タイトル通り、憂鬱な橋姫さまにあるキャラが優しくするワンシーンを描いたもの。露骨な百合表現はありませんが、「ヒーロー」にあたるキャラがキザっぽくなってるので、ちょっと胡散臭いです。
ふとカレンダーを見ると、今日は23日だった。そう言えば、妬ましい妬ましいとか言いまくってた時期もあったけれど、もう最近じゃあそんな言うこともなくなったわね。外の連中って、今じゃ何かにつけて一年中妬ましいし。あるいは、妬ましいのが当たり前すぎて、もう妬ましくすらなくなった、と言っても違わないかしら。
でも、私の深層心理はやっぱりこの時期は「最も妬ましい時期」であると思っているらしく、あの館の主人は、やっぱり例年の如く「あなたの妬ましがる声がうるさくて仕方ないからちょっと地上に出てて」とか偉そうに命令した。おかげで私は、凍えるように寒い上に、「あの人一人だし」と視線まで冷たくなっている地上の屋外に…地上の屋外って言い方もなんか妙な気もするけど、悪くはないわよね、とにかく追い出されたのであった。もう屋内にいるやつ皆ぱるぱる。屋外にいるやつでも二人とかでいるやつはぱるぱる。
…なんて思っていたら、後ろからふわりと何かが掛けられた。マフラーだと思った?ねぇマフラーとか可愛いもんだと思ったでしょ?残念。もっと重いものでした。
肩に乗るそれの重さは、今まで想像していた以上に重かった。でもまあその分生地もしっかりしていて、全身を覆うを通り越して地面をひきずる程度の長さがあったから、流石に身体に直接風が当たるのは防ぐことができた。
「姫さまは、うるさいと言われたことはございませんか?」
ゆうもあだかういつとだか分からないけれど、とにかく皮肉を利かせた軽い冗談のような口調で、そいつはまるで…まるで…ぱるぱる、姫さまだなんて、そんな二人称初めてよ?あんた何そんな台詞をさらりと恥ずかしげもなく堂々と言えるのよ妬ましい通り越して恥ずかしいわよあんた!
…いやいや冷静になれ私。そうよ、冷静、冷静…になったところで、目の前の人物が、けっこう寒そうな格好をしているのに気付いた。普段はこのマント着てたりもするから、あまり意識しなかったのだけど、このマントの下って、この人けっこう寒そうな格好してるのね。
「大丈夫ですよ、私を普通の人間や格の低い妖怪たちと同じにしないでくださいね?このマントは飽くまで他の人に寒そうな印象を与えないため。別に本当に寒くて着ているわけではありませんよ。」
私も格の低い妖怪扱いされたくはないわ。…残念ながら、あなたからすれば確かにそんな感じなのかもしれないけれど。
にしても、なんて言い方なのかしら。寒くはないですよ、とかケロリとした顔で言われると本当に憎らしいのと同時に妬ましいんだけど。どうせこいつも明日の夜は、あの取り巻き二人と怪しすぎる青いのとその言いなりと、お家でさぞかし楽しく過ごすのよねきっとぱるぱる。
「…そうでもないですよ。」
…え…?と顔を覗こうと思った時には、もう見えなかった。こいつ、よりにもよって顔を見られないために、わざわざ抱きしめるなんてしなくていいのに。馬鹿じゃないの。何?カリスマだったら何でもしていいとでも思ってるわけ?ただしカリスマに限るみたいな?あー、カリスマ妬ましいわ。だって私、確かに今、あんま嫌に思ってないもの。おまけになんかいい匂いするし。香かしら?香なのね?香なんか使えるなんて、ずいぶんとまあ妬ましいご身分でいらっしゃること。
「あなたも忘れているかもしれないけれど。古い時代の日本人からすると、現代の外の人間が今日と言う日を祝わないで、明日明後日を盛大に祝うことは、少し悲しいと同時に…より祝ってもらえるあの方のことを、少し羨ましい…言い方を変えれば、妬ましくも思うのですよ。」
この人も…妬ましいなんて思ったりするんだ…。まさに聖人君主みたいな人だと思ってたから、意外だった。言われれば確かに、さっきのいい匂いの中に、ちょっと妬みの美味しそうな香りも混ざっているような気もする。
「…あなたの妬み、私でよければ消化してあげるわ。」
そう言ってくっついていた身体をそっと離すと、あいつは複雑ながらも嬉しいんだなって顔だけは分かる顔をしていた。
「それでは、今夜我が家で行われるささやかな祝いの宴に、あなたも同席して頂けますか?」
…だから。
そんな顔されたら、断れないでしょーが、馬鹿。
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