~劉備陣営~
「何を言っているんだ鈴々!」
劉璋との戦が迫る劉備軍。小競合いこそあるが未だに大きな動きを見せてない。
だが、ある人物の発言に関羽は激怒していた。
「だから鈴々が1人で偵察するのだ! そうすれば相手の現状を理解出来るのだ!」
義兄弟の張飛が偵察に向かうと皆に伝えたのだ。張飛は力でなら関羽と並ぶ……否、それ以上かもしれない武人。
しかし戦場ならばともかく、彼女が偵察向いているかと聞かれると同意は難しい。それでも張飛には引けない理由があった。
「そうすれば……桃香お姉ちゃんは元気になるのだ……きっと」
「鈴々さん……」
「あ、あわわ……」
「………………」
その場にいる諸葛亮、龐統、趙雲は理解した。武でしか貢献出来ていない自分が他に出来ないかと。だからこその提案であった。
「そんなもの無理に決まっているだろ! 出来もしないことを言うな!」
「やってみないとわからないのだ!」
「そんなことのために時間を使うことなど出来ん! お前は自分の仕事をするんだ!」
「……もういいのだ。愛紗なんて知らないのだ!」
「ま、まってください鈴々さん!」
張飛はその場から去っていき、諸葛亮と龐統はそれを追いかける。関羽は席に座り、頭を抱える。
「随分と荒れているな、愛紗よ」
「……荒れもするさ。こんな状況であんなことを言われれば尚更だ」
「……………」
あの関羽が弱音を吐いている。それだけで彼女自身が精神的に弱っていると感じた趙雲。
「鈴々は強引にもいくだろう。止めなくてよいのか?」
「……構わん。私は兵の調整をしてくる」
そして関羽もその場を去る。
「……ここまでとはな」
趙雲は今の自営に危機感を隠しきれない。今は崩れないことだけを祈る。そして彼女もまた、自分の仕事へと戻っていく。
~森~
「愛紗のわからず屋! 鈴々だって出来るのだ!」
場面が変わり、張飛は単独で劉璋の国近くの森に潜入していた。諸葛亮と龐統は張飛の説得を試みたが彼女はそれを全て拒否し、現在に至る。
「潜入のやり方は美花に教わったのだ。まずは水辺に自分の拠点を……」
「………………ォォォ」
「ッ! 何か聞こえるのだ」
突如、雄叫びのような声が森を木霊する。すぐに臨戦態勢に入り、辺りを見回す張飛。
「……ォォォオオ!!」
警戒しながら声のする方へ向かう。その間にもその声は止むことなく、むしろその声はどんどん大きくなっていく。
「……この先から聞こえるのだ」
果たしてこの声の正体は何なのか。若干の恐怖と共に茂みの中から様子を伺う。
そこには……
「コォォォォォォォオオ!!」
「………………ッ!?」
滝に打たれながら雄叫びを上げる謎の覆面男がいた。
その覆面は見たこともないが何か恐怖を感じられる覆面であった。
「な、なんなのだ……あれは?」
張飛は困惑した。
何故、彼は滝に打たれているのか。何故、彼は変な覆面を着けているのか。
そして何より……
「なんで……服を着ていないのだ?」
今の彼女には全てが理解できないでいた。しかし、その緩みで落ちていた木の枝を踏んでしまった。
「にゃ?!」
「ッ!? 何奴!!」
「マズイのだ!」
音に気付かれた張飛は即座にその場から逃げる。
しかし……
「……あれは、張飛か?」
この男は見逃さなかった。
~臧覇サイド~
人間、解放されたい時はある。特に俺のような極悪人は何事とにも頭を使う。そんな状況で常に気を張る必要などない。
だからこそ、解放がほしいのだ。誰にも邪魔をされず、自分だけの時間が欲しいのだ。
そんな時、俺はいつも行っていることがある。
それは……
「コォォォォォォォオオ!!」
この滝に打たれることだ。意外かも知れんが俺は前世でもこの滝に打たれることは好きだった。
では何故全裸なのかって? 言っただろ、開放されたいと。文字が違う? 気にするな。
「フゥゥゥゥゥゥゥゥウウ!!」
しかし、全裸になると顔が見られてしまう。
だから俺は覆面を自作。かつて前世で見たヒールレスラーのような覆面で正体を隠している。そして街の人間にもこの森には悪霊が住んでいると噂を流し、入れないようにした。
完璧な状況。言っておくが俺は露出狂ではない。だから人に裸を見られたいという願望はない。だが、やってはいけないと言われればやりたくなるのが人間の性。ついついやってしまうのだ。
「コォォォォォォォオオ!!」
しかし、これは気持ちいい。これでより一層とくっころの道を歩ける。
そう思った時である。物陰から枝の折れる音が聞こえた。
「ッ!? 何奴!」
「マズイのだ!」
何者かが逃走する姿が見られた。こんな暗闇の中で特定するのは至難の業。しかし、俺はあの人物に見覚えがあった。
「……あれは、張飛か?」
のだ口調と小柄の少女なんて彼女くらいしかいない。何故彼女がここにいるかはどうでもいい。現時点で一番マズイ問題がある。
「この姿を見られた?」
そう。この姿を見られたことが何よりの問題だ。
「このままではただのHENTAIではないか!」
俺は悪人であってHENTAIなどではない。ましてや自分の裸を見られて興奮するような性癖を持ち合わせてなどいない。
「誤解を……解かなくては!」
張飛さんは身体能力の化け物。ならば本気で追いかける必要がある。俺はクラウチングスタートをかまし、全速力で追いかけた。そして俺は気付かなかった。自分がまだ服を着ていないことに……
~森奥~
「ハァ……! ハァ……! こ、ここまで来れば大丈夫なのだ」
得体の知れない何かに接触した張飛。幾多の戦場を駆けてきた武人だが、ここまで恐怖に包まれたことはない。それほど先ほどの存在が大きいと見える。
「い、一体なんなのだ! もしかしてあれも劉璋の手下なのか!?」
可能性としてありえなくはない。そう思った張飛はすぐに自営に戻りたい気持ちだった。
しかし……
「け、けど……鈴々も見られたのだ」
確実に姿を見られた。そうなると向こうも追いかけてくる危険性もある。そのまま自営に戻っても無駄に戦力を削ってしまうかもしれない。
「……やってやるのだ!」
気合を入れ、先ほどの存在と戦うことにした張飛。しかし、今回は潜入ということもあり、武装は短剣のみである。
「来るならこい! この燕人張飛が相手なのだ!」
短剣を構え、全方位に意識を飛ばす。どこからでも迎撃は可能といった感じだ。
だが……
「………………」
ソイツは……
「……ど、どこから来るのだ?」
突如として……
「フォォォォォォォォオオオオ!!!」
「ッ!?」
空から舞い降りたのだ。
「……ッ! ……ッ!」
声にならない声を出す張飛。しかもまた服をきていない模様。
様々な出来事が重なってしまった結果……
「張飛だな? 貴様は勘違いを……」
「………………」
「……ん?」
「きゅう……」
意識を手放すことにした。それはある種の自己防衛とも言える。
「………………は?」
突然気絶した張飛に驚く臧覇。もちろん服は着ていない。それにも気付いていない様子。
「え? 待って? どうしたの張飛ちゃん?」
肩を掴み、頭を揺らす臧覇。
さて客観視点で見てみよう。覆面を着けた全裸の男が幼女にも見える気絶をした女性に接触している。
これだけで事案と判断が出来る。
「起きてー……起きてくれー。そして説明させてくれー」
まずは服を着ることが重要ではないだろうか。
「やばい……このままだと俺の存在がただのHENTAIで終わってしまう……!」
事実である。
「どうする? 無理に起こしても堂々巡りのような気がするぞ……どうすれば?」
どうすれば勘違いを解いてくれるか考える臧覇。
だが……
「鈴々ちゃーん!!」
「どこにいるのー?」
「ッ! 真名で読んでいる……敵か!」
どこからともなく張飛を呼ぶ声が響く。しかも、真名で読んでいると考えれば相応の相手。
「ならば迎撃を……服着てねえじゃん俺!」
此処でようやく自分の姿を認知した臧覇。
「連れてくか? いや、相手がどれほどかもわからん。くっ! やむなしか!」
臧覇はもしものことを考え、その場を去ることにした。
そして入れ替わるように入ってきたのは……
「……え? 鈴々ちゃん!」
「ど、どうして気絶してるの!?」
かつて共闘したこともある麋竺と麋芳であった。
こうして臧覇の活躍(?)により、張飛の潜入を阻止し、一時ではあるが戦力も削ることに成功した。
しかし、当の本人はこれを気に、数日部屋に引きこもってしまうのであった。
携帯の調子が悪いな……コレを機に買い換えるか!
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めっさ操作性が違うので悪戦苦闘。仕方ない、パソコンで書くか。
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突然のレッドスクリーン。電源すら入らない状況。
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慣れない携帯でどうにか完成←イマココ
これだけで数十万くらい消えてったぜ! HAHAHA(白目)
ちなみにパソコンは1週間くらいかかるって言ってました。恋姫できない……(血涙)
ありがとうございました。