剣の帝の異世界冒険   作:アルクロ

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第八十三話「銀の神と紅の帝王の激突」

第八十三話「銀の神と紅の帝王の衝突」

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《セラフォルーの屋敷:剣帝の部屋》

 

~ジャガーノート取得の試練終了後~

 

剣帝「………んっ……んんっ……んっ?」

 

黒影「よっ、ようやく起きたか寝ぼす剣帝」

 

剣帝「黙れ黒、俺をその呼び方していいのは妹紅と娘達だけだ、てか、ようやくってどういう事だ?アレから数分しか経過してないだろ?」

 

黒影「何言ってやがんだよ、お前、丸3日は寝てたぞ?」

 

剣帝「はぁ!?3日ぁ!?」

 

黒影「おう、3日、その間にセラは里帰り済ましちまったしよぉ」

 

試練が終わった後、剣帝が目を覚ますと、剣帝の身体は何故か試練開始時と状態が変わっていて、ベットで横になっていた

 

それもその筈、剣帝は試練を始めてからずっと意識を身体から手放して眠り続けていたのだ

 

剣帝「なら、さっさと向こうに帰らないとな、妹紅が心配だしよっ」

 

黒影「それが可能ならもう夜鴉さん来てんじゃねぇのかねぇ?だが、未だに夜鴉さんはきてない、つまりは分かるだろ?」

 

剣帝「…………そういや、送られる時に言われてた試練してないじゃん……」

 

黒影「まっ、帰れない理由は十中八九それだろうな」

 

剣帝「はぁー、面倒臭え………とっとと帰って妹紅に抱き着きたいのに……」

 

黒影「うだうだ言ってねぇで、とっととセラを連れて試練に行くぞー」

 

剣帝「何でセラ様連れて行かなきゃならないんだよ?」

 

黒影「あぁ?お前はペタンちゃんから言われた事を忘れてんのかぁ?『二人でクリア』しろって言われたろ?」

 

剣帝「………………あっ!あー、そうだったそうだった」

 

剣帝はベットの横に立っている黒影に退くように手で指示を出して黒影を退かせるとベットから飛び降りるように立ち上がり、そして、黒影と話しながら部屋を出ようとしていた

 

剣帝「それにしても、面倒な条件だなぁ………俺一人なら気楽にやれるのに……」

 

黒影「そだろうなぁ、お前一人なら何回でも死にながら相手を殺すまで戦い続けるだけだもんな」

 

剣帝「そうそう、でも、セラ様を連れて行かなきゃならないなら、セラ様守らないといけないじゃん………はぁー」

 

黒影「面倒臭そうにため息つくなよ、気持ちは分かるがよ」

 

剣帝「まぁ良いや、連れて行ってから手を打とう」

 

黒影「姑息だねぇ」

 

剣帝「姑息言うなバーカ」

 

剣帝は黒影との会話を続けつつ、自室の床に置いてある鞄の持ち手に手を通して持ち上げてから部屋の扉を開き、そのまま屋敷の廊下を歩いて進み、セラフォルーの部屋に喋りながら向かって行き、すぐにセラフォルーの部屋の前に着き、剣帝はセラフォルーの部屋の扉にノックをして

 

剣帝「セラ様、いらっしゃいますか?」

 

セラ「起きたのね!剣帝君!!」

 

剣帝「えぇ、つい先程起きました」

 

セラ「そっかぁ………心配したのよ?剣帝君」

 

剣帝「御心配をお掛けしました。それでセラ様」

 

セラ「なぁに?」

 

剣帝「そろそろ夜鴉様より通達されていた試練に向かうので、準備をして下さい」

 

剣帝がセラフォルーに扉越しに声を掛けるとセラフォルーは扉を破るかのような勢いで部屋から出てきて、剣帝に抱きついてきた

 

そんなセラフォルーを身体から引き剥がすと、自分が部屋を訪ねた理由を剣帝はセラフォルーに告げた、すると、セラフォルーの表情が曇っていき

 

セラ「それって……どうしてもやらなきゃ駄目?」

 

剣帝「どうしてもやらなきゃ駄目です」

 

セラ「…………終わったら向こうの世界に戻るんでしょ?」

 

剣帝「そうだと思いますよ?少なくとも俺はそうだろうなと思っておりますし」

 

セラ「………剣帝君は戻りたいの?」

 

剣帝「はい、戻りたいです。妹紅に会いたいですし」

 

セラ「そっか……それじゃあ向かいましょっか」

 

剣帝「有難う、"セラ"、それじゃあ、俺は先に屋敷の外に居ますので準備をして来てくださいね」

 

剣帝はセラフォルーの頭を優しく撫でてからセラフォルーから離れて、そのまま屋敷の外に向かって歩いて行った

 

その数分後、荷物をまとめたセラフォルーも屋敷から出てきた、すると、剣帝は自分の足元に魔法陣を開き、転移を始めた

 

《???》

 

剣帝「さて、今回の試練の相手は誰かなぁっと?」

 

黒影『この街並みを見る限り、俺様の予想では何かしらのゲームのラスボスだな』

 

剣帝「奇遇だな、俺もそう思ってた」

 

セラ「えっ?なになに?何の話?」

 

剣帝「今回の試練の相手の予想ですよ。多分相当に強いのが来ると思いますので、セラ様は避難しておいて下さりますか?」

 

セラ「嫌、ワタシの剣帝君と一緒に戦うわ」

 

剣帝「…………はぁ、了解しましたが。危なくなったら即座に逃げて下さいね?庇えないと思うので」

 

黒影『そうこう話してる間に、相手さん来たみたいだぜ』

 

剣帝とセラフォルーが転移した先に広がっていたのは、倒壊したビルや家屋が並ぶ、何かしらに滅ぼされた後の都会の町中だった

 

その町中で剣帝とセラフォルー、そして黒影が話していると、三人の立っている地点付近の上空に、何やら卵型の浮遊物体が飛来し、その浮遊物から巨大な銀の肌の空飛ぶ人らしき物が降りてきた

 

剣帝「これはぁ……もしかして」

 

黒影『あぁ、間違いねぇな』

 

剣帝「やっぱり、アレだよな、うん、せーの」

 

剣帝&黒影「うっわ!『ペプシマンだぁぁぁ!!』ダルイ!」

 

セラ「ペプシマン?ってあの巨人の事?」

 

剣帝「そうですよ。あの銀色の巨人は通称、うわっと!」

 

剣帝は何故自分が銀色の巨人をペプシマンと呼んだのか、セラフォルーが疑問符を浮かべている事に気付くと、その理由を説明しようとし始めた

 

しかし、剣帝が口を開いた瞬間、銀色の巨人の掌から剣帝達に向けて光線が放たれてきて、剣帝はそれを回避する為にセラフォルーを抱えて後ろに飛んだ

 

剣帝(うーん………やっぱりセラ様が居ると戦いづらいなぁ……そうだ)

 

剣帝「オイッ、黒」

 

黒影『何だぁ?剣帝』

 

剣帝「セラ様連れて離れとけ」

 

黒影『了ー解』

 

セラ「えっ!?ちょっと!剣帝君!?」

 

剣帝「とっとと行け!黒!」

 

黒影「あらほらさっさー」

 

光線を回避した剣帝は、現状で勝つ事が厳しいと感じたのか自分の影に潜んでいる黒影にセラフォルーを連れて離れるように指示を出した

 

すると、剣帝の影からズルリと現れた黒影はセラフォルーを慌てて抱えて、瓦礫から瓦礫へ飛び移りながら逃げ去っていった

 

剣帝「これで良し……さて、待たせたな、神様よぉ?」

 

剣帝がくるりと振り返ると相変わらず宙に浮いている銀色の巨人は剣帝に向けて再度光線を手から放ってきて

 

《荒廃した街:戦闘域外》

 

セラ「離して!ワタシも剣帝君と一緒に戦うの!」

 

黒影「あー、それは止めておいた方が良いと思うぜぇ?相手が相手だしなぁ」

 

セラ「そういえば、何者なの?あの巨人」

 

黒影「アレはなぁ……地球防衛軍5って名前のゲームに出てくるラストボスだ、それがあのペプシマンって俺等が呼んだ銀の肌の巨人」

 

セラ「えっ?ゲームのラストボスが何でこんな場所に?」

 

黒影「まっ、どーせ、夜鴉さんの仕業だろうさ、気にすんな………とにかくアイツと現状マトモに戦えんのは剣帝位だ、だから、俺様達は足手まといにならないように逃げるのが正しい判断って訳だ」

 

セラ「………」

 

黒影「それに、離れておかねえと剣帝があの姿になれねぇしな」

 

黒影は剣帝からの命令を聞いてセラフォルーを抱えて、剣帝の居る場所から数百メートル離れた地点まで逃走し、自分とセラフォルーの身の安全を確認してからセラフォルーを降ろし、剣帝からの命令の理由等を説明した。それを聞いたセラフォルーは顔を俯けて、地面を見つめ、黒影は剣帝の居る方向を見つめていた、そして、その瞳には赤い角を生やした巨大な怪物の姿が写っていた

 

《荒廃した街中:戦闘域》

 

剣帝「セラ様達は充分離れたみたいだし、これで心置きなく戦えるな?神よぉ」

 

剣帝は首を左右に振り、首の骨をゴキゴキと鳴らしつつ神と呼んでいる巨人を見つめ、話しかけていた、だが、神からの返答は特になく、剣帝に向けて神は再度光線を放ってきた

 

だが、剣帝はその光線が放たれるのを確認してからバク転をして光線を軽々と回避していった

 

剣帝「おっと、危ない危ない……まっ、お前は俺が何言っても返答しないよな、それよりとっとと片付けさせてもらうとしようかな」

 

剣帝はバク転で回避してから左手の指をゴキゴキ鳴らしてから構えを取り、ブーステッドギアを出現させ、目を閉じてから呪文を唱えはじめた

 

剣帝「我、目覚めるは……覇の理を神より奪いし二天龍なり……無限を嗤い、夢幻を憂う……我、赤き龍の覇王と成りて……汝を紅蓮の煉獄に沈めよう……JaguarNoteDrive」

 

呪文を唱えていた剣帝の身体は瞬時に赤い鎧に包まれ、その後すぐにブクブクと肥大化し始めた、まず剣帝の脚が人のものではなく怪物としての足に変化し、手は小さな頭のような形に変化していった

 

そして、剣帝の背は前屈みに折れ曲がり、デコの辺りからは赤いクリスタルのような角が生えてきて、最後に剣帝の口が大きく広がり、顔は赤い目が前方に2つ、その少し後ろに2つ有るように見える醜悪な怪物のようなものに変わり、剣帝の頭部からは黒い触手のようなものが伸びていき、その触手は剣帝の全身を包み込み、その触手の下からは赤い棘が生え出てきた

 

剣帝「さぁ……終わりにしようか」

 

剣帝は変身し終わると、銀色の巨人に向けて、大音量の方向を放ち、方向を放ち終わると同時に頭のクリスタルから巨人に向けて赤黒い太い光線を放った

 

《荒廃した街中:戦闘域外》

 

セラ「アレは……前にも見た事がある剣帝君の暴走形態?」

 

黒影「正確にはジャガーノートドライブな?」

 

セラ「えっ!?でも、資料で見た一誠ちゃんのはあんな姿にはなってなかったわよ?」

 

黒影「そりゃそうだろ、あの乳龍帝のはあくまでもドライグの力を開放したジャガーノートドライブ、だが、剣帝のはドライグと剣帝の力が混ざって出来たジャガーノートドライブ、まず根本的に物が違う」

 

セラ「それで……あんなに禍々しい姿に」

 

黒影「まぁ、あの姿の名前は覇竜じゃなくて、マガタノオロチだからな」

 

セラ「マガタノオロチ?」

 

黒影「そっ、とある特撮番組で出てきたラスボス、それが今の剣帝が変身してる姿」

 

黒影(まぁ、夜鴉様の仕業だろうから……多分弱点も再現されてんだろうなぁ)

 

セラ「ゲームのラストボスと特撮のラストボス………それじゃあ剣帝君は勝てるんでしょう?」

 

黒影「さぁてなぁ?一応あの姿にゃ弱点あるからな、そこ突かれたらアウトだわ」

 

黒影はセラフォルーに勝てるかどうか聞かれると、分からないと返答をしながら剣帝の戦っている様子を見つめていた




えー、最終話まで残り一話か二話になりました。後一話か二話だしたらこの話は最終話になり完結となります

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