謎の至高Xオルタ   作:えっちゃんの羊羹

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21話です。

感想ありがとうございます。

後一通りここまでの修正はしたつもりです。多少は読みやすくなっていたらいいなと思います。

今回はちょっと長くて暴走しました。
ごめんなさい。
あと、今回は最初の1000文字くらい無視しても意味は通ると思います。


21話 露見

 エ・ランテルを出発して二泊三日の旅、彼らが再び街の城壁を目にした頃には既に東の空で星が煌めいていた。

 先頭を歩くペテルが声を出す。

 

「じゃあ、これからエ・ランテルに入りますがエックスさんとハムスケさんはそのまま1番後ろをついてきてください。衛兵の人達を驚かせてもまずいのでまずは私とモモンさん、そして依頼人であるンフィーレアさんの3人で説明してきます」

 

 そう言ってまずは代表者である3人がエ・ランテルの門番に声を掛け、ハムスケのことを説明しにいく。数分後うまくいったのか手招きしている3人が見えた。

 外で待っていた5人のうち、まず漆黒の剣の3人がペテルに合流して町に入った。それにンフィーレアが馬車を引いて行き、最後にモモンガとナーベラルに先導されてハムスケに乗ったXオルタが進む。

 

 この順番はカルネ村を出た時から同じだ。もともとは感知に優れたルクルットを前に、万が一の背後からの奇襲にも対処できるよう後方に射程の広い尻尾があるハムスケが最後尾についていたのだ。

 

 街の中で一行は立ち止まる。大通りで立ち止まっても直接文句を言うものはいない。むしろ多くのものが集団の最後尾にいる魔獣達に興味を持ち道を開け、背後に回ろうとする。

 彼らの言葉は概ね好意的なものだ。ひそひそとした声で口々に魔獣の勇壮な姿を褒め称えるものがほとんどだ。

 

 しかし、モモンガの耳にはそれ以外のものが僅かに聞こえていた。魔獣の上で全身を使いしがみついている少女、Xオルタについてだ。

 

 ここまで移動しているときはその小柄さと衣服の色、そして揺れによって夜闇に紛れてさほど目立っていなかった。しかし、魔獣が立ち止まったことによってはっきりとその姿を視認できるようになってしまっていた。

 背後から見るその姿はあまりにも無防備だ。

 

 自身には大きすぎる魔獣に両手両足を広げてしがみついている。高い所で蹲ったようにも見える。

 

 魔獣にしがみつくために大きく広げてしまった足は長旅のために乱れたコートの裾をはだけさせスカートをめくり上げている。道の両脇に向けて投げ出された爪先から遡っていくと黒く艶めかしいソックスに締め付けられた太ももから白い、しかし確かに血の通った赤みを僅かに帯びた桜色の付け根をさらけ出していた。黒と肌色の境目にある微かな盛り上がりがその肉感を強調し二色のコントラストを際立たせる。

 その奥には申し訳程度に秘所を覆う黒い布きれがありその形が見るものの情欲を誘う。その布切れも今日1日の汗で肌にしっとりと張り付き、湿った布の奥が透けているかのようにその中身の形を示している。張り付いたショーツの端からは僅かに肉が盛り上がりその柔らかさが見て取れた。

 ガーターベルトが太ももを押さえつけていることも肉感を強調している要素の1つだろう。黒と黒に挟まれた桜色の肌はそれを見るものの目を強く惹きつけたのだ。

 

 Xオルタにとって不幸なことはこれら全てが魔獣の背の上という極めて注目を集める、あまりにも見やすい場所にあった。扇情的で蠱惑的な光景を晒した場所は遮るものが何1つとしてない場所だった。

 さらには対象の外見がまだ成人というには僅かに届かない少女であったことも背徳感を醸し出す。一方で相応に育っていることがその美しさを演出して本来禁忌に当たるであろう幼さに欲情することの罪悪感を少なくしていく。彼女の無防備な姿は男達にいつもの家庭や宿、娼館での妻や恋人、娼婦が示す欲情を示されることを前提とした妖艶さとは違い無垢な物を汚している感覚を与えた。

 見られていることに気がついたのか恥じらいながら身をよじる姿も可愛らしく色っぽかった。

 

 モモンガが聞こえていたささやきはXオルタにも聞こえていたのだろう。身をよじる程度ではどうにもならないと理解したらしくハムスケから降りてくる。その顔はふだんの白い肌からは想像もつかないほど赤く染まって見えた。

 モモンガはどのように慰めるべきかわからなかった。唯一モモンガに取れた方策は放置することのみだった。そのままペテルとンフィーレアの話し合いに入る。

 

「では、私はこれから冒険者組合でハムスケの登録をしてきますね」

「ああ、じゃあ私たちは先に荷物を降ろしておきます。それで森の賢王の登録が済んだらモモンさんはンフィーレアさんの所に来ていただくという形でいいですか?」

 

 話がまとまったところでモモンガはXオルタの降りたハムスケを引いて組合に向かう。するとナーベラルが近寄り疑問の声を投げかけてきた。

 

「あ、あのモモンガ様、Xオルタ様があのガガンボ達と共に行ってしまわれたのですが……」

 

 ナーベラルの演技が完全に剥がれていることにモモンガの全身から力が抜けていく。聞かれている内容があまり触れたくはないことも相まって返答がおざなりになる。

 

「……まあ、そういうのが必要な時もあるのだ。あまり気にするな」

「なるほど、さすがはモモンガ様とXオルタ様です」

 

 何がなるほどなのかは分からないが納得したのなら良いだろう。今日の事は出来る限りナザリックの面々には伝わらないようにしようと心に決めたモモンガはため息をつきながら重い足取りで歩いていた。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 Xオルタはこっそりとンフィーレアの馬車について行ったつもりだった。しかし、Xオルタの隠密系スキルは霊体化1つだけであり、そうでなければアイテムを利用しなければ人から隠れることはできない。

 端的に言うとすぐにバレた。レンジャーであり、最初に気がついたルクルットが代表してXオルタに尋ねる。

 

「ところでえっちゃんはなんでこっちにいるんだ?」

「あ、え、え……」

 

 聞かれた事にXオルタはうまく答えることができない。焦りつつ、上気して赤くなった顔を隠しながらどうにか絞り出した言葉はとてもか細いものだった。

 

「い、今はハムスケ、と一緒にいたくない……」

 

 それだけで終わりだ。平時は心がけている丁寧な言葉遣いもなりを潜め取り繕う余裕もないことがわかる。多少なりとも事情を察することができたのはニニャだけだった。

 

「……大変、でしたね……。とりあえずンフィーレアさんの店に先に行ってモモンさん達を一緒に待ちましょうね」

 

 そう言ってニニャはXオルタを集団の内側に入れて道行く人々の目から隠す。Xオルタはンフィーレアの馬車の後ろでニニャに元気付けてもらいながらバレアレ薬品店に着いた。家の裏口に回り薬草の保管場所に入った一行はそれぞれ採取した薬草の束を運び始めた。漆黒の剣のメンバーがそれぞれ運びはじめ、Xオルタは念動力で複数の束をまとめて持ち上げるとンフィーレアが悲鳴のような声をあげた。

 

「エ、エックスさん、それはエンカイシです! ニュクリとは分けてください!」

 

 何について言っているのか微塵も理解できていないXオルタは首を傾げて尋ねる。

 

「じゃあ、何を運べばいい、ですか?」

「え、えっと……あっ、こっち側に積んであるものは全てングナグなのでこれを運んでください」

「了解、です」

 

 ンフィーレアの指示に従い今度こそ正しい薬草を正しい場所に運ぶ。

 やがて全ての薬草が所定の場所に置かれたことでンフィーレアが声をかけた。

 

「お疲れ様です! 果実水が母屋に冷やしてあるはずなので飲んで行ってください」

 

 それを聞いた漆黒の剣のメンバーが嬉しそうに声をあげ頷く。Xオルタもその名前から未知の甘味とあたりをつけ、期待してンフィーレアのすぐ後ろに張り付くようにして母屋に向かった。

 ンフィーレアが母屋を案内しようとした時、向こう側から扉が開かれた。

 

「はーい。おかえりなさーい」

 

 短めの金髪が可愛らしい女が立っていた。Xオルタは即座に敵対者と理解した。スキル<直感>の効果だ。ユグドラシルでは戦闘時にはクリティカル成功率を上げるだけの効果しかなかったが今はなんとなく勘が冴え渡る時があるという効果が増えていた。

 

「いやー心配しちゃったんだよ? いなくなっちゃったからさ。すっごいタイミング――。……どうしたのかな? そこの子は?」

 

 声が一瞬重くなる。Xオルタが魔法詠唱者が攻撃するときのように右の掌を女に向けていた。

 

「あなたは、敵、です」

「ふふーん、君結構いい勘してるねー。でも、魔法詠唱者ごときが私に喧嘩売って勝てるわけないじゃん。だってスッといって――ゴフッ」

 

 攻撃のため僅かに短髪の女が前傾姿勢をとった瞬間だった。そのままの体勢で真後ろに吹き飛び壁に当たり崩れ落ちた。

 しかし、あまり大きなダメージを受けなかったらしく立ち上がってすぐに気勢を上げて飛びかかった。

 

「てめぇっ……くっ……っ……あっ……」

 

 今度は飛びかかったその場で止まり首を抑えながら浮き上がっていく。息ができないのか声が出ていない。

 なぜ呼吸ができないのかわからず喉を掻き毟り爪が食い込んでいる。しかし、それも長くは続かない。首が赤くなり皮がむけそうになるにつれ腕からは力が抜けて最終的にはだらんと垂れ下がってしまった。

 

「あ、あの、死んでしまったんでしょうか?」

 

 2人のやりとりから完全に置いていかれたンフィーレアと漆黒の剣が警戒しつつ問いかけた。

 

「あ、いえ、とりあえず気絶させただけ、です」

「なるほどね。じゃあ危険人物っぽいし縛っておくぜ……ゲェ」

 

 ルクルットがロープを取り出し女に近づいてマントをはだけさせた途端、ありったけの嫌悪と憎悪の篭った声を漏らす。

 

「……こいつ、冒険者殺しだ。オリハルコンまでやってやがる」

 

 苦虫を噛み潰したような声だ。両手足を縛って武器を取り上げたルクルットはさらに続けた。

 

「早めに衛兵詰所にやったほうがいいぜ」

「あ、じゃあ、ぼ、僕が行ってきますね」

「いや、ンフィーレアさんはここにいたほうがいいでしょう。こいつの狙いはンフィーレアさんだったと思われますのでここは私が行ってきましょう」

 

 ンフィーレアの提案をペテルが却下してそのまま表に出る。数分もしないうちに彼は衛兵を連れて戻ってきた。

 

「どうもこの騒ぎが外にも漏れていたようで衛兵の方が近くまで来てくださっていたみたいです。このままこいつを連れて……ああ、いや、モモンさんを待ったほうがいいですね。誰もいないとまずいでしょうし」

「うむ、そうであるな。モモン氏にも伝えるべきである。また、恥ずかしながらいてくれた方が安全でもある」

 

 そう言ってペテルは衛兵と話し合い、もうしばらくこの場で待つことにした。

 

 一方、先ほどまでこの場にはもう1人の男がいた。名をカジット・バダンテール、襲撃者の女クレマンティーヌと組んでいた邪教集団ズーラーノーンの幹部の1人だ。

 

「あの女があそこまで容易く敗れるとは……足を引っ張りおってどうしてくれる……」

 

 あまりにも容易く囚われた相方の愚痴を吐くもそれで済ませていい話ではない。

 クレマンティーヌはカジットの計画の全容を知っているのだ。生け捕りにされ、しかも自身より優れた魔法詠唱者がそばにいる状況は最悪に近い。

 せめて死んでくれるか捉えているのが街の衛兵などならどうにかなるのだがと考え、妙案が浮かぶ。

 

 カジットは纏っているローブを脱いで抱えていたアイテム「死の宝珠」を包み近くに隠す。頭髪がなく頰もこけているため特徴的な外見を隠そうと大きめの布でバンダナ状に頭部を覆い一介の町人に見えるよう多少の変装をして大通りに出て喚き始めた。

 

「だ、誰か来てくれ! バレアレ薬品店に強盗だ! 金髪の狂ったような女戦士があそこの坊ちゃんを待ち伏せていたみたいなんだ! 誰か衛兵に伝えてくれ!」

 

 叫びながら街を走り回りそのまま途中で用意していた隠れ家に潜む。もはや5年かけた計画も捨ておくべきだろう。圧倒的な力の差を見せつけられたせいか自身の思い切りがやけにいいことにカジットは僅かに苦笑する。カジットにはこの街でできる行動はもうないだろう。

 その夜1人の魔法詠唱者がエ・ランテルをひっそりと抜け出した。

 

 

 ◇◆◇

 

 

 モモンガが簡易的な登録を済ませて組合を出るとやけに町中が騒がしい。近くを歩く人に聞いてみると驚くべき答えが返ってきた。

 

「ああ、バレアレ薬品店で捕り物があってな。金髪の女が捕まったらしい。かなり美人らしいぜ」

 

 男の答えはモモンガにとって最悪のものだった。バレアレ薬品店に向かったメンバーは6人、そのうち金髪の女に当てはまるのはXオルタ一人しかいない。簡単に捕まるような存在ではないだろうことがさらに不安をあおる。精神安定化が発動してもすぐに不安が頭をもたげてきてまた安定化が働く始末だ。そのままモモンガは走り出そうとするが場所がわからないことに気が付く。先ほどの男につかみかかり合わせて聞いた。

 

「バレアレ薬品店はどっちだ」

「あ、あっちの方だよ、ほら人が集まっていくのが見えるだろ」

 

 ドスの利いた声におびえたのか若干どもっているが指さしながら教えてくれる。相手に感謝の言葉を伝えて走り出そうとしたところ今度は組合の中から声がかかった。

 

「あん?」

「あ、あの魔獣を置いていかないでください。特別な手続きなしに組合に置きっぱなしにはできません」

 

 モモンガはこの後の予定があったのでまだ自分が街に連れ込むだけの最低限の手続きしかすませてないことを思い出す。そして、ハムスケを連れて魔法詠唱者であることを隠しながら最速で目的地に向かう方法を導き出す。

 

<パーフェクト・ウォリアー/完璧なる戦士>

 

 モモンガの導き出した解は単純明快だ。レベル100の戦士であればハムスケを抱えながらでも今の最高速度を優に超える速さで移動できる。下手な魔法で正体がばれる危険もないだろう。

 

「ナーベ、お前はフライで後からついてこい! 私は先に行く」

 

 いうだけ言って返事も聞かずにモモンガは走り出す。

 結果、巨大な魔獣を肩に抱き人の限界を優に超えているであろう速度を出す漆黒の鎧の戦士の都市伝説が生まれた。

 




えっちゃんは黒、異論は認めない。

この辺からオリ展開が本格的に混ざるんじゃないかな……

と思っているけどどうなるか

感想突っ込み意見文句たくさんください。

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