~side:死帝~
死帝「あら、この気配は…」
鏡花「隙だらけですわ!死帝御姉様!!」
死帝が動きを止めると鏡花は手に持った銀の刃の直剣を死帝の体に向けて振るってきたが、鏡花の刃が当たる前に死帝の姿はするりと消えた
鏡花「あら?………後ろですわね」
死帝「流石にバレちゃったわねぇ…まぁ、仮にもワタシの妹だものねぇ」
鏡花「えぇ、その通りですわ。そして、今度は逃しませんわ!」
鏡花は死帝が自分の後ろに姿を現すと同時に指を鳴らした、すると死帝が移動した位置の地面から糸のような物が死帝の体に向かって伸びてきた、そして、死帝はその糸に拘束されてしまった
死帝「あら、随分と硬い糸を用意したものね」
鏡花「えぇ…この日の為に剣帝御姉様の使う剣糸の三倍の強度の糸を沢山用意しましたわ」
死帝「ふぅん、頑張ったのね……でも、無意味ね」
死帝が糸に拘束されたまま自分の体に巻き付いている多数の糸に触れていくと、その糸は音を立ててブツリブツリと切れていった
死帝「ワタシ以外になら効いてたでしょうけど、ワタシには効かないわねぇ」
鏡花「…………死帝御姉様、何故それほどにこちら側へ来る事を拒むのですか?」
死帝「そんなの答えは簡単じゃないの、ワタシは剣帝兄が大好きなの、そして、そんな剣帝兄が護るこの郷やあの家庭が好きなの、だから、それを壊そうとする貴方達は嫌いなのよ」
鏡花「単純にして明快な答えですわね……良いですわ!ワタクシはワタクシの力で御姉様を自分の物に致しますわ!」
死帝「それは今回は無理ね」
鏡花は死帝に掴みかかろうと走って来たが、死帝はまたもや瞬時に移動して鏡花の後ろに周り込んでから喋り始めた
鏡花「何故、そう言い切れるんですの?」
死帝「だって、あなた本体じゃないでしょ?」
鏡花「………何時から気付いていらっしゃいました?」
死帝「何時からって……顔を合わせた時からかしら」
鏡花が振り返りながら口元を歪ませて質問すると、死帝は淡々と返事をし始めた
死帝「だって、アナタの気配、離反した時よりもずっと弱くなってるし………能力で作った複製体よね?」
鏡花「その通りですわ。ワタクシは複製体、本体ではありませんわ」
死帝「そうでしょうね。だからこそ、倒すのも容易いのよね」
鏡花「そう……でした…か…」
死帝が手に持った二振りの短刀を納刀すると同時に死帝の背後に居た鏡花の身体にヒビが入り、ガラスの様に砕け散った
死帝「さてっと……アタシも行かなきゃね!」
死帝は鏡花が砕け散った後、自分の周囲に煙を発生させると子供の姿に戻り、テトテトと迷いの竹林に向かって歩いて行き始めた
~side:双月~
双月は音刃からある程度距離を取りながら手に持った2丁拳銃を撃ち、音刃に向けて弾丸を放っていた
音刃「んなもんがオレに当たるかぁ!!!」
双月「やはり普通の弾丸では近付ける事すら不可能ですか…」
しかし、音刃はマイクを口元に近付けて衝撃波の領域に入っている大音量の声を出し、弾丸を止めて落として、自分に当たる事を防いでいた
音刃「オレに弾丸なんぞが当たるかぁ!!」
双月「えぇ、そうでしょうね。先程も弾かれていたから分かります」
音刃「そうと分かってるならとっとと降伏しろよ!」
双月「嫌です。それに、手がもう無い訳では有りませんし」
双月は音刃の発言を聞きながらハァーと口から大きく息を吐き出し全身の力を抜き始め、その次に今度は息を大きく吸い込み、音刃を見据えるように睨み付け始めた
双月「あまり、兄さんを待たせるのは出来る妹にあるまじき行為なので、さっさと片付けさせて頂きます」
音刃「ハァッハァー!!オマエの攻撃はオレには通じねぇぜぇ!?どうする気だ!?」
双月「こうするんですよ」
音刃「だから、そんなもんはオレにはあだっ!」
双月が音刃を見据えつつ今まで同様に黒い銃から弾丸を撃ち出すと、音刃は笑いながらまた衝撃波の声を出し弾丸を弾こうとした、だが、弾丸は音刃の衝撃波に当たると弾かれるどころか爆発をして音刃の顔に爆炎と爆風、弾の破片が当たってきた
音刃「小娘が…ナメたマネしやがって…」
双月「うるさい方です。とっとと黙って消えて下さい」
双月は音刃に向けて呆れたような口調で喋りつつ、音刃の周囲に白と黒の銃で交互に弾丸を撃ち込み、その後音刃に向けて黒い銃で弾丸を撃ち込んできた
音刃「同じヘマをオレがする」
双月「連鎖爆裂(チェイン・ボム)」
音刃「熱っ!冷てっ!」
双月がボソリととある単語を言うと同時に音刃の周囲の足元に撃ち込まれていた弾丸が爆発を起こし、音刃の周囲の足元から大量の火炎と大量の氷が音刃に向かって飛んできた
音刃「イテテテッ!!」
双月「これで終わりですね」
音刃が足下の氷や火炎に気を取られていると双月は銃の先端に炎と氷を混ぜたようなエネルギー弾を作り出し、音刃に向けて発射した
そして、そのエネルギー弾が音刃に命中すると大爆発が起こり、その大爆発の間に何かが砕ける音が聞こえた
双月「さて、兄さんの元に一番に着いて双が一番良い妹だと証明しないと♪」
双月は楽しそうな表情を浮かべつつ、スカートの裾をはためかせつつ剣帝が戦っている迷いの竹林に飛んでいった
~side:剣帝&無名~
???「どうしたんすかぁ?ニィ二達、随分と弱くないっすか?」
剣帝「チッ、うるせぇなぁ」
剣帝は左手で持っている円形の盾で男から伸ばされてくる蛇腹剣を弾きつつ、右手で持つ剣で切り付けようとするが、男は軽やかな動きで剣帝の剣を回避しつつ距離を取る
???「オレッチが居なくなってからの方が弱くなったんじゃないっすか?えっ?どうなんすか?」
剣帝「あー……苛々する…」
???「何すか?オレッチへの怒りっすか?」
剣帝「チゲぇよ、俺自身の弱さに苛立ってんだよ」
剣帝はハァと溜め息をつきながら自分の弱さに嘆き、右手に持った剣を首の付け根の辺りにカンカンと当て始めた
???「なら、大人しくオレッチに殺され」
無名「そんな弱さに嘆いてる剣帝に朗報だぜ……時間が経ったぜ」
剣帝「ようやくか」
???「時間?何の時間が経ったん……まさか!」
無名「まぁ、お前の予想してる通りだと思うぜ?剣帝と駄弁る時間がありゃ闇討ちでもすりゃ良かったのによ」
無名が担当する右側の目の部分が光り、剣帝が剣を天に向けて上げ、軽く振るうと、それまで満天の青空だった空が砕け散り
黒い空に星々が輝き、その中で一際大きく赤い月が輝く夜に突然変化した
???「い……何時の間に…」
無名「ちょっと前だな、まぁ、取り敢えず……時間切れだな」
男が驚きながら空を見上げてから剣帝達の方向を向き直すと、そこには月と同じくらい紅い髪をした男、剣帝とその横に黒髪長髪の男、無名が立っていた
剣帝「さぁ…お仕置きの時間だ」
???「…………に、逃げるが勝ちっすね!!」
剣帝「逃がす訳無いだろ」
???「グェっ!」
男が剣帝から逃げ出そうと走り出した、だが、その次の瞬間剣帝が目の前の空間を握ると男の体に周囲からでも見て取れるような窪みが現れ、男を拘束した
剣帝「散々コケにしやがって……偽物風情が」
???「あっ、やっぱりバレてたっすか?」
剣帝「当然だろう、お前を作ったのは他でもない俺だ、その俺の弱体時で善戦できるとかあり得ないだろう」
???「いやー、おっかないっすねぇ」
剣帝「馬鹿にしてんのか…まぁいいや、今度は本体で来いや」
剣帝は右手で男を掴み続けながら男に向けて左手を伸ばし、灰色の極太のビームを放ち、男を消し炭にした
剣帝「ふぅ………これで終わりだな」
無名「そうだなぁ………ところでもう切っても良いか?」
剣帝「あぁ、悪いな、手間を掛けさせた」
無名「全くだ」
無名が全身から力を抜き、ハァーと息をつくと剣帝達の上で輝いていた赤い月が消え、元の新月に戻った
無名「あー……マジで疲れた」
剣帝「お疲れさん」
無名「お前もな……さて、帰るか」
剣帝「おうよ、そうだな」
剣帝達があくびをしつつ自分達の目の前の空間に黒い穴を開いていると、双月、死帝、剣狼が駆け付けてきて、全員黒い穴の中に消えて行った
~???~
周りの壁が機械的な部屋の中の中央の大きな銀色の机に足を掛けながらとある一つの人影が騒いでいた、そして、その人影にスタスタと一人の女性の人影が近づいて来ていた
???「だぁぁ、負けたっすぅ!!」
鏡花「申し訳有りません、ワタクシの力不足のせいで」
???「あー、気にするなっすよ、あのクソニィ二達が異常なだけっすから」
机に足を掛けていた男は少し前まで剣帝と戦っていた男と同じ姿だった、そして、その男に近付いていたのは死帝と戦っていた鏡花だった
鏡花「ですが…ワタクシがもっと力を付けていれば」
???「良いから気にするなって、それよりあのクソニィ二達をぶっ倒す方法考えるっすよ、鏡花」
鏡花「はい!分かりましたわ。裏切(りせつ)御兄様」
青と黒が入り混じった髪の男、裏切と呼ばれた男は腰掛けていた椅子から立ち上がり、鏡花の頭をポンと優しく叩いてから鏡花を連れて退室していった