剣の帝の異世界冒険   作:アルクロ

83 / 88
第七十八話「酒盛り乱心」

《一誠から別れてから二時間後》

 

~京都:町中~

 

剣帝「あぁー……不味い…」

 

黒影『確かに不味いが、口に出すなよ、店の人間に聞かれたら面倒だろ』

 

剣帝「いやでもさぁ………失敗だなぁ、うっかハズレ引いたわ」

 

黒影『何だ?どっかで口直しでも食べに行くのか?』

 

剣帝が一誠と別れた後、すぐに転移用の魔法陣を自分の足元に開き、セラフォルーの側に戻り、その翌日にセラフォルーの警護という形で京都観光を続行していた

 

そして、黒影の提案を聞くと、少し考えるような素振りを見せつつ会計を終わらせてから周囲を見回し、口直しに良さそうな店を探し始め、目星を付け始めた

 

剣帝「んじゃあ、どれに行こうかなぁっと」

 

黒影『テメェはどうせ焼き鳥しか食わねぇだろ?』

 

剣帝「いんやぁ?俺も一応甘味は好きだからね、今回は団子にしようかなと思っているよん」

 

黒影『ヒャハハッ、そうかそうか』

 

剣帝は黒影と話し続けながらゆっくりと歩き進めながら周囲を見回し続け、店先で売ってある生八つ橋を見つけた

 

剣帝「おっ、この店の生八つ橋美味しそう」

 

黒影『そだなー』

 

剣帝「んじゃあ、買うとしようかっと」

 

剣帝は生八つ橋の入っている箱を5つ程手に取ると店内に入っていき、レジで会計を終わらせた

 

剣帝「これで良しっと」

 

黒影『だがよぉ?それだと買い食い出来なくね?』

 

剣帝は黒影からの指摘を受けると、ハッとした顔になってから店から出て行った

 

そして、剣帝はショボーンと顔を下に向けながらトボトボと町中を歩いていき、テキトーに目に付いた酒を二十本ほど瓶ごと買って行った

 

黒影『何で酒買ってんだよ』

 

剣帝「何となく飲みたくなった、からかな?」

 

黒影『お前、こっちじゃもう酒飲まねぇんじゃねぇのかよ!』

 

剣帝「うるせぇよっと」

 

剣帝は路地裏に入ると、酒瓶が入った紙袋を持った右手を下に降ろし、自分の影の中に酒瓶を押し込んでいった

 

すると、剣帝のやりたい事を理解した黒影はしぶしぶ酒瓶を受け取り、抱えていた

 

そして、剣帝は続けて生八つ橋の箱の入った紙袋も影の中に押し込み、手ぶらになってから路地裏から出ていった

 

黒影『オイコラ、剣帝』

 

剣帝「何かね?黒影君」

 

黒影『俺様にばっかり持たせてんじゃねぇよ!』

 

剣帝「利用出来る物は最大限利用しなきゃ駄目じゃね?」

 

黒影『テメェ、何時か某首の骨折られた仮面ライダーみたいな死に方するぞ?』

 

剣帝「平気平気、俺の首折れるのなんて極々限られた一部だけだし」

 

剣帝はヘラヘラと笑いながら黒影との会話を行っていて、そんな剣帝の様子を黒影は苦笑いを見せながら見ていた

 

黒影(まぁ……コイツの場合は防御力が高過ぎて折る、折らないの話にならないからなぁ)

 

剣帝「何か言いたげだな?黒」

 

黒影『何でもねぇよ、このクソダイヤモンド野郎』

 

剣帝「俺の何処が?全然キラキラしてないじゃん?」

 

黒影『良く言うぜ、鉄バットで殴られても怪我一つしない上に逆に鉄バットを折るくせに』

 

剣帝「はって、何の事だろ?」

 

剣帝は黒影から文句を言われると惚けきったような表情を浮かべていた、その表情を見た黒影は少しだけ眉間に皺を寄せてから、はぁーとため息をついていた

 

剣帝「っと、そろそろ暗くなってきたし宿に戻るか」

 

黒影『お前、セラの警護はどうすんだよ』

 

剣帝「大丈夫じゃ無いかなぁ?アザゼル居るし」

 

黒影『どうだろうかねぇ?』

 

黒影は剣帝の言葉に疑問符を浮かべながら対応していた

 

剣帝「取り敢えず、俺は宿に帰って酒が飲みたい気分なんだよね」

 

黒影『クソだな、主放置するなよ』

 

剣帝「………まっ、自分でやるって言った事を途中でほっぽり出すのは俺の性分に合わないし、宿に戻るまでは警護するかな」

 

剣帝は黒影に文句を言われると仕方が無いという表情を見せてから、目に付いた店で三色団子とみたらし団子を買って、食べながら警護し続けていた

 

《京都:宿》

 

セラ(今日、警護してくれてた剣帝君、退屈そうだったなぁ)

 

八坂「どうしたのじゃ?レヴィアタン殿」

 

セラ「あっ、い、いえ、何でもありませんよ?」

 

八坂「そうは見えぬが……加えてレヴィアタン殿の眷属の方の姿も見えぬ様じゃが?」

 

セラ「多分、昼間退屈そうだったので宿泊してる部屋で寝てるんだと思います」

 

セラフォルーは九尾の狐、八坂と同じ部屋で対談をしている最中に剣帝の事が気になっていた

 

それに感づいた八坂はセラフォルーに剣帝の事を聞いていた

 

八坂「ならば呼びに行くべきじゃろう、何ならわらわ等が呼びに行こうかの?」

 

セラ「い、いえ、大丈夫な筈です!ワタシが呼びますから」

 

セラフォルーひゆっくりと立ち上がろうといた八坂の動きを静止すると同時に剣帝に通話用の魔法陣を繋いだ

 

セラ「もしもし、剣帝君?」

 

剣帝「はぁい?何れすかぁ?」

 

セラ「…………剣帝君、酔ってない?」

 

剣帝「酔ってませんよぉー?俺は至って平常運転れす!」

 

黒影「嘘だぞー?顔真っ赤だからなー」

 

剣帝「五月蝿いぞ!黒!!」

 

黒影「ブベら!」

 

魔法陣を繋いだ先からは呂律がおかしい剣帝の声や黒影の声、加えてキンッキンッというガラスとガラスがぶつかり合う音が聞こえていた

 

セラ「スミマセン、八坂さん、ちょっと失礼させて頂きますね?」

 

八坂「ふむ……酔った男の元に向かうのに一人では厳しかろう、わらわも行くとしよう」

 

セラ「えっ……あっ、有難う御座います」

 

セラフォルーは剣帝との通話用の魔法陣を閉じると剣帝を直接呼びに行こうとし、その後ろから八坂もついて行った

 

そして、セラフォルーが部屋の前に着いて部屋の扉を開けると、同時に部屋の中から酒の匂いが濃く漂ってきた

 

剣帝「さぁてぇ、次はどっちが酒を取りに行くぅ?黒」

 

黒影「その辺はゲームで決めようや、剣帝」

 

剣帝「そだなー、ハハハッ!」

 

黒影「んじゃ、行くぜぇー」

 

剣帝&黒影「『最初はグー!ジャンケンポンッ!』」

 

部屋の中では大量のビール瓶に囲まれ畳の上であぐらをかいて座りこんでいた黒影と剣帝の姿があった

 

そして、二人はどちらが新しいビール瓶を取りに行くのか決める為にじゃんけんをしていて、剣帝はグー、黒影がチョキを出していた

 

剣帝は自分が勝ったことを確認すると同時に、じゃんけんに使っていなかった右手で近くにあった空のビール瓶を握り、黒影の頭に向けて勢い良く振り下ろした

 

黒影「いってぇ!!」

 

剣帝「よっしゃー!俺の勝ちぃ!!ほぉれ、行ってこぉぃ!」

 

黒影「クッソー、次は俺が勝つからなぁー!」

 

黒影はビール瓶で頭を思いっきり殴られたにも関わらずヘラヘラと笑いながら走ってビール瓶を取りに部屋の外に出て行こうとしていた

 

黒影「おんっ?どうしたんだ?セラ」

 

セラ「えぇっとぉ、剣帝君はぁ……もう既に?」

 

黒影「あぁ、俺同様に完全に出来上がってるから、会談に参加は無理だわ、ワリィな」

 

セラ「会談は大丈夫だけど……剣帝君、明日とか大丈夫なの?」

 

黒影「まっ、アイツの回復能力はかなり高いからな、平気だろう………」

 

黒影はまだ酔いがそこまで回っていないのかペラペラとセラフォルーと喋っていた、そして、その最中に何か悪巧みを思い付いた様な表情を浮かべていた

 

セラ「どしたの?黒影君」

 

黒影「んぁ?あぁ、何でもねぇよ、取り敢えず俺等は無理なんで悪いが帰っといてくれるか?」

 

セラ「え、えぇ、分かったわ」

 

セラフォルーが黒影のお願いを聞いて退室していくと、黒影はクルリと反転して、ゆっくりと剣帝に近づいて行った

 

剣帝「んぁー?どうした黒」

 

黒影「いやぁ、ちょいと面白い事を思い付いたからな?」

 

剣帝「面白い事ー?何だそりゃあ?」

 

黒影「なぁに、ただ単なる……」

 

剣帝「ゴフッ………テメェ……この剣は……」

 

黒影はニヤリとした笑みを浮かべてから自分の側に近寄ってきた剣帝の腹にとある剣を五本同時に突き刺した

 

すると、その剣は剣帝の体内にズブズブと入っていき、その剣の傷跡は跡形も無く消えてしまった

 

黒影「ヒャハハッ、流石に製作者、一瞬柄を見ただけで分かるか」

 

剣帝「当然だろ……今のは封印剣『鈎針』、刺した相手の体内に侵入してその相手の能力値を一部封印するって剣だ……」

 

黒影「その通り!まっ、今回のはコッチの世界で限定的に使われるのだがな」

 

剣帝「で、何で俺にアレを刺した?」

 

黒影「いやな?お前が無双し過ぎてツマラナイだろうからよ?面白くしようと思ってな?五分封印って訳よ」

 

剣帝は黒影に腹を刺した事よりも封印の剣を刺した理由を問い質した、すると、黒影は刺した理由をべらべらと喋り始め

 

剣帝はそれを聞き終わるとはぁー、と大きく溜息をついてから理由に納得していた

 

剣帝「要は俺の修行の為か」

 

黒影「そゆこと、頑張れー」

 

剣帝「無責任だなぉ、オイッ」

 

黒影「勿論さぁ」

 

黒影は剣帝に無責任と言われても一切怒る素振りを見せず、逆に剣帝の事を茶化してきた

 

対する剣帝も黒影の茶化しを怒る気配を見せずに、仕方ねぇなぁと言いながら完全に納得し、また修行しないとなと前向きな事を言っていた

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。