ポポノタンの納品。
村長から頼まれた依頼はポポノタンの納品だった。いや、別に面倒だとか思っているわけではないがなぜか依頼書の一番上に書かれていたのは「忍び寄る気配」。まったく不穏な依頼書である。さらに雪山についてから驚いた。いつもポポたちがいるはずのエリア1にポポの姿が一切見えなかったのだ。とりあえず俺はポポを探すために雪山の中に足を踏み入れて……ということはなく、エリア2の崖から雪山に入ることにした。
エリア2の崖を登りきると、エリア7へ続く道が見えてくる。たしかここにはよくブルファンゴかブランゴがいる気がするがその姿すら見えない。一体何があったのだろうか。少しずつだが不安が増えていく。エリア7はここまでとは違いホットドリンクが必要になるが今着ているのはマフモフ防具。雪山での冷気程度なら完全に無効化してくれる温かい防具だ。確かポポなどの毛皮で作ってるから温かいだとか村長が言ってたような気もするが今は依頼が優先だ。さっさと終わらせて帰ろう。
エリア7に入ったがここもいつも以上に静かだ。小型モンスターが一体ぐらいいてもおかしくはないのだがやはり姿が見えない。……と、その時雪山中にモンスターの咆哮が響き渡った。初めて耳にするモンスターの咆哮は本能的に恐怖を感じさせるようなものだった。こんな寒い雪山にいるのに汗が頬をつたう。咆哮が聴こえたのは雪山の山頂に近い場所。ということはこのまま山頂であるエリア8に向かうのは危険だろう。ここはまっすぐ山頂に向かうのではなく先にエリア6に向かおう。
エリア6に入ってすぐ目に入ったのはポポの群れ。どうやら雪山の麓のポポたちが移動したタイミングで雪山に来てしまったのっだろう。では早速ポポノタンをはぎ取らせてもらいましょうか。背負っている武器「大骨」を抜刀しポポたちに近付こうとした時、ポポたちが怯えたようにエリア6から逃げ始めた。まさか武器に気付いてしまったのだろうか? だが、ならなぜ俺の立っているエリア6への道に近付いてくるのだ? ポポが背を向けている方向をよく見るとエリア8に続く道の壁の上に何かがいる。よく目を凝らし確認する。その姿は俺がポッケ村に向かう途中で襲ってきたあのモンスター。『ティガレックス』。まさかポポたちはあれから逃げているのか……? そうだ。絶対にそうだ。そうなると俺も非常に危険だ。この防具じゃアイツには勝てない。一撃でも受ければ確実に俺は死ぬ。だが、襲われた時のことが脳裏にトラウマのようにフラッシュバックし、足がすくんで動けない。そうしている間にもティガレックスは飛び上がりポポたちの後ろに降りてきた。ティガレックスはポポに狙いをつけ突っ込んでくる。このままだと俺まで突進を受けてしまう。だが、相変わらず足がすくんで動くことができない。諦め目をつむる。せっかくハンターとして頑張ろうと志した時にこんな目に合うだなんて本当に運がない。
半ば人生を諦めていた時だった。エリア内に角笛の音が響く。目を開けると、ティガレックスも一度突進をやめ、辺りを警戒するようにキョロキョロしている。何があったのかと思っていると、
「新人くん! ここは私が気を引き付けている間に逃げなさい!」
と、俺が雪山で倒れているのを見つけてくれた先代のハンターさんの声が聴こえてきた。だが、先代のハンターさんはティガレックスとの戦闘により傷を負いハンター稼業を引退しており武器を持ってすらいない。
「で、でも……っ!」
「武器は持てなくても身体は衰えちゃいないよ。だから逃げなさい!」
そう言って先代のハンターさんはティガレックスの前に閃光玉を投げつける。
「…………っ!」
閃光玉でティガレックスが身動きが取れない間にエリア6に引き返し、そのままネコタクに乗ってポッケ村へと帰って……いや、逃げたのだ。
それから何日たっても先代のハンターさんは村に帰ってくることはなかった。俺を助けるために命を落としたのだろうか。自責の念が俺を縛り付けていた。
そんな時、村長がこんなことを教えてくれた。
「彼はの、オヌシがこの村に来てからすごく喜んでおった。自分の意思を継いでくれるハンターが来てくれたとの。彼はオヌシが依頼を受けて向かっていった後に嫌な予感がすると言って雪山まで向かっていたのじゃよ」
そうだったのか……俺は期待されていたのか。自然と涙があふれてきた。ここで諦めてはいけない。俺は先代の意思を継いでこの村を守らないといけないんだ。
「……、ありがとう、村長。俺、頑張るよ」
「そうかい、そうかい。頑張っておくれよ」
先代が二度も助けてくれたこの命。無駄にはしたくない。だからこそ、俺はどんなモンスターにも臆さず立ち向かっていくんだ。
――先代、俺頑張りますから応援していてください。
書き終えて思ったのはなぜ先代死なせたし。これに関しては反省してます。先代ハンターファンのみなさん申し訳ありません。
……そしてこの拙作を読んでいただきありがとうございました。