if~刹那君は操縦者~   作:猫舌

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第23話

刹那サイド

 

 

翌日、人気の無い電車に揺られる事数駅。テンションの上がり過ぎでハッスルした所為か電車酔いしたラウラを背負いながら僕達は、降りた無人駅から目の前に広がる海水浴場に声を上げた。

 

 

『海だー!』

 

「・・・だー」

 

「だー・・・うぷっ」

 

「頼むから、背中でリバースしないでね?」

 

「すまない・・・」

 

 

グロッキーなラウラを慎重に運んで、砂浜にパラソル等を設置する。その間、女子達はお着替えタイムである。まあ、全員下に水着着てるから脱ぐだけだけど。

ラウラをビーチチェアに横たわらせ、持って来た手持ちタイプの小型扇風機で風を送る。日陰とは言え、さっきまで直射日光だった砂浜の上なのだ。蒸し暑い事この上ない。

 

 

「僕は此処で見てるから、ユイちゃん達は行って来な」

 

「やっぱり入らないんだね、刹那は」

 

「断固として拒否するよシャロ。クロエも皆と楽しんで来てね」

 

「いえ、私も」

 

「そんなフル装備で言われてもな~」

 

 

申し訳なさそうにするクロエは表情と裏腹に、ラウラと色違いの白のビキニタイプの水着を着こなすだけでなく水鉄砲にボール。イルカ型のバルーンを抱えて、足は海の方へ向きながら耐えるかのようにプルプルと震えている。

いや、行けし。

 

 

「良いから行って来なよ。逆に残す方が悪いし」

 

「・・・では、ありがたく」

 

 

そう言ってクロエは皆と準備体操を始めてから、オイルを塗って海へと駆けて行った。明日奈さんとユイちゃん以外は僕にオイルを塗らせた後、数分位の痙攣を終えてから顔を紅くして海へと向かった。

 

 

「テトラポットあるけど、遠くに行き過ぎないでねー」

 

「適度に休憩する事も忘れるなよ」

 

『はーい!』

 

 

父さんと母さんの声に皆が返事する。まあ、簪達も臨海学校で鈴がやらかしたのを見てるから大丈夫だと思うけどね。楽しそうにはしゃぐ皆を見ながら、僕は鞄からパソコンを取り出す。表示されたのは、新装備のデータである。

因みにラウラは母さんが何時の間にか世話をしてくれた。

 

 

「刹那、それ何のデータだ?」

 

「あれ?皆と行ったんじゃなかったの?」

 

「その・・・男一人であの光景はキツイ」

 

「わかる」

 

 

若干前かがみになりながら小声で言う和人に僕は心からの同情を示す。贔屓目に見なくても全員が美少女オンリーの集団が、水着ではしゃいで胸を揺らしてたらそりゃ意識する。僕はまあ、昔から色仕掛けとかされてたからある程度耐性はあるけどやっぱり来る物がある。

 

 

「話を戻すぞ・・・。何のデータなんだ?見た所新装備の様だけど」

 

「開発予定の武装のパーツの詳細と発注」

 

「発注?パーツ全部自分で造ってるんじゃないのか?」

 

「んな訳ないでしょ」

 

 

目を丸くする和人に僕は溜息を吐く。

 

 

「良い?僕は飽く迄もISに関しての知識とある程度の開発経験があるだけのぺーぺーも良い所だよ?確かに、自分で用意したパーツだけの武装が殆どだけど、複雑なパーツとかはウチの職員か工場に発注してるよ」

 

「その工場はやっぱりイリアステルの息が掛かってる所か。凄そうだな」

 

「ううん。関係の無い町工場だよ」

 

「・・・マジで?」

 

「マジマジ」

 

 

またも和人は驚愕する。それを見て少し笑いながらパソコンの操作を進める。

 

 

「僕って基本的に物作りする時は、材料とか実際に見て吟味してから入手する質なんだよね。だからあまり写真だけとか信用しなくてさ。前にネットで買ったパーツ見たら写真とは大違いの不良品だったし」

 

「それは嫌だな。確かにそうなるかも」

 

「だから自分で工業イベントに参加したり町工場を周って、パーツを見てからお願いするんだよ。それに仮にも人が使うんだ。用心するに越した事は無いよ」

 

「自分の足で工場周るって最早営業マンだなお前」

 

「でも結構楽しいよ?色んな知識に人脈。それと偶にご飯とかおやつ貰えるし」

 

「餌付けされてるぞ、それ」

 

 

可哀想な人を見る目で和人に見られながら、作業を続ける。うるせえやい。

暫くすると、ラウラが復活した。

 

 

「すまない。もう大丈夫だ、これより本隊と合流する」

 

「駄目よラウラちゃん。オイル塗らないと。刹那、お願い」

 

「合点承知」

 

「ま、待ってくれ。まだ心の準備が・・・」

 

 

そして息を荒くしながら痙攣するラウラを作り出してから海へと送る。作業を一通り終えた僕は、和人を連れて波打ち際へと向かった。その手にバケツとシャベルを持って。

 

 

「さて、何を作ろうか」

 

「折角だからエギル達に自慢できるやつにしよう」

 

「ん~・・・アインクラッドでも作る?」

 

「天才かよ。となると最早彫刻の域だな」

 

「そんじゃ、これ参考画像ね」

 

 

端末を操作して、立体映像のアインクラッドを表示する。まずは砂を海水で固めてひたすら山を作る。兎に角大きく作る。僕達の行動に興味を示したのか、ビーチバレーに勤しんでいた女子勢が向かって来た。

 

 

「刹那君、また何か作るの?今年は何かな~?」

 

「今年?明日奈は前から刹那と接点あったのか?」

 

「言ってなかったっけ?刹那君は私の・・・」

 

「婚約者候補だったんだよ。あ、和人。そこしっかり固めてね」

 

「おう・・・って嘘だろ!?今なんて言った!?」

 

「そこしっかり固めてね」

 

「もうちょっと前!」

 

「婚約者候補。と言っても僕達がまだ小学校の頃の話だよ。偶々お偉いさんのパーティーで出会って、意気投合してたら明日奈さんの両親に提案されただけだよ。まあ、断ったけど」

 

「私も拒否したな~」

 

「そ、そうなのか?」

 

 

今日は驚いてばかりの和人に明日奈さんと笑いながら同時に言った。

 

 

「「だって、姉/弟みたいなものだし」」

 

「あ、なんか安心した。絶対にそう言う事あり得ない空気だコレ」

 

「明日奈さんと結婚・・・どう足掻いても姉止まりだね」

 

「うん。刹那君も弟か妹って感じしかしないし。でも刹那君と婚約してたら"あの人"に付き纏われる事も無かったのかな」

 

「ああ、アイツか。でも弟でお願いします」

 

「どうしよっかな?」

 

「明日奈さんっ」

 

「ごめんごめん」

 

 

笑いながら僕を撫でる明日奈さんを見て、和人はとても安らかな笑みを浮かべていた。

 

 

「ああ、理想の姉弟は此処にあったんだなって」

 

「誰か海水ぶっかけてやって」

 

「辛辣過ぎない!?」

 

 

バケツを女子勢に向けて言う僕にシャロがツッコミを入れた。

その後、全員参加でアインクラッドと和人と明日奈さん、僕のALO内での武器を近くに作って皆で集合写真を撮った。

ALOメンバーのチャットルームに写真を送っておくと、直ぐに返信が来た。

 

 

エギル:また凄いの作ったな。

 

クライン:チクショー!人が寂しくぼっち飯してる時に楽しそうな写真送りやがって!

 

リズ:それもう素人の作品のレベル越えてるし!?

 

シリカ:あ、三人の武器もありますよ。凄いな~。

 

リーファ:良いなお兄ちゃん。私も行きたかったー。アレ?ユイちゃん現実に居ない?

 

シノン:アンタ・・・あと何人増やせば気が済む訳?

 

 

最後の一文から、僕か和人に対する殺意がヤべーイ!

 

 

「これ、和人でしょ?絶対に《師匠》誤解してるって」

 

「いや、俺じゃないだろ(コイツまだ誤解してるのか・・・)」

 

「(シノのんは和人君じゃなくて刹那君の事が好きなんだけどな~)」

 

「(でもシノンさんはツンデレさんですから気付きにくいですよ)」

 

「なんで三人で僕を見るの?」

 

 

温かい視線を向ける和人達に僕は首を傾げる。師匠と呼んだ人物。《シノン》と書かれた人物は、僕がとあるゲームでお世話になった人である。その話は長くなるので、また今度だ・・・。

 

 

「じゃあ、写真も撮ったし壊そうか」

 

「勿体ないけどデカイから邪魔だしな」

 

「仕方ないよね」

 

「そうですそうです」

 

「「「「じゃあ、ドーンッ!」」」」

 

 

僕は和人達とアインクラッドを思いっきりパンチして破壊した。心なしか、明日奈さんのパンチが一番威力があった気がしたけど、気にしない事にした。

呆然としてるシャロ達に声を掛けて、父さん達の元へ戻る。いや、何時まであっても邪魔じゃん?

 

 

「あーお腹減った。母さん、お弁当お弁当」

 

「分かってるわよ。さあ、皆ご飯にしましょう!」

 

 

何とか思考回路が復帰したシャロ達も合流して昼食タイムに入る。朝に母さんと明日奈さんで作った重箱に詰められたお弁当を食べる。

 

 

「うまうま・・・」

 

「相変わらず美味しそうに食べるね。刹那」

 

「だって美味しいし。そう言う簪だってさっきから手が止まって無いよ?」

 

「う・・・だって凄く美味しいし」

 

「だよね。あ、いただき」

 

「ふぇ・・・?」

 

 

簪の頬に付いていた米粒を取って食べると、素っ頓狂な声を上げてから顔を真っ赤にして俯いてしまった。思わず僕も頬が熱くなる。しまった。今の状況でこの好意はかなりマズい。

視線を逸らすと、その先ではシャロ達が頬に米粒を頑張って貼りつけてから僕に向けて居た。おい、その期待した視線を止めろ。桐ケ谷親子(予定)も笑顔で見守らないで。

家の両親も同じ表情をしていた辛い。

 

 

「・・・ごちそうさま」

 

 

食べ終えた僕達は、ただボーッとしながら目の前の海を見る。此処最近、まともに休んでいなかったから、こうやって何も考えずに景色を見るのは久しぶりな気がする。整備こそされているが、過疎化の進んだこの海水浴場には人が全く居なかった。まあ、もうクラゲの出る時期でもあるから来ないのは分かる。

 

 

「あー・・・戻りたくないなぁ、学園」

 

「現実見ようよ、刹那。ボクなんて一夏から聞いたのか、篠ノ之さんからの連絡凄い事になってたよ。まあブロックしたけど」

 

「その二人が居なきゃそこそこ楽なんだけどね」

 

 

苦労人コンビであるシャロと溜息を吐く。その後、愚痴と世間話を挟んでから本日のメインイベントへと入る。

 

 

「それじゃあ、今日のメインイベントのスイカ割りだ!」

 

「これがクラリッサの言っていたスイカ割り・・・どの様なルールなのだ!?」

 

「目隠ししてその場で回転。周りの指示を頼りにスイカを割るシンプルなルールだよ。あ、指示には嘘もあるからね」

 

「なるほど・・・」

 

「じゃあ、取り敢えずやってみようか」

 

「うむ!」

 

 

意気揚々と目隠しをするラウラに苦笑しながらスイカを準備する。その間にもラウラは木の棒を軸に回転していた。

 

 

「よし、準備出来たよ」

 

「こちらもだ。ふっ・・・軍で鍛えた私に負けは無い!」

 

「ラウラ、せめてこっち向いて。そっちには大海原しか広がってないよ」

 

 

既にフラフラで僕達の居る場所とは無関係の場所に居る彼女に、僕は何も言えなくなる。周りも思っているだろう。ああ、負けフラグなのだなと。

数分後、僕達の目の前にはまともに前に進めずそれどころか後頭部から砂浜にダイブしてスイカにすら辿り着けなかったギャン泣きのラウラの姿があった。

 

 

「ぐしゅっ・・・あだらなかった」

 

「そうだねー、痛かったねー」

 

「ぐんじんだっだのに・・・」

 

「どんまいどんまい」

 

 

適当に言いながらラウラを撫でるシャロは完全に保護者のそれだった。というかラウラって段々子供っぽくなってる様な。ああ、今まで抑制されてた分が今来たのか。

 

 

「んじゃ、気を取り直して次は誰が行く?」

 

「私が行くわ」

 

「明日奈さんね。それじゃあ、目隠しどうぞ。さ、和人が何時もの様に付けて上げて」

 

「何で分かるんだよ!?」

 

「え、カマ掛けただけなんだけど。うわ、マジかー」

 

「ちょ、ちょっと和人君!」

 

「ち、違うって!それに目隠しは明日奈の趣味で・・・!」

 

「嘘でしょ!?」

 

 

知りたくなかったよその事実。皆も顔を紅くしてるし。父さん達なんか、まだまだ青いなとか言ってるし。いや、そんな事実も知りたくなかったわ。

 

 

「と、兎に角準備出来たよ」

 

「では、よーいスタート!」

 

「ママ!そのまま真っすぐです!」

 

 

ユイちゃんの声に明日奈さんはゆっくりと歩を進めて行く。少し足取りは覚束無いが、かなりのペースで進めている事にラウラがショックを受けていた。

 

 

「明日奈!そこを右だ!」

 

「騙されたら駄目ですよ明日奈さん!左斜め前です!」

 

「結城様、少し下がった方が宜しいかと」

 

「違います。そこで更に前進です」

 

「そこを右斜め前だ!ふふふ・・・そのまま海へゴーだ!」

 

「えっと・・・えっと・・・」

 

 

ユイちゃん意外全員が嘘を吐く。まあ、これが面白さを引き立ててくれる訳だし。明日奈さんもかなりお困りのご様子。実は彼女、スイカの目の前で棒を振りかざしている状態である。さて、そろそろスイカも食べたいし僕も参加しますか。

 

 

「明日奈、そこを少し右だ!」

 

「えっと・・・此処ね!行くわy「明日奈さんから見て左斜めに袈裟切り」・・・分かった!」

 

 

僕の指示を聞いて、明日奈さんが袈裟切りの要領で棒を振り下ろすと、側面だが確かにスイカが割れた。よって明日奈さんの勝ちとなる。

 

 

「やった!もう、皆嘘ばっかり言って!」

 

「でも刹那の指示は一瞬で信じてたな」

 

「だって自慢の弟の指示だもん。お姉ちゃんとしては信じないと」

 

「まだそのネタ引きずってたの」

 

 

その後、スイカを美味しく頂いた僕達は波打ち際で遊んでから海水浴場を後にした。帰りの電車の中、僕以外が寝落ちしてる中でセシア達と今日初めてまともに会話する。

 

 

----今日は静かだったけどどうしたの?

 

----あの馬鹿兎とちょっと話をしてたんですよ。

 

----一応、ラファールを残していたんだがな。

 

----なんか皆楽しそうだったから水を差すのは悪いかなって。

 

----別に良かったのに。

 

 

どうやら気を利かせてくれたらしい。なんか申し訳ない。

 

 

----じゃあ、お礼に帰るまでは話でもしよっか。

 

----良いの!?それじゃあね・・・。

 

 

こうしてラファールやセシア達とお爺ちゃんの家に着くまで、話していた。

 

 

~数時間後[縁側]~

 

 

祖母の家の縁側に僕は一人座っていた。時刻は夜中の二時過ぎ。所謂丑三つ時と言うやつである。綺麗な月夜にふと目が覚めてしまった僕は、眠くなるまで外の空気を吸おうと思っていたが、これがまた眠れない。

暫くすると、後ろの戸が開いて誰かが起きて来た。

 

 

「如何なさいましたか、刹那様」

 

「起こしちゃったかな?ごめんね、クロエ」

 

「いえ、お気になさらず。それよりも夜風に当たり過ぎては良くありません」

 

「そうなんだけど、ちょっと眠れなくてさ」

 

「そうですか。では、失礼します」

 

 

そう言ってクロエは僕の隣に座って、手を繋いで来た。ただ繋ぐのではなく、指と指を絡めた世間で言う恋人繋ぎという行為に当たる物だ。

 

 

「あの、クロエさん?」

 

「この様な時にでも攻めなければ刹那様は落とせないと、束様に言われました」

 

「・・・余計な事を」

 

「刹那様?」

 

「何でもないよ。・・・そういえば」

 

 

クロエを見ていて、ふと思った事を伝える。

 

 

「僕って、クロエの目って見た事無いなって」

 

「っ・・・!」

 

「あ、ごめんね。もしかしてデリケートな話だったかな」

 

「いえ。そうでした・・・いずれは露見してしまうもの。ならいっそ・・・刹那様」

 

「何かな?」

 

「私の目を見てください」

 

「うん・・・えっ?」

 

 

僕は思わず固まった。クロエの双眸から現れたのは、黒い眼球に金の瞳と言う見た事の無い瞳だった。その瞳は、少し揺れながらも僕へと向けられていた。そしてクロエから震えを誤魔化した声が聞こえて来た。

 

 

「私は元々、ラウラと同じデザインベイビーとして生まれて来ました。この瞳はその影響です。刹那様、正直な感想を仰ってください」

 

 

僕の中で時が止まった様な気がした。フリーズする思考。大いに乱れる脳内。残った僅かな理性がなんとか復活する。そしてクロエに対し、僕の出した言葉は・・・。

 

 

「綺麗だ・・・」

 

「え?」

 

 

ただ純粋な賞賛だった。実際に僕は彼女の瞳を心の底から綺麗だと思った。その双眸に月明かりが反射すると更に美しく感じた。

やけに鼓動が速く感じる。クロエを見ると、更に加速して胸の近くがキュッと締まる感覚がした。でも、不思議と嫌では無い感覚だった。

 

 

「クロエ・・・」

 

「せつ、なさま・・・」

 

 

不安そうな顔で見上げるクロエの頬へ自然と手が伸びていた。自分でも驚く位の優しい力加減で、壊れ物に触れるかの如く指を這わせる。

 

 

「クロエが過去に何かあったのかは分かった。でも、僕は今そんな事どうでも良いと思える位に君の瞳が綺麗に見えた」

 

「本当ですか?・・・嘗て、私の目を見た者達は揃って気味が悪いと言っていました」

 

「そんなの人それぞれでしょ。僕だってこの髪と目が気持ち悪いって何回も言われたよ」

 

「そんな事ありません。私は、貴方のその髪と目が好きです」

 

「僕だって同じさ。君をとても魅力的に感じてるよ」

 

「そんな事、束様すら言いませんでした」

 

「束は素直じゃないからね。でも、考えてる事はきっと一緒さ」

 

 

どうしてこんなにも僕は今、この子を愛おしいと感じているのだろうか。いや、というか目と目が合う瞬間に本当に好きだと気付いちゃったんですけど。

 

 

「本当に綺麗で・・・好きだ」

 

「刹那様・・・んっ」

 

「ん・・・」

 

 

思わず口に出した瞬間、クロエに唇を塞がれた。僕も負けじと塞ぎ返す。その際、決してクロエの瞳から目線を外す事は無かった。自分でも信じられない位の陥落っぷりである。即堕ち2コマとか目じゃないなオイ。

 

 

「クロエ・・・今更だけど、僕は」

 

「刹那様、その言葉はデートの件が終わってからお聞かせください。だから今は・・・何も言わずに、こうさせてください・・・」

 

「うん・・・」

 

 

正面から抱きついて来るクロエを僕は慣れない手つきで抱きしめ返す。こうして、中々眠る事も出来ずに夜が明けた。

その日は二人揃って寝坊した。

 

 

刹那サイド終了

 

 

三人称サイド

 

 

刹那達が夏休みを満喫している間、とある組織のメンバー《スコール・ミューゼル》と《オータム》はIS開発の企業である《倉持技研》のトップと秘密裏に話し合いをしていた。

 

 

「では、此方のデータをどうぞ」

 

「ありがとうございます。では、コレで・・・」

 

「はい。派手にやってしまってください」

 

 

スコールの渡したデータは、全て刹那自身と使用するISのスペックデータ等であった。そしてもう一つ、新たなISの設計図である。

 

 

「私達の目的は一致している。貴方方は不動刹那の無様な姿を逆手にイリアステルとの共同開発を現実に。私達は、不動刹那と言うイレギュラーの排除」

 

「ええ、実に良い取引だと思っています。必ずISは完成させましょう。ですが、この性能ですとパイロットが限られますね」

 

「居るじゃないですか。丁度良い実験台である一人目さんがね」

 

 

そう言うスコールの前に映し出されたのは、世界初の男性操縦者と呼ばれる織斑一夏の姿だった。それを見て、スコールは狂った様な笑みを。オータムは体に虫唾が走るのを感じながら憎悪の籠った目で写真を見つめた。

 

 

「精々、踏み台になってちょうだいね。世界最強の弟君♪」

 

「こんな男に・・・!」

 

 

だが、この時彼女達は気付く事は無かった。どの様な経緯であれ、篠ノ之束と不動刹那の両名を敵に回すと言う意味を・・・。

 

 

三人称サイド終了

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