それはなんと・・・モデル!?
「お前熱あるよな、絶対そうだよな?」
「いやだなぁ課長、俺は元気ですよ!」
オリジナル短編です。
「おい…お前熱でもあるんじゃないか?いや、絶対あるよな?あるハズだよな?」
引きつる表情でそう訴える俺を見て、男は綺麗に笑ってみせた。
「いやだなぁ課長、俺はめちゃくちゃ元気ですよ?」
あぁ神様、
これは夢ですよね・・・。
―――時間は、つい3日前に遡る。
『課長、ちょっとお頼みしたいことがあるんですが…』
『なんだ?』
『26日、会社に残っていてもらいたいんです。』
『?』
”モデルを頼みたい”そう申し訳なさそうに頼んできたのは、社内でも人気の美形社員、山口君だ。
背が高く、細く見えて実は筋肉がそれなりにあるらしい。(女性社員がそう言っていた)
そして仕事もできて性格も良い。
そんな彼にそれなりの好感をもっていた俺は、自分にモデルなんて務まるのか?と疑問をもちつつもOKした。
そしていざ3日経って26日。もう社内に人が残っているのか不安になるくらいシンとしたオフィスで、別に今やらなくても良いが暇つぶしにでも仕事をしていると、ひょっこりと紙袋を持った山口君が現れた。
「課長、すいませんお待たせして」
「やっと来たか。いや、俺も明日分の仕事をしていたから大丈夫だ。」
「そうなんですか、良かった」
そうパッと笑う彼の笑顔は男の俺でも眩しく見える。女の子たちが騒ぐのもわかる。
「…で、その…モ、デル…ってのは」
俺に務まるのか?と今更ながらそう聞いてみれば、山口君は笑顔のまま即答で答えた。
「ぜひお願いします」
”ここには監視カメラもあるので、ちょっと倉庫にでも行きましょうか”
確かに自分がモデルなんてやっているところを他の社員や警備員に見られでもしたらと思うと恐ろしいので、俺はその誘いに喜んでのった。
そして倉庫、ついてすぐ山口君に渡された紙袋を開いて中身を出してみると…。
「・・・・・・・は?」
「多分サイズは会ってると思いますよ。あ、でも、もしサイズ違ったらすいません」
てへ。と笑ってみせた彼を、俺は固まった体をギギギと無理に動かして、目が点のまま見つめた。
「…ナニ?コレ」
「えっ何って<トキメキ☆ラブプリンセス!だい2まく>の大沼華憐スペシャルラブリープリンセスモードの服ですけど…」
what?
・・・えっ待って待ってまって、今この男なんて言った?
トキメキなんとかプリンセスのスペシャルなんたらモード???
えっ何それ俺知らないんだけど少女コミックか何か?てかなんで”こんなことも知らないの?”みたいな目で見てくるんだコイツは。
「え…っと…何、それって少女コミックかなん」
「アニメです」
「あっ、あ~…ナルホド…アニメね…はは…」
体から嫌な汗が出て止まらない。俺は思わず目を泳がせていた。
こっコイツ……オタクってやつだったのか。
街中でバンダナ巻いてるとか、そういう人は見たことあったが、直接絡んだことは勿論無い。
それに山口君、普段は全然アニメとかの話もしていなかったし、オタクだなんて全然気付きもしなかった。
……こんな世界の違う人種だとは!!
「…というか、何で…俺?」
こんなヒラヒラフリフリな服なら絶対女の子の方がいいに決まってる。
男でそれなりに歳もいったおっさんが着ても、それは気持ちの悪いものになること間違いなしだろう。
想像したくもない自分のコスプレ姿が何故か浮かんで吐き気がした。
しかし山口君は涼しい笑顔でいえ。と口にする。
「課長でなくてはいけないんです。男の、そのままの課長でお願いします。」
「………」
・・・だが、本当に混乱するのは、このあとだった。
「えっと……山口…くん?」
バシャバシャバシャバシャ
「はいっ何でしょうか課長っ!」
カシャカシャカシャカシャ
「君は…ホントに山口君…なんだよね…?」
ピローンピローンピローン
「はいっ勿論です!!」
パチパチパチパチパチパチ
「…口から何か出てるよ……」
ピピっピピっピピっピピっ
「これはヨダレです、お気にせず!!」
「気に……」
パシャ―パシャ―パシャ―パシャ―
「するわあああああああああ!!!」
「お、今パンチラktkrwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「………はぁ…」
もう頭、いたい。