転生しても戦争だった  ~数多の転生者が歴史を紡ぎ、あるいは歴史に紡がれてしまう話~   作:ガンスリンガー中年

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このエピソードから新章スタートになります。
なのに深夜アップ(泣

そして、いきなり”ヒトラーのクリスマス・イヴ”というパワーワードw
そして、新キャラの予感……
前半はヒトラー虐、後半は……でお送りします。


とりあえず、この章ではクリイベとか翌年(44年)に繋がるエピソードを入れていこうかと考えています。






第21章:みんなの(1943年12月の)クリイベ! か~ら~の~……
第401話 1943年12月24日、アウグスト・ヒトラーのクリスマス・イブ(ヒトラー虐&ユーゴスラヴィア将来像”SRFY”成分入り) ~愛しき妻の名は~


 

 

 

 1943年の12月24日(クリスマス・イヴ)の朝、ベルリンにある総統官邸執務室で本日のルーチンワークを始めたドイツ総統アウグスト・ヒトラーの機嫌は最悪とは言わないまでも、決して麗しいものではなかった。

 

「日本よ、何故だ……何故、『汎スラヴ主義の権化』のような危険思想の南スラブ社会主義国家(ユーゴスラヴィア)に力を貸すのだ……」

 

 ちなみに”ユーゴスラヴィア”の直訳は本当に”南スラヴ人の土地”だったりする。

 そして、ヒトラーは「汎スラヴ主義による大同団結と連帯」を嫌っていた。いや、むしろ「下手をすればゲルマン民族にとり最大の脅威になりかねない」とソ連と同等かそれ以上に警戒していたのだった。

 第一次世界大戦のきっかけとなった”サラエボ事件(=オーストリア皇太子暗殺)”が汎スラブ主義に起因していたと書けば、それも納得できるという物だ。

 

「いや、日本人が民族問題に疎い……というか、感覚的に理解できず理解しようとしないのは前世込みでいつものことだろう?」

 

 そう返すのは、相方であり相棒でもある同じ”転生者(サクセサー)”、NSR(国家保安情報部)長官のレーヴェンハルト・ハイドリヒであった。

 

「クルスならそんなことはないと思うが……」

 

「いや、アレはもはや欠片ほども日本人じゃないだろ? というかドイツ国籍でサンクトペテルブルグ大公だし」

 

「”レーヴェ”、そう言う意味じゃないと分かっているだろう? はぁ~……何故、シデハラ老(Die älteren Shidehara)は、ああもチトーに肩入れするんだ?」

 

 どうやらドイツの国家保安情報部、チトーの近場にも”草”を忍ばせるようである。

 中々優秀な組織なのは間違いはなさそうだ。

 

「確かにご老体は不思議なことにチトーに対する親愛を感じるが……チトーも何やら懐いているらしいしな」

 

「同性愛云々という与太話なら聞かんぞ」

 

「まさか。だが、シデハラ老は1870年代生まれで、一方チトーは1890年代……チトーの生い立ちを考えれば、チトーに欠乏していた『優しき父性』を無自覚にシデハラに感じても不思議ではないとNSRはプロファイリングしてる。もっとも、シデハラの行動はお前のボヤキの通り、日本の意向という方が大きいだろうが」

 

「『ユーゴスラヴィアの安定化はそのままバルカン半島の安定化に直結する』だろ? また、日本は『やがて生まれる”共産圏”に楔を打ち込みたい』という思惑もあるだろうな。前世でもユーゴスラヴィアの社会主義は独特で、日本との相性は悪くなかった記憶がある」

 

 相変わらず頭の回転が妙に早い男である。

 

「なんだ。状況を理解してるじゃないか?」

 

「理解はしていても納得いかんものという物は世の中にはあるんだ」

 

「ごもっとも。まあ、実際にチトーは『シデハラ老が勇退したらユーゴスラヴィアに招聘したい』と早速ぼやいているらしいしな。まあ、それだけ周囲が”主義者”ばかりで頼りにならんと実感しているのかもしれんが」

 

「なにっ!? それは本当なのか!? いや、それ以前に実現可能なのか……?」

 

「可能不可能で言えば、”不可能じゃない”だな。そもそもシデハラ老は引退していたところを『他に適任がいない』という理由でギリシャ特使に現役復帰させられたんだ。戦争のカタが付けば、その高齢ゆえに即座に再引退だろう。いや、外交官としては今度こそ完全引退……ならば、その後に『ユーゴスラヴィアの政務アドヴァイザー』としてオファーを出すこと自体は可能だろ?」

 

 そしてハイドリヒは皮肉気に小さく笑い、

 

「お前の発言通りに我々(ドイツ)にクルス、リビアに英雄狙撃手とその従者、イタリアにエンペラーの末弟……既に『外交上の理由で人材を供与する』という前例はいくつもある。日本人は前例があるなら、その行動に習う事に躊躇しない特性がある。ユーゴスラヴィアだけが例外とどうして言える?」

 

「冗談ではないぞ!! あの老人、本気でユーゴスラヴィアの足腰を強化して、ソヴィエトと単独で張り合える国家……いや、チトーの死後も『ユーゴスラヴィアという国名が残る”しぶとすぎる国家”』に仕立て上げかねん」

 

 

 

 さて、その「ヒトラーの嫌な予想は、見事に的中するのだろうか?

 ”ユーゴスラヴィア共和国同盟”という単語が、チトーの死後に生まれる世界線もあるようだが……

 ただ、その前身となるのは、”Social Republics Fedration of Yugoslavia(SRFY(スラフィ):ユーゴスラヴィア社会主義共和国連邦(・・))”という国家らしい。

 

「まあ、その話はクリスマス休暇明けでも良いだろう? 今日はただの金曜日って訳じゃないんだ。それに我々(ドイツ)にユーゴスラヴィア対策に出せる手札はほとんどないぞ?」

 

 ※1943年12月24日は金曜日。

 

「”草”を使えばチトーの暗殺は可能かもしれんが……まさかバルカン半島の安定化工作を破綻させて、日本の恨みを買いたいわけじゃないだろ?」

 

「それはそうだがな……」

 

 ハイドリヒは小さな笑みと共に、

 

「今日は昼時までには引き揚げろよ? 俺もそうする。上が休まんと下も休めんし、それにたまには早く帰って奥方を喜ばせてやれ。そして明日は休暇だということも忘れるな」

 

「……わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*******************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、史実においてもヒトラーに妻はいた。

 その名は”Eva Braun(エヴァ・ブラウン)”。

 ドイツ語の本来の発言ではエーファ・ブラオンというのが正しいらしいが……とにかく、エヴァ・ブラウンは「ヒトラーの愛人」としての方が知られているかもしれないが、実は敗戦直前の1945年4月29日にヒトラーと結婚し正式な妻となり……翌日、ヒトラーと心中するという末路だった。

 そしてこの世界線においても……

 

 

【挿絵表示】

「おかえりなさい、”あなた”♡ 今日は本当に早く帰ってこれたのね?」

 

「ただいま、”エヴァ”。クリスマスの料理を作っていたのか?」

 

「うん♪ シュトーレンも焼いてるわよ♪」

 

 この世界線においても”EVA(エヴァ)”はいたのだ。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 彼女の名は、正式には”エヴァンジェリン(Evangelin)・ヒトラー”。旧姓は”Evangelin Kiel(キール)”。

 どうやら本当に”ドイツ革命”が起きた軍港の街キールの出身であるらしい。

 現在、30代らしくれっきとした20世紀生まれで、ヒトラー(19世紀生まれ。だが史実より若いらしい)とは彼が第一次世界大戦の復員後、エヴァが10代の頃に”歳の差婚”をしていた。

 

 実はエヴァンジェリンはかなりの名家もしくはドイツ有数の資産家の娘(実家は元”ユンカー”という話もある)で、ヒトラーが政治家の道に入った時、資金源や後ろ盾になったらしい。

 ただし、ヒトラーから言い寄ったのではなく、意外なことにエヴァンジェリンの方から歳の差もなんのそのな熱烈な猛アタックをしたようで、むしろキール家ぐるみでヒトラーは退路を断たれて包囲され、攻略された……というのが実情らしい。

 そこはかとなく闇を感じる話ではある。

 

 それはともかく、エヴァンジェリンにとっては愛する夫が早く帰宅する事は喜びでしかない。

 子供は今のところいないが家庭は円満、エヴァンジェリンはワーカホリック気味の夫を支える気立ての良い優しい妻で、夫婦仲は極めて良好なようだ。

 

 そしてクリスマス・イヴの夜、二人は仲良くディナーを楽しみ……

 

 

【挿絵表示】

「あなた、楽しい楽しいクリスマスの夜よ♡」

 

「ああ。わかってるよ」

 

 そして夫婦二人だけの寝室(セカイ)で……

 

 

【挿絵表示】

「さあ、私と一つになりましょう♡ それはとてもとても気持ち良いことなの♡」

 

「ああ。わかってるよエヴァ。愛してる……お前だけを心から」

 

「私もよ♡ 誰よりも愛しい、私だけの可愛い人(Mein Liebling, mein Schatz)……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




えっ? エヴァンジェリン(ヒトラーの嫁)が誰かに似てるって?
だって史実のヒトラーの嫁って”EVA”でしょ?(挨拶

という訳で、零号機パイロット……じゃなかったエヴァンジェリン・ヒトラー(旧姓:エヴァンジェリン・キール)のイラスト付き初登場でした。

まあ、実際にエヴァンジェリンのコンセプトは、ズバリ「某ユイさんの年頃に成長した綾○レイ」ですw
いや、ほらドイツにEVAときたら、このネタやるしかないかなぁ~と。
んで、嫁の実家はキール家。
船の”竜骨(キール)”ではなく、ドイツ革命で有名な海軍街のキール市の方なので、家名にしました。
「小国が傾くだけの金額をポンと出せる」超金持ちの家っぽい?

ただ、こんなイラストにしてしまったせいで、ヒトラーの声は全て某立木氏ヴォイスの脳内変換されてしまってw
無論、エヴァンジェリンは当然のように某林原ネキヴォイスです♪

でもここだけの話、「幸せな方向性で”補完”された二人」もよいなぁ~と。
これもシン・エヴァ(テレビ放送版)を見た影響かな?

兎にも角にも、特定キャラのクリイベと「44年の激闘」に向けたエピソードを入れてゆきたいと考えていますので、どうか新章をよろしくお願いいたします。







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