今回は新キャラ登場です。
「はぁ、半年か、自分で言っといてだけど、ちょっと想像つかねぇなぁ」
洗面所で、鏡に映ってる目付きの悪いネクラを睨みながら、ぼんやりと呟く。
そもそも、来年のいつ襲われるかも、詳しく分かってないんだから。今年の残り約半年で、
そもそも青生生魂も色金も、実際に使われた所を見たこと無いから、どれだけぶっ壊れてるか分かんねぇんだよなぁ。
「考えても仕方無い、か」
取り合えず、そろそろ迎えが来る頃だろうし、最後にあかりに一言言って、車に乗ろう。
そう思ってリビングに近づくと、中から小さな泣き声が聞こえてきた。
「!?」
驚いてリビングの扉の近くで、気配を消して聞き耳を立てる。
「お父さんっ、何で居なくなっちゃったの?お父さんっ、
泣いてる声に混じって、そう聞こえた瞬間、握り締めた拳を思わず、壁に叩き付けたい衝動に駆られる。
「…………ッッッ!!」
何で気付けなかった………あかりが傷付いてるって、何で気付けなかったんだよ!!!!
悔しさで唇を噛んで、口の端から血が流れる。
また俺はバカやったみたいだ。リビングの中で小百合さんがあかりに付き添ってるのだろう。たまに小百合さんの涙声も聞こえてくるせいで、否応なしに自分が大バカ野郎だって気付く。
俺は妹が泣いてる時、何やってたよ。自分勝手にへこたれて、嫌々に言われたことやってる時に、妹の友達から活入れられたんだろ?
しかも、自分勝手に妹との関係を決め付けて、あかりが傷付いてるのに、勝手に離れるって決めたんだ。
俺があいつから離れたら、あかりは、妹は何て思う?
あかりが、今みたいに泣いてる事を想像して………今さらそんな事を考える自分を、殴り飛ばしたくなる。
女々し過ぎるだろ、バカ野郎!!
今ここでリビングに入って、別れを告げるなんて出来ん、あかりは泣くのを俺達二人に見られたくないから、今リビングで泣いてるんだ。
書き置きをしておくことにする。
なに、離れても携帯があるし、神奈川とお台場だ、そこまで離れてる訳じゃあ無いだろ。
取り合えず、いつまでもここで気配を消してる訳には行かないからな、とっとと部屋に戻ろう。
「車、後五分で来る見たいです」
「分かった。佐々木、紙とペン、貸してくれないか」
佐々木からペンと紙切れをもらって、急いで手紙を書く。
………俺って筆無精だったみたいだな、全然書けない。
時計を見ると後三分。時間がないな、仕方無い、これやると罪悪感で一杯になるんだが、四の五の言ってられんし。
春水車
正確には、女性のあられもない姿を写した写真や絵を、集めて保管し、いつでもヒステリアモードになれるようにする技なんだが。
俺の場合、カナが不定期に俺の部屋を掃除に来ることと、そもそもそんなの俺の歳で集められん事から、実際に遭った
新学期が始まる頃に起こった、バスジャック事件。その時に助けた先輩のあられもない姿を思い浮かべる。
???
効きが悪いぞ?
ええい、ならこの前事故で見た白雪の下着姿で!
…………よし、上手く掛かった。
先輩には申し訳無いけど、こういう妄想って、記憶が古くなるほど、上手く思い浮かばないからね、常日頃から一緒にいる女性の方がなりやすいんだよね。
時計を見ると残り二分を切った所。ヒステリアモードで限界まで書いてやっとって感じかな?
佐々木さんから貸してもらった、花柄のペンを壊さないように限界まで握って、書き殴っているように見えないよう注意しつつ、手紙を仕上げる。
「遠山先輩、車来たみたいです」
佐々木さんがそう言ったと同時に、手紙が書き終わる。
丁寧に三つ折りにして、分かる場所に置いておく。
「待たせたね、それじゃ行こうか」
「何かキザっぽいです先輩」
このモードになったらデフォルトだから許して欲しいな。
二人で足音をたてないように、慎重に歩いて玄関のドアも、音が鳴らないように気遣う。
あかりがあの調子で泣いてるなら、後三十分は二人ともリビングから出ない。修行の話もあるだろうから、時間はありそうだ。
「私はここでお見送りです。必要書類は、後で実家の方に送らせていただきます。先輩は成績が優秀ですから、奨学金の書類も入れておきますね。後の事は、追ってメールで連絡します。これ私のメアドと番号です」
佐々木さんから渡された紙切れを胸ポケットに仕舞って、礼を言う。
「何から何まで、ありがとう佐々木さん。必ず強くなって戻ってくる。約束するよ」
「それはあかりに言って下さいよ。遠山先輩と新しく
俺の荷物をトランクに放り込みながら、佐々木さんが言う。手伝おうとしたけど、今は時間が惜しいから、車の中に入って待つ。
運転手の老年の髭がイカした男性が俺の事を暖かい目で見てくる。
「そうするよ、何から何までありがとう佐々木さん。あかりの事が気になったら、連絡するよ」
こっちから別れるって言っておいて、連絡するなんて男らしく無いからね。
「気にしないで下さい。私がしたくてしてるんですから、それに……」
佐々木さんはそれから俺の事を、意地悪な目で見て言う。
「後でたっぷり、返してもらう予定ですから、今は気にしないで良いですよ」
ハハハ、怖いなぁ。
一体何を要求されるんだか、考えたくないよ。
「武蔵さん、後お願いします」
俺が苦笑いしてると、佐々木さんが運転手のお爺さんに話し掛けてた。
「ハハハ、任されよお嬢。遠山殿は大事なお方故、無事に送り届けると誓いますぞ」
渋い声で笑うと、何やら意味深な目で佐々木さんを見て、車を発進させた。
後ろから何か聞こえてくるけど、あかりに気付かれでもしたら…………大丈夫なのかな?
それに、武蔵さん、か………まさかね。
「なにやら儂の事が気になるようで、御母上の葬儀では、泣いてばかりだった子供が、まさかここまで大きくなるとは。いやはや時が過ぎるのは早い」
!?
「母を知っているのですか?」
母さんの事は、俺が物心付く前に死んだから、俺自身も詳しく知らない。カナに似てるのは、昔の写真から分かるが、それだけだ。
その母さんの事を知ってる、聞かずにはいられなかった。
「ええ、優しい人でしたなぁ。
懐かしむように笑う武蔵さんは、俺をバックミラーから除き見て言う。
「あなたは覚えて無いかもしれんなぁ、御母上の葬式より昔に一度、会った事がある」
それを言われて、過去の記憶を漁るが、全然分からん。ヒステリアモードはもう切れ掛かってるが、未だ続いてる。それなのに見付からないって事は、だいぶ前の記憶か。
「すいません、なにぶん幼い時だったもので」
「ハハハ、仕方無い事で。キンジ殿は未だ二歳、オムツも取れて無かった。御母上の腕に抱かれていました、それはもう幸せそうに」
昔を懐かしむように、目を細める武蔵さんに、俺は思わず両親について口に出る。
「両親とは、御知り合いで?」
「金叉………御父上には昔の昔、少し刀の手解きを。御母上は家族ぐるみの付き合いでして、嫁入りする前までは、よく連れ回されたものです。『新しい遊園地に行きたい』と」
か、母さん、遊園地好きだったのか。記憶にある母さんとのギャップに衝撃的過ぎて、思わずカナが遊園地に行きたいとゴネてる姿を想像して、意外とアリじゃね?なんて考えて頭を振る。
何考えてんだよ、今の兄さんにバレたら俺殺されるぞ!?
「意外ですかな?儂でよければ、空港までの時間、御両親の話をしますぞ」
「お願いします、俺は二人の事を………特に母さんは、写真でしか知らないんです」
父さんは、未だ少し記憶がある。父さんが忘れてったから、弁当と一緒に公安に拳銃届けに行ったっけ、そういえば。
「そうですな、御母上は~」
その後、俺は両親について教えてくれる武蔵さんと、連絡先を交換して、空港で別れた。
「まさか母さんの事を知ってる人だとは、それとやっぱり宮本武蔵の子孫だったか、奥さんは亡くなって息子夫婦と双子の孫が俺と近い歳でいると」
武蔵さんの情報を頭で整理しながら、時たま口に出して覚える。
人の学習法は大きく分けて、見る・聴く・話す・書くの四つと聞いたことがある、その中で自分にあった勉強方法を取るのが、成績を上げるコツとも言ってたな、確か。俺はヒステリアモードになれればどれでもいけるんだが、普段の俺だと、聴く・見るの二つがあってそうだ。書くのも良いが、武偵の訓練をしてると、どうしても見聞きで覚えることが多いからな、メモなんて書いてる暇実技に無いし。
つか実技の最中でメモなんてしようものなら、先生達から怒られるわ。『お前そんな事する余裕あんだな?』って、難易度バカみたいに上げられるから、武偵って本当にスパルタ教育だよなぁ。
手続きを片手間に済ませながら、そんな益体も無い事を考える。なんと志乃は、チャーター便を無理矢理ねじ込んだみたいで、準備が未だ出来てないから暫く待つ様に言われた。
自販機でお茶を買って、長椅子に腰掛けて一息吐く、今から真っ直ぐ帰って、大体夜には着くだろう、家に帰ったらまず爺ちゃん達の説得だな、うん。
難色示すって、事は無いだろうけど、勝手に学校変えようとしてるんだから、少し位詮索があるは「すみませぬ」???
ペットボトル見ながらボーッと考え事してると、聞き慣れ無い声が、直ぐ近くからしてきてつい身構える。多分同じ長椅子に座ってた人だろう、ここら辺長椅子が複数あるから、人が結構集まって「あの、遠山先輩で、よろしいでしょうか?」……………………俺かよ。
名指しまでされたら、気付かないフリも出来ないから、仕方無く顔を上げて声のしてきた方向を見る。
声が高かったから多分女性、後先輩って言ってたから多分武偵中の一年。どこの武偵中かは分からんが、制服見れば分かるだろ。そんな事考えながら声の主を、生来の目付きの悪さで見ると、相手が肩を少し揺らして、一歩下がった。
俺、そんな目付き悪かったか今?つか、そんな臆病ならこいつ強襲科の訓練みたら気絶するんじゃ、そんなんで武偵やってけるのかよ………ちょっと相手の事を心配しながら、声の主を観察する。身長は160㎝ピッタリ位ポニーテールで、服装は俺と同じ
それと一番の問題は、何故か風呂敷を背負ってる事だな、後左手に籠手と、肩に掛けてる竹刀袋、それのせいでメッチャ目立ってる。
「今日から
そう言ってペコリと頭を下げる風魔に、俺は固まる。
おい、ちょっと待て、空港ってこっちなの?俺、てっきり会うのは羽田空港だと思ってたよ?
「あの、
時代錯誤な口調で、自分が何かやらかしたと思って、俺に不安そうな目を向ける風魔に、慌てて答える。
「いや、その口調が珍しいと思っただけだ。半年の間だが、よろしく頼む」
そう言って、半ば強引に握手する。
この手つき、銃よりも刀剣主体か、掌に
俺は掌中にあかりとの特訓のせいで出来た胝があるから、掌だけじゃどっち主体か分からない様になってる。あいつどっちも強いからなぁ、何度も模擬戦用の木刀折られてるからな、その度に先生にバカ力って笑われてるんだけど。
「遠山先輩、お互いの情報を交換しませぬか?某、志乃殿に言われて急いでこちらに来て、先輩の戦妹になること以外、何も知らぬのです」
そう言ってこちらを見る風魔に、ちょっと頭が痛くなってくる。佐々木の奴、せめて転校の話位してやれよ。俺からどう説明しろと?俺が悩んでると、携帯にメールの着信が入って、風魔に一言断ってから確認する。
差出人:佐々木志乃
件名:ごめんなさい(>_<)
本文:転校の話するの忘れちゃってました\(^o^)/
下に資料纏めたURL張っとくので、そっちで何とか説得お願いしま~す(。・ω・。)ゞ
後、陽菜ちゃん成績良いから、奨学金は降りますよ~今のうちに粉掛けときます?(^^)b
思わず顔を手で覆って空港の天井を見た俺を、誰も責められまい。何だこのメールは!!!?
最早煽りかよ!?って思う位顔文字多いし、文面がそもそも軽すぎる!!謝罪のメール何だからもう少し何かあるだろ!!?あいつ現代文の授業何してたし!!
俺がメールを見て再起不能になってると、風魔が困り顔で俺を見てるのに気付く。
「すまん、これからの情報だよな、今か《遠山様、遠山様、XX番ゲートまで、お越し下さい。繰り返します、遠山様、遠山様…………》……話は飛行機の中でだ、行くぞ」
ここからならそこまで遠くないゲートだし、大丈夫か。手続きはさっきまたされる前に済ませたし、後は荷物検査して、飛行機の中に入るだけだ。
荷物検査を終わらせて、機内での自己紹介の時に、パイロットの人に急なフライトに対しての謝罪とお礼を言って、小型の飛行機に乗り込む。小型って言っても百人近く入るプロペラ機に俺と風魔の二人だから、座席がガラーンとしてて、のびのびと使えて良いんだが、これを即日に用意出来る佐々木の凄さに、改めて思う。金とコネってスゲェんだな、あかりの兄貴として、やっぱりこういう力も必要なのかね?
「あの、遠山先輩、先程の話の続きをお願いしたく………」
備付けのアイマスクを付けて、寝る体勢に入った俺に、風魔が話し掛けてきた。
「俺も佐々木に言われたのがついさっきで、大した事は知らないが……」
そう前置きしてから、俺の知ってる事を話す。風魔は話終わった後、「ち、父上に何と言えば………」なんて頭抱えてるから、やっぱり転校って子供だけで何とかするもんじゃねぇよなって、風魔に同情する。
予定通りに着いたチャーター便から降りて、羽田からバスで移動する。何故か風魔も付いてくる。
「………なぁ、お前そういえば何で関西国際空港にこれたんだ?」
「丁度今日まで、
なんともまぁ、俺はあかりの為に資金が欲しいから取引に応じたんだが、風魔も似たような状況なのかね?
「お前と佐々木って、どういう関係なんだ?」
「腐れ縁のようなもので。志乃殿は抱えてることが多過ぎるので、某が背負うのを手伝うのです」
俺の質問にそう返した風魔は、歳に似合わない、達観した表情をしてた。
結局どういう関係なのか、よくわかんねぇな。
書いといてあれですが、キンジ視点って需要ありますかね?無くても書かなきゃ矛盾とか出てきて気持ち悪くなるんで、書くんですけど。
あかり以外のキャラの視点の需要って、どれだけあるか分からないんで、感想とかに書いて頂けると、プロットの参考にします。まぁ、この章はほぼキンジオンリーなんてすけども。
後、陽菜ちゃんの口調が原作と違い過ぎるのは、わざとです(←技量の無さのこじつけ)