はぁ、どうしてこんな事に……………
予想の斜め上を行く展開に、頭を抱えたくなるのを堪えて、皆とオバさんの家で相談することになった。
「………ふぅ、それじゃあ。現状の整理といきましょうか」
オバさんがお茶を飲んで、一息吐いて疲れた顔で言った。
「取りあえず、あかりは
うぅ、分かったよ。
「まず、私の家系は、乗能力を持たないんです。私は突発的な発現をした存在で、妹も乗能力には目覚めてません」
「まさか、天照大御神に言ってた事って………」
驚きでこっちを見る志乃に、苦笑いして言う。
本当はちょっと違うんだけど、流石に転生の時の話なんて言えないもん。
「うん、天照大御神による加護、本当は私なんかの血筋じゃ、受け賜る事の出来ない事何だけど、私は神降ろしの適正が、日本で一番高いって、だから加護を付けたって、大御神が言ってた」
神降ろしの適正は、多分生前逢ってた事が、要因の一つになってるんじゃないかと思う。
基本的に、神降ろしとか悪魔召喚とか、降臨させたり呼び出したりする魔術とか儀式何かは、呼び出す相手と縁を結んだり、縁の有るものを触媒にするけど、神降ろしで縁を使うのって、凄く難しい。
できて縁のある場所……神社とかでの降臨になる。
二回目以降は、神と直接縁を結べるから、少しはマシになるんだけど、それも神降ろしの条件によって、縁の強さが決まるから、一概に難易度が凄く下がるって訳でもない。
でも、私は生前、
対等とは言えずとも、巫女と神程の差が開いてなく、殆ど同じ目線での会話。
これは縁を繋ぐのに、これ以上無い効力を発揮するの。
何せ、神の見た目も声も、話し方から性格までも、情報としてお互いに持っていんだもん。そりゃ神社で縁が殆ど無い、赤の他人との神降ろしよりも、お互いに人となりを知ってての神降ろしの方が、成功率が高いに決まってる。
それに、
「それで、天照に乗能力を貰ったと、天照はそういう能力があるのか?」
う~ん、どうなんだろ?
たしか、義母様から能力を貰ったとか、なんとか。
「たしか、日本書紀でも、古事記でも、そんな事書かれて無いですよね?」
志乃の疑問に、オバさんも唸る。
「うぅん、天照大御神は、権能や神性の創造・付与は伝承に無い筈よ。まぁ、神話なんて曲解とか外典とか、数え切れない位あるから、絶対とは言い切れないわね」
「えっと、義母様から能力を貰ったって、聞きました」
二人してスゴい勢いでこっちを睨んできた、え?私何か不味い事言った?
「「それ本当!!?」」
あまりの勢いに思わず引いちゃう。な、何がそこまで重大なの?
「それが本当だとすると、イザナミノミコトまで、出張ってきたってこと?」
「………あり得なくは無いわね、国産みや神産みで、自分に無い能力を持つ存在を創造してる存在だし、能力の創造・付与位してくるかも」
「でもそれは、イザナギノミコトにも言える事では?」
「イザナミノミコトはあの世、死後の世界の神で、転生にも……………」
二人で盛り上がって、どんどん話が難しくなってる中、私とキンジが取り残されてる。
「何が何やら、あかりは分かるか?」
「正直半分も無理です、あそこまで飛躍すると最早別の言語ですよ」
こっちの事は意識の彼方に飛ばしちゃってる二人を、呆れながらお茶を飲む。
デデンデンデデン、デデンデンデデン
ん?
電話だ、ののかから?
キンジに一言言って、廊下に出て電話に出る。
「はい、もしも「お姉ちゃん今どこ!?」……………小百合オバさんの家だよ。どうしたの?」
「はぁ~、良かった。お姉ちゃんまで居なくなると思った」
ん?
疑問に思った私に、ののかが深刻そうな声で言った。
「お姉ちゃん、
え?
………………………………………………………………………………………………………………………………………
「いやいや、そんな筈無いでしょ、
信じられなくて聞き返す、だってあのお父さんが、
冗談でももっとマシな嘘を言いなよ、洒落にならないよ本当に。
「………………………………………………」
そんな、私の言葉に返ってきたのは、ののかの重い沈黙だった。
「嘘、でしょ?」
「三日前から、定期連絡が無いの…………今回は、海外の仕事だから、捜索も難しくて……………………う、お祖父ちゃんはっ、万が一もっ!、考えろってッッッ!!」
涙声になって、最後は泣き叫びながら言ったののかの声を聞いて、意識が遠くなる。
そんな、嘘だよ、だってこれからなんだよ?今お父さんが抜けるなんて、来年のイ・ウーの襲撃はどうするの?対抗できる人なんて、それこそお父さんとお祖父ちゃんだけだったんだよ?そんな、どうしてよ、嫌だよ、何でいなくなっちゃったの?お父さん!!
目頭が熱くなって、口元を手で押さえる。
私は、お姉ちゃんだから、ののかが泣いてる時に、泣けないよ、うぅ。
「落ち着いてののか、こっちが落ち着いたら直ぐに行くから、絶対お父さんは見付けるから、だから心配しないで」
「なん」
ののかが何か言ってるけど直ぐに電話をきる。
時間が無い、スカートのポケットから、天照大御神に渡された金属、陽生魂を出す。
震える身体を、深呼吸して落ち着かせる。
……………スゥー,ハァー……スゥー,ハァー……………よし、落ち着いてきた、大丈夫、私はお姉ちゃんだもん!!
…………最近皆に甘えてばっかりだけど。
別の事を考えて、思考が落ち着いたのか、だいぶ調子が戻ってきて、手の中の陽生魂を見る。
「さっそく、これの出番、か………仕組まれてそうだけど、先にキンジ達に話さなきゃ」
陽生魂は淡く点滅するように光ってる。
神秘的な光景何だけど、見ようによっては発信器みたいにも見えるから、何か複雑。
今度は、ちょっと大きい事になりそうだし、キンジには大人しくして欲しいんだけど、志乃に頼もうかなぁ。
部屋の中に入ってきた私を見て、オバさんが真面目な顔になる。
「そうなると、大国主命が絡んできて……………どうしたんですか?小百合さん」
オバさんの雰囲気が変わって、オバさんと話してた志乃が戸惑ってる。
キンジも、私の顔を見て、只事では無いって思ったみたい、遅れて志乃も私に気付いた。
「見た?」
「ええ、三日で使えるようにしたげる」
「ありがと」
「お礼は終わってからよ」
私とオバさんの会話に戸惑ってる二人に、椅子に座って、電話の内容を話す。
「こりゃ、学校に暫く戻れないな」
事情を話した後、開口一番にこの台詞だもんなぁ。
やっぱり、ついてくる気満々だよ、シスコンめ。
いや、嬉しいけど、こんな過保護で良いのかなぁ。
無茶は許さんって感じに睨んでくるキンジに、思わず顔を逸らす。今直視したら顔が赤くなる自信あるよ、今回は海外なのに、お節介でついてくるって、嬉し恥ずかしで、情けない不甲斐ないも出てきて、感情が制御出来ない。
「仕方無いです、先生には家庭事情でゴリ押ししますよ」
結局ぶっきらぼうに言って、オバさんにキンジの説得を丸投げする。私じゃ無理、直ぐに落とされる、即落ちする気しかしないわ。
「俺はそれに巻き込まれたって事にするか、どうせ理由なんてロクに確認もしないしな」
「はぁ、私はついていけませんね、仕事があるので。あかり、無理は絶対ダメだからね?」
「分かってるよ、ののかにこれ以上負担掛けたくないし、キンジ先輩に未だ返事貰ってないもん」
返事、いつまでも待ってるから、早くしてよね?
視線でそう訴え掛けると、キンジが気不味そうに顔を逸らした。
「あかりは陽生魂を使えるようになったら、一度里に出発ね。志乃ちゃんはお仕事終わるまでここに居なさい。遠山君は、
オバさんの言葉に、キンジが信じられないような目でオバさんを見る。
「…………は?」
「聞こえなかった?帰りなさいって、言ったのよ」
あっさりとそう言って、オバさんはキンジを見る。
「どうしてです?あかりは俺の
「ええ、戦妹よ、それだけ」
続けて言ったオバさんのその言葉に、キンジが絶句する。
「そもそも、
見も蓋も無いって言うか、ドストレートって言うか、頼んだのは私だけど、中学生相手にそんなキツい言い方しなくても………キンジ固まっちゃってるし。
私の為にってのは分かるし、キンジに大切にされてるって考えると、顔を直視できない位には嬉し恥ずかし何だけど、今回ばっかりはキンジに引いて貰わないと困る。
お父さんはSDA総合ランカーと戦える位強い、里の皆から鬼神って呼ばれる位、近接で負け知らずな人だったんだ。
その人が行方不明になるレベルの相手………本職が隠密のお父さん相手に、裏工作とか小細工なんて、現実的じゃ無いから、真正面から戦って勝ったって可能性が高い。私は、色金に匹敵するって言ってた陽生魂の力と、
そもそも海外だから、英語が出来ないキンジは向こうでの生活すら危ないから。
「でも、」
納得出来ない顔で、拳を握り締めるキンジ、ゴメンね、今回は私の問題だから。約束破ってごめんなさい。
「今回は運が無かったと思いなさい。私も捜索には参加するし、あかりには万が一も起きないから。」
「……………ッッッ!!……あかりを、お願いします」
「ええ……ま、未だ少しの間時間はあるのだから、その間は好きにしなさい」
暫くの間、誰も喋らなくて沈黙が続く。
私が原因だから、何か気不味い。
キンジが部屋に戻って、志乃が事務所からの電話で部屋を出た後、オバさんが話し掛けてきた。
「遠山君は、優しいのね」
「お節介なだけよ、後お人好し」
気恥ずかしくて、突き放した言葉が出てくる、本当はもっと、キンジの話しをしたいのに、話を切る言い方しか出てこない。
「英語は大丈夫そうだけど、探すとなると、他の言葉も必要ね。私の又甥はどこに行ったのかしら?」
こうして聞くと、やっぱりオバさんって歳なんだなぁ、お祖父ちゃん今年で未だ五十八じゃなかったっけ?
戦前から巫女やってる大先輩なんだよね、全然そう見えないけど。
「出発前に、お土産何が良いって聞かれて、アメリカに行くって言うから、自由の女神のキーホルダーと、向こうの写真お願いしたの」
「アメリカねぇ、また面倒な。あそことは不可侵条約結んでるのよねぇ、私が表に出られないか、茜に頼むしか無いかしら?」
茜と?
やった!!
ってか、もう驚かないからね、個人で国と不可侵条約結んでるとか、マンガの世界みたいな事、これからいくらでもあるだろうし。
「貴女も、この件が終われば、嫌でも結ぶ事になるわよ。今回ばっかりは、貴女自身の力でどうこうは無理だもの」
ってことは、私も巫女の仲間入りかぁ。
あ~あ、SDA総合ランキング、トップテンになるの、夢だったんだけどなぁ。
巫女になったら、もう無理だよねぇ、オバさんはランキングに載ってから、巫女になったって言うし、巫女のオバさんと、ランキングに載ってるオバさんって、別人扱いだからなぁ。
戸籍複数の名前で持てるのは、巫女位だよ。
しかも国からのお墨付きの戸籍、SDAランキングに登録時のオバさんの名前は姓は同じで名は
見た目も変わったらしいしね、巫女の影響なんだろうけど、若返りとか、本当にファンダジーの世界だなぁ。
「貴女の存在も十分ファンダジーよ……………………ほら」
ポスッ
ちょいきなり引っ張るのやめてよ、つか、何で抱き締めてるのさ?
「二人は暫く来ないでしょう、今のうちにすっきりしちゃいなさい。少し位泣いても、誰も文句言わないわよ、これからは泣く暇なんて無いんだから、ね?」
若干涙声のオバさんに言われて、身体の緊張が解けたのか、震えが止まらなくなって、視界がぶれる。
何か、泣いてばっかだなぁ。
以下、次回予告(多分今回だけ)
結局現場整理に入る前に、トラブルの発生。
妹のののかからの連絡を受けて、あかりは行方不明の父親の捜索に、アメリカ行きを決める。
一方のキンジは、小百合から現実を突き付けられ、傷心状態に…………
志乃は芸能活動で身動きがとれず、小百合は条約のせいでアメリカに行くことが出来ない。
あかりとアメリカに行くことになった狐、茜とは………
次回「神様って、以外と皆ミーハー」
次回も見ないと、風穴開けるわよ!