オリジナルがスランプで、こっちを息抜きに投稿です。
ビバ、ニューヨーク。
世界の中心地、今世界で最も人の熱意がある国アメリカ。その一都市である、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港に、俺達は降り立った。
「あの野郎、俺は日本の公務員だっつってんのに、疑いやがって」
隣で、入国審査で散々疑われた挙げ句、最後は仕事でごり押しした獅童さんがボヤく。そりゃそんな厳つい顔で、明らかに堅気じゃない雰囲気と図体してる人が、ただの公務員ですって言っても説得力ないわ、中南米とかでドンパチしてる傭兵部隊所属ですとか言われても、違和感が無いし。つか本人は凶悪犯相手にドンパチする公安だし、あながち間違いでは無いのがまた……………
「未だそっちは良いじゃないですか。俺は中学生なんで、歳のせいで来た理由説明しても納得してくれないんですよ、武偵手帳と、その場でベレッタの
あの黒人の兄ちゃん、俺がネクラだからって理由で、武偵だって信じなかったからな『こんな内気そうなもやし野郎が武偵何てヤクザな仕事出来るわけ無いだろHAHAHA(和訳)』って、人を見た目と話し方で判断するんじゃねぇ!!
「それはお前の自業自得だ、日頃から身嗜みや話し方を意識すれば改善出来る」
「兄さんには言ってない」
「それよりほら、皆さん。早くホテルにチェックインするでありまする」
男三人でガヤガヤと騒いでると、風魔が急かすように言ってきた。今はポニーテールじゃなくて、ストレートで髪の下の方で緩く縛る髪型だ。白雪とか佐々木の髪型に似てる。
「あぁ、そうしよう。タクシー拾う前に………キンジ、風魔、これを渡しておく」
兄さんに呼ばれると、俺と風魔に財布が渡された。よく見る千円均一で売られてる財布だ。俺は追加でピンクの財布が乗っけられたけど。
「1
兄さんが次々と荷物から俺達に渡してくるので、二人して慌てて受け取っては、手持ちの荷物に突っ込んでいく。金銭の支給と移動手段の説明書は助かるけど、なぜ空港で?
「部屋は俺と獅童の名義で3つ借りてある、お前たちはペアで一部屋、ホテルの名前はこの紙に、俺の名義で借りたのが書いてある、お前たちはそこに泊まれ。2週間借りてあるが、足りない場合の延長手続きはこちらでしておく」
ちょっと待て!!
「兄さん、何でこいつと俺が相部屋何だよ!!」
「キンジ、兄さんじゃない、お兄ちゃんだ。後今からトイレで変装してもらうからな」
はぁ!?
「なんでだよ!!別にチェックインの後でも良いだろう!?」
「ホテルの従業員を混乱させるな、それにもう直ぐここに間宮の長女が飛行機で来るぞ、急がないとバレるからな」
な!?
それを聞いて急いで変装セットを持って風魔の手を引っ張って多目的トイレに入る。
「あかりが来るのを先に言えよったく………風魔、頼む」
「お任せください、
二人きりだとあの時代錯誤な口調を止めてくれる風魔に、未だ変装が終わってないのに変装後の名前で呼ばないように注意する。
「その名で呼ぶな」
俺は未だ納得してねぇ、今回は変装が女装しか無かったから仕方無くだが、街で男物見付けてやるからな、絶対。
俺が風魔にバレないようどうやって男物を集めるかと、ブツブツと赤セーラー姿で考えていると、風魔がシェービングを持ったのでストップを掛ける。
「それはダメだ」
「どうしてですか?これくらいは皆やっていますよ」
その皆に男は入ってねぇ!!
俺が何とかシェービングだけは阻止すると、風魔は「カナさんはやってたのに」何て言ってメイク道具を取り出した。
ええい、カナは性別カナだから良いんだよ、俺は男だからダメ!!
っつか兄さん剃ってたのか腕と足、そっかぁ……………
「終りました、やっぱり若菜さんは凄いです、才能の塊です」
自身も同学年で面識のあるあかりにバレないよう、髪をヘアスプレーで赤に染めて、サイドテールに纏めてメイクをした風魔が、俺の姿を見てうっとりと溜め息をしながら言う。
俺はそんな才能要らんかった、要らなかったよ。
「ありがとう、風魔さん」
この姿だと口調を変えるよう
「この姿の私は
あぁ、トラウマ時空の方の。確かに言われてみれば似てるなぁ。
あれ白雪がタイトルに釣られて見て、一人じゃ怖いからって、続きを観るのに俺も巻き込んで、最後は結局あかりも含めた三人で観たんだよな。白雪とあかりの涙腺がやられたのが大変だった。俺も最初はバカにしてたけど、最後はちょっとうるっと来たし。
「杏、それから取ってるなら、サイドじゃ無くてポニテの方が良くないかしら?」
「それだと私だってバレますよ、私いつもポニテですし。ウィッグしてても普段の髪型怖いですもん」
あかり、勘はそこまで良い訳じゃ無いんだけどな。まぁ、保険を掛けるに越した事はないか。
「それもそうですね、さっさと兄さんと合流しましょうか」
これ以上トイレに
「もう、若菜さんの時はお兄ちゃん呼びだ!!……って言われてるじゃないですか」
「そのマネ似てないわね、私恥ずかしいからあまりそう呼びたくないのだけど」
「私は良いと思いますよ。兄さんじゃ、あかりさんの前でもそう呼んでるなら、バレるかも知れませんし」
う、それは、そうだが、カナのあの目は恐くて嫌なんだよな。
俺が嫌そうな顔してると、風魔は折角の変装なんですから、成りきらないと勿体無いですけどね~何て言ってた。
片付けが終わって、うんうん唸って考えながら兄さん達と合流する。
兄さんはもうカナになってて、獅童さんの娘のミカを抱いてあやしてた。隣で獅童さんがベビーカーを準備して、色々と荷物を付けてるせいで、もう出来ちゃった婚した学生夫婦にしか見えない。獅童さんは未だしも、カナは15だから、下手しなくても犯罪だなぁ。歳の離れた姉妹の方がしっくり来るかね。
そうなると獅童さんはカナの兄貴になるのか。
「カナは私のお姉ちゃんよ、貴方には渡さない」
「いや、いきなり何言ってんのお前?」
あ、口に出てた。
恥ずかしくてその場で顔を手で隠してうずくまる。ヤバい、何考えてたんだ俺は、ちょっと落ち着け。
「いえ、ちょっと混乱してたの、察してよ」
口調は何とか誤魔化せたけど、自分でも今顔真っ赤だって分かるぞ、くそう。
「あら、若菜、うずくまってどうしたの?」
「思春期特有の二律背反です、よくあることです」
「こんな葛藤しょっちゅうあったら、私心折られてますよ!!」
「もう、そんな怒らないの、ミカちゃんが寝たばかりなのだから」
カナがベビーカーにミカを乗せながら俺を嗜める様に言ってきた。
カナの隣で獅童さんが腕を組んで俺達に今後の指示を出す
「俺達はこれから灘と現地での情報の精査をする。お前たちはホテルに荷物を置いて、一回休め。今は日付が変わったばかりだからな、俺達のホテルはこっちの武装ホテルだが、そっちは普通の観光ホテルだから、そこは配慮しろよ。いくらアメリカだからって、お前達の歳で大っぴらに
「分かりました、明日の集合は?」
「携帯にメールする、旧B型だ」
「あなた未だ馴れてないから、色々気を付けるのよ」
うわ、ダルいの来たなぁ。これは風魔に投げるか、旧B型暗号なら、コードシートが携帯のメモリにあったから、それを風魔の携帯に送って解読させよう。
俺が考えて返事をしようと顔を上げると、もう二人とも結構遠くを歩いてた。
「言うだけ言って、はぁ。何かあの二人似てるわ」
「まぁまぁ、早くホテルに行きましょうよ」
ぶつくさ歩きながら文句を言いながら、ターミナルでタクシーを拾って、目的地を言う。
「あ、すみませんホテル近くでランチが美味しいお店とかあります?」
風魔が運転手にオススメのお店聞いてた、こういうのはタクシーのおっちゃんが良い店知ってるのは、どこの国でも共通なんだなぁ。
「昼は、そうだなぁ………嬢ちゃん達可愛いし、ビジネス街の方の『Active horse』って店が上手いステーキが食えるぜ、あそこは日本人が店主で馬のステーキが食えるんだ。《horse special》ってメガ盛りメニューがあんだよ。後は『sugar star』って店のクレープは、最近人気だな。何でも普通の砂糖だけじゃなくて、色んな甘味料を独自にブレンドしてるらしい。はまって2週間毎日食ってた奴が、高血圧でぶっ倒れたって噂もあるな」
へぇ、『sugar star』は甘過ぎて無理そうだけど、『Active horse』は旨そうだ、量がアメリカンだけど。
「それはまた、場所は分かります?」
「おう、地図を貸しな、
路線図と一緒に渡されたタウンマップを渡すと、赤信号の時に慣れた手付きでページを開いて、赤ペンで印をつけてくれた。
「ありがとうお兄さん、また機会があったら使わせてもらうよ」
俺が礼を言うと、突然運転手が笑い始めた。
「ガハハハ、普通はターミナルでは黄色タクシーに乗るんだぜ?それ以外は基本詐欺だからな」
「お兄さんは親切だったじゃない」
詐欺って聞かされて、ちょっと警戒する。車は別に裏路地に入ってなく大通りを走ってるし、俺達は武偵だ、襲われても何とかなる。
「嬢ちゃん達が可愛いかったから、親切にしたんだ、いつもはぼったくりだぜ?」
風魔が首を傾げながら運転手に問い掛ける。
「じゃあ、私たちにもぼったくり料金吹っ掛けるの?」
「可愛い娘相手にあこぎな商売しねぇよ、ほらもうすぐ着くぜ」
運転手はちょっと顔をしかめてそう言うと、また別の店の情報をくれた、スゲェ親切な人である。歳も未だ二十歳くらいか、アジア系の顔だし、同じアジアのよしみでよくしてくれてるのかね、人種でそう言うのがあるのかはよく分からんけど。
それから殆んど時間も掛からずにホテルに着いた。揺れも少なかったし、この運転手やり手だなぁ。
「はい、着いたよ。料金は15$だ」
チップは料金のの15%~20%だっけ?
どんぶり勘定で20$位か。
「これ、お釣りは要らないから」
俺が金を渡したら、気を良くして名刺をくれた、個人事務所のタクシーだったのか、日本でもよく見る黒タクだったから、分からなかった。
「お、払いが良い客は嬉しいね、これ名刺な。これでも武偵だったんだ、どんなところでも運んでやるよ」
降りる時にもわざわざ運転席から降りて、ドアを開けてくれた。ここまでくると下心ありなのかと疑いたくなるな、表情からして純粋な親切何だろうけど。
「ここのルームサービスにこの番号を言えば、うちの事務所に繋がる、困ったことがあったら言ってくれ
降りてきた俺にそっと紙を渡して教えてくれた事に、至れり尽くせりで驚く、なぜこんなに親切なんだか、ちょっと怖いな。後で変な連中が出てきたりとかしないよな?
「ありがとう運転手さん、またね」
俺が返答に困ってると、風魔が俺の手を引っ張ってホテルに早足で歩き出した、ビックリして風魔の顔見るとちょっと不機嫌そうだし、運転手が手を振ってたからこっちではそういう習慣なのかなぁって振りかえしたけど、更に風魔の機嫌が悪くなるし。
ホテルの部屋に入って、ベッドに腰掛けて風魔を睨む。
「何であんな不機嫌になったんですか?」
いきなりあんな態度、親切にしてもらったのに酷くないかと、先輩として風魔を叱ろうとすると、風魔が俺を睨んで指を指してきながら言った。
「先輩が鈍感だからですよ!」
「は?」
鈍感?何を言ってるんだこいつは。
「分かってないみたいですね、あの運転手先輩の事狙ってましたよ」
え、は?いやでも俺は男だぞ?
「ちょくちょくバックミラーで先輩見てましたし、名刺を渡す時も然り気無く手を触ってましたし、それにタクシーから降りる時だって、あの人私が後で睨んで無かっったら先輩の手を取ってエスコートする気満々でしたよ!!!」
あの親切心にはそんな思いがあったのか!?
どうしてだ、俺は男なのに………なぜ男からアプローチ掛けられなきゃいけないんだよ。ぐぬぬ、何で隣の風魔じゃなく俺を。
「気を付けて下さいよ。今の先輩、中学生なのに背丈が良いから、メイクも相まってメッチャ大人びて見えますし、元々の才能が才能だから、下手なモデルよりキレイで可愛いんですからね!?」
嘘、だろ……………カナ程じゃ無いから全然平気だと思ってたのに。
「カナ程じゃ無いから平気だとばかり………」
「あんな芸術品と一緒にしちゃダメです!!あの人は近寄りがたい雰囲気があるから良いですけど、先輩は遊びなれてない雰囲気が駄々漏れで、お忍びのお嬢様的な雰囲気があるんですから、カナさんよりタチが悪いですよ!!」
マジかぁ、そんな感じなのか俺~。ショックだわぁ、男にモテるとか、そんな才能があったことにショックだわぁ。
後輩にボロクソ言われてベッドでいじけてると、風魔が良いこと思い付いたみたいな顔して、また変な事を言い出した。
「今日は休みって言われましたし、朝から観光ついでにナンパ馴れでもしましょうか、慣れとかないと任務に支障が出そうですし」
そこまで!?そこまでモテるの俺は!!?
「え、は?いや、ナンパとか流石に無いで「甘いですよ!!さっきされたばかりでしょう!!」…………うぅ、分かりました行きますよ」
あまりの気迫に押されてつい頷いたけど、ナンパって…………男の俺がナンパ馴れって、悲しくなるな、いっそ惨めだ。
まぁ、観光自体はホテル周辺の地理の把握とか、逃走経路の確認とかにも繋がるし、結構な妙案なんだけどね、主目的がね、いっそ殺せ。
その後も、女性的な仕草のレクチャーとか、上手いナンパの断り方とか、一時間長々と話された後、メイク落としの方法とコツまで教えられて、泥のように眠った。女ってこんな大変なのか。
未来を先取りしまくったアニメ、『魔法少女マホラ☆マジカ!』どこぞの社会現象起こした絶望時空と同じアニメですね、放送された年がおかしいですけど。
後忍者に芸術品扱いされるカナぇ、個人的にカナは剃ってると思う、それか脱毛。じゃなきゃあの美しさで男とか、理想の先輩とかドラゴンとかと同列でしょ(アリア時空にどちらも居るとか考えてはいけない)。