忙しくてこっちに時間がさけなかったのと、原作は行方不明になってました。
久しぶりなので、ほんと粗が目立ちそうですね。
いつもよりは少し長めです。ではどうぞ!
この先、この学校で食する弁当というものがトラウマになってもおかしくない昼飯の後。
弁当の被害者たちと加害者、運よく食さずに切り抜けたメンバーがそのまま屋上で話し合いを始めた。
俺と雪下は無心でその光景を眺めているにとどめている。なんというか、別に作戦を決めるのにまで首を突っ込む必要は特にないと思ったからだ。
前世でもなんとか勝ってたわけだし、俺が変に介入することで勝てる未来を狂わせたくない。
あいつらも真剣に話し合って作戦を立てているようだしな。
「ムッツリーニ、ペンチ」
「ややっ、僕を爪切り要らずの身体にする動きがっ」
……作戦を、立てているんだよな?
まあどうせ吉井本人は大真面目に答えたものがボケにしかとれない答えだったから、それに対するツッコミだったんだろうな、とボーっとしながらそんなことを考えていると。
「須川さん、須川さん」
「ん?」
何やら雪下が突っついてきた。なんだなんだ。
「あの、私たちも作戦会議に参加したほうがよくないですか?」
「いや、いい。あいつらに任せていいだろ」
一蹴する。まあ言葉はきちんと選んでいるからそこまで不快に感じられることもないだろう。
「んー…いいんですかね……なんだかあの様子を見てると不安なんですが……」
「まああれがあいつらだしな、雪下もそのうち慣れるさ」
「そう、でしょうか……」
不安そうな声を出す雪下。
そんな彼女に何か不安を払拭できるような言葉をかけようとして。
「お前がグーを出さなかったらブチ殺す」
「えっ!?」
「いくぞ、じゃんけん」
「わあぁっ!」
うん、ごめん雪下。俺もあいつらを見て不安になったよ。
「失礼な!365度どこからどう見ても美少年じゃないか!」
「5度多いぞ」
「実質5度じゃな」
……今更だが、なんで前世の俺、あいつらと同じクラスだったのかなってすごく残念な気持ちになったのはまた別のお話。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、吉井がまた性懲りもなく宣戦布告に行ってボロボロにされて帰ってきた。
どうやら屋上でのあのやり取りはこれに関することだったらしい。
まあ今更だからいいか。
そしてその翌日。
「さて皆、総合科目テストご苦労だった」
教壇に立った坂本が重々しく言う。
ちなみに今日の午前までテストがあり、さっき昼食をとったところだ。
「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが……」
ここで坂本は改めて全員の顔をしっかり見渡す。
「殺る気はあるか?」
待て坂本、字がおかしくないか?
「「「おおーーーーーっ!」」」
お前らはいつも通りだな。
そこから坂本から全員へ作戦の指示、及び前線部隊の指揮を姫路が執ることを説明する。
全員の士気がさらに向上したのは言うまでもないな。うん。
一人婚姻届をクリアファイルから取り出してるやつがいた気がするが、多分気のせいだ。
そして。
「よし、行ってこい!目指すはシステムデスクだ!」
昼休み終了のチャイムと共に試召戦争が始まった。
俺は我先にと廊下に飛び出すクラスメイトの後を追いかける。そこまで急ぐ必要は今はない。
確かに俺たちの作戦としては、Bクラスを教室に押し込めることだから、一分一秒でも早く辿り着いた方がいい。それは確かだ。
ただ、俺たちのクラスの特徴を思い出してほしい。
学力は確かに低い。学年の中で最低クラスというのはクラス分けの時点でわかりきっていることだ。
だが。
「よし!Bクラスがいたぞ!急げみんな!」
「なっ!? 速すぎる!?」
だが身体能力はどうだろうか。
この世界ではまだだが、FFF団に属し、他人を制裁するのに人としての身体能力を逸脱するレベルにまで昇華させることができた集団たちだ。他のクラスの奴らとは段違いでよいに決まっている!
ちなみに先程見つけたBクラスは、高橋先生を連れていた。どうやら割とゆっくり来ていたらしいが、おそらくこちらの出方を伺うために派遣されたと考えるべきだろう。
「生かして帰すなぁ!」
物騒な声が聞こえたと思うや否や、聴こえてくる召喚のワード。そして戦闘音。
俺も早く加勢するか。
「はぁ……はぁ……」
そう思っていた矢先、集団から少し離れた位置に姫路がいた。
あいつらの全力疾走に頑張ってついていこうとしたんだろうな。その心意気やよし。
「大丈夫か姫路」
「あ、須川君……。ええ、大丈夫です。少し、遅れちゃってますが」
「ああ、気にするな。姫路は指揮官とはいえ、うちのメインウェポンだ。露払いはあいつらに任せておけばいい」
「あ、ありがとうございます……」
胸に手を当てて大きく息をする姫路に落ち着くように声をかけておく。身体がそれほど強くないみたいな話をどこかで聞いた気がするから、無理はさせない方がいいだろう。
「須川さん!あと姫路さんもここにいたんですね」
「あ、雪下さん」
「ん?雪下か」
前から俺たちを見つけたからか、雪下がやってきた。
いや待て、お前。あいつらの全力疾走についていけてたのか?息一つ乱してないように見えるんだが!?
「今いい具合にみんなが戦ってくれてます。早く加勢してもらえると助かります!」
「わかり、ました。急いで行き、ます」
「あー、姫路。お前はゆっくり来てくれ。急いだところでその状態じゃあやられるのが目に見えてる」
「しかし……」
指揮官を任された責任をしっかりと感じているからだろう。彼女は自分の身体に無理をかけてでも急ごうとしている。
……だー、もう仕方ねえなぁ。
「しかしも何もない。俺と雪下がなんとか時間は稼いでおくから、その間に息を整えてしっかり戦闘に参加できる状態にしておいてくれ。正直姫路の火力に頼らないとBクラスの奴らを倒すのなんて骨が折れるどころか根元から粉末状になる」
「そうですね、姫路さんはまず自分のことを優先してください。須川さんが何とかしてくれますから」
あれっ、雪下さん? なんで俺一人に重荷を背負わせようとしてるんですか貴女は?
「すみま、せん……」
「謝る必要なんてないですよ、仲間なんですから協力するのが当たり前です」
約一名、私情でチームプレイを崩そうとしてたやつがいたことを思い出しかけたが、即座に記憶の彼方に投げ捨てた。
「さて、行きましょう須川さん」
「おう、じゃあ姫路。繰り返すがゆっくり来てくれよ」
そう言い残して俺たちは戦場へと駆けて行った。
「で、戦況はどうなってるんだ」
「まだ始まったばかりですが……戦力差的にいつこちらが崩されてもおかしくないですね」
「まあそれは仕方ないな」
ただ、あいつらにも意地がある。突破されるにしてもしっかりと時間は稼いでくれるはずだ。
FFF団時の執念やら何やらのスペックがここらで発揮されるのは、会長である俺は喜ぶべきかどうなのか。
「つきました……って、これは」
「無駄口をたたく暇はなさそうだな。雪下はこちら側で止めを刺されそうな奴のカバーを頼む!俺は向こうに行く!」
「わかりました!気を付けてくださいね!」
目的地に到着するや否や、俺たちは二手に分かれて行動を始めた。
というのも、やはり戦力差による蹂躙が繰り広げられていたからである。
ただ、急いだのが功を奏したのか、止めを刺されたやつはまだいないようである。
「片っ端からフォローするしかねえが……マジか、この人数を相手にしろってか?」
同一の召喚フィールドの中でいくつか戦闘しているグループがあるという状態の中、俺はそのグループの中にいるBクラスを全員相手にしないといけないという状況に陥っていた。
「しゃーねぇ……やるか……」
正直無謀だ。
「Fクラス須川亮。ここにいるFクラス全員に代わってBクラスメンバー全員に勝負を挑みます。試獣召喚」
「「「なんだと!?」」」
おい待てや、Bクラスに驚かれるならまだしも、助けられるはずのFクラスのお前らが俺を睨みつけてくるんだ。
「くそっ!Fクラス風情が調子に乗るなよ!」
「ああ、補習室に秒で行かせてやるからな!」
「おいみんな、須川のやつ、姫路さんや雪下さんにいいところを見せるためにでしゃばってやがるぞ!」
「有罪」
「有罪」
「有罪」
「……死刑」
「おい待てやFクラス連中」
何故助けた仲間に俺は武器を向けられてるんだろうか。甚だ遺憾である。
「やれぇ!」
Bクラスの誰かの声を皮切りに、召喚獣が襲い掛かってきた。
「Fクラス!今の間にBクラスを抑えてこい!」
「黙れ!お前を殺すのが先だ!」
「そうだ!」
「その通り!」
「……そういや姫路がだいぶ疲れてたな、到着したときに飲み物とか用意してやったら好感度が上がるんじゃないか?」
「うおおおおおおおぉぉぉぉ!目指せBクラスううううううぅぅぅ!」
「代表の首も獲ってしまえたら俺もモテるんじゃ」
「「「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」」」
おいおい、待て待て。あいつらモテる幻想を抱きすぎて予想外の暴走を始めやがった!
「くっそ、こいつFクラスの癖に!」
「なんで、攻撃が当たらない!?」
「んー、まあそういう時もあるってことで」
そんなことを気にしている間、実はきちんと戦っていた俺を褒めてほしいところなんだが、生憎敵しかいないこの現状に涙が出そうだ。
「くっそ、これなら!」
「ん? あ、お疲れ」
無謀にも飛び込んできた召喚獣の鳩尾を棒で一突き。そのまま上手く引っかけてBクラスの召喚獣の固まっているところに飛ばしてあげた。ぶつかって飛んでいく敵召喚獣の様たるや、ボウリングのピンの如く。
「戦死者は補習ううううぅぅ!!」
「ぎゃああああああああぁぁ!鉄人んんんん!」
……雄たけびを上げながらやってきた鉄人が、召喚獣と同じように召喚者をボウリングのピンのように吹き飛ばし、その全員をキャッチして引き返していった。
……いや待て今その軌道上にいた生存者も何らかの影響を受けててもおかしくないはずなんだが、きちんとそいつらは避けていっていたらしく、ぽかーんとしていた。
……うん。
「油断大敵油断大敵油断大敵!」
「はっ!しまったぎゃあああああああ!」
十数秒後、鉄人によって俺と対峙していたBクラスは運び出されていった。
「あ、須川くん」
「姫路か、きちんと呼吸は整えられたようだな」
「はい、だいぶ落ち着きました」
うちの最大戦力もなんとか戦える状態にまでなったようだ。
「さて、じゃあBクラスに向かうか」
「ええ、行きましょう」
そう気合を入れ直した俺たちに。
「須川さん、姫路さん! 島田さんが人質に取られたみたいです!」
雪下が、あまり聴きたくない戦況を運んできた。
「えっ、島田さんが!?」
「……面倒な。姫路、お前は教室に戻れ。ここでうろうろして囲まれでもしたらいくら点数が高くてもやられる可能性が高くなる」
「ついでに代表さんたちにこのことを伝えてくれると助かります。」
「わかりました。雪下さんと須川くんはどうするんですか?」
「俺は……一応現場に向かってみる」
「じゃあ私もそうします。代表さんにそれも伝えてもらえますか?」
「はい!二人とも、気を付けてくださいね!」
そう言って姫路は来た道を戻り始めた。
……さて。
「面倒だが行くか……」
「そう言いながらもきちんと助けに行くんですね」
雪下が若干茶化すように突っ込んでくるが。
「ん?何言ってるんだ雪下」
「……え?」
俺は助けに行くなんて一言も言ってない。
「人質に取られて、のうのうとまだ生きてる間抜けを処理しに行くに決まってるだろうが」
悪いが俺は勝つために不必要なものを切り捨てるタイプだ。
「………………」
雪下は押し黙ってしまった。まあ、普通の感性なら俺の考えを冷酷だのなんだのって思うだろうな。
だが、俺たちが今やっているのは試召戦争。
学内のイベントとはいえ「戦争」という文字が入っているんだ。勝つために不必要なものは削ぎ落とすのみ。
「っと、ここか」
若干の人だかりが見えてきた。Fの連中と……Bの連中が二人、そして島田、か。
「現状どうなってるんだ?」
「ああ、島田が人質にされてしまってな。どうしたものかと悩んでる真っ最中だよ」
「そうか、わかった」
すぐ近くにいたFメンバーに状況を聞く。なるほど、雪下が情報を持ってきたときからなんら変化はないことがわかった。
「おい、島d……」
「島田さん!」
ん?この声は……吉「吉井!」ってなんかさっきから微妙に俺の妨害をされてないか?
「そこで止まれ! それ以上近寄るなら、召喚獣に止めを刺して、この女を補修室送りにするぞ!」
駆けつけてきた吉井にBクラスの一人が牽制する。なるほど、こうしてこの膠着状態を生み出していたのか。
やれやれ、さっさと片をつけ「総員突撃用意ぃーっ!」おおうっ?急に大声を出すな!
「隊長それでいいのか!?」
「ま、待て吉井!」
敵味方どちらにも動揺が走る。
「こいつが何故俺たちに捕まったと思っている?」
Bクラスの一人が俺たちに問いかけてくる。
ほう、理由か。
「「馬鹿だから」」
「殺すわよ」
おい島田。そんな殺気を俺たちにぶつけられるならさっさとそいつらの拘束くらい抜け出せや。
「こいつ、吉井が怪我をしたって偽情報を流したら、一人部隊を離れて一人で保健室に向かったんだよ」
……ほう。面白い理由じゃないか。
「島田さん……」
さすがの吉井もこれには呆れたのだろう。
「怪我をした僕に止めを刺しに行くなんて、あんたは鬼か!」
「違うわよ!」
違う、そうじゃない。そこで抱くべき感想はそうじゃない。
「ウチがあんたの様子を見に行っちゃ悪いの!? これでも心配したんだから……」
「あー、弁明途中の所悪いがちょっといいか」
「なんだ」
「何よ」
こんな茶番、もう付き合ってられるか。
ずんずんと島田たちの方に近づいていく。
「お、おい!本当に止めを刺すぞ!いいのか!」
「……ああ、そうだったな」
そこで俺は歩みを止め。
「わざわざ一人が抑えられてるこの状態、有効活用しないとなあ!」
手すきのBクラスの召喚獣に、自身の召喚獣を攻撃させた。
「「「なにぃっ!?」」」
全員が動揺する中、俺は標的の一人を即座に片付け。
そして。
『Bクラス 鈴木二郎
英語W 0点 VS Fクラス須川亮
Fクラス 島田美波 英語W 180点
英語W 0点 』
残る一人と邪魔な人質を武器の棒でしこたま殴りつけて戦闘不能にした。
「ちょ、マジで人質ごとやりやがった……」
「須川ぁ!あんたどういうつもりよ!」
「あぁ? どういうつもりかって?」
Bクラスと島田が信じられないって顔をしているが……仕方ない。教えてやるか。
「お前らは人質って言ってたがな、俺にとっては別に何ら障壁になり得なかったってだけだ」
「それは……コイツを最初から見限るつもりだったってことか?」
「さすがBクラス。理解が早くて助かる」
「なんでよ!クラスメイトでしょ!普通無事に助けるべきでしょ!」
島田がぎゃんぎゃんうるさい。こいつ、自分のしでかしたこともわかってないのか。
「おい島田。お前、部隊を抜け出して向かったそうだな」
「そ、そうよ。悪い!?」
「当たり前だろうが。お前は部隊長を任されてたはずだ。なのに部隊を放り出して、挙句に人質?
……ふざけるなよ?」
「なっ……別にふざけてなんか……吉井が悪いのに!」
「嘘か本当かわからない情報に踊らされたお前に非があると思うが……一応何故吉井が悪いというのか、聞いてやる」
「だって、『吉井が瑞希のパンツを見て鼻血が止まらなくなった』って聞いたから!」
「……………………もういい」
あ、もうだめだこれ。話そうという気すらわかなくなった。
「鉄人、すまん。待たせた。もう連れて行ってくれ」
「……いいのか。というか気付いていたのか」
「戦死させてから割と時間が経ってるからな。あんたが到着してないはずがないだろう」
いつの間にか集団の背後に立っていた鉄人がFの連中をかきわけ、やってきた。
「島田、お前が戦死したのは全てお前自身の責任だ。肝に銘じておけ」
「ちが……吉井のせいよ!吉井が悪いんだから!」
「……もういい、早く行ってくれ」
鉄人が戦死者3人を抱えていく。離れていく間も、「吉井!許さないんだから!覚えてなさいよ!」とか聴こえてきた。なんて往生際の悪さだ。
後に残された俺たちは、鉄人の姿が見えなくなるまで見送っていた。
時間のある時に少しずつでも進めますので、見てくださると幸いです。