須川亮とRe:文月学園二年生生活   作:森野熊漢

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本来なら一話の半分くらいしか使わないつもりだったのですが、思ったよりも長くなったので、別働隊だけで一話使っちゃいました。
あと、お待たせしました。なんとなくこんなことがあったんだなー程度に思って読んでいただければと。


Bクラス戦 別働隊視点

Bクラス突入前

 

「…どうしたのじゃ、急にわしを呼び出して」

「急にすまん、木下」

「いや、別にいいのじゃが……何かあったのか」

「ああ。じゃあこれから俺の考えを聞いてくれ」

 

Cクラスに行く前に、雪下、吉井、坂本、姫路、土屋、木下に俺の作戦を伝えることにした。

 

「ん? 島田がおらぬようじゃが……?」

「そういえばそうだね。さっきまでいたと思うんだけど……」

 

木下と吉井の疑問はもっともだ。

 

「ああ、島田には一足先に軽く説明しておいた。そのための準備も今してもらってるところだから気にしないでいい。」

「あ、そうなんだね」

 

俺が島田の事を気に入らないというのは、多分知っているとは思うが、ここで俺が私情を優先するわけにはいかない。というか、島田がむしろある意味でこの作戦の鍵となるから利用させてもらう。

 

「……なるほどな、須川。面白いことしようとしてるんじゃないか?」

「坂本にとって面白いことってのが俺にはわからんが、まあ大切なことだ」

 

ニヤリとする坂本に、同じように返す俺。島田に出した指示の意図は、島田に知られたくないため、まだ全員に伝えていなかった。

別にやましいことなんか考えてないから、坂本とは笑みの意味合いが違うがな。言わずもがな、俺の方が清廉潔白。

 

「……気のせいでしょうか、二人から邪悪な気配が」

「うん、僕もなんとなく思ってたよ」

「……似たもの同士」

 

おいそこ、聴こえてるぞ。

 

「まあいい、さっさと説明するぞ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

〈秀吉Side〉

 

作戦会議が終わって数分後。

 

「遅いわよ……って、木下? あんたもここに来るように言われたの?」

「そうじゃ。Dクラスに島田がいる、と言われたからの」

 

先に待っていた島田にそう声をかけつつ入室する。

さっきわし自身が言ったように、ここはDクラスの教室じゃ。そこに島田がいかにも「待たされました」と言わんばかりの不機嫌な様子でいた。

……船越女史と共に。

 

「で? Dクラスの人払いをして船越先生を呼び出してこいって言われたけど、これでいいのよね」

 

……島田は明久が絡まなければ割としっかりと与えられた任務を達成できるようじゃな。最近の働きが働きだけに少し疑っておった。すまぬ島田。

 

「ああ、ばっちりじゃよ島田」

「それで、これから何をするのよ。まさかここで待ってるだけってわけでもないでしょ?」

「当然じゃな」

 

どうやら、本当に須川は島田に指示しか出していなかったようじゃな。まあ、これからやることを考えたら、先に教えてたら一悶着あったじゃろうし、仕方ないかもしれんが。

自然な動きで教室の後ろ側に立ち、島田と船越女史を呼ぶ。

 

「さて、船越女史。召喚許可をもらいたいのじゃが」

「……それはどうしてかしら?」

「理由かの? それはじゃな」

 

……ここで、わしは鋭い目つきで島田を睨み付ける。

 

「最近こやつのクラス内での問題行動が物議を醸しておっての。会議の結果、模擬試召戦争で仕置き、ということになったのじゃ」

「は、はぁ!? 聞いてないわよそんなこと!」

 

じゃろうな。

 

「今あなたたちのクラスは戦争中でしょ? そんなことしては不利になるばかりだと思うのだけど」

「そ、そうよ! そんなことして何の意味があるのよ!」

「意味、というか理由かの?」

 

一応、須川から「こう言っておけ」というものは受けておるが……まあわしの考えも9割ほどは同じじゃから、わしの言葉で伝えるとするかの。

 

「ここ最近の戦争中の身勝手な言動に対する処罰、というわけじゃが?」

 

あとは個人的に、明久への暴力という仕打ちに対するわしの個人的な怒りも含んでおるが、まあそこはいいじゃろう。

 

「なっ……!」

「ということで、船越先生。クラスでの足並みをそろえるために必要なイベントなのじゃ。許可してくれんかのう」

「そういうことでしたら……ですが、それならFクラスで行っても良かったのでは」

「わしも最初はそう思ったんじゃが……いかんせん、わしらの教室じゃと島田が勝手に吉井明久を選んだ場合、大変なことになるからの」

「吉井君……ああ、そういうことですね」

 

観察処分者設定のされている明久の召喚獣では、ただでさえボロボロなFクラスが見るも無残なことになりかねない。いや既にBクラスのせいでボロボロではあるのじゃが。

 

「(ムッツリーニが仕掛けたカメラにその証拠はばっちり残っておるからの)」

 

試召戦争とはいえ、学校は学校。きちんと悪いことをした輩には相応の罰を与えられるべきじゃな。

 

ここで、ポケットに入れた携帯電話が震える。教室の外を見ると、ムッツリーニが親指を立ててこちらを見ていた。隣の教室も少し騒がしくなってきたようじゃな。……わしが背にしている壁の向こう側のCクラスが。

……そろそろ頃合いじゃな。

 

ああ、そういえば。

 

「すまん、そういえば伝言があったのを思い出したぞい」

「伝言?」

「須川からじゃが……こほん『吉井が本気でお前のこと嫌がってるから、補修室にさっさと送られてくれ』とのこと「殺す」わしは伝えるように言われただけじゃが!?」

 

普段理不尽な暴力を受けている明久の気持ちがすごくわかった瞬間じゃった。

 

「船越先生。こういうわけなのじゃが、そろそろ始めさせてくれませんかの」

「わかりました。召喚を許可します。存分にお互いの意見をぶつけ合ってください」

「では……Fクラス木下秀吉、Fクラス島田に数学で勝負を挑みます」

「ま、待ちなさいよ!」

「ん?早くせんか島田。さもないと敵前逃亡扱いになるが」

「私はこんなの認めてないわよ!」

「認めるも認めないも、お主の意思は関係ないじゃろう? 模擬とはいえ、試召戦争なのじゃから。それよりも先生、フィールドを展開してほしいのじゃが」

「っと、忘れていました……フィールド展か……!?」

 

ここで、船越女史が異変に気付いた。

 

「あ、あら?どうしたのかしら? フィールドが!?」

 

よし、上手くいったようじゃ!

ムッツリーニよ、あとは任せる!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ムッツリーニSide

 

「……失礼する、大島先生、いらっしゃいますか」

「ん? ああ土屋か。どうした」

「……少し手を貸してほしいことがあるので一緒に来てください」

「ん? それは構わないが」

「では、今からお願いします」

 

淡々と要件を伝え、大島先生を職員室の外で待つ。

大島先生は保健体育の先生なので、俺の得意教科担当となる。そのため、他の先生より話しやすく、頼みも聞いてもらえやすい。

すぐに出てきた大島先生を連れてCクラスへ向かう。俺が気配を消して歩いてるのに気付いてか、大島先生も気配を消して歩いてくれた。非常に助かる。

途中Dクラスを通りがかったので少し中を覗くと、秀吉と島田が話していた。上手くやってくれたらしい。

 

さて、ここからだな。

 

「先生、俺が合図したら離れずについてきてほしい」

「唐突だな。……まあ、何がしたいかはわかったが」

 

大島先生は「仕方ない」といった顔をしながら了承してくれた。

おそらくだが、この距離で根本が隠れているのを察したのだろう。さすが体育教師。

 

「いや、体育教師がみんなできると思うな」

「……え?一般技能では」

「お前の思う一般技能を全員習得してたら阿鼻叫喚の地獄絵図になることを自覚してくれ」

 

バカな、盗撮盗聴不法侵入etc.は紳士のたしなみのはずなのだが。

 

「……騒がしくなってきた」

 

Cクラス内からバタバタと複数の足音が聞こえる。更には何やらご満悦な感じの声。……ここだな。

 

ポケットの中で形態をいじる。あらかじめ秀吉宛てに用意していたメールを送信するだけなので問題なし。

そして念のために秀吉の様子を見に行く。こちらを見た様子から、きちんと合図は届いたようだ。サムズアップしてCクラスへ戻る。

 

そして。

 

「次だ!来い!土屋!」

「もう来てる。大島先生Fクラス土屋がBクラス代表根本に保健体育で勝負を挑みます」

「承認する!」

 

動揺が広がるCクラス内に飛び込み、生徒の間をすり抜け根本の元へ。大島先生も問題なくついてきてくれた。

 

そこからは、もう語る必要もないだろう。

 

俺たちの勝利で、Bクラス戦は幕を閉じた。

 




書き始めるまでのに時間がかかるここ最近です。
頑張ります。
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