~二人が殴り合いをしてから数日後、今日はバレンタイン~
~迷いの竹林奥地:無名の家~
無名「はぁー……暇だなぁ……」
無名は迷いの竹林にある永遠亭より更に奥に有るとある一軒家の中のリビングでホットカーペットを付け、テレビを見ながらオレンジジュースを飲んでいた
無名「世間は今、バレンタインかぁ……こっちにもバレンタイン流れて来ないかなぁ…そしたら何人か俺にチョコくれるだろうしn」
無名がオレンジジュースを飲みながら天井を見上げて居ると、突然家中に警報音が鳴り響く
無名「はぁ?……俺の家にチョコってまさか!もうバレンタインは幻想入りしてたのか!?」
無名が半分ウキウキ気分でテレビの入力切替をして、画面の内容を監視カメラに切り替えると、そこには
無名の家の廊下に仕掛けてある直径10m以上は確実にある針だらけの鉄球や明らかなまでに当たると体に食い込み噛み千切りそうなトラバサミを気合と拳のみで叩き壊す剣帝の姿が
無名「…………何でアイツはあんなに殺意放って来てんだよ…」
剣帝『無名……見ているなぁ?』
無名「げっ!気付かれた!」
剣帝『今からそっちに行くかなぁ?』
剣帝が監視カメラに指差しをして予告をすると、その次の瞬間テレビ画面が砂嵐になり、状況が分からなくなった
無名「B級のホラー映画かよ……」
無名(にしても、何で剣帝があんなに殺気を放ってこっちに来てるんだ?………うーん、思い当たる節があり過ぎて困る)
無名が自分の顎に手を当て、困っていると、一つ、とある事柄が思い浮かんできた
無名(まさか…昨日の…)
~遡る事一日前~
無名「ほーれ!高い高ーい!」
妹志「たかいたかーい!アハハーッ!」
無名「妹志ちゃんは元気だなぁー」
妹志「エヘヘ~、無名おじちゃんやしゃしい~」
無名が剣帝の自宅の庭で剣帝の娘の次女、妹志(もか)と戯れ、妹志に頼まれて高い高いをしていた
無名「そういや、妹志ちゃんは何歳になったんだっけ?」
妹志「んー……四ちゃい」
無名「そうかあ、四歳かぁ……将来は美人さんになるなぁ」
妹志「ママみたいにー?」
無名「おうさ」
妹志「わぁーい!」
無名が妹志を抱きかかえて可愛がっていると妹志は嬉しそうに両手を上げて喜んでいた
無名「あー……美人と言えば、明日はバレンタインかぁ……」
妹志「バレンタインってなぁに?」
無名「ん?女の子が好きな人にチョコを送ったり、友達にチョコを送ったりする日だぜ?」
妹志「しょうなんだぁ……無名おじちゃんもチョコ貰いたいの?」
無名「まぁな、どうせ妹志のパパは一杯貰うだろうけど、俺はあんまり貰えないしな」
妹志「無名おじちゃん可哀想……妹志があげるね!」
無名「クカカッ、有難く貰おうかねぇ」
~そして、現在に戻る~
無名(まさか……アレか?アレが原因で…か?)
無名が記憶を思い出す事に集中していると、後ろの扉が強く叩かれる
無名「まさか……もう」
そして、また力強く扉が叩かれると、扉は勢い良く開いた、そして、そこには可視化された燃える炎のような気を纏った剣帝がチョコを3つ握っていた
剣帝「よぉ、無名」
無名「よ、よぉ、剣帝……どうした?そんなに殺気だって」
剣帝「喜べ無名、俺の愛する嫁からの義理チョコと、俺の愛する娘達からのチョコだ!」
無名「そ、そうかぁ……どうせ全部義理だろ義理」
剣帝「因みに、娘二人から俺へのチョコは無い……」
無名「…………逃げろ!」
無名が何かしらの危機を察知したのかポチリと手元のボタンを押すと、無名の足下が開き、無名はそこに開いた穴に落ちていった
無名「んじゃ、ばいちゃー!」
剣帝「…………」
剣帝は無名が逃げた様子を見ると、クルリと体の方向を転換して無名の家の外に向かって歩いていく
~迷いの竹林:内部~
無名「何で!……俺の位置が!……分かるんだよ!」
剣帝「逃げる事無いじゃないか、無名、可愛い妹菜と妹志が丹精込めて詰めたチョコの詰め合わせだぞ」
無名「チョコの詰め合わせは嬉しいが、持ってくるテメェは願い下げだボケェ!!」
剣帝「ならばチョコはくれてやるから止まれ」
無名「そんなに殺気立ってるお前を信用出来るかぁ!!!」
無名は走って逃げていたが、剣帝はその後ろをスタスタと早歩きで走っていく、その二人の距離の差は一向に伸びない
無名「というか!渡すなら普通にポストに入れとけや!」
剣帝「…………断る!」
無名「はぁ!?」
剣帝「さっきくれてやると言ったな、アレは嘘だ、欲しければ俺を倒せ!要らぬと言うならお前を殺す!」
無名「どっちにしろBadendじゃねぇか!!!」
剣帝「さぁ!勝ち取るが良い!」
無名の後ろをずんずんと進んでいく剣帝の髪は一旦銀色の長髪になったが、すぐにまた赤髪の短髪に戻り、更には剣帝の姿が黒いロングコートに変化し、剣帝の後ろに後光のようなものが現れた
無名「テメェェェ!!一々弟にチョコ渡すだけで本気出すなよ!」
剣帝「貴様が何時までも逃げるからだ」
無名「し、る、か、ボケェぇぇぇ!」
剣帝「さぁ!俺からチョコを勝ち取ってみろ!」
無名「無理じゃボケェ!テメェはもう既に生物の域を超えてるじゃねぇか!」
剣帝「それは要らないと判断する、なので貴様を殺す!」
無名「理不尽じゃねぇーかぁー!!!」
無名は必死に剣帝から逃げる為に走るが、剣帝はその後ろを小走りで追い続け徐々に近付いていく
無名「クッソ、が!」
剣帝「おっと」
無名「無かったことにすんなクソが!」
剣帝「知らんなぁ」
無名は逃げている最中に後ろを振り向き、剣帝に向けて黒い球体を投げ付けるが、剣帝が右手を目の前で軽く振るうと、黒い球体は元からそこになかったかのように消えてしまった
剣帝「さぁ、大人しく勝ち取れ!」
無名「支離滅裂なんだよ!」
剣帝「知らん、な!」
無名「クソ兄貴がぁぁ!!」
無名は黒い球体が消された事を見てから、今度は地面から剣帝に向けて大量の剣を発生させつつ、走らせた、だが、剣帝はそれと同等の勢いで無名に向けて剣を発生させつつ走らせ、相殺した
無名「はぁ………クソ兄貴がぁ……無駄な体力使ってんじゃねぇよ……」
剣帝「ふぁーぁ……そうは言ってもな……お前が妬ましいからな」
無名「どうせ、お前の娘ちゃん達がお前にチョコを渡さなかったのは、アレのせいだろ」
剣帝「…………多分な」
無名と剣帝は互いに向き合いつつ話し合い、無名は話している最中に竹林の外にある剣帝の店の前を親指で指差した、そこには山盛りに積まれた包装されたチョコの箱が見える
無名「お前が毎年のごとくあの山を貰ってるから、お前の体を心配してるんだろ」
剣帝「それでもやっぱり俺は娘二人からのチョコが欲しい!」
無名「あっそ、取り敢えずこれは俺が貰っとくわ」
剣帝「あっ………まぁ、それも一応勝ち取った、に入るかな?」
剣帝がチョコの山を見つめながら娘二人からチョコが貰えない事を落胆していると、その隙に無名が剣帝の横を通り過ぎつつ包装されたチョコの詰め合わせを持っていった
剣帝「………あぁ、そういえば、無名!」
無名「んだよ!まだなんか有るのかよ!」
剣帝「いや、近々俺が休眠するから、その間のあの娘等の警護宜しく」
無名「はっ?何する気だよ」
剣帝「いやー、外界からの侵攻でちと警備を厚くしようと思ってな、とある物作るつもりなんだわ、俺の見立てだと一年は寝る」
無名「…………はぁー、了解だ、で、何作るんだ?」
剣帝「白い文明破壊兵器」
無名「…………なるほどな、理解した」
剣帝はチョコを持って帰っている無名の横に並び帰り始めつつ、無名に近々自分がやる事等を伝えていった