緋弾のアリア~IFエネイブル間宮 あかり   作:リムル=嵐

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どうも本日2話目です、1話目が未だの人はそちらを先にどうぞ


キンジ 準備を始めるみたいです

兄さんとガチファイトした翌朝、俺と兄さんが飯抜きにされて、風魔のくれたメザシを二人でかじっていると、携帯にあかりからの留守電が複数と、一通のメールが来てた事に気付く。

 

昨日はケンカの後、婆ちゃんの説教で死にかけて、携帯なんて気にしてられなかったからな。

 

『件名:キンジ先輩のバカ

なんで電話出ないんですか!!

あんな手紙で納得なんて出来ないですから。私、勝手に帰ってしかも転校なんて絶対許さないですからね。許さないですから。絶対見つけますから、勝手に戦兄妹契約解いたこと、後悔することになりますからね。私、諦め悪いですから、いつまでも追い続けますから、覚悟してて下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

未だ返事、返してもらってないのに、キンジ先輩のバカ

後、東京武偵高校の中等部(インターン)の高ランク武偵のファイル貼っときます』

 

ファイルが二つ送付されてて、一つは書いてあったファイルで、もう一つは目許(めもと)を真っ赤にしてアッカンベーしてるあかりの写真だった。

 

取り合えず写真をメモリーカードに保存してから考える。

 

…………これガチで怒ってるやつだな。いつも絵文字使って短文のあかりが、ひたすら長文でろくに改行もしてないメール送ってきたとか、これはヤバイなぁ。アメリカに行ったとして、あいつに気付かれずにサポートなんて出来るのかなぁ。

 

ま、まぁ、なんとかなるだろう……………多分。

 

それはそれとして、改行を無駄にして、一目で分かんないようにしてから返事の催促とか、自分勝手に離れたのに未だこっちを心配してくれて、役立つファイルとか送付してくれるとか、微笑まし過ぎてヤバイ。

 

あかりに無理矢理やらされた、恋愛シミュレーションゲームの主人公が言ってた『尊い』って、こういうことか。

 

尊い、あかりが尊過ぎてヤバイ。

 

「遠山先輩、これから某はどうすれば?」

 

戦兄(アミコ)をほっといて、自分だけイワシのハンバーグと味噌汁食べてた風魔が、食後のお茶を飲みながら聞いてくる。

 

俺と兄さんはメザシ一匹だったのに、羨ましいわ。

………そのメザシは風魔がくれたものだから、文句も言えないんだがな、くれるならそのハンバーグくれよ、メザシよりイワシの方が俺好きだよ。

 

つか、何でこいつだけ飯があるんだ、昨日三人で怒られたばっかりなのに、理不尽!!

 

「うーん、そうだなぁ」

 

そんな奴でも今は戦妹(アミカ)だからね、質問には答えちゃうよね。

 

えーと……俺と兄さんはアメリカに行くし、風魔は大人しく日本で転校の件を親に納得させてくれれば、それで良いかね。

 

「風魔さん、英語は出来るか?」

 

「はい、出来まする。英語、フランス語、ルーマニア語、ドイツ語、中国語、の読み書きが、他にも数ヵ国、話すだけなら出来まする」

 

あらやだハイスペック、それで諜報科なら、相当のエリートでは?

佐々木はなんでこんな娘を、俺の戦妹にしたのか。

下の世代が有望株多過ぎて、先輩としての立つ瀬が無いな。

 

「キンジ、お前より優秀なんじゃ無いか?」

 

兄さんに睨まれたから、慌てて風魔に話を振る。

 

「戦闘はどれだけ出来る?」

 

「えっと、クナイを使った近接戦が少し、ガン=カタはあまり得意ではありませぬ」

 

そう言って風呂敷から火縄銃を取り出した風魔。

 

火縄銃ってお前、それは近接で使うと確実にオーバーキルだぞ!?

 

火縄銃は中・近距離での想定の拳銃の十倍近い射程持ってるオバケ威力の遠距離武器だぞ?

元々の想定運用が固定砲台と同じだから、有効射程が100M以上あるのと、弾に使うのが鉛のせいで、ホローポイントやダムダム弾みたいな衝撃と傷になるのが特徴で、100M先の鉄板もぶち抜ける、威力面で非常に優秀過ぎる武器なのだ。

 

欠点は装填に手間が掛かる事。一発限りの切札って事ならアリかもしれないが、非殺傷って事も考えると精度と高過ぎる威力で不安が残る武装だ。

 

それこそ、ゾウやサイ等の硬く分厚い皮膚と骨を持つ相手や、人以外の害獣相手なら未だ活用法は有るだろうが、人相手には完全にオーバーキルだ。鉄板や鎧で防げるのなら、信長の三段射ちは、後世までその名を轟かせていない。

 

当たれば死ぬ

 

なんと言っても火縄銃の恐ろしさはこれに尽きる。

当時の技術では、防弾技術も、射たれて体内に入った鉛の摘出も、どちらも難しい、出来る人間なんて当時居たのかすら俺は分からないし、聞いたことはない。

 

射たれて運良く生きても、体内に入った鉛による中毒で、被害者を必ず殺す、しかも弾は柔らかい鉛を直接火薬で打ち出すので、ほぼ打たれた人間の体内に、鉛の欠片が残るというオマケ付き。死に至らない微量でも、中毒で一生身体を激痛が蝕む。

 

あまりのイロモノに、口端を引きつらせる。

それをどう感じたのか、風魔は火縄銃の利点を良い始めた。

 

「えっと、古いですが、ちゃんと使えるのでありまする!某の家は、家柄しか取り柄がなく…………家の押し入れにあったこの火縄銃が、なんとか自前で用意できた物で。手入れはしっかりしていますし、一発の威力と射程は良いですし、頑丈さが取り柄で、打撃武器としても使えるのです!!」

 

あ、焦ってるせいか口調が変わった、いつもは作ってるのな。

 

「いや、切札的な運用なら、大丈夫だと思うが。遠距離の攻撃手段が無いと危なくないか?」

 

「基本は隠密行動や諜報活動が主ですので、遠距離から拳銃で音を出してながら仕掛けるよりも、何食わぬ顔で近付いて不意討ちが良いのでありまする」

 

うわ、えげつな。

 

「それなら尚更、暗器となる銃が必要だろう。デリンジャーでもグロッグでも良い、一丁位は持っておくべきだ」

 

俺が風魔の闇討ち発言に表情を引き連られていると、兄さんが真面目そうな顔して拳銃を勧めていた。

 

そういやこの人も大概な武器使ってたな、最早骨董品な拳銃とか、鉄板入りのブーツとか。そりゃ、火縄銃位じゃ驚かないか。

 

「ですが、弾も只ではありませぬし…………武装が増えると隠すのに苦労しますので。元手も心持ち足りないと思いまする」

 

うん、金がないなら仕方無いよなぁ。潜入任務するなら武器の持ち込みは毎度自由って訳じゃ無いだろうし、最初から諦めて近接での動きに磨きをかけるのは、選択肢として間違っていないと思うぞ。

 

「そうか………キンジ、お前「イヤだ」」

 

兄さんが言いそうな事が分かったから声を被せるようにして拒否する。

 

任務(クエスト)があるとはいえ、俺がそんな金銭的な余裕が有るわけ無いだろ、これから転校で教科書とか制服とか、何かと金が必要なのに、()()の面倒なぞみられん。

 

「なったばかりとは言え、お前の戦妹(アミカ)なんだろう?」

 

装備(服装)にまでうるさい兄貴にはなりたくない」

 

俺がそう返すと、兄さんが難しい顔をする。

 

「お前の装備の相談、俺は何回乗ったと思っている?」

 

「実の兄弟と戦妹は違うだろ!」

 

兄さんは通常時でも、いや通常時の方が周りに甘いから、そんな事言えるんだよ。

おにぎり一つでゲリラ基地落とすような兄さん()と俺を比べるなっつうの。

 

「いえ、今でも十分過ぎるほどお世話になっているのでありまする。これ以上は流石に申し訳無いです」

 

そうだそうだ、昨日の今日知り合ったばかりの相手に、ホイホイ金出せる程俺はお人好しじゃねぇ。

 

(うらら)はお前と違って素直なのに、お前ときたら」

 

何でそこでアイツの話が出るんだよ!!

 

「高千穂は関係無いだろ!」

 

半年前、ぽっと出で兄さんの戦妹(アミカ)になったあの女、俺は嫌いだ。

元々俺が兄さんの戦弟(アミコ)になる予定だったのに、兄さんがあいつを選んだんだ、俺と契約するって直前まで言ってたのに。

 

それに、兄さんの戦妹なのに、妙に俺と自分を比べたがる所とか、後は実家の金に無遠慮に手を付けてる所とかも嫌いだ!!

 

「はぁ、あいつも悪い人間では無いんだがな、どうして仲良く出来ないのか………」

 

「悪人じゃ無くても、あいつは人が悪い、あれと仲良くとか無理だって」

 

俺がそっぽ向いてそう呟くと、兄さんが困った顔して言う。

 

「もう反抗期はやめて欲しいんだがな。……………風魔さん、変装は自信あるかい?」

 

はぁ?

いきなり何を言って………………おいおいまさか、風魔を連れていくつもりなのか!?

 

「!?………私に任せて下されば、完璧な成果を上げてみせまする!!」

 

そう言ってキラキラとした目で返事をする風魔に、嫌な予感をヒシヒシと感じて、部屋に一人戻った。

 

「なら、丁度育児休暇の友人が居るし、巻き込んで四人で行くか。武偵庁に連絡を入れて、今回の担当を変わってもらおう、大学の方には連絡を昨日入れたから、それで問題は無いはず。」

 

なんて不穏な声が背後から聞こえるのを無視して部屋に戻ったものの、打合せは兄さんの性格からして今日じゃなく明日、出発は早くても明日の夜か明後日だ。もってく装備は伊勢からの旅行鞄に容れっぱなしだし、正直準備も何も無いんだよな。

 

向こうではあかりの父親の捜索・救出が主な目的になるんだろうし、加えるならあかりにはこちらの動向を分からない様にしなければならない。

 

強襲科(アサルト)の脳筋には荷が重い。せめて日常会話位は英語喋れる様にならないと駄目かねぇ。兄さんがほぼ勉強せずに何ヵ国も言葉を喋れるんだから、俺でも出来ると思うんだけど、兄さんは外国語で映画を兎に角観ろとしか言ってくれないしなぁ。

 

携帯で映画を流しながらブツブツと英単語を呟いていると、部屋の襖が開けられて爺ちゃんが入ってきた。

 

爺ちゃんは俺の前に腰を下ろすと、俺が携帯を閉まったのを確認してポツリと言った。

 

「金次、アメリカに行くのか」

 

持ってた木箱を横に置いて、今回の事を聞いてきた。

 

「そうだよ、妹分の父親を探しにな」

 

「なんじゃ、嫁の父親探しじゃないのか」

 

呆れたような目で見てきたので、思わず叫ぶ。

 

「なんでいきなり嫁なんだよ!?」

 

「お前、女の話は星伽の奴か妹分の話しかせんじゃろ、相手は間宮と言うし、縁が強くなって良いと思うんじゃがのぉ」

 

「あいつはそんなんじゃない!!」

 

俺が強く否定すると、爺ちゃんは溜め息と共に俺に聞いてきた。

 

「なら金次、お前がこれからする事は、なんのためだ」

 

爺ちゃんは何について言ってるのか。転校なのかそれともアメリカへあかりの父親を探しに行くことなのか。どちらにしろ言えることは決まってるけどな。

 

「………俺が俺であるため、俺の誇りの為だ」

 

結局は独り善がりな俺の我が儘だ。このままじゃあかりに……………皆に甘えて前に進めない。男として胸を張れない、だから俺が俺の為にあかりから離れた。

 

それでもあかりを諦められなかったから、戻ってくるって決めたのに、小百合さんに関わるなと言われたのに、俺の為にあかりの事情に首突っ込んで引っ掻き回すんだ、俺が決めたから。

 

だからこれは、俺の為にする我が儘で、独り善がりの自己満足。

 

「そうか、それで何が起こっても、お前後悔するなよ?」

 

真剣な目で俺を見る爺ちゃんに、堂々と目を射抜く勢いで睨んで言う。

 

「絶対にしない、誰にもさせない、()()()()()

 

「それがお前の義なら、もうこれ以上言わん」

 

俺の言葉に満足したのか、爺ちゃんが持ってきてた木箱から古いノートを一冊、俺の前に置いた。

 

「それを使う時は、見た奴を必ず殺せ。そのつもりで使え」

 

それだけ言うと俺が何か言う前に部屋を出た爺ちゃんに、一体何だったんだと思って、ノートを見る。

 

表紙はもう古ぼけて、元の模様が分からなくなってる。だいぶ使い古されたもので、表紙にはタイトルも書いた人間の名前も、何も書かれていない。

 

「ったく、爺ちゃんいきなりこんなん渡して何…………!!!?」

 

ペラペラとページを捲ると、見たことのある名前や説明が、びっしりと書かれていた。知らないものも沢山あるが、これってまさか。

 

慌てて部屋の押し入れから、小学校の時に道徳で出された原稿用紙を引っ張り出して、ノートの文字と比べる。

 

「やっぱり、これって父さんの字だ。爺ちゃんこれ俺に渡して良かったのかよ!!」

 

名前の由来を親に書いてきてもらうって宿題を出された、小学校の時の道徳の原稿用紙に書いてある文字と瓜二つなノートの文字を見て、頭を抱えたくなる。

 

明らかに、いくつもの家訓を破っているだろう爺ちゃんの行動に、今度こそ分からなくなる。爺ちゃんは何のために俺にこれをくれたんだ?

 

これは俺贔屓が過ぎる、長男は兄さんで、技だって父さんは俺と兄さんに百の技を別けて教えたんだぞ!

何で俺に、俺の知らない攻防百技が書いてあるノートを渡したんだ!!

 

静かなる鬼(オルゴ)戦闘技術(遺産)を、俺にどうしろって言うんだよ!!

 

まぁ、覚えられるものは覚えるけどよ、強くなるって決めたし。

 

そう思ってヤケクソ気味にノートを捲っていると、まぁポンポンと出てくるわ、アホみたいに強い技が沢山。

 

秋水や絶牢は勿論、昨日兄さんが使ってて、俺が最後食らいそうになった即死技、羅刹まで懇切丁寧に説明文が細かい字で載ってた。他にも無手で銃の真似事出来る技とか、超高速で動くものの受け流しとか、死んだフリをする技何てのもある。

 

これ下手しなくても、覚えたらとんでもない超人になれるんじゃ……………俺が特大の爆弾を置いていった爺ちゃんを、やっぱり父さんの親なんだなと、競馬中継聞きながら昼間っから家の中をパンツと肌着だけで過ごしてる爺ちゃんに、内心戦々恐々としていると、部屋の入り口の襖の向こうから風魔が声を掛けてきた。

 

「あの、すみませぬ、金一殿が出掛ける支度をしろと」

 

その言葉に慌てて机の引き出しにノートを入れて、振り替える。

 

「わ、分かった!!五分で行くから、お前も準備してろ、着いてくるんだろ!?」

 

「は、はい、そうでございまする」

 

風魔が襖の前から移動して、少し経っていつの間にか止まってた息を吐く。

 

「心臓に悪過ぎる。強くなりたいとは思ったけど、これノートの中身の訓練は、誰にも見られない所でしないと、ヤバイな」

 

父さんの技は強力なものばかり、その分リスクも難易度も高いものばかりだけど、強くなるにはこれ以上無い位のものだからな。

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