アーサー王物語群のさりげない重要人物に性別転換してなっていた件について   作:八雲 来夢

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カッっとばした

なんか騎士に無事叙任されてから二日経った

 

 

え?緑の騎士と青の騎士?

 

物語と特に変わらないから別に……ね?

 

緑の騎士さん(名前は忘れた)とも一騎討ちしたし、ちゃんと物語通りにリネット嬢はトドメ刺すの止めてくれたし。

別に要らないけど物語通り緑の騎士さんとその家来十数人が部下になってしまったし。

その後緑の騎士さんの館に私とリネット嬢は一晩泊めてもらって一日目終了。

あと緑の騎士さんはスポーツ青年っぽい。某有名週刊少年漫画誌によくいそうな感じ

 

翌日の朝緑の騎士とその家来たちと別れ、目的地に向かう。

森の開けた所に青の天幕がズラァーっと並んでて、リネット嬢に青の騎士の説明(?)をされた。

インドの人で世界最強の騎士の一角、この天幕群にいる家来の騎士は500人だって。格が違うね。一騎打ち申し込みますけど。

青の騎士ことパーサント卿は途轍もなく強かった。めっちゃ辛勝でしたけども。運が良かったとしか言い様がない。

そしてまたパーサント卿と連れてきた家来500人が部下になりました。

夕食御馳走になった時にお話したけどもなんか凄い人オーラが凄かった。穏やかなナイスミドルでした。

これが英国紳士の原型なのか……?

私よくこの人に勝てたな。

 

………補正的な何かでも掛かってるのかな?

まぁどうでもいいや。そんなことより目の前に集中せねば。

 

 

 

目の前?

 

 

 

 

「オレの姿こそ、貴様のこの世の見納め。すぐに木の枝に吊り下がっている屍肉の仲間入りだ!」

 

 

 

 

 

”赤の国の赤い騎士”に決まってるじゃないですかーヤダー

 

 

 

 

 

うん。

さっきのは木々にぶら下がってる見るも無残な騎士の亡骸の数々でSAN値がゴリゴリ削られていてね、現実逃避してたんだよ。これくらいさせてください。

角笛を昼前なのに吹いたのは、この惨状の中、昼が過ぎるまで待っていられる自信がなかったから。

こんなん不定の狂気入るわ。

これ以上コレを見るのはヤバイ、戦闘に気を持っていった方がいいって私の何かが言った気がした。多分。

 

 

さて、と

 

 

「うおぉぉおおぉぉぉ!!!」

 

「うわああぁあぁぁぁ!!」

 

 

 

___ぷつっ

 

 

 

 

テレビの電源切ったみたいに視界が真っ暗になった

 

 

 

暫くふよふよとしていたらいきなりあたりが白くなった。うわまぶしっ。

 

 

 

 

思わず目を瞑った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けた。

 

 

「初夏の昼空だ」

 

 

聞こえない程度に言ってみた。知らない天井ではなかった。

土と汗と血の臭いがじんわりとする夏の暑さと鎧の暑さと混ざって、むせかえりそうなくらい気分が悪い。

 

私が立ち上がると、目の前の赤い鎧に包まれた巨体もまた立ち上がった。

 

私達の近くには、馬が2頭いた。が、どちらも肉塊へとなり果てていた。

 

私達は、互いに馬上槍を手にしていた。が、どちらもただのガラクタへと姿を変えていた。

 

 

私達は剣をとった。どちらにとっても、刃毀れ一つない、この局面で最も頼りになる得物となった。

 

 

 

互いに互いを睨みあった。両方とも兜を被っているので目線など分からないが、睨みあっていた。

 

 

 

 

 

 

ぱきり

 

 

 

 

 

誰かが小枝でも踏み折った音を合図に、黒と赤は衝突した。

 

 

剣と剣が何度も何度も切むすび、その度に、昼近い時であるにも関わらず赤い火花が飛び散っていく

 

彼等の決闘は、手負いの獅子達が雌雄を決するべく戦っているようだったと、見た者達は後に語るだろう

 

 

そして正午の鐘が鳴る。赤の力が最も高まる時となった。

 

赤は漲る力のままに黒の持っていた剣をはねとばすと、そのまま黒の上に乗り、体重とその力で相手を圧死させようとする。

黒は赤を退かそうと抵抗を続けるが、体格の差もあり、その命は風前の灯火となっていた。

 

乙女は叫んだ。

あなたの勇気とやらはどうなったの。窓から見ている彼女は泣いているわ。あなたに託した希望ごと消えてしまうじゃない。

 

 

その声に反応したのか、黒は最後の力を絞り出さんというように叫び

赤をだんだんと押し返し、遂に赤から剣を奪い取り、相手の兜を引っこ抜くまでに至った。

 

 

「慈悲を!どうか、命は助けてくれ!」

 

 

死を間近にした赤はそう叫び、慈悲を乞うた。

 

 

「あなたは幾人もの騎士を殺したではないですか。

  それとも、あの死して尚甚振られ、辱めを受けている亡骸が、貴様は見えないとでも言うつもりか!」

 

黒はそれを一喝し、首を刎ねるとばかりに剣を振り上げた。

 

 

 

「ひぃっ!ちょっ、ちょっと待ってくれ!理由を話させてくれ!!」

 

 

「…言ってみなさい。しかし、巫山戯た事を言う様ならば、即刻斬るぞ」

 

 

 

 

 

 

=====

 

 

 

途中死にそうになったけどなんとかなったよ。

 

赤の騎士の言い分を聞いて、リネット嬢の援護射撃もちゃんときた。

 

言い分は

《ある乙女を愛したが、其の乙女は兄カラドスをランスロットに殺されたので、アーサー王の騎士を百人殺し、屍肉を吊るして怨みを晴らさなければ愛に報いる事は無いといわれた》

 

リネット嬢の援護は

 

《この事は全てモルガンによって仕組まれた事。このくだらない謀みをもって、モルガンはアーサー王とその騎士たちに恥と悲しみを齎そうとした。この男の非道な行いも、モルガンの妖しい呪文に操られていたからだった。なのでどうか命は助けてほしい》

 

お母様ェ……

 

私が慈悲を掛けるということでカタがついたので、ボロッボロの私ら二人は天幕に移動し、応急手当を受けた。

兜を脱げって言われたからスポッっと取ったら赤の騎士さんがこっち見て固まった。

そうだね、他より7倍強いと歌われた自分がこんな小娘(身長)に負けたんだからね。

 

 

応急手当が完了したら、赤の騎士と愉快な部下達はキャメロットに向かって行った。

 

私はリネット嬢に案内してもらい、リオネス姫の所に向かった。

城に入った途端に立て篭もっていた人達に大歓声と共に歓迎されたけど、正直頭に響く。傷が動くたびに痛んだ。

 

 

リオネス姫は美人でした。知ってた。

 

ゆるふわでおっとりな絵に描いたような御姫様だった。どこぞの騎士になりにいったお姫様()とは違うね。

形式的に膝まづいてリオネス姫の手を取った辺りから、視界がぐわんぐわん回り出した。

察した。これ血ぃ出過ぎたなって。

そのまま私は崩れる様に倒れ、回る世界と殆ど聞こえなくなっていく耳で、リオネス姫の慌てる声と、リネット嬢の何かを指示する声を最後に、意識がぷっつんした。

 

 

 

 

目を開けた。

 

 

 

 

 

「…知らない天井だ」

 

 

今度は見たことない天井だった

 

 




多分今年最後の投稿になります。
都合上中ボス二人はカットさせていただきました。
あとご指摘いただいてからん?って思ったのも編集しました。


あとカルデアマスター皆さんの武勇は私の耳にも届きました。
バルバトス……半日の命だったが、君のことは忘れないよ………………たぶん
あとラスボスブッ倒した方はご存知でしょうが私の方ではなんかミラクルが起きたのでいろいろな意味で号泣しました。




良いお年を!

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