宮永咲の白糸台生活   作:タマアザラシ

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宮永咲と宮永照

インターハイチャンピオン『宮永照』といえば、高校女子最強、完全無欠な少女などと呼ばれており、同じ牌に愛された子である天江衣とは違ってインタビューにもきちんと受け答えてくれることから多くのファンが存在していた

 

今日もWEEKLY麻雀TODAYの年配の記者と若手のカメラマン相手に今年の目標はやはる連覇か、注目している選手は誰か、意気ごみを一言といった話題に照は満面の笑みで受け答えするのであった

 

そんな取材を一段落ついたところで、若いカメラマンが年配の記者に提案するのだった

 

『そうだ先輩、この選手についても宮永選手に聞いてもいいですか』

 

『あ?この選手って、彼女か』

 

『ええ原村和、去年のインターミドル優勝者ですよ、同じチャンピオン同士ですし宮永選手がどう思っているか気になるでしょ?』

 

原村和・・・去年のインターミドル個人戦の優勝者でありその可憐な容姿から若い世代から絶大な人気を誇り、今年一番注目の一年であり、これを提案した若いカメラマンはナイスアイディアを出したと自分を自画自賛したが、年配の記者は頭が痛く感じたのか頭を抱え、照は・・・先ほどと変わらない笑顔のままで黙っているのだった

 

『あー宮永さん、今日はこれで終わりとさせていただきます、お疲れさまでした』

 

『ちょ!?先輩!?』

 

「あの、私はかまいませんよ?」

 

記者は話を切って今日のインタビューを終わらせようとしたが、自分の提案を無視されたカメラマンは納得いくはずがないが、先輩記者に腕をむりやりつかまされ、照は戸惑いながらも承諾しようとしたが、記者はそれをよしとはせずに首を横に振った

 

『いえ、いいんですよ宮永さん、先ほどまでで十分な取材をすることができましたので・・・それに、妹さんが出場しなかった大会は、あまり言いたくないでしょ』

 

記者のその言葉に照は一瞬驚いた顔を浮かべ、記者はチャンピオンでもあんな顔をするんだなと思いながら若手のカメラマンを引っ張り、照に今日のインタビューのお礼を述べながら離れていくのだった

 

______

 

『なんで宮永さんに原村選手のことを聞かなかったんですか?』

 

取材が終わり車の中で若手のカメラマンは先ほどのことでぶつぶつと文句を口にしていたが、運転中の記者は何も答えることはなかった、別に原村和に問題があるのではない、ただ『宮永』にはインターミドルの話題をこの記者が出したくなかったのだ

 

『それに妹さんって何ですか?宮永さんには妹さんが居るんですか?』

 

カメラマンのその質問に記者は赤信号で車を止めると自分のカバンの中から発行されたのが二年前の古い一冊の雑誌を取り出し、そしてあるページを開いて記者に投げ渡すのだった

 

『?何ですかこれ?嶺上使い宮永咲?え?宮永って』

 

『その子が宮永照選手の妹で、姉と同じ、いや順番からしたら妹の方が先だったか・・・一昨年にインターミドル二連覇を達成した宮永咲選手だ』

 

言われてみれば確かに姉である照と似た容姿をしており、妹の方はどこか気弱な印象が感じられた

 

『へぇ~これが宮永さんの妹さんか・・・ってインターミドル二連覇!?なんでそんなすごい選手がなんの話題が出てこないんですか!?』

 

カメラマンは照と咲の似た容姿で姉妹であることがすぐに分かったが、そのあとすぐに咲が二連覇したことに驚き、なぜそんなすごい選手があまり話題になっていないことに疑問に思った、一昨年にインターミドル二連覇しており記事に書かれていた宮永咲が当時二年生ということは今は原村和と同じ高校一年生のはずだ、それがなぜここまで話題に上がってこないのか

 

『インターハイとは違いインターミドルはそれほど大きな記事にはならない、それはインターミドルで活躍しても高校では全く活躍しない選手がほとんどだからだ、だから中学生を扱う記事はインターミドルだけだったから忘れ去られたんだろ』

 

中学から活躍した選手が高校では全く活躍できなかった選手が多く、そのため記事も中学生の記事は特集以外ではあまり大きく取り扱わず、世間一般もプロ入りも考えられる高校生に注目が集まりやすいのだ

 

『それと宮永咲さんは姉と違って人見知りするタイプでな、俺が何度も取材をお願いしてようやく一回だけ取材を受けてもらうことができたんだ』

 

『て、これって先輩が書いたんですか!?』

 

本日二回目の衝撃の真実にカメラマンは仰天していると、記者は当時のことを思い出すかのように目を細めるのだった

 

『ああ、あんときは大変だった、ようやく取材OKの返事をもらえたと思ったら宮永咲さんは緊張してきちんと受け答えできないもんでな、いや~あの時以上に大変な取材はなかった』

 

自分の経験を総動員させてどうにか取材を終えて記事にすることができたことにしみじみと思いっているとカメラマンが先ほどの疑問を先輩記者に問いかけるのだった

 

『でも、インターミドルを二連覇したのにどうして宮永咲選手は去年のインターミドルには出てこなかったんですか?まさか予選で原村に負けたとか』

 

『いやそれはない、彼女が公式戦に参加したのは一昨年の秋季大会を機に公式戦への参加はない、だから原村和との直接対決はなかったはずだ』

 

『じゃあ、なんで出場しなくなったんです?』

 

『・・・・さあな、詳しい理由はわからない、ただこれだけは言える・・・彼女は強かった、おそらく姉と同じ王者として君臨し続けることが可能なほど、そんな彼女が参加しなかった大会を姉である宮永照が言ったところで皮肉にしかならないだろ』

 

『な、なるほど、だから止めたんですね』

 

『・・・まあ、それも理由の一つだがな』

 

それだけ言って記者は車の運転に集中し、カメラマンの興味は先ほど渡された宮永咲についての記事に行ったため、記者がポツリと口にした言葉は聞いてはいなかった・・・

 

 

 

 

 

 

・・・もう一度、あの見惚れてしまう闘牌を見てみたかったな、と

 

_______

 

「・・・ただいま」

 

先ほどまで満面の笑みを浮かべていた照は、いつもと同じ無表情のような顔で自分の所属するチーム虎姫に与えられた部屋に戻るのだった

 

「あ、テルーお帰りー」

 

「お疲れお姉ちゃん」

 

照を迎え入れたのは入部と同時に同じチーム虎姫に所属することが決まった一年の淡と妹である咲が先ほどまで打っていたであろう麻雀牌を片付けている最中であった

 

「・・・菫や他の子は」

 

「あ、弘世部長はさっき監督さんに呼ばれて、他の先輩方は同じ二年の先輩方に呼ばれてさっき出たばかりだよ」

 

「そっか」

 

照は咲から他のメンバーがどこに行ったのかを確認すると、棚に置いてあるお菓子を取り出して休憩用の机の上に置いてソファーに座ると咲と淡も麻雀牌を片付けて照と同じようにソファーに照、咲、淡の順に座るのだった

 

「テルー、取材ってどんなこと聞かれたの?」

 

「去年とあまり変わらない、目標とか気になる選手とか・・・あ、でも今回は去年のインターミドルについても聞かれそうになった」

 

・・・その照の言葉に咲は思わず固まった、淡は咲の変化に気づいたのか「サキ?」と心配そうに顔をのぞかせていると、照はそんな咲を安心させるように手を握るのだった

 

「大丈夫、去年のインターミドルの優勝者について聞かれそうになっただけだし、咲のことを知ってた記者さんも、別に咲を責めようとは思ってなかったはずだよ・・・それに、咲は何も悪くない」

 

「・・・うん、ありがとうお姉ちゃん、淡ちゃんもごめんね、心配かけちゃって」

 

照のその一言で落ち着いたのか咲は安堵の表情を浮かべて心配そうに除き見ていた淡に謝り、淡は気になったが咲があまり話したくないことに気づいたのかそれ以上は深く追求することはなかった

 

・・・照はそんな咲が心配でたまらなかった、『あの時』も自分がそばに居なかったから咲が苦しんでいることをすぐに気づいてあげられることができなかった、いや気づいていてもすぐには駆けつけることができなかった、そんな情けない自分が嫌になり、そして同時に咲が再び公式戦に参加してあの時のようなことになるのではと不安に感じていた

 

「お姉ちゃん」

 

そんな『不安』と『心配』を抱えていた照であったが、咲の一声にパっと振り向くと、そこには先ほど怯えていた咲ではなく、いつもの咲の笑顔があった

 

「私は大丈夫だよ、もう勝手に諦めて立ち止まったりはしない、今の私にはお姉ちゃんや強い人たちが前にいる、それにね・・・」

 

咲は一瞬淡の方に振り向き、そして照にこう言い切ったのだ

 

「淡ちゃんが、絶対に負けたくないと思える人がそばにいる、それだけで私は歩き続けることができるから」

 

咲のその言葉に照は一瞬驚いて目を見開いていたがすぐにフっと目を細め、そして安堵の表情を浮かべ「そっか・・・」とつぶやくのだった

 

するとすっかり蚊帳の外だった淡は隣の咲の方に顎を乗せてふくれっ面を浮かべるのだった

 

「ねーねー、さっきからサキとテルはなんの話をしてるの?」

 

「フフ、淡ちゃんには負けられないって話だよ」

 

「ムム、最近連敗中なのにそんなこと言うなんてサキのくせに生意気、生意気なサキにはこうしてやる!!」

 

最近連敗中の淡はそんなことことを言った咲の脇腹をくすぐり、咲は涙目になりながら悶える、照はそんな仲睦まじい二人の姿に微笑むのだった

 

・・・咲ならもう大丈夫、咲の隣には信頼できる仲間と、負けられないライバルがそばにいるから

 

 

 

 

 

オマケ

 

照「・・・ところで淡」

 

淡「どしたのテルー?」

 

照「・・・さっきから咲に引っ付きすぎ」ゴゴゴ

 

淡「テ、テルーがシスコンを患っテルー!!」

 

咲(・・・淡ちゃん、ボケる余裕あるんだ)

 

オマケのオマケ

 

三麻中

 

咲「ところでお姉ちゃん」

 

照「何?」

 

咲「さっきお姉ちゃんがほとんど食べたお菓子だけどあれ弘世部長が来客用に用意していた茶菓子って言ってたけど食べて大丈夫だったの?」

 

照「・・・・・・」

 

咲「・・・・お姉ちゃん?」

 

照「・・・あんなところにお菓子を置いてる方が悪い」

 

咲「・・・後で淡ちゃんと一緒に謝ろうね」

 

淡「さりげなく私も巻き込まれてる!?」

 

 




人物紹介

『白糸台高校三年』宮永照
インターハイを二連覇に導いたインターハイチャンピオン
この作品では咲を避ける理由がなく、仲睦まじい姉妹であることを周囲に知られている。
マスコミの間では愛想のよい選手として知られているが、マスコミ向けの顔には親しい周囲からはひかれている(咲からはお姉ちゃんの笑顔が可愛いといわれているので続けている)
お菓子好き、三度の飯よりお菓子が好き、麻雀と咲で比べれば僅差で麻雀と咲が好き
咲と照はお互いに圧倒的な強さで王者となったが照にはあって咲にはなかったものがあったため照には咲のようになることはなかった、しかし一つ違えば同じになっていたからこそ咲が公式戦に出なくなった理由を誰よりも理解している
なおすでにお分かりだと思うが、シスコンである、咲以上のシスコンである
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