~幻想郷:とある森の奥地~
無名「さぁ、始めようぜ」
剣帝「まぁ……ほどほどでな」
互いに拳を構えている二人の周囲が陽炎の様に歪み、剣帝の周りには蜷局を巻く、金色の龍の様な幻影が現れ
無名の周りには大きく口を開けた六枚の翼のようなものが付いた人骨の頭のような幻影が現れ、互いにぶつかり合いを始め、ぶつかった箇所では赤と青の電流が走り始めた
無名「さっきみたいにテキトウな加減して俺を落胆させんなよ?」
剣帝「そんな事言ってる場合か?馬鹿が」
無名「クカカッ、無駄口叩く余裕が有るんなら問題ねぇな」
剣帝「お前こそな」
剣帝と無名がそれぞれ左手と右手をまっすぐ横に伸ばすと、無名の右手には黒色の鞘に収まった柄が真っ黒な脇差が現れ
剣帝の伸ばした左手の先には剣帝が再三開いた黒い穴が開きそこから剣帝の髪の色と同じ赤色の鞘に収まった剣が出てきた、そして、剣帝はその剣の柄を握り、穴から剣を引き抜いた
無名「へぇ、それを出したって事は俺がある程度本気出しても平気だな」
剣帝「まぁ、そうだな」
無名「んじゃ、今回こそは勝たせて貰うぜ」
剣帝「やれるもんならやってみな」
剣帝が剣を背中に背負い、無名が腰に刀を帯刀すると、剣帝が無名に向けて右手を伸ばし指を動かして無名を挑発すると、無名はそれに乗るように剣帝に向かって走ってきた
そして、無名は剣帝に向けて目にも止まらぬ速さで刀を振るってきたが剣帝はさも当然のように左手で剣を掴んで刃を鞘から引き抜くと無名が振るってきた刀の刃を受け止めた
無名「やっぱ受け止めるか」
剣帝「まぁな、音速程度じゃ遅過ぎるからな」
無名「普通は音速は充分過ぎるくらいの速さなんだがなぁ……」
剣帝「俺等の間じゃそんなの通用しないだろうが」
無名「そりゃそうだ!」
剣帝「おっと」
無名は剣帝に刀の刃を受け止められて残念そうにしながら剣帝の顔目掛けて突きを放ったが、剣帝はそれを見切って難なく回避した
無名「チッ……」
剣帝「加減も過ぎるとつまらないからもう少し本気でやろうや」
無名「クカカッ、良いぜ」
剣帝「んじゃ、仕切り直しだなっと!」
無名「うおっ!」
剣帝が無名と鍔迫り合いしていた状態から剣を力強く振ると、無名は後方に吹き飛び、それと同時に大きな風が辺りに吹き荒び、剣帝と無名を包むように風が竜巻に変化した
~迷いの竹林:剣帝宅~
セラ「ねぇ、黒影君、幾つか質問良い?」
黒影「どしたぁ?セラちゃん」
セラ「あの竜巻……何?」
黒影「あー…アレは剣帝と無名が軽い戦闘してるからだな」
セラ「それと、何だか体が重たいんだけど……何で?」
黒影「それはアレだな、剣帝と無名の相手への殺気とか闘志とかのぶつかり合いのせいだな」
セラフォルーと黒影は少し距離を開けながら二人並んで縁側に座り、セラフォルーが少しつらそうな顔をしながら黒影に質問していき、黒影はその質問に余裕の表情をしつつお茶を飲みながら返答していく
セラ「それじゃあ……アレが剣帝君のホントの本気って事?」
黒影「いやー?出して二割か三割だろうなぁ、その程度じゃないと衝撃があんな小規模な訳ねぇし」
セラ「えっ!アレで小規模なの!?あの竜巻周りにあるおっきな木まで吹き飛ばしてるけど」
黒影「あぁ、小規模だぜ、剣帝と無名が五割の力とか出したらそれこそこの郷なんぞ軽々と消え去るし、本気なんぞ出したら最早太陽系が消し飛びかねんからな」
セラ「…………剣帝君って何者なの?」
黒影「ん?剣帝は簡単に言うと怪物だな」
セラフォルーは若干怖がるような様子を見せながら剣帝と無名が戦っている竜巻を見つめ、黒影は特に興味も無さそうにお茶を飲んでいる
~幻想郷:とある森奥~
無名「さぁて、行くぞぉ!!」
剣帝「良しっ、来いっ!」
無名は一見恐ろしい笑顔を見せながら剣帝に切りかかり、剣帝も恐ろしさが滲み出ている楽しげな笑顔を見せて互いに相手の身体を切り裂いていた
だが、傷付いた端から無名と剣帝の身体は瞬時に傷口を再生して辺りにはただ血飛沫だけが飛び散っている
剣帝「あー、久々の切り合いは楽しいな、無名」
無名「そういうのはもっと本気に出してから言いやがれ!つうか眼鏡外せ!」
剣帝「………あー……悪い、忘れてた」
剣帝は無名に眼鏡を外すように文句を言われると、ニコニコとした笑顔のまま眼鏡を外し、自分の真横に黒い穴を小さく開き、そこに眼鏡を入れて閉じた
その次の瞬間、剣帝の髪の色が頭頂部から変色し始め、赤色から銀髪に変化し、それと同時に後方に向かって二塊の髪の毛が跳ねた
剣帝「そら、掛かって来いよ」
無名「けっ、ようやく四割出しやがったな、このクソ兄貴が」
剣帝「無駄口叩かずとっととやるぞ」
無名「あぁ、分かってるが、武器はどうする?」
剣帝「………要らんな」
無名「だな」
剣帝と無名は互いに自分の後ろに黒い穴を開くとそこに剣と刀と鞘を投げ入れ、入り切ると同時に穴を閉じ、相手に向かって殴りかかった
無名「クカカカカカッ、テメェとの殴り合いなんざ久し振りだよなぁ!」
剣帝「確かに、そうだな!」
無名「腕は鈍ってねぇよなぁ!?っと、胴体がら空き!」
剣帝「グフッ!……そっちこそ鈍ってんじゃねぇのかぁ!?脳天ガラ空きだぞ!」
無名「うぐぉっ!……やるねぇ」
剣帝「テメェこそなぁ」
剣帝と無名は互いに互いの身体を拳一つで殴り始め、互いの拳が身体にぶつかる度にビキビキと体の骨にヒビが入り
時にはゴキリという骨が折れる音やボキャッと言う骨が砕けるような音が聞こえてくる、だが、二人は楽しそうに互いを殴りながら高笑いをしている
剣帝「ハァーハハハハハッ!!」
無名「クカカカカカカカッ!!」
そして、二人が互いに相手へのトドメの一撃を叩き込もうとした瞬間、二人の周囲の風や草木の動きが止まった
剣帝「………無名、お前、時間停止使ったか?」
無名「いんや、使ってねぇよ?つか、こんな楽しい時にんな不粋な真似するかよ」
剣帝「と、なると別の誰かか……」
無名「そういや剣帝、妹紅ちゃんは今何処だ?」
剣帝「…………今晩の飯を買いに人里だな」
無名「……行くか」
剣帝「あぁ」
二人は互いに拳を納めると、まるで我が子を盗られた獅子のような目付きをしながら時間が止まった世界の中を歩いていく
~幻想郷:人里~
??「デュヘヘッ、偶々手に入れたこの時計がまさかどこぞの薄い本に出てくるような時間停止アイテムだっただなんて」
時間が止まってしまった人里の中で下卑た笑い声を出しながらブクブクと太った不潔そうな見た目の男が歩いていた
太男「しかも、運が良い事に今、正に目の前に藤原妹紅ちゃんが居る……デュヘヘッ、たぁっぷりと調教して、僕のお嫁さんにしてあげるからねぇ」
太った男が妹紅に触れようとした瞬間、その妹紅に向かって伸びた腕を掴み取り、握り潰そうとする手が横から伸びてきた
太男「ブヘッ!?だ、誰だお前!!」
剣帝「あぁ!?俺はこの娘、妹紅の夫だよ!このクソ野郎が!」
太男「ふ、ふぅーん、だったら大人しく止まって妹紅ちゃんが犯されて僕の物になるのを大人しくアホ面しながら見てるが良いさ!」
男はそう言いながら何度も手に持った時計のボタンのような場所を押し、周囲の時間を止めては動かし止めては動かしを繰り返すが、剣帝は余裕で動き続ける
太男「な、何で止まらないんだよぉ……」
剣帝「残念だったな、俺は妹紅をそういう輩から守る為にその手の類の術を無効化出来るようにしてるんだよ」
太男「だ、だったらこれで!」
剣帝「………」
男は剣帝に時間停止が聞かないと分かるとすぐに時計に付いたもう一つの能力を発動させた
太男「お、お前は今から『僕の奴隷』だ!良いな!!」
剣帝「はっ?断る、何で俺がお前みたいなグズの奴隷なんぞしなきゃならないんだよ」
太男「こ、これも効かないのか!?」
剣帝「お前、ちゃんと俺の話聞いてたか?俺はその手の''類''の手を無効化するって言ったよな?類って事は複数種、つまりは、催眠とか洗脳も無効化出来るんだよ、ボケが!」
太男「ひ、ヒェェェ!!化物だぁ!!」
剣帝「第一、俺はろくに努力もしねぇ様なテメェみたいなカスが、かわいい女子に相手して貰えるとかって妄想を押し付けようとしてるのが一番苛つくんだよ!」
太った男は四つん這いになりゴキブリのように必死に手足を動かし剣帝から逃げていくが、剣帝はその後ろからずんずんと歩いて近づき、人里から出た辺りで男を捕まえた
剣帝「テメェみたいな奴は普通の痛め付け方じゃあ俺のイラつきが収まらねぇ」
太男「や、辞めてくれ……た、助けてぇ…見逃してくれぇ…」
剣帝「はぁ?お前はそうやって言って嫌がって助けを求めてくる女の子を見逃した事あるのか?」
太男「そ、それは……」
剣帝「やっぱ無さそうだな……うん、クロだな」
剣帝は男を右手で捕まえるとそのまま片腕で難なく持ち上げ、左手で空のドラム缶を創り出した、そして、そのドラム缶の中に男を投げ入れ
その後、何処からともなく出したボンベの様なものを背負い、そこから伸びるシャワーのノズルのような物をドラム缶の空いた上側に付け、ノズルからとある液体を男に向けて流し始めた
太男「な、何だこの水は……あ、暑い!!肌が焼けて溶けるように、あづっ!!」
剣帝「そら、硫酸風呂の湯加減はどうだ?」
太男「や、辞めっ……どげる……じ、じ…ぬ゛…」
剣帝「あぁ、死ねよ、今すぐに死ねよ」
剣帝は太った男の頭から大量の硫酸をかけ、男が溶けた事を確認すると何かしらの能力で硫酸だけを消してから自分の指を咬み、ドラム缶の中に血を一滴だけ垂らした
すると、どういう訳か骨の欠片や少しの歯しか残っていなかった太った男の身体が元通りになり蘇った
太男「あ、アレ?……な、なぁんだ元々から僕を殺す気なんて」
剣帝「……はぁ、お前の頭は相当におめでたいらしいな」
太男「ふぇっ?」
剣帝「あのなぁ……俺が愛する嫁さんを汚されそうになってて、その犯人を捕まえて、一回殺しただけで済ませると思うか?」
剣帝は冷徹な、まるで家畜を見るような目で男を見ると、男の頭上に手をかざした、そして、服の袖口から多種多様なおぞましい姿をした虫や多様の寄生虫、加えて大量の毒虫、更には殆どの人間が嫌悪対象とするゴキブリなどを放ち、ドラム缶に蓋をした
太男「や、止めっ、来るな!来るなァァァ!!オゲェェェェ!!」
剣帝「そのドラム缶がお前の墓標だ」
剣帝はドラム缶の蓋が開かないように重りを乗せてから、そのドラム缶を自分の店の裏まで運んでいった
剣帝「さて、蠱毒の実験だ」
剣帝は店の裏の地面に人が二人は入りそうな大きな穴を掘ると、其処に重りが外れないようにぐるぐる巻きにしたドラム缶を投げ入れ、埋めた
剣帝「そのうち掘り返してやるよ」
剣帝はそう言いながらスタスタと自宅へと帰って行った
《後日、掘り起こされたドラム缶の中身は見るも無惨な程に体中を虫に喰われ、更には多様な寄生虫に寄生され苗床となってもまだ剣帝の力のせいで死ねずに居た、体の各部に骨が見え隠れしている男の姿があったそうな》