「ふぅ………これでやっと、挨拶が出来るね。キンちゃん」
え?
何?何これ?ドッキリ?え、何で私にキンちゃんって言うの?
あ、もしかして名前間違えた?アハハハハハ、志乃ちゃんってばおっちょこちょい何だなぁ!
あれ?何でいきなり抱き着いてくるの?もしかして結構甘えんぼうさんなの?アハハ、カワイイナァ、シノチャンハ
「今度は、泥棒猫何かに邪魔はさせないから、ね?二人でずっと一緒だからね。もう、誰にも邪魔はさせないから」
ひぇ!?
「何でその事知ってるの!?ってか、貴女誰!!」
耳元で囁かれた言葉に、命の危機を感じて慌てて部屋の奥に逃げて、太股のホルスターに手をかける。
そんな私を見て、志乃ちゃんは笑って、部屋を見渡して、口を開く。
そんなわけ無いもん。だって、この子がホントに
「もう、ベッドはしわくちゃだし、机の上に雑誌が置きっぱなし!物を見えない所に押し込むのは、片付けじゃないからね?」
????………………………………ッッッッ!!!!!!!!
ま、まさか。いや、だって、有り得ないでしょ!!?私は天照に手違いで死んだって言われたから、理由があるし納得できるけど、何で
緊張で汗が止まらなくなって、動悸がする私を尻目に、志乃ちゃんはまた話し出す。
「女の子になって、几帳面になったと思ったのに、細かい所は男の子のままなんだね、部屋の隅ちゃんと掃除出来てないよ?ほら、クローゼットもこんなに雑になってる!」
うげ!?ち、ちょっと勝手に見るなぁ!!
「ちょっと、ちょっと志乃ちゃん!!」
慌てて止めるために志乃ちゃんに近付いて、肩を押さえる。
「ホントに、変わらないね、キンちゃん」
そう言って振り向き様に笑う志乃ちゃんが、前世の白雪の仕草に酷く似てて、嫌な予感が確信に変わった。
……………ホントに、白雪何だね。
ここまで私のこと知ってる人で、『キンちゃん』って呼ぶ人は、前世でも一人しか居ないよ。
「白雪……なの?」
私が震える声で言うと、志乃ちゃんは私に笑いかけてくれた。目尻が真っ赤になって、泣き笑いしながら、私の事を抱き締めてくれた。
「………ッッッ!!!うん、うん!!!!白雪だよ、キンちゃん!!!!!!」
あ、あぁ、白雪何だ、そうなんだ。白雪も、この世界に来てたんだ。
…………………………………………………う、うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「う、うぅ、キンちゃああぁぁぁん!!!」
「ヒグッ、グスッ、白ッ、雪が!!生きてたあぁぁ!!!!」
白雪を思いっきり抱き締め返して、白雪の肩で泣く。
だって………だって!!!!白雪がこの世界に来てたんだ!!あの後、如意棒に射たれた後の事!気にならない訳が無いじゃん!!ずっと考えてたよ!!授業中も!夜寝る前も!心配にならない訳が無いよ!!!だって、私が死んだんだよ?チームリーダーが、敵地のど真ん中で死んだんだよ?皆はバラバラで戦ってたんだよ!?アリアはどうなったの!?理子は!!レキは!!!皆はどうなったの!!?
「キンちゃん、アリアがね、緋緋神になって、皆………みんなが!!う、うぅ、うわぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
!!!!?!?
ごめんなさい、皆ごめんなさい!!私が勝ててれば、あんなバクチみたいな方法じゃなければ、こんな事にはならなかった!!!
私のせいで、私のせいでッッッ!!!!
「ごめん、ごめんなさい白雪!!私が勝ててれば、勝ててれば問題なかったのに!!!!」
「そんなこと無いよ!!だって、私も聞いたよ?
でも、でも!!!!
「関係無いよ、だって、皆が!!」
「…………私が、アリアと相討ちになったとき、藍幇は壊滅してて、ココも孫も殺されてた。静幻も戦いの負荷で、病気が悪化して…………」
そんな、嘘よ、だって、藍幇だよ?構成員百万を越える、超規模組織だよ?それが、壊滅!?
「バスカービルは?」
まさか、誰か…………いや、白雪がここに居るんだから、そうなんだよね…………ッッッ!!!!!!
「皆、緋緋神になったアリアを倒すために………………理子は最初に皆に黙って、ヒルダと二人で挑んで、最後は玉砕覚悟で至近距離で爆弾を、戦ってた旧市街地ごと爆破して………どっちも、髪の毛すら残って無かった」
ッッッッッ!!!!!!!
「レキは理子が起こした爆発音で、気付いて、現場をビルから監視してた時に気付かれて、そのまま戦闘になったんだけど。近距離に持ち込まれて、レキも武偵弾を使って…………ハイマキが、腕だけ見付けてくれた」
いや、もう、止めて
「ワトソンは金一さんとキンちゃんのお祖父様とお祖母様、
!!!!!!?
ジーサードにかなめは、分かる。あの二人達なら、敵討ちだって、言って………でも、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんもなの!?兄さんまで…………ッッッ何で!!!!
「いや、聞きたくない、いやぁ」
私の声が聞こえなかったのか、白雪は構わずに話す、最悪の地獄を。
「最初にワトソンが腕を切り飛ばされて、ワトソンを庇って金一さんが………」
いや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!!!!
「やめてぇ、もう、聞きたく無いよぉ」
「動揺したセツさんを庇って鐵さんが、鐵さんが倒れて、激昂したセツさんが、不意を射たれて、」
「やめてよ!!!」
思わず叫んだ私を、強く抱き締めて、まだ白雪は話す。
「ごめんね、キンちゃん。でも、皆の最後、辛いけど聞いて?」
うぅ、うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
まだ泣き出す私を、白雪は自分も泣きながら背中を撫でてくれた。
「ワトソンは、止血する気力も無くて、途中気絶した私に、擬死剤を打って、特攻したみたい」
「玉藻は、緋鬼って名乗る連中の相手を、メーヤさんとしてて、メーヤさんは緋鬼にやられて、植物状態に、玉藻は何とか無事だったから」
何で?何でこんなに酷い事になったの?どうして!?
「生き残った私と玉藻で、他の人達の助けをもらいながら、戦いの疲労で休んでた緋緋神が寝てる所を強襲。全員の武器を
何でよ、何で私が失敗しただけで、皆が死ぬの?何でよ!!!!!
「こんなの、おかしいよ。私が死んだのが悪かったの?あの時、あの時避けてれば良かったの!?私のせいなの!!?」
「キンちゃんのせいじゃない、スサノオが邪魔しなければ、うまくいってたって、天照言ってたもん。キンちゃんは悪くない!!」
「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや……………………………もう誰も死なさない、絶対に。皆を守る、守ってみせる。その為なら、何をしたっていい!!!!!!!
「キンちゃん………………」
「他の皆はこっちにこれたの?」
私の言葉に白雪が複雑そうに言う。
「鐵さんとセツさんは、断ったって。金一さんも、これも運命だって、『あっちに爺ちゃんと婆ちゃん置いてけない』って言ってたみたい。他の皆は、こっちに来たって、元々キンちゃん以外は予定外の人達で、アリアが緋緋神として殺された後……………天照に直談判して、無理矢理通したみたい」
「そっか…………………白雪、私のことはあかりって呼んで」
力がいる、誰にも負けない力が。
「分かった、私も志乃って呼んで?」
私一人の力じゃ無理、皆が強くならなきゃダメなの。最初の
「分かった。志乃、私強くなるよ、今度は絶対に失敗しない。」
まずは顔洗わないと、目元が真っ赤だもん。
「志乃、顔真っ赤だよ?」
「あかりも真っ赤だよ、顔洗わないとね?」
その後は、二人で洗面所で顔を洗って、急いで家を出た。先に行ってる先輩二人に追い付かないとダメだし。
「ほら、あかり速く速く!」
身長差のせいか走り込みの練習してないからか、志乃の方が速い。前世だと私の方が高くて速かったのに、何か悔しいなぁ。胸も志乃の方がおっきいし。
「ちょっと待ってよ!速すぎ!」
むぅ、こうなったら、少し疲れるけど能力を使おっか?発動キーはえっと、どうしよう…………学校の連中を思い出して、怒りにしよう。
………………………………ブチッよしきた、今メッチャ機嫌悪いわ、私。
「待てぇぇぇぇい!!」
桜花は使わなくていっか、リミッター外せたしちょっとだけ本気で走れば、追い付けるはず!!
「!?え、ちょっとあかり!?速すぎるでしょ!!何したの!?」
「にひひ、裏技だよ、先に駅行ってるねぇ!!」
あっと言う間に志乃を追い抜いて、爆走する。ハッハァ、どうよこの速さ!
これやった後はメッチャ疲れるし、筋肉痛になるから、本当は訓練前にしちゃ行けないんだけど、これからどんどん強くならないとダメなんだから、これくらい出来て当たり前なんだよ!!
「待ってってばぁ!!」
!?
志乃何で追い付けるの!?
「嘘でしょ!?同年代に追い付かれる事無かったのに!!」
「私も、裏技だよ、あかり」
「むぅ、魔術ってズルいよ!」
「ちゃんと努力必要なんだから、ズルくありません!」
ぐ、なるほど、つか、急いで走ってるせいで、もう駅に着いちゃった。
「家から歩いて十分とはいえ、速くない?」
「五分もかかって無いね、目指せ二分!!」
いや、それはもう車だよ。
私に人を辞めろと言うのか、志乃は。
「それはもはや車だよ。それよりほら、もうすぐ電車来るよ!」
「あ、ごめんあかり、Suicaチャージしてなかった!」
おうふ、そこでつまずくの!?ってか、あるある過ぎて何とも言えない。志乃ちゃんとチャージしときなよ、お金は有るんだから。
「もう、速くしてよね~」
しょうがないから少し改札口で待つと、慌てた志乃が改札を通ってきた。
「ゴメンね、電車は?」
「もう来るよ、速く行こ!」
ホームに行くともう電車が来てて、ドアが開くところだったから、急いで二人で入る。
「そう言えば、白雪先輩からメールきてる?」
あ、微妙な顔してる。そりゃさっきまで白雪って呼んでたんだから、違和感あるんだろうけど、そんなこと言ったら私、キンジに家族愛感じてる訳で………何かもう思考がグダグダしてきたなぁ、お腹空いてきた。
「あ、きてるよ。えっと、駅前で、黒服の女の人の迎えが有るから、そこから訓練する所まで、おくったもらうみたい」
ほへぇ、やっぱりこれって、見せられないお金なのかな?白雪先輩のバックは日本政府で間違い無さそうだし。怖いなぁ、その黒服の人も超が付くぐらい強いんでしょ?
「そっか、志乃、やっぱり白雪先輩って、
「ここじゃダメ、今度私のお家で話すから………ね?」
ハーイ、分かりましたぁ。変なこと言って国に目を付けられるのは御免だしね~。
志乃のお家も気になるし、いっそ休日一日使って、遊び倒そうそうしよう!!
「じゃあさ、今度一緒に買い物しようよ!」
「うん、良いよ!」
イヤッホー!!志乃とお買い物キターー!!!
アイドルとお買い物だよ!ののかも連れてって良いかな?良いよね!!
「ねぇねぇ、ののかも連れてきて良い!?」
「妹さんだっけ?大丈夫だよ~」
志乃も機嫌良いし、キタコレだよ!やったーののか志乃のグループ好きだもんね、絶対喜ぶよ!!
「ふんふふ~ん♪どこに行こっか……………あ、お台場行かない!?」
生まれ変わってから、お台場行ったこと無かったんだよね、そういえば。
高校に行くまでまだ時間はたっぷりあるし、いつかは毎日通う事になるとしても、一日位、遊び倒しに行っても良いでしょ?
「お台場が良いの?」
「うん!ののかも喜ぶよ、海が好きだから!!」
「妹さん、海が好き何だ?じゃあ今度三人で行こっか、沢山遊びましょう!!」
『まもなく~〇〇駅、〇〇駅です。お電車降りる際は、足元にご注意のうえ~………………』
あ、電車もう着くみたい。
「もう着くみたい、速いね」
「そうだね、走っても結構かかるから、便利だよねぇ」
二人して年寄臭いなぁ、お婆ちゃんみたい。いや、今時のお婆ちゃんでも、子供の時から電車乗ってるか。私達どれだけ時代逆行してるんだか、アハハ