リリカルなのはINNOCENT×EX‐AID~天才ゲーマー「F」~ 作:放仮ごdz
初変身、初プレイ。楽しんでいただけると幸いです。では、どうぞ。
こんにちは!私立海聖小学校4年1組、高町なのはです!今日は親友のアリサちゃん、すずかちゃんの二人と一緒に、駅前に新しくできて今日オープンした大型ショップのおもちゃ屋さん「ホビーショップT&H」に来ています!
アリサちゃん曰く「ものすっごいゲーム」が置いてあるみたいで、大型ショップな事もあってその前は人ごみでいっぱいで、私は二人を追い掛けて人ごみを出たら寝ていた人に躓いて転んでしまったの。
それがこの、アリサちゃんより薄い色の短めの金髪をサイドテールに括って帽子を被っている、ルビーの様に紅い瞳と紅い眼鏡、お人形の様に白い肌が印象的な大人びた女の子、フランドール・スカーレットちゃん。ちょっと人見知りなのかおどおどしているけど面白い子で、何でこんなところで寝ていたのか思い出せないらしく記憶が無いらしい。でもT&Hの「ブレイブデュエル」って言うゲームが目的だったらしいので、自己紹介した由縁もあって、私達三人と一緒に行くことになったんだけど…
「しかしデカいね…外の街ってどこもこんななの?」
「外の街って…どんな田舎出身なのよ?」
「どんなって…ルーマニア?私が住んでたところは建物の方が少なかったかな…」
「地方のお嬢様ってところかな?」
「私達と同じって事ね。見るからにお嬢様だもの」
「そうかな?」
T&Hに向かう中きょろきょろ街を見渡し、アリサちゃんとすずかちゃんの言葉に応えるフランドールちゃん。へえ~外人さんでお嬢様なんだ。でも日本語上手いなぁ…でも同い年に見えるけど、お父さんとかと同じ感じがするのは何でだろ…?
「さて、ようやくついた。ホビーショップT&H、ここで間違いないわ!」
「「大きい~」」
「…目前に来たら猶更デカい…すごいな外の世界…」
辿り着いたのは、本当に大きいビル。さすが、噂になるだけはあるの。
「さあ、さっそくすんごいゲーム「ブレイブデュエルね」・・・ブレイブなんちゃらを見に行くわよっ!」
「ブレイブデュエルだってば。人の名前より言いやすいよ?」
「あーもう!横文字は覚えにくいのよ!」
「名前が横文字なのに?」
「アンタ人を煽るの好きでしょ、そうなんでしょ」
「ゲームで煽るの地味に重要だしね。後はお姉様とお茶会する時は大体煽ってるかも」
「フランドールちゃん、お姉さん居るんだ…」
私と同じでお姉さんがいるすずかちゃんが共感する様に言う。でもお姉様って言うだけあってやっぱり偉い所のお金持ちさんなのかな?」
「なのは、口に出てるわよ」
「え?ご、ごめんなの!」
「いいよ。別に気にしないし。…お金持ちじゃ無くて落ちぶれた貴族だけどね」
失礼だったかと慌てて謝るが、そう暗い目で言って興味深げに自動ドアの向こうに見える店内を覗くフランドールちゃん。聞けば聞くほど、何て言うか…違和感?を感じる子なの。
「でもアリサちゃん、こんなに大きいと探すの大変じゃないかな?」
「お店の人に案内をお願いした方がいいかもしれないね」
「…言ってる傍から来たみたいだよ、お店の人」
そう言ってフランちゃんが指差すと、そこにはお店の中から出てきた、金髪を緑のリボンでツインテールに纏めて赤い瞳で、T&Hと書かれたエプロンを服の上から身に着けた私達より年下に見える女の子がいた。女の子はにぱっと笑顔で私達に話しかけてきた。
「ようこそT&Hへ♪何かお探しかな?お姉さんが案内してあげるよっ」
((((お姉・・・さん?))))
ちんまりとした小さい体で自慢げにそう告げて来た少女に、私達の考えが合致した気がした。するとフランちゃんが率先して前に出て女の子に話しかける。
「お店の子?初めまして、案内してくれる?」
「おっけー!私はアリシア。アリシア・テスタロッサだよ。あなたは?」
「…フランドール・スカーレット。じゃあ案内よろしく、アリシア」
「ぶー。ノリが悪いなー」
素っ気ない返事のフランドールちゃんが残念だったのか頬を膨らませ、私の傍にとてとてと来るアリシアちゃん。フランドールちゃんは早く入りたかったのか、ちょっと残念気にこちらを見ている。
「あ、えっと…高町なのはだよ。初めまして、アリシアちゃん」
「それじゃあなのはだね!なのは達は今日、何を見に来たの?」
「噂の凄いゲームを見に来たのよ。あ、あたしはアリサ・バニングスよ」
「だからブレイブデュエル。名前言わないとゲームに失礼」
「何よ、言いやすいんだからいいでしょ!」
「月村すずかです。お店のどこにあるのかな?」
睨み合いするフランドールちゃんとアリサちゃんを余所に、ちゃんと聞くすずかちゃんは偉いと思うの。
「なーんだ、ブレイブデュエル!それなら早く言ってくれればいいのに」
「「「「?」」」」
そう言ってエレベーターに乗せられて連れて来られたのだが、T&Hの最上階。大きなステージと、お客さんがいっぱいいる広いエリアだった。天井も私の両親が経営している喫茶店「翠屋」と比べても高かった。
「最上階のここが当店自慢の体感シミュレーションゲーム!その名も「
「「おお~!」」
アリサちゃんと一緒に目を輝かせるフランドールちゃん。本当にゲームが好きなんだね。
「すっごい人ね~…さすが目玉商品だわ」
「ホントに…」
「これってどんなゲームなの?」
「体感シミュレーションって事は3Dのアバターを自分で身体を動かした通りに操作できるバーチャルリアリティゲーム?」
「よく知ってるね~そう言うゲームの種類に入るみたいだね」
「なるほど、確かに画期的なゲームだね」
ふ、フランドールちゃんが何を言っているのかがよく分からない…見た目は私達と一緒に見えるけどもしかしたらもっと年上なんじゃないかな?
「なんだか難しそうね…」
「私達にもできるのかな?」
そう言うアリサちゃんとすずかちゃん。同感なの。
「だいじょ~ぶ!私の妹もすっごい上手いんだから!取り敢えず遊んでみようよ!」
「それじゃあアリシア、遊び方を教えてもらえる?」
「かこしこまりっ!それじゃ助っ人さんを呼ぶね。エイミィ~!」
「はいはいっ、呼ばれて駆けつけエイミィさんですよ~」
フランドールちゃんに言われ、アリシアちゃんが呼ぶと出て来たのはT&Hのロゴが入ったエプロンを付けた優しそうな茶髪のお姉さん。エイミィさんと言うらしい。
「右からアリサにすずか、なのはにフラン!ブレイブデュエルを遊びに来てくれたんだって!」
「「「初めまして~!」」」
「は、はじめまして…ってアリシア、フランって何?」
「名前が長いからね。あだ名♪」
「あ、そう・・・」
「あらそれいいわね!私もフランって呼ばせてもらうわ!」
「あ、じゃあ私も…」
「私もっ、いいかな?」
「…別にいいけど」
アリシアちゃんに三人で便乗したけど、フランちゃんはそんなに嫌がってないみたい。「あだ名・・・友達・・・」とかぼそぼそ呟きながら、フフフフフと妖しく小さな笑い声を上げていた。う、嬉しいのかな?
「案内を手伝って欲しいんだけど…エイミィ、大丈夫?」
「まっかせといて。ちょうど今手が空いてるし」
「よ~っし、それじゃあ私たちがばっちり案内しちゃうからみんなはしっかり聞いててね?」
「「「はーい!」」」
「は、はーい…」
アリシアちゃんの言葉に元気よく答える私たちとは対照的にビクビクしながら答えるフランちゃん。いきなりの大声で驚いたのかな?
「それじゃあまずは皆にこれ渡すね!」
そう言って渡されたのは、プレイヤーの証でデータを記録する「データカートリッジ」と言う小さな機械と、「ブレイブホルダー」と言うカードデッキを保存するケース。人数分渡され、私達は興味津々に、特にフランちゃんは目を輝かせて掲げていた。
「ちなみになんとっ、両方とも開店サービスでプレゼントしちゃうよ!」
「ありがとうございますっ」
「マジで?」
「マジで」
「普通ゲーム機って安くて一万円はするんじゃない?」
「アーケードゲームみたいな物だし?」
「納得した」
「その代わり、たくさん遊びに来てくれるとお姉さん嬉しいな♪」
「こうやって入りやすくしてお客を掴むのね…上手い商売だわ」
「アリサちゃーん…」
何か驚いていたフランちゃんも納得したみたい。そのままエイミィさんに案内されると、巨大なモニターで私たちと同じくらいの金髪赤眼だけどフランちゃんとは全く違う雰囲気の少女が、大の大人相手に立ち回り勝利するエキシビジョンマッチの映像が流れていた。その子はこのお店が誇るエースさんらしい。どこかアリシアちゃんに似ていたからお姉さんかな?
私はそれを見て、面白そうだと、かっこいいなと思った。自由に空を駆ける姿が綺麗だと、そう思ったんだ。
「今のがブレイブデュエル…基本的に弾幕ごっこと同じ…?でも、肉弾戦もできる体感シミュレーションゲーム……なにより、スペルカードと似ている「スキル」…これは楽しめそう」
「ねっ、面白そうでしょ?」
「うんっ」
「ちなみに経験値とか練度みたいなものはあるの?」
「ううん、無いよ?実際に運動してる人でも想像力豊かな人でも楽しめる自由なゲームだよ~」
「それはよかった。初回無双も夢じゃない」
「お、おう…」
あ、フランちゃんの言葉にアリシアちゃんが引いている。半分以上何を言っているか分からなかったけど、うずうずしているのは分かった。ゲームが大好きなのかな?
その後、必須アイテムを作るとの事で「スーパーローダー」と言う夢のスーパーマシン(?)を使って自分の写真が描かれた「パーソナルカード」を作った。「N」「N+」「R」「R+」とランク付けされていて、「N」のカードはコレクション用らしく、戦えるのは武器や防具も描かれている「N+」かららしい。そうやって高ランクのカードを使えば、ゲーム中の自分…いわゆる「アバター」の性能を上げれるんだとか。ランクを上げるには強化や合成を使う、フランちゃん曰く「ソシャゲ」仕様なんだとか。
ちなみに私は機械の杖の様な武器、アリサちゃんは剣、すずかちゃんは手袋(?)、フランちゃんは湾曲した黒い杖…の様な武器が装備されたN+のパーソナルカードだった。アリシアちゃん曰くフランちゃんの武器はまだ見たことない珍しい武器らしい。凄い。
「これってレーヴァテイン…?また、紫かな」
ボソッと何やら溜め息半分に呟いていたのが気になったけど、遊んでみるのが一番という事で私たちは「ブレイブシュミr「シミュレーター」…///」…よくアニメとかで人が入っているポッド?の様な機械の真ん中に立つ。右からすずかちゃん、私、アリサちゃん、フランちゃんと言った並びだ。
「よっしそれじゃあ…ブレイブシミュレーター!」
「スイッチオン♪」
「あっ!私が押したかったのに~!」
エイミィさんから横取りしてスイッチを押して起動したアリシアちゃんがガクガク揺さぶられているのが見え、私達はぶわっとその場に浮かぶ。浮遊感…というか、アリサちゃん曰く無重力体験…が近いのかな?ふわっとして、不思議な感覚だ。フランちゃんはそうでもないらしく「へぇ~」と感心した様にきょろきょろ観察していた。
『ふっふ~ん♪もっと凄いのはここからここから♪「4人プレイ」で「フリートレーニング」…最初だし「雲海上空ステージ」がいいかな~。それじゃあ慣れてそうなフランちゃん、今言った三つをウィンドウに入力してみてっ』
「あ、うん…これもいいのかな?」
ポチポチポチと慣れた手つきで打ち込むフランちゃん。するとブブゥ~とブザーが鳴った。
『あれ?なんかエラーが出た…なんで?』
『これは…ねえ四人のうち誰か、「ユカリさん」って人から何か預かった人いない?』
「あ、私…」
『じゃあもしかして貴女が噂の天才ゲーマー「F」さん!?』
『え、フラン本当なの!?』
「巷でそう呼ばれてるけど…」
「え?え?」
アリシアちゃんとエイミィさんは興奮していて、フランちゃんは困った顔をしているけど私達三人は置いてきぼりだ。天才ゲーマー「F」?有名な人なのかな…?
「噂に聞いたことがあるわ…ジャンルを問わず全てのゲームを踏破し、攻略サイトを立ち上げている正体不明、性別不明、分かっているのは常に名乗っている「F」と言う名前だけの謎の天才ゲーマー…!まさかフランの事だったなんて…」
「アリサちゃん?知ってるの?」
「詳しいね」
「え、ええ…つい昨日、うちと同じ実業家の天才プログラマーで天才ゲーマーでもあったCEOが「F」に敗北したらしくて…ちょっと噂になっていたのよ。そのCEOはリベンジを希望しているみたい」
「す、すごいんだね…」
じゃあフランちゃんもさっきの女の子みたいに大人に勝ったって事なのかな…?それは本当に凄い。でも何でエラーが?
「でも貴女、そんな顔してギャルゲーやらにも手を出しているなんて…人は見た目によらないわね…ジャンルを問わずってことはそう言うゲームも…」
「わーわーわー!え、エイミィさん!この預かったのどうすればいいのかな!?あ、バックルだから付けたらいい!?」
『あ、うん…それは特定の人しか付けれないスペシャルコンテンツだから…ダイブする時にちょっと手順がいるんだ。えーっと、ゲーマドライバーを腰に装着して、ガシャットを起動するだけでいいみたい』
『これ、説明書?』
『うん。グランツ博士から店長を通してこの店に置かれたんだ。他の店でも置かれているはずだよ』
それを聞いたフランちゃんはアリサちゃんの言葉から逃げる様に黄緑色の機械を腰に装着、それはヒーローものでよく見るベルトになり、さらにゲームカセットの様な物を取り出すとスイッチを入れて起動した。
《マイティ アクション エックス!!》
「…あれ?」
するとガシャット(?)が桃色に輝き、フランちゃんの後ろに【MIGHTY ACTION X】と書かれた画面(?)が出現。…そして何も起こらなかった。でもそれでOKだったらしく、アリシアちゃんに言われた通りに私達はブレイブホルダーを胸の前に掲げ、コールする。
「「「「ブレイブデュエル・スタンバイ!」」」」
《プレイヤースキャン・開始します。アリーナ上にアバター生成。出現座標はランダム。続いてセンス、ダイブします。…………フルタスク・コンプリート。プレイヤーの一人にゲーマドライバー使用を確認、ゲームエリアを展開します》
機械音声が響いて一瞬裸になったような気がしたけど、そのまま水の中に沈む感覚と共に私たちは自然と目を瞑り…アリシアちゃんの声で、目を開ける。
「な、」「な、」「な、」
「「「何これ~!?」」」
そこには、広大な青空が広がっていた。雲の上、そこに私たち三人は浮いていた。
「どどどどどうなってんの!?コレ雲の上じゃない!」
「わわ、私達浮いてるよアリサちゃんすずかちゃん!?」
「そ、それより…フランちゃんは?」
「「え。あ」」
言われて、気付いた。もう一人いたはずの少女が、居ない。
「何で飛べないの~~~~~~!?」
いや、居た。見下ろすと、そこには絶賛降下中のフランちゃんが見えた。どうやら一人だけ飛べず、落ちてしまった様だ。なんで!?
「フランちゃん!」
『ああ、助けはいらないよ~。フラン、それを使うんだよ。初めてだから分からなかった?』
「普通に出来ていた飛べる事が出来ないだけで混乱しているんだよ!?」
《ガッシャット!》
そう叫んだフランちゃん、その手に持っていたガシャットをゲーマドライバー(?)に差し込み、出現した格ゲーのキャラ選択画面みたいなものの、ピンク髪でゴーグルを付けた様なキャラの顔に顔面から飛び込んだ。固唾を飲んで見守る私達。
《レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?》
「「「!?」」」
そんな音声と共に、フランちゃんは文字通り「変身」していた。
《アイム・ア・カメンライダー!》
「変身したけど止まんない~~~!?」
顔はあの突っ込んだキャラと同じだけど白くて太く、ずんぐりしているゆるキャラの様な姿。胸にはゲームの体力表示みたいなものがあった。変身してなおも絶叫しながら落ちていたフランちゃんだったが、ベルトの左側を操作して説明書?の様な物を立体映像で出すと、チョコのブロックの様な物が足下に出現しそれに乗る事でようやく止まった。胸をなでおろす私たち。特別仕様何だろうけど、何で飛べないんだろう?
「なるほど…よっと!」
そのままピョンッと跳躍し、その先に出現したチョコブロックに飛び乗りそれを繰り返して私たちと同じ高さまで戻ってくるフランちゃん。でもこの姿をフランちゃんと呼ぶのは抵抗があるよ…
『それは特別仕様【仮面ライダー】!もう既に何人かが別のショップでやっているんだけど、うちは初めてなんだ~。名前はどうする?リングネームみたいな物だけど』
「…私が求めるのは
「な、中々かっこいいわね…」
「…何で救助なのかな?」
「フランちゃんは飛べないんですか?」
『ゲーマドライバーを持たずにブレイブシミュレーターに入れば皆と同じように遊べるよ。フランちゃん、今回は仮面ライダーでいい?』
「問題ない、かな?まあ飛べないけど跳べるし?」
そう言ってピョンピョンとチョコブロックの上で跳ねるフランちゃん…エグゼイド。何か可愛い。
『だったら説明するね!これが当店目玉、体感シュミレーションの最新鋭にして最高峰「BRAVE DUEL」!』
『なのはちゃん達の視点・感覚は今、シミュレーター中央の「アリーナ」にいる「アバター」と完全にリンクしてるんだよ!フランもまるで生身のように感じてると思うけどどうかな?』
「うん、自分の体の様に動かせるし風の感覚もあるよ(…確か現実世界で変身できるって聞いたんだけどな…後で試すか)」
その場でバック転して見せ、アリサちゃんの頭上を飛び越えて背後に出現したチョコブロックに飛び乗って見せるエグゼイド。ただただ、凄い。とても同じ動きができるとは思えない。でも確かに、風が気持ちいい…
『ここまでくれば後は遊ぶだけだよっ』
「…って言われても…」
《ご心配には及びません》
「ふえ?」
どこからか声が、ゲーマドライバーと違う女性の機械的な声が聞こえ、その方向を向くと…ここに来た時から持っていた杖があった。
《初めましてナノハ。ブレイブデュエルの世界へようこそ》
「は、初めまして…」
《私はアナタの武器たる「デバイス」RH‐01です。操作説明を行ないますか?》
「う、うん。お願いします…?」
どうやら私の相棒らしい。言われた通り、移動するべく飛びたい方向に意識を集中すると。難しそうだと思ったけど、足に羽が生え、クルクルと考えた通りに空を駆ける。なんだかおもしろい、もっと飛びたい。
「おお、もう飛んでるのか。外の世界の人は飲み込み速いなぁ…幻想郷だと普通の人間は飛べもしないのに。しかしなのは、飛ぶの上手だな。…えっと、仲間や対戦相手を見付ける時は「レーダーモード」で索敵、普通は立体映像を使うけど仮面ライダーの場合はこのゴーグルに映るのか。対戦の基本は「アタック」「シールド」「シュート」、仮面ライダーはその内シュートが使えない、と。まあマイティに遠距離攻撃は無いからね、しょうがないね」
ボソボソとエグゼイドが確認する様にベルトを操作しているのが見えた。フランちゃんの「仮面ライダー」はデバイスが無い代わりにゲーマドライバーに説明書が付いているのかな?ちょっと不便そう。
《いっちょかましてやれアリサ!》
「分かったわ!それじゃいっくわよ~…フラン!」
「え、私?」
「じゃあ私たちもやろうか、なのはちゃん」
「え、あ、うん!」
アリサちゃんがエグゼイドに突進するのと同時に、ふわっと近付いてきたすずかちゃんがデバイスらしい手袋を付けた右手を向けて来て、私も構える。…どう攻撃すればいいのか分からないので、すずかちゃんが飛ばしてきた氷の弾をひらひらと避ける事に集中する。うん、避けるのは結構簡単かも!
「問答無用よ!天才ゲーマー「F」、討ち取らせてもらうわ!トリガーを引いてから鞭を打つ感じで…払う!」
「よっと!」
アリサちゃんが剣を振るって横に炎の斬撃を飛ばすも、エグゼイドはピョンッとその場で跳ねて回避。そのままピョンピョンと次々現れるチョコブロックを跳び継いで行き、「大人しく当たりなさいよ!」と叫びながら闇雲に剣を振るうアリサちゃんを翻弄して行く。凄い、私達みたいに飛べる訳でもないのに、立体的な動きでそれ以上の速さを見せている。
「それじゃ駄目、弾幕ごっこの基本は相手を追い詰める様に誘導する事だよ?」
「っ!…助言、ありがとうと言って置くわ!」
エグゼイドの物言いにカチンと来たのかそう言って三本の炎の斬撃を同時に飛ばすアリサちゃん、しかしピョンッと宙返りして真正面から突っ込んだエグゼイドはその手にボタンが二つ付いたハンマーを出現させるとそのまま呆けていたアリサちゃんの額にポコンッと叩き付けた。
《ガシャコンブレイカー!》
「なあっ!?」
「大技を撃ったからって油断するとこうなる」
「…天才様は違うわね」
「というか本気で倒しに来たね?」
「た、対戦ゲームなんだし…いいじゃない、練習よ!それに天才ゲーマー相手に遊んで挑める訳が…」
「ゲームは遊ぶものでしょ」
「むぅ…悪かったわよ。よーし、次はすずかよ!」
「負けないよ、アリサちゃん」
「じゃあ私は何処まで動けるか試してみようかな」
完敗したアリサちゃんはぐうの音も出ない様だったが誤魔化す様にすずかちゃんに戦いを挑み、エグゼイドはそのままチョコブロックをいくつか出現させて跳び回り始める。もう十分動けていると思うんだけど…
RH‐01の話だとアリサちゃんとすずかちゃんは属性のあるパーソナルカードを手に入れたらしく、炎と氷に特化していて味方としてもライバルとしてもいい関係になれるんだとか。私も何かないかと聞いてみたけど何も属性は無いらしく、ちょっと落ち込んだけど代わりにさっきのすずかちゃんの攻撃を避けた空中制動を褒められ、「空を飛ぶ才能」あるのかもしれないと言われて嬉しくなった。
「ありがとう、ええっと…RH‐01ってなんだか呼びにくいね…」
《そうですか?》
「RHだから、う~ん…レイジングハート!レイジングハートなんてどうかな?」
《
「え、そう言う意味なの?」
《直訳すると。並外れた心、とも捉えられますが》
「じゃあそれで!…だめかな?」
《いいえ。良き名をいただきました。これからよろしくお願いしますナノハ。プレイヤーデータをリセットしない限り私はずっと貴女と共にいます》
「うんっ。よろしくねレイジングハート♪」
《それはそうとプレイ時間も限られていますのでそろそろお友達と遊ばれては…》
「うん。開いているのはフランちゃん…エグゼイドかな?」
RH‐01改めレイジングハートに言われ、対戦しているアリサちゃん達と違って一人で試しているはずのエグゼイドに向き直る。そこには、
「ヒャッハー!自由に動かせる上に足場も自由なアクションゲームとか何それチョーイイネサイコ~!」
足場を次々と出現させそれに一瞬だけ脚を付けて跳躍し、目にも止まらぬ速さで縦横無尽に跳ね回りまくるエグゼイドがいた。見た目の割に、さっきの私より速い。
「……ピンボール?」
《彼女の特性は万能性、ですね》
「だね。アレに攻撃を当てられる気がしないの…」
《下手な鉄砲数撃ちゃ当たると言う諺もありますよ》
「何の慰めにもなってないの…」
天才と凡才の差に少し落ち込んでいると、唐突に甲高い警告音が鳴り響き、<!CAUTION!>と書かれた映像が空に映り込む。これは…?
「な、なになに!?」
《このコールは…乱入者ですね》
「乱入者ですって!?」
「トレーニングモードだったはずだけど…」
「うう、目が回った…もしかして一緒に押したアレかな…?」
エグゼイドだけは何なのか分かったらしく、それと同時に映像からシュバッと光が私たちの真ん中に落ち、そこに現れたのは…赤く可愛い服を着て兎の顔が付いた帽子を被った赤毛の三つ編みの少女がハンマーを手に現れていた。身長は私たちより小さく、アリシアちゃんより大きい。傍には赤いスカーフを巻いた、帽子に付いている物と同じ顔をした兎の縫い包み(?)が腕を組んで立っている。アレが、乱入者…?
「なんだあ?見ねえ連中だ、お前等もテストプレイ組か?」
「テストプレイ組?何の事よ?」
「アリサちゃん、凄いよ…あの子」
そう言われ、私もレイジングハートを介して彼女を見てみる。所属ベルカ【鉄槌の騎士】ヴィータ、とあった。ヴィータちゃん、か。
「所属のベルカって言うのは分からないけど、「R」クラスのカードな上に通り名まで持っているみたい…実力者だよ」
「…実力者、ねえ」
ちらっとエグゼイドを見るアリサちゃん。あーうん、たった今天才の動きを見ている立場からすると、どれぐらいなのかなぁ…って感じだよね。強いのかな?
「見たところ「N+」が三人、それに…仮面ライダー、だと?お前、ゲンムか?いや。色が違うな…」
「ゲンム?私はエグゼイド、だけど」
「へんっ、まあいい。どうやら初心者の様だな。弱い物イジメは趣味じゃねえが記録更新のためだ…全力でブチのめす!」
「対戦ゲームに乱入?上等!」
突進してくるヴィータちゃん相手に、ピョンピョンッと軽く跳躍して同じくハンマー…ガシャコンブレイカーを突き出して空中に飛び出したエグゼイド。
こうして私達の初めての戦いが、始まった。
―――See You Next Game―――
落ちながら変身ってかっこいいよね!仮面ライダーは基本飛べません、即ち陸があるステージでしか本領発揮出ません。ゲーマドライバーを装備してなければちゃんとプレイできます。
フランドール:天才ゲーマー「F」たる由縁を見せつけた。説明書は読み込んでから捨てるタイプ。初プレイ時はヒャッハーしてしまう普段は冷静(人見知り)、プレイ時は心躍る人。ブレイブデュエルは弾幕ごっこの様な物だと考えている。エグゼイドが気に入った。飛べないと焦る(というか人間になってるからブレイブデュエル以外だと飛べなくなってる)。アリシアが苦手。友達ができてご満悦。
なのは:空を飛べる才能に心躍る。フランの実力にちょっと疎外感を感じているけど仲良くなりたい。
アリサ:天才ゲーマー「F」の実力に戦慄し心滾る。今の目標は一発でも当てること。
すずか:フランに正体の分からない親近感を感じている人。アリサとの戦いに心躍る。
アリシア:T&Hの看板娘。お姉さん。妹とどこか似ているフランがお気に入り。T&H初めての仮面ライダーに心躍る。
エイミィ:残念なお姉さん。仮面ライダー登場に心躍る。
ヴィータ:鉄槌の騎士。エグゼイドと同じでハンマーが武器だから運命を感じた。仮面ライダーの一人、ゲンムを知っている。
次回、レベルアップ!楽しみにしてくださると嬉しいです。感想をいただけると励みになります。