これはもしもの物語。
少年少女たちの熱き青春の物語である。

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一発ネタです


インフィニット・ファイターズ

 星々のきらめきが彼らを照らしていた。

 いくつもの光の(すじ)が飛び交い、彼らを焼き焦がす。

 白き機体を駆るのは少年、名を織斑一夏という。

 

「くそっ、なんて出力のビームだよオイ!」

『一夏、愚痴ってないで手を動かしなさい! このままだとやられるわよ!』

「分かってる!」

 

 共に戦う仲間の少女、凰鈴音の叱咤もあってか自分の機体――白式・雪羅を加速させる。宇宙に光る電を避けつつ、敵の機体を探す。

 近くには、残骸となったコロニーが見える。気を付けなければ、自分もああなってしまうだろう。そうなれば――一瞬、思考が逸れた。その隙を敵が見逃すはずもない。

 最初にビームがやってきた。その次に、ミサイルが自分を狙ってくる。

 

「これは欧州の連合チームの!?」

『あら、気が付くのが遅くてよ!』

「その蒼い機体はブルー・ティアーズ!」

 

 ビット兵器を内蔵した機体で、まるでドレスのような姿をしている。特徴的なのはその蒼いカラーリングだろう。スナイパーライフルを装備しており、完全なる遠距離型のカスタマイズを施されている。

 だが、油断した一夏の背後から衝撃波が飛んできた。ミサイルを破壊し、ビームは一夏が切り伏せる。

 

『だから日本人は嫌なのですわ! どんだけ優勝をかっさらうつもりですの!』

「鈴は中国だけどな」

『生まれも育ちも日本(ここ)よバカ!』

 

 軽口を言いつつも、奴らの連携パターンを思い出す。

 事前にもう一人の仲間が集めてくれた情報を基に、次の行動を予測する。たしか、ビームとミサイルの雨の後で忍者のように忍び寄る機体が――

 

「後ろかッ!」

『ほう、見抜くか。流石織斑教官の弟、一筋縄ではいかんようだな』

「その声、ラウラ・ボーデヴィッヒか!」

 

 互いの獲物がぶつかり合う。一夏の使う武装は日本刀のような形をしていながら、ビーム刃を展開させることもできるもので、こめたエネルギーによって威力を増していく特性がある。さらに、ビーム兵器相手ならば相殺することも可能なのだ。

 対して、ラウラが駆る漆黒の機体。こちらにはプラズマソードが付けられている。手刀で使用されるため、手の甲の部分にエネルギー発生装置が付与されている。匠のカスタマイズだ。

 

「なら、これで!」

 

 一夏が機体の左手に付けられている大型のキャノン砲をラウラの機体へと向ける。左腕だけが巨大なため、酷くアンバランスな機体となっているが、一夏はその機体を使いこなしている。

 左手の荷電粒子砲が発射され、ラウラへと迫る。それは直撃すればひとたまりもない威力だろう。だが……

 

『あたらなければどうということはない!』

「くそっ!」

『一夏、今頃仲間たちはどうしているだろうな? 先ほどから通信が来ないのではないのか?』

「――ッ」

 

 焦る。今すぐ仲間を助けに行きたい衝動に駆られるが、自らを律する。

 仲間たちにも言われたではないか。すぐに熱くなってしまうのが自分の悪い癖だと。

 

「それがお前たちの常とう手段だろ。通信をジャミングして、分断したうえで撃破する。さっきの奇襲もそうだ。俺たちの動きを阻害するためのもの!」

『ほう。そこまで知っていたか――だが、だからといって貴様を教官の弟だとは認めない!』

「この、分からず屋ぁーっ!! 」

 

 二人が再び激突する。

 そして、コロニーを挟んだ向かい側へと移動していた鈴とブルー・ティアーズを操る少女、セシリアの戦いも熾烈を極めていた。

 ビームと衝撃波。二つがぶつかり合うことで爆発が起きている。フィールドにも影響が出ており、電が激しさを増していた。

 

「視界が悪くて大変ね!」

『あらあら、そちらお胸がたいそう貧相ですわねー』

「……これは挑発。ただの挑発、だから落ち着きなさい。落ち着くのよ。酢豚が一匹、酢豚が二匹……よし、落ち着いた」

『もしや、ダブルを頼むと期間限定トリプルというやつですか? いえ、”無”期限でしたわね』

「――――そこまで小さくはないわ!! まっ平か? まっ平って言いたいのかぁあああ!!」

 

 鈴の機体、甲龍が加速する。巨大な青龍刀を振り回し、ブルー・ティアーズへと肉薄する。

 

『あ――自分が近接戦闘苦手なの忘れてましたわ! ヘルプ! シャルロットさんヘルプ!』

『調子に乗って煽るからだよ! それに、こっちも手いっぱい! この人強くはないけど手堅い戦い方するから長引きそう!』

『よりにもよってシャルロットさんと同タイプですか!?』

『量産型をベースに改造するあたり趣味も近いかもね! 実弾多いし!』

 

 そうこう言っている間に、セシリアへと鈴の刃が迫る。

 

『あ、あああ!? 真っ二つですわー!?』

 

 ガキンとセシリアの機体が縦に二つに切り裂かれてしまい、直後に爆発が起きた。

 これで一人が脱落。残るは二人。

 

「一夏――聞こえる!?」

『お、通信回復したのか? こっちは手こずっているけど何とか持たせられそうだ! 鈴は弾のところへ行ってくれ!』

「了解!」

 

 鈴の機体、ドラゴンガンダムをベースに改造された甲龍が加速し、もう一人の仲間、五反田弾の元へと飛んでいく。

 彼らは今、ガンプラバトルハイスクール・ワールドトーナメントの真っただ中にいた。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 はじまりはいつだっただろうか。画面の中を飛び交うモビルスーツたち。彼らを自分で動かすことが出来たらどんなに楽しいことだろう。幼い日のそんな思いが、今形を変えて実現した。

 プラフスキー粒子と呼ばれる物質がガンプラのプラスチックに反応し、自ら作り上げたガンプラを動かす。幼き日の夢が今ここに存在する。一夏がガンプラの世界にのめりこむのにそう時間はかからなかった。そのため、当時やっていた剣道からガンプラの道へ進む際に一悶着があったのだが、それも今ではいい思い出だ。

 

「弾! あんたこの改造はどういうことよ!」

「女にはわからんさ! このロマンが!」

「だからってグリモアに大型パイルバンカー取り付けてどうするのよ!」

「ワイヤーフックを部分を改造して取り付けたんだ。発射機構は設定的にカバーできる」

「だからって重心が悪かったら意味ないでしょうが!」

 

 ……こんな調子でこの先戦って行けるのだろうか。時はガンプラバトルハイスクール・ジャパントーナメント間近のことである。

 全国大会、中高生の部とは異なり彼らの参加するのは高校生限定の特殊大会。3対3であることには変わりないのだが、各試合ごとにルールの異なるバトルを行う。純粋なバトルもあればレースバトル、1対1を行っていくなどと様々だ。変わったものであれば内部データを用いた戦艦戦なども存在する。

 

「喧嘩するなよな二人とも、大会まで日が無いって言うのに」

「でも一夏! 初戦はあの更識なのよ!」

「忍者の末裔で、ビルダーズコンテスト常連の奴がいるってところだろ? 知ってるよ……」

 

 この前会ったしとは言わない。たまたま不良に襲われているところを助けて知り合ったけど、これから戦う相手と知り合いなどと言ったら鈴が何を言い出すかわからない。もっとも、一夏は鈴が何に危惧しているのかはわかっていないが。

 だがしかし、そういった場合は簡単に顔に出るのがこの男、織斑一夏という少年だ。

 鈴は目ざとく一夏が何かを隠しているのをすぐに見抜き、こいつ――嘘をついていやがるとその口に指をねじ込んで横に引っ張る。

 

「いふぁいいふぁい」

「アンタ、何隠してんのよ」

「鈴、断言なんだな」

「当たり前じゃないのよ! 完全に何か隠している顔だったわよ」

 

 それについては弾も同意すると何も言えなかった。

 結局、哀れにも(当然にも?)一夏は洗いざらい吐かされるとに。

 

「――――あんた、結局またいつもの病気じゃないのよ!!」

「? 何の話だ」

「うがぁああああ!!」

「一夏、天然で煽るなんて恐ろしい奴」

 

 結局、一夏の頭の上には疑問符が浮かぶばかり。

 この日は一度頭を冷やすべきだと弾が提案し、いったん帰宅することとなった。

 一夏としては鈴が何に怒っているのかわからないが、鈴という少女もツンデレもとい素直になれないタイプなので結局二人はすれ違いばかりである。しかも、一夏は天然で女性をおとす才能を持つ。彼自身は恐ろしいほどの鈍感であるために気が付くことは一切ないが。

 

「なんで怒っていたんだろうなぁ……まあ、敵対チームと仲良くしていたらそりゃ怒るか」

 

 問題はそこではないのだが、一夏がそこに気が付くことはこれからもないかもしれない。

 そんな帰り道――彼の目の前にポニーテールの髪型の少女が現れる。年の割には発達した胸部。鋭い目つきのその少女の名は、篠ノ之箒。一夏の幼馴染だ。

 

「……」

「箒、箒じゃないか! 久しぶりだな! 元気だったか?」

「…………なぜだ」

「?」

「なぜ試合に出ていない!」

「えっと、何の話だ?」

「この際進学校が違ったのは私の勘違いだ。そこはいい。だが、何故試合でお前の姿を見かけんのだ!」

 

 この少女、篠ノ之箒は鈴をさらに上回るツンデレ――もとい、素直になれないシャイ(?)な少女なため好意を向けている一夏に対して言葉足らずになってしまう癖がある。

 元々一夏も同じ剣道場に通っていたため、中学時代の彼女は一夏も当然自分と同じく高校でも一緒に剣道をしているものと思っていた。だが、彼女は知らなかったのだ。一夏がガンプラバトルを始めていたことを。

 剣道をやめて、ガンプラバトルで世界一になるぜと仲間たちと共にガンプラバトル部を立ち上げていたことを!

 なお、一夏は箒がそのことを知っていると思っており、互いに今まですれ違いが続いている。

 

「なぜお前は試合に姿を見せない(剣道の試合の話)」

「まあ、最近は負け続きだったからなぁ……大会も少しマイナーな方にエントリーしているし(ガンプラバトルの話)」

「なに? 本流を外れて弱い奴らに勝ってうれしいのか、貴様?」

「とんでもない! マイナーだけど確かな実力者たちが集まる大会なんだ! それに、勝ちあがれば世界大会に行ける――千冬姉だって、最初は難色を示したさ。でも、今は俺の夢を分かってくれて後押しだってしてくれるんだ。

 それに仲間たちだっている。心強い仲間たちが(何度も言うようですが、ガンプラの話です)」

「そ、そうか……そうだよな。お前はそういう奴だ。安心したよ。お前が変わっていなくてな」

「箒だって元気そうで良かったよ。っと、スマン。帰って晩飯作らないといけないんだ」

「ああ。またな一夏。いつか試合で会おう」

「おう!」

 

 その場で二人は別れ、自分の家へと向かう。

 しかし結局のところお互いの誤解は解けていない。

 

「……あれ? 箒ってガンプラバトルやっていたっけ……まあいいか」

 

 一夏も深く考えず、箒も言葉足らずで一夏が剣道をやめたことを知らない。

 一応ガンプラバトルに動きを取り入れている関係上、一夏も剣術の様な事をしているため体は鍛えている。その結果、彼の体はアウトドアな男性のモノ。体の動かし方もスポーツマンのそれであるために箒は気が付けない。

 どちらかが違和感をはっきりと認識すれば解ける誤解は誤解のままとなる。

 箒が真実に気が付くのは、一夏が世界大会で活躍する光景を中継で見たときとなるのだが、この時はまだ誰も知らない。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「数馬ぁああああ!!」

「一夏ぁああああ!!」

 

 友との戦い。

 

「この打鉄弐式との力があれば、勝てる」

「簪ちゃんとこの更識家当主、楯無の姉妹のコンビネーションが破れるかしら! いくわよ、ジェットストリームアタックを決めるわ!」

「お嬢様、先走らないでください」

 

 ライバルたちとの激闘。

 

「フハハハハハ! この黒騎士(ブラックナイト)ガンダムの力、思い知るがいい!」

「くそっ――それでも、俺は負けるわけにはいかないんだ! 仲間たちの分まで……俺は戦うッ! いくぞ、マドカァアアアアア!!」

 

 家族との決戦。

 

 その全てを乗り越えて、今ここに彼らは立つ。

 三人が拳を突き合わせて気合を入れ直す。

 

「これから、最後の決戦だ。準備はいいか?」

「アンタたちこそ、油断するんじゃないわよ」

「誰に言っているんだ? お前らこそしっかりやれよ」

 

 ゆっくりとガンプラバトルフィールドの前に歩んでいき、各々のGPベースとガンプラをセットする。

 小さく息を吐き、眼前にいる最後の相手と向き合う。

 さあ、本気で遊ぼう。

 ガンプラバトルは遊びだ。だからこそ、本気になれる。

 

「いくぞ、ゴー……」

 

『ファイ!!』

 

 




この世界の束さんはガンプラ作ってます。

あと、続きません。色々と設定がふわっふわしていますが、仕様です。

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