アーサー王物語群のさりげない重要人物に性別転換してなっていた件について   作:八雲 来夢

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あけましておめでとうございました。
三が日には投稿しようとしてたのに大遅刻しました。
悪戦苦闘した気がします。




めでたし、めでたし?

 

「………」

 

 

ふむ。今までの状況を思い出そう

 

赤の騎士と決闘?一騎討ち?をして死にかけながらも勝った。

あえて言うならば、彼がパワーに頼りすぎていたからか、パーサント卿のが強かった。

圧し掛かって圧死させようとしてくる位だし、殺傷能力はある。実際死にかけたからね。

それに、以前相手取った騎士達はそこまで強くは無かったのだろう。死合()前の強気な発言から見てとれる。

 

 

要するに、彼の敗因は慢心と慣れだろう。多分。

 

強すぎる力を過信して技を磨かず、いままでの圧勝に慢心し、己が勝利する戦法を作りそれに慣れた。

だが何度も剣を交える内に、私がいままでの騎士達と違う事に気付いた。そして焦ったことだろう、従来の戦法では勝てない事に。

 

 

慣れるというのは怠惰である。

怠惰とは慣れる事である。

常に可能性を忘れず、常に全力で鍛練にあたるべし。

常日頃の鍛練を怠れば、強さを失うは必然である。

 

こんな感じのを、現代日本の頃にどっかの誰かが言ってた気がする。

誰だっけ、一家のゲーム王兄貴①だっけ。忘れた。

 

 

 

まぁともかく勝てたし。終わりよければ全て良。

 

 

 

 

…冒険は終わってなかったね、うん。

 

 

 

お城の一室で傷が癒えるのを待って、現在二日が経過している。

 

リネット嬢が包帯の交換をしたり、軟膏を塗ってくれたりする。勿論私は治癒魔術を掛けているし、小さい傷はもう塞がっている。

ゲームみたいにポンポン治療出来る訳なかったが、確実に回復速度は段違いだ。

治癒魔術を掛けていなければ、3週間は完治が遅れると断言できる。覚えてて損はなかった。

あとリオネス姫のお兄さんのグリンガモアさん以下城の人たちにお礼を沢山言われた。

 

窓の外からは、楽師の竪琴の音色も聞こえる。いいなぁ竪琴。ハープ。趣味としてやってみようかなぁ。

 

 

あぁ、そうだ。乗ってきたコックスコウム、結局死なせてしまったなぁ。

 

心の中で馬刺しって呼んでて失礼にも程があるな私。これからはコックスコウムの事を思い出す時は桜ユッケって呼ぼう。少なくとも口にする機会は何千年と無さそうだし。……夢のなかで後ろ蹴りされる気しかしない。まぁいいや。

 

 

 

 

こんなアホな事が頭の中を駆け巡っている私は絶賛寝起きだった。

 

 

部屋のドアからノックの音。そして数拍の間の後に木製のドアを開く音と共に誰かが入ってきた。

 

窓から入り込む初夏の陽気に、私は半分意識が落ちながら、ほぼブラックアウトした視界の中で誰かの声を聞いた。

 

 

 

 

 

 

==リオネスside==

 

 

 

数回のノックの後、オークの木でできているドアを開ける。

その部屋のベッドには、一人の騎士…いえ、少女が横になっていた。

 

私より幾分か背の低く、肩甲骨辺りまで伸ばしてある夏の海辺の砂浜の様なその綺麗な金髪は、太陽の光に当てられて、キラキラと輝いている。

手袋を外している、白く美しい彼女のちいさな手を見ながら、あの日々を思い出す。

 

 

 

あの”赤の国の赤い騎士”に城を囲まれ、籠城を余儀なくされたあの日。

 

私達を救わんと、幾人もの騎士達が挑み、無残に嬲り殺されていくのを、窓から見る事しか出来なかったあの日々。

 

それが悪しき魔女モルガンによって仕組まれた事であると知り、侍女であり妹であるリネットがキャメロットへと馬を走らせたあの日。

 

 

そして、その悲しみ全てを、彼女が終わらせてくれた一昨日のあの日。

 

 

あの瞬間を忘れるなど、永遠と無い事だろう。

 

 

 

 

その彼女は今、傷を癒す為にこの城に留まり、こうして目の前で眠っている。

 

 

所々に包帯が見える

私を助けるために”赤の国の赤の騎士”と死闘を繰り広げた痕であり、彼女が其れを制した証。

 

 

シーグリーンの瞳は瞼の奥に隠されている

 

応急手当を終え、私に跪き手を差し伸べたあの時の瞳。

とても凛々しく勇敢で、それでいて優しく純粋なそれは、穏やかでいて幻想的な、波紋の無い湖の様だった。

 

 

武器を、盾を、手綱を取るその手

 

差し出された手を取った時、あぁ、この方は確かに騎士なのだ、と感じる事ができた。

 

 

 

 

 

嗚呼、なんてうつくしいのでしょう

 

 

清らかなのでしょう

 

 

勇ましいのでしょう

 

 

こんなにつよい存在なのに、なぜ儚い気さえするのでしょう

 

 

 

嗚呼、あぁ___

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

=====

 

 

 

「___ふ、ふふ、うふふふふ。あはははは」

 

 

 

 

 

なにこのひとめっちゃこわい。

 

部屋に入ってきたと思ったらなんかブツブツ言いだして仕舞いには笑いだしたぞこの人

 

 

 

はよ完治させてキャメロットに帰ろう………

 

 

 

 

 

=====

 

 

 

 

あれから二日で完治させた。

 

全力で治癒魔術使いまくった。

 

 

もっと治癒魔術の研究しよう……今のままだとただのホ○ミだ。

 

計4日間治療に専念していたので、勘をある程度取り戻す為に一日費やした。

 

 

なんか結構長かった気がする。

 

 

今はキャメロットを出て8日目かな?の朝。やっとこの城からオサラバできる日である。

 

私が帰還するにあたって、リオネス姫が付いて行くと言い出して超焦ったが、リネット嬢の

 

 

「なんとかなってからもう五日が経ったけれど、姉さんには優先してすべき事があるでしょう。

  私が宮廷へと赴きます。王に救援を頼んだのは私だし、彼女の行いも話せるわ」

 

 

と言う事で、リオネス姫は付いてきません。

 

やったぜ

 

 

私リオネス姫苦手だわ。なんかこわいんだもんあの人。

 

 

 

 

======

 

 

 

 

帰り道は特に何もなく。

 

 

「よくぞ幾度の苦難を乗り越え戻ってきた、台所の騎士よ。我らは心から嬉しく思う」

 

 

 

無事に帰還しましたよヤッター。

 

ケイ卿以外は嬉しそうな雰囲気だ。

唯一の例外ケイ卿は目に見えて不愉快そうである。一人だけ違うから目立つね。

 

 

 

「王よ、一つだけ、宜しいでしょうか」

 

「む?ランスロットか。言ってみよ」

 

「は。そろそろ、彼女の正体を明かしてもよい頃かと」

 

 

「おお!そうであったな。遣わされた名のある騎士が忠誠を誓いに来る度に、そなたが何者なのかを城中で噂していたのだ」

 

 

 

ちらっ

 

王の元へ忠誠誓いに行け(意訳)って言ってちゃんと誓った騎士達を見る

 

 

まだ名前教えてなかったからかすごく緊張した面持ちでいる緑の騎士(そこそこの知名度)

 

名前教えるの忘れてたからかワクワクしてるような目の赤い騎士(とてつもなく悪名高い(過去形))

 

名前も正体も知ってるからなのか穏やかな目で見てくる青の騎士(世界最強の一角なのでとてつもなく有名)

 

 

上記光の三原色騎士それぞれの上司に似た面持ちの彼等の部下の騎士達。部下は上司に似るんですかわかりません。

というか青の騎士さん達は名前知ってんのに言わなかったのか。教えていて欲しかった。メッチャ見られてる中「王の姪です」とか何か言い辛いんだけど。

リネット嬢とかすごく楽しそうにニコニコしてるんだけど。典型的なツンデレヒロイン+巨乳の笑みとか私は嬉しくない。せいぜい胸あんなにデカくて動きづらそうだなぁって位である。

 

あと皆の目線ドスドス刺さってくるんですけど。

 

 

「…して、どうだろう。正体を、明かしてくれるか?」

 

 

 

ええぃ!!どうにでもなぁれ!!!!

 

 

 

 

「……私は、オークニーのガレスです」

 

 

 

 

 

 

 

 

===多分数日後===

 

 

 

結論を言うと。

 

 

 

「あ、いた!ガレスちゃん!猪の群れが森から下りてきて、退治はしたけど何人の怪我が酷いんだ!直ぐに来てくれ!!」

 

 

「猪の群れですか!?分かりました、用意をしたら直ぐに行きます!」

 

 

 

 

 

 

 

物語通りの大団円だったと、見た誰もが言えるだろう。

 

正体を明かした瞬間

まず兄妹の長男と次男のガウェインとガヘリスが、物凄い勢いで円卓の椅子から立ち上がった。ガタガタァッって擬音付くぐらいの勢いだった。おいおい大事な円卓+椅子だろ、粗末に扱うなよ。

それから一拍して、ケイ卿ともう黒髪の人が静かに立ち上がった。そして驚きで目をカッ開いてるケイ卿はスッ…と席に着いた。

後になって知ったけど、黒髪の人は三男の兄アグラヴェインだった。ガウェインより年上に見えた……。

というかなんでこの人ら驚くと立ち上がるの?古代イギリス人の習性なの?今ブリテンだけども。

 

ともかく席を立った兄三人の内二人は完全に動揺しながら私に近寄り、私が本物だと分かると、表情を一変させた。イケメンだから映えるね。キラキラオーラが眩しい。こっちくんな。

 

そしてガウェイン兄さんは嬉しそうに肩と頭をポンポンした後振り返って、

「ケイ卿ざまぁ」(意訳)って言った。

 

ガヘリス兄さんは嬉しそうな笑顔で一言

「よくやった」

と言いながら私の頭を撫でた。

 

アグラヴェイン兄さんは、少し微笑みを浮かべながら無言で私の頭をなでた。

 

 

 

なんで三人して頭なでるん?私の頭に何か付いてんの?

あと私の前の囲むのやめてください。それぞれ30cm前後の身長差で私が隠れてしまうじゃないか。

 

 

 

そんな事を思いながら、次々と披露される私の冒険譚()をやり過ごした。恥ずか死ぬ所だった…。

 

あと、物語と同じ行動したけれど、中身がコレ(元現代日本人)な私がなれるか不安だった円卓の騎士に無事円卓入り。円卓の騎士最年少最低身長が出来あがりましたとさ。

 

 

 

現在は青の騎士パーサント卿と彼に近しい部下の騎士達に領主の仕事等の教えを乞うたり、赤の騎士と緑の騎士と三人で釣り勝負をする予定を立てたり、台所でご飯作ってたり。

 

ご飯の自炊には過半数が何やってんだお前的な事言われたが、台所の騎士が台所にいなくてどうすんだよ(意訳)って言ったら普通に自炊できるようになった。

 

 

 

いやぁ、猪の群れで怪我人多数出たけど、平和平和!

 





このなんか偉い人がいってそうな言葉

慣れるというのは怠惰である。
怠惰とは慣れる事である。
常に可能性を忘れず、常に全力で鍛練にあたるべし。
常日頃の鍛練を怠れば、強さを失うは必然である。

翻訳すると

レベリングとか素材集めって面倒だよな
ひたすらレベリングとかしてると眠くなるよな
でもレア素材出るかもしれないし、欠かさずやらなきゃな
レベルも防具も強くしとかないと、イベントボスとかにやられるぞ?

こうなります。


あとリオネス姫をこんな方にしてしまっていいのかという葛藤でいっぱいです。

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