アーサー王物語群のさりげない重要人物に性別転換してなっていた件について   作:八雲 来夢

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一年をダイジェストでお送りいたします。





厨房に投げ込まれて一年経ってた

 

 

次の日からは大変だった。

井戸から水を汲み、お皿を洗い、焼き串を回し、食材を切り、魚を捌き、またお皿を洗い…

 

オークニーの城に居た時は台所なんか入らせてくれなかったからね。当たり前だけど。

現代日本とは違う道具に設備、作業の工程や方法

 

見たこともないものだらけで戸惑ってばかりいた。

 

 

他の人たちに怒られてばかりだし笑われるし馬鹿にされる

 

ケイ卿はちょくちょく来ては嘲ったりしてくるし

 

下らないいいがかりつけて台所掃除させられるし

 

そんな私を見てまた他の人は私を罵ったり嘲笑ったりする

 

しかし特に悪質な奴らには水桶に顔を突っ込ませて礼儀を教えてやった事はなくもない。

私だって怒るときは怒る

 

 

 

目下の癒しは自分で作らせてくれる(勝手に作っとけという事らしい)ごはん

 

 

 

そして、晴れた夜に毎日来る真っ白い一匹狼ぐらい

 

 

 

犬じゃなくて狼でした。最初はシベリアンハスキーっぽい犬だなぁと思ってたら狼でした。

働き始めて三日位したら夜寝る前にひょっこり出てきて、窓開けて空見てた私の鼻をペロッとして帰った。

 

音も気配もしなかったので、いきなり視界を真っ白のもふもふに覆われた私に動くことはできなかったよ…

 

 

その後も晴れた夜には毎日私の部屋の窓の前に現れ、一緒に星空見ながら私が一方的に話しかけたりして、私が「おやすみ」って言うと帰っていく

 

 

この子絶対誰かに言われてここ来てるか魔法生物か何かだと思う。普通の狼なら初めて遭遇した日に頭から食われてる。

まぁかわいいし癒されるからいいけど。アニマルセラピーこそ至高。可愛いは正義。間違いない。

 

 

 

あと意外な所から親切にしてくれる人たちがいる。

女騎士さん達だ

 

 

 

彼女等はケイ卿に散々いびられている私を気にかけてくれて、色々と物をくれる。

勿論私は必要ないと言うのだが、彼女等は揃って

『置き場所に困るから貴女に押し付けてるだけよ、要らないのなら捨てて頂戴』と言って去っていく

 

貰った若草色のリボンは明らかに新品だったが、折角なのでそれで髪をしばっている

この前くれた女騎士さんに言えてなかったお礼を言ったら

 

『そう言ってくれると嬉しいわ、似合ってるわよ』

 

というお言葉をいただいた。かっこいい。

 

まぁ女騎士さんは全員男前ですけど。さすが騎士になってるだけのことはあるね。

現代にいたら姐さんって呼びたい感じの人ばかりだけど

 

 

そのあとは結構慣れたので、仕事も簡単にこなせるようになってきたし、他の人たちも何も言わなくなった。やったぜ。

ケイ卿はまだ色々言ってくるけどあの人はツンデレなんだって思ったら優しく接する事ができるようになった。人間ってすごいね。

 

 

 

 

ちなみに聖霊降臨祭は現代の暦でいう5月中旬だった気がする。最後に暦見たのは9年前位だからうろ覚えだ

 

 

だから今は10月位になるのかな?朝が結構冷え込んできた。

 

 

 

なので今日はいろんなもの煮込んだ塩ベースのスープにしよう

 

作り方は簡単

 

多分人参、ジャガイモっぽい芋、玉ねぎっぽいの、ニンニクみたいなの一かけら、多分キャベツ、なんか釣れた銀タラっぽい魚、なんか生えてたバジルを部屋で乾燥させた物、肉を粗方削ぎ落とした鹿の骨付肉。鹿の骨付き肉は本当だったら捨てられてる部分で、出汁に使う。

 

まず銀タラっぽい魚を三枚に下ろす。真ん中の骨の所は捨てないでおく。次に野菜を適当に切る。

鹿の骨付き肉というか骨と魚の骨の所を熱湯消毒した布に包んで縛り、鍋に置く。そこに水をドバーっと骨入り布が浸る位までいれて塩を適当に入れて火をつけて暫く煮込む。

塩は自分で海水ひたすら煮た。ここ海辺の町だし近くてよかった。

 

そして油をひいた別の鍋にまず細かく刻んだニンニクっぽいの、次に人参とジャガイモを入れて炒め、そしてキャベツ(?)と玉ねぎを入れて軽く炒める。

魚の身の部分を入れて、煮込んでいた鍋の出汁を骨入り布をとってから入れる。骨入り布はまた入れる。まだ出汁を取りきれてないと思った。

そしたら蓋をしてただただ煮込む。途中で骨入り布を取り出す。

 

食べる前にバジル入れて混ぜて盛りつければ完成。パッサパサのパンと一緒に食べます。ここまだ神代だから調理器具使いづらいんだよね、慣れたけど。

 

 

 

 

さて、いただきま___え?何ですか?スープ少し味見していいかって?

 

 

ええどうぞ少しならどうぞでもちょっとですよ私のご飯なのでこの鍋のスープ

 

 

 

気をとりなおしていただきまーす

 

 

あーおいしーわーあったまるわー。ニンニクの食欲そそる匂いもいいわーー。ジャガイモめっちゃ大目に入れたのにほとんど煮崩れたけどいいわー。

黄金色に輝く鹿と魚と塩のスープが合う。出汁が出まくってる。

魚の身がホロホロ崩れていくしキャベツっぽいのもスープ染み込んでて噛みしめるとじゅわぁーっとする。

パンを浸して食べるとパサパサじゃなくなるし。胡椒とか香辛料は申し訳ないから一回も手をつける気ないけど十分だな。

 

 

これは久々の大当たりだなぁ。また作ろう。

今度はお粥にしよう。現代日本のジャポニカ米じゃないけどしゃあないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故か王様が台所に凸って来た

 

台所仕事の私達大パニックである。

 

 

え?良いにおいがする?

 

 

 

あっそれ私の今日のご飯なんで食べないでくださあああぁぁぁぁ………

 

 

 

少し今日のご飯が減った。こんなんだから後に一部から腹ペコ王って呼ばれるんだよ……

 

 

 

 

 

 

 

こっちは食べられる奴、…こっちは毒。これは薬の材料になる奴、…これはまさか椎茸。なんでこんなところに椎茸。

 

 

あ、いまキノコ狩りしてます。古代ブリテンに椎茸があった。謎すぎる。

 

本当は七輪で焼いて醤油で食べたいけどそんなもの有るわけがないので。

鯛っぽい奴とアサリっぽいのと一緒にアクアパッツァもどきでも作るかなー。

 

 

 

 

 

 

 

へーいメリークリスマース忙しいですクルシイデース

 

 

御馳走の準備に馬車車の如く動き回った。疲れた。

 

あっそういやランスロット卿がこれで羽織る物でも買ってきなさいと銀貨を何枚かくれた。

暖かいのを買えた。これは重宝するわー。あと女騎士さん達からミトンぽいの。手があったかい。

狼くんは相変わらずである。寒そうだけど冬毛もっふもふやで。

寒いからすぐおやすみって言うけど。

 

 

 

 

 

 

春だー!!まだそんなに寒くないー!

 

…いやほんと日本ってすごいね。ちゃんと四季があってね。現代は異常気象ばっかしだったけど。

 

 

 

 

 

 

あれ?もう一年周った?早くね?




一年をエンジョイしてる元現代日本人。
多分次から冒険始めます。


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