ラビットハウスでいもうと喫茶をやってみたらはまり役で。
ドタバタコメディです。
ラビットハウスにて
チノ:私、時々思うんです。
リゼ:ん? なんだ?
チノ:ココアさんって、すぐにお姉さんぶりますけど、あまり姉らしいところがないんじゃないでしょうか。
リゼ:確かにそうだな。すぐ泣くし、騒がしいし。
チノ:それにけっこう甘え上手ですよね。
リゼ:そうだな。あいつ、実家では末の妹だしさ。
チノ:モカさんにべったり甘えるココアさん…何の違和感もありません。
リゼ:あはは。私たちの前じゃ強がるけどな。
チノ:その辺も、子供っぽいです。
ココア:チノちゃん、ひどいよ。リゼちゃんも。
リゼ:いたのか。ごめんごめん。でも、実際そうなんじゃないのか?
ココア:むぅ~。そんなことないよ。家でもちゃんと自立してたよ。
リゼ:本当か~? そうだ、ココア、いいこと思いついたぞ
ココア:なになに?
リゼ:お前いつも、チノのお姉ちゃんになりたがってるだろ。一度、逆になってみろよ。
ココア:逆?
リゼ:そう。お前が妹になるんだ!
チノ:いいかもしれません。 一度妹になってみると、妹の苦労がわかるはずです。
ココア:えぇ~? 私、お姉ちゃんなのに…。
チノ:さ、ココアさん、私のこと、「お姉ちゃん」って呼んでみてください。
リゼ:チノがいつになくちょっと乗り気だ……
ココア:うぅぅ、チノちゃんが喜ぶのなら……でも、一回だけだよ?
やっぱり私はお姉ちゃんなんだから、とチノに念を押すココア。
ココア:(息を吸って)すぅー……。お、お姉ちゃん。
チノ:……これは……なかなか悪くない響きですね……
ココア:チノお姉ちゃん!
チノ:こ、ココアさん。今日は、しばらくそれで行きましょう
ココア:うーん……。本当は私、お姉ちゃんなのに……でも、いっか。 なんだか楽しくなってきたし。妹をやってもすごいっとてこを見せつけてあげる!!
リゼ:何の自慢にもならんけどな……
(間)
ココア:チノお姉ちゃん、注文とってきたよー
チノ:お疲れ様です、なでなで
ココア:えへへ~
シャロ:なにあれ…
リゼ:なんか、思いのほか、二人とも逆ポジションが気に入っちゃったみたいで。だが、見てみろよ。
ココア:ふぇぇん! お皿割っちゃった~! あ! コロンビアじゃなくてブレンドだった! 開店前に机に書いた落書き消すの忘れてたー!
シャロ:これは…いつにましてひどいですね…
リゼ:しかも
チノ:ココアさん!
ココア:あぅぅ……ゆ、許して、チノお姉ちゃん
チノ:……つ、次からはもっとを気を付けてください
ココア:うん! ありがとう、お姉ちゃん!
リゼ:甘えられて、チノがうまくココアを叱れないんだ
シャロ:悪循環じゃないですか!
リゼ:そうなんだよな。よし、ここはひとつ、私がびしっと言ってこよう
シャロ:が、頑張ってください
リゼ:おい、ココア!
ココア:あ、リゼちゃん、なぁに?
リゼ:お前、今日はちょっと気が抜けすぎだぞ? もうちょっとしっかりしなきゃ、店が回らないぞ
ココア:そ、そうだよね、私、役になってないよね……ごめんなさい、リゼお姉ちゃん
リゼ:わ、私にまで適応されてる!?
ココア:えへへ、だってよく考えたら、リゼちゃんって一つ年上だから。本当にお姉ちゃんだよね
リゼ:お、お姉ちゃん。そんなの初めて言われた……お姉ちゃん……わ、悪くないな……
シャロ:ちょ、先輩!
ココア:次からちゃんと気を付けるよ! リゼお姉ちゃん
リゼ:う、うん。わかればいいんだ、わかれば。過ちに気が付くことが立派な兵士への第一歩だからな
ココア:じゃ、私はチラシ配りに行ってきまーす!
リゼ:おう、頑張れよ~。……って、あれ?
シャロ:せ、先輩、完全にうまく逃げられましたよー!
リゼ:あ、しまった。ココア、こら~!
シャロ:もういない…。
リゼ:私としたことが…でも、お姉ちゃんか…なかなか恐ろしい言葉だ。
シャロ:先輩は、お姉ちゃんって、呼ばれたら、うれしいんですか?
リゼ:そうだな~。まぁ、あまり今までそんな風に呼ばれたことはなかったから。新鮮ではあるな。
シャロ:で、でしたら、今日一日、わ、私が……
リゼ:あ、お客さんだ! いらっしゃいませ~! シャロ、今何か言ったか?
シャロ:な、なんでもありません…。
町にて
ココア:ふんふふふんふふ~♪ あ、青山さんだ!
青山:あら、ココアさん。こんにちは
ココア:なにしてるんですか?
青山:天気がいいので、日向ぼっこです。ココアさんは?
ココア:私はねー、チラシ配りだよ
青山:まぁ、見せていただいてもよろしいですか?
ココア:はい、これ! 渾身の出来なんだ~
青山:『ラビットハウス……本日限定・妹フェアー開催中!! あなたの理想の妹は誰ですか?』
ココア:えへへ、さっき頑張ってつくちゃった
青山:面白そうな企画ですね。では、ココアさんも妹を?
ココア:うん!! やってみたらハマっちゃった。いま絶賛、妹モードだよ!
青山さん:あらまぁ。私、実は妹がほしかったんですよ。
ココア:じゃぁ呼んであげるね! 青山おねえちゃん!
青山:素敵です。心が癒されます。
マヤ:あ、ココアとブルマンだ! 何してるの~
メグ:ココアちゃん、青山先生、こんにちは
ココア:ふっふっふ! 今日の私は、君たちの強力なライバルなのだ。
マヤ:なんで~? あ、なにこれ?
メグ:妹フェア、開催中?
マヤ:それじゃ、ココアやリゼが妹になるの?
メグ:え~!?
ココア:そんなわけだから、お店に来てね、マヤおねえちゃん、メグおねえちゃん!
マヤ:あはは、なにそれ~
メグ:ふぇぇ、年上のココアちゃんにお姉ちゃんって呼ばれちゃった
ココア:だてに生まれてからずっとモカお姉ちゃんの妹やってないからね。潜在的な妹力は誰にも負けないよ!
マヤ:おもしれー!あとで行ってみよ。リゼにお姉ちゃんって言われてみてー。
メグ:な、なんだか不思議な光景になりそう~
間
ラビットハウスにて
リゼ:なんだか、急にいつもより混んできたな
チノ:お、大忙しです
お客:ねぇねぇ、妹フェアっていうのは何時からなの?
リゼ:はい?なんのことですか?……って、こ、このチラシは!? ちょ、ちょっとチノ、来てくれ
チノ:こ、これは…
リゼ:こんなバカなチラシ配るやつは、一人しかいないな
チノ:はい、犯人は絶対にココアさんです
リゼ:あ、あいつ~
帰ってくるココア
ココア:たっだいまー!
リゼ:こらー、ココア!
ココア:ど、どうしたの、リゼちゃん、血相を変えて
リゼ:当たり前だろ。なんなんだ、このチラシは
ココア:あ、すごいでしょー。私、500枚も配ったんだよ~
リゼ:勝手な企画をでっちあげるなー!
ココア:でもでも、絶対にお客さんいっぱい来てくれるよ! 妹を嫌いな人なんていないもん
チノ:リゼさん、ココアさん、大変です!
リゼ:どうした?
チノ:この企画、反響がいいみたいで、お客様たちが、まだかまだかと…このままでは、暴動が起こりかねません
リゼ:な、なんてこった。今から、謝って何とかならないかな
チノ:そんなことしたら、うちの評判を著しく下げてしまいます…
ココア:やっちゃおうよ! 本日限定、妹喫茶! 三姉妹の腕の見せ所だよ!!
リゼ:お前のせいだろうが~。うぅ、でも、しかたないか…。
チノ:は、恥ずかしいですけど、背に腹は代えられません…。
ココア:さぁ、いくよ~!
ココア:いらっしゃいませ~! ご注文は妹ですか? お姉ちゃん♪
リゼ:い、いらっしゃいませ~
チノ:いらっしゃいませ…
ココア:もー! もっと堂々としなきゃダメだよ、二人とも
リゼ:えぇーい、こうなったらヤケだー! いらっしゃいませ、お姉ちゃん! ご注文は何になさいますか?
チノ:い、いらっしゃいませ、お、お姉ちゃん…
ココア:二人とも、かわいい!
マヤ:やっほー!
メグ:遊びに来たよー
ココア:来てくれたんだ~
マヤ:リーゼっ! 私のことおねえちゃん、って呼んでよ!
リゼ:しょ、しょうがない。い、一回だけだぞ
マヤ:はやくはやくぅ
リゼ:ま、マヤ…おねえちゃん…。こ、これでいいだろ?
マヤ:あはは、リゼが私のことおねえちゃんだって~、すっげー変!似合ってねー
リゼ:お前が言わせたんだろうが!
ココア:じゃ、次、私も言ってあげるね!
マヤ:う~ん、ココアはなんか違和感なさそうだからいいや
ココア:そんな!
チノ:マヤさん、メグさん。いらっしゃいませ。
マヤ:チノも言ってみてよ。
チノ:遠慮しておきます。
マヤ:え~。メグ、あれだして、あれ
メグ:あれ?
マヤ:ほら、羊の鳴き声の
メグ:お、おねえちゃんって言ってくれなきゃ、こ、これを鳴らしちゃうぞ~!
チノ:店内でやめてください!
間
夜。ラビットハウス。更衣室。
ココア:ふぁ~。やっと閉店時間だね~。今日は疲れたよ~
リゼ:誰のせいだ、誰の
ココア:えへへ。でもでも、結構楽しかったでしょ?
リゼ:うぐっ、ま、まぁまぁだな。しかし、年上相手にはともかく、マヤみたいに年下相手におねえちゃんってのはかなり変だったぞ
ココア:チノちゃんは、お客さん誰に対しても妹キャラで違和感なかったよね~
チノ:それまだ、中学生ですから……。それより、ココアさんこそ、妹キャラ、似合いすぎです。お客さんみんなから、可愛がられてましたよ
ココア:あ、嫉妬してる?
チノ:別にしてません。
ココア:え~? でもでも、今日は1日、妹になっちゃう約束だから。今からはチノおねえちゃんだけの妹ココアだよ
チノ:まだ続ける気ですか? もう充分ですよ
ココア:え~? チノちゃんも楽しんでたでしょー?
チノ:さ、最初のほんのちょっとだけです。
ココア:そんなこと言わずに~。今日は甘えさせてー! ね、チノお姉ちゃん、お風呂一緒にはいろ!
チノ:しょうがないですね。
ココア:今日は私が妹だから~、いつもと逆にチノちゃんに体を洗ってもらっちゃうよ!
リゼ:いつもはチノのこと洗ってるのか?
チノ:う、うそに決まってます!
一方。バータイムの店内では。
青山:いらっしゃいませ♪ お兄様。何をおつくりしましょうか?
タカヒロ:あの…青山君、なんだい、それは
青山:今日は、妹フェアとお聞きしましたので~
一方、バイト帰りのシャロ。
シャロ:はぅぅ…今日も疲れた…バイト入れすぎかしら…でも、今月もピンチだし…ん? この落ちてるチラシ、ラビットハウスの?
拾い上げて、びっくり。
シャロ:妹フェア開催中? ということは、り、り、リゼ先輩も!? あ! 本日限定! も、もう終わってる…。そんなぁ~。
そのころ、香風家のお風呂では。
ココア:チノおねえちゃん、洗いっこ楽しいね~。えへへ。このままずっと妹になっちゃおうかな
チノ:そ、それはだめです
ココア:え~、なんでなんで~
チノ:だって、その……やっぱり……ココアさんは、私の……自称姉ですから……。妹だと、困ります。
ココア:チノちゃん!!
抱きつくココア
ココア:うれしいよ~!!
チノ:も、もう! 手のかかる妹よりも、お姉ちゃんのほうが楽なだけです! 明日からは、いつも以上にちゃんとしてください!
ココア:うんうん。頑張るよ~!
チノ:や、約束ですよ
ココア:はーい! あ、でも、今夜は妹だから、思いっきり甘えてもいいよね。チノおねえちゃん、お風呂あがったら一緒に寝よ?
チノ:や、やめてください
ココア:勝手にお布団に潜り込んじゃおっかなー
チノ:……今日だけということなので、日付が変わったら自分の部屋に帰ってもらいますよ? 眠っていても、起こしますので。
ココア:え~!?
チノ:ふふふ。それでもいいなら、勝手にベッドに潜り込んでください♪
(完)
いかがでしょうか。
大好きなごちうさを題材に、テンポ良く楽しげな雰囲気で書いてみました。
ご感想などあればぜひお願いいたします。
なお、R18ではありますが、同じくごちうさを題材に、哲也の冒険という小説も書いております。ぜひご賞味ください。