剣の帝の異世界冒険   作:アルクロ

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第八十ニ話「執念の真、敗北の嘘」

第八十二話「」

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~神具の中~

 

剣帝(偽)「それにしても、予想よりも随分と弱かったな、あの男が言っていた事が本当だという証拠かな?」

 

偽者の剣帝は本物の剣帝だったボロ炭の近くまで歩いていき、本物の剣帝の顔を覗き込みながらしゃがみこんでいた

 

剣帝(偽)「この男の、剣帝の本当の強さを見たいなら……やっぱりあの女、藤原妹紅が邪魔になるのか、なら、仕方無いな、コイツの体を使って殺すか」

 

偽者の剣帝は本物の剣帝の姿をジッと見詰めた後立ち上がると、そのまま神具を通して剣帝の体を操ろうとし始めて居た

 

そして、その時剣帝の影にとある一つの影が紛れ込んできた

 

~剣帝の精神内部~

 

黒影「おーい、剣帝やーい、何処だー?」

 

真っ暗闇に包まれた剣帝の精神内部を泳ぐように移動しながら黒影は剣帝の精神を探していた

 

黒影「おーい……何処に居るん……見ぃ付けたっと」

 

黒影が平泳ぎをする要領で精神内部を移動していると、すぐに剣帝の精神は発見された

 

その剣帝の精神は深い眠りに付いているかのように静かに目を閉じ、横になりながら浮かんでいた

 

黒影「起きろー!剣帝ー!!!」

 

剣帝「………………」

 

黒影「チッ、起きねぇか……なら、仕方ねぇなぁ」

 

黒影は剣帝の側に近寄ると、剣帝の顔に少し自分の顔を近づけて大きな声を出して剣帝を起こそうとしたが。剣帝は微動だにせず、目を閉じ続けていた

 

そんな剣帝の様子を見ていた黒影ははぁーと溜め息をついてから剣帝の耳元に口を近付けて

 

黒影「このまま寝たままだとあの娘が殺されんぞ?」

 

剣帝「……んぅっ…」

 

黒影「良いのか?あの娘が殺されても」

 

剣帝「………だ……」

 

黒影「良いのか?『お前の愛するあの娘が誰かに殺され』ちまってもよ」

 

剣帝「んな事嫌だね!あの娘は俺が護り続けんだよ!」

 

黒影が剣帝ノ耳元でとある事柄を囁くと剣帝は目を開き、バッと上半身を叩き起こした

 

剣帝「黒、あの娘を殺そうとしてんのは誰だ」

 

黒影「ん?お前の偽物だぜ」

 

剣帝「あぁ、さっきのアイツか」

 

黒影「だけどまっ、お前じゃ勝てねぇんじゃねぇの?火力の桁が違い過ぎるし」

 

剣帝「どうってことは無いさ、アイツの癖とかは全部見たし、覚えたから」

 

黒影「あっそ、それなら俺様が手を貸さなくても平気か?」

 

剣帝「いや、一応は火力が欲しいからな、手を貸せ」

 

黒影「あーいよっと」

 

目を覚ました剣帝は、自分が大切にしている女性を傷付けれる事に激昂を見せながら、黒影にその対象を聞いた

 

そして、剣帝は自分が倒すべき相手を黒影に確認すると、黒影に力を貸せと言ってから黒影と手を合わせて、己の身と黒影の身を融合させてから、身体を急速に再生させていった

 

~神具内部~

 

剣帝(偽)「さぁて、そろそろ完全に乗っ取りが終わっ、危ねっ!?」

 

剣帝「殺らせはしないぞ?あの娘は俺の大切な嫁だ」

 

剣帝(偽)「はぁー、我ながらしつこいねぇ?」

 

剣帝「何が我ながら、だよ、お前は俺じゃねぇだろうが」

 

剣帝(偽)「はてはて?何の事やら?」

 

剣帝「何がはてはてだ、お前は俺じゃなくて、ドライグの記憶を元に創られた俺の贋作、偽者だろうが!」

 

偽者の剣帝が剣帝の肉体の乗っ取りはまだかまだかと待っているとその後ろから複数個の斬撃が地面を走るように飛んできた

 

が、偽者の剣帝はそれをサッと回避して後ろを振り返った、そこには右半分の髪が赤、左半分の髪が黒色に染まった剣帝が立っていた

 

剣帝(偽)「……………」

 

剣帝「図星、だろ?」

 

剣帝(偽)「何でぇ、バレてんのかよぉ」

 

剣帝「当然だろう、お前は俺とは違い過ぎる」

 

剣帝(偽)「例えばどんな所かねぇ?」

 

剣帝「剣筋、癖、技が大技ばっかりだし、何より妹紅を殺そうとした、それら全部ひっくるめてお前は俺じゃねぇ」

 

剣帝は偽者の剣帝に何処が違うかと聞かれるとスラスラと自分との違いを答えていき、偽者の剣帝もそれを大人しく聞いていて

 

剣帝(偽)「チェッ、そんなに違いを挙げられたら否定できねぇじゃん」

 

剣帝「否定なんぞさせるつもりは無い」

 

剣帝(偽)「あっそー、まっ、俺が偽者だろうがお前が本物だろうが、俺にお前が勝てなきゃ無意味だろう、さっ!」

 

剣帝「問題無い、お前の癖はもう見飽きた」

 

偽者の剣帝は本物の剣帝の言い分を聞き終わると本物の剣帝に向けてまた斬撃を飛ばしたが、本物の剣帝はそれを軽々と回避して

 

剣帝(偽)「俺の癖ぇ?何だそりゃ」

 

剣帝「言う訳無いだろ?それで対策されたら元も子もない」

 

剣帝(偽)「ケッ!このケチ野郎が!」

 

剣帝「ケチで結構、俺はただただお前を倒したいし、試練に勝ちたい、それだけだからな」

 

剣帝は偽者の剣帝に文句を言われても全く動じる気配を見せず、ただ淡々と偽者の剣帝に向かって近づいていって

 

剣帝「さぁ、第二ラウンドをさっさと終わらせて貰おうか」

 

剣帝(偽)「そりゃこっちのセリフだ!」

 

剣帝「おっと」

 

偽者の剣帝が自分の近くまで歩いてきた剣帝に向けて剣を振るったが、本物の剣帝はそれを一瞬見てからスルリと剣の横を通り抜けるように回避した

 

剣帝「だぁかぁらぁ、お前の癖はもう見飽きたんだよ、つまりどういう事か分かるか?」

 

剣帝(偽)「知るかよ!そんなの!」

 

剣帝「はぁー、身体の性能は俺ト瓜ふたつでも脳までは真似られなかったんだなぁ」

 

剣帝(偽)「あぁぁ!ウゼェ!ウゼェウゼェウゼェ!!!」

 

剣帝「ハッハッハ、かなり化けの皮が剥れてるぞぉ?」

 

本物の剣帝は偽者の剣帝が何度も自分に向けて振ってくる剣をやすやすと回避し、偽者の剣帝の事を味笑っていた

 

剣帝「癖を見飽きたって事は、お前の攻撃はもう当たらないって事だよ、それ位理解してくれよなぁ」

 

剣帝(偽)「ウッゼェ!!」

 

偽者の剣帝は本物の剣帝が頭を抱えて呆れている姿を見て頭に来たのか本物の剣帝に向けて至近距離でダラ・ブラストを発射した

 

剣帝(偽)「ハッ、ハハッ!この距離でなら避けられなかっただろ!」

 

剣帝「いやいやぁ、そうでもないんだなぁ、これが」

 

剣帝(偽)「何ぃっ!?」

 

剣帝「何度も言ったろう?癖は見飽きたって、お前の攻撃の予備動作ももう見切ってるんだよ、それにその技は俺の十八番技、発射までの時間程度なら身体が完全に覚えてるから対応出来るし」

 

しかし、偽者の剣帝が放ったダラ・ブラストは本物の剣帝には一切当たって居らず、本物の剣帝は無傷の状態で偽者の剣帝の後ろに回り込んでいた

 

剣帝(偽)「クソが、クソが、クソがぁぁぁ!!」

 

剣帝「そうやって叫ぶのも悪い癖だなぁ、まぁ、これから死ぬお前には治せとか言わないけど」

 

剣帝(偽)「俺は死なねぇ!逆にお前を殺して俺はドライグを自由にするんだよ!」

 

剣帝「それは無理かなぁ……だって」

 

本物の剣帝は偽者の剣帝の言い分を聞きながらはぁー、とため息をついて、右手を強く握り締め、偽者の剣帝の顔面に向けて握り拳を振るった

 

剣帝「もう、お前は終わりだからな」

 

剣帝(偽)「アッ!ガッ!ガハッ!!」

 

剣帝(偽)(な、何だ……さっきとは攻撃の速度も重さも段違いに速いし重い)

 

剣帝「とっとと俺にぃ!ジャガーノートドライブのぉ!制御権をぉ……寄越しやがれぇ!」

 

剣帝(偽)「グゥッ!ガハァッ!」

 

本物の剣帝は偽者の剣帝が困惑していようと関係無いかのように、偽者の顔面の頬を殴り飛ばしてから腹部を殴り、最後に昇龍拳でも撃ち込むかのようなアッパーを食らわせた

 

剣帝「所詮偽者じゃ本物にゃ勝てやしねぇんだよっと」

 

黒影『さっすが剣帝、武器使うよりステゴロのが強いっていうアホさだな』

 

剣帝「だぁまぁれ、黒」

 

黒影『へぇいへいっと』

 

剣帝「さて………どうせまだまだ平気なんだろ?」

 

本物の剣帝は偽者の剣帝を殴り飛ばしてから黒影と会話した後、偽者の剣帝近くに歩いていった

 

剣帝(偽)「いやいやぁ……俺はお前みたいに再生とかは出来ないから、はっきり言ってもう動ける気がしねぇ……」

 

剣帝「なら、お前はもうギブか?」

 

剣帝(偽)「そうはしたくないんだがなぁ……ダメージがなぁ……」

 

剣帝「なら、さっさと消えろ」

 

本物の剣帝は偽者の剣帝の近くまでやって来ると、偽者の剣帝の顔をじっと見下ろしていた、偽者の剣帝の顔には汗がびっしりとついていて、今にも死にそうなほど疲弊した顔になっていた

 

なのでなのかは分からないが、本物の剣帝は偽者の剣帝に向けて最大威力の爆炎魔術をぶつけて、偽者の剣帝の身体を消し飛ばした

 

剣帝「これで試練は終わりだな」

 

黒影『んじゃあ、帰ろうぜー』

 

剣帝「あぁ、分かっているともさ」

 

剣帝は掛けている眼鏡をクィッと上げると、そのまま上空に飛び上がり、偽者の剣帝を消し飛ばすと同時に空に現れた黒い穴に入っていった

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