

霊夢「咲夜、さっきのアドバイス助かったわ、危ない危ない…」

 

 

咲夜「あ、ありがとう」

 

 

 

 

魔理沙「はぁ、はぁ…な、何とか出来た…!」

 

 

アリス(だ、大丈夫よね…あれだけ作れば)

 

 

魔理沙「こ、これならきっと大丈夫だぜ」

 

 

アリス「えぇ、も、もちろん」

 

 

アリス(魔理沙らしくて私は好きなんだけどね…)

 

 

 

 

 

 

紫「藍先生の得意料理のいなり寿司ですが、作らないと言う選択肢は無いのですか?」

 

 

藍「ありませんね、自分の好きな物を作って食べるなんて最高じゃないですか」

 

 

紫(私の胃には最悪なのよねぇ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《三品目、デザート》

 

 

霊夢「デザート…? 不味いわね、どうしてもあんたんとこのデザート類しか思い付かないわ」

 

 

咲夜「ケーキとか?」

 

 

霊夢「そう、洋菓子とか作ったことないわ」

 

 

咲夜「洋菓子にこだわる必要は無いわ、和菓子でも良いのよ?」

 

 

霊夢「…ねぇ咲夜、苺って洋菓子のイメージよね」

 

 

咲夜「ん~…そうかもね」

 

 

霊夢「ありきたりだけどあれ作るか、咲夜、手伝って」

 

 

咲夜「えぇ」

 

 

咲夜(何か思い付いたの?)

 

 

 

 

 

魔理沙「ふっふっふ…デザート? この魔理沙さんにデザート?」

 

 

アリス「キャー♪ 魔理沙ー♪」

 

 

魔理沙「あらゆる洋菓子を作ってもらい、あらゆる洋菓子を食べ尽くし、あらゆる洋菓子を食い逃げしてきた百戦錬磨の魔理沙さんにデザートを作れとは笑わせるぜ!」

 

 

魔理沙「と言うわけで、私らしい感じのデザートを作る! アリス、私に続け!」

 

 

アリス「地の果てまで着いていくわ♪ 魔理沙ぁ♪」

 

 

 

 

紫「なんかお腹空いてきたわ」

 

 

藍「料理を作っているところをずっと見てますからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころ…

 

 

幽々子「妖夢の料理はね、私が教えたのよ♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」ワハー

 

 

幽々子「それに自分のアレンジを加えて私の為に作ってくれるの♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」ワハー

 

 

幽々子「そこが可愛いところなのよねぇ♪」

 

 

ルーミア「そーなのかー♪」ワハー

 

 

レミリア「へぇ…私も咲夜の料理を間近で見ているからちょっとは作れるのよ、特にスイーツは自信あるわ♪」

 

 

ルーミア「そうなんだ」スッ

 

 

レミリア(あれ…? 私の知ってる口癖とちょっと違う)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢と魔理沙は最後の料理を作りあげた

 

 

霊夢「よし…完成」

 

 

咲夜「お疲れ霊夢」

 

 

霊夢「あんたもね…はぁ、んんっ…ふぅ、疲れたわ」

 

 

魔理沙「こっちも終わったぜ!」

 

 

アリス「お疲れ様、魔理沙」

 

 

魔理沙「あぁアリスもな、本当…料理作って疲れたのは初めての経験だぜ」

 

 

霊夢「同じくよ、勝負だから手抜きなんて出来なかったし」

 

 

魔理沙「……そういや私達勝負してたんだよな」

 

 

霊夢「…ねぇ、魔理沙」

 

 

魔理沙「霊夢、勝負は勝負だ、勝敗はきっちり決めようぜ!」

 

 

霊夢「…分かったわ」

 

 

アリス、咲夜「?」

 

 

藍「四人ともお疲れ様…これから採点になるぞ、霊夢、魔理沙の順に料理を出していってもらう」

 

 

霊夢、魔理沙「うん」

 

 

紫「さ、いざ決戦の舞台へ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霊夢達はレミリア達が待つマヨヒガの縁側に戻ってきた。

 

 

 

紫「お待たせ、これから料理を食べてもらうわね♪」

 

 

ルーミア「待ってたぞー♪」

 

 

幽々子「料理の為ならどんな時間でも待つわぁ♪」

 

 

レミリア「うー☆」

 

 

咲夜「お、お嬢様!?」

 

 

霊夢「何でカリガしてんの?」

 

 

魔理沙「さぁ」

 

 

アリス「カリガ?」

 

 

霊夢、魔理沙「カリスマガード」

 

 

アリス「ぷはっ…! うふふ…!」

 

 

ルーミア「しりとり勝負で負けたのだー♪」

 

 

幽々子「のだー♪」

 

 

レミリア「食べ物で責めてくるからもうお腹いっぱいなのよ!!」

 

 

霊夢、魔理沙、藍、アリス「?」

 

 

咲夜「お嬢様、その、これから採点ですが…食べられますか?」

 

 

レミリア「物理的にじゃないから! 大丈夫よ!」

 

 

紫「こほん…これからあなた達三人には料理の採点をしてもらうわ、一品ずつ計六品食べてもらう、点数は一人十点、合計三十点満点よ」

 

 

紫「誰が作ったかは教えられないわ、とってもシャイで引っ込み思案な子が作ったから」

 

 

幽々子「ふぅん…?」

 

 

紫(やっぱり気付かれてるわよねぇ…幽々子には)

 

 

 

 

 

 

紫「それじゃまずは一品目、お肉料理よ」

 

 

ルーミア「おぉー♪」

 

 

紫「最初は『生姜焼き』よ、召し上がれ♪」

 

 

 

ルーミア、幽々子、レミリア「いただきます」

 

 

 ムシャア ムシャア ムシャ

 

 

魔理沙(生姜焼きと来たか)

 

 

霊夢(自信ある訳じゃないけどこれしか思い浮かばなかったのよね…さぁどうだ)

 

 

ルーミア「! わはー♪ とっても美味いのだ~♪」モグ

 

 

幽々子「玉ねぎとお肉がタレと程よく絡まってて美味しいわぁ♪ 生姜の辛みがこれまた…ん~♪」

 

 

レミリア「うんま~い♪ これとっても美味しいわ♪」

 

 

魔理沙「ふっ…お子ちゃまの感想だな、カリスマさんよぉ」

 

 

レミリア「誰がお子ちゃまだぁ! …ま、まあこの私の舌には合う味よ、誉めてあげるわ♪」

 

 

アリス(霊夢が作ったなんて言ったらまた評価が変わってくるんでしょうね)

 

 

紫「それでは、点数をお願いします!」

 

 

ルーミア「9」

幽々子「9」

レミリア「8」

 

 

紫「26点ね」

 

 

霊夢(まあまあかしら)

 

 

アリス「レミリア、どうしてあなただけ8点なの?」

 

 

レミリア「生姜が苦い」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス(子供…?)

 

 

咲夜「リンゴの擂り身を入れてもいいかもね」ヒソヒソ

 

 

霊夢「そこまで考えらんないわよ…」ボソッ

 

 

 

 

 

藍「次は『鳥の唐揚げ』です」

 

 

ルーミア、幽々子、レミリア「いただきます」

 

 

魔理沙(さぁどうだ!?)

 

 

ルーミア「カリッとジューシーなのだー♪ みすちー」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス、咲夜「えっ!?」

 

 

幽々子「んー♪ 揚げ物はどんなものでも美味しいわね、火の通し方も中々よ♪」

 

 

レミリア「レモンはないの?」

 

 

ルーミア、幽々子「は?」

 

 

レミリア「な、何よ!?」

 

 

幽々子「邪道」

 

 

ルーミア「外道なのかー♪」

 

 

レミリア「!?」

 

 

咲夜「お嬢様に向かって何て事を! 口を慎みなさい!」

 

 

咲夜「お嬢様、レモンでございます、今搾りますね」スッ

 

 

霊夢、魔理沙、アリス(どこから出したの!?)

 

 

レミリア「油っこいからレモンは欠かせないわね、いただきまーす♪」

 

 

レミリア「うまい! 衣がカリカリで美味しいわ!」

 

 

魔理沙「さっきからマジでチルノ並の感想しかしないな…」ボソッ

 

 

アリス「しっ、聞こえるわよ」ボソッ

 

 

紫「では、採点しちゃって?」

 

 

ルーミア「8」

幽々子「7」

レミリア「7」

 

 

紫「22点ね」

 

 

アリス(結構辛口ね、食通の二人は)

 

 

魔理沙「て、点数低いな…どうしてだ?」

 

 

ルーミア「みすちー分が足りねーのかー♪」

 

 

魔理沙「お前…まさかあいつ食ったんじゃないよな?」

 

 

幽々子「味は良かったんだけど簡単に作った感があるの、料理は真心よ」

 

 

魔理沙(厳しいな…)

 

 

レミリア「レモン分の配慮!」

 

 

魔理沙(こんにゃろう…)

 

 

紫「続いて二品目行くわ、これはその子の『得意料理』」

 

 

レミリア(シャイな子ってほんと誰なのかしら、気になるわね)

 

 

 

 

紫「最初は『肉じゃが』ね」

 

 

魔理沙、アリス(なっ!?)

 

 

咲夜(驚いてるわね、ふふっ)

 

 

霊夢(肉の後に肉作っちゃだめとは言われてない、それに…)

 

 

レミリア「あら、またお肉?」

 

 

幽々子「…レミリア、食べてみれば分かるわ」

 

 

レミリア「?」

 

 

ルーミア「肉は大歓迎だー♪」

 

 

レミリア、ルーミア、幽々子「いただきます」

 

 

ルーミア「! うおー♪ 美味いのだ~♪ お肉が柔らかいのだー♪」

 

 

幽々子「具材が程よい形に刻まれているわね、しらたきも汁が染み込んでいて美味しい♪ 味が甘めなのも素晴らしいわぁ♪」

 

 

魔理沙(て、手が込んでやがる…!)

 

 

霊夢(ルーミアは肉好き、幽々子は和食好き、レミリアは甘いものが好き…肉じゃがは甘く作っても美味しい、作戦勝ちね)

 

 

レミリア「…!」

 

 

咲夜「…お嬢様?」

 

 

レミリア「霊夢の味がする…!」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス、咲夜「え!?」

 

 

レミリア「ねぇ! これ作ったの霊夢でしょ!?」

 

 

霊夢「な、なん…! ち、違うわよ!?」

 

 

レミリア「私は霊夢が宴会で作った料理の味は全て記憶してるのよ! これは霊夢が作ったもの、間違いないわ!」

 

 

霊夢(確かに宴会で作った事はあるけど…)

 

 

レミリア「霊夢が私の為に…! これは文句なしにじゅ」

 

 

魔理沙「レミリア…お前マジか…?」

 

 

レミリア「何よ魔理沙」

 

 

魔理沙「それはお前に喜んでもらおうと思ってシャイな子が霊夢の味に似せて作ったんだぞ…」

 

 

レミリア「え…え!?」

 

 

魔理沙「それなのにお前と来たら霊夢が作ったんだのと…その子の気持ちはどうなんだよ!」

 

 

咲夜「…」

 

 

レミリア「う、嘘よね…?」

 

 

咲夜「お嬢様…残念ながら」

 

 

レミリア「!?」

 

 

レミリア「ご、ごめんなさい…私、その」

 

 

紫「良いのよレミリア、私から直接その子に言っておくわ『紅魔館の主の舌を唸らせた』ってね♪」

 

 

レミリア「……あ、ありがとう紫」

 

 

咲夜(…感謝するわ、紫)

 

 

霊夢「一応ありがと、魔理沙」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「良いんだよ、気にすんな♪」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

 

紫「気を取り直して採点よ」

 

 

ルーミア「9」

幽々子「9」

レミリア「10」

 

 

ルーミア「お袋の味なのだー♪」

 

 

幽々子「懐かしいお味でした、また食べたいわね」

 

 

レミリア「色々と文句なしよ、美味しかったわ」

 

 

紫「28点ね」

 

 

魔理沙「ルーミアが言っても説得力ないよな…」

 

 

アリス(レミリアなら10しか出せないわよね、勘違いしてても霊夢が作ったものだし)

 

 

 

 

藍「次は『キノコ定食』です」

 

 

ルーミア「キノコかー」

 

 

幽々子「あら、久し振りに食べるわね」

 

 

レミリア「キノコ? これ魔理」

 

 

紫「つべこべ言わず食えぇ!」

 

 

レミリア「ひっ!? わ、分かったわよ!」

 

 

咲夜「…」

 

 

霊夢「怒んないの?」

 

 

咲夜「また話がややこしくなるからね」

 

 

霊夢(こういう所が女子力があると思わせるわね、気遣いとか場の空気を読める所とか…)

 

 

幽々子「キノコご飯、キノコのソテー、キノコのパスタ、キノコのおひたし…」

 

 

ルーミア「たーんすいかーぶつかー?」

 

 

咲夜(炭水化物知ってるのね…)

 

 

レミリア「うぷ…り、量が…」

 

 

アリス「ごめん魔理沙、やっぱり作りすぎたかも…」ボソッ

 

 

魔理沙「キノコ達…スマン…」

 

 

 

紫「採点よ」

 

 

ルーミア「7」

幽々子「7」

レミリア「6」

 

 

紫「20点ね」

 

 

ルーミア「キノコ攻めはちょっとなー…」

 

 

幽々子「作り手の愛は感じたわ、でもキノコだけってのは彩りが足りないわね」

 

 

レミリア「量が多い!」

 

 

魔理沙(彩りか…料理って奥が深いな)

 

 

 

 

 

 

紫「最後は『デザート』よ」

 

 

レミリア「待ってました!」

 

 

霊夢「結構食べてたけど…まだいけるの?」

 

 

レミリア「甘いものは別腹よ♪」

 

 

 

紫「最初は『苺大福』よ」

 

 

レミリア、ルーミア、幽々子「いただきます」

 

 

ルーミア「ングング♪ ! おー♪ イチゴなのだー♪」

 

 

幽々子「あらあら、美味しいわね♪ これ手作り?」

 

 

紫「そうみたいね♪」

 

 

レミリア「うんまーい♪ イチゴだーい好き♪」 

 

 

アリス(子供…笑顔で美味しそうに食べるところも子供っぽい…)

 

 

レミリア「苺大福って霊夢の色に似てるわよね! だから美味しいのかしら♪」

 

 

霊夢「ふふっ、関係ないわよ」

 

 

レミリア「そうかしら、ふふっ」

 

 

紫「むっ…では採点よ!」

 

 

ルーミア「10」

幽々子「10」

レミリア「10」

 

 

紫「30点よ!」

 

 

咲夜「あら、満点」

 

 

霊夢(あ、結構嬉しい♪)

 

 

魔理沙(くぅ、霊夢はやっぱ強いなぁ…)

 

 

アリス(点数的に…ううん、言うのは無粋ね)

 

 

 

 

藍「これで最後の料理『黒ゴマミルク饅頭』です」

 

 

霊夢「あ、あれは…」

 

 

ルーミア「おー? 真っ黒だな~」

 

 

幽々子「あらら、最後に凄いのが出たわね」

 

 

レミリア「んん? 何これ…あ、皮が黒いのね」

 

 

魔理沙(霊夢、前に話していたやつをアリスと再現したんだぜ! これは自信あるぜ)

 

 

アリス(魔理沙がハイテンションだったから心配だったけど見た目の衝撃と味で勝負よ♪)

 

 

 

レミリア、ルーミア、幽々子「いただきます」

 

 

ルーミア「むぐむぐ! わはー♪ 中はクリームかー♪」

 

 

幽々子「黒ゴマを皮に練り込んだのね、味もクリームと合ってるわ、美味しい♪」

 

 

レミリア「外は漆黒、中は純白と…まさにこの私の様ねこの饅頭、うまいわ♪」

 

 

魔理沙「あいつ何言ってんだ…褒めてるのか?」ボソッ

 

 

アリス「大丈夫、褒めてるわよ」ボソッ

 

 

 

紫「採点よ!」

 

 

ルーミア「10」

幽々子「10」

レミリア「10」

 

 

紫「三十点!」

 

 

アリス「満点!」

 

 

魔理沙「!!…!!!」グッグッ

 

 

霊夢、咲夜(言葉にならないほどのガッツポーズ…)

 

 

ルーミア「美味しかったぞー♪ 私みたいな饅頭だったな~♪ また食べたいのだー♪」

 

 

幽々子「美味しかったわ、これ初めて食べたんだけど好きになっちゃった、妖夢に作り方を教えてあげてほしいぐらいにね」

 

 

レミリア「美味しかったわ、咲夜、これ作れるなら今度作ってほしいわ、フラン達にも食べさせてあげたいの」

 

 

咲夜「ふふっ、分かりましたわ」

 

 

 

 

 

 こうして料理の採点は終わりを向かえた

 

 

紫「ありがとね、来てくれて助かったわ」

 

 

ルーミア「楽しかったぞー♪」

 

 

幽々子「私も楽しかったわぁ♪ しりとりもしたし、食べ物も食べられたし満足よ、こっちこそありがとう、紫」

 

 

レミリア「しりとりは勘弁して…まあでも暇潰しにはなったわ、料理も美味しかったし…ありがと」

 

 

紫「それじゃお帰りは足元のスキマから…」スッ

 

 

 ギュオン ギュオン ギュオン

 

 

ルーミア「…帰る前に紫、私のこのリボン」

 

 

紫「あら、手が滑った~♪」スッ

 

 

 ドン!

 

 

ルーミア「そぉ~なのかぁぁぁ~…」ヒュー

 

 

霊夢「落ちた…」

 

 

魔理沙「落としたんだろ?」

 

 

咲夜「お嬢様、先にお帰りくださいませ、私ももう少しで館に戻ります」

 

 

レミリア「分かったわ、それじゃ皆、またね」スッ

 

 

レミリア(でもなんか咲夜との記憶が曖昧な気が…気のせいよね)

 

 

幽々子「さぁて♪ 今日の晩御飯は何かしら♪」

 

 

アリス「えぇ…まだ食べるの?」

 

 

紫「それが私の親友よ」

 

 

幽々子「そうよぉ♪ それが私…じゃあね、皆」スッ

 

 

幽々子「…! あ、そうそう」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス、咲夜「?」

 

 

幽々子「女子力は人のためにあるのよ? 磨くのは自分、それを見て、認めてくれるのは友、兄弟、家族…」

 

 

霊夢、魔理沙、アリス、咲夜「!!」

 

 

幽々子「あら、お節介だったかしら♪ それじゃほんとにバイバイ♪」スッ

 

 

 ギュオン

 

 

紫「あらら、やっぱりばれてたわね」

 

 

藍「幽々子殿には敵いませんね」

 

 

アリス「幽々子って、エスパーみたいよね」

 

 

咲夜「占い師にでもなれそうね」

 

 

魔理沙「…なぁ霊夢」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

魔理沙「女子力って人のためにあんのかな?」

 

 

霊夢「それこそ人それぞれなんじゃない?」

 

 

魔理沙「でもよ、私達は人のために料理をしたわけだろ? だったら」

 

 

霊夢「だったらなんなの?」

 

 

魔理沙「!」

 

 

霊夢「それも一つの考えよ、咲夜とアリスが言ってたでしょ? 自分の女子力を見つけなさいって、幽々子の言ってることも間違いじゃない、正解なんてないのよ」

 

 

魔理沙「…ははっ、そうだな」

 

 

霊夢「そうよ、ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 そして…

 

 

 

紫「えー、結果としては」

 

 

 

 霊夢『84点』

 

 魔理沙『72点』

 

 

 

 

紫「というわけで、霊夢の勝ち~♪」

 

 

霊夢、魔理沙「…」

 

 

紫「ど、どうしたの?」

 

 

魔理沙「ははっ、紫、悪いけどよ」

 

 

霊夢「勝敗なんてもうどうでもよくなっちゃったわ」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙「なんつーか楽しかった!」

 

 

霊夢「えぇ、女子力云々があってここまできたけどそれ以上に楽しかったわ」

 

 

魔理沙「女子力はいらないとは言わねぇが、もう女子力の正解が分かっちまったからな」

 

 

霊夢「紫、藍、それと咲夜とアリス…」

 

 

霊夢「ありがとね」

魔理沙「ありがとな」

 

 

紫、藍、咲夜、アリス「…!」

 

 

紫「…そ♪」ニコッ

 

 

藍「ふふっ…」

 

 

アリス「あなた達らしいわね♪」ニコッ

 

 

咲夜「ふっ、ほんとね♪」

 

 

霊夢「あははっ!」

 

 

魔理沙「あっははは!」

 

 

藍「…なぁ、そういえば聞きたい事があるんだが」

 

 

霊夢「何?」

 

 

藍「二人は何故女子力を学びたかったのだ?」

 

 

霊夢「それは…紫に依頼してみたかったからよ、女子力ってものも知りたかったのは本当だったし」

 

 

魔理沙「あぁ私もだ、それとアリスと咲夜が羨ましかったからだな」

 

 

アリス「羨ましい…」

 

 

魔理沙「お前ら二人のことよく知ってるからこそ紫に女子力ってのは何なのかって依頼を出したんだ、私と霊夢も興味があった事だからな…偶然だがお前らが女子力先生でよかったぜ♪」

 

 

アリス「魔理沙」

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

藍(…ふふっ、二人が先生に選ばれたのは偶然では無さそうだな)

 

 

咲夜「あなた達が私達を、ねぇ」

 

 

霊夢「わ、悪い!?」

 

 

アリス「そんなこと言ってないでしょ、もう」

 

 

藍「ほぉそうだったのか、てっきり私は好きな人がいるからその人の為に身に付けたいのかと」

 

 

霊夢、魔理沙「は…?」

 

 

藍「女子力の延長には結婚もあるだろう? だから」

 

 

霊夢、魔理沙、紫、アリス「はぁぁ!?」

 

 

霊夢「け、結婚って…! い、いやいやいやいや! ない、ないから! ない…/// でもいつか…///」

 

 

魔理沙「好きな人…/// って…いないからな!? でもそれは男と、その…///」

 

 

アリス「ダメぇぇ! 私の魔理沙の事は私が愛し、愛されて行くのよ!? それが夫婦ってもんでしょうが!」

 

 

紫「霊夢と結婚だぁ!? 何処のどいつよ!? スキマの中に連れ込んで引き裂いてやるわ! 結婚なんて許さないわよ!」

 

 

藍「あ…えっと…えぇ…」

 

 

咲夜「はぁ…こんな終わり方で良いのかしら」

 

 

紫「結婚なんてゆかりん絶対ゆるさなーい!」

 

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 







 レミリアは少食ですが、テンションが上がっていたので結構多く食べてます。


 それでは、ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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御依頼その弐 【寺子屋教師を大発掘!】前編




 スキマボックスシリーズの第二段、紫と藍の元に更なる依頼が飛び込んで来ました、タイトルで誰が依頼してきたかは分かってしまいますかね…

 数字が結構多く出てくるので読みやすくしております。


 それでは始まります♪




 

 

 

 【マヨヒガ 居間、PM 12:00】

 

 

 紫と藍は珍しく二人でお仕事中の様です。

 

 

 

 

 

八雲紫「…」カリカリ

 

 

八雲藍「…」カリカリ

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「…」

 

 

紫「藍、聞いてる?」

 

 

藍「聞こえてますが、今は手と頭を動かしてください」

 

 

紫「動かしてるわよ、喋りつつ計算しつつ数字を紙に書いてるわ」

 

 

藍「本当器用ですよね」

 

 

紫「そういうあなたも器用よね」

 

 

藍「ありがとうございます」

 

 

紫「まぁ、そんなことはどうでもいいのよ」

 

 

藍「良くはないですよ、一つのミスがやり直しに繋がるんですから集中したいんです」

 

 

紫「ほほう、このゆかりんに黙れと」

 

 

藍「集中したいんです、紫様とてそうでしょう?」

 

 

紫「集中のために休憩をください」

 

 

藍「ダメです、休憩は逃げです、あなたが冬眠なさる前にやっておかないとまた私が一人でやるはめになるんですから、幻想郷の主として今年最後の仕事をしてください」

 

 

紫「本当に今年最後なのかしら、またどっかから沸いて出てくるんじゃないの?」

 

 

藍「それなら心配ご無用です、私が…! この私が全て片付けておりますので、本当にこれだけしか残ってません」

 

 

紫「流石ね藍、ゆかりんポイント五点よ」

 

 

藍「そろそろゆかりんポイントが百点貯まりそうですけど何かあるんですか?」

 

 

紫「橙が男の子になります」

 

 

藍「へぇ……!? はぁ!?」ガタッ!

 

 

紫「冗談よ、本気にしないの…ほらほらぁ♪ 手が止まってるわよ?」ニヤニヤ

 

 

藍「…!? くっ…!」

 

 

紫「…」カリカリ

 

 

藍「…」カリカリ

 

 

紫「…休憩をください」

 

 

藍「後もう少しで終りです、もうすぐお昼ですからそこまで頑張りましょう」

 

 

紫「数字とにらめっこして早四時間、これでやっと終わりね…!」カリカリ

 

 

藍「はい、よいしょっと…」スッ

 

 

 

 

 

藍「紫様、読み上げるので足していってください」

 

 

紫「どんと来い八雲家出費事情」

 

 

藍「月への大砲射撃108万2000円…霊夢への十二ヶ月分の仕送り365万115円…純狐、ヘカーティア・ラピスラズリ、クラウンピースへの住居提供3000万円」

 

 

紫「うん」カリカリ

 

 

藍「鬼人正邪の人里への被害額250万5849円」

 

 

紫「あんにゃろう…」カリカリ

 

 

藍「秦こころへの能楽書の提供2万8900円…光の三妖精への家具提供59万8000円…多々良小傘への謝礼金39万3939円…永江衣玖への舞踊入門書提供9万2500円」

 

 

紫「はい」カリカリ

 

 

藍「黒谷ヤマメ、伊吹萃香、星熊勇儀への紅魔館建て直しの謝礼金それぞれ50万円、計150万円…紅魔館修繕費1341万394円」

 

 

紫「これ何でうちが払ってんの?」

 

 

藍「あなたが紅魔館のパーティーで酔っぱらって『紅魔館は爆発してこそ意味があるのよ!』とか訳の分からないこと言って破壊神と化したのを忘れたとは言わせませんよ!?」

 

 

紫「あの時は本当にすまなかったと思っているわ」

 

 

藍「反省してくださいよ?」

 

 

紫「申し訳ないのだ~…でもあの場にいた天人と物部と蓬莱人も悪いのだ~…てか謝礼金高くない?」

 

 

藍「一晩で元通りにしてくれたんですからあのぐらい妥当です…次いきますよ」

 

 

紫「はい」カリカリ

 

 

藍「比那名居天子の地霊殿襲撃事件後の交通整備費20万円…守矢家とのお鍋パーティー3万円…河城にとりへのクリスマスプレゼント作成依頼の費用35万9966円」

 

 

紫「はいはい」カリカリ

 

 

藍「古明地さとりのスキマ通信による買い物費用3万5000円…永遠亭への薬代200万2500円」

 

 

紫「月の賢者様め…足元見やがって」カリカリ

 

 

藍「私も高すぎるとは正直思いましたが効果は折り紙つきですし…次いきます、これで最後です」

 

 

紫「は~い♪」

 

 

藍「その他、八雲家の飲食代及び流行りの言葉のみんなへの謝礼物の代金…幽々子殿への満腹代金諸々が…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「計、8999万8989円」

 

 

紫「!?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「そ、その8900万円分は…?」

 

 

藍「幽々子殿の満腹代金です」

 

 

紫「うわぁぁ…」orz

 

 

藍「終りです…計?」

 

 

紫「1億4549万4213円」orz

 

 

藍「流石計算がお早い、これで幻想郷の財政申告書全て書き終わりました、お疲れ様でした紫様」

 

 

紫「お疲れ様でした~♪ じゃないわよ!」ガバッ

 

 

藍「!?」

 

 

紫「八雲家の出費が尋常じゃないわ! 由々しき事態よ!」

 

 

藍「確かに億いったのは初めてですよね」

 

 

紫「お馬鹿たちのやらかした修繕費やら何やらは分かるんだけど…億って…億…」orz

 

 

藍「幽々子殿の満腹代が群を抜いてますからね…」

 

 

紫「スキマ貯金が無くなりかけるなんて夢にも思わなかったわ…」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「……何?」

 

 

藍「主であるあなたにこんなことを言うのはアレかもしれませんが、もう少し他の出費を抑えていただけませんか?」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

藍「まず月への大砲射撃はいらないでしょう!? 何で毎年一発放つんですか!」

 

 

紫「だってゆかりんあいつら嫌い!」

 

 

藍「だからって100万円かけるほどの大砲を作らないでくださいよ!」

 

 

紫「にとりたちに作らせてるからそのぐらいかかるのよ!」

 

 

藍「スキマで大砲ぐらいぶっぱなせばいいでしょう!?」

 

 

紫「幻想郷の技術力を見せてやるわぁ!」

 

 

藍「あぁもう!」

 

 

紫「譲れないわね、大砲作りは」

 

 

藍「霊夢への仕送りを少し減らす…のは?」

 

 

紫「ダメ、この金額じゃないとダメ」

 

 

藍「何故です? 大体この半端な115円はなん」

 

 

紫「ゆかりんお口チャック! ジジジーっ!」

 

 

藍「ぬっ!」イラッ

 

 

藍(くそぉ、霊夢はお金をあんまり使わないんだよなぁ、少しだけ減らせばいいのに…)

 

 

藍「……紫様、この際だから言わせてもらいますけど今年はあなたのせいで出費が増えてます」

 

 

紫「…!? なにぃ!? 私のせい!?」

 

 

藍「だってそうでしょう!? 紅魔館然り! 幽々子殿の事然り!」

 

 

紫「ぐっ…!」

 

 

藍「紅魔館のことはもう良いです! レミリアも許してくれましたしね、でも幽々子殿の事は話が別です!」

 

 

紫「はぁ!? 私は悪くないじゃない! あれは幽々子が満腹を知りたいとか言うから」

 

 

藍「満腹を知れる要因を作ったのはあなたでしょう!? 口は災いの元とはこの事ですね!」

 

 

紫「あのときはああ言うしかないでしょうが! むしゃむしゃされたら誰だってああなるわよ!」

 

 

藍「なりませんよ!」

 

 

紫「むしゃむしゃされてもないくせに知った気でいるんじゃないわよ! このバカちんがぁ!」

 

 

藍「はぁはぁ…!」

 

 

紫「はぁ、はぁ…」

 

 

藍、紫「はぁ…」グテン

 

 

 

 

 二人は疲れたのか大の字に寝転がり、目を瞑った

 

 

 

 

紫「藍…分かった、分かったわよ…今年は私が悪かったわ」

 

 

藍「…はい、分かっていただけて何よりです」

 

 

紫「だから…朝から頭フル回転で計算してた私に休憩をください…」

 

 

藍「もう休んでくださって結構ですよ、本当にお疲れ様でした…」

 

 

紫「うん…」

 

 

紫、藍「はぁ…」

 

 

紫「幽々子の満腹に1億かからないのは正直安堵したわ…なんかわからないけど安心したのよ」

 

 

藍「ミスティアの屋台で私と妖夢はリタイアしましたけど…その後二十軒以上でしたっけ?」

 

 

紫「もう地獄を見たわ、焼けつくような揚げ物と焼き物の匂い、溢れ出る飲み物、鼻をつんざく甘味の匂い」

 

 

藍「…」

 

 

紫「つれぇわ…」

 

 

藍「なんかごめんなさい、さっき出費が紫様のせいだとか…」

 

 

紫「もう良いわ…その話はしないの、もう終わったことなんだから…あ~……こうして大の字で寝てるともう何にも考えたくないわね」

 

 

藍(幽々子殿の事で嫌な思い出ができるとは…)

 

 

紫「はぁ…なんかこう冬眠前に楽しめる面白い事起きないかしら」

 

 

藍「クリスマスのことは?」

 

 

紫「毎年やってる事じゃない、やったことのない面白い事よ」

 

 

藍「そんな都合よく起きるわけないじゃないですか」

 

 

紫「む~、神にでも祈ろうかしら」

 

 

紫「おお神よ、ゆかりんに大人しく、無理のない面白い事を提供しておくんなまし~」

 

 

藍「…都合がいい様な」

 

 

 

 ギュオン ヒラッ…

 

 

 

紫「それくらい許してくれるわよ、ゆかりん今年頑張ったってぬおっ」パサッ

 

 

藍「? 紫様どうし…あ」

 

 

紫「神じゃなくて紙が降ってきたわ、私の顔面に」

 

 

藍「これスキマボックス専用の紙じゃないですか」

 

 

紫「……まさかまた満腹を知りたいだなんて幽々子からの依頼じゃないでしょうね」

 

 

藍「そこまで幽々子殿は鬼じゃないと思いますが」

 

 

紫「食の事なら…流石に無いか」

 

 

紫「この疲れたゆかりんに依頼してきたのは誰かしら…藍、読んで」

 

 

藍「はい、こちら『P.N.白沢の上からハクタクさん』『燃え尽きろ月の厄介女さん』からいただきました」

 

 

紫「また二人なのね…って一枚に二人で書くとか夫婦かっ!」

 

 

藍「…? あぁこれあの二人ですか、仲が良いですよね」

 

 

紫「…依頼は?」

 

 

藍「あぁはい、えーっと」

 

 

 

 

 

P.N 白沢の上からハクタク『いきなりですまないが私は寺子屋の教師を探している、教師探しに力を貸してくれないだろうか? 詳細は私の口から話したい、依頼を受けてくれるのなら人里の寺子屋に来てほしい』

 

 

P.N 燃え尽きろ月の厄介女『慧音の頼みを聞いてやってくれ、頼む』

 

 

 

 

藍「慧音って書いちゃってる! P.Nの意味を理解してくれ!」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様、霊夢と魔理沙以来の依頼ですが…どうします?」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「直ぐにお昼ご飯の準備をなさい、食べたら出掛けるわよ!」

 

 

藍「!」

 

 

紫「神は…いや、紙は私を見捨てていなかった! このご依頼受けてやるわ!」

 

 

藍「さっき神頼みしてたのはどこのどなたですか!」

 

 

紫「うっさい! 早く準備しなさい!」

 

 

藍「は、はい! わかりました!」スッ

 

 

 タタタタ

 

 

紫「ふふっ、面白くなってきたわ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《人里、寺子屋、PM 13:00》

 

 

 

上白沢慧音「ふぅ…」

 

 

慧音(今…13時か…んんっ、はぁ…今日は午前の授業だけで助かったな)

 

 

慧音(少し遅い昼食になってしまった…これを食べたら歴史書の整理と、阿求に頼んでいた書物の確認)

 

 

 オーイ

 

 

慧音(命蓮寺、紅魔館、地霊殿へ行って報告、戻って来たら宿題とテストの答え合わせ) 

 

 

 おーい

 

 

慧音(後…後はなんだったか…あぁそうだ、本居小鈴に借りていた本を)

 

 

 おーい! 慧音

 

 

慧音「!!」ハッ!

 

 

藤原妹紅「慧音…?」

 

 

慧音「……あぁ、も、妹紅…来てたのか」

 

 

妹紅「『来てたのか』じゃないだろ、大丈夫か?」

 

 

慧音「な、何がだ?」

 

 

妹紅「さっきから呼び掛けてたんだぞ? それなのに反応しないからさ、こう…なんていうか、遠くを見て考え事している感じで誰も視界に入らない様な感じだ」

 

 

慧音「…妙に的確だな」

 

 

妹紅「現にそうだったろ」

 

 

慧音「…」

 

 

妹紅「今から昼飯か?」

 

 

慧音「あぁ」

 

 

妹紅「そうか♪ ほら、私も弁当持ってきたんだ、一緒に食べようよ」

 

 

慧音「あぁ、そうだな」

 

 

妹紅「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧音、妹紅「ご馳走さまでした」

 

 

妹紅「くそっ、まだ腹が痛い…悪いな慧音、おかずわけてもらっちゃってさ」

 

 

慧音「そのぐらい気にするな、だがよかったのか? おかずとて昨日の夜の残り物だぞ?」

 

 

妹紅「何言ってんだ、凄く美味しかったぞ? しかし永遠亭で弁当なんて作るもんじゃないな、私の弁当のおかずに隙を見てカミソリと毒物を混入しやがるとは…輝夜のやつめ…慧音の家でリザレクションするのは初めての経験だ」

 

 

慧音「何故永遠亭で作った」

 

 

妹紅「鈴仙ちゃんが一緒に作ろうって言うからさ、仕方なく敵地で作る事になったんだ、人参わけてくれるって言うからさ、しかし案の定だったなぁ…」

 

 

慧音「因幡てゐの仕業ではないのか?」

 

 

妹紅「てゐなら毒で終わりだけどカミソリは輝夜の仕業だよ、今度から一緒に弁当を作る時は私の家に鈴仙ちゃんを呼ぼう、うんそうしよう」

 

 

慧音「ふっ、してやられたな」

 

 

妹紅「ほんとな…って笑い事じゃないぞ!?」

 

 

慧音「すまない、いつもの光景だからつい…」

 

 

妹紅「まぁ私だから笑い事になるんだよなぁ、カミソリだの毒だの食っても死なないし」

 

 

慧音「それはそれでどうなんだ」

 

 

妹紅「いいの、もう慣れたから」

 

 

慧音「少しは自分を大切にしてくれ」

 

 

妹紅「…」

 

 

妹紅「慧音がそれを言うか?」

 

 

慧音「…?」

 

 

妹紅「前はこんな時間に昼なんか食ってなかっただろ、それにさっきも私の声が届かない程考え事してたもんな」

 

 

慧音「…!」

 

 

妹紅「疲れてんだろ? 最近」

 

 

慧音「…そう見えるか?」

 

 

妹紅「見えるよ、寺子屋の仕事忙しいんだろう? それに歴史書の整理とかさ…几帳面な慧音ことだから新しく入った生徒の送り迎えとか保護者の人に挨拶とかしに行く…とかしてそうだ」

 

 

慧音「……お見通しか、超能力でも身に付けたか?」

 

 

妹紅「それは菫子の能力だろ」

 

 

妹紅「とにかく慧音、少し寺子屋の仕事を減らすか休むかした方がいい、そのうち体壊すぞ?」

 

 

慧音「そういう訳にはいかないさ、私から仕事を取ったら何が残るんだ」

 

 

慧音「それに生徒達の笑顔のため生きていくと決めたんだ、休む訳にはいかない」

 

 

妹紅「…! だ、だから体壊したらそれも…!」

 

 

慧音「妹紅…♪」ニコッ

 

 

妹紅「…! ……心配なんだよ…」

 

 

慧音「その気持ちを私に向けてくれるだけで充分だ、本当にありがとうな」ニコッ

 

 

妹紅(……何の解決にもなってないぞ慧音、やっぱ教師探しを急がせた方が良いな)

 

 

慧音「さてと…妹紅に元気ももらった事だしな、これから先は頑張れそうだ、良し、まずは歴史書の整理からだな♪」

 

 

妹紅(絶対空元気だろ…! 何か私も…)

 

 

妹紅「慧音、私も何か手伝わせ」

 

 

 

 

 クルァ! 幻想郷一番の先生なのに無理すんなぁ!

 

 

 

 

慧音、妹紅「!?」

 

 

 

 ギュオン! ドッ!

 

 

 

藍「いったぁ!?」ドサッ

 

 

紫「宣誓! わたくしゆかりんは慧音先生を助ける事をここに誓いまーす♪ 先生なだけに宣誓しまーす♪」

 

 

妹紅「なっ!?」

 

 

慧音「八雲藍!? 八雲紫!?」

 

 

藍「こ、腰打った…いたたた」

 

 

紫「自分のことを大切に出来ない奴が生徒を大切に出来ると思ってるんですかぁ? このバカちんがぁ!」

 

 

妹紅、慧音「!?」

 

 

紫「この紫先生はそんなことは許しませ~ん! 許すわけがなぁーい♪」

 

 

妹紅「お前先生じゃないだろ!?」

 

 

紫「だから私に助けられなさい上白沢慧音! あなたの依頼、八雲紫は受諾します!」

 

 

妹紅「依頼…!? って、まさか!」

 

 

慧音「あのスキマボックスに書いた便りを読んでくれたのか!?」

 

 

紫「そうよ♪ ふふっ、運がいいわねぇ♪ あなた…いえ、あなたたちの二人の願いは絶対に叶えるわ」

 

 

藍「まぁ、お前たち二人からしか依頼来てないんだけどな」

 

 

紫「お黙り! そういう悲しい事を言うんじゃないの!」

 

 

藍「事実じゃないですか!」

 

 

紫「口は災いの元だとか言ってたのはどこの狐かしらねぇ! 尻尾蹂躙するわよ!?」

 

 

藍「えぇ!? 根にもってたんですかってぬぁっ!!?」

 

 

 

 ウラァ!

 

 ウアーッ!

 

 

 

慧音「まさか読んでくれていたとは」

 

 

妹紅「ははは、ダメ元で書いてみるもんだな、あんまり期待してなかったけどさ」

 

 

妹紅「慧音、紫がしつこいのは有名だから大人しく助けられなよ?」

 

 

慧音「む…」

 

 

慧音(妹紅に悩みがあるなら何か書いてみなよと言われ書いたのだが…あの時はまだ一人で頑張れると思っていたから冗談半分で書いた等とはもう言えまい)

 

 

慧音(……妹紅の気持ち、紫の気持ちを無下には出来ない…せっかくの機会だ、ここは助けてくれるという気持ちを受け取ろう)

 

 

妹紅「慧音に力を貸してくれてありがとな、感謝するよ」

 

 

紫「あら、それは依頼を完遂してから言う言葉よ、もこたん」モフモフ

 

 

妹紅「もこたん言うなこらぁ!」

 

 

藍「その前に私を助けてくれぇ…!」ワシャワシャ

 

 

慧音(……少し、不安だがな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《けーね、説明中…》

 

 

 

 紫と藍は慧音に出されたお茶を飲みながら、二人の話をゆっくりと聞いていた

 

 

 

藍「つまり『自分の仕事が忙しく、生徒達の事に手が回らなくなりそうになった、だから臨時でも良いから子供達の面倒を見てくれる教師を探している』ということか」

 

 

慧音「そうだ」

 

 

紫「教師ねぇ…あれ? もこたんは手伝ってないの?」

 

 

妹紅「もこたん言うな、もちろん私も手伝ってるさ、だけど私だって毎日手伝える訳じゃない、人里の人を永遠亭に送り迎えしたり、人里の警備だってあるからな」

 

 

紫「もこたんも案外忙しいのねぇ、輝夜と喧嘩してるだけじゃないものね」

 

 

妹紅「もこたん言うなっての…それと輝夜と私がいつも喧嘩してると思うなよ」

 

 

藍「しかし前までは今まで通りにやってこれたんだろう? 何故急に忙しくなったんだ?」

 

 

慧音「そ、それは…」

 

 

紫、藍「?」

 

 

妹紅「慧音の悪い癖が出たんだよ」

 

 

藍「癖?」

 

 

紫「満月の夜に変身するやつ?」

 

 

妹紅「それは癖じゃないだろ! ったく…取り合えずこれを見てもらえれば分かるよ」スッ

 

 

 ペラッ

 

 

藍「? これは?」

 

 

妹紅「生徒の名簿表だ」

 

 

紫「ん? あらら」

 

 

藍「これは…」

 

 

 

 

 

 

 チルノ

 大妖精

 ミスティア・ローレライ

 リグル・ナイトバグ

 橙

 ルーミア

 フランドール・スカーレット

 古明地こいし

 封獣ぬえ

 秦こころ

 クラウンピース

 サニーミルク

 ルナチャイルド

 スターサファイア

 

 他、人里の子供たち十七人

 

 

 

 

藍「増えてるな!? めっちゃ増えてるじゃないか!」

 

 

妹紅「だろ? 慧音は子供を見ると寺子屋に誘いたがるからな」

 

 

慧音「きょ、強制はしていないぞ!?」

 

 

藍「それは当たり前だろう! そうかそうだよな! これだけ生徒が多ければ先生の負担も増えるよ!」

 

 

妹紅「そこだ、そこなんだよ問題なのは」

 

 

藍「この名簿だとチルノからルーミアまでしか最近までいなかったのによくここま」

 

 

紫「えぇっ!?」

 

 

藍「紫様?」

 

 

妹紅「どうした?」

 

 

紫「なんで…! なんでレミリアがいないのよぉ!?」

 

 

藍、妹紅「えぇ!? そこぉ!?」

 

 

慧音「彼女にも声を掛けたんだが断られた」

 

 

藍、妹紅「勧誘済みなのか!?」

 

 

紫「どうせ『カリスマの権化の私が人里のがきんちょと戯れる事なんて有り得ないわ!』とか言ったんじゃない?」

 

 

慧音「よくわかったな」

 

 

紫「ちんちくりんなのは己だと自覚しないのも…まぁ、面白いからいいか♪」

 

 

妹紅「いいのかよ」

 

 

藍「レミリアはそういう星のもとに生まれてるから仕方ないんだよ」

 

 

妹紅「なんだそりゃ…」

 

 

紫「ま、そんなことは置いといて本題に入ろうかしら」

 

 

慧音、妹紅「…」コク

 

 

紫「様は慧音、あなたの仕事の負担を減らすことが出来ればいいのよね、そのために子供たちの面倒をみてくれる教師を探すと」

 

 

紫「あなたももこたんも共に忙しい身、だから私と藍を頼ったのね」

 

 

慧音「そうだ」

 

 

妹紅「もこたん言う…あぁ、そうだよ」

 

 

紫「歴史書の整理はあなたしか出来ないだろうから、そこは無理ね」

 

 

慧音「そうなる…私がやらなければならない義務、阿求と同じ様な物だ」

 

 

紫「なら私達のお仕事は先生を探すことに絞ればいいわけか」

 

 

紫「聞くけど教科とか、教師に望むものはある?」

 

 

慧音「教科は特に気にしてはいない『子供たちが楽しく学び、遊べる場』を寺子屋だと私は思っているから適任だと私が判断出来ればその者に是非ともお願いしたい」

 

 

紫「色々と各々が好き勝手やってる事が多い幻想郷だから、臨時教師になるかもしれないけどそこはいいかしら?」

 

 

慧音「そこまで贅沢は言わないよ、少しの間手伝ってくれるだけでもありがたい」

 

 

紫「う~ん…あなた本人が判断したいって言ったから……あ、そうだわ! 子供たちを前にどんな授業をやるか実践してもらいましょう、それを私たち四人で見るのよ♪ 公開審査…オーディションみたいな感じかしらね」

 

 

藍「ならスキマボックスを逆に利用しましょう、皆にこの事を伝えるメモを書いて渡すんです」

 

 

紫「それ採用よ♪ スキマボックス便利ねぇ」

 

 

藍「あなたが作ったんでしょう?」

 

 

紫「ゆかりんすげぇ~♪ ふふっ♪ これでどうかしら、慧音先生?」

 

 

慧音「あ、あぁ…そうだな」

 

 

妹紅「な、なんか…すごいな、そこまで考えてくれるとは」

 

 

慧音「あぁ、本当にな」

 

 

慧音「紫、藍…その提案で頼む、改めて依頼をお願いするよ、そして依頼を受けてくれてありがとう」

 

 

紫「いいのよ♪ ねぇ、藍?」

 

 

藍「そうですね、橙もここでお世話になっていますからその恩を返す絶好の機会でもありますしね」

 

 

紫「今からメモを作れば…まあ15:00ぐらいには終わるでしょう、慧音、あなたはあなたの仕事を今はしてなさい、メモ作りは私と藍ともこたんでやるから」

 

 

慧音「そこまで…いいのか?」

 

 

妹紅「慧音、今回は甘えてくれよ? 私も色々と手伝うからさ♪ な?」

 

 

慧音「妹紅…」

 

 

紫「…旦那はどっちかしら、どっちもいけるわよね」ヒソヒソ

 

 

藍「二人とも女性ですよ」ヒソヒソ

 

 

紫「暴走してるアリスの前でそれ言える?」ヒソヒソ

 

 

藍「この二人とは方向性が違うような気がします…」ヒソヒソ

 

 

慧音「頼んだぞ…♪ 妹紅、紫、藍」

 

 

紫「えぇ♪ あ、オーディションは明日になるでしょうから明日の朝に子供たちが来たらその項を説明なさいな」

 

 

慧音「あぁ、分かった」

 

 

慧音「こちらは任せるぞ…では、行ってくる」スッ

 

 

紫「行ってらっしゃーい♪」

 

 

藍「さて、メモ作りしますか」

 

 

紫「そうね、んん~♪ なんか今まで疲れてた自分がどっか行ったわ」

 

 

藍「どこいったんでしょうねぇ…」

 

 

紫「あなたの尻尾をモフッたからかしら」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「ふふふ、ら~ん」

 

 

藍「やめなさいよ!? 今はメモ作りに集中してくださいね!」

 

 

紫「ケチ狐」

 

 

藍「なんですって!?」

 

 

 ギャー ギャー

 

 

妹紅「…」

 

 

妹紅「な、なぁ」

 

 

紫、藍「?」

 

 

妹紅「そ、そのさ…/// あ、ありがと…/// 慧音のためにここまでやってくれて…///」カァッ

 

 

紫、藍「…」

 

 

紫「もこたんがデレたわ」

 

 

藍「妖怪の山が噴火しなければいいんですがね」

 

 

紫「デレたんじゃない♪ 可愛いわ♪」

 

 

妹紅「な、なんだよお前ら!」

 

 

紫「ほらほら、デレたんも座ってメモ作りしなさいよ♪」

 

 

妹紅「だからもこたん言う…!? 違うデレたん言うなぁ!」

 

 

藍「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

慧音「…」

 

 

慧音(感謝しても仕切れない事になりそうだな、ふふっ)

 

 

慧音(さて、私は私の仕事を片付けるか!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 







 前編はここまでです、次回は寺子屋の先生をやりたい、やってみたい方々が大集合します。


 霊夢への仕送り金額ですが365日、良いご縁がありますようにと願いを込めて紫は仕送りをしています。


 次回は中編です!

 ここまで読んでいただきありがとうございました、お疲れ様でした♪




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御依頼その弐 【寺子屋教師を大発掘!】中編



 こちらはスキマボックスシリーズの『寺子屋編の中編になります』、先に前編を読んでいただければと思います。



 名前の無いモブの子たちが喋りますが『少年A』とかにしてます、モブ子たちは人間で大体10~12歳です。

 紫、藍、慧音、妹紅は別室で先生の授業を見てます、本編で触れます



 それでは始まります♪




 

 

 【人里寺子屋 AM07:30 慧音の部屋】

 

 

 

 

 寺子屋は上白沢慧音が一人で運営している、人里でただ一つ、外の世界では学校と呼ばれる場所である。

 

 木造の建物でだだっ広い庭、もとい校庭もあるほどに大きい。

 

 

 設備等は慧音が寺子屋を始めるときに八雲紫が一式買い揃えており、ここに入学…通い始めた生徒に話を聞けば快適な学校生活が送れていると口を揃えて言うだろう。

 

 

 人妖問わずありとあらゆる者が通う人里の寺子屋、今や生徒の数も三十人以上になったこの場所に救いの手を差し伸べてくれる先生候補は現れるのか!?

 

 

 

 

八雲紫「乞うご期待!」

 

 

八雲藍「期待もなにも現れてくれるんですよね?」

 

 

紫「うるさいわねぇ、こういうのはムードが大事なの」

 

 

藤原妹紅「…しかしこんなにも返事を書いてくれるとはな」

 

 

紫「メモで先生を募るっていうのはバッチリだったみたいね♪」

 

 

妹紅「あぁ、けどこれ生徒の保護者も何人かいるよな」

 

 

紫「気にしたら負けよ、もこたん」

 

 

妹紅「もこたん言うな」

 

 

紫「あなたも私の事ゆかりんって呼んで良いのよ♪」

 

 

妹紅「誰が言うか!」

 

 

藍「募集で来た先生たちも色々な考えがあるんだろうな、興味本意とか、本当にやりたいだとか」

 

 

妹紅「うん、慧音自信は来てくれること事態が嬉しいって感じだったけど」

 

 

紫「慧音からしてみたら感謝しかないだろうしねぇ♪」チラッ

 

 

 ワイワイ ガヤガヤ

 

 

紫(本当に増えたわねぇ♪ 慧音の行動力の賜物か…それとも人徳かしら♪)

 

 

 

 

 

 《寺子屋、教室》

 

 

 

 教室は和式で床は畳、床暖房完備、木の長机一つに三人並んで正座で座っている。

 

 

 

 

チルノ「いやぁ、まさかあの時皆が寒かっただなんてあたい分からなかったよ、あはは♪」

 

 

大妖精「レティさんとチルノちゃんが凄く嬉しそうだったからね…」

 

 

ルーミア「笑い事じゃねーのだー…あの時は死ぬかと思ったのだー…」

 

 

 

 

リグル・ナイトバグ「みすちー、手の震え治った?」

 

 

ミスティア・ローレライ「うん大丈夫、でももうあんなに働きたくないよ…腕が上がらなくなるほど働いたのは始めてだよ」

 

 

橙「な、なんかごめんね? 幽々子さんが暴走してしまったみたいで」

 

 

 

 

フランドール・スカーレット「ねぇねぇ地獄ってどんなところなの?」ワクワク

 

 

古明地こいし「とっても楽しい所だよ♪ 遊びに行くとお空が遊んでくれるの♪」

 

 

クラウンピース「それあんたの身内じゃんか、本当のこと教えてやったら? あたいのご主人様は怖いよ? 色んな意味で」

 

 

 

封獣ぬえ「おかしいだろ、なんで私がここにいるんだよ!」

 

 

秦こころ「まだそんなことを言っているのか、聖とマミーのお陰だ、やったなぬえっち」グッ

 

 

ぬえ「親指立てるなぁ! くっそぉ…上白沢が寺に来て聖とマミゾウに余計なこと言わなければこんなことには」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

上白沢慧音『どうだろうか?』

 

 

聖白蓮『あらあら♪ なんて素敵なお誘いでしょう♪ 寺子屋なんて懐かしい響きですね』

 

 

二ツ岩マミゾウ『ほう…ぬえ、せっかくの機会じゃ、お主の人間嫌いを直してこんか、それに見聞を広めるいい機会じゃから行ってこい♪』ニヤニヤ

 

 

こころ『お、寂しいのか? 私も着いていってやるぞ、ぬえっち』グッ

 

 

ぬえ『!?』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

こころ「上白沢? けーね先生だ、ぬえっち、けーね先生」

 

 

ぬえ「知るかぁ! うぅ…」シクシク

 

 

こころ「これが悲しみの表情」スチャッ

 

 

ぬえ「私で遊んでるだろお前!」

 

 

こころ「そんなことはしない」スチャッ

 

 

ぬえ「その表情は笑いの表情だよなぁ!」

 

 

 

 

サニーミルク「ねぇ、宿題やった?」

 

 

スターサファイア「私は真っ先に終わらせたわよ」

 

 

ルナチャイルド「私はコツコツやったけど」

 

 

スター「何でそんなこと聞くの? 宿題やってるとこ見てたしサニーだって終わってるじゃない」

 

 

サニー「何で私だけ霊夢さんに手伝ってもらったのか不思議でさ」

 

 

スター、ルナ(あんたがギリギリまでやらなかったからでしょうが!)

 

 

 ワイワイ ガヤガヤ

 

 

 

 

紫「これは…凄いわねぇ」

 

 

藍「この人数、しかもこんなに濃い生徒たちをよく捌いていたな」

 

 

妹紅「慧音の仕事振りには感服するだろ? 本当に働きすぎなんだよ…」

 

 

紫「ほんとね、どっかのゆかりんみたい」

 

 

藍「はぁぁ!?」

 

 

紫「うわビックリしたぁ!」ビクッ

 

 

藍「今のは聞き捨てなりませんよ紫様ぁ!」

 

 

紫「なっ、ちょっ!? 藍、そんな大きな声出すんじゃないわって痛たたたっ!?」

 

 

妹紅「おいこら暴れんな!」

 

 

 

 ギャー ギャー!

 

 

 

 

 

生徒一同「?」

 

 

チルノ「なんか隣の部屋うるさくない?」

 

 

大妖精「なんだろうね」

 

 

橙(…あれ、藍様…? うーん、まさかね)

 

 

 

 ガララッ バタン

 

 

 

慧音「おはよう、みんな」

 

 

生徒一同「おはよーございまーす!」

 

 

慧音「おはよう、みんな元気だな」

 

 

チルノ「もちろんさ!」

 

 

ルーミア「チルノから元気取ったら氷しか残らないもんなー♪」

 

 

チルノ「なんだとぅ!」

 

 

大妖精「褒められてるんだよチルノちゃん」

 

 

チルノ「え…? そ、そーなのかー?」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

チルノ、ルーミア「わはー♪」

 

 

チルノ「じゃあ許してやるぞ」

 

 

ルーミア「チョロいむぐっ!?」

 

 

大妖精(ルーミアちゃん! シッ!)

 

 

ルーミア(分かったのだー…)

 

 

慧音「ふふっ…♪」

 

 

慧音「みんな揃ってるな…あ~その、突然だが先生から皆に伝えなければいけない事があるんだ」

 

 

ミスティア「伝えたいこと?」

 

 

こいし「なんですかー?」

 

 

ぬえ「! まさか、今日で私はここをやめられ」

 

 

慧音、こころ「それはない」

 

 

ぬえ「くっ!」

 

 

慧音「ふふっ♪ あぁ伝えたいことと言うのはだな、先生は今日皆に授業はしない事になった」

 

 

生徒一同「えー!?」

 

 

フラン「え!? じゃあ先生やめちゃうの?」

 

 

チルノ「なにぃ!?」

 

 

リグル「えぇ!?」

 

 

ぬえ「やったってうわっ!」グッ

 

 

こころ「ガッツポーズはさせぬわぁ」

 

 

慧音「こ、こらこら早合点するな、先生はやめないからな?」

 

 

ミスティア「な~んだ、よかったぁ…」

 

 

大妖精「ほっ…」

 

 

橙「良かった~…」

 

 

慧音「その代わりと言ってはなんだが、実はな? 先生をやりたい~って人が何人か今日ここ寺子屋に来ていてな、その人たちに教育実習生として皆の前で授業を行ってもらうことになったんだ」

 

 

チルノ「きょーいく?」

 

 

サニー「じっしゅーせー?」

 

 

ルナ「ってなんですか?」

 

 

スター「知らないの? 先生じゃないけど先生になりたい人が本物の先生に代わって先生をやるのよ」

 

 

チルノ、サニー、ルナ「???」

 

 

クラウンピース「けーね先生の代わりに授業をしてくれる仮の先生ってことさ」

 

 

チルノ「は? 先生じゃないの?」

 

 

大妖精「あ…慧音先生のほかに先生が増えるんだよ、お試し先生って感じだね」

 

 

チルノ「おっ! そーなのかー!」

 

 

サニー、ルナ「なるほどー」

 

 

フラン「今ので分かるんだね…」

 

 

こいし「大ちゃんは頭いいなー♪」

 

 

クラウンピース、スター「ウソでしょ…」

 

 

慧音「せ、説明ありがとうな…そういう訳だから皆よろしく頼むな、ただ人数が多いから疲れたら言ってくれ」

 

 

生徒一同「はーい!」

 

 

慧音「ありがとう、じゃあ先生はこれで失礼するが、新しい先生たちには失礼のないようにな?」

 

 

生徒一同「分かりました~♪」

 

 

慧音「うん、ではまたな♪」スッ

 

 

 ガララ バタン

 

 

 

チルノ「新しい先生かー」

 

 

大妖精「楽しみだね♪」

 

 

ルーミア「そーだなー♪」

 

 

ミスティア「……幽々子さんは来ないよね…?」

 

 

リグル「虫の授業してくれる人いないかな」

 

 

橙(藍様、紫様だったら良いなぁ…でも無理だよね、お二人とも忙しいし)

 

 

ぬえ「なんか嫌な予感がするぞ」

 

 

フラン「私も…」

 

 

クラウンピース「あたいも…」

 

 

こいし「お姉ちゃん来てくれないかなぁ♪」

 

 

こころ「とじー…来ないか、忙しいか」

 

 

サニー「けーね先生って一人でやってたんだ」

 

 

ルナ「私たちは入ったばかりだからね」

 

 

スター(この二人のおバカを少しでも直してくれる人来ないかな…なんて)

 

 

 

 ガヤガヤ ガヤガヤ

 

 

 

 

 

慧音「説明してきたぞ、って何があった…?」

 

 

藍「 」チーン

 

 

紫「あら、早かったのね」ボロボロ

 

 

妹紅「…お帰り慧音」

 

 

慧音「何故藍がスキマに上半身突っ込んで気絶している、それになぜボロボロになってるんだ?」

 

 

紫「九尾の妖狐が暴れてね」ボロボロ

 

 

慧音「本当に何があったんだ!?」

 

 

妹紅「お前が変な事言うからだろ」

 

 

紫「溜まったものがまた出ちゃったのかしらねぇ」

 

 

妹紅「出させたのもお前じゃんか」

 

 

慧音(藍も大変だな)

 

 

紫「先生たちは?」

 

 

慧音「別室で待機させてるよ、なにせあの人数だからな、後は一人ずつ出てきてやってもらうだけだ」

 

 

紫「なら、スキマオープン♪ …このスキマに呼び掛けなさいな、別室と繋げたから名前を呼べばここで意思伝達出来るわよ」スッ

 

 

 

 ギュオン

 

 

 

妹紅「便利だな…あ、でさ、私たちはどうやって授業してるところを見るんだよ、教室は隣だぞ?」

 

 

紫「そんなもんは~♪ ほい♪」スッ

 

 

 

 ギュオン

 

 

 

紫「教室を覗けるスキマよ♪ 生徒達にはバレないからこれで観戦しましょう?」

 

 

妹紅「…便利な能力だな」

 

 

紫「そうよぉ♪ 私は世界が違かろうが永久に便利な能力持ちのスーパーフェクトゆかりんなのよ♪」

 

 

慧音、妹紅「…?」

 

 

紫「ふふふのふ♪ さぁ、始めましょう?」

 

 

慧音「あぁ分かった、最初の人! 教室に入ってくれ」

 

 

紫「楽しみね♪」

 

 

妹紅「あぁ…」チラッ

 

 

藍「 」チーン

 

 

妹紅「聞くが、あれいいのか?」

 

 

紫「ほっときなさい、そのうち復活するでしょ」

 

 

慧音、妹紅「不憫な…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《みんな大好き! 霊夢先生!》

 

 

《担当教科 護身術》

 

 

 

紫「キャー♪ 霊夢ぅー♪」

 

 

妹紅「静かにしろっての!」

 

 

慧音(霊夢は…護身術? はてさて)

 

 

 

 

 

 

 

博麗霊夢「あんたたちは、いきなり後ろから怖くて色々とヤバイ奴に抱きつかれたらどうする?」

 

 

大妖精、サニー、ルナ、橙、ミスティア「ひえっ…!」ビクビク

 

 

チルノ「んー…? 凍るんじゃないか?」

 

 

ルーミア「私の闇に入って来るのかー?」

 

 

こいし「抱きつかれたら抱きつき返しちゃう♪」

 

 

フラン「きゅっと…いや、しちゃダメなんだよね」

 

 

霊夢「それぞれ案があるみたいだけどダメよ、もっと素早く対応しなさい」

 

 

生徒一同「?」

 

 

霊夢「…せ、先生が手本を見せてあげるから見てなさい」

 

 

霊夢「…」スッ

 

 

生徒一同「…?」

 

 

霊夢「紫ぃ…た、助けてよぉ…!」ウルウル

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「霊夢ー! ゆかりんが今すぐ助けてあげるか」スッ

 

 

 

 霊夢はいきなり背後に現れた紫の伸ばしてきた腕を掴み

 

 

 

霊夢「おらぁぁ!」ブン!

 

 

紫「ぐほぉっ!!?」ドサッ

 

 

生徒一同「えぇー!?」

 

 

 肘を紫の脇の下に入れ、肩越しに引き手で引いて投げた!

 

 

霊夢「これが背負い投げよ♪」

 

 

紫「オオ…アッ」ピクピク

 

 

チルノ、ルーミア「すげぇ!」パチパチ

 

 

大妖精、ルナ、サニー、橙、ミスティア「ま、真似できないよ!」

 

 

こころ「霊夢は演技力も高いな、勉強になる」

 

 

ぬえ「おい、褒めるとこそこか?」

 

 

サニー「紫さんってあんなんだったっけ?」

 

 

スター「さぁ?」

 

 

パチパチ!

 

 

霊夢(ここ妖怪屋敷になっちゃってない? 先生引き受けたのは博麗の巫女として視察と言うか…で、でも)

 

 

 パチパチパチパチ!

 

 

霊夢(い、意外に拍手が心地いわね…)

 

 

霊夢(次は弾幕について教えてやろうかしら…///)

 

 

 

 

 

 

 

妹紅「目にも止まらぬ早さであっち行ったな、紫」

 

 

慧音「瞬殺された…のかな」

 

 

慧音「霊夢は…みんなから好かれていることもあるが、知らないことも教えてくれて生徒達の刺激にもなるな…よし、合格」

 

 

 博麗霊夢、合格!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《生徒の心も私のもの! 魔理沙先生!》

 

 

《担当教科 マジックオアシーフ》

 

 

 

紫、藍「 」チーン

 

 

妹紅「お前ら…」

 

 

慧音「こっちに引っ張って来たが…紫にも抜けているところがあるんだな」

 

 

慧音(魔理沙…その担当教科はどういう事なんだ)

 

 

 

 

 

 

霧雨魔理沙「それで出力を最大にしてドカンと放つ! これでマスタースパークが撃てるんだ♪」

 

 

フラン「じゃあ魔理沙じゃないとあのレーザーは出てこないの?」

 

 

魔理沙「そうだな、八卦炉に私の魔力を込めたらマスタースパークが出る、私の技術もいるがな、前に霊夢を騙して八卦炉に霊力を込めさせたら陰陽玉に似た玉が沢山出てきたんだ」

 

 

ルーミア「八卦炉次第なのかー?」

 

 

魔理沙「八卦炉と使い手だな、私にもまだまだ未知の道具だよこれは」

 

 

フラン「私が撃ったら?」

 

 

魔理沙「炎のレーザーかもな」

 

 

フラン「おぉ!」

 

 

こいし「私はー?」

 

 

魔理沙「んー、ハート型の薔薇のレーザーとかどうだ?」

 

 

こいし「おぉ♪」

 

 

クラウンピース「あたいは?」

 

 

魔理沙「お前がやったらピースした手形の玉が沢山出るだろうな」

 

 

クラウンピース「!?」

 

 

生徒一同「あっははは!」ドッ

 

 

クラウンピース「な!? こ、こらぁ! 笑うなぁ!」

 

 

サニー「ぐ、グリー…あははは!」

 

 

こころ「写真を撮るぞはいピース、ドドドドドッ!」

 

 

ぬえ「こ、こころ、ふっははは!」

 

 

チルノ「ピースってレーザーって意味だったのか!?」

 

 

クラウンピース「そんな訳ないだろ!」

 

 

魔理沙「あははは! 悪い悪いつい弄りすぎちまったぜ、悪かったな♪」

 

 

クラウンピース「…ったくぅ~」

 

 

魔理沙「ま、レーザー系の弾幕は奥が深いんだ、お前たちも試行錯誤して色々試してみてくれよな」

 

 

生徒一同「はーい!」

 

 

チルノ「よし、魔理沙! あたいは今から試すよ! 弾幕勝負しようよ!」ウズウズ

 

 

魔理沙「何がよし、なんだかわからんがまぁいいぞ♪ 売られた喧嘩は買うぜ!」

 

 

チルノ「よっしゃ♪ 校庭で勝負だ!」

 

 

大妖精「!! みんな! チルノちゃんを全力で応援しようね!? ねっ!?」

 

 

ミスティア、リグル「お、おう…」

 

 

ぬえ「何であいつあの妖精のことになるとあんなになるんだろうな」

 

 

こころ「あの表情は…まだない」

 

 

こいし「恋の香りがするねー♪」

 

 

フラン「魔理沙! それ終わったら地底に盗みに行った時の話を聞かせてよ!」

 

 

魔理沙「おう良いぞ、でも盗みに行ったわけじゃないからな! 死ぬまで借りてんだぞ?」

 

 

チルノ「行くぞ魔理沙!」

 

 

魔理沙「あれから強くなったか試してやるぜ! かかってきな!」

 

 

 

 

 

 

 

妹紅「弾幕ごっこし始めちゃったな、慧音、どうだ?」

 

 

慧音「うーん…生徒と直ぐに仲良くなるその技量はあるとしても盗みの話はちょっとな」

 

 

妹紅「だよなぁ」

 

 

 

 霧雨魔理沙、検討!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《カリスマの権化! レミリア先生!》

 

 

《担当教科、カリスマ》

 

 

 

妹紅、慧音「…」

 

 

妹紅「先生をやらせるのか?」

 

 

慧音「あぁ、せっかく来てくれたんだからな…大丈夫…だろう、うん」

 

 

慧音(…何故カリスマを教える)

 

 

藍、紫「 」チーン

 

 

 

 

 

レミリア・スカーレット(ふっふふふっ…あーっはっは! これよ、こっちよ上白沢慧音!)バーン

 

 

レミリア(生徒…? 私が寺子屋に通うとしたら教師としてよ、それ以外あり得ないわ!)ドーン

 

 

レミリア(さぁ~て♪ このお子ちゃま達に私のカリスマとはなんなのかたーっぷりと教え込んであげるわ! 感謝しなさい、上白沢慧音!)バゴーン

 

 

生徒一同「…」

 

 

ぬえ「あいつ何腕組んでニヤニヤしてんだ?」

 

 

こころ「楽しさと嬉しさに満ち溢れてる表情だ」

 

 

こいし「フランちゃんのお姉ちゃん何を教えてくれるのかなー♪」

 

 

フラン「はぁ…」

 

 

ミスティア「よく遊んでくれるよね、レミリアさん」

 

 

リグル「だよね、ほんとに先生なの?」

 

 

橙「うーん、先生…というよりこっち側なんじゃ」

 

 

レミリア「あーっはっはっは!」

 

 

生徒一同「!?」

 

 

レミリア「よーく聞きなさいがきんちょ達、このレミリア先生が今から特別で素晴らしい授業をしてあげるわ!」

 

 

レミリア「題して! スカーレットデビルのスペシャルカリスマ講座よ!」

 

 

生徒一同(えぇ…)

 

 

ぬえ(だせぇ!)

 

 

こころ(能楽の本、まだ読み途中だったな)スッ

 

 

クラウンピース「あれマジで言ってんの?」ヒソヒソ

 

 

サニー「たぶん」ヒソヒソ

 

 

ルナ「本気なんだ」ヒソヒソ

 

 

スター「カリスマって教えられるものなの?」ヒソヒソ

 

 

大妖精(ち、チルノちゃんが変なこと言い出したら止めないと…!)

 

 

ミスティア(大ちゃん頑張れ!)

 

 

リグル(超頑張れ!)

 

 

大妖精(が、頑張るよ!)

 

 

フラン(は、恥ずかしい…! お願いお姉様もう喋らないで)

 

 

こいし(う~ん退屈だなぁ…! あっ、閃いた♪)

 

 

チルノ「ん~? なぁレミリア、カリスマって何だ?」

 

 

レミリア(来た!)

 

 

レミリア「ふっふっふ…いい質問ねチルノ」

 

 

レミリア「カリスマ…たった四文字のこの言葉、一言で終わってしまう儚い言葉だけど奥が深く、高貴で美しく! 紅魔の如き輝きを放つ言葉なのよ!」

 

 

チルノ「おー!」

 

 

レミリア「一言では語れない純潔さをも併せ持つ言葉、カリスマ…この言葉に相応しい人物がこの幻想郷にはいるの」

 

 

レミリア「そう! それはこのカリスマという言葉の権化とも言われているこの私! レミリア・スカーレット!」

 

 

チルノ「おぉー!」

 

 

フラン(割りとマジでお姉様やめてよ…)

 

 

レミリア「カリスマパワー溢れるこの私が、カリスマパワー無しのあなたたちに教えてあげるわ! そう、カリスマとはこ」

 

 

ルーミア「カリスマとは特定の人物に宿る特別な能力や資質をあらわす概念みたいなもんなのだー♪ 特定の個人、身分、社会組織、象徴、事物とかになー? 他とは異なる超自然的、超人間的、非日常的な力や性質がそなわっているとみんなに分かってもらえてる場合になー? それらのもつ特質をカリスマというのだー♪」

 

 

レミリア「!!!??」

 

 

ミスティア、リグル、大妖精(なっ…!? なにぃぃ!?)

 

 

チルノ「? ? ルーミア、つまりどういうこと?」

 

 

ルーミア「カリスマカリスマ言っている奴にはカリスマなんかねーのだー♪」

 

 

レミリア「!!?」ガーン

 

 

大妖精(うわあぁ…! ルーミアちゃんがいるの忘れてたぁ…!)orz

 

 

ミスティア(また爆弾落として行きましたね)

 

 

リグル(今回のは大きい爆弾ですねぇ)

 

 

橙(ルーミアは物知りだなぁ、私も見習わないと!)

 

 

フラン(お姉様のバカ…)

 

 

ぬえ「あいつ良く知ってんな」

 

 

こころ「同じ黒服なのにぬえっちとは大違いだ」

 

 

ぬえ「おい!」

 

 

チルノ「じゃあレミリアにはカリスマなんかないんじゃんか」

 

 

レミリア「なっ!? 何を言っているのかしら!? 私はカリスマの権化なのよ!? カリスマは常に」

 

 

 フッ

 

 

こいし「んばぁー♪」ダキッ

 

 

レミリア「うひゃあ!?」ビクッ

 

 

フラン「こいしちゃん!?」

 

 

こいし「あはは♪ いきなりレミリアさんの背中に抱き付いてみましたー♪」

 

 

レミリア「う、うぁ…うっ…」

 

 

レミリア「う~☆」カリガ

 

 

フラン「あぁ…」

 

 

こいし「あれ? レミリアさんカリスマについて教えてくれないの? そこんところ詳しく教えてほしいなー♪」

 

 

レミリア「う~☆」カリガ

 

 

チルノ「カリガだー!? 大ちゃん見て見て! あれが魔理沙の言ってた伝説の防御技だよ!」

 

 

大妖精「あぁうん…そうだね…」

 

 

ミスティア「諦めちゃったね大ちゃん」

 

 

リグル「大ちゃんの戦いはこれまでか」

 

 

ルーミア「カリスマガード…わはー♪」

 

 

フラン(もう…お姉様のバカ)スッ

 

 

フラン「…お姉様」

 

 

レミリア「ふ、フラン…!」

 

 

フラン「辛かったら帰っていいからね? 無理しないでよ、咲夜に全部話して気持ち落ち着かせてゆっくり休んで? お姉様のカリスマは私たちがちゃんと分かってるから、ね?」ヒソヒソ

 

 

レミリア「! …うん」ヒソヒソ

 

 

フラン「みんなごめん、レミリア先生体調が悪いみたいだから今日は帰るって」

 

 

こいし「あれれ、そうなの?」

 

 

レミリア「…」

 

 

チルノ「え? あんなに元気だったのになん」

 

 

大妖精「チルノちゃん! レミリアさんは…ほら…えっと、ほら! 吸血鬼だから朝の日差しが当たっちゃったんだよきっと、吸血鬼には辛いな~日差しは!」

 

 

チルノ「あ~そうなんだ、なら仕方ないか」

 

 

ルーミア「そういうことにしといてやるの」

 

 

大妖精「黙ってルーミアちゃん…!」ゴゴゴ

 

 

ルーミア「!? わ、わはー…」

 

 

ミスティア「大ちゃん大復活」

 

 

リグル「よかったよかった」

 

 

レミリア「フラン…」ヒソヒソ

 

 

フラン「なに?」ヒソヒソ

 

 

レミリア「ありがと…」ヒソヒソ

 

 

フラン「! …♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

慧音、妹紅「…」

 

 

妹紅「フランはレミリアのことあいつ呼ばわりしてるから仲が悪いと思ってたんだが」

 

 

慧音「ふふっ、普通に仲の良い姉妹じゃないか」

 

 

妹紅「だな♪ う~ん、でもよ慧音」

 

 

慧音「レミリアは寺子屋には縁が無いのだろう、誘ったことも悪いことをしたな…」

 

 

妹紅「向き不向きは誰にでもあるからな、しょうがないさ」

 

 

慧音「今度レミリアに詫びをしに行こう、誘った事も含めて本当に悪いことをしてしまったな」

 

 

 

 レミリア・スカーレット、姉妹愛故のリタイア!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《世界は広いぞ! マミゾウ先生!》

 

 

《担当教科 外の世界史》

 

 

 

妹紅「お、狸の旦那じゃないか」

 

 

慧音「本居小鈴や人里の住人達が良く世話になっていると聞く、どんな授業をするのだろうな」

 

 

藍「狸ぃぃ!」ガバッ

 

 

慧音、妹紅「!?」ビクッ

 

 

慧音「な、なんだ復活したのか」

 

 

藍「あぁなんとかな…それよりもたぬ」

 

 

妹紅「自分の主が何でああなってるのか聞かないのか?」

 

 

紫「 」チーン

 

 

藍「罰が当たったんだろうな、そのうち復活するだろうから放っといていいさ、そんなことよりも狸だ」プンスカ

 

 

妹紅、慧音(何だかんだ言っても主と同じこと言うんだな…)

 

 

藍「ちゃんと見ていないと危ないぞ、狸は人を化かす妖怪だ、子供でも容赦しないから何をするか分からんぞ…!」

 

 

妹紅「何をそんなに身構えてるんだよ…狸の旦那はそんなことしないと思うけど」

 

 

慧音(一時妹紅と手を組んで異変の解決に一役買ったらしいが、まぁ今回は関係ないか…さて、外の世界史か)

 

 

 

 

 

 

マミゾウ「初めましての者が多いか? 儂は二ツ岩マミゾウ、見ての通り狸の妖怪じゃ、よろしくな」

 

 

大妖精「見ての通りって…」

 

 

チルノ「え? 人間じゃないの?」

 

 

こころ「マミー、こすぷれしてたら人間に見えるよ」

 

 

マミゾウ「コスプレじゃなくて変化じゃ変化、ほれほれ、尻尾があるじゃろう?」フリフリ

 

 

ミスティア「あ、本当だ」

 

 

フラン「わぁー♪ モフモフだぁ♪」

 

 

ぬえ「はっ…! 中途半端な変化だなぁ!? 私なら尻尾すら残さないけどな!」

 

 

マミゾウ「……そういや昔、完璧に変化するあまり隠れ事で最後まで誰にも見つけてもらえなくて儂に泣きついて来た妖怪がおったかのう」ニヤニヤ

 

 

ぬえ「!?」

 

 

フラン「隠れ事?」

 

 

マミゾウ「かくれんぼの事じゃよ」

 

 

サニー「かくれんぼで泣く?」

 

 

スター「恥ずかしいわね」

 

 

ルナ「私たちすぐ見つかっちゃうもんね」

 

 

こいし「私は見つからないもんなぁ~♪ でも泣かないよ♪」

 

 

ルーミア「なーなー、その妖怪って誰なんだー?」

 

 

マミゾウ「え~っとなんじゃったかのう、顔は猿で尻尾は蛇の…あ、あぁ思い出した、確かぬ」

 

 

ぬえ「ま、まままマミゾウ先生! 早く授業をしようよ! ね? ね!?」

 

 

マミゾウ「くくく…なんじゃぬえ、そう急かさんでも授業は逃げんぞ?」ニヤニヤ

 

 

ぬえ(くっそぉ、覚えてろよマミゾウ…!)

 

 

マミゾウ(とか思ってるんじゃろうなぁ、相変わらず面白い奴よ♪)

 

 

大妖精「あの、それでその衣装はいったい何の衣装なんですか?」

 

 

マミゾウ「おぉ気になるか、これは外の世界の教師が身に付けるもんでな、スーツというんじゃ」

 

 

チルノ、ルーミア、大妖精「すーつ?」

 

 

マミゾウ「そうじゃ、外の世界の教師は大抵こういった服装で生徒の前に立ち、授業をしているのじゃ」

 

 

フラン「へぇー、でも変なのー」

 

 

こいし「動きにくそうだねー」

 

 

マミゾウ「確かに動き辛いのう、ツンツルてんじゃし」

 

 

チルノ「ツルツル?」

 

 

マミゾウ「これも言い方が古いか、背丈に対して小さい服のことじゃ」

 

 

チルノ「へー、マミゾーは物知りだなぁ」

 

 

橙(紫様もああいう服持っていたのを見せてくれたなぁ、外の世界の服だったんだ)

 

 

クラウンピース「? 何で外の世界の事にそんな詳しいのさ」

 

 

マミゾウ「そりゃあ儂が外の世界から来た妖怪だからじゃよ」

 

 

生徒一同「へぇー!」

 

 

マミゾウ「お? 外の世界の事に興味があるか?」

 

 

生徒一同「!」コクコク

 

 

マミゾウ「ほうかほうか、なら儂が答えられる範囲で答えてやるぞい、外の世界の文化等を知るのも経験になるじゃろうからな、一応外の世界史志望じゃしな、儂」

 

 

マミゾウ(まぁ幻想郷のルールに従って質問は上手く捌いてやるぞい、華扇にも言ってはならぬ事もあると言われたしな)

 

 

マミゾウ「じゃあ、何か質問はあるかの?」

 

 

 はい! はい! はーい!

 

 

マミゾウ「おうおう、そう慌てるでないぞ? 一つずつ答えてやるからな、じゃあまずそこの氷の妖精」

 

 

チルノ「なぁなぁ! 外の世界にも雪って降るのか!?」

 

 

マミゾウ「もちろん降るぞ、外の世界にも季節があるからのう、半年以上に渡って降ってるところもあるぐらいじゃしな」

 

 

チルノ「へぇー♪ 雪合戦とかやりたい放題じゃん!」

 

 

大妖精「毎日チルノちゃんと…良い…最高♪」ドキドキ

 

 

ミスティア、リグル、橙「大ちゃん!?」

 

 

マミゾウ「毎日は流石に飽きんかのう…いや、若いから平気なのかの」

 

 

マミゾウ「ほいじゃ、次、おらぬか?」

 

 

 はーい! はい!

 

 

マミゾウ(ふぉっふぉっふぉっ♪…たまにはこういうのも悪くないのう)

 

 

こころ「マミー楽しそうだ」

 

 

ぬえ「私は全然楽しく無いけどな」

 

 

こころ「嘘を付く奴は閻魔に舌を抜かれるぞ」スッ

 

 

ぬえ「いててっ! 舌をひっひゃんな!」

 

 

こころ「これが閻魔の表情」スチャッ

 

 

ぬえ「そんなもんあんのかよ!?」

 

 

マミゾウ(こころもぬえも楽しくやっとるみたいじゃな、心配するだけ損したぞい♪ この埋め合わせは…ふっ、どうしようかのう…ぬえ?)ニヤニヤ

 

 

ぬえ「!? なんか嫌な感じが!」

 

 

 

 

 

 

 

妹紅「ほえ~、流石だな狸の旦那! 面白い授業するじゃん、それに面倒見も良いもんな」

 

 

慧音「あぁそうだな、これは文句なしに合格だ」

 

 

藍「なっ!? 採用するのか!?」

 

 

慧音「そのつもりだが」

 

 

藍「狸が教師ぃ…!? 認めないぞ私は、断固反対する!」

 

 

妹紅「いや、何でそんなに噛み付くんだ?」

 

 

紫「くっだらないわねぇ、まだ仲悪いの?」

 

 

妹紅、慧音(あ、復活した)

 

 

藍「くだらない!? 狸は本当に嫌な奴等で」

 

 

紫「あなたが嫌いなのとここでの教師云々は話が別でしょう? 真実ではないことをべちゃくちゃ言ってるあなたの方が狸に化かされてる様に見えるわよ?」

 

 

藍「…! くぅ…」

 

 

妹紅「…マミゾウの旦那と何があったんだよ」

 

 

紫「種族の違いの問題よ、しかも狐側の一方的な奴ね…聞いても面白くも何とも無いわよ?」

 

 

慧音「面白いとかそういう、まぁ深くは聞かないよ」

 

 

 

 二ツ岩マミゾウ、合格!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後編へ続く!

 

 







 まだまだ濃い先生はたくさんいます、後編で話をまとめます、幻想郷の住人みんな濃いですけどね…


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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御依頼その弐 【寺子屋教師を大発掘!】後編


 
 こちらは『スキマボックスシリーズの寺子屋編の後編』になります、先に『前編と中編』を読んでいただければと思います。

 先生達はやっぱり濃い…



 それでは始まります♪



 

 

 【人里寺子屋 執務室AM10:30】

 

 

 

八雲紫「あら、じゃあレミリア帰っちゃったの?」

 

 

上白沢慧音「あぁ、妹に助けられてな」

 

 

紫「見たかったわ、カリスマデビルのカリスマ授業」

 

 

藤原妹紅「気絶してなきゃ見られたのにな」

 

 

紫「だって~♪ 霊夢から愛のムチをされたんだからしょうがないじゃない♪」

 

 

妹紅「アレを愛のムチと捉えるか」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「…? あなたまだ狸の事でうじうじしてんの?」

 

 

藍「違いますよ、狸のことはもういいんです」

 

 

慧音「どうかしたのか?」

 

 

藍「橙がすごく楽しそうな顔をしていると思ってね」

 

 

妹紅「? 毎日その顔見てんだろ?」

 

 

紫「もこたん、家族と友達は違うのよ」

 

 

妹紅「もこたん言う…? どういう意味だ?」

 

 

紫「例え笑顔でも色んな笑顔があるものよ、家族と接しているときの笑顔、友達と接しているときの笑顔…それは別の意味…」

 

 

藍「私達八雲の家では見られない、そういう笑顔だ」

 

 

慧音「橙は良く笑う子だよ、あの子は周りから一歩引いて物事の良し悪しを冷静に考えられる力を持っている、私はそう感じるよ」

 

 

紫「! ……慧音」

 

 

慧音「ん?」

 

 

紫「…いえ、終わってからにしましょう」

 

 

慧音「…?」

 

 

藍(…)

 

 

妹紅(家族、か…私にはもう分からないかもな)

 

 

藍「あ中断させてしまってすまない、次行こうか」

 

 

慧音「あぁ、分かった」

 

 

紫「さぁ、お次は誰かしら♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《七色の人形使っちゃう! アリス先生!》

 

 

《担当教科 家庭科》

 

 

 

紫「あらアリス」

 

 

藍「彼女が自ら進んでこういうところに来るのは珍しいですね」

 

 

妹紅「そうなのか?」

 

 

紫「そーなのだー♪」

 

 

紫「わはー♪」

 

 

妹紅「わ、わはー…///」

 

 

紫「照れながらもやってくれるもこたん好き」

 

 

妹紅「う、うっせぇ…///」

 

 

慧音(アリスか、正直期待しかないな♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス・マーガトロイド「針と糸の使い方は分かったわね? それじゃあその材料でぬいぐるみを作ってみて、時間はたっぷりあるから怪我しないようにね」

 

 

アリス「作りたい物は任せるわ、誰かにプレゼントとかでも良いのよ?」

 

 

生徒一同「はーい!」

 

 

アリス「ふふっ…♪」

 

 

アリス(結構楽しいものね、教えるのって♪)

 

 

 

サニーミルク「う~んむずかしいなぁ…霊夢さんの針見てるから上手く出来ると思ったんだけど」

 

 

スターサファイア「あれ一応妖怪退治用の針よ? よしっと…ここをこうして」

 

 

ルナチャイルド「針見てるだけで上手く出来ると思うサニーがすごいわね…」

 

 

 

フランドール・スカーレット(アリスにはぬいぐるみたくさんもらってるし、咲夜から教わった事あるからこういうのは得意♪)

 

 

古明地こいし「お姉ちゃーん♪ 今縫ってあげるからね♪」

 

 

クラウンピース「物騒に聞こえるのはあたいだけ? …友人様に兎のぬいぐるみを作ろうかな」

 

 

 

秦こころ「面なら簡単なんだが、むずい」

 

 

封獣ぬえ「~♪」

 

 

こころ「むむむ、ぬえっち上手だな」

 

 

ぬえ「こんなん簡単じゃん、糸がどこにどう来るのか分かれば楽勝だって」

 

 

こころ「伊達に三ツ又の針振り回してないな」

 

 

ぬえ「あれは槍だ!」

 

 

 

橙「♪~」

 

 

ミスティア・ローレライ「わっ、橙上手だね」

 

 

橙「藍様が洋服縫っているところをいつも見てるからね、見よう見まねだけどどうかな?」

 

 

ミスティア「良く出来てる! ねぇ、リグルもそう思わない?」

 

 

リグル・ナイトバグ「…」

 

 

橙、ミスティア「? リグル?」

 

 

アリス「あら、どうしたの?」

 

 

リグル「いや…その…」

 

 

アリス「?」

 

 

リグル「こういう針で一体何匹の虫たちが標本にされたのかなぁって、あははは…」

 

 

ミスティア、橙「えっ…!?」

 

 

アリス「そんなこと考えちゃダメよ…色々とダメよ、うん」

 

 

リグル「前に人里で昆虫標本図鑑を見ちゃって…私も標本に」

 

 

アリス「しないわよ、大丈夫だから!」

 

 

 

 

ルーミア「わはー♪ 肉の完成なのだ~♪」

 

 

大妖精「ルーミアちゃん、そのお肉は何のお肉なの?」

 

 

ルーミア「……にんげ」

 

 

大妖精「ごめん、私には二千年早かったね」

 

 

ルーミア「ん~?」

 

 

大妖精(…良し、できた)

 

 

アリス「あら、すごい上手ね!」

 

 

大妖精「! えへへ…そ、そうですか?」

 

 

アリス「えぇチルノのぬいぐるみ…デフォルメされたって感じがすごく良いわ、改心の出来ね♪」

 

 

大妖精「ありがとうございます!」

 

 

チルノ「おっしゃ出来た!」

 

 

アリス「ふふっ♪ チルノは何を…!?」

 

 

大妖精、ルーミア「!?」

 

 

チルノ「アリス、出来たぞ~!」

 

 

アリス「ち、チルノ…聞いても良い?」

 

 

チルノ「ん?」

 

 

アリス「こ、この…何とも形容し難い緑色の綿とフェルトの山は何なのかしら…?」

 

 

チルノ「は? 何言ってんだよー、どっからどう見ても大ちゃんじゃん」

 

 

アリス「これこの子なの!?」

 

 

大妖精「へあっ!!?」

 

 

ルーミア「ぶふっ…! …!? くくくっ…!」プルプル

 

 

アリス「……はっ!? そ、そうよね! ご、ごめん、これは…ま、紛れもなく大妖精だわ! 良く見るとこの部分はこの子の髪の毛の部分だもんね!」

 

 

チルノ「そう! いやあアリスは話が分かるね!」

 

 

大妖精「…」

 

 

大妖精「チルノちゃん、私すごく嬉しいよ」

 

 

チルノ「! ほんと!?」

 

 

大妖精「うん! 私を作ってくれてありがとう」

 

 

チルノ「! にしし♪ 大ちゃんこそありがと、これあたいなんでしょ? スッゴい嬉しいよ!」

 

 

アリス「…!」

 

 

アリス(そうよね、大切なのは作られた物じゃなくて、作ってくれたっていう気持ち…それが一番よね)

 

 

チルノ「じゃあ今度はあたいがあたいのぬいぐるみを作るから大ちゃんも自分のぬいぐるみ作ってよ、それで交換して家に飾ろう♪ そしたら二人一緒だもんね♪」

 

 

大妖精「うん!」

 

 

大妖精(チルノちゃん、最初驚いちゃってごめんね)

 

 

ルーミア「…」

 

 

アリス「…?」

 

 

ルーミア「わはー、これは笑えねーのだー♪」

 

 

アリス「そういう自制心はあるのね…あなた」

 

 

 

 

慧音「うん、文句なしだ、合格!」

 

 

妹紅「ここで人形劇してくれるとかでもありがたいよなぁ」

 

 

紫「裁縫ねぇ…昔に私がマフラーを縫っているときに横で毛糸玉をコロコロしてた藍が可愛いかったわねぇ♪」

 

 

藍「ちょっ…!?」

 

 

 

 

 アリス・マーガトロイド 合格!

 

 

 

 

 

 

 

《探し物は何ですか? ナズーリン先生!》

 

 

《担当教科 レクリエーションとプチ道徳》

 

 

 

妹紅「命蓮寺の鼠か、どんな授業してくれるんだろうな」

 

 

慧音「彼女はかなりの切れ者だと聞くが、はてさて」

 

 

紫「小さな小さな賢将さん、藍は大きな大きな知将さん」

 

 

藍「えっ…!? あ、ありがとうございます…///」

 

 

紫「ね? 直ぐ照れるでしょ、可愛いわ♪」ヒソヒソ

 

 

妹紅「…何だかんだ仲良いよな、ほんと」

 

 

慧音(ふふっ…さて、賢将の授業を拝見するか)

 

 

 

 

 

 

 

 

ナズ「むう…」

 

 

こころ「どうしたナズ、困った表情だ」

 

 

ぬえ「あいついつも寺で困った顔してないか?」

 

 

こいし「ナズーリン先生、何困ってるんですかー?」

 

 

ナズ「聞いてくれるか?」

 

 

生徒一同「うん」コクコク

 

 

ナズ「ありがとう、実はな…私の米粒型のペンデュラムを無くしてしまってな」

 

 

ぬえ「あの菱形のやつか」

 

 

チルノ「ひしがた?」

 

 

大妖精「えっと…ほらチルノちゃん、こういう形を菱形って言うんだよ」カキカキ

 

 

チルノ「あ、なんか見たことある」

 

 

橙「どこで無くしたんですか?」

 

 

ナズ「確か最後に見たのはこの教室だったか、君たちが来る前に慧音殿にこの教室を見させてもらった時かな」

 

 

フラン「じゃあこの部屋にあるんだね」

 

 

ナズ「恐らくね、まぁあんな物が無くても授業は出来るから、気にしないで」

 

 

チルノ「良し! 皆、探すぞ!」

 

 

生徒一同「おー!」

 

 

ナズ「…♪」

 

 

ナズ「待ってくれ、さっきも言ったがそれが無くても授業に支障は」

 

 

チルノ「でも先生困ってるんだろ?」

 

 

ナズ「…まぁ、ね」

 

 

チルノ「だったらあたいたちで探すよ! あたいたち頑張るからさ!」

 

 

ナズ「しかし…」

 

 

こころ「ナズ、困った時は人を頼れって寺でナズに教わったぞ」

 

 

こいし「無いのなら♪ 探してやろう♪ ペンデュラム♪」

 

 

ナズ「…すまない、頼めるか?」

 

 

こころ「おう」グッ

 

 

大妖精「必ず見つけますから!」

 

 

ぬえ「わ、私はまだ探すなんて言ってないぞ」

 

 

こころ「まだか、じゃあ今すぐ言うんだ」

 

 

ぬえ「だ、誰が言うか!」

 

 

サニー「米粒なんでしょ…?」

 

 

ルナ「見つからないよね」

 

 

クラウンピース「めんどくさいなぁ…」ボソッ

 

 

ナズ「皆、ありがとう… ! そうだ、探してくれたらここにある人里の高級菓子店の特製あめ玉を」

 

 

ぬえ「探すか! 良し探してやるよ!」

 

 

クラウンピース「高級ならしょうがないなぁ! 探すよ!」

 

 

サニー「やるわよ! ルナ! スター!」

 

 

ルナ「もちろん!」

 

 

スター「はぁ…ルナ、転んでペンデュラムを潰さないようにね」

 

 

ルナ「だ、大丈夫よ! たぶん…」

 

 

スター(あめ玉もそうだけどやけに都合が良いような…)

 

 

ナズ(ふふっ…♪)

 

 

 

 

 数分後

 

 

 

クラウンピース「まさかあんたが見つけるとはね…」

 

 

ルナ「お手柄ね、サニー」

 

 

サニー「ふふん! やってやったわ!」

 

 

スター「あなたの能力を使って光を屈折させて光を乱反射してやれば、ピカピカ光るんじゃないかって思い付いたのは私だけどね、探し物は金属だから」

 

 

サニー「うっ…! で、でも見つけたのは私だもん!」

 

 

スター「見つけられる切っ掛けは私が作ったのよ、サニーだったら思い付かなかったでしょ?」

 

 

サニー「ス、スターに言われなくても思い付いてたわよ!」

 

 

スター「嘘ばっかり」

 

 

サニー「嘘じゃない!」

 

 

スター「嘘よ!」

 

 

ルナ「ちょ、ちょっと…! なんで喧嘩になるのよ!」

 

 

スター「大体サニーは…!」

 

 

サニー「スターだって…!」

 

 

 

 ぎゃー! ぎゃー!

 

 

 

ルナ「あわわ…」

 

 

ナズ「待て、何故喧嘩になるんだ」スッ

 

 

ルナ「! 先生…」

 

 

ナズ「喧嘩はやめたまえ、ルナチャイルドの言うとおりだぞ」

 

 

ナズ「君たちが協力してくれたお陰で私のペンデュラムが見つかったのは事実なんだ、素直に感謝するよ、スターサファイア、サニーミルク、本当にありがとう」

 

 

サニー、スター「…!」

 

 

ナズ「スターが案を出し、サニーが見つけた…見つけた時の君たちの顔はキラキラとしていて喜びに満ち溢れていた…あの時の顔は忘れられないよ、とても楽しそうだったね、ルナ」

 

 

ルナ「は、はい!」

 

 

スター「あ、あれは先生の探し物が見つかったから…」

 

 

ナズ「私の為に見つけてくれたのは嬉しいさ、でもそれは二の次でいい、もっと大切なものが君たちの中で生まれたんじゃないかな?」

 

 

ナズ「二人…いや、君たちの場合三人かな? 思い返してごらん、探している時楽しかっただろう?」

 

 

スター、サニー「…!」

 

 

ナズ「楽しかった思い出で喧嘩するのは悲しい事だ、どっちが見つけたかよりもどうやって見つけ出したか…を思い出として大切にしてほしい」

 

 

スター、サニー「…」

 

 

ルナ「二人とも、私は転んだら大変だから角の方でじっとしてただけ、だから偉そうなこと言えないけど」

 

 

ルナ「先生の言うとおりだよ、探すのは大変だったけど大切なのは楽しんで、協力しあって探した事だと思うの、だから仲直りして?」

 

 

スター、サニー「…! ……」

 

 

スター「…サニー、ごめん」

 

 

サニー「!」

 

 

スター「自分の手柄にだけ固執しすぎてあなたを傷つけてしまったわ…本当にごめんなさい」

 

 

サニー「わ、私の方こそごめん…! この中で自分だけ見付けられたのが嬉しくてその、その…えと…」

 

 

スター「…天狗?」

 

 

サニー「そう! 天狗になってた……ごめんなさい、スター」

 

 

サニー、スター「…」モジモジ

 

 

ルナ「…ふふっ、言えたじゃない♪」ニコッ

 

 

スター、サニー「!」

 

 

ルナ「はい、これで仲直りよ、いつものサニーとスター! 元通りね!」

 

 

サニー「…! うん!」

 

 

スター「ふふっ…! そうね♪」

 

 

ナズ「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

スタスタ

 

 

 

ぬえ「…ナズーリン、お前さ」

 

 

ナズ「? なんだいぬえ、それと私は今先生だぞ? お前呼ばわりは感心しないな」

 

 

ぬえ「…!」

 

 

ナズ「ふふっ♪ 聖とマミゾウどっちが良い?」

 

 

ぬえ「くそぉ! やっぱり鼠はやり方が汚いぞ!」

 

 

ナズ「私には褒め言葉だぞ」

 

 

ナズ(ぬえにですら感づかれたのなら…他にも気づいた子達がいるかな)

 

 

こころ(ナズ、わざとか)

 

 

大妖精、橙(あれ? なんで『楽しそうだった』なんて先生言ったんだろう…大切な物を無くして大変だった筈じゃ…)

 

 

チルノ「ぐぬぬ! 次はあたいが見つけるからな! 負けないぞ!」

 

 

スター「次なんて無いわよ、先生がまた物を無くさない限りね」

 

 

サニー、ルナ「そうだそうだ!」

 

 

チルノ「ぬぐぐ…」

 

 

大妖精「あの、先生、良かったんですか? 私たちまで飴をいただいて」

 

 

ナズ「良いんだよ、私は探してくれたらと言ったんだ、皆探してくれたからそのお礼だよ、私の授業が終わったら食べるといい」

 

 

ナズ「みんな探してくれてありがとう、お陰で私のペンデュラムは手元に戻ってきた、感謝するよ」

 

 

ナズ「無くした私が言える立場ではないが…みんなは大切な物はどこかに無くしたりはしてないか?」

 

 

ミスティア「大切な物?」

 

 

ナズ「そう、人から貰った物や自分で作ったもの、代々受け継がれてきた家宝…」

 

 

ぬえ、こころ「家宝? …あっ」

 

 

ナズ「! ん``ん``…と、とにかくそういうものは無くしてから改めてその有り難さに気付くことが多いんだ、是非その有り難さに気付き、今後も大切にしていってくれ」

 

 

生徒一同「はーい!」

 

 

フラン「大切な物…か」

 

 

こいし「えっと~お姉ちゃんに~♪ お燐に~♪ お空に~♪ …意外と多いなぁ、私の大切な物♪」

 

 

ナズ(ふふっ…♪ そう、人との繋がりでも良いんだ、大切にな♪)

 

 

ナズ(さて、私の役目はここまでかな、後は…)

 

 

ナズ(…)

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

寅丸星『あ、ナズ』

 

 

ナズ『なんだいご主人、私は今日人里の寺子屋に予定があるんだが』

 

 

星『あ、そうなんですか! ではついでに宝塔を探して来てくださいね』

 

 

ナズ『!?』

 

 

星『よろしく頼みましたよ! では!』

 

 

ナズ『あっ! こらご主人どこに行く! 待ちたまえ!』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

ナズ(あんなついでに牛乳買ってきてみたいに宝塔を探して来いなどと…価値を知れ価値を…!)イライラ

 

 

 

 

 

慧音、妹紅「お~…」

 

 

妹紅「感心するな、見ていて安心するよ」

 

 

慧音「賢将と呼ばれているだけはあるな、ナズーリン先生か、うん合格だ」

 

 

藍「賢将殿は見事だろう? 私も慧音の立場なら間違いなく合格にしているよ」

 

 

紫「あらら? あなたあの鼠と接点あったの?」

 

 

藍「え!? あ、いや…」

 

 

紫「…最近あなた怪しくない?」

 

 

藍「そ、それは妖怪的な意味でですか…?」

 

 

紫「私に隠し事してる意味で?」

 

 

藍「!!」ギクッ

 

 

紫「…」ジーッ

 

 

藍「…!」メソラシ

 

 

妹紅「また何をしてるんだか」

 

 

慧音「さあ…?」

 

 

 

  ナズーリン、合格!

 

 

 

 

 

 

 

《さあ! かかってきなさい! 天子先生!》

 

 

《担当教科 言わないわ!》

 

 

 

妹紅「確か天人のやつか、何をしてくれんのかな」

 

 

慧音「『言わないわ!』とはどういう…天界の知識でも教えてくれたりとかか?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「紫様…」

 

 

紫「分かってるわよ、行き先は妖怪の山の湖にしましょ」

 

 

妹紅、慧音「?」

 

 

 

 

 

 

比那名居天子(こ、こんなにたくさん妖怪やらなんやらが集まってるなんて…! 大チャンス♪)

 

 

天子「ふふっ…ふふふふっ♪」

 

 

少年A「な、なんかあのお姉ちゃん怖くない?」

 

 

少年B「そう? 綺麗な人だと思うけ」

 

 

天子「あぁ!? 弱っちい人間は黙ってなさい!」

 

 

少年A.B「えぇ!?」

 

 

天子「…えっとリグル、だったかしら」

 

 

リグル「あ、はい、天子先生、なんですか?」

 

 

天子「指食い千切り虫」

 

 

リグル「はい!?」

 

 

天子「指食い千切り虫とか頭噛み砕き虫とか…そういうのはいないの? ねぇ! いないの!?」

 

 

リグル「ひっ!? そ、そんな子いませんよ!」

 

 

天子「あぁん!?」

 

 

リグル「ひぃっ!」

 

 

天子「チッ、最近の虫も弱っちいのねぇ」

 

 

ミスティア、スター(な、何を言ってるの!?)

 

 

橙、サニー、ルナ、大妖精(こ、この人怖いよぉ…!)

 

 

ぬえ「お、おい! お前能力使ったのか…!?」ヒソヒソ

 

 

クラウンピース「使うわけないだろ…!」ヒソヒソ

 

 

こころ「あれは素なのか」

 

 

天子「お♪ あなたはレミリアの妹よね♪」

 

 

フラン「う、うん」

 

 

天子「噂で聞いたことあるわ、あなた燃える剣を出せるそうね♪」

 

 

フラン「レーヴァテインのこと…?」

 

 

天子「? まあ名前なんてどうでもいいのよ」

 

 

天子「さあ出しなさい! 出してその剣で私を刺し貫きなさい今すぐに!」

 

 

フラン「えぇ!?」

 

 

天子「燃える剣…ロマンだわ♪ 私ねまだそういう剣で焼き斬られた経験が無いのよ…♪ 想像しただけで天にも昇る気持ちだわ…! っ! あぁぁん♪」

 

 

フラン「!?」ゾクッ

 

 

こいし「付け合わせにキャッチアンドローズはいかがですか♪」

 

 

フラン「こいしちゃん!?」

 

 

天子「そ、それは一体!?」

 

 

こいし「私のこの触手であなたを捕まえて~♪ 薔薇で覆ってー、ぶん投げる♪」

 

 

天子「良い! 最高ね! そんなの初めての経験よ!」

 

 

天子「! そうだわ! あなたが私をぶん投げて、あなたが私を刺し貫く! コンボで私は最高の…! ふふふふふっ♪」

 

 

こいし「じゃあ行くよー♪」スッ

 

 

フラン「こ、こいしちゃん! 教室でそんなことしたら」

 

 

天子「何処でも痛みは共通よ! さぁ来なさい♪」

 

 

こいし「そぉっ…れっ!」スッ

 

 

 ギューン! ギュオン!

 

 

天子「初めての経験♪ どんな痛みなのかしら! わくわくがとまらないわぁってあぁぁぁ…!」ヒュー

 

 

 ギュオン!

 

 

生徒一同「えぇ!? 落ちたぁ!?」

 

 

こいし「? あれ? 避けられちゃった」

 

 

チルノ「どこ行ったんだろ?」

 

 

大妖精「落ち…たよね? でも穴なんてこんなところに…」

 

 

橙(紫様…? 紫様のお力だよね…紫様、ありがとうございます)

 

 

 

 

藍「素晴らしいタイミングです、紫様」

 

 

紫「当然よ♪」

 

 

慧音「感謝するぞ紫、あのまま続けていたら教室に乗り込んで頭突きを天人に食らわすところだった」

 

 

妹紅「私もだ、こっちに引っ張って来て燃やし尽くすところだったぞ!」

 

 

紫「それじゃあいつのご褒美になるわよ? 痛みを追い求める究極生物には何処か遠くに飛ばしてあげるのが一番」

 

 

妹紅「あんな狂人が紛れ込んでいるとはな」

 

 

慧音「生徒たちには後で忘れてもらうように言っておこう」

 

 

 

 

 比那名居天子、妖怪の山の湖に強制送還!

 

 

 

 

 

 

 

 

《楽しい大人の時間♪ 青娥先生!》

 

 

《担当教科 大人の保健体育》

 

 

 

紫、藍、妹紅「…」

 

 

紫「一応見てみる?」

 

 

藍「一応…はい」

 

 

妹紅「一応、な」

 

 

紫、藍、妹紅「…」チラッ

 

 

慧音「…」ゴゴゴゴ

 

 

紫「今にも教室に乗り込みそうなんだけど」

 

 

妹紅「け、慧音! 万が一ってこともあるぞ! だから見てみようよ」

 

 

慧音「…」ゴゴゴゴ

 

 

妹紅(こ、こえぇ)

 

 

 

 

 

霍青娥「はぁーい♪ 皆さんこんにちは♪ 青娥娘々です、よろしくね♪」

 

 

チルノ「? にゃんにゃん? 猫なのか?」

 

 

大妖精「青娥先生…? で大丈夫だと思うよ」

 

 

こころ「お、にゃんさん」

 

 

ぬえ「え…おいあいつ大丈夫か?」

 

 

ミスティア「え? 何が?」

 

 

ぬえ「いや、だってあいつは」

 

 

青娥「こらこら、先生をあいつ呼ばわりはダメですよ?」

 

 

ルーミア「にゃんにゃん先生は何を教えてくれるのかー?」

 

 

青娥「良い質問です♪ ここに…よいしょっと…♪ はい、みんな大好き芳香ちゃんです♪」

 

 

宮古芳香「んおー? ここはどこだー青娥ー」

 

 

生徒一同「何処から出てきたの!?」

 

 

青娥「うふふ♪ この芳香ちゃんを使って保健体育の実技をしていきたいと思いま~す♪」

 

 

チルノ「実技? って何をするんだ?」

 

 

青娥「それは大人の保健体育の実技です♪ 直接見てもらった方が早いですね、では始めていきます♪」

 

 

青娥「まず、芳香ちゃんを四つん這いにしてあげます♪」

 

 

芳香「痛いぞー、その関節は曲がらないぞ青娥ー」

 

 

青娥「そして~♪ ここからが重要です♪ 優しく、優しく芳香ちゃんの服の上からこうやっ」

 

 

 ドガン!!

 

 

白沢慧音「オラァ!!」

 

 

生徒一同「先生!?」

 

 

青娥(あらあら、時間切れ♪ 逃げましょう芳香♪)

 

 

芳香(んー?)

 

 

 

 スッ ギュイン サッ

 

 

 

白沢慧音「破廉恥な悪い先生は何処だぁ! 私は許さんぞ!」

 

 

ミスティア「先生!? な、何で変身してるんですか!?」

 

 

橙「あ、あれ!? 青娥先生は…?」

 

 

リグル「あれ? いないね…」

 

 

白沢慧音「おのれ逃がしたか…! 皆すまん邪魔したな!」スッ

 

 

 ガララ バタン

 

 

こころ「すごい勢いだったな」

 

 

ぬえ(は、半人半獣だとは聞いてたけどマジだったのかよ、しかもあいつ結構強いんだな…!)

 

 

チルノ「ん~、ねぇ大ちゃん、実技って何なの?」

 

 

大妖精「チルノちゃんは知らなくて良いの」

 

 

チルノ「え? でもあたい知りたいよ」

 

 

大妖精「知らなくて良いの」

 

 

チルノ「だ、大ちゃ」

 

 

大妖精「知らなくて良いの…! いい…?」ゴゴゴゴ

 

 

チルノ「お!? お、おう…」

 

 

ルーミア「チルノ、それはなー? 男と女がまぐわ」

 

 

大妖精「黙れ…!!」ゴゴゴゴ

 

 

ルーミア「うひゃっ!?」ビクッ

 

 

ミスティア「だ、だだだ大ちゃんが…!」

 

 

リグル「い、いつもの大ちゃんじゃない…!」

 

 

 

 

 

 

紫「そりゃあ変身もするわよね」

 

 

妹紅「邪仙め…子供たちに何を教えようとしてんだ」

 

 

藍「まったくだ、やはり最初から止めるべきだったな」

 

 

紫「あの邪仙…霊夢に近づいて来るのよね、個人的にゆっくり話した方がいいかもねぇ」

 

 

 

 霍青娥、教師に不適合!

 

 

 

 

 

 

 

 

妹紅「大丈夫か? 無理して変身なんかするから…」

 

 

慧音「はぁ…はぁ…や、やっぱりキツいな…」

 

 

紫「あなた満月じゃなくても変身できたのね、満月エネルギーでも貯めてるのかしら」

 

 

紫「そんな事よりも流れが悪いわ、教師不適合者を二人も出してしまうとは…依頼を受けたこっちの不手際ね」

 

 

紫「二度あることは三度あってはならないのよ! というわけで藍、あなた行ってきなさい」

 

 

藍「えっ!? わ、私ですか!?」

 

 

紫「計算教えてあげれば良いじゃない、ほら行った行った」

 

 

藍「うぅ…なんか嫌な予感が」スタスタ

 

 

妹紅「次は藍か、大丈夫…か?」

 

 

紫「まぁ、うちの狐の底力を見てなさいな♪」

 

 

 

 

《ちえぇぇぇぇぇん! 藍先生!》

 

 

《担当教科 算数》

 

 

 

橙「ら、藍様!」

 

 

藍「橙、今の私は教師だ、家族間の事は置いておいて藍先生と呼びなさい」

 

 

橙「! はい! 藍先生♪」ニコッ

 

 

藍「うっ…!」

 

 

橙「?」

 

 

藍(い、いかん何て破壊力だ…! 先生呼びにこれほどの…くっ…! こ、心を乱すな八雲藍! 生徒達の前で醜態を晒す訳には)

 

 

藍「そ、そそそれでは授業を始めよう、ではこの教科書の」

 

 

 

 せーのっ

 

 

 

藍「ん? 何か言っ」

 

 

チルノ「モフモフし隊! 総員突撃!」

 

 

生徒一同「おーっ!」

 

 

藍「なっ!?」

 

 

 

 ドタバタドタバタ!

 

 

 

藍「うおおおおぉぉっ!?」ドサッ!

 

 

 

 モフモフ! モフモフ!

 

 

 

藍「うわっ!? な、何をするんだ! やめろぉ!」

 

 

こいし「うわー♪ すごいモフモフだー」

 

 

フラン「ぬいぐるみより良いー♪」

 

 

チルノ、ルーミア、サニー、ルナ「いやっほぅ!」

 

 

ぬえ「…」ウズウズ

 

 

こころ「ぬえっち、私の幻想郷はここにあったと言いながら尻尾に飛び込むんだ」

 

 

ぬえ「だ、誰が行くか!」

 

 

スター「ま、まだまだこ、子供ね」ウズウズ

 

 

クラウンピース「ほ、ほんとだよね! 同じ妖精とは思えないよ、あ、あはは」ウズウズ

 

 

大妖精「う…」ウズウズ

 

 

ぬえ、スター、クラピ、大妖精(さ、触りたい…!)

 

 

ミスティア「素直になりなよ」

 

 

リグル「モフモフしたいと思うその気持ちが大事なんだよ」

 

 

スター、クラウンピース、ぬえ、大妖精「!?」

 

 

橙「ら、藍様ー!」

 

 

藍「やめろぉ! あぁぁぁぁ…」

 

 

 

 

 

紫、慧音、妹紅「…」

 

 

紫「うちの狐が力不足ですいません…」

 

 

慧音「いえいえ、教師をやっていただいただけでも感謝しています」

 

 

妹紅「その小芝居はなんだよ…慧音、お前までやってどうする」

 

 

紫「八雲家の無理矢理適応術の一つ、その場のノリに乗らせる」

 

 

妹紅「無理矢理かよ!」

 

 

 

 八雲藍、モフられてやる気ダウン!

 

 

 

 

《新たな新境地! 衣玖先生!》

 

 

《担当教科 踊り》

 

 

 

藍「うごぁ…おぉぉ…」ピクピク

 

 

紫「随分モフられたわね、毛先が枝分かれして二十本ぐらいに見えるわよ?」

 

 

妹紅「大半倒れてる姿しか見てない気がする」

 

 

慧音「すまん、子供たちがやんちゃしすぎたな」

 

 

紫「藍が不甲斐ないのがいけないのよ、さて次はっと…」

 

 

 

 

 

 ~♪ ~♪ ~♪

 

 

永江衣玖「はい、そこでターンターンステップです!」

 

 

チルノ「よっ、ほっ、はっ!」

 

 

こいし「クルクルクルリン♪」

 

 

ぬえ「いてて、お前よくそこで回れんな」

 

 

こころ「能に似てるからな♪」

 

 

フラン「たのしー♪」

 

 

ルナ「痛い!」ベチャッ

 

 

スター「そこでこけるの!?」

 

 

ルーミア「わははー♪」

 

 

衣玖「はい、最後です! ここでー…ポーズ!」スッ

 

 

 

 シャキーン!

 

 

 

生徒一同「キャーイクサーン!!」

 

 

衣玖「ふふっ♪ 皆さん良く頑張りましたね、お疲れ様でした」

 

 

チルノ「ふぅー、面白かったー♪」

 

 

ルーミア「楽しかったなー♪」

 

 

大妖精「二人ともすごいね、私付いていくのが精一杯だったよー」

 

 

スター「足を動かすとこじゃないのに何でこけたの?」

 

 

ルナ「分かんないわよ、足が勝手に…」

 

 

サニー、スター「動かしてないのに!?」

 

 

ルナ「動かしてないのによ! うぅ…」

 

 

ぬえ「…何か今さ、口が勝手に動かなかったか?」

 

 

クラウンピース「『キャーイクサーン』って? 奇遇だね、あたいも」

 

 

ぬえ、クラウンピース「?」

 

 

衣玖「楽しんでいただけましたか?」

 

 

こいし「うん♪ とっても楽しかったー」

 

 

フラン「私も♪ 今度パチュリーにも教えてあげようっと」

 

 

衣玖「それは何よりです、是非教えて差し上げてくださいね♪」

 

 

衣玖(こういう場を設けていただいた紫さんたちには感謝をしなければなりませんね)

 

 

衣玖(ダンス…初めは抵抗感がありましたがこんなにも奥深く、素晴らしい物だったとは思いもしませんでしたね)

 

 

衣玖(それに…)

 

 

 キャーイクサーン!

 

 

衣玖(あの言葉に快感を覚えてしまっている私がいることは確か…総領娘様の事は言えないのかもしれませんね…これは秘密にしておかなくては)

 

 

衣玖(しかし何故この天を指差すポーズであの言葉が皆様の口から勝手に)スッ

 

 

 

 シャキーン!

 

 

 

生徒一同「キャーイクサーン!」

 

 

衣玖(あっ)

 

 

ぬえ「!? ほ、ほらな!?」

 

 

クラウンピース「ど、どうなっちゃってるんだ…!?」

 

 

衣玖(む、無意識にやってしまった…でも癖になりそうです…///)

 

 

 

 

 

紫「いきなり私のところに来て『踊り…ダンスの本はありますか?』とか聞いてきたから何事かと思ったけど独学で勉強したのね、結構様になってるじゃない♪」

 

 

慧音「その様な経緯があったのか、そういう経歴は幻想郷では珍しい、永江衣玖は努力家なのだな」

 

 

妹紅「チルノたちも楽しそうだったしな、合格だろ?」

 

 

慧音「あぁもちろん合格だ、永江殿…人柄も良いし個人的にも話合ってみたいものだな」

 

 

藍「…」

 

 

藍(ここで私の推薦が永江殿だと言ったらまた紫様に悟られる…黙っておこう)

 

 

 永江衣玖、合格!

 

 

 

 

 

 

 

 

《妹がお世話になってます さとり先生!》

 

 

《担当教科 幻想郷心理学》

 

 

 

紫「あら、さとりも来てたのね」

 

 

妹紅「こいしの姉ちゃんか、地底から来てくれたんだな」

 

 

慧音「地底での仕事が忙しいと聞くが、本当に良く来てくれた」

 

 

藍「さとりも期待度は高いですね、それに安心です」

 

 

紫「まぁ、さとりだもんねぇ♪」

 

 

 

 

 

古明地さとり「この様に妖怪は心を攻められると途端に弱くなってしまいます…罵倒、叱咤など妖怪に対するハラスメントは極力避けた方が良いでしょう、初対面なら特にです」

 

 

生徒一同「ほ~…」

 

 

大妖精「私たち妖精は違うんですか?」

 

 

さとり「大きく異なります、あなた方妖精は自然そのもので心を攻められる程度ではその生き方に何も不自由はないでしょう」

 

 

さとり「ですが罵倒されたりして傷付いてしまう心を持っているのは妖精も同じです、双方暴力で解決しない間柄であるのなら人間も妖怪も妖精も神ですらも話し合うということを忘れないでください」

 

 

生徒一同「はーい!」

 

 

さとり「ふふっ…」

 

 

さとり(手を取り合って協力…紫さん、あなたの幻想はもう完成してますか?)

 

 

こころ「…」

 

 

ぬえ「どした?」

 

 

こころ「話は興味深い、だがさっきからなんだこころこころと、こころばっかりだ」

 

 

ぬえ「あ?」

 

 

こころ「さとりんは私の事が好きなのか」

 

 

ぬえ「心な? こころの名前呼んでる訳じゃないからな?」

 

 

こころ「それはそれで寂しいな」

 

 

ぬえ「…名前で呼んでくれる友達沢山いるだろ、お前には」

 

 

こころ「ぬえっちは家族みたいなものだけどな」

 

 

ぬえ「!? っ…///」

 

 

こころ「…ふっ、照れたか」

 

 

ぬえ「う、うるさいなぁ!」

 

 

こころ「…♪」ニコッ

 

 

 

 

さとり「…こいし?」

 

 

こいし「ん~♪」

 

 

さとり「私の授業は聞いてたの?」

 

 

こいし「聞いてた♪」

 

 

さとり「そう、ありがとう、でもね?」

 

 

さとり「授業中ずっと私に抱き着くのはどうかと思うの」ズシッ

 

 

こいし「だって~、お姉ちゃんの側にいたいんだもん」

 

 

さとり「側すぎよ、教室内にいるんだからそれで良いと思うんだけど」

 

 

こいし「嫌なのだー♪」

 

 

さとり「わはー♪ ってこら、こいし」

 

 

こいし「えへへ…」

 

 

さとり「まったくもう…」

 

 

さとり「…暖かい」ボソッ

 

 

こいし「お姉ちゃん何か言った?」

 

 

さとり「…何でもないわ」

 

 

こいし「…そっかそっか♪ 暖かいかぁ」

 

 

さとり「!? こ、こいし! からかわないの!」

 

 

こいし「ははは♪」

 

 

 

 

 

紫「どう慧音?」

 

 

慧音「問題ない、合格だ」

 

 

藍「昔のさとり妖怪のイメージはもうないんですね、安心しました」

 

 

妹紅「良いことじゃないか、ただ地底の仕事もあるだろうから本当に暇なときだな」

 

 

慧音「あぁ、要相談だな」

 

 

 

 古明地さとり、合格!

 

 

 

 

 

《姫様が出ろって言うから… 鈴仙先生!》 

 

 

《担当教科 薬の知識》

 

 

 

妹紅「鈴仙ちゃんか! 来てくれたんだな…あいつに言われてだが」

 

 

慧音「まぁまぁ…鈴仙の授業を見てみようじゃないか」

 

 

紫「蕎麦の打ち方を教えてくれるのかしら」

 

 

藍「薬の知識と書いてありますよね!? 後そこはうどんじゃないんですか!?」

 

 

紫「そこで即座にうどんを連想する藍は面白いわ♪」

 

 

 

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ(うっわー…やっばい、ここに立つとすっごい緊張する…!)

 

 

鈴仙(でもやらないとこの後絶体てゐと師匠と姫様にいじられるし…が、頑張りましょう! 頑張れ私!)

 

 

鈴仙「えーっと…私は皆に薬の知識を教えてあげるわ」

 

 

チルノ「薬?」

 

 

鈴仙「そう、用法容量を守って正しく飲んだり使ったりしないと薬は時として毒に」

 

 

チルノ「そんなものよりおうどん食べたい」

 

 

鈴仙「!?」

 

 

大妖精「ちょっ…! チルノちゃん、うどんさ…いやいや鈴仙さんが授業してくれるのにそれは」

 

 

チルノ「大ちゃんあたいお腹すいた」

 

 

大妖精「分かるよ! すっごい分かるよ!? でも鈴仙さんがせっかく」

 

 

チルノ「それにさ大ちゃん、薬のこと? を教えてもらってもさ」

 

 

チルノ「あたいたち薬いらないじゃん」

 

 

大妖精「…あ」

 

 

鈴仙「なっ!?」

 

 

ルーミア「飲まねぇのだー」

 

 

ミスティア「病気になったことないもんね」

 

 

リグル「ないね」

 

 

橙「な、ないけど…でもお薬の知識は大事だよ?」

 

 

フラン「パチュリーが作ってくれるからなー、作るの苦手みたいだけど」

 

 

こいし「お姉ちゃんの虚弱体質を治す薬はありますか?」

 

 

鈴仙「は、はぁ!?」

 

 

クラウンピース「地獄に薬なんか必要ないし」

 

 

こころ「薬は眠くなると聞いたな、あまり飲みたくない」

 

 

ぬえ「苦いんだよ、いらないな」

 

 

鈴仙「りょ、良薬口に苦しと言う言葉を知らないの!?」

 

 

ルナ「あれ、でもこの前あの薬剤師さんのとこ苺味のお薬出してなかったっけ?」

 

 

サニー「あ、そうだよね」

 

 

スター「ないわ…今時苦い薬なんて、それが許されるのは人間までよね」

 

 

鈴仙「ななっ!? なぁ!?」

 

 

ルーミア「肉味の薬はないのかー?」

 

 

チルノ「味つきの薬かー、ならうどん味の薬くれ!」

 

 

鈴仙「んなもんあるわけないでしょ!?」

 

 

鈴仙(だ、ダメだ…! 向いてない…! 私に教師なんて絶体向いてない!)orz

 

 

鈴仙(あぁぁぁ…やっぱり私教師なんて無理だよぉ…)orz

 

 

橙、大妖精「あ、あの…」

 

 

鈴仙「!」

 

 

橙「わ、私たちに薬の知識を教えていただけませんか?」

 

 

大妖精「私たち頑張って覚えますから!」

 

 

鈴仙「…ふっ、そんなお情けで私は救えないわよ…これからいじられていじられていじられまくるんだから」

 

 

橙、大妖精「え…」

 

 

鈴仙「もうだめだぁ…一週間ぐらいおしまいだぁ…咲夜助けてぇ…」

 

 

橙、大妖精「えぇ…」

 

 

 

 

 

 

紫「鈴仙…南無」

 

 

藍「人前に立つことにあまり向いてない…んですかね、きっと」

 

 

妹紅、慧音「…」

 

 

妹紅「鈴仙ちゃんは頑張ったよ、うん」

 

 

慧音「あぁ、そうだな」

 

 

妹紅「今度一緒に飲みに行ってくる」

 

 

慧音「そうしてあげてくれ…」

 

 

 

 鈴仙・優曇華院・イナバ、 ストレス!

 

 

 

 

 

 

 

《二人でやるわよん、純狐&ヘカーティア先生!》

 

 

《担当教科 頑張る》

 

 

 

慧音「お、幻想郷の新人さんだな」

 

 

妹紅「頑張るって…特に決めてないのか」

 

 

紫「彼女たちは好きよ、いろんな意味で♪」

 

 

藍「月がらみと…なんだろう」

 

 

 

 

 

クラウンピース「うげっ…」

 

 

生徒一同「うげっ?」

 

 

ヘカーティア・ラピスラズリ「! あんた今私の事見て『うげっ』って言ったわよね!?」

 

 

クラウンピース「な、なんのことかな…! あははは…」

 

 

ヘカーティア「誤魔化そうったってそうはいかないわよん? 近頃あんたの私に対するご主人度数が下がりっぱなしなのよ!」

 

 

クラウンピース「変T度数が上がるよりましだと思いますけどね…」ボソッ

 

 

ヘカーティア「何ですって!?」

 

 

純狐「ティア、そんなに怒らないで? みんな見てるわ」

 

 

生徒一同「…」

 

 

ヘカーティア「! …ごめん、純狐」

 

 

純狐「良いのよ、分かってくれれば、みんなごめんね? 怖くなかった?」

 

 

生徒一同「はい」

 

 

純狐「そう! 良かったわ」ニコッ

 

 

大妖精(優しそうな黒い服の金髪の人と…)

 

 

橙(ちょっと怖そうな変な服の赤髪の人…)

 

 

フラン「クラピちゃんのお知り合いなの?」

 

 

クラウンピース「んっ!? う~んと…いいですよね? 教えても」

 

 

純狐「もちろん、むしろお願いするわクラウンピース」

 

 

クラウンピース「教卓の前の人が純狐って言うんだ、見た目通り優しくて頼りになるお人なのさ、ちなみに神霊なんだ、あたいは友人様って呼んでる」

 

 

純狐「! クラウンピース、そんな風に私の事を…!」キラキラ

 

 

クラウンピース「…///」

 

 

チルノ「ん? ゆうじん? じゅんこ? どっちが名前なんだ?」

 

 

クラウンピース「純狐だよ、友人様は通称だ、あたいがそう勝手に呼んでんの」

 

 

チルノ「へー、純狐って言うのか、よろしくな! 純狐!」

 

 

生徒一同「よろしく~!」

 

 

純狐「! よ、よろしくね」

 

 

純狐(可愛いわ、子供は大好き…癒されるわね…♪)

 

 

こいし「クラピちゃん、あの人は?」

 

 

クラウンピース「…」

 

 

ヘカーティア「…」

 

 

クラウンピース「ヘカーティアさん、地獄の女神、強い、短気、三人一組、友人様の親友、一応あたいのご主人様」

 

 

ヘカーティア「おいいぃ!!」ガバッ

 

 

生徒一同「!?」

 

 

クラウンピース「いっ!?」

 

 

ヘカーティア「なんで他人行儀なのよ! それに説明が短絡的過ぎだわ!」

 

 

クラウンピース「全部事実じゃないですか! まさかご主人様がここに来るなんて思いもしなかったからちょっとおちょくってあげようと思っただけですよ!」

 

 

ヘカーティア「はぁぁ!? あんっ…! あんたねぇ! それが自分の主人に対する態度なの!?」

 

 

クラウンピース「ご主人様にとやかく言われたくないですね! 特にこんな人の多いところで大手を振ってその変なTシャツで現れる様な人にはね!」

 

 

ヘカーティア「私の変Tを侮辱する気!?」

 

 

クラウンピース「自分で変Tって言っちゃってるじゃん!」

 

 

ヘカーティア「罪は重い! 表に出なさい! 弾幕勝負よ!」スッ

 

 

クラウンピース「良いですよ! それならあたいにも勝機がありますからね!」スッ

 

 

 

 スタスタ

 

 

 

生徒一同「行っちゃった…」

 

 

純狐「ティア、クラウンピース! あぁ、行ってしまった…」

 

 

サニー「地獄の女神様…ってマジなのかな?」

 

 

スター「地獄の妖精がここにいるから、マジかもよ?」

 

 

こいし「そういえばお空に変な格好の人が地獄にいるって聞いたことあったような」

 

 

フラン「地獄の事聞いてみたかったなぁ」

 

 

こころ「クラピと仲が良いんだな変Tさんは」

 

 

ぬえ「あの地獄の女神と親友のあいつはなにもんだよ」

 

 

ルーミア「なーなー、女神なのにどうしてあんなにダセェTシャツ着てるんだー?」

 

 

大妖精「ちょっ!?」

 

 

純狐「それは親友である私でも分からないの、ただあの服はティアにとってとても特別な物らしいの…前に私に着てみないかと聞かれたことがあったんだけど」

 

 

純狐「流石に私でもあれは着れない…わね」

 

 

生徒一同「ですよね~…」

 

 

ミスティア「…純狐先生は何を教えてくれるんですか?」

 

 

純狐「そ、それは…」

 

 

純狐「ご、ごめんなさい、決めてないの…」

 

 

リグル「え…?」

 

 

純狐「『私が内容言うから純狐は生徒の対応してね♪』って…内容に関してはまだ聞いてなくて」

 

 

ルナ「何を教えてくれようとしたのかな?」

 

 

ルーミア「Tシャツ授業かー?」

 

 

純狐「否定出来ないわ…うーん、どうしましょう」

 

 

チルノ「じゃあ純狐の事を教えてよ!」

 

 

純狐「え? わ、私のこと?」

 

 

チルノ「あたいたち初めて会ったじゃん、クラピの説明だけじゃ分からなかったから純狐の事知りたい!」

 

 

橙「うん、そうだね! でもあの女神様の事も私は知りたいです!」

 

 

大妖精「ならお互いに自己紹介しませんか? 純狐先生、お願いします!」

 

 

純狐「え、えぇ! 分かったわ」

 

 

純狐(子供たちの優しさが身に染みるわね…ふふっ♪)

 

 

チルノ「じゃああたいから! あたいチルノ! 最強なの! 趣味はカエルを凍らせること! よろしくな!」

 

 

純狐「!? ち、チルノちゃん…!」

 

 

チルノ「?」

 

 

純狐「そのカエルを凍らせることについて詳しく教えてくれるかしら! チルノちゃんの事についても詳しく聞きたいわ!」

 

 

チルノ「お、おう! 良いぞ」

 

 

ぬえ「何でカエルに食いついたんだ…?」

 

 

ルーミア「カエルケロケーロなのだー♪」

 

 

 

 

 

妹紅「慧音、どうだ?」

 

 

慧音「良いと思うぞ、子供たちと助け合って前に進む事は素晴らしい、何より子供たちを大切にしているという気持ちが伝わる…純狐殿、彼女には期待を込めて合格とさせてもらおう」

 

 

妹紅「…あの奇抜な服の方は?」

 

 

慧音「すまないが、ノーコメントだ」

 

 

紫「…」

 

 

藍(…あれ、何で紫様は黙ってるんだろうか)

 

 

紫(気に入ってくれてるみたいね♪ あなたたちにこの幻想は合っていたようね♪)

 

 

紫(ふふっ、改めて歓迎するわ♪ 私の愛する幻想郷に♪)

 

 

妹紅「そういや、なんでカエルにあんなに反応するんだ? 食い付き方が異常だ」

 

 

紫「月の民にカエルの女がいるからよ」

 

 

妹紅、慧音「え…?」

 

 

 

 純狐、合格! ヘカーティア、様子見!

 

 

 

 

 

《もこたんよりは出来る! 輝夜先生!》

 

 

《担当教科 国語》

 

 

 

妹紅「あ``ぁ``!?」ボオ

 

 

紫「あちちっ、もこたん火出てるわよ?」

 

 

藍「燃える! 燃えるから火をしまえ!」

 

 

慧音「輝夜で最後か、みんなよく付き合ってくれたな」

 

 

藍「おい! 何をそんなに冷静でいるんだ!」

 

 

慧音「あ…すまん、見慣れているもんだからつい」

 

 

紫「慧音もたまにボケるわよね」

 

 

妹紅「何か変なこと言い出したら二秒でぶっ飛ばす、何かしても二秒でぶっ飛ばす」ブツブツ

 

 

 

 

 

蓬莱山輝夜「ここを…チルノ、読んでくれるかしら」

 

 

チルノ「おう! えと」

 

 

チルノ「それは私の…弓てんてん、弓てんてんさがゴボウかたなくちがことだった」

 

 

生徒一同「……え?」

 

 

輝夜「チルノ、これは弱いって読むの『よわい』よ、それからこれは招いた『まねいた』よ」

 

 

チルノ「おー! そーなのかー」

 

 

ルーミア「バカなのかー?」

 

 

チルノ、ルーミア「わはー♪」

 

 

チルノ「っておい!」

 

 

ルーミア「わはは♪」

 

 

スター「弱いを『弓てんてん弓てんてん』と読むのはある意味すごいわ…」

 

 

ルナ「奇跡に近いよね」

 

 

こころ「てへんをゴボウと表現する表現力は見習いたい」

 

 

ぬえ「見習うなよ」

 

 

スター(でもチルノって知らない物は知らないままだけど覚えるとそれが何なのか、漢字だったら読み方とか意味とかはずっと覚えてるのよね…不思議だわ)

 

 

輝夜「ふふっ♪ じゃあチルノ、ここもう一回お願いね?」

 

 

チルノ「おう!」

 

 

チルノ「『それは私の弱さが招いたことだった』」

 

 

輝夜「お見事、よく読めたわね、偉いわチルノ」ナデナデ

 

 

チルノ「にしし♪」

 

 

大妖精「良いなぁ…輝夜先生…」

 

 

ミスティア「そっちなんだ」

 

 

リグル「撫でられたいんじゃなくて撫でたいんだね、大ちゃん」

 

 

大妖精「……どっちもなんだけど」

 

 

リグル、ミスティア「!?」

 

 

 

 

 

 

妹紅「…」イライラプスプス

 

 

紫「もこたん貧乏揺すりやめてよ、それに焦げ臭いわ」

 

 

妹紅「分かってるよ、分かってるけどイライラがとまんねぇ…」

 

 

藍「輝夜は教養が良いからそつなくこなすな」

 

 

慧音「あぁ…でもたぶん…」

 

 

紫、藍「?」

 

 

 

 

 

輝夜「はい、ここまでよ、お疲れ様♪」

 

 

生徒一同「終わったー」

 

 

チルノ「じゃあ、先生!」

 

 

ルーミア「やるかー?」

 

 

輝夜「えぇ…じゃあ始めましょうか」

 

 

 バン!

 

 

大妖精、橙、スター「え」

 

 

輝夜「第七回! げんきげんきもこたんの会、緊急会議!」

 

 

生徒一同「いえーい!」

 

 

大妖精、橙、スター「えぇ!?」

 

 

輝夜「隊員たち! もこたんについて何か報告はあるかしら!?」

 

 

ミスティア「はい!」

 

 

輝夜「ミスティア隊員、報告して」

 

 

ミスティア「二日前、慧音先生と私の店に来たもこたん、もこたんは慧音先生と二人での飲みで楽しかったのか派手に酔っ払ってしまいました、そこでもこたんは慧音先生に普段やらないあることをしました」

 

 

輝夜「ほう、なんだ」

 

 

ミスティア「箸で大根を摘まんで慧音先生にあ~んしてあげました!」

 

 

生徒一同「なにぃ!?」

 

 

輝夜「ぷはっ…! ふふっ…あっはは♪」クスクス

 

 

チルノ「もこたんのあ~ん…だと…!?」

 

 

ルーミア「我々の業界でも見ることは不可能とされていたのに…」

 

 

輝夜「あっははは! ふっ…ふふっ、ふっあはは…こ、こんな感じかしら」

 

 

輝夜「『慧音ぇ…もこたんからのあ~んだよぉ?食べて? たべてよぉ…』」

 

 

生徒一同「あはははっ!」

 

 

 ドカーン!

 

 

妹紅「かぐやぁぁぁぁ!!!」ボオォォ!

 

 

輝夜「あらら♪」

 

 

 ドゴッ! ズザザザ

 

 

輝夜「危ないわねもこたん、生徒に当たったらどうするのよ」

 

 

妹紅「ぶっ飛ばす!! 右の拳でぶっ飛ばす!」

 

 

輝夜「はっ…! 相手を仕留める事しか頭にないの? まるで獣ね、も・こ・たん♪」

 

 

妹紅「うおおお!」

 

 

輝夜「聞く耳持たずか、良いわよ! ここは校庭! 思う存分殺り合いましょう!」

 

 

 

 ドゴッ ドガッ! バコッ!

 

 

 

藍「いやいや! 校庭でも駄目だろ!」

 

 

慧音「あぁ…やはりこうなったか」

 

 

紫「でも生徒たちは大盛り上がりよ?」

 

 

 いけー! そこだー! 

 

 

 

藍「もう弾幕勝負でもないのに…」

 

 

紫「それで慧音、輝夜はどうなの?」

 

 

慧音「あれがなければ充分に合格なんだが」

 

 

 

 

輝夜「最初にもこたんと言い出したのは誰だと思う?」

 

 

妹紅「!?」

 

 

輝夜「私だ」

 

 

妹紅「お前だったのか」

 

 

輝夜「暇をもてあました」

 

 

妹紅「蓬莱人の」

 

 

輝夜、妹紅「遊び」

 

 

妹紅、輝夜「あはははっ…♪」

 

 

妹紅、輝夜「……」

 

 

 

 

妹紅「てめぇぇぇ!!」

 

 

輝夜「おーっほっほ♪」

 

 

 

 ドゴーン!

 

 

 

紫「もこたんがいない時にで良いんじゃない?」

 

 

慧音「そうだな…」

 

 

藍「それよりも止めなくて良いんですか!?」

 

 

 

 

 

 こうして寺子屋の先生探しは終わりを迎えた

 

 妹紅と輝夜の戦いを見届けた後、生徒の皆は遅い昼食を食べた、もちろん生徒と共に残っていた先生たちも一緒にお昼を食べ、楽しいお昼を過ごした

 

 

 そして下校時間、慧音は先生たちも交え生徒たちに全てを見ていたこと、合格の通知、臨時で来てくれる項の説明等々、全てを丁寧に説明した

 

 

 そして下校。

 

 

 

 

博麗霊夢「いや、何で一緒に帰るのよ」

 

 

ルナ「だって家近いですし」

 

 

スター「見捨てないでくださいよ」

 

 

サニー「帰ろう霊夢さん!」

 

 

霊夢「手を繋ごうとしないの、まったく…」

 

 

 

 

霧雨魔理沙「納得いかないぜ、なんで私が保留なんだよ」

 

 

アリス「盗みの話は流石に不味いわよ、私のハートを盗んだ話ならしても良いけ」

 

 

魔理沙「してないし、しないからな」

 

 

 

 

フラン「帰って良いって言ったのになんで待っててくれたの?」

 

 

レミリア「そ、それは霊夢が待ってるって言うから…」

 

 

さとり「嘘ですね『可愛い妹を置いていけない』ですか、姉の鑑ですね」

 

 

こいし「鑑ですね♪」

 

 

レミリア「ちょっ…さ、さとり!?」

 

 

フラン「! そっか♪」

 

 

レミリア「ふん…♪」

 

 

こいし「今カリスマが上がった様に思えましたがそこんところどうなんですか♪」

 

 

レミリア「えっ…!? マジで!?」

 

 

さとり(…ふふっ♪)

 

 

 

 

衣玖「妖怪の山の湖…? あ、うどんげさん、総領娘様探しにご協力ありがとうございます」

 

 

鈴仙「良いの良いの、帰りたくないから…」

 

 

衣玖「…探し終えたら私の家に来ます?」

 

 

鈴仙「! 行く! 絶体行く! 衣玖さん家行く!」

 

 

 

 

 

二ツ岩マミゾウ「ほれほれ、おばあちゃんと一緒に帰ろうの」

 

 

ぬえ「子供扱いすんなこら」

 

 

こころ「中身は子供だろう」

 

 

ぬえ「何だと!?」

 

 

ナズ「実際、微笑ましい家族にしかみえんぞ?」

 

 

ぬえ「やめろよ、こんなんがばあちゃんとか私がもたないよ」

 

 

ナズ「じゃあお母さんか」

 

 

ぬえ「はぁ!?」

 

 

マミゾウ「テストの点数は? あらあら! 九十点! ぬえ、お母さん嬉しいわ!」

 

 

ぬえ「やめろぉ!」

 

 

こころ「正直マミーはどっちでもいけると思うぞ」

 

 

 

 

クラウンピース「あの友人様…手を離してくれませんか?」

 

 

純狐「え? 何故?」

 

 

クラウンピース(恥ずかしい…///)

 

 

ヘカーティア「下校はお母さんと手を繋いで帰るものよ、ね? 純狐」ニヤニヤ

 

 

純狐「そうよ流石…♪ 分かってるわね、ティア」

 

 

ヘカーティア「当然よん♪」ニヤニヤ

 

 

クラウンピース(こんにゃろう、間接的に仕返ししてやがる…)

 

 

 

 

チルノ「みすちーの屋台の準備手伝ってから帰ろう!」

 

 

大妖精「あ、うん! そうだね!」

 

 

リグル「頑張ろう!」

 

 

ルーミア「ちょっとつまむかー♪」

 

 

ミスティア「ありがたいけどつまみ食いはダメだよ!」

 

 

ミスティア(イタズラされないならいいか…)

 

 

橙(…)

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

紫『橙、先にお友達と一緒に帰りなさい、私たちはちょっと用事があるから』

 

 

藍『その後はマヨヒガに来なさい、今日の夜は一緒に食べよう』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

橙(紫様、藍様ありがとうございます)

 

 

チルノ「橙、早く来なよー」

 

 

ルーミア「食べちゃうぞー?」

 

 

ミスティア「品を!? それとも何!?」

 

 

橙「あ、うん! 今行くよ」タタタ

 

 

橙(でも何でお二人が寺子屋に…?)

 

 

 

 

 

紫「いい加減にしなさいなって」

 

 

妹紅「いてっ! おらっ!」ゲシッ

 

 

輝夜「いたっ! このっ!」ゲシッ

 

 

藍「倒れてもまだやるか…」

 

 

妹紅、輝夜「倒れてない!」

 

 

藍「仰向けで倒れてるだろうが! ボロボロのその状態で蹴り会うな!」

 

 

妹紅、輝夜「そりゃあ、こいつが先に蹴るから…」

 

 

妹紅、輝夜「…」

 

 

妹紅、輝夜「あ``ぁ``ん!?」

 

 

藍「もう勝手にしろ…」

 

 

慧音「はははっ…」

 

 

紫「蓬莱人は野蛮ねぇ♪」

 

 

慧音「……紫、藍、今日は本当にありがとう、感謝しても仕切れんよ」

 

 

紫「良いのよ♪ 依頼されて、それを私たちは受けた…それだけのことよ」

 

 

藍「紫様の言う通りだ、これは幻想郷の管理人としてのお勤めだからな」

 

 

紫「また仕事に結びつける、慈善事業よ」

 

 

藍「そうしないと私の身が持たないんです」

 

 

紫「はいはい、ゆかりん頑張って仕事してますって? 勘弁してほしいもんだわ」

 

 

慧音「ふふっ…紫、これは私からは干渉出来ないんだな?」

 

 

紫「そうよプチスキマボックス♪ 臨時の先生達の暇があればあなたに手紙を書き、もうひとつのプチスキマボックスへと届く、それで寺子屋に来てもらって授業をする」

 

 

藍「皆にも説明しましたしね、使い方は分かるでしょう」

 

 

慧音「あぁ分かったよ、ありがとう」

 

 

藍「ふぅ、任務完了ですね」

 

 

紫「その様ね……慧音、朝言いそびれたことなんだけど」

 

 

慧音「?」

 

 

紫「…」スッ

 

 

慧音「…? !?」

 

 

輝夜、妹紅「…!」

 

 

紫「いつも橙がお世話になっています、これからも橙をよろしくお願いします」スッ

 

 

慧音「お、おい…」

 

 

藍「…」ニコッ

 

 

紫「あら、私らしくなかった? でも本心よ♪」

 

 

藍「ふふっ♪ さ、帰りましょうか、紫様」

 

 

紫「そうね、橙が帰って来る前に帰ってサプライズよ」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

藍「ではな、あまり喧嘩するなよ?」

 

 

紫「慧音先生、体に気を付けなさいな、じゃあね♪」

 

 

紫「あ、もこたんも輝夜もバイバイ♪」

 

 

妹紅「あ、じゃない! ついでにもこたん言うな!」

 

 

輝夜「じゃあね~♪」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

慧音、妹紅、輝夜「…」

 

 

慧音「驚いたな」

 

 

輝夜「えぇ、まさか紫が頭を下げるなんてね、」

 

 

妹紅「あ``? あのぐらい普通だろうが」

 

 

輝夜「ふざけて下げる事はあるけどあれはマジの感謝よ」

 

 

慧音「ははは、紫には頭が上がらなくなりそうだな」

 

 

輝夜「もこたんそんなことも分からないの? 本当、脳味噌が焼ききれている奴はこれだから」

 

 

妹紅「は? 焼ききれてたらすぐに復活するだろうが、そんなことも分かんねぇのか? 頭沸いてんじゃねぇのか?」

 

 

妹紅、輝夜「…」ニッコリ

 

 

妹紅、輝夜「あぁん!?」

 

 

慧音「…時に輝夜」

 

 

輝夜「何よ、痛い! 妹紅、蹴るな痛いっての!」

 

 

慧音「お前のことは合格にしたい、したいのだが」

 

 

慧音「ここに来ることは八意永琳には話してあるのか?」

 

 

輝夜「 」ピシ

 

 

慧音「…おい」

 

 

妹紅「ふっ…! あははは! 話してないのか! 馬鹿め!」

 

 

輝夜「なんですってって言ってる場合じゃなぁい!!」

 

 

妹紅「完全にお説教コースだな♪」

 

 

 

 ピンポーン

 

 

慧音「ん? 誰だ?」スタスタ

 

 

 

輝夜「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!! ど、どうしたら…」

 

 

妹紅「諦めろ、いい気味だ♪」

 

 

輝夜「れ、鈴仙! 鈴仙どこ!?」

 

 

妹紅「永江衣玖と一緒にどっか行ったぞ?」

 

 

輝夜「て、てゐ!」

 

 

妹紅「あいつはすぐに逃げるだろ」

 

 

 

 スタスタ スタスタ

 

 

 

輝夜「マジでヤバイのよ!? あんた永琳に説教されたことあんの!?」

 

 

妹紅「あるわけないだろお前じゃあるまいし、何がヤバイんだよ」

 

 

輝夜「助けてえーりん何て幻想よ!? 精神が崩壊するレベルなんだから! あの時の永琳の顔はまるで般若のごとき鬼だったんだか」

 

 

「ふーん…」

 

 

輝夜「!!?」

 

 

八意永琳「鬼…ですか? 姫様?」ゴゴゴゴ

 

 

慧音「…」

 

 

輝夜「永琳…!!? こ、これには訳が…!!」

 

 

永琳「話は…ふふっ、薬品倉庫で聞きましょうか♪」

 

 

輝夜「何でそこチョイスしたの!!? た、助けてれーせん! 助けてれーせん!」

 

 

永琳「鈴仙が助けられれば良いですね、慧音、お邪魔しましたわ、行きますよ姫さ…あら体がボロボロ…これは治療(実験)が必要ね♪」

 

 

輝夜「字が違うわよね!? いやぁぁぁ…!」

 

 

慧音「あ、あぁ、またな」

 

 

妹紅「あっははは♪ ざまぁみろ輝夜ぁ!」

 

 

輝夜「覚えてなさいよもこぉぉ……!!」

 

 

スッ キラーン

 

 

慧音「飛んでった…」

 

 

妹紅「ふっふふふ…! あー面白かった♪」

 

 

慧音「ふふっ…♪」

 

 

慧音(……ありがとう、紫、藍)

 

 

慧音(寺子屋はこれからどうなるか…私自身も楽しみだよ、ふふっ♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 




 

 以下、今回のお話でのちょっとした没案等です


 他に生徒候補だったのは

 幽谷響子、多々良小傘、キスメ、黒谷ヤマメ、水橋パルスィの五名。

 生徒が多くなりすぎたため地底の三人は没に、ヤマメは大人っぽいので最初に考えて最初に没に。

 響子はミスティアと組ませたかったんですが、響子単独で動かすとツッコミ役が増えるため没に。

 寺子屋編を書いていて後悔したのが小傘です、物語に入れられる余地がかなりあった子だと後悔してます。



 先生候補のキャラも没になったキャラがいます

 紅美鈴、パチュリー・ノーレッジ、十六夜咲夜、小野塚小町、四季映姫・ヤマザナドゥ、守矢家の三人
聖白蓮、茨木華扇、河城にとり…この辺りです。




 生徒の役割


『チルノ』ムードメーカー、自覚のないおバカ
『大妖精』苦労人、気配り上手、常識人、優等生
『ルーミア』混沌
『ミスティア』ツッコミ、たまに悪ノリ
『リグル』ツッコミ、たまに悪ノリ
『橙』常識人、感情表現豊か、優等生
『フラン』何でも興味を持つ、優しい子
『こいし』何でも興味を持つ、無意識にトラブル
『ぬえ』いじっていじっていじられる子
『こころ』ナチュラルにボケる子、以外に優等生
『クラウンピース』基本中立、たまにいじられる
『サニー』おバカその2、感情表現豊か
『ルナ』ドジっ子、感情表現豊か
『スター』物静かな優等生

 何を言おうが言われようが、喧嘩しようが皆仲良しです。



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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【ゆかりんの~幻想郷民のことシリーズ】
ゆかりん閃いた♪




 紫がまた何か閃いた様です!


 それでは始まります♪





 

 

 

 【マヨヒガ 縁側 お昼】

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「閃いてしまいました」

 

 

藍「通報します」

 

 

紫「はぁ!?」

 

 

藍「やめなさいよ!? また変な事企んでるんでしょう!?」

 

 

紫「なっ!? あなたねぇ、ゆかりんが変な事ばかり考えてる人間に見えるの!?」

 

 

藍「まずあなた人間じゃないですよね! それにあなたが閃いたと口に出した瞬間からもう嫌な予感しかしないんですよ!」

 

 

藍「どうせあれですよね! 『藍の仕事しろから逃げる口実、事柄…あれでもないこうでもない…! あっ閃いた!』でしょ!」

 

 

紫「そんな試行錯誤しなくたってあなたの小言から逃げる戦術は五十三万通りあるわ!」

 

 

藍「そんなにあるんですか!?」

 

 

紫「ほぼ七割が橙頼みだけどね!」

 

 

藍「やり方が汚いですねほんとにもう!」

 

 

紫「ふん!」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

藍「あっ!」

 

 

紫「本当に通報出来るゆかりんの閃きかどうか見せてやるわ! 準備してくるから尻尾洗って待ってなさい!」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

 

藍「ちょっ…! 待ちなさい紫様ぁ!」

 

 

藍「くっ…行ってしまったか、さてどうしたものか…」

 

 

藍「…? 尻尾洗って待ってなさい?」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

紫『ほ~っほっほ♪ 藍の尻尾をモフり隊! 全軍突撃!』

 

 

チルノ『モフらせろー!』

 

 

ルーミア『モフモフなのだー!』

 

 

古明地こいし『モフモフだー♪』

 

 

ミスティア・ローレライ『モフらせなー!』

 

 

リグル・ナイトバグ『モフらせてー!』

 

 

大妖精『ごめんなさい! ちょっとだけモフらせてください!』

 

 

フランドール・スカーレット『狐さんのモフモフだー♪』

 

 

藍『い、いやぁぁぁ!!』

 

 

紫『ふははははは! 嘆き苦しみ悶えろ!』

 

 

紫『私に仕事を与えるでないわぁ!』

 

 

藍『うわあぁぁぁぁ…!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

藍「!!?」ゾクッ

 

 

藍「や、やりかねん…! 尻尾洗って待ってたら襲ってくださいと言っている様なものだ…! ツヤッツヤのモッフモフでスタンバイなど天子とやってる事が同じではないか!」

 

 

藍「なんとかせねば…!」ザッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里、ミスティアの屋台】

 

 

 

射命丸文「ミスティアさん…もう一杯ください」

 

 

ミスティア「文さん、私が言うのは変なんですけど昼から飲みすぎですよ?」

 

 

文「飲まなきゃやってられないんです」

 

 

ミスティア「何かあったんですか?」

 

 

文「…スキマボックス」

 

 

ミスティア「へ?」

 

 

文「紫さんのスキマボックスのせいで私の新聞の売り上げが減りました」

 

 

ミスティア「え…?」

 

 

文「スキマボックスを紫さんが設置するときに私の同業者である姫海棠はたてを頼ったんですよ、スキマボックスを設置した理由諸々の事しか書いてない新聞だったんですが…」

 

 

文「あの既に起きた出来事しか書かない『花果子念報』が幻想郷の管理人、八雲紫と手を組んだ新聞ということで売り上げが伸びました…そのあと引きこもりのはたてもやる気が出たのか、念写の能力をフル活用して幻想郷を飛び回り、良い新聞を書くようになりました…霊夢さんと弾幕勝負した人用の新聞ですけどね」

 

 

ミスティア「…」

 

 

文「私が読んでも本当に良い記事の新聞を書くんですよ…購読者も増えて私の新聞から乗り替える裏切り者が出る始末」

 

 

ミスティア(裏切り者って…)

 

 

文「辛いです…」シクシク

 

 

ミスティア「……私は文さんの書く新聞好きですけどね」

 

 

文「嘘つき」

 

 

ミスティア「嘘じゃないですよ? 面白いじゃないですか、それに読んだ後も役に…!」

 

 

文「…?」

 

 

ミスティア(あ、危ない危ない…薪と一緒に燃やしてるなんて言えない)

 

 

文「具体的にどこが面白いか言えますか?」

 

 

ミスティア「そ、それは…!」

 

 

文「…」

 

 

ミスティア「…」

 

 

文「辛いです…」

 

 

ミスティア「ぶ、文面とか…!」

 

 

文「辛いです…」

 

 

ミスティア(も、もう何も言えない…!)

 

 

文「ほたてが殻を破るとあんなにもイキイキするとはね、ふふふ…」 

 

 

ミスティア「はたてさんですよね?」

 

 

文「どっちでもいいです」

 

 

ミスティア(…わたしが辛くなってきた)

 

 

文「辛いです…」

 

 

紫「本当につれぇわよね」

 

 

ミスティア「…はい」

 

 

文、紫、ミスティア「はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文、ミスティア「!!?」

 

 

紫「ミスティア、生一丁♪」

 

 

ミスティア「は!? え!? は、はい!」

 

 

文「出たなこの営業妨害!」

 

 

紫「ミスティア聞いた? 生を頼んだだけで営業妨害ですって」

 

 

文「私のですよ!! あなたのせいで私は…私はねぇ!」

 

 

ミスティア「はい、生一丁お待ちです」コトッ

 

 

紫「ありがと、一仕事の前の生は一番よねぇ♪」

 

 

紫「んぐっ…んぐっ…ぷはぁー! 美味しい♪」

 

 

文「一仕事!? あなたのせいで私の一仕事がパァになっていると言うのに!」

 

 

紫「うるさいわねぇ、ほたてちゃんがちょっと頑張っただけでそんなにむくれるあなたじゃないでしょう?」

 

 

文「ほたてのことは今はいいんです! あなたが…! あなたがぁ…! うぅ…」シクシク

 

 

紫「烏天狗の新聞事情はわからんちんだわねぇ」

 

 

ミスティア(その前にはたてさんですよね、ホタテって)

 

 

紫「私を恨むのはお門違いよ? あなたがいつも通りの新聞を書けば良いだけのお話」

 

 

文「ネタがないんですよ」

 

 

紫「それを探すのが新聞記者でしょ?」

 

 

文「本当にないんですよ…最近表立った異変もありませんから」

 

 

紫「そうねぇ、あなたも関与してないもんね」

 

 

紫「あ! そうだ、捏造しよう」

 

 

文「その『そうだ、地底行こう』みたいに言わないでくださいよ」

 

 

紫「霊夢が初めて地底行った時のあなたの新聞を思い出すわねぇ」

 

 

文「あの頃は輝いてましたよね、私」

 

 

紫「まるで太陽に照らされた河童の頭の皿みたいにね♪」

 

 

紫、文「あはははははは!!」

 

 

紫、文、ミスティア「…」

 

 

文「辛いです…」

 

 

ミスティア「文さん…」

 

 

紫「……文」

 

 

文「なんですか…?」

 

 

紫「仕事」

 

 

文「…?」

 

 

紫「仕事を頼みたいのよ、あなたに」

 

 

文「!?」

 

 

ミスティア「え…?」

 

 

紫「ふふっ、やってくれるわよね?」

 

 

文「もちろんですもちろんです! やります! なんでもやります!」

 

 

紫「じゃああなたはライターね」

 

 

文「え? え!? ら、ライター?」

 

 

ミスティア「ライターかぁ…あの火が出るオモチャみたいなの良いですよね、直ぐに火がつくから新聞を燃やしやすくて」

 

 

文「なにぃ!?」

 

 

ミスティア「はっ!?」

 

 

紫「違う違うライターって書く方よ、後は…河童か、行くわよ文」スッ

 

 

紫「ご馳走さまミスティア、これお代ね」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

文「ゆ、紫さん引っ張らないでくださいよ! こらぁ、鳥同盟の面汚しー…」

 

 

 ギュオン!

 

 

ミスティア「…あ、ありがとうございましたー…」

 

 

ミスティア「だって新聞紙ってよく燃えるんだもん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【妖怪の山、湖、河童の工房】

 

 

 

 ウィーン! ガガガガ! ゴゴガ!

 

 

文「相変わらずここは活気がすごいですねぇ」

 

 

紫「ね、仕事熱心な事で」

 

 

河城にとり「まぁ趣味もあるからね♪ それで何しに来たのさ?」

 

 

紫「あなたに作ってもらいたいものがあるのよ」

 

 

にとり「お、仕事の依頼か♪ 良いよ」

 

 

紫「あら、断らないのね」

 

 

にとり「もちろんこれはもらうけどね!」チャリーン!

 

 

文「現金ですねぇほんとに」

 

 

にとり「当たり前だろう? 対価は対価さ、仕事に見合った報酬はもらうよ♪」

 

 

紫「構わないわ、金に糸目はつけないから」

 

 

にとり「お! お客さんわかってますね~! さあさあ、何を作るのさ!」

 

 

文(この創作意欲…見習わなきゃですねぇ)

 

 

紫「えーっとねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【博麗神社】

 

 

博麗霊夢「ふーん、いつもの事じゃない」

 

 

藍「いや、モフられるのはもうこりごりなんだ」

 

 

霊夢「だからって何で私のとこに来るんだか」

 

 

藍「ここなら紫様も暴れたりしないから安心かなと…」

 

 

霊夢「なんかあんたが冗談言うとこ紫にそっくりよね」

 

 

藍「冗談はやめてくれ、それと冗談じゃないんだ」

 

 

霊夢「こっちも冗談で言ってるつもりはないんだけど」

 

 

霊夢「……ねぇ藍」

 

 

藍「ん?」

 

 

霊夢「私もモフモフし隊の一員って言ったら……どうする?」ニタァ

 

 

藍「!!?」

 

 

霊夢「ふふふ♪」

 

 

藍「れ、霊夢!? 冗談、冗談だよな!?」

 

 

霊夢「私冗談嫌いなのよねぇ♪」ワキワキ

 

 

藍「や、やめろ! 手をワキワキさせて近寄るな!」

 

 

霊夢「さあ! モフモフの幻想へ!」ガバッ

 

 

藍「や、やめろぉ!!」

 

 

霊夢「…」ピタッ

 

 

藍「ううぅ…! う…?」

 

 

霊夢「…ふふっ」

 

 

藍「!」

 

 

霊夢「嘘よ♪」

 

 

藍「なっ!?」

 

 

霊夢「いきなりここに来て私のお茶タイムを邪魔したお仕置きよ」

 

 

藍「驚かさないでくれよ! 本気で嫌なんだからな!?」

 

 

霊夢「ふふっ」

 

 

藍(紫様に似たことをするなよ霊夢…人のこと言えんぞ?)

 

 

霊夢「はいはいわかったわよ、今日だけ匿ってあげるからお茶でも飲んでいきなさいな」

 

 

藍「助かるよ、ありがとう」

 

 

藍(なんか本当に紫様に似てきた様な)

 

 

 ギュオン!

 

 

藍、霊夢「ん?」

 

 

紫「はぁい霊夢♪ あれ…藍? 何でここにいるの?」

 

 

霊夢「あら、紫」

 

 

藍「で、出たあぁぁぁぁ!!?」

 

 

霊夢「こんにちは紫、素敵なスキマはすぐそこよ?」

 

 

紫「またすぐ帰れって言う! ゆかりん空しいわ! 空しい!」

 

 

霊夢「空しいんかい」

 

 

紫「およよ…? 藍、何してるのよさっきから」

 

 

藍「来るな近寄るなぁ! モフモフし隊には屈っさないぞぉ!!」

 

 

紫「はぁ?」

 

 

霊夢「冗談ってか勘違いなのね」

 

 

霊夢「…で? 何しに来たの?」

 

 

紫「んふふ、それはねぇ…♪」

 

 

霊夢「?」

 

 

藍「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…」ブツブツ

 

 

紫「何で念仏唱えてるの? 藍、あなたも聞きなさい」

 

 

藍「も、モフモフは?」

 

 

紫「…ご乱心なの?」

 

 

霊夢「藍だけに? ってやかましいわ!」

 

 

紫「霊夢、ナイスツッコミ!」

 

 

霊夢「早く話をしなさい…!」ゴゴゴゴ

 

 

紫「は、はい!」

 

 

藍「モフ…モフ…」

 

 

紫「モフモフはしないから聞きなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「どう? 今河童にセット、文に問題を作らせてるんだけど」

 

 

霊夢「ふーん…」

 

 

藍「…」

 

 

霊夢「あんたにしては面白い企画じゃない、良いわ♪ 協力してあげる、退屈凌ぎにはなりそうね♪」

 

 

紫「! 霊夢ー!」ガバッ

 

 

霊夢「博麗脳天割り!」

 

 

紫「おぶっ!?」ゴスッ

 

 

霊夢「くっつくのを許可した覚えはない♪」

 

 

紫「いたーい…!」

 

 

藍「珍しいな霊夢…お前がまさか紫様の企画に参加するとは」

 

 

霊夢「問題とか解くの好きなのよ、まぁ毎日されたら嫌だけど…それにこれは博霊の巫女としての参加よ、それと退屈凌ぎ」

 

 

藍「…」

 

 

霊夢「た、他意はないわ!」

 

 

藍(ふふっ、まぁそういうことにしておこう)

 

 

藍「紫様、この企画には私も乗り気ですよ♪ やらせていただきます」

 

 

紫「よし! ありがとね! 霊夢、藍♪」ニコッ

 

 

霊夢「! ふん…///」プイッ

 

 

藍「ふふっ…♪」

 

 

紫「後は回答者を選出と…セットの完成待ちね!」

 

 

紫「よし、やったるわよ! 新企画!」

 

 

紫「ゆかりんの~幻想郷民のことシリーズ!」

 

 

 

 おしまい!

 

 

 






 そんなわけで新シリーズスタートします。


 元ネタは某バラエティー番組のある企画、アレンジしてのパロディな上に二次設定のオンパレードですが、楽しんでいただければと思います!



 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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ゆかりんクイズ! 博麗霊夢の200のコト  前編



 このシリーズを作ろうとしたきっかけは、紫と藍以外の幻想郷住民一人一人にもっとスポットライトを当てたいということで作ってみました。


 内容としては某バラエティ番組のパロディになっております。 

 問題に関しては東方projectの原作や二次創作の設定を織り混ぜ、東方紫藍談の二次設定を混ぜ混ぜしたものになります。


 この前日談である『ゆかりん閃いた!』を読んでいただくと話の背景が分かるようになってます、

 一人に付き三話を予定しております。

 クイズを前編後編、そしてそのキャラの日常を書いていこうと思います。




 注意事項として以下の成分が含まれます。 


 独断と偏見、そして自己解釈が多いです。

 一部、読者の方にとっては不快な問題がある場合があります。

 ここの幻想郷の住人たちは冗談を笑って言い合えます。






 それでは始まります♪





 

 

 

 ここは幻想郷の管理人、八雲紫が作り出したスキマ空間である。

 

 このスキマ空間には他のスキマ空間には無いある設備が作られている。

 

 河童たちが総力をあげて作り出したバラエティ番組のセットがあるのだ。

 

 

 スキマスタジオと呼ばれる物である。

 

 これからこのスキマスタジオである娯楽が行われる

 

 

 これから始まるそれは、幻想郷に新たな旋風を巻き起こすであろうエンターテイメントなのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河城にとり「レディース&ジェントルマーン! 幻想郷の皆! 元気にしてるかーい!」

 

 

にとり「司会はこの私! ポケットマネーはいつでも潤ってるでお馴染みの河城にとりだよ! え? 水的な意味で? それとも量的な意味でって?」

 

 

にとり「そんなもん量的な意味でに決まってるじゃないか!! 河童なめんなよー!?」

 

 

にとり「さて! 前置きはさておき、今回このスキマスタジオで行われるのはこれだっ!」

 

 

 

 バーン!!

 

 

 

 

にとり「ゆかりんクイズ! 博麗霊夢の200のコト! わぁー!!」パチパチ

 

 

 

 

 

にとり「幻想郷の中心人物にしてなくてはならない存在! 博麗の巫女、博麗霊夢!! そんな霊夢からどんな答えが飛び出すのかワクワクが止まらないよね!」

 

 

にとり「そして! この五人も忘れちゃならないよ! 霊夢の答えを予想し、解答してもらうのはこのイカした五人さ! 右の席から順に紹介していくからよろしくー♪」

 

 

 

にとり「霊夢との付き合いの長さなら幻想郷一!? 霧雨魔理沙ー!」

 

 

 

魔理沙「おっす!」

 

 

 

にとり「七色のお友達! アリス・マーガトロイドー!」

 

 

 

アリス「何よそれ…よく分からないけどよろしくね」

 

 

 

にとり「巫女同士なら解答も直ぐに導き出せるか!? 東風谷早苗ー!」

 

 

 

早苗「ふぉぉぉぉ…!! て、テレビでずっと見ていたスタジオに私は今…! 立っているっ!」キラキラ

 

 

 

にとり「HEY! メイド長! 十六夜咲夜ー!」

 

 

 

咲夜「雑よね! よ、よろしくお願いいたしますわ」

 

 

 

にとり「個人的な霊夢愛は発揮されるか!? レミリア・スカーレットー!!」

 

 

 

レミリア「もちろんよ! 期待してなさい!」

 

 

 

にとり「これで全員だね、どんな珍解答が飛び出すのかも期待していいんじゃないかな?」

 

 

にとり「おっと忘れるところだった…この番組はセット照明等は河城工房河童協会が…問題文企画構成は幻想郷の伝統ブン屋が…その他諸々の事は八雲家の提供でお送りしております!」

 

 

にとり「それじゃあ始めていこうか! ゆかりんクイズ!! 博麗霊夢の200のコト! はっじまる」

 

 

 

 

 

魔理沙、アリス、咲夜、レミリア「待て待て待てぇぃ!」

 

 

にとり「ん?」

 

 

射命丸文「あやややや? どうしたんですか?」

 

 

魔理沙「危ねぇ危ねぇ…危うくこのまま上手いこと乗せられるところだったぜ」

 

 

咲夜「ツッコまないと止まりそうになかったものね」

 

 

アリス「また面倒ごとに巻き込まれたのかしら…」

 

 

レミリア「なんだか面白そうだけど…う~ん?」

 

 

にとり「なんだよぉ、何か言いたそうだな」

 

 

魔理沙「当たり前だバカヤロー、こちとらいきなりスキマで無理矢理連れてこられて座らせれたんだからな」

 

 

アリス「えぇ、私もよ」

 

 

咲夜「左に同じ」

 

 

レミリア「私も」

 

 

にとり「それは紫に言っておくれよ、私たちはただ作っただけなんだからさ」

 

 

文「はい、まったくもってその通りです」

 

 

魔理沙「何だよ作ったって」

 

 

にとり「この番組のセット」

 

 

文「問題文」

 

 

咲夜「…それで何が始まるの?」

 

 

にとり、文「ゆかりんクイズ!! 博麗霊夢の200のコトー!!」

 

 

魔理沙「だからぁ! それが何なのかって聞いてんだっての!」

 

 

アリス「まったくよ! ちょっと早苗、あなたからも何か言ってやって!」

 

 

早苗「ふおぉぉぉぉ…!! これがあの芸人さん達が見ている景色なんですね! ついに私も芸能界デビューですよぉ♪ これぞ奇跡!!」

 

 

魔理沙「おい…こいつ感極まりながら何言ってんだ?」

 

 

レミリア「げーのーかい? 何それ?」

 

 

にとり「分かるかい? 忠実に再現したんだよ♪」

 

 

早苗「分かります分かります! いやぁ流石にとりさん! 文さんも紫さんもよく分かってます!」

 

 

咲夜「そうだわ…紫をここに呼んでよ、いるんでしょ?」

 

 

魔理沙「スキマで連れて来た張本人だからな、おいババア! ちゃんと出てきて説明しろ!」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

八雲紫「誰がババアだクルァ!」

 

 

八雲藍「ちゃんと説明しないからそうなるんですよ、霊夢だってもうスタンバイしてるんですよ?」

 

 

魔理沙「出たな、無理矢理妖怪」

 

 

紫「人聞きの悪いこと言わないっ!」

 

 

レミリア「紫! あなた私をここに呼ぶときに『保護者同伴ね♪』って言ったの聞こえてたんだからね!」

 

 

咲夜「私を見ながら…ですよね」

 

 

紫「咲夜お母さんが一緒じゃないと連れて来なかったわよ?」

 

 

レミリア「なんですって!?」

 

 

咲夜「お母さん…お嬢様がよろしければこの咲夜、レミリアお嬢様の母としてこの身を」

 

 

レミリア「やめなさい咲夜ぁ!」

 

 

アリス「家でこれから魔理沙人形原寸大を作る予定だったのに…」ブツブツ

 

 

魔理沙「なにぃ!!?」

 

 

アリス「じょ、冗談よ魔理沙! 私はあなたの原寸大人形で現を抜かす暇があるならあなた本人に積極的にアプローチして愛を育むわ! その人形は夜の営みの練習を」

 

 

魔理沙「さらっと爆弾発言やめろぉ!」

 

 

早苗「そんなことよりも紫さん! このセットはあのテレビ番組のやつですよね!?」

 

 

紫「そうよぉ♪ 流石早苗、伊達に外の世界から来てないわね」

 

 

早苗「はい! この回はリアルタイムで欠かさず見てましたからね、はぁ~んもうここに座ってるだけでほんとに芸能人になった気分ですよー♪」

 

 

藍「こ、こらこらみんな落ち着いて話を聞いてくれ! はぁ…取り敢えず悪かったな魔理沙たち、今からちゃんと説明をするからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりん、ルール説明中…】

 

 

 

 

紫「つまり、霊夢のことをもっとよく知ろう! ってことよ」

 

 

魔理沙「ん~、もう知り尽くしてる感はあるぜ?」

 

 

紫「ふっ…甘いわね魔理沙」

 

 

魔理沙「あー?」

 

 

紫「知ってる様で知らない霊夢のこと沢山あるはずよ、近くにいればいるほど見落としていることもあるのよ」

 

 

魔理沙「…そんなもんかぁ?」

 

 

紫「そうよ、で? どうする?」

 

 

レミリア「中々面白そうねこの娯楽、興じてやろうじゃないの! それに霊夢の事ならどんな問題でも正解する自信はあるわ!」

 

 

咲夜「流石ですお嬢様、お嬢様が出場なさるのならこの咲夜も共に」

 

 

早苗「私はもちろん参加です! 楽しみますよ!」

 

 

アリス「魔理沙、どうする?」

 

 

魔理沙「…ふっ、この魔理沙さんが霊夢の事で挑まないものなんてないぜ」

 

 

魔理沙「この勝負乗ってやるぜ!」

 

 

アリス「ふふっ、なら私も出るわ♪」

 

 

紫「そう! 良かったわ、セットを作った甲斐があったってもんね」

 

 

にとり「だね」

 

 

文「問題も忘れないでくださいよ?」

 

 

 

 

 

 

紫「ルールの説明をするわ、先ずこことは違う場所、別室にいる霊夢に対する問題、まぁ質問みたいなもんね、それをここであなたたちに出題する」

 

 

紫「あなたたちは霊夢がなんと答えるか予想してそれを解答する、解答はその電子版に書いてね」

 

 

魔理沙「お、すげぇ、字が書けるぜ」

 

 

レミリア「あらほんとね、ま~る書いて~♪」

 

 

魔理沙「お絵描きなら咲夜お母さんとやれよ」

 

 

レミリア「はぁ!?」 

 

 

アリス「ふふふふっ…!!」プルプル

 

 

咲夜「フッ…や、やめなさいよ魔理沙…ふふっ…」プルプル

 

 

レミリア「笑わないでよ咲夜ぁ!」

 

 

早苗「おぉ~再現率が半端ないですね! これが河童の技術…!」

 

 

紫「次いいかしら? 解答が出揃ったら答え合わせ…霊夢に直接その問題の質問を聞いてもらって答えてもらう、それがあなた達へ出した問題の正解となるのよ」

 

 

紫「霊夢は別室にいるわ…目の前のでかいモニターに映すわね」ピッ

 

 

 

 

博麗霊夢『…』ズズッ

 

 

霊夢『ふぅ…』

 

 

 

 

レミリア「あっ! 霊夢♪」

 

 

早苗「おぉー! これもなんという再現率…!」

 

 

魔理沙「お前それしか言ってないぞ?」

 

 

咲夜「お茶飲んでのんびりしてるわね」

 

 

アリス「畳敷きの部屋でね、普通の霊夢だわ」

 

 

魔理沙「てか200問って結構多いよな、よく霊夢のやつ嫌がらなかったな」

 

 

早苗「面倒ごと嫌いの霊夢さんなのに意外ですね、かなり拘束されますからね、これ」

 

 

紫「ちなみに霊夢は解答者が誰なのか知ってるから、でも霊夢の声はこっちに聞こえるけど魔理沙たちの声は霊夢には聞こえてないの」

 

 

魔理沙「そーなのかー?」

 

 

紫「そーなのだー♪」

 

 

魔理沙、紫「わはー♪」

 

 

咲夜「何やってるんだか…」

 

 

レミリア「おーい! 霊夢~♪ 私よー!」

 

 

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『紫のやつ遅いわね』

 

 

 

 

レミリア「ほんとに聞こえてないのね」

 

 

アリス「徹底してるわね」

 

 

魔理沙「ほんとか? よし…」

 

 

魔理沙「やーい! お前ん家、妖怪やーしきー!」

 

 

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

 

 

魔理沙「お、どうやらマジみたいだな」

 

 

咲夜「それ聞いたら霊夢はどんな反応するのよ」

 

 

魔理沙「キレるな、前にチルノとルーミアと私で試しに言ってみたら妖怪バスター連発してきたから」

 

 

アリス「妖怪屋敷って間違ってないような…」

 

 

咲夜「何でキレるの?」

 

 

魔理沙「なんかそういう風に言い触らされたら参拝客が減るから…らしい、しかも絶対にそれを真似する妖精が近くに住んでるもんで余計にな」

 

 

アリス「あぁ、あの光の三妖精ね」

 

 

早苗「ルーミアさん妖怪ですよね、妖怪に妖怪屋敷って…」

 

 

レミリア「人には言われたくないことの一つや二つあるものよ」

 

 

魔理沙「もう言わねぇって、次言ったら妖怪バスターなんかじゃすま」

 

 

 

 

霊夢『魔理沙ぁ…』

 

 

 

 

魔、レ、ア、咲、早「!!?」

 

 

魔理沙「聞こえてんじゃねぇかぁ!!」

 

 

早苗「ふははっ…!! あっ…ふふっ…」プルプル

 

 

レミリア、咲夜「あふふふっ…!!」プルプル

 

 

アリス「ふふあはは…っふふっ!」プルプル

 

 

魔理沙「おいおいおいおい笑い事じゃねぇぞ!?」

 

 

紫「えぇっ!? あれぇっ!? に、にとり!」

 

 

にとり「す、スイッチは切ってあるよ!?」

 

 

藍「紫様!」

 

 

紫「えぇ!」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

 

紫『れ、霊夢!』

 

 

 

咲夜「ゆ、紫があっちふふっ…い、行ったわね」プルプル

 

 

魔理沙「笑ってんなよ咲夜ぁ!」

 

 

 

 

霊夢『あ、紫まだ? 魔理沙たちの準備出来てるんでしょ? 早く始めてよ』

 

 

紫『え、えぇ…それより霊夢、あなた今『魔理沙ぁ』って呟かなかった?』

 

 

霊夢『え? あぁ…うん? 私魔理沙って言った?』

 

 

紫『え』

 

 

霊夢『え?』

 

 

 

 

魔、ア、早、咲、レ「…」

 

 

文「おお、こわいこわい…霊夢さんの勘は凄まじいですねぇ」

 

 

にとり「下手な事で商談出来ないねこりゃ」

 

 

魔理沙「…これ問題によっちゃあ霊夢に覚られんぞ」

 

 

レミリア「霊夢はさとりをも超しているというのかしら…」

 

 

アリス「でもこの問題作ってるの文なんでしょ?」

 

 

早苗「文さん…」

 

 

文「だ、大丈夫ですよ~…霊夢さんの逆鱗に触れるような問題なんてこの清く正しい射命丸が作るわけないじゃないですか」

 

 

咲夜「不安しかないんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【もうちょいルール説明!】

 

 

 

早苗「あれ? そのカメラって撮ってるんですか?」

 

 

にとり「一応ね、紫が思い出に欲しいからって」

 

 

アリス(思い出…?)

 

 

 

藍『あ~、みんな聞こえてるか?』

 

 

 

魔理沙「おう」

 

 

 

藍『私が問題を読み上げる係の天の声だ、200問は長い道のりだと思うがお互い頑張ろう』

 

 

 

アリス「200か、確かに長いわね」

 

 

レミリア「体力には自信あるわ、さぁて全問正解するわよ! 霊夢の為にっ!」グッ

 

 

咲夜「お嬢様の勝利をお祈りしてますわ」

 

 

魔理沙「お前やるんだろ? 一応勝負なんだぜ? 勝気あるのか?」

 

 

咲夜「そりゃあホドホドに、よ」

 

 

早苗「芸能人オーラで頑張りますよっ!」

 

 

魔理沙「さっきからなんなんだよその芸能人ってのは」

 

 

アリス「芸能人って外の世界の有名な人ってことみたいよ?」

 

 

魔理沙「じゃあもうお前幻想郷じゃあ芸能人じゃねぇか」

 

 

早苗「あ、藍さん、お願いがあるんですけど」

 

 

 

藍『なんだ?』

 

 

 

早苗「試しにヘーイって全力で言ってみてくれませんか?」

 

 

 

藍『断る…言えば何か大切な物を失う様な気がするからな』

 

 

 

早苗「え~…」

 

 

魔、レ、ア、咲「?」

 

 

 

藍『そうだ、言い忘れていたが』

 

 

藍『100問で一旦休憩を挟むからな、それと一番多く正解した優勝者には霊夢からプレゼントがある』

 

 

 

魔理沙「おっ! それは助かるな♪ ってプレゼントとはなんだ?」

 

 

アリス「霊夢この娯楽にノリノリなのね」

 

 

咲夜「プレゼントまで用意してるの…?」

 

 

早苗「霊夢さんのプレゼント、私気になります!」

 

 

レミリア「な、なんと!? これは是が非でも優勝する必要があるわね」

 

 

魔理沙「とか言いつつ優勝を逃すレミリアお嬢なのであった」

 

 

レミリア「そんな運命捩じ伏せてやるわ!」

 

 

 

藍『まぁ分かっているとは思うが、能力禁止だからな?』

 

 

 

レミリア「わ、分かってるわよ!」

 

 

魔理沙「うし、やったるかぁ200問」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【本番スタート!】

 

 

 

【第1問】『博麗の、一番好きな食べ物は?』

 

 

 

魔理沙「ぶふっ!」プルプル

 

 

アリス「ふははっ…」プルプル

 

 

咲夜「え? 笑うとこ?」

 

 

アリス「だ、だって…!」

 

 

魔理沙「何だよ博麗の~って…あははは!」

 

 

アリス「いきなり呼び方変えないでよ…ふふふっ」

 

 

咲夜「面白いかしら…」

 

 

魔理沙「もし私が『お~い博麗~!弾幕ごっこしようぜー!』って言ったら」

 

 

咲夜「ふふはっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「ほらな? ふっ…! 面白いだろ?」

 

 

咲夜「あなたの言い方が、ふふふっ…!」

 

 

早苗「徹底してますねぇ、こうやってちゃんとした名前を言わないところも再現されているんですね!」

 

 

レミリア「再現再現って言ってるけどこれ元のネタ? みたいなのがあるの?」

 

 

早苗「はい、これ外の世界のテレビ番組なんですよ、本当に忠実に再現されていて驚いてます」

 

 

レミリア「テレビか…ふーん、外の世界の娯楽も侮れないわねぇ」

 

 

 

藍『おーい、早く解答を書いてくれよ?』

 

 

 

魔理沙「おぉ悪い悪い…まぁ軽いジャブだな」カキカキ

 

 

アリス「そうね、霊夢のこと知ってるなら答えられる問題よね」カキカキ

 

 

早苗「ですねぇ、1問目ですし」カキカキ

 

 

咲夜「この程度ならね…お嬢様、書けました?」カキカキ

 

 

レミリア「えぇ、書けたわ」カキカキ

 

 

魔理沙「最初の景気づけだな、正解数で争っているとは言え全員で正解して後の問題頑張ろうぜ」

 

 

アリス「ふふっ、長丁場だしね」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《お茶》

アリス《お茶》

早苗《お茶》

咲夜《お茶》

レミリア《お煎餅》

 

 

 

レミリア「うええぇ!?」

 

 

アリス、咲夜「えっ…」

 

 

魔理沙「うっわ出た出た…カリスマのカリスマが最初っから出たわ」

 

 

早苗「あはははっ!!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「ちょっ…!? えっ!? ええぇ!?」

 

 

咲夜「お嬢様…」

 

 

魔理沙「お前早速やりやがったな」

 

 

アリス(あ、これみんなの解答がモニターに出るんだ)

 

 

レミリア「ま、待って!! 待ちなさい!」

 

 

 

藍『言っておくが書き直しは無しだぞ?』

 

 

 

レミリア「しないわよ! 聞きなさいみんな!」

 

 

魔理沙「萎えるわぁ、せっかくの景気づけがパーなんだが? どうしてくれるんだカリスマさんよぉ?」

 

 

レミリア「聞きなさいって言ってんでしょ!」

 

 

早苗「あはっ、あははっ! くくくっ!」ゲラゲラ

 

 

アリス「笑いすぎじゃない…早苗?」

 

 

レミリア「食べ物って言ってんでしょ!」

 

 

魔理沙「だから書いてるじゃんか」

 

 

レミリア「あなたたちのは飲み物よ!! 食べ物じゃないわ!」

 

 

魔理沙「カリスマさんよぉ、さっき紫が言ってただろ?『霊夢がなんと答えるか予想して』って」

 

 

魔理沙「霊夢がお煎餅って答えると思うか?」

 

 

レミリア「…!? こ、答えるわよ! 答えてくれるわよ霊夢なら」

 

 

魔理沙「もう意地か、霊夢が見えてない私達にそこまで気を使ってくれるならいいけどな」

 

 

レミリア「うるっさい! 咲夜、咲夜もお煎餅って書こうとしたけど書き間違えたってだけよね!?」

 

 

咲夜「…」メソラシ

 

 

レミリア「私の目を見てよ咲夜ぁ!」

 

 

アリス「こ、答え早く発表しましょ」

 

 

魔理沙「そうだな、カリスマがカリスマしてる間がチャンスだぜ」

 

 

レミリア「見てなさいよ魔理沙ぁ、霊夢ならきっと…!」

 

 

 

 正解はこちら!

 

 

 

紫『霊夢、霊夢の一番好きな食べ物は?』

 

 

霊夢『ん? あぁやっと始まったのね』

 

 

霊夢『えーと、まぁこれはみんな当てるでしょ』

 

 

霊夢『お茶よ』

 

 

 

 

魔理沙、アリス、咲夜、早苗 正解!!

 

 

 

 

レミリア「 」

 

 

魔理沙「あははっ! あっはっはっは!!!」ゲラゲラ

 

 

アリス「ふふはっ! あはは!」ゲラゲラ

 

 

早苗「お腹…!! ふくくっ、お腹痛い…! あはははは!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「…クッ…! ふははっ…!」プルプル

 

 

レミリア「 」

 

 

咲夜「も、もう…! ふくくっ…申し訳ありませんお嬢様…! はははっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「霊夢ごめんなぁ…カリスマが不甲斐なくてみんなで正解出来なくてごめんなぁ」

 

 

早苗「ま、魔理沙さんやめて…!! あふふはははっっ!!」ゲラゲラ

 

 

アリス「ふっふふっ! はぁはぁ…! はーっ… 笑ったわ…」

 

 

魔理沙「まだ笑ってる巫女がいるけどな」

 

 

早苗「だって…うふははふふふっ…!」プルプル

 

 

咲夜「お、お嬢様…! その…」

 

 

レミリア「…めげないわ」

 

 

咲夜「!」

 

 

レミリア「た、たった1問間違えただけだもん! これから挽回するんだから! 見てなさいよあなたたち!」

 

 

魔理沙「お、立ち直り早いな」

 

 

レミリア「当然よ! 後199問もあるのよ、霊夢のためにもくよくよしてられないわ」

 

 

魔理沙「おーそっか、まぁ頑張れよ♪」

 

 

咲夜「その意気ですわお嬢様、たった1問がなんだと言うのです、頑張りましょう」

 

 

レミリア「えぇ! 霊夢、私頑張るからね!」

 

 

魔理沙「でも霊夢はみんな正解したと思ってるんだよな」ヒソヒソ

 

 

アリス「言わないであげて」ヒソヒソ

 

 

早苗「あー、腹筋が鍛えられました…」

 

 

 

 

 

【第2問】『博麗の、血液型は?』

 

 

 

レミリア「!」カキカキ

 

 

魔理沙「お、早いな」

 

 

レミリア「もっちろんよ!」

 

 

魔理沙「まぁ、これもサービス問題だよなぁ」

 

 

アリス(あれ?)

 

 

早苗(霊夢さんの血液型って)

 

 

咲夜(何型だったかしら)

 

 

魔理沙「よっし書いたぞー」

 

 

ア、咲、早(か、勘で答えるしか…!)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《A型》

アリス《AB型》

早苗《O型》

咲夜《B型》

レミリア《A型》

 

 

 

魔理沙「おっと?」

 

 

レミリア「あらあら♪」

 

 

アリス「えっ? ABじゃないの?」

 

 

早苗「O型っぽくないですか?」

 

 

咲夜「B…じゃなかったかしら?」

 

 

魔理沙「いや、あいつ完全にA型だろ、聞かなくても分かるぜ」

 

 

レミリア「そうよねぇ♪ 常識よ♪」

 

 

魔理沙「1問目をジャブから笑いの腹筋ストレートにしたやつが言うか?」

 

 

レミリア「うっさい!」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢の血液型は?』

 

 

霊夢『ん…A型よ』

 

 

 

 

魔理沙、レミリア 正解!!

 

 

 

 

レミリア「やったー♪」

 

 

魔理沙「お前ら知らなかったのか?」

 

 

早苗「はい、えー…霊夢さんってO型っぽいところあるじゃないですか」

 

 

アリス「それを言うならAB型っぽいところもあるわよ」

 

 

咲夜「B型だと思ってたわ」

 

 

早苗、アリス、咲夜「…」

 

 

早苗、アリス、咲夜「へぇ~、A型なんだ…」

 

 

魔理沙「人によっちゃあ、霊夢の血液型は違って見えるのか?」

 

 

レミリア「ま! まごうことなきA型なんだけどね」

 

 

魔理沙「覆らないよなぁ、こればっかりは」

 

 

 

 

【第3問】『博麗の、好きな一発ギャグは?』

 

 

 

 

魔理沙「おー、一発ギャグと来たか」

 

 

アリス「神社の宴会で色んな人がネタをやってるから範囲が広いわね」

 

 

早苗「分かりませんよ? 霊夢さんの持ちネタかもしれませんし」

 

 

咲夜「持ちネタあったかしら」

 

 

魔理沙「宴会の時はすげぇ無礼講だからなぁ霊夢」

 

 

レミリア「うー…ほんとに範囲が広いわ」

 

 

咲夜「当てずっぽうで書いたら当たるかも知れませんよ?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

魔理沙《パチュリーのくしゃみ》

アリス《ルーミアのそーなのかー》

早苗《諏訪子様のカエル飛び》

咲夜《魔理沙の口からマスタースパーク》

レミリア《私のグングニルで皿回し》

 

 

 

魔理沙「咲夜ぁ…」

 

 

咲夜「え? ふっふふっ…! なにかしら?」

 

 

魔理沙「なにかしら? じゃねぇ! それはギャグじゃないだろうが!」

 

 

早苗「魔理沙さんって口からも撃てるんですか?」

 

 

魔理沙「撃てる訳ねぇだろ、それは私が神社で飲みすぎて口から出たキラキラだろうが!」

 

 

早苗「あぁ、口からゲロゲーロしてしまったんですね♪」

 

 

レミリア「ばっちいわねぇ」

 

 

アリス「ゲロゲーロって…」

 

 

咲夜「ふふっ…! 霊夢笑ってたじゃない」

 

 

魔理沙「あぁ笑ってたな『あんた人の家でなに吐いてんだクルァ』って言ってる笑顔で眉間に皺寄せてな…」

 

 

早苗「それブチギレてますよね霊夢さん」

 

 

アリス「私その時魔理沙の介抱してたんだけど、殺気が尋常じゃなかったわ」

 

 

魔理沙「忘れられないぜ…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢の好きな一発ギャグは?』

 

 

霊夢『えー…あー…一発ギャグかぁ…』

 

 

霊夢『うーーん…あ』

 

 

霊夢『紫、紫の被ってる帽子貸して』

 

 

紫『え? あぁ、はい』スッ

 

 

霊夢『ん…んでこれを被ってと…いくわよ? せーのっ』

 

 

霊夢『うー☆』カリスマガード

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

魔理沙「うふはは!」ゲラゲラ

 

 

アリス「はははっ…!」

 

 

早苗「ははっ!」

 

 

咲夜「なっ…ふふっ…! 中々、か、可愛いじゃない」

 

 

魔理沙「いや…ふっ…可愛いのは分かるけどあれを選んだ霊夢な」

 

 

早苗「あれって仮にもレミリアさんの防御技ですよね?」

 

 

魔理沙「そうそこなんだよ、あれを一発ギャグと捉えてる霊夢がさぁ」

 

 

アリス「まぁ可愛いからいいんじゃない? ふふっ」

 

 

咲夜「でもお嬢様には負けるけどね」

 

 

魔理沙「あれについてお嬢様はどう思ってるんだ?」

 

 

レミリア「…!!」キラキラ

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

アリス「あら」

 

 

咲夜「あ…たぶん、霊夢がやってくれた事が嬉しすぎてキラキラが止まらないみたい」

 

 

早苗「一発ギャグ認定については触れない方がいいのかもしれませんね」

 

 

魔理沙「だな、触れたら触れたでめんどくさいもんな」

 

 

咲夜「めんどくさいなんてお嬢様に聞こえるように言わないでよ?」

 

 

 

 

 

 

【第9問】『博麗が最近、香霖堂で気になるアイテムは?』

 

 

 

魔理沙「良い問題だと思うぜ」

 

 

アリス「アイテム…? 霊夢って収集癖みたいなもの無いわよね?」

 

 

早苗「コレクターって訳でもないですもんね」

 

 

レミリア「霊夢の好きなもので考えると…」

 

 

魔理沙「ふっ…お煎餅か?」

 

 

レミリア「ちっがーう!」

 

 

咲夜「お茶…いや」

 

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《掃除用の箒》

アリス《お札用の紙》

早苗《幣》

咲夜《湯呑み》

レミリア《座布団》

 

 

 

魔理沙「なんかどれも置いてあるし全部が答えになりえるぜ」

 

 

早苗「一人正解しそうですね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢が最近、香霖堂で気になるアイテムは?』

 

 

霊夢『あ? あー…』

 

 

霊夢『あれ! あの、魚の漢字がいっぱい書いてある湯呑み! 珍しいじゃない♪』

 

 

 

 咲夜、正解!!

 

 

 

咲夜「あ、当たったわ」

 

 

魔理沙「欲しいかぁ? あれ」

 

 

レミリア「霊夢は湯呑みコレクターだったのね」

 

 

魔理沙「うーん? …あっ、それ当たってるかもな」

 

 

早苗「そうなんですか?」

 

 

魔理沙「あいつ湯呑み三十個ぐらい持ってるもん」

 

 

アリス「そんなにあったかしら」

 

 

魔理沙「あるある、戸棚の奥にたくさんある」

 

 

アリス「何か拘りがありそうね」

 

 

 

 

 

【第10問】『博麗は、お茶とお酒どっちが好き?』

 

 

 

魔理沙「あー…厳しいなこれ」

 

 

アリス「宴会の時はがぶ飲みだもんね」

 

 

早苗「本当はいけないんですよ? あんな飲み方をしていたらアルコール中毒になります!」

 

 

レミリア「それなに?」

 

 

咲夜「霊夢に常識は通用しないわよ?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《どっちも》

アリス《お酒》

早苗《お茶》

咲夜《お酒》

レミリア《お茶》

 

 

 

早苗「あー! 魔理沙さんずるい!」

 

 

魔理沙「良いんだろ? こういう風に書いたって」

 

 

レミリア「そうやって当てにいくのは汚いわよ!」

 

 

魔理沙「ふはは♪」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢、霊夢はお茶とお酒どっちが好き?』

 

 

霊夢『え? どっちが…? うーん…』

 

 

霊夢『…どっちも…と言いたいところだけどそれは時と場合によるわね』

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

魔理沙「うおい、どっちものとこで止めといてくれよう」

 

 

咲夜「普段はお茶、宴会時はお酒か」

 

 

アリス「霊夢なりにバランスとってるのね」

 

 

 

 

 

【第15問】『博麗がもし自分で本を書いたとしたら、その本にどんなタイトルを着ける?』

 

 

 

咲夜「そういえば魔理沙あなた本書いてたわよね」

 

 

魔理沙「おう、私の弾幕研究の集大成の本だな」

 

 

レミリア「あれ家の図書館にたくさんあるのよね」

 

 

魔理沙「お、マジかってた、たくさん!?」

 

 

レミリア「パチェが空いてる本棚に片っ端から詰めといてってこあに言ってるんだって」

 

 

魔理沙「ん? 何で本棚が空くんだよ」

 

 

咲夜「あなたが勝手に持っていくからでしょうが!」

 

 

魔理沙「あー…」

 

 

レミリア「取られたところに魔理沙の本を詰めておくことで取られた箇所を把握してるんだって」

 

 

魔理沙「なにぃ!? 人がせっかく書いた本を詰め物にするとは! 読めよ!」

 

 

咲夜、レミリア「じゃあ勝手に持ってくんじゃないわよ!」

 

 

魔理沙「持っていってるんじゃない! 死ぬまで借りてんだよ!」

 

 

咲夜、レミリア「まだ言うか!」

 

 

早苗「あははは…魔理沙さんの本私の神社にもありますよ、私と神奈子様は読みました」

 

 

魔理沙「諏訪子は…読まなそうだな」

 

 

早苗「読んでもやっても良いけどページが勝手に捲れてくれないって」

 

 

魔理沙「それただ読むのめんどくさがってるだけだよな!?」

 

 

早苗「アリスさんはもちろん読んでるんですよね?」

 

 

アリス「えぇ、もちろんよ! 二十周はしたわね」

 

 

早苗「えぇ!? そんなに読んでるんですか!?」

 

 

アリス「観賞用、保存用、妄想用、自家発電用を二十周したわ!」

 

 

魔、早、レ、咲「…」

 

 

アリス「…したわ!」

 

 

魔理沙「したわじゃない、そんなに読んでもらって私は嬉しいんだがな?」

 

 

魔理沙「観賞用、保存用は分かるけど残りの不穏な専用本はなんなんだ」

 

 

アリス「…ふふっ」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇよ」

 

 

咲夜「ぶれないわねアリス」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《弾幕ごっこ大全》

アリス《博麗の巫女の歴史》

早苗《博麗神社と弾幕》

咲夜《幻想郷のこと》

レミリア《幻想郷の全て》

 

 

 

レミリア「あら、咲夜と被ちゃったわね」

 

 

咲夜「ふふっ、当たりなら嬉しいですね」

 

 

魔理沙「霊夢は本を読まないから何を書くか想像ができんなぁ」

 

 

早苗「でも古い書物、巻物みたいなのは読みますよね?」

 

 

アリス「読んでる姿は見たことないわね」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢がもし本を書いたとしたら、その本にどんなタイトルを着ける?』

 

 

霊夢『本? 本ねぇ…』

 

 

霊夢『うーん…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『弾幕ごっこのやり方…とか? あ、でも魔理沙の本と若干被るわね』

 

 

霊夢『うん、まぁでもいいか』

 

 

 

 

 魔理沙 正解!

 

 

魔理沙「うっしゃ! やったぜ」

 

 

咲夜「本を返さない罰で不正解にしてほしいわ」

 

 

魔理沙「なんだ随分と軽い罰だな、それなら大歓迎だぜ」

 

 

咲夜「あなたにとって重い罰ってなんなの?」

 

 

 

 

 

 

 

【第20問】『博麗が最近、困っていることは?』

 

 

 

魔理沙「困ってるねぇ…てかやっと20問目か」

 

 

アリス「まだまだ先が長いわね、それにしても困っていること…」

 

 

早苗「霊夢さんってこう…むむむっ! ってなることあるんですかね」

 

 

咲夜「頭抱えてはぁ…ってため息付くところはよく見るような気がするわね、誰かにイタズラされて」

 

 

レミリア「霊夢、困っていることがあるなら私に相談してほしいわ」

 

 

魔理沙「あいつは相談してくるタイプじゃないからなぁ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《突然の紫》

アリス《お賽銭の事》

早苗《異変が起きない》

咲夜《紫が急に現れること》

レミリア《退屈すぎる》

 

 

 

魔理沙「ふっ、早苗それお前の困り事だろ」

 

 

早苗「ち、違いますよ! 異変を解決しているときの霊夢さんってイキイキしてるから」

 

 

アリス「でも『面倒事を起こすな!』って感じで異変解決してない?」

 

 

咲夜「どっちにしろ異変なんて起きても良いことなんてないでしょ」

 

 

レミリア「退屈凌ぎには…まぁなるかもしれないけど得はないわよね」

 

 

魔理沙「…あぁなるほど、信仰か早苗」

 

 

早苗「!?」

 

 

魔理沙「異変起きる、早苗解決する、守矢万歳!」

 

 

早苗「信仰のために異変解決なん…! くっ…」

 

 

咲夜「否定…できないのね」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢が今、困っていることは?』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『変な風に捉えないでほしいんだけどさ』

 

 

霊夢『お金のことよ』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

魔理沙、早苗、レミリア「えぇ!?」

 

 

アリス「お金? やっぱりお賽銭のことじゃ」

 

 

咲夜「理由はなんなのかしら」

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

 

咲夜「え? 聞いてくれるの?」

 

 

 

 

 

紫『霊夢、理由はなんなの?』

 

 

霊夢『二つあるわ、一つはお賽銭』

 

 

霊夢『私巫女なのよ? 参拝客が神社にお賽銭を入れてくれなかったら駄目じゃない、信仰もあるし神様に色々と助けてもらってるし…』

 

 

霊夢『二つ目は、あんたよ』

 

 

紫『えっ!? 私!?』

 

 

霊夢『お金の仕送りをしてくれることはその…/// う、嬉しいのよ!? でもさぁ』

 

 

霊夢『額を考えなさいよ額を! 一年で365万115円なんて私には高すぎるわ!』

 

 

紫『えぇぇーーー!!』

 

 

霊夢『えぇーじゃない! 一月に三回宴会してもまだ余るわ! 少し減らしてよ!』

 

 

紫『い、嫌よ!』

 

 

霊夢『あー?』

 

 

紫『365万115円は絶対曲げないめげない悄気ないんだからぁ!』

 

 

霊夢『減らせぇ!』

 

 

 

 

魔理沙「…なんつーか、贅沢なお困り事だぜ」

 

 

早苗「計算すると月に30万円ぐらい貰ってるんですね霊夢さん」

 

 

レミリア「わ、私の一月のお小遣いより高い…」ボソッ

 

 

咲夜「これアリスの正解なんじゃないの?」

 

 

 

藍『そうだな、アリスは正解にしよう』

 

 

 

 アリス、正解!

 

 

 

アリス「あ、ありがとう」

 

 

魔理沙「確か毎年仕送りして貰ってるんだったな、てかその半端な115円はなんなんだよ」

 

 

早苗「365万も気になりません?」

 

 

レミリア「紫がその額だけは曲げないって言ってたのも気になるわ」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜(365日良いご縁『115円』がありますように? …まさかね)

 

 

 

 

 

【第23問】『博麗が、最近見た夢は?』

 

 

 

魔理沙「当たる気がしないんだが」

 

 

早苗「勘で当てるしかないですよね」

 

 

レミリア「霊夢のように勘を働かせれば…」

 

 

魔理沙「それは無理だろ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

魔理沙《弾幕ごっこの夢》

アリス《魔理沙とのんびりする夢》

早苗《異変解決の夢》

咲夜《神社で宴会する夢》

レミリア《私と一緒にいる夢》

 

 

 

魔理沙「ふはっ…! レミリア、お前の答え自分の願望だろ?」

 

 

レミリア「良いじゃない、夢に対する答えなんだから自分の解答ぐらい夢みてもさ!」

 

 

咲夜「上手いですわ、お嬢様」

 

 

魔理沙「上手いっ、カリスマ一枚!」

 

 

レミリア「一枚!?」

 

 

魔理沙「……アリス、それはお前の見た夢だろ?」

 

 

アリス「! 分かるの!?」

 

 

魔理沙「なんとなくな」

 

 

アリス「ねぇ魔理沙、私365日の半分はあなたとの愛を育んでる夢を見るんだけど」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「なんかもう運命感じない?」

 

 

魔理沙「…お前毎日楽しいだろ」

 

 

アリス「ふふっ」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇわ」

 

 

咲夜「ぶれないわねアリス」

 

 

早苗「ふはははっ…!」プルプル

 

 

レミリア「?」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が最近見た夢は?』

 

 

霊夢『夢…?』

 

 

霊夢『フッ…あのね? 萃香の夢なんだけど』

 

 

霊夢『萃香が手のひらサイズの大きさになってて、その萃香が私の肩の上に乗ってんの』

 

 

霊夢『んで人里歩きながら萃香が『おーい霊夢ぅー次は何処に行くんだーい?』って聞いてくる夢』

 

 

紫『ふふっ…』

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

魔理沙「あはははっ! 何だそりゃ」

 

 

早苗「可愛らしい夢じゃないですか、ふふっ」

 

 

咲夜「ふふっ、針妙丸じゃないんだから」

 

 

レミリア「う、羨ましいわね…萃香」

 

 

アリス「夢の中はどんなことでも起きるもんね、ふふふふっ」

 

 

魔理沙「ははっ! あ、そういえば私も変な夢見たんだけどさ」

 

 

魔理沙「紅魔館に本を借りに行く夢でさ」

 

 

咲夜「いつもの事だし盗みに行く夢じゃない」

 

 

早苗「夢の中でも盗んでるんですか…」

 

 

魔理沙「まあ聞けって、んで図書館で本を借りてんだけどさ、バレてないか気になってパチュリーがいる方を見てみたんだよ」

 

 

早苗「バレてないかって…」

 

 

魔理沙「そしたらパチュリーが腕組んで下見てんだよ、眉間に皺を寄せてさ、何見てんのかなって気になったからパチュリーの視線の方に目をやったらな?」

 

 

魔理沙「カリスマガードしてるレミリアがいた」

 

 

早苗「ふははっ…!」プルプル

 

 

アリス「ふふふっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「あれなんでお前カリスマガードしてたんだ?」

 

 

レミリア「知らないわよあなたの夢の中の私の事なんてぇ!!」

 

 

魔理沙「あははは!」

 

 

咲夜「またお暇だからと言って本をドミノ倒しで遊ばれてパチュリー様にお叱りを」

 

 

レミリア「その考察は無意味よ咲夜!」

 

 

 

 

【第30問】『博麗の、得意なモノマネは?』

 

 

 

魔理沙「次はモノマネか、でも得意なって聞いてるな」

 

 

アリス「好きな…じゃないからやってもらう形になるのね」

 

 

魔理沙「まぁカリガはやってくれなくても良かったんだけどな、でも良いもん見せてもらったけど」

 

 

レミリア「やってくれて嬉しいわ! 超嬉しい!」

 

 

早苗「カリガ?」

 

 

魔理沙「カリスマガードの略」

 

 

早苗「ふふはっ…!!」プルプル

 

 

咲夜「あなた良く笑うわね、早苗」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《咲夜の格闘技》

アリス《魔理沙のモノマネ》

早苗《萃香さんのモノマネ》

咲夜《早苗のモノマネ》

レミリア《私のカリスマガード!(もう一回やって!)》

 

 

 

魔理沙「うははっ…! 解答でなにお願いしてんだよ」

 

 

レミリア「だってもう一回見たいんだもん!」

 

 

アリス「あれやってくれたの見れたのはレアだったのかしら」

 

 

魔理沙「だな、てかあれを一発ギャグだと思ってるんだからモノマネではやらんだろ」

 

 

早苗「咲夜さんの格闘技?」

 

 

咲夜「私が居眠りしてる美鈴にやるやつだと思うわ」

 

 

魔理沙「咲夜がやってるの見て『私も出来そう』とか言ってさ、出来ねぇだろって思ってたんだが、紫のお仕置きにそっくりそのままやることがあるんだ」

 

 

咲夜「正直霊夢のラーニング技術には目を見張るものがあるわ」

 

 

早苗「霊夢さんって青魔導士だったんですか」

 

 

レミリア「なにそれ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢の得意なモノマネは?』

 

 

霊夢『あーモノマネ?』

 

 

霊夢『うーん…じゃあ早苗の声マネやるわ』

 

 

霊夢『ん``ん``』セキバライ

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『奇跡です!!』

 

 

紫『ふははふふふっ…!』

 

 

 

 咲夜、正解!

 

 

 

早苗「ちょっとぉ!?」

 

 

魔理沙「あっはっはは!!」ゲラゲラ

 

 

アリス「ふふっふふふふ…!」

 

 

レミリア「はははっ…! ふふふっ」

 

 

咲夜「ふふふっ…!」

 

 

魔理沙「やべぇ…! ふっ…ふははっ! ちょ、ちょー似てんじゃん」

 

 

早苗「に、似てませんよ! なんなんですか!? 私あんな言い方で言ってませんって!」

 

 

魔理沙「じゃあお前今やってみ? いつも言ってるみたいな感じで」

 

 

早苗「えぇ…」

 

 

アリス「似てないのならオリジナルを見てみたいわね」

 

 

咲夜「本家の守矢の奇跡を見てみたいわね」

 

 

早苗「うっ……///」カァ

 

 

早苗「き、奇跡…です…///」

 

 

魔理沙、咲夜、アリス「…」

 

 

魔理沙「恥ずかしがるなよ」

 

 

咲夜「照れなくたって良いじゃない」

 

 

アリス「顔赤いわよ?」

 

 

早苗「もぉー! なんなんですかぁ!?」

 

 

レミリア「霊夢に失礼だわ、ちゃんと霊夢がやったようにやりなさいよ」

 

 

早苗「私のモノマネのモノマネを私がしてどうするんですか!」

 

 

魔理沙「あっはは、ややこしいわ」

 

 

 

 

【第45問】『博麗は、幻想郷の住人の中でペットにしてみたいのは誰?』

 

 

 

魔理沙「ペットってお前」

 

 

レミリア「ペット? 下僕的な意味なの? それとも飼い主的な意味?」

 

 

早苗「下僕…霊夢さんにそんな趣味あるんですかね」

 

 

レミリア「下僕って言っても家のホフゴブリンみたいな感じよ」

 

 

アリス「それにしたって範囲が広いわ」

 

 

咲夜「幻想郷の住人だもんね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《萃香》

アリス《橙》

早苗《椛さん》

咲夜《影狼》

レミリア《火焔猫燐》

 

 

 

魔理沙「見事に獣タイプの妖怪が出たな」

 

 

咲夜「あー…萃香がいたわね」

 

 

魔理沙「だろ? この問題いただいたな」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が幻想郷の住人の中でペットにしてみたいのは?』

 

 

霊夢『ペット? ペットねぇ…』

 

 

霊夢『…あぁ、あいつ』

 

 

霊夢『地霊殿の火焔猫燐』

 

 

 

 レミリア、正解!

 

 

 

レミリア「やったわ!」

 

 

咲夜「おめでとうございますお嬢様」

 

 

アリス「意外ね…そう言えば仲が良かったわよねあの二人」

 

 

魔理沙「あいつの方から近づいて来るらしいぜ、まぁ猫だから気紛れなんだろうけど」

 

 

早苗「霊夢さん迎え入れてるんですもんね、微笑ましいじゃないですか」

 

 

 

 

【第50問】『博麗が、解答者5人の中で妹にするとしたら誰?』

 

 

 

早苗「おぉー来たー! 50問目にして解答者5人の中でが来たー!」

 

 

アリス「ははっ…! テンションが」

 

 

魔理沙「何だ? これも元ネタ再現的なやつか?」

 

 

早苗「はい! 面白くなるのはもちろんのこと解答や問題次第では友情ブレイクにもなる奇跡の問題なんですよ!」

 

 

咲夜「いや、友情ブレイクはだめでしょ」

 

 

魔理沙「ブレイクするのはカリスマだけで充分だぜ」

 

 

レミリア「あぁん!?」

 

 

魔理沙「まぁそんなことは置いといてだ…」

 

 

魔、ア、早、咲、レ「妹…?」

 

 

魔理沙「いや誰を選ぶか全くもってわかんねぇんだけど」

 

 

咲夜「同じく…」

 

 

アリス「私も」

 

 

早苗「霊夢さん視点で考えてもさっぱりです」

 

 

レミリア「うー…霊夢なら」

 

 

魔理沙「とりあえず書いてみるか」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

魔理沙《答えない》

アリス《レミリア》

早苗《レミリアさん》

咲夜《お嬢様》

レミリア《私だったらいいなぁ》

 

 

 

レミリア「あ…み、みんな」

 

 

早苗「ごめんなさい正直見た目だけです」

 

 

アリス「うん…」

 

 

咲夜「はい…」

 

 

レミリア「そ、それでも良いわよ…霊夢が選んでくれたらそれで」

 

 

咲夜「で、またあなたは当てにいったわね」

 

 

魔理沙「だってわかんねぇんだもんよ」

 

 

早苗「答えが気になります! 紫さん早く」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢があの解答者5人の中で、妹にするとしたら誰を選ぶ?』

 

 

霊夢『えっ…えぇ? い、妹!?』

 

 

霊夢『妹…? あー…妹かぁ…』

 

 

霊夢『えー…ちょっ…えぇ…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…アリス』

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

アリス「えぇっ!?」

 

 

魔理沙、早苗、咲夜、レミリア「えぇーー!?」

 

 

アリス「わっ、わわわ私!? 何で!?」

 

 

魔理沙「選びやがっただと!?」

 

 

咲夜「違う! いや違わないけどそこじゃないわ!」

 

 

レミリア「紫理由! 理由を聞いて!」

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

紫『何でアリスにしたの?』

 

 

霊夢『う~ん……』

 

 

霊夢『妹で考えてみて頭の中に最初に浮かんで来たのがアリスだったのよ』

 

 

紫『ふふっ、あなたの直感かしら』

 

 

霊夢『まぁ、直感で片付けてもらっても良いわよ?』

 

 

 

 

魔理沙「理由になってねぇぞ? 直感かよ」

 

 

咲夜「でも直感でアリスが出てきたって事は霊夢は何かしらアリスに思うところがあるんじゃないの?」

 

 

アリス「そ、そん…/// いや…う、嬉しいと言えば嬉しいけど…/// 私には魔理沙が…///」

 

 

魔理沙「おいさらっとなに言ってやがる」

 

 

早苗「直感…霊夢さんと似ているところがアリスさんにあるのかもしれませんね」

 

 

レミリア「容姿…いや中身かしら」

 

 

魔理沙「似てるか?」

 

 

咲夜「考え方とか」

 

 

アリス「ちょ、ちょっとそんなに真剣に私と霊夢の共通点探らないでよ…///」カァ

 

 

魔理沙「珍しいな、アリスが照れてやがる」

 

 

アリス「だって…うぅ…」

 

 

咲夜「霊夢お姉ちゃんってさ、ね?」

 

 

アリス「ねって…/// 意地悪しないでよ…///」

 

 

レミリア「な、なんて羨ましい…! こういう時に妬ましいって使うのかしら」

 

 

早苗「何故にパルスィさん」

 

 

レミリア「ちょっとチョコの日に知り合ってね♪」

 

 

早苗「?」

 

 

 

 

【第59問】『博麗が、最近驚いたことは?』

 

 

 

魔理沙「さっきアリスを妹に選んだこと」

 

 

咲夜「驚いたのは私たちでしょ」

 

 

アリス「触れないで…/// なんか恥ずかしいから」

 

 

魔理沙「にしても驚いたことねぇ…」

 

 

早苗「こう『うひゃあ!』って驚くことあるんですか霊夢さんって」

 

 

レミリア「霊夢はそんなに柔じゃないわよ」

 

 

魔理沙「霊夢は目を大きく見開いて驚くタイプだぜ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《ここのセットの出来映え》

アリス《妖精に驚かされた》

早苗《お賽銭が奉納されていた》

咲夜《すごく美味しい物を食べた》

レミリア《紫から何かプレゼントされた》

 

 

 

魔理沙「つか誰も霊夢の最近事情を知らないという」

 

 

アリス「四六時中一緒にいるわけじゃないからね」

 

 

魔理沙「妹なのにか?」

 

 

アリス「やめてってば…///」

 

 

レミリア「これも誰かのが正解あり得そうね」

 

 

咲夜「そうですね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が最近驚いた事は?』

 

 

霊夢『うん? あぁ、あのね』

 

 

霊夢『小傘の鍛冶スキルの高さ』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

早苗「小傘さん!?」

 

 

魔理沙「あぁ、そういえばあいつに妖怪退治用の針打ってもらってたな」

 

 

咲夜「針…? あぁ刀鍛冶の方の鍛冶ね、てっきり家事手伝いの方かと」

 

 

魔理沙「そっちがあったとしてもビックリするけどな」

 

 

レミリア「小傘…命蓮寺の多々良小傘か、ふふん、何か作ってもらおうかしら」

 

 

アリス「裁縫用の針も作ってもらおうかしら」

 

 

魔理沙「出来栄え良いみたいだぜ? お前らにビックリされ過ぎてあいつ腹壊さなきゃいいけどな」

 

 

 

 

【第66問】『博麗は、文々。新聞をどう思っている?』

 

 

 

魔理沙「おーい文、お前これ個人的な質問じゃないか?」

 

 

文「はてさてなんのことやら」

 

 

アリス「面と向かって聞けばいいんじゃないの?」

 

 

文「こういう形式だからこそ霊夢さんはきちんと答えてくれると思いまして」

 

 

咲夜「普通に聞いても答えてくれないのね」

 

 

早苗「恥ずかしがってるんですかね?」

 

 

レミリア「めんどくさいのかも」

 

 

文「それは酷いですねぇ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《良く燃える》

アリス《火種になる》

早苗《紙ヒコーキにして遊べる》

咲夜《良い燃料》

レミリア《焚き火の火種》

 

 

 

文「おお、これは酷い! 酷いですよ皆さん!」

 

 

魔理沙「ふはははっ! 四人が燃やす的な?」

 

 

咲夜「まったく同じ考えだったとは」

 

 

レミリア「新聞の出来は悪くないのよ? 記事内容によっては退屈凌ぎにもなるし、でも読み終わっちゃうとね…」

 

 

アリス「置き場に困るのよ、それならいっそ…」

 

 

文「も、燃やすんですか!?」

 

 

魔理沙、咲夜、アリス、レミリア「うん」

 

 

文「酷い!」

 

 

魔理沙「早苗もだろ?」

 

 

早苗「いやぁ、私は…」

 

 

魔理沙「それで遊んだ後は?」

 

 

早苗「……ご、ごみ箱に」

 

 

文「酷いです!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢、霊夢は文々。新聞をどう思ってる?』

 

 

霊夢『文の新聞? あぁ』

 

 

霊夢『良く燃えるわよね♪』ニッコリ

 

 

 

 魔理沙、咲夜、アリス、レミリア、正解!

 

 

 

文「ふぁっ!?」

 

 

魔理沙「だっはははは!!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「あっふふふっ…♪ あんな笑顔で言わなくても」

 

 

アリス「速答だったわね…ははは…!」

 

 

レミリア「あはははっ♪ さっすが霊夢ね♪」

 

 

早苗「いや…あ、文さん、私は」

 

 

魔理沙「やめとけやめとけ、今同情しても全然効果ねぇから」

 

 

文「くぅぅ…やはりはたての新聞の方が良いと言うのかっ…!」ブツブツ

 

 

 

 

【第70問】『博麗は、十六夜咲夜の体の部分を褒めるとしたら、どこを褒める?』

 

 

 

咲夜「はい?」

 

 

魔理沙「これ答え辛くねぇか?」

 

 

レミリア「咲夜はどこを見てもパーフェクトだからね、全身よ全身!」

 

 

咲夜「お、お嬢様そんな…///」

 

 

早苗「確かに咲夜さんはスタイル良いですからねぇ」

 

 

アリス「人間であんなに働いていてそこまで美肌を保っているのは気になるわ、何か秘訣でもあるの?」

 

 

咲夜「別に何もしてないわよ」

 

 

早苗「わー出ました、本当は何かしてるのに何もしてないと言う人!」

 

 

咲夜「早苗怒るわよ?」

 

 

魔理沙「まさか肌の老化まで時止めしてんのか?」

 

 

咲夜「そんな器用なこと出来ないわ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《胸》

アリス《足》

早苗《銀髪》

咲夜《手?》

レミリア《全て》

 

 

 

レミリア「霊夢の気持ちになって考えてみてもやっぱり全てしか出てこなかったわ」

 

 

咲夜「恐悦至極でございますわ、お嬢様」

 

 

咲夜「…あなたたち、それは本当に霊夢の気持ちになって考えたのかしら」

 

 

早苗「銀髪カッコいいじゃないですか」

 

 

アリス「あなた足長いから」

 

 

魔理沙「お前そこもデカイもんな」

 

 

咲夜「…///」

 

 

魔理沙「まぁ、美鈴には負けるけどな」

 

 

咲夜「何で美鈴が出てくるのよ…///」

 

 

 

 正解はこちら!

 

 

紫『霊夢が咲夜の体の部分を褒めるとしたらどこを褒める?』

 

 

霊夢『あー? 体の部分? 変な質問、文の趣味なんじゃないの?』

 

 

霊夢『体…咲夜の? う~ん』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『足、足かしらね』

 

 

 

 アリス、正解!

 

 

 

アリス「あら当たった」

 

 

魔理沙「へぇー足なのか、理由は?」

 

 

咲夜「き、聞かなくていいわよ!」

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

 

紫『理由は?』

 

 

霊夢『足長くて綺麗じゃない咲夜』

 

 

霊夢『やっぱりメイド服着てるから足の見栄えが良いのかしら?』

 

 

紫『ふふふのふ♪ 霊夢、私のスキマに霊夢専用メイド服が』

 

 

霊夢『捨てなさい』

 

 

 

早苗「霊夢さん専用メイド服すっごく気になります」

 

 

レミリア「見たいわね、そしたら紅魔館で私の専属メイドに…!」キラキラ

 

 

魔理沙「足綺麗だってよ咲夜」

 

 

アリス「正直羨ましいのよ? そのプロポーション」

 

 

咲夜「…///」カァ

 

 

咲夜「こ、今夜は鳥鍋にしてやるわ…」ギロッ

 

 

文「あやややや!? 何故私を睨むんですか!?」

 

 

 

【第89問】『博麗が、幻想郷の住人の中で抱き枕にして寝てみたい住人は?』

 

 

 

魔理沙「たまに来るこの趣味丸出しな質問はなんなんだよ」

 

 

文「ふふふふ」

 

 

魔理沙「悪意あるなおい」

 

 

早苗「抱き枕…? 抱き心地が良い人は…」

 

 

アリス「ぽちゃぽちゃしてるとか?」

 

 

咲夜「痩せてるとか意外な人物かもよ?」

 

 

レミリア「…!」カキカキ

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《萃香》

アリス《パチュリー》

早苗《萃香さん》

咲夜《八雲藍》

レミリア《私であれ!!》

 

 

 

魔理沙「あふはははっ…! 何だその答えは」

 

 

アリス「ふっふふふ…! ひ、必死さが伝わってくるわね」

 

 

早苗「神頼みのようですね、あはは!」

 

 

レミリア「何よ! 悪い!?」

 

 

咲夜「いいえお嬢様、お嬢様は何一つ悪くはありませんわ」

 

 

レミリア「でしょう? 霊夢なら…霊夢なら私を選んでくれるはずよ」

 

 

魔理沙「どっから来るんだその自信」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が幻想郷の住人の中で抱き枕にして寝てみたい住人は?』

 

 

霊夢『んん? 抱き枕って…』

 

 

霊夢『え~…あー、どっちにしようかしら…』

 

 

霊夢『…フッ』

 

 

霊夢『うん、そうね…じゃあ』

 

 

霊夢『レミリア』

 

 

 

 レミリア、正解!

 

 

 

レミリア「やっっっっっっっ!!!」グッ

 

 

レミリア「やっっったぁぁーーーー!!!」グッグッ

 

 

魔理沙、早苗、アリス「おぉー」

 

 

魔理沙「いや、マジでおめでとうレミリア、まさか選ぶとはな」パチパチ

 

 

早苗「良かったですね、レミリアさん!」パチパチ

 

 

アリス「あははは、本当に嬉しいみたいね♪ おめでとうレミリア」パチパチ

 

 

咲夜「お嬢様…! この咲夜も嬉しゅうございます…!」パチパチ

 

 

レミリア「はぁーーー…♪ 生きてて本当に良かったー…!」

 

 

魔理沙「ふむ、なぁ理由とかあんのか?」

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

紫『理由はあるの? 誰かと迷ってたみたいだけど』

 

 

霊夢『萃香とレミリアどっちにしようか迷ったのよ』

 

 

霊夢『萃香だと…ほら、寝返り打たれて角が刺さりそうで怖かったからさ』

 

 

霊夢『レミリアを選んだ理由は…あいつ神社にくると良く私の膝の上に座ってくるのよ、それで座らせてる時に気がついたんだけど』

 

 

霊夢『あいつ良い匂いするのよね、花の…何かしら、香水? みたいな?』

 

 

霊夢『それが私の好きな匂いなのよ、だから安眠出来るかなって』

 

 

 

レミリア「えぇもちろん安眠させてあげますとも!」

 

 

アリス「ふふ、テンション高いわね♪」

 

 

レミリア「これが上がらずにいられるかってのよ! あぁ~♪」

 

 

レミリア「今なら太陽の下を日傘無しで歩けるわね! ふふふふふ♪」

 

 

魔理沙「それは止めてやれよ? 灰になるぞあいつ」ヒソヒソ

 

 

咲夜「えぇ、もちろん」ヒソヒソ

 

 

 

【第99問】『博麗は、解答者5人の中で一番不潔だと思うのは?』

 

 

 

魔理沙「はっ…! おいおいあのなぁ、幻想郷の乙女に不潔がいると思うか?」

 

 

咲夜「…」カキカキ

 

 

魔理沙「文、お前も霊夢を困らせるような問題作るなよ」

 

 

早苗「…」カキカキ

 

 

魔理沙「紫もこの問題に関しちゃ私と同じ思いなんじゃないか?」

 

 

アリス「…」カキカキ

 

 

魔理沙「しかも私たち5人とか…考えるだけ時間の無駄だぜ」

 

 

レミリア「…」カキカキ

 

 

魔理沙「まぁ一応書くけどよぉ、ん? どうしたお前ら」

 

 

咲夜「…いや」

 

 

魔理沙「?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《いない》

アリス《ごめん、魔理沙》

早苗《魔理沙さん》

咲夜《魔理沙》

レミリア《魔理沙》

 

 

 

魔理沙「……」

 

 

魔理沙「はぁ!?」 

 

 

咲夜「よくもまぁ自分の家の惨状を自分で分かっているのにこの中にはいないだのと言えたわね!」

 

 

魔理沙「いや待てお前ら! 不潔の意味を理解してんのか!?」

 

 

咲夜「汚ならしいこと、汚らわしいことよ」

 

 

魔理沙「私を汚らわしいだなんて霊夢が思うか!?」

 

 

咲夜「部屋が、よ! あなたの家の中!」

 

 

早苗「魔理沙さんの家足の踏み場が無いじゃないですか」

 

 

魔理沙「あるって! こう…見極めればそれなりに」

 

 

早苗「見極めないとまともに歩けない程に散らかってるんですか!?」

 

 

レミリア「その中にはパチェの本も含まれているのね…」

 

 

魔理沙「パチュリーから借りた本は分かりやすい様に寄せてあるんだぜ」

 

 

レミリア「置場所は?」

 

 

魔理沙「床!」

 

 

レミリア「ダメじゃない!」

 

 

魔理沙「アリス、お前まで…」

 

 

アリス「ま、魔理沙…その…あのね?」

 

 

アリス「例え…例えあなたが家をゴミ屋敷にしてしまう程物を片付けられない人だったとしても」

 

 

アリス「私はあなたを愛してるんだからぁ!」

 

 

魔理沙「お前のそのさらっと告白してくるスタイルはなんなんだよぉ!」

 

 

アリス「ふふっ!」

 

 

魔理沙「全力でふふっじゃねぇわ!」

 

 

咲夜「やっぱりぶれないわねアリス」

 

 

早苗「ふははっ…!!」プルプル

 

 

レミリア「?」

 

 

魔理沙「くっそ見てろお前ら! 紫! 霊夢に聞いてみてくれ!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢、霊夢があの5人の中で一番不潔だと思うのは?』

 

 

霊夢『不潔? 魔理沙でしょ』

 

 

 

 アリス、レミリア、咲夜、早苗、正解!

 

 

 

魔理沙「 」

 

 

早苗「あっはははは!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「ふふっ、あっはふふっ!」

 

 

咲夜「ふふふっ…! ほ、ほら見なさい!」

 

 

魔理沙「ば、馬鹿な…! そんなことあるわけないのぜ…!」

 

 

咲夜「訛ってるわよ」

 

 

魔理沙「理由を聞いてくれ!」

 

 

咲夜「往生際が悪いわね」

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

 

紫『あらら、何で魔理沙?』

 

 

霊夢『何でってあの5人の中ででしょ? ダントツで魔理沙じゃない』

 

 

霊夢『前にあいつの家に行ったけどまた足の踏み場が無かったわ、それに魔法の研究で一日忙しくしてお風呂入らない時があるみたいだし』

 

 

紫『女子力の件で少しは直ると思ったんだけどねぇ』

 

 

霊夢『それ私も思ったわ、でも魔理沙らしいっちゃらしいから私は別に気にしてはないわね』

 

 

紫『ふふっ、そうね』

 

 

紫(あ、女子力の事言っちゃった…けどレミリアにはバレては無さそうね♪)

 

 

 

魔理沙「…!」

 

 

早苗「慈悲の言葉を掛けてくれましたね霊夢さん」

 

 

レミリア「確かに魔理沙らしいけど…」

 

 

咲夜「あの言葉に救われたのなら少しは片付けをしなさい、そしてパチュリー様の本を返しなさい」

 

 

魔理沙「…いや、私は私らしく生きるぜ」

 

 

魔理沙「ありがとな霊夢」

 

 

早苗「いやいやいや! 何の解決にもなってないじゃないですか」

 

 

咲夜「はぁ…言うだけ無駄だったか…ふふっ」

 

 

レミリア「パチェ、本はまだまだ先になりそうだわ」

 

 

アリス「魔理沙」

 

 

アリス「もし良かったら私があなたの家の掃除をしてあげるけどどうかしら?」

 

 

魔理沙「アリス…」

 

 

アリス「…」ニコッ

 

 

魔理沙「…」ニコッ

 

 

魔理沙「どさくさに紛れて何かを採取して持ち帰らないならいいぞ?」

 

 

アリス「…」

 

 

アリス「ふふっ」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇですわ」

 

 

咲夜「ぶれにぶれないわねアリス」

 

 

早苗「うふふはははっ…!」プルプル

 

 

レミリア「?」

 

 

 

【第100問】『博麗は、幻想郷をどう思っている?』

 

 

 

魔理沙「はぁー、やっと100問目だぜ」

 

 

アリス「でもここで折り返しなのよね」

 

 

レミリア「先はまだまだ…でも休憩があるわ!」

 

 

咲夜「えぇ、そこで力を付けてまた挑みましょう」

 

 

早苗「では全員で正解して抜けましょう!」

 

 

魔理沙「だな、この問題…私たちなら解けるはずだぜ」

 

 

咲夜「えぇ」

 

 

早苗「はい!」

 

 

アリス、レミリア「うん!」

 

 

魔理沙「レミリア、抜かるなよ」

 

 

レミリア「とーぜんよ♪」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《素敵な楽園》

アリス《素敵な楽園》

早苗《素敵な楽園》

咲夜《素敵な楽園》

レミリア《素敵な楽園よ!》

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『! ふふっ…』

 

 

霊夢『ん? どうしたの?』

 

 

紫『霊夢は幻想郷をどう思っている?』

 

 

霊夢『! …そうね』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『私にとってここは…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『素敵な楽園よ♪』ニコッ

 

 

紫『ふふっ…♪』ニコッ

 

 

 

 全員正解!

 

 

魔理沙「よっしゃあ!」

 

 

レミリア「やったわ!」

 

 

早苗「奇跡…ではないですね、とにかく嬉しいです!」

 

 

アリス「ふふふっ、霊夢らしいわ♪」

 

 

咲夜「そうね、ふふっ♪」

 

 

 

 

 【休憩タイム!】

 

 

 

にとり「お疲れさん、まぁまだ100問あるけどゆっくりしていってね」

 

 

文「ここのお菓子は紫さんが用意してくれました、疲れを癒していってください」

 

 

魔理沙「おう! いやに太っ腹だな紫」

 

 

アリス「裏は…今回はなさそうね」

 

 

早苗「おっ! これは外の世界の駄菓子…! 懐かしいです」

 

 

レミリア「う~ん、咲夜、今日は緑茶がいいわ」

 

 

咲夜「はい、ご用意いたします」

 

 

文「あ、そうでした、皆さんのここまでの正解数なんですがこうなってます」

 

 

 

魔理沙  『48問』

アリス  『39問』

早苗   『34問』

咲夜   『35問』

レミリア 『43問』

 

 

 

魔理沙「お! 私が1位か」

 

 

早苗「むむ、私が最下位とは…番組ファンの名に懸けてもっと頑張らないと」

 

 

アリス「でも私たちあんまり大差ないわよね」

 

 

咲夜「お嬢様と魔理沙の接戦ですね」

 

 

魔理沙「中々正解してるじゃないか」

 

 

レミリア「当然でしょ、後5問…追い上げてやるから覚悟しなさい」

 

 

魔理沙「ふっ、追い上げられない様に正解し続けてやるぜ」

 

 

レミリア「挑むところよ」

 

 

アリス「…私たちってさ」

 

 

咲夜「えぇ、いきなりここに連れて来られた割りには結構楽しんじゃってるわね」

 

 

早苗「んー! よし! 頑張りますよ! 後100問!!」

 

 

魔理沙、レミリア「おー!」

 

 

 

 

霊夢『いや、何で一緒に食べるのよ』

 

 

紫『お昼だもん♪』

 

 

藍『まぁ、うん』

 

 

霊夢『答えになってない』

 

 

紫『霊夢、ゆかりんは一人でお昼なんて寂しいから一緒に食べるのよ? 霊夢だってそういうことあるでしょ?』

 

 

霊夢『…いや、無いけど』

 

 

紫『うっそだー、本当は寂しい癖に~♪ 霊夢のお・ま・せ・さん♪』

 

 

霊夢『ぶつわよあんた』

 

 

藍(いつも神社に誰かしら遊びに来るから一人でお昼食べたことないとか…?)

 

 

 

 

 

 後編へ続く!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【オマケ、ちょっとした閑話】

 

 

レミリア「ねぇ早苗」

 

 

早苗「はい?」

 

 

レミリア「なんか…あなた変なところで笑わない?」

 

 

早苗「変なところですか?」

 

 

レミリア「えぇ、なんて言ったらいいかしら…ほら、アリスが魔理沙に対して感情をぶつけた後とでも言うのかしら」

 

 

早苗「はて…? ! あ、あぁあぁ分かりました」

 

 

早苗「あれですね、アリスさんが魔理沙さんに対して暴走してしまった時ですね」

 

 

早苗「変ではなくないですか? 面白いじゃないですか」

 

 

レミリア「そう?」

 

 

早苗「アリスさんが暴走します、アリスさんがふふって笑って誤魔化します、魔理沙さんがふふっじゃないとつっこみます、咲夜さんがぶれないわねアリスと言うまでのプロセスが芸人さんの鉄板ネタと呼ばれるお笑いのそれと似てます」

 

 

レミリア「えっ!? そんな会話してたっけ?」

 

 

早苗「はい、スピーディーなボケなので分かりづらいですが分かってしまうともう笑いを堪えられないんですよ」

 

 

早苗「後半戦もたぶんアリスさん暴走するかもしれません、よく聞いてみてください」

 

 

レミリア「うん、分かったわ♪」

 

 

レミリア「…それにしても」

 

 

早苗「はい?」

 

 

レミリア「あなた笑いの沸点低いわよね」

 

 

早苗「良く言われます」

 

 

 

 

 

 後編へ続く!

 

 

 







 この後の後編が終わった後は質問されているキャラの日常をお届けしようと思います、そちらも楽しんでいただけたらと思います。

 早苗は笑いの沸点が低いです、笑い上戸なんでしょうね。




 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪




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ゆかりんクイズ! 博麗霊夢の200のコト  後編



 こちらは後編になります、先に前編をお読み下さればと思います。


 霊夢のコト後編、優勝するのは果たして…!?


 それでは始まります♪



 

 

 前半戦を終え休憩を取り、疲れを癒した魔理沙たち。

 

 後半戦に待ち受ける問題とは!?

 

 

 

 ここまでの正解数

 

 

 

魔理沙  『48問』

アリス  『39問』

早苗   『34問』

咲夜   『35問』

レミリア 『43問』

 

 

 

 

 

 【後半戦へ!】

 

 

 

射命丸文「ではでは! 後半戦始まりますよ♪」

 

 

河城にとり「準備は良いかい?」

 

 

 

 

霧雨魔理沙「おう、残り100問頑張るぜ」

 

 

アリス・マーガトロイド「休憩もたっぷり取ったしね、充分いけるわ」

 

 

東風谷早苗「折り返しであの結果でしたが番組ファンの名に懸けて! ここは負けるわけにはいきません!」

 

 

十六夜咲夜「お嬢様、お腹の具合は…」

 

 

レミリア・スカーレット「うっぷ…だ、大丈夫よこれくらい…」

 

 

魔理沙「何であんなに緑茶がぶ飲みしたんだよ」

 

 

レミリア「お、お茶を飲めば霊夢の気持ちが…」

 

 

魔理沙「そんなんで分かりゃ苦労はしないぜ」

 

 

早苗「霊夢さん=緑茶なんですか…?」

 

 

アリス「確かに紅茶=霊夢ではないけど…」

 

 

魔理沙「そういう問題か?」

 

 

レミリア「うっぷ…」

 

 

魔理沙「口からカリスマブレイクだけは勘弁してくれよ?」

 

 

レミリア「んなことするかぁ!」

 

 

咲夜「あなたの口からマスタースパークには負けるわよ」

 

 

魔理沙「それはやめろぉ!」

 

 

早苗「き、傷の舐め合いはやめましょうよ」

 

 

 

 

 

八雲紫『霊夢、準備は良いかしら?』

 

 

博麗霊夢『えぇ』

 

 

八雲藍『では私も天の声に戻ります』

 

 

紫『よろしくね、藍』

 

 

藍『はい、それでは』スッ

 

 

霊夢『ふぅ…』

 

 

紫『どうしたの?』

 

 

霊夢『我ながら良くこの娯楽をやろうだなんて言ったもんだなぁと思ってさ』

 

 

紫『んふふ♪』

 

 

霊夢『なによ』

 

 

紫『この娯楽、楽しんじゃってるんでしょう?』

 

 

霊夢『別に…』プイッ

 

 

紫『ふふっ♪』

 

 

 

 

藍(天の声)『魔理沙たち、こちらの準備は整っているがいけるか?』

 

 

 

魔理沙「おう、いつでも来い」

 

 

アリス「若干一名不安だけど…」

 

 

レミリア「う~…」

 

 

咲夜「お嬢様…」

 

 

早苗「あ…そうでした、これがありました」ゴソゴソ

 

 

早苗「八意印のビオフェ○ミン飲みます?」

 

 

アリス「それは?」

 

 

早苗「整腸剤です、永琳さんから頂いたんですけど」

 

 

魔理沙「お前そんなもん持ち歩いてるのか?」

 

 

早苗「常に何時でも如何なる事に対処してこその奇跡なのです! ここでタイミングよく私がこれを持っていたことも奇跡です!」

 

 

魔理沙「ああやってさらっと信仰集めんのかな?」ヒソヒソ

 

 

アリス「かも…でもあれだと永琳の力のお陰になるんじゃないのかしら」ヒソヒソ

 

 

咲夜「それ大丈夫なの?」

 

 

早苗「即効性あり♪ 鈴仙さんのお墨付きですよ、ささっ、どうぞどうぞ」スッ

 

 

咲夜「鈴仙が言うなら大丈夫ね♪ お嬢様、これを…」スッ

 

 

レミリア「うん…」スッ

 

 

 

 ゴクッ!

 

 

 

レミリア「……お?」

 

 

咲夜「お嬢様、お腹の具合はいかがですか?」

 

 

レミリア「うん、うん! お腹のグルグルが治まったわ、感謝するわ早苗」

 

 

咲夜「凄い効き目ね…ありがとう早苗、お嬢様のお腹は救われたわ」

 

 

早苗「ふふふ♪ これぞ守矢の奇跡…!」

 

 

アリス「いや、だから永琳の…」

 

 

魔理沙「守矢の奇跡にはスルーしてるから大丈夫なんじゃないか?」

 

 

レミリア「フフフ♪ 藍、さっさと始めなさい、霊夢の為に頑張るわ」

 

 

 

藍『あ、あぁ…ではいくぞ?』

 

 

 

魔理沙「後半の1問目もカリスマのカリスマが出るのを期待してるぜ!」

 

 

早苗「ふはははっ…!」プルプル

 

 

アリス「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

レミリア「し、しないわようっさいわね!」

 

 

 

 

 

 

【第101問】『博麗が、白米に1番合うと思うおかずは?』

 

 

 

魔理沙「おぉ! チャンスだレミリア、今こそそこにお煎餅と書き込むんだぜー!」

 

 

レミリア「ぬぁぁぁ!!」

 

 

早苗「あはははっ!」ゲラゲラ

 

 

アリス「ふははっ…!」

 

 

咲夜「ちょっ、魔理…ふふふっ…!」

 

 

レミリア「お煎餅と白米を一緒に食べる奴がどこにいるのよ!」

 

 

魔理沙「お前の頭の中の霊夢ならやりかねんだろ?」

 

 

レミリア「やるわけないでしょうが!」

 

 

魔理沙「おかしいなぁ、お煎餅が1番好きなのになぁ♪」ニヤニヤ

 

 

レミリア「しつこいわよ魔理沙ぁ!」

 

 

早苗「うっははは…!」プルプル

 

 

魔理沙「ふははっ…! わ、悪い悪い」プルプル

 

 

アリス「ふふふふっ…! な、なんでこう1問目から笑いを取っていくのかしら」

 

 

レミリア「取ろうと思って取ってる訳じゃないんだけどねぇ…」イライラ

 

 

咲夜「ふふふっ… ! ん``ん``…さ、お嬢様、解答を書きましょう」

 

 

レミリア「咲夜」

 

 

咲夜「は、はい?」

 

 

レミリア「咲夜も笑ってた」

 

 

咲夜「うっ…」

 

 

レミリア「む~…」プクー

 

 

咲夜「も、申し訳ありませんお嬢様」

 

 

レミリア「…むぅ…」

 

 

咲夜「ふ、ふくれてるお嬢様も可愛い…」ボソッ

 

 

魔理沙「さらっと可愛いって言ったな」

 

 

アリス「ふふっ、咲夜ってぶれないわよね」

 

 

魔理沙「お前みたいにな」

 

 

アリス「え?」

 

 

魔理沙「……」

 

 

早苗(アリスさんが1番ぶれないんですよね…)

 

 

レミリア「まぁ気にしてても仕方ないわね、ほらほら! 早く解答を書くわよ!」

 

 

魔理沙「あぁそうだったな、さて、おかずか…」

 

 

アリス「1問目と似ている様で似てないわね」

 

 

咲夜「でも答えはあれになるのかしら?」

 

 

魔理沙「おかずとして見てないんじゃないか?」

 

 

早苗「1番好きな食べ物が白米のおかずになるとは限りませんからねぇ」

 

 

レミリア「じゃあ、あれじゃないわけね」

 

 

魔理沙「…」チラッ

 

 

レミリア「…! お煎餅なんて書かないわよ!」

 

 

魔理沙「何も言ってないんだが」

 

 

早苗「うはははっ…!」

 

 

アリス「お煎餅の呪いね」

 

 

咲夜「お嬢様をここまで…罪深いお煎餅」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《焼き魚》

アリス《焼いた魚》

早苗《お茶(お茶漬けですね)》

咲夜《焼き魚》

レミリア《納豆》

 

 

 

咲夜「あ、やっぱり魚?」

 

 

アリス「私は霊夢が食べてるところを見たからこれにしたんだけど」

 

 

魔理沙「私もだ、お茶と焼き魚とご飯食ってるところを見た」

 

 

早苗「え? それだけですか?」

 

 

魔理沙「あぁ、霊夢はかなり質素な食生活してるからな」

 

 

レミリア「私と同じで食が細いのよね、でも霊夢は人間だから…」

 

 

魔理沙「そうそこなんだよ、正直な? 結構不安になるレベルだぞ?」

 

 

咲夜「そんなに? 宴会の時の霊夢は結構食べてるから普段もそれなりに…」

 

 

魔理沙「質素過ぎだぜ、金は沢山あるんだからそういうとこに使えば良いのになぁ」

 

 

アリス「贅沢嫌いなのかしら」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢が、白米に一番合うと思うおかずは?』

 

 

霊夢『おかず? おかずか…』

 

 

霊夢『う~ん…』

 

 

霊夢『そうね…まぁよく一緒に食べてるのは焼き魚かしら』

 

 

 

 魔理沙、アリス、咲夜、正解!

 

 

 

早苗「あ~、外してしまいました」

 

 

レミリア「う~…」

 

 

アリス「霊夢ってガリガリってわけじゃないけどかなり細いわよね」

 

 

魔理沙「好きな時に食いたい物を食いたいだけ食う精神を身に付ければ良いのにな」

 

 

咲夜「あなたじゃないんだから」

 

 

 

 

【第103問】『博麗は、自分を動物に例えるとしたらどの動物にする?』

 

 

 

レミリア「ここに来てポピュラーな問題ね」

 

 

咲夜「そうですね、しかし結構考えさせられますね」

 

 

魔理沙「霊夢って何っぽいかなぁ」

 

 

早苗「これも勘で当てるしかないですかね」

 

 

アリス「個性でそうね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《猫》

アリス《小鳥》

早苗《猫》

咲夜《犬》

レミリア《蝙蝠》

 

 

 

魔理沙「何でそうやって解答でふざけるんだよ」

 

 

レミリア「正解かもしれないじゃないのよ!」

 

 

魔理沙「はっ…ヴァンパイア霊夢ってか?」

 

 

レミリア「カッコいいじゃない」

 

 

魔理沙「ねぇわ、蝙蝠要素皆無じゃんあいつ」

 

 

レミリア「意外に好きかもしれないじゃない!」

 

 

早苗「あはは、でも小悪魔な霊夢さんならちょっと見てみたいですね、きっと可愛いです♪」

 

 

アリス「こ、小悪魔な魔理沙…略して小悪魔理沙! 素敵ね…! 私の事を手玉に取りながら夜はみっちりと」キラキラ

 

 

魔理沙「おいやめろ!」

 

 

咲夜「小悪党の間違いでしょ、本泥棒なんだから」

 

 

魔理沙「おい!」

 

 

アリス「小悪党だったとしても私のハートを盗んでく」

 

 

魔理沙「盗むかぁ!」

 

 

早苗「魔理沙さんは大変な物を盗んでいきましたね♪」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢は自分を動物に例えたらどの動物にする?』

 

 

霊夢『ふむ…動物か』

 

 

霊夢『…あ』

 

 

霊夢『そういえばマミゾウに狐っぽいって言われたことあるわね』

 

 

霊夢『狐、狐で』

 

 

紫『! へぇ…♪』

 

 

霊夢『なに?』

 

 

紫『なんかちょっと嬉しい』

 

 

霊夢『何でじゃ』

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

魔理沙「あ~、そういやマミゾウが言ってたなぁ」

 

 

レミリア「えぇ? 霊夢って狐っぽいかしら」

 

 

咲夜「確か狐は犬科の動物で単独行動を好み、社会性は余り無い動物だと図書館の本で読んだことがあります」

 

 

レミリア「え? そうなの?」

 

 

咲夜「はい、それでいて非常に用心深く好奇心が強い、そして物事に対して大丈夫だと判断すると大胆な行動をするようになるそうです」

 

 

レミリア「へぇー…さっすが咲夜、物知りね」

 

 

咲夜「ありがとうございます」

 

 

早苗「それを聞くと…」

 

 

アリス「似てる…? かも」

 

 

魔理沙「まるで動物占いだな、でも概ね当たってる様な気がするぜ」

 

 

咲夜「でも何で紫が嬉しがるのかしら」

 

 

アリス「ほら、藍の事じゃない?」

 

 

咲夜「あぁ、なるほどね」

 

 

 

 

 

【第110問】『博麗が、1番怖いと思う天災は?』

 

 

 

早苗「地震雷火事親父と言いますが…霊夢さんが怖がる天災なんてあるんでしょうか」

 

 

魔理沙「早苗、親父じゃなくてババアだそこは」

 

 

レミリア、咲夜「ふふあははっ…!」プルプル

 

 

アリス「ふふふふっ…」プルプル

 

 

早苗「も、もう魔理沙さん! 紫さんだって気にしてるんですから少しは」

 

 

魔理沙「紫? 紫のことなんて私は一言も言ってないんだが?」

 

 

早苗「そういうのズルいですよ!」

 

 

魔理沙「うははは♪」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

魔理沙《地震》

アリス《地震》

早苗《地震》

咲夜《地震》

レミリア《地震》

 

 

 

早苗「あ、揃いましたね」

 

 

アリス「怖いかどうかは別としてだけど、これしか思い付かなかったわ」

 

 

魔理沙「だな、神社が倒壊したのが懐かしいぜ」

 

 

レミリア「懐かしがるもんでもないでしょ、それにあれは異変でもあったし」

 

 

咲夜「傍迷惑な異変でしたね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が1番怖い天災は?』

 

 

霊夢『天災? あ~…』

 

 

霊夢『…天子』

 

 

紫『天子?』

 

 

霊夢『そう、比那名居天子そのもの』

 

 

紫『あぁ…分かるわ』

 

 

霊夢『なんていうか…いやこう、なんとも言えない怖さがあるのよ』

 

 

紫『うん、良く分かるわ』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

魔理沙「あははっ! そっか! そうかそうか、なるほどな」

 

 

咲夜「ふっ…確かに分かるわね、天災が服着て歩いてる様なものだし」

 

 

早苗「天子さんですもんね、神社を倒壊させた張本人」

 

 

アリス「それに今ではその天災が別の方向にねじ曲がってるもんね」

 

 

レミリア「別の方向?」

 

 

アリス「ほら…痛みがどうとかって聞かれたことない?」

 

 

レミリア「最近あいつに会ってないから分からないわね」

 

 

咲夜「人里で出くわした時に『ナイフを顔面に投げても良いのよ!』と言われたことがあります」

 

 

早苗「『痛みの奇跡は無いの?』と聞かれた事がありますね、耳を疑いましたよ」

 

 

アリス「『人形で串刺し…爆発…!』私の目の前でうっとりしながら悶えてたわ」

 

 

レミリア「えぇ…あいつ変人じゃない」

 

 

魔理沙「天人で天災で変人なんだよ天子は」

 

 

レミリア「なんか怖くなってきたわ、霊夢の気持ちが分かるわね」

 

 

 

 

 

【第115問】『博麗は、歴代の博麗の巫女にもし会えたらどうしたい?』

 

 

 

魔理沙「おぉ、なんかえらくまともな問題だな」

 

 

咲夜「どうしたい…か」

 

 

早苗「皆さん、霊夢さん以外の博麗の巫女に会ったことないんですよね?」

 

 

咲夜「無いわね」

 

 

アリス「えぇ」

 

 

レミリア「……」

 

 

魔理沙「私も無いぜ」

 

 

早苗「ということは霊夢さんの前の巫女、先代さんには霊夢さんも会っていないということになりますね」

 

 

レミリア「……まぁ、そうなるのかしら」

 

 

魔理沙「霊夢の口から先代の話なんて聞いたこともないな…ん? それがどうかしたのか?」

 

 

早苗「なんか気になりません?」

 

 

アリス「何が?」

 

 

早苗「霊夢さんが先代の巫女さんと会ったことがないというのがです」

 

 

魔理沙「そうかぁ?」

 

 

文「そういうお話でしたら考えるだけ無駄ですよ」

 

 

魔、ア、早、咲「え?」

 

 

文「博麗の巫女の代替わり諸々に関しては八雲家の管轄なんです、私も何度か紫さんに取材を試みたのですが軽くいなされてしまいまして」

 

 

アリス「じゃあ、急に巫女が他の巫女に代わってた…なんてこともあったの?」

 

 

文「はい、大昔には大妖怪に殺されたとか嘘なんだか本当なんだか良く分からない理由で紫さんに説明されたこともありましたねぇ」

 

 

魔理沙「ふーん…まぁ今の霊夢と紫を見ている限り急に代わるなんてことは無さそうだな」

 

 

早苗「そうですね、紫さん溺愛してますもんね」

 

 

魔理沙「な、まぁそんなことより解答書こうぜ」

 

 

早苗「あ、なんか話をそらしてしまってすいませんでした」

 

 

アリス「良いわよ、ちょっと興味ある話題だしね」

 

 

早苗(……あれ、レミリアさん答えてたかな)

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア(私は昔…いえ、これは心に閉まっておくと誓った問題、語るべきではないわね)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《弾幕ごっこを教える》

アリス《ゆっくり話をする》

早苗《修行をつけてもらう》

咲夜《話をする》

レミリア《武勇伝を聞く》

 

 

 

咲夜「あぁ、逆に? みたいな?」

 

 

魔理沙「そうだ、昔は弾幕ごっこなんてなかっただろうから逆に教えてやるんだ」

 

 

早苗「霊夢さんが考えたんですもんね、弾幕ごっこ」

 

 

アリス「修行は…無いんじゃない?」

 

 

早苗「いくら修行サボり魔の霊夢さんでも歴代の博麗の巫女さんたちとならと思いまして」

 

 

レミリア「そうなったとしても、霊夢は自分を曲げないと思うわよ?」

 

 

 

にとり「…あんな平和的な解決方法良く思い付いたよね」ヒソヒソ

 

 

文「そうですねぇ、他にもいましたけど霊夢さんだけでしたもん、妖怪と人絡みの平和的な解決方法を思い付いた博麗の巫女は」ヒソヒソ

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢は歴代の博麗の巫女にもし会えたらどうしたい?』

 

 

霊夢『あらまともな質問』

 

 

霊夢『そうねぇ…』

 

 

霊夢『ゆっくり話し合いたいわ、その時代はどうだった~とか、今の時代は弾幕ごっこなのよ~とかさ』

 

 

 

 アリス、咲夜、正解!

 

 レミリア、魔理沙、オマケで正解!!

 

 

 

魔理沙、レミリア「よっしゃー♪」グッ

 

 

早苗「うえーん、霊夢さんはぶれないのか~」

 

 

 

 

 

 

【第120問】『博麗は、お風呂で体のどこから先に洗う?』

 

 

 

レミリア「なんと!?」

 

 

魔理沙「セクハラじゃねぇかこれ」

 

 

文「ふふふ♪」

 

 

魔理沙「セクハラだな、おい」

 

 

咲夜「お嬢様のなら分かるんだけど…」ブツブツ

 

 

アリス「魔理沙ならバッチリなんだけど…」ブツブツ

 

 

早苗「あれ、霊夢さんと温泉入った事あるのに答えがパッと出てきません」

 

 

魔理沙「どこから洗うかなんて見ねぇもん普通」

 

 

レミリア「なっ…あ、あなたたち霊夢とお風呂入った事あるの!?」

 

 

魔理沙「温泉な」

 

 

早苗「ありますけど」

 

 

魔理沙「え? お前入った事ないのか?」

 

 

レミリア「…」

 

 

魔理沙、早苗「…」

 

 

魔理沙、早苗「おっくれてるぅ~♪」ニヤニヤ

 

 

レミリア「く、くそぅ…!」

 

 

 

 解決オープン!

 

 

魔理沙《頭》

アリス《手》

早苗《頭》

咲夜《手》

レミリア《手》

 

 

 

魔理沙「うん? 手?」

 

 

咲夜「えっ? 手から洗わない? 石鹸で」

 

 

早苗「手…ですか?」

 

 

アリス「手から洗って、それから頭とか体とかに取り掛かる感じなんだけど」

 

 

レミリア「そうした方が清潔でいられるのよ?」

 

 

魔理沙、早苗「…」

 

 

魔理沙「やべぇぞ早苗、綺麗好きが攻めて来る」

 

 

早苗「私も綺麗好きなんですけど!」

 

 

魔理沙「頭と書いた時点でこっち側の人間だぜ」

 

 

早苗「私は綺麗好きですよっ!!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『霊夢は、お風呂で体のどこから先に洗う?』

 

 

霊夢『文の奴…セクハラよね、これ』

 

 

霊夢『てかこの質問、私には全員解答が同じになりそうなイメージなんだけど違うもんなのかしら』

 

 

霊夢『まぁいいか、私は頭から洗うわ』

 

 

 

 魔理沙、早苗、正解!

 

 

 

魔理沙、早苗「…」

 

 

魔理沙「大体よ、シャワーとかからお湯出したら手洗ってるよな?」

 

 

早苗「そうですよね」

 

 

咲夜「石鹸で?」

 

 

魔理沙「お湯で流して殺菌出来てんだろ? それにその後シャンプー手に取るんだから殺菌が」

 

 

レミリア「まだまだ甘いわね、安心しても目に見えない汚れが着いてるのよ?」

 

 

魔理沙、早苗「…」

 

 

魔理沙「綺麗好きが攻めて来るんだが」

 

 

早苗「私は綺麗好きです、その筈です」

 

 

アリス「あ、ちなみに私の夢の一つにさぁ♪ 魔理沙と一緒にお風呂に入って私があすなろ抱き、後ろからギュッと抱き締めながら手を使って石鹸で泡を立てて指を絡ませ合いながら一緒に手を洗うことなの♪」

 

 

魔理沙「なげぇうえに聞いてねぇわ」

 

 

アリス「ふふっ」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇよ」

 

 

咲夜「ぶれないわねアリス」

 

 

レミリア「! うははふふはっ…!」プルプル

 

 

早苗「こ、ここでさらっとでましたか…! くふふ…!」プルプル

 

 

 

 

【第139問】『博麗は、にとりに何か作ってもらうとしたら何を作ってもらいたい?』

 

 

 

魔理沙「出ると思ったぜこの問題」

 

 

にとり「ふっふっふ、河童の技術は世界一ぃ! どんなものでも作ってみせますぜぇ♪」

 

 

早苗「でもお高いんでしょう?」

 

 

にとり「それはどうかな、でも仕事に見合った額の金は頂くよ、様はそれの質と材料費と人件費とその他諸々さ」

 

 

レミリア「あなたの作るものは当たりの方が多いからね、今度のバザー期待してるわよ」

 

 

にとり「失礼だな! 外れなんかないぞ!」

 

 

咲夜「のびーるアームは私たちにはいらないわよ…」ボソッ

 

 

アリス「良かったじゃない、霊夢のお金の使い道が出来て」

 

 

魔理沙「これを機にぱぁーっと使っちまえば良いんだよな」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《ハイテクな湯呑み》

アリス《小型カメラ》

早苗《扇風機》

咲夜《エアコン》

レミリア《ヒーター》

 

 

 

咲夜「ふっ…! 何よハイテクな湯呑みって」

 

 

魔理沙「光ったり、音が鳴ったり、喋ったり、自動でお茶を注いでくれたり」

 

 

レミリア「オモチャみたいじゃない」

 

 

アリス「あはは、でも霊夢意外と欲しがるかもね」

 

 

魔理沙「だろ?」

 

 

にとり「ほうほう…なるほどねぇ」

 

 

文「おや、検討するんですか」

 

 

にとり「作ってみたいと思う気持ちはあるよ」

 

 

文「創作意欲たくましいですねぇ」

 

 

早苗「…」

 

 

早苗(アリスさんの小型カメラに突っ込んだら負けですよね…?)

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢はにとりに何か作ってもらうとしたら何を作ってもらいたい?』

 

 

霊夢『にとりにか…ふむ…』

 

 

霊夢『う~む…』

 

 

霊夢『…!』

 

 

霊夢『ふっ…ふふっ…』プルプル

 

 

紫『?』

 

 

霊夢『や…ふふっ…! 八雲紫撃退装置』

 

 

紫『ふぁっ!!?』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

魔理沙「あっははは! あっひゃっひゃっ!」ゲラゲラ

 

 

早苗「ふっふふふっ! うははふふはっ!」ゲラゲラ

 

 

アリス「ふふふふっ…!」

 

 

咲夜「ふはっ…あはははっ…」

 

 

レミリア「あっはははっ!」ゲラゲラ

 

 

文「くふふふっ…!」

 

 

にとり「あっはっははは! 良いねぇ、創作意欲を擽られるよ」

 

 

魔理沙「いやお前…ふははっ…! いや本当に良いぜそれ、地味に欲しいもんな…! あふふはっ…!」

 

 

咲夜「撃退ってところがいいわね、急に現れたのをドカッとするのかしら」

 

 

アリス「弾幕とかで撃退したり?」

 

 

魔理沙「いや、ここは地味な嫌がらせみたいに豆とかをぶっぱなす装置をだな」

 

 

にとり「自立起動で充電式にして、紫を察知したら小さな豆粒を連射する戦車の様な小型のロボを三体ほど…赤外線センサーも搭載したいね」

 

 

レミリア「何を真面目に考えてるのよ…! ふっはははは…!」

 

 

早苗「いやぁ…あははは♪ 霊夢さん面白いですねぇ…ふふははっ」

 

 

 

 

紫『霊夢ぅー! 何よゆかりん撃退装置って!』

 

 

霊夢『ほら、あったら面白いかな~って』

 

 

紫『面白くなーい!』

 

 

霊夢『大体あんたがスキマからいきなり神社に突撃して来なければいいだけの話なのよ』

 

 

紫『ゆかりんはサプライズ大好き』

 

 

霊夢『撃退というサプライズは?』

 

 

紫『ゆかりんそれは悲しいわ! 悲しい!』

 

 

霊夢『ふふふっ…』

 

 

 

 

にとり「うおお、たぎれ私の頭の中の設計図ぅ!」

 

 

魔理沙「マジで作りそうだぜ」

 

 

 

 

【第144問】『博麗の、好きな男性のタイプは?』

 

 

 

魔理沙、アリス、咲夜、早苗「おぉー」

 

 

レミリア「なにぃ!?」

 

 

魔理沙「文、お前ナイスだぜ」

 

 

アリス「霊夢にこういうの聞けないもんね」

 

 

咲夜「私たちに出来ない事を平然とやってのける」

 

 

早苗「そこに痺れる憧れます!」

 

 

文「おお、褒める褒める♪ そんなに褒めても何も出ませんよ♪」

 

 

レミリア「れ、霊夢に好きな男なんているわけないでしょ!」

 

 

魔理沙「タイプって聞いてんだろ、それにこれから先出来るかもしれないじゃないか」

 

 

早苗「妖怪好きで優しくて霊夢さんに合わせてくれるような殿方ならピッタリかもですね♪」

 

 

レミリア「そんなやついるわけが…」

 

 

魔理沙「さぁ、どうだろうなぁ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《紫(そんなやつおらぬわぁ!)》

アリス《博麗の巫女だと分かってくれる人》

早苗《妖怪好きな人》

咲夜《自分に合わせてくれる人》

レミリア《答えない》

 

 

 

咲夜「ふははっ…!」

 

 

アリス「ふふふっ…あぁそうよね、聞いてるのが紫だから」

 

 

魔理沙「ふっふっふ、一人勝ちだぜ」

 

 

早苗「またそうやって当てにいくんですね…」

 

 

レミリア「いないって答えて霊夢ぅ…」

 

 

魔理沙「別に良いじゃないか」

 

 

レミリア「良くない!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『ぬっ…』

 

 

霊夢『?』

 

 

紫『れ…霊…』

 

 

霊夢『うん?』

 

 

紫『霊…霊夢のぉ…!』

 

 

霊夢『あー?』

 

 

紫『霊夢…霊夢のぉす、好きぃなぁ…』

 

 

霊夢『あん? 何? 何なの?』

 

 

紫『好きなぁ!』

 

 

霊夢『何なのよ、ハッキリ言いなさいよ!』

 

 

紫『霊夢の好きな野郎…霊夢の好きな男性のタイプはぁ!!?』

 

 

霊夢『は? …えぇ!?』

 

 

紫『いっなーい! いるわけがなーい!』

 

 

霊夢『す、好きな男性のタイプ!? えっ…ちょ…/// えぇ…///』カァ

 

 

紫『いませーん、いませんよー、ハーイ終了~♪』

 

 

藍『ちょっ…紫様! それではクイズになりませんよ!』

 

 

霊夢『え、ええと…/// うんん…/// う~ん…///』

 

 

紫『うるっさいわね、いないって言ってるでしょうが!』

 

 

藍『霊夢が答えるんでしょうがよぉ! あなたが答えてどうするんですか!』

 

 

紫『霊夢のことを知り尽くしてる私がいないと言ってるんだからいないのよ! ゆかりんクイズはゆかりんの発言が全てなのよ!』

 

 

藍『この娯楽を全否定なさるかの様な発言はお止めください!』

 

 

霊夢『えっと…/// そ、そうね…///』

 

 

霊夢『私は博麗の巫女だから…/// 私の事を分かってくれる男ならいいわね…/// うん…///』カァ

 

 

紫『!?』

 

 

藍『お、霊夢それか、それが答えなんだな?』

 

 

霊夢『そ、そうよ…/// わ、悪い…!?』

 

 

藍『いや、霊夢は何も悪くないぞ、答えてくれて助かった、良し答え合わせだ』スッ

 

 

紫『ちょっ…! 霊夢、霊夢嘘よね!?』

 

 

霊夢『い、いや…うぅん…///』カァ

 

 

紫『!!?』

 

 

 

 アリス、正解!

 

 

アリス「あっふふ…! 当たったわ…ふふふっ」

 

 

早苗「紫さん、あははっ…ひ、必死すぎです…あははっ…!」

 

 

魔理沙「ここで八雲家のコントを見せられるとは思わなかったぜ、あっはははは!」

 

 

咲夜「それにしても割りと本気で答えたわね霊夢」

 

 

魔理沙「あぁ、それがあの場にシュール過ぎて笑えたわ」

 

 

レミリア「む~…霊夢、私は博麗の巫女だって分かってあげられるわ」

 

 

魔理沙「男だって言ってんだろ」

 

 

レミリア「む~…」ショボーン

 

 

魔理沙「まぁでも少し照れが入ってたから、盛ったかもしれないな」

 

 

アリス「盛ったとしても根本的なものは変わらないんじゃない?」

 

 

早苗「ですね、あー照れてた霊夢さん可愛かったな~♪」

 

 

レミリア「それは全面的に同意するわ!」フンス

 

 

魔理沙「感情表現たくましいなおい」

 

 

 

 

 

【第145問】『博麗は、解答者5人の中で自分が男性だったら付き合ってもいいと思える人は?』

 

 

 

魔、ア、早、咲、レ「おおう!?」

 

 

文「あややや♪ どうしました?」

 

 

魔理沙「いや…お前これは…」

 

 

早苗「文さん流石です! 分かってますねぇ♪」

 

 

レミリア「良くわかってるわね!」

 

 

文「おお、また褒める褒める、そんなに褒めても新聞しか出ませんよ♪」

 

 

魔理沙「お前らな…咲夜、アリス、どう思う?」

 

 

咲夜「なんか嫌だわ…選ばれたくないわね」

 

 

魔理沙「だよな、あいつが男とかなんか…想像できん」

 

 

アリス「私にはほら、魔理沙がいるから…///」

 

 

魔理沙「お前に聞いた私がバカだったぜ」

 

 

早苗「霊夢さんが男の人だったら絶対イケメンですよね♪」

 

 

レミリア「ね、絶対カッコいいわよね♪」

 

 

早苗「ん``ん``……『俺の腕の中で妖怪バスターされてみないか?』『お前、俺の隣でずっと封印されてくれ、どこにもいくなよ? お前は俺の物だ』キャー♪」

 

 

レミリア「キャー♪」

 

 

魔理沙「お前ら楽しそうだな」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《咲夜》

アリス《咲夜》

早苗《咲夜さん》

咲夜《お嬢様》

レミリア《私よ、私!》

 

 

 

咲夜「何でっ!?」

 

 

早苗「なんとなくです!」

 

 

魔理沙「前の問題でアリスが妹だったからな、消去法でお前だ」

 

 

アリス「それはもうやめてよぉ…///」

 

 

レミリア「私と書いてくれてありがとうね、咲夜」

 

 

咲夜「もちろんでございます…でも答えないと言う選択肢も…」

 

 

魔理沙「あいつ律儀に答え続けて来てるからな、たぶん答えるぞ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『う~む』

 

 

霊夢『なに? またうるさくする?』

 

 

紫『ぶー、そんなんじゃないわ、なんか複雑なの』

 

 

霊夢『?』

 

 

紫『霊夢は、解答者5人の中で自分が男性だったら付き合ってもいいと思える人は?』

 

 

霊夢『ん…? はぁ!?』

 

 

紫『ほら、複雑でしょ? 色々と』

 

 

霊夢『えぇっ…!? いやちょ…ちょっとまっ…///』

 

 

紫『文、あなた連続でこんな…意地悪いわよ?』

 

 

霊夢『えぇぇ…? 私が男だったらって…/// しかもあの5人…?』

 

 

霊夢『…』

 

 

紫『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

紫『れ、霊夢…嫌なら答えなくても』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『…咲夜』

 

 

 

 魔理沙、アリス、早苗、正解!!

 

 

 

咲夜「はぁいぇぇ!!?」

 

 

魔理沙「ぶふっ!? ふふっははははっはは!!」ゲラゲラ

 

 

早苗「ふははっ! あっはははは!!」ゲラゲラ

 

 

アリス「あっははははふふははふふっ!!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「ふっはははは! さ、さくっ…はははは!!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ちょっ…/// はぁ…!? はぁ!!?」

 

 

魔理沙「ちょっと…や、やめ…やめろお前喋んな…あっはははは!」

 

 

早苗「お、お腹痛い…! ふっははは!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「笑ってんじゃないわよあなたたちぃ!!」

 

 

レミリア「くっ…くふふふふっ…!」

 

 

咲夜「はっ!? お、お嬢様! 申し訳ありません! 私としたことがつい」

 

 

魔理沙「おい…! ふはは…! 理由! 理由聞いてくれ」

 

 

咲夜「聞くなぁ! 聞かなくていいから!」

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

紫『結構悩んでたわね、何故に咲夜?』

 

 

霊夢『う~ん…なんとなく…本当になんとなくなのよ』

 

 

霊夢『ただそうね、強いて言うなら』

 

 

霊夢『私じゃなくても他の男と付き合った…としてみて一番大人しそうだったのが咲夜だったからかしら、アリスも候補だったけど…ほら、暴走があるからさ』

 

 

紫『むっ! 大人しそうな男が好きなの!?』

 

 

霊夢『うるさい男よりましでしょ』

 

 

紫『大人しそうな人里の男を根絶やしにしようかしら…』

 

 

霊夢『私用で異変を起こすのは天子だけで間に合ってるわよ』

 

 

 

 

咲夜「…!?」

 

 

魔理沙、アリス、早苗「あっははは…!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「…///」カァ

 

 

咲夜「いつまで笑ってんのよ…///」プルプル

 

 

早苗「いや…ちが…違うんですよ咲夜さん」

 

 

アリス「そうなのよ、違うのよ咲夜」

 

 

魔理沙「そうそう、違うんだ、聞いてくれ咲夜」

 

 

咲夜「何が違うのよ!」

 

 

魔理沙「お前が霊夢に選ばれたことに笑ってんじゃないんだよ」

 

 

魔理沙「霊夢に選ばれた瞬間にお前が『はぁいぇぇ!!?』とか言うから…くっはは…!」

 

 

早苗「あっははは!」

 

 

アリス「ふふふふっははっ…!」

 

 

レミリア「ぷふっ!? ふふふっ…!!」

 

 

咲夜「私そんなこと言った!?」

 

 

魔理沙「言ったって」

 

 

にとり「ふははっ…! い、言ってたよ、録画してあるから巻き戻して見てみるかい?」

 

 

咲夜「見ないわよ!!」

 

 

早苗「はぁ…! はぁーっ、お腹痛い…! ふふくくっ…!」

 

 

アリス「咲夜、あなたって面白いのね、あなたでこんなに笑ったの初めてよ」

 

 

咲夜「私は芸人じゃないんだけど」

 

 

レミリア「ご、ごめんね咲夜、本当なら霊夢に選ばれたことを祝福するところなのに」

 

 

咲夜「お嬢様…いえ、それは祝福されてもなんとすれば良いのかこの咲夜には分かり兼ねますのでなんとも…」

 

 

魔理沙「流石笑いのカリスマに仕えてるだけはあるな、紅魔館の住人はやっぱ格が違うぜ」

 

 

レミリア、咲夜「あぁん!?」

 

 

 

 

【第157問】『博麗が、1番世話になっているなぁと思う人は?』

 

 

 

魔理沙「隠れ世話焼きの霊夢が1番世話になっていると思う人か…」

 

 

早苗「ふふっ、隠れ世話焼きですか」

 

 

魔理沙「他人に興味ないと言いつつ話を聞いてあげてるからな」

 

 

レミリア「霊夢はやっぱり優しいわよね」

 

 

咲夜「そのことって霊夢自覚してるのかしら」

 

 

アリス「隠れだからしてないんじゃない?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《何だかんだ紫》

アリス《魔理沙》

早苗《魔理沙さん》

咲夜《魔理沙》

レミリア《私と書きたいところだけど魔理沙!》

 

 

 

魔理沙「うん? 私か?」

 

 

咲夜「その何だかんだがあなたに向くんじゃないかしら」

 

 

アリス「霊夢にしても私にしても毎日魔理沙にお世話になってるから魔理沙しか書けないわね」

 

 

早苗(お!)

 

 

レミリア(く、来るかしら?)

 

 

魔理沙「う~ん、私そんなに世話焼いてるか?」

 

 

アリス「そうよ! あなたがいないときでもあなたが私の頭の中に存在しているだけで私は毎日幸せなんだから! そしてその魔理沙が私に歩み寄ってきて私を更なる幸せに誘ってくれるのよ♪」

 

 

魔理沙「アリス、少し黙れ、な?」

 

 

アリス「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

魔理沙「ふふっじゃないですわ」

 

 

咲夜「凄いぶれないわねアリス」

 

 

早苗「キター!」

 

 

レミリア「ふふふははははっ…!」

 

 

魔理沙、アリス、咲夜「?」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が1番世話になっているな、と思う人は?』

 

 

霊夢『…そうね』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『ふっ…まぁ何だかんだ言っても』

 

 

霊夢『魔理沙かしらね♪』

 

 

 

 アリス、早苗、咲夜、レミリア、正解!

 

 

 

魔理沙「おっ!? お、おう…///」

 

 

魔理沙「そ、そうか…/// うん、ありがとな、霊夢」

 

 

早苗、咲夜、アリス、レミリア「…」

 

 

魔理沙「な、何だよ」

 

 

レミリア「羨ましい、もっと喜びなさいよ」

 

 

咲夜「照れなくたって良いのよ?」

 

 

早苗「そんなに友情が深まってるのは最早奇跡ですね♪」

 

 

アリス「覚えといてね、愛の深さなら霊夢に負けてないから♪」

 

 

魔理沙「なんなんだよちくしょーめ…///」

 

 

 

 

 

【第166問】『博麗は、びっくり箱を開けたら1言目になんと言う?』

 

 

 

藍『霊夢には内緒で差し入れと偽り、紫様が渡してみるぞ』

 

 

 

魔理沙「中々面白そうじゃないか」

 

 

早苗「表情とかじゃないんですね」

 

 

アリス「なんか…もう答えが出てるような」

 

 

咲夜「そうね」

 

 

レミリア「うえっ…!? そ、そう?」

 

 

魔理沙「敵に塩を送ってやるか」

 

 

魔理沙「レミリア、渡す相手が誰なのか…ほらもう答えは出るだろ?」

 

 

レミリア「…? ! ふっふっふ、感謝するわ魔理沙」

 

 

魔理沙「まぁ当たるとは限らんがな」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《紫ぃ! 歯ぁ食いしばれ!》

アリス《紫! ぶたせなさい!》

早苗《ぶつわよあんた!》

咲夜《あぁん!?》

レミリア《紫! ちょっと殴らせなさい!》

 

 

魔理沙「あ! 『あぁん!?』があったか」

 

 

咲夜「いやでも、お嬢様やあなたたちのように暴力に訴える方だと思うわ、正直賭けで書いたの」

 

 

早苗「紫さんが相手だからこその霊夢さんの言動ですね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢、ちょっと疲れたでしょ、差し入れよ』スッ

 

 

霊夢『ん? 休憩挟むの?』

 

 

紫『いいえ? 間食でもどうかなってね、その箱の中にお菓子を入れておいたわ』

 

 

霊夢『ふーん……!!』ピクッ

 

 

霊夢『…なんか嫌な予感がするんだけど』

 

 

紫『!? えっ…!? な、何で!?』

 

 

霊夢『勘』

 

 

紫『…霊夢』

 

 

霊夢『あー?』

 

 

紫『あなたの勘は確かに鋭いわ、でも勘ばかりに頼っていてはダメよ?』

 

 

霊夢『…』

 

 

紫『勘でなんでもかんでも疑っていては自分を見失ってしまうわ、そして回りの大切な人までもね』

 

 

霊夢『…悪かったわね』

 

 

紫『ふふっ』

 

 

霊夢『…でも何で箱詰めするのよ、皿に出してくれりゃいいの』スッ

 

 

 

 パカッ!

 

 

 

多々良小傘人形入りびっくり箱『オドロケー!!』

 

 

霊夢『…』

 

 

小傘人形入りビックリ箱『オドロケー!』ビヨーンビヨーン

 

 

霊夢『…』イラッ

 

 

小傘人形入りビックリ箱『オドロ』

 

 

 

 バキィ!

 

 

 

紫『!?』

 

 

多々良小傘人形だったもの『オ、オドロ…ケ…』ガクッ

 

 

紫『小傘ー!?』

 

 

霊夢『…』スクッ

 

 

紫『れ、霊夢…!』

 

 

霊夢『…』ニッコリ

 

 

紫『まぁ素敵な笑顔♪ 霊夢のその微笑みに私はいつも救われ』

 

 

霊夢『紫ぃ! 歯ぁ食いしばれぇ!』スッ

 

 

紫『うひゃっ!?』ビクッ

 

 

霊夢『やっぱり私の勘は正しかったわ! 自分を見失うだの大切な人まで失うだの良く言えたもんだわねぇ!』

 

 

紫『れ、霊夢!』

 

 

霊夢『あぁん!?』

 

 

紫『や、優しく! 優しめのお仕置きでお願いします…!』ウルウル

 

 

霊夢『…ふふふふ♪』

 

 

紫『! うふふふふ♪』

 

 

霊夢『…』スッ

 

 

霊夢『ふんっ!』ブンッ!

 

 

 ゴツン!

 

 

紫『アーッ!!』

 

 

 

 魔理沙、アリス、早苗、レミリア、正解!

 

 

 

魔理沙「だっはははは! 見事な拳骨だったぜ」

 

 

アリス「笑いのためだったら平気で嘘つくのかしら…」

 

 

レミリア「咲夜のも正解にしてあげてよ『あぁん!?』って言ってたわ」

 

 

 

藍『そうだな、正直紫様の虚言には私も少しイラッとしたから全員正解だ』

 

 

 

 咲夜も正解!

 

 

 

咲夜「お嬢様、ありがとうございます」

 

 

レミリア「ふふっ、当然よ」

 

 

にとり「うむむ、せっかく作ったのに壊すことないじゃないか」

 

 

早苗「あのびっくり箱にとりさんが作ったんですか」

 

 

 

 

【第171問】『博麗が、幻想郷の住人の中で1番カリスマがあると思う人は?』

 

 

 

レミリア「おぉっ!!?」

 

 

魔理沙「ふはっ…」プルプル

 

 

アリス「ふふふっ…」プルプル

 

 

早苗「くふふははっ…」プルプル

 

 

レミリア「くくくっ…あーっはっはっは!! ついにこういう問題が来たか! 文、今までの問題の中で1番の問題よ!」

 

 

文「ありがとうございます、カリスマお嬢様」

 

 

魔理沙「ぶふっ…! お前…!」プルプル

 

 

文「ふふっ…」ニヤニヤ

 

 

レミリア「霊夢にはたっぷりと私のカリスマを見せ付けて来たからね! 霊夢にも私のカリスマが伝わっているはずよ! 咲夜! 後に続きなさい!」

 

 

咲夜「はい、お嬢様!」

 

 

魔理沙「おい、クイズしろよ」

 

 

アリス「シッ! ここは乗っかっておきましょう」ヒソヒソ

 

 

早苗「乗っかった方がきっと面白いですよ」ヒソヒソ

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《もうレミリアで良いんじゃねえか?》

アリス《レミリアで良いと思うわ》

早苗《レミリアさんで良いですね》

咲夜《高潔で気高いカリスマの権化、レミリアお嬢様》

レミリア《レミリア・スカーレット!》

 

 

 

レミリア「こらぁ! あなたたちちゃんと書きなさいよ!」

 

 

咲夜「お嬢様に失礼だと思わないの!?」

 

 

魔理沙「いや失礼とかそういうんじゃないだろ」

 

 

早苗「霊夢さんが選んでくれるといいですね」

 

 

レミリア「あったり前よ!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『ふはははっ…!』

 

 

霊夢『?』 

 

 

紫『ふっふふふっ…れ、霊夢が幻想郷の住人の中で1番カリスマがあると思う人は?』

 

 

霊夢『ぷふっ! あっはははは…!』プルプル

 

 

霊夢『ははは…! か、カリスマ? ふっふふふっ…! そうねぇ』

 

 

霊夢『まぁふふふっ…カリスマってさ、色々とオーラがある奴の事言うじゃない、だから…』

 

 

霊夢『ふっふふ…! れ、レミリア! レミリアよ』プルプル

 

 

 

 

 全員正解!!

 

 

レミリア「!!!!!」ガタッ

 

 

レミリア「うおおぉぉー!! やっっったーーー!!」ガッツ

 

 

咲夜「おめでとう…! おめでとうございますお嬢様! この咲夜、必ずお嬢様が選ばれると信じておりましたわ」

 

 

レミリア「ありがとー咲夜ぁー! くぅー! 霊夢からも認められたー♪」

 

 

魔理沙、アリス、早苗「…」

 

 

魔理沙「気を…うん、遣ってくれたんだな」ヒソヒソ

 

 

アリス「こっちの声は聞こえてないけど見てるって分かってるからね」ヒソヒソ

 

 

早苗「霊夢さんは優しくて素敵ですねぇ」ヒソヒソ

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜(ありがとう、霊夢)

 

 

 

【第180問】『博麗が、最近あぁやっちゃったなぁ…と思った出来事は?』

 

 

 

魔理沙「やっちまったなぁ…とか思うことあんのかなあいつ」

 

 

レミリア「小さな事は気にしないわよね、霊夢は」

 

 

早苗「霊夢さんは根にもつタイプの人ではないですもんね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《お札の文字を書き間違えた》

アリス《裁縫で縫い間違えた》

早苗《幣を折ってしまった》

咲夜《お茶の葉をいれすぎてしまった》

レミリア《空を飛んでいて誰かとぶつかった》

 

 

 

早苗「この中に一つでも正解があれば霊夢さんにドジッ子属性が…!」

 

 

アリス「ドジッ子属性?」

 

 

早苗「ほら、一見完璧に見える女の子がドジをするのってなんか可愛いじゃないですか」

 

 

咲夜「そういうものなの?」

 

 

早苗「男性視点で見ると特に、らしいですよ♪」

 

 

魔理沙「じゃあそういうのを知ってる早苗はそれを狙ってやるんだな?」

 

 

早苗「もっちろんです! ……はっ!?」

 

 

魔理沙「人里の男たちに騙されんなと教えてやりたいぜ」

 

 

咲夜「宗教勧誘も大変なのね」

 

 

早苗「してません! してませんから!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『霊夢が最近あぁやっちゃったなぁ…と思った出来事は?』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『笑わない?』

 

 

紫『へ?』

 

 

霊夢『紫、いや、魔理沙たちも…笑わないでよ?』

 

 

紫『えぇ、笑わないわよ』

 

 

霊夢『じゃあ話すけど…』

 

 

霊夢『前にね? お賽銭入ってないかなぁって思ってさ、こう…こうやって結構身を乗り出して賽銭箱を覗いたのよ』

 

 

霊夢『まぁ入ってなかったんだけどさ、それはいいのよ、その後よ』

 

 

霊夢『身を乗り出し過ぎてたせいもあるんだろうけどさ、体勢を戻そうとしたらこう…ゴスッ! と神社の柱に頭をぶつけたのよ』

 

 

霊夢『すっごい痛かったわ…あれはやっちゃったと思ったわね』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

魔理沙「…」プルプル

 

 

アリス「…」プルプル

 

 

早苗「…」プルプル

 

 

咲夜「…」プルプル

 

 

レミリア「…」プルプル

 

 

魔、ア、早、咲、レ「…」

 

 

 

 

早苗「ふはははっ…!」

 

 

魔理沙「おーい早苗笑ったぞー」

 

 

早苗「!?」

 

 

文、にとり「早苗、アウトー!」

 

 

早苗「ちょっ…! ちょっと待ってくださいよ!」

 

 

レミリア「人の不幸を笑うなんて…」

 

 

アリス「笑わないでよって忠告まであったのに」

 

 

早苗「番組の企画が変わっちゃってますよ!? というか皆さんだって笑いを堪えてたじゃないですか!」

 

 

魔理沙「ナンノコトデスカ?」

 

 

咲夜「ワタシタチニホンゴワカリマセン」

 

 

早苗「おもいっきり日本語じゃないですか!」

 

 

アリス「笑いを堪えてただなんて」

 

 

レミリア「ふふっ、笑えない冗談だわ」

 

 

早苗「上手いこと言ってる場合ですか!? てかその団結力はなんなんですかー!?」

 

 

 

 

紫『ふふふっ、早苗笑ったみたいよ?』

 

 

霊夢『あいつめ…』

 

 

 

 

 

【第193問】『キャーイクサーン、どう思う?』

 

 

 

魔、ア、咲、早、レ「…は?」

 

 

魔理沙「何だこの問題は?」

 

 

文「いやぁ、193問目はこれでしょう!」

 

 

アリス「いやいや、希に見るカオスなんだけど」

 

 

文「こういうカオスな問題は1つ入れたかったんですよね~」

 

 

レミリア「きゃ、キャーイクサーン?」

 

 

アリス「どう思うって聞かれてもね…」

 

 

咲夜「どう答えたら正解なのかすらも分からないじゃない」

 

 

早苗「これ…衣玖さんですよね?」

 

 

魔理沙「あぁ、完全にあいつのネタというか技というか」

 

 

魔理沙「そもそも何であのポーズをするだけで口から勝手にキャーイクサーンが出るのかが分からん」

 

 

アリス「なにそれ?」

 

 

魔理沙「あいつ本人が霊夢と私に相談してきたんだよ、あいつがやる天を指差すポーズを見ると皆がキャーイクサーンって言うから何とかしてほしい、謎を解明してほしいってさ」

 

 

咲夜「解決は?」

 

 

魔理沙「訳が分からんから断った」

 

 

早苗「ですか…まぁこの問題事態も訳が分かりませんしね」

 

 

レミリア「会ったこと…あったかしら」

 

 

咲夜「竜宮の使いの永江衣玖の事ですよ」

 

 

レミリア「あぁ、天子のいつも側にいるあの妖怪ね」

 

 

アリス「あの妖怪は常識人だと思ってたのに…」

 

 

魔理沙「あのポーズさえやらなかったら真面目なやつだぞ?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《永江衣玖》

アリス《永江衣玖》

早苗《永江衣玖さん》

咲夜《永江衣玖》

レミリア《永江衣玖》

 

 

 

魔理沙「どう思うとか聞かれてもこれしか出てこないからな」

 

 

咲夜「さ、早く答え会わせよ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『キャーイクサーン、どう思う?』

 

 

霊夢『んあ?』

 

 

紫『…キャーイクサーン、どう思う?』

 

 

霊夢『いや、二回も言わなくていいから』

 

 

紫『だってそう書いてあるんだもん』

 

 

霊夢『…文の悪い癖か』

 

 

霊夢『どう思うって言われても…』

 

 

霊夢『永江衣玖としか思い付かないわね』

 

 

 

 全員正解!

 

 

魔理沙「…反応に困るんだよ」

 

 

咲夜「笑えないわね」

 

 

文「辛辣ですねぇ…」

 

 

 

 

【第198問】『アリスに一言、なんと言う?』

 

 

 

アリス「ぴ、ピンポイントで狙って来たわね」

 

 

魔理沙「妹でいてくれていつもありがとう」

 

 

アリス「もう、それ引っ張らないでよ…///」カァ

 

 

早苗「破壊力ありましたからね、アリスさんを妹にしてみたいって」

 

 

咲夜「一言か…何を言うのかしら」 

 

 

レミリア「は、範囲が広いわね」 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《少しは暴走を控えろ》

アリス《裁縫教えてくれて感謝してる》

早苗《その糸の技術はどこから学んだのか》

咲夜《少しはぶれてみなさいよ》

レミリア《人形可愛いわね!》

 

 

 

早苗「ふははっ…!」

 

 

レミリア「あははっ…!」

 

 

魔理沙、アリス、咲夜「?」

 

 

アリス「な、何? 暴走とか、ぶれるとか」

 

 

魔理沙「私の顔見てその言葉言えるか?」

 

 

アリス「言えないわよ、今日も素敵っ♪ としか」

 

 

咲夜「そういうのを言ってるのよ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『アリスに一言、なんと言う?』

 

 

霊夢『アリスか…』

 

 

霊夢『あ~、アリス?』

 

 

 

アリス「! う、うん?」

 

 

 

霊夢『この前裁縫教えてくれてとても助かったわ、あの時はありがとね』

 

 

 

 アリス、正解!

 

 

 

アリス「ど、どうも…/// どういたしまして」

 

 

魔理沙「なんだ、普通の事だったな」

 

 

アリス「ま、魔理沙!」

 

 

アリス「私は人形や裁縫だけの女じゃないからね!? あなたを喜ばせる200の事から夜の営みまで全てを網羅して」

 

 

魔理沙「残念美人ってお前の事を言うんだろうな」

 

 

アリス「あははっ♪」

 

 

魔理沙「喜ぶとこじゃねぇわ」

 

 

咲夜「極まってるわねアリス」

 

 

早苗、レミリア(べ…! 別パターンだとぉ!?)

 

 

 

 

【第199問】『魔理沙に一言、なんと言う?』

 

 

 

魔理沙「次は私か」

 

 

早苗「こういう時だからこそ言えることがあるのではないですか?」

 

 

魔理沙「さぁて、どうだろうな」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《弾幕ごっこしなさい》

アリス《私の妹を頼んだわよ》

早苗《いつも色々とありがとう》

咲夜《本を返してあげたら?》

レミリア《フランともっと遊んであげたら?》

 

 

 

魔理沙「アリスよぉ、お前そういうのどうなんだ」

 

 

アリス「うふふ、何が?」

 

 

魔理沙「そのネタで照れてたのにここぞとばかりにねじ込んでくるその精神」

 

 

アリス「…素敵じゃない♪」

 

 

魔理沙「何でだよ!」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙に一言、なんと言う?』

 

 

霊夢『ん…魔理沙ね』

 

 

霊夢『魔理沙…』

 

 

 

魔理沙「お、おう」

 

 

 

霊夢『…』

 

 

 

魔理沙「…」

 

 

 

霊夢『…///』

 

 

 

魔理沙「…?」

 

 

魔理沙「な、なんなんだぜ、早く言えっての」

 

 

 

霊夢『…』

 

 

 

 

 

霊夢『あんた神社に来るのはいいけど箒に乗ってすっ飛んで来るのはやめなさいよ?』

 

 

霊夢『せっかく掃除して集めた落ち葉が何度吹っ飛んでいったことか…』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

魔理沙「…」

 

 

早苗「あー、なんか良い雰囲気だったのに台無しです」

 

 

レミリア「日頃の行いを改めることね!」

 

 

魔理沙「えっ? これ私が悪いのか!?」

 

 

咲夜「照れたわよね」ヒソヒソ

 

 

アリス「照れてたわね、霊夢」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

【第200問】『200問を終えて皆に一言!』

 

 

 

魔理沙「おー! ついに200問目か!」

 

 

アリス「ふぅ…長かったわね」

 

 

早苗「これがバラエティの厳しさ…番組一つ作るのにこれ程の疲れが…」

 

 

咲夜「お嬢様、お疲れ様でございました」

 

 

レミリア「咲夜もね、さぁて最後の問題! 全員で正解するわよ!」

 

 

魔理沙「おう…! ってお前が1番不安なんだが」

 

 

レミリア「大丈夫よ! 全員が正解する運命なんだからね!」

 

 

魔理沙「おい、お前能力」

 

 

レミリア「使ってないわよ!」

 

 

咲夜、アリス「ふふふっ…」

 

 

早苗「あはは…」

 

 

魔理沙「ならいいけどな、うし! 全員で正解してみっか!」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

魔理沙《お疲れさん》

アリス《お疲れ様》

早苗《お疲れ様でした》

咲夜《お疲れ様》

レミリア《お疲れ!》

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『ふふふっ、最後の問題ね』

 

 

霊夢『そうね、はぁ、長かったわ…』

 

 

紫『始まりがあれば終わりもある…その間に起きた出来事が思いでとして残ったかどうかが大切なのよ、楽しかった事でも、悲劇でもね』

 

 

霊夢『! …はいはい』

 

 

紫『ふふっ♪』

 

 

霊夢『んで? 最後の質問は?』

 

 

紫『200問を終えて皆に一言!』

 

 

霊夢『! ふっ…』

 

 

霊夢『魔理沙、アリス、咲夜、早苗、レミリア』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『お疲れ様!』

 

 

 

 全員正解!

 

 

魔理沙、レミリア「よっしゃー!!」ガッツ

 

 

早苗「やりましたー!」

 

 

咲夜「ふふっ、最後に全員で正解すると気分いいわね」

 

 

アリス「そうね、はぁ…これで終わりなのね…♪」

 

 

文「皆さーん、お疲れ様でした♪」

 

 

にとり「お疲れさん、いい画が撮れたよ♪」

 

 

早苗「あはは、すっかりカメラマンさんですね」

 

 

 

藍『皆、お疲れ様♪ 200問達成おめでとう』

 

 

魔理沙「おう、藍、お前もお疲れさんだぜ」

 

 

藍『おっと忘れるところだった、皆お疲れのところ悪いがここで優勝者の発表だ』

 

 

早苗、咲夜、アリス「優勝…!」

 

 

レミリア「! そうだったわ、霊夢からプレゼントがあるんだったわね」

 

 

魔理沙「ふっふっふ、優勝はこの魔理沙さんだぜ」

 

 

レミリア「いいえ! このカリスマの権化! レミリア・スカーレットよ!」

 

 

藍『ふふっ…では発表する! ゆかりんクイズ! 博麗霊夢の200のコト! 栄えある優勝者は…!』

 

 

魔、ア、咲、早、レ「…!」ドキドキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「どうやら優勝者が決まったようね」

 

 

霊夢「誰が優勝したのかしら」

 

 

紫「ふふっ、さぁってね…♪」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「今から優勝者がこのスキマから出てくるわ、霊夢、プレゼントの準備は良い?」

 

 

霊夢「えぇ」

 

 

紫「んじゃ、後は二人でごゆっくり♪」

 

 

霊夢(! あぁ、やっぱりそうなるか)

 

 

紫「あ、霊夢」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

紫「お疲れ様♪」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

霊夢「ふっ…あんたもね」

 

 

霊夢「誰が優勝したのかしら」

 

 

霊夢「魔理沙…? いや、レミリアかしら」

 

 

霊夢「大穴で早苗? アリス? それとも咲夜…」

 

 

霊夢「…まさかの二人とか」

 

 

霊夢「いや、無いか」

 

 

霊夢「にしても本当に誰が」

 

 

 

 ズッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「おっす、魔理沙さんが来てやったぜ♪」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…?」

 

 

霊夢「やっぱりあんたかい」

 

 

魔理沙「やっぱりってなんだよおい」

 

 

霊夢「別に」

 

 

魔理沙「お? 優勝したのが私で安心したのか?」

 

 

霊夢「はっ! 誰が…」

 

 

魔理沙「はっはっはっ! 照れんな照れんな♪」

 

 

霊夢「…! はぁ…」

 

 

霊夢「優勝おめでとう、魔理沙」

 

 

魔理沙「お? おう、優勝してやったぜ霊夢」

 

 

魔理沙「んで? プレゼントはどこだ?」

 

 

霊夢「相変わらず現金な奴ね」

 

 

魔理沙「だってよ、お前が直々にプレゼントくれるなんてめったにないことだろ?」

 

 

霊夢「!」

 

 

魔理沙「結構嬉しいんだぜ?」

 

 

霊夢「…/// はい、これよ」スッ

 

 

魔理沙「お! この箱の中だな、んじゃ早速…」

 

 

魔理沙「! …」

 

 

霊夢「…? 何? 開けないの?」

 

 

魔理沙「さっきのびっくり箱じゃないよな?」

 

 

霊夢「私が破壊したの見てたんでしょ? 早く開けなさいよ」

 

 

魔理沙「へいへい…うん?」スッ

 

 

 パカッ!

 

 

 

魔理沙「これは…湯呑みか!」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「ほうほう…へー…ふーん」

 

 

霊夢「何よ」

 

 

魔理沙「いや、お前らしいプレゼントだと思ってな」

 

 

霊夢「…悪い?」

 

 

魔理沙「悪いなんて言ってねぇだろ? むしろ嬉しいぜ、ありがとな霊夢!」

 

 

霊夢「…///」

 

 

魔理沙「ほー…しかし良い手触りだぜ、どこで買ったんだこれ」

 

 

霊夢「…手作り」

 

 

魔理沙「は?」

 

 

霊夢「手作りだっての」

 

 

魔理沙「え? お前の?」

 

 

霊夢「…」コクコク

 

 

魔理沙「…マジ?」

 

 

霊夢「命蓮寺で轆轤使わせてもらって小傘に焼いてもらったのよ」

 

 

魔理沙「…/// な、なんだよお前!」

 

 

霊夢「! あ、あー?」

 

 

魔理沙「だったら最初から言えよな」

 

 

霊夢「言ったらなんか変わったの?」

 

 

魔理沙「嬉しさと大切にしよう感が倍増してたぜ」

 

 

霊夢「! …///」

 

 

魔理沙「はははっ! そうかそうか手作りか、だったら死ぬまで大切にしないとな!」

 

 

霊夢「…/// 割るんじゃないわよ?」

 

 

魔理沙「割らねぇよ」

 

 

霊夢「だったら少しは部屋を片付けなさいよ」

 

 

魔理沙「部屋を片付けたら逆に割りそうで怖いぜ」

 

 

霊夢「ふっ…まぁその方が逆に良いのかしら?」

 

 

魔理沙「あぁ、逆にな」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霊夢「ふふふっ♪」

 

 

魔理沙「あっはは♪」

 

 

魔理沙「湯呑みありがとな、霊夢」

 

 

霊夢「ふっ、どういたしまして」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「この湯呑みにでっかく魔理沙さんの魔の字を書いてもいいか?」

 

 

霊夢「なんか禍々しくなるからやめなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そして…】

 

 

藍「お疲れ様、みんな」

 

 

紫「お疲れ~♪ どう? 楽しかったでしょ?」

 

 

早苗「はい! それはもう夢のような一時でしたよ!」

 

 

咲夜「疲れたけど、時間を忘れて楽しんだ自分がいるわね」

 

 

レミリア「優勝は逃したけど…楽しかったわ、霊夢が問題の出題者だったからかしら♪」

 

 

霊夢「さぁ、どうかしらね」

 

 

アリス「楽しかったわ! まるでこう…なんか自分をオープンに出せる場所が見つかった感じでね! もちろんクイズも面白かったわよ」ツヤツヤ

 

 

霊夢「何でアリスなんかツヤツヤしてんの?」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「私に聞かないでくれ」ヒソヒソ

 

 

霊夢「? あぁ、把握したわ」

 

 

早苗、レミリア「くふふっ…!」プルプル

 

 

咲夜「でも、これで終わりだと思うとなんだか寂しいわね」

 

 

アリス「このセットも無駄になっちゃうのね」

 

 

紫、藍、霊、文、に「え?」

 

 

魔、ア、早、咲、レ「うん?」

 

 

紫「なーに言っちゃってんの? この娯楽は定期的にやっていくのよ?」

 

 

早苗「えっ!? ほ、本当ですか!?」

 

 

藍「あぁ、そのつもりだ」

 

 

レミリア、早苗「おぉ~♪」

 

 

咲夜「…なんとなく予感してたのが的中したわ」

 

 

アリス「ふふふっ、でも良いじゃない」

 

 

魔理沙「まぁ、別に楽しかったから良いけどな」

 

 

文「問題をパワーアップさせなければいけませんねぇ」

 

 

にとり「機材のメンテも定期的にしなきゃだな」

 

 

霊夢「紫、次は誰でやるの?」

 

 

紫「ん~、そうねぇ」

 

 

紫「んじゃ、魔理沙にしましょうかねぇ」

 

 

魔理沙「んあ? 私かよ」

 

 

アリス「!!!」

 

 

紫「今度は無理矢理じゃなくてちゃんと呼ぶから安心なさいな、解答者は私が抽選で選ぶからね」

 

 

レミリア「えー、またやりたいんだけど」

 

 

紫「それは当たってからのお楽しみよ」

 

 

魔理沙「おい、紫」

 

 

紫「うん?」

 

 

魔理沙「アリスをその抽選から外すことは出来るか?」ヒソヒソ

 

 

紫「え? 何で?」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「色々と…不味いことになると思うぞ?」ヒソヒソ

 

 

 

 

アリス「魔理沙が出題者…これは捗るわね♪」

 

 

霊夢「一体何が捗るというのか」

 

 

咲夜「最後までぶれないわねアリス」

 

 

早苗「ぶふっ…! れ、レミリアさん! 霊夢さんバージョンですよ!」

 

 

レミリア「れ、レアだわ…!」

 

 

 

紫「…ふふふのふ」

 

 

魔理沙「お前絶対呼ぶだろ」

 

 

紫「さぁ…?」ニヤニヤ

 

 

魔理沙「まぁいいか、私は出題者側だし」

 

 

魔理沙「…」チラッ

 

 

 

 

霊夢「あんたあの問題はセクハラよ」

 

 

文「はてさて、何問目の問題でしたかねぇ」

 

 

藍「問題を読み上げる私の身にもなってもらいたいものだな」

 

 

アリス「次回はもっと攻めた問題でも当てて見せるわ! 髪の毛何本とかでもいいのよ!」

 

 

霊夢、文、藍「!?」

 

 

 

にとり「セットは細部までちゃんと作ったんだ、せっかくだから見てってよ」

 

 

早苗「ほんとに再現力がすごいです!」

 

 

レミリア「謎だわ…どうやって作ってるのかしら」

 

 

咲夜「機械にはほとほと縁が無いですからねぇ…ロケットは作りましたけど」

 

 

 

 

 

魔理沙「…ふっ」

 

 

紫「魔理沙」

 

 

魔理沙「?」

 

 

紫「優勝おめでとう」

 

 

魔理沙「! おう!」

 

 

魔理沙「…」ジーッ

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙(…割らねぇよ、一生大事にしてやるぜ)

 

 

魔理沙(ありがとうな、霊夢)

 

 

 

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 

 

 最終結果!

 

魔理沙  『128問』

アリス  『101問』

早苗   『99問』

咲夜   『105問』

レミリア 『125問』

 

 

 

 






 お疲れ様でした、ここまで読んでいただいてありがとうございました♪



 次はこのお話の番外編、博麗霊夢の日常になります、一話で完結する程度のお話ですが、こちらもお付き合いしていただければと思います。



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【博麗 霊夢の日常】『楽園の素敵な巫女』



 霊夢の日常になります、霊夢を主軸に置いて話を構成していますので紫と藍はちょい役になります。



 『博麗霊夢の200のコト』で霊夢が優勝者に贈る為に作った物がどうやって出来たのかの伏線回収もしたいと思います。

 時期としては、クイズが始まるちょっと前になりますね。



 それでは始まります♪




 

 

 【博麗神社 AM5:00】

 

 

 

博麗 霊夢「…ん」

 

 

 

 チュンチュン チュンチュン

 

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(朝…)

 

 

 

 神社の側に立っている木に止まっているであろう小鳥の囀りで私は目を覚ます。

 

 

 

 私、博麗霊夢の朝は早い。

 

 

 

霊夢「ふあぁ~…あふぅ…」

 

 

 

 敷いてある布団を被りながら大きく背伸びをする…また一日が始まるのね。

 

 

 

霊夢「…」スッ

 

 

伊吹萃香「ぐぉ~… くかぁ~…」zzZ

 

 

霊夢「…毎度毎度気持ち良さそうに寝やがるわね」

 

 

 

 横を見れば半居候である鬼の萃香が布団からはみ出て寝ている、昨日の夜に布団を掛け直してやったというのに何故またはみ出ているのか…

 

 

 

霊夢「鬼ってのは何でこう寝相が悪いのかしら」

 

 

霊夢「おーい萃香ー、起きなさい」スッ

 

 

 

 私は萃香を両手で揺さぶる

 

 

 

萃香「んおー…? お~…」

 

 

霊夢「朝よ、起きなさい萃香」

 

 

萃香「…」ポケー

 

 

霊夢「…寝ぼけてる?」

 

 

萃香「ん~…寝ぼけてぇ~…ないよぉ…んふへへ…♪」

 

 

 

 寝ぼけてやがる。

 

 だから昨日は飲みすぎるなと言っておいたのに…まぁ萃香に酒を飲むな、なんて言うのは酷よねぇ…

 

 でも今日は起きてもらわないと困る。

 

 

 

霊夢「今日はちゃんと起きてもらうわよ? 今日は予定が色々とあるんだからさ」

 

 

萃香「それは~…昨日~…聞いたねぇ…」ポケー

 

 

霊夢「分かってるのなら起きなさいよ」

 

 

萃香「起きるよ~…起きるから霊夢は先に顔を洗って来なよ~…」ポケー

 

 

霊夢「…ちゃんと起きてなさいよ?」スクッ

 

 

萃香「うへ~い…」フラフラ

 

 

 

 私は立ち上がって寝室を後にし、神社の外、境内のわきにある井戸を目指す

 

 

 

霊夢「うぅ寒いわね…春になってきたとはいえまだまだ朝は寒いわ」

 

 

 

 井戸から水を汲み上げ、側にある桶にいれ、その水で顔を洗う

 

 

 

霊夢「くぅー冷たっ! くぁー!」

 

 

霊夢「うぉぉ…あ~冷たいっ…!」

 

 

霊夢「お湯で顔を洗いたいわね、にとりとかにそういうお湯にする様な機械作ってもらおうかしら…」

 

 

霊夢「…あ」

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

十六夜咲夜『冷たい水で顔を洗わないと顔が引き締まらないのよ? 肌の健康にも良いみたいだし』

 

 

霧雨魔理沙『マジかよ…私ずっとお湯で洗ってたぜ』

 

 

霊夢『へぇ、まぁ私はずっと冷たい水だから問題ないわね』

 

 

魔理沙『くそぅ、ハイテクな技術は自分の女子力を滅ぼすのか…』

 

 

咲夜『女子力…関係ある?』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

霊夢「…いや」

 

 

霊夢「何でこんなこと思い出してんだろ」

 

 

霊夢「ふっ…乙女かっ…!」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「なんかノリツッコミしてるとどこぞのスキマ妖怪になりそうだわ、早く戻ろ」

 

 

 

 私は神社の寝室に戻って来ていた

 

 

 

霊夢「萃香~? あんたも早く顔を洗って来なさってこらこら」

 

 

萃香「ぐごごご~…」zzZ

 

 

霊夢「こら萃香、起きなさいよあんた」

 

 

萃香「んお~…? お~」

 

 

霊夢「いや、お~じゃなくてさ」

 

 

萃香「…お」

 

 

霊夢「…お?」

 

 

萃香「…」

 

 

霊夢「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

萃香「くおぉ~…」zzZ

 

 

霊夢「ぬぁぁ! 寝るなぁ!」

 

 

 

 

 【AM 6:00】

 

 

 いつもの時間に朝ごはん、今日は萃香がいるから少し彩りある食卓、作ったのはもちろん私。

 

 

 白米に焼き魚、豆腐に野菜の佃煮、塩漬けされた胡瓜等々。

 

 

 

 

霊夢、萃香「いただきます」

 

 

霊夢「ん…美味い♪ 我ながら良い出来だわ」

 

 

萃香「お、この佃煮美味いねぇ、ほうれん草か」

 

 

霊夢「あぁそれね、前に妖怪の山に行ったときに秋姉妹から貰ったのよ」

 

 

萃香「へぇ~、あれ? 秋じゃないのによく貰えたね」

 

 

霊夢「うん?」

 

 

萃香「今春じゃないか、機嫌悪かったんじゃない?」

 

 

霊夢「あ~、まぁ確かにね」

 

 

霊夢「でも貰えたのよ、あいつらの前を通りすぎただけなのに」

 

 

霊夢「何にもしてないのにさ『霊夢の姉御ぉ! これ受け取ってくだせぇ!』とか言われてさ」

 

 

萃香「ぶふっ! あっははは! なんだいそりゃ♪」

 

 

霊夢「なんだいそりゃはこっちの台詞なのよねぇ」

 

 

萃香「神様も大変だよね、色々と背負ってる物が大きいと精神が不安定になるからさ」

 

 

霊夢「それあいつらだけの様な気がするんだけど」

 

 

萃香「ははは、かもねぇ、まぁあいつらも秋になれば紅葉と豊穣で幻想郷を盛り上げてくれるから今は不安定のままでいさせてあげようよ」

 

 

霊夢「…最近思うんだけど、秋に仕事して溜まったストレスを冬春夏で解消してるんじゃないかと思うのよ」

 

 

萃香「それだとしても荒れすぎだよね」

 

 

霊夢「主に口調と性格がね」

 

 

霊夢、萃香「…」

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

秋穣子『秋以外認めねぇ!』

 

 

秋静葉『冬!? 夏!? 春!? 知るかどちくしょーが!』

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

霊夢、萃香「…」

 

 

萃香「はははっ」

 

 

霊夢「ふふっ」

 

 

萃香「いやぁ、それにしても霊夢の作るご飯は美味いねぇ」

 

 

霊夢「そいつはどーも」

 

 

萃香「これがまた酒に合うんだわなぁ♪」

 

 

霊夢「えぇ…朝からいくの?」

 

 

萃香「これが私流なのさ、美味い飯に美味い酒! 最高の贅沢だねぇ♪」

 

 

霊夢「鬼流の間違いなんじゃないの?」

 

 

萃香「朝から酒飲みたくないって鬼もいるよ?」

 

 

霊夢「えっ? マジ?」

 

 

萃香「マジマジ♪ 妖怪の山に確かそんなやつがいたねぇ」

 

 

霊夢「鬼も十人十色なのか…」

 

 

萃香「んぐっんぐっ…ぷはぁ~♪ うぃー♪」グビグビ

 

 

霊夢(ん? 妖怪の山?) 

 

 

萃香「ムグムグ、おぉ、この魚も酒の肴にちょうど良いねぇ♪」

 

 

霊夢(あぁそうか昔か、今いないもんね、妖怪の山に鬼なんて)

 

 

霊夢(…いない、わよね)

 

 

 

 

 【AM 7:00】

 

 

 

 朝食を終えたら博麗の巫女としての活動が始まる。

 

 と言ってもそんなに難しいことはしない、いつもやってる事だしね

 

 

 まず賽銭箱の確認だ。

 

 

 

霊夢「…」ジーッ

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「はぁ…入ってないか」

 

 

霊夢「このままで大丈夫なのが不思議だわ、神様たちの力が弱まっていかないのが不思議…」

 

 

霊夢「賽銭が入らない理由…魔理沙とチルノとルーミアに妖怪屋敷とか言われたのは頭に来たけど事実なのよねぇ…はぁ…」

 

 

霊夢「現に今萃香居るし…でも追い出すってのもなんか」

 

 

霊夢「あれ…? 私ん家割りと本気で妖怪屋敷?」

 

 

霊夢「いや、チルノとか大妖精は妖怪じゃないし…」

 

 

霊夢「ま、まだ大丈夫よね! まだ神社は妖怪屋敷ではない!」

 

 

霊夢「…はず」

 

 

 

 自分でも何が大丈夫なのか分からなかった

 

 

 

 

 そしてお札作り、博麗の巫女の技法で書いているから私にしか書けない、結構集中力がいる。

 

 

 妖怪バスター用、弾幕用と様々な札がある

 

 

 

霊夢「…」サラサラ

 

 

萃香「ふんふん♪」

 

 

霊夢「…」サラサラ

 

 

萃香「ふん? あ、こっちか」

 

 

霊夢「…」サラサラ

 

 

萃香「これで…よし出来た!」

 

 

霊夢「…なにしてんの?」

 

 

萃香「紙飛行機作った♪」

 

 

霊夢「? ちょっ…!? それお札用の紙じゃないのよ! しかも書き終わったやつじゃない!」

 

 

萃香「ふっふっふ、霊夢、良く考えてみなよ」

 

 

霊夢「あー?」

 

 

萃香「これを妖怪に向かって飛ばせば油断させて相手を倒すことが出来る」

 

 

萃香「紙飛行機に妖怪退治の博麗の術式が書かれてるなんて微塵も思わないだろう?」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「その紙飛行機ちょっと貸しなさい」

 

 

萃香「ん? ほい」スッ

 

 

霊夢「…」ジッ

 

 

萃香「?」

 

 

霊夢「ほっ」フッ

 

 

 

 トスッ

 

 

 

萃香「あいてっ…ていたたたたた!!?」

 

 

霊夢「お」

 

 

萃香「いたたたたぁ!! 痛い痛い! お、お札がぁ!」

 

 

霊夢「…紙飛行機にしても効果あるんだ」

 

 

霊夢「それにしても当たった瞬間に自動で貼り付くとは…流石博麗の術式…♪」

 

 

萃香「れ、霊夢ぅ! 感慨してないでこいつを取っておくれよぉ! いたたた!」

 

 

霊夢「あ、ごめんごめん」

 

 

 

 

 

 そして最後、神社の境内の掃除、箒で落ち葉とかを集める作業ね

 

 

 

 

霊夢「落ち葉共め…何でこう埃の様に無限に湧いて来るのかしら」

 

 

萃香「前にも同じこと言ってたよねぇ」

 

 

霊夢「はぁ…まぁ考えるだけ無駄よね」

 

 

萃香「そうだねぇ」

 

 

霊夢「…ねぇ萃香」

 

 

萃香「うん?」

 

 

霊夢「あんた本当に今日着いて来るの?」

 

 

萃香「うん、行くよ♪ 面白そうじゃないか」

 

 

霊夢「面白くはないと思うけど」

 

 

萃香「いやぁ私は楽しみなんだよ? 霊夢と一緒に命蓮寺に行くの」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「轆轤回して湯飲み作るんだろう? それも楽しみだよねぇ」

 

 

霊夢「え? あんたも作んの?」

 

 

萃香「当然じゃないか、一度やってみたかったんだよねぇ」

 

 

霊夢「ふっ、力入れすぎて轆轤装置壊すんじゃないわよ?」

 

 

萃香「勇儀じゃないんだから、平気さ」

 

 

霊夢「勇儀は壊すのね…」

 

 

萃香「あいつは不器用だからねぇ♪ あっはっは!」

 

 

霊夢「あいつらしいわね」

 

 

霊夢(でも大工出来るから不器用…って訳でもないのかしら)

 

 

萃香「それにしてもゆかりんクイズか、私も参加したかったねぇ」

 

 

霊夢「あのおバカ…最初だから解答者にはサプライズとして無理矢理連れ出して参加させるとか言ってたけどマジでやるつもりかしら」

 

 

萃香「紫だからねぇ、やるんじゃない?」

 

 

霊夢「てか誰を選ぶつもりなのかしら」

 

 

萃香「それも楽しみだよねぇ」

 

 

萃香「楽しみと言えば…優勝者への霊夢からのプレゼントだよねぇ」

 

 

霊夢「プレゼント、ね」

 

 

霊夢「…」

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

霊夢『はぁ? プレゼント?』

 

 

八雲紫『そうよ? クイズで競い会うんだから当然優勝者が出てくるでしょ?』

 

 

紫『だ・か・らぁ♪ 霊夢にはその優勝者に個人的なプレゼントを用意してもらいたいのよ』

 

 

霊夢『プレゼントって…』

 

 

紫『何でもいいのよ?』

 

 

霊夢『その何でも良いが困るのよ、誰が出場するのか誰が優勝するんだかすらも分からんのに何を用意すりゃいいのよ』

 

 

紫『霊夢が考えてくれたものならなんだって嬉しいわよ』

 

 

霊夢『それあんただけでしょ』

 

 

紫『良く分かってるわね! 流石私の霊夢!』ビシッ

 

 

霊夢『…はぁ』

 

 

紫『あ! 霊夢、個人的に私にプレゼントしてくれてもいいの』

 

 

霊夢『それは無いから安心しなさい』

 

 

紫『うえーん霊夢冷たいわ…冷たい…』シクシク

 

 

霊夢『何故泣く』

 

 

八雲藍『…霊夢』

 

 

霊夢『ん?』

 

 

藍『確かに出場者も誰が優勝するかもまだ決まってないが、プレゼント選びならこうしてみるのはどうだ?』

 

 

藍『相手に合わせようとすることが出来ないのだから自分の好きな物をプレゼントに選ぶんだ、そうすることで相手が持っていて被ってしまう事態も避ける事が出来るし、何より心が籠ったプレゼントになるだろう』

 

 

霊夢『! ふむ…』

 

 

紫『ゆかりんの好きな物とかね!』

 

 

藍『どっちにしろ霊夢任せになってしまうが…どうだろうか?』

 

 

霊夢『…』

 

 

霊夢『なるほどね、良いわね藍、その案いただくわ』

 

 

藍『ふふっ、そうか』

 

 

紫『ゆかりんの好きな物で決定ね!』

 

 

霊夢『でも私の好きな物か…むむむ』

 

 

藍『それも霊夢任せだが…』

 

 

紫『霊夢の好きな物はゆかりんも大好きよ!』

 

 

霊夢『まぁ考えておくわ、クイズが始まる前までには必ず用意するから』

 

 

藍『うん、頼んだよ』

 

 

紫『霊夢が私の為に…きゃーっ♪』

 

 

霊夢『うっさいわねあんたさっきから』

 

 

藍『少しは静かに出来ないんですか?』

 

 

紫『シクシク…霊夢と油揚げがいじめるぅ~』

 

 

藍『人のことを油揚げ呼ばわりするなぁ!』

 

 

霊夢『八雲家は静かに出来ないのかしら…』

 

 

萃香『あっははは♪』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

萃香「んで湯飲みって訳かい?」

 

 

霊夢「まぁね」

 

 

霊夢「結構考えたのよ? 私の好きな物を一通り考えてみたら湯飲みに辿り着いたの」

 

 

萃香「霊夢はお茶が好きだからねぇ」

 

 

霊夢「最初はお茶の葉も考えたんだけど…それだと女子力高い組が出場して優勝なんてされたらこっちが恥を掻くじゃない」

 

 

萃香「なるほどねぇ、いやしかし霊夢は本当に優しいよねぇ」

 

 

霊夢「は、はぁ? 何処から優しいが来たのよ」

 

 

萃香「相手の事を考えてるところとかだよ♪」

 

 

霊夢「べ、別に普通じゃない」

 

 

萃香「あっはっは、そうかもねぇ♪ はっはっは」

 

 

霊夢「なんなのよ…///」

 

 

 

 

 

 【AM 9:00】

 

 

 やることが一通り終わったら、朝の疲れを癒すため朝風呂に入る、これも私の日課だ

 

 

 

霊夢、萃香「あぁぁぁ~…」チャポン

 

 

霊夢「良い湯だわ…」

 

 

萃香「極楽極楽…」

 

 

 

 地底での異変以来、神社の側に温泉が湧くようになった、頼んでもいないのに早苗や諏訪子、にとりが色々と整備してくれたお陰で無駄に広い銭湯の様になってしまっている。

 

 まぁでも私自身、温泉にはお世話になっているからなんとも言えないわね。

 

 けど私の知らぬ間に妖精や妖怪が勝手に入っていたりするのはいただけないわね

 

 あ、後あまり関係ないけど、私は結構長風呂らしい…

 

 

 

 

霊夢「そういえば萃香」

 

 

萃香「う~ん?」

 

 

霊夢「あんたって命蓮寺から出禁喰らってるんじゃなかったっけ?」

 

 

萃香「ほえ? なんで?」

 

 

霊夢「ほら、去年の夏? だったか天子と幽香と命蓮寺であんたら暴れてたじゃない」

 

 

萃香「んあ? …あ、あぁあれかぁ~」

 

 

萃香「それなら大丈夫だよ、あれで出禁喰らったのは天子だけだからねぇ」

 

 

霊夢「そうだったっけ?」

 

 

萃香「そそっ、はっきり言っちゃうけどあれは全部天子のせいだよ」

 

 

萃香「納涼祭やるって聞いて面白そうだったから私は行っただけ、幽香は納涼祭に使う西瓜を届けに来てただけ」

 

 

霊夢「天子は?」

 

 

萃香「聖と幽香に殴られたいが為…いや、殴られてみたいが為に命蓮寺で暴れた」

 

 

霊夢「あいつは…ほんっと呆れるわ」

 

 

萃香「こちとら巻き添えだったんだよ? 天子の暴走を止めようとしたら喧嘩両成敗で聖と駆け付けてきた霊夢にボコボコにされたんだもん」

 

 

霊夢「あ~…あの時は悪かったわね」

 

 

萃香「良いんだよ~♪ 中々面白かったからねぇ♪」

 

 

霊夢「私は全然面白く無かったわよ」

 

 

萃香「ボコボコにされたって言っても天子と幽香無傷だったけどねぇ」

 

 

霊夢「あんたもでしょうが」

 

 

萃香「鬼ですから♪」

 

 

霊夢「さいですか」

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「でもあんた昔個人的に命蓮寺に襲撃しに行ったことあるわよね」

 

 

萃香「あ~…あれは…」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「…」

 

 

萃香「あ、挨拶が遅かったから」

 

 

霊夢「そのヤクザ思考捨てなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 【AM 10:00】

 

 

 

 この時間帯はいつも神社の縁側でお茶を飲みつつのんびり、私にとっては至福の時なのだ。

 

 

 なんだけど…

 

 

 

 

チルノ「良いじゃん! そのお酒飲ませてくれよう」

 

 

萃香「ダメだダメだ、ガキんちょにはまだ早いよ」

 

 

ルーミア「けちなのかー?」

 

 

萃香「人聞きの悪いこと言うなよ、私はケチでは無いぞ?」

 

 

チルノ「じゃあ飲ませてくれ」

 

 

萃香「ダメだって言ってるだろう、お前たちがこの瓢箪の酒を飲んだら一発でアウトだぞ?」

 

 

大妖精「あの…萃香さんごめんなさい、チルノちゃん、ルーミアちゃん、あんまり迷惑かけたら」

 

 

チルノ「大ちゃんだって飲みたいでしょ?」

 

 

大妖精「えぇ…いやぁ私は…」

 

 

ルーミア「正直になりなよ、な?」

 

 

大妖精「!?」

 

 

 

 

霊夢「こらぁ、ベタベタくっつくな!」

 

 

サニーミルク「えへへ…」ギュー

 

 

ルナチャイルド「…」

 

 

スターサファイア「…」

 

 

ルナ、スター(さ、サニーが羨ましい…!)

 

 

霊夢「レミリアかあんたは、離れろっての」

 

 

サニー「嫌です! えへへ♪」

 

 

霊夢「はぁ…」

 

 

 

 この時間帯になると何処からともなく妖精だの妖怪だのが集まってくる、全くもう…

 

 

 

 

霊夢「てかねぇ…私は至福の時を邪魔されたくないのよ、帰ってくれない? あんたら」

 

 

チルノ「なっ!? なんでそんな酷いことを言うんだ!」

 

 

サニー「そうですよ霊夢さん!」

 

 

スター「す、少しぐらい遊んでくれたって良いじゃないですか…」

 

 

ルナ「暇なんです…」

 

 

ルーミア「ドイヒーなのだー!」

 

 

霊夢「どい…何て?」

 

 

大妖精「霊夢さんごめんなさい! 直ぐに帰りますから」

 

 

チルノ「大ちゃん! ここで引いたら女が廃るって魔理沙が言ってたぞ!」

 

 

ルーミア「そーなのかー」

 

 

萃香「そーなんだー!」

 

 

霊夢以外「わはー♪」

 

 

霊夢「あんたらのその団結力はなんなの?」

 

 

霊夢「…はぁ」

 

 

霊夢「……お茶飲む?」

 

 

チルノ、サニー、ルーミア、スター「飲むっ!」

 

 

萃香(現金な子たちだねぇ♪)

 

 

霊夢「はいはい、飲んだら帰りなさいよ?」

 

 

チルノ、サニー、ルーミア、スター「はーい♪」

 

 

大妖精「もうお酒の事は良いんだね二人とも…霊夢さんありがとうございます、ご馳走になります」

 

 

霊夢「あんたはほんと礼儀正しいわよね…結構結構」

 

 

ルナ「わ、私はコーヒーの方が…」

 

 

霊夢「あぁん!?」ズイッ

 

 

ルナ「!?」ビクッ

 

 

霊夢「グダグダ言ってるとお茶の中にコーヒーの粉入れてよくかき混ぜてお出ししてあげるけど?」ニッコリ

 

 

ルナ「ひっ…!? ふ、普通のお茶でお願いします!!」

 

 

霊夢「ふふふ♪ よろしい♪」スッ

 

 

スター「ルナ、意外に美味しいかも知れないわよ?」

 

 

ルナ「一回休みはごめんだわ…」

 

 

萃香(ふっ、何だかんだ言ってももてなしてあげるんだねぇ霊夢)

 

 

萃香(そういうところが好きなんだよねぇ…ははは♪)

 

 

 

 

 【AM 11:00】

 

 

 お馬鹿共を帰してやっと一息…つけるはずもない

 

 どこぞの普通の魔法使いがまだ来ていないからだ

 

 

 

霊夢「ん」

 

 

萃香「お、来た来た♪」

 

 

 

 空を見上げるといつもの箒に乗っていつもの白黒の服装をした普通の魔法使いがこっちに飛んで来ているのが見えた。

 

 あぁ、うん…? いつもの光景…?

 

 いや…

 

 

 

霊夢「…お?」

 

 

萃香「ありゃ、一人じゃないねぇ」

 

 

 

 スイーッ

 

 

 

魔理沙「おっす霊夢! と萃香! 魔理沙さんが遊びに来てやったぜ♪」

 

 

アリス・マーガトロイド「こんにちは霊夢、あら、久し振りね萃香」

 

 

萃香「おう♪ 魔理沙、アリス、こんちは」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「♪」

 

 

萃香「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「♪」

 

 

萃香「…?」

 

 

 

霊夢「魔理沙」

 

 

魔理沙「お?」

 

 

霊夢「ツッコミ待ち?」

 

 

魔理沙「おう、分かってくれて何よりだぜ霊夢」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「アリス」

 

 

アリス「ん? なにかしら、霊夢」

 

 

 

 

 

霊夢「どうして魔理沙の箒に一緒に乗って魔理沙を後ろから抱き締めてるの?」

 

 

アリス「え? ほら、振り落とされたら危ないじゃない♪」

 

 

霊夢「あんた自分で飛べるわよね?」

 

 

アリス「あはは、昨日ね? 足を挫いちゃって…私ったらほんとドジ♪」

 

 

霊夢「飛ぶとき足使う?」

 

 

アリス「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

萃香「…」プルプル

 

 

魔理沙「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

魔理沙「ふふっじゃねぇわ」

 

 

霊夢「あんたってほんとぶれないのね」

 

 

萃香「あっはっはっははは!」ゲラゲラ

 

 

魔理沙「笑い事じゃねぇぞ!? ほら降りろアリス! もう神社に着いたんだからな!」

 

 

アリス「ダメよ! 魔理沙の背中は私が守るわ! いきなり後ろから弾幕が飛んできたらどうするのよ!」

 

 

魔理沙「自分の身ぐらい自分で守れるわ! てか後ろから弾幕ぶちこんで来る奴なんて幻想郷にいるかぁ!」

 

 

アリス「いるかもしれないでしょ!?」

 

 

魔理沙「例えばぁ!?」

 

 

アリス「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「ふ、ふふっ!」

 

 

魔理沙「思い付かねぇんだろ! 見苦しいぞアリスぅ!」

 

 

霊夢「…アリス普通に嘘ついちゃってるけど鬼から一言ある?」

 

 

萃香「いやいや、嘘とボケは紙一重と言うじゃないか♪」

 

 

霊夢「初耳だわ、それ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は四人分のお茶をいれて渡し、お茶を飲みながら話をする、いつもなら魔理沙と私の二人分なんだけどね

 

 

 

霊夢「パチュリーからお茶会の誘い?」

 

 

魔理沙「そうなんだよ、珍しいだろ?」

 

 

アリス「咲夜から招待状を渡されてね? 魔法使いだけのお茶会がしたいんですって」

 

 

萃香「へぇ、面白そうじゃないか」

 

 

魔理沙「だろ? タダで咲夜のお菓子が食えるなら儲けもんだしな」

 

 

霊夢「…それ聖も含まれてる?」

 

 

魔理沙「うん? 聖? いや、どうだろうな」

 

 

アリス「確かに彼女も魔法使いだけど…咲夜からは聞いてないわね」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(うーん、考えすぎか、あいつは約束破るタイプの人間じゃないし)

 

 

魔理沙「うん? 何でお前が聖のことを気にするんだ?」

 

 

霊夢「べ、別に、あいつも一応魔法使いだからさ」

 

 

魔理沙「あー…まぁそうだが」

 

 

アリス「聖って魔法使いってよりか…」

 

 

魔理沙「私たちから見ればな? 聖は魔法ファイターなんだよ」

 

 

萃香「魔法ファイター?」

 

 

アリス「聖は魔法を自分の身体強化に使ってるでしょ?」

 

 

魔理沙「そうだ、だから私たちは聖をごてごての魔法使いとしてあんまり見てねぇんだよなぁ」

 

 

萃香「ほうほう、なるほどねぇ」

 

 

霊夢「確かにあんたたちやパチュリーと比べると魔法使いしてないわね…都市伝説もバイク? だっけ」

 

 

魔理沙「あれには私も驚いたぜ、自分からババアを名乗るなんて紫だけにしてくれって感じだよなぁ」

 

 

霊夢「ぷはっ…! ふふふっ!」

 

 

萃香「あっははっ♪」

 

 

アリス「ふふふふっ…!」

 

 

魔理沙「あはは、まぁ聖は茶会には呼ばれてないんじゃないかなぁ、それに命蓮寺での仕事とかあんだろうしな」

 

 

霊夢「ふっ、そうよね」

 

 

魔理沙「てか本当に何でそんなに気になんだよ」

 

 

霊夢「だから別に意味なんか」

 

 

魔理沙「あ、分かったぞ? お前も茶会に参加したいんだろ?」

 

 

霊夢「は…?」

 

 

魔理沙「ふっ、悪いな霊夢、この茶会は三人用なんだぜ」

 

 

霊夢「なんじゃそりゃ、というか私は魔法使いじゃないから行く必要がないわね」

 

 

アリス「でも聖よりかは霊夢の方が魔法使いっぽいわよね」

 

 

萃香「なんとなくわかるねぇ」

 

 

魔理沙「あぁ、わかるわかる」

 

 

霊夢「…私にはさっぱり分かんないわ」

 

 

魔理沙「夢想封印とか完全に魔法の玉飛ばしてる様にしか見えんぞ?」

 

 

霊夢「私は巫女よ」

 

 

 こういう感じでどうでもいいような事をほぼ毎日魔理沙と話す。

 

 今は客のアリスや萃香がいるから会話が弾むが、私と魔理沙二人の時は話しているときの間が結構長かったりする。

 

 共通の話題が多いし魔理沙と二人でいることが多いから余計なのかもね。

 

 

 

 

 【PM 12:00】

 

 

 

魔理沙「んじゃ言ってくるぜ、咲夜から土産を貰うかもしれんからもし貰ったら持ってくるぜ」

 

 

霊夢「はいはい、一応期待してるわ」

 

 

魔理沙「まぁ土産がなくても来るけどな、あははは♪」

 

 

アリス「お茶ご馳走さま、ありがとね霊夢、さってと…」スッ

 

 

魔理沙「まてい」

 

 

アリス「あら♪ どうしたの魔理沙」

 

 

魔理沙「また何ナチュラルに箒に乗ろうとしてんだ」

 

 

アリス「ほら…お茶飲んでいきなり動いたら気持ち悪くなっちゃうかもしれな」

 

 

魔理沙「じゃあまたな!! 萃香! 霊夢!」スッ

 

 

 

 ギューン!

 

 

 

アリス「あっ!? 待ってよ魔理沙ぁ!」スッ

 

 

 

 ギューン!

 

 

 

霊夢「…飛べるじゃないアリス」

 

 

萃香「んっはははは!」

 

 

霊夢「はぁ…さて、私たちも準備して行くわよ」

 

 

萃香「ほいほい、あ、なぁ霊夢」

 

 

霊夢「うん?」

 

 

萃香「魔理沙に今日命蓮寺に行くって何で言わなかったんだ?」

 

 

霊夢「あぁ、紫はまず間違いなくクイズに魔理沙を参加させると思ってね」

 

 

霊夢「紫からまだ黙っててって言われてるから、この事を言ったら魔理沙には覚られると思ったから言わなかったのよ」

 

 

萃香「なるほどねぇ」

 

 

霊夢「そういうあんただって黙っててくれてたじゃない」

 

 

萃香「私は気が利く女だからねぇ~♪」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「子供に気を利かせてしまうとは…私もまだまだね」

 

 

萃香「こらこらぁ! 見た目で私を子供扱いするなぁー!」

 

 

霊夢「ふふっ…」

 

 

 

 

 

 

 【PM 12:15 人里】

 

 

 この時間帯は普通なら神社でのんびりしているか、人里に散歩をしに出掛ける、でも今日はちょっと特別なのよね。

 

 

 

 私は湯飲みを優勝賞品に決めた時から聖に話をして命蓮寺にある轆轤装置を使わせてもらう事になっていた、都合の良い日を開けてもらい、この日に約束していた。

 

 命蓮寺に向かうには人里を通る必要がある。

 

 

 

萃香「そういや昼飯食って来なかったから腹減ったねぇ」

 

 

霊夢「安心しなさい、聖がなにかご馳走してくれるらしいから」

 

 

萃香「え? ほんと!?」

 

 

霊夢「ちょうどお昼時だしね、一緒にどうかって言われてたのよ」

 

 

萃香「太っ腹だねぇ」

 

 

萃香「…! ん…」

 

 

霊夢「どうしたの?」

 

 

萃香「霊夢、ちょっ…厠行ってきていい?」

 

 

霊夢「へ? あぁ、行ってらっしゃい?」

 

 

萃香「悪いね、待っててよ」スッ

 

 

 タタタ

 

 

霊夢「…」

 

 

 

 私は壁を背にし、両手を組み、目を瞑る。

 

 

 

霊夢(しかし、轆轤か…人生初だわ)

 

 

霊夢(確か作ったら小傘が焼いてくれるのよね…あいつも立派に鍛冶業やってるのかしら)

 

 

霊夢(てか、焼き物って何日かかるもんなのかし)パチッ

 

 

茨木華扇「…」ズイッ

 

 

霊夢「おぉう!?」

 

 

華扇「こんなところで何をしているのです?」

 

 

霊夢「いきなり目の前にいるんじゃないわよ! びっくりするわ!」

 

 

華扇「声は掛けましたよ? それなのにあなたが返事をせずに難しい顔をしているから」

 

 

霊夢「別に難しい顔なんてしてないわよ」

 

 

華扇「…ところでここで何を?」

 

 

霊夢「…! 別に」

 

 

霊夢(萃香もいるしここははぐらかして立ち去ってもらうか、何より説教が来たらめんどくさい)

 

 

華扇「…まぁいいでしょう、そんなことより霊夢」

 

 

霊夢「なに?」

 

 

華扇「私が近付いてくる気配にも気付けないなんて…修行を怠ってる証拠ですね」

 

 

霊夢「…あー?」

 

 

華扇「修行を怠たるなとあれだけ言っているのにも関わらずあなたは修行を怠るのですか!? 博麗の巫女として、幻想郷を支える立場としての自覚はあるのですか? 異変が起きた時に迅速な対応を取れれば早く異変を終わらせる事が出来ます、あなたのスキルアップにも繋がるというのにあなたときたら」クドクド

 

 

霊夢「だぁー! ほんっとうっさいわねあんたはネチネチネチネチと!」

 

 

華扇「ネチネチ!? 私がいつあなたにネチネチ言ったというのですか!」

 

 

霊夢「今ぁ!! 今よ! 現在進行形で言ってるのよあんたは!」

 

 

華扇「私がもしネチネチと言っているのだとしたらそれはあなたの為を思って」

 

 

霊夢「あぁー聞こえない聞こえない」

 

 

華扇「むっ…! 霊夢! 今度は哺乳類コースですよ!」

 

 

霊夢「そのコース責めやめてくんない? すっごい疲れんだけどアレ、爬虫類コースでさえめんどくさかったのにさ」

 

 

華扇「修行を怠っているからです!」

 

 

霊夢「…イージー華扇ちゃんコース」

 

 

華扇「は…?」

 

 

霊夢「イージー華扇ちゃんコースはないの?」

 

 

華扇「そんなものあるわけないでしょう!? また楽しようとして…! そんなものよりルナティック華扇ちゃんコースをおすすめします!」

 

 

霊夢「華扇ちゃんコース存在すんの!?」

 

 

華扇「先日作ったオーバードライブ華扇ちゃんコースもありますよ! さぁ!」

 

 

霊夢「さぁじゃないわよ! オーバードライブって…絶対疲れるやつじゃないそれ」

 

 

華扇「疲れない修行がありますか!」

 

 

霊夢(あぁめんどくさい…! ……魔理沙が美鈴にやったアレ、華扇に効くかしら)

 

 

華扇「聞いているのですか? 霊夢!」

 

 

霊夢(試してみるか)

 

 

霊夢「ねぇ華扇」

 

 

華扇「! なんですか?」

 

 

霊夢「あんたの後ろにさっきから四季映姫いるけど…気付いてないの?」

 

 

華扇「!!? え、閻魔様!?」クルッ

 

 

華扇「!? !!?」キョロキョロ

 

 

 シーン

 

 

華扇「…いないではないですか、まったく…冗談なら日頃の行いだけにして」クルッ

 

 

 

 ドドドドドド!

 

 

 

霊夢「敵前逃亡!」

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「…」

 

 

 

 

 

華扇「霊夢ぅ!!」

 

 

 ドドドドドド!

 

 

 

華扇「待ちなさい霊夢! 嘘をつき、あまつさえ逃げるとは何事ですか!」

 

 

霊夢(! よし、あの角を曲がれば撒ける!)

 

 

 

 スッ タタタ ドン!

 

 

 

霊夢「あっ!」

 

 

????「おぉすまんすまん、ぶつかってしもうた、お主怪我は…うん?」

 

 

霊夢「いたた…! …あ! あんたは…」

 

 

 レイムゥー!

 

 

 

霊夢「いぃっ!? ほんとしつこいわね!」

 

 

????「! あの声…ふぉっふぉっ、察したわい」

 

 

????「手を貸してやるぞい、霊夢」

 

 

霊夢「!」

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「はぁはぁ…! ! あなたは…」

 

 

????→二ツ岩マミゾウ「おぉ華扇、暫く振りじゃな」

 

 

華扇「えぇ久し振り…じゃなかった、霊夢! 霊夢を見掛けなかった!?」

 

 

マミゾウ「霊夢? あぁそれならば先ほど儂の横を駆け抜けて行きおったわい、挨拶も無しに行ってしまうとは…どうやらお主から逃げていた様じゃな」

 

 

華扇「! えぇ、修行をさせようと話をしていたんだけど逃げられてしまって」

 

 

マミゾウ「霊夢は修行をせんでも強いじゃろうに」

 

 

華扇「確かに、ですが精神力はまだまだ未熟です、修行が必要です」

 

 

マミゾウ「…修行の鬼じゃな」ボソッ

 

 

華扇「何か言いました?」

 

 

マミゾウ「いんや、何も言うとらんぞ? あぁそれよりも霊夢じゃが」スッ

 

 

マミゾウ「あの曲がり角を曲がって行きおった、早く追い掛けんと追い付かんぞ?」

 

 

華扇「! 感謝します!」スッ

 

 

 タッタッタッ!

 

 

マミゾウ「飛んで空から探した方が早い、と言うたら野暮かの」

 

 

マミゾウ「さて…もう平気じゃぞ、霊夢」

 

 

 ドロン!

 

 

霊夢「ふぅ助かった…感謝するわ、マミゾウ」

 

 

マミゾウ「立て札に化けさせるのは効果的じゃったな、しかし一番弱い変化の術じゃったのに見破れん華扇も華扇じゃの、狸に化かされる様では修行が足りんのう、カッカッカ♪」

 

 

霊夢「ほんとよ、あいつこそ修行が足りないわ」

 

 

マミゾウ「逆にお前さんの事を思うあまり気付かなかった、ともとれるがの」

 

 

霊夢「…」

 

 

マミゾウ「まぁ修行の斡旋も度を過ぎれば迷惑の何物でもないがの」

 

 

霊夢「えぇ、ほんっと迷惑よ…」

 

 

マミゾウ「…」ニヤニヤ

 

 

霊夢「なによその顔は」

 

 

マミゾウ「いや、何でもない」

 

 

霊夢「…そういやあんたここで何してたの?」

 

 

マミゾウ「ん? 儂か? さっきまで菫子と小鈴と鈴奈庵で語らってたんじゃ」

 

 

霊夢「あら、あいつまたこっち来てたのね」

 

 

マミゾウ「妖魔本に関心があったらしくてな、紹介がてら小鈴に会わせてみた」

 

 

マミゾウ「会話が弾んで楽しかったのう」

 

 

霊夢「あれ? 今いないけど」

 

 

マミゾウ「時間的に昼休み休憩終わりじゃろ、今どきの女学…いや、女子高生は大変じゃからなぁ、目が覚めてしまったんじゃろうな、いきなりスッと消えてしもうたわい」

 

 

霊夢「寝てる間だけこっちに、だもんね」

 

 

マミゾウ「難儀なもんじゃなぁ」

 

 

マミゾウ「うん? おぉそうじゃ、お主今日命蓮寺に用があるんじゃなかったか?」

 

 

霊夢「えぇそうよ、行く途中で華扇に捕まってたの」

 

 

マミゾウ「なるほどの、なら今から一緒に行かんか? 儂も帰るところじゃったし」

 

 

霊夢「そうさせてもらうわ、華扇の動向も気になるしってあ…」

 

 

マミゾウ「なんじゃ?」

 

 

霊夢「あ~萃香置いてきちゃったわ…はぁ、華扇に見つからないように厠に戻らないとね」

 

 

 

 その必要はないよ

 

 スーッ

 

 

 

霊夢、マミゾウ「!」

 

 

萃香「ん~…はぁ」パッ

 

 

マミゾウ(あぁ、伊吹萃香か)

 

 

霊夢「あんた…いつから霧になってたの?」

 

 

萃香「霊夢が華扇から説教受けてる辺りからかな、私まで見つかって説教されんのはごめんだからねぇ」

 

 

霊夢「こ~ら~? ちょっとは助けてくれても良かったんじゃないの?」

 

 

萃香「あははは、悪い悪い♪」

 

 

マミゾウ(ふっ…種族というもんは面倒な物に縛られるのが常なのかの)

 

 

 

 

 

 【PM 12:30 命蓮寺参道】

 

 

 

萃香「そういやお前も命蓮寺に住んでるのか?」

 

 

マミゾウ「そうじゃよ、まぁ形態的には居候の身で仏門には入っとらん、宗教の事はよくわからんからの」

 

 

マミゾウ「じゃが一宿三飯の恩義に報いるため、儂なりに色々と行動させてもらってはいるがな」

 

 

萃香「例えば?」

 

 

マミゾウ「多くは語らぬ主義じゃ、悪いが」

 

 

霊夢「最近じゃ都市伝説異変とかね、それから人里でなんか騒ぎがあった時とかに人間と妖怪の仲を取り持ったりとかしてんでしょ?」

 

 

マミゾウ「な、何故お主が知っておる」

 

 

霊夢「小鈴ちゃんからそういうの聞くのよ? とっても嬉しそうに話すんだから」

 

 

マミゾウ「こ、小鈴…/// 口止めしておいたではないか」ボソッ

 

 

萃香「へぇ~そうなのか、良いねぇ♪ あんたの事気に入ったよ」

 

 

萃香「狸はあんまり好きじゃないけどお前の事は好きだ」

 

 

マミゾウ「それ矛盾しとらんか? 儂は狸じゃぞ?」

 

 

萃香「お前の事はよく霊夢から聞いてるんだ、話しやすくて人の良い狸が命蓮寺に居るってさ」

 

 

霊夢「ちょっ…!」

 

 

マミゾウ「! ほほぅ…」ニヤニヤ

 

 

霊夢「な、何よ」

 

 

マミゾウ「いんや、お前さんが儂の事をそんな風に思ってくれとるとは知らんかったからの」ニヤニヤ

 

 

霊夢「し、知ったからなんだってのよ!」

 

 

マミゾウ「ククク… 何も変わらんよ、お主は変化を嫌うじゃろう? 儂は今まで通りじゃて」

 

 

霊夢「は、はぁ?」

 

 

萃香(! この狸もわかってんだ、ははは♪)

 

 

 

 

 【命蓮寺】

 

 

 

霊夢「相変わらず大きな寺ね」

 

 

萃香「博麗神社の五倍はあるよねぇ」

 

 

マミゾウ「元が船じゃしな、おぉそうじゃ、お主の神社改築してどでかくしてみたらどうじゃ?」

 

 

霊夢「なんでよ」

 

 

マミゾウ「妖怪や妖精がすごしやすい様に」

 

 

霊夢「何で私が妖怪とかのために神社大きくしなきゃいけないのよ!」

 

 

マミゾウ「誰かしらおるじゃろ、儂もたまに行くしな」

 

 

萃香「私は一週間に三回ペースだねぇ」

 

 

霊夢「くっ…! やっぱり妖怪屋敷なのか私の家はっ…!」

 

 

マミゾウ「カッカッカ! まぁ冗談じゃ、気にするな」

 

 

霊夢「気にするわ!」

 

 

 

 タッタッタッ!

 

 

マミゾウ「お」

 

 

幽谷響子「マミゾウさん! お帰りなさい!」

 

 

マミゾウ「ただいまじゃ、響子」

 

 

響子「霊夢さん! お待ちしてました! あれ? 萃香さん?」

 

 

萃香「おう! 久しぶりだな!」

 

 

霊夢「あ~、着いて行きたいって言うから連れて来ちゃったんだけど、もしかしてまずかった?」

 

 

響子「そうなんですね! いいえそんなことありませんよ! 大丈夫です!」

 

 

萃香「ははは、飛び入りで悪いねぇ」

 

 

霊夢(相変わらず声大きいわねコイツ)

 

 

響子「はい! それでは命蓮寺の境内に入る前に元気よく! 行きますよー!」

 

 

霊夢「は?」

 

 

萃香「え?」

 

 

マミゾウ「…お主ら響子のマネをせぇ」ヒソヒソ

 

 

霊夢「はぁ? 何で?」

 

 

マミゾウ「それからお主は耳を塞いでおけ、ええからはよう」ヒソヒソ

 

 

霊夢「えぇ?」スッ

 

 

響子「すぅぅぅーーーー…!」

 

 

霊夢、萃香(大きく息を吸い込んで…?)

 

 

響子「…」

 

 

霊夢、萃香「…?」

 

 

マミゾウ「来るぞ」

 

 

萃香「うん?」

 

 

響子「…!」グッ

 

 

 

 

響子「おっっっっはよーーーございまーーーす!!!!!」

 

 

 ゴオォォォ!

 

 

霊夢、萃香「!!?」ビリビリ

 

 

マミゾウ(今日は一段と激しいの)ビリビリ

 

 

響子「…!」ニコニコ

 

 

霊夢、萃香「…?」

 

 

響子「…!」ニコニコ

 

 

マミゾウ「おはよーございまーす!」

 

 

霊夢、萃香「!?」

 

 

響子「…!」ニコニコ

 

 

霊夢、萃香「お、おはよーございまーす!」

 

 

響子「はい! おはよーございまーす! それでは境内にどうぞどうぞ! あ、先ずは聖さんに会ってくださいね!」

 

 

霊夢「は? えぇ…?」

 

 

萃香「凄い声だったねぇ…大気が震えたな、流石山彦だ」

 

 

霊夢「頭がくらくらするわ…」

 

 

マミゾウ「挨拶は物事の基本じゃからな、挨拶しなけりゃ門前払いじゃぞ?」

 

 

霊夢「いやいやいやいや、いつから出来たそのルール」

 

 

マミゾウ「最近じゃ、これがな? 不思議と泥棒とか不純な動機で来る輩には効果覿面なんじゃよ」

 

 

霊夢「挨拶ってすげぇのね…」

 

 

 

 

 【PM12:45 命蓮寺本堂】

 

 

 

聖白蓮「お待ちしてました霊夢さん、と…」

 

 

霊夢「あぁ、連れて来ちゃったんだけど」

 

 

萃香「よっ♪」

 

 

聖「萃香さんも良く来てくれましたね」

 

 

霊夢「響子にも聞いたけど、大丈夫よね?」

 

 

聖「はい、もちろんです、ここ命蓮寺はどなたでも歓迎しますので」

 

 

聖「ですが…前の挨拶はやりすぎですよ?」

 

 

萃香「す、すまなかったって前に謝っただろう?」

 

 

聖「もうしませんか?」

 

 

萃香「当たり前じゃないか! 本当にすまなかった…」

 

 

聖「ふふっ♪ 自らの非行を認め、謝っていただきましたからね、もう私も一輪たちも許していますよ」

 

 

萃香「! そっか…」

 

 

萃香「ありがとう、許してくれて」

 

 

聖「いえいえ」ニコッ

 

 

霊夢(なんだ、前の事は謝りに来てたのね、良かったわね萃香)ニコッ

 

 

霊夢「あ~聖? 私たち来たけどこれからどうすればいい?」

 

 

聖「そうですね、先ずは腹拵えからですね」

 

 

霊夢「もしかして待っててくれたりした…?」

 

 

聖「こちらから誘いをしたこともありますし、はい」

 

 

霊夢「悪いわね」

 

 

聖「いえ…ですが、少し到着が遅くなったのは何か理由が?」

 

 

霊夢「ちょっと仙人に追っ掛けられちゃってね」

 

 

聖「!? まさか神子」

 

 

霊夢「あぁ違う違う、あいつらじゃなくて華扇の事だから」

 

 

聖「ほっ…そうでしたか、なら良いのです」

 

 

聖「それでは境内の方へ先に…私は片付けてから参ります、今日は大勢での食事になりそうですね、楽しみです♪」スッ

 

 

霊夢「…ねぇ」ヒソヒソ

 

 

マミゾウ「うん?」

 

 

霊夢「あいつ神子たちと仲悪いの?」ヒソヒソ

 

 

マミゾウ「ん~…儂の目には持ちつ持たれつに見えるがの」ヒソヒソ

 

 

霊夢「そうなんだ」ヒソヒソ

 

 

マミゾウ「まぁ、たまに喧嘩をしているのは見るが」ヒソヒソ

 

 

霊夢「あ、喧嘩はするんだ」

 

 

 

 

 【命蓮寺、境内】

 

 

 

封獣ぬえ「遅いぞ博麗の巫女! お前の遅刻のせいで私のお腹が鳴っているんだ!」

 

 

霊夢「あー? こちとら説教仙人に追いかけ回されたのよ、それにあんたの腹の虫なんか知るか!」

 

 

ぬえ「あぁん!?」

 

 

霊夢「あぁ!?」

 

 

マミゾウ「ガラ悪いぞお主ら」

 

 

秦こころ「霊夢、ぬえっちは霊夢が来るのを楽しみにしていたんだ、怒らないであげてくれ」

 

 

ぬえ「はぁ!?」

 

 

古明地こいし「ぬえちゃんは素直じゃありませんからな~♪」

 

 

多々良小傘「それに優しいんだよ? この前も驚かしに協力してもらったの」

 

 

ぬえ「お、お前ら出鱈目を言うな!」

 

 

霊夢「えぇ…それが本当だとしても逆に引くわ」

 

 

ぬえ「なんだとぅ!?」

 

 

マミゾウ「大体お主が儂をここに呼んだ理由も聖への恩返しの為じゃろうがい」

 

 

ぬえ「余計な事を言うなぁ!」

 

 

マミゾウ「ククク…!」

 

 

 

 

萃香「何してんだ?」

 

 

ナズーリン「…」

 

 

寅丸星「…」

 

 

雲居一輪「あぁ、これ? 修行なんだって」

 

 

萃香「修行?」

 

 

響子「はい! なんでも宝塔を無くさない様にする修行らしいです!」

 

 

萃香「私には正座して宝塔を膝の上に乗っけて瞑想しているだけにしか見えないんだけどねぇ」

 

 

ナズ「確かにその通りだ、だがこれが一番ご主人には大事な事なんだ、精神を研ぎ澄まし、宝塔と一体化し、宝塔を感じることで」

 

 

星「ナ、ナズ…! 私の足の感覚が無くなってきているのでそろそろ休憩を…」

 

 

ナズ「!」ギロッ

 

 

星「!? な、何でもありません…!」シュン

 

 

一輪「もう三時間もこの状態なの」

 

 

萃香「ネズミを怒らせると恐いとはこの事だったのか」

 

 

 

 ガララッ!

 

 

聖「皆、お待たせしました」

 

 

村紗水蜜「今日金曜日は村紗カレーの日だよ!」

 

 

ぬえ、小傘、響子、こいし「! わーい♪」

 

 

霊夢「わーいって…あいつがわーいって…」

 

 

マミゾウ「クククっ…!」

 

 

霊夢「てか村紗カレーってなんなの?」

 

 

聖「毎週金曜日は水蜜がカレーを作ってくれるんです、とっても美味しいんですよ」

 

 

聖「ちなみに精進料理も兼ねてますので肉は入ってません」

 

 

霊夢「そこは徹底してるのね」

 

 

星「私はお肉が入っていても良いと思うんで」

 

 

聖、ナズ「は?」ギロッ

 

 

星「!? い、いえ…」

 

 

霊夢(虎には酷なのかもね…)

 

 

こころ「二人はカレー好きか?」

 

 

霊夢「まぁ嫌いじゃないけど」

 

 

萃香「私は好きだな、でも霊夢はあんまり作ってくれないんだ」

 

 

霊夢「だって手間かかるじゃない、紫が前に寄越したレトルトだっけ? は簡単だったけど」

 

 

一輪「嫌いじゃないのね、なら大好きになるよきっと」

 

 

こころ「みなみっちゃんのカレーはやべぇからな」

 

 

霊夢「や、やべぇ?」

 

 

ナズ「一度食べたら忘れられないということだ、なに、心配しなくていい、不味い方の忘れられないではないからな」

 

 

霊夢「ふーん…とりあえず食べてみましょうか」

 

 

萃香「そだね」

 

 

 

 

 

霊夢「ん?」

 

 

水蜜「どうしたの?」

 

 

霊夢「何でカレーの鍋が二つあるのよ」

 

 

水蜜「こっちが甘口でしょ? こっちが激辛」

 

 

霊夢「…」

 

 

水蜜「早い話が天国と地獄♪」

 

 

霊夢「極端過ぎるわ!」

 

 

水蜜「あっははは、霊夢はどっちにする?」

 

 

霊夢「! …中辛は無いの?」

 

 

水蜜「無いよ」

 

 

霊夢「…甘口で」

 

 

水蜜「へぇ、ちょっと意外」

 

 

霊夢「私あんまり辛いもの好きじゃないのよ」

 

 

萃香「私は激辛で頼むよ」

 

 

水蜜「流石鬼だね」

 

 

萃香「そういうお前こそ激辛なんだろう?」

 

 

水蜜「そうだよ、この激辛カレーを食べるとね…」

 

 

霊夢「?」

 

 

水蜜「私の好きな血の池地獄の味を沸騰とさせてそれはそれは」

 

 

霊夢「食欲失せるようなことを言うな!」

 

 

水蜜「あはは♪ 冗談冗談♪」

 

 

 

 

 【PM 13:00】

 

 

 

 私と萃香を入れて十三人という宴会並みの人数で昼食をとることになった。

 

 長机の前に座布団を引いて座っている。

 

 

 

聖「皆に行き渡りましたね? 少し遅い昼食になってしまいましたが、いただきましょう」

 

 

ぬえ「ふん、それも博麗の巫女が遅れたせいだけどな!」

 

 

霊夢「しつこいわね未確認生物」

 

 

ぬえ「あぁん?」

 

 

霊夢「おぉう?」

 

 

マミゾウ「…儂を挟んでメンチ切るのはやめんか、ぬえ、お主もちょっかい出すのはやめい」

 

 

ぬえ「だって事実じゃないか」

 

 

こころ「ぬえっちぬえっち」

 

 

ぬえ「何だよ、私は今」

 

 

こころ「口避け女~♪」ベローン

 

 

ぬえ「…」

 

 

こころ「…」ベローン

 

 

ぬえ「…」

 

 

こころ「…」スッ

 

 

こころ「笑え」

 

 

ぬえ「いや無理があるだろ」

 

 

一輪、水蜜「ぷふっ…!」

 

 

こいし「あははっ、こころちゃん変な顔~♪」

 

 

聖「ふふっ…ぬえ、霊夢さんとてわざと遅れて来たわけではないのですよ、それなりの理由があるのです」

 

 

マミゾウ「さっき理由聞いてたじゃろうがい」

 

 

聖「ならばそれを容認すれば霊夢さんの気持ちもわかるでしょう」

 

 

ぬえ「…」

 

 

マミゾウ「お主だって好き好んで説教されたく無いじゃろう?」

 

 

ぬえ「…」

 

 

ぬえ「わ、悪かったな…」

 

 

霊夢「! ほ~」

 

 

ぬえ「…な、何だよ」

 

 

霊夢「あんたって謝れんだ」

 

 

ぬえ「う、うっせぇ…///」

 

 

霊夢「ふっ…♪」

 

 

星「お説教ですか、その気持ち良く分かりますよ、私だって好き好んでお説教されたくないです」

 

 

ナズ「良くもまあそれを私がいる前で言えたものだなご主人」

 

 

星「な、何のことやら…」

 

 

ナズ「おいこっちを見ろ」

 

 

聖「ふふふ…♪ それでは、こうして皆で食卓を囲める事に感謝を込めて…」スッ

 

 

全員「いただきます!」

 

 

霊夢「…!」パクッ

 

 

霊夢「あまっ…いや美味っ!? なにこれ!」

 

 

水蜜「お? 気に入ってくれた?」

 

 

霊夢「えぇ、めちゃくちゃ美味しいわ! 咲夜の作るカレーより美味いかも…」

 

 

一輪「あのメイドさんよりも上だって! 良かったじゃない水蜜」

 

 

水蜜「ふふふ…そんなに褒めてもカレーしか出ないよ~♪」

 

 

響子「確かに水蜜さんからはカレーしか出ませんよね!」

 

 

水蜜「うっ!」グサッ

 

 

小傘「この前のシチューはさでずむだったよね…」

 

 

ナズ「カレーは美味しく作れるのにシチューが何故ああなったのかが不思議だ」

 

 

水蜜「ほら…その…なんか…気力っていうか」

 

 

星「作る気力ですか?」

 

 

水蜜「そう、カレーだと湧いて来るのになんでかなぁ」

 

 

こいし「血の池地獄分が足らないんじゃないかな?」

 

 

ぬえ「何だよその成分」

 

 

聖「水蜜…貴方まだ…」

 

 

水蜜「い、いやあ…たまにですよたまに…」

 

 

聖「貴方はもうあそこに縛られる事は無いのです、行くのは構いませんが必ず帰って来てくださいね」

 

 

水蜜「! はい! ありがとうございます!」

 

 

霊夢「どう萃香?」

 

 

萃香「いや美味いねぇ、どうなってんだろこの味の深み…辛さはそんなに感じないけどねぇ」

 

 

霊夢「そういやあんたのって激辛だったわよね」

 

 

萃香「ん、一口食ってみる?」

 

 

霊夢「ありがと、あーん…」

 

 

マミゾウ「…」

 

 

霊夢「…むぐっ!?」ゴックン

 

 

霊夢「あっくっ…!? うっわっ…か、辛っっ!?」

 

 

マミゾウ「ほれ水」スッ

 

 

霊夢「! ングッングッ…!」ゴクゴク

 

 

霊夢「ぷはっ…! た、助かったわ…」

 

 

マミゾウ「そうなると思ったわい、激辛はちと人間にキツいからの」

 

 

水蜜「え? そうなの?」

 

 

マミゾウ「作った本人が言うんかい、まぁでもこの寺に人間はおらんからしょうがないのかもしれんの」

 

 

霊夢「よ、良く食えるわねあんた」

 

 

萃香「もうちょっと辛くしてくれても良いけどねぇ」

 

 

霊夢「あ、あんたたちはどっちなの?」

 

 

一輪「激辛、あ、ちなみに雲山も激辛だよ」

 

 

雲山「…」モグモグ

 

 

霊夢(頑固親父さんカレー食べるんだ…)

 

 

水蜜「激辛だね」

 

 

マミゾウ「儂は甘口じゃ、香辛料がちとキツい」

 

 

ナズ「同じ理由で私も甘口だ」

 

 

響子「私もです!」

 

 

星「激辛です、辛さでお肉が無いのを誤魔化してます」

 

 

ナズ(何故余計な事を言っていくのか)

 

 

小傘「舌にまでさでずむは嫌だから甘口なの」

 

 

ぬえ「今日はたまたま甘口だ」

 

 

水蜜「え? ぬえいつも甘口」

 

 

ぬえ「シーッ…!」

 

 

マミゾウ「バッチリ聞こえとるぞ」

 

 

こいし「激辛だよん♪」

 

 

霊夢「あんたが一番激辛似合わないわね」

 

 

こころ「激辛だ、みなみっちゃんの激辛カレーを食わないと獅子面の炎の出が悪くなるんだ」

 

 

霊夢「聖これ本気で言ってんの?」

 

 

聖「みたいですよ?」

 

 

霊夢「鈴仙が言ってたわね、プラシーボ効果?」

 

 

霊夢「聖は?」

 

 

聖「! わ、私は…」

 

 

霊夢「…?」

 

 

聖「…あ」

 

 

聖「あ、甘口…です…」

 

 

霊夢「…」

 

 

聖「…」

 

 

霊夢「ふっ…!」プルプル

 

 

聖「な、何故笑うのですか!」

 

 

霊夢「い、いや…ふっはは…! だ、だってさ…」

 

 

一輪、水蜜、星「くふふっ…!」プルプル

 

 

聖「何ですか星たちまで!」

 

 

マミゾウ「ククク…まぁあれじゃよ、イメージっちゅうもんがあるんじゃろ」

 

 

聖「い、イメージですか?」

 

 

マミゾウ「お主は激辛を好んで食べてる様なイメージがある、それなのに恥ずかしがりながら甘口とか言うから」

 

 

聖「私そんなイメージあります…?」

 

 

命蓮寺一同「うん」

 

 

萃香「ガツガツ食ってる印象あるよねぇ」

 

 

霊夢「むしろ何故激辛を食べないのか」

 

 

聖「えぇ…なんかショックです…」シュン

 

 

一輪「良いじゃないですか甘口好きでも、なんか可愛いですし」

 

 

水蜜「聖はそういうところがあるもんね」

 

 

こいし「聖さん可愛い~♪ お姉ちゃんみたい」

 

 

星「甘口と言っても聖の修行は甘口ではすまないですけどね」

 

 

ナズ「上手いこと言ったつもりかもしれないが全然上手くないからな?」

 

 

聖「…/// 何ですかもう…/// 人の事を笑うなんて、貴方たち後で座禅修行なさい…///」

 

 

一輪、水蜜、こいし、星「えぇ~!」

 

 

マミゾウ「そもそも照れながら言ってる時点で、自分の中にこうでないと笑われるのではないかというイメージが既に存在しているんじゃがの」ヒソヒソ

 

 

霊夢、萃香「イメージって大切なんだ…」

 

 

 

 

 

 【楽しい昼食後!】

 

 

霊夢「ご馳走さま、美味しかったわ」

 

 

萃香「ご馳走さん♪」

 

 

聖「お粗末様でした」

 

 

聖「さて、湯飲み…でしたね、それに関しては寺にある轆轤装置で作ってください」

 

 

霊夢「そういう約束だったわね」

 

 

聖「はい、霊夢さんと萃香さんは初めてということですのでこの二人を講師として着けさせていただきます、頼みましたよ」スッ

 

 

一輪「はい聖様」

 

 

小傘「頑張るよ!」

 

 

聖「では、私は色々と用があるのでこれで…何かあれば直ぐに駆け付けるので」

 

 

霊夢「バイクで?」

 

 

聖「境内をバイクで滑走したりはしません!」

 

 

萃香「あっははは!」

 

 

一輪「ぷっ…」プルプル

 

 

聖「ん''ん''…と、とにかく湯飲み作り頑張ってくださいね、それでは」スッ

 

 

 

 

一輪「ちょっと霊夢さん笑わせないでよ…! ふふっ…」

 

 

霊夢「いやぁ、ねぇ?」

 

 

萃香「それもイメージなのかねぇ♪ あっはっは」

 

 

小傘「この前永遠亭に聖が一人で行ったときもバイクだったよね」

 

 

一輪「夜中にね、爆走していったから何事かと思ったもん」

 

 

霊夢「騒音被害とか出てないのかしら…」

 

 

 

 

 【命蓮寺、境内通路】

 

 

 

霊夢「どこで作るの?」

 

 

一輪「物置小屋です、あぁ物置小屋って言っても心配しなくていいですよ、この日の為に片付けて轆轤装置引っ張り出したから」

 

 

霊夢「なんか悪いわね、そこまでしてもらっちゃって」

 

 

一輪「気にしないで良いよ、それに手付かずだった物置が漸く片付いたって聖様喜んでたし」

 

 

霊夢「どんな惨状だったか見てみたかったわね」

 

 

萃香「魔理沙ん家みたいな?」

 

 

霊夢「あれはまた特別よ」

 

 

小傘「魔理沙の家って汚いの?」

 

 

萃香「そりゃあもう」

 

 

霊夢「物だらけで足の踏み場がないのが普通だから、主に本とか、本とか…本とかね」

 

 

一輪「あはは、魔理沙さんの家本だらけなんだ」

 

 

萃香「最近さ、盗まれる方も盗まれる方なんじゃないかって思ってきたんだよねぇ」

 

 

霊夢「それ私も思ってたわ」

 

 

霊夢「あ、話変わるけどそれ何運んでんの? 小傘のは轆轤に使う水と土だってのは分かるけど」

 

 

一輪「これ? 甕だよ、水入れて修行とかに使ってたんだけどもう古いから物置にしまうことにしたの」

 

 

雲山「…」

 

 

一輪「雲山もうちょっとだよ、頑張って」

 

 

小傘「雲山は力持ちだよね、私にもそんなパワーがあれば驚かせられるのに…桶ぐらいしか持てないよ」

 

 

一輪「確かに小傘がこんなに大きい甕運んでたらびっくりしちゃうかもね」

 

 

霊夢(親父さんなんか応援したくなるのよね、何でだろ)

 

 

萃香「ねぇ霊夢」

 

 

霊夢「うん?」

 

 

萃香「私あのおっちゃんと戦ってみたい」ワクワク

 

 

霊夢「今度にしなさい」

 

 

 

 

 

 【PM 13:45 命蓮寺物置小屋】

 

 

 

一輪「雲山、そう、その端っこに置いて」

 

 

雲山「…」スッ

 

 

 

 ドゴッ! ゴゴォン!

 

 

 

一輪「ありがと雲山」

 

 

霊夢「音っ!」

 

 

小傘「そ、そんなに重かったんだ…人一人が入れる大きさだし、当然だよね」

 

 

萃香「あれぐらい軽い軽い」

 

 

霊夢「あんた視点で見りゃあね」

 

 

一輪「さぁ始めていきましょうか、これが轆轤装置だよ」

 

 

霊夢「見るの初めてだわ」

 

 

萃香「ほぉ~、こうなってんだ~…」

 

 

一輪「この土と水を混ぜてっと…」ペタペタ

 

 

一輪「はい、後は回して形を整えていくだけだね」

 

 

小傘「細かい事は私と一輪が教えていくから大丈夫だよ、頑張ろうね♪」

 

 

萃香「おう、やったるぞ~♪」

 

 

霊夢「一輪はともかく小傘が頼もしく見えるとはね」

 

 

小傘「! えっへん! もっと頼もしく見ても良いんだよ! …あ」

 

 

霊夢「?」

 

 

小傘「だ、ダメ! 頼もしく見るくらいなら驚いて!」

 

 

霊夢「あんたの体ってほんと難儀よね」

 

 

 

 

 

 

【命蓮寺本堂】

 

 

 

ぬえ「あれ? こいしとこころは?」

 

 

マミゾウ「こいしなら地底に帰ると言っておったな」

 

 

水蜜「私のカレーを土産に持って行ってね、お姉ちゃんたちに食べさせてあげるんじゃない?」

 

 

聖「こころは霊夢さんたちのところへ、湯飲み作りに興味があるんでしょう」

 

 

ぬえ「…」

 

 

マミゾウ「ふっ、何じゃ寂しいのか?」

 

 

ぬえ「そ、そんなんじゃない! そんなわけないだろ!」

 

 

水蜜「何で二回も言うのさ」

 

 

ぬえ「い、言ってない! 言ってないからな! あ、あーここにいると退屈だ! 響子と遊んでくる!」スッ

 

 

 ガララッ!

 

 

聖「ふふふっ…」

 

 

水蜜「響子と遊んでくる~なんて言う必要もないと思うんだけどなぁ」

 

 

マミゾウ「響子とて寺の掃除の最中じゃろうに」

 

 

水蜜「そういやさ、何でぬえって霊夢に突っ掛かるのかな?」

 

 

マミゾウ「簡単なことじゃ、あやつが寂しがり屋で素直じゃないからじゃ」

 

 

水蜜「うん? どゆこと?」

 

 

マミゾウ「霊夢は妖怪等を惹き付ける不思議な力がある、それに素直になれないんじゃ」

 

 

水蜜「…え? じゃあ本心じゃ霊夢と仲良くなりたいってこと?」

 

 

マミゾウ「ふっ…そうなんじゃろうなぁ、きっと」

 

 

水蜜「はは、ぬえも可愛いところあるよね」

 

 

マミゾウ「儂からすればそこが面白いんじゃがな、カッカッカ!」

 

 

聖「ふふっ、私もそう思います、ぬえの長所ですからね」

 

 

マミゾウ「短所も長所になり得るか、分からんもんじゃの」

 

 

聖「そうですね♪ …あら、星とナズは何処へ?」

 

 

マミゾウ「あ~…ほれ、アレじゃよアレ」

 

 

聖「アレ……はぁ~~……」ガックリ

 

 

マミゾウ「そんな大きいため息をつくと幸せが逃げるぞい?」

 

 

聖「わかってます…わかってるんですけど星、またですか…」

 

 

水蜜「そろそろいい加減にしないとまずいよね、アレ」

 

 

マミゾウ「宝塔を無くしてしまうのか、わざと無くしておるのか、それとも怪奇現象の類いか」

 

 

聖「ナズに相談されたこと、もう一度改めて検討する必要がありそうですね」

 

 

マミゾウ、水蜜「え?」

 

 

聖「永遠亭の方々に星の頭を診てもらおうかと考えていることです」

 

 

マミゾウ、水蜜「!?」

 

 

 

 

 【命蓮寺境内】

 

 

 

ナズ「何故だ、何故無くした、ん?」イライラ

 

 

星「それがわかれば苦労はしません…」

 

 

ナズ「私がな! まったく…昼食の時のどさくさで消えてしまったというのか…? あんな短時間でどこに消えたというんだ」

 

 

星「ほんとに何処に消えちゃったんでしょうねぇ、困った宝塔です」 

 

 

ナズ「あぁ?」ギロッ

 

 

星「!? す、すいません…」

 

 

ナズ「とにかく探さねば、恐らくこの命蓮寺にあるとみた、寺を隅々まで探そう」

 

 

ナズ「ご主人、手分けして探すとしよう、わかっているとは思うが宝塔をご主人が…うん、あり得ないと思うがもしご主人が見付けても触ったりするんじゃないぞ? 発見したらその場から動かずに大声で私を呼ぶんだ、良いね?」

 

 

星「はい」

 

 

ナズ「私は西側を探す、ご主人は東側を頼む」

 

 

星「わかりました、あぁナズ」

 

 

ナズ「なんだい?」

 

 

星「どっちが先に見付けるか勝負です!」

 

 

ナズ「楽しむんじゃない!」

 

 

 

 

 【命蓮寺物置小屋】

 

 

 

霊夢「…」スーッ

 

 

こころ「…」ジーッ

 

 

霊夢「…」

 

 

こころ「…」ジーッ

 

 

霊夢「見過ぎ、何?」

 

 

こころ「楽しそうだ」

 

 

霊夢「いや楽しくは無いわよ? 結構集中力いるし」

 

 

小傘「あ、こころちゃんもやってみたいの?」

 

 

こころ「うん、興味ある」

 

 

一輪「なら私の装置使いなよ、もう霊夢さんたちにはある程度教えたからさ」

 

 

こころ「おぉ、ありがとういっちー」

 

 

小傘「何を作りたいの?」

 

 

こころ「お面は作れないのか?」

 

 

小傘「お面は…ちょっと難しいんじゃないかなぁ」

 

 

こころ「残念、なら霊夢と同じものがいい」

 

 

一輪「湯飲みね、じゃあ土を盛るからちょっと待ってね」

 

 

こころ「うん、おぉそうだそうだ、これがワクワクドキドキの表情」スチャッ

 

 

霊夢(最近お面の種類がまた増えたわね)

 

 

萃香「おっしゃ出来たー♪ 三枚目~♪」

 

 

霊夢「あんたさっきから皿作りすぎなんだけど」

 

 

小傘「すごく良く出来てるよ、萃香さん器用なんだね」

 

 

萃香「伊達に霊夢の神社建て直してないからねぇ♪」

 

 

霊夢「器用なのは認めるけどそれは関係ないでしょ」

 

 

小傘「霊夢、ちょっと苦戦してる?」

 

 

霊夢「ちょっとね…皿割りして土を起こして伸ばすまでは良いんだけど、コテを使うのが難しいわ」

 

 

小傘「無理して使う必要ないんだよ?」

 

 

霊夢「これ使った方が綺麗に見えるんでしょ? だったら使わざるをえないわ」

 

 

萃香「拘るねぇ」

 

 

霊夢「悪い?」

 

 

萃香「いや、ただそんなに霊夢が拘わって作ったもんならさ、誰でも喜んでくれるんだろうなあと思ってさ」

 

 

霊夢「! …/// ゆ、湯飲みぐらいで喜ばないでしょ、別に」

 

 

萃香「どうだかねぇ♪」

 

 

霊夢「…/// ち、調子狂うわ、集中してんだから話し掛けないの」

 

 

萃香「うへーい」

 

 

小傘「あははは…」

 

 

一輪「湯飲みって熱いお茶を入れるでしょ? 薄く作ると熱くて持てなくなるから少し厚めに作るの、下の高台も作らないといけないから底も厚めに作るのよ」

 

 

こころ「ほー」

 

 

一輪「まずは土殺し、土の密度を均一にして形成しやすくするの、下準備ね」

 

 

こころ「かっこいいな土殺し、食らえ土殺しってか」

 

 

霊夢(名前だけじゃない)

 

 

一輪「よし、じゃあちょっと触ってみようか」

 

 

こころ「うん、おぉ…」ペタペタ

 

 

一輪「どう?」

 

 

こころ「ちめたい」ペタペタ

 

 

小傘、一輪(可愛い)

 

 

こころ「冷たいな、うん」

 

 

一輪「まだまだ肌寒い季節だからね、我慢我慢」

 

 

こころ「むむ、これが我慢の表情」スッ

 

 

霊夢「触るとお面に土付くわよ?」

 

 

こころ「…」

 

 

こころ「これが本当の我慢か」ゴゴゴ

 

 

霊夢、小傘、一輪(怒りの表情の面がオーラを!?)

 

 

 

 

 

 

 【そして一時間半後…】

 

 

 

 

霊夢「はぁ~、やっと出来たわ!」

 

 

こころ「出来た、完成だ」

 

 

一輪「お疲れ様、二人とも」

 

 

小傘「お疲れ様~」

 

 

萃香「随分と時間掛かったねぇ」

 

 

霊夢「確かにね、ん~、やっぱりあんたの言った通り拘り過ぎたかしら」

 

 

萃香「でも出来には満足してるんだろう?」

 

 

霊夢「まぁ…ね」

 

 

一輪「一度見せただけなのにここまで出来るのはすごいよ、霊夢さんも器用だよね」

 

 

霊夢「そう? ありがと」

 

 

萃香(霊夢は結構器用だからねぇ)

 

 

小傘「こころちゃんも初めてにしてはすごく良く出来てると思うよ」

 

 

こころ「そうか? ありがとう、陶芸というのは中々楽しいものだな、いい経験になった」

 

 

霊夢(芸術センスは神子に似なかったのね、良かった良かった)

 

 

こころ「しかしこれで終わりなのか? これを湯飲みとして使えるとは思えない」

 

 

小傘「うん、これから削りの作業をして、乾燥させたら焼く作業をするの」

 

 

小傘「それは私が責任を持ってやるからね、任せてよ」

 

 

霊夢「ほんとあんたの鍛冶スキルにはつくづく感心させられるわね」

 

 

こころ「多々良の名は伊達ではないな」

 

 

小傘「か、感心じゃなくてそこは驚いてよ~」

 

 

霊夢、こころ「…」

 

 

霊夢「驚いてる驚いてる」

 

 

こころ「これが驚きの表情」スチャッ

 

 

小傘「お、お腹が満たされてない…」

 

 

霊夢「カレー食べたから」

 

 

小傘「カレーは別腹です、色んな意味で…」

 

 

霊夢「ふふっ…」

 

 

こころ「…」ニコッ

 

 

萃香「なぁ、この皿たちも焼いてくれるか?」

 

 

小傘「もちろん、焼かせていただきますよ~♪」

 

 

一輪「五枚も作ったんですね」

 

 

霊夢「出来たらどうすんの? それ」

 

 

萃香「誰かにプレゼントでもしようかな、勇儀とかに」

 

 

萃香「あ、安心しなよ♪ 霊夢にも一枚あげるからさ♪」

 

 

霊夢「何を安心しろと言うのか」

 

 

 

 ガララッ!

 

 

 

ナズ「はぁはぁ…さ、作業中失礼する」

 

 

霊夢、萃香、小傘、こころ「?」

 

 

一輪「? ナズ?」

 

 

ナズ「…ここか」ピーン

 

 

一輪「どうしたの? そんなに息を切らしてさ」

 

 

ナズ「さっきから宝塔を探し回っていたのさ…二時間ぐらいな」

 

 

一輪「えぇ…」

 

 

霊夢「あいつまた無くしたの?」

 

 

萃香「修行の成果が出なかったみたいだねぇ」

 

 

こころ「とらっちが宝塔を無くすのは能楽にも通ずる伝統芸能だと聞いたことがある」

 

 

小傘「そんなに有名なんだね」

 

 

ナズ「やめたまえ、そんなに有名になってご主人が図に乗り出したらどうなると思ってるんだ」

 

 

小傘「どうなるの?」

 

 

ナズ「『やりました! 無くなりましたよ!』などと言うに決まってる」

 

 

霊夢「そんな馬鹿なって否定出来ないわね」

 

 

一輪「そんなことよりナズ、ここかって言わなかった?」

 

 

ナズ「あぁ、私のダウジングロッドが反応している、宝塔はこの物置小屋にあるとな」

 

 

一輪、小傘「えぇ!?」

 

 

霊夢「ここにあるの?」

 

 

ナズ「まず間違いない、悪いが捜索させてくれ」

 

 

一輪「良いよ、もう湯飲み作りは終わったからね」

 

 

ナズ「そうなのか、なら気兼ねなく探させてもらおう」スッ

 

 

霊夢、萃香、小傘、一輪、こころ「…」

 

 

萃香「なぁ、あいつ飯食う前には持ってたよな」

 

 

一輪「うん、持ってたわね」

 

 

こころ「それがいつの間にか無くなってた」

 

 

霊夢「食べ終わって片付けしてるときに無くなった?」

 

 

一輪「たぶん…」

 

 

小傘「えっ…で、でもさ! 星さんその間にこの物置小屋に入ってないよね?」

 

 

一輪「うん、その筈…星は食べ終わってゆっくりしてたからね、それに私たち以外に今日は誰も物置小屋に入ってない」

 

 

霊夢「なのに何でここに宝塔があんの?」

 

 

霊夢、萃香、小傘、一輪、こころ「…」

 

 

霊夢、萃香、小傘、一輪、こころ「何それ恐い」

 

 

ナズ「…むぅ」キョロキョロ

 

 

ナズ「ん? こっちか?」スタスタ

 

 

ナズ「…あぁ、なるほど」

 

 

ナズ「うん…うん…そうか」

 

 

ナズ「わかったぞ、この甕の中か」

 

 

霊夢、萃香、小傘、一輪、こころ「!!?」

 

 

ナズ「何でこんなところに…中に入らないと取れないじゃないかまったくも」

 

 

一輪「ま、ままままま待って!!! ナズ! 待ってナズ!」

 

 

ナズ「うん? なんだい一輪、どうし」

 

 

霊夢「あ、あんたぁ! こ、こっち来なさいこっち!」

 

 

ナズ「? 何をそんなに狼狽えているんだ?」

 

 

小傘「えっ!? ええっ!?」

 

 

萃香「い、いや…ま、まさか…」

 

 

こころ「…? ???」アタマカカエ

 

 

ナズ「いったいどうしたというんだ? ちゃんと説明を…」

 

 

一輪「ナズいいからこっち来て! 一回でいいから!」

 

 

霊夢「こっち来なさいって言ってんのよ!」

 

 

ナズ「…悪いが、先に宝塔を取らせてもらえな」

 

 

霊夢、一輪「こっちぃ!!」クワッ

 

 

ナズ「わ、わかった…! わかったから叫ばないでくれ、耳に響く…」スタスタ

 

 

霊夢、一輪、こころ、萃香、小傘「…」

 

 

ナズ「…何故円を作ってしゃがんでいる」

 

 

霊夢「あんたも座りなさい」

 

 

ナズ「…」スッ

 

 

ナズ「…説明を要求する」

 

 

一輪「恐いの」

 

 

小傘「得体の知れない恐怖だよ」

 

 

霊夢「あったらあったで恐いのよ」

 

 

萃香「心を責められるのは嫌いなんだよ」

 

 

こころ「こんな気持ちは初めてなんだ」

 

 

ナズ「すまない、説明になっていない」

 

 

一輪「その前に聞いていい? 星が宝塔を無くしたのはいつ?」

 

 

ナズ「恐らく昼食後だ」

 

 

一輪「…ナズ、説明するから覚悟してよ?」

 

 

ナズ「?」

 

 

一輪「あの甕はね? 庭の隅っこに置いといてあったものなのは知ってるよね、もう使わないからって物置小屋に移動させる気でいたのも」

 

 

ナズ「あぁ」

 

 

一輪「それで昼食後に雲山がここまで運んでくれた、その間に星が近くに来た形跡は無い」

 

 

一輪「雲山、運んでいる時に甕に違和感はあった?」

 

 

雲山「…」フルフル

 

 

一輪「甕の中に何か入ってた?」

 

 

雲山「…」フルフル

 

 

一輪「そう入って無かったんだよ、運ぶ前も運んでいるときも甕の中には何もね」

 

 

ナズ「しかし私のロッドは甕の中に反応を示しているのだが」

 

 

霊夢、一輪、小傘、萃香「それだよ!!」

 

 

ナズ「!?」ビクッ

 

 

一輪「湯飲み作りを開始する時に私と霊夢さん、萃香さん、小傘、雲山! この五人が宝塔を持っている訳がない!」

 

 

一輪「こころが後から入って来たけどこころが宝塔を持っている訳がないし、誰かがその甕の中に入れた形跡もない、それどころかあの甕に誰も近付いてすらいない!」

 

 

ナズ「ということは…つまり」

 

 

霊夢「あの中に宝塔が入っていること自体が不自然なのよ、そしてあり得ない」

 

 

萃香「でもお前が宝塔があの甕の中にあるって言った」

 

 

ナズ「…」

 

 

ナズ「…」

 

 

ナズ「それは恐いな」

 

 

小傘「でしょ!?」

 

 

こころ「だがナズーのダウザーとしての腕は一流だ、ナズーは嘘も付かない」

 

 

一輪「だから恐いって言ってるの」

 

 

ナズ「だがしかしこのままでは何も変わらない、宝塔も戻っては来ないし君たちの心も晴れないだろう」

 

 

霊夢、萃香、小傘、一輪、こころ、ナズ「…」

 

 

一輪「雲山」

 

 

雲山「!」

 

 

一輪「あなたに甕の中を確認して来てなんて残酷な事は言わないわ」

 

 

一輪「甕の上と下の部分を持って甕の中が見えるように私たちの方へ向けてほしいの」

 

 

雲山「…」

 

 

一輪「やってくれる?」

 

 

雲山「…!」グッ

 

 

一輪「! ありがとう」

 

 

霊夢「親父さん」

 

 

萃香「おっちゃん」

 

 

小傘「雲山さん」

 

 

こころ「山ちゃん」

 

 

霊夢、萃香、小傘、こころ「頑張って」グッ

 

 

雲山「…///」テレテレ

 

 

ナズ「私も覚悟を決めよう、一思いにやってくれ」

 

 

一輪「雲山、準備はいい?」

 

 

雲山「!」グッ

 

 

一輪「行くわよ…? せーっの!」

 

 

雲山「!!」グン

 

 

 ゴトッ!!

 

 

 

全員「!!!」ゴクッ

 

 

全員「!!?」ゾクッ

 

 

 

 

 【命蓮寺本堂】

 

 

 

マミゾウ「お? 水蜜はどうした?」

 

 

聖「響子とぬえのところへ、掃除でもしているのではないでしょうか」

 

 

マミゾウ「掃除と思わせておいて遊んでるに200」

 

 

聖「賭け事は禁止ですよ?」

 

 

マミゾウ「ククク…わかっとるよ」

 

 

聖「…」

 

 

マミゾウ「…」

 

 

聖「最近人里で貴方の話をよく聞きます」

 

 

マミゾウ「なんじゃ藪から棒に」

 

 

聖「人と妖怪のために行動し、時には仲を取り持ったりしているとか」

 

 

マミゾウ「…さぁて、どうじゃろうな」

 

 

聖「…ありがとう」

 

 

マミゾウ「…!」

 

 

聖「ふふっ」ニコッ

 

 

マミゾウ「不確定な噂話でお礼を言われてもな…」

 

 

聖「では、本当の事なのですか?」

 

 

マミゾウ「お主時たまに意地悪い時あるの」

 

 

聖「あら♪ その言葉、そっくりそのままお返ししますね」

 

 

マミゾウ「…ふっ、同じ穴の狢というやつじゃな」

 

 

聖「ふふふ、悪くありませんね」

 

 

マミゾウ「…」

 

 

聖「…」

 

 

マミゾウ「何故お礼を言ったのじゃ?」

 

 

聖「貴方が人と妖怪のために尽力してくれていることも、そしてそれが後々この命蓮寺のためになることに繋がる事を計算し、やってくれているのだとしたら」

 

 

聖「私からはお礼の言葉しか出ませんから」

 

 

マミゾウ「ふおっふおっ♪ たまに思うんじゃが、お主の目には全てが見えとる様な気がするぞい」

 

 

聖「森羅万象をこの目で見透す力は私にはありません、ですが…」

 

 

聖「この命蓮寺に住む者の心を見透す力はあるのかも知れません、皆、私の大切な命蓮寺の一員ですから」

 

 

マミゾウ「…」

 

 

聖「…マミゾウさん、貴方にはこれからもここ命蓮寺に」

 

 

 

 ぎゃああああああ!!

 

 

 

聖、マミゾウ「!!?」

 

 

聖「悲鳴!?」

 

 

マミゾウ「何事じゃ!?」

 

 

聖「!」スッ

 

 

 ヒュン!!

 

 

マミゾウ「速っ…!? なんて言っとる場合じゃないか」

 

 

マミゾウ「物置か…? 急ぐかのう!」スッ

 

 

 

 

 【命蓮寺、物置小屋】

 

 

 

聖「!」スタッ

 

 

聖「皆さん! さっきの悲鳴は何事で」

 

 

 

霊夢「うおおぉ! 宝塔共々封印してくれるわぁ!」ゴゴゴ

 

 

萃香「破壊しなきゃ…! これは破壊しなきゃ駄目だぁ!!」ゴゴゴ

 

 

小傘「おち…! おちおち落ち着いてよ二人ともぉ! こ、こここ腰が引けて立てないよぉ!」ガタガタ

 

 

こころ「わ、わからない…何の表情でいたらいいのかわからないがこれは狂気、そう狂気の表情フフフフフ…!」ニタァ

 

 

一輪「あ、あはは…宝塔で姐さんを助けられる訳ないじゃないですかー、何言っちゃってくれてんですかあははは」

 

 

ナズ「そうかそうだよな、お前は寅丸星が嫌いなのか、わかるようん、すごく良くわかるよ宝塔さん」ナデナデ

 

 

雲山「…!」オロオロ

 

 

 

 

聖「ど、どういう…状況です…?」

 

 

マミゾウ「ふぅやっと追い付いたわい、何事…うん?」

 

 

聖「わ、私にも何がなんだか…」

 

 

マミゾウ「な、なんじゃこの混沌とした場は」

 

 

星「? 聖? マミゾウ?」

 

 

聖「! 星…」

 

 

霊夢、萃香、ナズ「!」ピクッ

 

 

星「なんですかさっきの悲鳴、もうびっくりしちゃいましたよ~…おや皆さんお揃いで、ここで湯飲み作ってたんですか?」

 

 

星「!! あー宝塔! こんなところにあったんですね! おや、ナズ…はぁ…」

 

 

星「先に見つけられてしまいましたね、残念です…今回の勝負はナズの勝ちですね、あはは♪」

 

 

星「それよりもなんか皆さん楽しそうですね、何かあったんですか? 楽しい事なら私も混ぜてくださ」

 

 

 

 

ナズ「口だけは良く動くなぁ…寅丸ぅ!」ゴゴゴゴ

 

 

星「うひゃっ…!?」ビクッ

 

 

聖「あのオーラ…! び、毘沙門天様!?」

 

 

マミゾウ「なにぃ!?」

 

 

萃香「よくもこの私を脅かしてくれたな…!」

 

 

霊夢「驚きが過ぎて寿命が縮んだわ…!覚悟は出来てんでしょうねぇ…虎ぁ…!」

 

 

星「えっ…! い、いや! 何故そんなに三人とも怒っているんですか!? 説明をしてください!」

 

 

霊夢、萃香、ナズ「黙れぇ!」

 

 

星「!?」

 

 

聖「マミゾウさんはこころと小傘と一輪を! 私は他を回収します!」

 

 

マミゾウ「お、おう!」

 

 

 

 

霊夢「宝具『陰陽飛鳥井』!」

 

 

萃香「鬼符『ミッシングパワー』!」

 

 

ナズ「視符『ナズーリンペンデュラム』!」

 

 

星「えぇっ!?」

 

 

霊夢、萃香、ナズ「うおおぉ!!」

 

 

星「ちょっ…! な、なんでこうなるんですかぁーー!?」

 

 

 チュドーン!!

 

 アーーーーーッ!!

 

 

 

 

 

 …その時は私も皆もパニックだったのよ、まさか本気で宝塔があの甕の中に入ってるなんて思わないじゃない、覚悟してたのに…本当に寿命が縮んだんじゃないかしら。

 

 運良くあの元凶が外にいたお陰で物置小屋の倒壊は免れたわ、ただ命蓮寺の庭に大きな穴が開いちゃったけどね。

 

 聖とマミゾウが助けてくれた事もあって小傘たちは無事だったわ、でもその後ちょっと放心状態だったけどなんとか回復させたの、それと私たちが作った湯飲みも無事だった。

 

 一応丸く収まった…のよね…?

 

 

 

 

 

 

 

 【PM 17:30 命蓮寺、正門前】

 

 

 

聖「家の虎が本当にご迷惑をお掛けしました」ペコッ

 

 

霊夢「いいわよ頭下げなくても、こっちも色々としてもらったし、迷惑もかけちゃったんだしさ」

 

 

萃香「あんなことでパニクるなんてねぇ、私もまだまだだねぇ…」

 

 

霊夢、萃香、聖「…」チラッ

 

 

 

こころ「今日は新たな感情を学んだ、これが狂気に畏怖する表情だ」スチャッ

 

 

ぬえ「なんかその面気味悪いぞ!?」

 

 

 

一輪「宝塔のせいでほうとうが食べられなくなりそう…」

 

 

小傘「心にさでずむ…私が驚かされてたらもう何も出来ないよね…やんなっちゃうよ」

 

 

水蜜「宝塔恐怖症!? 二人ともしっかりしなよ!」

 

 

 

星「 」

 

 

マミゾウ「白目向いてぶっ倒れとるが…息はあるのか?」

 

 

響子「しょ、星さーん! 大丈夫ですかー?」

 

 

ナズ「宝塔よ答えてくれ、何故あんなところに…もしかして本当に付喪神と化してしまっているのかい?」

 

 

マミゾウ「ナズーリン、お主大丈夫か?」

 

 

ナズ「あぁ、私の頭は今最高に冴え渡っているよ、ふふふ、この大馬鹿者が目を覚ましたら修行のし直しだな」

 

 

 

霊夢、萃香、聖「…」

 

 

霊夢「大丈夫…?」

 

 

聖「大丈夫ですよ、命蓮寺の者は皆強いですから」

 

 

萃香「あの虎は?」

 

 

聖「星は…宝塔が絡まなければ特に問題は無いのです」

 

 

霊夢「でもあいつから宝塔取り上げたら」

 

 

聖「言わないでください」

 

 

霊夢「…わかった」

 

 

 

 

 

 【そしてお別れ…】

 

 

小傘「霊夢、萃香さん、湯飲みとお皿の事は任せてね? 私がバッチリ仕上げておくから」

 

 

霊夢「任せたわよ、小傘」

 

 

萃香「あんがとね」

 

 

小傘「うん、だいたい二日ぐらいで出来上がるからさ、出来たら神社まで届けるよ」

 

 

霊夢「ありがと♪」

 

 

萃香「だったら明後日は神社にお泊まりだねぇ♪」

 

 

霊夢「はぁ…私は博麗の巫女、私は博麗の巫女…」ブツブツ

 

 

霊夢「一輪、轆轤教えてくれて助かったわ、それと水蜜、あんたのカレー美味しかった」

 

 

萃香「轆轤も良いけどカレーもね♪」

 

 

水蜜「ふふ、金曜日はカレーの日、いつでも食べに来ていいんだよ?」

 

 

一輪「あはは、私も楽しかったよ…あの事件がなければ」

 

 

霊夢、萃香「やめろぉ!」

 

 

聖「ははは…」

 

 

 

 

霊夢「じゃ、私たち帰るわ」

 

 

萃香「また顔出すかもしれないからその時はよろしくね」

 

 

霊夢「それじゃあね」

 

 

聖「えぇ、またいつでも遊びに来てくださいね」

 

 

一輪「今度はちゃんとおもてなしするからね!」

 

 

雲山「…」フリフリ

 

 

水蜜「またねー!」

 

 

響子「さよーならー!!」

 

 

ナズ「今度はちゃんとしたご主人を用意しておこう、さらばだ」

 

 

星「 」

 

 

こころ「近いうちに神社の宴会でまた能をやらせてくれ、おっと、これがさようならの表情」スチャッ

 

 

小傘「じゃあねー! 湯飲みとお皿は期待…いや出来に驚いてねー!」

 

 

マミゾウ「帰り道、華扇に気を付けるんじゃぞー」

 

 

霊夢「不吉な事を言うなー!」

 

 

ぬえ「…」

 

 

ぬえ「こ、今度…今度寺に来たら弾幕で勝負しろ! いいな!」

 

 

霊夢「ふっ、腕磨いて待ってなさい!」

 

 

ぬえ「! おう! 覚えとけ!」

 

 

霊夢「ふふっ…」

 

 

ぬえ「ははっ…!」

 

 

 

 

 

 

 【PM 18:00 人里】

 

 

霊夢「すっかり夜になっちゃったわね」

 

 

萃香「だねぇ、っと霊夢」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

萃香「今日は楽しかったよ、またどこか一緒に遊びに行こうよ」

 

 

霊夢「! ふっ…考えとくわ」

 

 

萃香「おう! そんじゃバイバイ♪」

 

 

霊夢「今日はどこで寝泊まりするつもり?」

 

 

萃香「今日は地底でも行こうかな、あいつらに会いに行ってくるよ」

 

 

霊夢「そ…それじゃあね」

 

 

萃香「うん、バイバーイ♪」スッ

 

 

 フワッ

 

 

霊夢「便利な能力だわね、霧になって飛んでっちゃった」

 

 

霊夢「…さて、私も帰りますか」

 

 

 

 

 

 

 【PM18:20 博麗神社】

 

 

霊夢「うん? あれ、明かりが…」

 

 

霊夢「まぁ予想はつくけど」

 

 

 

 

 

 

魔理沙「よう霊夢、随分遅かったじゃないか」

 

 

霊夢「やっぱり」

 

 

魔理沙「? てかお前どこ行ってたんだよ」

 

 

霊夢「ふふん、秘密よ秘密」

 

 

魔理沙「何だよ気になるぜ」

 

 

霊夢「まぁ別にいいじゃない私の事は、そんなことよりアリスは? 一緒じゃないの?」

 

 

魔理沙「あぁ先に帰っちまったよ、もう夜だからな」

 

 

霊夢「そういうところはアリスしっかりしてるわよね」

 

 

魔理沙「まぁ、アリスだからな」

 

 

霊夢「ふははっ…! 答えになってないわよ」

 

 

魔理沙「だが帰り際の『愛してるわ!』はいらねぇと思うんだよな」

 

 

霊夢「なんだ、いつものアリスじゃない」

 

 

魔理沙「少しは自重してほしいもんだぜ…」

 

 

霊夢「ははは…あ、ねぇパチュリーの茶会は? どうだったの?」

 

 

魔理沙「おぉそうだそうだ、それがよ、茶会とは名ばかりでさ」

 

 

霊夢「やっぱりなんか裏があったのね」

 

 

魔理沙「パチュリーが自分で料理作ったから私たちに試食してほしいって言うんだよ」

 

 

霊夢「…え?」

 

 

魔理沙「えってなるだろ? アリスも同じだったぜ」

 

 

霊夢「料理って…パチュリー料理なんか作れんの?」

 

 

魔理沙「咲夜が耳打ちして教えてくれたんだが、壊滅的らしい」

 

 

霊夢「あいつが料理してるイメージ無いもんね」

 

 

霊夢(ふふっ…♪ イメージ、か)

 

 

魔理沙「だろ? 咲夜の耳打ちと合わせて動けない大図書館の料理なんて絶対ヤバイだろってアリスと二人して思ったんだからな、これじゃ毒味会になっちまうぞってな」

 

 

霊夢「ふふっ、動かない…でしょうが」

 

 

霊夢「料理のほどは?」

 

 

魔理沙「それがよ、全部美味しかったんだよ」

 

 

霊夢「えっ、意外」

 

 

魔理沙「自分の腕で作るとアレだけど魔法で作った料理なら上手く作れることに気がついたらしい」

 

 

霊夢「気付くの遅くない?」

 

 

魔理沙「そう言ってやるなよ、料理とは無縁のぱっつぁんだ、気付くのが遅れても不思議じゃあない」

 

 

霊夢「なるほどね」

 

 

魔理沙「サンドイッチ、クッキー、パンケーキ、どれも美味かったぜ」

 

 

霊夢「へぇ」

 

 

魔理沙「ま、咲夜には負けるけどな」

 

 

霊夢「咲夜のと比べちゃうとねぇ…」

 

 

魔理沙「咲夜の料理の前ではどんな料理も霞んでしまうのか…」

 

 

霊夢「…あ」

 

 

霊夢「私咲夜より美味いカレー作るやつ知ってるわ」

 

 

魔理沙「なにっ!? 咲夜より美味いカレー!?」

 

 

霊夢「ふふっ、今度食べに行く? そいつ金曜日にしか現れないんだけど」

 

 

魔理沙「おう、是非とも食ってみたいぜ、そいつと知り合いなのか?」

 

 

霊夢「まあね、てかあんたも知ってる奴よ」

 

 

魔理沙「あー? 誰だよ」

 

 

霊夢「それは会ってからのお楽しみね」

 

 

魔理沙「むう、さっきから気になることばかりだぜ」

 

 

霊夢「ふふん」

 

 

魔理沙「…なんか私に隠し事してるな?」

 

 

霊夢「さぁ、どうかしら?」

 

 

魔理沙「教えてくれよぉ」

 

 

霊夢「嫌よ、直にわかることだから気長に待ってなさい」

 

 

魔理沙「待つのは性に合わんぜ…」

 

 

霊夢「ふふっ…さってと…晩御飯の準備でもしますか」

 

 

魔理沙「お! もちろんこの魔理沙さんの分もあるんだろうな?」

 

 

霊夢「あんたそれを狙ってここに残ってたんでしょ?」

 

 

魔理沙「な、何のことだかわからないのぜ」

 

 

霊夢「訛ってるわよ?」

 

 

霊夢「まぁ良いけどね、今作るからちょっと待ってなさ」

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「はぁい♪ 霊夢♪ と、あら魔理沙」

 

 

霊夢、魔理沙「…」ジトッ

 

 

紫「え…? な、何よその目は! その『何しに来たんだお前』みたいな目は!」

 

 

魔理沙「目で会話が出来たぜ霊夢」

 

 

霊夢「私たちすげぇわ」

 

 

紫「むっ…」

 

 

紫「ゆ、ゆかりんが遊びに来てやったぜ♪」

 

 

霊夢、魔理沙「…」

 

 

紫「…ぜ♪」

 

 

魔理沙「真似すんなババア」

 

 

紫「誰がババアだクルァ!」

 

 

霊夢「紫、素敵なスキマはまだ開いてるわよ?」

 

 

紫「また遠回しに帰れって言う! ゆかりん切ないわ! 切ない!」

 

 

霊夢「切ないんかい」

 

 

魔理沙「てか本当に何しに来たんだよお前は」

 

 

紫「ふふん、これを見なさい!」スッ

 

 

 ギュオン! ゴトッ!

 

 

霊夢、魔理沙「?」

 

 

紫「ふふふのふ♪」

 

 

魔理沙「…餃子?」

 

 

霊夢「え? 何で餃子?」

 

 

紫「私の今日の晩御飯これなんだけどね? 藍が作り過ぎちゃって、お裾分けよお裾分け♪」

 

 

霊夢、魔理沙「…」

 

 

紫「あ…いらない? いらないなら」

 

 

霊夢、魔理沙「いるっ!!」

 

 

魔理沙「霊夢! お茶とご飯と醤油を頼むぜ!」

 

 

霊夢「了解!」

 

 

紫「そんなに餃子好きなの?」

 

 

霊夢「お腹空いてるのよ」

 

 

紫「! そ…」

 

 

霊夢「あぁ、紫」

 

 

紫「はい?」

 

 

霊夢「お礼にお茶ぐらい出してあげるから飲んでいきなさい、良いわね?」

 

 

紫「! えぇ、待ってるわ♪」

 

 

霊夢「よし!」スッ

 

 

魔理沙「おぉ、霊夢のやつ餃子でテンション上がっちゃってるぜ」

 

 

紫「…」

 

 

紫(プレゼント、出来たみたいね)ニコッ

 

 

紫(お疲れ様、霊夢♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「今日はいつもより美味しい方の茶葉にしようかしらね」

 

 

霊夢「ふふっ…♪」

 

 

霊夢「さぁ、食うわよ! 餃子~♪」 

 

 

 

 

 とまぁこれが私、博麗霊夢の日常である。

 

 

 このあと晩御飯を食べて魔理沙を見送り、風呂に入り、そして21時ぐらいに寝て、そしてまた明日が始まる。

 

 今日は命蓮寺に行くっていうイベントがあったけど大体こんな日常を送っているわね。

 

 私はこの日常が好き…なのかもしれないわね。

 

 私は変化が嫌いなの、些細なことでも何かが抜け落ちたりすると気になって仕方がないのよね、何でかしら。

 

 まぁ…良いか。

 

 

 だってこの日常に、私は満足してるからね。

 

 

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 

 

 

 

 

 【オマケ、華扇のその後】

 

 

 

華扇「ひっく…」

 

 

ミスティア・ローレライ「あの…華扇さん…」

 

 

華扇「私はね、霊夢を弟子にしたい訳ではないんですよ」

 

 

華扇「ただただ、霊夢にはちゃんと修行をしてほしい…それだけなんです」

 

 

ミスティア「…」

 

 

華扇「この気持ちあなたに分かる?」

 

 

ミスティア「…ごめんなさい、わかりません」

 

 

華扇「はぁ~~…」グッタリ

 

 

ミスティア「ですが、霊夢さんが逃げる理由が厳しさから来るものなら難しい修行ばかりではなく、優しい修行も時には大切なんじゃないですか?」

 

 

華扇「…!」

 

 

華扇「イージー華扇ちゃんコース…検討してみても良いかもしれませんね」

 

 

ミスティア(なんだろう、そのコース料理みたいな名前)

 

 

華扇「あなた良い鳥よね、文とは大違い」

 

 

ミスティア「あ、ありがとうございます」

 

 

華扇「ふふっ、私に飼われてみる気はありませんか?」

 

 

ミスティア「お断りします」

 

 

華扇「はぁ~…フ~ラ~れ~た~…ひっく…」

 

 

ミスティア(華扇さん悪酔いするとめんどくさい…)

 

 

 

 

 

 

 本当におしまい!!

 

 

 






 書いてみれば命蓮寺組の出番の方が多かったですね、今回は霊夢が主人公でしたがクイズの関係もあっての構成になりました。



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪




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ゆかりんクイズ! 霧雨魔理沙の200のコト 前編



 霧雨魔理沙の200のコト! 始まります!


 活動報告の方にて魔理沙への質問を読者の皆様に募集をしたところ、私の予想を遥かに上回る数のお返事と質問をいただく事が出来ました。

 皆様ご協力、本当にありがとうございました♪

 その数12問…! 採用させていただいたものは全て本編で使わさせていただいております!


 200のコトシリーズでは読者の皆様への募集を積極的にやっていこうと思っていますので今後ともよろしくお願いします♪







 以下、皆様に注意事項とお願いになります



 このシリーズの前日談である『ゆかりん閃いた!』を読んでいただくと話の背景が分かるようになってます、お暇でしたら目を通してみてください


 一人に付き三話を予定しております。クイズを前編後編、そしてそのキャラの日常を書いていこうと思います


 独断と偏見、そして自己解釈が多いです

 一部、読者の方にとっては不快な問題がある場合があります

 ここの幻想郷の住人たちは冗談を笑って言い合えます

 募集させていただいた方の質問の望んでいる解答と私の解答が意にそぐわない場合があります

 【アリス・マーガトロイド氏を温かい目で見守ってあげられる気概と優しさを持ってお読みください】


 それでは始まります♪






 

 

 ここは幻想郷の管理人、八雲紫が作り出したスキマ空間。

 

 

 

 であるのだが、ここには幻想郷の河童達が総力を上げて作り出したバラエティ番組のセットがあるのだ

 

 

 知る人ぞ知るスキマスタジオがここにある。

 

 ここで行われるエンターテイメントは幻想郷に楽しみと言う名の嵐を呼ぶ…のかもしれない

 

 

 さぁ、幻想郷の新たな娯楽の始まりだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河城にとり「レディース&ジェントルマーン!! 幻想郷のみんな! 元気にしてるかーい!」

 

 

にとり「司会はこの私! 頭のお皿はいつも水で潤ってるでお馴染みの河城にとりだよ♪ えっ? 河童である私の被ってる帽子を取ったら本当にお皿が現れるのかって? 取って見せてみろって?」

 

 

にとり「……お客さ~ん♪ ここからは有料ですぜ? 前払いで頼むよ♪」

 

 

にとり「さて! 前置きはさておき、今回このスキマスタジオで行われるのはこれだっ!」

 

 

 

 バーン!!

 

 

 

 

 

にとり「ゆかりんクイズ!! 霧雨魔理沙の200のコト!! イェーイ!!」パチパチ

 

 

 

 

 

 

にとり「幻想郷にこの人あり! 普通の魔法使い! 霧雨魔理沙!! 魔理沙を知らない奴なんか幻想郷にいやしないよね♪ そんな魔理沙からどんな答えが飛び出してくるのかドキドキが止まらないね! あっ、大丈夫だよ♪ 弾幕は飛び出して来ないからさ♪」

 

 

にとり「さらにさらに! この五人も忘れちゃあなりませんぜぇ! 魔理沙の答えを予想し、解答してもらうのはこのスゥーパァー美少女達さ! 右の席から順に紹介していくよ! 可愛さにノックダウンされんなよ~!?」

 

 

 

 

にとり「以前は出題者だったが今回は解答者! 魔理沙が優勝したなら私も!? 博麗霊夢ー!」

 

 

 

 

霊夢「よろしく、まぁ頑張るわね」

 

 

 

 

にとり「妹がお世話になりっぱなし! 私ともたまには遊んで! レミリア・スカーレットー!」

 

 

 

 

レミリア「は、はぁ!? 前半は事実だけど後半は違うわよ!? !! よ、よろしくね!」

 

 

 

 

にとり「色々不満はあるけれど何だかんだ言ってても仲良いよね♪ 十六夜咲夜ー!」

 

 

 

 

咲夜「否定はしないでおいてあげるわ…あっ、よ、よろしくお願いいたしますわ♪」

 

 

 

 

 

にとり「本を返せ返せも好きのうち!? 本当は返しに来てほしく無いんじゃないかという疑惑あり! パチュリー・ノーレッジー!」

 

 

 

 

 

パチュリー→パチェ「そんな疑惑無いわよ、借りたものは返しなさい…! あ…宜しく、ね」

 

 

 

 

 

にとり「魔理沙の愛は~?」

 

 

???「世界一ぃ!」

 

 

にとり「魔理沙の事なら~?」

 

 

???「何でも分かるっ!」

 

 

にとり「魔理沙と私は~?」

 

 

???「相思相愛ぃー♪」

 

 

 

 

にとり「アリス・マーガトロイドー!」

 

 

 

 

???→アリス「ヒャッホー!!」

 

 

霊夢、レミリア、咲夜、パチュリー「!!?」

 

 

 

 

にとり「ぶふっ…! ま、まぁ…あっはは…! こ、これで全員だよ、珍解答とか面白解答も見処だからゆっくりチェックしていってね♪」

 

 

にとり「そしてこの番組は、セット照明カメラ等は河城工房河童協会が…問題文企画構成は幻想郷の伝統ブン屋が…その他諸々の事は八雲家の愉快な仲間達の提供でお送りしております!」

 

 

 

にとり「ほんじゃ始めていこうか! ゆかりんクイズ! 霧雨魔理沙の200のコト!! はっじまるよー!」

 

 

 

 

 

霊夢「ちょっ…ぷふふっ…! ちょっと待ちなさい!」プルプル

 

 

咲夜「くふふっ…! 待って、始める前にちょっと良い?」

 

 

射命丸文「あやや? どうしたんですか?」

 

 

にとり「なんだよーまた文句かー? もう二回目なんだからいい加減慣れてくれよー」

 

 

霊夢「慣れる慣れないの問題じゃないでしょ!?」

 

 

咲夜「アレを見てみなさいよ!!」

 

 

文、にとり「…」チラッ

 

 

 

 

アリス「M・A・R・I・S・A !! 魔理沙ーっ♪」

 

 

アリス「あ~ん♪ 紫~! 呼んでくれてありがとう♪ 今まで生きてきた中で三番目ぐらいに幸せよ!!」

 

 

アリス「魔理沙ぁー♪ 私が全問正解してあなたの所に行くからね♪ 絶対優勝してみせるわ!」

 

 

 

 

文「いやぁ♪ 番組を楽しんでますねぇ♪」

 

 

にとり「あんなに楽しんでもらえるなんて…うぅ…私たちもこのセットを作った甲斐があったってもんだよ~」

 

 

霊夢、咲夜「違う違うちがーう!」

 

 

文、にとり「はい?」

 

 

霊夢「あ、あのテンションのまま200問もやらせるつもりなの!?」

 

 

咲夜「こっちの体がもたないわよ! 特に今回はパチュリー様もいらっしゃるのよ!?」

 

 

にとり「アリスの制御はお前達の仕事だろう♪」

 

 

文「ツッコミ期待してますよ♪」

 

 

霊夢「限度ぉ! こっちにも限度ってもんがあんのよ! 今日のあいつは本当にブレないわよ!?」

 

 

咲夜「ヘヴンリーワンダーランド状態のアリスとずっと一緒なのよ!?」

 

 

にとり「ブレない、ヘヴンリーワンダーランドいただきましたー♪」

 

 

文「今日もツッコミが冴えてますねぇ♪」

 

 

霊夢、咲夜「人の話を聞けぇい!!」

 

 

パチェ「あんなに口角が吊り上がったアリスを見るのは初めてよ…あんな顔も出来たのね」

 

 

レミリア「あらら、早苗は落選しちゃったのね、でも今回はパチェと一緒だから嬉しいわ♪」

 

 

パチェ「レミィ、アリスについて何かないの?」

 

 

レミリア「う~ん…ハイテンションなのは仕方ないし、霊夢と咲夜なら何とかしてくれるって信じてるし…それに面白い物も見られるのよ♪」

 

 

パチェ「…?」

 

 

アリス「うふふ♪ みんな♪」

 

 

霊夢、咲夜、パチュリー、レミリア「は、はい?」

 

 

アリス「今回は私が優勝するけれどお互い頑張りましょう♪ 魔理沙を心行く迄、堪能して楽しみましょうね♪」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないわよ」

 

 

咲夜「早速ブレないわねアリス」

 

 

レミリア「くふふふっ…! あっははは…!」プルプル

 

 

パチェ「…優勝するのが目に見えてるのに何を楽しんでクイズしなきゃならないのかしら」

 

 

アリス「そりゃあもう魔理沙の全てよ!」

 

 

パチェ「…そういうことにしておくわ」

 

 

霊夢「どう? 咲夜、ツッコミ一発入れた感想は」ヒソヒソ

 

 

咲夜「あのぐらいならあなたのアシストがあれば行けそう、援護頼むわよ」ヒソヒソ

 

 

霊夢「こっちのセリフよ、ヘヴンリーワンダーランド状態じゃなければ行けそうね」ヒソヒソ

 

 

咲夜「頑張りましょう」ヒソヒソ

 

 

霊夢「お互いにね」ヒソヒソ

 

 

にとり「楽しんでるじゃないか♪」

 

 

文「良いことです♪」

 

 

パチェ「…」

 

 

レミリア「私は咲夜と霊夢が楽しそうにしてる姿を見てるだけでも満足よ♪」

 

 

パチェ「それには同意するけど…」チラッ

 

 

アリス「魔理沙から私へのプレゼントは何かなぁ♪」

 

 

パチェ「アリス、油断してると足下をすくわれるかもしれないわよ?」

 

 

アリス「! あら、私より正解出来るとでも?」

 

 

パチェ「私はどうか分からないけど霊夢はあなたにとって強敵であり、脅威じゃないのかしら?」

 

 

アリス「! ま、負けないわ! 私の魔理沙への愛はいつでもシャンハーイなのよ!?」

 

 

パチェ「訳が分からないわ…けど勝負事なら私もやれるだけやるわ、負けるの嫌いだから、ね」

 

 

レミリア(パチェも何だかんだ楽しんでるみたいね♪)

 

 

 

 

 

 

 

【ゆかりん登場! ルール説明!】

 

 

八雲紫「は~い♪ ゆかりん登場~♪」

 

 

霊夢「出たわね」

 

 

咲夜「出てきたわね」

 

 

レミリア「いきなり出てこなかったわね」

 

 

パチェ「珍しい事もあるものね」

 

 

アリス「大人しいわね」

 

 

紫「な、何よみんなして…! ゆかりん今回は無理矢理連れて来てないのよ!? みんなの承諾をたんだから!」

 

 

霊夢「分かってるわよ、それと別に文句を言いたい訳じゃないのよ?」

 

 

咲夜「なんとなく口に出ちゃうのよ」

 

 

パチェ「スキマで驚かしたりしてるからそうやって言われるのよ、ね? レミィ」

 

 

レミリア「そうよそうよ! …うん? パチェ、何で今の私に聞いたの?」

 

 

アリス「あぁ紫、本当にありがとう! ん? あなたに感謝したのってこれ初めてじゃないかしら」

 

 

紫「なんか色々と言われてつれぇんだけど」

 

 

文「つれぇのは分からなくも無いんですけどルール説明だけはちゃんとしてくださいね」

 

 

紫「報われないわねぇ…まぁ霊夢だけは許すけどね♪」

 

 

レミリア、咲夜、パチュリー、アリス(贔屓が…)

 

 

霊夢「良いから早く説明しなさい」

 

 

紫「はーい♪」

 

 

 

 

 

 

紫「咲夜とアリス、レミリアは説明不要よね、霊夢の時に一度やってるから」

 

 

レミリア「そうね、今回もアリス程では無いけど呼んでくれて感謝はしてるわ」

 

 

アリス「私は誰よりも感謝をしているわ♪」

 

 

咲夜「紅魔館が心配だけど…まぁ楽しませてもらうわ」

 

 

紫「では…霊夢とパチュリー、あなた達にはちゃんと説明させてもらうわね、まずどう? 解答者席の感じは」

 

 

霊夢「前は出題者だったからこっちの感じはなんか新鮮だわ」

 

 

パチェ「レミィからここの存在は聞かされてたのよ、想像していた物よりも随分と力が入っているようね」

 

 

紫「そりゃあねぇ♪ これは一時の娯楽、楽しまなきゃ損よ?」

 

 

紫「ルールの説明をするわ、先ずこことは違う場所、別室にいる魔理沙に対する質問をする、まぁ質問と言う名の問題よ、それをここであなたたちに出題する」

 

 

紫「あなたたちは魔理沙がなんと答えるか予想してそれを解答するのよ、解答はその電子版に書いてね♪」

 

 

霊夢「これに書くのね…てか何でこんなもんで字が浮かび上がるのかしら」カキカキ

 

 

にとり「はっはっは♪ 河童の技術なめんなよー♪」

 

 

パチェ「へぇ…レミィがお絵描きしそうね」

 

 

レミリア「お絵描きなんかとっくに卒業してるわよ! そこはフランって言うところよパチェー!」

 

 

パチェ「ふふっ…♪」

 

 

アリス「霊夢の時にお絵描きしてなかった?」ヒソヒソ

 

 

咲夜「言わないであげて」ヒソヒソ

 

 

紫「解答が出揃ったら答え合わせよ、魔理沙に直接その問題、質問を聞いてもらって答えてもらう、それが問題の正解となるの、一応全員の解答は一度この目の前にある巨大モニターに出すからね」

 

 

紫「魔理沙は別室にいるわ、モニターに写すわね」ピッ

 

 

アリス「!!」ガタッ

 

 

霊夢、咲夜「!」キッ

 

 

パチェ「何で身構えるの?」

 

 

霊夢「準備」

咲夜「準備です」

 

 

パチェ「準備?」

 

 

レミリア「ふふふふはははっ…!」プルプル

 

 

 

 

 

霧雨魔理沙『何だここにカメラ仕掛けてあんのか、こういうところから霊夢を撮ってたんだな』

 

 

魔理沙『ん…? なんか赤い光が点滅してるけどこれもう始まってんのか?』

 

 

 

 

アリス「キャー!! 魔理沙と目と目が逢っちゃったー♪」

 

 

霊夢、咲夜「うるさっ!!」

 

 

レミリア「あっははは!」

 

 

パチェ「なるほど…ツッコミ準備、ね」

 

 

アリス「モニター越しでも愛を感じるの♪ ま、まさかこれが相思相愛の証っ!?」

 

 

霊夢「絶対違うから」

 

 

咲夜「どう考えたらそうなるの?」

 

 

霊夢「…あれ? 私の時と部屋の造りが違うわね」

 

 

咲夜「洋風の部屋にソファ、テーブルに紅茶と洋菓子のセットね」

 

 

アリス「あそこに私が居れば新婚さんのお部屋になるのにね」

 

 

霊夢「さらっと何を言っているのか」

 

 

アリス「…ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないから」

 

 

咲夜「ブレないのねアリス」

 

 

レミリア「ふはっ…! くふふ…!」プルプル

 

 

紫「フフッ…! そ、そのままでも良かったんだけどやっぱり出題者さんには良いお部屋をあてがわないとね」

 

 

霊夢「確かに私の時の部屋は快適だったわね」

 

 

紫「魔理沙は解答者が誰なのか知ってる、そして魔理沙の声はこっちに聞こえるけどこっち側…霊夢たちの声は魔理沙には聞こえないようにしてあるわ」

 

 

アリス「はぁ…愛の言葉が届かないなんて…なんかもどかしいわね」

 

 

パチェ(普段は届いていると思っているのかしら)

 

 

 

 

魔理沙『うーんなんか足りねぇなぁ…落ち着かねぇぜ…』

 

 

魔理沙『…あっ! そうだ、この部屋には本がねぇんだよな、おーいババア~、ちょっくらスキマから本を出してくれねぇかー?』

 

 

 

 

紫「あ、あんにゃろう! 誰がババアだってぇ!?」

 

 

霊夢「部屋が散らかって無いと安心できないんかい」

 

 

咲夜「どうしてあんな家に住めるのかしら…」

 

 

パチェ「出さなくていいわよ紫、エサを与えるとどんどん食い尽くされるからやめといた方が身のためよ」

 

 

紫「ぱっつぁん苦労してんのね…」

 

 

パチェ「苦労の連続よ…はぁ…」

 

 

霊夢「新婚さんの部屋が早速ゴミまみれになるけど」

 

 

アリス「許容範囲よ、私がしっかりしてれば良いだけの話だもの♪」

 

 

レミリア「アリスって良い奥さんになれる素質はある気がするのよね」

 

 

紫「私からは以上よ、後は天の声さんに聞いてね♪」

 

 

 

 

 

 

 【もう少し、ルール説明!】

 

 

 

八雲藍『テステス…あー、みんな聞こえてるか?』

 

 

 

 

霊夢「聞こえてるわ」

 

 

 

 

藍『私が問題を読み上げる係の天の声こと、八雲藍だ、200問は長い道のりだと思うがお互い頑張ろうな』

 

 

 

 

パチェ「手が込んでるわね、それより…200問は本当に長そうね」

 

 

咲夜「はい、かなりの長丁場になります」

 

 

レミリア「それが心配だったのよパチェ、あなたの体の事が心配だわ」

 

 

霊夢「あ、そっか、喘息持ってるのよねあんた」

 

 

アリス「それに体力の心配もあるわよね」

 

 

パチェ「…でも座って書くだけだからいつもとあまり変わらないと思うのよね」

 

 

レミリア「甘いわねパチェ」

 

 

パチェ「?」

 

 

レミリア「笑うのって意外に体力使うのよ」

 

 

咲夜「笑ってる時にむせると呼吸が乱れますし」

 

 

アリス「むきゅー…なんて言ってられないわよ?」

 

 

霊夢「一呼吸置かずに笑いは襲い掛かってくるもんよ」

 

 

パチェ「……」

 

 

パチェ「不安になってきたわ…」

 

 

 

 

藍『その事なら心配無用だ』

 

 

 

 

霊、咲、レ、パ、ア「え?」

 

 

 

 

藍『実はそう言うと思ってな、紫様がパチュリーのために準備をしていたらしいんだ、頼むぞにとり』

 

 

 

 

にとり「おう、はいこれ」スッ

 

 

パチェ「? これは?」

 

 

にとり「河童印の栄養ドリンク『ニトリン』と喘息に効く八意印の飲み薬『ヤゴコロービッド』だ」

 

 

パチェ「…何そのタウリンとスロービッドみたいな名前の薬は」

 

 

咲夜「パチュリー様、飲むのに抵抗がおありでしたら私が毒味を」

 

 

にとり「失礼だな! 毒なんて入ってないぞ!」

 

 

霊夢「大丈夫よ、紫はそういう悪ふざけはマジの時にしかしないから」

 

 

アリス、レミリア「マジ?」

 

 

霊夢「大嫌いな奴の目の前にいるとか…でもそういう時でも『これは猛毒の何々よ!』とか言いながら飲ませようとして来るけどね」

 

 

レミリア「そうなんだ…」

 

 

アリス「なんか親切に思えてくるのは何でかしら」

 

 

霊夢「元が胡散臭いからじゃない?」

 

 

 

パチェ「……大丈夫よ、ありがとう咲夜」

 

 

パチェ「霊夢がそこまで言うのなら大丈夫でしょう、ありがたく受け取っておくわ、紫も中々準備が良いわね」

 

 

咲夜「分かりましたわ、パチュリー様」

 

 

にとり「ふふん♪ 飲んで元気になりすぎるがいいさ!」

 

 

パチェ「この魔法使いより元気にならないから安心しなさい」

 

 

アリス「今日は気分が良いからね! うふふっ♪ みんなもそうでしょ?」

 

 

霊、咲、レ、パ「一緒にしないで」

 

 

 

 

藍『100問で一旦休憩を挟むぞ、もちろん能力は禁止、優勝者には魔理沙からのプレゼントがあるぞ』

 

 

 

 

パチェ「あぁ休憩挟んでくれるのね、ならドリンクと薬もあるから戦えるわね」

 

 

アリス「能力禁止にされなくてもあんまり意味が無いような気がするのよね」

 

 

霊夢「空を飛ぼうが、魔法を使おうが、時を止めようが関係無いもんね」

 

 

レミリア「えっ…? れ、霊夢? 私の能力…」

 

 

パチェ「有って無いような物でしょ」

 

 

レミリア「パ~チェ~?」

 

 

パチェ「ふふっ♪」

 

 

霊夢「ははっ…!」

 

 

アリス「そんなことより私は魔理沙のプレゼントが気になるわ!」

 

 

霊夢「確かに気になるわね」

 

 

咲夜、パチュリー「同じく」

 

 

レミリア「何で?」

 

 

霊夢「あのドケチがプレゼントするのよ? 死ぬまで借りるが当たり前のあいつが何をくれるのか気になるじゃない」

 

 

レミリア「あ~…確かに」

 

 

パチェ「何も用意してないのならこっちから優勝賞品の請求をしたいところね」

 

 

咲夜「本を返してもらいたいですね」

 

 

アリス「魔理沙からのプレゼントも素敵だけどそれも良いわね! 私が優勝したら…まぁするんだけどぉ♪ 『私が優勝したから優勝賞品は霧雨魔理沙をお願いしますっ!』って胸を張って堂々と言えるんだもん…あぁん素敵っ♪」

 

 

霊夢、咲夜、パチュリー、レミリア「…」

 

 

パチェ「ごめんなさい、レミィにカリスマを与えてしまったようね」

 

 

レミリア「なんなのその例え!?」

 

 

霊夢「あっははは…!」プルプル

 

 

咲夜「お嬢様『今のは猛獣にエサを与えてしまった』と同じ様な例えかと思います」

 

 

レミリア「真面目に説明しなくて良いわよ咲夜ぁ!」

 

 

霊夢「あっはははっ…!」プルプル

 

 

 

 

藍『おーい準備は良いか? 始めるぞー?』

 

 

 

 

アリス「おーっ! 魔理沙ー! 待っててね!」

 

 

咲夜「…200問頑張りましょう」

 

 

パチェ「えぇ」

 

 

レミリア「うん」

 

 

霊夢「ははははっ…! ふっくふふ…!」プルプル

 

 

パチェ「…そんなに面白かった?」

 

 

霊夢「くふははっ…! わ、私ツボに入るとダメなのよ…! ふふははっ…!」プルプル

 

 

レミリア「霊夢にそんなに笑ってもらえるのは嬉しいけど複雑よ…なんか」

 

 

パチェ「ふふっ、良かったじゃないレミィ」

 

 

レミリア「パチェのせいなんだけど!?」

 

 

 

 

 

 

 【本番スタート!!】

 

 

 

【第1問】『霧雨の、好きな食べ物は?』

 

 

 

霊夢「ふはっ…!」プルプル

 

 

パチェ「ふっ…!」プルプル

 

 

レミリア「やっぱり笑うわよね」

 

 

霊夢「ふふは…! な、何よ霧雨のって…! くふふははっ…!」

 

 

パチェ「霧雨っ…! くふふふっ…! だ、誰が魔理沙の事を霧雨って呼ぶのよ…!」

 

 

咲夜「確かに魔理沙の事を霧雨呼びする人なんて見たことも聞いたこともありませんね、ふふっ」

 

 

霊夢「てか…ふふっ…ら、藍の発音と発声が良すぎるから余計に…あははっ」

 

 

レミリア「それ分かるわ…ふふはっ…!」

 

 

 

 

藍『笑いを取ろうと思っている訳では無いのだが…これも紫様の指示でな』

 

 

 

 

咲夜「早苗が言ってたわね、これも元ネタの再現だとか」

 

 

霊夢「ふふはっ…! …あれ? これ私の時も呼び方変えてたの?」

 

 

咲夜「博麗の~博麗の~ってずっと言ってたわよ」

 

 

霊夢「ははっ…! あ、あんたたちまさか笑った?」

 

 

咲夜「だってしょうがないじゃない、魔理沙が『お~い博麗~! 弾幕ごっこしようぜ~!』とかボケるからいけないのよ」

 

 

霊夢「くっ…あははっ…! あ…くふふっ…あいつめ…!」プルプル

 

 

パチェ「その流れで言ったら逆のパターンもありなんじゃないの?」

 

 

レミリア「逆?」

 

 

咲夜「なるほど…霊夢、お願い出来る?」

 

 

霊夢「へ? 何で私がやんの?」

 

 

咲夜「だって魔理沙がやってたから」

 

 

レミリア「あっ、そういうことね! 霊夢お願い、やってみて!」

 

 

霊夢「え~……ん``ん``…」セキバライ

 

 

霊夢「…」

 

 

 

 

 

霊夢「ねぇ霧雨、ちょっと弾幕ごっこしない?」

 

 

咲夜、レミリア「ふっ…! はははっ…!」プルプル

 

 

パチェ「ふふっ…! ふふふふっ…!」プルプル

 

 

アリス「はいっ!」

 

 

霊夢、咲夜、パチュリー、レミリア「!!?」

 

 

アリス「私、霧雨アリスは博麗霊夢との弾幕ごっこを受けて立ちます! 妻として!!」

 

 

アリス「つ、妻として!」

 

 

霊夢、咲夜、パチュリー、レミリア「……」

 

 

パチェ「一気に現実に引き戻された気分だわ」

 

 

咲夜「そういえばここには不思議な魔物が居たんだったわね」

 

 

霊夢「さっきから黙ってると思ったらその妄想をしてたのね」

 

 

レミリア「ア、アリスは奥さん派なの?」

 

 

アリス「う~ん、本当は妻として支えてあげたいんだけど魔理沙が望むなら夫でも構わないわ♪」

 

 

霊夢「いいわよ素直に答えなくて、真面目に聞いてないから」

 

 

アリス「…ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないわよ」

 

 

咲夜「ブレないままね、アリス」

 

 

レミリア「くふっ…! で、でも霧雨アリスの語呂は悪くないと思わない?」ヒソヒソ

 

 

パチェ「マーガトロイド魔理沙…は悪いわね」

 

 

 

 

藍『おいおい、楽しむのも良いが早く答えを書いてくれよ?』

 

 

 

 

レミリア「え、えぇ…分かったわ」

 

 

咲夜「魔理沙の好きな食べ物…?」

 

 

霊夢「なんか一問目から難しくない?」

 

 

パチェ「…聞くけどもう書けてるの?」

 

 

アリス「もちろんよ♪」

 

 

霊夢「良く書けたわね、こっちは魔理沙が相手ってだけでも悩む要因になってるのに」

 

 

レミリア「そうなのよね…」

 

 

咲夜「こっちの意表を突いて解答でふざける、ボケてくるか、真面目に答えるかのどっちかですからね」

 

 

パチェ「最初から二択なんてハードね」

 

 

アリス「結婚生活なんてハードの連続に決まっ」

 

 

霊夢、咲夜「ちょっと黙っててくれる?」カキカキ

 

 

レミリア「ふくっ…! こ、これかなぁ」カキカキ

 

 

パチェ「問題の内容も難しいわ、魔理沙って雑食この上ないから」カキカキ

 

 

霊夢「…よし、書けたわ」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

霊夢《キノコ炒め》

レミリア《焼きキノコ》

咲夜《キノコご飯》

パチェ《キノコシチュー》

アリス《キノコシチュー》

 

 

 

 

パチェ「あら、当たったわね」

 

 

レミリア「ふはっ…! ま、まだ魔理沙答えて無いじゃない」

 

 

咲夜「200問正解宣言しているので…はい」

 

 

霊夢「シチューだったか…」

 

 

アリス「ふふん♪ まだまだね霊夢、魔理沙はキノコ料理全般が好きだけど手軽に作れて美味しい物が好みなのよ♪」

 

 

霊夢「…なんかちょっと悔しいわ」

 

 

咲夜「あなたも存外負けず嫌いよね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙の好きな食べ物は?』

 

 

魔理沙『あん? あぁやっと始まったのか』

 

 

魔理沙『…アレか? アリスの暴走待ちだったのか? まぁでも咲夜と霊夢がいるからそこら辺は心配しなくても良いか』

 

 

魔理沙『ん~そうだな、この魔理沙さんの好きな食べ物は…キノコシチューだぜ♪』

 

 

 

 パチュリー、アリス、正解!!

 

 

 

 

 

アリス「当然ね♪」

 

 

パチェ「正直当てられる自信無かったんだけど」

 

 

レミリア「二人とも魔法使いだからってのもあるんじゃないの?」

 

 

パチェ「関係…無いとは言い切れないかもね、会話はしてる方だし」

 

 

アリス「沢山話していればこの手の問題は答えられるものよ、まぁ私の場合は偏に愛があるからだけどね!」

 

 

霊夢「……愛はともかくちょっと燃えてきたわ」

 

 

咲夜「本当に負けず嫌いね…」

 

 

咲夜(それともちょっとした嫉妬…? ふふっ)

 

 

 

 

 

【第2問】『霧雨の、血液型は?』

 

 

 

レミリア「!」カキカキ

 

 

霊夢「早いわね」

 

 

レミリア「ふっふっふ♪ まぁね♪」

 

 

パチェ「レミィにとってはサービス問題じゃない? 吸血鬼なんだから血液型ぐらい匂いで分かるでしょ」

 

 

レミリア「!」

 

 

霊夢「あっ…これズルじゃない?」

 

 

咲夜「霊夢の時でもこれは許されてたわよ?」

 

 

アリス「でも魔理沙の血液型なんて見て直ぐ分かるじゃない♪」

 

 

霊夢「アリスが言うと説得力無いけど…まぁそうね」

 

 

咲夜「魔理沙はこの血液型しか当てはまらないものね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《B型》

レミリア《B型》

咲夜《B型》

パチェ《B型》

アリス《B型 RH-》

 

 

 

 

パチェ「は!?」

 

 

レミリア「えっ!? ちょっ!? な、なに!?」

 

 

霊夢、咲夜「怖い怖い怖い!! 怖いって!!」

 

 

アリス「……え~?」ニッコリ

 

 

霊夢、咲夜「え~じゃないわよ!!」

 

 

霊夢「なに!? アールエイチってなに!?」

 

 

咲夜「マイナス!? マイナスなのあれ!?」

 

 

アリス「魔理沙の血液型よ、一般常識じゃない♪」

 

 

霊夢「絶対に一般常識じゃないわよ!」

 

 

咲夜「みんな知ってると思わないことね!!」

 

 

パチェ「RH…って、まさかRH因子のこと?」

 

 

アリス「そうよ♪」

 

 

レミリア「あ、アールエイチ因子?」

 

 

パチェ「血液型を決定する因子の一つと言われているの、こういうのって医者かその類いの知識者に血液を調べてもらわないと分からないんだけど」

 

 

パチェ「何故知っているの?」

 

 

アリス「…」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないってのよ」

 

 

咲夜「ブレないのが逆に怖いのよ、アリス」

 

 

レミリア(わ、笑えないわ…)ドキドキ

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙の血液型は?』

 

 

魔理沙『ん、B型らしいぜ?』

 

 

 

 全員正解!

 

 

 

 

アリス「んふふっ♪ やったぁ♪ みんなも正解で良かったわね!」

 

 

霊夢、咲夜、パチュリー、レミリア「……」

 

 

霊夢「紫、ダメもとで魔理沙にRHって知ってるか聞いてみてくれる?」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『ねぇ魔理沙、血液型にRHってあるんだけど知ってる?』

 

 

魔理沙『は? ナニか? 他にR型とかH型とか存在するのか?』

 

 

紫『…ううん、何でもないわ』

 

 

魔理沙『あー?』

 

 

 

 

 

アリス「魔理沙は知らなくても良いのよ♪ ねぇ?」

 

 

咲夜「ねぇ、じゃないわよ」

 

 

霊夢「それにはもう私は何もツッコまないわよ」

 

 

 

 

 

 

【第3問】『霧雨の、特技は?』

 

 

 

霊夢「特技…?」

 

 

アリス「…」ピタッ

 

 

パチェ「あら、筆が止まってるわね」

 

 

アリス「魔理沙は多芸だから…んんっ? 何をチョイスしてくるかしら」

 

 

咲夜「アリスが分からないのでは私たちも勘で答えるしかありませんね」

 

 

レミリア「アリス頼みなのはどうなのかしら…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《マスタースパーク》

レミリア《泥棒》

咲夜《盗みの技量》

パチェ《死ぬまで借りること》

アリス《友達を作ること》

 

 

 

霊夢「紅魔館組はそっち関係なのね」

 

 

パチェ「でも迷ったの、これは趣味なのか職業なのか特技なのかって」

 

 

レミリア「私もそうよパチェ」

 

 

咲夜「同じくですわ」

 

 

霊夢「職業って…そろそろ指名手配されるんじゃないの?」

 

 

アリス「最近地霊殿の本にも興味があるみたいよ?」

 

 

霊夢「さとりとお燐とお空を相手に何処までいけるかしらね」

 

 

アリス「頑張ってほしいわね♪」

 

 

霊夢「そこは手伝わないのね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙の特技は? ある?』

 

 

魔理沙『もちろんあるぜ! マスタースパークだな!』

 

 

紫『…ふふっ、そう』

 

 

 

 

 霊夢、正解!!

 

 

 

 

霊夢「よし♪」

 

 

アリス「ぐっ…! そっちだったか~…」

 

 

レミリア「流石に自分で認めやしないか」

 

 

パチェ「借りるって言葉を辞書で引かせてやりたいと何度思ったことか…」

 

 

咲夜「大体美鈴がキチンと仕事をしていれば…」ブツブツ

 

 

パチェ「それより…ふふっ、アリス外したわね」

 

 

アリス「な、何よ!」

 

 

パチェ「あなたが外す問題があるなら勝機はある、ということが理解できたから嬉しいのよ」

 

 

アリス「わ、私は負けないわ! 優勝して魔理沙のところに行くのは私よ!!」

 

 

霊夢「パチュリーって負けず嫌いなの?」

 

 

咲夜「勝負事はやるからには勝つ、がパチュリー様なのよ」

 

 

レミリア「チェスで私と勝負して負けると『もう一回勝負よ!』って言うのよね♪ 勝つまで止まらないの♪」

 

 

霊夢「ふ~ん…あんたってチェスでパチュリーに勝てるんだ」

 

 

レミリア「そこなの!? そこなの霊夢ぅ!」

 

 

咲夜「フフッ…!」プルプル

 

 

 

 

 

 【第9問】『霧雨が、最近気になっていることは?』

 

 

 

咲夜「う~ん、分からないわね」

 

 

レミリア「範囲が広すぎるわよ」

 

 

アリス「確かに…でも私の魔理沙なら」

 

 

パチェ「私のって…」

 

 

霊夢「…アレか?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

霊夢《チルノが日焼けした理由》

レミリア《自分で書いた本の価値》

咲夜《自分の女子力の低さ》

パチェ《紅魔地下図書館の本の数》

アリス《私の想う、魔理沙への愛の度数》

 

 

 

アリス、レミリア「日焼け!!?」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

パチェ「あら、二人とも知らないの?」

 

 

レミリア「し、知らないわよ!」

 

 

アリス「えっ!? ち、チルノが日焼けしたの!?」

 

 

咲夜「えぇ、私も最初見たとき目を疑ったわ」

 

 

パチェ「原因は完全に日焼けなんだけど…引っ掛かる点が多いのよね、一日で日焼けなんて普通しないもの」

 

 

霊夢「あまりにも真っ黒だったから最初コーヒーぶっかけられたのかと思ったわ」

 

 

咲夜「私はチョコとかお菓子の食べ過ぎでああなったのかと思ってたわ」

 

 

霊夢「あははっ、色んな物掛けられてなんかかき氷みたいね」

 

 

レミリア「そ、そんなに真っ黒だったの!?」

 

 

アリス「氷の妖精が日焼けしていいのかしら…」

 

 

霊夢「良いんじゃない? 本人は『NEWあたいは超最強!』とか言ってたし」

 

 

レミリア「見たかったわ…」

 

 

アリス「まだ日焼けしてるかしら…」

 

 

パチェ「まぁ気になるわよね」

 

 

パチェ(魔力の増加…今になってそれが原因なのではないかと頭を過っているのよね)

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙が最近気になっていることは?』

 

 

魔理沙『あ? あ~…最近かぁ…』

 

 

魔理沙『あぁアレだ、チルノが日焼けした理由だな』

 

 

 霊夢、正解!!

 

 

 

レミリア「えぇ…凄く気になってきた」

 

 

アリス「これ終わったら魔理沙と一緒にチルノのところに行こうっと♪」

 

 

霊夢「一人で行かないの?」

 

 

アリス「嫌よ!!」クワッ

 

 

霊夢、咲夜「!?」ビクッ

 

 

パチェ「まだ日焼けしてるのかしらね」

 

 

 

 

 

 

【第14問】『霧雨の、好きな一発ギャグは?』

 

 

レミリア「あ♪ 出た~♪」

 

 

霊夢「ん? 嬉しそうね?」

 

 

レミリア「だって霊夢の時私のカリスマガードやってくれたじゃない♪」

 

 

霊夢「まぁ…/// アレには笑わせてもらってるからね」

 

 

レミリア「私スッゴい嬉しかったのよ霊夢ぅ~♪」

 

 

霊夢「はいはい」

 

 

パチェ「嬉しかったって……本人公認にしていいの?」

 

 

アリス「霊夢がやってるのも結構可愛かったわよね」

 

 

咲夜「まぁお嬢様には負けるけどね」

 

 

パチェ「あなたの大好きなカリスマが薄れるわよ? レミィ」

 

 

レミリア「霊夢に喜んでもらえるならカリスマなんてクソ食らえよ♪」

 

 

パチェ(っ…!? そ、そこまで言わせるの?)

 

 

アリス「器が大きいわね」

 

 

咲夜「流石でございますわ、お嬢様」

 

 

霊夢「それでいいの? あんたが良いならいいんだけどさ」

 

 

パチェ「う~ん…」

 

 

パチェ(親友として喜ぶべきなのかしら…)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《小傘の驚け~》

レミリア《パチェのくしゃみ》

咲夜《パチュリー様のくしゃみ》

パチェ《レミィのカリスマガード》

アリス《パチュリーのくしゃみ》

 

 

 

霊夢「え?」

 

 

パチェ「んっ!!?」

 

 

レミリア「あれ、アリス知ってるの?」

 

 

アリス「結構前に私の家に来たときに聞いたの、埃まみれの部屋に通しちゃったから偶然だったんだけどね」

 

 

咲夜「紅魔館の者しか知らないと思ってたんだけどね」

 

 

霊夢「えっ? く、くしゃみ?」

 

 

レミリア「うん、実はね?」

 

 

パチェ「れ、レミィ!」

 

 

レミリア「な、なに?」

 

 

パチェ「い、言わない…! 言わなくていいから!」

 

 

パチェ「咲夜も! 何で書くのよ!」

 

 

咲夜「…申し訳ありません、私とて負けたく無いので、はい」

 

 

アリス「私は好きよ、あなたの意外な一面だからね」

 

 

パチェ「そういうことも言わなくていいから!」

 

 

霊夢「えっ、余計気になるんですけど」

 

 

パチェ「知らなくてもいいことよ!」

 

 

霊夢「くしゃみなんでしょ? くしゃみぐらい良いじゃない」

 

 

アリス「うふふっ♪ 魔理沙がなんて答えるかしらね♪」

 

 

パチェ「!! ま、魔理沙…頼むわよ…!」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙の好きな一発ギャグは?』

 

 

魔理沙『お、来やがったな、幻想郷広しと言えどもこのギャグはあんまりお目にかかれないぜ?』

 

 

魔理沙『パチュリーのくしゃみのインパクトは強烈だったぜ♪』

 

 

 

 咲夜、レミリア、アリス、正解!!

 

 

 

 

パチェ「ちょっ…!?」

 

 

レミリア「やった♪ 当たった♪」

 

 

咲夜「残念だったわね、霊夢」

 

 

霊夢「いやいや、当たらなかった事よりもくしゃみが気になって仕方ないんだけど」

 

 

文「そんな霊夢さんのために!!」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

にとり「実はね、紫がパチュリーのくしゃみの音声データを持ってるんだよね~♪」

 

 

霊夢「! ふーん…ふふっ、用意が良いじゃない♪」

 

 

パチェ「な、なんですって!?」

 

 

パチェ(まさか紫が幻想郷住人の口癖、珍言探しをするあの訳の分からない調査の時のレコーダーがまだ…)

 

 

にとり「ほいじゃ、流すよ~♪」

 

 

パチェ「そこまでよ! 私流していいなんて許可して無いわよ!?」

 

 

咲夜「…パチュリー様」

 

 

レミリア「パチェ」

 

 

パチェ「二人も早く止めさせて!」

 

 

咲夜「良いじゃないですか、減るものではありませんし」

 

 

レミリア「ごめんね、霊夢が聞きたがってるから聞かせてあげたいの」

 

 

パチェ「!?」

 

 

アリス「誰も真似できない物よ♪」

 

 

霊夢「気になるから早く聞かせなさいよ♪」ワクワク

 

 

にとり「あいよ~♪」スッ

 

 

パチェ「あっ…!!」

 

 

 

 

 ポチっ!

 

 

 

紫『小悪魔、ついに来るのね?』

 

 

こあ『はい♪ 来ますよ…』

 

 

パチェ『へ…へぁ…へっ…む、む…』

 

 

 

 

 

パチェ『むっっきゅしょい!!』

 

 

 

 

 

紫、藍『あ』

 

 

 

 ブツッツ…! ポチっ!

 

 

 

 

霊夢「んふっ!? ふふははははっ!!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「あはっ、あはははっ…!」

 

 

アリス「んふふっ…! ふふっふふふ!」

 

 

咲夜「フフッ…! パ、パチュリーさ、あふふふっ…! も、申し訳ござ…! あふふははっ…!」

 

 

パチェ「!! …///」カアッ

 

 

霊夢「あ、あんたのっ…! ふははっ…! あんたの体のどこからあんな声が出てんのよ…! ふくくっ…!」

 

 

咲夜「パ、パチュリー様の…! くっ…! か、可愛い一面ですわ」

 

 

レミリア「ご、ごめんねパチェ、笑うつもりは無かったのよ…でもその…ふ、雰囲気というか」

 

 

アリス「今あなたのところの小悪魔の声も聞こえたわね、ふふっ♪ でもパチュリー、恥ずかしがること無いわよ、あなたの個性じゃない♪」

 

 

パチェ「こ、個性で笑われてれば世話無いわよ…!」プルプル

 

 

パチェ「くっ…! 怨むわよ紫ぃ…!」

 

 

にとり「一発でスッキリしそうな盛大なくしゃみだったね」

 

 

文「この問題見せたときに紫さんが『使うかもれないから』って渡されたレコーダー役に立ちましたね♪」

 

 

パチェ「共犯者も例外なく怨んでやるわよ…!」ゴゴゴ

 

 

文、にとり「ひえっ…!?」

 

 

霊夢「あっははは…! パチュリーも面白いところあるのね」

 

 

レミリア「そりゃあ私の親友だからね♪」

 

 

パチェ「嬉しくないわよ…///」

 

 

 

 

 

【第19問】『霧雨は、紅魔館メンバーの中で一番仲が良いと思うのは誰?』

 

 

 

アリス「!!」

 

 

咲夜「へぇ、中々いい質問じゃない」

 

 

文「ありがとうございます♪」

 

 

霊夢「紅魔館限定か、なら簡単ね」

 

 

パチェ「私達の関係性を知っていれば答えられる問題だと思うわ」

 

 

レミリア「…」

 

 

パチェ「どうしたの? レミィ」

 

 

レミリア「! ううん、なんでもない」

 

 

パチェ「?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《フラン》

レミリア《フラン》

咲夜《妹様…フラン様》

パチェ《妹様》

アリス《フラン》

 

 

 

霊夢「揃ったわね」

 

 

咲夜「いつも仲良さげに話しているお姿がとても微笑ましいのよ」

 

 

霊夢「魔理沙は性格が子供っぽかったり人懐っこい奴には好かれるのよね」

 

 

咲夜「それこそ特技として認定しても良いのかもね」

 

 

アリス「ねぇ咲夜、紅魔館のメイドってまだ募集してる?」

 

 

咲夜「? いいえ?」

 

 

アリス「…私が紅魔館のメンバーになればこの答えが私になってみんなから祝福されてそれはそれは」

 

 

霊夢、咲夜「無いから大丈夫、本当に無いから」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は紅魔館のメンバーの中で一番仲が良いと思うのは誰?』

 

 

魔理沙『ん? いきなり変化球な問題が来たな』

 

 

魔理沙『う~んそうだなぁ…どいつもこいつも面白い奴ばかりだし、全員と仲は良いんじゃねぇかな?』

 

 

魔理沙『でも一番って考えると…』

 

 

魔理沙『……うん、フランだろうな♪』

 

 

 

 

 全員正解!!

 

 

 

 

アリス「…最悪雑用係りでも何でもやるわよ?」

 

 

咲夜「お黙り」

 

 

霊夢「必死すぎよアリス」

 

 

 

レミリア「…」ニコッ

 

 

パチェ「嬉しそうね、レミィ」

 

 

レミリア「そう見える?」

 

 

パチェ「見えるわよ、私を誰だと思ってるの」

 

 

レミリア「私の愛する親友よ」

 

 

パチェ「それはそれは…ふふっ、どう致しまして♪」

 

 

レミリア(あの子の笑顔が増えたのは霊夢達との交流もそうだけど…あなたはフランを理解し、外に連れ出してくれた最初の人間)

 

 

レミリア(ありがとう、魔理沙)

 

 

 

 

【第26問】『霧雨は、森近霖之助のことをどう思っている?』

 

 

霊夢「霖之助さんか…意外に難しいわね」

 

 

咲夜「香霖堂の店主ね、何度か顔を合わせた事はあるけど」

 

 

レミリア「私もあるわ、でも魔理沙があの男のことをどう思っているのかは謎だわね」

 

 

パチェ「ここで答えが出るわけ、か」

 

 

レミリア「あの店主、ノリはいい方とは言えないのよね、前にこの私からの花見の誘いを断り続けたのよ?」

 

 

霊夢「あははっ、霖之助さんらしいわね、騒がしいところとかはっちゃけるとか苦手なのよあの人」

 

 

アリス「……むぅ」

 

 

アリス「…」カキカキ

 

 

咲夜「…霊夢」

 

 

霊夢「ん? なに?」

 

 

咲夜「ほら…」スッ

 

 

霊夢「? …ん?」

 

 

霊夢、咲夜(なんて書いたの…?)

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《お兄さんみたいな人》

レミリア《親友…?》

咲夜《兄弟的な感じかしら?》

パチェ《親友?》

アリス《すけこまし》

 

 

 

 

霊夢「こらぁ!!」

 

 

アリス「何よ!」

 

 

霊夢、咲夜「何よ! じゃないでしょ!」

 

 

アリス「間違ってるとは言わせないわよ!?」

 

 

レミリア「す、すけこまし?」

 

 

パチェ「ザックリ言ってしまうと女たらしって意味よ」

 

 

レミリア「えぇ…そんな風には見えないけど」

 

 

霊夢「霖之助さんがすけこましな訳無いでしょ!?」

 

 

アリス「すけこましじゃないのよ!」

 

 

咲夜「完全にあなたの解答じゃない…魔理沙の気持ちですらないわね」

 

 

アリス「私知ってるのよ! 朱鷺子とかいう妖怪があの店で住み込みで働いてることをね!」

 

 

霊夢「いや、朱鷺子は…朱鷺子はアピールしまくってるけど」

 

 

アリス「あなただって危ないわよ霊夢、そのうち巧みな話術と知識で心を持ってかれてしまうかもしれないわよ!?」

 

 

霊夢「私は信頼してるだけだから、後ねぇ…魔理沙は霖之助さんに対してそういう感情は無いっての、逆も然りよ」

 

 

アリス「分からないわよ…? そのうち偶然が偶然を呼んで…あぁ危険だわ!」

 

 

アリス「あなたたちも! 男女間に友情なんて成立しないんだからね!?」

 

 

レミリア「えっ!? そ、そうなの?」

 

 

パチェ「それよく聞くけどそんな確証は何処にも無いわよ?」

 

 

霊夢「もう魔理沙の口からさっさと答え聞きましょ」

 

 

咲夜「その方が良さそうね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は森近霖之助のことをどう思ってる?』

 

 

魔理沙『お? お~…香霖のことか…』

 

 

魔理沙『う~ん…そうだなぁ』

 

 

魔理沙『ガキの頃から知り合いだし、マジックアイテムとかの整備もしてくれてありがてぇし、いまいちノリは悪いが昔から色々と世話になってるし…』

 

 

魔理沙『逆に私の方も色々と世話してやってんだよ、なんかほっとけねぇっつーかさ、でも最近は朱鷺子がいるから飯とかの心配はしなくて済んだんだが』

 

 

魔理沙『だからそうだなぁ…友達って感じじゃねぇな』

 

 

魔理沙『………うん、そうだな』

 

 

魔理沙『頼れる兄貴、兄ちゃんって感じだな♪』

 

 

紫『ほぉ~…』

 

 

魔理沙『な、なんだよ』

 

 

紫『えらく真面目に答えたわねぇと思って♪』

 

 

魔理沙『う、うっせぇ…///』

 

 

紫『ふふっ♪』

 

 

 

 

 霊夢、咲夜はオマケで正解!!

 

 

 

 

アリス「!! ……」

 

 

霊夢、咲夜、レミリア、パチュリー「…」

 

 

霊夢「アリス…」

 

 

アリス「なんか……ごめんなさい…」

 

 

咲夜「そうやって謝れるのはあなたの良いところよ」

 

 

アリス「偏見まみれでどうしようもない解答しちゃった…魔理沙に知られたら嫌われちゃうわね」

 

 

霊夢「そんなことないと思うわよ、それに誰も言わないから大丈夫よ、ね?」

 

 

レミリア、パチェ「うんうん」コクコク

 

 

アリス「…ありがとう」

 

 

アリス「ごめんね? 雰囲気も悪くしちゃって」

 

 

霊夢「別に気にしてないわよ」

 

 

パチェ「誰でも過ちは犯すものよ、その過ちを正せる心を持ってるあなたなら何も心配いらないけどね」

 

 

アリス「……うん」

 

 

アリス「本当にありがとう、みんな」

 

 

霊夢「ふっ…それにしても魔理沙、真面目に答えたわね」

 

 

レミリア「兄貴とはね、ふふっ♪ 手の掛かる妹を持つと兄貴は心配なんじゃないかしら♪」

 

 

パチェ「ふふっ、レミィにも当てはまる様な気がするけどね」

 

 

咲夜「あなたはどう思ってるの?」

 

 

霊夢「さっきも言ったと思うけど信頼出来る人よ、それ以上でもそれ以下でもないわね」

 

 

咲夜「ふふっ…あなたらしいわね」

 

 

アリス「でも…そっか…魔理沙がお兄さんと思ってるなら」

 

 

アリス「あの店主と朱鷺子がくっついちゃえば祝福出来るし、流れで近いうちに私と魔理沙も結婚…/// ふふふふっ♪ な~んて事になっちゃったらどうしましょうねぇ♪ うふふふっ♪」

 

 

咲夜、霊夢「…」

 

 

咲夜「ちょっとはブレが直ったかと思えば」

 

 

霊夢「数分足らずでこれかい」

 

 

アリス「霊夢だってもしも二人がくっついたら祝福するでしょ?」

 

 

霊夢「まぁ霖之助さんと朱鷺子が幸せそうにしてるならするけど」

 

 

アリス「だったら私と魔理沙がくっついても祝福してくれるわよね♪」

 

 

霊夢「…」ジトッ

 

 

アリス「あら♪ 祝福の眼差し…ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃない、これはあんたは何を言ってるんだ、の目よ」

 

 

咲夜「ブレたか、いつものアリスね」

 

 

レミリア「ふふふははっ…!」プルプル

 

 

パチェ「楽しそうで何よりだわ」

 

 

 

 

【第31問】『霧雨の、得意なモノマネは?』

 

 

アリス「魔理沙は本当に多芸だからどんなモノマネもこなすわ、当てるのが難しいわね」

 

 

パチェ「何を選んで来るかしら」

 

 

レミリア「霊夢、霊夢の時にあなたがやってくれた早苗のモノマネが私好きなんだけど」

 

 

霊夢「ああ、アレ?」

 

 

咲夜「似てたわ、アレどうやってやってるの?」

 

 

霊夢「あんなもん頭の中をミラクルフルーツで一杯にして声に出せば誰でも出来るわよ?」

 

 

アリス「ふくくっ…!」

 

 

パチェ「み、ミラクル…! ふふふっ…!」

 

 

霊夢「ん``ん``っ……奇跡ですっ!! 奇跡ですよ霊夢さん!」

 

 

咲夜「ふっ…!? ふふあははははっ…!」

 

 

レミリア「あはっ、あはははっ!」ゲラゲラ

 

 

アリス「あふふっ! ふふっふふふ…!」

 

 

パチェ「ふっ…! くふふふふっ…!」

 

 

霊夢「さぁ皆さん解答を書きましょう! 奇跡の力で解答を導き出すのです!」

 

 

咲夜「ちょっ、ふふははっ…! や、やめなさい霊夢…! ふっ…!」

 

 

レミリア「はははっ! お、お腹痛いっ…! ふふふふっ!」

 

 

パチェ「何よその奇跡の押し売りは…ふふふっ…!」

 

 

アリス「あはははっ…!」

 

 

霊夢「とまあこんなもんよ♪」

 

 

咲夜「ふっ…そ、そのやりきった顔もやめなさい」

 

 

アリス「いきなりやらないでよ…あっははは…!」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《チルノのモノマネ》

レミリア《パチェのモノマネ》

咲夜《アリスのモノマネ》

パチェ《八雲紫のモノマネ》

アリス《私のモノマネ!!》

 

 

霊夢「たぶん一人は正解すると思うわよ」

 

 

咲夜「力強い字ねぇ」

 

 

アリス「やってほしいんだもん♪」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙の得意なモノマネは?』

 

 

魔理沙『モノマネか、そうだなぁ』

 

 

魔理沙『じゃあパチュリーのモノマネするぜ』

 

 

魔理沙『ん``ん``』セキバライ

 

 

魔理沙『…』

 

 

魔理沙『待って~! 持ってかないで~! 私の本を返して~、ま、まま魔理沙ぁ~!』ワタワタ

 

 

紫『ふはっ…!』

 

 

魔理沙『もう一個あるぜ』

 

 

紫『えぇ?』

 

 

魔理沙『今日も私は年中むっっきゅ~…』グデーン

 

 

紫『ふはははははっ…!』

 

 

 

 レミリア、正解!

 

 

 

 

パチェ「なっ…!?」

 

 

レミリア「ふくっ!? あっはははは!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ぷっ…! ぷふふふふっ…!」プルプル

 

 

アリス、霊夢「あっははは! ふふふっ!」ゲラゲラ

 

 

パチェ「ふ、ふざけないで! あなたたちも笑わないでよ!」

 

 

霊夢「だ、だって…! あっははは…!」

 

 

パチェ「だっても何も…! あんなの私じゃない、全然似てないわ!」

 

 

アリス「で、でもパチュリー、あなたアレ言ってるじゃない、ふくくっ…!」

 

 

パチェ「い…言ってるかもしれないけどアレは大袈裟にやり過ぎよ!」

 

 

パチェ「なんなのよ『今日も私は年中むっっきゅ~』って! 私あんな言い方してないわ! それに『持ってかないで~』とは…い、言ったかも知れないけど『ままま魔理沙~』なんて一言も言ってない!」

 

 

レミリア「ね…あふはははっ…! 年中むっっきゅ~…ふっはははは、あはははっ!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「な、涙が…ふくくっ…! 年中無休と掛けているのかし…あはははっ…!」

 

 

パチェ「咲夜ぁ! レミィィ! あなたたちも笑いすぎよ! 自分で言って自分で笑うのはやめなさい!」

 

 

パチェ「はぁはぁ…はぁ…! ぜぇ…ぜぇ…」

 

 

文「おぉ、パチュリーさんもツッコミの才能があるんですねぇ♪」

 

 

にとり「むきゅ~…可愛いじゃないか」

 

 

パチェ「う、うるさいわね…はぁ…はぁ…」

 

 

にとり「つらくなったらニトリン飲んでね♪」

 

 

パチェ「…まだ良いわよ」

 

 

霊夢「ま、まあ確かにちょっと盛ってたかもね」

 

 

アリス「で、でもふはっ…! お、面白かったわ、流石魔理沙ね」

 

 

パチェ「…」ムスッ

 

 

レミリア「む、むくれた顔も可愛いわよパチェ」

 

 

咲夜「そ、そうですわ! パチュリー様」

 

 

パチェ「…!」ギロッ

 

 

レミリア、咲夜「うっ…!」

 

 

アリス「家族が一番笑ってたものね」

 

 

霊夢「魔理沙が悪ノリしたのが一番の原因なんだけどね」

 

 

パチェ「是が非でも優勝して本を取り返してやるわ…! 見てなさいよ魔理沙ぁ…!」

 

 

 

 

 

【第45問】『霧雨にとって、博麗霊夢はどういった存在?』

 

 

霊夢「あ、あー?」

 

 

レミリア、パチェ、咲夜、アリス「お~…」

 

 

霊夢「何が、お~なのよ」

 

 

咲夜「ほら、中々こういうこと聞けないじゃない、あなたと魔理沙いつも一緒にいるから」

 

 

レミリア「聞く隙が無いって事なんだけどね」

 

 

パチェ「私たちも魔理沙に面と向かって聞けないのよ、聞いてもはぐらかされるだろうし、この雰囲気なら答えてくれるでしょうしね」

 

 

レミリア「ふふっ、やるじゃない文♪」

 

 

文「おお、褒める褒める♪ そんなに褒めても文々。新聞しか出ませんよ♪」

 

 

霊夢「文ぁ…ふふっ♪」ニタァ

 

 

文「あややや!? その不適な笑みは何ですか!?」

 

 

アリス「ふふっ、魔理沙はどう答えるかしら♪」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《答えない》

レミリア《大切な親友》

咲夜《大切な親友》

パチェ《親友》

アリス《親友》

 

 

霊夢「…!」

 

 

レミリア「ふふっ、揃ったわね♪」

 

 

パチェ「こうとしか考えられなかったわ」

 

 

咲夜「良いじゃない、素敵だと思うわよ」

 

 

アリス「霊夢、霊夢は魔理沙と親友だから私と魔理沙の愛を応援してくれるわよね♪ ね?」

 

 

霊夢「…」

 

 

レミリア「! さ、さらっと何言ってるのよ」

 

 

アリス「…ふふっ♪」

 

 

レミリア「ふ、ふふっじゃないわよ!」

 

 

咲夜「ブレないわねアリス」

 

 

レミリア「!! や、やったわ! 私もアリスのブレツッコミが出来たわパチェ!」

 

 

パチェ「喜ぶことかしら…」

 

 

霊夢「…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『! ふふふのふ♪』

 

 

魔理沙『? なんか嫌な予感がするぜ』

 

 

紫『魔理沙にとって霊夢はどういった存在?』

 

 

魔理沙『おぉう!? お~……』

 

 

魔理沙『はっ…文の奴、後で霊夢に八つ裂きにされても知らねぇぞ?』

 

 

魔理沙『まったくよぉ~…』

 

 

魔理沙『……』

 

 

魔理沙『…』

 

 

魔理沙『まぁ…あいつの時も律儀に答え続けてたからな、魔理沙さんも答えてやるぜ』

 

 

魔理沙『そうだなぁ……あ~…れ、霊夢よぉ…』

 

 

魔理沙『…///』カアッ

 

 

魔理沙『お、お前が私のことをどう思ってるのかはし、知らねぇけどな!』

 

 

魔理沙『私はお前のことを大切な親友だと思ってるからな! ずっとだずっと!』

 

 

紫『キャー♪ イヤー♪ 魔理沙ぁー♪』

 

 

魔理沙『う、うっせぇぞババア!』

 

 

 

 レミリア、咲夜、アリス、パチュリー、正解!!

 

 

 

 

霊夢「!!」ガバッ

 

 

レミリア「やった♪」

 

 

パチェ「当然の解答ね、ふふっ♪」

 

 

霊夢「…」プルプル

 

 

霊夢(い、イカン…! 顔がに、ニヤケる…!)

 

 

咲夜「! あらあら♪ 霊夢、電子版に顔を突っ伏してどうしたのかしら♪」

 

 

アリス「ふふっ♪ 机にうつ伏せで寝るのは良くないのよ♪」

 

 

霊夢「う、うううっさいわね…! ち、ちょっと眠くなっちゃったのよ…!」

 

 

咲夜「規則正しい生活リズム人間のあなたが? まだ夜じゃ無いわよ?」

 

 

アリス「あら♪ 心なしか耳が赤くなってる様な気がするわ♪」

 

 

霊夢「だ、黙れぇっ…!」プルプル

 

 

咲夜、アリス「ふふふふっ♪」

 

 

霊夢「うっ…! くぁっ…///」プルプル

 

 

霊夢(なんなのよ…/// なんなのよちくしょーめ…///)

 

 

霊夢(魔理沙のバーカ…///)

 

 

 

 

紫『あなたのそういうところ好きよ♪』

 

 

魔理沙『う、うっせぇのぜ! と、鳥肌立つからやめろよ』

 

 

紫『訛ってるわよ?』

 

 

紫『これからも霊夢と仲良くしてね♪ 魔理沙』

 

 

魔理沙『あ、当たり前のこと言ってんじゃねぇぞ! ババア!』

 

 

紫『ふふっ♪』

 

 

 

 

 

 

【第50問】『霧雨は、解答者5人の中で一番セクシーだと思う人は?』

 

 

霊、ア、パ、咲、レ「せ、セクシー!?」

 

 

霊夢「セクシーって…///」

 

 

パチェ「せ、セクシーとは性的な魅力のあるさまを言うことで」

 

 

レミリア「ぱ、パチェ落ち着いて!」

 

 

アリス「そ、そりゃあ私は魔理沙を悦ばせる夜の営みからその後のステップまでの三百通りの想像経験はあるからセクシーの体現者だと言われても過言では」

 

 

霊夢「何を爆弾発言をごちゃごちゃと言ってんのよ!」

 

 

アリス「ふ、ふふっ!」

 

 

霊夢「ふふって無理矢理言わんでいいわ!」

 

 

咲夜「ブレてんだかブレてないんだかハッキリしなさいよアリス!」

 

 

霊、咲、パ、レ、ア(な、なんて書いたら良いの!?)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《咲夜!》

レミリア《咲夜…かな》

咲夜《アリス》

パチェ《たぶん咲夜》

アリス《私だったら嬉しいわ!》

 

 

 

 

咲夜「えぇっ!?」

 

 

レミリア「さ、咲夜にはそういう魅力があると思うのっ!」

 

 

パチェ「魅力的って意味よ、変な意味ではないからね」

 

 

霊夢「生足っ! 以上!」

 

 

咲夜「霊夢あなた雑じゃない!?」

 

 

アリス「は、早く答えを…!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙が解答者5人の中で一番セクシーだと思う人は?』

 

 

魔理沙『はぁ? セクシー?』

 

 

魔理沙『まぁ咲夜なんじゃねぇの?』

 

 

 

 霊夢、レミリア、パチュリー、正解!

 

 

 

 

咲夜「雑なのよ魔理沙ぁ!」 

 

 

霊夢「あははっ!」

 

 

パチェ「まぁって言ったわね」

 

 

レミリア「でもセクシーって褒められてるんじゃないの…?」

 

 

アリス「理由あるのかしら」

 

 

 ちなみに理由は

 

 

咲夜「あっちょっ、き、聞かなくていいわよ!」

 

 

 

 

紫『なんで咲夜なの?』

 

 

魔理沙『何の問題だったか忘れたけどよ、霊夢の時もあいつの足が長くて綺麗だって話があったろ?』

 

 

魔理沙『それにあいついつも足出してんだろ? メイド服でよ、セクシーってそういうもんだろ?』

 

 

魔理沙『で、あの5人の中だったら自ずと咲夜になるわけだぜ』

 

 

 

 

咲夜「…///」

 

 

パチェ「咲夜、レミィも言ってたけど褒められているのよ」

 

 

レミリア「うん、きっと魔理沙も褒めてると思うわよ」

 

 

咲夜「そ、そう思う事にします…はい」

 

 

アリス「…」ジーッ

 

 

霊夢「なに見てんの?」

 

 

アリス「いえ…私もミニスカート履いてみようかなって」

 

 

霊夢「あんたがミニスカート…?」

 

 

アリス「ふふっ♪ どうかしら?」

 

 

霊夢「まぁ似合うんじゃない?」

 

 

 

 

 

【第61問】『霧雨にとって、パチュリー・ノーレッジはどういった存在?』

 

 

パチェ「次は私、ね」

 

 

レミリア「う~んパチェの事か~」

 

 

咲夜「霊夢の時もそうでしたが魔理沙視点で、というのが難しいですね」

 

 

アリス「パチュリーのこと…? 魔理沙ならどう答えるかしら」

 

 

霊夢「あいつさっきからちゃんと質問に答えてんのよね…不意にマスパみたいな解答が口から飛び出して来るけど」

 

 

咲夜「それ神社の宴会の時の?」

 

 

霊夢「それは飲み過ぎたあいつが吐いたやつでしょ」

 

 

パチェ「汚いわね…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《魔法使い仲間》

レミリア《魔法使い友達》

咲夜《魔法使いとして尊敬してる》

パチェ《魔法使い…友達?》

アリス《魔法使いとして仲間だと思ってる》

 

 

 

パチェ「そうなるのね、でも尊敬はしてないと思うわよ」

 

 

咲夜「うふふっ、意外に尊敬してたりするかもしれませんよ」

 

 

レミリア「パチェに友達が増えるのは私にとって喜ばしい事だからね、きっと魔理沙ならこう答えてくれるわよ」

 

 

霊夢「何だかんだ仲良いじゃない、あんたら」

 

 

パチェ「否定はしないけど…」

 

 

アリス「友情は友情よ、素敵じゃない」

 

 

霊夢「…愛は?」

 

 

アリス「私と魔理沙だけの物よ! 誰にも渡さないわ!」

 

 

咲夜「何で余計なこと聞いたのよ…!」ヒソヒソ

 

 

霊夢「…ごめん」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『魔理沙にとって、パチュリーはどういった存在?』

 

 

魔理沙『ん、なんかこの手の質問多いな』

 

 

紫『あら、お嫌い?』

 

 

魔理沙『嫌いじゃねぇけどなんか結構深いところまで探りにきてんなぁってよ』

 

 

紫『みんな知りたいんじゃない?』

 

 

魔理沙『この問題作ってんの文だろ? ったく…』

 

 

魔理沙『ん~…パチュリー…パチュリーねぇ…』

 

 

魔理沙『ぱっつぁん…パチュリーか…』

 

 

魔理沙『……』

 

 

魔理沙『そうだな…』

 

 

魔理沙『私に新しい道を示してくれる存在…かな』

 

 

魔理沙『あ、もちろん友達としてだからな』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

パチェ「…!!」

 

 

霊夢「あ、あいつらしくない大人な解答…」

 

 

咲夜「そ、尊敬と似ている様な…でも違うんでしょうね」

 

 

アリス「ま、魔理沙ったら…パチュリーのことそんな風に思ってたのね」

 

 

レミリア「へぇ…♪ ふふっ♪」

 

 

アリス「…でもそうね、良く考えてみればそうなのよ」

 

 

アリス「図書館から借りた魔導書を読んでて自分で分からないところはあなたに聞きに行くし、修行してて煮詰まると私かあなたに相談しに出掛けるもんね」

 

 

アリス「ある意味、本当に尊敬に近いのかもね♪」

 

 

パチェ「……/// す、少しでもそう思っているのなら…///」

 

 

パチェ「ちょっとは本を返しに来なさいよ…/// まったく…///」カアッ

 

 

霊夢「あんたって本を取られた相手に対しても友好的に接するもんね、力付くで取り返しに行っても良いはずなのに」

 

 

アリス「ちゃんと魔理沙の質問にも答えてるんでしょ?」

 

 

レミリア「懐が深いのよ♪ それこそ霊夢みたいにね♪」

 

 

霊夢「さいですかい」

 

 

咲夜「ふふっ」

 

 

パチェ(…)

 

 

パチェ(ねぇ魔理沙…あなたは本当に魔法使いという種族になりたいの? それとも人間のままでいるの?)

 

 

パチェ(いつかはその答えを出してほしいわ、私ならいつでも相談に乗ってあげる、友として道を示す…)

 

 

パチェ(あなたが私をそういう風にいつまでも見続けてくれているのなら特別に、ね♪)

 

 

 

 

 

 

【第69問】『霧雨が、この世で一番怖いものは?』

 

 

霊夢「魔理沙ってまったく怖がらないのよね」

 

 

パチェ「大胆不敵が服着て空飛んでるみたいなものじゃない」

 

 

レミリア「どんな敵だろうと物怖じしないのは長所ね」

 

 

咲夜「となってくるとですよ…?」

 

 

霊夢、レミリア、咲夜、パチェ「…」チラッ

 

 

アリス「怖いもの…苦手なものに含まれるのかしら」

 

 

霊夢、レミリア、パチェ、咲夜(アレか…)

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《アリスの暴走》

レミリア《アリスのブレない姿勢》

咲夜《ヘヴンリーワンダーランド状態のアリス》

パチェ《アリスの突拍子もない愛情》

アリス《ぶちギレた霊夢》

 

 

 

 

アリス「…んふふふっ♪ えぇ~?」ニッコリ

 

 

霊、レ、パ、咲「えぇ~? じゃないっ!」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙がこの世で一番怖いものは?』

 

 

魔理沙『……あのよぉ』

 

 

紫『うん?』

 

 

魔理沙『これをやられたら全身に鳥肌が立ってヤベェ事になるだろうなって想像でしかねぇんだが、その内不意にやられそうで怖えぇんだ…それでもいいか?』

 

 

紫『良いわよ?』

 

 

魔理沙『夜寝て朝目が覚めたら目の前に目を見開いたアリスが添い寝してた』

 

 

紫『ひっ…!?』ゾクッ

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

霊、レ、パ、咲「っ…!?」ゾクッ

 

 

アリス「……」

 

 

アリス「うふふふふ♪」

 

 

霊、レ、咲、パ「!?」ビクッ

 

 

アリス「アレは…んふふっ♪ やってほしいって…フリ?」

 

 

霊夢「違うわぁ!!」

 

 

咲夜「絶対にやったりするんじゃないわよ!? 分かった!?」

 

 

パチェ「魔法使いでも人としてやって良いことと悪いことぐらい分かるでしょ!?」

 

 

レミリア「面白いのと恐怖は両立出来ないのよアリス!」

 

 

アリス「うふふっ♪」

 

 

霊夢「うふふじゃないっつーの!」

 

 

咲夜「ブレなさいよ! 今回だけは!」

 

 

 

 

 

【第77問】『霧雨は、博麗霊夢にあだ名をつけるとしたらどんなあだ名をつける?』

 

 

霊夢「んんっ?」

 

 

レミリア「!!」

 

 

咲夜、アリス「あ、あだ名ぁ…!?」

 

 

パチェ「あだ名…難しいわね」

 

 

霊夢「あだ名で呼ばれた事なんて一度も無いんだけど、つけられた事すらないし」

 

 

咲夜「博麗の巫女か、霊夢しかないわよね」

 

 

霊夢「えぇ」

 

 

レミリア「ふ~ふふ~んふ~ん♪」カキカキ

 

 

霊夢「ど、どうしようかしら」

 

 

アリス「くっ…これも当てずっぽうになっちゃうわね…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《レイちゃん…?》

レミリア《紅白の巫女装束を身に纏い! 颯爽と幻想を飛び回る! 博麗の巫女! 博麗霊夢っ!》

咲夜《レムちゃん》

パチェ《レイレイ》

アリス《レイちゃん?》

 

 

 

 

霊夢「あぁん!?」

 

 

レミリア「えっ!? あれっ!?」

 

 

アリス「ふふははっ…!」

 

 

咲夜「ふふふっ…!」

 

 

パチェ「誰がアホみたいな通り名を書けって言ったのよレミィィ…!」

 

 

霊夢「あんたさぁ…私なんか恥ずかしいんだけど」

 

 

レミリア「ま、真面目に書いたのよ!?」

 

 

パチェ「あだ名だって言ってるでしょ!?」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は霊夢にあだ名をつけるとしたら、どんなあだ名をつける?』

 

 

魔理沙『あだ名かぁ…』

 

 

魔理沙『…はっ…いや…』

 

 

魔理沙『レイちゃんかなぁ』

 

 

紫『幻想郷のレイちゃんマリちゃん♪』

 

 

魔理沙『お! 悪い気はしないな♪』

 

 

 霊夢、アリス 正解!!

 

 

 

 

 

パチェ「あだ名っていうのはああいうのを言うのよレミィ、分かった?」

 

 

レミリア「はい…はい…」

 

 

アリス「そもそもパチュリーのことパチェって呼んでるのに…」

 

 

霊夢「あだ名にしちゃあ長すぎだし」

 

 

咲夜「私からは何とも言えないわ…」

 

 

 

 

【第85問】『霧雨は、射命丸文の新聞と姫海棠はたての新聞どっちが好き?』

 

 

霊夢「ふっ…!」

 

 

文「ど、どうして鼻で笑うんですか!」

 

 

咲夜「霊夢の時にどう思ってるか聞いたら満場一致で燃やすと解答したからね」

 

 

レミリア「書き方って大事なのね、文」

 

 

文「レミリアさんには言われたく無いですねぇ!」

 

 

パチェ「新聞なんて読んだらゴミにしかならないじゃない」

 

 

文「おお、酷い酷い! 読み返すとか…もっとあるでしょう!?」

 

 

アリス「…あるかしら」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《文ので良いんじゃない?》

レミリア《はたてかも!》

咲夜《どっちでもいい》

パチェ《どっちでもいい》

アリス《どっちでもいいわ》

 

 

 

 

文「どうしてそんなに辛辣なんですか!」

 

 

霊夢「正直私もどっちでもいいのよね♪」

 

 

レミリア「同じくよ♪」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は文の新聞とはたての新聞どっちが好き?』

 

 

魔理沙『どっちが? どっちでもいいだろそんなもん』

 

 

魔理沙『面白い情報を載っけてる方を見る、読んだら燃やす、普通だろ?』

 

 

 

 パチュリー、咲夜、アリス、正解!!

 

 

 

 

文「むむむっ…」

 

 

霊夢「ごもっともな答えじゃない?」

 

 

アリス「新聞に読み終わった新聞の活用方法とか載っけてみたら?」

 

 

文「前向きに検討してみます…」

 

 

 

 

【第95問】『霧雨は、自分を動物に例えるとしたらどんな動物にする?』

 

 

 

パチェ「ここにきてポピュラーな質問なのね」

 

 

霊夢「ふっ、これは簡単ね」

 

 

咲夜「何となく想像しやすいわよね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《カラス》

レミリア《カラス》

咲夜《カラス》

パチェ《カラス》

アリス《カラス》

 

 

 

霊夢「あら、久し振りに揃ったわね」

 

 

パチェ「ピッタリじゃない、色的な意味でも性格的な意味でも」

 

 

レミリア「でも白色が何処かにいっちゃってるわね」

 

 

アリス「そこは私がコウノトリになって側に居てあげるのよ♪」

 

 

咲夜「絵面が凄いわね、コウノトリとカラスよ?」

 

 

霊夢「アリスの成分どこいったの?」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は自分を動物に例えるとしたら、どんな動物にする?』

 

 

魔理沙『あー…カラス!』

 

 

紫『即答ね』

 

 

魔理沙『人里で良く言われんだよなぁ』

 

 

 

 全員正解!

 

 

 

 

霊夢「確かマミゾウにも言われてたわね」

 

 

パチェ「本当にピッタリだと思うわ、カラス」

 

 

アリス「あ、ねぇねぇ♪ コウノトリとカラスって結婚でき」

 

 

霊夢、咲夜、パチュリー「知らない」

 

 

レミリア「あはははっ…!」

 

 

 

 

 

【第100問】『霧雨は、幻想郷をどう思っている?』

 

 

 

霊夢「ふー、やっと100問目ね」

 

 

パチェ「…ドリンクと薬無しでも戦えたわ」

 

 

レミリア「無理しちゃダメよ? パチェ」

 

 

パチェ「これ終わったら飲んでおくわね」

 

 

アリス「ここはみんなで正解したいわね」

 

 

咲夜「でも魔理沙はこれなんて答えるかしら」

 

 

霊夢「ふふっ…何となくでいいのよ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《素敵な楽園》

レミリア《自分の故郷》

咲夜《素敵な楽園》

パチェ《自分の居場所》

アリス《素敵な楽園》

 

 

 正解はこちら

 

 

 

 

紫『魔理沙は幻想郷をどう思っている?』

 

 

魔理沙『! へっ…! そうだなぁ…』

 

 

魔理沙『霊夢の受け売りになっちまうが、幻想郷は私にとってもよ』

 

 

魔理沙『素敵な楽園だぜ♪』

 

 

紫『! ふふっ…♪』

 

 

 

 

 霊夢、咲夜、アリス 正解!!

 

 

 

 

パチェ「あ…」 

 

 

レミリア「あっ…ご、ごめんねみんな…」

 

 

霊夢「良いわよ別に、気にしてないわ♪」

 

 

アリス「そうよ♪ そうやって落ち込む事を魔理沙は望んじゃいないわよ?」

 

 

咲夜「心機一転ですわ、お嬢様、パチュリー様♪ 後100問を共に頑張りましょう♪」

 

 

レミリア「! うん!」

 

 

パチェ「ふふっ、ありがと」

 

 

 

 【休憩タイム!】

 

 

にとり「おっ疲れさん♪ まぁでも後100問あるんだけどねぇ♪」

 

 

文「また紫さんがお菓子類を持ってきてくれましたよ、さぁさぁ♪ 食べて英気を養ってくださいね♪」

 

 

パチェ「何処からこんな大量のお菓子を持ってくるのかしら」

 

 

霊夢(また、外の世界から持ってきたんでしょうね…)

 

 

咲夜「お嬢様、パチュリー様、お飲み物は何になさいますか?」

 

 

パチェ「紅茶でお願い、咲夜」

 

 

レミリア「私も紅茶で♪」

 

 

咲夜「かしこまりました♪」

 

 

霊夢「緑茶で」

 

 

アリス「私紅茶が良いわ」

 

 

咲夜「あなたたちは自分でいれなさい」

 

 

霊夢、アリス「…ケチ」

 

 

咲夜「ふふっ、冗談よ」

 

 

文「そうでした、皆さんのここまでの正解数を発表しておきますね」

 

 

 

霊夢    『65問』

レミリア  『43問』

咲夜    『40問』

パチュリー 『56問』

アリス   『70問』

 

 

 

 

レミリア、パチェ、咲夜「うわぁ…」

 

 

アリス「やったぁ♪ うふふふふ♪」

 

 

霊夢「予想してたけど70問って…」

 

 

咲夜「いやいや、あなたも65問も正解してるじゃない」

 

 

レミリア「やっぱり出来レースだったのかしら」

 

 

パチェ「いいえ、まだまだ勝負はこれからよ、後100問もあるのよ? 勝てる余地はあるわ」

 

 

レミリア「う、うん…私も出来る限り頑張るけど」

 

 

パチェ「何言ってるのよ、勝つ気でやりなさいレミィ」

 

 

レミリア「は、はい…」

 

 

咲夜(パチュリー様の負けず嫌いが出てしまってるわね)

 

 

レミリア(う~ん、正直アリスに勝てる気がしないのよね)

 

 

霊夢「ふぅ、休憩終わったらまた100問…折り返しね」

 

 

霊夢「まだ半分もあるけど…頑張りましょうね、みんな」

 

 

咲夜、パチェ「えぇ」

 

 

レミリア「うん!」

 

 

アリス「えぇもちろんよ! みんないくわよ! せーっの♪」

 

 

霊夢、咲夜、パチェ、レミリア「え?」

 

 

アリス「魔理沙最高ー♪」

 

 

霊夢、咲夜、パチェ、レミリア「…」

 

 

にとり、文「…」

 

 

アリス「ま、魔理沙最高ー!!」

 

 

霊夢「楽しいの? アリス」

 

 

アリス「えぇ♪ すっごい楽しい♪」

 

 

咲夜「あなた今人生で一番楽しんでるでしょ」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないわよ」

 

 

咲夜「ブレない日を教えてくれない? アリス」

 

 

レミリア「あっははは…!」

 

 

パチェ「元気ね、アリス…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙『なんかお前らとメシ食うって新鮮だぜ』

 

 

紫『そう?』

 

 

藍『確かにこの三人で食事をした事は無いかもしれんな』

 

 

魔理沙『この空間に霊夢絶対いるもんな』

 

 

藍『ふっ、そうだな』

 

 

紫『まぁゆかりんが霊夢のことほったらかしにするわけ無いもんねぇ♪』

 

 

魔理沙『…無理しなくて良いんだぞ紫』

 

 

紫『え?』

 

 

魔理沙『霊夢達んとこ行ってメシ食って来て良いって言ってんだよ』

 

 

藍『良いんですよ? あっちで食べてきても?』

 

 

紫『…何でそういうこと言うの? ゆかりんここにいたら邪魔?』

 

 

魔理沙、藍『……』

 

 

紫『何か言いなさいよ!!』

 

 

魔理沙『うははは♪』

 

 

藍『ふふっ…!』

 

 

紫『味方がいないんですけど…』

 

 

藍『じゃあ霊夢ここに呼べば良いじゃないですか』

 

 

魔理沙『まぁでもここにいきなり呼んだらあいつキレると思うけどな』

 

 

紫『き、キレられても良いから霊夢と一緒にご飯食べたい…』

 

 

魔理沙『切実だな…』

 

 

藍『三人で食べましょう? 紫様』

 

 

紫『うん』

 

 

魔理沙『喜怒哀楽激しいなぁおい』

 

 

魔理沙(…さてさて、誰が優勝するのかねぇ)

 

 

 

 

 

 

 

 後編へ続く!

 

 

 

 






 最初のにとりの潤いがどうのこうのネタが気に入ってます(笑)



 前書きにも書かせていただきましたが、本当に魔理沙への質問、たくさんの投稿をありがとうございました。

 まだ本編に出していない物は後編にて必ず書かせていただきます!



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でございました♪



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ゆかりんクイズ! 霧雨魔理沙の200のコト 後編




 こちらは後編となっております、先に前編を読んでいただければと思います、前編の前書きにある注意事項も合わせてお読みください。




 【アリス氏を優しい目で見守ってあげられる義と愛を持って読むことを強くオススメします】

 最後のオマケまでお楽しみください





 それでは始まります♪




 

 

 前半戦を終え、英気を養い、アリスから間接的に奪われた体力を回復させた霊夢、パチュリー、レミリア、咲夜の四人は後半戦に挑む…!

 

 

 前半戦で問題の7割を正解した『魔理沙クイズクイーン』アリス・マーガトロイドの快進撃を止めることが出来るのか!?

 

 

 

 

 ここまでの正解数

 

 

 

霊夢    『65問』

レミリア  『43問』

咲夜    『40問』

パチュリー 『56問』

アリス   『70問』

 

 

 

 

 

射命丸文「四人の活躍に期待ですね♪」

 

 

博麗霊夢「あんたさっきから誰に向かって喋ってんの?」

 

 

文「ふふふ…♪ 実況ですよ実況、私こっちの仕事もいけますよってアピールです」

 

 

霊夢「だから誰によ」

 

 

河城にとり「よっと…よしカメラ準備オッケー! みんな準備は良いかな?」

 

 

レミリア・スカーレット「えぇ大丈夫よ♪ あぁパチェ、薬とドリンクはちゃんと飲んだの?」

 

 

パチュリー・ノーレッジ「席に座る前に飲んだわ、カプセルタイプで飲みやすかったわね」

 

 

アリス・マーガトロイド「粉末タイプ嫌いなの?」

 

 

パチェ「私的には飲みづらくてね…匂いとか気にしてしまうのよ」

 

 

霊夢「見てたけどあんた結構可愛い薬の飲み方するのね」

 

 

パチェ「え?」

 

 

霊夢「薬を口に含んでドリンク両手にコクコク音立ててゆっくり飲んでたじゃない」

 

 

パチェ「あ、あれぐらい普通でしょ、それにあの飲み方の方が効率的に体に…」

 

 

十六夜咲夜「それもパチュリー様の可愛らしい一面なのよ」

 

 

アリス「赤ちゃんみたいな飲み方よね、可愛いと思うわよ?」

 

 

パチェ「あ、赤ちゃ…!?」プルプル

 

 

レミリア「ふふっ、お子ちゃまの時のフランにそっくりよね♪」

 

 

パチェ「か、可愛くなんて無いわよレミィ! 妹様もお子ちゃまにお子ちゃまなんて言われたくないと思うわよ!?」

 

 

レミリア「だぁれがお子ちゃまですって!? パチェェー!!」

 

 

霊夢「ふふははっ…!」プルプル

 

 

アリス「ふふふふっ…」プルプル

 

 

咲夜「ふふっ、喧嘩するほど仲がよろしいですわ♪」

 

 

アリス「ふふっそうね♪ でもあの可愛さのレベルでも魔理沙の可愛いさの前には霞んでしまうけどね♪」

 

 

霊夢、咲夜「…」

 

 

アリス「可愛い、カッコいい、勇ましいの三拍子…あぁん♪ 私の魔理沙ぁ♪」

 

 

霊夢「……気を抜くと直ぐにこれか」

 

 

咲夜「後100問、頑張るわよ霊夢」

 

 

霊夢「本当はクイズを頑張るべきなのに不本意だわ」

 

 

咲夜「お互い様よ」

 

 

霊夢「しょうがないわね…ホント」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲紫『休憩はここまでよ魔理沙、準備は良いかしら?』

 

 

霧雨魔理沙『おう、いつでもかかって来るがいいぜ』

 

 

八雲藍『それでは私も天の声の職務を全うするとしますかね』スッ

 

 

紫『ナレーション頑張ってね♪ あ、一回ぐらい噛んでも良いのよ?』

 

 

藍『…そんなフリには屈しませんよ』

 

 

紫『それも天の声のお仕事だと思うの、藍も一回ぐらいボケないとダメよ?』

 

 

藍『こっちでボケるのは紫様と魔理沙だけで充分です』

 

 

魔理沙『だよな、でもお婆ちゃんのボケは今に始まった事じゃないしなぁ』

 

 

紫『あぁん!?』

 

 

藍『ふふふくくっ…!』プルプル

 

 

魔理沙『婆さんよぉ、昨日の夜何食べたか覚えてるか?』

 

 

紫『魔理沙ぁ!!』クワッ

 

 

藍『あっはははっ…!』

 

 

魔理沙『あふふはははっ!!』ゲラゲラ

 

 

紫『らぁぁん!! あなたも何笑ってんのかしらねぇ!! 主を笑うおバカが何処にいるのかしら!?』

 

 

藍『し、ふくくっ…! 仕事に戻ります…!』ススッ

 

 

紫『覚悟なさいよ魔理沙ぁ…! 問題であなたの本性を丸裸にしてやるわ!』

 

 

魔理沙『その問題考えてんの文じゃねぇか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍(天の声)『こちらも準備完了だ、早速始めるぞ、後100問共に頑張ろうな』

 

 

 

 

霊夢「本当に頑張らないとだもんね…」

 

 

咲夜「クイズもアリスも頑張らないとね…」

 

 

アリス「え? んふふ♪ 私はいつでも魔理沙のために頑張ってるわよ♪」

 

 

咲夜「そういう事じゃないのよ」

 

 

霊夢「いつも思うんだけどあんたそれわざと言ってんの?」

 

 

レミリア「ふふふっ!」プルプル

 

 

パチェ「都合の良い難聴ね…」

 

 

アリス「んふふっ♪ さぁ始めましょう、心ゆくまで魔理沙を堪能する素敵な時間の始まりよ♪」

 

 

パチェ「そんな風にこの時間を有意義に堪能出来るのはあなただけよ…アリス」

 

 

レミリア「クイズは面白いし、みんなと話せたりして楽しいから素敵な時間ではあるのよね」

 

 

アリス「そ・こ・に♪ 魔理沙と私との愛という名のスパイス…略してマリアリスパイスを加えるの♪ そうするともう『魔理沙とアリスはずっと一緒に居なきゃダメね♪』っていうのがこのクイズを通して、そしてあなたたちを通して幻想郷中に伝わるの♪ ほら♪ 素敵な時間の始ま」

 

 

霊夢「アリス、ねぇアリス」

 

 

アリス「うふふっ♪ なぁに霊夢」

 

 

霊夢「一人でベラベラ喋ってて楽しい?」

 

 

アリス「…」ニッコリ

 

 

霊夢、パチェ、咲夜、レミリア「……」

 

 

にとり、文「…」

 

 

アリス「…」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないわよ」

 

 

咲夜「一周回ってもブレないわね、アリス」

 

 

レミリア「あっはははっ…!」

 

 

パチェ(何周しようがブレないんでしょうね…)

 

 

霊夢「…なんか気合い入ったわ」

 

 

咲夜「私もなんかのスイッチ入った気がするわ」

 

 

レミリア「ふ、二人とも頑張ってね…私も出来るだけアリスに対して頑張ってみるから」

 

 

咲夜「お心遣い痛み入りますわ、お嬢様」

 

 

霊夢「無理するんじゃないわよ?」

 

 

レミリア「! う、うん!」

 

 

パチェ(私たちは何と戦っているのかしら…)

 

 

アリス「さぁ♪ 後100問頑張るわよー♪ 待っててね魔理沙、優勝してあなたの側に行くからね♪」

 

 

咲夜、レミリア、パチェ(70問の壁は高いわ…)

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(てか本当にアイツ優勝したら何をくれるのかしら)

 

 

 

 

 

 

 

 

【第101問】『霧雨が、博麗神社に訪れて一番最初にすることは?』

 

 

 

霊夢「…!」

 

 

レミリア「後半戦、一問目の問題って感じね」

 

 

咲夜「これは簡単…? なのかしら」

 

 

アリス「…」ピタッ

 

 

パチェ「どうやら簡単な問題では無さそうね」

 

 

咲夜「アリスの行動や表情で問題の難易度が分かるようになりましたね」

 

 

レミリア「私もしょっちゅう神社に行くけど、魔理沙が最初にすること…?」

 

 

霊夢「これかしら?」カキカキ

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《お茶の催促》

レミリア《境内の縁側に座る》

咲夜《お茶をいれてもらう》

パチェ《差し入れを手渡す》

アリス《『魔理沙さんが遊びに来てやったぜ』と言う》

 

 

 

 

咲夜「被ったわね、でも正直これ霊夢へのサービス問題よね」

 

 

霊夢「いや…そうとも限らないわ、この答え合って無いかもよ?」

 

 

霊夢「心当たりがありすぎて私には全部正解に見えるのよね」

 

 

レミリア「い、意外と難しかったのね…」

 

 

パチェ「単純に見えたけど奥が深い問題なのね」

 

 

アリス「魔理沙は奥が深いからね、魔理沙を極めるにはそう簡単な事じゃないのよ」

 

 

霊夢「魔理沙の何を極めようってのよ」

 

 

アリス「そりゃあ…ふふっ♪ ナニよ!」

 

 

咲夜「デカイ声で言うことじゃ無いわよアリス」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『魔理沙が博麗神社に訪れて一番最初にすることは?』

 

 

魔理沙『んあ? あ~…』

 

 

魔理沙『あぁ? はぁ~~…そ~だなぁ』

 

 

魔理沙『…お茶、うん…そうだな、お茶が出てくるまで待つ』

 

 

 

 霊夢、咲夜、正解!!

 

 

 

 

咲夜「あら正解」

 

 

霊夢「神社は茶屋じゃ無いってのに…アイツめ」

 

 

アリス「でも霊夢、あなたって私たちが何も言わなくてもお茶をいれて出してくれるわよね?」

 

 

レミリア「あ、それは確かに」

 

 

咲夜「言われてみれば神社でいつも『お茶飲む?』って聞かれるわね」

 

 

パチェ「私も聞かれた事があるわね『いただく』と返事をしたらお茶を出されたわ」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「……えっ?」

 

 

咲夜、レミリア、パチェ、アリス「え?」

 

 

霊夢「…」

 

 

咲夜、レミリア、アリス、パチェ「…」

 

 

 

 

 

霊夢「うわー…だからお茶目当てに妖怪やら妖精やらが集まって来るのかなぁ…」

 

 

咲夜「えっ、まさか無意識に出してたの?」

 

 

霊夢「いや無意識っていうか…なんというか」

 

 

レミリア「ち、違うわよ霊夢! 私はあなたに会いたいから神社に会いに行っているのよ!?」

 

 

霊夢「だから魔理沙とかに妖怪屋敷とか言われんだぁ…」グッタリ

 

 

レミリア「聞いてよ霊夢ぅ!」

 

 

咲夜「でもそれが博麗神社の日常なんじゃないの? 妖怪歓迎! って訳じゃないけどあなた楽しそうにしてるじゃない」

 

 

アリス「うん、私たちには楽しそうにしてる様に見えるわよ?」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「私は博麗の巫女私は博麗の巫女…」ブツブツ

 

 

パチェ「あなたも色々と悩んでるのね」

 

 

レミリア「ね、ねぇ咲夜…私霊夢に退治されちゃうかな?」

 

 

咲夜「大丈夫ですわお嬢様、今はあんなでも神社に帰れば霊夢は文句を言いつつもきっと歓迎してくれますわ」

 

 

レミリア「そ、そうよね…! ホッ…♪」

 

 

アリス「…」

 

 

アリス(妖怪の方から霊夢に会いに来る…そんな日常を魔理沙は微笑ましいと思ってるみたいだけどね♪)

 

 

 

 

 

 

【第105問】『霧雨が、異変解決の時に考えていることは何?』

 

 

 

アリス「直ぐに解決して愛する妻の元に帰る…うふふっ♪ キャー♪ お帰りなさい魔理沙ぁー♪」

 

 

咲夜「弾幕はパワーの魔理沙が異変解決中に? 何を考えているのかしら」

 

 

霊夢「魔理沙なりに色んな事考えてると思うわよ? 行動力ばかりが目立つけどね」

 

 

咲夜「確かにね、一緒に少し異変を解決して来たから言えるけど面白そうな事に首を突っ込んで売られた喧嘩は弾幕ごっこで買ってる感じがするわ」

 

 

アリス「良く分かってるわね咲夜、私の家にも首を物理的に突っ込んでほしいし、夫婦に喧嘩は付き物よね♪ 私の夢の一つにさ、最初の夫婦喧嘩は弾幕ごっこでっていうのがあるのよ♪」

 

 

霊夢「そうね、私としてはもうちょっと落ち着いて異変解決に挑んでほしいもんだわ」

 

 

咲夜「あら、心配なの?」

 

 

霊夢「そんなんじゃ無いっての、戦わないで話し合いで済むならその方が楽だって事よ」

 

 

アリス「話し合いも良いけどやっぱり夫婦生活には刺激が必要よ! 弾幕で戦うことで平和的に解決するのは素敵な事じゃない♪」

 

 

パチェ、レミリア「……」

 

 

咲夜「ふふっ♪ いつも一緒に異変解決してるからこの問題も霊夢にはサービス問題かもね」

 

 

霊夢「さぁ…?」

 

 

アリス「私も本当は一緒に異変解決したいんだけどねぇ…あぁ、永夜異変が懐かしいわ♪」

 

 

霊夢、咲夜「…」カキカキ

 

 

パチェ、レミリア(えぇ!? す、スルーするの!?)

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《相手の弾幕がどんなものか》

レミリア《色々なこと》

咲夜《相手の弾幕を見る》

パチェ《相手の弾幕研究》

アリス《相手の弾幕を見て研究》

 

 

 

レミリア「うえっ!?」

 

 

霊夢「その解答の仕方はズルいと思うわよ?」

 

 

レミリア「う~…だ、だって」

 

 

咲夜「ですがお嬢様の解答も間違いでは無いかと」

 

 

パチェ「レミィの一人勝ちもあり得るわね」

 

 

アリス「さぁ、どうかしらね♪」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

 

紫『魔理沙が異変解決の時に考えていることは何?』

 

 

魔理沙『ん? お~そうだなぁ』

 

 

魔理沙『色んな事考えてるぜ? 戦う奴が使ってくる弾幕の避け方とか、戦った奴はどんな性格なのか、どんな能力を持ってるのか…とかな』

 

 

魔理沙『だから色んな事考えてるな…あ、これ正解で良いのか?』

 

 

紫『まぁ良いんじゃない♪』

 

 

 

 

 レミリア、正解!

 

 

 

レミリア「おぉー! やったー!」

 

 

咲夜「おめでとうございます、お嬢様」パチパチ

 

 

パチェ「これは素直におめでとうと称賛出来るわ、良かったわねレミィ」パチパチ

 

 

霊夢「やったーって…まぁでも嬉しいもんよね、一人勝ちは」

 

 

アリス「むむっ、オマケで正解にしてくれても良いのに…悔しいわ」

 

 

霊夢(あ、ブレが直ってる)

 

 

咲夜(やっぱりツッコミにもメリハリが大事なのね)

 

 

 

 

 

 

 

【第110問】『霧雨が、尊敬している人は?』

 

 

 

パチェ「いないでしょ」

 

 

咲夜「いるわけ無いですね」

 

 

レミリア「ふふははっ…! な、何で?」

 

 

パチェ「良く考えてみなさいレミィ、幻想郷の傍若無人代表の魔理沙が誰かを尊敬なんてすると思う?」

 

 

咲夜「例え尊敬している人が居たとしたら『自分』とか言うに決まってますわ」

 

 

レミリア「ふふはははっ…! た、確かに言われてみればそうだけど」

 

 

咲夜「なら答えは決まりですね」

 

 

パチェ「もう少し捻りのある問題を出してほしいものね」

 

 

文「酷い言われようですねぇ…」

 

 

霊夢「…ねぇ、アリス」

 

 

アリス「あ、霊夢も聞いたことあるの?」

 

 

霊夢「! ならあんたも聞いたことあるのね」

 

 

アリス「ふふっ、当然じゃない♪」

 

 

レミリア、咲夜、パチェ「…?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《師匠》

レミリア《自分》

咲夜《自分》

パチェ《霧雨魔理沙》

アリス《自分のお師匠さん》

 

 

 

レミリア、パチェ、咲夜、にとり、文「えぇっ!!?」

 

 

アリス「全く…これは血液型と同じで一般常識よ?」

 

 

レミリア、咲夜、パチェ、にとり、文「いやいやいや!! えぇっ!? えぇーっ!?」

 

 

霊夢「一般常識ではないけど、驚き過ぎじゃない?」

 

 

咲夜「そりゃあ驚くわよ!!」

 

 

レミリア「ま、魔理沙に師匠がいるの!?」

 

 

パチェ「は、初耳だわ…!」

 

 

にとり「魔理沙とは盟友の間柄だけどこれは知らないって!」

 

 

文「こ、ここ、これは大スクープですよぉ!!?」

 

 

霊夢「自分で問題考えといてそれなの?」

 

 

パチェ「そ、その師匠って誰なの?」

 

 

アリス「魔理沙が答えてくれるんじゃないかしら♪」

 

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

 

紫『! …魔理沙が尊敬している人は?』

 

 

魔理沙『…!』

 

 

魔理沙『いやまぁ…ナンだ…私が覚えてねぇのに勝手に尊敬しちまってあの人も迷惑かも知れねぇんだけど』

 

 

魔理沙『いや、人だったかどうかも思い出せねぇんだけどな……』

 

 

魔理沙『…まぁとにかくな? 私の尊敬する人は私の師匠だぜ』

 

 

紫『…』

 

 

紫(良かったわね、何処かの大悪霊さん♪)

 

 

 

 霊夢、アリス、正解!

 

 

 

 

パチェ「お、覚えていない…?」

 

 

咲夜「あなたたちは何て聞いてるの?」

 

 

霊夢「ん~…今魔理沙の言った通りね」

 

 

アリス「『私には思い出せない師匠がいるんだ』ぐらいしか聞いてないのよね」

 

 

霊夢「なんか他に覚えているところはあるらしいんだけど詳しくは聞いて無いわね」

 

 

アリス「私も同じよ」

 

 

レミリア「し、知りたいわ…魔理沙の師匠の事」

 

 

パチェ「えぇ、もしかしたら魔理沙に魔法の基礎を教えたのもその師匠かもしれないもの」

 

 

文「確か…その類いに該当するかも知れない質問を書いて紫さんに渡しましたね」

 

 

霊夢「ならあいつが素直に答えてくれれば聞けるかもしれないわね」

 

 

文「ただ直接その師匠さんに繋がる様な事は書いてないのでたぶん…ですけどね」

 

 

パチェ「まさかクイズ大会で気になる事が出来るとは…」

 

 

咲夜「霊夢とアリスが知らないのなら答えは魔理沙の中に、ですね」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(文が知らないって事は紫も知らないのかしら)

 

 

 

 

 

 

 

【第112問】『霧雨にとって、アリス・マーガトロイドはどういった存在?』

 

 

 

アリス「おっほぉ!!? んふふふっ♪」

 

 

霊夢「ぷはっ! あっはははっ!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「くふふっ…!! ふっふふっふふふ!!」プルプル

 

 

レミリア「あはっ! あはははっ!!」ゲラゲラ

 

 

パチェ「ふふっ…! くっ…ふふふっ!」プルプル

 

 

アリス「んふふふっ…♪ 文ぁ…♪」

 

 

文「は、はい?」

 

 

アリス「愛してるわ、秀逸な問題よ♪」

 

 

文「いっ…!? いやぁ…わ、私にはそっちの趣味は無いですよ、あははは…」

 

 

にとり「えっ? でも椛にセクハラしてるじゃん」

 

 

文「アレはただのお遊びですから♪」

 

 

アリス「あ''ぁ''~~♪ 心がシャンハーイしてるわぁ♪ んふふふっ♪ んふっ、んふふふっ♪」カキカキ

 

 

パチェ「ほ、本人は幸せそうね」

 

 

霊夢「アリス今、おっ…おっほぉってふくくっ…! い、言ったわよね」

 

 

レミリア「ふふふははっ! あっはははっ!」

 

 

咲夜「ちょ、んふはははっ…! れ、霊夢やめなさい!」

 

 

パチェ「くふふふっ…!」

 

 

霊夢「いや…ふくっ…! おっほぉ、よ!? ふははっ…! お、おっほぉなんて言う?」プルプル

 

 

咲夜「ほ、ほんっ…! あははっ…! ホントにやめなさい霊夢っ…!」

 

 

レミリア「あぁ…ふふふっ…! な、涙出てきちゃった」

 

 

パチェ「はぁ…はぁ…ふふふっ…! お、お腹がっ…!」プルプル

 

 

アリス「解答オープンっ♪ 解答オープンっ♪」

 

 

文「元気ですねぇ」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《おっほぉ》

レミリア《親友》

咲夜《魔法使い仲間》

パチェ《魔法使い友達》

アリス《妻よ、妻!!(夫でも可)》

 

 

 

 

霊夢、レミリア、咲夜、パチェ「んははははっ!!」

 

 

文「くふっ…! ふふっ!」プルプル

 

 

にとり「はははっ!」プルプル

 

 

アリス「お、おっほぉ…?」

 

 

咲夜「霊夢ぅー!! ぷっ…!? あははっ!」

 

 

霊夢「あっはははははっ!! だ、だっ…! くふふふっ! だって…だってぇ!」

 

 

咲夜「だっても何も無いわよ! ふくっ…! も、モニターにいきなりお、『おっほぉ』なんて出たら誰でも笑うでしょう!? 何で書いたのよ!」

 

 

霊夢「咲夜、私おっほぉダメだわ…つ、ツボに…くふふふっ、あっはははっ!!」

 

 

パチェ「ははっ…! っ!? けほっけほっ…! ごほっごほっ…! こ、呼吸が…」

 

 

レミリア「お、お腹痛いっ…! ふくくっ!」

 

 

咲夜「自分で書いといて自分で笑うのもどうかと思うわよ!?」

 

 

霊夢「あっははははっ…!」

 

 

アリス「ね、ねぇ霊夢…おっほぉって何?」

 

 

霊夢、咲夜「ふぐっ…!? ふくくっ…!」プルプル

 

 

アリス「えぇ?」

 

 

咲夜「あ、あなたまでボケに回ったら誰がアリスを制御するのよ! 私一人でやらせる気!?」

 

 

霊夢「わ、悪かったって…! ごめん…!」プルプル

 

 

にとり「は、早く正解出さないとヤバいね」

 

 

文「皆さんの体力的にも絵面的にも、ですね」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙にとってアリスはどういった存在?』

 

 

魔理沙『出たなこの質問、前半戦でも霊夢とぱっつぁんに同じ問題があったな』

 

 

魔理沙『アリスか…私の解答次第じゃああっちがどうにかなっちまうんじゃねぇか?』

 

 

魔理沙『…まぁ大丈夫か、霊夢と咲夜が何とかしてくれるだろ』

 

 

魔理沙『…そうだなぁ』

 

 

魔理沙『世話になってるって意味じゃ霊夢以上かもな、魔法関係の事でかなり世話になってる、読み方が分からない魔導書とか教えてくれたりするしな』

 

 

魔理沙『アリスの家に私が行くとおもてなしがすげぇんだよ、私の好きなお菓子とか直ぐに用意してくれるんだぜ?』

 

 

魔理沙『本も好きなものを持っていって良いって言われる、まぁたまに本のページの隙間にハートの便箋が入ってるんだよな…読んでなくて家の机に山積みになってるけど』

 

 

魔理沙『後はあの暴走を何とかしてくれればなぁとは思う、好かれるのは嫌いじゃないんだが…うん』

 

 

魔理沙『…だから、うん…どういった存在かって聞かれたら…』

 

 

魔理沙『…ともだ…いや……親友……』

 

 

魔理沙『……』

 

 

魔理沙『…!』

 

 

魔理沙『私からしてみればアリスは…ふっ…! 頼れる相棒って感じだな♪』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

アリス「!!!」

 

 

霊夢、パチェ、咲夜、レミリア「…!!」

 

 

パチェ「…! ふふっ、相棒、ね♪」

 

 

レミリア「深いわね、ひょっとしたら友達よりも特別な物かもしれないわよ?」

 

 

咲夜「親友に相棒に新しい道を示してくれる友、パチュリー様…贅沢ですわね、魔理沙は」

 

 

パチェ「さ、咲夜…///」

 

 

霊夢「ねぇアリ…!」

 

 

アリス「…っ」ツー

 

 

霊夢「アリス、あんた…」

 

 

アリス「えっ…? あ、あぁご、ごめんなさい…な、なんで…? あれ?」ゴシゴシ

 

 

アリス「おかしいわね…涙なんか…こ、ここは嬉しくてシャンハーイするところなのにね…あ、あははは…」

 

 

アリス「全くもう…こんな顔じゃ魔理沙に会いに行ったときに笑われちゃうわね…」

 

 

アリス「もうっ…なん、でなのかしら…この…グスッ…気持ちは…」

 

 

霊夢、パチェ、咲夜、レミリア「…」ニコッ

 

 

レミリア「自分が一番大好きな人から素敵な言葉を掛けて貰えるととっても嬉しいわよね♪」

 

 

パチェ「あなたの魔理沙への愛は…私には分からないけど、魔理沙なりに受け止め、わかってくれているのかもね」

 

 

咲夜「ふふっ♪ そういった存在が側に居るっていうのは羨ましいわ」

 

 

霊夢「…アリス」

 

 

アリス「!」

 

 

霊夢「あんたが魔理沙の事で頭がいっぱいになって暴走したとしても、愛に飢えて魔理沙を引かせてしまったとしても」

 

 

霊夢「魔理沙はあんたの事を絶対に嫌いになったりしないわ」

 

 

霊夢「魔理沙は今のままのあんたが好きなのよ、相棒としてのアリス・マーガトロイドがね…だからその…あ、安心しなさい」

 

 

アリス「!! …♪」ニコッ

 

 

アリス「うん…! ありがとう霊夢、みんなも…」

 

 

アリス「魔理沙も…ありがとうね、ふふっ♪ 今は聞こえてないか」

 

 

にとり「ふっ、感謝の気持ちなら優勝して言えば良いのさ」

 

 

文「確実に会える方法ですからね」

 

 

アリス「! そうね♪」

 

 

霊夢「安心しなさいってのは変な言い方だったかしら…」ヒソヒソ

 

 

咲夜「そんなことは無いと思うわよ?」ヒソヒソ

 

 

霊夢「ならいいけどね」

 

 

咲夜「ふふっ♪」

 

 

アリス「…」ニコッ

 

 

アリス(魔理沙、本当にありがとう…)

 

 

アリス(私にとってあなたは私が出会った人の中で…)

 

 

アリス(…いいえ、これはあなたにいつか直接言わないとダメね)

 

 

アリス(パチュリーとは違う形でこれからも私はあなたを支え続けるわ、魔理沙)

 

 

 

 

 

【第114問】『霧雨の、好きな色は?』

 

 

 

霊夢「ここに来てシンプルな問題ね」

 

 

咲夜「これは二択になるのかしら」

 

 

アリス「いえ…もしかしたら私と魔理沙に共通する色かも知れないわ!」

 

 

霊夢「何色よ…ってあぁ髪の毛ね」

 

 

レミリア「さ、三択になっちゃったわ」

 

 

パチェ「迷うわね、その色が正解とは限らないけど」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《白》

レミリア《黒》

咲夜《白色》

パチェ《黒色》

アリス《金色》

 

 

 

 

アリス「…ねぇ、ちょっと気になるんだけど」

 

 

霊夢「何が?」

 

 

アリス「魔理沙って下の毛の色も金ぱ」

 

 

咲夜「やめなさいっ!!」

 

 

アリス「何よ! 気になるでしょ!?」

 

 

霊夢「普通気にならないわよ!」

 

 

咲夜「下ネタだけはやめなさいよアリス!」

 

 

アリス「下の話なだけに?」

 

 

霊夢、咲夜「上手くないわぁっ!!」

 

 

パチェ「…少し前の感動が台無しだわ」

 

 

レミリア「ん? 下の?」

 

 

パチェ「レミィは知らなくてもいいのよ」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

 

紫『魔理沙の好きな色は?』

 

 

魔理沙『色か、色なぁ…』

 

 

魔理沙『…』

 

 

魔理沙『緑だな』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

 

 

霊、咲、レ、パ、ア「えぇっ!?」

 

 

レミリア「み、緑ぃ!?」

 

 

霊夢「何で!? 緑要素無いじゃんあんた!」

 

 

パチェ「自然が好きだから? いや…他になにか」

 

 

アリス「紫! 理由聞いてみて!」

 

 

 

 

 ちなみに理由は

 

 

紫『あら、何で緑なの?』

 

 

魔理沙『あー? いや、何でって言われてもな』

 

 

魔理沙『頭に浮かんでパッと思い付いたのが緑だったんだよ、それ以上理由なんか無いな』

 

 

紫『なんか思い入れがあるんじゃないの?』

 

 

魔理沙『…まぁ、無い訳じゃないけどな』

 

 

紫『…♪』ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

アリス「だ、だからその思い入れを聞きたいのだけれど」

 

 

霊夢「緑…? 霖之助さん…いや無いわね、星とか流星群とか…いや、アレは黒とか白だし」

 

 

咲夜「となるとやはり自然…?」

 

 

パチェ「魔理沙は自然に思い入れがあったりするのかしら」

 

 

レミリア「緑…? 美鈴の服…ううん、無理があるわね」

 

 

 

 

 

 

 

【第123問】『霧雨は、パチュリーを野菜に例えるとしたらどんな野菜?』

 

 

 

パチェ「はぁ…?」

 

 

レミリア「文、これは悪口になりかねないわよ!」

 

 

文「ふふっ♪ ならば悪口にならない様に答えを書けばいいんじゃないですかねぇ?」

 

 

レミリア「むっ…」

 

 

咲夜「パチュリー様を野菜に…?」

 

 

霊夢「あんたって野菜食べれるの?」

 

 

パチェ「家には咲夜が居るのよ? 作ってくれた物は何でも美味しいからどんな野菜でも食べれるわ」

 

 

咲夜「パチュリー様、ありがとうございます」

 

 

アリス「でもそんなに多くは食べられないんでしょ?」

 

 

パチェ「小食だからね」

 

 

レミィ「私とパチェは小食仲間なのよ♪」

 

 

霊夢「レアな仲間ね…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《カボチャ》

レミリア《紫キャベツ》

咲夜《トレビス》

パチェ《トマト》

アリス《もやし》

 

 

 

パチェ「…ふーん、そう」

 

 

霊夢、咲夜、レミリア、アリス「…!」

 

 

パチェ「あなたたちは私のことをそういう風に思っているわけね」

 

 

パチェ「魔理沙の気持ちになって考えたの? ねぇ?」

 

 

咲夜「も、もちろんでございますわ」

 

 

レミリア「さ、咲夜! トレビスってなんなの?」

 

 

咲夜「む、紫キャベツに似ている野菜でございますわ」

 

 

レミリア「なら私と同じ様な物ね!」

 

 

咲夜「そ、そうでございますね!」

 

 

パチェ「キャベツの様に寸胴体型って言いたいの? ねぇ? それとも何? 私の服の色? 髪の毛?」

 

 

咲夜、レミリア「…!」メソラシ

 

 

アリス「わ、私のは魔理沙の気持ちになって考えたわ、あなたは痩せすぎよ」

 

 

パチェ「もやしみたいにひょろひょろでは無いんだけど…」

 

 

パチェ「あなたは?」

 

 

霊夢「魔法使いって言ったらカボチャでしょ?」

 

 

パチェ「ハロウィンのイメージかしら」

 

 

霊夢「そうそう、決して寸胴だとは思ってないからね」

 

 

パチェ「…答え、早く」

 

 

文「は、はい」

 

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『魔理沙はパチュリーを野菜に例えるとしたら、どんな野菜を選ぶ?』

 

 

魔理沙『野菜ぃ? ん~』

 

 

魔理沙『…』

 

 

魔理沙『カボチャ…か? 魔法使いっつったらカボチャだろ』

 

 

 

 霊夢、正解!

 

 

 

 

霊夢「当たったわ♪」

 

 

アリス「むぅ…イメージ勝ちだったのね」

 

 

パチェ「イメージって大事よね? 咲夜、レミィ?」

 

 

咲夜、レミリア「はい…」

 

 

アリス「悪気があって書いた訳じゃないんじゃ…」

 

 

霊夢「まぁ…うん」

 

 

 

 

 

【第132問】『霧雨が、魔法の森に自生しているもので一番好きなキノコは?』

 

 

 

アリス「魔理沙と言ったらキノコよね♪」

 

 

霊夢「それなのにこんなところでこの問題が出てくるのね」

 

 

咲夜「頻繁に出てきても私たちは当てられないわよ」

 

 

パチェ「そうね…魔法の森はまだまだ分からないことが多いもの」

 

 

霊夢「魔法の森に生えているキノコについては魔理沙以上に詳しい人間は他には居ないらしいわね、霖之助さんが言ってたわ」

 

 

アリス「流石よね♪ 図鑑に乗ってないキノコは自分で毒味をするワイルドでたくましい魔理沙も素敵だとは思わない?」

 

 

霊夢「それさぁやめさせたいのよね、でも何回言ってもあいつは聞きやしないし…」

 

 

アリス「魔理沙なりに自信あっての毒味なのよ、私たちは魔理沙を信じて毒味を見守ってあげるべきだわ」

 

 

咲夜「毒味を見守るって…」

 

 

パチェ「とんでもないことしてる気分ね」

 

 

霊夢「私も毒味っぽいことさせられそうになった事あるのよね」

 

 

レミリア「えぇっ? 大丈夫だったの霊夢」

 

 

霊夢「図鑑に乗ってない新種のキノコだって説明されて渡されたやつをキノコご飯にして食べたのよ、毒々しい色だったし、怪しかったから魔理沙に先に食べさせたのよ、そしたらあいつは既にそれを食べてたらしくてね、その言い分が『分からないから食って確かめた』だそうよ」

 

 

霊夢「魔法使いには実験は付き物、魔理沙はキノコマスターでもあるみたいだからね」

 

 

パチェ「自分を実験台にして食べてるのね」

 

 

レミリア「別の意味でヘビーな食生活してるわね」

 

 

アリス「ふふっ♪ キノコマスター魔理沙さんもいつかはアリスマスター魔理沙さんになるのかしらね?」

 

 

霊夢「あんたの何を魔理沙はマスターするのよ」

 

 

アリス「ほらぁ♪ こう…私の体の弱いところとかマスターしてもらってさぁ…♪ ふふっ♪ なんというか…こう、優しくリードしてもらって…」

 

 

咲夜「自分で言ってて恥ずかしくないの? ねぇ?」

 

 

アリス「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

咲夜「…」

 

 

アリス「ふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっじゃないでしょうが」

 

 

咲夜「ブレると羞恥心が消えるの?」

 

 

レミリア「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

パチェ「今さら羞恥心も何も無いと思うわ…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《カリスマリッシュルーム》

レミリア《松茸》

咲夜《マッシュルーム》

パチェ《冬虫夏草》

アリス《キヌガサタケ》

 

 

 

レミリア「ほぉっ!?」

 

 

霊夢「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

咲夜「か、カリスマ? マッシュルーム?」

 

 

霊夢「違う違う、カリスマリッシュルームよ」

 

 

パチェ「何そのレミィが考えたようなネーミングのキノコは…」

 

 

アリス「そ、存在するの?」

 

 

霊夢「するわよ? さっきの話のキノコご飯にしたのがそのキノコなのよ」

 

 

霊夢「図鑑に乗ってない、新種、名前が無かったから魔理沙が名前をつけたのよ」

 

 

レミリア「れ、霊夢! もしかしてそのキノコを食べたらカリスマが上がったりするの!?」

 

 

霊夢「さ、さぁ…? ふふっ…! す、するんじゃない? 分かんないけど」

 

 

レミリア「おぉ~♪ まさしくこの私に食べられるが為に生えてきたかの様なキノコね♪ 今度魔理沙に持ってきてもらいましょう♪」

 

 

アリス「だとしたら霊夢と魔理沙のカリスマも上がってるんじゃ…」ヒソヒソ

 

 

咲夜「お嬢様のためにここは黙ってて」ヒソヒソ

 

 

パチェ(きっとレミィが名前をつけたらこんなんだろうとか言ってふざけてつけたのね、それをやりかねないレミィもレミィよね…)

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は魔法の森に自生しているもので、一番好きなキノコは?』

 

 

魔理沙『お♪ 良い質問だぜ』

 

 

魔理沙『そうだなぁ、私が好きなキノコ…つまりは美味いキノコってことで話を進めるが、そのキノコの発見者は私だ、そしてこの魔理沙さんがそのキノコの名付け親でもあるんだぜ』

 

 

魔理沙『キノコマスターの魔理沙さんがオススメするキノコがあるんだ、形はマッシュルームに似てるな、色は毒々しいがとても美味しくてアクも少なく、どんな料理にも合うから食材としても使えるぜ、しかも研究材料としても使える質の良いキノコだ!』

 

 

魔理沙『その名も…カリスマリッシュルーム!』

 

 

紫『ふふははっ…! な、名前っ…!』プルプル

 

 

魔理沙『あっははははは♪』

 

 

 

 霊夢、正解!

 

 

 

 

 

アリス「むっ…また霊夢の一人勝ち…」

 

 

霊夢「アリスに追い付いて来たかしら♪」

 

 

レミリア「咲夜、魔理沙に頼んで持ってきてもらったら調理をお願いね」

 

 

咲夜「は、はい…」

 

 

レミリア「私のカリスマがもっと上がるように最高の料理にしてね♪」

 

 

咲夜「ぜ、全力を尽くしますわ…」

 

 

咲夜(カリスマが上がる食材など存在するのでしょうか…)

 

 

パチェ「研究目的として一本欲しいわね」

 

 

レミリア「パチェ! カリスマが上がる成分を発見したら是非私に教えてね♪」

 

 

パチェ「…分かったわ」

 

 

パチェ(キノコ一本でカリスマが上がれば世話ないわよ、レミィ)

 

 

 

 

 

【第139問】『霧雨は、レミリア・スカーレットのどんなところが好き?』

 

 

 

レミリア「おぉっ…?」

 

 

アリス「あら♪ 魔理沙の本音が聞けそうね♪」

 

 

霊夢「いつもイジリ倒してる魔理沙はあんたの何処が好きなのかしらね」

 

 

咲夜「お嬢様の侮辱だけは許さないわよ」

 

 

霊夢「でもあんたも一緒になって笑ってる時あるじゃない」

 

 

咲夜「不可抗力よ、あなたたちが笑わせようとしてくるのが悪いのよ」

 

 

霊夢「その笑いはレミリアのイジリから発生してるのに?」

 

 

咲夜「…! ……」

 

 

咲夜「ふ、不可抗力よ…」

 

 

霊夢「そういう事にしておくわね」

 

 

レミリア「えぇ~…魔理沙の思う私の好きなところ…? うーん…」

 

 

パチェ「シンプルに考えたらたぶん当たるわよ」

 

 

レミリア「シンプルに? わ、分かったわ」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

霊夢《可愛らしいところ》

レミリア《強いところ》

咲夜《家族思いなところ》

パチェ《何があってもめげないところ》

アリス《立ち直りが早いところ》

 

 

 

 

レミリア「! れ、霊夢!」

 

 

霊夢「あ…あ~ほら、カリガ! カリスマガード時よ、アレは可愛いとおもうわよ?」

 

 

レミリア「! 霊夢ぅ~♪」バッ

 

 

霊夢「はいストップ、くっつくのを許可した覚えはない♪」

 

 

レミリア「むぐぐっ…でも嬉しいわ♪ ありがとう霊夢♪」

 

 

レミリア「あなたたちもそう思ってくれているのね?」

 

 

アリス「ふふっ♪ さぁ、どうかしらね♪」

 

 

パチェ「私は魔理沙の答えを予想しただけよ」

 

 

咲夜「お嬢様の思いは伝わっておりますわ」

 

 

レミリア「うふふふっ♪ ありがとうね、みんな♪」

 

 

霊夢「さて、魔理沙の答えはどうかしら」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『魔理沙はレミリアのどんなところが好き?』

 

 

魔理沙『カリスマさんか』

 

 

紫『ふふっ…!』プルプル

 

 

魔理沙『ん~…イジられてイジられてイジリ倒されてもめげないところかな』

 

 

魔理沙『立ち直りも早いじゃん? 過去の事にくよくよしないところは好きだぜ』

 

 

紫『なんとなく分かるわ、それ』

 

 

 

 パチュリー、アリスはおまけで正解!

 

 

 

 

 

アリス「あら♪ やったぁ♪」

 

 

パチェ「そうね、立ち直りが早いということは切り替えが早いということと同じこと、レミィの長所ね」

 

 

レミリア「当然よ♪ くよくよしてたら紅魔館の主は務まらないわ」

 

 

咲夜「…」

 

 

霊夢「? 咲夜?」

 

 

咲夜「お嬢様がイジられてる事に関しては納得出来ないわ」

 

 

霊夢「あんたもたまにイジらない?」

 

 

咲夜「そ、それは…」

 

 

霊夢「…」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「ふ、不可抗力」

 

 

霊夢「便利な言葉ね、不可抗力」

 

 

 

 

 

【第144問】『霧雨は、解答者5人の中で一番モテると思うのは?』

 

 

 

レミリア「! ふっふっふっふ♪」カキカキ

 

 

パチェ「……」チラッ

 

 

霊夢「モテる…ねぇ」

 

 

咲夜「モテモテか、この5人の中だったら決まっているような物ね」

 

 

アリス「そうね、魔理沙だったら絶対にこう答えるわ」

 

 

霊夢「…いや…うん」カキカキ

 

 

パチェ「…レミィ」

 

 

レミリア「え? 何よパチェ? もう答えなら書いたわよ?」

 

 

パチェ「見てないけどその答えは外れよ」

 

 

レミリア「えっ!?」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《アリス》

レミリア《カリスマの権化! この私よ!》

咲夜《霊夢》

パチェ《博麗霊夢》

アリス《霊夢》

 

 

 

 

霊夢「うわぁ、やっぱりかぁ~…」

 

 

レミリア「…!? あぁっ!?」

 

 

パチェ「ね?」

 

 

レミリア「そ、そうだ…霊夢…霊夢が居たじゃない! 何やってるのよ私はぁ…!!」

 

 

パチェ「自分のカリスマに目が眩んでしまったのね」

 

 

レミリア「あぁ~っ…やっちゃったぁ…」orz

 

 

霊夢「そんなに落ち込むことじゃないわよ?」

 

 

霊夢「…で? 何で私なの?」

 

 

咲夜「もう言わなくても分かるでしょ?」

 

 

パチェ「モテる巫女は辛いわね」

 

 

アリス「モテモテのあなたを魔理沙はずっと見てきてるのよ? これ以外の解答は無いわ」

 

 

霊夢「…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙は、あの解答者5人の中で一番モテると思うのは?』

 

 

魔理沙『んなもんお前、霊夢に決まってるだろ』

 

 

魔理沙『人間、妖怪、妖精から神様、果ては月の民にまで好かれてるやつをモテモテと言わずして何とするんだって話だぜ』

 

 

紫『月の民のとこには異を唱えたいわ…でも本当に霊夢はモテモテよねぇ♪』

 

 

魔理沙『お前を筆頭にな、神社は今日も霊夢が好きな奴らでいっぱいだぜ』

 

 

紫『ふふっ♪ 良く分かってるじゃない♪』

 

 

 

 咲夜、パチュリー、アリス、正解!

 

 

 

 

霊夢「違うから、アレはチルノだのルーミアだのが勝手に神社に集まって来るだけであって、私の意思では無いんだっての」

 

 

パチェ「そう、勝手に…あなたに会いに来てるんでしょ? そういうのをモテモテって言うのよ」

 

 

咲夜「言っておくけどお茶は関係無いからね? あなたと話したいとか一緒に居たいって思う人が、あなたのところに集まってくるのよ」

 

 

霊夢「…」

 

 

レミリア「この私を筆頭にね! 私は紫より霊夢に会いたい力が強いわよ!」

 

 

アリス「あはは、会いたい力なんて力があるのね」

 

 

霊夢「そんな力捨てちまいなさいよ…何をしてるのよ私はぁ…///」

 

 

霊夢(モテたくてモテてる訳じゃないっつーの…///)カアッ

 

 

 

 

 

【第151問】『霧雨は、にとりに何か作ってもらえるとしたら何を作ってもらいたい?』

 

 

 

にとり「金さえ貰えれば何でも作ってやるさ! 河童の技術は世界一ぃ!」

 

 

霊夢「結局は金かい」

 

 

にとり「やだなぁ『依頼される、私が作る、金を貰う、作った物を渡す』これは真っ当な商売なんだよ?」

 

 

霊夢「真っ当な商売ねぇ…私は巫女として仕事してもお賽銭が入ってこないのよねぇ」

 

 

咲夜「その代わりに紫から貰ってるじゃない」

 

 

霊夢「だからアレは不本意のお金よ、押し付けられてるのと同じなんだからさ…減らしてもくれないし」

 

 

レミリア「そういえば霊夢の時のにとりに作ってほしい物の『八雲紫撃退装置』は面白かったわね♪」

 

 

パチェ「ふふっ…! それ地味にほしいわね」

 

 

にとり「霊夢、設計図はもう私の頭の中にあるから作ってほしかったらいつでも言ってね♪」

 

 

霊夢「ふざけて言ったのに作れるのね…まぁ考えとくわ」

 

 

アリス(その装置が作られる事は…ふふっ♪ 無いんでしょうね♪)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《お掃除ロボット》

レミリア《ハイテクな箒》

咲夜《全自動掃除機》

パチェ《第2のミニ八卦炉》

アリス《魔導書翻訳機》

 

 

 

にとり「お、おぉ~…どれもバラエティに富んでるね♪」

 

 

霊夢「お掃除ロボットはあいつのためにあるようなもんでしょ」

 

 

咲夜「もし作るのなら本を元あった場所に返す機能も付けといて」

 

 

にとり「それはお客様のご要望次第だね」

 

 

パチェ「それはあなた的には良いの?」

 

 

アリス「うーん…私を頼ってくれなくなっちゃうのは痛いわね…でも魔理沙ならこれを考えるかもって」

 

 

霊夢「ふっ…ハイテクな箒って何よ」

 

 

レミリア「箒の柄の方にロケットのブースターみたいなのがついてて素早く動くのよ♪」

 

 

霊夢「早苗が欲しがりそうね、それ」

 

 

レミリア「こう…バシュッ!! ゴオォォォォって感じで素早く…! あっ…!?」

 

 

パチェ「それは自爆芸って言うらしいわよ?」

 

 

レミリア「!?」

 

 

霊夢「あっははははっ…!」

 

 

アリス「バシュッ、ゴオォォォォ?」

 

 

咲夜「触れないであげて、お嬢様のトラウマなの」

 

 

アリス「?」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『魔理沙はにとりに何か作ってもらえるとしたら、何を作ってもらいたい?』

 

 

魔理沙『にとりにか、これはもう決まってるぜ』

 

 

魔理沙『紅魔館地下図書館と私の家を繋ぐワープ装置! 私だけがワープできるやつを頼むぜ♪』

 

 

紫『なんて都合の良い…』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

パチェ「な、何ですって…!?」

 

 

咲夜「そんなもの作られたら図書館の本が借り尽くされてしまうじゃない…!」

 

 

にとり「ワープ装置かぁ…! 良いねぇ♪」

 

 

パチェ、咲夜「良くないっっ!!」

 

 

にとり「ひゅい!?」ビクッ

 

 

咲夜「絶対に作るんじゃないわよ!? 分かった!?」

 

 

パチェ「もしも作ったら妖怪の山から水分が無くなるかも知れないわよ…!」

 

 

にとり「そ、そんな脅しには屈さないぞ! エンジニア舐めんな!」

 

 

咲夜、パチェ「ふっざけんじゃないわよ!!」

 

 

にとり「ひゅあっ!!?」

 

 

霊夢「そんなもんより家の掃除をしろってのに…」

 

 

レミリア「…ん~」

 

 

アリス「どうしたの?」

 

 

レミリア「なんか複雑なのよね」

 

 

アリス「複雑?」

 

 

レミリア「魔理沙が本を図書館に借りに来ないとフランと会う機会が減っちゃうし…かといってパチェの本は持っていってほしくないのよ」

 

 

アリス「…悩めるお姉ちゃんね」

 

 

レミリア「う~…」

 

 

 

 

 

紫『あ、なんかお掃除ロボットって解答が出てるわね』

 

 

魔理沙『あー? そんなもんいらねぇって』

 

 

魔理沙『勝手に人の部屋掃除するんだろ? 堪ったもんじゃないぜ、何処に何があるのか分からなくなっちまうからな』

 

 

紫『だったら少しは自分で掃除なさいよ』

 

 

魔理沙『…明日の私に掃除してくれるよう今日の夜に頼んでおくぜ』

 

 

紫(しないパターンね、これ)

 

 

 

 

 

【第167問】『霧雨が、言われて傷付いた言葉は?』

 

 

 

霊夢「受け流し体質の魔理沙が傷付いた言葉なんてあるのかしら…」

 

 

アリス「魔理沙は基本どんなことを言われても気にしないからね♪ それに魔理沙に悪口や陰口なんて言う人いないだろうし」

 

 

レミリア「それは魔理沙の人徳のお陰なのね」

 

 

パチェ「ちょっとは気にしてほしいものだわ…気にしないのと話を聞かないの両立は勘弁よ」

 

 

咲夜「まさか『本を返せ』が魔理沙には悪口に聞こえるんじゃ無いでしょうね…」

 

 

霊夢「いや、流石にそこまでは…」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《帽子、重くない?》

レミリア《家が汚いわよ》

咲夜《家が汚すぎる》

パチェ《本を返せ》

アリス《お宅のアリスさんが別の人と付き合ってるわよ》

 

 

 

 

霊夢、レミリア、咲夜、パチェ「…」

 

 

アリス「…自分の妻が他の奴に良いようにされてたら誰だって傷付くわ」

 

 

アリス「でもそういう修羅場もあって私たちは乗り越えていけると思うんだけどどうかな?」

 

 

咲夜「………アリス」

 

 

アリス「?」

 

 

咲夜「あなたその妄想力を活かして恋愛小説を書いたら?」

 

 

アリス「…ふふっ♪」

 

 

咲夜「ふふっじゃないわよ」

 

 

霊夢「ブレがブレイクする日はくるのかしら」

 

 

レミリア「逆ツッコミバージョンよ! レアよパチェ!」

 

 

パチェ「え?」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『魔理沙が言われて傷付いた言葉は?』

 

 

魔理沙『…最近なんだが』

 

 

魔理沙『鈴仙に『相変わらず欲張りね!』って言われたんだ』

 

 

魔理沙『相変わらずって言い方酷くねぇか? その言い方だと私が毎日のように欲張りな魔法使いだと思われている様で心外だぜ』

 

 

魔理沙『毎日はねぇよ、毎日は』

 

 

紫『…』

 

 

紫(最早何も言うまい、ね)

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

咲夜「鈴仙の言う通りだわ、ナイスよ鈴仙」パチパチ

 

 

パチェ「流石咲夜のお友達、良く見てるわね」パチパチ

 

 

レミリア「ま、また複雑だわ…!」

 

 

霊夢「欲張り…? そう言えば私とアリスと霖之助さんのところからは物を持ち出したりはしないのよね、何でかしら」

 

 

アリス「私は勝手に持っていってもらっても良いんだけどね、でもそれは確かに気になるわね」

 

 

霊夢、アリス「…?」

 

 

 

 

【第173問】『霧雨は、自分の家族に一言言うとしたら何を言う?』

 

 

 

霊夢「文…あんた…」

 

 

文「む、無理に答えてくれなくても良いんですよ」

 

 

アリス「…」

 

 

レミリア「えっ? なんかあるの?」

 

 

咲夜「どうやら自分の両親と何らかの理由でもめ事があり、確執があるようです」

 

 

パチェ「踏み込んじゃいけない領域みたいな物よ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《答えない》

レミリア《答えない》

咲夜《答えない》

パチェ《ノーコメント》

アリス《答えない》

 

 

 

霊夢「楽しくクイズさせたいならこれはダメよ、黒よ黒」

 

 

文「も、申し訳ないです…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『…』

 

 

魔理沙『…? おい、どうした?』

 

 

紫『魔理沙は自分の家族に一言言うとしたら、何を言う?』

 

 

魔理沙『!! ……』

 

 

魔理沙『…』

 

 

魔理沙『…』

 

 

魔理沙『……悪いが、ノーコメントだぜ』

 

 

 

 

 

 全員正解!

 

 

 

咲夜「次行きましょう」

 

 

パチェ「そうね」

 

 

レミリア「…」

 

 

レミリア(両親と喧嘩でもしてるのかしら)

 

 

霊夢(私の口からは何も言えないわね、あいつ自身の問題だから自分で解決しないといけないし)

 

 

アリス(辛かったら言ってね? いつでも相談に乗るわ…魔理沙)

 

 

 

 

【第182問】『霧雨が、魔法使いになろうと思ったきっかけは?』

 

 

 

パチェ「! これは…!」

 

 

咲夜「魔理沙の師匠の事が絡んでくることは間違いなさそうですね」

 

 

レミリア「魔理沙のきっかけ…気になるわ」

 

 

霊夢「アリスは聞いてる?」

 

 

アリス「いいえ、でも咲夜の言う通りだと思うわ」

 

 

霊夢「あいつの師匠か…何で何もかも覚えて無いのかしら」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《師匠に会ったから》

レミリア《お師匠さんと出会ったから》

咲夜《師匠と出会ったから》

パチェ《師匠が魔法使いだったから》

アリス《お師匠さんが魔法使いで、影響を受けた》

 

 

 

霊夢「これは当たり云々よりも魔理沙の答えが気になるわ」

 

 

レミリア「紫! 早く聞いて!」

 

 

 

 

 

 正解はこちら!

 

 

紫『! ……魔理沙が魔法使いになろうと思ったきっかけは?』

 

 

魔理沙『ん? あ~…』

 

 

魔理沙『前の問題で話したと思うがその尊敬する師匠に出会ったからだ』

 

 

魔理沙『たぶん十年ちょっと前だろうなぁ…その師匠が魔法を私に見せてくれて『おぉー! 凄ぇー!!』ってなったのがきっかけだと思う、この人みたいに魔法が使えたら良いなぁってさ』

 

 

魔理沙『そのときの私はスッゴくワクワクしてたと思う、その人と会う毎日が楽し…かったんだとも思うな』

 

 

魔理沙『でも忘れちまってるんだけどな……』

 

 

紫『…』ニコッ

 

 

 

 全員、正解!!

 

 

 

 

霊夢「十年前なんだ…」

 

 

パチェ「十年…長いわね、どれだけその師匠と一緒に居たか知らないけど忘れてしまっているのも無理は無い、か」

 

 

レミリア「そんな大切な人のこと忘れちゃダメよ、何で忘れちゃってるのかしら」

 

 

アリス「魔理沙は記憶力は良いけど、人間にしてみれば相当昔のことだからね」

 

 

咲夜「一緒に居た期間が短いと余計かもしれないわね」

 

 

霊夢「あんまり長い間一緒に居なかったのかしら…」

 

 

 

 

 

【第190問】『霧雨の、一番印象に残ってる出来事は何?』

 

 

 

アリス「! これも魔理沙の師匠に繋がりそうね」

 

 

霊夢「連続で出てこなかったのはアレだけど、また色々と聞けそうね」

 

 

パチェ「印象深い…となると」

 

 

レミリア「取り敢えず書いてみましょう」

 

 

咲夜「そうですね」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《師匠との別れ》

レミリア《師匠とのお別れ》

咲夜《師匠からのプレゼント》

パチェ《師匠からの魔法の伝授》

アリス《師匠に何かもらった》

 

 

 

 

霊夢「もう答えより正解よ」

 

 

レミリア「早く早く!」

 

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『魔理沙の一番印象に残ってる出来事は?』

 

 

魔理沙『はっ…! なんかピンポイントで質問が来るなぁ、まぁ良いけどよ』

 

 

魔理沙『これもさっきから話してるが私の師匠のことになるな』

 

 

魔理沙『私に魔法を教えてくれた師匠…名前も顔も思い出せないが、印象に残ってる事といったら…アレだな』

 

 

魔理沙『その人がいなくなっちまう前に私に見せてくれた魔法…最後に教えてくれた魔法…』

 

 

魔理沙『マスタースパークを私に見せてくれた事だ』

 

 

紫『…』

 

 

 

 パチュリー、咲夜とアリスはおまけで正解!!

 

 

 

 

 

霊、咲、ア、パ、レ「!!?」

 

 

文「!? こ、これは特大スクープなのでは!?」

 

 

にとり「へぇ~…魔理沙のオリジナルじゃ無かったんだ」

 

 

パチェ「マスタースパークを見せてくれた…?」

 

 

咲夜「何者なの?」

 

 

レミリア「とんでも無い人物だということは分かるわね」

 

 

霊夢「マスタースパーク…」

 

 

アリス「…ねぇ、霊夢」

 

 

霊夢「…アリス、あんたも今私と同じ事考えてると思うけどたぶん違うわよ」

 

 

アリス「じゃあでも何で」

 

 

霊夢「幽香も使えるかって? それは分からないけど、少なくとも幽香が魔理沙の師匠であることはあり得ないっての」

 

 

アリス「そう…よね…」

 

 

霊夢、アリス「…」

 

 

霊夢「あいつにもっと聞くしかないわよ、直接ね」

 

 

アリス「…うん」

 

 

 

 

 

 

紫『魔理沙、あなた結構その師匠の事話しちゃってるけど、霊夢たちに聞こえてるのは分かってるわよね?』

 

 

魔理沙『当たり前だろ』

 

 

紫『たぶん皆かなり気になっていると思うわよ』

 

 

魔理沙『あ~…まぁ別に隠す事でも無いだろ、霊夢とアリスには存在だけは教えてたし』

 

 

紫『これから色々と聞かれるかも』

 

 

魔理沙『聞かれたら答えてやるさ、出来る範囲でだけどな、本当に断片的にしか覚えて無いし』

 

 

紫『…そ』

 

 

魔理沙『…なぁ、紫』

 

 

紫『うん?』

 

 

魔理沙『お前私の師匠のこと…知ってるか?』

 

 

紫『……』

 

 

魔理沙『知ってたら、教えてくんねぇか?』

 

 

紫『…』

 

 

紫『知るわけ無いでしょう? 十年前とか…ちんちくりんだった頃のあなたにゆかりん興味無いわぁ、こんのバカちんがぁ♪』

 

 

魔理沙『…聞いた私がバカだったぜ』

 

 

紫『…』

 

 

紫(魅魔…約束だけは守ってあげるからね)

 

 

 

 

 

 

【第200問】『200問を終えて、みんなに一言!』

 

 

 

パチェ「やっと200問目なのね」

 

 

レミリア「ふぅ~…今回も長い戦いだったわね」

 

 

咲夜「お二人ともお疲れ様でした、これで最後ですわ」

 

 

霊夢「はぁ、笑ったり驚いたり…つっこんだりつっこんだりつっこんだりと大変だったわ…解答者席も中々骨が折れるのね」

 

 

咲夜「でしょう?」

 

 

アリス「…? ツッコミ過ぎじゃない?」

 

 

霊夢、咲夜「誰のせいよ!! 誰のぉ!!」

 

 

アリス「…えぇ~♪」

 

 

霊夢「えぇ~じゃないっ!」

 

 

咲夜「今のはわざとよねアリス!」

 

 

パチェ「最後の最後まで…霊夢、咲夜、ご苦労様」

 

 

レミリア「あはははっ…!」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《お疲れさん》

レミリア《お疲れさん!》

咲夜《お疲れさん》

パチェ《お疲れさん》

アリス《お疲れさん!!》

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

 

紫『最後の質問よ♪』

 

 

魔理沙『おぉ~!! やっとか~…質問責めにされるのも疲れるぜ、霊夢もこんな気持ちだったんだろうな』

 

 

魔理沙『お婆ちゃんといると疲れるぜー♪』

 

 

紫『クルァ!! グダグダ言ってないで質問に答えなさい! それと私はまだピチピチのゆかりん十七さ』

 

 

魔理沙『グダグダ言ってねぇで質問をくれよ、紫』

 

 

紫『くっ…!! に、200問を終えてみんなに一言ぉ!!』

 

 

魔理沙『おぉ、力強い読み上げだな…』

 

 

魔理沙『あ~…霊夢、アリス、咲夜、レミリア、パチュリー』

 

 

魔理沙『ここまで付き合ってくれてありがとな♪』

 

 

魔理沙『お疲れさん!』

 

 

 

 全員正解!!

 

 

 

 

レミリア「やったー♪」

 

 

パチェ「ふぅ…何とか最後は全員正解ね」

 

 

アリス「素敵な時間が終わっちゃったわ、始まれば終わるものだけどシュンっとなっちゃうわね」

 

 

霊夢「…戦い抜いたわね咲夜」

 

 

咲夜「えぇ…戦い抜いたわ」

 

 

霊夢「不思議の国での戦いは想像を絶したわね」

 

 

咲夜「何回ツッコんだのかしら」

 

 

霊夢「いちいち数えてらんないわ…」

 

 

文「いやぁ♪ 皆さんお疲れ様でした♪」

 

 

にとり「録画バッチリ! みんなお疲れさん♪」

 

 

 

 

 

 

藍『皆、お疲れ様、200問達成おめでとう』

 

 

 

霊夢「あんたもね、200問も読み上げるなんて大したもんだわ」

 

 

 

藍『ありがとうな、さて! お疲れのところだがここで優勝者の発表をするぞ』

 

 

 

アリス「キター!!」

 

 

レミリア「テンションが…」

 

 

パチェ「まだあんなに元気があるのね…」

 

 

アリス「魔理沙ー♪ 優勝するのは私だったわよー♪」

 

 

レミリア「ま、まだ分からないでしょ!」

 

 

咲夜「私たちが勝つ可能性も無くはない筈よ」

 

 

霊夢「ツッコミ頑張ったんだから報われてもいい筈よ」

 

 

パチェ「やるからには…さぁ、優勝者は誰なの?」

 

 

 

藍『ふふっ、では発表しよう! ゆかりんクイズ! 霧雨魔理沙の200のコト!! 栄えある優勝者は…!』

 

 

 

 

霊、ア、レ、咲、パ「…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「優勝者が決まったわ」

 

 

魔理沙「おっ♪ そーなのかー」

 

 

紫「そーなのだー♪」

 

 

魔理沙、紫「わはー♪」

 

 

魔理沙「…」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「だれがババアだクルァ!!」

 

 

魔理沙「言ってねぇよ!」

 

 

紫「ふんっ! スキマオープン!」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「今から優勝者がこのスキマから出てくるから! じゃあね魔理沙! お疲れしたぁ!」スッ

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

魔理沙「あっ! おいこら! 待てババア!」

 

 

魔理沙「お疲れしたぁ、って…」

 

 

魔理沙「てか終わったんだな、本当に」

 

 

魔理沙「優勝者…まぁたぶんアイツだよな、うん」

 

 

魔理沙「逆に他の奴が優勝してたら怖いぜ…」

 

 

 

 ウフフフフ…

 

 

魔理沙「ん!? す、スキマから声が!?」ビクッ

 

 

 

 ウフフフフ、マリサァ♪

 

 

 

魔理沙「だ、誰だ! 優勝者め! 姿を見せやがれ!」

 

 

 

 ソレハアナタノ…

 

 

 

魔理沙「…!?」

 

 

 バッ

 

 

アリス「妻であるこのわた」

 

 

霊夢「さっさと入らんかいっ!」スッ

 

 

 

 ドッ!

 

 

 

アリス「あいたっ! 押さないでよ霊夢!」

 

 

魔理沙「は…!?」

 

 

霊夢「ホラー要素なんていらないでしょうが!」

 

 

アリス「ホラー!? 今のは愛と夫婦の」

 

 

霊夢「ここでも突っ込ませる気!? 疲れてんのよ私はぁ!」

 

 

魔理沙「えっ!? はぁ!?」

 

 

霊夢、アリス「?」

 

 

魔理沙「なっ…なん…はぁ!?」

 

 

霊夢「は?」

 

 

アリス「え?」

 

 

魔理沙、アリス、霊夢「…」

 

 

魔理沙「あ…あぁ分かったぞ? 霊夢、付き添いか?」

 

 

霊夢「あー?」

 

 

魔理沙「アリスが優勝して、んでツッコミ役としてお前が」

 

 

霊夢「は? 何言ってんの?」

 

 

魔理沙「あ? ち、違うのか?」

 

 

霊夢「違うわよ、付き添いでなんて来るわけ訳無いでしょうが、疲れがたまりまくってるのよこっちは…」

 

 

魔理沙「だ、だよなぁ」

 

 

アリス「私たちまさかの同点だったのよ♪ いやぁ♪ 流石霊夢と言ったところね、魔理沙愛は私にも負けて無かったというところかしら♪」

 

 

霊夢「愛はともかくとしてまぁ魔理沙とは長い付き合いだからね」

 

 

魔理沙「ほぇ~…マジかぁ、二人同点とかあのクイズ形式であり得るんだな」

 

 

霊夢「ね、驚いたわ」

 

 

アリス「私もよ♪ 私以外に優勝する人なんて絶対にいないと思ってたからね、まぁ優勝するのは私ってのは最初から決まっていた事なんだけど♪ これも偏に魔理沙、あなたへの愛があったからよ♪」ニンマリ

 

 

魔理沙「なんなんだよこの嬉しさに満ち溢れた笑顔は…」

 

 

霊夢「あんたなら分かるでしょ」

 

 

魔理沙「まぁ…優勝するのアリスだと思ってたからな」

 

 

魔理沙「…大変だったろ?」

 

 

霊夢「ツッコミって辛いわ…」

 

 

魔理沙「なんか…お疲れ」

 

 

霊夢「戻ったら咲夜にも言ってやって」

 

 

魔理沙「了解だぜ…」

 

 

アリス「んふふふ♪ ねぇねぇ魔理沙ぁ♪ 優勝賞品はなぁに? ま、まさか私との結婚式!? キャーッ♪」

 

 

魔理沙「安心してくれそんなもんはねぇから…あぁちょっと待ってくれ、優勝者一人だと思ってたからもう一枚書くぜ」ゴソゴソ

 

 

霊夢、アリス「書く?」

 

 

魔理沙「ほい、これが優勝賞品だぜ! 優勝おめでとう! 霊夢、アリス!」スッ

 

 

霊夢「ありが…ん?」

 

 

アリス「…? これは」

 

 

 魔理沙は二枚の紙切れを霊夢とアリスにそれぞれ手渡した

 

 

魔理沙「裏返してみ?」

 

 

霊夢、アリス「…?」スッ

 

 

 

 何やら字が書いてある

 

 

 

霊夢、アリス「『霧雨魔理沙を一日好きに出来る券』」

 

 

魔理沙「へへっ…♪ どうだ? ん?」

 

 

霊夢、アリス「…」プルプル

 

 

魔理沙「お、おいおい、感想ぐらいねぇの」

 

 

霊夢「いらなっ!?」

 

 

魔理沙「な、なんだとぉっ!?」

 

 

霊夢「いらないわよこんなもん!」

 

 

魔理沙「お、お前はなんてことを言うんだ霊夢!」

 

 

霊夢「一日好きに出来る券だぁ!? 一日中神社に入り浸ってることもあるあんたにこんなもん渡されても使い道ないじゃないのよ!」

 

 

魔理沙「バカお前良く考えろよ!? 掃除洗濯料理まで何でも命令出来るんだぞ!? 一日この魔理沙さんを好き放題だぞ!?」

 

 

霊夢「あんた料理シチューぐらいしか作れないじゃないのよ! それにあんたの掃除洗濯もなんか安心して任せてられんわ!」

 

 

魔理沙「な、なにぃ!? そ、そこまでいうことはねぇ」

 

 

アリス「キャーーーーーーーーーーーー♪」

 

 

霊夢、魔理沙「!!?」ビクッ

 

 

アリス「ま、魔理沙ぁ!! こ、こここ、こんな素敵な券も、ももももっも貰っちゃって良いの!? ねぇ良いの!?」

 

 

魔理沙「お、お、おう…」

 

 

アリス「さいっっっこうのプレゼントだわ!! あはぁん♪ 優勝してほんっっっっとに良かったぁ!!」

 

 

アリス「おかーさぁーん! 私、アリス・マーガトロイドは今幸せの真っ只中にいます!! 私を生んでくれてありがとーっ! んふふふふっ♪ あ、危ない危ない鼻血出そうになっちゃった…ぐふ、ぐふふふふ♪」

 

 

霊夢、魔理沙「う、うっわぁ…」ドンビキ

 

 

霊夢「あ、あんた…アリスが優勝するって分かってたのよね?」

 

 

魔理沙「おう…」

 

 

霊夢「あんな券優勝賞品にしちゃって大丈夫なの?」

 

 

魔理沙「…たぶん」

 

 

霊夢「えぇ…」

 

 

魔理沙「お、おいアリス! 言っとくがおさわりは無しだからな!?」

 

 

アリス「えぇー!?」

 

 

魔理沙「常識の範囲内での一日だ! それは分かれよ!?」

 

 

アリス「夜に一線を越えるのも無しなの!?」

 

 

魔理沙「当たり前だバカヤロー!」

 

 

アリス「どこまでがオッケーなの!? 指!? 指の先っぽまで!?」

 

 

魔理沙「何聞いてんだお前はぁ!!」

 

 

 

 ギャーギャー!

 

 

 

霊夢「…はぁ、あんなに頑張ってこれ?」ピラッ

 

 

霊夢「まぁ一応、貰っておくけどね」

 

 

霊夢「ふん…/// この券でこきつかってやろうじゃない、楽しみね…♪」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「魔理沙らしいプレゼントだわ、全く…ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 【そして…】

 

 

紫「お疲れみんな、まさか霊夢とアリスが同点だったとはね」

 

 

藍「私も最初結果を見たとき目を疑いましたよ、この先続けていても中々無いと思いますよ」

 

 

パチェ「結局出来レースだったわね…負けたのは悔しいけど、相手が悪すぎたわね」

 

 

レミリア「そうね、でも楽しかったでしょ?」

 

 

パチェ「……他には無い良い刺激だったから無駄だったとは思わないわ」

 

 

紫「ぱっつぁん、もうちょっと素直に喜びなさいよ、次やる時呼んであげないわよ?」

 

 

パチェ「…た、楽しかったわ…/// これで良い!?」

 

 

紫「素直でよろしい♪」

 

 

咲夜「ふふっ♪ お二人が楽しそうで何よりですわ♪」

 

 

魔理沙「おう咲夜、お疲れさん」

 

 

咲夜「あなたもね、はぁ…今日は本当に疲れたわ」

 

 

魔理沙「アリスの制御大変だったろ」

 

 

咲夜「まぁね、でもあの暴走で笑わせてもらったところもあるから悪い気はしないわね」

 

 

魔理沙「ははっ、たくましいなぁ」

 

 

アリス「刮目しなさい! これが優勝賞品の魔理沙を一日好きに出来る券よ!!」

 

 

レミリア「お、おぉー…」

 

 

パチェ「いらな…いや、この券を使えば本を取り返せたのでは…?」

 

 

霊夢「見せびらかすんじゃないっての」

 

 

 

 

紫「あ、にとり、録画はバッチリ?」

 

 

にとり「おう、バッチリだぞ」

 

 

紫「じゃあその録画データCDにしておいてくれる? あ、焼くって言うんだっけ?」

 

 

にとり「えっ? もうかい?」

 

 

紫「えぇ♪ 一枚だけで良いから」

 

 

にとり「あいよ、任せときな!」

 

 

紫「よろしくね♪」

 

 

文「…あの、紫さん」

 

 

紫「何?」

 

 

文「紫さんなら知ってるんじゃないですか? 魔理沙さんのお師匠さんのこと」

 

 

紫「…」

 

 

文「今は番組終わって疲れてますから聞く気力が無いだけですけど、皆さん相当気になってます」

 

 

文「それに管理人であるあなたが幻想郷の住人であろう、そのお師匠さんのことを知らないわけが無いと思うのですが」

 

 

文「どうなんですか?」

 

 

紫「……文」

 

 

文「…」

 

 

紫「私にも知らないことの一つや二つあるものよ」

 

 

文「…」

 

 

文(ゆかりんと言っていない…嘘ではないか)

 

 

文「そうですか…あ、なんかすいませんね」

 

 

紫「良いのよ別に、ゆかりん気にしてないわぁ♪」

 

 

文「…」

 

 

紫「…」

 

 

文(調べても無駄かな)

 

 

紫「…」

 

 

 

 

レミリア「次は誰になるのかしらね♪ また私も呼んでほしいわ!」

 

 

咲夜「出来れば今度はアリスが出題者になってほしいわね」

 

 

藍「それは…紫様の気分次第だな、うん」

 

 

 

 

 

魔理沙「かぼちゃはダメだったか?」

 

 

パチェ「ダメって訳じゃないけど…本当に魔法使い繋がりってだけの答えなのよね?」

 

 

魔理沙「当たり前だろ、体型で考えたとしたらお前はもやしじゃんか」

 

 

パチェ「そ、そんなにひょろひょろじゃないわよ!」

 

 

魔理沙「私からすればガリガリだよパチュリーは」

 

 

 

 

 

霊夢「帰ったら早速使うの?」

 

 

アリス「いいえ! 明日の24時01分に使うわ! これで丸一日魔理沙と一緒よ! あっはぁん♪ 魔理沙ぁ♪」

 

 

霊夢「早速その券のシステムの穴を突いてきたわね、魔理沙、南無」

 

 

 

 

 

紫(また楽しんでもらえた様ね♪)

 

 

紫(さぁ…次は誰にしようかしらねぇ♪)

 

 

 

 

 

 おしまい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 最終結果

 

 

 

霊夢    『149問』

レミリア  『90問』

咲夜    『114問』

パチュリー 『120問』

アリス   『149問』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【おまけ…】

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

 シーン…

 

 

紫「誰も居なくなったスタジオって雰囲気出るわねぇ♪ こう…なんというかオバケが出そうよねぇ」

 

 

紫「取り憑かれちゃって…呪われちゃうのね」

 

 

紫「キャーッ♪ ゆかりんこっわーい♪」

 

 

 ギュオン!

 

 

魅魔「怖いのはこっちのセリフだよ、一人で何喋ってんだお前は」

 

 

紫「キャー!? 本物のオバケー!?」

 

 

魅魔「オバケじゃない悪霊だ! わざと言ってんだろお前!」

 

 

紫「のーろーわーれーるー♪」

 

 

魅魔「終いには本気で呪ってやろうかお前は!!」

 

 

魅魔「はぁ…ったく何なんだよ急に呼びつけてよぉ、私をおちょくるために呼んだのか?」

 

 

紫「そんなんで呼ぶ訳無いでしょ、ゆかりん意味なく呼ばない」

 

 

魅魔「はぁ? ってうおっ!? 何だこれ…!?」

 

 

魅魔「おぉ? なんか外の世界のテレビ番組のセットに似てるな、なぁこれお前が作ったのか?」

 

 

紫「いいえ? まぁ依頼をしたのは私だけどね、幻想郷の優秀なエンジニアさんに」

 

 

魅魔「? あぁ河童か…それにしても良く出来てるなぁ」

 

 

魅魔「…で? 何で私を呼んだんだ?」

 

 

紫「魅魔にプレゼントあげようと思ってね」

 

 

魅魔「プレゼントぉ? おいおい…スキマから何か降ってくるんじゃ無いだろうな?」

 

 

紫「そんなことしません…はい、これ」スッ

 

 

魅魔「…? ん? CD?」

 

 

紫「あなた、菫子とあれから仲良くしてる?」

 

 

魅魔「あぁ、日本に旅行に行ったときは菫子と一緒に色んなところに行ってるんだ、この前も温泉旅行に行ってな、あれは楽しかったなぁ♪」

 

 

紫「ふふっ♪ そう…」

 

 

紫「なら問題無いわね、そのCDを菫子の家で一緒に視てみると良いわ、面白いテレビ番組が見られるわよ♪」

 

 

魅魔「テレビ番組?」

 

 

紫「えぇ♪ 幻想郷のテレビ番組…がね」

 

 

魅魔「…いつから幻想郷はそんなにハイテクになったんだよ」

 

 

紫「ゆかりんに不可能は無いわぁ」

 

 

魅魔「そのうち住人全員がケータイ持ちそうだな」

 

 

紫「それは無いわね、やりすぎはよくないもの」

 

 

魅魔「テレビ番組作ってる時点で充分やりすぎだろうに…まぁいいか、ここはお前の空間だしな」

 

 

紫「そういうことよ♪」

 

 

魅魔「じゃあこのCD、ありがたくいただいておくよ、早速菫子の家でゆっくり視聴させてもらおうかな」

 

 

紫「そうしてあげて? ふふっ♪」

 

 

魅魔「しかし、いきなりお前からのプレゼント…やっぱり何か裏があるのか?」

 

 

紫「無いわよ、疑り深いわね…ほら早く行きなさい」

 

 

魅魔「いきなり呼びつけたと思ったらこれかよ…それじゃあな、紫」スッ

 

 

紫「えぇまたね、魅魔」スッ

 

 

紫「…」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

紫「…ふふっ♪」

 

 

紫「お節介かもしれないけどあなたの育てた弟子と、その友達が楽しんでいる姿をあなたに見せたかったのよねぇ…♪」

 

 

紫「テレビ見ながら泣いちゃうかしら♪ なーんちゃって♪」

 

 

紫「…」ニコ

 

 

紫「楽しんでね、魅魔…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当におしまい!!

 

 

 






 魔理沙への質問を投稿していただいた方々! この場を借りて改めてお礼を申し上げます! ありがとうございました!




 今回少し下ネタ入れすぎたかなぁと…オブラートに包んではいますが…

 因みにキノコの問題でのアリスの解答『キヌガサタケ』触れられてはいませんでしたが実在しており、女性をその気にさせる成分があるらしいです、何故アリスが知っているのかは私も分かりません



 オマケで唐突に登場した魅魔については短編の『冬眠ゆかりん』を読んでいただければ何者かが分かる様になってます。



 次回は魔理沙の日常なのですが、彼女にとっては非日常になるかも…?

 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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【霧雨魔理沙の日常】『普通の魔法使い』



 魔理沙の日常になります、非日常…になるかも知れません。



 魔理沙の日常とは謳っていますが彼女なりに思う事があり、今回は幻想郷の色々なところに赴き話を聞いて回ります、魔理沙は住人と話す事が好きでもあるのでみんなに聞いてみたい事があるようです



 時期としては『霧雨魔理沙の200のコト、が終わってから三日後の夜』となっています、200のコトを読んでいないと分からないところがあるかと思いますので先にそちらを読んでいただけたらと思います…この様な形になってしまい申し訳ないです。

 話の補完は魔理沙の回想シーンで補えれば良いのですがそれでも分からない単語が出てくるので今回のお話は長めです

 また短編集にある『冬眠ゆかりん』ともお話がリンクしてます。







 それでは始まります♪





 

 

【現在、22時38分 魔法の森、霧雨魔法店】

 

 

 

 

 私、霧雨魔理沙は焦っていた

 

 

 

 

霧雨魔理沙「無い…! 無いっ…! ぬあぁっ…!」アセアセ

 

 

 

 

 ドサドサッ、ゴトゴトッ、パラパラッ…と、本の山が崩れ落ちて行く音が聞こえる。

 

 まるで湖を泳いでいるかの様に私は本という名の荒波にもまれ、もがいていた…博麗神社から家に帰ってきてからかれこれ一時間ずっとこんな感じだ。

 

 

 

魔理沙「いってて…! くっそ…! ぬおっ…!」

 

 

 

 私は自分の頭に落ちてきた本に怒りを覚えつつ、また本の荒波へと飛び込む。

 

 普段の私ならこの荒波に飛び込んだりしないし、本に怒りなんて覚えることはないんだけどな。

 

 

 ははっ、魔理沙さんらしくないよな、でも

 

 

 私は今、本気で焦っているんだ

 

 

 

魔理沙「何処行った…!? 何処だ…!? 出てきてくれ…!!」ガサゴソ 

 

 

魔理沙「師匠がくれた…あの魔導書…!」ガサゴソ

 

 

 

 

 大切な物、無くしちまったかもしれねぇからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 【時は遡り 10時間前、博麗神社】

 

 

 

 

博麗霊夢「掃除、ほら、落ち葉集めて」

 

 

魔理沙「へいへい」サッサッ

 

 

霊夢「丁寧にやりなさい」

 

 

魔理沙「やってるよ…」サッサッ

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「次、お茶」

 

 

魔理沙「へいへい」スッ

 

 

霊夢「ズズズッ…」

 

 

魔理沙「ど、どうでしょうかっ!」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「ぬるい、薄い、不味いっ!」

 

 

魔理沙「あぁ!?」

 

 

霊夢「…何か?」

 

 

魔理沙「い…いいえ…」

 

 

霊夢「いれ直して」

 

 

魔理沙「へい…」

 

 

魔理沙「霊夢め…この魔理沙さんがせっかくいれてやったのに文句ばっかり言いやがって…」ブツブツ

 

 

霊夢「あららぁ? 何か言ったぁ?」ニッコリ

 

 

魔理沙「いっ…! いいえっ…!?」

 

 

霊夢「ふ~ん…♪ そう♪」ニヤニヤ

 

 

魔理沙「ぐっ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「次、洗濯、井戸から水汲んで洗って」

 

 

魔理沙「へいへい…っておい、にとりが作ってくれた温泉のお湯使わせろよ」

 

 

霊夢「…♪」ピラッ

 

 

 

 霊夢は三日前に開かれた魔理沙のクイズ大会の優勝賞品である『霧雨魔理沙を一日好きに出来る券』を得意気な顔で魔理沙に見せ付ける

 

 

 

魔理沙「いいっ…! へいへい分かったよ、分かりましたよ博麗の巫女様ぁ!!」

 

 

霊夢「ふふふふ♪ それでいいのよ、それで」ニッコリ

 

 

魔理沙「ちくしょー…あいつ絶対地獄に落ちるぜ…」ボソッ

 

 

霊夢「あらぁ? 何か言ったぁ?」

 

 

魔理沙「い、いいえっ!」

 

 

霊夢「んっふふふふふ♪」

 

 

魔理沙(悪魔かアイツは…!)

 

 

 

 霊夢から言い渡される命令を朝から悉くこなした魔理沙、そんな彼女にもお昼休みという休憩が待っていた

 

 

 

 

 

魔理沙「流石に疲れたぜ…」

 

 

霊夢「はいお疲れ様♪ 良く働くじゃない、見直したわよ魔理沙」

 

 

魔理沙「良く言うぜ…朝からこきつかっといてよ」

 

 

霊夢「私は優勝賞品を有効活用しているだけなんだけどねぇ♪」

 

 

魔理沙「くそぉ…まさかお前が優勝するなんて思って無かったんだもんよ…」

 

 

霊夢「すいませんねぇ♪ アリスと二人で優勝してしまって…あっはっはっは♪」

 

 

魔理沙「お前…ノリが紫の婆さんみたいだぞ?」

 

 

霊夢「…! ……それはちょっと…」

 

 

魔理沙「悪いこと言わねぇからやめとけ、うん」

 

 

霊夢「…ほら休憩、休憩しましょ、人里のお饅頭とお煎餅、好きなだけ食べて良いからさ」

 

 

魔理沙「おう、ありがたくいただくぜ♪」

 

 

霊夢「んじゃ私も…」

 

 

 

 

 

霊夢「そういやさ」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

霊夢「今から二日前か、アリスこの券使ったんでしょ? どうだったの?」

 

 

魔理沙「!!? ……」

 

 

霊夢「…?」

 

 

魔理沙「お前…聞きたいのか?」

 

 

霊夢「まぁちょっと怖いもの見たさでね」

 

 

魔理沙「ふっ…アレはなぁ…なんというか」

 

 

魔理沙「アリスからしてみれば天国なんだろうが私からしてみれば地獄だったぜ、ずっとアリスの家に居たんだからな」

 

 

霊夢「あぁ…そうでしょうね」

 

 

魔理沙「日付が変わった瞬間に券を使いやがったんだぞ? もうな? 家の中ではわりと好きにさせてくれてたんだが不思議の国に一緒に連れてかれた気分だった」

 

 

魔理沙「『これは生き地獄だ、だからこの地獄を生き抜けば私は悟りを開ける筈だ』と根拠の無い何かを自分に言い聞かせながら一日を過ごしたんだ、正直夜の22時ぐらいから白目向いてたと思うぞ、無心だったんだろうな」

 

 

霊夢「そこまで!?」

 

 

魔理沙「一部抜粋して聞かせてやるぜ」

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

アリス・マーガトロイド『まぁ~りさ♪ はい♪ あーん♪』

 

 

魔理沙『……いいっての、ケーキぐらい自分で食えるからよ』

 

 

アリス『んふふふ♪ 一日魔理沙を好きに出来る券を発動ー♪』

 

 

魔理沙『!?』

 

 

アリス『従ってくれるわよね♪ はい♪ あ~ん♪』

 

 

魔理沙『くっ…! あ、あーん…』モグモグ

 

 

アリス『ふふ♪ 美味しい?』

 

 

魔理沙『…味は…味はな、うん』

 

 

アリス『いやぁん♪ 魔理沙に美味しいって言ってもらえたわぁ♪ ふふふ♪』

 

 

魔理沙(自分で食わせてくれ…!)プルプル

 

 

 

 

 

アリス『♪』ニコニコ

 

 

魔理沙『…アリスよぉ』

 

 

アリス『なぁに魔理沙♪』

 

 

魔理沙『私今よ、魔導書読んでるじゃん?』

 

 

アリス『うん♪』

 

 

魔理沙『…何で一緒に読もうとするんだよ』

 

 

アリス『魔理沙が何の本を読んでいるのか凄く気になるの♪』

 

 

魔理沙『嘘つくなよ、本の表紙で分かるだろうが、それにお前本の方見てないだろ』

 

 

アリス『えっ?』

 

 

魔理沙『私の顔ずっと見てんじゃんお前』

 

 

アリス『…』

 

 

魔理沙『…』

 

 

アリス『…』

 

 

魔理沙『…』

 

 

アリス『ふふっ♪』

 

 

魔理沙『ふふっじゃねぇよ』

 

 

 

 

 

アリス『魔理沙♪ 紅茶よ♪』

 

 

魔理沙『お、ありが…』

 

 

魔理沙『…おい』

 

 

アリス『なぁに魔理沙』ニコニコ

 

 

魔理沙『お前この紅茶飲めるか?』

 

 

アリス『…』

 

 

魔理沙『…』

 

 

アリス『ふふっ♪』

 

 

魔理沙『ふふっじゃねぇぞ!? 何を入れたぁ!?』

 

 

アリス『ちょっと…ほんのちょっとよ?』

 

 

アリス『体が火照っちゃう薬♪』

 

 

魔理沙『アホかお前っ!!』

 

 

 

 

 

 

アリス『んふふふ♪』

 

 

魔理沙『アリスさん』

 

 

アリス『なぁに魔理沙♪』

 

 

魔理沙『風呂に一緒に入るのは博麗神社の温泉以来ですね』

 

 

アリス『そうね♪ でも今はあのときとは違って霊夢も萃香も早苗も居ないわ♪ 私と魔理沙だけの空間よ♪』

 

 

魔理沙『そうですね』

 

 

アリス『むぅ…ねぇ魔理沙、さっきから何で敬語なの?』

 

 

魔理沙『私にも分かりません』

 

 

アリス『…はっ!? ま、まさかこれが夫婦の倦怠期ってやつなのかしら!?』

 

 

アリス『ねぇ魔理沙! 私あなたに飽きられちゃうの!? そんな事になったら私生きていけないわ魔理沙ぁ!! 倦怠期は嫌ぁ!』

 

 

魔理沙『知るかぁぁ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙『アリス…』

 

 

アリス『なぁに魔理沙♪』

 

 

魔理沙『何で同じベッドで一緒に寝るんですか…』

 

 

アリス『そりゃあ…ふふふっ♪』

 

 

魔理沙『…お休みなさい』

 

 

アリス『! ねぇねぇ魔理沙、お休みする前にこれを見て?』

 

 

魔理沙『…?』

 

 

アリス『ほら、この枕! 表にYES! 裏にはNO! って書いてあるでしょ?』

 

 

魔理沙『…あぁ?』

 

 

アリス『ほらっ! 私は今日はYES! YESなのよ魔理沙ぁ♪ もうね♪ 私は毎日イエスでも全然構わないのだけ』

 

 

魔理沙『お休みなさい』ボフッ

 

 

アリス『あぁんそんなぁ…魔理沙ぁ! もう寝ちゃうの!? これからなんじゃないの!? 夜はまだまだ長いのよ魔理沙ぁ!』

 

 

魔理沙(う、うるせぇ…!)

 

 

アリス『はっ!? ま、まさかこれは…!? 世に聞くじ、焦らしプレイと言うやつなのではっ!?』

 

 

魔理沙『黙って寝ろぉ!!』

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

霊夢「うっわぁ…」ドンビキ

 

 

魔理沙「私は少しでも救いがほしくて側に居た上海と蓬莱に『助けてくれ!』の眼差しを向けたんだが」

 

 

魔理沙「上海と蓬莱も引いてた…」

 

 

霊夢「自分の人形にまで引かれるとはね」

 

 

魔理沙「なんか気の毒になって助けを諦めたよ、自分の主が大暴走しているのを陰から見守る事しか出来なかったんだと思う」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「紫じゃねぇけどよ……」

 

 

魔理沙「マジでつれぇわ…」

 

 

霊夢「そりゃあつれぇでしょうよ…」

 

 

魔理沙「結局悟りも開けなかったしよ…」

 

 

霊夢「それは置いときなさいよ、うん」スッ

 

 

霊夢「…ほら、饅頭と煎餅食べてお茶飲んで元気出しなさい」

 

 

魔理沙「…ありがとな霊夢」

 

 

霊夢「うん…」

 

 

霊夢(アリス、あんた羽目を外し過ぎよ…)

 

 

魔理沙「あぁあの悪夢を思えばここは自由だなぁ…天国か…?」

 

 

霊夢「それは大袈裟、ここは神社よ」

 

 

 

 

 

 

【お昼休憩後…】

 

 

魔理沙「うっし! 食って元気出たぜ、愚痴を聞いてくれてありがとうな、霊夢」

 

 

霊夢「ふっ…そいつはどうも♪」

 

 

魔理沙「もうアリスの所に比べればもう何でも来いってやつだぜ! ほら、次の命令は何だ? 何でもこなしてやるぜ?」

 

 

霊夢「あ~…ん~そうねぇ…もうちょっと待っててくれる?」

 

 

魔理沙「ん? 待つ?」

 

 

霊夢「もうちょっとで来ると思うのよね」

 

 

魔理沙「? 何が?」

 

 

 

 

 すたすた ザッザッ

 

 

 

霊夢「あら…噂をすればね」

 

 

魔理沙「ん? おっ!?」

 

 

 

 

 

レミリア・スカーレット「アリス、あなた妙にお肌がツヤツヤしてるわね」

 

 

アリス「ふふっ♪ 何でか分かる? そりゃあ好きな人と同じ屋根の下で一日過ごしたらこうなるわよ♪ んふふふふふ♪」ツヤツヤ

 

 

レミリア「私も神社に泊まった事あるけどそんなにはならなかったわよ?」

 

 

パチュリー・ノーレッジ「…魔理沙は無事なのかしら、心に傷を負ったら直ぐには治せないわよ?」

 

 

十六夜咲夜「まぁあの魔理沙ですし、大丈夫だとは思いますけどね」

 

 

アリス「なんですって!? 魔理沙に心の傷がっ!?」

 

 

咲夜「アリス、それギャグよね?」

 

 

パチェ「ギャグじゃなかったらあなたの神経を疑うわ」

 

 

レミリア「あっはは…って笑い事じゃないわね、コレ」

 

 

 

 

魔理沙「いぃっ! アリス…!? ってあの面子は…」

 

 

霊夢「そう、クイズ大会の時の面子よ」

 

 

霊夢「…大会が終わった後ちょっと話し合ってね」

 

 

魔理沙「あ? 何をだよ」

 

 

霊夢「それをみんなであんたに説明、質問すんのよ」

 

 

魔理沙「…あー?」

 

 

 

 

 

 

 

 【霊夢たち、説明中…】

 

 

 

魔理沙「あ~…つまり?」

 

 

パチェ「話聞いてたの? あなたの師匠の事についてよ」

 

 

咲夜「クイズの時に文からの問題で質問されてたのは覚えてる? それを私たちに聞かれてたことも分かっているわね?」

 

 

魔理沙「まぁ、うん」

 

 

パチェ「気になるでしょ色々と、だから帰ってきた後このメンバーで話し合ったの『あなたの師匠の事についてあなたに聞こう』ってね」

 

 

レミリア「霊夢とアリスは存在は知っていたみたいだったけど、深くはあなたから聞いて無かった」

 

 

アリス「妻である私でもね、本当に『私には思い出せない師匠がいるんだ』ぐらいしか聞いてないのよ」

 

 

魔理沙「おいお前さらっと何言ってやがる」

 

 

霊夢「それは置いといて…とにかく魔理沙、私たちの質問に答えなさい」

 

 

魔理沙「…200問も質問責めされたのにまだ私に質問する気なのかよ」

 

 

パチェ「こっちは消化不良なのよ、気になってしょうがないの」

 

 

霊夢「この券、まだ私は使えるからこの券の文字通り好きにさせてもらうからね」

 

 

魔理沙「…ったく、そんなもん使わなくても答えてやるっての」

 

 

霊夢、レミリア、咲夜、アリス「…!」

 

 

魔理沙「別に隠すことでもないしな、今まで私の師匠のことについて聞かれてなかったから答えてなかっただけだ」

 

 

魔理沙「よーし何でも聞いてくれ、出来る範囲で答えてやる、ただこれだけは言っとくぞ? 本当に断片的にしか覚えてねぇんだ、それでも良いのか?」

 

 

パチェ「充分よ」

 

 

咲夜「じゃあ質問するわよ? でもその前にあのクイズ大会で聞けたことはこれ、書いてまとめてみたわ」

 

 

 

 『魔理沙には師匠がいるということ(女性)』

 『魔理沙は師匠を尊敬しているということ』

 『その師匠が人なのかどうかは覚えてない』

 『その師匠に出会ったのは10年も前』

 『師匠とのことは断片的にしか覚えていない』

 『師匠は魔法を使え、魔理沙に見せた事がある』

 『恐らく師匠とは短い間しか一緒に居なかった』

 『最後にマスタースパークを見せてもらった』

 

 

 

 

魔理沙「良く覚えてんな~…」

 

 

レミリア「咲夜が一晩でまとめあげてくれたわ♪ 流石ね、咲夜」

 

 

咲夜「恐悦至極でございますわ、お嬢様」

 

 

パチェ「で? どうなの?」

 

 

魔理沙「何が?」

 

 

パチェ「これは全部合ってるの?」

 

 

魔理沙「合ってる…たぶん」

 

 

霊夢「たぶん…ね」

 

 

アリス「これもうろ覚えなの?」

 

 

魔理沙「絶対に合ってるってもんはあるが、全部が全部合ってるとは思えんな」

 

 

魔理沙「特に『人なのかどうか』と『師匠とは短い間しか一緒に居なかった』は怪しいな、あぁ女性は合ってるぜ?」

 

 

魔理沙「他のやつも合ってる…うん、合ってるな」

 

 

レミリア「気になるのはマスタースパークよね」

 

 

霊夢、アリス(マスタースパーク…)

 

 

パチェ「そうそれよ、何故だか知らないけれどあの風見幽香も使ってたわよね」

 

 

魔理沙「お? おぉそういえばそうだな、何であいつ使えるんだ?」

 

 

咲夜「…逆に聞くけど、それ知らないの?」

 

 

魔理沙「知るわけ無いだろ『へぇー、幽香も使えるんだなぁ』ぐらいしか思ってないもんよ」

 

 

パチェ「あなたの師匠が使い、見せてくれたマスタースパークを風見幽香が使ってる事を不思議に思ったりしないの?」

 

 

魔理沙「……」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「そう言われると不思議に思えて来たぜ…あいつ何で使えるんだ?」

 

 

咲夜「知らないわよ、聞いたこと無いんだから」

 

 

霊夢「てか何で今の今まで不思議に思わなかったのよ、あんたの師匠の技なんでしょうが」

 

 

魔理沙「そんなのいちいち気になってられねぇだろ? 『幽香はマスタースパークが使える』ってのが私にとってはそれだけで充分だったんだよ」

 

 

霊夢「そういうのはあんたらしいけど…」

 

 

アリス「…? 魔理沙、あなた今『だった』って言った?」

 

 

魔理沙「あぁ言った」

 

 

魔理沙「お前らにそんな事言われたらなんか…気になって来ちまったよ…」

 

 

霊夢、アリス、レミリア、パチェ、咲夜「…」

 

 

レミリア「幽香が師匠だなんて事はないわよね?」

 

 

魔理沙「それはねぇな、断言してもいい」

 

 

レミリア「…そうよね」

 

 

パチェ「他に覚えてる事は無いの? 外見とか」

 

 

魔理沙「…そうだな」

 

 

魔理沙「外見…? まぁ…さっきから言ってるが人間かどうかは分からねぇ、ただ綺麗な顔はしてたと思う…それと……あっ!?」

 

 

魔理沙「髪! 髪の毛だ! 長い髪の毛だったぜ!」

 

 

魔理沙「色は…そう! 緑色だった!」

 

 

レミリア、パチェ、アリス、霊夢「緑色…」

 

 

咲夜(緑…確か魔理沙の好きな色は緑色)

 

 

咲夜「魔理沙、その調子よ、思い出せるところまで思い出してみて」

 

 

魔理沙「ん~と……えっと……」

 

 

アリス「ま、魔理沙…無理に思い出さなくても」

 

 

魔理沙「いや…! まて、待てよ…!? 服……服は…」

 

 

魔理沙「………私の服装に…似てる…か?」

 

 

魔理沙「……いやでもそうだな…全体的に…青色の服で…白もちょっと入ってて……頭に…たぶんあれは帽子…いや、何だあれ……頭巾っぽくて」

 

 

魔理沙「あれは……」

 

 

魔理沙「…………」

 

 

魔理沙「……」

 

 

魔理沙「…」

 

 

咲夜、パチェ、レミリア「…!」

 

 

アリス「!? ま、魔理沙? 魔理沙!?」

 

 

魔理沙「……」

 

 

霊夢「! 魔理沙ぁ!!」

 

 

魔理沙「!?」ビクッ

 

 

霊夢「はぁっ、はぁっ…」

 

 

アリス「ま、魔理沙…」

 

 

魔理沙「はっ、はっ…は…あ…あ、あぁ?」

 

 

霊夢「あ、あんた大丈夫…?」

 

 

アリス「眉間にシワ寄せて目を見開いて…息、してなかったわよ…? 大丈夫…?」

 

 

魔理沙「あ、あ、あぁ…だ、大丈夫だ」

 

 

咲夜「ごめん魔理沙…思い悩ませてしまったわね」

 

 

魔理沙「いや…良いんだ、お前が謝る事じゃねぇよ」

 

 

レミリア「…」

 

 

魔理沙「…なぁどうだ? なんかあったか? 師匠の手掛かり…」

 

 

パチェ「…」

 

 

パチェ「緑色の長髪であること…あなたの服装に似ているが、青色をベースとし、白色の部分が何処かしらにあるのがあなたの師匠の服装、そして帽子か頭巾を被っている」

 

 

魔理沙「……」

 

 

霊夢「それだけ覚えていれば会ったら一目で分かるんじゃないの?」

 

 

魔理沙「…たぶんな」

 

 

霊夢、咲夜、パチェ、レミリア「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

アリス「…ね、ねぇあのさ、この話…辞めない?」

 

 

アリス「別にいいじゃない魔理沙の師匠の事なんて、魔理沙は魔理沙なんだし、それに魔理沙の師匠の事を知ったって何かが変わる訳でも無いし」

 

 

アリス「それに…魔理沙がその事で辛い顔をして思い悩む姿を私は見たく無い…」

 

 

霊夢「アリス…」

 

 

魔理沙「…ありがとな、アリス」

 

 

アリス「…魔理沙」

 

 

魔理沙「でも私よ…今ので思い出したことがもう一個あるんだ」

 

 

アリス「えっ…?」

 

 

魔理沙「私には凄く大事な物だ、今まで忘れてた自分が嫌になるぜ」

 

 

霊夢「なんなの…?」

 

 

魔理沙「師匠が私にマスタースパークを見せてくれる前、小さかった頃の私に手渡してくれた物があるんだ」

 

 

魔理沙「一冊の魔導書…私が初めて手にした魔導書だ」

 

 

霊夢、咲夜、パチェ、レミリア、アリス「!!」

 

 

魔理沙「……」

 

 

 

 

 

 

 

【そして現在…】

 

 

 私は本にまみれた床に這いつくばりながら、師匠からもらったであろう魔導書を探していた。

 

 

魔理沙「コレか!? あっ違うな、コレはぱっつぁんのとこらから借りてきた奴だな、ここら辺は全部紅魔館のか」ポイッ

 

 

 私は立ち上がり、床に散乱しまくっている本を踏まないように他の本を探す

 

 

魔理沙「…ここら辺か?」

 

 

魔理沙(チクショー、こんなことになるなら少し掃除…いや、片付けて整理整頓しておけば良かったぜ)

 

 

魔理沙(師匠の本…何処にあるんだ…)

 

 

魔理沙(無くしちまってたら最低だな、私…)

 

 

魔理沙(いや、だが)

 

 

魔理沙(その本を大切にしてたっていう思い出は、私の中に確かに存在してるんだ…!)

 

 

 

 私はもう一度、本の海を掻き分ける

 

 

 バサッドサッ…再び、私の家にけたたましい音が鳴り響く

 

 

 

魔理沙「違う…! これも違う! これでもねぇ」

 

 

 

 私は一冊一冊を手に取り、表紙を見ては右、左、はたまた後ろへと本を放り投げる事を繰り返す

 

 

 

魔理沙「最後に読んだのは何時だ…? 思い出せよ霧雨魔理沙…! 大切な…! 大切なもんだろうがよ!」

 

 

魔理沙「……」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「…!! そうだ…!」

 

 

 

 バサッドサッ…! また私は本の海を掻き分ける、ある一点の場所を目指して

 

 

 

魔理沙「そうだ…何で気付かなかったんだ…」

 

 

魔理沙「私の机の…一番下の引き出し」

 

 

 普段私は本をしまうという事をしない、だから気付け無かったんだと思う、紅魔館から借りてきた本もそこら辺から拾って来た本も…机の上に放りっぱなしだったり床に山積みにしている

 

 死ぬまで借りてんだ、自分なりに大切にしてるつもりだったんだが

 

 

魔理沙「大切な思い出になってるもんには敵わねぇって事かな」スッ

 

 

 いつも魔導書を読むときに使っている机、椅子に腰掛けて机に向かって本を開いている私の机

 

 

 私はその四つの引き出しが付いている机の一番下の引き出しを開けた

 

 

 

魔理沙「…!! あった!」

 

 

魔理沙「これだ…! やったあったぞ! これが師匠がくれた魔導書だ!」スッ

 

 

 

 私は早速椅子に腰掛け机に向かい、その本を開く

 

 パラパラっとページを捲ってみた

 

 

 

魔理沙「うへぇ…古ぼけてやがる、文字も掠れてて読めやしねぇ、破けちまってるところもあるな…そんなに読んだって事なのか?」

 

 

魔理沙(著者は……書いてねぇな…師匠、名前くらい書いといてくれればいいのによ)

 

 

魔理沙「はぁ…うん?」

 

 

 

 私はその魔導書の最後のページを見た

 

 

 

魔理沙「…!? マスター…スパーク…か…?」

 

 

魔理沙「そう書いてあるな…うん、間違いねぇ」

 

 

魔理沙「……っ!?」

 

 

 

 

 

 

 キィィィン…!

 

 

 『いいか? ジジジジッ 最後……おわかジジジジッ… 目に焼き……』

 

 

 『おう!』

 

 

 キィィィン…!

 

 

 

 

 

 

魔理沙「はぁ…! はぁ…! は、はぁ!?」

 

 

 シーン……

 

 

魔理沙「な、何だ…!? い、今のは…!」

 

 

魔理沙「記憶…か? 私の、昔の…?」

 

 

魔理沙「あぁ…くそ…あったま痛いっ…」

 

 

魔理沙「はぁ…はぁ…」

 

 

 

 私は重い足取りでふらつきながら自分のベッドにダイブした

 

 

 

魔理沙(今日は…もう寝るか…本見つかったし、頭いてぇし…風呂も…明日で良いや…それに、明日は…)

 

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

【博麗神社】

 

 

パチェ『取り合えず一旦お開きね、あぁ魔理沙』

 

 

魔理沙『ん?』

 

 

パチェ『もしその魔導書が見付かったら私のところに来なさい、何か手助けしてあげられると思うわ』

 

 

魔理沙『おう、今日帰ったら探してみるぜ』

 

 

アリス『私も出来る限り手伝うわ、魔理沙』

 

 

魔理沙『サンキューな、二人とも…本を見つけたら先ずはアリスの家に行く事にするぜ』

 

 

アリス『分かったわ、ふふっ♪』

 

 

レミリア『魔法は私たちには専門外ね』

 

 

咲夜『パチュリー様とアリスにお任せしましょう』

 

 

霊夢『まぁこればっかりはね』

 

 

霊夢『…魔理沙』

 

 

魔理沙『あん?』

 

 

霊夢『あんまり一人で悩むんじゃないわよ』

 

 

魔理沙『! …へっ、んなこと分かってるぜ♪』

 

 

霊夢『…ならいいけどね♪』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(今…23時か…あぁいいや目覚ましは…めんどくせぇ)

 

 

魔理沙(今日は…疲れたぜ…)

 

 

魔理沙(……お休み)

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「スー…スー…」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【次の日、7時20分 魔法の森、霧雨魔法店】

 

 

 

 ドンドン! ドンドン!

 

 

 

魔理沙「かぁ~…くぉ~…」zzZ

 

 

 

 ドンドン! まぁ~りぃ~さぁ~!

 

 

 

魔理沙「んっ…んあっ…?」

 

 

 

 ドンドンドンドン! まぁ~りぃーさー!

 

 

 

魔理沙「……あぁ?」

 

 

 

 玄関のドアを叩く音と、外から聞こえる大きな声で目が覚めた

 

 

 

魔理沙「…うわっ、おいおいまだ7時じゃねぇかよ…もうちょっと寝かせてくれねぇかな…」

 

 

 

 まままま魔理沙ぁー! 出ぇて来いやー!

 

 

 

魔理沙「…」イラッ

 

 

魔理沙「はっはっはっは…騒々しい目覚まし時計だなぁ? えぇおい、セットした覚えはねぇぞぉ?」スッ

 

 

魔理沙「…」スッ

 

 

 

 ガチャッ!

 

 

 

魔理沙「朝から騒々しいわぁ! 誰だぁオルァ!」

 

 

 

ルーミア「わ~はは~のは~! なのだー!」

 

 

魔理沙「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

ルーミア「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「お疲れしたぁ」スッ

 

 

ルーミア「ぬおぉ!? ま、待つのだー! 扉を閉めないでほしいのだー!」

 

 

魔理沙「悪いな、これから魔理沙さんは二度寝タイムなんだ、てか朝っぱらから何しに来たんだお前は」

 

 

ルーミア「…」グゥー

 

 

魔理沙「…あ?」

 

 

ルーミア「腹へったのだ…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

ルーミア「飯」

 

 

魔理沙「…」

 

 

ルーミア「メシくれ」

 

 

魔理沙「たかりに来たのかよ!?」

 

 

ルーミア「腹へったのだー! 何か食わせてほしいのだ!」

 

 

魔理沙「ふざ…ふざけんなよお前ぇ…こちとらお前に叩き起こされて不機嫌なんだからな? それにタダでメシ食わせてやるほど魔理沙さんは甘くねぇぞ?」プルプル

 

 

ルーミア「ならこれやるのだ、さっきそこら辺で採ってきたのだ」

 

 

魔理沙「あん? …キノコ?」

 

 

ルーミア「たくさんあるのだ、これやるからメシを食わせてくれなのだ」

 

 

魔理沙「…これ食えば良いじゃねぇか」

 

 

ルーミア「調理された物しか食いたくねぇのだ」

 

 

魔理沙「贅沢な奴だな…」

 

 

魔理沙(お! カリスマリッシュルームもありやがるな)

 

 

ルーミア「うぅ…」キラキラ

 

 

魔理沙「キラキラの眼差しを向けんな」

 

 

魔理沙「……はぁしょうがねぇなぁ、昨日の残り物のシチューならあるからそれでいいか?」

 

 

ルーミア「!! おぉー♪ もちろんなのだ!」

 

 

ルーミア「おっ邪魔するのだー♪」

 

 

魔理沙「へいへい…」

 

 

魔理沙(随分早く起きちまったがまぁいい、予定変更だぜ)

 

 

魔理沙(これから風呂入って、メシ食って、んでアリスんとこ行くか)

 

 

ルーミア「ぬおっ!? な、なんなのだー!?」

 

 

魔理沙「あ…そういや本片付けて無かったな」

 

 

ルーミア「足の踏み場がねぇのだ…」

 

 

魔理沙「…ちょっと飛んで、椅子に座ってくれ」

 

 

ルーミア「分かったのだ」スッ

 

 

魔理沙「ルーミア、今から私風呂入って来るからよ、その鍋にシチュー入ってるから勝手に食って良いぞ、でも全部食うんじゃねぇぞ? 私の分も残しておいてくれ、分かったか?」

 

 

ルーミア「…」

 

 

魔理沙「…?」

 

 

ルーミア「魔理沙それは…フリなのかー?」

 

 

魔理沙「フリじゃねぇよアホ! 良いか!? 全部食うんじゃねぇぞ!? 分かったな!?」

 

 

ルーミア「…チッ」

 

 

魔理沙「舌打ちしてんじゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 私は風呂に入り、15分程で出た、ルーミアは私の言い付けを守りシチューを残してくれていた

 

 その事に関しては意外だったな、マジで全部食うと思ってたから…どうやら食べる速度を落とす事で食欲を抑える方法を身に付けたらしい、ゆっくり噛んで、ゆっくり味わう…流石グルメ妖怪だな…いや宵闇の妖怪だったか

 

 残っていたシチューを私はルーミアと一緒に食べ、朝食を終えた

 

 

 そしていつもの服に着替える…白と黒のお気に入りの服、帽子…後はショルダーバッグだ、いつも紅魔館から借りる本をこのバッグに入れている…だが今回はこれ以外は入れるつもりはない、師匠からもらったこの魔導書以外はな

 

 

 私はルーミアと共に家の外に出…ん? あぁ家の片付けか? んなもんは後で良いんだ、今日は大事な日になるかもしれねぇからな

 

 

 

 

ルーミア「んお? 魔理沙もお出掛けするのかー?」

 

 

魔理沙「あぁ、ちょっとな」

 

 

魔理沙「そういやお前はどうすんだ?」

 

 

ルーミア「私はこれから寺子屋なのだー」

 

 

魔理沙「あぁそっか、それじゃここでお別れだな」

 

 

ルーミア「おー♪ そーなのかー」

 

 

魔理沙「そーなのだー♪」

 

 

魔理沙、ルーミア「わはー♪」

 

 

ルーミア「わはは♪ 魔理沙、今日寺子屋に来てくれたりするかー?」

 

 

魔理沙「ん? あー、んまあ気が向いたら行ってやってもいいぜ」

 

 

ルーミア「そーかー♪ 分かったのだー」

 

 

ルーミア「じゃあまたなー魔理沙ー♪ シチュー美味しかったのだー♪」

 

 

魔理沙「おう、じゃあな」

 

 

 

 ルーミアはふよふよと人里の方に飛んで行った

 

 

 

魔理沙「あいつあんなゆっくり飛んで行って遅刻とかしねぇのかな…まぁいいか」

 

 

魔理沙「さてさて…」スッ

 

 

 

 私はこの魔法店に立てられている『なんかします』と書かれた看板の横に立て掛けられているお気に入りの箒にまたがり、宙に浮く

 

 

 

魔理沙「うし…! じゃあ行きますか」

 

 

魔理沙「先ずは…アリスの家からだな」

 

 

魔理沙「へっ…! 今日も一日頑張るぜー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【魔法の森、アリス邸】

 

 

 

魔理沙「おーいアリス、魔理沙さんが来てやったぜー!」

 

 

 シーン…

 

 

魔理沙「…あ? あいつまだ寝て…る訳ねぇよな、いつも7時には起きてるもんな」

 

 

 

 ガチャッ、と扉が開いた

 

 

 

魔理沙「お! おはよう、アリ…ス?」

 

 

上海人形「シャンハーイ♪」

 

 

魔理沙「上海? アリスはどうしたんだ?」

 

 

上海「シャン…ハーイ♪」スッ

 

 

魔理沙「ん? これは、手紙か?」

 

 

魔理沙「どれどれ」

 

 

 

『私の愛する魔理沙へ  私は少し気になることがあるので紅魔館地下図書館に朝早くから出掛けています、もしあなたがお師匠さんの本を見つけ、私のところに訪ねて来ているのだとしたらこの手紙を上海から受け取っているはず…紅魔館で会いましょう、魔理沙』

 

 

 

魔理沙「なるほど…分かったぜ、アリス」

 

 

魔理沙「てか気が利くなぁ、アリスは…お前のご主人様は暴走しなければ私の最高の相棒だぜ」

 

 

 魔理沙は上海を優しく撫でてやる

 

 

上海「! シャ、シャンハーイ…///」テレテレ

 

 

魔理沙「ふっ、そんじゃあ紅魔館に…!」

 

 

魔理沙「いや…待てよ…?」

 

 

上海「シャンハーイ?」

 

 

魔理沙「……ダメで元々だな」スッ

 

 

魔理沙「じゃあな上海、手紙ありがとな!」スッ

 

 

 ギューン!

 

 

上海「? シャンハーイ♪」フリフリ

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「この際だからな、色々と聞いてやるとするぜ」

 

 

魔理沙「幻想郷さんよぉ、今まで異変を頑張って解決しているこの魔理沙さんに少しでも感動をよこしやがってもいいんだぞ?」

 

 

魔理沙(……師匠、私は…)

 

 

 

 

 

 

 

 

【マヨヒガ】

 

 

 

八雲紫「だぁからぁ! 知らないって言ってんでしょうが!」

 

 

魔理沙「嘘つくんじゃねぇぞババア!」

 

 

紫「誰がババアだクルァ!!」

 

 

八雲藍「…」

 

 

紫「らぁん! この礼儀を弁えない不届きな若僧をさっさと追い出しなさい!」

 

 

魔理沙「藍! お前からも言ってやってくれよ! この嘘つきババアによぉ!」

 

 

紫「誰が嘘つきだクルァ!!」

 

 

魔理沙「あぁん!?」

 

 

紫「おぉう!?」

 

 

藍「どっちもどっちだと思いますけどね…」

 

 

魔理沙、紫「はぁ!?」

 

 

藍「!?」ビクッ

 

 

紫「クイズの時にも答えたでしょうが! 私は知らないって言ってんのよ! あなたの師匠の事なんかねぇ!」

 

 

魔理沙「言われたよ! でもよくよく考えてみるとお前が知らねぇ訳がねぇって思ったんだよ! 幻想郷の管理人であるお前がなぁ!」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙「お前なら幻想郷の住人全員の顔と名前ぐらい分かるだろ!? なぁ! それぐらい出来ないと幻想郷の管理人は勤まらない筈だ! はっ、そうかそうか…! 幻想郷の管理人さんの管理が杜撰だとそりゃあ藍も苦労するよなぁ!」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙「…! あ、あん?」

 

 

魔理沙「な、なんだよ…! なんか言い返してみろよババア!」

 

 

紫「魔理沙」

 

 

魔理沙「…!」

 

 

紫「私だって完璧な妖怪じゃないのよ」

 

 

紫「どんな能力にも弱点はあるように、どんな生物にも何かしらの欠点という物があるの」

 

 

紫「私だって完璧な管理人さんじゃないの、適当で不完全なところもあるのよ」

 

 

藍「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「…悪い、言い過ぎたぜ」

 

 

紫「魔理沙、一つ言っておくわ」

 

 

紫「私はあなたの師匠の事は知らない、答えられないわ」

 

 

魔理沙「……そうか」

 

 

藍「…」

 

 

紫「そのお師匠さんの本だったかしら? 見せてもらえる?」

 

 

魔理沙「おう」スッ

 

 

紫「これね…」ペラッ

 

 

魔理沙「藍も、知ってるわけ無いよな?」

 

 

藍「……残念だが、紫様がご存知で無いことは答えられんからな」

 

 

魔理沙「だよな…」

 

 

紫「…」

 

 

紫(こんなにボロボロになるまで…覚えて無いのでしょうけど小さい頃に何度も何度も読み返したんでしょうね)

 

 

紫(悪いわね、私にも譲れない物があるの…あなたも霊夢の親友なら私のこの気持ち、分かってくれるわよね)

 

 

紫(少しこの本におまじないを掛けておきましょうか…ごめんね、魔理沙)スッ

 

 

紫「魔理沙、返すわ」

 

 

魔理沙「おう…なんか、本当に悪かったな」

 

 

紫「本当に悪いと思っているならババア呼ばわりはやめなさいよ♪」

 

 

魔理沙「それとこれとは話が別だぜ…」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

魔理沙「笑うとこじゃねぇだろ」

 

 

紫「……よっぽどそのお師匠さんに会いたいみたいね」

 

 

魔理沙「あぁ」

 

 

紫「名前も顔も覚えていないお師匠様、そんな人ともし会えたとしたらあなたはどうしたいの?」

 

 

魔理沙「どうしたい…」

 

 

魔理沙「…そうだな」

 

 

魔理沙「会って謝りてぇし、お礼が言いたいな」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙「私を魔法使いという道に導いてくれたこと、そして今までの思い出を忘れちまっている事への謝罪だ」

 

 

魔理沙「忘れちまっている事に関しては怒られてもいい…てか怒られるのが当然だよな、あっははは!」

 

 

紫「…」

 

 

魔理沙「あの人に会ったから、今の私があるんだと思う」

 

 

魔理沙「だから色んな話をしてみてぇなぁ、異変解決の話とかさ」

 

 

紫「ふふっ♪ きっと喜んで聞いてくれるんじゃない?」

 

 

魔理沙「そう思うか?」

 

 

紫「あなたの師匠でしょ? だったらあなたに似てる筈、師匠は弟子に似るものよ」

 

 

魔理沙「それ普通逆じゃねぇか?」

 

 

紫「細かい事は気にしない気にしない♪」

 

 

魔理沙「はぁ…ったくよ~」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

魔理沙「へっ…んじゃ私そろそろ行くわ、邪魔して悪かったな」

 

 

紫「ごきげんよう♪」

 

 

魔理沙「じゃあな~♪」

 

 

 

 ギューン!

 

 

 

紫「…」

 

 

藍「…紫様」

 

 

紫「はぁ、私ああいう嘘苦手なんですけど…萃香と勇儀に嫌われたく無いんですけどねぇ…」

 

 

藍「…」

 

 

藍「魅魔殿…」

 

 

紫「あら、あなた覚えてたの?」

 

 

藍「私が小さい頃良く遊んでもらってた記憶がありますので」

 

 

紫「あぁそういえばそうだったわね、懐かしいわ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「魅魔の存在を知っているのは…私、藍、魔界の住人たち、幽々子…そして幻想郷が出来た時から居る最古参の住人と賢者クラスの住人」

 

 

藍「魅魔殿が魔理沙の前に姿を現さないのには理由があるんですよね?」

 

 

紫「そうよ」

 

 

藍「この先…隠し通していけるでしょうか」

 

 

紫「無理ね、間違いなく」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「藍」

 

 

藍「はい」 

 

 

紫「留守番頼めるかしら?」

 

 

藍「…分かりました」

 

 

紫「ふふっ、あらあら? 仕事サボって何処へ行こうというのかね? とか言わないの?」

 

 

藍「魔理沙のためになんとかしてあげるんでしょう?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「それは幻想郷の管理人としての仕事です」

 

 

紫「ふふっ…急に言うようになったわね」

 

 

藍「元からですよ」

 

 

紫「それじゃ…行ってくるわ」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

藍「行ってらっしゃいませ、紫様」

 

 

 

 ギュオン…!

 

 

 

藍「…でも、どうなさるおつもりなのだろうか」

 

 

 

 

 

 

【スキマ空間】

 

 

 

紫「先ずは悪霊師匠の確保…それから」

 

 

紫「ふふっ、あの子に手伝ってもらおうかしら」

 

 

紫「二ヶ月も一緒に居たんだから、嫌とは言わせないわよ?」

 

 

紫「ドレミー、あなたの力も必要だわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【香霖堂、店前】

 

 

魔理沙「よっと…到着だ」

 

 

魔理沙(香霖とはガキの頃からの付き合いだ、師匠のことも知ってるかも知れない)

 

 

魔理沙(今まで聞いたこと無かったからな…どんな回答をされんのか…)

 

 

 ガヤガヤ ガヤガヤ

 

 

魔理沙「あん? なんだ?」

 

 

 

赤蛮奇「だ、だから何回も言っているだろう!」

 

 

わかさぎ姫「もう何回も聞いたよ?」

 

 

赤蛮奇「なら何故分かってくれないんだ!?」

 

 

今泉影狼「だから、分かってるって蛮奇」

 

 

朱鷺子「うん♪ 分かってるよ蛮奇ちゃん」

 

 

赤蛮奇「絶対に分かってないだろう! それにお前は便乗犯じゃないか!」

 

 

魔理沙「…お前ら店の前で何やってるんだ?」

 

 

影狼「あ! あの時の人間!」

 

 

わかさぎ「魔理沙さん?」

 

 

赤蛮奇「た、助けてくれないか!? 霧雨魔理沙!」

 

 

魔理沙「あー?」

 

 

朱鷺子「あっ! 魔理沙さん!」

 

 

魔理沙「よっ、朱鷺子」

 

 

朱鷺子「はい! 香霖堂にようこそです♪ えへへっ♪」

 

 

魔理沙「で? 何やってるんだ?」

 

 

朱鷺子「あぁ~、それがですね…」

 

 

赤蛮奇「聞いてくれるのか!?」

 

 

魔理沙「お前の問題なのか…」

 

 

赤蛮奇「と、とにかく聞いてくれ! 私はこの二人にはめられようとしているんだ」

 

 

魔理沙「はぁ?」

 

 

赤蛮奇「私はこの二人…わかさぎ姫と影狼がやっている『草の根妖怪ネットワーク』とかいうものに入った記憶が無いんだ! それなのにも関わらずっ!」

 

 

赤蛮奇「私は入った事になっているんだ! 私の同意も無しにだぞ!? 何故私がこんなネットワークに入らなければならないんだ!?」

 

 

魔理沙「…いや、知らねぇよ!?」

 

 

影狼「そんな酷い事言わないでよ蛮奇!」

 

 

わかさぎ「そうだよ蛮奇ちゃん! 私たちもう仲間でしょ!?」

 

 

朱鷺子「そうだそうだー!」

 

 

赤蛮奇「ぐっ…い、何時からだ! 何時から私たちはそんな関係になったんだ!」

 

 

わかさぎ「あの天邪鬼異変以来からの仲でしょ!」

 

 

赤蛮奇「そんな前からか!?」

 

 

影狼「あの頃から」

 

 

わかさぎ「私たち」

 

 

朱鷺子「仲間だもんね♪」

 

 

影狼、わかさぎ、朱鷺子「イエーイっ♪」

 

 

赤蛮奇「…!?」

 

 

魔理沙「……まぁなんだ、流れに身を任せてみるのもアリなんじゃねぇの?」

 

 

赤蛮奇「わ…私は人里で静かに暮らしていたいだけで」

 

 

魔理沙「でもお前アレだぞ? 友達は多い方が良いぞ?」

 

 

赤蛮奇「!」

 

 

魔理沙「良いんじゃねぇの? 草の根妖怪ネットワーク、楽しそうじゃん」

 

 

赤蛮奇「…他人事だと思って言ってないか?」

 

 

魔理沙「いや、そんなことは無いぜ?」

 

 

赤蛮奇「…」

 

 

赤蛮奇(…流れに身を任せてみる、か)

 

 

赤蛮奇「検討してみるよ」

 

 

魔理沙「おう、その方が良いぞ」

 

 

赤蛮奇「…ありがとう」

 

 

魔理沙「お礼が言えれば上出来だぜ」

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「朱鷺子」

 

 

朱鷺子「はい?」

 

 

魔理沙「お前は草の根妖怪ネットワーク入らないのか?」

 

 

朱鷺子「あ〜私は良いですよ…蛮奇ちゃん、わかさぎちゃん、影狼さんでこそのネットワークだと思うので♪」ニッコリ

 

 

魔理沙(その割には妙に息が合ってたな、草の根妖怪…って程でももうねぇよな朱鷺子は)

 

 

魔理沙「あ~香霖さ、中に居るか?」

 

 

朱鷺子「はい! 居ますよ♪」

 

 

魔理沙「そうか…あっ、そういや最近どうなんだ?」

 

 

朱鷺子「ど、どうって…な、何がですか?」

 

 

魔理沙「惚けんなっての、香霖とだよ」

 

 

魔理沙「最近進展はあったのか?」

 

 

朱鷺子「へっ!? えぇぇ!? り、霖之助さんとですか!?」

 

 

魔理沙「他にねぇだろ?」

 

 

朱鷺子「そ、それは…/// え、えぇと…/// あうぅ…///」カァ

 

 

魔理沙「…まだか」

 

 

朱鷺子「だ、だって…こ、ここで働きはじめてまだ一年しか…///」

 

 

魔理沙「お前意外に奥手なんだな、アリスを見習っ…いやアレは見習うな、うん」

 

 

朱鷺子「は、はい?」

 

 

魔理沙「とにかくなんか進展あったら教えてくれよ? 私と霊夢なら相談にも乗れるからな?」

 

 

朱鷺子「! はい、ありがとう魔理沙さん!」

 

 

魔理沙(しっかしあの香霖が惚れられるとはねぇ…わかんねぇもんだわ)

 

 

 

 

 

 

【香霖堂】

 

 

森近霖之助「いらっしゃい、香霖堂へようこそ」

 

 

魔理沙「よっ香霖♪ なぁ外のあれはほっといて良いのか? ろくろ首に人魚に狼女って…見せ物小屋でも始める気か?」

 

 

霖之助「…なんだ、魔理沙か」

 

 

魔理沙「なんだとはなんだ、相変わらず失礼な奴だな」

 

 

霖之助「君に失礼と言われてしまったら僕の評判は地の底の底なんだろうね」

 

 

魔理沙「おいっ! そりゃどういう意味だ!」

 

 

霖之助「ふっ…いやすまない、少しからかい過ぎたかな」

 

 

魔理沙「ったく…そういうの朱鷺子にもやってんのか?」

 

 

霖之助「? 何故朱鷺子が出てくるんだい?」

 

 

魔理沙「朱鷺子が可哀想だなぁってさ」

 

 

霖之助「そんなことはしないよ、彼女は良く働いてくれているからね」

 

 

魔理沙「なんか…店少し綺麗になったな」

 

 

霖之助「僕としてはもう少し汚れていた方が味が出て雰囲気が出ると思うのだけれど、朱鷺子は掃除が好きみたいでね、勝手にやってしまうんだよ」

 

 

魔理沙「…お前の為に店綺麗にしてやってんだっつーの」ボソッ

 

 

霖之助「? 何か言ったかい?」

 

 

魔理沙「いんや、なにも…」

 

 

霖之助「?」

 

 

魔理沙(朱鷺子、お前頑張れよ? こいつは幻想郷一の鈍感男だからな)

 

 

 

 

霖之助「ところで今回はどういったご用件なのかな? また鉄クズでも拾ってきたのかい?」

 

 

魔理沙「いや…そんなんじゃねぇんだ、今日は話をしに来た」

 

 

霖之助「話?」

 

 

魔理沙「これに見覚えはないか?」スッ

 

 

霖之助「おや? 本…?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霖之助「これは…また懐かしい物を持ってきたね」

 

 

魔理沙「!」

 

 

霖之助「しかしあの時よりもかなりボロボロになっているね、字もかすれていて読めない程になってしまっている」

 

 

魔理沙「お、おい! 懐かしいってどういう意味だ!?」

 

 

霖之助「この本…原型は留めていないが昔君が小さい頃に良く読んでいた本だね?」

 

 

霖之助「君が僕に『これは魔導書なんだ』って嬉々として僕に言っていたのを記憶しているよ、もうかれこれ十年ぐらい前になるかな」

 

 

魔理沙「!! ほ、他に、他になんか言ってなかったか!?」

 

 

霖之助「他に?」

 

 

魔理沙「この本の持ち主の事とかさ! なんかもっと…他の情報だよ!」

 

 

霖之助「…何やら訳ありのようだね、良かったら説明をしてくれないかな?」

 

 

魔理沙「…! …聞いてくれるか」

 

 

霖之助「もちろん」

 

 

魔理沙「実はよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻 魔界の片隅にひっそりと佇む御殿では

 

 

 

 

 ある一人の悪霊が項垂れていた

 

 

 

 

【靈異殿】

 

 

 

サリエル「…」

 

 

エリス「ちょっとちょっと☆ 魅魔さん、マジでどうしちゃったん☆ さっきからテーブルに突っ伏して顔伏せちゃってさ☆」

 

 

魅魔「う~~~…」

 

 

エリス「いや、う~じゃねえし☆ う~だけじゃわかんねぇ☆」

 

 

魅魔「う~~~……あ''~~~」

 

 

サリエル「…」

 

 

エリス「あ~、が追加されてもわかんねぇぞ☆」

 

 

魅魔「マジで……」

 

 

サリエル、エリス「…?」

 

 

魅魔「……やべぇ」

 

 

サリエル「…やべぇ?」

 

 

魅魔「やべぇよ……」

 

 

エリス「何がやべぇのか分かんねぇからこっちがやべぇぞこらぁ☆」

 

 

魅魔「だから……やべぇんだって…」

 

 

エリス「キャハッ☆ なんか重症じゃん☆」

 

 

サリエル「…魅魔、これ以上ふざけるつもりならあなたの頭から壊死させるわよ…」

 

 

魅魔「……」

 

 

サリエル、エリス「…」

 

 

魅魔「いっそのこと殺ってくれ…」

 

 

サリエル「……」

 

 

エリス「キャハッ☆ パネェ☆」

 

 

エリス「てかサリエルさん、魅魔さんマジでヤバくない?」

 

 

サリエル「…割りとマジでやべぇわね……悪霊が死にたがるなんてマジでやべぇわ……」

 

 

エリス「魔界滅ぶんじゃね☆」

 

 

サリエル「…住みかを追い出されるのは嫌ね……」

 

 

魅魔「くっそ……紫のやつぅ……!」

 

 

サリエル「…紫…?」

 

 

エリス「ん☆ ゆかりん絡みなん?」

 

 

魅魔「あんなっ……! あんなもんっ……! あんな心にダイレクトに来る様なもん見せやがって…!」

 

 

サリエル「…見せやがって…?」

 

 

エリス「キャハッ☆ ダイレクトアターック☆ ってか? キャハハハハッ☆」

 

 

魅魔「……」

 

 

サリエル「…エリス……」

 

 

エリス「ちょーごめん…」

 

 

魅魔「……紫によ、CD渡されたんだよ…」

 

 

エリス「シーディーってなんぞ?」

 

 

サリエル「…紫に聞いたことあるわ…専用の機械があれば映像を記録したり、その記録した映像を再生し、見ることが出来る物……」

 

 

エリス「それの方がやべぇ☆」

 

 

魅魔「そのCD…菫子と一緒に見たんだけどよ…」

 

 

サリエル「…菫子……クフフ♪ 元気かしらね……」

 

 

エリス「また会いたいぜ☆ 菫子ちゃん☆」

 

 

魅魔「…内容がよ…私の弟子に200問質問するって内容だったんだけどよ…」

 

 

魅魔「…もう…なんつーかさ…ぜってぇこれ狙ってんだろって問題が幾つかあってさ…」

 

 

魅魔「弟子の魔理沙が…私のこと覚えて無くても尊敬してるだとか…魔法使いになる切っ掛けが私だとか、私が撃ったマスタースパークが印象に残ってるだとかさ…」

 

 

魅魔「そんなことお前らさぁ…言われてみろよお前……やべぇだろぉ……?」

 

 

エリス「キャハッ☆ やべぇの使い方間違ってね?」

 

 

サリエル「…つまりは…嬉しいのね? 魅魔…」

 

 

魅魔「!!」

 

 

エリス「弟子にそんな風に思われてたらそりゃやべぇわ☆ 嬉しくなって会いたくなっちまうわ☆」

 

 

魅魔「…!」

 

 

サリエル「…前に…頭が忘れていても心と体は覚えているもの……私はそう言ったわ…忘れたとは言わせない…」

 

 

サリエル「…心に残った僅かな記憶の欠片を紡いで…あなたの弟子はあなたを思い出そうとした…その気持ちをあなたは感じとり…心が暖かくなった…そうね…?」

 

 

魅魔「…! ……」

 

 

エリス「…魅魔さんもうさ、会ってやりゃいいんじゃね☆ 良い機会じゃん?」

 

 

魅魔「そんな簡単に言うんじゃねぇよ…! それに……」

 

 

サリエル「…弟子のマスタースパークが完成に到って無いから会えない…あなたは前にそう言っていた…」

 

 

サリエル「…それに対し紫はこう言った…『十年経って顔も覚えていない自分の弟子にどうやって声を掛けたら良いのか分からない恥ずかしがり屋の言い訳』…と…」

 

 

サリエル「……今のあなたを見ていると紫の答えが正しかったのだと思えて来たわ…」

 

 

サリエル「…本当は自分の弟子に会いたくて会いたくて堪らないんでしょう……?」

 

 

魅魔「…!! それは…」

 

 

サリエル、エリス「…」

 

 

エリス「夢の世界で魅魔さんが話してくれた魔理沙って人間の話、私好きだよ☆ なんか良いじゃん? そういう雰囲気と関係」

 

 

魅魔「…」

 

 

エリス「素直になれねぇ師匠と、その師匠に会いたい人間の話ってやつ?」

 

 

魅魔「魔理沙が私に会いたい? 何でそんなことが分かるんだよ」

 

 

サリエル「…その映像を見ていなくても…尊敬している、魔法使いに導いた、あなたの魔法が印象に残っている…これ等の答えから導き出されるのはその魔理沙という人間があなたに会いたがっているという事実…」

 

 

魅魔「…!」

 

 

サリエル「…そんなことが分からないあなたじゃない筈…」

 

 

魅魔「…私は」

 

 

サリエル、エリス「…」

 

 

サリエル「…!」スッ

 

 

エリス「サリエルさん?」

 

 

サリエル「…誰か来るわ」

 

 

エリス「ほぇ?」

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「よっと…サリエル、お邪魔するわね」

 

 

サリエル「…紫」

 

 

エリス「おっ☆ ゆかりんじゃん☆」

 

 

紫「エリスも久し振りね♪」

 

 

魅魔「! 紫…! お前っ…!」

 

 

紫「……魅魔、探したわよ」

 

 

魅魔「探した…?」

 

 

紫「…あのCD、見てくれたの?」

 

 

魅魔「…」

 

 

エリス「見たからここで項垂れてた件☆」

 

 

紫「項垂れていた?」

 

 

サリエル「…説明してあげるわ…」

 

 

 

 

【死の天使、説明中…】

 

 

 

紫「…」

 

 

サリエル「…そういう事よ…」

 

 

エリス「魅魔さん素直じゃねぇから☆」

 

 

紫「…ほんとにその通りね」

 

 

魅魔「…」

 

 

紫「魅魔、私があなたを探していたのには訳があるの、一緒に着いてきてもらうわよ」

 

 

魅魔「…? 何処に連れていく気だ」

 

 

紫「幻想郷よ、あなたに着いてきてもらわないと困るの」

 

 

魅魔「なに…?」

 

 

紫「魔理沙があなたに会いたいが為に情報を集めて回ってる」

 

 

魅魔「!!」

 

 

紫「幻想郷であなたの存在を知っている者はあなたの事を絶対に話さないでしょう、あなたは幻想郷では伝説の悪霊だからね」

 

 

紫「保険は掛けておいてあるけど魔理沙の行動は私にも予測しづらい…何時かは真実に辿り着いてしまうかもしれない、そうなった場合あなたに会いたいという欲求は益々エスカレートしてしまう可能性も無くはない」

 

 

紫「地道な努力の積み重ねが今の魔理沙を形作っている、あなたに会いたいという努力も欠かさないでしょう、だからこそ」

 

 

紫「危険な事をしてまで、あなたに会う可能性も無くはないのよ」

 

 

魅魔「…!」

 

 

サリエル、エリス「…」

 

 

魅魔「……」

 

 

エリス「魅魔さんもうさ、腹決めなよ」

 

 

サリエル「…」

 

 

魅魔「…」プルプル

 

 

 魅魔は体を震わせる、両手の握りこぶしに力を入れ、何かを我慢するかのように

 

 

 

紫「あなたの何がそこまで我慢させてるの?」

 

 

魅魔「っ…! ……わかんねぇ…」

 

 

紫、エリス、サリエル「!」

 

 

魅魔「わかんねぇから……辛いんだよ…」

 

 

サリエル「……日々の積み重ねが無意識に変なプライドを作ってしまった……」

 

 

エリス「…笑えなくなっちまうな」

 

 

紫「ほんとにね…」

 

 

魅魔「…」

 

 

紫「魅魔、私は『つれぇつれぇ』って毎日のように言ってるけどね、本当につれぇのは」

 

 

紫「自分の一番好きな人に会えなくなるということよ」

 

 

魅魔「…!」

 

 

紫「あなたは魔理沙に会わなければならない、会わないとあなたも魔理沙も変われない」

 

 

紫「直接会うのが嫌だと駄々を捏ねても良いわ、でも間接的には会ってもらうわよ」

 

 

紫「あなたと魔理沙の為にもね」

 

 

魅魔「…! どうする…つもりだよ」

 

 

紫「会ったときに何と言葉を掛けてあげるかは自分で考えなさい、その代わり私はあなたたち二人が誰にも邪魔をされず、二人きりになれる空間を作ってあげるわ」

 

 

紫「協力してくれる者にはもう話は付けてある、後はタイミングとあなたの行動力」

 

 

紫「魅魔、私と一緒に幻想郷に来なさい」

 

 

魅魔「……」

 

 

魅魔「…」

 

 

魅魔(魔理沙…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【場は戻り、香霖堂】

 

 

魔理沙「…!」

 

 

霖之助「僕が君に会う度に君はその本をずっと読んでいた、時には話を聞かなくなるほどに熱中して読んでいたよ」

 

 

霖之助「『師匠から貰った物なんだ、すげぇんだぜ! その師匠!』君はその類いの事しか言わなかった」

 

 

霖之助「僕がその師匠はどんな人だ? と聞いても君は『秘密だぜ♪』と言い、詳しくは語ってくれなかった」

 

 

魔理沙「何やってんだよ…ガキの頃の私」

 

 

霖之助「子供は自分だけの秘密を持ちたがるものだよ、何ら不思議な事じゃない」

 

 

魔理沙「それで今の私が苦しんでたら世話無いぜ…」 

 

 

霖之助「…」

 

 

魔理沙「てか…私に師匠がいるって覚えててくれたんだな」

 

 

霖之助「あんなにしつこく聞かされていればね」

 

 

魔理沙「私の言動とかもよく覚えてたな」

 

 

霖之助「長い付き合いだからだろうね」

 

 

魔理沙「…そっか」

 

 

魔理沙「…ありがとな香霖、良い収穫だったぜ」

 

 

霖之助「それはどうも…収穫?」

 

 

魔理沙「あぁ、私は心のどこかで『師匠の事を覚えて無いのは、何か嫌な思いをしたからなんじゃないか…』とか、私らしく無いことまで考えてたんだ」

 

 

魔理沙「でも香霖から聞く限りじゃ、私は嫌な思いなんて何一つしてなかった、それどころか本を大切にして嬉々としてずっと読んでいたなんてな、はははっ!」

 

 

魔理沙「本当にありがとよ香霖、なんか肩の荷が下りたぜ!」

 

 

霖之助「ふっ…それは何よりだ」

 

 

魔理沙「じゃあ私行くわ、今度はなんか拾って持ってきてやるぜ」

 

 

霖之助「あぁ、楽しみにしているよ」

 

 

魔理沙「そんじゃあな♪」スッ

 

 

 ギィィ、バタン…

 

 

 

霖之助「…」

 

 

霖之助(あの本と魔理沙の師匠…僕は本当にその師匠が何者なのかは分からない)

 

 

霖之助(だがそれが元で魔理沙は魔法使いを目指すようになり、霧雨道具店…彼女の両親から)

 

 

霖之助(…いや、やめておこう)

 

 

霖之助(今の僕に出来ることは黙って見守ること、それだけで充分だ)

 

 

霖之助(魔理沙なら自分で答えを導き出せるだろうからね)

 

 

 

 

 

【幻想郷、上空】

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙(…もっと情報を集めてみるか)

 

 

魔理沙(まだまだ、時間はたっぷりあるからな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【白玉楼】

 

 

西行寺幽々子「この本の持ち主~?」

 

 

魔理沙「そうだ、心当たりねぇか?」

 

 

幽々子「ん~……無いわねぇ♪」

 

 

魔理沙「おい答え出すの早すぎだろ! もっと考えてくれよ!」

 

 

幽々子「考えたわよぉ? でもこんなにボロボロの本、何が書いてあるのかも分からないし何も感じないわぁ♪」

 

 

幽々子「感じ取れるのはあなたがこの本の持ち主にとても会いたいという事、それだけねぇ♪」

 

 

魔理沙「…まぁそっか、紫が知らねぇんじゃお前が知るわけねぇもんな」

 

 

幽々子「あらあら紫に聞いてたの? ならここに来るのはお門違いよ♪」

 

 

魔理沙「だよな…」

 

 

魔理沙「ま、話聞いてくれてありがとよ、邪魔したな」

 

 

幽々子「あぁ、魔理沙」

 

 

魔理沙「あん?」

 

 

幽々子「私は亡霊だからね? 勘違いしないように」

 

 

魔理沙「そんな分かりきった事何で今言うんだよ」

 

 

幽々子「さぁ? ふふふっ♪」

 

 

魔理沙「相変わらず分からん奴だな…」スッ

 

 

 

 ギューン!

 

 

 

幽々子「…」

 

 

幽々子「亡霊…幽霊…悪霊…同じ霊という名の言霊でもその意味は大きく異なる」

 

 

幽々子「久し振りに会いたいわぁ♪ 博麗神社の悪霊さんに、ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

【永遠亭】

 

 

魔理沙「また何やってるんだ? お前らは」

 

 

藤原妹紅「ぐっ…! どっちが…!」

 

 

蓬莱山輝夜「うっ…! 先にギブアップするかの勝負よ…!」

 

 

魔理沙「異様な光景だぞ? 月の姫と蓬莱人が逆さ釣りなんてよ」

 

 

輝夜「も、妹紅…! そろそろ頭に血が上り過ぎて頭がフジヤマヴォルケイノなんじゃないのかしら…!?」

 

 

妹紅「お、お前こそ…! 頭に血が上り過ぎてエイジャの赤石が口から飛び出て来そうになってんじゃねぇか…!?」

 

 

魔理沙「…お前ら実はバカだろ」

 

 

妹紅、輝夜「コイツと一緒にするな!」

 

 

妹紅「おっ…!」

 

 

輝夜「うっ…!」

 

 

妹紅、輝夜「き、気持ち悪い…」

 

 

魔理沙「バカじゃねぇか」

 

 

妹紅「普通の殺り合いじゃつまらないからな…」

 

 

輝夜「今度は我慢で勝負しようと思ったのよ…」

 

 

魔理沙「何でそれを選んだんだよ!?」

 

 

輝夜「普通じゃ面白くないでしょ、不老不死舐めんじゃにゃいわよ」

 

 

妹紅「笑いたきゃ笑えよ、こっちは真剣に勝負してんでしゅよ」

 

 

魔理沙「頭に血が上り過ぎて口調が変になってるぞ?」

 

 

魔理沙(…不老不死、か)

 

 

魔理沙(捨虫の魔法を使えば私も…)

 

 

八意永琳「魔理沙」

 

 

魔理沙「! お、おう…永琳」

 

 

永琳「…? 大丈夫?」

 

 

魔理沙「な、何が? 魔理沙さんはいつも健康だぜ?」

 

 

永琳「…調べてみた結果、出たわよ」

 

 

魔理沙「そうか…! どうだった?」

 

 

永琳「この本が書かれたのは少なくとも二十年前、あなたの言う師匠とやらがこれをくれた時ぐらいの年代のもの」

 

 

永琳「素材は幻想郷に存在している物よ、紙、書いたペン等、全て人里で入手出来る物ね」

 

 

魔理沙「! そうか」

 

 

魔理沙「はぁ…私の師匠は『月の民説』は外れか」

 

 

永琳「残念だったわね、でもその師匠が幻想郷に居た事は確かだと思うわ」

 

 

永琳「少し希望が見えたんじゃない?」

 

 

魔理沙「あぁそうだな! 協力してくれてありがとうな、永琳!」

 

 

永琳「どういたしまして」

 

 

妹紅「ふぁぁ…? な、なにぃ…?」

 

 

輝夜「まりぃしゃあ…あなひゃひひょういるの…?」

 

 

魔理沙「頭に溜まった血を体に戻してまともな日本語喋れるようになってから聞きやがれ!!」

 

 

永琳「はぁ…」アタマカカエ

 

 

 

 

 

 

 

 

【守矢神社】

 

 

東風谷早苗「えぇぇぇぇぇっ!!? ま、魔理沙さんに師匠がいるんですか!?」

 

 

魔理沙「想像してた通りの反応をするなお前」

 

 

早苗「そりゃあそうですよ! あの傍若無人で人の迷惑考えない魔理沙さんにも尊敬する人がいるんですね! 私ちょっと感激です! 尊敬することが出来るんですね!」

 

 

魔理沙「好き放題言いやがるな早苗ぇ!」

 

 

八坂神奈子「ふむ…こんなにボロボロでは何が何だか分からんな」

 

 

洩矢諏訪子「汚ない本だなぁ…神奈子の注連縄みたいだ」

 

 

神奈子「あぁそうだな、程好い茶色で…って何だと!?」

 

 

諏訪子「ケ~ロケロケロ♪」

 

 

早苗「ふくっ…! ふふふふっ…!」プルプル

 

 

神奈子「早苗、何故笑う!?」

 

 

魔理沙「おい喧嘩してねぇでよ、その本から何か感じないか? 神の力的な奴とかさ」

 

 

神奈子「…いや感じるも何も…こう、読めないとな」

 

 

早苗「文字には不思議な力がありますからね、そこからパワーを得る事も可能ではありますけど」

 

 

神奈子「本自体には神の力や魔力等の力は感じられん、文字にもな」

 

 

早苗「その師匠さんから渡された時はどうだったんですか?」

 

 

魔理沙「…わかんねぇ、まだ何も知らないガキだったからな」

 

 

諏訪子「…」

 

 

早苗「ふーむ…情報が少なすぎますねぇ」

 

 

神奈子「八百万の神々にもお前が語ってくれた風貌の神はいないな、魔理沙の師匠は何かしらの神では無いのだろう」

 

 

魔理沙「う~ん…神でもねぇのか」

 

 

諏訪子「…」ジーッ

 

 

神奈子「すまないが、力になれそうにないよ」

 

 

魔理沙「いや良いんだ、私もダメ元で色んな所に行ってるからよ」

 

 

早苗「魔理沙さんの師匠さんには私も会ってみたいですね、どんな方なんでしょうか」

 

 

魔理沙「それは私のセリフだぜ…」

 

 

諏訪子「…ほい魔理沙、本返すよ」スッ

 

 

魔理沙「おう」スッ

 

 

魔理沙(一通り回ったな…次は…)

 

 

魔理沙「ありがとなお前ら、そんじゃあ」

 

 

早苗「あ、待ってください魔理沙さん!」

 

 

魔理沙「ん?」

 

 

早苗「ふふふ…! 魔理沙さんがその師匠さんに会えるように守矢の奇跡をその体にしっかりと」

 

 

魔理沙「お疲れしたぁ」

 

 

早苗「ちょっ!? ちょっと待ってくださいよ!!」

 

 

魔理沙「あのなぁ、こちとらお前の宗教勧誘に付き合ってる暇ねぇんだよ」

 

 

早苗「が、願掛けぐらいしていってくださいよ!」

 

 

魔理沙「金取るんだろ?」

 

 

早苗「むっ…! 無料でいいですよ!?」

 

 

魔理沙「意地かよ…まぁそれなら良いか」

 

 

早苗「ではどうぞどうぞ♪」

 

 

諏訪子「…」

 

 

神奈子「たくましいね早苗は」

 

 

諏訪子「そだね」

 

 

諏訪子(あの本から私と同じ何かを感じたんだけど気のせいかな…?)

 

 

諏訪子(私の場合は祟るだけど…あれは…)

 

 

諏訪子(…いや、やっぱり気のせいだね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【太陽の畑、幽香の家】

 

 

 

魔理沙「あれ…良いのか? メディスン」

 

 

風見幽香「大事な話がしたいんでしょう? メディなら外でプリズムリバー達と談笑中よ」

 

 

魔理沙「ははっ、賑やかになったなぁここも」

 

 

幽香「…で? 話ってなんなのかしら?」

 

 

魔理沙「あぁ…取り敢えずこの本を見てくれるか?」スッ

 

 

幽香「本?」

 

 

魔理沙「誰が書いたとか…知ってたりするか?」

 

 

幽香「……知らないわね」

 

 

幽香「こんなボロい本で誰が書いたとか予測することなんて難しいんじゃないのかしら、中も何が書いてあるか分からないもの」

 

 

魔理沙「最後のページ、読んでみてくれるか?」

 

 

幽香「……!」

 

 

魔理沙「お前なら分かるだろ…? それはマスタースパークの使い方だ」

 

 

魔理沙「その本は…私の師匠が書いたもんなんだ」

 

 

幽香「師匠…?」

 

 

幽香(まさかあいつが…?)

 

 

幽香「…謀ったわね魔理沙」

 

 

魔理沙「!」

 

 

幽香「あなたこれを書いた人物を知ってるんじゃない、それなのに『誰が書いたか分かるか』と聞いた…」

 

 

幽香「…何が望み?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「すまねぇ…でも知りたいだけなんだ」

 

 

魔理沙「顔、名前、性格…全く覚えて無いんだが、私には十年前に師匠がいたみたいなんだ」

 

 

魔理沙「覚えているのは断編的なものばかり、緑の長い髪、青い服装、そして私との別れ際にマスタースパークを放って見せてくれたこと…その他は分からないんだ、いつ別れたとかもな」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香(魅魔…まさか魔理沙の師匠をやっていたとは…だから魔理沙もマスタースパークを…)

 

 

幽香「……そんなやつ見たこと無いわね」

 

 

魔理沙「本当にか?」

 

 

幽香「例え知っていたとしても私を謀ろうとするようなやつには教えたくないわね」

 

 

魔理沙「! ……」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香(…余程知りたいようね)

 

 

幽香「他に聞きたいことは?」

 

 

魔理沙「! 良いのか?」

 

 

幽香「許可するわ」

 

 

魔理沙「じゃあ聞くぞ? これが最後だ」

 

 

魔理沙「何でお前はマスタースパークを使えるんだ?」

 

 

幽香(……そうきたか)

 

 

魔理沙「私は師匠に…そしてこの本があったからこそマスタースパークを使える事が出来るようになったんだ」

 

 

魔理沙「師匠が私に見せてくれたのは覚えてる…それだけははっきりと覚えてるんだ」

 

 

魔理沙「でも幽香…お前は何で使えるんだ?」

 

 

幽香「…」

 

 

魔理沙「師匠を見たこと無いって言ってたがマスタースパークは私の師匠のオリジナルの筈だ、だから幽香…」

 

 

幽香「…」

 

 

幽香(……言うべきか? いや、私に聞く前にスキマ野郎に聞いている可能性があるわね)

 

 

幽香(何故だか分からないけど言えない事情があるのだとしたら…?)

 

 

幽香(…ふっ……貸しよ…紫)

 

 

幽香「魔理沙」

 

 

魔理沙「!」

 

 

幽香「私のマスタースパークだけどあなたと、あなたの師匠の使っているやつとは全くの別物よ」

 

 

魔理沙「なっ…!? なに!?」

 

 

幽香「同じ物だと思っていたの? 心外ね」

 

 

幽香「私のマスタースパークは私だけの物…あなたたちのと一緒にされたら困るわね」

 

 

魔理沙「で…でもお前…!」

 

 

幽香「なら今から遥か上空に向かって私と一緒に撃ってみる? 違いは一目瞭然よ」

 

 

魔理沙「い、威力の問題だろそれは!」

 

 

幽香「魔法を極めた末に導き出された答えがマスタースパークだとしたら同じことよ」

 

 

魔理沙「!」

 

 

幽香「私の膨大な魔力を凝縮し、手軽に撃てる手段がマスタースパークだった…それだけのこと」

 

 

幽香「私は私で独自にマスタースパークに辿り着き、覚え、極め、力を付けた…だから一緒にするなって言っているのよ」

 

 

幽香「偶然にも辿り着いた先がマスタースパークという技だった、それだけのこと」

 

 

魔理沙「…」

 

 

幽香「…まだ疑う?」

 

 

魔理沙「偶然…」

 

 

幽香「そうよ」

 

 

幽香「あなたの師匠が何者なのかは知らないけど中々強そうじゃない、偶然にもマスタースパークという同じ強さの果てに辿り着いたあなたの師匠…興味あるわ」

 

 

幽香「もし会えたのなら『風見幽香が戦ってみたいと言っている』と伝えなさい」

 

 

魔理沙「…相変わらず戦うの好きだな」

 

 

幽香「楽しいじゃない♪ 強い奴と戦うのは特に」

 

 

魔理沙「まぁ…スリルがあって楽しいってのは分からんでもないけど」

 

 

幽香「ふふっ、良く分かっているじゃない」

 

 

魔理沙「そいつはどうも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「なんかスッキリしたよ」

 

 

幽香「何がかしら」

 

 

魔理沙「マスタースパークの事だよ、幽香には幽香の、私と師匠には私と師匠のマスパがあったんだな」

 

 

幽香「今まで同じにされてたのは納得いかないけど、分かって良かったじゃない」

 

 

魔理沙「あぁ…そっか~、私の勘違いだったってことか~、単純な話だったんだなぁ」

 

 

幽香「…師匠を探す手掛かりが一つ潰れたわね」

 

 

魔理沙「まぁな…でも良いんだ、これで他の事に目を向けられるからよ」

 

 

魔理沙「ありがとな幽香、話聞いてくれてスッキリしたぜ」

 

 

幽香「お役に立てたのなら何よりよ」

 

 

魔理沙「うし、んじゃあ私そろそろ行くわ!」スッ

 

 

幽香「魔理沙」

 

 

魔理沙「あん?」

 

 

幽香「…今度私と戦いなさい」

 

 

魔理沙「は? あ~…それは弾幕で…だよな?」

 

 

幽香「当たり前でしょ」

 

 

魔理沙「お、おう! それならいつでも大歓迎だぜ! そんじゃあな! 幽香!」フワッ

 

 

 ギューン!

 

 

幽香「…」

 

 

幽香「私が奴等に気を遣うとは…ふざけた話ね」

 

 

幽香(魅魔のやつ、幻想郷に帰って来ているのかしら)

 

 

幽香(どういう経緯で弟子と師匠の関係になったのか、何時まで共に居たのか…そんなものには興味はないわ)

 

 

幽香(ただ、何故魅魔は魔理沙にマスタースパークを教えたのか…それは気になるわね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【幻想郷、上空】

 

 

 

魔理沙(一通り聞いたな)

 

 

魔理沙(収穫は色々とあったが、師匠に近付いた感じはしねぇな)

 

 

魔理沙(誰も知らないし、種族も分からない…)

 

 

魔理沙(自分の師匠なのに分からない事だらけだぜ)

 

 

魔理沙(会えんのかな、私は…)

 

 

魔理沙(…次は紅魔館だな)

 

 

魔理沙(…! おっと、人里か)

 

 

魔理沙(…人里?)

 

 

魔理沙「…あっ!?」

 

 

魔理沙「そうだ! あいつらなら知ってるんじゃないか!?」

 

 

魔理沙「よし! 行くぜ!」

 

 

魔理沙(アリス、パチュリー、もうちょい待っててくれな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人里、稗田邸 15時35分】

 

 

魔理沙「阿求、どうだ!? 載ってるか!?」

 

 

稗田阿求「待ってください、今探してますから」

 

 

魔理沙「早くしてくれよ、幻想郷縁起だったら載ってるだろ」

 

 

阿求「そう急かさないで下さい、名前が分かっておらず、魔理沙さんと幽香さん以外のマスタースパーク使い…なんて書き方はしてないと思いますから時間掛かりますよ、髪の毛と服装、マスタースパークと同じようなレーザー、十年前という情報だけで探してるんですから」

 

 

魔理沙「そ、そうだが何でそんなにいちいち一枚一枚ページ捲るんだよ、パラパラ~って捲れば良いだろ」

 

 

阿求「幻想郷縁起は稗田家の宝ですから丁寧に扱ってるんです、というより今話し掛けないでください、集中して探してるんですから」

 

 

魔理沙「お、おう……」

 

 

阿求「…」ペラッ

 

 

魔理沙「…」

 

 

阿求「…」ペラッ

 

 

魔理沙「…」イライラ

 

 

阿求「…」ペラッ

 

 

 

 

 

魔理沙「だーっ! イライラすんなぁ! ちょっと貸してみろ! 私が探し」

 

 

阿求「勝手に触るんじゃないっ!!!」

 

 

魔理沙「おわっ!!?」ビクッ

 

 

阿求「…!!」ギロッ

 

 

魔理沙「いっ…!?」

 

 

阿求「稗田なめんな…!」ゴゴゴゴゴ

 

 

魔理沙「!? は、はい…!」

 

 

阿求「絶対に探します、探しますが載って無いものは載ってません、載っていなくても『時間の無駄になった』とか言わないこと、良いですか?」

 

 

魔理沙「お、お、おう…」

 

 

阿求「ならいいです、適当にそこら辺で時間でも潰してきたらどうですか?」

 

 

魔理沙「そ、そうさせてもらうぜ」

 

 

魔理沙(阿求こえぇ~…あんな目付きすんのかよ)

 

 

魔理沙(稗田家の当主は伊達じゃないぜ…)

 

 

 

 

稗田「…」ペラッ

 

 

稗田(魔理沙さんが見せてくれた本…ボロボロだったけど魔導書に分類されるものなのかしら)

 

 

稗田(あれは一般流通もしておらず、小鈴のところにあるような妖魔本とも違うわね、あれは一体…)

 

 

稗田(まぁいいか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人里、中心街】

 

 

魔理沙「時間潰せって言われてもなぁ…」

 

 

魔理沙「……」

 

 

魔理沙「まぁ一応行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【鈴奈庵】

 

 

本居小鈴「えぇっ!? ま、魔理沙さんに師匠!?」

 

 

魔理沙「どいつもこいつも同じ反応だなぁ、おい」

 

 

二ツ岩マミゾウ「そりゃあそうじゃろ、初耳じゃぞ? しかしお主を弟子にしようとは相当物好きじゃな」

 

 

魔理沙「それさ、私に似たんじゃねぇのか?」

 

 

マミゾウ「逆じゃろ、普通」

 

 

宇佐見菫子「……」

 

 

マミゾウ「ほれ見ろ、菫子なんて絶句しとるぞ?」

 

 

魔理沙「おい! そんなにかよ!」

 

 

菫子「あ…いや…ご、ごめんなさい」

 

 

魔理沙「私に師匠がいるのがそんなに珍しいのか?」

 

 

マミゾウ「天狗が食い付きそうな話題じゃな」

 

 

魔理沙「天狗、ね」

 

 

魔理沙(騒ぎにさせたく無かったから文とはたてには聞かなかったけど…情報提供とかしてもらうために新聞に載せてもらうか…?)

 

 

菫子「…」

 

 

菫子(魔理沙さん、魅魔さんの事探してるんだ…!)

 

 

菫子(まさか幻想郷で大事になっちゃってるんじゃ…!? 魅魔さんはそんなこと望んで無いのに、紫さんはこの事を知ってるの…?)

 

 

マミゾウ「ほう、それがさっき言っておった本か」

 

 

小鈴「うわぁ、ボロボロですね」

 

 

マミゾウ「むぅ…これは流石に読めんなぁ」

 

 

魔理沙「もう読み物としては成立してねぇのかな…」

 

 

小鈴「でも大切な思い出の本なんですよね」

 

 

魔理沙「まぁな…所々覚えてねぇんだけどな」

 

 

菫子(本…! 魅魔さんが十年前に魔理沙さんに渡した本よね)

 

 

魔理沙「菫子、お前も読んでみるか?」

 

 

菫子「えっ!? あぁ、はい」スッ

 

 

魔理沙「まぁ…お前らは知らないよな、私の師匠のこと」

 

 

小鈴「そうですね、私も小さかったですし」

 

 

マミゾウ「儂と菫子もそうじゃな、幻想入りしたのは最近の話になるしのぅ、十年前の事はさっぱりじゃ」

 

 

魔理沙「ですよねー…はぁ…」

 

 

菫子(…)ペラッペラッ

 

 

菫子(こんなになるまで何度も読み返したのね、魅魔さんがこれを見たらとっても嬉しがるんだろうな…魅魔さんに見せてあげたい)ペラッ

 

 

菫子(魅魔さんが紫さんから渡されたと言って持ってきたCDを私の家で見た…)

 

 

菫子(あのバラエティ番組に良く似ていて、私と魅魔さん一緒になって笑ったなぁ…特にアリスさんのとこで、『神綺は自分の娘の奇行を知ってんのかよ、あははははっ!』って…)

 

 

菫子(でも番組が終わる頃になって段々と魅魔さんに対する質問が多くなっていった…その度に魅魔さんは複雑な表情をしていたのよね、隣に座ってたからその表情が私の目に入って来た…きっと魔理沙さんと会って話をしたくなっちゃったんだと思う)

 

 

菫子(魔理沙さんが魅魔さんに会いたい様に…魅魔さんも魔理沙さんに会いたいんだ)

 

 

菫子「…魔理沙さん、はい、本」スッ

 

 

魔理沙「おう」スッ

 

 

菫子(魔理沙さんに伝えたいけど伝えられない…魅魔さんとの約束は守らなきゃいけないから)

 

 

菫子(ごめんなさい…魔理沙さん)

 

 

魔理沙「ん~…じゃあ次行くか、邪魔したな♪」スッ

 

 

小鈴「? 何処に行くんですか?」

 

 

魔理沙「寺子屋に暇潰し、それから希望を求めて訪ねてみるぜ」

 

 

 スタスタ…

 

 

マミゾウ「暇を潰しておるのか師匠を探しとるのかどっちなんじゃ、あやつは」

 

 

小鈴「あははは…」

 

 

菫子「…」

 

 

菫子(魅魔さん…魔理沙さん…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人里、寺子屋】

 

 

 

魔理沙「慧音…どうだ? お前なら知ってるんじゃないのか?」

 

 

上白沢慧音「…魔理沙、すまないが…」

 

 

魔理沙「!? お、お前が歴史で分からない事なんてあるのかよ!?」

 

 

慧音「あぁこの本の事もその師匠の事も私の記憶にはないよ、力になれなくてすまない…」

 

 

魔理沙「…! …マジかよ」

 

 

慧音「私とて歴史を全て把握している訳ではない、それに隠された歴史や無かった事にされた歴史、表舞台に出てこない様な歴史は記憶は出来ないんだ」

 

 

魔理沙「…! おい、それってどういう意味だ?」

 

 

慧音「悪魔でも…悪魔でもだぞ? 今上げた歴史の中にお前の師匠の歩んできた情報、歴史が含まれていた場合、記憶は出来ないんだ」

 

 

魔理沙「隠された歴史、無かった事にされた…表舞台に出てこない…」

 

 

慧音「…無理かも知れないがあまり思い悩むな、それと私の記憶よりも自分の記憶を頼りにした方が良いだろう」

 

 

慧音「事実は小説よりも奇なり…その本の存在がお前の師匠が存在しているという証ではないのか?」

 

 

魔理沙「…!」

 

 

魔理沙「そう、だな……うん! そうだよな!」

 

 

慧音「あぁ、自分を信じて突き進むといい」

 

 

魔理沙「やっぱ先生は言うことの格が違うぜ!」

 

 

慧音「おいおい…そんなに持ち上げる程でも…」

 

 

魔理沙「ありがとよ慧音! そんじゃあな!」

 

 

慧音「あ、あぁ…じゃあな」

 

 

魔理沙「あっ! そうだ! チルノたちと弾幕ごっこしてっても良いか?」

 

 

慧音「構わんぞ?」

 

 

魔理沙「よーし! オラァ! チルノぉ! 勝負しやがれ!」ドドドド

 

 

 

 ヤンノカマリサ! カカッテコイヨ! ジョウトウダー! ソーナノカー♪

 

 

 

慧音「嵐のようだなあいつは…ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人里、表通り】

 

 

 

魔理沙「ふーっ…三戦、二勝一敗か、先ず先ず♪」

 

 

魔理沙「しかしあいつまだ日焼けしてやがったな…いつになったら直るんだ?」

 

 

魔理沙「…ん?」スッ

 

 

 

 『霧雨道具店』

 

 

 

魔理沙「!! やばっ…!」スッ

 

 

魔理沙「…って、何で私は物陰に隠れてんだよ…」

 

 

魔理沙「もう縁なんて切ってあるんだ、私には関係ねぇ」

 

 

魔理沙「……窓から覗くぐらいなら良いかな」

 

 

 

 

 

【霧雨道具店、屋根】

 

 

 

魔理沙「よっ…ここなら店内覗けるな」

 

 

 

 ガヤガヤ ガヤガヤ

 

 

魔理沙(客いるなぁ、繁盛はしてるみたいだな)

 

 

魔理沙(親父と…おふくろもいるな)

 

 

魔理沙(……)

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(親父とおふくろは私に会いたいとか思ったことあんのかな…それこそ、今の私みたいに)

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(私は親孝行なんて出来そうにねぇな)

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(私を産んで、育ててくれてありがとう…)

 

 

魔理沙(いつか自分の口で言える日が来るのかな)

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(じゃあな、親父、おふくろ)スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【人里、裏通り 16時25分】

 

 

 

魔理沙「ここら辺は人気が無いな、まるでゴーストタウンだぜ」

 

 

魔理沙「なんか出んじゃねぇだろうな」

 

 

魔理沙「こういう雰囲気のあるところで幽々子が妖夢を驚かしたらあいつ腰抜かすだろうな、あっははは!」

 

 

魔理沙「……一人で笑ってると空しいぜ」

 

 

魔理沙「…ん?」

 

 

 

 

 魔理沙は開けた空き地を発見した

 

 

 

 

魔理沙「空き地か? こんなところあったっけ…」

 

 

魔理沙「ますます何か出そうな雰囲気だが良いとこだなここ、魔法の森に雰囲気似てるし、誰もいないし、人目にも付かないからこそこそ隠れて修行するにはもってこいだな」

 

 

魔理沙「そうだな、修行…っ!?」 

 

 

 

 

 

 

 キィィィン!

 

 

 

魔理沙「ぐっ…!? な、なんだ…!? ま、また頭がっ…!」

 

 

 

魔理沙「いっ……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 キィィィン!

 

 

『そういやまだ聞いてなかったな、お前名前は?』

 

 

『! ま、まりさ! きりさめまりさ!』

 

 

 キィィィン!

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「はっはっ…!! はぁ、はぁ…! な、なん…!!」

 

 

魔理沙「し、ししょ…師匠…なのか…!? 今の…」

 

 

魔理沙「…!? ぐぁっ…!?」

 

 

 

 

 

 

 キィィィン!

 

 

 

『会いに来てやるよ、魔理沙のところにな』

 

 

『! うんっ!』

 

 

 キィィィン!

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「はっ…! はっ…! はぁ、はぁ!」

 

 

魔理沙(やべっ…! い、息が…!)

 

 

魔理沙(し…ししょ…)ユラァ

 

 

 

 

 ドサッ…

 

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「狙って気絶させようかと思ったけどまさか自分から気絶してくれるとはね」

 

 

ドレミー・スイート「恐らくフラッシュバックという奴でしょうねぇ、心に残っている強い体験が記憶として無意識に思い出され、それが現実に起こっているかの様な感覚を強く体験してしまう…まぁトラウマとかではないので心配しなくても大丈夫でしょうけどね」

 

 

紫「流石ね、ドクタードレミー」

 

 

ドレミー「語呂が良いのがなんか嫌ですねぇ」

 

 

紫「どのぐらい寝てそう?」

 

 

ドレミー「ん~、まぁ30分ぐらいですかね」

 

 

紫「だそうよ、悪霊さん」

 

 

魅魔「…」

 

 

紫「魅魔、ここで引いたらあなた一生」

 

 

魅魔「分かってる」

 

 

紫「!」

 

 

魅魔「もう…覚悟は出来てる」

 

 

紫「覚悟が出来てるなら直接会いなさいっての」

 

 

魅魔「…」

 

 

紫「ごめん、悪かった」

 

 

魅魔「…ドレミー」

 

 

ドレミー「はい、簡単にご説明しますね」

 

 

ドレミー「今から魅魔さんにも寝てもらいます、私の能力で一瞬で寝かせるので安心してください」

 

 

ドレミー「その後、夢の世界にいる魅魔さんの夢塊体を魔理沙さんの夢の中に放り込みます、後は魔理沙さんが目覚めるまでどうぞご自由に」

 

 

ドレミー「ただ30分しか時間がないのでそれはお忘れなく、魔理沙さんがハッ! と目覚めて私たちが目の前にいたら全てが水の泡ですから」

 

 

魅魔「分かった…よし、やってくれ」

 

 

紫「…素敵な夢の時間をね、魅魔」

 

 

魅魔「あぁ」

 

 

ドレミー「それでは…良い夢を…♪」スッ

 

 

 グワン…!

 

 

 

魅魔「っ!」ユラァ

 

 

 

 ドサッ!

 

 

 

 

 

 

 _____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「…」パチッ!

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「…?」

 

 

魔理沙「は?」

 

 

魔理沙「ここ何処だ? 何で私…こんなところで寝て…!!」

 

 

魔理沙「! そうだ…人里にある変な空き地で倒れて…それで…」

 

 

魔理沙「…それでどうなったんだ?」

 

 

魔理沙「てかここマジで何処だよ」

 

 

魔理沙「見渡す限りの大草原…? 他には何にもありゃしねぇ」

 

 

魔理沙「夢でも見てんのかな…?」スッ

 

 

魔理沙「…頬っぺをつねっても痛くないって事は、これは夢か?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「いや待てよ…? まさか死んだんじゃねぇだろうな…!?」

 

 

魔理沙「だってあのとき苦しみながら倒れたよな、そのままポックリ…逝っちまったか!?」

 

 

魔理沙「いやいやいやいや! マジでやめてくれよ!? やりたい事だってまだまだたくさんあるんだぞ!? まだ読んでいない魔導書だってたくさんあるんだぞ!? 閻魔に説教されんのも御免だし、それに…」

 

 

魔理沙「まだ…会えてねぇよ…」

 

 

魔理沙(師匠…)

 

 

 フワッ…

 

 

魔理沙「…いやまて霧雨魔理沙、希望を捨てるな、これは絶対に夢だ、そうにちがいない」

 

 

 

 そうだな、ここはお前の夢の中だからな

 

 

 

魔理沙「やっぱりそうだったか、なら心配いらねぇな」

 

 

 

 少しは心配しても良いんじゃないのか?

 

 

 

魔理沙「心配し過ぎても良いことなんて何一つ無いぜ」

 

 

 

 そうか…前向きだな、お前は

 

 

 

魔理沙「当たり前だろ、それはこの魔理沙さんの一番の長所だぜ」

 

 

 だが時には後ろ向きになることも必要だと私は思うがな

 

 

 

魔理沙「まぁそういうメリハリも必要…って」

 

 

魔理沙「誰ださっきから! 私の中の何かと話してるかと思ったが全然違うじゃねぇか! 姿を見せやがれ!」

 

 

 だから後ろ向きになることも必要だと言ってるだろう?

 

 

魔理沙「…! あぁ!?」クルッ

 

 

 

 魔理沙は後ろを振り返った 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「!!?」

 

 

魅魔「…」

 

 

魔理沙「…!」

 

 

魅魔「…」

 

 

魔理沙「なっ…!? だ、誰だお前!」

 

 

魅魔「…」ピクッ

 

 

魔理沙「いきなり私の背後に…! お、お前! 本当に何もんだ!? あぁ!?」

 

 

魅魔「…」ピクッピクッ

 

 

魔理沙「! はは~ん、分かったぞ? ここは夢の中とかじゃなくてお前が作り出した空間か何かだろ! この魔理沙さんを嵌めようとするとは良い度胸だぜ!」スッ

 

 

魔理沙「よし! かかってこいよ! 弾幕で勝負し」

 

 

魅魔「師匠に向かってお前お前とは何事だぁ!!」スッ

 

 

 ゴチン!

 

 

魔理沙「いっ!? いってぇ!!?」

 

 

魅魔「拳骨で済んだだけでもありがたいと思えよ!? 私の電撃はそれ以上だぞこらぁ!」

 

 

魔理沙「いってぇ~…! くぁ~…! た、たんこぶ出来たぜっ…!」

 

 

魔理沙「くっそ、何すんだししょ……」

 

 

魔理沙「……!!?」

 

 

魅魔「…」

 

 

魔理沙「…あ…あ、ぁ…」ジワッ

 

 

魅魔「…」

 

 

魔理沙「は…あ、あ、あぁ…」ポロッ

 

 

魅魔「…魔理沙」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「お前私の事を忘れてしまっているのか? なんださっきの言葉使いは」

 

 

魅魔「が…ガキの…時の…っ」プルプル

 

 

魔理沙「!!」

 

 

魅魔「あ、あのときの方がっ…か、可愛いげがあったなぁ…! っ…えぇ?」ポロッ

 

 

魔理沙「あ、あぁ…」ポロッポロッ

 

 

魅魔「! お、おい! な、何を泣い」

 

 

魔理沙「師匠なのかっ!!?」ポロッ

 

 

魅魔「!!」

 

 

魔理沙「あ、あんたはっ…!! ぐっ…! うぅ! グスッ! わ、私の師匠なのかっ!?」

 

 

魅魔「…!」ポロッ

 

 

魔理沙「グスッ…! グスッ!」ポロッ

 

 

魅魔「……お前が、ガキの頃に…ウッ…見せてっ…! や、やっただろう!」

 

 

魔理沙「!!」

 

 

魅魔「マスタースパークをな…!」

 

 

魔理沙「…!!」ポロッポロッ

 

 

魅魔「クッ…そ、それも忘れて」

 

 

魔理沙「師匠ぉっ!!」バッ

 

 

魅魔「!!」ダキッ

 

 

 

 飛び込んで来た魔理沙を魅魔は優しく抱き止めた

 

 

 

魔理沙「師匠っ…!! 師匠ぉ…!」ポロポロ

 

 

魅魔「…!」

 

 

魔理沙「師匠…! わ、私はっ…!」ポロ

 

 

魅魔「…」ポロポロ

 

 

魔理沙「やっと…! やっと…会えたぜ…!」

 

 

魔理沙「師匠っ……! グスッ…!」ポロポロ

 

 

魅魔「…」ポロポロ

 

 

魅魔(あぁクソッ…違うだろ…魅魔)

 

 

魅魔(笑えよ…やっと弟子に会えたんだぞ…)

 

 

魅魔(涙…流してる場合じゃねぇだろうが…)

 

 

魅魔(バカヤローが…)ポロポロ

 

 

 

 

 

 

 

 幻想郷の悪霊は    初めて涙を流した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魅魔「あ~…落ち着いたか?」

 

 

魔理沙「うん…」

 

 

魅魔「はっ…何だ? 急にしおらしくなったな」

 

 

魔理沙「そりゃ師匠もだろ?」

 

 

魅魔「あ、あぁ?」

 

 

魔理沙「し、師匠だって泣いてたじゃねぇか…!」

 

 

魅魔「なっ…!? 泣いてねぇよ! この私が泣くわけないだろうが」

 

 

魔理沙「目…めっちゃ赤いけど」

 

 

魅魔「!? こ、これは…あれだ…! 私はな、感情が高ぶると目が赤くなる体質なんだよ」

 

 

魔理沙「ふっ…! あっははは…! 何だそれ…!」

 

 

魅魔「し、信じて無いな!?」

 

 

魔理沙「だってさ、はははっ! 嘘っぽいもんそれ」

 

 

魅魔「! はぁ…弟子には見破られちまうもんなのかねぇ」

 

 

魔理沙「そりゃあ師匠の弟子だからな」

 

 

魅魔「言う様になったなぁ、あっはははは!」

 

 

魔理沙「ははははっ!」

 

 

魅魔「ははっ…」ニコッ

 

 

魔理沙「へへっ…」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「なぁ、師匠」

 

 

魅魔「うん?」

 

 

魔理沙「師匠にその…言いたい事とか、聞きたい事とか…たくさんあるんだ」

 

 

魅魔「だろうな、あれから十年も経ってるから」

 

 

魔理沙「聞いても良いか?」

 

 

魅魔「あぁ…良いぞ」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「だがあんまり時間がない」

 

 

魔理沙「ど、どういう事だ?」

 

 

魅魔「ここはさっきも言ったがお前の夢の中の世界だ、本体のお前が目を覚ましちまったら私もここからおさらばしないといけない」

 

 

魔理沙「!!」

 

 

魅魔「でも勘違いするなよ? ここにいる私は、正真正銘本物の私だ、お前が作り出した空想の存在とかそんなんじゃないからな? お前の夢の中の世界に私が入り込んでる状態だ」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魅魔「ふっ、安心したか?」

 

 

魔理沙「うん、それは…な」

 

 

魅魔「それは?」

 

 

魔理沙「時間がねぇって言っても…幻想郷で会えば良いじゃねぇかって思ったんだけど」

 

 

魅魔「…それは無理だ」

 

 

魔理沙「な、なんでだ、師匠」

 

 

魅魔「…約束が…まだ違うだろ?」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「十年前…お前は私と約束しただろ?」

 

 

魅魔「『お前がマスタースパークを自在に扱えるような大魔法使いになれたら会いに来てやる』ってな」

 

 

魔理沙「…!」

 

 

魅魔「だから現実世界で会うのはまだまだ先の話になる」

 

 

魔理沙「そ、それなら自在に扱えてるぜ!? 色々種類も考えて」

 

 

魅魔「八卦炉だっけか?」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「私は手から撃てるんだぞ? それも何発も、何10発も、何100発もだ」

 

 

魅魔「だからまだダメだ」

 

 

魔理沙「…やっぱり師匠は格が違うな」

 

 

魅魔「当たり前だ、お前の師匠だぞ?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魅魔「そんな顔するな、今こうして会えてるじゃないか」

 

 

魔理沙「うん」

 

 

魅魔「…」

 

 

魔理沙「で、でもその約束が違うなら何でこうやって私に会いに来てくれたんだ?」

 

 

魅魔「それはお前が私に会いたいと駄々を捏ねたからだ、私に会いたい一心で幻想郷を飛び回ってただろ? ふふん、師匠としては見過ごせなかったからな」

 

 

魔理沙「! はぁ、何でもお見通しだったのか」

 

 

魅魔「そりゃお前の師匠だからな」

 

 

魔理沙「ははっ! そればっかりだぜ」

 

 

魅魔「え…? そ、そうか?」

 

 

魔理沙「気付いてないのか?」

 

 

魅魔「……」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魅魔「私ってワンパターンなのかな…」

 

 

魔理沙「お、落ち込まないでくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

魅魔「聞きたい事ってのは何だ?」

 

 

魔理沙「! そ、そうだな…まず師匠の種族は?」

 

 

魔理沙「人間じゃないんだろ?」

 

 

魅魔「あぁ、あ…そっか、最近ずっと足を生やしっぱなしだったからなぁ、たまには元に戻るか」

 

 

魔理沙「え?」

 

 

魅魔「人化の術、解!」

 

 

 

 ボフッ!

 

 

魅魔「よっと…」

 

 

魔理沙「…!? お、おおう!?」

 

 

魅魔「これが私の本来の姿だ、どうだ? ん?」

 

 

魔理沙「ゆ、幽霊? 亡霊か?」

 

 

魅魔「いや……あ、悪霊…だな」

 

 

魔理沙「悪霊…」

 

 

魅魔「あ…げ、幻滅したか?」

 

 

魔理沙「そんなことするわけないだろ、師匠のこと嫌いになんてなるかよ」

 

 

魅魔「!」

 

 

魔理沙「なぁ、能力とかはあるのか?」

 

 

魅魔「あ…あらゆるものに取り憑く程度の能力だ」

 

 

魔理沙「へぇ~! じゃあ無機物とかにも取り憑けんだ?」

 

 

魅魔「ま、まぁな」

 

 

魔理沙「へぇー! すげぇな! 流石私の師匠だぜ」

 

 

魅魔「…!!」

 

 

魔理沙「それに魔法もたくさん使えるんだろ? 最強じゃん♪ すげぇよ師匠!」

 

 

魅魔「!!」

 

 

魅魔(くっ…! やっぱり本物の方が心にダイレクトに来るな…! CDとは大違いだ…!)

 

 

魅魔(嬉しさでどうにかなっちまいそうだぜ…)

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「師匠、その…師匠には謝らなきゃいけないことがたくさんあるんだ」

 

 

魅魔「!」

 

 

魅魔(きたか…)

 

 

魅魔「あ、謝る?」

 

 

魔理沙「うん…あ、あのさ」

 

 

魅魔「う、うん?」

 

 

魔理沙「私、師匠と過ごした時間…殆んど覚えてないんだ」

 

 

魅魔「…!」

 

 

魔理沙「で、でも覚えてたことはあるんだ! 師匠の髪色とか服装、その色とか最後に私にマスタースパークを見せてくれたことと本をくれたことは覚えて」

 

 

魅魔「な、なぁぁにぃ!!?」

 

 

魔理沙「いっ…!?」

 

 

魅魔「わ、忘れちまってるだとぉ!?」

 

 

魔理沙「だ、だからそれを謝ろうと…」

 

 

魅魔「そ、それだけか!? それだけしか覚えてないのか!?」

 

 

魔理沙「う、うん…」

 

 

魅魔「約束も!?」

 

 

魔理沙「ご…ごめんなさい…!」

 

 

魅魔「はぁ…ま~じ~か~よ~…そっかだから約束の話をしたとき上の空だったのか」

 

 

魔理沙「ほ、本当に…! も、申し訳ない…です」

 

 

魅魔「ったくよ~…」

 

 

魅魔(すげぇわざとらしいし白々しいな、今の驚き…オーバーリアクションだったもんな)

 

 

 

 

 

 

魅魔「私とお前が会ったのは十年前、人里の裏通りだ、十年前でもあそこは人通りの少ない場所だったな、私がそこを散歩してたら箒を握り締めたガキんちょと出会った、それがお前だ」

 

 

魅魔「私を成敗してやるとか言いながら箒を私にブンブン振り回して来やがったのは今となっては良い思い出だな、あっはははは!」

 

 

魔理沙(わ、私はそんなことしてたのかよ…///)

 

 

魅魔「そんで…まぁ、あまりにもしつこかったからお前に電撃落としてやったんだよ、気絶したのを見届けて私はその場を立ち去った」

 

 

魔理沙(容赦ないぜ…)

 

 

魅魔「次の日、またそこを散歩してたらまた箒を握り締めたお前が私の目の前に立ち塞がった『あぁ、まだ懲りてないのかこいつは』と思いながらお前を見てたらな? お前、私の予想を遥かに越える行動をしたんだぞ?」

 

 

魔理沙「え?」

 

 

魅魔「私に土下座した」

 

 

魔理沙「えぇっ!?」

 

 

魅魔「『私を弟子にしてくれ、悪霊のお姉さんみたいなすげぇ魔法使いになりたいんだ』…ってな」

 

 

魔理沙「!!」

 

 

魅魔「正直…嬉しかった」

 

 

魅魔「私みたいな悪霊に弟子入りなんてな…一生無いことだって…そんなこと考えもしなかったからな」

 

 

魅魔「嬉しかった…だからお前に修行をつけてやることにしたんだ、今お前の本体が倒れてるあの空き地でな」

 

 

魔理沙「…!! そう…だったのか…」

 

 

魔理沙(だから…急にあのとき思い出して頭が痛くなったのか)

 

 

魔理沙「…師匠と修行してた期間は?」

 

 

魅魔「一ヶ月だな」

 

 

魔理沙「短いな…」

 

 

魔理沙(そりゃ覚えて無いのも無理ないのかもな)

 

 

魅魔「短かったがお前凄かったんだぞ? 私が教えたとはいえ、あの年であそこまで魔法を使えるなんて思いもしなかったんだからな、才能もあったがお前に一番あったのは諦めないって根性だな」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「それに努力も凄かった、私が教えてやろうとしても自分で試行錯誤して自分の物にしてみせた事もあったなぁ、あのときは本当に驚いたぞ」

 

 

魔理沙「! …」

 

 

魔理沙「師匠はさ」

 

 

魅魔「うん?」

 

 

魔理沙「私の事…良く見てくれてたんだな」

 

 

魅魔「そりゃ私はお前の師匠だからな…あっ!」

 

 

魔理沙「ははっ! また言った!」

 

 

魅魔「くっ…/// あ~…癖なのかなぁ」

 

 

魔理沙「悪くない癖だと思うけどな」

 

 

魅魔「ワンパターンはあまり好きじゃないんだよなぁ…」

 

 

 

 

 

魅魔「ちょうど一ヶ月経った時、お前に別れを告げ、大魔法使いになったらまた会おうと約束し、私が書いた本を渡して最後にマスタースパークを見せて別れたんだ」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魅魔「本を渡すとき私がなんて言ったのかも忘れちまってるのか?」

 

 

魔理沙「う、うん」

 

 

魅魔「『自分を知ってもっと強くなれ、自分のやり方が分からなくなったらこの本を読め』だな」

 

 

魔理沙「…!」

 

 

魔理沙「私はそんな大切なこと今まで忘れてたのかよ…」

 

 

魅魔「しょうがねぇよ、人間のガキの記憶力なんてそんなもんだ」

 

 

魔理沙「…師匠」

 

 

魅魔「ん?」

 

 

魔理沙「今まで忘れてて…本当にごめんなさい」

 

 

魅魔「!」

 

 

魔理沙「すいませんでした…」

 

 

魅魔「だからしょうがねぇって」

 

 

魔理沙「しょうがねぇで済ませちゃいけないぜ、こればっかりはよ」

 

 

魔理沙「師匠には恩しかねぇからさ」

 

 

魅魔「その言葉だけでも充分だよ、魔理沙」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「ありがとうな、謝ってくれて」

 

 

魔理沙「! い、いや…/// う、うん」

 

 

魅魔「…」ニコッ

 

 

魔理沙「…/// …あっ!?」

 

 

魅魔「ん?」

 

 

魔理沙「も、もう一個謝んなきゃいけないことがあるんだ! えっと…! あ、あれ!?」

 

 

魅魔「どうした?」

 

 

魔理沙「師匠からもらった本がねぇんだ…!」

 

 

魅魔「あ~、それならお前の本体が持ってるんじゃないのか?」

 

 

魔理沙「あっ…!」

 

 

魅魔「あぁでも心配すんな、ここは夢の世界だから何でも出来る、本を具現化することも可能だ」

 

 

魔理沙「! やってみるぜ」

 

 

魔理沙「……はっ!」スッ

 

 

 ボン!

 

 

魔理沙「! 出た!」

 

 

魅魔「おぉ、出たなってうおぉ!?」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「ボロボロじゃないか…良くこんなんで形保ってるなぁおい」

 

 

魔理沙「し、師匠…! この本の事で謝ろうと…」

 

 

魅魔「…こんなになるまで読んでくれたんだな」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「ありがとよ、この本も本望だったんじゃないか? ここまで読んでもらってよ」

 

 

魔理沙「師匠…」

 

 

魅魔「ふふっ、師匠想いな弟子だよお前は」

 

 

魔理沙「…///」

 

 

魅魔「! あっはははっ! 照れんな照れんな♪」

 

 

魔理沙「師匠には叶わないぜ…///」

 

 

 

 

 

 

魅魔「私も質問して良いか?」

 

 

魔理沙「おう」

 

 

魅魔「何で私に弟子入りしたんだ?」

 

 

魔理沙「…!」

 

 

魅魔「そりゃお前から私みたいな『すげぇ魔法使いになりたい』って言われたけど…本当にそれだけなのか?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魔理沙「うん…たぶんそれだけだと思う」

 

 

魔理沙「ガキだったから強い人に着いていきたいとか、この人みたいに強くなりたいとか…そんな想いだったんだと思う」

 

 

魅魔「…」

 

 

魔理沙「でも…今の私ならこう言うと思うぜ」

 

 

魅魔「?」

 

 

魔理沙「師匠に憧れてるから…! ってさ」

 

 

魅魔「!」

 

 

魔理沙「師匠にまた会えて改めて私は思ったんだ、師匠みたいになりたいってさ」

 

 

魔理沙「その形は強さとかじゃなくて憧れに変わってるんだ、師匠に憧れて、師匠みたいになりたくて、これからも私は頑張っていける…」

 

 

魔理沙「師匠…わたしを弟子にしてくれて、私を魔法使いというものに導いてくれて」

 

 

魔理沙「本当にありがとう…!」

 

 

魅魔「!!」

 

 

魔理沙「ありがとうございました…!」スッ

 

 

 魔理沙は深々と頭を下げた

 

 

魅魔「…」

 

 

魅魔(あぁ…またかよ…)ポロッ

 

 

魅魔「魔理沙…」ポロッ

 

 

魔理沙「…!?」

 

 

魅魔「バカ野郎、悪霊に憧れるなんて…! 本当に…! グスッ…! バカ弟子だよお前は…!」ポロポロ

 

 

魔理沙「…へへっ、人間を弟子にする師匠の方が…よっぽど、バカなんじゃ…ねぇのか…♪」

 

 

魅魔「はっ…! お互い様だな♪」ポロポロ

 

 

魔理沙「うん…!」

 

 

魅魔「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

魔理沙「へへっ♪」ニコッ

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ!

 

 

魔理沙、魅魔「!」

 

 

魔理沙「な、なんだ!? 地震か!?」

 

 

魅魔「グスッ…あぁどうやら、お別れみたいだな…」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「お前の本体が目覚めようとしている、ここまでだな」

 

 

魔理沙「…」

 

 

魅魔「! おいおい、またその顔かぁ?」

 

 

魅魔「忘れてた物は思い出せたし、お互いに言いたいことは言い合えた…もう充分じゃねぇか」

 

 

魔理沙「で、でも師匠…」

 

 

魅魔「はぁ、まったく仕方のない弟子だねぇ♪」スッ

 

 

魅魔「魔理沙…また私と約束をしよう、もうずっと忘れない最高の思い出を今作ろう」

 

 

魔理沙「えっ…?」

 

 

魅魔「…はっ!」

 

 

 ボン!

 

 

魅魔「お前が読んでくれてたものと同じ本だ、新品にしてある、後は…まぁ最後のページに一つ追加で書き足しておいてある、帰ったら見てみろ」

 

 

魅魔「お前の本体の側に置いておいてやるからな、そこは安心してくれ」

 

 

魔理沙「…! うん! ありがとう師匠!」

 

 

魅魔「後はそうだな…お前の友達には私の事は話すなよ? 種族と名前、これだけは語るな、お前が立派な大魔法使いになるまでは皆にも内緒だ、わかったか?」

 

 

魔理沙「お、おう!」

 

 

魅魔「まあ会ったってのは言っても良いけどな、それ以上はダメだ…お前が立派な大魔法使いになれたら幻想郷に行ってお前に会いに行くから、その時にみんなに私の紹介をすれば良いさ」

 

 

魅魔「魔理沙、改めて約束だ」

 

 

魔理沙「!」

 

 

魅魔「いつか…いつかお前がマスタースパークを自在に扱えるような大魔法使いになれたら」

 

 

魅魔「必ず会いに来てやるよ、魔理沙のところにな」

 

 

魔理沙「!!」

 

 

魔理沙「うん…! ありがとう、師匠!」

 

 

魅魔「約束だ!」

 

 

魔理沙「おう! 約束だぜ!」

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴ!!

 

 

 

魅魔「…それじゃあな、魔理沙」

 

 

魔理沙「! 師匠!」

 

 

魔理沙「まだ師匠の名前を聞いて無かったぜ!」

 

 

魅魔「! そうだったな」

 

 

魅魔「私の名前は…」

 

 

 

 

 

 

魅魔「魅魔だ」

 

 

魔理沙「! み…ま…!」

 

 

魅魔「ふっ、忘れんじゃねぇぞ♪」

 

 

魔理沙「! もちろんだぜ!」

 

 

魅魔「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

魔理沙「へへっ…♪」ニコッ

 

 

魅魔「じゃあな、魔理沙」

 

 

魔理沙「また…! またいつか会おうぜー!」

 

 

魔理沙「ありがとう! 魅魔様ー!」

 

 

魅魔「!! ふふっ……♪」スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ありがとう 師匠

 

 

 

  私はもう 約束を忘れない

 

 

 

 

 

 

 _____________________________________________

 

 

 

 

 

 

【人里裏通り 空き地】

 

 

 

 魔理沙! 魔理沙! 

 

 

 

魔理沙「んっ…んぁぁ…」

 

 

 

 魔理沙! 起きなさい!

 

 

 

魔理沙「んぁぁ…や、やめてくれぇ…アリスぅ…」

 

 

 

 魔理沙ぁぁ!

 

 

魔理沙「うはっ!?」ガバッ!

 

 

霊夢「うわあっ!?」ビクッ

 

 

魔理沙「はぁっはぁっ…!? あ、あぁ!?」

 

 

霊夢「あぁ!? じゃないわぁ! いきなり起き上がるんじゃないわよ! ビックリするわ!」

 

 

魔理沙「……? 霊夢…?」

 

 

霊夢「他に何に見えるの?」

 

 

魔理沙「ここ…は?」

 

 

霊夢「人里の裏通りの空き地、あんたさ、何でこんなところで寝てるのよ、こんなところで普通寝る? それに日が沈み始めてるのよ?」

 

 

魔理沙「…」

 

 

霊夢「…ねぇ、大丈夫?」

 

 

魔理沙「お、おう…」

 

 

霊夢「まぁあんたが無事ならそれで良いけど、それより阿求が探してたわよ、探したけど見付からなかったってさ」

 

 

魔理沙「…そうか」

 

 

霊夢「そうかって…師匠探しをしてたんでしょ?」

 

 

魔理沙「師匠…? …!!」

 

 

魔理沙「れ、霊夢!!」

 

 

霊夢「あ、あー?」

 

 

魔理沙「こ、ここに私の…私の師匠からもらった魔導書が」

 

 

霊夢「そこに落ちてるやつじゃないの?」スッ

 

 

魔理沙「!!」

 

 

 魔理沙は急いで落ちている魔導書を二冊拾い上げる

 

 

霊夢「あら、二冊あったのね、一冊だけだと思ってたけど」

 

 

魔理沙「…」ペラッ

 

 

霊夢「…? なんか変ね、一冊ボロボロでもう一冊は新品みたいじゃない」

 

 

 

 魔理沙は新品の方の魔導書の最後のページを開く

 

 

 

魔理沙「…」ペラッ

 

 

魔理沙「…!!」

 

 

霊夢「…?」

 

 

魔理沙「…」プルプル

 

 

霊夢「…魔理沙、こんなところにいないでさっさと紅魔館に行くわよ、アリスとパチュリー待ってるんでしょ?」

 

 

魔理沙「…」プルプル

 

 

霊夢「魔理沙、聞いてる!? あんたまだ寝ぼけて…!?」

 

 

 

 霊夢は本を抱き抱え、下を向いている魔理沙の顔を覗いた

 

 

 

魔理沙「グスッ…! うぅ…! グスッ…」ポロポロ

 

 

霊夢「あ、あんた…何で泣いてんの…?」

 

 

魔理沙「霊夢ぅ…! グスッ…! くぅ…!」ポロポロ

 

 

霊夢「な、何よ…? やっぱりなんかあったの? ほんとに大丈夫なの…?」

 

 

魔理沙「へへっ…! グスッ…! 心配すんな…! バーカ…!」ポロポロ

 

 

霊夢「あ、あー?」

 

 

魔理沙「グスッ…! 嬉しいときは…グスッ…! 泣くもんだぜ…!」ポロポロ

 

 

魔理沙「へへへっ…!」ポロポロ

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「ふっ…♪」

 

 

霊夢(凄く嬉しそうな顔で泣くわね…見たことないかも)

 

 

霊夢(何か良いことあったみたいね♪ 魔理沙)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【紅魔館、地下図書館】

 

 

咲夜、レミリア、パチェ、アリス「えぇっ!? 師匠に会ったぁ!?」

 

 

魔理沙「おう! 会ったぜ!」

 

 

霊夢「みたいよ?」

 

 

レミリア「ど、どんな人だったの!?」

 

 

パチェ「名前は? 能力は?」

 

 

アリス「私の事知ってたりした!? 魔理沙の奥さんだって」

 

 

霊夢、咲夜「アリスは黙ってなさい!!」

 

 

魔理沙「あー? 知りたいのか?」

 

 

レミリア「当たり前でしょ!」

 

 

パチェ「気になるわよ、マスタースパークが使える程の人物なのよ!」

 

 

魔理沙「そうかそうか、そうだなぁ…♪」

 

 

アリス、レミリア、パチェ「…!!」ゴクリ

 

 

魔理沙「…♪」

 

 

咲夜「…?」

 

 

霊夢「…」

 

 

 

 

 

魔理沙「秘密だぜ♪」

 

 

レミリア、パチェ、アリス「なっ!?」

 

 

咲夜「秘密って…」

 

 

霊夢「教えてくれないのよ、私もここに来るまでに何度か聞いたんだけど」

 

 

咲夜「ふぅん…」

 

 

レミリア「ひ、秘密ですって!?」

 

 

パチェ「ここまで期待させておいて…! しかも会ったのに秘密ですって!? 意味が分からないわ!」

 

 

魔理沙「ふふっ、何で秘密にしてるか教えてやろうか?」

 

 

レミリア、パチェ「お、教えなさいよ!」

 

 

魔理沙「それはなぁ…」

 

 

レミリア、パチェ「…!」ゴクリ

 

 

 

 

 

 

魔理沙「それもまた秘密だぜ♪」

 

 

パチェ「ふっ…! ふざけんじゃないわよ魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「はぁーっはっはっは!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「くぅぅ…! この私に隠し事…! さとりを呼ぶわよ!」

 

 

魔理沙「おい! それは人道に反するぞ!」

 

 

レミリア「私は人間じゃないわぁ!」

 

 

 

 ギャーギャー!

 

 

 

アリス「な、何で秘密なのかしら」

 

 

霊夢「さぁ? まぁ良いんじゃない?」

 

 

咲夜「でも会ったことは確かなんでしょうね」

 

 

霊夢「ふっ、そうね」

 

 

アリス「ふふっ♪ そうみたいね♪」

 

 

咲夜「気付いて無いかもしれないけど、魔理沙」

 

 

霊夢「あんた今とっても良い顔してるわよ」

 

 

アリス「幸せそうね、魔理沙♪」

 

 

 

 

 

レミリア「待ちなさい魔理沙ぁ!」

 

 

パチェ「ここまで焦らしておいて…知る権利は私たちにもあるはずよ!!」

 

 

魔理沙「あっはははは!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙(師匠、師匠のお陰でまた毎日が楽しくなりそうだよ)

 

 

魔理沙(これからは前を向いて一歩ずつ、着実に大魔法使いなってみせるぜ)

 

 

魔理沙(また師匠に会うために、私は私らしく憧れの師匠に…大好きな師匠にまた会うために)

 

 

魔理沙(少し…待たせちまうかも知れないけどな)

 

 

魔理沙(…)

 

 

魔理沙(ありがとう)

 

 

魔理沙(魅魔様)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魅魔から受け取った新しい魔導書の最後のページにはこう書かれている

 

 

 

 

 

 

   the Grimoire of Mima

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 






 予想以上に長くなってしまいましたがこれにて霧雨魔理沙の日常終了です、魔理沙は個人的に思い入れのあるキャラクターでもあるので少し力が入ってしまいました。


 魔理沙と魅魔…このような感じになりましたが如何でしたでしょうか。

 最初は魔理沙と魅魔を会わせる予定はありませんでしたが私の中で魔理沙と魅魔を会わせてあげたい欲求が働いてしまい、このような形にお話を再構築しました、私的には満足なのですが読者の皆様には読んでいて辛い、読みづらい部分があるのではないかと不安ではあります…



 以下、補足になります


 紫がボロボロの魔導書に掛けたおまじないは『その書物が復元されないようにするおまじない』です、復元されてしまうと魔理沙以外の者に魅魔の正体がバレる可能性があったからです


 紫とドレミーと魅魔は魔理沙が永遠亭に居た辺りからずっとスキマで魔理沙のことを見てました、気絶させる隙を伺っていたんだと思います



 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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ゆかりんクイズ! 十六夜咲夜の200のコト 前編



 十六夜咲夜の200のコト…始まります!


 先ず読者の皆様にお礼を述べさせていただきます。

 咲夜への質問募集への投稿をしていただき、誠にありがとうございました! 

 たくさんの問題を書いていただいて感謝の言葉しか見つかりません、本当にありがとうございました♪





 以下、読者の皆様にゆかりんクイズシリーズを読んでいただく時の注意事項になります。

 このシリーズの前日談である『ゆかりん閃いた!』を読んでいただくと話の背景が分かるようになってます、お暇でしたら目を通してみてください。


 一人に付き三話を予定しております。クイズを前編後編、そしてそのキャラの日常を書いていこうと思います。

 独断と偏見、そして自己解釈が多いです。

 一部、読者の方にとっては不快な問題がある場合があります。

 ここの幻想郷の住人たちは冗談を笑って言い合えます。

 募集させていただいた方の質問の望んでいる解答と私の解答が意にそぐわない場合があります。

 『咲夜と鈴仙は親友の間柄です』

 『鈴仙と妖夢はいじられ役』




 それでは始まります♪





 

 

 ここはゆかりんハウスの管理人…いや、幻想郷の管理人である八雲紫が作り出したスキマ空間である。

 

 

 この空間には紫の依頼で幻想郷の河童たちが総力を上げて作ったスキマスタジオと呼ばれる物が存在している。

 

 外の世界のテレビと言う箱に映し出されるバラエティ番組のセットに酷似していると噂があるが、何のことやらである。

 

 

 そんなスキマスタジオでまたあの娯楽が始まろうとしている、笑いあり涙あり! あのエンターテイメントが幕を開けるのだ!

 

 

 楽しい時間はあっという間、願わくばここで過ぎ去った時間が皆の思い出になります様に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河城にとり「レディース&ジェントルマーン!! 幻想郷のみんな! 元気にしてるかーい!」

 

 

にとり「司会はこの私! 妖怪の山の水はいつも私のお陰で潤ってるでお馴染みの河城にとりだよ♪ えっ? 妖怪の山の水と私に何の関係があるのかって?」

 

 

にとり「あのねぇ…山の水が潤ってるのは私たち河童が水質調査とかその他諸々しているお陰なんだぞ?『我ら河童が居るところに綺麗な水あり!』水質汚染された川や池や湖なんて存在しないんだ、妖怪の山に死んだ水は無い、覚えておくことだね!」

 

 

にとり「さて! 前置きはさておき、今回このスキマスタジオで行われるのはこれだよ!」

 

 

 

 バーン!!!

 

 

 

にとり「ゆかりんクイズ!! 十六夜咲夜の200のコト! イヤッホーイ♪」パチパチ

 

 

 

 

 

 

 

にとり「みんなが大好き紅魔館! そこでメイド長を勤めている完全で瀟洒な従者、十六夜咲夜!! その私生活は紅魔館を中心に動いているみたいだけどミステリアスな魅力が多い咲夜! ミステリアス過ぎての珍しい答えが来るのか!? それとも意外と普通な答えでこちらを楽しませてくれるのか!? もうワクワクが止まらないよね♪ あっ、大丈夫大丈夫♪ 咲夜は今日時は止めないみたいだからね♪」

 

 

にとり「まだまだいくぜぃ! この五人ももちろん忘れちゃいけないよ! 咲夜の答えを予想して解答してもらうのはこの幻想郷の少女たちさ! 何も心配することはない、幻想郷には少女しか居ないのだからな! はーっはっはっは!! ……左から順に紹介していきま~す…」

 

 

 

 

 

にとり「咲夜とのツッコミ連係プレーが今回見れないのは残念だね~! 博麗霊夢ー!!」

 

 

 

 

霊夢「よろしく、今回も頑張るわ」

 

 

 

 

にとり「前は出題者だったけど今回は解答者! ボケを振るのは私に任せとけ! 霧雨魔理沙ー!!」

 

 

 

 

魔理沙「おう、任せとけ! …って任されて良いもんなのか?」

 

 

 

 

にとり「ふっふっふ♪ 戦友よ、去年の冬に一緒に戦った事は今でも良い思い出だよ♪ 鈴仙・優曇華院・イナバー!!」

 

 

 

 

鈴仙「に、にとりそれは…/// あっ…! よ、よろしく!」

 

 

 

 

にとり「サムライじゃねぇ! 庭師だ! 魂魄妖夢ー!!」

 

 

 

 

妖夢「確かに庭師だけどサムライは何処から出てきたの!? と、とにかくよろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

にとり「お宅のお陰で妖怪の山の技術革新が止まらねぇぜ♪ 東風谷早苗ー!!」

 

 

 

 

早苗「ふふふ…♪ 帰って来ましたよみなさん! 二回目ですよ二回目♪ 紫さんありがとうございます!」

 

 

 

 

 

にとり「よし、これで全員だな! 今回は何事も無く始められそうで良かった良かった♪」

 

 

にとり「あ、大事なことを言い忘れてたよ…この番組のセット照明カメラ等は河城工房河童協会が…問題文企画構成は幻想郷の伝統ブン屋が…その他諸々の事は八雲家の素敵な仲間達の提供でお送りしております!」

 

 

にとり「そんじゃ始めて行こうか! ゆかりんクイズ!! 十六夜咲夜の200のコト! はっじまるよー!」

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙、妖夢「……えっ…?」

 

 

魔理沙「うっお~…ついに来たかぁ」

 

 

霊夢「来たわね~、このクイズ大会鳴りを潜めてると思ったら唐突に来るのね」

 

 

早苗「おぉ~♪ 咲夜さんですか~♪ いやぁ、楽しみですね!」

 

 

魔理沙「もうお前クイズが始まる前から楽しんでるじゃねぇか」

 

 

早苗「んふふふ♪ そう見えちゃいますか?」

 

 

霊夢「そこに座ること事態を楽しんでない?」

 

 

早苗「そりゃあそうですよ! ここに来たら芸能人気分になれるんですからね!」

 

 

霊夢「ん? 芸能人?」

 

 

射命丸文「外の世界の有名な人の事を言うみたいですよ?」

 

 

霊夢「あんたそれじゃあ幻想郷じゃ充分芸能人じゃない」

 

 

魔理沙「おいそれ霊夢の時に私が早苗に言った気がするぞ?」

 

 

 

鈴仙、妖夢「ね、ねぇ…ちょ、ちょっと…?」

 

 

 

霊夢「話変わるけどさ、なんかあんたの事久し振りに見た気がするわ」

 

 

早苗「えっ? そうですか?」

 

 

魔理沙「お前私の時に居なかったもんな」

 

 

早苗「そうなんですよねぇ、魔理沙さんの時もやりたかったなぁ」

 

 

霊夢「あんたの代わりにパチュリーが来た感じなのかしらね」

 

 

魔理沙「まぁ同じ魔法使い枠は必要だからな」

 

 

霊夢「ふっ…! いや、アリス居たじゃない」

 

 

魔理沙「ふはっ…! いやお前…アリスはネタ枠だろ」

 

 

早苗「んふははははっ!」ゲラゲラ

 

 

霊夢「早苗ぇ…あんた笑ってるけどさ、こちとら大変だったんだからね?」

 

 

早苗「分かりますよぉ♪ 楽しかったんでしょう?」

 

 

霊夢「大変だったって言ってんのよ! い…いや、本当にっ…! いつも以上に暴走してたんだからね!」

 

 

早苗「それが面白いんじゃないですか♪」

 

 

魔理沙「一回ワンダーランドのアリスさんを制御するツッコミやってみろ、大変さが分かるぞ?」

 

 

霊夢「常に気を張ってなきゃならないこっちの身にもなってみなさいよ、レミリアだって一回挑戦してみたんだからさ」

 

 

早苗「レミリアさんがですか!? へぇ~…私にも出来るかな…」

 

 

魔理沙「おう今度やってみろ、挑戦する勇気が大事なんだからな?」

 

 

霊夢「そういえば…ふふっ…! 今日アリス居ないわね」

 

 

魔理沙「朗報であるとともに早苗の勇気が見られないのは残念だぜ」

 

 

早苗「ふっははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

 

鈴仙、妖夢「あの~…もしもーし…?」

 

 

 

文「ぷっ…! ろ、朗報にしたらアリスさんが可哀想じゃないですか」

 

 

霊夢「いや勘違いしないでほしいんだけどさ、決してアリスを嫌っているとかそんなのは全然思ってないのよ?」

 

 

魔理沙「そうなんだよ、だけどな? このクイズが終わった後の疲労感がさぁ…」

 

 

霊夢「もう全然違うと思うわよ? 今日終わった後」

 

 

魔理沙「健やかな気持ちで帰れると思うぜ?」

 

 

早苗「ふははっ…! す、健やかって」

 

 

魔理沙「笑うとすっげぇ疲れるんだからな? お前もクイズやったことあるなら分かるだろ?」

 

 

霊夢「あんたの時の…翌日? 笑いすぎて腹筋が鍛えられたのかさ、痛かったもんお腹」

 

 

魔理沙「ふははっ…! なんだっけ? 『おっほぉ』だっけ?」

 

 

霊夢、にとり、文「んはははっ…!」プルプル

 

 

早苗「お、おっほぉ…? ってなんですか?」

 

 

魔理沙「アリスが言い放った爆弾発言らしいぜ? しかも本人に言った自覚は無いそうだ」

 

 

早苗「えぇ…なんか聞いてみたいですね」

 

 

にとり「聞くかい? 録音してあるから」

 

 

早苗「なんと! 是非お願いします♪」

 

 

魔理沙「私も生の『おっほぉ』聞きたいぜ♪」

 

 

霊夢「えっ? ちょっとにとり、やめてくんない?」

 

 

にとり「どうしてぇ♪」ニヤニヤ

 

 

霊夢「クイズやる前から疲れたくないのよ、ワザと聞いてるわよねあんた」

 

 

早苗「霊夢さんがそこまで言うとは…これは期待大ですね♪」

 

 

魔理沙「だな、レミリアと咲夜はともかくあのパチュリーが大爆笑したらしいからな」

 

 

早苗「ほほぉ~、益々期待が…!」

 

 

にとり「んじゃ行くぞ~♪」

 

 

霊夢「ちょっにとり、本当に本当に! 私あれツボに入っちゃうから!」

 

 

文「あははっ! 霊夢さん必死すぎま」

 

 

 

 

 

鈴仙「こらぁー!!」

 

 

霊夢、魔理沙、早苗、にとり、文「…」

 

 

鈴仙「なに!? なんなの!? ねぇ! さっきから訳の分からないことベラベラベラベラ喋ってさぁ!」

 

 

妖夢「れ、鈴仙落ち着いて…!」

 

 

鈴仙「私達の言葉にも耳を傾けなさいよ! いきなり紫に連れて来られてこっちはまだ混乱してるんだからさぁ!?」

 

 

鈴仙「ここは何処で何をする場所なのか、これから何が始まるのかキッチリ説明してくれる!?」

 

 

霊夢、魔理沙、早苗、にとり、文「……」

 

 

鈴仙「……!? な、何よ!?」

 

 

霊夢「あんた達さっきにとりの紹介の時に『よろしく』って言ってたじゃない」

 

 

鈴仙「それはその場の…! な、なんか流れみたいな物で言ったのよ! 言った後に我に帰ったの!」

 

 

早苗「にとりさん、ちゃんと説明してましたよ? これから始まること」

 

 

にとり「あれ…? せっかく楽しめるようにテンション上げて説明したのに伝わらなかった…?」

 

 

鈴仙「あぁいや、その…ち、違うのよにとり、聞いてたわよ? 聞いてたんだけど…飲み込めないのよ状況が」

 

 

妖夢「うん、私もそうなんだよね…」

 

 

魔理沙「つーか紫のババアに連れて来られた時点で察せよ」

 

 

鈴仙「察せるかぁ! 紫に『楽しいことするから連れていくわね♪ はい、スキマにボッシュートぉ♪』で連れて来られたのよ!? いきなりよいきなり!」

 

 

文「でも鈴仙さんと紫さんって仲良いじゃないですか」

 

 

鈴仙「それ今関係無いでしょ? 仲良くてもやっていいことと悪いことの区別ぐらい」

 

 

魔理沙「適応力の無い兎さんだぜ」

 

 

鈴仙「なんですってぇ!?」

 

 

霊夢「鈴仙ってツッコミのセンスあるわね、アリスのアレに付き合わせてみたいわ」

 

 

早苗「そこ気になったんですね…」

 

 

魔理沙「妖夢は察してるよなぁ?」

 

 

妖夢「……まぁ、なんとなく」

 

 

鈴仙「えっ…!?」

 

 

妖夢「紫様が暇潰しに作った娯楽なのかな~とは思ってるけど」

 

 

霊夢「それ正解よ」

 

 

妖夢「やっぱりそうなんだ、あ~…時間かかるやつなのかなぁこれ」

 

 

魔理沙「幽々子か?」

 

 

妖夢「うん、人里に買い物に行って帰りが遅くなったりするとお腹空かせて拗ねるからなぁ…」

 

 

霊夢「お腹が減ると拗ねるんかい」

 

 

妖夢「『妖夢がご飯作ってくれない悪い子になっちゃったわぁ…』ってずーっと言ってくるんだもん」

 

 

早苗、魔理沙「んふはははっ!」

 

 

妖夢「笑い事じゃないんだけど…」

 

 

霊夢「う~ん…紫はそういうところはキチンと対策すると思うから心配いらないかもしれないわよ?」

 

 

妖夢「えっ? 本当?」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

八雲紫「そうよぉ、さっすが私の霊夢ね、私のことも良く分かってくれていてゆかりん嬉しいわ♪」

 

 

八雲藍「嬉しがる前にちゃんと説明をするべきなんですよねぇ…」

 

 

紫「だってもう三回もやってるのよ? 説明なんていらないじゃない」

 

 

藍「『鈴仙と妖夢』は初めてなんですよ!」

 

 

霊夢、魔理沙「あ、出た」

 

 

紫「えっ…? な、何よ二人して…あっ♪ 分かったわよ~♪ ゆかりんが出てきたのがそんなに嬉し」

 

 

霊夢「そんなの無いわぁ」

魔理沙「そんなのねぇから」

 

 

紫「口揃えて言わないでよぉ! ゆかりん切ないわ! 切ないっ!」

 

 

霊夢「切ないんかい」

 

 

魔理沙「お前が出てきた時って大抵『げっ…!』か『う~わぁ…』だもんな」

 

 

紫「失礼しちゃうわね魔理沙ぁ!」

 

 

早苗「あふはははっ…!」

 

 

鈴仙「紫…と藍さん!」

 

 

紫「あなた私と藍の呼び方に温度差があるわね」

 

 

鈴仙「当たり前でしょ! いきなり連れて来られたんだから」

 

 

妖夢「紫様、藍さん」

 

 

藍「妖夢、鈴仙、紫様がすまなかったな、今からちゃんと説明するからな」

 

 

鈴仙「う、うん…なら良いけど」

 

 

妖夢「詳しい説明をよろしくお願いします」

 

 

霊夢「あんたここ初めての奴いきなり連れて来るのやめなさいよ」

 

 

紫「だって~…ゆかりんのお茶目なサプライズにしたくて」

 

 

早苗「紫さんのそのサプライズ好きはなんなんですか」

 

 

魔理沙「考えるだけ無駄じゃねぇか?」

 

 

紫「辛辣でつれぇわぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんと藍…説明します!】

 

 

紫「じゃあ改めて…鈴仙、妖夢にはちゃんと説明するわね♪ 霊夢と魔理沙、早苗は説明不要よね♪」

 

 

霊夢「えぇ、もう三回目だからね」

 

 

魔理沙「解答するのは二回目だけどな」

 

 

早苗「私も解答は二回目ですね」

 

 

文「もう霊夢さんと魔理沙さんはベテランですよねぇ」

 

 

にとり「皆勤賞だからね~」

 

 

魔理沙「それを言ったら一応咲夜もそうだよな」

 

 

鈴仙「さっきから言ってるけど咲夜居るの? 見当たらないんですけど」

 

 

妖夢「そうだよね、何処にいるんだろ…」

 

 

紫「それもルールと合わせて説明するわね♪ にとりからさっき聞いた事と照らし合わせながら聞いてね?」

 

 

紫「ここはスキマ空間にあるクイズ大会の会場よ、今からあなたたちにはクイズの解答者になってもらうわ」

 

 

紫「クイズは咲夜の事に関する200問の問題よ、先ずこことは違う場所、別室にいる咲夜に対する質問をする、まぁ質問と言う名の問題になるわね、それをここであなたたちに出題するの」

 

 

鈴仙「あ、咲夜別室に居るのね…」

 

 

妖夢「に、200問…!? 多いですね」

 

 

早苗「最初は多く感じますけど結構早く終わりますよね」

 

 

魔理沙「な、意外にあっという間だよな」

 

 

紫「で、あなたたちは咲夜がなんと答えるか予想してそれを解答するのよ、解答はその電子版に書いて解答してね」

 

 

妖夢「えっ…? あっ、このペンで書くんですか?」

 

 

藍「あぁ、字が書けるだろう?」

 

 

妖夢「あ~…! 本当だ、すごい…」

 

 

にとり「お、この凄さが分かるとは、妖夢も中々分かってるじゃないか」

 

 

魔理沙「お前こういうの似合わないもんな、機械とかイジらないだろ?」

 

 

妖夢「うん、機械は苦手だけどこれぐらいならなんとかなりそう、書くだけだからね」

 

 

鈴仙「へぇ~…♪ 月にも似たようなのが有ったわね…ふふっ、なんだか懐かし」

 

 

紫、にとり「あぁん!?」ズイッ

 

 

鈴仙「いっ…!? な、何…!?」

 

 

にとり「戦友ぅ…! 月の技術と一緒にしないでくれないかなぁ…!? これは河童の技術力の賜物なんだぞ…!」プルプル

 

 

紫「鈴仙、あなたの事は好きだけどこの私の目の前で月の話題は…! こう、なんか…イライラしてくるからダメよ、分かった…!?」プルプル

 

 

鈴仙「!? な…なんか…ごめん…」

 

 

霊夢「紫、あんた私怨入ってるわよね?」

 

 

紫「だって~…」

 

 

藍「ごほん…解答が出揃ったら答え合わせをする、咲夜に直接その問題、質問を聞いてもらって答えてもらう、それが問題の正解になるんだ、全員の解答は一度この目の前にある巨大モニターに出すからな」

 

 

藍「咲夜は今別室にいる、モニターに映そう…にとり」

 

 

にとり「あいよ~」ピッ

 

 

 

 

 

 

 

十六夜咲夜『ズズッ……ふぅ…♪』

 

 

咲夜『……』

 

 

 

 

 

魔理沙「ふはっ…! なんだあの優雅に満ちた部屋は」

 

 

霊夢「確かに魔理沙の時とは大違いね、なんか華やかだし」

 

 

妖夢「背もたれの高い椅子に足を組んで座ってるね、高級品なのかな」

 

 

魔理沙「レミリアがいつも座ってる椅子に似てるな、赤い刺繍の入ったやつ」

 

 

鈴仙「あの洋風のやつよね」

 

 

霊夢「なんか全体的に紅魔館の部屋に似ているような…」

 

 

紫「そこは意図的に似せてあるのよね♪」

 

 

霊夢「あ、やっぱり?」

 

 

早苗「紅茶ですかね? 飲んでゆったりしてますね」

 

 

魔理沙「うっわ出た出た…おいあれ見ろよ、ティーカップにレモンの切り身乗っかってんぞ」

 

 

鈴仙「咲夜らしくて良いじゃない」

 

 

早苗「そうなんですけどねぇ…」

 

 

霊夢「はぁ…あいつホント女子力高いわよね…」

 

 

妖夢「ティーカップにレモンの切り身乗っかってるだけで女子力上がるの?」

 

 

魔理沙「上がるよ…20ぐらい」

 

 

妖夢、鈴仙「数値があるの!?」

 

 

霊夢「私と早苗が40、魔理沙が30だとして…あいつ今120ぐらいあるわよ」

 

 

妖夢、鈴仙「そんなにあるの!?」

 

 

魔理沙「私ら三人足しても咲夜に届かねぇんだよなぁ…」

 

 

早苗「…」

 

 

早苗(私はもっと女子力あると自分で思ってますけどここは黙っておきます、これこそ女子力がある証です!)

 

 

紫「えっと、話を戻すわよ? 咲夜は解答者が誰なのか知ってる、そして咲夜の声はこっちに聞こえるけど、こっち側、解答者である霊夢たちの声は咲夜には聞こえないようにしてあるからね」

 

 

鈴仙「あ、そうなんだ」

 

 

妖夢「徹底してますね」

 

 

 

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…ふぅ…』

 

 

 

 

 

魔理沙「……少しも隙を見せないな、咲夜のやつ」

 

 

鈴仙「隙って何の隙よ」

 

 

魔理沙「女子力が低くなる隙」

 

 

霊夢「見られてるって分かってるからじゃないの?」

 

 

魔理沙「それにしても…ってやつだな」

 

 

早苗「前から思ってたんですけど咲夜さんって常に気を張ってますよね」

 

 

妖夢「疲れないのかな…? 適度に気を抜いた方がいいと思うけど」

 

 

鈴仙「それ咲夜の悩みの一つなんだって、結構気にしてるみたいなのよね」

 

 

魔理沙「ふ~ん、咲夜も咲夜で色々と悩んでんのな」

 

 

鈴仙「何とか解決してあげたいの、咲夜は隙もそうだけど弱味を見せたがらないからね、少しはリラックスしても良いと思うんだけど」

 

 

早苗「このクイズで咲夜さんのこと色々知ることが出来れば良いですね」

 

 

鈴仙「! そうか…そう考えるとやる気が出てきたわ、なんか頑張れそう」

 

 

紫「ふふっ、クイズ大会なんだから楽しむ事も忘れちゃダメよ?」

 

 

鈴仙「うん、分かったわ」

 

 

魔理沙「そういえばお前咲夜と仲良いもんな」

 

 

鈴仙「ふふん♪ 私と咲夜は親友だからねぇ♪」

 

 

魔理沙「…そう思っていたのは鈴仙だけなのであった」

 

 

鈴仙「そんなこと言うなぁー!」

 

 

魔理沙「うはは♪ 悪い悪い、冗談だぜ♪」

 

 

鈴仙「冗談でも言うんじゃないわよ魔理沙ぁ!」

 

 

妖夢「あはは…う~ん200問もあるからなぁ、そういう目標があると頑張れそうなんだけど」

 

 

紫「妖夢、ならクイズに正解して優勝しなさいな、優勝したら咲夜から優勝賞品と言う名のプレゼントがあるわよ♪」

 

 

妖夢「優勝賞品ですか?」

 

 

鈴仙「プレゼント? 咲夜から?」

 

 

魔理沙「そういやあいつ何くれるんだろうな」

 

 

霊夢「う~ん……思い付かないわね」

 

 

魔理沙「ナイフか?」

 

 

霊夢「そんな物騒なもんプレゼントにしないでしょ」

 

 

早苗「あ、そういえば魔理沙さんの時の賞品はなんだったんですか?」

 

 

魔理沙「……お前それ私に聞いてんのか?」

 

 

早苗「えっ? 他に誰に聞くんですか」

 

 

霊夢「くふふっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「文字が書いてある紙切れ一枚だ、正確には二枚だが」

 

 

早苗「えぇ…」

 

 

魔理沙「でもそれで一日地獄を見ることになるとは思わなかったけどな、やらかした感はあったぜ」

 

 

早苗「はい?」

 

 

霊夢「あっははは…!」

 

 

魔理沙「お前さぁ…」

 

 

霊夢「あふふっ…! き、聞いたときは引いたけど今思い出したらちょっと笑えてきた」

 

 

魔理沙「私も出来ることなら笑い話にしてぇよ…」

 

 

霊夢「ご、ごめん魔理沙…ふふふっ…!」

 

 

魔理沙「まぁでも私のあのクイズ大会があったからこそだからなぁ…あんまり文句言えないのが辛いところだぜ」

 

 

鈴仙、妖夢、早苗「…?」

 

 

紫(そうよね、あのクイズがあったからこそあなたは悪霊さんに会えた…ふふっ♪)

 

 

紫「さぁって、始めるわよ~♪」

 

 

 

 

 

 

 【もう少しルール説明!】

 

 

 

 

藍『テステス…! ただいまマイクのテスト中…あー、みんな聞こえてるか?』

 

 

 

 

 

魔理沙「聞こえないぜ~♪」

 

 

霊夢、早苗「んふふっ…!」

 

 

 

 

 

藍『……聞こえてるんだな? 私が問題を読み上げる天の声こと八雲藍だ、200問は長いがお互い頑張ろうな』

 

 

 

 

妖夢「あ、藍さんが読み上げてくれるんですね」

 

 

鈴仙「安心感があるわね、よろしく、藍さん」

 

 

 

 

 

藍『よろしく頼むぞ、100問終わったら一旦休憩を挟むからな、後は…能力は禁止だぞ?』

 

 

藍『二人がここにいることは輝夜と幽々子殿に伝えてあるから楽しんでいってくれな』

 

 

 

 

 

鈴仙「了解でーす!」

 

 

妖夢「分かりましたー!」

 

 

鈴仙(姫様に伝えておいてくれたのね、ありがたいかも…うん? 紫がしたのかな?)

 

 

妖夢(ほっ、なら何も心配いらないかな、拗ねられるのは確定してますけど)

 

 

霊夢「能力無しって最初から言われてるけど、使ってもクイズの役に立たないのが多い気がするのよね」

 

 

早苗「こういうので驚異なのは…さとりさんとか?」

 

 

霊夢「人の解答見ても正解してるかなんて分からないじゃない」

 

 

早苗「あ、言われてみればそうですね」

 

 

鈴仙「私の能力も無駄ね、狂気なんて操っても意味ないし波長も…って早苗、あんたの能力が一番使っちゃ駄目なんじゃないの?」

 

 

早苗「奇跡の力で解答を導き出すなんて、そんなことしたらつまらないじゃないですか」

 

 

鈴仙「いや、もしも使ったらの話だからね?」

 

 

魔理沙「何言ってんだお前ら、一番厄介なのは妖夢だろ」

 

 

霊夢、早苗、鈴仙「え?」

 

 

妖夢「私?」

 

 

鈴仙「? 剣術とクイズに何の関係が」

 

 

魔理沙「『解けぬ問題など、あんまり無い!』だろ?」

 

 

妖夢「はっ!?」

 

 

霊夢「ぷふっ…! あっふはははっ…!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「んふっ…! ふふはははっ…!」プルプル

 

 

早苗「あふふははははっ!」ゲラゲラ

 

 

妖夢「ちょっ…!? ち、違う、違うよ! それ私の能力じゃない!」

 

 

魔理沙「ふっ…! え? そうだっけ?」プルプル

 

 

妖夢「それ私が魔理沙たちに最初に会ったときに言ったやつでしょ!? まだそれ覚えてるの!?」

 

 

魔理沙「お前も覚えてるじゃあないか」

 

 

妖夢「あれは…/// わ、忘れてよ! それに能力じゃないじゃん!」

 

 

魔理沙「あ、悪い悪い、お前の能力は『幽々子の腹を満たす程度の能力』だもんなぁ♪」ニヤニヤ

 

 

霊夢、早苗「あふははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「ぷっふふっ…!」プルプル

 

 

妖夢「全然違う!! というか笑わないでよ!」

 

 

早苗「す、すいませ…ふふっ…!」

 

 

鈴仙「ご、ごめんね妖夢…! くふっ…!」

 

 

霊夢「ふふふっ…! あ~…アリスがいなけりゃこんなに笑わないと思ったけど、あんたのボケがあったわね」

 

 

魔理沙「にとりにも紹介の時に言われてるからなぁ、やれるところはやってやるぜ♪」

 

 

にとり「良い画を期待してるよ~♪」

 

 

早苗「あはは、すっかりカメラマンですね♪」

 

 

魔理沙「そういやお前がここに居るのなんか新鮮だぜ」

 

 

霊夢「それはこっちの台詞だっての」

 

 

魔理沙「お互い出題者と解答者だったからなぁ」

 

 

霊夢、魔理沙「……」

 

 

霊夢「ふっ…あんたには負けないわよ」

 

 

魔理沙「それこそこっちの台詞だぜ、咲夜のプレゼントは私がいただくぜ~♪」

 

 

早苗「あ~、なんか良いですねぇ♪ お二人ともごちそうさまです♪」

 

 

霊夢、魔理沙「あー?」

 

 

鈴仙「あんたは相変わらず欲張りね…でも咲夜の事に関しての問題なら私は負けたくない…! 頑張らせてもらうわ」

 

 

魔理沙「おいその欲張り発言やめてくれ、地味に傷付くんだぞ?」

 

 

妖夢「…! そっか、クイズ大会でも勝負は勝負…! 負けたくないですね」

 

 

魔理沙「刀は使うんじゃねぇぞ?」

 

 

妖夢「分かってるわよ!」

 

 

鈴仙「よーし頑張ろ、200問♪」

 

 

早苗「そうですね! せーのっ! 芸能人パワー!」グッ

 

 

霊夢「やめなさいそれ流行んないから」

 

 

早苗「えぇ~…」

 

 

文「ふふっ、それじゃあ…始めますよー♪」

 

 

 

 

 

 

 

 【本番スタート!!】

 

 

 

【第1問】『メイド長の、好きな食べ物は?』

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、早苗「んふはははっ…!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「はふふっ…! ちょっ…! ふふっ…!」プルプル

 

 

妖夢「くっふふっ…!」プルプル

 

 

早苗「め…! 『メイド長の~』って…! ふふっ…!」

 

 

魔理沙「『博麗の~』『霧雨の~』と来て『メイド長の~』と来たか、あっははは!」

 

 

霊夢「とうとう名前で呼ばなくなったわね」

 

 

妖夢「ふ、二人が出題者の時はそう呼ばれてたんだね」

 

 

魔理沙「あぁ、マジで今のは不意討ちだったぜ」

 

 

鈴仙「くふっ…! そ、その流れだったら『十六夜の~』で来るんじゃないの?」

 

 

霊夢「ふふっ…! いや本当その通りよ『十六夜の~』で来ると思ってたからさ」

 

 

魔理沙「毎回思うけど誰の指示なんだよ、その呼び方」

 

 

 

 

 

藍『これも紫様の指示なんだ、あまり気にしない方がいいぞ』

 

 

 

 

魔理沙「紫か、何を考えてその呼び方にしてるんだよ」

 

 

霊夢「まぁメイドって聞いたら咲夜しか思い付かないけどさ」

 

 

鈴仙「誰も咲夜のことメイド長って呼ばないでしょ」

 

 

妖夢「あ…紅魔館のメイド妖精たちなら言うんじゃないかな?」

 

 

鈴仙「あ、そっか…でも友達とか知り合いでメイド長なんて他人行儀よね」

 

 

魔理沙「紅魔館の連中、パチュリー達はメイド長なんて絶対呼ばないもんな」

 

 

霊夢「レミリアたちが言ってたらと思うと違和感がすごいわね」

 

 

魔理沙「あははっ! そうだな♪ ……で、この問題なんだが…」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、鈴仙「……」

 

 

にとり、文「……?」

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙、妖夢、早苗「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙、妖夢、早苗「全く分からない…!!」

 

 

にとり、文「えぇっ!?」

 

 

文「あややや!? まだ1問目ですよ!?」

 

 

霊夢「いや、これ…えぇ…」

 

 

魔理沙「マジでこれは…」

 

 

鈴仙「さ、咲夜の好きな食べ物…食べ物って……」

 

 

妖夢「えぇ…わ、分からないなぁ」

 

 

早苗「1問目ってこんなにハードでしたっけ…?」

 

 

にとり「おいおい、冗談だろ? 1問目の定番じゃないか」

 

 

霊夢「それは分かってるわよ、でも自分で言いたく無いし、認めたくないけど私と魔理沙なら大体予想はつくでしょ?」

 

 

にとり、文「…まぁ」

 

 

霊夢「咲夜の好きな食べ物って想像がつかないのよねぇ…」

 

 

魔理沙「いやこれ分かんねぇとかじゃねぇかも…範囲が広いのか?」

 

 

早苗「範囲の問題なんですかね」

 

 

妖夢「そもそも咲夜が食べている姿をあんまり見てない様な…」

 

 

鈴仙「咲夜……えぇ…あれぇ…?」アタマカカエ

 

 

魔理沙「親友ですら分からねぇのに分かるわけないだろ…」

 

 

霊夢「神社の宴会……あ、ダメだ…咲夜作る側だから」

 

 

魔理沙「とりあえず何か書こうぜ」カキカキ

 

 

妖夢、鈴仙「うん…」カキカキ

 

 

早苗「はい…」カキカキ

 

 

霊夢「えぇ…」カキカキ

 

 

にとり、文(テンションが…)

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

霊夢《紅茶》

魔理沙《クッキー》

鈴仙《ケーキ》

妖夢《紅茶》

早苗《レモン》

 

 

 

 

鈴仙「当たっ…てる? かしら…」

 

 

霊夢「祈るしかないわね」

 

 

魔理沙「1問目から神頼みとかしたくなかったぜ」

 

 

霊夢「その場にあったもの書くしか手がなかったのよね」

 

 

妖夢、早苗「同じく」

 

 

魔理沙「早く正解をくれ、モヤモヤするからよ」

 

 

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜の好きな食べ物は?』

 

 

咲夜『え? あぁ、始まったのね』

 

 

咲夜『唐突すぎ…でもこれが出題者の感覚なのね、霊夢と魔理沙の気持ちが分かるわ』

 

 

咲夜『えっと…好きな食べ物よね?』

 

 

咲夜『う~ん……あ、フルーツタルトかしらね』

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

霊夢、魔理沙「出てくるかぁ!!」

 

 

早苗、にとり、文「あふふはははっ!」

 

 

霊夢「フルーツタルトなんて出てくるわけないでしょうが!」

 

 

魔理沙「なんだその女子力の塊の様な名前の素敵スイーツは! 幻想郷じゃお前しか作らないだろ!」

 

 

妖夢「フルーツタルトって…確かに出てこないよね」

 

 

鈴仙「咲夜、それ本当に食べてるの? 私あなたがそれ食べてるところ見たこと無いよ…?」

 

 

魔理沙「くっそ…! こんなことなら『レミリアのカリスマ』って書いておけばよかったぜ」

 

 

霊夢「ネタに走ってふざけても書いても不正解は不正解なのよね」

 

 

魔理沙「あっ…! 分かったぞ、何で1問目からこんなに難易度が高いのか」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、鈴仙「え?」

 

 

魔理沙「こっち側に咲夜の身内が居ないからだ」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、鈴仙「あぁ~…」

 

 

妖夢「でも居たら居たで優勝持ってかれそうだよね」

 

 

早苗「一緒に住んでますし、全問正解もあり得ますからね」

 

 

霊夢「紅魔館組が解答席に居ないのも初めてよね」

 

 

魔理沙「でもヒントぐらい言うかもしれないだろ?」

 

 

鈴仙「そうかもしれないけど…居ないものはしょうがないじゃない」

 

 

霊夢「そうね…」

 

 

魔理沙「私的には鈴仙が1位になるかもってちょっと思ってたんだが…」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、鈴仙「…」

 

 

魔理沙「こりゃ分からんぞ」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、鈴仙「うん…」

 

 

 

文「波乱の幕開けですねぇ♪」

 

 

にとり「魔理沙の時みたいに出来レースじゃなくなってるのは面白いよね」

 

 

 

霊夢「なんか気合い入ったわ」

 

 

魔理沙「あぁ私もだ、面白くなって来やがったぜ」

 

 

鈴仙「咲夜の事をもっと知れる良い機会だし…よし、頑張ろっと!」

 

 

妖夢「問題に間違えるって結構悔しいもんなんだね、正解数で争ってるから尚更なのかな……負けられないわね」

 

 

早苗「闘争心に火がつきましたよ、私、頑張りますよ!」

 

 

魔理沙「よし、次だ! 次!」

 

 

 

 

 

【第2問】『メイド長の、血液型は?』

 

 

 

鈴仙「! …♪」カキカキ

 

 

早苗「おや、鈴仙さん早いですね」

 

 

鈴仙「ふふん♪ 私を誰だと思ってるのよ♪」

 

 

魔理沙「野うさぎ」

 

 

鈴仙「医者の弟子よ! それに永遠亭に私住んでるからね!?」

 

 

霊夢、早苗「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

妖夢「あれ? 鈴仙、永琳さんって薬剤師じゃなかったっけ?」

 

 

鈴仙「う~ん、表向きはそうなんだけど医者としての知識とスキルは師匠持ってるのよね、外科学とか内科学とか…そんな感じ?」

 

 

魔理沙「治せない病気などあんまり無いのかもしれないよな?」

 

 

妖夢「何で私を見ながら言うのよ」

 

 

早苗「ふふっ…!」

 

 

鈴仙「早苗、あんたって良く笑うのね」

 

 

早苗「良く言われます」

 

 

霊夢「楽しそうよね、いつもいつも」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《A型》

魔理沙《A型》

鈴仙《A型》

妖夢《AB型》

早苗《AB型》

 

 

 

妖夢、早苗「あれっ!?」

 

 

魔理沙「あ、当たったぜ」

 

 

霊夢「何となくで書いたら当たったわね」

 

 

鈴仙「私で正解してるか確かめるのやめてほしいんだけど…」

 

 

魔理沙「自信あるんだろ?」

 

 

鈴仙「そりゃあるけど」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜の血液型は?』

 

 

咲夜『血液型? A型よ』

 

 

 

 

 霊夢、魔理沙、鈴仙、正解!!

 

 

 

 

魔理沙「よっしゃ、まず1問だぜ♪」

 

 

霊夢「そういやあんた何で知ってたの?」

 

 

鈴仙「咲夜の血液を採取して調べたことがあるの、かなり前の話だけどね」

 

 

霊夢「ふーん…」

 

 

早苗「咲夜さんって霊夢さんと血液型同じなんですね」

 

 

妖夢「あ、霊夢もA型なんだ」

 

 

霊夢「まぁね」

 

 

鈴仙「似て…るかなぁ」

 

 

霊夢「いや、血液型ごときで共通点なんか…」

 

 

魔理沙「几帳面なところか?」

 

 

早苗、妖夢、妖夢「あぁ~…」ウンウン

 

 

霊夢「あー? 几帳面?」

 

 

魔理沙「お前かなり几帳面じゃん」

 

 

霊夢「……えっ?」

 

 

早苗「霊夢さんってプライドが高いところありません?」

 

 

鈴仙「物事が思い通りにいかないとイライラすることない?」

 

 

妖夢「霊夢って節約得意だよね」

 

 

魔理沙「お前小さな事にも手を抜かないじゃん?」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「私って几帳面だったんだ…」

 

 

早苗「気付いて無かったんですか?」

 

 

霊夢「分かんないわよ、そんなの」

 

 

妖夢「これ咲夜のクイズだよね?」

 

 

魔理沙「霊夢のことも知る事になるとはな」

 

 

鈴仙「咲夜も几帳面だけどね」

 

 

 

 

 

 【第3問】『メイド長の、癖は?』

 

 

 

霊夢「癖か、咲夜に癖なんかあるのかしら」

 

 

妖夢「癖って…自分で気付いてないことの方が多いんじゃないのかな」

 

 

魔理沙「あいつなら自分で気付いてそうだが、どうなんだろうな」

 

 

早苗「ついついやってしまう仕草みたいなのあるんですかね、咲夜さん」

 

 

鈴仙「習慣から来る物かもしれないわよ?」

 

 

霊夢「! なるほど…習慣ね」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《美鈴の確認》

魔理沙《カリスマの顔色を伺う》

鈴仙《時計を確認する事》

妖夢《掃除した箇所をもう一回確認すること》

早苗《鏡の前で身嗜みを確認すること》

 

 

 

早苗、妖夢、鈴仙「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

霊夢「くふっ…! あぁ、そっち?」

 

 

魔理沙「あぁ、私もそっちかこれかで迷ったんだよ」

 

 

霊夢「でも咲夜ならそっちを選びそうね」

 

 

魔理沙「でもなぁ、これを癖だと認識してないかもしれないんだよなぁ」

 

 

鈴仙「そうだと思うわよ、それだって仕事の範疇なんじゃない?」

 

 

妖夢「咲夜がそれを仕事だと思ってるかどうかだよね」

 

 

早苗「意外に難問でしたね、これも」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜の癖は? ある?』

 

 

咲夜『癖? 癖…』

 

 

咲夜『う~ん……あ』

 

 

咲夜『妹様に言われて初めて気が付いたんだけど』

 

 

紫『フランに?』

 

 

咲夜『えぇ、私って良く時計を見る癖があるらしいのよ』

 

 

咲夜『時計をチラッと一瞬見る動作をするらしいの、時間を確認するために見てないらしくて…掃除中だと頻繁にやっているらしいのよ』

 

 

紫『自覚無しなの?』

 

 

咲夜『みたい、自分を少し疑ったわね…私そんなことしてるんだって』

 

 

 

 

 

 鈴仙、正解!!

 

 

 

鈴仙「やった! 当たった~!」

 

 

妖夢「良かったね、鈴仙」

 

 

鈴仙「うん♪」

 

 

早苗「咲夜さんそんなに見てるんですか? 時間気にしてるわけでもないのに?」

 

 

霊夢「咲夜って時間気にする必要無いんじゃないの? 時間を操れるんだからさ」

 

 

鈴仙「もしかしてああは言っているけど無意識に時間を確認してるのかも…」

 

 

魔理沙「その可能性も無くはないよな、しかしフランが見てたってことは時間を止めて無いときになるな」

 

 

早苗「う~ん、時計に思い入れでもあるんですかね?」

 

 

魔理沙「そういえばあいつ懐中時計持ってたよな」

 

 

妖夢「見せてもらった事あるよね、大事そうにしてたけど」

 

 

鈴仙「あの懐中時計も昔から持ってる大事な物としか聞いてないのよね」

 

 

霊夢「…なんか益々謎ね、咲夜の癖」

 

 

早苗「話を広げすぎちゃいましたかね」

 

 

魔理沙「そうだな、まぁただの癖だろうしな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【第4問】『メイド長の、一番好きな時間帯は?』

 

 

 

魔理沙「範囲が広くねぇか?」

 

 

文「朝と昼、夕方と夜ですね」

 

 

霊夢「自然と四択になったわね」

 

 

妖夢「これは…う~ん、イメージ通りで良いのかなぁ」

 

 

魔理沙「いや、こっちの裏をかいてくるかもしれないぜ?」

 

 

鈴仙「そんなことしないわよあんたじゃないんだから」

 

 

魔理沙「なんだとぅ!」

 

 

早苗「ま、まぁまぁ」

 

 

霊夢(魔理沙、あんた結構律儀に答えてたわよね)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《夜》

魔理沙《朝》

鈴仙《夜》

妖夢《夕方》

早苗《朝》

 

 

魔理沙「何で夕方選んだんだ?」

 

 

妖夢「ほら、仕事が終わってゆっくりしている時間なのかなって」

 

 

霊夢「夕方でも仕事してそうだけどね」

 

 

妖夢「う~ん、やっぱり夜なのかなぁ」

 

 

鈴仙「働き過ぎよ咲夜…レミリアも言ってるのになぁ…」ブツブツ

 

 

早苗「…なんか夜が答えな気がしてきました」

 

 

魔理沙「折れるなよ早苗、朝だって信じるんだぜ」

 

 

霊夢「逆に何で朝を選んだのよ」

 

 

魔理沙「朝に起きると気持ちいいじゃん」

 

 

霊夢「あんたたまにしか朝に起きないじゃない」

 

 

魔理沙「その『たまに』が気持ちいいんじゃないか」

 

 

鈴仙「寝過ぎも体に毒って知らないのかしら…」

 

 

魔理沙「それ紫のばあさんに言えよ」

 

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜の一番好きな時間帯は? 朝、昼、夕方、夜の中から答えてね♪』

 

 

咲夜『始めから四択なのね、ふぅん…そうね』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜『朝、朝ね』

 

 

 

 

 魔理沙、早苗、正解!!

 

 

 

 

霊夢、早苗、鈴仙、妖夢「ええっ!?」

 

 

魔理沙「よっしゃあ! っておい早苗! 私達正解してるんだぞ、お前が驚いてどうすんだよ!」

 

 

早苗「だって私賭けで書いたんですもん!」

 

 

魔理沙「なにぃ!?」

 

 

鈴仙「朝好きなの? 咲夜」

 

 

妖夢「イメージ通りじゃなかったね、驚いたわ」

 

 

霊夢「紫、理由聞いてみて!」

 

 

鈴仙「あ、聞いてくれるの?」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『理由があるのかしら?』

 

 

咲夜『ふふっ、それを聞いてくるってことは誰か夜って書いて驚いたってところかしらね、大方私のイメージで解答したんじゃないかしら』

 

 

咲夜『まぁ確かに夜は好きよ、でも夜は朝の次に好きなの、朝の…太陽の光を浴びるのが凄く好きなのよ』

 

 

紫『へぇ…♪ 意外ねぇ』

 

 

咲夜『…やっぱり私って夜のイメージあるかしら?』

 

 

紫『えぇとても♪ 私は夜の塊だと思っているわよ♪』

 

 

咲夜『夜の塊って何よ』

 

 

 

 

 

魔理沙「太陽の光を浴びるのが好きぃ…? レミリアこの事知ってんのか?」

 

 

霊夢「流石に知ってるんじゃないの?」

 

 

早苗「咲夜さんの夜のイメージが崩れていきますね」

 

 

魔理沙「崩れるのはお嬢のカリスマだけで充分なんだけどな」

 

 

霊夢、早苗「くふふっ…!」

 

 

魔理沙「吸血鬼の館に住んでる人の発言とは思えないぜ」

 

 

妖夢「魔理沙が言ってた様に朝起きるのが気持ちいいからなのかな?」

 

 

魔理沙「分かるぜぇ♪ 太陽の光は浴びたいもんなあ♪」

 

 

霊夢「だからあんた朝に起きないじゃない」

 

 

鈴仙(太陽の…光? 朝の日差しじゃなくて?)

 

 

鈴仙(考え過ぎかな…?)

 

 

 

 

 

 【第11問】『メイド長は、妖夢にあだ名をつけるとしたらどんなあだ名をつける?』

 

 

 

妖夢「あだ名!? 私に!?」

 

 

早苗「おぉ~♪ あだ名ですか! 良いじゃないですか♪」

 

 

妖夢「えぇ~…」

 

 

鈴仙「あだ名…妖夢、あなたって」

 

 

妖夢「うん、あだ名をつけられた事なんて一回も無いよ」

 

 

魔理沙「そうなのか、ならこの際だから妖夢にあだ名をつけてやるかぁ」

 

 

妖夢「いや、いいよ無理してつけなくて」

 

 

霊夢「あんた私にあだ名つけたわよね」

 

 

魔理沙「あぁ前の私の時か、良いじゃん、レイちゃん」

 

 

霊夢「いやぁ……自分でも書いちゃってたけどキツくない? レイちゃん」

 

 

魔理沙「お気に召さなかったか?」

 

 

霊夢「私にはほら『れい』って文字が二つ入ってるからさ」

 

 

魔理沙「ははっ、レイレイちゃんになっちゃうな」

 

 

早苗「それだと芳香さんみたいにキョンシーになっちゃいますね♪ 私あのキャラクター好きでした♪」

 

 

霊夢、魔理沙「…あー?」

 

 

鈴仙「あだ名…う~ん…咲夜なら妖夢になんてつけるかな」

 

 

妖夢「そんなに私のあだ名で悩まれると恥ずかしいんですけど…///」カァッ

 

 

霊夢「これさ、自分で考えるのも嫌よね」

 

 

妖夢「そうだね…」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《オバ剣士》

魔理沙《コック・コンパク》

鈴仙《シロちゃん》

妖夢《半妖夢》

早苗《パックン》

 

 

 

 

妖夢「へぇっ!?」

 

 

霊夢「ふふっ…! あっふふふふっ…!」プルプル

 

 

魔理沙、早苗「んはははははっ!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「ちょっとあんたたちさぁ、ちゃんと咲夜の気持ちになって考えたの!? ねぇ!?」

 

 

霊夢「いやっ…! ちょっ…! あんたたち何をっ…!  ぷっ…! あっははっ!」

 

 

魔理沙「んふはははっ! いやいや、お前だって…! くふははっ…!」

 

 

早苗「あはははっ!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「絶対自分の考えよね?」

 

 

妖夢「なんかスッゴい悪意を感じるんだけど…」

 

 

霊夢「いやいやいや、そ、そんなこと無いわよ…?」プルプル

 

 

妖夢「霊夢顔がニヤケてるじゃん! 説得力無いよ!?」

 

 

鈴仙「どうしたらそんな変なあだ名を思い付くのよ!」

 

 

早苗「いやいや、ちゃんと理由はあるんですよ?」

 

 

霊夢「そうそうそうなのよ、いやほら、ふくくっ…! だ、だってあんた半人半霊で剣士だからさ」

 

 

魔理沙「オバケと剣士で『オバ剣士』ってか…んふふっ…!」プルプル

 

 

霊夢「そういうことよ」

 

 

妖夢「オバケなんて言われたことも一度も無いし、私は一応庭師だからね!?」

 

 

魔理沙「半分幽霊な時点で充分オバケじゃねぇか」

 

 

妖夢「そんなこと言わないでよ!」

 

 

鈴仙「魔理沙、あんたのは悪意の塊よね」

 

 

魔理沙「人聞きの悪い事を言うなよ、コック・コンパクさんに失礼だろ」

 

 

鈴仙「そのあだ名事態が失礼でしょうが!」

 

 

霊夢、早苗「んふふふふっ…!」

 

 

妖夢「魔理沙さぁ…私のこといつもコック扱いするのやめてくれないかな」

 

 

魔理沙「お前から刀を取ったら料理人の肩書きしか残らないだろ?」

 

 

妖夢「そ、そんなことないもん!」

 

 

魔理沙「作れないものなど、あんまり無い! だろ?」

 

 

妖夢「そういうのも言わないでよ!」

 

 

霊夢「早苗は?」

 

 

早苗「魂魄(こんぱく)の『ぱく』を取って、パックンさんですね♪」

 

 

妖夢「なんか男の子みたいだからやめてほしいなぁ」

 

 

早苗「後ろにフラワーをつけたら口からファイヤーボールとか出してくれるんですけどね♪」

 

 

妖夢、鈴仙「ファイヤーボール!?」

 

 

霊夢「あんた何の話をしてんのよ」

 

 

妖夢「……私の味方は鈴仙だけだよ…」

 

 

鈴仙「もちろんよ妖夢、私はちゃんと考えたからね♪」

 

 

妖夢「……でも、なんか…」

 

 

鈴仙「うん?」

 

 

妖夢「シロちゃんってさ…なんか犬っぽくないかな…?」

 

 

鈴仙「!?」

 

 

妖夢「……鈴仙…」

 

 

鈴仙「ち、違っ…!」

 

 

魔理沙「お前っ…何て事を書くんだ…」

 

 

鈴仙「だから違っ…!」

 

 

魔理沙「どんな理由があろうと妖夢は半人半霊なんだぞ! 半分人間で半分はオバケなんだ!」

 

 

魔理沙「そんなことも分からないのか!」

 

 

鈴仙「……分かってるから何とか弁解を試みているんでしょうが! 妖夢! 私はあなたの事を犬だなんて思って書いた訳じゃ」

 

 

魔理沙「犬だなんてだとぅ!? 椛とか響子に失礼だと」

 

 

鈴仙「うるさいわねぇ! あんたは黙ってなさい!」

 

 

妖夢「というか…私はオバケでもないし…」ショボーン

 

 

早苗「妖夢さんってネガティブスイッチ入る時ありますよね」

 

 

霊夢「紫の『つれぇわ』よりちょっと辛そう…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は妖夢にあだ名を付けるとしたら、どんなあだ名を付ける?』

 

 

咲夜『妖夢にあだ名? 付けられた事無さそうね』

 

 

咲夜『妖夢……妖夢…? 妖夢ね…』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『あっ、白玉侍(しらたまザムライ)ってどうかしら』

 

 

紫『んふふふふふっ…!』

 

 

 

 全員不正解!!

 

 

 

 

妖夢「はぁっ!?」

 

 

魔理沙「だっはははは!」ゲラゲラ

 

 

霊夢「くははっ…! んふははははっ!」ゲラゲラ

 

 

早苗「あっははははっ!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「ふくっ…! し、しらっ…! ふふふふっ…!」プルプル

 

 

妖夢「なっ…何!? し、白玉侍!?」

 

 

魔理沙、霊夢、早苗「ふっふははは…!」

 

 

妖夢「ちょっ、わ…/// わ、笑わないでよ!」

 

 

霊夢「白玉っ…! ふっははは…!」プルプル

 

 

魔理沙「あぁ…! はぁ~面白れぇ…!」プルプル

 

 

妖夢「面白くないっ!」

 

 

早苗「お腹っ…! 痛いっ…! ふくくっ…!」

 

 

魔理沙「あ、あれかな? お前の家の白玉楼(はくぎょくろう)とかけてんのかな」

 

 

霊夢「そ、そうなんじゃないの? ふふっ…!」

 

 

早苗「料理、というかスイーツに例えるのは咲夜さんらしいですね」

 

 

鈴仙「咲夜らしいとかそんなんじゃ、咲夜何でそんなあだ名を…?」

 

 

魔理沙「いやぁ~そうだったな、忘れてたぜ、咲夜はネーミングセンスがカリスマの主に仕えているんだったな」

 

 

早苗「はっはは…!」

 

 

霊夢「ふふふっ…! そうだったわね、ネーミングセンスはレミリア譲りか」

 

 

魔理沙「でも咲夜はセンスあるよな、レミリアと違って」

 

 

妖夢「あのさぁ…! センスがどうこうの話じゃ無いでしょ! 白玉侍って!」

 

 

魔理沙「嫌なのか?」

 

 

妖夢「嫌だよ! 白玉侍だよ!? なんか…なんか嫌だ」

 

 

魔理沙「……そんなこと言うなよ白玉侍」

 

 

妖夢「!?」

 

 

早苗「せっかく咲夜さんがつけてくださったんですよ? 白玉侍さん」

 

 

霊夢「白玉侍、白玉あんみつ1つ」

 

 

妖夢「霊夢ぅ!」

 

 

霊夢、魔理沙、早苗「んふふふふふっ…!」プルプル

 

 

鈴仙「あんた達…! わ、笑いすぎよ、妖夢に失礼でしょ!」

 

 

霊夢「あんたも笑ってたじゃない」

 

 

鈴仙「わ、笑ってない! …!!」

 

 

妖夢「……」ジーッ

 

 

鈴仙「妖夢ち、違うのよ!? 違うからね!? 笑ってないからね!?」

 

 

魔理沙「必死すぎねぇかぁ♪」

 

 

鈴仙「うっさい! よ、妖夢…! でもほら、白玉侍って…ほらなんか…ほら! かっこよさと可愛さが入り交じってて私は好きだよ?」

 

 

妖夢「……鈴仙」

 

 

鈴仙「う、うん?」

 

 

妖夢「私、今なんか複雑…」

 

 

鈴仙「!?」

 

 

文「初めてのあだ名ですからねぇ」

 

 

にとり「私も寺子屋のがきんちょ達から工場長って呼ばれるのは複雑なんだよねぇ…気持ちは分かるよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【第17問】『メイド長が、紅魔館のメンバー以外で一番仲が良いと思うのは誰?』

 

 

 

鈴仙「!」

 

 

早苗「仲が良い、ですか」

 

 

妖夢「自分の家族以外なんだね」

 

 

早苗「仲が良いとかじゃないかもしれませんよね、咲夜さんはレミリアさんたちに仕えている身ですから」

 

 

霊夢「と、なると」

 

 

魔理沙「あぁ…」チラッ

 

 

霊夢、早苗、妖夢「…」チラッ

 

 

鈴仙「……」ピタッ

 

 

鈴仙「ねぇ、にとり」

 

 

にとり「ん~?」

 

 

鈴仙「これってさ、解答が合ってそうなら何でも書いて良いのよね?」

 

 

にとり「もちろんだよ、真面目に書くのも笑いを取るのも鈴仙次第さ♪」

 

 

鈴仙「そう、ありがと…」

 

 

霊夢「悩んでんの?」

 

 

鈴仙「ちょっとね…」

 

 

魔理沙「まぁ自信持って書きゃ良いんじゃねぇの?」

 

 

鈴仙「うん、そうする」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《鈴仙》

魔理沙《鈴仙》

鈴仙《私だったら良いな…》

妖夢《鈴仙》

早苗《鈴仙さん》

 

 

 

鈴仙「あっ…!」

 

 

魔理沙「ふん…♪ 親友なんだろ? もっと自信持って書けよ、なぁ霊夢」

 

 

霊夢「? 何で私に振るのよ」

 

 

魔理沙「私の親友に話振っちゃいけないのか?」

 

 

霊夢「! う、うっさいわね…///」カアッ

 

 

魔理沙「ふははは♪」

 

 

早苗「あぁ~♪ 良いですねぇ♪ 霊夢さん、魔理沙さんごちそうさまです♪」

 

 

魔理沙「お前のその『ごちそうさまです』ってなんなんだよ」

 

 

霊夢「あんたにご馳走した覚えないんだけど」

 

 

妖夢「ふふっ、鈴仙」

 

 

鈴仙「…! 妖夢」

 

 

妖夢「大丈夫だよ」ニコッ

 

 

鈴仙「! ふふっ…ありがと♪」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜は紅魔館のメンバー以外で、一番仲が良いと思うのは誰?』

 

 

咲夜『! 仲が良い…そうね…』

 

 

咲夜『これは『仲が良い』って聞かれているから答えはもう決まっているわね』

 

 

咲夜『答えは、鈴仙よ♪』ニコッ

 

 

 

 全員正解!!

 

 

 

鈴仙「!!」

 

 

魔理沙「サービス問題だな」

 

 

霊夢「分かりきってる事だからね」

 

 

妖夢「ね?」ニコッ

 

 

鈴仙「! うん♪」ニコッ

 

 

鈴仙「あぁ…ありがとう咲夜~!」

 

 

魔理沙「ふっ、聞こえてねぇぞ?」

 

 

鈴仙「それでも良いの~、ふっふふふ♪」ニコッ

 

 

早苗(ごちそうさまです! …と言いたいところですがここは黙っておきましょう、私は空気が読める現人神ですからね!)

 

 

早苗(ですが咲夜さんと鈴仙さん、いつから親友になったのでしょうか…気になりますね)

 

 

 

 

 

 

 【第23問】『メイド長が、いつも持ち歩いているナイフは何本?』

 

 

 

魔理沙「いつも? ってことは…」

 

 

早苗「異変解決の時に持っていく物は含まないって事ですね」

 

 

霊夢「人里に買い物とか、そこら辺に出掛けているときの物で考えれば良いんじゃないの?」

 

 

鈴仙「館で仕事している時も同じ本数を持っているの?」

 

 

妖夢「いつ闘いになっても良い様に持っているナイフかな」

 

 

霊夢「結構物騒よね」

 

 

魔理沙「つーかこれ本数ピッタリじゃないと正解じゃないんだろ?」

 

 

 

 

藍『あぁ、そうなるな』

 

 

 

 

早苗「うわぁ、当たる気がしませんね」

 

 

鈴仙「勘よね」

 

 

魔理沙「鈴仙がそう言うなら完全に勘で答えるしかないじゃねぇか」

 

 

霊夢(……よし)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《39本》

魔理沙《24本》

鈴仙《10本?》

妖夢《20本》

早苗《30本》

 

 

 

 

妖夢「…あれ?」

 

 

魔理沙「どうした白玉侍」

 

 

妖夢「それはもういいでしょ!?」

 

 

霊夢、早苗、鈴仙「ふくっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「ふふふふっ! ど、どうした妖夢」

 

 

妖夢「はぁ……あのさ、咲夜って…何だろあれ、何て言ったらいいのかな」

 

 

魔理沙「うん?」

 

 

妖夢「私の半霊みたいに大きくて丸い形で星のマークがついてて全体的に青色の…玉? みたいなの持ってなかったっけ」

 

 

魔理沙、霊夢、鈴仙、早苗「玉?」

 

 

妖夢「うん」

 

 

魔理沙「あー? ……あいつそんなの持ってたか?」

 

 

霊夢「う~ん……? えっ? 持ってたっけ」

 

 

早苗「記憶にないですね」

 

 

鈴仙「私も…ないわね」

 

 

妖夢「あれ…?」

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙、妖夢、早苗「??」キョトン

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜がいつも持ち歩いているナイフは何本?』

 

 

咲夜『ナイフ? いつも…?』

 

 

咲夜『……? えっ…何本だったかしら』

 

 

咲夜『……紫、あなた数えるの得意よね?』

 

 

紫『えぇ』

 

 

咲夜『今から持っているナイフを全部足元に落としていくから数えてくれない?』

 

 

紫『良いわよ~♪』

 

 

咲夜『では……ほっ…!』スッ

 

 

 カランカランカラン…!!

 

 

紫『……!?』

 

 

咲夜『後…あ、ホルスターとこっちも…』スッ

 

 

 カラン…! チャキッ! キィンキィン!

 

 

咲夜『袖の中…後は服の裏…よっ!』スッ

 

 

 カランカラン…!

 

 

咲夜『ふぅ、これで全部……じゃないわね、ポケットにもう一本入ってたわ』

 

 

紫『……』

 

 

咲夜『何本だった?』

 

 

紫『39本…』

 

 

咲夜『あら意外に少ない…のかしらね?』

 

 

紫『そんなにナイフ持ち歩いた事ないから分からないわねぇ』

 

 

 

 

 霊夢、正解!!

 

 

霊夢「お、当たった当たった♪」 

 

 

魔理沙、妖夢、早苗、鈴仙「えぇ…」

 

 

霊夢「まさかピッタリ当たるとは思わなかったわね♪ うんうん♪」ニコニコ

 

 

魔理沙「咲夜のやつ、あんなに武装してどうすんだよ」

 

 

早苗「ホルスターとか分かるんですけどあんなに入るもんなんですかね…」

 

 

霊夢「ねぇ当たったわよ、ねぇ♪」ニコニコ

 

 

妖夢「どこに入れてるのかな、服の裏とかにくっついていたりするの…?」

 

 

鈴仙「袖の中とかポケットの中って危なくないの…? そ、そんなことより…」

 

 

霊夢「ねぇ、当たっ」

 

 

魔理沙、妖夢、早苗、鈴仙「持ちすぎ…」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「当たったって言ってるのよ、ねぇ?」ニッコリ

 

 

文「あややや!? 霊夢さん、笑顔が怖いですよ!?」

 

 

にとり「ひゅいっ!? 何で私たちに振るのさ!?」

 

 

霊夢「だってこいつら反応しないんだもん」ムスッ

 

 

にとり「関心が咲夜のナイフに移ってるからじゃないかな?」

 

 

文「ほら、霊夢さんの勘が鋭いのは今に始まった事じゃないじゃないですか」

 

 

霊夢「でもピッタリよ? 咲夜のあの様子じゃ日によって持ち歩く本数まちまちだろうにピッタリ当てたのよ?」

 

 

文「う、うわー…! れ、霊夢さん凄いなー…!」

 

 

にとり「ほ、ホントホント…! すごーい…!」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「ピッタリ当たってちょっと嬉しかったから反応してほしかったのに何よもう…///」

 

 

にとり「そして自分で恥ずかしがっちゃうんだね…」ヒソヒソ

 

 

文「霊夢さんは咲夜さんのナイフには興味無いんですかね…」ヒソヒソ

 

 

 

 

【第29問】『メイド長は、紫がレミリアのことをいじっていることについてどう思っている?』

 

 

 

魔理沙「酷だろ」

 

 

霊夢、早苗、鈴仙「あふふふふっ…!」プルプル

 

 

妖夢「紫様が…うん」

 

 

魔理沙「いじってる本人目の前にいるし、読み上げるの本人だからな?」

 

 

霊夢「ふふっ…♪ 文、これ良い問題よ、あんたセンスあるわ」

 

 

文「ふっふっふ♪」ニヤリ

 

 

鈴仙「どう思ってるか自分で聞くって勇気いるわよね」

 

 

早苗「ですよね、しかも紫さんにはいじっているって自覚があるわけですから」

 

 

魔理沙「下手に地雷踏んで傷付けるのとは訳が違うからな」

 

 

妖夢「でもさ、紫様よりいじってる度合いで言ったら魔理沙の方が…」

 

 

魔理沙「何の事だか分からないんだぜ♪」

 

 

霊夢「あんた確信犯よね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

霊夢《お嬢様を侮辱しないで》

魔理沙《紫が誤魔化して読まない》

鈴仙《寛容はしてるけど侮辱だけは許さない》

妖夢《少しは控えて》

早苗《もっといじってもいい》

 

 

 

霊夢「ふはっ…! もっといじってもいいって…」

 

 

早苗「言いませんかねぇ♪」

 

 

鈴仙「流石に言わないと思うけどなぁ」

 

 

魔理沙「そんなこと言い出したら全員がレミリアの事いじり出すと思うぞ?」

 

 

妖夢「魔理沙、それ答えで良いの?」

 

 

魔理沙「あぁ、こういう答えになる事もあるからな」

 

 

早苗「当てにいきましたねぇ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『え~っと……ん? ……!?』

 

 

咲夜『…?』

 

 

紫『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

紫『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

紫『……』

 

 

咲夜『? 紫?』

 

 

紫『へぇっ!? な、何?』

 

 

咲夜『ふふっ…! 何よ変な声出して、読まないの?』

 

 

紫『よ、読むわよぉ…?』

 

 

咲夜『えぇ、どうぞ?』

 

 

紫『……』

 

 

紫『さ、咲夜は……』

 

 

咲夜『…? 私は?』

 

 

紫『…! 咲夜は~♪ 八雲藍がレミ』

 

 

 バァン!

 

 

藍『こらぁ!』

 

 

紫、咲夜『!?』

 

 

藍『やっぱり誤魔化すと思いましたよ! ちゃんと読んでくださいよ!』

 

 

紫『よ、読んでるじゃないのよ!』

 

 

藍『読んでないでしょう!? 漢字が違うじゃないですか!』

 

 

紫『あっはっは♪ 最近目が霞んじゃって霞んじゃって』

 

 

藍『……老眼か何かですか?』

 

 

紫『年寄り扱いするんじゃないわよ!』

 

 

藍『だったらちゃんと読んでくださいよ!』

 

 

紫『だから読んでるでしょ!』

 

 

咲夜『ちょっ、ちょっと!?』

 

 

藍、紫『んぁ!?』

 

 

咲夜『何で喧嘩が始まるの? 霊夢たち待ってるわよ?』

 

 

紫『!』

 

 

藍『…! すまなかったな咲夜……大丈夫ですからちゃんと読んでくださいよ』

 

 

紫『分かったわよ…うるさいわねぇ』

 

 

藍『まったくもう…』スッ

 

 

 バタン!

 

 

紫『最近藍に反逆心が芽生えてると思うんだけどどう思う?』

 

 

咲夜『あなたがちゃんとしていれば良いだけの事でしょ、それともっと優しくしてあげたら?』

 

 

紫『優しくしまくってると思うんだけど…』

 

 

咲夜『ふふっ…それで? 質問は?』

 

 

紫『……怒らない?』

 

 

咲夜『質問のモノによるわね、でも怒ったとしてもそれ考えてるの文なんだから怒りの矛先は文に行くわね、変なこと聞いたら今夜は鳥鍋になるだけよ』

 

 

紫『そ、そう…! じゃあ読むけど…』

 

 

咲夜『どうぞ』

 

 

紫『…咲夜は、私がレミリアの事をいじっていることについてどう思っている?』

 

 

咲夜『! ……』

 

 

紫『……』

 

 

咲夜『ん~……そうねぇ…』

 

 

紫『は、はい…』

 

 

咲夜『あなたがお嬢様をいじる事によって、まぁ…私にとっては不本意ながら会話が弾んで、最終的にはお嬢様は笑顔になっていて楽しんでいらっしゃる、そこに霊夢や魔理沙がいると余計にね』

 

 

咲夜『それによってお嬢様の新たな一面も見られるし、それは私には絶対に出来ない事だから…どう思っているかって言われたら…』

 

 

咲夜『私がこんなこと言ったら従者失格なのかもしれないけど程々に、お嬢様を侮辱しない範囲でお嬢様と会話を楽しむ為の『いじり』だったら私は許そうかなって思えるわね、会話が弾んでいるのに私が茶々を入れて邪魔をするのはどうかと思うし、お嬢様はそれを望んではいない…私が近くでお嬢様を見守る事でバランスが保ててるから』

 

 

紫『咲夜…』

 

 

咲夜『でも! でもよ? お嬢様の心を抉る様な事ばかり言っていたら私は容赦しないからね』

 

 

紫『ふふっ、私もそこまでしないしそんなやつ幻想郷にいないわよ♪』

 

 

咲夜『そうね、お嬢様は愛くるしくて皆から愛されてるお方だからね』

 

 

紫『ちんちくりんで可愛いわよねぇ♪』

 

 

咲夜『ちんちくりんは余計よ』

 

 

 

 

 鈴仙、正解! 霊夢、おまけで正解!

 

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢、早苗、鈴仙「おぉ~…」パチパチ

 

 

霊夢「大人な解答ね」パチパチ

 

 

魔理沙「な、さっすが瀟洒な従者だぜ」パチパチ

 

 

鈴仙「咲夜ならそう答えると思ってたわ、レミリアもそう思ってくれていることにいつも感謝してると思うわよ♪」パチパチ

 

 

妖夢「主に対するああいう姿勢は見習いたいかも…」パチパチ

 

 

早苗「咲夜さんは心が広いですねぇ、ふふっ♪」パチパチ

 

 

霊夢「てか咲夜から直々にいじりのお許しが出たわね」

 

 

魔理沙「カリスマガードさせるぐらいでちょうど良いのかもな♪」

 

 

霊夢「ははっ、程々にしときなさいよ?」

 

 

魔理沙「おう、任せとけ♪」

 

 

 

文「……」

 

 

にとり「…? どったの?」

 

 

文「鳥鍋…」

 

 

にとり「咲夜の逆鱗に触れる様な問題あるの?」

 

 

文「無い…とは思うんですけど」

 

 

にとり「ふっ…! 骨は拾ってあげるよ」

 

 

文「不吉な事を言わないでください…」

 

 

 

 

 

【第35問】『メイド長が、人里で一番寄った事のある場所はどこ?』

 

 

 

魔理沙「あいつ結構人里に行ってるよな、たまに会うぜ」

 

 

早苗「私は宗教関係でお仕事しているときに会いますね」

 

 

鈴仙「私も薬売りに来ている時に会うわね」

 

 

妖夢「私も、食材を買いに人里に出掛けているときは会うかなぁ」

 

 

霊夢「…」

 

 

魔理沙「霊夢は?」

 

 

霊夢「いや、私あんまり人里行かないわよ?」

 

 

鈴仙「嘘でしょ? 私、霊夢のこと結構見かけるんだけど」

 

 

霊夢「妖怪退治とかの依頼がありゃスッ飛んで行くけどそんなにしょっちゅう行ってないわよ? 阿求とか小鈴ちゃんに会いに行くときは行くけど」

 

 

魔理沙「そっか、霊夢の場合『咲夜が来る』だもんな」

 

 

霊夢「レミリアとセットでね、たまにフランとパチュリーも来るけど」

 

 

早苗「ほほぉ、ハッピーセットってやつですね!」

 

 

妖夢、鈴仙「は、ハッピー…?」

 

 

霊夢「何がハッピーなのよ」

 

 

魔理沙「お嬢はお前に会えてハッピーだろ」

 

 

霊夢「……私は博麗の巫女、私は博麗の巫女…」ブツブツ

 

 

魔理沙「お前それ板についてきたな」 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《市場…?》

魔理沙《市場通り》

鈴仙《市場》

妖夢《市場》

早苗《市場》

 

 

 

魔理沙「まぁ、館の食材買いに行く程度だろ」

 

 

霊夢「その他に行く場所なんてなさそうよね」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜が人里で一番寄った事のある場所は?』

 

 

咲夜『ん~…市場かしらね、食材の買い出しでしょっちゅう行くわ』

 

 

 

 全員正解!!

 

 

 

早苗「当然当たりますよねぇ♪」

 

 

鈴仙「まぁね♪ あ、話変わるんだけど偶然咲夜と人里で会って、咲夜に時間の余裕がある時なんだけどたまに甘味処でお茶することがあるのよねぇ♪ 私のちょっとした楽しみなのよ」

 

 

早苗「あっ! 私もありますよ♪ 二人の女子会みたいで話するのが楽しいんですよね♪」

 

 

妖夢「私もしたことあるよ、料理のことについて話すことが多いかなぁ」

 

 

魔理沙「な、なんだ? 咲夜連れてってくれるのか?」

 

 

鈴仙「連れてってくれるんじゃなくて一緒に行くのよ」

 

 

妖夢「魔理沙は人里で咲夜に会うんでしょ? 行ったこと無いの?」

 

 

魔理沙「無い、誘われた事も無い」

 

 

早苗「……魔理沙さんお金払わなそうだから」

 

 

魔理沙「払うぜ! そこまでケチじゃないからな?」

 

 

霊夢「咲夜はどう思ってんのかしらね」

 

 

魔理沙「咲夜、私の事ケチだとか思ってんのかな?」

 

 

霊夢「そりゃ思ってるでしょ」

 

 

魔理沙「心外だぜ…」

 

 

妖夢「誤解は解いた方が良いよ?」

 

 

魔理沙「そうするぜ…」

 

 

 

 

【第41問】『メイド長が、一番得意な料理は?』

 

 

 

魔理沙「分かりませ~ん」

 

 

霊夢、早苗「ふっはははっ…!」

 

 

鈴仙「あんた諦めるの早すぎでしょ!」

 

 

魔理沙「お前なぁよく考えろよ? 好きな食べ物にフルーツタルトって答えるやつの得意料理なんて分かるわけないだろ!?」

 

 

妖夢「でも確かに範囲が…これジャンルで答えたらダメなのかな?」

 

 

 

藍『ジャンルで答えてもおまけで正解にするぞ?』

 

 

 

魔理沙「おぉ、そうなのか! なら当たるな♪」

 

 

鈴仙「なんという手の平返し…」

 

 

霊夢「でもさ、そうでもしてくれないと当たらないわよね」

 

 

早苗「一問目はそうしてくれませんでしたけどね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《洋菓子》

魔理沙《スイーツ》

鈴仙《スイーツ系》

妖夢《洋菓子》

早苗《スイーツ》

 

 

 

霊夢「あっ! スイーツって書けば良かった」

 

 

魔理沙「ふふ♪ 咲夜が和菓子を答えたら不正解だな」

 

 

妖夢「! あぁ、そうだった…」

 

 

鈴仙「まぁでも咲夜は洋菓子を答えると思うけどね」

 

 

早苗「ふっふっふ♪ 皆さん! 私がミラクルフルーツって書くと思ったのではないですか!? ざ~んねん♪ スイーツでしたぁ♪」

 

 

魔理沙、霊夢「…」

 

 

魔理沙「なんかちょっとイラッとしたんだが…」

 

 

霊夢「早苗、デコピンするから動くんじゃないわよ?」ニッコリ

 

 

早苗「『してもいい?』とか許可取らないんですかぁ!? い~や~…!」

 

 

鈴仙「何をしてるのよ何を」

 

 

妖夢「あはははっ…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜が一番、得意な料理は?』

 

 

咲夜『料理? う~ん…』

 

 

咲夜『得意…って言われても何でも作れるから…そうね』

 

 

咲夜『まぁ…ケーキ? かしらね』

 

 

 

 

 全員正解!

 

 

 

魔理沙「よっしゃ、当たったぜ」

 

 

鈴仙「レミリアとフランによく作ってるからね、これもサービス問題ね」

 

 

霊夢「チルノも咲夜の作るケーキは最強だとか言ってたわね、私も食べたことあるから気持ちは分からんでもないけどね」

 

 

早苗「いったぁ~い…」スリスリ

 

 

妖夢「されたんだ…デコピン」

 

 

早苗「霊夢さんの中指のしなりが凄かったです…痛い…」

 

 

 

 

【第47問】『メイド長にとって、パチュリー・ノーレッジはどういった存在?』

 

 

 

魔理沙「お、ぱっつぁんの事か」

 

 

早苗「お~、咲夜さんの本音が聞けそうですね」

 

 

霊夢「これあんたの時にも同じ様なのあったわよね?」

 

 

魔理沙「あぁそうだな、でも違いがあるな」

 

 

鈴仙「違い?」

 

 

魔理沙「この場に、咲夜から見れば解答席にその人物が居ないってところだな」

 

 

妖夢「居ないから答えやすいのかな?」

 

 

魔理沙「逆に答えないかもしれないぜ?」

 

 

霊夢(魔理沙、あんたが律儀に答えてたから咲夜もきっと…)

 

 

鈴仙「どういった存在…か、咲夜はこういう話で恥ずかしがるタイプの人じゃ無いから…う~ん」

 

 

魔理沙「まぁあれこれ言ったが、なーんか真面目に答えそうな気がするな」

 

 

早苗「咲夜さん真面目ですからね」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《尊敬できる存在》

魔理沙《心から尊敬できる存在》

鈴仙《尊敬できる存在》

妖夢《ずっと側にいたい存在》

早苗《支えてあげたい存在》

 

 

 

鈴仙「あ、やっぱり尊敬?」

 

 

魔理沙「あぁ、慕ってる以前に尊敬が来ると思うぜ」

 

 

妖夢「…これじゃない? パチュリーって喘息持ちだからずっと側にいて支えてあげたい~とかだと思ったんだけど」

 

 

早苗「私もそれですね」

 

 

魔理沙「でもぱっつぁんはその事を心配されるのあんまり好きじゃないみたいだからなぁ、それに小悪魔が居るしな」

 

 

妖夢、早苗「あぁ…なるほど」

 

 

霊夢「さて、なんて答えるかしら」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜にとって、パチュリー・ノーレッジはどういった存在?』

 

 

咲夜『! ……』

 

 

咲夜(魔理沙の時にも似たようなのがあったわね…パチュリー様は今この場にいらっしゃらないけれど)

 

 

咲夜(別に過去の事を深く答える訳じゃないから…考えて答えてみましょうか)

 

 

咲夜『……パチュリー様…』

 

 

咲夜『そうね、パチュリー様からは本当に色んな物を頂いているの、知識もそうだし、今私が持っているこの気持ちや考え方、物の見方とかね』

 

 

咲夜『だからパチュリー様が私にとってどういった存在かって聞かれたら…』

 

 

咲夜『私が心の底から敬える…唯一尊敬できる存在ね』

 

 

 

 霊夢、魔理沙、鈴仙、正解!!

 

 

 

霊夢、妖夢、早苗「へぇ~…」

 

 

霊夢「咲夜ってパチュリーの事を尊敬してたのね、意外…って程でもないか」

 

 

早苗「パチュリーさんが持病の事で気を使われるのが嫌だと言うことを知らないはずがない、か…これが正解な訳がないですねぇ…」

 

 

妖夢「知識と気持ちかぁ、咲夜には宝物なんだろうね」

 

 

魔理沙「へっ…♪ パチュリーに聞かせてやりたいぜ」

 

 

鈴仙(尊敬かぁ…咲夜のその気持ち分かるよ)

 

 

 

 

 

【第53問】『メイド長は、紅霧異変の時に何を考えていた?』

 

 

 

霊夢、魔理沙「うっわぁ~、懐かしい~…」

 

 

妖夢「懐かしい?」

 

 

霊夢「いや、だってあんた…」

 

 

魔理沙「なぁ」

 

 

霊夢「ねぇ」

 

 

妖夢「? 分からないよ?」

 

 

早苗「聞きましたよ! 霊夢さんと魔理沙さんが初めて解決した異変だとね♪」

 

 

妖夢、鈴仙「! へぇ~」

 

 

魔理沙「いきなり赤い…いや、紅い霧が出てきたと思ったら」

 

 

霊夢「ルーミアにそーなのかーされて」

 

 

魔理沙「チルノと大妖精と知り合って」

 

 

霊夢「美鈴に道案内してもらって」

 

 

魔理沙「パチュリーと初めて会って本借りて」

 

 

霊夢、魔理沙「咲夜に会って…」

 

 

霊夢「こんなに月も紅いから?」

 

 

霊夢、魔理沙「……」

 

 

霊夢「永い夜になりそうね」

魔理沙「涼しい夜になりそうだな」

 

 

霊夢、魔理沙「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

早苗、鈴仙、妖夢「……」

 

 

魔理沙「知り合ったって言っても全部弾幕勝負でだけどな、それとあの時のカリスマは輝いてたよな」

 

 

霊夢「あっはははっ! 確かにね♪」

 

 

魔理沙「まぁ今でもたまに輝く時があるけどな」

 

 

霊夢「たまに、ね」

 

 

魔理沙「そうそう♪ たまに、な」

 

 

魔理沙「その後にフランと会ったんだよな」

 

 

霊夢「そうだったわね、遊んであげた…って言った方が良いのかしらね」

 

 

魔理沙「弾幕でな♪ くあぁ~、全てが懐かしいぜ」

 

 

霊夢「本当にね…感慨深いわ」

 

 

魔理沙「そうだな……お、なんか悪いな、思い出に浸っちまってよ」

 

 

鈴仙「ううん、別に気にしてないわよ」

 

 

妖夢「うん、なんか…ふふっ、二人って本当に仲良いよね」

 

 

鈴仙「正直羨ましいわ、あんたたちのその関係」

 

 

霊夢、魔理沙「…」

 

 

霊夢「まぁ、長い付き合いだからね」

 

 

魔理沙「ふっ、これからどれだけ長く付き合っていくんだろうな」

 

 

霊夢「さぁねぇ…」

 

 

魔理沙「先が見えないぜぇ」

 

 

早苗「霊夢さん! 魔理沙さん!」

 

 

霊夢、魔理沙「…?」

 

 

早苗「本当に! 本当にごちそうさまでしたぁ!」

 

 

霊夢、魔理沙「……」

 

 

早苗「うっふふふふ♪」ツヤツヤ

 

 

霊夢「なんであんたそんなにツヤツヤしてんのよ」

 

 

魔理沙「私達はお前に何をご馳走してんだよ」

 

 

早苗「だからそういうのですよ!」

 

 

霊夢「……あんた分かる?」

 

 

魔理沙「まったくわかんねぇ」

 

 

早苗「それです! ごちそうさまですぅ!」

 

 

霊夢、魔理沙「……はぁ!?」

 

 

妖夢「あ…ねぇ、咲夜のこと書かないと」

 

 

霊夢「あ、あぁ…そうだったわね」

 

 

魔理沙「早苗にご馳走してる暇があるならペンを動かすぜ」

 

 

早苗「そんなこと言わないでくださいよぉ!」

 

 

鈴仙(騒がしいわねぇ)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《忙しいのにお嬢様ったら余計な事を》

魔理沙《カリスマァ…》

鈴仙《仕事が増える》

妖夢《レミリアお嬢様の命のままに》

早苗《博麗の巫女が来るんじゃ…?》

 

 

 

霊夢、鈴仙、妖夢、早苗「ふっはははっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「これだろぉ♪」

 

 

霊夢「それネタじゃない、ふふっ♪ 私と鈴仙が近いかしらね?」

 

 

鈴仙「咲夜から聞いたのよ、レミリアって日の光を隠すために紅い霧を出してたんでしょ? その時でも仕事はちゃんとしてたって言ってたからね」

 

 

早苗「それを聞くと咲夜さんのお仕事が一つ増えただけですよね、霊夢さん…魔理沙さんもですけど博麗の巫女が来て紅い霧を止めるって分かってる訳ですからね」

 

 

妖夢「侵入者の撃退だよね」

 

 

魔理沙「咲夜頑張ってたんだなぁ」

 

 

霊夢「疲れるでしょうね、色々と」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『…! あらあら♪』

 

 

咲夜『?』

 

 

紫『咲夜は紅霧異変の時に何を考えていた?』

 

 

咲夜『!! あら…懐かしい話を持ち出して来たわね』

 

 

咲夜『ふふっ…♪ 懐かしいわね本当に……』

 

 

咲夜『…! あぁ、何を考えていた? よね?』

 

 

咲夜『……もう、ナニかしら…本当に昔の事だから正直に言えるけど』

 

 

咲夜『正直よ? 正直…』

 

 

咲夜『掃除とか仕事で頭がいっぱいで『次はあれしよう、次はこれしよう』って考えててかなり忙しかったのにまた一つ仕事が増えるのかしら…とは思ったわね』

 

 

咲夜『……あっ! お嬢様には私がこう思っていただなんて口が裂けても言わないでよ?』

 

 

 

 霊夢、鈴仙、正解!!

 

 

 

 

魔理沙「ふっははっ…! いやよ、むしろ今だからこそレミリアに面と向かって言うべきなんじゃねぇの?」

 

 

鈴仙「言ったらダメって咲夜言ってるでしょ」

 

 

魔理沙「『お嬢様、私、十六夜咲夜は紅霧異変の折り、とても我慢しておりました…仕事仕事でまた仕事…とても辛かったのでございます』」

 

 

鈴仙「色々と脚色し過ぎ!」

 

 

魔理沙「根本は間違ってないだろ」

 

 

霊夢「あっはは! でもレミリアなら笑って許しそうだけどね」

 

 

魔理沙「だな『あの時はごめんね』とか言いそうだぜ」

 

 

鈴仙「それは…うん、そう思えるわね」

 

 

 

 

 

【第59問】『メイド長にとって、フランドール・スカーレットはどういった存在?』

 

 

 

魔理沙「今度はフランか」

 

 

鈴仙「私が紅魔館に行くと美鈴か咲夜と遊んでいるのをよく見るわ」

 

 

霊夢「最近はフラン何して遊んでるの?」

 

 

鈴仙「弾幕だったり、花の手入れとかしてたり、後…名前なんだっけ、なんか木の棒で玉を打ち返す遊びをしてたわね」

 

 

早苗「野球じゃないですか?」

 

 

鈴仙「あ、それよ、部屋の中でやってたわね」

 

 

妖夢「部屋の中? 狭くないのかな」

 

 

鈴仙「館の一室で美鈴とやっているのを咲夜に見つかっちゃってね、叱られたみたいよ」

 

 

魔理沙「野球は私が教えた♪」

 

 

霊夢「室内でやるもんじゃないわよね、あれ」

 

 

魔理沙「むぅ、広い図書館でやった方が面白いぞ? って教えたのに何で図書館でやらないんだ?」

 

 

霊夢「だからそれ室内…」

 

 

妖夢「それやってパチュリーに怒られたんじゃ…」

 

 

魔理沙「しっかし基本的に咲夜はフランに優しくしてるからな、主の妹として慕ってはいるんだろうが…」

 

 

鈴仙「レミリアと違うのはちょっとだけ子供と接している感じはあるのよね」

 

 

早苗「敬語は崩さず、子供目線で叱る咲夜さんを見ていると…なんだかフランさんのお姉さんみたいですね」

 

 

妖夢「かといってお姉さんぶっている訳じゃないもんね」

 

 

霊夢「存在…難しいわね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《妹みたいな存在》

魔理沙《妹的な存在》

鈴仙《妹の様な存在》

妖夢《妹みたいな存在》

早苗《妹の様な存在》

 

 

 

魔理沙「お、揃ったな」

 

 

霊夢「フランと咲夜が会話してるところ見てるとどうもこれしか思い浮かばなかったのよね」

 

 

妖夢「慕ってはいるけど心の中では妹みたいに思っている…感じなのかな?」

 

 

早苗「これが正解なら微笑ましい話ですね♪」

 

 

鈴仙「今はこの場にフランがいないからこう答えてくれるかもしれないわね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜にとって、フランドール・スカーレットはどういった存在?』

 

 

咲夜『! 妹様ね…』

 

 

咲夜『妹様……♪』ニコッ

 

 

咲夜『妹様からは笑顔をもらっているわ、こう私が思うのは勝手なことで妹様には失礼だとは思うのだけれど…いつも明るくて天真爛漫な性格の妹様…そんな妹様が楽しそうにしているのを見ているだけで不思議と私は笑顔になれるの、もちろん私だけじゃないわ、館で妹様が笑顔を見せる度にお嬢様もパチュリー様もこあも美鈴も明るくなるのよね』

 

 

咲夜『ふふっ♪ だからそうね、妹様は私にとって…』

 

 

咲夜『私に笑顔を…周りを明るく照らしてくれる太陽の様な存在よ』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、早苗、鈴仙、妖夢「……」

 

 

鈴仙「そっか…そうよね、咲夜」

 

 

霊夢「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

魔理沙「ははっ、なるほどな♪」ニコッ

 

 

早苗「咲夜さんはフランさんの事をそう思っているんですね、素敵な話です」

 

 

妖夢「フランとは博麗神社の宴会で何度か話した程度だけど咲夜の気持ちが分かるかも」

 

 

早苗「私もです、フランさんって本当にいつも楽しそうにしてますからね」

 

 

魔理沙「無邪気さで言ったらフランはチルノ並だからな、人を惹き付ける魅力があると思うぜ」

 

 

霊夢「そうね♪ ふふっ、今の咲夜の言葉フランに聞かせてやりたいわ」

 

 

 

 

 

 

 

咲夜『…妹様があんなに笑顔を見せてくれるようになったのは霊夢と魔理沙のお陰なのよ、特に魔理沙ね』

 

 

紫『ふふっ、なら紅霧異変が起きて良かった…と思ってるのかしら?』

 

 

咲夜『えぇ思ってるわ、お嬢様が霧を出したとき最初はさっきの質問で答えた通りの思いだったけど…あの異変が起きなかったら二人に出会うことも無かったから』

 

 

咲夜『それにお嬢様が博麗神社に遊びに行く事が増えたから、私もお嬢様に動向することになって館の外に出る事が増えた』

 

 

咲夜『……増えたからこそ、霊夢と魔理沙、鈴仙…妖夢や早苗とも知り合う事ができた…』

 

 

紫『ざっくり言っちゃうと霊夢と魔理沙が紅魔館に訪れて紅魔館全体の雰囲気が変わったんじゃないかしら♪』

 

 

咲夜『! …そうね』

 

 

咲夜(いつかは霊夢と魔理沙に面と向かってお礼を…ふふっ…♪ お嬢様も私と同じ考えをお持ちになっていらっしゃるのかしら)

 

 

 

 

 

【第65問】『メイド長は、自分の能力について深く考えた事があるならばどういう事を考えた?』

 

 

 

妖夢「咲夜の能力って『時間を操る程度の能力』だったよね?」

 

 

霊夢「えぇ、咲夜と言ったらこの能力よね」

 

 

魔理沙「あいつ人間辞めてるところあるよな、能力もそうだが仕事の量とかよ」

 

 

鈴仙「人間辞めてるとかはともかく能力使ってまで仕事してるのは私としてはちょっといただけないのよね…もう少し自分を大切にしてほしいのに、咲夜…」

 

 

早苗「外の世界に居たときは時間を操るとか人類が辿り着けない夢のまた夢だと思ってたんですけどねぇ、幻想郷に来て知り合った人の中にまさか時間を操る事が出来る人がいるなんて…本当に幻想郷に常識は通用しませんね…」

 

 

妖夢「修行とかで身に付く能力じゃないよね」

 

 

魔理沙「ん? そういや、輝夜の能力は咲夜のと似てるよな」

 

 

鈴仙「姫様の能力は『永遠と須臾を操る程度の能力』だから…まぁ時間を操るって観点から言えば似てるわ、違った形で時間に干渉しているって言ったらいいのかしら」

 

 

魔理沙「ほぉ、お互いに自分だけの時間を持ってるって感じなのな」

 

 

鈴仙「そういう事になるわね」

 

 

妖夢「自分で自分の能力を…か、考えれば考えるほど難しいことだよね」

 

 

早苗「時間の事について真剣に考える訳ですからね」

 

 

霊夢「……」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《過去に遡れる限界を知りたい》

魔理沙《空間をどこまで操れるか》

鈴仙《他人の時間に干渉することは出来るのか》

妖夢《操れる範囲の限界はどこまでか》

早苗《他人の時間は操れないのか》

 

 

 

妖夢「う~ん、どれもあり得そうなんだよね」

 

 

魔理沙「これはさっさと咲夜の答えを聞こうぜ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜は自分の能力について深く考えた事があるならば、どういう事を考えた?』

 

 

咲夜『能力……』

 

 

咲夜『色々と考えてはいるわ、そして試しているの』

 

 

咲夜『起きたことを無かったことにするのは難しかった、物が壊れたりした場合とかは時間を戻しても元には戻らなかった…移動していた物が元の位置に戻る程度だったのよね、後は人を一日後の未来に送るとかも無理なの』

 

 

咲夜『時間を止めて私だけ移動する、時間の流れを遅くする、時間の流れを速めて存在を変化させたりは出来たわ、まぁそれはジュースをお酒に変化させるぐらいの事しか出来ないけどね』

 

 

咲夜『空間操作出来る事は…霊夢たちも知ってるわよね、館の空間拡張をしているから』

 

 

咲夜『私の能力は探究すればするほど謎が深まるのよ、だから…そうね…』

 

 

咲夜『何故こんな能力が私に宿っているのか…考えても答えは出ないかも知れないけど、深く考える事があるとするならば…それになるわね』

 

 

紫『…』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

早苗「あ~…盲点でしたねぇ、そう来ましたか」

 

 

魔理沙「じゃあ私たちが書いたことは既に試してる可能性があるって事だな」

 

 

妖夢「時間を操るなんてかなり特殊な能力だろうからね、色々と試行錯誤してるんだろうなぁ」

 

 

鈴仙「咲夜の能力の事について何か力になってあげたいのよね…」

 

 

早苗「そういうのは同じ様な能力持っている人の方が相談しやすいのではないですかね? 輝夜さんとか」

 

 

鈴仙「! なるほど…姫様、力になってあげてくれないかな…」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢(時間を操れるなら空間を操れる、咲夜から聞いたことだけど、これって逆もアリだとしたら…)

 

 

霊夢(……考えすぎかしら)

 

 

 

 

 

【第71問】『メイド長は、(赤、黄、紫、緑、白)この五つの色の中で一番好きな色は何色?』

 

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙、早苗、妖夢「…ん?」

 

 

魔理沙「…あ! わかったぞ、これ私達の事じゃねぇか?」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、鈴仙「! あぁ~…」

 

 

文「あやや♪ バレてしまいしたねぇ♪」

 

 

早苗「なるほどなるほど♪ 私達の髪の毛の色ですね」

 

 

魔理沙「ははぁーん…これで選ばれた色の奴が好きって事か」

 

 

鈴仙「ただの色じゃない、私達の事を言ってる訳じゃないし」

 

 

魔理沙「じゃあ鈴仙よぉ、紫が選ばれたら喜ばないんだな?」

 

 

鈴仙「!! ……」

 

 

魔理沙「鈴仙とは仲が良いけど紫は嫌いだ! と♪」

 

 

鈴仙「嫌いな色は聞いてないでしょ!?」

 

 

魔理沙「ははっ♪ 悪い悪い♪」

 

 

霊夢「髪の毛……うん?」

 

 

妖夢「どうしたの?」

 

 

霊夢「いや私さ、赤色じゃ無いんだけど」

 

 

早苗「霊夢さんはほら、リボンからきてるんじゃないですか?」

 

 

妖夢「霊夢の髪の毛は黒色だよね、茶色も…混ざってる?」

 

 

魔理沙「まぁ殆ど黒だろ」

 

 

霊夢「文、あんた何でこれ黒って書かなかったの?」

 

 

文「えっ? あぁ、早苗さんの言った通りですよ? 霊夢さんと言えば赤いリボンじゃないですか」

 

 

霊夢「……」

 

 

妖夢「…えっ、霊夢気にして」

 

 

霊夢「気にして無いわよ?」

 

 

早苗「えぇ~♪ 霊夢さん気になって」

 

 

霊夢「気にしてないって言ってんでしょ」

 

 

魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗、文、にとり(めっちゃ気にしてる……)

 

 

霊夢「……チッ」

 

 

妖夢、鈴仙、早苗、文、にとり(舌打ち!?)

 

 

魔理沙「赤が選ばれそうじゃねぇか? 紅い霧出してたカリスマに仕えているんだから有り得るぜ?」

 

 

霊夢「まぁ別に選んでもらわなくても構わないけどね」

 

 

魔理沙「お前らが気にしてるかどうかしつこく聞くから舌打ちするんだよ…!」ヒソヒソ

 

 

妖夢、鈴仙、早苗「ご、ごめんなさい…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《赤》

魔理沙《黄》

鈴仙《紫だったらいいな!》

妖夢《紫》

早苗《白》

 

 

 

霊夢「ふふはっ…! だったらいいなって」

 

 

鈴仙「選んでほしいのよ、うん…」

 

 

早苗「人と色では別ですからねぇ♪」

 

 

鈴仙「早苗ぇ…!」

 

 

早苗「ふふふふっ♪」

 

 

魔理沙「そういやよ、紫(むらさき)って紫(ゆかり)って書くよな?」

 

 

妖夢「うん、紫様の名前の漢字は紫(むらさき)と同じだよね」

 

 

魔理沙「…」ジーッ

 

 

鈴仙「? な、何よ…!」

 

 

魔理沙「チルノにこの事を教えたらお前のあだ名がババアになりそうだな♪」

 

 

鈴仙「はぁ!?」

 

 

霊夢「ぷはっ…!? はっはははっ…!」プルプル

 

 

妖夢「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

早苗「くふははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「ちょっ…!! あんた絶対に教えんじゃ無いわよ!? わかった!?」

 

 

魔理沙「口が滑りそうだぜー」

 

 

鈴仙「割りとマジで辞めなさいよ魔理沙ぁぁ!!」

 

 

魔理沙「うはははは♪」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は、赤、黄、紫、緑、白…この五つの色の中で一番好きな色は?』

 

 

咲夜『好きな色を聞いてるのに限定するの? …ん?』

 

 

咲夜『……あぁ、なるほどね』

 

 

咲夜『ん~……いや、本当に好きな色で答えるけどね?』

 

 

咲夜『この中でだったら私は白を選ぶわね』

 

 

 

 早苗、正解!!

 

 

早苗「やりましたぁ♪」

 

 

鈴仙「えぇ~…」ガーン

 

 

魔理沙「流石にババア色じゃなかったか」

 

 

鈴仙「あんたしつこいわねぇ!!」

 

 

霊夢、早苗「ふふふふっ…!」

 

 

魔理沙「いや、ははっ…! わ、悪かったよ鈴仙」

 

 

鈴仙「ふん…!」ムスッ

 

 

妖夢「咲夜は白が好きなんだね」

 

 

魔理沙「良かったな、妖夢」

 

 

妖夢「いやだから、私とかじゃないから」

 

 

早苗「でも何で白なんでしょうね」

 

 

霊夢「聞いてみましょうか」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『あら、どうして白なの?』

 

 

咲夜『白は清潔な印象を人に与えるから好きなのよ、それにパチュリー様から聞いたことなのだけれど、白色の心理効果って物があるらしくてね? 白はマイナスな事を手放して浄化する力があるみたいなの』

 

 

紫『ふーん♪ あ、じゃあ因みに嫌いな色は?』

 

 

咲夜『えっ? 黒かしら』

 

 

 

 

霊夢「…!」ピクッ

 

 

魔理沙、早苗、妖夢、鈴仙、文、にとり「!?」

 

 

魔理沙(ババアぁ! 余計な事を聞いてんじゃねぇよ!)

 

 

文「あ、あの…! れ、霊夢さん…!?」

 

 

霊夢「…!」ギロッ

 

 

文「いっ…!? え、え~っと…ほら! わ、私も黒じゃないですかぁ♪ あっははは」

 

 

霊夢「文ぁ…」

 

 

文「は、はい!?」

 

 

霊夢「最近私さぁ…鶏肉を食べてないのよねぇ…」

 

 

霊夢「カラスって美味しいのかしらね♪ ふふふふふっ♪」ニッコリ

 

 

文「!?」

 

 

魔理沙、早苗、妖夢、鈴仙、にとり(こ、こえぇ…)

 

 

 

 

【第77問】『メイド長の、持っているナイフは何処で仕入れた物?』

 

 

 

魔理沙「あいつナイフ投げるの得意だよな」

 

 

霊夢「弾幕にナイフ使ってる事もあるしね」

 

 

鈴仙「咲夜が言ってたけど、投げナイフの腕は料理の腕に比例するらしいわよ?」

 

 

早苗「え? そうなんですか?」

 

 

魔理沙「何だその謎理論は」

 

 

霊夢「逆も同じことなら、妖夢は投げナイフが得意ってことになるわよね」

 

 

妖夢「えっ、やったことが無いからわからないけど…」

 

 

鈴仙「今度やってみれば良いんじゃないかしら、咲夜と一緒にさ」

 

 

妖夢「う~ん、やってみようかなぁ」

 

 

魔理沙「妖夢の場合ナイフより剣を投げた方が上手く的に当たるんじゃねぇか?」

 

 

妖夢「剣は投げる物じゃないからね? そういう技もあるけどさ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《小傘に作ってもらってる》

魔理沙《まさかの香霖堂》

鈴仙《人里…?》

妖夢《紅魔館にあるもので賄っている》

早苗《仕入れない》

 

 

 

霊夢「霖之助さんのところにナイフなんて売ってたかしら」

 

 

魔理沙「わかんねぇからこう書いちゃったんだよなぁ」

 

 

鈴仙「小傘って…命蓮寺の?」

 

 

霊夢「そう、あいつの鍛冶スキルは凄いのよ? 私が使ってる針だって小傘に打ってもらった物なんだから」

 

 

鈴仙「へぇ、意外な特技を持ってるのね」

 

 

妖夢「! 霊夢! それ本当!?」

 

 

霊夢「え? え、えぇ」

 

 

妖夢「小傘にそんな特技があったなんて…私の剣、見てもらおうかな」

 

 

霊夢「良いと思うわよ、仕事が増えて嬉しがるだろうし」

 

 

魔理沙「後あいつの鍛冶スキルの高さに驚いてやれよ? お腹満たしてやるといいぜ」

 

 

妖夢「うん、そうするよ」

 

 

早苗「…むぅ」

 

 

霊夢「うん?」

 

 

早苗「小傘さんにそんなスキルがあるだなんて未だに信じられないんです」

 

 

霊夢「何でじゃ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜が持っているナイフは、何処で仕入れた物?』

 

 

咲夜『! …』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…紅魔館にあるもので賄っているから仕入れたりはしていないわね』

 

 

咲夜『でももし仕入れるとしたら多々良小傘にナイフを作ってもらいたいわね、霊夢から聞いたけど鍛冶のスキルがあるんでしょ? 是非お願いしたいわね』

 

 

紫(……)

 

 

 

 

 妖夢、正解! 霊夢はおまけで正解!

 

 

 

霊夢「ふふっ、ナイスよ小傘」

 

 

魔理沙「小傘の名前書けば当たってたのな」

 

 

鈴仙「そんなに鍛冶スキルがあるなら師匠が使ってる医療機器の整備を依頼しようかしら」

 

 

魔理沙「懐がどんどん潤うなぁ、あいつ」

 

 

霊夢「懐が潤うより驚いてくれた方がいいみたいだけどね」

 

 

魔理沙「ホント難儀な体してるよな」

 

 

 

 

 

【第89問】『メイド長が、幻想郷で一番興味のある種族は何?』

 

 

 

魔理沙「吸血鬼なんじゃねぇの?」

 

 

霊夢「答え出ちゃったわね」

 

 

早苗「吸血鬼っと…♪」カキカキ

 

 

鈴仙「早い! あんたらもうちょっと考えなさいよ」

 

 

魔理沙「いやお前、吸血鬼以外に考えられるか?」

 

 

霊夢「吸血鬼以外になんと答えるか分からないのよね」

 

 

早苗「ですよねぇ、レミリアさんの為に答える可能性もありますしね」

 

 

妖夢「咲夜だったらそう答えちゃうのかなぁ」

 

 

鈴仙「妖夢まで…う~ん」

 

 

魔理沙「絶対に玉兎って言わないと思うぞ?」

 

 

鈴仙「まだわかんないじゃない!」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《吸血鬼》

魔理沙《吸血鬼》

鈴仙《玉兎!》

妖夢《吸血鬼…?》

早苗《吸血鬼ですね》

 

 

 

魔理沙「鈴仙、不正解!」

 

 

霊夢、早苗、妖夢「ふふふふふっ…!」プルプル

 

 

鈴仙「まだでしょうがぁ! 私は諦めないわよ!」

 

 

魔理沙「お前はもう不正解だぁ…!」ニヤニヤ

 

 

鈴仙「咲夜ぁ! 玉兎じゃなくても兎でも良いからね!」

 

 

魔理沙「もう動物じゃねぇか」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜が幻想郷で一番興味のある種族は?』

 

 

咲夜『……!』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜『……河童』

 

 

 

 

 全員不正解!

 

 

 

にとり「えぇっ!?」

 

 

霊夢、早苗、妖夢、文「えぇーーっ!?」

 

 

鈴仙「かっ…! 河童ぁっ…!? に、にとり!?」

 

 

魔理沙「う、嘘だろ咲夜ぁ…!」

 

 

にとり「い、いやぁ…/// えぇ…/// て、照れるじゃないかぁ…/// あっはっは…///」カァ

 

 

文「よ、良かったですねにとりさん…しかし河童ですか、驚きましたね」

 

 

魔理沙「いや私たち納得してねぇぞ!? 理由聞いてくれ!」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『へぇ~…河童なのね、てっきり吸血鬼かと思ってたわ』

 

 

咲夜『! そ、それは…』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

紫『…』

 

 

咲夜『それは私がお嬢様と妹様にお仕えしている事から来るイメージでしょ? 選ばなかったら選ばなかったで、それはそれでお嬢様と妹様に失礼だけど』

 

 

紫『そうなっちゃうわねぇ…あ、河童の理由は?』

 

 

咲夜『ほら、好きなことを毎日毎日やってて楽しそうじゃない』

 

 

咲夜『だから河童にしたの』

 

 

 

 

 

 

にとり「お、おう…/// そ、そうなのか…」

 

 

にとり「で、でも咲夜、河童には河童の苦労もそれなりにあるんだぞ? 興味をもってくれる事は嬉しいけどね」

 

 

霊夢「ふっ…! 良かったじゃない、河童好きの人間がまた増えたわよ?」

 

 

魔理沙「咲夜の事もみとりに教えてやったらどうだ?」

 

 

にとり「うん、そうするよ♪ ふふふっ♪」

 

 

鈴仙、妖夢「ん…? みとり?」

 

 

早苗「誰ですか?」

 

 

文「? にとりさんのお姉さんですよ?」

 

 

妖夢、早苗「えっ!?」

 

 

鈴仙「に、にとり! あなたお姉ちゃんいるの!?」

 

 

にとり「ん? あぁいるよ♪」

 

 

妖夢、早苗、鈴仙「ええーっ!?」

 

 

魔理沙「良いやつなんだよなぁ、なぁ霊夢よぉ♪」

 

 

霊夢「何で私に聞くのよ、ふふっ♪」

 

 

 

 

【第100問】『メイド長は、幻想郷をどう思っている?』

 

 

妖夢「んん~…はぁ、やっと100問目だね」

 

 

鈴仙「折り返しか、これで半分なのね」

 

 

早苗「記念すべき100問目♪ 全員で正解したいですね」

 

 

霊夢「ふっ…♪ これ100問目に必ず出るわよね」

 

 

魔理沙「良い問題じゃねぇか♪」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《素敵な所》

魔理沙《素敵な所》

鈴仙《家族と一緒にいられる素敵な所》

妖夢《素敵な所…?》

早苗《第二の故郷》

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜は幻想郷をどう思っている?』

 

 

咲夜『ふぅ…100問目ね』

 

 

咲夜『幻想郷……ふふっ』

 

 

咲夜『私も霊夢と魔理沙に似たような思いなの、でもちょっと違うところがあるのよ』

 

 

咲夜『私にとって幻想郷は、紅魔館の皆と一緒に居られる素敵な所…よ♪』

 

 

紫『ふふっ…♪ そう♪』ニコッ

 

 

 

 

 

 

 霊夢、魔理沙、妖夢、鈴仙、正解!!

 

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙「早苗ぇ!」

 

 

早苗「ご、ごめんなさーい!」

 

 

妖夢「あっはははっ…!」

 

 

文「100問終わりましたね♪」

 

 

にとり「よーし、休憩入るよー♪」

 

 

 

 【休憩タイム!】

 

 

 

にとり「お疲れ~♪ でもまだ後100問あるからこの時間で英気をゆっくり養っていってね♪」

 

 

文「今回はなんと皆さんのために咲夜さんが洋菓子を作ってくださいましたよ♪ 味わって食べてくださいね♪」

 

 

魔理沙「お、マジか! やったぜ♪」

 

 

鈴仙「こんなにたくさん…咲夜ありがとう、これ食べたら後100問も頑張れるよ♪」

 

 

早苗「霊夢さん霊夢さん! ケーキバイキングですよケーキバイキング! 女の子の夢ですよね!」

 

 

霊夢「その台詞紫が言いそうよね……!? わ、私何で今そんなこと考えたのかしら」

 

 

妖夢「美味しい…どうなってるんだろこの味の深み、砂糖が違うのかな…?」

 

 

魔理沙「それ完璧にコックの発言だぞ妖夢」

 

 

妖夢「はっ…!?」

 

 

 

文「はい、それではここまでの皆さんの正解数、順位を発表しちゃいますね♪」

 

 

 

霊夢  『39問』

魔理沙 『42問』

鈴仙  『45問』

妖夢  『40問』

早苗  『37問』

 

 

 

鈴仙「! やったわ♪」

 

 

魔理沙「流石に親友は強いな」

 

 

鈴仙「当然じゃない♪ ふふん♪」

 

 

早苗「でも正解数的にはあまり差は見られませんね」

 

 

妖夢「うん、逆転で勝てる事も充分に可能だよね」

 

 

鈴仙「ふふん♪ いくら妖夢でも負けないわよ」

 

 

妖夢「ふふっ、望むところだよ鈴仙♪」

 

 

魔理沙「うし! これ食ったら後100問頑張るぜー!」

 

 

鈴仙、妖夢、早苗「おー♪」

 

 

霊夢「…!」モグモグ

 

 

霊夢「このケーキ美味しいわ」

 

 

魔理沙「やれよ! 『おー♪』って!」

 

 

霊夢「あ、ごめんごめん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「なんかあなたたち二人とお昼を食べるのって新鮮すぎるわね」

 

 

藍「そうだな、一緒に食べていたとしても紅魔館のパーティか神社の宴会ぐらいだしな」

 

 

咲夜「ふふっ、そうね…♪ あ、どう? ケーキの味は」

 

 

藍「とても美味しいぞ? 我が愛しの橙にも食べさせてあげたかったなぁ」

 

 

咲夜「なら持って帰る? この量は流石に食べきれないでしょ?」

 

 

藍「良いのか? ならそうさせてもらおうかな♪」

 

 

咲夜(狐と猫にケーキ…本当はダメよね)

 

 

紫「ふんふん…♪」モグモグ

 

 

紫「あーんっ…ふんふん♪」モグモグ

 

 

紫「んふふふ♪ ケーキ美味しい~♪ スイーツは乙女の嗜みよねぇ♪ んふふふ♪」

 

 

咲夜、藍「……」

 

 

藍「乙女は12時間も寝たりしないし、酒を飲んで酔っ払って紅魔館を半壊させたりはしないよな」ヒソヒソ

 

 

咲夜「まず『スイーツは乙女の嗜み』って言わないと思うの」ヒソヒソ

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(今回は誰が優勝するのかしら、前はアリスと霊夢の二冠だったけど)

 

 

咲夜(鈴仙だったら嬉しい、けど贔屓は流石にダメよね)

 

 

咲夜(さて、どうなりますことやら…♪)

 

 

 

 

 

 後編に続く♪

 

 

 

 






 咲夜にはまだまだ秘密がある様子…


 前書きにも書かせていただきましたが、咲夜へのたくさんの質問を投稿していただいてありがとうございました!

 次回の後編でも使わせていただきますのでお楽しみに♪


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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ゆかりんクイズ! 十六夜咲夜の200のコト 後編



 こちらは『十六夜咲夜の200のコトの後編』になります、先に前編を読んでいただければと思います。 

 前編の前書きに書かれている注意事項も合わせてお読み下さい。



 それでは始まります♪




 

 

 前半戦を終え、咲夜が作った菓子を食べて英気を養った霊夢達は『咲夜の200のコト後半戦』へと挑む!

 

 

 問題正解数を見ると多い差でも8問と大差はなく、誰が優勝してもおかしくない…!

 

 はたして勝負の行方は…!?

 

 

 

 

 

 

 ここまでの正解数

 

 

霊夢  『39問』

魔理沙 『42問』

鈴仙  『45問』

妖夢  『40問』

早苗  『37問』

 

 

 

射命丸文「本当に誰が優勝するんでしょうかねぇ♪ いやぁ楽しみですねぇ!」

 

 

霧雨魔理沙「誰に向かって喋ってんだ?」

 

 

東風谷早苗「そりゃあもうテレビの前の皆さんに決まってるじゃないですか♪」

 

 

文「えぇ、その通りですよ早苗さん」

 

 

早苗「ふっふっふっ♪」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「…え? 決まってるの?」

 

 

魂魄妖夢「さぁ…?」

 

 

博麗霊夢「その前にテレビの前の皆さんってのは誰よ」

 

 

 

 

河城にとり「ん? あれ…? お、よし! カメラ準備オッケーだ、みんな準備は良いかい?」

 

 

魔理沙「おう、咲夜のケーキ食べたら元気出たぜ」

 

 

妖夢「うん、残り100問頑張れるよ」

 

 

早苗「咲夜さんの作るケーキは本当に美味しかったですよねぇ♪ 後三つは食べられましたね」

 

 

霊夢「三つは言い過ぎだけど私ももっと食べれたわね、咲夜のケーキは緑茶にも合うから美味しいのよね」

 

 

鈴仙「食べ過ぎ……良い? 甘いものの過剰摂取は糖尿病のリスクを高めるって師匠が」

 

 

魔理沙「お前ら何のケーキが好きなんだ?」

 

 

早苗「フルーツケーキですね♪ 時代はフルーツですよ!」

 

 

妖夢「う~ん、ティラミス? かなぁ、味が渋くて美味しかったよ」

 

 

早苗「魔理沙さんは?」

 

 

魔理沙「私はモンブランだぜ、栗が美味いんだよなぁ♪ 霊夢は?」

 

 

霊夢「うん? チーズケーキかしらね」

 

 

早苗「えぇ~!? 霊夢さんそこはショートケーキって言うところですよ?」

 

 

霊夢「…あー?」

 

 

早苗「ほらぁ♪ 霊夢さんの色的にもショートケーキが似合うじゃ……はっ!?」

 

 

霊夢「……」イラァッ

 

 

早苗「ち、違っ…! 違うんですよ霊夢さん! 霊夢さんは紅白でショートケーキに似ているなんてこれっぽっちも」

 

 

霊夢「ふふっ♪ 早苗ぇ…」ゴゴゴ

 

 

早苗「は、はい…!」

 

 

霊夢「始める前にもう一発デコピンいっとく?」ニッコリ

 

 

早苗「ちょっ!?」

 

 

霊夢「暴れると危ないわよ早苗ぇ!」

 

 

早苗「いーやー!」ジタバタ

 

 

魔理沙、妖夢「……」

 

 

魔理沙「これ終わるまで霊夢の前で色の話題を出すなよ? デコピンが飛んで来るぜ」

 

 

妖夢「…うん」

 

 

妖夢(凄い気にしてたんだね、霊夢)

 

 

 

 

 

鈴仙「うぅ……」

 

 

にとり「どったの?」

 

 

鈴仙「病気の事について誰も聞いてくれない…」

 

 

文「甘い物を食べ過ぎて病気になるんですかね?」

 

 

にとり「私さ、夏にきゅうりの砂糖漬けを平気で二十本ぐらい食べるんだけどこれも食べ過ぎ?」

 

 

鈴仙「妖怪基準じゃ無いから…人間基準だから」

 

 

文「人間基準ですか? 霊夢さんと魔理沙さんと早苗さんに?」

 

 

にとり「三人とも人間の体してないよね、神社の宴会で平気で一升瓶3本を一人で飲むからね」

 

 

文「早苗さんはお酒苦手って言ってますけど、酔うとスイッチ入っちゃいますからね」

 

 

にとり「ガブガブいくよね、良い飲みっぷりだよ」

 

 

文「飲んでるところとか諏訪子さんにソックリですよねぇ」

 

 

鈴仙「……」

 

 

鈴仙(この知識は人里の人にしか通用しないのかなぁ)

 

 

文「因みに鈴仙さんはどのケーキが?」

 

 

鈴仙「……シュークリーム」

 

 

にとり「へぇ、可愛いじゃん♪」

 

 

鈴仙「あ、ありがと…」

 

 

文(可愛い…?)

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「ふぅ♪」

 

 

早苗「いったぁ~い…」スリスリ

 

 

妖夢「普通のデコピンで『ゴスッ!』って音するかな?」

 

 

魔理沙「どうなってんだよ、お前の指は」

 

 

霊夢「こう…しなりが大切なのよ、しなりが♪」スッ

 

 

魔理沙「そのしなりを生み出してる指の話をしてくれよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲紫『ふぅ…休憩は終わりよ、準備は良いかしら?』

 

 

八雲藍『はい、準備は出来てます』

 

 

十六夜咲夜『えぇ、私も準備出来てるわ』

 

 

紫『藍、引き続き天の声よろしくね♪』

 

 

藍『分かりました、それでは…』スッ

 

 

 

咲夜『解答席に座ってた時から思ってたけど、藍って滑舌良いわよね』

 

 

紫『そう? 私に似たからかしら』

 

 

咲夜『ふふっ、なんか否定できないわね』

 

 

紫『そういうあなたも滑舌良いじゃない』

 

 

咲夜『私は…まぁ滑舌には一応気を使っているからね』

 

 

紫『レミリアの為に?』

 

 

咲夜『お嬢様や妹様を含めた紅魔館の為に、よ』

 

 

紫『ふーん…』

 

 

咲夜『……あなた私の滑舌にあんまり興味ないでしょ』

 

 

紫『うん、興味ない♪』

 

 

咲夜『はぁ…言わなきゃ良かったかしら』

 

 

紫『……』

 

 

紫(自分の為じゃないのね…)

 

 

紫『咲夜』

 

 

咲夜『何?』

 

 

紫『霊夢と魔理沙は結構質問に素直に答えていたけれど、答えたくなかったら答えなくて良いんだからね?』

 

 

咲夜『? もちろんそのつもりよ、確か魔理沙の時に魔理沙の家族の質問が出たわよね? その質問には答えて無かったと記憶してるけど』

 

 

紫『…そう……分かってるなら良いのよ』

 

 

咲夜『…?』

 

 

 

 

 

 

 

 

藍(天の声)『こちらは準備完了だ、早速始めるとしようか、そっちは大丈夫か?』

 

 

 

 

妖夢「はい!」

 

 

鈴仙「大丈夫ですよー!」

 

 

早苗「頑張りまーす♪」

 

 

魔理沙「うぅ~ん…ふぅ、うっし! やったるかぁ後100問」ノビー

 

 

霊夢「なんか100問終わったのに疲れて無いわね、前半戦と同じ感覚で行けそう」

 

 

魔理沙「咲夜のケーキもあったが、何よりアリスが居ないからな」

 

 

霊夢「アリスの制御にそんなにパワー使っていたのか私達は…」

 

 

魔理沙「使うし、吸い取られるからな」

 

 

霊夢「私を糧にしないでほしいわね」

 

 

早苗「んふふふっ…!」プルプル

 

 

霊夢「笑い事じゃなぁい…!」

 

 

魔理沙「私の名前が出る度にパワーアップするだろ」

 

 

霊夢「何回パワーアップする気なのよ」

 

 

早苗「パワーの限界値、無いんですかね」

 

 

妖夢「…そういえばさっきからアリスが出て来るけどなんなんだろうね?」

 

 

鈴仙「ね、なんなのかしら」

 

 

 

 

 

 

 

【第101問】『幻想郷の住人の中で、メイド長が一番好きな住人は誰?』

 

 

 

 

魔理沙「後半戦とは言え1問目だからな、これは分かりきってるぜ」カキカキ

 

 

早苗「そうですね」カキカキ

 

 

鈴仙「うん? でも好きなって聞いてるじゃない」

 

 

魔理沙「慕うって事は好きにならないと出来ないだろ?」

 

 

鈴仙「むっ…! そ、それはそうだけどさぁ…」

 

 

魔理沙「大丈夫大丈夫、変装が不得意な紫色の兎の名前は間違っても書かないから」

 

 

鈴仙「ちょっ…!?」

 

 

霊夢、妖夢「ぷふっ…!」

 

 

早苗「あっふふふ…!」

 

 

鈴仙「あ、あんたねぇ! あれでも私はちゃんと変装してるんだからね!」

 

 

魔理沙「あれでかぁ? 笠被って、デカイつづらを背負った全身紫色の服着た行商人なんて目立つだろ」

 

 

鈴仙「目立つかもしれないけど私だってバレないでしょ!」

 

 

魔理沙「私にバレたじゃねぇか」

 

 

鈴仙「あんたは私の事を知ってるからでしょ、他の人にはバレてないわよ」

 

 

霊夢「鈴仙、あんた阿求にもバレてるみたいよ?」

 

 

鈴仙「嘘っ!?」

 

 

早苗「バレるバレないの問題じゃない気がしませんか? 一目見たら鈴仙さんだって分かりませんかね?」

 

 

妖夢「うん、分かっちゃう…かな」

 

 

鈴仙「妖夢まで!?」

 

 

妖夢「あ…! で、でもほら! 鈴仙の事を知らない人が見たら鈴仙だって気付かないと思うよ?」

 

 

鈴仙「そ、そうよね! ほら見なさいよ!」

 

 

魔理沙、霊夢、早苗「……」

 

 

魔理沙「傷付かない様に気付かないフリをするのも優しさだよな」

 

 

霊夢「紫が『玉兎が人間になりすますには無理がある』って言ってたっけ、この事だったのね」

 

 

早苗「それに親友である咲夜さんだったら一発で見破るんじゃないですかね?」

 

 

鈴仙「うっ…!」グサッ

 

 

妖夢「れ、鈴仙…」

 

 

鈴仙「……私ってそんなに変装下手かなぁ…」ズーン

 

 

霊夢「下手ってか隠す気が無いような、もっと工夫出来るんじゃない?」

 

 

早苗「そういうのを下手って言うんじゃないですかね?」

 

 

妖夢「ちょっ! 早苗!」

 

 

鈴仙「はぁ~……」ズーン

 

 

魔理沙「まぁ安心しろよ、今度からは気付かないフリしてやるからさ」

 

 

鈴仙「ふっ…何を安心しろってのよ何を…はぁ~…」ズーン

 

 

霊夢「鈴仙もネガティブスイッチ持ってるわね」

 

 

早苗「文さん変装得意ですよね」

 

 

文「そりゃあルポライターですからねぇ♪」

 

 

妖夢「コツとかあったりするの?」

 

 

文「それは企業秘密ですね」

 

 

霊夢「私からしたらあんたの変装もバレバレだけどね」

 

 

文「霊夢さんには敵いませんねぇ…」

 

 

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《レミリア》

魔理沙《レミリアお嬢》

鈴仙《レミリア》

妖夢《レミリア》

早苗《レミリアさん》

 

 

 

魔理沙「まぁこうなるよな」

 

 

霊夢「自然とね」

 

 

鈴仙「……」ショボーン

 

 

魔理沙「…はぁ、ったくしょうがねぇなぁ」

 

 

魔理沙「咲夜が答えた後に良いことしてやるよ、鈴仙」

 

 

鈴仙「…?」

 

 

妖夢「何する気?」

 

 

魔理沙「任せろ任せろ♪」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『幻想郷の住人の中で咲夜が一番好きな住人は誰?』

 

 

咲夜『そんなものお嬢様に決まってるでしょ、お嬢様!』

 

 

 

 全員正解!!

 

 

 

魔理沙「ふはははっ…! 速っ!」

 

 

早苗「ふふふっ…! そ、速答でしたね」

 

 

霊夢「まぁ、ふふっ…! 咲夜ならそう答えるでしょうけどね」

 

 

魔理沙「『お嬢様!』って言い切ったからな」

 

 

霊夢「力入ってたわね」

 

 

鈴仙「……」

 

 

妖夢(そうだよね…咲夜に好きって言ってほしいよね…)

 

 

妖夢「鈴仙…」

 

 

鈴仙「…」

 

 

魔理沙「……さってと? おーい紫、因みに鈴仙の事は好きなのか聞いてくれ」

 

 

鈴仙、妖夢「!!」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『あら、因みに鈴仙の事は?』

 

 

咲夜『鈴仙? もちろん好きよ?』

 

 

咲夜『あ…そういうことね…鈴仙? 誤解をしないでほしいんだけど』

 

 

咲夜『お嬢様に対する好きと、あなたに対する好きは意味が違ってくるの』

 

 

咲夜『お嬢様には私の主として、あなたには私の親友として…好きの度合いは違ってくるかもしれないけど私はあなたの事が好きよ、鈴仙♪』ニコッ

 

 

紫『…♪』ニコッ

 

 

 

 

 

 

鈴仙「!!」

 

 

早苗「おぉ…! こ、これは…!」

 

 

霊夢「へぇ♪」ニヤニヤ

 

 

魔理沙「ほぉ♪」ニヤニヤ

 

 

妖夢「良かったね、鈴仙♪」

 

 

鈴仙「!」バッ

 

 

霊夢「あら? どうしたの鈴仙♪」

 

 

魔理沙「電子版に突っ伏すと顔が熱くなるぜ~♪」

 

 

鈴仙「うるっ…さい…! わねぇ…! い、良いでしょぉ…! 別にぃ…!」プルプル

 

 

鈴仙(あぁダメ…! 私今、人に見せられない顔してるもん…! 咲夜ぁ、私スッゴく嬉しいよぉ~…!!)

 

 

魔理沙「ふはっ、めっちゃウサ耳がピーンって立ってるんだが」

 

 

妖夢「鈴仙は感情がウサ耳に出るんだよね」

 

 

鈴仙「よ、妖夢それは…///」

 

 

早苗「嬉しいんですねぇ!? 嬉しいんですよね鈴仙さん♪」

 

 

鈴仙「うるさ~い…! んもう…/// うぅ…///」

 

 

霊夢(依姫が言ってたっけ…玉兎はみんなそうなんだって)

 

 

早苗「この鈴仙さんの姿を咲夜さんに見せてあげたいですねぇ♪ そしたら私お腹いっぱいになるのになぁ♪ んふふっ♪」

 

 

魔理沙「早苗、小傘みたいになってないか?」

 

 

霊夢「何でお腹が満たされてるのかまだ分からないから何とも言えないわね…」

 

 

鈴仙「咲夜ぁー! 私絶対優勝してみせるからねー♪」

 

 

魔理沙「やべ、鈴仙の士気を上げちまった様だな」

 

 

霊夢「まぁ元気が無いよりはマシでしょ」

 

 

魔理沙「ま、そうだな」

 

 

 

 

 

【第107問】『メイド長は、紅魔館メンバー以外で誰かと一緒に暮らす事になったら誰と暮らしたい?』

 

 

 

 

 

藍『良いか? 少しルールがあるんだが』

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙、妖夢、早苗「ん?」

 

 

 

 

藍『咲夜にはもう書いてもらっているが、紙に五人の名前を書いてもらう、霊夢達はこれだと思う幻想郷住人の名前を一人書いてくれ、レミリア達の代わりの様な感じだと思ってくれれば良いだろうな、咲夜が書いた五人の幻想郷住人の名前が一人でも合っていたら正解にするぞ』

 

 

 

 

霊夢「ふーん、なるほどね」

 

 

早苗「おぉ、中々面白い問題ですねぇ」

 

 

鈴仙「答えないって選択肢は無くなった訳ね」

 

 

妖夢「紙に書かされてるから逃げられないもんね」

 

 

魔理沙「でもよ、コイツの名前を書いておけば絶対に正解するってのは分かるよな」チラッ

 

 

霊夢「えぇ」チラッ

 

 

早苗「はい」チラッ

 

 

妖夢「うん」チラッ

 

 

鈴仙「…!! な、なに…?」

 

 

霊夢「……鈴仙以外で当てたい何かがあるわね」

 

 

魔理沙「おう」

 

 

早苗「はい」

 

 

鈴仙「何でよ、当てたかったら私の名前を書けば良いじゃない」

 

 

早苗「なんか負けた気がしません?」

 

 

霊夢、魔理沙「あ、それ分かるわ」

 

 

鈴仙「分からない、あんたたちが何に負けてんのかすら全然分からないから」

 

 

妖夢「でも鈴仙以外で誰を選ぶかは気にならない?」

 

 

鈴仙「それは気になるけど…」

 

 

霊夢「う~ん……ぷっ…! ふくくっ…!」プルプル

 

 

魔理沙「ん? どうした?」

 

 

霊夢「魔理沙、私さぁ鈴仙以外で当てる自信あるんだけど」

 

 

魔理沙「お? マジかよ」

 

 

霊夢「これは当たるわ、うん」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《アリス》

魔理沙《さとり》

鈴仙《私!》

妖夢《鈴仙》

早苗《にとりさん》

 

 

 

早苗「鈴仙さんと、妖夢さんは当てにいきましたね」

 

 

鈴仙「優勝するって決めたからね♪」

 

 

妖夢「私はこういう時は無難なのしか書けないよ、気が利いてる様な物なんて無理だから」

 

 

鈴仙「妖夢らしくて良いと思うわよ、無理して笑いを取る必要なんてないんだから」

 

 

妖夢「ふふっ、ありがと鈴仙」

 

 

鈴仙「早苗も結構無難よね」

 

 

早苗「咲夜さんは河童に興味ありですからねぇ」

 

 

 

にとり「え、選んでくれたらちょっと嬉しいかも…///」

 

 

 

魔理沙「霊夢お前さぁ…」

 

 

霊夢「ふふふふっ…!」

 

 

魔理沙「アリスか…選びそうだなぁ」

 

 

霊夢「選ぶわよ、咲夜たぶん私と同じこと考えてると思うから」

 

 

魔理沙「あー?」

 

 

妖夢「さとりは…選ぶのかな?」

 

 

魔理沙「レミリアと仲が良いらしくてな、それと主としての繋がりが理由だな」

 

 

早苗「色々と気になりますねぇ、さぁ正解をください♪」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『書けたかしら?』

 

 

咲夜『えぇ書けたわ』

 

 

紫『皆に見えるようにカメラに向けてね♪ それじゃ改めまして……咲夜は紅魔館メンバー以外で誰かと一緒に暮らす事になったら誰と暮らしたい?』

 

 

咲夜『はい、こんな感じになったわ』

 

 

【古明地さとり】

【鈴仙】

【チルノ】

【小野塚小町】

【アリス】

 

 

 

咲夜『お嬢様たちをもしも入れ換えたら…みたいな感じで書いたわね、鈴仙とアリス以外はかなり悩んだのよ?』

 

 

咲夜『さとりはお嬢様と仲が良い、それに地霊殿の主でもあるからある程度お嬢様と似た立ち回りが出来るから』

 

 

咲夜『鈴仙はただ単に私の側に居てほしいからよ、色々と支えてほしいし頼りになるもの』

 

 

咲夜『チルノは妹様の様に…とまではいかないけど無邪気で明るい、これはポイントになったわね』

 

 

咲夜『小町は…寝てても良いからとりあえず門番してなさい、門から居なくならなければ良いから…でも意外とお説教とかしなかったらキッチリ仕事しそうな気がするのは何でかしら』

 

 

咲夜『アリスはパチュリー様と小悪魔の両方ね、本好きでワンダーランドが無ければ大人しい、そして人形達で小悪魔の司書の仕事も出来るからね』

 

 

咲夜『それに…♪ どこぞの白黒泥棒が館に忍び込んだとしても直ぐにそれを察知して対処してくれそうだものね、ふふふふっ♪』ニッコリ

 

 

咲夜『あっ! これ検討してみようかしら…パチュリー様に相談してみましょうかね』

 

 

 

 

 

 霊夢、魔理沙、鈴仙、妖夢、正解!!

 

 

 

魔理沙「いぃっ!?」

 

 

霊夢、早苗「んはははっ…!」ゲラゲラ

 

 

魔理沙「おいおいおいおい! アリスが居るだけで紅魔館が難攻不落の要塞と化すのか…!? 堪ったもんじゃないぜ!」

 

 

霊夢「あっはは…! やっぱり咲夜は私と同じ考えだったわね♪」

 

 

魔理沙「やめろ咲夜、検討するんじゃない! 私の楽しみが減るだろうが!」

 

 

早苗「くふふふっ…! じゅ、寿命も減りそうですよね」プルプル

 

 

魔理沙「あぁその通りだ…! 本を選んでるのに夢中になってて、ふと後ろに不気味な気配を感じて振り向いたら…!」

 

 

霊夢「ニンマリ顔のアリスさんが…!」

 

 

早苗「キャー♪」

 

 

霊夢「これこそ霧雨魔理沙撃退装置よね♪」

 

 

魔理沙「洒落にならねぇぞぉ!?」

 

 

霊夢、早苗「あっはははは…!」

 

 

鈴仙「…アリスに対するその拘りはなんなの?」

 

 

妖夢「分からないよね」

 

 

鈴仙「はぁ~♪ そんなことより咲夜、私の事を頼りになるとか…♪ えっへへへ…///」

 

 

妖夢「側に居て色々と支えてほしいとも言ってたよね♪」

 

 

鈴仙「えぇ~♪ い、いや…いやいやいやいや♪ いや本当に…♪ 私が出来る範囲なら何でもどこからでも支えてあげるわよ♪ えへへへ…♪」テレテレ

 

 

妖夢「ふふっ…♪」

 

 

妖夢(…良いなぁ、私にもこんな気持ちになれる友達とか親友がほしいな…霊夢と魔理沙も毎日楽しそうだし)

 

 

妖夢(私には剣と料理…いや料理は置いといて剣の道しか無いから…)

 

 

妖夢(羨ましいな……)

 

 

 

 

 

【第113問】『メイド長は、もし紅魔館に仕えていなかったら今頃どうしていたと思う?』

 

 

 

鈴仙「…!」

 

 

魔理沙「お、なんか気になる問題が出てきたな」

 

 

霊夢「そう?」

 

 

魔理沙「気にならねぇか? そもそも何でアイツは『紅魔館に仕えてるんだ~』とか何で『レミリアに仕える事になったのか~』とかよ」

 

 

霊夢「……興味ないわね」

 

 

魔理沙「結構間があったように思えたが?」

 

 

霊夢「! …まぁ咲夜とは長い付き合いだし気にならないって言ったら嘘になるけど」

 

 

妖夢「気になるよね、私も気になるな」

 

 

魔理沙「だよなぁ」

 

 

早苗「文さん、咲夜さんにインタビューとかしてるんですよね? こういうこと聞かないんですか?」

 

 

文「聞くんですけど軽くいなされてしまうんですよねぇ、だからここで聞いてみようかと思いまして♪」

 

 

妖夢「んー、鈴仙は咲夜から聞いた事はないの?」

 

 

鈴仙「へっ!? しっ…知らないけど…!?」

 

 

霊夢、魔理沙、早苗、妖夢「……」ジーッ

 

 

鈴仙「な、何よ! 本当に知らないからね!!」

 

 

魔理沙「そういうことにしといてやるぜ」

 

 

霊夢「とりあえず咲夜の口から聞きたいわね」

 

 

早苗「解答書いちゃいましょう」

 

 

鈴仙「……」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《十六夜咲夜として存在してない》

魔理沙《そういうことを考えた事がない》

鈴仙《答えない》

妖夢《思い付かない》

早苗《何処か他の場所に仕えていた》

 

 

 

魔理沙「存在してない?」

 

 

霊夢「レミリアが言ってたのよ、咲夜の名前は私が付けたって」

 

 

魔理沙「お…? なんかそんなこと言ってたような気がするぜ」

 

 

早苗「あぁそういう意味ですか、深い答えですね」

 

 

霊夢「ん~…でもこんな答え方はしないかもしれないわね」

 

 

妖夢「咲夜、なんて答えるかな」

 

 

鈴仙「…」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『……咲夜は、もし紅魔館に仕えていなかったら今頃どうしていたと思う?』

 

 

咲夜『…!』ピクッ

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』スッ

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『十六夜咲夜と言う人間が存在してない…でしょうね』

 

 

紫『…』

 

 

 

 霊夢、正解!

 

 

 

霊夢、魔理沙、鈴仙、早苗、妖夢「……」

 

 

霊夢(目を閉じて深く考えてたわね…)

 

 

霊夢「当たったのに複雑なんだけど」

 

 

魔理沙「アレだろ? 紅魔館に仕えてない、つまりレミリアに会わないって事だから十六夜咲夜って名前は与えられなかった」

 

 

魔理沙「そう考えると自然と十六夜咲夜は存在しなくなるだろ?」

 

 

妖夢「そうなるよね…あれ? じゃあ咲夜は十六夜咲夜って名前の他にもう一つ名前を持ってる事になるのかな?」

 

 

早苗「咲夜さんの本当の名前? でしょうか」

 

 

霊夢「その事に関してあんたは知らないの? 鈴仙」

 

 

鈴仙「……」

 

 

鈴仙「私だって咲夜の事を全て知っている訳じゃないからね…」

 

 

魔理沙「…まぁ咲夜がああ答えたんならこれ以上考えても私達じゃ答えは出ないぜ」

 

 

霊夢「魔理沙の説が当たってるって事にして先に進みましょうか」

 

 

早苗「そうですね」

 

 

鈴仙「……」

 

 

鈴仙(私は咲夜が幻想郷の生まれじゃないって事ぐらいしか知らない…これは秘密の事)

 

 

鈴仙(私だって幻想郷生まれじゃないないから深くは考えなかったけど、何かあるのかな)

 

 

 

 

 

【第119問】『メイド長は、誰かの能力を羨ましいと思った事があるならば誰の能力を羨ましいと思った?』

 

 

 

魔理沙「自分の能力が特殊すぎるのにそんなこと思った事があるのかぁ?」

 

 

早苗「逆なんですよね~、咲夜さんの能力を羨ましがる人の方が多いと思うんです」

 

 

鈴仙「私もそう思うわ、咲夜の能力が羨ましいと何度思った事か…」

 

 

妖夢「時を操るって便利でもあるしそう簡単に出来る事じゃないもんね」

 

 

霊夢「あんた時間止めたいとか思った事があるの?」

 

 

鈴仙「姫様の能力を近くで見てるからね、良いなぁって思うぐらいだけど」

 

 

魔理沙「咲夜の能力は『すげぇ』とか『良いなぁ』の感想しか出てこねぇよな」

 

 

早苗「こっちは使いたくても使えませんからねぇ…」

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《紫》

魔理沙《大妖精》

鈴仙《姫様?》

妖夢《輝夜》

早苗《輝夜さん》

 

 

 

魔理沙「ははっ…! ババアは無いだろ~?」

 

 

霊夢「ふっ…! 大妖精こそ無いんじゃない?」

 

 

早苗「…? えっ? 大妖精さん!?」

 

 

妖夢「大妖精っていつもチルノの側に居る妖精だよね?」

 

 

鈴仙「あの子能力持ってたの?」

 

 

魔理沙「ん? 知らないのか?」

 

 

妖夢「うん、どんな能力なの?」

 

 

霊夢「阿求曰く『瞬間移動する程度の能力』だそうよ」

 

 

鈴仙、早苗、妖夢「しゅ、瞬間移動!?」

 

 

魔理沙「本当にこう『シュッ!』って目の前からいなくなるんだよ、空間移動の一種だと私は睨んでるぜ」

 

 

魔理沙「んでよ、どれぐらいの距離を移動出来るのか気になったから前にチルノをエサに大妖精を騙して計測したことがあるんだが…」

 

 

魔理沙「最長移動距離は十五メートル、次の能力発動には三秒のインターバルが必要な事が分かったんだ」

 

 

妖夢、早苗、鈴仙「へぇ~…」

 

 

霊夢「…! そっか、咲夜は瞬間移動してるんじゃなくて時間を止めて移動してるから」

 

 

魔理沙「私達からしてみれば瞬間移動してるように見えるだけだからな、大妖精の能力を羨ましがるんじゃねぇかなぁと思って書いた」

 

 

早苗「な、なるほど」

 

 

鈴仙「チルノをエサに大妖精を騙したって…あんた何したのよ」

 

 

魔理沙「ふっふっふ…♪ 聞かない方が身のためだぜ♪」

 

 

妖夢「計測したいからって人に言えない様な事やっちゃダメだよ…」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢(『この熱湯をチルノにぶっかけられたくなかったら能力を見せやがるんだぜ~♪』だったっけ、本当はぶっかける気なんか全然なかったしチルノにはお菓子で釣ってたから…いや、それよりも)

 

 

霊夢(それを何故、何故に私の神社でやるのか)

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『咲夜は誰かの能力を羨ましいと思った事があるならば、誰の能力を羨ましいと思った?』

 

 

咲夜『能力? そうね…』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜『ん』

 

 

紫『ん?』

 

 

咲夜『あなた』

 

 

紫『へっ?』

 

 

咲夜『あなたよ、紫の能力』

 

 

紫『えぇっ!?』

 

 

 

 霊夢、正解!

 

 

霊夢「お、やった♪」

 

 

魔理沙「なにぃ!?」

 

 

早苗「紫さんの能力を選びましたか、確かに紫さんの能力も便利ですもんね」

 

 

鈴仙「便利すぎて次元が違うわよね、冬眠前は弱まるみたいだけど」

 

 

妖夢「でも分かるなぁ、私も小さい頃は紫様の能力ほしいほしいってずっと思ってたもん」

 

 

魔理沙「な~んかなぁ…理由聞いてくれ」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『ちょっ…/// や~だぁ…/// 咲夜ったらレミリアより私の事が好きだなんて…///』

 

 

咲夜『私そんなこと一言も言って無いわよね!?』

 

 

紫『ふふっ、冗談よ♪ それで何で私の能力なの?』

 

 

咲夜『ただ単に便利だから、それだけよ』

 

 

咲夜『空間の境界を操って裂け目から作ったスキマ、そこから物を出し入れしたり色んな物を作ったり繋げたり…便利よね、ホントに』

 

 

紫『私の能力を使ってみたいって事かしら』

 

 

咲夜『使えるものならね、紅魔館の為に使うのが殆どになりそうだけど』

 

 

紫『んふふ♪ ゆかりんだけの能力だからそれはムリ~♪』

 

 

咲夜『でしょうね…』

 

 

 

 

 

 

魔理沙「今でも時間を操ったり空間弄ったりしてんのにスキマまでプラスされたら本当に人間辞めるぞ、アイツ」

 

 

早苗「誰も咲夜さんに敵わなくなりそうですね、弾幕勝負でも勝てなさそうです」

 

 

妖夢「使えたとしても紅魔館の為にしか使わないのは咲夜らしいよね」

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙(また紅魔館の為…自分の為に使おうとか考えてよ、咲夜…)

 

 

霊夢(空間と時間…やっぱり)

 

 

霊夢(いや、もうこれ考えるの辞めよう…知ったところで意味なんて無いんだし)

 

 

 

 

 

【第125問】『メイド長は、(十六夜咲夜)という名前についてどう思っている?』

 

 

 

早苗「さっき霊夢さんが言ってましたよね、咲夜さんの名前はレミリアさんが名付けたと」

 

 

霊夢「えぇ、レミリア本人から聞いたから間違いないわね」

 

 

魔理沙「それじゃあもう答えは決まってんじゃねぇか?」

 

 

妖夢「決まっては…でも範囲は狭まった感じだね」

 

 

鈴仙「う~ん、こうかなぁ…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《レミリアがくれた素敵な名前》

魔理沙《素敵な名前(カリスマにしては)》

鈴仙《素敵な名前》

妖夢《誇らしい名前》

早苗《カッコいい名前》

 

 

 

霊夢、早苗、妖夢「ふふふふっ…!」

 

 

鈴仙「一言余計なのよねぇ…」

 

 

魔理沙「だってお前よぉ…あのネーミングセンスがカリスマブレイクのお嬢様が付けたとは思えない名前じゃないか」

 

 

霊夢「んはははっ…!」

 

 

妖夢「ふふふっ…!」

 

 

早苗「か、カリスマブレイクって……! んふふっ…!」

 

 

魔理沙「『マイハートブレイク』と『レミリアストレッチ』だぞ? あれ聞いたら最初は笑うだろ」

 

 

霊夢、妖夢、早苗「ははふふっ!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「あ、アレなんじゃないの? スペルカードに名前を付けるのと人に名前を付けるのとじゃ発想力みたいなのが違ってくるんじゃない?」

 

 

早苗「そ、そんなもんなんですかねぇ」

 

 

妖夢「人の名前だもんね、ちゃんと考えたいよね」

 

 

魔理沙「鈴仙…お前も気を付けた方が良いぞ? お前は予備軍だからな?」

 

 

鈴仙「は? よ、予備軍?」

 

 

魔理沙「…自分のスペルカードの名前を見てよ~く考えろよ? 少しでもカリスマの匂いを感じたら書き換えるべきだ」

 

 

鈴仙「…!?」

 

 

鈴仙「えっ!? 私のスペルカードに変な名前のなんかある!?」

 

 

魔理沙「そんなことより咲夜の答えを聞かせてくれ~♪」

 

 

鈴仙「ちょっ…!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は(十六夜咲夜)という名前についてどう思っている?』

 

 

咲夜『…!! ……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『十六夜咲夜はお嬢様からいただいた名前…私のこの名前に対する思いは…』

 

 

咲夜『嬉しいとか、悲しいとか感情で伝えられるモノではないわ…どう思っているか聞かれてもこう答える事しかできないわね』

 

 

咲夜『私にとって十六夜咲夜という名前は私の心の支えよ』

 

 

紫『……』

 

 

 

 

 全員不正解!!

 

 

 

霊夢、魔理沙、早苗、妖夢、鈴仙「……」

 

 

霊夢「心の支えね…随分と意味ありげに答えたわね」

 

 

魔理沙「レミリアに名前を付けられたのは何時の話なんだろうな」

 

 

妖夢「子供の頃? なのかな」

 

 

早苗「咲夜さんは人間ですからね…あれ? そもそも吸血鬼であるレミリアさんとの接点は…?」

 

 

霊夢「謎よね、色々と」

 

 

魔理沙「妖夢も言ってたが、あいつの子供の頃が気になるぜ」

 

 

鈴仙「…」

 

 

鈴仙(幻想郷の生まれじゃない事と関係があるの…? 私はそれ以上は聞いてないし、聞く理由もないけど)

 

 

鈴仙(気になっちゃうな…)

 

 

 

 

【第131問】『メイド長は、(緑茶、紅茶、麦茶、抹茶、センブリ茶)の中で一番好きな飲み物は?』

 

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢「? センブリ?」

 

 

早苗「わぁ♪ 懐かしいですねぇ~♪ 罰ゲームで飲んだ事があったなぁ」

 

 

魔理沙「あー? 罰ゲーム?」

 

 

霊夢「えっ、お茶なんでしょ?」

 

 

早苗「はい、一応お茶ですよ」

 

 

鈴仙「知らないの? センブリ」

 

 

妖夢「知らない、鈴仙は知ってるの?」

 

 

鈴仙「もちろんよ♪ センブリはお茶として飲まれる事が多いけど生薬として用いられる事もある薬草なの、薬効は下痢や腹痛、それから胃腸の」

 

 

魔理沙「そんなもんはどうでもいいから飲んでみてぇな、センブリ」

 

 

霊夢「私も飲んでみたいわ、センブリ」キラキラ

 

 

鈴仙「そ、そんなもんですって!? ちゃんと聞きなさいよ!」

 

 

魔理沙「お前目がキラキラしてるぞ?」

 

 

霊夢「そ、そんなことはないわよ…!」キラキラ

 

 

早苗「流石『お茶ラー』の霊夢さんですね! 分かりますよぉ♪ 飲んだ事が無い物は飲みたくなりますよね♪」

 

 

鈴仙「こらぁー! 聞きないっての!」

 

 

妖夢「れ、鈴仙落ち着いて…」

 

 

霊夢「そんなことないって言ってるでしょ…! に、にとり…? まさか用意してるなんて事は」

 

 

にとり「ふっふっふ~ん♪ 実は飲みたくなるだろうなって思ってさ♪」

 

 

文「紫さんが持ってきたセンブリでお茶をいれておきましたよ、はいどうぞ♪」スッ

 

 

霊夢「!! ふ、ふふっ…! ふふふっ♪ き、気が利くじゃない♪」ニッコリ

 

 

魔理沙「おい、口元が緩み過ぎてねぇか?」

 

 

早苗、妖夢、鈴仙(スッゴい嬉しそう…)

 

 

霊夢「! 見た目は…薄そうな緑茶ね」

 

 

魔理沙「匂いは…渋さは感じるな」

 

 

妖夢「普通のお茶だよね」

 

 

魔理沙「早苗が罰ゲームだとか言ってたのが気になってるんだが」

 

 

早苗「それは飲んでからのお楽しみですよ♪」

 

 

妖夢「あれ? 二人は飲まないの?」

 

 

鈴仙「飲まないんじゃなくて飲めないの、その…キツすぎてね」

 

 

早苗「私もです、見てるだけで味を思い出しちゃいますね」

 

 

霊夢「ねぇ飲んでいい? ねぇ?」ソワソワ

 

 

魔理沙「待て待て、一緒に飲もうぜ? 妖夢も飲むよな?」

 

 

妖夢「うん、飲んでみたいからね」

 

 

魔理沙「おう…よし、じゃあいくぞ?」

 

 

魔理沙「せーっの…!」

 

 

早苗「あ、一気にグイッっていかないほうが」

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢「ズズッ……」ゴクッ

 

 

早苗、鈴仙「うわぁ、一気に…」

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢「……」

 

 

魔理沙、妖夢「……んぐっ!?」

 

 

魔理沙「うっわ…!! うぅおぉ!?」

 

 

妖夢「んんっ…!? けほっげほっ! うぅ~…!!」

 

 

魔理沙「な、なんっ…! なんだこりゃっ…!? くぁぁぁ~…!」

 

 

妖夢「けほっ…! うぅ~…! あっ…味が舌に…!」

 

 

 

早苗「どうでしたか? お味の程は」

 

 

魔理沙、妖夢「苦いっ!!」

 

 

鈴仙「うん、そりゃそうよね」

 

 

魔理沙「うおぉっ…! こ、コーヒーより何百倍も苦いぜ…!」

 

 

妖夢「ゆ、紫様が前に持ってきたニガウリよりもっ…! ううっ…!」

 

 

早苗「正直そんなの比べ物にならない苦さですよね」

 

 

鈴仙「良薬は口に苦し! お茶よりも生薬として飲んだ方が良いのかもね」

 

 

魔理沙「あ、あぁ…! 罰ゲームって言ってた理由が良く分かったぜ」

 

 

妖夢「なんか…口の中がシワ~ってなるよ」

 

 

 

にとり「私たちも始まる前に飲んだけどさ、ヤバかったよね」

 

 

文「甘いもの食べたくなりましたもんね」

 

 

 

魔理沙「うげぇ、まだ苦いぜ」

 

 

鈴仙「センブリの名前の由来は『千階振り出してもまだ苦い』から来てるのよ♪ 特にセンブリの苦味成分であるアマロスエリンは天然物で屈指の苦い物質なんだからね」

 

 

妖夢「そ、そうなんだ…そりゃあ苦いよね」

 

 

魔理沙「『アマロスエリン』だか『甘い永琳』だかわかんねぇけどもう飲みたくないぜ…」

 

 

鈴仙「『アマロスエリン』よ! 師匠に怒られるわよ魔理沙ぁ!」

 

 

早苗「あっはははっ…! ん?」

 

 

 ズズッ…

 

 

魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗「……」チラッ

 

 

霊夢「……」ズズッ

 

 

魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗「…!?」ギョッ

 

 

霊夢「…ふぅ♪ にっがいわね…♪」ホッコリ

 

 

魔理沙「はぁ!?」

 

 

妖夢、鈴仙、早苗「えぇっ!?」

 

 

霊夢「ん!? な、なに?」

 

 

魔理沙「お前飲めんの!?」

 

 

霊夢「え? 飲めるけど」

 

 

妖夢「う、嘘ぉ…」

 

 

鈴仙「顔色一つ変えずに!? あんなに苦いのに!?」

 

 

霊夢「……? まぁ苦いけど飲めない事はないでしょ、美味しいわよ?」

 

 

早苗「お、お茶ラーにも限度がありますよ霊夢さん! ……あ、お茶ラーだから限度が無いのかな」

 

 

霊夢「お茶ラーって何よ、でも何でか悪い響きじゃないわね」

 

 

魔理沙「お前がたまに怖く感じるぜ」

 

 

霊夢「何でじゃ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《紅茶》

魔理沙《紅茶》

鈴仙《紅茶》

妖夢《紅茶》

早苗《紅茶》

 

 

魔理沙「もう正解なんだろうけどよ、咲夜はセンブリ飲んだ事あんのかな」

 

 

早苗「紫さん、聞いてみてくださいね!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は、(緑茶、紅茶、麦茶、抹茶、センブリ茶)の中で一番好きな飲み物は?』

 

 

咲夜『ん…これは全員正解しそうね、紅茶よ』

 

 

紫『因みにセンブリ茶は飲んだ事あるのかしら?』

 

 

咲夜『あるけど好んで飲む物ではないわね、鈴仙から貰ったけどあれは薬として飲むべき物よ』

 

 

 

 全員正解!!

 

 

魔理沙「聞いたか霊夢、それ薬だぜ」

 

 

霊夢「お茶でしょ、こんなに美味しいのに♪」

 

 

魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗(えぇ……)

 

 

霊夢「鈴仙、あんたこのセンブリの茶葉持ってるの?」

 

 

鈴仙「薬草として永遠亭においてあるけど、粉末にすればお茶になるわよ」

 

 

霊夢「貰えないかしら、売り物なら買うわよ?」

 

 

鈴仙「ま、毎度あり…」

 

 

魔理沙「……気に入ったのか」

 

 

霊夢「えぇとっても♪」

 

 

魔理沙「神社行ってセンブリ茶を出されるのは勘弁な…」

 

 

 

 

【第137問】『メイド長は、魔理沙がパチュリーのところから本を盗んでいることについてどう思っている?』

 

 

 

魔理沙「『魔理沙! 今日も来てくれてありがとう! 好きなだけパチュリー様のところから本を借りていってね♪ なんならお菓子も食べていく?』だな♪」

 

 

霊夢、早苗、妖夢「んふふふっ…!」

 

 

鈴仙「あんたバカじゃないの!? 咲夜がそんなこと思うわけないでしょ! しかもお菓子もですって!?」

 

 

魔理沙「心の中ではそう思ってるかもしれないじゃないか♪ 照れ隠しってやつだな、あっははは♪」

 

 

鈴仙「照れるかぁ!! あんっ…! あんたはホントに相変わらず欲張りよね!」

 

 

魔理沙「相変わらずは傷付くぞ! そんなこと言われたら私が毎日欲張りみたいに聞こえるじゃないか!」

 

 

鈴仙「現にそうでしょうが、この欲張り魔法使い!」

 

 

魔理沙「やめろぉ! 文、お前が盗んでいるって書き方するからだぞ? 死ぬまで借りてんだってのに」

 

 

文「えっ…? 私が悪いんですか!?」

 

 

魔理沙「『本を借りていることについて』って書かなきゃダメだな♪」

 

 

文「私悪くないですよね!?」

 

 

にとり「妖怪の山の皆から何か借りないだけマシだと思ったら負けなのかな?」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《フランと遊んでくれてるからお咎めなし》

魔理沙《実は怒っているのはパチュリーだけ》

鈴仙《借りたら返せ》

妖夢《借りたら返しなさい》

早苗《アリスさんを紅魔館に呼ぶ》

 

 

 

魔理沙「早苗それマジでやめろ…!」

 

 

早苗「ふふふっ…! 検討するって言ってましたからねぇ♪」

 

 

魔理沙「くっ…! 私の味方は霊夢しかいないのか」

 

 

霊夢「別にあんたの味方してるわけじゃないんだけど」

 

 

早苗「霊夢さんはどう思ってるんですか? 魔理沙さんの泥棒は」

 

 

魔理沙「泥棒じゃねぇ」

 

 

霊夢「魔理沙の好きにすれば? って感じなのよね」

 

 

早苗「あ、そうなんですね」

 

 

霊夢、魔理沙「……え?」

 

 

早苗「え?」

 

 

霊夢「てっきりまた『ご馳走さまです!』って言うかと思ったんだけど」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「何が基準になってんだか分からんな」ヒソヒソ

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は、魔理沙がパチュリーのところから本を盗んでいることについてどう思っている?』

 

 

咲夜『ふっ……魔理沙、私がどう思っているかなんて百も承知でしょう?』スッ

 

 

咲夜『借りたら返しなさい…ね♪』ニッコリ

 

 

 

 妖夢、鈴仙、正解!

 

 

 

魔理沙「おぉぅ!? な、何で笑顔でナイフを構えてんだよ!」

 

 

鈴仙「ふふん…♪ ほら見なさい、素直に返した方が身のためよ」

 

 

魔理沙「い、いやまだだ…! まだ読んでない本が山の様に…」

 

 

妖夢「まず読み終えた本を返せば良いのに…」

 

 

霊夢「私は本の盗みよりあんたの家の汚さが気になるんだけど」

 

 

魔理沙「そんなこと言われてもなぁ、掃除と本読みのどっちを優先させりゃいいんだよ」

 

 

早苗「本を返せば自然と部屋が広くなります、そこから掃除を始めて綺麗にしていけばいいんじゃないですか?」

 

 

魔理沙「お、ならまずは本を読む事から始めないとな♪」

 

 

霊夢「……そして気になる事があったらまた別の本を盗みに行くと」

 

 

妖夢「本がまた増えるね」

 

 

鈴仙「あんたいい加減にしないと絶対いつか痛い目見るわよ」

 

 

 

 

【第143問】『早口言葉問題! メイド長は(マリアリマリサ アリマリアリス)噛まずに三回言える?』

 

 

 

魔理沙「はぁ!? なんじゃこりゃあ!?」

 

 

霊夢、早苗「んははははっ!!」ゲラゲラ

 

 

妖夢「マリアリ…え?」

 

 

鈴仙「こんな早口言葉無いわよね」

 

 

文「作りました♪」

 

 

魔理沙「何を作ってくれちゃってんだぁ!」

 

 

霊夢「くっふははははっ!」ゲラゲラ

 

 

早苗「っ……! くふふっ…! くふっ…!」プルプル

 

 

妖夢「霊夢があんなに爆笑してるところ初めて見たかも」

 

 

鈴仙「早苗に至っては声に出てないんですけど」

 

 

魔理沙「おまっ…! 何だよこのアリスの頭の中から取り出した様な早口言葉はよぉ!」

 

 

文「面白いじゃないですか♪」

 

 

魔理沙「面白いとかそんなんじゃねぇだろ? お前これ絶対アリスに教えんじゃねぇぞ!?」

 

 

文「ふふふっ♪」

 

 

 

鈴仙「ねぇにとり、アリスは…魔理沙となにかあるの?」

 

 

妖夢「さっきからその事で笑ってるよね」

 

 

にとり「ん? あぁ、二人は知らないのか」

 

 

にとり「アリスは魔理沙の事が大好きなんだよ、性別を超えた愛ってやつさ♪ 魔理沙に対する愛なら誰にも負けてないんじゃないかな? …ちょっと度は越えてるかもしれないけどね♪」

 

 

鈴仙、妖夢「え″っ!?」

 

 

 

魔理沙「お前ら笑いすぎだぁ!」

 

 

霊夢「だ、だってさぁ…!」プルプル

 

 

早苗「しょ、しょうがないじゃないですかぁ…!」プルプル

 

 

魔理沙「お前らちょっと声裏返ってるぞ! そこまで面白かったか!?」

 

 

 

妖夢「アリスってそうだったんだ…」

 

 

妖夢(なるほど、だから魔理沙の事を見る目が他の人と違ったんだ)

 

 

鈴仙「それって病…いや、恋愛は人それぞれよね」

 

 

鈴仙(純狐さんからの私へのアレは……!? いやいやいや! 恋愛…じゃないよね…?)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《笑って噛む》

魔理沙《読まないでくれ!》

鈴仙《言える》

妖夢《噛まずに言える》

早苗《言い間違える》

 

 

 

霊夢、早苗「くふふふっ…!」

 

 

鈴仙「解答でお願いしてどうするのよ」

 

 

妖夢「アリスから愛って…でも好かれているのは良いことなんじゃないの?」

 

 

魔理沙「お前らはアリスさんがワンダーランドに逝ってる時の恐さを知らんからそんなことが言えるんだ」

 

 

妖夢「アリスのことを嫌ってる訳じゃないんでしょ?」

 

 

魔理沙「そうなんだよ…嫌いじゃないんだ、全然嫌いじゃないんだけどよ」

 

 

魔理沙「大変なんだよ…うん」ズーン

 

 

鈴仙、妖夢(な、何があったんだろう…)

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『ふっ…! くっふふふっ!』

 

 

咲夜『?』

 

 

紫『は、早口言葉問題よ』

 

 

咲夜『早口言葉…?』

 

 

紫『ふぅ…さ、咲夜は (マリアリマリサ アリマリアリス) 三回言える?』

 

 

咲夜『ふっ…! んふふふっ…!』プルプル

 

 

咲夜『えっ? えぇ…? くふっ…! な、何て言ったの?』

 

 

紫『マリアリマリサ アリマリアリス 三回言える?』

 

 

咲夜『ふふふっ…!』プルプル

 

 

咲夜『えぇ…い、言えるとは思うんだけど笑いそう…あなたよく笑わずに言えるわね』

 

 

咲夜『……そうね、魔理沙とアリスで考えるからいけないのよ、これは単なる早口言葉だと思えば良いのよね』

 

 

咲夜『すぅ~…ふぅ…』

 

 

咲夜『……よし! 紫、合図して』

 

 

紫『いくわよ? 三、二、一、はい!』

 

 

咲夜『マリアリマリサ アリマリアリス マリアリマリサ アリマリアリサ』

 

 

紫『えっ!?』

 

 

咲夜『あっ!』

 

 

紫、咲夜『……ぷっ!』

 

 

咲夜、紫『あっははははっ!』ゲラゲラ

 

 

 

 早苗、正解!

 

 

 

魔理沙「うぉぉぉぉい!!」

 

 

霊夢「あっはははっ!! くふふははっ!」ゲラゲラ

 

 

早苗「くふふっ…! っ…! っっ…!」プルプル

 

 

妖夢「あはっ! はははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

鈴仙「あふははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

文「あふふふっ…!」プルプル

 

 

にとり「だっはははは…!」ゲラゲラ

 

 

魔理沙「チクショーめ! 何で私がダメージ受けてんだ!? 出来ればやらないでほしかったしやるならやるで言い間違えないでほしかったぜ! くっ…! なんか複雑だわ色々とぉ!」

 

 

霊夢「あー…ははっ…! ハァー…や、ヤバいわ…涙出てきた…」スッ

 

 

早苗「お、お腹痛いですっ…! あふふふっ…!」

 

 

鈴仙「ふっ…! お、おしかったわね咲夜、後もうちょっとだったのに」

 

 

妖夢「ふふふっ…! か、噛むんじゃなくて言い間違えちゃったんだもんね」

 

 

魔理沙「その間違え方も絶妙すぎるだろ『アリマリアリサ』って…アリサって誰だよ」

 

 

早苗「えっ? アリスさんと魔理沙さんの娘さんじゃないんですか?」

 

 

霊夢「そっくりよね、目元が」

 

 

魔理沙「やめろぉぉ!」

 

 

霊夢、早苗「あっはははっ!」

 

 

魔理沙「!? うわぁ…! 鳥肌立ってきた…」ゾクッ

 

 

妖夢(アリサ・マーガトロイド…?)

 

 

鈴仙(霧雨アリサ…?)

 

 

妖夢、鈴仙(どっちなんだろう…)

 

 

魔理沙「もういいよな…? 次だ…次行こうぜ次!」

 

 

早苗「ま、待ってください…笑いすぎてま、まだお腹が痛いです」

 

 

霊夢「な、涙が…ふふふっ…!」

 

 

魔理沙「お前らの事情なんか知らん!」

 

 

 

 

 

 

【第149問】『メイド長は、主であるレミリア・スカーレットに一言何か言うとしたら何を言う?』

 

 

 

霊夢「ここにレミリア本人がいないからどうでるかしら」

 

 

魔理沙「咲夜は本人がいようがいまいが、自分の振る舞いとか変えないよな」

 

 

妖夢「常にレミリアの事を考えてるよね、行動も発言も気を付けてるし」

 

 

早苗「従者の鑑ですよねぇ」

 

 

鈴仙「…」

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《お慕い申し上げております》

魔理沙《これからもお慕いしております》

鈴仙《お慕い申し上げております》

妖夢《これからもお慕い申し上げております》

早苗《お慕い申し上げております》

 

 

 

 

魔理沙「揃ったな」

 

 

早苗「微妙に違いますけど殆ど同じですね」

 

 

妖夢「一人の人を慕う事って簡単な様で凄く難しい事なんだよね」

 

 

魔理沙「ソイツの側にいて色々と支える…だもんな、私には一生縁がなさそうだ」

 

 

鈴仙「…咲夜、あなたはレミリアの事を慕い過ぎてるから……」ボソッ

 

 

霊夢「…?」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は、主であるレミリアに一言何か言うとしたら何を言う?』

 

 

咲夜『! お嬢様に……』

 

 

咲夜『……』スッ

 

 

咲夜『お嬢様…』

 

 

咲夜『お嬢様は今、この場にはいらっしゃいませんが、私がお嬢様に一言申し上げるとするならば…』

 

 

咲夜『これからも、そしていつまでも…お嬢様の事をお慕い申し上げておりますわ』ニコッ

 

 

紫『…』

 

 

 

 全員正解!!

 

 

鈴仙「…!」

 

 

魔理沙「まぁ当たるよな」

 

 

妖夢「咲夜の事を知っていれば答えられるもんね」

 

 

早苗「咲夜さんらしい答えですよね、いつまでもなんて…素敵ですね♪」

 

 

鈴仙「そのいつまでもってのが…」ボソッ

 

 

霊夢「……鈴仙」

 

 

鈴仙「! な、何?」

 

 

霊夢「あんた咲夜に何か思うことでもあんの?」

 

 

鈴仙「! 別に…」

 

 

魔理沙「ん? 何か心配事か?」

 

 

鈴仙「だから何も」

 

 

妖夢「鈴仙、何かあるの?」

 

 

鈴仙「……」

 

 

魔理沙「……話した方が楽になれる時もあるぞ?」

 

 

妖夢、早苗、霊夢「…」

 

 

鈴仙「……私は咲夜の本当の気持ちがわかるの」

 

 

妖夢「本当の気持ち?」

 

 

鈴仙「今のレミリアへの気持ち、口で言っている以上の気持ちと想いが咲夜の中にあるのよ…いつまでも慕い続けるって事は、レミリアの為に一生を捧げる覚悟で生きて行くってことだと思うの」

 

 

早苗「それは咲夜さんを見てれば誰でも分かるんじゃないですか?」

 

 

鈴仙「それよ、見れば誰でも分かるのが問題なの…咲夜はレミリアの為、何かあればレミリアの為、何がなんでもレミリアの為に行動する…そしてそれは紅魔館の為にってのも自然と含まれる」

 

 

鈴仙「私は咲夜に自分の時間を作ってほしいの…レミリアも紅魔館も関係ない…自分だけの時間を作って大切にしてほしいのよ」

 

 

魔理沙、早苗、妖夢「……」

 

 

霊夢「……鈴仙、あんたレミリアと同じ事を言うのね」

 

 

鈴仙「えっ…?」

 

 

霊夢「前にレミリアに相談されたことがあるのよ『咲夜は私達の為に働きすぎている、確かに咲夜がいないと紅魔館は成り立たなくなってしまってはいるけど紅魔館の外、霊夢達との時間を作って大事にしてほしい、私たち家族とは関わりのないところでたくさんの関係をもってほしい』って」

 

 

鈴仙「!」

 

 

霊夢「レミリアはそれを咲夜に言った事があるみたいなんだけど『考えておきますわ』の一点張り、それで流されちゃうらしくてレミリアも悩んでるみたいね」

 

 

早苗「鈴仙さんはこの事はご存じではないんですか?」

 

 

鈴仙「聞いてないわね……」

 

 

妖夢「その相談に霊夢はなんて答えたの?」

 

 

霊夢「『自分の時間を大切に行動してるからずっとあんたの側にいられるんでしょ、そうじゃなかったらあんなに楽しそうに毎日紅魔館で仕事してないでしょうが』って言ってやったわ『もし咲夜が本当に自分の時間を大切にできない程になったらあんたがガツンと面と向かって言ってやれば良いのよ』…とも言ったわね」

 

 

早苗「おぉ…」

 

 

魔理沙「カリスマ妖怪の相談にちゃんと乗ってあげたんだな、流石だぜ♪」

 

 

霊夢「だ、だってあんなに思い詰めた顔して咲夜の事を話すからさ…」

 

 

妖夢「優しいね、霊夢」

 

 

霊夢「! べ、別に…///」

 

 

鈴仙「……」

 

 

魔理沙「…あれだな、レミリアがこの事をお前に相談しなかったのは咲夜と親友であるお前に心配かけたくないから言わなかったんだろうな」

 

 

鈴仙「!」

 

 

妖夢「鈴仙は心配し過ぎて顔と耳に出ちゃうからね、それに咲夜は気付くだろうし、そしたら咲夜も不安になって双方言い合えないまますれ違いが起きちゃうかもしれない、そうならないようにしてくれたんじゃないかな」

 

 

早苗「レミリアさんが気を使ってくれたんですね」

 

 

鈴仙「! ……そっか」

 

 

霊夢「咲夜は咲夜なりに自分の時間を大切にしてるんだからその事であんたが悩む必要なんてない、あんたが悩んでるところをみたら咲夜だって不安になる、親友のあんたならわかるでしょ?」

 

 

鈴仙「…! うん…!」

 

 

鈴仙「…皆ごめん、ありがとう」

 

 

魔理沙「へっ…♪ うし、ショボくれ兎が元気になったところで次行くかぁ♪」

 

 

鈴仙「なっ…! し、ショボくれ兎って言うなぁ!」

 

 

魔理沙「だっはははは♪」

 

 

霊夢、妖夢、早苗「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

【第155問】『メイド長は、永夜異変でレミリアと一緒に行動していたときどういった気持ちだった?』

 

 

 

魔理沙、妖夢、霊夢「おぉ~…懐かしい…」

 

 

霊夢「紫が血相変えて神社に飛び込んで来たのが懐かしいわ『私と霊夢なら無敵よ無敵♪』じゃないってのよ全く…寝てたのに叩き起こされたし、それに何が幻想の結界チームよ…そういえば紫のやつ焦ってた割には結構ノリノリで異変解決してたっけ」

 

 

妖夢「あの時は…夜明けテンションだったの…『敵を切り潰す』とか物騒な事を言ってたのは全部夜明けテンションのせいだったんです…だからお願いします幽々子様、紫様、永夜異変の話をなさっている時にあのときの私を話題にいじるのはもう勘弁してください…!」

 

 

魔理沙「いやぁ♪ あの異変は楽しかったぜ『弾幕はパワー』の私に『弾幕はブレイン』のアリスが加わる事で誕生したマリス砲であのときは大暴れしたもんだ♪」

 

 

鈴仙「なんか……色々と私達がご迷惑をおかけしまして…」

 

 

霊夢「ほんとよ! 大体偽物の月を造ったって無意味なのよ、幻想郷には大結界があるんだから月の使者は来れないってのに」

 

 

魔理沙「まぁまぁ良いじゃねぇか♪ あの異変が起きたから輝夜達とも知り合えたんだからよ」

 

 

妖夢「そうだよ、そう思えばあの異変は」

 

 

霊夢「起きて良かったなんて言うんじゃないわよ? 異変が起きない方がずっと良いんだからね?」

 

 

妖夢「うっ…! そ、そうだけど……でもあの異変のお陰で鈴仙とも知り合えて友達になれたから」

 

 

鈴仙「妖夢…うん、ありがとね」

 

 

魔理沙「輝夜とお前を月の使者から守るためだもんな、永琳も優しいところあるよな」

 

 

鈴仙「優しさがなかったら医者は勤まらないからね♪ …師匠には本当に感謝してる、姫様の為ってのが一番なんだろうけど私たちの為にあそこまでしてくれたから」

 

 

霊夢「なんだかんだ言ってても、あんたの事大切に思ってんのかしらね」

 

 

鈴仙「そうだと良いなぁ」

 

 

妖夢「きっとそうだよ、鈴仙」

 

 

 

早苗「……」プクー

 

 

文「あやや、どうしたんです? 頬を膨らまして」

 

 

早苗「会話の輪に入れないんです……」

 

 

にとり「あぁそっか、早苗は永夜異変に関わってなかったよね」

 

 

早苗「永夜異変が起きた時期を聞いたんですけど私はその時、幻想郷に引っ越す準備の最中だったんですよ、諏訪子様と神奈子様のお手伝いをしてたんです」

 

 

早苗「私もその時に幻想郷に居れば永夜異変を霊夢さんたちと解決して……はぁ……」

 

 

文「お一人で、ですか?」

 

 

早苗「いえ、諏訪子様と一緒にです」

 

 

にとり(神奈子はお留守番なんだね)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《眠かった》

魔理沙《夜中にお子さま一人にさせられない》

鈴仙《従者としてどこまでも着いていく》

妖夢《心配だったから着いていった》

早苗《従者として仕方なく》

 

 

 

霊夢、鈴仙「ふふっ…!」

 

 

早苗「一応レミリアさん500歳ですよね?」

 

 

魔理沙「500歳児、の間違いだろ?」

 

 

妖夢「子供扱いされるのは…良いのかな」

 

 

魔理沙「霊夢と一緒にいるときのレミリアを見てみろよ、500歳とは思えんぞ?」

 

 

霊夢「最近フランの方がしっかりしてるんじゃないかと思えて来たのよね」

 

 

魔理沙「主が交代する日もそう遠くないぜ~♪」

 

 

早苗「あっ! そしたらレミリアさんは隠居して博麗神社に居着く訳ですね!」

 

 

霊夢「やめなさい、萃香もそうだけど最近あうんまで住み着いて本当に妖怪屋敷になりかけてるんだから」

 

 

魔理沙「あいつ人懐っこいよな」

 

 

霊夢「狛犬だからね」

 

 

鈴仙、妖夢(? あうん…?)

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は永夜異変でレミリアと一緒に行動していたときどういった気持ちだった?』

 

 

咲夜『また懐かしいわね、あの異変があったから鈴仙と出会えたのよね♪ ふふっ♪』

 

 

咲夜『ん~…そうねぇ、あのときは…』

 

 

咲夜『異変を解決しなきゃって考えよりもお嬢様の従者として着いていかなきゃ…って気持ちだったわね、夜中でちょっと眠かったけど』

 

 

咲夜『あ、でも肝試しは楽しかったわね』

 

 

 

 鈴仙、早苗、正解!!

 

 

 

霊夢「え~、私のはおまけでも良いんじゃないの?」

 

 

魔理沙「そんな事言ったら私のもおまけで正解だろ」

 

 

早苗「レミリアさんの事を心配してたのなら妖夢さんのも正解なんじゃ…?」

 

 

妖夢「従者として、が正解なんだろうね」

 

 

鈴仙「…」

 

 

魔理沙「ちぇっ…ん? どうした鈴仙」

 

 

鈴仙「なんかさ、レミリアに初めて会ったときに『挑戦的な見た目』って私に言ってきたんだけどあれはどういう意味で言ったのかなって」

 

 

早苗「ウサ耳ブレザーなんて正直狙いすぎだと思いますよ! 可愛さのダブルパンチじゃないですか!」

 

 

鈴仙「これは玉兎の正装なんですけど」

 

 

霊夢、妖夢、魔理沙「…?」

 

 

 

 

【第161問】『メイド長は、輝針城の異変のときどんな気持ちで異変解決に臨んでいた?』

 

 

 

早苗「これは霊夢さんと魔理沙さん、咲夜さんで解決したんですよね、道具と妖怪が暴れだしたとかいう」

 

 

魔理沙「あぁこれも懐かしいぜ♪ 引っくり返っていたとはいえ城に忍び込んでお宝をいただくなんて最高だったからなぁ♪」

 

 

鈴仙「あんたもうそれ完全に泥棒の発言じゃない」

 

 

妖夢「あはは…」

 

 

霊夢「私は急にお祓い棒が暴れだしたから何事かと思ったけどね、まさか打出の小槌が原因だったとは」

 

 

妖夢「原因がまさかの秘宝だったんだもんね」

 

 

魔理沙「妖怪も大人しくなったし、針妙丸もお前になついたし、付喪神たちも宴会に参加するようになったしな、終わり良ければ全て良しだぜ♪」

 

 

霊夢「天邪鬼だけは良くないでしょ」

 

 

魔理沙「まぁアイツは…うん」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《不安だった》

魔理沙《不安》

鈴仙《不安だった》

妖夢《不安だった》

早苗《不安》

 

 

 

魔理沙「あいつの妖器は確か、シルバーブレードだったか?」

 

 

霊夢「両刃のナイフ…というかあれはもう剣ね、小槌の魔力が宿ってた時は魔剣に近かったんじゃないかしら」

 

 

妖夢「前に咲夜に見せてもらったけど、切れ味も中々だし剣として見ればかなりの業物だと思うよ」

 

 

早苗「銀髪の魔剣士…!? それだけでもうカッコいいですよね!」

 

 

魔理沙「銀髪の剣士なら妖夢がいるじゃねぇか」

 

 

早苗「妖夢さんは魔剣士って感じがしないのでちょっと…」

 

 

妖夢「私は何でガッカリされてるんだろう…」

 

 

鈴仙「調査の時に持っていったけど何処で手に入れたか分からなかったから不安って話は聞いたのよ、変な魔力も感じてたみたいだし」

 

 

魔理沙「ならもう正解だなこりゃ」

 

 

霊夢(私と魔理沙も正直不安だったのよね、お祓い棒があんなに無慈悲になってたし、魔理沙だってダークスパークなんて魔理沙らしくない技を使ってたし)

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は、輝針城の異変の時にどんな気持ちで異変解決に臨んでいた?』

 

 

咲夜『! あぁ…あの異変も懐かしいわね』

 

 

咲夜『どんな気持ち…? 難しいわね…』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜『まぁ内心は不安だった…かしらね』

 

 

咲夜『得体の知れないナイフ…いえ、剣を手に異変解決なんて私らしくない事をしたからね、妖器の力に魅入られてどうにかなったら大変だもの』

 

 

 

 全員正解!

 

 

 

霊夢「打出の小槌の魔力はもう無いから妖夢が言った様に、もうあれは切れ味の良い剣でしかないのよね」

 

 

魔理沙「あいつあの剣使ってんのかな?」

 

 

鈴仙「使わないで自分の部屋に飾っているみたいよ?」

 

 

早苗「えぇ~カッコいいから使えば良いのに…もったいないですねぇ」

 

 

鈴仙「使うってどういう時に使うのよ」

 

 

早苗「別に使わなくてもいいんですよ、咲夜さんが持ってるだけでもうカッコいいじゃないですか」

 

 

霊夢「咲夜にカッコよさを求めてどうするのよ」

 

 

 

 

 

【第167問】『メイド長は、吸血鬼になりたいまたは人間を辞めたいと思った事がある?』

 

 

 

魔理沙「散々言ってるが、人間を辞めてるところはたくさんあるからな」

 

 

早苗「能力的な意味でも、体力的な意味でもですよね」

 

 

妖夢「でもそれは私たちの視点だよね、咲夜からしてみたらどうなのかな」

 

 

鈴仙「…」

 

 

魔理沙「……方法なんていくらでもあるからな、人間なんて簡単に辞めれる、けど咲夜ならたぶん」

 

 

霊夢「答え出てるわね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《思った事がない》

魔理沙《思わない》

鈴仙《そんなこと思った事がない》

妖夢《思わない》

早苗《思わない》

 

 

 

早苗「私だったらちょっとは憧れたり、って思ってしまいますね」

 

 

霊夢「思ったり憧れたりするのは自由よ、でも咲夜なら人間を貫き通すと思うの」

 

 

魔理沙「だな、たぶんこう答えるだろ」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『………咲夜は吸血鬼になりたい、または人間を辞めたいと思った事がある?』

 

 

咲夜『! ……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……思わないわ、そしてこれからもそれを思う事は無いと断言するわ』

 

 

咲夜『昔にお嬢様から吸血鬼にならないか? と問われた事があるのだけれどお断りさせていただいたわ』

 

 

咲夜『私は人間としてこれからもお嬢様に仕えていく…これは変わらないし、一生変えたくない思いなの』

 

 

紫『…』

 

 

 

 

 全員正解!!

 

 

霊夢「理由はわからないけど意思は固そうね」

 

 

妖夢「考えすぎなのかもしれないけど、人間に拘る理由とかあるのかな?」

 

 

魔理沙「逆に人間を辞める理由が無いのかもしれないよな」

 

 

早苗「レミリアさんに誘われたのに断った、というのがなんとも…人間であることに誇りを持っていたり?」

 

 

魔理沙「…ま、私たちが考えても仕方ねぇだろ」

 

 

霊夢「辞めたくないなら辞めなきゃいい、それだけで充分よ」

 

 

妖夢「うん、そうだね」

 

 

鈴仙(…)

 

 

鈴仙(人間を辞めれば疲れる事もない、レミリアたちの側にもずっといれるし私とも長くいられる…人間の寿命を遥かに越えるから)

 

 

鈴仙(思ったりするのは自由…だけどこれは私のエゴ…咲夜の親友なのに私は咲夜の意志を何も…)

 

 

鈴仙(私、最低だな)

 

 

 

 

【第173問】『メイド長は、この世界に生を受けて嫌だと思った事がある?』

 

 

 

魔理沙「お前さぁ…」

 

 

文「! い、いや…だって」

 

 

霊夢「だっても何も無いわよ、普通こんなこと聞く?」

 

 

文「……すいません、でも咲夜さんの秘密…というか…知りたくて…」

 

 

霊夢「…あんたの悪い癖が出たわね」

 

 

魔理沙「楽しいクイズ大会なんだろ? 解答者と出題者を嫌な雰囲気にさせんなっての」

 

 

文「申し訳…ないです」

 

 

妖夢「…これ、書くの?」

 

 

にとり「一応お願いできるかな…」

 

 

鈴仙「……」

 

 

早苗(昔色々と考えてましたね、こういうの…)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《答えない》

魔理沙《答えない》

鈴仙《答えない》

妖夢《答えない》

早苗《答えない》

 

 

 

霊夢「紫だって言うの嫌でしょうよ」

 

 

文「……」

 

 

魔理沙「ったく…」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『! ……』

 

 

紫『……』

 

 

紫(文…今回だけは見逃してあげるわ、これが終わったらこういうのは駄目だって言い聞かせておかないとね)

 

 

咲夜『? 紫?』

 

 

紫『…咲夜』

 

 

咲夜『何? 問題はなんなの?』

 

 

紫『……』

 

 

咲夜『…?』

 

 

紫『……』

 

 

紫『咲夜は…』

 

 

咲夜『?』

 

 

紫『咲夜はこの世界に生を受けて嫌だと思った事がある?』

 

 

咲夜『……!』ピクッ

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』スッ

 

 

咲夜『…答えたくないわね』

 

 

 

 全員正解!

 

 

 

早苗「…」

 

 

妖夢「…! 鈴仙、大丈夫…?」

 

 

鈴仙「! あ、うん…大丈夫…大丈夫よ」

 

 

魔理沙「正解しても嬉しかねぇよ」

 

 

霊夢「個人で聞きなさいっての、レミリアとかに八つ裂きにされるの覚悟でね」

 

 

魔理沙「お前後で咲夜に謝っとけよ?」

 

 

文「はい…すいませんでした」

 

 

にとり「…」

 

 

にとり(妖怪だってそう思う事はあるさ、だからこそ私は文を責められない)

 

 

にとり(でも軽いノリで聞く質問じゃないよ、文)

 

 

 

 

【第179問】『メイド長は、能力によってレミリア達や他の幻想郷住人よりも長生きする事になったらどうする?』

 

 

 

妖夢「能力によって? そんなこと出来るのかな」

 

 

魔理沙「咲夜自身も試行錯誤してるって前半戦で言ってたからな、もしかしたらで考えればいいんじゃねぇか? その方法とかは置いといてよ」

 

 

鈴仙「ん~…そうなると」

 

 

早苗「咲夜さんの能力を自分が持ってたらと思うと色々と考えちゃいますよね」

 

 

霊夢「…そう?」

 

 

早苗「そうですよぉ♪ 妄想が広がっちゃって広がっちゃって…♪」

 

 

魔理沙「妄想しすぎるとアリスみたいになるぞ?」

 

 

早苗「そ、そこまではいきませんよ!」

 

 

霊夢「アリスを基準にして納得出来るのがもう、ね」

 

 

妖夢「あはは…」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《どうにかして元に戻す》

魔理沙《そのまま能力の試行錯誤を続ける》

鈴仙《能力を制御して元に戻す》

妖夢《元に戻したいと考える》

早苗《他の人を頼って元に戻ろうとする》

 

 

 

妖夢「あ、やっぱり元に戻すなんだね」

 

 

鈴仙「咲夜は人間のままでいたいって言ってたから…」

 

 

霊夢「能力でそうなったのなら逆も出来ると思うのよ、能力を使って戻す事も可能なんじゃないかってね」

 

 

魔理沙「私も最終的には同じだぜ、研究を続けて元に戻ろうとするってな」

 

 

霊夢「早苗の答えもありそうなんだけどね」

 

 

早苗「他の人を頼る! これが元に戻る為の第一歩になるかもしれませんからね」

 

 

魔理沙「パチュリーもいるしなぁ、相談はするかもな」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜は能力によって、レミリア達や他の幻想郷住人よりも長生きする事になったらどうする?』

 

 

咲夜『…? そんなこと…にはならないとは思うのだけれど私にとってもまだまだ謎が多い能力だから、ならない様に願いたいところね』

 

 

咲夜『あ、ええと? お嬢様たちよりも長生き…? ん~…』

 

 

咲夜『能力……? あ、なら元に戻ろうとするわね、能力でそうなってしまったのなら逆も可能よね』

 

 

紫『ふふっ、前向きね』

 

 

咲夜『……後ろは振り返りたくないからね』

 

 

紫『…』

 

 

 全員おまけで正解!!

 

 

 

魔理沙「お、やったぜ♪ 書き方違ってたから間違ってたかと思ってたからよ」

 

 

早苗「説明した甲斐がありましたね♪」

 

 

魔理沙「説明してなかったら不正解だったのか、危ねぇ危ねぇ…」

 

 

霊夢「それに関しても試行錯誤するでしょうから、他の人にも相談するでしょうね」

 

 

妖夢「先ず一番に鈴仙に相談するかもね」

 

 

鈴仙「そ、そうだったら良いなぁ…♪ えへへ…♪」

 

 

 

 

【第185問】『メイド長は、もしも時の神になってしまったらどうする?』

 

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗「ん…?」

 

 

魔理沙「神ってお前…」

 

 

妖夢「咲夜が神様になるってこと、だよね」

 

 

魔理沙「また種族の話だよな」

 

 

霊夢「さっきの『能力によって長生き』の延長ね、もしもレミリア達よりも長生きして、咲夜が人間から神格化される様な事が長く続いたら…まぁありえない話じゃ無いわね」

 

 

早苗「そうですね、能力で長生きしなくなったとしても咲夜さんが人々から神格化され続け、天寿を全うし、神として生まれ変わる可能性も無くはないですね」

 

 

鈴仙「でも悪魔でも可能性、よね?」

 

 

早苗「はい、悪魔でも可能性の一つとしてですね」

 

 

妖夢「…あれ? 早苗は現人神、だっけ?」

 

 

早苗「現人神は神と名はついていますが、私は純度100%人間ですよ♪」

 

 

魔理沙「でもお前神として生まれ変わるつもりなんだろ?」

 

 

早苗「えぇ、そのつもりですね♪」

 

 

霊夢「あんたには神奈子と諏訪子がいるからそこら辺は気にしなくてもいいでしょうけど咲夜は…」

 

 

魔理沙「人間でいたいと願っているのに神様にされちまった、そしたらどうするか」

 

 

鈴仙「…神になったら人間には戻れないの?」

 

 

霊夢「難しいわね…人として、人と同じように生きていくことは出来るけど人間に戻るってのは」

 

 

魔理沙「もし時の神になったら過去に戻るも未来に行くのも思いのままだろうな」

 

 

鈴仙「…」

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《時間の管理者として生きていく》

魔理沙《時間を管理していく》

鈴仙《過去に戻って自分に忠告する》

妖夢《時間を操って元に戻る方法を探す》

早苗《時間を管理する神として生きる》

 

 

 

妖夢「あ! そっか、その手があったね」

 

 

鈴仙「神格化で神になるなら『神格化されない様に気を付ける事』って咲夜ならするかなってね」

 

 

魔理沙「でも実際どうなんだろうな」

 

 

早苗「咲夜さんに聞くしかないですね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『…咲夜は、もしも時の神になってしまったらどうする?』

 

 

咲夜『…? どういう事?』

 

 

紫『あなたの能力は人間を超越しているから神格化されて神にされる可能性も無くはないわ、もしくは能力が暴走してそうなるかもしれない』

 

 

咲夜『…!』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『神になったりなんかしたら色々と出来そうね…でも』

 

 

咲夜『私は時間は収束している物だと考えているの、世界線は無限に存在するけど世界はただひとつの世界線に必ず収束している…同じ様な世界が同時に存在することはないとね』

 

 

咲夜『時を戻したとしても運命は変えられない、枝分かれした無数のパラレルワールドを私が過去に戻ったりして世界を一つ一つ作っていくなんて不可能だと考えるているわ…だから』

 

 

咲夜『本当なら時を戻して私に忠告すると答えるわね、でもそれが無理なら』

 

 

咲夜『他人の迷惑にならない私だけの幸せな時間を探す、もしくはその時間に遡ってループさせるわね』

 

 

紫『…!』

 

 

咲夜『…? あ、あの本気にしないでよ? もしもの話だし私が神になるなんてそれこそありえないじゃない?』

 

 

紫『…』

 

 

 

 全員不正解!

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗「…!!」

 

 

妖夢「ループって…」

 

 

魔理沙「ずっと繰り返すってことだよな」

 

 

霊夢「……神としてレミリア達のいなくなった時まで生きる…それが嫌で自分の幸せな時間を見つけて閉じこもる」

 

 

鈴仙「…!」

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢、鈴仙「……」

 

 

早苗「…! み、皆さん真剣に受け止め過ぎですよ、咲夜さんだってマジにならないでって言ってたじゃないですか」

 

 

妖夢「…! そ、そうだよね」

 

 

魔理沙「だな、重く受け止める事はない話だぜ」

 

 

早苗「これはクイズ大会なんですから、冗談の一つや二つあっての大会なんですよ♪」

 

 

魔理沙「おぉ、初めて神様らしいこと言ったな」

 

 

早苗「ふふん♪ 私は守矢の現人神ですからねってま、魔理沙さん! それどういう意味ですか!?」

 

 

魔理沙「ノリツッコミも出来るんだなぁ、早苗」

 

 

早苗「その話は今してませんよね!?」

 

 

妖夢「あっはは…♪」

 

 

霊夢、鈴仙「…」

 

 

鈴仙(でも顔は真剣だったよ、咲夜…)

 

 

霊夢(時の神か…まぁ無いわよね)

 

 

 

 

【第191問】『メイド長にとって、紅美鈴はどういった存在?』

 

 

 

魔理沙「寝まくって仕事もしないでタダ飯を食らうグータラ妖怪」

 

 

霊夢、早苗、妖夢「んふふっ…!」プルプル

 

 

鈴仙「あんたそれ言い過ぎ! もっと遠回しに言いなさいよ!」

 

 

魔理沙「遠回しに言ったとしても根本は間違ってないじゃないか」

 

 

鈴仙「うっ…! め、美鈴だってちゃんとしてる時ぐらい…」

 

 

妖夢「居眠りしていつも怒られてるところしか見てないからそう思っちゃうんだよね」

 

 

霊夢「それに遭遇して『足が良い? それともナイフ?』って笑顔で言ってた咲夜を見たらこっちは『えぇ…』ってなるし笑いそうになるしで…ねぇ」

 

 

魔理沙「そういう時って咲夜ブチギレてるからな、美鈴も何故か怯えてるし」

 

 

早苗「お二人の仲は良いと思うんですけどね」

 

 

鈴仙「家族でもあるし仕事仲間でもあるからね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《色々と言い合える仲》

魔理沙《意外と頼りにしている》

鈴仙《頼りになる存在》

妖夢《家族》

早苗《家族で同僚》

 

 

 

早苗「散々美鈴さんの事を言ってたのに当てにいくんですね…」

 

 

魔理沙「事実を言って、当てにいったまでだぜ♪」

 

 

鈴仙「居眠りのところは否定できないのよねぇ…」

 

 

霊夢「そういえば前にチルノが『美鈴は三日間居眠りしなかったぞ♪』って言ってたわね、何の事やら」

 

 

魔理沙「あー? あいつホラ吹き始めたのか?」

 

 

鈴仙「あんたじゃないんだから」

 

 

魔理沙「おい!」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『咲夜にとって、紅美鈴はどういった存在?』

 

 

咲夜『美鈴ね…』

 

 

咲夜『はぁ~…門番としての自覚をちゃんと持って居眠りをやめてくれれば完璧なのに…誰しも欠点を持つとは言うけれど仕事内容とその欠点がダメな方向に噛み合っちゃってて…ね』

 

 

咲夜『……まぁでもあんな美鈴でも頼りになるところはたくさんあってね、いつも前向きだし非常時にはちゃんと働いてくれるの』

 

 

咲夜『うん…だから美鈴は私にとっていざって時に頼れる…身近なところで頼りになってくれる存在、ね』

 

 

 

 

  鈴仙、魔理沙、正解!

 

 

鈴仙「やったー!」

 

 

魔理沙「ほぉ~…♪ いざって時に頼れるならいつもの居眠りへの叩き起こしは照れ隠しの可能性もあるのか?」

 

 

妖夢「それはどうかわからないけど心の中で信頼はしてるよね、居眠りしててもサボってても失望したりは絶対しない感じだと思うよ」

 

 

霊夢「お仕置きも本気でやってる時とふざけてやってる時もあるわね」

 

 

早苗「あっ! 美鈴さんへのお仕置きが一種のストレス発散とコミュニケーションを兼ねているのかも♪」

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢、鈴仙「あ、それだ!」

 

 

 

 

 

【第197問】『メイド長にとって、レミリア・スカーレットはどういった存在?』

 

 

 

霊夢「ここでレミリアが来るのね」

 

 

魔理沙「レミリアのことは他の問題でも話してるし、さくっと答え書いちゃおうぜ」

 

 

早苗「そうですね」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《いつまでも慕い続けられる存在》

魔理沙《ずっと慕える存在》

鈴仙《慕い続けられる存在》

妖夢《慕い続けられる存在》

早苗《側でずっと慕い続けられる存在》

 

 

 

鈴仙「ふふっ、揃ったわね」

 

 

妖夢「うん、そうだね」

 

 

魔理沙「散々言ってるからなぁ♪」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『…! ふふっ…♪』

 

 

咲夜『…?』

 

 

紫『咲夜にとって、レミリア・スカーレットはどういった存在?』

 

 

咲夜『! お嬢様…』

 

 

咲夜『……』

 

 

咲夜『…』

 

 

咲夜(私に生きる意味を与えてくれた存在…って言いたいところだけど)

 

 

咲夜『…♪』ニコッ

 

 

咲夜『お嬢様は私にとって…いつまでも側に居て慕い続けられる存在よ』

 

 

 

 

 

 全員正解!!

 

 

魔理沙「うっしゃあ!」

 

 

早苗「やりましたー♪」

 

 

霊夢「あんた普段から言ってるもんね、咲夜」

 

 

妖夢「ああいうのを面と向かって主に言えるその姿勢は見習いたいなぁ」

 

 

鈴仙「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

【第200問】『200問を終えて、皆に一言!』

 

 

 

魔理沙「うおーっ♪ 終わったぜー♪」

 

 

霊夢「ふっ…♪ まだ終わってないでしょ」

 

 

妖夢「200問目…皆で正解したいね」

 

 

鈴仙「そうね妖夢、私たちに一言…咲夜なら」

 

 

早苗「きっと、こう答えてくれますね」

 

 

魔理沙「間違えんなよ~? 早苗」

 

 

早苗「もちろんですよ♪」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《お疲れ様》

魔理沙《お疲れさん》

鈴仙《お疲れ様♪》

妖夢《お疲れ様》

早苗《お疲れ様でした》

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

 

紫『最後の質問よ♪』

 

 

咲夜『ふぅ…! やっとなのね、出題者も結構疲れるのね…』

 

 

紫『ふふっ♪ さて、最後…いくわよ咲夜』

 

 

咲夜『えぇ、どうぞ』

 

 

紫『200問を終えて皆に一言!』

 

 

咲夜『! …♪』ニコッ

 

 

咲夜『まぁ…そうね、分からない問題が多かったんじゃない? そう思うのは私だけかしら、ふふっ♪』

 

 

咲夜『五人とも、お疲れ様…♪』

 

 

 

 

 全員正解!!

 

 

鈴仙、早苗「やったー♪」

 

 

妖夢「ふぅ…♪ 良かった、当たってた~」

 

 

魔理沙「んあぁ~…くぅぅ~…! 疲れたなぁ~♪」

 

 

霊夢「ふっ…♪ 200問、達成したわね♪」

 

 

魔理沙「出題のやつもいれたら私たちは合計600問も答えてるけどな」

 

 

霊夢「ははっ…! 洒落にならない数よね」

 

 

魔理沙「一気にやってないから別にいいんだけどな♪」

 

 

文「お、お疲れ様でした…」

 

 

にとり「よし、録画もオッケー! みんなお疲れさん!」

 

 

 

 

 

藍『みんなお疲れ様、200問良く頑張ったな』

 

 

 

妖夢「藍さんも問題を読み上げるお仕事、お疲れ様でした」

 

 

鈴仙「お疲れ様、藍さん」

 

 

 

藍『おぉ嬉しいぞ、ありがとうな二人とも! それでは早速、優勝者の発表をしよう!』

 

 

 

早苗「おぉ~! 来ました来ましたー!」

 

 

霊夢「今回は出来レースじゃなかったから、優勝者の予想は出来ないわね」

 

 

魔理沙「鈴仙じゃありませんように、鈴仙じゃありませんように! 私であれ!」

 

 

鈴仙「祈るなぁ! くっ…! 見てなさいよ魔理沙ぁ!」

 

 

妖夢「ははっ…! 藍さん、優勝者は…!?」

 

 

 

 

藍『では発表する! 十六夜咲夜の200のコト!! 優勝者は……!』

 

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢、鈴仙、早苗「……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「優勝者が決まったわよ」

 

 

咲夜「あら、そうなのね、誰が優勝したのかしら」

 

 

紫「それはこのスキマから…♪ 登場していただくわ♪」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

咲夜「…あ、そうだったわね、プレゼントを…」ガサゴソ

 

 

紫「……咲夜」

 

 

咲夜「え? 何?」ガサゴソ

 

 

紫「……いいえ、何でもないわ」

 

 

咲夜「…?」

 

 

紫「それでは……♪ 後はごゆっくり…♪」スッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

 

咲夜「……なんなのかしら」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(紫、あなたの表情が時々曇ったりしてたのは分かってたわよ、何であんな顔をしてたのかは分からないけどね)

 

 

咲夜(それに興味もない……あら? これ霊夢のセリフね、ふふっ♪)

 

 

 コツコツ

 

 

咲夜「! 足音…」

 

 

咲夜(優勝者…鈴仙…ううん、あの四人の誰かかもしれないわよね、こういう考えはよくないわね)ブンブン

 

 

咲夜(でも…いやいや、だからそ)

 

 

 コツン

 

 

咲夜「!」

 

 

 

 

 

 

鈴仙「と、到着だぜー!」

 

 

咲夜「!?」

 

 

鈴仙「はっはっはっはー! ゆ、優勝はこ、この鈴仙・優曇華院・イナバがいただいたんだぜー!」

 

 

鈴仙「さ、さぁ咲夜! さっさとプレゼントをわた」

 

 

咲夜「魔理沙ぁ!!」ズイッ

 

 

鈴仙「うひゃっ!?」

 

 

咲夜「あなた魔理沙でしょ! 鈴仙に変化するなんて悪趣味な魔法ね、何処で覚えたのかは知らないけど早く解きなさいよ!」

 

 

 咲夜は鈴仙の頬を両手でつまんで引っ張った

 

 

鈴仙「ち、ちひゃ…! ちひゃうほぉひゃふやぁ!」

 

 

咲夜「何が違うのかしら!? 語尾に『だぜ』をつけるのは大泥棒の証でしょうが! さっさと正体を…!?」

 

 

鈴仙「うぅ…! だ、だから嫌だったのに~…優勝して調子に乗って魔理沙なんかの提案にのらなきゃ良かったよぉ~…」

 

 

咲夜「れ、鈴仙…!?」

 

 

鈴仙「うぅっ…は、はいぃ…! れ、鈴仙ですぅ…」

 

 

咲夜「あっ…!」パッ

 

 

 咲夜は鈴仙の頬をつまんでいた両手の指を離す

 

 

咲夜、鈴仙「……」

 

 

咲夜「れ、鈴仙…なの?」

 

 

鈴仙「うん、そ、そうだよ…? 私が優勝したの」

 

 

咲夜「い、今のは…?」

 

 

鈴仙「優勝して舞い上がってた私に悪魔が囁いて来たの『私のマネをしながら会いに行けば咲夜は喜んでくれると思うぜ!』って」

 

 

咲夜「…!」

 

 

鈴仙「ご、ごめんね咲夜! 私優勝してめっちゃくちゃ嬉しかったからこんなバカみたいなことして…!」

 

 

咲夜「……ぷっ」

 

 

鈴仙「!」

 

 

咲夜「ふふっ、あふふふふっ…!」

 

 

鈴仙「さ、咲夜…」

 

 

咲夜「あはははっ…! ……はぁ♪ 良かった♪」

 

 

鈴仙「!」

 

 

咲夜「ふふっ…♪ 鈴仙、あなたの魔理沙のモノマネ、結構似てたわよ?」

 

 

鈴仙「え? ほ、ホント?」

 

 

咲夜「でももうやらない方が良いわよ? 泥棒の烙印を押されたら私の紅魔館出禁リストに追加されちゃうから」

 

 

鈴仙「うっ…! そ、それは嫌だなぁ」

 

 

咲夜「でしょ? ふふっ♪」

 

 

鈴仙「! ふふっ♪ うん♪」

 

 

咲夜、鈴仙「…♪」ニコッ

 

 

 

 

咲夜「改めて優勝おめでとう鈴仙、これプレゼントよ」

 

 

鈴仙「お、おぉ…♪」

 

 

咲夜「どうしたの?」

 

 

鈴仙「咲夜からプレゼントをもらうのって初めてだから嬉しいの♪」

 

 

咲夜「ふふっ♪ でも開けてもらわないと困るわね、大事なのは中身だからね」

 

 

鈴仙「うん、じゃあ早速…」ガサガサ

 

 

鈴仙「……! こ、これは…」

 

 

咲夜「……あぁうん、そのね…」

 

 

咲夜「私なりに考えて何をプレゼントしたら良いかわからなくて…それに出場者は知ってたんだけど誰が優勝するのか分からなかったから私の好きな物にしたの」

 

 

咲夜「私と同じ『懐中時計』をパチュリー様と一緒に錬金術で作ってみたの、パチュリー様も私も錬金って苦手だったんだけど小悪魔のこあが魔界に居たときに色々と錬金のノウハウがあったらしくて三人で作ったの、でも懐中時計なんて私しか好きじゃないわよね、ははっ…」

 

 

鈴仙「……」プルプル

 

 

咲夜「れ、鈴仙? ど、どうし」

 

 

鈴仙「咲夜ぁーーー!」スッ

 

 

咲夜「あっ…! れ、鈴仙!?」ダキッ

 

 

鈴仙「わ、わだし…グスッ…! い、いぎできた中でぇ! い、一番嬉しいよぉ! グスッ…!」

 

 

咲夜「…! …♪」ニコッ

 

 

咲夜「良かった…♪」

 

 

鈴仙「咲夜ぁ…!」

 

 

咲夜「うん? なぁに?」

 

 

鈴仙「ありがとぉー! グスッ…!」ニコッ

 

 

咲夜「! …ふふっ♪」

 

 

咲夜「どういたしまして、鈴仙♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊、魔、妖、早、紫、藍、文、に「…」

 

 

魔理沙「あっははは、こりゃ暫くこっちに帰って来ねぇなぁ♪」

 

 

霊夢「あんたが変なこと提案したからマズイ事になるかと思ったけどね、ふふっ…!」

 

 

妖夢「ふふっ♪ 良かったね、鈴仙…!」

 

 

 

 

 

藍「まさか紫様のこの娯楽で感動があるとは…! やってて良かったな、天の声!」

 

 

紫「最近ホントに好き勝手言うわねぇ、このキツネ!」

 

 

藍「キツネ呼ばわりはしないでください!」

 

 

にとり「あっははは!」

 

 

文「……」

 

 

文(謝らないとな、咲夜さんに…)

 

 

 

紫(咲夜の友達の輪はあなたの知らないところで広がっているものよ、レミリア、あなたはそれを感じているかしら、ふふっ…♪)

 

 

紫「さて♪ モニターでこれ以上見るのは悪趣味よ、にとり、モニター消しちゃいなさい♪」

 

 

にとり「はいよー♪」

 

 

早苗「待ってください!」

 

 

にとり「ん? どうした早苗?」

 

 

早苗「……」

 

 

 

 

 

早苗「咲夜さぁーん! 鈴仙さぁーん!」

 

 

早苗「素晴らしい…! 本当に素晴らしいモノを見せていただきましたぁー!」

 

 

紫、藍、にとり、文「!?」

 

 

早苗「ごっ馳走さまでしたぁーー!!」ドゲザ

 

 

霊夢、魔理沙、妖夢「うるさっ!!」

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オマケ

 

 【咲夜、烏の味を知りたい】

 

 

 

文「咲夜さん、謝らせてください…」

 

 

咲夜「あら、何を?」

 

 

文「咲夜さんの事も考えず、自分の知りたいという欲の為に問題を書いてしまいまして…嫌な問題、あったでしょう?」

 

 

咲夜「あ~…答え辛いのはあったけど、楽しかったから私は別に怒ってないわよ?」

 

 

文「…怒っていなくても謝らせてください、本当に申し訳ありませんでした…」スッ

 

 

咲夜「……」

 

 

文「……」

 

 

咲夜「文、顔を上げなさい、私怒ってないんだから」

 

 

文「咲夜さん…」

 

 

咲夜「……でももし本当に謝罪の気持ちがあるなら…♪」ニッコリ

 

 

文「……えっ!?」

 

 

咲夜「妖怪の山にいるカラスを三羽ほど…いただけるかしら♪」ギラリ

 

 

文「えぇーっ!?」

 

 

咲夜「ふふふっ…♪ 冗談、よ♪」

 

 

 

 

 

 

 本当におしまい!

 

 

 

 

 【最終結果】

 

 

霊夢  《101問》

魔理沙 《103問》

鈴仙  《114問》

妖夢  《111問》

早苗  《103問》

 

 

 






 これにて十六夜咲夜の200のコトは終了となります、お疲れ様でした♪


 読んでいただいた読者の方々、そして咲夜への質問を投稿していただきました皆様、本当にありがとうございました!


 次回は咲夜の日常。

 クイズ大会は咲夜の日常に向けてこのような内容になりました、少し含みを持たせ過ぎました…日常にて咲夜の過去等を全てを語ります、そちらもよろしくお願いします。 少し闇が見え隠れしてると思いますが…



 それではまた次回♪


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【十六夜咲夜の日常】『紅魔館のメイド』



 咲夜の日常になります、が日常と謳ってはいるものの、咲夜の過去に触れる事になるので普通の日常という訳にはならない様です。 


 日常+異変+シリアス要素が含まれています、魔理沙の日常以上にオリジナル要素が強めとなります

 物語の終盤まで、咲夜の視点で話が進みます



 それでは始まります♪






 

 

 カチッ カチッ カチッ

 

 

 時計が時を刻む音が聞こえる

 

 

 静かに、静かに未来へ向かって時を刻み続けていく

 

 

 未来へ向かって……未来?

 

 

 未来とは何なのだろう、何処が未来への入り口なのだろう……未来へ進むためには何を為せば良いのだろう

 

 

 時間と空間 それは密接に関係している物

 

 

 

 ここは虚空だ 虚空の輪 永遠に続く虚空の時間 私だけの時間

 

 

 もう私は他人と同じ時間を歩む事は出来ない 何故ならば

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の未来は殺されたからだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館 十六夜咲夜の寝室 AM 5:00】

 

 

十六夜咲夜「……」パチッ

 

 

 いつもの時間に目が覚める 私の時間が始まる

 

 

咲夜「……」ムクッ

 

 

咲夜「…」

 

 

 紅魔館での一日がまた始まろうとしている、代わり映えのしない私だけの一日

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「……」キョロキョロ

 

 

咲夜「…」

 

 

 私は寝室を見回す……

 

 

咲夜「っ…!」

 

 

 この部屋に昨日一緒にいた筈のお嬢様の姿が無かった

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「この部屋は私だけの鳥籠みたいね…」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」スッ

 

 

 私はベッドから起き上がり、部屋の隅に備え付けてある水道の水で顔を洗い、服を着替え、鏡の前で自分の身なりの確認をする。

 

 紅魔館のメイド長としての身支度を整える…

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「いつもの事…そう、いつもの」

 

 

咲夜「…」スッ

 

 

 私は自分の寝室を後にし、館のキッチンに向かう

 

 

 

 

 

咲夜「…」

 

 

 

 私は、まだ諦めていない

 

 

 

 

 【紅魔館 キッチン AM5:30】

 

 

 私は朝食の準備をする、と言っても一から作りはしない…ケーキ、クッキー、サンドウィッチ、紅茶等々

 

 既に作られている物を皿に乗せ、銀製のトレイカートに乗せていくだけ

 

 

咲夜「……」

 

 

 これは私から見て五日前に、私が作って冷蔵庫に閉まっていた料理だ

 

 

咲夜「また同じもの」

 

 

 朝、昼、晩と同じ食べ物を食べ続ける事は私にとって拷問に近いが、今のお嬢様たちはそんなことは感じないのであろう、何故ならお嬢様たちはこれを初めて食べるのだから

 

 

咲夜「……」

 

 

 私だって同じ食べ物を作り、食べさせ続けるなんて酷く愚かしい行為はしない、したくない…

 

 だけど無意味なのだ、そう考えるのも他の物を作るのも

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

 私はキッチンの隅の床に座り、両膝を抱えて顔を伏せ、目を閉じる

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(……)

 

 

咲夜(お嬢様も、パチュリー様とこあも駄目だった)

 

 

咲夜(……後は…霊夢…)

 

 

咲夜(……霊夢ならきっと…)

 

 

咲夜「…」

 

 

 

 私はキッチンで少し時間を置いてから紅魔館の地下図書館に向かった

 

 

 

 

 【紅魔館 地下図書館 AM7:00】

 

 

小悪魔(こあ)「咲夜さーん♪ おっはよーございまーす♪」

 

 

パチュリー・ノーレッジ(パチェ)「おはよう、咲夜」

 

 

咲夜「……おはようございますパチュリー様」スッ

 

 

こあ「あ、あっれー…? 私の事はむ、無視ですか? 咲夜さ~ん…?」

 

 

咲夜「……」

 

 

パチェ「朝からそんなにテンション高く出来ないでしょ? 疲れるだけなんだから」

 

 

こあ「そ、そうですよね! あっははははは……」チラッ

 

 

咲夜「……」チラッ

 

 

こあ「うっ……」ビクッ

 

 

咲夜「…おはよう、こあ」

 

 

こあ「お、おはようございます…!」

 

 

パチェ「ふふっ…♪ あぁ咲夜、私は紅茶だけで良いわ」

 

 

咲夜「…はい」スッ

 

 

 こんな時でも思う、パチュリー様にはもっと食べていただいて健康的な食生活を送ってほしいと

 

 

こあ「…あっ! 咲夜さ~ん♪ 私今日はココアが飲みたい気分なん」

 

 

咲夜「はい」スッ

 

 

こあ「えっ!?」

 

 

咲夜「ココアならあるわ」

 

 

こあ「い、いただきます…?」スッ

 

 

咲夜「……」

 

 

こあ「ズズッ…! あ、本物のココアだ…」

 

 

パチェ「何故疑うのよ…まぁ普段朝にココアなんて作らないからね、咲夜は」

 

 

咲夜「……」

 

 

こあ「話さなくても私の飲みたい物が分かるなんて…♪ 流石咲夜さんですね♪」

 

 

パチェ「咲夜が偶然用意していたから良かったけど、無かったらキッチンまで作らせに行かせるつもりだったの?」

 

 

こあ「そ、そんなことさせるわけないじゃないですか! 悪魔じゃないんですから」

 

 

パチェ「あなた充分悪魔じゃない」

 

 

 こうやって褒められるのは嬉しいけど何度も何度も同じ事を褒められていると流石に空しくなってくる

 

 

咲夜「……パチュリー様」

 

 

パチェ「なに? 咲夜」

 

 

咲夜「今日は何日でしょうか」

 

 

パチェ「え? 16日よ?」

 

 

咲夜「……」

 

 

 まただ…また……

 

 

こあ「んん? 珍しいですね、咲夜さんが日にちを聞くなんて」

 

 

咲夜「……何月ですか?」

 

 

パチェ「…? 10月16日よ」

 

 

咲夜「……そうですか」

 

 

パチェ、こあ「?」

 

 

 パチュリー様とこあは不思議そうな顔をしてお互いの顔を見合わせる、これを見るのは三回目

 

 

こあ「…咲夜さん?」

 

 

パチェ「大丈夫…? 咲夜」

 

 

咲夜「何がでしょうか」

 

 

こあ「何がって、時間とかにいつも正確な咲夜さんが日にちを聞くから…それに月まで」

 

 

咲夜「私が日にちを聞くのがそんなに変?」

 

 

こあ「いや、変とかじゃなくてですね、ただ珍しいなぁと…」

 

 

咲夜「……」

 

 

パチェ「…咲夜、何かあるの?」

 

 

咲夜「……」

 

 

 ここまでは同じ、三日前に同じ質問をパチュリー様にされ、パチュリー様に私の身に起こっている異変を事細かく打ち明けた…だが結果は…

 

 

 

咲夜「……いえ、何も…」

 

 

パチェ「…本当に?」

 

 

咲夜「はい、まだ少し寝ぼけていまして」

 

 

パチェ「そう、ならいいけど」

 

 

咲夜「……申し訳ありませんパチュリー様」スッ

 

 

パチェ「構わないわ、でも何かあるのなら私に言いなさい、力になるから」

 

 

こあ「私も力になりますよ! 咲夜さん!」

 

 

咲夜「ありがとうございますパチュリー様…あなたもありがとね、こあ」

 

 

 

 ここで真相を打ち明けないとこうなる、パチュリー様とこあを不安にさせる

 

 

 

 目頭が少し熱くなるのを感じる、本気で心配をしてくれているという優しさを自分の身に感じていたから

 

 でも私は…

 

 

 ごめんなさいパチュリー様…

 

 ごめんね、こあ…

 

 

 

 

 

 【レミリアの自室 AM7:30】

 

 

 地下図書館を後にした私はお嬢様の自室へ、お嬢様に朝食を用意するためだ

 

 

レミリア・スカーレット「はぁ、もうすぐハロウィンよねぇ…♪ 今度は何に仮装してやろうかしら♪ 前回はパチェに何故かお説教されたのよね」

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

レミリア「聞いてよ咲夜、魔理沙に『カボチャの着ぐるみを着てジャック・ウ~☆・ランタンってのはどうだ!?』って言われたのよ? いや『どうだ!?』じゃないってのよ! 私は好きでう~う~言ってる訳じゃないのにさぁ」

 

 

咲夜「……」カチャッ

 

 

レミリア「そりゃあ、ちょっと嫌な事があったら両手で帽子を深く被って防御するときはあるけど頻繁にう~う~言うほど私のカリスマは薄れてなんかいないのよねぇ…全く、魔理沙には私が直々にカリスマの何たるかを教えてあげる必要があるわね♪ そう思わない? 咲夜」

 

 

咲夜「……そうですね」

 

 

レミリア「……咲夜?」

 

 

咲夜「はい…」

 

 

レミリア「今の私の話をちゃんと聞いてたの?」

 

 

咲夜「はい、お嬢様が魔理沙にカリスマの何たるかを教える話ですよね」

 

 

レミリア「そうそう♪ それでさ、私考えたんだけどフランに」

 

 

咲夜「妹様にカリスマの何たるかを教えた後、魔理沙と頻繁に遊ばせて徐々にお嬢様のカリスマに気付かせる作戦ですか?」

 

 

レミリア「えっ…? うぇぇぇ!? な、何で分かったの!?」

 

 

咲夜「お嬢様のお考えになっている事なら何でもお見通しですので」

 

 

 またお嬢様に嘘をついた、これは何回目になるだろうか

 

 

レミリア「! ふっふっふ…♪ さっすが咲夜ね! で、どうかしら? この作戦成功すると思う?」

 

 

咲夜「……作戦の成功をお祈りしております」

 

 

レミリア「そう…! ……えっ、祈るだけ? 手伝ってくれたりしないの?」

 

 

咲夜「お嬢様の高貴なるカリスマを私のような一介のメイドが語るなど恐れ多い事ですので」

 

 

レミリア「…いやでも咲夜なら」

 

 

咲夜「お嬢様」

 

 

レミリア「う、うん?」

 

 

咲夜「朝食の用意が整いました」

 

 

レミリア「あ…うん、ありがと」

 

 

咲夜「……」

 

 

レミリア「あぁ今日も美味しそう、たまには洋食も悪くないわねぇ♪ サンドウィッチは吸血鬼の嗜みだものねぇ♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

レミリア「咲夜」

 

 

咲夜「はい」

 

 

レミリア「いつも美味しい料理を作ってくれて、ありがとうね♪」

 

 

咲夜「っ……!」

 

 

咲夜「……はい」フルフル

 

 

 私の声は震えていた

 

 お嬢様の眩しい笑顔を見たいから同じ事を繰り返していたい、その思いが一瞬頭を過った…

 

 そう思った自分に腹が立つ

 

 この状況を楽しんではいけない

 

 

レミリア「ふふっ…♪ では、いっただっきまーす♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

 

 私は今、お嬢様の顔を直視できない…色々な嘘をつき続けていることから来る自分への戒め、自らが犯した罪の意識

 

 そしてお嬢様に心配をかけまいとする私のエゴ、お嬢様に私が何か思い悩んでいることがある…それを見破られてしまうのを回避する為でもある

 

 パチュリー様と同じ様にお嬢様にも私の身に起こっている異変を打ち明けた、それが昨日、一日前のこと

 

 だがそれはお嬢様にとっては無かった時間となった、パチュリー様とこあにも言える事…過去でも、未来でも、現在でもない

 

 存在すら許されなかったのか、それとも最初から存在していなかったのか

 

 

 その時間も殺された物になってしまっている

 

 

 

咲夜「……それではお嬢様、私はこれにて」

 

 

レミリア「あら咲夜、何処へ行くの?」

 

 

咲夜「…人里に買い出しです」

 

 

 これも嘘

 

 

レミリア「朝から? 早いわね」

 

 

咲夜「今日は館の掃除をメイド妖精とホフゴブリンたちに任せておりますので、食べ終わった食器等はメイド妖精たちが回収しに伺います」

 

 

 これも嘘だ、普段の私なら妖精とゴブリンたちだけに館の掃除等を任せるなんて事はしない

 

 

レミリア「ふーん、珍しいわね」

 

 

咲夜「……」

 

 

レミリア「まぁ良いわ、気を付けて行ってきなさいね」

 

 

咲夜「はい、ありがとうございます…」スッ

 

 

咲夜「それでは失礼致します…お嬢様」

 

 

レミリア「ふふっ、また後でね咲夜」

 

 

咲夜「はい…」スッ

 

 

咲夜「…お嬢様」

 

 

レミリア「あら、なぁに?」

 

 

咲夜「昨日のことを覚えていますでしょうか」

 

 

レミリア「昨日…? へ? 何かあったっけ?」

 

 

咲夜「…いえ、何でもありません」

 

 

レミリア「えぇ?」

 

 

咲夜「失礼します…」スッ

 

 

 

 ガチャッ…バタン

 

 

咲夜「……」

 

 

 申し訳ありません…お嬢様…

 

 

 

 

 

 本当は人里に買い出しになんて行かない…私が今日向かうのは

 

 

 博麗神社

 

 

 

 

 【紅魔館門前 AM 8:00】

 

 

 

フランドール・スカーレット「あ! 咲夜~♪」ダキッ

 

 

咲夜「あっ…! い、妹様…」

 

 

紅美鈴「ふふっ…♪ おはようございます、咲夜さん」

 

 

フラン「おはよ、咲夜♪」

 

 

咲夜「美鈴、妹様…おはようございます」

 

 

 

 妹様と美鈴には私の身に起こっている異変の事は話していない、と言うよりも話したくないのだ

 

 

 話してしまったらまたその話した時間を何かに殺されてしまうのではないか、そうなってしまったら私は二人と顔を合わせづらくなってしまう…

 

 話さないことで妹様と美鈴に罪悪感を抱かなくて済む、複雑な心境を抱えたままにしていたら普通に接する事なんてできない

 

 それに妹様と美鈴まで巻き込んで無かった事にされたら私は心の拠り所を無くしてしまう

 

 

 妹様と美鈴を利用している様で本当は嫌なのだけれど、今の私が正気を保ち続けていられるのは二人のおかげ

 

 

 

咲夜「……」

 

 

美鈴「おや、咲夜さん珍しいですね、朝に門の方に来るなんて」

 

 

咲夜「妹様がこちらに来ていらっしゃると思ったからね、それと用事があるの」

 

 

フラン「え? 良く分かったね咲夜」

 

 

咲夜「妹様の事なら何でもお見通しですよ」

 

 

フラン「! えへへへ…♪ なんかそう言われると嬉しいな…♪」

 

 

咲夜「…♪」ニコッ

 

 

 私は妹様に微笑み返す

 

 妹様の笑顔を消さない為に、その為なら何度でも何度でも微笑み返せる…

 

 

咲夜「妹様、朝食の用意が整いましたのでお召し上がりくださいませ」

 

 

フラン「うん♪ あ、ねぇねぇ、ここで食べていい?」

 

 

咲夜「はい、今日はサンドウィッチですのでそこのガーデンテーブルにて…美鈴も一緒にね」

 

 

美鈴「! はい、ありがとうございます!」

 

 

 紅魔館の庭にある、太陽避けのパラソルが指してあるガーデンテーブル…お嬢様と妹様が愛用している物だ

 

 

フラン「咲夜も一緒に食べる?」

 

 

咲夜「……お誘いありがとうございます、ですが今日私には予定がありますので…」

 

 

フラン「えぇ~!」

 

 

美鈴「ふふっ、残念でしたね妹様、でも分かってあげてください、咲夜さんだって妹様と朝食をご一緒したくないという訳ではないのですよ?」

 

 

フラン「むぅ~……そうなの? 咲夜」

 

 

咲夜「……もちろんでございます…」

 

 

フラン「そっか…いつも忙しいもんね、咲夜は」

 

 

咲夜「……」

 

 

フラン「でも今度は絶対一緒に食べようね! 約束だよ!」スッ

 

 

咲夜「っ……! はい……」スッ

 

 

 妹様と私の小指を重ねる、この同じ約束を私は四回もしている…この約束を明日は絶対に果たしてみせる

 

 

美鈴「ふふっ…♪ ところで咲夜さん、予定と言うのは?」

 

 

咲夜「…人里に買い出しよ」

 

 

美鈴「あ、そうでしたか」

 

 

フラン「ぶー、良いなぁ、私も買い出しに行きたいなぁ」

 

 

咲夜「……それもまた今度…私と共に行きましょう、妹様」

 

 

フラン「! うん♪ じゃあこれも約束ね♪」ニコッ

 

 

咲夜「はい、約束です♪」ニコッ

 

 

 またお互いの小指を重ねる、この約束は初めてした

 

 

フラン「行ってらっしゃい、咲夜♪」

 

 

美鈴「行ってらっしゃいです、咲夜さん」

 

 

咲夜「…! 行って来ます……」スッ

 

 

 今回は時間を殺される訳にはいかない

 

 

 

 【博麗神社近辺、上空】

 

 

咲夜「……」

 

 

 お嬢様たちに『博麗神社に向かう』と伝えなかったのは話を拗らせたく無かったからだ、私だけの問題なのかは分からないけど

 

 

咲夜(この異変を…早く解決しなければ……)

 

 

 

 

 【博麗神社 AM8:30】

 

 

咲夜「着いたわね……」

 

 

咲夜(霊夢は居るでしょうけど…出来れば一人で居てほしいわ)

 

 

 カツンカツン…

 

 

咲夜「……!」

 

 

博麗霊夢「はぁ…な~んか肌寒いわねぇ、これ本当に秋なのかしら」

 

 

咲夜「霊夢…!」

 

 

霊夢「ん? あら、咲夜じゃない」

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「どうしたの? 朝早くから来るなんて珍しいじゃない、それにレミリア一緒じゃないみたいだけど…あんた一人? 本当に珍しいわね、まぁ別に居ようが居まいがどっちでもいいんだけどね」

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「……何よさっきから人の顔ジロジロ見て、私の顔に何か付いてる? てか喋りなさいよあんた…うん? 何かあんた顔色悪くない?」

 

 

咲夜「…霊夢……話があるんだけど」

 

 

霊夢「私に話があるからここに来たんでしょ? はぁ…ちょっと待ってなさい、今お茶をいれてくるか…うん…?」ガッ

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

霊夢「…何? いきなり人の手を掴んで…は、放しなさいよ」

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「…? 何なのよ、あんたさっきから変よ?」

 

 

咲夜「霊夢、先に私の話を聞いてほしいの…信じてもらえるか分からないけど、もうあなたしか頼りになれる人がいなくて」フルフル

 

 

霊夢「……」

 

 

咲夜「っ…! 助けて、霊夢…!」

 

 

霊夢「…! ……」スッ

 

 

霊夢「ふんっ!」ブン

 

 

咲夜「! あっ…!」トスッ

 

 

 私は霊夢に手を引っ張られ、縁側に座らされた

 

 

霊夢「あんたねぇ…博麗の巫女に助けてほしかったらそれなりの態度ってもんがあるでしょうが」

 

 

霊夢「ここに座って、お茶が出てくるまで大人しく待ってなさい、良いわね?」

 

 

咲夜「! ……」

 

 

霊夢「……」ジーッ

 

 

咲夜「わ、分かったわ」

 

 

霊夢「ん♪ よろしい♪」ニコッ

 

 

 霊夢は私に少し微笑んだ後、台所にお茶をいれに行った

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(霊夢の顔を見ていると何故かホッとする)

 

 

咲夜(他の妖怪たちもこう思っているのかしら…)

 

 

咲夜(……)

 

 

 

 

 数分後、戻ってきた霊夢から湯飲みを受け取り、お茶を飲む。

 

 お茶の暖かさに心が少し和らいだが、安心しきれていない自分がいる、原因不明の異変を解決しない限り私が安心することはできない…

 

 

 隣に座りお茶を飲んでいる霊夢に私は、何故ここに来たのか、そして私の身に起こっている異変について話した

 

 

 

 

霊夢「10月16日が繰り返されている…ですって? …あー? 今日って10月16日よね? あんた何を言っ…」

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「……」

 

 

咲夜「霊夢…これは本当の事で…!」

 

 

霊夢「……」

 

 

咲夜「っ……」

 

 

霊夢「それって何て言ったら良いのかしら、それともあんたに最初に何て聞くべきなのかしらね」

 

 

咲夜「! …信じてくれるの?」

 

 

霊夢「当たり前でしょ、あんな真剣な顔したあんたに『助けて』なんて言われたら信じるしかないじゃない…初めて見たしね、あんたのそんな顔」

 

 

咲夜「…!」

 

 

霊夢「咲夜の事は信じる、でもまだその『繰り返されている』ってのには納得しかねるわね、そこら辺はちゃんと説明してもらうわよ?」

 

 

咲夜「! えぇ、もちろんよ」

 

 

 

 

 

霊夢「まず、そうね…繰り返されているってあんたが 気が付いたのは何時なの?」

 

 

咲夜「今から四日前になるわね」

 

 

霊夢「四日前…って言うと10月12日?」

 

 

咲夜「正確に言うと10月16日が繰り返されるようになった次の日、10月16日の二回目って事」

 

 

霊夢「うん? あ…あぁあぁ分かった分かった…はぁ、ややこしいわね」

 

 

咲夜「…本当に最初から説明した方が良さそうね」

 

 

霊夢「そうしてくれる? 手掛かりが掴みやすくなると思うから」

 

 

咲夜「始めは…私から見て今から六日前になるわね、10月15日は普通に紅魔館で一日を過ごし、仕事を終え、明日の朝食の下拵えをしてから床に就いたの」

 

 

霊夢「……」

 

 

咲夜「そして次の日、今から五日前の最初の10月16日、ここから異変は始まってたんだと思うの」

 

 

咲夜「その日は普通に過ごしていたわ、何の変哲もない私の日常、紅魔館での何気ない日々…朝に起きて、お嬢様たちの朝食をお出しして、メイド妖精たちに色々と指示をして、館の掃除をして…と15日と何ら変わらない日々だった、そして15日と同じ様に次の日の朝食の下拵えをして一日を終えたの」

 

 

咲夜「そしてまた床に就いた、次の日の17日の為に眠りについた」

 

 

咲夜「でも私を待っていたのは17日の紅魔館の日々じゃなかった…また同じ16日だったの」

 

 

霊夢「…その日にあんたは16日が繰り返されているって気が付いたのね」

 

 

咲夜「そうよ…」

 

 

霊夢「…どうして気が付いたの?」

 

 

咲夜「気になる点がいくつかあるからよ、まず16日の夜に用意していた17日の朝食が冷蔵庫から最初から何も無かったかのように全て消えていた、確認したら使った食材まで元に戻っていた、これは最初は変…ぐらいにしか思わなかったわ」

 

 

咲夜「次はお嬢様たちの言動よ、昨日…いや16日と全く同じ事を言うの、一言一句を寸分違わずに…私が覚えている限りの返答や返事をすると全く同じ言葉が返ってくる」

 

 

咲夜「こあからはココアが飲みたい、パチュリー様からは仕事を頑張って…お嬢様からはハロウィンの話を、妹様と美鈴からは館の庭で花の話をする」

 

 

咲夜「最初は何かのイタズラなのかと思ったわ、でも10月に誰かの記念日とかがあるわけでもないし、私に内緒で何かのパーティーの計画なんてしている素振りなんて無かった…だから違和感を覚えた私はパチュリー様に聞いたの『今日は何日ですか?』と、そしたら」

 

 

咲夜「『今日は16日よ?』と言われたの」

 

 

霊夢「…」

 

 

咲夜「信じられなかった…信じられるわけが無かった…だって訳が分からないじゃない、16日の夜の22時に寝た筈なのに何故また16日がやってくるのか…私がおかしいのか、それとも周りがおかしいのか…何を信じたら良いのか分からなくなった」

 

 

霊夢「そりゃあ……そうなるわね」

 

 

咲夜「その時に気が付いたのよ、何らかの理由で時が戻ったか、それとも時が繰り返されているか…とね」

 

 

咲夜「だから私はその日の一日を使って原因を突き止めようとしたの、館の周りを探ってみたり、図書館の本で調べたり、普段近寄らない館の地下牢獄に行ってみたりしたの…だけど収穫は一つも無かった」

 

 

咲夜「色々と調べてて疲れていたけど、館の仕事はやらなきゃいけない…一旦調べるのをやめて、能力を使って時間を止めていつもの様に掃除をしようと思ったの、でも…」

 

 

霊夢「? でも…?」

 

 

咲夜「そこでまた新たな発見をしたの、偶然だったのかもしれないけど」

 

 

霊夢「何なの?」

 

 

咲夜「能力が使えないのよ」

 

 

霊夢「えっ…!?」

 

 

咲夜「これ…」スッ

 

 

 私は霊夢に懐中時計を見せる

 

 

咲夜「私はいつも時を止めるときに懐中時計を使っているのは知ってるわよね?」

 

 

霊夢「えぇ、でも使わなくても止められるんでしょ?」

 

 

咲夜「まぁ使うのは癖みたいな物なんだけど、ほら…使うわよ」スッ

 

 

 カチッ…! カチッ…!

 

 

霊夢「!」

 

 

咲夜「今私は能力を使おうとしてるけど使えない、発動してくれないの」

 

 

霊夢「能力が使えない…あんたの言う時の繰り返しと何か関係があるとしか思えないわね」

 

 

咲夜「えぇ、何故使えないのか…それすら分かってないんだけど」

 

 

霊夢「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「その日は?」

 

 

咲夜「掃除を妖精たちに任せてお嬢様たちの食事の用意をして一日を終えたの」

 

 

霊夢「その後は寝たのよね?」

 

 

咲夜「えぇ、疲れていたからね……また16日がやってくるんじゃないかって心配しながらだったけど」

 

 

霊夢「……でも、また」

 

 

咲夜「次の日も16日だった、それが三回目の16日…」

 

 

霊夢「その日は何を?」

 

 

咲夜「また16日だと知った私はパチュリー様とこあに打ち明けたの、10月16日が繰り返されているってね」

 

 

咲夜「私の話を聞いて最初はパチュリー様とこあは半信半疑だったけど、最終的に信じてくれたの」

 

 

咲夜「頼もしかったし、何よりとっても嬉しかった…信じてくれるなんて思ってなかったからね」

 

 

霊夢「…パチュリーたちだって私と同じ気持ちだったんじゃない?」

 

 

咲夜「ふふっ、そうかもね」

 

 

咲夜「混乱を招かない為にお嬢様と妹様、美鈴には言わずにいてくれたの、こあは私にずっと付きっきりだったし、パチュリー様も持てる全ての知識を使って私をサポートしてくれた…時が繰り返されている原因を探るために」

 

 

咲夜「……でも結果は」

 

 

霊夢「! ……ダメ…だったのね」

 

 

咲夜「こあは私をずっと見てくれていたけどおかしな所は何も見つからず、聡明なパチュリー様でも原因は分からないまま一日が終わってしまった…」

 

 

咲夜「そして次の日の四回目の16日……」

 

 

咲夜「16日は繰り返されている…そこは分かっていた、そして分かったことがもう一つあった」

 

 

霊夢「…?」

 

 

咲夜「パチュリー様とこあに打ち明けたという事実は私の心に残っているけれど二人にはそれが無かったの」

 

 

霊夢「!」

 

 

咲夜「何事も無かったかの様に『私の身に起こっている事を聞き、私の為に協力してくれた』という事実が無くなっていたのよ…」

 

 

咲夜「それがどんなに苦痛だったか…言葉に表せられない程の地獄だった」

 

 

咲夜「二人の前でどんな顔をして良いのか、どんな表情をすれば良いのか分からなかった、分からなくなった…」

 

 

咲夜「どうすればいいのかも分からなくなってしまった私は館の自室に閉じ込もって踞っていたの……でもそんな時に声を掛けてくれた方がいたの、お嬢様だった…」

 

 

咲夜「お嬢様は私にどうして踞っているのか理由を問いただしたわ、でも言いたくなかった…また言ったとして、時を戻されて無かった事にされたら? …そう思ったら恐くなってしまったから」

 

 

咲夜「でもお嬢様は優しく私に言葉を掛けてくれたわ、『何に悩んでいるのかは分からないけど、どんなことでも咲夜の力になる』と…お嬢様にそんなことを言われたらその好意を無下にすることなんてできるわけないじゃない」

 

 

咲夜「だからパチュリー様とこあと同じ様に、お嬢様にも打ち明けたの、四回目の16日であること、そしてパチュリー様とこあに協力してもらった三回目の16日が存在していた事をね、お嬢様は直ぐに信じてくれた…疑いもせずにね」

 

 

霊夢「あいつらしいわね、レミリアは何をしたの?」

 

 

咲夜「私の側から一日離れない…ということをしてくれたの、こあと似てるけど違う事を二つしてくれたのよ、能力と提案ね」

 

 

咲夜「一つは能力『10月17日が訪れる様に運命を操ってあげる』と私の為に能力を使ってくれたの…そして提案…これは10月17日が訪れるまで寝るという行為をしないこと、私が寝ない様に私の寝室に一緒に居てくださったの」

 

 

霊夢「つまり能力で運命を引き寄せる事をしつつ、私と一緒にずっと起きてなさいって事ね」

 

 

咲夜「そうなるわね」

 

 

霊夢「レミリアの能力でどこまで運命を引き寄せられるかは分からないけど、あいつが今の咲夜にしてあげられる最高の作戦よね」

 

 

咲夜「えぇ、そうね…」

 

 

咲夜「……そう、そうなの…お嬢様がそこまで私の為にしてくださったのに…それなのに」フルフル

 

 

霊夢「……」

 

 

咲夜「……」フルフル

 

 

霊夢「レミリアは良くやってくれたわよ、もちろんパチュリーも小悪魔も…フランと美鈴にはあんた自身が相談してなくても勇気と元気をもらってるんでしょ?」

 

 

霊夢「例え覚えていなくても咲夜の為に行動したのは事実よ、それは偏にあんたを助けてあげたかったから、救いだしてあげたかったからよ」

 

 

霊夢「そして私も」

 

 

咲夜「! 霊夢…」

 

 

霊夢「か、勘違いするんじゃないわよ…!? あんたの話を聞けば聞くほどこれは確実に異変だってのが分かったし、朝早くから来て助けてってあんたが依頼して来たから…博麗の巫女としてはほっとけないでしょうが! そ、それに…/// あ、あんたとは長い付き合いだからね…/// 助けてあげたいって気持ちは私にもあるの!」

 

 

咲夜「! ぷふっ…!」

 

 

霊夢「な、何で笑うのよ!」

 

 

咲夜「ご、ごめんなさい…ふふっ…!」

 

 

咲夜「……ありがと、霊夢」

 

 

霊夢「! っ……/// それは異変解決してから言いなさい」

 

 

咲夜「ふふっ…」

 

 

 

 

 

 

霊夢「異変に関しての情報はこれだけなの?」

 

 

咲夜「……お嬢様が提案してくださったから得られた情報があるの」

 

 

咲夜「昨日四回目の16日、深夜24時になる直前に強烈な睡魔に襲われたの」

 

 

霊夢「睡魔?」

 

 

咲夜「立っていられない程だったわ、目眩とかそんなレベルのモノじゃなかったわね」

 

 

霊夢「24時になる直前…? つまりは日付が変わる瞬間になるわね」

 

 

咲夜「そのまま倒れる様に寝てしまったの、気付いたら今日の朝になっていて部屋にはお嬢様の姿が無かった…」

 

 

霊夢「……」

 

 

霊夢「ふーん…なるほどね」

 

 

咲夜「何か分かったの?」

 

 

霊夢「たぶんね、それにやることも決まったわ」

 

 

霊夢「ほぼ確実に咲夜を狙う何かがいるのは確かよね」

 

 

咲夜「!? 私を…狙う…?」

 

 

霊夢「最初から気になってたんだけど咲夜から見て五日前、時が繰り返されているって異変が起こってる訳よね」

 

 

咲夜「え、えぇ」

 

 

霊夢「その五日間を不思議に思っているのはあんただけ…時が繰り返されているって感じて自覚をしてるのは咲夜だけなのよ、私にはそんな自覚がないしあんたが今日現れなければ明日は17日が来るって思いながら今日一日を過ごしてた筈よ、いえ、そんなこと普通思わないかもね『明日は絶対17日だ!』なんてさ」

 

 

霊夢「この事から咲夜以外の人は何故か記憶をリセットされて16日を永遠にループしているのことになるわね」

 

 

咲夜「…!」

 

 

咲夜(ループ…)

 

 

霊夢「咲夜、あんた私以外の幻想郷住人に会った?」

 

 

咲夜「いえ…あなたと、館のみんな以外には会ってないわね」

 

 

霊夢「他の住人がこのループを感じているのなら私に何か相談なりなんなりしに来る筈…咲夜からしてみればもう五日間もループしてるんだからね」

 

 

霊夢「それとあんたの能力が使えないのも関係ありでしょ? もしかしたらその何者かに能力を盗られた可能性もなくはない」

 

 

咲夜「能力を盗られたって…そ、そんなこと」

 

 

霊夢「あり得ないって言うの? あんた今能力使えないのに? 時が繰り返されているのは信じるのに?」

 

 

霊夢「それに咲夜だけが記憶を維持してるなんておかしいじゃない…」

 

 

咲夜「…!」

 

 

霊夢「……咲夜だけを狙っているのか、それとも幻想郷全土を狙っているのか、まだハッキリしてないけどそいつを野放しにしてたら大変な事になるわね」

 

 

 霊夢は体を右へ、左へと大きく動かす

 

 

霊夢「まだ正体も掴めてないけどっ…よっと…! 異変の犯人はコソコソしながら時間を弄んで機会を伺ってる様な奴…はぁ、めんどくさそうな奴が相手ね」グイッ

 

 

霊夢「でも博麗の巫女としてこの異変、絶対に解決してみせるわ」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(四日間、紅魔館の外に出てなかったから分からなかった…そう、これは私だけの問題じゃない、他の住人の時も戻され、繰り返されているのならかなりの大事件、異変を超えた大異変)

 

 

咲夜「…霊夢」

 

 

霊夢「うん?」

 

 

咲夜「私も、異変解決に協力させて」

 

 

霊夢「ふっ、もちろんそうしてもらうつもりだったわよ? この異変を解決するための最初の糸口はあんた…咲夜が鍵なんだからね」

 

 

咲夜「えぇ、分かってる」

 

 

咲夜「でもどうするつもり? 私たちは異変の犯人の事を知らなさすぎるわ、足取りもまだ」

 

 

霊夢「唯一、そいつが動く時があるじゃない」

 

 

咲夜「…?」

 

 

霊夢「咲夜…日付が変わる直前までここにいてもらうわよ♪」

 

 

咲夜「!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【博麗神社 PM 23:30】

 

 

 

 日付が変わる直前の時間まで私と霊夢はただひたすらに待った……私たちは今、境内で異変解決に向けての準備をしている。

 

 

 待っている間、少しだけ疑問に思っていることがあった、何故か今日に限って神社への来客は私一人だけだった事だ…魔理沙や妖精たちや妖怪たちが神社に来ない日があるのか、と

 

 …でも来ない方が良かったのかもしれない、説明をして余計な混乱を招いたら大変だからだ

 

 でも鈴仙や妖夢、魔理沙たちが神社に来てくれていたら私の身に起こった…いや、この時の異変の解決に力を貸してくれていたと思う……お嬢様たちも

 

 

 一度紅魔館に戻ってお嬢様たちに説明したかったのだけれど『異変を解決してから戻って説明すればいい』と霊夢に言われて私は神社に踏みとどまった

 

 お嬢様たちに嘘をつき、夜遅くになっても帰らない私をお嬢様たちは待ち続けているのであろう…今はそうであってほしい

 

 

 お嬢様、妹様、パチュリー様、美鈴、こあ

 

 必ず異変を解決し戻ります、もう少し待っていて下さい

 

 

 

 

 

霊夢「……ふぅ、しっかし魔理沙が来なかったのは意外だったわね、あいつにこの異変の話をしたら喜んで解決に協力したでしょうにね」ガリガリ

 

 

咲夜「もしかしたら自分で気が付いてて何か試行錯誤してたりするのかも」

 

 

霊夢「ははっ、ならさっさと解決してほしいもんだわね『霊夢~! 時の異変なら私が解決してやったぜ~!』とか言いながら今現れたらどうする?」ガリガリ

 

 

咲夜「ふふっ…やりかねないわね」

 

 

霊夢「私たちの準備が無駄になるからそれはそれで嫌なんだけどねぇ…よっ、描けたわ」ガリガリ

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

咲夜「……霊夢、ここで良いのね?」

 

 

霊夢「えぇ、そこに立ってちょうだい」

 

 

 霊夢が地面に博麗の術式を描き、その描かれた術式の中心に私は立っている、陰陽玉をそのまま絵にした形の術式だ

 

 

 何度か宴会で酔っぱらった霊夢が見せてくれたのを覚えている

 

 

霊夢「いい? もう一回説明するけどこの『時の異変』はあんたを中心として起こっていると私は見ている、あんたが能力を使えないのもあんただけが時が繰り返されているのを自覚して覚えているのもそれが理由の筈よ」

 

 

霊夢「あっちが咲夜を利用しているなら、こっちもあんたを利用させてもらう、相手の裏をかくのよ」

 

 

霊夢「あんたがくれた情報で引っ掛かったのは『日付が変わる直前に強烈な睡魔に襲われる』ってところ、恐らくその時にこの異変の犯人はあんたに干渉し、眠らせているんだと私は推測してる」

 

 

霊夢「これが正しいならあんたを結界で隔離して干渉させなきゃ良いだけの話よ、そして出てきた所を」

 

 

咲夜「退治する…」

 

 

霊夢「ふふっ、それで異変解決よ♪」

 

 

咲夜「! えぇ、今回ばかりは手柄はあなたに譲るわ」

 

 

霊夢「ふっ、最近あんた異変解決してないじゃない」

 

 

咲夜「館の仕事が忙しいからね」

 

 

霊夢「…あっそ」

 

 

霊夢「……咲夜、いま何分?」

 

 

咲夜「…! 50分よ」

 

 

霊夢「そろそろね…行くわよ咲夜…!」スッ

 

 

咲夜「…!」コクン

 

 

霊夢「はあぁぁ…!」

 

 

 霊夢に霊力が集まっていく

 

 

霊夢『陰陽結界!』パンッ

 

 

咲夜「!」

 

 

 霊夢が両手を叩くと私の周りを円形の青白い結界が覆った

 

 

咲夜「…!」

 

 

霊夢「……ふぅ、成功」

 

 

霊夢「咲夜、結界の中から出ようとするんじゃないわよ? その青白い部分に触ったら焼け焦げるからね?」

 

 

咲夜「随分と強力な結界ね」

 

 

霊夢「それだけ私は本気って事よ、そして~…!」スッ

 

 

霊夢『二重結界!』パンッ

 

 

 霊夢の周りを赤い結界が覆った

 

 

咲夜「自分にも結界を?」

 

 

霊夢「私も眠らせたら終わりでしょ? 念には念よ」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「霊夢」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

咲夜「…もし…もし私が眠ってしまったら…」

 

 

霊夢「あー? なに弱気になってるのよ、結界張ってあるんだから大丈」

 

 

咲夜「もしもの話よ」

 

 

霊夢「…! ……」

 

 

霊夢「……目が覚めたら、17日よ」

 

 

咲夜「…!」

 

 

霊夢「博麗の巫女、なめんじゃないっての♪」ニコッ

 

 

咲夜「! ふふっ…! 信じてるわ、霊夢」

 

 

霊夢「ふっ…! 咲夜、時間は?」

 

 

咲夜「! 後…一分!」

 

 

霊夢「ちょうどいいわね、良し…来いっ!」

 

 

咲夜「……」

 

 

 大丈夫…! 大丈夫だから…!

 

 

咲夜「…後20秒!」

 

 

霊夢「…!」スッ

 

 

咲夜「…!」

 

 

咲夜「5、4、3、2、いっ……!?」

 

 

 

 グワングワンと頭が激しく回る感覚が私を襲った

 

 

 同時に瞼が重くなっていくのが分かった

 

 

 

咲夜「れ…れい……む」

 

 

咲夜「っ……!」

 

 

 視界が歪んでいく 何が起こっているか分からない

 

 

咲夜「……」

 

 

 

 

 

 自分の体が倒れるのを感じた

 

 

 結界は駄目だった でも私は信じている

 

 

 霊夢が異変を解決してくれると 

 

 

 明日は10月17日だと

 

 

 私は信じている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 微かに時計の針が動く音が聞こえた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   コレガ ワタシノ ノゾンダ ジカン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」パチッ

 

 

咲夜「っ…!?」バッ

 

 

咲夜「はぁはぁ…!! はぁ…! はぁ…!」

 

 

咲夜「はっ! はっ、はぁっ…!? …!?」キョロキョロ

 

 

咲夜「…!? ! こ、ここは…!?」

 

 

 

 カチッ カチッ カチッ

 

 

咲夜「!! ……!? な、なん…で?」

 

 

 

 【紅魔館 十六夜咲夜の寝室 AM5:00】

 

 

咲夜「ど…どうして…わ、私はっ…! こっ、ここに…!?」フルフル

 

 

咲夜「……! 博麗神社で……! れ、霊夢に…話して…! れ、霊夢に…結界で…!」フルフル

 

 

咲夜「……その後は…」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「その後……!?」ゾクッ

 

 

咲夜「っ…!」スッ

 

 

 バァン!

 

 

 

 私は無我夢中で部屋を飛び出した

 

 

 

 

 【紅魔館 地下図書館】

 

 

咲夜「パチュリー様…! パチュリー様ぁ!」

 

 

こあ「あ! 咲夜さん、おはようございます! 早いですねぇ」

 

 

咲夜「! こ、こあ…!」

 

 

こあ「あれ? どうしたんですか? 着替えてないなんて珍し」

 

 

咲夜「こあ!」ガッ

 

 

こあ「ふぇっ!? な、なんですか!?」

 

 

咲夜「霊夢…! 霊夢は…!?」

 

 

こあ「れ、霊夢さん? 霊夢さんがどうかしたんですか?」

 

 

咲夜「私が眠った後に霊夢が異変を…!」

 

 

こあ「えっ…? えっ!? ね、眠った? 異変? 何の話ですか?」

 

 

咲夜「私は昨日博麗神社にいて…! それで…」

 

 

こあ「博麗神社…? えっ? 昨日咲夜さんずっと紅魔館にいたじゃないですか」

 

 

咲夜「!!?」ゾクッ

 

 

咲夜「……」フルフル

 

 

こあ「さ、咲夜さん? どうしちゃったんですか? な、なんか怖いですよ? それに体が震えてません? 大丈夫です…?」

 

 

 私は気が動転するのを抑えつつ恐る恐る聞いた

 

 

咲夜「こあ……今日は何日……」

 

 

こあ「へ? 今日ですか? 今日は…」

 

 

 

 

 

こあ「16日ですよ♪」

 

 

咲夜「!!」ピクッ

 

 

 まるで魂が抜かれた様に 全身の力がフッと抜けた

 

 

咲夜「……!! …!?」フルフル

 

 

 震えが止まらない 怖い 怖い 怖い

 

 

こあ「えっ!? さ、咲夜さん!?」

 

 

パチェ「…? 何やってるの?」

 

 

こあ「あ、パチュリー様…」

 

 

パチェ「咲夜…? 着替えもしないでどうしたの?」

 

 

咲夜「…? …!?」フルフル

 

 

パチェ「咲夜、あなた大丈」スッ

 

 

咲夜「……!? さ、触らないで!」フッ

 

 

 私はパチュリー様が伸ばしてきた手を払いのけた

 

 

 バチンと悲しい音が聞こえた気がした

 

 

こあ「ええっ!?」

 

 

パチェ「いったっ…! さ、咲夜! 何をするのよ!」

 

 

咲夜「!! ぁ……あぁ…!」フルフル

 

 

 差し伸ばしてくれた手を払いのけた

 

 その事実が私の気を狂わせようとしている

 

 

咲夜「っ……! っ…!」フルフル

 

 

こあ「咲夜さん! どうしちゃったんですか!?」

 

 

パチェ「咲夜…! 何かあるなら話して…」

 

 

咲夜「!!」スッ

 

 

 タッタッタッ!

 

 

こあ「えっちょっ…! 咲夜さん!?」

 

 

パチェ「ま、待ちなさい! 咲夜!」

 

 

 

 

 

咲夜「はぁはぁ! はぁっ…!」

 

 

 ダメだ ここに居たらおかしくなる

 

 

 

 

 【紅魔館、門前】

 

 

咲夜「はぁっ…! はぁ!」ポロッ

 

 

 逃げたい 逃げたい

 

 

 ここから逃げたい

 

 

美鈴「……おや、咲夜さん?」

 

 

咲夜「…!!」ダッ

 

 

美鈴「えぇ…? ちょ、ちょっと咲夜さん!」スッ

 

 

 美鈴に左手を掴まれた

 

 

咲夜「!? はぁはぁ…!」

 

 

美鈴「何処に行くんですか? そんなに慌てて、というか着替えてないなんて珍し…」

 

 

咲夜「…!!」ポロッ

 

 

美鈴「…!? さ、咲夜さんなんで泣いて…」

 

 

咲夜「…! 手をっ……! 放してっ…!」グッ

 

 

美鈴「あ、暴れないで下さいよ! 咲夜さんどうし」

 

 

咲夜「放してっ!!」スッ

 

 

 私は美鈴の手を無理矢理振り払った

 

 

美鈴「わっ!」

 

 

咲夜「!! っ……!」ダッ

 

 

美鈴「! 咲夜さん!」

 

 

 

 

 

 

咲夜「はぁはぁ…! うぅっ…!」

 

 

咲夜「はぁ…! はぁ…!」

 

 

 私は走った 走り続けた

 

 私の中に沸き出た恐怖から逃げる様に

 

 紅魔館から逃げる様にひたすら走った

 

 

 

 

 

 

 【妖怪の山 麓の湖】

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」

 

 

 私は湖に映る自分の姿を見ながら踞っていた

 

 

咲夜「……」

 

 

 異変が解決されていると信じて解決されていなかったから絶望したんだと思う、霊夢も失敗した

 

 気が動転していたとはいえ、あんなことをしてしまったら紅魔館に戻る資格がない、戻れない、戻る勇気も…ない

 

 戻ったとしてもまたあの悲劇の始まりだ、お嬢様たちに真実を話してもまた時が繰り返される、何をしようとも時が戻される

 

 霊夢のところに今行ったとしても同じだろう『覚えてない』で一蹴されるに決まってる

 

 誰を頼っても結果は同じ

 

 

咲夜「何処に行けば良いのかも…誰を頼ったら良いのかも…分からないなんて」

 

 

咲夜「……なら待ってれば良いじゃない、十六夜咲夜」

 

 

咲夜「日付が変われば時が戻されるのだから今日一日終わるまでここに一人でずっといれば良いのよ、そうすれば私が傷付けてしまったパチュリー様とこあ、美鈴はいなくなるんだから…」

 

 

咲夜「そう、グスッ…! 誰も覚えてっ…! ないんだからっ…! グスッ…!」ポロポロ

 

 

咲夜「グスッ……!」ポロポロ

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「あぁ……寂しいなぁ…私…」ポロポロ

 

 

咲夜「……」ギュッ

 

 

 全身に力が入る

 

 

咲夜「……」フルフル

 

 

咲夜「っ……! 誰か…! 誰かっ…! 私を…助けてっ…」ポロポロ

 

 

咲夜「お嬢様っ…! 私をもう一度っ…! うぅっ…!」

 

 

咲夜「っ…」フルフル

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「時間は空間と密接に関係している」ブツブツ

 

 

咲夜「時間を操れれば空間を操れる」ブツブツ

 

 

咲夜「逆も同じ」ブツブツ

 

 

咲夜「逆……」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…!!」ハッ

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「私にこんなことをする道理はない、いや犯人じゃなかったとしてもきっと…!」

 

 

咲夜「もう、あいつしか頼れない…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【人里 中心街】

 

 

咲夜「……」キョロキョロ

 

 

咲夜(居る可能性は低いけどここに懸けるしかない!)

 

 

咲夜「はぁ…はぁ…」スタスタ

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…!」

 

 

 

 

八雲藍「んふふっ♪ ここの油揚げは美味しいからなぁ、何枚でも食べられ」

 

 

咲夜「藍!!」

 

 

藍「うわビックリしたぁ! な、なんだ! いきなり声をかけ……?」

 

 

咲夜「はぁ…! はぁ…!」

 

 

藍「……ん? お前……えっ? ま、まさか咲夜か!?」

 

 

咲夜「他に…はぁ…誰が居るのよ…」

 

 

藍「いやいやいや一目じゃ分からんぞ!? 髪も結ってないし、その格好は寝間着か!? 何故そんな格好で出歩いているんだ?」

 

 

咲夜「!! 紫…!」

 

 

咲夜「藍…! お願いがあるの…!」

 

 

藍「おい人の話を…ん、願い?」

 

 

咲夜「紫に…! 紫に会わせて!」

 

 

藍「紫様に? 何故また」

 

 

咲夜「お願いだから紫に会わせて!」

 

 

藍「…!」

 

 

咲夜「お願いっ…!」フルフル

 

 

藍「……」

 

 

藍「何やら訳ありの様だが、訳を…いや今聞くのはやめておこうか」

 

 

咲夜「!」

 

 

藍「ちょうど良かった、これから私はマヨヒガに帰るところだったんだ、紫様に用があるなら私に着いてくるといい、マヨヒガまで一緒に行こう」

 

 

咲夜「藍…! ありがとう…」

 

 

藍「ただ、まだ朝早いから紫様が起きているかは分からん」

 

 

咲夜「それでもいいわよ、起きるまで待つわ」

 

 

藍「分かった、なら行こうか」

 

 

咲夜「えぇ…」

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

 

藍「ふぅ、着いたぞ…おっ」

 

 

咲夜「……!」

 

 

八雲紫「……」

 

 

藍「紫様、起きてらしたんですね」

 

 

紫「……えぇ、まぁね」

 

 

藍「珍しく早起きですね」

 

 

紫「別に……」

 

 

藍「あ、そうそう、咲夜…あぁ咲夜には見えないかもしれませんが彼女は咲夜本人ですからね? あなたに用があるみたいですよ」

 

 

紫「…!」ギロッ

 

 

咲夜「…?」ピクッ

 

 

 私は何故か紫に睨まれた

 

 

紫「……」

 

 

藍「…? 私買い物の荷物を置いて来ますね、それでは二人で…あ、お茶でも飲みます?」

 

 

紫「いい、いらない」

 

 

藍「そうですか、では私はこれで」スッ

 

 

 

紫「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

 

 

咲夜「紫…」

 

 

紫「藍ならもう戻って来ないわよ」

 

 

咲夜「…え?」

 

 

紫「話をしている最中に邪魔されたくないんでしょ? それにもう存在すらしてないもん」

 

 

咲夜「存在…? どういう…」

 

 

紫「お黙り」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

咲夜「!! ……! …!」

 

 

 口が開かない スキマで口を塞がれた様だ

 

 

咲夜「…!!」ジタバタ

 

 

紫「ジタバタしないの、私今ものすごく不機嫌なんだからこれ以上イライラさせないでくれる?」

 

 

咲夜「…?」

 

 

紫「失望とか絶望とかどうでも良いのよ、この世界にはなんの意味も無いんだからさ」

 

 

咲夜「…!?」ピクッ

 

 

紫「何をそんなに驚くのかしら? 知っていてほしいんでしょう? ほら、あなたのお望み通り♪ この時の異変の全てを知る八雲の紫さんよ?」

 

 

咲夜「!? !!」ジタバタ

 

 

紫「ふふっ、とは言っても…ちょっとだけ反抗的な八雲の紫さんだけどねぇ♪ そこだけは他の住人たちとは違うところかしらねぇ~」

 

 

紫「……私は犯人じゃないわよ」

 

 

咲夜「…!!」

 

 

紫「でも犯人は知ってる、けどそれが誰なのかは教えてあげない」

 

 

紫「あなたを犯人へと導くヒントならあげられる、本当はあなたに自分で気付いてほしかったんだけどね」

 

 

咲夜「…!」

 

 

紫「はぁ…私もまだまだ甘いわねぇ、本当ならあなたにマジギレしてお説教しても良いところなのにあなたを救おうとしている…でも仕方ないか、それはあなたのお友達の役目だもんね」

 

 

紫「私にとってあなたは霊夢と魔理沙、この二人と同じ様に特別な人間なの、お分かり? あなたのことを大事に大事にしたいのよ」

 

 

紫「まぁこれは帰ったら私に直接聞きなさい、本物の私にね」

 

 

咲夜「!?」

 

 

紫「また驚いて…それわざとやってるの? それとも本当に気付いて無いの? ここ本当の幻想郷じゃないわよ?」

 

 

紫「それと私は本物の八雲紫じゃないもん、だからこうして自分の意思で喋れてるんだからさ、ついでにさっきの藍も本物じゃないし~♪」

 

 

紫「あなたが昨日会った霊夢も本物じゃないの」

 

 

咲夜「……!?」ゾクッ

 

 

紫「まぁ本物じゃなかったとしてもあなたの味方であった事は確かよ? 現に霊夢はあなたを助けようとしてたし、私もあなたに力を貸してるじゃない? でも私は自分の意思でやってるんだけどね」

 

 

紫「私、霊夢、藍…この時の繰り返しが行われている偽物の幻想郷で出会った三人は『あなたにとって都合の良い幻想郷の住人』よ」

 

 

紫「都合が良いと言うのはどういう事かしら? 偽物であることは確か…そして都合が悪くなれば消えちゃう存在…都合の良い存在は想像し、造られることでしか生まれない」

 

 

紫「偽者霊夢が作られたのは昨日の朝にあなたが目覚めてから、私と藍が作られたのは今日、あなたが妖怪の山の湖で私たちを欲した時から」

 

 

咲夜「……!」

 

 

紫「私が霊夢と藍の二人と違うところはその都合が良い存在だってことに自分で気付いているってところなの」

 

 

紫「だから不機嫌なの、八雲の紫さんは一人で充分なのにも関わらず造られ、私と言う存在がどういう存在なのかを知らされ、あなたの都合が悪くなれば消されるのを知ってるからなのよ…まぁ私も本物の八雲の紫さんに教えてもらうまでは自分が本物だって思い込んでたからね、はぁ…ため息ばっかり出ちゃうわね」

 

 

紫「……だんだん分かってきた?」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「ヒントよ、霊夢はあなたが美鈴とフランには時の繰り返しが起きていることに関して相談していない事を知っていた…そして霊夢は咲夜だけが時の繰り返しが起きているのを知っていて咲夜だけしか自覚が無いと決め付けて他の住人に確認しようとしなかった、私たちの知ってる霊夢なら行動して確認しようとするわよね?」

 

 

紫「後さぁ、あなたが博麗神社に着いた時に『出来れば霊夢一人でいてほしい、他の住人には混乱を招きたくないから説明するのは避けたい』って思わなかった? そして現にその通りになったわよね? それって偶然? 都合良くない? 魔理沙が来ないと博麗神社の日常って始まらないと思わない?」

 

 

紫「『誰々が来てくれたらいいな』と神社で思った時に霊夢から魔理沙が来てくれたら…的な内容の話を振らなかった? それとさぁ、至極単純なお話をするけど紅魔館の連中があなたを助けに来ないのっておかしくな~い? 後は藍が人里で油揚げを買っているところに偶然出くわす…いやぁ都合良すぎませんかねぇ♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「言っちゃえばさ、この幻想郷もあなたにとって都合の良い幻想郷なのよね」

 

 

紫「紅魔館以外は」

 

 

咲夜「…!?」

 

 

紫「あなたが紅魔館の外を一歩でも出るとそこはもうあなたにとって都合の良い幻想郷になるのはもう分かってるかしら? …この異変、いや異変と言うのも変な話だけどこの時の繰り返しの中心はあなたであり紅魔館そのものでもある」

 

 

紫「今の紅魔館の連中は紅魔館からは離れる事ができない、何故か…? そうするとこの異変の犯人にとって都合が悪くなるから」

 

 

紫「もっと簡単に言っちゃいましょうか」

 

 

紫「レミリア、パチュリー、小悪魔、フラン、美鈴……この五人はあなたを苦しませる事を目的として造られた偽物なの」

 

 

咲夜「!!」ピクッ

 

 

紫「もちろんあなたを傷付けているなんて自覚は奴等には無い、あなたと楽しく16日を過ごすいつもの紅魔館…でも無自覚に十六夜咲夜の心をジワジワゆっくりと追い詰める存在よ、かなり厄介よねぇ♪」

 

 

紫「変よね、奴等は犯人に作られた存在なのにあなたの過去を知っている…あれれ~? 何でかしらねぇ~?」

 

 

紫「まぁ知っているって言ってもレミリア、パチュリー、美鈴の三人だけでしょうけどね」

 

 

紫「これもヒントよ、その三人だけ知っていると言う事実を知っている奴が犯人、犯人は紅魔館の外に居る住人には興味が無く、あなた以外には干渉しない……もう分かる?」

 

 

咲夜「……」フルフル

 

 

紫「体震えてるけどそれあなたの本体に影響を及ぼすから止めなさい、苦しいでしょ?」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「……驚いたり不思議そうな顔しないって事は誰が犯人なのか目星は付いてるの?」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「喋りなさい、咲夜」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

咲夜「!! はぁ…はぁ…!」

 

 

紫「…どうなの? 咲夜」

 

 

咲夜「! ……」

 

 

咲夜「……私は本物であって本物の十六夜咲夜じゃない、そうでしょ?」

 

 

咲夜「そして私が苦しめば苦しむほど本物の私が弱っていく、私が死ぬほど苦しみ、その苦しみに呑まれてしまったら本物の私は永遠に目覚めない」

 

 

紫「自分の事は大切にしないくせに良く分かってるじゃない♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「みんな待ってるわよ……霊夢も、魔理沙も、妖夢も、アリスも、鈴仙も…パチュリーも小悪魔もフランも美鈴も…あなたの大好きなレミリアお嬢様も」

 

 

紫「そして私も…」

 

 

咲夜「!!」

 

 

紫「私も覚悟は出来てる、あなたに恨まれても仕方ない事をしてるからね」

 

 

紫「犯人を追えば私を知ることにもなるでしょう、これも何か疑問に思ったら本物の私に聞いてね」

 

 

咲夜「…?」

 

 

紫「はい、それで? まだ聞きたい事はあるかしら?」

 

 

咲夜「……能力が使えない理由は?」

 

 

紫「分かってなかったの? 偽物の幻想郷で自分の時間を作っても無意味だってあなたと犯人が心の奥底で思っているから、使われると犯人にとって都合が悪いから、他には」

 

 

咲夜「使っても使う意味がないって私の本体が思っているから…」

 

 

紫「自分の事は大切にしないくせに良く分かってるじゃない♪」

 

 

咲夜「…言わないで…ほしいわ」

 

 

紫「はぁ…? それレミリア達の前で言える? 特に医者の弟子であなたの親友の鈴仙の前でさぁ」

 

 

咲夜「! わ、私は」

 

 

紫「『分かっていても辞められない』なんて言うんじゃ無いわよ? レミリア達からも散々言われてるでしょ?」

 

 

咲夜「…!」

 

 

紫「もっと自分を大切にしなさいな、忠誠心も度が過ぎれば迷惑なの、分かるでしょう?」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「……」

 

 

咲夜「異変の犯人は私を苦しめて何がしたいの…?」

 

 

紫「それは直接あなたが犯人に聞かないとダメね、苦しむことになるかはあなた次第だけど」

 

 

咲夜「…どうやったら会えるの?」

 

 

紫「穴を開けて潜るしかないでしょ? ここはあなたの世界なんだから」

 

 

紫「こういう場所は誰の中にもあるもの、そしてその穴に潜ると言うことは自分の深層心理に向かって飛び込んで行く事と同じこと」

 

 

紫「あなたと犯人が干渉し合う時、その隙を狙って会いに行くしかないわよね」

 

 

紫「本当ならあなた一人で道を切り開くべきだけどここまで来たら大サービスよ、これから消える八雲の紫さんからの最後のプレゼント♪」ゴソゴソ

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「ふふっ、悲しそうな顔ね♪ でも大丈夫よ、あなたが目覚めたら本物の八雲の紫さんに毎日会えるわよ?」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「連れないわねぇ…はいこれ」スッ

 

 

咲夜「…? これは?」

 

 

 私は紫に手のひらサイズのスキマを渡される

 

 

紫「スキマを圧縮して作った『スキマ爆弾1341型』よぉ♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「まぁ早い話がそれ床とかに叩き付けると人の心に風穴開けるスキマ爆弾だから取り扱いには充分に注意なさいよ?」

 

 

紫「使う時は…分かるわよね?」

 

 

咲夜「日付が切り替わる瞬間…」

 

 

紫「睡魔が襲って来る瞬間でも間に合うわねぇ」

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

咲夜「……紫、ありがとう」

 

 

紫「それは本物の私に言ってくれる? 私に言っても無意味よ、どうせ直ぐに消えちゃうんだからね」

 

 

咲夜「それでもあなたが居なかったら私はこうして活路を見出だす事は出来なかったわ」

 

 

咲夜「本当にありがとう…紫」

 

 

紫「……ほらもう行きなさい、彼女が待ってるわよ」

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

 私は紫に背を向け歩き出す

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「…そのまま聞きなさい、咲夜」

 

 

咲夜「…」ピタッ

 

 

紫「この異変の犯人はあなたにとって都合の悪い、あなたに作られた存在、否定された悲しみからの復讐者」

 

 

紫「自分に負けちゃダメよ♪」スッ

 

 

咲夜「…! ゆか…り…?」クルッ

 

 

 私が振り返るとそこにはもう紫の姿は無かった

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「必ず帰るわ…紫」

 

 

咲夜「あなたの愛した幻想郷に…」スッ

 

 

 

 私は異変の犯人と対決するため紅魔館に戻る事にした

 

 

 

 【紅魔館 門前】

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「美鈴がいない…?」

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

 

 【紅魔館 地下図書館】

 

 

咲夜「パチュリー様とこあもいない…」

 

 

咲夜「……きっとお嬢様と妹様もいないんでしょうね」

 

 

 私には何故居なくなったのか分かっていた、紫からスキマを渡された事をこの異変の犯人は知っている、自分に会いに来る事を知っている…自分にとって都合が悪くなったとか以前に『もう必要無い、居ても無駄』だと判断したから消したのだろう

 

 これ以上私を苦しませる事が出来ないから消されてしまった

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「お会い子のつもりかしらね、私も霊夢たちを消したから? 必要無くなったから?」

 

 

咲夜「幻想郷で私が出会った人間や妖怪たちは、必要無くなんかない」

 

 

咲夜「何故分からないの…? 私が思っているならあなたも…」

 

 

咲夜「……」

 

 

 

 

 

 【紅魔館 十六夜咲夜の寝室】

 

 

 私は自室に戻り服を着替え、髪を結い、紅魔館のメイド長としての身嗜みを整えた

 

 

 そしていざというときの為に戦闘に必要なナイフを数十本、持てるだけ持って行くことにした

 

 

咲夜「……これでいい」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「持っていったら役に立つかしら…」

 

 

咲夜「……」

 

 

 私はあの時間まで一人、この部屋で待つことにした

 

 

 

 

 【PM23:55】

 

 

咲夜「……そろそろね」

 

 

 私は紫から手渡されたスキマを握り締めて目を瞑る

 

 

咲夜「この異変は最初から私一人で解決しなければならなかった、私しか解決出来ない」

 

 

咲夜「異変の犯人であるあなたは私の…」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」スッ

 

 

咲夜「5、4、3、2…」

 

 

咲夜「1っ…! っ……!!」ユラッ

 

 

 またあの睡魔が襲って来る

 

 

咲夜「私はもう…! あなたに会うと決めたのよ!」スッ

 

 

 私は右腕を高く振り上げ、手に持っていたスキマを床に叩き付けた!

 

 

咲夜「はあぁぁ…!」スッ

 

 

 

 バリーン……!! ズォォォォォ…!

 

 

 

 

 ギュオン……!

 

 

咲夜「……!! はぁ、はぁ…!」

 

 

咲夜「時が……止まって…!?」

 

 

 私が時を止めたときと同じように部屋全体が灰色に包まれている

 

 

咲夜「時計は…24:00で止まっている…」

 

 

咲夜「…!」

 

 

 私が足元を見るとスキマが開いていた、青黒い渦がスキマの周りをゆっくりと回転している

 

 

咲夜「穴を開けて潜る、深層心理に飛び込む…」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「今行くから…待ってなさい」

 

 

咲夜「……」スッ

 

 

 私はスキマで出来た穴に飛び込んだ

 

 

 

 ズォォォォォ…!

 

 

 ギュオン……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

 【??の世界】

 

 

咲夜「……んっ…んんっ…?」スッ

 

 

咲夜「…! こ、ここは…!!」

 

 

 私は辺りを見回す、辺りにはレンガ造りの家々が立ち並んでいる、幻想郷ではない 

 

 

咲夜「……! ここは…! うっ…!」フラッ

 

 

咲夜「……そう、そうだ…」

 

 

咲夜「……」

 

 

 

 

 

咲夜(私が…育った街だ)

 

 

 

 

 

 

 【少女の世界】

 

 

 

街人A『またやられたそうだよ、昨日は三人だとか』

 

 

街人B『あら、そうなの?』

 

 

 私は歩いている住人に声を掛けるが無視されてしまう、私の声が聞こえていない様だ

 

 

 次行く住人にも声を掛けるがやはり私の声が聞こえていない、それどころか

 

 

街人C『最近物騒だよね、これで何人目なのかなぁ』

 

 

街人D『悪魔がこの街にいるとしか思えないよ』

 

 

街人C『はっはっは、まさか…』

 

 

 触ろうとしても触れない、肩を叩こうとした私の手がすり抜けてしまった

 

 

 ここに来た…いやここに来させた目的は?

 

 

 ……! あれは…!

 

 

少女『……』

 

 

街人E『…! うわっ…! おい、あの子…』

 

 

街人F『いつも顔を見せない、気味の悪い子だよねぇ』

 

 

街人E『そんな言い方するなよ…あの子の母親はさぁ』

 

 

少女『……』

 

 

少女『……』タッタッタッ

 

 

 私はフードを目深にかぶって走り去る少女を追い掛けた、追い掛けた先には一軒の小さな家が建っていた

 

 

 私はこの家を知っている

 

 

少女『……』スッ

 

 

 私は手をドアノブにかけ、回そうとしている少女に話し掛けたが聞こえていない様子だった、そしてこの子にも触れなかった

 

 

少女『ただいま…』スッ

 

 

 少女はフードを取る、銀色の髪をしていた

 

 

女性『あら…早かったのね、お帰りなさい』

 

 

少女『! お母さん、寝てなきゃダメだよ』

 

 

女性『大丈夫よこれくらい、今日は体調が良くってね』

 

 

少女『……またそうやってムリする』

 

 

女性『無理なんかしてないわ、あなたの顔を見るだけで元気に…っ! げほっげほっ…!』

 

 

少女『…! お母さん!』

 

 

女性『だ、大丈夫、大丈夫だから…! げほっげほっ、げほっ…!』

 

 

少女『……ベッドにねてて、ごはん作るから…』

 

 

女性『……ごめんね』

 

 

少女『ううん、いいよ』

 

 

 あの銀髪の女性を見て何とかしてあげたいと想えなかったのは私が薄情だからであろうか、それとも私が声を出しても聞こえない、他の物を触ろうとしても触れない事から来る諦めがあったからだろうか

 

 

 紫から話を聞いた時、そしてこの街で目覚めた時から覚悟はしていた、会うんだろうと

 

 

 あの少女は私で

 

 あの女性は私の母だった人だ

 

 

女性『いつも温かいスープをありがとうね』

 

 

少女『気にしないで、いつものことでしょ』

 

 

 私に父はいない…というより知らない、私が生まれる前に亡くなってしまったそうだ

 

 母は原因不明の病気、不治の病だった

 

 

女性『そうだ…お屋敷でのお勤めは順調?』

 

 

少女『うん…』

 

 

女性『また深夜に…?』

 

 

少女『うん、仕事が入ってる』

 

 

女性『……いつもあなただけに任せ』

 

 

少女『お母さん、それは言わない約束だよ』

 

 

女性『……ごめんね』

 

 

少女『ごめんも禁止』

 

 

女性『…! ふふっ…♪』

 

 

少女『…♪』ニコッ

 

 

 これは嘘だ、母は一生知ることは無い私がついている嘘

 

 近くにある大きなお屋敷でメイドとして週に一度、雇ってもらっていると嘘をついている、この年齢でメイドとして雇ってもらうなんて無理がある

 

 

女性『いつかあなたが働いているところをこの目で見てみたいわね』

 

 

少女『…! ……』

 

 

女性『フリフリのメイド服を着て頑張っているんでしょう? 可愛いでしょうねぇ』

 

 

少女『フリフリ…じゃないよ』

 

 

女性『あ、そうなの?』

 

 

少女『うん…』

 

 

 嘘をつくことに抵抗は無かった、罪悪感はあったけど私と母が生きていければそれでいい、それしか考えてなかったから

 

 

少女『…お母さん』

 

 

女性『なぁに?』

 

 

少女『わたし、最近気になる事があるの』スッ

 

 

少女『お母さんにもらったこの懐中時計を見ていて、時計をいじってるとたまに…』

 

 

女性『たまに…?』

 

 

少女『……』

 

 

女性『…?』

 

 

少女『……時間が…止まるの…本当に…まるで凍っちゃった様にさ、人も動物も…川とか噴水の水の流れも止まっちゃうんだ』

 

 

女性『……』

 

 

女性『へぇ~♪ それは凄いわね』

 

 

少女『! 信じてくれるの?』

 

 

女性『もちろんよ、でも…何でかしらね』

 

 

少女『それは…私にも分からない…』

 

 

 この頃から私には能力が備わっていた、でもたまにしか発動しなかった

 

 確か、この一ヶ月後に私は能力を制御出来る様になる

 

 

女性『う~ん…あ、そのうち時間を自由自在に操れちゃったりして』

 

 

少女『…そんなことあるわけない』

 

 

女性『分からないわよ? 時を止められちゃうんだから過去とか未来にも行けるようになったりするかもしれないじゃない♪ それにあなたが時を止めるのを制御出来る日が来るかもしれないからね♪』

 

 

少女『…何でそんなに嬉しそうなの?』

 

 

女性『ふふっ、時が止まったら歳を取らなくなるって事でしょ?』

 

 

女性『そしたらずっとお母さん、あなたの側にいられるから』

 

 

少女『…! ……』

 

 

女性『……! あっ! ご、ごめんね…! 私ったら』

 

 

少女『ごめんは禁止』

 

 

女性『あっ……ご、ごめん…』

 

 

少女『また言う…』

 

 

女性『ううっ…』

 

 

少女『…ふふ♪』ニコッ

 

 

 子供みたいにお茶目な言動で私を笑わせてくれる母が大好きだった…私の心の支えだった

 

 母と一緒にいられるならそれでいい、私の全てだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……!?

 

 

 唐突に場面が変わった、深く目を閉じると先に進む様だ

 

 

女性『お仕事の時間…?』

 

 

少女『うん、もういくから』

 

 

女性『それじゃ、玄関まで…』

 

 

少女『…見送りはいいから…寝てて』

 

 

女性『そういう訳にはいかないわ、ふふっ』

 

 

少女『……』

 

 

女性『いってらっしゃい』

 

 

少女『…いってきます』スッ

 

 

女性『…あっ!』

 

 

少女『! な、なに?』

 

 

女性『お仕事…頑張ってね♪』ニコッ

 

 

少女『っ…! ……』

 

 

女性『…?』

 

 

少女『……うん』スッ

 

 

 さっきの場面からおよそ一ヶ月後と言ったところか

 

 この母の笑顔、覚えがある

 

 

 私が最後に見た母の笑顔だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これから仕事が始まる

 

 

 

 街の人々が眠りにつく深夜の時間帯、街の中心にある大きな噴水広場に私はいた

 

 

少女『……』

 

 

少女『…!』

 

 

 ズズッ…!

 

 

大男『んんっ…ふぅ…』

 

 

 空に雲一つ無い、月明かりに照らされる深夜…この時間になると街灯の影から這いずり出てくる黒いコートを着た大男、情報屋を名乗っているコイツから私は仕事をもらっていた、それが週に一度

 

 

大男『やぁ♪ お嬢ちゃん♪』

 

 

少女『…今日は何をすればいいの?』

 

 

大男『連れないねぇ、もうお仕事のお話かい? 他のお話しをしよう?』

 

 

少女『興味ない』

 

 

大男『あっそぅ…はぁ、お嬢ちゃんはお金が目当てだもんねぇ』

 

 

少女『……!』ギロッ

 

 

大男『おお、怖いねぇ♪ でもその目付きは嫌いじゃないよ?』

 

 

少女『……』

 

 

大男『ははっ♪ じゃ、お仕事の話をしようか、はいこの写真』

 

 

大男『この男を殺してきてね、誰にもバレたらいけない暗殺のお仕事…♪』

 

 

少女『……この人はどうして殺すの?』

 

 

大男『理由なんかどうだって良いじゃないか、まぁ知りたいなら言っちゃうけど、コイツが生きてたら邪魔だって思う人間がいるんだってさ』

 

 

少女『……』

 

 

大男『どう? やってくれる?』

 

 

少女『…やる』

 

 

大男『おぉさっすがだねぇ♪ 今日の報酬も弾むよ~♪ ガンガン殺してガンガン稼ごうね♪』

 

 

少女『…!』ギロッ

 

 

大男『その殺意の目はこの男に向けてね』

 

 

 

 この大男はいわゆる仲介人、コイツに誰かが依頼をする、そしてコイツが私に依頼をしてくる…所謂裏仕事…闇の仕事だ

 

 母が病に伏せるようになってから直ぐにコイツは私の目の前に現れた

 

 私はコイツに依頼されて仕事をやった、やり続けた…仕方がなかった、生きていくお金を稼ぐために…母との日常を壊さない為に

 

 おもな仕事は人の暗殺がメインだった、闇夜に紛れてターゲットだけをナイフで狙う…首を切れば一撃、せめて苦しまない様に…何人も何人も殺し続けた

 

 

 

大男『ブラボー♪ 今日も大成功だったね、はいこれ今日の分ね』スッ

 

 

少女『……』スッ

 

 

大男『いやぁ、本当に慣れてきたよねお嬢ちゃん、まぁ当然か、一年もやってれば貫禄もついてくるよねぇ♪ 暗殺者としてのさ♪』

 

 

少女『…』

 

 

大男『でも本当に慣れすぎだよ、今日なんか返り血を一滴も浴びてないじゃないか』

 

 

少女『……血塗れになりたくないから』

 

 

大男『僕はお嬢ちゃんが血塗れになってると凄く魅力を感じるけどね』

 

 

少女『……』

 

 

大男『無視かぁ、連れないねぇ…』

 

 

少女『…ねぇ』

 

 

大男『うん?』

 

 

少女『……時って操れるの?』

 

 

大男『…? 難しい事を聞くねぇ、どうしてそんなことを聞くんだい?』

 

 

少女『最近時間は止められるって分かったから』

 

 

大男『う~ん…?』

 

 

少女『……』

 

 

大男『良く分からないね、ちゃんと説明してほしいなぁ』

 

 

少女『……』

 

 

少女『…信じる…?』

 

 

大男『もちろん♪ お嬢ちゃんとはお仕事仲間だからねぇ♪』

 

 

少女『……』

 

 

 私は大男に自分には時を止められる能力があることを打ち明け、相談をした

 

 この男なら時を操れる方法を知っているんじゃないかと思ったから

 

 というより、打ち明ける事ができる人がコイツしかいなかったからでもある、藁にもすがりたかったんだとも思う…この街の住人は私を気味悪がっていたし、同年代の友達もいなかったから

 

 

 時を自由自在に操れれば自分が時を止めた世界の中に他の人を連れてこれるのではないのか…? 未来や過去にも行ける事が出来るのではないのか…? 

 

 母と一緒に私が止めた時を共有出来るのではないのか

 

 

 

 だがこの相談が私の運命を大きく変えることになる

 

 

 

 

大男『!!』

 

 

少女『……』

 

 

大男『…驚いたね、まさか時を止められる能力を持っているなんて…そっかぁ、だから返り血を浴びずに済んでるんだねぇ』

 

 

少女『…信じるの?』

 

 

大男『もちろん信じるよ、お嬢ちゃんとはお仕事仲間だからねぇ♪』

 

 

大男『そっかそっか~♪ そうなんだねぇ…♪』ニタァ

 

 

 この時 この男の企みに気付いていれば

 

 

少女『…それで、どうなの?』

 

 

大男『う~ん……』

 

 

大男『……』

 

 

少女『…?』

 

 

大男『知ってるよ』

 

 

少女『えっ…!?』

 

 

大男『僕は情報屋さんなんだよ? な~んでも知ってるさぁ♪ 時を操る方法なんて簡単簡単♪』

 

 

少女『…! お、教えて!』

 

 

大男『良いよ、でもただじゃ教えられないよ』

 

 

少女『?』

 

 

大男『僕は情報屋、その情報は売るに値する価値がある…情報がほしいならそれなりの物を払ってもらわないとね』

 

 

少女『……! お金…』

 

 

大男『いやいや、お金じゃ買えないよ』

 

 

少女『じゃあ何を…』

 

 

大男『それ』

 

 

少女『…?』

 

 

大男『だからお嬢ちゃんの能力』

 

 

少女『…!?』

 

 

大男『お嬢ちゃんその力…僕にくれないかな? くれたら教えてあげても良いよ?』

 

 

少女『な、何…!? 筋が通ってないわ、おかしいじゃない!』

 

 

大男『おかしくないよ、お嬢ちゃんは時の情報が欲しい、僕はその時を操る能力がほしい…それだけの事じゃないか』

 

 

少女『……話にならないわ、悪いけどさっきの話は終わりにして』スッ

 

 

大男『……あぁそう…残念だなぁ』

 

 

大男『じゃあ力ずくで奪っちゃおうかなぁ…♪』ニタァ

 

 

少女『…!?』ゾクッ

 

 

 大男の手が私に迫る、殺意が向けられていると咄嗟に感じ取った私は懐からナイフを取り出して時を止め、大男の首にナイフを突き刺し、掻っ切っていた

 

 

大男『グッ…!! ガァ…!』ブシュッ

 

 

少女『はぁ…はぁ…!!』ビチャッ

 

 

 能力が解除されると大男の首から大量の血が吹き出る、私はその血を浴びてしまっていた

 

 大男が苦しみながら地面に倒れる

 

 

大男『……』

 

 

少女『はぁ…! はぁ…! はぁはぁ…!』

 

 

大男『……』

 

 

少女『……』

 

 

 私は大の字に倒れている大男の側に近寄る

 

 

少女『……』

 

 

大男『…ゴフッ!』

 

 

少女『!?』

 

 

大男『フフフ…! ひ、酷いじゃないか……お、お嬢ちゃん…! 僕の首を切り裂くなんて…』

 

 

少女『な…! 何で生きているの…!?』

 

 

大男『フフフ…さぁ何でかなぁ…♪ でももう駄目だねぇ、首を切り裂かれたんだ…もうすぐ消えてなくなるよぉ…フフフ…!』

 

 

少女『……』

 

 

大男『…お嬢ちゃん、やっぱり血が似合うねぇ…♪ 血塗れのお嬢ちゃんは素敵だよ…』

 

 

大男→悪魔『……察しているかもしれないけど僕は人間じゃない…僕は悪魔さ』

 

 

少女『悪魔…!』

 

 

悪魔『でも悪魔と言ってもそんな大層な物じゃない…首を切られたぐらいで死んじゃうぐらいの低級な悪魔さ』

 

 

悪魔『しかも人間の魂を食らい続けないと死んでしまうほど脆い存在なのさ』

 

 

少女『人間の……魂…? ……!』

 

 

悪魔『お嬢ちゃんは頭も良いよね…考えてる通りだよ、お嬢ちゃんが殺してきた人間の魂を食い続けてきたんだ』

 

 

悪魔『依頼のお話も嘘…お嬢ちゃんに人を殺させ続けたのは不幸な人間に殺された幸せな人間の魂は格別だからなのさ』

 

 

悪魔『ほら、思い返してごらん? お嬢ちゃんが殺してきた人間…みんな幸せそうな顔してただろう?』

 

 

少女『!!』

 

 

悪魔『僕が殺しても何の意味もない、不味くて不完全な魂は嫌だったんだ…だからお嬢ちゃんを利用して人を殺してもらっていたのさ、大昔に人間から奪った大量の金をエサにしてね』

 

 

少女『……』

 

 

悪魔『それも今日で終わりだ…はぁ…君の魂を食べて能力を奪えば悪魔の頂点に立てると思ったのに…残念だよ』

 

 

悪魔『フフフ…! でも良かったの? 君はもうお金が手に入らなくなっちゃうんだぁ…♪ 君はお母さんに嘘をついて働いていたみたいだけどこれからどうするのかなぁ?』ニヤッ

 

 

少女『……』

 

 

悪魔『それともう一つ面白いことを教えてあげるよ…悪魔に魅入られた人間は大抵不幸になるんだ』

 

 

悪魔『君に殺されてきた人間もその周りの人間も不幸になっていった…お嬢ちゃんは…どうかなぁ…♪ フフフ…』ニヤッ

 

 

少女『……!』ゾクッ 

 

 

悪魔『フフフ…………』

 

 

悪魔『……』

 

 

悪魔『 』カクッ

 

 

 悪魔は動かなくなり、黒い霧となってその体が消えた。

 

 黒いコートと血溜まりだけが地面に残っていた

 

 

少女『……』

 

 

 この時、色んな事が頭を過っていたのを私は思い出す

 

 これからどうしようだとか、この血はどうしようだとか、私は周りの人間を不幸にしながら幸せを欲していたのか…

 

 色んな事を同時に知りすぎて頭が麻痺していたんだと思う、その中で私の頭に一番強く残っていたのは

 

 

 不幸

 

 

少女『…! お母さん…! お母さん!』ダッ

 

 

 私は血塗れのまま、母が待つ自分の家へと駆け出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

少女『お母さん!』

 

 

 私は家に辿り着き、母が寝ているベッドの側へと駆け寄る

 

 

少女『お母さん! お母さん起きて! お母さん!』

 

 

 病で床に伏せている母にかける言葉では無いだろう、だけど私は母の声が聞きたかった…優しく、いつも私を笑顔にしてくれる…あの声を

 

 

少女『お母さん…! ……おかあさん…?』

 

 

 不幸は直ぐにやって来た、まるであの悪魔を殺した時に呪いを掛けられたかの様に

 

 

女性『 』

 

 

少女『お母さん…!? お母さん!』

 

 

少女『おか……ぁ…ぁぁ…!』

 

 

少女『う…そ…そ、そんな……! い、いや…! いやぁ…!』フルフル

 

 

少女『あぁ…う…ぁ……!』フルフル

 

 

少女『あぁ…! あぁぁ…!』

 

 

少女『うわあぁぁぁ!!』

 

 

 母は亡くなっていた

 

 

 今思えば相当無理をしていたんだと思う、体が限界を迎えていても私のために笑顔でいてくれた、私の負担を減らすためにと、私が仕事…殺人を犯している間に掃除等を隠れてしていたのは知っていた

 

 

 私は母の遺体の側で泣き崩れた、母の亡骸を抱き締めながら夜が明けるまでずっと側にいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の昼、街の教会で母の葬儀が行われた、といってもかなりお粗末な物だった…母の遺体を棺に入れ、花を供えて冷たい土の下に埋めるだけ

 

 母の葬儀が行われている間、私は涙が出なかった…あんなに大好きだった母が亡くなったのにも関わらず

 

 心残りだったのは母に嘘をついていたこと

 

 

 母は病のせいで家から出ることはなく、人付き合いが全く無かったせいか葬儀に参列した人も、教会の神父、母と数回顔を合わせた程度の街の住人が数人

 

 

 

 

少女『……』

 

 

街人B『ねぇ聞きました? あの子の噂…』ヒソヒソ

 

 

街人D『えぇ、何でもあの子が教会に自分の母が家で亡くなっていると知らせに来たときあの子は全身血塗れ状態だったとか…しかも神父さんがその家に確認に訪れると真っ赤な血に染まっていたあの子の母親がいたそうで…』ヒソヒソ

 

 

街人F『まぁ血塗れですか…!? そ、それってまさか…!』

 

 

街人B、D、F『……』ジーッ

 

 

少女『……』

 

 

街人D『いや、まさか……自分の母を殺すなんて事をしますかね』

 

 

街人B『でも分かりませんわよ? …いつもフードを目深に被っているから表情が分からなくて気味が悪い子ですし』

 

 

街人F『でもあの子のお母様に外傷は無かったのでしょう? でももし何か別の方法だったとしたら…?』

 

 

街人B、D、F『……』ジーッ

 

 

少女『……』

 

 

 人の噂とは怖い物だと言うことは当時の私には分からなかっただろう、噂が噂を呼びでっち上げられた噂が街中を飛び交う…いつの間にか私は『母を殺した殺人鬼』になっていた、それは良識的であった教会の神父でさえもその噂を信じてしまうほどに

 

 

 不幸が 今度は私を襲ったのだ

 

 

 

 

 

 

 

 母の葬儀から数日後、私は放心状態だった…生きる目的も失い、どう生きて行けば良いのか分からなかったから

 

 生きる目的を求めて家の外を出歩いた事もあった、だが外に出ると街人の視線が私に向けられる…私に怯える人まで出始めていた

 

 

 陰でこそこそと言われた事もあった、最初は気には留めていなかったがある一言が私の心を抉った

 

 

 『あの子は悪魔だ』

 

 

 その言葉を聞いてしまってから私は家から一歩も外に出なくなった、出たく…無かった

 

 

少女『……』

 

 

 母を殺した悪魔、皮肉よね、悪魔を殺した私が悪魔呼ばわりされるんだから

 

 

 希望なんて無い

 

 

 もう母もいない、頼れる人も誰もいない、仕事を依頼してきたあの悪魔の男もいない

 

 

 私は誰からも必要とされていない、消えてしまった方が良い

 

 

少女『……死んだら…お母さんに…会えるかな』スッ

 

 

 私はもう生きていたくなくなった

 

 

 一本のナイフと懐中時計を手に深夜…あの噴水広場に向かった

 

 

 

少女『……お母さん…私…悪魔になっちゃった…』

 

 

少女『そうだよね…思えば私は罪の無い人をたくさん殺したし悪魔のために仕事をしてきたし…お母さんの死に立ち会え無かった』

 

 

少女『私がもっと…もっと側に居てあげていれば…お母さんは死なずにすんだのかなぁ…グスッ…! 悪魔に…出会わなかったら…お母さんは死なずにすんだのかなぁ…グスッ…! うぅ…!』ポロポロ

 

 

少女『もう…もう分からないよ…お母さん…』

 

 

少女『…』

 

 

少女『あはは…私…考えるの…疲れちゃった…』スッ

 

 

少女『……』フルフル

 

 

少女『……』

 

 

少女『…』

 

 

少女『…』

 

 

少女『お母さん』

 

 

少女『今会いに行くね…♪』ニコッ

 

 

 

 グサッ…

 

 

少女『…!』ドサッ

 

 

少女『…』

 

 

少女『…』

 

 

少女『 』

 

 

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜「そう、ここで私は自分で命を絶って死んだ」

 

 

咲夜「……でも私は生きている…幻想郷で毎日を過ごしている」

 

 

咲夜「この後、私は幻想郷に行く筈だけど」

 

 

咲夜「一体どうやって…」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「…」

 

 

 ギュオン…!

 

 

咲夜「!? なっ…!?」ユラッ

 

 

少女『 』ユラッ

 

 

 私と少女は突然地面に開いた穴に落とされた

 

 

 

 

 

 【????】

 

 

 下に向かってゆっくりと落とされている感覚がある

 

 

咲夜「…! !? これは…!? ま、まさか…!」

 

 

咲夜「ゆか…り…?」

 

 

 私は少女の方に目をやる

 

 

少女『 』

 

 

少女『 』ジュウウウウ

 

 

少女『…』

 

 

少女『うっ…』ピクッ

 

 

咲夜「…!? 傷が治ってる…!」

 

 

咲夜「……! 私は…私はまさか…」フルフル

 

 

 

 

 

 

 

 ようこそ私の愛する幻想郷へ

 

 歓迎致しますわ♪

 

 

 

 

 

咲夜「っ…!?」

 

 

少女『……』

 

 

咲夜「! 光…出口…?」

 

 

少女『……』

 

 

咲夜「…!」

 

 

 

 私と少女は光に包まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「うっ……」スッ

 

 

咲夜「ここ、は…」

 

 

咲夜「……そっか…そう言うことだったのね…だからあのとき死にそこなって」

 

 

咲夜「幻想郷に…導かれたのね」

 

 

 

 【幻想郷 紅魔館近辺】

 

 

少女『…んっ…うぅっ…』スッ

 

 

少女『……』パチッ

 

 

少女『……?』

 

 

少女『あ、あれ…? わ、私…死ん…でないの…?』

 

 

少女『……! 傷が…無い…?』

 

 

少女『…ここは天国…?』

 

 

少女『……お母さん…いない…』

 

 

少女『…! あれは…湖…? じゃあやっぱり天国…?』クルッ

 

 

 少女は後ろを振り返った

 

 

少女『!! わぁ…』

 

 

少女『立派なお屋敷…! でも…なんか気味が悪い…』

 

 

少女『…ここ、地獄…?』

 

 

少女『……分からない…でも死んだよね』

 

 

少女『お母さん…この中にいるかな…』

 

 

少女『……行ってみよう…』スッ

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館門前】

 

 

少女『…え?』

 

 

??『くぁ~…♪ かぁ~…♪』zZZ

 

 

少女『門番…さん…? 立ったまま寝てる』

 

 

??『スースー…♪』zZZ

 

 

少女『……綺麗な人…でも変な服…』

 

 

少女『あの…すいません…ここは何処ですか?』

 

 

少女『…あの…』

 

 

??『くぁ~…♪』zZZ

 

 

少女『……起きない…』

 

 

少女『…入っちゃって良いのかな』

 

 

少女『……お邪魔します』ペコッ

 

 

??『スースー…』zZZ

 

 

 

 【紅魔館 中庭】

 

 

少女『…殺風景…何にもない…』

 

 

少女『全体的に赤いな、このお屋敷』

 

 

少女『うん…?』

 

 

 何やら館の中から言い争う声が聞こえる

 

 

少女『! 人が居る…!』スッ

 

 

少女『…!』

 

 

 少女は館の小窓から少し顔を出して中を覗いてみる

 

 

 

???『だから! 何回も言わせないでって言ってるでしょ!?』

 

 

????『それは何回も聞いたぞ? 何回も言わせないでくれ、パチェ』

 

 

???→パチェ『レミィ…! 何時までその運命の日とやらを私は待ってなきゃいけないのよ、これ以上妹様の面倒なんか見きれないのよ!』

 

 

????→レミリア『んふっはっはっは♪』ゲラゲラ

 

 

パチェ『笑って誤魔化すんじゃないわよレミィィ!』

 

 

レミリア『うるさいねぇ、人手が足りないんだろう? なら家にいるメイドから誰か雇えば良いじゃないか』

 

 

パチェ『メイド妖精ごときじゃ使い物にならないって分かってて言ってる?』ギロッ

 

 

レミリア『ありゃ…ダメか』

 

 

パチェ『当たり前でしょ』

 

 

レミリア『う~ん、なら使い魔でも雇えば良いじゃないか、召喚魔法使えるだろう?』

 

 

パチェ『…! レミィにしては良い案を出すわね』

 

 

レミリア『おい、私にしてはとはどういう意味だコラ』

 

 

パチェ『そのままの意味よ、それにしても使い魔か』

 

 

レミリア『魔界から一匹呼び出せば良いだろう?』

 

 

パチェ『はぁ…あのねぇ、簡単に言うけど召喚魔法は失敗することの方が多いの、呼び出して逃げない様に契約させてそいつが使い物にならなかったら処理が面倒で』

 

 

レミリア『召喚魔法よ頼む! 私に従順で本の整理が上手な使い魔を一匹私の元へ寄越してくれー! …じゃダメなのか?』

 

 

パチェ『…』イラァ

 

 

レミリア『パチェ、そんなに怒ると持病の喘息が出るぞ?』

 

 

パチェ『吹き飛ばすわよレミィ』

 

 

レミリア『それだけはやめてくれ、パチェの攻撃魔法は痛い、それに傷の治りが遅いんだ』

 

 

パチェ『有能な司書が一人で良いのよ、はぁ…失敗しなきゃ良いけど』

 

 

レミリア『失敗を恐れていては前に進めんぞ?』

 

 

パチェ『はいはい、じゃあ私は図書館に戻るわね』

 

 

レミリア『あぁ、成功したらその使い魔を私にも見せてくれよ?』

 

 

パチェ『ふふっ、おもちゃじゃないのよレミィ』

 

 

レミリア『んふっはっはっ♪ 分かってるよ、パチェ』

 

 

レミリア『……んー良い月だ、今日は十五夜だっけか? さぁって、月でも見ながらゆっくりワインでも飲むとするかな』

 

 

 

 

 

 

 

 

少女『!!』

 

 

少女『あいつ! あの紫色の方は違うけどあっちは…!』

 

 

少女『爪とあの翼…あいつ悪魔だ…!』

 

 

少女『……』

 

 

少女『そっか…そうだよね…たくさん人を殺した私が天国に行ける訳ないんだ…』

 

 

少女『私は死んで地獄に落とされた…だから普通に悪魔がいるんだ…』

 

 

少女『お母さんにも…会えない…』

 

 

少女『……』

 

 

少女『悪魔…』

 

 

少女『悪魔は…! 私が…!』スッ

 

 

少女『…』

 

 

 少女は館の中に入っていった、一本のナイフと懐中時計を握り締めて

 

 

 

 

 

 

 【紅魔館 玉座の間】

 

 

 少女は玉座の間へと続く扉の影に隠れ、中の様子を伺う

 

 

少女『……!』

 

 

レミリア『う~んやっぱり慣れないねぇ、しかし人間はこのワインが美味しいらしいけど私には薄いジュースにしか感じ……うん?』

 

 

 ギィィィ…!

 

 

レミリア『ん…?』

 

 

少女『……』スタスタ

 

 

レミリア『……』

 

 

少女『…!』ギロッ

 

 

レミリア『……?』

 

 

レミリア『…♪』ニヤッ

 

 

少女『…?』

 

 

レミリア『はっはっは♪ 堂々と入って来て良い目で睨みやがるな! で?』

 

 

レミリア『お前は誰だ?』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『どうやってここまで入って来た、館の者じゃ無いし、外から来たにしても門には美鈴がいただろう? それにメイド妖精達がそこらに居る筈だが?』

 

 

レミリア『まさか…お前みたいなちんちくりんが全員蹴散らして来たとか言わないよな? ふっはっはっは♪』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『…えっ? マジなのか?』

 

 

レミリア『いや待て…メイド妖精ならともかく美鈴に勝てる奴はそうはいないぞ? それにお前…人間か?』

 

 

少女『…!』ピクッ

 

 

レミリア『……人間…まさかこいつが…? …いやいや、まだガキじゃないか、こんなガキが私の運命を』

 

 

少女『やぁぁぁぁ!!』スッ

 

 

レミリア『!』

 

 

 ガキィン…!

 

 

少女『…!?』

 

 

レミリア『話を聞かず、させずに切りかかって来るとは…どんな教育を受けたらそうなるんだお前は、そこら辺の獣と変わらんぞ?』

 

 

少女『! やぁ!』スッ

 

 

レミリア『!』

 

 

 キィン!

 

 

 

 

 また少女はナイフでレミリアに切りかかったが、レミリアは爪を伸ばして受け止め、弾く

 

 

 

少女『くっ…!』

 

 

レミリア『何故そんなに殺意を剥き出しにしているのか分からんが…まぁいいや、暇だったからな』

 

 

レミリア『ほら♪ 遊んでやる、来い♪』スッ

 

 

少女『! ふ…ざける…な…!』

 

 

レミリア『…なに?』

 

 

少女『ふざけるな!』スッ

 

 

レミリア『お!』スッ

 

 

 ガキィン!

 

 

少女『!』キリキリ

 

 

レミリア『そのナイフ捌き、良いねぇ♪ 的確に私の急所を狙おうとしてるな、何処で習ったんだ?』

 

 

少女『くっ…! やぁ!』スッ

 

 

 ヒュッ!

 

 

レミリア『よっと…ただな? かわされても当たらないし防がれても私の急所には届かんぞ?』

 

 

レミリア『良し、次は私から行くぞ♪』スッ

 

 

少女『っ…!』スッ

 

 

 キィンキィン! キィン!

 

 

レミリア『身のこなしも中々だ、人間のガキとは思えんな、それにその動き…! まるで暗殺者だな』

 

 

少女『…!』

 

 

レミリア『戦闘技術は有った方が良いか、うんそうだな、でもそれだけじゃただの獣と同じだ』

 

 

レミリア『おいガキ、お前何か能力は持ってないのか? 持ってるならやってみせろ、出し惜しみはしなくて良いからな』

 

 

少女『! ……』

 

 

レミリア『なんだ? 持ってないのか? はぁつまらんな、手品でもやって見せてくれれば面白いのにな』

 

 

レミリア『仕方ないな、ほら来い、次で終わらせるぞ』

 

 

少女『っ…!』スッ

 

 

レミリア『…! 来い』

 

 

少女『…!』スッ

 

 

 ヒュッ!

 

 

レミリア『!』スッ

 

 

 ガシッ!

 

 

少女『……!?』グッ

 

 

 少女はレミリアに片腕を掴まれていた

 

 

レミリア『惜しかったな、私の懐に潜り込むところまでは良かったが、そこ止まりだ』

 

 

レミリア『身体能力で私に勝とうと思うな、人間では私の速度には追い付けない』

 

 

少女『……!』キッ

 

 

レミリア『…その目、敗北を知らない目だな、それは自信に繋がってくるが』スッ

 

 

少女『…!?』

 

 

 レミリアは少女の額に指を持っていき…

 

 

レミリア『少しは敗北を知れ』グッ

 

 

 中指で弾いた

 

 

 パァン!

 

 

少女『!!』

 

 

 ガッ! ゴッ! ドサッ…!

 

 

 少女はレミリアのデコピンで五メートルほど吹き飛ばされた

 

 

レミリア『…』

 

 

少女『うっ…! げほっ! げほっ! うぐっ…!』フラッ

 

 

レミリア『立ってくるか、既にフラフラだがガッツはあるな』

 

 

少女『はぁ…はぁ…!』

 

 

レミリア『……おい、どうしてそんなに私に殺意を向ける、お前は何が目的なんだ?』

 

 

少女『はぁ…はぁ、くっ…! 黙れ悪魔…!』

 

 

レミリア『…?』

 

 

少女『お前みたいな悪魔がいるから不幸になったんだ! だからお母さんは…! お母さんは死んだんだ!』

 

 

少女『悪魔は許せない! 私が悪魔を全員殺してやる!』

 

 

レミリア『……』

 

 

レミリア『お前の過去に何があったかは知らんが、それはお門違いって言うんじゃないのか?』

 

 

レミリア『この私がお前と、その家族に何かしたか?』

 

 

少女『…!』

 

 

レミリア『悪魔にも色々居るからな、低俗なクズから私や私の妹の様に誇り高い吸血鬼まで幅広く存在している』

 

 

レミリア『お前はそれを全部敵に回すのか? 私も倒せないのにか? お前一人で? 図に乗るな人間のガキ』

 

 

レミリア『お前みたいな奴は早死にする…その早死にをお前の母親は望んでいるのか良く考えろ』

 

 

少女『!!』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『……』

 

 

少女『……』フルフル

 

 

少女『うるさい…』

 

 

レミリア『!』ピクッ

 

 

少女『うるさい…! うるさい…! うるさいっ!』フルフル

 

 

レミリア『……はぁ、聞き分けのない奴…』

 

 

レミリア『運命の人間…お前じゃないのか…ガッカリだよ』

 

 

レミリア『来い、次はデコピンじゃ済まないぞ』

 

 

少女『はぁ…! はぁ…!』スッ

 

 

レミリア『…ん? 何だそれ、時計か?』

 

 

少女『……』スッ

 

 

レミリア『? 目を閉じてどうするつもりだ?』

 

 

少女『時よ……!』

 

 

レミリア『…? 何をしよ』

 

 

少女『止まれっ!』

 

 

 

 

 

 ズォォォォ…!

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『 』

 

 

少女『……これで終わりよ…悪魔』スッ

 

 

レミリア『 』

 

 

 少女はレミリアに近付き、心臓にナイフを突き立て…

 

 

少女『……!』

 

 

少女『動けっ…!』

 

 

 ズォォォォ…!

 

 グサッ…!

 

 

 

 

 

 

レミリア『うとしてい……うん?』

 

 

少女『……!』

 

 

レミリア『!! お前いつのまに……ん!?』

 

 

 少女のナイフはレミリアの左胸に突き刺さっていた

 

 

レミリア『なっ…! ぐっ…!』トサッ

 

 

少女『はぁ…はぁ…』

 

 

レミリア『私に膝をつかせるとはな…人間のガキのクセに中々やるじゃないか♪』

 

 

レミリア『瞬間移動か何かか? それがお前の能力…中々良いもの持ってるな♪』

 

 

レミリア『だが…痛たっ…! この程度じゃ私は倒せないぞ?』スッ

 

 

 レミリアは胸に刺さったナイフを引き抜いた

 

 

少女『!』

 

 

レミリア『さっきも言ったろう? 悪魔にも色々居ると…位もレベルも他を遥かに凌駕する力が私にはあるんだよ、ほら見ろ、もう傷が塞がってるだろ?』

 

 

少女『……』ブルブル

 

 

レミリア『勝てぬと思ったら怯えるか、人間らしいところもあるんだな、どうやら人間臭さは捨ててないらしい…♪』ニヤッ

 

 

レミリア『で…? これで終わりか? その瞬間移動能力の他には何か無いのか?』

 

 

少女『……』ビクビク

 

 

レミリア『……そうか、なら…!』スッ

 

 

レミリア『このナイフ、お前に返すぞ!』ヒュッ

 

 

少女『…!?』ビクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア『…』

 

 

少女『……』ブルブル

 

 

レミリア『…』

 

 

少女『……?』ブルブル

 

 

レミリア『……ほれ』スッ

 

 

少女『…!? えっ…?』ストン

 

 

 レミリアは少女の手を自分の前に優しく引き寄せ、ナイフを返した

 

 

少女『…!? ??』

 

 

レミリア『ん? 何だ不思議そうな顔をして、返すと言っただろう?』

 

 

少女『…! な、何…で…?』

 

 

レミリア『何で? …んふっはっはっはっ! お前…! そこで何でって言うか? んっふふふふ…!』

 

 

レミリア『このナイフはお前の物だろう? だから返したまでだ』

 

 

少女『ど…どうして…! どうしてよ! 私はさっきまで…!』

 

 

レミリア『「お前の命を狙っていたのにどうして」か?』

 

 

少女『…!』

 

 

レミリア『ふふっ、漸く人との会話が出来そうだな、冷静になれるんじゃないか♪』

 

 

レミリア『まぁなんだ、いきなり現れたお前に殺意を向けられ戦い、お前の不思議な能力で刺された…それだけの事だ、驚いたが別に気にしていない』

 

 

レミリア『そして、その戦いの中でお前に興味が湧いた…つまり私はお前の事が気に入ったんだ♪』

 

 

レミリア『……あのスキマ妖怪が言っていた事が本当なのか否か、お前で見極めさせてもらいたい』

 

 

少女『…?』

 

 

レミリア『ふふっ…♪ なぁ、銀髪のガキ』

 

 

レミリア『お前、私に仕える気はないか? 私はお前が欲しい』

 

 

少女『!?』

 

 

レミリア『ん? 良く驚くガキだなぁ、まぁ何事にも興味を沸かせるのは良いことだけどな』

 

 

少女『つ、仕える…?』

 

 

レミリア『そうだ♪ 私に忠誠を誓い、私の側で私の為に働く…ここ紅魔館の一員になる…そういうことだな』

 

 

少女『こう…ま、かん…?』

 

 

レミリア『この館の名前だ、覚えたか? 紅魔館に住むという事は私と共に歩んで行く家族になるという事でもあるな』

 

 

少女『……家族…』

 

 

レミリア『どうだ? 悪い話では無いと思うんだが?』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『……お前がさっき言っていたな、悪魔は全員倒してやると、悪魔が居るから母親が死んだんだと…それに対して私はこう言った、お門違いであるとな』

 

 

レミリア『私は悪魔ではあるが誇り高き吸血鬼だ、お前の過去をいじくり回した低俗なクソ悪魔と一緒にするんじゃない』

 

 

レミリア『もし私に仕えてくれる気があるならお前が自分の身を一人で守れる様になるまで私がお前を守ってやる、約束しよう』

 

 

少女『……!』

 

 

レミリア『と言ってもだ、ここ幻想郷では私は妖怪に分類されるらしいがな』

 

 

少女『妖怪…? げんそうきょう…?』

 

 

レミリア『…? お前、まさか外の世界から来たのか? だとしたら私を知らないのは当然か…好き好んで人間がこの館に忍び込んで来るわけないもんな』

 

 

少女『外の世界…? ここは地獄じゃないの?』

 

 

レミリア『ん? んふっはっはっはっ! 地獄? ここがか? 地獄なら地底深くにあるらしいぞ、ここじゃない』

 

 

少女『私…死んでるんじゃないの…?』

 

 

レミリア『何を言っている、ここにこうして生きているじゃないか、自分の心臓の鼓動が聞こえない訳じゃないだろう?』

 

 

少女『!』

 

 

レミリア『…』

 

 

少女『私…生きてるんだ…』

 

 

レミリア『外の世界の何処で生まれ、何をし、どのように生きてきたか…それは忘れてはならない事だが、ここ幻想郷はどんな事でも受け入れるらしいからな』

 

 

レミリア『お前の過去がどんなに悲惨であろうとも、幻想郷はお前を受け入れた、それは事実だ』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『そして私も…』スッ

 

 

少女『…?』

 

 

 レミリアは少女の目を見ながら言葉を続ける

 

 

レミリア『良く見るとお前は私の妹と同じ目をしているな、孤独を知っている、そしてその辛さと悲しさを知っている目だ』

 

 

少女『…!!』

 

 

レミリア『私の妹も友達の一つや二つ出来れば一皮剥けると思うんだけどなぁ…何時になることやら』

 

 

少女『…?』

 

 

レミリア『ん? あぁ話が逸れたな、それでは…改めてもう一度聞く』

 

 

レミリア『お前、私に仕える気はないか? 私はお前が欲しいんだ』

 

 

少女『!! ……』

 

 

レミリア『……』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『……』

 

 

少女『……』

 

 

 

 

少女『あ、あなたは…!』フルフル

 

 

レミリア『…』

 

 

少女『あなたは! 私が…! 私が必要なんですか…!?』フルフル

 

 

レミリア『…!』ニヤッ

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『……』

 

 

レミリア『何を言っている、さっきの話を聞いてたのか? お前が私に必要だから仕えないかと聞いているんじゃないか』

 

 

少女『!』

 

 

レミリア『必要という言葉が必要なら何度でも言うぞ? 銀髪のガキ』

 

 

レミリア『私には、お前が必要なんだ』ニコッ

 

 

少女『……』

 

 

少女『……』ポロッ

 

 

レミリア『!? お、おぉ!?』

 

 

少女『グスッ…! えぐっ…! グスッ…!』ポロポロ

 

 

レミリア『な、何ぃ!? お、おい! 何故泣く!』

 

 

少女『うぅぅ…! グスッ…! ひぐっ…!』ポロポロ

 

 

レミリア『え、えぇ…ど、どうしろってんだこれは……あ!』

 

 

レミリア『美鈴! 美鈴ちょっと来てくれー!』

 

 

 シーン……

 

 

レミリア『…!』イラッ

 

 

レミリア『めぇーりぃぃーーん!!』ゴォォ

 

 

 ズダダダダ!!

 

 

??→美鈴『は、はいぃ! お呼びでしょうかお嬢様ぁ!』

 

 

レミリア『呼んだら直ぐに来いやぁ! 何をしてたんだ!』

 

 

美鈴『す、すいません…ちょっとウトウトしてって…! えぇっ!?』

 

 

美鈴『ど、どうしたんですか!? 何で泣いてるんです? てかこの子は誰ですか!?』

 

 

少女『グスッ…! うぅぅ…!』ポロポロ

 

 

レミリア『分からん、いきなり泣き出し…うん!? 今ウトウトって言ったか!?』

 

 

美鈴『! い、いえそれは…』

 

 

少女『グスッ…! うぐぅ…!』ポロポロ

 

 

美鈴、レミリア『……』

 

 

美鈴『この子人間じゃないですか、何でここに…というか何をしたんですか?』

 

 

レミリア『何もしてない、ただ「お前が必要だ」と言ったら急に泣き出したんだ』

 

 

美鈴『そんなんでここまで泣かないでしょう、普通』

 

 

レミリア『本当に何もしてないぞ?』

 

 

美鈴『…? あっ! この子おでこ赤くなってるじゃないですか、それにちょっと擦り傷もありますし』

 

 

レミリア『あぁ、それはさっき』

 

 

美鈴『うわぁ…こんな幼い子供を叩いたんですか?』

 

 

レミリア『叩いてない! いいか良く聞け、そもそもこのガキが私にナイフを突き付けて来たのが始まりなんだぞ?』

 

 

美鈴『…』ジトッ

 

 

レミリア『先ずは私を信用しろ! そんな目で見るなぁ!』

 

 

少女『……』

 

 

美鈴、レミリア『!』

 

 

美鈴『あぁごめんね、このお姉ちゃんが怖かったでしょう、でももう大丈夫だからね』

 

 

レミリア『お姉ちゃん言うなコラ』

 

 

美鈴『そういう言葉使いを子供の前でしたらダメなんですよ?』

 

 

レミリア『何がダメなんだ』

 

 

美鈴『怖がられちゃいますよ?』

 

 

レミリア『! ……』ジーッ

 

 

少女『…!』

 

 

レミリア『……怖がってないよなぁ~♪』ニヤッ

 

 

美鈴『…強要』

 

 

レミリア『してなぁーい!』

 

 

少女『……ぷっ…』

 

 

レミリア、美鈴『…!』

 

 

少女『ふふっ、ふふふ…♪』ニコッ

 

 

美鈴『え、えぇ…面白かったです…?』

 

 

レミリア『ふん♪ ほらみろ、全然怖がって無いじゃないか、怖がっていたらこんなに可愛い顔で笑うか?』

 

 

少女『!? …///』カァッ

 

 

美鈴『…この子が強い子だというのは良く分かりました』

 

 

レミリア『そうだな、強くなければ私の側に置こうとは思わないからな、さってと…』

 

 

美鈴『…? えっ? 側に?』

 

 

レミリア『おいコラちんちくりん』

 

 

少女『…!』

 

 

レミリア『ふっ…♪ 良い面構えになったじゃないか…うん? なんか顔が赤いが、大丈夫か?』

 

 

少女『えっあっ…は、はい…///』

 

 

美鈴『お嬢様が泣かせるから…』

 

 

レミリア『うるさいぞ? …さて? 三度目の正直と言う奴だ、次は聞かないからな? …答えてくれ』

 

 

レミリア『お前、私に仕える気はないか?』

 

 

少女『! ……』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『……』

 

 

 

 

少女『あ、あなたが…! あなたが私を必要としてくれるなら』

 

 

少女『私はあなたの側に…! ずっと! ずっと居たいです!』

 

 

美鈴『!』

 

 

レミリア『…! ふっ…♪』ニヤッ

 

 

レミリア『良く言った! 今日からお前は私の従者だ、そして家族だ♪ 良いな?』

 

 

少女『…!』

 

 

レミリア『…返事!』

 

 

少女『は、はい!』

 

 

レミリア『うん、よろしい!』

 

 

美鈴『お、お嬢様…! まさかこ、この子が…?』

 

 

レミリア『まだ分からん、だが…』

 

 

少女『…?』

 

 

レミリア『ここで出会ったのも何かの運命だろう、たまには身を任せてみるとするさ』

 

 

レミリア『ふっ…私らしく無いか?』

 

 

美鈴『ふふっ…♪ いえ、そんなことありませんよ』

 

 

レミリア『…そうか♪』

 

 

レミリア『美鈴、こいつに色々と教えてやってくれ、それなりに知識を身に付けさせてからにしないとな』

 

 

美鈴『はい、分かりました』

 

 

レミリア『後は…自己紹介か? パチェも呼ばないといけないからそれは後にするか…あ、そうだちんちくりん、お前幾つだ?』

 

 

少女『ええと…八歳です』

 

 

美鈴『八か…まだ二桁もいってなかったんですね』

 

 

レミリア『ふーん…名前は?』

 

 

少女『えっと……ル』

 

 

レミリア『あぁ待て待て! 私が新しい名前を付けてやろう』

 

 

少女『えっ…!』

 

 

レミリア『仮にも私がお前の親の様な存在になるんだぞ? 銀髪のちんちくりんでは呼びにくいし、呼びたくないからな』

 

 

少女『……』

 

 

レミリア『…忘れなくて良い』

 

 

少女『!』

 

 

レミリア『お前の本当の名前は忘れなくて良い、心の奥底に閉まっておけ…だが私と共に歩むのなら私から与えられた名前で生きてくれ、紅魔館の一員としてな』

 

 

少女『…! はい…!』

 

 

レミリア『良し♪ う~ん…とは言った物の…どうするかなぁ』

 

 

レミリア『……』

 

 

美鈴『…大丈夫ですか?』

 

 

レミリア『大丈夫だ、変な名前は付けんよ、一生物だからな』

 

 

レミリア『……ナイフの…いやいや…』

 

 

レミリア『……! そうだ、お前月は好きか?』

 

 

少女『は、はい』

 

 

レミリア『そうか! 今日は十五夜だったな…ふむ……それと夜…私の前で命を散らさなかった夜…お?』チラッ

 

 

レミリア『ありゃ、もう日付変わってるじゃないか…じゃあ十六夜になるな』

 

 

美鈴『え、でもまだ十五夜ですよ? 日付変わってもまだ』

 

 

レミリア『……! お! 良し決めた! お前の名前は…!』

 

 

レミリア『十六夜 咲夜 十六夜咲夜だ』

 

 

少女『……いざよい…さくや…』

 

 

レミリア『どうだ? 悪い名前じゃないだろ♪』

 

 

美鈴『えぇ十五夜…はもういいか…ふふっ、その名前、素敵な名前ですね♪』

 

 

レミリア『当たり前だろぉ♪ 私はセンスの塊だぞ? んふっはっはっは♪』

 

 

少女→さくや『……十六夜、咲夜…♪』ニコッ

 

 

さくや『……えへへ…///』テレテレ

 

 

美鈴『ふふっ、気に入ってもらえたみたいですね』

 

 

レミリア『当然だ♪ ……咲夜』

 

 

さくや『!』

 

 

レミリア『これからよろしくな♪』

 

 

さくや『…! はい!』

 

 

レミリア『良し良し♪ じゃあ次は私たちの紹介をしなければな、地下図書館に行くぞ』

 

 

さくや『図書館…?』

 

 

レミリア『私の親友がいるんだ、咲夜にも会わせたい』

 

 

美鈴『それじゃあ行きましょうか、咲夜ちゃん、私達に着いてきてね』スッ

 

 

さくや『は、はい!』スッ

 

 

レミリア『ふっふっふ♪ パチェの驚く顔が目に浮かぶよ』スッ

 

 

 ギィィィ…! バタン…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 過去の私の後ろ姿を見送る

 

 誰もいなくなった玉座の間の中央に私は立っていた

 

 

咲夜「……」

 

 

 こうして私は十六夜咲夜として、紅魔館で生活することになる

 

 お嬢様には名を戴き、私の成長を本当の母の様にずっと側で見守っていてくださった

 

 美鈴には家事全般と武術を教わり、身の回りの世話と自分で身を守る技術を教わった

 

 パチュリー様には幻想郷で生きていくための知識を戴き、私に足りない知恵を授けてくださった

 

 こあと妹様に会うのはまだ先の話だけど二人からも大切な物を戴いた

 

 

 そして十年後…紅霧異変が起き、私は紅魔館の外の世界を知ることになる

 

 それが切っ掛けとなり今の十六夜咲夜が作られていく

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「過去を見るのはこれで終わり…私は元の…皆が待っていてくれる世界に帰らなければならないわ」

 

 

咲夜「でもその前に話をしましょう?」

 

 

咲夜「……もう一人の私…」クルッ

 

 

 私は後ろを振り返る

 

 

さくや『……』

 

 

咲夜「……」

 

 

さくや『気付いてたのね』

 

 

咲夜「えぇ、でも気付けたのは紫の話を聞いてから、そしてこの空間に来たときに確信へと変わった」

 

 

咲夜「偽物の幻想郷で時の繰り返しを起こしていたのはあなたであり、私でもあった」

 

 

さくや『…そこまで気付けているのね』

 

 

咲夜「気付けている理由、あなたなら分かるでしょう?」

 

 

さくや『えぇ』

 

 

咲夜「私はあなたで」

 

 

さくや『あなたは私だからね』

 

 

咲夜「と言っても、あなたは過去の私の弱い部分が私の心の中で闇として具現化した存在」

 

 

さくや『うん、そうだね』

 

 

咲夜「紅霧異変が起きる前の私はお嬢様たちに心を救われた事もあってこう思っていた『紅魔館の家族以外との接触はしたくない』と…紅魔館が全ての私だもの、紅魔館の為に生き、紅魔館の為に死ぬ…そう考えるのは自然だった」

 

 

咲夜「だけどその思いは変わっていく…紅霧異変が起き、霊夢と魔理沙が異変解決に来てからお嬢様が外の人間に興味を持ち、会いに行く迄になった…それに着いていった私も紅魔館の外に興味を持つようになった」

 

 

咲夜「あの二人が来て一番大きかったのは妹様に笑顔が生まれた事、忘れられないわ」

 

 

咲夜「そして私も異変解決に同行するようになり、知り合いが増え、友達も出来…掛け替えのない親友まで出来た」

 

 

咲夜「今の私は一言で言うなら、幸せの一言よ、それ以外の言葉は思い付かないぐらい…幸せなの」

 

 

さくや『……』

 

 

咲夜「でもその幸せの過程には不幸の過去…つまりあなたがいたことは事実、あなたがいなかったら今の私は存在していないから」

 

 

咲夜「私が毎日に幸せを感じている中で、あなたが私の心の中で大きくなっていった…それには気付いていたけど私はその存在を無視していた」

 

 

咲夜「忘れたくない、忘れてはいけない過去なのに無視をした…だからあなたが生まれた」

 

 

咲夜「心の中で闇として生き、私の本体が弱って気を失って倒れたのを気にあなたは私の心の中で隠し続けていた幸せ『紅魔館での幸せな毎日』を時の繰り返しで悪夢として見せ続けた」

 

 

さくや『……そうよ』

 

 

咲夜「その理由は私に気付かせる為…でしょ?」

 

 

さくや『何を?』

 

 

咲夜「鈴仙に昔言われた事を今そのまま言うわ『もっと自分を大切にしてほしい』これが答えよ」

 

 

咲夜「あなたは私の闇の部分で私に悪夢を見せ続けていたけどあれは私が望んだ事があった幸せの一部…言っても分からない…自分を大切にしない奴にはお仕置きをして自分が他の人に大切にされてるって事を気付かせる…これが理由よ」

 

 

さくや『正解よ』

 

 

咲夜「私に過去を見せたのは、あなたを忘れないでいてほしいから…そうよね?」

 

 

さくや『うん…そうだよ』

 

 

咲夜「……」

 

 

さくや『不安だったの…忘れられるのが怖かったの』

 

 

咲夜「……忘れるわけ無いじゃない」

 

 

さくや『……』

 

 

咲夜「過去は辛いことだらけだった、でもあなたの事は絶対に忘れない」

 

 

さくや『…約束してくれる?』

 

 

咲夜「もちろんよ」

 

 

さくや『……じゃあ、はい』スッ

 

 

咲夜「えぇ」スッ

 

 

 私は過去の私と小指を重ねる

 

 

さくや『でも辛いよ? 不幸を思い出すのって』

 

 

咲夜「えぇ辛いわ、でもあなたがいないと今の私はいない…あなたがいて、私がいるの」

 

 

さくや『……ありがとう♪』ニコッ

 

 

咲夜「……どういたしまして♪」ニコッ

 

 

さくや『ふふっ、なんか変な感じだね』

 

 

咲夜「自分に指切りして自分で約束しているからかしらね、ふふっ」

 

 

 過去の私が淡い光に包まれていく

 

 

さくや『…私を思い出すのは時々で良いからね』

 

 

咲夜「…えぇ分かったわ」

 

 

さくや『自分を……もっと大切にしなきゃ…ダメだよ?』

 

 

咲夜「うん、分かってる」

 

 

さくや『帰ったら最初に声を掛けてくれるのは誰かなぁ♪』

 

 

咲夜「私が一番側にいたい人じゃないかしら♪」

 

 

さくや『ふふっ、そうだよね♪』

 

 

咲夜「そうよ、ふふっ♪」

 

 

さくや『…♪』ニコッ

 

 

咲夜「…♪」ニコッ

 

 

さくや『バイバイ…今の私…♪』スッ

 

 

咲夜「ありがとう…昔の私…♪」

 

 

 過去の私は光となって消えていった

 

 

咲夜「……」ポロッ

 

 

咲夜「泣くのは帰ってからにしましょう」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「お嬢様…みんな…」

 

 

 

 

 

 今 帰ります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_______________________________________________

 

 

 

 

 【紅魔館 咲夜の寝室】

 

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「うっ……んんっ…」

 

 

咲夜「……」パチッ

 

 

咲夜(……ここは…)

 

 

咲夜(…あぁ、帰って来たのね…私の時間に…)

 

 

咲夜(……? 左手に違和感が…)スッ

 

 

咲夜「……!?」ビクッ

 

 

レミリア「うぅっ! グスッ…! グスッ…!」ボロボロ

 

 

咲夜「お、お嬢さ」

 

 

レミリア「咲夜ぁ!!」ダキッ

 

 

咲夜「きゃっ…!」ギュー

 

 

レミリア「咲夜ぁ! 咲夜ぁ! 良かった…! 目が覚めたのね咲夜!」

 

 

咲夜「お、お嬢様…い、痛いです…!」

 

 

レミリア「あ、ご、ごめんね…! 強く抱き付いちゃった…?」

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ「レミリア、気持ちは分かるけど咲夜は目が覚めたばかりなんだからね」

 

 

レミリア「わ、分かってるわよ!」

 

 

鈴仙「分かってるなら抱き付くのは後! 退いて、ここからは医者の仕事よ」

 

 

レミリア「う~…」

 

 

咲夜「鈴仙…」

 

 

鈴仙「……まだ寝てなきゃダメよ咲夜、本当に病み上がりなんだから」ゴソゴソ

 

 

咲夜「…」

 

 

鈴仙「はいこれ…飲める?」

 

 

咲夜「え、えぇ…」スッ

 

 

咲夜「んっ…んんっ…んぐっ…!? げほっげほっ!」

 

 

レミリア「ちょっ!? 鈴仙! あなた何を飲ませたのよ!」

 

 

鈴仙「滋養強壮の漢方よ、苦くて当然だわ」

 

 

レミリア「そんな苦いもん飲ませんじゃないわよ!」

 

 

咲夜「い、いいんです、お嬢様…」

 

 

レミリア「! 咲夜…」

 

 

鈴仙「…全部飲みなさい」

 

 

咲夜「え、えぇ…」スッ

 

 

鈴仙「レミリア、フランたちを呼んできたら? 咲夜目が覚めたんだからさ、それに咲夜に色々と説明もしたいでしょ?」

 

 

レミリア「そ、そうね! 咲夜、みんな心配してたのよ、フランもパチェも美鈴もこあも…! 霊夢たちもみんなみんなよ…!」

 

 

咲夜「…!」

 

 

レミリア「待っててね、みんなを呼んでくるから」スッ

 

 

咲夜「は、はい…」

 

 

鈴仙「静かによ! 分かってるわよね!?」

 

 

レミリア「わ、分かってるわよ!」ダッ

 

 

 ガチャッ! バタン!

 

 

鈴仙「こらぁ! 走るな…! って、行っちゃったか…」

 

 

咲夜「…れ、鈴仙」

 

 

鈴仙「……」

 

 

咲夜「怒っ…てる?」

 

 

鈴仙「そりゃ怒ってるわよ」

 

 

咲夜「うっ…」

 

 

鈴仙「前から口酸っぱく言ってきたのにあなたは聞きもしなかった」

 

 

咲夜「き、聞い」

 

 

鈴仙「聞いてても現実で引き起こしたらダメなのよ、どうしてもっと自分を大切にしないの!?」フルフル

 

 

咲夜「…!」

 

 

鈴仙「結果…体を壊して苦しい思いをするのはあなたなんだから…それに…みんなを心配させちゃうんだから…」ポロッ

 

 

咲夜「鈴仙…」

 

 

鈴仙「グスッ…! 咲夜…目が覚めて…! 本当に良かった…!」ポロポロ

 

 

咲夜「…!! ……ごめんなさい…! ごめんなさい…鈴仙…! 私…!」

 

 

鈴仙「謝るなら…! もっと自分を大切にしなさいよ…! 咲夜のバカぁ…」

 

 

咲夜「ごめんなさい…! グスッ…」ポロッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「過労…?」

 

 

鈴仙「そう、あなたは過労で倒れたの、一日ずっと眠ったままだったんだから」

 

 

咲夜「一日……」

 

 

鈴仙「紅魔館の廊下で倒れているところをフランが見つけたらしいの、それで半日は紅魔館のみんなで看病してたんだけど咲夜の体調が一向に良くならない、目が覚めないから私が呼ばれたって訳なの、それで噂を聞き付けた人が集まってきて…」

 

 

咲夜「…そう、だったのね」

 

 

鈴仙「……不思議なのよね」

 

 

咲夜「何が?」

 

 

鈴仙「本当にあなたはただの過労なの、無理をしていたとはいえ師匠が調合した薬を飲んだら過労なんて直ぐに治って目を覚ます筈なのに…」

 

 

咲夜「………」

 

 

鈴仙「でもまぁ良いわ、こうして咲夜の目が覚めてくれたんだからね♪」

 

 

咲夜「! ありがとう、鈴仙」

 

 

鈴仙「ふふっ、それレミリアたちにも言いなさいよ? …私以上に心配してたと思うから」

 

 

咲夜「えぇ、もちろんよ」

 

 

鈴仙(どんなに親しくても家族の絆ってモノには敵わない、何処も一緒よね)

 

 

鈴仙「…あ、不思議な事と言えばもう一つあるの」

 

 

咲夜「なぁに?」

 

 

鈴仙「紫が来てたのよ、まぁ今もいるんだけど…お見舞いかなって最初は思ってたんだけどなんか」

 

 

咲夜「!! ……なんか?」

 

 

鈴仙「ベッドに寝ているあなたの事をジッと見つめて深く考え事をしていたのよね、凄く難しそうな顔をしてたの、霊夢も同じことを言ってたから不思議に思ってね」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(紫…)

 

 

 ドタバタドタバタ!

 

 

咲夜「えっ」

 

 

鈴仙「! 静かにって言ったのに…!」

 

 

 バァン!

 

 

フラン「さーくやー!」

 

 

レミリア「咲夜ー!」

 

 

咲夜「!?」ビクッ

 

 

鈴仙「ストーップ!」

 

 

レミリア「な、何するのよ鈴仙!」

 

 

フラン「退いてよ! 咲夜に抱き付くんだから!」

 

 

鈴仙「抱き付いちゃダメ! 良い!? 咲夜は病み上がりなの、静かにしてなさい!」

 

 

レミリア、フラン「…はぁーい」

 

 

鈴仙「静かに手を繋いであげるなら大丈夫、それなら医者の私も文句言わないわ」

 

 

レミリア、フラン「!」

 

 

フラン「咲夜…」スッ

 

 

咲夜「はい…」

 

 

フラン「心配…したんだよ? すっごく、すっごく心配したんだよ?」

 

 

咲夜「妹様…」

 

 

レミリア「私もよ、咲夜…あなたが倒れたって聞いたとき…私…私…」フルフル

 

 

咲夜「お嬢様…」

 

 

咲夜「……お嬢様、妹様、ご心配をお掛けしました…」

 

 

フラン、レミリア「咲夜…」

 

 

 

 ガチャッ

 

 

霧雨魔理沙「よっ、咲夜、起きたか?」

 

 

博麗霊夢「あら、起きてるじゃない」

 

 

アリス・マーガトロイド「顔色も良さそうね」

 

 

魂魄妖夢「元気…ではないよね、まだ目が覚めたばかりだから」

 

 

東風谷早苗「だからこういう時こそ奇跡の力に頼るべきだったんですよ、一発で治ったと思いますよ?」

 

 

パチェ「奇跡の力に頼るほど家の咲夜は柔じゃないのよ」

 

 

こあ「お嬢様たち、突撃してないですよね…?」

 

 

美鈴「大丈夫みたいですね…ホッ」

 

 

紫「……」

 

 

 

咲夜「…!! パチュリー様、こあ、美鈴…みんな」

 

 

霊夢「あんたが倒れたって聞いたからね、お見舞いよお見舞い」

 

 

魔理沙「おう咲夜、良いもん持ってきてやったぞ、滋養強壮のキノコなんだけどよ、これお前の胃にお見舞いしたら元気になるぜ?」

 

 

早苗「…そのキノコ平気なんですよね?」

 

 

魔理沙「当たり前だろ?」

 

 

霊夢「言い方が不穏なのよあんた」

 

 

魔理沙「本当なんだからしょうがねぇじゃねぇか」

 

 

アリス「胃にお見舞いって言い方はどうもね…お見舞いするなら私と魔理沙の婚姻届だけにしてほしいわね」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜「……」

 

 

アリス「ん? ふふっ♪」

 

 

霊夢「何処に婚姻届をお見舞いすんのよ」

 

 

魔理沙「ん? からのふふっじゃねぇよ」

 

 

咲夜「お見舞いでもぶれないのね、アリス」

 

 

早苗、レミリア、鈴仙、妖夢「ぷふっ…!」

 

 

霊夢「ふっ…♪ 突っ込む元気があるなら大丈夫そうね」

 

 

咲夜「えぇ、まぁね」

 

 

魔理沙「だな♪ ほら、ちゃんとこのキノコも食えよ?」

 

 

咲夜「ありがと、魔理沙」

 

 

アリス「最近寒くなってきたから注意した方が良いわよ? 完璧に見えても意外に見落としてたりするんだから」

 

 

咲夜「…ふふっ、そうね注意しておくわ」

 

 

早苗「本当は私の奇跡で一発で治そうと思ってたんですよ! 咲夜さんが早く治ります様にって!」

 

 

魔理沙「それただの願掛けじゃねぇか」

 

 

早苗「そこに私の能力の力が加わるんですよ」

 

 

咲夜「奇跡…ね」

 

 

早苗「どうしたんですか?」

 

 

咲夜「願掛けでも奇跡って発動するのかもね」

 

 

早苗「…?」

 

 

咲夜「ふふっ、心配してくれただけでも嬉しいわ、ありがと早苗」

 

 

 

 

 

 

妖夢「…咲夜でも過労で倒れたりするんだね」

 

 

咲夜「私だって完璧な人間じゃないからね…」

 

 

妖夢「倒れるまで無理したら駄目だよ…」

 

 

咲夜「私の注意が散漫になってしまったせいなのよ…」

 

 

パチェ「自分を責めるのは良くない事よ、咲夜」

 

 

咲夜「パチュリー様…」

 

 

パチェ「私たちがあなたの体調の変化に気づけなかった…あなたに無理をさせていた…これは私たちが反省しなければいけないことよ、あなたに頼り過ぎていたの」

 

 

咲夜「そ、そんなことは…!」

 

 

レミリア、フラン、こあ、美鈴「……」

 

 

鈴仙「……自分を責めるのは良くないなら、あなたたちが自分を責めるのも良くない事なんじゃないの?」

 

 

レミリア「っ…! でも…!」

 

 

咲夜「……」

 

 

霊夢「あんた達が自分を責め合っても何も変わらないでしょうが」

 

 

咲夜「!」

 

 

霊夢「咲夜が倒れてあんたたちは咲夜のために看病した、それは咲夜に伝わってるし咲夜だってその事に感謝してるし、元気になったんだからもう無茶しないってのも咲夜の中に出来上がってる、それが分からないあんた達じゃないでしょ?」

 

 

レミリア「…霊夢」

 

 

魔理沙「霊夢の言う通りだぜ、このあと謝り合戦始まるんだろ? してたら終わらねぇし前にも進めない、大事なのはこれからどうして行くかだろ?」

 

 

フラン「魔理沙…うん、そうだよ! そうだよね!」

 

 

フラン「私咲夜のために何かしてあげたいの! 何か出来ることないかな?」

 

 

魔理沙「フラン、いきなり言ったら混乱しちゃうぞ? ちょっとは間を開けようぜ」

 

 

フラン「あ、ごめん…」

 

 

咲夜「! ふふっ…」

 

 

紫「そこで家族の善意に遠慮したりしちゃダメよ? そこがあなたの悪い癖なんだから」

 

 

咲夜「紫…!」

 

 

紫「…♪ 咲夜」

 

 

咲夜「…?」

 

 

紫「今日は10月17日よ」

 

 

咲夜「!」

 

 

紫「ふふっ♪ お帰り、咲夜」ニコッ

 

 

 ギュオン!

 

 

咲夜「…ふふっ♪」ニコッ

 

 

魔理沙「…? なんだぁババアのやつ、変なこと言って直ぐ帰りやがって」

 

 

霊夢「…さぁね」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(……私…好きな人達がいるところに…帰って来たのね…)

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜(時の繰り返しの中で私は学んだ…思いを伝える事の大切さを…ここで伝えたらみんなは忘れずにいてくれるわよね)

 

 

咲夜(生きている中の例え小さな出来事でも私にとっては宝物なんだから)

 

 

咲夜「…みんな」

 

 

レミリア達「…?」

 

 

咲夜「お嬢様、妹様、パチュリー様、こあ、美鈴…鈴仙たち…みんなに聞いてほしいんです」

 

 

霊夢「? どうしたの? 急に」

 

 

 

 

咲夜「お見舞いに来てくれてありがとうとか、ずっと看病してくださってありがとうとか…みんなには、言いたい事が山程あるんです」

 

 

咲夜「倒れた事だけじゃなくて、他にも感謝したい事とか色々とあるんですけど、中々言う機会と勇気が無くて…全ての感謝を言葉に出して伝えるという事がまだ出来ていないんです」

 

 

咲夜「でもいつかは一人一人に、私は感謝の言葉を伝えたいんです、小さい事でも大きい事でもです…十六夜咲夜が存在しているのはみんなのおかげだから、倒れたことでそれに気付かされたんです」

 

 

レミリア、美鈴、パチェ「…!」

 

 

咲夜「だから…その…感謝を言う前にみんなには一言、言っておきたい事があるんです、いきなり何を言い出すんだと思われても構いません、でも言わせてほしいんです」

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「私はみんなに…みんなに会えて本当に良かった、私の事を想ってくれている人がこんなにもいることが私は嬉しいです」

 

 

咲夜「私はそんなみんなの事が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「大好きです♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【真実は二人の時の中で】

 

 

 

 過労で倒れてから三日後、私は紅魔館の時計台に呼び出されていた、私を呼び出した相手は…

 

 

咲夜「話ってなんなのかしら」

 

 

咲夜「紫…」

 

 

紫「……」

 

 

紫「ふふっ♪ ほら、あなたにとって都合の良い八雲の紫さんから言われたでしょ?」

 

 

咲夜「…!」

 

 

紫「真実…何でも話してあげるわよ、咲夜」

 

 

紫「ただあなたの心の中で起きた時の繰り返し異変の事はもう聞かないでよ? あなたが解決したんだから、もうそれについては決着ついているんでしょう?」

 

 

咲夜「えぇそうよ、私は自分で自分に決着をつけたの」

 

 

紫「そう、だからあなたは私の愛する幻想郷に帰ってこれた」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「さてさて、あなたは何を私に聞くつもりなのかしらねぇ♪」

 

 

咲夜「…二つ…聞きたい事があるわ」

 

 

紫「あら二つだけでいいの?」

 

 

咲夜「充分よ」

 

 

紫「それじゃ、どうぞ?」

 

 

 

 

 

咲夜「一つ…私を幻想入りさせたのはあなたよね?」

 

 

紫「……そうよ」

 

 

咲夜「私を…生き返らせてまで?」

 

 

紫「まだ死んでいなかったわ、私はあなたの傷の境界をいじって治療しただけよ」

 

 

咲夜「……何のために幻想入りさせたの?」

 

 

紫「レミリアにあなたの事を気に入らせるため」

 

 

咲夜「…!?」

 

 

紫「そういう意味では私はあなたの事を利用した事になるわね」

 

 

咲夜「……」

 

 

咲夜「二つ…その気に入らせるってやつの延長にあるんでしょうけど、お嬢様と美鈴、パチュリー様たちが私に言っていた運命と言う言葉…あなたに関係あるの?」

 

 

紫「大有りね」

 

 

咲夜「…教えて」

 

 

紫「……少し、昔話をしましょうか」

 

 

咲夜「…?」

 

 

紫「あなた吸血鬼異変って知ってる?」

 

 

咲夜「……何百年も前に外の世界からやってきたお嬢様が幻想郷を支配しようとしてやったって言う…」

 

 

紫「そうそれ、詳しい経緯は省くけど…もう本当にね、今考えると信じられないぐらいカリスマがバリバリに出てた頃のちんちくりんお嬢様のお話よ」

 

 

紫「ちんちくりんのカリスマにやられたのか殆どの妖怪がレミリアに寝返っちゃってね、レミリア達吸血鬼の暴走を阻止するため、当時の博麗の巫女と私たち幻想郷の賢者とその他力のある妖怪達で、吸血鬼達に戦いを挑んだ…今考えると小さい戦争に匹敵するわね」

 

 

紫「戦ってる最中に私とレミリアが一騎討ちすることになってね、戦ったのよ? レミリアと一対一で」

 

 

紫「ちんちくりんの癖に偉そうに~! って思った私はレミリアの事をこてんぱんにしてやったのよ♪ それはもう完膚なきまでに、オホホホ♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「……勝った私はレミリアに止めを刺そうとしたんだけど刺せなかったの」

 

 

咲夜「…?」

 

 

紫「倒れているレミリアの目をジーッと見て分かったんだけど素質があったのよ」

 

 

咲夜「素質…?」

 

 

紫「人間を大好きになる素質」

 

 

咲夜「!」

 

 

紫「……私も人間が大好きだから分かるのよ、レミリアは私とおんなじ考えを持つ妖怪になるって分かったの」

 

 

紫「だから私はレミリアを見逃した…意味深な言葉をアイツに残してね」

 

 

紫「いつかあなたの運命を変え、導いてくれる人間が現れる…とね」

 

 

紫「賭けだったけど物の見事に信じてくれたわ…昔のレミリアが大好きだった言葉の運命が効いたのかしらね♪ ふふっ♪」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「そして異変は終息…数百年後に舞台は移りレミリアの前にあなたは現れる、そして現在へ」

 

 

咲夜「そうか、あなたが私を利用したってそういう事ね…」

 

 

紫「私は運命を信じて待っているレミリアに人間の良さを知ってほしいと願ったの」

 

 

紫「ただあのレミリアに気に入られるには相当な実力を持った人間じゃないといけない…だから私は特異な能力を持っていて幻想入りしても問題ないあなたを選び、紅魔館の近くに幻想入りさせた」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「これも正直賭けだった、けどあなたはレミリアに気に入られ、今がある」

 

 

咲夜「……」

 

 

紫「……」

 

 

咲夜「…それじゃあ私はあなたに救われた事になるのかしらね」

 

 

紫「私はあなたを利用した事実があるのよ? それなのに…」

 

 

咲夜「私があなたに救われたって思っているんだから救われたで良いじゃない」

 

 

紫「!」

 

 

咲夜「……誰からも必要とされない孤独の世界から私を救ってくれたのはあなたよ、紫」

 

 

咲夜「お嬢様たちからは生きる希望をもらったけど、切っ掛けはあなたが作った…作ってくれた」

 

 

咲夜「だから…私を救ってくれてありがとう、紫」

 

 

紫「……」

 

 

紫「神隠しにお礼を言うなんてね…♪ あなたが初めてかも」

 

 

咲夜「あら、それは光栄ね♪」

 

 

紫「都合の良い私から聞いたかもしれないけど、霊夢と魔理沙…二人と同じようにあなたを特別視してしまっている自分がいるのよ、勝手ながらあなたが困っていたら助けたくなってしまう…だから私はあなたが自分の心の中で闇に蝕まれているって分かったときにあなたを助けるために都合の良い私とコンタクトを取って助けるように言ったの」

 

 

咲夜「…」

 

 

紫「お節介だった?」

 

 

咲夜「そんなこと思ってる訳ないでしょ」

 

 

紫「そ♪ 良かった♪」

 

 

咲夜「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

紫「咲夜、私からも聞いて良いかしら」

 

 

咲夜「何?」

 

 

紫「あなたは私が愛する幻想郷が…好きかしら」

 

 

咲夜「…! ふふっ、愚問ね」

 

 

咲夜「家族がいて、親友がいて、友達がいる…この幻想郷を嫌いになんてなれないわ」

 

 

咲夜「大好きよ」

 

 

紫「…♪ そ♪」ニコッ

 

 

咲夜「えぇ」

 

 

紫「ふふっ、さて…♪ これで問答タイムは終わりよ」

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「ふふっ、またね…ルーナ♪」

 

 

咲夜「なっ…!? あ、あなた何でっ…!」

 

 

紫「ゆかりんは何でも知っている…じゃあまたね、十六夜咲夜♪ ふふっ♪」スッ

 

 

 ギュオン!

 

 

咲夜「……まったく、普通に帰れないのかしら」

 

 

咲夜「……ふぅ」

 

 

咲夜「朝の日差しが心地いわね♪ ふふっ♪」

 

 

 

 

 

 おしまい♪

 

 

 






 ここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪


 後半少し失速してます、無理矢理感が強いかも…本編がかなり長くなってしまったので、後書きもここまでにしておきます。 

 咲夜の本名は特に意味は無い…かもしれません

 昔のレミリアはカリスマがバリバリ出てますが、この時の彼女はまだ人間の良さに触れたばかりなのでこんな感じになってます。



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ゆかりんクイズ! 鈴仙・優曇華院・イナバの200のコト  前編



 鈴仙の200のコト! 始まります!



 先ずは読者の皆様に謝辞と感謝を


 読者の方からの沢山の投稿、もう何年も経ってしまっていますね…色々と書きたい物があったりして私情と私事で後回しにせざるを得なかったりしてしまいました、早く書けずに申し訳ありませんでした。

 そして沢山の問題のご投稿、本当にありがとうございました、皆様からいただいた問題は全てこの物語で出そうと思います♪




 以下、読者の皆様にゆかりんクイズシリーズを読んでいただく時の注意事項になります。

 このシリーズの前日談である『ゆかりん閃いた!』を読んでいただくと話の背景が分かるようになってます、お暇でしたら目を通してみてください。


 一人に付き三話を予定しております。クイズを前編後編、そしてそのキャラの日常を書いていこうと思います。

 独断と偏見、そして自己解釈が多いです。

 一部、読者の方にとっては不快な問題がある場合があります。

 ここの幻想郷の住人たちは冗談を笑って言い合えます。

 募集させていただいた方の質問の望んでいる解答と私の解答が意にそぐわない場合があります。


 『ボケ、ツッコミと依姫よっちゃん意外と器用』

 『最初に月の民である依姫に突っ掛かってしまう妖怪さんが二人ほどいらっしゃいますが温かい目で見守ってあげて下さい』



 また活動報告にて【魂魄 妖夢の200のコト!】 の質問を募集しておりますので詳しくは活動報告にて、こちらもよろしくお願いいたします♪




 それでは始まります♪





 

 

 ここは幻想郷の賢者であるスーパー美少女、幻想郷の管理人である八雲紫が作り出したあるスキマ空間

 

 

 この空間には幻想郷の河童軍団が夜なべして作り上げたバラエティ番組のセットがある、誰が呼んだかスキマスタジオ

 

 

 そんなスキマスタジオにてまたあの娯楽が始まろうとしている

 

 

 さぁそこの幻想少女達! 問題を解こう!

 

 解いて解いて解きまくるのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

河城 にとり「レディース&ジェントルマーン!! 幻想郷のみんな! 元気にしてるかーい!」

 

 

にとり「司会はこの私! 山童よりも懐事情が潤っているでお馴染みの河城にとりだよ♪ えっ? 本当に山童より潤っているのかって? 本当は山奥の方がビジネスが盛んなんじゃないかって?」

 

 

にとり「盟友さぁ…分かるだろう!? 私はたかねよりも商売が上手いんだ! 私よりもちょっと言葉使いが丁寧だからと言って売り上げが上がる訳ではないんだぞ!? 需要と供給からなる河童の売り上げ舐めんなよ~!」

 

 

にとり「さて! 前置きはさておき今回のスキマスタジオで行われるのはこれだっ!」

 

 

 

 バーン!!

 

 

 

 

にとり「ゆかりんクイズ! 鈴仙・優曇華院・イナバの200のコト!! わっほーい!!」パチパチ

 

 

 

 

にとり「元月の兎さん! 現在は地上の月兎さんである幻想郷の頼れる薬師……薬師…? 薬師でいいか! 私の個人的な戦友! 鈴仙・優曇華院・イナバ~!! 苦労人と言えば鈴仙って名前が出てくるぐらい幻想郷では割りと有名だけど果たしてどうかな~!? 私生活は永遠亭を中心に回っているけど活発に幻想郷を動き回っているみたいだから思わぬ難問が飛び出して来るかもね♪ まさかまさかの狂気な解答が!? おぉこわいこわい♪」

 

 

にとり「まだまだ止まらねぇぜぇ! この五人を忘れちゃならねぇ! 鈴仙の答えを予想して解答してもらうのはこの少女たちさ! 全く幻想郷ってのは最高だぜ! ……あ、関係ない? んじゃ左から紹介していきま~す!」

 

 

 

 

にとり「実は結構鈴仙と仲が良いよね♪ 博麗霊夢ー!」

 

 

 

 

博麗 霊夢「昔さぁ何故か鍋の話で結構盛り上がったのよね…あぁ今回もよろしく、頑張るわね」

 

 

 

 

 

にとり「今回は二人の漫才みたいな掛け合いは聞けないね~、霧雨魔理沙ー!」

 

 

 

 

霧雨 魔理沙「あれは漫才っつーかツッコミが二人であることが問題だな…まぁ私はボケも出来るけどな♪」

 

 

 

 

にとり「鈴仙の親友! 親友ったら親友なんだ! 今回の優勝候補かもね! 十六夜咲夜ー!」

 

 

 

 

十六夜 咲夜「ふふっ♪ えぇ、いつまでも親友でいたいわ♪ ……! よ、よろしくお願いいたしますわ♪」

 

 

 

 

にとり「何であの時挑戦的な見た目って言ったのか未だに謎だよね~! レミリア・スカーレットー!」

 

 

 

 

レミリア・スカーレット「…? 私なんでそんなこと言ったんだっけ? う~ん…? ……あっ!! よ、よろしく! 今回も楽しむわ♪」

 

 

 

 

にとり「よーし! 珍解答とか面白解答も見処だからゆっくりチェックしていってね♪」

 

 

にとり「そしてこの番組は、セット照明カメラ等は河城工房河童協会が…問題文企画構成は幻想郷の伝統ブン屋が…その他諸々の事は八雲家の可愛い仲間達の提供でお送りしております!」

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア「……あれ?」

 

 

 

 

にとり「ほんじゃ始めていこうか! ゆかりんクイズ! 鈴仙・優曇華院・イナバの200のコト!! はっじまっる」

 

 

霊夢、咲夜、魔理沙、レミリア「ちょっ…! 待て待て待て!」

 

 

射命丸 文「あやや、どうしたんですか?」

 

 

にとり「……おいこらぁ~! 四回目だぞ四回目!! ま~た文句か!?」

 

 

魔理沙「いや文句じゃないんだよ、単なる疑問だぜ」

 

 

レミリア「そうよ、このまま司会進行させてたらその疑問がどっかに行っちゃいそうだったもの」

 

 

文、にとり「……はて?」

 

 

霊夢「『はて?』じゃないでしょ? 今回は四人でやるの?」

 

 

魔理沙「いつも五人でやってたから何か違和感あるぜ」

 

 

レミリア「確かに」

 

 

咲夜「にとり、あなた最初の紹介の時にも五人って言ったわよね? 何で五人しかいな」

 

 

文、にとり「ふっふっふっ……♪」

 

 

咲夜「…何? 二人して」

 

 

文「いやぁ気付いてしまいましたか」

 

 

にとり「伊達に何百問も解いてないね」

 

 

霊夢「それ関係ある?」

 

 

魔理沙「つーかお前らなんか企んでないか? わざとらしい触れ方してるよな」

 

 

にとり「いや~企むだなんてとんでもない♪ ね、文♪」ニヤニヤ

 

 

文「はい♪」ニヤニヤ

 

 

霊夢「あんたらニヤケ顔がさぁ」

 

 

咲夜「企んでるじゃない」

 

 

レミリア「? な、何かしら♪ 面白い事企んでいるのなら早く教えなさいよ」ワクワク

 

 

文「ふっふっふっ♪ 実はですねぇ♪」

 

 

にとり「今回は何とぉ…!」スッ

 

 

 ジャジャーン!

 

 

にとり、文「四回目にして初! スペシャルゲストが来ていまーす!」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア「す、スペシャルゲストー!?」

 

 

にとり、文「イェーイ♪」グッ

 

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア「……」

 

 

魔理沙「って誰だよ」

 

 

霊夢「特別な奴って事よね」

 

 

レミリア「スペシャル? この私がいる時点で充分スペシャルじゃない」

 

 

文、にとり「そういうのいらないです」

 

 

レミリア「しっつれいねあなたたちぃ!!」

 

 

咲夜「……? ねぇ、誰にとって特別なの?」

 

 

魔理沙「どういうことだ?」

 

 

咲夜「ほら、この企画にとってなのか鈴仙にとってなのか…それとも私達にとってなのかも」

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア「あ~…」

 

 

咲夜「企画だと紫? それとも藍かしら」

 

 

魔理沙「企画者が自ら答えに来るのか?」

 

 

咲夜「紫と鈴仙って仲が良いみたいなのよ、あり得るんじゃない?」

 

 

レミリア「鈴仙にとってだと……誰?」

 

 

咲夜「鈴仙に関係があるのなら輝夜や永琳でしょうか」

 

 

レミリア「あぁ、なら因幡てゐと藤原妹紅も入るわね」

 

 

魔理沙「でもスペシャルって感じはしねぇな、普通にゲストとして来るだろ」

 

 

咲夜「う~ん…そうよね」

 

 

レミリア「この私が普通に呼ばれている時点でね!」

 

 

文、にとり「だからそういうのいらな」

 

 

レミリア「うるっさいわねぇ!!」

 

 

霊夢「………」

 

 

霊夢「……あ」

 

 

魔理沙、咲夜、レミリア「うん?」

 

 

霊夢「……依姫…?」

 

 

魔理沙「はぁ!?」

 

 

咲夜「えぇっ!?」

 

 

レミリア「いいっ!?」

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア「………」

 

 

四人「ないないないないないない…!」ブンブン

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア「…!!?」

 

 

四人「いやいやないないないないないない!」ブンブン

 

 

 

魔理沙「お前流石に月の民はないだろ~!」

 

 

レミリア「えぇ、あの紫が呼ぶと思えないもの」

 

 

霊夢「そうよね、流石に月の民大嫌いの紫が呼ぶわけない…わよね」

 

 

咲夜「何で依姫だと思ったの?」

 

 

霊夢「ん? 勘よ」

 

 

魔理沙「勘かよ」

 

 

レミリア「霊夢の勘は確かに凄いけど今回ばかりは外れでしょうね♪」

 

 

魔理沙「お前の場合『外れてほしい』だろ? バシュッゴオオオでカリスマブレイクがまた」

 

 

レミリア「それ辞めなさいよ魔理沙ぁ!!」クワッ

 

 

咲夜「……ねぇ、本当に誰なの?」

 

 

霊夢「どうせ呼ぶんだったら早く呼んでよ、もうどっかにいるんでしょ?」

 

 

文「! はい分かりました♪ にとりさん」

 

 

にとり「おう! そんじゃこっから登場してもらおうか! 紫、頼むよ~!」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア(スキマが開いて…?)

 

 

にとり「よし、司会の調子で……ん''ん''っ」

 

 

 

にとり「ゆかりんクイズ初登場! 堅物に見えるけど柔軟な発想で答えを導き出してくれるかもね!」

 

 

 カツンカツン

 

 

霊夢「ん、足音が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にとり「綿月依姫ー!!」

 

 

霊夢、咲夜「え」

 

 

魔理沙「はぁ!?」

 

 

レミリア「っ!!?」

 

 

 

 カツンカツン

 

 

綿月 依姫「……」スッ

 

 

依姫「ま、まぁその…よろし」

 

 

レミリア「出ぇたぁぁぁぁ!!」カリスマブレイク!

 

 

依姫「!?」ビクッ

 

 

魔理沙「ま、マジかよ…まさか本当に来るとは」

 

 

咲夜「驚いた…勘、当たったわね霊夢」

 

 

霊夢「ふっ♪ …あ、これポイントにならないのよね」

 

 

咲夜(気になるとこそこ?)

 

 

レミリア「何でよ! 何であなたがここに来るのよこらぁ! 私が納得出来る説明は用意してあるんでしょうね!?」

 

 

依姫「わ、私だって来たくてこんなところに来た訳ではないんだ!」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜「え?」

 

 

にとり「こんなところだぁ!? 河童の技術の結晶が詰まってるこのスタジオをこんなところ呼ばわりしやがっ」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

八雲 藍「みんな少し落ち着いてくれ…! 紫様! だからあれほど始まる前に説明した方が良いと」

 

 

八雲 紫「これが本当のサプライズじゃない♪ あのよっちゃんがクイズ大会に飛び入り参加よ?」

 

 

藍「だからこそ説明するべきなんですよ、スペシャルゲストなんて初めての試みなんですからね!」

 

 

紫「なんてったってあの月の民だもんねぇ…♪ 霊夢、それからみんなも驚いてくれた?」

 

 

魔理沙「おう、不覚にもビックリしちまったぜ」

 

 

咲夜「私も…思わず大声を出してしまったわね」

 

 

紫「ふふっ♪ でしょう?」

 

 

霊夢「まさかあんたが月の民を連れて来るとはね」

 

 

紫「あなたに驚いてもらうために私頑張ったのよ霊夢ぅ~♪」

 

 

霊夢「はいはい」

 

 

咲夜(一体何を頑張ったのかしら)

 

 

レミリア「ゆ、紫! 何でこの月の民がスペシャルゲストなのか説明してよ!」

 

 

紫「あら、よっちゃんがゲストなのが不服なの?」

 

 

レミリア「不服って訳じゃないんだけどさぁ!」

 

 

依姫「…前に博麗神社で会ったときも思ったんだが、何故私に怯えながら突っ掛かって来るんだ」

 

 

レミリア「不意に太陽神を降ろして来そうで怖いのよ!」

 

 

依姫「いきなりそんなことするわけない! 戦いに来てる訳じゃないんだからな!」

 

 

霊夢「怖がってる所そこなんだ」ヒソヒソ

 

 

魔理沙「『バシュッゴオオオ』のトラウマ有ってのモンなんだろうな、私達にはよく分からん感情だ」ヒソヒソ

 

 

咲夜「お嬢様、そんなに身構えなくとも大丈夫ですわ、前に妹様がお世話になりましたし依姫は話の分かる者だと思います」

 

 

レミリア「う~……うん、まぁなんとなく分かってはいるんだけどさぁ…」

 

 

依姫(そんなに天照大御神の光が嫌だったのか…)

 

 

レミリア「悪かったわね、ちょっと取り乱して」

 

 

依姫「良い、気にしてないからな」

 

 

レミリア「……まぁスペシャルゲストっていうのは分かったけどちゃんと説明してよ、どうして依姫なの?」

 

 

紫「さぁってねぇ~♪ 何であなたがゲスト何だっけね~♪ よっちゃん?」

 

 

依姫「っ! 貴様っ…」プルプル

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア「…?」

 

 

紫「ふふん…♪」スッ

 

 

 

紫「大丈夫よ、これが終わったら後で人質……いや『ハム質』にしてるあなたの大事な大事なジャンガリアンハムスターちゃんはちゃんと返してあ・げ・る♪」ヒソヒソ

 

 

依姫「貴様ぁ…! 私のレイナに指一本でも触れるなよ…! 約束だからな八雲紫…!」ヒソヒソ

 

 

紫「大丈夫よ、八雲紫の名を持って約束してるんだからね」ヒソヒソ

 

 

依姫「くっ…!」

 

 

 

霊夢「…? ねぇ紫」

 

 

紫「! まぁ……アレよ、私のちょっとした気紛れと優しさなの♪」

 

 

魔理沙「気紛れと優しさぁ?」

 

 

紫「そ♪ ほら、このクイズ大会ってさ…出題者の事を良く知ろう! って側面もあるじゃない?」

 

 

魔理沙「んまぁ確かにな」

 

 

紫「鈴仙の事をもっと知りたいんじゃないかと思って…ね♪」

 

 

依姫「…?」

 

 

咲夜「? よく永遠亭に来るんでしょ? 知ってるんじゃないの?」

 

 

紫「多少は知ってるでしょうけどね、でもさっき聞いたんだけど咲夜が鈴仙の親友だってことすら知らなかったわよ」

 

 

霊夢「えっ、そうなの?」

 

 

依姫「あぁ、聞く機会が無いからな」

 

 

依姫「私達姉妹とレイセンは八意様に会いに地上に降りている…鈴仙の身辺を根掘り葉掘り聞くという行為事態、思ってもみなかったな」

 

 

紫「月にいたときの鈴仙の事は永琳より詳しいけど現在の鈴仙の事は永琳と輝夜の方がより詳しい、敬愛する八意様のずっと近くにいて苦労しつつもいつも笑顔で居続けることが出来るあの子の事…もっと知りたくならない?」

 

 

依姫「…!」

 

 

依姫「……相変わらず口の減らない妖怪だな、全く」

 

 

紫「お~っほっほっほ♪ 私には褒め言葉ですわ♪」

 

 

依姫(本音と真意は分からないが嘘ではなさそうだな)

 

 

霊夢「じゃああんた参加するのね」

 

 

依姫「! あぁ、さっきは言いそびれてしまったな…よろしく頼む」スッ

 

 

霊夢「えぇ、よろしく♪」

 

 

魔理沙「おう、正解数で競い合ってるとはいえ楽しもうぜ」

 

 

咲夜「前に会ったときにも言ったけど私達の事ちゃんと名前で呼んでよ?」

 

 

依姫「ふっ…♪ あぁ分かった」

 

 

レミリア「よろしくね…♪ って言いたいところなんだけど私の隣に座るの?」

 

 

霊夢「そこしか席空いてないじゃない」

 

 

依姫「…? どうかしたか?」

 

 

レミリア「……座ってる最中に感情が昂って太陽神を降ろし」

 

 

依姫「そんなことはしないから安心してくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりん、優しくルール説明!】

 

 

紫「堅物なよっちゃんにも分かりやすくちゃんと説明してあげるから心して聞いてね♪」

 

 

依姫「誰がよっちゃんだ、それと堅物でもない」

 

 

魔理沙「あいつって咲夜以上にツンツンしてる武人ってイメージがあるんだが実際どうなんだ?」ヒソヒソ

 

 

霊夢「まぁ普段はそんな感じだけど意外とそうでもないわよ? 私が月で色々会話してた時に団子食べて恍惚な表情したり可愛い小動物に目がなかったり」ヒソヒソ

 

 

咲夜「へぇ…って私武人じゃないわよ」ヒソヒソ

 

 

レミリア「そ、そんな一面もあるの? 人は見かけによらないのね」ヒソヒソ

 

 

紫「霊夢達には一応説明するけど大丈夫よね♪」

 

 

霊夢「四回目だしね」

 

 

魔理沙「出突っ張りだからなぁ♪」

 

 

咲夜「私も…そうね」

 

 

レミリア「あっ! あのさぁ! 咲夜が出題者だった時に何で私を呼ばなかったのよ! 普通呼ぶでしょ!?」

 

 

魔理沙「家族呼んだら流石に出来レースになっちまうだろ?」

 

 

レミリア「鈴仙は出てたって聞いたわよ! しかも優勝したとも聞いたわ!」

 

 

魔理沙「いや親友はノーカウントだろ、てかお前そんなに出たいのかよ」

 

 

レミリア「えぇ出たいわよ! みんなと居られて楽しいし問題解くの面白いし何より霊夢と一緒だもの♪」

 

 

依姫(発想が子供の様だな…館の当主だと聞いていたが柔軟な考えを持っているからこその発想か)

 

 

霊夢「私がどうとかは置いといてあんた早苗並みにこの娯楽を楽しんでいたのね」

 

 

咲夜「お嬢様はどんなことに対しても全力で興じるのよ、素晴らしいですわ♪」

 

 

レミリア「当然よ♪ 流石咲夜分かってるわね♪」

 

 

紫「ふふっ♪ さて…」

 

 

紫「ここは私のスキマ空間の中にあるクイズ大会の会場よ、まぁ地上とかではないからあなたの嫌う穢れとかは心配しなくてもいいんじゃない?」

 

 

依姫「…まぁ別に気にしていない」

 

 

霊夢(穢れか…私も月にちょっといたときに軽く月の民に説明されたけどいまいちよく分からなかったのよね、穢れっていう概念というか存在そのものが…まぁ私には関係ないわね、興味もないし)

 

 

紫「あなた達にはクイズの解答者になってもらうわ、出題されるのは鈴仙の事に関する200問の問題…先ずは別室にいる鈴仙に質問をする、まぁ質問と言う名の問題よ、それをあなた達に出題する形になるわね」

 

 

依姫「なるほどな…しかし200問とはかなりの数だな」

 

 

レミリア「やっぱり200って結構多いわよね」

 

 

魔理沙「解き続けて慣れたお陰か感覚が麻痺してるのかもしれないな」

 

 

紫「そしてあなたたちは鈴仙が何と答えるかを予想して解答する、解答はその電子版に書いてね♪」

 

 

依姫「…? あぁこれか」スッ

 

 

レミリア「字、書けるでしょ?」

 

 

依姫「うん……? ふむ、月の団子屋で使う電子タブレットと似てい」

 

 

にとり「あぁん!?」ズイッ

 

 

依姫「!? な、なんだ?」

 

 

にとり「ふっざけんなよぉ…!? 何が電子タブレットだ! これは河童の技術の賜物なんだぞ!? 一緒にされちゃあ困りますねぇ!?」

 

 

霊夢「にとり、あんためちゃくちゃ私怨入ってるわよ?」

 

 

にとり「だって月の技術と一緒にされ」

 

 

依姫「凄いな…」

 

 

にとり「!」ピクッ

 

 

依姫「驚いた、地上にも月と似た……いや月にも勝るとも劣らない物を作れる技術者がいるんだな、これはお前が?」

 

 

にとり「おっ…!? お、おう! 我々河童の技術の結晶だ」

 

 

依姫「素直に感心したよ、地上の技術者も侮れないな♪」ニコッ

 

 

にとり「お、おう……おう」

 

 

にとり「…」

 

 

にとり「おぉう…?」

 

 

文「褒められてるんですよにとりさん」

 

 

魔理沙「ふははっ…! 何だその反応は」

 

 

依姫「何故不思議そうな顔をする」

 

 

霊夢「あんたが意外な事を言ったからよ」

 

 

依姫「…? ただの本心なんだが」

 

 

にとり「な、なんだよぉ…/// て、照れるじゃないか…///」カァ

 

 

依姫「さっきまでキレていたのにどうしたんだ…?」

 

 

咲夜(もしかして依姫って結構天然なのかしら)

 

 

レミリア「あなた機械得意なの?」

 

 

依姫「そういうわけではないが凄まじい技術の機械その物には関心はある、だが技術者の方に興味が向くことの方が多いかもな」

 

 

魔理沙「あぁそれ分かるぜ♪ 『こいつ頭の中どうなってんだよ』とか思うことあるもんな」

 

 

依姫「あぁ、そういう感じだな♪」

 

 

霊夢(そういや月にいたときもノリノリで月の機械の解説してきたわね、季節制御装置を作ったのは誰~とかラビットメガホン銃を作ったのはあの人で~とか)

 

 

紫「あら♪ 幻想郷の技術者を褒めてくれるのね♪ 嬉しいわ」

 

 

依姫「貴様の事を褒めた事は一度もないがな」

 

 

紫「むっ…! 本当に可愛げがないわね、よっちゃん」

 

 

依姫「誰がよっちゃんだ」

 

 

藍「ごほん……五人の解答が出揃ったら答え合わせをする、鈴仙に直接その問題である質問を聞いて答えてもらう形となる、それが五人に出された問題の正解になるんだ、全員の解答は一度みんなの目の前にあるこの巨大モニターに出される」

 

 

藍「鈴仙は別室にいる、モニターに映してみよう…にとり」

 

 

にとり「あ、あいよ~♪」ピッ

 

 

 

 

 

 

鈴仙・優曇華院・イナバ『……』キョロキョロ

 

 

鈴仙『すぅ~…はぁ~……ふぅ…』

 

 

 

 

 

 

魔理沙「なんか落ち着きがねぇな」

 

 

咲夜「緊張しているみたいね、ウサ耳がピーンと立ってるし」

 

 

レミリア「緊張しているというか警戒してない?」

 

 

霊夢「…ふふふっ♪ あんたが急に来て脅かして来るとか思ってそうね」

 

 

紫「後ろから音もなく現れて抱き着いてやろうかしら♪」

 

 

咲夜「辞めてあげて…悲鳴を上げると思うわよ」

 

 

依姫「うん? 和室の畳じき、長もののちゃぶ台に見覚えのある湯呑み、鈴仙が正座している下に敷かれているあの座布団……まさか永遠亭の一室か?」

 

 

紫「を真似して作った空間よ♪」

 

 

依姫「それもお前が?」

 

 

にとり「いんや、紫が作った空間に紫が部屋を拵えたのさ、あれぐらい自分でやるからってさ」

 

 

依姫「……そうか」

 

 

紫「私が作ったと知った途端にガッカリするんじゃないわよぉ!」

 

 

依姫「別にガッカリなどしていないだろうが!」

 

 

紫「顔に露骨に出てるのよ! …あっ! あれでしょ!? 永遠亭と見まごうばかりの出来に感心したけど製作者の名前を聞いて『聞かなきゃよかった…』とか思ったんでしょ!」

 

 

依姫「そ、そんなことは」

 

 

紫「余裕のよっちゃんらしく素直に私を褒めなさいよぉ!」

 

 

依姫「よっちゃんを辞めろぉ!!」

 

 

霊夢、レミリア、魔理沙「んはははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ふふふっ♪ 楽しそうに喧嘩するのね」

 

 

魔理沙「はははっ…♪ お前ら実は仲良いな?」

 

 

紫、依姫「良くないっ! 誰がこんな奴ぅ!」

 

 

霊夢「あんたら息ピッタリじゃない」

 

 

藍「ゆ、紫様…! 落ち着いて下さい」

 

 

紫「……んむぅ~」プクー

 

 

依姫「ふんっ…」プイッ

 

 

藍「話を戻すが…鈴仙は解答者五人の事は把握している、そして鈴仙の声はこちらに聞こえるが解答者であるお前たち五人の声は鈴仙には聞こえない様になっている」

 

 

依姫「なるほど…独特なクイズ形式なんだな」

 

 

魔理沙「早苗がいたらまた再現率がどーたらとか言うんだろうな」

 

 

レミリア「そういえばさ、スペシャルゲストである依姫のことも鈴仙は知ってるの?」

 

 

藍「あぁ、ちゃんと伝えてあるぞ」

 

 

 

 

 

 

鈴仙『……ん~んん~…! ……はぁ~…!』ノビー

 

 

鈴仙『ん~……まだなのかなぁ、早く始めてほしいなぁ』

 

 

 

 

 

咲夜「少しは緊張も解れて来たかしらね、鈴仙♪」

 

 

魔理沙「てか何で緊張してるんだ? 咲夜の時にクイズの流れは理解した筈だろ」

 

 

霊夢「もしかしたらあんたがいるからじゃない?」

 

 

依姫「私か?」

 

 

咲夜「あり得るかも…あなたって鈴仙の上司だったんでしょう?」

 

 

魔理沙「お、それ前に霊夢から聞いたな」

 

 

レミリア「えっ!? そうなの!?」

 

 

依姫「あぁ、そうだ」

 

 

依姫「鈴仙は元々は私達のペット、つまり私達は元飼い主で月では上司でもあった」

 

 

依姫「だが今はそんな間柄ではなく単なる元部下と言うだけ…月で暮らしていたときは色々とあったがな、月を飛び出して地上に降りた罪ももう時効扱い……ふっ、遠い遠い昔の話さ」

 

 

魔理沙、レミリア「ほぇ~…」

 

 

咲夜「…鈴仙を月に戻したいって思わないの?」

 

 

依姫「思わないな……私自身も、そしてお姉様も今後そんな事は思わないだろうな」

 

 

霊夢「それは永淋も関係してんの?」

 

 

依姫「…! ……そう、なんだろうな…うん」

 

 

咲夜(……なんかほっとしたわ…鈴仙がいきなりいなくなったら嫌だもの)

 

 

魔理沙「そんな元上司の事を鈴仙本人はどう思ってるんだろうな」

 

 

依姫「鈴仙が私の事を、か…」

 

 

レミリア「気になるんじゃないかしら? 月での詳しい上下関係は分からないけど元部下が思うあなたのこと」

 

 

依姫「……まぁ気にならないと言えば嘘になる」

 

 

文「なら本人に答えてもらいましょう♪ その類いの質問、問題にして紫さんに渡してありますよ♪」

 

 

紫「まぁ鈴仙自身がなんて答えるかはあの子次第だけどねぇ♪」

 

 

依姫「……」

 

 

依姫(鈴仙の直近が気になっていただけなのにこうも私の中で話が飛躍するとは)

 

 

依姫(この訳の分からんクイズ大会で鈴仙が周りに対して思っていることを知る事が出来るのだろうか…私はそれを知りたがっている…? 何のために…? 八雲紫が言っていたように八意様の為…?)

 

 

依姫(……それとも私自身が鈴仙に対して何か思う所があるのか…? 自分が気付いてない何かが私に…)

 

 

依姫(……)

 

 

依姫(鈴仙、今のお前は今の私をどう思う)

 

 

魔理沙「てか今回の優勝賞品はなんなんだろうな」

 

 

咲夜「鈴仙がくれるものねぇ…私は何でも嬉しいけど想像がつかないわね」

 

 

レミリア「お薬セットとか地味に嬉しいわね♪ …にがーい漢方とかはイヤだけど」

 

 

霊夢「! 苦いと言えばあれよねぇ、期待してるわよ鈴仙♪」

 

 

魔理沙「……間違ってもセンブリ茶セットを優勝賞品には出さねぇと思うぞ」

 

 

霊夢「え~…」

 

 

魔理沙「勘弁してくれよ、アレを平気な顔して飲めんのお前だけだったんだぞ?」

 

 

霊夢「私が飲むから良いじゃない♪ 私専用にするから」

 

 

魔理沙(神社行ったら不意にセンブリ出されそうでこえぇんだよなぁ…)

 

 

紫「…♪ さてと、始めるわよ~♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 【もう少しルール説明!】

 

 

 

 

藍『あーテステス……ただいまマイクのテスト中…みんな、聞こえているか?』

 

 

 

 

レミリア「バッチリよ、聞こえてるわ♪」

 

 

 

 

藍『よし、私が問題を読み上げる天の声こと八雲藍だ、また200問という長い戦いが始まるがお互い頑張ろうな』

 

 

 

霊夢「えぇ、でも今回はのんびりやれそうじゃない?」

 

 

魔理沙「またアリスいねぇからなぁ♪」

 

 

レミリア「ぷっ…♪ ちょ、ちょっと居てほしかった私がいるわね」

 

 

咲夜「ふふっ…♪」

 

 

依姫「…?」

 

 

 

 

藍『よろしく頼むぞ♪ いつもの事だが100問終わったら一旦休憩を挟む、能力は一切禁止だ』

 

 

 

依姫(ん? なるほど休憩があるのか、流石に続けて200問も解かないか)

 

 

レミリア「神降ろしがクイズの役に立つのかしら?」

 

 

魔理沙「神に解答を聞くのか? それとも神に解答を導いてもらうとかか」

 

 

依姫「…罰当たりだな、そんなことを神に頼まなくても自力で解答を導きだしてみせるさ」

 

 

咲夜「あなたってクイズとか得意な方なの?」

 

 

依姫「クイズか…よく輝夜が私に仕掛けてくるなぞなぞ等の謎かけは苦手だが、月で出される問題は得意だ」

 

 

魔理沙「月でのクイズってのは何だ?」

 

 

依姫「っ…! まぁその…何だ…うぅんと」

 

 

霊夢、レミリア、咲夜、魔理沙「…?」

 

 

依姫「ぎょ、玉兎の間で流行っている物のクイズ…! そう! そういうクイズをたまに玉兎達が私に出して来ることがあってな、そういう物は得意なんだ」

 

 

レミリア、咲夜「へぇ~…」

 

 

魔理沙「玉兎の間で流行ってる物…?」

 

 

霊夢「団子とか? まさかそん」

 

 

依姫「そ、そうだ! 団子屋のクイズとかがあるんだ、正解するとオマケになったりしてな、ははは…」

 

 

霊夢「…」

 

 

依姫(あ、危ない危ない…可愛い小動物の小物グッズクイズをやったなんて恥ずかしくて言えるわけがない)

 

 

霊夢(……依姫、あんた何か隠してるわね、まぁどうでもいいけど)

 

 

魔理沙「ほ~ん…やってる事は私達とそんなに変わらねぇんだな」

 

 

咲夜「確かに、清蘭と鈴瑚の清鈴屋だったかしら…あそこでたまにやってるわね、キャンペーンだとかなんとかで」

 

 

レミリア「どんなクイズを出されるの?」

 

 

咲夜「『あなたは今日何人目のお客様でしょう』とか『この団子の中身は何でしょう』とかですね」

 

 

魔理沙「あいつら絶妙に当てんの難しい問題出してくるよな」

 

 

咲夜「そうね、まぁ詳しくは分からないけど当たったらちょっと得したぐらいが商売としてはちょうどいいんじゃないかしら」

 

 

レミリア「霊夢だったら一発で当てられそうね♪ あなたの勘は凄まじいもの♪」

 

 

霊夢「ん~…でも私そんなに団子食べないわよ?」

 

 

魔理沙「問題外さないってのは否定しないのか」

 

 

霊夢「だって当たっちゃうんだからしょうがないじゃない」

 

 

咲夜「一度でいいから言ってみたいセリフね…」

 

 

魔理沙「私は毎日でも言いたいぜ♪」

 

 

依姫「? なら霊夢は全問正解してしまうのではないか?」

 

 

霊夢「いや…これがそうでもないのよね」

 

 

依姫「そうなのか」

 

 

魔理沙「流石に200回も勘が発動するのはな、霊夢だけの出来レースは勘弁な」

 

 

文「勘なだけに♪ ですね♪」

 

 

霊夢「別に上手くないわよ? 文」

 

 

文「おお、手厳しい手厳しい♪」

 

 

にとり「ははっ…♪ そんじゃ、いっちょ始めて行こうかー♪」

 

 

魔理沙、レミリア、霊夢、咲夜「おー♪」

 

 

依姫「…!? ……お、おー……///」カァ

 

 

依姫(い、意外と恥ずかしい…/// 霊夢達と波長を合わせていかないと駄目…だよな、うん)

 

 

 

 

 

 

 【本番スタート!!】

 

 

 

 

 【第1問】『うどんの、好きな食べ物は?』

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア「んふははははっ…!!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ぷふっ…! あっふふふふ…!」プルプル

 

 

依姫「うん…? お、おい…うどんとはどういう」

 

 

魔理沙「や、辞めろお前言うな…くっ…! あっはははっ!」ゲラゲラ

 

 

霊夢「うどんって…! うどん……くっふふふっ!」

 

 

レミリア、咲夜「あっふふふふふ…!」プルプル

 

 

魔理沙「何で…はははっ…! 何でお前『博麗の~霧雨の~メイド長の~』と来ていきなり『うどん』になるんだよ」

 

 

霊夢「も、もう人ですらないじゃない…! はははっ…!」

 

 

咲夜「ふふふふっ…! れ、鈴仙呼びで来ると思ってたから不意をつかれたわ」

 

 

レミリア「あははっ…! わ、私もよ咲夜」

 

 

依姫「……? ?? おい、何故鈴仙の事を名前でちゃんと呼ばない」

 

 

 

藍『説明は省くがこれは紫様の指示なんだ、あまり深く考えずにいた方が良いぞ』

 

 

 

依姫「なんなんだその謎のルールは…」

 

 

依姫「……それと何がそんなに可笑しいんだお前たちは」

 

 

魔理沙「いやだってお前よ、不意討ちに不覚にも笑っちまったがよく考えてみろ、字面がやべぇだろ? 鈴仙じゃなくて『うどんの好きな食べ物』だぞ?」

 

 

依姫「…」

 

 

咲夜「ちょっ…魔理…! ……ぷっ…くっふふ…!」

 

 

魔理沙「食べ物の好きな食べ物って言葉おかしいだろ」

 

 

霊夢、レミリア「あっははは…!」

 

 

依姫「……」

 

 

依姫「…………ぷっふふふっ…」プルプル

 

 

魔理沙「な? わ、笑うだろ…? はははっ…!」

 

 

依姫「い、いや…あはははっ…! そ、想像したら笑いが込み上げて…ふふふふっ…!」

 

 

レミリア「ははっ…そ、そろそろ書かないと始まらなくなっちゃうわね…!」

 

 

依姫「れ、鈴仙の好きな食べ物を書けばいいんだよな」スッ

 

 

霊夢「そ、そうよ、さっさと書きましょ」スッ

 

 

魔理沙「薬味、油揚げ、天ぷら、とろろ、卵、山菜、餅…うどんさんはどれが一番好きなんだろうな」

 

 

咲夜「それうどんのトッピングじゃない!」

 

 

霊夢、レミリア、魔理沙、依姫「はははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ふっ…! も、もう笑わなくなってきたわ」プルプル

 

 

魔理沙「体小刻みに震えてねぇかぁ♪」

 

 

咲夜「だ、大丈夫よ! 鈴仙…そう鈴仙の事を考えればいいんだから」カキカキ

 

 

依姫「くっ…! そ、そうだ鈴仙だ…うどんという言葉に惑わされるから可笑しく感じてしまうんだ」カキカキ

 

 

レミリア「うどんでこんなに笑ったの初めてだわ…」カキカキ

 

 

霊夢「……ふははっ…! あんた解答でうどん系の食べ物書くの辞めなさいよ?」カキカキ

 

 

魔理沙「さぁどうだろうなぁ♪」カキカキ

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

 

霊夢《三色団子》

魔理沙《ゴマ団子》

咲夜《きな粉餅》

レミリア《お餅》

依姫《きな粉餅》

 

 

 

 

魔理沙「おぉ良かったなぁ麺類が解答に出なくて♪」

 

 

霊夢「本当に良かったわよ、まだ一問目なのにこれ以上うどんで笑わせられたら堪ったもんじゃないし」

 

 

レミリア「ふくくっ…! お、お餅かお団子になったわね」

 

 

依姫「一緒になったな、自信があるようだが」

 

 

咲夜「えぇ、私の親友の好きな食べ物…当てて当然だもの♪」

 

 

魔理沙「食べ物と親友とか…虚しくなってくるな」

 

 

霊夢「ははははっ…!」

 

 

咲夜「鈴仙よ! 鈴仙! 何処に食べ物と親友になる人がいるのよ魔理沙ぁ!」

 

 

魔理沙「うはは♪ 悪い悪い♪ 冗談だぜ♪」

 

 

レミリア「食べ物とはお友達になりたくないわね、付喪神みたいな感じで出会ったとしてもなんか嫌よねぇ」

 

 

霊夢「食べ物の付喪神は流石にいないわよ」

 

 

魔理沙「いたらこえぇよ、腐ってそうで」

 

 

霊夢「長年大切にされ過ぎて食べられなかった食べ物ってわけか」

 

 

レミリア「カビが生えてそう…ばっちぃわねぇ」

 

 

依姫「…」

 

 

依姫(鈴仙に親友、か…昔では考えられないな)

 

 

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙の好きな食べ物は?』

 

 

鈴仙『へ? え、えぇ…こんな始まり方するの?』

 

 

鈴仙『咲夜も唐突にやられてたの思い出したわ、始めるなら始めるって言ってよね、もう…』

 

 

鈴仙『あ、え~っと好きな食べ物よね! 好きな食べ物…うーん…』

 

 

鈴仙『……あ、こっちにしよ』

 

 

鈴仙『きな粉餅よ♪』

 

 

 

 

 咲夜、依姫、正解!!

 

 

 

依姫「ふっ♪ 当たったな♪」

 

 

咲夜「当然ね♪ 正解したわよ、鈴仙♪」

 

 

魔理沙「…つーかあいつ何かと迷ってなかったか?」

 

 

レミリア「こっちにしよって言ってたわね、団子と迷ったのかしら」

 

 

霊夢「まさか自分がうどん呼びされているのを察知して麺類を除外したとか?」

 

 

魔理沙「流石にうどん呼ばわりされてるのは気付かんだろお前じゃあるまいし」

 

 

レミリア「というか鈴仙は麺類の食べ物は好きなのかしら」

 

 

咲夜「人里のお食事所で月見そばを食べているのを見たことがあります」

 

 

レミリア「あ、そばは食べるのね」

 

 

魔理沙「共食いはしない主義なんだな」

 

 

霊夢「ぷふっ…! うどんがうどん食べるなんてどうかしてるわね」

 

 

依姫「それ以前に言葉として成立してないと思うのだが」

 

 

 

 

 

 【第2問】『うどんの、血液型は?』

 

 

レミリア「! ふんふふんふふーん♪」カキカキ

 

 

魔理沙「出たな、カリスマへのサービス問題」

 

 

依姫「サービス問題?」

 

 

魔理沙「一応吸血鬼だからな、臭いで分かるんだと」

 

 

レミリア「一応は余計よ!」

 

 

依姫「なるほどな…しかし玉兎の血液の臭いは他の種族と比べてどうなんだ、何か違いを感じるのか?」

 

 

レミリア「そうねぇ…♪ なんかこう人間と違って柔らかい感じで妖怪と比べるとサラサラしてるのよね」

 

 

依姫「ほう、そうなのか」

 

 

霊夢「……違いというか意味が全く分からないんだけど」

 

 

魔理沙「肉の話に聞こえるんだが」

 

 

レミリア「ぎょ、玉兎なんて食べれる訳ないでしょ!」

 

 

咲夜「そうよ! 鈴仙を食べるなんて愚かな行為をするぐらいなら因幡てゐを食べるべきよ!」

 

 

魔理沙「てゐは食っていいのかよ!?」

 

 

文「因幡の白兎、食べられる…!? こ、これは」

 

 

霊夢「あんたそれ記事にするの絶対辞めときなさいよ?」

 

 

依姫「…」

 

 

依姫(前に八意様から野生の兎肉をご馳走されたが何とも言えぬ気持ちになってしまったな…味は美味しかったが)

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《O型》

魔理沙《B型》

咲夜《A型》

レミリア《A型》

依姫《A型》

 

 

 

魔理沙「あっ! 外しちまったぜ」

 

 

霊夢「え、あいつもA型なの?」

 

 

レミリア「そうよ♪ 霊夢と咲夜とお揃いね♪」

 

 

咲夜「あなたはともかくとして、鈴仙と一緒なのは嬉しいわ♪」

 

 

霊夢「むぅ…ねぇ、私と鈴仙って似てる所ある?」

 

 

依姫「ふむ、どうだろうな」

 

 

咲夜「真面目な所とか?」

 

 

魔理沙「それA型のお前らと共通してる所かもな」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙の血液型は?』

 

 

鈴仙『! ふふん、実は咲夜と一緒のA型なのよ♪』

 

 

鈴仙『それとね、やろうと思えば私と咲夜は輸血し会う事だって出来るのよ♪ Rh因子も一緒だから血球異常が起こる心配も無いし玉兎だろうが人間だろうが大丈夫なのよね♪』

 

 

 

 咲夜、レミリア、依姫、正解!!

 

 

 

魔理沙「最後の豆知識はなんなんだよ」

 

 

レミリア「なんかRhがどうとかってパチェがここで言ってた様な…」

 

 

咲夜「アリスが魔理沙の血液型問題の時に落とした爆弾解答でしたよね」

 

 

霊夢「あぁ何で知ってるのかってなった奴ね、アレは恐怖だったわ」

 

 

レミリア、咲夜「確かに…」

 

 

魔理沙「…あー?」キョトン

 

 

依姫「…」

 

 

依姫(医術の知識、八意様から直々に伝授してもらっているんだったな……いつも八意様のお側で、か)

 

 

依姫(そんな鈴仙を羨ましいと思った事が何度あった事か…)

 

 

 

 

 

 【第3問】『うどんの、一番好きなあだ名は?』

 

 

 

依姫「これは…うむ、簡単だな♪」

 

 

レミリア「えっ? そ、そう?」

 

 

咲夜「お嬢様、鈴仙と永琳が会話をしている所を思い浮かべれば自ずと答えが浮かぶかと思われます」

 

 

レミリア「うん? う~………! あっ!」

 

 

レミリア「ふふっ♪ ありがとう咲夜♪」

 

 

依姫「しかしあだ名と言うべき物だろうか、八意様は親しみを込めてそう呼んでいる筈だ」

 

 

魔理沙「おっそうなのか、なら私が紫の事をあだ名で呼んでいるのと一緒の理由ってことか♪」

 

 

霊夢「ババア呼びに親しみを込めてたんかい」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《うどんげ》

魔理沙《うどんげ》

咲夜《うどんげ》

レミリア《ウドンゲ!》

依姫《うどんげ》

 

 

 

魔理沙「揃ったな、まぁ一度は聞いた事があるよな」

 

 

レミリア「親友じゃなくても答えられる問題だものね」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙の、一番好きなあだ名は?』

 

 

鈴仙『これは…! ふふっ♪ まぁあだ名というか私の名前の一部だしね♪ 私の一番好きなあだ名はうどんげ、よ♪』

 

 

鈴仙『あっ! でも師匠以外からはうどんげって呼ばれたくないし、みんなもそう呼ばないでね!』

 

 

紫『何故?』

 

 

鈴仙『! まぁ……い、いいじゃない、別に…』

 

 

紫『……?』

 

 

 

 全員正解!!

 

 

 

魔理沙「うっしゃ♪ やったぜ♪」

 

 

霊夢「やっと当たったわ、鈴仙の問題って結構難しいかも…」

 

 

レミリア「…? ねぇ咲夜、あなたは鈴仙の事をあだ名で呼んだりしないの?」

 

 

咲夜「はい、鈴仙自身が『鈴仙って呼んでほしい』と頼んで来たので」

 

 

レミリア「ふーん…親友同士ならあだ名は付け合う物だと思うけどまぁ人それぞれよねぇ」

 

 

魔理沙「てかあいつうどんげって呼ばれたく無いのか、何でだ?」

 

 

依姫「八意様からいただいた特別なあだ名だから…だろうか、それならば納得はいくが」

 

 

咲夜「それと関係あるかは分からないけど『優曇華院』って名前は永琳から名付けられたっていうのは聞いたわね」

 

 

レミリア「えっ、そうなの!?」

 

 

霊夢「なら拘りはありそうね」

 

 

魔理沙「そういうのを聞いてれば大切な物だってのは理解出来るなぁ、名前ってのは一生物だしな」

 

 

咲夜「…! そうね」

 

 

咲夜(大切な人から与えられた名前…お互いに大切にしていきたいわね♪ 鈴仙)

 

 

 

 

 

 

 【第8問】『うどんが、一番嫌だった悪戯は?』

 

 

 

霊夢「鈴仙ってよく悪戯されてるわよね」

 

 

依姫「輝夜と因幡てゐにされているのをよく見かける、輝夜には可愛いと済まされるレベルの悪戯だがあの兎からはかなり過激な悪戯をされているな」

 

 

魔理沙「永琳にもされてねぇか? 薬の実験体にされてそうだし」

 

 

依姫「あれは……悪戯と言うよりは八意様からのお仕置きに思えるな、仕事でミスをしたときにやられてる様な」

 

 

レミリア「それを聞くと周りが敵だらけに感じるけど鈴仙的にはどうなのかしら」

 

 

咲夜「苦労の連続、度重なる悪戯…しかしそんな事があったとしても居心地は良いと感じる日々だそうですよ?」

 

 

レミリア「そうなの? まぁ鈴仙の家族だし、自分がいいならそれでいいけどね♪」

 

 

魔理沙「うーん…しっかし悪戯の頻度ならてゐが一番だろうな」

 

 

咲夜「てゐなら落とし穴かしら、かなりの頻度で落とされてるみたいだけど」

 

 

レミリア「それが答えなら簡単だけど…うーむ」

 

 

依姫「……毎度毎度高度な落とし穴を掘って作り、対象を正確に罠に嵌める謎の技術は何なのだろうか」

 

 

霊夢「完成度高いの?」

 

 

依姫「前にお姉様が驚愕していたな、掘ってあるのに気付かなかったと」

 

 

霊夢「豊姫が? へぇ……うん? 気付かなかったって事は」

 

 

依姫「お姉様も落とされてしまったんだ…」

 

 

霊夢「えぇ…」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《てゐの落とし穴》

魔理沙《輝夜のお茶目な悪戯》

咲夜《てゐの落とし穴》

レミリア《てゐの落とし穴》

依姫《因幡てゐからの落とし穴》

 

 

 

 

霊夢「お茶目な悪戯って何よ」

 

 

魔理沙「からかいレベルの話だな、口達者の輝夜ならやりそうだろ?」

 

 

依姫「容易に想像出来るな」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙が一番嫌だった悪戯は?』

 

 

鈴仙『悪戯ぁ!? くぅぅっ…お、思い返すだけでも何個も何個もあるわね…めっちゃ悪戯仕掛けられてるし』

 

 

鈴仙『でもそうね一番…一番って考えると』

 

 

鈴仙『………』イラッ

 

 

鈴仙『ふっ……あのね、てゐにやられた悪戯なんだけど』

 

 

鈴仙『シャンプーの中身を溶かした石鹸の液に変えられてた』

 

 

紫『あぁ…地味に嫌な悪戯ね』

 

 

鈴仙『もう最悪だったわ…一日髪と耳毛がゴワゴワベタベタしてたから外に出歩けなかったし、それでてゐを問い詰めたら『使う前に確認しない方が悪いウサァ!』って反省しやがらないしで…正直、正直よ?』

 

 

鈴仙『その時ほんのちょっとだけてゐに殺意を覚えたのよね』

 

 

紫『時が少し経てば収まる一時の殺意って奴よね、気持ちは分かるわよ』

 

 

鈴仙『うん本当にそんな感じ……はぁ~…』

 

 

 

 

 

 全員不正解!!

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア、依姫「えぇ…」

 

 

魔理沙「割とエグい悪戯だったなぁおい」

 

 

レミリア「落とし穴が可愛く思えて来たわね、それも嫌だけどさ」

 

 

霊夢「そんなことばかりされてもへこたれない鈴仙…強いわね」

 

 

依姫「昔から忍耐力はあったが益々鍛え上げられた様だな…別の意味で、だが」

 

 

咲夜「鈴仙、愚痴なら何時でも聞くからね」

 

 

霊夢「あんたと喋ったりするのが癒しになってるのかもね」

 

 

咲夜「! えぇ、そうだといいわね♪」

 

 

咲夜(あなたも溜め込まずに私にストレスを吐き出してね、私なりに力になるわ)

 

 

 

 

 

 【第15問】『うどんは、同じ女性として親友の咲夜の何処を尊敬する?』

 

 

 

咲夜「! え、えぇ…///」カァッ

 

 

魔理沙「ふははっ…! まだ答えてないのに何で照れてんだよ」

 

 

咲夜「だ、だって…/// 今から鈴仙に言われるし鈴仙の答え予想して私が書くのよ? なんか…うぅん…///」

 

 

霊夢「珍しいわね、あんたが照れんの」

 

 

魔理沙「な、貴重だぜ、ちゃんと撮っとけよにとり」

 

 

にとり「うへへへ♪ ちゃ~んと撮ってますぜぇ♪」

 

 

咲夜「なっ…!? ……んもぅ…///」カァッ

 

 

レミリア「文、いい問題ね♪ 鈴仙が私の咲夜の何処を尊敬しているのか私も気になるわ♪」

 

 

文「ふっふっふ♪」ニヤリ

 

 

依姫「親友への尊敬か…師弟関係や上司とは違った気持ちになるだろうな」

 

 

霊夢「自分の家族には抱かない感情かしらね」

 

 

魔理沙「女性としてってのもポイントだよなぁ?」ニヤニヤ

 

 

咲夜「何で私に聞くのよ…///」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《女子力の高さ》

魔理沙《女子力の高さ》

咲夜《ストイックなところ…?》

レミリア《全部よ♪》

依姫《従者としての風体》

 

 

 

 

霊夢「あ、やっぱり女子力?」

 

 

魔理沙「鈴仙の身になってもこれが来るよなぁ、女子力の高さがよ」

 

 

咲夜「それはどうなのかしらね…」

 

 

レミリア「何をしても完璧な咲夜を尊敬する気持ちは分かるわよ鈴仙! 瀟洒なところも含めて全部よ全部!」

 

 

咲夜「お、お嬢様…! 恐悦至極でございますわ」

 

 

依姫「前に話をしたときに咲夜の従者としての心構え云々の会話から答えを導き出した、鈴仙はどう思っているかは分からんが共に上司がいる身だ、そこを尊敬するのではないだろうか」

 

 

咲夜「仕事場での心構えって事ね、そこを尊敬されると見てくれているって気持ちが伝わって嬉しいわ」

 

 

魔理沙「どれかは当たってそうな気はするなぁ」

 

 

レミリア「紫! 早く早く!」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙は同じ女性として親友の咲夜の何処を尊敬する?』

 

 

鈴仙『!? そ、尊敬…!? 尊敬かぁ……な、なんか照れるなぁこの質問…///』カァッ

 

 

鈴仙『咲夜の何処を尊敬…咲夜の……咲夜のねぇ…』

 

 

鈴仙『……んふふっ♪ もう、もうね? 尊敬って言葉なんかじゃ言い表せないぐらい尊敬してると思う、咲夜のレミリアに対する姿勢も見習いたいし料理の腕前とかも凄いって思うし、気配り上手で瀟洒でストイックでカッコいいし、あんなに仕事してて弱音を一つも吐かないところも尊敬してるし…いやそこは私に少しは相談してほしいなって思ってるんだけどね、えへへへ…♪』テレテレ

 

 

鈴仙『だから何処を尊敬してるかって聞かれたら…』

 

 

鈴仙『……うん、もう全部だと思う、咲夜のこといっぱいい~っぱい尊敬してる、これはずっと変わらないよ♪』

 

 

鈴仙『これからもずっとあなたの事を尊敬してるからね♪ 咲夜♪』ニコッ

 

 

紫『ふふっ♪ そう♪』ニコッ

 

 

 

 レミリア、正解!!

 

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア「おぉ~…♪」

 

 

依姫「ふっ…♪」

 

 

咲夜「っ…!? ……///」ボフン

 

 

霊夢「ふふっ♪ 咲夜、全部らしいわよ♪」

 

 

レミリア「さっすが咲夜の親友だけあるわね♪ 何だか私も嬉しくなっちゃうわ♪」

 

 

魔理沙「私達が考えてたことを纏めて来やがったとはなぁ♪ まぁ親友ならそりゃあそう答えるか」

 

 

依姫「照れがあったが屈託の無い笑顔での解答だ、本心以外の何者でもないだろうな」

 

 

咲夜「ちょっ…! そん……鈴仙そんな…うぅ…///」カァッ

 

 

咲夜(そんな事言われたら嬉し過ぎて胸が熱くなっちゃうじゃない…///)カァッ

 

 

霊夢「あんた、スッゴい顔赤いわよ♪」

 

 

魔理沙「珍しいな、熱でもあるんじゃないのか♪」

 

 

咲夜「うるっ……さいわねぇ…! っ…! …んもぅ…///」カァッ

 

 

レミリア「ふふっ♪」ニコッ

 

 

依姫「ふっ…」

 

 

咲夜(鈴仙、私だってあなたの事をどれだけ…)

 

 

依姫(………尊敬、か)

 

 

 

 【第19問】『うどんの、今だから言える失敗談は?』

 

 

魔理沙「アレだろ、私に変装を見破られた事♪」

 

 

咲夜「あぁ人里で薬を売るための変装ね、人間になりきる為の」

 

 

霊夢「あれさぁ咲夜的にはどうなの? 私達から見たらバレバレだったけど」

 

 

咲夜「まぁ私目線から見ても直ぐに分かっちゃう…わね」

 

 

霊夢「そりゃそうよね」

 

 

魔理沙「全身紫色で笠被った行商人なんて目立ち過ぎるからなぁ♪」

 

 

レミリア「何で変装する必要があるの? 普通にいつもの格好で売りに行けば良いじゃない」

 

 

咲夜「それでは人として接する事が出来ないから…と言うのが理由だそうです、薬売りをしている間は永遠亭の使者として、そして人として人間と接する方が薬効を信じてもらいやすいからだとか」

 

 

レミリア「う~ん、鈴仙は鈴仙として薬売りした方が良いと思うのだけれど」

 

 

依姫「同感だな、玉兎が人間に成り済ますのは無理があると思うぞ、頭の耳や尻尾を隠す術など聞いたこともないからな」

 

 

霊夢「…依姫」

 

 

依姫「うん? 何だ霊夢」

 

 

霊夢「あんた今丸っきり紫と同じ事言ったわよ」

 

 

依姫「っ…!? ……んぅぅっ…!」

 

 

魔理沙、咲夜、レミリア(凄い嫌そう…)

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《間違って薬を売った事》

魔理沙《変装失敗!》

咲夜《薬を間違えて持っていった事》

レミリア《笠を被っていくのを忘れた事》

依姫《八意様への些細な失敗》

 

 

 

霊夢「単なるミスだけど一番あり得そうよね」

 

 

咲夜「ふふっ、鈴仙は少しおっちょこちょいな所があるからね♪」

 

 

魔理沙「そういうのなら可愛い失敗で済むが依姫のはヤバそうだな」

 

 

依姫「薬の配合を間違えたり学んだ医術を生かせなかったりと…沢山ありそうだ」

 

 

レミリア「些細なミスなら許してあげれば良いのに…」

 

 

霊夢「永琳って厳しそうよね」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙の今だから言える失敗談は?』

 

 

鈴仙『えっ、失敗談? 失敗かぁ…仕事ですることが一番多いのよね、それで師匠に何度怒られた事か…はぁ……』ドヨーン

 

 

鈴仙『……なんか多くて一つに絞れないわね…うーん……』

 

 

鈴仙『………アレは失敗に入るのかなぁ』

 

 

鈴仙『あのね? 姫様が私にマッサージしてくれた事があったの、耳の…あぁウサ耳の方のマッサージね、ツボ押しみたいな感じでしてくれてさ、スッゴく気持ちいいのよ、日頃の疲れが吹っ飛ぶぐらい良かったなぁ♪』

 

 

鈴仙『それで気持ちよくなりすぎた私は顔をトロントロンにしながら「んあ''ぁ''~♪」とか無意識に声出しちゃってたのよ、うん、そう感じる程に天にも昇る気持ちだったわ…………私が目を開けるまでは』

 

 

紫『?』

 

 

鈴仙『ふと目を開けたら顔を赤らめながら何とも言えない表情で私を見ていたレイセンとサグメ様がいたの』

 

 

鈴仙『…うん…もうね、恥ずかし過ぎて穴があったら入りたかったわ……』

 

 

紫『あらあら、そこに因幡てゐが掘った落とし穴があるじゃない?』

 

 

鈴仙『それは絶対イヤ!』

 

 

 

  全員不正解!!

 

 

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア「あははははっ!!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ふふっ…! んふふふっ…!」

 

 

依姫「ふっ…! ふふふっ…!」

 

 

魔理沙「あぁなるほどな『知らず知らずのうちにやっちゃった~』的な失敗か」

 

 

依姫「人に見せたくない顔というものは誰しもが持っていると思うが…ふふっ♪ 蕩け顔は流石にな」

 

 

霊夢「油断仕切ってたでしょうしね」

 

 

咲夜「恥ずかしい失敗談だものね、私もそんな鈴仙をちょっと見てみたいかも♪」

 

 

レミリア「それにしても輝夜のマッサージねぇ…興味あるわ♪」

 

 

依姫「端的に言えば指圧マッサージだ、私も興味本位でやってもらったがかなり気持ちが良かったな」

 

 

魔理沙「あいつそんな特技あったのか」

 

 

依姫「薬や医学は分からないが民間療法ぐらいなら…という理由で始めてみたそうだ、輝夜の昔の経験が活きているのだろう」

 

 

霊夢「絵本時代の輝夜ならそういうの好きそうだしやってそうね、今も好きそうだけどさ」

 

 

レミリア「! この私を唸らせるマッサージが出来るのかしら♪ 帰ったらやってもらおうかしらねぇ」

 

 

魔理沙「お子ちゃま向けのマッサージってあるのか?」

 

 

依姫「輝夜なら出来そうだな、子供に優しいから」

 

 

レミリア「子供扱いするんじゃないわよこらぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 【第26問】『うどんは、純狐をどう思っている?』

 

 

 

 

依姫「! ここで純狐の名前を聞くとは」

 

 

咲夜「鈴仙の悩みの種になっているって言う神霊の…」

 

 

魔理沙「悩みの種ってのは?」

 

 

咲夜「スキンシップが度を越してるって言ってたわね」

 

 

魔理沙、霊夢、レミリア、依姫「スキンシップ?」

 

 

咲夜「人里を歩いていたら急に後ろから抱きついてきた後に腰に手を回して逃げられなくしたらウサ耳を触りながら団子屋に向かうのがワンセットなんだそうよ」

 

 

霊夢「なんじゃそりゃ…」

 

 

咲夜「一歩譲って好意と捉えればそれなりに我慢出来る…とも言ってたわね、鈴仙」

 

 

レミリア「純狐って人は鈴仙が好きなのね♪ 会ったこと無いけど話してみたいわ」

 

 

依姫「好き…で済むレベルなのだろうか」

 

 

魔理沙「ははっ♪ あいつそんな面白い事出来るんだな」

 

 

咲夜「面白くはないでしょ、鈴仙本人からしてみればいきなり現れる天災みたいな物なんじゃないかしら」

 

 

依姫(天災、か…私達月の民からしてみてもそんな物なんだろうな)

 

 

依姫(不定期の天災だとは言え狙いは分かっているからな、私も何度か剣を交えた…月の民の中には知恵比べと称している者もいるし純狐自身の怨みもまた純化されてきているしで…何とも言えんな)

 

 

霊夢「クラウンピースがたまに話題に出して来るけど純狐とあんまり喋ったことないわね、普段何してるのかしら」

 

 

魔理沙「割りと幻想郷に馴染んでいるらしいぜ? 慧音が世話になってるってのは聞いたな」

 

 

レミリア「どうして寺子屋の教師がお世話になるの?」

 

 

魔理沙「何でも子供が大好きでチルノたちの面度をたまに見てくれるんだと、謎の包容力があってみんなのお母さんみたいな感じになるらしい」

 

 

レミリア「子供好きなのは良いわね♪ フランの面倒を見てくれないかしら」

 

 

魔理沙「嬉々としてやりそうだなぁおい」

 

 

霊夢「ふーん…まぁ幻想郷じゃあ騒ぎを起こさないタイプだとは感じたから予想は当たってた訳か」

 

 

魔理沙「あいつの場合月絡みでしかやらんだろうしなぁ」

 

 

依姫(…)

 

 

依姫(何度も何度も月へ攻め込み、策を挫かれても諦めずに何度でも向かってくる……嫦娥を自分の手で抹殺する、それが奴の存在理由、生きる意味であった筈)

 

 

依姫(そんな天災が幻想郷に馴染んで子供の面倒を見ているとは……サグメ様も仰っていたが幻想郷とは本当に不思議な所なのだな)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《スキンシップだけは控えてほしい》

魔理沙《意外と付き合いやすい》

咲夜《複雑な感情を抱いている》

レミリア《面倒見が良い人》

依姫《好きでもないが、嫌いでもない》

 

 

 

霊夢「純狐の話題になっちゃってたけどこれぐらいしか思い浮かばなかったわ」

 

 

咲夜「難しい問題だと思うわ、純狐本人とあまり面識が無いから」

 

 

レミリア「私はプラス方面に考えたけどどうなるかしら」

 

 

依姫「輝夜が『純狐は鈴仙に好意がある』と言っていたが…鈴仙はどう思っているのだろうな」

 

 

魔理沙「てか何だよ複雑な感情って」

 

 

咲夜「分かりやすく言うとあなたが暴走したアリスと対面したときに出てくる感情よ」

 

 

魔理沙「分かりやすく例え過ぎだぁ!」

 

 

霊夢、レミリア「あははははっ…!」

 

 

依姫「…?」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙は純狐をどう思っている?』

 

 

鈴仙『へぇっ!? じゅ、純狐さん!?』

 

 

鈴仙『うーん…純狐さん、純狐さんかぁ……どう思ってる…? …え~っと…』

 

 

鈴仙『……何だろう…何て言ったら良いのかな』

 

 

鈴仙『……』

 

 

鈴仙『純狐さんがここにいないから言えるけど…好かれるのは好きだから好意を向けてくれるのは凄く嬉しいし純狐さんって意外と優しい所があって私もそういう所は好きだなって思える……でも! でもね…』

 

 

鈴仙『なんか私に向けて来る感情が極端でちょっと怖い』

 

 

紫『純粋で良いじゃない、好意は素直に受け取っておきなさいな♪』

 

 

鈴仙『紫は純狐さんが顔を近付けて来たときにしてくる眼をガンガンに見開いた顔を見たことないからそんなこと言えるのよ! スッゴく怖いんだからねあの顔!』

 

 

鈴仙『本当に…! いやもうなんか複雑なのよ色々とぉ!』

 

 

 

 咲夜、おまけで正解!

 

 

 

咲夜「あら、正解したわ♪」

 

 

依姫「永遠亭で苦労して純狐でも苦労している…という訳か」

 

 

魔理沙「あいつも苦労してたんだなぁ…別の意味で」

 

 

霊夢「ぷふっ…アリスでの苦労と同じなのかしらね、あんたたち変な所で共通点持ってるじゃない、良かったわね♪」

 

 

魔理沙「いや良かねぇだろ!?」

 

 

レミリア「ベクトルは違うと思うけど、どうなのかしら」

 

 

咲夜「愛までは行かなくても極端な好意を向けられているので同じ様な物だと思いますわ、お嬢様」

 

 

魔理沙「今度鈴仙に絡んでる純狐を見てみたいぜ」

 

 

咲夜「そういう人への対処法とかあったらアドバイスしてあげてほしいわ」

 

 

魔理沙「……耐えられないと思ったら口調を変えてみることから始めるんだぜ、それと諦めないと心を保てないという感情を察したら自分の心に無を取得するんだ」

 

 

霊夢「ふっ…当事者は語る」

 

 

レミリア「重みが凄いわ…!」

 

 

 

 

 

 【第39問】『うどんが、言われて一番嫌だと思ったあだ名は?』

 

 

 

 

魔理沙「十中八九てゐだろうな」

 

 

レミリア「でしょうね」

 

 

依姫「いや分からんぞ、輝夜かもしれん」

 

 

霊夢「あだ名を付けた犯人の名前は直ぐにあがるのね」

 

 

咲夜「どっちかってことになるわね、鈴仙の周りにあだ名で呼んでいる人なんていないもの」

 

 

魔理沙「親友のお前でさえ鈴仙呼びだからなぁ」

 

 

依姫「うむ…八意様もないだろう、うどんげ呼びが基本だからな」

 

 

依姫「となると輝夜がからかって付けたあだ名か因幡てゐが悪意を持って付けたあだ名かのどちらかということになる」

 

 

レミリア「問題はどんなあだ名を付けられたか…になるんだけど」

 

 

咲夜「…輝夜が鈴仙にとって嫌がるあだ名を付けるでしょうか」

 

 

霊夢「からかうぐらいで終わるんならそんなに気にしてないんじゃない?」

 

 

依姫「さぁどうだろうな」

 

 

魔理沙「輝夜かてゐの気持ちになって書くか…? いや、ここは賭けで他の誰かに付けられてそうなあだ名を」

 

 

咲夜「悪意を込めて書いたりしないでよ? あっ…悪意が無かったら嫌なあだ名だって思わないわよね」

 

 

魔理沙「ふっ、私の解答で笑うなよ?」

 

 

咲夜「わ、笑わないわよ!」

 

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《冷麺・うどん・否か》

魔理沙《しわんげ》

咲夜《お薬兎長》

レミリア《レーシェン》

依姫《ウサミンデラックスML》

 

 

 

霊夢、レミリア、魔理沙「んはははははっ!」ゲラゲラ

 

 

依姫「ふくっ…!? んふふふふっ…!」プルプル

 

 

咲夜「っ……!? ……ぷふっ! ふふふふふふっ!」プルプル

 

 

霊夢「ちょっ…んふふっ! ちょっとまっ…! あははははっ!」ゲラゲラ

 

 

レミリア「ははっ…! あははっ…! お、お腹がっ…! ぷふふふっ…!」プルプル

 

 

依姫「お、お前たちなん……! くっふふふふっ…!」

 

 

咲夜「ふふっ…! ふっふふふ…!」プルプル

 

 

魔理沙「わ、分かっ…! はははっ…! わ、分かった分かった…! じゅ、順番、順番に行こうぜ」

 

 

霊夢「え、えぇ! い、良いけど」プルプル

 

 

レミリア「わ、笑いが…! あっはは…!」プルプル

 

 

魔理沙「ま、まずよぉ、お前私に悪意を込めて書くなって良く言えたもんだなぁ!?」

 

 

咲夜「は!? 私は悪意なんて込めて書いてないわよ!」

 

 

魔理沙「お薬…はふふっ…! な、なんだぁ?」

 

 

霊夢、レミリア、依姫「はははっ…!」

 

 

咲夜「兎の長と書いて『とちょう』よ! 何にもおかしくないでしょ」

 

 

魔理沙「長って感じでもねぇだろあいつ、お薬兎長ってお前」

 

 

霊夢「あんたが妖夢に付けたあだ名の白玉侍を思い出すわ」

 

 

魔理沙「ネーミングセンスはカリスマお嬢様譲りだったな、すっかり忘れてたぜ」

 

 

咲夜、レミリア「あぁん!?」

 

 

霊夢「レーシェンって?」

 

 

レミリア「! 鈴仙の名前をちょっと可愛くして呼んでみたって感じなの、舌っ足らずで可愛いでしょ♪」

 

 

魔理沙「意外とまともだった…」

 

 

レミリア「意外とは余計よ!」

 

 

霊夢「……でも名前からなんか邪気を感じるわね、何でかしら」

 

 

レミリア「えっ…!?」

 

 

咲夜「魔理沙、言いたい放題言っているけど私とお嬢様以外全部爆弾じゃない」

 

 

魔理沙「爆弾とは失敬だな、私のは可愛いだろ? しわんげだぞ?」

 

 

依姫「しわんげとは何なんだ、うどんげから来ている様だが」

 

 

魔理沙「鈴仙ってウサ耳がシワシワになってる時があるだろ? その耳を見ててゐがさらっと付けそうなあだ名を考えたらこれになったわけだぜ♪」

 

 

咲夜「疲れている時とかストレスを感じているときはウサ耳に感情が出るって言ってたわね」

 

 

依姫「それが玉兎の特徴だ、ウサ耳にもよるが清蘭や鈴瑚も同じ様になるぞ」

 

 

霊夢「垂れ耳でもなるんだ」

 

 

レミリア「私にも負けず劣らずのあだ名ねぇ♪」

 

 

魔理沙「……で…霊夢と依姫よぉ」

 

 

霊夢「ふっ……! な、何よ!」プルプル

 

 

依姫「私は真面目に考えたぞ」

 

 

魔理沙、咲夜「あれが!?」

 

 

レミリア「霊夢自分で考えて笑ってるわよね!?」

 

 

霊夢「わ、笑ってないわよ!」

 

 

魔理沙「お前だけ何で今日の献立考えてんだよ!」

 

 

咲夜、レミリア、依姫「ふふはっ…!」

 

 

霊夢「献立じゃないわよ! ほら……ふっ…あ、あれよ」

 

 

魔理沙、咲夜、レミリア、依姫(笑ってる…)

 

 

霊夢「冷麺…違うわねうどん…どうしよ…ってなった時に考えられたあだ名なのよきっと」

 

 

魔理沙「献立考えてる奴の言い分にしか聞こえねぇよ!」

 

 

依姫「否か…と考えたのであれば別の献立にされた様だが」

 

 

レミリア「き、気になるわね…!」

 

 

咲夜「そもそも誰なのよそれを考えているのは!」

 

 

霊夢「……輝夜!」キリッ

 

 

魔理沙「言い切るなよ、自信満々の顔で」

 

 

霊夢「ま、まぁ私のは良いじゃない、そんなことよりも私は依姫のがツボに入ってたんだけど」

 

 

咲夜「触れなきゃいけないのね、ウサミンデラックスに」

 

 

依姫「! な、何だ? 私のだって可愛いだろう?」

 

 

魔理沙、咲夜、レミリア「可愛い!?」

 

 

霊夢「あははははっ…!」ゲラゲラ

 

 

咲夜「ウサミンはまだ…えぇ、まだ分かるけどデラックスって何?」

 

 

依姫「包容力だ♪ 可愛さに包容力、さらにカッコ良さもプラスした、ふっ…! 良いとこ取りなあだ名だな♪」

 

 

レミリア「カッコ良さのML…? このMLって何なの?」

 

 

依姫「ん? ムーンライトの略だが」

 

 

レミリア「えぇ…?」

 

 

咲夜「月の光…? まぁ玉兎っぽくはあると思うけど」

 

 

魔理沙「ムーンライトだったとしても長ぇだろ、あだ名だぞ?」

 

 

霊夢「なんか早苗が好きそうね、ウサミンデラックスムーンライト」

 

 

魔理沙「ロボットのビーム技でありそうだな、昔あいつが乗ってたロボが懐かしいぜ」

 

 

にとり「! 兎型ロボット…! 良いねぇ♪」キラキラ

 

 

文「また巨大ロボの爆誕ですかねぇ」

 

 

依姫(月の玉兎たちのグッズショップにある『月人! ウサミンストラップ!』を見たらこのあだ名の良さが分かると思うんだがなぁ…)

 

 

 

 

 正解はこちら!

 

 

紫『鈴仙が言われて一番嫌だと思ったあだ名は?』

 

 

鈴仙『あだ名? 一番嫌だったあだ名かぁ…』

 

 

鈴仙『…ふっ……まぁたぶん皆さんお察しの通りてゐが私に付けやがりやがったあだ名なんですけど』

 

 

鈴仙『夏場に薬売りの仕事をし終えて汗びっしょりかいて永遠亭に帰ったらさ、てゐがトコトコ歩いて来て私の体の匂いをクンクン嗅いでこう言ったの』

 

 

鈴仙『うわくっさぁ! くさんげじゃ~ん♪ くさんげいんくさんげいん♪ って』

 

 

鈴仙『うんまぁ私も帰ったら直ぐお風呂入ろうって思ってたぐらいには匂ってたと思うのよ、でもさ、仕事して疲れて帰って来た人にくっさぁよ? 開口一番くっさぁって、しかもくさんげくさんげうるさいし』

 

 

鈴仙『……はぁ…正直ね?』

 

 

鈴仙『あの時のてゐには少し殺意を覚えたわ』

 

 

紫『あなた定期的にてゐに殺意向けてない?』

 

 

 

 全員不正解!!

 

 

魔理沙「あっ! 惜しいなぁおい」

 

 

霊夢「まさかのしわんげが近かったとは」

 

 

依姫「『くさんげ』呼ばわりされたことがあるならもう『何々んげ』は因幡てゐに網羅されている可能性はあるな」

 

 

レミリア「ありそうね…」

 

 

魔理沙「うさんげ、しわんげ、くさんげ、しなんげ…確かに言われてそうだな」

 

 

咲夜「苦労してるわね…鈴仙、愚痴なら本当に聞くわよ」

 

 

魔理沙「二人合わせて『メイドんげ』はどうだ」

 

 

咲夜「ちょっと嬉しいけど語呂悪いわね」

 

 

 

 

 

 【第47問】『うどんが、薬を売っていて良かったと思った時は?』

 

 

 

霊夢「ん、仕事の話が出てきたわね」

 

 

依姫「苦労を重ねてはいるが仕事はそつなくこなしていると八意様が仰っていたな、やりがいも感じているようだ」

 

 

魔理沙「嫌なこともあれば嬉しいこともあるってのは当たり前の事だもんなぁ」

 

 

レミリア「薬売りしてるときの鈴仙ねぇ、紅魔館にも売りに来てくれるけど受け答えしているの美鈴か咲夜だし…どうやって仕事をこなしているのかは見たことないのよね」

 

 

魔理沙「だったら親友正解しそうだなぁおい」

 

 

咲夜「ふふっ、私絡みの解答が正解だとは限らないんじゃない?」

 

 

霊夢「薬売り方面だから医者関係じゃないんでしょうけど範囲が広いわよね」

 

 

レミリア「む、難しいわ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《自作の薬の効能を褒めてもらった》

魔理沙《薬売りの過程で色んな人と知り合えた》

咲夜《沢山の人にお礼を言われた》

レミリア《永琳に褒めてもらった》

依姫《人間に感謝されたこと》

 

 

 

霊夢「どれもありそうよね」

 

 

魔理沙「これはさっさと答えを聞こうぜ」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙が薬を売っていて良かったと思った時は?』

 

 

鈴仙『! ふふっ♪ 良い質問ね♪』

 

 

鈴仙『色々あるけど、そうねぇ…♪ 薬を売った後に人里でまた売りに出ていると薬を売った人とたまに出会ったりするのよ』

 

 

鈴仙『その時に「あの時の薬で元気になれました! ありがとうございました!」とかお礼を言われた時かなぁ一番嬉しいの』

 

 

鈴仙『私が調合した風邪薬を渡したこのくらいの背丈の…小さな女の子がいたんだけどその子からもお礼を言われた事があってね、「お姉さんのお薬のお陰で風邪が治ったよ! お姉さんありがとう!」って屈託のない笑顔で言われたの』

 

 

鈴仙『いやぁ…♪ あれは堪らなかったわね、めちゃくちゃ嬉しかったし仕事してて良かったぁ! ってなったもん♪』

 

 

 

 咲夜、依姫、正解! 霊夢、おまけで正解!

 

 

 

霊夢「ん! よし♪」

 

 

魔理沙「あー? おい、なら私もおまけにしてくれよぉ」

 

 

依姫「褒められたり感謝がなかったからハズレたんだろうな」

 

 

魔理沙「厳しい判定だぜ…」

 

 

レミリア「む~、永琳だと思ってたのに」

 

 

咲夜「お嬢様、それも鈴仙の仕事をしていて嬉しかった事に含まれていると思います」

 

 

レミリア「そうなの?」

 

 

咲夜「はい、ですがそれは尊敬や永遠亭での自分の立場から来るもの…薬師としての立場で得られた物では無いから今回の解答には繋がらなかったのだと思われます」

 

 

レミリア「! ……ふふっ♪ そうね、そうよね咲夜」ニコッ

 

 

咲夜「はい♪」ニコッ

 

 

レミリア(咲夜も仕事をしていて嬉しそうな顔をしている時は私でも分かる…永琳とそういう会話してみるのも悪くないわね♪)

 

 

 

 

 【第57問】『うどんにとって、藤原妹紅はどういった存在?』

 

 

 

依姫「あの焔の蓬莱人か…永遠亭近くの竹林に住んでいるという」

 

 

霊夢「あんた会った事あるの?」

 

 

依姫「永遠亭にお忍びで来ている時に少しな、あまり話した事は無いが…輝夜と喧嘩しているのをよく見掛けるな」

 

 

霊夢「それもう永遠亭近くの風物詩な気がするわね」

 

 

依姫「喧嘩し終わって仲直りしようと言う話になった後にまた喧嘩し出したのには目を疑ったな」

 

 

魔理沙「ふははっ…! 何で仲直りするってなってんのにまたやりだすんだよ」

 

 

依姫「仲直りの仕方が双方気に食わなかったから、だそうだ」

 

 

レミリア「喧嘩するほどって言うけど…あの二人仲は良いのかしら」

 

 

咲夜「大人しくしているときは基本のんびりしているので喧嘩はしないんだそうです、ただ一度火が着くと鈴仙では止められないんだそうで」

 

 

依姫「鈴仙が仲裁するときもあったな…まぁ止められなかったが」

 

 

魔理沙「蓬莱人の喧嘩を止めるって誰がやっても無理な気がするな…あ、永琳ぐらいか」

 

 

霊夢「そんな妹紅を鈴仙はどう思っているのかしらね」

 

 

咲夜「輝夜との喧嘩が目につきやすいけど近所に住んでるし、喧嘩していない時は話しやすいし一緒にお弁当を作った事もあるみたいで仲は良いみたいよ?」

 

 

レミリア「そうなの? でも鈴仙と妹紅がどんな会話をしているのかって想像するの難しいわね」

 

 

咲夜「はい、それは私もですお嬢様…ふぅむ……」

 

 

依姫「それでいてどういった存在ともなると…本当に難しいな」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《近所の友達のような存在》

魔理沙《近所の友達みたいな存在》

咲夜《仲の良い頼れるご近所さんのような存在》

レミリア《信頼出来る友人のような存在》

依姫《蓬莱人の友人のような存在》

 

 

 

霊夢「そういえば妹紅で思い出したんだけどマミゾウが言ってたのよね」

 

 

魔理沙「何をだ?」

 

 

霊夢「『妹紅殿はプリズムリバー楽団の隠れファンらしいぞい♪』って」

 

 

魔理沙、咲夜、レミリア「えっ…!?」

 

 

霊夢「えってなるわよね意外だったし…てかマミゾウ私にそれ言っちゃうんかいって思ったけど」

 

 

依姫(プリズムリバー…? サグメ様が話してくれたな、それぞれ異なる旋律を奏でる仲良し三姉妹と知り合ったと)

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙にとって藤原妹紅はどういった存在?』

 

 

鈴仙『! 妹紅? 妹紅がどういった存在…? うーん…?』

 

 

鈴仙『…う~ん………うん…? 難しいわね…』

 

 

鈴仙『まぁ仲良くさせてもらってる、永遠亭に患者さんを送り迎えしてもらってるし悩みがあったりしたらちょっと相談に乗ってもらってるし、迷いの竹林に小屋建てて住んでるから近所で会いやすいしでね、最初はそんな風に思えなかったんだけど話してみると常識人で話も合うし』

 

 

鈴仙『でも姫様と喧嘩してる時とか月への鬱憤が溜まっているときは常識が吹っ飛んでしまうのよね…それはちょっと辞めてほしいなぁって思うけど』

 

 

鈴仙『うーんだからなぁ…どういった存在かって言われたらね?』

 

 

鈴仙『近所に住んでる頼れる友達って感じ、それ以上でもそれ以下でもないわね』

 

 

 

 全員オマケで正解!!

 

 

 

魔理沙「お、やったぜ♪」

 

 

依姫「私はハズレたと思ったがまけてくれたようだな」

 

 

霊夢「難易度が高かったからかもしれないわね」

 

 

 

 

 

 

鈴仙『……』

 

 

紫『? どうしたの難しい顔して』

 

 

鈴仙『…いやさ、どうやって妹紅は蓬莱人になったのかなって思うときがあるのよね』

 

 

鈴仙『姫様と師匠は知ってるみたいなんだけど教えてくれないし…』

 

 

紫『人には歴史があるものよ♪ 蓬莱人なら尚更じゃない?』

 

 

鈴仙『!? ……』ジーッ

 

 

紫『? あら何かしら♪』

 

 

鈴仙『その言い方姫様が私をからかう時の言い方にそっくり…! 紫は妹紅が蓬莱人になった理由知ってるんじゃないの?』

 

 

紫『蓬莱人の事なんか知るわけないでしょこのバカちんがぁ♪』

 

 

鈴仙(う、うわぁ絶対知ってる言い方よね…これ)

 

 

紫『おほほほ♪』

 

 

紫(……)

 

 

紫(いや、私本当に知らないのよねふざけてみたけども)

 

 

紫(でも藤原一族の歴史の境界を紐解いてみたら…♪ ふふっ♪ 分かっちゃうかもね)

 

 

 

 

 

 【第63問】『うどんが、一番印象的だった出来事は?』

 

 

 

魔理沙「これは咲夜関係の話が来そうだな」

 

 

咲夜「そう? でもそうだと嬉しいわね♪」

 

 

魔理沙「それか月関係の話か永遠亭関連の話か」

 

 

レミリア「は、範囲が広いんだか狭いんだか分からないわね…」

 

 

霊夢「そういえばあんた言ってたけど鈴仙って昔は月に住んでたんだったわね」

 

 

依姫「…! あ、あぁ…そうだ」

 

 

咲夜「月での印象的な出来事ってあるのかしらね、地上に降りて来た時の話は少し聞いてるけど」

 

 

依姫「……まぁ色々あったからな、何が一番印象に残っているのかまでは分からない」

 

 

依姫「聞くが…どこまで聞いたんだ?」

 

 

咲夜「ある理由があって地上に逃げたって話だけよ?」

 

 

依姫「……そうか」

 

 

魔理沙「逃げた? 地上に降りただけだろ? で何だかんだあって地上に住むことになったんじゃないのか? 清蘭と鈴瑚みたいによ」

 

 

咲夜「そこら辺は詳しく聞いてないのよ、話したくなさそうだったから私がそれ以上話さなくていいって止めたこともあったわね」

 

 

レミリア「優しいわね咲夜♪ でも逃げた…はちょっと引っ掛かるわね」

 

 

咲夜「そこは…はい」

 

 

霊夢「ふーん……まぁ良いんじゃない? 話したくないなら聞いても無駄だし私は興味ないし」

 

 

魔理沙「だな、しつこくすんのも野暮だろ」

 

 

レミリア「えぇ、それには同意するわ…ごめんね咲夜」

 

 

咲夜「わ、私に謝られましても…だ、大丈夫ですわ、お嬢様」

 

 

依姫(……)

 

 

依姫(………まだあの時の事を覚えているのだろうか)

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《咲夜との出来事》

魔理沙《清蘭と鈴瑚との出来事》

咲夜《私との思い出…?》

レミリア《咲夜と親友になれた切っ掛け》

依姫《永遠亭での出来事》

 

 

霊夢「答え早く聞きたいわね」

 

 

レミリア「紫、早く聞いて!」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙が一番印象的だった出来事は?』

 

 

鈴仙『え? 印象的な出来事? 印象的…? 印象に残っている物って言ったら……』

 

 

鈴仙『……』

 

 

鈴仙『…』

 

 

鈴仙『……』

 

 

鈴仙『…月……』

 

 

紫『…?』

 

 

鈴仙『月にいたときに………さ、その……』

 

 

鈴仙『……』

 

 

鈴仙『…』

 

 

紫『……鈴仙、あなた大丈夫?』

 

 

鈴仙『…!』ハッ

 

 

鈴仙『え…? え? あぁ…うん?』

 

 

紫『目見開いてたけど、どうかしたの?』

 

 

鈴仙『え…えぇ…大丈夫、大丈夫よ…大丈夫』

 

 

紫『…?』

 

 

鈴仙『! あ、あぁごめん、印象的な出来事よね?』

 

 

鈴仙『そりゃあもう咲夜と親友になれた切っ掛けよ♪ あれに勝る物は無いわね♪ 嬉しかったなぁ…♪』

 

 

鈴仙『話せば長くなるから言わないけどね~♪ えっへへへ…♪』テレテレ

 

 

紫『……』

 

 

 

 霊夢、咲夜、レミリア、正解!!

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア、依姫「……」

 

 

霊夢「当たったのになんか複雑なんだけど」

 

 

レミリア「鈴仙、なんか難しい顔してたものね」

 

 

魔理沙「まぁ霊夢が言った様に触れない方が良さそうだな…そうだろ咲夜」

 

 

咲夜「えぇ…ありがとう、魔理沙」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜(月で嫌な事でもあったのかしら、でも無理に話してくれなくても良い…私はそうずっと思っているからね、鈴仙)

 

 

依姫「……」

 

 

依姫(鈴仙…)

 

 

 

 

 【第77問】『うどんにとって、因幡てゐはどういった存在?』

 

 

 

霊夢「次はてゐね」

 

 

依姫「一緒に住んでいて一番苦労をかけて来る存在をどう思っているのか…か、想像に難くなさそうだが」

 

 

レミリア「邪険って程ではないんでしょうけど扱われ方は…まぁ聞いている限りでは酷いのかしらね」

 

 

咲夜「落とし穴や悪戯をされているのが目立っていますからね」

 

 

魔理沙「つーかあいつの苦労の7割はてゐの様な気がするな」

 

 

レミリア「多いわね、残りの3割は?」

 

 

魔理沙「永遠亭絡みのことから些細な事までだろうな、純狐の事もさっき言ってたしそれもありそうだ」

 

 

依姫「妙に納得出来てしまうな、因幡てゐの7割は」

 

 

咲夜「残り3割も…えぇ納得出来るわね」

 

 

霊夢「なんか最初っから思ってたけど鈴仙って苦労ばっかりが目立つわね」

 

 

魔理沙「『私は苦労しているんです…』オーラが普段から半端ねぇんだよなぁ」

 

 

依姫「仕事でのやりがい云々の気持ちは本物なのだろうが…態度が顔と耳に出やすいお陰で他人に気持ちを察せられてしまうのだろうな」

 

 

霊夢「確かに、鈴仙って分かりやすい性格よね」

 

 

レミリア「隠し事とかも苦手そうよねぇ」

 

 

咲夜「パッと見て気持ちが分かりやすいのは鈴仙の長所でもあると思うのだけれど…」

 

 

依姫「長所でもあり、短所でもあるだろうな」

 

 

咲夜「そうかもね…仕事終わりでぐったりしている鈴仙を見ると本当に辛そうって言うのが先に来るもの」

 

 

魔理沙「それに悪戯とかプラスして追い討ちかけて来るてゐをどう思うのかってお前」

 

 

レミリア「というかさっきから鈴仙言ってるけど普段から殺意が湧いてるんじゃ…」

 

 

咲夜「か、家族に殺意を湧かせ続けるのは鈴仙でも流石に…」

 

 

霊夢「度合いによりそうよね、一日に何回悪戯されてるか分からないけどさ」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《一応家族として頼りになる存在》

魔理沙《意外と頼りになる存在》

咲夜《頼りになる存在》

レミリア《家族と思える存在》

依姫《家族として接せられる存在》

 

 

 

霊夢「私的には咲夜とフランの関係そのものを子供っぽくすると鈴仙とてゐみたいになるんだけど」

 

 

魔理沙「あ、それめっちゃ納得出来るぜ」

 

 

咲夜「妹様…? うーん……そうなるかしら」

 

 

依姫「フランか、前に会ったときは上品なお嬢様然としていたから悪戯とは無縁に感じたな、純粋な心も感じたから悪巧みをするとは到底思えん、てゐとは正反対だな」

 

 

レミリア「私に似たからね! 悪戯なんてお子ちゃまのすること、スカーレット家の吸血鬼は誇り高くなくっちゃいけないのよ、ふっふっふっ♪」

 

 

魔理沙「……良かったな、妹はカリスマを追い求める奇行に走らなくて」ヒソヒソ

 

 

霊夢「そこは似なくて本当に良かったわね」ヒソヒソ

 

 

咲夜「その事に関しては私からは何も言えないわ…」

 

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙にとって因幡てゐはどういった存在?』

 

 

鈴仙『ん!? はぁ~…てゐ…? てゐねぇ…う~ん……』

 

 

鈴仙『てゐ………てゐはねぇ…』

 

 

鈴仙『……』

 

 

鈴仙『…』イラッ

 

 

鈴仙『あぁんもう!!』クワッ

 

 

紫『!?』ビクッ

 

 

鈴仙『いっつもいっつもいっつも私に高度な悪戯ばっかり仕掛けるの辞めなさいよぉ! 変なあだ名つけたり落とし穴に落としたり私が少しイラッとする様な小言をグチグチグチグチ言いやがりやがる癖に本人に私が仕返すと倍にして返して来やがってぇ! 後あの取って付けた様な語尾! 本当はウサウサ言わないのに何か企んでいるときはウサウサウサウサ言いやがるのよ!? これがもう本当に小さな事でも少しイラッとするのよ! 分かる!? このイライラが! あの狡賢さには本当に頭に来てるんだから!』

 

 

鈴仙『くぅぅ~…!! それにてゐのとばっちりのせいで私が師匠に何度怒られたことか…! 自分の罪を私に擦り付けて来るのよ!? 酷いんだから! 薬の配置を間違えたのはてゐなのに素知らぬ顔で「鈴仙が間違えてたウサァ♪」ってニヤニヤしながら言ってるのみて狂気を通り越して殺気を放ってたあの時の私の気持ち分かる!? ねぇ!?』

 

 

鈴仙『はぁ…! はぁ…! も、もう…! 本当にぃ…!』

 

 

紫『れ、鈴仙…ちょっと落ち着きなさい、ね?』

 

 

鈴仙『! はぁ…はぁ……ご、ごめん…紫』

 

 

紫『息を整えなさい、ちゃんと聞いてるからね』

 

 

鈴仙『う、うん……すぅ…はぁ…』

 

 

鈴仙『……はぁ~…な、なんかごめん…ちょっと溜まってた鬱憤が出ちゃって』

 

 

紫『しょうがないんじゃない? それに適度にそういうのは吐き出すのは良いことよ♪』

 

 

鈴仙『うん…ありがと、紫』

 

 

鈴仙『! あぁえっと…てゐの事よね?』

 

 

鈴仙『まあその…文句言う事の方が多いし、イラッとする毎日の中で一緒に暮らしてるけどさ』

 

 

鈴仙『普段は頼りにしてないんだけど非常時には頼りになってくれるのよ、そうなること滅多にないんだけどね』

 

 

鈴仙『それに……まぁ一応か、家族だしさ…? 普通にしているときは仲良くしてるって思えるの、波長は全く合わないんだけど心の何処かでてゐに対してあぁ、本心では仲良くしていたいんだなって想いが私の中にあるっていうのもあるしね、でもたまに滅茶苦茶イラッとするときがあるんだけども…うん』

 

 

鈴仙『だから意外な所で頼りになってくれる手のかかり過ぎる家族って感じかなぁ…うん、たぶんそう思ってる』

 

 

 

 全員おまけで正解!!

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア、依姫「お…おぉ…」

 

 

霊夢「仲が良いんだか悪いんだか、でも持ちつ持たれつって感じなのかしらね」

 

 

依姫「そうなんだろうな、輝夜と妹紅の様に取っ組み合いの喧嘩はしたことが無いそうだ、喧嘩するほど仲が良いというのでは無く喧嘩するほど仲が悪くなっていくタイプの関係なのだろう」

 

 

魔理沙「それでも最終的には元の鞘に収まるんだもんな、不思議な関係だぜ」

 

 

咲夜「恐らく鈴仙本人はてゐと仲良くしたいのよ、でもてゐはそういうのを正面から受け止められないから照れ隠しな感じで悪戯しちゃうんじゃないかしら」

 

 

レミリア「な、なるほどね」

 

 

霊夢「てゐ、あんた天邪鬼じゃないんだから…」

 

 

レミリア「てゐに悪戯で反撃されるから鈴仙も素直になれない気持ちもあるんじゃないかしら」

 

 

咲夜「それもあると思いますわ、お嬢様」

 

 

霊夢「でもてゐが素直になったらなったでね」

 

 

依姫「疑ってしまうな、また何か企んでいるのではないか、と…日頃の行いのせいではあるんだろうが」

 

 

魔理沙「なんか輝夜と妹紅の関係と似てるよな、蓬莱人、玉兎と妖怪兎って違いはあるが」

 

 

レミリア「似ちゃうものなのかしらねぇ…そういうのって」

 

 

 

 

 【第85問】『うどんの、頭についている耳はどうなっている?』

 

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア、依姫「うん……?」

 

 

魔理沙「どうなってるってお前」

 

 

霊夢「ウサ耳だとしか思わなくない?」

 

 

文「気になりません?」

 

 

レミリア「何が?」

 

 

文「確かに鈴仙さんにはウサ耳があります、ですが人間の方の耳はどうなっているのか!? と思いまして♪」

 

 

霊夢、魔理沙、咲夜、レミリア、依姫「あぁ~…」

 

 

霊夢「……? えっ、あるんじゃないの?」

 

 

魔理沙「じゃああいつ耳が四つあることになるのか?」

 

 

霊夢「耳は二つで充分なんだから四つもいらないでしょ」

 

 

魔理沙「私だってそう思いてぇけどよ、あいつの人間耳を見たことないから分からないんだよなぁ、髪の毛長ぇからちょうど耳が隠れてるし…確かに気になるぜ」

 

 

霊夢「依姫、あんた知らないの?」

 

 

依姫「……いや、玉兎はウサ耳だけ…の筈だが」

 

 

依姫「というより今までそんなこと気にもしなかったから答えが出せない…私達と同じ所に第三、第四の耳が有るか無いかなんて考えもしなかった」

 

 

霊夢「そうよね、普通そんなこと気にしないし…」

 

 

魔理沙「そんなこと言ったらお前、鈴瑚と清蘭はどうなんだ」

 

 

依姫「それとレイセンもだ、耳はどうなっているんだ…?」

 

 

レミリア「だったらてゐだってそうよね?」

 

 

咲夜「確かに…しかしそれを言ってしまったら」

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア、依姫「な、何…?」

 

 

咲夜「獣タイプの幻想郷住人はどうなるの?」

 

 

霊夢「あー? そ、そういえば響子とかナズーリン、マミゾウはどうなってるのよ!」

 

 

魔理沙「それだけじゃねぇぞ! 影狼とかお燐、椛はどうなってんだ!?」

 

 

レミリア「藍と橙だって当てはまらない!?」

 

 

依姫「ほ、他の玉兎達の耳は一体どうなって…!?」

 

 

にとり「あ、あれ…椛の耳ってどうなってたっけ!?」

 

 

文「い、犬耳があって…そ、それで」

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア、依姫、文、にとり「…!?」ゾクッ

 

 

咲夜「こ、恐くなってしまったわね…」

 

 

咲夜(鈴仙の耳は私もウサ耳しか見たことないけど…どうなっているのかしら)

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《まさかの四つ》

魔理沙《ウサ耳だけであれ!》

咲夜《四つある》

レミリア《ウサ耳だけ》

依姫《ウサ耳だけしかない》

 

 

魔理沙「これはモヤモヤするから早く聞いてくれ!」

 

 

レミリア「なんか怖いもの見たさあるわよね…」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙の頭についている耳はどうなっている?』

 

 

鈴仙『へ? み、耳…?』

 

 

鈴仙『どうなっているって言われて…うん? 「ついている」か……はぁ~…』

 

 

鈴仙『文がてゐと同じ事を考えるとは…あのね? これは正真正銘私の頭から生えてる耳なの、付け耳なんかじゃないんだからね』

 

 

鈴仙『一時てゐに付け耳疑惑を向けられた時は大変だったわ、証明するのに耳を引っ張ってみたりとかしてたわね』

 

 

 

 全員不正解!!

 

 

霊夢、魔理沙、レミリア、咲夜、依姫「いやいやいやいや違う違うそこじゃない!!」

 

 

魔理沙「付け耳だとかの話じゃねぇんだよ!」

 

 

咲夜「その耳は頭から生えているっていうのは分かってるからね!」

 

 

霊夢「紫! 耳ぃ! 鈴仙の耳は四つ有るのか無いのか聞きなさい!」

 

 

依姫「き、聞けるのか…?」

 

 

レミリア「えぇ聞いてくれるわ! 紫! 頼むわよ!」

 

 

 

 聞いてみました

 

 

 

紫『なんかさ』

 

 

鈴仙『うん?』

 

 

紫『あなたの耳は四つ有るのか無いのかって疑問が渦巻いているみたいよ?』

 

 

鈴仙『へ? よ、四つ…!? ど、どういう事?』

 

 

紫『ほら、あなたのウサ耳は見てすぐ分かるけど人間の方の耳は有るのかしらって、今も髪の毛で隠れてるから見えないじゃない』

 

 

鈴仙『!! …そ、それは……』

 

 

紫『カメラ動いてるから髪をかきあげて見せてあげたら? 今ならあっちに映ってるから』

 

 

鈴仙『う……』

 

 

鈴仙『……』モジモジ

 

 

鈴仙『…』

 

 

鈴仙『…///』カァッ

 

 

鈴仙『い、嫌よ…/// な、何で見せなきゃいけないの!? 恥ずかしいから絶対イヤ!』

 

 

紫(人間の方の耳…ねぇ♪)

 

 

紫(まぁ有っても無くても良いとは思うけどね♪)

 

 

 

 

魔理沙「うぉぉい!! ここまで来たんだから見せてくれたって良いだろ!」

 

 

霊夢「み、見せたくない理由でもあんの…? それとも単に恥ずかしいだけ…?」

 

 

レミリア「髪をかき上げるだけなのにそこまで嫌がるのは…何か秘密があったりするのかしら」ドキドキ

 

 

咲夜「幻想郷の獣タイプの住人にとってこの質問はタブーなのかしら、禁忌に触れるとでも…?」

 

 

依姫(月に帰ったら怖いもの見たさで玉兎の耳を観察してみるか…)

 

 

霊夢「……あれ?」

 

 

魔理沙「どうした?」

 

 

霊夢「……いや…どうだったかなって」

 

 

魔理沙「…あー?」

 

 

霊夢(あうんにはちゃんと角が生えてて獣耳? も私達の耳があるところから生えてる…うん、これは確実に見たから知ってる)

 

 

霊夢(でもさとりの所のお燐は人間の方の耳普通に見えてなかったっけ…? 帰ったら見てみようかしら)

 

 

 

 

文「あやや、はぐらかされてしまいましたねぇ…」

 

 

にとり「うーんまぁ鈴仙の気持ちは分からんでもないかも」

 

 

文「どういう事です?」

 

 

にとり「ほら、私だって『その帽子の下には河童の皿があるんだろう!? 見せろよ!』とか言われたら絶対見せたくないもん」

 

 

にとり「なんて言うか恥ずかしいしさぁ…/// 秘密でもあるし知らない方が良いんじゃないって思うしでさぁ…」

 

 

文「あぁ…納得です、なるほどそういう感じですか」

 

 

にとり「タブーって程ではないけど気にしない方がお互いに良い関係築けるよ、とは言いたいね」

 

 

文「幻想郷の暗黙の了解って奴ですかねぇ」

 

 

文(しかし椛の耳は個人的に見ておきたいのでコッソリと…♪ ふふふっ♪)ニヤリ

 

 

 

 

 【第93問】『うどんにとって、魂魄妖夢はどういった存在?』

 

 

 

魔理沙「料理人のお友達」

 

 

霊夢、レミリア、咲夜「んふふふふっ…!」

 

 

依姫「…?」

 

 

霊夢「もう半人半霊でも剣士でもないじゃない、ふふふっ♪」

 

 

咲夜「それ以前に白玉楼の庭師よね、妖夢」

 

 

レミリア「幽々子専属の料理人って訳じゃあないでしょうに」

 

 

依姫「おい、妖夢とは誰だ?」

 

 

霊夢「あんた幽々子は知ってるわよね?」

 

 

依姫「あの亡霊姫の…」

 

 

依姫(穢れの無い存在、月への侵入を許してしまった事があったな)

 

 

霊夢「そうそう、その幽々子に仕えてる半人半霊の剣士がいるのよ」

 

 

依姫「! ほう…剣士なのか」

 

 

魔理沙「料理人でもあるけどな」

 

 

咲夜「ふっ…! りょ、料理人から離れてあげなさいよ、冥界にある白玉楼の庭師でもあるわね」

 

 

レミリア「後は……あっ、二刀流よ二刀流♪」

 

 

依姫「二刀流の剣士で庭師で…料理人?」

 

 

咲夜「そこは置いといた方がいいかもね」

 

 

レミリア「でも料理人って名乗れるわよね、妖夢」

 

 

霊夢「神社の宴会の料理手伝ってくれるのよね、結構助かってるわ」

 

 

魔理沙「性格はなぁ、根は真面目で礼儀正しくてちょっと堅物だな、でも酔っ払うとみょんとか訳の分からん面白用語言うぞ」

 

 

咲夜「お化け屋敷に住んでいるのに何故か怖がりなの、たまに物騒な事も言うわね」

 

 

依姫「ふむ……妖夢という人物が少し分かったよ、しかし剣士か…一度手合わせしてみたいものだな♪」

 

 

霊夢「それ妖夢喜びそうね」

 

 

依姫「鈴仙との仲はどうなんだ?」

 

 

魔理沙「良いと思うぜ? 人里で二人で歩いているのを結構見かけるしな」

 

 

霊夢「前にミスティアの屋台と美宵ちゃんの店で二人で飲んでいるのを見たわね」

 

 

レミリア「優劣を付けるつもりは無いけれど咲夜の次に仲が良いんじゃないかしらね♪」

 

 

咲夜「ふふっ♪ 鈴仙もそう思っているかもしれませんね♪」

 

 

依姫「……ふっ…♪」

 

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《親友の様な存在》

魔理沙《気の置ける存在》

咲夜《相棒の様な存在》

レミリア《親友の様な存在》

依姫《相棒の様な存在》

 

 

 

魔理沙「二人目の親友か、中々出来るもんじゃないがどう思ってるんだろうな」

 

 

霊夢「でも咲夜と依姫のが近そうなのよね」

 

 

依姫「ふっ♪ さてどうだろうか」

 

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙にとって魂魄妖夢はどういった存在?』

 

 

鈴仙『! 妖夢…♪ 妖夢ねぇ…ふふふっ♪』

 

 

鈴仙『妖夢とゆっくり話すときは身近に起こってる愚痴の言い合いになるんだけどそんなことを話せるぐらいには凄く仲は良いって私は思ってる♪ 話も合うし相談にものってくれてね、妖夢は優しいから話してると楽しいのよね♪ 妖夢もそう思ってくれてると嬉しいわね』

 

 

鈴仙『人里で会うことが多いから一緒に買い物したり物を食べたりしてね♪ お互いにストレス発散だぁ! なんて言いながら甘味所巡りも楽しかったなぁ♪』

 

 

鈴仙『それとたまに戦闘訓練に付き合う事もあってね、私が弾丸を発射して妖夢は受け身で刀で往なしたり素早い動きで避けたりとか…うん、そういうこともやってるの』

 

 

鈴仙『だからどういった存在…うぅむ、咲夜の次に仲は良いって言えるから…………あ!』

 

 

鈴仙『ふふっ♪ そうね、私にとって妖夢は背中を預けられる相棒みたいな人♪ これね♪』

 

 

紫『…! ふふっ♪ そう』

 

 

紫(鈴仙、これからも妖夢と仲良くしてあげてね♪)

 

 

 

 咲夜、依姫、正解!!

 

 

 

依姫「ん、当たったな♪」

 

 

咲夜「ふふっ♪ 相棒…ね♪」

 

 

魔理沙「へっ♪ 妖夢に聞かせたら赤面しそうだな♪」

 

 

霊夢「永遠亭周りで苦労してても周りに恵まれてるからストレスとは無縁なのかしらね」

 

 

レミリア「咲夜を筆頭にね♪ 家族の知らない所で友達の輪を広げるのって大切な事なのよ♪」

 

 

魔理沙「おぉ、今日始めてカリスマらしい事を言ったな」

 

 

レミリア「当然でしょ♪ あっはっはっは♪ ……うん!? は、始めてですってぇ!?」

 

 

霊夢、魔理沙「んはははっ…!」

 

 

咲夜「…♪」ニコッ

 

 

依姫(……)

 

 

依姫(地上で気の置ける友人、か…私には縁は無さそうだな)

 

 

 

 【第100問】『うどんは、幻想郷をどう思っている?』

 

 

魔理沙「うおーついに来たな100問目」

 

 

霊夢「んんっ…! ふぅ、やっと折り返しまで来たわね」ノビー

 

 

依姫「だが、あまり疲れは感じないな…あっという間に時が過ぎていくからか?」

 

 

レミリア「でもまだまだこれからよ♪ 気合いを入れて頑張るわ♪」

 

 

咲夜「そうですわね、お嬢様♪ 共に残り100問も乗り越えて参りましょう」

 

 

魔理沙「つーかもう定番だな100問目」

 

 

霊夢「良い問題だとは思うわね♪」

 

 

依姫「…」

 

 

依姫(幻想郷をどう思う…か)

 

 

 解答オープン!

 

 

霊夢《安息の地》

魔理沙《平和な地》

咲夜《第2の故郷》

レミリア《安寧の地》

依姫《第2の故郷》

 

 

 正解はこちら

 

 

紫『鈴仙は幻想郷をどう思っている?』

 

 

鈴仙『んんっ…! ふぅ…♪ やっと100問目ね、咲夜たちみんなお疲れ様♪』ノビー

 

 

鈴仙『そうね、幻想郷……幻想郷か』

 

 

鈴仙『……』

 

 

鈴仙『色々あって永遠亭に住まわせてもらっているけど私は月からの流れ者、でもそんな私でも受け入れてくれている幻想郷には感謝しかないのよね♪』

 

 

鈴仙『だから幻想郷は私の第2の故郷…! 地上の兎としてこれからも幻想郷で生きていきたいわね♪』

 

 

紫『…! ふふふっ♪ そう…♪』ニコッ

 

 

 

 咲夜、依姫、正解!!

 

 

咲夜「ふふっ♪ やったわ♪」

 

 

魔理沙「あー…そっちの考えだったか」

 

 

霊夢「ちょっと考え過ぎたかしら」

 

 

レミリア(ふふっ♪ 鈴仙、居心地良いわよね、お互いに♪)

 

 

依姫「……」

 

 

依姫(良かったな…鈴仙♪)ニコッ

 

 

文「はい、100問目終了です♪」

 

 

にとり「うっしゃ♪ 休憩入れますかー!」

 

 

 

 

 【休憩タイム!】

 

 

にとり「お疲れさ~ん♪ でもまだまだ100問あるからね、ここで体力を回復して次に備えてよ♪」

 

 

文「今回は清蘭さんと鈴瑚さんの団子屋、清鈴屋より差し入れが届いてます♪ ゆっくり慌てずに食べて下さいね♪」

 

 

依姫「あの二人からの差し入れなのか」

 

 

魔理沙「あそこの団子美味いんだよなぁ…♪」

 

 

霊夢「緑茶に合いそうね♪」

 

 

レミリア「みたらし、よもぎ、ゴマ、きな粉、あんこ…♪ どれも美味しそうね♪」

 

 

レミリア(あ、味音痴が発動しなきゃいいんだけど…)

 

 

レミリア「さ、咲夜♪ 緑茶でお願い出来るかしら」

 

 

咲夜「はい、分かりましたわ、お嬢様……!」

 

 

霊夢、魔理沙、依姫「……」ジーッ

 

 

咲夜「…誰があなたたちのお茶をいれないなんて言ったのよ! いれるわよあなたたちの分も」

 

 

魔理沙「いやぁ♪ 何もかも言ってないんだがなぁ♪」

 

 

依姫「ふっ…♪ ありがとう」

 

 

霊夢「ありがとね、咲夜♪」

 

 

 

文「それではここまでの皆さんの正解数、発表しちゃいますね♪」

 

 

霊夢   『38問』

魔理沙  『35問』

咲夜   『43問』

レミリア 『33問』

依姫   『41問』

 

 

咲夜「! 私が一位ね♪」

 

 

レミリア「さ、咲夜と10問差が…」

 

 

魔理沙「まぁ流石に親友は強いか」

 

 

霊夢「でも依姫も結構正解してるわね」

 

 

魔理沙「正解連発して時あったもんな」

 

 

依姫「そうだな♪ 2問差なら逆転の余地は充分だ」

 

 

咲夜「鈴仙の親友として…負けられないわね♪」

 

 

依姫「私とてクイズの正解数の争いとは言え負けられん…勝ってみせるさ」

 

 

咲夜「ふふっ♪ 挑むところだわ♪」

 

 

魔理沙「……依姫のやつ意外とクイズ大会楽しんでるよな」ヒソヒソ

 

 

霊夢「正解したとき嬉しそうな顔してるもんね」ヒソヒソ

 

 

レミリア「スペシャルゲストなだけあるわね♪」ヒソヒソ

 

 

霊夢「関係ある…? それ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴仙「んふふっ♪ お団子美味しい~♪ やっぱりあの二人団子作りの才能あるわね」モグモグ

 

 

藍「前の紫様の冬眠事件の時にこれを選んだ理由が分かりましたよ、実際に食べると本当に美味しいですね」モグモグ

 

 

紫「冬眠事件って人聞きの悪いことを言うわねぇ…でも分かるでしょこの美味しさ♪ ゆかりんは目の付け所が違うのよ~♪」モグモグ

 

 

鈴仙「冬眠事件?」

 

 

藍「あぁあんまり詮索しないでくれ、紫様にとっては少し黒歴史だから」

 

 

鈴仙「え、えぇ…?」

 

 

紫「あのとき閻魔様を藍が引き連れてこなきゃねぇ…」

 

 

藍「だからあのときは逃げられなかったんですって…」

 

 

紫「主の胃を苦しめるいなりを作る暇があるなら少しは閻魔を掻い潜る対処法を身に付けてほしいものだわねぇ」

 

 

藍「いなりは今関係ないでしょうが!」

 

 

紫「あるでしょうが! 月に一度襲ってくる災厄なんだからね!」

 

 

藍、鈴仙「そこまで言うの!?」

 

 

紫「あっ! 日頃の仕返しの為に休憩の食べ物たぬき蕎麦にすればよかった…!」

 

 

藍「!? な、なんとおぞましい事を…! たぬきの蕎麦など外道中の外道だと言うのにぃ…!」

 

 

紫「おほほほほほ♪」

 

 

鈴仙「たぬき蕎麦が外道って…」

 

 

鈴仙(藍さん、本当にたぬき蕎麦嫌いなんだ)

 

 

鈴仙「……」

 

 

鈴仙(まさか本当に依姫様が来るなんて思わなかったのよね、紫から聞かされた時『えぇっ!?』って大声出しちゃったし)

 

 

鈴仙(…ふふっ♪ 咲夜たちも驚いただろうなぁ)

 

 

鈴仙(……優勝誰がするのかな、咲夜だったら嬉しいけど…)

 

 

鈴仙(…♪ まぁ誰が優勝しても良いか、残り100問お互い頑張りましょうね、みんな♪)

 

 

 

 

 後編に続く…♪

 

 

 






 月に関しての秘密と咲夜との出会いの秘密…二つの秘密がある鈴仙ですが果たしてこれからどう明かされていくのでしょうか

 前書きにも書かせていただきましたが、咲夜へのたくさんの質問を投稿していただいてありがとうございました! 次回の後編でも使わせていただきます!



 また【魂魄 妖夢の200のコト】の質問も募集しております、クドイ様ですが活動報告にて…よろしくお願いいたします。




 それではここまで読んでいただいてありがとうございました! お疲れ様でした!




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【ゆかりんハウスでルームシェア~シリーズ】
ゆかりんハウス! 建設!




 ゆかりんハウスが一体なんなのか…紫の口から説明があります♪


 他のシリーズには無い幻想郷の住人達の反応を狙ったシリーズになります。



 それでは始まります♪




 

 

 【マヨヒガ】

 

 

八雲藍「…」

 

 

藍「…」

 

 

藍「…」

 

 

藍「これで一週間目、か…」

 

 

 

 

 初夏の風に肌も汗ばむ頃、幻想郷の皆様如何お過ごしでしょうか。

 

 幻想郷の管理人が式、八雲藍でございます。

 

 

 夏…幻想郷では人里でかき氷やアイスが売られ、妖怪の山ではケロケロの湖で海水浴、向日葵畑では何故か夏の収穫祭が行われ、氷の妖精チルノが恋しくなる季節です。

 

 

 日に日に溜まってしまったストレスという名の汗を流すために地底の温泉に足を運ぶ方もおられるのではないでしょうか。

 

 

 あ、因みに博麗神社にも温泉は湧いていますが湯に浸かる前にはちゃんと博麗の巫女に許可を得てから入るようになさってくださいね。

 

 

 

 話は変わりますが私は夏が苦手です、九尾の妖怪…もとい狐ですから夏への対策を怠るとヤバイのです。

 

 特に毛の手入れ…汗ばむと尻尾の毛が肌にくっついて煩わしい状態になってしまうことが多々あるのです。

 

 ですがちょっと嬉しい事もあって…この暑さのお陰で私の尻尾に『もふもふダイブ』を仕掛けてくる子供達、思考が子供染みてる大きなお友達が減るんです、少し寂しい気持ちもあるにはあるのですが、毛先が枝分かれして十尾以上の狐になるよりはマシなのです。

 

 我が愛しき式神…橙からの『もふもふダイブ』が無くなってしまうのは痛いですけどね。

 

 

 …? あぁ紫様ですか? 紫様も『もふもふダイブ』ならぬ『もふもふスキマドロップ』というダイブの倍の威力の上位互換の技を繰り出して来るのですがそれも無くなります、えぇとても喜ばしい限りです。

 

 

 

 

 

 あ、そうだ…紫様で思い出したんですけど

 

 

 

 

 

 

藍「紫様っ…! あなたは今何処で何をしているのですかっ!」プルプル

 

 

 

 紫様が『ちょっと行ってくるわ♪ 藍、待っててね♪』とここマヨヒガで言い放ち、スキマを広げて消えてから早一週間。

 

 

 

藍「仕事をサボる為に消えたのか…!? まさか人間に化けて自分だけ外の世界のリゾートアイランドとか言うやつでバカンス三昧か!?」

 

 

 

 考え出したらキリが無い。

 

 私は怒りという名の心のモヤモヤが沸き出るのをなんとか表に出さないようにしなければならない生活を強いられているんだ、しかも三日前からだぞ!? 

 

 人里に出掛ける度にすれ違う住人たちに向ける作り笑顔はもうたくさんだ!

 

 

 

 

藍「ちょっとってなんですかちょっとって! ちょっとで一週間も居なくなられたらこっちが困るんですよ!」

 

 

藍「何故にっ…! 何故にこの私に何処に行くかを告げない…!? これは自分に疚しい事があるから私に告げないのか!? 少しでも私に良心があるのなら仕事を手伝う優しさを私に見せても良いはずだ! そのはずだっ!」

 

 

藍「やはりバカンスなのか!? 自分だけバカンスなのかスキマァァァァ!!」

 

 

藍「はぁはぁ…はぁ…」

 

 

 

 静寂、叫んだところで無意味。

 

 

 

 

藍「わかってる…わかってはいるんですよえぇ…」

 

 

藍「紫様の帰りを待つしかない、これがもどかしいところなんです」

 

 

藍「…え? まるで飼い主を待つ子犬の様ですか? そんな風に見えたのならあなたはもう幻想郷入りして色んな妖怪に食べられちゃえば良いと思いますよ」

 

 

 

 

 

藍「……うん!? 私さっきから誰に向かって話し掛けてた!?」

 

 

藍「い、いかんいかんいかんぞこれは…! これではまるでおふざけ状態の紫様ではないか! ヤバイ…! ストレスが溜まって限界にきている証拠だ!」

 

 

藍「もう紫様の帰りを待つのをやめて地底の温泉に、いやそれとも妖夢たちとまた会を開いて宴会を…!」

 

 

藍「ふ、ふふふっ…! ふふふふ♪ もう、もう良いですよね? 私頑張って律儀にここで待ってましたよね? もう充分待ちましたよね? もう許されても良いですよね? もう我慢が解かれても良いですよね? ね?」

 

 

藍「お許しはいただけてるはずだ、誰のとは言えないがなぁ!」

 

 

藍「良し! 善は急げだ! お疲れ様でしたのメンバーを誘って地底の温泉に」

 

 

 

 ギュオン!!

 

 

 

藍「行くぞー! ……えっ? ギュオンっ…て…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲紫「はぁ…はぁ……ら、らぁん…た、ただいまぁ…」ボロッ

 

 

藍「ゆ、ゆゆゆゆゆ、紫様!!?」

 

 

紫「そんなに無いわぁ…ゆかりんのゆの字は一文字しか無いわぁ…」ボロッ

 

 

藍「も、申し訳ありません! それよりお、お帰りなさいませ紫さ…! って違う違うっ! 今はそんなことはどうでもいいわぁ!」

 

 

紫「ふふっ…よく喋るわね藍…主が帰って来たのがそんなに嬉しいのかしらぁ…?」ボロッ

 

 

藍「一週間も何処で何をなさってたんですか!? どうしてそんなにボロボロなんですか!? 服も所々破けちゃってますし、それにその見たことの無い疲れきった顔はなんなんですか!?」

 

 

紫「つれぇわ…一週間も会えなかった主のご帰宅を嬉しがらないとかつれぇわ……」ユラァッ

 

 

藍「!! ゆ、紫様!!?」

 

 

 私は倒れそうになった紫様を優しく抱き止めた

 

 

 

藍「だ、大丈夫ですか紫様!」

 

 

紫「あぁ…藍聞いて? 大妖怪も頑張ると疲れるのね…戦う~とかそんなんよりもスッゴい疲れるのね、頑張ると」

 

 

藍「頑張る…!? 頑張って何を…」

 

 

紫「…やっぱり気になっちゃう?」

 

 

藍「当たり前でしょう…あなたがこんなボロボロの姿で帰って来たんですから…そう思うのは自然な事なんです…」

 

 

紫「そ、ありがとう藍、心配してくれるのね」

 

 

藍「! それも当たり前ですよ…紫様」

 

 

紫「ふふっ…ゆかりん嬉しいわぁ…♪」

 

 

藍「紫様…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「スー…スー…」zZZ

 

 

藍「えぇっ!? 寝たぁ!?」

 

 

紫「らぁん…何ようるさいわね…」

 

 

藍「こらぁ! 寝る前に私の質問に答えてくださいよ!」

 

 

紫「うるさいわねぇ…つれぇって言ってるじゃない、少しは休ませなさいよ」

 

 

藍「そのつれぇの原因はなんなんですかって聞いてるんですよ! こちとらあなたが帰って来ない原因が分からなくてイライラしっぱなしだったんですからね!? 終いにはボロボロの紫様がご帰還ですよ!? 少しは私の気持ちも考えてくださいよ!」

 

 

紫「…そういえば藍、私最近『つれぇ』ってのが口癖になってきてる様な気がするんだけど」

 

 

藍「そんなことは聞いてないんですよ! 質問に答えてください!」

 

 

紫「分かった…分かったわよ藍…でもその前にさぁ」

 

 

藍「っ…! なんですか!」

 

 

紫「風呂、ご飯、服、用意なさい」

 

 

藍「………は!?」

 

 

紫「嫌よこの状態で質問に答えるなんて…こんなに体も服もボロボロでお腹も空いてるし…私結構疲れてるのよ?」

 

 

紫「風呂は適温、ご飯は体力をつけるために肉料理中心、油揚げとおにぎり以外ならなんでも良いわ」

 

 

紫「服は…ほら、このスキマの中から出してね」

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「なんかマヨヒガ帰って来てから力が入らないのよねぇ…あっはっは♪ これが『やっぱり我が家が一番』ってやつかしら?」

 

 

藍「……用意したら答えていただけます?」

 

 

紫「ゆかりん嘘つかない」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…分かりました、直ぐに用意します」スッ

 

 

紫「うおうっ!?」ズルッ

 

 

 どべしゃっ!!

 

 

紫「顔痛いっ!? く、クルァ!! いきなり離すんじゃないわよ! 地面に叩き付けられたゆかりんの気持ちも考えなさーい!」

 

 

 

 シーン…

 

 

 

紫「…あらら、もういない」

 

 

紫「らーん、先にお風呂だからね~!」

 

 

紫「って聞こえないわよね、もう用意してるのかしら…」

 

 

紫「はは~ん…♪ やっぱり私が一週間振りに帰って来たのが嬉しいのねぇ♪ うふふのふ♪」

 

 

紫「霊夢は顔に出ちゃうけど藍は行動に出ちゃうからねぇ♪ ゆかりんちょっと嬉しい♪」

 

 

紫「……でも用意出来るまで地べたに倒れながら待つの? 藍、部屋まで私を運んでくれる優しさは無いの?」

 

 

紫「……やっぱつれぇわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【そして一時間後 マヨヒガ 居間】

 

 

紫「はぁ~っ♪ 食べた食べた♪ ふぅ~♪」

 

 

紫「藍、ご馳走さま♪ 美味しかったわよ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「お風呂も適温で直ぐに入れたし、ご飯も肉料理中心♪ 特に生姜焼きと豚カツが美味しかったわ♪ ゆかりんフルパワーよ♪ 完全復活~♪」

 

 

紫「ありがとうね藍、私生き返った気分だわ♪ んふふふっ♪」

 

 

藍「…」

 

 

紫「さぁってと、体も綺麗になってお腹もいっぱいになったことだし…そろそろお休みタイム♪」スッ

 

 

紫「それじゃあね藍、お休みなさ」

 

 

 ガシッ!

 

 

藍「待ちなさい」

 

 

紫「……」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「お休みな」

 

 

藍「待ちなさいって言ってるでしょうが!」

 

 

紫「さっきも言ったと思うけど私疲れて」

 

 

藍「疲れてるのはこっちも同じだぁ!!」

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

藍「…戻りなさい、戻って座りなさい」

 

 

紫「…!」ギロッ

 

 

藍「そんな睨みには屈指ませんよ、さぁテーブルの前に座りなさい」

 

 

紫「……はい」スッ

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」ポスッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「…で?」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「さっきの質問、答えてくださいよ」

 

 

紫「あぁ~…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「ゆかりんのスリーサイズは上か」

 

 

藍「ちがぁぁう!!」クワッ

 

 

紫「きゃっ!? なんなのよさっきから大声を出して! ビックリするでしょ!?」

 

 

藍「一週間振りに帰って来たと思ったら初っぱなからふざけるんですかあなたはぁ! 私の質問に答えなさいって言ってるんですよ!」

 

 

紫「うっさいわねぇどこぞのヤマザナドゥさんみたいにグチグチグッチグチとぉ! あ♪ らぁ~ん♪ 分かったわよ? あなた寂しかったんでしょ、うん? 愛情の裏返し的なやつなのね♪」

 

 

藍「寂し…! いや、寂しいわけあるかぁ!」

 

 

藍「あなたが突然いなくなったお陰で私は要らぬ心配にずっと悩まされ続けてたんですよ!?」

 

 

紫「? 要らぬ心配なら心配する必要無いじゃない」

 

 

藍「!? ま、まぁ…! た、確かにそうなんですけど…!」プルプル

 

 

紫「ふふっ♪ まぁ私の事を心配していてくれてたのは嬉しいわ、ゆかりんちょー嬉しい」

 

 

藍「! …/// 一週間長かったですよ…要らぬ心配もそうですが、少し被害妄想もしてしまいましたし」

 

 

紫「妄想ねぇ…藍、妄想は頭の中だけにしなさいよ? 実行したら悲しむのは大抵橙なんだからね?」

 

 

藍「分かってますよ…ですが今回は紫様の事だけです、心配が心配を呼んで冷静な判断が出来なくなってしまいました」

 

 

紫「まぁ、あんな言い方で急にいなくなったら誰でも不審に思うわよねぇ」

 

 

藍「…自覚があるならやめてくださいよ」

 

 

紫「サプライズしたかったのよ、藍を驚かせてあげようかと思って」

 

 

藍「? サプライズ…?」

 

 

紫「そ、ゆかりん大好きサプライズ」

 

 

藍「…それは一週間いなくなってた事に関係してるんですか?」

 

 

紫「えぇ大いに関係しているわ、私がボロボロで帰って来たことも、めちゃめちゃ頑張った事にも関係しているのよ」

 

 

藍「…もう、話してくださいますよね」

 

 

紫「えぇ、良いわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「藍、心して聞きなさい」

 

 

紫「私は幻想郷にまた新たな娯楽をもたらすために、一週間を掛けてその娯楽のための下準備をしていたのよ」

 

 

紫「場所はスキマ空間、もちろんあのスキマボックスとスキマスタジオとは別の新たな空間によ」

 

 

紫「一週間掛かってしまったのは私一人で準備をしていたから、幻想郷住人の力を借りれば一日で終わったんだろうけどね、これも偏に住人皆へのサプライズのため…ゆかりんは頑張ったのよ」

 

 

藍「娯楽…? またですか…?」

 

 

紫「まっ! またって何よ藍! ゆかりんすっごい頑張ったのよ!?」

 

 

藍「まだ話の内容の核心が掴めて無いから紫様が頑張った度合いが分からないんですよ、何に頑張ったのかすら分かってないんですから」

 

 

紫「失礼ぶっこいてくれるわね…! 後で倒れる程おったまげても知らないわよ」

 

 

藍(言い回しが古いなぁ)

 

 

藍「スキマ空間の中で一週間何をなさっていたんですか?」

 

 

紫「! んふふふ♪ それはね?」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「家作ってた」

 

 

藍「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「……は?」

 

 

紫「? だから、家作ってたって言ってんの」

 

 

藍「い…い、いい、え、えっ? い、家…!?」

 

 

紫「そう、家よ、家」

 

 

藍「いえ…」

 

 

紫「マイホーム♪ マイハウス♪」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「えっ」

 

 

紫「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「…家が建ってイエーイ♪ な~んちゃっ」

 

 

藍「はあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「家!? 家って、あの家ですか!?」

 

 

紫「他にどんな家があるってのよ」

 

 

藍「紫様が一人で!? スキマ空間でですか!?」

 

 

紫「そうよぉ? 建築関係に詳しいであろう、にとり、ヤマメ、勇儀、萃香…その他諸々の住人の力を借りずにゆかりん一人で作ったのよ♪」

 

 

紫「私がボロボロだったのは家を作る時に色々と大変だったからなのよ、釘とかに服が引っ掛かっちゃって破けるし、ガスとか火の調節してたら爆発して焦げるし…まぁ今となっては良い思い出だけどね」

 

 

紫「楽しい家の作り方って本とにらめっこしながらやったのよ? スキマで材料とか取り出したり、スキマ分身で私と私で相談しながら作ったの、楽しかったわ♪ …出来上がった後ちょっと空しくなったのは内緒よ?」

 

 

紫「それがサプライズに繋がるわけなのよ、ゆかりん一人で頑張って作る事でこれから始まる娯楽にも繋がるからね♪」

 

 

藍「……!」

 

 

紫「? どうしたの?」

 

 

藍「いえ…その…一週間も…その…大変…でしたでしょうね」

 

 

紫「まぁね」

 

 

藍「なんというか…お疲れ様でした…」

 

 

紫「いいえ~♪ ふふふっ♪」

 

 

藍(なんかもうなんと言葉を掛けて良いのか分からなくなってきたな)

 

 

藍(手間の掛かることを! とか…そんなことより仕事だぁ! とか…言いたい事はたくさんあるんですけど…)

 

 

紫「あっ、力仕事して無駄な筋肉とかついちゃってないかしら…でも筋肉痛とか無いから気にしなくても大丈夫かしら、ふふっ♪ ゆかりんはいつでもスレンダー美人よ♪」

 

 

藍(紫様のあのやりきった顔を見ていると何も言えなくなってしまう…まるで職人が良い仕事をし終えた後の様な清々しい顔)

 

 

藍(また変な娯楽が幻想郷に舞い降りるかと思うと不安で胸がいっぱいだがな…今回の娯楽とやらは一体…?)

 

 

紫「あ、そうだわ藍、あなた私が一週間の間何処に行ってたと思ってたの?」

 

 

藍「へ? あぁ…その…」

 

 

藍「外の世界のリゾートホテルとか言うやつで羽を伸ばしまくっているのかと…」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「それは心外よ」

 

 

藍「すいません…」

 

 

紫「私の幻想郷を見捨てて外の世界に一週間も行くわけ無いでしょうが!」

 

 

紫「それがさっきの被害妄想とやらなの? 本当に被害妄想よ、藍」

 

 

藍「ごめんなさい…」

 

 

紫「フン!」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」ムスッ

 

 

藍「あ、あの…家を建てたのと、これから始まる娯楽とやらになんの関係性があるんですか?」

 

 

紫「あ♪ 聞きたい? 聞きたいの? 藍♪」

 

 

藍(あ、機嫌直った)

 

 

紫「そんなに聞きたいのねぇ♪ まぁあなたには一番に聞かせるつもりだったんだけどもね」

 

 

紫「んじゃ行きましょうか、スキマオープン♪」

 

 

 

 ギュオン!

 

 

 

藍「え? 行くって何処にですか?」

 

 

紫「決まってるじゃない、私が建てたお家よ♪ そこで家の紹介も兼ねてじっくりと説明してあげるわ」

 

 

藍「…ふふっ、寝たいんじゃなかったんですか?」

 

 

紫「ちょっとね…でもあなたも早く知りたいでしょう? 私自身、早く語りたいって思いがあるからね」

 

 

紫「さぁ行きましょう、私が作った家に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ゆかりんハウスにね!」

 

 

藍「なんかモンスターハウスみたいな名前ですね」

 

 

紫「あ``ぁ``ん!!?」

 

 

藍「!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【スキマ空間 スキマの通り道】

 

 

紫「あなた今日本当に失礼ぶっこいてくれるわね! 何がモンスターなのよ!」

 

 

藍「だってゆかりんハウスなんて言うから…」

 

 

紫「ゆかりんハウスの何処にモンスター成分が入ってるのよ!」

 

 

藍「こ、こんな感じかなぁって」

 

 

紫「んあっ!?」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

藍『た、ただいま~…』

 

 

紫A『藍、お帰りなさい♪』

 

 

紫B『お帰りなさーい♪』

 

 

紫C、D、E『お帰りー♪』

 

 

紫G、H、I、J、K、L『おかえりなさいませー♪』

 

 

大きい紫『おっかえりー♪』

 

 

小さい紫『おかえりなしゃいましぇ♪』

 

 

藍『は!?』

 

 

紫A『らぁん♪ ご飯にする? お風呂にする? それとも…』

 

 

小さい紫『もふもふぅ…? ウヒヒヒ♪』ニタァ

 

 

藍『ひっ!?』

 

 

紫A『総員! 突撃ー!』

 

 

十人十色の紫たち『もふもふぅ!!』ガバッ

 

 

藍『い、いやあぁぁぁぁ…!!』

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 

 

藍「こ、こんなかと…」

 

 

紫「想像力たくましいわねぇ! ゆかりんは一人で充分よ! 二人以上も要らぬわぁ!」

 

 

藍「そ、そうですよね! 申し訳ありません!」

 

 

藍(紫様が何十人と存在していたら幻想郷が過労死するような気がする…でも紫様はスキマ分身という技を身に付けているのでやってやれない事もない、現にそれで家を建てたみたいだし)

 

 

紫「大体そういうハウスが存在していたとしても天国じゃない、十人十色のゆかりんがあなたをお出迎えしてくれるのよ? 素敵じゃない♪」

 

 

藍「地獄の間違いでは…」ボソッ

 

 

紫「なんか言った!?」

 

 

藍「!? い、いえ…」

 

 

紫「フン…! …でもそういう考えは面白いと思うわよ?」

 

 

藍「面白い?」

 

 

紫「ほら…その発想だと仮にレミリアがたくさん居たら『カリスマハウス』になるし、早苗がたくさん居たら『ミラクルハウス』に、諏訪子なら『ケロケロハウス』橙がたくさん居たら」

 

 

藍「『ちぇぇぇぇぇぇぇぇんハウス』ですね♪ それこそ天国ですよ! えぇ!」

 

 

紫「……妄想は頭の中だけにしときなさいよ?」

 

 

藍「! は、はい…」

 

 

紫「はぁ……! 藍、そろそろ着くわよ」

 

 

藍「はい」

 

 

紫「ふふっ♪ 度肝を抜かすが良いわ♪」

 

 

藍(…どんな感じなんだろう)

 

 

 

 

 

 

 

 

【スキマ空間、ゆかりんハウス】

 

 

 

藍「 」ポカーン

 

 

紫「ふふっ♪ どう? この空間、この景色、そしてゆかりんハウスの外観は♪」

 

 

藍「………」

 

 

 

 

 私は言葉が出なかった…いや、出なかったというかどう言葉で表現して良いか分からなかったんだ。

 

 

 スキマの通り道から出た私の目に飛び込んできたのは見渡す限りの大草原、そして紫様が建てたのであろうゆかりんハウス。

 

 

 私は吹いてくる心地よい風を肌で感じる、風の流れに身を任せるようにして右に首を回す。

 

 

 大草原…いやそれだけではない、近くに川が流れているのが確認出来る、夏の季節だからか川のせせらぎが私の体に染み渡る様に聞こえてくる。

 

 人が六人横に並べる程の小さな川だ、手すりの無い木の橋が掛けられている。

 

 

 

 

紫「あの川には魚が放流してあってね、釣りも出来るのよ、あの橋に座って友達と釣りってのもオツよね♪」

 

 

 

 

 

 そして左、何やら巨大な大木がそびえ立っている、今や光の三妖精の住みかとなっているミズナラの木にそっくりだ、数えきれないたくさんの葉が生い茂っている

 

 

 

 

紫「気付いたと思うけどミズナラの木の再現よ♪ 中には住めないけどね、あの木は特別な仕掛けがしてあって季節事に色んな花を咲かせるのよ、春なら満開の桜を…秋なら紅葉…因みにこの空間の季節は幻想郷と同じよ♪」

 

 

藍「…」

 

 

紫「どうかしら? さっきから黙っちゃってるけど、感想はある?」

 

 

藍「感想…? あはは、そうですね」

 

 

藍「久し振りに紫様の本気を見た…と言うのが第一の感想です」

 

 

紫「ゆかりんはいつでも本気なんですけど~♪」

 

 

藍「スキマ空間であるにも関わらず、時間の概念までも作ってある…物体への重力、人工の太陽、恐らく月も作ってあるんですよね」

 

 

紫「この私が月を作るのは不本意だったんだけどねぇ…まぁただのハリボテだし、別に良いかなって」

 

 

藍「ハリボテだろうとちゃんと機能してるのは流石ですよね」

 

 

紫「そう? う~ん、でもこんなもん作っちゃったらにとりに妬まれそうねぇ」

 

 

藍「あはは、確かにそうかもしれませんね」

 

 

藍「……これは一週間も掛かる訳だ」

 

 

紫「他の物は二日で揃えたのよ、四日は…このゆかりんハウスに費やしたのよね、手強かったわ」

 

 

藍「ゆかりんハウス…」

 

 

 

 

 

 名前はアレだけどこれもかなり作り込まれているのだろうと思う

 

 

 外観は外の世界の一戸建ての家に良く似ている

 

 

 

 

 

紫「参考にした本が外の世界の建築本だったからね、作ったらこうなっちゃったのよ、幻想郷の人里の家と紅魔館と地霊殿を合わせた感じになるようにはしたのよ」

 

 

紫「家を囲む壁や塀なんか無いわ、開放感も重視しました♪」

 

 

藍「開放感ありすぎじゃないですかねぇ」

 

 

紫「まあこの大草原がゆかりんハウスの庭みたいなものだからね」

 

 

紫「作りは和モダン…日本古来の和風デザインに現代的なアレンジを加えたデザインなのだよ♪」

 

 

藍「ふふっ、いつから職人になったんですか」

 

 

紫「オラは職人~♪ やっくものゆっかり~ん♪」

 

 

藍「ふふふふっ…!」

 

 

藍(あ…なんか楽しんじゃってるな、私)

 

 

藍(紫様の本気を久し振りに見たからかな、世界を一個作るってやつをね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「さぁさぁ♪ 出来立てホヤホヤのゆかりんハウスよ♪ 入って入って~」

 

 

藍「あ、二階建てなんですか?」

 

 

紫「まぁまぁ♪ そういうのは入ってから確認するものよ、早く入りなさいな」

 

 

藍「は、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

【ゆかりんハウス、リビング】

 

 

 

藍「わぁ…♪」

 

 

紫「どう?」

 

 

藍「私こういう雰囲気の作りの家好きですよ、和と洋を融合させた様なデザインなんですね」

 

 

紫「そうなの、和室と洋室をくっつけるようにして寛げる空間を目指したの、畳張りの部屋と洋風の部屋に…フロアを木で作って清潔感を演出♪」

 

 

紫「囲炉裏もセットしようかなぁと思ったんだけどさすがに辞めたわ、部屋の広さも申し分無いでしょ?」

 

 

藍「えぇ、凄く快適ですね」

 

 

藍「? あ、そういえば家具も置いてあるんですね」

 

 

紫「外の世界の物なの、忘れ去られて幻想入りしかけてる物をスキマで無理矢理引っ張ってきてね、後はスキマで新品レベルに手直ししたの」

 

 

藍「スキマ便利ですねぇ」

 

 

紫「今更じゃない?」

 

 

藍「洋室には背の高いローテーブル、その高さに合わせた木の椅子が六個ですか」

 

 

紫「ここで皆でご飯食べるからね」

 

 

紫「キッチンは…ほら、ここから見えてるけど洋風の物を準備してあるわ、コンロ、ヒーター…どっちを使っても良いようにしてあるわ」

 

 

紫「それから冷蔵庫、エアコン、床暖房、トースターから電子レンジその他諸々、必要な物は全部置いてあるわ、使い方が分からない住人もいるでしょうけどまぁこれは説明書でも置いておけば大丈夫でしょう、食材もその日その日にスキマでねじ込んでおけば文句も無いでしょうし」

 

 

藍「は、はぁ…」

 

 

藍(住人…? ここに誰か呼ぶのか…? 新しい娯楽とは何を)

 

 

紫「んで…あっちがトイレでしょ? それと…あ、そうそう♪ お風呂なんだけどね? 温泉湧いてるのよ」

 

 

藍「えぇっ!? 温泉引いてるんですか!?」

 

 

紫「えぇ、博麗神社の温泉のデザインを真似て作ってあるの♪ お風呂への扉を開けたら別次元に迷い混んだ様な錯覚に陥るんじゃないかしらね♪」

 

 

藍「…拘りが凄いんですが」

 

 

紫「ゆかりんは職人さんなのよ♪」

 

 

藍「あなたみたいな職人さんがいたら大工が悲鳴をあげると思います」

 

 

紫「似たようなこと幽々子言われてたわね、一ボスがどうとか…」

 

 

藍(この拘り様…本当に何を)

 

 

紫「さ、次は二階に行きましょうか♪」

 

 

 

 

 

 

【ゆかりんハウス 二階】

 

 

 

紫「二階は寝室を六部屋だけ設けてあるの、本当は屋根裏も作りたかったんだけど辞めたわ」

 

 

藍「何故です?」

 

 

紫「なんか窮屈になりそうだったから、屋根裏から外に出れる案も考えたんだけどそれも辞めました」

 

 

藍「? あぁ、空飛べるからですね」

 

 

紫「そ、屋根に皆で寝そべって星を観たりとかも素敵でしょ?」

 

 

藍「良いですね、なんかそういうのも」

 

 

紫「ふふっ♪ 段々ゆかりんハウスの素晴らしさが分かってきたようね♪」

 

 

藍「…はい」

 

 

藍(空間に着いた時から素晴らしいと思ってしまったのだが、今更言うまい)

 

 

藍「寝室は?」

 

 

紫「見てみる?」スッ

 

 

 ガチャっ

 

 

藍「! ベッド…とライトしか置いてないんですね」

 

 

紫「今はね…四部屋はベッドルーム、二部屋は床に布団を敷いて寝れる様になっているわ、布団で寝るのが好きだって住人もいるでしょう?」

 

 

藍「ほ~…えっ? その『今は』っていうのは?」

 

 

紫「私に言ってくれれば色々その住人に合った物を追加してあげるのよ、ゆかりんハウスの管理人さんであるこの私がね♪」

 

 

藍「紫様は幻想郷の管理人さんでは…?」

 

 

紫「ここにいるときはゆかりんハウスの管理人さんよ、こんなに美人で若くて気立てが良い管理人さん他には居ないわよね♪ キャハッ♪」キャピ

 

 

藍「……」ジトッ

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「自分で言ってやってのダブルパンチ…恥ずかしく無いんですか?」

 

 

紫「今日は失礼ぶっこいてくれるわねほんとにぃぃ!!」

 

 

藍「当然の反応でしょうが! 言われるのが嫌だったらやらなきゃいいじゃないですか!」

 

 

紫「ゆかりんがゆかりんでなくなるのをそんなに拝みたいのかしら!?」

 

 

藍「あなたはふざけてないと自分を保てないんですか!?」

 

 

紫「分かってるんだったら素直にゆかりんと遊びなさいよ!!」

 

 

藍「めんどくさっ!!」

 

 

紫「言ってくれるわねこんにゃろうがぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【そして娯楽の説明を】

 

 

 

 私たちはゆかりんハウスの玄関前に移動していた

 

 

 

紫「どう? 藍、一通り見た感想は」

 

 

藍「正直ここまでの物とは思えませんでしたよ」

 

 

藍「空間の整備から家の作りの拘り…どれも素晴らしいと思いました」

 

 

藍「私は紫様が作っていた過程を見ていないので最初の説明の『家を作ってた』は半信半疑でしたが、紫様のスキマ空間であること、ボロボロで帰ってきたことから本当に紫様は頑張られたのだなと思いました、さっきも言いましたが紫様の本気を久し振りに見ました」

 

 

紫「ふふっ♪ そうでしょそうでしょ♪ もっと褒めても良いのよ♪」

 

 

藍「…それで?」

 

 

紫「うん?」

 

 

藍「この空間で行われるんでしょうけど…ここで始まる新たな娯楽とはなんなのですか?」

 

 

紫「ふふふのふ♪ よくぞ聞いてくれたわね!」

 

 

紫「これから始まる娯楽は一時の夢の様な出来事…でもそれは現実であり、触れ合い、自分で感じた心の想いは全て経験に置き換わる」

 

 

紫「ゆかりんハウスを舞台に行われるハートフルな三日間、涙あり笑いあり、思うがままにゆかりんハウスで生活しよう!」

 

 

 

 

 

 

紫「ゆかりんハウスでルームシェア!? ドキドキ! 幻想郷の住人の三日間!! わー♪ パチパチパチパチ~♪」パチパチ

 

 

藍「 」ポカーン

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「はい」

 

 

藍「はいじゃないです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「つまり幻想郷の住人をランダムに選んでこのゆかりんハウスに無理矢理連れてきて三日間過ごしてもらうのよ♪」

 

 

藍「えぇ…無理矢理タイプの娯楽なんですか?」

 

 

紫「だって~私からいきなり『ここに三日間住んでね♪』って言って首を縦に振る住人って少ないと思うのよ、しかもランダムに選んで選出するから断られる事もあるでしょうし」

 

 

藍「まあ、そうでしょうね…って普通の反応ですよ」

 

 

紫「うん、だから無理矢理連れてきます♪」

 

 

藍「そんな笑顔で言う事では無いですよ」

 

 

藍「まぁ、面白そうではありますけどね」

 

 

紫「でしょう?」

 

 

藍「幻想郷が平和になった今だから出来る娯楽ですしね、無理矢理連れて来て住まわせる事に目を瞑れば色々な幻想郷住人の反応がみられるかもしれませんしね」

 

 

紫「あら♪ 良く分かってるじゃない藍、ゆかりん感動よ♪」

 

 

藍(ノリで言ってしまったが紫様の頑張りを見せ付けられたせいで『辞めなさい』って言えなくなってしまっているんだよなぁ、今回も言いませんけど)

 

 

紫「あの住人とあの住人が!? 的な物を狙ってるのよ、設備をちゃんとしたのは文句を言わせなくするためでもあったのよね」

 

 

藍(こうは言ってるけどたぶん楽しんで作ったんだろうなとは思う、幻想郷の住人のためならなんでもやりますからね、この人は)

 

 

藍「あ…一つ質問しても良いですか?」

 

 

紫「許可するわ♪」

 

 

藍「住人の中からランダムに選ぶって言ってましたけど、どうやって選ぶんですか?」

 

 

紫「それは…ほいっと♪」スッ

 

 

 

 

 

 紫は空間にスキマを二つ開いた

 

 一つは小さなスキマで何やら突起物が上向きに飛び出ている

 

 もう一つは大きく、四角いスキマで六つの線が引かれており、それぞれ間隔が空いている

 

 

 

 

 

紫「これはゆかりんスロットよ♪」

 

 

藍「す、スロット?」

 

 

紫「その突起物、下に引いてみなさい」

 

 

藍「? はい」スッ

 

 

 

 ガチャコン

 

 

 

藍「え?」

 

 

 

 ピロピロピロピロ♪

 

 

 

 

藍「え? えっ!? なんか回ってる!」

 

 

紫「外の世界のスロットマシンを参考にしてるわ」

 

 

紫「お、そろそろ止まるわよ♪」

 

 

 

 

 

 ピロピロピロピロ♪ ガチャン

 

 

 

【博麗霊夢】

【八雲紫】

【八雲藍】

【橙】

【霧雨魔理沙】

【十六夜咲夜】

 

 

 

 

 

藍「おっ…!?」

 

 

紫「ふふっ♪ 察してくれた? そう、このゆかりんスロットで三日間を共に過ごすメンバーを選ぶのよ♪」

 

 

紫「この結果は今私が弄ったから決まった結果が出てきたけど『えぇっ!? あの子とあの子が一緒に住むの!?』みたいな結果ももちろん出てくるわ」

 

 

藍「い、いや…それは分かりますけどこれ私と紫様の名前も入ってるんですか!?」

 

 

紫「はぁ? 当たり前じゃない」

 

 

藍「…! ま、待ってくださいよ!? まさかこの名前の中にあの命蓮寺の狸の名前も」

 

 

紫「マミゾウ? 入ってるわよ?」

 

 

藍「そ、そんな中に私を放り込んだらどうなると思ってるんですか!?」

 

 

紫「まだ狸のことでブチブチ言ってんの? まぁ当たる可能性は低いけど、もし当たったらこの際だからその確執をなんとかなさい、当たるのも運次第、運に身を任せてみるのも良いものよ」

 

 

藍「し、しかし…! しかしですねぇ!」

 

 

紫「…」スッ

 

 

 

 

 ガチャ!

 

 

 ピロピロピロピロ♪ ガチャン♪

 

 

【八雲紫】

【綿月豊姫】

【綿月依姫】

【レイセン】

【稀神サグメ】

【八意永琳】

 

 

 

 

 

藍「えぇっ!!?」

 

 

紫「こんな結果がもし出たとしてあなたは私にブチブチ文句を言えるの?」

 

 

藍「も、申し訳ありませんでしたぁ!!」

 

 

紫「ふふっ♪ よろしい♪」

 

 

藍(ま、まさか月の民の名前まで…えっ? あの月の民まで無理矢理連れてくるんですか!?)

 

 

紫「まぁこんなところね♪ これで説明は終わりよ、どうかしら」

 

 

藍「……まぁその私も乗ってしまっているのでもう断りません、やりましょう…! ゆかりんハウス」

 

 

紫「そう♪ ならこれで心置き無く『ゆかりんハウスでルームシェア!?』を始められるわね♪」

 

 

紫「あ、因みに私と藍がこのスロットに選ばれなかったら住人には内緒でゆかりんハウスの状況を逐一監視するからそのつもりでいてね♪」

 

 

藍「は、はい…」

 

 

藍(で、出来れば狸とだけは…! 頼むぞゆかりんスロット…!)

 

 

紫「ふふっ♪ 一週間頑張ったゆかりんの努力♪ 報われるかしら♪」

 

 

紫「出来れば幻想郷のみんなにはこの一時の娯楽…楽しんでほしいわね」

 

 

紫「普段会わない人との触れ合いは良いものよ…この想いは私だけの物かも知れないけどね」

 

 

藍「…」

 

 

藍(何か思うことがあるのかな…?)

 

 

 

 

 

 

紫「さぁ、始まるわよ♪」

 

 

紫「ゆかりんハウスでルームシェア!? シリーズ♪ 開始よ!」

 

 

藍「お、おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 






 というわけで新シリーズ、始まります!

 部屋の内装はザックリ説明になってしまいましたが、家具の色や形その他諸々を、読者の皆様に想像していただきたくてこの様に表現しました。

 設定投げっぱなしになってしまっているような気がしますがご容赦下さい。


 ルームシェアする六人の選出はネットのランダム機能で選びます、どの東方キャラが三日間住むのか私も楽しみです♪ 

 一人一人のキャラの個性を潰さないように…『ゆかりんハウスでルームシェアシリーズ』をよろしくお願いします♪


 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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ーー 選ばれし六人 ーー PART1



 ゆかりんハウスシリーズ、始まります!


 出演する六人はこれからどう『ゆかりんハウス』で過ごして行くのか!? こちらのシリーズも是非お楽しみいただければと思います! またゆかりんハウス一回につき、四話構成にすることになりました



 ゆかりんハウスの説明については前のお話『ゆかりんハウス建設!』を読んでいただければと思います


 選ばれた六人ですが最初は名前を伏せておきます、それを見ている紫と藍の反応もお楽しみ下さい


 それでは始まります♪




 

 

 

 【マヨヒガ、茶の間 午後…21:30】

 

 

 

八雲藍「…」

 

 

 皆さん今晩は、私は幻想郷の管理人である八雲紫様が式、八雲藍でございます。

 

 今は夏、ギラギラと照りつける太陽の日差しが我々の体力を奪っていく季節がまたやって来てしまいました。

 

 

 一家に一台氷の妖精…この言葉が幻想郷で流行り出しますね。

 

 太陽の畑ではたくさんの向日葵が咲き誇り、そして夜になればプリズムリバー三姉妹や付喪神たちの演奏会が開かれます、夏の到来を感じさせてくれますね。

 

 

 夏…やはり一番大切なのは心身ともに健康に保つ事なのではないでしょうか、妖怪と言えども夏の日差しには勝てません。

 

 ジワジワと削られていく体力…消耗を少しでも押さえるために夏への対策は怠ってはなりません、打ち水を行ったり、部屋の風通しをよくしたりするなどをすれば、河童達が作りだしたエアコンや扇風機に頼らずとも、この夏を乗り切る事が出来るでしょう。

 

 

 

 そう、夏への対策はいくらでも思考することが出来るんですよ、でも…

 

 

 誰か…誰か知っているのなら教えてほしいのですが

 

 

 

 

八雲紫「んふふっ~♪ 幻想郷のみんな~♪ ゆっかりんだよぉ~♪ 元気にしてたかなぁ~?」

 

 

紫「ゆかりんハウスがついに解禁! 無理矢理連れて来ちゃうけどごめんなさいね! でも怒っちゃダメよ?」

 

 

紫「夏の思い出を皆と一緒に作りましょ♪ ゆかりんハウスの管理人さんのこの私が頑張っちゃうぞ♪ てへっ♪ てか頑張って作ったから文句言うんじゃないぞっ♪ このバカちんがぁ♪」

 

 

藍「…」

 

 

 

 夏の暑さが原因か、はたまた新しい娯楽が始まるから有頂天になってしまっているのか。

 

 テンションが振り切れて色々とヤバイ状態になっている主への対策を教えて下さい…! 切実に!!

 

 

 

藍(ふふっ♪ 21:00に夕飯を食べ終わってからずっとこの調子なんですよ? ヤバイでしょう? この人)

 

 

藍(私もね、このテンションに飲まれまいと抵抗しているんですよ? 何も喋らずただじっと自分の主の奇行を見守ってあげてるんです…私、頑張ってます)

 

 

藍(ゆかりんハウスを建てた張本人である紫様が嬉しいのは分かるんですよ? 建てた苦労話を聞いて私も『あぁ、紫様頑張ったんだなぁ』と思いましたからね、だから分かりはするんですけどここまで奇行に走らなくても良いと思いませんか?)

 

 

紫「スキマの隙間からこんにちはー♪ 八雲のゆかりんだよぉ♪ うへへっ♪」キャピキャピ

 

 

藍(もう永遠亭連れて行こうかな)

 

 

紫「うふふっ、ちょっとらぁん♪ 何さっきから黙ってるのよ、ゆかりんハウスよゆかりんハウスゥ~!」

 

 

藍「……はい」

 

 

紫「あなたテンション低いわよ~? ほらぁ~! もっとテンション上げて行きましょうよ♪」

 

 

藍「…はい」

 

 

紫「んもう! 何でそんなにテンション低いのよ! もっとテンションアゲアゲで」

 

 

藍「私までそっちに逝ってしまったら収拾つかないじゃないですか」

 

 

紫「…! ……」

 

 

藍「…」

 

 

紫「……」スッ

 

 

藍「…?」

 

 

紫「藍のバ~カ…」ムスッ

 

 

藍「はぁ!? と、というかそこで拗ねるんですか!?」

 

 

紫「私は空気が読める女よ、藍」

 

 

藍「だったら最初から奇行に走らないで下さいよ!」

 

 

紫「ふんっ! あなたって狐は本当に…! ゆかりんハウスが始まるこの喜びを分かち合えないバカちんに育てた覚えは無いんですけどねぇ! 藍なだけに狂喜乱舞して盛り上が」

 

 

藍「そんな風に育てられた覚えはないわぁ!! このバカちんがぁ!」

 

 

紫「!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 

 

 【回そう! ゆかりんスロット!】

 

 

 

紫「…」ムッスー

 

 

藍「す、拗ねないでくださいよ…謝りますから」

 

 

紫「藍に『バカちんがぁ』って言われたわ、初めて」

 

 

藍「う…す、すいませんでした」

 

 

紫「なんっ…なんだろう…なんかさ…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「ふっ…そのうち橙にも言いそうね、そしたら八雲家は代替わり? そしたらゆかりんはいらないからそこら辺にポイ?」

 

 

紫「はっ…これが外の世界にある社会の荒波に飲まれ続けてしまった人が体験するリストラの気持ちかしらね」

 

 

紫「つれぇわ…」

 

 

藍(うっ…! く、空気が重い…! なんとかしなければ…!)

 

 

藍「ゆ、紫様」

 

 

紫「…何よ」

 

 

藍「ゆ、ゆかりんハウス…始まりますね!」

 

 

紫「…」ムスッ

 

 

藍「ほ、ほら! 早くゆかりんスロット回してルームシェアする人選を決めましょうよ! ね?」

 

 

紫「! あら♪ ゆかりんスロットの事覚えててくれたのね♪」

 

 

藍(あ、機嫌直った)

 

 

紫「んふふっ♪ なぁんだ~、藍も意外と楽しみにしてたのね、ふふふのふ♪」

 

 

藍「ま、まあ…」

 

 

藍(それは嘘じゃ無いんです…住人を無理矢理連れて来ることを除けばですけど)

 

 

紫「それじゃあ、スキマオープンよ!」スッ

 

 

 

 紫は空間にスキマを二つ空中に展開する

 

 一つは小さなスキマで、スロットを回すレバーが上向きに飛び出ている

 

 もう一つは大きく、四角いスキマで六つの線が引かれており、それぞれ間隔が空いているスキマ、ここに住人の名前が書かれているスロットが回る

 

 

 

紫「あのお披露目の時は確率弄ったから望んだ住人の名前が出たけど、今回の結果は本当にランダムよ♪」

 

 

藍「そこなんですよ、問題なのは」

 

 

紫「問題じゃなくてそこが楽しむ所でしょ?」

 

 

藍「…」

 

 

紫「タヌキ?」

 

 

藍「……はい」

 

 

紫「その事は前も言ったでしょ、私なんか自分でやっておいてアレだけど月の連中と一緒に住むことになった結果が出たのよ!?」

 

 

藍「…まぁ確率は低いですからね」

 

 

紫「でも0では無いのよね…」

 

 

藍、紫「……」

 

 

藍「は、早く回しましょう?」

 

 

紫「そ、そうね!」スッ

 

 

 

紫「それでは一発目! この私がレバーを引かせてもらうわ♪」スッ

 

 

藍「よ、よろしくお願いします!」

 

 

紫「それでは~……! ゆかりんスロット! 回りやがれぃ♪」ガッ

 

 

 

 ガチャッ! ピロピロピロピロ♪

 

 

 

紫「さて♪ 本当に誰が来るかしら♪」

 

 

藍「来るなよ~…! 私になったとしても狸とだけは…!」ブツブツ

 

 

紫「祈ってると逆に来るかも♪」

 

 

藍「そういうことを言わないでくださいよ!」

 

 

 

 ピロピロ…

 

 

紫「! 止まるわよ! 藍!」

 

 

藍「!」

 

 

 

 

 ガチャン!

 

 

 

 

紫、藍「……」

 

 

紫、藍「…お?」

 

 

紫、藍「お~…」

 

 

紫「ふっ…何処の家族かしら…♪」

 

 

藍「おぉ…! いや、中々良いんじゃないですか? なんかバランスが取れてますね」

 

 

紫「子どもが二人、いや三人かしら? そして保護者が二人にまとめ役一人?」

 

 

藍「いやぁ、どうなるかと思いましたが中々良い結果でホッとしましたよ、監視…いやいや、見守る私たちも安心して見てられそうですね」

 

 

紫「むぅ~…なんか終始ほのぼので終わっちゃいそうよね」

 

 

藍「それが良いんじゃないですか、のんびりしましょうよ」

 

 

紫「カオス成分が足りねぇ…」

 

 

藍「そんな成分いらないでしょう!?」

 

 

紫「…カオスが」

 

 

藍「いりませんっ!」

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウスにご招待】

 

 

 

藍「そういえばどうやってゆかりんハウスに無理矢理…いえ、運ぶんですか?」

 

 

紫「住人が寝たであろう深夜にこっそりと『時限式小型転送スキマ』を体にセットしてあげるのよ♪」

 

 

紫「それなら気付かれず、違和感無く運べるわ、スキマに落っことしている訳じゃなくて転送しているんだからね、朝に目が覚めたらゆかりんハウスの自室の天井を拝む事になるわ♪」

 

 

紫「自分の家のお布団からゆかりんハウスのお布団へ…あなたの快適な眠りを妨げずに転送できますわ♪」

 

 

藍(なんか運送屋さん…いや転送屋さんかな)

 

 

藍「本当にスキマって便利ですよね…」

 

 

紫「だから今更でしょ? ゆかりんに不可能は無いわぁ♪」スッ

 

 

 

 ギュオンという音を立てて、大小様々なスキマが紫の手によって数多く展開される

 

 

紫「藍、皆が寝るまでまだ時間があるわ、その間にお仕事よ」

 

 

紫「このスキマからこっちのスキマ達に物を移動させてちょうだいな」

 

 

藍「? これは?」

 

 

紫「食べ物とかその他諸々よ、それから服も…同じ物を何着か用意しとけば文句無いでしょ?」

 

 

藍「…! …紫様」

 

 

紫「?」

 

 

藍「本当にルームシェアさせるの楽しんでますね」

 

 

紫「だって~♪ ゆかりんハウスの空間とその他諸々全部作ったの私だし~♪」

 

 

藍(空間作りも設備の設置も食料管理までも完璧)

 

 

藍(選ばれた六人には純粋にゆかりんハウスで楽しんでほしいのかな)

 

 

紫「んふふっ♪ これはこっち、これは冷蔵庫に繋がってるからこっちね♪」

 

 

藍「…」

 

 

藍(ふふっ、なら私も楽しませていただきますよ紫様)

 

 

藍(それにこの六人なら問題ないでしょう、本当に安心して見てられそうだ)

 

 

藍(ただ季節的な意味で一人だけ狙ったとしか思えない子がいるが、運というものも侮れないな)

 

 

紫「あ、そうだ…一応家族の人にも説明しておいた方が良いわよねぇ」

 

 

藍「そうですね、三日間失踪してたじゃアレですし」

 

 

紫「あんまり食い付いてこない奴に説明しとこ、特にこの妖怪さんの家は食い付きが半端ないからね」

 

 

藍「館の主が黙ってないでしょうね…」

 

 

 

 

 

 

 

 【そして翌日 午前7:00】

 

 

藍「うおっ…!? お、おはようございます、紫様」

 

 

紫「おはよう藍、ん? あなた何でそんなに目を丸くしているのかしら?」

 

 

藍「い、いえ…だって紫様が早起き」

 

 

紫「…」ジトッ

 

 

藍「そ、そんな目で見ないでくださいよ」

 

 

紫「…」

 

 

藍「た、楽しみだったんですよね!? だから早起きをなされたんですよね!?」

 

 

紫「そうよ…悪い!?」

 

 

藍(最近よく拗ねるなぁ…)

 

 

藍「悪いなんて言ってないじゃないですか…あ、それよりどうだったんですか? 時限式のスキマのセットは」

 

 

紫「六人全員成功したわ、中々スリルがあって楽しかったわよ? 今はゆかりんハウスのお布団でお休み中なんじゃない?」スッ

 

 

 紫は一つの大型のスキマを展開させる

 

 

藍「? あぁ、スキマモニターですね」

 

 

紫「これで皆を監視出来るわ、一気に六人を別々に見ることも可能よ? さぁ藍♪ いよいよ始まるわよ…!」

 

 

藍「はい…!」

 

 

紫「ゆかりんハウス…♪ ゆっくり三日間を過ごすと良いわ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「あ、因みに私達はマヨヒガで六人をずっと見てて、たまに副音声で実況するわ♪」

 

 

藍「誰に向かって喋ってるんですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、寝室その1 午前7:10】

 

 

 

 チュンチュン チュンチュン

 

 

 小鳥のさえずりが聞こえる…あぁ、もう朝なのですね

 

 

 

 

 

???「んっ…んぅ~…」モゾモゾ

 

 

???「あ~…布団がフカフカで心地良いです……もう一眠り…」

 

 

???「……スースー…」zzz

 

 

???「…はっ!? い、いけないいけない…!」スッ

 

 

 

 

???→茨木華扇「危なかったですね、霊夢ですら二度寝をしないと言うのに、はぁ…私もまだまだ修行が足りませんね」

 

 

 

 

 

紫『私の霊夢だって二度寝ぐらいするわぁ』

 

 

藍『彼女、頭のシニョン着けたまま寝るんですね』

 

 

紫『そりゃあ……まぁ色々あるからね、この子は』

 

 

藍『…?』

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「しかし、ふふっ…♪ この布団の寝心地が良すぎるのが…うん?」

 

 

華扇「……?」

 

 

華扇「……」キョロキョロ

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「えっ? これ布団じゃなくてベッド…?」

 

 

華扇「へっ!? あれっ!? こ、ここは…?」

 

 

華扇「う、うん…?」

 

 

華扇「私の屋敷…? ではない…!? ここは一体…!」

 

 

華扇「! 窓…!」スッ

 

 

 

 華扇は掛け布団を払いのけ、謎の部屋に付いているガラス窓を覗き込む

 

 

 

華扇「…! なっ!?」

 

 

華扇「け、景色が…! 一面大草原とは面妖な…!」

 

 

華扇(やはりここは私の屋敷ではない! そして妖怪の山でもない! 一体どういう…!)

 

 

華扇「……!」

 

 

華扇(ま、まさか知らぬ間に誰かに連れて来られた……!? そんなバカな!? この私に気付かれずに…)

 

 

華扇「誰の仕業だ…?」

 

 

華扇「……手足を拘束されてはいない」

 

 

華扇「取りあえずこの部屋から出てみましょう」

 

 

華扇(何が出るか分からない…用心しておきましょう)スッ

 

 

 

 【二階、寝室扉前】

 

 

 

華扇「……」ソーッ

 

 

華扇「…? 扉が五つ…? それに下へ通じる階段」

 

 

華扇(ここは二階? それともまだ下に続く階段が? 扉の先は私と同じ部屋?)

 

 

華扇(謎が多すぎる…)

 

 

華扇(扉の先に何者かが待ち構えていたら事ね…)

 

 

華扇(ここは階段を降りてみましょう…)スッ

 

 

 

 

 

 

紫『えぇ…警戒しすぎじゃないかしら』

 

 

藍『いやぁ、大人の常識人ならば当然の反応です』

 

 

 

 

 

 

 

 【一階リビング】

 

 

 

華扇「!? な、なんとまぁ…」

 

 

華扇「随分と…! か、快適なお部屋ですね…!? これは河童達が作った冷蔵庫なる物に似てますね、これで美味しい食べ物が入っていたとしたらとても嬉しいですね♪ ふふっ、ここで暮らすのも悪く…はっ!?」

 

 

華扇(い、いけないいけない…! これは恐らくこう思わせる為の敵の罠っ!! 気を抜いてはなりませんよ、華扇!)

 

 

華扇「……」

 

 

華扇(よく見ればこれは床暖房、そしてエアコン完備…それにあの冷蔵庫には食べ物が入っているのでしょうか)

 

 

華扇(ゆ、誘惑が…!)ゴクリ

 

 

華扇「……!」ハッ!

 

 

華扇「き、気をしっかり持ちなさい華扇! これは敵の罠です!」

 

 

華扇「……しかしこの開放的な窓…人を閉じ込めておくには…これではまるで外に出てくださいと言ってるようなもの」スッ

 

 

 華扇は外に出て辺りを見回してみる、家とは正反対の方に顔を向ける

 

 

華扇「! 見渡す限りの大草原…おや…? あれは川が流れているのでしょうか」

 

 

 ジリジリと夏の日差しが照りつけているが、時折吹いてくるそよ風が心地よい

 

 

華扇「すぅ~…! はぁ~…! 空気が美味しい…」

 

 

華扇「ふぅ♪ ……」

 

 

華扇「はっ!? ま、また寛いでしまった…!」

 

 

華扇「くっ…! 敵の狙いは一体…!? 隠れてないで出て来なさい! 勝手に人をこんな快適な…!? い、いやいや! こんな場所に連れて来てあなたは何者で何が目的なのです!?」

 

 

 シーン…

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「…! 出てこないつもりですか!?」

 

 

華扇(……! もしや何かの異変!? こうなったら家の中を隅々まで調べ尽くして)

 

 

???「ねぇねぇ、あんたさっきから何一人で叫んでるの?」

 

 

華扇「っ!?」クルッ

 

 

 華扇は声のする方、家の方に振り向いた

 

 

???「変なのー♪ あははは♪」

 

 

華扇「!? あ、あなたは…」

 

 

華扇(この子は確か…太陽の畑でよく見かける付喪神、だったかしら)

 

 

華扇(……! この子何処から? もしかしてこの子もここに?)

 

 

???「ん~? 今度は難しい顔すんの? 面白いねあんた♪ ねぇスーさんもそう思う?」

 

 

華扇「スーさん?」

 

 

???「ほら♪ この私の横に飛んでいる妖精さんだよ、鈴蘭の妖精なんだって幽香が言ってたよ」

 

 

スーさん「~♪」キャッキャッ

 

 

華扇「ほぉ、鈴蘭の妖精」

 

 

華扇(手のひらサイズでとても小さく可愛いらしい妖精ですね、喋れないのでしょうか)

 

 

華扇(…今はその事に気を向けている場合ではありませんね、情報を集めなければ)

 

 

華扇「初めましてになりますね、私は茨華扇と申します、あなたは?」

 

 

???→メディスン・メランコリー「私? 私はメディスン! メディスン・メランコリーって言うの♪ よろしくね♪」

 

 

華扇「ふふっ、元気が良いですね♪ メディスン・メランコリー」

 

 

メディ「あはは♪ メディで良いよ! 幽香もメディって呼んでくれるしね」

 

 

華扇「では…よろしくお願いしますね、メディ」

 

 

メディ「うん、よろしくね華扇♪」

 

 

 

 

 

 

紫『この子も私の事をババア呼ばわりするんだけど何故なのかしら、魔理沙とは知り合いみたいだけど影響を受けたわけじゃないのにね』

 

 

藍『私からは何とも言えないです…』

 

 

 

 

 

 

華扇(幽香…大妖怪の風見幽香ですね、魔理沙から聞いています、この子があの『幽香の傍らにいる無邪気な一輪の花』ですか、魔理沙にしては的を得た表現ですね)

 

 

メディ「あ、ねぇねぇ華扇、私教えてほしいことがあるんだけどさ」

 

 

華扇「はい、なんでしょう」

 

 

メディ「ここ何処? 私さ、幽香の家で寝てた筈なのにこの家の中で目が覚めたのは何でかな? 華扇は知ってる?」

 

 

華扇「! いえ、私も知りません、というより私もあなたと同じで目が覚めたらこの家の中だったんです…まだ何が何だか分からない状態です」

 

 

メディ「ふーん…お! おぉー! すっごいなぁ♪」

 

 

メディ「あはははっ♪ すごーい! スーさん大草原だよー♪」ゴロゴロ

 

 

スーさん「~♪」キャッキャッ

 

 

華扇「ふふっ、無邪気ですね♪ 微笑ましいです」

 

 

華扇(この子もこの家の中で目が覚めた…? となると)

 

 

華扇(この家の二階…?)

 

 

華扇「…メディ、あなたはこの家の二階で目が覚めたのですか?」

 

 

メディ「うん♪ そうだよ♪」

 

 

華扇(部屋は私の寝かされていた他に五つあった、そしてこの子も二階で……もしかしたら)

 

 

華扇「メディ、家の庭…いえ、大草原で転げて遊んでいるところ悪いのですが私と共に来てもらえませんか?」

 

 

メディ「どこ行くの?」

 

 

華扇「この家の秘密を暴きたいのです、手を貸していただけませんか?」

 

 

メディ「うん、良いよ!」

 

 

華扇「そ、即答ですか?」

 

 

メディ「うん、だって私もこの家の事知りたいもん♪」

 

 

華扇「ありがとう、それでは参りましょう」

 

 

メディ「おー♪」

 

 

華扇(素直な子…とても接しやすいです♪ この子の素直さを霊夢にも見習わせたいものですね)

 

 

 

 華扇とメディは再びリビングへ

 

 

 

華扇「一階は後回しに、まずは二階から見て回りましょう」

 

 

メディ「はーい♪」

 

 

華扇(私の予想が正しければ私たちの他にもこうやって連れて来られた者が居る筈…もしかしたらその中に犯人がいるやもしれません)

 

 

 ギシッ…!

 

 

華扇「!」

 

 

メディ「ん? 何の音?」

 

 

華扇「シッ…! どうやら誰か降りてくる様です…!」ヒソヒソ

 

 

メディ「!」

 

 

 

???「ここはどこなんだい? あぁ、私には眩しい景色だねぇ」

 

 

 

華扇、メディ「…!」

 

 

???「というか暑いよ…ここは地上なのかねぇ…ん? おっ!」

 

 

メディ「ん? あんた誰?」

 

 

華扇「……」

 

 

???「それはこっちのセリフだよ、ってか人が居たねぇ♪」

 

 

メディ「む! こらっ! 私は人間じゃないぞ! 付喪神のメディスン・メランコリーよ!」

 

 

???「そうなのかい? それは悪かったねぇ♪ ごめんごめん♪」

 

 

メディ「ふふん! 分かれば良いのよ♪」

 

 

???「あはは、面白い子だねぇ♪ それとあんたは…」

 

 

華扇「…」

 

 

???「えっ? 何でそんなに怖い顔してるんだい?」

 

 

華扇「! 別に、怖い顔など…」

 

 

メディ「華扇、知り合い?」

 

 

華扇「いえ…」

 

 

???「華扇…? あれ、なんかどっかで聞いたことあるね」

 

 

???「ん~…? あ、あぁあぁ思い出したよ、確か勇儀が話してたよ、あんたの事」

 

 

華扇「……そうですか」

 

 

???「あれ? 興味ない?」

 

 

華扇「はい、全く興味ないです」

 

 

???「ありゃりゃ…? おかしいね…」

 

 

メディ「ねぇねぇ、あんた名前は?」

 

 

???「ん? 名前を聞くときはまず……いや、あんたは名乗ってたね、私は…」

 

 

???→黒谷ヤマメ「黒谷ヤマメだよ、地底の土蜘蛛妖怪さ♪ よろしくね」

 

 

 

 

 

 

 

 

藍『地底からヤマメが選ばれましたね』

 

 

紫『ね、地底のアイドルさんは面倒見が良いのよねぇ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メディ「うん、よろしく! ヤマメ♪」

 

 

ヤマメ「あっははは、元気の良い子だね、あんたなら地底でも楽しくやっていけると思うよ」

 

 

メディ「地底? 私は地底やだなぁ」

 

 

ヤマメ「どうしてだい?」

 

 

メディ「だって太陽無いんでしょ? お花も無さそうだしさ」

 

 

ヤマメ「う~ん、太陽ならある…というか居るというか…あぁ、地底にも花は咲くよ? 地霊殿にはたくさんの薔薇が咲いてるしねぇ」

 

 

メディ「えっ? 本当!?」

 

 

ヤマメ「本当さ、今度遊びに来なよ、歓迎するからさ♪」

 

 

メディ「うん! 幽香に相談してみよっと♪」

 

 

ヤマメ「幽香? あの大妖怪の?」

 

 

華扇「そうみたいですよ」

 

 

ヤマメ「ありゃりゃ…勇儀が喧嘩吹っ掛けなきゃ良いけどねぇ」

 

 

ヤマメ「えっと、あんたは確か茨木華扇だっけ?」

 

 

華扇「『茨』華扇です」

 

 

ヤマメ「…? あぁ、そうだったそうだった、勇儀が言ってたね♪」

 

 

華扇「…」ギロッ

 

 

ヤマメ「そう怖い顔しなさんなって、私はそういうのは聞かないし言わない主義だからさ♪ よろしくね、華扇♪」

 

 

華扇(地底の住人はこれだから…まぁでもこの土蜘蛛は地底の妖怪の中でも話が分かるタイプの様ですね)

 

 

華扇(鬼と違ってわざとらしく絡んでは来ない、それだけでもどんなに私が…)

 

 

ヤマメ「そういやさ、ここは何処なんだい? 地底じゃないことは分かるんだけど地上なのかい? 目が覚めたらここに居てさ、こんなところ初めて見るよ」

 

 

メディ「ねぇ華扇、ヤマメも同じだね」

 

 

ヤマメ「同じ?」

 

 

華扇「はい、私たちもあなたと同じ状況にいるということです」

 

 

ヤマメ「…? つまり分からないし、目が覚めたら?」

 

 

華扇「この家の二階の部屋にいた」

 

 

ヤマメ「なんだいそりゃ、もしかして異変ってやつ?」

 

 

華扇「その可能性はあります、なのでまずは…」

 

 

ヤマメ「?」

 

 

 

 

 【二階、寝室扉前】

 

 

ヤマメ「なるほど、確認か」

 

 

華扇「私たち三人と同じ様に他の三人…恐らく三人ですが、同様にこの家に連れて来られたのだと思います、現に後、三部屋あるのがその証拠」

 

 

メディ「でもその中に犯人が居るかもしれないんでしょ?」

 

 

華扇「可能性はあります」

 

 

ヤマメ「で、どうする? 扉が開くまで待つかい?」

 

 

華扇「いえ、ここは確かめてみましょう、開いてない部屋を一つずつ調べます」

 

 

ヤマメ「勇敢だねぇ、さっすが勇儀と」

 

 

華扇「…!」ギロッ

 

 

ヤマメ「わ、悪かったよ、そう怖い顔しないでおくれよ」

 

 

メディ「?」

 

 

 

 ガチャッ!

 

 

 

華、ヤ、メ「!」

 

 

???「ふぁ~眠い…全く、何なんですかあのフカフカのベッドは…あんなのに寝てたらもうなんか身も心もダメになりそう…ってえっ?」

 

 

メディ「あっ、あんた幽香のところに来たことあるよね、誰だっけ?」

 

 

ヤマメ「おや、あんた地底に来たことあるよねぇ」

 

 

メディ、ヤマメ「えっと名前は確か…」

 

 

???「えっ? ええっ!?」

 

 

華扇「ひ…! 稗田阿求!?」

 

 

メディ、ヤマメ「あっ! それだ!」

 

 

???→稗田阿求「華扇さん? それに…」

 

 

阿求「地底の土蜘蛛に太陽の畑の妖怪人形? どういう組み合わせですか…? というか私の屋敷に何の用です?」

 

 

メディ「こらっ! 私は付喪神だぞ!」

 

 

ヤマメ「? 私の屋敷? ってことは…」

 

 

メディ「おっ♪ 犯人発見だ!」

 

 

華扇「いえ、待ってください…阿求、あなた寝ぼけているのではないですか?」

 

 

阿求「はい?」

 

 

華扇「ここは稗田の屋敷ではありませんよ?」

 

 

阿求「…?」

 

 

阿求「……」

 

 

華、ヤ、メ「…」

 

 

 

 

 

 

阿求「えっ」

 

 

華、ヤ、メ「えっ?」

 

 

 

 

 

 

阿求「な、なんですって!?」

 

 

華扇「あなた今フカフカのベッドがどうこう言ってたじゃないですか、あなたの屋敷にベッドはありませんよね?」

 

 

阿求「た、確かに…! でも夢にまで見たフカフカのベッドでグッスリ寝られて安眠♪ って違う違う! 由緒正しい稗田一族がベッドでグッスリなんて…そんなことやってはいけないのよ! あははは♪」

 

 

 

 

 

 

紫『阿求は口には出さないけど心の中ではめっちゃ仕事サボりたいらしいのよね』

 

 

藍『彼女の仕事は大変ですからね、癒しが欲しいんでしょう』

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「はぁ…」

 

 

ヤマメ「こんなに騒がしい人間だったかねぇ」

 

 

メディ「私知らなーい♪ でも面白いね♪」

 

 

華扇「阿求、そこの階段降りて外の景色を見て来なさい、ここが稗田の屋敷ではないということが分かります」

 

 

阿求「か、階段? ここは何処なんですか?」

 

 

華扇「それは私たちが調べます、あなたはまずここが普通の場所では無いことを知るべきです」

 

 

阿求「は、はぁ…分かりましたよ」スッ

 

 

華扇(私もフカフカのベッド…いえ、やめておきましょう)

 

 

メディ「あの人間にはインタビュー? だっけ? なんか本に書くから色々と聞かせてほしいって言われたから喋ったよ」

 

 

ヤマメ「私もさ、まぁそれがあの人間のお仕事なんだろうね」

 

 

華扇「幻想郷縁起…稗田家が代々書き連ねている書物です、妖怪の事や幻想郷の情勢を掲載しています、幻想郷の大事典と言った方が分かりやすいですかね」

 

 

メディ「へー、そーなんだー♪」

 

 

ヤマメ「自分から書いてくれってアピールした妖怪も居るって聞いたことあるねぇ」

 

 

華扇(阿求が憶測や推測で執筆している部分もあるようですが、それはそれで良いのでしょうか?)

 

 

ヤマメ「さて…これで二部屋になったね」

 

 

華扇「そうですね」

 

 

メディ「犯人いるかな?」

 

 

華扇「居てくれたら直ぐに異変かいけ」

 

 

 

 わあぁ!? な、何なんですかここはぁー!?

 

 

 

メディ「わぁ! ビックリした~…さっきの人間の声だね」

 

 

華扇「阿求…! はぁ…」

 

 

ヤマメ「あっはははっ! 緊張感がほぐれるねぇ♪」

 

 

華扇「台無しです!」

 

 

 

 

 【気を取り直して】

 

 

 

華扇「では、開けますよ」

 

 

ヤマメ、メディ「うん」

 

 

華扇「三、二、一……はっ!」スッ

 

 

 

 バァァン!

 

 

 

華扇「異変の首謀者よ! 神妙にしなさ…ん?」

 

 

メディ「お? なんかこの部屋涼しいね」

 

 

ヤマメ「あぁ~…! 快適だねぇ♪ ひんやりしてて気持ちが良いねぇ♪」

 

 

華扇「これは冷気…? おや」

 

 

 

???「くぉ~…くかぁ~…」zzZ

 

 

 

華、メ、ヤ「……」

 

 

メディ「こいつが異変の犯人?」

 

 

ヤマメ「そいつは厳しいんじゃないかねぇ…布団はだけて寝ちゃってるし」

 

 

華扇「阿求も、そしてこの子も…」

 

 

華扇「氷の妖精、チルノも誰かに連れて来られた様です」

 

 

???→チルノ「むにゃむにゃ…」zzZ

 

 

華扇「…メディ、この子を起こしてあげてくれませんか?」

 

 

メディ「うん、良いよ」

 

 

華扇「私たちは最後の部屋の確認に行きましょう」

 

 

ヤマメ「えぇ~…ここ涼しくて快適だから動きたくないなぁ」

 

 

華扇「…」ギロッ 

 

 

ヤマメ「む、無言で睨むのはやめておくれよ…分かった、行くよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『誤解されたくないから言っておくけど、ゆかりんスロットの確率は弄ってないからね! 完全に運よ! 運!』

 

 

藍『夏と言えばチルノみたいなところありますからね…選ばれたのはチルノにも運があるということか、選ばれた他の住人に運が向いたのか』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そして最後の部屋へ…】

 

 

 

 

 

 

華扇、ヤマメ「…」

 

 

???「くぉ~…く~…」zzZ

 

 

???「んふふふ……ここは誰も通さないぞぉ……」

 

 

???「……くぉ~…」zzZ

 

 

華扇「取り合えず二階には犯人はいない、という事が分かっただけでも収穫です」

 

 

ヤマメ「この妖怪はいつも寝てる印象あるねぇ、仕事中も寝ているみたいだし」

 

 

華扇「な、なんと…!? 門番が仕事中に寝ている…!? 与えられた仕事を全うせず、サボり呆けて眠るとは言語道断です! 起きなさい紅美鈴!」スッ

 

 

???→紅美鈴「んっ…」ユサユサ

 

 

華扇「起きなさい! 私が仕事のなんたるかを説いて差し上げます!」

 

 

ヤマメ「朝っぱらからお説教かい? というか異変の調査は?」

 

 

華扇「自分の主に申し訳ないと思わないのですか!? 起きなさい紅美鈴!」

 

 

ヤマメ「聞いちゃいないねこりゃ…」

 

 

美鈴「んんっ…さ、咲夜さ~ん……」

 

 

華扇「…! 起きましたか? さぁ、私の話を」

 

 

美鈴「今日のお昼はサンドウィッチでお願いします……んふふふふ…」

 

 

美鈴「……かぁ~…」zzZ

 

 

華扇「…!?」

 

 

ヤマメ「あっはははは♪」

 

 

華扇「笑い事ではありません! 起きなさい紅美鈴! 起きろぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『紅魔館の門番さんが登場ね♪』

 

 

藍『彼女がここに居るってだけで安心するんですけどこれって私だけですかね?』

 

 

紫『さてと…これで全員出揃ったわね、ゆかりんスロットも中々の結果を出してくれたんじゃない? …カオスが足りないけど』

 

 

藍『だからカオスはいらないですって』

 

 

 

【茨木 華扇】

【メディスン・メランコリー】

【黒谷 ヤマメ】

【稗田 阿求】

【チルノ】

【紅 美鈴】

 

 

 

紫『じゃあ藍、私ちょっと行ってくるわ』

 

 

藍『はい、って何処に行くんですか?』

 

 

紫『あの子たちに説明よ、手紙でも良かったんだけど華扇が不信感持っちゃってて楽しく過ごさなそうだからね、私から説明してあげるの』

 

 

藍『は、はい、分かりました』

 

 

藍(紫様本当に頑張るなぁ)

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス リビング 午前8:00】

 

 

 

 華扇たちは美鈴とチルノを叩き起こし、リビングに移動していた。

 

 異変? の調査は後回しにすることにしたのだ 

 

 

 華扇達はリビングにある背の高いローテーブルの前に置かれている六個の椅子にそれぞれ腰掛けている、華扇の前に美鈴、阿求の前にチルノ、チルノの前にヤマメが向かい合う形となっている

 

 

 

 

美鈴「あははは…なんかすいませんね、起こしてもらっちゃって」

 

 

華扇「あなたは寝付きが物凄く良いみたいですね、それは長所でもあり短所でもあります、気を付けないといけませんよ」

 

 

美鈴「す、すいません…」

 

 

阿求「はぁ…ここでもお説教するんですか?」

 

 

華扇「お説教ではありません、これは注意です」

 

 

阿求「お説教する人って皆そう言うんですよね」

 

 

華扇「なんですって!?」

 

 

阿求「今の言葉は霊夢さんの受け売りです」

 

 

華扇「なっ!? れ、霊夢…! 私の注意はちゃんと聞くべきとあれほど…!」

 

 

阿求「あぁ、因みにあなたのありがたいお説教とやらですが、人里ではあまり評判はよろしくないみたいですよ♪」ニコッ

 

 

華扇「!?」

 

 

阿求「お説教も度が過ぎれば迷惑なんじゃないですかね♪」ニッコリ

 

 

華扇「うっ…!? そ、そんな…」

 

 

美鈴「あ、あはは……」

 

 

ヤマメ「あんた意外と毒舌だねぇ」

 

 

阿求「ふふっ♪ そうですか?」ニッコリ

 

 

ヤマメ「笑顔が怖いよ?」

 

 

華扇「幻想郷では強い者は大抵、笑顔である…あなたが説いた説でしたね、真似事のつもりですか?」

 

 

阿求「私はそんなことはしてませんよ? ただ…」

 

 

阿求「稗田家の当主たるもの、妖怪等になめられては幻想郷縁起の執筆は出来ない…そういう家訓みたいな物があるんです」

 

 

美鈴「阿求さんは仕事熱心なんですねぇ…私も見習いたいなぁ」

 

 

ヤマメ「見習うって言ってもあんた突っ立ってるだけじゃないかい?」

 

 

美鈴「その突っ立ってるだけって言うのが…その…」

 

 

ヤマメ「あぁなんか分かるよ、ただただ突っ立ってるだけってのも苦だよね、あんたが眠くなるってのも分かるねぇ」

 

 

美鈴「はい…」

 

 

華扇「精進が足らないからです! それと自分を慕ってくれる主がいるのですから忠誠心という物をですね…!」

 

 

阿求「まーたお説教ですか?」

 

 

華扇「だからこれは注意です!」

 

 

美鈴(か、華扇さんってちょっと口うるさい時の咲夜さんに似てるなぁ)

 

 

メディ「笑顔の人が強い? そういえば幽香はニコニコしてることの方が多いなぁ、だから強いのかな?」

 

 

華扇「風見幽香は笑顔じゃないときでも強そうに見えるのですが」

 

 

ヤマメ「あんたが強いって言うんじゃ相当強いんだろうねぇ♪」

 

 

美鈴「幽香さん、花を見ているときは凄く笑顔ですもんね♪」

 

 

阿求(風見幽香はその筆頭ですからね、笑顔と強さは比例するなんて訳の分からないことを紫さんが言ってましたね)

 

 

チルノ「すげぇ…!!」キラキラ

 

 

チルノ「おぉー…!!」ソワソワ

 

 

メディ「? あんたさっきから何ソワソワしてんの?」

 

 

チルノ「だっ…!! だってほら! 外見てみなよ! すっげぇ大草原じゃん!! すっげぇ…!」キラキラ 

 

 

チルノ「大ちゃんが喜びそうだなぁ♪ 鬼ごっこもかけっこも仕放題じゃん♪ みすちーのライブもここでやったらすっげぇだろうなぁ♪」

 

 

チルノ「それになんかお宝とかありそうじゃない!? 冒険の匂いがプンプンしてるよ! あたいには分かるっ!」

 

 

メディ「あんたにだけ分かっても意味ないじゃない」

 

 

チルノ「じゃあ今から一緒に行こう! お宝探し!」

 

 

メディ「…! 中々面白そうね♪ 付き合うわ!」

 

 

チルノ「おう! じゃあ今」

 

 

華扇「待ちなさい」

 

 

チルノ「な、なんだよぉ、良いとこだったのに~…」

 

 

メディ「華扇、どうしたの?」

 

 

華扇「どうしたもこうしたもありませんよ、まだまだ敵の出方が分かって無い以上、無暗に動くのは危険です」

 

 

美鈴「敵? ですか?」

 

 

華扇「はい…皆さんも承知の通り昨日の夜、自分の家で床に就いた筈なのに何故かこの得体の知れない家の中で目が覚めた」

 

 

華扇「恐らく昨日の深夜、私たちが寝ていた隙を狙いこの家に連れて来たのでしょう、連れて来た理由は不明…だからこそ無暗に動いてはならないのです」

 

 

美鈴(確かにそうだ…でも悪意ある気は感じないけど)

 

 

ヤマメ「これ夢だったりしないかい?」

 

 

阿求「統一性が無く、接点のあまり無い私たちが全く同じ夢を見ますか? 人間、付喪神、妖精、地底の妖怪、紅魔館の門番妖怪、仙人ですよ?」

 

 

ヤマメ「だよねぇ…」

 

 

チルノ「ん? めーりんとあたいは友達だぞ?」

 

 

美鈴「ありがとうございますチルノさん、でも今の話の流れだと私たちだけ接点がある、それなら私達二人だけがここに居る事になります」

 

 

チルノ「?? ??? そうなの?」

 

 

メディ「そうなんじゃないの?」

 

 

華扇「とにかく何者かに連れて来られた事は事実であり、異変の可能性も捨てきれません」

 

 

チルノ「! 異変…! よーしっ! あたいがこの異変解決してやる!」

 

 

華扇「意気込みは結構ですが、まずは敵の出方を伺い、一気に畳み掛けるのが得策だと思いま」

 

 

 ギュオン!

 

 

紫「あなたちょっと警戒しすぎよ、少しは肩の力を抜きなさいな♪」

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴、阿求「…!?」

 

 

メディ、チルノ「ああーっ!!」

 

 

 

 紫は華扇達よりも高い位置にスキマを広げ、そこからソッと覗くようにしてひょこっと顔を出している

 

 

 

紫「ハロー♪ 幸運ある選ばれし六人の幻想郷住人さん♪」

 

 

華扇「八雲紫…!?」

 

 

美鈴、阿求「紫さん!?」

 

 

ヤマメ「おや、紫じゃないかい♪」

 

 

メディ、チルノ「ババア!!」

 

 

紫「誰がババアだクルァ! 声を合わせてババア呼びは二倍増しで傷つくからやめなさい!」

 

 

チルノ「ここで会ったが百万円! 覚悟しろババア!」

 

 

ヤマメ「ん? 百万円?」

 

 

紫「百年目でしょうが! 後ババアはやめなさいよクルァ! あなたは魔理沙の影響をモロに受けすぎよ!」

 

 

チルノ「…あり? 百年目…?」

 

 

メディ「あんたってバカなの?」

 

 

チルノ「なんだとぉ! そんなわけ無いじゃないか! あたいは最強なんだぞ!」

 

 

メディ「最強? あんた幽香に勝てんの?」

 

 

チルノ「当たり前だろ! けちょんけちょんにしてやるさ!」

 

 

メディ「ふーん…あんた強そうには見えないけどね」

 

 

チルノ「見た目よりも中身が大事なんだ! 慧音先生が言ってたぞ!」

 

 

ヤマメ「こらこら、言い争いは後にしな」

 

 

チルノ、メディ「むっ…」

 

 

美鈴「そうですね、二人とも落ち着いてください」

 

 

チルノ、メディ「む~…」

 

 

阿求「…さて、紫さん」

 

 

紫「なんすか?」

 

 

阿求「ぷっ…! くくっ…! な、なんすか? じゃありませんよ! ちゃんと説明してください!」

 

 

紫「説明ねぇ…♪ ふふふのふ♪ なんでも答えてあげましょう?」

 

 

華扇「全て答えていただきますよ? ここに連れてきた理由、そして目的を」

 

 

チルノ「? なんでババアがここにあたいたちを連れてきたってわかんの?」

 

 

阿求「現れたタイミング、そしてこの幻想郷とも違う世界、というか空間に私達が居る理由…新たな幻想郷住人の仕業、すなわち異変ではないのなら紫さんしか犯人はいません」

 

 

チルノ「な、なるほど…」

 

 

メディ「あんた分かって無いでしょ」

 

 

チルノ「わ、分かってるよ!」

 

 

紫「犯人呼ばわりはやめてほしいわねぇ…阿求? あなたたぶん私に後でお礼言うことになるわよ?」

 

 

阿求「…?」

 

 

華扇「とにかく全て話すのです! 八雲紫!」

 

 

紫「はいはい、今話しますよ」

 

 

華扇「はいは一回です!!」

 

 

紫「は、はーい…!」

 

 

紫(あ、相変わらず絡みづらいわねぇ…)

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりん説明中】

 

 

華扇、阿求、ヤマメ、美鈴、「る…ルームシェア!?」

 

 

紫「そうよぉ♪ ゆかりんハウスで三日間のんびりしていってね♪」

 

 

紫「ここには生活に必要な物は全て揃ってる、美味しい食べ物も、着替えも、冷蔵庫から洗濯機、温泉付きのお風呂、フカフカのお布団とベッド、豊かな自然、何不自由なく生活できますわ♪」

 

 

華扇(お、美味しい食べ物…!?)ピクッ

 

 

阿求(お、温泉付きのお風呂…!?)ピクッ

 

 

阿求(夢にまで見た地底の温泉旅行…! …じゃないけどこ、これは…!)

 

 

阿求(仕事を気にせず堂々とのんびり出来るチャンス!!)

 

 

チルノ「なぁめーりん、ルームシェアってなんだ?」

 

 

美鈴「うーんそうですね…簡単に言うと『皆で楽しくこの家で三日間過ごそう!』って事ですね」

 

 

チルノ「おー! そーなのかー!」

 

 

美鈴「そーなのだー!」

 

 

チルノ、美鈴「わはー♪」

 

 

チルノ「おー! じゃああたいたちは家族になるってことか! みんな、よろしくな!!」

 

 

美鈴「よろしく…と言いたいところなんですけど」

 

 

チルノ「うん?」

 

 

メディ「……」

 

 

紫「ババア呼びがなければ本当に素直な子なのにねぇ、ホント残念…残念だわぁ♪」

 

 

ヤマメ「紫」

 

 

紫「うん? どうしたのヤマメ」

 

 

ヤマメ「あたしゃルームシェアには文句無いよ? なんか面白そうだしねぇ♪」

 

 

紫「流石ヤマメね、話が分かるわ」

 

 

ヤマメ「あんたも無いんだろう?」

 

 

チルノ「おう! もちろんさ!」

 

 

ヤマメ「じゃあ…はい、何か言いたそうな方々」スッ

 

 

メディ、美鈴、華扇、阿求「……」

 

 

紫「あらあら♪ 嬉しすぎて声も出せないの?」

 

 

美鈴「いえ…聞いても良いですか?」

 

 

紫「はいどうぞ?」

 

 

美鈴「私達をルームシェアさせる目的とかあるんですか?」

 

 

紫「いいえ? 特に無いわ」

 

 

美鈴「無いんですか!?」

 

 

紫「ただ私がこのゆかりんハウス、そしてこの空間を作ったから誰かここで遊んでほしいなぁって思ったからあなたたちを連れてきたのよ、無理矢理連れてきちゃってごめんなさいね」

 

 

紫「あなたたちが選ばれた理由とかは完全に運よ、ランダムに選ばれた六人、接点が有ろうと無かろうとそんなのは関係ない、仲良く楽しく過ごしてね♪」

 

 

ヤマメ「また紫が突発的に思いついた娯楽か何かなんだろう?」

 

 

紫「その通りよ♪」

 

 

美鈴「そうですか…なら…その、私は反対しないです、普段会わない方々と交流を深めるのは良い事だと思いますし」

 

 

紫「応用力と適応力があるわねぇ♪」

 

 

美鈴「でも、その…私には門番の仕事が」

 

 

紫「パチュリーにはあなたの事話したわよ♪ 」

 

 

美鈴「えっ!?」

 

 

紫「『たまには門以外のところでも羽を伸ばして来たら? 咲夜には言っておくし、レミィには私が上手く言っておいてあげるから』だそうよ?」

 

 

美鈴「パチュリー様…」

 

 

阿求(門以外のところでも? 門でも羽を伸ばしているように聞こえるわね)

 

 

紫「ヤマメ、あなたにはパルスィに…チルノ、あなたには大妖精に言っておいたわ」

 

 

ヤマメ「ははっ♪ パルパル何て言ってた?」

 

 

紫「『私にわざわざ言いに来ることじゃないわよね! ヤマメが何処でどうしてようと私には関係ないわよ妬ましいわね!』だって♪」

 

 

ヤマメ「あっはははは! パルパルらしいねぇ♪」

 

 

チルノ「大ちゃんは?」

 

 

紫「『帰ってきたら三日間のお話を聞かせてね♪』だそうよ♪」

 

 

チルノ「! うん、分かったよ大ちゃん! 大ちゃんに三日間のお話をお見舞いしてやるさ! あはははは!」

 

 

紫「お見舞いしてどうするのよ♪ ふふっ♪」

 

 

華扇「…」

 

 

紫「あなたのことは東風谷早苗に伝えてあるわ、知り合いなんでしょう? あなたが飼っている珍しい動物たちも守矢神社に居るわよ?」

 

 

華扇「!」

 

 

紫「『楽しんで来てくださいね! あっ! お土産あったら持って帰って来てくれても良いんですよ!』ですって」

 

 

華扇「! …ふふっ、お土産目当てですか」ニコッ

 

 

紫「楽しんで来てって言ってるのよ、それにあなたにも理解者…友達ぐらいいるでしょう? 霊夢や魔理沙、マミゾウや菫子は置いといて他にも沢山、ね♪」

 

 

華扇「…! ふっ…」ニコッ

 

 

華扇「何も心配無いなら良いでしょう、ルームシェアします、良い刺激になりそうですからね」

 

 

美鈴「私もです、パチュリー様からお許しも出てますしから大丈夫ですね」

 

 

チルノ「あたいも!」

 

 

ヤマメ「私は最初から反対してないよ♪」

 

 

紫「ふふっ… ! あら? あらあら阿求?」

 

 

阿求「!」

 

 

紫「あなた今…仕事なんか忘れて堂々とのんびり出来る! とか思ってるでしょ?」ヒソヒソ

 

 

阿求「!? そ、そそそ、そん…! そんなこと思ってるわけ…」

 

 

紫「あらぁ♪ ないのぉ?」ニヤニヤ

 

 

阿求「ぐっ…!」

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴「?」

 

 

阿求「し、仕方ないからやりますよ! やってやりますよルームシェア!」

 

 

紫「仕方無くぅ~?」

 

 

阿求「紫さんしつこいですよ!」

 

 

紫「ふふふっ…♪ あぁ、あなたの事は稗田邸の使用人たちに言っておいたわ、本居小鈴にもね」

 

 

阿求「小鈴なんて言ってました?」

 

 

紫「『良いなぁ~♪ 口うるさくしないか心配だけど、帰ってきたら話聞かせてね、阿求』だって」

 

 

阿求「口うるさくは余計よ小鈴…」

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「お? どうしたんだよ? さっきから黙ってるけどさ」

 

 

メディ「幽香が…居ないから嫌だなって…」

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴「……」

 

 

チルノ「え? あたいたちが居るじゃん」

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「? なんでそんな顔するのさ」

 

 

美鈴「チルノさん…」

 

 

チルノ「めーりん、めーりんからも何か言ってやってよ」

 

 

メディ「…」

 

 

紫「メディスン」

 

 

メディ「…!」

 

 

紫「あなたの事も話したわよ、幽香にちゃんと、ね」

 

 

メディ「! 何て言ってたの!?」

 

 

紫「耳貸しなさい」スッ

 

 

メディ「! …」スッ

 

 

紫「『メディ、あなたは世の中を知るべき、私のところから離れてみるのも良いと思うの、私が居ないと不安な事だらけで楽しい事も楽しめないかもしれない、けど私としてはあなたが私の居ないところでも綺麗に咲き誇っていけるという姿を証明出来るはずよ、そしたら他の奴らに見せ付けてやりなさい、そして新たな蕾を付けて開花させるのよ…開花したその花、帰ってきたら私に見せてね、メディ』」ヒソヒソ

 

 

メディ「!! 本当!? 幽香が本当にそう言ったの!?」

 

 

紫「言ったわよ? 信じられないなら三日後に帰ったら聞いてみなさいな、それとも今から聞きに行く?」

 

 

メディ「…いえ、信じるわ! 分かった! 分かったわ、幽香!」

 

 

メディ「私もみんなとルームシェアするわ♪ よろしくね!」

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴、阿求「!」

 

 

チルノ「ん? 幽香なんて言ってたんだ?」

 

 

紫「秘密よ♪」

 

 

チルノ「なんだよぉ! ババア、教えろよ~!」

 

 

紫「嫌よ、私ゆうかりんに八つ裂きにされたくないもん♪ 後ババアって言うなっ!」

 

 

紫(…幽香からお許しもらえるとは思ってなかったんだけどまさかのまさかよね)

 

 

紫(まったく遠回しな言い方よねぇ♪ 『せっかくだから楽しんで来なさい、そして無事に帰ってきてルームシェアの時の楽しかった思い出を聞かせてね』ってハッキリ言えば良いのにねぇ♪)

 

 

紫(まぁ花に例えるのは幽香らしい…かな♪)

 

 

 

紫「それでは皆さんルームシェア決定ということで、文句はないわね?」

 

 

全員「!」コクコク

 

 

紫「よろしい♪ あぁ、冷蔵庫とかは説明書置いてあるから見てね、それと着替えはあなたたちが寝ていた部屋に置いてあります、それと…あ、欲しいものがあったら言ってね♪ んじゃ、私帰る」

 

 

チルノ「うん、じゃあな!」

 

 

メディ「バイバイ♪」

 

 

紫「……あのさぁ、軽くない? もうちょっとゆかりんと一緒に居たいから帰らないで~とか」

 

 

華扇「早く立ち去りなさい、ここは今私達六人の家なのでしょう?」

 

 

阿求「しつこい人は嫌われますよ?」

 

 

メディ「『消えろスキマ野郎!』えへへっ、幽香に似てた?」

 

 

紫「なあっ!?」

 

 

ヤマメ、チルノ「あっはははは!」

 

 

美鈴「あはは…」

 

 

紫「くっ…!! うっさいこのバカちん共!! 後でゆかりんハウス最高だったとか言わせてやるからね!」

 

 

阿求「分かりましたから早く帰って下さい」

 

 

紫「このっ…! 毒舌阿求!」スッ

 

 

 ギュオン! 

 

 

阿求「なんですって!?」

 

 

華扇「落ち着きなさい、もういませんよ」

 

 

阿求「はぁ…黙って立ち去らないから格好つかないんですよ、それが分からない人じゃない筈なのに」

 

 

ヤマメ「分かっててやってるんじゃないのかい?」

 

 

華扇「真意が掴みづらいですね…相変わらず」

 

 

阿求「掴みづらいじゃなくて掴めないが正解ですよ、まったく…」

 

 

チルノ「なぁなぁ! もうババアのことはどうでも良いじゃん、こーゆーのって自己紹介? からするんだろ?」

 

 

メディ「そんなもんなの?」

 

 

美鈴「そうですね、各々見知った方もいるようですが自己紹介はした方が良いと思います、これから三日間同じ屋根の下で生活しますからね」

 

 

ヤマメ「お、いいねぇ♪ じゃあそれぞれ軽く名前と能力と趣味を言っていこうじゃないか」

 

 

メディ、チルノ「おー♪」

 

 

阿求「元気が良いですね、こんなに暑いのに」

 

 

華扇「暑さなんて気にしないたくましさは子供にしかない魅力ですね」

 

 

 

 

 

 

 【自己紹介しよう!】

 

 

華扇「仙人の茨華扇と申します、能力は…まぁ仙人なので色々出来ます、趣味は修行、散歩、飼っている動物達と遊ぶこと、ですね」

 

 

ヤマメ(仙人…か、秘密は誰にでもあるもんだし気にすることじゃあないね)

 

 

阿求(茨木とは名乗らないんですね、やっぱり)

 

 

美鈴(仙人? いや、確かに仙人特有の気は感じるけどなんか…なんだろう…)

 

 

美鈴(少しだけドロッとした闇を感じる…)

 

 

メディ「へー、華扇って仙人だったんだ」

 

 

華扇「はい」

 

 

チルノ「仙人ってなんだ?」

 

 

華扇「修行を積み、超人的な力を得た人間の事です」

 

 

チルノ「ほぉ~、うん? じゃあ華扇は人間だったのか?」

 

 

華扇「! …いえ、そうではありません」

 

 

チルノ「えっ? 人間が仙人になるんだろ?」

 

 

阿求「一概にそうとは言い切れませんよ? 天狗が仙人になったケースも存在していますから」

 

 

メディ「へぇ、人間じゃ無いなら華扇は妖怪から仙人になったの?」

 

 

華扇「まぁ…そうですね」

 

 

チルノ「へぇー、妖怪から仙人になったんなら超強いじゃん!」

 

 

華扇「そ、その理屈は分かりませんが…そこら辺の妖怪よりは強いと自負はしてますけどね」

 

 

美鈴「…仙人かぁ、憧れますね」

 

 

華扇「ふふっ、あなたは仙人の素質がありそうですね、どうです? 仙人目指して私と修行してみませんか?」ニッコリ

 

 

美鈴「現役の仙人様から誘っていただけるのは嬉しいんですけど、断らせていただきます、私は憧れのままでいたいと思ってます、私はこれからも紅魔館の門番、そして妖怪としてお嬢様に支えていきたいので」

 

 

華扇「そうですか…残念ですがその志は立派だと思います、是非貫いてくださいね」

 

 

美鈴「! はい! ありがとうございます!」

 

 

阿求「私は華扇さんのところで修行したいなんて思わないですけどね」

 

 

華扇「? 何故です?」

 

 

阿求「霊夢さんから聞いてますよ? あなたの修行はコース分けがしてあって『爬虫類コース』だの『哺乳類コース』だの『ルナティック華扇ちゃんコース』だの訳の分からないコースが目白押しでしかもその殆どがしんどい、疲れる物ばかりだとか」

 

 

華扇「むっ! しんどい? 疲れる? そんなものは当たり前です! 疲れない修行など」

 

 

ヤマメ「ぶふっ!? あっはははは!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「ぷっ…! ふふっ…」プルプル

 

 

華扇「なっ!? 何が可笑しいのです!?」

 

 

ヤマメ「だ、だって…! くくっ…! る…ルナティック華扇ちゃん……! ふはははっ!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「ふくくくっ…!」プルプル 

 

 

阿求「私は笑い慣れたのでもう乾いた笑いしか出ないですけど最初耳を疑いましたよ? 自分の名前にちゃん付けして修行コースの名前に取り入れるなんて…もうね? 馬鹿なんじゃないのかと」ニッコリ

 

 

美鈴、ヤマメ「あははははっ!!」ゲラゲラ

 

 

華扇「わ、笑わないで下さい! それと阿求!! 少し言い方が辛辣過ぎます! あなたはルナティック華扇ちゃんコースの良さが分からないから」

 

 

阿求「そのコース試したことある人いるんですか?」ニッコリ

 

 

華扇「!! い…いない…ですけど…!」プルプル

 

 

チルノ「なぁなぁ華扇! カエルコースは無いのか!? あたいカエル凍らせるのは得意だぞ」

 

 

メディ「お花畑コースは? スーさんコースは無いの? ないなら作ってよ~♪」

 

 

阿求「あぁ、子供達から慈悲ある提案が…♪」クスクス

 

 

華扇「あなたは無慈悲ですね稗田阿求…!」

 

 

阿求「なんのことやら、ふふっ…♪」ニッコリ

 

 

 

 

 

 

メディ「私は付喪神のメディスン・メランコリー! メディって呼んでね♪ 趣味はスーさんと幽香と遊ぶこと、後は花を育てること、能力は『毒を操る程度の能力』だよ♪ よろしくね♪ あ、こっちはスーさん、鈴蘭の妖精だよ♪」

 

 

スーさん「~♪」

 

 

美鈴「よろしくですメディさん♪ えっと…スーさん?」

 

 

メディ「さん付け? まぁ良いけどね♪」

 

 

スーさん「~♪」フリフリ

 

 

ヤマメ「! へぇ…♪ 毒かぁ♪」

 

 

チルノ「いつも太陽の畑に居るよな、あたい達が畑に遊びに行くと幽香と一緒に居るの見かけるぞ」

 

 

メディ「うん、私幽香の家に住んでるからね」

 

 

華扇「あなたと風見幽香の関係は…家族?」

 

 

メディ「! えへへ…/// そうだったら良いなぁ、幽香はどう思ってるか分からないけどね」

 

 

チルノ「? 一緒に住んでるんだろ? じゃあ家族なんじゃないのか?」

 

 

メディ「…! ふふっ、あんた嬉しいこと言ってくれるね、ありがと♪」

 

 

チルノ「ん? 何でお礼言われたんだ?」

 

 

ヤマメ「そりゃあんたが素直だからさ♪」

 

 

チルノ「??」

 

 

阿求「正直あなたの種族は私の中では曖昧なんですよね、あなたは自分のことを付喪神と言いますが人形から妖怪に転じた…これだけではなんとも」

 

 

メディ「だから私は付喪神だって言ってんじゃん」

 

 

阿求「……」

 

 

美鈴「別に良いんじゃないですか? メディさんが付喪神だと言うのなら、付喪神なのですよ」

 

 

阿求「…そうですね」

 

 

阿求(付喪神ならば何かしら自分の元となった物を持っているはず…多々良小傘なら傘を、九十九姉妹なら琵琶と琴を、でもこの妖怪は)

 

 

阿求(人形だったから自分が元? それともあのスーさんとかいう妖精が何かしらの秘密を…)

 

 

美鈴「小さくて可愛いですね♪ 喋れない様ですが…何故でしょう」

 

 

チルノ「ちんくちくりんだなぁ、お前強いの?」

 

 

スーさん「~♪」

 

 

ヤマメ「やっぱあんた地底気に入ると思うよ?」

 

 

メディ「そう?」

 

 

華扇「地底に勧誘はいただけない行為ですね」

 

 

ヤマメ「お堅いねぇ、地底が嫌いなのかい?」

 

 

華扇「嫌い…というわけではないですが」

 

 

メディ「私は花が咲いてるところなら何処でも好きだよ♪」

 

 

 

 

 

 

ヤマメ「あたしゃ黒谷ヤマメだよ♪ 地底の土蜘蛛妖怪さ、趣味は建築かな、色々な物作ったりするのが好きでね、能力は『病気を操る程度の能力』だよ、よろしく~♪」

 

 

阿求「ヤマメさんは地底のアイドルなんて言われてますよね、地底では人気者だとか」

 

 

ヤマメ「言われてるだけだよ~、まぁ私はさとりと勇儀の次に顔が広いからね♪」

 

 

華扇「あなたの趣味が建築とは…あぁ土蜘蛛は建築が得意なんですよね」

 

 

美鈴「紅魔館が崩壊した節は本当にお世話になりました、一日という速さで建て直せたのはヤマメさん達の協力あってこそでしたからね」

 

 

ヤマメ「あっはっはっは! 良いんだよ~♪ 建て直すのは楽しいし、レミリアお嬢にも会えたし、美味しいサンデーもご馳走になったしね」

 

 

華扇(さ、サンデー…!? 私が最近気になっているデザート…)

 

 

阿求「紅魔館が崩壊って…何があったんですか?」

 

 

美鈴「少し前になりますが、館でたくさんの方々を招いてパーティーを開いたんです、そのパーティーの最中に酔っ払った紫さんと天子さんが何故か喧嘩しだして、それに悪ノリした魔理沙さんや萃香さんが暴れ出してしまって…」

 

 

阿求「あぁ、なんか想像しやすい」

 

 

華扇「酒に溺れて暴れるなど、大人として恥ずかしく無いのでしょうか」

 

 

メディ「ヤマメって病気を操れるのね、私の毒と似てるかも」

 

 

ヤマメ「私もそう思ってたよ、メディとは能力の相性が良いのかもしれないねぇ♪ 私は毒性のウィルスとかもイケるからね」

 

 

チルノ「ヤマメは蜘蛛なのか、糸って出せるのか?」

 

 

ヤマメ「もちろん出せるよ? ほれ♪」スッ

 

 

 べちゃっ!

 

 

チルノ「うおっ!? 腕にくっついた!」

 

 

ヤマメ「手からなら何処からでも出せるよ、それと頑丈さと粘着力には自信があってね、鬼の勇儀が八割の力を出して漸く引きちぎることが出来る強度を持ってるのさ♪」

 

 

美鈴「鬼の方の八割って凄く無いですか?」

 

 

阿求「常識を越えたパワーであることは確かですね」

 

 

チルノ「うおおぉぉぉ! とーれーなーいー!」ジタバタ

 

 

メディ「何やってんのよ、ほら取ってあげるか…あ、私の手にもくっついた」

 

 

チルノ「と、取ってくれよぉ!」ジタバタ

 

 

メディ「だから今取ろうとしてるでしょ…ってこらっ! 暴れると余計くっつくし、私に触るとまたくっつくでしょ!!」ジタバタ

 

 

ヤマメ「ふっはっはっは♪ お前達をぐるぐる巻きにしてやろうかぁ!」

 

 

チルノ、メディ「ぬぁぁぁ…! お~の~れ~!」ジタバタ

 

 

美鈴「あははは、微笑ましい光景ですね」

 

 

阿求「地底の方のノリは子供達にとっては楽しいと言える物なんでしょうね、ヤマメさんは面倒見が良い方なので子供には好かれやすいのではないでしょうか」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇(地底の人気者か、鬼じゃないだけでも気が楽ね、三日間無事に過ごせそうです)

 

 

 

 

 

阿求「稗田家当主兼、幻想郷縁起の執筆者、幻想郷の記録係こと稗田阿求です、仲良くしてくださいね♪ 趣味は読書と執筆、人里の甘味処巡り、能力は『一度見た物を忘れない程度の能力』です、因みにさっき紫さんが言ってましたけど私は自分の事を毒舌家だなんて微塵も思ってませんし、そんな事は一切無いので気にしないでくださいね」

 

 

華扇、ヤマメ「…」ジーッ

 

 

阿求「あら、なんでしょう♪」

 

 

華扇「白々しい…! 辛辣な言葉の数々を浴びせ、妖怪の心を弄ぶのは如何なものかと思いますよ!」

 

 

阿求「私は私の言いたい事を言ってるだけです♪」

 

 

華扇「口は災いの元とも言います! 自分で自分の身を滅ぼす様な事はしないでほしいものですね!」

 

 

阿求「ふふっ、私を心配してくれるのですか? 流石仙人様ですね、ありがとうございます♪」

 

 

華扇「…!? わ、分かればいいんですよ、分かれば…」

 

 

ヤマメ「…あんた口が上手いね、それに色々とたくましいよねぇ」

 

 

阿求「ふふっ♪ 幻想郷の人間はたくましく生きるものですよ」

 

 

美鈴「幻想郷縁起の執筆は大変でしょう、あれだけの量の文を書き、全て覚えているのも凄い事だと思います」

 

 

阿求「そうですね、でも趣味が仕事だと捗りますね、まぁ疲れは溜まりますけど…」

 

 

美鈴(趣味が仕事、か…一度言ってみたい台詞ですね、私はお嬢様たち家族の為に頑張れるんですけど)

 

 

メディ「本かぁ~、花の本とか無いの?」

 

 

阿求「植物図鑑なら小鈴の…私の友達が経営している本屋にあるかもしれませんね、今度一緒に行ってみます?」

 

 

メディ「! うん、行く行く!」

 

 

チルノ「え~っと…あ、こうだっけ…? 慧音先生がいつもお世話になってます!」

 

 

阿求「! ふふっ、ご丁寧にどうも♪ でもそれは私の台詞ですね、慧音さんには書類整理等を手伝ってもらってますからね」

 

 

チルノ「『阿求はたまに口が悪いが頼りになるんだ』って慧音が言ってたぞ、大ちゃんが先生と阿求はお仕事仲間だとも言ってた!」

 

 

阿求「!? く、口が悪い…!?」

 

 

華扇「ふっ…口は災いの元ですよ、阿求?」ニッコリ

 

 

阿求「に…二回も言わないで下さいよ!」

 

 

ヤマメ「あっはっはっは!」

 

 

メディ「そういえば毒舌って? 舌に毒があるの?」

 

 

美鈴「その通り…なんですけど、説明が難しいですね」

 

 

チルノ「? ベロに毒があるのによく平気だな」

 

 

美鈴「自分の体に毒があるカエルもいるじゃないですか、あれと同じ様な感じですよ」

 

 

チルノ「あっ、そっか! …阿求ってカエルと一緒なのか?」

 

 

阿求「なんっ…!? カエル如きと一緒にしないで下さい!」

 

 

ヤマメ「如きって…」

 

 

華扇「口悪いじゃないですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

美鈴「紅美鈴です、紅魔館の門番をしてます」

 

 

阿求、ヤマメ、チルノ、メディ「知ってる」

 

 

美鈴「うっ…! よ、妖怪です!」

 

 

阿求、ヤマメ、チルノ、メディ「知ってる」

 

 

美鈴「しゅ…! 趣味は…! 趣味は寝ることと料理をすること! 能力は『気を使う程度の能力』です!」

 

 

阿求、ヤマメ、チルノ、メディ「知ってる」

 

 

美鈴「!?」ガーン

 

 

ヤマメ「あんたって分かりやすいよねぇ♪ それなりに有名人なんだろ? 色んな意味でさ」

 

 

チルノ「めーりんの料理は咲夜には負けるけど美味しいよな! あたい好きだぞ! …辛いもの意外だけど」

 

 

メディ「美鈴は花を大切にしてくれるから好きだよ♪」

 

 

阿求「美鈴さんって親しみやすくて人柄も良いから私も好きです」

 

 

美鈴「な、なんか…ありがとうございます…」

 

 

華扇「人柄や性格が好いのは結構ですが、仕事をサボって寝るのはいけませんよ」

 

 

美鈴「わ、分かってはいるんですけど…」

 

 

阿求「あ、そうだ…幻想郷縁起に『特技、立ち寝』と書いても良いですか?」

 

 

美鈴「そ、それだけはやめて下さい! 咲夜さんにも『それが特技なの?』とか言われて何も言い返せなかったんですから!」

 

 

華扇「言い返せなかったですって…!? 自分に非があるのにも関わらず言い返そうとするその考えはどうかと思います!」

 

 

美鈴「す、すいません…」

 

 

阿求、ヤマメ(またお説教してる…)

 

 

メディ「ねぇ美鈴、お花に水あげてる?」

 

 

美鈴「はいもちろんです、幽香さんからいただいた大事な花ですからね」

 

 

メディ「! そっか♪ 幽香の育てた花なんだからね、大事にしてよ?」

 

 

美鈴「もちろんですとも」

 

 

華扇「花?」

 

 

美鈴「紅魔館の庭の花は幽香さんからいただいた花を植えて育てているんです、花を育てるのは私の仕事でもあります、館に彩りを添えるのも大事なことですからね、妹様も手伝ってくれるんですよ♪ あ、妹様というのはお嬢様の妹であるフラン様の事です」

 

 

華扇「…」

 

 

チルノ「めーりんは良いヤツなんだよね♪ あたいたちとも遊んでくれるからさ、寝てても起きて遊んでくれるんだ♪」

 

 

美鈴「そ、それは…」チラッ

 

 

華扇「…」

 

 

美鈴「うっ…」

 

 

ヤマメ、阿求(またお説教かな…?)

 

 

華扇「…あなたは優しい心の持ち主なのですね、博麗神社の宴会で何度か顔は見ましたが、こうして面と向かって話すのは初めてになりますね」

 

 

美鈴「!」

 

 

華扇「ふふっ♪ これから三日間よろしくお願いしますね」

 

 

美鈴「は、はい! こちらこそよろしくお願いします!」

 

 

ヤマメ「…なんかさ、あの二人似てないかい?」ヒソヒソ

 

 

阿求「服装がですか?」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「う~ん…それもあるけど、纏ってる雰囲気というか」ヒソヒソ

 

 

阿求「まぁ二人共優しいというのは共通してますけどね」ヒソヒソ

 

 

華扇「そ、その…あなたは料理を嗜んでいるんですよね? どのような料理を作るのです? 甘い物は作れますか?」

 

 

美鈴「中華料理が得意ですね、スイーツは…咲夜さんには負けますが、杏仁豆腐とか作れます」

 

 

華扇「あ、杏仁豆腐…! 是非食べてみたいものですね」

 

 

美鈴「ふふっ、良いですよ♪ 作りま…ここに材料あるんですかね?」

 

 

チルノ「咲夜の作るお菓子は最強なんだよね~♪」

 

 

メディ「? あんた自分が最強なんじゃないの?」

 

 

チルノ「あたいにも勝てない物があるんだよ…」

 

 

メディ「?」

 

 

 

 

 

 

チルノ「あたいはチルノ! 最強の妖精だ! 趣味はカエルを凍らせることと弾幕ごっこと寺子屋の友達みんなと遊ぶこと! 弾幕ごっこのライバルは魔理沙とクラウンピースと霊夢だな! 能力は『冷気を操る程度の能力』だ! よろしくな!」

 

 

ヤマメ「あははっ! 元気が良いねぇ♪」

 

 

美鈴「チルノさんがいると回りが元気になりますよね♪」

 

 

チルノ「あったり前だろぉ♪ あたいは最強だからな」

 

 

メディ「それ関係あんの?」

 

 

チルノ「もちろんさ!」

 

 

華扇「ふふっ♪ あなたも裏表が無くとても接しやすいです、よろしくお願いしますね、チルノ」

 

 

チルノ「おう! 華扇もよろしくな!」

 

 

阿求「あなたは氷の妖精なのに中身はとても熱い性格をしている、そして強さも妖精以上の力を持っている…たまに本当に妖精なのかと疑うときがあります」

 

 

チルノ「ん? あたいはいつでも妖精だぞ?」

 

 

阿求「妖精離れしているという事ですよ、私、褒めてます」

 

 

チルノ「お! なんか分からないけど褒められたぞ」

 

 

美鈴「あ…そういえば日焼け治ったんですね」

 

 

チルノ「うん、なんか分かんないけどいつの間にか治ってた」

 

 

華扇、ヤマメ、阿求「えっ…!?」

 

 

チルノ「うん? な、なんだ?」

 

 

メディ「へぇ、あんたって日焼けするのね」

 

 

チルノ「う~ん、するっていうかしたっていうか…あたいにも良く分かんないんだよね、本当に真っ黒になっちゃってさ、黒焦げになったんだ」

 

 

メディ「あんたが焦げるの? 変なの…」

 

 

ヤマメ「お、驚いたねぇ! 氷の妖精が日焼けするんだね」

 

 

華扇「夏は苦手なイメージがあったのですが、それにしても日焼けですか…夏を満喫しているということなのでしょうか」

 

 

華扇(力の暴走…? あり得なくはない、か)

 

 

阿求「日焼け…!? え、縁起に加筆しておかなければなりませんね」

 

 

美鈴「チルノさんが日焼けするという事実は衝撃なんですかね」

 

 

チルノ「魔理沙には大笑いされたけどね『チョコレートぶっかけられたみたいだな』ってさ」

 

 

ヤマメ「話変わるけどさ、かき氷にチョコレートかけると美味しいよね♪」

 

 

チルノ、メディ「分かる分かる♪」

 

 

阿求「私はそこに練乳をトッピングしますね」

 

 

チルノ、メディ「チョー分かる♪」

 

 

華扇(! うっ…お、美味しそう…♪)ジュルリ

 

 

 

 

 

ヤマメ「なんか私たち色々とバランス取れてないかい? 楽しく三日間やっていけそうだねぇ♪」

 

 

華扇「そうですね、ふざけて暴走するようなタイプの方は居ないですから気が楽です、この三日間を大切に過ごしましょう」

 

 

美鈴「はい♪ 皆さん、三日間よろしくお願いします♪」

 

 

阿求「はい♪ 紫さんの思い付きに巻き込まれたのはアレですけど…休暇だと思って楽しむことにします♪」

 

 

チルノ「おう! さぁ遊ぶぞ~♪ ババアが作ったって言ってたこの未知の世界で冒険だ!」

 

 

メディ「うん! ここにはどんな花が咲いてるかなぁ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 かくして、最初のゆかりんハウスの住人はこの六人となった、彼女達がどんな生活を送っていくのかそれは

 

 

 

 

紫『次回に続く!』

 

 

藍『だから誰に向かって喋ってるんですか』

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 

 






 ここまで読んでいただいてありがとうございました!お疲れ様でした♪


 最初のゆかりんハウス住人はこの六人になりました

【茨木 華扇】
【メディスン・メランコリー】
【黒谷 ヤマメ】
【稗田 阿求】
【チルノ】
【紅 美鈴】



 以下に明かされていない設定を少しだけ載せます


 メディスン・メランコリー

『彼女は東方紫藍談では秦こころや堀川雷鼓と同じ、付喪神の設定』原作でも妖怪のままなのか付喪神なのか明言されてない筈なので(たぶん純粋な妖怪かもです)

 いつもメディスンの側にいる小さな少女、スーさんは鈴蘭の妖精さんということにしてます



 華扇

 原作では本名『茨木華扇』そして『仙人として名乗るときは、茨 華仙』を使用してますが

 【東方紫藍談では、ややこしい、こんがらがってしまうので漢字を統一してます、仙人として名乗るときは『茨 華扇』そして『本名は茨木 華扇』としています】

 また彼女の腕や頭の事に付いては独自の二次設定を追加しております。


 それでは、次回は一日目をお送りします!



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ーー 照りつける太陽 ーー First day



 本編の方ですが、本当に本当の最初ということなので少し状況説明等が多めになってます、四コマのように短いお話を挟んだりしてます。

 そして会話が中心になっており、舞台がゆかりんハウスという紫の作ったスキマ空間で物語が進行するのであまり目立った場面の動きはありません、華扇たちがする会話を楽しんでいただければと思います。


 それと三日間あるので一日二人、そのキャラにあったエピソードを挟んでいきたいと思います



 それでは始まります♪




 

 

 【マヨヒガ、副音声のお二人】

 

 

八雲紫『さてさて、自己紹介が終わって各々動きだしたわね』

 

 

八雲藍『まずは家の中の確認をしておきたいでしょうからね』

 

 

紫『最初に何を見に行くかで性格出ると思うのよねぇ』

 

 

藍『そうですかね?』

 

 

紫『ほら、チルノとメディスンは外だし、阿求なんか真っ先にお風呂場行ったわよ?』

 

 

藍『……阿求、疲れが取れると良いな』

 

 

紫『もちろん取れますとも♪』

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、二階】

 

 

黒谷ヤマメ「お~、本当に着替えが置いてあるねぇ♪ まぁ、いつも着てる服と同じだけどね」

 

 

ヤマメ「紫が複製でもしたのかな? 地底と違って地上は暑いからねぇ、これは助かるよ♪」

 

 

ヤマメ「…? そういやチルノと私の部屋は布団だったけど、他はベッドなんだね」

 

 

ヤマメ「ベッドかぁ…地底じゃ地霊殿にしか無いからねぇ、憧れるかも…」

 

 

ヤマメ「一日だけ部屋交換してくんないかな? なんてね♪」

 

 

ヤマメ「? おや、張り紙?」

 

 

 

 

『家具などのお申し込みは一階の黒電話から! ゆかりんハウスの管理人より』

 

 

 

ヤマメ「ふはっ…! あっははははっ! な、なんだいこりゃあ! ふくくっ…!」

 

 

ヤマメ「黒電話ってあの黒くて変な紐が着いてるやつかい? あははっ! いやぁ、管理人さんには感謝しなくちゃねぇ♪」

 

 

ヤマメ「ベッド頼んだら交換してくれるかな?」

 

 

 

 

 

 【一階 風呂場】

 

 

稗田阿求「銭湯の脱衣所みたいですね、服を入れるかごもありますし乾燥機と洗濯機、体全体を映せる鏡も六つ、これドライヤーでしたっけ? あ、歯ブラシまで…違和感があるのはここの部屋の空間だけ他の部屋とかけ離れているからか…広すぎますね」

 

 

阿求「空間を切り取って繋げているのでしょう、紫さんならやりかねない」

 

 

阿求「…さて、問題の温泉ですが」チラッ

 

 

 

 阿求は風呂場へ続く引き戸の扉の前に立っている

 

 

 

阿求「私を満足させてくれる程に広いんでしょうね? ふふっ、五右衛門風呂みたいな貧相で足も伸ばせない風呂だったら紫さんの幻想郷縁起の欄にあること無いこと書いてやりますからね♪ ふふふふっ♪」

 

 

 

 

 

紫『藍! 今の聞いた!? ああいうのを職権濫用っていうんじゃないの!?』

 

 

藍『紫様だって職権濫用するじゃないですか、しかも息をするかの如くさらっとなさる時ありますよね』

 

 

紫『ゆかりんそんなことしないわぁ!』

 

 

藍『心当たりなら山の様にある筈だぁ!』

 

 

 

 

 

 

阿求「…! さぁ、開け! 私の夢の扉っ!」スッ

 

 

 ガララッ!

 

 

阿求「……!! こ、これは…!?」

 

 

阿求「温泉の湯気から香る檜の香り…! おっ…!」

 

 

阿求「うん…! うん! これは肩こりに間違いなく効能がある! そして広さもバッチリ! 大人が六人…いや二十人は並んでも大丈夫な程の広さ、チルノさんとメディさんが水泳大会を開催したとしてもゆったり出来るわね! 檜風呂とは分かってるじゃないですか♪ …あれ、造りが博麗神社の温泉と大きさは違えど似てますね」

 

 

阿求「…! そうだ! シャワー…!」スッ

 

 

 

 阿求は六人分設置してあるシャワーホースの一つを手に取る

 

 

 

阿求「! 良し! 固定式ではない! 手に持てるわね、後はシャワーから出る水の威力を…!」スッ

 

 

 

 キュッ! サァァァァ…!

 

 

 

阿求「! よぉし、よしよし! 強すぎず、弱すぎない! そうよこれよ! これぐらいがちょうどいいのよ! 人里の温泉も見習ってほしいものだわ、固定式でシャワーチョロチョロじゃイライラするのよ、まったく…」

 

 

 

 

 

紫『どっ…! くふふっ…! ど、何処の温泉評論家なのよ、あっははは!』

 

 

藍『ふふふはははっ…!』プルプル

 

 

 

 

 

 

 

阿求「これどうやってお湯沸かしているのかしら、興味があるわね…あぁ、早く入りたいなぁ」

 

 

阿求「……!」

 

 

阿求「さ、最後には紫さんにお礼言わないとですね…」

 

 

阿求「ゆかりんなめんな…って言われそうね、ふふっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『ほんとよ、ゆかりんなめんな! ってね♪』

 

 

藍『温泉、紫様の拘り入ってますよね』

 

 

紫『幻想郷住人って温泉好きな人多そうじゃない? だから気合いが入ってるのよ』

 

 

藍『気合い、入りすぎじゃないですかね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 【一階 リビング】

 

 

紅美鈴「へぇ、ダイニングキッチンなんですね、これはガスコンロ…うん、紅魔館と同じ様なタイプの物ですね、使い勝手が同じなら料理も楽勝です♪ 調味料も色々な物がありますね、あ♪ 素麺もある♪」

 

 

美鈴「水道も…ん? このスイッチは…?」スッ

 

 

 カチッ

 

 

美鈴「…? あっ、すごい! 硬水と軟水使い分けられるんですか、へぇ~…これ咲夜さん欲しがりそうだなぁ♪」

 

 

茨木華扇「…」ジーッ

 

 

美鈴「華扇さんすごいですよこれ…ってどうしたんですか?」

 

 

華扇「い、いえ…その…」

 

 

美鈴「? さっきから冷蔵庫とにらめっこしてますけど…開けないんですか?」

 

 

華扇「こ、この…この冷蔵庫を開けっ…開けてっ…! 私は押し寄せて来るであろう様々な誘惑に打ち勝つ事が出来るのでしょうか…!」プルプル

 

 

美鈴「…へ?」

 

 

華扇「八雲紫のことです、外の世界の見たことも味わった事も無いようなスイーツや食べ物をこの冷蔵庫に保管している可能性があります」

 

 

華扇「私には…! その食べ物たちの声が聞こえるんです…! 『華扇様、私を食べてください!』『ゆっくり味わっていってね!』等々『あぁ…! そんなこと言われたら食べずにはいられないっ!』と、なってしまう自分がいるのです」

 

 

美鈴(華扇さんって面白い人だなぁ、食べる事が好きなのかな?)

 

 

華扇「仙人としての修業で断食をやったことのある私でもその誘惑だけには負けてしまうことが多々あって…失敗する事が何度か…うぅ…」

 

 

美鈴「あの…その修業は今なさってないんですよね? なら我慢する必要は無いと思うんですが」

 

 

華扇「し、しかし…! 仙人としての心構えと言いますか、誘惑に負けるなど」

 

 

美鈴「ふふっ、良いんじゃないですか? 我慢しなくても、ほら、我慢も時には体に毒となる、と言いますし」

 

 

華扇「……紅美鈴」

 

 

美鈴「美鈴、でいいですよ♪」

 

 

華扇「! …美鈴」

 

 

華扇「気分転換もたまには必要、我慢ばかりしていては心にゆとりは持てない…」

 

 

美鈴「ですです♪ 修業にもメリハリ、ですよ」

 

 

華扇「ふふっ、そうですね…では美鈴、私の抑制が効かなくなってしまったら止めていただけますか?」

 

 

美鈴「えっ?」

 

 

華扇「実は、その…た、食べ物には…目が無くてですね…特に甘味とかスイーツは特に」

 

 

美鈴(あ、やっぱりそうなんだ)

 

 

華扇「我慢をしなくて良い、つまり我慢が解かれたら我を忘れて手当たり次第バクバク食べてしまいそうで怖いのですよ…」

 

 

美鈴「分かりました、華扇さんがどうにかなってしまったら…何とかしてみます」

 

 

華扇「助かります…ありがとう美鈴」

 

 

美鈴(でも実際どうなるか分からないし、華扇さんの食べる量が分からないから…う~ん…)

 

 

華扇「では、冷蔵庫開けましょうか♪ 早く開けましょうそうしましょう♪」スッ

 

 

美鈴「そ、そうですね」

 

 

 

 華扇はドアが四つある冷蔵庫の一番上のドアを開けた

 

 

 

華扇「…!!」

 

 

美鈴「…? あ、手紙?」

 

 

 

 『今は夏なので夏に因んだ食べ物を入れておきました、人里のはもちろん外の世界の食べ物もあるわ、三日間、素敵な料理で食卓を彩ってね♪』

 

 

 

美鈴「紫さんかな…? お~! すごいなぁ、お肉がたくさんありますね、これは魚? 見たこと無いけど調理したらきっと美味しいですよね、幻想郷にも魚はいるけどこれは海の魚なんだろうなぁ」

 

 

美鈴「こっちのドアは…? 氷と野菜と、冷凍…食品? なんですかこれ、どう調理するんでしょう…あ、説明が裏に書いてある、何々…?」

 

 

美鈴「……えっ!? 温めるだけでそのまま!? へぇ、作っておいてそのまま冷凍してあるんですねぇ、凄いなぁ、外の世界の食べ物♪」

 

 

華扇「…」ジッ

 

 

美鈴「選り取り見取りですね♪ どれから食べたら良いか迷っちゃいますね、華扇さん」

 

 

華扇「…」プルプル

 

 

美鈴「華扇さん?」

 

 

華扇「こっ…このっ…! 謎の袋に入っている『とろふわスーパージャンボシュークリーム』とは一体っ…!」プルプル

 

 

美鈴「か、華扇さん!? 今は朝ごはんで…! ほ、ほら! パンとか白米とかありますから」

 

 

華扇「こ、これが朝ごはんでも私は一向に構わないっ!」クワッ

 

 

美鈴「か、華扇さーん!?」

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、外、屋根】

 

 

チルノ「おぉー! すっげぇ!」キラキラ

 

 

メディスン・メランコリー「あんたさっきから『すっげぇ!』しか言ってなくない?」

 

 

チルノ「だってすっげぇじゃん! 見てみろよぉ!」

 

 

メディ「見てるわよ、大草原でしょ? ね、スーさん♪」

 

 

スーさん「~♪」フヨフヨ

 

 

メディ(んー、大草原は良いけど…花が無いわね、種も無いから咲かせるのは無理かしら)

 

 

チルノ「うお~…! 妖精の森も木が無かったらこんなに広いのかなぁ、空から見る景色と地上から見る景色は全然違うって大ちゃん言ってたっけ」

 

 

メディ「あんたが住んでる森ってこんなに広いの?」

 

 

チルノ「とっても広いぞ! …って知ってるんじゃないのか?」

 

 

メディ「? あぁ、あのね? スーさんは妖精の森に住んでる訳じゃないから、私とずっと一緒にいるのよ」

 

 

チルノ「妖精なのにか」

 

 

メディ「妖精だからって森に住んでる奴ばかりじゃないでしょ?」

 

 

チルノ「? ?? あ…た、確かに…」

 

 

メディ「やっぱあんたって…」

 

 

チルノ「ば、バカじゃないぞ!」

 

 

メディ「まだ何も言ってないけど」

 

 

メディ「ん~…それにしても、あの大きな木は何なのかしら」

 

 

チルノ「あの木見たことあるぞ、何処で見たかは忘れたけどな! はっはっは♪」

 

 

メディ「忘れてたらダメダメじゃない…」

 

 

チルノ「あの木も気になるけどあたいはあの川が気になるな!」

 

 

メディ「川ねぇ、魚だっけ? それいるのかしら」

 

 

チルノ「近くにカエルいるかな、凍らせてやるぞ!」

 

 

メディ「思ったけどカエル凍らせて楽しいの?」

 

 

チルノ「楽しいぞ♪ メディもやってみればいいのに」

 

 

メディ「いや、私の能力じゃ無理だから」

 

 

チルノ「じゃああたいの氷貸してやるぞ」

 

 

メディ「貸してもらっても凍らせるのは無理でしょ、カエルの側に氷置いても勝手に凍ってくれないじゃない」

 

 

チルノ「…? そーなのかー?」

 

 

メディ「…やっぱあんたってバ」

 

 

チルノ「バカじゃないもん!」

 

 

 

 

 

 

 

 それぞれがゆかりんハウスの探索を終えた後、朝食をとるため全員リビングに集まって来ていた

 

 

 

 【リビングで初めての朝食】

 

 

 

美鈴「少し遅い朝食になりましたが、どうぞ♪」スッ

 

 

ヤマメ、メディ、チルノ「おぉ~!」

 

 

 

 一日目の朝食は、六人それぞれに焼いてバターを塗ったパン二枚、ふわふわの卵焼き、焼いたソーセージを三本、新鮮レタスとプチトマト二個、飲み物は紅茶となった

 

 

チルノ「うんまそー♪」

 

 

阿求「おや、洋食なんですね」

 

 

美鈴「阿求さん和食の方が良かったです?」

 

 

阿求「いえ、洋食もいけます、それにとんでもないですよ? 私としては作ってくれるだけでもありがたいのですから」

 

 

美鈴「あぁ、良かったです」

 

 

ヤマメ「これ全部あんたが作ったのかい?」

 

 

美鈴「はい、咲夜さんの見よう見まねですけどね」

 

 

ヤマメ「見よう見まねでここまで出来ればすごいよねぇ♪」

 

 

美鈴「あはは、ありがとうございます」

 

 

メディ「あれ? ねぇ、何で華扇のパンだけ一枚少ないの?」

 

 

美鈴「あ…そ、それは…」

 

 

メディ「?」

 

 

華扇「良いんです、一枚で良いんです」

 

 

チルノ「何で? お腹空いて無いのか?」

 

 

華扇「空いてますよ? ですが一枚で良いんです、これは自分を戒めるための一枚なのです」

 

 

チルノ、メディ「へ?」

 

 

阿求「……朝食の前になんか食べ」

 

 

華扇「食べてません」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「なんにも食べてませんから」

 

 

ヤマメ(食べたんだろうねぇ)

 

 

阿求(なんか食べたんだ、恐らく冷蔵庫の中にあったであろうお菓子か何か…人里の甘味等の食べ歩きが趣味だと私にバレて無いとでも思ってるんですかね)

 

 

美鈴(シュークリーム食べちゃったからなぁ…)

 

 

チルノ「? 何だか良く分かんないけど早く食べようよ!」

 

 

メディ「そうね、食べましょ♪」

 

 

華扇「それでは…食に感謝を込めて」

 

 

 

六人「いただきまーす!」

 

 

 

チルノ「んぐっ…! !! うんまっ♪ 玉子甘っ♪」

 

 

メディ「ふふっ♪ トマト美味しい♪」

 

 

阿求「はぁー…♪ この後仕事が無いというだけでも最高なのにお料理まで美味しいのは最高の贅沢です♪」

 

 

ヤマメ「本音が出ちゃってるねぇ」

 

 

美鈴「あはは…」

 

 

華扇「…♪」モグモグ

 

 

華扇(んふふ♪ 美味しい~♪ 幸せです~♪)

 

 

ヤマメ「いやぁ、しかし小綺麗な食卓だねぇ、地底とは違うねぇ」

 

 

美鈴「どう違うんです?」

 

 

ヤマメ「量、それから味、見た目だね」

 

 

ヤマメ「地底の旧都じゃ朝でも酒のつまみだのなんだので肉料理中心、味も濃い物ばかりだからねぇ」

 

 

阿求「朝からお酒とか…贅沢と言っていいのか、それとも旧都ならではなのか」

 

 

美鈴「では、これヤマメさんの舌には合わないですかね?」

 

 

ヤマメ「いんや、そんなことないよ? あたしゃ寧ろこのサッパリした味の料理の方が好きなのさ、そういうの出してる店もあるからね、酒も…まぁ好きだけど鬼達みたいに毎日ってのは嫌だからねぇ」

 

 

チルノ「へぇー、そーなんだ、霊夢の神社にいつもいる鬼が『地底の住人は毎日酒飲んでるぞ♪』って言ってたんだけどなぁ」

 

 

ヤマメ「萃香だね? それは嘘じゃないけど流石に毎日飲んでないよ、毎日飲んでるのは鬼だけ…それに付き合ってるのが私達って感じだね」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「強引なお酒のお誘い、煩わしいと思った事はないんですか?」

 

 

ヤマメ「それは無いねぇ、やっぱり友達だから誘いには乗るよ♪ パルパルも口ではものすごく嫌がるけど飲みが始まれば大人しくなってるしねぇ」

 

 

チルノ、メディ、美鈴「パルパル?」

 

 

ヤマメ「水橋パルスィだよ、橋姫で私の親友さ♪」

 

 

阿求「『妬ましい妬ましい』と連呼しつつ飲みの席に参加してるのが目に浮かびますね」

 

 

ヤマメ「あははは! 大体そんな感じだねぇ♪」

 

 

華扇(鬼は本当に変わらない、何処に行っても鬼は鬼…でも他の妖怪たちは違う、例え地底の妖怪であったとしても)モグモグ

 

 

メディ「パルパルってあだ名が可愛いわ、幽香のゆうかりんには負けるけどね」

 

 

美鈴「名前を二つ合わせて言うんですね、チルノさんだったらチルチル?」

 

 

チルノ「おっ♪ チルチル良いぞ! あたいはチルチルチルノだ!」

 

 

メディ「チルが一個多くない?」

 

 

阿求「チルチルと聞くと青い鳥を思い出しますね」

 

 

 

 

 

 

 

 

華扇「話は変わりますが家の探索はどうでしたか?」

 

 

ヤマメ「今私たちが着ている服と同じ服が数着、畳まれて置いてあったよ、着替えには困らないねぇ」

 

 

チルノ「泥で汚れても大丈夫だな!」

 

 

メディ「泥あるの? ここ」

 

 

阿求「そういう問題ですかね」

 

 

ヤマメ「泥なんかより暑いから汗だよ…体がベトベトで気持ち悪くなるよ」

 

 

阿求(自然そのものである妖精が着替えだの食事をとるだの…いや、もうそれは突っ込むところでは無いのかも知れませんね、現に光の三妖精は料理もするし珈琲も飲む、そして着替えまでするし…幻想郷の自然環境が変わっていってる様な)

 

 

ヤマメ「あぁそれから黒電話? から紫に色々と注文出来るみたいだよ」

 

 

阿求「黒電話? …あれですね、香霖堂で同じものを見たことがあります」

 

 

 

 二階へと続く階段の側、棚の上に黒電話が置いてある

 

 

 

チルノ「ちゅーもん?」

 

 

ヤマメ「私の部屋に貼り紙してあってさ、家具とか色々と注文出来るんだってさ『欲しい物があったら言ってね』って紫言ってたからね、そこから頼むんじゃないかな?」

 

 

美鈴「紫さんなら何でも用意してくれそうですね」

 

 

華扇、メディ(何でも…)

 

 

阿求「何か必要になったら電話してみましょうか、例えば味わったことのないスイーツとかでも用意してくれると思いますし」チラッ

 

 

華扇「!!」ピクッ

 

 

阿求「あら♪ どうしたんですか? 華扇さん」

 

 

華扇「い、いえ…」

 

 

華扇(電話一本でスイーツ…)プルプル

 

 

メディ「ん~…」

 

 

美鈴「メディさん?」

 

 

メディ「ん、まぁいいや、後で電話してみるわ」

 

 

美鈴「?」

 

 

 

 

 

 

 

華扇「風呂はどうでした?」

 

 

阿求「まだ湯に入って無いので何とも言えませんが、設備等は一通り揃ってます、このリビングの様に和と洋が混ざり会っていること、広さに多少違和感を覚える事を除けば温泉施設その物として利用出来ると思います、因みに檜風呂でしたよ、それにシャワーが固定式じゃなかったです」

 

 

美鈴(シャワーが固定式じゃない? 普通の事では…あ、紅魔館と他の家じゃ違うのかな)

 

 

ヤマメ「檜風呂か、良いねぇ♪ 紫が説明してたけど『自分で作った』なんて言ってたからあまり期待して無かったけど檜風呂まで作るとは…建築の心得あったんだねぇ♪」

 

 

阿求「スキマで色々とやれば…いえ、八割は手作業って言ってましたね、何処までが本当なのやら」

 

 

メディ「温泉かぁ、初めて入るわね♪ 楽しみだわ♪」

 

 

阿求「ふふっ、気に入ると思いますよ?」

 

 

チルノ「温泉…あ、熱いのか」

 

 

阿求「温まって疲れを癒すのが温泉ですからね」

 

 

ヤマメ「あ、そういやあんた溶けちゃう?」

 

 

チルノ「熱すぎるとヤバイかも…」

 

 

華扇「ふむ…阿求、風呂の作りはどんな感じでした?」

 

 

阿求「シャワーの数が多い事以外、博麗神社の温泉と同じでしたね」

 

 

華扇「……ならば温泉の一角を板か何かで仕切り、そこだけ水風呂にでもすればチルノも私達と一緒に温泉を楽しむ事が出来ますね」

 

 

チルノ「おっ! ほんとか!?」

 

 

華扇「ただ、隔離してしまう形になるのであなたが疎外感を感じてしま」

 

 

チルノ「やったー♪ 皆と温泉入れるぞー♪」

 

 

華扇「…!」

 

 

ヤマメ「ははっ、そんなもん感じないみたいだねぇ♪」

 

 

美鈴「良かったですね、チルノさん」

 

 

チルノ「うん♪」

 

 

メディ「ふっ、でもあんたはしゃぎ過ぎじゃない?」

 

 

チルノ「だってさ、メディも初めてなんだろ? あたいも初めてなんだもん、皆で温泉ってさ!」

 

 

チルノ「あ! 前に霊夢と魔理沙が神社で温泉入ってたから、イタズラしてやろうと思って温泉に飛び込もうとしたら霊夢に見破られて全力で阻止されたんだ」

 

 

阿求、メディ(どういうイタズラなの?)

 

 

チルノ「『あんたが入ったら氷風呂になるわ!』『お前は入浴禁止だぜ!』とか言われてさ…流石のあたいもちょっと傷付いたぞ…」

 

 

ヤマメ「分かるよ、寂しくなっちゃったんだねぇ」

 

 

チルノ「うん、ちょっとね…」

 

 

華扇「あの二人は…! 少し知恵を働かせればチルノとも一緒に温泉に入れるではないですか」

 

 

華扇「それになんという大人気ない対応…! 霊夢と魔理沙には優しさが足りませんね、帰ったら私から厳しく言っておきますから安心してくださいね、チルノ」

 

 

チルノ「お、おう」

 

 

ヤマメ「…イタズラされたからってのも」ヒソヒソ

 

 

美鈴「そこは…はい」ヒソヒソ

 

 

阿求(何を安心しろって言うんですか…まぁイタズラされたとはいえ、大人気ない言い方だなぁとは思いましたけど)

 

 

チルノ「あ、そうだ! 華扇!」

 

 

華扇「はい?」

 

 

チルノ「にしし♪ ありがとな! 温泉一緒に入ろうな!」

 

 

華扇「…! ふふっ、えぇ、是非♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

美鈴「こちらも設備は一通り揃ってますね、それと三日間どころか一週間分の食料がありました」

 

 

阿求「ほぉ、それは結構な事ですね、何処かの誰かさんが食べ物を食べ尽くしてしまう心配は無さそうですね♪」チラッ

 

 

華扇「…何故私を見るのです?」

 

 

阿求「さぁ?」ニッコリ

 

 

ヤマメ(さらっといじるねぇ)

 

 

ヤマメ「う~ん…私も出来るけど、料理は二人に任せても良いかい?」

 

 

美鈴「はい、お任せ下さい!」

 

 

華扇「存分に腕を振るわせていただきましょう」

 

 

阿求(大食いの人って料理上手な人が多いんですよね、幽々子さんもああ見えて料理得意ですし)

 

 

チルノ「あたいも料理出来るぞ!」

 

 

メディ「意外ね、何作れるの?」

 

 

チルノ「かき氷!」

 

 

メディ「氷削るだけって料理って言うの?」

 

 

チルノ「削るだけじゃないぞ、シロップもかけるからな! あっはっはっは♪」

 

 

メディ「…かき氷って料理なのかな?」

 

 

美鈴「い、一応?」

 

 

ヤマメ「料理っちゃあ料理かもねぇ」

 

 

華扇(宇治金時、いえ、黒蜜…あ、梅酒をかけて食べるのも中々…迷いますね)

 

 

阿求「かき氷機あるんですかね」

 

 

ヤマメ「探してみようか、無かったら紫に頼めば良いさね」

 

 

 

 

 

 

 

 

チルノ「大草原だけじゃないんだ、すっげぇもんがあったんだ!」

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、阿求「すっげぇ?」

 

 

メディ「すっげぇだけじゃ分かんないわよ…えっとね? なんかとてつもなくデカイ木と、近くに小さな川が流れてるの」

 

 

美鈴「大木と川…ですか」

 

 

チルノ「そうそう! あの木どっかで見たことあるんだよなぁ」

 

 

メディ「忘れてるんでしょ?」

 

 

チルノ「うっ…!」

 

 

阿求「何処かで見たことあるデカイ木…? 博麗神社の裏手にある木を思い出しますね」

 

 

華扇「『ミズナラの木』だった木ですね、今やあの光の三妖精の住みかになっている大木であり、外の世界との繋がりがあるとても大きな木ですね」

 

 

チルノ「あっ! それかも!」

 

 

美鈴「神社の裏手にあるものがここに?」

 

 

ヤマメ「同じものを紫が作ったのかな」

 

 

阿求「霊夢さんに並々ならぬ愛情を注いでいる紫さんなら作る可能性は高いですね、運ですが霊夢さんがこの家に選ばれたら喜んでもらえる様に…とかそういう感じで作ったのでしょう」

 

 

美鈴「温泉も博麗神社と同じものでしたね、なら本当に同じもの?」

 

 

ヤマメ「まさかその妖精たちが住んでたりしてね♪」

 

 

華扇「流石にそこまで再現…してるんでしょうか」

 

 

メディ「あの木に妖精居るの? ふーん」

 

 

チルノ「あいつら居るのか!? なら木の近くに行ってみないか?」

 

 

阿求「良いですね、特にすることも無いですし」

 

 

美鈴「ですね♪ 食べ終わったら皆で行きましょうか」

 

 

チルノ、メディ「おーっ♪」

 

 

ヤマメ「えぇ~…外暑いじゃないか…真夏の日射しは私にはキツいよ…」

 

 

華扇「なら…一人でここで待ってます?」

 

 

ヤマメ「そ、そんなイジワル言わないでおくれよ…! 分かったよ、行くよ」

 

 

阿求「暑いのが苦手ならチルノさんにずっとくっついているのはどうですか? とっても涼しいですよ」

 

 

チルノ「うん? あたいにか?」

 

 

ヤマメ「あー…良いかい? チルノ」

 

 

チルノ「おう、良いぞ!」

 

 

ヤマメ「あぁ…ありがたいねぇ♪」

 

 

美鈴「チルノさんの近くにいる、それから手を繋いでいるだけでも涼しいですからね」

 

 

阿求「ここにエアコンありますけど、点けなくても涼しいのはチルノさんがいるからですね、とても快適です」

 

 

メディ「エアコン?」

 

 

華扇「あれですね、河童たちが作っていた物に良く似てます、部屋を風で涼しくしてくれるとか」

 

 

メディ「上にくっついている…あれか、変な形ね」

 

 

阿求「…」ジーッ

 

 

華扇「…? 何です?」

 

 

阿求「華扇さんってエアコンの設定温度に口うるさくしそうですよね」

 

 

華扇「はい?」

 

 

阿求「『26度以下にしてはなりません!』とか」

 

 

華扇「? 当たり前じゃないですか、夏は室内温度26度、これが人間と妖怪、生物全般が一番快適に過ごせる温度です」

 

 

阿求「ほらやっぱり」

 

 

ヤマメ、美鈴「ぷふっ…!」プルプル

 

 

華扇「? わ、私何か可笑しな事言いましたか?」

 

 

阿求「いいえ~? 別に?」ニンマリ

 

 

華扇「…なんかバカにされてる気がします」

 

 

チルノ「あたいはバカじゃないよ?」

 

 

メディ「今あんたの事話してないわよね」

 

 

 

 

 

 

 【朝食後…】

 

 

チルノ「そんじゃ! デッカイ木に向かってしゅっぱーつ!」

 

 

美鈴、ヤマメ、メディ、阿求「おーっ!」

 

 

華扇「待ちなさい」

 

 

チルノ「な、なんだよぉ~…」

 

 

阿求「…」ジトッ

 

 

華扇「『なんだよ』じゃありませんよ? それと阿求! その目をやめなさい!」

 

 

阿求「この目は『あなたは幻想郷で一番ノリの悪い人ですか?』と訴えかけている目です、稗田家に伝わる秘技の一つです」

 

 

華扇「いちいち説明しなくても結構です! とにかく私の話を聞きなさい」

 

 

チルノ、阿求「はい…」

 

 

メディ「華扇、どうしたの?」

 

 

華扇「これから外に出掛けます、近場ですが真夏の照りつける太陽の日射しを浴び続ける事になります」

 

 

華扇「氷の妖精のチルノがいるとは言え、熱中症への対策は怠ってはなりません! 人間である阿求、あなたは特にです」クドクド

 

 

華扇「仙人である私、妖怪である美鈴、ヤマメ…付喪神であるメディも熱中症になる可能性は充分にあるのです」クドクド

 

 

華扇「分かりますか? 真夏に外に出るときは熱中症と戦って行くという心構えを持たなければならないのです」クドクド

 

 

 

チルノ「慧音先生も良く言うよ、これ」ヒソヒソ

 

 

阿求「慧音さんの方が百倍ましだと思いますけどね」ヒソヒソ

 

 

 

ヤマメ「これ、話じゃなくてお説教じゃないかい?」ヒソヒソ

 

 

美鈴「そうなっちゃいますかね…」ヒソヒソ

 

 

 

メディ「幽香も言ってたなぁ、熱中症には気を付けなさいって」

 

 

華扇「そうです♪ 良くわかっていますね♪」

 

 

阿求「私達も分かってるんですよ…分かってる事をグチグチグチグチ…」ボソッ

 

 

華扇「! 何か言いましたか!?」

 

 

阿求「いいえ…」

 

 

阿求(外にいる時間より外に出るまでの時間の方が長くなりそうね…)

 

 

美鈴「あ、あの~」

 

 

華扇「! なんでしょう」

 

 

美鈴「熱中症対策を万全にして外に出れば良いんですよね?」

 

 

華扇「…! その通りです」

 

 

美鈴「では…水分補給のための水筒か何かを持って行きましょうか、それでいいですよね?」

 

 

華扇「そうです、その通りです! それが言いたかったんですよ私は」

 

 

阿求「だったらそれを最初から言えば良いのに…話を広げてグチグチグチグチ…」ボソッ

 

 

華扇「何ですか!?」

 

 

阿求「いえ…」

 

 

ヤマメ「ふふっ…! じゃあ探してみようか、戸棚の中とかあるかも知れないしねぇ」スッ

 

 

美鈴「ですね」スッ

 

 

 

チルノ「…華扇って慧音に似てるな」ヒソヒソ

 

 

阿求「似てる…!? 変なこと言わないで下さいよ、 これっぽっちも似てないです…!」ヒソヒソ

 

 

メディ「…あ、そうだ」

 

 

華扇「どうしたのです?」

 

 

メディ「ババアに電話するの、欲しい物があるのよね」

 

 

 

 

 

 

 

美鈴「あ! ありましたありました!」

 

 

ヤマメ「やっぱキッチン回りの戸棚だったねぇ」

 

 

華扇「おや、ありましたか、水は塩分を」

 

 

ヤマメ「あぁ、大丈夫大丈夫! 私に任せな、暑いの苦手だからそういう対策は知ってるから」

 

 

華扇「そ、そうですか…ならお任せします」

 

 

 

 

美鈴「華扇さんに悪気は無いんですよ…」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「分かってるよ、口癖みたいなもんだろ? あれは」ヒソヒソ

 

 

チルノ「お、あたいの氷入れるか?」

 

 

美鈴「ありがたいんですがチルノさんの氷入れたら凍って飲めなくなっちゃいますよ?」

 

 

チルノ「むっ…なら仕方ない…」

 

 

ヤマメ「氷は嫌いじゃ無いけど、直ぐに喉が潤わなくなっちまうからねぇ」

 

 

 

 

 

阿求「何を頼むんですか?」

 

 

メディ「花の種、ここ花が無いから寂しいなぁと思ってさ うん? これどうやって使うの?」

 

 

阿求「その部分を耳に…そうです、後はそこを口元に、それで会話できるはずです」

 

 

華扇「良く知ってますね」

 

 

阿求「香霖堂の店主に教えてもらった事があるので」

 

 

メディ「…? なんかプルプル音がするわね」

 

 

阿求「ダイヤル回さなくていいんですね」

 

 

 

 プツッ!

 

 

 

紫『はいはーい♪ 八雲のゆかりんよ♪』

 

 

メディ「! あっ、ババア? ねぇ欲しい物があるんだけどさ」

 

 

華扇「ぷふっ…!」プルプル

 

 

阿求「バッ…! あはははっ!」

 

 

紫『ねぇ藍、子供から電話されて開口一番『あっ、ババア?』って言われた経験あるのって私だけなんじゃないの? 外の世界にも居ないわよきっと』

 

 

藍『あふふふふっ…!』プルプル

 

 

紫『何が可笑しいのよらぁん…!』

 

 

メディ「ねぇババア聞いてる? 私花の種が欲しいの」

 

 

紫『…よいこのメディちゃん? 私の事はババアじゃなくてお姉さ』

 

 

メディ「花の種なら何でも良いの、季節に合わせて育てやすい花の種にしてね…あっ! 木の苗でもいいからね、それじゃ♪」スッ

 

 

紫『あっ!? ちょっこらっ!! 待ちなさいよメデ』

 

 

 ガチャン!

 

 

 

メディ「これでよし♪ 電話って凄いわ、見えない相手とも話しが出来るのね」

 

 

阿求「ふふふふっ…!」プルプル

 

 

メディ「? 何笑ってるの阿求?」

 

 

阿求「いやぁメディさん、いいですね、良いんですよそれで」

 

 

メディ「うん?」

 

 

阿求「紫さんにはそういう一方的な言い方が一番効くんです、きっと質の良い花の種を用意してくれると思いますよ」

 

 

メディ「そうなの? えへへ♪ じゃあ楽しみに待ってよっと♪」

 

 

華扇「し、しかし…ババアというのは…」

 

 

阿求「どんな口の聞き方でも咎めないことです、幻想郷の住人には必要な個性ですからね♪」

 

 

阿求(まぁ…口うるさいお説教は別ですけど)

 

 

 

 

 

紫『…』

 

 

藍『フフッ…』

 

 

紫『なんか…つれぇ通り越して悲しいんだけど、一方的に切られたし』

 

 

藍『ふははっ…!』プルプル

 

 

紫『ねぇ藍、そんなに面白い? ねぇ…ねぇ?』

 

 

藍『すっ、すいませ…! くふふっ…!』プルプル 

 

 

紫『……』

 

 

紫『泣かない! めげない! しょげないわよ!! 花の種でしょ!? たくさん用意してくれるわチキショーめぇ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華扇たちは準備を済ませ、ミズナラの木と思われる大木に向かって歩を進める、ゆかりんハウスからはそう遠くはない位置にそびえ立っている。

 

 歩いて十分で辿り着ける距離だ

 

 

 

 

 【道中】

 

 

 

ヤマメ「あ~♪ 気持ちいいねぇ♪」

 

 

チルノ「ヤマメ~! 歩きにくいぞ~!」

 

 

ヤマメ「いんやぁ…♪ 良いわぁ♪ チルノひゃっこいねぇ♪」

 

 

メディ「ひゃっこい?」

 

 

美鈴「冷たいって意味ですね」

 

 

華扇「チルノがヤマメをおんぶしているように見えますね…」

 

 

阿求「後ろからぎゅっと…早苗さんに聞いたことあります、あすなろ抱き? でしたね」

 

 

ヤマメ「んぁ~♪」ダキシメ

 

 

チルノ「うぐぉぉぉ…!」

 

 

美鈴「あはは…しかし、本当に暑いですねぇ」

 

 

メディ「でも美鈴そんなに汗かいてないね」

 

 

美鈴「そうですか?」

 

 

華扇「確かに、額にも汗が出てないようですし」

 

 

美鈴「う~ん、慣れてるから? ですかね?」

 

 

阿求「あぁ、いつも門番してるからですね」

 

 

美鈴「はい、雨の日も風の日も、そしてこの夏の日も、私は門に立ち続けてますからね」

 

 

阿求「寝ながらですか?」

 

 

美鈴「うっ…!」

 

 

阿求「この暑さの中で寝れるのはもう特技ですよね」

 

 

メディ「雨の日でも外で寝れるんでしょ? 特技じゃない♪」

 

 

美鈴「と、特技…!? いや、それは…」

 

 

華扇「まぁ…仕事中に寝るのは感心しませんが、あなたが我慢強いという事にも繋がります」

 

 

華扇「その我慢強さは見習いたいものですね」

 

 

美鈴「華扇さん…」

 

 

阿求「そうですね、是非見習ってください♪ そしてその我慢強さを口に貼り付けてみては?」

 

 

華扇「…私の口に貼って何を我慢しろと?」

 

 

阿求「口うるさいお説教」

 

 

華扇「なんですって!?」

 

 

阿求「騒ぐと暑くなりますよ? 華扇さん♪」

 

 

華扇「あなたが私のありがたいお説教を口うるさい等と罵るからです!」

 

 

阿求「だからさっきも言ったじゃないですか、度が過ぎれば迷惑だと」

 

 

華扇「そんなことはありません!」

 

 

阿求「あります!」

 

 

華扇「無いです!」

 

 

 

 ギャーギャー!

 

 

 

メディ「あはははっ、華扇と阿求って仲良しだよね」

 

 

美鈴「そう…ですかね? 喧嘩する程ってやつですか?」

 

 

メディ「そうそう♪」

 

 

美鈴「楽しそうではありますね」

 

 

美鈴(正直私は阿求さんの口にも我慢強さを貼った方が良いかなぁ…なんて)

 

 

 

 

 

チルノ「ヤマメ両手繋ごう、その方が歩きやすくなるぞ」

 

 

ヤマメ「両手? 両手繋いだらもっと歩きにくくならないかい? 一人が後ろ歩きか二人で横歩きになっちゃうよ?」

 

 

チルノ「…? あっ…」

 

 

ヤマメ「だろ? …あっ! そうだよ、私があんたをおんぶすれば良いんだよ」

 

 

チルノ「おっ! その手があったか!」

 

 

ヤマメ「あ…でもそれだとあんたにモロに太陽の日射しが来ちゃうねぇ」

 

 

チルノ「ダメじゃん」

 

 

ヤマメ「…私が我慢すればいいだけの話なんだけどね」

 

 

チルノ「でもヤマメ暑いの苦手なんだろ? ならあたいから離れちゃダメだ」

 

 

ヤマメ「そりゃあんたもだろ? 冷気纏ってても日射し浴び続けるのはいけないよ」

 

 

チルノ「でもさぁ…」

 

 

ヤマメ「…ほい♪」スッ

 

 

チルノ「お?」

 

 

ヤマメ「やっぱ片手だけにするよ、私もチルノもこれで一緒だね、暑いのは…まぁ我慢するよ」

 

 

チルノ「良いのか?」

 

 

ヤマメ「良いよ♪ チルノの力は借りちゃってるけどさ、歩きにくくなるよりはいいさね」

 

 

ヤマメ「悪かったね、ベタベタくっついちゃってさ」

 

 

チルノ「? 何で謝るのさ」

 

 

ヤマメ「あんたに悪いことしちゃったからさ、重かったろ?」

 

 

チルノ「う~ん、重かったけど…謝る程悪いことだった? あたいはそうは思わないよ? ヤマメが暑さで苦しむのはあたい嫌だもん」

 

 

ヤマメ「! ふっ…! ふははは、こいつめ♪」スッ

 

 

 

 ヤマメは少し荒くチルノの頭を撫でる

 

 

 

チルノ「わっ、な、なんだよ~!」

 

 

ヤマメ「嬉しいこと言ってくれるねぇ♪ ますます気に入ったよ、チルノ♪」

 

 

チルノ「ん? 何だ? 今度は嬉しいのか?」

 

 

ヤマメ「そうだよ、んふふふっ♪」

 

 

チルノ「?? なにが嬉しいんだ?」

 

 

ヤマメ「さぁてねぇ♪」

 

 

チルノ「? まぁいいや、ヤマメが嬉しいんならそれでいいや!」

 

 

チルノ「はい! じゃあ手、繋ごう!」スッ

 

 

ヤマメ「ふふっ、ありがとね、チルノ」スッ

 

 

ヤマメ(優しい、そして何より純粋そのもの、だからこそ思った事が直ぐに口に出る)

 

 

ヤマメ(もしかしたらチルノは鬼よりも付き合いやすい存在なのかもねぇ)

 

 

ヤマメ(そしてこの性格、色んな奴から好かれるだろう)

 

 

ヤマメ(地上に友達が沢山いるんだろうね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ミズナラの木?】

 

 

 

 華扇たちは大木に辿り着き、全員で木を見上げている、うっそうと生い茂っている枝葉が華扇たちを覆うほどの木陰を作り、太陽の光を遮っている

 

 

ヤマメ、チルノ、メディ、美鈴「おぉ~…!」

 

 

美鈴「これは見事な大木ですね」

 

 

阿求「遠目で見て『大きい』ぐらいしか感想がありませんでしたが、近くで見ると迫力ありますね」

 

 

華扇「大きさも、大木の根から見上げるこの風景も…博麗神社の裏にある物と同じですね」

 

 

メディ「これもババアが作ったの?」

 

 

ヤマメ「紫が来たときこの空間にあるもの全て自分で作ったって言ってたからねぇ、そうなんじゃないかい?」

 

 

メディ「これもかぁ…ババアやるじゃん♪」

 

 

メディ(立派な木ね、あんたもっとでかくなるわよ、きっとね♪)

 

 

チルノ「やいやいやい! サニー、ルナ、スター! 出てこいやぁ!」

 

 

 

 シーン…

 

 

チルノ「…あ、あれ?」

 

 

美鈴「あの子たちは居ないみたいです」

 

 

阿求「居ないか…流石に三妖精まで作り出してたら紫さんの神経を疑ってしまいますからね」

 

 

美鈴「紫さんは自然発生する生命まで作れるんですか?」

 

 

阿求「やりかねませんよ? あの人は幻想郷の管理人ですからね、それに妖精は自然そのものですから木や草等との自然を増やせば自然と増えますし、自然が妖精を形作る事もあります」

 

 

ヤマメ「自然が自然と妖精増やしてるんだねぇ」

 

 

華扇「自然が自然と…阿求? これは笑うところですか?」

 

 

阿求「!! しゃ、洒落で言ったつもりはありませんから!」

 

 

華扇「ふふっ、先程のお返しです♪」

 

 

阿求「くっ…!」

 

 

チルノ「な~んだ、あいつら居ないのか」

 

 

メディ「あんたとその三妖精って友達なの?」

 

 

チルノ「うん、寺子屋にも一緒に通ってるんだ」

 

 

美鈴「あの子たちも紅魔館によく遊びに来てくれます、イタズラ目的が多いんですけどね、でも魔理沙さんに比べたら可愛いイタズラですよ」

 

 

チルノ「泥棒だからな!」

 

 

美鈴「最近、紅魔館から物が無くなる事が多いんですよね~…」

 

 

メディ「ふーん…そいつらこの木に住んでるだっけ?」

 

 

阿求「木の中に居住スペースを作って三人で生活してるんです、それなりに広くて快適な空間でしたね」

 

 

華扇「入ったことあるんですか」

 

 

阿求「幻想郷縁起の取材で、はい」

 

 

メディ「そいつら花好きかな?」

 

 

阿求「好きだと思いますよ? 妖精は自然を愛してますからね」

 

 

メディ「! そっか♪」

 

 

メディ(いつか、知り合えるかしらね♪)

 

 

チルノ「…ふはー」スッ

 

 

 

 チルノは地面に大の字で倒れる

 

 

 

美鈴「どうしたんです?」

 

 

チルノ「ん~、これが偽物でもすっげぇと思ったんだ」

 

 

チルノ「こんなにでかく育つのってすっげぇんだもん」

 

 

メディ「あんたさっきから本当にすっげぇしか言ってないじゃない」

 

 

チルノ「じゃあメディはこの木を見てどう思ったのさ」

 

 

メディ「! ……」

 

 

メディ「…すっげぇ」

 

 

チルノ「ほらぁ! すっげぇんじゃん」

 

 

メディ「さ、最初だけよ! 今は…」

 

 

チルノ「? 今は?」

 

 

メディ「…」

 

 

メディ「……すっげぇ」

 

 

チルノ「ほらぁ!」

 

 

華扇、美鈴、阿求「ふふっ…!」

 

 

ヤマメ「あっはっはっは♪」

 

 

メディ「も、もう! みんな笑わないでよ…///」カアッ

 

 

ヤマメ「あっはは、ごめんごめん♪ さて…よっこいしょっと」スッ

 

 

 

 ヤマメもチルノの側に大の字で倒れる

 

 

 

ヤマメ「いやぁ♪ ここ木陰で涼しいねぇ、たまに吹いてくるそよ風も気持ちいいよ~♪」

 

 

チルノ「あたいもそれ思った! 涼しいよな!」

 

 

ヤマメ「チルノがいるからよけいだねぇ♪」

 

 

美鈴「あ、良いですね、私も混ぜてもらいましょう」スッ

 

 

メディ「私も寝る~」スッ

 

 

阿求「では、私も寝かせてもらいます」スッ

 

 

華扇「…!」

 

 

 

 

美鈴「寝転がって見るとまた迫力が違いますね」

 

 

メディ「ね♪ すっげ…! いやいや、この木、私気に入ったわ♪ 幽香にも見せてあげたいわね、だって綺麗で美しいんだもん」

 

 

阿求「なら幻想郷の…いえ、それでは駄目ですね、この木はここにある時点で神社の裏手の木とは別物ですから」

 

 

メディ「そうそう♪ 分かってるわね阿求、ここの木はここだけの物なのよ♪」

 

 

ヤマメ「その三妖精が居なかったのは残念だったけど、色々と感じることとか思うこともあったし、来て良かったよねぇ♪ こうして木陰でのんびり寝っ転がれるってのもあたしゃ初めての経験だよ」

 

 

チルノ「初めてなのか」

 

 

ヤマメ「地底にはこんな大木無いからねぇ、あはははっ、こりゃ良い経験したねぇ♪」

 

 

美鈴「…? あ、華扇さん、良かったら華扇さんも寝転がってみませんか?」

 

 

華扇「…! 私は…」

 

 

阿求「…」ジー

 

 

華扇「…! 阿求!」

 

 

阿求「この目は稗田家に伝わる秘技で」

 

 

華扇「それは家にいるときに聞きました!」

 

 

ヤマメ「あはは、まぁそれはそれとして…ほら、あんたも寝てみなよ」

 

 

メディ「華扇、一緒に寝ようよ♪」

 

 

チルノ「気持ちいいぞ! 寝ようよ華扇!」

 

 

華扇「……で、では」スッ

 

 

チルノ「…あっ!?」

 

 

華扇「な、なんですか?」

 

 

チルノ「にひひ♪ 皆で寝るならさ、あたいにいい考えがあるっ!」

 

 

華扇、ヤマメ、メディ、美鈴、阿求「??」

 

 

 

 

 チルノの提案で、華扇たちは皆で輪になって寝転がる事になった

 

 

 

チルノ「どう?」

 

 

阿求「いや…どうと言われても」

 

 

華扇「横に並んで寝てたのを輪にしただけ、ですよね」

 

 

ヤマメ「分かってないねぇ、雰囲気ってもんがあるじゃないか」

 

 

美鈴「そうですね、なんか一体感があって私は好きですよ、こう…皆で寝てるんだー! って感じで」

 

 

華扇「美鈴、あなたは子供の様な発想をするのですね、意外です」

 

 

阿求「それが美鈴さんが子供に好かれる理由だと思います、それに美鈴さんの主が子供っぽいのでその発想に行き着くのは自然なことです」

 

 

美鈴「あはは…そういうところもお嬢様の良いところなんですけどね」

 

 

阿求「ふふっ、そうですね♪ 私もそれはレミリアさんの長所だと思っています」

 

 

華扇「美鈴、もしかして先程の言葉、気に障ってしまいましたか?」

 

 

美鈴「いえいえとんでもないです、むしろそう思われて嬉しいんですから」

 

 

華扇「嬉しい、ですか」

 

 

美鈴「子供の発想や気持ち、想い、これが私の心の中にあるというだけでも嬉しいんです、これが無かったら私は紅魔館の門番失格ですからね……」

 

 

華扇、阿求「……?」

 

 

美鈴「あ…! す、すいません…とにかく嬉しかったですよ? はい」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇(子供の気持ちを持ち続けたいという想いがあるのは何故でしょう…)

 

 

阿求(まぁ、私は裏事情には興味はありません、聞くのは野暮ですね)

 

 

 

 

 

メディ「私ね? この木を見てると思うの、この木はここにずっとずっとずーっと立ち続ける、ここでずっと色んな物を見続けていくんだろうなって」

 

 

チルノ「? そんなの当たり前じゃないか」

 

 

メディ「その当たり前が素敵じゃない、これだけ大きな木なのよ? 私達とは見てる景色が違うの」

 

 

チルノ「?? それも当たり前じゃん?」

 

 

メディ「むぅ…何で妖精なのにこの気持ちが分かんないかなぁ…」

 

 

チルノ「ううん?」

 

 

阿求「そういうのは肌で感じとるのが妖精なんですよ、妖精は自然の一部ですからね」

 

 

メディ「…そうなの?」

 

 

チルノ「えっ? 知らないよ」

 

 

メディ「…おバカ」

 

 

チルノ「おバカじゃないもん!」

 

 

ヤマメ「あはは! まぁまぁ…! しかし、メディはロマンチストだねぇ、好きこそ物の上手なれとはよく言ったもんだ、自分の好きな物には深い何かを感じるよね、愛情みたいなもんかねぇ」

 

 

メディ「うん♪ そうかもね♪」

 

 

華扇「ふふっ…あなたは本当に植物が好きなのですね」

 

 

メディ「うん、大好き♪」

 

 

阿求「それは風見幽香の影響があるからですか?」

 

 

メディ「それもあるけど、植物と花の二人の妖怪からも教わったわ♪ でも幽香と知り合う前から好きだったけどね、幽香とその二人と会ってからはもっと好きになったんだよ? ね、スーさん♪」

 

 

スーさん「~♪」

 

 

美鈴、ヤマメ(二人の妖怪…?)

 

 

華扇「幻想郷の草木、そして花…それらの分野の知識においてはその三人の右に出るものはいないのでしょうね」

 

 

阿求(その三人だけとは限らないのかもしれませんよ? 秋姉妹、リリー・ホワイトもその分野に精通しているますしね)

 

 

 

 

 

チルノ「なぁ華扇、あたい気になってた事があるんだけどさ」

 

 

華扇「はい?」

 

 

チルノ「華扇の右腕さ、何で包帯でグルグルしてんの?」

 

 

華扇「!!」

 

 

阿求、ヤマメ「…」

 

 

メディ「あ、それ私も気になってた」

 

 

美鈴「私も…気になってはいました」

 

 

華扇「…」

 

 

チルノ「それさ、どうしたんだ? ケガでもしてるのか?」

 

 

華扇「……」

 

 

チルノ「?」

 

 

メディ「? 華扇?」

 

 

華扇「…」

 

 

美鈴「…あの、華扇さ」

 

 

華扇「そうです、私は過去にこの右腕に大怪我を負ってしまいました」

 

 

美鈴「…」

 

 

阿求、ヤマメ「…」

 

 

チルノ「! そうなのか!?」

 

 

華扇「えぇ、その怪我は完治したのですが、後遺症が残ってしまいましてね、私の右腕は人前に見せられない程に醜くなってしまったのです」

 

 

メディ「醜く? 腫れ上がってるとか?」

 

 

華扇「そうですそんな感じです…本当に醜いです」

 

 

メディ「その怪我って毒か何か?」

 

 

華扇「いえ…違いますね」

 

 

阿求、ヤマメ、美鈴「…」

 

 

華扇「……ごめんなさい、あまり詳しくは言えないんです」

 

 

チルノ「そっか…あたいが何とかしてあげられると思ったのに」

 

 

メディ「私も、毒だったら私が何とか出来たのに」

 

 

華扇「ふふっ、その心遣いはとても嬉しいです、ありがとう、チルノ、メディ」

 

 

美鈴「それは…その、辛いですよね」

 

 

華扇「! …辛くない…と言えば嘘になりますね」

 

 

華扇「ですが、今は仙人の力で右腕に関しては不自由はしていないのです、人前に見せられないのは痛いところではありますけどね」

 

 

阿求「乱暴な言い方になってしまいますが、心配いらないのなら私たちは心配する必要はありませんね」

 

 

阿求「なら詮索することも、その右腕の事に関して追究することもしない方が良い、ということですね?」

 

 

華扇「! ……」ニコッ

 

 

華扇「はい、そうしていただけると助かります」

 

 

チルノ「そっかー…」

 

 

チルノ「でもさ華扇、辛くなったら言ってよ? あたい力になるからさ」

 

 

メディ「! 私もなるわ、華扇は優しい妖怪…いえ、仙人だもん」

 

 

華扇「! えぇ、その時は力を貸してくださいね♪」

 

 

チルノ、メディ「! うん!」

 

 

ヤマメ(萃香が昔話してくれたねぇ…妖怪の山の昔話が本当ならあの腕は…)

 

 

美鈴(あの右腕から感じる気…闇の…いや、阿求さんの言う通りだ、詮索はやめよう)

 

 

華扇「…阿求」

 

 

阿求「何です? またお説教ですか?」

 

 

華扇「違います」

 

 

阿求「なら何です?」

 

 

華扇「……」

 

 

阿求「?」

 

 

華扇「いえ、なんでもありません」

 

 

阿求「…そうですか」

 

 

華扇「はい」

 

 

阿求、華扇「…」

 

 

華扇(気を利かせてくれてありがとう、阿求)

 

 

 

 

 

 【数分後…】

 

 

 

華扇「…ふぅ~…」

 

 

華扇(大草原で寝転がる…無防備ですね…こんなにゆったりするのは久しぶり…)

 

 

華扇「草原のベッド…とでも言えば良いのでしょうか、案外気持ちがいいものですね」

 

 

 シーン…

 

 

華扇「……? …!」スッ

 

 

チルノ「くぁ~…」zzZ

 

 

美鈴「かぁ~…」zzZ

 

 

メディ「くぅ、くぅ…」zzZ

 

 

阿求「スー…スー…」zzZ

 

 

ヤマメ「クー…」zzZ

 

 

華扇「い、いつの間に…」

 

 

華扇(太陽の光も遮られている、そして木陰とそよ風…暑さによる体調の変化は問題無さそうですね、何よりチルノも居ますし)

 

 

華扇「気持ちよくて眠りを誘いますね…」

 

 

華扇「……ん」

 

 

 チュンチュン、チチチ

 

 

 華扇の近くに小鳥が三羽、集まって来た

 

 

華扇「…ふふっ♪ 可愛い…あなたたちも一緒に寝る?」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇「……おやすみなさい」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇「…スー…」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍『みんな寝てしまいましたね、ちょうどいいかな、紫様、私達のお昼御飯何にしましょ…』

 

 

紫『…』ムッスー

 

 

藍『…まだ怒ってるんですか?』

 

 

紫『ゆかりん怒って無い』

 

 

藍『…その大きな袋は?』

 

 

紫『花の種詰め合わせ、ガーデニングセット、それにほらこれ…かき氷機』

 

 

藍『…』

 

 

紫『…』

 

 

藍『お昼御飯、食べましょう?』

 

 

紫『…うん』

 

 

藍『…』

 

 

紫『…』

 

 

紫『電話で一言目に『あっ、ババア?』なん』

 

 

藍『んふはははっ…!』

 

 

紫『らあぁぁん!!』

 

 

藍『す、すいません…! くふふっ…!』プルプル

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、庭、夕方15:30】

 

 

 

 華扇たちはミズナラの木の元から帰って来ていた。

 

 草原のベッドのあまりの気持ち良さに六人とも三時間近く眠ってしまっていた。

 

 

 そして現在、ハウスの庭に出て少し遅めの昼食…いや、お昼のおやつを食べていた

 

 

 

 

チルノ、ヤマメ、阿求、美鈴「うんまーい♪」

 

 

阿求「あぁ美味しい♪ 定番ですが、夏はかき氷ですね」

 

 

チルノ「! だよなだよな! あたいの氷で作ったかき氷は最強だぜ!」

 

 

阿求「そんな魔理沙さんみたいな…ふふっ♪」

 

 

ヤマメ「チルノの氷は食用にもなるんだねぇ…便利な能力だ♪」

 

 

チルノ「だろだろ!? あたいは最強だからな! 便利で当然なのだー! はっはっは!」

 

 

ヤマメ「あはは、あんたにゃ色々と助けてもらってばっかりだねぇ♪」

 

 

美鈴「ふふっ…そういえばかき氷機テーブルの上にありましたね、出掛ける時は無かったのに」

 

 

ヤマメ「『使ってください』と言わんばかりに堂々と置いてあったからねぇ、これもきっと紫の仕業だね♪」

 

 

美鈴「紫さんにはお世話になりますね」

 

 

阿求「ここの管理人なら住人のニーズという物に答える義務があります、当然の事ですよ」

 

 

チルノ「?? チーズ?」

 

 

阿求「ニーズです、私達の欲しがりそうな物は心を先読みしてでも用意するべきなのですよ」

 

 

チルノ「ニーズ…? 阿求は難しい言葉ばかり知ってるな…」

 

 

阿求「…そんなに難しいですか?」

 

 

ヤマメ「説明しろって言われたら出来ないかもねぇ」

 

 

阿求「妖精だから理解出来ないのかしら…? いや、でも大妖精さんもあなたも頭は悪い方では…」ブツブツ

 

 

美鈴「それは…言わないでおきましょう?」

 

 

阿求「…はい」

 

 

阿求「…!」

 

 

ヤマメ「? どうしたんだい?」

 

 

阿求「しーっ…ほら、あれ…」スッ

 

 

ヤマメ、美鈴「…?」

 

 

 

華扇「…♪」シャクシャク

 

 

華扇「んっ…♪」モグモグ

 

 

華扇「んふ…♪」ハグハグ

 

 

華扇「~♪」シャクシャクシャクシャク

 

 

 

阿求、ヤマメ、美鈴「…」

 

 

華扇「ん~♪ おいひぃ~♪」ルンルン

 

 

華扇「かき氷に掛ける物が多すぎて迷いに迷いましたが、この白玉抹茶ミルク! あぁ~、美味しすぎて頬が緩んでしまいます♪」

 

 

華扇「ふふふ…♪ 次は黒蜜きな粉でいきましょう♪ チルノ、氷の追加をお願いできま…!!」

 

 

ヤマメ、阿求、美鈴「…」ジーッ

 

 

華扇「なっ、なんです? 人の顔をジロジロと…」

 

 

ヤマメ「あんたにも可愛いらしいところあるんだねぇ♪」

 

 

華扇「は、はい!?」

 

 

美鈴「今さっき物凄く幸せそうな顔してましたよ? 華扇さん」

 

 

華扇「えっ…!?」

 

 

阿求「ヤマメさん美鈴さんそうじゃないんですよ『食べている時だけ』は大人しく、可愛く、幸せそうにするんですよ華扇さんは」

 

 

華扇「なっ…!? …///」カアッ

 

 

阿求「あっ! そうですよ、食べている時は口が塞がるじゃないですか♪ 口うるさいお説教も飛んでこない、大人しく、可愛い華扇さんのままでいてもらうには甘くて美味しい食べ物を与えるのが効果的なんですねぇ♪」

 

 

華扇「な、なんなのですか!! その人を動物に例えるかの様な分析はやめなさい!」

 

 

阿求「華扇さん、このことを幻想郷縁起に書いても」

 

 

華扇「ダメです!!」

 

 

ヤマメ「まぁまぁ♪ ほらチルノ、氷出してあげな」

 

 

チルノ「おう! 華扇、氷の大きさどうする?」

 

 

華扇「! そうですね…黒蜜きな粉の後にもまだ試したい物があるので後二杯ほど」

 

 

阿求「えっ? 後二杯も食べるんですか?」

 

 

華扇「…いけませんか?」

 

 

阿求「晩ごはん」

 

 

華扇「!?」

 

 

阿求「晩ごはんもあるのに後二杯も?」

 

 

華扇「ぐっ…!」

 

 

阿求「…」

 

 

華扇「うっ…! た、食べますよ!? 食べて何が悪いと言うのですか!?」

 

 

阿求「いえ、悪いなんて一言も言ってないじゃないですか」

 

 

華扇「ではなんだと言うのです!」

 

 

阿求「太らないんですか?」

 

 

華扇「…!? ふ、太るわけないじゃないですか! 私は仙人なんですからね!」

 

 

阿求「あぁそういえば『幻想郷の少女たちは太らない』なんて半信半疑な都市伝説を紫さんから聞いたことあるんですが…」

 

 

華扇「…?」

 

 

阿求「身をもって証明していただけると?」

 

 

華扇「知りませんよそんな都市伝説なんてぇ!!」

 

 

ヤマメ「あっはっはっは!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「ふふふっ…!」

 

 

華扇「笑わないでください!」

 

 

美鈴「す、すいません…いやしかし、最初はお二人の口喧嘩が多いから仲が悪いのかと思ってましたが、こうして見ていると華扇さんと阿求さんって仲が良いんですね」

 

 

阿求「否定はしません、霊夢さんたちを通して色々とお付き合いしてもらっているので」

 

 

華扇「私も否定はしませんが…! 阿求は口が過ぎると思いませんか!?」

 

 

阿求「ただのお喋りから全てお説教に派生する華扇さんよりは可愛い方だと思います」

 

 

華扇「それです! それが口が過ぎると」

 

 

阿求「おや、白玉残ってますよ? はい、あ~ん♪」

 

 

華扇「! あ、あーん…」モグモグ

 

 

阿求「いかがですか?」

 

 

華扇「…! んふふ♪ 美味しいです♪」モグモグ

 

 

阿求「あぁ本当に効果的ですね、餌付け♪」

 

 

華扇「はっ…!? し、しまった…!」

 

 

ヤマメ、美鈴(餌付けって…)

 

 

チルノ「いよっと…よし! 華扇、氷これで良いか?」

 

 

華扇「! え、えぇ…ありがとう、チルノ」

 

 

チルノ「おう! あたいももう一杯食べるぞー!」

 

 

ヤマメ「ふふふっ、私ももう一杯いただこうかねぇ♪」

 

 

阿求「私は…やめておきましょう、お腹が冷えてしまいますので」

 

 

美鈴「では私は…あ」

 

 

美鈴「メディさーん! メディさんも一杯食べますか?」

 

 

 美鈴は外庭でガーデニングをしているメディスンに呼び掛ける

 

 

 

メディ「へ? あぁ、いらなーい!」

 

 

 

チルノ「な、なにぃ!? あたいが作ったかき氷が食べられないってのか!?」

 

 

 

メディ「さっき私食べたじゃない! 今お仕事中なのよ!」

 

 

 

チルノ「む、むぅ…」

 

 

ヤマメ「一番に早く食べてガーデニングし始めちゃったからねぇ」

 

 

華扇「落ち着いて食べて欲しかったのですが、趣味…いえ、食後の楽しみが待っていると思うと何も言えませんでしたね」

 

 

阿求(そういうところは空気読めるんですね)

 

 

チルノ「頭がキーンってなってたよな」

 

 

ヤマメ「かき氷あるあるだねぇ、頭痛みたいなやつ」

 

 

華扇「えぇ、それがあるから落ち着いて食べて欲しかったんですけどね」

 

 

阿求「それアイスクリーム頭痛って言うらしいですよ? 知ってました?」

 

 

華扇、ヤマメ、チルノ「あ、アイスクリーム頭痛!?」

 

 

阿求「知らないんですか…」

 

 

美鈴「私はパチュリー様に聞いたことありますね、あの頭痛に名前があるなんて…って思いましたね」

 

 

阿求「ですよね、私も小鈴に聞かされるまでは『キーン頭痛』って呼んでましたから」

 

 

華扇「甘味処でアイスクリーム早食い大会に出場したときのあの頭痛にそんな名前が…」ブツブツ

 

 

チルノ「アイスクリーム頭痛…アイスたくさん食べても頭痛にならないんだけどなぁ」

 

 

阿求「チルノさんはアイスクリーム頭痛起こらないと思いますよ? たぶんレティさんもならないんじゃないですかね、雪女ですし」

 

 

ヤマメ「でも何でそんな名前なんだろうねぇ」

 

 

阿求「さぁ…そこまでは」

 

 

美鈴「…」チラッ

 

 

 

メディ「ふぅ…よーし、あと少し♪」

 

 

 

チルノ「あたいもなってみたいな、アイスクリーム頭痛…」ガリガリ

 

 

チルノ「ほい、ヤマメの分」

 

 

ヤマメ「ありがと、その頭痛、チルノじゃあ無理なのかもねぇ」

 

 

阿求「…掛けすぎじゃあないですか? 黒蜜」

 

 

華扇「これぐらい普通です」ドバドバ

 

 

阿求(氷が真っ黒なんですが)

 

 

チルノ「めーりん、めーりんは二杯目食べるか?」

 

 

美鈴「! ん~…そうですね、やめておきます♪」

 

 

チルノ「えぇ~…せっかく氷作ったのに、まだ余ってるぞ」

 

 

華扇「大丈夫ですよチルノ、あなたが作ってくれた氷が余るような事があれば私が残さずいただきますので」

 

 

チルノ「! ほんとか!」

 

 

華扇「もちろんです♪」

 

 

ヤマメ「…四杯目」ヒソヒソ

 

 

阿求「いっちゃいそうですね…」

 

 

 

美鈴「…さて、と」スタッ

 

 

 美鈴はメディに近づいていく

 

 

美鈴「メディさん、順調ですか?」

 

 

メディ「えぇ、順調よ♪」

 

 

メディ「土も引いて苗を植え付けて種も埋めたから後は肥料と水やりを定期的にやればオッケーね♪」

 

 

美鈴「は、早い…! 手際が良いですね」

 

 

メディ「んふふ~♪ 幽香にやり方教えてもらってるからね♪ 当然よ♪」

 

 

美鈴「ふふっ、そうですね」

 

 

メディ「でも、こんなに早く出来たのは美鈴たちのお陰よ、レンガの組み立てとか植木鉢の用意とかしてくれたから」

 

 

メディ「チルノが居たけど暑い中帰って来て疲れてるのに、かき氷機もあったから皆かき氷食べたがってたのに…私のガーデニングの手伝いを優先してくれたのよね」

 

 

メディ「『かき氷よりもガーデニングしたい!』って…私のわがままなのにね」

 

 

メディ「正直……嬉しかったわ」

 

 

美鈴「! ……」ニコッ

 

 

美鈴「…私達は今家族なんです」

 

 

メディ「!」

 

 

美鈴「私達はルームシェアという名目でゆかりんハウスに住んでます、ですが『何か困った事があったら無理せず家族に相談する、一人一人自分が出来る事を把握し、それを使ってお互いに助け合っていく』」

 

 

美鈴「これ、紅魔館の家訓の一つなんです、例え今日会ったばかりで初対面だったとしても一つ屋根の下に一緒に住んでしまえば家族…」

 

 

メディ「…」

 

 

美鈴「私、皆さんがメディさんに手伝うって言った時に思ったんですけど私だけがそう思ってる訳じゃないんですね、助け合うって事を皆さんは心の何処かに置いてある、チルノさん阿求さん、華扇さんもヤマメさんもです」

 

 

美鈴「かき氷なんていつでも作れます、それよりも大事なこと、メディさんを手伝ってあげたいんです、家族ですからね♪」

 

 

美鈴「私はわがままって素敵な事だと思いますよ? 自分の気持ちを素直に言えるって事ですからね♪ それにメディさんは嬉しく思ってくださってますし、先程お礼も言ってくれました」

 

 

美鈴「ふふっ、その気持ちと想いがメディさんの中にあるからこそ、私達は手伝いたいと思えたのかもしれませんね♪」

 

 

メディ「……」

 

 

メディ「ふふっ、家族…か」

 

 

美鈴「はい♪」

 

 

メディ「…ありがと美鈴、なんか胸の辺りがポカポカするわ」

 

 

美鈴「ふふっ、どういたしまして♪」

 

 

メディ「…♪」ニコッ

 

 

スーさん「…! ~♪」ニコッ

 

 

メディ(ねぇ…幽香)

 

 

メディ(あなたは私のわがままも聞いてくれる、困ってたらいつでも相談にのってくれるよね)

 

 

メディ(…家族)

 

 

メディ(帰ったら…聞いてみようかな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『新しい発見よね』

 

 

藍『発見?』

 

 

紫『住人たちがゆかりんハウスに住んで物を作る、それがゆかりんハウス…いえ、あのスキマ空間に形として残っていくのよ?』

 

 

紫「思い出を形としてゆかりんハウスに残していくのね、私そういうの好きよ♪」

 

 

藍『! …これから続けていけば色んな思い出が残っていくでしょうね』

 

 

紫『そうねぇ♪ 幻想郷の住人は多種多様の趣味を持ってるからね』

 

 

藍『そうですね♪』

 

 

紫『ふふっ、最初はガーデニングか』

 

 

藍『…メディスンが帰った後、花の面倒とか見てあげてくださいよ?』

 

 

紫『あったりまえでしょ! 幻想郷の自然と植物の関係者の方々から怒られたくないもん!』

 

 

藍『そんな動機で…』

 

 

紫『自然は自然に作られ、自然に育ち、自然に枯れていくけれど、自然が人間や妖怪の手で作られたらそれは生物の手でしか育てられない、育たない…そして一度でも育て始めたら一生育てる義務を背負わなければならない』

 

 

藍『…? なんです? それ』

 

 

紫『お花と植物の妖怪さんに教えてもらったの』

 

 

藍『…? 風見幽香にですか?』

 

 

紫『いいえ?』

 

 

藍『えっ?』

 

 

紫『ふふっ♪』

 

 

藍(? 誰だろう…?)

 

 

 

 

 

 

 

 昼食後、少し時間を置いてから華扇たちは風呂に入ることにした

 

 

 当たり前の事だが、全員、体に大きめのタオルを巻いている

 

 

 

 【17:30 お風呂】

 

 

 

ヤマメ「よし…! これでチルノも入れる、冷たい水だからねぇ♪」

 

 

チルノ「おー! ありがとな!」

 

 

メディ「ババアに電話で頼んだ大きな板を湯船に入れただけなんだけどね…ってうわっ!? 冷たっ!」

 

 

チルノ「えっ? そうか?」

 

 

メディ「あ、あんたよくこれに入れるわね!」

 

 

チルノ「う~ん、これでも熱いぐらいだぞ」

 

 

メディ「嘘でしょ…」

 

 

美鈴「チルノさんがお風呂に入るときの最適な温度って何度なんでしょうね」

 

 

ヤマメ「零度いっちゃう?」

 

 

美鈴「かもですねぇ…」

 

 

 

阿求(……)

 

 

阿求(ふ…ふふっ…ふっふっふっ♪)

 

 

阿求(ついに来たぁ♪ お・ん・せ・ん♪)

 

 

阿求(この時をどれだけ待ちわびていたことか…! ゆっくり…ゆっくりと堪能させていただきますよぉ♪ ふふふふ♪ 稗田家九代目当主である稗田阿求が温泉に浸かってゆっくりしていきますね♪)

 

 

チルノ「んじゃ! 早速♪」ワクワク

 

 

メディ「あっ! わ、私が先に入るの!」ワクワク

 

 

阿求「なんっ…!? 待ちなさい!!」クワッ

 

 

ヤマメ、美鈴「!?」ビクッ

 

 

チルノ「えっ?」

 

 

メディ「阿求、どうしたの?」

 

 

阿求「なんてことを…! シャワーで体を流さずに直にいくですって!? ありえない! 認めませんよ!」

 

 

阿求「温泉という名の天国に早く飛び込みたいその気持ちは分かります、ですが温泉に来たら先にやることはただ一つ! シャワーで体を洗い流すことです、それをしない限り湯船に浸かってはいけないんです」

 

 

阿求「それをしないことは私たちの疲れを日頃から取っていただいている温泉様に対する冒涜になります! さぁ! 先ずはシャワーで体を洗い流すのです!」

 

 

チルノ、メディ「お、おう…」

 

 

阿求「ふふふっ♪ 分かればいいんですよ♪」

 

 

ヤマメ「…温泉様って」ヒソヒソ

 

 

美鈴「いえ…それよりも阿求さん凄く早口でしたね」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「華扇みたいになってたね、温泉奉行…?」ヒソヒソ

 

 

美鈴「そんな言葉あるんですかね…」ヒソヒソ

 

 

 サァァァァ…

 

 

阿求「そうです、頭も丁寧に洗い流してくださいね♪」

 

 

チルノ、メディ「はーい♪」

 

 

ヤマメ「温泉奉行って実在したんだねぇ…」

 

 

美鈴「…? あれ?」

 

 

 

 

 【脱衣所】

 

 

華扇「……」

 

 

華扇(しまった…温泉を忘れてたわね)

 

 

華扇(右腕の包帯は仙人の力で何とかなっている…とでも言えば良いでしょう、しかし…)

 

 

華扇(頭のシニヨン…これだけは…)

 

 

華扇(朝にチルノとした約束、それと温泉には入りたい私の気持ち、約束は破るわけにはいかないもの)

 

 

華扇(『一緒に温泉入ろう』だなんて言われたのは初めてだった…だからあのとき嬉しさから何も考えずに返事をした)

 

 

華扇(だけど、でも…あの場で断ったら断ったで私は)

 

 

華扇(…)

 

 

美鈴「あの、華扇さん?」

 

 

華扇「!!」ビクッ

 

 

美鈴「脱がないんですか? 皆さん待ってますよ?」

 

 

華扇「…今、脱ごうと思っていたところです」

 

 

美鈴「あ、そうでしたか」

 

 

華扇「はい、そうなんです」

 

 

美鈴「…」

 

 

華扇「…」

 

 

美鈴「あ、すいません…先、入ってますね」

 

 

華扇「えぇ、直ぐに私も行きますから」

 

 

美鈴「分かりました、では…」スッ

 

 

華扇「…」

 

 

 

美鈴(……華扇さん、何か思い詰めていた表情をしてたな…)

 

 

美鈴(……)

 

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇(誤魔化すしかない…ですね)

 

 

 

 

 

 

 

 【みんなでお風呂タイム】

 

 

 

 

メディ、華扇、美鈴、ヤマメ、チルノ「ふぅ…♪」

 

 

美鈴「気持ちいいですね~♪」

 

 

ヤマメ「あぁ~♪ 良いねぇ…♪ さいっこうだよ♪」

 

 

美鈴「あはは、ヤマメさん声裏返っちゃってますよ」

 

 

ヤマメ「そりゃ裏返るさ~♪ 気持ちが良すぎるからねぇ…♪ こりゃ地底の温泉よりもクセになりそうだ」

 

 

美鈴「そう言えば、地底の旧都は温泉街なんですよね」

 

 

ヤマメ「そうだよ、地上との確執が無くなったから今じゃもう観光施設だからねぇ♪ さとりが観光大使なんてやってるし♪」

 

 

美鈴「良いですねぇ♪ 行ってみたいなぁ」

 

 

ヤマメ「あんたんとこの家族みんなで来ればいいじゃないか、ちょっとした旅行でさ♪」

 

 

美鈴「ふふっ、帰ったらお嬢様に相談してみようかなぁ」

 

 

ヤマメ「ははっ、もうなんか『良いわね! 行くわよみんなぁ!』って言ってるお嬢の姿が想像出来るねぇ」

 

 

美鈴「あははっ!」

 

 

 

メディ「ねぇ、華扇、右手大丈夫なの?」

 

 

華扇「えぇ、仙人の力で水に濡れても特に支障は無いのです」

 

 

チルノ「仙人の力ってすげーな!」

 

 

メディ「本当にすげ…す、凄いわね」

 

 

チルノ「? 何で今言い直したんだ?」

 

 

メディ「い、いいでしょ別に!」

 

 

チルノ「ほぇ?」

 

 

華扇「ふふっ…♪」

 

 

華扇(メディは自分の子供っぽい部分に自分で気付いているのですね、ちょっと背伸びしたいという感じでしょうか)

 

 

チルノ「? あれ? 華扇、そのお饅頭は取らないのか?」

 

 

華扇「へっ!? お、お饅頭?」

 

 

チルノ「その頭の」

 

 

華扇「!」

 

 

ヤマメ、美鈴(お饅頭…)

 

 

メディ「お饅頭って…あんた知らないの? あれはシニヨンって言うのよ、頭の髪飾りみたいなものよ」

 

 

チルノ「シニヨン? ……お饅頭じゃなかったのか」

 

 

メディ「頭にお饅頭乗せてるおバカがどこにいるのよ」

 

 

チルノ「! あたいはバカじゃないぞ!」

 

 

メディ「だからぁ! そういうこと言ってないでしょ!」

 

 

 

ヤマメ、美鈴(…)

 

 

ヤマメ(そこ触れちゃうか、まぁ子供は気になるよね)

 

 

美鈴(さっきはシニヨンのことで悩んでたのかな…でも外せば良いだけなのでは…? 外せない理由が…?)

 

 

 

チルノ「髪飾りなのか…あれ? じゃあ何で取らないの?」

 

 

メディ「あ…それ私も思ったわ、お風呂でも外さないのね、それ」

 

 

華扇「えぇ…まぁ、はい」

 

 

チルノ「取らないのか?」

 

 

華扇「…! 取らなくても不自由は無いので」

 

 

チルノ「頭洗いにくくないのか?」

 

 

華扇「……」

 

 

チルノ、メディ「…?」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇「…私はですね、普段からこれを着けてお風呂に入っているのです」

 

 

チルノ「? そーなのかー?」

 

 

華扇「はい、慣れてしまっているのでこちらも不自由は無いのです」

 

 

メディ「へぇー、そうなんだ♪」

 

 

華扇「は、はい」

 

 

チルノ「それは仙人の力じゃないんだな」

 

 

メディ「頭に着けてるだけで仙人の力使うかしら」

 

 

チルノ「こう…なんだろ、エネルギー? みたいな」

 

 

メディ「髪飾り着けるのにエネルギー使う訳ないでしょ」

 

 

チルノ「…そー言われればそうなのかもしれない」

 

 

メディ「…あんたってやっぱりバ」

 

 

チルノ「バカじゃないもん!」

 

 

華扇(……)

 

 

華扇(秘密は誰にでもあるもの…言い聞かせましょう)

 

 

 

 

美鈴、ヤマメ(…)

 

 

ヤマメ「…? ありゃ? そういや阿求は?」

 

 

美鈴「阿求さん? ……あ」

 

 

ヤマメ「うん? …あ」

 

 

 

阿求「……ふぇ…♪」トローン

 

 

阿求「ふぁぁ~♪」トローン

 

 

 

ヤマメ「ふはははっ…! な、なんだいあの蕩けきった顔は…! あっはっはは…!」

 

 

美鈴「阿求さん温泉凄く楽しみにしてましたから、でも…あの顔は…! ふふっ…!」

 

 

 

阿求「あぁぁ~♪」トローン

 

 

 

華扇、メディ、チルノ「? あ…」

 

 

メディ「あははっ! 阿求変な顔~!」

 

 

華扇「…あんな緩みきった表情も出来るのですね、意外です」

 

 

チルノ「阿求、顔がトロトロになってるぞ、魔理沙が前に見せてくれたスライム? みたいだな」

 

 

華扇、メディ、ヤマメ、美鈴「スライム?」

 

 

 

阿求「ふにゃ…♪」トローン

 

 

 

 

 

 【大きさなんて…】

 

 

 

阿求「…」ジーッ

 

 

ヤマメ「? おや、ふにゃり顔から復活してるねぇ」

 

 

阿求「ふ、ふにゃり顔…?」

 

 

華扇、美鈴「ふっ…!」プルプル

 

 

阿求「な、なんです?」

 

 

チルノ「阿求さっきスライムみたいな顔してたよ」

 

 

阿求「す、すら?」

 

 

メディ「いや、その例えじゃ分からないわよ」

 

 

ヤマメ「あはは! んで? どうしたんだい阿求、私のことじーっと見てたけどさ」

 

 

阿求「…ヤマメさんって意外とあるなぁって思いまして」

 

 

ヤマメ「ん? ある?」

 

 

華扇、美鈴、メディ、チルノ「?」

 

 

阿求「…」ジーッ

 

 

ヤマメ「? ……あ、あぁあぁ♪ 分かった分かった♪」

 

 

華扇、美鈴「あぁ…なるほど」

 

 

チルノ、メディ「??」

 

 

阿求「…」ジーッ

 

 

ヤマメ「ふふん♪ ほれほれ♪ 私意外とあるんだよ? パルパルやキスメよりは大きいよ♪ …勇儀には負けるけど」

 

 

阿求「あの二人は見た目で小さいと分かるじゃないですか、勇儀さんは…はい」

 

 

華扇「あなたの普段の服装がふっくらとしているので初見では大きさは分からないでしょうね」

 

 

ヤマメ「脱いで初めて分かるってやつだねぇ♪ でもあんたたちには負けるけどね」

 

 

華扇、美鈴「!」

 

 

ヤマメ「どうしたらそんなに大きく実るのかねぇ♪」

 

 

美鈴「み、実るって…/// わ、私は好きで大きくなった訳じゃ…///」カァッ

 

 

華扇「わ、私もです…///」

 

 

阿求「うっわぁでたでた…! 大きい人はみんなそう言うんですよ『何もしてない』だとか『好きで大きくなった訳じゃない』とか!」

 

 

阿求「白々しい! 本当は何かしているんでしょう!? そんな脂肪の塊を水面に浮かせて楽しいですか!? えぇっ!?」

 

 

阿求「だいたいあなたたち二人の服装は主張が激しいんですよねぇ…! ヤマメさんみたいにもっと自分の山のコントロールぐらいしてほしいものですよ! 本当に!」

 

 

華扇「そんな剣幕で言わなくても…」

 

 

ヤマメ「あんたは何をそんなに必死になってるんだい…」

 

 

美鈴(さっきから阿求さんが華扇さんみたいになってるのは…)

 

 

 

チルノ「? さっきからなんの話をしてるんだ?」

 

 

メディ「ん~……あ…たぶん胸の話じゃない? 阿求、ヤマメの胸見てたし」

 

 

チルノ「胸?」

 

 

メディ「それに大きさって言ってるからたぶんそうよ」

 

 

チルノ「胸かぁ~、大ちゃんは大きいな! ヤマメのよりは小さいけど」

 

 

メディ「大ちゃんって妖精?」

 

 

チルノ「うん」

 

 

メディ「ふーん…妖精ってみんな小さいもんだと思ってたけど違うのね」

 

 

チルノ「妖精の中で大きさ最強の称号は大ちゃんにあげた」

 

 

メディ「大きさに最強も何もないと思うけど」

 

 

スーさん「! …」ペタペタ

 

 

スーさん「……」シュン

 

 

チルノ「でもさ」

 

 

メディ「ん?」

 

 

チルノ「みすちーはやべぇ…」

 

 

メディ「…は?」

 

 

チルノ「みすちーにはリグルとルーミアとあたいと大ちゃんが束になっても勝てないんだよ…」

 

 

メディ「なによそれ」

 

 

 

 

 

 

藍『阿求って大きさ気にしてるんですかね? 胸の話題に凄く噛み付いて来ますけど』

 

 

紫『…あれのせいかしら』

 

 

藍『え?』

 

 

紫『二週間前くらい? 阿求と二人で仕事サボってお忍びで人里の飲み屋で飲んでたんだけど』

 

 

藍『……』イラッ

 

 

藍『で?』

 

 

紫『ん~…なんだったかしら…まぁとりあえず胸の大きさの話になったのよ』

 

 

紫『阿求が『やっぱり大きいほうがモテるんですかね?』って私に聞いて来たのよ、普段の私だったら『そんなことないんじゃないかしら』で返すところだったんだけど、私も酔っぱらってたから阿求にこう返しちゃったのよ』

 

 

藍『?』

 

 

紫『そんなの気にしても時間の無駄よぉ♪ だって稗田家の歴代の当主たちはあなたを含めてみんな貧しい乳の持ち主だったからねぇ♪ あっはははは♪』

 

 

藍『!?』

 

 

紫『…』

 

 

藍『…』

 

 

紫『酔っぱらいってほんと嫌よね……ゆかりんうっかりてへぺろりん♪』キャピッ

 

 

藍『あなたのせいじゃないですかぁ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 楽しい入浴で疲れを癒した後、華扇たちは晩御飯の支度に取りかかっていた、最初の話し合いで決まった料理の担当は美鈴と華扇、この二人による中華料理が今夜の夕食となり、麻婆豆腐、エビチリ、酢豚などが振る舞われた。 

 

 辛い物が苦手なチルノでも食べれるように、味付けは全て甘口にして作られたが…本当は阿求が『お風呂上がりに辛い食べ物は嫌です』と駄々をこねたから甘口になったのである、華扇と美鈴は少々物足りなかった様だが、メディ、チルノ、ヤマメからは絶賛されたので結果良かったと言えるだろう

 

 

 夕食後、華扇たちはそれぞれの時間を満喫していた

 

 

 華扇は夕食後のデザートの吟味、食べ比べ

 

 阿求は本日二度目のお風呂へ

 

 ヤマメとメディは紫に電話を掛け、ヤマメは自分の部屋の寝具をベッドに変えてもらい、メディはガーデニング用品を頼んだ

 

 美鈴は食後の運動ということで庭で太極拳を…何故か隣にチルノがいて美鈴の動きを真似し、足を滑らせ、盛大にスッ転んでいた

 

 

 と…各々が楽しい夜を過ごした…

 

 

 

 そして夜が更け…

 

 

 

 【リビング、22:30】

 

 

チルノ「ふあぁ…あたいそろそろ眠くなってきたぞ~…」

 

 

メディ「私も…ふぁ…」

 

 

ヤマメ「ん…ありゃ、もう十時過ぎてたんだねぇ」

 

 

華扇「ふふっ、楽しく話していたから時間が過ぎるのが早く感じてしまいますね」

 

 

美鈴「ははっ、そうですね」

 

 

阿求「では今日はここまで、ですね」

 

 

ヤマメ「そうしようか、もう歯も磨いたし、後は寝るだけだもんねぇ」

 

 

チルノ「ん~…じゃあ寝るか~……」ウツラウツラ

 

 

美鈴「えぇ、では明日はチルノさんの提案通り、川の近くに行くということで」

 

 

阿求「はい、そうしましょう」

 

 

チルノ「お~…釣りするぞ~…」

 

 

阿求「釣りの道具は明日紫さんに電話して用意させましょう、メディさんに電話してもらいます」

 

 

メディ「良いよ~…」ウツラウツラ

 

 

ヤマメ「? 何でメディにやらせんの?」

 

 

阿求「メディさんがやった方が紫さんに効果抜群だからです」

 

 

華扇「ふふっ…!」プルプル

 

 

ヤマメ、美鈴「?」

 

 

メディ、チルノ「ふにゃ…」ウツラウツラ

 

 

 

 

 

 

 【二階、寝室扉前】

 

 

華扇「では皆さん、お休みなさい」

 

 

美鈴「お休みなさいです♪」

 

 

ヤマメ「おやすみ~♪」

 

 

メディ、チルノ「おやすみ~…」

 

 

阿求「おやすみなさい…あぁ、華扇さん」

 

 

華扇「はい?」

 

 

阿求「私朝の寝起きは凄く機嫌が悪いので朝の七時とかに起こしに来ないでくださいね♪ 七時半ぐらいまでベッドの中でゆっくりしたいので」

 

 

華扇「なっ…!? 朝の七時に起きるのは健康に」

 

 

阿求「おやすみなさい♪」スッ

 

 

 バタン!

 

 

華扇「あっ!? 阿求!」

 

 

美鈴「ふふっ…!」

 

 

ヤマメ「あっはっはは…! ちょっとやめとくれよ、寝る前に笑わすのはダメだって…!」プルプル

 

 

華扇「人の話は最後まで聞く! 普通のことが何故っ…!」

 

 

美鈴「ふふっ…! で、では…お休みなさい、また明日」スッ

 

 

メディ「おやすみ~…ふぁぁ…」スッ

 

 

 バタン、バタン

 

 

ヤマメ「おやすみ、あんたもベッドの魔力にやられんじゃないよ?」

 

 

華扇「わ、分かってますよ、それではお休みなさい」スッ

 

 

 バタン

 

 

ヤマメ「ふふっ、さて、私も寝…うん?」

 

 

チルノ「…」

 

 

ヤマメ「? チルノ? どうしたんだい?」

 

 

チルノ「…」フラッ

 

 

ヤマメ「!? よっ…!」スッ

 

 

 ヤマメはチルノが床に倒れる前にチルノを抱き止めた

 

 

ヤマメ「お、おいおい…! どうしたんだいチル」

 

 

チルノ「かぁ~…くぉ~…」zzZ

 

 

ヤマメ「! ありゃりゃ寝ちまったのかい、しょうがないねぇ、布団に運んであげ……」

 

 

ヤマメ「……♪」ニヤリ

 

 

ヤマメ「ちょうど涼しくてひんやりする抱き枕が欲しかったんだよねぇ♪ ふふふ♪」

 

 

チルノ「んかぁ~…」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

紫「あら♪ 土蜘蛛さんが妖精さんと一緒のベッドに!?」

 

 

藍「チルノを抱き枕代わりにですか、真夏では贅沢な事ですよね」

 

 

紫「明日阿求に『夕べはお楽しみでしたね♪』とか言われそうね♪」

 

 

藍「…はい?」

 

 

 

 

紫「さて、私たちも寝ましょうか」

 

 

藍「そうですね、ではお休みなさい」

 

 

紫「えっ?」

 

 

藍「…えっ?」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「昔は藍を抱き枕にして寝てたのにねぇ…てか藍の方から来てくれたのにねぇ…」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「『紫しゃま…その…あの…! い、一緒に寝てくだしゃいましぇんか…?』」

 

 

藍「なっ!? わ、わーわー!! や、やめてくださいよ!」

 

 

紫「あら? 似てない?」

 

 

藍「似てませんよ! 私そんなに滑舌悪く無かった筈ですもん!」

 

 

紫「…まあ確かにちょっと盛ったけども」

 

 

藍「真実を真似しなさいよ!」

 

 

紫「そしたら面白くないじゃない、でも『紫しゃま』呼びは身に覚えがあるでしょ?」

 

 

藍「ぐっ…! と、とにかくお休みなさい! それではまた明日!」スッ

 

 

紫「なにをそんなに、ふふふっ…♪」

 

 

紫「明日は釣りか…う~ん…」

 

 

紫「物足りなかったから小鳥とかの小動物を空間に追加してみたのは良かったところだけど…魚の種類も追加しとこうかしら」

 

 

紫「ふふっ♪ それではまた明日…♪」スッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 

 






 お疲れ様でした、ここまで読んでいただいてありがとうございました♪


 今回エピソードをいれたのはメディスンとチルノでした。

 チルノにはあまり深いエピソードは無いです、友達思い、素で物事をハッキリと口に出して言うため裏表が無い性格です、後は魔理沙とはライバルであり友達、しょっちゅう会っているため魔理沙から影響をかなり受けてます(紫へのババア呼びなど)性格も似てます。

 霊夢はそんなチルノを『魔理沙2号』と思っているそうです、魔理沙との違いと言えばチルノは物事への切り返しが下手なところでしょうか



 メディスンには色々と設定があります、幽香とどうやって出会ったのか、一緒にいるスーさんとの関係等々です、いつかはメディスンの物語も書いてみたいです。

 後、メディと幽香は八意永琳と関わりがあります、主に薬や毒、花などの植物関係で繋がりがあります、これもまたいつか別のお話で



 それではまた次回、次は二日目になります♪



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ーー ナマズとカフェイン ーー Second day



 一日目でゆかりんハウスの施設について色々と説明があったので二日目と三日目は会話中心でいきたいと思います

 普段喋らないであろう住人達の会話、そのキャラのエピソードを楽しんでいただければと思います。 


 それでは始まります♪





 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、副音声のお二人】

 

 

八雲藍『…』イライラ

 

 

八雲紫『…』シュン

 

 

紫『…ねぇ藍、チルノたちのこと観ましょう? 私もう許されてもいい筈よ?』

 

 

藍『…』

 

 

紫『…』

 

 

藍『…』

 

 

紫『…』

 

 

紫『……らんしゃま?』ウルウル

 

 

藍『ふっ…! ちぇ、橙のマネをする暇があるのなら反省をしなさいよ反省を!!』

 

 

紫『だからもう謝ったじゃないのよ、一時間の正座はつれぇわ、足の感覚が無くなってきてるんですけど』

 

 

藍『……何故あなたが私に怒られているか分かりますか?』

 

 

紫『あなたがちょっと目を離した隙にゆかりんハウスに顔出した私があなたに内緒で作った『スキマボックス』ならぬ『ゆかりんボックス』で阿求たちにお茶目なカオスを提供したからでしょ?』

 

 

藍『良く分かってるじゃないですか』

 

 

紫『ゆかりん頭良いからねぇ♪ ふふふの』

 

 

藍『ふざけてるんですか?』イラッ

 

 

紫『反省してます、はい』

 

 

藍『…』

 

 

紫『…』

 

 

藍『…阿求のアレはいつ直るんです?』

 

 

紫『ん~、14時ぐらい?』

 

 

藍『なぜ疑問形』

 

 

紫『ゆかりんマジックは人によって効果が異なるからよ』

 

 

藍『その何でも『ゆかりん着ければ許されるわよね♪』みたいなのやめてくれませんか?』

 

 

紫『……なんか今日の藍冷たい』

 

 

藍『私だって紫様にこんな事をしたくないんですよ? あなたが夜中、ゆかりんハウスに行って倉庫を設置したことはとても良いことだと思います、でも紫様、私最初に言いましたよね? カオス成分はいらないと』

 

 

紫『はい』

 

 

藍『でもあなたはカオスを提供してしまった』

 

 

紫『はい』

 

 

藍『…』

 

 

紫『…』

 

 

紫『…藍』

 

 

藍『はい』

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『許してにゃん♪』キャピ

 

 

藍『そんなんで許されると思うなぁ!!』クワッ

 

 

紫『うにゃあ!?』ビクッ

 

 

 

 

 

 【スキマ空間、ゆかりんハウス近くの川、12:00】

 

 

 

 二日目の物語はゆかりんハウスの近くにある川、通称『ゆかリバー』から始まる。

 

 華扇たち六人は朝食を食べ終えた後、麦わら帽子を被る等の熱中症対策、そしてお昼は外で食べたいというチルノとメディの提案のもと、お昼のランチを用意した上でゆかリバーに釣りに来ていた。 

 

 麦わら帽子を被っているのはメディ、チルノ、阿求の三人だ

 

 六人分の釣り道具は華扇達が寝静まった頃、紫がゆかりんハウスの外に新たに設置したスチール製の倉庫から持ってきたものだ

 

 

 一人、人二人分の間隔を開け、木で出来た橋に座って釣糸を垂らしている

 

 

 

チルノ「…」

 

 

チルノ「……」

 

 

チルノ「……!」ピクッ

 

 

 ぽちゃん! と音を立ててチルノの釣竿のウキが沈む

 

 

チルノ「おっしゃー! きたきたぁ!」ググッ

 

 

メディスン・メランコリー「! チルノ! 逃がすんじゃないわよ!」

 

 

チルノ「あたいがぁっ…! 逃がすわけないだろっ…! ぬおぉぉ!」ググッ

 

 

紅美鈴「チルノさん落ち着いて! 竿を魚に向けてください」

 

 

チルノ「! 右ぃ…! …! 左っ!」ググッ

 

 

 バシャバシャ!

 

 

茨木華扇「その調子です、魚を弱らせるのですよ」

 

 

チルノ「とりゃ! うりゃ!」ブンブン

 

 

メディ「ちょっと! そんな風にやったら切れちゃうわよ」

 

 

黒谷ヤマメ「大丈夫さ、私の糸を使ってるんだ、そんな簡単にゃ切れやしないよ♪」

 

 

チルノ「とぉ! そりゃ!」ブンブン

 

 

 バシャバシャッ!

 

 

チルノ「! よし、ここだ!」スッ

 

 

チルノ「あたい流! 最強一本釣りぃ!!」ブン

 

 

 ザバァン!

 

 

ヤマメ、美鈴「おっ…!」

 

 

華扇、メディ「!」

 

 

 ピチピチ!

 

 

チルノ「…! よっしゃー! 釣れたぞー♪」

 

 

美鈴「やりましたねチルノさん!」

 

 

ヤマメ「やったじゃないかチルノ♪」

 

 

華扇「おめでとう、チルノ」

 

 

チルノ「おう! にっしし♪」

 

 

メディ「でも一匹しか釣れてないわよね、あんただけ」

 

 

チルノ「うっ…!」グサッ

 

 

美鈴「ま、まぁ…でもほら、まだ始まったばかりですし」

 

 

チルノ「そ、そうだそうだ!」

 

 

メディ「私と美鈴はもう三匹目だし、ヤマメと阿求は四匹目、華扇なんか六匹も釣ってるのによ?」

 

 

チルノ「ぬぐぐっ…! こ、これからだよ! これからあたいの最強釣り伝説が始まるんだ!」

 

 

メディ「ふふん♪ なら私より多く釣ってみせてよね」

 

 

チルノ「おう! もちろんさ!」

 

 

華扇「ふふっ…♪ しかし、また見たことが無い魚が釣れましたね」

 

 

美鈴「これは…? また外の世界の魚ですかね」

 

 

ヤマメ「海の魚って奴かい? ここ本当に川なのかねぇ」

 

 

華扇「この川も八雲紫が作った物、気にしたら負けと言うことなのでしょう」

 

 

美鈴「海と川と湖の魚が入り乱れてるんですね、確か海水魚と淡水魚…生態系とか魚たちの共存とか大丈夫なんでしょうか」

 

 

華扇「それも気にしたら負けですよ、大体『釣ってみてのお楽しみ♪』と言ったのは八雲紫本人ですし」

 

 

ヤマメ「何でもありだねぇ♪ あっはっは♪」

 

 

 ピチピチ!

 

 

メディ「何かしらコイツ、いやに細長いわね」

 

 

チルノ「あたいの一匹目~♪ ! なぁ阿求、コイツ名前なんて言うんだ?」

 

 

稗田阿求「…!」ピクッ

 

 

阿求「…!」ギロッ

 

 

チルノ「な、なんだよぉ~! なんで睨むんだよ~!」

 

 

阿求「……」プイッ

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴「…」

 

 

華扇「阿求、それは大人気ないです、例え理由があったとしてもです」

 

 

ヤマメ「まぁあれだ…あんたの気持ちは分かるよ? でもほら、阿求なら分かるだろ? チルノに悪気は無いってのがさ」

 

 

美鈴「阿求さん、その…答えてあげてください」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求「…!」ワタワタ

 

 

ヤマメ「ん? あぁ大丈夫だよ、もう笑わないからさ」

 

 

阿求「! ……」

 

 

阿求「ち、チルノさん…!」

 

 

チルノ「お、お?」

 

 

阿求「…」

 

 

阿求「……!」

 

 

阿求「その魚は太刀魚ですにゃ……!? にゃっ!?」

 

 

ヤマメ、美鈴「!? くっ…! ふふっ…!」プルプル

 

 

華扇「はふふっ…!」プルプル

 

 

阿求「あー! 笑わにゃいって言ったじゃにゃいですにゃぁ!」

 

 

メディ「阿求まだ直ってなかったんだ」

 

 

美鈴「す、すいませ…! ふふっ…!」

 

 

ヤマメ「ち、ちが…! 違うんだよ阿求、分かっておくれよ」

 

 

阿求「にゃにが違うって言うんですにゃ!」

 

 

チルノ「ほぉー! お前『たちうお』って言うのか! なんかカッコいいな!」

 

 

メディ「あんたは気にしてないのね」

 

 

 

ヤマメ「だから違うんだよ、あんたが面白いから笑ってるんじゃなくてさ、あんたが可愛いから笑ってるんだよぉ♪」

 

 

阿求「こんにゃ取って付けた様にゃ可愛さにゃんていらにゃいですにゃ! 地霊殿のお燐さんでもこんにゃににゃんにゃん言わにゃいですにゃよ!?」

 

 

華扇「ふふっ♪ 例え取って付けた物でも可愛いと思いますよ? 阿求」

 

 

阿求「わざとですにゃ!? ワザとですにゃ華扇さん!」

 

 

阿求「にゃあ~…! 紫さんめ…! 余計にゃ事をぉぉ…!」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 【数時間前 ゆかりんハウスリビング】

 

 

六人「ご馳走さまでしたー♪」

 

 

華扇「ふぅ…♪ 今日の朝御飯も美味でした」

 

 

チルノ「美味かったぞー♪」

 

 

メディ「今日も美味しかったわ♪」

 

 

美鈴「皆さんお粗末様でした」

 

 

ヤマメ「美鈴は門番も出来て家事も出来て料理も得意、いやぁ、お世話になりっぱなしだねぇ♪」

 

 

美鈴「それは褒めすぎですよ~♪ でも、ありがとうございます♪」

 

 

阿求「…」

 

 

阿求(正直、咲夜さんの料理の味と比べても遜色無い出来なんですよね…紅魔館に咲夜さんがいなかったであろう大昔、美鈴さんが家事等を担当していたのでしょうか)

 

 

メディ「あ、そういえばさ、なんでチルノとヤマメ一緒の部屋で寝てたの?」

 

 

ヤマメ「ん? さぁってねぇ? なんでだろうねぇ♪」

 

 

チルノ「あたいも良く分からないんだよなぁ…あたいびっくりしたぞ? 起きたらヤマメが目の前にいたからな」

 

 

ヤマメ「あはは、驚かしちゃって悪かったねぇ」

 

 

華扇「まさか…チルノを抱き枕にしてベッドで寝ていたのですか?」

 

 

ヤマメ「そうだよ~♪ ひんやりしてて気持ちよかったねぇ♪」

 

 

華扇、美鈴、阿求(なっ…!? なんて贅沢な…!)

 

 

美鈴(暑さ対策…!)

 

 

華扇(涼しい部屋で快適…!)

 

 

阿求(暑い気温の中で冷たい抱き枕とひんやりした部屋で布団にくるまってぬくぬく…!)

 

 

メディ「そっかぁ、私もスーさんと一緒に寝てたけどね、ね? スーさん♪」

 

 

スーさん「~♪」キャッキャッ

 

 

チルノ「ん~、でもあたい昨日ヤマメの部屋に入ったっけ?」

 

 

ヤマメ「入ったよ♪」

 

 

チルノ「ん~…?」

 

 

阿求「…まさか無理矢理」

 

 

ヤマメ「そんなことするわけないじゃないか」

 

 

華扇「流石にそこまではしませんよね、ヤマメは多少常識がある方なので」

 

 

ヤマメ「そうそう♪ …って多少は余計だよっ!」

 

 

阿求「『昨日はお楽しみでしたね♪』って言うところなんですかね、ここは」

 

 

ヤマメ、チルノ、メディ、華扇、美鈴「え…?」

 

 

阿求「いえ…なんでもないです」

 

 

 

 

 

 

チルノ「あ、でさでさ! さっきも話したけどさ、どうだ!? あたいとメディの作戦!」

 

 

メディ「作戦じゃなくて提案でしょ…どう? みんな」

 

 

華扇「ふふっ、良いと思いますよ、私は賛成です」

 

 

美鈴「私もです、釣りしながら外でお昼ご飯なんて最高じゃないですか♪」

 

 

チルノ「! だろだろ♪」

 

 

阿求「私も賛成ですけど…虫とかいないですよね?」

 

 

ヤマメ「虫、嫌いなのかい?」

 

 

阿求「気持ち悪い系の虫はちょっと…ヤスデ毛虫とかいたら悲鳴を上げると思います」

 

 

美鈴「あ~…ゲジゲジ系は嫌ですよね」

 

 

ヤマメ「ちょっと~? 私一応蜘蛛だよ?」

 

 

阿求「あなたみたいに可愛い蜘蛛いませんって」

 

 

ヤマメ「かわっ…!? い、いきなり何を言ってんだい、やめとくれよ…///」カアッ

 

 

阿求「はい、これがヤマメさんの弱点です、いきなり可愛いと言われると顔を赤らめてしまいます」

 

 

華扇、美鈴(はいって…)

 

 

チルノ「なぁヤマメ、ヤマメも行くよな?」

 

 

ヤマメ「も、もちろん行くよ、でも昨日みたいに暑いからチルノの隣にはずっと居たいねぇ」

 

 

チルノ「おう、良いぞ♪」

 

 

華扇「! そうか…昨日はミズナラの木の木陰があったから日差しを防げていましたが、今回はずっと日差しを浴び続ける事になりますね」

 

 

美鈴「熱中症対策は昨日よりも万全にしておかないと、ですね」

 

 

華扇「お昼のお弁当、水筒はもちろんの事、日光を防ぐ帽子か何か…」

 

 

阿求「それと虫除けの薬とかも欲しいです」

 

 

メディ「釣りするんなら釣竿とかいるわね」

 

 

ヤマメ「釣り用の糸なら私が出せるんだけどねぇ」

 

 

阿求「欲しい物は各々決まりましたね? では紫さんに電話するとしましょう」

 

 

華扇「お昼は…私たちで作りましょうか」

 

 

美鈴「そうですね」

 

 

阿求「それも紫さんに持ってこさせても良いんですけどね、でもお二人が作った料理の方が良いですよね」

 

 

ヤマメ「雰囲気的にもね、華扇、美鈴、お願いするよ♪」

 

 

華扇「えぇ、任せてください」

 

 

美鈴「はい、分かりました♪」

 

 

 

華扇「さて、外でのお昼ですからね、何を作りましょうか」

 

 

美鈴「外…う~ん…紅魔館ではお嬢様がお出掛けになるときは決まって咲夜さんはサンドウィッチを作るんですが」

 

 

華扇「サンドウィッチですか、手軽にたくさん作れて味も美味しい…良いですね、それにしましょうそうしましょう♪」

 

 

美鈴「では、玉子やハム、レタスにトマトにきゅうりを」

 

 

華扇「美鈴、それも大事ですが私はサンドウィッチの種類にフルーツサンドと言う物があると宇佐見菫子に聞いたことがあります」

 

 

美鈴「あ~…はい、ありますね」

 

 

華扇「フルーツサンド、作れますか?」

 

 

美鈴「はい、材料ならあるので作れますね、それに咲夜さんが作っているところを見たことがあるので」

 

 

華扇「ではフルーツサンドの調理は任せましたよ? 私は他のサンドを作りますので」

 

 

美鈴「え…? あぁはい、分かりました」

 

 

美鈴(わ、私スイーツ専門なんですか…? スイーツよりお肉とかの方が得意なんですけど)

 

 

華扇「~♪ 夏にはスタミナのお料理♪ サンドウィッチでもスタミナをつけていただきましょう♪」

 

 

美鈴(…華扇さん本当に甘いものが好きなんだなぁ)

 

 

 

 

阿求「ではメディさん、お願いしますね」

 

 

メディ「ババアに電話すればいいんでしょ? 任せといて♪」

 

 

ヤマメ「釣り道具と熱中症対策グッズと虫除けだね」

 

 

メディ「オッケー♪」

 

 

チルノ「あっ! 待ってメディ! あたいが電話する!」ワクワク

 

 

メディ「え? あんたが?」

 

 

チルノ「うん!」ワクワク

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「な、なんだよぉ!」

 

 

メディ「あんたに出来んの?」

 

 

チルノ「電話ぐらい出来るさ! あたいは最強だからな!」

 

 

メディ「最強とか関係ないわよね? あんたさ、電話してみたいだけなんじゃないの?」

 

 

チルノ「ギクッ…!」

 

 

阿求、ヤマメ(ギクッって言っちゃった…)

 

 

メディ「それにババアに頼むものたくさんあるのよ? あんた覚えてんの?」

 

 

チルノ「お…覚えてるぞ!?」

 

 

メディ「ふーん、言ってみてよ」

 

 

チルノ「ふふん! 熱中症グッズと釣竿と虫除け道具だろ!」フンス

 

 

メディ「熱中症グッズって何よ! 熱中症対策グッズよ、対策グッズ!! なんなの!? それ使えばお手軽に熱中症にでもなれるって言うの!?」

 

 

チルノ「…!! えっ…あれ?」

 

 

ヤマメ「ふははっ…!」プルプル

 

 

阿求「ははっ…! ふふふふっ…!」プルプル

 

 

メディ「あんたには任せてられないわ! 私がババアに電話するわ!」

 

 

チルノ「ま、待ってよ! あたいがババアにする! もうわかったから!」

 

 

メディ「何が分かったってのよ!」

 

 

チルノ「た、対策だろ!? 分かってるって!」

 

 

メディ「分かってないわ、電話持ったら忘れるんでしょ?」

 

 

チルノ「あたいそこまでバカじゃないよ!」

 

 

メディ「今はあんたがバカなんて一言も言ってないでしょ!」

 

 

チルノ「なんだよ!」

 

 

メディ「何よ!」

 

 

チルノ、メディ「む~…!!」

 

 

ヤマメ「ありゃりゃ…こ~ら、喧嘩はダメだよ二人とも」

 

 

チルノ「だってメディが!」

メディ「だってチルノが!」

 

 

阿求「お互いに煽り煽っていては話は解決しませんよ、二人とも少し冷静になってください」

 

 

チルノ、メディ「! ……」

 

 

チルノ、メディ「……」

 

 

ヤマメ「チルノが覚えられなくて紫に伝えられなくても、隣でメディがこっそりと教えてあげる事だって出来るだろう? 助け合っていこうじゃないか、ね?」

 

 

メディ「! ……」

 

 

メディ「チルノ」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「忘れたら…わ、忘れたって素直に言いなさいよ? それとさっきはごめん…ちょっと言い過ぎたわ」

 

 

チルノ「わ、分かったよ…! それと、うん…あ、あたいの方こそごめんな? あたいも言い過ぎた」

 

 

ヤマメ「! ふふっ…! じゃあ仲直りだ、ね?」

 

 

チルノ、メディ「! うん!」ニコッ

 

 

 

華扇、美鈴「…♪」ニコッ

 

 

 

阿求「ふふっ…」ニコッ

 

 

 

紫「仲直りするのって難しい様で簡単なのよねぇ♪ …あら、逆だったかしら? 私としては喧嘩の仲裁の前にババア呼びに関しての注意をしてもらいたかったんだけどもねぇ」

 

 

 

阿求「まぁそこは……って…!?」

 

 

紫「やぁ皆おはよう♪ グッモーニング!」

 

 

阿求、美鈴「紫さん!?」

 

 

ヤマメ「おや、管理人が飛んできたねぇ♪」

 

 

チルノ、メディ「ぬあっ!? ババア!!」

 

 

紫「朝からババアはつれぇからやめなさいよぉ! てかさっきまで喧嘩してたのに息ピッタリねこんにゃろう!」

 

 

華扇「あなたは…本当に突然現れますね」

 

 

紫「ゆかりんはサプライズ大好きだからね♪」

 

 

ヤマメ「いや、理由になってないから」

 

 

紫「そんなことは置いといて、あなたたちこれから釣りに行くんでしょ?」

 

 

チルノ「おう! それがどうした!」

 

 

メディ「何よ、なんか文句でもあんの?」

 

 

紫「むっ…!? な、なんて可愛いげの無いガキんちょ達…!」

 

 

阿求「相手は子供なんですから大人の対応をしてください、それでなんです? 釣りには行きますけど」

 

 

紫「! こほん…」

 

 

紫「昨日あなた達が夜寝ている間に家の外に倉庫を設置しておきました、その倉庫には色々と遊び道具がしまってあるわ、もちろん釣竿もね♪」

 

 

チルノ、メディ「!」

 

 

華扇「いつの間に…」

 

 

美鈴「気付きませんでしたね」

 

 

紫「それと…はいこれ」スッ

 

 

 紫は小さなスキマを開き、中から麦わら帽子と本を一冊、虫除けのお香、クーラーボックスを取り出した

 

 

チルノ「お!」スッ

 

 

チルノ「にしし♪ どう?」

 

 

ヤマメ「おっ♪ チルノ麦わら帽子似合うねぇ♪」

 

 

メディ「! あ、私も」スッ

 

 

ヤマメ「ははっ、メディも似合うじゃないか♪」

 

 

紫「人数分あるわよ♪ あ、でも…」スッ

 

 

華扇、美鈴「…?」

 

 

紫「あなた達二人は似合わなそうよねぇ、麦わら帽子」

 

 

華扇「余計なことは言わなくて良いんです」

 

 

紫「えぇ~…あなたに言われたくないんですけど」

 

 

華扇「それもまた余計です!」

 

 

美鈴「あはは…」

 

 

阿求「お香か…下手な虫除けよりも効きますよね、これ」

 

 

阿求「…? この本は? 分厚いですね」

 

 

紫「お魚図鑑よ、あの川は本当に多種多様の魚が釣れるの、例えば毒を持っている魚も居るっちゃ居るわね、川の水面に特殊な加工が施してあって魚影しか見えなくしてあるの、何が釣れるかは釣ってみてのお楽しみね」

 

 

阿求「なるほど、私に読んで覚えなさいと?」

 

 

紫「一通り見れば忘れないのがあなたの能力でしょう?」

 

 

阿求「まぁ、良いですけど…」

 

 

華扇「! もしかして食べられる魚も…!」

 

 

紫「もちろんいるわよ? 運良く釣れれば食べられるわね、中には脂がのっててまるでお肉の様な食感のお魚もいるのよねぇ♪」

 

 

華扇「な、なんと…!? ぜ、是非とも食してみたいものですね」

 

 

紫(……昔から本当に食いしん坊ね、華扇)

 

 

チルノ「よーし! じゃああたい釣竿持ってくる!」

 

 

メディ「あ、私も!」

 

 

紫「はいストップ♪」スッ

 

 

チルノ「むっ! な、何すんだババア!」ジタバタ

 

 

メディ「は、離せババア! 毒使うぞ!」ジタバタ

 

 

紫「……ヤマメ、この子達に八雲のお姉さんとはなんたるかってのを教育をしてあげてくれないかしら」

 

 

ヤマメ「私が? ムリだよ~♪ 紫の事を説明するのに一ヶ月ぐらいは掛かるからねぇ」

 

 

紫「はぁ、謎多き乙女ゆかりん…一ヶ月でも語り尽くせないかもしれないわ」

 

 

華扇(…)

 

 

チルノ、メディ「離せぇババア!!」

 

 

紫「ババアやめろぉ! …まぁとにかく待ちなさいって、釣りに行く前にこのゆかりんとちょっとしたゲームをしない?」

 

 

美鈴「ゲーム、ですか?」

 

 

紫「そうよ♪」

 

 

ヤマメ、阿求、華扇(なんか凄い嫌な予感がする…)

 

 

チルノ、メディ「ゲ、ゲーム…!」

 

 

紫「やる?」

 

 

チルノ、メディ「やる!」

 

 

紫「良い返事ねぇ♪」

 

 

ヤマメ、阿求、華扇(!? も、もう後には引けない…!)

 

 

美鈴「何をするんですか?」

 

 

紫「簡単よ? まず…はい、あなたたちジャンケンしなさい」

 

 

六人「えっ…?」

 

 

紫「ほら、早く♪」

 

 

六人「…」

 

 

六人「最初はグー! ジャンケンポイ!」

 

 

阿求「…! あっ!?」グー

 

 

チルノ、メディ「! 勝ったー♪」パー

 

 

美鈴「あっ」パー

 

 

華扇「一回で決まりましたね」パー

 

 

ヤマメ「運が無かったねぇ♪」パー 

 

 

紫「弱いわねぇ阿求、ストレート負けなんて出来るのね♪」

 

 

阿求「! な、何かの間違いです! 仕組んだんじゃないですか!?」

 

 

ヤマメ「そんなこと出来る時間無かったじゃないかい」

 

 

阿求「こ、この私がジャンケンで…!」

 

 

華扇「往生際が悪いですよ阿求、素直に負けを認めなさい」

 

 

阿求「くっ…!」

 

 

チルノ「あたいジャンケン最強なんだ♪」

 

 

メディ「あんた色んな最強持ってるわよね」

 

 

美鈴「確かにチルノさんジャンケン強いですよね」

 

 

阿求「はぁ…それで敗者の私に何をする気ですか?」

 

 

紫「んふふのふ♪ はいこれ!」スッ

 

 

阿求「ん?」

 

 

 紫は正方形の大きな箱を両手に持って阿求達に見せ付ける、箱の上の部分には丸い穴が開いていて側面には『ゆかりんボックス』と大きな字で書かれている

 

 

紫「箱の中に手を入れて中にたくさん入ってる紙切れを一枚だけ選んで取り出しなさい♪」

 

 

阿求「なんですかこのくじ引きみたいな」スッ

 

 

紫「良いから良いから♪」

 

 

阿求「はいはい…」ガサゴソ

 

 

阿求「…」ガサゴソ

 

 

阿求「…! これで」スッ

 

 

 折り畳まれた紙切れが出てきた

 

 

チルノ「紙だ」

 

 

メディ「紙切れね」

 

 

紫「ふふっ♪ 阿求、その紙切れ開いて書いてある文字を読み上げなさいな」

 

 

阿求「?」ピラッ

 

 

ヤマメ、華扇、美鈴、チルノ、メディ「…?」ソッ

 

 

 

 

 

 

阿求『にゃんこの気持ち』

 

 

 

 

阿求「……は?」

 

 

華扇、ヤマメ、チルノ、美鈴、メディ「んっ…?」

 

 

阿求「…紫さんこれなん」

 

 

紫「ゆかりんマジック!!」スッ

 

 

 ピカッ!!

 

 

六人「うわっ!? 眩しっ!?」スッ

 

 

紫「魔法少女ゆかりんは逃げ出した! いやんっ♪」スッ

 

 

 紫はスキマの中に消えて行った…

 

 

 

美鈴「うっ…! み、皆さん大丈夫ですか!?」

 

 

ヤマメ「あ、あぁ…しかしなんだったんだい?」

 

 

華扇「いきなり閃光を…何を考えているのですかまったく…!」

 

 

チルノ「う~…目がチカチカする~…」

 

 

メディ「ババア~! 何してくれてんのよー!」

 

 

阿求「あぁ…! ううん…」

 

 

美鈴「阿求さん、大丈夫ですか?」

 

 

阿求「にゃあっ…! ひ、光をモロにくらいましたにゃ、にゃにがゆかりんマジックですにゃ…! みゃったくもう!」

 

 

美鈴「……えっ!?」

 

 

阿求「? にゃんですか美鈴さん、そんにゃに驚いて」

 

 

華扇「…え?」

 

 

ヤマメ、メディ、チルノ「うん?」

 

 

阿求「…? にゃ、にゃんですにゃ? ……にゃ?」

 

 

阿求「……にゃ」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求「私は稗田阿求ですにゃ」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求「みゃっ…!?」

 

 

阿求「にゃああぁぁぁ!?」

 

 

ヤマメ「ぶふっ!? んはははははっ!」ゲラゲラ

 

 

華扇、美鈴「ははっ! はははっ…!」プルプル

 

 

阿求「にゃっ!? にゃんっ…!? にゃんですにゃこれは!? 喋るとにゃが勝手に出てくるにゃ!」

 

 

チルノ「お? 阿求なんでにゃんにゃん言ってんの?」

 

 

メディ「にゃんこの気持ち…あぁ、そう言うことね、あんた分かんないの? これはババアの仕業よ、阿求はババアににゃんこの魔法をかけられたんだわ」

 

 

チルノ「にゃ、にゃんこの魔法だと!?」

 

 

阿求「にゃんこの魔法!? ま、まさか!?」スッ

 

 

 阿求はテーブルに置いてある手鏡を手に取る

 

 

阿求「良かったにゃ…! 顔に変化はないにゃ、尻尾も生えてないにゃ…! って良くないにゃ!!」

 

 

ヤマメ「んはははははっ!」ゲラゲラ 

 

 

阿求「ヤマメさん笑いすぎですにゃ!」

 

 

ヤマメ「だ、だって…! くははっ…! かっ、可愛いじゃないかい…!」

 

 

阿求「にゃっ!?」

 

 

美鈴「ご、語尾が変わるだけで随分印象が違いますね…! ふふっ…!」

 

 

華扇「い、良いじゃないですか、にゃんこの気持ちを知る良い機会です、ふふっ…!」

 

 

阿求「今ですにゃ!? 今知る必要無いじゃないですにゃ!」

 

 

ヤマメ「あぁ『阿求にゃん』だねぇ」

 

 

チルノ「阿求にゃんか!」

 

 

メディ「可愛いわね♪ 阿求にゃん♪」

 

 

阿求「やめてくださいにゃ!!」

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

 【そして現在、ゆかりんハウス近くの川、12:30】

 

 

阿求「にゃああ…! あそこでジャンケンに負けていにゃければこんにゃ事には…!」

 

 

華扇「勝負も運、あのときの阿求には運が無かったのでしょう」

 

 

阿求「他人事だと思ってませんかにゃ?」

 

 

華扇「いいえ?」

 

 

阿求「悪意を感じますにゃ!」

 

 

ヤマメ「あたしゃ可愛いと思うけどねぇ♪ 阿求にゃん」

 

 

チルノ「あたいも!」

 

 

メディ「うん、可愛いよ阿求」

 

 

阿求「…/// い、良いですにゃ!? 幻想郷に帰っても私がにゃんこににゃってたにゃんて口が避けても言わにゃいでくださいにゃ! 魔理沙さんと小鈴には特にですにゃ!」

 

 

ヤマメ、チルノ、メディ「はーい!」

 

 

華扇「ふふっ…」

 

 

美鈴「ふっ…! ! お、来た!」スッ

 

 

 バシャッ!

 

 

美鈴「釣れました♪」

 

 

チルノ「はやっ!」

 

 

ヤマメ「美鈴釣り得意なんだねぇ♪」

 

 

美鈴「えぇ、まあ」

 

 

華扇「嗜んだ経験が?」

 

 

美鈴「館の近くにある霧の湖にお嬢様達と出掛けた時に釣りをするときがあるんです、私より咲夜さんとこあさんの方が得意なんですよ♪」

 

 

チルノ「あたいの家の近くだな」

 

 

美鈴「そうですね」

 

 

ヤマメ「へぇ、メイドさんはともかくあの小悪魔さんも得意なんだねぇ♪」

 

 

メディ「ねぇ阿求、コイツは?」

 

 

阿求「これは…キスですにゃ」

 

 

チルノ「? チューか?」

 

 

メディ「そっちのキスじゃないわよ」

 

 

ヤマメ「キスねぇ…私の友達にそっくりな名前だね」

 

 

華扇「それはキスメですよね」

 

 

阿求「ちにゃみにヤマメ、という魚も存在している様ですにゃ」

 

 

ヤマメ「えっ!? そ、そうなのかい!?」

 

 

阿求「にゃ」

 

 

ヤマメ「ほぇ~、それはそれは…是非とも拝んでみたいもんだねぇ♪」

 

 

チルノ「や、ヤマメは魚だったのか…!」

 

 

メディ「蜘蛛だって分かってて言ってるのよね? そうじゃなかったらあんたバカ」

 

 

チルノ「あたいはバカじゃないぞ!」

 

 

美鈴「あはは…」

 

 

 

 

 

 

ヤマメ「そういや釣りで思い出したんだけどさ」

 

 

華扇「なんです?」

 

 

ヤマメ「私とキスメと、妖怪の山の天狗の……ほたて?」

 

 

華扇「…? はたて…姫海棠はたてですね」

 

 

ヤマメ「あぁ、そうそうそいつそいつ」

 

 

ヤマメ「んー、あれはなんだったのかなぁ」

 

 

美鈴「何がです?」

 

 

ヤマメ「ちょっと前に私たち三人揃ってあんたんとこのメイドさんに釣られたの」

 

 

美鈴、華扇「……はい?」

 

 

ヤマメ「いや比喩じゃなくてさ、本当に釣られたんだよ物理的にさ」

 

 

ヤマメ「釣られてデカイバケツに放り込まれて『この後何されるんだろう』って思ってたね」

 

 

華扇、美鈴「えぇ…」

 

 

阿求「それ狩られた…の間違いではにゃいですかにゃ?」

 

 

ヤマメ「かもね、まぁ何かされる前に偶然通り掛かってくれた竹林の狼女に助けてもらったんだけどさ」

 

 

阿求「今泉影狼さんですにゃ」

 

 

ヤマメ「そうそう、まぁ…でさぁ、本人居ないから美鈴、あんたに聞くけどさ」

 

 

ヤマメ「あんたんとこのメイドさんはたまに変なことやるときがあるのかい? 普段こういうことやらないだろう?」

 

 

美鈴「いや…えぇ…それは…」

 

 

ヤマメ「あんたでも分からないのかい?」

 

 

美鈴「咲夜さんもたまに、本当にたま~になんですけど変なことをするときがありますかねぇ…」

 

 

阿求「…例えば?」

 

 

美鈴「……すいません、私の口からはちょっと」

 

 

阿求「たまに謎ですにゃ、咲夜さん」

 

 

ヤマメ「何で私達はあの時釣られたのだろう」

 

 

華扇(幻想郷に住んでいると人間はたまに常識を逸脱してしまう事がある…東風谷早苗が言っていた様な…)

 

 

チルノ「咲夜は手品が得意だからな!」

 

 

メディ「それ謎関係ないわよね」

 

 

 

 

 

 【美鈴の嫌いな生き物】

 

 

 時刻は14:00を回り、昼食のサンドウィッチを食べてお腹を満たした六人は釣りを再開していた

 

 

華扇「よっ…!」スッ

 

 

 ザバァ!

 

 

チルノ「うおっ、華扇また釣った!」

 

 

華扇「やりました♪」

 

 

ヤマメ「入れ食いじゃないか、華扇のところだけ釣れるのかもね」

 

 

華扇「人二人分しか離れていないのにそんなことあるわけないじゃないですか」

 

 

ヤマメ「むぅ…おかしいねぇ、私の釣り方が悪いのか?」

 

 

華扇「さぁどうでしょう♪ おやまた新種…阿求、この魚は食べられますか? 美味しいですか?」

 

 

阿求「名前より先に味と食べられるかどうか聞くのはどうかと思いますにゃ」

 

 

華扇「大事な事ではないですか、美味しい魚は幻想郷では食べて味わう事が困難なのですからね」

 

 

阿求「…図鑑によると食べられるみたいですにゃ、名前はオニオコゼ、あぁ気を付けてくださいにゃ、背鰭に毒があるですにゃ、因みに高級魚らしいですにゃ」

 

 

華扇、メディ「!」

 

 

ヤマメ「へぇ、毒持ちなのか」

 

 

美鈴「食べられる…? 背鰭取っちゃえば良いのかな?」

 

 

チルノ「うわぁ、すげぇ顔してるなぁ」

 

 

メディ「あんたも毒持ってるのね♪ どれどれ…」スッ

 

 

美鈴「えっ…触っちゃって大丈夫なんですか?」

 

 

阿求「メディさんなら大丈夫ですにゃ、毒を操れるんですからにゃ」

 

 

ヤマメ「あっ、そうだよ~♪ 毒持ちの魚はメディに毒を抜いてもらえば良いのさ」

 

 

阿求「良い考えですにゃ、メディさんお願い出来ますにゃ?」

 

 

メディ「えっ? うん良いよ♪ んー? あんたあまり毒強く無いわねぇ」

 

 

阿求「一応刺されると激しい痛みに襲われるらしいんですけどにゃ」

 

 

メディ「こんなので? 弱っちいわね」

 

 

華扇「高級魚ですか、なるほどなるほど♪」

 

 

阿求「スゴく嬉しそうですにゃ」

 

 

華扇「えぇ、それはもう♪」

 

 

阿求(食べる事しか頭に無いのかにゃ)

 

 

華扇「……」

 

 

華扇(オニオコゼ、か…偶然にしては)

 

 

華扇(考え過ぎですね、やめておきましょう)

 

 

 

 

 

美鈴「はっ!」スッ

 

 

 ザバァン!

 

 

チルノ「次はめーりんかよぉ…」

 

 

メディ「あんたまだ三匹だもんね」

 

 

美鈴「ふふっ、釣れましってうわぁ!」ビクッ

 

 

 プチン

 

 

チルノ、メディ「あっ!?」

 

 

 ポチャン!

 

 

メディ「め、美鈴! 何してんのよ!」

 

 

チルノ「逃げられちゃったぞ! めーりん!」

 

 

ヤマメ「ありゃ、私の糸切れちまったよ」

 

 

阿求「気にするところそこですにゃ? ヤマメさん」

 

 

華扇「どうしたのです美鈴、急に驚いたりして」

 

 

美鈴「い、いやぁ…その…い、今釣れた魚なんですけど…」

 

 

阿求「? 確か…ナマズですにゃ?」

 

 

美鈴「はい、ナマズ…ですね」

 

 

チルノ、メディ「ナ~マズ~♪」

 

 

美鈴「最悪です…」

 

 

ヤマメ「えっ、なにかい? ナマズ苦手なのかい?」

 

 

美鈴「じ、実は…はい」

 

 

阿求「にゃにゃ、意外ですにゃ~」

 

 

華扇「幻想郷ではナマズなど珍しくないではないですか」

 

 

美鈴「そうなんですけどね…」

 

 

ヤマメ「食べられないとか? 舌に合わないとかなのかい?」

 

 

美鈴「それもあるんですけど…その…少し前の話になるんですが、ナマズの夢を見たことがありまして」

 

 

阿求、華扇、ヤマメ、チルノ、メディ「夢?」

 

 

美鈴「その夢が私にとってはとてつもない悪夢だったんです、人の十倍ぐらいある大きなナマズと死闘を繰り広げる夢だったんですけど、私がスペルカードや格闘技を何発も何発もおみまいしても傷一つ付けられなくて…」

 

 

華扇、阿求(大きなナマズ…?)

 

 

チルノ「めーりんが傷一つ付けられない? 中々強そうじゃん♪」

 

 

メディ「何であんた嬉しそうなのよ」

 

 

チルノ「強いヤツと戦いたいからな!」

 

 

ヤマメ「あはは、そいで?」

 

 

美鈴「それでも何とか勝とうと思ったので頑張って戦っていたんですけど、最終的に力尽きてしまいまして…疲労困憊している私にトドメを差す様にナマズが空高く飛び上がって、私が押し潰されそうになる寸前で目が覚めました」

 

 

ヤマメ「それはそれは、悪夢かもしれないねぇ」

 

 

美鈴「悪夢でしたよホント…それ以来ナマズ嫌いになりましたからね」

 

 

阿求「他の人より睡眠時間が多く、いつも幸せそうな表情で寝ている美鈴さんでも悪夢って見るんですにゃ」

 

 

美鈴「普段悪夢なんて全然見ないんですけどね」

 

 

華扇「まさかとは思いますが、その夢は門の前で立ち寝…お仕事をしている最中に見たとか言わないですよね?」

 

 

美鈴「うっ…!」グサッ

 

 

阿求「図星みたいですにゃ」

 

 

華扇「それは見て当然の悪夢と言うものです! お仕事中に眠るなど言語道断です! こうは考えられませんか!? きっとあなたが仕事をキチンとこなしてくれるようにと誰かが故意に見せた悪夢の可能性だってあるのですよ!? その気持ちを理解し、今後はその悪夢を見ない様、敢然と業務に当たるべきです!」

 

 

美鈴「ご、ごめんなさーい!」

 

 

ヤマメ「ま~たお説教かい」ヒソヒソ

 

 

阿求「昨日美鈴さんの『我慢強さを見習いたい』だとか『あなたは優しい心の持ち主』だとか言ってたですにゃ、それにゃのにお説教…」ヒソヒソ

 

 

華扇「それとこれとは話が別です!!」クワッ

 

 

阿求、ヤマメ「聞こえてたー!?」

 

 

チルノ「めーりんが勝てなかったヤツかぁ…! あたいも戦ってみたいなぁ♪」

 

 

メディ「美鈴は武術の達人? とか言うやつなんでしょ? 美鈴が倒せなかったのにあんたに倒せるかしらね」

 

 

チルノ「そんなもんやってみなくちゃわからないだろう?」

 

 

阿求「にゃ~、能力の相性と言うものがありますからにゃ、チルノさんが戦ったら勝ってたかもしれないですにゃ」

 

 

チルノ「! ホントか!?」

 

 

阿求「ナマズは寒さに弱いですからにゃ」

 

 

チルノ「おぉ~! ほらぁ!」

 

 

メディ「いや、ほらぁって言われても…」

 

 

ヤマメ「でもそいつは美鈴が見た悪夢なんだろう? 実際に居る訳じゃないんじゃないのかい?」

 

 

華扇「いえ…確か人の十倍ぐらいの大きさのナマズ、伝説の大ナマズ様なら存在している可能性がありますね」

 

 

チルノ、メディ、ヤマメ「伝説の大ナマズ?」

 

 

阿求「かつて天人が使役していたと言われる地震を起こす神様ですにゃ」

 

 

チルノ「神様なのかそーなのかー! うんうん、ますます戦いたくなってきたぞ!」

 

 

メディ「どんだけ戦いたいのよ」

 

 

ヤマメ「伝説か、なら…」

 

 

阿求「存在しているかは華扇さんも言った通り定かではにゃいですにゃ、ただ神様にゃので霊夢さんや守矢の三神に聞いてみれば存在が分かるかもですにゃ」

 

 

チルノ「帰ったら霊夢に聞きに行こうかな♪」

 

 

美鈴「やめた方が良いと思いますよ? ナマズですよナマズ…」

 

 

ヤマメ「本当に嫌いになっちまったんだね」

 

 

美鈴「もう見るのも嫌ですもん…」

 

 

華扇「またお仕事中にうたた寝していると悪夢となって出てくるかもしれませんよ?」

 

 

美鈴「そういうこと言わないでくださいよぉ!」

 

 

 

 

 

チルノ「なんかこう…大物みたいなヤツ、ヌシみたいなのをドカッと釣りたいなぁ」

 

 

メディ「そんなヤツ居るのかしら」

 

 

ヤマメ「ふっ…大ナマズが釣れたりして」

 

 

美鈴「しゃ、シャレになりませんよ!」

 

 

阿求「釣ってからのお楽しみですからね、大きい魚が目で視認出来ないから狙えないんですよね、魚影しか見えませんし」

 

 

華扇「大きさの話をしたら私の釣った黒鯛とかいう魚が一番ですかね」

 

 

阿求「ふっ…自慢ですか? 華扇さん」

 

 

華扇「そんなつもりはありませんよ」

 

 

阿求「華扇さん高級魚ばっかり釣ってませんか?」

 

 

華扇「私の『美味しいお魚よ! 来い!』という気持ちが高級魚を引き寄せるのでしょうね」

 

 

阿求「普通気持ちで魚釣りなんてしませんって」

 

 

ヤマメ「気持ちで釣れりゃあ世話ないもんねぇ…? ありゃ? 阿求、あんた直ってないかい?」

 

 

阿求「へっ? 何がです?」

 

 

ヤマメ「にゃんこだよにゃんこ」

 

 

阿求「!」

 

 

阿求「……わ、私は稗田阿求です!」

 

 

阿求「! おっ! おぉ~!」

 

 

阿求「やった~♪ 直りましたよ!」

 

 

ヤマメ「……あぁみんな、阿求にゃんが居なくなっちまったよ」

 

 

メディ、チルノ「え~…」ゲンナリ

 

 

阿求「えっ…? えっ!?」

 

 

メディ「可愛かったのになぁ、阿求にゃん」

 

 

チルノ「また会えるかな…阿求にゃん」

 

 

ヤマメ「わからないよ…でもこれだけは言えるよ」

 

 

ヤマメ「阿求にゃんはいつでも私達の側にいる…いつでも側にいて、私達を見守ってくれてるのさ」

 

 

メディ、チルノ「阿求にゃん…!」

 

 

阿求「……」

 

 

ヤマメ、チルノ、メディ「…チラッ♪」

 

 

阿求「『チラッ♪』じゃないですよ! なんなんですか!? その小芝居は!」

 

 

ヤマメ「なんだい、やってくれると思ったのに…」

 

 

チルノ、メディ「ぶー!」

 

 

阿求「振られてもやりませんよ!? 私はボケ担当じゃないんですからね!」

 

 

美鈴「あはは、でも阿求さん語尾に『にゃ』が付くのに段々と抵抗無くなってましたよね?」

 

 

阿求「あれは慣れただけです!」

 

 

華扇「慣れたのなら自発的に行う事も可能ですよね?」

 

 

阿求「やりませんよ!? ゼッタイにやりませんからね!」

 

 

ヤマメ「あ、これやってくれるヤツだねぇ♪」

 

 

阿求「しつこいですよ!」ピクッ

 

 

 ジャボン!

 

 

阿求「っ!? なっ…!!」

 

 

 ググッ!

 

 

チルノ「うわっ! 阿求!」

 

 

阿求「えっちょっ…! くぅ…!」ググッ

 

 

メディ「凄い竿がしなってるわ!」

 

 

華扇「もしかして大物!?」

 

 

ヤマメ「かもしれないね!」

 

 

阿求「うっわっ…! 重いっ…!」ググッ

 

 

阿求「! きゃっ!」グラッ

 

 

美鈴「! 阿求さん!」スッ

 

 

 川に引きずり込まれそうになった阿求を美鈴は後ろから抱き止める

 

 

美鈴「大丈夫ですか阿求さん!」

 

 

阿求「あ、ありがとうございます…!」

 

 

美鈴「! これは…! かなりの大物の様ですね…!」

 

 

 バシャバシャバシャ!

 

 

チルノ「スッゲェ水跳ねてる!」

 

 

ヤマメ「! みんな、阿求に助太刀するんだ!」

 

 

チルノ「おう!」スッ

 

 

メディ「うん!」スッ

 

 

華扇「えぇ!」スッ

 

 

 ヤマメたちは阿求の後ろに回って、体をしっかり抱き止める

 

 

美鈴「! 阿求さん、危ないですから絶対に竿を離さないでくださいね!」

 

 

阿求「分かってっ…! ますよぉ…!」ググッ

 

 

美鈴「皆さん! いっせーのーせで引きますよ!」

 

 

華扇、ヤマメ、メディ、チルノ「了解!!」

 

 

美鈴「行きますよー! いっせーのー…!」

 

 

六人「せっ!!」ググッ

 

 

 ザッバアァァァン!! 

 

 と音を立て、釣り上げられた巨大魚は阿求たちの真上を通り過ぎていく

 

 

チルノ「!! うっひょー!! スッゲェー♪」キラキラ

 

 

阿求「これは…!」

 

 

ヤマメ、メディ「でっかい…!」

 

 

華扇「なんという…」

 

 

美鈴「大物ですね♪」

 

 

 ビチビチ! ビチビチ!

 

 

華扇「よかった…! 草原の方に落ちてくれましたね」

 

 

チルノ「うおぉぉぉ♪ デッケェ! カッコいい!」キラキラ

 

 

メディ「あんたまたそれ…でもカッコいいのは認めるわ、このツノが良いわね♪」

 

 

チルノ「おぉ! 分かってるなメディ!」

 

 

メディ「もちろんよ♪」

 

 

ヤマメ「凄いじゃないか阿求、こんな大物釣っちゃうなんてさ♪」

 

 

華扇「大手柄ですね、阿求」

 

 

美鈴「やりましたね阿求さん!」

 

 

阿求「! ふふっ、私一人の力じゃ無理でしたよ、皆さんが力を貸してくれたからこそ、釣り上げることが出来たんです」

 

 

阿求「助かりましたよ、ありがとう皆さん♪」

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴「! …♪」ニコッ

 

 

チルノ「なぁなぁ阿求! コイツ名前なんて言うんだ?」

 

 

阿求「! ふふっ、これはカジキですね」

 

 

チルノ「カジキか! このツノカッコいいなぁ! 剣みたいだ♪」

 

 

阿求「味も美味しいみたいですよ、特に歯応えがあってお肉みたいな食感だとか」

 

 

華扇「なんと! それは是非とも食してみたいですね♪」

 

 

ヤマメ「そうだね♪ あっ…ねぇ、大物も釣った事だしさ、そろそろ帰らないかい?」

 

 

美鈴「そうですね、陽も落ちてきてますし」

 

 

華扇「この大きさでは八雲紫から貰ったクーラーボックスとやらにも入りませんしね」

 

 

阿求「そうしましょうか、チルノさん、メディさん、帰りましょう」

 

 

メディ「分かったわ」

 

 

チルノ「うん分かった、あっ! ちょっと待って、メディ」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「どっちが多く釣ったかだよ」

 

 

メディ「あぁ…ふふん♪ 私は五匹よ♪」

 

 

チルノ「あたいは……うっ…! よ、四匹…」

 

 

メディ「やったわ♪ 私の勝ちね♪」

 

 

チルノ「く、くっそ~…」

 

 

メディ「…ふふん、チルノ」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「今回は私の勝ちよ、今度また勝負しましょ♪」

 

 

チルノ「! おう!」

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴、阿求「ふふっ…♪」

 

 

チルノ「よーし、うんじゃ帰ろう♪」

 

 

メディ、阿求、華扇、ヤマメ、美鈴「おー♪」

 

 

阿求「あっ…! このカジキどうやって持って帰りましょうか」

 

 

美鈴「ん~……! ヤマメさん、糸でグルグル巻きにしてもらえますか?」

 

 

ヤマメ「ん? あぁ、持ちやすい様にだね、はいよ~♪」

 

 

華扇「ふふっ…♪ あぁ、楽しみですね♪」

 

 

阿求「…食べるのが?」

 

 

華扇「もちろんです」

 

 

阿求「……そうですか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、副音声のお二人】

 

 

藍『カジキって…川に居てはいけない魚じゃないですか?』

 

 

紫『ゆかりんの川、略してゆかリバーに淡水とか海水の概念無いわぁ♪』

 

 

藍『しかもあの川の狭さに対してカジキの大きさがつり合って無いじゃないですか』

 

 

紫『ブチブチうっさいわねぇ、良いじゃないそんなこと、阿求たちは楽しんでくれたんだからさ』

 

 

藍『まぁそうなんですけども…』

 

 

紫『でもまさかカジキを釣るとは思ってなかったわ、あれ確率低めに設定してあるレア魚なのにねぇ♪』

 

 

藍『えっ? なんですかそれ、他にもレアな魚がいるんですか?』

 

 

紫『いるわよぉ♪』

 

 

藍『因みに何が釣れるんです?』

 

 

紫『んー、いっぱいいるけど二匹だけ教えてあげるわ』

 

 

藍『はい』

 

 

紫『…』

 

 

藍『…』

 

 

紫『ホオジロザメ』

 

 

藍『サメもいるんですか!?』

 

 

紫『ジンベエザメもいるよ♪』

 

 

藍『うそぉ!!?』

 

 

 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、16:00】

 

 

 

 華扇たちは川からゆかりんハウスに戻って来ていた、各々、夕食までゆっくりと時間を過ごす事になった。

 

 

 華扇と美鈴は夕食の準備

 

 阿求は紫に頼んで持って来させた文々。新聞を読み

 

 メディとチルノはガーデニング

 

 ヤマメは衣服の整理をしていた

 

 

 そして何故か紫が居て、スキマから両手と顔だけ出して華扇と美鈴と何やら話をしている

 

 

 

紫「分かった?」

 

 

華扇「えぇ、分かりました」

 

 

美鈴「色々な調理法があるんですね、魚って」

 

 

紫「そうよぉ、あなたは知ってると思ってたけど」

 

 

美鈴「魚は専門外でして、紅魔館では咲夜さん頼みなんです」

 

 

華扇「ムニエル…塩焼き…お刺身…炙り…どれも美味しそうです♪」

 

 

紫「カジキは切り分けたからもう保存は大丈夫でしょう、後は冷蔵庫に突っ込んでおきなさい、無理して全部食べなくて良いんだからね」

 

 

華扇「分かってますよ」

 

 

紫「んじゃ私帰るから」

 

 

美鈴「調理法とか色々ありがとうございました」

 

 

華扇「さようなら」

 

 

紫「さような…あ、待った、まださようなら出来ないわ」

 

 

美鈴、華扇「え?」

 

 

紫「お魚♪ 分けてくれない?」

 

 

華扇「……」

 

 

紫「良いじゃない、いっぱいあるんだからお裾分けしてよぉ♪ 私も夜は魚でご飯食べたいの♪」

 

 

華扇「普通そういうのは管理人さんがお裾分けしてくるものではないのですか?」

 

 

紫「調理法教えたじゃない♪」

 

 

華扇「…まぁ良いでしょう」

 

 

紫「やった♪ いなり寿司回避だわ♪」

 

 

華扇、美鈴「いなり…?」

 

 

紫「! な、何でもない! 貰ったら帰るからね♪」

 

 

 

 

 

 

 

阿求「ふむ……えっ『異変の兆候あり』ですって? う~んこれが本当ならまた幻想郷に住人が増えますねぇ」

 

 

阿求「今度はどなたが異変を起こすのやら、元々の幻想郷住人かそれとも異世界からの来訪者か…何にしても、私のお仕事は増えるんですよね」

 

 

阿求「他には…あぁそうでしたね、そろそろ幻想郷会議の時期か、今度は何処が会場になるんでしょうか」

 

 

阿求「……文さんこの『今日のワンワン』の記事作る意味あります? 椛さんの隠し撮り載せてるだけじゃないですか、訴えられたら負けますよこれ」

 

 

阿求「…? あ、幽谷響子さんも載ってる、こっちに笑顔向けてるからこれは隠し撮りじゃないんですね、可愛いじゃないですか」

 

 

阿求「……人里に設置予定の施設…? なんですこれ? 慧音さんこれ知ってるのかな?」

 

 

阿求「……ふぅ、文さんもはたてさんに触発されて良い新聞書くようになりましたねぇ、永琳さんに学級新聞呼ばわりされてた文々。新聞はもう無いんですね」スッ

 

 

阿求「ズズッ…! ふぅ…このアイスコーヒー美味しいです♪」

 

 

チルノ「ふぅ、終わった~」

 

 

メディ「お疲れチルノ、あんた意外に手際が良いじゃない♪」

 

 

チルノ「そりゃあいつも大ちゃんに『自然は大切にしなきゃダメだよ?』って言われてるからな」

 

 

メディ「そこは最強とか言わないのね…」

 

 

チルノ「? 阿求、何飲んでるんだ?」

 

 

阿求「コーヒーですよ」

 

 

チルノ「お、ルナがいつも飲んでるコーヒーか」

 

 

阿求「ルナチャイルドさんもコーヒー嗜むんですよね、砂糖とか入れて飲んでるんでしょうか」

 

 

チルノ「砂糖ならシュガーの作る砂糖が最強なんだよな」

 

 

阿求「確かにシュガーさんの作る砂糖は独特の深い甘味がありますよね、どうやって作っているのやら…」

 

 

メディ「シュガー?」

 

 

チルノ「妖精仲間なんだ、シュガーサテラっていうのさ」

 

 

メディ「ふーん」

 

 

阿求「……チルノさん、私の飲み掛けですけどコーヒー飲みます?」

 

 

チルノ「うん、砂糖入ってる?」

 

 

阿求「いいえ?」

 

 

チルノ「!? み、ミルクは?」

 

 

阿求「いいえ?」

 

 

チルノ「なっ…!? なにぃ!? お、大人のブラックだとぉ!?」ガビーン

 

 

メディ「大人のブラック?」

 

 

阿求「砂糖もミルクも入ってないコーヒーのことですよ、チルノさん飲めないんですか?」

 

 

チルノ「飲めるわけないだろう!? そんなにがにがしたもの飲めるのなんてリリー・ブラックぐらいだよ!」

 

 

メディ「ブラックもコーヒー飲むのね」

 

 

阿求「おやぁ? 最強なのに飲めないんですかぁ?」ニヤリ

 

 

チルノ「さ、最強でも引き際を弁えなければならない時もあるって魔理沙が言ってたからな!」

 

 

阿求「難しい言葉を…魔理沙さんの影響受けすぎな気がしますねぇ本当に」

 

 

メディ「…阿求、それ飲んでみて良い?」

 

 

阿求「! 良いですよ、はいどうぞ♪」

 

 

メディ「ん」

 

 

チルノ「や、やめるんだメディ! ベロがババアみたいになるぞ!?」

 

 

メディ「どういうことなのよ…まぁいいわ、いただきま~す♪」スッ

 

 

メディ「ズズッ…」

 

 

チルノ「飲んだ~!?」

 

 

メディ「……!? ゲホッゲホッ! うっえぇ…! まっずぅ~…!!」ベー

 

 

阿求「まぁ! 失礼しちゃいますねぇこんなに美味しいのに、ズズッ…」

 

 

メディ「よ、良く飲めるわね阿求…!」

 

 

阿求「まぁ私は大人ですからねぇ♪ ふっふっふ♪」

 

 

メディ「わ、私だってお、大人よ…!」

 

 

チルノ「あたいは最強だから大人とか子供とか関係ないもん…!」

 

 

メディ「さっきあんた大人のブラックとか言ってたじゃないのよ…」

 

 

阿求「ふふっ♪」

 

 

 トットットッ!

 

 

ヤマメ「ふぃ~…やっと終わったよ~♪」

 

 

阿求「あ、洗濯物とかたたんでくれてありがとうございます、ヤマメさん」

 

 

ヤマメ「良いよ~♪ こういうことぐらいしか出来ないからねぇ」

 

 

阿求「…あれ? そういえば何で一階でしなかったんですか?」

 

 

ヤマメ「あぁほら、一階でやったら料理してる時の匂いとか付いちゃいそうでさ」

 

 

阿求「ヤマメさんは周囲に目を配るのが上手ですね、空気も読めますし」

 

 

ヤマメ「あははっ、そんなに褒めるな褒めるな~♪」

 

 

阿求「ふふっ、あ、そうだ、ヤマメさんもコーヒー飲みます?」

 

 

ヤマメ「コーヒー? コーヒーなんてあるのかい?」

 

 

阿求「はい、さっき棚の中漁ってたら出てきたんです」

 

 

ヤマメ「ほ~、何処かで聞いたけどコーヒーって飲んだことないんだよね、だから飲んでみたいねぇ♪」

 

 

阿求「では、今いれてきますね♪」スッ

 

 

ヤマメ「はいよ~♪」

 

 

チルノ、メディ「や、ヤマメぇ~…」

 

 

ヤマメ「うん?」

 

 

チルノ「ブラックはやめた方が良いぞ…!」

 

 

メディ「砂糖入れるべきよ…!」

 

 

ヤマメ「へ? 砂糖?」

 

 

阿求「ヤマメさんは大人ですからね、ブラックでも飲めると思いますよ、はいどうぞ♪」

 

 

 阿求はコーヒーの入ったマグカップをヤマメに手渡し、華扇と美鈴の方へ向かう

 

 

 

ヤマメ「ありがとさん♪ ほ~…これがコーヒーか、真っ黒でチョコみたいだねぇ♪」

 

 

ヤマメ(…んっ!? な、なんか匂いがキツい…なんだいこりゃ)

 

 

ヤマメ(酒でも度数濃いと匂いがキツい物とかあるからねぇ…でもこれは阿求も飲んでたし、酒って訳でもないしねぇ、どんな味がするのやら)

 

 

ヤマメ「ズズッ…」

 

 

チルノ、メディ「! ブラックが飲まれたぁ…!」

 

 

メディ「や、ヤマメ…! どう? 飲める?」

 

 

ヤマメ「ん~…」

 

 

ヤマメ「……! お~…! に、苦いねこりゃ、なんか頭がクラクラす…」

 

 

チルノ、メディ「……?」

 

 

ヤマメ「……」

 

 

チルノ、メディ「ん?」

 

 

チルノ「ヤマメ?」

 

 

メディ「どうしたのヤマメ?」

 

 

ヤマメ「……っ!」フラッ

 

 

チルノ、メディ「!!」

 

 

 

 

阿求「あれ? 紫さん帰ったんですか?」

 

 

華扇「えぇ、調理法とお裾分けの催促をしたあと帰って行きました」

 

 

美鈴「結構簡単なんですね、お魚を捌くのって」

 

 

阿求「はぁ、それはあなたたちが料理上手だからそういうことが言え」

 

 

 パリーン!!

 

 

華扇、美鈴、阿求「!?」

 

 

 

チルノ「うわっ! や、ヤマメ!?」

 

 

メディ「どうしたのよヤマメ!」

 

 

ヤマメ「ふぁ……」ヘタッ

 

 

チルノ「お、重いぞヤマメ~! どうして倒れてくるんだよ~!」ググッ

 

 

華扇「ど、どうしたのです!?」

 

 

メディ「ヤマメが急にフラフラしちゃって倒れ混んできたの!」

 

 

チルノ「お、重いぞ~!」

 

 

美鈴「よっ…! 大丈夫ですかヤマメさん!」

 

 

ヤマメ「ぅ……」ポケー

 

 

美鈴(! 目が虚ろで焦点が合ってない…これは…?)

 

 

ヤマメ「んっ……」ポケー

 

 

阿求「ヤマメさん、どうしたんですか!? 何が…」

 

 

華扇「原因は分かりませんが、取り敢えずヤマメを安静な場所に、そちらの和室に寝かせましょう」

 

 

美鈴「えぇ、よっと…」スッ

 

 

 美鈴はヤマメを抱き抱えて和室に寝かせる

 

 

ヤマメ「んぅ~……」ポケー

 

 

チルノ「な、なぁなぁ! ヤマメどうしちゃったんだ!?」

 

 

メディ「ヤマメ大丈夫なの?」

 

 

華扇「……顔が赤く、目が虚ろで焦点が合っていない」スッ

 

 

華扇「……熱は無い様ですね、それにこれは熱中症でもない…これは一体…」

 

 

阿求「コーヒーを渡す前はあんなに元気だったのにどうして突然…」

 

 

メディ「あっ! そうなのよ! ヤマメがコーヒーを飲んだとたん突然倒れてきたのよ!」

 

 

チルノ「う、うん! そうだそうだ!」

 

 

美鈴「コーヒーですか? …いや、でもコーヒーで」

 

 

華扇「…」スッ

 

 

阿求「華扇さん、何処へ?」

 

 

華扇「八雲紫に聞きます、対処方や処置が分からない以上、私達が答えの出ない問答を繰り返している間にもヤマメは苦しんでしまいます、彼女ならヤマメが倒れた理由を知っているでしょうからね」

 

 

美鈴「…! お願いします、華扇さん」

 

 

華扇「はい」スッ

 

 

 

 

 

 

 【妖怪だって土蜘蛛】

 

 

紫「コーヒーが原因よ」

 

 

チルノ、メディ、華扇、阿求、美鈴「えぇっ!?」

 

 

ヤマメ「ぅ~……」ポケー

 

 

阿求「こ、コーヒーですか!?」

 

 

チルノ「な、何でだよ! あたいコーヒー飲んでもこんなにならないぞ!」

 

 

メディ「私もよ!」

 

 

紫「そりゃあそうよ、あなたたちとは種族が違うんだから…そこは私も気を配るべきだったわね、ヤマメにコーヒーはダメよねぇ…」

 

 

阿求「ヤマメさんは妖怪じゃないですか、種族の違いなんて…」

 

 

紫「……あなたならヤマメがこうなった原因が分かる思ってたんだけどまだまだねぇ」

 

 

阿求「…?」

 

 

紫「良いかしら? ヤマメは妖怪で土蜘蛛…つまりは蜘蛛でもあるということ」

 

 

紫「妖怪と蜘蛛が合わさった様な存在なのよ? 比較的暑さに強い蜘蛛が夏の日差しを嫌い、チルノに抱き着いていたのはそのためね」

 

 

紫「そして今ヤマメが倒れてしまった原因、蜘蛛の弱点の一つ、カフェインが今回の事件の犯人よ」

 

 

メディ、チルノ「かふぇいん?」

 

 

紫「…それよ、それ」スッ

 

 

 紫は割れて床に落ちてしまったマグカップの残骸を指差す

 

 

阿求「コーヒー…ですか?」

 

 

紫「そう、コーヒーにはカフェインという成分が入っているの、カフェインを摂取すると眠気覚ましだとかそういう効果が得られるの、普通の妖怪や人間ならね」

 

 

紫「でも蜘蛛にカフェインを摂取させると頭の脳の中枢神経…いえ、難しい事を言うのはやめておきましょうか、まぁ手っ取り早く言うと」

 

 

紫「蜘蛛にカフェインを摂取させると酔っ払った状態になるの、泥酔に近いのかしらね」

 

 

華扇、チルノ、メディ、阿求、美鈴「!!」

 

 

チルノ、メディ「よ、酔っ払う!?」

 

 

華扇「なるほど…だから顔が赤く、目が虚ろに…」

 

 

紫「そういうこと、ヤマメはお酒に強いからこんな状態になることなんてそうそうない事…でもカフェインだけは別よ」

 

 

紫「ヤマメは甘いものが好きでチョコレートとかも良く食べるわ、チョコにもカフェインが微量に含まれているけど微量だからここまではならないわね」

 

 

紫「砂糖もミルクも何も入れてないカフェインたっぷりのブラックコーヒーを飲ませない限りは」

 

 

阿求「…!」

 

 

美鈴「ヤマメさんをどうすれば…」

 

 

紫「酔っ払ってるのに近い状態だから無理をさせない事、静かなところで安静にさせておくことぐらいしか出来ないわね、特効薬なんてないし…酔っ払いと違うところは本人の意識がはっきりしてくる時間が速いこと、眠くならないことね、後は同じよ」

 

 

華扇「…今日一日は絶対安静ですね」

 

 

紫「そうさせた方が良いわね、本人はものすごく頭がクラクラしてて気持ち悪いだろうから」

 

 

華扇、美鈴、チルノ、メディ、阿求「……」

 

 

紫「それじゃ、後はあなたたちで…」スッ

 

 

チルノ「! バ、ババア」

 

 

紫「?」

 

 

チルノ「あ、ありがとな…」

 

 

紫「……私にお礼するよりも友達のことを気に掛けてあげなさいな」ニコッ

 

 

 ギュオン…!

 

 

 

華扇、阿求、美鈴、チルノ、メディ「…」

 

 

ヤマメ「んぅ……」

 

 

華扇「酔っている状態と同じならこのまま寝かせておき、介抱するのが一番です」

 

 

チルノ「うん…でも…」

 

 

美鈴「それが私達に出来る最善の方法です、チルノさん、早くヤマメさんを助けてあげたいという気持ちは私たちも同じです、ですが焦ってヤマメさんを助けようとするとこの状態が悪化してしまう可能性があります」

 

 

チルノ「……」

 

 

メディ「…チルノ」

 

 

チルノ「うん…分かった…! 分かったよ華扇、美鈴」

 

 

チルノ「あたい、今日はヤマメの側にずっといて介抱するよ」

 

 

メディ「…あんただけじゃ心配だわ」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「私も一緒にいてあげるわよ、チルノ」

 

 

チルノ「! ありがと、メディ…!」

 

 

阿求「…」

 

 

ヤマメ「……」

 

 

阿求「私のせい…ですよね」

 

 

華扇「阿求、それは違います」

 

 

阿求「違く無いですよ…! 私がヤマメさんにコーヒーを飲むかどうか聞いたから…! 私が、ヤマメさんに何も知らずにコーヒーを出したから…!」

 

 

阿求「私が…私がヤマメさんをこんな風に…」

 

 

美鈴「阿求さん、あなたはヤマメさんがコーヒーを飲んだらこうなると知らなかったから…」

 

 

阿求「紫さんも言ってたじゃないですか…私ならヤマメさんがこうなった原因が分かると思ってたって」

 

 

阿求「何がっ…! 幻想郷の記録係ですかっ…! 私は…!」

 

 

ヤマメ「あんたの……せいじゃないよ」

 

 

阿求、華扇、美鈴「!」

 

 

チルノ、メディ「ヤマメ…!」

 

 

ヤマメ「なんだい…みんなして辛気臭い顔してさ…♪」

 

 

チルノ「ヤマメ、大丈夫か?」

 

 

メディ「大丈夫ヤマメ!」

 

 

ヤマメ「あっはは…大丈夫…ではないねぇ…♪ 頭がクラクラするよ…でも横になってれば喋るぐらいは出来そうだ」

 

 

ヤマメ「まさかコーヒー如きにこの私がやられるとはねぇ…正確にはカフェインってやつだったっけ…? 紫が言ってたけどさ…」

 

 

阿求「ヤマメさん…私は…」

 

 

ヤマメ「知らなかったんだろう…?」

 

 

阿求「!」

 

 

ヤマメ「私も…あんたも…お互いに私がコーヒーを飲んだらこうなるって知らなかった…それだけで理由は充分じゃないかい…誰もあんたを責めたり出来ないし、しないさ」

 

 

ヤマメ「それに私の自業自得なところもあるしねぇ…しょうがないしょうがない…♪ あ、ほら…♪ あんたの本に私の弱点コーヒーって書けるよ…? あっはははっ…♪」

 

 

阿求「…」

 

 

ヤマメ「知らなかった…それに心配してくれるその気持ちだけで充分さ、あんたが悩む必要なんてないんだよ…?」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求「私も…」

 

 

ヤマメ「…?」

 

 

阿求「私も今日はヤマメさんのずっと側にいて介抱します、これが私に出来る精一杯の償いです」

 

 

ヤマメ「…あんたは何も悪くは…」

 

 

阿求「ヤマメさんが許してくれても、私が私自身に納得出来ないんです、介抱させてくださいヤマメさん」

 

 

ヤマメ「ん、ん~…?」

 

 

華扇「人の厚意は素直に受け取っておくものですよ、ヤマメ」

 

 

ヤマメ「で、でもさ…」

 

 

華扇「あなたは仮にも病人の立場なのです、今あなたがすることは」

 

 

阿求「ちょっと! 病人のヤマメさんにまでお説教するつもりなんですか!?」

 

 

華扇「そんなことするわけがないではないですか! 私は一応病人のヤマメに看病されることのなん足るかをですね…!」

 

 

美鈴「あの…お二人とも静かにしましょう?」

 

 

阿求、華扇「!」

 

 

ヤマメ「…騒がしいのは嫌いじゃないけど今はやめてほしいかな、あはは…」

 

 

華扇、阿求「ご、ごめんなさい…」

 

 

ヤマメ「ふふっ…♪」

 

 

ヤマメ(まぁいつもの光景見ている方が元気出るのは確かなんだよねぇ、湿っぽいのは嫌だし)

 

 

チルノ「ヤマメ、あたいがついてるからな! 泥船に乗ったつもりでいてくれよな!」

 

 

メディ「おバカ! 泥船じゃ沈んじゃうでしょ! 大船よ大船!」

 

 

チルノ「ん…? あぁ! そうだ大船だった! ごめんなヤマメ! 大船に乗ったつもりでいてくれ!」

 

 

メディ「まったくもう…! ヤマメ、私もいるからね! 安心してよ?」

 

 

ヤマメ「あはは…頼りにしてるよ~…♪」

 

 

ヤマメ(なんでだろう、またちょっとだけ頭が痛くなってきた…)

 

 

美鈴「では、私達は夕飯の準備を再開しましょう」

 

 

華扇「そうですね、ヤマメの介抱は三人にお任せしましょう」

 

 

ヤマメ「あ、あのさ…私の今日の夕飯…」

 

 

華扇「今日は魚料理中心ですが、あなたには少し違うものを食べてもらいます」

 

 

ヤマメ「えぇ~…私も食べたかったなぁ…」

 

 

華扇「魚は食べさせますよ…? ですが今日は私のお粥を食べていただきます」

 

 

ヤマメ「!? ……まさかそれって修行用の…」

 

 

華扇「? いえ、八雲紫が教えてくれた料理の中に『白身魚の塩粥』なるものがあったのでそれを作ります」

 

 

ヤマメ(ほっ…助かった…)

 

 

阿求「流石の華扇さんもそこまではやりませんよ」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「だよねぇ…」ヒソヒソ

 

 

美鈴「では作りましょうか」

 

 

華扇「えぇ」

 

 

 

メディ「あんた介抱って言葉は知ってるみたいだけど意味はもちろん分かってるわよね?」

 

 

チルノ「おう、ヤマメが困ってたら助けてあげれば良いんだろ?」

 

 

メディ「間違ってないんだけど不安になるのは何でかしら…」

 

 

阿求「…チルノさん」

 

 

チルノ「お?」

 

 

阿求「タオルを濡らして持ってきてくれませんか? あぁ、言っておきますけど凍らせたりしたらダメですからね?」

 

 

チルノ「お、おう! 分かったよ」スッ

 

 

ヤマメ「…チルノがやるから凍るんじゃないのかい…?」

 

 

阿求「いえ、こういう時のチルノさんは能力をコントロールするんですよ、友達絡みの時は特にです」

 

 

ヤマメ「へぇ…」

 

 

メディ「ふーん、チルノもやるときはやるのね」

 

 

ヤマメ「……」

 

 

ヤマメ(あぁ、なんか…世話かけちゃってるねぇ…せっかくの三日間なのにねぇ…)

 

 

ヤマメ(私がこんなに弱るのって久々のような気がする…地底のアイドル黒谷ヤマメがこんなんじゃいけないよねぇ…)

 

 

ヤマメ(でも…なんか…)

 

 

 

 

華扇「お粥だけでも効果があるのに白身魚まで…これでは元気が出すぎてしまうかもしれませんね♪」

 

 

美鈴「これはこうで…よし、後はムニエルを…!」イソイソ

 

 

 

チルノ「タオルってこれで良いか?」

 

 

阿求「えぇ、お願いしますね」

 

 

メディ「凍らせんじゃないわよ?」

 

 

 

 

ヤマメ「……」

 

 

ヤマメ(言い方は悪いけど…私を本気で心配してくれてる、私の為に行動してくれているみんなの姿を見れたんだ、コーヒーを飲んだ事は悪いことじゃなかったのかもしれないねぇ…迷惑掛けちまってるし、まだ頭がクラクラしてるんだけどね…)

 

 

ヤマメ(……幻想郷って本当に変わったよねぇ…特に人間、まだ私たち妖怪に対する恐怖は心の何処かに残ってるんだろうけど昔に比べりゃ良くなっていってるんだろうねぇ)

 

 

ヤマメ(最初からこんなんだったら…私たちも地底に追いやられる事は無かったのかな…?)

 

 

ヤマメ(でも地底に住む事になったからこそこうやって新しい友達作ることが出来たんだ、ここに呼ばれたのは運なんだけどね)

 

 

ヤマメ(……)

 

 

ヤマメ(パルスィ、キスメ、勇儀…帰ったら私の話聞いてもらうよ…? ここであったこと全部ね♪)

 

 

ヤマメ(ふふっ…)

 

 

ヤマメ(ありがとう、みんな…♪)ニコッ

 

 

 

 

 

 

 華扇と美鈴が作った魚を使った豪華な夕飯が振る舞われた、焼き魚やムニエル、魚のフライなど様々な料理が食卓を彩った。

 

 ヤマメはまだ頭がクラクラしており、立つのも億劫であったが、皆と食卓を囲む事を望んでいたため六人全員で楽しい食事を取ることが出来た

 

 だが、少しヤマメは少しだけ後悔した…ヤマメが断っても阿求がお粥を食べさせてあげる事を譲らなかったため、ヤマメは終始恥ずかしがりながら夕飯を食べざるをえなかったからだ。

 

 コーヒーのせいで顔が赤くなっているのかよく分からないと華扇に突っ込まれてしまった

 

 

 その後はお風呂の時間、ヤマメの体調がまだ芳しくなかったため、ヤマメ以外の華扇たち五人でお風呂に入ることになった。 

 

 お風呂から出てきた華扇たちは、ヤマメの体をぬれタオルで拭いてあげた、その際もヤマメは顔を赤く染めていた。

 

 皆がお風呂に入っている間に紫がヤマメのところに来て話をし、暇を潰してあげた事は皆には内緒だ。

 

 

 そして夜も更け…

 

 

 【ゆかりんハウス、和室、22:30】

 

 

メディ「クー…クー…」zzZ

 

 

チルノ「かぁ~…くぉ~…」zzZ

 

 

阿求「スー…スー…」zzZ

 

 

ヤマメ「あはは、寝ちゃったねぇ♪」

 

 

華扇「付きっきりであなたの側に居ましたからね」

 

 

ヤマメ「風呂から出てきてすぐに来なくても良かったのにねぇ」

 

 

美鈴「チルノさんとメディさん、お風呂に入っている時ずっと『ヤマメ大丈夫かな?』って言ってましたからね」

 

 

ヤマメ「ほぉ~…! こいつらめ♪ 嬉しいぞあたしゃ」

 

 

 ヤマメは指でチルノとメディの頬を優しくつつく

 

 

チルノ、メディ「むにゃ…」zzZ

 

 

華扇「それと…阿求は長風呂を好みますが、今回は烏の行水でしたね」

 

 

ヤマメ「…! 毒舌阿求は何処に行っちまったんだい? あんたは今日、ずっと私に優しくしてくれたよね♪」

 

 

阿求「スー…」zzZ

 

 

華扇「ふふっ…♪ ヤマメ、体調はどうです?」

 

 

ヤマメ「ん、まだちょっと頭がボーっとするけどクラクラしなくなったからねぇ、明日にゃ完全回復してるさね」

 

 

美鈴「それは良かったです♪」

 

 

ヤマメ「あんたたちが介抱してくれたお陰だよ、今も椅子に座れば良いものを皆で和室に来て座ってるんだからさ」

 

 

美鈴「私も含めてヤマメさんの側に居たかったからですよ」

 

 

華扇「その通りです、病人には優しくしなければなりませんからね」

 

 

ヤマメ「…! はぁ、まったく…///」

 

 

華扇、美鈴「ふふっ…♪」

 

 

 

 

ヤマメ「んじゃあ、そろそろ寝ようかい?」

 

 

美鈴「そうですね、ヤマメさん、立てますか?」

 

 

ヤマメ「それぐらい出来るよ…っと…さて、問題なのは」

 

 

チルノ、メディ、阿求「クー…」zzZ

 

 

ヤマメ、美鈴、華扇「……」

 

 

華扇「チルノは私が」

 

 

美鈴「ではメディさんは私が」

 

 

ヤマメ「阿求は私が運ぶよ」

 

 

 

華扇(…! 本当にひんやりしてますね、チルノ)

 

 

美鈴「メディさん軽いなぁ…」

 

 

ヤマメ「それを言ったら阿求もだよ、人間なんだからもっとたくさん食べてほしいねぇ」

 

 

 

 

 

 【二階、寝室、扉前】

 

 

ヤマメ「華扇」

 

 

華扇「はい?」

 

 

ヤマメ「チャンスだよ♪ チルノを自分の部屋に連れていくなら今だよ♪」

 

 

華扇「! そ、そんなことはしません!」

 

 

ヤマメ「ふっふっふっ…♪」

 

 

華扇(わ、私は誘惑には屈しませんよ!)

 

 

美鈴(昨日ヤマメさんやっぱりチルノさんのこと…)

 

 

 

 

 【二階寝室、阿求の部屋】

 

 

ヤマメ「よいしょっ…と、これでよし…」

 

 

阿求「スー…スー…」zzZ

 

 

ヤマメ「ふふっ…♪ 可愛い寝顔しちゃってまぁ…♪」

 

 

ヤマメ「綺麗な髪してるね阿求…サラサラだ…」

 

 

ヤマメ「……」

 

 

ヤマメ「明日が最後の日か…」

 

 

ヤマメ「今日のお礼は明日、必ず言うからね」

 

 

ヤマメ「お休み、阿求」スッ

 

 

 バタン…

 

 

阿求「スー…スー…」zzZ

 

 

阿求「…ふふっ…♪」zzZ

 

 

阿求「スー…スー…」zzZ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

藍「…う~ん」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「ちょっと気になる事があるんですけど」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「魚釣り、楽しいとは思うんですけどね?」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「魚が釣れれば釣れるほど食料増えていくじゃないですか」

 

 

紫「うん」

 

 

藍「…食料多くありません?」

 

 

紫「そんなイチイチ細かい事を気にしてどうするのよあなたは」

 

 

藍「だって気になったんですもん」

 

 

紫「良く考えなさい、今回選ばれた中では華扇しか食いしん坊が居ないから食料が多く見えるけどさ」

 

 

紫「今度ゆかりんハウスやったときに幽々子とルーミアが同時に当たるというミラクルが起こったら」

 

 

紫「一週間分の食料が一日で溶けていくのよ?」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「そういうのを考えてたくさん冷蔵庫に詰めてんの!! 分かるっ!?」バンバン

 

 

藍「は、はい!」

 

 

紫「不足の事態に備えてんのよ私はぁ! 管理人なめんじゃないってのよ! えぇ!?」

 

 

藍「す、すいませんでしたー!」

 

 

紫「あなた私の式で家族なのにそんなことも分からないの? らぁぁん…!」

 

 

藍「だ、だからすいませんでしたって…!」

 

 

紫「なんか私が『何にも考えてないスキマから突然現れるスーパー美少女』としか思われてなさそうでつれぇわ…あぁつれぇわぁ…!」クワッ

 

 

藍(これ以上なんか言ったら絶対にまた何か文句言うからやめておこう)

 

 

紫「藍が私の機嫌を損ねました、ゆかりんイラッとしたから」

 

 

紫「明日の天気は雷を伴った叩き付ける様な激しい雨になるでしょう」

 

 

藍「……はい?」

 

 

紫「明日チルノたちから電話掛かって来たら『これも全部あの八雲藍って奴の仕業なんです』って言おうかしら…?」

 

 

藍「!?」

 

 

紫「いや、言う!」

 

 

藍「ちょっとぉ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 続く!

 

 






 お疲れ様でした、読んでいただいてありがとうございました♪


 大ナマズは美鈴が戦ったキャラです(夢の中での戦いだったので夢オチの展開で、しかも偽者)華扇と阿求が語った様に『かつて天人が使役していた地震を起こす神様』が本物であり、美鈴の夢の中に現れた大ナマズは偽の設定で現れてました、本物はもっと強い筈です

 なので美鈴はナマズが嫌いです、見るのも嫌な程に。



 本編でも語りましたが蜘蛛はカフェインを摂取すると酔っ払います、カフェインが蜘蛛の脳に作用して中枢神経を麻痺させるんだそうです、デタラメな巣を作ったりしてしまうんだとか。

 ヤマメは土蜘蛛の妖怪なので酔っ払い、頭痛程度で済んでます、ヤマメはあまり自分の弱みを見せないタイプので酔ってもらうことで自分の事を語ってもらいました


 次回は三日目、最後の日になります。

 お別れになるのでしんみりしてしまうのは仕方ないです

 それではまた次回!




 それから…東方紫藍談は、読者の皆様の支えもあり、連載一年を迎える事が出来ました!

 後書きという場所ではありますが、この場を借りて読者の皆様にお礼を申し上げます、読んでいただいてありがとうございます。 これからもよろしくお願いいたします♪ 



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ーー 儚い線香花火 ーー Last day



 三日目、最終日になります…しんみりしてくるのは仕方の無いことです。


 華扇たちはどのように最終日を過ごすのか、会話中心ではありますが楽しんでいただければと思います。


 それでは始まります♪




 

 

 

 【ゆかりんハウス 華扇の寝室 朝7:00】

 

 

茨木華扇「スー…スー…」zzZ

 

 

華扇「スー……んぅ~…」パチッ

 

 

華扇「……んぁ…」

 

 

華扇「……」モゾモゾ

 

 

華扇(……朝…)

 

 

華扇「……ふぅー…」

 

 

華扇「…ふわぁ~……あふぅ…」

 

 

 華扇はベッドから起き上がり、壁に立てかけられている時計に目をやり、時間を確認する。

 

 

 華扇は朝の7時に起きる様に習慣づけているため、この時間に目が覚めると安心するとともに『私はベッドの魔力にこの三日間打ち勝ったのだ』とちょっぴり優越感に浸る。

 

 

華扇「…ふふっ…♪」

 

 

華扇(しかしチルノと一緒に寝ていたら…いえ、考えないようにしましょう)

 

 

華扇(……はぁ暑い…汗で体がベトベトです…着替えて朝の準備をしなければ)

 

 

 華扇は部屋のカーテンに手を伸ばす

 

 

華扇(ふぅ、今日も日差しが照りつけて…蒸し暑い一日が続いて嫌にな)シャッ

 

 

 

 ザァァァァァァ……!

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「へ?」

 

 

華扇「えっ…!? えぇっ!?」

 

 

 ザァァァァァァ……!

 

 

華扇「なっ…!? なんですかこの大雨は!?」

 

 

華扇「昨日の夜寝る前は雲一つ無かったと言うのにいったいどういう…」

 

 

 ゴロゴロゴロ……!

 

 

華扇「か、雷まで…!」

 

 

華扇「山じゃあるまいし天気いきなり変わりすぎでしょう! どうなっているんですかこの空間は…!」

 

 

華扇「……まさか、八雲紫が何か」

 

 

 

 バァン! と部屋の外で音が鳴った

 

 

 

華扇「!?」

 

 

 マズイマズイマズーイ!! スーさん急いでー!

 

 

華扇「…?」スッ

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、二階、寝室扉前】

 

 

華扇「部屋の扉は静かに開けなければいけませ」

 

 

メディスン・メランコリー「あっ! 華扇!」

 

 

華扇「メディ? まさか先程の扉の音はあなたが? 扉は静かに開けなければ」

 

 

メディ「そ、そんなことより外! そとぉー!!」

 

 

スーさん「!!」ワタワタ

 

 

華扇「外? あぁ大雨の事ですね、突然の事で狼狽えてしまう気持ちも分かりますがここは冷静になって」

 

 

メディ「ピンチなのっ! 外のガーデニング! 花壇っ!」スッ

 

 

華扇「……!」ハッ

 

 

華扇「あぁっ!!」スッ

 

 

 

 

 

 ドタバタドタバタ…!

 

 

 【ゆかりんハウス、一階、庭】

 

 

 ザァァァァァァ…!!

 

 

メディ「うわっ…! ひ、酷い雨…!」

 

 

華扇「風も強いですね、とりあえず鉢植えを家の中に運びましょう!」

 

 

メディ「う、うん!」

 

 

スーさん「…!」ブァッ

 

 

メディ「! スーさん!」

 

 

華扇「っ…!」スッ

 

 

 強風で飛ばされそうになったスーさんを、華扇は優しく抱き留める

 

 

華扇「あなたは家の中に…飛ばされてしまいますよ」

 

 

スーさん「!」コクコク

 

 

メディ「あ、ありがと華扇! スーさん大丈夫!?」

 

 

スーさん「…!」コクコク

 

 

華扇「無事で何よりです、それよりも急ぎましょう」

 

 

メディ「うん!」

 

 

 華扇とメディは雨に打たれ、ずぶ濡れになりながらも鉢植えを部屋の中に移した

 

 

メディ「鉢植えは全部終わったけど、花壇が…!」

 

 

華扇「移すのは無理ですね、こういう場合は何かを被せてあげたり花壇自体を何かで覆ったりするのが得策ではあるのですが」

 

 

メディ「何かあったっけ…!」オドオド

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「…!」

 

 

華扇「メディ、少し待っていてください!」ダッ

 

 

メディ「えっ!? 華扇どこ行くの!?」

 

 

メディ「待つって…ああんどうしたらいいんだろう…!」

 

 

メディ「私の毒で…! ってそれじゃダメよ! 他に方法があるはずよ…!」ワタワタ

 

 

メディ「……って思い付かない~! ゆ、幽香ならこういうときはどうするのかしら…!」ワタワタ

 

 

 

 

 【二階、寝室扉前】

 

 

黒谷ヤマメ「ふぁ~……ふぅ…いやいや、チルノと一緒に寝てないとこんなに汗かくんだねぇ、参った参った♪」

 

 

ヤマメ「…? ありゃ? 華扇とメディ起きてるのかな? 扉開けっ放しだけど…」

 

 

 タッタッタッ!

 

 

華扇「! ヤマメ、おはようございます」

 

 

ヤマメ「お! おはようさん華扇…っておおぅ!? どうしたんだい!? びっしょりじゃないか!」

 

 

華扇「私の事は気にせず…! それよりも一階でメディを手伝ってあげてください!」

 

 

ヤマメ「め、メディ? メディがどうかしたのかい?」

 

 

華扇「チルノが起きるまでの時間を稼いでください、頼みましたよ!」スッ

 

 

ヤマメ「ちょっ…!? 華扇!?」

 

 

 

 華扇はチルノの寝室へ入っていった

 

 

ヤマメ「どういう、ことなんだい…?」

 

 

 ガチャッ

 

 

紅美鈴「? ヤマメさん?」

 

 

ヤマメ「! 美鈴、おはようさん」

 

 

美鈴「おはようございます、今の声は…華扇さん?」

 

 

ヤマメ「あぁ、今下から急に来てさ、チルノの部屋に入っていったのさ…全身びっしょりで」

 

 

美鈴「びっしょり…? ってどうしてです?」

 

 

ヤマメ「そりゃ私も聞きたいねぇ、何であんなにずぶ濡れなんだか…それにメディを手伝ってってのは」

 

 

美鈴「? メディさん? 手伝う?」

 

 

稗田阿求「あの」

 

 

ヤマメ、美鈴「うわぁっ!? びっくりしたぁ!」ビクッ

 

 

阿求「!?」ビクッ

 

 

ヤマメ「い、居たのかい阿求…!」

 

 

阿求「えぇ…私さっきからここにいましたよ? 美鈴さんと同じ時に出てきたのに…」

 

 

美鈴「き、気付かなかったです…」

 

 

阿求「ヤマメさんはともかく、美鈴さんが気付けないのは能力的にどうなのでしょうか」

 

 

美鈴「うっ…!」グサッ

 

 

阿求「それよりもお二人とも外を見てないんですか?」

 

 

ヤマメ、美鈴「外?」

 

 

阿求「大雨が降ってるんです、雷まで鳴ってます」

 

 

ヤマメ、美鈴「えぇ!?」

 

 

阿求「気付いてなかったんですか?」

 

 

ヤマメ「…! メディ…?」

 

 

美鈴「手伝う…」

 

 

ヤマメ、美鈴「……」

 

 

ヤマメ、美鈴「…」

 

 

阿求「ガーデニング」

 

 

ヤマメ、美鈴「あぁっ!! そういう事かぁ!」

 

 

美鈴「い、急ぎましょう!」

 

 

ヤマメ「あ、あぁ! …ってか阿求! あんた何でそんなに冷静なんだい!?」

 

 

阿求「朝は弱いからです、雨の音を聞いて『この大雨だとメディさん困るだろうなぁ、力になれたら良いなぁ』という思いで体を動かしてます、正直今も半分寝ぼけてます」ポケー

 

 

ヤマメ「なんかつっこまなきゃならないぐらい凄い器用な事してる気がするけどそんなことは後だよ!」

 

 

美鈴「一階へ! 早く行きましょう!」

 

 

阿求「あぁヤマメさん、昨日のコーヒーの事なんですが」ポケー

 

 

ヤマメ「そんなのは後だよ! ほら、阿求もおいで!」

 

 

 

 

 

 【チルノの寝室】

 

 

チルノ「くぁ~…」zzZ

 

 

華扇「チルノ! 起きてくださいチルノ!」

 

 

チルノ「んむぅ…?」ポケー

 

 

華扇「チルノ! 朝早くに申し訳ないのですがあなたに頼みがあるのです!」

 

 

チルノ「なん……なんだぁ…? か、せん…?」

 

 

華扇「花壇を救えるのはあなたしかいないのです! 力を貸してください!」

 

 

チルノ「……? …かせん…すくう…? かせん…はなんともなってないぞぉ…」ポケー

 

 

華扇「私ではありません! 『華扇』ではなく『花壇』です!」

 

 

チルノ「……」

 

 

華扇「…?」

 

 

チルノ「くぁ~…♪」zzZ

 

 

華扇「!? チルノ、お願いですから起きてください! あなたの最強の力を見せるときですよ!」

 

 

チルノ「! そうだ! あたいは最強なんだぁ!」ガバッ 

 

 

華扇「そうですあなたは最強なのです、さぁチルノ、一階に降りて外に」

 

 

チルノ「さいきょー…なんだぞぉ…」フラフラ

 

 

チルノ「…」

 

 

華扇「…? チル」

 

 

チルノ「かぁ~…♪」zzZ

 

 

華扇「!? 起き…! 起きなさいチルノぉ!!」

 

 

チルノ「はわっ!?」ビクッ

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、副音声のお二人】

 

 

八雲紫『あ~め雨♪ ふ~れ振れ♪ ゆっかりんが~♪』

 

 

紫『つれぇと一言泣いたのよ~♪』

 

 

八雲藍『…』ヒクヒク

 

 

紫『ふふふふっ…! 私のこの涙が大雨となってゆかりんハウスに降り注いでいる…! これも全部この辛辣九尾が悪いんだぁ!』

 

 

藍『一滴も涙を流してないじゃないですかぁ!!』

 

 

紫『うっさいこのバカちんがぁ!』

 

 

藍『…!?』イラァ

 

 

藍『雨をっ…! 雨を止めなさいよぉ!』

 

 

紫『いやだぁ!』

 

 

 

 

 

 

 華扇に叩き起こされたチルノによって大雨の影響による花壇への被害は最小限に抑えられた。

 

 華扇が考えた花壇への対策は『雨でも溶けないチルノの氷で花壇を覆う』事だった、かまくら状に作られた氷は大雨から花壇を守るのに最適だったのだ。

 

 

 大雨で全身びっしょりになってしまった六人は、朝食の前に朝風呂へ入る事になった。

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、風呂場】

 

 

 

六人「ふぅ~…♪」

 

 

ヤマメ「いや参ったよねぇ、まさか雨が降ってくるとはねぇ」

 

 

メディ「ホントよね、あんな大雨が降って来るなんて聞いてないわよ」

 

 

美鈴「雨とかが降るなら紫さんから連絡が来ると思ってたんですけどね」

 

 

阿求「まだ寝てるんじゃないですか? あの人も朝は弱いですからね」

 

 

チルノ「…? ならババアより早く起きてるあたいはババアより強いって事になるのか?」

 

 

メディ「…そうはならないんじゃないの?」

 

 

チルノ「えっ? そうなのか?」

 

 

メディ「いや、知らないわよ」

 

 

華扇(八雲紫が人為的に雨を降らせた可能性があるのですが…どうなのでしょうか)

 

 

メディ「そんなことよりみんな、ありがと♪ みんなのお陰でお花たちは守られたわ」

 

 

ヤマメ「あはは、良いんだよぉ♪」

 

 

美鈴「本当に良かったですよ、花たちが無事で」

 

 

華扇「えぇ、本当に♪」

 

 

阿求「私は何も出来ませんでしたけどね…この功績を称えるとしたらチルノさんでしょう」

 

 

メディ「! そう…よね…」チラッ

 

 

チルノ「おっ? なんだ?」

 

 

メディ「はぁ、まさかあんたに助けられるとはね…」

 

 

チルノ「な、なんだよぉ~! 悪いかぁっ!?」

 

 

メディ「そんなこと言ってないでしょ! もう…!」

 

 

チルノ「??」

 

 

メディ「……ありがと、チルノ♪」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「あんたが居なかったら花たちは救えなかったわ、本当にありがと」

 

 

チルノ「にしし! 花を救うのなんて朝飯前さ! なんたってあたいは」

 

 

メディ「最強だから」

 

 

チルノ「…!」

 

 

メディ「…でしょ♪ ふふふっ♪」

 

 

チルノ「おう! にっしし!」ニカッ

 

 

華扇、ヤマメ、美鈴、阿求「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

ヤマメ「それにしても今日はどうしようかねぇ…外はあの大雨だ、これじゃ外に出て遊ぶことは出来ないね」

 

 

チルノ「やまないのかな?」

 

 

メディ「やまないんじゃない?」

 

 

チルノ「む~…雨は嫌いじゃないんだけどなぁ、外に出れないってのがなぁ」

 

 

メディ「あんた雨好きなの?」

 

 

チルノ「カエルがたくさん出てくるからな、凍らせて遊ぶのさ♪」

 

 

メディ「…前も聞いたと思うけど面白いの? それ」

 

 

チルノ「面白いぞ! メディもやってみれば良いじゃないか♪」

 

 

メディ「それも前に言われた気がするわ…」

 

 

阿求(凍らせて解凍させての繰り返し、カエルからしてみれば地獄ですよね)

 

 

華扇「それにしても本当にどうしましょうか、風呂を出た後、美味しい朝御飯を食べて…その後は」

 

 

美鈴「…あっ! 一日家の中でのんびりするっていうのはどうでしょうか」

 

 

阿求「ですね、無理して外に出る必要もないですし」

 

 

ヤマメ「だねぇ♪ よし、賛成の人~♪」

 

 

チルノ、メディ「はーい♪」

 

 

華扇「ふふっ♪ ではそうしましょうか」

 

 

チルノ「んー、でも家の中で何すれば良いんだ?」

 

 

メディ「んぅ…考えても何も思い浮かばないわね」

 

 

阿求「色々あるじゃないですか、例えば冷蔵庫にあるスイーツの食べ比べをしたりとか」

 

 

華扇「!」ピクッ

 

 

阿求「ふふっ、仕放題ですね♪ 華扇さん?」

 

 

華扇「なっ…! 何がですか!?」

 

 

阿求「いいえ~? 別に~?」

 

 

華扇「むっ…!」

 

 

ヤマメ「華扇、まだバレてないって思ってるのかな」ヒソヒソ

 

 

美鈴「別に隠す事じゃないと思うんですけどね…」ヒソヒソ

 

 

チルノ「ん~、それも面白そうだけど、家の中で遊べる物何かないかなぁ」

 

 

メディ「何かあったかしら…まぁでも無かったらババアに電話してみれば良いわよね」

 

 

ヤマメ「だね、あのゆかりんボックスってのもう一回持ってきてもらうのもアリかもねぇ♪」

 

 

阿求「!?」ピクッ

 

 

チルノ「ん? お、アレか! 阿求がにゃんこになったやつか!」

 

 

メディ「くじ引きのやつね♪」

 

 

華扇「ふっふふ…♪ 『阿求にゃん』でしたっけ?」

 

 

阿求「っ!?」

 

 

美鈴「可愛かったですよね、阿求にゃん」

 

 

チルノ、メディ「ね~♪」

 

 

阿求「ちょっ…!」

 

 

ヤマメ「でも…もう存在すらしていないんだよ…悲しいことにね…」

 

 

ヤマメ、メディ、チルノ、美鈴、華扇「…」チラッ

 

 

阿求「…!? えっ、えっ!? な、なんなんですか!?」

 

 

阿求「ど、どんなに悲愴な空気を出そうとも阿求にゃんは現れませんよ! アレは偶然が生んだ幻の生物なんですからね!」

 

 

ヤマメ「はぁ…悲しいねぇ…」

 

 

チルノ、メディ「悲しい~…」

 

 

阿求「悲しむ前にもう二度と阿求にゃんが現れないという事を自覚してください!」

 

 

ヤマメ「……あっ! もしかしたら『阿求わん』なら居るかもしれない!」 

 

 

チルノ、メディ「な、なんだってぇー!?」

 

 

阿求「!?」

 

 

美鈴「紫さん『ワンコの魔法』も使えるんでしょうか」

 

 

華扇「使えると思います『にゃんこの魔法』も使えますからね」

 

 

阿求「な、何をさっきから…! そもそもジャンケンで負けなければ阿求にゃんは…!」

 

 

ヤマメ「『私は稗田阿求だワン! 撫でてワーン♪』」

 

 

メディ「あはははっ! 似てる~♪」

 

 

チルノ「だっははっ! 似てるぞヤマメ~♪」

 

 

阿求「存在も何も無いのに似てるとか無いでしょうが!! やめてください!!」

 

 

華扇、美鈴「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

美鈴「……雨、か」

 

 

ヤマメ「うん? どうしたんだい美鈴」

 

 

美鈴「私、雨好きなんです」

 

 

華扇「そうなのですか?」

 

 

美鈴「はい」

 

 

阿求「門番の仕事で雨の日でも門の前に立っていなければならないのに、ですか?」

 

 

ヤマメ「大変じゃないのかい?」

 

 

美鈴「あはは、大変ではありますね…」

 

 

美鈴「でも雨が降るとお嬢様と妹様が外に出られなくなるんですよ」

 

 

華扇「吸血鬼の弱点である流水ですね、流れている水の上を渡れなくなるという」

 

 

美鈴「それです、お嬢様と妹様は『外に出られないから退屈だ』と仰られているんですけど、それが私にとっては…なんというか、安心するんです」

 

 

ヤマメ「安心?」

 

 

美鈴「お二人は外出するのが好きでお暇があればお嬢様は博麗神社へ、妹様は魔理沙さんの家に遊びに行ってしまうんです」

 

 

美鈴「私はお二人が居ない時に門番をやっていると少し空しくなってしまうんです…あはは、本当はこんなことを思ってはいけないんですけどね、変だなぁ」

 

 

華扇「きっと守るべき者が居ないと門番としての仕事に身が入らないから空しくなってしまうのだと思います」

 

 

美鈴「そう…なんですかね…でももちろんパチュリー様や咲夜さん、こあさんやメイド妖精さんたちも守るべき存在です」

 

 

ヤマメ「そりゃメイドさんたちの事もそうだけどさ『特に』あの二人は特別なんだろう? あんたの中ではさ♪」

 

 

阿求「レミリアさんとフランさんは無邪気で少々危なっかしい所がありますからね、そう思うのは自然な事だと思いますよ」

 

 

美鈴「!」

 

 

華扇「阿求の言う通りです、それを変に思う必要はないと思います」

 

 

ヤマメ「んっふふ♪ 子供が遠くに行っちゃうと大人は心配するもんだろう?」

 

 

阿求「レミリアさん一応五百年…いえ、魔理沙さん曰く精神年齢十歳らしいですからね」

 

 

華扇「それは言い過ぎでは…? ともかく美鈴、あなたがそう思うのは変な事ではないのです、自然な事なのですよ」

 

 

美鈴「…! ふふっ…あぁなんか…気持ちが楽になりました、ありがとうございます」

 

 

ヤマメ「ふふっ、しっかし門番ねぇ…やっぱり守るべきモンが背中にいると安心するって事なのかねぇ」

 

 

阿求「所謂、職業病ってやつかもしれませんね」

 

 

美鈴「職業病…確かに何百年と門を守り続けてますからねぇ」

 

 

華扇(何百年…? …美鈴はいつからあの館の門番をやっているのでしょうか)

 

 

チルノ「でもめーりん、魔理沙は顔パスってやつなんだろ?」

 

 

美鈴「か、顔パス!?」

 

 

チルノ「魔理沙が言ってたんだ『通っていいかって聞いたら何も言わねぇんだよ、でも顔が通って良いですよって顔してるから堂々とお邪魔出来るんだぜ♪』ってさ、特別なんだろ? 顔パスって」

 

 

美鈴「そ、それは…!」

 

 

ヤマメ、華扇「居眠り……」

 

 

美鈴「うっ…!」グサッ

 

 

阿求「まぁ美鈴さんの居眠りは今に始まった事ではないので」

 

 

美鈴「そんなこと言わないでくださいよぉ!」

 

 

メディ「へー、紅魔館に顔パスなんてあるんだ」

 

 

チルノ「あたいも顔パスになってみたいなぁ♪」キラキラ

 

 

メディ「なろうと思ってなれるもんじゃないんじゃないの?」

 

 

チルノ「めーりん、どうやったら顔パスになれるんだ?」

 

 

美鈴「……紅魔館に顔パスなんて無いんですよチルノさん」

 

 

チルノ「えっ? でも魔理沙が」

 

 

美鈴「魔理沙さんが特殊なだけです」

 

 

チルノ「?? その特殊が顔パスなんじゃないのか?」

 

 

メディ「……? えっ? 私に聞いてんの? 私が知るわけないでしょ」

 

 

チルノ「んむぅ?」キョトン

 

 

ヤマメ「下手に魔理沙が嘘ついてるって言えないねこりゃ」ヒソヒソ

 

 

阿求「魔理沙さんの影響を受けすぎなんですよねぇ…チルノさんの足りないところは大妖精さんが補っているので泥棒するほど暴走したりはしないでしょうけど」

 

 

華扇「……」

 

 

阿求「魔理沙さんにお説教は効果無いと思いますよ?」

 

 

華扇「正座して黙って聞きはするのですが、何故こう…大事な部分を受け流して取り入れようとしないのでしょうか」

 

 

阿求(魔理沙さんらしい…)

 

 

 

 

ヤマメ「あ、そうだ…阿求、チルノ、メディ」

 

 

阿求「はい?」

 

 

チルノ、メディ「うん?」

 

 

ヤマメ「昨日はありがとね、疲れて眠くなっちまうまで付きっ切りで私の介抱してくれてさ♪」

 

 

ヤマメ「ふふっ、嬉しかったよ~♪ 本当にさ」

 

 

メディ「良いのよ♪ ヤマメが元気になってくれればそれで♪」

 

 

チルノ「うん、その通りだな♪」

 

 

阿求「…元はと言えば私が」

 

 

ヤマメ「こ~らっ!」

 

 

阿求「…!」

 

 

ヤマメ「ふふっ…それはもう無しだよ阿求、ほら見なよ、あたしゃもうこんなに元気なんだ♪ あんたたちのお陰でね」

 

 

ヤマメ「昨日も言ったろう? もう自分を責めちゃいけないよ、阿求」ニコッ

 

 

阿求「! …ふふっ、はい…♪」ニコッ

 

 

美鈴、華扇「…♪」ニコッ

 

 

チルノ「…? あれ?」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「あたいたちヤマメの介抱? しちゃってるときに寝ちゃったんだよな?」

 

 

阿求「そうですね」

 

 

チルノ「じゃあ何であたいたちは自分の部屋で寝てたんだ?」

 

 

華扇「それは私達があなたたちをそれぞれ部屋まで運んだからですよ」

 

 

メディ「えっ? そうだったの?」

 

 

美鈴「はい、私がメディさんを、華扇さんがチルノさんを、ヤマメさんが阿求さんを抱っこして…」

 

 

阿求(だ、抱っこですって!? は、恥ずかしい…///)

 

 

チルノ「そーだったのかー! …あ、そういえばあたい慧音先生に抱っこされたことあるぞ」

 

 

メディ「……!? いやいや、そんなこと聞いてないわよ!?」

 

 

ヤマメ「阿求ってさぁ♪ んふふ♪ 良い匂いするんだよねぇ♪」

 

 

阿求「へぇっ!?」

 

 

ヤマメ「ここのシャンプー…? いや、あれは違うねぇ♪ 阿求独特の…何て言うのかなぁありゃあ♪」

 

 

阿求「や、やめてくださいよ…///」カアッ

 

 

華扇「あなたが恥ずかしがるとは珍しい」

 

 

阿求「そこはいちいち言わなくていいんですよ!」

 

 

メディ「阿求にゃんの時に恥ずかしがってなかった?」ヒソヒソ

 

 

美鈴「それとはまた別なんじゃないですかね」ヒソヒソ

 

 

 

 

 

 

 お風呂から上がった華扇たち。

 

 華扇と美鈴は朝食を作っていた。

 

 一日目、二日目、そして三日目といつもと同じ朝食メニューだったが、話に花が咲いたお陰で一日一日の朝食の味が少し違うように感じられた華扇たちであった

 

 

 そして午前11:00、一向にやむ気配のない雨にげんなりしつつ、華扇たちは紫に電話をし、暇を潰せる物を持ってきてもらった、どれもパーティーグッズばかりだ 

 

 

 

 

 【ゆかりんハウス、リビング】

 

 

紫「色々持ってきちゃったけど、どうする?」

 

 

チルノ「全部やるっ!」キラキラ

 

 

メディ「…まぁ、全部やれる時間はあるわね」

 

 

美鈴「手軽に遊べる物から深く遊べる物までありますね」

 

 

阿求「トランプ、ジェンガと…これは?」

 

 

紫「すごろくよ♪ 幻想郷す・ご・ろ・く♪」

 

 

華扇「幻想郷双六? 普通の双六では無いのですか?」

 

 

紫「私とにとりと文で作ったオリジナル双六よ、幻想郷流にアレンジされた双六ね♪ はいこれ説明書、あ! 後ね、喋るわよ?」

 

 

ヤマメ、美鈴、阿求、華扇「喋るの!?」

 

 

チルノ「おぉ!! やってみたい!」キラキラ

 

 

メディ(た、楽しそうね…)

 

 

ヤマメ「河童の技術も凄いもんだ、あたしゃ機械にゃ疎いからねぇ」

 

 

阿求「双六に喋る機能いります?」

 

 

紫「いりまくるわよ!! ゆかりんボイスであなたの双六ライフをサポートして」

 

 

六人「それはいらない」

 

 

紫「なんかあなたたちここに住んでから私に辛辣になってない!? ねぇ!」

 

 

美鈴「そんなことは…」

 

 

阿求「いつも通りですよ? 気にしすぎです」

 

 

紫「……そうなの?」

 

 

チルノ「そうだぞババア」

 

 

メディ「気にしないでよババア」

 

 

紫「これは気にしても良いわよねぇ!!」

 

 

阿求、美鈴、華扇「ふふっ…!」

 

 

ヤマメ「あっははは!」

 

 

紫「ぐっ…! ゆ、ゆかりんだけじゃないもん! 他にもボイス入ってるもん!」

 

 

阿求「どうせにとりさんのでしょう?」

 

 

紫「それはやってみてのお楽しみよ♪」

 

 

美鈴「さて、どれからやります?」

 

 

チルノ「トランプからが良い!」

 

 

メディ「そうね、それじゃあ…うん? 華扇、どこ行くの?」

 

 

華扇「お昼ご飯の準備です、あぁ大丈夫ですよ、蒸すだけなので時間は掛かりません」

 

 

チルノ「蒸す?」

 

 

華扇「昨日美鈴と話し合って昼食は私が…皆さんには魚肉まんを食べていただきます」

 

 

チルノ「ぎょ、魚肉まん!?」

 

 

華扇「肉まんの餡を肉から魚にしたのです」

 

 

阿求「美味しそうですね、それ」

 

 

美鈴「でしょう? 私の提案なんですよ♪」

 

 

ヤマメ「おぉ…♪ 漸くまともなお魚料理が食べられそうだねぇ♪」

 

 

華扇「おや…昨日私が作った魚のお粥はお魚料理では無いと?」ニッコリ

 

 

ヤマメ「そ、そんなことは言ってないじゃないかい! 笑顔が怖いよ華扇!?」

 

 

華扇「ふふっ♪ ちょっとした冗談ですよ♪」

 

 

ヤマメ「…私が昨日のお粥の味の感想を言ってないのが悪いのかねぇ…」ヒソヒソ

 

 

阿求「どうだったんですか? 味」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「不味くはなかったけど正直言うと薄味だったねぇ…」ヒソヒソ

 

 

阿求「まぁお粥ですからね…」ヒソヒソ

 

 

 

華扇「~♪」

 

 

 

チルノ「肉まんに魚が入ってたらもっと美味いじゃないか…! また超最強の誕生か…!」

 

 

メディ「あんたの最強の基準がまた分からなくなったわ…超って」

 

 

紫「……」

 

 

紫(ふふっ、良い顔で笑うじゃない、華扇…♪)

 

 

紫「あ、そうそう♪」

 

 

紫「雨は夕方ぐらいにはやむから、それと…ふふっ♪」

 

 

阿求「…? なんです?」

 

 

紫「夜になったら私が素敵な贈り物をしてあげるわ、夏の…ゆかりんハウスの最後の思い出作りにしてね♪」

 

 

六人「…?」

 

 

紫「それじゃあね~♪」スッ

 

 

 

 

 

 紫がスキマの中に消えて行った後、華扇たちはまずトランプで遊ぶことになった

 

 

 

 

 【(ババ)抜き】

 

 

チルノ「ほい、ヤマメ」

 

 

ヤマメ「んー……これっ!」スッ

 

 

チルノ「!」

 

 

ヤマメ「!! っ……!」プルプル

 

 

阿求、華扇、美鈴「…」

 

 

メディ「? ヤマメ?」

 

 

ヤマメ「ふくくっ…! な、なんでも…な、ないよぉ…?」プルプル

 

 

阿求「…引いたんですか? ババ」

 

 

ヤマメ「ふははっ…! あっははは! あぁそうだよ引いたよ! 悪いかい!?」

 

 

華扇「悪いなんて言ってないではないですか」

 

 

ヤマメ「ねぇチルノ、あんたが考えたこのババ抜きあたしゃダメだよ…笑っちまうよこんなもん」

 

 

チルノ「そうかー? でもこれ魔理沙が考えたんだぞ? 面白いだろ♪」

 

 

ヤマメ「面白いけどゲームとして成立するのかい? これ」

 

 

阿求「ただの文字じゃないですか」

 

 

ヤマメ「そうは言うけどね阿求『ババの絵柄の部分に白い小さな紙を貼り付けて大きく(紫)』なんて書いてあるババを引いた時のこの気持ちあんたに分かるかい!?」

 

 

阿求「ぷっ…! ひ、引いた事が無いので何とも言えないです」プルプル

 

 

ヤマメ「阿求今笑ったよね!? こんなん笑うよ! 笑うなって方が無理だもん!」

 

 

阿求「そ、そうなんですか♪」

 

 

ヤマメ「他人事だと思ってるね!?」

 

 

阿求「はい♪ これで私の勝ちは決まりましたから、ヤマメさんの手札から引くのは私ですからね♪ どれがゆか…いえ、ババかはヤマメさんの目を見れば分かります」

 

 

ヤマメ「今紫って言い掛けなかったかい?」

 

 

阿求「い、いいえ…」

 

 

美鈴「なんか紫さんが可哀想な気が…」

 

 

華扇「そうですか? 私はそうは思いませんね」

 

 

美鈴(あれ、なんか紫さんに対して華扇さんが冷たい)

 

 

チルノ「ふぅ、やっとババアがいなくなった♪」

 

 

メディ「ババアを引いたらげんなりするわよね」

 

 

チルノ「! 分かるかい、メディ」

 

 

メディ「そりゃ分かるわよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『……』

 

 

藍『…』

 

 

紫『藍』

 

 

藍『は、はい』

 

 

紫『これアレよね、新手のイジメよね』

 

 

藍『クッ…! そ、そうですね…!』

 

 

藍(わ、笑っては駄目だ…!)プルプル

 

 

紫『私さぁ、魔理沙の事訴えたら勝てるんじゃないかしら、ねぇ? 藍』

 

 

藍『そ、そうかもしれないですね、はい…』

 

 

藍(わ、笑うなっ…堪えるんだ八雲藍…! 紫様は結構キレているぞ…!)

 

 

紫『魅魔には悪いけどさぁ、パチュリーと一緒に閻魔様に訴訟を起こしたら私達勝てると思うのよねぇ…』イライラ

 

 

紫『どう思う? 藍』

 

 

藍(何故に私にいちいち聞いてくるんですか…!? やめてください笑っちゃうから…!)プルプル

 

 

紫『……』

 

 

紫『精神がつれぇわ…』

 

 

藍(精神がつれぇって初めて聞いたなぁ…)

 

 

 

 

 

 

 【ジェンガ】

 

 

ヤマメ「…よっと」ストン

 

 

美鈴「ほっ…!」ストン

 

 

華扇「ふっ…!」ストン

 

 

阿求、メディ、チルノ「早いっ!!」

 

 

ヤマメ、美鈴、華扇「え?」

 

 

阿求「『え?』じゃないですよ! なんの躊躇いもなくパーツを抜き取って積み重ねないでください!」

 

 

チルノ「早いなぁ…! すげぇ!」

 

 

メディ「ね、三人とも早いわ、何処をどうすれば崩れないか分かっているみたいね」

 

 

ヤマメ「う~ん、私は建築の要領でやってるからかねぇ」

 

 

阿求「ジェンガと建築…まぁ分かります、工程とか似てますからね」

 

 

美鈴「私は『ここに置けば倒れない』というのが感覚で分かるんですよね」

 

 

華扇「私もです、なんとなくで分かりますね」

 

 

阿求「美鈴さん、ジェンガが気を放っているとでも言うんですか?」

 

 

美鈴「いえ、気というか…感覚なんですよ」

 

 

華扇「そうですね、そうとしか言えないです、しかしジェンガ…中々集中力が鍛えられますね♪」

 

 

阿求「むぅ…」

 

 

ヤマメ「どうしたんだい阿求」

 

 

阿求「公平な勝負にならないじゃないですか…積み重ねられていく毎に難易度が上がっていると言うのに」ブツブツ

 

 

ヤマメ(意外に苦手なんだねぇ、阿求は集中力はあるけど持続はしないタイプなのかな?)

 

 

チルノ「…よっ」ストン

 

 

メディ「へぇ、あんたも中々上手じゃない」

 

 

チルノ「ふっふっふ♪ あたいはやったことがあるからな♪」

 

 

阿求「? 紅魔館でですか?」

 

 

チルノ「いんや? 純狐の家でやったの」

 

 

華扇「純狐…? あぁ、あの神霊の…」

 

 

ヤマメ「幻想郷の新入りさんだね♪」

 

 

阿求「純狐さんの家ジェンガあるんだ…」

 

 

美鈴「長い金髪の方ですよね、紅魔館にもお友だちを二人連れて遊びに来てくれましたね」

 

 

メディ「その純狐ってのはあんたの友達なの?」

 

 

チルノ「そうなんだ、あたいのライバルクラウンピースの友人でさ、前の…クリスマスかな? その時に大ちゃんたちと純狐の家に遊びに行ったの、その時にジェンガを一緒にやったんだぁ♪」

 

 

メディ「ふーん」

 

 

チルノ「あ、でもさ、純狐ってジェンガの事嫌いらしいんだよなぁ」

 

 

メディ「嫌い?」

 

 

チルノ「うん、なんかさ」

 

 

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

純狐『あら、クラウンピース、お友だちと何をしているの?』

 

 

クラウンピース『友人様、これはジェンガって言う外の世界の玩具で』

 

 

純狐『嫦娥ぁ…!?』ピクピク

 

 

クラウンピース『いぃっ!?』

 

 

チルノ『ん? どうしたんだ純狐』

 

 

クラウンピース『ちょっと黙ってて! 友人様! 嫦娥ではなくジェンガです、ジェンガですよ!』

 

 

純狐『じぇ、ジェン…ガ?』

 

 

クラウンピース『そうです、嫦娥(じょうが)ではなくジェンガですよ』

 

 

純狐『あ……そ、そうなのね…! ご、ごめんなさいね…少し取り乱したわ』

 

 

クラウンピース『ほっ…』

 

 

チルノ『なぁなぁ、純狐も一緒にやらないか?』

 

 

純狐『…ごめんなさい、出来ないわ』

 

 

チルノ『え~…』

 

 

純狐『やるだけなら良いのだけど…ジェン…ガ、という言葉を聞きながらやっていると』

 

 

純狐『あのどうしようもない月の女ガエルの顔が目に浮かんできて怒り、見境なく手当たり次第に純化しそうで怖いのよ…』

 

 

チルノ『月? カエル?』

 

 

クラウンピース『チルノは知らなくても良いことなんだよ…友人様を怒らせんじゃないぞ?』

 

 

チルノ『??』

 

 

 

 ホワンホワン

 

 

 

チルノ「って事があったんだ」

 

 

メディ「じょうが…? って誰よ」

 

 

チルノ「知らない」

 

 

美鈴「月のカエル…? どういう事でしょうか」

 

 

ヤマメ「聞いた事ないねぇ」

 

 

華扇(月の民の嫦娥ですね、確か彼女は月では罪人の筈)

 

 

阿求(純狐さんは本当に苦労人ですよね、でも幻想郷には馴染んでいるご様子)

 

 

チルノ「でもさ、面白い事が分かったよな」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「月にもカエルがいるんだ♪ あたいそのカエル絶対に凍らせてやるんだ♪」

 

 

メディ「月に行く機会あるのかしら…」

 

 

阿求「その言葉、純狐さんが聞いたら喜ぶと思いますよ」

 

 

チルノ「お、そうなのか? じゃあ今度聞かせてやろうっと♪」

 

 

美鈴、ヤマメ、メディ「??」

 

 

華扇(…)

 

 

 

 

 

 

 【幻想郷双六】

 

 

 

チルノ「1、2、3っと!」スッ

 

 

 

 東風谷早苗の奇跡! もう一回サイコロを振れる!

 

 

『これが、私の起こす奇跡です!』

 

 

 

チルノ「おぉ! やった♪ 早苗ありがとな~!」

 

 

阿求「ふっ…この双六は本当になんなんですか」

 

 

ヤマメ「ははっ♪ 楽しいじゃないか、マスに止まると誰かが喋ってくれるからねぇ♪」

 

 

華扇「この声…東風谷早苗は嬉々として喋っていますね」

 

 

美鈴「録音してもらったんですかね」

 

 

チルノ「5! …あれ? このマスはなんにも無いのか」

 

 

メディ「じゃあ次は私ね、ほっ!」スッ

 

 

メディ「2ね…1、2っと」スッ

 

 

 

 アリスの運命の赤い糸! 好きな人と同じマスに飛べます!

 

 『魔理沙ぁーー♪』

 

 

 

華扇、美鈴、阿求「!?」

 

 

メディ「流石アリスね♪ 今一番進んでるのはヤマメだから、ヤマメのマスまで行くわ♪」

 

 

ヤマメ「お♪ いらっしゃーい♪」

 

 

華扇「今のは…?」

 

 

阿求「これ絶対に録音してもらったんじゃないですね」

 

 

美鈴「隠れて録音したのかな…」

 

 

阿求「しかも双六の構造的におかしいじゃないですか、こんなに薄っぺらいのに何処から声が聞こえてくるのか不思議でしょうがないです」

 

 

華扇(河童の技術が進歩している様な…)

 

 

ヤマメ「次は私だね、よっ!」スッ

 

 

ヤマメ「4だね、 1、2、3、4!」スッ

 

 

 

 「咲夜の世界」の双六スペルカードを手に入れた! 使うと指定した人を1回休みに出来ます!

 

 『あなたの時間は…もう私だけの時間』

 

 

 

 

ヤマメ「おっ♪ 双六スペルカードゲット♪」

 

 

美鈴(あれ? なんか咲夜さんノリノリで喋ってないかな…)

 

 

阿求「このスペルカードゲットのルールはにとりさんが作ったんでしょうね、遊び心があります」

 

 

華扇「説明書によると…双六スペルカードはランダムでゲット出来る様ですね」

 

 

美鈴「じゃあさっき私が手に入れたカードもランダムだったんですね」

 

 

ヤマメ「早速使っちゃおうかなぁ♪ メディかな? チルノかな?」ニヤニヤ

 

 

チルノ、メディ「や、やめて! やめてよヤマメぇ!」

 

 

ヤマメ「んふふふ♪ ここはやっぱり身内の美鈴に使うべきかねぇ♪ 居眠りの罰としてさ」

 

 

美鈴「い、いやぁ、私の場合時を止められるよりも先にナイフが飛んで来るので…」

 

 

阿求「それ現実での話ですよね」

 

 

華扇「使うのですか?」

 

 

ヤマメ「う~ん…いんや、まだ使わずに持っておくよ、でも後々使うけどねぇ♪」

 

 

阿求「誰かがゴール手前まで行ったら使うんですね、分かりますよ♪」

 

 

ヤマメ「んふふっ、そうしようかなぁ♪」

 

 

華扇(意地悪ですね…)

 

 

美鈴「次は私です、はいっ!」スッ

 

 

美鈴「3…1、2、3…と」スッ

 

 

 

 西行寺幽々子のお食事件!

 

 ミスティア・ローレライ、わかさぎ姫のスペルカードを所持している場合、そのカードはむしゃむしゃされてしまいます!

 

 『いただきま~す♪』

 

 

 

美鈴「えっ? うわっ…!」

 

 

 ブゥン…

 

 

ヤマメ「あ、わかさぎ姫のカードが消えちまったねぇ」

 

 

華扇「このマス、西行寺幽々子に対して悪意があるように思えるのですが…」

 

 

阿求「本人公認だと思いますよ? ミスティアさんの事を味見したことがあるらしいので」

 

 

ヤマメ「味見って…」

 

 

阿求「耳を甘噛みしたと聞きました、鶏肉の味がしたらしいです」

 

 

ヤマメ「えぇ…マジなんだ」

 

 

メディ「てかむしゃむしゃって何なのかしら」

 

 

チルノ「むしゃむしゃはむしゃむしゃだろ?」

 

 

メディ「いや、全く分からないから」

 

 

美鈴「あぁ、わかさぎ姫さんのカードが…」

 

 

華扇「『水路マスに止まっているとき、使用する事で他の水路マスに移動出来る』でしたね」

 

 

美鈴「近道出来ると思ってたんですけど…」

 

 

華扇「ゴールまでの道程は険しいモノです、楽ばかりしていてはいけないということですね」

 

 

阿求「えぇ…双六ぐらい楽して勝ちたいじゃないですか」

 

 

華扇「どんな勝負でも困難を乗り越えてこそです、困難を積み重ねて漸く頂点に立てるのですよ、双六でも同じ事です」

 

 

阿求「でも華扇さんに言われても説得力無いです、だって今ビリじゃないですか」

 

 

華扇「うっ…!」グサッ

 

 

ヤマメ「ふははっ!」

 

 

美鈴「くふふっ…!」

 

 

華扇「い、今は今です! これから逆転するのです!」

 

 

阿求「逆転するには楽するしかないんじゃないですかねぇ?」ニヤニヤ

 

 

華扇「くっ…み、見ていなさい阿求! えいっ!」スッ

 

 

華扇「…! い、1…」

 

 

阿求「サイコロも無慈悲ですねぇ、ゴールは遠いですね♪」ニッコリ

 

 

華扇「な、何か移動するイベントを…」スッ

 

 

 

 八雲紫のスキマに落っこちた! 振り出しに戻されてしまった!

 

 『ゆかりんうっかりてへぺろりん♪ キャッ♪』

 

 

 

華扇「えぇっ!?」

 

 

ヤマメ「ぶははっ! あっははははっ!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「あふふふははっ…!」プルプル

 

 

阿求「くふふっ…! んふふはははっ!」ゲラゲラ

 

 

華扇「な、なん…!? う、うっかり!? うっかりで私はスタート地点に戻されたのですか!?」

 

 

ヤマメ「ねっ…! ぷははっ…! 狙ったかの様にイベントが…! あはははっ!」ゲラゲラ

 

 

美鈴「こ、こんな偶然が…! くふっ、くふふっ…!」

 

 

阿求「あはははっ…! いや、良いですねぇ♪ 持ってますねぇ華扇さん」

 

 

華扇「三人とも笑いすぎです! それとこんな運持っていたくないです!」

 

 

メディ「華扇…ドンマイ…」

 

 

チルノ「ババアのせいだな、うん」

 

 

華扇「…今は慰めないでください」

 

 

阿求「自ら困難に飛び込んで行くとは…サイコロの振り直しですね♪」ニッコリ

 

 

華扇「その笑顔を辞めなさい!」

 

 

阿求「ふふふっ♪ さて次は私、ですっ!」スッ

 

 

阿求「おっ、6♪ 良いですねぇ」スッ

 

 

ヤマメ「イベントはあるかな?」

 

 

阿求「あったらあったで嫌ですね、妨害イベントなら尚更です…5、6っと」スッ

 

 

 

 華扇と一緒に修行した! もう一度サイコロを振りましょう! サイコロの目1、3、5で修行成功! 2、4、6で修行失敗!

 

 『何事も修行です、修行が必要なのです!』

 

 

 

華扇「ほぉ! 中々良いイベントではないですか」

 

 

阿求「はぁ~…」

 

 

華扇「むっ…何ですかため息なんて吐いて」

 

 

阿求「ゲームの中の華扇さんも修行の斡旋ばかりしているんだなぁと思いましてね」

 

 

華扇「良いことではないですか」

 

 

阿求「…もう何も言いません」

 

 

華扇「?」

 

 

メディ「修行失敗するとどうなるのかしら」

 

 

阿求「1回休みとかだと思いますよ」

 

 

華扇「いいですか阿求、私と修行をしているつもりでサイコロを」

 

 

阿求「はいはい」スッ

 

 

華扇「はいは一回でって、あっ!」

 

 

 コロコロ…ことん…

 

 

阿求「…! うわっ…6ですか…」

 

 

ヤマメ「ありゃりゃ、修行失敗だねぇ」

 

 

華扇「『うわっ』とはなんですか! ほら見なさい! 私との修行をイメージしながら振らないからそういうこ」

 

 

阿求「双六の華扇さーん、罰ゲームはなんですかー?」

 

 

華扇「話を聞きなさい阿求ぅ!」

 

 

 

 『この怠け者! 愚か者! 恥を知りなさい! 修行のし直しです!』

 

 三回休み!

 

 

 

阿求「はぁ!? 三!?」

 

 

ヤマメ「あっははははっ!」ゲラゲラ

 

 

阿求「さっ、さんっ…! 三回ですって!? 双六で三回休みなんて聞いた事ないですよ!? しかもなんか華扇さんめちゃくちゃに言って来てますし!」

 

 

美鈴「うわぁ…キツいですね」

 

 

メディ「三回かぁ、これ私たち先にゴール出来そうね、ヤマメ」

 

 

ヤマメ「そうだねぇ、先にゴールしちゃおうかねぇ♪」

 

 

ヤマメ「あれ? 今メイドさんのスペルカードを阿求に使ったら…4回休みになるんじゃないのかい?」ニヤニヤ

 

 

阿求「!? や、やめてくださいよヤマメさん!」

 

 

ヤマメ「おや? やってほしいってフリかい?」

 

 

阿求「フリじゃないです!」

 

 

華扇「ふふっ♪ 阿求?」ニコニコ

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「修行が…足りませんね♪」ニッコリ

 

 

阿求「ぐぬあぁぁぁぁ……!」orz

 

 

ヤマメ「ぐぬあぁって…何処からそんな声出してんだい」

 

 

美鈴「だ、大丈夫ですか? 阿求さん」

 

 

 

 

チルノ「三回休みかぁ…」

 

 

メディ「何?」

 

 

チルノ「あのさぁ、寺子屋ってさ、たまに三日休みの時があるんだ」

 

 

メディ「そうなの?」

 

 

チルノ「うん」

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「…」

 

 

メディ「えっ」

 

 

チルノ「うん?」

 

 

メディ「だからなに?」

 

 

チルノ「別に?」

 

 

メディ「えっ」

 

 

チルノ「えっ?」

 

 

メディ「…」

 

 

チルノ「…?」

 

 

メディ「いや待ちなさい、何で今あんた寺子屋の話したの?」

 

 

チルノ「……分かんない」

 

 

メディ「分かんないの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

藍『いつの間に作ったんですか? 幻想郷双六なんて』

 

 

紫『にとりが作ってみたいって言うから協力してあげたのよ、文も協力してくれたわね♪ ボイスは協力してくれた人と勝手に録音させてもらった人がいるわ』

 

 

紫『華扇たちがやっているのは非売品のベータ版だけど、そのうち完成させて人里で売るんじゃないかしら、それか河童のバザーで売り出すかもしれないわねぇ』

 

 

藍『にとりお金目的なんじゃ、でも』

 

 

藍(なんか欲しいなぁ、幻想郷双六)

 

 

紫『…♪』

 

 

紫(さて、そろそろ雨を上げますか♪)

 

 

 

 

 

 双六勝負では阿求がビリとなった、三回休みが響いたせいで振り出しに戻された華扇にも追い抜かされてしまい、完敗してしまった

 

 その後、華扇の作った魚肉まんで昼食を済ませた。 華扇曰く魚肉まんは会心の出来だったらしく、チルノたちはその美味しさに大満足だった。

 

 

 

 先程の双六勝負に納得がいかなかった阿求は二回目の勝負を要求、華扇たちはそれを受諾する

 

 『華扇さんのイベントが起きなければ負ける事はなかった』勝負の前にそう言い放った阿求だったが

 

 

 

阿求「うわぁぁぁ…また負けたぁ…!」orz

 

 

チルノ「勝ったぞ~♪」

 

 

メディ「やったー♪」

 

 

美鈴「阿求さん、その…双六は運が絡んでますから」

 

 

ヤマメ「阿求…あんたは頑張ったよ、でも運が悪かったんだよ」

 

 

阿求「運!? 私が負けた理由は全部この双六スペルカードのせいですよ!」スッ

 

 

 

 鬼人正邪の双六スペルカード『リバースヒエラルキー』持っているだけで効果あり、サイコロの出た目がひっくり返る、6なら1、5なら2、4なら3になる、1、2、3でもひっくり返る。

 

 

 射命丸文の双六スペルカード『天狗のマクロバースト』持っているだけで効果あり、サイコロの目が4、5、6しか出なくなる

 

 

 

 

阿求「最悪の一言に尽きます! なんですかこの悪質な組み合わせは! どんなに頑張っても最高三マスしか進めないんですよ!?」

 

 

ヤマメ「悪いね阿求、本当に御愁傷様としか言えないよ…双六スペルカードを捨てる事ってルール上、出来ないみたいだからね」

 

 

美鈴「カードを破壊したり取り換えたりする手ならあるみたいなんですけどね…妹様と慧音さん、紫さんと純狐さんと藍さんのカードなら出来る様です」

 

 

ヤマメ「誰もそのカード引かなかったからね」

 

 

華扇「そのカードを手に入れた事も運…進めるイベントが起きなかったのも運なのです」

 

 

阿求「さっきは『困難を積み重ねて漸く頂点に立てるのです』って言っていたのは何処の誰なんですかねぇ!!」

 

 

華扇「困難と実力は違います、運も実力の内と言う言葉は知っているでしょう?」ニッコリ

 

 

阿求「くぅぅ…! く、悔しいっ…!」ギリギリ

 

 

ヤマメ「ははっ…阿求も子供っぽいところがあるじゃないか♪」

 

 

美鈴「あの負け方では納得出来ないですよねぇ…悔しい気持ちは分かります」

 

 

阿求「あぁ…稗田の家に泥を塗ってしまいそう…」

 

 

ヤマメ、美鈴、華扇「そこまで…」

 

 

 

 

チルノ「? あれ?」

 

 

メディ「どうしたのよ」

 

 

 チルノはリビングから庭に出る窓に近付く

 

 

チルノ「…! おぉ! やっぱり!」

 

 

メディ「?」

 

 

チルノ「みんな見て見て! 雨やんでるよ!」

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、メディ、阿求「!」

 

 

 ドタバタドタバタ!

 

 

ヤマメ「おっ! おぉ、本当だ!」

 

 

メディ「はぁ~、やっとやんだのね、これで鉢植えを外に出せるわ♪」

 

 

美鈴「…? 雲が消えるのが早いような…」

 

 

阿求「雲一つ無いじゃないですか、紫さんのこの空間の管理はどうなっているんですかね」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇(八雲紫はどんな理由で雨を降らせたのでしょうか…)

 

 

チルノ「めーりん、今何時だ?」

 

 

美鈴「えっと…今17:30ですね」

 

 

ヤマメ「おや、もうそんな時間なのかい?」

 

 

メディ「日も沈みかけてるもんね」

 

 

阿求「まぁ、何だかんだで双六とジェンガとトランプで楽しく遊んでましたからね」

 

 

華扇「楽しい時間ほど直ぐに過ぎてしまうモノです」

 

 

チルノ「…そっかぁ、今日はみんなで外で遊べなかったなぁ…今日が最後の日なのに…」

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、阿求(! 最後の日…)

 

 

メディ「……」

 

 

チルノ「…」

 

 

メディ「良いじゃない別に、その分家の中でたくさん遊んだじゃない」

 

 

チルノ「そうだけどさ…」

 

 

メディ「…何よ、楽しくなかったの?」

 

 

チルノ「そ、そんなわけないだろう! とっても楽しかったさ!」

 

 

メディ「じゃあそんなしんみりした顔するんじゃな」

 

 

 ギュオン!

 

 

六人「!!」

 

 

紫「はいはい♪ 喧嘩しないの♪」

 

 

チルノ、メディ「ぬぁっ!? ババ…!」スッ

 

 

紫「やめろぉ! と言うわけでスキマ口封じの術~♪」

 

 

チルノ、メディ「っ…! っ!!」モガモガ

 

 

紫「全く…ババア呼びは直さなくて良いけど喧嘩するのはやめなさいって、最後の日に喧嘩してお別れなんて最悪でしょう?」

 

 

チルノ、メディ「! ……」

 

 

美鈴「…紫さん、あの…」

 

 

紫「ふふっ♪ ここに来た理由かしら? はい、これ♪」スッ

 

 

阿求「…? ! これは…!」

 

 

紫「夜になったら素敵なプレゼントしてあげるって言ったじゃない? まぁまだ夜じゃないけど…これは私からの贈り物よ♪」スッ

 

 

華扇「! 花火ですか」

 

 

阿求「……」

 

 

紫「そ、雨もやんだしこれなら遠出しなくても庭で出来るでしょう? 小さな打ち上げ花火から火吹き花火、手持ち花火まであるわよぉ♪ ふふっ♪ 火の不始末だけは注意してね、あ、後これもね、ボタン一つで火が点く優れものよ♪」

 

 

ヤマメ「ははっ、花火か、夏の最後には相応しいじゃないか♪ 素敵な贈り物だよ、紫♪」

 

 

紫「あぁそう言ってくれるのはあなただけよ、ヤマメ」

 

 

美鈴「私もそう思っていますよ?」

 

 

紫「あなたは顔に書いてあるからねぇ♪」

 

 

美鈴(そ、そんなに分かりやすいかな、私って…)

 

 

阿求「…人里の花火には負けますが、中々良いプレゼント…ですね」

 

 

紫「そりゃ花火師には負けるわよ、外の世界の市販のやつなんだからね」

 

 

華扇「あなたはまた勝手に…」

 

 

紫「でもそのお陰で得られる思い出もあるのよ華扇、それに童心に返って遊ぶ事は悪いことでは無いわよ? あっ、双六で楽しく遊んでいたからもうあなた童心に返ってたかしら? ふふっ♪」

 

 

華扇「…余計な事は言わなくて良いんです」

 

 

紫「ふふっ♪ さて…」

 

 

チルノ、メディ「っ!!」モガモガ

 

 

紫「喧嘩しない?」

 

 

チルノ、メディ「!」コクコク

 

 

紫「よろしい、はい解除♪」

 

 

チルノ、メディ「ぷはっ…! ば、ババア!」

 

 

紫「うっわ…! 解除した早々ババアでつれ」

 

 

チルノ「花火、ありがとな!」ニコッ

 

 

メディ「まぁ…お礼は言っておくわ! あ、ありがと、ババア」

 

 

紫「…! …♪」ニコッ

 

 

紫「花火、楽しんでね♪ それじゃ…」スッ

 

 

 ギュオン…

 

 

六人「…」

 

 

ヤマメ「……花火かぁ、ははっ♪ ほらほら、最後に思いっきり楽しもうじゃないかい♪ ね♪」

 

 

メディ「! えぇそうね♪ 私やるの初めてだわ」

 

 

チルノ「おう! よーし! 花火だ花火だー!」

 

 

華扇「ふふっ…♪ 楽しむのは結構ですが、八雲紫が言っていた様に、火の不始末だけは充分に注意するのですよ?」

 

 

チルノ、メディ「はーい♪」

 

 

美鈴「ふふっ…♪ あっ、そうだ、もうこんな時間ですし、先に夕飯を食べてからにしませんか?」

 

 

阿求「そうですね、その方が良いでしょう、お風呂に入る時間もありますからね」

 

 

チルノ「むむ…」ウズウズ

 

 

メディ「花火は逃げないんだから、夕飯食べてからでも遅くはないでしょ?」

 

 

チルノ「そうだな…うん、分かった」

 

 

メディ「あら、素直じゃない」

 

 

チルノ「その方がみんなで遊べるからな! それに今日はもうあたい喧嘩はしたくないんだ」

 

 

メディ「! あっそ♪」ニコッ

 

 

チルノ「そうだよ♪ にしし♪」ニコッ

 

 

華扇、美鈴、ヤマメ、阿求「…♪」

 

 

 

 

 

 

 夏のゆかりんハウスでの最後の思い出作りの為、華扇と美鈴は夕飯の準備を。

 

 阿求、ヤマメ、メディ、チルノは花火で遊ぶための準備をすることになった、紫から渡された河童の技術で作られたであろう銃の形に似た火を点ける機械、そして風呂場に有った桶に水を張った物を庭に用意した。

 

 

 

 そして午後18:30、華扇たちにとってはゆかりんハウスでの最後の夕食になる…だが、華扇たちは特に寂しくなったり悲しくなったりすることはなかった。 

 

 二日目はヤマメがダウンしていたので仕方がなかったが、一日目と同様の食卓風景となった。

 

 華扇が料理の美味しさに目を輝かせ、チルノとメディと阿求が作られた料理一品ずつに感想を言ったり、ヤマメと美鈴がアルコール度数弱めの酒を酌み交わしたりしていた。

 

 そして夜19:00、華扇たち六人、ゆかりんハウスでの最後の思い出

 

 

 

 【稗田阿求と線香花火】

 

 

 

 

チルノ「うん? ネズミ花火?」

 

 

メディ「ネズミ? えっ?」

 

 

阿求「ナズー…いえ、何でもないです」

 

 

美鈴「点火した後地面に置く…点けてみますね」スッ

 

 

 シュボッ…! シュー…!

 

 グルグルグル!

 

 

チルノ、メディ「わぁっ!?」

 

 

ヤマメ「ほほぉ~♪ 回る回る♪」

 

 

華扇「えっちょっ…!? な、何故こっちに来るのですか!? 熱い! あつつっ!」

 

 

阿求「華扇さんは動物大好きですからね♪」ニッコリ

 

 

華扇「これは花火ではないですか! 熱いっ!」

 

 

 グルグルグル! パァンッ!

 

 

チルノ、メディ「わぁっ!?」

 

 

ヤマメ「へぇ、最後爆発しちゃうんだねぇ♪」

 

 

美鈴「なんかこの花火危ないですね、綺麗でしたけど…」

 

 

チルノ「ね、ネズミが爆発しちまった…!」

 

 

メディ「粉々に砕け散ってしまったわ…!」

 

 

阿求「こんなになってしまったのも全部華扇さんが悪いんです…!」

 

 

華扇「……!? はい!?」

 

 

阿求「あなたがネズミを受け入れてあげていればこんなことには…!」

 

 

チルノ「可哀想じゃないかぁ…!」

 

 

メディ「本当に可哀想ね…!」

 

 

華扇「その連携はなんなのですか!? これはただの花火ではないですか!」

 

 

ヤマメ「んははははっ!」

 

 

美鈴「ふふっ…! しかし、ネズミをモチーフにしているとは言えこんなにグルグル回転しますかね?」

 

 

ヤマメ「外の世界の花火も面白いもんだねぇ」

 

 

華扇「私はあまり好きではありませんね、危ないですし、ネズミですし!」

 

 

美鈴、ヤマメ「ネズミですしって…」

 

 

 

 

 

 

チルノ「こうもり花火だって」

 

 

メディ「飛ぶのかしら? あ、打ち上げって書いてあるわね」

 

 

美鈴「こうもり…」

 

 

ヤマメ「美鈴、これ火薬じゃなくてカリスマが詰まっているのかもしれないねぇ♪」

 

 

阿求「レミリアさんが好きそうな花火ですね『私みたいに気高さが感じられるわね♪』とか言いそうです」

 

 

美鈴「お嬢様なら…はい、言いそうですね…」

 

 

阿求「ふふっ…♪」

 

 

ヤマメ「んっふははははっ!」

 

 

チルノ「レミリアみたいな花火なのか! なら綺麗な花火なんだろうなぁ」

 

 

メディ「ね、赤い花火なのかもしれないわね」

 

 

美鈴(メディさんとチルノさんは悪気があって言っている訳じゃない…そう聞こえてしまうのはお嬢様がよくいじられているところを見てしまっているからだ…特に魔理沙さんと紫さんに)

 

 

華扇「では、点火しますよ」スッ

 

 

 シュボッ…! ヒュゥ~~~…! 

 

 

チルノ「おぉ~♪ 打ち上がっ」

 

 

 

 パン…!

 

 

 

チルノ「えっ」

 

 

メディ「え」

 

 

華扇、ヤマメ、阿求、美鈴「……」

 

 

六人「……」

 

 

メディ「地味ね」

 

 

華扇「打ち上がったので綺麗な火の花が咲くと思っていたのですが」

 

 

美鈴「ふ、不発しちゃったんじゃ…」

 

 

チルノ「なんだよお嬢! もうちょっと頑張れよー!」

 

 

阿求「ふふっ…! ふふふふっ…!」プルプル

 

 

ヤマメ「ははははっ…!」

 

 

美鈴「チルノさん、それはお嬢様ではなくて」

 

 

チルノ「カリスマって良く分からないけどすげぇんだろう!? お嬢ー!」

 

 

美鈴「やめてあげてくださいチルノさーん!」

 

 

 

 

 

メディ「ドラゴン花火?」

 

 

チルノ「どっ…! ドラゴン…♪」キラキラ

 

 

美鈴(ドラゴン、か…ふふっ♪)

 

 

華扇「これも置いて点火するのですね、では」スッ

 

 

 シュッ! ジュワー…!

 

 

チルノ「おっ! おぉ~♪」キラキラ

 

 

メディ「ふふっ、綺麗ね♪」

 

 

華扇「噴水の様ですね、綺麗…」

 

 

ヤマメ「へぇ…♪ 中々綺麗じゃないかい♪」

 

 

美鈴「ドラゴン、やはり名前からして外れでは無かったですね♪」

 

 

チルノ「レミリアは外れだったけどな…」ゲンナリ

 

 

美鈴「それは言わないでくださーい!」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求(綺麗ね…)

 

 

 

 

 

華扇「ロケット花火ですか、人里の花火師が使う物を小型化したような花火ですね」

 

 

美鈴(ロケットかぁ…前にパチュリー様がお嬢様たちを月に行かせる為に作ってましたねぇ、懐かしい)

 

 

チルノ「これが飛ぶのか?」

 

 

メディ「違うでしょ、中に入ってる花火が飛んでいくのよ」

 

 

チルノ「あたいの知ってるロケットとは違う気がする」

 

 

ヤマメ「まぁロケット『花火』だからねぇ♪」

 

 

華扇「では、点火!」スッ

 

 

 シュボッ…! ヒュゥ~~…!!

 

 

 パァン…! パチパチパチパチ…!

 

 

チルノ、ヤマメ、華扇、美鈴「おぉ~…!」

 

 

メディ「綺麗ね! これはちゃんとしてるじゃない♪」

 

 

チルノ「だな! お嬢花火とは全然違うぞ!」

 

 

メディ「お嬢花火って…」

 

 

ヤマメ「ふふふふっ…!」

 

 

美鈴(お、お嬢様の耳にこうもり花火の名前を入れるのだけはなんとしても阻止しなければ…!)

 

 

阿求「…」

 

 

阿求(綺麗ね、本当に…)

 

 

 

 

 

 

 シューー…!! シュボッ…!

 

 

美鈴「花火と言ったらこの手持ち花火ですよね♪」

 

 

ヤマメ「王道だけど良いもんだよねぇ♪」

 

 

阿求「……」

 

 

チルノ「な! これ人里にも売ってるぞ」

 

 

メディ「そうなの?」

 

 

チルノ「うん、寺子屋のみんなで花火大会するときはこれで遊ぶんだ♪」

 

 

メディ「ふーん…」

 

 

華扇「おや? そういえばメディは人里の寺子屋には通っていないのですか?」

 

 

メディ「うん、通う必要が無いんだもん、私には幽香とスーさんが居るしお花たちもいるからね」

 

 

華扇「通いたいとは?」

 

 

メディ「う~ん…思わないわね」

 

 

チルノ「でも楽しいぞ? みんなで色んな事して遊ぶんだ、メディも一緒にどう?」

 

 

メディ「! ……まぁ、その…」

 

 

メディ「機会があったら…人里に行く機会があれば…見に行こうかなとは思うわね」

 

 

チルノ「!」

 

 

メディ「あんたの友達にも…ちょっと興味あるし」

 

 

チルノ「そっかそっか♪ じゃあ来たくなったらいつでも来てくれよ? 大ちゃんとルーミアたちみんなメディの事を歓迎してくれるからな♪」

 

 

ヤマメ「だったら、チルノがメディの事を皆に話しておかないとね♪ 新しい友達が出来たってさ」

 

 

チルノ「うん、そうするよ」

 

 

メディ「…♪」ニコッ

 

 

メディ「誘ってくれてありがと、チルノ」

 

 

チルノ「! おう!」

 

 

メディ「♪」

 

 

スーさん「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

ヤマメ「やっぱこいつが最後になっちまうんだねぇ」

 

 

美鈴「線香花火、ですね」

 

 

チルノ「これは最後にやるのが定番、って慧音が言ってた」

 

 

メディ「定番って、誰が決めたのかしら」

 

 

ヤマメ「でもさ、花火とかやってると不思議とこいつが最後まで残っちまうんだよね」

 

 

美鈴「あぁ分かります、何故か残ってしまうんですよね」

 

 

メディ「小さいからかしら」

 

 

チルノ「パチパチしてるからじゃないか?」

 

 

メディ「他の花火だってパチパチしてるものあるじゃない」

 

 

チルノ「…あれ?」

 

 

メディ「…結局分からないのね」

 

 

チルノ「分からなくてもあたいはバカじゃないよ?」

 

 

メディ「分かってるわよ!」

 

 

ヤマメ「ふふっ、じゃあやろうかい?」

 

 

美鈴「はい♪ では、皆さん一本ずつ持ってくださいね」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…? 阿求?」

 

 

阿求「…! は、はい?」

 

 

華扇「大丈夫ですか? 先程から難しい顔をしていたようですが」

 

 

阿求「……花火に、見とれていただけです」

 

 

華扇「…」

 

 

ヤマメ「ほい、阿求と華扇の分だよ」スッ

 

 

阿求「どうも…」

 

 

華扇「…ありがとうございます」

 

 

 

 

美鈴「それでは、全員一緒に点火しましょう」

 

 

チルノ「うん! ! なぁ、誰が一番火の玉を落とさないでいられるか勝負しないか?」

 

 

メディ「何それ」

 

 

ヤマメ「これもね? 定番の線香花火の遊びなのさ」

 

 

メディ「そんな遊びがあるのね♪ 良いわ、やってみる♪」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…」

 

 

チルノ「よ~し…! 点火ぁ!」スッ

 

 

 

 シュウゥ… パチパチパチ…!

 

 

 

ヤマメ「この小さな火の玉が良いんだよねぇ♪」

 

 

メディ「! へぇ…♪ なんかお花みたいで可愛いわね」

 

 

チルノ「可愛さに油断するなメディ…! 落ちちゃうぞ…!」

 

 

メディ「こんなの揺らさなきゃ平気でしょ」

 

 

美鈴「どうでしょう、気を抜くと…」

 

 

阿求「…!」スッ

 

 

 ポトッ…

 

 

チルノ、メディ、ヤマメ、美鈴「あ」

 

 

華扇「…」

 

 

メディ「阿求の落ちちゃったわね」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求(いつもそうだ…)

 

 

阿求「……ふふっ…私の負けですね」

 

 

チルノ「おぉ…ドンマイ、阿求」

 

 

阿求「良いんです、気にしてないですよ」ニコッ

 

 

華扇「…」

 

 

 

 線香花火勝負は気を使う事でバランスを保てていたのか美鈴の勝利に終わった。

 

 チルノは悔しがっていたが花火をするのが初めてのメディには勝敗よりも、線香花火に火が灯っているのをずっと見ていたいと思う程、線香花火が好きになっていた。

 

 ゆかりんハウスでの花火大会はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 

ヤマメ「終わったねぇ…♪」

 

 

メディ「うん、花火とっても楽しかったわ」

 

 

美鈴「そうですね、こんなに楽しめたのは偏に、皆さんで花火をやったことに尽きるのではないでしょうか」

 

 

メディ「! そうなのかもね、花火って一人でやるものじゃなさそうだものね」

 

 

ヤマメ「そう言う事、みんなでやったから楽しいんだ、花火ってのはそんなもんさね♪」

 

 

チルノ「うん、そうだな♪ そうなんだよな♪」

 

 

メディ「ふっ、何で二回も言うのよ」

 

 

チルノ「大切な事だからだよメディ、幻想郷に帰って今度やるときは寺子屋のみんなでやろうな♪」

 

 

チルノ「約束だぞ♪ メディ」スッ

 

 

メディ「! ふふんっ…! しょうがないわねぇ…♪」

 

 

メディ「約束よ、チルノ」スッ

 

 

 チルノとメディは互いの小指を合わせた

 

 

チルノ「にしし♪」ニカッ

 

 

メディ「ふふっ♪」ニコッ

 

 

ヤマメ、美鈴「…♪」ニコッ

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…」

 

 

ヤマメ「よーし♪ そんじゃあ片付けたら風呂入りに行こうかぁ♪」

 

 

チルノ、メディ「おー!」

 

 

美鈴「それでは片付けは私たちがやります、チルノさんとメディさんは全員分の着替えを取りに行ってもらえますか?」

 

 

チルノ「おう、良いぞ♪」

 

 

メディ「任しといて♪」

 

 

 ドタバタドタバタ…!

 

 

美鈴「それじゃあ私たちも行きましょうか」

 

 

ヤマメ「はいよ~♪」

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「待ってください」

 

 

美鈴、ヤマメ「?」

 

 

阿求「…?」

 

 

華扇「美鈴、ヤマメ…阿求と二人だけで話しがしたいので先に戻っていただけますか?」

 

 

阿求「…!」

 

 

美鈴「えっ? あぁはい…構いませんけど」

 

 

ヤマメ「遅くならないようにね」

 

 

華扇「えぇ、直ぐに戻りますので」

 

 

 

 

 

美鈴「華扇さん、どうしたんでしょうね」

 

 

ヤマメ「思う所があったんじゃないのかい?」

 

 

美鈴「…阿求さん、ですか?」

 

 

ヤマメ「おや、気付いてたのかい?」

 

 

美鈴「はい、一緒に花火をしたことは楽しんでいた…これは間違いないと思います」

 

 

美鈴「でも阿求さん、時折悲しい表情をしていましたので」

 

 

ヤマメ「…花火に嫌な思い出でもあるのかねぇ」

 

 

美鈴「それは、分かりません…」

 

 

ヤマメ「…華扇が何とかしてくれそうだね」

 

 

美鈴「…そうですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿求「話ってなんですか? 華扇さん」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「はぁ、なんですか? お説教なら幻想郷に帰ってか…!」

 

 

華扇「…」スッ

 

 

 華扇は懐から二本、線香花火を取り出す

 

 

阿求「……何で持ってるんですか」

 

 

華扇「私は仙人ですからね、何でも出来るんです」

 

 

阿求「それで?」

 

 

華扇「今から私と先程やった線香花火勝負をしましょう」

 

 

阿求「…! 何故です?」

 

 

華扇「良いからやりますよ」

 

 

阿求「……良いですけど、私が負け」

 

 

華扇「いいえ」

 

 

阿求「…?」

 

 

華扇「あなたが勝ちます」

 

 

阿求「……」

 

 

 

 華扇は弾幕を出すのと同じ要領で手のひらに小さな火を灯す

 

 

阿求「…」スッ

 

 

華扇「…」スッ

 

 

 二人は線香花火に火を点けた

 

 

 パチパチパチ…!

 

 

阿求、華扇「…」

 

 

阿求「華扇さん」

 

 

華扇「はい?」

 

 

阿求「私、線香花火が好きじゃないんですよ」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「……」

 

 

阿求「昔から線香花火を点けて遊んでも直ぐに消えちゃうんです、私のだけ直ぐに…小鈴や霊夢さんたちと花火で遊んで線香花火をやると私だけ最初に落ちるんです、何度やっても…何度やってもです」

 

 

阿求「そういう線香花火を見ていると思うんですよね『あぁ、なんか私と線香花火って似ているな』って、線香花火をしたことは覚えていても何回やって誰が勝ったのかなんて事細かく覚えないじゃないですか」

 

 

阿求「直ぐに記憶からも消えるどうでもいい火の玉、命の灯火…儚い時間と命…どうしても自分と重ねてしまうんです、稗田の者は転生の影響から皆短命ですからね」

 

 

阿求「……本当は線香花火勝負なんてしたくなかった、でも楽しそうなチルノさんたちの顔を見ていたら断れなかったんです、そんな残酷な事は出来なかった」

 

 

阿求「線香花火は一瞬で消える…こんな一瞬の出来事を例え線香花火をしたことは覚えていても何時、何処で、誰となんて百年、二百年先、覚えていると言えますか?」

 

 

阿求「華扇さん、こうして勝負しているのも本当は」

 

 

華扇「あなたは」

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「線香花火の事を知らなさすぎます」スッ

 

 

阿求「…? 何を…」

 

 

 

 華扇は線香花火を持っていない自分の左手を、阿求の線香花火を持っている右手を握って少し傾けさせた

 

 

 

華扇「そして自分自身、あなた自身の事も」

 

 

阿求「…!」

 

 

華扇「線香花火はこの様に傾けると、こよりと火の玉の接着面積が大きくなって落ちにくくなります」

 

 

華扇「そして、あなたが持っている線香花火の火薬の上の部分をねじって硬くしておきました、これだけやればかなり落ちにくくなります」

 

 

阿求「そ、そんなことをしても」

 

 

華扇「無いと思いますか? なら勝負を見届けましょう」

 

 

阿求「…! …」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「…」

 

 

華扇「…」

 

 

 

 

 

 ポトッ……!

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「……ほら」

 

 

 

 シュウゥ…

 

 

華扇「あなたの勝ちですよ、阿求」

 

 

阿求「…!」

 

 

阿求「私が…勝った…?」

 

 

 

 ポトッ……! と小さな音を立てて阿求の線香花火の火の玉も落ちた

 

 

 

華扇「こうやって手を添えて、支えてあげれば儚い命も少しは長く生き永らえる事が出来るのです」

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「短い命だからと他者と距離を起き、一人で孤立すればするほど寿命はより短くなります」

 

 

華扇「あなたが転生の件で短命だということは知っています、あなたの先祖であり、あなた自身でもある稗田阿礼から続く秘術…死んだ後は次の転生が成るまで百年程閻魔の元で働く事、そして」

 

 

華扇「転生してこの世に戻って来たときに受け継ぐ記憶は余り鮮明ではないことも」

 

 

阿求「…!」

 

 

華扇「だからあなたは無意識に人を遠ざける癖がある、転生してしまうと今まで築き上げてきた人間関係がリセットされてしまうから、それがどんなに辛い事か…孤独と恐怖がいつも付いて回る」

 

 

阿求「そ、それはいつもの事でもう慣れています! 私は…!」

 

 

阿求「私は……」

 

 

阿求「…」

 

 

華扇「大丈夫ですよ」

 

 

阿求「!」

 

 

華扇「あなたはここで過ごした三日間をとても楽しかったと思っている、それはあなたに忘れたくない思い出の一つとして蓄積されている」

 

 

華扇「あなたが本当に恐れているのは自分が覚えている大切な思い出を転生後に他人と共有出来ない事ではないのですか?」

 

 

阿求「!!」

 

 

華扇「阿求、良く聞きなさい」

 

 

華扇「私たちはずっと覚えている、ここで作った思い出を私たちはずっと忘れない」

 

 

華扇「私は仙人、美鈴とヤマメは妖怪、メディは付喪神、チルノは妖精ですが友情を何より大切にする子です、楽しかった思い出を忘れる等といった事はしない、私たちは何百何千年と幻想郷があり続ける限り生きて行くでしょう」

 

 

華扇「阿求、あなたが次に転生し、この世にまた戻って来たときはここでの出来事を一緒に語らいましょう、チルノたちはあなたの事情は知らないけれど、知ればきっと力になってくれるますから」

 

 

華扇「あなたが忘れてしまったとしても、私たちは忘れない…ずっと覚えていますから」

 

 

阿求「…! ……」スッ

 

 

 

 阿求は顔を伏せ、体を小刻みに揺らしている

 

 

 

阿求「……」

 

 

華扇「…」

 

 

阿求「なん…ですか…」

 

 

華扇「…!」

 

 

阿求「うぅ…グスッ…! なんです…か…! もうっ…! グスッ!」ポロポロ

 

 

華扇「阿求…」

 

 

阿求「お説教…かと思ったら…! 線香花火で…! 勝負して…! グスッ…! 私が…初めて勝って…」ポロポロ

 

 

華扇「その思い出は私とあなただけの物になりましたね」ニコッ

 

 

阿求「ふふっ…♪ グスッ…! な、なんですか…? 最後には安心して転生しても大丈夫…グスッ…! って言うんですか…?」

 

 

 阿求は涙を流しながら微笑み、華扇に問い掛ける

 

 

華扇「ふふっ…♪ 平たく言ってしまえばそうかも知れませんね」

 

 

華扇「ですが、私はあなたに少しでも長生きしてほしいと思っていますよ、阿求」

 

 

阿求「…! はぁ…ふふっ…♪ グスッ…!」ポロポロ

 

 

阿求「しょうがない…ですね…本当に…♪」ポロポロ

 

 

阿求「してやりますか…♪ ふふっ、少しでも…! 長生きをね…!」

 

 

阿求、華扇「……」

 

 

阿求、華扇「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫『…』

 

 

藍『あぁ…グスッ…』

 

 

紫『あらあら、何を泣いてるのかしら♪』

 

 

藍『も、貰い泣きですよ…! はぁっ…んんっ…』

 

 

紫『…』

 

 

紫『阿求…』

 

 

紫『私たちも忘れないわよ、あなたの大切な思い出は私たちが受け継いで次のあなたに伝えて行く…それが』

 

 

紫『私たちが出来る幻想郷の記録係であるあなたへの精一杯の感謝の気持ちなのよ♪』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 華扇と阿求が庭からゆかりんハウスのリビングに戻るとヤマメたち四人が出迎えてくれた。

 

 チルノとメディは二人が喧嘩か何かしているのではないかと心配していたが戻ってきた阿求と華扇の顔を見てホッとした様子、二人が笑顔で戻ってきてくれたからだろう。 

 

 チルノが阿求の目の辺りが赤くなっていることに気付いてしまい阿求は少しあたふたしてしまったが

 

 

 ヤマメと美鈴はチルノとメディ程心配はしていなかった、華扇なら元気の無い阿求をどうにかしてくれると信じていたからだ。

 

 

 

 そして最後のお風呂。

 

 一日中遊んでいたからか、温泉にゆったりと浸かり疲れを癒す華扇たち…温泉の気持ちよさに六人全員がトロンとしたスライム顔になっていた。

 

 一日目はこんなことが、二日目にはあんなことがあった、と話に花が咲いたお風呂タイムとなった

 

 

 

 お風呂から上がり、リビングに集まっていた華扇たち、そこに紫が現れて華扇たちに問い掛ける。

 

 幻想郷に帰る時が来た

 

 

 

 

 【リビング、21:30】

 

 

紫「どうだったかしら? ゆかりんハウスでの三日間は」

 

 

チルノ「あたいはとっても楽しかったぞ! 夏で暑かったけど木のところに行ったり、釣りしたりしてさ、皆と一緒で本当に楽しかった! あたいはここ好きだぞ♪」

 

 

メディ「私は…そうね…初めての経験が多かったわ、一つの家でこんなに大勢で過ごした事なんてなかったし、釣りも花火もしたことなかった、ここに来なかったらずっとやらなかったでしょうね、だから…ここに来れて、皆と遊べて楽しかったわ♪ ね? スーさん♪」

 

 

スーさん「~♪」キャッキャッ

 

 

ヤマメ「普段地底からあんまり出ないからさ、最初は夏の暑さに参っちまってロクに生活なんて出来ないと思ってたけどやっぱり何事も経験だねぇ、住めばどこも都になり得るもんだね♪ それも偏にこの面子だったからかもしれないねぇ♪ それにコーヒーの事は忘れられない思い出になったよ♪ あっはっは♪」

 

 

美鈴「紅魔館の門と館の中しか出入りしないので、ここに来て貴重な体験が出来たと思います、楽しかった思い出が多く出来たことはもちろんなんですが、普段話さない皆さんと会話をすることで色々と考えさせられました…自分の成長にも繋がった夏になりましたね」

 

 

阿求「最初は仕事から解放されて羽を伸ばすつもりでここで生活しようと思ってました、でも思っていた以上に刺激が多くて本当に休める機会が温泉の中だけでしたね……でもその刺激一つ一つが今となっては良い思い出となったのは確かです、そして受けてきた刺激が心地よいとも…忘れられない三日間になりましたよ、ここに来れて本当に良かったと思ってます」

 

 

華扇「皆さんとは知っていたつもりでもお互いに腹を割って話し合える仲になれたと思います、そしてどんなに小さな内容の会話でも、一つ一つが私の思い出に強く残っています…美鈴や阿求と同じ様に、私もこの三日間で良い刺激を受け、その刺激が私を成長させてくれたと思います…ここで三日間生活出来て良かった、と心から言えますね」

 

 

紫「……ふふっ♪ そう…♪」ニコッ

 

 

紫「そう言ってもらえると私も嬉しいわ、このゆかりんハウスの管理人として、何も言うことは無いぐらいにね」

 

 

ヤマメ「ふふっ、管理人さんも安心したろう? この面子でさ」

 

 

紫「本当にね♪ あなたたちなら何も心配いらないものね」

 

 

阿求「本当にランダムで選んだのかと疑うくらいですよ?」

 

 

紫「それは本当に運よ♪ ここに呼ばれたのも、そしてこのメンバーだったのも全ては運…運命の悪戯かもね…♪」

 

 

華扇「では皆運が良かったと言えるのでしょう」

 

 

紫「そうかもねぇ~♪」

 

 

チルノ「きっとそうだと思うぞ♪」

 

 

美鈴「私もそう思いますよ」

 

 

メディ「えぇ、きっとそうよ♪」

 

 

紫「! ふふっ…あなたたちがそう思ってくれているならそれで結構よ♪」

 

 

メディ「…あっ、ねぇ…ババア」

 

 

紫「あら、なぁに?」

 

 

メディ「あのさ、ここのガーデニングの花たちの事なんだけど」

 

 

紫「それは心配いらないわ、あなたとそのお友達が作った大切な物だものね、それにあれはもうこのゆかりんハウスの一部となったのよ? 安心なさいな、あなたが帰ったら私が責任もって育てていくからね」

 

 

メディ「! うん! ありがとババア!」ニコッ

 

 

紫「ふふっ…♪」

 

 

華扇、阿求、ヤマメ、美鈴「…」

 

 

華扇「ババア呼びに反応しないですね」ヒソヒソ

 

 

美鈴「きっと空気を読んでいるのでしょうね」ヒソヒソ

 

 

阿求「紫さんも一応大人ですからね」ヒソヒソ

 

 

ヤマメ「流石、幻想郷とゆかりんハウスの管理人さんだねぇ♪」ヒソヒソ

 

 

チルノ「ババア!」

 

 

紫「うん?」

 

 

チルノ「あたい本当に楽しかったんだからな! 本当だぞ!」

 

 

紫「ん~? そんなの分かってるわよ?」

 

 

チルノ「言葉で言うのは難しいからな! 本当に…本当なんだからな!」

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

紫「伝わってるわよ、チルノ♪」

 

 

チルノ「! おうそうか! なら良いんだ♪」

 

 

紫「ふふっ♪」

 

 

チルノ「にしし♪」ニカッ

 

 

華扇、ヤマメ、阿求、美鈴「…♪」ニコッ

 

 

メディ、スーさん「~♪」ニコニコ

 

 

 

 

 

 

紫「さて、そろそろ眠りなさいな、明日は三日前に自分が居た場所で目が覚めるわ、何事も無かったかの様にね」

 

 

紫「でもここで過ごした三日間は現実…夢でも幻でもない、全てはあなたたちの心の中に…♪」

 

 

紫「幻想郷に帰ったら自分の身近な者たちにここでの思い出を語らうのも良いでしょう」

 

 

紫「ここではお別れになるけどあなたたちは会おうと思えば直ぐに幻想郷でまた会える」

 

 

 

紫「華扇、ヤマメ、メディスン、チルノ、美鈴、阿求」

 

 

 

紫「三日間、お疲れ様…♪」スッ

 

 

 

 ギュオン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ】

 

 

藍「無事に三日間終わりましたね、ふふっ…♪ 遊び疲れて皆グッスリ寝ちゃってますね」

 

 

紫「そうねぇ♪ あ、ねぇ藍はどう思ったの?」

 

 

藍「何をですか?」

 

 

紫「三日間通して見た上で、新たな娯楽にゆかりんハウスが追加された事に関してよ」

 

 

藍「…! そうですね…」

 

 

藍「まぁ…最初はいきなり知らないところで目が覚める訳ですから混乱して戸惑う事の方が多いと思います、けどその戸惑いを打ち消す様にたくさんの思い出があの空間で作られて行く…なので私はこう思います」

 

 

藍「不思議な魅力がある場所だと思いますね、ゆかりんハウスって」

 

 

紫「ふふっ♪ 嬉しい事言ってくれるじゃない♪」

 

 

藍「伊達に紫様が一週間掛けて作って無いですよね」

 

 

紫「それはあなたがゆかりんハウスを最初に見たときに思った事でしょう?」

 

 

藍「改めてそう思ったんです」

 

 

紫「あの八雲紫が一週間…良い響きよねぇ♪」

 

 

藍「自分で言わないでくださいよ、…ふふっ」ニコッ

 

 

紫「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「人選は本当に運、誰が誰とあの空間で過ごすのかなんて私にも未知数…私の考えも及ばない人選になる事だってあるけど」

 

 

紫「私の愛した住人たちに少しでも楽しい思い出を、そして新しい出会いを…」

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

紫「次はそうねぇ、冬にやろうかしらねぇ♪ さてさて次は誰が選ばれるのやら」

 

 

紫「……」チラッ

 

 

【茨木 華扇】

【メディスン・メランコリー】

【黒谷 ヤマメ】

【チルノ】

【稗田 阿求】

【紅 美鈴】

 

 

紫「う~んどう言えば良いのかしら…私的に言えばこんな感じかしら?」

 

 

紫「…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「三日間お疲れ様♪ そしてお帰りなさい、私の愛した幻想郷へ♪」

 

 

 

 

 

 おしまい…!

 

 

 






 お疲れ様でした、読んでいただいて本当にありがとうございました♪



 阿求の転生についての話をし始めると話がどうしても重くなってしまうため、華扇と二人きりにすることで話を作りました、チルノたち他の四人は『阿求が転生する、30歳ぐらいまでしか生きられない』という事を知らないのでこの様な形になりました。


 次回は後日談になります。



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幻想へのただいま! PART1


 こちらは『ゆかりんハウスシリーズ』の『選ばれし六人 PART1~夏の夢の終わりに』までのお話のオマケのお話になります、先にそちらを読んでいただければと思います。


 後日談になります、華扇たちが幻想郷に帰って来てからのお話です、幻想郷から三日間離れていた事での変化や思い出話を友人たちとする物語です、短編集みたいになってます。


 今回ゆかりんハウスで過ごした六人は友人の関係となっているので今後の物語で何かしらの絡みがある場合は関係性は持続します。

 ゆかりんハウス以来だね♪ とか言う形になると思います。




 それでは始まります♪




 

 

 【茨木華扇の屋敷】

 

 

茨木華扇「スー…スー…」zzZ

 

 

華扇「…」zzZ

 

 

華扇「…んむぅ……んんっ…」

 

 

華扇「……」パチッ

 

 

 華扇は目を覚ます、見覚えのある天井だ

 

 

華扇「ここは……」

 

 

華扇「…ふあぁ……あふぅ…」

 

 

華扇「……そうか…」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇「……」スクッ

 

 

 

 華扇は布団から起き上がると自分の寝室にある丸窓に手を伸ばし、開け放つ

 

 

華扇「はぁ…良い天気ですね…」

 

 

華扇「……戻って来たのね、ここは私の屋敷でいつもの風景」

 

 

華扇「あれは…」

 

 

華扇「……」

 

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

 

チルノ『メディ! それはあたいのお肉だぞ!』

 

 

メディスン・メランコリー『取ってないわよ! あんたの数え間違いでしょ!』

 

 

紅美鈴『あの、足りなければ私の分差し上げますから』

 

 

黒谷ヤマメ『チルノは食いしん坊だねぇ♪ あっはっは♪』

 

 

稗田阿求『食いしん坊なら他にもいますよねぇ♪ 華扇さん?』

 

 

華扇『何故私に聞くのです? ワザとですね!? そうでしょう阿求!?』

 

 

 

 ホワンホワン…

 

 

 

華扇「ふふっ…♪ えぇ大丈夫」

 

 

華扇「ちゃんと覚えていますから…これからもずっと」

 

 

華扇「…」

 

 

華扇(これからいつもの日常に戻っていく、イレギュラーな事が起ころうともこれは変わらない…これは阿求たちも同じこと、でも)

 

 

華扇(あの三日間は私達にとって特別だった、これは紛れもない事実)

 

 

華扇(…)

 

 

華扇「あの日常に戻りたい、あの時間が永遠に続けば良いのに…そう思う事もあるでしょう、ですが私たちは前に進まなければならない」

 

 

華扇「得た思い出が深く、多いと前に進むのに苦労しますね…♪ ふふっ…♪」

 

 

華扇「……♪」ニコッ

 

 

華扇「さて、先ずは守矢神社に行くとしますか♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【門番さんお仕事再開! …の前に】

 

 

 《レミリアの自室》

 

 

 

レミリア・スカーレット「……」トントン

 

 

美鈴「…」

 

 

フランドール・スカーレット「…」

 

 

十六夜咲夜「…」

 

 

小悪魔(こあ)「…」

 

 

パチュリー・ノーレッジ「…」

 

 

レミリア「…」トントン

 

 

パチェ「レミィ、貧乏揺すりばっかりしていると幸せが逃げ」

 

 

レミリア「……」トントントントン

 

 

パチェ、咲夜、こあ(貧乏揺すりが早くなった…)

 

 

レミリア「……美鈴」

 

 

美鈴「は、はい…!?」

 

 

レミリア「私はね? 怒ってるんじゃないのよ、分かる? 怒ってるんじゃないの」

 

 

美鈴「はい…」

 

 

レミリア「怒ってるんじゃないのよ? そう、全然怒ってるんじゃないのよ」

 

 

フラン「何で怒ってないのに四回も言うのかな?」

 

 

咲夜「そ、それは」

 

 

レミリア「フラァン!!」クワッ

 

 

フラン、咲夜「!」ビクッ

 

 

レミリア「今私は大事な話をしているの、静かにしていなさい」

 

 

フラン「……はぁーい…」

 

 

咲夜(えぇと…何と言えば……)

 

 

レミリア「美鈴」

 

 

美鈴「はい…」

 

 

レミリア「怒ってるんじゃないのよ、分かるでしょ?」

 

 

美鈴「…はい」

 

 

レミリア「あら、分かってくれてるの? とっても嬉しいわ♪」

 

 

美鈴「はい…」

 

 

レミリア「じゃあ私が今どんな思いでいるかを怒り以外の感情で例えて簡単に説明してみてくれる?」

 

 

美鈴「そ、それは…! その…」

 

 

レミリア「…」

 

 

美鈴「え、えぇと…」

 

 

レミリア「…」

 

 

美鈴「…」

 

 

レミリア「…」

 

 

美鈴「…」

 

 

フラン、咲夜、こあ「…」

 

 

 

 

 

パチェ「美鈴の事が羨ましいんでしょう?」

 

 

レミリア「えぇそうよその通りよぉ!!」バァン

 

 

美鈴「えぇ!?」ビクッ

 

 

レミリア「何っ!? なんなの!? ゆかりんハウス!? えぇっ!!」バンバン

 

 

レミリア「めっっっっっちゃ楽しそうじゃないのよ! 大草原!? 大きな木の下でのんびり睡眠!? 釣り!? 温泉!? 挙げ句の果てには花火ですって!?」バンバン

 

 

レミリア「何なのよその素敵空間は!? しかも普段話さない様な奴等とルームシェアですって!? なんっ…!! なんて羨まっ…! うおあぁぁぁぁ!!」バンバン

 

 

美鈴「いや…あの…お、お嬢様…?」

 

 

パチェ「机バンバン叩くのやめなさい、壊れちゃうわよ?」

 

 

レミリア「うっしゃい! パチェも黙ってなさい!」

 

 

フラン「ぷぷっ…! お姉さま今噛んだよね?」ヒソヒソ

 

 

咲夜「ふっ…! 『うっしゃい!』と仰られましたね」ヒソヒソ

 

 

こあ、パチェ「ふふっ…!」プルプル

 

 

レミリア「なぁにが可笑しいのよあなたたちぃ!!」クワッ

 

 

レミリア「そういえばパチェ! あなた知ってたのよね!?」

 

 

パチェ「えぇ、八雲紫が知らせてくれたからね」

 

 

レミリア「普通そういうのって主である私に伝えるもんなんじゃないの!? ねぇ!?」

 

 

パチェ「あなたに話したら『私も行きたい!』ってあなた絶対言うじゃない」

 

 

レミリア「当たり前じゃない!」

 

 

フラン「でもスキマのお姉さんが言うにはランダムなんでしょ?」

 

 

咲夜「パチュリー様が紫に説明された通りなら…はい」

 

 

レミリア「何よフラァン! 私が行こうと思っちゃいけないの!?」

 

 

フラン「いけないなんて言ってないでしょ!」

 

 

こあ「ランダム…と言う事は運なんですか? 美鈴さん」

 

 

美鈴「そうらしいです、紫さんが説明してくれましたから」

 

 

パチェ「スロットで選んだとか言ってたけど何のことやらだわ」

 

 

咲夜「外の世界の機械ですよね」

 

 

フラン「へー♪ じゃあお姉さまは運に見放されちゃったんだね♪ 運命運命言ってるのにさ」

 

 

レミリア「 」ピシッ

 

 

こあ、パチェ、美鈴「あっ…」

 

 

咲夜「妹様、それトドメです」

 

 

フラン「ほぇ?」

 

 

レミリア「……ふっ、ふふっ…ふふふふふ…!」プルプル

 

 

こあ、美鈴「ひえっ…!?」ビクッ

 

 

パチェ「恐いわよレミィ」

 

 

フラン「? お姉さま自分の能力使えば良いんじゃないの?」

 

 

レミリア「フラン…あなたは本当にまだまだね」

 

 

フラン「むっ! 何よ、子供扱いしないで!」

 

 

レミリア「能力で運を引き寄せたら皆から嫌われちゃうでしょうがぁ! 分かってんのよそんなことぐらいわねぇ!!」

 

 

フラン「ひゃっ!?」ビクッ

 

 

レミリア「くうぅぅ……! いいなぁ美鈴…楽しかったんでしょ~…?」

 

 

美鈴「は、はい! それはとても…」

 

 

レミリア「はぁぁぁ~いいなぁ……普通こういうのって私から選ばれるもんなんじゃないのかなぁ…私って…私って…うぅ…」

 

 

美鈴「お嬢様…」

 

 

レミリア「美鈴…今日の夕飯の時にそのゆかりんハウスで何があったのかもっと詳しく教えてもらうからね、楽しかった事とか全部よ?」

 

 

美鈴「は、はい」

 

 

こあ「切実ですね」

 

 

パチェ「怒ってるのか悲しんでるのか…それとも空しいのか」

 

 

レミリア「……怒ってない」ドヨーン

 

 

パチェ「怒ってないなら何よりよ」

 

 

 

こあ「まさか美鈴さんが三日間門番のお仕事をお休みになるとは、驚きましたよ」

 

 

咲夜「私は驚く前に呆れたわね…門の前で立ち寝だけじゃ飽きたらず、外に出て安息の地を見つけて寝むり続けたいから逃げたのかと思ったわ」

 

 

美鈴「そ、そんなことしませんよぉ!」

 

 

咲夜「ふふっ、冗談よ♪」

 

 

パチェ「八雲紫があなたを三日間預かる…って言って来た時は何事かと思ったけどね、理由を説明されたら後に引けなくなっちゃったのよ、あなたには羽を伸ばしてもらいたかったのは事実だしね」

 

 

美鈴「ありがとうございます、パチュリー様」

 

 

フラン「ゆかりんハウス…♪ 私も行ってみたいな♪」

 

 

レミリア「選ばれなければ行けないのよ? フラン」

 

 

フラン「そんなこと分かってるよぉ」

 

 

レミリア「なら良いけど、まぁでもあなたはまだ待ってなさい、何故なら次に選らばれるのはこの私なのだからね! あーっはっはっは♪」

 

 

フラン「むっ! 私が先だもん!」

 

 

レミリア「私よ!」

 

 

フラン「私だもん!」

 

 

レミリア、フラン「ぬぬぬっ…!」

 

 

パチェ「いつもの調子に戻ったわね」

 

 

咲夜、こあ「ふふっ…♪」

 

 

美鈴「……」

 

 

美鈴(帰って…来たんだなぁ)

 

 

美鈴「……」

 

 

咲夜「…美鈴」

 

 

美鈴「はい?」

 

 

咲夜「三日間…まぁ仕方が無かったとは言え門番の仕事はお休みしてたんだからこれからはばんばん働いてもらうからね♪ 紅魔館の門番はあなたじゃないと勤まらないんだから」

 

 

美鈴「!」

 

 

咲夜「休んだ分も仕事してね♪」

 

 

美鈴「はい! もちろんです!」

 

 

美鈴(あっ…! そうだ…)

 

 

美鈴「……」

 

 

美鈴「お嬢様、妹様、パチュリー様、こあさん、咲夜さん」

 

 

レミリア、フラン、咲夜、こあ、パチェ「…?」

 

 

 

 

美鈴「紅魔館の門番、紅美鈴! ただいま戻りました!」

 

 

レミリア、フラン、咲夜、こあ、パチェ「!」

 

 

こあ「…♪ お帰りなさい♪」

 

 

パチェ「お帰り…♪」

 

 

フラン「お帰り~♪」

 

 

咲夜「お帰りなさい…♪」

 

 

レミリア「…ふっ…」ニコッ

 

 

レミリア「お帰り、美鈴♪」

 

 

美鈴「!」

 

 

レミリア「さぁ持ち場に戻りなさい、美鈴」

 

 

美鈴「はい!」スッ

 

 

 タッタッタ…

 

 

フラン「あっ! 私も行く~♪」

 

 

パチェ、こあ「ふふっ…♪」

 

 

咲夜「…」

 

 

咲夜(とっても楽しかった…そう顔に書いてあるわよ、美鈴…♪)ニコッ

 

 

 

 

 私は紅美鈴、紅魔館でただ一人の門番である

 

 

美鈴「よーし、今日も一日頑張るぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【帰ってきたら何故か…】

 

 

 

 《妖精の森、憩いの場》

 

 

大妖精「そっかぁ~…とっても楽しかったんだね、チルノちゃん」

 

 

???「うん、とってもとぉーっても楽しかったんだ♪」

 

 

ミスティア・ローレライ「まぁチルノのその顔を見れば直ぐに分かるよね♪」

 

 

???「だろぉ? あっはっはっ!」

 

 

リグル・ナイトバグ「ルームシェアかぁ…寺子屋の皆と三日間ずっと一緒に居るって感じなのかな? それは楽しい筈だよね」

 

 

???「寺子屋の皆でかぁ…♪ それも楽しそうだなぁ♪」

 

 

ルーミア「三日も寺子屋に居たら慧音が大変そうだなー♪」

 

 

???「そーなのかー?」

 

 

ルーミア「そーなのだー♪」

 

 

???、ルーミア「わはー♪」

 

 

ルーミア「主にチルノのせいでなー♪」

 

 

???「そうだな…ってあたいのせいかよっ!」

 

 

大妖精「あはは…♪ ねぇチルノちゃん、そのゆかりんさんハウスでの事ももっと聞きたいんだけど…」

 

 

???「うん?」

 

 

大妖精「聞く前にね?」

 

 

???「…?」

 

 

大妖精、ルーミア、ミスティア、リグル「……」

 

 

 

 

 

 

大妖精、リグル、ルーミア、ミスティア「何でまた日焼けしてるの!?」

 

 

???→日焼けしたチルノ「……」

 

 

日焼けしたチルノ「なぁ~んでかなぁ? あっはっは♪」

 

 

リグル「いや、笑い事じゃないでしょ!」

 

 

ミスティア「そのハウスに行く前は日焼けしてなかったんでしょ?」

 

 

日焼けしたチルノ「うん」

 

 

ルーミア「三日で黒く変色して帰って来るなんてありえねぇのだー♪」

 

 

日焼けしたチルノ「あたいに言われてもなぁ…」

 

 

リグル「また日焼け…? 原因は一体…」

 

 

ミスティア「外でいっぱい遊んだせいで太陽の日差しをかなり浴びたから…?」

 

 

ルーミア「でもそれだけじゃ黒焦げにはならねぇのだ」

 

 

リグル「黒焦げ…んまぁそうだよね」

 

 

大妖精「私はどんなチルノちゃんも好きだから無事にちゃんと帰って来てくれたことが嬉しいよ♪」

 

 

日焼けしたチルノ「! ふふん♪ ありがと大ちゃん♪」

 

 

大妖精「ふふっ♪ あの美しく透き通る白い肌でお馴染みのチルノちゃんがまたワイルドになって幻想郷に帰って来た! …カッコよすぎて思わず鼻血を出しそうになっちゃうよ~♪」ニコッ

 

 

ミスティア、リグル、ルーミア「!?」

 

 

日焼けしたチルノ「そうだね大ちゃん! この日焼けのあたいは超最強だからな!」

 

 

大妖精「そうだね! 皆もそう思うよね? ね?」ニッコリ

 

 

ミスティア、リグル、ルーミア「お、おう…」

 

 

日焼けしたチルノ「そうかそうか! あっはっは♪」

 

 

ルーミア「『大妖精から最近アリスと同じ匂いがする』って霊夢が言ってたのだ…」ヒソヒソ

 

 

ミスティア「好き…なのは分かるんだけど何で私たちに同意を求めてくるんだろうね…」ヒソヒソ

 

 

リグル「凄いよね…笑顔での圧が」

 

 

ルーミア「この時の大ちゃんには誰も敵わねぇのだ…」

 

 

大妖精「カッコいいよ♪ チルノちゃん♪」

 

 

チルノ「ニューあたいは超最強だからね♪」

 

 

ミスティア、リグル、ルーミア(こえぇ…)

 

 

 

 

大妖精「お友達、たくさん出来たんだよね?」

 

 

日焼けしたチルノ「うん、めーりん…はもう友達だから、華扇でしょ? ヤマメと阿求、それから…」

 

 

日焼けしたチルノ「メディ…! メディだな」

 

 

ミスティア「私は阿求さんと華扇さんは知ってるけど…メディ?」

 

 

ルーミア「誰だぁ?」

 

 

リグル「…? その子って幽香さんといつも一緒にいる子じゃない?」

 

 

日焼けしたチルノ「うん、そうみたいなんだ、あの向日葵がたくさん咲いてる太陽の畑にいるみたい、リグル知ってるのか?」

 

 

リグル「噂だけだよ、あそこら辺に行くとたまに姿を見掛けるんだ」

 

 

ルーミア「そこに何しに行ってるのだ?」

 

 

リグル「べ、別に…」

 

 

リグル(幽香さんを一目みたいから暇があればあそこに通ってるなんて言えないよ…!)

 

 

大妖精「メディちゃん…チルノちゃん、そのメディちゃんと何かあったの?」

 

 

日焼けしたチルノ「お、大ちゃん良く分かったね」

 

 

大妖精「えへへ…♪ チルノちゃんの事なら何でも分かっちゃうよ~♪」テレテレ

 

 

ルーミア、ミスティア、リグル(それが恐いんだよなぁ…)

 

 

日焼けしたチルノ「あたいさ、メディと約束したんだ、花火…いや花火だけじゃないな」

 

 

大妖精、リグル、ミスティア、ルーミア「?」

 

 

日焼けしたチルノ「また一緒に遊ぼうってさ♪ にしし♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【ヤマメが妬ましい…!】

 

 

 《地底と地上を結ぶ橋の上》

 

 

 

ヤマメ「ねぇパルパル聞きたいんだろぉ♪」

 

 

水橋パルスィ「…」プルプル

 

 

ヤマメ「聞きたいんだろぉ…? ねぇねぇ♪」

 

 

パルスィ「…」イライラ

 

 

 

キスメ、星熊勇儀「…」

 

 

ヤマメ「ゆかりんハウスの三日間での出来事聞きたいんだろぉ…♪ あっ! それとも私が三日間居なかったから寂しかっ」

 

 

パルスィ「だぁぁぁぁぁ!」イラァ

 

 

 

キスメ、勇儀「あ、ついにキレた」

 

 

 

パルスィ「うっせぇのよさっきからぁ! 『聞きたいんだろぉ? だとか寂しかったんだろぉ?』しか言えないのかしらヤマメぇ!!」

 

 

ヤマメ「あっはっはっは♪ いやぁねぇ♪ あの家での三日間が本当に楽しかったもんだから聞かせてやりたいんだよねぇ♪」

 

 

パルスィ「だったら最初からそう言えばいいでしょうが! ほんっとうに妬ましいわね!」

 

 

ヤマメ「おや? 妬ましくても興味はある感じかい?」

 

 

パルスィ「そのアホみたいな方向に持っていくその思考が妬ましい!」

 

 

ヤマメ「興味を持ってくれてあたしゃ嬉しいよ♪ あっはっはっは♪」

 

 

パルスィ「ぬあぁぁ!」ジタバタ

 

 

キスメ「私は…興味あるよ? ヤマメちゃんの三日間の出来事…」

 

 

勇儀「私も気になるねぇ、聞かせてくれよ」

 

 

ヤマメ「流石♪ じゃあ話してあげようかねぇ」

 

 

勇儀「ははっ、じゃあ酒持ってくるかぁ♪」

 

 

キスメ「話を肴にお酒飲むんだね…」

 

 

ヤマメ「良いねぇ♪ 一杯やりながら話してあげるよ♪」

 

 

勇儀「お、そうだ、みとりも誘ってみるかぁ」

 

 

ヤマメ「みとりの話も聞きたいねぇ、なんか事故で地上に行ったって話だっけ?」

 

 

キスメ「うん、そうみたい…」

 

 

パルスィ「まっ…まてまて待ちなさい! 私は聞くなんて一言も言ってないわよ!」

 

 

勇儀「でもパルスィよぉ、お前紫がヤマメの事を説明に来た後すんげぇしんみりとした顔になってたじゃねぇか」

 

 

パルスィ「は、はぁ!?」

 

 

ヤマメ「ほほぉ~? 詳しく聞きたいねぇ♪」ニヤニヤ

 

 

パルスィ「な、何よその顔は!」

 

 

ヤマメ「パルパル…! パルパルゴメンね…! 寂しかっただろう…?」

 

 

パルスィ「!?」

 

 

ヤマメ「でも違うんだよ! これだけは信じて! 私はパルパルが嫌いになったから三日間居なくなった訳じゃ」

 

 

パルスィ「そんなことは紫から説明されたから嫌でも知ってんのよ! その小芝居をやめろぉ!!」

 

 

キスメ「ふっふふふふ!」ゲラゲラ

 

 

勇儀「だっはははは!」ゲラゲラ

 

 

ヤマメ「あっはははは!」ゲラゲラ

 

 

パルスィ「くっ…! こうなったらもうヤケだわ!」

 

 

パルスィ「勇儀! さっさとみとりと酒持ってきなさい! 酒は度数濃い目の奴よ!」

 

 

勇儀「おう♪ ちょっと待ってろよ~」

 

 

 

パルスィ「話の内容全てを妬み尽くしてやるわ…! 覚悟しなさいよヤマメぇ…!」ブァァ

 

 

ヤマメ「うわぁ…本気だよありゃ」

 

 

キスメ「嫉妬の緑の炎が目に見えるね…!」

 

 

ヤマメ「んふふ♪ そんなに興味を持ってくれるとはねぇ♪ 話し甲斐があるってもんだよねぇ」

 

 

パルスィ「こっちも妬み甲斐があるってもんよ…! さぁかかって来るがいいわ!」

 

 

キスメ「勝負する訳じゃないのに…」

 

 

ヤマメ「んふふ♪ まぁ良いじゃないか、パルパルらしいからねぇ」

 

 

ヤマメ「…」

 

 

ヤマメ(んー…コーヒーの話は…まぁしようかねぇ)

 

 

ヤマメ(話してたらまた会いたくなっちまうのは仕方ない、のかな)

 

 

ヤマメ(…)

 

 

パルスィ「キスメぇ…! あんたも気を付けなさいよ…今日の私は妬みの塊なんだからね!」

 

 

キスメ「そうやって小さな事でも心配してくれるパルちゃんは優しいね…♪」

 

 

パルスィ「そんなんじゃねぇわよ!」

 

 

キスメ「ふふっ…♪」

 

 

ヤマメ「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【お世話になりました】

 

 

 【守矢神社】

 

 

華扇「私の動物たちがお世話になりました」

 

 

東風谷早苗「いえいえ、とんでもないですよ♪」

 

 

八坂神奈子「しかし、本当に珍しい生物ばかりだな、龍までいるとは」

 

 

華扇「まだまだ子供の龍ですけどね」ナデナデ

 

 

龍の子供(黄帝)「グルルル…♪」

 

 

神奈子「普通に肉を与えていたがそれで良かったのだろうか」

 

 

華扇「えぇ、こう見えても肉食なので」

 

 

神奈子(何処からどう見ても肉食なのだが…)

 

 

早苗「ふふっ♪ アザラシのタマちゃんも可愛いですよね」

 

 

華扇「タマちゃん? いいえこの子は万歳楽と言って」

 

 

アザラシ(万歳楽)「きゅー?」

 

 

早苗「え? タマちゃんじゃないんですか?」

 

 

華扇「えっ?」

 

 

早苗「え」

 

 

華扇、早苗「…」

 

 

神奈子(懐かしいな…タマちゃん)

 

 

 

 くぉらぁー! ガルルルル!

 

 

華扇「…?」

 

 

早苗「あっ、諏訪子様」

 

 

神奈子「はぁ、全くあいつは…」

 

 

 

洩矢諏訪子「いい加減にしろよお前!」

 

 

雷獣(務光)「フシャー!」

 

 

神奈子「いい加減にするのはお前の方だぞ? 諏訪子、またそいつから電撃浴びたいのか?」

 

 

諏訪子「神奈子! お前も見てたろ!? コイツまたやりやがったんだぞ!」

 

 

華扇「務光が何かしました?」

 

 

早苗「あ、その~…あのフェレットちゃんが来たときから諏訪子様と喧嘩に…」

 

 

諏訪子「華扇! コイツの躾はちゃんとしてるのか!? コイツ人の食べ物食いやがったんだぞ!?」

 

 

諏訪子「毎日だぞ毎日! 隙を見ては私のスイーツ食いやがって! 私の今日の団子を帰せくらぁ!」

 

 

務光「ガルルルル…!」

 

 

神奈子「動物相手にそんなにムキになるなよ」

 

 

諏訪子「食べ物の怨みは恐いんだぞ!? 祟って躾てやろうか!? あぁん!?」

 

 

務光「ガルルルル!」

 

 

神奈子、早苗(祟って躾けるなんて初めて聞いたなぁ…)

 

 

華扇「務光!」

 

 

務光「! ~♪」タッ

 

 

華扇「ふふっ♪ 久し振りね、元気だった?」

 

 

務光「~♪」スリスリ

 

 

諏訪子「!? おいアイツのあの態度見てみろ! 私の時と全然違うぞ!」

 

 

神奈子「そりゃ飼い主だからな」

 

 

早苗「諏訪子様、お団子ならまた私が買ってきますから」

 

 

諏訪子「その時のお団子を私は食べたいんだよ~! このロマンが分からない訳じゃないだろ早苗~!」

 

 

神奈子「まったく分からんのだが…」

 

 

華扇「ふふっ…♪ 務光? 洩矢諏訪子の言い分には一歩譲るとして、美味しそうなスイーツに目が眩むのは分かりますが人の物を盗むのは感心しませんよ?」

 

 

務光「キュー…」

 

 

諏訪子「おい何態度弁えてんだ、私にもそうしろ」

 

 

神奈子「黙ってろ」

 

 

早苗「ふふっ…♪」

 

 

 

 

早苗「あ、そうだ…! 華扇さんどうだったんですか? ゆかりんハウスでの出来事は」

 

 

華扇「…!」

 

 

神奈子「早苗と話していた紫に少し聞いたが、快適な空間で三日間過ごしたのだろう? 空間がどうなっていたか聞きたいな…どう過ごし、どんな施設があったのか事細かく聞きたい」

 

 

早苗「もう神奈子様? 華扇さんの思い出に自分のお仕事を重ねては…」

 

 

神奈子「ふっ…いやすまない、そういう話は好きだからな、行ったこともない未知の空間で三日間過ごす…その思い出話にはな」

 

 

華扇「相変わらず技術革新にご精が出ている様で」

 

 

神奈子「それが私の仕事だからな」

 

 

諏訪子「話を聞くのは良いんだけどさ、コイツら引き取ってからにしてくれないかな?」

 

 

務光「ガルルルル!」

 

 

万歳楽「フシャー!」

 

 

黄帝「ぐぉぉぉ!」

 

 

諏訪子「数増やしていい気になるなよ! チクショーめ!」

 

 

華扇「ふふっ、そうですね、先ずはこの子たちを家に返さないと」

 

 

早苗「…あの、華扇さん」

 

 

華扇「はい?」

 

 

早苗「今日神社に泊まっていきませんか?」

 

 

華扇「!」

 

 

早苗「お話長くなりそうなのでたくさん聞きたいんですよ、三日間の出来事」

 

 

神奈子「それは良いな、お前が良ければ…どうだ?」

 

 

華扇「! そうですね…」

 

 

華扇「……ふふっ、それではお言葉に甘えても良いですか?」

 

 

早苗、神奈子「…!」

 

 

早苗「えぇ! もちろんですよ♪」

 

 

神奈子「食事と酒も良いものを提供しよう、存分に語ってくれ、華扇」

 

 

華扇「はい、それではまた後で…♪ 帰りますよ、皆」

 

 

務光、万歳楽、黄帝「~♪」

 

 

諏訪子「おらさっさと帰れ! 盗人どもめ!」

 

 

務光、万歳楽、黄帝「フシャー!!」

 

 

神奈子「盗ってたのあの雷獣だけだろうが」

 

 

 

 

 

早苗「断られると思ってました」

 

 

神奈子「あぁ、あいつは自分の事を話したがらないからな」

 

 

諏訪子「三日間の思い出話をするんだぞ、自分の事ばかりじゃないだろ?」

 

 

神奈子「それはそうだが分からなかったか…? 華扇が少し変わっていた」

 

 

諏訪子「何処が?」

 

 

早苗「物腰が柔らかくなったような気が…」

 

 

諏訪子「するだけだろ?」

 

 

神奈子「ふふっ…さて、な」

 

 

神奈子「まぁ、聞いてみれば分かることさ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 【好きになって、嫌いになった】

 

 

 《人里、鈴奈庵》

 

 

 

本居小鈴「へぇ~…♪ なんか凄く楽しそうね!」

 

 

阿求「えぇ本当に楽しかったわ…♪ 一日一日が大切な思い出になったもの」

 

 

小鈴「…! ふふっ♪ 阿求には良い休暇になったね」

 

 

阿求「えぇ、短かったけど最高の夏休みだったわ、今までで一番かも…こうやってあそこでの出来事を思い返してみても楽しかった思い出しか出てこないからね」

 

 

小鈴「そっか」

 

 

阿求「えぇ」

 

 

小鈴、阿求「…」

 

 

小鈴、阿求「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

 

 

阿求「ねぇ小鈴」

 

 

小鈴「なに?」

 

 

阿求「今度人里で花火セット買って霊夢さんのところでプチ花火大会しない?」

 

 

小鈴「! …阿求からその話を振って来るなんて珍しいね」

 

 

阿求「そう?」

 

 

小鈴「だって阿求、花火しているときいつも…」

 

 

阿求「好きになったのよ」

 

 

小鈴「え?」

 

 

阿求「花火よ…綺麗で、とても美しいからね」

 

 

小鈴「! ……♪」ニコッ

 

 

小鈴「そうなんだ♪ ふふっ♪ それもその家での思い出なのね、いつか聞かせてよ? 阿求」

 

 

阿求「もちろんよ、今日の夜にでも聞かせてあげるわ」

 

 

小鈴「そうだね、今私お仕事中だから夜ね♪」

 

 

小鈴「…あれ? 阿求は今日お仕事…」

 

 

阿求「……三日間休んだブランクみたいなのが…」

 

 

小鈴「…それを口実に仕事サボろうとしてないよね?」

 

 

阿求「してないわよ!」

 

 

 

 

小鈴「あ、そうだ」

 

 

阿求「なに?」

 

 

小鈴「いやね? 文さんから貰った物があるんだけど」

 

 

阿求「? 新聞でしょ?」

 

 

小鈴「ううん? これ」スッ

 

 

 ゴトッ…!

 

 

阿求「…? !!?」ヒクッ

 

 

小鈴「『いつも取材をさせていただいているお礼です♪ お友達と是非♪』って言ってくれたの、河童のにとりさんが紫さんと一緒に作ったらしくてさ」

 

 

阿求「あ…あぁ…」ヒクヒク

 

 

小鈴「『幻想郷双六』って言うらしいんだけど…ほら、双六って一人じゃ出来ないからこれも花火と一緒に持っていって霊夢さんたちと遊ぼ」

 

 

阿求「いっ…! いやぁぁぁぁ!!」

 

 

小鈴「えぇっ!?」ビクッ

 

 

阿求「こ、小鈴! そんなもの捨てなさい! 早く!」

 

 

小鈴「えっ!? どうしたの阿求!」

 

 

阿求「そんなもの双六でもなんでもないわ! 双六スペルカードの使い方を間違えれば『友情破壊ゲーム』になるものなのよ!?」

 

 

小鈴「え? 何でルール知ってるの?」

 

 

阿求「い~や~! もう絶対にやりたくな~い!」

 

 

小鈴「えぇっ!? あ、阿求~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 【私と幽香】

 

 

 《太陽の畑、幽香の家》

 

 

 

風見幽香「お帰り、メディ」

 

 

メディ「ただいま! 幽香♪」

 

 

スーさん「~♪」キャッキャッ

 

 

幽香「ふふっ…あなたもお帰りなさい」

 

 

メディ「ふふっ♪ ねぇ幽香」

 

 

幽香「言わなくても分かるわ」

 

 

メディ「えっ?」

 

 

幽香「三日間とっても楽しかったんでしょう? 新しいお友達と巡り会えて、その友達とたくさん遊んで、思い出を作って…こうして無事に帰ってきた」

 

 

メディ「! 分かるの?」

 

 

幽香「顔を見れば分かるわよ、今のあなたはとても綺麗に咲き誇っている一輪の花…その花に笑顔があると言う事は新たな蕾が開花し、また綺麗な蕾をつけた証拠」

 

 

メディ「幽香…♪」ニコッ

 

 

幽香「ふふっ…♪」ニコッ

 

 

メディ「でも、さ…」

 

 

幽香「?」

 

 

メディ「私の口から言いたいな、幽香に」

 

 

幽香「…!」

 

 

メディ「幽香なら私の事を分かってくれるから嬉しいけど、幽香でも気付けない隠れてる小さな蕾があるかも知れないでしょ?」

 

 

メディ「思い出になって私についた小さな蕾、私の口から言いたいな、幽香に」

 

 

幽香「……」

 

 

幽香「…メディ」

 

 

メディ「?」

 

 

幽香「今日の夜は何時まで起きていれば良いのかしらね」

 

 

メディ「!」

 

 

幽香「夜が明けない内に、話終えるのよ? メディ」

 

 

メディ「! うん♪ えへへっ…♪」

 

 

スーさん「…! ~♪」

 

 

 

 

 

 

メディ「ねぇ幽香、話す前に…一つ聞いていいかな?」

 

 

幽香「あら、なに?」

 

 

メディ「……」

 

 

幽香「…?」

 

 

メディ「……幽香って私の事をどう思っているの?」

 

 

幽香「どう…とは?」

 

 

メディ「私は幽香の事を家族だって思っているわ」

 

 

幽香「!」

 

 

メディ「もちろんスーさんの事も」

 

 

スーさん「…」

 

 

メディ「私達を幽香が拾ってくれて、幽香の家に住まわせてくれた…そしてたくさん楽しい思い出を作って来たわ、そしてこれからも楽しい思い出はきっと作られていく」

 

 

メディ「三日間で学んだの、私は人形の付喪神だけどその学んだ事を思い返すと胸の奥が暖かくなるのが分かるの」

 

 

幽香「…」

 

 

メディ「ねぇ幽香…答えてくれないかな?」

 

 

幽香「…」スッ

 

 

メディ「…」

 

 

幽香「…」ストスト

 

 

メディ「…?」

 

 

 

 幽香はメディの前に行き、膝で立ち、優しく抱きしめた

 

 

 

メディ「! ゆ、幽香…?」

 

 

幽香「……メディ」

 

 

メディ「!」

 

 

幽香「一度しか言わないから…良く聞きなさい」スッ

 

 

メディ「う、うん…」

 

 

幽香「……」

 

 

メディ「…」

 

 

幽香「私は……あなたの事を…」

 

 

 

 

 

 

 

 幽香はメディの耳元で囁いた

 

 

 

 

 

 

メディ「……! ゆ、幽香…! それ本当!?」

 

 

幽香「…♪」ニコッ

 

 

 幽香はメディに優しく微笑む

 

 

メディ「本当!? 本当に本当!?」

 

 

幽香「ふふっ、一度しか言わないと言った筈よ?」

 

 

メディ「!! スーさーん!!」スッ

 

 

スーさん「!」スッ

 

 

メディ「うふふっ♪ 私、嬉しすぎてどうにかなっちゃいそう♪ えっへへ…♪」

 

 

スーさん「~♪」ニコニコ

 

 

幽香「…♪」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【そして二日後】

 

 

 《華扇の屋敷》

 

 

 

八雲紫「こんにちは~♪」

 

 

華扇「……お帰りはそのスキマから、どうぞ?」サラサラ

 

 

紫「はっ…つれぇわ…同業者からお帰りの催促ですよ」

 

 

華扇「あなたと一緒にしないでください」サラサラ

 

 

紫「おんなじでしょうが、あなたこっち側でしょう?」

 

 

華扇「…また同じことを言うんですねあなたは」

 

 

華扇「幻想郷の賢者の地位に興味などありませんよ」

 

 

紫「興味はなくても居てもらわないと大変な時もあるのよ?」

 

 

華扇「!」

 

 

紫「ふふっ♪ いつでも戻ってきて良いからね?」

 

 

華扇「……考えておきます」サラサラ

 

 

紫「えぇ考えておいてね♪ あら? それなに書いてるの?」

 

 

華扇「チルノたちに文を認めているのです」

 

 

紫「手紙ね…なんて書いてるの?」

 

 

華扇「人里で集まってお食事でもどうですか…という感じの手紙ですよ」

 

 

紫「お友達に出す手紙なのに堅苦しい手紙ねぇ」

 

 

華扇「……」ピタッ

 

 

華扇「やはりそう思いますか?」

 

 

紫「私にはね、でもほら、あなたらしくて良いんじゃない?」

 

 

華扇「…そうですか」

 

 

紫「ふふっ、あなたがそういう事を自分からするなんて珍しいわね」

 

 

華扇「三日もあれば人は変わります」

 

 

紫「それもそっか♪」

 

 

華扇「切っ掛けを作ったのはあなたですよ?」

 

 

紫「あらら♪ じゃあそのお食事会にゆかりんが参加しても」

 

 

華扇「ダメです」

 

 

紫「ケチ!」

 

 

華扇「ケチで結構」

 

 

 

 

 

 

 

華扇「あぁそう言えば…文の新聞読みましたか?」

 

 

紫「へ? 読んでないけど?」

 

 

華扇「近々異変が起こる様ですよ?」

 

 

紫「ふーん…♪ 何処の何方が起こすのかしらねぇ♪」

 

 

華扇「あなたの知り合いです」

 

 

紫「え? 誰よ」

 

 

華扇「……」

 

 

華扇「摩多羅 隠岐奈ですよ」

 

 

紫「……は?」

 

 

華扇「? ですから摩多羅」

 

 

紫「はぁぁ!?」

 

 

華扇「!?」ビクッ

 

 

紫「あいっ…! アイツは何を考えてんの!?」

 

 

華扇「さぁ? 幻想郷の賢者の考えている事なんて私には分かりませんよ」

 

 

紫「何してくれてんのかしらアイツ…」

 

 

華扇「仲良くないんですか?」

 

 

紫「仲良くないとかそんなんじゃないのよ、ただアイツ凄くめんどくさいのよ色々と、目立ちたがりで何するか分かったもんじゃないわ」

 

 

華扇「そうでしたっけ、彼女って」

 

 

紫「異変って……? まさかアレか…?」

 

 

華扇「心当たりが?」

 

 

紫「ちょっとね……はぁ、まぁ良いわ…霊夢と魔理沙に叩きのめされれば良いのよ、アイツなんか」

 

 

華扇「アイツなんかって…」

 

 

紫「異変が終わったら絶対アイツ私のところに来るわよ? あなたは良いわよねぇ、お友達とお食事だもの」

 

 

華扇「それも幻想郷の管理人さんのお仕事…頑張ってくださいね、八雲紫」

 

 

紫「はぁ~…」

 

 

紫「めんどくさ~い」

 

 

華扇「……」

 

 

華扇(本当は仲が良いでしょうに、私の目にはそう映ってますよ、ふふっ…♪)

 

 

 

 

 おしまい!

 

 

 

 

 






 幽香がメディに対して何と言ったか…それは言われたメディの反応を見た上で、読者の皆様のご想像にお任せします♪
 


 感想欄の方で読者の方に返信した物になりますがこちらの方にも書かせていただきます。

 『稗田阿求』の裏設定として『転生しても記憶が曖昧であることで自分の事をあまり話さないので自分の事を話題に話をしてほしくないと思っている、だから毒舌を通して自分から相手にその話題、別の話題が行くように論点をすり替える事を無意識にしている』これを華扇に見破られています

 因みに親友である本居小鈴は転生の事を知っています、小鈴はその話題にならないように阿求をフォローしている伏があります





 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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【幻想郷のオモテとウラ】
私の愛する幻想郷




 こちらのシリーズは『東方紫藍談』において表立って出てこず、本編に出すのが難しい『裏設定や過去のお話しの物語』を書いていくシリーズになります、紫に説明してもらいます。

 あのキャラとあのキャラがどうやって出会ったのか、あのキャラの両親は? キャラの幻想郷への道程、裏設定等々を描いていきたいと思ってます。



 ほっこりするものからシリアス、異変レベルになるものまで…と幅が広いですが『お話しを始めたら話に必ず決着を付け、幸せな形で終わらせます』

 他の物語とは毛色が違うと思いますが、こちらのシリーズも楽しんでいただけたらと思います



 それでは始まります♪




 

 

 

 表と裏 光と闇 生と死

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 表裏一体、相反する二つの物は大もとでは一つであること、二つのものの関係が密接で切り離せないこと

 

 

 物事全てに繋がりがあるように、起こってしまった事象全てに繋がりがあるように、全ては同一の物なのか

 

 

 物事は起きてしまえば未来に影響を及ぼし過去を無かった事にするのかもしれない、それを人間…いや心を持った生物に置き換えて考えた場合、その生物が犯した罪と罰は永遠に残っていく

 

 もちろんそこには救いへの道も必ず存在している

 

 それは光と影 必ず存在し 相反せぬ概念

 

 

 

 

 

 現在は現在 過去は過去 未来は未来

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 全てを受け入れる幻想郷

 

 全てを受け入れてきた幻想郷

 

 

 幻想郷は過去も未来も現在も全てを受け入れる場所

 

 

 外の世界で忘れ去られた何かを受け入れる場所

 

 

 受け入れた先に何が待っているのか誰にも予想は付かない

 

 

 幸福か 悲劇か

 

 

 それとも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「…」

 

 

紫「私はどんな事でも受け入れる」

 

 

紫「幻想郷は私、私は幻想郷」

 

 

紫「…」

 

 

紫「幻想郷は全てを受け入れるのよ」

 

 

紫「それはそれは残酷な話ですわ」

 

 

紫「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「だとしても」

 

 

紫「私は残酷な運命なんて望んでいない」

 

 

紫「…」

 

 

紫「私が愛した幻想郷よ」

 

 

紫「あなたはどう思うのかしら」

 

 

紫「あなたは残酷な運命でさえも受け入れるの?」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は

 

 

 _____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 【マヨヒガ、縁側】

 

 

八雲藍「…は?」

 

 

紫「だ~からぁ、聞いてるでしょ?」

 

 

紫「『幻想郷ってなんなの?』ってさぁ」

 

 

藍「いえ…なんなのと仰られても」

 

 

紫「何よ」

 

 

藍「答えようが無いというか」

 

 

紫「人の話聞いてるの?」

 

 

藍「聞いてますよ」

 

 

紫「聞いてるなら答えなさいよ」

 

 

藍「いや…なんなの? って…」

 

 

紫「それを聞いてるんじゃないの」

 

 

藍「なんなの…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

藍「なんなんでしょうか…?」

 

 

紫「質問を質問で返すとか…あなたふざけてるの?」

 

 

藍「…」イラッ

 

 

藍「お言葉を返すようで悪いんですけどね紫様、なんなの? って聞かれて『こうこうこうなんじゃないですか?』なんて返せる人居ないと思うんですよ」

 

 

紫「そーなのかー?」

 

 

藍「そーなのだー」

 

 

紫、藍「わはー♪」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「今のはふざけたわよね」

 

 

藍「すいません…」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「だからなんなのって聞いてるのよ」

 

 

藍「だからなんなのって仰られてもですね」

 

 

藍「質問が漠然としすぎているんですよ、逆にこっちが『その質問はなんなんですか?』って聞きたいぐらいですよ?」

 

 

紫「ま~た質問を質問で返して…橙がいたら笑われちゃうわね」

 

 

藍「橙は今関係ないでしょうが!」

 

 

紫「大人になりなさいよ藍、私の質問に答えるだけで良いのよ? ほら簡単な事じゃない、早く答えなさいよ」

 

 

紫「ほらはよ…! はよぉ!」

 

 

藍「くっ…!」イラァッ

 

 

藍(心を乱すな八雲藍…! 紫様の質問の意図を冷静に読み取るんだ…!)

 

 

藍(しかし幻想郷ってなんなの…? って)

 

 

藍(なんなのってこっちが聞きたいですよ…なんなの)

 

 

藍(なん……)

 

 

藍(そもそも紫様は何故こんなことを聞いてきたのだろう、またいつもの悪ふざけなのか?)

 

 

藍(……いや、いつもの調子は崩していないが何か真に迫る感じだ)

 

 

藍(真意は分からないが、ここは真面目に答えるのが私の出来ること…)

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「…?」

 

 

藍「幻想郷ってなんなの? でしたよね」

 

 

紫「えぇ」

 

 

藍「その答えなのですが」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「私の口からは答えられません」

 

 

紫「…」

 

 

藍「私が何と答えたとしても紫様が望む答えは私からは聞けないですし、私の口からは答えが出ませんと言う方が正しいでしょうか」

 

 

藍「『幻想郷がなんなのか』…私には何度か答えを言葉で提示する事は出来ても正解することは不可能です、何故なら」

 

 

藍「その答えは紫様の中にしかないからです」

 

 

紫「…」

 

 

藍「勝手な推測と物言いで申し訳ないのですが『幻想郷がなんなのか』と聞いた時点で紫様の中にはもうその答えが出来上がっているのではないですか?」

 

 

藍「けどその答えにあなた自身が納得していない、もしくは自信が無い…」

 

 

藍「私が答えることから逃げたと思われても仕方無いですけどね…申し訳ありません、紫様」

 

 

藍「ですが私はあなたが悩む必要なんか無いと思うのです」

 

 

藍「ここはあなたの愛した幻想郷なのです、あなたの中にある答えこそが真の答えになるんです、私はそう思いいます」

 

 

紫「…」

 

 

藍「これが私の答えです」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…藍」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「正解よ」

 

 

藍「…!」

 

 

紫「幻想郷がなんなのか…その答えは私の中にしか無い、何故ならその答えを最初から私は持っているから」

 

 

紫「ちゃんと考えれば分かることだったわね…ふふっ、あ~あ…私ったらなんでこんなこと聞いちゃったのかしらね」

 

 

藍(確かに、本来の紫様なら聞かずとも自分で答えを出し、自分で納得し、自分で道を切り開く筈)

 

 

藍(今の質問もいつもの様に自分で何とかしているのだからこう考えるのはおかしな事なのだが)

 

 

藍(なのに私に聞いた…そこだけが…)

 

 

紫「ごめんなさいね藍、私あなたにまた変なことを聞いてしまったわ」

 

 

藍「…いつもの事じゃないですか」

 

 

紫「んまっ!? 失礼ね! その言い方だと私がいつもあなたに対して変なことばかり聞いてるみたいに聞こえるんですけど!?」

 

 

藍「そうなんじゃないんですか?」

 

 

紫「…!」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…そーなのかー?」

 

 

藍「そーなのです」

 

 

紫「わは…!」

 

 

藍「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「わはーって言えないわ、つれぇわ…」

 

 

藍「つれぇって思える程の自覚があるなら変な事ばかり聞かないでくださいよ」

 

 

紫「でもなんかそれ直したらゆかりんっぽく無くない?」

 

 

藍「ゆかりんっぽくは無くなるかもしれませんが、紫様っぽくはなると思います」

 

 

紫「何それ」

 

 

藍「真面目になるって言い方の方が良かったですか?」

 

 

紫「フッ…不真面目ゆかりんってか? あぁん?」

 

 

藍「真面目になっているときと不真面目になっているときの差が激しいんですよ最近」

 

 

紫「ゆかりん真面目よ? …ゆか真面目」

 

 

藍「その『ゆか真面目、始めました』みたいな言い方はお止めください」

 

 

紫「ゆかりん真面目、じゃ語呂が悪いからゆか真面目にしたのに」

 

 

藍「不真面目ゆかりんの語呂が良いって自分で認めちゃうんですか?」

 

 

紫「うっさい!」

 

 

藍「ふふっ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藍「紫様」

 

 

紫「うん?」

 

 

藍「どうして『幻想郷ってなんなの?』って聞いたんですか?」

 

 

紫「…」

 

 

紫「さぁ…どうしてでしょう♪」

 

 

藍「またそうやってはぐらかすんですか?」

 

 

紫「別にはぐらかしてなんか無いわよ? ただ単純に聞いてみたかっただけよ」

 

 

藍「…」

 

 

紫「あなたに聞いてみて答えが出た…私はそれに満足した…それだけで充分よ」

 

 

藍「満足していただけたのなら良いですけど」

 

 

紫「ゆかりん大満足よ」

 

 

藍「…まぁ私としては聞き逃げされたみたいであまり満足出来ていないんですがそれは」

 

 

紫「あらやだ!? 足元にスキマが!?」スッ

 

 

 

 ギュオン!!

 

 

 

藍「あっ!?」

 

 

紫「いや~ん♪ ゆかりん落っこっちゃった~♪」スッ

 

 

 

 

 ヒューーー… ギュオン…

 

 

 

 

藍「ちょっ…!? こらぁ!! 待ちなさい紫様ぁぁ!!」

 

 

 

 

 スキマは閉じてしまった

 

 

 

 

藍「……やはりおふざけで聞いてたのか?」

 

 

藍「はぁ…証拠も何も無い、か」

 

 

藍「何か悩みがあるなら普通に相談してくださればいいのに」

 

 

藍「相変わらず不器用な人だ…全くもう」

 

 

藍「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【博麗神社】

 

 

 

紫「変わら~ぬ~♪ 幻想を~♪」

 

 

紫「望む~のですか~♪」

 

 

紫「この~想い~♪ いつ~までも~♪」

 

 

紫「わた~しと~♪ 共に~♪」

 

 

紫「…」

 

 

博麗霊夢「随分上機嫌じゃない」

 

 

紫「そう見える?」

 

 

霊夢「顔はね、歌の歌詞は意味ありげだけど」

 

 

紫「ふふっ♪ 一緒に歌う?」

 

 

霊夢「歌詞知らないのに歌えないっての」

 

 

紫「ありゃりゃあ~♪」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「因みに歌詞は適当です♪」

 

 

霊夢「だと思ったわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「ねぇ霊夢」

 

 

霊夢「なに?」

 

 

紫「あなたは幻想郷の事を素敵な楽園って言ってくれたじゃない?」

 

 

霊夢「? あぁ、クイズ大会の時ね」

 

 

紫「あれは本心?」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「ま、まぁ…/// うん」

 

 

紫「ふふっ♪ そう」

 

 

霊夢「な、何よ…」

 

 

紫「嬉しいわ、霊夢がそう思ってくれてるってだけで毎日が幸せよ」

 

 

霊夢「は、はぁ!?」

 

 

紫「本心よ♪」

 

 

霊夢「そんな大袈裟な…///」

 

 

紫「大袈裟じゃないわよ? 本当の事だもの♪」

 

 

霊夢「な、なんなのよ…///」

 

 

紫「照れちゃってぇ♪ か~わいい霊夢♪」

 

 

霊夢「う、うっさいのよ…///」

 

 

紫「…♪」

 

 

 

 

 

 

 

紫「幻想郷は素敵な楽園…これは変わらない事なのよ」

 

 

霊夢「変わらないってか変わる事自体が許されないんでしょ?」

 

 

紫「素敵な楽園がどうにかなっちゃうような事件とかが起こったらまず私が黙ってないからね」

 

 

霊夢「そんな事件、起こる事まず無いと思うんだけど」

 

 

紫「ふふっ、そうかもね」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「幻想郷は全てを受け入れる」

 

 

霊夢「それはそれは残酷なこと」

 

 

紫「覚えててくれたの?」

 

 

霊夢「なんか忘れられないのよね、その言葉」

 

 

紫「そう? ふふっ、ありがと」

 

 

霊夢「お礼を言うのは何か違うような…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「幻想郷は全てを受け入れるわ」

 

 

紫「例えどんな残酷な運命だったとしても、ね」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「でもそれを幻想郷が受け入れたとしても」

 

 

紫「幻想郷に住まう住人たちはそんな運命は望んでいない」

 

 

紫「それはそれは……」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「それはそれは結構な事だわ」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「どんな残酷な運命が幻想郷に来ようとも、みんなはそれを望んでいない」

 

 

霊夢「だからもし本当にそんなもんが来たとしたらそんな運命私たちでぶっ潰せる、みんなで幻想郷を守る事が出来る、私たちならどんな残酷な運命でも覆せる」

 

 

霊夢「私たちの大切な日常を壊させやしない」

 

 

紫「…!」

 

 

霊夢「…」ズズッ

 

 

 

 霊夢は手に持っていた湯飲みのお茶を一気に飲み干し、神社の境内の一点を見つめて紫に話す

 

 

 

霊夢「それが私たちの幻想郷でしょ」

 

 

紫「…♪」ニコッ

 

 

紫「そうね、そうだといいわね♪」

 

 

霊夢「…」

 

 

霊夢「辛気臭い顔で神社に現れて、いきなり歌い出したかと思ったら変な事ばかり言い出して」

 

 

霊夢「あんた何かあったの?」

 

 

紫「いいえ……ただ」

 

 

霊夢「ただ?」

 

 

紫「たま~にね…こういうこと考えちゃう事があるのよ、私」

 

 

霊夢「たま~に?」

 

 

紫「そう♪ たま~に」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「ありがとう、霊夢」

 

 

霊夢「!」

 

 

紫「あなたにそういう事言ってもらえると安心だわ」

 

 

紫「これからもこの素敵な楽園を、私の愛した幻想郷をよろしくね、霊夢」

 

 

霊夢「…!」

 

 

霊夢「その台詞、他の住人たちにも言ってやりなさいよ」

 

 

紫「えぇ~、ゆかりんいつも言ってるわよ?」

 

 

霊夢「嘘つけ」

 

 

紫「ゆかりん嘘つかない」

 

 

霊夢「…」

 

 

紫「…」

 

 

紫「ふふっ♪ それにしてもさっきの霊夢の台詞」

 

 

霊夢「ん?」

 

 

紫「魔理沙が聞いたら『主人公らしい台詞だな!』って言いそうね♪」

 

 

霊夢「ははっ…確かにね」

 

 

紫「ふふふっ♪」

 

 

霊夢「ふふっ…♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「てかあんたにお礼を二度も言われるとはね…雪でも降るんじゃないの?」

 

 

紫「梅雨の時期なのに? それは天災レベルね」

 

 

霊夢「天災とか言ってると天子が降ってきそうなんだけど」

 

 

紫「ははっ…そんなことあるわけな」

 

 

 

 シュタッ!

 

 

 

紫、霊夢「!」

 

 

比那名居天子「霊夢! あなた今暇かしら!? 暇よね! 暇なら私と弾幕で勝負しなさい!」

 

 

紫、霊夢「…」

 

 

天子「…ん? なに? あ、紫、あんたも居たの?」

 

 

紫、霊夢「え?」

 

 

天子「ん?」

 

 

紫、霊夢、天子「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢「あんたが天災とか言うからマジで来たじゃないのよ!」

 

 

紫「えぇー!? 天子の名前を出したのは霊夢じゃない!」

 

 

霊夢「だ…! だとしても天災から連想されんのは大体こいつだってのは相場が決まってんのよ!」

 

 

紫「ゆ、ゆかりんが悪いの!?」

 

 

霊夢「悪いと思ってんならあんたが戦いなさいよ、めんどくさいんだから!」

 

 

紫「そりゃないわよ霊夢ぅ!」

 

 

 

 ギャーギャー!

 

 

 

天子「ね、ねぇ…ちょっと~?」

 

 

 

 シュタッ!

 

 

 

永江衣玖「天子様」

 

 

天子「! 衣玖」

 

 

衣玖「…? 何故霊夢さんと紫さんが言い争いを?」

 

 

天子「わっかんないわ、私何もしてないのに勝手にこうなっちゃって」

 

 

衣玖「…」

 

 

天子「う~ん、今日は痛みの探求目的の勝負じゃなくて弾幕で勝負ってはっきり言えば良かったのかな」

 

 

衣玖「ふふっ、そういうわけでは無いご様子ですよ」

 

 

天子「え? あぁ空気を読んだのね、衣玖」

 

 

衣玖「はい♪」

 

 

天子「何でああなったの?」

 

 

衣玖「そうですね…どんな小さな事でも」

 

 

衣玖「喧嘩するほど仲が良い…ということですかね♪」

 

 

天子「…! そっか♪」

 

 

 

 

 

紫「終いにはゆかりん泣くわよ霊夢ぅ!」

 

 

霊夢「知るかっ! 泣きたきゃ勝手に泣けぇい!」

 

 

紫「び…びえぇ~~!! 霊夢がいじめるぅ~!!」

 

 

霊夢、天子、衣玖(う、うっわぁ~…こ、これはキツイ!)

 

 

衣玖「びえぇ~…って」

 

 

天子「泣くの下手っ!」

 

 

霊夢「いつものあんたでなんか安心したわ♪ ほら、素敵なスキマを開いてお帰りなさい、泣きわめいてうるさい大妖怪さん♪」

 

 

紫「そんなこと言わないでよ霊夢ぅ~!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

____________________________________________

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の幻想郷は全てを受け入れるけど幻想郷自体は何を望んでいるのかしら

 

 

 それは私にも分からない、自分で創ったのにね

 

 

 けどそれでも私は、私の幻想郷を愛し続けるわ

 

 

 私の愛した幻想郷に私の愛した幻想の住人が居続ける限り

 

 何度でも何度でも愛し続けてあげる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【秘めたるスキマ空間】

 

 

 

紫「ごきげんよう、わたくしは幻想郷が管理人、八雲紫でございますわ」

 

 

紫「え? 誰に向かって話しているのかって?」

 

 

紫「ふふっ♪ さぁ、誰にでしょう」

 

 

紫「境界の綻びを見つけ、覗いている何者か…?」

 

 

紫「それともわたくしの独り言か…?」

 

 

紫「それとも……ふふっ♪」

 

 

紫「そんなことはどうでもいいのです、独り言だろうが誰かに話していようがわたくしに問い掛けたところで詮無き事ですし、無意味です」

 

 

紫「わたくしの話し方にも違和感がありますか?」

 

 

紫「皆さんこんにちは♪ ストーリーテラーの八雲のゆかりん十七歳で~す♪」

 

 

紫「………良いじゃないですか、たまにはこういうしゃべり方も」

 

 

 

 

 

 

 

紫「さて、わたくしがここに居るのには訳があるのです」

 

 

紫「これから始まる物語は娯楽とは違うまた別の物語になりますのでその案内…と言ったところでしょうか」

 

 

紫「ふふっ、ストーリーテラーとは良く言ったものですわ♪」

 

 

紫「それは悲劇か喜劇か…残酷な運命に繋がるのか幸福への道程か」スッ

 

 

 

 

 ギュオンという音を立て、無数のスキマが紫の手によって開かれる

 

 それらは普通のスキマではなく、何やら映像の様なものが途切れ途切れに映し出されている

 

 一部のスキマは外の世界のテレビに映し出される砂嵐を映している物もある

 

 

 

 

 

紫「ここにその答えがあります」

 

 

紫「このスキマたちを覗けば映し出されている物語りを体験…いえ、観ることが出来ますわ」

 

 

紫「出来ますが一つ、わたくしから言わなければならないことがあります」

 

 

紫「ここから始まる物語は他の物語とは少し毛色が違うものとなります」

 

 

紫「楽しい日常を送っているわたくしたちが如何にしてここまで楽しい日常を送る事が出来ているのか…あの幻想郷の住人は何故この幻想郷に居るのか…何故知り合う事が出来たのか」

 

 

紫「隠された幻想郷の裏…表舞台には顔を出しづらい歴史…秘密…謎」

 

 

紫「本当は知らなくても良いことばかりです、人によっては知ってしまうと意味を持ってしまい、考え方や見え方が変わってしまう可能性も有り得ますね」

 

 

紫「ですが…ふふっ♪ ここのスキマたちは覗いて欲しそうにしていますよ?」

 

 

紫「少し、覗いてみましょうか」

 

 

 

 

 紫は無数のスキマの中から四つ選び、自分の手元に持ってくる

 

 

 

 

紫「これは『わたくしと小さな狐の出会い』でしょうか、懐かしいですわ♪」

 

 

 

 

紫「これは『巫女と二人の魔法使いと花を操る妖怪が何やら一緒に探し物をしている』様です、何故か巫女は浮かない顔をしているご様子」

 

 

 

 

 

紫「これは『緑の長髪の大悪霊が巫女に…』これも懐かしいですね」

 

 

 

 

紫「これは『宵闇の妖怪が…』」

 

 

紫「このスキマは特殊の様ですね、何故でしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

紫「如何でしたでしょうか、ざっと四つ程紹介させていただきましたが気になるスキマはありましたか? 他にも沢山ありますけどね」

 

 

 

紫「この秘めたるスキマ空間に存在しているスキマの扉が開かれるのが何時になるかはこのわたくしにも分かりませんわ」

 

 

紫「もし開かれる事があれば、わたくしと共にそのスキマの中を覗いてみましょう」

 

 

紫「ふふっ♪ そう怖がることはありませんわ、覗いてみるだけですもの♪」

 

 

紫「覗いた後は…ふふっ♪ いえいえ何もしませんよ♪ 取って食ったりはしませんので安心してください」

 

 

 

 

紫「……それでは、この空間に存在する気紛れなスキマの扉が開かれるまで暫しのお別れです、その時が来るまで」

 

 

紫「ごきげんよう…♪」スッ

 

 

 

 

 ギュオン…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 to be continued…

 

 

 

 






 何やらダークな雰囲気と他のシリーズとは違う雰囲気が漂ってますが、前書きでも書いた通り『物語がスタートしたら必ずハッピーエンド』を迎える様にします。

 私自身が言うのは変な話しかもしれませんがこれだけは読者の皆様に伝えなければならないと思いまして…誰かが消えたりとかは全くありません、大丈夫です



 コンセプトとしては『世にも奇○な物語』です、前書きにも書きましたが『東方紫藍談』のキャラクターの過去のお話や裏設定等々を描いていくシリーズとなります、またお話によっては『本編に全く影響を及ぼさない物語もあるかもしれません』





 それではここまで読んでいただいてありがとうございました、お疲れ様でした♪



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