NARUTO~影の英雄~   作:ほにゃー

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卒業おめでとう

その日の夜、合格祝いと言う事で里でそこそこ値の張る居酒屋で晩飯を食べたマナトは家に帰るなり、そのまま眠りについた。

 

そして、物音で目が覚めた。

 

玄関でシンキが誰かと話しており、ベッドから起き上がる。

 

今につながる扉を開けると、シンキはベストを着用し、額当てを付けていた。

 

「マナト!目が覚めたのか……すまないな」

 

「叔父さん、どっか行くの?」

 

「ああ、呼び出しでな。ちょっと行ってくる。もう一度寝てろ」

 

シンキはそう言い、玄関を出て行く。

 

「こんな夜中に何処に行くんだ?………それに、叔父さん、呼び出しって言ってた」

 

シンキはマナトに言えない用事がある時は決まって、呼び出しだっと言って家を空ける癖があった。

 

そのため、マナトは何かあると考え、貰ったばかりの額当てを付け、シンキの後を追った。

 

シンキを追い掛けると、そこにはシンキ以外に里の中忍や上忍などが幾人か集まっていた。

 

「火影様!今度ばかりはイタズラじゃすみませんよ!」

 

「封印の書は初代様が封印された危険なモノ!」

 

「もし里の外に持ち出されたら!」

 

「うむ。封印の書は使い方によっては恐ろしいことになりかねん。盗まれて半日以上が経っておる。急いでナルトを探すのじゃ!」

 

三代目火影“ヒルゼン”の命により、忍達は一斉に散開する。

 

「ナルトのバカ……何やってんだよ。大人たちより早く探さないと!」

 

マナトは封印の書がどんな物なのか分からなかったが、封印と付いてる以上、危険な物だと理解した。

 

「流石に、街や家には逃げないよな。となると………森か!」

 

マナトは森へと進路を向け、走り出す。

 

すると森の中で何者かの移動の痕跡を見つけ、マナトはそれを付ける。

 

そして、森の中に一軒家の傍でナルトが一人で何かをしてるのを見つけた。

 

「ナルト!」

 

「ん?あ!マナト!」

 

「お前なにやってんだ!火影様や里の大人たちはカンカンだぞ!」

 

「で、でもさ………」

 

「こらー!ナルトー!」

 

ナルトが何か言い訳をしようとしたその瞬間、イルカが現れ、ナルトを叱った。

 

「い、イルカ先生!」

 

「しまった!見つかった………!」

 

「マナト!?お前、なんでここに!?」

 

「その……火影様たちの話を盗み聞きして……それで、ナルトが他の大人に見つかって怒られる前に、火影様に謝りに行かせようと………」

 

マナトはナルトの方を見ながら言う。

 

「まったく………とにかくナルト!その巻物を渡すんだ!帰るぞ」

 

「ちぇー……まだ術一個しか覚えれてねーのに」

 

「術?まさか、お前、術の訓練してたのか?」

 

「おう!」

 

その言葉にイルカはナルトの姿がボロボロなのに気付いた。

 

(ナルトの奴………こんなにボロボロになるまで…………)

 

「覚えた術ってその巻物に書いてる術なんだよな?一体誰からそんなこと聞いたんだよ?」

 

「ミズキ先生だってばよ!この巻物の術見せれば、卒業間違いなって!」

 

「ミズキが………?」

 

イルカは不審に思った。

 

何故なら、イルカにナルトが封印の書を盗んだと言う事を伝えたのは忍者学校(アカデミー)の教師であり、同僚であり、友であるミズキだからだ。

 

そのミズキがナルトに封印の書の事を教えた。

 

しかも、卒業できると言って。

 

その瞬間、イルカは背後に殺気を感じ、慌ててマナトとナルトを尽き飛ばす。

 

その直後、イルカをクナイが襲い、イルカは手傷を負った。

 

「「イルカ先生!?」」

 

「よくここが分かったな。それに……余計な奴もいるが、まぁいい」

 

クナイを投げたのはミズキだった。

 

ミズキは木の上でイルカを見下す様に見ている。

 

「なるほど………そういうことが!」

 

イルカは全てを理解し、苦しそうに体に刺さったクナイを抜く。

 

「ナルト……巻物を寄越せ」

 

「ナルト!死んでも巻物を渡すな!」

 

イルカとミズキの両方からの言葉にナルトは狼狽え、尋ねる。

 

「あのさ!あのさ!どーなってんの!?」

 

「ナルト!封印の書は、禁じ手の忍術を記して封印した危険な物だ!ミズキはそれを手に入れるために、お前を利用したんだ!」

 

イルカの言葉に、ナルトは構える。

 

そして、マナトもナルトの隣で構える。

 

「ナルト、その巻物はお前がもっていても意味が無いのだ。本当の事を教えてやるよ」

 

「ば、バカよせ!」

 

「十二年前、バケ狐を封印した事件はしってるな。マナト、お前も知ってるだろ?」

 

ミズキの言葉にマナトは無言で頷く。

 

「あの事件以来、里では徹底したあるおきてが作られた。しかし、ナルト。お前には決して知らされることの無い掟だ」

 

「俺だけ!?何なんだ、その掟ってばよ!!」

 

「それはな………」

 

「言うな!ミズキ!」

 

「ナルトの正体が、そのバケ狐だと口にしない掟だ」

 

「………え?」

 

「つまり、お前がイルカの両親を殺し!里を壊滅させた九尾の妖狐なんだよ!お前は、憧れの火影にそのバケ狐を封印された揚句、里の皆にずっと騙されてたんだよ!おかしいと思わなかったか?あんなに毛嫌いされて!イルカも本当はな!お前が憎いんだよ!」

 

そう言ってミズキは背中に背負った巨大な手裏剣をナルトに投げつける。

 

「ナルト!」

 

マナトは咄嗟にナルトを庇おうとするが、手裏剣の攻撃の方が早かった。

 

手裏剣がナルトに刺さる。

 

そう思った瞬間、イルカがナルトを押し倒し庇った。

 

手裏剣はイルカの背に刺さり、ナルトには刺さらなかった。

 

「な……なんで………?」

 

「……ナルト。俺もお前と同じだ。両親が死んで、誰も俺を褒めも怒りも認めもしてくれる人がいなくて寂しくてよ………クラスでよくバカやった。人の気を引きたかったんだ……優秀な方で気を引けなかったかわよ。ずっと……ずっと、バカやってたんだ……苦しかった…………そうだよなぁ、ナルト………寂しかったんだよな……苦しかったんだよな………」

 

イルカはナルトを庇ったまま涙を涙を流し、その涙がナルトの頬を濡らす。

 

「ごめんな……ナルト。俺がもっとしっかりしてりゃ……こんな思いさせずにすんだのによ…………」

 

泣きながらナルトに謝るイルカ。

 

ナルトは何も言わず、巻物を手に走り出した。

 

「残念だが、ナルトは心変わりする奴じゃねぇ……あの巻物を利用してこの里に復讐する気だ……さっきの目、見ただろ?アレは復讐に取り憑かれた妖狐の目だ!」

 

「……ナルトは………そんな奴じゃ……ない!」

 

イルカは背中に刺さった手裏剣を抜き、ミズキに投げる。

 

「マナト!ナルトを追え!」

 

「で、でも、イルカ先生怪我が………!」

 

「ナルトはお前の友達なんだろ!頼む!ナルトを一人にしないでやってくれ………!」

 

イルカの声を聞き、マナトは一瞬ためらうも、力強く頷き、ナルトを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルトを追い掛けて数分。

 

マナトはナルトが木を背に座り込んでるのを見つけた。

 

「ナルト!ここにいたのか!早く逃げるぞ!」

 

マナトはナルトの手を取って走り出そうとするが、ナルトはその手を弾く。

 

「な……ナルト………?」

 

「どうせ……どうせマナトも、俺の事をバケ狐だと思ってるんだろ」

 

「……ナルト」

 

「マナト言ってたよな!自分の父ちゃんと母ちゃんは、九尾と戦って死んだって!俺が……俺が、その九尾なんだってばよ!どうせマナトも………俺のこと恨んでるんだろ!」

 

その瞬間、マナトはナルトを思いっきり殴りつけた。

 

「いい加減にしろよ………確かに、あんな話聞いたら恨むのが普通かもしれねぇ。でもな……あんな話位でお前を恨むほど、お前との付き合いは短くねぇぞ」

 

マナトはナルトの目を見てそう言う。

 

「俺の事、信じろ」

 

「あ……ま、マナ――――――」

 

ナルトが何か言い掛けたその瞬間、近くに誰かが落ちた。

 

それはイルカとナルトだった。

 

「そ、そんな……どうしてだ……ナルト………どうして俺がイルカじゃないと分かった」

 

「イルカは……俺だ」

 

イルカはミズキで、ナルトはイルカの変化だった。

 

「なるほど……親の仇に化けてまでアイツを庇って何になる?」

 

「お前みたいなバカ野郎に巻物は渡さない」

 

「バカはお前だ。ナルトも俺と同じなんだよ」

 

「同じ?」

 

「あの巻物の術を使えば、何だって思いのままだ。あのバケ狐が力を利用しない訳がない。あいつはお前が思っているような「ああ!」

 

イルカはミズキの言葉を肯定した。

 

その瞬間、ナルトは俯き、悔しそうにする。

 

「バケ狐ならな」

 

「え?」

 

その言葉にナルトは思わず耳を疑った。

 

「けど、ナルトは違う。アイツは……俺が認めた優秀な生徒だ。努力家で、一途で、そのくせ不器用で誰からも認めてもらえなくて………あいつは人の心の苦しみを知っている。バケ狐じゃない。アイツは木ノ葉隠れの里の………うずまきナルトだ!」

 

イルカの言葉にナルトは涙を流していた。

 

「ナルト……分かっただろ。お前を認めてくれてる奴は確かにいる」

 

マナトは立ち上がり、ナルトに言う。

 

「里に逃げるんだ。そして、火影様にこの事を伝えて、援軍を呼んで来てくれ。頼むぞ」

 

そう言い、マナトはイルカとミズキの間に飛び出す。

 

「ま、マナト!?」

 

「なんだ、マナトか。ナルトは何処だ?」

 

「里に逃がした。きっと今に、上忍を連れてお前を捕まえに来るぞ」

 

「はっ!バケ狐の言葉に誰が耳を貸すかよ」

 

「黙れ。前から思ってたけど、俺、アンタみたいな教師が大ッ嫌いだったんだよ」

 

「ああ、そうかい。俺もお前みたいなクソ生意気なガキ………大ッ嫌いだぜ!」

 

そう言って、ミズキは背中にあるもう一つの巨大手裏剣を投げる。

 

マナトは素早くチャクラを練り、印を組み忍術を発動する。

 

「火遁・豪火球の術!」

 

口から巨大な火の玉をマナトは吐き出し、手裏剣は炎の威力と熱風に寄り速度が落ち、地面に刺さるように落ちる。

 

「豪火球の術だと!?卒業したての下忍が使える術じゃないぞ!?」

 

「カナデに教わったんだよ。悪いけど、普通の下忍とは思うなよ」

 

「なるほど、うちはの小娘か。そこまでして、なんであのバケ狐を守る?」

 

「友達だからだ」

 

ミズキの質問にマナトは即答する。

 

「アイツはお前の両親を殺したバケ狐なんだぜ?仇を討ちたいと思わないのかよ?本当は恨んでるんじゃねぇのか?心の底から殺してやりたいってよ!」

 

「そんな訳あるかよ」

 

またしても即答するマナトに、ミズキは唖然とした。

 

「父さんと母さんを殺したのは九尾だ。ナルトじゃない。ナルトは馬鹿で、俺と一緒に遅刻するような奴で、イタズラ好きで、ラーメンが好物で、誰よりも努力をする奴で…………俺の友達だ。友達を見捨てるかよ!」

 

マナトはクナイを取り出し、ミズキに向かって走り出す

 

「聞いてて反吐が出るぜ。これだから木ノ葉ってのは………虫唾が走るんだよ!」

 

ミズキに攻撃を仕掛けようとしたマナトは、一瞬で蹴り飛ばされた。

 

「がっ!?」

 

「死ねよ!ガキが!」

 

豪火球の術に驚かされたとはいえ、ミズキは中忍。

 

さらに、忍者学校(アカデミー)入学前から独学で、傀儡や幻術など習得していたオールラウンドであり、木ノ葉の秀才と呼ばれ、一時期は上忍昇格の話も合った忍だ。

 

下忍のマナトなど相手ではなかった。

 

あっさり形勢逆転となり、マナトは倒される。

 

「マナト!」

 

イルカは足元に倒れたマナトに呼び掛けるも、マナトは痛みで動けなかった。

 

「イルカ……お前を後にするっつたがやめた………ガキと一緒にさっさと死ね!」

 

地面に刺さった手裏剣を抜き、イルカとマナト目掛けミズキは投げる。

 

イルカはマナトを抱きしめ、守る様に庇う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、手裏剣は二人には届かなかった。

 

何故なら、ミズキが手裏剣を投げる瞬間、ナルトがミズキに飛び蹴りを食らわせ、手裏剣は大きく上に逸れたからだ。

 

「ナルト!?」

 

「イルカ先生と、マナトに手ェ出すな……殺すぞ」

 

ナルトは自身の身長の半分ぐらいの大きさの封印の書を地面に置き、ミズキを睨みつける。

 

「バ、バカ!なんで来た!?逃げろ!」

 

「ほざくな!テメェーみたいなガキ、そこのクソ生意気なガキ同様、一発で殴り殺してやるよ!」

 

「やってみろ、カス。千倍にして返してやっから」

 

そう言い、ナルトは印を組む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                「多重影分身の術!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、ミズキの周囲には千人近いナルトの実体を持った分身、影分身が現れた。

 

「な、なんだと!?」

 

「どうしたよ?」

 

「来いってばよ」

 

「俺を一発で殴り殺すんだろ?」

 

「来ないなら……」

 

「こっちから行くぜ!」

 

「うぎゃあああああああああああああああああ!!?」

 

それから数分間、森の中では殴り蹴る音と男の悲鳴が鳴り止まなかった。

 

いくら上忍並みの力を持った中忍と言えども、数で押されれば一溜りも無かった。

 

ミズキはボロボロになり意識を失って地面に倒れていた。

 

「イルカ先生……あれは………」

 

マナトが腹部を抑えながらイルカに尋ねる。

 

「……あれは影分身……実体を持った分身で、分身の術よりも高度な忍術だ………ナルトの奴……それを半日で覚えるとは…………」

 

「ちとやり過ぎちゃった………」

 

ナルトはボロボロになったミズキを見つめ、笑う。

 

「………ナルト。ちょっとこっちに来い。お前に渡したいものがある」

 

ナルトはイルカの言葉に素直に従い、近寄る。

 

「目を閉じろ」

 

目を閉じたナルトを見て、イルカはあることをし始めた。

 

「先生……まだ?」

 

「よし!もう開けていいぞ」

 

ナルトが目を開けて最初に見たのは嬉しそうな顔をしてるマナトと、額当てをしていないイルカだった。

 

そして、イルカの手には自分が額に付けていたゴーグルがあった。

 

その時、自身の額にゴーグルとは違う、別の重みを感じた。

 

「ナルト………卒業おめでとう」

 

ナルトの額にはイルカの額当てがあった。

 

「やったなナルト!」

 

マナトは喜びに声を上げる。

 

「卒業祝いに、一楽のラーメン奢ってやる!マナト、お前も一緒に奢るぞ!」

 

イルカの言葉はもうナルトの耳に入っていなかった。

 

ナルトは喜びに涙し、イルカに抱き付いた。

 

その光景にマナトも嬉しくなり、二人に抱き付いた。

 

(忍にとって本当に大変なのはこれからだ!って説教するつもりだったが………ま!それはラーメン屋まで我慢しといてやるか)

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