帝都ヘイムダルの知事が仕事を行う執務室。
そこには鉄道憲兵隊の隊長であるクレア・リーヴェルトと帝都知事であるカール・レーグニッツが密会していた。
彼らはそこで今年の夏行われる、夏至祭についての相談を行っていた。
いつもならば、警備体制の確認や帝国内の情勢などを確認するのだが、今回はそれは行われなかった。
「率直に申し上げます。今回の夏至祭は開催を延期したほうがいいかもしれません」
「それは・・・やはり、あのことが?」
「はい。閣下の政策のおかげであちらの国との流通経路は復活しましたが、それと同時にあちらの国にしかいなかった魔物がこちらに流入しています。現在確認できている魔物の種類は少ないですが、士官学院の旧校舎地下にこの魔物が入り込んでいました」
クレアはそういうと知事に資料を渡す。
そこには既に絶命しているが、巨大な鎌を持つカマキリの魔物の写真とその説明がされていた。
「この魔物は・・・」
「あちらの国では発生が確認され次第、討伐が推奨される危険な魔物の一種『全てを刈る影』です」
「この魔物があの旧校舎にいたのですか?」
「ええ、向こうの教官とも確認しあいましたが、事実です。これまで何度も確認しましたが旧校舎に入った形跡はありませんでしたが、旧校舎内部の構造が変化しているという報告がありました。しかも、屋内ではありえない植物が繁茂していたようです」
報告をしていくクレアの話を聞いていた知事の顔には深いしわが刻まれている。
「ということは、この魔物はその変化した階層から上に上がってきた可能性が高いと?」
「誰かが持ち込んだという可能性は低いのでおそらくそうなります」
「閣下はこの件についてはなんと?」
「問題はない、と」
「それは、なぜだね?」
「あちらの国から一人、優秀な冒険者を入学させたと・・・」
「もしかして、グランセイバー君かね?」
「おそらく・・・」
「一人でどうにかなる問題だと、閣下はおっしゃったのかね?」
「彼は向こうで王族の親衛隊を務めていた時期があります。そこであまたの魔物を討伐したらしいです。また、あちらの国で礼儀作法が整っていてかつ入学しても怪しまれない人物としての筆頭が彼だったようです。そして・・・」
「百日戦役に乱入してきて帝国軍を蹂躙していった一派の教え子か・・・」
かの百日戦役の際、帝国軍の一部がその国から食料を徴収しようとして逆にほんの少数の一団に叩きのめされ、その一団は帝国軍に挑みかかって無傷で多くの導力戦車と大砲を破壊し何百人もの帝国兵を再起不能に追い込んだ。
その一団の頭は周りからこう呼ばれていた
「ししょー」
と