三話に渡る演劇、いよいよフィナーレ!
これまでの二話より一層力を入れましたので、文字数はお許しください
楽しんでいただけると嬉しいです。
クレールが去ったことで場面は移り変わり、舞台は四度目の暗転を迎える。
すでに公演開始から15分を過ぎており、そのためかすぐに光が戻る。
わずか数秒の間では、いかなスーパー黒子の実行委員たちでも何かをできるはずがない。
もしできたらそいつは俺のような人外か、あるいはキングクリムゾンの使い手である。どっちにしろ非現実的だな。
暗転する前と同じセット、そこにいるのは俺一人。開演からようやくの一人舞台だ。
先ほどと同じ場所、同じ体勢で座った
《クレールから感謝の言葉を受けたシンは、ミカへ思いを伝えることをやめ、一人で思い悩みます》
誰もいない舞台の上、スポットライトが眉を寄せ、目元が鋭くなったこの表情をより強調する。
その裏に駆け巡る、複雑に絡み合ったいくつもの感情と思考が浮かんでは消えていく。
中でも繰り返し頭の中を駆け巡るのは〝クレール〟からの言葉と、これまでの〝ミカ〟との十数年の思い出。
この舞台上においてしか存在しない虚構のそれは、リアリティを追求した稽古の影響で俺自身の類似した記憶にすり替わる。
浮かぶ情景は、幼い頃の雪ノ下との一年の思い出と、ここ半年のこと。
次に、今一番近くにいる友……由比ヶ浜との思い出が、立て続けに思い起こされる。
〝シン〟にとっての〝ミカ〟や〝クレール〟との関係同様にどちらも重要で、取捨選択は困難だ。
『……俺は、どうすればいいいんだ』
首輪から、絞り出すように苦悶に満ちた声を上げる。それが、この胸の中にある葛藤を十全に伝えたと信じて。
《クレールとの友情と、ミカへの愛情の間で苦悩するシン。しかし嫌われ者の彼には頼れる相手もいなければ、相談できる相手もいなかったのです》
……そう、
だが、問題は何もない。これまでだってずっと一人だったのだ、今更どうとも思いはしない。
架空の中の父が死に、大切なことは全部自分で決めてきた。だから今回も、そうすればいいだけ。
そもそも、最初は単純な問題だった。
実に簡単な問い、もはや考えるまでもないわかりきった思考ロジックだ。
あいつさえいなくなれば、それで終わる。
……その、はずだったのに。
『……あいつは俺に、ありがとうと言った。こんな悪党に、昔みたいに』
そこから、この問題は狂った。
単なる邪魔者だったはずの〝クレール〟は、あの瞬間かつて〝ミカ〟以外の唯一の親友だった男に戻ってしまった。
怒りと焦りは不安と恐怖に変わり、憎かった爽やかな笑顔は〝ミカ〟のそれと同じように見えてしまう。
理解者であり、ずっと恋焦がれた〝ミカ〟と、唯一の友である〝クレール〟。どちらも、切り捨てることは困難だ。
……そう。
それはまるで、由比ヶ浜の告白に対する確定した答えと、まだ伝えていない雪ノ下への答えの間で揺れる俺のように。
今この瞬間、俺と〝シン〟の感情と思考は完全に一致していた。
『俺だってミカが好きだ。あいつの笑顔に助けられたのは、俺だって一緒なんだ』
なのに、どうして
『……でも、クレールを傷つけたくはない』
簡単だよ、
〝クレール〟を傷つけて〝ミカ〟に見放されることを恐れ、〝ミカ〟に告白をして〝クレール〟を裏切ることも恐れる。
ああ、なんという脆弱さ、優柔不断さだろうか。意地を張り、見栄を切って、目を伏せ、何もかもから逃げ続けだ結果がこれだ。
〝こころ〟の『先生』ほど感情に身を任せられれば、人間として
『俺は、どうすればいい……どうすれば二人とも傷つけずに済む』
考えろ、これまでそうしてきたように自らの周りにあるもの全てに目を向け、観察し、その中から答えを探せ。
問題の根幹は、
クレールを応援すればミカの隣を失い、ミカに手を伸ばせばクレールの信頼を失う。
強欲で矮小で傲慢な小悪党は、そのどちらともを失いたくないというワガママを通そうとしている。
そんな子供のような理論を、どう貫けばいい?
俺にとって、ミカにとって、クレールにとっての最善は、なんだ?
考えて、考えて、考え続けて……けれど、答えはなかなか出ない。その苛立ちを舌打ちで表現す。
ふと、思考を一度リセットしようと全く関係のない方向を向くと……そこには、小高い丘のハリボテが。
『……〝三人一緒に幸せになろう〟、か』
いつかの約束、幻想の中の誓い。
いつぞやの約束は、今まさに実現できるかどうかの分岐点に差し掛かっている。俺の選択で、成就されるか否か決まるのだ。
あの時、
〝ミカ〟は、幸福な日常が続きますようにと願った。
〝クレール〟は、ずっと〝ミカ〟と一緒にいることを願った。
では、
『……はは、なんだ。簡単なことじゃないか』
笑いが漏れる。
それはこんなあっさりと解けてしまったこととに対してか、あるいは自分の思考の曲がり具合に対してか。
まあ、どちらでもいい。既に答えは得た。
ならばあとは、それを実行するだけでいい。
『
そして、舞台は再び暗闇に包まれる。
────
数十秒して光が戻った時、舞台にはファーストシーンのように洗濯物を干す〝ミカ〟がいる。
鼻歌に合わせて上機嫌に揺れていたツインテールは、しかし最初の場面とは正反対に少しも動いてはいない。
〝クレール〟への返答に悩みながら、最近現れない
「……はぁ」
これからさらに彼女を不安にさせることに痛む心を凍てつかせ、ハリボテの間から一歩踏み出した。
靴底が、木製の床を軋ませる。一歩近づくたびにその音は大きくなり、はたと〝ミカ〟は手を止めた。
彼女は知っている。このブーツの音と、
「〝シン〟!」
振り返った彼女は、俺の姿を視界の中に捉えて笑顔を浮かべた。
洗濯物を放って、こちらに走り寄ろうとする〝ミカ〟に……俺は先ほどよりかなり手前で立ち止まる。
普段と違う行動に〝ミカ〟は足を止め、こちらを不思議そうに見たあと、ためらいがちに話し出す。
「〝シン〟、ここしばらくどこに行っていたの?ずっと姿が見えないから心配してたのよ?」
「………………」
「〝シン〟……?」
質問に答えないことに、さらに〝ミカ〟の懐疑の色が深まった。
フードの中で、もう一度深呼吸する。そうすることで最後の決意を固め、首輪に合わせて口を開いた。
『近いうちに、この街を離れることにした』
「………………え?」
目を見開き、一歩後ずさる。
まるで、心臓を撃ち抜かれたような呆気にとられた表情。それでいい、
「どう、して…………?」
『理由?そんなものお前に言う必要があるのか?』
「っ……」
徹底的に突き放す、冷たい言葉。これまで見たことのない
しばらく、〝ミカ〟は俺に何かを言うとして……けれど、喉に何かがつっかえたように何も言い出せない。
やがて、諦めたのかふと顔を俯かせる。そして消え入りそうな声で、また問いかけてきた。
「…………どうして、ここにきたの?」
『お節介とはいえ、これまで世話になったからな。最後にお別れを言いにきた。それだけだ』
「……嘘。何かわけがあるんでしょ?話して頂戴」
『どうして?』
「だって……これまであなたの行動には必ず理由があった……だからきっと、今回も……」
……ああ、まったく。こんな時まで俺の行動はお見通しってわけかよ。
そう、こんなことをしている理由は確かに存在する。だがそれを彼女に知らせる気もなければ、知る必要もない。
元からこういう展開になることは、既に織り込み済みだ。練習した通りに振る舞えばいい。
『まあ、もう会うこともほとんどないだろうから教えてやる』
「…………」
俯いたまま、耳を澄ませるのがわかる。
一瞬の静寂に包まれる舞台の上、立ち竦む俺たち二人の影を、スポットライトが照らし出す。
俺はローブのポケットに突っ込んでいた手を出して、ゆるく握り……一本だけ伸ばした人差し指を向けた。
『お前だよ』
「っ…………わた、し?」
『ああ。正確にはお前たち、俺を知っている奴ら全員。俺はもう、嫌われ者でいるのには嫌気がさしたんだ。だからこの街から出ていく』
嘲るように、この
彼らの目には俺が、なんとも歪に映っていることだろう。酷く醜悪な、身勝手な悪党であると。
それにいつの間にか、舞台に取り込まれるように〝シン〟と一体化した俺の心は狂った高揚に浸る。
「……そう。だから、別の場所に逃げるのね?」
『どうとでも言え、俺は出ていくと決めた……それじゃあな』
言いたいことを言いたいだけ言って、踵を返す。
これで第一段階はクリア、本当に大変なのはここから……
「……いや、いやよ!」
ほら、追いかけてきた。
軽々しい足音が背後から迫る。それがある程度までの力にきたところで、もう一度体を反転させた。
悲痛に歪んだ顔で伸ばされた、〝ミカ〟の手首を握りしめて。驚く彼女を勢いよく引き寄せる。
「あっ……」
『うんざりなんだよ、お前のお節介焼きは』
言いながら、ポケットに入れたままのもう一方の手をずるりと引き出す。
そこに握られたのは、おもちゃのナイフ。怪我をさせないよう用意されたそれを逆手に持ち、首筋に当てた。
『怪我をしたくなかったら、二度と俺に近づくな。お前なんか、もういらない』
「っ!!!」
〝ミカ〟の目が、限界まで見開かれる。
震えていた腕から力が抜けていき、元からそこまで強く握ってはいなかった手の中からすり抜けていく。
力なくへたり込む彼女を見下ろし、激しく締め付けられる胸の痛みを無理やり押さえつける。
そうして、今度こそ立ち去った。背後から聞こえる、呻くような泣き声に聞こえないふりをして。
《──この日から、シンはミカの前に姿を現すことはなくなりました。激しくショックを受けたミカは、しかしめげずに彼を見かけるたびに話そうとしますが、彼はその度に激しい言葉とナイフで彼女を遠ざけます》
彼女の心の、なんと強いことだろうか。
これまでの自分の行いを否定され、凶器で脅されてなお信じるというのだ。その優しさは本物だろう。
だからこそ、
ありがとう、こんな悪党を信じようとしてくれて。それだけで俺は、最低最悪な自分を演じられる。
お前の……お前とクレールの笑顔は、
ちゃんと、最後まで君が大嫌いになれるように演じ切るから。
────
《それから、一週間が経ちました。その間も何度も説得しようとするミカに何度も刃を突きつけて拒絶し、そして……》
夕暮れ時のようにオレンジ色になったスポットライトに照らされた舞台の上には、
対面するのは〝ミカ〟ではなく〝クレール〟。フード越しに、険しい顔をしたあいつを見た。
「……君に話がある」
『奇遇だな、俺もだ』
「どうして、彼女を傷つけるようなことをするんだ?」
やはり、〝ミカ〟に対してのことだった。全てが予想通りに進んで、思わず笑ってしまいそうになる。
だが、今この場で笑おうものなら全て台無しになってしまう。ぐっとこらえ、〝クレール〟の話に付き合ってやる。
「君にとっても、彼女は大事なはずだ。それなのに、どうしてわざわざあんなことを……僕にはわからないよ」
言葉通り、心底理解できないという表情で首を左右に振るう。
すっかり〝ミカ〟の王子様気取りらしい。さしずめ、おかしくなった
ああ、お前にはわからないだろうさ。真っ当な生き方をしてきたお前には、
しかしお前がそうあってこそ、
『……話はそれで終わりか?』
「…………ああ」
『そうか。じゃあ、次は俺の番だな』
ぐっとこちらを半ば睨みつける目で見てくる〝クレール〟。おお、怖い怖い。
『俺の話ってのはな……こいつだ!』
そんな〝クレール〟に対し、
あいつは驚愕を顔に染めるが、かろうじて後ろに引いて避ける。だが完全にはかわしきれず、腕に当たった。
パッと真っ赤な血が飛び散る。もちろん本物じゃない、服の中に仕込まれたただの血糊だ。
〝クレール〟は苦悶に顔を歪め、傷口を手で押さえながら数歩分後退りする。
「ぐっ……」
『チッ、この程度か』
もう少しやる必要があるか……?
「〝クレール〟!」
ナイフを構えた瞬間、金切り声が舞台の上にこだました。
向こう側の舞台袖から〝ミカ〟が現れて、〝クレール〟に走り寄る。当然
だが、確かに彼女はこの
「……して」
〝ミカ〟が、何かを呟く。
「どうして……どうしてよ!」
「……っ」
その涙に、激しく胸が締め付けられる。
こいつのそんな顔は見たくない、今すぐこんなことはやめてしまいたい。
そんな風に日和る自分を押さえつけ、これまでそうしてきたように、精一杯バカにしたような笑みを浮かべる。
『そいつが偉そうに説教したんでな。痛い目にあわせてやっただけだ』
さあ、ここからだ。
長いようで短い演劇の中ですっかり〝シン〟と同一化した俺は、ステージの上で孤独をひしひしと感じる。
唯一、ハリボテの街を染め上げる夕焼けと、それに合わせゆったりとしたBGMだけが
「わからない……私はもう、あなたがわからない!」
「っ!」
……ああ、言われてしまった。たった一人だけ、心を許していた彼女に。
でもそれすらも
これから、彼女がどうするかはよく知っている。きっと〝ミカ〟は……
「ねえ、もうこんなことやめましょう……いつもの意地悪で、でも優しいあなたに戻ってよ……!」
懇願するように、すがるように言って、彼女はこちらに歩み寄ってくる。
「〝ミカ〟、やめるんだ!今の彼は危険だ!」
「そんなことないわ……私は、そう信じてる」
一歩、二歩と、近づいてくる〝ミカ〟。それに同調するように、少しずつBGMが小さくなっていき。
そして、彼女の手がフードに届くほどの距離まで来た瞬間……最後の暗転が、舞台を包み込んだ。
たった数秒、暗闇に包まれた瞬間。この隙に君の手を握りしめ、遠いどこかへ連れて行ってしおうか。
パッ!
でも、そんな想像をすることすら許されなくて。
一分にも満たず、一秒より長い時間が通り過ぎていき、彼女の腹部にナイフの切っ先を押し当てる
「シ、ン……」
『……言っただろ。お前はもう、必要ないんだ』
違う、本当はそんなことはない。
そう訴えかける自分を無視したままに、最大まで開かれた〝ミカ〟の両目から雫がこぼれ落ちるのを見る。
『俺はもう、何もいらない。お前のお節介も、たった一人の友達も、何もかも』
「そん、な……」
絶望の顔で、膝から崩れ落ちる彼女。
今度こそ彼女の心は砕けた。それを実感して、
「ぅ……あ、あぁ…………!」
泣きはらす君を一人舞台に置き去りにして、振り返ることなく立ち去っていく。
後は、〝クレール〟がうまくやってくれる。〝ミカ〟を慰め、励まして、支えていくはずだ。
……ずっと、二人一緒に。それで
《最悪の悪党になったシンは、そうして街を去りました。彼が何を思い、ミカとクレールを傷つけたのか。それは、彼自身にしかわかりません……》
久しぶりのナレーション、それによって後悔と罪悪感に浸っていた心が現実に引き戻されていく。
歩きながら、結局シンは何をしたかったのか思い返した。
ミカとクレール、どちらを選んでもどちらかを傷つけるとわかったこいつは、自分を排除することにしたのだ。
〝ミカ〟に見放されるくらいならば、いっそ二度と顔も見たくないというほど最低最悪なやつに。
〝クレール〟の信頼を裏切るくらいならば、いっそ応援などせず最大の憎まれ役になればいい。
二兎を追うものは一兎を得ず、ならば最初からどちらとも諦めて、最初からあった
〝三人一緒に幸せになろう〟……この問題の前提条件が女一人と男二人の時点で、これが最適の答えなのだ。
それが語られることはない。ナレーションも、シン自身も説明することなく、物語はフィナーレだ。
悪役の悪巧みの理由など、誰も知りたくはないだろうからだからこれでいい。
……俺も、そうしたほうがいいのかもしれないな。
いっそのこと雪ノ下の約束にも、由比ヶ浜の告白にも答えを出さず、このまま現状維持すればいいのかもしれない。
変わらなくては、などと気軽に言うが、今を大事にして何が悪いのだろうか。
変化することへの恐れから逃げる、実に結構なことじゃないか。現状維持万歳、今が一番いいと言って何が悪い。
変化によって人生を奪われた俺からすれば、現状からの逃避こそ悪に他ならない。
自然とそう考えてしまうほどに、どちらの少女も俺にとってはあまりに大切になりすぎてしまった。
そんな二人がいる奉仕部を守るためには、それが最適解であると経験則と理性が冷静に結論を下している。
もう、充分に考える時間はあった。
あの約束をした日から五年、俺は同じ解を心の中で出し続けた。それは今も、これからも変わらない。
由比ヶ浜にしたって、文化祭までと本人が猶予をくれたが……本来ならばもっと早く答えるべきだったのだ。
期限ギリギリまで引き延ばしたのにさらに先延ばしなど、彼女に対しての侮辱に他ならない。
故に、俺は逃げることをやめる。妥協することを諦める。
生まれて初めて……理性では抑えられないほどに、この思いは誤魔化せない。
まあ、兎にも角にも悪役を演じるのはこれで終わりだ。
幕も下がってきてるし、さっさと退場して……
《──ただ一つ、彼が見落としていたのは〝ミカ〟の気持ち》
「──っ!?」
そんな俺の不意を突くように、聞き覚えのある声がナレーションを続ける。
声が発せられているのは舞台脇からではなく、AP室につながっているスピーカーから。
思わず立ち止まり、そちらを見ると──部屋の中で、マイクの前に立っていたずらげに笑う女性が一人。
《彼女が誰を思っていたのか、誰と一緒にいることを望んでいたのか……それだけを、彼は見落としていたのです》
雪ノ下陽乃。散々文化祭を引っかき回してくれたあの人は、
「〝シン〟!」
驚愕に立ち尽くす俺の耳に、与えられた名前を呼ぶ声がした。
半ば反射的に、声のした方を……少し前までいた、舞台の方を振り返って。
目と鼻の先に、雪ノ下の顔があった。
「八幡くん……」
名前を呼ばれ、目を見開く。
こんな近くにいることに驚愕と同時に、俺も、〝クレール〟役の先輩も、観客も固まる中で動いていることに疑問を覚える。
答えはすぐに出た。彼女たちにとってこれは予定調和、最初から決まっていたシナリオなのだと。
雪ノ下雪乃はいつだって俺の一枚上をいき、雪ノ下陽乃はいつだって俺を掌の上で転がしている。
今更気づいたところで、もう遅い。
立ち止まった足は動かず、驚きに力の抜けた腕では止めることもできず。
「ん……」
「っ──!」
間抜けに目を見開いた俺の顔を、観客に見せつけて。
ゆっくりと、幕が下りる──。
はい、あの曲の通りの終わりにこぎつけました。
いやー、曲の内容から捏造と改変を加えまくってねじ込んだ劇でしたが、どうでしょうか。
作者的には原作の相模への罵倒による汚名の代わりとして、この悪役をやらせた感じです。
感想をいただけると嬉しいです!