アーサー王物語群のさりげない重要人物に性別転換してなっていた件について   作:八雲 来夢

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兄達が物語と結構違っていた

さて、兄達が来てしまった訳だが、私はどんな感じで彼らの元へ行けばいいのだろうか。

 

ちなみにここは私の部屋である。

小さい部屋だがこの時代にしては高貴な血筋なだけあってなかなか良い部屋だと思う。元々私は狭い部屋の方が好きだし。

広いと生き物でない何かがいそうでなんかこわいからだ。あと暗闇も。

 

内装はまぁそれなりに女の子の部屋という感じがしなくもない。この時代の貴族の女の子はこんな感じだったのだろうな、と柄にも無く感動する。

 

紙や電子媒体でしか感じる事の出来なかった物がこうして見て、触って、食べて、耳を澄ませて、空気を吸い込む事でそのすべてを感じる事が出来る。

 

 

この時代の夜空はとても良い。

現代の夜空はスモッグや街の明かり達によって星空さえ碌に見えやしなかったのに、ここの夜空は現代と違う意味でとても明るい。

大気汚染などなく、車のライトや街灯、その他様々な明かりもない。

宇宙も現代に比べてまだそんなに膨らんでいない。

だからだろうか

よく晴れた日には明かりなど灯さなくとも、暗闇が苦手な私の部屋は窓から入る月明かりや明星の光たちで眠るには十分に明るい。

 

きっとここの星空は永遠に頭から離れる事は無いだろう。

 

 

おっと、話が大分逸れた

既に来てしまった兄達への対応だが、考えようによってはそんなに重く捉えなくともいいと分かった。

 

 

この女の子のガレスの兄達は一体どんな人なのだろうと考えると、とてもワクワクドキドキするからだ。

 

ガウェインは燃え立つような赤い髪で、性格も燃えるように熱い性格だったとか

ガヘリスは勇猛果敢の美丈夫だが、寡黙な性格だったらしい

アグラヴェインの容姿については知らない。彼の容姿についての文を見たことがないか、忘れてしまっている

 

 

ちなみに私の容姿だが、幼女で背がちいちゃい以外そんなに変ってはいない。

ロリきょぬーでもない。つるぺただ。まだ。

物語では砂の様な髪色に3月の青空のようにすっきりとした青い目だったとか

髪は金髪だし目の色は青だか緑だか意見が分かれるだろうが、そんなに大した問題じゃない。多分。

前の濡れ羽色サラサラストレートのほうがよかった気がしなくもない。自分の髪は結構気に入っていた

 

男だったら成長したら他の人より45cm位でかくなれたのになぁ…

 

この時代の平均身長が150cmでも195cmだったのになぁ………

 

 

残念だなぁ……………

 

 

 

 

実に残念だなぁ……………………

 

 

…………………さて

 

 

はたして彼らはどんな人だろうか

 

 

期待に心躍らせながら勢いよく扉をあk

 

 

 

 

__ふぐっ

 

 

 

 

フグ?なんでフグ?

 

扉の後ろに何か重いものが置いてあるかのように動かない

 

 

何故だろうと扉の隙間を覗くと

 

 

 

「鼻がっ、鼻の頭がっ!折れた!」

「…鼻は折れていないので安心してくれ、兄さん」

 

「えっ」

 

 

扉を背にして鼻を両手でおさえてしゃがみこんでいる金髪の男の人と、その人をみて笑いを抑えているようなミルクティーブラウンの髪の男の人がいた

 

もしかしなくてもさっきのフグは金髪の人のうめき声?

 

そんなことを思っていると、笑いを抑えていたような男の人がドアの隙間から顔を覗いている私に気づき、言葉を続けた

 

「あと、いつまでもそこにしゃがみこんでいたら、顔を覗かせているガレスが部屋から出られないではないですか」

 

 

「えっ」

 

金髪の人がハッとした表情で顔を覗かせている私のほうを向いた。目は青色だった。

 

 

「えっと、あの、その、だいじょうぶですか…?」

 

私が引き起こしたと思われるこの光景に戸惑いながら声をかけた。

 

 

 

 

期待はいつのまにやら霧散していた。

 

 

 

 

 

 

=====

 

流れとしてはこうらしい

 

 

帰って来たものの私が出てくる気配がしない為、二人で私の部屋に向かう

ノックをしようとガウェイン兄さんがドアの前に立った瞬間

勢いよく私がドアを開ける

想定外の出来事に反応が遅れ、鼻の頭にクリティカルヒット。足の親指にもヒット。

あまりの痛さにガウェイン兄さんはドアを背にしてしゃがみこみ痛みに悶え、ガヘリス兄さんは必死に笑いを抑えた。

 

 

偶然の事故。

しかも現代でも割と良く起こる。少なくとも私は年に4回はあった

 

さすがの騎士でも鼻と足の指の打撲は痛かった。とくに鼻

 

私は必死に謝り、ガウェイン兄さんは『き、気にしないでくれ』と痛みに悶えながら言ったが、せめてと治癒魔術を掛けた

 

 

そう、魔術だ。

 

私の母モルガンは、『サトクリフ・オリジナル』では”古い人々”とも”黒い倭人(こびと)たち”とも呼ばれる人々の血が流れている。これはアーサー王もそうだし、母の姉妹達もだし、勿論兄達にも私にも流れている。

”古い人々”はたしか魔術についてうんぬんがあった気がする。歌う呪文とか踊る呪文とかあと儀式みたいなのとか。

 

まぁともかく私は治癒魔術とかが使える。

 

魔術を掛けた私はドヤ顔ですごいでしょうと自慢したらガウェイン兄さんに『ありがとう』と顔を綻ばせながら頭をわしゃわしゃされた

 

頭を撫でられるというのは前も含めてあまり無かったが、ガウェイン兄さんが頭を撫でるのが下手なのは良く分かった。

 

なぜなら髪がボサボサになったからだ

少し不機嫌になった私を見てガヘリス兄さんはまた笑いを抑えた。ただしどうみても笑っている。

 

 

 

さて、本で読んだ兄達と目の前に居る兄達は大分違った。

 

ガウェイン兄さんは赤髪ではなくキラッキラの金髪だし、性格もどこか抜けているようだが好青年だと思う

 

ガヘリス兄さんはガウェイン兄さんより少し背丈が高く軍人のような体格で、目つきも兄に比べていささか鋭いが寡黙で、この人は物語とさほど変わらないなと思った

 

アグラヴェイン兄さんは来てなかった。どうやら一気に三人が戻るのを良しとしなかったようだ

 

 

こんな感じだとおそらく他の登場人物たちも物語とどこか違うだろう

 

これは是非とも物語どおりに進んで騎士にならねば

 

 

この時代に女の子は騎士になれないんじゃないか?

そこは問題にならなかった

 

なぜなら兄達のキャメロット話の中には、女騎士のお話がいくつかあるからだ

物語には女騎士など一切出てこなかったがこれはもう騎士になれと言われているようなものだ

 

何が何でも物語とおりに騎士になってやる

 

でも死に様は何とか変えたいと思う。頭真っ二つはいやだ

 

 

 

ランスロット卿の話も出てきた。

語りだしたガウェイン兄さんは、誇らしそうな、嬉しそうな。そんな表情をしていた

 

 

 

馬にも乗せて貰った。

現代日本人の時は想像以上に馬の背が高くて号泣したが、今回はそこまで怖くなかった

それ所かとても楽しかった。趣味は乗馬に決定した瞬間である。

物語でも巧みな馬術の持ち主だったと書いてあったし、馬上槍試合で優勝しまくってたし、無駄になることはないだろうし。

 

あと馬かわいい。

 

 

 

 

=====

 

そんな楽しい時間は流れに流れ、兄達がキャメロットに戻る日になった。

 

ベッドからおりて背伸びをする

春らしくほがらかで暖かい、気持の良い朝だ

 

着替えて、顔を洗って、食卓へと向かう

私が食卓へと着く頃にはもう皆食べ終っていた

 

どうやら私が最後らしい

 

「おはようございます、おかあさま、にいさん」

「ああ。おはよう、ガレス」

 

 

 

兄達は私の頭を撫でて帰って行った。やっぱり私の頭はボッサボサになった。

 

鳥の巣の様な頭を手ぐしでなんとか戻して、母のいる部屋へと向かう

 

私の意思を伝える為に

絶対に騎士になる、その為に強くなりたいと宣言する為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、あれから9年がたった。今は聖霊降臨祭の2週間前だ

 

私は17になり、背も大分伸びた。

 

 

 

 

 

全然おチビさんである

 

身長なんと149cm

 

 

前の私より20cm近く小さい

 

 

あと胸も女子って分かる程度のふっくらさ

 

 

 

 

 

 

絶望した!!!

 

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