艦これ海上護衛戦   作:INtention

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遅くなり申し訳ありません。

リアルでの仕事が急増しまして、残業続きでした。
帰宅してからのプライベートでも艦これイベントとデレステが忙しく…(言い訳)

今回のイベントも護衛艦艇が多く追加されてうれしい限りです。
乙甲甲丙という、名より実を取る戦略でした。
東海シリーズは確保不可避。紫電改四より重要ですからね。


第十一話 増援要請

「こちらがテ27船団の概要です」

「うむ」

「こちらが第四水雷戦隊へ支払う燃料です」

「うん」

「次は先日の出撃で9駆が使用した弾薬、魚雷、機銃弾数です」

「機銃を何発撃ったかなんて記録してるのか?」

「こちらに報告書があります」

「これか…」

 

デスクの未決の箱に入れられた大量の書類を片付けているが、一向に無くなる気配がない。

仕方ないので第七艦隊のスタッフに手伝ってもらっている状態だ。

 

「ここの所、出張続きだからなぁ」

「こちらの束を早めに承認して頂けるとありがたいです」

「分かった。それにしてもこんなに紙媒体が多いのか」

「電子決済システムはこの艦隊の一部しか登録されていないのですよ」

「えぇ…」

「申請はしているのですが…。今度中央に行く機会がありましたら催促をお願いします」

「そうするよ」

 

山のように積み重なった書類を分類してくれた部下は自席へ戻ろうとした。

 

「そうだ。この資料って保科では通せないのかな」

「参謀長ですか?物によるでしょうけど、やはり司令官か秘書艦でないといけない物もありますから」

「そうか…」

「では失礼します」

「おう。ありがとう」

 

彼は一礼をして帰って行った。

書類仕事は背広組の方が処理が早い。俺は前線勤務が多かったため、そこまで書類仕事が得意ではないのだ。

急ぎの書類を片付けていると、とある書類に目を留めた。

 

「南支那海の航路制限の解除」

 

連合艦隊からの書類だ。

航行を妨げていた問題が解決したらしい。

良い事である。

今月の初めに始まった大規模作戦も前段作戦が終了し、いよいよセイロン島に上陸を開始している。

とりあえず、海上での戦闘は一段落着いたため、輸送路も安定して来るはずだ。

 

だが南支那海で中国の船団がやられたと誰かから聞いた。

まだ完全に安全とは言えないという事か。

 

卓上の電話が突如鳴り響く。

スタッフからの内線のようだ。

 

「…長官。護衛艦隊司令部からお電話です」

「分かった。繋いでくれ」

「はい」

 

数秒の間の後、電話が転送されて来た。

 

「…突然のお電話申し訳ございません」

「構いませんよ」

「先程のメールはご確認されましたか」

「メール…」

 

デスクトップを確認すると、確かにメールが来ていた。

ざっと内容を流し読みする。

 

「はい。確認しました」

「先日の中国船団壊滅事件を受け、本局には増発する予定の船から懸念の電話を多く受けております」

「はい」

連合艦隊(GF)にも、護衛戦力の増加をお願いしたいと思いまして」

「え。増加ですか…」

 

なかなか無茶な要求をして来る。戦力不足はようやく解決へ道筋が付きかけているが、これ以上は無理である。

 

「本艦隊が手配出来る戦力にも限りがありますので…」

「先月のテ船団には非常に豪華な護衛が付いたと聞きますが?」

 

護衛が豪華なテ船団とは…テ77船団の事か!

極秘の船団のはずだがバレている。

あの船団は連合艦隊と大手重工業用の軍用資源を運ぶ物で、護衛艦隊には一切知らせずに運行させるため、半個水雷戦隊と巡洋艦数隻が護衛するという豪華な編成になったらしい。

名目上は傷付いた艦娘の帰還と合同としているが、傍から見れば過剰と見られてもおかしくない。

 

「あれは本土へ修理しに向かう艦娘も含まれておりますので警戒隊は2個駆逐隊のみです」

「普段の船団なら1個駆逐隊もないではありませんか」

「それは…」

 

相手も痛い所を突いてくる。

 

「確かあれは第四水雷戦隊(4sd)旗艦の矢矧が大破しており、司令部が呉へ移動するために水雷戦隊全体が本土へ帰る必要があったからです」

「矢矧が大破ですか」

「呉のJMUから提出された報告書に詳細は載っているかと」

「ありがとうございます。では後ほど正式に()()()を提出しますので、よろしくお願いします」

「分かりました」

 

なんとか切り抜けたか。しかし、情報が漏れているのは大丈夫なのだろうか。上に尋ねてみようか。

 

連合艦隊司令部に電話を掛ける。

数コールの内に相手が出た。

 

「はい。GF司令部です」

 

司令部のスタッフらしい。

 

「7Fの者ですが、GFの参謀クラスの者と面談をしたいと思いまして」

「少々お待ち下さい」

 

電話が保留になり、メロディーが流れる。

スタッフが戻って来ると、声が緊張したものになっていた。

 

「7F長官ですね?」

「そうですね」

「畏まりました。GF長官と面談をセッティング致します」

 

会談相手がランクアップしている。何か向こうで指図でもあったのだろうか。

 

「あぁ、ありがとう」

「来週のご都合は如何ですか?」

「そうだね。月曜以外なら空けられるかな」

「では火曜日の15時は如何でしょう」

「分かりました」

「ではそのようにセッティング致します」

 

参謀程度で良かったのだが、トップと会えることになった。

喜ばしい事だが、何か勘違いをされている気がする。

 

出張が決まったからには書類の束を減らしておかなければならない。

誰かお手伝いさんでも雇おうか。

そんな資金は無いが。

 

 

 

翌週の火曜日、俺は呉にいた。

連合艦隊司令長官と会うためだ。

もう一つ用があるが、まずは会談からだ。

 

連合艦隊司令部も例に及ばず陸上にある。特別な建物という訳ではなく、呉鎮守府内にある。

 

もう呉鎮守府には行き慣れており、呉地方総監へ足が向かってしまう事はない。護衛艦隊との板挟みなのは慣れないが、連合艦隊に染まりつつあるのは確かだろう。

 

司令部に付くと、まだ時間には早かった。ロビーで待っていると、スタッフは普通に接して来る。やはり先週の電話の好待遇がおかしかったのだろうか。

予定時間の5分前に呼ばれ、司令長官室へ入った。

 

部屋には高野長官と秘書艦の大淀がいた。以前と変わらぬ光景だ。

 

「よく来たな。まあ座ってくれ」

「お構いなく」

「君がGFに来るのは久し振りだな。また艦娘の苦心か?」

「ええ、まあ。その前に、稟議書の電子システムに我が艦隊を加えるようにお願いしたく。下から何度も言われておりまして」

「なんだそんな事か。大淀、任せる」

「分かりました」

「次は?まさかこれだけという事は無いだろう?」

 

呆気ない。だがその一言で全てが済むのだろう。二人の信頼性と大淀の事務能力の高さか。

 

「実は護衛艦隊から護衛艦艇を増やすよう急かされておりまして。派遣する駆逐隊を増やすようGFからお願いしたく思います。テ77船団や南支那海の事もありますし」

 

俺がそう上申すると、提督と大淀は顔を見合わせた。俺が二人の反応を見ていると、提督はこちらを向き、話を逸らした。

 

「君は南支那海で中国の船団が壊滅した事件を知っているな?」

「ええ。仕事に直結しますから」

「そうだな。その船団の事を知っているか?」

「概要だけは。南沙諸島に侵攻しようとした中国海軍が敵潜水艦にひどくやられたと聞きました」

「ああそうだ…………、明日は我が身だ。精進して欲しい」

「分かりました。しかし、あれは事実なのですか」

「そうだ。軍令部が確証を取っている」

「そうですか」

 

高野長官は俺の返事を聞くと安堵した表情で大淀に頷く。

二人の意図は俺には分からないが、何かあるのだろうか。

 

「それと…、」

 

高野長官は付け加えるように言った。

 

「護衛艦隊では無いが、新たに南洋までの通商ルートを確保してもらいたいと思っていた所でね」

「はい?」

「具体的には、横須賀から小笠原を通り、マリアナ諸島、トラック、ラバウルまでを結ぶ航路だ」

「それは分かりますが…」

 

現在、日本と西洋との交易は全てシンガポール経由だ。つまり本土とシンガポールの間と、フィリピンや台湾など周辺の国に護衛戦力を注力している。

それとは別に、制海権を広げるためにミッドウェーやラバウルに前進基地がある。補給のため、本土との間を輸送船が結んでいるのだが、護衛艦隊はほとんどこのシーレーンに関与していない。手が足りない事と、縄張りのような対立が原因らしい。

GF長官は今度から、東航路も護衛を付けるように要請して来たという訳だ。

護衛艦隊だけでなく、身内の連合艦隊からも護衛を増やすように言って来た訳だ。俺にどうしろと。

 

「現実性がありません」

「だがこうしている間も輸送船が行き来しているぞ」

「それは第四、第八艦隊が護衛しているのでは」

「それがね。艦艇不足でほとんどの輸送船は各自で運行している事が分かった」

「自殺行為では無いですか!」

「護衛艦艇が無いのならば、船団を組むのは逆に危険だ。独行にもメリットはある。単独航行は船団を組み直す手間が省ける上、広い太平洋で1隻だけ航行している船を見つけるのは困難だろうからな」

「敵潜水艦にもレーダーがあるかも知れませんし、危険な事には変わりありません」

「だから君を呼んでいるのではないか」

 

こっちの実情を分かって言っているのだろうか。そのための戦力が欲しいと言っているのだが。

 

「無い袖は振れません」

「タダでとは言いません。こちらから幾らか便宜を図るつもりです」

 

隣の大淀が付け加えた。

俺は少し考え、最大の譲歩を引き出そうとした。

 

「では六水戦を頂けないでしょうか」

「あれは第四艦隊の遊撃部隊だ。唯一の実働部隊と言っても過言ではない」

「しかし、船団と同行すればパトロールになります」

「なるほどな。全部は無理だろうが、一部駆逐隊の貸与を検討しよう」

 

それでは今とほとんど変わらない。

 

「第八艦隊は」

「8Fは最前線部隊だ。次の大規模作戦でも先鋒を担ってもらう。引き抜けんな」

「ですよね…」

 

他に手は無いだろうか…そうだ。未配備の艦娘はどうか。

 

「では…新造艦を頂けませんか」

「新造艦?」

「新しく竣工した艦娘です」

「新型ねぇ。大淀、竣工住みで鎮守府付けの艦娘は誰がいたか覚えているいるか」

 

大淀は手帳をめくり、リストを読み上げた。

 

「航空母艦"葛城"、駆逐艦"高波"、水上機母艦"秋津洲"の三隻です」

「その内の誰かをお貸し願えませんか」

「う~む。葛城は訓練が終了次第、第二機動部隊へ着任する事が決まっている」

 

まあ、そうだろうな(師匠並感)

残りニ隻はどうだろうか。

 

「新人を君に持たせるのは別に悪くないが、早く実戦投入したいのが実情だ」

「でしたら!」

「新人には教育が必要です。あなたの艦隊には艦娘一人いないではありませんか」

「……」

「高波は葛城と同じようにニ航艦に預けます。姉妹もいますからね」

「そうですか…」

 

駆逐艦も駄目か。残りは…水上機母艦。航空機による哨戒が出来るのではないか。

 

「水上機母艦は如何でしょう」

「秋津洲は飛行艇を整備するための艦娘です。艦隊に付いて行く能力は低いですね」

「輸送船は軍艦より遅いですから問題ありません」

「秋津洲が飛行艇を扱うのは停泊時であり、航行時には搭載出来ません」

「えぇ…」

 

日本の水上機母艦らしくない軍艦だな。旧式貨物船改造の水上機母艦の方がまだマシではないか。

前線に基地を設ける時間が無いほど最前線ではないし、そもそも我が艦隊にはそんな機材もない。

 

秋津洲を含めて新型艦を貰うのは難しそうだ。そもそも教育体制がどうと言っている時点でこちらに譲ってくれる気は無いように思える。

ガッカリした様子を見かねたのか、高野長官はアドバイスをしてくれた。

 

「基本的に新型艦を待ち望む艦隊は多い。欲しい軍艦がいるのなら、軍令部に要請を出してみるべきだな」

「現場の要望など通るのでしょうか」

「来年度計画の参考にはするんじゃないか?」

「分かりました。ありがとうございます」

「後…、これは内密にして欲しいのだが…」

 

高野は辺りを見渡し、俺と大淀しかいないのを確認すると、話し始めた。

 

「第三艦隊は解散する」

 

「え?」

「アジア諸国という人類の海軍向けの艦隊は不要だと言う事で解散になった」

「突然ですね」

「それと、第三艦隊に所属していた艦娘の配属先は決まっていない。狙い目だと思わんかね」

「仰る通りです」

「こちらへ部隊の増援要請を出してくれ。優先順位を上げておこう」

「ありがとうございます」

 

俺は敬礼をすると、立ち上がった。

収穫も多かったが、その代償も大きかった。




2か月かけて書きましたが、思いのほか文字数がありました。
話も二部構成だったので、二つに分けます。
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