今回はシリアス注意 後今回、あかり視点では無く、キンジ視点でのお話になります。
女の子の文が読みたいんだ!とか、キンジはこんなんじゃない!!とか、考えちゃう人は、閲覧注意です。
タグ的にはキャラ崩壊と、他視点とかですかね。よくわっかんねぇ(⬅おい)
キンジ 無力を知る
「俺、
あかりには貰ってばっかりなのに、何一つ返せてない。
「心配してくれるだけでも、あかりは嬉しいと思いますよ?」
荷物整理をしてる俺の横で、手帳に何か書き込んでた佐々木が、気不味そうに言ってくる。
「心配なんて、赤の他人でも出来る。俺はあかりに貰ってばっかりなんだよ」
最初の出会い方がアレだったから、俺は警戒心剥き出しで接してたのに、向こうはそんなのお構いなしに、ずかずかと俺に近付いてきて、いつのまにか
当たり前になったのは、あいつが弁当を、作り始めた時からかもしれない。
俺は最初、結構キツく断ってたのに…………最終的に白雪を説得して、二人で泣き脅しとか、昨日だって告白されて、俺のどこにそこまでの価値があるのか、自分じゃ分からん。
『好きです、これからもずっと、側にいさせてください、キンジ先輩』
告白された時の事を思い出して、慌てて頭を振る。
確かに俺はあかりの事は嫌いじゃない、でもそれと好きって事とは、また違う気がするんだ。
あいつはなんと言うか、料理も家事も出来るし、面倒見も良いし、気遣いも出来る。座学の成績はトップだし、人に教えるのも上手い………自然と皆の輪の中心に立ってるタイプ、リーダーとか指揮官とか、そういう才能を持ってる人間なんだ。
それに比べて、俺はがさつ、テキトウ、優柔不断で中途半端、しかもコミュ障の根暗ときたもんだ。家事も料理も人並みには出来るし、拳銃技能なら、あかりを越えると自負してるが、それだけ。
あかりに対して誇れるものも、戦兄として教えられるものもない。ましてや俺が教わってるような状況だ、近接戦闘で全力を出したあかりに、俺は勝てるイメージが浮かばない。
あいつの近接戦闘は、文字通り音を置き去りにする。
身体中の細胞を全てフル活用して、マッハに近い速度で動き回るから、風圧だけでこっちが動けなくなるんだ。
超小型の戦闘機が、自分の周りをマッハで旋回してるようなものだからな。
「どうしたんですか?遠山先輩」
さっきから身体が固まってたのが気になったのか、佐々木が話しかけてくる。
「ん、いや、少し考え事しててな」
「あかりの事ですか?」
「…………あぁ」
言い当てられて、何か気恥ずかしくなって荷物整理をする手を早める。
「心配しなくても、あかりはちゃんと戻ってきてくれますよ。もう、一人で居なくなったりなんてしませんって」
でも、
「それでも、心配するのはダメなのか?俺は信頼してるからって、それだけで納得出来るほど人間出来てねぇんだ」
荷物整理をしてた手を強く握りしめる。
「なら、遠山先輩はどうしたいんですか?」
俺がどうしたいかなんて、決まってる。
あかりに格闘技術を教わった、拳銃技能の基礎もコツも教わった、学校の連中にヒステリアモードがバレそうになった時、バレないように矛先を、あかりは自分自身に変えた。女に対する一般的な知識も………抵抗はあったし、乗り気じゃなかったけど、『無用なトラブルは厳禁です。相手も先輩も、傷付かない為に必要ですから!!』って言われて、渋々教わった。
「あかりに恩返しがしたい。あかりは俺の恩人で、俺の事を慕ってくれる後輩で…………俺の、大切な人だ」
それでもあいつは、あかりは俺の
この前なんて、料理酒と
あの時の、あかりが煮物を食べた時の顔を思い出して、少しにやける。
「大切な人………ですか?」
「あぁ………正直俺は、愛だの恋だのの、恋愛感情とかよく分からん。でも、あいつが俺にとって掛け替え無い存在なのは、確かなんだよ。だからあかりの助けになりたい、困ってたら放っとけ無いんだよ」
まだ返事してないしな。俺としては愛だの恋だのは分からないからな。
あかりには、世間一般でいう恋愛観とか、恋に堕ちたとか、男女的な意味で好きとか、そういうのは当てはまんないんだよな、世話の焼ける後輩………もっと近いな、親戚の子供?……………戦
「そうですか、放っておけない……か。遠山先輩、お人好しですね、普通なら
そうなんだろうけど、
「俺は、ただ恩返しがしたいだけだ」
女にいつまでも借りてばかりとか、爺ちゃんに知られたら殺されるからな。
うちの家訓の一つだ、『女は守れ』『借りは死んでも返せ』数え切れない位ある家訓で、覚えやすいから直ぐに覚えたんだよな、俺も未だ家訓を全部覚えて無い。
「なら、どうやって恩返しするんですか、今回の件で、遠山先輩が力になれる事なんてあるんですか?」
まるで、現実を見ろとでも言いたげな顔で、こっちを見てくる佐々木に、俺は考えてた事を話す。
「向こうでの生活の手助け、後は頼れる歳上の手配だ」
バカな俺でも、小百合さんが気軽に国外に行けるような人だとは思えないからな。
少なくとも外宮の祭神の巫女で、しかも神降ろしっていうトンでも全開な摩訶不思議な事出来るわけだろ?あかりを公園から連れ戻した時に、宮内庁に出入りしてるとも聞いたぞ?
そんな重要人物、気軽に国外に行けないだろ、少なくとも大人は、気軽に仕事を休めないんだから。
「歳上って、先輩交友関係そんなに広かったですか?」
失礼な
「俺だって困った時に助けてくれる先輩はいるわ………兄貴だけど」
「あぁ、お兄さんですか、でも今留学中では?」
その『やっぱり居ないんじゃないですかぁ』みたいな表情をやめろ。
つか、何でその事知ってんの?
あかりと白雪にしか言ってな………二人が話したのか。
「今は
「断られたら?」
その時は腹を括る。
「兄さんの秘密をバラして、YouTubeに画像集をバラ撒く」
俺は死ぬだろうが、借りを返して家訓は守るし、あかりの問題も、兄さんがいればなんとかなるだろう。
「えげつないです、ちょっと引きました」
有り得ないものを見る目でこっちをみる佐々木に、ちょっとショックだ。
「……でも、お金はどうするんです?あかり一人で行くよりも、何倍も掛かりますよ?」
それは、どうするか。
正直全く宛が無い、今から向こうまでの移動と向こうの生活費…………それこそ何十万、下手すると百万越えるような金額だろ?銀行に強盗とか、ギャンブルで一山当てる位しか、思い浮かばん。どっちも実行できないから、実質手詰まりだな。
「何も考えて無いんですね、はぁ…………ボソッそこら辺前世と同じね」
ん?
「何か言ったか?」
「何も言ってないですよ。それより、私と取引しません?」
なんだ、手掛かりがあると思ったんだが。取引って、一体いきなり何を?
「あかりとの
は?
「今、なん
身体の芯に熱が籠る、血流は通常時のまま。
頭が重たい、視界がチカチカ明滅する、ドス黒い感情が身体を支配して、今すぐ目の前の佐々木に殴り掛かりたい。
「あかりと契約を解除して下さいって言ったんです。遠山先輩はあかりの足枷にしかならない」
それを聞いた瞬間、思考が冷水を掛けられた見たいに冷たくなった。
「先輩、あかりは遠山先輩よりも強いです。学校での評判や人間関係を調べました。遠山先輩よりも、あかりは人望も能力もある。そして、あかりは遠山先輩の事を、女性として好きだと言ってるんです。
続けられた佐々木の言葉に、何かが軋む音がする。とても大切な何かが、壊れる音がした。
「女の子は、守ってもらいたいって、本能で思う生き物なんです。それなのに………
やめろ、やめてくれ、それ以上はダメだ。
あかりに告白された時から………いや、出会った時からの疑問が今、鎌首を傾げる。
何であかりは俺の事を好きになったんだ?何で俺何かにここまでしてくれる?出会って半年の、自分よりも頼りない歳上のネクラのコミュ障に、何でだ?
考えたくない、考えないようにしてた疑問が溢れ出てきて、考えを頭から追い出したくて、頭を強く振る。
「あかりは、それでも好きって言うかもしれません。愛してるって言うかもしれません。でもそれは、本当に恋愛感情なんですか?」
嫌だ、何でだよ、
「あかりの
佐々木の言葉を遮りたくて、耳を手で塞いで目を瞑る。
脳裏に、俺がさっき小百合さんと話してた時のあかりの表情が浮かぶ。親が行方不明と聞いて、悲痛そうな、それでいて覚悟を決めたような表情だったのが…………俺を見た一瞬、落胆したような表情になったのを想像して、俺はもう嫌だった。
こんな状況が嫌だ、何も出来ない自分が嫌だ、あかりに、妹に嫌われるのが嫌だ。
「年下の女の子に、ましてや自分の事を好きだと言ってくれた子に、
そんなの、そんな気持ち、悔しいに決まってるだろ!!!!年下の女の子に負けて、悔しいはずが無いだろッッッ!?
ふざけんなって思うさ!劣等感も諦めも、何度も感じたよ!!
最初の頃、何度あいつから、離れたくなったと思ってんだよ!
……………その度に、あかりは、俺の側に居るんだよ。あいつは犬みたいに懐いて、無邪気に俺に向かって笑いながら、話し掛けてくれるんだ。『先輩、私今凄く楽しいです!』って、悪意の欠片も無く、唯々純粋に。
それ見ていつも思うんだ、悔しくても、諦めたくても、この笑顔台無しにしちゃ、男が廃るって。
だから噂を流した。
俺と自発的に関わってるって知られたら、
俺の事を毛嫌いしてて、俺が何かする度難癖つけたり、陰口するしか能が無い奴等だけど、数が居れば面倒だし。
何よりもあかりにとって、上級生が敵になるなんて、普通じゃない事、あいつが傷つかない訳無いだろ、絶対にダメだ。
だから、色々手を回して、あかりが無理矢理俺の戦妹にさせられてるとか、弁当とかも、俺が命令して作らせてるとか、噂流してる訳だしな。
あいつが小学校で虐められてたって聞いて、尚更思ったさ、せめて中学ではマトモな生活を送らせたいって、赤の他人でしかも
ゆっくり、目を見開いて、佐々木を見る。
佐々木は真面目な顔で、俺を試すようにあかりについて語る。
「今のあなたじゃ、一年後、あかりは守れない。あかりは今、この世界で最も強力な力を手に入れた。
色金が何か分からないし、いきなり核兵器だなんて言われても、実感も真偽も分からん。でも、佐々木が本気で言ってるのは、声と表情で分かった。
ハハハ、そうなるとますます、俺があかりの近くにいる意味が無いな。
「強くなりたい、
そうなれば………これが、あいつを助けられるかもしれない、借りを返せるかもしれない、最後のチャンスだ。
「分かりました、家に連絡します。先輩はこれから来る車に乗って、大坂国際空港まで移動して、そこから羽田空港に飛んで貰います。後二十分で準備してください」
随分手際が良いな、俺を追い出す気満々だな。
「その後は、東京武偵高の
「そこまでするか普通?」
学校まで変わることに、何故そこまでしなきゃならないのか疑問になる。つか勝手に転校したら、爺ちゃん達に怒られるだろ!?
「そこまでしなきゃ、あかりは諦めませんよ?」
「流石に勝手に転校したら、爺ちゃん達に怒られるぞ。そもそも子供だけで転校手続きなんて「手続きは私に任せて下さい、遠山先輩は保護者の説得だけ考えれば良いです」…………何でそこまでしてくれるんだよ」
何でここまで、甲斐甲斐しく世話を焼くのか、しかも結構規模の大きい事を。
純粋な疑問を、佐々木に言う。
「俺はお前に、何かした訳じゃないだろ?」
「感謝してるんです。あかりの事も、私の事も」
だから、肝心な部分が分かんないんだが?
「遠山先輩は、黙ってされるがまま、東京に戻れば良いんですよ!」
そう詰め寄ってきた佐々木が、上目遣いで俺の鼻頭に人差し指を押し付けてくる。
!?
この態勢、佐々木の胸元が見えッッッ!!!
「わ、分かったよ!」
慌てて顔を逸らして、荷物整理を急ぐ。
集まりそうになるヒス血流を、強襲科の
ええい、あかりと同じくらいだと思ってたのに、意外とあるのかよ!って、落ち着け俺、何考えてんだよ!!?
佐々木が何かニヤついてるのにイラつきつつ、速攻で荷物を纏めた俺は、一言言って部屋を出て、トイレに行った。
暫くキンジ視点が続きます。
つかこの章は今の所、キンジ視点ばかりになる予定、つまりは暫く閲覧注意です。