緋弾のアリア~IFエネイブル間宮 あかり   作:リムル=嵐

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どうも最新話投稿です!
今回とんでもなく長くなってます、いつもの1.8倍位、後活動報告でアンケ取った記念のお話、新しく短編集で別に小説を投稿したので、そちらでどうぞご覧下さい。そっちも3話構成になってて長くなってます。


皆の思惑 飛行機に乗るみたいです?

昨晩、夜中に風魔が部屋に忍び込んでたらしく、朝起きた時に一悶着あったが、それ以外は特に問題もなく、今朝なんて、朝ご飯の後にお土産と言って鳩サブレまで頂いて、何から何までお世話になった風魔の家を、二人で出て家に戻ると女装(カナ)をやめた兄さんが、俺に旅行鞄とか諸々の準備が終わったものを渡してきて、開口一番に『今から行くぞ、早くしろ』なんて言い出してきた。

 

あれよあれよと言う間に獅童さんの車に乗せられて、空港まで連行されたのは一時間前のこと。

 

車の中で荷物の確認を必死こいてしてた俺に、取り合えず聞いとけとばかりに当面の方針を言われ、いい加減にしろよと俺が怒りをこらえていると、あかりが俺たちよりも二つ後の便で来ると知って、気が気じゃなくなった。

 

あいつの修行は三日じゃなかったのかよ…………未だ二日しか経ってないぞ?

 

やっぱり女何て苦手だ、何て黄昏てると、ラウンジで、風魔があったかい飲み物を猫舌の癖に、ロクに冷ましもせずに飲んで、悲鳴上げてスタッフの世話になってた、変な所抜けてる忍者である。

 

「キンジ、向こうに着いたら直ぐにホテルでチェックインだ、時差で頭が動かないなんて事無いように、計算して動けよ?寝れないなら渡した薬で、無理にでも寝ておけ」

 

俺が昨日の疲れからボーッと外の景色を見て黄昏ていると、兄さんが手帳をチェックしながらそんなことを言ってきた。

 

「分かってるよ、乗ったら直ぐに寝ることにする」

 

どうせ疲れが溜まってるから、薬なんて飲まなくても直ぐに寝れそうだけど。

 

「隣の席は風魔にした、連席が取れなかったのは残念だが、緊急時の対応は覚えているな?」

 

「大丈夫だって、一般人(パンピー)の安全を最優先の行動、『いのちだいじに』で合流第一だろ?」

 

俺の言葉に納得した兄さんは、ベンチに腰掛けていた俺の横に座って、小さな声とベンチを叩くモールスで話始めた。

 

「分かっているなら良い。今回俺達が早く動けたのは、任務(クエスト)として依頼がきた為だ。」

 

モールスは非公式の武偵庁からの依頼って言ってるな。

 

「あぁ、速度を重視するために、メンバーは獅童さんに一任って話だったろ?」

 

「俺から頼み込んで、育児休暇のあの人を巻き込んだ、メンバーも俺とキンジ、獅童に風魔、現地に先行した一人含めた五人だ」

 

これは公安とプロの武偵との協同捜査とも言われて、否応にも体が強張る。

 

「灘さん、だっけ?」

 

「あぁ、お前と風魔には基本的に後方支援(バック)を頼む事になる、前衛(フロント)は獅童さんと灘さん。俺は遊撃(アタッカー)

 

風魔も俺も、他のメンバーと違って未だ子供だからか、兄さんも未だ未成年だけど、俺達と違って海外で飛び級して今はもう学士も約束されてる、充分大人扱い出来るってか、何か悔しいなぁ。

 

俺が外の景色を見ずに下向いて拳を握っていると、兄さんが俺の頭をポンポン叩きながら言う。

 

「向こうに着いたら俺も基本カナで動くが、カナで動けるのは二週間が限界だ。途中戦闘もあれば更に短くなる。キンジ」

 

「何だよ兄さん」

 

こっ恥ずかしくて振り払って立つと兄さんが、どこか寂しそうな目で俺を見る。

 

「頼りにしてるぞ」

 

その言葉に、何て返事をしていいか分からなくて、そうこうしてると搭乗アナウンスが流れて、それに流されるように肩掛けバックをもって逃げるように飛行機に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あいつも未だ未だ子供か、教授(プロフェッサー)の言ってた様にならないと良いんだが」

 

あの人の勘は嫌な程当たるからなぁ。後ろからよく知った視線を感じながら、俺は考える。この視線は多分教授が言ってた事だろう、予定より早いが、まぁ誤差の範囲だ、予定通りに交渉すれば問題ない。

 

それにしてもあの人の超直感から更に進化させた条理予知(コグニス)、それでも推理できない不連続体が俺の弟とは、やはり俺の家族は異常な存在ばかりだ。『推理できないだけで、直感は出来るのだよ?』なんて笑って言ったあの人もあの人だが。

 

脳内で猫を被った様な、いたずら好きなあの人の底意地の悪い笑みを思い出して、思わず半眼になる。

 

「金一、そろそろ行かないと不味いぞ?」

 

「あぁ、()()()……家は任せた」

 

さっきまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()俺は家の守りを頼むと、俺は搭乗ゲートへと足を進めた。

 

「この(わらわ)に任せるがよい!あ、帰ってきたら話があるからの、無事に戻るんじゃぞ?それとその、ほら、いつものを………」

 

途中で俺の手を握って引き止めて、上目遣いで見てくる同僚に、思わせ振りな反応は止めてくれと思った。この同僚はいつも俺に対して過剰なスキンシップを求める。

 

「いつもありがとうな、パトラ。お前が居てくれるから、俺は安心して日本を離れられるんだ」

 

いつもの様にパトラを抱き締めて、頭を優しく撫でる。

 

「うぬ、うぬ、安心して行くがよい、金一の大事なものは、妾が絶対に護るのじゃ」

 

嬉しそうに笑って手を振って見送ってくれたパトラに、後ろ手で手を振り返しつつ、今回の事件について考える。

 

教授が言うには間宮現当主の失踪は、正史(コグニス)にない異常(イレギュラー)、俺はその事に一抹の不安を抱き、獅童さん(父さんと同類)が来ているから大丈夫だと、自分に言い聞かせた。

 

あの人だって人間、ミスはある。最初、パトラが俺をイ・ウーに連れてきた事が推理出来なかったりな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『分かっているな?彼の嫌疑は、もしそうだと分かれば決して許されない事だが、同時にまたとない千載一遇の機会なのだよ』

 

()()からの電話を聞きながら、俺は頭が痛くなる思いだった。

 

「あの組織にスパイを入れるまたとない機会、ですか」

 

「そうだ!あの組織は世界各国でテロ活動をしている、それなのにも関わらず、メンバーの殆どが素性不明、それどころか本拠地の場所すらも分からない…………あの組織の前身は我が国とドイツが主導していたのにだ!!」

 

あまりの煩さに耳から話して聞いていると、電話の向こうでドカドカと物音がして、息を乱した上司が俺の今回の任務に隠された追加任務を言う。

 

はぁ、こういう任務は嫌なんだがなぁ、何でよりによってあの人の忘れ形見を国の敵かどうか、なんて見定めなければならないのか。

 

「はぁ、はぁ………いいな、お前は今回の間宮現当主捜査任務と同時平行して、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()調()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

昔憧れた人間の子供を、殺すかもしれない任務を命令されて、(はらわた)が煮えくり返る気持ちを堪える。握っていた携帯が悲鳴を上げるのに気付いて、慌てて深呼吸して上司に答えた。

 

「承知しました。獅童 虎厳、公安0課として職務を全うします」

 

俺の言葉を聞いた大臣は、満足そうに息を吐いて、電話を切った。

 

「はぁ…………育休取ってるんだぞこっちは、職権濫用しやがって」

 

愚痴を行ってタバコを吸おうと懐に手を伸ばして、ミカを前に抱いていたのを思い出して苦笑いする。

 

「お前に苦労させる世界には、させねぇからな、絶対」

 

俺と同じ乗能力(マルチレイズ)に目覚めた為に、もう過酷な未来が決まってる自分の娘に、絶対に幸せを掴ませると誓って、優しく頭を撫でる。

 

今回の任務で発生する金は全て国持ちだから、飛行機も個室を用意出来たし、仕事は灘と金一主導でなんとかなる、この子との旅行を楽しもう。

 

それにしても……………あの女超能力(ステルス)かよ、しかも高レベル。

 

この国の高レベルの超能力者は暗記してるが、あんな褐色美少女見たこと無いんだよなぁ。

 

電話をしつつ、監視してた金一の言動が、明らかに疑ってくれと言わんばかりの動きで、こりゃガチで疑わないとダメなのかと、娘との二人旅を邪魔されてる感じで気分が落ちる。

 

あいつが簡単に尻尾見せるわけ無いし、こりゃ飛行機の中でお話しだなぁ。

 

俺の不機嫌を感じ取ったのか、ぐずり始めたミカをあやしながら、飛行機の搭乗ゲートまでゆっくりと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キンジ先輩、アメリカとの時差は14時間、機内食を食べたら眠るのが一番効率が良いです」

 

まさか陶器で食事を出してくれるとは思わず、しかもどれも下手なレストランより旨いせいで、これがファーストクラスかと、戦慄していると、デザート後の紅茶を飲んでいた風魔が、俺に寝るように言ってきた。

 

こいつ貧乏仲間の癖に、何かこういう場所に慣れてる感じなんだよな、謎だ。

 

「分かった、もう寝るから」

 

だからお前は早く自分の席に戻れと、俺の席で一緒に機内食を食ってた風魔をジト目で見ると、いきなり赤面してソワソワしだした。

 

「え、その……わ、分かりました……………………いきなりそ、添い寝とか、ハードル高くないかい?」

 

何でそんな顔を赤くするし、最後なんて言ったんだ?

 

面倒だな、CA(キャビンアテンダント)に毛布を頼むと、パジャマは要りますか?なんて聞いてきやがった。流石ファーストクラス、パジャマまであるのか……

パジャマも折角だから使わせてもらおう、料金に含まれているんだろうし、勿体無いからな、うん。

 

「こちらをどうぞ、到着まで後10時間程です、5時間後にもう一度機内食をお出しします。よき空の旅を」

 

なんて言って、若い女性添乗員さんは去っていった。毛布とパジャマを2セット置いていって。

 

おい、これはどういう事だ?

 

2セットあるのが分かったのか、風魔がそれはもう顔を赤くしてテンパってるし、俺はあの女性添乗員の意図が分からなくて顔をしかめる。一体何の為に2セット、あれか?俺の席に風魔がずっと居たからか?こいつもしかしなくても疫病神だぜこんちくしょう!

 

「はぁ、俺は寝るから、お前も早く寝とけよ。時差ボケは辛いらしいからな」

 

その場でパッと着替えながら言ったが、こいつ俺が脱ぎ始める時点でアワアワ言って、絶対俺の話聞いてないな。

 

パジャマに着替えて毛布を被って寝る、風魔に背中を向けてだ、何か後でモゾモゾしてるけど無視。

 

ファーストクラスの席にはベットがあるんだよ!

それもシングルじゃなくセミダブルレベルのデカイのがな!!

 

エコノミーとの違いはもう言うまい。俺もこのくらいのクラスのを、バカスカ乗れる様になりたいもんだ、金欠は辛いね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キンジが毛布を被って暫くの間、キンジに言われたことで思わず頭が一杯になってパニクってた思考を、やっと落ち着ける。よくよく考えると私の勘違いだと思うし。

 

私がそんな事に時間を使ってる間に、キンジはもう熟睡してたみたい。

 

「……………………」

 

キンジが寝たかどうか見るために、少し声を掛けてみる。

 

「あ、もう寝てます?」

 

ん、寝てるみたい。

しかしキンジが口調に文句を言うなんて、想定外だよ。でも確かこの子って、懐古的な感じの口調だったし。なぞれる所はなぞっていかないとダメなんだけど、未来が変わるかもだし。

 

すやすやと、私が近くに居たのに速効で眠ったキンジの横に座って、眺める。

 

嫌な夢でもみたのか、ちょっとうなされてるのを見て、頭を撫でて手を握る。

 

落ち着いたみたいで、寝息が規則的になったのを確認して、ホッとすると同時に、覚悟を決める。今度はもう失敗しないから、挫けないから、もう諦めないから。だから、貴方を守らせて。

 

キンジと会う前に合流した志乃の言葉を思い出して、握っていた手に力が籠る。

 

『貴女がどうするかは、貴女に委ねる。でも、遠山金欠はあかりの戦兄(アミコ)。貴女はつなぎよ、貴女が本気になっても、私はあかりの味方だから、そこは弁えて』

 

志乃は、間宮あかりの味方だから、私の応援はしてくれないんだろうね。

 

「ん…………んぅ……」

 

手に力が籠り過ぎたのか、キンジが目を覚まし掛けたから、頭を撫でながら優しく声を掛けて眠らせる。

 

「未だ寝ていても大丈夫ですよ」

 

無事眠ったみたいだ、良かった。

 

未だ次の機内食までだいぶ時間があるし、私も寝ないとなぁ、時差ボケはこの身体が未だ馴れてないんだ。

 

チラッとキンジを見て、思わず頭に浮かんだ欲望を頭を振って思考の隅に追いやる。起きた時に私が隣にいたら、キンジ驚くだろうし、今朝お母さんに怒られたばかりじゃない。こういうのはもっとお互いに、近い距離になってから、その……でも昨日は同じ部屋で寝たし………………思考がピンク色になってきてるな、この考えは一旦やめよう。

 

それにしても、未だ会って数日の人と、同じ部屋のベットですやすや眠れるほど、キンジは無警戒じゃないはず何だけど。志乃からの紹介って言うのと、実家に連れてって家族が反応しなかったのが、一番大きいんだろうなぁ。

 

………………やっぱりその、ベットが大きいし、は、端っこならその、だ、大丈夫だよね?()()()()()()()()()()()()()()()これくらい良いよね?

CAの人も、わざわざ2セット持ってきてくれたんだし、私もここで寝ていいって事だもんね、よし。

 

女は度胸、やってやりますとも!!

 

「………っ、緊張するなぁ」

 

パジャマに着替えて、毛布を持ってベットに上がる。心臓が五月蠅い、すごく五月蠅い。だ、大丈夫だよね?この音でキンジ起きないよね?

 

「お、お邪魔します」

 

うわ、何かもうヤバイ、キンジの隣で横になるだけで、幸せ過ぎてなんかもう凄く良い。

 

私決めた、今度こそキンジについていく、ずっとキンジの手助けをしたい、キンジの役に立ちたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………えぇ…」

 

どういう状況だよこれ、何で目の前に風魔がいるの?

しかもパジャマ姿で。

 

ポニテを下ろしてるから、一瞬誰か分からなかったぞ。

 

日頃出会わない、同年代の異性の安心しきったパジャマ姿の寝顔に、二度目とはいえもの珍しさで思わず、マジマジと風魔を見つめていると、この残念忍者は寝相があんまりよろしい人じゃないらしく、うんうん唸って暑かったのか毛布を蹴飛ばした。

 

うっっっ!?

何でお前胸元そんなはだけてんの!!?

しかもお腹思いっきり見えてるし。

 

「………………んにゅう、こたろー?」

 

思いっきり蹴飛ばしたのか、眠りが薄くなって薄目を開けた風魔が俺を見る。見られた俺は寝顔を盗み見てた罪悪感で固まった、それをなに勘違いしたのか、風魔はニマニマ笑って俺に抱き付いた。俺はお前の弟じゃねぇ!!

 

「なぬッッ!?」

 

真っ正面から伝わる二つの柔らかい感触に、危うくなり始めた血流を必死に押さえて、風魔を起こそうとするも。

 

「遠慮しなくていいのに、むふふ~」

 

俺を誰と勘違いしたのか、胸元に抱き付いた風魔は、そのまま寝始めた。

 

おいおいマジかよ、この体勢ヤバイぞ、風魔が上に乗ってるから、体重が俺にのし掛かってきてキツイ!!

 

なんとか動こうともがくと、何を思ったのか風魔は足を絡めてきて身動きが全く取れない状況に。

 

……………こうなったら風魔起こすしかないか、はぁ。起こすだけなのに何か緊張して、落ち着くために深呼吸をすると、女の子特有の良い匂いが鼻から肺まで一気に満たした。

 

ヤバイ、非常にヤバイ!!!!

こんな状況でヒステリアモードになってみろ、俺はアメリカに着く前に、兄さんの手によって天国に行くことになるぞ!?

 

お、落ち着け、こう言う時は素数を数えるんだ。

1、2、3、5、7、9、11、13、17、19……………

 

「んんぅ……………ふぇ?」

 

必死に素数を数えてると、風魔がまた声を出し始めたので、薄目で恐る恐る風魔の方を見る、

 

「…カァァァ………~~~~~ッッッ!!!!」

 

まあ、そうなるよなぁ。腕に抱きつくだけなら未だしも、身体の上に乗っかって足までしっかり絡めて背中に手を回して、しかも体勢的に自分から行ってたんだもんなぁ。

 

「そ、その、あの、えと、これは、あの…………あ、はは離れますぅ!!」

 

小声でどこにするわけでもない弁解を、ぶつぶつ呟いて顔真っ赤にして離れようともがく風魔には悪いが、この体勢を長くしてるせいで、俺の身体中は痺れてマトモに動けないんだ。

 

「あ、あれ?なんかがっちり組まれてて外せない、え嘘だよね?」

 

風魔が外せないでもがいてるせいで、風魔のむ、胸が俺に思いっきり押し付けられて!?ムニョンって、ムニョンって形変わる位思いっきり!!?

 

このままだとヤバイと感じて、もう既に少し掛かってるヒステリアモードの思考で、寝相を装って体勢を変える事にする、俺一人の力じゃそこまでスムーズにいかないから、風魔が腕を俺の背中とベットの間から出そうともがいてる力を利用する。風魔が重心を片側に寄せた瞬間を狙って………よし、ここだ!!

 

「んん……………ぅんん」

 

「え、ちょ!?」

 

何か一瞬聞こえたけど、そのまま勢いで体勢を横にする。だがこれはとんでもない悪手だった。

 

………風魔は片手を抜けたみたいだが、俺は痺れた身体を無理矢理動かしたのと、そもあんな体勢を長く続けたせいで寝違えたのもあって、身体中の痺れと肩から腰に掛けての背中の微妙な痛みで悶絶中。

 

「ぐぬぉぉぉ、か、身体が~!」

 

思わず声を出して悶絶してると、風魔が気付いて体勢何かそっちのけで俺の事を心配してきた。あ、やめろ無理矢理動くな!?身体が痺れてッッッ

 

「ぬぐぁぁぁ!!」

 

痺れで思わず目をきつく閉じて、まぶたの痛みで目を開けると、目と鼻の先に風魔がいて目を見開く。

 

「先輩!大丈夫ですか!?」

 

そんな俺の気持ちを知らず、お構いなしに俺の心配をする風魔は、腕が痺れたのか、おでこを俺の額に当てて熱を取り始めた………って近!?近いよホントに!!?

 

「熱は無いですね………あ、この体勢で痺れましたか!?どんだけ長いこと抱き着いてたのか私は」

 

考え事すると、回りが見えなくなるタイプなのか、俺の額におでこを当てたまま話始めた風魔に、思わず叫ぶ、もちろん小さい声でだが。

 

「おまっ、近い近い!!」

 

「ッッッ!?すみません、今離れ!??」

 

慌てて俺から離れようとしたのか、勢いよく顔をそらした風魔だが残念、今は俺の身体と知恵の輪状態、抜け出せないのだ。

 

そして俺は痺れた身体を風魔が刺激したので悶絶、それで背中の寝違えた部分を刺激して痛みが走って………の無限ループに入って言葉にならん悲鳴を噛み殺して顔真っ赤にして風魔に言う。

 

「兎に角ッッッ、俺の言うことを聞けッッッ!!、今身体中痺れでッッッ、動かないんだよ!!」

 

その言葉に風魔の動きが止まる。よし、よく止まった風魔!!

 

「まずは足を~~~」

 

そのまま5分程四苦八苦して、やっと離れた俺達は安堵のため息を吐いた。

 

「「はぁ~~」」

 

こいつにはキツイ仕置きをしなきゃダメみたいだと風魔を睨むと……………む、胸元がはだけて、ボタンがもがいてた時に外れて中身が大胆に見えてらっしゃる!!!?

 

明らかに中学生にさせちゃダメな格好になってる風魔に、思わず目が丸くなる俺。

 

「えっと、その申し訳ありませんでした!!」

 

俺が怒って睨んでいると思ったのか(それは正しかったけど今は正しくない)風魔が土下座し始めるので、はだけた胸元がも、モロ見え。ライトグリーンのチェック柄の下着がガン見え状態。

 

さっきから甘く掛かってるヒステリアモードの血流が強化されるのを必死に堪えるも、風魔の動きに合わせて揺れたのを見て、あれが柔らかい感触の正体かぁ、なんて一瞬考えたのがオウンゴールになって、なりました。

 

「これは、その、つい魔が差したと言いますか、出来心で…………誠に申し訳ありませんでした!!」

 

あぁ、そんな一回顔上げてこっちを見てからまた土下座とか、お胸様が揺れて凄いことになってるよ。

 

「とりあえず、服を着替えよう」

 

この状態だといつ風魔に襲い掛かるか分からない、ひとまずその服装をどうにかしないと、ヒス血流が強化されっぱなしになっちゃうからね。

 

「え………あ!?あうぅ……………」

 

顔真っ赤にして胸元を必死に隠すのが可愛すぎて、理性の鎖にヒビが入るけど、必死に堪えて何でもない様な顔で背を向けて着替え始める。

 

いやはや、仮眠を取るだけでこんなハプニングが起きるとは、持ってくれ俺の理性。チラッとベット脇の時計を確認すると、CAの人が来るまで後20分程、何だかんだ言って二人ともよく寝てたみたいだ。

 

折角ヒステリアモードになったのだから、この状態で何か出来ることは…………あ、一つあったな、とんでもなく重要で有用な事が。

 

「さて、陽菜(ひな)ちゃん、ちょっとお願いがあるんだけど、良いかな?」

 

今なら兄さんが、何で映画を観ろとあんなに言ってたのか分かる。兄さんもあくどいなぁ。

猾経(カッコウ)と呼ばれる、遠山家の御先祖様の技がある。これはヒステリアモードを利用した記憶術だ。

 

人の脳は、見たものを全て記憶領域に閉まっている、思い出せないのは記憶を見るための鍵と呼ばれる切っ掛けが無いからで、猾経はその鍵を作る技だ。

 

「は、はい、何でございましょう!」

 

口調をまた作り始めた陽菜ちゃんに苦笑いしつつ、お願いをする。

 

この技は御先祖様が寺のお経をそれで丸暗記して、お坊さんに怒られたから、日本での使用を禁ずるって使用法と共に書いて、庭の地蔵の中に隠していたものを、俺と兄さんが小学校低学年の頃に、キャッチボールの球をぶつけて割ったのを切っ掛けに知った技である。

 

これとヒステリアモードの記憶能力があれば、脳内の映画の記憶を使って英語を喋れるようになる、足りない英語は陽菜ちゃんに教えてもらえば良いからね。

 

文法は授業で少しだけど習ってるし、それを元に陽菜ちゃんと英会話すればなんとかなる。

 

「僕に英語を教えて欲しいんだ、日常会話位は実践できた方が便利だろう?」

 

その言葉に納得したのか、さっきの事がお咎め無しで有耶無耶になりそうで嬉しいのか、陽菜ちゃんは直ぐに食い付いてきた。

 

「勿論お手伝いさせて頂くのでありまする!」

 

それからCAの人が来るまでの間、英会話を続けて、陽菜ちゃんにお墨付きを貰うまでに英会話を上達出来た。

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