ここ最近、こちらのほうでは
あまり投稿してなかったですが
また再開しますので
温かい目で見守って頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。
いつも通り部活に行こうとすると
いろはに捕まる。
いろはイルミを見に行こうと
八幡を誘うも、なかなか承諾したいため
やむを得ず奥の手を...
「せんぱい!せんぱーい!」
「なんだ?悪いが生徒会の仕事なら」
「違います!今日は仕事ないですから!」
えーそう言っていつも仕事あんじゃん。
奉仕部に向かう俺を引き留めた一色は、
機嫌よさそうに笑っていた。
なんか、悪いものでも食べたの?この子。
「とりあえず先輩、これから部活ですか?」
「ああ」
「じゃあ一回生徒会室まで来てもらってもいいですか?」
「部室で話せばいいだろ、相談事なら
雪ノ下と由比ヶ浜も力になってくれるだろうし」
内容によっては俺よりも頼りになるからな。
しかし目の前の一色は顔を赤くしながら
少々困っている様子だった。
「その…あんまりあの二人には
聞かれたくないというか…
ま、まあとにかく!先輩だけにしか
こういうこと頼めないんですよ!
あ、いろは的にポイント高い」
「いつも言ってるだろそれ。
あと、ポイント制度は小町だけだ」
「えー私の場合小町ちゃんより
甘いからポイントすぐ溜まりますよ?」
「何に使えるんだよ..」
現に小町がポイント制を採用して、
結構歳月経つが、利用できたことが
1回もない。
「とにかく行きますよ!先輩」
「断る、あそこにいけば
重労働が俺を待ち構えている」
「往生際が悪いですよ」
結局、抵抗空しく俺は一色に引っ張られて
生徒会室へと連行された。
× × ×
「遊園地?」
「はい!
何でももうすぐクリスマスということで、
イルミネーションが展開されているらしくて、
それがかなり綺麗って評判なんです」
「なるほど、じゃあ楽しんで来い」
よし要件は済んだな。
俺は立ち上がって、出ようとするが
すぐに一色に裾を引っ張られた。
「この時期に女の子が一人で
イルミネーションなんて寂し過ぎます!
ですので、先輩?」
何、そのニコニコした笑顔?
怖いよ、いろはす..
「私とイルミ見に行きましょう?」
「嫌だ」
俺の速攻の回答を聞くと、
一色はむーっと不満そうな表情をしてきた。
だってー寒いし、遠いしめんどくさいじゃん。
「先輩しかこんなこと頼めないんですよー」
「もう聞き飽きたぞ、それ」
「えー、てかこないだ奉仕部で遊びに行ったらしいじゃないですか、
私は連れてってもらってないんでそのお詫びにいいじゃないですか」
「あれは受験前の最後の息抜きだ。
大体、お前奉仕部じゃないし..」
そう、もうすぐ12月で俺達は受験本番に向けて、
本格的に勉強漬けの日常が始まる。
由比ヶ浜がどうしても行きたいというので
渋々遊びに行ったが、カラオケにボーリング、
それが終わると夕方からディスティニィーランドとあちこちを連れ回されたので、
しばらくは外出はごめんだ。
「大体、もう嫌ってほど俺で練習したんだから
そろそろ葉山を誘えばいいだろ」
「葉山先輩は今、受験勉強で忙しいじゃないですか」
「俺はいいのかよ...じゃあ戸部」
「戸部?...誰ですか?」
「おい...」
今頃泣いてるぞあいつ。
戸部だからどうでもいいけど。
つか俺も忘れかけたよ、誰だよ戸部。
「とにかく!先輩は私と
イルミを見に行かなきゃならないんです」
「拒否する、俺も勉強しなきゃならない」
「はあ...仕方ありませんね」
一色は諦めたかのように深いため息を吐いた。
よし今回はうまく回避できそうだな。
よかった、よかっ..
「もし先輩が行ってくれたら、
ご褒美がありますよ」
「ご褒美?」
「はい」
そう言って一色は携帯を取り出して、
慣れた手つきで操作するととある画面を表示して
俺に携帯を突き付けてきた。
「なんだよ、いった..」
そこに写っていたのは
驚愕の内容で俺は唖然として
しばらく言葉が出なかった。
「で、先輩?私とイルミ見に行ってくれますか?」
待ち合わせの遊園地前に
俺は体を震わせながら待っていた。
イルミは夕方かららしいのでと
午後から遊園地行くことになったのだが
寒すぎる...
「あ、せんぱーい!」
声のする方に顔を向けると、
一色がこちらに小走りで向かってきている。
「お待たせしました」
「おう、待った待った」
「そこは全然待ってないよと
言うところですよ...」
だって三十分前からいたんだもん、寒すぎ。
「でも私より早く来てたのは
女の子的に嬉しいですよ」
「ああ、そりゃどうも」
「じゃあ早速チケット買って、
中に入りましょう」
「あ、そうだ、ほら」
俺は事前に買ってあったチケットを
取り出して一色に渡す。
俺が一色と行くと言ったら、
小町から事前にチケットを買っておくと
当日買わずに済むから楽だよと
アドバイスをもらっていたので買っておいたのだ。
「あ、ありがとうございます..
買ってきてくれたんですか?」
「まあそんな時間もないだろうし、
今から並んで買うのも面倒だからこっちのほうが
いいだろ、あ、もしかしてもう買ってあった?」
「いえ!ちょっと手際が良くて意外過ぎて..」
一色は驚いた表情でこちらを見てるので、
少しだけ微笑んで自慢げに言った。
「まあ俺の妹は全てにおいて手際がいいからな」
「今の一言で感動が消えました..」
あれ、なんで?
「とにかく中に入りましょう」
「ああ」
× × ×
「それにしても綺麗ですね」
「ああ、これは凄いな」
ある程度予想はしていたが、
その予想を超えてくる数のイルミネーション。
また色も様々で、そのバリエーションの数には
驚きの声が零れる。それにこの遊園地は
各エリアごとでイルミネーションに色が違っており、
色んなエリアを見ることで楽しむことができるということらしい。
「さて先輩、とりあえずまずあれに乗りましょう」
そう言って一色が指さす先には
この遊園地一番のスリルあるアトラクションの
ジェットコースターがあった。
「もう乗るの?少し休もう」
「だめです、そんなことしたら
先輩、絶対乗らないじゃないですか」
「いやあとで必ず..」
「ほら、行きますよ」
一色は俺の手を掴んで、
ジェットコースターの方に
引っ張っていく、嫌だよぉ..
「ま、まああれだ。
こういうのは待ち時間長いから
だったら他のところ回ったほうが
たくさん回れるんじゃないのか?」
「あ、大丈夫です。待ち時間今、1分らしいですから」
おいなんで目玉のアトラクションに
何で誰も乗らないんだよ、乗れよ。
そんな俺の思いは届かず、すぐに
案内されて、俺は諦めて座ることにした。
「もしかして先輩、怖いんですか?」
「いや別に。つかお前は?」
「私は..」
一色はチラっと上まで登るレールを見た後、
顔を青ざめながらはははと笑い始めた。
「へ、へーきですよ。
私、こういうの好きですし..」
「おい..」
そうこうしてるうちにコースターが出発した。
その数分後に一色の絶叫する声が響いたのだった..
× × ×
「ありえません..何であんなにスピードが
速いんですか..」
「まあそれが売りだからな」
さすがに急降下を繰り返し、
更に回転までさせられれば
こんな感じでふらつくやつも出てくる。
俺はまあ..慣れてるからね。
「一回どっかで休むか」
周りを見渡すと、ちょうどすぐ近くに
売店とベンチを見つけたので、
一色を誘導してベンチに座らせる。
「飲み物買ってくるから少し休んでろ」
「平気です..」
「今、無理してこの後回れなくなったら
困るだろ?」
小さく微笑んで、俺は一色の頭をぽんぽんと叩く。
は!、いかんいかん..つい小町のやる癖で
やってしまった..。
しかし一色はまんざらでもない様子だった。
「うう..なんか悔しいですけど
こうしてくれた方が気分良くなりそうなので
しばらくそうしてください」
「お、おう」
本人からのオーダー通りしばらく頭を優しく叩いて、
で始めると気持ちよさそうに顔が緩んでいた。
「やっぱ先輩はあざといです」
「どこかだよ、こんなの普通だろ」
「普通はしませんよ、こんなこと。
というよりできません」
ちょっと悔しそうな感じで一色は
俺を見上げている。そんなもんかね?
「あ、先輩見てください!ここのイルミは赤ですよ、赤」
「ほう..」
一色の視線を追うと先ほど乗ったジェットコースター付近は
赤いイルミネーションで輝いていた。
近くにあった看板には、ここのエリアは
遊園地内の告白スポットとして
三番目の人気を誇るとか。
そして、告白には赤いバラを持っておくと
成功率が上がったり下がったりだとか。
なんか、あれだな..平塚先生とか
こういうところ似合いそうだな。
最も告白をする側としてだけれどね、
ごめんなさい!
そう心で謝罪していると一色は
首を小さく捻ってんーと唸っている。
「どうした?」
「うーん..やっぱりここじゃないですね」
「は?何が?」
「先輩は気にしないでください、さ、次行きますよ」
そう言って一色は立ち上がると、
俺の腕を掴んで走り出した。
もう回復したのこの子。
ヒール能力高いですね..
むしろ俺が体調悪くなって、先にギブするまである。
しかし次のアトラクションは優しかった。
「ほう、ここに行きたかったのか」
「い、いえここはその..イルミだけ
見に来たというか..」
目の前にどーんと佇むホラーな雰囲気にそれでいてイルミネーションとは
程遠いイメージなこのアトラクションは
遊園地名物、第二弾ことお化け屋敷だ。
一色はすでに怖いのか俺の服の袖を掴んで、
涙目でじっとこちらを見ていた。
「なんだ?色んなアトラクション回るんだろ?」
「でも!ここは行かなくていいですよ..」
「いやいやせっかく来たんだから
回らないとなあ」
少し楽しくなってきた。
まあいつも働かされているのだから、
こうやっていじわるするくらいは
罰は当たらないだろう。
「ほれ行くぞ」
そう言って一色の手を取って、中に入る。
「いやいやいやいや!いいですから!ほんとに!」
「遠慮すんな、人間何事も慣れだろ」
そうそう、1回やれば二度とやりたくないと思うし。
仕事とか仕事とか仕事とか。
「お二人ですか?」
「はい」
「では中にお進みください」
係員に案内されるがままに俺達は入口に入った。
「ひい!」
「おい、まだ何も始まってねえだろ」
すでに怖いのか目をぎゅっと瞑って、
時々チラっと開けてはまた瞑るを
繰り返していた。
まあ怖いけど気にはなるよね。
「ほら歩かないと出れないぞ」
「無理です..だって
絶対あの角を曲がったところとか
出てくるじゃないですか」
「気のせいだ」
「うう..じ、じゃあ先輩の手を
握ったままでもいいですか?」
「いやさっきからお前ずっと
手を握ってるんだけど..」
入口に入った瞬間から、いつの間にか
腕を握られており、さすがにここで
離すのはちょっと気が引ける。
「じゃあそのままでいいんで、ずっと繋いでて
くださいよ…無理ぃ...」
「大丈夫だから。いくぞ」
一色の手を引っ張って歩き始める。
後ろでびくびくしながら手を握って
しがみついている一色は足取りが重く
さすがにこのペースで合わせてたら
出るのに時間かかりすぎて、後ろの人に
追いつかれるので、少し早く歩く。
「大丈夫だからもう少し早く行くぞ」
「ほ、本当ですよね?」
「ああ、もう角だから」
そう言って角を曲がると奥に鏡が見える。
もうこの時点で読めた。
「一色、急ぐぞ」
「へ?」
一色の間の抜けた返事が聞こえるが、
運悪く鏡を見てしまったらしい。
そしてそこには俺と一色、その後ろに
血だらけの男が立っていた。
やっぱり一番怖いのは人間だな、うん。
× × ×
「信じられない!何なんですかここは!」
「落ち着け、周りが見てるから」
周囲の視線が痛いから大声やめよ?
子供が指差して見てるしね?
お母さんに見てはいけませんとか
言われちゃうし、俺が。
おっと、つい過去にあったことを
思い出してしまった..。
「大体!何で先輩はそんな平気なんですか!?」
「いやまあ最初の鏡のとこは怖かったけど、
あとはそうでもなかったじゃん」
というより出るなって思った場所は
予めそれっぽい感じになってるので
わかりやすいから助かった。
「先輩のいじわる..
ご褒美無くしちゃおうかなー」
不機嫌になった一色は
そっぽを向きながら言った。
いや、それは勘弁して..
「まあ、何だ。俺も悪かった..」
「ふーん..じゃあ私をいじめた先輩には
罰を与えないといけないですね?」
何、その笑顔?
「先輩、あそこを見てください」
そう言って指を指した先には
トンネル状に展開された
ピンクのイルミネーションがあり、
トンネルを潜り抜けると、
大きなクリスマスツリーが見える。
「あそこが次のエリアなんですけど、
先輩、あそこの看板なんて書いてあるかわかります?」
「ああ、絶対嫌だ」
しかし俺の犯行空しく、
一色はニコっと笑って、
「無理です、もし行かなかったら
ご褒美なしな上に、先輩に乱暴されたって
雪ノ下先輩と結衣先輩にバラしちゃいますから」
と言われて腕を引っ張られた。
神は私を見逃さず、罰を与えてくれたのだった。
オーマイゴット!
× × ×
この遊園地でピンク一色で輝いてるのはここだけ。
そして近くの看板には
[愛する人と素敵なひと時を]
と書かれている。
言わずとも恋愛感を強調しているので
モチーフが何なのか見ればわかる。
何でもこの遊園地で二番目に
人気の告白スポットだとか。
「せんぱーい、
ここって恋人しか本来入れないんですよ?」
「まあそりゃあな」
「はい!ですので」
「よし、早く出よう」
うん、なんとなくわかってたから!
だって周りはカップルだらけで
場違い感半端ないもん!
「違います!だから..その..」
「..なんだよ」
「..ここでは恋人みたいに振る舞わってくれませんか?」
さすがにそのオーダーはきついぞ。
なんせ恋人を作ったことがないのだから。
「んなこと言われてもどうしていいか..」
「あ、じゃあ周りのカップルを見て、
参考にしましょう」
「いやそんなこと言われてもなあ..」
あそこのカップルは仲良く話してて、
あそこのはなんか喧嘩?っぽい感じで言い合ってるし。
んで、あそこは..
「あ」
「あ」
ちょうど一色もそのカップルを見ていたようで
俺達の声が重なった。
目の前のカップルはこのような公衆の面前にも
関わらず、いきなり抱き合って唇を重ね合わせた。
「あ、あ、あ..」
「えーと..」
さすがにこんなもん見た後は気まずい。
「一色、やっぱ無理だ、違うとこいこう」
「........って」
「ん?」
「…あれ、やってください」
え?何言ってるのこの子は?
「おい、まださっきのジェットコースターで
酔ってるのか?」
「違います!その..ここは恋人達しかいられない場所なので、
やっぱり周りから恋人っぽくしないといけないと思うんです..」
「いやでも..」
「先輩はさっき私にいじわるしました。
だからそのお返しです」
楽しそうに首を傾げて、上目使いで
こちらを見る一色に目を逸らすしかなかった。
神よ、罰が重すぎないか?
てかこれには動揺を隠せない。
別にこいつを異性として好きとか
思ったことないし、今まで心にグッ!と
来たような感じの仕草を見せたりしてきたが
あくまで俺達はただの先輩と後輩だ。
それ以外には何もない。
「さっきのことは謝るから頼む。
さすがにあんなことはお前も
俺なんかにやられたら嫌だろ?」
通報されて、俺が捕まる運命しか見えない。
しかし目の前の一色はそっぽを向くと、
拗ねるように呟いた。
「..なんでそんな風に考えちゃうんですか..」
小さい呟きは俺の耳にもきちんと届いていた。
沈黙とした空気がただただ流れる。
「..その、なんだ。
さっきみたいに手を握るくらいならいいぞ」
「...仕方ないですね、今はそれで妥協します」
不満そうな一色が手を繋ぐと、小さく微笑して
機嫌を直したようだった。
ふう、取り扱いが難しい。
「さあて。それじゃあ先輩、まだ先輩に対する
おかえしが出来てないので行きますか」
「え?」
× × ×
「いやー楽しかったですね」
「俺は全然だけどな..」
あれから結局ゴーカートやらコーヒーカップやらと
まるで憂さ晴らしをするかのように、
連続で乗せられ続け、すでにボロボロ、ああ..
「さてもうすぐ閉園ですね」
「だな、まあ結構回ったしいいんじゃねえの?」
「ですね!..と言いたいですが最後にあれいいですか?」
そう言って一色に連れてこられたのは
遊園地の定番中の定番。
観覧車である。
「やっぱりこれ乗るのか..」
「あからさまに嫌な顔しないでください..
ほら行きますよ」
「はあ..」
観覧車混んでて乗れなくならないかなと
考えもしたが、ほぼ人はいなくて、
すぐに乗ることができてしまった。
以前も奉仕部で乗ったことはあったが
あの時とは違ってまた変な感じだ。
「先輩、あれみてくださいよ!」
「ん、ああ」
上から見ると、全体のイルミネーションを
一望できるのでまさに綺麗という言葉が
口からこぼれてしまうくらいだ。
「先輩は今日..どうでしたか?」
「どうって?」
「その..楽しかったですか?」
「まあ..楽しかったけど」
俺の答えにえへへと彼女は笑うと、
立ち上がって、俺の隣へと距離を
詰めてきた。
「先輩、もうすぐ頂上ですね..」
「あ、ああ」
「...先輩、聞いてもいいですか?」
「何だ?」
一色の表情は先ほどまでの笑顔が消え、
寂しそうな表情へと切り替わった。
「先輩達は..いや、先輩は卒業したら
どうするんですか?」
「どうするも何も俺は大学に」
「違うんです!..あの二人のこと
どうするんですか?」
明確に名前を出さないその問いだが
誰を指しているかはすぐにわかる。
確かに、彼女達が好意を持って、
俺に接していることも薄々感じていた。
あの水族館デートの日から
雪ノ下、由比ヶ浜両方の問題は大よそ
解決はしたが、俺自身の問題は解決していない。
「先輩、言いましたよね。
本物が欲しいって..」
「ま、まあ..」
この子は何を思い出させるのやら..
「私は…駄目ですかね?」
「へ?」
「私は..奉仕部じゃないから
あの二人みたいに先輩の隣に
いることはできないですかね..」
ぽろぽろと彼女の瞳からは涙が流れ、
それでいて俺の服をぎゅっと掴んでいた。
「その..お前は俺にとっても大事な後輩だし、
別にあの二人だけが俺の中で特別じゃない」
「..でも駄目なんです、先輩は
いつかあの二人のどちらかを選んで、
いなくなってしまうんですよね..
私は無理です、私は先輩じゃなきゃ駄目なんです」
「何でまた..」
その続きを言いかけた時、すでに観覧車は
終わりに近づいており、係員の声が聞こえた。
「..降りるぞ」
「はい」
観覧車降りてからどうにも気まずい空気に
なっている、ということでこの空気を
一度変えるべく、俺達は帰る前に
出口の近くにあるクリスマスツリーに
寄って、少し休むことにした。
「..先輩、綺麗ですね」
「まあ綺麗だし大きいからな..」
この遊園地で一番の大きさを誇るという
クリスマスツリーは様々な色のイルミネーションで輝いており、
周囲にはもう人はおらず、
俺達だけがぽつんと残されている感じだった。
「..先輩」
「何だ?」
「今日は来てくれてありがとうございました」
「ああ」
お互いツリーのほうを見て、顔は合わせない。
いや合わせづらいといったところか..
なら今しかない。
「...別にいなくなんねえよ」
「へ?」
一色は俺の言葉を聞くと、
不思議そうにこちらを見ているが
俺は視線を変えるわけにはいかない。
こんなん真っ向向かって言えるわけがない。
「お前が会いたいっていうなら、
俺が会いに行けばいい話だろ」
「..ずっとですか?」
「ああ、俺は年下の頼みには弱いんだ」
「はあ..そういうことですか..」
残念そうに一色はため息を吐くと、
微笑の笑顔をこちらに見せて、口を開いた。
「でも..ありがとうございます。
私、先輩がいてくれるなら
どこまで追いかけますよ」
「追いかける?」
「はい!ですので、再来年待っててくださいね」
「はあ..まあ俺が受かったらの話だけどな」
「ですね」
暗い雰囲気からいつもの雰囲気に。
これで俺達の感じもいつも通りだ。
「じゃあそろそろ帰るか」
「はい、あ!先輩」
「何だ?」
「......大好き」
何でもこのクリスマスツリーは
この時期、この遊園地で
一番の告白スポットらしい。
モチーフは永遠の愛。
後日談
「おい、一色」
「何ですか、先輩?」
「どういうことだ、これは..」
「どうってこないだのお礼ですよ」
「いやお前は確か戸塚と小町と三人で
デートできるというご褒美を与えるということで
俺を遊園地に誘ったんだよな?」
「はい、そうです」
「じゃあなんで今お前しかいないんだ」
せっかくのデートだから集合時間の
一時間半も早く来たのに何故か
一色しかいなかった。
「あーまああれですよ?
プレゼント内容は変更ってことで..」
「はあ..帰る」
「ふーん..言っちゃおうかな。
先輩がデート中に消えたって
奉仕部の皆さんに」
「..わかったよ」
「よろしい、それと今はデート中ですから」
「わかったわかった...
行くぞ、いろは」
「はい、先輩!」
久しぶりにこちらで書いたので
少し改行とかあるかもしれないので
修正見つけ次第すぐ治します。