ゼロの使い魔 ご都合主義でサーヴァント! 作:AUOジョンソン
それでは、どうぞ。
ライダー……フランシス・ドレイクはジュリオ・チェザーレのサーヴァントである。そんな彼女から話を聞いているうちに、ある一つの仮説を伝えられた。『虚無』と『虚無の使い魔』にはもう一つ関係性があり、それが『サーヴァント』なのだという。
「つまり、『虚無』は『虚無の使い魔』を。そして、『虚無の使い魔』は『サーヴァント』を召喚する。そういう関係性であると思っています」
「……なるほど、君のところはジュリオがライダーを、俺がまた別のサーヴァントを、か。ガリアもあのシェフィールドってやつがサーヴァントを召喚しているってことか」
だけど、とテファをみる。彼女は直接エルキドゥを召喚している。そこはどうなんだろ? と思っていると、その視線を感じたのかエルキドゥがにっこり笑って俺に話しかけてくる。
「ああ、僕は多分……君のサーヴァントって扱いだと思うよ」
「は?」
え、でもエルキドゥは別に俺と絆を結んでるわけじゃないよな……?
「はっはっは。その疑問も最もだけど……マスターを媒介にして、君の宝具が働いているような……そういう『感覚』がある。どういうからくりかはわからないけど……そういうことだよ」
もしかしたら未来で君と絆を結んでいるから、こうして来たのかもね、と笑う。座の時間軸はかなりあいまいだからな……そういうこともあるか。テファが特殊だと思ったほうがいいだろう。マスターと、ライダーたち、そしてガリアの王。この三組が同じ組み合わせなのだったら、きっとテファが特殊ってことになるな。……ん? その場合俺ってマスターとテファの二人の使い魔ってことになるのか……? そういうのありなのかな……?
「……それでは、囮になるということですか!?」
アンリの声に、ふっと意識を戻した。エルキドゥと話しているうちに、彼らの話は進んでいっていたようだ。気を取り直して話を聞くと、どうやらマスターや教皇たちの『虚無』を餌に、ガリアの皇帝を呼び寄せよう、という話になったらしい。それにアンリがかみついているっていう感じだろうか。
「そうなります。ですが、私も『虚無』の担い手だと流します。私は、何事も自分で行わないと気が済まない性質ですから」
「……危険です!」
「危険は承知。だが、このまま受け身でいるほうが、よほど危険です。彼の……ガリア王ジョゼフの野望とは何か? ……おそらく、虚無の担い手を己の駒以外すべて排除することです」
声を荒げるアンリに、ヴィットーリオは冷静さを崩さない。相当前から考えていたことなのだろう。そのまま訥々と話を続ける。
「使い魔である『ミョズニトニルン』。さらにその使い魔である『サーヴァント』。それに対抗するには、こちらも同じものを用意しなければなりません」
そういって、視線を俺やエルキドゥに向けるヴィットーリオ。ん? 頼りにしてるぞ的な? まぁ確かにその二つもあるし、ミョズニトニルンが作ったあのでかいゴーレムもあるしな。戦力的にはサーヴァントが欲しいところだろう。個人的に否やはないが、マスターやテファはどう思っているのだろうか。まず最初に矢面に立つのは『虚無』の担い手たる二人や教皇である彼だろうし。そう思ってマスターに視線を向けると、同じくこっちを見ていたマスターと目が合い……マスターは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。……い、いや、『きゃっ』じゃないんだよマスター。今はまじめな話をしているんだぞ? まったく……。
それなら、とテファのほうに視線を向ける。これまたマスターと同じくこちらを見ていたらしいテファと目が合い……テファは顔を真っ赤にしてうつむいて……そこまで一緒にしなくてもいい! ……だから『きゃっ』じゃないんだって。流れでエルキドゥに視線を移してみたが、アルカイックスマイルのままこちらを見ている彼の心境はわからなかった。笑顔とは一番のポーカーフェイスだなと思ってしまった。
「……まぁ、いきなり協力しろといわれて、即答はできないでしょう。……ゆっくりお考え下さい」
・・・
「本当に面倒くさいことを考えるねぇ、あんたの大将は」
「言ってやるなよ。あんたからしたらまどろっこしいんだろうが、これも教皇って立場故なんだから」
蝋燭で照らされたジュリオの私室で、人影が二つ、揺らめいていた。一人は教皇の使い魔、ジュリオ。もう一人はそのサーヴァントであるライダー。
「ま、あいつとも会えたし……あたいにとっちゃ、今回の晩餐会は大成功と言って良いね」
「ライダー。お前……あのガンダールヴの味方になりたいとか言い出さないよな?」
「はぁ? あたいはあんたのサーヴァントだよ。ま、今の所はその予定はないよ。……あたいの目標は、あいつを降して……屈服させることなんだからね」
力強い目でそう言うライダーに、ジュリオは感心したように「へぇ」と呟く。豪放磊落な性格だと思っていたライダーにも、何かしらの怨みのような物があるのだと思ったからだ。サーヴァントというのはマスターと性格の近い物が召喚されやすいのだという。それを鑑みても、ライダーとは似たもの同士ということなのだろうか。
そんなジュリオの脳裏に、そういえば彼女の願いを聞いたことがなかったなとよぎる。召喚してからずっと、彼女はよく手を貸してくれた。今回のあの男との出会いによって何かしらの願いがあるのなら、聞いてやろうとしたのだ。
「ライダー、お前には色々と世話になっている。なにか願いがあるなら手助けしようか? あの男と因縁があるのなら……戦う場を整えてやろうか?」
「はぁ? なんだい急に……まぁ、あたいの願いはあいつを下すこと……その時が来たら共に戦ってもらおうかね」
召喚された時から変わらない笑い方で、呵呵大笑するライダーを見てジュリオはため息をつくも、このいい意味でカラッとしている性格はとても好ましいものだと思っている。この使い魔……サーヴァントとなら、きっとあの方の望む未来を切り拓ける。ジュリオはそう確信した。
「明日、ガンダールヴの使い魔……あの男と接触する。ライダー、君は霊体化するか遠くから見ていてほしい。今の状況で、あまりあの使い魔と接触されたくないんでね」
「それには賛成だね。あたいもギルと面と向かって話したら……そこでドンパチ始めるかもしれないからねぇ」
それは困る、とジュリオは内心でため息をついた。実際には内心だけでは収まらず、実際にため息も出た。
ライダーの実力は数少ない機会なれども何度か見たことがある。その切り札たる『宝具』も一度だけ見たことがあるため……確実に恐ろしい結果になるだろうと思ってしまったのだ。調査したところによるあの『ガンダールヴ』の特徴は2つ。1つは『宝物庫』と呼ばれる宝具の乱射による制圧。もう1つが、サーヴァントたる身で、サーヴァントを召喚できるという宝具なのだという。これはガンダールヴと『絆』を結んでいるというライダーからの情報なので、間違いはないだろう。
さらにもう一つ宝具があるらしいが……それを抜きにしても、前者の2つだけでこの城は跡形もなくなる事は間違い無いと確信できる。
「俺の許可なく『ガンダールヴ』と交戦するのは禁止とする。……いざとなったら令呪を使ってでもな」
「はいはい。皆まで言わずともわかってるよ。さっきの言葉に嘘はない。あたいはあんたのサーヴァントだからね。指示には従うさ」
あまりにも軽い返答に、本当に大丈夫か? と不安になるも、今までのライダーとジュリオの付き合いから、約束は破らないだろうと判断した。
彼女は『海賊』……空賊のような集団を統率していた船長とのことで、アウトローのような存在ではあるが、一本芯の通っている豪傑だ。自分で言ったことを自分で裏切ったりはしないだろう。
「それじゃあ、今日はこれまでにしようか。ライダー、俺は寝る。後は可能な範囲で好きにしろ」
「あいよ。それじゃあマスター、おやすみ」
そういうと、ライダーの体は光の粒子となって消えていく。霊体化してどこかへ行ったのだろうとジュリオは判断して、ベッドへ入る。
明日はついにあの使い魔に『アレ』を見せる。ライダーと同じ『異世界』の者ならば、きっと何かしらの反応を見せるはずだ。
『聖地』奪還のため……民の団結のため……願いを叶えるために、やれる事はやらねばとジュリオは沈む意識の中決意した。
・・・
朝。眠ってはいないが目を開く。椅子に座っていたのだが、一緒にベッド入ればよかったかなとすやすや眠るマスターを見ながら思った。……けどなぁ。なんか昨日悩んでたみたいだし、そんな時でも一緒にベッド入ったら俺歯止め効かなくなるしな。流石にやり過ぎであへあへいわせるわけにも行かず、こうして我慢をしているわけなのだが……うぅん、惜しいことをしたか……?
そんなふうに1人うんうん唸っていると、扉がノックされた。マスターは眠りが深く、この程度では起きないので、特に気にせず扉を開けた。
そこにいたのはヴィットーリオの使い魔の……ジュリオだったか。オッドアイの綺麗な瞳が、俺を見上げて輝いていた。
「おはよう、兄弟」
にっこりと笑っていう彼はとても人懐っこい笑みを浮かべており、100人いれば99人は振り向くような美しさを感じた。
「兄弟?」
そんな彼に俺が疑問を呈して首を傾げると、少し苦笑気味になったジュリオはその理由を説明してくれた。
「君は『ガンダールヴ』、ぼくは『ヴィンダールヴ』。同じ使い魔どうし、兄弟といっても良いだろう?」
「なるほど、そういうことなら納得だ。……俺が兄でいいだろう?」
「え? ……あっはっは! そうだね、そこは考えてなかったけど……確かにキミの方が年上だろうし、兄に相応しいだろうね。『お兄ちゃん』って呼ぼうか?」
「ああ、どんな呼び方でもいいぞ。俺は古今東西いろんな子から「兄」と呼ばれた男だからな」
俺がそういうと、冗談混じりに「わかったよ『お兄ちゃん』」と言ってきたジュリオが、こほんと咳払いをして話を変える。
「さて、それで今日ここにきたのは理由があってね。少し付き合ってくれるかい?」
「俺にか?」
「ああ。『ガンダールヴ』のキミに用があるんだ」
マスターは自動人形が見てくれているし、任せていいだろうとジュリオについていくことにした。
しばらくついて行くと、大聖堂の地下にある妙なところに連れてこられた。ひんやりとした地下通路は両方の壁に松明が灯されており、やけに怪しい空気が漂っていた。大聖堂の地下で、この空気……俺はこれから何かの墓でも見せられるのかと思った。安置されてる聖人の遺体とか? ……まぁそれを見せられてどうなるって感じなのだが……。
さらに歩くと、鉄の扉にたどり着いた。ここが終点なのだろうか。あまり会話もなく来たので、この空気を払うためにも話しかけてみる。
「ここは安置所か何かか?」
ジュリオは鉄の扉を四苦八苦しながら開けようとしつつ、答える。
「まぁ、そんな感じかな……。ここは大昔の地下墓地をそのまま利用したものでね」
「墓か……あまり立ち入ってはいけないような場所だと思うが……」
死者が眠るようなところを騒がせたくないと思ったのだが、ジュリオの言い方からして、おそらくすでに地下墓地としての利用はされていないのだろう。
扉の鎖を外し、取手を思い切り引っ張るも、相当錆びていて硬くなっているらしい。ジュリオがかなり苦労しているのをみて、俺は後ろから取っ手をぐっと引っ張った。流石に英霊の筋力であれば、簡単とは言わずとも鈍い音を立てて扉が開いた。
「おぉ、流石は『お兄ちゃん』」
「はは、よせよ。照れるだろ」
そんなやりとりを挟みながら、扉のさらに奥へと進む。かなり暗く、灯りひとつないが、相当広い空間は感じ取れた。何かの倉庫なのだろうか?
ジュリオが手に持つ松明で壁を照らしながら何かを探して手をっつこむと、部屋についているランタンが一気に灯り始めた。
「これは……」
思わず声が漏れた。その部屋に並んでいたのは、様々な種類の銃器。それも、この世界で使われているようなものではなく、俺の世界……ここからみて、『異世界』のものだったのだ。奥へ進み、一つ手に取ってみる。……イングランド、とアルファベットで刻印されているそれは、近代の銃器そのものであった。さらにその横にはかなり有名な銃、『AK小銃』もあった。リボルバー式の拳銃に、オートマチックの拳銃、雑多に集められたような銃器が、数十丁も並んでいた。その合間には、弾倉や銃弾までもあり、少し錆は浮いているものの、すぐに使えるようなものばかりであった。他を見てみても、この世界には無いような武器ばかり並んでおり……その全てが、俺たちのいた『地球』のものであった。
「見つけ次第『固定化』はかけてきたんだけど、中にはもうボロボロのものもあったりしてね」
そう説明するジュリオは、その兵器たちの前で手を広げて高らかに続ける。
「これは君の『槍』さ! 流石に宝具には及ばないけれど……ぼくたちではどうも使えないものだからね。君に進呈するよ、兄弟」
「俺の『槍』? どういうことだ?」
俺のそんな疑問に、ジュリオはある詩を口ずさむ。それは、虚無の使い魔のそれぞれの役目。『神の盾』、『神の笛』、『神の頭脳』…その中で、『ガンダールヴ』の『長槍』とは、その時代で最強の武器であることを聞いた。なんでも、この武器たちが見つかる『ゲート』からは、こうして兵器しか現れないのだという。
「それで、これが俺の……ガンダールヴの扱う長槍ってことか」
「その通り! まぁ君が持ってかなくても、うちでは扱えないものだしどうでもいいんだけど……」
そこまでいうなら、と俺は全ての兵器を宝物庫へと格納した。地球のどこかにはあったものなのだろう。今度向こうで召喚されるようなことがあればあるべき場所へ返すとしよう。
目の前の現象を見たジュリオは、流石に驚いたように目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべる。
「それが噂の『宝物庫』ってやつか。凄まじいね」
「はっはっは。だろう?」
それじゃあロマリアを案内してくれよ、とジュリオをお供に、俺はロマリア観光へと繰り出すのだった。
・・・
「どうしたらいいのでしょうか?」
何かしら意図のありそうなジュリオをお供にロマリオの街を巡り、日も暮れそうな時に帰ってきた俺とマスターの部屋に、暗い顔をしたアンリがやってきた。
今度の即位3周年の式典にガリア王ジョゼフを呼び、そこで向こうの虚無の使い魔を拘束しようという作戦。その作戦にかなり乗り気ではないアンリは、こうして相談に来たのだろう。
「聖下のおっしゃることはわかるわ。『聖地』奪還はブリミル教徒の……ハルケギニアの宿願だわ。だからと言って、ルイズやテファ……私のお友だちや従姉妹を……危険に晒すなどできません」
テファはアンリとは従姉妹の関係……テファに残る唯一の肉親と言っても過言ではないというのは、先ほどの邂逅で思い知った。
そんなテファと、親友のルイズを危険に晒すことに抵抗を示すアンリ。女王となってその言い分はかなり甘いと言わざるを得ないが……その情の深さこそがアンリの良いところだ。
女王としての責務と、アンリ自身の心……その板挟みになっているのならば、できるだけ軽くしてあげたいのはもちろんだが……。
「マスター、少しアンリに協力してやることは可能か?」
「もちろんよ。陛下が大切なのは私も同じ。……同じ男を愛する女として、協力するのはやぶさかではないわ」
自分でそう言って照れるマスターは可愛いなぁと思いつつ、ここで油断して頭とか撫でると照れ隠しの虚無(弱)が飛んでくるので、なんとかその衝動を抑える。
対面に座るアンリも顔を真っ赤にしているので少し気まずくなりながらも、これからのことを話し合う。
教皇、ヴィットーリオの手のひらで転がされることにはなるが、マスター……ルイズとテファにはヴィットーリオの狙い通り……『聖女』として振る舞ってもらう。護衛として自動人形と小碓をつけるが、最悪俺と離れて行動することにもなるだろう。エルキドゥにも気をつけてもらうことにしよう。
「では、その案で……ごめんなさいルイズ。私は貴女の『力』と……その使い魔を利用するわ」
「良いのです陛下……私たち、お友だちなんですから。困った時はお互い様ですわ」
ひっしと抱き合う2人を微笑ましく眺めながら、テファにも説明するために俺たちは彼女の部屋へと向かうのだった。
「ええ、わかったわ。……私を連れ出してくれたのはあなた。……あなたのいうことなら、協力するわ」
一通り説明したあと、テファは快諾してくれた。エルキドゥにも協力を取り付けられたし、これで一安心だろう。あとはガリアがどう動くか……それだけが心配だな。しばらく見ていないが、カルナにも気をつけねばならないだろう。向こうに残したジャンヌとペトルス以外の総力戦になるかもしれないな。頑張るとしよう。
・・・
翌日。ヴィットーリオに申し出をしたところ、快く受けてもらえた。おそらく向こうもこちらが何かしら企んでいると気付きながらも、メリットの方が多いと判断して乗ってきたのだろう。
アクイレイアというガリアとの国境に程近い都市に移動して、三周年記念祭が開催される。ここの市長も懐柔済みらしく、その辺の動きはかなりスムーズであった。あとはアンリがやられましたわとぷりぷり怒ってたくらいだが、それはまぁ夜のベッドの上でのスパイスになるくらいのものだ。すでに引きずってはおらず、今はにこやかに市民に向けて手を振ったりしている。
ルイズとテファは、お互いに真っ白な巫女服に身を包み、厳かにアンリの両隣を歩いていた。その前後を水精霊騎士団が固め、最後方からはヴィットーリオが後光でも背負っているかのように歩いてきている。
「豪華ですねぇ」
そんなアクイレイアのとある屋根の上。俺たちサーヴァント組はパレードを見守っていた。当座の護衛はアンリたちの後ろを静々と歩く自動人形に任せて、俺たちは街に怪しい動きがないか情報収集をしているのだった。
行動範囲の広い信玄にはガリアとの国境を見てもらいに行き、機動力のある謙信と小碓は街の細かい路地まで確認してもらいに。そして俺とアルキメデス、マリーの3人はこうしてルイズたちを見守りながらもしもの時の最適な狙撃ポイントを探している。壱与と卑弥呼はアクイレイアまで来た船の中で索敵及びここの霊的存在と仲良くなったりして鬼道を使いやすくするための下準備……つまり陣地作成中である。カルキは……空をぐるぐる回りながら何かあればこちらに教えてくれることになっている。ガリアから何かあれば対応は出来るだろう。
「そりゃそうだろ。こういうのは権威を見せつけるのも目的だからな。派手であればあるほど良いってものだ」
「ふーむ……ま、こういう時の装飾やらなんやらは図形的にも美しいものが多い。……後でいくつか盗ってっていいかの?」
「ダメダメ。後で何か買ってあげるから我慢しようねー」
「子ども扱いするでない! ……子供じゃないんじゃが! 二十歳なんじゃが! 月のクレーター? にも名前がついとるんじゃが!」
「そのセリフはロリの最たるものだろ……しかも二十歳じゃないし。最盛期なんだからもっと後だろ?」
「体的には成人しとるもん。ふえっへっへ、見るか?」
「……うふふ、外見はかわいらしいのに、中身はエロジジイなのね」
にっこり笑ったマリーが、笑顔のまますごいことを言う。それでいいのかフランス王族……。でも仲間にデオンとかモーツァルトとかいたしまぁ……。
「お、聖堂に入っていくな。……定期連絡もカルキ、ヤマタイのどっちからも異常なしと来てる。……しばらく静観が続きそうだな」
「暇じゃのー……円周率でも求めとくか。えいっ、がりがりー」
「あ、こら、こんなところ削らないのっ」
「ああっ! こら! わしの円を壊すな!」
……仲良さそうで何よりだな。
・・・
「そろそろ目的地に着くかしらね?」
「さぁな。本業の人間に聞いてくれ。俺にその辺はわからん。陸専門だったものでな」
ガリアの『両用艦隊』の船内で、お互いにフードを目深にかぶった男女が、暗闇の中でやり取りをしていた。片方の女の額には光るルーン。密命を受け、『ヨルムンガンド』を運搬させるために、この艦隊を反乱軍としてロマリアに進めているのだった。
しかし、以前『ヨルムンガンド』は一体とはいえ退けられていた。そのため、数を増やし、こうしてサーヴァントたる男も乗せて、ガリアの空を往くのだった。
「……なんだか騒がしくなってきたな。下士官や兵士どもが騒ぎ始めたようだ」
「しかたないねぇ。司令長官は物で釣れたけど、何も聞かされてない下のやつらはそうでもないってことか。……キャスター、いつでも降りれる用意を……いや、艦隊を陸に卸したら、『兵士』にしてやってもかまわん」
「ほう……この船も落ちるか。……それもよいか。いけるだけ船は進めておこう。落ちてからは、俺の用兵を見せてやろう」
男は、フードの中で口を歪め、短く笑った。それを見届けた女……シェフィールドは、短く「頼んだよ」と言って、司令長官に指示を出すため移動していく。
「……さて。時間もあった。人もいる。……鍛えた俺の軍を……見せてやる」
・・・
「ね、ね、お部屋いかない?」「……まだ仕事終わってないからあとでね」「……そう」
「……ね、そろそろいけそう?」「……まぁまぁ。もうちょっと……」「……そう? 早くね?」
「……もう我慢できないわ! ここでするわよ!」「くっそ、待てもできなかったか!」
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