【完結】ToLOVEる ~守護天使~   作:ウルハーツ

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EX3話 アイコンタクトへの憧れ

 休日の朝。賑やかな朝食も済ませ、自分の部屋で寛いでいたリトは喉が渇いた事で再びリビングへやって来た。美柑を始め、誰かが居るだろうと予想していたリト。そんな彼の予想通り、リビングには美柑を含めて5人の人影があった。

 

「何やってんだ?」

 

 誰かが居るのは当たり前の事。故にリトは最初、特に声を掛ける気等無かった。が、彼は何故か床に座った真白を前にソファで並んで座るララとモモ。そして両脇でそれを眺める美柑とヤミの5人を見て声を掛けずにはいられなかった。

 

「あ、リト! ねぇねぇ、リトは目を見て真白が何を言ってるか、分かる?」

 

「目を見て?」

 

「……」

 

 ララの質問を受けて真白へ視線を向けた時、真白もまたリトへ視線を向けていた。宝石の様に綺麗で何処か吸い込まれそうにも感じる真っ赤な瞳。その目に字が浮かぶ訳も無いが、リトはララの言葉を受けて真白と目を合わせる事数秒。静かに目を閉じてララへ視線を戻した。

 

「流石に無理じゃないか? 何となく、『足が痛い』って事しか分からないし」

 

「足が……? シア姉様、ずっと正座だったんですね。此方へどうぞ」

 

「凄いね、リト!」

 

 彼の言葉を聞いたモモは一瞬首を傾げるが、すぐに真白が自分達と目を合わせ易いように正座で座っていた事に気付いた。そして自分の隣へ座る様に言えば、真白は頷いてゆっくりとそこへ座る。どうやら足が痺れている様で、何処かその動きは鈍かった。

 

「やっぱリトも出来るんだ」

 

「あれくらいなら美柑でも分かるだろ?」

 

「私も可能です」

 

 美柑とリトの会話を聞いていたヤミが何処か胸を張った様な様子で続ければ、それを聞いていたララが羨まし気に声を上げて再び真白と今度は同じソファに座ったまま見つめ合い始める。今の会話で何となく今やっている事を察したリトは一度その場を離れて本来の目的である飲み物を片手にキッチンからその様子を眺め始めた。

 

「今、シア姉様と目で意思疎通が出来るのはリトさん。美柑さん。ヤミさん。そして古手川さんの4名」

 

「私とリトはずっと一緒に住んでたからね」

 

「私もティアと一緒に真白と居ましたし、再会してからは地球でも一緒でしたね」

 

「唯は真白の地球で最初の友達なんだよね?」

 

「ん……」

 

「そう考えると、時間の問題と考えるべきですけど……」

 

 真白と目だけで意思疎通を図る事が出来るのはそれ程までに仲が良い証拠。そう思ってしまうモモは仕方ないと言えど、それが出来る4人を羨ましく思っていた。故に今、こうして自分も出来る様にと挑戦し始めたのだ。が、結果は失敗。真白が考えている事は結局分からず、どうすれば良いのかと悩み始める。

 

「何かコツとか無いの?」

 

「コツって言われてもなぁ~」

 

「気付いたら出来る様になってましたので」

 

 ララの質問に首を捻る美柑とヤミ。美柑は言葉通り、気付いた時には出来る様になっていた。しかしヤミの場合は学校で唯と真白が言葉を交わさずに意思を交わす姿を見て、今のララ達と同じ様に羨ましく思った事がある。が、既にそれは過去の話。彼女の記憶からそんな嫉妬する様な出来事は消え去り、今では自分も当然の様に出来ると胸を張れる様な事実だけが残っていた。

 

「う~ん、何事も経験って言うから真白の気持ちが分かる様になってみよう!」

 

「なってみよう! って……まさか」

 

 美柑は何処か嫌な予感を感じる。ララが取り出したのはデダイアルであり、それを見た他の面々も彼女が何をしようとしているのか理解出来た。が、止める間もなくララはデダイアルを操作してそれを手元へ出現させた。

 

「カイカイカイセキくん! これで真白の考えてる事が分かるよ!」

 

 それは小さな扇形の貝。ララがそれを開けば、中には小さな画面とビー玉サイズの丸い何かが数粒入っていた。ララは何も言わずにその粒を手に取ると、真白へ近づける。

 

「はい、あーん!」

 

「……」

 

「これを飲めば、飲んだ人が考えてる事がこの画面に表示されるの! 大丈夫だよ、身体に害は無いから!」

 

「……ぁー」

 

 心配そうに見守る美柑達を横目に、ララの説明を受けて真白は小さく口を開いた。そしてララにその粒を口の中へ放られれば、唾で簡単に飲み込む。……数秒沈黙が続いた後、突然ララの持つ貝の画面に白い文字が表示され始めた。

 

『何も起きない』

 

「これ、真白さんが考えた事なの?」

 

「うん。だよね? 真白」

 

「ん……」

 

「って言っても俺も同じ事考えてたしな……」

 

 表示された画面を見て美柑がララへ聞けば、ララは真白へ。頷く姿を前にコップに飲み物を片手に近づいたリトが心配そうに口を開いた。すると真白の目はリト……では無く、リトの持つコップへ向けられる。

 

『喉、乾いた』

 

「喉乾いたって出てるけど」

 

「ん……」

 

「正常に動いているみたいですね。流石お姉様の発明品です! 今、飲み物を用意しますね。美柑さん達も何か飲みますか?」

 

 モモが真白の意思と知ると立ち上がりながら言葉を続ける。美柑とヤミは喉が渇いていなかった故に断り、ララが欲しいと告げた事でモモは自分を含めた3人分を用意する為にキッチンへ。そこでふと、リトは周りを見渡した。

 

「セリーヌは? ナナと一緒に居るのか?」

 

「2人とも散歩だって。何かメアさんに誘われたみたい」

 

 自分の部屋に居る可能性もあるナナだが、セリーヌは別。故に気になったのだろう。美柑の言葉を聞いてリトが納得した時、再び画面に文字が浮かび始める。

 

『仲が良い。良い事』

 

「ははっ、そうだな」

 

 真白の感情が浮かぶ画面を前にリトが同意しながら笑みを浮かべて答えた時、それを見ていたララが首を傾げて考える様に声を上げ始める。その場に居た全員がララへ注目した時、彼女は気付いた様に首を戻して片手の平に握った片手を置いた。

 

「何か違う気がする!」

 

「まぁ……ねぇ?」

 

「はい。違いますね」

 

 何が違うのか。ララの言いたい事をその場に居た全員は理解する事が出来た。……確かに会話をせずとも真白と意思疎通を行う事は出来る様になった。が、彼女の目を見て話しをするのと機械を使って話をするのでは大きく違う。結果的には同じだとしても、ララ達からすれば機械と話をしている様にも感じるのだ。話をするのならば真白本人と。そう思った故に、ララは残念そうに肩を落とした。

 

「焦る必要無いと思う。俺達も気付いたら出来る様になってたんだ。ララ達も一緒に居ればその内出来る様になるって」

 

「それはそうだけど……真白?」

 

「ん……」

 

『大丈夫。これからも一緒だから』

 

「っ! 真白!」

 

 リトの言葉に意気消沈したままだったララは突然頭に触れる柔らかな感覚に顔を上げる。それは真白の手であり、無表情乍ら何処か優しく見えるその姿と画面に映る文字を見てララは嬉しさの余り真白の懐へ飛び込んだ。真白よりもララの方が体格的に大きい為、ソファの上で真白は腰から下をララに覆われてしまう。が、一瞬驚いた様子を見せ乍らも真白はララを撫でるその手を止める事は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回はララの発明品に問題が起こる事は無く、無事にそれは回収された。そしてララ達は自分の部屋へと戻り、真白は美柑とヤミと共に引き続きリビングで過ごしていた。すると玄関の開く音と共にナナとセリーヌの声。そしてメアの声がリビングへ届いた。

 

「ただいま!」

 

「まうまう!」

 

「ん……お帰り」

 

「お邪魔しま~す♪」

 

「メアさん。いらっしゃい」

 

 帰宅した2人と共に現れたメアを迎えた時、彼女は笑顔を浮かべながらさも当然の様に真白の傍へ座り込んだ。と言っても左右は美柑とヤミに座られて居たため、ヤミ越しに座る形となったが……それでも彼女は満足そうである。

 

「あれ? 姉上達は? 確かシア姉と話さずに会話する! とか言ってた気がするんだけど……」

 

「会話せずに? ……」

 

「えっと……色々あって、もう少し頑張る事になったみたい」

 

「そっか。あたしも何時か、シア姉の考えてる事が分かる様になってやるからな!」

 

 ナナの宣言に真白は頷いて答える。そんな彼女の姿を眺めていたメアは分かっていた。真白は元々話すのが苦手である故に、美柑達と同じ様に会話をせずに意思疎通が出来る事がどれ程彼女にとって楽であるかを。だからこそ、ナナへ『頑張って』と言う意味で視線を送っている事を。……相手の心と繋がる事が出来るメアは既に数回真白と繋がった事がある為か、ララ達の目的である真白の考えている事を何となく理解出来ていた。

 

「? メア、どうかしましたか?」

 

「ううん、何でも無い!」

 

 だがその事実をメアが告げる事は無い。彼女はちょっとした優越感に浸ると共に、親友を応援するのだった。




ストック終了。また【3話】完成をお待ちください。


常時掲載

【Fantia】にて、主にオリジナルの小説を投稿しています。
また、一部二次創作の先行公開や没作の公開もしています。
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各話の内容を分かり易くする為、話数の後に追加するのは何方が良いでしょうか?

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