約3ヶ月ぶりとなってしまいました。
遅れた理由としてはモチベーションの低下です。資格試験の勉強や左足の骨折、終いには祖母の死もあってマジでやる気が出ませんでした。
ぶっちゃけ今もモチベーションは低いですので次回の投稿も未定ですがよろしくお願いします
「じゃあ八幡君。私はもう行くけどくれぐれも美奈兎ちゃん達にラッキースケベをしないでね」
早朝7時。アスタリスク中央区の運営委員会本部前にてシルヴィはジト目でそんな事を言ってくる。
今日は鳳凰星武祭2日目だ。しかし俺は今日、嫁3人とは別行動を取る。
シルヴィは運営委員会の仕事があり、ノエルはガラードワースの教師としての仕事があり、俺はW=Wとしての仕事があり、それをやりつつチーム・赫夜と会う予定だ。そしてオーフェリアは俺達が仕事があるが故にユリス達と星武祭を見に行くので、今回は全員バラバラに過ごすのだ。
そんで俺は今、同じタイミングで家を出たシルヴィを運営委員会本部まで送っていたが……
「しねーよ!」
思わず叫んでしまった。まだ本日最初の試合が始まるまで2時間以上あるので人は少ないが、街を歩いている人全員が俺を見るくらいの大声を出してしまった。
「だって八幡君、美奈兎ちゃん達に数え切れない程ラッキースケベをしたじゃん。ちゃんと回数知ってるんだからね?」
「え?マジで?」
「うん。美奈兎ちゃんには386か「わかった!俺が悪かった!今日は気をつけるからそれ以上は勘弁してください!」……絶対だよ。嘘ついたら今夜搾り取るからね?」
「ラッキースケベはしないから安心しろ」
「なら良し。じゃあまたね八幡君」
シルヴィは笑いながら頷くと、そのまま運営委員会本部の中に入っていった。そして俺はシルヴィが見えなくなるまで見送ると運営委員会本部に背を向けてクインヴェールの方向に向かって走り出した。美奈兎達と会うのは午後だが、それまでは仕事があるからな。早い所クインヴェールに行かないいけない。
それから30分後……
「漸く着いたし、さっさと仕事を終わらせるか」
俺はW=Wのツインホールにあるクロエの執務室の前に到着したので懐から専用のカードキーを取り出してカードキーをセットする。そして中に入ると……
「あら八幡……って危なかったわ。後10秒早く来ていたら見られていたわね」
丁度黒いスーツを着ようとしているクロエの姿が目に入る。どうやら執務室で着替えていたようだ。しかし俺が少しでも早かったらクロエの下着姿を目に入れていたかもしれない。
(危ねぇ……クロエの言う通り後10秒早かったら、ラッキースケベをしてたかもしれないな……)
そこまで考えているとポケットの端末が鳴り出す。メールだ。このタイミングからして嫁達からだろう。あいつら何処に居ようと、俺がラッキースケベをすると何故か理解してメールを送ってくるから。
しかし今回はガチでラッキースケベをしてないのでハッキリ否定するつもりだ。
そう思いながらメールを開くと……
『fromオーフェリア 八幡、ラッキースケベをしかけたでしょ?未遂だから良いけど、ラッキースケベをしたら今夜搾り取るから』
『fromシルヴィ 八幡君さ、今ラッキースケベをしかけたよね?今回は未遂だから良いけど、もしもしたらさっき言ったように今夜搾り取るから』
『fromノエル 八幡さん。今エッチな事をしそうになりましたよね?今回は未遂みたいですから何も言いませんが、出来れば今後もしないでくださいね?』
だ・か・ら!何でお前らは俺の行動を把握しているんだよ?マジで俺の服に監視カメラや盗聴器を仕込んでいるのか?!(仕込んでいない)
(まあ良い。幸い未遂だから文句は言われてないし本題の仕事に入ろう)
未遂である以上どうこう考えても仕方ない。だから本題に入るべきだ。早く仕事を終わらせて美奈兎達と会える状況を作らないといけないし。
そう思いながら俺はクロエに話しかける。
「ラッキースケベが起こらなくて何よりだ。それより仕事をくれ」
「そうね……じゃあこれ。今回は実働部隊としてじゃなくて私のアシストをお願いね」
言いながらクロエは空間ウィンドウが表示して俺に渡してくる。見ればW=W以外の統合企業財体の弱点になりそうな情報がびっしりと表記されている。
(やれやれ、書類の精査は好きじゃないが実働部隊としての仕事がないんだから仕方ないか)
喚いても仕事がなくなる訳ではないのだから俺に拒否権はないのだ。
「はいよ。そんじゃさっさと終わらせるか」
「そうね。ところで八幡。貴方、合宿の時に襲われたじゃない」
「それがどうした?」
「絶対とは言い切れないけど、葉山一味って可能性が高いわ」
クロエはそんな事を言ってくる。それについては俺も同じ考えだ。昨日ノエルを口説いた葉山は俺を見た時に憎悪を剥き出しにしていた。
加えて結婚前に闇討ちをしてきた事も考えると十中八九葉山グループと思える。
しかし……
「なんか証拠は見つかったのか?」
決定的な証拠が見つからないのだ。幾ら怪しいと言っても証拠が無ければ捕まえるのは無理だろう。
「証拠はないわ。ただ、貴方が乗った大津行きの飛行機の乗客リストを調べたら、葉山一味の名前が表記されていたわ」
「なるほどな」
確かにそれは怪し過ぎるな。20年近く前に俺を殺そうとした相手と同じ便の飛行機なんて出来過ぎている。例の襲撃犯が葉山グループのメンバーである可能性は高い。
しかしこれはあくまで状況証拠だ。決定的な証拠ではない以上、向こうは間違いなくシラを切るだろう。
「しかしこれだけじゃ捕まえるのは証拠不足で無理ね。どうにかしてボロを出してくれないかしら……」
クロエはそう言っているが、向こうは自害してくる連中だから厳しいだろう。口封じか自決かは知らないが、死ぬ以上情報を掴むのは至難だ。
(やはりここはワザと襲われて、材木座から貰ったカブトムシ型自律思考擬形形を使って証拠を手に入れるのが最善だな)
受身に回るのは好きじゃないが、証拠が殆ど無い今、無理に探ろうとしてボロを見せる訳にはいかない。ここは多少リスクを負っても確実性を重視していこう。
ともあれ……
「まあ今日明日襲われるってのはないし、今は仕事に集中しようぜ」
流石にW=Wの本拠地の中で襲われる事はないだろうし、今やるべきことに集中しないといけない。
「それもそうね。じゃあさっき渡した仕事を宜しくね」
「はいよ」
クロエが空間ウィンドウが表示して仕事をやり始めながら指示を出すので俺も彼女に続くように空間ウィンドウに意識を向けて仕事を始める。
5時間後……
「……良いわ。確認したから上層部に送信して。そしたら今日の仕事は終わりよ」
電子書類を確認したクロエはそう言ってくるので、俺は上層部に暗号メールを送信する。
「送信したぞ」
「ご苦労様。じゃあ仕事も終わったし美奈兎達と会いましょう」
クロエがそう言うと音楽が流れる。これは俺の端末の着信音ではないので必然的にクロエの端末だと判断出来る。
クロエが端末を取り出して空間ウィンドウを開く。そしてふむふむ頷いたかと思えば顔を上げて俺を見てくる。
「タイミングバッチリね。丁度今クインヴェールの前にいるみたい。入校許可証を発行しながら向かいましょう」
「了解。申請しとく」
言いながら俺は入校許可証を4つ申請しながらクロエと一緒に執務室を後にする。何だかんだ美奈兎達と会うのは久しぶりだから楽しみにしている自分がいる。
そして申請を済ませながらエレベーターで一階に降りて校門に向かうと美奈兎達4人が立っている。それを見た俺とクロエの足は自然と早くなる。
そうなると足音が響き、向こうも俺達に気付く。すると美奈兎とソフィアさんが先頭になって俺達の方に走ってきて……
「「久しぶり(お久しぶりですわ)!」」
そのまま勢いに乗って美奈兎はクロエに、ソフィアさんは俺に抱きついてくる。同時に柔らかい感触が俺の身体に伝わってくる。
「……相変わらず元気そうで何よりだわ」
チラッと隣を見ればクロエが仕方ないなぁ、とばかりに苦笑しながら美奈兎を抱き返している。そんな光景は学生時代に何度も見たが、幾つになっても2人は変わらないやり取りをしていて微笑ましく思う。
そしてこちらは…….
「会えて嬉しいですわ……本当に、今日をどれだけ待ち望んだことか……!」
ちゅっ……ちゅっ……
ソフィアさんが俺の両頬にキスをしてくる。しかしこれはソフィアさん曰く友愛のキスだから問題ないとのことだ。実際プリシラやヴァイオレットにもされてるし、間違いではないだろう。
「そりゃどうも。そう言ってくれると俺も嬉しいです」
「ありがとうございます。星武祭期間中はいつも空いていますので、八幡さんも空いている時は一緒に居てくださいまし……」
「それは構いませんが、嫁達ーーー少なくともオーフェリアは居ますよ?」
「問題ないですわ。シルヴィア達にも会いたいですし、私は自分の愛する人と一緒に居られるなら……」
ソフィアさんはそう言って艶のある表情を浮かべながら俺を見てくる。
(や、ヤバい……普段清楚な人がエロくなるのは刺激が強過ぎる……)
これ程エロいソフィアさんを見たのは、ソフィアさんが正式にフェアクロフ家当主を継ぐ前に、一回だけ一夜を過ごした時以来だ。あの時のソフィアさんもガチでエロかったし。
てか幾ら愛し合ってないとはいえ、夫持ちのソフィアさんが俺に愛を囁くのは毎度の事ながら危な過ぎだろ?
「そっすか……それよりも離れてくれませんか?ここは人目につく場所なんで」
幸い今は星武祭の真っ最中の昼だから校門前と言えど人は居ないが、いつ現れてもおかしくないだろう。
「わかりましたわ……ですが、また後でギュッとさせてくださいまし」
俺がそう言うとソフィアさんは名残惜しそうに俺から離れる。それに対して俺は拒否しない。拒否しても抱きつかれるのは容易に想像出来るから。
そんな事を考えながらも俺はソフィアさんから目を逸らして、ニーナを見ると……
「ひ、久しぶり……!」
そのまま俺の腰に抱きついてくる。40近くでも20代で通じるニーナの抱擁は側から見たらロリコンに見えるかもしれない。
「久しぶりだなニーナ。元気にやってたか?」
「うん。仕事は忙しいけど、毎日充実してるよ……」
「なら良かった。もうスッカリ気の弱さは無くなってるな」
出会った当初は学生時代のノエル以上に気の弱かったニーナだが、この様子では気の弱さは無くなっていると思える。
「うん。これも全部八幡のおかげだよ」
「俺は何もしてねーよ。お前自身が変わっただけだ」
そう思いながら優しく抱き返す。確かに幾度かアドバイスはしたが、最終的にニーナが変わるように努力をしたのだ。アドバイス程度で俺のおかげと言うならかなり謙遜している。
「ありがとう」
「どういたしまして……んで柚陽も久しぶりだな」
「はい。お久しぶりです。息災で何よりです」
ニーナとの抱擁を解きながら柚陽と向かい合うと柚陽は丁寧に頭を下げてくるので俺も頭を下げる。何年経っても変わらずに礼儀正しいな。普段の言動も丁寧だし、どっかの葉虫グループも見習って欲しいものだ。
「ありがとな。そっちは大丈夫か?元気にやってるか?」
「はい。最近仕事も変わって慌ただしかったですけど、元気にやっていますよ」
「そういや最近昇格したらしいな。ま、仕事が変わると最初は怠いけど頑張れや……んで」
「八幡く〜ん!久しぶり!」
言いながら頭を上げて横を見ると、美奈兎がクロエとの抱擁を解いてそのまま俺に抱きついてくる。こいつも学生時代の頃から変わらず小動物のような雰囲気丸出しだな。
「久しぶりだな……それとニュース見た。前に電話で言ったけど、改めて言わせてくれ……おめでとさん」
「ありがとう!前に電話で言われた時も嬉しかったけど、直接言われるともっと嬉しいな!」
「それは良かった。久々に会ったんだし、詳しい話をゆっくり聞かせてくれや。……他の3人もな」
赫夜のメンバー全員と会うのは本当に久しぶりだ。いつも一緒に仕事をしているクロエ以外の4人の話をたっぷりと聞きたい。
そう思いながら4人を見れば……
「「「「うん(はい)(ええ)!」」」」
満面の笑みを浮かべながらそう言ってくる。そう言って貰えて俺は本当に嬉しい。
「決まりね。じゃあ早く行きましょう」
クロエがそう言って美奈兎達4人に入校許可証を渡しながら再度クインヴェールの校門をくぐる。
それを見た俺達は笑みを浮かべながら幸せな気分でクロエに続いて校門に入ったのだった。
「あれは……比企谷にチーム・赫夜……まさかまた何か卑怯な事を企んでいるのか?屑に、その屑の弟子5人だ。何かしら企んでいるに違いないし、俺とノエルちゃんの幸せの為にも作戦の変更も考えないとな……」
登場人物紹介
ソフィア・フェアクロフ (39)
欧州の名家であるフェアクロフ家当主。本来なら兄のアーネストが継ぐ仕事が本人の嘆願や八幡やシルヴィアやオーフェリアの協力もあって家を継げる事が出来た。
それによって元々八幡に抱いていた恋心が更に増大してノエルと同様、八幡にアプローチをかける。(その際にノエルとは状況に応じて協力しあっていた)
その際にオーフェリアとシルヴィアに認められ、八幡に振り向いて貰えるようにアプローチをしていたが、フェアクロフ家にそれを認知され猛反対を受ける。フェアクロフ家は八幡と付き合うなら次期当主をアーネストに戻すとソフィアに告げる。
それを聞いたソフィアは1ヶ月間悩むも、幼少時代からの願いであった『アーネストの代わりにフェアクロフ家を継ぐ』を選択して八幡との結婚を諦める。
現在はフェアクロフ家当主として同じ欧州の名家の当主と結婚して子供をもうけているが、未だに恋心は八幡にある。
尚、結婚前に両親には内緒でファーストキスと処女を八幡に捧げている。(事前にシルヴィアとオーフェリアからの許し有り)