読んでくださる読者の人達には申し訳無いです、これも作風だと思って、諦めてくださると楽かも知れません。
「ふぅ~、生き返るぅ」
見た目が十代の戦前から生きてるオバさんが、お風呂に浸かって恍惚の表情を浮かべてる。
本当にこの人、世の中の女の敵よ、八十過ぎてるのに、何でそんなに若いのよ、前に聞いたら『神降しとか、超常現象とか、非現実的な事に関わってると、自然と若くなるの』って言ってたっけ。
絶対それだけじゃないだろうけど、シャーロックが百歳越えても、見た目二十代だったのを考えると、色金クラスの遺物なら、それも可能だって、思えちゃうのがねぇ。本当に超能力って何でもありよね。
「婆臭いこと言わないでよ」
「そんな酷いこと言わないでよ、老い先短い老人の、数少ない趣味なんだから」
「趣味ねぇ、算盤教室で可愛い男の子に
つか、オバさんの癖に見た目は年上が好きって、倒錯し過ぎよ。私の趣味とか性癖、絶対この人に歪められたわ。
「いいのよ、若い子の強い感情が、私と契約してる
のほほんと言ってるけど、やってること最低だからね?
「その天狐はどこに居るのよ」
「外宮の
天狐、純粋な狐の中では、最高峰の格の存在で、半分神格、地域によっては祀られる存在。気性は穏やかで、若くても千年以上生きてる狐が、天狐と呼ばれる。
つまり、下手すると日本列島に、国が出来る前から生きてた存在も居るってこと。茜社の天狐は、若い狐みたいだけど。
「あの娘が寂しがり屋で、地域の小学校に通ってるのも知ってるわよ」
「あら、
茜って言うのは、天狐の名前で、基本は人前ではあまり呼ばない。契約してる幻獣にとって、名前は危険なものだからだ。
「オバさんと違って、あの娘は居場所が分かるからね。外宮に行った時に、ついでに変則的な術式組んで、呼んだのよ」
「あら、理論の方は成長してるのね。私と茜を、両方呼び出せる条件で、式を組めるようになるなんて、私嬉しいわぁ」
そう言って私の頭を撫でようとしてくるのを避けて回ッッッ!?金縛りとか、どんだけ容赦ないのよ!!
「ほら、逃げないの、本当にもう、貴女は素直じゃないわね。深層心理と考えてる事が、大分離れてるわよ?危ない兆候ね、あなたはもっと周りに弱音を吐いて良いのよ、最近泣くことが多くなったんじゃない?」
え?、何でそれを、いや覗いたんでしょ?
それに、泣くことが多くなったのは、別に良いのよ、オバさんの言ってた弱音を吐くってやつだから。
「はぁ、あかりの泣き方は、感情の処理が追い付かなくて起きるものよ。あかりくらいの歳にはたまに居るけど、感情の制御が出来てないの。あかりの境遇には、私は同情するわ、同じ神に台無しにされた者同士だもの」
だったら!!
「なんで、何で私を、弟子になんてしたの?」
同情してるなら、助けてよ。
私は、もう嫌だよ、痛いのも辛いのも!!
「それじゃ、貴女は納得しないじゃない、自分で助けなきゃ、安心出来ないじゃない。だからよ、貴女には才能があって、私は才能を伸ばす事が出来たの、だから私は貴女を弟子にしたの」
その言葉に、涙腺が緩くなるのを、無理矢理堪える。
「私、なれるかなぁ、
ちょっとダミ声になった私の声に、オバさんは優しく抱き締めてゆっくり話してくれた。
「大丈夫よ、私より才能有るもの。大丈夫だから、自信持ちなさい」
なんか、小学生の頃に戻ったみたい、懐かしいなぁ。強姦されそうになった後、学校はそのままで、こっちで暫く生活してたんだよね、ののかは来なかったけど、あの娘は私よりも特別だからねぇ、家の武術の才能なら、あの娘の方があるし。私は無理、効率的に人を殺す為だけの技とか、
キンジ達が帰って来るまで、オバさんにずっと、相談に乗って貰った。
神降しが出来る巫女は、神の
その生涯を、神の為に捧げ、神の先兵となり、人を導く。
こう言うと、耳触り良いけど、神のおもちゃになるに決まってる。
神の気まぐれで死地に赴き、言われれば命も差し出す、人間じゃなくて人形、意思無き人型。それなのにその力はICBMや戦術級の核兵器を越える。一人で小国なら一国を落とせるRランクが、束でも敵わない超常世界の核兵器。
過去の事例だと、国が個人に対して不可侵条約を結ぶレベル。
歩く災害、意思持つハリケーン、
強過ぎる故に、その殆どが、
生きてる時代が人生って規模じゃなくて、人類史レベルの規模なんだよね。
私、そんな存在になれるのかなぁ。
キンジを助けるためになったとしても、それで香港に行けなくなるとか嫌なんだけどなぁ。
オバさんにそんな話を聞いて、オバさんはどういう立場に居るのかとか、オバさんにどうすれば良いのかを聞いたりしてたら、玄関が騒がしくなってきた。キンジ達が帰って来たみたい。
「そろそろ上がりましょうか」
「うん」
オバさんがお風呂の扉を開ける時。
「ほら、帰ったら手洗いうがいですよ」
「いや、今二人が風呂に入って、」
「未だ大丈夫ですよ」
志乃とキンジの声が聞こえた。
「オバさんストップ!」
「何よいきなり?」
私の言葉に反応して、オバさんがぎりぎりの所で止まってくれた。危ない危ない、このままだと、キンジにまた裸見られる所だった。つかバカキンジは学びなさいよバカ!そんなに裸みたいの?変態!!
オバさんの問い掛けに無視して、扉越しに志乃に話す。
「志乃、お風呂上がるから早くして!」
「分かってるよ、ちょっと待っててねー」
私と志乃の言葉に、オバさんも志乃達が脱衣所の所に居ることに気付いたみたい。
「あぁ、この家洗面所と脱衣所同じ場所だから、ごめんなさいね」
「気にしないで良いですよ~、直ぐに退きますから。あ、キンジ先輩はどうします?残ります?」
「何で残るって選択肢があんだよ!!」
そうよ、キンジは即刻出ていって!こっちは裸なんだから、早くしなきゃ風邪引いちゃうでしょ!?
「っくしゅん!!」
「あら、あかり大丈夫?お風呂に浸かってなさいよ」
「うぅ、寒い」
お風呂に浸かって二人が出るのを待ってると、外からおっきな音と、小さく「キャッ!?」って志乃の声が聞こえて、嫌な予感がしてくる。
「!?す、すまん!!」
「ちょ、今動かな、ひうっ!!」
「なッッッ!!?!?」
案の定、外が愉快な事になってる。私の心は不愉快だけどね。人が寒さに震えてるのに、この仕打ち、覚えてなさいバカキンジ。
「ちょっと、早くしてよ、風邪引いちゃうでしょ?」
私が言うと外がまたドタバタして、二人が脱衣所から出ていったのが分かる。
「楽しそうなお友達ね」
「二人ともトラブルメーカーだけどね」
パジャマに着替えてリビングに行くと、二人が何か書いてた。
二人して何書いてるんだろ、教科書とか無いから、宿題じゃないよね、なんだろ?
「お風呂上がったよ~」
「お次どうぞ~」
オバさんは二人を促した後、冷蔵庫から麦茶を出して、二人分注いで私に渡した後、自分のを一気飲みして寝室の方に行った。
多分寝室の押し入れから、布団人数分出すんだろうなぁ、これ飲んだら手伝お。
「佐々木、先に入ってこい」
「あ、じゃあお言葉に甘えて、お先失礼しま~す」
パタパタと忙しなくスリッパを鳴らして、志乃が着替えを持って脱衣所に駆け込む。
あ、そう言えばアイス冷凍庫に入ってたよね~、棒の一箱に結構入ってるやつ。一本貰お、ついでに志乃にも言っとこっか。
「上がったら、冷凍庫にアイス有ったから、それ食べなよ~」
「はーい」
バニラの棒アイスペロペロ舐めながら、志乃にアイスのことを言うと、脱衣所から声が聞こえてきた。
今のうちに二人が何書いてたのか見よっと、キンジは未だ書いてる。「あかり!?ちょっと待て、これは見ちゃ」キンジが止めるけど、気になるから無視して見る。一体二人して、何を書いてるのよ、何々?『二日目報告書、あかりが魔術士と判明、能力は神道、似た体系の鬼道でも、適性は低く、神降しに関わる適性が………………………あかりの能力が、天照大御神に面会することにより、どう変化するかは不明、少なくともあかり本人は、この旅を通して成長する事を確信してる様子』???何これ。
「あ~、見ちまったか………これ白雪と佐々部さんから言われて、書くことになってるんだよ」
「何でまた?」
これを書く理由が分かんないんだけど、私そこまで目を付けられる事したっけ?
「佐々部さんからなんだがな?『書くことで客観的な立ち位置で見られる』って、白雪も『志乃の観測した運命を変えるために、出来ることはした方が良いよ』って言ってな、あかりに教えて変な影響が出ないよう、内緒で書いてたんだ」
成る程ねぇ、確かに見る限り、私のデータばっかり、オバさんの事も書いてるけど、凄すぎてオバさんの所だけ娯楽小説みたいになってる。あの人の規格外っぷりは、間近で見ると際立つからねぇ。あれで
「そうだったんですか、でも二人でですか?」
キンジに質問するけど、頭の中の考えがマイナス思考になってる。
こちとら
考えれば考えるほど、何であの時如意棒を防げるなんて考えたんだろ、流石強さでは最強格の妖怪、正直
でも頼むから、ギリシャ神話とか、インド神話とか、存在するだけで世界を滅ぼすような化物は、出てこないで欲しいなぁ。でたら例外でも無理だよ?まぁ、存在してたら人類なんて、とっくのとうに滅亡してるだろうし、考えるだけ無駄だよね。
「俺は魔術とか、よく分かんないがな、
真っ直ぐ私の目を見て、ちょっと顔赤くしながらキンジが言った。
………………………あぁ、幸せ。
キンジに言われるだけで、ここまで幸せな気持ちになれるんだ、白雪先輩が前世で暴走してた気持ち、ちょっと分かるかも。これは、独り占めにしたい。私だけに言って欲しい、私だけを見て欲しい。
これが惚れるって事なのかなぁ、もっと私を見て欲しいって思う、私以外を見ないでって思う、
……………自分で考えててあれだけど、私ってヤンデレ?これ絶対重たいよねぇ、自分で思うもん。前世だったらドン引きだよ、ここまで強く思ってたのは、前世だと白雪だけかな?アリアは相棒って感じだし、理子は表裏激しくて、本心が分かんないし。レキは未だ未だロボットだったし。
こう考えると女の子多かったんだなぁ、チームも私以外女の子だったし、武藤も不知火も、チームじゃなくて戦友って感じだし。
チームを組んで、大きな
男の子の知り合い、少なかったね、うん。
ブラド…………小夜鳴先生は、たまに話してたけどさ、刑務所に行っちゃったし。ワトソンは女の子だったし。
「それ、私の気持ち分かってて言ってます?」
私、キンジに告白してるんだけど、その日のうちにこんな殺し文句言って、しかも返事は未だって、むぅ。
「返事は、もう少し待ってくれ、考えたいんだ。つかよ?」
「なんです?」
「俺の何処が良かったんだ?こう言っちゃ何だがな、自分でも色々面倒な奴だと思うぞ?」
「えっと、お兄ちゃんみたいでも、頼りになるわけでも無くて、家事が出来る訳でも無いですね、優しいですけど、それだけですし」
あ、キンジが沈んでる、まぁでも他人からの人物評価は、聞いといて損は無いんだよ。
「年下の女の子に暗示掛けたり、可愛ければ何でも良いの?って思うくらい色々な人に手を出してますし、コミュ力無い昼行灯ですし、男だ女だって言ってる癖に、甘えん坊だし、何ででしょう?」
言ってて自分でも不思議に思っちゃった、何で私キンジを好きになったんだろ?