転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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陸戦隊の某不死身っぽいブレン機関銃使いは出てきませんが、アイクは出てきます。
そして、やっぱり英国は甘くなかったみたいですよ?




第316話 海兵一式戦車とアイク、9割の成功だが……残る1割は英国に外される

 

 

 

 自由フランス軍のララシュ襲撃から始まり、その集結した自由フランス軍部隊を外人部隊(?)ごとカウンターアタックで返り討ち&物理的に摺り潰した後、”後処理”を終えたジブラルタル英軍は、自由フランス軍支配地域に「テロリストの駆逐と拠点制圧」の王命により反撃を開始した。

 瞬く間に自由フランス軍が占拠したと主張する街を制圧する英軍……

 

 しかし、英領ジブラルタル南岸の東端の街、ナドールには英軍だけでなく日本皇国海軍陸戦隊が駐留していた。

 これには理由がある。

 

 他国では、特に米国や日本がモデルとした英国では”王立海兵隊(ロイヤル・マリーン)”と独立した軍組織となっているが、皇国の場合は「海軍麾下にある揚陸戦を含む陸戦の陸海両用部隊」であり、海軍の陸上戦闘組織という意味では現実の米国”ネイビー・シールズ”の立ち位置に近い。

 

 ただ、陸戦隊とは付いているが保有兵力は、今は増強旅団規模になっているようだ。

 実際、”神州丸”型や”あきつ丸”型などの揚陸艦や大艇などに代表される艦載上陸揚舟艇が整備され、主に九七式軽戦車ベースの陸戦隊スペシャルな戦闘車両、特式内火艇などの水陸両用車両、陸戦隊仕様の艦上航空機などが開発された。

 

 これまで海軍陸戦隊は、装甲が薄いのを承知の上で九七式軽戦車ベースの陸上戦闘車両を使用してきた。

 これは、揚陸艦艦載上陸揚舟艇の最大の”大発(大型発動艇)”の揚陸時最大積載量が25tの制限があったからだ。

 しかし最近、イタリア攻略戦を前にして、搭載量35tの”特大発(特殊大型発動艇:史実の試製大型発動艇に近い)”の開発が間に合い、先行量産型が作戦に投入される事になった。

 

 そして折よく”三式戦車”の配備に伴い、余剰となった一式戦車を海軍陸戦隊が受け取ることとなり、一式改準拠の陸戦隊仕様に改装し”海兵一式戦車(中戦車とは呼称されない)”運用されることとなった。

 

 海兵一式戦車と一式改中戦車との識別点は、海兵一式は原型の一式中戦車と同じく車体前面機銃が残されていること、その射線を妨げぬように全面増加装甲が張りつけられていること。

 また、増加装甲が古い戦闘艦の程度の良い装甲を加工し再利用したもので一式改の増加装甲や無限軌道を隠すサイドスカートの形状が違うこと、揚陸作戦用にシュノーケル・キットを装着できるようにしたことなどが挙げられる。

 

 

 

 つまり、特大発と海兵一式戦車が、海軍陸戦隊の43年度新装備という訳だ。

 そして、その出来立てほやほやの海兵一式戦車を先行配備された選抜装甲隊がナドールにいたのだ。

 理由は至って単純で、ナドールは巨大サンゴ礁が有名で、そのせいで大型船舶は停泊できないが、そのすぐ北にはメリリャという港湾都市があり、揚陸戦の訓練が出来そうな浜辺も隣接していた。

 イタリア攻略戦を前に実戦を想定した訓練を行いたい……というのは建前だ。

 何しろ、わざわざ英領ジブラルタル南岸でやる必要はない。

 はっきり言えば、キナ臭くないこの地で、「新戦車の程よい実戦運用データがとれるかもしれない」という海軍陸戦隊の助平根性の現われであった。

 

 そして、その願いは”半分は”叶った。

 特大発も持ち込んでいたが、内陸部への侵出なのでそれが使われることはなく、ナドールの装甲警備を英軍に任せ、英国陸軍の都市制圧任務を受けた自動車化歩兵部隊を連れ立って海兵一式戦車と比較評価と連携訓練に持ち込まれていたお馴染みの九七式軽戦車ベースの海兵九七式戦闘車両群が先陣を切り、ナドールを出立しベルカンヌとアフィールを経由してウジュダへ攻め込んだが……

 一番欲しかった経験の装甲戦が無かったのだ。

いや、皇国海軍陸戦隊は、英国陸軍や海兵隊への支援や共闘を前提として装備が決定されているところがあり、その連携はよく確認できたのだが、戦闘自体はただの対軽装歩兵戦に終始してしまった。

 というかほとんど戦闘らしい戦闘が無いまま、自由フランス軍の装甲戦力のないウジュダは陥落したのだ。

 

 結局、海軍陸戦隊は入れ替わりにやってきた英国陸軍戦車隊にウジュダの占領を任せ、ナドールへと帰投することとなった。

 さて、せっかく日本皇国軍が出てきたので、ここでモントゴメリーの皇国軍に関するコメントを拾ってみたい。

 史実のモントゴメリーは、「アパルトヘイトに賛成する」という人種感があったようだが、この世界線ではどうだろうか?

 

『日本人とは異質の存在である。英国人とは価値観も思考法も違う。それは確かだ。だが、粘り強く戦い、崩れにくい。つまり守勢には強い。それもまた確かなのだよ』

 

 堅守に長けた名将は、そう評価していた。

 そして、揚舟艇共々母艦である揚陸艦に戻った陸戦隊は、事態の終息宣言が出るまで一時的にモントゴメリー麾下の機甲予備兵力となり、英国王立海兵隊基地のあるセウタを臨時母港とするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、ジブラルタル英軍は自由フランス統治下とされた、”フレンチライン”のうちメクネス、フェス、ターザ、ゲルシフ、ウジュダという主要都市を立て続けに陥落させた。

 そう、明らかに意図的に現王都の”ラバト”は見逃されていた。

 何しろ、ラバトのすぐ北にある海沿いの街ケニトラはとっくにイギリス軍の手の落ち、そこを集積地として最前線はラバト北を流れるアブールグルグ川を挟んで隣接する、かつてはモロッコの欧州貿易中心地だった”サレ”に前線を起き、進軍を停止していたのだ。

 

 そして、ラバトの自由フランス軍モロッコ独立司令部に立てこもるド・ゴールは怒り狂っていた。

 英国人の逆撃、自分が考案した(とド・ゴールは思っている)”電撃戦”を英国人が盗み、文字通りの電光石火の空陸一体の機動的装甲戦で、ラバトを残し、自分の支配地である”フレンチライン”が消滅してしまったのだから。

 

 しかし、これには別の意味がある。

 そう、これは明らかに英国からの”読み間違える事を許さないメッセージ”だった。

 

「ままならんものだな。やはりそう簡単に乗ってはくれんか」

 

 そして、良き軍政家でもあるアイゼンハワーは、カサブランカの”米国義勇兵団司令部”で、その意図を正確に読み取っていた。

 

(英国は『モロッコを欲っしない(・・・・・)』か……)

 

 そう、かつて七つの海を支配した海洋型派遣国家の英国は『首都(王都)を陥落させる』という意味をよく理解していた。

 ”ソレ”は象徴的に国を陥落させるに等しいということを、だ。

 アイゼンハワーもその意味を理解しているからこそ、ド・ゴールに「主役はお前ら自由フランスだ」とわからせる(・・・・・)為に『新旧王都を押し付けた』のだ。

 ド・ゴールがどこまでその意味を深く理解していたのか不明だが。

 

 そして、アイゼンハワーはパットン直轄の精鋭1個師団相当の兵力を、ラバトのすぐ南にある浜辺の街”デマラ”に展開させていた。

 無論、「絶対に合衆国側から英国軍に手を出すな」と厳命して。

 つまり現在、英軍と米軍はモロッコ王都ラバトを南北に挟む形で対峙していることになる。

 だが、彼ら米陸軍の本当の役目は防衛線の構築ではなく「ここから先はアメリカの領域」だと明示するための”境界線(・・・)”だ。

 明らかに”フレンチライン”の意味を正しく理解している英国は、これ以上南進しないだろうが……そうであっても何もしない訳にはいかない。

 どこまでも政治的行動だった。

 

 

 

 正直に言えば、アイゼンハワーとしては現状のようにラバトと自由フランス軍を挟んで英米が睨み合うよりラバトを英軍に獲られた方が楽なのだ。

 自由フランスが占領地を完全に喪失すれば、少なくとも「自由フランス軍の支援」という米国の”大義名分”に陰りが出る。

 そうなれば、上手く政治的にこねくり回せば、モロッコよりの撤退は無理でも戦力縮小は叶ったかもしれなかった。

 最低でも、アルジェリアへの大規模攻撃など言いだす者は居なくなるだろう。

 米陸軍の高級将校なら誰しも、現時点で英国との全面対決など望んでないのだから。

 だが、ラバトが陥落しない以上は、モロッコの自由フランス軍「生きている」のだ。

 

(英国は、我々をモロッコから逃がすつもりはない、か)

 

 この先の展開を考えると、アイゼンハワーは泥沼に足を突っ込んだような陰鬱な気分になる。

 ラバト以外のフレンチラインの消失は、同時に自由フランス軍が存在したまま、「米国”義勇”兵団と英軍が接する」という意味になるのだ。

 不測の事態も不心得者も気にしなくてはならないのはもちろんだが、きっと合衆国本土では……

 

『ジブラルタル英軍を迎え撃てる戦力のモロッコ配備を!』

 

 と必ず言いだす者が出てくるだろう。

 アイゼンハワーは、この地での緊張増大は望まない。

 

「大将。ド・ゴールが”デマラ”の兵力を動かし、”サレ”の英軍に逆襲しろって師団司令部に怒鳴りこんできたとよ」

 

 入室してきたパットンの報告に、アイゼンハワーは益々苦虫を嚙み潰したような顔になり、

 

「捨て置け。奴の為に動かす兵力は、私の元にはない」

 

「いいのか?」

 

「構わんさ。最悪、この部屋にまで怒鳴り込んでくるのなら『興奮し正常な判断ができない状態にある』とか適当に理由を付けて身柄を拘束する」

 

 するとパットンはニヤリと笑い、

 

「ララシュで手持ちがこんがり焼かれたフレンチトースト野郎が、正常な判断できないのはいつもの事だろう? まともな判断ができれば、そもそも火傷するのがわかりきってる英国人の土地なんぞに手は出さん」

 

「まあ、そうだな」

 

 アイゼンハワーは溜息を突き、

 

「ここから先は、軍人の仕事じゃない。事態の解決と尻拭いは政治家の領分だ。精々、高い給料分の仕事はしてもらうさ」

 

「了解した。ああ、MPとトランキライザー持たせた軍医を待機させておくよ」

 

「頼む」

 

 残念ながらトランキライザーがド・ゴールに実際に使われたかどうかは、記録が残っていないのでわからないそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




という訳で、モロッコ王都ラバトは英国に受け取り拒否されてしまい、アメリカが旧フレンチライン(笑)以外のモロッコの面倒を見ることは継続なようですw


【挿絵表示】
鉄拳の獅子王(リチャード):「ふん。王都(ラバト)以外の偽フレンチの担当地は貰ってやるから、後はお前たちでどうにかしろ。面倒を英国に押し付けようとするな」
※画像はイメージです(髭の色は可変しますw)

まあ、英国は現在、急に増えたコモンスウェルの再構築で大忙しなので、殴られれば当然、クロスカウンターで倍(以上)返ししますが、必要以上には面倒事に首を突っ込む気は無い模様。
だって自国が一番かわいいしw

なので頭痛の種(ド・ゴール)は残ったまま、当面はアイクはパットン、ハルゼー、ルメー共々モロッコに残留決定です。
頑張れ、未来の大統領w

そして、皇国開銀陸戦隊の名物男、”ブレン機関銃の怪力男(ブレン・パワード)”は出てこなかったですが、陸戦隊のイタリア投入予定の新兵器がお披露目と相成りました。
まあ、戦闘らしい戦闘はなかったので、デビュー戦と呼んでいいかは微妙なところですw
どちらかと言えば動作確認?

さて、次回はいよいよこの章のラストエピソード。
そろそろ、”白い館”の様子も見れそうですよ?

次回もどうかよろしくお願いします。




追記
ちょっと久々にAIイラストで挿絵を作ってみました。
それなりに見れるのが出来たら、時々は入れようかな~と。
そちらも宜しくお願いします。





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