がっこうぐらし!とハナヤマタのクロスオーバーを目指して書きました。読み切りです。

聖イシドロス大に到着した学園生活部。
りーさんこと若狭悠里からゆきに与えられた課題はレポートを書くことでした。

一日中悩むゆきちゃんですが、夜になってついに机の上で寝てしまいました。

それをそっと見守るりーさんですが、ゆきの隣には漫画本の山が。呆れるりーさん。漫画本の一冊を手に取り読み始めます。

りーさんを主人公にハナヤマタの世界観に学園生活部が入り込んだら、そんな着想のお話です。

1 / 1
ハナと夢と輝きと

序章

 私は若狭 悠里。高校三年生です。今は、訳あって大学に居ます。高校を発ってから二週間程が経ちました。大学の人って怖い人なんじゃないか、そう思ったこともあったけれど少なくとも、今、私の周りに居る四人だけはそんなことはなく、温かく私達を迎えてくれました。

 

サークル代表の出口桐子(とうこ)さん。サブカルチャーに詳しいようでなにかとアニメやゲームの話でくるみやゆきちゃんと話があっています。24時間遠しでホラー映画を見る、ゲームをするなど暴走しがちですが…。こんな状況でみんなをまとめるリーダーでもあります。

 

光里 晶 (ひかりさと あき)さん 副リーダーと言っていいのでしょうか?明るくて、でも常識的で暴走してしまう出口さんを止めてくれる。あとは私たちに唯一先輩として接してくれるやさしいお姉さんでもあります。

 

喜来 比嘉子(きらい ひかこ)さん

 

物静かで、それでも皆に何かしてあげたいそんな気持ちに溢れた優しい先輩です。見た目とは裏腹に工学部だそうで、機械の修理ならなんでもできるそうです。そして、この大学の非常用備蓄及び発電施設を発見し、籠城が出来る体制を作ったのも、この方です。

 

最後にもう一人。

大学の人からは図書館のヌシと言われています…。

 

稜河原 リセ 先輩

 

大学図書館にこもって一日中本を読んでいます。図書館の本を全て読むのが夢だとか…。

 

文化人類学を専攻されていて、話すことのスケールの大きさに圧倒されてしまいます。時に考えてしまうそんな台詞を持ってる方です。

 

もう夜…。一日中大学の中に居るというのに、時の流れは私たちを待ってはくれません。

 

私はるーちゃん(りーさんの妹)を寝かしつけ、ゆきちゃんの居る教室に向かっていました。

 

私からゆきちゃんに課したレポート課題…。今日もゆきちゃんは持ち前の明るさそのままに、机の上で頬にはペンを押し当てながら考えこんで居ました。

 

レポート課題なら高校生の私たちより先輩方の方が得意なのではないか、私はそう思っていたのですが…。情報科学と工学部の二人のアドバイスは今回のレポートには当てはまらないようで…。結局まともだったのは光里先輩の書きたいことのメモを取って序論、本論、結論とまとめるということでした。一通りメモを取ったゆきちゃん、その後の夕食からまた机に座ったのですが睡魔に襲われたようで机で気を失ったかのように寝ています。

 

と…、今は教室に入ってそんなゆきちゃんを確認したところです。

 

寝息を立てているゆきちゃん…。最近、すっかり大人っぽくなりました。いままではくるみや私、そして美樹さんで彼女の安全を守らなくてはなりませんでした。素直な彼女をみていて…昔は私の妹のように感じていましたが…。

 

寝息を立てて寝ているところを見るとまだまだ、お姉さんとしてしなければならないこともあるのではないでしょうか…。

 

私はそっとその部屋を抜け、私の部屋にある毛布を取って、ゆきちゃんにかけてあげました。

 

毛布を書けたときに発見してしまったのですが、レポート用紙の隣、私にとってちょうど死角になっていた部分に漫画本の山がありました…。

 

とはいえ…。静かな寝息を立てるゆきちゃんを起こすわけにもいかず、高校時代もよく漫画を読んでいたなという懐かしさでしょうか…。笑顔のままふっーと溜め息をついてしまいました。

 

この漫画はきっと、夕食後に出口先輩の部屋から借りて来たのでしょう…。

 

私は漫画本の1冊を手に取りました…。昔は私も結構漫画を読んでいました…。るーちゃんくらいの小学生の頃でしょうか…。妹が産まれて、それからあとは、受験とかもあって忙しくて…。

 

最近の漫画はどうなんだろう…。

 

ハナヤマタ…。ふっとタイトルを口に出してしまいました。ゆきちゃんはまだ寝息を立てています。

 

ゆきちゃんとは距離をおいた上で、そーっとパイプ椅子を引き、そこに腰かけて…。

 

これを読むことにしました…。

 

中章1

なるちゃん…

お伽噺話のヒロインに憧れる中学生…内向的で目立ちたくなくて、でもそんな自分を変えたいって思ってる

 

ハナちゃん…

よさこいがしたくて遥々日本まで来た女の子。ハナちゃんの行動力はゆきちゃんとも共通する節があるかもしれない。

 

ヤヤちゃん

なにもかも完璧な、美少女。そう思ってるのは周りの人だけなのだ…。私もそうだ。くるみにゆきちゃんにそして美樹さんが居たからやってこれた。いろんな人に助けられて私が居る。家庭科部だったあの頃の私とヤヤちゃんは似ている気がした…。

 

タミさん…

誰かの期待のために頑張った彼女。自分のしたいことはなにかと自分自身に問い続け、なるちゃんのひたむきな気持ちに動かされ入部を決意する。

 

マチちゃん

中学校の生徒会長さん。お姉さんが先生で、自分と家族の期待をよそに先生になったお姉さんを憎んでいた。そんな軋轢が誰にも負けたくないというプライドを彼女に植え付けたのだと思う。それを乗り越えて、純粋な気持ちでよさこいに打ち込み始める。

 

私も家族の…期待を裏切っていないだろうか…、それとも、自分自身に問いかけて自分のやりたいことをやって周りに認めてもらう方がいいのだろうか…。

 

輝く…かがやきたい…。五人それぞれの形でそれに向かっていくそんな姿に羨ましさを少し感じてしまった…。

 

こんな…。こんなところで輝けるだろうか…。でも、学園生活部には…。

 

浮かんだ考えをページをめくりながら否定、肯定を繰り返している。

 

七巻目…。半分くらいのところで目が霞んできた…。

 

中章2

 

あっ…ぼーっとしてしまった。ふっと我に返った。

 

衣装も準備出来たし…、振り付けは最後の最後まで手間取ったがなんとかなりそうだ…。

 

まだ、昨日の疲れが残っている…。練習し過ぎたのかも知れない。

 

りーさん、大丈夫?

 

ゆきちゃんが声をかけてくれた。

 

ええ、大丈夫!頑張ろうね!

 

と返す。頑張るっていうのは…。

 

お疲れさまです…部長。

 

落ち着いた笑顔で声を掛けてくれたのはマチちゃんだった。

 

家計簿とスケジュール帳を片時も手放さない私にとって、完璧主義者の彼女とは一番落ち着いて話せる。

 

それは、彼女も同じようで。

 

ここまで…。ここまで来れるとは思いませんでした…。

 

日々の疲れから解放されたような落ち着いた響きで彼女は話始める。

 

先輩方が私たちのステージを見ていてくれて、悠里先輩自らステージ裏に来て…よさこいしたいなんて言って…。あれから1ヶ月…。

 

そう、1ヶ月前、鎌倉のとある百貨店で開催された小さなイベント。たまたま来ていた私たち四人はというより私は彼女たちのステージに感動して、ステージ裏まで行ってよさこいしたいと7人に頼み込んだのだった。

 

私も無理だと思ったんですよ…。よさこいしたいのはともかく…。1ヶ月後のステージに出たいなんて、経験者の二人がどれだけ反対したか…。

 

堅物とも言われるマチちゃんから自然な笑みがこぼれる。

 

でも、悠里先輩やゆき先輩…。なんか私たちと噛み合っちゃってあとはトントン拍子で…。

 

手元に持っていた冷えたジュース缶をマチちゃんは私に手渡してくれた。

 

なんか…。四人は私たちと同じくらい団結してるような気がするんですよね…。だからだと思います!

 

本音を言うときうつむくのが彼女の癖です。

 

なんで…だろうね…?

 

そんなことを1ヶ月のつきあいで知った私は素直に嬉かった。

 

自分でもそれは思っていた。なんでこんなことに。普通の友達や知り合いだった私たち四人がなぜなのか…。不思議と思い出せなかった。

 

先輩…。頑張りましょう。これから私たちは文化祭があるのですが…。先輩達の姿から学ぶところがありました!

 

彼女は凛とした表情で控え室からステージの方角を見つめるとすくっと立ち上がり。ステージに向かった。

 

周りをみると

ゆきちゃんはハナちゃんと最終調整に入っていた。ゆきちゃんは私の無茶に真っ先に付き合ってくれた。それに呼応してだろうか、ハナちゃんが感動して一番動けないであろうゆきちゃんの指導役を買ってくれたのだ。

 

ここで向きあって、ターン!

 

ハナちゃんが声をあげゆきちゃんの手を引っ張る。

 

上手く出来た。これが最大の見せ場にして難関だったのだ。

 

これは三日三晩ハナの家に泊まり込んだゆきちゃんとひねり出した振り付けらしい。

 

ゆきサン…ちょっとここで待っていて下さい。

 

ハナちゃんが笑顔でゆきちゃんから離れる。私に用があるみたいだ…。

 

昨日、急きょ決まったのですが…。最後、二人でステージのセンターに立って決めポーズをして終わりたいと思います!

 

いつだって彼女は唐突なのだが…。私は驚いた。

 

そんな、急に変えて大丈夫?

 

大丈夫デス!皆にも話は通しました。悠里サンはゆっくり最後前に出て決めポーズして下さい。

 

わかったわ…。頑張りましょう!

 

一抹の不安がよぎったが、彼女の大丈夫!という時の笑顔に元気付けられた。

 

そんな動揺を隠せない事態を抱えた私だが…周りは思い思いの準備をしている。

 

くるみ先輩ー!

 

なにかと不器用な彼女に惚れ込むのはヤヤちゃんだ。

 

それでぇー。彼氏とはどうなったんですかっ?

 

愛らしい声で聞いてくる。

 

で…デートしたんだ…

 

黄色い悲鳴が聞こえてくる…ここでタミさんと手を引かれて強引になるちゃんが乱入してきた。

 

デートはどこでしたんですかー?

 

今度はタミさんが聞く。

 

かまくら…

 

もうくるみの声に力がない。というかプルプルと震えている…。顔は真っ赤だ

 

て…手とか繋いだんですか…!?それ以上になるちゃんの顔は真っ赤だ。

 

繋いだよっ…!

 

黄色い悲鳴が再び聞こえた…。

 

よさこい認めて貰えたんですか?

 

タミさんがそんな空気を一変させた。

 

陸上競技一筋で彼を追いかけるためにそれをやっていたくるみを彼女は知っていた。

 

それは…。となるちゃんとヤヤちゃんは固まった。

 

タミさんは真剣な表情だった。

 

陸上もやる。でも、やってみたいんだこれも。どっちもやりたいことだから。そう伝えたら認めてくれたんだ…。これから見に来てくれるんだ…。

 

3人は梅干しをかじったような表情になる。いろんな感情が爆発した。

 

こうしちゃいられないわっ!最終練習いくわよっ!くるみさんも!なる!タミさん!

 

中章 3

 

控え室と離れた海の見える高台で美樹はわ子、ランと振り付けの確認をしていた。陸上部のくるみと競り合えるだけの運動神経を持つ美樹。よさこいを教わるにあたり、経験者のわ子、ランに喰って掛かった。

 

いい感じですよ…。先輩っ…。

わ子っ!そんなに簡単に認めちゃ!

 

最後なんだからいいじゃん…。

ランとしては先輩であろうと喰って掛かる美樹に相当のライバル意識を持っていた。

 

だが、もう最後調整に来たここで完全燃焼しつくした感じである。草地に寝転がり何にも考えられないという感じだった。

 

何にも考えていませんでした…。りーさん…いえ悠里先輩がやる気になって。それを叶えられるのは私なのかもって。あとは何にも…。

 

それを聞いていたランはまっすぐ日の沈み掛かる天球のまっすぐ紫のところを見つめ涙が溢れた。

 

わ子はそれを見てニヤリとすると一呼吸置いて同じ一点を見つめた。

 

そんな時だった…。

 

祭りは文化人類学最大のテーマさ

 

同じく天球のまっすぐ頂点を見つめていた美樹に見えるように図書館のヌシが現れた。

 

アンタ誰!?

 

ランがキレる。

 

天球を見つめ続けたまま美樹がニヤリと答えた。

 

大学生の友達。

 

友達とは…。将来について約束しあった仲じゃないか。

 

美樹先輩…それは…。わ子がジト目で呟く。

 

うーん。美樹は否定もせず誤魔化した。

 

オーイ 

 

遊歩道の向こうから声がした。

美樹が起き上がってみると女性3人組が手を振っていた。

 

美樹先輩?あの人たちも…?

 

えっと…あれは友達かな。

 

私たちはここで見てるから。出口桐子はステージを指差した。

 

三脚…もってきた…。喜来さんはもうステージ方向にビデオをセットすることに執念を燃やし始めている。

 

お酒もあるよー!光里さんは宴会セットに躍起になっている。

 

いつも、応援してくれてありがとうございます…。

 

美樹は素直に感謝の言葉を言った。

 

私たちもやりたくてやってるだけだから。なんか…、君たち見てると気分が晴れ晴れするんだ。

 

出口さんは溜め息と共にそんな事をいう。

 

おさけがすすむ…。

 

もう、入ってますよね。喜来先輩。

 

終章

 

私も部長なんて…そんな事になるとは思いませんでした…。

 

私とハナちゃん以外控え室には誰も居なくなっていた…。

 

なるが来て、ヤヤさんが来て…。いつのまにか部長になっていました。ここまでこれたのは皆のお陰なんデス。

 

輝くって…前にどこかで聞いたんだけど…。

 

えっ…。

 

輝くってどういうことなのかなって…。

 

えっと…。周りを照す明かりになることデスかね…。一人ひとり明かりの色は違うし…宝石のように形も違うからお互いに光り合うしかない…。そう思うんデス。一人で光り続けるのは淋しすぎマス…。

 

輝いてるかな?今、私。

 

言葉に出来ない不安…。言い表せない何かを感じた。底知れぬ闇というべきか…。輝いてるか…そう聞いた私の声は震え…顔は不安にあふれた。

 

ハナちゃんはしばし黙り込んだ…。

 

たとえ…たとえ今、輝いて居なくても…。少しでも、自分のしたいことをしているなら、誰かがきっと輝かせてくれマス。私もそうでしタ…。

 

不安がさっと掻き消えた。

 

自分のしたいことかあ…。

 

出来てる。するんだ。私は。

どんな場所であっても。

 

ハナちゃんは凄い子だ。上級生であるマチちゃん、タミさんにもまるで物怖じしない。下級生の二人に対しても、全力でぶつかっている。

 

私も…私にも出来るかな…。

 

デキマス!大丈夫デス!

ハナちゃんが私の手を握る。この子の 大丈夫、ほど不思議なものはない。

 

 

カメラも大丈夫!ここが控え室デース!あれっ?二人だけっ?

 

陽気な声で入ってきたのはサリーちゃん先生だった。

 

他の皆は、練習とかで外に…っ

 

サリーちゃんのすぐ後ろに現れたのは佐倉 慈 先生。めぐねぇこと私達の顧問の先生だった。

 

と同時に首もとに一瞬のしかし大きな衝撃を感じた。

 

そして、めぐねぇに手を引かれているのは…るーちゃん…私の妹だった。

 

意識がふっと一瞬消えて、顔から前に倒れそうになった。

 

オッ!うぅーん!

 

咄嗟にハナちゃんが私の転倒を押さえた。

 

意識がハッキリとしない。

 

大丈夫ー?本番まであと少し何だから無理しないよーに!

 

サリーちゃんの声が微かに耳に届く。

 

 

めぐねぇは佐倉…めぐみはここには居ない!声には出さなかったが、分かっていた。

 

大丈夫よ…佐倉先生もさり先生も来てくださってありがとうございます。

 

お互い新人教員だから話があっちゃってー!

 

サリーちゃんはめぐねぇの肩をバンバン叩く。めぐねぇは照れ笑いするだけだ。

 

言い知れぬ感情がまた、込み上げてきた。

 

めぐねぇっ!応援していて下さいっ!私達をっ!

 

私は声を張り上げてしまっていた。

 

何事っ!?という顔でサリーちゃんが佇んでいたが、

 

私の顔は悲壮感で一杯になった。

 

めぐねぇは驚かない。ただ、そっと微笑み、私の肩に手を置いて頷いた。

 

涙が溢れた。何もかもわからなくなってしまった。

 

じゃあ?私達ステージに行ってるねーっ!サリーちゃんが手を引いてめぐねぇを連れていった。

 

あっ…ああ…。

 

沈黙。

 

唇を咬んで、涙を拭った。

 

学園生活部 部長!

若狭 悠里っ!…頑張りますっ…!

 

柄でもないことを叫んだ。

 

涙が止まらなかった。

 

ハナちゃんは隣で微笑んでいた。

 

その時、出番でーす!と声が掛かった。

 

本番…キタみたいですね…。

 

ハナちゃんの瞳は期待でいっぱいだった。

 

 

ステージに立つ。メンバー全員。11名…。

 

私の表情は固かった。

 

楽しみましょっ!

 

ハッとした。手を握って上目遣いで私を見つめる。ヤヤちゃんだ。

 

ええっ…。

 

吹っ切れた。

 

ヤヤさんばっかりずるい!いわんばかりに皆が集まった。

 

手が重なり合う…。こうなるとやることは一つしかない。

 

こういうときの掛け声を任せられるのは、決まって なるちゃんだった。

由比浜学園中学よさこい部 with 巡ヶ丘学院高校よさこい部ー!いくよーっ!おーぉ!

 

ステージの熱気は最高潮だ。

 

待てぇい!

 

さあ、いざ始まるという時にステージに乱入する3人組…。

 

転けそうな勢いで来た。

 

need cool quality参上っ!

 

ゆっちん、さっちん、あっちん!?なんでっ!?

 

ヤヤちゃんが喰って掛かる。

 

いや、高校生の先輩と今まで以上に練習している姿見てさ、私達も燃えてきたというか…?

 

さっちんが答えた。

 

でも…。ヤヤが返す。

 

もう遅い…。私は心の中で呟く。

 

遅くないデス!

 

ハナが声を張り上げた。

 

私が許可しました!

 

ハナが続ける…。

 

ハナっ!それ、どういうことっ!?

 

ヤヤちゃんがキレた。

 

合わせても居ないのにそんなの無理に決まってるじゃないっ!

 

出来マス…!この曲を3人は今日の日のために練習していました。伴奏は今まで通り付けます。さっちん!ゆっちん!あっちん!負けないように演奏出来ますか?

 

任せとけっ!いわんばかりに3人ともガッツポーズをしてニヤリとする。

 

あぁー!もうっ!やってやるわよ。

 

ヤヤちゃんも吹っ切れたみたいだ。

 

にくきゅう3人組は2人、5人、4人の列の最後尾に並ぶ。

 

会場は突然の乱入者に静まりかえったが…。今まで以上のペースで盛り上がりを見せている。

 

さっちんがヤヤの脇を通る。

 

ありがと

 

さっちんが小さく呟いた。

 

ありがと

 

ヤヤも小さく呟く。

 

伴奏が開始された。

 

 

 

やわらかなあっちんのベースが響き渡る…。

 

重く、黄昏すら感じてしまう懐かしい音。

 

結んで上げた手を腰に…!足踏みっ!

 

カツカツと音が響く…いよいよ始まるんだ…。

 

全2列およびにくきゅうは最初にボーカルを担当する。

 

と…同時に、さっちんが歌い始める。

 

コーラスはゆっちんの担当だ。バンドを解散しておよそ3ヶ月。声量が大きすぎる…。

 

ランは、もう叫びながら歌っていた。

 

さすが経験者、歌いながらでもきちんと踊れている…。ラン・わ子とは違い私達の動きには覇気が足りていない…。

 

ステップの最中、足がガクッとステージに落ちた。

 

このまま前に出たら…。

 

ふと、ステージに目がいく…。

 

めぐねぇと手を引かれているのはるーちゃんだ。熱気に包まれた他の観客に負けんばかりに大きく手を降っている。

 

また、後頭部に衝撃を感じた。引き戻される…。

 

それでもっ!それでも…。

 

 

鳴子を思いきり上に突き出す。

 

楽しいっ…。これが輝くということなのかもしれない。

 

鈍い光りを放つ原石同士がぶつかって…。割れて、砕けそうでっ!でも、私たちには暖かい光りが射していた。

 

輝いてる!

 

1番目終了と共にフォーメーションが変わる。

 

さっちん・ゆっちんがステージ前面両端まで出る…。

 

間奏はアドリブで見せ場なのだ。

 

前方、私と組むのはタミさんだ。

 

タミさんが振り返り、手を差し出す。まばゆい前面の照明の後光が射し、まるでお伽噺のヒロインのようだ

 

両手を繋ぐ。

 

一瞬、1回転して。2列目へ。

 

 

ステージから離れた高台の上で稜河原 リセはステージを眺めながら、光里先輩から酒を注がれていた。

 

多少、入っているようで顔は少し赤い。

 

祭りは…。

 

リセが話始めると、3人に静寂が訪れた。

 

祭りは…、文字や文明が生まれる以前からあったのさ…。

 

五穀豊穣を願うため、死者への弔い、神々への信仰いろんな意味があるとは思うけれど、

 

全ては未来への希望…夢なのさ。

 

祭りは夢。夢そのものだ!

 

出口先輩が静寂を打ち破る。

 

そうだーっ!夢だっ!飲め!飲めっー!

 

紙コップに並々注がれた日本酒がリセの喉を通った。

 

もっと…見えるところで…!

比嘉子は今にも倒れそうな勢いで立ち上がり、ステージのよく見える、冊越しまで向かう。

 

辺りはすっかり夜だった。

 

ステージだけがまばゆい光に包まれている!

 

いっーけーっ!

 

比嘉子はステージに向けて思いきり叫んだ。

 

 

 

ステージ後方、大輪の花火が打ち上がる。

 

2番目終了!最前列へ。今、最前列の二人が私達を最前列に上げる。これを間奏の間にやらなければならない。

 

ゆきちゃんがランちゃんとターンして前へ。

 

次は私だ。

 

ランちゃんは後ろを向き私と手を繋ぐ。

 

何時も踊りには厳しかった彼女。一番年下なのに、人一倍負けず嫌いで。でも、仲間に囲まれてやっと、自分と向き合えた。親友に素直になれた。

 

そんな彼女の心に曇りなく。

 

私は彼女と1回転し、最前列へ。

 

 

けんけんをしている足がもう限界に来そう…。それでもっ…。

 

気分次第で遠くへ飛べそう!

 

左右へのステップ、両腕の鳴子を高く、高く突き上げる

 

 

 

右手からジャンプ

 

 

もう1回っ!

 

うっ…!

 

倒れたっ!

 

左足…。

 

気づくと、体は中を舞って。

 

墜ちるっ。

 

ハッとした。倒れてない…。

 

隣で踊るゆきちゃんが抱えてくれたのだ。

 

りーさん!あと、もうちょっとっ!

 

彼女は笑顔だった。

 

すぐに体勢を直し右手に移る。

 

直立。左手を挙げて鳴子をすっと見つめた。

 

 

 

焦るなっ!ゆっくりその手を胸に当てた。

 

額に鳴子を当て、ステップ。

 

両手を出して、左!右っ!

 

後ろに鳴子を2回!次は左!からの右っ!

 

 

 

トントンとローファをステージに突き立てる…。

 

悠里サーンっ!ハッと後ろを振り返る。

 

そこでっ!?

 

タイミングなんてわからないっ!

 

体に染み付いた全ての振りをキャンセルする。

 

飛んだ!?

 

ステージ最後列の壁を使ってっ!

 

交わすっ…。左っ!全体重を左へ!

 

転けたっ!

 

倒れた足先数センチ、ハナちゃんは着地していた。

 

時間がないっ!立って…決めっ!

 

終ったっ!

 

会場は割れんばかりの大拍手に包まれていた。

 

心拍は…もうだめになりそう…。

 

息を切らした。ハナちゃんに聞く?

 

私っ…。か…輝けてたかなっ…。

 

ハイ!とってもっ!

 

ハナちゃんは満面の笑みで答えた。

 

これからもきっとっ!皆で。私はその決意を固めていた…。

 

 

朝だった…。

レポート課題にはヨダレがこびりついていた。キタナイ…。

 

眠い目を擦って起きるとりーさんが隣にいた。

             

足元には漫画が落ちている…。

 

驚いた…。

 

自分にかけてあった毛布をりーさんにかけてあげる。

 

レポートどうしようかな…。

 

輝いてるかなっ…!

 

りーさんが急に言った。ビクッとした。

 

うーん。あの夏のことを思い出した…。私のことをみんなのことを見てくれていた…りーさん。

 

ふと、

 

輝いてるよ!

 

とそっと呟いてみた。

 

 

鼻歌まじりに歌ってみる。

 

うん!

 

ハイビスカスの花がっ…。

 

比嘉子先輩の部屋に。さすが宴会代表なんでも持っている。

 

走る。比嘉子先輩はまだ寝ていた。そっとハイビスカスの造花を頂戴する…。

 

ぷすっ…。

 

よし! りーさんの頭にハイビスカスの花を挿してみた。

 

季節はもう秋。長い長い冬を越え、再び咲けよ。ハナヤマタ。

 

彼女たちに幸あらんことを願って。




※ ハナヤマタより原作歌詞を載っけていたのですが、本サイトの規約等にあてはまるとのご指摘をいただき、削除しました。

別の表現に変える等、アイディアを模索中です。

ご感想、ご指摘ありましたらお願いします。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。