東方心象記   作:AKIRA@お豆腐メンタル

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今回、オリキャラが出ます。

今回も遅くなってしまいましたが、長いので許して!
これからはなるべく早くなるべく長くなるよう頑張っていきます。


第七話 紅魔館での出来事

「咲夜、彼に部屋を案内してあげて。それと仕事内容の説明もよろしく」

 

「かしこまりました」

「衛宮さんこちらです」

 

「あ、あぁ。わかったよ」

 

そして俺は自分の部屋へ案内された。

次の日の朝、彼は説明を受けることになる。

 

 

________

 

士郎を部屋へと案内した後咲夜はレミリアに質問をした。

 

「お嬢様」

 

レミリアは何か本を読んでいるようだ。

その本の題名は【英雄譚】

 

 

「何かしら?咲夜。今本を読んでるから手短にね?」

 

そう言って本を閉じ、机の上に置き咲夜の方に顔を向けた。

 

「彼をここで働かせるのは宜しいのでしょうか…その──」

 

「彼がこの紅魔館にとっての敵か否か」

 

「はい。その通りでございます」

 

「心配しなくていいわ。私が見た限りでは彼は敵ではないわ」

 

「……お嬢様がそう仰られるなら、分かりました。」

 

 

(だって、私が見た限りではこの本の"弓兵"と彼の運命。かなり他人事では済まされそうにないようなのだもの……面白くないわけないじゃない………それに、何より、私の妹を……)

 

 

 

レミリアの見た、彼の運命とは、

 

 

赤い土の荒野の丘に立つ白髪の男。

 

赤い外套を身に纏い、その両手に白と黒の中華剣を携え戦う姿。

 

そして最後は助けた友に裏切られ──死刑台へと続く階段を登る姿。

 

それでも尚、微笑み続けた男。

 

 

 

場所も姿も、ガラリと変わり、

未だ見たことない土地で私の妹を救う姿。

 

この男を中心として、増えてゆく出会い。

 

 

 

そしてこの本の記載に、彼の写真や絵等も載ってはいないが、こういう言葉が添えられていた。

 

──ただ、その男の手には、白と黒の夫妻剣【干将・莫耶】が握られていたそうな──

 

 

 

 

 

________

 

その夜、士郎はいつもの鍛錬をしていた。

だが、今回の鍛錬はあの空間で見た他の自分がやっていた事だ。なぜこの方法を採るかというと、なんとなく今までやってきた鍛錬よりこちらの方が良さそうだと思ったからだ。

 

「よし、投影(トレース)()開始(オン)

 

士郎は、白と黒の夫妻剣、干将・莫耶をトレースした。

 

投影(トレース)()完了(オフ)……ふぅ、出来た」

 

あの(士郎)は、投影の練度を上げるため、毎晩鍛錬を欠かさなかった。

俺もそれに倣ってこれからこの鍛錬をするとしよう。

 

(そういえば、あの女の言っていた能力……【心象を具現化させる程度の能力】、あの空間では使えたのに、ここでは使えなくなってるな…どうしてなんだ?)

 

その答えを、士郎は知らない。

 

あの気持ちの悪い空間では使えていた2つ目のスイッチの感覚が無い。

 

(わからないことをいつまでも考えいても仕方ないな…)

 

鍛錬を終え、投影品を消すと士郎は直ぐに眠りについた。

 

________

 

士郎が鍛錬を開始する少し前。

 

咲夜は、レミリアから彼はここの敵ではないと言われていたが、やはり気になるようで彼の部屋の前へと来ていた。

 

「……どうしましょうか」

(迂闊に入れば警戒されてしまうだろう。ならば時を止めて扉を少し開けてみるとしましょうか)

 

咲夜は士郎に気づかれまいと時を止めて扉を少しだけ開け、士郎が何をしているのか覗いていた。

 

時を戻した途端士郎がなにか呟く。

 

投影(トレース)()開始(オン)

 

(?…あれは…なにか、青いモヤのようなものが手の中で渦巻いているわね……それに魔力も感じられる…)

 

投影(トレース)()完了(オフ)───」

 

(ッ!?……あれは、武器…しかもかなり使い慣れているみたいね…やはり…気を付けてた方が良さそうね…)

 

咲夜は士郎に気付かれずに部屋を後にした。

________

 

 

紅魔館で働く事となった衛宮士郎。

今日はあの日彼が紅魔館で働くと決めた次の日。

 

「えっと…厨房は…っと、ここだな」

 

士郎は厨房で朝ご飯の準備を始めようとしていた。

厨房に着く前に勿論迷ったのはここだけの話。

 

「十六夜は…あ、居たようだな」

 

近づいてきた士郎に気付いた咲夜が振り返った。

 

「あ、おはようございます」

 

「おはよう…今日の朝ご飯は何なんだ?良かったら手伝うけど…」

 

「今日の朝ご飯は和食です。お嬢様が和食の気分と仰せられたので」

 

「そうか。なら、俺が作るよ。得意なんだ、和食」

 

「そうですか、ではお願いします。実を言うと、和食はあまり得意ではないので助かります…」

(毒など入れようものなら…その時は…)

 

「おう!任せとけ!」

 

士郎はそう言って微笑むと咲夜は何故か少しだけ顔が赤くなった。

 

(ッ!?な、なぜ私がドキドキしてるのよ!私はお嬢様の敵になるかどうか見極めなくてはならないのよ!)

 

「大丈夫か?顔が赤いようだけど…」

 

…と士郎は少し心配そうな表情をする。

 

「え、えぇ大丈夫です。お構いなく…」

(あぁ、もう!なんでそういう顔するのよ!///)

 

士郎が咲夜を心配する度に咲夜は顔を赤くするばかりであった。

 

「ほ、本当に大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です!//」

 

「そ、そうか?ならいいけど…」

 

(ふぅ、本当に…相手しづらいですね…それと私はどうしてこうも彼にドキドキしてるのですか!?//)

 

その問に答えるものは誰もいない。

 

士郎が冷蔵庫の取っ手に手を掛ける。

 

「…では、失礼して……」

 

「ゴクリッ」

(なぜ冷蔵庫を開けるだけでそんな事言うのよ…)

 

冷蔵庫には綺麗に整頓されていた。中には卵や納豆、肉や魚等色々と取り揃えられていた。

 

「ふむ、やっぱり」

 

「な、何が?」

 

「いや、綺麗に整頓されているなと思ってな。やっぱり普段から綺麗な人はこういう見えないところもきちんとしてるもんなだなと思って…」

 

「ッ!!///」

(どうしてこの人はそういう事をこんなにも簡単にいうことが出来るの!?///)

 

「……?……えっと…じゃあ、味噌汁と鮭の塩焼きと…ご飯も炊いてっと…後は玉子焼と?うーん、作りながら考えるか…」

 

そして士郎は黙々と料理をしていった。

 

 

すると突然後から士郎に声をかける人が居た。

 

「あら、朝ご飯?今日は頼んでおいた和食かしら?」

 

一度手を止め振り返る士郎

 

「?…あぁ、レミリアか。あぁ、そうだよ和食だ」

 

「私も久しぶりに料理してみようかしら…」

 

と、言った瞬間咲夜が苦笑いしてどこか諦めの境地であったが、それを見た士郎は何のことか分かっていなかった。

 

「さぁーて?手を洗ったし、袖は半袖だから捲ることないし、始めますか!」

 

結局士郎は気にもとめずレミリアが料理をするのを許してしまったのだった。

そしてしばらくして…

 

「な、なぁ。レミリア?」

 

「な、何かしら?士郎」

 

「…ハァ……」

 

「な、なによ!咲夜!」

 

「いえ、なんでも…」

 

士郎達はこの、レミリアが創った謎の物体Xについて議論をしていた。

 

「まず、レミリア。」

 

「何かしら?」

 

「これは…何なんでせう?」

 

士郎は思わず普段使わないような口調になっていた。

 

「玉子焼……だった物よ…」

 

「「だった!?」」

 

「えぇ、ありのまま起こったことを話すわ、私は玉子焼を作っていたわ、だけどいつの間にか玉子焼じゃなくなっていた。何を言っているのかわからないと思うけど私も何が起こったのか分からないわ。超能力とか超常現象とかそんなチャチなものじゃないわ。もっと、恐ろしい物の鱗片を味わった気分よ…」

 

俗に言う、ポルポル現象になっているレミリア。

ジョジョを知っているんですかね?一度話したい。一度と言わず何度d「うるさい」ハイ、でも一度くらい…「黙れ」………「本当に黙ったら話進まないでしょうが!?」まったく…レミリアさんはツンd「2度と喋れなく──」ええと!はい!すいません!

 

コホン。

気を取り直して、続きます。

 

「……ところでレミリア…」

 

「な、何よ?」

 

「料理…したことあるのか?」

 

「りょ、料理くら──」

 

「えぇ、お嬢様は料理をしたことがありません。」

 

「ちょ!咲夜!?///」

 

「やっぱりな…俺が違う事をしていたばかりに…俺がレミリアのことを見ていれば…」

 

「うぅ…///」

「うわぁぁぁん///」

 

するとレミリアは見栄を張っていた恥ずかしさに顔を赤くし、泣きながら厨房を後にした。

 

「あ、レミリア!……行っちまったな…えっと、大丈夫なのか?レミリアは…」

 

「…ハァ、ハァ…お嬢様ァ……はっ!え?あ、えぇ、いつもあんな感じなので大丈夫です」

 

咲夜はレミリアの表情を見て高揚していたが、直ぐにいつもの調子に戻った。だが、その表情を見ていた士郎は何とも言えない微妙な表情をしていた。

 

そして士郎はレミリアの好みを聞いた。

 

「あ、そうだ。レミリアは玉子焼、甘いのとしょっぱいのどっちがいいんだ?それと、納豆あるみたいだけどそれも付けるか?」

 

「玉子焼は甘めで納豆は食べるわ」

 

吸血鬼…納豆…食べられるのか。と思わずにはいられない士郎だった。

 

 

そしてご飯の準備もでき、食事の時間となったのだが…

 

「な、なぁ十六夜?」

 

「何ですか?士郎さん」

 

「えっと、レミリアが俺も食事を食べる様に、と言ったんだが昨日のノーレッジやこぁとか他の人達は一緒にご飯食べないのか?」

 

「あぁ、なるほど。そういうことでしたか。パチュリー様やこぁは魔法で食事をする必要がないのです。そして私は従者ですし、門番の美鈴は大体いつも外でご飯を食べてますし、士郎さんは働いてるとはいえ半分はお客様の様な形ですので」

 

「な、なるほど。そうだったのか」

 

 

レミリアは長いテーブルの主席というのか館の主が座る席に座っていた。そして士郎はその隣…とはいえ、テーブルの角を跨いだ席に座って食事をしていた。

 

終始無言の食事であったが為に士郎はこの空気に押しつぶされそうになっていた。

 

(………き、気まずい………食べ物が…喉を通らない……)

 

食事が終わり片付けをしている時、そんな士郎を見ていた咲夜がおにぎりを渡していた。

 

「士郎さん。」

 

「な、なんだ?十六夜」

 

「これを…おにぎりです。先程の食事では何やら物が喉を通らない様でしたのでご用意させていただきました」

 

「あ、ありがとう。やっぱ、十六夜は気が利くな。ほんと、助かるよ」

 

炸裂する士郎スマイル。

そしてまた顔を赤くする咲夜。

 

「ッ!///」

(また、またこの笑顔。どうして私はこの笑顔に弱いのかしら///)

 

咲夜は当分この笑顔には勝てないようだ。

その後咲夜は、顔を赤くしながらも仕事をこなしていた。

 

 

 

 

 

士郎は朝ごはんの片付けを終わった厨房で今後の仕事内容の説明を受けていた。

 

「では、仕事の内容は以上となります。しっかりと働いて下さい」

 

「あぁ、わかったよ」

 

 

仕事の内容を伝えた後、咲夜は士郎の部屋を出た。

だが、一瞬にして消えたのだ。

 

 

「うわっ!?……消え、た?」

 

咲夜は時を止め、部屋を出るのはいつもの事。それを知らぬは士郎だけ。

 

 

(どうして消えたんだ?……何かしらの能力?瞬間移動的な何か…戦うとなったら厄介だな……)

 

 

 

「さてと、仕事頑張りますか!」

 

 

 

 

衛宮士郎の仕事内容とは、

 

 

朝、掃除から始まる。

 

 

(掃除道具は…と。あった、これだな)

 

 

タイムスリップする以前住んでいた家で、士郎は暇さえあれば掃除をしていた。

そんな事から、掃除に関する知識は充分にあった、それに、他人の真似等技術を模倣することなど得意で、大体の技術はすぐに身についた。

 

そして掃除も粗方終わると士郎は呟いた。

 

「ハァ……それにしても……広すぎる…」

 

ただでさえ広い館を咲夜の能力で更に拡げていたのだ、広くない訳ない。

 

そして終わった頃…

 

「ふぅ、終わっ──」

 

「終わった様ですね」

 

「うわぁっ!?びっくりした」

 

いきなり後ろから現れたのだ。常に後に気を張っているわけではないが、後ろから人が来れば分かるはずなのだ。

 

「失礼ですね。まぁ、いきなり声をかけた私も悪いのですが」

 

「す、すまん…」

 

「いえ、それより、()()()が来たようです」

 

咲夜の、お客様、という言葉に違和感を感じた。

 

「お客…様?」

 

「えぇ、私はお嬢様に報告してきますので貴方は門番の美鈴の下に向かってください」

 

「あ、あぁ。わかったよ」

 

言われるがままに士郎は門へと出向く。

 

だが、士郎はまず玄関の場所を覚えていない…道を覚えるのはまだ先のようだ。

________

 

 

朝の気温の低い風が吹く中レミリアは日陰になっているテラスで淹れたての紅茶を飲んでいた。

 

「吸血鬼が朝から起きてるなんてどうかと思うけど…もう慣れてしまったものね……でも、この風は気持ちがいいわね…」

 

吸血鬼は朝は寝ていて夜に活動するタイプも居れば、日中に起きていて夜に寝る常人と同じようなタイプも居る。レミリアもそのタイプのようだ。

 

のんびりしているレミリアの下に音も無く現れる咲夜。それに気付き、話しかけるレミリア。

 

「どうしたの?咲夜…何かあった?」

 

「お嬢様。先日()をお呼びしたところ『お嬢様のご命令とあらば即馳せ参じる所存であります』との事で昨日の内に出発したそうです」

 

「そ、そう…ならいいわ。後で出向くと伝えておいて」

 

「分かりました。ですがお嬢様。彼の事ですから、『お嬢様の足を煩わせるわけにはいきません。私が貴方様の下へ向かいます!』とか言いそうですが…」

 

「あ〜……じゃ、じゃあ後で来るよう伝えておいて?」

 

「かしこまりました」

 

________

 

その頃士郎は──道に迷っていた──

案の定、道に迷っていた。それはもう盛大に。

玄関が東にあると言うのに向かっている先は西の方向。構造解析で館の構造を解析すればいいのだが、士郎は『なんだかプライバシーの侵害みたいで嫌』らしい。だがそろそろ道に迷って5分以上経つ。時計が無いためもしかしたら10分も経っているかもしれない。

 

何しろ広過ぎて歩いても歩いても廊下。扉を開けて部屋に入ってみるがどの部屋も皆同じような配置。館の主が吸血鬼なだけあって窓も少ないと来た。

時間の感覚が狂っているようだ。

 

「はぁ…仕方ないな。よし、解析(トレース)()開始(オン)

 

館の構造を解析するのはいいが、解析する物が大きすぎる。流す魔力量は多くなるが多少は問題ない。最近は魔力を使いすぎて底をついた時から回復した時、以前より魔力量が増えている気がするからだ。

 

(ふむ、なるほど、俺は反対に向かっていたわけだな……?……これは、図書館だよな?それと、この図書館より下の階は何なんだ?後でノーレッジにでも聞くか…)

 

そして士郎は玄関に向けて歩き始める。

 

 

 

「えーっと。美鈴さんいますかー?」

 

たどり着いた門で何やら会話をしている2人がいる。

 

「ほほぅ?新しい奴を雇ったのかァ。さて?そいつはどんな奴なんだろぅなぁ?」

 

「ッ!───え、えぇ。お嬢様は新しい人をお雇いになりました。ですが私も未だ話をしていないのでどのようなお方なのかは、分かりかねます」

 

美鈴は一瞬彼の口調に戸惑ったが士郎はそれに気が付かなかった。

 

「ふむ、そこにいるよぅだなぁ?隠れてないででてくればぁいいじゃないかぁ」

 

「──ッ!?」

 

士郎は咲夜の言った『お客様』の言い方でこの者を警戒して隠れていたのだが見破られたようだ。

 

そこで士郎は相手に悟られないよう警戒をしつつ門の前へと出た。

 

「その新しい奴が俺なんだけど…なんか用か?」

 

士郎は相手の出方を伺った。

 

すると彼はこう言った。

 

「ここで働くことになった新しい奴がいると聞いてなぁ?どんな面した奴が働いてんのかと思ってよぅ───」

 

彼が言い終わるのと同時に士郎の目の前から消えた。

 

「オラァ!!」

 

士郎の死角になる位置から後頭部に目掛けて裏拳が放たれた。だが、士郎はそれをぎりぎりで躱した。

 

「ッ!?───危ないな……もう少しで、やられる所だった」

 

「ほほぅ?筋はなかなか良いようだなぁ?一応、自己紹介しとくぜ?俺はなぁ『ウルバルド・オルガ』。ちょっとした、ここ(紅魔館)の者達の知り合いって所だなぁ」

 

そんな軽い言葉をかけられながらも止まないウルバルドの攻撃。

 

「クッ!───俺は、士郎…衛宮 士郎…此処で働く事となった者だ!」

 

続く猛攻を受け流しつつ自己紹介をする士郎。

 

「反撃、開始だ!───投影(トレース)()開始(オン)!!」

 

士郎は白兵戦時に有利になる干将・莫耶をトレースした。干将・莫耶は白と黒の中華剣で、二振り揃えて装備しているだけで対魔術・対物理防御が上昇する特性がある。

士郎はこの武器を投影し慣れている為、魔力の燃費も良いのだ。

 

「ハァァァァ!!」

 

一度躱して体勢を立て直すウルバルド。

するとウルバルドも無手では武が悪いと思ったのか武器を取り出した。

 

それは何処から出したか分からないほど大きなバスターソードであった。

 

「フンッ!」

 

それをおおきく振りかぶって士郎に叩きつけようとしている。

 

士郎は干将・莫耶をクロスさせ、正面から大きなバスターソードを受け止めていた。

 

「ふむ、躱すだけじゃぁなく腕もいいようだなぁ?」

 

「フッ──じゃあ…これはどうだ!」

 

受け止めていたバスターソードを押し返し、干将・莫耶を投擲する。だが、ウルバルドは躱す。

 

「ハッ──そんな見え切った攻撃なんざぁ効かねぇよぉ!」

 

そう言って士郎に斬りかかろうとした時、ウルバルドは何か違和感を感じた。

 

(?───どうしてだ?今確かにあいつはあの二振りの剣を投げ飛ばしたはずだ。なのに既にもう持っているだと?)

 

空中で白と黒の中華剣が舞っている。それは、何処か幻想的な弧をえがいていた。

 

ヒュン!ヒュン!ヒュン!

 

(そうか!?この中華剣は引き合う特性があるのか!!)

 

ウルバルドが気付いた時には少し遅かったようで、ギリギリのところで躱そうとしたが、左肩を抉っていった。

 

「グゥッ!!」

(どうやら…左腕は上がりそうにないな……)

 

「どうだ?まさか剣が宙を舞うとは思わなかっただろ?まだやるのか?」

 

「あぁ、まさか引き合う特性があるとはなぁ……いや、やめとくよ…お前が更に成長した時にまた、もう一戦頼むよ」

 

その時、士郎はウルバルドに違和感を感じた。今までの口調から一変して別人の様になっていたからだ。

 

「お前、何だかさっきと口調が変わったな」

 

「ん?あぁ、こっちが素なんだよ。改めて自己紹介を、私はウルバルド・オルガ…此処(紅魔館)で働く者にございます」

 

「お、おう…また変わったな…」

 

と、そこで美鈴が士郎に説明をした。

 

「この方は多重人格者なのでは?と言うくらいに性格が180度変わるんですよ」

 

美鈴の説明する時の顔は何処か呆れた表情をしていた。

 

「士郎さん…とおっしゃいましたね?先程は失礼な物言いで申し訳ありませんでした…」

 

「い、いや。いいんだ。それよ…怪我は大丈夫か?結構深いと思ったんだが、それとその話し方どうにかしてくれないかな?何だか気まずいというか…これから一緒に働く仲だし、色々教わる事もあるだろうし…」

 

「そ、そうですか。では、コホン……じゃあこれから、よろしくな?それと怪我は大丈夫だ。これくらいすぐに治るからな」

 

するとウルバルドの怪我はみるみるうちに治っていった。

そして、ウルバルドは士郎に握手を求めてきた。

士郎はウルバルドと握手をした。

 

「あ、あぁ。よろしく…」

 

「はぁ…ウルさん、いきなり来るのやめてくださいよー。びっくりしたじゃないですかー」

 

美鈴はウルバルドに文句を垂れていた。

 

「いえ?咲夜さんから連絡を受けた時に返事をしたと思うのですが…さては、美鈴さん…また寝てましたね?」

 

昨夜からの連絡にすぐさま返事をして即出発をしたと言うのだ。

連絡が行き届いて無くても仕方の無いことだろう。

 

 

「では、私はお嬢様に挨拶をしてきますので…これで…」

 

「はい。ようこそいらっしゃいました。またこれから宜しく御願いしますね?」

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

「俺もそろそろ仕事に戻るよ」

 

 

そして2人は各自の持ち場に戻った。

ウルバルドは一人レミリアに挨拶をしに行くのだった。

 

 

________

 

 

ウルバルドと士郎の戦いを観ていた者が2人いた。

 

 

「咲夜?(士郎)の事…どう思う?」

 

「……今回はそこまで長くなかったのでよく分かりませんが…彼は、まだ弱い。ですが、鍛えたらどこまで伸びるのか…」

 

「えぇ、どこまで伸びるのかしらね……フフフ…ほんと、これからが楽しみだわ……」

 

2階の窓から顔を覗かせる吸血鬼が一人……

 

士郎はどこまで強くなれるのか……

 

楽しみにレミリアは口角が釣り上がっていた。

 

 




はい。これで終わりました第七話。
如何でしたでしょうか。
楽しんで頂けたなら嬉しいです。


お気に入りしてくださっている皆様、
この作品を読んでくださる皆様、
本当にありがとうございます。
これからも早く更新できるよう頑張っていきたいと思います。

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