記念の初番外編です。これはもしかしたらあったかも知れない未来のお話。ほんへとは切り離していこうな。
……何で書いたかって? そりゃ、引いてBUNBUNさんの素晴らしい最終絵に心を動かされたからです。出したけど書きます。
なお今回、本編でまだ明らかになっていない主人公の正体が推測できるモロな感じのヒントが出ます。これは今回のイベントでのフォーリナー反応というワードから公式とのネタ被りに怯えた作者が「被る前にネタバレしてまえばええんや!」と考えた結果です。ご了承ください。
前書きが長くなりました。ではどうぞ!
ばんがいへ うちのサーヴァントは疲れ切ったOL可愛い
「―――誰でもいいから可愛い女の子来いっ!」
そんな自分でもどうかと思う掛け声に応じ、やってきた俺のサーヴァント。それは……
「こんにちは、地球のマスター。私はコードネームXX。此度はこの地に現れたフォーリナーを調査するついでにやってきた銀河警察……おや? マスターから、フォーリナー反応……?」
……メカだった。どこからどう見てもメカだった。起伏に富んだ胸部から恐らく中身は女性だと思われるが……ええ……?(困惑)
あの槍……槍で良いんだよな。ロンゴミっぽいんだけど……え? もしかして、このイロモノってXなの? あのセイバーぶっ殺すやべー奴?
それよりもフォーリナーって何です?
◇
なるほどなるほど。
フォーリナーとは別次元、または外宇宙からやってきた存在のサーヴァント、と。
まあ、確かに俺は別次元からやってきたしー、俺を助けてくれたのも神様だけど……あ、あの人でなしは後から霊基を弄っただけだし、ロクに説明もしてくれなかったからノーカンで。
「いえ。多分その神様、邪神のカテゴリーに入るような。具体的に言うと、私が追っ払う類の神様なんですけど」
「マジか」
「はい。大マジです」
召喚の後、メカっぽい甲冑を脱いだXXは事情聴取といって始めた話し合いの中でそう説明した。
甲冑の中から出てきたのはやっぱりアルトリア顔だった。少し大人っぽい茶目っ気のある笑顔にドキリとしたのは内緒だ。後、やたら肌色が見える装備だが、さっきの甲冑は実体化してなくても機能するらしい。正直、目に毒だ。
ちなみに彼女もフォーリナーらしい。確かにサーヴァント・ユニバースは外宇宙かも知れないけど……もうツッコむのはやめよう。
まあ、そこはいい。彼女の語った事を聞いた俺はそこそこショックを受けていた。マジかー。あの神様が助けてくれなかったら、もうどうにもならなかったからなー。……彼女には悪いが、この神様との縁を切る訳にもいかないし、何とか見逃してくれるように頼んでみよう。
ぷるぷる。ぼく、わるいフォーリナーじゃないよー。
◇
「マスター君、次はあのお店です! 折角の休暇だ! 思いっきり楽しむぞ~!」
話し合いの結果、とりあえず俺の拘束、及び討伐は保留になった。そこには俺に報酬金がかかってなかった事が大きい。彼女曰く「セイバー反応はないからセーフ!」らしい。それでいいのか銀河警察。
そして彼女が目を付けたのは、あの人でなしが自分のガワを保つために上乗せしたスキルの一つである『黄金律 C』だ。生活には余分な程に金銭面で困らないスキル。これはブラック企業ならぬダークマター企業の社畜である彼女を堕落させるには十分だった。
「カレー美味しいー! ……えっ!? 今日はカツを乗っけてもいいんですか!? 唐揚げもある!? おお、マスター君。貴方が神か。……こんなのボーナスの時しか食べれなかったなあ」
彼女のこんな言葉が哀愁を誘った。仕事に疲れ切ったOLそのものの姿だ。何だか支えたくなるような弱さを感じる。何だろう、この放っておけない感は。
……とにかく、勝手に休暇宣言をした彼女は地球の生活を楽しむついでに俺のサーヴァントとして振る舞うらしい。本当にそれでいいのか? いや、俺にとってはありがたいけれど。
それにしても、さっきから、その。腕を組んでるせいで胸の感触がハッキリと……
「マスター君? どうしたんです、そんなに顔を赤くして……ハッ! もしかして調子が悪いのですか!? それはいけません! マスター君は私の大切な
うーん。この恋愛スキルのなさ。お姉さんぶるなら、もう少し年下の男の子の気持ちを考えてほしい。
◇
それからなんやかんやあって。遂に迎えた黄金大帝コスモギルガメスΩとの決戦。戦いの中で傷つき、膝をついたXXの前に明日望は立つ。
「何をやってるんですか、あすの君! 君ではコスモギルガメスΩには勝てない!」
XXは少女のように叫んだ。遥かなる旅路の中で、彼女の感情は変化していった。数々の困難を必死に乗り越える内に、便利なお財布扱いから、大切な、かけがえのない人だと彼女はマスターを想う様になっていた。
──けれど彼女はまだ、その気持ちを告げていない。自身の気持ちを勘違いだと、そう空回りしていた。
「お願いです! 退いてください! 私はあすの君が傷つくところを見たくない! 私は君の事が──」
あまりにも遅すぎる。終わりの時にようやく口にする事ができるなんて。
「大丈夫だよ、XX。今度は俺が守る番だ」
XXの後悔と共に口から漏れ出た言葉は、明日望の言葉によって止められる。
──彼は笑っていた。「こんな困難はいつも一緒に乗り越えてきただろう?」と、そう語りかけるように。
XXはその青年の姿に、心を奪われてしまった。そんな場合ではない、危機迫る状況だというのにもう安心だと感じたのだ。
(ああ、そうですか。あすの君、君はもう私を守るくらいに成長していたのですね……)
明日望の霊基がほどけていく。本来のカタチへと変化していく。まるで転生するように、人からそれ以外の何かへと変わっていく。
外世界の住人である彼は今、正しく
「フハ! フハハ! フハハハハハーー!」
最高に高まった彼のフィールは彼に最強の力を与えた。さあ、後は全ての力をあの高笑いする金ぴかに叩きつけるのみ。
彼は高らかに、歌うように、彼そのものである宝具を解放した。
「──いあ! いあ! オン・ソチリシュタ・ソワカ! 我は亡霊。風と共に現れ、狂気を振りまく者。故にそこに名は在らず、ただ嵐のように呑み込むのみ! さあ、いざ仰げ!
「『彼方より──
◇
「なーに書いて……うわあ。妄想も大概にした方がいいんじゃねーの? 俺の所にえっちゃんの代わりに自分が召喚された話とか、書いてて恥ずかしくないんですか?」
「こらそこ、うるさいですよ! この『どきっ! XXちゃんと共に行く花の旅路(あなざー)!』を小説投稿サイトに投稿して、速攻で書籍化! ユニバース・ベストセラーを受賞して私は印税で悠々自適に暮らすんです! もう社畜生活は嫌だー!」
──職務中にもかかわらず、堂々とサボりを慣行しているXXを呆れ顔で見る。
いや、新生ダーク・ラウンズの中枢、この居住空間に侵入している時点で銀河警察としては優秀なのかもしれない。けど、コイツしょっちゅう来るしなあ……
そして、彼女が書いていたのはラノベ風に描かれた小説。チラリと見た限りでは俺をモデルとした青年が人智を超えた存在であるサーヴァント……XXを召喚して、彼女と共に困難に立ち向かうという内容である。アイタタタ……
俺の日記を参考にしたのだろう。やけに地の文が俺に近いのが腹立つ。だが……
「でも、これはねーだろ。俺、こんなにお前にデレデレになった事ねーですし。絶対俺はこんな反応しないね!」
「はー!? えっちゃん相手にはあれだけデレデレしておいてよく言いますね! だいたいまーくんは私に対する扱いがぞんざいすぎるでしょう! いい加減、私をえっちゃんと一緒に貰ってくれてもいいんですよ! この意気地なし! とーへんぼく! ヘタレフォーリナー!」
「おー、よく言ったな。XX! てめーは仕事辞めてニートしたいだけだろうが、この恋愛クソザコ社畜フォーリナーめ! 表出ろ、今日こそ決着つけてやらァ!」
「……まーくん、XXさん。ホットココアを……おや、また喧嘩です? ちょっと妬けちゃいます。まーくん、私には全然そーいうのしてくれないし」
「ごめんよ、えっちゃん。こんなのに俺はぜんっぜん興味ないからそんな嫉妬しなくていいんだよー!」
「こんなのって言いましたね!? もうこうなったら戦争です! 第34次ユニバース大戦です!」
「むー……私はXXさんなら別にいいって言ってるのに……」
──今日も今日とてサーヴァント・ユニバースの騒がしい日常は過ぎていく。
だけれど、それが語られる事になるのはまた後の、……具体的に言えば3シーズンぐらい後の話。
(えっちゃんとの対応ボイスでなんか不穏な事を言ってたけどそれはスルーしておこう……)